<射撃ニュース1月>
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(全道の国・道有林が銃猟禁止に:北海道)
道内全ての国有林と道有林で15日から可猟期間の3月末まで、有害駆除を除く一般狩猟者の入林が禁止される。道有林は土日祝日を除くが、国有林は期間中、全面禁止。昨年11月に恵庭市の国有林で起きた猟銃誤射による死亡事故を受けた措置で、猟期に国有林と道有林で全域的に狩猟が認められないのは初めて。一方、今回の措置により繁殖力の強いエゾシカが増えて農林業被害が拡大する懸念も。シカ肉の供給が滞り、食肉加工場や料理店に影響が出ることを心配する声もある。道内の森林面積554万ヘクタールのうち、国有林が占める割合は55%、道有林は11%。道内の7割近い森林が猟銃使用の狩猟禁止の対象となる。国有林を管理する北海道森林管理局と道有林を扱う道は、誤射事故を受けてハンターに狩猟ルール徹底の認識を促し、再発防止を図るため、異例な措置に踏み切った。苫小牧市や白老町など東胆振の約6万3000ヘクタールの国有林を管理する胆振東部森林管理署は「猟銃は一歩間違えば人を殺傷してしまう危険な道具。関係法令と狩猟ルールに照らして自らの行動を省みる機会にしてほしい」と話す。同管理局は今後、事故の原因究明と北海道猟友会からの再発防止策の内容と実施状況を確認した上で、2019年度の狩猟可否について検討する。道も19年度の春までに生息数を調べ、7月のエゾシカ対策有識者会議で今後の対策を示すという。禁止による影響を心配する声も上がる。エゾシカの増加による農林業の食害の拡大だ。北海道猟友会苫小牧支部長の荒木義信さん(80)は今回の措置に「襟を正し安全狩猟の原点に立ち返らなければならない」と受け止めながらも、「シカが増えて被害が広がってしまう恐れもある」と指摘する。道はエゾシカ増加による被害対策で有害駆除の捕獲事業を進め、生息数の抑制に努めてきたが、道生物多様性保全課は「(一般狩猟禁止により)今冬のシカ捕獲数は減少するかもしれない」と話す。同課よると、17年度の捕獲数は約12万8000頭。このうち有害駆除は約8万8000頭、狩猟は約4万頭で、頭数抑制や管理にハンターが果たしてきた役割は大きいからだ。また、野生鳥獣肉(ジビエ)として人気が高まってきたシカ肉の市場へ供給量が減る懸念も。

(シカ禁猟、影響懸念:北海道)
恵庭市の国有林で昨年11月に起きた猟銃の誤射による死亡事故を受け、15日から、有害駆除を除く一般狩猟者の入林が道内全ての国有林と道有林(土日祝日は除く)で禁止される。エゾシカは繁殖力が非常に強く「捕獲数が前年を数%下回るだけで数千頭増える恐れもある」(関係機関)ため、年間約50億円にまで減った農業被害が再び拡大する懸念も。野生鳥獣肉(ジビエ)の供給量にも影響を与えるため、農家や飲食店などからは捕獲水準を維持するよう求める声が上がっている。「冬の国有林には多くのシカが集まる。捕獲が減れば、以前のようにシカの大群が牧草地に入り込むようになる」。根室市の酪農業野尻一人さん(56)は危機感を募らせる。野尻さんの牧場には毎年春、シカの群れが来る。牧草を食べ、牧草ロールの包装を破って中の牧草を腐らせるなど被害は深刻だ。4年前に猟銃免許を取り、敷地内で駆除しているが「シカは広範囲を移動する。国有林が逃げ場になれば頭数の抑制は難しい」と嘆く。道環境局によると、2017年度は市町村が許可した「有害駆除」で約8万8千頭、趣味目的などの「狩猟」で約4万頭を捕獲。このうち、道内の森林面積約550万ヘクタールのうち66%を占め、今回の規制の対象となる国有林と道有林での狩猟が1万3千頭と、全体の1割を占める。釧路市や根室市で農業被害が年間1億円を超えるなど、特に被害が深刻な道東では、捕獲数全体の約3割を狩猟に頼っており、規制の影響が懸念される。道環境局は「シカは繁殖率が非常に高く、2歳以上のメスの妊娠率は90%以上。シカは減少傾向にあるが、捕獲の圧力を緩めれば増加に転じる恐れがある」とする。

(サルの頭部や腕見つかる:滋賀)
10日午前11時頃、滋賀県東近江市山上町の子育て支援施設「つどいの広場やまびこ」から東近江署に「サルのような死体がある」との通報があり、駆けつけた同署員がサルの頭部などを確認した。何者かが切断した可能性があるとみて、同署が鳥獣保護法違反などの疑いで捜査している。発表によると死体は子ザルとみられる。敷地境界の柵と施設の建物の間にある幅数メートルの屋外スペースに放置されていた。市によると施設は乳幼児や保護者らが利用し、死体の発見当時には親子2組がいたが、死体は見なかったという。

(ガンカモ類飛来、最多を更新:宮城)
宮城県は10日、今季2回目のガン、カモ、ハクチョウ類の生息調査結果を発表した。県内への飛来総数は31万3469羽(速報値)で、1970年の調査開始以来、最も多かった。前年同期比で2519羽増となり、最多更新は前年に続き2年連続。種類別では、ガン類が1万9777羽増の24万1005羽で過去最多。ハクチョウ類は1万5347羽(前年同期比2401羽増)、カモ類は5万7117羽(1万9659羽減)だった。県自然保護課は「例年に比べ、シベリアなど北方で寒波が強まっていることに加え、夏の繁殖がうまくいった」との見方を示した。調査は同日、伊豆沼・内沼(栗原、登米両市)など県内約500カ所の飛来地で、県や野鳥保護団体の関係者ら約100人が実施した。3月に今季最後の調査を行う。

(ジビエ利用量、シカの北海道が首位)
2019年のえとであるイノシシやシカなど野生鳥獣の肉を「ジビエ」として利活用する動きが広がっている。農林水産省の17年度野生鳥獣資源利用実態調査によると、全国の処理施設の販売量は食肉向けが1146トン。ペットフード向けを加えると1519トンで前年度に比べ30%増えた。都道府県別の食肉向けの利用量は北海道が503トンで突出して1位。2位は兵庫県で90トン、3位は鳥取県で61トンだった。食肉向けはイノシシが生息しない北海道はエゾシカがほとんど、兵庫は過半数がイノシシと地域で違いがある。イノシシやシカはハンターの高齢化などで増えすぎ、農林産品に食害を及ぼす「厄介者」。これを地域資源にしようと、政府もジビエ振興を強化し、19年度に利用量を16年度の1283トンから倍増させる目標を掲げる。鳥取県の東部では12年から解体業者や飲食店でつくる協議会がシカ肉を中心に活用を進め、メニューを出す地元飲食店が増えてきた。県内で処理量が最も多い「わかさ29工房」(若桜町)では鮮度や品質を保ち、首都圏の有名レストランも食材に使う。県中西部では18年2月にイノシシの活用を促す協議会も発足。大山町に同年11月に処理施設ができた。県も「亥い年(いいとし)」を掲げ、イベントなどで県産ジビエのブランド化を支援する。ただ、現状では捕獲された鳥獣の多くがそのまま土に埋めて処分されている。環境省などの調査でもシカとイノシシのジビエとしての活用率は全国で約7%にとどまる。

(豚コレラの搬出制限解除:岐阜)
岐阜県は16日、昨年12月に豚コレラが発生した同県関市の養豚場から半径3~10キロ圏で、豚やイノシシの出荷やふんなどの圏外への運び出しを禁じた搬出制限を解除した。対象はイノシシを飼育する1施設のみ。2養豚場と食肉処理場がある3キロ内で、ふんなどの移動を禁じた制限は26日午前0時に解除となる見通し。ただ、出荷は既に認められている。県内では昨年9月以降、岐阜市内の養豚場や同市畜産センター公園など6施設で豚コレラが発生した。6例目となった関市の養豚場では12月25日に感染が判明した。野生イノシシの感染も相次ぎ、同県以外に愛知県でも確認された。

(イノシシの死体が公園に漂着:新潟)
2019年1月14日午後1時30分頃、新潟県上越市の船見公園を散歩中の男性から「イノシシの死体が船見公園の海岸にある」との通報が上越警察署にあった。同2時過ぎ、署員が現場確認したところ、イノシシは海岸から約5mの場所で体半分が砂に埋まっている状態で、体長は1m10cmだった。発見した上越市内の男性によると、犬を連れて海岸を散歩中、犬がイノシシを見つけたという。「船見公園は流木が多いので、イノシシも関川か有間川から流れてきて、海岸に漂着したのではないか」と話していた。船見公園は新潟県が設置して、協定により上越市が清掃などの管理をしている。海岸に漂着した動物の死体などは、管理者が埋めるか焼却するという。

(電気柵貸し出し倍増、クマ出没多発で:北海道)
札幌市が一般家庭のヒグマ対策として、市民に無料で貸し出している電気柵の利用が2年目の2018年度、大幅に増えた。17年度と比べ2・3倍の65セットを貸与。南区を中心にヒグマの出没が相次いだことに加え、市民に貸出制度が浸透してきたためとみられる。電気柵は全長100メートル、高さ約1メートル。空中に張ったロープにクマが触れると、電流が流れてしびれる仕組み。クマが家庭菜園や、生ごみを堆肥化するコンポストへ近寄ることを防ぐ。貸出制度は17年3月に策定された市の「さっぽろヒグマ基本計画」に基づいており、市は80セットを用意。6~10月に貸し出し、敷地が広い場合は1世帯につき複数セットを提供する。

(坂網鴨を堪能:石川)
加賀市の「古式猟法坂(さか)網(あみ)鴨ツアー&食談会」は12日、同市大聖寺東町4丁目の料理店「ばん亭」で開かれ、東京や熊本、福井と県内から訪れた17人が普段は公開されていない伝統の「坂網猟」を見学した後、カモ料理に舌鼓を打った。参加者は、大聖寺捕鴨(ほこう)猟区協同組合の猟師東勇次さん(67)、河本一男さん(55)、食プランナーつぐまたかこさんの話を聞きながら、「かも治部煮鍋」「加賀野菜・カモ肉セイロ蒸し」「串焼き」など5品を堪能した。河本さんによると、昨年11月15日に始まった坂網猟は現在、計約130羽を捕獲し、2月15日まで93日間の猟期中に約200羽が捕れる見込み。4年目となった食談会は毎年1月に2回開催しており、次回は20日、大聖寺東町2丁目の料理店「山ぎし」で開かれる。

(オシドリの餌、イノシシ横取り:愛知)
日本有数のオシドリ越冬地として知られる設楽町田峯の寒狭川(かんさがわ)(豊川)河畔に連日、イノシシの群れが出没し、鳥たちの餌のドングリや古米を横取りしている。「各地の愛鳥家から寄せられた善意の餌。いくらイノシシ年とはいえ、あんまりです」。管理人の伊藤徹(てつ)さん(68)は怒り心頭だ。「おしどりの里」と名付けられた越冬地は、寒狭川流域の約三百メートルの区間。十月初めから翌年三月末まで滞在し、ピークの厳冬期には六百羽前後が川面を埋める。伊藤さんは毎日早朝、ドングリと古米各三十キロを河原にまき、鳥たちがついばんでいる。この河原にイノシシが出没するようになったのは、二〇一二年の暮れのこと。「見学のお客さんが帰り、人の気配が消える夕方に現れるんです」(伊藤さん)。侵入よけの電気柵を設けてみたが、水に入って迂回(うかい)することを覚えられ、無用の長物と化した。昨季まで一日一、二頭だった出没数が、今季は急増している。「昨年秋の二度にわたった台風で、山のドングリが壊滅状態になったせいかも」と、設楽町猟友会員の金田治久さん(50)は推測する。特に今年に入ってから増え、四日は四頭、五日が三頭、六日には九頭の親子連れが現れた。伊藤さんが鳥たちに与えるドングリと古米は、八十を超える県内外の個人、団体が届けてくれる。「イノシシに食べられた分は、あらためてまかねばならない。ストックが三月までもつかどうか、気が気じゃないんです」「おしどりの里」では昨年秋以降、二匹の野良猫が毎日のようにオシドリを襲っている。「イノシシに野良猫。暮れも正月も心が休まりませんでしたねえ」。川面を見ながら、伊藤さんは話した。

(イノシシ肉、自粛いつまで:岐阜)
今年は「イノシシ年」。イノシシを中心としたジビエ(野生鳥獣肉)の人気も高まっているが、可茂地域では家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の影響で、イノシシ肉の利用を控える動きが続いている。今は最も脂が乗っておいしい時期。根強いファンも多く、関係者は一日でも早い事態の収束を願っている。「いつまで騒動が続くのか分からず、身動きが取れない」。町内全域で狩猟が禁止されている八百津町八百津の獣肉処理施設「五宝の滝」の久保田豊店長(38)は肩を落とす。県内でイノシシの豚コレラ感染が判明した昨年九月から、県の要請を受けてイノシシの受け入れを自粛。食肉製品製造業の許可を得て、イノシシ肉を使ったミートローフなど独自の加工食品も売り出していこうとする矢先だった。二〇一七年度は町内や近隣で捕獲されたイノシシ百八十頭を受け入れ、処理した肉を県内外の料理店などに出荷した。一八年度は豚コレラ発生前に有害駆除で持ち込まれた八十頭だけ。冷凍保存した在庫はほぼ底をつき、新たな加工食品作りも休止状態という。本来なら大忙しの狩猟シーズンに備え、素早くきれいに皮をむける米国製エアナイフも昨年十一月に導入したが、ほとんど使えないままだ。「地元産のおいしい肉をどんどん広めたかったのに、楽しみがなくなった」。久保田さんはため息をつきつつ「いつでも再開できるように準備は整えておきたい」と前を向いた。一方、狩猟禁止区域外の東白川村の道の駅「茶の里東白川」では昨年十一月から、村内で狩猟により捕獲されたイノシシ肉を使った料理を提供。東京や愛知、長野県からもファンが訪れている。ただ、十二月までのしし鍋の販売数は昨シーズンの半分以下の百二十食。道の駅ではイノシシの捕獲や解体の履歴を個体別に管理し、安全で上質な肉のみを使っているが、運営する新世紀工房の村雲陽司社長(59)は「県内全てのイノシシに不安な印象を持たれている」と顔を曇らせる。イノシシが豚コレラの感染源ともみられる中、「近隣の養豚農家の心情に配慮して」と、外にのぼり旗を掲げるなどの宣伝は自粛。シュラスコの食べ放題も今月から、メインを通常のイノシシから牛肉に代えた。地元猟師も捕獲を控え気味で、昨シーズンは九頭だった入荷頭数は二頭にとどまっている。それでもイノシシ料理を食べた人からは「想像以上においしかった」などの感想が寄せられ、「元気づけられる。村の貴重な資源を大切にしていきたい」と村雲社長。四年前に関市から村に移住した村雲共弘さん(26)は「毎年楽しみにしている」と満面の笑みでしし鍋を平らげ、「早く落ち着いて、たくさんの人に食べにきてもらえたらうれしい」と話した。

(猿侵入対策で緩衝帯整備:長野)
富士見町と町有害鳥獣対策協議会、上蔦木区(窪田正利区長)は、ニホンザルの農作物被害を減らすため、集落山際の民有林を幅5メートルにわたって除伐し、猿の侵入を防ぐ緩衝帯を設ける事業に乗り出した。「群れの動きを検証しながら緩衝帯を整備する駆除対策は全国に先駆けた取り組み」(町)で、電気柵の維持管理を容易にし、木を伝った柵の乗り越え防止に期待。山林所有者の町外転出や高齢化で山の手入れが難しくなる中、台風や豪雨による倒木被害の未然対策でもあるという。国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、昨年12月に延べ約400メートルにわたって電気柵沿いの杉、ヒノキ、竹などを伐倒、山と集落の境を切り開いた。町内では2016年以降、猿による農業被害が被害総額の約6割を占め、年々増えている。特に同区は集落に山が迫る地形のため被害が多い。地元ではかねて電気柵の設置、花火を使った追い払いなど地域を挙げて対策に取り組むが、「急傾斜の林中での作業では木に阻まれて草刈りが十分にできず、柵が漏電することもしばしば。木を伝って簡単に侵入されてしまい、駆除効果が発揮できずにいた」(同区)という。町は15年から猿に発信機を装着して群れの動きをつかむ調査を続けており、一昨年からは同区をモデル地区に指定して詳細に調査。群れの泊まり場と、集落内にある誘因物(果樹類)の在りかを地図にした「ヒートマップ」を作成したところ、猿の群れが民家隣接の林で電気柵をまたぐようにして複数のねぐらを形成している実態が分かった。除伐に当たっては区役員が、町外に転出した所有者も探し求めて約20人の全地権者から同意を取り付け、作業を実現させた。窪田区長と同区電気柵管理委員会は「柵の管理がとてもしやすくなった。ようやく通電効果が出ると思う」と喜んだ。ただ、今回の作業範囲は群れの生息域に対して4分の1程度。区では「駆除の実効にはさらに緩衝帯を延長させる必要がある」とも考える。町は「資金確保の方途を模索し、確実な成果を出したい」としている。

