<射撃ニュース11月>
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(ワクチンのヘリ散布で実験:群馬)
農林水産省は26日、家畜伝染病「豚コレラ(CSF)」の感染拡大防止策の一環として、自衛隊のヘリコプターを使って野生イノシシ用の餌型ワクチンを空中から散布する実験を群馬県で28日に行うと発表した。現在は手作業でまいているが、イノシシの感染事例が後を絶たない状況を踏まえ、一度で大量に投下できる手法を採用し、ウイルスの撲滅を目指す。農水省によると、28日の実験は群馬県畜産試験場吾妻肉牛繁殖センター(東吾妻町)の敷地内で実施。ヘリコプターの高度や速度を変えながら、効果的な散布方法を探る。来月以降、国有林などで広範囲にまく方針で、対象地域は今後検討する。

(防衛省、豚コレラ経口ワクチン入り餌の空中散布で農水省と協力)
河野太郎防衛大臣は11月26日、同日の定例会見で、豚コレラ(CSF)対策として、野生イノシシに対する経口ワクチンを入れた餌を空中散布する農林水産省の計画に、防衛省として協力すると発表した。農水省としては、CSFのウイルスが野生のイノシシに拡散してしまうため、地上で経口ワクチンを散布する計画を進めており、この一環として経口ワクチンを入れた餌を空中散布する検討を行なっているところ。河野大臣は、「農水省が群馬県の畜産試験場で、経口ワクチン(入り餌の)空中散布の実証実験を11月28日に行なうため、陸上自衛隊第12旅団第12ヘリコプター隊(相馬原)のUH-60JA 1機を用いて、これに協力する」と説明。実証実験では、農水省の職員1名を同乗させ、経口ワクチンを実際に投下することで、高度や速度など適切な投下方法を探るとのこと。なお、実証実験後の本格的な空中散布の計画などについては、河野大臣は「農水省に確認してほしい」とするも、「自衛隊としてしっかりと協力していく」と述べた。

(アフリカ豚コレラ、予防的殺処分に)
江藤拓農相は26日の閣議後記者会見で、中国などで猛威を振るう家畜伝染病のアフリカ豚コレラ(ASF)が日本国内で発生した場合、周辺地域で未感染の豚を予防的に殺処分することを検討していると明らかにした。日本に侵入すれば、急速に感染が広がる恐れがあるためで、必要な法改正を進める方針。アフリカ豚コレラは豚やイノシシに感染する伝染病で、致死率はきわめて高い。人には感染しない。

(餌型ワクチン散布、豚コレラ対策で:石川)
石川県は25日、野生イノシシに対して豚コレラ(CSF)ワクチン入りの餌の冬季散布を始めると発表した。津幡町から七尾市にかけてのエリアにある7市町の305カ所に、計6100個のワクチンをまく。26日からイノシシを呼び寄せるための餌付けをし、その後ワクチン入りの餌を地中に埋設する。県は夏にも野生イノシシ向けの散布をしているほか、10月には養豚場の豚などを対象にしたワクチン接種を実施している。

(豚コレラ感染イノシシ新たに18頭:滋賀)
滋賀県は25日、長浜市と米原市で豚コレラ(CSF)に感染した野生イノシシが新たに18頭見つかったと発表した。内訳は長浜市が11頭、米原市が7頭。今回の追加分を含め、県内での感染例は計44頭(米原市21頭、長浜市19頭、東近江市と多賀町各2頭)になった。県は感染拡大を防ぐため、ウイルスを運ぶ野生イノシシの捕獲を強化しており、検査拠点となる県家畜保健衛生所(近江八幡市)を来年度に改修する方針を示している。

(泳ぐクマがボートに体当たり:秋田)
10月10日、秋田県北秋田市の太平湖で泳いでいたクマが、男性が乗っていたボートに襲い掛かった。親子と見られる3頭のクマがボートに近づいてきた。親と見られるクマが威嚇するような声を上げながらボートにぶつかってきた。クマはボートの後ろ側の角をかじったという。「襲ってきたのは間違いない。体当たりされた。かじった音が聞こえた」と、男性は数秒の出来事を振り返った。3頭のクマは、その後岸に上がり山に戻っていったという。秋田県によると、2019年度秋田県内でクマの目撃が報告されたのは、11月24日時点662件、けが人は16人。目撃された件数は2018年度の方が多い一方で、9月以降に絞ると2018年度の3倍を超えている。東北森林管理局の調査では、クマの餌となるブナの実が大凶作で、秋田県はクマの冬眠が例年より遅れ、今後も出没する状況が続くと見ている。県や北秋田市は「これまで太平湖で泳いでいるクマが目撃されたケースは聞いたことがない」としている。しかし、クマは生態的には泳ぐこともあるということで、県は今後も湖や川を含めて木々が近くにある地域ではクマに警戒するよう呼びかけている。男性が最も驚いたのは、クマが泳ぐスピードだった。思った以上に速く泳ぎ、気が付いたらすぐに接近してきたという。秋田県内では、住宅地の近くも含めて、どこにでもクマが現れるということを認識しなければならない。

(熊の目撃情報:宮城)
25日午後4時45分頃、登米市迫町新田字北山地内(駒林行政区)で熊の目撃情報がありました。

(市街地に野生のサル出没:静岡)
25日午前10時半ごろ、牧之原市静波の県立榛原高周辺で野生のサルが出没した。同市や牧之原署がパトロールして捜したが、発見できなかった。同市によると、付近にいた人が民家のベランダから隣の家に移る1匹のサルを目撃し、市に通報した。現場は住宅が立ち並ぶ市街地で、市は今後、パトロールを強化する方針。サルを発見しても目を合わせたり刺激したりしないよう、市はホームページやSNSで呼び掛けている。

(住宅地でサルの目撃情報相次ぐ:大分)
別府市の住宅地で26日午前サルの目撃情報が相次ぎ、市では周辺の住民に注意を呼びかけています。26日午前別府市の住宅地でサルが撮影されました。別府市役所や警察によりますと26日午前8時頃から11時前にかけて別府市の北部地域にあたる春木川小学校周辺や別府大学の西側、それに亀川中央町で少なくとも5件のサル目撃情報が寄せられました。警察では周辺をパトロールするともに市でも自治委員を通じて地域の住民に注意を呼びかけています。また、近くでサルが目撃された春木川小学校では下校時間に合わせて教員が通学路にたち児童の安全を見守りました。市では、サルを見かけても近づいたり、目を合わせたりしないよう呼びかけています。

(クレー射撃・大山選手が戸田市長訪問:埼玉)
二〇二〇年東京五輪のクレー射撃トラップ種目への出場が内定した戸田市在住の大山重隆選手(38)=大山商事=が二十六日、市役所に菅原文仁市長を訪ね、八カ月後に迫った五輪への抱負を語った。大山選手は戸田市立新曽(にいぞ)北小学校、新曽中学校の出身で、二十一歳で競技を始めた。今月初めにあったアジア選手権で日本勢最上位となり、初めての五輪代表に選ばれた。この日は、父で市体育協会副会長の賀市(かいち)さんらと訪問。東京五輪のクレー射撃は陸上自衛隊朝霞訓練場(朝霞市など)が会場となるため、「地元の埼玉でできるので頑張りたい」と意気込んだ。

(ツキノワグマ猟期短縮、駆除上限迫り2日まで:兵庫)
兵庫県は26日、12月14日までとしていた本年度のツキノワグマの猟期を短縮し、同2日までにすると発表した。今期の狩猟と駆除の頭数が、クマの生息数維持のために設けた上限まで残り10頭となったため。県はホームページで告知するとともに、今期のクマ猟を許可しているハンター宛てに連絡文書を発送した。県は毎年度、過度な駆除や狩猟を防ぐため、直前の推定生息数を基に狩猟と駆除を合わせた上限頭数を設定。今期は2018年当初の県内の生息数を830頭と推定し、上限を124頭としていた。県は今期の鳥獣の狩猟を今月15日に解禁。25日、クマの狩猟頭数は0頭だが駆除頭数が114頭に達し、猟期短縮を決めた。クマ猟は、特別な講習を受けた県内外のハンターに対し、銃猟のみで12月14日までの1カ月間に限り許可していた。

(狩猟イノシシ、市が処分:石川)
白山市は、狩猟で捕獲されたイノシシの焼却処分に乗り出す。従来は猟師自ら処理する必要があり、獣肉加工施設に持ち込んでジビエとして売るなどしていた。ただ、豚コレラ(CSF)の感染拡大でジビエ利用が自粛されているため狩りの機会が減り、イノシシの生息数が増える懸念があった。市が処分先を確保することで狩猟を促し、農作物被害が広がるのを防ぐ。3日開会の市議会12月会議に提出する補正予算案に、イノシシを一時保管する冷凍庫5台分の購入費など485万円を計上する。年間を通じて行われる有害鳥獣駆除では、捕獲されたイノシシは市が処分している。一方、狩猟で捕獲した分は猟師の責任で対応しなければならず、猟師が自家消費するか、市内2カ所の獣肉加工施設に持ち込むことが多かった。しかし、豚コレラの感染の広がりを受けて食肉として利用されなくなり、処理に困ったイノシシが山中に放置される恐れが出ていた。狩猟の機会が減るとイノシシが増え続けるため、農作物被害の拡大も危ぐされていた。大型冷凍庫は市鶴来支所や吉野谷地域などの施設に設置する。猟師から持ち込まれたイノシシを一時保管した後、鳥越地域の焼却施設に運んで処分する。市の担当者は「雪解け後に畑の被害が拡大することのないよう努めたい」と話した。市内で11月15日~2月15日の狩猟期間中に猟銃で捕獲されたイノシシは2018年が186頭、17年が442頭で、積雪が多い年ほどイノシシの動きが鈍り、捕獲数が増える傾向があるという。

(イノシシ対策など議論:佐賀)
佐賀県は26日、中山間地・離島・県境振興対策本部会議を県庁で開いた。イノシシの子・うり坊の捕獲報償金が親に比べると低いため、猟師が捕まえても逃がしていることなど、県職員が地域に入って聞き取った課題が報告された。県生産者支援課によると、イノシシの捕獲報償金は支援を拡充している市町を除くと、親が1万2千円で、国が7千円、県と市町が2500円ずつ出している。これに対し、うり坊は6千円(国1千円、県・市町計5千円)で、親の半額。一部市町を除き、県と市町の報償金は期間が4~10月に限られており、それ以外の時期はうり坊の報償金は千円にとどまる。一度わなにかかったイノシシは学習するため、会議では「小さい時の駆除が合理的ではないか」「報償金の格差をなくせないか」という意見が出た。

(ツキノワグマ、人里近くで出没相次ぐ)
各地でツキノワグマの出没が増えている。冬眠に備えて食欲が旺盛になる秋に入って目撃が急増した自治体も目立ち、11月以降も住宅街などで人が襲われる事案が相次いだ。今年は主食となるドングリ類の実りが悪く人里に下りてきているとみられ、地域によっては9~10月に連続襲来した台風の影響を指摘する声も出ている。「山菜採りなどで山に入った人が襲われることはあったが、今年は住宅地での被害や目撃が目立つ」。人口約1万人、新潟県東部の山間地域にある阿賀町。農林課の職員は危機感を隠さない。町では今月9日以降だけで2人が被害に遭い、13日夜には車で帰宅した50代男性が玄関前で襲われて顔面などを負傷した。県全体でもクマによる負傷者は4月から11月25日までに19人(2018年度は6人)に上り、統計が残る1994年度以降で最悪となった。個体や痕跡の目撃情報は秋から目立って増えた。県によると、4月以降に寄せられた約1340件の6割を9~11月が占める。10月末までに18年度全体の8倍を超す約170件の目撃があった南魚沼市では、降雪対策などで12月初旬に始める一部小中学校でのスクールバス運行を今年は3週間早めた。明るいうちに児童を帰宅させるため、放課後の部活動を自粛した小学校もある。環境省によると、ツキノワグマが生息していない地域などを除く全国37都府県で19年4~9月に寄せられた出没情報は1万2226件。17、18年度を上回るのは確実なペースだ。新潟県の担当者は「今年は主な餌となるブナの実が最低レベルの凶作で、人里まで民家の柿や生ごみをあさりに来ている」とみる。福井県勝山市では10月下旬、親子とみられる2頭のクマが住宅街のスギの木などに居座り、周囲にある柿をとって食べるなどした。4日目に捕獲された。現場は市の中心部で、従来はクマの出没が見られなかったエリアという。環境省によると、各自治体の調査をもとにブナの結実が「凶作」と判定されたのは、情報を寄せた19都道府県中、新潟や福井を含む18地域に上った。ミズナラも凶作が「並作」を上回った。山梨県でツキノワグマの生態調査などに携わるNPO法人「山梨ツキノワグマレスキュー」の杉山慎二・副代表理事は、9~10月に関東地方などを通過した台風15、19号の影響も指摘する。強風や雨でブナの実などが熟す前に落ち「他の動物に食べられたり、不完全な実をクマが食べるのを嫌ったりして、山中のエサ不足が深刻になっている可能性がある」(杉山さん)という。体長1~1.5メートル程度のツキノワグマは本州以南に生息。九州では絶滅したとされ四国でも危機にひんしているが、自然環境研究センター(東京)の沢辺佳彦・主任研究員によると、全国的に見れば分布域は広がり、個体数も横ばいか増加している地域が多いという。過疎化などで柿の実などがなったまま放置されたり、人の生活圏に近い藪(やぶ)など動物が隠れやすい環境の管理が行き届かなかったりして、「クマが人里近くに出やすい環境が広がっている」(沢辺氏)。人との住み分けを図るため「奥山との緩衝地帯となる里山などをどう管理していくか各地で考えていく必要がある」(同)という。

(おいらエゾシカ、不慮の事故で3本足に:北海道)
おいらエゾシカ。不慮の事故で3本足になってしまったけど、おいらは負けない。おいらの話を聞いとくれ。仲間の雄たちとのんびり草をはんでいたら、いきなり左の前脚に激痛が走って意識が遠のいた。撃たれたのか、交通事故に遭ったのかは分からない。気がついたら、誰もいない荒れ地に横たわっていた。左脚から大量の血が流れていた。動こうとすると、激痛が走った。「このまま死ぬのかな」と思いながら、傷が癒えるのをじっと待った。やがて左脚は上腕骨から下がなくなった。それでも命だけは助かったようだ。「死ぬわけにはいかない」。そう心に決めた。傷が癒え、たどり着いたのが北海道の東の端・根室市の野付(のつけ)風蓮(ふうれん)道立自然公園。2週間ほど前からここにいる。どうやら禁猟区らしい。ひとまずここで厳しい冬をしのぐことにした。目がさめた。きょうも生きている。

(ツキノワグマ追い払う「ベアドッグ」に注目:長野)
ツキノワグマの被害が新潟県内各地で相次ぐ中、クマを追い払う特別な訓練を受けた犬「ベアドッグ」が注目されている。ツキノワグマは希少動物でもあり、駆除に頼らず人間との住み分けを目指せるためだ。同県妙高市で9月にあった体験学習会で、長野県軽井沢町のNPO法人「ピッキオ」のベアドッグを中心としたクマ対策事業が紹介された。

(五島列島五島市が、地域おこし協力隊を募集:長崎)
長崎県五島市は、ジビエ肉の利活用を担う地域おこし協力隊を募集します。応募締切は、2019年12月25日(水)。

(野生動物から人にうつる主な感染症は?)
現在も感染拡大が続いている豚コレラは、野生イノシシでも感染が確認されています。豚コレラは人にうつりませんが、野生動物から人にうつる「人と動物の共通感染症」は数多くあります。ここでは、農家や狩猟者に関係の深い野生動物からうつる、主な共通感染症について解説します。「豚コレラ」はブタとイノシシの病気で、人にうつることはありません。豚コレラにかかった動物の肉を食べて人に感染するということは世界的に報告されていません。しかし、ブタとイノシシにおいては強い伝染力と高い致死率が特徴で、現在も家畜業界へ甚大な被害を及ぼしています。イノシシから人にうつる主な共通感染症は「E型肝炎」です。加熱不十分な肉や内臓を食べると感染する可能性があります。E型肝炎は、約6週間の潜伏期の後、発熱、嘔吐などの症状があらわれ、致死率は1~3%です。シシ肉に限らず、野生のジビエ肉を食べる場合は寄生虫などによる食中毒のリスクもあるため、十分に加熱処理することが原則です。シカもイノシシと同様に、E型肝炎がうつるリスクがあります。その他、ふん、肉、内臓等を食べることで感染する「腸管出血性大腸菌感染症」、乾燥したふんや毛などを吸い込むと感染する「Q熱」などの感染源でもあります。アライグマは「狂犬病」を媒介します。唾液から感染するため、かまれないよう注意してください。狂犬病は、感染後14~90日で発症し、昏睡・呼吸障害などを起こします。発症した場合の致死率は、ほぼ100%と言われています(現在では国内の発生はありません)。また、寄生虫の一種であるアライグマ回虫は、人がふんに触れるなどして回虫の卵を口にしてしまうと、幼虫が体内を移動して重大な神経障害を引き起こす原因になります。他にも、アライグマはE型肝炎や「レプトスピラ症(ノネズミの項目参照)」などの感染源でもあります。北海道のキタキツネは「エキノコックス症」の感染源です。ふんにエキノコックスという寄生虫の卵を排出し、それが人の手指や水などを介して口から入ることにより感染します。成人では感染してから初期症状が現れるまでに通常10年以上かかります。北海道では、毎年10~20人の患者が発生しています。イヌからもエキノコックスの寄生虫が見つかっているため、注意が必要です。ノウサギの皮をはいだり、調理をしたりする際に「野兎(やと)病」に感染する恐れがあります。野兎病はインフルエンザのような発熱、悪寒、頭痛、倦怠感などの症状を引き起こします。保菌動物の尿や、尿に汚染された水に触ると「レプトスピラ症」に感染する可能性があります。沖縄県では、水田で農作業をしていた人が発症しました。レプトスピラ症は、5~14日の潜伏期のあとに急激な発熱、吐き気などが現れ、重症化すると臓器不全などに陥ることもあります。他にも、ノネズミなどのげっ歯類は、「腎症候性出血熱(HFRS)」、野兎病などの感染源でもあります。オウム、インコ、ハトなどのふんや排せつ物を含む粉じんを吸い込んだり、口移しでエサを与えたりすると「オウム病」に感染する恐れがあります。感染すると、肺炎などの気道感染症を起こします。「鳥インフルエンザ」は、通常は人に感染しませんが、感染した鳥に直接何度も触れるなど濃厚な接触をした場合、極めてまれに人に感染することがあります(日本では発症した人は確認されていません)。鳥インフルエンザにかかった鳥の肉を食べて人に感染するということは世界的に報告されていません。しかし、家きんが高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染すると、その多くが死んでしまい大きな被害となります。農家や狩猟者に最も身近な存在であり、細心の注意を払わねばならないのはマダニです。野生動物だけでなく散歩中のイヌにも付着し、畑やあぜ道、民家の裏庭などにもいます。マダニは、シカやげっ歯類などが感染源の「日本紅斑熱」、シカやイノシシなどが感染源の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」、げっ歯類や鳥類が感染源の「ライム病」、ノウサギやげっ歯類が感染源の「野兎病」など、多くの感染症を媒介します。マダニにかまれないためには、農作業や狩猟で草むらやヤブなどに入る際、長袖、長ズボン、長靴、帽子、手袋、首にタオルを巻くなど、できるだけ肌の露出をなくすことが大事です。マダニにかまれたら、無理やり取ってはいけません。マダニの一部が皮膚に残り、感染症がうつる恐れがあります。すぐ医療機関(皮膚科)に行って処置してください。感染症を防ぐためにも、身近な野生動物がどのような病原体を持っているのか、よく知っておく必要があります。基本的に野生動物は清潔なものではないと理解し、素手で触る、餌付けをするなどの行為は絶対にやめましょう。

(「ジビエ」外食チェーンでも)
鹿やイノシシといった野生鳥獣の食肉「ジビエ」を使った商品が外食チェーンで広がっている。ロッテリア(東京・新宿)は29日から全国約120店で鹿肉をパティに使ったハンバーガーを販売する。コロワイドも居酒屋「北海道」で鹿肉を使った料理を提供。農林水産省がジビエの加工施設に対する認証制度を始め、チェーン店でも採用しやすくなっていることなどが背景にある。ロッテリアの「ジビエ 鹿肉バーガー」(税別720円)はパティの6割を鹿肉にし、ミートソースにも採用する。農水省の認定を受けた長野県の工場で処理した鹿肉を使用。1月に限定販売したが、1カ月弱で完売し、今回は販売量を1.4倍に増やす。農水省は2018年5月、食肉処理施設向けに「国産ジビエ認証制度」を始めた。鹿やイノシシの部位を定義し衛生管理の体制なども審査する。すでに8施設が認定を受けた。18年度に加工処理されたジビエは1887トンで16年度の1.5倍に増加。農水省は19年度にジビエの加工処理量を2600トンと16年度の2倍にする目標を掲げる。ジビエの流通量が増えるなか、外食チェーンも使いやすくなってきた。コロワイドは居酒屋「北海道」で鹿肉を使った「北海うにく盛り」(税別1990円)などを約50店舗で提供している。16年から取り扱いを始めているが、流通量が安定し始め、消費者の間でジビエ肉の認知度が高まってきたことも追い風とみる。日本フードサービス協会(東京・港)が11月から始めたジビエフェアは15日時点で400店が参加し、今後も参加店舗の増加を見込む。

(ぼたん鍋シーズン到来:福井)
11月に入りイノシシのわな猟、銃猟がそれぞれ解禁され、福井県おおい町名田庄地区では冬の風物詩「ぼたん鍋」が味わえる。同地区の料理旅館では例年通り、脂がのった質のいい肉を多く仕入れているといい「寒さが増す時期なので、ぼたん鍋で体を温めて」とPRしている。ぼたん鍋はイノシシ肉と一緒に野菜やキノコなどをみそベースのだし汁で煮込み、食べ応えがある。薄切りしたイノシシ肉を大皿に盛りつけた様が、ボタンの花のように見えることから呼び名が付いた。50年近くぼたん鍋を提供している同地区の料理旅館「新佐」(名田庄久坂)では、3日からイノシシの肉を扱い始めた。25日までに仕入れたのは合計7、8頭分に上り「数も昨年並みに入っている」と同旅館の栗原正夫さん(71)は話す。イノシシ肉は約1・5ミリの厚さに切って提供している。脂がのっていてもあっさりとした味わいで、ほんのりと甘みが感じられる。それだけに自家製の甘いみそで味わうと格別だという。今年、県の許可を受け、イノシシを食肉処理できる加工施設を旅館横に整備した。処理を手掛ける息子の清孝さん(44)は「より新鮮な状態でお客さんに提供できるようになった」と話す。正夫さんは「いいイノシシを吟味して仕入れている。冬至(12月22日)ごろが一番の旬。ぜひ、味わってほしい」と話している。県内のイノシシ狩猟は、わな猟が来年3月15日まで、銃猟は2月15日まで。同旅館では4月中旬ごろまで、ぼたん鍋を提供する予定。

