<射撃ニュース10月>
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(62歳女性ケガ、散弾銃が暴発か:北海道)
26日夕方、道東の白糠町の山林で62歳の男性が持っていた散弾銃から弾が飛び出して近くにいた男性の妻の太ももに当たり、10針縫うケガをしました。26日午後4時前、白糠町上庶路の山林で町内に住む佐々木信弘さん(62)が持っていた散弾銃から1発の弾が飛び出し、近くにいた妻の恒子さん(62)の左足の太ももに当たりました。恒子さんは釧路市内の病院に搬送され、10針縫うケガをしました。命に別状はないということです。警察によりますと佐々木さんは狩猟をするために恒子さんと2人で山に入り、散弾銃をケースから取り出して銃に弾を込めたところ勝手に弾が飛び出したと説明しているということです。警察は詳しいいきさつを調べています。

(クレー射撃協会補助金不正流用か:兵庫)
兵庫県クレー射撃協会が選手の強化費用として県から受け取った補助金のうち、およそ100万円を前の会長らが不正に流用していた疑いがあるとして、県に報告していたことがわかりました。一方、前の会長は、NHKの取材に対し「事実無根だ」としています。兵庫県クレー射撃協会は、選手の強化費用として県から補助金を受け取っていますが、協会が平成28年度から3年間の会計について調査したところ、補助金の使途についてうその報告が行われていた疑いが浮上したということです。平成28年度には、50万円余りの補助金を射撃場の利用料や使用する弾の代金などにあてたと県には報告していましたが、実際には、こうした費用は選手が負担していたことがわかったということで、協会は前の会長らが飲食などに使った疑いがあるとしています。こうして流用されていた金額は、3年間で100万円余りに上るとしています。協会の調査に対して、前の会長らは回答を拒んでいるということで、協会は補助金の不正な流用が繰り返されていた疑いがあるとして、県の体育協会に24日、報告しました。県の体育協会は今後、前の会長などに話を聞くなどして、事実関係の調査を行うことにしています。前の会長はNHKの取材に対して「不正な会計処理など行っておらず、事実無根だ」と話しています。

(男性クマに襲われ大けが:新潟)
28日未明、糸魚川市の市街地で牛乳配達をしていた30代の男性がクマに襲われ、頭を切られるなどの大けがをして病院に運ばれました。命に別状はないということで、警察や市は現場周辺の警戒にあたるとともに注意を呼びかけています。28日午前3時40分ごろ、糸魚川市の「えちごトキめき鉄道」の青海駅の前で、牛乳配達をしていた30代の男性が「クマに襲われて出血している」と自ら警察に通報しました。警察によりますと、男性はクマに襲われたあと、自力で車の中に逃げ込みましたが頭や顔を切られるなどの大けがをしたということです。その後、男性は市内の病院に運ばれましたが、意識はあり命に別状はないということです。現場は青海駅のすぐ北側の住宅や商店などが建ち並ぶ市街地で、警察は近くにある寺の敷地内にクマが潜んでいたものとみて周辺で警戒を続けています。ことしは山に木の実が少なく、人里にクマが下りてくるケースが増えているということで県内ではこの秋に入り、クマに人が襲われる被害が急増しています。県環境企画課によりますと魚沼市で今月18日に4人がクマに相次いで襲われ大けがをしたほか、その翌日にも同じく魚沼市で2人が大けがをするなど先月以降13人が被害に遭っています。警察や市は付近の住民に注意を呼びかけています。男性がクマに襲われたのを受け、糸魚川市では、市の職員が現場付近にある幼稚園で見守りを行うなど警戒にあたりました。このうち、男性が襲われた現場から300メートルほどのところにある青海幼稚園では、園児が帰宅する時間にあわせ、糸魚川市の職員が迎えに来た保護者の車や送迎バスで園児が帰っていく様子を見守っていました。市では28日から1週間、付近の小学校や幼稚園で見守りを行うほか、広報車や防災無線などを使って警戒を呼びかけています。

(クマに襲われ男性重傷:富山)
29日午前4時50分ごろ、富山市上大久保の路上で、近くの男性(59)がクマに襲われた。男性は右手をかまれるなどして重傷を負った。富山県によると、現場は住宅地の一角で周囲には田畑や用水路もある。男性は機関紙配達の仕事を終え、歩いて帰宅中に後ろからクマに襲われたという。自力で自宅に戻り119番した。

(顔から血を流した女性、クマに襲われたか:新潟)
新潟県魚沼市中島で31日朝、顔から血を流している90代の女性が見つかった。クマに襲われたものとみられる。31日正午現在、警察や地元の猟友会などが警戒を続けている。31日午前7時半過ぎ、魚沼市中島で90代の女性が自宅の池に転落して顔から血を流しているのを警察官が発見した。顔には引っかかれたような傷があり、クマによるものとみられている。女性に意識はあり、病院に搬送された。現場周辺では30日からクマの目撃情報が相次いでいて、顔から血を流した女性を発見した警察官は巡回中だった。31日正午現在、クマの行方は分かっていない。警察や地元の猟友会などが警戒を続けている。魚沼市ではこれで10月に入ってクマに襲われてケガをした人が7人になった。

(目の前に突然クマ、女性襲われけが:福井)
10月30日午前7時半ごろ、福井県勝山市旭町1丁目の住宅車庫でごみを出そうとした70代女性がクマに左足首を引っかかれ、擦り傷を負った。命に別条はない。今季、県内でクマによる負傷者は5人目となり、勝山市では3人目。この前後には、市中心部の成器西小付近や現場近くの住宅街などでクマ3頭の目撃情報が相次ぎ、市は周辺住民に警戒を呼び掛けている。現場は市街地の住宅街。市によると、女性は自宅の車庫で空き缶が入ったごみ袋の口を結んでいたところ、小型のクマが入ってきた。驚いてごみ袋を投げつけたが、足元に来たクマに引っかかれたという。成獣か幼獣かは不明。周辺では同日午前7時10分ごろ、昭和町1丁目の成器西小南側の住宅付近で成獣1頭と幼獣2頭を近くの男性が目撃。その後、旭町1丁目の繊維工場付近や住宅街でも複数の住民が見つけた。さらに旭町1、2丁目の国道157号旭町交差点を横断するクマを、車を運転中の女性が見た。クマは片瀬町1丁目の方に向かった。市は一連の目撃情報は同じクマ3頭で、けがをさせたのはそのうちの1頭の可能性が高いとみている。市緊急メールを流したほか、周辺を重点的にパトロールした。現場近くの70代女性は「次から次へとクマが出てくる。家の近くが通り道になっていて、怖くて出歩けない」と話した。旭町が校区内の成器南小は30日、職員が巡回後、児童の集団下校を引率した。31日は保護者の車での送迎とする。勝山南部中も保護者に送迎の協力を依頼。成器西小は24日から当面の間、全校児童を保護者の車での送迎とし、勝山中部中も保護者に送迎の協力を求めている。

(ヒグマ狩猟期間を延長へ:北海道)
人を恐れないヒグマの出没が全道で相次いでいることを受け、道はヒグマの狩猟期間(10月~翌年1月)延長の検討を始める。23日に有識者を集めて札幌市で開いた「道ヒグマ保護管理検討会」で合意を得た。道は残雪期まで延ばすことを想定している。かつては冬眠明けのクマを狙う春グマ駆除が全道で行われたが、個体数減少の懸念などから1990年に廃止された。狩猟期間の延長が実現すれば、それ以来のクマ対策の転換となる。道は出没数の増加について、春グマ駆除の廃止により捕獲の圧力が弱まったことで人への警戒心が薄れたことが背景にある、と分析。比較的安全に捕獲の圧力をかけられる残雪期まで狩猟期間を延ばし、人から逃げることを学ばせて、人とのあつれきの軽減を目指す。個体数を減らすのが目的ではないとしている。

(豚コレラワクチン接種開始、来年の「非清浄国」確実)
豚(とん)コレラ感染予防のための豚へのワクチン接種が二十五日、始まった。昨年九月に国内で二十六年ぶりに発生が確認されて以降、農林水産省はウイルスを媒介する野生イノシシ対策を軸にまん延防止を図ってきたが、感染拡大が止まらず方針を転換。二〇〇六年四月に中止したワクチン使用を約十三年ぶりに再開し、この日は愛知、岐阜、三重、福井、石川、富山の六県で作業を開始した。ワクチン接種は長野や滋賀、静岡、群馬、埼玉を含めた十一県が「推奨地域」とされており、これらの県も二十六日以降、順次実施する。各県の計画によると、初回接種の対象は、愛知が約二十四万頭、三重は約十万三千頭、岐阜約五万二千頭、富山約三万頭、石川約二万一千頭、福井約千七百頭。ただ、予備のワクチン確保のために多めに見積もるなどしている。愛知は十一月下旬ごろ終了としている。二回目は初回以降に生まれた豚が対象。接種計画が未確定の静岡を除く十県で初回の頭数は計約百二十万頭に上る。一方、今回ワクチン接種に踏み切ったことで、一連の豚コレラで最初の感染確認から二年となる二〇年九月に、国際獣疫事務局(OIE)が認定する「清浄国」ではなくなることが事実上確定した。

(豚コレラ新たに3頭:滋賀)
滋賀県は25日、長浜市と米原市の山林で捕獲した野生イノシシ3頭が豚コレラに感染していたと発表した。9月に多賀町で死骸で見つかった野生イノシシ1頭に続く感染確認。感染が確認されたのは、18日に長浜市で捕獲された1頭と、21日に同市と米原市で捕獲された各1頭。長浜市内の2頭の捕獲場所は約20キロ離れていた。捕獲場所はいずれも県が野生イノシシ向けにワクチン入りの餌を散布した地域より北側で、県は「ワクチンベルトはまだ突破されていない」(畜産課)とみている。ただ、一定のイノシシは既に感染していると想定して対策に当たるとしている。

(豚コレラ県内2例目:静岡)
静岡県は26日、藤枝市岡部町で見つかった死骸の野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で野生イノシシの感染が確認されたのは2例目。18日に死骸の感染イノシシが見つかった場所から700メートルの位置だった。豚コレラは人には感染しない。県畜産振興課によると、25日午前、同市岡部町野田沢で死んだイノシシを発見したとの通報があり、県の遺伝子検査で陽性反応が出た。発見場所が1例目と近いことから国の検査を実施せずに感染が確定した。発見場所から10キロ圏内に養豚場はない。県は「発見場所の周辺で広範囲に感染が広がっている可能性が高い」として、野生イノシシの捕獲を強化する。養豚場へのウイルス侵入を防ぐため、防疫対策を再徹底するよう農家に通知する。

(豚コレラ県内3例目:静岡)
静岡県は28日、藤枝市岡部町で見つかった死骸の野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内での感染確認は3例目。

(豚コレラ県内4例目:静岡)
静岡県は29日、藤枝市岡部町で見つかった死骸の野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内での感染確認は4例目で、いずれも同市内。

(野生イノシシ2頭豚コレラ:三重)
三重県は29日、いなべ市で見つかった野生イノシシ2頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは21頭となった。県によると、1頭は28日に同市北勢町の草むらで死亡しているのを草刈り作業中の住民が発見。別の1頭は同じ日に同市藤原町の林地で地元の住民が仕掛けたわなによって捕獲された。県が29日に検査した結果、陽性反応が出た。捕獲地点から半径10キロ圏内に養豚農場はなく、新たな監視対象農場の設定はない。県によると、監視対象農場になっている7農場で今のところ豚に異常は確認されていない。

(豚コレラ、4例目確認:埼玉)
農場は埼玉県本庄市の農場で46例目の移動制限区域内にあり、監視対象となっていた。飼養頭数は繁殖豚109頭、肥育豚619頭、子豚137豚の計865頭。埼玉県は午前9時から知事を本部長とする緊急対策本部会議を開催し防疫方針を決め実施する。

(豚コレラ、水際阻止へ:千葉)
県は24日、家畜伝染病「豚コレラ」の発生を水際で阻止するため、野生イノシシの捕獲強化を11月から実施すると発表した。県によると、感染が確認されていない県で行うのは初めてといい、豚コレラの発生を想定した初の訓練も計画している。県は、養豚が行われ、かつ野生イノシシの生息が確認されている、茨城県または埼玉県との県境近くに位置する銚子▽旭▽成田▽印西▽香取▽東庄の6市町を捕獲重点エリアに指定。

(豚コレラワクチン、11月3日から接種:静岡)
静岡県は30日、豚コレラ感染予防のため実施する豚へのワクチン接種を11月3日から始めると発表した。県内全域の養豚場など134戸で飼育されている9万5460頭が対象。18日までに全頭への接種を終えるとしている。県庁で開いた豚コレラ防疫対策本部の会合で実施計画を示した。2日に国からワクチンが届く見通しで、家畜保健衛生所の防疫担当職員や民間の獣医師ら約60人が農家に出向いて接種する。細谷勝彦農業局長は「一刻も早く接種を開始し、養豚場にウイルスが侵入しないように対応したい」と語り、野生イノシシ対策や養豚場の衛生管理も手を緩めない姿勢を強調した。動物園や一般家庭で飼われている豚も含まれる。生まれたばかりの豚は後日接種する。接種後は豚の流通が制限されるため、全国に豚を出荷している4カ所の養豚場については農水省と協議して対応を決める。本県は農水省が設定した接種推奨地域の11県のうちの一つ。県は今月18日に藤枝市で野生イノシシが豚コレラに感染したことを受け、接種の手続きを進めていた。

(豚コレラ、11月からワクチン接種:埼玉)
県は30日、豚コレラ感染予防のための豚へのワクチン接種を11月1日にも始める方針を示した。31日の県議会臨時会で豚コレラ対策を盛り込んだ補正予算案などが可決される見通しで、接種への環境が整うためだ。接種などに携わる人員も増やし、感染拡大に歯止めをかけるが、本庄市の養豚場で30日、県内4例目となる豚コレラの感染が確認され、全865頭の殺処分を開始した。県によると、ワクチン接種の初回の対象頭数は7万8338頭。豚コレラの感染リスクが高い秩父、児玉、大里、比企、入間の5地域から着手する。5地域は11月下旬までに接種を終える見込み。それ以外の地域は、来年2月上旬までに接種の完了を目指す。一方、飼育豚の豚コレラ感染が確認された本庄市の養豚場は、秩父市、小鹿野町、本庄市の別の養豚場に続き4例目。11日に3例目の感染が確認された本庄市の養豚場から3キロ圏内にあり、監視対象農場として毎日、豚の状態を県に報告していた。一方、飼育豚の豚コレラ感染が確認された本庄市の養豚場は、秩父市、小鹿野町、本庄市の別の養豚場に続き4例目。11日に3例目の感染が確認された本庄市の養豚場から3キロ圏内にあり、監視対象農場として毎日、豚の状態を県に報告していた。県畜産安全課によると、29日午前、養豚場から県に「豚の食欲が落ちている」との通報があった。同日昼ごろ、県職員による立ち入り検査で、飼育豚3頭の死亡を確認。詳しく検査した豚32頭のうち、17頭から豚コレラの陽性判定が出たといい、30日午後から飼育されている豚全865頭の殺処分を始めた。

(ワクチン接種、高リスク地域から優先:群馬)
山本一太知事は30日の定例会見で、飼育豚の豚(とん)コレラ感染防止のためのワクチン接種について、感染リスクが高いと判断された養豚場から優先して進めていく方針を示した。県は27日から接種を開始。豚コレラに感染した野生イノシシ5頭が捕獲された地点から半径10キロ圏内にある藤岡市などの「監視対象農場」の養豚場から着手しており、30日時点で約1万頭への接種を終えた。今後は比較的感染リスクが高い隣接地域に対象を広げ、来年2月末までに全268農場、約63万頭への接種を完了させる。これとは別に今後誕生する子豚約25万頭への接種を進める。また、山本知事は11月8日に東京都の小池百合子知事と都庁で会談すると明らかにした。既に関東各県知事とテレビ会議などを行っており、豚コレラ対策で「同じ方向を向いている」とした上で、「小池知事とは流通(対策)についても協力できるのではないか」と述べた。

(豚コレラワクチン接種開始:群馬)
群馬県は27日、家畜伝染病予防法に基づき、感染拡大防止のための豚コレラワクチンの接種を始めた。全約60万頭の飼育豚を対象に順次、接種を進め、来年2月末の完了を目指す。豚コレラは岐阜県で26年ぶりに感染が判明した昨秋以降、拡大を続け、県内でも感染野生イノシシが見つかるなどリスクが高まっていた。この日は、感染野生イノシシが見つかったことから緊急性が高い藤岡市内の「監視対象農場」(6カ所)の約5200頭が対象。防護服姿の獣医師ら3人1組の5チームがそれぞれ養豚場を訪れて接種作業を進め、約5時間半でこの日の作業を終えた。県によると、接種済みの飼育豚は接種から20日間経過後に食肉処理場に出荷できる。また、飼育豚は接種により基本的に豚コレラに感染しないとされ、人が接種した肉を食べても健康に影響はないという。

(31日に接種開始:滋賀)
滋賀県は25日、豚コレラ対策の豚へのワクチン接種を31日から始めると発表した。養豚場5カ所や農業高校、家庭などで飼われている計約4千頭が対象。11月8日までに完了する予定で、初回以降、新たに入荷した豚にも順次接種する。また、県は25日、長浜市と米原市で捕獲した野生イノシシ3頭が豚コレラに感染していたと発表した。それぞれの捕獲場所から10キロ圏内に養豚場はない。県内での野生イノシシの感染確認は計4頭になった。県では9月、多賀町で死んだ状態で見つかった野生イノシシ1頭で感染が確認され、野生イノシシ用豚コレラワクチンを入れた餌を、山林を中心に散布した。

(ワクチン接種、農家「豚守れる」:福井)
豚コレラ感染予防の豚へのワクチン接種が10月25日、福井県内で始まった。“見えない脅威”と日々闘う養豚農家にとっては待望の接種。農家は「本当によかった。何とか豚を守れる」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。一方、ウイルスを媒介する野生イノシシが養豚場の周囲にいる状況は変わらず、「すべて安心とはいえない」と気を引き締める。「自分の豚を全部殺して埋めるなんて耐えられない。早く出荷して豚舎を空にすることも考えたが、ワクチン接種の決定を聞き、そこまで頑張れば生き残れるのではないかと思ってやってきた」。県養豚協会副会長で越前市内で豚約1200頭を飼育する時岡伸さん(66)は、感染イノシシの発見場所が徐々に自らの豚舎に近づく中、不安を抱えながら接種を待った。市内では7、8月に養豚場2施設で豚コレラが発生。全頭殺処分となり、経営していた農家2軒が廃業に追い込まれ、現時点で県内で豚を飼育する農家は3軒となった。「国が春の段階でワクチン接種を決断していれば県内の発生はなかったのではないか。県内産の豚を食べたい人に今後、十分に供給できないという不安を持っている」と明かした。豚舎近くに野生イノシシがいる状況は当面続く。国や県は感染防止に向け、引き続き養豚場での消毒の徹底を呼び掛け、イノシシの駆除などを進める。時岡さんは「周囲にウイルスは存在する。国の衛生管理基準を守って防疫体制を整えても百パーセントではない」と気を緩めてはいない。「飼育豚にワクチンを打ちながら、野生イノシシにもワクチン(餌)を与え、時間をかけて豚コレラを国内からなくす方向に持っていかないと安心できない。アフリカ豚コレラの防疫体制も国としてきちんとやってもらいたい」と求めた。豚コレラとの闘いは「10年、下手をすると20年ぐらいは続く」とし、ワクチン接種の費用負担は国の責任との考えを示した。また、福井県の独自ブランド「ふくいポーク」を扱うJA県経済連の担当者は「ワクチン接種豚の肉を食べても影響がないことは強調されてはいるが、消費者がどういう反応をするのか不安はある」と風評被害を懸念。「生産者たちは頑張っている。消費者もおいしく食べて応援してもらえれば」としている。県食肉事業協同組合連合会の中野直幸理事長(54)=坂井市=も「安全な豚しか出荷されない。消費者にはこれまで通り食べてもらいたい」と冷静な対応を求めた。

(ワクチン接種開始、7万頭超対象:長野)
長野県は26日、豚コレラ感染予防のための豚へのワクチン接種を開始した。対象となるのは県内86施設の計約7万2千頭で、生後間もない子豚は除く。作業終了までには8日間程度かかる見通し。県によると、作業は県家畜保健衛生所の獣医師に加え、各市町村や農業協同組合(JA)の職員らが担う。県内では9月、塩尻市の県畜産試験場や高森町の養豚場で豚コレラ感染が確認され、計約460頭を殺処分した。また、複数の自治体で感染した野生イノシシが計100頭以上見つかっており、農場へのさらなる拡大が懸念されている。

(野生イノシシ用経口ワクチン、6割に摂取の形跡:群馬)
豚(とん)コレラ対策で群馬県は25日、藤岡市内に散布した野生イノシシ用のワクチン入りの餌「経口ワクチン」の6割をイノシシが摂取した可能性があると発表した。経口ワクチンの散布には野生イノシシの感染を食い止め、飼育豚への感染リスクを下げる狙いがある。経口ワクチンは18日に同市内の40カ所に800個を埋めた。5日たった23日に回収したところ、336個がなくなり、154個に食べられた痕があった。県は計490個(61%)をイノシシが摂取した可能性があるとみている。手つかずだったのは310個(39%)だった。ただ、ワクチンを埋めた山林などにはアナグマやニホンジカなども出没するため、県は複数の散布箇所に設置したセンサーカメラの画像を解析する方針。県畜産課は「摂取された地域などを分析し、今後の野生イノシシの豚コレラ対策に役立てたい」としている。

(豚ワクチン接種、1日までに3万頭:富山)
富山県は二十四日、家畜伝染病「豚コレラ」への対策として、飼育されている豚やイノシシへのワクチン接種を二十五日に始めると発表した。十一月一日までに約三万頭への接種が完了する見込み。対象は全ての豚を早期出荷した一養豚場を除く県内の十八養豚場、富山市ファミリーパークなど四施設。半径十キロ圏内で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかり、「監視対象農場」に指定されている七養豚場や飼育数が多い大規模養豚場から優先的に実施する。二十五日は五農場で行う。新たに生まれた豚は、生後一カ月をめどに接種する。接種に必要な資材費やワクチン購入費(四万頭分)などは県の予備費八百十一万円を使う。県庁で会見した石井隆一知事は「ワクチンを接種した豚が市場に出回ることになる。健康被害がないことを周知徹底し、風評被害が起こらないように努めたい」と話した。二十四日までに、県内では豚コレラに感染した野生イノシシが二十三頭見つかっているが、養豚場の飼育豚への感染は確認されていない。

(豚コレラワクチン接種、北陸3県で計5万2千頭)
富山、石川、福井の3県では家畜伝染病の豚コレラの対策として25日から始まるワクチン接種について、計約5万2千頭が対象となる。北陸では多数の感染した野生イノシシが見つかっているほか、福井県では養豚場の豚への感染も明らかになっていた。約1千頭の豚を殺処分した福井県では養豚場や県畜産試験場など5カ所約1700頭のうち、生後40日以上経過した豚が対象。2日間かけて県の獣医師らが作業を進める。石川県ではかほく市と宝達志水町の養豚場から始め、11月3日までの10日間で計18カ所で飼育する豚やイノシシなど約2万1千頭に接種。その後毎月、生後30~40日の子豚約3500頭にも接種していく計画だ。富山県では養豚農家と展示施設など計22カ所、約3万頭が対象で、1週間程度かかる見通し。国からのワクチン購入や資材調達に予備費から811万円を充てる。石井隆一知事は24日の定例記者会見で「かつてはワクチンを接種した豚が出回っていたが人体に影響はなかった。風評被害を防ぎたい」と話した。

(イノシシ重点捕獲エリア、狩猟規制にばらつき)
日本農業新聞は、農水省が定めた豚コレラの発生に伴うイノシシ重点捕獲エリアの21都府県を対象に、野生イノシシの狩猟体制について調査した。11月からの狩猟規制の有無を聞いたところ、規制するのは岐阜と三重の2県で、18都府県が例年通り狩猟を解禁し、体制にばらつきがあることが分かった。狩猟で捕獲数は増えるが、山に人の出入りが増えるなどで豚コレラを拡散させる恐れがある。狩猟しなければ農業被害拡大、狩猟者減少などの課題もあり、各地は難しい判断を迫られている。豚コレラに感染した野生イノシシは11県で発見され、同省設定の重点捕獲エリアは21都府県にある。今シーズンの狩猟について、同省や野生イノシシを管轄する環境省は、一律の規制を設けず、都府県判断とした。環境省は「野生動物は場所で現状が異なり、狩猟は各県の判断に任せている」と説明する。豚コレラ発生県のうち「狩猟を規制する」とした県は、岐阜と三重。岐阜は県内全域を、鳥類の捕獲を目的とした網猟を除く指定猟法(銃・わな)禁止区域に指定し、狩猟を制限する。三重は経口ワクチンを散布した北勢6市町で狩猟、野生鳥獣の肉(ジビエ)の流通を禁止する。両県とも全面解禁はしないが、許可した狩猟者によるイノシシの調査捕獲、個体数調整の捕獲はする。18日に野生イノシシの感染を確認した静岡県は、規制について検討中(28日時点)とする。残りの18都府県は、例年通り狩猟を解禁する。長野は「狩猟による豚コレラ拡大のリスクは認識しているが、鹿の農業被害が多く狩猟しないと翌年に鹿の数が増える」と説明。熊対策に継続した狩猟が必要なことや狩猟者減の恐れも理由に挙げる。富山は「イノシシの増加は、結果的に農業被害拡大や豚コレラの拡大につながる」とする。栃木、茨城は「狩猟期間中に状況次第で規制する可能性もある」とした。都府県によっては猟友会を通じ狩猟者に、感染イノシシの発見現場から半径10キロ以内で狩猟したイノシシは流通や自家消費の自粛を求め、死体は血液が漏れないよう密閉して運ぶなど注意を促す。靴や車両用に消毒剤を無償で配り感染拡大を防ぐ考え。ただ、山に出入りする回数が増え、交差汚染の懸念は残る。猟友会関係者は「狩猟者全員の消毒徹底は難しい。個別に狩猟している状況は感染拡大につながりかねない」と懸念。岐阜県養豚協会の吉野毅会長は「狩猟で野生イノシシが移動すれば感染拡大の恐れもある。豚のワクチン接種をした上で、捕獲でイノシシを減らすことが急務だ」と話す。岐阜大学で野生動物を研究する鈴木正嗣教授は「一律規制は難しくても国は狩猟でイノシシの数を抑えるメリットと、感染イノシシとの接触や移動などで感染が拡大するデメリットを認識し、狩猟の仕組みを考える必要がある」と指摘する。

(豚コレラ対策、万全尽くし封じ込めを:北海道)
本州で感染が急拡大している家畜伝染病の豚コレラを防ぐため、農林水産省がようやく豚へのワクチン接種に踏み切った。感染が確認された岐阜や愛知など各県の養豚場などで先週末から接種が始まっている。国内で26年ぶりの発生が確認されてから、すでに1年余りが経過し、感染地域は東海、北陸から関東へと広がった。国はワクチン接種にとどまらず、あらゆる対策を講じ、拡大を阻止すべきだ。豚コレラの予防にはワクチン接種が最も有効な手段であるにもかかわらず、農水省はこれまで、感染した豚の殺処分とウイルスを媒介した野生イノシシの駆除のみで対処しようとしてきた。ワクチンを使えば、国際獣疫事務局が認める「清浄国」から外れ、輸出に支障が出ると判断したからだ。結局は感染を止められず、主要産地の関東にまで被害が及ぶに至って方針転換した。この間、殺処分された豚は14万頭を超え、農家は多大な負担を強いられた。農水省は見通しの甘さを責められても仕方あるまい。新たにまとめられた国の防疫指針では、ワクチン使用による移動の制限を生きた豚に限定し、精肉や加工品については接種地域以外でも流通を認めることにした。国内では以前にもワクチンが使われた時期があり、接種した豚の肉を食べても健康への影響はないという。消費者の不安や混乱を招かぬよう、農水省は丁寧な情報提供に努めてもらいたい。日本は豚コレラ発生から2年たった来年9月に「非清浄国」に切り替わる。清浄国への復帰は、ワクチン接種をやめてから1年間、新たな発生がないことが条件だ。ただ、再発への懸念が払拭(ふっしょく)されなければ、ワクチンの使用を止めるには時間がかかるだろう。まずは感染したイノシシの拡散を防ぐため、えさに混ぜたワクチンを散布するとともに、わななどによる捕獲を急ぐ必要がある。海外から持ち込まれた食品の残りをイノシシが食べたことが、今回の発生のきっかけになったとみられており、空港などでの検疫の強化も欠かせない。新千歳空港でも昨年10月、中国からの観光客が持ち込もうとしたソーセージから、より感染力が強いアフリカ豚コレラのウイルスが検出された例がある。道内は野生イノシシがおらず、ウイルスが拡散しにくい環境にあるとはいえ、油断することなく水際対策を徹底したい。

(豚コレラワクチン接種、実効性の確保急務)
豚(とん)コレラ感染予防のための豚へのワクチン接種が二十五日、約十三年ぶりに岐阜、愛知など六県を皮切りに始まった。農林水産省は感染拡大に歯止めをかける切り札としたい考えだが、接種しても感染を完全に防げるわけでなく、発生地域の隣接県では実施しないなど、再び対応が後手に回る懸念も残る。野生イノシシ対策の強化なども含めた包括的な対策で実効性を確保することが急務となる。江藤拓農相は二十五日の閣議後の記者会見で「ワクチン接種をしたらこれで安心、という話では決してない」と指摘。「農水省でも現場でも緊張感が失われないよう気を配りたい」と述べ、ウイルスを媒介するイノシシの対策や、農場に出入りする車両の消毒といった衛生管理の徹底でも手を緩めない姿勢を強調した。背景には、ワクチンを打っても一~二割程度の豚では十分な抵抗力がつかず、感染を予防できないことがある。ワクチンを接種したことで気が緩めば、かえって感染拡大を招きかねない。ワクチン接種を巡っては、飼育豚や野生イノシシで発生が確認された群馬、埼玉、富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の十一県が「接種推奨地域」とされ、千葉や茨城など隣接県は対象になっていない。両県は豚の飼育頭数の多い一大産地で、感染が波及すれば影響は大きい。

(侵入防止柵、県も助成:静岡)
藤枝市で死んだ野生イノシシの豚コレラ感染を受けて、県豚コレラ防疫対策本部(本部長・川勝平太知事)の初会合が24日、県庁で開かれた。野生イノシシの養豚場への侵入防止柵設置事業で、国の補助(2分の1)に追加して、県も助成(2分の1)することを決めた。養豚農家の負担を無くして、県全域で設置を促す。

(豚コレラワクチン接種、計画説明:静岡)
藤枝市で豚コレラに感染したイノシシが見つかり、本県がワクチン接種推奨地域に設定されたのを受け、県は23日、接種までのスケジュールやまん延防止策を県内各地で養豚業関係者に説明した。浜松市東区の県西部家畜保健衛生所では、伊藤謙一県畜産振興課長が今週中にも接種頭数や実施体制をまとめたプログラムを農林水産省に提出すると明らかにした。農水省がプログラム内容を有識者の意見を踏まえて審査する。伊藤課長は「プログラムは大方できている」と説明。他県の例を元に本県では11月上旬ごろから接種が可能になると推測し、「一日でも早く対応したい」と話した。豚コレラに感染した野生のイノシシが点在しているとの想定に基づき、県内全域を接種区域にする見通し。初回の対象は哺乳豚などを除いた10万頭弱。接種作業には民間の獣医師の力を借りる。接種した豚は流通が制限される。説明会では、経営面の影響を懸念する養豚農家から支援を求める声が上がった。伊藤課長は「県として支援策や流通の仕組みについて国に意見を出している。独自でも何ができるか考えていく」と述べた。県は23日、豚コレラの発生を想定した特定家畜伝染病防疫演習を、沼津市の県東部総合庁舎で行った。藤枝市内で今月、豚コレラに感染した野生イノシシが確認されて以降、県が演習を実施したのは初めて。県東部と県富士の両農林事務所や管内の市町職員、JA関係者ら約90人が参加。防疫作業を迅速に行う初動体制を確認した。参加者は県東部家畜保健衛生所の職員から説明を受け、養豚場で豚コレラが発生した他県の映像を視聴した。防護服やゴーグル、マスクを着用し、手袋の隙間からウイルスが皮膚などに付着しないよう、参加者同士でテープを手首周辺に巻き付けるなど、作業の手順を確かめた。庁舎外では、消毒や殺処分の際に使用する機材の扱い方の指導も行われた。杉山隆通県東部地域局副局長兼東部危機管理監は「ウイルスが県内に入り、(2例目が)どこで確認されても不思議ではない。演習で確認した初動体制を実践し、感染拡大を防ぎたい」と話した。

(ニホンジカとイノシシの狩猟解禁:滋賀)
滋賀県内でニホンジカとイノシシの狩猟が11月1日、解禁される。深刻化する農作物や樹木の食害を受け、3年連続で解禁日を半月前倒しした上、狩猟期間を来年3月15日まで延長する。マガモやキツネなどその他の狩猟期間は11月15日から来年2月15日まで。有害鳥獣による農作物被害額は近年、ピーク時(2011年)の4分の1に当たる1億1千万円程度で推移している。人工林の食害もピーク時(12年)の被害面積から半減し、昨年度は約140ヘクタールにとどまった。県内では、野生イノシシ4頭への豚コレラ感染が確認されているが、県は「狩猟による捕獲圧力も強めたい」として狩猟制限は実施しない。ニホンジカについては狩猟を含め年間1万9千頭の捕獲目標を掲げており、県は約3千頭の狩猟捕獲を期待している。狩猟者登録数は県内外で約1700人を見込む。

(駆除後の有害鳥獣処理へ業務提携:福島)
総合警備業のALSOK福島(郡山市)と、産業廃棄物処理業などを手掛ける荒川産業(喜多方市)は23日、駆除した有害鳥獣と、機密文書の処理について業務提携を結んだ。ALSOK福島は自治体からの委託を受けて有害鳥獣の駆除を行っている。駆除した後の有害鳥獣の処理に苦慮している自治体も多いことから、荒川産業で製造・販売している「有機物減容再生セラミック製造装置(ERCM)」の活用を自治体に提案する。ERCMは有機廃棄物を熱分解し、再利用可能なセラミック状の粉末に転換する装置で、運用コストも抑えることができるという。また提携には、荒川産業がALSOK福島の顧客情報などに関する機密文書を処理・リサイクルすることも盛り込んだ。提携の調印式は郡山市のALSOK福島本社で行われた。同社の前田泰彦社長が「安全・安心で、さらに環境にも配慮した地域貢献事業につなげていく」、荒川産業の荒川健吉社長は「技術とサービスを世の中の役に立てていきたい」とそれぞれあいさつした。

(軽自動車とクマがぶつかる:新潟)
10月29日午前6時24分ごろ、三条市南五百川地内の国道289号で、40歳代の男性が運転する軽自動車が国道を走行中に川から上がってきた体長約60センチのクマとぶつかった。運転手にけがはなかった。現場は民家から約200メートルの地点。クマはそのまま山へ向かっていた。

(住宅街「籠城」クマを捕獲:福井)
福井県勝山市中心部の芳野町1丁目の住宅街で10月25日に見つかり、杉の木に居座り続けていた親子とみられるクマ2頭について、勝山市は28日午前6時半ごろに2頭とも捕獲したことを確認したと発表した。周辺の交通規制も解除された。市によると、2頭は杉の木から下りてきて、ドラム缶おりに入った。25日午後1時半ごろ、勝山市芳野町1丁目の店舗横にある柿の木に登っているクマ2頭を住民女性が目撃した。クマは隣の杉の木に登り、木の上に居座った。勝山署員や市職員、猟友会員らが高さ十数メートルの杉の木を取り囲み、にらみ合いの状況が続いた。市は24時間態勢で職員が交代しながら監視、警戒を続け、周辺住民に外出や一人での行動を控えるよう呼び掛けた。市によると、クマは隣の柿の木から実を取って食べており、27日朝には実はほとんどなくなっていた。同日午後からは、市職員が実が残った枝を切り落とし、“兵糧攻め”に着手。杉の木の周辺に設置したおりを4基から7基に増やし、誘導を試みていた。