(「こじゃんと」シカ捕るよ:高知)
四国森林管理局(高知市丸ノ内1丁目)が、独自に開発したシカ捕獲用の囲いわなの普及に乗り出している。高知発の技術として「こじゃんと1号」と名付け、林業用機械の見本市などに出展。県外での導入例も増やしている。囲いわなは、同管理局の森林技術・支援センターが、シカによる人工林の食害対策として2010年度に開発に着手。高知市五台山の鋼材販売業「ヤマサ」の協力を得て2年がかりで完成させた。

(丹沢のシカ、減少傾向:神奈川)
丹沢山地などで下草の衰退といった食害をもたらしているニホンジカが減少傾向にあることが、神奈川県の推計で分かった。県は中高標高域での管理捕獲が奏功しているとみている一方で、麓周辺での捕獲数が必ずしも減っておらず、箱根町と小田原、南足柄の両市にまたがる箱根山地での生息数が増加傾向なこともあり、慎重に評価を進めている。第4次県ニホンジカ管理計画(2017~21年度)によると、丹沢を含む8市町村の保護管理区域で、個体数推計の最近のピークは06年度。同年度は「5千頭前後~1万3千頭前後」で中央値が7500頭近かったのに対し、14年度は「1800頭前後~1万1千頭前後」で中央値は4300頭前後まで減った。個体数推計は捕獲数に基づいたもので相当の幅があるものの、減少傾向のカーブを描く。県は03年度から実施している管理捕獲の効果とみているが、その管理捕獲の担い手である県猟友会からも、減少を裏付ける声が上がっている。昨年12月に開かれた、県と民間団体などが進めている丹沢大山自然再生活動の18年度報告会で、県猟友会の役員が現場での感触を説明。「管理捕獲の初期は、1回の『巻き狩り』(囲いながら追い立てる猟の手法)でシカが20頭近く獲れたこともあった。同じ場所で管理捕獲を続けてきたところ、最近では1頭も獲れない日もある。全体ではシカが少なくなっているようだ」と話す。県自然環境保全センター研究連携課の田村淳主任研究員も、この報告会で「丹沢では県猟友会による管理捕獲と、高標高域ではワイルドライフレンジャーによる捕獲で、07年度からシカが減少傾向になっている」とする。また食害から守るため、県が設置を進めている高さ1・8メートル、30~50メートル四方の「植生保護柵」が効果を上げているが、田村研究員は柵の外でも植生の回復の可能性を指摘。「18年夏には丹沢山山頂の植生保護柵の外で、県絶滅危惧種のクルマユリ、ハルナユキザサを数個体、目にすることができた。少しずつ明るい兆しが出てきた」と報告している。

(特急列車がイノシシと衝突:佐賀)
13日午後4時10分ごろ、JR長崎線の肥前麓(鳥栖市)-中原(みやき町)間で、佐世保発博多行き特急列車(8両編成)がイノシシ1頭をはねた。乗客約160人にけがはなかった。JR九州によると、運転士が線路上にイノシシを見つけ、ブレーキをかけたが間に合わなかった。イノシシは死亡した。車両に異常はなく、点検後に運転再開した。特急列車などに10~20分程度の遅れが出た。

(普通列車イノシシはねる:佐賀)
13日午後8時38分ごろ、福岡市西区のJR筑肥線下山門-今宿間で、福岡空港発唐津行き普通列車(6両編成)の運転士が異音を聞き、緊急停車した。車両と線路を点検後、近くでイノシシが死んでいるのを発見した。JR九州は列車がイノシシをはねたとみている。乗客約200人にけがはなかった。列車は約20分後に運転を再開した。この影響で下り2本に最大23分の遅れが出た。

(大型動物の足跡、注意呼びかけ:新潟)
2019年1月11日午前、新潟県上越市の国道18号今池交差点付近で、大型動物のものとみられる足跡が見つかった。近くに住む男性が見つけ、同市に通報した。市では付近の住民らに注意を呼びかけている。市環境保全課が確認したところ、足跡は今池交差点から東側の田んぼの雪上にあり、周辺のおよそ300mに渡って付いていたという。地元の猟友会に確認を依頼したところ、イノシシの足跡の可能性が高いという。これを受け、市と市教委が同日、地区の町内や保育園、学校などに事故防止を呼びかける注意喚起を行った。

(2日連続イノシシ出没:富山)
13日午前10時ごろ、高岡市中島町の中島町公民館付近で、通行人がイノシシ1頭を見つけ、高岡署に通報した。この日、同署には計4件の目撃情報が寄せられ、12日の目撃に続き、2日連続の出没となった。けが人などの被害はなかった。同署によると、署員と市職員が午前10時15分ごろ、幼獣とみられる体長約50センチのイノシシ1頭が同公民館近くの千保川を泳いでいるのを確認した。イノシシは上流へ泳ぎ、横田町付近まで行ったところで下流に向かった。千保川と小矢部川が合流する四屋浄化センター付近で行方が分からなくなったという。同日午前1時ごろ、羽広でもイノシシ1頭が目撃されたほか、未明に上北島の住宅の防犯カメラにも映っていた。川を泳いでいたイノシシと同じかどうかは不明という。同市では、10日から中心市街地などでイノシシの目撃が相次いでおり、12日午後1時ごろには波岡公民館付近で成獣とみられるイノシシ1頭が見つかっている。同署は、イノシシの成獣と幼獣が市内をうろついている可能性があるとして、注意を呼び掛けている。県はホームページで、イノシシに遭遇した場合には近づいて興奮させないよう呼び掛けている。安全な対処方法として、イノシシが落ち着いているときは塀や建物などに身を隠して静かにその場を立ち去り、興奮している場合は速やかに建物内や車の中などに避難するのが良いとしている。また、イノシシは餌付けされると行動が大胆になり、人に危害を加える可能性が高まるため、決して餌を与えないよう訴えている。

(イノシシ出没:富山)
十日午後三時ごろ、高岡市京町の成美小学校付近でイノシシの成獣が目撃され、同日午後四時半までの間に高岡署や市役所に目撃情報が十数件あった。警察は目撃された場所付近の小学校六校に緊急連絡し、三校が校内待機した。けが人は出ていないが、イノシシの行方は分かっておらず、警察や市がパトロールして注意喚起した。イノシシは成美小グラウンドを通って、南西方向に移動。その後、高岡郵便局、有礒正八幡宮、国道8号の羽広交差点、あいの風とやま鉄道高岡やぶなみ駅、国道8号の六家交差点などで目撃情報があった。最後は市職員が上北島交差点付近で確認した。市によると、成美小から上北島交差点まで約五キロ以上、市街地を移動したとみている。目撃時間が下校時間と重なった成美、横田、博労(ばくろう)の三小学校は児童を校内待機させた後、集団下校した。下校後に目撃情報があった西条、木津、南条の三小学校は、教諭が児童の安全確認のために校区を見回りした。

(泳ぐイノシシ:富山)
鼻を水面から出し、スイスイと泳いでいるイノシシ。ダム湖を、およそ350メートルほど横断していく。2018年12月26日、富山・黒部市の宇奈月ダムで、ニホンザルの調査をしていた男性が、偶然見つけ、カメラを回したという。県自然博物園ねいの里・赤座久明さんは「ダムの中でざぶざぶと音が聞こえて、双眼鏡で見て、イノシシだと」、「餌場を探しながら、移動して歩いていると思う。山奥にいるイノシシというのは、冬の間、大変な思いをして生きているんだなと」と話した。イノシシは、体長が1メートル以上あり、牙も確認できることから、オスの成獣とみられる。

(クマ目撃情報:静岡)
9日午後1時ごろ、静岡市清水区梅ケ谷の柏尾緑地でクマ1頭が歩いているのを通りがかりの男性(80)が目撃し、清水署に通報した。署員が捜索したが、クマの姿や形跡は確認できなかった。目撃情報などによると、クマは体長約60センチで、緑地の岩肌を2、3分歩き回り、山へ入っていったという。清水猟友会によると、同地区周辺のクマは冬眠せず、警戒心の薄い子グマが里へ下りてくるケースも珍しくないという。目撃現場付近は集合団地など住宅が密集し、1キロ圏内には保育園と小学校がある。昨年12月にも近くで2頭の子グマが目撃されていることから、同署や同猟友会が周辺住民に登下校時や通行時の注意を呼び掛けている。

(サル、住宅街に出没:福島)
十四日午前八時二十分ごろから午後二時十分ごろにかけて、いわき市勿来町と錦町の住宅街などでニホンザルとみられるサル一匹が目撃された。けが人や被害はなかった。いわき南署や住民によると、午後二時ごろには住宅が密集する市内の錦中央三丁目公園近くの住宅で目撃された。屋根に上っているのを通行人が発見し一一〇番通報した。五分から十分ほどとどまった後、隣家の庭などを通って北に逃げたという。サルを目撃した木村一さん(69)は「三十年以上住んでいるが、自宅周辺で見るのは初めて。被害がなくて良かった」と驚いていた。同署は発見したら不用意に近づかないよう、注意を呼び掛けている。

(熊本城をカラスが”占拠”:熊本)
熊本城に“黒い城主”現る!?熊本地震の復旧工事が進む熊本城周辺では、夕暮れ時にカラスが大挙して飛び交う姿が見られ、観光客や市民らを驚かせている。12日午後5時過ぎ、熊本市中央区の通称・長塀通りからお城を眺めていると、どこからともなく次々とカラスが集まり、樹木に止まったり、上空を旋回したり。数十分後に集団で南側の花畑町の方へと飛び始めた。行幸橋近くの加藤清正像の上を何百というカラスの群れが覆い、その様子を仰ぎ見た市民らは「何あれ」「やばい」と声を上げていた。この現象について、熊本博物館の学芸員・清水稔さん(48)は「季節的なもので、特に今年はカラスが多いというわけではない」と話す。清水さんによると、カラスは繁殖期にあたる春と夏は雄雌のペアで行動するが、秋と冬は群れで過ごすことが多い。カラスの「ねぐら」は山や竹林など人間がいない静かな場所で、就寝前にいったん集まる習性があるらしい。お城あたりがねぐら入りする前の集合場所になっているようで、「集団でいるから多く見えるのでは」と推測する。「カラスはよほどのことがない限り、人間を攻撃したりしない」と清水さん。熊本城の工事関係者は「いま工事に影響はないが、カラスに追いやられたハトが工事中の天守閣の内部に潜り込んで、巣を作ったりしたら困る」と渋い表情を浮かべていた。

(被害拡大「ヌートリア」:山口)
南米原産のネズミの仲間「ヌートリア」。元々日本にいなかったこの動物が農作物を食い荒らす被害が拡大している。15日朝、山口市役所が行った駆除作戦に密着した。15日朝、山口市の職員らが行っていたのはある動物の捕獲作戦。市内に20か所以上設置された箱わなを点検するということで同行させてもらった。すると、箱わなの中には大きく口を開けた動物が…実はこれ、ネズミの仲間・ヌートリアだ。箱わなごと持ち上げると、引っかこうとしてくる。さらに別のところを見てみると、こちらでも捕獲されたヌートリアが。威嚇するような様子も。山口市職員「(Q:毎日これだけヌートリアがとれる?)今の時期は箱わなを多く設置していますので、とれる頭数は多いですね」その後も他の箱わなで次々に捕獲されたヌートリア。この日、9頭が捕獲された。しかし捕獲しても追いつかない状況だという。山口市役所 有害鳥獣対策室・中村優太主事「3、4年前のデータではヌートリア10万匹いるとされていたのですが、現在何匹いるか把握できていない状況」南米が原産のネズミの仲間、ヌートリア。川や水路など水辺で生活している。その様子は一見、愛くるしくも見えるが、実際は農作物を食い荒らしていて、2017年度の農作物の被害は全国で5800万円にものぼっている。15日、私たちが訪ねたのは山口県・宇部市の農家。去年の4月~5月にかけて沼でとれるレンコンが被害を受けたという。レンコンはかまれたところが黒くなっていた。また、山口市内の農家も先月、被害に。ヌートリアの被害にあった住民「土から出ているところをガジガジってかんでいるんですよ。ばれいしょとかサツマイモとかニンジンとか結構困りますよね」過去には大阪市内にいるヌートリアを発見。大阪城のお堀を泳ぐヌートリア。スイスイと泳ぎ、草を食べている様子も見られた。一方で、ヌートリアを展示している動物園(大阪市 天王寺動物園)も。休む時は土の中にいることが多いというヌートリア。草食性でオレンジ色の前歯が特徴だ。海外起源の外来種で、生態系や人間に被害を及ぼすとされる「特定外来生物」に指定されていて、国内では、輸入や、飼育が禁止されている。元々、日本にはいなかったヌートリアがなぜ増えてしまったのだろうか。実は第二次世界大戦中に軍服などの「毛皮」用に輸入され、飼育されていたヌートリア。しかし、戦後、需要が激減し、野に放たれたものが野生化したと考えられている。その後、繁殖を繰り返し、西日本を中心に飼育されていたことから、東海地方より西を中心に18府県で分布している。専門家は農作物被害の他に、ある問題を危惧しているという。山口大学・赤松良久准教授「(ヌートリアは)河川やため池、水辺が好きなんですね。そういうところに堤防があって、彼らは堤防に穴を開けて巣を作る。そうすると堤防の強度が下がる可能性があって、増水した時にはそれがきっかけで決壊する可能性があり得るのではないか」山口市では今後も市民と連携しながら捕獲していくという。

(イノシシ出没:佐賀)
平成31年1月16日午前9時30分ころ、武雄市北方町の北方駅付近で大型のイノシシ1頭が出没しています。もし、イノシシに遭遇したら、 不用意に近づかない 刺激をしない 餌を与えない等を守っていただき、すぐに警察又は市役所へ通報してください。

(尾瀬保全協力金創設に9割賛成:福島)
第四次尾瀬総合学術調査で昨年七月、尾瀬の来訪者に尾瀬保全協力金の創設について尋ねたところ、回答した三百五人のうち、93・1%に当たる二百八十四人が賛成と答えた。反対は十三人(4・3%)、無回答は八人(2・6%)だった。協力できる金額の平均は千九十九円で、最高額は一万円、最少額は百円だった。調査は東京大大学院農学生命科学研究科の山本清龍准教授が昨年七月七、八の両日に実施した。尾瀬沼などで郵送回収式の調査票を配り、三百五人が答えた。十一日に東京都内で開かれた尾瀬保護財団の学術調査報告会で発表された。山本准教授は尾瀬国立公園で植物の食害が深刻化しているシカ対策についても尋ねた。支持する対策の回答では、大面積の侵入防止柵が最多の百五十四人で、「ある程度の影響は許容する」は五十五人だった。山本准教授は「尾瀬の利用者からは積極的なシカ対策が支持されている」とした。群馬県立自然史博物館の大森威宏主幹は尾瀬沼の県内側で植物のショウブとミスジナガハグサが新たに確認されたと報告した。総合学術調査は二〇一九年度まで三年かけて実施する。

(「狩りガール」10年で4倍:栃木)
狩りガール」とも呼ばれる狩猟免許を持つ女性が県内で増加傾向にある。2017年度は47人を数え、12人だった07年度の約4倍に上った。ジビエ(野生鳥獣肉)料理ブームなどで狩猟のイメージが見直され、全国的に増加している。イノシシやシカなどの野生鳥獣による農作物被害が後を絶たない中、農林業関係者が免許取得に乗り出すケースも少なくないという。県自然環境課などによると、県内の狩猟免許所持者は1976年度の約1万7千人がピーク。その後はハンターの高齢化などを背景に減少し、2014年度は3336人まで減った。近年は若者や女性の参入が続き、17年度に3886人まで回復した。