(冬の味覚「カモ料理」を:富山)
季節限定の冬の味覚、カモ料理。射水市の料理旅館、「おぐら館」では、今月15日の狩猟解禁に合わせて、串焼きやカモ鍋など8種類のカモ料理を提供しています。なかでも、天然の赤身のカモ肉を甘みのある濃口の出汁にくぐらせる鴨すき焼きは、創業当初からある看板メニューです。25日は富山市から団体客が訪れ、狩猟が解禁さている冬場だけの特別な味を楽しんでいました。カモは地元におよそ200年前から伝わる「谷仕切り網猟(たにしきりあみりぉう)」で獲ったもので、銃での猟とは違い網を使って捕まえることから、傷がつかずに状態のよいカモを提供できるということです。カモ料理は、来年3月中旬まで楽しめます。

(わなで捕獲のイノシシ、限定ジビエ料理に:神奈川)
野生動物の肉を食材としたジビエ料理を知ってもらおうと、小田原市役所7階の食堂は27日、イノシシ肉を使用した限定メニューの販売を始める。第1弾は「ぼたん汁」で、コロッケ定食とセットで650円。JAかながわ西湘曽我支店鳥獣被害対策委員会が捕獲したイノシシを使用している。県西部では野生鳥獣による農作物被害が深刻で、各地でシカやイノシシの捕獲活動が行われている。これらの肉を商業ラインに乗せるには狩猟、運搬、加工の方法などで厚生労働省の厳しいガイドラインがあるため、捕獲された野生動物は自家消費するかその場で埋めるケースが多い。今回は、わなにかかったイノシシを同委が松田町の食肉処理施設で加工することなどで基準をクリア。食肉として利用してほしいと市役所食堂に提案した。

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(実弾の持ち込み数引き上げ)
国土交通省が2020年東京五輪・パラリンピックを念頭に、鉄道やバスに持ち込めるスポーツ射撃用の実弾の数を引き上げる方針を固めたことが21日、同省への取材で分かった。現在は鉄道200発以内、路線バスや高速バス50発以内だが、800発を上限とする。同省は選手や関係団体の意見を集めた結果、選手は最大800発程度の実弾を持って移動しており、現行規定が競技の実態と合わないと判断した。競技が以前より普及していることや、五輪・パラに向け海外勢も含め合宿や練習の機会が増えるとみて、省令を改正して20年1月に施行、恒久規定とする考えだ。同省によると、鉄道やバスに持ち込める実弾は口径が約5.7ミリ。スポーツ用の実弾は、ほかの用途に比べ、火薬の量は少ないという。現状では、選手は規定を考慮し、マイカーやレンタカーで移動するケースが多く、鉄道やバスも使えるようにしてほしいとの要望があった。

(イノシシ猟の流れ弾で男性けが:和歌山)
21日、和歌山県印南町で、測量作業をしていた男性にイノシシ狩りのグループが発砲した散弾銃の流れ弾が当たりました。男性は右手にけがをし、警察はグループから話を聞くなどして当時の詳しい状況を調べています。21日午前9時半ごろ、印南町古井で測量作業をしていた45歳の男性会社員の右手に散弾銃の弾が当たりました。警察によりますと、男性は手の甲にけがをして病院で手当てを受けましたが、骨に異状はなく、命に別状もないということです。印南町によりますと、当時、現場付近では町が害獣駆除を依頼した14人がイノシシ猟をしていました。警察のこれまでの調べに対し、このうち町内に住む79歳の男性が「走ってきたイノシシをめがけて2発発砲したら、男性にあたってしまった」と説明しているということです。警察はグループからさらに話を聞くなどして当時の詳しい状況を調べています。

(5歳児ら3人襲ったイノシシの捕獲失敗:兵庫)
兵庫県赤穂市御崎の兵庫県立赤穂海浜公園で23日午後、イノシシが5歳男児を含む3人を襲い、軽傷を負わせた事案で、赤穂市は24日朝、このイノシシの捕獲を試みたが失敗した。赤穂署によると、イノシシは体長約70センチ。23日、同公園に訪れていた男児に体当たりし、加古川市の女性(65)や赤穂市の男性(60)の足にかみついた後、公園職員が公園南西の一角に追い込んでいた。日が暮れたため、24日朝になってから捕獲を試みたが、既に姿を消していた。追い込んだエリアは約15センチ間隔の鉄柵などで囲まれ、鉄柵がゆがんで通り抜けやすくなっていた場所もあったという。市はイノシシが逃げ出した可能性が高いとみている。同公園は24日に続き、25日も臨時休業する。公園の担当者は「イノシシが公園内にいないか、あらためて確認する必要がある」とし、26日の開園を目指す。

(イノシシに襲われ5歳と60代の男女けが:兵庫)
23日午後3時40分ごろ、兵庫県赤穂市御崎の公園内にイノシシが現れ、母親と遊びに来ていた同県姫路市の男児(5)と、近くにいた60代の男女2人が相次いで襲われた。兵庫県警赤穂署によると、いずれも足や腹を切るなどの軽傷という。同署によると、イノシシは男児に体当たりした後、孫と遊びに来ていた同県加古川市の無職女性(65)の右足にかみついた。さらに追い払おうとした赤穂市の県職員の男性(60)も両足をかまれるなどした。イノシシは体長70センチ程度。署員らが公園内の西端に追い込み、捕獲作業を進めているという。11月上旬、公園付近での目撃情報が数件寄せられていた。

(野生イノシシ向けワクチン入り餌、ヘリ散布へ)
江藤拓農相は23日、自民党岐阜市支部(玉田和浩会長)が岐阜市六条南の岐阜産業会館で開いた政経文化パーティーで講演した。豚(とん)コレラ(CSF)対策としてワクチン接種の決断をした経緯などを説明した上で、「終息のめどが立っていないことを心からおわびしたい」と述べた。江藤農相は、2010年に口蹄疫(こうていえき)による甚大な被害を受けた宮崎県出身。今年9月の就任直後にワクチン接種の方針を打ち出したが、その際に「口蹄疫による農家の喪失感や絶望など、地獄を見てきた。(ワクチン接種など)打てる手は何でも打たないと、必ず後悔することになる」との思いで決断し、接種への慎重論が根強い省内での理解を広げた経緯を紹介した。豚コレラは最初の感染確認から1年以上たつが、「短期間で大流行した口蹄疫と違い、豚コレラは真綿で首を絞めるようなたちの悪さがある」と指摘し、「終息のめどが立っておらず、責任を感じている」と陳謝。農家が守るべき衛生基準の見直しや、アフリカ豚コレラ(ASF)の侵入防止など諸課題への対応に力を入れる考えを示した。また、野生イノシシ向けにワクチン入りの餌を自衛隊のヘリコプターで山中に散布する対策は、防衛省と連携して28日に始めると表明。実施する場所などには言及しなかったが、「子どもが行く場所や、キャンプ場、川などへの配慮をして大量にまく」と説明した。パーティーには野田聖子衆院議員や渡辺猛之、大野泰正両参院議員、党員ら約千人が参加。来賓として古田肇知事、柴橋正直岐阜市長らも出席した。

(豚コレラ対策で全国知事会PT、県が主導:岐阜)
全国知事会の豚(とん)コレラ(CSF)対策プロジェクトチーム(PT)の設置は、岐阜県が主導した。二十二日の初会合で、PTリーダーを務めた古田肇知事は「現場の声をしっかり届ける必要がある」と述べ、昨年九月の豚コレラ発生以来、対応にあたってきた一年余りの経験で浮かんだ課題を、国の議論に反映させたい考えを示した。課題とされていたのは、国と県の役割分担が不明確だったことや、野生イノシシへの対応を県が手探りで進めたことなどだ。これを踏まえて、初会合で示した対策への提言案では、農場に対する衛生管理の指導内容のルール化や、早期出荷とワクチン接種の優先順位の明確化などの項目を列挙した。初会合には、ほぼすべての都道府県から幹部が参加した。参加者からは「ワクチン接種を国ではなく、県の主体的な判断でできるようにしたい」「(外国人観光客が訪れる)地方空港で水際対策を厳しくやってほしい」などの意見が出たが、大枠で異論はなかった。古田知事は会合後、「実際に感染を経験した県、防御的に支援をしてほしい県とかなり幅がある。一番悩んでおられるところを把握して提言していく」と話した。

(港にイノシシ、「大捕物」に:石川)
能登町小木港で24日、港内を泳ぐイノシシ1頭が目撃され、町職員や猟友会員、住民らによる「大捕物」が繰り広げられた。住民によると、小木港内でイノシシ出没が確認されたのは初めて。通報から約2時間半後に捕獲され、その場で処分された。けが人はいなかった。イノシシは体長約1メートルの雌で、成獣とみられる。午前9時ごろ、小木の川端正文さん(60)が散歩中、堤防の岩場付近にイノシシがいるのを見つけた。その後、イノシシは港内を泳いで周回し、午前11時ごろに排水溝の中に入った。午後2時ごろ、また泳ぎ始めたイノシシを住民がロープを使っていったん捕獲。午後2時半ごろ、珠洲署に通報したが、逃げ出し、再び排水溝に姿を隠した。町職員や猟友会員らが排水溝からイノシシをおびき出し、泳ぐイノシシを漁船で追い掛け、ワイヤで午後4時50分ごろ捕獲した。能登海上保安署の巡視艇「おぎかぜ」も出動した。住民によると、小木港に近い高台の日和山公園や真脇遺跡公園などにはイノシシが出没している。川端さんは「泳ぎがうまく驚いた。日和山から下りて、帰れなくなったのかもしれない」と話した。

(クマ出没、けが人なし:秋田)
24日午前11時20分ごろ、秋田市太平黒沢字払川の県道にクマがいるのを、近所の70代男性が目撃し、秋田東署に通報した。同署によるとクマは体長約70センチ。県道を横断し、北の山林へ立ち去った。直近の民家まで約150メートル。同署がパトカーで付近住民に注意を呼び掛けた。

(イノシシ、海岸林伝い移動か:新潟)
新潟市で2019年度、イノシシの目撃情報が急増している。11月に入り、市街地である中央区の新潟島でも目撃が相次ぎ、17日に1頭が捕獲された。市によると、同区で目撃情報があったのは初めて。市に人的被害や農作物被害の情報は今のところ寄せられていない。専門家は海岸林を伝い移動した可能性を指摘する一方、定着しないよう市民に生ごみの管理などの注意を促している。中央区では3日、窪田町の海岸付近でイノシシを目撃したとの通報があった。16日には関屋松波町や西船見町、二葉町3、入船みなとタワー周辺といった新潟島の海沿いの地域で複数の目撃情報が市などに寄せられた。足跡などから、市は「3日に目撃された個体と異なるのではないか」とみる。16日に目撃されたとみられるイノシシは17日に捕獲された。16日は西区でも目撃したとの通報が相次ぎ、関屋分水路に架かる橋を渡っていたのを見たという情報もあった。ただ、イノシシは泳げるため、どうやって新潟島に上陸したかは不明だという。入舟地区コミュニティ協議会会長の男性(77)は「イノシシが出るような場所だと思っていなかったので大変驚いた。住民の間でも、いつ出てくるのか不安だと話題になっていた」と話す。市や専門家によると、県内では上・中越地方で生息しているが、市内では2016年度から、死骸の発見やイノシシと思われる動物の目撃が複数件寄せられるようになった。16年度は西蒲区や、同区と西区の境目で計3件、17年度は秋葉区で3件。18年度は17件だったが、本年度は既に、西蒲区を中心に50件以上と急増している。市は現段階で、人的被害や農作物への影響は確認していない。森林生態学を専門とする新潟大農学部の箕口秀夫教授(60)は新潟島で出没したことについて「イノシシはやぶに隠れているのが大好き。新潟は角田山周辺から、新潟島の海岸林まで“緑の帯”が続く。そこを移動してきたのではないか」と推測する。やぶのない開けている場所には行かないため、緑の帯に入ったイノシシは進むか戻るかしかできず、結果的に中央区までたどり着いたのではないかとみる。さらに、箕口教授は「海沿いは雪が少ないので、冬場も、えさを探し求め行動する可能性がある」とも話す。現段階では人間に警戒心を持っているが、えさを与えたり生ごみを外に置いたままだったりすると、人間の周りにはえさがあると学習して居着いてしまう恐れがあると警告する。新潟市は目撃情報があった地域に「イノシシ注意!」と看板を出している。遭遇した場合は「後ずさりをして、静かにその場から離れる」「攻撃したり威嚇したりしない」と呼び掛け、「目撃したら、速やかに連絡してほしい」としている。

(イノシシ3倍増、住宅街にも:奈良)
大阪のベッドタウンとして知られる奈良県生駒市の住宅街にイノシシが相次いで出没し、公園の芝生が無残に掘り返されるなど被害が深刻化している。捕獲頭数はここ3年で3倍以上に増加。県は過去に同様の被害に悩む奈良公園(奈良市)でロケット花火による威嚇やカプサイシンを含ませた液体の散布という対策を実施したが、どれも効果は薄かったといい、関係者は頭を悩ませている。芝生の被害があったのは、生駒市さつき台のさつき台第5公園。約600メートル南西には市立壱分(いちぶ)小学校もある。近くに住む男性(70)によると、10月30日午前8時ごろ、散歩で公園に寄ったところ、ブランコ前の芝生や遊歩道に計数十カ所の掘り返された跡を見つけたという。公園では以前からイノシシが目撃され、注意書きも3カ所に貼られており、男性は「ひどい状態で驚いた。足を取られるので危ないし、イノシシに出くわしたらと思うと孫たちを遊ばせられない」と不安を口にする。別の男性(68)も「4月にも掘り返された跡を見つけ、市役所に連絡した」といい、対策を行う市農林課の担当者は「イノシシがミミズなどのエサを食べたのかもしれない」と話す。同課によると、平成27年度、市内でのイノシシの捕獲頭数は76頭だったが、28年度は183頭、29年度は227頭、30年度は238頭と3年で3倍以上に増加。生駒山に近い田畑を中心に出没しており、人的被害はないが、市民からの要請を受けて市が捕獲用のおりを設置している。しかし、公園や住宅街には危険なため設置できず、「今回のケースは捕獲して対処するのは難しい」という。公園を管理する市みどり公園課によると、公園と山の境界にはイノシシの侵入を防ぐフェンスが設置されている。だが、「フェンスを迂回(うかい)して山を下り、公園の入り口から出入りしている可能性が高い」といい、侵入を防ぐのは簡単ではない。市は11月初めに掘り返された跡を埋め戻したが、「何度も繰り返されると対処するにも限界がある。何かいい対策があれば」と苦慮する。イノシシによる被害は奈良だけでなく各地で見られる。専門家によると、なぜ人の住む場所に多く出没するようになったのか詳しく分かっていないが、猟師が減って個体数が増えた▽それに伴い山で餌が確保しにくくなった-などの理由も考えられるという。奈良県内では、国の天然記念物「奈良のシカ」が生息する奈良公園にも出没し、シカが主食にする芝を荒らす被害が毎年発生している。県は24年、イノシシを追い払うためロケット花火で威嚇したり、トウガラシの辛みの成分であるカプサイシンを含ませた液体を芝生に散布したりしたが、完全に追い払うことはできなかったという。同様にイノシシ被害に悩む新潟県上越市では今年、郊外にある「たにはま公園多目的広場」の外周約900メートルを囲む電気柵を設置。11月7日から雪が積もり始める12月上旬まで、午後7時~翌日午前6時にかけて柵に通電し、広場を閉鎖するという“力業”に出た。同公園は、ドッグランやバーベキューエリアなどを備えた大型複合施設。休日は多くの家族連れでにぎわうが、昨年まで2年続けて広範囲をイノシシに荒らされ、芝生などの復旧に100万円を超える費用がかかることから、電気柵の設置を決めたという。公園管理に関する調査やコンサルティングを手がける公園マネジメント研究所(大阪市)の小野隆所長(59)は「郊外と違い、住宅街の公園では講じられる対策も少なく、イノシシを完全に排除するのは難しい」と指摘。怖がって公園に近づかずにいると、「イノシシが安全と判断して行動範囲が広がる可能性がある」といい、「多くの人が公園を利用すれば、人のにおいを嫌って近寄らなくなるかもしれない」と話す。生駒市は12月にも、公園の活用法を市民から募集する予定。市みどり公園課の担当者は「イノシシ対策になるような良案があれば、ぜひ応募してほしい」としている。

(台風後、イノシシ目撃相次ぐ:栃木)
台風19号による浸水被害が集中した県南地域で、野生のイノシシの目撃情報が相次いでいる。家畜の伝染病「CSF(豚コレラ)」が群馬県や埼玉県まで拡大し、関係者は媒体にもなるイノシシに神経をとがらせている。15日午前0時すぎ、足利市五十部町の住宅街で、パトロール中の警察官が体長約1メートルのイノシシを目撃した。台風通過後、足利市内だけで20件以上の目撃情報が寄せられている。通行人が襲われるイノシシとの接触事故が複数発生して、地元は一時騒然となった。佐野や栃木、小山市でも目撃情報が相次ぐ。イノシシの生態に詳しい宇都宮大の小寺裕二准教授は「河川敷にはエサになる草原が広がっている。多くのイノシシが生息していても不思議ではない。台風ですみかを追われて街中に出てきた可能性がある」と説明した。

(クマ被害相次ぐ中、警戒続く:富山)
クマによる人への被害が相次いでいるなか、県内各地で警戒が続いています。21日、3人がけがをした富山市の大山地域では、小学校で児童の登校に保護者が付き添うなどしました。富山市の大山地域では、21日、男女3人がクマに襲われて重軽傷を負いました。被害現場に近い上滝小学校では22日朝、すべての児童に対して、保護者が付き添うなどして登校しました。上滝小学校 嘉義政彦校長「体育の学習とか外での活動は、21日は完全に止めました。外での活動には十分に配慮しなくてはいけない」周辺では、今月15日にも70代の男性3人がクマに襲われてけがをしました。また、クマの目撃やふんなどの痕跡の情報も相次いでいます。地元の上滝中学校では、体育の授業の際、体育館の耐震強度が低いことから、隣接する別の施設を使っていましたが、生徒が屋外を移動する際の危険性を考え、21日と22日は施設の利用を控えました。ことし県内では、クマに襲われて、これまでに20人がけがをしていて統計開始以来2番目に多い被害となっています。富山市や警察は不要不急の外出を避けるよう呼びかけています。

(クマの目撃・出没、最多の979件に:群馬)
群馬県内で今春~10月末に、クマの目撃情報や出没が確認された件数は979件に上り、現在の統計を取り始めた2011年度以降で最多となったことが県のまとめで分かった。6月には255件、7月には単月として最多となる296件が確認された。県の調査では餌となるドングリが今季は不作となっており、冬眠を前に活動範囲が広がる可能性もある。県は「キノコ採りや登山で山に入る際は十分注意してほしい」と呼び掛けている。県内では8月にも177件、9月にも123件の目撃情報や出没が確認されている。現在の統計で最も多かった12年度の777件を大幅に上回っており、今後さらに増える見込みだという。例年、冬場に生まれた子グマが翌年の春以降、親と離れて単独で行動を始めるため、市街地や田畑などに迷い込み、目撃されるケースが目立つ。また、鳥獣被害への関心の高まりから、自治体などへの通報が増えていることなども目撃や出没件数を底上げしているとみられる。県内では9月、嬬恋村で釣りをしていた男性がクマに襲われて負傷したほか、5月に川場村でも男性が襲われる被害が起きている。県は9月上中旬に利根沼田地域でブナ、ミズナラ、コナラ、クリ、ミズキを対象にドングリの実り具合を調査。ミズナラ、コナラ、クリは不作、ブナは大凶作となっているとして、5種の合計を不作と認定している。不作の年は晩秋に、人里への出没が増加する傾向が強い。食料が乏しいことで、クマの行動範囲が広くなる可能性が高いとして、県の担当者は「山に入る際は複数人で行動したり、鈴やラジオなど音の出るものを携帯してほしい」と警戒を呼び掛けている。

(イノシシの出没について:佐賀)
佐賀県小城警察署からのメールです。11月24日午前10時39分ころ、小城市小城町池上付近において、体長約70センチメートルくらいのイノシシ2頭が出没しました。今後も出没する可能性がありますので注意してください。

(イノシシ感染、ジビエ施設苦境に)
豚コレラ(CSF)に感染した野生イノシシが12県で1200頭以上に広がる中、野生鳥獣の肉(ジビエ)の加工施設が収入激減で苦境に立たされている。農水省は感染イノシシが見つかった半径10キロ圏内の流通自粛を呼び掛け、事実上出荷できない状況が続く。廃業の危機に立つ経営者は、支援の必要性を訴える。長野県上松町では7月に豚コレラに感染した野生イノシシが見つかり、町のほぼ全域で流通と消費に自粛要請が出ている。「ジビエ工房木曽」を経営する狩猟歴32年の猟師、百田健二郎さん(72)は「狩猟で生計を立てている人もいる中、このままでは狩猟をやめる人も増えてくる」と憤る。工房は売り上げの9割がイノシシ肉。今年は大手通販会社の要請で、11月からインターネット販売を始める予定だった。知り合いの狩猟者の肉も販売する計画だったが、白紙となった。損失額は約4000万円。「ベテラン猟師の経験を若者に伝えられなくなり、木曽の狩猟文化が消滅する」と危機感を募らす。愛知県豊田市のジビエ加工施設「猪鹿工房 山恵」は、県内で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかったことを考慮し、6月からイノシシの受け入れを中止した。売店責任者の鈴木良秋さん(68)は「このままの状態が続けば、もう営業できない。国が方針を決めてくれないと、現場も動けない」と苦悩する。富山市のジビエ専門食肉処理施設「大長谷ハンターズジビエ」は毎年狩猟していたエリアのほぼ全てが、豚コレラに感染した野生イノシシ発生区域(半径10キロ圏内)に入った。代表の石黒木太郎さん(28)は「国主導でジビエを振興してきたのに、方向性が全く見えない。何も説明のないまま耐えるしかないのか。廃業しろということなのか」と語気を強める。感染原因が特定されないままでの半径10キロ圏内の定義も「曖昧だ」として、同省への不信感を募らす。岐阜県郡上市で、若手猟師を中心にジビエの商品開発などに取り組む里山保全組織「猪鹿庁」の興膳健太さん(37)は「国はジビエの加工施設の設置を支援したのに、施設の被害は放置している。投資できる分野ではなくなり絶望的。発生圏内でジビエに携わる誰もが、泣き寝入りしている」と問題視する。農水省は感染源拡大のリスク削減を目的に、野生イノシシ肉の流通を自粛するよう各自治体に要請する。豚コレラ被害に苦しむジビエで生計を立ててきた経営者らに具体的な支援策は講じていない。同省は「流通自粛で苦労している方がいることは認識してるが、解決法がない」と説明する。