(クマ1日以上も市中心部の木の上に:福井)
福井県勝山市中心部の芳野町1丁目に10月25日出没し、住宅街の柿の木で見つかった親子とみられるクマ2頭は、一夜明けた26日も隣の杉の木にいることが確認された。市によると、日没を過ぎてもまだ木の上に潜んでいる。市は24時間態勢で職員が交代しながら監視、警戒を続け、周辺住民に外出や一人での行動を控えるよう呼び掛けた。勝山署は引き続き、周辺道路の通行を規制している。市によると、クマは杉の木を登ったり、下りたりして隣の柿の木から実を取って食べているという。1頭があくびをする様子も確認された。柿の実は多く、長期戦になる可能性も。自宅からクマが居座る木が見える80代男性は「いつまで続くのか」とため息をつき、「気軽に出歩くこともできず参った。早く何とかしてほしい」と不安げな表情を浮かべた。近くの60代男性は「隣に柿の木があり、クマにとってはレストラン付きのホテルのようなもの。猟友会も市街地で銃を撃てないだろうし、どうしようもない」と話した。現場に近い芳野町2丁目のしろきこども園付近では同日午前3時ごろ、この2頭とは別の成獣1頭と幼獣1頭が住民男性に目撃された。市クマ対策警戒連絡室は26日、市民に柿の収穫を急ぐよう文書で区長を通じて要請した。不要な柿の処分用のパッカー車を26、27日、市役所南側駐車場に配置している。

(トンネルでクマとぶつかる:山形)
22日午後7時15分ごろ、山形市大森の市道の大森トンネル内で北方向に向かって走っていた乗用車が、クマ(体長約1・5メートル)と衝突した。車の左前部が壊れたが、運転していた山形市の20代女性にけがはなく、クマは南方向に逃げていった。山形署でパトカーを出動させ、付近の警戒に当たっている。山形市はじめ山形県内ではクマの目撃が相次いでおり、県警では注意を呼びかけている。

(金沢大研究棟にクマか:石川)
24日午前5時半ごろ、金沢市角間町の金沢大角間キャンパスで校舎のガラス製ドアが割れているのを大学職員が見つけた。別のドアには大型動物の足跡のようなものが残されていた。直前に大学敷地内でクマが目撃されており、石川県警金沢中署は、このクマが破壊した可能性が高いとみている。けが人はなかった。大学によると、自然科学5号館の1階裏口のドアのガラス部分(高さ、幅約1メートル)2枚の中央から下部にかけて、数十センチの穴が開けられていた。ガラスの破片はドアの内側と外側両方に散乱しており、クマが出入りした可能性があるという。また別の出口の自動ドアには、人間の手の2倍ほどもある大きさの足跡が残されていた。一方、この約1時間20分前、新聞配達をしていた人から「大学敷地内でクマを見た」との通報があった。大学は学生や教職員に一斉メールを流して注意を呼びかけたが、日中にクマを目撃した人はいなかったという。キャンパスはJR金沢駅から約6キロ離れた山間部にある。金沢市では今年度、クマの餌となる木の実が凶作で、大学付近では目撃情報が相次いでいる。大学院2年の開発秀星さん(25)は「校舎の中まで入ってきたのにはびっくりした。怖い」と話した。

(死に至る母、離れられない子グマ:新潟)
線路の脇に横たわる瀕死(ひんし)の母グマ、そばを離れようとせず周辺をうろつく子グマ。新潟県湯沢町のJR上越線で列車がクマをはねた事故から一夜明けた25日、現場周辺では親子グマの物悲しい光景が見られた。南魚沼署によると、衝突時に3頭が目撃され、線路付近に2頭が横たわって発見された。1頭は体長0・6メートルの子グマで死んでいた。もう1頭は体長1・2メートルの雌。母グマとみられ、まだかすかに息があったという。残りの1頭は姿が見えなくなっていた。湯沢町は母グマを射殺するために、麻酔銃を扱う業者を長野県から招請。麻酔を打ち込んでから移動し、地元猟友会が射殺する段取りを組んだ。業者の到着を待つ間、母グマに寄り添うように体長0・6メートルの子グマが何度も現れた。残りの1頭とみられる。役場職員が「山へ帰って」と時折、爆竹を使って追い払った。業者と猟友会が到着し、麻酔銃を母グマに打ち込むと、死んだのが確認された。子グマはもう現れなかった。魚沼市で6人を襲ったクマに続き、麻酔銃を使用した男性(55)は「親グマが死んでいるのが分かり、子グマは山に去ったのだろうが、まだ小さいので冬は越せないのではないか」と話した。

(ツキノワグマ1頭を捕殺:神奈川)
県は22日、県の絶滅危惧種に指定されているツキノワグマ1頭が、厚木市愛名地区の緑地に仕掛けたわなに掛かった、と発表した。人に慣れており、地域住民を襲う危険性があることから殺処分したという。県によると、22日早朝、体長120センチ、体重74キロの雌がわなに掛かっているのを発見した。10月初旬から同市の高松山周辺の人里でツキノワグマが出没、中旬から近くの市街地で目撃情報が相次ぐようになり、市がわなを設置していた。

(シカ、小樽港で泳ぎ救助:北海道)
小樽市築港の小樽港マリーナで23日朝、泳いでいるエゾシカを近くのホテルの客が見つけ、市に通報した。出口を探しヨットの間を縫うように水をかく姿を市民らが心配そうに見守った。駆けつけた市職員やマリーナ管理者らがボートで浅瀬に誘導して陸に戻そうと試みたが、難航。約3時間にわたる捕物の末、岸壁のすぐ下に来たチャンスを捉え、角と脚にロープを巻き付けて引き上げた。命拾いしたシカは山へ逃げて行った。市担当者によると、4歳程度のオスとみられ「塩分をとろうと海に入ってしまったのでは」。酸いも甘いもかみ分けた成獣のはずが、ほろ苦い一日となった。

(サル出没、町や猟友会が警戒:山梨)
山梨県富士河口湖町と猟友会は25日もサルへの警戒活動を行い今後は観光客にも注意を促すことにしています。富士河口湖町では今週、船津地区の商店街を中心にサルの目撃情報が相次ぎ、町には住民や観光客から少なくとも5件、サルに襲われたという連絡が寄せられています。これを受けて町と地元の猟友会は、25日も午前中から商店街近くの山へ入りサルが人里へ降りてこないよう空砲を鳴らしました。また、捕獲用に設置した3か所のオリを巡回しましたが変化はなくこれまでにサルは捕獲されていません。富士河口湖町は学校や住民にサルに警戒するよう促し、今後は観光客に野生のサルを見かけた場合、エサなどを与えないよう呼び掛ける方針です。

(小学校にサル、捕獲に至らず:山形)
新庄市沼田小周辺で25日朝、成獣のサル1匹が目撃された。登校時間帯だったが、直接サルを見掛けた児童はおらず、けが人はいない。通報を受けた市や警察、地元猟友会が捜したが捕獲には至らなかった。市環境課などによると、同日午前8時すぎに同市万場町の住宅街でサル1匹の目撃情報があり、同8時半ごろには同小グラウンドにいる様子を、校舎が隣接する明倫中の生徒が窓越しに見たという。連絡を受けて市の担当者らが1時間ほど周辺を見回ったが発見できなかった。沼田小では、低学年児童の下校に教職員が付き添うなど対応した。

(住宅裏にクマ、カキ食べ去る:秋田)
秋田県内は26日、クマの目撃が相次いだ。けが人はいない。八峰町八森字岩館向台では午前9時ごろ、60代男性が自宅裏の山林に体長約70センチの子グマ1頭がいるのを見つけ、知人を通じて能代署に届け出た。同署によると、子グマは男性宅から約10メートル先の木に登り、カキの実を数個食べた後、走り去った。

(住宅街でクマ目撃:北海道)
25日午後11時25分ごろ、根室管内中標津町西5南4付近の道道を車で走行中の男性が、クマ1頭が前方を横切るのを目撃し、中標津署に通報した。現場は中標津高から約100メートル、中標津署から約300メートルの住宅街。体長は約1・5メートルとみられ、付近の路上でクマのふんが見つかった。同署や町役場、地元猟友会が巡回している。

(ツキノワグマか、爪痕とふん確認:岡山)
津山市は28日、加茂町塔中の空き地で27日朝、ツキノワグマのものとみられる爪痕とふんが見つかったと発表した。けが人などの報告はなく、市は注意を呼び掛けている。市加茂支所によると、28日午前9時ごろ、住民から爪痕とふんを見つけたとの通報を受け、市と県が確認してツキノワグマと判断した。付近にある加茂小や加茂保育園、町内会などに注意を呼び掛けた。現場は市加茂町文化センター(同所)から北北東へ約300メートル。市は28日午後から加茂町地区に防災行政無線で注意喚起している。

(住宅地にクマ:石川)
28日朝、JR小松駅から南に約2キロ離れた小松市大領町の住宅地でクマの目撃情報が相次いだ。同町内の建具店では、作業場の窓ガラスにクマとみられる動物の足跡が見つかり、市や小松署などが警戒を強めている。市によると、28日午前7時半ごろ、大領町の工事中の北陸新幹線高架橋近くと、そこから約100メートルの「なかよし幼稚園」付近でそれぞれ1頭が目撃された。建具店を経営する瀬領修さん(85)方では、敷地内に複数の動物の足跡が確認された。作業場の窓ガラスの足跡は高さ約2メートルの位置にあり、瀬領さんは「7時半ごろ、外でゴソゴソ音がしたが、あれがクマだったかと思うと恐ろしい」と振り返った。クマはその後、瀬領さん方から約1キロ離れた木場潟公園北園地付近でも目撃情報が寄せられた。小松署は周辺をパトロールして注意を呼び掛けた。午後も児童生徒の下校時間に合わせて巡回する。

(大型のイノシシ1頭が出没か:佐賀)
佐賀県警武雄署は29日、武雄市北方町の北方工業団地入り口交差点西方で28日午後11時半ごろ、大型のイノシシ1頭が出没したとして、メールで注意を呼びかけた。

(イノシシの出没:佐賀)
令和元年10月28日午後11時30分ころ、武雄市北方町の北方工業団地入口交差点西方で大型イノシシ1頭が出没しています。

(河川敷を縦横無尽に動き回る野良カピパラ:神奈川)
動物園の人気者、世界最大級のネズミの仲間カピバラが今、神奈川県湘南地域の河川敷で相次いで目撃されている。飼い主から逃げ出した「野良カピパラ」だ。最初の目撃情報は今年(2019年)6月26日に藤沢市にある川付近、7月8日には茅ヶ崎市駒寄川の川沿い、9月6日に寒川町、9月9日には茅ヶ崎市小出川に現れた。10月10日に飼い主と連絡が取れ、保健所がワナを仕掛けたが、12日に台風19号が上陸。その後小出川付近から姿を消した。「川の氾濫で流されていったのか」と思いきや、台風が去った後の17日には1.5キロ離れた平塚新港で釣りをしていた男性がカピバラを目撃した。男性は警察に連絡したが、カピバラは警官が到着する寸前、川に飛び込んで逃げてしまった。「大きさは1メートルくらいでイノシシほどあった。フゴーッって言って(堤防から)川に飛び降りていきました。あれはちょっと怖かった」と話す。目撃情報をつないだ総移動距離は14キロ。結構な距離を動いている。おとなしそうに見えるカピバラだが、実はけっこう足が速い。新江ノ島水族館のカピバラ担当、大下勲さんによると、「逃げられたら我々の足じゃ追いつかない」ほどで、資料映像では草原を大型犬のごとく突っ走るカピバラが確認できる。

(クマ目撃:新潟)
10月30日午後7時45分ごろ、新潟県三条市原地内でクマが目撃された。新潟県警三条署の発表では、車を運転して帰宅途中の女性が、道路上を走るクマを目撃した。三条市でもそれと同じ時刻に長沢小学校から笹巻集落方面に約600メートルの地点の市道原笹巻福沢線で子グマが目撃されたと発表したが、同じ目撃情報と思われる。いずれにしろ三条市下田地区では里に下りてきたクマがこのところ毎日のように目撃されており、くれぐれも注意が必要だ。

(田畑にシカの群れ、稲刈り後の「ひこばえ」狙いか:岐阜)
揖斐川町の中心部に近い同町上ミ野の田畑で28日深夜、シカの群れが姿を見せた。えさを求めて人里に下りてきたとみられる。町産業振興課の職員は「街の近くでもシカの目撃情報はあるが、これだけまとまった数が写真に撮られたのは珍しい」と話している。シカが見つかったのは国道303号近くの田畑。オス、メス合わせて十匹ほどが固まって動いていた。町の担当職員は「稲刈りを終えた田んぼに生える『ひこばえ』を食べに来たのでは」と推測する。シカの群れは、国道を挟んで北側にある山の周辺か、発見場所の南側を流れる揖斐川の上流から川に沿って下りてきたとみられる。町は十年ほど前から農作物の獣害対策として、シカやイノシシが人里に出ないよう山際に柵を設置しているが、柵の下をくぐり抜けたり、隙間をすり抜けたりすることもある。野生動物に詳しい岐阜大応用生物科学部の森部絢嗣(じゅんじ)准教授によると、シカは市街地でもよく姿が確認されている。ただ、人が寝静まった深夜にえさを探しに出てくるため、住民が気付かないことも多い。臆病な性格のシカは、基本的に人が近づくと逃げていくという。だがオスには大きな角があり、不用意に近づくとけがをさせられる可能性もある。森部准教授は「見つけたら刺激せずに離れるのが一番」と注意を促す。シカを田畑に寄せ付けないように、稲刈り後は田を耕し直して「ひこばえ」を処理する、田畑の周りを柵で囲む-との対策を挙げている。

(民家近くにクマ、捕獲用おり設置:岡山)
赤磐市は29日、同市赤坂地区の民家近くで27日夕、クマが目撃されたと発表した。体長約1・2メートルのツキノワグマとみられる。市は現場付近に捕獲用のおりと「熊出没注意!」の看板を設置し、注意を呼び掛けている。市や岡山県によると、27日午後5時半ごろ、飼い猫を探していた主婦(59)=同市=が自宅の裏山で、座っているクマを発見。後ずさって自宅に戻り、市に通報した。県の専門職員が28日、現地を調査し、クリを食べたり、尻で草を押しつぶしたりした痕跡からツキノワグマと断定した。この主婦は「5メートルほどまで近づいた時にクマと分かり、足が震えた」と話していた。同内内では昨年、赤坂、吉井地区で2件の出没情報が寄せられたが、今年は初めて。市は、看板設置のほか、防災無線で注意を促した。おりは29日午後、地元の猟友会メンバーらと仕掛けた。「やむを得ず山に入る場合はクマよけの鈴を携帯するなどの対策を」としている。

(列車がイノシシをはね遅延:佐賀)
30日午前7時45分ごろ、藤津郡太良町のJR長崎線多良-肥前大浦間で、長崎発肥前山口行き上り普通列車(2両編成)がイノシシをはねた。乗客13人にけがはなかった。JR九州によると、車両点検後に運転を再開したため44分遅れ、約100人に影響が出た。

(イノシシの目撃情報:熊本)
熊本南署は28日、熊本市南区富合町平原の平原公民館付近で同日午前7時半ごろ、イノシシ2頭が目撃されたとして、メールで注意を促した。イノシシを目撃した場合は、近づいたり、大声を出したりせず、市役所や警察署へ通報するよう呼びかけた。

(クマの足跡と糞が発見される:北海道)
苫小牧において、2019年10月29日にクマの足跡と糞が見つかったとのことです。高丘森林公園(緑ヶ丘公園北側)の北西部(トンギョの池付近)において、クマの足跡と糞が発見されましたので、公園内の立ち入りを禁止します。開放時期につきましては、今後の調査状況を確認し決定いたします。

(列車とクマ接触、乗客けが人なし:新潟)
24日午後10時20分ごろ、湯沢町湯沢のJR上越線、石打―越後湯沢間の線路で、長岡発越後湯沢行き4両編成上り普通列車とクマが接触した。乗客約20人にけがはない。

(サル出没:大分)
大分市の上野ヶ丘地区でサルの目撃情報が相次いでいます。サルが発見されたのは25日午後、大分市上野丘の住宅街です。一匹のサルが住宅の屋根やフェンスをつたいます。警察や市の職員が駆けつけ、周辺の住民に注意を呼びかけました。大分市の上野ヶ丘地区では今週火曜日からサルの目撃情報が相次いでいます。市には25日までに13件の情報が寄せられていますが、市は当面捕獲はせず登下校時の巡回パトロールなどで対応するとしています。また、周辺の小中学校や自治会を通じて、サルに近づいたり目を合わせたりしないよう注意を呼びかけています。

(シカ猟の男性、仕留めたと思ったシカに襲われ死亡:アメリカ)
米アーカンソー州でシカ猟をしていた男性が、自分の撃ったシカに襲われて重傷を負い、病院に搬送される間に死亡した。警察によると、死亡したのは同州エールビルの男性(66)で、23日夜、森の中に倒れているのが見つかった。身体にはシカの角で刺された傷痕が何カ所もあった。アーカンソー州狩猟漁業委員会によれば、一緒にシカの解体処理を行う予定だったおいに発見された時には、まだ男性は意識があって話すこともでき、妻に電話することもできた。しかし救急隊が病院へ運ぶ間に呼吸が停止した。角で刺された傷が致命傷になったのかどうかは確認できておらず、死因は心臓発作などの疾患だった可能性もあるが、解剖は予定されていない。狩猟漁業委員会の担当者によると、ハンターが傷ついたシカに襲われてけがをすることは珍しくないという。仕留めたと思ったシカが、気絶したり負傷していただけということもあり、大抵はハンターが近付くと跳ね起きて逃げるが、その過程でハンターに傷を負わせることがある。この担当者は、気絶したシカに近付いたハンターが死亡した事案に遭遇したのは初めてだと話している。シカ猟では一般的に、仕留めてから15~30分待って、死んだことを確認してから近付くことが推奨されている。死亡した男性はエールビルに20年以上も住み、狩猟経験が豊富だったことから、不手際があったとは思えず、予想外の事故だったのではないかと当局者は推定している。けがをしたシカは見つかっていない。

(クマ目撃すでに49件、人里近くにも出没:北海道)
富良野地方でヒグマの目撃が相次いでいる。富良野署に寄せられた今年の情報は22日現在、49件に達し、過去5年間で最も多かった2018年の60件に迫るペースで増えている。冬眠前でクマは餌を求めて活発に山を歩き回っていることから、同署や道は、入山者に注意を呼び掛けている。同署によると、ヒグマの目撃件数は近年、右肩上がりに増加。14年に25件、15年に21件だったが、18年は60件まで増えた。明確な理由は不明だが、富良野市では観光客数が18年度、191万人に達しており、道路を横切るクマを目撃した観光客からの通報が増えたことも一因とみられる。人里近くでの目撃も相次ぐ。同署管内では4月下旬、市内中御料の富良野スキー場に子グマ3頭が現れて駆除された。7月上旬には市内の朝日ケ丘公園に市が設置した監視カメラにクマ1頭が映り、南富良野町のJR根室線幾寅駅前の駐車場でも体長約2・5メートルのクマ1頭がいるのを住民が目撃している。富良野市で暮らす写真家の石黒誠さんは友人から頼まれ、市内山部のスイカ畑に自動カメラ3台を設置。9月8日未明、スイカにかじりつくクマの写真を撮影した。クマは山際の数個を食べて山に戻り、畑の中央や人家の方には来なかったという。

(木の実凶作、クマ警戒を:滋賀)
本格的な秋を迎える中、ツキノワグマが人里などに出没する可能性が高くなっていることが、県の調査で分かった。ツキノワグマは冬眠を前に栄養を蓄えるが、食料となるブナなどの木の実が凶作となっていることが判明。凶作の年は食料を求めて人里に下りてくるなどしたクマの目撃件数が増える傾向にあり、県は「ハイキングやキノコ採りのシーズンということもあり、十分に警戒してほしい」と呼び掛けている。

(クマ出没、暗い時間帯は柿の木近くが要注意:福井)
県は二十五日、嶺北を中心にツキノワグマの出没や人が襲われる被害が相次いだことを受け、県庁で市町の担当者を集めたクマ出没対策会議を開いた。九月から今月二十四日までに四件あった人身被害のうち三件は柿の実を食べに人里へ来たクマが人を襲ったとみられることから、暗い時間帯に柿の木に近づかないよう住民に呼び掛ける方針を確認した。県によると、今月七日の南越前町合波と、二十一日の福井市縫原町でそれぞれ住民がクマに襲われた事故では、いずれも周辺にクマに実を食べられた柿やクマのふんが見つかっている。二十二日に勝山市の中心市街地で男性が襲われた事故も、クマが目撃された各所に柿があり、実を食べに市街地に入り込んだクマが、山に戻れないまま朝になり、パニックになったとみられる。今年は山のドングリが凶作のため、九月一日~十月二十二日のクマの出没数は二百三十三件に達し、昨年九~十月の五十一件の四倍以上に。例年の出没ピークの十一月までは集落の柿を食べようとするクマが相次いで現れる恐れがある。会議では今後の対策として、市町や自治会などで、集落や市街地に柿の木があるか確認するよう要請。可能な限り実を収穫するよう求め、不要な木については伐採も勧める。住民に早朝や夕方、夜間は柿の木に近づかないことを周知徹底し、消防車のパトロールやチラシの配布を通じて注意喚起も進める。県自然環境課の佐々木真二郎課長は「柿の木の所にはクマが現れると思って気を付けてほしい。クマの爪痕やふんがある木は非常に危険だ」と注意を呼び掛けている。

(野生生物の農作物被害イノシシ増:)
県内の昨年度の野生生物による農作物の被害額は5億円あまりで、この10年で最も少なくなりましたが、イノシシによる被害額は過去最多となりました。県のまとめによりますと、昨年度のイノシシやシカなどの野生動物による農作物の被害額は5億972万円で、この10年で最も少なくなりました。最も多かった被害は、カラスで1億283万円でしたが、2番目に被害額が多かったイノシシの被害額は、昨年度、7260万円で前の年度より2000万円以上増え、過去最多となりました。イノシシの捕獲数は1575頭と前の年度より1.8倍増えましたが、生息域が拡大していて、被害の増加に歯止めがかかっていません。また、県内ではおよそ100年にわたって絶滅したとされていたニホンジカの目撃数が、最近、増加していて、去年は122件と、おととしの41件から3倍近く増えています。ことしは8月末の時点で40件の目撃情報があり、このうち、庄内地方が22件と半数以上を占めているということです。県は「岩手県ではニホンジカによる被害が広がっており、山形県でも野生動物の被害拡大防止に向けて、対策を徹底していきたい」と話しています。

(エゾシカ交通事故、過去最多ペース:北海道)
道内でエゾシカと車の衝突などの事故が急増し、今年8月末時点で、過去最多だった昨年を2割以上も上回るペースで推移している。シカの活動が活発化する繁殖期の10月に例年、事故が急増しており、札幌市内では今月13日以降、中央区や北区の住宅街などでシカの出没が相次いだ。道警は「早朝や夕方のシカの飛び出しに気を付けてほしい」と呼び掛けている。「音を立てないで。刺激しないでください」。札幌市北区太平の住宅街で18日、シカを見ようと集まった住民らに、パトカーの警察官が注意を呼び掛けた。近くの80代の主婦は「あんなに大きなシカがぶつかってきたら、ひとたまりもない」と不安げに語った。道警交通企画課によると、道内で車がシカと衝突したりシカを避けようとして他の車に追突されたりする事故の件数は年々増え、今年は8月末時点で前年同期比24%増の1403件。統計を取り始めた2004年が1170件で、過去最多の昨年は約2・5倍の2834件と急増した。

(野生鳥獣による被害調査結果について:北海道)
平成30年度の野生鳥獣(海獣類を除く)による農林水産業被害状況について、市町村からの報告を取りまとめました。野生鳥獣による被害金額は48億7千万円で、前年度に比べ1億2千万円増加しています。(対前年比 3%増加)。鳥獣別による被害金額は、エゾシカが38億6千万円(前年39億3千万円)、次いでカラス類が3億5千万円(前年2億7千万円)、ヒグマが2億3千万円(前年2億円)、キツネが1億6千万円(前年1億4千万円)、アライグマが1億4千万円(前年1億円)となっています。農林業被害では、全体の8割がエゾシカによるものであり、国の交付金等を活用し捕獲活動や侵入防止柵の整備など総合的な対策により、被害金額は、平成23年度の64億円をピークに年々減少し、現在は4割程度減少しているが、30年度は29年度に比べやや減少の38億6千万円となった。振興局別の農林業被害金額は、5振興局で減少しているものの、空知、石狩、後志、檜山、上川、留萌、宗谷、十勝、釧路では増加となった。なお、被害金額の多い上位3振興局は、釧路が11億6千万円、根室が5億円、十勝が4億6千万円となっている。作物別の農林業被害金額は、牧草が19億円で全体の5割で、次いでビート、水稲、ばれいしょ、デントコーン、根菜類の順となった。ばれいしょ、小豆、スイートコーンで被害額が増加している。

(街路樹に大量のムクドリ:京都)
大量のムクドリが集まる京都府京田辺市の近鉄新田辺駅前で、同市が25日までに街路樹の枝を切った。今夏、電線に鳥よけの対策が施されて効果を上げているものの、次は周辺の街路樹に鳥が集中していた。市は枝を落としたことで鳥がどう動くのか、影響を注視している。同市では、2008年ごろからムクドリの大群が確認され、ここ数年は新田辺駅前の電線や木に集まるようになっていた。「ふんが落ちてくる」「鳴き声がうるさい」などの苦情が市にも寄せられていた。今夏、市の依頼を受けて関西電力は、電線に鳥よけのワイヤや突起物などを設置。おかげで電線にとまる鳥はほとんどいなくなったが、次は街路樹に集まるようになり、通行人からは「ふんの臭いが強くなった」との声も聞かれていた。市施設管理課によると、街路樹のせん定は24日から駅前のロータリーなどで実施。「ムクドリのためでなく、年2回の定期的なせん定」としているが、鳥が集まれる枝はかなり少なくなった。ムクドリ対策に取り組む市環境課は「せん定で環境が変わるので、移動してくれるかもしれない」と期待。まもなく、鳥が一斉に姿を消す時季を迎えるとあって、「このまま収まってくれればいいが、来年はどうなることか」と気をもんでいる。

(シカ捕獲へ囲いわな設置:北海道)
釧路市の住宅街でエゾシカの目撃や家庭菜園などの被害が増えていることを受け、釧路総合振興局は春採湖畔近くの春採市民の森に囲いわなを設置し、エゾシカの捕獲を始めた。道が市街地で囲いわなによる捕獲を行うのは初めて。同振興局は「交通の安全確保や食害の防止につながれば」と期待する。鳥獣保護区や市街地など銃を使えない区域などを対象にした道の「エゾシカ指定管理鳥獣捕獲等事業」の対象に釧路市が選ばれ、捕獲が実施されることになった。同振興局の委託で、市内阿寒町で養鹿(ようろく)事業を手掛ける北泉開発が25日に囲いわなを設置した。囲いわなは外周約29メートルで高さ2・7メートル。側面には複数の木板が鉄パイプで固定されている。入り口付近に甘みのあるビートを主原料とするペレット状の餌を置いて、エゾシカをおびき寄せる仕組み。内部に設置された監視カメラは複数のスマートフォンに連動し、担当者が映像で現状を確認しながら、エゾシカが入っているタイミングを見て、遠隔操作で入り口を封鎖して生け捕りにする。28日に北泉開発の社員が餌を置くと、間もなく数頭のシカが囲いわな付近に姿を見せた。

(クマ被害、最多の15人:新潟)
今秋に入り、クマによる人的被害が急増しているのはなぜか。ツキノワグマの生態に詳しい新潟大農学部の箕口(みぐち)秀夫教授に聞いた。奥山に生息するクマにとって人里は本来、「人に追い返される怖い場所」だ。奥山と人里との間には、人がまきや炭に使うための林を手入れする里山があり、クマと人との緩衝地帯になっていた。

(今年のクマは人里に出没、注意:新潟)
クマが人里に出没して人を襲う被害が新潟県内で相次いでいる。今年度のクマによる人的被害は15人で、県が統計を取り始めた1996年度以降最多になった。山中ではなく人の生活空間で起きているのが今年の特徴で、県や県警などが警戒を呼びかけている。28日午前3時半ごろ、同県糸魚川市青海のえちごトキめき鉄道青海駅そばの市街地で、牛乳配達をしていた30代男性が近くにいたクマに襲われ、顔や頭、胸を引っかかれ重傷を負った。糸魚川署によると男性は配達の軽乗用車から降りた際に襲われたという。この1週間前には魚沼市で2日間にわたり、1頭のクマに男女6人が続けて襲われる事故もあった。

(ドングリ不作でクマ出没増予測:群馬)
群馬県鳥獣被害対策支援センター(同県高崎市)は、人の生活エリアに出没するクマが増加しそうだとの予測をまとめた。餌となる堅果類(ドングリ)などが今年は不作となったため。センターが9月に行った利根沼田地域の堅果類などの豊凶状況の実地調査によると、ブナ大凶作▽ミズナラ不作▽コナラ不作▽クリ不作▽ミズキ並作-で、5種合計で不作との結果が出た。夏頃の気象条件が影響した可能性があるという。クマは冬眠に入る前の秋から晩秋にかけ、こうした食料を求め行動範囲が広がる。だが、不作で餌にありつけない今年はさらに遠くまで移動し、人里への出没も想定されるという。不作だった平成28年度はクマの出没頭数(10~11月)が103頭。今年もほぼ同レベルの不作のため、出没頭数は100頭前後に上るとみられる。並作だった30年度は42頭だった。センターは山に入る行楽客にクマよけの鈴などを携帯するよう促すほか、クマが普段は出没しない地域でも警戒の必要があるとして注意を呼びかけている。

(野生化した“クジャク”:沖縄)
色鮮やかで美しいクジャクが、南国の宮古島で市民を悩ませている。野生化したクジャクが大繁殖し、畑が荒らされる被害が相次いでいるという。沖縄県の宮古島市。豊かな自然の中に作られたゴルフ場で私たちが目撃したのは、10羽以上のクジャクの群れ。場内のいたるところに群れで現れ、見つかるとすばやく姿をくらます。今、宮古島市では、クジャクの異常な繁殖が起きている。今年度のインドクジャクの捕獲数は、すでに過去最高を記録した去年を更新する371羽。繁殖した要因は、10年以上前にペットとして持ち込まれたクジャクが、台風の被害などで小屋から逃げ出した事だとみられている。宮古島市では近年、クジャクによる農産物を食い荒らす被害が寄せられていて、環境省は、積極的に防除を行う必要がある緊急対策外来種に指定している。宮古島市で生産が盛んな日本そばの農家に話を聞いた。宮古島穀物生産組合・新里五尾組合長「(クジャクが)飛んできて下りて、歩いてまわるものですから、(そばの芽を)踏みつける被害が多いですね。ぺたっとなっちゃうもんだから、機械で修復できない」クジャクに踏まれたそばの芽は出荷できず、収穫が3割減った農家もいるという。許可を得れば捕獲する事ができるが、逃げ足の速さはなかなかのもの。どのように捕獲するのだろうか。私たちは猟友会の人々と共に森の中へ入った。猟友会・砂川秀夫さん「ほとんどグループで5~6羽ぐらいで(動く)。食べ終わったらすぐ上に飛んで、ねぐらに帰っていく」木の上で油断しているところを撃ち落とすという。歩き始めて1時間半、足跡を発見した。周辺には、クジャクの羽根も落ちていた。警戒心が強いため、私たちはクジャクにさとられぬよう、猟師から離れて撮影。すると数分後、森の中に鳴り響く猟師の怒声。1羽のメスクジャクを仕留めた。トサカを持ち帰り、市に捕獲の報告をするという。猟友会・砂川秀夫さん「数自体も増えてるし、全然、自分たちが捕っても間引きにしかならない」クジャクの増加を受け、市は“新たな対策”に乗り出した。宮古島市生活環境部環境衛生課・守武大課長補佐「今年は新たにワナをもっている方にも(捕獲の)許可を与えています」猟銃の資格を持たない一部の人々にも捕獲を解禁した。この厄介者のクジャクを使い、地元では、意外な活用法が登場。クジャクのご当地グルメを開発した。猟友会・砂川秀夫さん「命を頂いたんですから、ちゃんと頂いてあげないと」レパートリーが次々と考案され、レストランの目玉となっている。さらに、東京都内にも広がりをみせている。「火の鳥鍋です」クジャク肉を使った、その名も「火の鳥鍋」。宮古島産を中心に、クジャクを今年初めてメニューに取り入れ、しゃぶしゃぶでいただく。近年は、下処理の技術も発達し、獣臭さなどはほとんどないという。米とサーカス・石井翔店長「かめばかむほど味が出てくる。週に2~3件は(予約が)入ってます」宮古島市は、捕獲者を増やし、30年後までにクジャクの根絶を目指している。

(不要な柿を撤去へ:福井)
クマが大量出没し、けが人も出ている勝山市は二十九日、市教育会館で今季三回目の熊対策連絡協議会を開いた。市内で柿の実の除去を進めるとともに、クマに狙われやすい生ごみの対策に力を入れることなどを決めた。市や県、地元猟友会、警察、消防などの関係者十七人が出席。事務局の市は、四月以降に確認した出没件数百十四件(二十八日現在)のうち百七件が九、十月に集中し、住宅が密集する勝山地区で二十九件、村岡(むろこ)地区で二十一件と相次いでいることを報告した。中心市街地の杉の木に三日間居座ったクマ二頭は駆除したが、担当者は「別の親子の目撃情報が市街地であり、予断は許されない」と危機感を強めた。市は、市街地への誘因になっている柿の実の除去や木の伐採を市民に依頼しているが、クマは好まないとされる渋柿や落ちた柿も食べられた痕跡があるため、不要な柿全てを撤去する方針を確認。地元猟友会員は「クマは冬眠に向け脂肪を付けようとするが、今年は脂肪がついていない。食べられるものは何でも食べる状況」と警鐘を鳴らした。猟友会の高齢化も課題で、県猟友会勝山支部長の上(かみ)弥吉さんは「クマと対峙(たいじ)できるメンバーが三、四人しかおらず、いずれも七十歳以上。ほぼ五年周期に迎える大量出没に次回対応できるメンバーがいない」と市に早急な後継者育成支援を求めた。クマの出没が相次ぐ勝山市で、出没情報などを知らせる市の緊急メールの登録数が急増している。過去十年間で三千件程度だったが、この一カ月余りで一気に五百件増えた。市によると、緊急メールは二〇〇九年四月に配信を開始。クマ情報のほか、災害や事故などの状況を知らせている。クマが市街地に出没し始める前の今年九月十六日時点で二千九百四十七件だった登録数は、今月二十九日午後五時現在で三千四百六十九件となった。緊急メールではクマの目撃情報は随時、痕跡情報は前日午後五時から二十四時間の状況を一日一回、通知する。市のホームページや、市内に貼り出されている柿の実撤去を求めるポスターのQRコードで登録できる。伊藤寿康・市危機管理監は、市民の多くが市外に勤務している状況も踏まえ「近くにクマが出没しているのが分からず帰宅する恐れもある。災害時にも有効なので、まだの人は登録してほしい」と呼び掛けた。

(イモ収穫、イノシシ被害で8割減:山口)
下松市笠戸島の笠戸島特産品開発グループが休耕田を活用して栽培し、市内の障害者支援施設にプレゼントする予定のサツマイモがイノシシの被害に遭った。29日に収穫したところ、100坪の畑から例年約300キロほど取れるイモが約50キロに激減。会員らは「楽しみにしている多くの人に行き渡るのは難しい」と肩を落とした。同グループによると、笠戸大橋で本土とつながっている笠戸島では3年ほど前からイノシシが目撃され、年を追うごとに被害が出ている。グループの会員が狩猟免許を取得してわなの設置など捕獲に取り組んでいるものの、なかなか成果が出ていないという。サツマイモ畑がイノシシの被害を受けたのは、2013年度に栽培を始めて以来初めて。6月に苗を植えた後から荒らされるようになり、柵を設置するなどの対策を講じたものの防げなかった。施設へのプレゼントは他の用途で栽培していたサツマイモを充てて例年通り行う。会員の森野幸雄さん(71)は「全体の収穫量が減るので、地域の祭りなどで振る舞う分に影響は出てくる」と残念がる。サツマイモの栽培は来年も継続する予定で、森野さんは「防護柵に隙間がないように対策をしたい」と話した。市農林水産課の担当者は「地域の人と話しながら実情にあった対策を考えたい」としている。