(倒壊ブナ、台風とシカ害ダブル:京都)
一昨年からの度重なる台風被害が、山奥の天然林に現在も爪痕を残している。京都府南丹市美山町の京都大芦生研究林と、滋賀県高島市朽木の府県境の尾根周辺ではブナが倒れ、根元部分が土ごとむき出しとなった「根返り」が壁のようにいくつも現れている。シカの食害で下層植生が衰退し、ぽっかりと空いた空間にも新たな草木が育たないため、土壌流出の懸念も高まっている。倒木は標高の高い尾根筋に多く見られる。研究林最高峰の三国岳(標高959メートル)周辺では、府県境に続く登山道を遮り、幹回りが1メートル以上もあるブナが何本も倒れて根が半円状の壁のようになっている。研究林で調査を続けるネーチャーガイドの福本繁さん(65)=大津市=が辺りで確認しただけでも、2017年以降の台風で16本のブナが倒れたという。近年、一帯では積雪が減り、食料の乏しい冬場にシカが採食するため、ササが衰退している。福本さんは「ネットのような役割を果たしたササがなくなり、根の浅いブナが倒れやすくなったのではないか」と推測する。今冬は暖冬が予想され、「積雪が少ないと雪で守られていた植物も食べられる」と危機感を強める。研究林長の伊勢武史准教授(森林生態学)は「台風は自然現象だが、シカの食害とセットになると問題」と指摘。「木が倒れても、森に光が入ることで若い木が成長していけるが、シカが食べると世代交代が進まなくなり、雨で土壌も流れてしまう」と食害の影響を懸念する。

(巨大グマ追い続ける老マタギ:秋田)
旧阿仁町(北秋田市)で撮影された映画「マタギ」(後藤俊夫監督、1981年)の鑑賞会が19、20の両日、秋田市の遊学舎で開かれる。宿敵の巨大グマを追う老マタギの執念を描いた作品。後藤監督(80)=長野県出身=は「マタギは獲物を山からの授かり物として、自然に畏敬の念を持って生きており、その人間性は尊敬できる。クマと人、家族の関係に注目してほしい」と話す。阿仁の根子集落に住む老マタギ関口平蔵(西村晃)は、3メートル超のクマから負った傷を顔に刻み、「あいつは俺が撃つ」と心に決めて巨大グマを追い続けている。平蔵は、彼を尊敬する孫の太郎と共に雪深い山中へと入っていく―。

(イノシシと人里で遭遇したら)
普段は山にいるイノシシですが、人里に降りて来ることがあります。イノシシの目撃情報や被害情報が寄せられることも多いため、自治体では注意を呼び掛けています。えば『徳島県のホームページ』には、下記のように書かれてあります。本来、イノシシは臆病な動物で、人を襲うことは滅多にありませんが『イノシシがケガをしているとき』、『イノシシが犬に追われているとき』、『晩秋から冬にかけての発情期などで、興奮状態にあるとき』、『至近距離で突然、出くわしたとき』などは、まれに襲って来ることがあります。さらに万がイチ、イノシシに出会ったときの注意点として、『本来イノシシは臆病な動物なので、ほとんどの場合はそのまま逃げて行きます。見かけても決して刺激を与えず、興奮させないことが大切です』『イノシシと出会ってしまったときは、背中を見せずにゆっくりと後ろに下がって、静かに急いでその場所を立ち去りましょう』。『イノシシがたてがみを逆立てたり、“シュー”といった、相手を威嚇する音を出しているときは、特に注意が必要です』また『イノシシの子供(うり坊)を見かけても、可愛いから…と近づいたり、追いかけたりしないようにしましょう。近くに母親のイノシシがいる可能性が高いので、子供を守るため、攻撃して来ることがあります』といったように、注意を呼び掛けています。また環境省では、イノシシなど野生の動物にはエサをあげたり、エサとなる物を放置しないように、注意を呼び掛けています。

(ジビエの有効活用)
シカやイノシシといった野生鳥獣の肉である「ジビエ」は、日本でも古来より食されてきた。肉食が禁忌だった江戸時代にも鹿肉を「もみじ」、猪肉を「ぼたん」と植物の名前で呼び、「肉ではない」とごまかして食べており、今も名物として親しまれている地方は少なくない。外食業界団体の日本フードサービス協会が2月10日まで実施している全国の飲食店などでジビエ料理を提供する「全国ジビエフェア」には、1千店超が参加。本格フレンチからイタリアン、中華、和食、ファストフードまで多種多様な料理が提供されている。同協会は飲食店向けに「ジビエメニュー開発セミナー」を開催したり、ジビエのサンプルを提供したりして参加を支援している。特に、ジビエを食べたことがない人に初体験してもらい、消費者の裾野を広げ、需要創出を狙っており、手軽に食べられるメニューの開発に力を入れている。ハンバーガーチェーンのロッテリア(東京都新宿区)は「ジビエ 鹿肉バーガー」を開発し1月31日から限定販売。すき焼きの老舗、人形町今半(東京都中央区)は総菜を扱う店舗で「鹿肉コロッケ」を売り出している。このほかカレーやラーメンなど初心者向けの料理が豊富。同協会では「ジビエというと癖があるイメージが強いが、各社が工夫を凝らして食べやすいメニューを提供している。価格も手ごろなので、ぜひこの機会に挑戦してほしい」と話している。

(ジビエフェア、県内49店参加:高知)
シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理を高知県内各地の飲食店で味わえる「よさこいジビエフェア」が15日に始まる。参加店舗でジビエ料理を食べて応募するとプレゼントがもらえる抽選も。3月14日まで。15市町村の49店が参加。「鹿バーガー」(長岡郡大豊町の「大田口カフェ」)、「鹿肉のロースト」(高知市の「洋食ノイエ」)、「ししカツ味噌ラーメン」(高岡郡津野町の「道の駅布施ケ坂」)など多彩なメニューが楽しめる。

(県庁食堂では「鹿ダブル丼」:高知)
高知県で15日、「よさこいジビエフェア」が始まった。シカやイノシシなど野生鳥獣の肉を使ったジビエ料理のおいしさをアピールし、消費拡大を図る目的で6回目。昨年よりも9店多い過去最多となる49店舗が参加した。3月14日まで。ジビエ普及に力を入れる梼原町の3店舗や昨年秋に5日間限定で「鹿ダブル丼」を提供した県庁本庁舎の食堂が参加するなど話題性を持たせた。各店のメニューや価格を紹介するパンフレットは2万5千部作成。ジビエの基礎知識や栄養素、県内でのジビエ普及の取り組みも紹介した。

(イノシカバーガー初売り:埼玉)
県立皆野高の生徒たちが12日、亥年いどしの始まりに合わせ、イノシシやシカの肉を使った「激推げきおし イノシカバーガー」の初売りを道の駅みなの(皆野町)で行った。同高とJAちちぶ(本店・秩父市)、皆野町シルバー人材センターが企画した。イノシカバーガーは2017年度のマーケティング授業の一環で、当時の2年生が開発した。秩父地域でとれる野生のイノシシとシカの肉を4対6の割合で使い、デミグラスソースを使って獣肉独特のくさみを消したまろやかな味が特徴だ。生徒たちが、秩父地域のイベント会場などで1個500円(税込み)で販売しており、売上金の一部は鳥獣害対策に寄付している。この日は末広がりの意味を込めて88個を販売し、3時間ほどで完売した。

(多彩なイノシシ肉の料理楽しんで:岡山)
イノシシ肉を使った多彩な料理が楽しめる「湯原温泉郷しし祭り」(同実行委主催)が13、14の両日、真庭市の湯原温泉街で開かれる。飲食店や旅館が工夫を凝らした13種のメニューを提供。実行委は「冬場は脂が乗り最もおいしくなる時季。食べ歩きと名湯で身も心も温まって」とPRしている。地元で捕れたイノシシ肉を調理したカレーやカツサンド、シチュー、串焼き、コロッケなどを120~700円で売り出す。現金のほか、菓子などが当たるガラポン抽選券と、協賛旅館の入浴半額券付きで千円のチケット(前売りは1100円分)も使うことができる。両日とも午前10時~午後3時。チケットは湯原温泉ミュージアム(同市湯原温泉)で販売している。

(ジビエの魅力発信:和歌山)
狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉「ジビエ」の魅力を発信しようと、古座川町月野瀬の鳥獣食肉加工処理施設「古座川ジビエ 山の光工房」が特設サイトを開設した。古座川ジビエの特長や最高ランクのブランド鹿肉「金もみじ」、町内の魅力などを、写真や説明文もまじえて詳しく紹介している。農作物に被害を及ぼすシカ、イノシシの数を減らすため、町内ではシカが年間1千頭以上、イノシシが数百頭、それぞれ捕獲されている。大半は捕獲後廃棄されていたが、肉を有効活用するため、平成27年4月に山の光工房が設立された。施設は最新設備を備え、安全検査機器のメンテナンスや保存面の管理を徹底。捕獲されてから2時間以内(夏場は1時間以内)のシカ、イノシシだけを冷蔵庫で保管している。肉を選別し部位ごとに分けたり、ミンチやスライスにしたりして「古座川ジビエ」として販売している。東京や大阪などのフレンチやイタリアンなどの高級飲食店を中心に販路を広げており、29年には内閣官房と農林水産省が選定する「第4回ディスカバー農山漁村の宝」でジビエグルメ賞を受賞した。その評判は年々広がりをみせているため、今回、古座川ジビエのプロジェクトをより多くの人に知ってもらおうと特設サイトを開設した。古座川ジビエについては、シカやイノシシの一定規模の処理頭数を確保し、食品衛生管理の徹底に取り組むなどの基本計画を策定したことや、全国では17地区のみのジビエ利用モデル地区に政府から選ばれたことなどを紹介。「日本の先導的モデルとして、安全で良質なジビエを安定供給するためにさまざまな取り組みをこれからも行っていきます」としている。

(シカ肉、ペット餌に加工:静岡)
有害鳥獣として捕獲されたシカの有効活用を図ろうと、伊豆市の市営食肉加工施設「イズシカ問屋」で8年間現場責任者を務めた高山弘次さん(46)が独立し、同市吉奈にペットフード用の加工施設「DERR BASE IZU(ディアベイスイズ)しかまる」を開業した。ペット用という新たな需要を生み出し、順調に受け入れ頭数を伸ばしている。高山さんは2011年のイズシカ問屋開設時から18年3月まで現場責任者を担当し、捕獲されたシカやイノシシを食肉に加工する施設の運営に携わってきた。しかし、イズシカ問屋は30キロ以下の小さな個体や、1日の規定数を超える個体は受け入れられず、休日も設けているため、捕獲者が自家消費できない個体は埋めるなどして処分する状況が生まれている。「いただいた命を最大限活用したい」と、受け皿となる施設の開業を決めた。ペットの健康に気を配る人が増えていることから、年間を通じて需要のあるペットフードに着目。電解水や金属探知機を使うなど人間用と同等の処理設備を整え、18年9月に施設をオープンした。商品は生肉とジャーキーで10種類以上を用意。これまでにほぼ休みなく毎日1~5頭のシカを受け入れて加工処理しているが、会員制交流サイト(SNS)で愛犬家に評判が広まり、在庫は空。ペットフードとしては決して安くはないが、施設を訪れた清水町の女性(50)は「シカ肉はヘルシーでアレルギーも出にくい。新鮮なので犬がとにかく喜ぶ」と商品を購入していった。開業当初に目標とした年間400頭の処理に向けて順調に推移。「商売を軌道に乗せ、処分される個体が少しでも減るようさらに受け入れを増やしたい」と今後の展望を語る。

(ジビエ料理に挑戦:長崎)
長崎県五島市猟友会の会員らが、イノシシやシカの肉「ジビエ」を使った郷土料理の作り方を教える教室が12日、同市奈留町の奈留離島開発総合センターであった。参加した地元の小学生らはイノシシ汁などの調理を通して、五島に伝わる狩猟文化の一端に触れた。高齢化などで猟友会員が減る中、島の狩猟文化や有害鳥獣による農業・生活被害について関心を高めてもらおうと、同会と市が主催。小学生や保護者、同会の会員約20人が参加した。調理には島内で捕獲、食肉処理されたジビエ肉を使用。子どもたちは猟友会員の手ほどきを受け、イノシシのばら肉をシメジやゴボウなどと一緒に煮込んだイノシシ汁と、シカのミンチをみそと砂糖で甘辛く炒めた肉味噌(みそ)を完成させた。ジビエ料理を初めて食べたという市立奈留小6年の月川晃太君(11)は「牛や豚などとは味や歯応えが全然違うけど、とてもおいしい」と笑顔で話し、お代わりをしていた。

(イノシシの骨まで味わうラーメン:福井)
厄介者が、いい味出してます―。福井県福井市殿下地区で害獣として駆除されたイノシシを使ったラーメン「殿下福亥のししラーメン」が登場した。1月11日に同市畠山町の農家レストラン「かじかの里山殿下」内にオープンした「福亥軒」で提供が始まり、地元住民らが舌鼓を打った。同地区で活動し、開発を手掛けた「こしのくに里山再生の会」代表理事の松平成史さん(45)は「多くの人に知ってもらい、一人でも多くの人に殿下を訪れて味わってほしい」と期待している。同地区では年間を通じてイノシシが捕獲されるが、利用されずに廃棄されることも多い。その状況を知った松平さんがイノシシの肉だけでなく、骨まで余すことなく利用できる商品が作れないかとラーメンを考えついたという。スープは素材の味を生かそうと化学調味料は不使用。味はみそや塩、しょうゆで試行錯誤を重ね、一番肉に合うみそ味に決めた。食材も地元産にこだわった。越知山の伏流水にイノシシの骨と野菜を加えて煮込んだ「だし」に、市内の醸造元から仕入れたみそで味付けし、あっさり風味に仕上げた。トッピングにはイノシシのバラ肉を使用。しょうゆで甘辛く煮込み、あっさりしたスープにアクセントを加えている。営業初日のこの日は、開店と同時に多くの住民らが訪れ、ラーメンを味わった。知り合いから聞いて大野市から訪れたという男性(47)は「見た目は濃そうだが食べるととてもあっさりしておいしい。肉の食感も良く、脂も甘かった」と満足そうだった。殿下福亥のししラーメンは1杯千円で、2月23日までの毎週金土曜日の午前11時半~午後2時、同5時~同6時半に提供する。麺や具材、スープがなくなり次第終了。販売状況は同会のホームページで案内している。

(国産ジビエ料理セミナー:東京)
食のプロを育成する教育機関、辻調理師専門学校(大阪市、校長:辻芳樹)は、一般社団法人日本ジビエ振興協会(長野県、理事長:藤木徳彦)に協力し、「調理科教員向け 国産ジビエ料理セミナー」を2月17日(日)に、東京で開催いたします。本セミナーは、ジビエの正しい知識と調理技術を教育機関の授業で指導する際、そのまま使っていただけるカリキュラムとなっています。昨年11月に開催した大阪会場の参加者からは、「食材としてのジビエの現状やガイドラインについての講義を、授業で取り入れていきたい。」「今後のジビエ消費拡大に向けて、適切な調理方法を学生に伝えたい。」などの意見をいただきました。ジビエは2016年の「鳥獣被害防止特措法」改正により、捕獲された野生鳥獣は食肉として積極的に利活用されるべきものと明確に位置づけられ、昨年には、「国産ジビエ認証制度」が制定され、食肉処理施設における衛生管理基準や認証体制等が整備されました。ジビエの一般消費拡大に向けて環境が整っていく中、調理師養成施設においては、ジビエに関する授業の設置は各校の判断に委ねられており、ほとんど実施されていないのが現状です。未来の料理人が、早い段階からジビエに触れ、正しい知識と調理技術を身に付けることは急務であり、調理科教員向けの国産ジビエ料理セミナーを実施するに至りました。辻調理師専門学校では、2017年よりプロ向け国産ジビエ料理セミナーやジビエ料理コンテストの開催、教育プログラムの開発など、食の教育機関として日本におけるジビエ振興に積極的に協力しています。

(雑穀×ジビエ:長野)
今月末で閉店する伊那市長谷非持の雑穀料理レストラン「野のもの」は14日、雑穀とジビエ(野生鳥獣肉)を使った期間限定メニューの提供を始めた。同店代表で雑穀を栽培する吉田洋介さん(51)が、同市長谷杉島の民宿「ざんざ亭」のジビエ料理人、長谷部晃さん(45)に声を掛け実現。カレーや伊那市名物のローメンを23日まで提供する。カレーは鹿のすね肉や地元野菜で仕込んだとろみのある中辛。炒めた雑穀のアマランサスもまぶして香ばしさと食感を出し、五穀米で味わう。蒸し麺のローメンは、鹿とイノシシの骨で煮出したスープに雑穀のタカキビとモチアワを配合。上伊那産の野菜もふんだんに使い「あっさりしていて食べやすい一品」(長谷部さん)だ。閉店後は農業に専念するという吉田さんは「雑穀とジビエは相性が良いと感じていた」。昨年11月に依頼を受けた長谷部さんは「鹿のうま味、雑穀の渋味やえぐみを楽しんで」と話している。

(イノシシ鍋振る舞う:石川)
白山市の豊かな自然の恵みを味わってもらおうと、同市宮丸町の道の駅めぐみ白山は十二日、「山」をテーマに、白山麓産のイノシシ肉で作った肉団子を入れたみそ鍋を無料で三百食分振る舞った。鍋は肉団子のほか、市産の大根やニンジン、白菜、ナメコなども煮込んだ。来場者は熱々の鍋料理を口にして「おいしい」「ホッとする」などと冷えた体を温めていた。めぐみ白山は、十九日には「里」をテーマに松任産の油揚げや豆腐、白菜などを煮込んだみそ鍋、二十六日には手取川で取れたサケを加えた豆乳仕立ての鍋を用意する。各日午前十一時から三百食分を振る舞う。和田善亮(よしあき)駅長は「鍋の振る舞いを通じて地元の食材をPRしていきたい」と話した。