(獣害出没場所ドローンで特定:神奈川)
秦野市平沢の小原地区で、県や秦野市、地元農家などが連携し、農作物を食い荒らすイノシシの対策を強化している。今月中旬には、小型無人機ドローンで特定した出没場所に、群れごと捕獲できる「囲いわな」を設置。捕獲後、野生鳥獣肉(ジビエ)などに活用する。また県は同地区を獣害対策のモデルケースとし、取り組みを市内全域にも広げたい考えだ。

(ICTを活用しイノシシ駆除:熊本)
イノシシによる農作物被害や市民への危害を防ごうと、熊本市がICT(情報通信技術)を活用した「囲いわな」の導入を検討している。遠隔操作で親子連れなどイノシシの群れを一網打尽にするもので、捕獲作業の中核を担う猟友会メンバーの高齢化にも対応する新技術だ。市農業支援課によると、ICTを活用した囲いわな1基を、近年イノシシの目撃情報が増加している同市の立田山に仕掛ける。縦横が各約3メートル、高さ約2メートルで鉄製の檻(おり)のような形状で中にエサを置き、イノシシが入り口に近づくとセンサーが感知して、捕獲担当者にメールを送信するとともにカメラ撮影が始まる。担当者は現場にいなくてもスマートフォンやパソコンに送られてくる画像を見ながら、多数のイノシシが入った「いまだ!」というタイミングで入り口を閉めることができる仕組みだ。わなの管理は猟友会メンバーらでつくる「市有害鳥獣駆除隊」に任せる。

(大型囲い罠でイノシシ対策:栃木)
イノシシ被害が顕著な須賀川地区の農地で、市鳥獣被害対策実施隊の橋本公夫(はしもときみお)さん(69)=親園=と貝塚恒夫(かいづかつねお)さん(71)=薄葉=が17日、大型囲いわなを設置した。大型わなの設置には土地の確保など住民の協力が不可欠で、橋本さんは「設置は県内でも珍しい。地域一丸で対策に取り組む良い前例として、他地域にも広げたい」と話している。同地区ではこれまで、自治会費や個人負担で電気柵や箱わな、くくりわなを設置してきた。昨年度は、計63頭のイノシシが捕獲駆除された。より高い効果を求め、須賀川上自治会長の平久江徳昭(ひらくえのりあき)さん(67)が同隊に相談し、大型わなを設置することが決まった。市が設置費の一部、13万6千円を補助した。大型わなは、スギやヒノキなどの間伐材120本を地面に打ち込み、縦3・6メートル、横5・5メートル(約12畳分)を、高さ2メートルの壁で囲んだもの。囲いの中にはナシやサツマイモなどの餌を入れ、イノシシが中に張られたピアノ線に触れると、出入り口の柵が落ちる仕組みになっている。17日は、同隊や同自治会のメンバーら15人ほどが終日、作業を行った。貝塚さんは「人間と一緒で、イノシシも閉ざされた狭い空間だと緊張する。囲いが広いほどかかりやすい」と効果を期待している。また、木製のわなは金属製よりも警戒されにくいという。「しばらくはイノシシも様子を見ていると思う。長い目で成果を待ちたい」と橋本さん。平久江会長は「農作物への被害以外にも、道路ののり面や土手まで崩されてしまうので本当に困っている。地域の長年の悩みを少しでも解決したい」と期待を寄せた。

(巨大グマでも捕獲、箱わな2基を寄贈へ:北海道)
旭川鉄工組合と旭川鉄工青年会は、ヒグマ捕獲用の鉄製の箱わな2基(約100万円相当)を作った。25日、旭川市に寄贈する。同組合が過去に作った箱わなは捕獲実績があり、農作物被害の抑止が期待される。出没傾向を分析した上で、来年度以降に設置される。市内には既に6基の箱わなが設置されている。中にシカ肉やハチミツを置き、仕掛け板を踏むと扉が閉まる仕組みだが、旭川と近郊の鉄工業58社でつくる同組合が2013年に寄贈し、西神楽地区に設置された1基(扉1メートル四方、奥行き2・8メートル)は、昨夏に体長1・1メートルの雌、今夏に2メートルの雄を捕獲している。

(クマ被害防止へカキの木伐採:富山)
クマによる人身被害が3件発生している立山町では、クマをひきよせないために、希望のあった高齢者の家のカキの木の伐採をはじめました。立山町では、クマによる被害を防ごうと、75歳以上の高齢者のみの世帯を対象に、カキの木の伐採の希望者を募っていました。22日は、立山町東大森の中川孝造さん(78)の家のカキの木1本を町の職員4人が伐採しました。中川さんは20日、自宅からおよそ500メートル先の民家でクマが目撃されたことから、樹齢30年のカキの木を切ることを決めました。75歳の妻と2人暮らしの中川さんは、カキの幹が固く自分で切るのが難しかったということです。中川孝造さん「ほっとしました。ちょうどいい機会でありがたいと思います」立山町では75歳以上の世帯でカキの木の伐採希望者を年内いっぱい募っていくことにしています。

(クマ呼ぶ柿、放置せぬ:富山)
富山県内のツキノワグマによる人身被害が後を絶たない。クマを人里に引き寄せている大きな要因が柿の実。被害が報告されるたび、県などは早期収穫を呼び掛けてきたが浸透せず、未収穫のところにクマが現れ、人を襲う被害が繰り返されている。高齢世帯の庭や所有者不明のものなどさまざまな事情も絡む中、木の持ち主に代わって危険を取り除く取り組みが広まり始めた。富山市中番で二十一日、男女三人がクマに襲われて重軽傷を負った被害。現場の目の前に住む寺岡寛美(ひろみ)さん(69)の自宅庭にはたくさんの実がついた柿の木があった。食べごろを待って収穫を先延ばししていたが、近隣住民が被害を受け「こんなことは今までなかった。すぐにでも実を取りたい」と慌てた様子で話した。県によると、二十二日時点で県内の人身被害は二十人。統計を取り始めた二〇〇四年の二十四人に次いで二番目に多い。ほぼ全ての現場近くに柿の実があり、県自然保護課の担当者は「注意喚起が浸透していないのは残念」と悔やみ、「行政は人の家のものを勝手に収穫できない。呼び掛けるしかないが、なかなか浸透しない」と続けた。被害が相次ぐ中、放置された柿の実や木の撤去を手伝う支援が広がっている。富山市の善名地区では、民生委員が柿の実の残る高齢者宅を訪問し、地域住民と収穫する作業を始めた。デイサービスを利用する西田志真子さん(98)は一人暮らしで足腰が弱く、数年前から収穫を諦めていたが、二十一日に自宅庭にある柿三本の実を全て収穫してもらった。親族は「近くにクマが出て気になっていたのでありがたい」と感謝した。立山町では、七十五歳以上の高齢者宅から要望があれば、町職員による木の伐採を二十日からスタート。県内初の取り組みで、今後もクマ出没に備え、年内は要望を受ける予定という。クマの生態に詳しい立山カルデラ砂防博物館の白石俊明学芸員はこうした取り組みを評価する。富山市山間部の庵谷地区では十月~十一月上旬に住民同士が協力し、集落にある八十本近くの柿の木を伐採して以降、クマの目撃情報がない。今年に入り、県に寄せられたクマの目撃件数は昨年一年間の百四十九件の六倍近い“大量出没年”。白石さんは「クマを定着させないような環境づくりが効果的。何もしなければ数年後も今年と同じような事態になる」と指摘する。富山の一部地域では昔、嫁ぎ先に柿を植えて食べる風習があり、記念樹に近い存在になっている場合もあるというが、白石さんは「思い出や習慣にとらわれず、枝を切るなど身の丈に合った育て方をしてほしい」と話している。

(人恐れぬ「新世代クマ」定着:富山)
富山県内でクマが人を襲う被害が多発していることを受け、県立山カルデラ砂防博物館の学芸員で生物担当の白石俊明さん(44)は、人を怖がらない「新世代のクマ」が増えていると警鐘を鳴らす。里山の荒廃で人とクマとの境界線が崩れ、猟師の減少で人の怖さを知る機会が減ったことが原因とみている。「納屋や車庫などの人工物も見慣れた存在になっている」と指摘し、注意を呼び掛ける。県内では今年に入って、クマの目撃情報が相次ぎ、人が襲われた被害は23日現在で13件、被害者数は20人と、過去10年で最も多い状況になっている。白石さんによると、昔のクマは猟師に追われ、猟銃を向けられるなどして、人を怖い存在と認識しており、人の気配や物音があると近づかなかった。しかし、県内では猟銃を扱うことができる第一種免許を持つ猟師が高齢化などの影響で少なくなり、「クマを追い払う人がいなくなった」(白石さん)。県によると、今年の第一種猟銃免許所持者は757人。ピークだった1978(昭和53)年の2352人と比べて約3分の1に減っている。里山の荒廃化も深刻で、人がまきや炭を得るために里山を出入りしていた時代は、人とクマはすみ分けができていた。しかし燃料革命が進んだ1960年代以降、人が入らなくなった里山は雑木林が広がり、クマの絶好のすみかとなった。白石さんは今年クマの出没が相次いでいる富山市大山地域について、「昔は間伐や下草刈りなど人の手が入り、いわゆるはげ山だった」と話す。今はうっそうとした森が広がり、クマのすみかである奥山と里山の間にあったはずの緩衝地帯がなくなったと指摘する。かつてのクマは草木のない道路や人工建造物を恐れ、住宅地に出没することは少なかったが、「新世代のクマは生まれた時から建物を見ていて、怖い存在だとは思っていない」。9月に富山市楡原で出没したクマは納屋で寝ていたところを住人に目撃されており、白石さんは、人けのない納屋や車庫は平気で近づき、食べ物をあさったり、隠れて休んだりするので、注意が必要だと話す。白石さんによると、新世代のクマが県内で出始めたのは2004年ごろ。同年、病害虫病のカシノナガキクイムシが県内で猛威を振るい、クマの主要な餌となるミズナラを枯死させた。餌不足で街中にクマが大量に出没し、過去最多の26人の人身被害が出た。クマの寿命は10~15年とされる。白石さんは、04年当時に人里に出て、民家のカキや生ごみの味を知ったり、代替わりして人を恐れなくなったりしている新世代のクマが里山近くに定着しているとみている。白石さんは「クマを見て写真を撮る人がいるが警戒心を損ねるだけ。車で見たらクラクションを鳴らすなど、人は怖いという恐怖心を植え付けることが重要だ」と話した。

(カラス大群、住民苦悩:岩手)
奥州市水沢中心部で早朝や夕方にカラスの群れが現れ、ふんなどで道路の汚れや悪臭被害を引き起こしている。市や住民は対策を試みるが、数日置きに居場所を転々とするカラスたちに手を焼いている。長年、住民の悩みの種となっており、解決策の模索が続く。カラスは市内の広範囲に出没。市によると、同市水沢東上野町の水沢公園周辺やJR水沢駅前に集中して現れる。樹林がある同公園がねぐらになっている可能性もあるが、特定できていない。

(住宅地のクマ出没、警戒はまだ欠かせない:秋田)
県内各地で最近、住宅地付近に現れたツキノワグマによる人身被害が多発している。今月20日には鹿角市十和田の住宅地で、猟友会員2人がクマに襲われ重軽傷を負った。県によると、本年度、県内で起きたクマによる人身被害は14件、16人になった。このうち9件、11人が住宅地付近で起きた被害である。過去5年で11月の人身被害は2017年度の1件だけ。今年は2件目だ。山林に近い住宅地の住民はまだまだ警戒が欠かせない。鹿角市十和田では、住宅地に現れたクマを山へ追い払おうと猟友会員や警察官らが出動したところ、猟友会員が襲われた。警察官も助けようとした際に軽傷を負った。クマは直後に駆除された。クマに襲われるのを防ぐためには単独行動を避けるよう呼び掛けられている中、集団で行動中の2人が襲われただけに、衝撃は大きかった。県内では過去10年間、2年続けて死者が出た16、17年度をはじめ、人身被害の件数、人数が本年度より多かった年もあった。ただし大半が山中での被害だった。本年度は死者は出ていないが、障害が残るけがをした人もいる。住宅地付近の被害が半数を超え、異常事態と言わざるを得ない。その原因の一つと考えられるのが奥山の餌不足だ。東北森林管理局によると、クマの好物とされるブナの実が「大凶作」となった。クマが冬ごもりに入る時期には個体差があり、今後も餌を求めて人里に現れる可能性がある。冬が近いからといって安心はできない。研究者は人間とクマのすみかの境界が崩れてきたことも要因と指摘する。かつては薪採りなどで人手が入っていた里山は生活様式の変化とともに荒廃し、クマが生息しやすい環境になった。過疎化などの影響で中山間地の耕作放棄地が増えたこともクマの活動範囲を広げた。空き家の庭などに残された樹木に実がなると格好の餌となり、クマが住宅地に現れる理由になる。本県のクマの生息域は奥山から里山に広がり、生息数も増えたとみられる。県は17年度、クマの推定生息域を従来の1・5倍に拡大。同年度の推定生息数2300頭を、18年度には6割増しの3700頭に修正した。県は、従来11月中旬からだったクマの狩猟期間を本年度は前倒しして1日からスタート。期間を2週間延ばし、捕獲上限も大幅に引き上げた。クマに人間は恐ろしいものと覚えさせ、人里に近づかないようにするのが狙いだ。猟友会員の減少と高齢化のため、捕獲実績が伸びるかどうか分からない面もある。会員の安全対策を再点検し、万全の態勢で臨む必要がある。理想は人間とクマが互いの領域ですみ分けられることだ。クマが人間の領域に入らないように、里山の手入れなどの取り組みも積み重ねていくことが求められる。

(クマの被害対策でミーティング:新潟)
新潟県内で相次ぐクマの被害防止につなげようと、クマの生態などについて学ぶ「ツキノワ熊熊(くまくま)ミーティング」が23、24の両日、阿賀町鹿瀬の町公民館などで開かれた。町内外からの参加者が、クマの目撃が多発する原因など講師の話に真剣に耳を傾けた。町内では今年、クマによる人的被害が4件発生している。ミーティングは被害撲滅につなげようと、町観光協会が初めて開いた。23日の講座では、町内の自然愛好家らが、クマの特徴などを解説した。東蒲自然同好会の渡部通会長は、過去12年間の町内でのクマの目撃情報や時間帯のデータを示し、「クマは敏捷性やバランス感覚にも優れる。昼夜問わず活発に動き回る」と説明した。新潟大農学部の箕口秀夫教授は目撃が多発している原因として、ブナの凶作やクマの行動範囲の拡大を指摘。「クマの生活圏が人里に近づいてきている」と注意を呼び掛けた。新潟市からミーティングに参加した女性(64)は、「人とクマとの共存が、これからは大事になってくると学んだ」と話した。24日は同町の実川上流で、ツキノワグマの痕跡を観察するフィールドワークも行われた。

(猿の目撃情報が多発:福島)
いわき市内各所にて、サルが目撃されているようです。11/18 午前9時頃 山田町林崎前地内 11/16 午後3時30分頃 泉町下川字大畑付近 11/16 午後1時頃 小浜町渚地内 11/12 午後1時30分頃 常磐上湯長谷町釜ノ前地内 11/12 午前10時頃 常磐湯本町辰ノ口 石炭・化石館ほるる付近 11/12 午前8時頃 常磐水野谷町千代鶴付近 11/11 午前8時25分頃 小名浜玉川町東地内 11/10 午後1時20 分頃 小名浜岡小名字御代坂地内 11/10 午前10時頃 湘南台一丁目地内 11/9 午前10時頃 小名浜下神白 小名浜高校付近 11/ 7 午前8時頃 平沼ノ内字新街 11/5日午後3時頃 平鎌田字寿金沢常磐線踏切付近。もし、サルを見かけた際に気を付けることは…サルに近づかない。えさをやらない、食べ物を見せない。サルを刺激しない。サルと目を合わせない。家の中に入られないように注意する。目撃しないのが1番ですが、万が一目撃した場合は、相手は野生動物ということを念頭に置き、充分にお気をつけください。

(ヒグマ対策、読者の声60件:北海道)
「みんなで探る ぶんぶん特報班」(みなぶん特報班)が4回連載した「ヒグマ対策 駆除と保護のはざまで」(11月5~8日朝刊掲載)に、「みなぶん通信員」や「道新紙面モニター」ら読者から60件余りの声が寄せられた。人里に繰り返し出没する「問題グマ」の駆除はやむを得ないとの意見があった一方、「北海道らしい共生の道を考えて」という声も目立った。取材は今年8月、札幌市南区の住宅街に出没を繰り返したヒグマが駆除されたことに対し、読者から「麻酔で眠らせて保護し、山に戻せなかったのか」と疑問の声が寄せられたことが始まりだった。連載では専門家の話を基に、クマは麻酔銃を撃たれてもなかなか眠らず、逆上して襲いかかってくる恐れがあり、人里に繰り返し出没するクマの駆除はやむを得ない面があることを報告した。「父は夜中もバイクのエンジンをかけて四方八方にライトを向けてクマを脅し、牛を守った」。オホーツク管内滝上町の酪農家で育った札幌市白石区の主婦森下貴代美さん(65)は幼少期、父がクマ対策に奔走したことを振り返り、「駆除はぎりぎりの判断」とクマと間近で向き合う人々の思いを代弁した。専門家の多くはクマを人の生活圏に入らせない水際対策を促すが、行政が進める電気柵設置や生ごみの管理だけでは不十分だと感じる人も少なくない。山あいの自宅周辺に数年前からクマが増えたという函館市の乗馬インストラクター飛塚優さん(75)は連載で紹介したクマ対策犬「ベアドッグ」に関心を寄せ、「駆除要請のたびに出動する猟友会は大変。クマを追い払う犬に行政が補助金を出し、犬が全道を回れるようにしてほしい」と訴える。ベアドッグの育成には一定の費用がかかるため、苫小牧市の40代男性はインターネットで幅広く資金を募るクラウドファンディングで「犬の訓練費」を捻出することを提案した。連載直前には道内では2018年度、駆除や狩猟で860頭前後のクマが捕殺されたことも記事にした。伊達市の無職北口美恵子さん(71)は「心が痛む。ホームランではなく、ヒットをつないで得点する野球のように、さまざまな方法を組み合わせて人とヒグマの共生の道をつくってほしい」と呼び掛けた。

(博物館でエゾシカ企画展:北海道)
エゾシカの生態や、人間との関わりの歴史を紹介する企画展が、北海道博物館で開かれています。企画展はエゾシカについて正しい理解を深めてもらおうと北海道博物館が開きました。会場には、エゾシカの剥製や毛皮のほか、アイヌ民族がエゾシカを狩猟してきた様子を描いたびょうぶの絵などが展示されています。また活用策としてエゾシカ肉の入ったレトルトカレーや、かばんや小物入れなどの革製品も展示されています。エゾシカによる農林業の被害額は年間およそ40億円に上っているといった現状についても紹介しています。北海道博物館の学芸主幹、水島未記さんは「道民の皆さんに今後どうやって野生動物とつきあっていくべきなのか、考えるきっかけにしていただければと思います」と話していました。この企画展は来月15日まで北海道博物館で開かれています。

(ジビエ普及、コストが課題)
外食業界団体の日本フードサービス協会は21日、農作物への被害対策で捕獲されたシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大を図るため、外食産業関係者らを対象としたセミナーを東京都江東区の東京ビッグサイトで開いた。ジビエ振興を目的に22日まで開かれている「第6回日本ジビエサミットin東京」の一環。セミナーでは、同協会副会長で総菜や精肉事業を展開する柿安本店(三重県桑名市)の赤塚保正社長と、同サミットを主催する日本ジビエ振興協会の藤木徳彦代表理事が対談した。今年1月に総菜店でジビエメニューを提供した赤塚氏は、「身近な食材にするため、女性や子供に好まれるハンバーグなどの料理を開発している」と紹介。「外食産業での利用拡大には安定供給とコストが課題だ」と指摘した。藤木氏は「モモやロースの高級部位だけでなく、ミンチ肉などとして一頭丸ごと使うようにすれば、割高な値段を下げられる」と話した。

(ジビエの小口保冷配送、輸出も視野)
野生鳥獣の食肉ジビエの消費普及の鍵の一つを握る低温輸送のインフラを、衛生管理の国際基準に基づく小口保冷配送を活用した物流イノベーションによって国内に整備することができれば、日本のジビエを高級食材として欧州へ輸出することも視野に入るという。東京ビッグサイトで3日間の会期で20日開幕した第6回日本ジビエサミットin東京(主催=日本ジビエ振興協会)の初日の基調講演でヤマトグループ総合研究所の木川眞理事長(ヤマトホールディングス特別顧問)がこうした見方を示した。