(イノシシ獣害どう防ぐ:三重)
シカ、サルなどの野生動物の農作物への「獣害」が県内で減少する一方、イノシシによる被害はなかなか減らず、農家を悩ませている。本年度は豚コレラ対策で大量のイノシシを県北部で捕獲しているが、効果は限定的という。担当者は「イノシシを獣害対策の中心にしないといけない」と危機感を募らせる。昨年度の県内の農産物への獣害被害額は二億三千二百万円で、五年前から約三割減少。このうちニホンジカによる被害は四割減、ニホンザルは半減し、捕獲や、農地周囲に柵を張り巡らす対策が、一定の成果を上げている。一方でイノシシによる被害は一億二千万円程度で横ばいが続く。イノシシは収穫間近の実ったイネを好むため、サル、シカと比べてもともと被害額が大きい。対策の難しさもあり、近年は被害額の半分以上をイノシシが占めている。イノシシの捕獲数は二〇一三年度の九千四百頭から、一七年度には一万四千六百頭まで増加。豚コレラ対策に力を入れている本年度は一万六千頭まで増える見通しだ。ただ、イノシシは一度に四、五頭を産むため繁殖力が高く、捕獲を増やしても個体数が減っていない可能性が高い。加えて効果があるとされる柵も、わずかな隙間をこじ開けたり、地面を掘ったりして侵入することがある。県は柵の補強に加え、イノシシが好む残飯や売り物にならない野菜を屋外に放置しないことを有効な対策に挙げる。山間部の竹やぶや耕作放棄地で下草が茂るとイノシシの隠れ家になるため、草刈りも効果があるという。県獣害対策課は十一月十三日午後一時から、津市の県総合文化センターで「獣害につよい三重づくりフォーラム」を開く。イノシシ対策に詳しい農業・食品産業技術総合研究機構の上田弘則上級研究員が講演。柵の補強方法などの講習もある。無料で申し込みが必要。

(クマ出没、10月90件超す:福井)
福井県勝山市は10月29日、市内で出没が相次ぐクマ対策について関係機関、団体と話し合う連絡協議会を市教育会館で開き、10月のクマ出没が28日時点で91件に上り、100件に迫っている状況を報告した。山のドングリなどが不作、凶作のため、クマは渋柿や地面に落ちた柿も食べるとして市民に収穫、撤去を求め、生ごみは収集前日でなく当日朝に指定場所に出すよう注意を呼び掛けている。勝山市内で9月以降、市に寄せられたクマの目撃、痕跡情報は107件。特に10月が91件(昨年0件、大量出没の2014年54件)と突出している。このうち市中心部を含む勝山地区が26件で最も多く、村岡地区が17件で続く。今秋のけが人は2人。市中心部にも出没が相次ぐ「異常事態」(会長の水上実喜夫副市長)となり、22日に市教育会館前で警備員の男性がクマに襲われ、頭を負傷。その後、繊維工場に侵入したクマは駆除された。24日に同じ繊維工場や成器西小付近でクマ3頭が目撃され、芳野町1丁目では25日から住宅密集地の木に2頭が居座り、28日朝に捕獲された。福井県猟友会勝山支部の上弥吉支部長は、クマは冬眠前に木の実を食べて体に脂肪を蓄えるが、駆除したクマを調べたところ「脂肪がほとんどなかった」と報告。「餌がないと渋柿や落ちている柿も関係なく食べる」とし、生ごみの管理や出し方にも注意が必要との認識を示した。協議会には市や勝山署、市防犯隊、県などの担当者ら20人が出席した。

(クマ駆除数、最多97頭:新潟)
新潟県糸魚川市内のことしのクマの駆除数が97頭となり、昨年1年間の37頭を大幅に上回っていることが30日、分かった。市が2005年に合併後、最多の駆除数となった。市が定例記者懇談会を開き、明らかにした。市内では28日、青海駅前で男性がクマに襲われて大けがを負ったほか、10月上旬にも早川地区で女性が襲われるなど人身被害が2件起きた。目撃情報は市内全域で相次いでいる。市によると、クマの駆除数は新市のデータが残る中では、10年の55頭が最多だった。17年は48頭。昨年は山間部で餌となる木の実が豊作で、ことしは子グマが生まれ個体数が増えたとみられる。市に寄せられる目撃情報も子グマが多いという。クマは冬眠前の活動が今後も活発なため、市環境生活課は「行政無線や安心メールの告知内容を充実させ、新たに啓発資料を配布するなど市民に注意を呼び掛ける」と説明した。

(クマ警戒、児童見守り集団下校:新潟)
28日に30代男性がクマに襲われて大けがをした新潟県糸魚川市青海で、現場に近い青海小学校は29日、集団登下校や授業を短縮する措置を取った。青海幼稚園では引き続き、糸魚川市が登園時に市職員を派遣し警戒に当たった。クマの襲撃現場から約600メートルの距離にある青海小学校は、登校時の集合場所まで保護者が児童を送るようメールなどで連絡した。防犯パトロールの巡視員と一緒に、小野聡校長(53)らも通学路に立った。授業は5時間目で切り上げ、教職員が引率し集団下校を実施した。普段は登校時だけ巡視活動に当たる地元町内会会長の清水勇さん(73)は、学校前の交差点で下校する児童を見守った。「クマの目撃情報が昼夜を問わず相次いでいる。クマに警戒する意識を親から子どもたちにしっかり伝えてもらいたい」と話した。青海幼稚園は、現場から青海駅をはさんで約300メートルの距離にある。市や幼稚園の職員が見守る中、普段は徒歩で通っている園児も保護者が車で送迎していた。年少組の長男を送って来た会社員女性(32)は「近くでクマが出たと聞くと心配。家を出る際、子どもを車に乗せる時は急いで乗せるようにしている」と話していた。

(餌不作、クマ被害注意:鳥取)
鳥取県内で10月に入りツキノワグマの目撃が増加している。クマは冬眠前に栄養を蓄えるが、今年はクマの餌となるドングリが不作。県東部での目撃が多く、既に山間部を中心に梨や柿などが食べられる被害が出ている。11月中旬にかけて山里に下りてくる可能性が高く、県や市町村が注意を呼び掛けている。

(クマ出没、人身被害4件:福井)
9月以降、嶺北を中心にクマの目撃情報が相次ぎ、10月には勝山市などで計4件の人身被害があった。エサの木の実の不作が原因とみられ、クマの出没は11月末まで続く恐れがあるという。各自治体は暗い時間の単独行動を控え、クマが好む柿の木の伐採や実の収穫などを住民に呼びかけている。10月上旬、南越前町の町道で近くの男性が成獣のクマ2頭と遭遇、1頭に頭をかまれてけがを負った。下旬には、勝山市の市教育会館前で警備員の男性が襲われ、頭にけがをした。10月に入って勝山市で2件、南越前町で1件、福井市で1件の人身被害があった。こうした状況を受けて県は25日、ツキノワグマの対策会議を開催。県内の9月1日~10月22日の出没件数は233件で、昨年同時期と比べると5倍近くに増えたとの報告があった。

(クマ、人里への出没に注意を:岡山)
ツキノワグマが主食にするドングリ類の実りが今年は岡山県内の標高の高い場所を中心に悪く、冬眠前に餌を求めて人里に下りてくる危険性が例年に増して高いことが県の調査で分かった。年々、クマの行動範囲は県南部にも広がっており、県は山歩きのシーズンを迎えて注意を呼び掛けている。ドングリ類の2019年度生育状況調査結果によると、鳥取県境付近の高地に多いブナの実は「凶作」、ミズナラと、低地まで広く分布するコナラの実はいずれも「並作」だった。今回が9回目の調査で初めてブナが2年連続の凶作となり、7年連続豊作だったコナラが並作にとどまった。これまでブナが凶作の年は、食べ物を探しに人里に近付くクマが目撃されたり、捕獲されたりする出没件数が増える傾向にある。ミズナラもコナラもここ数年と比べると作柄が悪いため、警戒が必要という。調査は8月下旬から9月上旬に実施。クマの出没が特に多い美作、津山市、奈義、勝央町、西粟倉村の計35地点で実のなり具合を目視で確認し、過去のデータと比較した。県内には18年末時点で298頭のクマが生息していると推定され、10年間で4・4倍増えた。19年度の出没件数は9月末時点で106件と前年同期(158件)より少ないものの、4月には和気町で初めて捕獲され、備前市でも出没情報があるなど県北部から徐々に南下しているとみられる。県は人的被害を出さないよう、専門指導員による現地調査や出没注意看板の設置、不要な果樹の伐採といった対策を進める。県自然環境課は「山に入るときは集団で歩き、音を出すといった対策を取ってほしい。クマを目撃した場合には市町村や県民局に情報提供をお願いしたい」としている。

(熊目撃情報、注意喚起:三重)
伊賀市で熊らしきものが目撃されたとのことで注意喚起がされているそうです。10月23日、伊賀市高尾在住の女性が県道老ヶ野古田青山線の桜峠付近を車で走行中に熊らしきものを目撃したとのこと。伊賀市は目撃地点に電池で夜間も作動するカメラ2台を目撃された付近に設置、尼ケ岳登山道入り口に注意を促す看板2枚をそれぞれ設置したとのことです。市によると、女性の夫も15日午後に同じ場所で目撃していると話されているそうです。

(クマ出没警報を延長、人身事故今月2件:秋田)
秋田県は30日、県内全域に発令中の「ツキノワグマ出没警報」の期間を1カ月延長し、来月末までとすると発表した。クマによる人身事故が今月2件発生しており、引き続き注意喚起する必要があると判断した。警報の延長は本年度2回目。県自然保護課によると、今月の人身事故2件はいずれも、キノコ採りの入山者が襲われた。3日に鹿角市の男性、5日に由利本荘市の男性がそれぞれけがを負った。

(イノシシ捕獲で市が奨励金支給へ:秋田)
秋田県南部を中心に、イノシシの食害が拡大する中、同県由利本荘市は、今期の狩猟期間(11月1日~来年2月15日)から狩猟者に、捕獲1頭につき1万円の奨励金を支給する。従来、イノシシの「空白地帯」とされてきた同県内だが、近年は湯沢市を中心に目撃例が増えている。温暖化の影響で、福島、宮城県方面から生息域を拡大させているとみられる。由利本荘市によると、市内では2012年に初めて目撃された。それ以来、今年8月末までに計41頭が目撃され、鳥海地区では4頭が捕獲されている。農産物の食害も17年に水田で確認された。これまでは軽微な被害で済んでいるが、市は、イノシシが市内に生息域を延ばし、食害や人身被害が相次ぐような事態を防ぐため、狩猟者に奨励金を支給し、捕獲を推進することで抑止策としたい考えだ。

(動物接触事故、秋は「鹿」要注意)
道路上に飛び出してきた動物との接触事故、いわゆる「ロードキル」が多発しています。高速道路の場合、2018年のロードキル処理件数は年間およそ4万7400件(NEXCO3社および本四高速、首都高速、阪神高速の合計)。その多くはタヌキ、キツネ、イヌあるいは鳥類など比較的小さな動物ですが、特に北海道では、大型のシカとの衝突事故が深刻化しています。北海道開発局の道路維持課によると、道内ではシカとの衝突事故が年間2000件ほど発生しているそうです。1年のなかでもピークは10月、降雪期に入る直前だといいます。大型動物のため衝突したドライバーが死亡する事故も発生しているほか、NEXCO東日本北海道支社によると、高速道路では本線内にシカが侵入した時点で、その区間を通行止めにしているそうです。実際に事故を起こした場合、どうなるのでしょうか。損害保険大手の損保ジャパン日本興亜によると、動物との衝突事故は基本的に「物損事故と同じ扱い」とのこと。自動車保険は適用されるものの、車両保険に入っていなかったら車両の損害は補償されないそうです。また、仮に衝突のはずみでほかの物や人に当たった場合、その責任は事故を起こしたドライバーに発生するといいます。北海道開発局によると、道内に生息するエゾシカのオスは、肩の高さで1mにも達します。このエゾシカとの衝突事故によるクルマの平均修理費(車両保険の平均支払額)は、52万3000円に上るそうです。このため、NEXCO東日本は道路の周りにシカの侵入を防ぐ柵を設置したり、シカが嫌がる臭いを発する忌避剤を撒いたりしているほか、北海道開発局では事故多発地点のデータを取りまとめたパンフレット「エゾ鹿衝突事故マップ」を作成。そうした場所で、「動物注意」の標識や道路表示も増やしているといいます。「被害を抑えるためにも、スピードダウンが重要です。動物注意の標識や道路表示がある地点は、実際にシカがよく現れる場所ですから、周囲に注意を払って走行してください」(北海道開発局 道路維持課)またニッポンレンタカーでは、道内のレンタカーの多くに「鹿避け笛」を装備しています。2個でひと組になった小さな笛で、フロントバンパーまたはサイドミラー付近に装着、40km/h以上のスピードで走行すると風が通り抜け、特定の周波数の音を発するというもの。人間には聞こえないものの、動物の耳には届くそうです。この鹿避け笛についてニッポンレンタカーサービスは、「年ごとに生息状況が異なるため、一概に事故件数が減ったとはいえませんが、確かにシカの正面衝突は減りました」と話します。2015(平成17)年に鹿避け笛の装着を開始して以降、大きな事故は起こっていないそうです。

(大山の農作物を鳥獣から守れ:神奈川)
伊勢原市大山地区の農作物を、イノシシなどの被害から守る柵の補修作業に、麻布大学獣医学部(相模原市中央区)の学生が初めて参加した。山間部の同地区では高齢化で担い手が不足し、鳥獣被害も高い水準で推移している。そこで伊勢原市は同大に学生の参加を依頼。市は「鳥獣被害が起きない環境を整えるため、大学の知見を生かした対策を考えたい」と、同大とさらに連携したい考えだ。補修作業は9月27日、行われた。生産者や自治会長らでつくる「大山地区有害鳥獣対策協議会」の会員、市職員に加え、市内で動物の生態を研究している同大獣医学部動物応用科学科の学生ら9人も参加した。参加者は、イノシシが柵の下を掘って人里に侵入した跡などを確認。経年劣化や倒木で外れている柵のワイヤを修繕したほか、イノシシが人里だと認識できるよう、柵の周辺の草も刈った。同科3年の嶺田秋穂さんは「イノシシによる掘り返しや倒木が多くあり、柵を見回ることが大切だと感じた」と振り返った。市内の田畑では、稲を倒されたり、ミカンやカキ、サツマイモ、ナスといった農作物を食い荒らされたりする被害が後を絶たない。市農業振興課によると、被害総額は近年、2千万円前後で推移。2016年度の被害は113トン、2487万円。17年度に44トン、1036万円と大きく減ったが、18年度は71トン、1911万円と再び増えた。特に深刻なのはイノシシによる被害だ。例年、被害の半分程度を占めており、サルやシカなどを大きく上回る。こうした鳥獣から農作物を守るため、県は2002年度から04年度にかけ、高さ約2メートルの「広域獣害防止柵」を、大山地区など市内の山中に長さ約16・5キロにわたって設置。各地区の住民が点検と修理を担ってきたが、高齢化に伴い、修理の手が行き届かなくなっているのが現状だ。市は今回の作業を機に、「若い学生に参加してもらい、協議会とも連携して獣害対策を進めていきたい」と説明。協議会の松本新一会長(79)も「高齢化が進んで人材が不足する中、大学生と一緒に作業することで活気も生まれた」と喜び、「今後も若い力を借りながら、柵の維持管理を継続できたら」と期待した。

(ツキノワグマ目撃情報を、郵便配達員に通知カード:鳥取)
郵便配達中にツキノワグマを目撃した場合、円滑に有益な情報を提供してもらう目的で、鳥取県が東部の配達員に専用の目撃情報通知カードを贈った。携行用のカードで目撃の日時、頭数、場所、向かった方向の4点を報告時の要点として記載。警察や行政機関に伝えてもらう。秋は冬眠を迎えるクマが餌を取るために活発に動く時期で、情報を安全に役立てる。

(猪被害に農家自ら罠免許:福岡)
福岡県北部に位置する宗像市・福津市周辺で農家17人が水田を荒らす猪の数を減らそうと立ち上がった。罠免許を農家自ら取得し、年間約150頭を捕獲。加工処理場に持ち込み、解体処理までこなしている。同地域では10年ほど前から猪被害が増え始めた。2012年の猪による被害額は約2400万円(宗像市・福津市・岡垣町)。電気柵で対策しても、防ぎきれず、同管内のJAむなかた青壮年部で対策を協議していた。翌2013年に3市1町が運営する加工処理施設が完成する予定で、県から活用を依頼されたこともあり、自分たちの手で捕獲することを決意した。2013年に地区の猟友会の協力を得て、15人が罠免許を取得。2014年4月には任意組織「竹栗会」を設立した。2015年から事務局をJAが受け持ち「JAむなかた鳥獣駆除研究会」に変更している。会員は、県主催の罠講習会や止め刺し用電気ショッカーづくり講習会に参加し、技術を習得。会としても餌となる圧ペントウモロコシの配布や当番で設置状況の見回りを行う。定期的に設置場所の検討会も開いている。初年度の2013年に54頭を捕らえ、2018年には年間150頭を捕獲した。猪が罠にかかると会内で連絡を取り合い、農作業の合間に集合できる数人で集まり止め刺し。加工処理施設に持ち込み、解体までする。肉は、カレーや煮込みシチュー、角煮にして、自家消費している。

(野生生物について学ぶ講習会:北海道)
道内でエゾシカなどによる農作物の被害や車との衝突事故が後を絶たない中、野生生物の保全と管理を学ぶ講習会が帯広畜産大学で始まりました。講習会は3日間の日程で帯広畜産大学が企画し、大学生や札幌や帯広の環境コンサルタント会社などで働く社員ら15人が参加しました。初日の23日は野生生物の捕獲方法を学ぶ講義が行われ、参加者は帯広畜産大学特任講師の浅利裕伸さんから調査や駆除のためにネズミやアライグマなどの小型の野生動物を捕獲する方法を学びました。このあと参加者は大学の敷地内にある雑木林で、ネズミの捕獲を想定して箱形の小さなわなを木の根元に隠すようにして設置したり、動物をおびき寄せるためわなのそばに餌をまいたりしていました。環境コンサルタント会社の男性社員は「自分が正しく野生動物の捕獲を行えているのか確認することができてよかったです」と話していました。講習会は今月25日まで行われ、参加者は野生生物が車と衝突する事故やアライグマの急増の問題などについて学ぶ予定です。

(ハンター術を学ぶ:神奈川)
「まつだハンター塾」が11月3日(日)に寄地区、4日(月)に松田地区で行われる。3日は午前9時から午後7時。寄自然休養村管理センターでわな設置実習を行い、その後、しおやジビエ処理場で解体体験会、寄小学校調理実習室でジビエ料理教室を行う。4日は午前9時から午後4時。松田町役場1AB会議室でわな設置実習、現場、ジビエ料理教室は松田町民文化センター調理実習室で行う。

(害獣対策学ぶ「けもの塾」開講:佐賀)
イノシシやアライグマなど野生動物による農作物などへの被害を防ぐ対策や、捕獲技術を学ぶ講座が、24日みやき町で始まりました。この講座は、野生動物対策の指導を行っているNPOなどで作る新潟県の団体が開き、上峰町や山梨県や大分県などから合わせて16人が参加しました。講座では、ふるさとけものネットワークの山本麻希さんが「対策は多くの地域の人たちが役割分担しなければならず、みなさんは対策を支えるメンバーとなってほしい」と呼びかけました。続いて、野生動物による農作物への被害が、全国で年間200億円近くにのぼることが紹介され、アライグマがわなにかかる映像を見せながら、動物によって習性が違うことやそれぞれの動物に合わせて、電気柵やわななど対策を効果的に行う必要があることを説明しました。この講座は10月27日までの4日間開かれ、動物の侵入を防ぐ電気柵の設置や、野生動物の被害から地域を守る基礎知識や箱わなの使い方などを学ぶことにしています。上峰町集落支援員の筒井善一さんは「野生動物による田畑への被害が増えて、見過ごすことができず参加しました。動物が地域にやってこないための技術を学びたい」と話していました。また上峰町役場の藏戸新さんは「イノシシが水路の堤防を掘り返して、災害につながる危険があることなどから、被害防止を図るための技術を学ぶために参加しました」と話していました。

(「狩りガールフェスタ」:和歌山)
女性の猟師をPRし、狩猟に興味を持ってもらおうというイベント「狩りガールフェスタ」が今日、和歌山市で開かれました。和歌山市の県JAビル1階アグリテラスで開かれたこのイベントは、女性猟師をPRすることなどを目的に、県猟友会女性部が今回初めて開いたもので、多くの家族連れらでにぎわいました。県猟友会女性部は去年10月に発足し、今日現在で会員は65人もいるそうです。トークショーでは、女性部のメンバーが、「おいしいお肉をいっぱい食べたいから」と、猟師になったきっかけなどを話していたほか、罠の種類や血抜き技術の重要性について紹介しました。また会場では、猟師が実際に練習で使っているシューティングシミュレーター体験や、鹿の角などで作るアクセサリー体験などのブースが設けられたほか、県内のイノシシを使ったジビエカレーが振舞われ、訪れた人たちは楽しみながらジビエに関心を示している様子でした。

(狩猟ビジネススタートアップ企業「カリラボ」:埼玉)
株式会社カリラボ(本社:秩父郡横瀬町、創業:吉田 隼介、以下カリラボ)は、日本全国の有害鳥獣対策の強化、狩猟後継者の確保・育成を目指した法人を設立し、「カリナビ(狩り支援サービス)」と「ワナシェア(罠シェアリングサービス)」の新サービス提供を開始することをお知らせいたします。また10月23日より、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて新規会員募集も開始いたします。【ワナシェア(罠シェアリング事業)】少額の出資を募り、罠を共同購入し、獣害に悩む地域部に罠を設置します。罠の動作状況・見回状況等は、トレイルカメラ・センサーなどIoTを駆使した仕組みを提供し、SNSを活用しオンライン上で共有します。また、オンラインのみならず、実際の設置や回収等の体験イベントや、ジビエイベントも実施します。地域住民や農家の方々にとっては、少ない負担で罠を設置し、畑等の被害につながる鳥獣害を防止できるメリットがあります。罠猟や狩猟そのものに興味がある方々や、ジビエに興味のある方、地域課題解決などの社会貢献に興味のある方、フィールドワークを希望する学生の方などが対象のサービスです。【カリナビ(狩り支援サービス)】巻き狩り(複数人チームとなって猟犬と共に狩猟を行う手法)への参加支援を行う、国内初のサービスです。初心者や地域外に住む方でも、スムースにベテラン猟師と共に猟の経験を積むことができます。また、カリラボがハブとなって地図情報や無線付きGPSナビシステムも貸し出しすることで、猟犬や人の配置状況等も可視化し、より猟場状況を把握しやすく狩猟ノウハウも会得しやすいシステムを提供します。銃猟免許を取得したが、参加できる場所が確保できていない人や銃猟や狩猟そのものに興味がある方々が対象のサービスです。【秩父郡横瀬町の「よこらぼ」でのプロジェクト実施について】本事業は、秩父郡横瀬町の横瀬町官民連携プラットフォーム提案事業「よこらぼ」公式プロジェクトとして採択され、2019年は横瀬町を中心として事業展開します。よこらぼとは、横瀬町(人口約8500人の埼玉県北西部、秩父郡に所在)が実施している取り組みです。企業/各種団体/個人が町に対して提案した事業案に対して、町有遊休資産の貸与や、町公認による事業への信用力の付与、地域住民や行政職員との連携推進などの支援を実施する事業となります。【クラウドファンディングサイト「Makuake」にて新規会員募集開始】2019年10月23日より、クラウドファンディングサイト「Makuake」での新規会員募集も開始いたします。サービス提供だけでなく、ジビエや横瀬和紅茶、旅行ツアーなどをあわせたMakuake限定プランもリリースいたします。

(ハンティング体験、ふるさと納税で秋を満喫:北海道)
ふるさと納税では、各地で五感で秋を感じられる体験型のお礼品も用意されている。各地域の旬の特産品と観光名所、地元の協力をパッケージしたお礼品、旅行会社などのツアーとは違った“コト消費”といえるだろう。ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」に掲載されているお礼品の中から、秋にぴったりな品を紹介する。「エゾ鹿ハンティング体験」(北海道白糠町)。ハンティングの方法から獲物の捕り方、マナーが学べ、初心者でも気軽にハンター気分を味わえる。エゾ鹿を発見した時の緊張感や、大きなエゾ鹿が倒れる瞬間の迫力など、臨場感たっぷり。狩猟免許がなければ猟銃を撃つことはできないが、狩猟歴20年のハンターに同行、間近で見学することができる。要請があれば、銃猟免許取得と猟銃所持許可のための説明も行ってくれるという。4人まで同時に体験可能、寄付額は7万円。

(街に出没のクマと共生探る:北海道)
ヒグマとの共生を考えるイベントが22日、札幌市内で開かれた。今夏、南区の住宅街に出没を繰り返したクマについて、大学教授ら専門家4人が意見を交わし、市民や通行人ら約80人が耳を傾けた。専門家らでつくる市民団体「ヒグマの会」(会長・坪田敏男北大教授)が設立40周年を記念し、「人とヒグマ、ほどよい距離感とは」と題して札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)で開いた。出没を繰り返し駆除されたヒグマについて、札幌市環境局の熊対策調整担当坂田一人さんは「頻繁に出没し家庭菜園を荒らすことから問題と判断し、駆除に至った」と説明。酪農学園大の佐藤喜和教授は「おいしい農作物を知れば、クマはそこから離れなくなる。最初の一口を与えない方策が必要だ」と指摘した。駆除したことに対しては主に道外から市に非難が寄せられた。司会者が駆除せずにクマを捕獲し動物園などで飼育できないかと質問したのに対しては、坪田教授が「野生グマと飼育されたクマが、同じ空間で暮らすのはかなり難しい」と答えた。

(捕獲イノシシ大きさを競う、参加狩猟者県募る:茨城)
県は11月から2月までの狩猟期に、捕獲したイノシシの大きさを競うコンテストを開催する。狩猟の担い手不足の解消につなげることが狙い。都道府県主催としては初めての試みという。県内での狩猟者登録を行い、鳥獣保護区を除いた県内で捕獲した体長1メートル以上のイノシシを写真に収めて応募する。捕獲方法はわな猟または銃猟。コンテストの上位5人には2万~10万円相当の副賞があり、女性参加者1位の「狩りガール賞」、応募数最多の特別賞にも5万円相当の副賞がある。県自然環境課によると、野生鳥獣による農林業への被害は深刻だが、県内の狩猟者登録件数は2007年度の4176件から17年度は2960件と減少。免許交付者に占める60歳以上の割合が約7割と、狩猟者の高齢化が進んでいる。担当者は「県内外から多くの狩猟者に参加してもらいたい」と呼びかけている。

(害獣の天敵、フクロウ来たれ:山形)
若い果樹をかじって枯らすネズミは、果物王国・山形の「天敵」だ。生態系を生かして果物を守ろうと、フクロウの巣箱を果樹園に設置するプロジェクトを、野生動物の調査団体「やまがたヤマネ研究会」(山形市)が始めた。来たれ、果物の「守り神」――。トン、トン、トン。釘を板に打ち付けるつち音が響いた。天童観光果樹園(天童市上荻野戸)で19日、県内の小中学生ら31人が参加して、フクロウの巣箱を作る催しが初めて開かれた。県産杉材を用いた巣箱は幅と奥行きが各30センチ、高さ50センチ。側面にフクロウの出入り口になる丸い穴が開いており、中をのぞき見られるよう、ふたも付けた。

(獣害対策に向けた研修会:青森)
ニホンジカやイノシシの生息域が全国で拡大するなか、県内でも懸念される農作物への被害を防ごうと、自治体や猟友会などを対象にした研修会が三戸町で開かれました。県が三戸町の福祉施設で開いた研修会には、市町村の担当者や猟友会のメンバーなどおよそ40人が参加しました。この中で県の担当者などが、今のところ、県内でのニホンジカやイノシシによる農作物への被害は目立っていないものの、今後、生息域の拡大が見込まれ、県内でも被害が懸念されることや、対策としてはワイヤーに微弱な電気を流す電気柵が有効であることなどを説明しました。続いて参加者は町内のりんご園に移動し、試験的に設置されたシカ用の電気柵を見学したり、イノシシ用の電気柵の設置を体験したりして対策を学んでいました。参加した三戸町の猟友会の男性は、「電気柵についてはこれまで知らなかったので、基本から学べて良かったです」と話していました。また、田子町の担当者は、「実際に農家から被害について相談が寄せられているので、研修で学んだことを指導などに生かしたい」と話していました。この研修会は30日も開かれます。

(有害鳥獣被害、解決策は:佐賀)
有害鳥獣の対策などを学ぶ「けもの塾」が、みやき町と上峰町の両町内で開かれた。全国から参加した自治体職員や学生ら16人が、座学や実技研修を通じて、イノシシなどの被害に悩む地域の解決策を探った。24日から3泊4日の日程で、有害鳥獣の被害対策を支援する民間会社などでつくる「ふるさとけものネットワーク」(山本麻希会長)が開催した。初日はみやき町の捕獲わな製造会社「三生」で、被害対策の手法やシカ・イノシシの生態について学んだ。講義では同ネットワークの担当者が講師を務め、有害鳥獣の被害が減らない現状や、行政を中心とした対策では行き届かない面があることなどを説明。対策を進めるためには「地域の協力者とうまくつながることが必要」「失敗事例の検証が大事」などと話した。期間中は、上峰町鳥越地区で電気柵やわなの設置方法などの実習、地域の人たちと一緒に集落環境診断などを実施した。

(米でのオオカミ再導入事例紹介:徳島)
シカやイノシシといった有害鳥獣の増加に歯止めをかけて生態系を守るため、オオカミを日本の山に放つ意義について考える「日米オオカミふぉーらむ2019」(日本オオカミ協会四国支部主催)が、阿南市橘町の橘公民館であり、住民ら約40人が参加した。米イエローストーン国立公園公認ガイドのスティーブ・ブラウン氏が、オオカミの再導入で生態系を取り戻した公園の取り組みを紹介。「オオカミを入れることでキツネや野鳥が増えた。観光客が増えるなど経済効果もある」とメリットを語った。

(イノシシ被害防げ、状況共有や方針確認:茨城)
来年4月に鹿行地域で初めての鳥獣被害対策実施隊の設置を目指し、鹿嶋市鳥獣被害防止対策協議会の初会合が29日、鹿嶋市平井の市役所で開かれた。市長や市農林水産課、県の担当者らが出席し、市内の農業被害状況の共有や協議会の方針を確認した。

(クマ対策室設置、パトロールや連絡体制強化:福井)
9月以降クマの出没が相次ぐ勝山市は24日、クマ対策警戒連絡室を設置した。人的被害を未然に防止するため、市内のパトロールや庁内の連絡体制を強化する。今月中旬以降、クマは市中心部でも目撃されるようになっている。そのため、市は今月1日に開始したパトロールの開始時間を1時間早め、午前5時45分とした。

(サル追い払うモンキードック3年ぶり認定:愛媛)
農家のためにサルを追い払う「モンキードッグ」が、28日松山市に新たに誕生した。「モンキードッグ」に認定されたのは雑種でメスの「キヨ」。28日は松山市の野志市長から飼い主で松山市客の三好英樹さんに認定証が交付された。「モンキードッグ」はサルによる農作物の被害を防ぐためにサルを追い払う訓練を受けた犬のことで、山市では既に5頭が活躍している。三好さんは自分でサルを見つけてどんどん走って行って追い払ってくれるような犬になってもらいたい」と期待を寄せていた。松山市によると昨年度、サルによる農作物被害はおよそ200万円だということで「キヨ」は今後サルの好物である柑橘の栽培が盛んな松山市の粟井地区で活動するという。

(猟師の日常、自身モデルの人気作で知られる漫画家:岡山)
銃を構えてウサギやキジバトを狙い、自作のわなでイノシシやシカを捕る。個性豊かな猟師仲間や地域の人との笑いあり、涙ありのエピソードが、親しみやすいタッチと緻密な描写で描かれている。代表作「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」(講談社)の主人公は、実際に狩猟免許を持つ岡本健太郎(おかもと・けんたろう)さん自身がモデルだ。実体験に基づくストーリーは好評を博し、続編の「山賊ダイアリーSS」を合わせた単行本8巻の発行部数は累計80万部以上。書店員らが選ぶマンガ大賞にノミネートされ、影響を受けて猟をするようになった若者らもいるという。「田舎出身ということを他の人と違う個性だと気付けたことと、近所のおじいちゃんの存在が大きかった」ヒット作を出せたのは、生まれ育った勝央町での体験が大きい。子どもの頃、近くに住んでいたおじいさんから釣りの仕方やわなの作り方、動植物の名前などを教わり、野山を駆け回っていた。高校卒業後、津山市内の書店勤務などを経て、市内に拠点を置きながら知人のつてで漫画家アシスタントに。「本格的に漫画を描いたことはなかった」ものの、間もなく青年漫画雑誌に投稿したギャグ漫画が賞を獲得し、24歳でデビューした。数年間、津山での活動を経て「勝負したい」と上京。ギャグ路線で週刊誌に連載を持ったが打ち切りとなった。漫画家として進退を考える中で、頭に浮かんだのが古里の風景だった。「挑戦してみたいと思っていた」というエッセー漫画のジャンルで山賊ダイアリーを描こうと、10年ほど前に帰郷した。狩猟免許や銃の所持許可を得て、野山を歩くこと約2年。数々の経験をネタとして蓄えた。「東京から戻って急に猟師になって家族は心配したと思うが、絶対財産になると思い込んでいた」その予感は現実となり、「イブニング」(講談社)で2011年に始まった連載は16年までに100話を載せた後、続編をスタート。「近所のおじいちゃん」は老ハンターとして作中に登場させた。山賊ダイアリーで培ったノウハウも生かし、飛行機の事故で無人島に漂着した女子高校生4人のサバイバル生活を描いた「ソウナンですか?」で原作を担当する。「週刊ヤングマガジン」(講談社)での連載は3年目に入り、アニメ化もされた。狩猟を続けながら自宅で仕事をする暮らしは、充実している。出版社への持ち込みや原稿のやりとりなどで、東京や大阪といった大都市圏の方が都合が良いことが多かったが、インターネットなどの普及で不便さを感じることはないという。「都会に出ることをネガティブには思わないが、都会じゃないとできないことは減っている」。東京を知ったからこそ、そう思う。