(突進カレーとコロッケ:長崎)
今年の干支(えと)「亥(い)」にちなみ、長崎市出島町の国史跡「出島和蘭(おらんだ)商館跡」の「内外倶楽部レストラン」は15日から、イノシシ肉を使った「突進カレー」と「突進コロッケ」をメニューに加える。出島から日本各地へ広がったさまざまな食文化を、料理を通じ知ってもらい、長崎観光につなげたい考えだ。江戸時代、オランダ人が住む出島では肉が食べられていた。レストランを運営するNPO法人「長崎の食文化を推進する会」の山下慧理事長によると、イノシシやシカなどの野生鳥獣肉を指す「ジビエ」も、出島に出入りした人を通じ、日本全国へ広がったとされている。メニューは山下理事長が考案。三原純子店長(62)が「味わった人が、イノシシのように目標に向かって一直線に突き進める良い年になれば」という思いを込めて名付けた。各1296円。カレーは、イノシシ肉のメンチカツを載せた。オランダ人が香辛料を出島に持ち込んだ歴史にちなみ、豆板ジャンなどを使い、スパイシーなルーに仕上げている。コロッケは、サクサクした食感の衣に、イノシシのひき肉やジャガイモがしっかりと詰まっている。長崎から全国に広まったジャガイモのほか、生クリームやバターも出島ゆかりの食材。山下理事長によると、江戸時代、オランダ人は出島で飼育した牛の乳からバターを作り、出島に出入りする遊女に手土産として渡していたという。山下理事長は「来店するのは大半が県外からの観光客。ジビエは長崎発祥だと知ってもらい、新たな『食の観光』として広げていければ」と話し、別の食材を使ったメニューの開発も検討しているという。

(イノシシ肉、東京進出:石川)
ジビエ工房三谷(金沢市高坂町)で加工されたイノシシ肉が今月、初めて東京に出荷される。工房と付き合いのある関係者が橋渡し役となり、メキシコ料理店での採用が決まった。工房メンバーは「東京の人に里山の味を楽しんでもらいたい」と出荷を心待ちにしており、課題となっている販路拡大にもつなげる。ジビエ工房三谷は2016年に発足し、山あいの三谷地区でイノシシの捕獲、加工、販売までを一手に担っている。これまで加工肉は市内のスーパーや飲食店などに卸してきた。昨年は過去最高となる420頭を捕獲した一方で、肉の流通経路の拡大はなかなか進んでいない。普及を後押ししようと昨年10月からは、移動販売車の活用を始めるなどしてジビエの魅力を伝えている。工房からイノシシ肉を仕入れるのは、世田谷区のメキシコ料理店「ロス・タコス・アスーレス」。今月24日の新年会で、豚肉の代わりにイノシシのバラ肉10キロを使い、蒸し焼き料理「カルニタス」として常連客に提供する。仲介役となったのは、小松市地域おこし協力隊で、南加賀ジビエコンソーシアムの福岡大平さん(27)だ。羽咋市の獣肉処理施設で勤務経験があり、工房メンバーにイノシシのさばき方を伝授した福岡さんの元に、知人で料理店オーナーシェフのマルコ・ガルシアさん(34)から「イノシシ肉を卸して欲しい」と連絡があり、工房を紹介した。工房は普段使わないイノシシの脂5キロも無償提供する。杉本秀夫施設長は今回を皮切りに、県外でも愛好者を増やしていきたい考えで「肉好きが集まる東京で、ジビエ料理のおいしさが広まる足掛かりにしたい」と話した。

(幸運呼ぶイノシシ革:福島)
伊達市農林業振興公社には、イノシシ革の商品の注文が例年以上に舞い込む。名刺入れやキーホルダー、装飾品、ペンケース…。丈夫で、軽く、柔らかい。通気性にも優れる。震災前から農作物の被害が増えていた。捕獲した後に、食肉として売り出す考えだった。原発事故が水を差す。いただいた命を、新たな形で生かせないか-。職員の思いが「皮」を「革」としてよみがえらせた。原料は全て市内産にこだわる。なめし加工は業者に委託する。二〇一五(平成二十七)年度に独自ブランド「ino DATE(イーノダテ)」が生まれた。今年で五年目に入る。色彩も豊富に、品ぞろえは二十種類余りに増えた。市内霊山町の作業場で、職員やパート従業員が一つ一つを手仕事で仕上げる。子どもが初めて履く靴は、ふるさと納税の返礼品として人気がある。「お気に入りで手放さないの」。利用者から、うれしい便りが届く。各地の市民講座や物産展から声が掛かる。今年の主役は、農家には少なからず厄介な存在でもある。だが、古くから子孫繁栄や無病息災、金運上昇を招いて縁起が良いとされる。イノシシ革の小物を身につけ、幸運を呼び込んでみる。

(とっておきグルメ情報:愛知)
愛知県豊田市の山間部にたたずむ「山里カフェ Mui(ムイ)」さん。近隣では、農作物に被害をもたらすイノシシなどの動物が有害駆除され、食べられることなく処理されているという問題がありました。同時に猟師の高齢化も感じた女性店主は、自ら狩猟免許を取得し、このカフェをオープン。駆除された命を無駄にしたくないと、店主自身が新鮮なジビエ料理をふるまいます。独特の臭みや硬さをなくし、食べやすくした料理は噂となり、遠方から来る人も多数!メインディッシュ3種類に、サラダ、ごはん、スープが付く「ジビエプレート」(1300円)や「ロコモコ丼」など、季節によって替わるボリューム満点のメニューが味わえます。カフェタイムには、地元の新鮮野菜を使った「季節のパウンドケーキ」の他、「季節のスムージー」(各400円)も提供。店主といろいろなお話をしながら食べると、より一層食べ物のありがたみを感じます。狩猟から料理まで、手間ひまかけた特別な一皿を召し上がれ。

(鍋食べ比べ:富山)
黒部市地域おこし協力隊員の杉田晋一さん(34)と小沢泰史さん(31)は、十九日にジビエぎょうざ家(同市中新)で開く移住者と市民の交流イベントで、イノシシ鍋と黒部名水ポーク鍋の食べ比べを企画する。十五日、ジビエ(野生鳥獣肉)の食肉処理をしている一般社団法人「狩猟屋」(同市宮沢)でイノシシ鍋を作り、イベント関係者らと試食した。二人は今年のえとがイノシシであること、二月に市内に新川地区獣肉生産組合の食肉処理施設ができることを合わせ、ジビエの浸透を図るとともに、黒部の自然の恵みを移住者、市民が感じられるよう鍋対決を考えたという。試食に使われたのは今月上旬、狩猟屋代表理事、村井悟史さん(40)が市内で捕獲、食肉処理した体重八〇~九〇キロの三歳程度の雄のバラ肉。二人は、みそをベースに市内産野菜を使って豚汁仕立てにした。村井さんによると、イノシシ肉をおいしくするこつは鍋の温度を七〇度に保つこと。臭みが出ず、軟らかく仕上がる。二人は野菜を煮た後、鍋の温度を測りながら下げ、慎重に調理した。試食した関係者は「臭みがない」「脂が甘い」と味に合格点を付けた。イベントではイノシシ肉を杉田さん、名水ポークを小沢さんがそれぞれ推す。杉田さんは「イノシシの野生のうま味を引き出す」、小沢さんは「黒部の名水で育ったポークの味を知ってもらう」と話した。村井さんは「硬い、臭いというジビエのマイナスイメージを取りはらう機会になれば」と期待した。イベントは市内への移住者でつくる「黒部のとびら」と協力隊が主催し、午前十一時にスタートする。鍋はそれぞれ二百人分を準備。簡単なアンケートに答えると無料で食べられる。

(いの骨らーめんを販売:島根)
出雲市佐田町の御幡(みはた)地区の住民でつくる「みはた特産品研究会」の会長として、年に春と秋の計5日間だけ地場産ラーメンを販売している。1日150杯限定で、食材が無くなり次第店じまい。午前11時に開店すると、閉店予定の午後2時前に完売してしまう。卵入り手もみちぢれ麺に、地元で捕獲したイノシシの骨をタマネギやニンジンなどの野菜で煮込んだしょうゆベースのスープ、チャーシューの代わりにイノシシの肉を添えた「みはた いの骨(こつ)らーめん」(900円)は、ファンを徐々に増やしている。

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(弾抜き作業中に暴発か、シカ猟仲間の男性死亡:岐阜)
3日午後2時20分頃、岐阜県下呂市馬瀬西村の空き地で、同市のパート男性(65)の狩猟用の散弾銃から発射された弾が同市馬瀬中切、岩口峰夫さん(71)に当たった。岩口さんは約2時間後、死亡が確認された。県警下呂署の発表によると、2人は近くの山で有害鳥獣駆除のため、他の仲間とニホンジカの猟をしており、狩猟を終え、男性が散弾銃の弾を抜いていたところ暴発したという。同署は業務上過失致死の疑いがあるとみて男性から事情を聞くとともに、暴発の原因を調べている。

(下呂市内での許可捕獲と狩猟中止:岐阜)
岐阜県の下呂市猟友会の男性(71)が仲間の散弾銃の暴発で死亡する事故が同市馬瀬西村で3日に発生したことを受け、同会は4日から同市内での県と市の許可捕獲(有害鳥獣駆除・個体数調整)と狩猟(銃猟・わな猟)を中止した。中止期間は狩猟期間が終わる3月15日まで。同会は3日夜に同市内で緊急役員会を開いて中止を決定し、会員134人に通知した。役員会には服部秀洋市長らも出席し、市は中止を了承した。市は4日、県へ許可捕獲の中止を報告した。斎藤正巳会長(73)は「会員の尊い命が失われ、事故の重大さから、直ちに許可捕獲などの中止を決めた。安全講習会を増やすなど再発防止に努める」と話した。

(ジビエ処理施設が増加、国が認証制度)
シカやイノシシ、ウサギなどの肉は、古くから食材にされてきた冬の森の恵みです。最近、ジビエ(狩猟肉)としても再び注目されてきて、専門に扱う飲食店も出てきました。安全なジビエを流通させようと、全国統一の認証制度がこの冬の狩猟シーズンから始まっています。レストランのシェフや食品メーカー、猟友会のメンバーらが集う日本ジビエ振興協会が昨年12月中旬、長野県富士見町で解体処理講習会を開いた。全国から集まった参加者を前に、講師役の戸井口裕貴さん(38)が慣れた手つきで、この日の朝にわなにかかったばかりのシカをさばいた。部位ごとに肉をそいでいくが、家畜と違って健康状態がつかみにくいため肉質の観察も欠かせない。特に注意するのは細菌の付着だという。「野生動物なので、いろいろな菌をもっていて当たり前です」と戸井口さん。内臓の中身が生肉に触れないように注意し、獣毛などが肉に付いた場合は水で洗い流すのではなく肉をそぎ取るという。シカやイノシシなどの野生鳥獣は、農作物に被害を与える存在でもある。農林水産省によると、2016年度の農作物被害額は172億円、森林の被害面積は全国で約6千ヘクタールに及ぶ。被害を食い止めようと、イノシシは62万頭、シカは58万頭(いずれも16年)が捕獲された。10年前の3倍近いが、その9割以上が焼却・埋設処分されているのが現状だ。自治体を中心にジビエなどに活用しようという動きが出てきている。農水省によると、ジビエの処理施設は全国で600施設近くある(17年度)。08年度の42施設から飛躍的に増えた。食用やペットフードなどに利用された肉は、17年度で1629トン。前年度から346トン増えた。シカとイノシシの利用率は捕獲頭数の合計の約8%だが、利用は少しずつ増えている。一方で、解体や加工に関するルールは無く、一部の自治体は独自の認証制度を設けてきた。長野県では14年から信州産シカ肉認証制度を導入。捕獲から食肉加工までの履歴を確認することができるようにした。和歌山県でも同年、ジビエの品質によって和牛のようにランクをつける格付け制度を設けた。「皮下脂肪の厚さ」「肉の締まり・きめ」などの項目によりイノシシ肉は3段階、シカ肉は2段階に格付けされる。だが、外食産業を中心に「全国統一のルールで安全の担保がほしい」との声があり、農水省は食肉を処理する施設に対する「国産ジビエ認証制度」を18年5月につくった。厚生労働省が設けた衛生管理のガイドラインをもとに、使用するナイフは1頭ごとに消毒する▽解体処理後速やかに冷却する▽捕獲地や捕獲・解体年月日を記載する、など80項目以上の基準を満たした施設が認証を受けられる。日本ジビエ振興協会の鮎沢廉事務局長は「国産認証は、豊かな森の恵みであるジビエが安全な形で広く流通するための第一歩。消費者に身近な食材として、安心しておいしく味わってもらうことにつなげたい」と話している。

(イノシシと衝突、2本遅延:宮城)
8日午後10時40分ごろ、仙台市青葉区のJR仙山線愛子-陸前白沢間で、山形発仙台行き上り普通列車がイノシシと衝突、運転を一時見合わせた。JR東日本仙台支社によると、仙台-愛子間の上下2本が最大42分遅れ、約200人に影響した。

(琵琶湖泳ぐイノシシを初捕獲:滋賀)
イノシシによる農作物被害が問題となっている琵琶湖に浮かぶ沖島(滋賀県近江八幡市)で、年末年始にイノシシの成獣2頭が相次いで捕獲された。昨年におりとわなを設置して以降、捕獲は初めて。複数の幼獣「うり坊」も目撃されており、生活を守ろうと奮闘する島民と今年の「えと」との攻防はまだまだ続きそうだ。沖島には対岸から1キロ以上を泳いで渡るイノシシのほか、既に定着した個体もいるとみられる。畑の農作物は漁業と並んで自給に欠かせないが、数年前からタケノコやイモが食い荒らされ、ホウレンソウも踏みつぶされるなど被害は拡大し、高齢化が進む島の人々は困り果てている。昨年5月に自治会がおり4基を設置、猟友会も7月にくくりわなを2カ所に仕掛けた。12月31日に体重約30キロの雌がわなに掛かり、1月5日には体重約20キロの雄がおりに入り、いずれも猟友会が処理した。しかし、その後も畑は掘り起こされている。今回捕獲した2頭よりもはるかに大きな足跡が確認され、6頭ほどのうり坊が連れ立って歩く姿も赤外線カメラに写っていたことから、島民は畑を漁網で囲むのをやめて、電気柵に替えるなど自衛に追われている。沖島漁協の奥村繁組合長(71)は「待ちに待った捕獲だが、まだまだ安心できる状態ではない。自分のえとでもあるイノシシが悪さをしており肩身が狭い」と話す。沖島出身で大中猟友会の奥村輝夫会長(61)=同市大中町=は「島で暮らしたいと思う人たちがこれからも暮らし続けられるように、わなの設置数を増やしたい」と表情を引き締める。

(電線渡るサルの群れ話題:青森)
青森県むつ市で、サルの群れが雪原の上に張られた電線を器用に渡る動画が撮影され、話題になっている。ツイッターで公開されると「かわいい」「何回見ても飽きない」などとコメントが殺到し、9日には再生数が70万回を突破した。映像は7日、投稿者の母親が同市の自宅から撮影。20匹ほどのサルが上下2本の電線を両手足でつかむなどし、列をなして渡っている。動画では撮影した母親が「見て見て、ありえねぇで」と興奮している様子もうかがえる。投稿者は「動画の反響は、ただただびっくりです」としている。