(霞が関でジビエを召し上がれ:東京)
農林水産省が1日からジビエ(野生鳥獣肉)フェアを実施しているのにちなみ、農水省の食堂では28日までジビエを使ったメニューを木曜日限定で食べることができます。使っているのは鳥取県産の鹿肉です。料理は週ごとに異なります。21日のメニューはハヤシライスでした。ビールを使って煮込んで臭みをなくし、長時間煮込んで軟らかくするなど、様々な工夫をしています。食べてみると味にクセがなく、脂ものってまろやかでした。ほかにも鹿肉を使ったマーボー豆腐やしょうが焼きを食べられる週もありました。同じフロアにある売店にもジビエ関連の商品が並びます。北海道や鳥取、徳島の鹿肉を使って作った大和煮や味噌煮の缶詰を買うことができます。農水省に見学に来た人がお土産などに買っていくそうです。ジビエを使ったペットフードまでありました。農水省農村振興局の安松さんは「ジビエには臭い、硬いといったイメージがあるがそんなことはない。この機会に食べてほしい」と話していました。政府がジビエに関心を寄せるのは、農作物への被害を減らすため、適切な数にしようと捕獲した野生の鳥獣をジビエとして有効活用できないかと狙っているためです。6月には菅義偉官房長官が議長を務めるジビエの利用拡大に向けた会議を開くなど、重要な課題の一つとして取り組んでいます。

(エゾシカ活用策知って:北海道)
地元のシカの皮や肉を使った製品を紹介する初のイベント「えぞ鹿フェスティバル」が23日、2日間の日程で中標津町総合文化会館を会場に始まった。来場者は工芸品や食品、ワークショップを通してシカの利活用について学んだ。有害駆除されるエゾシカの活用策を広く知ってもらおうと、「Great Green Grid Nakashibetsu実行委」などが企画。東京の皮問屋や町内の飲食店など道内外から13団体が出店している。メイン会場の同館町民ホールでは、シカ皮を使ったイヤリングや指輪、革靴などが販売され、来場者は多彩な商品の色合いや手触りを楽しんだ。

(ジビエ鍋、住民ら舌鼓:石川)
穴水町兜(かぶと)公民館で二十四日、恒例の地域行事「兜文化交流の集い」があり、イノシシ肉入りの「ジビエ鍋」が初めて振る舞われ、住民らを喜ばせた。二十五回目の開催。地区の男性有志によるグループ「甲同志会」はこれまで毎年、海鮮鍋を用意してきたが、イノシシの捕獲数の増加やジビエ(食用の野生鳥獣肉)への注目の高まりを受け、今年からジビエ鍋を始めた。町で捕獲したイノシシと、関係者が持ち寄った野菜がふんだんに入ったみそ汁を二百食用意。来場者は順に受け取り、舌鼓を打っていた。浜出泰治会長(63)は「高齢のおじいちゃんやおばあちゃんがおいしいと言ってくれた。今後も続ける思いをさらに強くした」と喜んだ。無料の餅配布や地元で作られたかぶらずしの販売、バザーも人気だった。公民館や住民らでつくる実行委が主催。絵画や写真、書道、工作といった芸術の力作も展示された。

(29グルメ&ジビエフェア:鳥取)
11月29日の「イイニク」の日を前に、23日、鳥取市の農産物直売所「わったいな」で「1129感謝祭29グルメ&ジビエフェア」が開催された。イベントでは牛や豚、鶏の肉に加え、鹿肉、イノシシといった、いわゆるジビエを使った料理も楽しむことができる。23日は鳥取県産のおいしい肉を食べようと、大勢の人が訪れていた。訪れた人は、「鹿のサイコロステーキを食べに来た」「鹿肉のからあげが歯ごたえがあって美味しかった」などと話し、ジビエへの関心が高まっているようだった。イベントには13店舗が出店した。

(加速する「ジビエ人気」の裏に潜む「3つの課題」とは?)
ジビエ(gibier、仏語)とは、牛や豚、鳥など畜産の肉に対し、狩猟によって捕獲された野生動物の肉を指します。日本では鹿やイノシシの肉を指します。日本ではまだまだ馴染みの薄いジビエが今、東京都内でじわりと消費拡大の動きを見せているようです。2019年11月には東京ビッグサイト(江東区有明)で6回目となる「日本ジビエサミット」が開催されたほか、都内百貨店の生鮮コーナーでは同21日(木)、都内初となる鹿の精肉の販売が試験的に始まりました。今後ジビエが私たちの食卓に並ぶようになるには、どのような課題があるのでしょうか。「第6回日本ジビエサミットin東京」2日目となる21日(木)。講演セミナーの特別講師として登壇した、畜肉加工品などを製造・販売する柿安本店(三重県桑名市)の赤塚保正社長は、同日スタートさせたばかりの事業を公表して会場の関係者を沸かせました。「実は本日21日から、試験的にではありますが、都内・池袋の百貨店で鹿の精肉の販売を始めたところです。実演販売をやっています。百貨店でジビエの精肉を販売するというのは、おそらく初めてのことではないでしょうか。お客様の声に耳を傾けながら、(ジビエ消費拡大に向けた取り組みを)どんどんブラッシュアップしていければと考えています」。赤塚社長はジビエの健康面での認知が進んでいる点に着目。自社の惣菜ブランド・柿安ダイニングで「鹿肉そぼろ&牛肉しぐれ煮丼」「鹿肉入り和風おろしジビエハンバーグセット」などを販売し、好評を得た実績を報告しました。さらに外食大手などでつくる日本フードサービス協会(港区浜松町)の食材調達・開発等委員会の委員長として、数年前から同委員会の重要施策のひとつに「ジビエの外食メニュー化の推進」を掲げていることを紹介。国内ジビエ加工処理施設の視察を委員会のプログラムに組み入れ、加盟各社の仕入れ責任者などに現場を見学してもらうことにより「ジビエは安全安心」という理解を深めることに尽力していると語りました。注目を集めるジビエの消費拡大を後押しするのが、2018年5月に農林水産省が導入した「国産ジビエ認証制度」です。同制度は野生の鹿やイノシシ肉を消費者が安心して食べられるよう、流通品の安全性と透明性を図るために衛生管理基準や認証体制に明確な基準を設けたもの。例えば、それまで義務化されていなかったラベル表示(捕獲地・内容量・保存方法・加工者など)をルールのひとつとして明記。これにより、畜産加工肉と変わらない安全性を消費者に明示する体制が整ったことになります。一方、ジビエの普及にはまだまだ課題も山積しています。赤塚社長と、対談相手を務めた日本ジビエ振興協会(長野県茅野市)代表理事の藤木徳彦さんの両者が挙げる課題は大きく3つ。ひとつめは、ジビエ加工処理施設の不足です。地域の猟師が捕獲した鹿やイノシシはジビエ専用の処理施設に持ち込まれて冷凍庫などにストックされますが、施設数や施設内の受け入れキャパシティーが足りずに買い取れないということも間々あるのだそう。ジビエの流通拡大のために加工・保管インフラの整備はもっとも急ぐべき課題とも言えそうです。次に、コストの軽減です。現在、食用に使われる主な部位はロースやモモなど。それ以外の部位は廃棄されてしまうことが多く、結果として利用部位の価格が高騰する状況があるといいます。この問題を解消するためのヒントが、柿安ダイニングの「鹿肉そぼろ」のようにさまざまな部位を使ったメニューを展開することにあると言えそうです。そのために必要なのがジビエ専門の料理人を育成すること。せっかく良質な食材であっても、それに合った調理をしなければ食材の本当の良さが消費者に伝わらないこともあります。ジビエに特化した調理技術を持つプロを育てることで、一般の消費者が懸念しがちな「臭みがある」「硬い」「高い」といったマイナスイメージの払しょくにつながれば――。そう、ふたりは口をそろえました。今回のジビエサミットは2019年11月20日(水)~22日(金)の日程で開催。会場となる東京ビッグサイト西展示ホール内には、全国各地の企業・自治体のブースが並び熱気を帯びていました。北海道鷹栖(たかす)町の北建建設は、狩猟・加工・販売まで一貫して行うエゾ鹿の商品などを陳列。本来は羊肉が定番の北海道名物ジンギスカン用としてエゾ鹿味付き冷凍肉を展開するなど、ユニークなオリジナル商品が特長です。同社ジビエ事業部の竹内寿和さんは「取り組みが始まった当初のジビエは、害獣駆除という目的が前面に押し出されていました。しかし実際に食べてもらえれば分かりますが、鹿肉は非常においしく魅力的な食材。まずは食べてもらう、知ってもらうことが大事ですね」。岐阜県揖斐川町から出展したキサラエフアールカンパニーズの社長、所千加さんは「主なターゲットは30~40代の自立した女性たち。仕事から帰った後、自宅でお酒を飲むお供として選んでもらえるよう、手に取りやすい値段やパッケージのデザインにもこだわっています。東京都内の百貨店さんなどにも商品を置いてもらっていますよ」。今回出展した企業のほとんどが、物販品や精肉の卸先として東京都内の小売業・レストランを挙げていました。会場で振舞われていたイノシシのウィンナーや燻製、鹿のスネ煮込み、ハンバーグなどを試食してみたところ、動物っぽい臭みはまったく感じず、逆にギュッと引き締まった旨味がとても真新しい印象。お肉としてのおいしさは申し分なく、牛や豚とはまったく異なるこの味わいは新しもの好きの「肉党(肉食好きの人)」たちをグサグサ刺激するはずだと感じました。熱烈な肉党の一員として、この味を街のレストランや自宅で普通に食べられる日が来ることを願わずにはいられません。サミットのある関係者の言葉が印象的でした。「ジビエの魅力は、畜産と違って自然そのものによって育てられた、たくましく引き締まった旨味です。日本人は、魚と聞くと天然ものに目がないけど、肉となると家畜ものに慣れてしまっている。肉も『天然もの』の良さが広く知られるようになるといいですよね」ジビエは、精肉の販売こそまだまだ一般的ではありませんが、加工食品の物販は東京都内でも百貨店などで見つけることができます。野趣あふれる旨味とはどんなものなのか、街で見かけたらぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

(獣害防護柵の採用拡大、森林向け軽量コスト軽減型:兵庫)
国や自治体による森林整備事業のシカ対策で、日亜鋼業(本社=兵庫県尼崎市、国峰淳社長)の森林向け軽量コスト軽減型獣害防護柵「フォレストクロスフェンス」の採用が大幅に拡大している。  国や自治体では森林整備事業や造林事業の一環としてスギなどの苗木を植栽するが、近年各地でシカによる苗木の食害が深刻化し問題となっている。従来森林整備事業では、軽量で安価な樹脂ネット製防護柵が広く利用されていたが、樹脂ネット製は、シカや小動物によりネットを噛み切られたり、シカの角が絡まって柵が倒壊する事例が多発しており、柵の補修や見回りなどの維持管理が森林管理者の負担となっていた。

(豪雨被災のイノシシ肉販売会社、施設移転資金募る:島根)
昨年7月の西日本豪雨で浸水した美郷町乙原のイノシシ肉処理販売会社「おおち山くじら」が、新たな食肉処理場建設のため、今月末までインターネットのクラウドファンディングで資金を募っている。社長の森田朱音さんは「規模を拡大できる施設を作りたい」と話している。

(鹿革を活かした味わい深いバッグ:宮城)
某クラフトイベントに訪れた際、偶然出合った「Leather Lab. hiーhi(ハイハイ)」という革製品ブランドの味のあるバッグ。聞くとそれは、宮城県石巻産の鹿革で作られたものでした。革作家の平間さんご夫妻が地元の素材活かし、大切に仕立てるバッグとそれに込められた思いにぜひ触れてみてください。宮城県岩沼市にアトリエを構える「Leather Lab. hiーhi(ハイハイ)」。イタリア・フィレンツェで革バッグ作りを学んだ経験のある平間博之さんとその妻・麻里さんのお2人が、国内外の植物タンニンなめしの牛革や石巻産の鹿革を使用し、オリジナルのバッグや財布などを制作しています。なかでも今回ご紹介したいのが、石巻産の鹿革を使用したアイテムです。私はとあるクラフトイベントでそのバッグを見つけたとき、そのきめ細かでソフトな風合いに惹きつけられました。けれど実は、家畜の牛や豚と違って鹿は野生動物のため、革に加工された後にもキズや穴、虫刺されの跡、色ブレが見られることが多く、扱うのが難しい素材なのだそう。それでもお2人がこの鹿革を使い続けるのは、「地元の宮城で獲れる素材を有効活用したい」という強い思いがあるからです。2011年の東日本大震災以降、石巻の沿岸部は人口が減ったことで野生の鹿の活動範囲が拡大し、農業や林業が被害を受けるように。対策として駆除が行われ、その鹿肉は食用のジビエとなりますが、皮はうまく使われていなかったのだそう。以前から「いつか、地元の素材を活かしたものづくりをしたい」という思いを抱いていた博之さんは、その皮をなめした革の製品を作ろうと決意します。それを実現し、鹿革を用いて制作を行うようになったお2人。荒々しいキズや穴なども、味わい深い個性だと捉えています。「これは喧嘩の跡か、それとも野山を駆け回ってできた傷だろうか」もしくは「傷がないのは、穏やかな子だったからかな」などと、日々ストーリーを感じ取っているそう。また、そうした野性的な外見を持つ鹿革ですが、手触りはふんわりと柔らか。使い込むうちに手の油分で馴染み、しっとりと吸い付くような質感に変化していくのも大きな魅力です。

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(クマ襲撃最悪ペース、本年度全国で130人超死傷)
人里などに出没した野生のクマに襲われ、死傷した人が本年度、中部地方をはじめ全国で百三十人を超えたことが、各都道府県への取材で分かった。過去十年間で最悪に迫る勢いとなっており、エサのドングリの不作などが原因とみられる。秋の行楽シーズンが本格化する中、専門家は「特に冬眠前のこの時期は、体力のある大型のクマが活発になる」と警戒を呼び掛けている。クマが生息していたり、生息する可能性があったりする三十四都道府県に本紙が取材したところ、本年度は十二日現在で死者が宮城県の一人、負傷者は百三十五人。同じ都道府県を対象にした環境省の統計と比べると、全体では、過去十年間で既に二番目に多く、最悪だった二〇一〇年度の一年分(百五十人)に迫る。都道府県別で最多は新潟の十八人。記録のある一九九四年度以降で最悪となっている。十月十八日には魚沼市の住宅地で、四十~六十代の男女四人が相次いで襲われて負傷した。次いで岩手が十六人、岐阜、秋田両県が十三人。中部地方ではほかに、福井で勝山市などの九人が負傷し、過去十年で最悪となった。長野は八人で、愛知と滋賀は各一人。三重はゼロだった。統計のある〇四年度以降で最多となった岐阜県ではエサのドングリがブナ、ミズナラ、コナラのいずれも凶作。県は、クマが食べ物を求め人里近くまで下りてきたのが一因とみる。NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県)の米田一彦理事長(71)は「今年は各地でクマが人家周辺の柿などを食べに来ている。雪が降って冬眠の季節を迎えても、なかなか山に帰らないクマも出てくるかもしれない」と指摘する。

(クマに襲われ70代男女が重傷:富山)
南砺市でクマによる人身被害が発生しました。11日午前、南砺市の旧井波地域で70代の男女2人が相次いでクマに襲われ重傷を負いました。クマはその後、猟友会に駆除されました。「被害があった現場です。クマはあのあたりで女性を襲いました」南砺市によりますと11日午前10時半ごろ、南砺市高屋で庭の手入れをしていた70代の女性が背後に気配を感じて振り向いたところクマに襲われたということです。女性は左手の甲を骨折。さらに顔面に切り傷を負い、重傷です。「ここまでクマが来るというのは私は初めてです。ビックリでショックでした」(被害者の息子さん)クマは、5分前にも、1キロ離れた南砺市飛騨屋で70代の男性を襲いました。男性は、外出から戻った際、自宅の玄関前でクマに襲われ、頭部と両腕に切り傷を負ったほか左目の眼球を破裂する重傷です。2つの現場の周辺には、住宅や田んぼが広がり、近くには保育園もあります。保育園では、11日朝、園庭のフェンスをよじのぼるクマが近所の人に目撃されています。人身被害が発生したあと通報を受けた猟友会が駆除に乗り出し、クマは、近くの家の敷地に逃げ込みました。この家に住む男性は、「どーん」という物音を聞き家を出ようとしたところ警察に止められました。その後、窓を確認すると窓ガラスに泥と血がついていたということです。「クマは女性を襲った後、近所の家の敷地を通り、あのあたりで駆除されました」猟友会はドローンを使って、クマの位置を確認しながらクマを追い込み、最初の被害からおよそ2時間後の午後0時10分頃、クマを駆除しました。クマは、体長およそ1メートル40センチのオスの成獣でした。これで今シーズン、クマの被害にあった人は11人となりました。

(またクマ、男性襲われ重傷:富山)
12日午前9時ごろ、立山町米道で、近くに住む農業堀秀雄さん(75)がクマに襲われ、富山市の富山県立中央病院に搬送された。県によると堀さんは顔面をかまれ、重傷を負った。堀さんは意識があり、命に別条はないという。平野部での被害多発を受け、県は今年2度目のツキノワグマ出没警報を発令した。現場は北陸自動車道立山インターから南に約6キロの住宅地。堀さんは犬の散歩中、現れたクマに顔をかまれた後、自力で自宅に戻り、家族が通報した。事故を受けて立山町職員と同町鳥獣被害対策実施隊員、上市署員が現場から南東の山林方面を捜索したが、クマは見つからなかった。現場付近に箱わなを1台仕掛けた。近くに住む男性は「ここ数日、ふんなどの痕跡が見つかり、注意していたところだった」と話した。今年の富山県内でのクマによる人身被害は9件12人となり、被害者数は過去10年で最多となっている。被害の7件は平野部で発生し、目撃・痕跡情報は11日時点で797件寄せられた。県は警報第2報で、利用予定のない果樹の実を早めに取り除くことや、住宅や倉庫の戸締まりの徹底などを呼び掛けた。

(クマに襲われ、農作業中の女性大けが:富山)
13日もまた、クマによる人身被害が起きました。13日午後、立山町で農作業中の70代の女性がクマに襲われ、大けがをしました。女性が襲われた場所は、12日、75歳の男性がクマに襲われた場所の近くで、同じクマとみられます。県内でのクマによる人への被害は、これで3日連続です。「女性はハウスの中で作業中にクマに襲われてけがをしたということです」消防などによりますと、13日、午後3時30分ごろ、立山町米道で、ビニールハウスで農作業をしていた70代の女性がクマに襲われました。救急隊の確認では、女性は顔をかまれるなどの大けがですが、意識はあるということです。通報を受け、町の職員や猟友会が警戒していたところ…。「そちらからクマ出て作業所に入ったんですよ、向こうに。猟友会も挟み撃ちしたが」猟友会が午後4時ごろ、クマ1頭を射殺しました。クマは、メスの成獣で体長およそ120センチ、体重およそ54キロだということです。女性が襲われた現場近くでは、12日も、75歳の男性がイヌの散歩中にクマに襲われ、顔をかまれる大けがをしていて、射殺されたクマが2日連続で人を襲ったとみられています。現場は立山町の山沿いにある住宅地です。12日と13日の現場は、およそ100メートルしか離れていません。また、西には、およそ800メートルの位置に小学校があります。その釜ヶ淵小学校では、登下校時に、保護者が児童を車で送迎するなどして、警戒したということです。また、13日の午前8時25分ごろには、富山市中布目の大門川で、クマがいるのをパトロール中の警察官が見つけ、猟友会が射殺しました。クマは、体長およそ125センチ、体重およそ60キロのメスの成獣だったということです。周辺では、13日朝から親子のクマの姿が目撃されていて、射殺されたのは親グマとみられますが、子グマは見つかっていません。およそ200メートル離れた月岡中学校では、13日の部活動を取りやめ下校時間を早めるなどの対応をとりました。クマによる人身被害は、県内でことし10件目でけが人は13人にのぼっています。県は、納屋や車庫の戸締りを徹底することや、不要不急の外出を控えるなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(県内4日連続クマ被害、腕かまれ男性重傷:富山)
県内で人がクマに襲われる被害が11日から4日連続で発生するという異常事態になった。14日午後2時ごろ、南砺市土生(福光)の畑で、農作業をしていた近くの男性(78)がクマに襲われ、右腕をかまれたことによる骨折など重傷を負った。県自然保護課によると、クマによる人身被害が4日連続で発生したのは2004年に統計を取り始めてから初めて。今年の県内の被害者数は14人となり、同年の24人に次ぐ数となっている。県自然保護課によると、男性を襲ったクマは体長1メートルほどの成獣。男性は自力で自宅に戻り、妻の運転で南砺市民病院を受診。同病院が市役所に連絡した。現場は近くに草木の茂みが広がる田園地帯の集落。南砺署員や南砺市鳥獣被害対策実施隊、市職員らが周辺をパトロールしたが見つからなかった。近くに住む男性(44)は「たびたびクマが出没する場所だが、人身被害まで出るとは」と話した。パトロールに当たった市鳥獣被害対策実施隊の男性は「茂みに逃げ込まれると、捕獲するのは難しい」と語った。人身被害の発生を受け、現場から約1・5キロ離れた福光南部小学校は、2学期末まで保護者の判断で児童を送迎するよう注意喚起のメールを送信した。県内では11日に南砺市井波地域で70代の男女2人がクマに相次ぎ襲われて重傷。12、13日にも立山町で男性(75)と女性(76)がそれぞれ重傷を負っている。「こんな日中に襲われるとは」。クマに襲われた男性の妻(72)は驚いた様子で語った。「クマにやられた」。午後2時すぎ、男性から携帯電話に連絡があった。外出先から慌てて帰宅すると、男性が腕や顔から血を流して玄関先に座り込んでいた。妻によると、男性が畑仕事をしていると、クマが草木の茂みから出てきて腕にかみついた。とっさに振り払うと、クマは転がって用水に落ち、流れていったという。男性の意識ははっきりしているものの、大事をとって入院した。周辺の草木の茂みでは以前からクマやイノシシ、カモシカなどが目撃されていた。妻は「昼間の時間は大丈夫だと思っていたが…。とにかく助かって良かった」と話した。