(スポーツとしてのライフルの魅力とは?)
ビームライフル競技に打ち込む女子高生たちの青春を描くアニメ『ライフル・イズ・ビューティフル』の放送が始まった。一見とっつきにくそうに見えるビームライフル競技だが、女子高生のまったりとした日常とともに描かれると、なじみ深いものに見えてくる。本作のメインキャスト4人(Machico・熊田茜音・南早紀・八巻アンナ)も、アイドルユニット「ライフリング4」を結成、公益社団法人日本ライフル射撃協会公認の宣伝大使に就任するという展開も行われており、ビームライフル競技の周知へと協力しているところだ。そこで、ライフル射撃競技の普及と振興を担っている、公益社団法人日本ライフル射撃協会の松丸喜一郎会長に、『ライフル・イズ・ビューティフル』の感想やアニメ化の喜びなどを伺った。――ビームライフル競技をモチーフにした『ライフル・イズ・ビューティフル』がアニメ化されました。漫画やアニメ化といった展開を、会長はどのように受け止めていらっしゃいますか。松丸:大変ありがたいことだと思いました。ライフル射撃競技はまだ一般の方々に幅広くは知られていない競技です。選手たちも自衛隊の隊員や警察官だったのですが、こういう競技があるんだ、ということを広める媒体として、漫画とかアニメはとても大きな力になりますので、協会としても楽しみにしています。――原作『ライフル・イズ・ビューティフル』をお読みになったり、キャストの方々とお会いになる(6月1日、アニメ公認のアイドルユニット「ライフリング4」が日本ライフル射撃協会の宣伝大使に就任)ことで、作品に触れられる機会も多くなったかと思われます。作品の印象はいかがですか?松丸:ライフル射撃競技をとてもよく調べられているな、と感心しました。ビームライフルやライフル射撃競技を詳しく、正確に描写されているんです。原作ではこれからビームライフルからエアライフルに競技のフィールドを移そうとしていますが、このエアライフルには所持資格が必要でいろいろなハードルがある。そういった難しい部分を描写していただけることも、こちらとしてはありがたいと思っております。実際、ビームライフル競技に関わる選手のご両親が、「この『ライフル・イズ・ビューティフル』で子どもたちがやっている競技のことがよくわかった」とおっしゃっているケースもあると聞きました。――作品に登場する小倉ひかりや渋沢泉水たちは、小学生時代からビームライフルの経験がある登場人物です。だいたい、何歳くらいから競技をはじめる方が多いのでしょうか。松丸:日本ライフル射撃協会の会員として登録している方の中で、一番若い子は8歳になります。小学2~3年生ですね。最高齢は91歳。ビームライフル競技は体力をそれほど必要とはしませんが、銃器そのものは重量があるので、年少や高齢の方がそのまま持つと事故が起きかねません。そこで、銃を台に乗せて撃ったり、銃を吊るして撃つといった、いろいろなルールを作って、プロフェッショナルな選手と競い合えるような環境を提案しています。――現在のライフル射撃競技の人口はどれくらいなのでしょうか。松丸:日本で会員として登録されている人数は約7300人です。ただし、会員にならなくてもビームライフル競技はできますし、学校の部活動などで競技をしていらっしゃる方もいます。射撃部がある高校は110校くらい。そう考えると、おそらく潜在的にはその倍くらいの競技人口と言えるかと思います。なお、高校生のライフル射撃部の中で協会に登録している会員が2700人、小中学生の会員は330人です。5年前から小中学生大会を実施しているのですが、年々参加者が増えています。おそらく「ものを撃つ」という感覚は、人間本来の本能に近いものがあって、それが多くの人を惹きつけるのだと思っています。――ライフル射撃にはビームライフル射撃、ライフル射撃、クレー射撃があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。松丸:ビームライフルは資格や免許などは必要なく、誰でも始めることができます。一方、ライフル射撃に使用するエアライフルは所持するために「銃砲所持許可」の申請が必要です。14歳からエアライフルを持つことができるのですが、エアライフルは人を傷つけてしまうこともあるので、自分をしっかりと律することができる倫理観も必要です。その上で、日本ライフル射撃協会の会員となり、講習会を受け、日本ライフル射撃協会や日本スポーツ協会からの推薦が必要です。ハードルが高いのは事実でして、この状況を少しでも改善できるように、議連を立ち上げるなどさまざまな働きかけをしているところです。やはり、ビームライフルからライフル競技を始めていただくことはこちらもありがたいことだし、射撃競技を楽しむという意味では十分に意味のあることなのですが、たとえば五輪種目の空気銃(エアライフル)などに挑んでいただいて、強い選手になって世界で活躍していただきたいという思いがあります。――日本の選手は世界のライフル射撃競技でどれくらい活躍されているんでしょうか。松丸:五輪では日本は射撃競技で6つのメダルを取っていて、ひとつはライフル射撃、もうひとつはクレー射撃です。残りの4つはピストル競技から出ているんです。エアピストルは500名しか持てないという法律があり、装薬拳銃、いわゆる火薬の銃弾を使うピストルは50人しか持てない。その少ない競技人口にもかかわらず、4つのメダルを取るというのは、日本人にとって驚異的に向いているということだと思います。どちらかというとピストルのほうが熟練度が必要な競技なので、これは驚異的な実績だととらえています。――『ライフル・イズ・ビューティフル』は、主に女の子によるビームライフル競技を描いていますが、女性、男性によってルールの差はあるのでしょうか?松丸:この競技は、筋力や体力を問わないスポーツです。銃をしっかりと定めて精神統一をして狙って撃つというものなので、男女の選手が同じ土俵で競い合うことができると考えています。IOC(国際オリンピック委員会)はこれまで女性が40発、男性が60発(10メートル・エアライフル)という弾数で競うルールを定めていました。しかし現在は女性も60発にルールが改正されました。ゆくゆくは男女で競い合うことができるのではないかと考えています。射撃は、男性にも女性にも開かれたスポーツと言えるでしょう。――『ライフル・イズ・ビューティフル』では、千鳥高校に通う女子高生たちがビームライフルを上達するために、部活動を励む姿が描かれますが、実際にライフル射撃を上達するために欠かせないトレーニングとはどんなことでしょうか。松丸:ライフル競技には精神力が重要なのですが、その精神力を鍛えることは、すぐには難しいことですよね。選手の多くは、日常から体幹を鍛える練習を積んでいるようです。走り込みをして体力、持久力を付けるのも大切です。基礎的なトレーニングが重要なのは、どんなスポーツにも共通だと思います。――優れたライフル選手とは、どんなところが抜きんでていると思いますか?松丸:射撃で一番大切なのは精神力になります。精神力の中でもとりわけ重要なものは、自分をコントロールする力ですね。「銃(の動き)を止める」という技術力も必要ですが、試合では大勢の観客が見守り、ライバルの選手と競い合うことになるわけです。そういうときに精神力が問われます。普段、慣れている射撃場で練習時には高得点を出せる人であっても、試合になると環境がまったく変わるんです。国によっては銅鑼を叩いて応援する人もいますからね。それでも平常心を乱さない、ゾーンに入り込める精神力のある選手や、最後の最後まであきらめない粘っこい性格の選手が強いと思いますね。銃が止まるまで何回も構え直せる選手は優れた成績を上げるだろうと考えています。――会長がライフル競技と関わり始めたきっかけをお聞かせください。松丸:私が学生のころは高校に射撃部がなかったので、大学から射撃を始めました。サッカーや野球では、年少のころから経験を積んでいる学生がいて、大学のころはできあがっている選手も多い。そういうスポーツでは、大学から始めるとすでに差がついてしまっているケースがあるわけですが、射撃はみんな初心者からスタートする。そこが私にとってはすごく取り組みやすい競技だったんです。その後、高校の射撃部の監督になって、関東大会を優勝に導いたことができて、協会と関わるようになりました。――射撃部の監督も務められていた会長が、新入部員勧誘をするときに「ライフル射撃の魅力」を新入生に伝えるとしたら、どんなセールスポイントを挙げますか?松丸:やっぱり、銃にはロマンがありますよね。「物に当てる」という行為は、人間の本能ですから。あと、高校や大学から始めたとしても、ほとんどの新入生が初心者なので、同じスタートラインから始められるスポーツなんだよ、と伝えたいですね。もっと多くの方に、射撃の面白さを知っていただきたいです。――『ライフル・イズ・ビューティフル』がアニメ化されて、会長が楽しみにしていることはどんなところでしょうか。松丸:私はこのアニメが放送されたあとの、多くの方の反響をぜひ聞いてみたい、見てみたい。まだライフル射撃競技は限られた方で楽しまれているスポーツなので、今回アニメで取り上げられることでメジャーデビューをしたような嬉しさがあります。ネガティブな反響であっても、ポジティブな反響であっても、皆さんからの反応を楽しみにしています。

(イノシシ撃退機に注文殺到:福岡)
元電機メーカー技術者で「里の発明王」とも呼ばれる福岡県みやこ町の漆谷正義さん(74)が、4年前に開発した「イノシシ撃退機」の製造方法を科学専門誌に公開した。1台1万円(税別)と安価で、動物に傷を負わせることもない機械に注文が相次ぎ、個人の手作業では製造が追い付かないためだ。一時は半年待ちになるほどで、ようやく仕上げて連絡すると、被害に耐えられず既に廃業していた農家もあった。「自由に作って、農産物の被害防止に役立てて」と話している。撃退機開発は地元果樹農家の要望がきっかけ。かつて手掛けた、警戒音でカラスを撃退する装置を応用した。農家に依頼し、わなに捕まったイノシシが苦しむ「キュイ~ン」という悲鳴を録音。これをスピーカーで繰り返し流す装置を作った。1辺約20センチの立方体型で重さ約3キロの木製で、外側には防水塗料。上部に太陽電池を備え、電源不要だ。2015年、新聞の紹介記事がネットで拡散し全国から注文が殺到。これまで約1230台を売ったが、製造は遅れがち。「これでは農家の助けにならない」と、情報開示を決意した。CQ出版社(東京)の「インターフェース」9月号に、部品の写真や型番・仕様、基本回路の図、購入できる場所などを公開し、詳しく解説している。同県小郡市の農業、中野芳幸さん(73)は昨年、サツマイモ畑の作付面積の約8割が被害に遭った。今年、撃退機2台を購入し設置すると、被害は約2割にまで減少。「近くにはイノシシが慌てて逃げ出したような足跡が残っていた」と効果を実感している。福岡県によると、獣類による18年度の農産物被害は約4億2600万円。うち3億700万円がイノシシ被害だ。漆谷さんは「注文の電話は農家の悲鳴に近かった。応じられないのは心苦しいので、電子回路の知識がある人は、このノウハウを活用してほしい」と話している。 

(シカ肉を使ったジビエ料理教室:兵庫)
兵庫県立森林大学校では、一般県民向の研修としてシカの生態と被害対策の講義とともに、シカ肉の有効活用方法を学ぶジビエ料理教室を開催します。高タンパク、低カロリーの健康的な食材として注目されているシカ肉を家庭でおいしく食べられる料理のコツを学んでみませんか。


(ジビエ料理店、神宮の森に感謝:三重)
伊勢志摩産のジビエ料理を提供する飲食店「伊勢志摩ジビエ バンビ(Ise-Shima Gibier Bambi)」(伊勢市古市町、TEL 0596-64-8000)が10月1日、江戸時代のお伊勢参りブームで栄えた伊勢市の古市街道沿いにオープンした。オーナーシェフの村瀬滋さんは、志摩市志摩町出身。大蔵省(現財務省)に入省、体調を崩し名古屋国税局に転職。ジビエ料理を作りたくてハンターの免許を取得し、趣味で「美食倶楽部」を約10年主宰しながらジビエ料理を探求する。「ジビエ料理は美食の終着駅」と気付き定年退職後、同店を開店、第二の人生を歩み始める。村瀬さんは「30代のころ、ギネスビールにはまりギネスの本場アイルランドを旅したのが開店のきっかけ。その後シングルモルトにはまり、この酒に合う料理は何かと追求して行くと、フランスの貴族たちが狩猟した動物を調理し食べる伝統のジビエ料理にたどり着いた」と話す。現在食材となるジビエは、伊勢志摩で捕れたシカやイノシシを1頭丸ごと猟師から仕入れ、村瀬さん自らが包丁を入れ丁寧にさばいたものだけを使用する。血抜きやさばき方など長年の経験から編み出した独自の解体方法でストックする。村瀬さんは「この地域、特に伊勢神宮の森の南斜面に当たる志摩地方は温暖でさまざまな樹木が育ち、一年中緑の葉っぱがあり、木の実などの餌が豊富。そこで育ったイノシシは餌となるドングリを食べ広大な森の中でストレスなく成長しているため肉質が良い。新芽の葉を食べる『夏シカ』は香り高く最高においしい。これからも未来永劫(えいごう)に維持される神宮の森を持つこの伊勢志摩の環境はほかにはなく、だからこそ神宮の森に感謝し『伊勢志摩ジビエ』として呼ぶにふさわしい品質のブランドになる。僕は、獣害駆除の資格も持っているので禁猟期間である夏にも狩猟をすることができるので『夏シカ』が扱える」と説明する。村瀬さんは「肉の処理さえ丁寧にしっかりとすれば、臭みが全く無く、エレガントな味になる。シカのあばら骨付き肉の薫製はナイフでそぎながらシングルモルトと一緒に…。僕は料理を考える時、おいしい酒に合わせて料理を作っているので酒とジビエのマリアージュを体感していただけると思う。こんなお酒の飲み方があったのかと思ってもらえるような、味のわかる熟年の方にご来店いただければ」とも。

(「春野の鹿鍋」、文化祭で販売へ:静岡)
浜松市天竜区春野町で昔話の採録調査活動を行っている静岡文化芸術大(中区)の学生が11月2~3日、同大の文化祭「碧風祭」で「春野の山の鹿鍋」を販売する。同町の鹿肉を使ったこだわりの一品で、学生は「気軽に来てほしい」と呼び掛けている。鹿鍋を販売するのは二本松康宏教授が指導する伝承文学ゼミの学生6人。文化祭では例年、調査に取り組む地域の郷土料理を発信することで地域との関係を深めている。鍋は鹿肉とニンジン、ゴボウ、大根などの野菜をしょうゆで煮込んだ甘めの味付け。加藤醤油(中区)で仕入れたしょうゆやみそを使って試作し、最も鹿肉のうま味を感じる白みそ仕上げを採用した。肉はくさみを消すために純米酒につけ込んだ。ゼミ生の川口璃穏さん(21)は「調味料に気を使っている。鹿肉のうま味を引き出せた」と語り、亀本梨央さん(21)は「春野の鹿をぜひ食べてみてほしい」とPRする。1杯400円で、1日250杯限定。両日とも午前10時から同大の中庭で販売する。

(エゾシカ肉、多彩な料理:北海道)
旬のエゾシカ肉料理を楽しむ「KUSHIRO DEER&BEER PARTY(クシロ ディア&ビアパーティー)2019」(実行委主催)が21、22の両日、釧路市観光国際交流センターで開かれた。釧路管内はエゾシカによる農林業被害額が道内で最も多く、「厄介者」を活用したメンチカツなど多彩な料理を、大勢の家族連れらが堪能した。エゾシカ肉の活用を進めようと昨年に続き2回目。ジビエ(野生鳥獣肉)として知られるエゾシカ肉は、越冬に向け、脂をため込む秋に旬を迎える。22日は市内外の16事業者が出店し、釧路産エゾシカ肉とパプリカを使ったメンチカツ「946メンチ」や、ステーキ、カレーなどさまざまな料理を提供した。

(「料理甲子園」、鹿肉活用:静岡)
伊豆市の県立伊豆総合高生活科学部が伊豆特産の食材をメニューに、11月に開かれる「ご当地!絶品うまいもん甲子園」(農林水産省など主催)の全国決勝大会に出場する。メニューのタイトルは「COME(こめ)コロら伊豆」。8月の東海北陸大会で優勝し、全国切符を得た。出場するのはいずれも2年の坂庭美音さん、小林さらさん、本間結亜さんの3人。6月ごろからメニュー開発を始めた。鹿肉やシイタケ、ワサビなどの特産品をご飯と混ぜ込み、衣を付けて揚げる3種類のライスコロッケを考案した。10月上旬には決勝大会に向けた企画の一環でホテルJALシティ名古屋錦の稲葉二郎料理長が来校し、生徒に調理のこつや盛りつけ方、色味のバランスなどを指導した。生徒は決勝大会までアドバイスを基に試作を重ね、メニューに磨きを掛ける。部長の坂庭さんは「指導を受け、手早く作れるようになるはず。見栄え良く作り、優勝を目指したい」と抱負を語った。顧問の深沢加奈子教諭は「鹿肉を提供してもらうなど地域の方々にも協力してもらっている。生徒が地元の活性化に貢献し、愛着を持ってもらえれば」と期待する。大会は特産品を活用することで農林漁業の重要性を発信し、食を通じて地域を活性化させるのが目的。8回目の今回のテーマは「ご当地食材を生かした地元の看板メニュー開発」で、全国から98校315チームの応募があった。決勝大会には地区大会を勝ち抜いた8チームが出場する。

(「ジビエファーム」落成式:熊本)
捕獲したイノシシを食肉として加工する施設が、宇城市に完成し、30日、落成式が開かれました。宇城市三角町の「ジビエファーム」と名付けられた食肉加工施設は、農産物を荒らすイノシシの捕獲活動に取り組む市民グループ「くまもと☆農家ハンター」が設立した会社が、建設を進めてきたものです。30日、施設で開かれた落成式には、関係者およそ60人が参加しました。これまでグループが捕獲したイノシシは、処分後、土に埋めていましたが、施設が完成したことにより今後は食肉として活用することができるようになります。施設内には、解体や切り分けを行う専用のスペースが設けられているほか、肉を保存するための大型冷蔵庫も備えていて、年間1000頭のイノシシを処理する能力があるということです。「くまもと☆農家ハンター」の宮川将人代表は「これまでの活動が実を結び、次の1歩を踏み出せます。活動を応援してくれた人たちと一緒に、この日を迎えられたことが嬉しいです」と話していました。この施設は、来月中旬からの稼働を目指しています。

(ジビエ料理、薄味で食べ応え:富山)
「おわら風の盆」で有名な富山市八尾町中心部からさらに南、携帯電話の電波も届きにくい山あいにある。店主の井上暁(あきら)さん(62)が自らさばくジビエ料理を楽しめる。富山県猟友会から提供を受けたツキノワグマやシカを中心に、「熊鍋」(税込み2740円)や「中華熊まん」(同500円)=写真=など多岐なメニューが並ぶ。いずれも素材を生かした薄味だが、臭みはない。脂身もさっぱりとしていて、食べ応えがあるほどよい硬さ。クマ肉は脂質が高く、冷え性対策にも効能があるという。井上さんは「狩猟して終わり、ではもったいない。せっかくの命をおいしくいただくことができたら」と話す。

(豚コレラ抑え込めるか、ベルト地帯の構築必要)
昨年9月に26年ぶりに発生が確認された豚コレラは野生イノシシの感染拡大がおもな原因となって発生区域が広まった。これに対して国は防疫指針を改定し、予防的ワクチンの接種が実施されはじめた。改定された防疫指針の問題点と豚コレラ封じ込めに向けた課題は何か。谷口信和東大名誉教授が提起する。10月25日、今回の豚コレラ問題発生の起点となった岐阜県などの東海3県(愛知・三重)と北陸3県(福井・石川・富山)を第一陣として、対象地域の全ての飼養豚への予防的な豚コレラワクチンの接種が開始された。これに滋賀、長野、埼玉、群馬までの計10県が続き、10月18日に新たに野生イノシシの感染が確認された静岡県が加わることになる。遅きに失したとの批判はあるものの、現場はひとまずホッとしているのが実情だ。10県までのワクチン初回接種頭数は123.4万頭の見込みであり、本年2月1日現在の全国の総飼養頭数915.6万頭の13.5%に及ぶが、背後に792.2万頭もの膨大な非接種群が存在していることを看過してはならないだろう。昨年9月9日から年末までは感染が岐阜県内に限定され、殺処分頭数も9.2千頭程度に止まっていた。しかし、本年2月に愛知県に拡散してから頭数の直線的かつ飛躍的な拡大が始まり、1年目までに7県、40事例(54農場)、殺処分頭数13.3万頭に達するに至った。しかし、問題は9月13日以降10月25日までに新たに関東地方の埼玉県の3事例が加わり、長野県では疫学関連農場ではなく畜産試験場と個別農場の独自の2事例で感染が確認されたほか、飼養頭数63万頭の群馬県や10万頭の静岡県など、既発生県に隣接する有数の畜産県への野生イノシシの感染拡大に歯止めがかからず、終息の気配が全くみえないことだろう。こうした中で、農水省は10月9日にそれまでの「豚コレラ防疫対策本部」を「豚コレラ・アフリカ豚コレラ防疫対策本部」に格上げするとともに、24日にはアフリカ豚コレラASF対策の本格的検討を始め、現行「家畜伝染病予防法」の改正を議論する検討会を立ち上げるに至った。実は韓国ではワクチンも治療法も存在していないASFが9月17日に飼養豚で初発生してから、10月9日には14例目が発生するなど、猛烈な勢いで拡散しているだけでなく、野生イノシシもまた10月3日の初感染確認から、10月24日の14例目の確認まで、猛スピードで感染拡大が進んでいる。その際、10月23日には中国人旅行客携帯畜産物からASFウイルスが確認されるなど、中国からのウイルス侵入を強く指摘するところにまできている点が注目される。なぜなら、日本もまた、そうした危険性と隣り合わせだということを改めて確認せざるをえないからである。換言すれば、開始された「予防的ワクチン対策」などがどこまで豚コレラ封じ込めに効果的なのかを吟味する必要性があることになる。9月20日の江藤拓農水大臣の表明によって始まった「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」の改正を通じた予防的ワクチン接種の解禁は「衛生部会」での答申(10月10日)を踏まえ、10月15日の官報での公示を経て実施段階に移された。改正指針は、(1)豚コレラの防疫措置は早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速なと殺を原則とし、ワクチンの使用については慎重に判断する従来の方針を継承しつつも、(2)予防的なワクチンの接種は「行わない」とする従来の方針を修正して「原則行わない」に変更し、(3)野生イノシシにおける感染が継続的に確認され、衛生管理の徹底のみによっては感染防止が困難な場合に限定して、国ではなく都道府県知事の責任において予防的ワクチン接種を認めることにし、(4)野生イノシシの豚コレラ感染状況や農場周辺の環境要因(野生イノシシの生息状況、周辺農場数、豚の飼養密度、山河などの地理的条件)を考慮して農水省が「ワクチン接種推奨地域」に設定した都道府県はワクチン接種プログラム(全頭接種)を作成して農水省に承認を得ることにした。生産者が最も関心をもっている接種農場の家畜のと畜場への出荷は原則として接種区域内のと畜場への移動に限定されるが、区域外でも出荷先のと畜場が立地する都道府県が交差汚染防止対策の実施を確認すれば可能とされる。逆に、と畜場は適切な交差汚染対策が講じられている接種農場の豚の搬入を拒否できないとされ、全体的に適切な交差汚染対策の実施を前提にして接種区域外への移動を認めようとする、当初予想されていたよりも弾力的な方針が採用されているといえる。しかし、これと並んで注目したいのは改正指針では「前文」が大幅に書き改められ、こうした方針転換の背景に豚コレラの感染ルートに関する判断に重要な変化がみられることである。つまり、今回の豚コレラにおいては、(1)中国またはその周辺諸国から侵入したウイルスが飼養豚(家畜)に先行して野生イノシシ(動物)で浸潤し、それが飼養豚に伝播したこと(2010年の宮崎の口蹄疫では飼養豚だけが感染し、ウイルスは野生イノシシなどには浸潤しなかったことが今回とは異なっている)、(2)したがって、飼養豚だけでなく野生イノシシにおける感染を封じ込めない限り、飼養豚への感染の不断の危険性を排除できないことが特徴であり、(3)ウイルスの侵入にあたっては通常の輸入貿易に対応した輸入検疫だけでなく、とくに発生国からの入国者・帰国者の靴底消毒、質問、携行品の検査・消毒の徹底が重視されるとともに、海外由来の食品残渣(豚肉や豚肉製品など)は適切な処分を実施すること、(4)食品残渣を介したウイルスの野生イノシシへの伝播を防止するため、不特定多数の人が出入りする公園、キャンプ場、観光施設などにおけるごみの放置禁止、ごみ置き場などにおける野生動物の接触防止などのごみ対策を徹底することが是非とも必要だと指摘されていることが重要であろう。したがって、発生予防にあたっては、(1)動物検疫などの水際対策を重視し、海外からの旅行者、外国人労働者、外国人技能実習生、留学生、獣医畜産系大学関係者、消費者などに最新の発生状況や必要な情報を周知すること(携行品を通じたウイルス持ち込みをシャットアウトすること)、(2)外国人労働者、外国人技能実習生、留学生を農場が受け入れる場合にはとくに「飼養衛生管理基準」の周知と遵守の徹底を図り、ウイルス侵入ルートの遮断を図ること、(3)野生イノシシの捕獲を強化するとともに、有効性評価に基づきながら野生イノシシに対する経口ワクチン散布の決定を国が行うことを重要事項として提起している。ところで、岐阜・愛知県では3月から、他の感染野生イノシシ発生県(静岡県が加わる)などでは7月以降、野生イノシシに対する経口ワクチンの散布が行われている。したがって、豚コレラ発生件数が多く、いち早く経口ワクチン散布に取り組んでいる岐阜・愛知県の現在までの豚コレラ発生状況を検討することによって、予防ワクチン接種をめぐる課題を吟味してみたい。図1、図2によると、(1)愛知県では本年6月以降豚の殺処分頭数(累計)は停滞的となり、新たな感染の拡大が沈静化しつつあるようにもみえるが、野生イノシシ感染頭数は依然として増加局面にあるといわざるをえず、検査頭数に占める感染率は高くはないものの、捕獲数の増大にかかわらず低下していないことから、農場へのウイルス侵入防止に失敗すれば、いつでも飼養豚の感染が拡大する危険性を封じ込めているとはいえないだろう。(2)野生イノシシが多数生息する岐阜県の場合は野生感染イノシシ頭数と豚の殺処分頭数は相関をもちながら依然として増加局面にあるとみるべきであり、野生イノシシの感染率も40%超と高く、飼養豚の感染封じ込めには依然として遠い状況にある。こうした状態のところに飼養豚への予防的な注射ワクチン接種が始まるわけである。豚に抗体が形成されれば、抗原をもつ感染野生イノシシを通じた豚の発症の可能性は低下することが期待される。ただし、その効果は野生イノシシの感染率と頭数の多さに比例する形でのウイルスの農場への侵入可能性によって減殺されることが予想されるだろう。つまり、予防的ワクチンによって畜舎内での豚同士の感染・発症は大幅に抑制されるが、感染野生イノシシからの感染可能性の低下は野生イノシシの感染率・感染頭数の低下に依存する側面を否定できないと思われる。つまり、野生イノシシの感染封じ込めに成功しない限り、飼養豚の感染可能性を抑え込むことは難しいといえるのではないか。この点では岐阜県の方により大きな困難があるといわざるをえないだろう。予防的ワクチンは豚コレラの既発生県への効果だけでなく、それらの隣接県への影響も合わせて考えるべきであろう。この点で大きな疑問が存在している。それは予防的ワクチンの接種推奨地域がもっぱら野生イノシシの感染発生地域を前提にして制度設計されていることである。つまり、野生イノシシの感染が確認できた地域に対してのみ、飼養豚へのワクチン接種が認められることになっているからである。しかし、今回の豚コレラの発生の第1号となった岐阜県でも、飼養豚での感染が確認されたのが昨年9月9日であったのに対して、野生イノシシに感染が確認されたのは9月13日である。また、最近時に飼養豚の感染が確認された埼玉県の場合でも、豚の感染確認は本年9月17日だったが、野生イノシシの感染確認は9月20日であって、飼養豚の感染を防ごうとするならば、野生イノシシの感染確認に先立って、野生イノシシの感染可能性が予測できる時点で飼養豚への予防的ワクチンの接種が必要だということである。こうした視点からすれば、野生イノシシ・飼養豚に関わりなく感染が確認された地域の隣接地域には予防的ワクチンの接種ベルトを構築し、それを超えた地域への拡散を防止することが不可欠の政策的対応となるのではないか。群馬県にまで野生イノシシの感染が広がっている現状では栃木・茨城・千葉・新潟・福島県でのベルト構築が課題となるだろう。2010年の口蹄疫が畜舎と堆肥舎・飼料会社・と畜場などの点と点を結ぶ線上で感染が発生したことに対応した対策で封じ込めに成功したのに対して、今般の豚コレラでは野生イノシシという面を自由に動き回るウイルス源に感染が拡大してしまった以上、面的な封じ込め対策が不可欠とならざるをえないといえよう。そうした微調整が急務である。

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(初の豚コレラ感染イノシシ:静岡)
静岡県は18日、藤枝市内で見つかった野生イノシシ1頭から家畜伝染病「豚コレラ」ウイルスの陽性反応を確認したと発表した。豚コレラ感染が確認されたのは11県目となる。県によると、藤枝市岡部町の路上で今月17日、死んだ成獣(体長120センチ、体重60キロ)の雌の野生イノシシを市民が発見。県の遺伝子検査で陽性が疑われ、国の遺伝子検査で18日に陽性反応が確認された。発見場所から半径10キロ以内に養豚場はなく、県内の飼育豚への感染は確認されていない。細谷勝彦・県農業局長は「豚コレラ対策の抜本的な見直しが避けられない深刻な事態」と語った。

(イノシシ捕獲重点エリア財政支援、日当払いへ誘導)
農水省は、豚コレラ感染の拡大要因となっている野生イノシシの捕獲を後押しするため、捕獲重点エリアがある21都府県への財政支援を強化することを決めた。捕獲頭数に応じたこれまでの支援に加え、捕獲者への日当支払いを念頭に置き、都府県が財源を確保できるよう鳥獣被害防止総合対策交付金の配分上限額を撤廃する。豚コレラは、ウイルスに感染した野生イノシシが広範囲にわたって移動することでウイルスも広がってしまい、感染地域拡大に結び付いている。豚コレラの終息を目指す中で同省は、野生イノシシの捕獲を今以上に推進する必要があると判断。同交付金では、わな設置の研修など鳥獣被害対策事業の財源として、都道府県当たり年間2300万円を上限に交付している。この上限を捕獲重点エリアがある21都府県で撤廃する。同交付金の2019年度予算額102億円の範囲内で追加で配分し、捕獲者に支払う日当の財源としての活用を提案している。実際の日当単価などは都府県が決める。イノシシの捕獲に当たっては山間部を広範囲に捜索する必要があり、捕獲者の負担を減らして頭数を伸ばしていくには人員の確保が欠かせない。同省は「野生イノシシの捕獲強化は、豚コレラ対策の重要な柱の一つ。できる限り多くの捕獲者が参加するよう後押ししたい」(鳥獣対策室)と考える。同省は昨年度、豚コレラの感染が確認された愛知、岐阜両県の交付額の上限を撤廃。愛知県は独自に捕獲者への日当の支払いを導入した。同省によるとイノシシの捕獲量は増えたという。こうした事例を参考にして、交付額の上限撤廃の範囲を広げた。同交付金では、野生イノシシの捕獲者に1頭当たり7000~9000円を支払っているが、過去に手続きに不正が発生。実際に捕獲したかを地方自治体が書類で確認する場合、写真に加え、尻尾の提出を義務付けている。今回新たに加わる日当支払いでも、適切な運用が求められる。

(豚コレラワクチン接種、今週中にも10県で開始)
ブタの伝染病、豚コレラの感染拡大が続く中、農林水産省は21日、岐阜県など10の県が提出したブタへの感染を防ぐワクチン接種の計画を了承し、早ければ今週中にも接種が始まる見通しになりました。農林水産省は、豚コレラへの対応を示した防疫指針を改訂し、ウイルスを広める野生のイノシシでの感染が確認されている岐阜県など11の県でブタへのワクチン接種を行う方針で、先週感染が確認されたばかりの静岡県を除く、10県がワクチン接種の計画を提出していました。農林水産省は21日、専門家も参加した会議を開き、各県から提出された計画はワクチンを接種するブタの頭数や、接種にあたる人員などの体制が適切だとして、群馬県、埼玉県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、それに滋賀県、10県すべての計画を了承しました。これを受けて、農林水産省は23日にも備蓄しているワクチンを各県に向けて発送する予定で、早ければ今週中にもブタへの接種が始まる見通しです。農林水産省は「今後も各県と連携してワクチンの接種がスムーズに実施できるよう支援していきたい」と話しています。

(小泉進次郎氏、「鉛弾規制」発言は滝川クリステルの影響か)
「北海道以外でも非鉛製銃弾への切り替えを進めていきたい」10月1日の記者会見、したり顔で、こう話したのは小泉進次郎環境相(38才)。この発言に、周囲がザワついているという。「シカやイノシシなどの狩猟に使われた鉛弾を水鳥などがのみ込み、中毒死するケースが相次いでいることから、すでに北海道では鉛弾の使用が禁止されている。それを全国に広げることを検討するのはすでに決まっていましたが、この会見で言う予定ではなかったとか…進次郎大臣の“アドリブ”に事務方はヒヤヒヤしているようです」(政治ジャーナリスト)国連気候行動サミットでの「セクシー発言」やポエムっぽい談話など、大臣就任以来、発言に“中身がない”と批判を浴びている進次郎氏。今回の鉛弾規制発言の裏には、妻の滝川クリステル(42才)の存在が見え隠れするという。「鉛弾規制は、滝川さんが動物の保護・福祉の向上を目指して設立した、『一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル』が取り組んでいる問題の1つ。2014年には鉛弾の規制を高らかに宣言し、環境大臣宛に書簡を送りました。そうした経緯があるので、環境省内では、“大臣の発言は滝川さんが言わせたのでは”と噂されています」(別の政治ジャーナリスト)滝川といえば、こと恋愛に関しては“尽くす女”のイメージが強かった。「過去に何人かの男性との熱愛が報じられてきましたが、どの交際でも滝川さんは尽くしてきました。特に小澤征悦さん(45才)とつきあっていた頃の彼女は、しおらしかった。彼の行きつけのバーに自分から会いに行き、時には彼のつきあいが終わるまで待っていたことも。ファッションも彼とおそろいのブランドにしたりしていました。小澤さんが女優の杏さん(33才)とのデートを撮られた時は、仕事をセーブして小澤さんに尽くし、杏さんから彼を“勝ち取った”とも聞きます。結婚も、彼がなかなかその気にならないので、ずっと待ち続けていたと聞きました」(テレビ局関係者)そんな滝川が、夫・進次郎氏に対してはまったく別の顔を見せているという。「進次郎さんは自我が強そうに見えて、周囲に意見を求めるタイプ。流されやすい一面があるともいうのかな…、今の滝川さんは進次郎さんに女性との交友関係の整理を迫り、“発言”に関してもアドバイスするなど、彼を自分の色に染めようとしているように見えます。小澤さんと進次郎さんは全然違いますね。でも大臣である進次郎さんは、このままでいいのか…」(滝川の知人)これまで、わかりやすい発言で人気を集めてきた進次郎氏。“滝川クリステル色”に染まっているのが、こんなにもわかりやすいなんて――。

(狩猟免状23人分31枚を紛失:神奈川)
県横須賀三浦地域県政総合センターは17日、狩猟免許試験合格者に交付する23人分の狩猟免状31枚を紛失した、と発表した。免状には氏名、生年月日、住所が記載されていた。同センターによると、9日、県自然環境保全課から免状が届き、センター担当者が鍵付きロッカーに保管すべきところ、自席の机に置いた。試験合格者が16日、免状を受け取りにセンターを訪れた際、紛失していることが判明したという。

(県教委がライフル「不法所持」:長崎)
長崎県教育委員会管理の狩猟教習用ライフル銃1丁が、7年近く「不法所持」の状態だったことが発覚した。県監査委員の定期監査で判明。監査事務局は「管理が不十分だった」と指摘している。ライフル銃はイノシシ駆除などに必要な狩猟用免許の講習に活用するため1981年に県が購入。「使用」と「保管」は県公安委員会の指定が必要で、県はいずれも小江原射撃場(長崎市)と申請しつつ、保管については個人に委託していた。射撃場は老朽化で建て替えるため2010年に解体。この時点で、あらためて適正な保管場所を探す必要があったが、県教委はこれを怠り、個人が継続して保管。17年に県警から銃刀法違反に該当するとの指摘を受け、翌年に新射撃場で保管するようになるまで県警などが預かっていた。県教委体育保健課は監査で指摘されるまで、県教委トップの教育長にも報告していなかった。担当者は「報告すべき事態という認識がなかった」と説明している。

(御坊署内で誤射、銃刀法違反容疑で男性を書類送検:和歌山)
御坊署内で散弾銃から実弾1発が誤射された事件で、同署が銃を発射した猟友会御坊支部の70代の男性を銃刀法違反の疑いで、御坊区検に書類送検していたことが21日、明らかになった。送検は2日付け。

(クマに襲われ負傷、側溝掃除中の女性:愛知)
23日午前8時ごろ、愛知県豊田市加塩町で、近くに住む68歳の女性がクマに襲われた。女性は右肩を引っかかれ出血したが、命に別条はない。市によると、女性が自宅近くの側溝を掃除していたところ、ツキノワグマが突然現れた。血が止まらなかったため、自ら119番通報。駆け付けた救急隊員が処置し、ドクターヘリで市内の病院に搬送された。現場は市中心部から北東に20キロほど離れた旭地区の中山間地域。市内でのクマの目撃情報は本年度3回目。21日には現場から4キロほど北の明賀町内で親子とみられる3頭を見たとの情報が寄せられている。市は中山間地域の自治区や学校などに注意を呼び掛けると同時に、現場近くに「クマに注意」と書かれた看板を立てた。

(クマが男性襲う、現場は中学校近く:新潟)
23日午前8時ごろ、新潟県村上市山辺里の門前川右岸を散歩していた同所の70代男性が、クマにひっかかれて頭にけがをした。病院に運ばれたが命に別条はないという。現場は村上東中学校や住宅地にごく近く、当時は生徒の登校時間帯だった。県によると2019年度の県内のクマによる人身被害は14件になった。県が集計を始めた1994年度以降では最多。門前川は三面川の支流で、市と村上署は、猟友会10人とともに川の下流から上流に向かってクマを追い詰める形で捜索したが、クマは見つからなかった。けがをした男性を発見し通報した、現場近くの農業男性(30)は「作業をしていて振り返ったらクマがいた。川の方へ行ったのが見えたので、注意をしようと向かったら男性がうずくまっていた」と話す。けがをした男性と親しい自営業男性(80)によると、男性は現場付近を毎朝散歩していたという。男性は「昨日うちに遊びに来て、クマに気を付けようと話したばかり。今年は近所の柿の実が食い荒らされる話をよく聞いていた」と気を引き締めていた。村上東中ではこの日、生徒に校舎外に出ないよう促した。保護者には可能な限り生徒を車で迎えに来るようメールで通知し、迎えがない場合は、教員が車で自宅に送るなどした。今週中は車で登下校の送迎をするよう各家庭に要請した。3年生の女子生徒は「クマを見たという生徒がいた。道が暗くなると発見しづらくなるかも。どうしよう。怖い」と話した。2年生の女子生徒の母親は「登校時間帯に通学路でクマに襲われるなんて、とても心配です。仕事の都合を付けて、しっかり送り迎えします」と話していた。