(白いヒグマ、動画撮影成功:北海道)
日本大生物資源科学部(神奈川県藤沢市)の研究グループ(代表・井上公基(こうき)教授)が、渡島管内八雲町の演習林で白毛のヒグマの動画撮影に成功した。設置した熱感知カメラが2016年9月から18年7月にかけて計6回捉えた。ヒグマ研究者は毛並みや体格から、同一の雌とみている。野生の白いヒグマは、北方領土の国後島と択捉島で確認されているが、北海道本島で繰り返し撮影されるのは極めて珍しいという。北方領土へは自由往来ができないため、白いヒグマの本格的な調査研究が難しく、詳細な生態は分かっていない。八雲で確認されたことで追跡調査や毛の採取によるDNA鑑定など解明が進むことが期待される。同グループの森林動物学研究室が同町上八雲の演習林(2406ヘクタール)の生息動物を調査するため定点設置したカメラ数十個を回収したところ、白いヒグマが特定の区画で6回映っていた。顔や背中を除き、白い毛に覆われたヒグマがカメラの前を横切ったり、顔を近づけたりしていた。同研究室は「親が白毛だったかは分からない。親同士の遺伝子の組み合わせで白毛に変異した可能性もある」とみる。クマの生態に詳しい北大大学院の坪田敏男教授(野生動物学)は、映像に残っていた尿の出方から、個体は雌で現在は4歳くらいと推定。「毛のパターンから見て、同一個体の可能性が高い。雌は雄よりも行動範囲が狭く、撮影場所の周辺に定住しているのではないか」と話す。北方領土の白いヒグマはビザなし交流の専門家枠で訪れた調査団が09年、国後島で確認。当時の聞き取りで、生息する約300頭のうち1割の毛が白いとされた。隣の択捉島でも生息が確認されており、両島とも上半身が白いのが特徴。調査団の一人で酪農学園大(江別)の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は「八雲のヒグマは下半身も白いという点で珍しい」とする。ホッキョクグマは獲物や外敵から身を隠すため、雪氷と同じ白色(体毛自体は透明)に進化したとされる。佐藤教授の国後島での調査では、白毛のヒグマは一般的な黒毛よりも水中にいるカラフトマスに警戒されにくく、捕獲の際に有利との結果が出た。北方領土は島のため周囲から隔離され、黒毛より有利な白毛同士の交配が進んで割合が増えた進化の途中である可能性もあるが、調査の機会が限られ、要因は解明されていない。八雲で18年7月に撮影された白いヒグマが4歳であれば、雄と交尾し、早ければ今年出産する。坪田教授は「八雲は北方領土と異なり定点観測できる環境にある。白いヒグマから生まれた子も白毛なのかを含め、生態を追跡できるチャンス」と、白いヒグマの謎解明に期待を寄せる。

(イノシシ、大物捕獲:静岡)
志太猟友会藤枝第2支所有害鳥獣捕獲班のメンバーがこのほど、藤枝市花倉の山中で、150キロ超のイノシシを捕獲した。捕獲班によると、昨年10月から100キロを超えるイノシシが相次いで捕獲され、メンバーも「これだけ続くのは珍しい」と話す。同捕獲班の久住英樹班長(74)によると、150キロ超のイノシシを捕獲したのは昨年12月29日。地元農家からの要請を受けて7人のメンバーが山に入り、猟犬を使って150キロ超の大物を含め全3頭を銃器で仕留めた。イノシシ猟を50年以上行っている久住班長も、「そう見かける大きさじゃない」と驚く。今回以外にも、昨年10月から市内の下之郷や潮地区などで100キロ超の大物を計3頭捕獲したという。市は昨年4月に鳥獣被害対策実施隊を設置し、鳥獣による農作物への被害防止対策などを進めている。久住さんも実施隊メンバーの一人で、「農家の被害を少しでも少なくするため、強い集中力をもって捕獲活動に取り組んでいる」と語る。

(新浜鴨場:千葉)
都市部に広がる「緑のオアシス」-。上空から眺めると、その姿はくっきりと浮かび上がる。市川市南部で宮内庁が所管する「新浜鴨場」。南側の行徳鳥獣保護区とを合わせた約八十三ヘクタールが行徳近郊緑地保全区域に指定されており、さまざまな野鳥が飛び交う楽園になっている。新浜鴨場が開設されたのは一八九三(明治二十六)年。面積は約一九・六ヘクタール。現在も毎年十数種類、計二千羽を超える野生のカモをはじめ、さまざまな野鳥が飛来している。なぜ、この場所に鴨場が設けられたのか。宮内庁は「選定理由は不明」とするが、行徳地域の歴史に詳しい鈴木和明さん(77)=同市在住=は「一帯は江戸時代、大名らが行うタカ狩りの猟場だったため」と説明する。鈴木さんによると、皇室では古くから優雅な娯楽としてタカ狩りが行われ、江戸期は幕府側が担ったものの、明治以降は再び皇室が行うことになったという。この鴨場では冬場、野生のカモを無傷のまま捕獲する独特の技法が続けられている。元溜(もとだまり)と呼ばれる池に集まった野生のカモを、訓練されたアヒルを使って引堀に誘導し、叉手網(さであみ)と呼ばれる手持ちの網を使って、カモが飛びたつところを捕獲する。野鳥だけでなく、国内外の賓客も来訪。宮内庁によると、埼玉県越谷市にある「埼玉鴨場」とを合わせ、冬場の鴨狩りシーズン中は、駐日外国大使夫妻らを招待する「外交団接待」が五回、首相や閣僚、衆参両院議長をはじめ国会議員、最高裁長官ら国内の要人を招待する「内国人接待」が四回行われる。一帯にはかつて、浅い海と干潟などが広がっていた。しかし、埋め立てが進んだことで次々と住宅地や工場地域へと姿を変えてきた。開発の一方で、干潟は渡り鳥の貴重な飛来地になっていることから、「自然を守れ」との運動が盛り上がった。これを受け、県が設置した「行徳地域問題審議会」が一九六八年に答申。七〇年に一帯約八十三ヘクタールが行徳近郊緑地保全区域に指定され、南側に湿地帯の鳥獣保護区が造成されるなどして、自然環境がそのまま守られている。新浜鴨場の周囲は住宅地などへと変貌し、時代も明治、大正、昭和、平成へと移り変わってきたが、「緑のオアシス」のたたずまいはこの先も変わらないだろう。この鴨場は、皇太子さまが雅子さまにプロポーズした場所といわれる。「ザ・プリンセス雅子妃物語」(文芸春秋)によると、お二人がデートしたのは一九九二年十月三日。皇太子さまは「私と結婚していただけますか」、続いて「雅子さんが皇室に来てくれたら嬉(うれ)しい」と素直にお気持ちを伝えられたのだった-。その皇太子さまは五月一日に新天皇に即位し、雅子さまは新皇后となる。お二人にとって、思い出の地にちがいない。

(イノシシにありがちな3つの誤解)
今年の干支はイノシシですが、実はイノシシに対する誤解は少なくないようです。イノシシの正しい習性を知れば、見方が一変するかもしれません。イノシシと言えば「猪突猛進」ですが、「それは誤解です」というのはイノシシを飼ったことがある江口祐輔さんです。「子どものうちから飼っているイノシシは人なつっこく、ゆっくり歩くし、曲がるのも得意です。私が思うに『猪突猛進』を言い伝えたのは猟師でしょう。イノシシにしてみれば、自分たちを殺しに来た猟師から必死に逃げているだけなのです。猪突猛進というと、何かに向かって真っ直ぐに突進するイメージですが、実は鉄砲から必死に逃げているだけなのです」(江口さん)江口さんは国立研究開発法人農研機構(西日本農業研究センター畜産・鳥獣害研究領域鳥獣害対策技術グループ)に勤務し、麻布大学獣医学部客員教授を務めるイノシシの専門家です。イノシシは積雪深30cm以上の日が70日以上続く地域に生息できないとされてきました。しかし、最近は豪雪地帯でもイノシシの発見が相次いでいます。「江戸時代、青森県八戸市周辺でイノシシによる農作物被害で多くの人が餓死したという記録があります(八戸飢饉、1749年)。その後、東北地方のイノシシは豚コレラの流行や狩猟で絶滅したとされます。冬眠しないイノシシは足が短いため、雪深い地域では越冬できないと言われますが、イノシシの親は雪をラッセル車のようにかき分けて突き進み、その後ろを子供達が通ります。餌さえあれば積雪地帯でも越冬できるのです」(江口さん)北海道にイノシシはいませんが、江口さんは「氷河期に大陸から渡って来なかっただけで、北海道でも生息は可能」と言います。実際、ヨーロッパイノシシは北海道より緯度が高い積雪地帯に生息しています。イノシシは一昨年、農作物被害を減らすために約53万頭が捕獲されました(2017年・環境省)。「しかし、イノシシによる獣害はいっこうに減りません。それは捕獲されるイノシシは獣害に関して無罪だからです。捕獲されるのは"山のイノシシ"ですが、田畑を荒らすのは"里のイノシシ"なのです。私はよく"山の10頭より里の1頭"と言っているのですが、農作物被害をもたらす里のイノシシを捕獲する必要があります。しかし、人家に近い里のイノシシには発砲できないので、ワナを仕掛けて捕獲するのが有効です」(江口さん)江口さんはイノシシなどによる農業被害を防ぐ捕獲指導もしていますが、捕獲に頼らずに耕作放棄地や放任果樹などの環境管理と畑に柵を張ることが基本だと言います。イノシシをよく知れば農業被害を減らすことができ、人間と共存共栄も可能なのです。

(ジビエの有効活用、ヘルシーで栄養豊富な“山の恵み”)
山野を駆け巡るシカやイノシシといった野生鳥獣の食肉を意味する「ジビエ」は、高タンパク低カロリーのヘルシーな食材として注目を集めている。鉄分や亜鉛、ビタミンなどの栄養素も豊富に含まれており、まさに「山の恵み」といえる。文部科学省の日本食品標準成分表によると、筋肉など人の体を作るタンパク質の含有量は鹿肉の場合、100グラム当たり22・6グラムで、牛肉・豚肉の同17・1グラムの約1・3倍。一方で、鹿肉のカロリーは同147キロカロリーと、豚肉の同253キロカロリー、牛肉の同317キロカロリーに比べほぼ半分で、健康的な体形作りに適している。健康な血液を生成するのに必要な鉄は、鹿肉100グラムを食べると、1日の推奨量の約30%を摂取できる。体を構成するのに重要な栄養素で体内で生成できない亜鉛も鹿肉・猪(いのしし)肉100グラム当たりで、1日の推奨量の約30%を摂(と)れる。このほか、肩こりや腰痛の改善に効果があるとされるビタミンB12は、鹿肉100グラム当たりで1日に必要な量の約54%、猪肉は約71%を摂取できる。肌荒れなどを改善する美肌効果があるとされるビタミンB2も、鹿・猪肉は牛肉の約2倍含まれている。日本フードサービス協会が2月10日まで開催している「全国ジビエフェア」には1千店以上が参加し、さまざまなジビエ料理を提供している。「健康志向の高い女性にピッタリの食材。若者から高齢者まで幅広い人に食べてほしい」と呼びかけている。

(リュウキュウイノシシ:沖縄)
今年の干支は「亥年」。沖縄にもリュウキュウイノシシと呼ばれる小型のイノシシが生息している。北は奄美大島や加計呂麻島、徳之島などの奄美諸島から、南は沖縄本島、石垣島、西表島などの沖縄諸島にかけて分布している固有亜種で、沖縄地方では「ヤマンシー」とも呼ばれている。体の色や形態は本州などに生息するニホンイノシシと同じだが、島嶼(とうしょ)部に分布しているためなのか、全体的に体は小さい。沖縄県立博物館・美術館の説明によると、1万8000年前、港川人が発見された八重瀬町港川フィッシャー遺跡では人骨とともにイノシシ化石が数多く発見され、かなり早い時期から沖縄にもイノシシが分布していたことが分かっている。また、南城市武芸洞遺跡でも約6000年前の地層から土器や石器とともに大量のイノシシ骨が発見された。昔から沖縄の人たちにとって、イノシシは貴重なタンパク源として食されてきたというのだ。八重山地方では毎年11月15日から3カ月間、イノシシ猟が解禁となる。かつては、木の枝や葉を使って仕掛けた罠(わな)で捕まえるという原始的な猟が主流だったが、現在では犬を使って追い込み、銃で仕留める追い込み猟がよく用いられている。八重山地方や沖縄本島北部のやんばる地方では、イノシシによってパインなど作物が荒らされる被害が頻繁に報告されている。沖縄では現在、イノシシを食べることは少なくなり、「山原猪豚」という食用ブランド家畜が国頭村で飼育されている。1981年に国頭村で捕まえたイノシシを豚舎で飼い、ブタと交配させたことがきっかけで誕生したものだ。国頭村を中心にこのイノブタ料理を提供する食堂が何件もある。豚肉よりも味は濃厚で、イノシシ特有の臭みがない。

(おじいちゃんの畑守れ:群馬)
地域の鳥獣害対策を進めようと、群馬県立藤岡工業高の生徒3人がわな猟で奮闘している。畑の野菜を荒らされて困っている生徒の祖父を助けようと決意。高校で学んだ知識を生かして試行錯誤している。「これはシカのフンだな」。藤岡市日野地区の山中で、自分たちでそろえたオレンジ色のベストを着た3人がわなを仕掛ける場所を相談していた。動く物をセンサーで察知するカメラを木に設置しておき、映像をパソコンでチェック。シカやイノシシが歩いた獣道を入念に確認し、わなを仕掛け直す。実践するのはいずれも同校3年の小暮啓介さん、笹野大樹さん、萩原悠太さん。本年度のわな猟免許の試験に合格し、狩猟者登録をした。わなを仕掛けるのは小暮さんの祖父の畑から50メートルほど離れた場所。この1年で、シカやイノシシに野菜や梅の木を食い荒らされる被害があった。「祖父の畑を守り、安心させたい」とする小暮さんに他の2人も協力し、主に週末に活動している。授業で学んだワイヤの輪で獣の足を捕らえるわな作りのほか、カメラを利用した野生生物調査の技術も駆使する。まだ捕獲の実績はないが、3人は「シカやイノシシを捕獲したり、山に追い返したりできるよう、もっと勉強したい」と意気込んでいる。

(かいま見たマタギの信念:福島)
白銀の福島・奥会津の里山。乾いた銃声が両耳を突き抜けた。続いて、2発、3発。キーンと甲高い音が頭の中でこだまする。カメラをのぞき、必死にシャッターを切り続けた。ファインダーの中の男性が、そっと銃口を下ろした。銃口から硝煙が上がっていた。マタギ。その存在を知ったのは昨年5月、名古屋から福島に赴任してすぐの頃だ。市街地に出没したクマを取材する中で猟友会員から聞いた。山に暮らし独特の宗教観を持ち、狩猟を生業とする。そして、奥会津に県内で随一のマタギがいるらしいと。12月中旬、私は金山町の山にいた。カメラを抱え、マタギの猪俣昭夫さん(68)と、弟子の八須友磨さん(26)の背中を追った。

(シシ肉「美味1位」争奪:東京)
全国から寄せられたイノシシ肉の美味No.1を選ぶ「第3回日本猪祭いのししり」が2月16日午後1時から、東京都江東区豊洲のレストランで開催される。主催者で、郡上市の里山保全組織「猪鹿庁いのしかちょう」などでつくる里山めぐり利き猪しし実行委員会は、食べ比べの「利き猪」参加者を募集している。祭りには全国約20地域の解体処理施設・組織がイノシシのモモ肉を出品する。参加者がテーブルに分かれて4~5地域の肉を食べ比べ、一番おいしかった肉に投票。各テーブルの1位が決勝に進出し、特別審査員と抽選で選ばれた参加者の「利き猪」でグランプリと準グランプリを決める。参加費は8000円(食べ放題、飲み放題付き)。実行委員長の興膳健太さん(36)は「亥年いどしとあって郡上から初めて東京に進出する。イノシシ肉のファンになってもらうことが、有害獣対策に取り組む山里への応援につながる」と祭りの意義をアピールしている。祭りの運営費などを支援してもらおうと、一般から資金を募るクラウドファンディングも始まった。目標額は100万円で、5000円、7000円、1万円コース(各コース50人まで)の寄付申し込み者には、祭りに出品されたイノシシ肉やシカ肉が届く。10万円コース(3人)は、主催者が15人分程度のイノシシ肉を持参し、希望の場所で利き猪大会を開催する。