(ラジオ体操帰り、クマに襲われる:富山)
15日朝早く、富山市でラジオ体操帰りの男性3人がクマに襲われ、重軽傷を負いました。富山県では、これで5日連続、人が重傷を負っています。背景に何があるのでしょうか。「被害に遭った男性は、公民館でラジオ体操を終え、外に出たところ、クマに襲われたということです」15日午前6時半ごろ、富山市の住宅地で、70代の男性3人がクマに襲われました。1人は頭部を引っかかれ重傷、ほかの2人は太ももをかまれて軽傷です。男性たちは、公民館でラジオ体操を終え、帰宅しようと外に出たところでした。「やかましい声がして後ろを向いたら、クマだと言ってわーっと」(ラジオ体操に参加した人)今年、富山県ではクマが大量出没。富山県がクマの目撃情報などをまとめた地図です。目撃は海沿いも含む広範囲に及び、その数830件。これは、統計を取り始めた2004年以来、3番目に多い数です。クマによる人身被害も相次いでいます。道路を横切り、住宅のほうへ向かうクマ。今月7日に富山市の山合いで撮影された映像です。このあと、近くで人身被害が発生しました。「住宅の敷地内には、血のついたタオル、そして、クマのフンとみられるものが、あちらこちらに散らばっているのが分かります」70代の夫婦が、自宅の納屋から現れたクマに引っかかれ軽傷。その20分後にも、およそ1.3キロ離れた場所で80代の男性が襲われ、重傷となりました。3時間後、猟友会によって、2頭のクマが駆除されました。「1匹だと思ったら、すぐ横にもう1匹いて、経験がなかったらやられている」(猟友会)このあとも富山県内では被害が止まらず、今月11日からは15日まで5日連続で人身被害が発生。被害に遭った人の数も17人で、統計開始以来、2番目に多くなりました。なぜ、これほどまでに被害が相次ぐのでしょうか。人里に降りてくるクマの狙いとみられるのは柿。今月2日には、富山市で柿の実をむさぼる姿が撮影されました。「筋肉隆々で怖かったですね」(クマを撮影した人)15日朝、ラジオ体操帰りの男性3人が襲われた現場付近でも・・・。「けさ(柿が)なくなっていた。ゆうべ食べたんだと思う」(近くに住む人)この異常事態、一体いつまで続くのでしょうか。

(クマに襲われ、3人けが:富山)
二十一日午前十時五十分ごろ、富山市中番の住宅の庭で住民の男性(40)と父親(73)が、五分後には隣の住民女性(90)が自宅玄関前でクマにそれぞれ襲われて重軽傷を負った。富山県内のクマによる人身被害は十三件、二十人となった。十一月だけでも十五人が被害に遭っており過去最多だった二〇〇四年の二十四人に迫る勢い。県自然保護課によると、親子は自宅の庭にあったクマのふんを片付けようとしていたところ、庭のやぶから出てきたクマに襲われた。男性は顔を引っかかれて顔の骨を折り、父親は頭や両手を引っかかれて右手を骨折した疑いがある。女性は自宅玄関前でスギの枝を拾っていたところ、後ろから頭を引っかかれ、軽傷を負った。現場に残っていた足跡や目撃情報から同じ成獣のクマとみられている。男性の自宅近くにはカキの木があり、クマが実を食べた痕跡もあった。現場は常願寺川に近い田園地帯。富山市や地元猟友会が現場周辺をパトロールしたが、クマは見つかっていない。女性のけがを見て、一一〇番した四十代の男性は「叫び声が聞こえて、急いで向かったら、クマが道路を横断しているのが見えた。(女性は)頭から血が流れていて、痛そうだった」と話した。クマに襲われる三十分ほど前に被害女性宅を訪れていた近所の寺岡寛美(ひろみ)さん(69)は「自分が外に出た時に襲われなかったのはラッキーなだけだったのかもしれない。一人で外には出たくない」と恐れていた。十五日朝には、現場から南東へ約一キロ離れた同市上滝の路上でラジオ体操帰りの男性三人がクマに襲われ、重軽傷を負っている。富山市ファミリーパーク山本茂行名誉園長(68)=富山県高岡市福岡町=は「人を襲ったクマは自分の居場所ではない場所に出てしまったことでビックリし、興奮してナーバスな状態になっている。人であろうが、何であろうが襲ってしまう状態だ」とクマの精神状態を指摘する。クマによる人的被害が多発している状況について「クマが出て、人が襲われてからの対症療法しかしていない。奥山のクマが餌が不足していて里山に下りているのではなく、里山のクマの生息密度が高くなり、飽和状態になっている。餌のドングリの不足の問題だけでなくなっている。このままでは今の状況は来年も起こる」と警鐘を鳴らす。山本さんは「山の自然環境の変化、クマの動きを把握した上で、里山より下に下りてくる本質を分析し、先手を打たないといけない。ITや人工知能(AI)の技術を駆使し、自然災害と同じに、自然環境とクマの変動を把握する仕組みを作り、分析できる人材育成が必要だ。そうしないと、毎年繰り返されることになる」と訴えている。

(クマ被害、住宅敷地内で女性けが:福井)
八日午前八時ごろ、大野市木本の住宅敷地内で八十代の女性がクマに襲われ、右手などに軽いけがを負った。今季、同市でのクマによる人身被害は初めてで、県内では八件目。市によると、女性は住宅裏の水路でサトイモを洗っていた。気配を感じて顔を上げたところ、体長一メートルほどの成獣一頭に右手を引っかかれ、倒れた際に頭を打った。左手と頭に爪痕も付いた。女性は自分で消防署に通報し、救急搬送された。この日は午前七時四十分ごろ、木本中村町の木本観音堂近くの住宅敷地内で成獣一頭が目撃されている。市職員と地元猟友会員が目撃場所付近で待機し、市役所に地元猟友会員や市職員、大野警察署員らを招集していた。目撃されたクマと女性を襲ったクマは同じ可能性が高い。近くで農作業していた女性(79)は「サトイモやマメの収穫時期で忙しい。外に出るのを控えるよう言われたが、出荷のため朝から作業しないといけない」と不安げに話した。市教委によると、校区内に被害現場がある上庄小学校は、低学年が午後三時、高学年は同四時に教員の引率で集団下校した。上庄中学校は部活動を中止し、集団下校した。被害を加えたクマの行方が確認されるまで車での送迎をするよう保護者に求めている。市は防災無線や広報車で周辺に注意喚起を行った。被害現場から南西方面の山にクマが入った痕跡があり、近くに捕獲用オリ一基を設置した。

(クマ目撃、捜索し射殺:福井)
11月8日午後10時から同25分ごろにかけて、福井県大野市明倫町の同市役所北側の市道にクマがいるのが近くの住民らにより相次いで目撃され、9日早朝から市職員や警察、地元猟友会メンバーら約30人が付近を捜索した。同日午前7時ごろ、目撃場所から100メートルほど西にある同市泉町の空き家の庭の茂みに体長1メートルの雄の成獣が潜んでいるのを発見し、射殺した。同市街地でクマの出没が確認されたのは今季初めて。市は8日夜に目撃されたクマと、駆除された成獣は同一の可能性が高いとみている。一方、市街地から南へ5キロほどの同市木本の山際の集落では8日朝、80代女性が体長1メートルほどの成獣に襲われ軽傷を負ったが、今回のクマとは別の個体とみられている。市街地での出没を受け、市は周辺のパトロールを強化したほか、市内小中学校に注意を促すメールを流した。

(クマに襲われ女性が70針縫う重傷:福井)
11月12日午後4時45分ごろ、福井県南越前町新道の集落で柿の実を収穫していた女性(76)がクマに襲われたと家族から福井県警越前署に通報があった。同町によると、女性は頭や顔などをひっかかれ少なくとも約70針を縫う重傷。命に別条はないという。今季、町内でクマに襲われてけがをしたのは2人目で、県内では9人目となった。現場はJR北陸線の南今庄駅から西へ約2キロの山あいで、鹿蒜(かひる)公民館の近く。同町によると、女性は収穫作業中に襲撃され、逃げる際に再度襲われた。女性は右頬と右足を骨折、頭や顔に引っかき傷を負った。同町や越前署などが周辺を巡回したほか、防災無線で注意を呼び掛けた。13日朝の通学時間帯もパトロールを行う。同じ集落に住む60代男性は「近所の柿の木にクマの爪跡があったのは知っていたが、実際に遭遇する人が出るとは」と驚き、「今回の襲撃を聞いて家から出ないようにしている」と話していた。

(住宅街にイノシシ、住民の男性がかまれ軽いケガ:香川)
11月10日朝、高松市の住宅で庭に現れたイノシシに住民の男性がかまれ軽いケガをしました。イノシシがぶつかった衝撃で金属製の窓枠がゆがんでいます。午前9時頃、高松市屋島西町の住宅で庭で窓の掃除をしようとした住民の男性が、突然現れたイノシシに噛みつかれました。男性は右ひざに軽いケガをしました。イノシシは体長約1メートルで、山の中に逃げ込んだということです。現場周辺ではイノシシの目撃情報が相次いでいて、市や県警が注意を呼び掛けています。

(イノシシにかまれ71歳男性けが:香川)
イノシシの出没が相次いでいる高松市の屋島で、19日も、71歳の男性が出くわしたイノシシに手首をかまれてけがをしました。市や警察は周辺の小中学校などに注意を呼びかけています。19日午前7時40分ごろ、高松市屋島西町の県道で小型バイクに乗っていた71歳の男性が、道路の右側から突然現れたイノシシに驚いて転倒し、左手首をイノシシにかまれて軽いけがをしました。イノシシは体長1メートルほどの成獣とみられ、東へ走り去ったということです。現場の近くでは、21歳の女性も同じ時間帯にイノシシに右足をかまれたと訴えています。女性は、「イノシシは大きくて怖かったです」と話していました。また、午前8時すぎにはおよそ2キロ離れた屋島西町の民家脇でも、イノシシが道路を走っていた自動車とぶつかりました。この事故で、自動車は前のバンパーがへこんだということですが、運転者にけがはなかったということです。市や県、それに警察などはおよそ2時間にわたって周辺を捜索しましたが、イノシシの足取りはつかめなかったということで、市は周辺の小中学校や幼稚園、それに保育所に注意を呼びかけています。高松市の屋島西町では、先月8日にも親子3人が乗った自転車がイノシシにぶつかって転倒し、自転車に乗っていた2歳の男の子が軽いけがをしたほか、今月10日には自宅の庭にいた58歳の男性がイノシシにかまれてけがをするなどイノシシの出没が相次いでいます。

(シカ用わなに子グマ、親グマに引っかかれ軽傷:兵庫)
兵庫県新温泉町と豊岡市で9日、出没したクマに地元住民が襲われ、いずれも高齢の男性計2人が軽傷を負った。同日午前6時20分ごろ、新温泉町井土の山林で、シカ捕獲用の箱わなに子グマがかかっているのを、近くの農業の男性(84)が発見。近づいたところ突然、背後から別のクマに襲われ、脚を引っかかれるなどした。親グマとみられる。同日午前8時45分ごろには、豊岡市日高町猪子垣の農道で、散歩していた男性(77)が休耕田の草の茂みから現れたクマに頭や顔、肩を引っかかれた。美方署と豊岡南署によると、いずれのクマも男性を襲った直後に立ち去ったという。両署には最近、クマの目撃情報が多く寄せられており警戒を強めている。

(イノシシに襲われ男性2人重軽傷:兵庫)
16日午前10時25分ごろ、神戸市北区山田町下谷上の山中で、無職男性(73)から「イノシシにかまれた」と119番があった。男性は病院に搬送されたが、左指を骨折したほか尻を複数回刺されるなどして重傷。さらに午前10時半過ぎにも北へ約700メートル離れた市立森林植物園内で、1人でハイキング中の無職男性(87)がイノシシに左手をかまれ、全治2週間のけがをした。兵庫県警神戸北署によると、73歳男性は狩猟のために仕掛けた「くくりわな」の様子を見に行ったところ、わなにかかったイノシシを発見。直後にイノシシがわなを脱出し、男性の方へ突っ込んできたという。同署は2人が同じイノシシに襲われた可能性もあるとみている。

(クマに襲われ、70代男性大けが:新潟)
9日午前6時半すぎ、新潟県阿賀町吉津の阿賀野川沿いの堤防道路を散歩していた、同町の70代男性がクマに頭をかまれ、左脇腹をひっかかれる大けがを負った。男性は新潟市内の病院に搬送されたが意識はあり、命に別条はない。津川署や阿賀町などが住民らに注意を呼びかけている。同署によると、クマは体長約1・5メートル。男性は一人で散歩中にクマと遭遇し、逃げようとしたが間に合わなかった。クマは阿賀野川の方へ去り、通りかかった人が119番通報した。男性の頭に20センチほどのかまれたような痕が、脇腹に5センチほどの爪でえぐられたような痕があったという。現場は住宅地から約130メートルで、近くに国道49号線三川インター入り口交差点や観光きのこ園がある。津川署は阿賀町を通じ、地元の猟友会に付近の警戒に当たる要請を出した。吉津区長の男性(64)は「今朝の町内放送で被害があったと知り、周囲をパトロールした。これまでは人的被害は聞いたことがなかったので、とても驚いている」と話した。

(クマに襲われ50代の男性けが:新潟)
13日夜、阿賀町で50代の男性が自宅の前でクマに襲われ、頭や腕にけがをしました。命に別状はないということです。13日午後9時20分ごろ、阿賀町赤岩で50代の男性がクマに襲われ、新潟市内の病院に救急車で運ばれました。警察によりますと、男性は頭や右腕にけがをしましたが、意識はあり、命に別状はないということです。男性は車で帰宅し、玄関から自宅へ入ろうとしたところ、突然、クマに襲われたということです。その後、クマは山の方へ逃げたということですが、大きさなどは分かっていません。県内ではこの秋、魚沼市や阿賀町でクマによる人への被害が相次いでいて、県のまとめによりますと、ことし9月からこれまでに16人がけがをしています。現場は阿賀野川沿いの住宅が10軒ほど集まる集落で、警察と消防が付近の住民に注意を呼びかけています。

(イノシシに襲われ女性けが:愛媛)
17日午後、新居浜市の砂浜で犬の散歩をしていた30代の女性がイノシシに足をかまれてけがをしたという通報があり、警察は、イノシシを見かけても近づかないよう注意を呼びかけています。17日午後2時半ごろ、新居浜市に住む男性から「知人の女性がイノシシに噛まれたと話している」と警察に通報が寄せられました。警察がこの男性から話を聞いたところ、新居浜市垣生で知人の30代の女性が足を引きずりながら歩いているのを見かけたため声をかけたところ、「近くの砂浜で犬を散歩していたところ、1メートルくらいの大きさのイノシシに襲われ、足首の上あたりをかまれた」と話していたということです。現場は住宅地に囲まれた海岸で、警察は、イノシシの行方を捜すとともに周辺の住民に対し、見かけても近づかないよう注意を呼びかけています。

(猟友会の2人、クマに襲われる:秋田)
20日午前8時40分ごろ、秋田県鹿角市十和田大湯の住宅街で、猟友会の60代と70代の男性2人がクマに襲われた。60代の男性は右手の人さし指と中指をかみちぎられ、70代の男性は頬などに傷を負った。2人は病院に搬送されたが、いずれも命に別条はない。クマは駆除された。鹿角署によると、温泉旅館の敷地内に体長約1メートルのクマが現れ、署員や猟友会のメンバーが駆け付けた。メンバーらはクマを監視していたが、川ややぶの中へ移動したため姿を見失った。クマはその後、近くの駐車場から突然現れ、2人に襲いかかったという。

(クマにかまれ男性重傷:滋賀)
21日午前8時35分ごろ、滋賀県高島市マキノ町西浜の山中で、狩猟をしていた同市安曇川町南船木の無職男性(69)から「クマにかまれた」と119番があった。県警高島署によると、男性は両腕や顔をかまれ、左手小指を脱臼する重傷を負った。男性が狩猟用に仕掛けたわなを確認していたところ、親子とみられるクマ2頭と遭遇し、成獣とみられるクマにかまれたという。2頭は山中に逃げ、署員や市職員、猟友会員らが捜索したが、見つからなかった。署などが、周辺住民に注意を呼び掛けている。

(署内でエアガン暴発、壁に穴:徳島)
徳島県警美馬署は20日、猟銃所持許可の更新手続きに訪れた美馬市の50代男性のライフル型エアガンが署内で暴発し、鉛弾1発が壁に当たったと発表した。けが人はいない。署は銃刀法違反の疑いで男性から事情を聴いている。署によると、20日午前9時45分ごろ3階の生活安全課内にある補導室で、男性がエアガン(全長96センチ)をナイロン製バッグに入れようとしたところ、引き金に触れて鉛弾(直径7・4ミリ、長さ9・5ミリ)を誤って発射した。弾は石こうボード製の壁にめり込み、直径9・9ミリの穴が開いた。当時、室内には男性と署員1人しかいなかった。署員が男性の提出した書類を整理していると発射音がした。驚いて壁を見ると穴が開いていたという。男性と署員は、銃の弾倉に弾が入っていないのを確認していた。弾倉から弾が送り込まれる薬室に弾1発が装填されたままになっていたとみられる。エアガンはイノシシ、シカ、サルなど有害鳥獣の駆除に使用しており、100メートル離れた場所から仕留める威力がある。

(散弾銃暴発、男性に罰金10万円:和歌山)
ことし5月、御坊警察署で、猟銃の検査を受けていた男性が実弾が入ったままであることに気付かずに引き金を引き、弾を発射させたとして銃刀法違反の罪で略式起訴され裁判所から罰金10万円の略式命令を受けました。略式命令を受けたのは、御坊市の会社役員の70歳の男性です。起訴状などによりますと、男性はことし5月、御坊警察署の会議室で猟銃を所有する人たちを集めて銃の状況を確認する検査を行っていたところ、自分の散弾銃に実弾が入っていることに気付かずに引き金を引き、弾が発射されたものです。当時、会議室には検査を受けに来た人と警察官のおよそ10人がいましたが、けが人はいませんでした。散弾銃は必要なときにだけ弾を込め、それ以外は弾を抜いておくことが法律で定められていますが、警察の調べによりますと、男性の銃には実弾2発が入ったままだったということです。御坊区検察庁は、銃刀法違反の罪にあたるとして男性を先月31日に略式起訴し、御坊簡易裁判所は6日、罰金10万円の略式命令を出しました。

(日本クレー射撃協会が東京五輪代表選手を発表)
日本クレー射撃協会(JCSA)は11月20日、公式サイトにTokyo 2020(東京五輪)クレー射撃日本代表選手発表資料を掲載。トラップ種目は中山由起枝(日立建機)と大山重隆(大山商事)、スキート種目は石原奈央子(古峯神社)と井川寛之(モダンビル管理)の出場が確定した。正式には日本オリンピック委員会(JOC)の承認後、決定となる。東京五輪への出場は、オリンピック出場枠(QP)獲得と、開催国枠の利用の2種類に大別される。女子トラップの中山は、11月3日から11日にかけて開催されたアジア大陸射撃選手権大会(QAT)で3位となり、QPを獲得。ほかの3選手は、QATで日本人最上位となり、開催国枠での出場となった。なおQATでは、ライフル3姿勢の松本崇志(自衛隊体育学校)と平田しおり(明治大学)も東京五輪出場の内定を得ているが、こちらの管轄は日本ライフル射撃協会(NRAJ)となる。クレー射撃日本代表選手は今後、海外で開催されるグランプリやワールドカップに参戦するほか、強化合宿を適宜行い、オリンピック本戦に備えるとしている。

(石原、2度目の五輪)
射撃のアジア選手権は10日、ドーハで行われ、クレー射撃のスキートでは、2016年リオデジャネイロ五輪代表の石原奈央子(古峯神社)が16位となり、2度目の五輪代表に決まった。男子は井川寛之(モダンビル管理)が18位で代表に決定した。

(クレー射撃井川、初の五輪代表に:神奈川)
日本クレー射撃協会は20日、東京都内で理事会を開き、男子スキートで横浜市都筑区出身の31歳、井川寛之(モダンビル管理、横浜商大高-横浜商大卒)を東京五輪代表に決めた。井川は2017~19年の世界選手権代表で、ワールドカップ個人最高は20位。今月ドーハで行われたアジア選手権で日本勢最上位の18位となり、初の五輪代表となった。

(石原井川組は銅メダル、射撃のアジア選手権)
射撃のアジア選手権は12日、ドーハで行われ、クレー射撃の非五輪種目の混合スキートで石原奈央子(古峯神社)、井川寛之(モダンビル管理)組が3位に入った。折原梨花(林テレンプ)、丸山和成(三晃ドリリング)組は10位だった。

(クレー射撃・中山由起枝「メダル取りたい」)
クレー射撃女子トラップで東京五輪代表に決まった中山由起枝(日立建機)が9日、ドーハで行われたアジア選手権から成田空港に帰国し、5度目の五輪へ「競技人生の集大成で最後になるかもしれない。何色でもいいのでぜひメダルを取りたい」と笑顔で決意表明した。40歳の中山は2000年シドニー大会で五輪に初出場し、08年北京大会で4位入賞の実績がある。今回のアジア選手権は3位で五輪の出場枠を獲得。「もう駄目かと思ったけど、執念で奇跡に近いことが起きた。追い込まれて逆転サヨナラ満塁ホームランが打てた」と振り返った。男子トラップで五輪代表に決まった大山重隆(大山商事)も帰国した。

(安中総合射撃場の開業が来年7月にずれ込み:群馬)
群馬県は18日、鳥獣被害対策本部会議の令和元年度初会合を開き、同県安中市で整備を進める「県安中総合射撃場」が来年7月に開業するとの見通しを示した。当初は今年3月に開業予定だったが、場内に散乱する鉛弾で土壌や地下水の汚染が起きないよう地元対策を取ったことで一部の工事が想定以上にずれ込んだため。豚コレラ(CSF)の感染源となる野生イノシシ対策が急務となる中、県は来年以降、狩猟者らを対象としたイベントなどを通じて射撃場のPRに努め、利用者を確保する。県によると、同市の「県クレー射撃場」にライフル射撃場を新たに併設し、総合射撃場に衣替えする計画で予算規模は計約15億5千万円。狩猟者らに射撃訓練の場を提供する。レジャーの多様化などを背景に、ライフル銃などを扱う県内の第1種銃猟免許取得者数はピーク時の昭和56年の9022人から昨年には8割減の1789人に落ち込んだ。射撃場の整備により減少に歯止めをかけるとともに鳥獣被害対策にも役立てる狙いだ。一方で、県は同本部会議で豚コレラ対策として野生イノシシの捕獲を加速する方針を確認した。令和元年度の捕獲目標は約1万頭だが、豚コレラの感染拡大に収束の兆しが見えないことを踏まえ「2年度はかなり高い目標になる」(田中貴弘副本部長)とした。