(イノシシに足かまれ男性けが:香川)
19日正午すぎ、東かがわ市の住宅地にイノシシが現れ、男性1人が足をかまれて軽いけがをしました。警察によりますと、19日正午すぎ、東かがわ市三本松の住宅地の路上で、携帯電話で話していた男性がイノシシが走ってくるのに気がつき、走って逃げたものの追いつかれ、太ももにかみつかれたということです。このあと、男性は近所の家に逃げ込み、警察に通報したということです。男性は病院に運ばれて手当を受けましたが、けがの程度は軽いということです。イノシシは大型犬ほどの大きさの成獣とみられ、警察や猟友会のメンバーなどが周辺を捜索したものの、見つからなかったということです。警察は、今後、イノシシを見かけた場合は不用意に近づかず、すぐに通報するよう呼びかけています。

(畑でクマに襲われ80代女性けが:石川)
19日午前、石川県白山市の山沿いの地区で、80代の女性が自宅前の畑でクマに襲われ、太ももをかまれてけがをしました。19日正午前、白山市河内町で「家族がクマにかまれた」と消防に通報があり、80代の女性が病院に運ばれて手当てを受けました。警察によりますと、女性は「自宅前の畑に出たところ、クマに襲われた」と話していて、右足の太ももをかまれてけがをしたということです。クマはそのまま逃げ、警察や猟友会などが周辺をパトロールしましたが、見つかっていないということです。現場は北陸鉄道石川線の鶴来駅から南に6キロほど離れた山沿いの地区で、市によりますと、この付近では今月10日に子グマ3頭を連れた親グマが目撃されているということです。白山市では、山林に近い地区に住む人は、玄関から出るときにクマがいないか周辺を確認したり、外出する際は鈴やラジオなど音の出るものを身に着けたりして、対策をとってほしいと呼びかけています。

(新たに2人がクマに襲われ、クマ1頭を射殺:新潟)
18日、クマに襲われて4人がけがをした新潟県魚沼市で今朝も新たに2人がクマに襲われ、現場近くで見つかったクマ1頭を射殺した。19日午前7時27分頃、新潟県魚沼市井口新田にある自動車販売店の裏で2人がクマに襲われけがをしたと110番通報があった。警察の調べによるとけがをしたのは50代と60代の男性2人。この6分後に近くの食品加工会社の従業員から「クマが工場にいる」と新たに通報があり、駆け付けた警察と地元の猟友会のメンバーが工場内でクマを発見。午前8時40分に射殺した。魚沼市では昨日昼過ぎにもクマが住宅の敷地内に侵入して次々と住民を襲っており、男女4人が大けがをしており、警戒が続いていた。

(クマに襲われ猟友会の男性が重傷:岐阜)
19日朝、岐阜県高山市の草むらで猟友会の男性がクマに襲われ、足をかまれるなど重傷を負いました。19日午前7時半ごろ、高山市新宮町の草むらで、農作物の被害を防ぐために仕掛けたイノシシ用のわなを見に来た猟友会の43歳の男性が、突然飛び出てきたクマに襲われました。クマは男性の太ももをひっかいたり、ふくらはぎをかんだりしたあと、山林に逃げ、男性は携帯電話で消防に通報し、病院に運ばれましたが重傷だということです。高山市によりますと、男性を襲ったクマは大きさが1メートルほどの大人のツキノワグマとみられるということです。現場はJR高山駅から西に5キロほどの住宅が点在する山あいの地域です。岐阜県内では、ことしに入ってクマによる被害が相次ぎ、クマに襲われてけがをした人は、平成16年に統計をとり始めてから最も多い13人となっています。高山市は、猟友会や消防によるパトロールを行っているほか、市民に対して不用意に山林に入らないことや、外出する際は鈴やラジオなど音の出るものを携帯するなど注意を呼びかけています。

(住宅地にクマ、猟友会男性が負傷:長野)
十八日午前十一時すぎ、白馬村北城の山林でクマ出没の警戒をしていた大北地区猟友会の男性(69)がクマに襲われ、頭などを負傷した。病院で手当を受けており、命に別条はないという。大町署によると、同日朝、村内の住宅地の路上に体長一五〇センチほどの成獣のクマがいるのを近所の女性が見つけて通報。署員が確認したところ、近くの土産店のガラス戸が破られ、店内には動物の足跡が残っていた。複数の目撃情報が寄せられ、署員と猟友会は村内を警戒中だった。クマはその場で駆除した。大町市平の駐車場でも同日午前六時四十分ごろ、成獣一頭と子グマ三頭がいるのを近所の男性が見つけた。三十分後には地区内の別の場所で体長一三〇センチの成獣が発見されている。クマ出没を受け、大町市と白馬村は広報車や防災行政無線で住民に注意を促した。近くの小学校は集団下校にしたり、保護者に迎えに来てもらったりして児童の安全を確保した。

(クマに襲われ男性負傷:福井)
10月21日午前6時40分ごろ、福井県福井市縫原町の山際の道で近くに住む男性(46)がクマにかまれるなどして腕と顔にけがを負った。県によると今季、県内でクマに襲われ負傷したのは南越前町、勝山市の男性に続き3人目となった。県内ではこのほか、勝山市でクマの目撃情報が相次いだ。福井市や福井署などによると、男性は自宅を出て最寄りのバス停に向かう途中でクマに遭遇。右腕をかまれ、右目の上付近を引っかかれた。同市内の病院に搬送された。クマは幼獣とみられ、山に逃げていった。現場は美山アンデパンダン広場の近く。福井市は近隣の集落などに文書や防災無線で注意喚起し、羽生小やみやま保育園、美山啓明小などにも注意を呼び掛けた。周辺のパトロールも強化している。羽生小は、緊急メールで保護者らに注意喚起と登下校時の付き添いを呼び掛けた。市によると、2日には周辺の計石町に幼獣1頭がいるのを車を運転していた男性が見つけた。13日には野波町で柿の木に爪痕や食べ跡の痕跡が確認されている。

(工場にクマ、射殺:福井)
10月22日午前8時15分ごろ、福井県勝山市元町1丁目の勝山市教育会館前で同会館の警備員の市内70代男性がクマに襲われ、頭部を負傷した。勝山市によると、左側頭部に15センチと3センチのひっかき傷を負ったが、命に別条はない。今季、県内でクマに襲われ負傷したのは4人目となり、勝山市では2人目。その後、同市昭和町1丁目の繊維工場内にクマの成獣1頭が侵入し、猟友会により射殺された。市は警備員を襲ったクマの可能性が高いとみている。勝山市によると、警備員の男性は同会館前の池でコイに餌を与えていたところ、背後からクマに襲われた。現場は市中心部で市役所の敷地内。目の前に市中央公園があり、近くにはショッピングセンター勝山サンプラザやケイテーこども園などがある。警備員の男性が襲われたすぐ後には、現場から近い同市昭和町1丁目のはたや記念館ゆめおーれ勝山などで成獣1頭が目撃され、近くの繊維会社ケイテーの工場敷地内でも姿が見られた。午前8時45分ごろ、工場長が繊維工場内を見回ったところ、暗闇にクマとみられる動物が見えたため、従業員を避難させた。午後1時55分すぎ、猟友会や警察などが捜索に入り、同2時半ごろにクマを発見。猟友会のメンバーが向かってきたクマを射殺した。成獣の雄で体長は約1・5メートルだった。工場周辺の道路は一時通行止めとなり、市は広報車や防災無線などで周辺住民に外出や一人での行動を控えるよう呼び掛けた。工場前にある成器西小などは休日のため、緊急メールで外出自粛と注意を促した。勝山市内では9月中旬以降、クマの出没が相次ぎ、市街地でも目撃情報、痕跡確認が後を絶たない。10月22日午前6時半ごろには、市街地の沢町2丁目で幼獣1頭を女性が目撃した。現場は、きたこども園の東側の住宅地。市は引き続き、注意を呼び掛けている。

(住宅街にクマ、けが人続出:新潟)
ドライブレコーダーに映ったクマ。新潟県で住民が次々と襲われた問題で、新たな動き。車の前方に突然現れたクマ。19日午前7時半ごろ、新潟・魚沼市で撮影されたドライブレコーダーには、クマが、車の後ろを追いかけるように走っている映像がとらえられていた。再びクマを見つけ、動揺する車内。実はこの前日、魚沼市内では、クマに襲われた男女4人が、けがをする被害が発生していた。国道すぐそばにある住宅街には、生々しい血痕が残っていた。夫婦が、クマに襲われたという。目撃した住民は、「『助けてくれ、キャー!』と聞こえたけど、どうすることもできなくて。なんとかしてあげたいと思ったけど、またクマが追いかけてきて...」と話した。住民がクマに襲われたのは、魚沼市内の3カ所。近くには、小学校や保育園もある。その後、クマは、山の方に向かったとみられていたが、翌朝、再び住宅街に。自動車販売店の従業員2人が襲われた。目撃した人は、「2人ともうずくまっていたので、襲われているところは見なかったが、かなり出血していたみたいだった」と話した。「魚沼市よりお知らせします。魚沼市井口新田地内でクマが目撃されています。わずかに、けが人が発生しています。戸締まりし、絶対に外に出ないでください」魚沼市内に響く、防災無線の音声。地元の猟友会も参加し、捜索が続けられた。クマは、食品会社の倉庫に逃げ込んだ。そして、男性2人を襲ったクマは、食品会社の敷地内で射殺されたという。駆除されたのは、体長およそ1.3メートルのオスで、朝に男性2人を襲ったクマの可能性が高いという。この日、魚沼市では、山の中でわなにかかったオス1頭も駆除された。しかし、前日4人を襲ったクマは親子だったとの情報もあり、住民からは、「ちょっと安心したけど、もう1頭いるという話もあるので...」という声が聞かれた。魚沼市は、引き続き注意するよう呼びかけている。

(クマへの麻酔銃使用、県外頼みの実情:新潟)
18日から19日にかけて新潟県魚沼市の市街地で計6人を襲ったクマの捕獲には、麻酔銃も使用された。ただ、現時点では、麻酔銃による捕獲は新潟県外の団体に依存し、県内では独自の対応ができていない。同市以外にも今後、クマが市街地に下りてくる可能性を指摘する専門家もいる。県内でも麻酔銃で捕獲できる自前の体制整備を望む声はあるが、専門知識が必要なため人材の育成は容易ではないようだ。魚沼市では、2日連続で市街地にクマが出没し人を襲った。捕獲の際には麻酔弾が撃たれたが、それでも向かってきたために猟友会員が実弾で仕留めた。5月には上越市高田地区の中心部にクマが出没したほか、20日も糸魚川市や阿賀野市などの住宅地でクマが目撃されている。市街地にクマが出るようになったのは、環境の変化が大きい。野生動物に詳しい新潟大の箕口秀夫教授によると、林業が衰退し、山に人の手が入らなくなり、人間の生活圏近くにクマが生息するようになった。特に魚沼地方はえさ場のブナ林が市街地に隣接し「緩衝地帯がなく、裏山にクマが生息しているようなもの」と箕口教授。12月まで警戒が必要と呼び掛ける。山間地ではない市街地でのクマの捕獲では、猟銃に比べて麻酔銃は射程距離が短いものの、操作しやすいので仕留めやすいとされる。誤射なども起きにくく、安全性も高いという。しかし、県内には熟練の麻酔銃取扱者・団体がほとんどいない。県警によると、麻酔銃を扱うには専門知識が必要で、県内で許可が下りているのは3丁だけ。その3丁も「基本的にはサルなど小型動物に使われ、クマなどの大型獣には使われていないのでは」(生活安全企画課)とみられている。県環境企画課も「県内で麻酔銃によるクマの捕獲に対応できる団体の情報がない」とし、緊急時には、実績のある長野、群馬、富山、山形の計6団体を紹介することで対応している。今回の魚沼市や5月の上越市の場合も、市の要請に基づき長野県の専門家が駆け付けた。箕口教授は、本県でも自前の体制を整備する必要性があるとする。「複数地域で連携できる仕組みづくりが必要だろう。野生動物に特化した専門人材を県が雇用するのも手だ」という。一方、麻酔銃の扱いでは、県警に専用銃の所持の許可を得た上で、麻薬研究者として県から許可を得る必要もあり、すぐには人材を増やせないのが実情だ。長岡技術科学大の山本麻希准教授は「クマを見て瞬時に薬量の調整を判断しないといけないし、麻酔が切れてクマが襲ってくるかもしれない。命がけの仕事であり、人材育成は簡単な話ではない」と強調する。人材育成に関し、県環境企画課の五十嵐勝幸課長補佐は「麻酔銃が万能というわけではないが、専門家や市町村の意見を聞いて必要性を検討したい」とした。

(豚コレラ対策「2週間でワクチン接種」:静岡)
藤枝市で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかり、静岡県が豚へのワクチン接種推奨地域に追加されたことを受け、県内養豚農家から早期接種を求める声が高まっている。感染が拡大すれば、養豚場にまでウイルスが侵入しかねないためだ。県は「2週間程度で接種にこぎ着けたい」と必要な手続きを急ぐが、接種後は豚の流通が制限されるなど経営面への影響を懸念する声も出ている。県養豚協会は21日、県庁に難波喬司副知事を訪ね、ワクチン接種に向けて早急に体制を整えるよう要請した。中嶋克巳会長は「県境から離れた場所で発生し、養豚場の危機感は強い。できるだけ早く対応してほしい」と訴えた。県は接種計画を具体的にまとめたプログラムの策定に着手した。23日には農家を対象にした説明会を開き、早期接種に向けた合意形成を図る。ワクチン接種は「豚コレラを食い止める最善策」(県内農家)とされるが、接種後は生きた豚や受精卵などの移動・出荷が原則、接種地域内に制限される課題もある。関東や九州に種豚を出荷する浜松市天竜区の男性(40)は「経営に大きな影響が出る懸念があるが、県内には多くの感染イノシシがいると考えられるだけにワクチン接種を進めてほしい」と話す。富士宮市の男性(66)は「日本に豚コレラを広げないためには早くワクチンを打つことが重要」と指摘。「行政は補償についてしっかり考えてほしい」と農家の経営支援を強く求めた。県内の養豚農家からは「流通に影響が出ないように全国一律でワクチン接種すべき」との声も出ている。

(ワクチン接種、27日にも開始:群馬)
群馬県の山本一太知事は23日の定例記者会見で、豚コレラ対策のための豚へのワクチン接種が県内では早ければ27日に始まるとの見通しを明らかにした。県内では豚コレラに感染した飼育豚は確認されていないものの、感染した野生イノシシが複数見つかっている。このため周辺の17農場を監視対象にしており、これらの農場から順次、ワクチン接種を開始する。県内で飼育されている約63万頭の豚が接種対象となる。

(豚コレラ、ワクチン接種へ:福井)
県は21日、豚コレラ対策のワクチン接種を、早ければ24日にも開始すると明らかにした。県内の全飼育豚約1700頭のうち生後40日が経過した豚が対象で、2日間ほどで完了する見通し。県によると、国からワクチンが届き次第、養豚場3施設と、県畜産試験場、ミニブタを飼育する足羽山公園遊園地(福井市)の計5カ所で一斉に実施。

(豚コレラワクチン接種、26日に県内全域で開始:長野)
県は21日、豚コレラ対策で実施する豚へのワクチン接種を、26日に県内全域で始めると発表した。農林水産省は21日、接種に向けた県のプログラムを妥当と確認。これを受け県は同日、接種実施を公示した。子豚を除く1回目の接種は全県の養豚場など86施設計7万2千頭が対象で、初回の接種は農家負担なしで実施する。県は当初、野生イノシシの感染例が多くリスクが高い地域にある養豚場で優先的に接種を始めることを検討していたが、全県で一斉に開始する。6頭以上を飼う養豚場では8日程度で注射を打ち終える計画。7万2千頭には、飼育されるイノシシも含まれる。農水省によると、21日に有識者会議を開き、ワクチン接種推奨地域の長野をはじめ、群馬、埼玉、富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀の計10県のプログラムについて、接種区域や対象頭数、ワクチンを打つ人員などを点検し、「適切に実施される体制」と判断した。18日に推奨地域に追加された静岡県はプログラムを作成中という。

(全域でワクチン接種へ:埼玉)
埼玉県は21日、豚コレラの感染拡大を防ぐため、県内全域でワクチンを接種する計画を農水省に提出した。専門家委員会での検討を経て同省から認められると、11月上旬にも感染リスクが高い地域から接種を始める。養豚場や豚を飼育している動物園なども合わせて計137施設が対象になる。まずは親豚と肥育豚の計8万頭に接種する。豚コレラが発生した地域や野生イノシシが多く生息する地域など、感染リスクの高い秩父や児玉、大里、比企、入間の5地域から接種を始める。同5地域は3週間程度で終え、その他の地域での接種も2020年2月上旬に終わる予定。その後、生まれてから1カ月以上たった子豚への接種を始め、18年度内に計13万5000頭へ接種する計画だ。県の家畜防疫員のほか、民間の獣医師などにも協力を呼びかける。埼玉県では9月17日を皮切りに豚コレラが計3件発生。国の防疫指針の改正を受けて15日、ワクチンの接種推奨地域とされた。

(豚コレラワクチン、県北部から接種開始へ:三重)
豚コレラ対策で実施される豚へのワクチン接種について、県は18日、県北部の養豚場でワクチン接種を始め、接種は3日以内で終える方針を示した。この日、豚コレラ対策について情報を共有するために開いた「豚コレラワクチン対応連絡会議」で明らかにした。会議では、県側が県内で飼育されている全10万3000頭を対象にしたワクチン投与計画をまとめた接種プログラムを国に提出したことを報告。

(ワクチン散布、山林土中に800個:群馬)
県は18日、野生イノシシによる豚コレラ拡大感染防止策として、藤岡市内の山林で経口ワクチンの散布を始めた。地面を掘り返して餌を食べるイノシシの習性を利用し、40カ所の土中に計800個を埋めた。

(豚コレラの感染阻止に全力を)
各地の農家の悲鳴に押されるように、農林水産省が重い決断をした。家畜伝染病の豚コレラ対策として近く、ワクチンの接種が開始される。感染の拡大防止に全力を挙げるとともに、アフリカ豚コレラというさらなる脅威への備えを万全にしてほしい。国内で26年ぶりに感染が確認されたのは約1年前だ。農水省は感染した豚の殺処分やウイルスを媒介する野生イノシシの駆除で対処しようとしたが、被害が拡大。岐阜や長野など10県をワクチンの接種を推奨する地域にした。農水省がワクチン接種に二の足を踏んだのは、国際機関が認める「清浄国」から外れ、輸出に響くのを心配したからだ。感染の追跡が難しくなる問題もあった。安全管理の徹底を訴えた結果、主な輸出先の香港やマカオは条件付きで輸入を続けることを決めた。課題として残ったのが、感染ルートを予測し遮断する難しさだ。イノシシがどこをどう走ってここまで感染が拡大したのかは不透明だ。耕作放棄地などの荒れ地が増え、イノシシの生息域が広がりつつある。農作物を食い荒らすなどの被害を減らす狙いも込め、捕獲に一段と力を入れるべきだ。難題は海外からの感染経路だ。遺伝子解析によると、ウイルスは中国やモンゴルで流行したものに近い。両国から入ったと断定はできない一方、海外から持ち込まれた食品の残飯をイノシシが食べたことが感染のきっかけになったとの指摘もある。空港などでの検疫の強化が不可欠だ。次なる脅威は目の前に迫っている。中国で感染が広がっていたアフリカ豚コレラが、韓国でも発生が確認された。今の日本の豚コレラとは別物で、有効なワクチンすらない。国内に感染が及んだときの影響は計り知れない。海を隔てていることは安心材料にはならない。行政と生産者、獣医師らが連携を強め、ウイルスの侵入を防ぐ。国際化の恩恵を享受するためにも、連動するリスクを抑える重要性が増している。

(納屋にクマ侵入、堆肥食い荒らす:富山)
19日午前7時半ごろ、立山町栃津で内橋英夫さん(75)方の納屋のトタンがクマに破られ、中にあった堆肥5袋が食い荒らされた。近くにはクマの足跡も見つかり、町職員らが周辺をパトロールした。納屋は内橋さんの自宅から約30メートル。側面に張られていたトタンが爪でめくり上げられ、縦約70センチ、横約40センチの穴が開いていた。内橋さんの妻(72)は「戸締まりをしていたのに、餌を探す嗅覚と硬いトタンを破る力に驚いた。またクマが来るのではないか、とても不安」と話した。19日はこの他、富山市東福沢(大山)の福沢小学校グラウンドをクマが横切るのを学校関係者が目撃。南砺市高宮(福光)では保育園近くの神社境内で1頭が目撃された。

(県内各地でクマの目撃相次ぐ:新潟)
18日夜から19日にかけ、県内各地でクマの目撃が相次いだ。糸魚川市では19日午後6時ごろ、中心地に近い京ケ峰2の住宅地でクマを見たと、住民から110番通報があった。糸魚川署によると、現場は山を背にした住宅地で、近くに県糸魚川地域振興局などがある。クマは海側のスーパーなどがある方角に逃げたという。同署は付近をパトカーで巡回し、マイクで注意を呼び掛けた。南魚沼署によると、18日午後11時半前、南魚沼市美佐島の魚野川の堤防道路で、走行中の車がクマに衝突した。運転手にけがはなかった。クマは川の方へ行った。民家まで約30メートル。19日午前7時すぎには、同市堂島新田の田んぼにクマがいるのを、車で通りがかった人が発見した。民家まで約50メートル。長岡署によると、19日正午すぎ、長岡市菅畑でクマが自宅敷地内の柿の木に登っていると、住民が110番通報した。クマはいずれも体長約1メートル。

(市街地にイノシシ、被害なく捕獲:新潟)
17日に上越市国府1でイノシシ1頭が目撃され、有田地区内を逃走した後、18日午後1時10分ごろ、同市塩屋の関川付近で捕獲された。イノシシは体長約1メートルのオスで、人的、物的被害はなかった。

(クマ目撃で大高山総合公園の営業終了:青森)
鯵ケ沢警察署管内で18日、2件のクマ目撃情報があり、同日現在の今年の目撃件数は昨年1年間(46件)の2倍近い86件となった。こうした中、鯵ケ沢町は同日までに、目撃情報があったとして大高山総合公園(舞戸町)の営業を予定より半月早く終了した。クマ目撃に伴う町内施設の営業期間繰り上げは、9月の「白神の森 遊山道」(深谷町)に続き2件目となる。町によると、15日午前、大高山総合公園南東部の調整池で公園利用者が子グマを目撃し、指定管理者を通じて町に通報。町は利用者の安全を考慮し、今月末までの開園期間を半月早め、同日で営業を終了した。園内運動施設の予約1件については、安全面に配慮して予定通り貸し出す。

(田園地帯にクマ、1頭駆除:富山)
20日午前9時15分ごろ、砺波市庄川町五ケの県道交差点付近でクマ1頭を住民が目撃し、110番した。クマは約2時間半後に駆除された。

(クマ目撃:和歌山)
和歌山県田辺市龍神村甲斐ノ川の山中で21日、住民がクマを目撃した。同日午前9時ごろ、地元の男性が自宅の向かいの山中に、体長約1メートルのクマがいるのを目撃した。電話連絡を受けた龍神行政局は、約10分後に防災行政無線で注意喚起をした。今のところ、人や農作物への被害は確認されていないという。

(住宅街にイノシシ、目撃情報相次ぐ:群馬)
20日午後9時40分ごろ、群馬県藤岡市森の住宅街でイノシシ3頭が目撃された。21日朝には同市篠塚の公会堂近くで1頭が目撃され、人里に近い場所での目撃情報が相次いでいる。同市は「台風19号の影響ですみかが失われ、出てきているのかもしれない」と見ている。20日に見つかったのは成獣2頭と幼獣1頭。目撃情報を受け、市や群馬県警藤岡署は21日に近隣を巡回し、近くの学校に連絡した。市農林課によると、イノシシは川沿いを移動していることが多い。台風19号による増水で川辺の草木が流され、すみかを追われている可能性がある。同課は、もともと川沿いでの生息とみられるため豚とんコレラに感染している恐れは小さいとみているが、市内の養豚場に目撃が相次いでいることを連絡した。市や同署は注意を呼び掛けるとともに、見つけたら通報するよう促している。

(温泉街にクマ出没、ガラス戸破り民家に侵入:山形)
20日午後10時15分ごろ、鶴岡市のあつみ温泉街で、友人と徒歩で帰宅途中の近くに住む40代の男性が、温泉街の県道を東に向かって歩くクマ1頭を目撃した。クマはその後、県道沿いの無職、斎藤二子さん(78)方の出入り口のガラス戸を破って屋内に侵入、まもなく、再びガラスを割って外に出て、東の方に走り去ったという。斎藤さんは一人暮らしで、当時2階で寝ていてけがはなかった。斎藤二子さん「2階にいたらドシン、ガチャンとすごい音が聞こえて地震かと思った。びっくりした」警察はパトカーで周囲を巡回し、注意を呼びかけた。今月10日夜には、今回の現場からおよそ1.5キロ離れた市立あつみ小学校近くでクマ1頭が目撃されている。

(住宅地にシカ出没、警察などが捕獲検討:北海道)
20日午前、札幌市の住宅地でシカ1頭が見つかり、警察と札幌市で捕獲するかどうかなど対応を検討しています。警察によりますと、20日未明から午前10時すぎにかけて、札幌市西区発寒の付近でシカの目撃情報が25件、相次いで寄せられたということです。情報を受けて、警察や札幌市の担当者が現場に駆けつけて捜索したところ、20日午前10時半ごろになって、警察官が発寒10条4丁目の住宅の敷地にいるシカ1頭を発見したということです。警察によりますと、今のところケガ人はいないということです。現場はJR発寒中央駅近くの住宅地で、小学校や公園、商業施設もあるほか、近くには高速道路の札樽道も走っています。警察と札幌市で捕獲するかどうかなど対応を検討しています。また、市では、周りに人が集まるとシカが興奮して暴れるおそれもあるとして、見かけても近づかないよう呼びかけています。札幌市では、今月16日にも中央区のタワーマンションの敷地にシカが入り込む騒ぎがあり、この際は最初の目撃から7時間半後に捕獲されました。シカを見たという70代の女性は「大きくも小さくもないシカが私の家の周りを歩いていました。めったにないことですし、どこから来たのか不思議です」と話していました。

(特急がシカと衝突:北海道)
18日午後5時半ごろ、上川管内愛別町で、JR石北線愛別ー中愛別間を走行中の旭川発網走行き特急大雪3号(4両編成、乗客45人)がシカと衝突した。乗客乗員にけがはなかった。

(トンネルでクマとぶつかる:山形)
22日午後7時15分ごろ、山形市大森の市道の大森トンネル内で北方向に向かって走っていた乗用車が、クマ(体長約1・5メートル)と衝突した。車の左前部が壊れたが、運転していた山形市の20代女性にけがはなく、クマは南方向に逃げていった。山形署でパトカーを出動させ、付近の警戒に当たっている。山形市はじめ山形県内ではクマの目撃が相次いでおり、県警では注意を呼びかけている。

(クマ目撃:新潟)
21日午後9時すぎ、新潟県南魚沼市五日町の市道で、クマ1頭を目撃したと通行人から南魚沼署に通報があった。同署によると、クマは体長約1・2メートル。現場は民家から約300メートルで、畑の方に向かった。同署などが注意を呼び掛けている。また、午後10時半前には、同市山谷の県道で、体長約1メートルのクマが目撃された。民家から約50メートル。新潟県長岡市栃尾宮沢の住宅街では午後10時半前、クマ3頭が目撃された。長岡署によると、クマは体長約1メートルが1頭と、約50センチが2頭。

(サルの目撃情報が相次ぐ:佐賀)
今年、佐賀県内ではほかにも神埼市や小城市、伊万里市など各地でサルの目撃情報が相次いでいます。このうち、唐津市が、農業被害対策のため、7年前からサル群れの位置情報を市民に知らせているのが、その名も「サルメール」。市内4つの群れにそれぞれ発信機をつけ、出没した場所をメールやホームページで配信しています。【唐津市役所有害鳥獣対策室・美間坂孝行室長】「近づく前にサルの被害にあわないような対策ですね、追い払いとかそういったことを事前に農家がすることで被害の防止に役立っているというふうに考えています」唐津市には現在およそ250頭のサルが4つの群れに分かれて生息しています。県内では、イノシシ(64%)に比べるとサル(3%)の被害額は少ないものの、「群れ」に襲われると果樹や野菜が、壊滅的な被害を受けます。そこで、サルの「群れ」の位置を把握することが農業被害を減らすポイントです。市からのサルメール配信には、サルの電波をキャッチする調査員が欠かせません。唐津市の農家、佐々木勝英さん71歳。唐津市内には佐々木さんをはじめ4のサルの調査員がいます。【調査員・佐々木勝英さん】「もうおかげでよかったという人けっこうおらすですよね。今その人からよう電話かかってくるですもんね。『今猿どこおるかー』て」佐々木さんは週に3日、山間部を中心に回り、サルに取り付けた発信機からの電波をアンテナで受信します。群れの居場所が分かれば、調査員がタブレットで、位置情報を登録。それがサルメールとして、配信されたり、市のホームページで公開したりしています。【ハウスミカン農家】「10年ほど前から(サルが)集団で来ている。近くにいることが分かれば、あとは、こちらで警戒する。その点はいい」【唐津市役所有害鳥獣対策室・美間坂孝行室長】「果樹以外にも、ハウスのビニールなど施設の被害も結構多かった。そちらの方が極端に少なくなったということから、サルメールの配信は農家にとって効果があるのではないかと考えている」群れでやってくるサルへの警戒ができると、好評のサルメール。その一方で、福岡県方面からやってくる別の群れも確認されていて、今後、新たな対策が課題となっています。

(長山公園、クマ捕獲用のおり設置:福井)
勝山市は二十一日、周辺でクマの目撃が相次いでいる同市長山公園に捕獲用のおりを設置するとともに、園内に人が立ち入らないように閉鎖した。十一月末まで。長山公園は北側から張り出した山の裾野にあり、グラウンド利用や散歩で訪れる市民が多い。麓には勝山高校や市体育館ジオアリーナをはじめ、周辺には住宅地も広がる。市はこの日、園内四カ所に計六基のおりを仕掛けた。五カ所の公園入り口には看板を設置し、ロープを張って封鎖した。市によると九月二十五日から今月二十日までに周辺で目撃六件、痕跡三件を確認。成獣一頭と子グマ二頭が一緒に目撃されるケースが多く、親子のクマが長山公園内に居着き、近隣で相次ぐ目撃情報につながっているとみている。今月上旬から園内のクリの木など三十本を伐採するなどしたが、その後も目撃情報が続いていることから、おりの設置を決めた。エサでクマをおびき寄せるため、利用者の安全を考慮して公園を閉鎖することにした。市は近隣住民にも注意を呼び掛けている。勝山高校は二十二日から、保護者が自動車で生徒を送迎する際には、これまでの少し離れた場所ではなく、正門前で乗降できるようにする。

(イノシシ生息拡大、食害急増:岩手)
洋野町内で2018年度から、野生のイノシシの目撃情報や農作物への食害が急増している。群れを成し、繁殖しながら生息地を拡大しているとみられ、自治体や地元猟友会などが対応に苦心。関東以南で広がる豚コレラはイノシシにも感染するため、畜産農家も神経をとがらせる。既に個体数の増加が課題となっている岩手県南地方の取り組みを参考に、わなによる捕獲や電気柵などで農地を守る対策が急務となっている。同町によると、町内のイノシシの目撃件数は16年度2件、17年度7件と一ケタ台で推移していたが、18年度24件、19年度(9月末現在)は25件と急増。農地や作物への被害も18年度から確認され、18年度は2件、19年度は13件が報告された。被害は牛の飼料の食い荒らしや水田の掘り起こし、家庭菜園のジャガイモの食害などが目立つ。

(増える天然記念物「北限の猿」:青森)
今年1月「電線を渡るサルの群」がユーチューブに投稿され、テレビや新聞も報道して話題となった。現場は、下北半島の中央部に位置する、青森県むつ市の住宅街。ヒト以外では北限に生息する霊長類「北限の猿」で国の天然記念物。市は、保護と農作物被害対策のジレンマに揺れる。下北半島で十数頭の猿が初めて確認されたのは1960年以前。1978年には151頭の群が確認されたが、二つの群に分裂。70頭を超えると分裂して新しい群ができるため急速に増加し、現在、下北半島全体で69群(2635頭)、むつ市には29群が生息している。急速に増えたのは餌付けしたため。当初から農作物の被害が発生したが、脇野沢村(当時)は保護の声に押され1963年から開始。国・県も支援し、一部を捕獲管理する「野猿公苑」がつくられた。この間、1970年には天然記念物に指定。1991年には環境省のレッドリスト(絶滅のおそれがある野生生物)に登録されたが、2007年には増加傾向にあるとして外されている。「毎年、1~2群増えている」(市経済部)状況で、個体数調整のため市は国に捕獲を申請。年間300頭の許可が出ているが、捕獲頭数は2017年度が62頭、2018年度は29頭にとどまる。圃場や住宅街に出没する猿を重点にしていることと、専従の臨時職員16人が捕獲するが、市域が広く、追い払いやモンキードッグなどの対策もあり手が回らないためだ。このため、対策の重点は電気柵。毎年、新たに2キロ前後張っており、総延長は48キロに達する。全額補助で農家が申請するが、5年待ちの人もいるという。柵の設置も専従職員の仕事だ。

(ヒヨドリ群舞、越冬で海峡渡る:北海道)
北海道最南端の渡島管内松前町白神岬で、ヒヨドリの大群が越冬のため、本州に向かって次々と飛び立っている。白神岬から津軽海峡を渡って対岸の青森県竜飛崎まで約20キロは渡り鳥の主要な通過ルートとして知られている。17日の早朝、ヒヨドリは数百羽から数千羽ごとの群れを成し、次々と岬の草地沿いに姿を現した。群れごとに「ピー、ピー」と鳴きながら海へ向けて飛び立ち、海面をはうような低空飛行で津軽海峡を渡っていった。日本野鳥の会道南檜山の奥田孝一代表(71)は「海面ぎりぎりを飛ぶのはハヤブサなどの猛禽(もうきん)類から身を守るため」と話した。ヒヨドリの渡りは11月初旬まで観察できるという。

(ヌートリア一家土手に巣穴、決壊懸念:兵庫)
兵庫県播磨町の狐狸(こり)ケ池に、大型ネズミのヌートリアの一家がすみ着いている。つぶらな眼(まなこ)に、どことなくとぼけた表情。外見は愛らしいが、生態系を壊す特定外来生物で、土手などに巣穴を開けて川や池の決壊を招く恐れもある。生息数が増えているのだろうか。今月11日、同町の大中遺跡公園(大中1丁目)南側の池を夫婦が見つめていた。視線の先に水生植物をむさぼるように食べるヌートリアが5匹。池には絶滅の恐れがあるオニバスやガガブタも生育しており、在来の水生植物に悪影響を及ぼす恐れもある。町役場の担当者に尋ねると、「農業被害だけでなく、池の土手に掘る巣穴が決壊につながる恐れもある。駆除が必要」と話す。4月には同じ池に7匹いたという情報も寄せられた。町は池に檻(おり)を仕掛け、一昨年は5匹を捕獲したが、昨年はゼロ、今年は1匹。成果は思うように上がっていないという。

(エゾシカ交通事故、過去最多ペース:北海道)
道内でエゾシカと車の衝突などの事故が急増し、今年8月末時点で、過去最多だった昨年を2割以上も上回るペースで推移している。シカの活動が活発化する繁殖期の10月に例年、事故が急増しており、札幌市内では今月13日以降、中央区や北区の住宅街などでシカの出没が相次いだ。道警は「早朝や夕方のシカの飛び出しに気を付けてほしい」と呼び掛けている。「音を立てないで。刺激しないでください」。札幌市北区太平の住宅街で18日、シカを見ようと集まった住民らに、パトカーの警察官が注意を呼び掛けた。近くの80代の主婦は「あんなに大きなシカがぶつかってきたら、ひとたまりもない」と不安げに語った。道警交通企画課によると、道内で車がシカと衝突したりシカを避けようとして他の車に追突されたりする事故の件数は年々増え、今年は8月末時点で前年同期比24%増の1403件。統計を取り始めた2004年が1170件で、過去最多の昨年は約2・5倍の2834件と急増した。