(イノシシ年の2019年は「ジビエ」が盛り上がる?)
根強いファンはいるものの、なかなか“大ブーム到来”とはいかない「ジビエ」。しかし近年、ジビエを扱う店舗はじわじわと増えており、さらに今年は「イノシシ年」とあって、これにちなんだメニュー開発やキャンペーンを行う店舗も増えてきた。また、政府でもジビエ肉の普及を後押しする動きが進められており、飲食業界としては仕掛けがしやすい環境が整いつつあると言えるだろう。そこでここでは、日本のジビエの現状について改めて考えていきたい。まずは「ジビエ」についてのおさらいから。一般社団法人日本ジビエ振興協会のホームページによると、「狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉(フランス語)」で、「ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化」とある。昔、フランスなどでは、自分の領地を持ちそこで狩りができる上流階級の人間しかジビエを手に入れることができなかった。また、野山を駆け巡って育まれたその肉質は、脂肪が少なく、栄養価も高い。そのためジビエは高級食材として愛されてきたという。現在、フランス料理でジビエを使った料理が多いのはこの伝統があるからだろう。日本でも、ジビエを食べる習慣は古くから存在する。日本は国土の約70%が森林に覆われた国だ。ジビエは日本では「獣肉」と呼ばれ、貴重なたんぱく源とされてきた。しかし、仏教が殺生を良しとしないことや牛・豚・鶏の家畜肉が広く受け入れられたことから、ジビエは衰退していった。近年、日本で再びジビエに注目が集まるようになった背景にあるのは鳥獣被害だ。農地や農作物を荒らしたり、家畜に害を与えたりと、鳥獣被害は深刻。農林水産省の発表によると、シカとイノシシだけでもその被害額は100億円を超えるという。この5年間は減少傾向が続いているものの、平成23年前後の被害額は150億円に迫る。被害対策をしようにも費用は大きい。そこで、捕獲した鳥獣を食材に変えることが、被害対策からも、命を無駄にしないという点からも求められるようになったのだ。政府は鳥獣被害対策を進めるべく、ジビエの安定供給、そして発展・普及のための取り組みを実施。国産ジビエ認証制度をスタートしたり、安全で良質なジビエを安定供給するモデル地区を全国17地区に整備したりしている。ひと昔前まではジビエ肉を扱うのは専門店やフランス料理店ばかりだった。しかし普及は確実に進んでいる。ジャンルを問わずジビエ肉が活用されている。また、ファストフードの『ロッテリア』は「ジビエ 鹿肉バーガー」、海鮮居酒屋『はなの舞』では「イノシシ鍋」と、チェーン店も取り入れ始めているようだ。一方でジビエには、正しい知識を持って扱わなければ、寄生虫や腸管出血性大腸菌の感染、E型肝炎などの食中毒のリスクがあることを忘れてはいけない。過去には、禁止されているジビエの生食をした男性がE型肝炎ウイルスに感染し、死亡した例もある。また、ジビエの盛り上がりとともに、ネットで販売されたり、猟師から直接仕入れられたり、狩猟免許所持者ではない人間が狩ったりと、危険なジビエ肉が出てきているのも事実だ。飲食店では必ず、食肉処理業の許可を受けた施設で解体処理されたものを仕入れなければいけない。さらに安全性を高めるには、トレーサビリティを自ら業者に確認するのも良いだろう。これはジビエの加工品を扱う時も同じだ。信頼できる原料が使われているのか確認したい。もちろん自分の五感も大切だ。仕入れた時には、異臭がないか、獣毛など異物の付着がないかといった確認を怠ってはいけない。ジビエを取り巻く課題は安全性だけではない。ジビエは狩猟免許所持者、つまり猟師が狩りをしなければ私たちのもとには届かないが、猟師には減少と高齢化の波が押し寄せているのだ。今後、現役猟師が引退をすれば、狩猟量は大きく減少していくと見られている。これは今後のジビエ発展の大きな課題だと言えるだろう。日本で狩猟が解禁されるのは、11月15日から2月15日までで、今はまさにジビエのシーズン。まずは、その美食を提供すべく、イベントメニューとして扱ってみてはいかがだろうか? 売上アップに“猪突猛進”できるかもしれない!?

(狩猟、はまる若者:高知)
猟師を志願する若者が近年、全国的に増加傾向にある。イノシシやシカ、サルなど全国各地で農業被害などの「獣害」が深刻になる一方、動物と人間の領域を分ける役割を担ってきた猟師の数は高齢化などで減少の一途をたどっていた。狩猟を通じて自然と相対し、捕獲した動物を感謝しつつ食べるというリアルな感動。自然と人間の間で長年育まれてきた営みが、改めて次世代からの脚光を浴び、見直されようとしている。

(狩女奮闘、相次ぎ組織化)
女性狩猟者の組織が続々と誕生している。組織化することで野生鳥獣の肉(ジビエ)専門店の立ち上げや、革細工のブランド化を実現。男性社会の狩猟業界で、狩りをするだけでなく加工・販売まで手掛け、利活用を広めようと奮闘する。「低カロリー、高タンパク質の文字をパッケージに入れようよ」。昨年12月下旬、石川県穴水町で「全国狩女(かりじょ)の会」が、イノシシと鹿の肉を使ったレトルトカレーの開発会議を開いた。メンバーは、同県内と千葉県の女性狩猟者5人だ。会は同町の狩猟者、福岡富士子さん(48)が2017年に立ち上げた。全国の女性狩猟者を訪問して知り合った仲間の他、インターネット交流サイト(SNS)を通じてつながった49人で構成する。カレーは、県内の障害者福祉施設を運営する「生きがい工房」に肉を提供し、製造を委託。施設内のカフェでジビエカレーとして販売している。工房の奥田和也社長は「鉄分が豊富、肌に良いなど、美容の面から女性に提案してくれる。私たちでは思い付かなかった」と評価する。18年10月には飲食店と提携し、同県七尾市の解体施設の隣にイノシシ料理専門店「狩女の里」をオープン。メンバーが解体したイノシシの肉を卸し、ぼたん鍋、しゃぶしゃぶなどジビエ料理のメニューを考案している。「女は引っ込んでろ」という男性からの言葉が同会発足のきっかけだ。福岡さんは狩りに行きたいと手を挙げても認められず、地元の猟師に受け入れてほしいとひざまずいた。「悔しくて、何なんだよと叫んだこともあったが、男性が狩猟の歴史を築いてきたことは事実。どうしたら壁を崩せるか葛藤していた」と振り返る。「イノシシが撃たれ、解体され、調理される。いただきますの意味を改めて考えさせられた。命を生み出す女性だからこそ、命を無駄にしたくない」と利活用に燃える。県内の女性狩猟者と交流した時、同じ悩みを抱えていることを知った。処理施設を自由に使いたい、狩りに行きたい──。「悩みを共有し、口に出すと心は軽くなる」と福岡さん。組織化で革細工のブランド化やイベント開催が実現し、害獣駆除に対して本気であることが徐々に理解された。和歌山県猟友会は18年10月、会員の要望を受け女性部を立ち上げた。20~50代の約10人で構成。今年から本格的に始動する。イノシシと鹿の皮を使ったアクセサリーやジビエ料理で、有害鳥獣の活用を呼び掛ける予定だ。猟友会は「女性の活動により、狩猟を身近なものに感じてほしい」と期待する。14年には大阪府、16年には大分県でも女性組織が誕生している。大日本猟友会の会員数は1978年度の42万4820人をピークに減少傾向だったが、2017年度は10万5786人と前年度に比べ528人増加。このうち女性会員は15年度1183人、16年度1571人、17年度1908人と増加している。同会の浅野能昭専務は「ジビエ料理を提供する飲食店が増えて身近になった。食べるだけでなく狩る方の関心も高まっている」と分析する。女性狩猟者の割合が増え、捕獲した害獣の利活用が進んでいる。ジビエ料理をきっかけに、食育や福祉事業との連携なども実を結んできた。女性が組織化するのは変革の第一歩であり、狩猟の担い手としても活躍してほしい。課題は男性の意識改革、環境整備だ。女性用狩猟ジャケットの開発など、女性が参入しやすい環境づくりが必要だ。

(イノシシと共生を:山口)
今年は亥年。近年では、イノシシは猿と並んで農作物を食い荒らす有害鳥獣の代表格。周南地域でも駆除や被害防止に手を焼く地域が増えている。光市塩田では住民が自主的にイノシシの駆除に立ち上がり、昨年はわなで51匹を捕獲した。住民は「イノシシとの共生のために駆除はやむを得ない。餌が豊富な山がよみがえればイノシシも人里から遠ざかるのではないか」と期待している。塩田地区の人口は11月末現在で976人。2015年に千人台を割り込んで以来、減り続けている。ほとんどが兼業農家だが、ここ5年はイノシシや猿による農作物荒らしが日常化し、栽培意欲の低下を招くなど地域全体の問題になっている。そこで塩田コミュニティ協議会(神田英俊会長)は16年に環境部の中に“有害鳥獣対策隊”(林徳人隊長)を新設し、募集に応じた30代から80代までの隊員29人が活動。地区内の17自治会にはすべて隊員がおり、隊員は自費でわな猟免許を取得し、1個4~5万円の金属製のおりの〝わな〟も購入して、昨年12月末現在で地区内に35個を仕掛けている。捕獲されたイノシシの大半は地元の有志が、と殺してさばき、シシ肉は隊員や希望する住民に分けている。猿は殺さず、すべて周防猿まわしの会が引き取っている。塩田コミュニティセンターには、地区内の1年間のイノシシと猿の捕獲数を掲示し、日時や捕獲者、捕獲した個体の特徴を示す帳簿も備えている。全戸配布している月1回の「コミュニティだよりしおた」にはイノシシの捕獲数と地域を載せて住民の関心を高めている。対策隊の発足以来、イノシシの捕獲数は着実に増えて農作物への被害も減っており、神田会長(73)は隊員たちに「心から感謝したい」と話す。塩田地区連合自治会長でもある林隊長(68)は「亥年だからこそイノシシと共生できる道を探りたい。昔のようにイノシシや猿は山で、人間は里でという住み分けができるのが理想」と話している。

(イノシシの企画展:福井)
今年の干支(えと)イノシシにちなんだ企画展「亥(い)~意外と知らない となりの獣」が、福井市自然史博物館で開かれている。同館が所蔵する剥製などを展示した。二十七日まで。目玉として一九六五(昭和四十)年二月に南条郡河野村(現南越前町)で捕獲された迫力ある成獣のイノシシの剥製を展示。ほかに体毛がシマウリに似て「ウリ坊」と呼ばれる子どもの四体を配置した。頭骨の標本五点も並べた。イノシシの成獣は雄が一〇〇キロ、雌は四〇キロ前後になるという。クヌギやコナラ、サツマイモなどの植物を中心に、アマガエルやミミズを捕食する雑食性の動物。頭骨の標本から、堅い木の実などを食べるため、あごの骨がシカに比べしっかりと発達していることが分かる。

(「いきもの学」でイノシシ学ぶ:山形)
身近な生き物の生態を知り、人間との関わり方について考える講座「やまがたのいきもの学」が2月2日から山形市内で計3回開催される。県内各地で被害が増加しているイノシシについて学び、イノシシ肉を使ったオリジナルコース料理を味わう講座もある。主催するのは野生動物の生態調査などに取り組む「やまがたヤマネ研究会」(中村夢奈代表)。2016年から野生鳥獣肉(ジビエ)料理教室を開催しており、年々参加者の関心が高まってきているという。中村代表は「イノシシの現状について楽しみながら学んでもらえたら」と話す。2月2日は生き物の羽根や骨から進化の過程や機能美について標本づくりを通して理解を深める。9日は同市小白川町1丁目の「ダイニング ヘリアン」で、食肉衛生基準にのっとったイノシシ肉を用い、老舗和菓子店「乃し梅本舗佐藤屋」と共同で開発した新メニューのコース料理を味わう。16日はジビエを使ったソーセージ作りに挑戦するが、すでに予約で埋まっている。

(加藤浩次、「クレー射撃」で国体を目指す)
極楽とんぼの加藤浩次が、1月1日放送の『関口宏の東京フレンドパーク2019』(TBS系)で、意外な趣味を明かした。加藤は趣味が「クレー射撃」だと告白。そのきっかけを「最初は猟をやりたかったんです。猟で自分で仕留めたものを食べてみたいなと思ってたんですけど、まずは(弾が)当たらないとってことでクレー射撃を始めたらハマっちゃって」と熱弁。さらに「いずれは国体を目指している」と明かし、公式の大会に出ているという。『炎の体育会TV』(TBS系)で、加藤とヒロミの「クレー射撃部」に挑む姿を追いかけている。競技歴3年の加藤は、11月17日の放送では練習について「多くて週3」と足繁く練習に通い、「芸能人がやっていると遊びだって言われるけど、本気だというところを証明したい」と真剣に取り組んでいることを告白した。また、ヒロミは競技歴20年のベテランとしても知られている。2人は2020年東京オリンピック候補の大川明久選手と対決して見事に勝利。さらに新メンバーとして壇蜜が加入したことが発表された。直径11センチほどの素焼きの皿を散弾銃で撃つクレー射撃。オリンピック正式種目としての歴史も古く、1976年に開催されたモントリオール五輪には麻生太郎財務大臣も選手として出場したことがある。加藤とヒロミが本当に国体で腕前を見せることになるのか注目したい。

(ジビエ消費拡大を、イノシシの初競り:熊本)
熊本県多良木町の村上精肉店が開いているイノシシの生体市場で5日、初競りがあり、亥[い]年らしく威勢のいい掛け声が会場に響いた。村上武春社長(49)によると、イノシシの生体市場は1994年に開設され、現在は全国で唯一という。競りには、県内外の猟師や飲食店関係者らが参加。おりに入った生きたイノシシが10頭、内臓を取り出した状態の20頭が競りに出され、1万~3万円程度で取引された。同店はイノシシなどの解体、加工も行っている。村上社長は「今日は良いイノシシがそろっていた。今年は亥年なので、ジビエの消費拡大をさらに進めたい」と意気込んでいた。

(2019年はイノシシを食べる)
2019年の干支は亥(イノシシ)。だからこそ、この機会にイノシシ肉を味わってみてはいかがでしょう。普段はあまり口にしない肉かもしれませんが、そもそもイノシシはブタの先祖。イノシシを品種改良して家畜化した動物がブタであり、家畜化する前はイノシシを狩って食べていたのです。それもあって、味はブタに近い印象。初めて味わう人も、予想していたよりも食べやすいと感じることでしょう。ここでは、都内でおいしいイノシシが味わえる店を厳選して紹介します。まず紹介するのは、店の前に吊り下がったイノシシが目印である、1718年創業の猪肉料理専門店「ももんじや」。江戸時代は四足歩行動物の肉食が避けられていたため、当時は薬屋として営業していました。ぜひ味わってほしいのは、定番の「猪鍋」。八丁みそと桜みそに独自のタレを配合した、下町らしい濃いめの割下が効いており、程よい固さの猪肉は脂身までおいしく味わえます。この「猪鍋」に、「鹿刺身」「熊汁」「鹿竜田揚」がセットになった「野獣肉コース」でジビエの歴史を堪能してみるのも良いでしょう。ジビエをカジュアルに楽しみたければ、大門駅近くにある「肉バル ジビエズマーケット 大門 浜松町店」を訪ねてみましょう。店内は、木目調の造りで和の趣を感じさせながら、明るくカジュアルな雰囲気。素材は、イノシシをはじめ、シカやカモ、ウマといった定番から、ワニやカンガルー、穴グマ、ダチョウまで多彩で、料理も和と洋が用意されています。イノシシ料理は「猪の冷しゃぶ」(1080円)や「猪のチャーシュー」(980円)の他、「猪炙り」(380円)という肉すしなども。個室が大小豊富なので、プライベートな空間で食事をしたいときにもうってつけです。最後に紹介するのは、「炉とマタギ 三軒茶屋店」。三軒茶屋と新宿にある、炉端焼きスタイルのジビエ料理店で、炭火であぶった素材本来の味がウリです。三軒茶屋店は、裏路地に佇む築60年の古民家をリノベーション。隠れ家チックな雰囲気の中、全国から届くイノシシやシカ、カモなど、さまざまなジビエを味わえます。炉端焼きでは「和歌山 猪2種」(1598円)、「丹波 猪ソーセージ」(918円)などを用意。手作りの「自家製猪ロースハム ~サラダ仕立て~」(843円)は特におすすめで、酒とのペアリングも楽しい一品です。その他の詳しい情報は「東京、イノシシが味わえる店5選」で紹介しています。今年は猪突猛進に過ごしてみてはいかがでしょう。

(ジビエ新料理に舌鼓:鳥取)
三朝温泉のブランナールみささで8日夜、同館で考案したジビエメニューのお披露目と、日本猪牧場(倉吉市服部、徳岡憲一代表)の食品衛生管理基準「鳥取県HACCP(ハサップ)」認定を祝う合同祝賀会が開かれた。イノシシ肉を使ったすき焼きやスペアリブなどの多彩なメニューに関係者らが舌鼓を打った。

(ビリケンさんにぼたん鍋:大阪)
鳥取県のマスコットキャラクター「トリピー」と、とっとり観光親善大使が8日、大阪市浪速区の通天閣の幸運の神様「ビリケンさん」を初詣し、同県産ジビエを奉納した。2019年が“亥(い)い年”になるようにと願い、国内外の観光客らに「鳥取のジビエを食べに来てほし猪(いの)~」とアピールした。えとのイノシシ年にちなみ、「食のみやこ鳥取県」の新たな食資源であるジビエを、大消費地の大阪でPRしようと参拝した。とっとり観光親善大使の佐伯諒子さん(26)とトリピーは、イノシシ肉を使った「ぼたん鍋」に加えて、大国主命(おおくにぬしのみこと)の再生神話ゆかりの神社がある、同県南部町産の古代米を使って製造した日本酒を奉納した。佐伯さんは「鳥取の豊かな自然の恵みで育ったおいしいジビエを、ぜひ食べに来てください」と周囲に呼び掛け、トリピーの特製名刺や古代米などを観光客に配った。