(射撃場の建設検討、候補地は韮崎市:山梨)
山梨県が整備する方針の県立射撃場の場所について韮崎市の県有地が候補に挙がっていることがわかりました。県立射撃場建設の候補地になっているのは韮崎市穂坂町三之蔵の約80ヘクタールの県有地です。この場所は以前にも候補地となりましたが、取付道路を含めた整備費が県の想定を超える約31億円に上ることなどから建設を断念したいきさつがあります。しかし猟友会からの要望を受け、県と韮崎市クレー協会などはきのう韮崎市役所で会合を開き地元の合意形成など整備へ向けた検討を始めました。関係機関は今後も定期的に協議をし、県立射撃場の詳細な場所や規模などを継続して検討することにしています。

(ゴミ処理場から散弾銃実包か:福岡)
福岡県飯塚市入水のリサイクルセンターで、ゴミ袋の中から散弾銃の実包とみられるものが見つかった。計15個あり、県警飯塚署は火薬類取締法違反の疑いで捜査している。施設を管理するふくおか県央環境広域施設組合によると、10月28日午後2時ごろ、作業員がゴミ袋を破る作業中に見つけた。このゴミ袋は嘉麻市の嘉麻クリーンセンターに不燃ゴミとして持ち込まれたが、燃えるゴミしか処理できないため、飯塚市のリサイクルセンターに回されたという。嘉麻クリーンセンターは嘉麻市の山田、嘉穂、碓井地区のゴミを受け入れている。飯塚署は実包かどうかの鑑定をする方針。組合の担当者は「あってはならないこと」と話している。

(バイアスロンの危機、欧州委員会が鉛の使用禁止の可能性)
欧州委員会が屋外スポーツでの鉛の使用を禁止する可能性があり、バイアスロンは危機に直面している。ノルウェー放送協会(NRK)が報じた。法改正は2022年にも施行される可能性がある。バイアスロンでは鉛の弾丸を使用しており、現段階では今のカートリッジに代わる相応の代替品はない。国際バイアスロン連合(IBU)はこの改正に懸念を抱いており、法改正は欧州の他のスポーツ、狩猟やフィッシングにも影響を及ぼすと見ている。欧州化学機関(ECHA)によると、毎年1万4千トンの鉛が環境に放出されているという。スポーツ射撃では毎年1万から2万トンの鉛が使用されている。既に数名の有名選手が法改正についてコメントしている。五輪チャンピオンであり、世界選手権で4つの金メダルを獲得したチリル・エクホフ選手(ノルウェー)は、法改正があれば競技をやめるしかないと語った。NRKが伝えるところによると、エクホフ選手は「そのなった場合にはバイアスロンをやめなければならない。それはしたくない」とコメントした。

(豚コレラ、「CSF」に呼称変更へ)
江藤拓農林水産相は11日、豚やイノシシの伝染病「豚コレラ」の呼称を、英語名の「CSF(クラシカル・スワイン・フィーバー)」に変更すると明らかにした。豚コレラは昨年9月、国内で26年ぶりに発生。感染が終息せず、ワクチンの接種が10月に始まった。接種した豚の出荷が早ければ15日にも始まる。農水省によると、本来は無関係なヒトのコレラを想起させるとして、名称の見直しを求める声が発生県などから上がっていたという。今後、アフリカ豚コレラの「ASF(アフリカン・スワイン・フィーバー)」とともに、定着を図っていきたいとしている。

(豚コレラ対策、農水省が計画)
農林水産省は11日までに、豚コレラの新たな対策として防衛省と連携し、野生イノシシ向けのワクチン入り餌を自衛隊のヘリコプターで空から山中に散布する計画を明らかにした。ワクチンを接種した豚の肉の出荷が15日以降に順次始まる見通し。江藤拓農水相は記者会見で「接種した豚の肉を人が食べても安全だと周知したい」と述べた。農水省は防衛省の協力を得て、主な感染源とされる野生イノシシ向けのワクチン入りの餌を空中から散布する実験を11月中に実施する方針。具体的な実施地域などは現在詰めており、実験を踏まえ12月以降に本格実施する方向だ。これまでワクチン入りの餌は、群馬、埼玉、富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の11県で県職員らが手作業で地中に埋めてきた。空からの散布も合わせて作業を効率化し、感染したイノシシが生息する地域が広がらないようにする狙いがある。農水省は豚コレラワクチン接種の推奨地域に12県を選定し、10月25日から接種が始まっている。厚生労働省の通知で、ワクチン接種後の経過を見るため、接種後20日間は食肉処理の際に必要な検査の手続きをしないことになっている。接種の早かった富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重の6県の豚は11月15日から検査手続きが可能になり、食肉処理場で処理して出荷ができる状態になる。

(CSF対策、イノシシへのワクチン拡大を提言)
ブタの伝染病のCSF、いわゆる豚コレラについて、ウイルスを広げる野生のイノシシへの感染に歯止めがかからないことを受け、国内外の専門家が「イノシシ対策のワクチンをまく地域を拡大すべきだ」などとする提言をまとめました。提言はCSF、いわゆる豚コレラに詳しい、北海道大学の迫田義博教授などがドイツやアメリカの専門家などを招いて13日、神奈川県相模原市で開いた会合でまとめました。CSFについては現在、11の県で養豚場のブタへのワクチン接種が行われていますが、ウイルスを広げる野生のイノシシでの感染が先月、山梨県でも確認され、12の県に広がるなど歯止めがかかっていません。農林水産省はイノシシ対策のワクチンを、富山、石川、長野、静岡、愛知の合わせて5つの県で重点的にまいてきましたが、会合の中では、より東側の関東でもイノシシでの感染が確認されているとして、北関東や東北でもワクチン散布を検討すべきだとする意見が出たということです。議論を受けて会合ではワクチンをまく地域の拡大とともに、山間部では人が入るのが難しい場所もあるとして、ヘリコプターを使った、空中からの散布を検討すべきだなどとする提言をまとめました。会議を主催した迫田教授は「イノシシ対策の質をさらに上げていかないとCSFの終息は難しい」と話していて、提言を生かすよう農林水産省に示すことにしています。

(イノシシ4頭、豚コレラ感染:静岡)
県畜産振興課は14日、静岡市葵区と藤枝市で見つかった死んだ野生イノシシ2頭と、藤枝市で捕獲された野生イノシシ2頭の計4頭から豚コレラ(CSF)の感染を確認したと発表した。野生イノシシの感染は11例目となる。

(イノシシ死骸、県内6例目:静岡)
静岡県は11日、静岡市駿河区で見つかった死骸の野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認されたのは6例目で、静岡市では初めて。県によると、同日午前、同市駿河区丸子で死んだイノシシを発見したとの通報があり、県が実施した遺伝子検査で陽性反応が出た。10月18日に感染が確定した1例目のイノシシの発見場所から東に約6キロの地点で10キロ圏内に養豚場はない。県内ではこのほか、藤枝市で豚コレラに感染した野生イノシシの死骸が5例見つかっている。

(豚コレラ、イノシシ感染7例目:静岡)
県畜産振興課は12日、藤枝市西方で有害鳥獣駆除のため射殺駆除されたイノシシから豚コレラ(CSF)感染が確認されたと発表した。県内7例目で、駆除されたイノシシからの確認は初めて。県や猟友会などでつくる「対策協議会」は13日、野生イノシシの豚コレラ感染拡大を防ぐため、静岡市葵区で経口ワクチンの散布を始めた。14日も散布する。同課によると、7例目のイノシシは6日に猟師が猟銃で駆除。県の遺伝子検査で12日に陽性が確認された。

(CSFのイノシシ感染新たに2例:静岡)
13日、静岡市葵区と藤枝市で見つかった死んだ野生のイノシシ2頭が、ブタの伝染病のCSF、いわゆる豚コレラに感染していたことが確認されました。県内で確認された野生のイノシシの感染は、これで9例に上ります。県によりますと、13日、▼静岡市葵区飯間と▼藤枝市岡部町桂島で、死んだ野生のイノシシ、あわせて2頭がCSF、いわゆる豚コレラに感染していたことが確認されたということです。県内では、10月18日に死んだ野生のイノシシがCSFに感染していたことが初めて確認されて以降、この1か月ほどのあいだに、これであわせて9例の感染が相次いで確認され、歯止めがかかっていません。県によりますと、感染が見つかったのは、いずれも静岡市と藤枝市の半径6キロ以内で同じ生息エリアとみられ、周辺10キロ圏内に養豚場はなく、これまでにブタへの感染は確認されていないということです。県は、養豚農家などを対象にしたブタへのワクチン接種や、養豚場への野生イノシシの侵入を防ぐなど感染の拡大防止を徹底するよう取り組んでいます。

(豚コレラ、イノシシ22例目:三重)
三重県は7日、菰野町で見つかった野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内でイノシシの感染確認は22頭目で、同町内では初めて。県によると、感染が確認されたイノシシは3日、同町千草の林で地元猟友会によって捕獲された。県の検査で7日に感染が確認された。発見場所から半径10キロ圏には養豚農場が9農場あり、うち5農場はすでに監視対象になっている。対象になっていなかった4農場が新たに監視対象に設定され、県内の監視対象農場は11農場となった。今のところ、監視対象農場の豚に異常は確認されていない。これまで感染が確認された21頭の野生イノシシのうち1頭は桑名市で捕獲され、残りは全ていなべ市。今回の捕獲地点は過去に感染が確認された最も近い場所から約10キロ離れている。県豚コレラ対策チームは感染確認地点が菰野町まで南下したことを受け、「今まで県境に集中していた感染イノシシが県内に広がる可能性がある」と危機感を強めている。

(養豚場で豚コレラ、県内5例目:埼玉)
埼玉県は9日、同県深谷市の養豚場で豚コレラの感染が確認されたと発表した。養豚場での感染は県内で5例目。約1700頭が飼育されており、県は同日夜から全頭の殺処分を始める。13日にも作業を終える予定だ。県は1日から豚コレラの感染予防のためのワクチン接種を進めている。深谷市内の養豚場で事前に検査した際、感染が疑われる事例がみつかり、再検査で陽性と判定された。野生イノシシの侵入を防ぐ柵などは設置していなかったという。深谷市内は豚の飼育頭数が県内市町村で最も多い。

(豚コレラ、静岡市内でもワクチン散布:静岡)
県内6例目となる豚コレラに感染した野生イノシシが静岡市内で見つかったことを受け、県は13日から同市内の山間部でイノシシへのワクチン散布を行うと発表した。ワクチン散布はこれまで、農場で豚コレラが発生した愛知県境に近い浜松、湖西の両市でのみ実施されており、県中部では初めて。5例の感染イノシシが確認された藤枝市や島田市、川根本町でも近日中に散布する。6例目の豚コレラは11日、藤枝市との境界に近い静岡市駿河区丸子で野生イノシシの死骸から確認された。藤枝市外での豚コレラ感染確認は初めてだった。県内110戸の養豚農場などで飼育されている豚約9万5千頭へのワクチン接種も今月から始まっており、18日までに完了する。ワクチンを接種した豚肉を食べても人の健康に影響はないが、養豚農家の間には風評被害への不安が広がっている。このため県は12日、風評被害防止に向けた対策協議会を設立し、初会合を開いた。県の担当者は「ワクチンを接種した豚肉を食べても安心・安全だと、ポスターを使ってアピールする。現時点で風評被害は出ていないが、今後発生しそうであれば新たな策を講じていきたい」と話していた。

(豚コレラ、871頭殺処分:山梨)
山梨県は16日、韮崎市の養豚場で家畜伝染病「豚コレラ」が発生したと発表した。養豚場での発生は県内初で、全国では7県目。県は感染拡大を防ぐため、国のルールに従い、この養豚場で飼育されている豚、全871頭を殺処分する。同市では野生イノシシ1頭の感染も判明した。14日にこの養豚場から「豚が発熱している」などの報告を受け、国と県が複数の豚の遺伝子を検査した結果、16日に感染を確認した。

(豚コレラ、飯田で初の感染イノシシ:長野)
県は19日午前、飯田市で捕獲した野生イノシシ1頭の豚コレラ(CSF)感染を確認したと発表した。同市では初めて。県内の感染イノシシは計127頭になった。これまでは感染イノシシの発見地点から半径10キロ圏内にある養豚場が監視対象農場に指定され、異常な豚の有無を県に毎日報告することが求められた。しかし、豚へのワクチン接種に向けて防疫指針が改定されたことにより、今月13日付の国の通知で監視対象農場は廃止された。従来の監視対象農場については、生後1カ月未満の子豚を含めて養豚場内の全ての豚のワクチン接種が終了した段階で県への報告が不要になる。今回の感染イノシシ発見地点から半径10キロ圏内には、1養豚場(飯田市)がある。県はこの養豚場に対して立ち入り検査を実施し、生後1カ月未満の子豚へのワクチン接種が終了するまでは豚の異常の有無を毎日報告することを求める。飯田市のこの養豚場を含め、県への報告が求められる養豚場は19日時点で計13施設。感染イノシシの発見地点から半径10キロ圏内でより厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域は、中南信の33市町村で変わらない。

(ワクチン接種済みで豚コレラ感染:愛知)
愛知県は19日、同県西尾市の養豚農場で家畜伝染病「CSF(豚コレラ)」の感染を確認したと発表した。農場では6日にCSFのワクチン接種が行われており、陽性反応の豚の中には接種を受けた豚もいるが、接種後に発症したかどうかは国と県で今後調べるという。県は20日から同農場で飼育する1千頭余りの豚を殺処分する。県によると、18日にこの農場から体調の悪い豚がいると報告があり、立ち入り検査時点で、子豚1頭が死んでいた。県が、死んだ子豚を含めて18頭を検査したところ、9頭から陽性反応が出た。ワクチンを接種できない哺乳中の子豚が6頭で、残りの3頭は接種していたという。県は、ワクチンを打っていない子豚2頭の検体を国に送付。国の検査で、ワクチン由来ではないCSFの感染が確認されたという。国と県は今後、接種を受けたのに陽性反応が出た豚について、発症が接種の前なのか後なのか、ワクチン由来ではない感染なのかどうかについて調べる。19日の対策会議後、取材に応じた大村秀章知事は「ワクチンを打ったところでも(感染が)出るのは驚き以外のなにものでもない。大変残念」と述べた。愛知県では10月25日から、県内209養豚場で豚約24万頭へのワクチン接種を開始。今月18日現在で185農場の約17万1千頭の接種を終え、今週末までに接種を完了する見込みだ。CSFは豚やイノシシ特有の伝染病。ウイルスの感染力が強く、一般的に致死率が高いが、人には感染しない。内閣府の食品安全委員会は、仮に感染した豚やイノシシの肉や内臓を食べても人体への影響はないとしている。

(豚コレラ感染拡大の原因、江藤農相「神様が悪い」)
江藤農相は21日、家畜伝染病「CSF(豚とんコレラ)」の対策を検討する参院農林水産委員会で、CSFの感染拡大の原因などを問われ、「神様が悪い」と発言した。野党側の「大臣の責任回避だ」との抗議を受け、江藤農相は発言を撤回。議事録から削除するよう求めた。ウイルスは主に野生イノシシが運ぶとされるが、同委では、野党議員が他の野生動物がウイルスを運ぶ可能性について質問した。江藤農相は「口蹄疫こうていえきやBSE(牛海綿状脳症)など、感染経緯が明確に解明されたことはない。そもそも神様が悪いと私は思っている。ウイルスは人間が作ったものではない」と答えた。

(金沢市内で初、野生イノシシが豚コレラ感染:石川)
県によると14日、金沢市田島町の林道沿いに野生のイノシシ1頭が死んでいるのを付近の住民が発見した。県が遺伝子検査を行ったところ、CSFいわゆる豚コレラの感染が確認されたという。

(イノシシ対策に自衛隊ヘリ)
江藤拓農相は8日の閣議後の記者会見で、豚コレラ対策でワクチンを接種した豚の肉の出荷が15日以降に順次始まる見通しだと明らかにした。農林水産省は防衛省と連携し、新たな対策として野生イノシシ向けのワクチン入り餌を自衛隊のヘリコプターで空から山中に散布する計画も進める。厚生労働省の通知で、ワクチン接種後の経過を見るため、接種後20日間は食肉処理の際に必要な検査の手続きをしないことになっている。接種の早かった富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重の6県の豚は、11月15日から検査手続きが可能になり、食肉処理場で処理して出荷ができる状態になるという。

(マダニ感染症が過去最多に、初の100人超えか)
マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の今年の患者数が、統計を取り始めた2013年以降、初めて100人を超える勢いで増えている。国立感染症研究所が19日発表した患者数は、過去最多だった17年の90人を超える96人。致死率が高く、ペットから感染する危険もあるため、注意が必要だ。SFTSは11年、中国の研究者らが原因となるウイルスを発見した。感染すると6日~2週間の潜伏期を経て発熱、下痢、下血などの症状が表れ、致死率は30%との報告もある。治療は対症療法しかなく、ワクチンもない。感染研は13年から医療機関に全患者の報告を求めており、初年の40人から患者数は増加傾向にある。感染の拡大ではなく、新たな感染症として認知されるようになったのが要因とみられる。今年10月末までの累計患者数は491人で、届け出時点で70人が死亡。その後に死者は増えている可能性がある。免疫の衰える高齢者が発症しやすく、患者の9割が60代以上だった。ウイルスはシカやイノシシなどが保有し、屋外に生息するマダニ(フタトゲチマダニなど)がその血を吸って別の動物をかむことで感染する。野山や畑に行く際は注意が必要だが、犬や猫などのペットが外出時にうつされ、世話をする飼い主が室内で感染する危険もある。17年夏には、衰弱した野良猫を動物病院に連れて行った50代女性が手をかまれて感染し、死亡したケースが報告された。感染研の西條政幸部長は「ペットの具合が悪い時は、厚い手袋をするなど、かまれないように注意してほしい」と話す。

(救急車とイノシシ「衝突」:福島)
11日午前4時30分ごろ、川内村の県道で、双葉地方消防本部の救急車がイノシシに衝突した。けが人はいなかった。双葉署と同本部によると、救急車は村内の急病人方に向かって緊急走行中で、右前方から飛び出してきたイノシシに車両の右前部がぶつかった。同消防本部は別の救急車を出動させ、急病人を搬送した。救急車は予定時間よりも約40分遅れで急病人方に到着したが、容体の悪化など影響はなかったという。

(乗用車2台と衝突、クマ死ぬ:山形)
10日午後5時50分ごろ、尾花沢市五十沢の国道13号で、山形市内の60代男性が運転する乗用車とクマが衝突した。後続の乗用車もぶつかり、クマは死んだ。尾花沢署によるとクマは体長約1.2メートルで、南進車線上にいたという。車2台は一部壊れたが、けが人はいなかった。

(倒れたクマ、発見後に息絶える:青森)
青森市雲谷の国道103号で11日朝、クマが倒れているのを車で通り掛かったドライバーが見つけた。体長1メートル前後の子グマとみられるが、間もなく息絶えたという。

(クマと軽乗用車衝突:秋田)
9日午後6時25分ごろ、潟上市飯田川飯塚字鳥木沢の国道7号で、同市の40代女性の運転する軽乗用車が、道路脇の茂みから飛び出してきた体長約1メートルのクマ1頭と衝突した。女性にけがはなく、車の前部バンパーが壊れた。

(クマ目撃、重傷被害現場から1キロ地点:秋田)
10日午後3時半ごろ、秋田市濁川字東沢の県道秋田昭和線脇にクマがいるのを、井川町の40代男性が発見した。先月31日に同市添川で男性がクマに襲われ重傷を負った現場から北西に約1キロの地点。秋田東署はパトカーで周辺を警戒した。

(イノシシ捕獲:新潟)
16日に新潟市中央区海辺町1のみなとタワー付近に出没していたイノシシは17日午前7時半前、同所で地元猟友会に捕獲された。新潟市によると、体長は約110センチ。イノシシの目撃は、16日午前に同区関屋松波町や西区上新栄町などで複数通報があった。午後にはみなとタワー周辺で確認され、フェンスに囲まれたスペースに侵入。猟友会などは日没のため同日の捕獲を断念していた。

(またクマ目撃され射殺:富山)
県内でクマによる人への被害が相次ぐ中、16日も富山市でクマが目撃され射殺されました。警察などによりますと16日午前7時20分ごろ、富山市上栄でクマの成獣1頭と子グマ2頭を地域住民が目撃しました。警察や猟友会などがパトロールしたところ、近くの茂みに潜んでいるのが見つかり、午前11時ごろに猟友会がクマ3頭を射殺しました。県内ではことし、15日までにクマによる被害で17人がケガをしています。県は、不要不急の外出を避けるなど警戒を呼びかけています。

(イノシシが市内暴走、大暴れ:香川)
13日、高松市にイノシシが現れ、自転車に乗っていた人に衝突したりコンビニエンスストアのドアにぶつかったりして市内各所を走り回りましたがけが人はいませんでした。高松市はイノシシに出会ったら威嚇せずその場を立ち去るよう注意を呼びかけています。高松市によりますと、13日朝8時半頃、高松市福岡町の郵便局の近くに体長1mほどのイノシシが現れ、通りかかった自転車に衝突して逃げました。自転車には女性が乗っていて転倒しましたが、けがはなかったということです。また同じ時間帯に、高松市松福町のコンビニエンスストアの自動ドアにぶつかって逃げたということです。各所から通報を受けた高松市の職員などが捜索にしたところ、イノシシが市内を流れる御坊川の川底を歩いているのを目撃しましたが捕まえることはできませんでした。その後も捜索しましたがイノシシを再び見つけることはできず、高松市などは午前11時すぎに捜索を打ち切りました。高松市は、イノシシに出会ったら威嚇したり追い払おうとしたりせず、ゆっくりと後退して静かにその場を立ち去ることでけがをしないよう、注意を呼びかけています。高松市福岡町でイノシシを目撃した保育園の事務員は「街中の道を歩いてきて怖かった。捕まってほしい」と話していました。

(イノシシが、シカが電車に衝突:滋賀)
JR西日本は13日、午後6時6分頃に滋賀県内の草津線油日駅~柘植駅間、貴生川駅~三雲駅間で列車が動物と接触したため、それぞれ車両と線路の確認をしたと発表した。JR西日本によると、草津線油日駅~柘植駅間の上り普通電車に衝突したのはイノシシとみられ、貴生川駅~三雲駅間で下り普通電車に衝突したのは、シカとみられるという。けが人はなかった。油日駅は貴生川駅から4駅目。このため、同線の草津~柘植間で列車に遅れが出ているという。