(魚沼の小中学校、クマ出没で車の登下校:新潟)
潟県魚沼市中心部で男女6人がクマに襲われ負傷したことを受け、市内の小中学校4校では21日、子どもたちが保護者の車による送迎で登下校した。小出小では、午後3時からの下校時間に合わせ、臨時の駐車スペースになったグラウンドに100台近い車が並んだ。保護者は各教室に出向き、児童の引き渡しを受けた後、一緒に帰宅した。同小では18日昼すぎに、4人を襲った後のクマが、グラウンドで目撃された。3年の五十嵐綾乃さん(9)を迎えに来た祖母の渡辺知子さん(64)は「クマが学校まで来たので驚いた。今回は駆除されたが、これ以上は出ないでほしい」と不安そうに語った。五十嵐さんは「ニュースで見たクマは走るのが速く、怖かった」と話した。23日以降の登下校は、クマの出没状況を見た上で、市教育委員会が判断する。

(エゾシカ捕獲・管理「人を育てて徹底を」:北海道)
エゾシカによる農林業被害などの課題と対策を考えるシンポジウム「いま、あらためてエゾシカ問題を考える」が、北海道博物館講堂(札幌市厚別区)で開かれた。道内から約70人が参加し、シカへの対応策や先進事例を学んだ。シンポは19日にあり、酪農学園大学の伊吾田宏正准教授が「今は捕獲しても、3分の1が利用されず廃棄されている。人を育てて捕獲と管理の徹底が必要だ」と指摘。捕獲や管理の担い手を育成するための「シカ捕獲認証(DCC)制度」を紹介した。討論では札幌市中心部でエゾシカが目撃されていることも話題に上がった。北海道立総合研究機構の宇野裕之研究主幹は「都市部の周りでシカの密度を下げなくてはいけない。見かけてもシカを追いかけずに見守ってほしい」と呼びかけた。昨年度のエゾシカの生息数(推定)は道内全域で約66万頭。道では2021年度末までに生息個体数を30万頭以下に減らすことを目標としており、狩猟によるさらなる捕獲が求められている。

(ツキノワグマは秋に1年分のドングリを食いだめする)
熊の人里への出没は我が国では大きな問題である。熊が人里に下りてくる契機としてドングリの凶作があるということは知られていたが、熊が普段どのようなエネルギー収支で暮らしているのかは未知であった。今回の研究は、東京農工大学と東京農業大学による、ツキノワグマの摂食・栄養サイクルの解明である。日本には2種類の熊がいる。北海道に生息するヒグマと、津軽海峡以南に生息するツキノワグマだ。開発によって生息域を減らしているとよく言われるが、環境省の調査では、現在なお本州の約45%の領域にツキノワグマは生息しているという。ツキノワグマは雑食であるが、春から夏にかけては果実や昆虫、秋にはドングリを主に食べる。ちなみにドングリというのはブナ類やナラ類の実の総称である。今回の研究は、2005年から2014年にかけ、栃木県と群馬県にまたがる足尾・日光山地において、34頭のツキノワグマ成獣に日々の活動を計測できるGPS受信機を装着し、その生態を調査したものである。また、山の中で採取した1,247個のツキノワグマの糞の分析、採食行動の映像(113時間分)の分析も行われた。結論として、全ての個体において、春から夏にかけてエネルギー収支はマイナスであるが、秋には大きくプラスになるということが判明した。ただし、ドングリが凶作の年は、エネルギー摂取量が減少してエネルギー収支は低下した。春や夏のツキノワグマの餌はあまり採集効率のいいものではない。だが、ドングリは木の上にまとまって結実するため、ツキノワグマは木に登って効率的にドングリを食べることができる。そのため、ツキノワグマのエネルギー収支は大きく秋に、そしてドングリに依存しているということが明らかになったのである。以上の事実から、ある年にドングリの凶作があった場合、少なくとも翌年の夏まではツキノワグマの人里への出没が頻発し得るということも分かった。

(〝狩りガール〟初のイベント:和歌山)
狩りガール〟という言葉を知っていますか?女性猟師のことで、和歌山には都道府県の猟友会としては全国的にめずらしい女性部が昨年秋に発足しました。10月27日には初めてのイベント「女性ハンターたちのPRイベント~狩りガールフェスタ」を開きます。今回の「#イマワカtalk」、初代部長を務める溝部名緒子さんに話を聞きました。狩りガール〟、ここ数年、耳にすることが増えました。「狩猟免許を持っている女性の愛称ですね。猟師が主役の漫画『山賊ダイアリー』の影響もあって、狩猟の認知度が最近少しずつ上がり、猟師がテレビで取り上げられる機会も増えています。猟友会に入っている人は全国に約10万5000人、うち女性は2127人(2018年現在)です」。猟師の免許を取ろうと思ったきっかけは。「岐阜に住んでいた7、8年前の冬、近所の方にシシ肉をいただきました。ぼたん鍋とシシ汁にして食べたところ、次の日の朝も足の指の先までポカポカしていて、体の調子が良くなりました。エネルギーがチャージされたような感覚でした。まだ子どもが小さく、料理の材料に無農薬や有機栽培の野菜を使うよう心掛けていた時期で、食の選択肢としてジビエがピタッと当てはまったんです。それがきっかけでいろんな肉があるんだなと知ることができました。シシ肉をくださったその方は猟師さんで、そこから自分で獲れないかと思ったのが最初です」。それで免許を。「その後、帰郷し、和歌山県猟友会に問い合わせ、猟師さんにお願いして猟に同行させてもらったり、獲ったイノシシをさばかせてもらったり。そして2015年、免許を取得しました」。和歌山県の猟友会に女性部ができたのは。「昨年10月です。都道府県の協会では大阪や福井など数えるぐらいしかないそうです。和歌山の女性部は現在、会員65人です。私はエステティシャンで、このほか農家の方をはじめ、看護師、大学の先生、会社員など多彩。普段は普通に仕事をしている方たちが所属されています」。女性部として初めてのイベントとなる「狩りガールフェスタ」を来週末に開きます。「盛りだくさんの内容です。まず、試食用にご用意するジビエカレーはフランス料理のシェフが腕を振るったもの。私たちも食べましたが、イノシシ肉のおいしさを堪能できる一品です。シューティングシミュレーターではスクリーンに映し出されるシカやイノシシを模擬銃で撃つ仮想体験ができます。狩りガールの体験談コーナーでは私もお話しします。9歳と6歳、2人の子どもと一緒にさばいていることなどを紹介する予定です」。参加者に伝えたいことは。「猟師は全国的に減っています。このイベントに参加して、すぐに免許を取ろう…とはならないでしょうが、鳥獣による農作物の被害、猟の世界、ジビエという食べ物、それらがつながっていて、遠いかなと思っていたけれど、身近なことなんだと感じてもらえる機会になればうれしいですね」。

(特別展「クマと生きる」、クマと人間の関わり紹介:青森)
縄文時代からのクマと人間の関わりの資料を集めた特別展「クマと生きる 資料でたどる人と熊」が10月5日から、八戸市博物館で開かれている。八戸地域におけるクマと人間の歴史を、縄文時代から現代までのクマの資料を紹介しながら、狩猟対象であるクマや、キャラクター化されたクマ、神聖な動物としてのクマなど、クマと人間の関係を多角的に読み解く同展。会場には、縄文時代に作られた岩手県文化財にも指定されている「クマ形土製品」やクマの歯でできた装飾品、マタギの使った銃ややり、クマの胆などの薬、木彫りのクマなどが展示されている。10月15日にはクマ限定の「ぬいぐるみお泊り会」も行われ、子どもたちからたくさんのぬいぐるみが集まった。11月3日の文化の日には、日本郵便のキャラクター「ぽすくま」が来館。期間中、ぬいぐるみやキーホルダーなど「Myクマ」を持って見学すると、粗品をプレゼントしている。特別展を見学した小学生男児は「クマの歯や手のひらが見られて面白かった。マタギの銃を持ってみたら重くてビックリした」と話す。同館学芸員の落合美怜さんは「今回の特別展で、クマとの関係を知り、今後クマとどのように接するか考える機会となればうれしく思う。目玉としては、秋田県のマタギが使ったマタギ資料も展示している。子どもから大人まで楽しめる内容になっているので、ぜひご覧いただきたい」と来館を呼び掛ける。

(小学校、キジ20羽を放鳥:三重)
三重県名張市薦生の市立薦原小学校で21日、6年生16人がキジの放鳥をした。同小の自然学習の一環。市猟友会が協力し、生後120~200日の計20羽を児童が大空へ放った。市猟友会の藤森俊一会長(71)によると、キジは昨年まで岐阜県産を放鳥していたが、今年は同県内で豚コレラが発生したことを受けて、万が一を考慮し、島根県で育てられたキジを放鳥した。藤森さんは「会員でキジを撃つ人は今はほとんどいない。子どもたちに国鳥となっているキジを身近に感じてもらえれば」と語った。メスを放鳥した寺戸陽菜さん(11)は「思っていた以上に力が強かった。この辺りではキジはよく見かけるが、これからは私が放鳥したキジかなと思って見てみる」と話していた。

(別府大に狩猟サークル誕生:大分)
別府市の別府大に「ジビエ料理研究会・狩猟サークル」が誕生した。農林業に有害なイノシシやシカなどの鳥獣駆除からジビエの活用までを学生たちが取り組む。8月には11人が「わな猟免許」を取得。うち3人が女子学生で、県内では珍しい〝わなガール〟としての活躍も期待される。県森との共生推進室によると、県内の狩猟者の7割以上が60歳を超える。狩猟免許所持者(昨年度末)は延べ5253人で、30代以下は6・9%にとどまる。女性も少なく、昨年度の合格者は9人だった。ジビエの流通も十分に進んでいないという。このような状況を踏まえ、食物栄養科学部発酵食品学科の加藤礼識(ひろさと)講師が「若い力を生かせないか」と同学部の学生に提案。学生たちが今年7月、サークルを結成した。22人が所属し、市内の有害鳥獣の狩猟や解体、ジビエのメニュー開発をしていく。市が新設した「市民活動支援補助金」で10万円の交付を受け、活動資金にする。わな猟免許は18歳以上が所得できる。11人は鳥獣の保護管理や法令、猟具の知識を問う筆記試験や技能試験などに合格。2年の佐藤穂(みのり)さん(21)と高橋佑季さん(19)、1年の平岡由衣さん(18)の女子学生を含む11人が、11月1日の狩猟解禁後に〝デビュー〟する。管理栄養士を目指す佐藤さん、高橋さんは「猟はなかなか経験できないこと。料理のレパートリーを広げ、将来の仕事に役立てたい」。部長で2年の清水雄太さん(20)は「ジビエの販売を目指したい。若い力で猟のイメージを変えたい」と意欲を見せる。加藤講師は「猟をしても、ジビエとして活用されず、そのまま処分されてしまう現状がある。猟とジビエ活用の両方ができる人材を育てたい」と話している。

(捕獲したクマやシカの肉を特産品に:秋田)
秋田県仙北市の田沢湖地方猟友会(菅原陽三会長、32人)が、狩猟や有害駆除で捕獲したツキノワグマなどの野生鳥獣肉(ジビエ)を一般販売しようと「田沢湖ジビエの会」を設立し、食肉処理加工施設を整備した。農作物被害の拡大が危惧されるシカやイノシシも扱い、ジビエを市の新たな特産品にしたい考え。収益は会員確保にも活用する方針で、狩猟者の減少を食い止める一手となるか注目される。県猟友会によると、県内の猟友会がジビエの加工施設を整備するのは初めて。農林水産省がまとめている全国の加工施設一覧でも、県内には北秋田市の精肉店しかない。加工施設は同市田沢湖生保内の会員宅敷地内に先月完成した。木造平屋建て29・51平方メートルで、解体室と食肉処理室、包装室、総菜調理室などがある。食肉処理室には冷凍庫や冷房設備を備えた。整備費は約600万円で、市が150万円を補助した。先月末に食品衛生法に基づく食肉販売業と食肉処理業などの許可を取得しており、現在は試験的に稼働させている。当面は地元業者に肉を卸して缶詰を製造し、販売する。生肉の販売も徐々に始めるほか、加工品も開発する方針。

(四国ジビエグルメフェスタ盛況:高知)
シカやイノシシなど野生の鳥獣肉料理を楽しむ「第8回四国ジビエグルメフェスタ」がこのほど、高知県長岡郡大豊町中村大王の「ゆとりすとパークおおとよ」で開かれ、県内外から訪れた1858人でにぎわった。来場者の投票で選ばれる「ジビエ1グランプリ」には「べふ峡温泉」(香美市)が輝いた。ゆとりすとパークおおとよやジビエを扱う飲食店、高知大学地域協働学部などでつくる嶺北ジビエ実行委員会の主催。14日は高知、愛媛、香川の3県から18店舗が集まった。そのうち16店がシカ肉カレーライスパンやしし汁、カモ肉のソテー、キジ肉コロッケなどを販売した。

(「みえジビエフェア」:三重)
三重県内でジビエの加工食品を生産する事業者などでつくるNPO法人「みえジビエ推進協議会」は11月から、県産ジビエの消費拡大を目指して「みえジビエフェア」を開く。豚コレラの風評被害がジビエに及ぶことが懸念されるため、フェアでは試食などを通じて安全性も訴えたい考え。協議会の関係者らが18日、県庁で渡邉信一郎副知事に開催を告知した。協議会によると、フェアは県産ジビエの認知度向上や消費拡大を目指し、五年前から狩猟解禁の時期に合わせて開いている。今回は県内で野生イノシシの豚コレラ感染が確認されたことなどから、ジビエの風評被害対策も目的の一つに位置付けることにした。

(イノシシ肉の角煮食べて:鳥取)
米子工業高等専門学校(米子市彦名町)の学生が、県産の野生鳥獣肉・ジビエのPRに取り組んでいる。冬場に人気があるイノシシ肉を夏季に多く食べてもらえるよう、脂身が少ないもも肉を使用した角煮を考案。19日に米子市内で地元食材を味わうイベントに出店し、来場者に振る舞った。

(高速道のシカ肉料理、ナンバーワンは:北海道)
NEXCO東日本北海道支社などは21日、高速道のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)で提供するエゾシカ料理のコンテストを開いた。開発された計7品は22日から販売する。8回目の今年は札幌市中央区のサッポロファクトリーであり、岩見沢、輪厚、有珠山、砂川、金山の各SA、PAが参加。高タンパク質、低脂質でヘルシーとされるシカ肉を創意工夫でめん類や汁物にした。優勝は輪厚PA(下り線)の「鹿肉(がぱお)風あんかけ飯(はん)」。ひき肉のうまみや生卵を混ぜて食味を変えられる点が高評価を受けた。「もみじ」とも呼ばれるシカ肉。秋の行楽で味わうのにはぴったりかも。

(超音波で害獣被害を防ぐIoT対応機器:兵庫)
イーマキーナ株式会社(神戸市中央区、代表取締役 藤井誠)は、超音波で害獣をよせつけないIoT対応機器「Evasi(エバジー)」を令和元年10月19日より「全額返金保証キャンペーン」での販売を開始致します。近年、SNS等で害獣(特にネズミ)の被害が話題になっております。当社としましては、深刻な害獣被害を軽減すべく、対策の必要性を感じております。多くのお客様から、購入前にまず試してみたいとのお声を頂き、令和元年10月18日~12月25日まで「60日間お試し全額返金保証キャンペーン」を開始致します。本製品は、ネズミやイタチ、アライグマ、ハクビシンなどの小動物の嫌いな、人間にはほとんど聞こえない音(超音波)により、その場から追い払う、またはよせつけない製品です。害獣の被害にあっている現場を1件ずつ確認し、材質やサイズ、機能など、試行錯誤を重ねて製品に反映させました。害獣は徐々に減少していく為、約6週間で効果を実感頂けると思います。万が一、ご購入後効果がでない等ご満足頂けない場合は、60日間であれば、商品代金及び消費税を全額返金させて頂きます。

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10/18
(家屋への浸水で銃器流失相次ぐ:栃木)
台風19号による家屋への浸水により、栃木県内では銃器の流失が相次いだ。警察が捜索するとともに、発見者に届け出るよう呼びかけている。茂木署は15日、茂木町大畑の男性(74)から散弾銃1丁の紛失届があったと発表した。男性は12日深夜、自宅が浸水したため保管庫から散弾銃を移動させようとした際、アタッシェケースに入った状態の銃が水に流されたという。また県警鹿沼署によると、鹿沼市下粕尾の男性(84)方で空気銃2丁と弾丸が流された。男性は12日夕方に親族宅へ避難し、14日朝に戻ったところ空気銃などが流されたことに気付いて同署に届け出た。このうち空気銃1丁と弾丸19発は15日朝、片付けをしていた際に家の外で見付かったが、残る1丁は見つかっていない。

(散弾銃、竹林で発見:栃木)
茂木署は15日、紛失届けが出ていた散弾銃1丁が発見されたと発表した。同署によると、同日午後2時15分ごろ、茂木町大畑の竹林内で、捜索していた警察官がケースに入った散弾銃を発見したという。発見現場は、紛失場所から南東約300メートルの地点。

(被害金額は約158億円、野生鳥獣による被害状況)
農林水産省は、10月16日、平成30年度の野生鳥獣による農作物被害状況について、都道府県からの報告を基にして、全国の被害状況を取りまとめ公表した。なお、都道府県は、市町村からの報告を基に把握している。鳥獣による平成30年度の農作物被害は、被害金額が約158億円で前年度に比べ約6億円減少(対前年4%減)、被害面積は約5万2000haで前年度に比べ約1000ha減少(同3%減)、被害量が約49万6000tで前年に比べ約2万1000t増加(同4%増)した。主な獣種別の被害金額については、シカが約54億円で前年度に比べ約1億円減少(同2%減)、イノシシが約47億円で前年度に比べ約1億円減少(同3%減)、サルが約8億円で前年度に比べ約1億円減少(同12%減)している。被害金額の推移を見ると、平成22年度の239億円から30年度は158億円と約3割減少しているものの、なお深刻な被害をもたらしている。

(シカ増加、肉供給減を懸念:北海道)
19日の狩猟解禁を前に、十勝管内の関係者が気をもんでいる。昨年11月に恵庭市で起きた猟銃誤射による死亡事故の措置で、今季も道内の7割近い森林で平日の狩猟が禁止されるため。ハンターからは「山に入る人が減り、エゾシカが増える」と懸念の声が出ている。「管内では過去数十年、事故はない。1人が起こした事故でハンターの連帯責任になるのはおかしい」。道猟友会帯広支部の月安謙治支部長はそう憤る。道森林管理局と道は「事故の再発防止の取り組みはいまだ途上にある」として、道内の国有林と道有林で、有害鳥獣捕獲などを除く猟銃による狩猟を、森林作業が見込まれる平日に禁止する。管内で銃器の狩猟免許を持つ人は約720人。昨季の規制は1月中旬に始まったが、今季は解禁日から規制されるため、シカ猟への影響は必至だ。道内の森林面積約554万ヘクタールのうち、国有林が占める割合は55%、道有林は11%。管内の道有林は「安全狩猟モデル地区」に指定されているため、例外的に平日の狩猟が認められるが、月安支部長は「車で通れない林道が多く、猟ができる場所はわずか」と話す。そのため、ハンターは休日の国有林に集中するとみて、「猟場に人が多くなり、逆に危なくて行けない」と危惧する。管内のエゾシカによる農林業被害は2012年度以降は減少傾向にあるが、「規制によって捕獲数が減り、またシカ被害が増えるのでは」とする。規制によって、人気が高まってきたシカ肉の供給が減る懸念も。シカ肉販売のエゾの杜(池田町)の三坂一茂社長は「4~9月は有害鳥獣として駆除されたシカ肉がかなり入ってきたが、9月以降減っている。規制がどう影響するのか不安だ」と話す。上田精肉店(新得町)の上田隆史社長も「シカ肉の3分の2は地元ハンターを中心に仕入れている。もともと休日に猟に出る人が多いが、仕入れ量は例年の2割減くらいになりそう」と見込む。

(アライグマ駆除、通年に拡大へ:北海道)
アライグマの農業被害が後を絶たないことから、道は、繁殖期の4月から6月に集中的に行っている駆除を、期間を拡大し年間を通して行う方針です。道によりますと、道内では外来種のアライグマが農作物を食い荒らす被害が年々増加していて、平成29年度の被害額はおよそ9800万円に上っています。このため道は、アライグマが繁殖期を迎える4月から6月を推進期間として市町村や猟友会と連携しながら集中的に駆除を行い、年間1万6000匹以上を駆除していますが、対応は追いついていないということです。ここ数年は冬場でも酪農家で家畜のエサが食べられるといった被害も増えていて、道は推進期間だけでなく年間を通して駆除を行う方針です。道は、外部業者に委託することも含めて態勢の検討を進め、必要な予算措置を行うということです。道生物多様性保全課は「期間を限定した捕獲だけでは追いつかないほど生息数が増えている。今後は専門家と相談しながら地域ごとの実情にあった対策を検討していく」と話しています。

(台風で山帰れず?街中にイノシシ:栃木)
17日午前9時10分ごろ、栃木県足利市の東武伊勢崎線福居駅で、20代の女性が突然ホームに出てきたイノシシに手をかまれてけがをした。市内では14日と17日に、この女性を含む計6人がイノシシに襲われ負傷。市によると、台風19号の大雨で渡良瀬川が増水し、山へ戻れなくなったイノシシが迷い込んだ可能性があるという。県南部では小山(おやま)市や栃木市でも市街地でイノシシが目撃され、県が注意を呼び掛けた。足利署によると、17日午前9時20分ごろには、福居駅近くの路上で自転車に乗っていた男子高校生にイノシシがぶつかり、約15分後には駆け付けた30代の男性警察官も右太ももをかまれた。同11時ごろ、約2キロ離れた住宅の庭に入ってきたイノシシを住人の男性(72)が消防署員と捕獲。男性は手や膝にけがをした。イノシシは猟友会が殺処分した。

(イノシシ駅構内で走り回る、女性が顔や腕にけが:香川)
13日午前9時40分頃、高松市の路上で、女性(84)がイノシシに体当たりされ、転倒した。イノシシはそのまま近くのJR高松駅の構内に侵入し、駆けつけた香川県警高松北署員に捕獲された。女性は顔や腕などにけがを負ったが、命に別条はないという。発表では、同日午前9時25分頃、JR高松駅の北約350メートルの高松港で、「イノシシが海を泳いできて陸に上がった」と通行人から同署に通報があり、その後、市街地を走り回っていたという。

(イノシシに襲われ2人けが:栃木)
14日午後5時ごろから、足利市内で、イノシシに襲われ女児(9)と男性(50)の2人が負傷した。足利署によると、女児は同日午後5時10分ごろ、同市堀込町の公園でイノシシと遭遇、驚いて転倒したところ、追いかけてきたイノシシが衝突し、しりなどを挫創したという。男性は午後5時半ごろ、同市福居町の店舗で、突然店舗内に現れたイノシシに衝突され右肩鎖骨を折った。イノシシは2件とも体長約1メートルだった。

(クマに襲われた?帰宅中の女性が大けが:石川)
15日夕方小松市の山あいにある会社の敷地内で家に帰ろうとしていた女性がクマと見られる動物に襲われ大けがをしました。15日午後6時前小松市長谷町にある会社の敷地内で従業員の60代の女性が戸締りをして家に帰ろうとしていたところ、後ろからクマと見られる動物に襲われました。女性は頭に深く傷を負い左太ももの骨を折るなど全治3か月の大けがをしました。女性はこの動物を見ていませんが、近くでは今年に入って複数回、クマの目撃情報が寄せられていたという事です。小松市では、猟友会や警察などとともに付近の警戒にあたり、不用な外出を避けるなど注意を呼び掛けています。

(男性がクマに襲われ右手にけが:山形)
17日午前8時半ごろ、山形県米沢市木和田で、無職男性(73)がクマに襲われ、右手などにけがを負った。命に別条はないという。米沢署によると、男性は家族に「マツタケを取りに行く」と言って家を出ていた。襲われたのは自宅近くの市道上で、男性は右手を3、4回かまれて転倒し、頭を打った。現場は民家が点在している地域。

(クマとぶつかって転倒:富山)
十七日午前六時十五分ごろ、富山市二松で、犬の散歩をしていた近くの女性(74)が飛び出してきたツキノワグマとぶつかり、頭や左腕などに軽い擦り傷を負った。富山県内でクマに襲われてけがをしたのは二〇一九年度に四件目。県自然保護課によると、クマは付近を流れる急滝川の河川敷の茂みから急に出てきた。女性は転倒したが、自力で自宅に戻った。成獣とみられるクマは見つかっておらず、市と地元猟友会が注意を呼び掛けている。近くの大沢野中学校では、下校時間帯に二松周辺を職員が巡回した。

(クマに襲われ4人けが:新潟)
18日午後0時20分すぎ、魚沼市の民家の敷地内でクマに襲われてけがをした人が倒れていると消防に通報がありました。消防などによりますと、クマは住宅街を移動しながら次々と人を襲い、これまでに4人が頭などにけがをして病院に運ばれたということです。いずれも重傷のもようです。クマは現在も住宅街にいて、警察や猟友会が警戒にあたっています。近くには小学校や保育園があり、魚沼市は付近の住民に屋外に出ないよう呼びかけています。

(豚コレラワクチン接種、知事判断で実施:長野)
農林水産省は15日、豚コレラ対策で実施する豚へのワクチン接種に向けて防疫指針を正式に改定した。長野県など農水省が選定した「接種推奨地域」の10県の知事判断で実施できるようになる。早い県では10月中にも接種が始まる見通し。一方、台風19号を受け、ウイルスを媒介する野生イノシシなどの侵入を防ぐため農場に設置している防護柵に破損がないかどうか、緊急点検するよう全国の都道府県や関係団体に指示した。防疫指針は農水省の有識者会議が10日に改定案を了承していた。ワクチンの接種推奨地域は飼育豚や野生イノシシの感染が確認された長野、群馬、埼玉、富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀の10県。各県の知事は具体的な接種地域などを盛り込んだプログラムを作成し、農水省の確認を受けた上で接種実施を最終判断する。長野県農政部は15日、「10月下旬にワクチン接種を始められるよう準備を進める」と改めて説明。県内全域の養豚農家が飼育する豚を対象に実施する予定で、今後、具体的な接種地域の範囲や必要となるワクチン数量などを盛った接種プログラムを農水省に提出し、確認を受けた上で接種を始める計画だ。豚コレラとは別の家畜伝染病で、アジアでの感染が拡大しているアフリカ豚コレラの防疫指針も改定した。国内にウイルスが侵入した際に迅速に対応するため都道府県の検査体制を強化。これまで感染が疑われるケースが発生した場合、国の研究所でしか検査できなかったが、都道府県でも実施できるようになる。また内閣府の食品安全委員会は、今回接種するワクチンとは別の新しい「マーカーワクチン」について、接種した豚の肉や加工品を食べても安全とする専門調査会の評価案を了承した。農水省は感染防止の効果を検証し、有効性が確認できれば豚への接種に活用する方針。ただ海外でも使用の前例がないなど課題も多い。

(豚コレラワクチン5万2000頭:岐阜)
農林水産省が豚(とん)コレラの予防的ワクチン接種に向け防疫指針を改定した15日、岐阜県は県内での接種体制や手順を具体的に定めた接種プログラムを同省に提出した。今月中にも獣医師らが県内全域の18農場などで一斉に接種を始める。対象は飼育されている豚とイノシシ計約5万2千頭で、多くの農場では1~2日間で終える見込み。県によると、優先して接種するのは18農場に加え、研究用の豚14頭がいる岐阜大、種豚5頭を隔離している海津市の県施設の計20カ所で、同じ日に接種を始める。うち約3万頭を飼育する高山市の大規模農場のみ、5日間程度かかる見込み。愛玩用として豚やイノシシを飼う17戸は、農場などを終えてから接種する。接種は獣医師ら5人を基本とする班で、1班当たり千頭を担当する。各施設の防疫体制を確保するため、班は複数の施設を兼務しない。県の獣医師約150人や、民間の獣医師約30人のほか、必要に応じて他県にも応援を要請する。県の試算では、千頭への接種は8時間ほどかかるという。ワクチンは生後30日超の豚に接種する。新たに生まれた豚への接種が必要となるため、初回以降は毎月1万1千頭への接種が必要だと見積もった。抗体ができるまで約2週間とされており、確認のための血液検査も併せて進める。事業費は検査も含め約6千万円で、当面は国と県が2分の1ずつ負担。初回の約5万2千頭は農家が負担する1頭当たり310円の接種手数料を免除する方針。農水省はプログラムを確認し、県へのワクチン譲渡などの手続きに入る。古田肇知事は「ワクチン接種を迅速に実行しながら、(防疫体制の確立など)さまざまなことに抜かりなく取り組みたい」と述べた。また県は、豚コレラの感染が確認され、飼育豚全頭を殺処分した養豚場20施設のうち初めて、瑞浪市内の養豚場が経営を再開したと発表した。2月に感染が判明、5765頭を殺処分した同養豚場は再開に向けて6月から飼育し始めた。試験的な出荷も実施し、今週から週に80頭の安定的な出荷ができるようになった。

(豚コレラ、ワクチン全頭接種へ:三重)
豚コレラ対策で実施される豚へのワクチン接種に向け、県は15日、県内で飼育されている全10万3000頭を対象にしたワクチン投与計画をまとめた接種プログラムを国に提出した。プログラムの内容について了承が得られ次第、早急に接種を開始し、今月中にも完了させる予定。16日の県議会代表質問に答え、前田茂樹農林水産部長が明らかにした。プログラムは、国が15日に豚コレラの防疫指針を改定したことを受け、提出した。

(豚コレラのワクチン接種へ、対象は27万頭強:愛知)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染拡大を防ぐため、愛知県の大村秀章知事は15日、県内の豚にワクチンを接種する意向を示した。この日、県内の養豚関係団体などから接種の要望を受け、「覚悟の選択だと受け止める。愛知県内全域で接種することを決断し、速やかに実行していきたい」と述べた。ワクチン接種について、大村氏はこれまで養豚農家や食肉流通業者などすべての関係者の合意がないと難しいとしてきた。今回、関係団体の合意が得られたほか、新たな防疫指針で豚肉などの流通が制限されなくなったこともあり、接種に踏み切った。愛知県によると、県内で対象となる豚は199農家の27万頭強。野生イノシシの感染が確認されている地域から今月下旬に接種を開始するといい、費用は当面、国と県で負担する。県内ではこれまで約6万5千頭の豚が殺処分された。農林水産省がまとめた新しい防疫指針では、イノシシや飼育豚で感染が確認されたエリアを「接種推奨地域」に選定。各知事の判断で接種できるようにした。愛知のほか、岐阜や三重、群馬、埼玉など10県が対象で、このうち、愛知以外の9県は既に接種の意向を示している。今後、接種計画を具体的にまとめた「接種プログラム」を作り、農水省が承認すると接種が始まる。ワクチン接種後は生きた豚や受精卵などの移動・出荷は原則、接種地域内に制限される。豚肉や加工品の流通は制限されない。

(野生イノシシ捕獲強化、目標1万頭超:群馬)
県は、豚(とん)コレラの主な感染経路である野生イノシシの捕獲強化に乗り出す。全県を5キロ四方に分けて、野生イノシシの生息状況などの情報を基に「捕獲重点エリア」を戦略的に設定。令和元年度末までに1万頭超を捕獲する目標を掲げ、感染の元を絶つことで蔓延(まんえん)防止を図る。豚コレラは、ウイルスを持つ野生イノシシと豚の接触などによって感染が広がる。県内では既に野生イノシシ計3頭の感染が判明し豚への感染リスクが高まっており、県は感染源の野生イノシシ対策が急務と判断した。具体的には全県を5キロ四方に分けた地図を作成。地点ごとに、過去の野生イノシシ捕獲歴▽生息可能性の高さ▽イノシシの動線や侵入経路-などに加え、養豚場の位置情報も加味し重点的に捕獲を進めるべきエリアを色分けした。エリア内で野生イノシシを集中的に捕獲。高まりつつある感染拡大リスクを速やかに抑え込む必要があるため、やみくもな捕獲ではなく、エリア設定という戦略的手法で効率性の低下を回避する。県は狩猟者向けの奨励金を増額するほか、市町村へわなの購入費用も補助するなど財政面で後押しする。これらの費用や豚へのワクチン接種経費など緊急対策に関する補正予算案は10日の本会議で可決された。

(高森でもイノシシ感染、新たな監視対象に飯田と喬木の3施設:長野)
県は11日、下伊那郡高森町で死んだ状態で見つかった野生イノシシ1頭の豚コレラ感染を確認したと発表した。同町での確認は初めて。発見地点から半径10キロ圏内にある飯田市と同郡喬木村の養豚場3施設が新たに監視対象農場になった。県内の監視対象農場は計18施設に拡大した。新たな3施設は、飯田市が1施設、喬木村が2施設。県は12日にかけて3施設に立ち入り検査をしている。11日の聞き取り調査ではいずれも異常は確認されていない。監視対象農場は異常な豚の有無を県に毎日報告することなどが求められる。県内の感染イノシシは計122頭になった。発見地点から半径10キロ圏内でより厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域に入る自治体は中南信の32市町村で変わらない。

(豚コレラ対策で6市町連携:群馬)
豚コレラ対策で連携を図ろうと、6市村の首長らによる「赤城山周辺自治体連絡会議」が15日、前橋市役所で開かれ、野生イノシシの捕獲を強化するなど情報を共有した。

(野生イノシシの捕獲の推進・強化など支援を求める:埼玉)
埼玉県の大野元裕知事、埼玉県議会畜産振興議員連盟の神尾髙善会長(県議会議長)らは8日、江藤拓農水相に豚コレラ対策について要望書を提出した。要望書では豚コレラワクチンについて、可能な限り広域的かつ予防的ワクチンの接種の実施、都道府県において迅速にワクチン接種を実施するために、家畜防疫員の確保やワクチン接種に係る財政的な支援を求めた。またワクチン接種した豚の流通について、と畜場での取り扱いや豚肉の流通などについて、不利益的な取扱いをされないよう担保することや、ワクチン接種した豚については風評被害なども想定されることから、養豚農家を守るために、経営への影響緩和に最善を尽くすなど養豚農家の経営安定も要望した。野生イノシシ対策では、飼養豚への感染リスクを低減させ、予防を図るためにも、野生イノシシの捕獲の推進・強化などの支援を求めた。大野知事は江藤農水相に対し「埼玉では関東で初めて豚コレラが発生した。養豚業者をはじめ関係者の努力、国と二人三脚で何とか止めたい。廃業を余儀なくされると感じている農家も多くいる。埼玉県では6次産業化に先進的に取り組んでいる業者もおり、県内で生まれた豚を東北で肥育し、埼玉で製品にしている。自助努力で行っているが、ルートが断たれることになる。農水省が支えてきた儲かる農業を途絶させてはいけない。養豚業を救ってほしい。埼玉のみならず関東の豚を救ってほしい。ワクチンにより非清浄国になるが、アフリカ豚コレラにより、生の豚を持ってこられるのは台湾くらいしかない。ここで封じ込めることが輸出のチャンスになる」と述べた。江藤農水相は「ワクチン接種を決めたが、全ての解決策だとは思っていない。飼養衛生管理基準をしっかり守り、農家の意識を高め、発生が横に広がらないようにしていく。カンボジアではワクチン接種豚であっても日本の豚肉輸出を受け入れる。それだけ安全である。ワクチン接種をしても安全で、味覚的にも問題ない」と応えた。神尾会長は「県内には生産農家が83軒・9.4万頭いるが、後継者がいる農家は風評被害に困惑している。ワクチンを早く打ちたいのが切実な願い。生産農家が今後生産を増やせるような環境を整えていく必要がある」と述べた。江藤農水相は「アフリカ豚コレラが猛威を振るっている。中国では豚価が1.8~2倍に急騰している。豚コレラワクチンを打ったから、安心と思うと、ASFが迫っている。ワクチンを打っても飼養衛生管理基準が揺るがないことを徹底してほしい。今後を考えると、豚肉の引き合いは国内外で強くなると思う。養豚農家が国内外の要求に応えられるように、生産体制の基盤強化をしていく」と述べた。

(3例目の豚コレラ確認:埼玉)
埼玉県は11日、本庄市の養豚場で豚コレラの感染が確認されたと発表した。飼育豚の感染は、秩父市、小鹿野町に続き、県内3例目。この養豚場のほか、管理者が同じ神川町の養豚場の豚も含めた2000頭以上を殺処分する。台風19号の影響で、殺処分開始は14日となる見込み。