(イノシシなどで「ジビエフェア」:岡山)
ANAクラウンプラザホテル岡山(岡山市)は7日、岡山県産のイノシシをはじめ鹿や鴨(かも)などのジビエ食材を使用した「おかやまジビエフェア」を始めた。県産ジビエを様々なスタイルで調理したランチを1月末、ディナーは2月末まで1階の「カジュアルダイニング ウルバーノ」で提供する。亥(い)年にちなみ、ランチ(税込み2500円)では県産イノシシ肉を赤ワインで煮込んだ。ディナー(同6200円)は鹿肉なども楽しめるフルコースとなっている。またNPO法人、岡山県社会就労センター協議会の協力で、イノシシ革製のコードグリップかしおりを先着100名にプレゼントするという。県の「おかやまジビエ利用促進事業」を活用し実施する。同ホテルは2018年6月、同事業に選定された5者の一つで、約52万円の補助金を受けている。

(駆除したイノシシ肉を加工販売:島根)
農作物を荒らし、農家を悩ませることもある今年の干支(えと)、イノシシ。そんな「厄介者」を地域の役に立てようと、松江市で活躍する地域おこし協力隊の2人が、駆除したイノシシ肉の加工販売などを手掛ける合同会社を設立した。農作物の被害拡大や駆除費の増加といった課題を解決しようと奮闘している。立ち上げたのは、合同会社「弐百円」。佐藤朋也さん(42)と森脇香奈江さん(37)が共同代表を務める。2人が事業を思いついたのは、2017年7月に夏祭りでイノシシ肉のソーセージを販売したことがきっかけだ。生産組合から肉を仕入れ、業者に発注する中で、害獣として駆除されたイノシシの販売に至るまでの流通過程をじかに学んだ。

(ジビエ居酒屋が「新春猪祭り」:東京)
JR高田馬場駅前のジビエ居酒屋「米とサーカス高田馬場店」(新宿区高田馬場2)が1月4日、亥(い)年にちなんだ「新春 猪(いのしし)祭り」を始めた。旬のイノシシを提供することで、農作物被害や人間を襲ったりする害獣に対する、「いかにも存在しないほうがいい生き物」という一般的に認識されているイメージを変える取り組み。長年付き合う取引先と提携し、商品開発と企画を行った。イノシシの肉は一見すると豚肉と見分けがつきにくいが、「その違いが感じられるのは脂身。イノシシは豚や牛に比べ、脂にほんのりとした甘みがあり、『イノシシは脂を食べる』と言われるほど」(同店)という。国産のイノシシを使うメニューは、「猪のお雑煮」(1,180円)、「猪バラ肉の角煮」(1,280円)、「猪ロースの塩焼き」(1,450円)、「猪モツ煮込み」(980円)、「猪モツカレー」(1,180円)、「猪の丸ごとキンタマ揚げ」(1,680円)、「猪腹子の姿煮込み」(4,280円、数量限定、要予約)。イノシシを狩猟する際、まれに雌のおなかに子供がいることがあるが、通常はそのまま内蔵と一緒に廃棄される。「猪腹子の姿煮込み」は、「せっかくの命なので腹子もしっかりおいしく食べてもらえるように」と開発したメニュー。同店ブランディング担当の宮下慧さんは「筋肉が無くとても柔らかい肉質。なかなかお目にかかることのできない希少な腹子を数量限定で提供するので、味わってみていただきたい」と話す。宮下さんは「イノシシの赤身はイノシシ特有の肉の赤さがあり、加熱するとさらに色が濃くなりイノシシ特有の風味が出るが、あっさりとしながらコクがあり、獣臭さは感じられない。この時期のイノシシ肉は特に脂身と赤身がはっきりと分かれ、その見た目も美しい肉をボタンの花に見立てて『ボタン鍋』として親しまれるほど。賞味いただければ」と呼び掛ける。

(ヘルシーで美味しい猪肉が食べれるお店)
2019年、今年の干支はイノシシです!近年のジビエブームもあり、ますます猪肉が注目されそう。実はお肉の中でもヘルシーでダイエット向きと言われている猪肉を美味しくいただけるお店をご紹介します。全国に12店舗を展開する自然食ブッフェレストラン「はーべすと」では、2018年12月3日から2019年2月下旬にかけて、期間限定で国産ジビエを食べ放題でたっぷりと堪能できるメニューを提供しています。ナチュラルフードを提唱する河合真理氏の監修のもと、より自然に、より優しい「北海道産蝦夷鹿」と「長崎県対馬産イノシシ」を使ったジビエ料理が用意されています。他の肉と比べて低脂肪高たんぱくでヘルシーなジビエを、国産素材のよさを活かしたメニューでいただけるのが魅力です。鹿肉は、ブラックペッパーのアクセントが効いて食べやすい「ミートソースパスタ」や、シナモンとオールスパイスを混ぜた鹿の挽肉とマッシュポテトを焼き上げた「鹿肉のシェパードパイ」、5種類のスパイスからなる五香(うーしゃん)スパイスと八丁味噌で味をつけた鹿肉を、ジューシーに焼き上げた五香スパイス香る「鹿肉の味噌焼き」などで楽しめます。猪肉は、猪肉と雑穀にキャベツの代わりにケールを巻いたロールキャベツならぬ「ディルの効いたロールケール」、たっぷりの野菜と一緒に食べられる「猪肉のタイ風サラダ」が用意されています。新宿三丁目にある肉バル「パンとサーカス」では、2018年11月15日から2019年2月15日までの期間限定で、国産ジビエの食べ比べができるメニューを提供しています。国産のジビエをお手ごろな価格で食べ比べできるので、ジビエ好きにはもちろん、ジビエ初心者の人にもおすすめしたいメニューです。いただけるジビエは5種類で、牛肉を薄くしたようなクセのない味わいにも関わらず、カロリーは牛肉の約3分の1、脂肪分は15分の1程度、そして鉄分やDHAなどの栄養分も含んだ「蝦夷鹿」、体を内側から温めてくれる滋味あふれる味の「熊」、優しい脂の味と強い旨味をもつ希少な「穴熊」、鉄分を含んだコクのある「青首鴨」、そして疲労回復や皮膚の健康・新陳代謝を促す効果があるとされる「猪」です。シンプルに塩だけで仕上げたグリルで、ジビエの味を存分に堪能しましょう。日本酒やウイスキー、焼酎など各地で作られたこだわりのお酒を取り揃えた「和酒バル シシニイク」では、おつまみとしてイノシシ肉を提供しています。クセが強いとされているイノシシ肉ですが、「和酒バル シシニイク」では仕留めた後の丁寧な後処理によって独特の臭みをなくし、脂の甘みや旨味を楽しみ、柔らかさを堪能できる料理として提供されています。店内の燻製機で燻製にした「5種盛」は、脂がのったイノシシ肉の他にマグロ、鶏肉、卵、はんぺんの燻製が食べられます。猪肉をすき焼き風に仕上げた「4×4 sukiyaki」では、甘辛の味噌ダレがイノシシ肉の脂の甘みにマッチして病みつきになる味わいが楽しめます。

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(銃が暴発、男性死亡:岐阜)
3日午後2時20分ごろ、岐阜県下呂市馬瀬西村の空き地で、有害鳥獣駆除を終えた同所、パート従業員の男性(65)が散弾銃の弾抜き作業を行っていたところ銃が暴発し、近くにいた同市馬瀬中切、職業不詳の男性(71)の腰に当たった。男性は市内の病院に搬送されたが、約2時間後に死亡した。下呂署によると、装填(そうてん)されていた弾を取り外そうとしたところ撃鉄(撃発装置)が作動し、誤って1発を発射したらしい。単発式で殺傷力の高いスラッグ弾だった。2人はハンター仲間で、パート従業員の男性は銃の所持許可を得て3年11カ月。職業不詳の男性は47年3カ月のベテランだった。この日は朝から7、8人で同市馬瀬西村の山中に入り、市の許可を受けてニホンジカの有害鳥獣駆除に当たっていた。署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、事故当時の詳しい状況を調べている。

(狩猟中の男性、流れ弾当たり骨折:北海道)
29日午前9時20分ごろ、苫小牧市立病院の職員が「男性が、狩猟中に流れ弾に当たり、左手を負傷したと話している」と苫小牧署に届け出た。男性は左手を骨折しており、同署は何者かによる誤射の可能性があるとみて調べている。同署によると、同日午前7時半ごろ、苫小牧市樽前の山林で、単独でエゾシカ猟をしていた空知管内栗山町の無職男性(69)が、撃ち止めたシカに向かって歩いていたところ、左手親指の付け根に何かが当たり、骨折した。男性は命に別条はなく、「銃声が聞こえた」と話しているという。

(野生イノシシ2頭の豚コレラ感染確認:愛知)
家畜伝染病の豚コレラが拡大している問題で、愛知県は29日、新たに同県犬山市塔野地で捕獲された野生イノシシ2頭の感染を確認したと発表した。県内での野生イノシシの感染確認は、これで計4頭になった。すべて犬山市内で見つかっている。2頭の捕獲場所は、いずれも22日に1例目が発見された場所から北に約5キロの山中。28日午前、獣害対策で猟友会が設置したわなにかかっている1頭を農作業をしていた人が発見。同日午後、すぐ近くの別のわなでもう1頭を地元の猟友会員が見つけた。県の家畜保健衛生所で遺伝子検査し、感染が確定した。

(泳ぐイノシシ、18府県110島に上陸)
2019年のえと、イノシシが、西日本各地の島へ泳いで渡って生息域を広げている。専門家の調査では、兵庫など18府県の110島に、海や湖を渡ったとみられるイノシシが存在し、多くは2000年以降にすみ着いたという。山にいる印象が強いが、海外では「グッド・スイマー」と呼ばれるほど泳ぎ上手で、狩猟者の育成や水際対策が急がれる。兵庫県南あわじ市の離島・沼島(ぬしま)の住民から、市への被害報告が相次ぐようになったのは約3年前。家庭菜園のイモやカボチャが食い荒らされ、小中学校に近い山中でも足跡が確認された。市によると沼島にもともとイノシシはおらず、3~4キロ北の淡路島から泳いできたとみられる。榎本貢・沼島市民交流センター長(62)は「既に繁殖している。人に危害が及ぶ前に捕獲を進めたい」と警戒する。香川県・小豆島南東部の小豆島町では、約10年前に目撃されたのを皮切りに、特産・オリーブの木の根元が掘り返されたり、稲が倒されたりする被害が続発。イノシシと遭遇してけがをした人もいる。明治期以降、駆除の成功で姿を消していたが、近年、四国などから渡ってきたらしい。09年度に8頭だった町内の捕獲数は、17年度は1402頭まで急増。同町農林水産課は「もはや島のどこにでもいて、住民は見掛けても報告しなくなった」。山口県周防大島(すおうおおしま)町の屋代島では10年ほど前から、イノシシによる特産のミカンの被害が目立つ。北東にある広島県呉市の倉橋島から泳いできたとみられ、木の枝を折り曲げて実を食べるなど手口も大胆。16年度の農作物被害総額は約1800万円に上る。佐賀県唐津市の馬渡(まだら)島でも約7年前から農作物などが狙われる。奈良大の高橋春成(しゅんじょう)名誉教授(66)=生物地理学=が13年、西日本の市町村に行ったアンケートでは、兵庫や広島、福岡、沖縄など18府県110島に、海や湖を渡ったとみられるイノシシが生息。島に来たとされる時期は1980年代が3島、90年代が17島に対し、00年代は42島と急増。10年代も22島だった(26島は不明)。高橋名誉教授は「実態はさらに多い」とみる。研究ではイノシシは高度成長期以降、耕作放棄地の拡大や狩猟者の減少などで急増。特に00年代以降、海辺まで生息域を広げていた個体が、えさを求めたり、狩猟者に追われたりして島に渡ったとみられ、島から島へも行き来する。高橋名誉教授は「5キロは普通で、20キロ泳いだ報告もある。泳ぐという新たな『イノシシ観』を持って対策を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。

(イノシシによる農作物被害額、毎年2億円超で推移:愛媛)
愛媛県のまとめでは、2017年度のイノシシによる県内の農作物被害額は2億4257万円に上り、過去10年にわたって毎年2億円を超えている。17年度の野生鳥獣による被害額4億3360万円のうち56%を占め、いかにイノシシが猛威を振るっているか分かる。

(イノシシ被害、過疎化で軽減難しく:兵庫)
泳いできたイノシシやその子孫による農作物・人的被害が急増する島では、過疎化や少子高齢化で狩猟免許所持者が少なく、被害軽減を難しくしている。兵庫県南あわじ市によると、人口約450人の沼島で免許を持つのは地域おこし協力隊の男性1人だけ。海を挟んだ同市灘地区の猟友会も協力して対応する。今年8月、初めて子イノシシ5頭の捕獲に成功したが、親などがまだいるとみられる。高松市街地の北に浮かぶ女木(めぎ)島(人口157人)や男木(おぎ)島(同168人)、大島(同59人)の住民もイノシシに悩まされるが、女木島と大島には活動できる免許所持者がおらず、四国本島から船で来てもらっている。同市農林水産課の担当者は「少子高齢化が進み、島になり手がいない」と打ち明ける。奈良大の高橋春成名誉教授は「もともとイノシシのいなかった島では、対策の知識や経験が乏しい。繁殖が進み、人口よりイノシシが多い島もあるだろう」と指摘する。環境省によると、1975年度に全国で約51万8千人いた免許所持者は2015年度には約19万人に。農林水産省は18年度当初、鳥獣被害防止に104億円を計上し、わな購入の補助などに充てるが、離島に特化した対策は見当たらない。国は、16年度末に推定中央値で約89万頭いたイノシシを、23年度に約50万頭に減らす目標を掲げている。

(イノシシ目撃:新潟)
31日午後3時半ごろ、新潟県長岡市要町2の市街地でイノシシ1頭を目撃したと、通行人から長岡署に通報があった。同署によると、イノシシは体長約1メートル。その後も周辺でイノシシの目撃情報が相次いだ。現場近くには学校や商業施設がある。

(金属製の矢刺さったカモ:東京)
東京都杉並区の「蚕糸(さんし)の森公園」で28日、背中に金属製の矢とみられるものが刺さったカモが1羽見つかった。公園の管理事務所によると、28日午前8時45分ごろ、公園の利用客から「矢のようなものが刺さったカモがいる」と職員に連絡があり、職員が背中に長さ約10センチの矢のようなものが刺さったカモが池で泳いでいるのを確認した。衰弱した様子はないものの、刺さった矢を何度も気にする動きが見られた。犬と散歩していた女性は「毎年、カモがヒナを育てる様子がほほえましかった。誰がやったのか」と憤っていた。同公園には毎年10月ごろから翌年3月ごろまでカモが飛来し、今年11月にも矢のようなものが刺さったカモが見つかった。管理事務所職員は「刺さった矢の形などから前回とは別のカモが被害を受けた可能性もある。対応を検討したい」と話した。

(プロゴルファーが密猟で逮捕:インド)
46歳のジョディ・ランダワ(インド)が26日、密猟で逮捕された。同選手はアジアンツアー通算8勝、世界ランク最高74位となったインドのトップ選手である。インド・ウッタルプラデシュ州のトラ保護区で怪しい動きをしていたとしてランダワは捕まった。インド『Zee News』によるとSUV車内からセキショクヤケイの死骸、野生のイノシシの皮、0.22口径のライフル、カートリッジ80個、空のカートリッジ3つ、双眼鏡、レンジファインダー、携帯サーチライト2つ、現金が見つかったそうだ。捕まったのは今回が初めてではない。11月初旬にもトラを密猟し拘置所に入れられている。