(病院付近にクマ、成獣1頭目撃:福井)
十二日午後十一時五十分ごろ、勝山市長山町二の福井勝山総合病院職員専用駐車場近くの県道で道路を横切る成獣のクマ一頭を車を運転中の男性が見つけた。市は緊急メールや広報車で住民らに注意喚起した。十三日午前八時ごろには、市内の男性が同駐車場でクマのフンを発見。同正午ごろには、南東に約五百メートルほど離れた勝山高校西側の市道でも近くの住民がクマのフンを見つけている。市では、一連の痕跡が十二日に目撃されたクマの可能性が高いとみている。同駐車場から北に約二百メートルほど離れた村岡小学校では、保護者による車での送迎を継続し、勝山中部中学校でも、引き続き車での送迎の協力を依頼している。

(クマ目撃情報、畑と市道脇の2回:秋田)
14日午前8時50分ごろ、秋田市外旭川字大堤の畑に体長約50センチのクマがいるのを、近くの市道を運転していた同市の30代男性が見つけ、秋田臨港署に通報した。同署によると、先月31日に同市添川で男性がクマに襲われ重傷を負った現場の南西約1・4キロの地点。また、約25分後には、この畑の南約120メートルの市道脇でも体長約1メートルのクマが目撃された。同署はパトカーで周辺を警戒した。

(ニホンジカ、マタギ「初めて見た」:秋田)
秋田県北秋田市阿仁の山あいの道路に先月下旬、ニホンジカ2頭が出没し、角を突き合わせる様子が写真に収められた。シカは県内で絶滅したとされていたが、近年は各地で目撃されている。食害への懸念から関係機関が警戒を強化している中、昨年度まで目撃情報がなかった阿仁地区でも確認され、生息域の拡大が裏付けられた格好だ。シカの撮影に成功したのは秋田市の旅行会社社員遠藤大暉(たいき)さん(26)。先月29日午後2時ごろ、ツアー客を案内するため、車で景勝地「幸兵衛(こうべえ)の滝」へ向かっていたところ、前方に2頭のシカが現れた。同行していた地元のマタギ鈴木英雄さん(72)に促されて急いでカメラを構え、フロントガラス越しにシャッターを切った。2頭は角を突き合わせた後、ガードレールを跳び越えて沢沿いを駆け下り、30秒ほどで姿が見えなくなった。県自然保護課によると、阿仁地区ではこれまでシカが目撃されていなかった。狩猟のベテランである鈴木さんも地元で目撃したことはないという。

(県道交差点でクマ、周辺は警戒:石川)
20日午後、金沢市内の県道交差点でクマの目撃情報があった。周辺の小学校では集団下校を行うなど警戒に当たった。クマが目撃されたのは金沢市の御所町東交差点付近だ。警察によると20日正午過ぎ「道路沿いの斜面を上るクマを目撃した」と通行していた男性から通報があった。クマを目撃した男性によると、車道に出てこようとしたクマに対し、車のクラクションを一回鳴らすと、音に驚いたクマが、のり面の方に隠れるように上っていったという。通報を受けた金沢市では、職員が現地でクマの足跡を確認。付近の3つの小学校では集団下校の対応を取り、このうち、夕日寺小学校では、クマよけのスプレーを持った教員が児童の下校に付き添った。金沢市では「クマに出会ったら慌てて逃げずに、静かに後ずさりするよう」呼びかけている。

(住宅地などにイノシシ:新潟)
16日午前11時半ごろ、新潟市中央区関屋松波町の住宅地で体長約1メートルのイノシシ1頭を目撃したと、通行人から通報があった。その後、約5キロ離れた同区海辺町1のみなとタワー周辺で確認され、地元猟友会が捕獲に当たったが、日没のため断念した。捕獲は17日早朝に再開する。新潟中央署や市が注意を呼び掛けている。午後1時半ごろ、イノシシはみなとタワー周辺の松林を走り回り、高さ約2メートルのフェンスに囲まれたスペースに侵入。警察や市職員らが様子を確認し、夕方には猟友会が集まったが、日没を迎えた。市環境政策課はイノシシについて「フェンスで囲まれている場所にいるが、侵入した経路をたどれば逃げられる可能性もある」と話している。16日午前には、新潟市西区上新栄町の住宅地や新潟工業短期大グラウンド、同区真砂4付近の住宅地でイノシシ1頭を見たという通報があった。

(電車がイノシシと衝突、運行に遅れ:京都)
阪急電鉄によると、13日午後5時20分ごろ、京都線の西山天王山-大山崎駅間で、大阪梅田行きの普通電車がイノシシと接触した。乗客のけがや車両の破損はなかったという。この普通電車の運行が8分遅れたほか、午後6時半ごろの時点でもダイヤが5分ほど遅れているという。

(イノシシを目撃:新潟)
11月8日夕方に新潟県三条市栄地区で、イノシシを目撃したと三条署に通報があった。午後5時半ごろ三条市今井野新田地内の市道を自転車で走行中、済生会三条病院から西へ約500メートルのところで体長約1メートルのイノシシが市道を来た方向へ走り去るのを目撃し、加入電話で通報した。三条署ではパトカーで住民への広報を行った。

(通学路沿いにクマ、一斉下校の対応:山形)
20日午前7時15分ごろ、米沢市関根でクマ1頭を目撃したと近くに住む20代男性が米沢署に届け出た。現場は関根小の通学路沿いの住宅地で、同校は同署員がパトロールする中、午後1時に全校児童32人を一斉下校させる対応を取った。同署によると、クマの体長は約1メートル。自宅から出た男性が、隣の空き地にいるクマを見つけた。道路を横断し、南側の畑へ走り去って行ったという。現場は堤公民館の東約10メートル。関根小では21日の登校時も通学路で教職員が立哨する。

(窓の外にクマが…:富山)
くっきりと前足の跡が残っていました。立山町の住宅で20日朝、成獣とみられるクマが目撃されました。この家に住む男の子が、クマが窓を叩く音で気付いたということで、けが人はいませんでしたが、引き続き、厳重な警戒が必要です。「立山町大清水のクマが目撃された場所です。クマはあの家の敷地内で目撃され南の方へ逃げて行ったということです」。警察などによりますと、20日午前6時10分ごろ、立山町大清水の住宅で、この家に住む10歳の男の子が窓を叩く音を聞き、外を見たところ、庭に成獣とみられるクマ1頭がいました。目撃した男の子は、当時の状況について…。「ここから歩いて行って、制服があったので着替えていたら、後ろを見たらバーンて音がして気づいたらクマがいた。ここに跡があるから、このくらいだった上から見たら結構でかかった。びっくりした、怖かった」。クマはその後、南に100メートルの位置にある空き家の敷地内に逃げ込んだとみられ、警察や猟友会などが捜索しましたが発見には至りませんでした。県内ではことし、クマによるけが人が17人にのぼっていて、統計開始以来最多だった2004年に次ぐ多さです。また今月だけで12人がけがをしていて、県や警察は、不要不急の外出を控えるなど厳重な警戒を呼びかけています。

(クマ目撃:石川)
20日午前7時35分ごろ、小松市那谷町の市立那谷保育所近くの県道で、親子とみられるクマ2頭が目撃された。園児の登園時間帯と重なるため、保育所は急きょ、車で園児を保育所に送り届ける保護者にメールで注意喚起し、到着時は職員が駐車場まで園児を出迎えた。目撃現場は保育所から南へ約100メートルと近距離で、保護者は「那谷は山手とはいえ、こんな近くでクマが出るのは怖い」と声を震わせた。現場近くには保育所のほか、観光名所の那谷寺や那谷小もある。那谷保育所によると、園児26人の全員が保護者の付き添いで登園しており、20日は午前7時半すぎから登園が始まった。保育所は午後にあらためて保護者に一斉メールし、夕方に園児を迎えに来る際はクマよけに鈴を鳴らすなどするよう呼び掛ける。橋本真紀所長は「子どもを連れた親グマは凶暴になると聞く。子どもの安全が第一。あす以降も注意喚起を続けたい」と話した。通報したのは車を運転していた地元の女性で、市や小松署、猟友会が現場付近を捜索したところ、県道沿いの茂みでクマが通った痕跡や、子グマとみられる動物の足跡が見つかった。小松市によると、今年度、市内でのクマの目撃情報は20日時点で55件。うち人身被害が2件あった。このほかクマの爪痕などの痕跡情報が8件寄せられた。昨年度は同時期までに目撃22件、痕跡1件だった。

(車がクマはねる:新潟)
18日午前6時半すぎ、新潟県村上市猿沢の国道で、女性が運転する普通乗用車が、道路に飛び出してきたクマをはねた。女性にけがはなかった。村上署によると、車は破損し自走不能になり、クマは現場から逃げた。クマの体長は約1メートル。現場は民家から約170メートル。

(国道で車がクマはねる:新潟)
17日午前9時半すぎ、小千谷市塩殿の国道で、乗用車がクマをはねた。運転していた男性にけがはなく、クマは現場から逃げた。小千谷署によると、クマの体長は約1・5メートル。現場は民家まで約300メートル。

(路上でイノシシの目撃情報:福岡)
福岡県警大牟田署は15日、大牟田市八尻町から亀甲町付近路上で同日午前7時ごろ、イノシシ1頭がうろついているとの目撃情報が多数あったとして、メールで注意を喚起した。署は「目撃しても慌てずに、静かにその場を離れるなどの行動をし、刺激を与えずイノシシが興奮しないように」と呼びかけている。

(鳥獣類の狩猟解禁、ハンター繰り出す:宮城)
鳥獣類の狩猟が15日、解禁された。石巻地方でもハンターが早朝、山林などに繰り出し、銃声を響かせながら獲物を狙った。県猟友会石巻支部は、午前6時すぎの日の出とともに5人のハンターが、カモによる農作物被害に悩む東松島市新田地区に入った。猟銃を手に忍び足で山中のため池に近づき、周辺を飛ぶカルガモを一発で仕留めていた。山形勇彦支部長(59)は「近年は温暖化の影響か、カモの繁殖数が増えている。少しでも多く狩猟し、地域に貢献していきたい」と話した。県内ではマガモやムクドリなど鳥類28種とシカ、タヌキなどの獣類20種類の狩猟が認められている。狩猟期間は来年2月15日(ニホンジカは石巻市と女川町で3月15日)まで。石巻、河北両署によると、初日の違反行為はなかった。

(坂網猟、さあ真剣勝負:石川)
狩猟解禁日の十五日、大聖寺藩の藩政期から続く加賀市の伝統的なカモ猟「坂網猟(さかあみりょう)」が同市片野町のラムサール条約登録湿地・片野鴨池周辺で始まった。坂網猟は餌場を目指して鴨池を飛び立つカモを高台から狙い、群れが猟師らの上空をかすめる瞬間、長さ三・五メートルのY字形の網を投げ上げて捕獲する。大聖寺捕鴨(ほこう)猟区協同組合の猟師十九人が午後四時すぎから、鴨池ほとりの番小屋を出発して猟場の山に向かい、今季最初の真剣勝負に腕を鳴らした。初日は二羽を仕留めた。坂網猟は空腹のカモを無傷で捕らえるため臭みがなく、高級食材「坂網鴨」として市内の料理店で提供される。猟期は来年二月十五日まで。

(県内で狩猟解禁:石川)
石川県内で15日、クマやキジなどの狩猟が一斉に解禁され、初撃ちを心待ちにしたハンターが山林に繰り出し、日の出とともに銃声を響かせた。小松市内では、県猟友会金沢支部の山下勇さん(76)らがカモやキジに狙いを定め、次々と撃ち落とした。山下さんは「最初は天気が悪かったが、だんだん晴れてきて最高の狩猟日和になった。良いスタートが切れた」と笑顔で話した。狩猟期間は来年2月15日までで、県内ではカワウやマガモなどの鳥類26種、イノシシやキツネなどの獣類20種が日の出から日没まで狩猟可能となる。農林業被害を抑えるためイノシシとニホンジカは猟期が延長され、1日に解禁、2月末まで猟銃、3月31日まで箱わな猟が可能となる。県自然環境課によると、今季のクマ捕獲数は上限の126頭に対し、13日現在71頭となっている。15日の県内は、朝は寒気の影響で雨が降ったが、次第に高気圧に覆われて晴れた。正午までの最高気温は金沢14・1度、輪島14・3度などおおむね平年並みだった。

(狩猟解禁354人入猟、県警など270人体制で検問やパトロール:群馬)
県内では15日、狩猟解禁となり、各地で県や市町村、県警、県猟友会などが計270人体制で入猟者の検問やパトロールを行った。解禁初日の入猟者は昨年より64人少ない354人だった。狩猟期間は来年2月15日(ニホンジカとイノシシは同29日)まで。昨年に続き神津東部、高山、川場、袈裟丸山の4狩猟鳥獣捕獲禁止区域でも一時的にニホンジカとイノシシは捕獲可能。県自然環境課によると、県狩猟者登録者数は14日現在で、昨年より38人少ない3323人。網・わな猟の登録者数は10人増で、銃猟者数は48人減となった。安中署は狩猟解禁となる日の出前から、同市松井田町新井地内で県・市職員、鳥獣保護管理員らとともに検問を実施。狩猟免許の所持や銃砲所持状態などを確認した。猟野でのパトロールも行い、誤射などの事故防止とともに豚コレラ(CSF)対策の消毒の徹底を呼び掛けた。

(狩猟解禁、豚コレラ感染に注意:山梨)
山梨県内で15日、狩猟が解禁されました。県内では野生のイノシシに豚コレラの感染が確認されたことから一部の地域の狩猟は特別な対応が必要となります。県内の狩猟は今月15日から来年2月15日までで、二ホンジカとイノシシは有害駆除と管理捕獲を除き3月15日までとなっています。解禁初日の15日は県内の各地で警察が狩猟中の事故の防止を呼びかける街頭活動を行いました。このうち南アルプス市高尾の山林では、猟友会のメンバーに、弾が飛ぶ方向や着弾点をしっかり確認するよう指導していました。今シーズンの狩猟で注意が必要なのが事故の防止に加え野生イノシシへの対応です。県内では北杜市明野町小笠原で捕獲されたイノシシに豚コレラの感染が確認されたことから、捕獲場所から半径10キロは豚コレラ感染確認区域に指定されています。このエリアで捕獲したイノシシを他の場所に持ち出すことは原則禁じられ、現地を離れる際は衣服や靴、車両の消毒の徹底が必要です。また県は野山で死んでいたり弱ったりしているイノシシを見つけた場合は市町村や家畜保健衛生所に必ず連絡するよう求めています。

(狩猟解禁、事故防止徹底呼び掛け:岡山)
鳥獣の狩猟が解禁された15日、岡山県警は安全な猟銃の取り扱いと誤射などの事故防止の徹底に向け、県内の猟場で違反行為の一斉取り締まりを始めた。初日は警察官約200人が出動。鳥獣保護区や休猟区、公道など禁止区域での発砲、実弾を装てんしたままの猟銃携帯を監視し、ハンターに銃の適切な取り扱いを指導しながら巡回した。玉野市東七区の児島湖畔では、午前6時半から玉野署員、県鳥獣保護管理員ら9人が巡回。ハンターの狩猟免許や猟銃の所持許可証を確認した。カモ猟に訪れた同市の公務員男性(64)は「解禁日にカモを狙いに来るのが恒例。周囲に人や船が来ていないか確認して安全第一を心掛ける」と話した。県警生活安全企画課によると、県内では10月末現在、2081人が計3954丁の猟銃を所持している。昨シーズンは、禁止区域で猟銃を発砲したとして県内の5人が銃刀法、狩猟法違反の疑いで書類送検された。狩猟期間は来年2月15日まで。特例として、推定生息数が増加傾向で2年前から狩猟を解禁したツキノワグマは12月14日まで、農作物に大きな被害を与えるイノシシとニホンジカは来年3月15日までとなっている。

(消毒念入り、県内狩猟解禁:長野)
県内の狩猟が15日、解禁され、狩猟者たちが早朝から山林に入った。県は今季、野生イノシシの豚コレラ(CSF)感染拡大を防ぐため、感染イノシシが見つかるなどした中南信を中心とする51市町村を「消毒必要地域」に設定。狩猟者に消毒など衛生対策の徹底を呼び掛けている。ただ、狩猟者に無料配布するとしていた消毒液などは業者からの納品が遅れ、一部地域にしか配れていないという。松本市では午前7時すぎ、松塩筑猟友会会長で同市岡田町の農業芦田勝弘さん(73)がカモを撃ちに近くの山の麓にある池へ。ワゴン車には、県が無料で配った消毒液と噴霧器のセットを積み込んだ。池にカモは見当たらず、別の山へ。里へ下りる際には車のタイヤや長靴の底を念入りに消毒した。「手間だが、養豚業者にも協力したい。何とかこれ以上感染を拡大させないようにしないと」。会員には消毒をしっかりするよう求めるとしつつ、今季の狩猟での無事故を願った。消毒必要地域は中南信の20市町村とその周辺31市町村(上田市は一部)。県林務部によると、狩猟解禁に際し、狩猟登録者に受講を必須とした豚コレラの衛生対策講習会で、消毒液などのセットを事前に狩猟者に無料配布すると説明。講習会はこれまでに県内外の約4500人が受けた。だが、県外も含めて豚コレラがまん延した影響で品薄になっており、業者からの納品が遅れているという。消毒必要地域へは11月中に配布を終える予定としている。同地域のうち20市町村では、捕獲したイノシシの持ち出し自粛も求める。対象範囲は今後の感染イノシシの確認状況に応じて随時見直す。狩猟期間は来年2月15日まで。ニホンジカとイノシシのわな猟は3月15日まで。

(狩猟解禁、豚コレラ対策で「消毒必要地域」を設定:長野)
今季の狩猟が15日、解禁される。野生イノシシの豚コレラ(CSF)感染を拡大させないため、県はこれまでに感染イノシシが見つかるなどした中南信の20市町村や、その周辺31市町村(上田市は一部)を「消毒必要地域」に設定。狩猟者らに消毒の徹底を求める。同地域では、靴やわなについた泥は現場で落とし、県が無料配布する消毒液と噴霧器などを使った消毒を呼び掛ける。地域の範囲は感染イノシシの確認状況に応じて随時見直す。また、同地域のうち20市町村は捕獲イノシシの持ち出し自粛を求める。感染イノシシが確認されていない地域にウイルスを運び出さないためとしている。県は衛生対策を徹底した上で捕獲を強化し、個体数や生息密度を減らしたい考え。今季の狩猟登録者には豚コレラの衛生対策講習会の受講を必須とし、これまでに県内外の約4500人が受けた。県内ではこれまでに19市町村で計126頭の感染イノシシが見つかっている。狩猟期間は来年2月15日まで。ニホンジカとイノシシのわな猟は3月15日まで。

(豚コレラ対策、県猟友会の負担ずしり:静岡)
豚コレラの感染防止対策で重要なイノシシの捕獲を巡り、県猟友会の負担が増している。「養豚農家に協力したい」との使命感から奮闘するが、会員数は約3400人とピーク(1971年)の5分の1で、高齢化も進む。狩猟関係者には「これ以上負担が増えれば後継者不足に拍車が掛かる」との懸念があり、専門家からは行政のサポートを求める声も上がっている。野生イノシシの豚コレラ感染確認などを受け、猟友会は通常の捕獲だけでなく、イノシシの監視や血液採取、処分といった作業を担っている。静岡県内でイノシシの狩猟が解禁された1日には、藤枝市で地元猟友会や行政、県警の担当者が山林をパトロールし、イノシシの足跡やわなの設置状況を確認した。同市では10月中旬以降、豚コレラに感染したイノシシの死骸が相次いで見つかった。人間には感染しないが、ウイルス拡散のリスクと隣り合わせで、タイヤや靴の徹底消毒など神経をすり減らす日々が続く。志太猟友会藤枝第二支所の久住英樹さん(75)は「大変な作業が続くが、1頭でも多く捕獲し、周囲に感染が広がるのを防ぎたい」と語った。愛知県境付近で早くから捕獲に取り組んできた西部猟友会。8~9月に湖西市や浜松市で約250頭を捕獲した。宮崎和彦会長(77)=同市北区=は「暑さの中、みんなが過酷な作業を頑張ってくれた」と振り返り、今後に向けても「地元には養豚農家が多い。何とか役に立ちたい」と気持ちを奮い立たせた。岐阜大の鈴木正嗣教授(野生動物管理学)は「野生イノシシ対策は現状では人も体制も十分ではない。イノシシの埋設や焼却など行政が何らかの形でサポートしていくことが重要だ」と指摘する。県内では藤枝市で豚コレラに感染した野生イノシシの死骸が5例見つかっている。県は「イノシシが増えれば農業被害や豚コレラの拡大につながる」(地域農業課)として、引き続き捕獲や検査を徹底する。イノシシ向けの経口ワクチン散布にも取り組み、まん延防止に全力を挙げる。県内では3日から豚へのワクチン接種が始まり、豚コレラ対策の転換点となった。ただ、終息には長い時間がかかるとみられ、ウイルスの運び役とされる野生イノシシ対策は大きな課題だ。同時に養豚場の消毒や防護策の設置といった取り組みも重要になる。

(豚コレラ防疫徹底を確認:静岡)
静岡県は20日、豚コレラ(CSF)対策を協議するCSF防疫対策本部の本部員会議を開いた。飼育豚への初回のワクチン接種が18日に完了したことなどを報告。ウイルスを媒介する野生イノシシの感染事例が相次ぐ中で、今後も防疫に全力を挙げることを確認した。県は3日から、県内養豚場など134戸の計7万9016頭を対象にワクチン接種を行った。12月には免疫を持っているかどうかを確認するため、全頭を対象に抗体検査を実施。このほか、ワクチン接種の対象外だった子豚約2万頭にも接種する。本部長の川勝平太知事は「ワクチンの効果は100%ではない。気を引き締めて対応するように」と指示した。県内では飼育豚への感染は確認されていない。ただ、19日までに野生イノシシ12頭(死骸、捕獲個体)で陽性が確定しており、感染リスクは高まっている。県はイノシシ向け経口ワクチンを9~10月に県西部で散布したのに続き、11月中・下旬に県中部、12月上旬に県東部でも散布する計画。今後も継続して経口ワクチンを散布し、ウイルスのまん延を食い止める考えだ。