(隣県群馬で感染野生イノシシ、農家逼迫:栃木)
豚コレラの感染が隣の群馬県まで迫る中、飼育数約40万頭の養豚県・栃木でも農家の緊張が高まっている。本州外への豚の出荷が一部で既に敬遠されている上に、養豚場で発生すれば場内の全頭殺処分は免れない。農家はウイルス侵入を防ぐ手立てを講じながら、ワクチン接種の実現も訴えている。「県内でも感染が確認されるのは、もう時間の問題だ」。小山市や茨城県古河市など3カ所の養豚場から年間約2万6000頭を出荷する舘野畜産(栃木市)の舘野哲夫社長(70)は語る。感染した野生イノシシが見つかった群馬県藤岡市から小山市内の養豚場まで60きろ程度。舘野社長は「栃木と群馬の間は出荷などで人や車の行き来も多い。イノシシだけでなく、そうした人の流れで感染してしまうのではないか」と心配する。舘野畜産は以前から、豚舎に窓を設けず、周りも高さ約3メートルの柵で完全に囲んで小動物の侵入に対策してきた。外部の人が入る場合はシャワーを浴びて服を着替えるよう義務付け、入り口には車両を消毒するポイントもある。関東で感染が広がる中、消毒用の消石灰も新たに入り口にまき始めた。「これまでも防疫にはかなり力を入れてきた」と自負するものの、「ネズミなど完全には防げないし、(ふんや肉に靴で触った人などが誤ってウイルスを持ち込んでしまう)ヒューマンエラーもないとは言い切れない」と不安もよぎる。「全頭処分なんて、考えただけでぞっとする。感染を食い止めるためにも関東全体で足並みをそろえたワクチン接種が必要」と訴える。星種豚場(那珂川町)を経営する星正美さん(66)は「風評被害は既にある」と話す。県内では珍しい繁殖用の種豚(親豚)を出荷する同社では、埼玉県まで感染が広がった9月以降、栃木では発症が確認されていないにもかかわらず、北海道の卸先から取引をキャンセルされた。同社から4頭購入予定だったのを取りやめた香川県畜産試験場の担当者は「豚コレラが東海から関東に広がっている状況から今の時期は大事をとって種豚自体の取引を行っていない」と話す。星さんは「ワクチンを打つことで消費者離れによる価格低迷も起こりうる」とデメリットも認識しているが、「特に種豚の飼育で全頭殺処分となれば、一から血統を掛け合わせなければならず、すぐに再生するのは難しい。農家の存続を第一に。価格の低迷などはその後、対策できるものだ」と切実に語る。感染リスクを避けるため畜産イベントも中止されている。県は、約250頭の豚を飼育する県畜産酪農研究センター(那須塩原市)で26日に予定していた恒例の触れ合いイベントを中止した。担当者は「養豚施設内に畜産関係者や一般の人たちが多く集まるリスクを考慮した」と説明する。同時開催の「県酪農フェア」と「県ホルスタイン共進会」(いずれも県酪農協会主催)も中止が決まった。

(豚コレラ感染のイノシシ、新たに2頭確認:群馬)
野生のイノシシへの豚コレラの感染が相次ぐなか、新たに群馬県藤岡市と南牧村で豚コレラに感染したイノシシがそれぞれ1頭ずつ確認されました。今回の感染の確認によって、監視対象となる県内の養豚場は4つ増えて、17となりました。群馬県によりますと、10月中旬、藤岡市内のゴルフ場で死んでいたイノシシと、南牧村の山林で捕獲されたイノシシについて遺伝子検査をした結果、いずれも豚コレラの感染が確認されたということで、これで県内で感染が確認されたイノシシは合わせて5頭になりました。県はイノシシが捕獲された場所から半径10キロ圏内の養豚場を監視対象にしていて、今回の確認によって、監視対象の県内の養豚場は13から17に増えました。県は17日、追加された養豚場への立ち入り検査を実施した結果、飼育されているブタの健康状態や防疫対策について異常がないことを確認したということです。

(豚コレラのワクチン、24日にも接種開始:石川)
石川県は18日、豚コレラ緊急対策警戒本部会議を県庁で開き、豚へのワクチン接種を早ければ24日に始めると明らかにした。県内全15養豚場の約2万1千頭が対象。谷本正憲知事は「ワクチンを接種すれば万全だということではない。これからも緊張感を持って対応していく」と述べた。県によると、県内の養豚場は、かほく市以北の能登地域にあり、同市の養豚場から実施して約10日間で終える予定。公園で展示されているイノシシやペットとして飼われている豚も対象となる。ワクチンの接種地域や必要な数量などを盛り込んだプログラムは15日に農林水産省に提出した。石川県では感染した野生イノシシは確認されたが、養豚場では発生していない。

(鳥獣害減の使命果たす、憲章で役割明文化)
大日本猟友会は16日、東京都千代田区で法人設立80周年記念式典を開いた。狩猟者や猟友会の在り方や理念を初めて明文化した「猟友会憲章」を制定。鳥獣害対策や豚コレラ対策で猟友会の果たす役割の重要性が高まっていることを踏まえ、狩猟を通じた農林漁業の被害防止などに取り組んでいくことを確認した。農水省や環境省から同会に初めて感謝状が贈られた。「猟友会憲章」は(1)野生鳥獣の適正管理や住民の安全確保(2)狩猟文化の保存や継承(3)担い手育成(4)野生鳥獣に関する調査研究活動への積極的な協力──など7項目を記した。同会は憲章を式典で発表し、今後憲章を基軸に使命を果たしていく方針だ。式典では、野生鳥獣の管理やジビエ(野生鳥獣の肉)、地方創生の推進など同会の社会的な意義が高まっているとして、環境省や農水省が感謝状を授与した。安倍晋三首相がメッセージを寄せた。大日本猟友会の佐々木洋平会長は有害鳥獣や豚コレラ対策への責任が高まっていることを強調した上で、「戦後、趣味としての狩猟が定着してきたが、近年は社会的な役割が期待されている。今後対策を進めていく」とあいさつした。

(クマと貨物列車が衝突:新潟)
10日午後8時ごろ、新潟県村上市柏尾のJR羽越線の柏尾踏切付近で新潟発札幌行きの貨物列車がクマと衝突した。乗員にけが人はおらず、付近でクマが死んでいるのが見つかった。JR貨物新潟支店などによると、事故の影響で柏尾踏切の遮断機が下りたままとなり、柏尾と猿沢を結ぶ林道が約2時間通行止めになった。

(クマの目撃情報、17件に:京都)
京都市左京区と北区で野生のクマの目撃が相次いでいる問題で、10日午後午後8時50分ごろにも左京区八瀬近衛町付近の路上で、道路を横切るクマを目撃したとの通報があった。京都府警下鴨署によると、同じクマかどうかは分からないという。左京区では同日早朝に16件のクマ目撃情報が府警によせられ、小学校2校が休校。北区鷹峯北鷹峯町の鷹峯小グラウンド付近でもクマらしき動物の目撃情報があり、同小は保護者が付き添って下校する対応を取った。

(里へ下りてきたクマがカキを食い荒らす:新潟)
新潟県三条市三条地区で10月11日、クマがカキの実を食べたあとが見つかった。三条地区でのクマの出没情報はこれで今年度3回目、秋になってからは初めてで、三条市は防災無線で放送するなどしてクマに注意を呼びかけている。クマが現れたのは、三条パール金属スタジアムに近い月岡四丁目地内の集落内にある市立岡ノ町児童遊園地となりの岡村刃物の作業所裏のカキの木。3本の甘柿の木が並んであり、実が大きくなるようにそれぞれ25個ほどを枝に残し、ほかは間引いていた。10日の仕事あがりに見たときは、実があるのを確認しているが、翌11日朝になって食べられたことに気づいた。3本のうち真ん中の1本はカキが3個だけ残り、ほかの2本は見事に1個残らず食べられてなくなっていた。70個もカキを食べられたことになり、1頭の仕業ならその食欲にも驚かされる。幹の付け根から折れた枝もあり、近くにふんも残されていた。11月に収穫するのを楽しみにしていた男性は「あーあ。こんなことになるとは思わんかった。毎年、近所の人におすそ分けしてたのに、ことしはもうだめ」とがっかりだ。「色の付いたのを食って、くそまでして」と怒り心頭。「来年は場所を覚えてまた来ると言うし」と、文字通り味をしめたクマガ再び食べに来るのではと、今から心配している。冬眠前のクマのえさとなるドングリは周期的に豊作と凶作を繰り返し、ことしは不作の年にあたった。そのため、早くからえさを求めてクマが里へ下りて来ることが心配されたが、その通りになっている。三条市でのクマの出没情報のほとんどは山手の下田地区で、平場の三条地区での出没情報は2016年度以来3年ぶり。今年度の出没情報は下田地区で52件にのぼり、平場の三条地区では今回で3件目。三条地区では6月22日に如法寺で目撃情報、7月25日に月岡でふんが見つかっている。

(猟銃でイノシシの駆除に成功:新潟)
10月9日、10日とイノシシが目撃された新潟県燕市の分水地区で、11日はより市街地に近い燕市役所付近にイノシシ1頭が現れた。人に危害を加えるおそれが高まったため、猟銃で撃って駆除した。11日にイノシシが現れたのは、北越工業株式会社の裏手、野本地内付近の水田地帯で、市役所から1.5kmほどの所。午前8時前から目撃情報があった。燕市職員と燕署の警察かも出動。野本の集落を超えてやってきたと思われた。これまでより市街地に近づき、人に危害を加える可能性が高まったため、燕市は猟銃による駆除を決断。地元の猟友会に応援を要請した。イノシシは逃げ回ったが、ダイズ畑の中に追い詰め、そのまま1時間ほど小康状態が続いた後、再びイノシシが民家の方へ向かったため、猟友会会員が10メートル足らずの至近距離にいるイノシシに猟銃を撃ち、午前11時23分、駆除に成功した。イノシシはメスで体長約50センチ、体重は猟銃会によるると約20kg。10、11日と分水地区で目撃されたものと同じイノシシと思われ、ひと安心だ。ただ、ことし7月にも分水地区でイノシシ1頭の死体が見つかったが、それとは別に今回のイノシシが現れた。イノシシは繁殖が高く、ほかにもイノシシがいると可能性が高い。10日はイノシシが信濃川を軽々と泳いで渡ったようすが目撃されているだけに、またいつ分水地区に姿を現すとも限らない。燕市では、今後もイノシシが現れることを想定し、地元とも協力して対応を図りたいとしている。

(狂暴サルに注意:神奈川)
小田原市内では10月上旬、板橋地区の建造物にサルが侵入し屋内を荒らす深刻な被害が発生。窓を開けて侵入、時には人に向かってくるという狂暴サルに要注意だ。現在、板橋、早川、風祭などのエリアで人家侵入や人への危害を加えているのはS群のサル2頭。箱根町の須雲川周辺に生息していたことから「S」と名付けられた群れは、凶暴性が高いことから2017年度に「管理困難な群れ」に位置付けられた。全頭捕獲と個体数調整(殺処分も認可)が行われており、今年6月に2頭が捕獲され、群れは残り2頭になった。市は猟友会に通年で、サルの監視と追い払いを委託。猟友会のメンバー8人が2人1組となり、毎日、朝から夕方まで活動している。市の担当者は「屋外に餌がなくなる時期になるとサルが降りてきます。家への侵入を防ぐためには必ず施錠をしてください」と話す。市によるとサル被害を防止するには▽窓や引戸に鍵をかける▽目を合わせない、目を合わせてしまったら背中を見せないで後ずさりしながら遠ざかる▽餌を与えたり餌になるものを屋外に置かない▽近寄ったり大声を出さない。

(イノシシの群れが避難か「人間以上の危機管理?」:千葉)
台風の影響でしょうか、イノシシの群れが利根川を泳いで渡ってきました。13日午前6時ごろの千葉県柏市。増水した利根川に浮かぶ黒い影。しばらくすると、川を渡ってきたのでしょうか、10頭ほどのイノシシたちが川岸へ上がってきました。:「何かなと思っていたんですけど、結構大きいイノシシがたくさん出てきたので驚きました。動画を撮っていても、全然こっちの方を向いたりとかもせずに走って行っちゃったので、急いでいるなという印象があった」まさに「猪突猛進」で駆け抜けていったイノシシたち。この様子がツイッターに投稿されると大きな話題となりました。近くにイノシシのねぐらとなりそうな山などはなく、イノシシがどこから来てどこへ行ったのかは不明です。:「台風になって野生動物がかなり出てきていたので、動物も大変だったんだなと思いました」

(札幌駅近くのマンションにシカ:北海道)
16日午後2時45分頃、札幌市中央区北5西8、マンション「ラ・トゥール札幌伊藤ガーデン」の敷地内で「シカが走り回っている」と住人が110番した。札幌中央署員らが駆けつけたところ、オスの成獣とみられるエゾシカ1頭が、マンション敷地内を興奮した状態で疾走していた。NPO法人の職員が麻酔入りの吹き矢を命中させ、午後10時50分頃に捕獲した。現場は、JR札幌駅から西に約500メートルの北大植物園の近く。付近に住む50歳代の男性会社員は「どうやって入り込んだのか」と驚いていた。

(住宅街、シカの目撃情報相次ぐ:北海道)
札幌市北区の住宅街で、18日朝オスとメスのシカ2頭が相次いで出没しました。オスのシカは現在も捕獲されておらず警察や札幌市が出動しています。「シカは住宅地の間を逃げたあと、河川敷沿いに逃げたといううことです」18日朝、札幌市北区に突如現れたシカ。道路を悠然と歩き、住宅の庭にとどまっています。オスのシカが出没したのは札幌市北区の住宅街です。午前6時半ごろから新琴似や太平などの北区で目撃情報が相次ぎ、オスのシカは篠路でも目撃されていて同一の個体とみられています。また、オスのシカが目撃された場所からほど近い新琴似の道道でもメスのシカ1頭が出没し車にひかれました。警察や札幌市は引き続きオスのシカを追っています。

(特急がシカと衝突:北海道)
16日午後6時25分ごろ、JR千歳線の北広島―上野幌(札幌市厚別区)間を走行中の函館発札幌行き特急スーパー北斗15号(7両編成、乗客229人)がシカと衝突した。乗客乗員にけがはなかった。JR北海道によると、特急は車両の安全を確認して約15分後に運行を再開したが、普通列車2本が部分運休し、約70人に影響が出た。

(中学校付近でイノシシ2頭が出没か:佐賀)
佐賀県警鳥栖署は17日、みやき町の北茂安中学校付近で同日午後3時半ごろ、イノシシ2頭が出没したとして、メールで注意を呼びかけた。今後も出没する可能性があり、外出の際は十分注意するよう促した。

(昭和記念公園でイノシシを目撃:東京)
17日午前10時ごろ、東京都立川市と昭島市にまたがる国営昭和記念公園で「イノシシが園内を歩いている」と男性から110番があった。園は臨時閉園を決め、客を園外へ誘導した。台風19号の影響で山の方から移動してきた可能性があるといい、警視庁立川署や公園職員が園内や周辺を捜索している。立川署や公園によると、園内で1頭が歩いているのを来園者が少なくとも3回確認。15日午前にも目撃情報があった。東京都内では、台風19号で12日に多摩川が氾濫するなどした以降、会員制交流サイト(SNS)でタヌキなどとみられる野生動物の目撃報告が相次いでいる。

(イノシシの目撃情報:熊本)
熊本県警山鹿署は16日、山鹿市菊鹿町下内田で同日午前7時15分ごろ、イノシシ1頭を目撃したとの通報があったとして、メールで注意を喚起した。イノシシに遭遇したら不用意に近寄ったり、大声を出したりせず、身の安全を確保してすぐに市役所や警察に通報するよう呼びかけた。

(イノシシ、住宅街駆け回る:新潟)
新潟県上越市の直江津地区や有田地区などに2019年10月17日午後から18日にかけて、イノシシが出没した。18日には、住宅街を駆け回り、幼稚園などの敷地にも侵入。警察や市、猟友会が追跡し大捕物となった。けが人はなく、18日午後1時過ぎ、猟友会により射殺された。イノシシは体長約1m。17日午後に国府1付近で目撃され、午後5時過ぎには春日新田小の敷地に入り込み、市や警察が取り囲んだが逃げて行った。翌18日午前、イノシシは春日新田の上越北消防署付近で目撃された後、下門前の市教育プラザのグラウンドに現れた。警察や市、猟友会総勢10数人が、さすまたや捕獲用のネットなどを手にグラウンド脇のやぶにいるイノシシを取り囲んだが、イノシシは人の間をすり抜けて逃げた。付近は住宅街で、イノシシは集合住宅の敷地や公園などを駆け回り、マハヤナ幼稚園(下門前)の敷地にも入った。警察官が大声で園関係者に注意を呼び掛けるなど騒然とした。イノシシはさらに幼稚園前の県道を渡って、結婚式場「シェ・トヤ」付近から関川を泳いで渡って対岸に逃げた。午後1時過ぎ、対岸の河川敷に潜んでいるところを猟友会が射殺した。マハヤナ幼稚園園長で、法人理事長の石田明義さん(54)は「盾を持った警察官の姿が見えものものしい様子だったので、外を見たらイノシシが突進していた。巨大さと早さに驚いた。まさかこんなところに出てくるとは」と話していた。同園では前日に市から連絡を受けて、園外での保育を自粛していた。

(イノシシ目撃:栃木)
18日午前4時10分ごろ、鹿沼市西茂呂4丁目の路上で、体長約1メートルのイノシシを通行人が発見し、鹿沼署へ通報した。また同6時10分ごろ、同市東町1丁目の庭先で、体長約1メートルのイノシシが子連れで歩いているのを通行人が見つけ、通報した。

(イノシシの出没:佐賀)
令和元年10月17日午後3時30分ころ、三養基郡みやき町の北茂安中学校付近でイノシシ2頭が出没しています。今後も出没する可能性がありますので、外出の際は十分注意して下さい。

(サル目撃相次ぐ、交尾の時期でオス移動か:兵庫)
兵庫県洲本市街地で今月に入り、サルの目撃が相次いでいる。市街地では5~6月、商店街の店先に並べた野菜が奪われるなど被害が続出。捕獲された後は収まっていたが、秋らしい気候になった今月、再びサルが見られるように。市などは「見つけたら刺激を与えないように」と呼び掛けている。市によると今月8日、同市山手で2匹が目撃され、イオンに近い緑地でも見られた。防犯情報などを伝える「ひょうご防犯ネット」では「刺激することなくその場から離れて」などと注意喚起。同ネットによると10日に同市宇山でも1匹が目撃されたという。

(サルも新庁舎見物!?:鳥取)
15日午後0時半ごろ、鳥取市扇町で、体長40~50センチのニホンザルとみられるサルが目撃された。同日から業務開始した同市役所新本庁舎の目の前。見物に来たかのようなタイミングに、遭遇した人を驚かせた。

(「くくりわな」学ぶの研修会:山形)
イノシシ捕獲に有効な「くくりわな」について学ぶ研修会が山形県寒河江市で開かれ、参加者が理解を深めた。16日開かれた研修会には西村山地域の猟友会のメンバーなど約70人が参加しイノシシを捕獲するための「くくりわな」の作り方や設置のコツについて専門家から説明を受けた。県内に生息するイノシシはここ数年で急激に増え、昨年度の捕獲数は1575頭と前年度の1,8倍に増えた。また農作物の被害額も7261万円とこれまでで最も多くなり駆除の重要性は非常に高まっている。こうした中「わな」による捕獲は数として全体の4割を占める上、免許の取得を希望する人も年々増え、県は今年度は試験を1回増やし対応した。「まずは地区で電気柵で農地を囲い守りつつ、その上で捕獲をすることで効果を上げていきたい」銃による狩猟は11月15日に解禁されるが、ワナ猟は一足早く11月1日が解禁日で、西村山地域では今年度80頭の捕獲を目標にしているという。

(猟友会対象にクマ被害防止研修会:岐阜)
県内でクマに人が襲われる被害が相次ぐ中、11日、高山市で、クマの捕獲に携わる人を対象にした研修会が開かれました。県内では、今年度、10日までに、ツキノワグマに人が襲われる被害が11件起き12人がけがをしていて、過去10年で最も多くなっています。6月には、高山市で、猟友会のメンバー2人がわなにかかったクマに襲われ頭や顔にけがをしたことから、県環境企画課は、11日、クマの捕獲を担当する猟友会のリーダーを対象に研修会を開きました。11日は、飛騨地方の猟友会から約20人が参加し、クマなどの野生動物の生態について詳しい岐阜市のNPO法人の森元萌弥さんが、手負いのクマは極めて興奮しているほか、近寄ってきた別のクマに襲われる危険もあることから、深追いしないよう呼びかけました。この後、高山赤十字病院の医師らが、クマに襲われた際の止血方法を指導し、腕などをかまれて大量に出血した場合の対処として三角巾を山林に落ちている木と組み合わせてねじれば、強く縛って止血できることなどを説明していました。県環境企画課の大野雅人課長は「きょう学んだことを地域や仲間に伝えて、クマによる被害防止に務めてもらいたい」と話していました。

(シカ捕獲達成率やや低下:神奈川)
神奈川県はこのほど、2018年度に実施したニホンジカ管理事業実施計画の実績を公表した。高標高域で生息状況が分散するなどして管理捕獲数の目標に対する達成率が前年度に比べてやや低下したが、県は19年度も引き続き同程度の管理捕獲を目指すとしている。県によると、丹沢におけるシカの生息数は継続的な管理捕獲により、減少傾向にあると推定。食害が抑制されて植生回復が始まったが、一部にとどまっているため第4次管理計画(17~21年度)に基づいて管理捕獲を継続している。計画の2年目に当たる18年度の実績は、丹沢山地の中央部に広がり、主に高標高域の保護管理区域で目標の2220頭に対して1669頭を捕獲。達成率は75%となり、前年度より6ポイント低下した。一方、保護管理区域周辺の定着防止区域では目標の360頭に対して349頭を捕獲、達成率は97%に向上した。このうち、被害拡大が近年懸念される箱根町と南足柄市では20頭の目標に対して15頭を捕獲。専門的に携わるワイルドライフレンジャーによる試験的な捕獲は15頭だった。生息数の減少傾向を背景に、農業被害額も前年度より4割減少して約2400万円だった。今年4月に策定した19年度の計画では、18年度と同程度の2505頭を目標に設定。内訳は保護管理区域2135頭、定着防止区域370頭。100年以上にわたってシカが生息していなかった箱根山地では、数年前から踏み荒らしなどの被害が確認され始めた。希少な植物が多く、仙石原湿原を含めた富士箱根伊豆国立公園内の箱根地域を対象に環境省、県、箱根町が4月、生態系維持回復事業ニホンジカ管理実施計画(19~23年度)を策定、連携した対策にも乗り出した。計画には、仙石原湿原で「シカによる影響の完全排除」などの目標を掲げた。同省は17年度に植生保護柵の設置に着手し、計画期間中に周囲約2・2キロを全て囲うという。県自然環境保全課は「達成率の低下は猟の際に目撃数が少なかったり、警戒して逃げてしまったり、困難なケースが増えてきたため。委託する県猟友会の年間計画や実施箇所、捕獲手法などを見直していく」と話している。県自然環境保全センター(厚木市七沢)は10月16日から、企画展「ニホンジカのこと、もっと知ってください」を開催する。同センターはシカ対策の拠点。企画展では、丹沢山地などに生息するニホンジカが抱えるさまざまな問題を取り上げる。生物多様性の保全や農林業被害の軽減を目指す管理捕獲事業など県の取り組みをパネルで紹介する。

(木の実不作、ヒグマ出没注意:北海道)
道は11日、ヒグマのエサとなるヤマブドウやドングリなどの実なりが道内の広範囲で悪い傾向にあり、食物を求めてヒグマが市街地や農地に出没することが「例年より多くなる可能性がある」と発表した。実なりが悪かった年には10~12月のヒグマの捕獲数が例年の1・5倍程度になることもあり、道は生ごみや農産物を屋外に放置しないよう注意を呼び掛けている。実なりの状況は、ミズナラ(全道に分布)とブナ(道南に分布)のドングリ、ヤマブドウ、コクワの4種類について、北海道森林管理局や道立総合研究機構、鳥獣保護管理員などの協力で調べた。ドングリは不作・凶作の地域が全道的に点在し、ヤマブドウは日高、檜山、根室の3管内、コクワは石狩、檜山、根室の3管内で不作・凶作の傾向が目立つという。

(有害鳥獣の対策講習会:京都)
農業を始めてまもない人たちにイノシシやシカなどの野生動物による農作物の被害を防ぐ知識や技術を身につけてもらおうという講習会が綾部市で開かれました。京都府の中丹東と中丹西農業改良センターが綾部市で開いた講習会には、農業を始めたばかりの人など11人が参加しました。担当の職員は、府内の野生動物による被害は減少傾向にあるものの、被害額は去年、2億7000万円と依然大きな被害が出ているとして対策を促しました。具体的には、シカに対しては、乗り越えられない高さ2メートルほどの柵を設けること、イノシシに対しては、鼻の高さに電気柵を設置することなど、動物に合わせた対策が大切だと説明しました。また、柵を設置する際の針金の巻き方や、サルが登らないようにするための電気柵の設置の方法などを実践形式で学んでいました。ハーブの栽培を始めたという舞鶴市の30代の女性は「対策をしなくてはと思っていましたが、電気柵を設置したのは初めてで勉強になりました」と話していました。今後は気象災害への備えや、農薬の使い方などについての講習も行われるということです。

(クマ出没、昨年比2.5倍:富山)
北陸で今年、ツキノワグマの出没が多発している。餌となるブナやドングリの不作のためで、目撃情報は昨年比富山県で二・五倍、石川県で一・五倍に。市街地での出没も目立ち、不意に遭遇しての人身事故が懸念される。なぜ人里に出てくるのか? どう対処すればいいのか?生態に詳しい富山県立山カルデラ砂防博物館の白石俊明学芸員に出没の現場を案内してもらった。富山市南部の旧大沢野町地区。山間地から市外地に向かって河岸段丘の崖が幾筋も連なる地域の一角で今月七日、白石さんと待ち合わせた。崖のほとんどは土地利用されずに林や深いやぶとなっている。「あの林の帯がクマが動くルートになりやすい」と白石さん。その段丘が終わって続く平地には用水が無数に流れ、家屋の屋敷林が点在する。「クマは段丘の壁を動脈のように伝って下り、毛細血管のような用水をたどって屋敷林を飛び石のように移動していく。そこにはクマが好む柿の木も多く、格好の餌場になっている」そうだ。よく目撃されるクマは人間が四つんばいになったのと同じような大きさ。ちょっとしたやぶがあれば隠れて見えないし、駐車場で車が数台並んでいるなど死角になる所があれば隠れ場所にすることがあるという。そんな一帯を車で回ると最近、クマが目撃されたりかつて人身事故が起きたりした場所を白石さんが教えてくれた。「クマは基本的に人を見たから襲ってくるわけではないが、うっかり集落に入り出くわして事故が起きる。今は隣にクマさんがいる時代。今年はドングリが不作だから隣から家まで来てしまった」至近距離で出合ったらどうすればいいのか。「襲われて重傷につながりやすい頭、顔、体の前面を守る姿勢を覚えてほしい」と白石さんが見せてくれたのは小さくしゃがむかうつぶせになって手で頭や首の後ろを隠す手法。ヘルメットをかぶりリュックを背負えばもっと効果がある。今年九月には秋田県鹿角市で、下校中にクマに襲われた中学生がこのような姿勢を取って軽傷で済んだ例もあった。身ぶりで示してくれた白石さんはクマとの共存、共生を考えていくしかないと呼び掛ける。「クマを絶滅させるわけにもいかないし、私たちが生活の場を変えることもできない。隣にクマがいるかも、と意識を変えることが事故防止につながる」と。

(ツキノワグマ出没注意、人身被害最多11件:岐阜)
県は、冬眠を控えたツキノワグマが餌を求め人里周辺に出没する頻度が高まる恐れがあるとして、県内全域で警戒を呼び掛けている。秋季の主な餌となるドングリ類の凶作が予測されるため。県環境企画課によると、例年9~10月は人里周辺での出没が増加する傾向があり、人に対する被害の発生が懸念される。今年度のクマによる人身被害の件数は、8日までに11件12人で過去10年で最多となっている。

(被害急増、鹿のプラごみ誤食防げ:奈良)
奈良公園(奈良市)の鹿が誤ってビニール袋などプラスチックごみを食べる被害をなくそうと、地元の住民ら有志が「奈良公園ゴミゼロプロジェクト実行委員会」を結成。啓発用のポスター製作、掲示などを進めるとともに、クラウドファンディングを立ち上げて資金を募集、取り組みの輪を広げている。同公園では近年、鹿が誤ってプラごみを食べる事故が急増している。奈良の鹿愛護会によると、今年3~6月に原因不明で死亡した鹿14頭を解剖したところ、うち9頭の胃からプラスチックごみが見つかった。同会は「プラごみの誤食は以前からあったが、これほど高い確率で見つかるのは異常」と説明。インバウンドなど観光客増加の半面で進むプラごみ問題に危機感を募らせる。

(ムクドリの大群、頭抱える商店主:福島)
夕暮れ時になると福島市のJR福島駅前には大量のムクドリの群れがやってくる。街路樹に群がり、周囲の道路は大量のフンで真っ白。追い払っても近くに逃げるだけで、妙案はなく、商店主らは頭を抱える。「ギーギー」「ピーピー」。9日午後5時、JR福島駅前にはムクドリの甲高い鳴き声が響いていた。空を見上げると、ビルの間を旋回する小さな鳥の大群。群れは次第に大きくなり、駅前の街路樹に一斉に群がった。駅に向かう会社や学校帰りの人たちは、木の下を避けるように足早に歩いていく。「だいたい1万~1万5千羽はいるとみています」と市交通政策課の安斎剛係長は話す。福島駅から徒歩5分。居酒屋が軒を連ねるパセオ通りの街路樹にも、夜になると大量のムクドリが現れる。会津料理の屋台「あねさの小法師」を営む岩橋香代子さん(61)は「お客さんの中にも、頭にフンを落とされた人が何人もいて。その度に『ごめんね』って謝るんだけど」と困り顔だ。

(ヒヨドリの大群、関門海峡渡る:山口)
秋の風物詩、ヒヨドリの大群が今年も関門海峡を渡り始めた。山口県下関市の彦島地区に集まった群れが対岸の北九州市へ飛び、九州で冬を越す。群れはうねるように、海面すれすれを飛ぶこともある。天敵のハヤブサは翼がぬれるのを嫌うため、襲われるのをかわしながら海を渡る。

(助けたい、でも有害鳥獣:福岡)
「自宅近くに弱ったタヌキがいる。治療して助けられないか」。久留米市の男性から、西日本新聞社久留米総局にこんな電話が寄せられた。市役所に相談したところ「生きた野生動物は自然のままにして手を出さない」と回答されたため、新聞社に連絡したという。現場に行ってみた。男性は、同市御井町の桑原康世さん(76)。14日朝に自宅近くの側溝で1匹の「タヌキ」を見つけた。左の前足をけがしているためか、人が近づくと反応はするが逃げない。いったん桑原さんが近くに放したが再び側溝に戻ったという。桑原さんは当初「野生動物だからそのまま死んでも仕方ない」と思った。だが一緒に住む小学生の孫や近所の子から「助けてあげて」とせがまれた。耳納連山の山裾にある自宅周辺では、以前からタヌキやイノシシ、ハクビシンなどが出没していた。「命の大切さを子どもたちに伝えられるかもしれない」と考え直し、最寄りの派出所や市役所に相談したそうだ。記者が撮影した画像を市鳥類センターに確認してもらったところ、タヌキではなくアナグマだった。鳥類センターではアナグマとタヌキの両方を飼育しており、間違いなさそう。担当者は「野生動物はいろんな菌を持っていて、人に感染するものもある。むやみに触らないで」と注意を促す。一方、市みどりの里づくり推進課によると、アナグマやタヌキは、農作物を荒らす有害鳥獣に指定されている。被害報告を受けてわなを置き、年数匹ほど捕獲、処分しているという。県の出先機関にも聞いた。「助けたい気持ちは分かるが、駆除の一方で保護するのは行政としてできない」との話だった。取材結果を伝えると「役所の言い分は分かりました。何とか元気になって山に帰ってくれれば」と桑原さん。15日午後、アナグマの様子を見に行くと、一段と弱々しくなっていたそうだ。

(狩猟の魅力紹介フォーラム:福井)
イノシシやシカなど野生の動物による農産物被害が相次ぐ一方で、ハンターの減少や高齢化が進んでいることから、狩猟の魅力について語るフォーラムが大野市で開かれました。環境省が大野市の結とぴあで開いたフォーラムには、市民など150人あまりが参加しました。はじめに山梨県山中湖村で行政と連携して鳥獣被害対策を行っている山梨県猟友会青年部の羽田健史部長が「狩猟のイロハ」と題して講演を行いました。羽田さんは、村の職員として働きながら猟友会の会員としてハンターとして活動していて、わなや銃といったさまざまな狩猟の方法や、獲物をしとめたときの話などを写真などを使って説明しました。会場には、映像と模擬銃を使ってゲーム感覚で狩猟を体験できるブースも設けられ、訪れた人たちが普段目にする機会の少ないハンターの世界を興味深そうに覗いていました。このほか、県内で捕獲されたシカ肉を使ったジビエ料理の試食コーナーも設けられ家族連れなどが調理されたシカ肉の味を楽しんでいました。フォーラムを開いた環境省鳥獣保護管理室の遠矢駿一郎・鳥獣専門官は「今回のフォーラムをきっかけに、狩猟免許を取得したり狩猟に出てみたいと思う人が増えることを期待しています」と話していました。

(狩猟の魅力を伝えるフォーラム:高知)
狩猟に携わる人が減る中、狩猟にはイノシシやシカなどによる農作物の被害を防ぐ役割の一方、人気が高まる「ジビエ」料理に関わることができる魅力もあることを知ってもらおうと「狩猟フォーラム」が高知県黒潮町で開かれました。農作物を食い荒らすイノシシやシカなどを捕獲する人は高齢化で減り続けていて、高知県は、若い世代の担い手を確保しようと「狩猟フォーラム」を開き、地元の高校生などおよそ80人が参加しました。この中で、みずからも狩猟を行って三重県でイノシシやシカ肉を販売している女性は、狩猟は農作物被害を鳥獣から守るという重要な役割があることを説明していました。その一方で、脂身が少なく栄養が豊富なことで人気が高まる「ジビエ」料理に関わることもでき、そのおいしさを多くの人に伝えられる魅力もあると訴え、会場ではイノシシやシカ肉などの試食会も行われました。また、イノシシやシカを捕獲するときに使われる技術、「くくりわな」のかけ方の講習も行われ参加者は、捕獲するコツなどを教わっていました。参加した男子高校生は、「狩猟の現場の緊張感が伝わってきて、初めて聞くことばかりでした。狩猟という仕事にも興味を持ちました」と話していました。

(ヒガンバナ残念、シカ球根かじる?:福岡)
古くからヒガンバナが自生し、川崎町の風物詩になっている同町安真木の「安宅のヒガンバナ」に異変が起きている。特に名所の小峠地区の棚田周辺はほとんど花が咲いていない。町と地元住民などでつくる実行委員会は、毎年秋分の日前後に開いていた「彼岸花まつり」の中止を決めた。中止は豪雨災害を受けた昨年に続き、2年連続。原因としてシカによる食害が指摘されている。小峠地区では約3ヘクタールの棚田のあぜに沿って毎年ヒガンバナが咲き誇り、2009年から「あたか棚田彼岸花まつり」を開催。群生地周辺では地元産の野菜や米、ハチミツなどを売る店が並び、ウオーキング大会もあり最大約2千人の人出があった。昨年はヒガンバナが咲いたが、豪雨で周辺の道路が一部崩れたため中止に。しかし、今年は18日になっても花がほとんどない。北側の田んぼには所々咲いているが、棚田周辺は深刻だ。植物生態学が専門のいのちのたび博物館(北九州市)の真鍋徹学芸員によると、今年はヒガンバナが全国的に少ないという情報はなく、小峠地区の棚田に特異な現象が起きたと考えられるという。川崎町役場職員で祭りの実行委員会事務局を務める伊藤遙平さん(30)によると、周囲にはシカが頻繁に出没。住民が犬の散歩中にシカがあぜを荒らしているのを目撃している。かじられた跡があるヒガンバナの球根もあった。毒があるヒガンバナ。誤って食べると、吐き気や下痢、嘔吐(おうと)、中枢神経のまひなどを引き起こすとされる。シカは大丈夫なのか?真鍋学芸員によると、一般的には食べないとされてきたが、近年はアセビなどこれまで食べなかった有毒植物も食べるようになっていることが報告されているという。「断定できないが、シカが空腹でヒガンバナの球根をかじり、吐き出したのでは」と推察する。毎年の祭りで「こんなに多くの人が来るのか」と感動していた伊藤さんは、ヒガンバナの里復活に向けて「この状況は残念。新しく球根を植えることや、シカなど食害につながる動物を棚田に入れないような対策を住民と一緒に考えたい」と話している。