(害獣の「猪」を特産品に変えた創意工夫:石川)
能登半島では近年、イノシシが激増しているという。理由は、温暖化によって里山に雪が少なくなっているから。兵庫県や京都府内にいたイノシシが北上し、北陸にまで生息域を拡大。石川県内では、農作物を食い荒らす被害が相次いでいる。そこで能登半島の中ほどの中能登地区では害獣であるイノシシを駆除し、転じて「特産品」とするために知恵を絞っている。捕獲されたイノシシは食肉となるだけでなく、いろんな商品に生まれ変わっている。イノシシのユニークな活用法について聞いてみた。イノシシは足が短いので、積雪30センチ以上の日が70日以上続くと生息できないといわれている。このため、かつては12、1、2月には大雪に見舞われる北陸にイノシシは少なかった。しかし近年、温暖化に伴って爆発的に増えている。石川県では明治から大正にかけて獣害として駆除されて絶滅したとされてきたために対策が遅れ、田畑が食い荒らされる被害が深刻化していた。石川県羽咋市では、イノシシとの戦いに疲れて農業をやめる人まで出てきたため、市を挙げて対策に乗り出した。田畑を守るための電気柵を設置し、おりやわなを仕掛けて捕獲。捕獲者には奨励金を払っている。同市では捕らえたイノシシを自然の恵み・資源として特産品にする方向を模索し始めた。そこで、イノシシの活用を進めるために2015年4月「地域おこし協力隊」として2人の県外出身男性を採用、2人はイノシシの解体技術などを習得した。同年10月にはイノシシ専用の獣肉処理施設を整備し、「のとしし大作戦」と名付けて食肉加工と商品開発・販売を担い、「のとしし」をブランド化。さらには、協力隊の任期が3年で終わることから、2017年12月に「合同会社のとしし団」を立ち上げ、施設の運営を開始した。のとしし団の事務を担当する髙田守彦さん(62歳)によると、石川県内には年間、18万頭から20万頭のイノシシがおり、2017年度は7700頭が捕獲された。2018年度の捕獲数は8000頭を超える見通しとなっている。宝達志水町、羽咋市、中能都町、志賀町で捕獲されたイノシシの約2割が、羽咋市の獣肉処理施設に持ち込まれる。捕獲から解体までは、食の安全を徹底し、慎重に作業が行われる。詳しく聞いてみると、猟銃で撃ったイノシシは対象とせず、わなにかかったもののみを扱うという。まず、生きた状態で病気などがないかを確認し、とどめを刺す。「放血」といって血を抜く作業をした後、内臓を出して異常が見つかれば、食肉にするのはやめる。

(イノシシ活用隊:愛媛)
イノシシによるかんきつなどの農作物被害に悩む愛媛県今治市島しょ部の大三島。地元住民らでつくる「しまなみイノシシ活用隊」は2010年の結成以来、イノシシ肉の販売などに取り組み、農業被害を超える価値を生みだそうと活動している。近年、平成生まれの若い移住者2人が加わり、渡辺秀典隊長(42)は「亥年」にさらなる飛躍を目指す。

(イノシシ料理や野菜の福箱販売:静岡)
函南町丹那の酪農王国オラッチェで正月三が日の3日間、新年を祝う「お正月モゥ オラッチェ祭り」が開かれている。来場者に丹那牛乳のホットミルク200人分をサービス。オラッチェ所有の農地で栽培した野菜の福箱、いのしし年にちなんだしし汁やイノシシソーセージなどを販売している。抽選会やたこ作り体験などのイベントも行われ、大勢の家族連れらでにぎわっている。同施設の杉田裕紀さんは「今年もおもしろいイベントを企画し、さらに多くの方々に遊びに来てもらいたい」と話した。

(ジビエ居酒屋に新メニュー:神奈川)
ジビエ料理を提供する相模大野の居酒屋「実家(じっか)」で12月27日、来年の干支にちなんだ新メニュー「イノシシ丼」の提供が始まった。わな猟の免許を持つ店主の両親を通じ、鮮度の高いジビエ肉を安く仕入れる。「相模大野は飲食店が多いので、普通では埋もれてしまう。満足いただける料理を提供するため、家族との時間を大切にするため、あえてランチタイムを避けた」と店主の小倉千草さん。「ジビエは敷居が高いというイメージを変えたい」と猪鹿カレー(550円)、猪鹿カレーパン(250円)、猪鹿鉄板ハンバーグ(340円)など「リーズナブルな」メニューを展開。「赤身で温まってほしい」と作ったイノシシ丼(550円)は、さまざな部位を甘辛く煮込み、どんぶり飯に盛りつける。

(地元産イノシシ使った「猪鍋」:長野)
下伊那郡根羽村の複合観光施設ネバーランドが、村内で捕獲したイノシシを使った「猪鍋(ししなべ)」を考案し、販売を始めた。試行錯誤の末の自信作で、店長の菊地暁さん(37)は「何とか亥(い)年に間に合いました」と笑う。2018年からジビエ(野生鳥獣肉)を活用した商品開発に力を入れている。猪鍋には、同施設内の解体・加工施設場で下処理した肉や骨を使用。地場産のそば粉を使ったそば団子も入れ、信州らしさにこだわった。最大の特徴は「豚骨スープがあるなら」と思い付いた「猪骨(ししこつ)スープ」。一晩掛けて煮出す濃厚な味は人気を博すか―。

(自然の恵み、この手で:神奈川)
女性狩猟者、通称「狩りガール」をご存知だろうか。神奈川県ではここ5年、女性登録者が2倍以上に増えており、約250人いる。そこで市内在住の狩りガール、モデルの正田美里さん(港北区・以下正)と料理家の後藤広美さん(都筑区・以下後)に話を聞いた。―狩猟歴は?正「10年目です。事務所の社長に誘われてクレー射撃を始めたのがきっかけ。今年ライフルの免許も取得しました」後「私は2年目。鳥撃ちをする女性料理人をたまたま見て、私もやってみたいと」正「初めての猟の時、山の中に一人取り残されて。寒さ心細さと戦いながら、イメトレしていました」後「『来たら撃てよ!』って独りポツン。私はパニックになっちゃいましたよ」正「何時間も待って、一匹も見つけず終わっちゃうと悲しい。でも皆で力を合わせて獲れた時は達成感があります」―実際捕獲した経験は?正「私は北海道の流し猟でシカを。それから楽しさを知りました」後「イノシシを撃ったことがあります。お腹を貫通したけどまだ逃げるんですよね。ほかの人にも撃ってもらって無事捕獲。40kgぐらいだったかな」正「すごい!イノシシってなかなか見かけないから、出たらみんなテンション上がるくらいレアですよ」後「ビギナーズラックです。そうそう。最近”県猟ガールズ”というグループに入って。会合で『いつか女性だけで狩りに行きたいね』なんて話しています」正「楽しそう!」―捕獲した獲物は?正「みんなで分けて持って帰ります」後「どうしたら肉が柔らかくなるかとか調理法を一日中考えるのがもう楽しくて。イノシシはチャーシューやモツ煮込みなど作りました。友人とジビエ料理研究会も開いています」―自分で獲ったものを食べると、ありがたみがより強くなりそうですね正「狩りを始めた時一番に思ったことです。自ら殺めて頂くことで、普通に食事できることがとてもありがたく感じます」後「そうそう。捕獲しても軽々しく喜んじゃいけないと思っています」―今後の目標は?正「ライフルで大物を狙いたいです。まだ出会えたことがないクマとか」後「仲間が辞めたら私も辞める。皆さんが元気に走り回る姿が素敵で、始めたくらいですから」正「ベテランさん、本当にカッコいい。憧れの存在」後「仲間に恵まれて、今とても楽しいですよ」

(元年生まれの狩猟女子:秋田)
猟師デビューして2シーズン目に入りました。猟に出るようになり、カモ1羽を仕留める難しさを痛感した一方で、仕留めた時の喜びは大きく、自分が撃ったカモの味は格別でした。幼い頃から祖父や父が捕ってきたカモやクマを食べたり解体の現場を見たりと、とても狩猟が身近な環境で育ちました。その影響もあってか、物心ついた時から大人になったら自分も猟師になるものだと思っていました。

(広まるジビエ利用、獣害対策の一手となるか)
近年、耕作放棄地の増加や里山の管理不足によって、野生のシカやイノシシが人里に生活範囲を拡大させており、食い荒らされる農作物の被害額は1年で200億円超に上る。こういった獣害対策の一環として国が支援するジビエ利用。ジビエとは、狩猟によって得たシカやイノシシなどの野生鳥獣の食肉を意味するフランス語だ。昨今、若者もターゲットにしたジビエ利用のプロモーションも始まり、今後の動きが注目されている。農林水産省の調べによると、野生獣害による農作物の被害額は2010~2017年まで、ゆるやかな減少傾向にはあるものの、200億円前後で推移している。このうち7割がシカ、イノシシ、サルによる被害で、これに対し被害防止を目的としたイノシシやシカの捕獲頭数は大幅な増加傾向にある。2016年の捕獲頭数はイノシシが年間62万頭、シカは58万頭で、2000年の捕獲頭数と比べると4倍以上増加している。しかし捕獲頭数が増えるのに比例して、処分の負担も増大。このため、シカやイノシシをそのまま捨てるのはもったいないとして「ジビエ」という呼び名で利用する動きが活発化、国をあげてのジビエ振興が進められている。現在、全国でジビエを処理加工できる施設は590施設。2017年度はこれらの施設でおよそ10万頭が処理され、うち約1600トンがジビエとして利用された。ジビエ利用率はシカとイノシシを合わせて約8%で、前年度よりは微増しているものの、農水省では今後のジビエ利用増大を目指して様々な方法で需要の掘り起こしと安定供給に向けた体制作りに取り組んでいる。農水省は今年3月、安全で良質なジビエの提供を目指してジビエ・モデル地区を選定。北海道から九州まで17地区が選ばれた。これらの地区では捕獲から処理加工、流通・消費までの各過程において、人材の確保、解体処理施設の整備、衛生管理のための認証の新設などを実施してきた。2019年度概算要求における鳥獣被害防止総合対策交付金は122億円を予定しており、地域関係者が一体となった被害対策の取り組みやジビエ利用拡大に向けた取り組み支援を目指すとしている。農水省ではフェイスブックやユーチューブなどでジビエ料理を紹介、ポータルサイト「ジビエト」はデザインを一新し、若者を意識した情報提供を行なっている。夏と冬には全国でジビエフェアも開催。ジビエ・モデル地区に2地区が選定されている京都府では、12月8日から2019年2月11日まで「第2回森の京都ジビエフェア」を開催し、多くの店舗でジビエ料理を楽しめる趣向となっている。ジビエの特長はグルメや物珍しさだけではない。シカ肉はカロリーが低く、鉄分も豊富。イノシシ肉は豚肉と比べてビタミンB12が3倍、鉄分が4倍も含まれ、美容と健康に良い食材としても注目されている。また、人が食べる以外にペットフードとしての利用も増えてきており、様々な利用の仕方が検討されている。農作物の被害軽減のため、獣害対策は欠かせない。問題意識をもって狩猟免許を取る若者や、GPSやドローンなどを用いて獣害の行動調査をする自治体も出始めている。最先端のテクノロジーも取り入れた、ジビエ利用の今後の動きに注目したい。

(野生動物と人間の共存、「命」を隅々までいただくということ)
カラスやシカ、イノシシ、サルといった野生鳥獣が、農家が手塩にかけて育ててきた農作物を、出荷直前に食べてしまう。その被害額は、年間で約200億円。全体の約7割は、シカ、イノシシ、サルによる被害だという。環境省と農林水産省は、2011年の段階で約94万頭いるイノシシを、2023年には約50万頭に減らす捕獲目標を掲げている。対策の前線に立つのは、地元の市町村職員や地元猟友会会員。そういったスタイルとは異なるアプローチで、「狩猟を通じた町おこしをしたい。自分たちで獲った肉を自分たちで捌いて売るということをやっています」そう話すのは、岐阜・郡山市の里山保全組織『猪鹿庁』鳥獣害対策担当の興膳健太さん(36)だ。子ども向けキャンプの企画運営などを行っていたNPO法人から派生した組織で、設立は2009年。狩猟ツアーを通して、野生動物と人間の共存や命を隅々までいただくことの大切さを参加者に広く伝えている。名古屋市のコンピューター関連のサラリーマンから『猪鹿庁』に転職したのは安田大介さん(39)。パソコンに向き合う日々からの転職について、「私の父は口には出しませんが、お金を稼ぐために自分を犠牲にしながら働いていました。仕事を楽しんでいないなと子どものころの私でも感じ取れました。私は自分の子どもからはそういう目で見られるのだけは嫌だったんです。だからこそ好きなことをしようと決心しました」まだキャリア5年だが、積もった雪を踏みつけぐんぐんと地元の山へ分け入って行く。地面が削れている部分がありますが、少し周囲とは色が違いますよね。これは自然に削れた跡ではなく、動物が削った跡なんです。鹿は土を掘り起こして何かを食べる可能性は低い。そうなると猪の可能性が高いと思います」と罠を仕掛けたポイントについて丁寧に解説。「くくり罠というもので、動物が罠を踏むとワイヤーが足に引っかかります。太さ約4ミリの金属製ワイヤーなので、100キロ以上の重さに耐えられる。それでも100キロ級の猪や熊の成獣が引きちぎることがあります。自分の手足をちぎってでも逃げる場合もあります。また、暴れることによってその足や周囲の部位の肉が傷みます。だからこそ毎日、こまめに見回っています」獲物を確保する方法は二つ。銃で仕留めるか、罠にかかった獲物を放血するか。「最初は罠を仕掛ける免許を取ったり、地元の猟師さんに教えてもらったりしながら」と、手探り状態だったと打ち明ける前出・興膳さん。地元福岡の知人ラーメン店主に掛け合い猪の骨で豚骨ラーメンならぬ”猪骨ラーメン”を開発した。元の猟師に無料で振る舞った結果、猟師との関係が深まり、『猪鹿庁』の活動もスムーズになっていったという。銃で仕留める場合は、「胸から上を狙います。内臓を撃ってしまうと大腸菌などが周囲の肉に広がって、食べられなくなってしまうので、極力そこは狙いません。腿の部分も一番肉が取れるので、狙わないように気を付けています。でも、動いているので難しいですけど」(前出・興膳さん)「頭そのものか首の脊髄が狙うポイントです。一発で仕留めたいと思っています」(前出・安田さん)ふたりに共通するのは、命を奪った肉を無駄にすることなくなるべく食肉にする、資源にするという発想。そして、獲物にできるだけ苦痛を与えたくないという思いだ。罠にかかった獲物にナイフを入れるとき、その思いがさらに強くなる。前出・安田さんが初めてとどめを刺した際の戸惑いを、「こん棒で頭を叩いたのですが、考えるところがありました。思考を停止させないと感情移入してしまう」と振り返りつつ、現状をこう伝える。「ナイフで放血させる場合は、頭をこん棒でたたいて気絶させてから、肺動脈か頸動脈にナイフを入れます。獲物に意識がない状態で行うことを心掛けています。そして自分が手掛けたものは、自家消費、イベント、販売など何かしらで消費しています。ただ、狩猟で獲った肉の9割が捨てられているのが現実です」郡上市では、鹿を駆除すると1頭当たり1万4000円が役場から支給され、猪の場合は猟期(11月15日~3月15日)のみ同額が支給されるという。ここ数年、ジビエ料理を出すレストランが各地に増えているが、最終的に私たちが目にし、口に運ぶのは、きれいに盛りつけられ、おいしく味付けされた最終形だけ。そこに至る過程――罠や銃で獲物を仕留め、解体し、ジビエ料理を食べるまでを、すべて“見える化”して提供するのが、『猪鹿庁』が設定する猟師の衣食住の体験ツアーや動物の解体の体験ツアーといった狩猟ツアー。責任者として率いているのが前出・安田さんだ。「参加者は20~50代までまちまち。親子で来る方もいます。岐阜を中心とした東海3県から5割、残り5割は東京や大阪、青森や岡山からの参加者もいました」と、世代も参加地域も年々広がりを見せているという。ツアーの流れをうかがった。「猟師目線で山に入って、動物の痕跡を探したり、くくり罠という罠を疑似的に設置してもらう体験をしてもらいます。おもちゃではありますが、銃の体験もします。BB弾(プラスチック弾)で、スコープだけ本物を搭載して、実際に空き缶などを撃ちます。銃口は絶対に人に向けないとか、トリガー(引き金)に指をかけるのは打つ直前などと指導をしたうえで、銃を構えてもらうという。そして最後は、ジビエ料理を食べるという流れです。肉はその場で解体したものではなく、事前に衛生的な解体処理場で捌いた肉を用意します。シカはしゃぶしゃぶにしたり、キジはローストにするとおいしい。イノシシは猪鍋が知られていますが、猪汁のほか、食べやすいように合挽きにしたフランクフルトを試食することもできます。解体体験に関しては、“自分でやってみたい人はいますか?”とツアー参加者に声をかけ、募ります。自分でやりたいという人もいれば、私は見ているだけでいいという人もいます。無理にやらせることはありません。内臓は事前にこちらで処理した状態での解体になります」参加者は、これまで目にしなかった食の流れを追うことで、命をもらって自分も生かされているということを改めて感じる。そんな仕組みが、狩猟ツアーには込められているのだ。しかし、「むやみやたらに殺すというのは、誰もやりたくないことなんですよね」と前出・興膳さんは吐露し、「正直、イノシシやシカをさばくのと魚をさばくのは、一緒の感覚なんですよね」と命の平等性を訴える。我が家の食卓やレストランに届く食材から、元の形を想像できない人がいるという。数年前、スーパーの切り身しか見たことのなくて元の魚を知らない子どもが増えている、と報じられたこともあった。今年は亥(イノシシ)年。十二支の半数、牛、兎、馬、羊、鶏、亥は、私たちの食卓に並ぶものだ。猪ハンターの思いと一緒に、食への感謝を年の初めにかみ締めてみたい。

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