(道内ジビエ処理急増、18年度25%:北海道)
道内で昨年度、食肉として販売する目的で処理されたエゾシカなど野生鳥獣の肉(ジビエ)が、前年度比24・9%増の628トンに拡大した。道産は国内利用量の4割を占め、一大生産地になっている。ただ、道内で約90カ所稼働しているとされる食肉処理施設のうち、道の衛生基準を満たした認証施設は14カ所にとどまる。道は安全安心を担保するため、認証取得を呼びかけていく考えだ。ジビエは近年のブームやペットフードとしての需要増が追い風となり、昨年度の国内利用量は同15・8%増の1887トンとなった。流通ルートが整ってきたことで、ハンターがこれまで自家消費したり、廃棄したりしていた個体を食肉処理施設に搬入するようになり、供給力も高まっている。

(エゾシカ肉料理で消費拡大を:北海道)
エゾシカによる農作物への被害が問題になる中、シカ肉の料理を紹介するなどして消費拡大につなげようという催しが帯広市で開かれました。十勝総合振興局が開いたこのフォーラムには、ホテルのシェフや調理師の専門学校に通う生徒など70人あまりが参加しました。まず地元のハンターやシェフなどがパネルディスカッションを行い、エゾシカ肉の消費拡大に向けて意見を交わしました。この中では、「ジビエ料理がブームの本州からの観光客に食べてもらえるよう、積極的にシカ肉の料理を出していくことが重要だ」という意見や、「肉質にあった調理法を考え広めていく必要がある」といった指摘が出されていました。このあと会場ではシカ肉を使った料理2品がふるまわれ、参加者は▼モモ肉を使った「ハヤシライス」と、▼パン粉につけた肉をこうばしく焼いた料理を味わっていました。道によりますと、エゾシカによる道内の農作物の被害額は平成29年度ではおよそ39億円にのぼり、13万頭ほどが駆除されていますが、食肉としての利用はおよそ2割にとどまっているということです。ホテルに勤める男性は「予想以上においしかった。ホテルのレストランでもシカ肉の料理を提供していきたい」と話していました。十勝総合振興局の牛嶋あすみさんは「これからも地元のシェフに調理法のアドバイスをもらうなどして、シカ肉のおいしさを伝えていきたいです」と話していました。

(シカ肉いかが:高知)
南国市岡豊町小蓮の高知自動車道の南国サービスエリア(SA)で「ジビエフェア」が開かれている。「ゆとりすとパークおおとよ」(長岡郡大豊町中村大王)で14日に開かれる「ジビエグルメフェスタ」と連動。レストランなどで、大豊町で捕れたシカ肉を使った料理が味わえる。14日まで。西日本高速道路サービス・ホールディングス四国支社(高松市)が、県外客にジビエ料理に親しんでもらおうと初開催した。SAのレストラン(上り線のみ)で提供。「鹿天定食」(税込み1180円)は、油で揚げることで臭みを抑え、もちっとした食感に。ご飯やみそ汁込みでも570キロカロリーと、ヘルシーさが売りだ。スナックコーナー(上下線とも)のホットドッグ「南鹿(なんしか)Dog」(同780円)は、シカ肉ソーセージに嶺北産のユズ皮を混ぜ込み、ジューシーかつ爽やかな後味になっている。レストランの宗石樹(たつき)マネジャーは「食べやすく、女性にもお勧めできる。今後もジビエ料理の提供を考えたい」と話していた。

(文理大生がシカ肉解体:徳島)
シカ肉を使った料理作りに取り組む徳島文理大短期大学部の2年生ら9人が14日、那賀町でシカ肉の解体を体験した。木頭の木沢シカ肉等加工施設で、レストハウス「ファガスの森・高城」でジビエ(野生鳥獣肉)料理を提供している平井滋さん(70)=小畠=らから指導を受けて解体した。事前に皮をはいで内臓を取った26キロの枝肉を肩、ロース、ヒレなどの部位に切り分けた。沢谷の南高城山の斜面では、シカの食害を防ぐネットを張る作業もあった。長尾幾久子さん(20)は「無駄なく肉を切り離すのが難しかった。シカの命を大切に使い、おいしい料理にしたい」と話した。学生はシカ肉を持ち帰り、考案した料理を12月の大学内の学生食堂で販売する。

(シェフ対象のエゾシカ肉料理教室:北海道)
エゾシカを有効活用しようと、レストランのシェフを対象にした料理教室が旭川市で開かれ、エゾシカ肉を使ったステーキの調理方法などを学びました。この料理教室は、道北地方のホテルやレストランのシェフを対象に道が開き、合わせて27人が参加しました。教室ではまず、食肉加工会社の担当者がエゾシカ肉の加工方法を説明し、大きな肉の塊を部位ごとに小分けにしていきました。このあと、フランス料理のシェフによるエゾシカ肉のステーキなどの調理実演が行われ、ハーブを使って事前に下処理をした上で弱火でじっくりと焼くと臭みがなく、柔らかい仕上がりになるといったコツが説明されました。参加者たちは、メモを取ったり、動画を撮影したりしながら熱心に説明に聞き入っていました。道内のエゾシカの生息数は、去年の時点で66万頭に上り、農作物を食べ荒らす被害も出ているため、道は、今回のような有効活用策を広める活動などによって需要を高め、再来年までに30万頭に減らす計画だということです。旭川市のホテルのシェフの男性は、「鹿肉はなかなか注文されませんが、教わったことを生かしより深い味わいの料理を提供したいと思います」と話していました。

(「業務用ジビエ」販売商品130品目超え:京都)
業務用食材卸売サイト「ISPフーズ」では、環境問題の解消につながるジビエ市場の拡大と、地方活性化に貢献すべく2018年12月21日「業務用ジビエ」コーナーを開設し、全国の飲食店が、ISPフーズサイトにてジビエを簡単に購入できる仕組みを構築しました。2019年10月現在、ISPフーズサイト内のジビエ商品数は130品目を超え、販売数として日本最大となっています。更にISPフーズのジビエコーナーでは、猪肉、鹿肉(エゾ鹿・本州鹿)の原料肉、スライス、加工品といった通常のジビエに加え、他サイトでは殆ど扱っていない「ヒグマ肉」「アナグマ肉」、「猪タン」「鹿タン」「猪レバー・ハツ」「鹿レバー・ハツ」といった、かなり希少なジビエ部位も販売しています。こうした希少ジビエは、食にこだわる料理長やシェフ、他店と差別化したい飲食店から注文が相次いでいます。ISPフーズサイト内のジビエ購入対象の飲食店は、約3,500店舗に上り、ジビエを実際に購入している業種もフレンチ・イタリアン、和食店、ダイニング、ワイン・日本酒バー、介護施設、等と多岐に渡っています。飲食店からのジビエの注文も、コーナー開設時と比べ、月間件数で5倍以上となっており今後更に拡大する見込みです。ISPフーズでは、特に地方のジビエ販売業者が利用しやすく、販売に直結できるサービスを拡充し、ジビエ販売による地域活性化を支える一端を担うべく今後も取り組む予定でおります。

(ジビエ活用の新メニュー:長崎)
長崎県島原半島産のイノシシ肉を使った新メニュー「島原城しし万石メンチカツ」と、同メンチカツが入った「島原城しし万石定食」の販売が15日、島原城(島原市城内1丁目)の売店内「城の茶屋」で始まった。地域食材、ジビエ(野生鳥獣肉)を活用した島原の新名物にしたい考えだ。11月末までの期間限定。ジビエ卸売業、椿説屋(ちんぜいや)(大分県由布市)の狩猟肉処理加工施設「ももんじファクトリー」(島原市)が6月、同城を管理運営する島原観光ビューロー(同市)に「イノシシ肉を使ったメンチカツをメニューにできないか」と提案し実現した。同社が加工したシシ肉を使ったメンチカツは初めてという。新メニューは、島原藩の石高7万石(しちまんごく)にちなみ命名。島原城しし万石メンチカツ(250円)は、食感を味わえるように粗びきにしたミンチに国産タマネギを混ぜ合わせた。臭みがないジューシーさが特徴という。島原城しし万石定食」(800円、寒ざらし付きは千円)は、イノシシ肉を甘口の西京みそに漬け込んだ西京漬けをメインに、キノコソースを添えたメンチカツが付く。定食はご飯やサラダとともに島原焼の四方皿で提供され、ワカメスープ付き。メンチカツは1日10個、定食は同10食限定で販売する。ももんじファクトリーの谷口秀平所長(55)は「半島でイノシシは5千頭前後が捕獲されているが、ジビエ利用は少数でまだまだなじみが薄い。観光地で提供することで親しんでもらい新名物になれば」と話す。

(経験いらず高い捕獲効率、「小林式誘引捕獲法」の普及へ:和歌山)
シカ害対策として和歌山森林管理署が開発した「小林式誘引捕獲法」の有効性が国有林の現場で確認された。林道の近くなどでシカを餌付けしてからくくり罠を仕掛けることにより、特別な技術や経験がなくても効率的な捕獲ができる。これから民有林にも普及していくことにしている。

(豚コレラの蔓延防止に向けて:松浪健四郎)
全国紙の社会面を先日までは「豚コレラ」が飾った。岐阜県でスタートを切り、ついに関東にまで感染が広がった。愛知、三重、福井、埼玉、大阪、滋賀、山梨、長野など、9府県で被害を受けたが、まだまだ全国的に広がりそうな模様だった。感染が確認されたなら1頭残らず殺処分、死骸を埋却する。この話を耳にしただけでもナチスドイツを想起させられるが、この豚コレラ感染は拡大の一方、全国へ広がる勢いであった。どうも対策が後手に回った印象を受けた。家畜伝染病、このウイルスを何としても封じ込める必要がある。業者は口をそろえて「ワクチン投与」を主張した。が、政府はワクチン接種には慎重だった。その理由は、国際獣疫事務局(OIE)が認定する「清浄国」から「非清浄国」に格下げされる可能性が高いからだ(毎日新聞)。非清浄国になれば、養豚業の多い九州の宮崎や鹿児島のブランド豚の輸出が困難になる。宮崎県の日体大が連携している都城市で食べた豚肉、本当に美味であった。政府は、やっと重い腰を上げ、10の希望する自治体にワクチン接種を認めた。自治体は、もっと早く動くべきであった。感染の原因は解明されておらず、打つ手に決定打がない状況だが、主犯は野生のイノシシだという。そこで岐阜と愛知では、野生イノシシのエサに経口ワクチンを混ぜて散布。だが、岐阜県猟友会の見解によれば、イノシシが捕食した割合は3割、小動物が5割、その他の動物が2割だという。歯型で確認できるそうだが、野生イノシシへのワクチン散布は、ほぼ期待できなかった。そもそもこの散布は、ドイツやリトアニアなどで成功した方法(毎日新聞)だというが、平地の多いヨーロッパと違って日本は人が踏み込めない山や谷ばかり。経口ワクチンの散布策は有効ではないのだ。岐阜県はイノシシの動きを封じるため、140キロにわたってフェンスを設置したが、道路や川があって自由にイノシシが往来、数億円もかけたが無駄だったと猟友会がいう。しかもワクチンの散布の業者は、イノシシの生態、山野の地形など、知識もなく効果を発揮せず。豚コレラは、日本中に養豚業者が存在するゆえ、対岸の火事ではない。豚肉が高騰すれば、私たちの食卓にも潤いがなくなる。野生イノシシを退治することから始めねばならないが、11月15日からの狩猟期までは狩猟禁止である。まずこれを解禁する必要がある。わな猟に加えて銃猟による徹底した捕獲を進めるべきであろう。ルールの厳守は大切だが、非常事態の状況下にあることを認識すべきだ。怖いのは、豚コレラウイルスの拡散。いかに防止するかだ。捕獲したイノシシの扱いが大切らしい。血液などが漏えいしないようにする。捕獲者が使用した靴、衣服、車両などについては消毒、身体や手指の消毒も行う。で、速やかに自治体に通報し、指示を得て対応する。ウイルスの拡散防止こそが最大の留意点である。その意味では、猟友会員のごとく十分な経験のある、知識のある専門家が対応しないことには、蔓延(まんえん)防止は難しい。大日本猟友会(佐々木洋平会長)は、ドローンを活用した「豚コレラ蔓延防止策」を提言した。野生イノシシの嗅覚は鋭く、人間の匂いのするワクチン入りのエサは食べない。ドローンを飛ばして、ワクチンの散布が望ましい。また、イノシシの生息域(獣道)を調査し、より効果的にワクチン投与ができる。短時間で広範囲の調査ができるメリットがある上に、撮影したデータを活用することができる。これらの対策は、自治体が専門家と協力して行う必要がある。予算面の問題もあるが、何よりも地形については自治体が詳しいし、イノシシ被害についてのデータも持っている。豚コレラの感染を一日も早く終息しなければ、自動的に非清浄国になってしまう。つまり、野生動物の面において日本は発展途上国という烙印(らくいん)を押されることとなる。猟友会員の皆さんの活躍に期待するしかない日本、狩猟が最高のスポーツであるのに会員が増加しないのは悲しい。

(クマ猟師が語る“狩猟文化”の現在地:石川)
石川県と岐阜県にまたがる白山。その石川県側のふもと、白山一里野温泉に民宿・岩間山荘がある。猟師のご主人が獲ってきたクマやイノシシなど、山の幸を取り入れた料理を出すことで知られる宿だ。もっとも、今でこそ狩猟で獲った肉を提供している岩間山荘だが、もともとは宿泊客に出すようなことはなかったという。ご主人が語る。「山で獲ってきて皆さんに提供するサービスは、最初はなかったんです。僕のオヤジも息子も銃を持っているんだけど、『獲った後の反省会』って言ったら一番いいかな。内臓でも肝臓だったり心臓だったり、そういうものを僕らが食べているんですよ。そしたら、たまたまお客さんが通りかかって、『お前らばかり食わんで皆に食べさせたらどう?』って、提供し出したのは20年ほど前でした」狩猟で獲った肉を宿でも提供するようになったが、最近はそれ目当てに訪れる客も増えているという。「今って食べられないもんってないじゃないですか。牛にしたって豚にしたって、流通さえしてればお金を出せば食える。でも、イノシシとクマとかノウサギとか、流通してない野生のものを今のお客さんは好む。だから、東京、名古屋、大阪その近辺から、ネットを見てお出でになるお客さんが今すごく多い。でも、そんな食べる種類ってないんだね。焼いて食べるか鍋にして食べるか。うちで出せる範囲内で食べてもらっています」一口にクマの肉と言っても、自然のものだけに色々と条件があるようだ。女将さんによれば、どんぐりをたくさん食べたクマの肉が美味。またここでは脂の乗った時期のクマでなく、冬眠明けのクマの肉が美味しいという。宿で出されるクマ肉を実際に食べてみる。醤油ベースの鍋で出されたクマの肉は、強いて言うなら牛肉に近い味だ。筆者は以前、ツキノワグマとヒグマの肉を食したことがあるが、その時の印象では同じツキノワグマでも牛に近い乳臭い肉という記憶が残っている。これは控えめの野趣を残しつつも、旨味を持った牛肉に近いという感じだ。この地域、白山麓はかつて雪が降る半年間は“陸の孤島”になっていた。このため、独自の食文化や白山信仰が人々の暮らしに根付いている。岩間山荘の女将さんは、こう語っている。「私たちは、水や木々や、きれいな空気を含めて、山からの“いただきもの”をおすそ分けしてもらって生かされています。はるか昔から猟師だけでなく山奥に住まわせていただいているすべての者が、山から命や恵みをいただいてます。季節の山菜やキノコ、木の実なども同様です。そして、自然に包まれて暮らすなかで、山々にお返しをしているつもりです。この文化や伝統は、これからも継承していきたいと願っています」猟師は通常の狩猟の他に、有害捕獲、いわゆる駆除を任されることもある。獣害に悩まされる地域は多いが、被害を与える動物には様々な種類がある。イノシシに悩む地域は多いし、シカやカモシカの被害が深刻といった場所もある。ここ白山周辺では、サルによる被害が深刻だという。我々もきのこ狩り取材の際に、サルの群れに出くわしている。猟師としての山々を歩いているご主人が語る。「サルは本当に増えましたね。僕らが狩りをやっている範囲では10個ぐらいの群れがいます。昔は、僕らの前に子連れで姿を現すことなんてなかったですけどね。今では平気で子ザルを抱えて道ばたを歩いているでしょう。皆さんも実際に見られたと思いますけど、あれを獲らせてくれれば……。僕がよく言うのは、サルを1年か2年、狩猟獣にして獲ってしまえば減るんだけど(注:ニホンザルは非狩猟獣で狩猟では捕れない)。あまりに増えすぎて、サル、クマ、イノシシもどんぐりとかブナの実を共通して食べるから、クマなんかの底意地が悪くなるかな。僕も見たことあるけど、クマが1匹木に上がっていて、サルが輪になって威嚇しているのね。どんぐりを食べているクマを。多勢に無勢なんだろうね。サルはすごい剣幕で怒っているの。今の時期、まだどんぐりが落ちてないから枝に上がるんです。サルが枝に上がったって、ちょっと飛べば隣の枝ですけど、クマはそれできませんから、上がった木を必ず降りてくる」サルの群れに威嚇されるクマというのも想像するだけでもすごい絵面だが、他にもサルの厄介さを窺わせるエピソードは事欠かない。田畑を守る電気柵をショートさせて無効化してから侵入するサルまでいるという。また、サルは「行儀の悪さ」も際立つ。人間が全部食べるような大根やトウモロコシを、美味しいところだけかじって捨てていく。他の獣と異なり、頭が良くて大集団なだけにたちが悪い。だが、人の生命に危害を与えるという意味では、サルよりもクマが恐ろしいのかもしれない。奇しくも筆者らが白山滞在中、宿に置かれた地元紙・北國新聞を手に取ると、「〔クマ注意情報〕人里に寄せつけぬ心掛けを」と題した社説が掲載されていた。今年はクマの食料となる木の実の不良が予想されるため、クマの人里への大量出没に注意を促すもので、地域にとってクマは深刻な問題であることをうかがわせた。暖冬であるがゆえに「餌さえあれば、ずっと冬眠しませんね。それで穴に入ったクマも早く出てきます」という。ご主人も、猟以外で山に入る時は注意を怠らない。「とにかく、山に行ったら自分で自分の身を守るしかないんで、僕らは銃を持っているとクマは来ないけど、銃を持っていない時は必ずラジオをつけるか、蚊取り線香を炊くか、今は小さいCDなんかを外で流しますね。一番いいのは、匂いか音しかないんです。一番ありうるのが、山の尾根を曲がるような時にいきなり出会うんです。直線の時は、僕らが静かにしても、あっちの方が先に気付くからいいんだけど、曲がり角では出会い頭があるから、咳払いでもして自分の存在を相手に教えないといけない。 こんなの(注:大人のクマの剥製を指して)に出会ったら『ごめんさい』するしかないでしょ。銃を持っていれば別だけど。僕の連れでも、目がなくなったとか、顔をやられたとか何人もいるんで。そりゃもう自分で防御するしかない」また、最近問題の豚コレラも地域に影を落としている。地域には狩猟した獣を加工する加工場があるが、現在は獲られたイノシシは豚コレラ問題で流通しにくくなっている。そしてなにより、獣が問題になる中で、猟師、特に銃を持つ猟師が減っていることをご主人は心配している。地域の高齢化の影響もあるという。「山に住んでいる人で、オリ(注:わな猟免許)を取る人が全国的に増えています。石川県も銃猟免許持つ人が700人くらいしかいなかったんですよ。だんだん減ってきて、600台になった時は、全国で下から3番目。銃免許を取っている人はだんだん少なくなっていって、反対にわな免許を取る人は増えました。(能登半島の先端にある)珠洲市で銃を持っている人は、1桁ですよ。すごく少ない。その方も忙しいんですよ。オリにかかった奴の止め刺しをしなきゃいけない。電気ショックが効かないほど大きいイノシシが捕まると、オリを仕掛けた人は銃を持っている人にお願いしなければいけない。だから、ほとんどの人は銃とワナ免許を一緒に取るんだけど、銃は厳しいんで、皆さんワナだけ免許を取る。年間に何万頭ですからね、イノシシ……」銃猟免許と銃取得の厳しさもあって、獣害問題が深刻化しているにも関わらず、銃を持つ猟師は減少傾向にある。だが、そんな逆風の中にあって、岩間山荘の2人のご子息も銃免許を取得して猟師になり、週末には獣を獲っているという。また親子で狩猟に行くこともあり、親子のコミュニケーションにもなっていると語る。「僕もそんなに立派な人間じゃないけど、銃を持っていたら悪いことはしないって。山からの教えや、ありがたい心が生まれて学ぶことがいっぱいで、できないもの。子どもと一緒に山に入ると、お互い人としても成長していくようで多方面に面白い。僕も父親と行っていたときはそうだった。今の時代、なかなか子どもとコミュニケーション持つ機会がないんですよ。山に行っていると、この辺は舞茸が出るよとかイワナがいるよとか。そういう楽しみがあるんですよ」狩猟を通じた親子のコミュニケーション。山々や木々と向き合いながら、父から子、さらにその子に受け継がれていく地域の自然での過ごし方。まったく想像だにしていなかったコミュニケーションのあり方だが、そう話す姿はどこか嬉しそうであった。

(10年前、猟師に拾われた子グマが巨体に育つまで:福井)
熊猟には語り尽くせないほどの深みがあり、野生の熊を相手にすることに正解はない。さらに、猟師と熊との関係は狩猟にとどまらない。人類学を専門とする私の調査地に「熊を飼っている人がいる」という話を聞いて、檻で飼われている熊に会いに行ってきた。飼い主となった猟師は、10年前に知人の猟師から親を亡くした熊の赤ん坊を譲り受けた。生後間もない子熊は冬眠を経験せずに親とはぐれてしまった場合、冬を乗り切ることができずに山で息絶えてしまうため、命を繋ぐためにどうしようもなく連れ帰ったのだという。ぬいぐるみのようであることを予想して行ったが、人間とともに育った熊も野生の熊と同じ目をしている。だが、温和で太っていて、まるでディズニー映画に出てくるモンスターのようだった。通常、冬には100キロを超える熊でも、山の食べ物が少なくなる夏には脂がなくなり骨と皮だけのように痩せる。訪ねていった日は猛暑でかんかん照りだったが、飼われている熊は恒常的に餌を食べているため、脂肪を蓄える秋の熊以上にずん、と太っていた。「くう」と呼ばれたこの熊には、朝と夕の2回、サツマイモや野菜などの餌をやっていた。この日はおやつとしてビスコのブルーベリー味を、飼い主の手から舌を使って器用に口元に運んでいた(「くう」の姿は、一般には公開されていない)。今でこそ少なくなったが「子熊を育てる」ということは、大野の猟師の間ではそれほど珍しい話ではなかったそうだ。普段狩猟を教わっている猟師の男性の生家では、家族団らんのこたつの中で子熊が寝ていた。人間の赤ん坊のようにおしりを拭いてあげたり、哺乳瓶で粉ミルクを飲ませてあげたりして育てたのだという。「おもゆ」で育てるのがよいという猟師もいたが、一番驚いたのは嘘か真か「祖母が母乳をやっていたと聞いた」という話であった。そのエピソードを聞かせてくれた猟師は、続けて言う。「あの熊、赤ちゃんの時に、ペットボトルにお湯を入れた湯たんぽを抱えていて腹に低温やけどしたんやの。その時、熊の油塗って治したんやと」。このエピソードは何人かから聞くテッパンエピソードだが、その話をしながら皆うれしそうに笑う。熊の油は、さまざまな使い方があるが、特に火傷に効くと言い伝えられており、今でも猟師たちが常備している高級品のひとつである。猟師は熊の個性をこう語る。「(熊と遭遇する危険に関しては)『熊鈴を付けていればいい』とか、いろんな対策が語られるけれど、熊にも個性があるってことを知っていないといけない。だって、飼われている熊がそうでしょう。『人間は餌をくれるなかま』だと思っている。野生を生きる熊は違う。環境や経験によって、まったく別の個体がいるんだから」個性の話をする猟師は「熊の気持ちになってみんとわからん」とも言う。秋に熊が食べる木の実をなんでも知っている彼は、「この木の実は甘いよ」と味まで教えてくれるので「食べるんですか」と聞くと、「熊の食べるものならなんでも食べてみる」と言う。「『相手の気持ちになってみる』ってことは、人間関係でも大事やな。そういうことを、動物に教えられている」と笑っていた。かつての「自然と近い」暮らしはもはやユートピアだろう。現在、子熊を拾ってきて育てる猟師はいなくなった。だが、親を失った赤ちゃん熊を野に放つこと(数日で死んでしまう)が「自然保護」かどうかは今でも議論のさなかにある。半年前までは野生の熊など見たこともなかった私は、熊となると目の色を変え、鉄砲をかついで山を駆け回る猟師たちが、同時にその動物を愛しみ、祀り、その知識と経験をもって人々を守ることもまた目にしてきた。柿や栗の実、ぬか漬けなどは人間だけでなく熊の大好物でもあるため、「食」を介して熊とはち合わせる環境をできる限り作らないこと等、一般的な対策はもちろん必要である。しかし、同時に、彼らからは野生を克服することはできないのだと、最終的には管理や操作ではなく「付き合うこと」なのだと、伝わってくる気もしている。

(王侯貴族が愛したジビエ、美味と美容効果で女子が支持)
ぜいたくで高価な食事の代名詞でもあったジビエだが、田畑を荒らす野生鳥獣対策として捕獲され、食品として流通するようになったことで身近になってきた。安定供給と衛生的な取り扱いで安全性にも注意が向けられている。これが、意外にもクールジャパンのコンテンツの一つにもなりそうだ。昨年1月、ファストフード店の「ロッテリア」が「ジビエ鹿肉バーガー(BBQ&チーズソース)」(720円・税別)を銀座など限定店舗で1~3月の期間限定で売り出したところ、1月末で売り切ってしまったという。もともと、同チェーンは同業他チェーンに比べてブランドの打ち出し方や社会貢献の表現の仕方が弱いと認識し、この商品に賭けたとのことだが、蓋を開けてみれば狙った若い女性客に受けて、あっという間の品切れ状態になったという。ことほどさように、鹿肉が「ジビエ」として話題になることが多くなってきた。筆者が鹿肉の料理を初めて食べたのは10年ほど前。正確にはエゾシカで、函館市の友人が経営しているレストランでその日のお薦めメニューに見つけて注文した。ローストしてベリー系のソースを合わせた一皿。脂肪のない赤身肉だが、柔らかく、肉の味はしっかり。しかも特に癖はないことに感心した。思い出すたび、あれがまた食べたいななどと思ってしまう。四半世紀ほど前のことになるが、筆者はかつて料理書や飲食店の経営に関する書籍や雑誌を発行する出版社に在籍していた。バブルの熱冷めやらぬ1990年代前半のことだが、プロの料理人向けの雑誌の編集をしている同僚の机に「ジビエ」という見慣れない単語が見出しに躍る記事のゲラ(印刷所から来る試し刷り)を見つけた。それを読んで、フランス料理の用語として、狩猟で得た野生の鳥獣の肉をジビエというのだと知った。記事はヨーロッパから輸入される各種のジビエの写真と説明という構成で、カタログのようになっていた。それに載っていたのは哺乳類は少なく、ハトなど鳥類が多かったが、どれもけっこう高価なものだという印象が強く残っている。そもそも狩猟で獲得したものを料理とするのだから、ジビエの料理は歴史的には狩猟をする領地を持っている王侯貴族のものであり、ぜいたくな食事の印象が強いようだ。辻調グループ辻静雄料理教育研究所編著の『フランス料理ハンドブック』(柴田書店)で調べてみると、ジビエを使った料理の料理名には「グラン・ヴヌール」(狩猟頭)、「ディアナ」(狩猟の女神)、「サン=テュベール」(狩猟の守護聖人)など、狩にちなんだ名が付けられるとあるが、名前からしてありがたみがみなぎっているようだ。そのような王侯貴族の食べ物(?)を、あのときは一皿千円台で食べることができて(友人の手心はない。上代のままである)、それはちょっとした驚きだった。また同じ頃、同市の別な複数のレストランで、エゾシカのラグーが提供されている店、カレーが提供されている店を見つけて、それぞれ食べたことがある。鹿肉料理としては、ほかにテリーヌ(パテドカンパーニュ)なども定番らしい。それにしても、今、これほどジビエ料理がはやるのはなぜか。調べてみると、いろいろな要因があることが分かった。1つには、とにかくうまいといこと。ただ、ジビエ肉については、食肉関連の学会でもおいしさに関する論文は圧倒的に少なく検証は難しいのだが、日本獣医生命科学大学で、シカやイノシシの骨からとったスープにイノシン酸やグルタミン酸が豊富に含まれているとの実験論文が報告されていた。そのスープには苦みや辛みは一切含まれておらず、「うまい」と太鼓判を押せる内容である。また、8月に出席した日本フードサービス協会(JF)主催の「全国ジビエフェア説明会」で、長野県のオーベルジュ・エスポワールの藤木徳彦オーナーシェフ(日本ジビエ振興協会の代表理事)に「ジビエはくさい。だから強い赤ワインを使ったソースで流すーーというのは昔の話。今は、適切に衛生処理すれば無味無臭」と教えてもらった。加えて「鹿肉のしゃぶしゃぶは、沸騰した湯に入れないこと。鹿肉は脂身が少ないので、ぎゅっと縮んで硬くなる。水からゆでるのがおいしさのポイント。真空低温調理法で90℃以下で肉を加熱すると、しっとりジューシーな仕上がりになります」とも。2つには、良質なたんぱく質、脂身の少ない赤身肉という栄養面のメリット。これはある程度知られていて、美容を気にする若い女性に圧倒的な支持を得ている。3つ目は法律だ。鳥獣被害防止特措法という法律が2007年に成立し、野生鳥獣対策が予算や人材面などで支援されるようになった。以降、イノシシやシカなどの捕獲頭数が全国的に増えている。たとえばシカ(エゾシカを含む)の捕獲頭数は2000年には14万頭だったが、同法成立の07年には20万頭を超えた。それから10年の17年には61万頭と、2000年と比べると4倍増となっている。安全・衛生についての管理も進んだ。まず、駆除だけでなく食品としての利用も目的となった段階で、異物混入の元となる散弾銃による猟から罠猟にシフトする動きが起こった。加えて、と畜と食肉の処理を行う環境や方法も変わってきている。もともと、と畜場法という法律では、牛、馬、豚、めん羊及びヤギは、この法律で定めると畜場でと畜・解体しなければならないということになっていて、安全と衛生を確保するようになっていたが、それ以外の動物は対象外だったため、伝統的には狩猟で捕獲した動物を野外で処理するといったことは行われていた。しかし、14年に厚生労働省が「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」を示し、都道府県に対してもガイドラインを策定するか、厚労省ガイドラインを採用するように促しており、それぞれの現場もこれに従うようになっている。これも、レストランでの利用を広げることにつながっているだろう。さらに昨年3月、捕獲から搬送・処理加工、販売がしっかりとつながった「ジビエ利用モデル地区」を全国から17地区を選定するに至った。同時に、「国産ジビエ認証制度」がスタートし、今年10月現在8施設が認証を受けており、2施設が審査中である。認証は、ガイドライン以上に厳しい内容という。例えば金属探知機を通すことはガイドラインでは指示されていない。2年前、茨城で素人が捕獲したクマを持ち込んだレストランで集団食中毒が発生した。自然でも危ないのである。いや、自然だから危ない。自然界にいるクマ、シカ、イノシシなどは寄生虫、E型肝炎による健康被害をもたらす。なので、処理施設を通すのが必須である。入手の際には、処理の場所と手順なども確認したい。では次なる課題は何か。友人の一人は鹿肉料理を扱おうとしたところ、話がスムーズに運ばないという。全体としては捕獲量は増えているものの、ピンポイントでは物がそろうかどうかがおぼつかない。そこはさすがに計画的に営まれている畜産業とは違う、いわばジビエのジビエたる面でもあるのだろうなと思っていた。ところが、安定供給を売りにしている会社の話を聞くことができた。「ぎふジビエ」の名称で鹿肉をはじめとする野生鳥獣の肉を扱うキサラエフアールカンパニーズ(岐阜県揖斐川町、所千加社長)は、本拠地の揖斐川町に限らず、広く岐阜県全域に捕獲者のネットワークを持ち、レストランなどから注文があったときにいつも対応できるように努めているという。商品として扱う以上、取り組みの初期の段階から専用の処理場を整備し、現在はぎふジビエ衛生ガイドラインに沿って管理するなど、安全と衛生にも気を配っている。衛生と味などの品質を追求するには、設備だけでなく、捕獲から運搬、処理までをスムーズに行うための迅速な情報の連携も大切だという。国内外の食品の見本市にも積極的に出展しており、筆者が初めて同社を知ったのも展示会場でだった。そのときの展示はソーセージ、レトルトのラグーやカレーがメインだったので加工品主体かと尋ねたが、そうではないという。「レストラン向けの正肉の扱いを主力に考えている。ただ、レストランの食材に向かない部位もあるため、加工品もそろえて全体を無駄なく完全に使い切るようにしている」(所社長)ということだった。レストランでシェフたちが腕を振るうのにベストな正肉部分を確保する。また、シェフが作りたい料理に合わせて、どの部位がよいかのアドバイスもする。一方、肉として硬い部位がある。また、罠が当たった部位は色が悪くなるのでそのままでは使えない。どのような部位をどのように活用できるか、試行錯誤を重ねながら、利用の形を広げてきた。加工品はワインショップでも人気の商材になった。どうしても食品にならない骨などはペットフードとして商品化した。同社は香港で毎年8月に開催される食品の見本市「フード・エキスポ」に今年も出展したが、今回は来場者から意外な情報がもたらされたという。「カナダからのお客さんが珍しいと教えてくれた。カナダではハンティングで獲れた動物の肉を商業的に販売するのは禁止で、現在、世界的にはそういう国が多いという。100%天然の肉ということと、日本産であるということは、もっとアピールするといいとアドバイスしてくれました」(同)。ジビエという言葉があるため、本場はフランスなど海外と感じていたが、意外にもこれは「クールジャパン」のコンテンツの一つになりそうではないか。その魅力を育み、推進するためにも、安定供給、高品質、安全、衛生のための仕組みがさらに進んでいってほしい。

(カリフォルニア州、州法で毛皮製品の販売が禁止に:アメリカ)
米カリフォルニア州で、動物の毛皮の販売を禁じる法案が知事の署名で成立した。こうした州法が制定されるのは全米で初めてとなる。同法は2023年1月1日から施行される。カリフォルニア州のニューソム知事は11日、州内で新しい毛皮製品の販売、寄付、製造を禁じる法案に署名した。法案はローラ・フリードマン州議会議員が起草したもので、新しい衣類やハンドバッグ、靴などに使われる毛皮全てが対象となる。違反した場合は罰金が科せられる。中古の毛皮や剥製(はくせい)品、レザー、牛革、羊革は禁止対象から除外される。また、宗教目的や先住民が使う毛皮製品も対象外。狩猟免許を使って合法的に毛皮を入手することは引き続き認められる。ニューソム知事はほかにも、動物虐待防止を目的とした複数の法案に署名して成立させた。この中には、サーカスでのトラやゾウの使用を禁じる法案や、ボブキャットの狩猟や捕獲や駆除を禁じる法案、馬を食肉処理から守る法案などが含まれる。さらに、野生生物の死骸の販売を禁じる法律についても、対象とする動物をさらに拡大した。動物愛護団体のPETAは、「サーカスでむち打たれながら曲芸をさせられたり、生きたまま皮をはがれたりしていた動物たちにとって歴史的な日になった」と歓迎するコメントを発表した。

(トロフィーハンティング(娯楽としての狩猟)を禁じる動物福祉法案:イギリス)
イギリスでは14日、議会の新しい会期が始まり、エリザベス女王が政府の施政方針演説を読み上げた。ボリス・ジョンソン首相は演説の内容について、「野心的な」政策を掲げたと述べたが、野党側は「総選挙用の公約」に過ぎないと反論している。環境をめぐっては、プラスチック削減、大気汚染の低減、生物多様性と水質の改善などについて法的拘束力のある「改善目標」の設定が計画されている。また、トロフィー ハンティング(娯楽としての狩猟)を禁じる動物福祉法案も提出された。

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