(狩猟者に豚コレラ感染防ぐ研修:群馬)
15日から狩猟が解禁されるのを前に、豚コレラの感染源の1つとされるイノシシを捕獲する際に消毒を徹底するよう呼びかける研修会が前橋市で開かれました。県内各地で豚コレラに感染した野生のイノシシが見つかる中、群馬県は、来週15日から解禁される狩猟の注意点などの研修会を前橋市で開き、猟友会の会員などおよそ70人が参加しました。県は、イノシシの数を減らして感染のリスクを低くしようと、今年度は昨年度よりも2000頭余り多い1万頭余りの捕獲を目標にしています。県の担当者は、狩猟者を介した感染を防ぐためにイノシシを捕獲した場所や器具などを消毒したうえで、養豚場の近くではとくに捕獲に力を入れてもらいたいと呼びかけました。県内の狩猟登録者数は毎年、およそ3500人いるということで、県は、消毒液を4000個用意して狩猟者に配布しています。県鳥獣被害対策支援センターの中里見信章所長は「消毒をしっかりして安全に狩猟に取り組んでもらいたい」と話していました。県によりますと、岐阜県や三重県の一部の自治体では豚コレラウイルスの拡散を防ぐため、今シーズンの狩猟を禁止することを決めているということです。

(豚コレラ、県内殺処分7500頭超す:埼玉)
埼玉県内で豚コレラの猛威が止まらない。9日には最も養豚が盛んな深谷市で5例目となる感染が発覚した。秩父市で発生してから2カ月、殺処分の対象となった豚は計7500頭を超えた。県は1日から豚へのワクチン接種を開始。休日返上で防疫措置や野生イノシシ対策にも追われており、職員の疲労もピークに近づいている。県によると、新たに発生したのは約2150頭を飼育する深谷市の養豚場。ワクチン接種の事前検査で感染を疑う豚が見つかり、再検査で9日に陽性と判定された。県は殺処分や埋却、消毒などの防疫措置を13日までに終える計画を立て、300人以上の職員を動員して作業を進めている。県内ではこれまで深谷市のほか、秩父市、小鹿野町、本庄市の計4カ所の養豚場で豚コレラが見つかっている。深谷市は21の養豚場を抱える県内最大の養豚地で、飼育頭数は約1万9400頭に上る。飼料や肥育法にこだわったブランド豚の生産を手掛ける養豚家も多く、市内での発生に緊張感が高まっている。さらに関係者にショックだったのは、1日にワクチン接種を始めた直後に感染が広がったことだ。県は同市を含む県西部から先行して作業を進めており、8日までに30施設、計2万5000頭の接種を終えていた。だが豚コレラに対する抗体ができるには接種から2~4週間かかるとされ、すぐに終息が期待できるわけではない。「ちょうど勝負のタイミングだった。大変残念だ。なんとかここで止めたい」。大野元裕知事は9日開いた緊急対策本部会議後、神妙な表情で記者団に語った。1例目の発生から2カ月たっても感染が広がる事態に、養豚家の不安をどうにか和らげたいとの焦りがにじんだ。県内での相次ぐ発生を受け、県は被害を受けた養豚家への融資制度やワクチン接種の手数料免除などの対応策を相次ぎ打ち出してきた。ウイルスを媒介する野生イノシシに対しても一部地域で経口ワクチンの散布を始めたが、9日に美里町内で新たに感染が確認されるなど、一進一退の状況が続いている。感染が見つかる度に防疫作業に駆り出される県職員らの疲労も気がかりだ。1~4例目で殺処分や埋却などの作業に動員した職員数は延べ2500人を超える。3例目が発生した本庄市では台風19号の影響で養豚場の一部が浸水し、悪化した足場での作業を余儀なくされたケースもあった。特に豚の殺処分の作業は心理的な負担も大きく、体調を崩す職員もいるという。県は現地に保健師を配置するなど相談対応に気を配るが、さらに感染拡大が続けば迅速な防疫作業に支障が出る恐れもあり、県幹部は神経をとがらせている。

(県が緊急対策、野性イノシシ検査強化:神奈川)
豚コレラ(CSF)の感染が隣接県まで拡大していることを受け、県は14日、緊急の防疫対策を実施すると発表した。ウイルスを媒介する野生イノシシの検査体制強化や侵入防護柵の設置促進、食肉処理場の防疫強化などを図る。事業総額は約1億円で、年内の着手を目指す。10月に静岡、山梨両県で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかったが、国は飼育豚へのワクチン接種を感染確認地域に限定している。県は「感染リスクのステージは確実に上がった」として、独自の緊急対策が必要と判断した。感染源とされる野生イノシシ対策として、静岡や山梨との県境付近を優先エリアに位置付け、わなによる捕獲を強化する。捕獲したイノシシにはウイルスの有無を確認する血液検査を実施し、早期発見につなげる。本年度内に最大600頭を検査する。また養豚農場の周囲を覆う防護柵(高さ約1・5メートル)を新たに6カ所設置し、計15カ所に拡大。整備費の2分の1を県が負担し設置を促す。食肉処理場の防疫強化策は、豚の約8割が県外から搬入される神奈川食肉センター(厚木市)の出入り口と敷地内に、搬入車両のタイヤや荷台などを消毒する噴霧器を導入。県内に入る飼料運搬車が頻繁に通行する道路近くにも消毒ポイントを2~3カ所設ける。県畜産課によると、県内には50の農場があり、6万8700頭を飼育。同課は「県内で発生した場合、経営再建が難しい農家が必ず出てくる。打てる手を打ち、全ての農家を守りたい」としている。

(養豚場で豚コレラ(CSF)、埋却開始:山梨)
豚コレラ(CSF)に感染したブタが確認された山梨県韮崎市の養豚場で、殺処分されたブタの埋却作業が始まりました。韮崎市の養豚場では飼育していたブタの豚コレラへの感染がきのう確認されました。県はこの養豚場で飼育しているブタの殺処分を16日に始め、17日午後2時までに96%にあたる840頭の殺処分を行いました。そしてこの養豚場の敷地での埋却作業を始めました。県では19日の午後1時までに埋却作業と畜舎の消毒作業を完了させます。また4週間は、この養豚場の半径10キロ圏内に3か所の消毒ポイントを設け、畜産関係車両の消毒の徹底に努めています。なお、県内では先月、豚コレラに感染した野生のイノシシが捕獲されたことから、17日ワクチン接種が始まる予定でしたが開始が遅れています。

(豚コレラ対策、野生イノシシ捕獲強化へ:千葉)
家畜伝染病「豚コレラ」の感染が全国的に広がっていることを受け、県は今月から県北東部の六市町を「重点エリア」に設定し、感染源の一つとされる野生イノシシの捕獲の強化に乗り出した。飼育頭数六十万頭で全国五位と養豚が盛んな県として感染を水際で防ぐ考えだ。捕獲強化は国が九月に豚コレラの感染地域や周辺の都府県に要請した。県は成田、銚子、香取、印西、旭の各市と東庄町を重点エリアに選んだ。いずれも県境近くで養豚場があり、野生イノシシの定着が確認されている。六市町の本年度の捕獲目標を前年度の千二百二十八頭から千五百三十頭に25%引き上げる。これまで県が、生息範囲の拡大防止目的で香取と成田両市の一部地域でのみ実施していた、わなによる捕獲を六市町で進める。また、全市町村に捕獲強化を文書で要請する。豚コレラを巡っては、九月に埼玉県で豚や野生イノシシで確認されたほか、十月には群馬県で野生イノシシに感染が見つかった。森田健作知事は「発生地域を考えると、いつ県内で豚コレラが発生してもおかしくない」と述べ、現時点で豚コレラが発生した十二県でしか認められていないワクチン接種を千葉県も対象とするよう求める要望書を九月に国に提出。群馬県の山本一太知事の働き掛けで関東七都県で接種を認めることを国に要望することで足並みをそろえる。感染の早期発見や実態把握を図るため、捕獲したイノシシのうち六十頭について県内で初めて生体の血液検査を実施し感染の有無を確認する。感染があった場合は、周辺地域の養豚場を監視下に置く。先月二十九日には豚に感染が確認された際の防疫演習も開いた。森田知事は「養豚農家の不安を払拭(ふっしょく)するため、一丸となって取り組んでいく」としている。

(ブナの実「大凶作」、空腹のクマ出没に注意)
東北森林管理局は12日、秋田県のブナの結実状況を「大凶作」と発表した。大凶作は2017年以来2年ぶり。ブナの実はツキノワグマが食用として好み、奥山を中心に分布する。結実状況は福島県を除く東北5県の国有林145地点で9~10月に目視で調査し、「豊作」「並作」「凶作」「大凶作」の4段階で判定した。県内は55カ所で調べ、45カ所は全く実が付かず、10カ所は実が少ししか付かなかった。調査結果を集計し、「大凶作」とした。福島県を除く5県は全て大凶作だった。

(ガンカモ類の飛来数、過去最多:宮城)
宮城県は7日、今季初のガン、カモ、ハクチョウ類の生息調査を実施した。県内への飛来数(速報値)は26万8912羽(前年同期比7万2423羽増)で、11月としては1972年の調査開始以来、最も多かった。内訳はガン類が22万3011羽(同6万8858羽増)、ハクチョウ類が8622羽(同2571羽増)で、いずれも過去最多。カモ類は3万7279羽(同994羽増)だった。県自然保護課の担当者は「増加した詳しい理由は分からないが、ロシア極東方面から順調に飛来してきている」と説明する。県職員や野鳥保護団体関係者ら約100人が伊豆沼・内沼(栗原、登米両市)など約500カ所の飛来地で調べた。今季は来年1、3月も実施する予定。

(クマ目撃114件、木の実不作で出没増か:北海道)
苫小牧署がまとめた東胆振1市4町の本年度のクマの目撃数は、14日現在で計114件に達し、ここ5年間で最多の件数となっている。クマが全道的に増加傾向なのに加え、今年はクマが好む木の実が不作だったことなどから、人里に出てくるケースが増えているとみられる。11月は冬眠前にクマが餌を探し回る時期だけに、同署などは注意を呼び掛けている。同署に寄せられたクマの目撃件数はこの5年間で年々増加。今年は昨年のほぼ2倍のペースで、2015年実績比では6倍に上っている。道によると、12年度時点の全道のヒグマの推定生息数(平均値)は1万600頭。道がクマの管理方法を見直し、春の駆除を中止した1990年度の約1・8倍で、その後も「生息数の増加傾向は変わっていない」(道生物多様性保全課)とみられる。また、1市4町のクマの捕獲数は本年度、8日現在でむかわ町15頭、厚真町4頭、安平町2頭の計21頭。人里に何度も出没するなど問題のある個体は捕獲するという道の方針に基づく対応で、既に前年度の計9頭の2倍以上となっている。

(イノシシと知恵比べ、箱わなで2年ぶり捕獲:和歌山)
和歌山県串本町須江の京都大学フィールド科学教育研究センター紀伊大島実験所(県指定大島鳥獣保護区)で7日、イノシシ1匹が捕獲された。昨年1月の3匹以来で約2年ぶり。梅本信也所長(60)は「イノシシは学習能力が高く、わなに入らなくなっていたが、寒くなり、餌不足も相まってたまりかねて入ったと思われる」と話している。11・75ヘクタールの敷地内に設置されている有害駆除の箱わなに入っていた。地元猟友会の小山喜行さん(71)によると、体長約80センチ、体重約20キロの雌で、今春に生まれたものとみられる。小山さんによると、もともと須江地区を含む紀伊大島には大きな哺乳類は生息しておらず、猟友会はキジ、カモなどの鳥類だけを捕獲していたという。1999年9月のくしもと大橋開通以降、イノシシが確認されるようになり、アナグマ、アライグマ、サルの目撃情報もあるという。シカは確認されていない。小山さんは、実験所の敷地に設置している3基を含め島内に箱わなを8基仕掛けており、毎朝、確認しているという。「わなに入るイノシシの数は減っているが、島内のイノシシの数が減っているかどうかは分からない。最近は、工事の音などで民家の近くには寄りつかなくなり、目撃情報も減っている。畑の周囲に防護柵を設けるようになってからは、農作物被害の話もあまり聞いていない」と話す。猟友会はメンバーの高齢化で、有害駆除の労力や、わなに入れる餌の調達などが年々厳しくなっているという。小山さんは「10年後には駆除する人がいなくなるのでは」と話している。梅本所長は、イノシシなどの島への侵入経路として、橋を渡って来た▽泳いで来た▽水害で流されて来た▽誰かが島内に放った―など、さまざまな可能性があると分析。もともと生息していなかった哺乳類の侵入が紀伊大島の植生を壊していると、早期対策を訴えている。

(ツキノワグマ駆除が最多、人身被害多発でわな増設:兵庫)
ツキノワグマの駆除数が兵庫県内で4~10月、103頭に上り、過去最多だった2010年度の1年間(70頭)を上回ったことが9日分かった。16、17年に人身被害が多発したのを受け、兵庫県は駆除対策を強化し、人里周辺に増設したわなが効果を発揮した形だ。一方で今秋、但馬、丹波地域などでクマの目撃情報が相次ぎ、9日には但馬で2人が襲われて負傷。主食のドングリ類の「凶作」で人里に現れるケースが多いとみられ、広葉樹を増やすなど、人とすみ分けるための環境整備も急がれる。駆除数の増加について、県鳥獣対策課は「生息数を管理しながら、クマを人里でなく、奥山に導いて人と共生するための過渡期で、絶滅につながる恐れはない」としている。県内では16年10月、宍粟市内で男性がクマにかまれて重傷を負った。5年ぶりの人身被害で、その後も17年6月までに養父市や香美町で4件が続発。山のドングリ類などの餌が足りず、柿などを求めて人里に出没していると考えられ、県は同年7月、捕らえれば原則殺処分する駆除用わなの設置基準を緩めた。具体的には、クマだけを狙う従来のドラム缶形のわなに加え、クマを引き寄せる不要な果樹を伐採することなどを条件に、シカやイノシシ向けに設置するわなをクマの駆除用に兼ねることを許可。この結果、設置数は緩和前の100カ所足らずから18年度には約2400カ所に急増した。緩和後の17年7月から今月8日まで人が襲われる被害はなく、県は「駆除強化の効果が出ている」としていた。県内のツキノワグマは1990年代に100頭を下回り絶滅が危惧されたが、96年からの禁猟で生息数は徐々に回復。15年時点で推定した生息数が、安定的な繁殖に必要な800頭を上回り、県は20年ぶりに16年度から狩猟を再開した。併せて、県は人や農作物への被害防止と、過度な駆除、狩猟防止を両立させる管理計画(17~21年度)を策定。各年度の駆除、狩猟の合計頭数を直近の推定生息数の15%以内に制限している。生息数維持のために子グマの駆除を禁じ、ドングリが実る広葉樹の植林にも取り組んでいる。県森林動物研究センター(丹波市)によると、18年当初の推定生息数は830頭で、19年度の駆除と狩猟の上限頭数は124頭。県は今月15日に、シカやイノシシなどを含めた19年度の狩猟を解禁する予定で、ツキノワグマ猟は、特別な講習を受けたハンターに限って1カ月間解禁する。ただ既に、10月までの駆除数(103頭)が上限頭数の8割超に達しており、上限頭数を超えた時点で狩猟は中止される。

(クマに月末まで警戒を:福井)
県内で九月以降、クマの出没が相次ぎ、人身被害が過去十年間で最悪だった二〇一〇年度の八人(環境省調べ)に並んだ。山沿いの集落だけでなく、民家や事業所が立ち並ぶ市街地でも発生しており、四市町で八人が負傷、うち勝山市で五人を数える。専門家は今月末までは出没が続くと指摘し、引き続き警戒するよう呼び掛けている。今年は県内全域で、クマの餌となるドングリのブナやミズナラが凶作、コナラも不作となっており、柿の実などを狙って大量出没すると予測されていた。九月中旬ごろから勝山市を中心に目撃と痕跡の情報が増え始め、十月には多い時で一日十件以上。県自然環境課によると、今月八日までに目撃と痕跡の情報は計三百件。例年なら十月末~十一月初めには巣穴に戻るとされるが、出没は収まらず、元県自然保護センター所長の松村俊幸さんは「十一月末までは続くだろう」と指摘する。人身被害は十月七日に南越前町で発生して以降、福井市と勝山市、大野市で相次いだ。勝山市では、同二十二日に市教育会館前で池のコイに餌を与えていた男性がクマに襲われて頭部を引っかかれて負傷。同二十五~二十八日には、同市芳野町一で親子とみられる二頭のクマがスギの木に登ったまま居座る事態も発生した。同三十日からは三日連続で住民がクマに襲われて手や顔を負傷した。県内でクマの人身被害が多発している理由として県猟友会理事の一人は「二〇一四年度の大量出没から三、四年は山に豊富に餌があり、クマが育ちやすい環境があり数が増えている」と説明。さらに十数年前からクマを狩猟する人が減ったことで、人を恐れないクマが増えていることも要因として挙げた。勝山市では十月二十四日、全庁態勢で被害防止に臨むため水上実喜夫副市長をトップとした「熊対策警戒連絡室」を設置。中心市街地に捕獲用のおりを設けるとともに、市内全域で連日、防災無線や広報車での注意喚起を行ってきた。中心市街地にある柿の木は実の回収を徹底するよう求める対策も奏功し、今月六日以降は市街地での目撃や痕跡が激減している。松村さんは「山際の町でも柿の実がなければ人里には定着しない」と強調。理事の一人は「柿の実がなくなれば生ごみをあさり出すようになるため、ごみを当日の朝に出すように」と注意を促している。

(クマの食害急増:青森)
弘前市内でクマによる食害が相次いでいる。10月21日現在の被害件数は39件で、2018年度の総件数の3倍を超えている。背景にはブナの実の凶作があるとみられている。地元狩猟関係者からは「今年は経験したことがないくらいクマが人里に下りてきている」と困惑する声が上がり、被害農家からは「大切に育てたリンゴが大量に食害に遭っている」と嘆く声が上がっている。

(県がクマ出没警報、今年2度目:富山)
県自然保護課は12日、今年2度目となるクマの出没警報を発令した。同日、立山町で男性がツキノワグマに襲われ大けがをし、今年のクマによる人身被害は9件、12人になった。24人だった2004年以来の被害者数という。

(ツキノワグマに襲われる被害、昨年度の2.5倍)
ことし4月以降、全国でツキノワグマに襲われてけがをするなどの被害に遭った人は、昨年度の2.5倍に当たる125人で、この10年で2番目に多くなっていることが分かりました。市街地の中心部など例年では見られない地域での出没も相次いでいて、専門家は「クマが冬眠に入る前の今月いっぱいは警戒が必要だ」としています。NHKがツキノワグマが生息する全国32の都府県に取材したところ、ことし4月以降7日までにクマに襲われてけがをするなどの被害に遭った人は、21都県の125人で、このうち1人が死亡しました。これは50人だった昨年度1年間の2.5倍に当たり、この10年で最も多かった平成22年度の147人に次ぐ多さとなっていて、今月に入ってからも各地で被害が相次いでいます。都府県別に見ますと、新潟が17人と最も多く、次いで岩手が16人、秋田と岐阜が13人、富山が9人、福島が8人、福井と長野が7人などとなっています。また、取材した都府県のうち75%に当たる24の府県は「クマの出没が増えている」と回答したほか、半数を超える17の都府県は「市街地の中心部など、平年なら出没がみられない地区で出没している」としています。ツキノワグマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹教授は「ことしは、地域差はあるものの、全国的にクマの餌となる植物が凶作で、『大量出没』の年になっている。12月に入ればほとんどのクマが冬眠に入るが、今月いっぱいは集落にある柿の実などを求めて出没が続く見込みで、警戒と対策が必要だ」としています。福井県勝山市では先月以降、市の中心部にクマが出没し、5人がクマに襲われてけがをしています。先月22日には、市役所近くにある市の教育会館の玄関付近で、こいに餌を与えていた70代の警備員の男性が突然、背後からクマに襲われたほか、先月28日には3日間にわたって、住宅地の木の上に居座っていたクマ2頭が駆除されるなど、山沿いの地区だけでなく、市の中心部でもクマの出没と被害が相次ぐ事態になっています。市は「対策警戒連絡室」を設置し、市街地にクマが潜伏しているおそれがあるとして、24時間態勢でクマの出没や被害の通報を受け付け、パトロールを強化するなど対策に当たっています。また市内の公共施設では、クマの侵入を防ぐため、自動ドアを手動に切り替え、自動では開かないようにするなど、便利さより安全を優先した対策も取られています。勝山市熊対策警戒連絡室の水上実喜夫室長は「市街地の空き地ややぶの中に、相当数、把握できない数のクマが潜んでいて、被害を起こしている。ことしのクマの出没は異常な状態になっているので、早朝や夕方に街を歩く際には十分気をつけていただきたい」と話しています。クマの出没や被害が増えている原因として、多くの都府県が「ブナやミズナラなど、クマの餌となる植物の不作・凶作」を挙げ、「クマは集落などにある柿の木の実を食べに来ている」と答えています。このため、クマの出没が相次ぐ自治体では、集落にある柿などを早急に収穫するよう住民に呼びかけています。一方で、高齢化や人口減少を背景に、自分の力だけで対策を取るのが難しい人も少なくないのが実情です。福井県勝山市の81歳の女性の自宅の敷地にある柿の木には、まだ実がなったままです。この地区でもクマの出没が相次いでいますが、自分たちだけでは柿を取ることができないと言います。女性は「柿を取らないといけないと思っていますが、もう年なので、高い所は怖くて登れません」と話していました。広島県の山あいにある安芸太田町の田吹地区ではクマをおびきよせないための対策を、地域の外の人たちの力を借りて続けています。地区では、地元の人たちが広島市内のNPOと協力して、19年前から、クマが食べ頃の柿を狙って集落に来る前に柿を収穫しています。ことしは先月下旬に行われ、地元の人たちのほか、およそ60キロ離れた広島市内からも30人ほどが参加しました。収穫する柿の多くは、まだ緑色が残る渋柿ですが、クマの餌にならないよう、あえて早めに収穫します。渋柿はそのままでは食べられませんが、参加者は「干し柿」などにすれば甘く熟してから食べられることを地元の人に教えてもらい、収穫した柿を次々に購入していました。広島市内から参加した男性は「こちらも楽しみで来れるし、地元の方も“助けになる”と言ってもらえるのでとても楽しいです」と話していました。この地区では、クマの出没件数も大幅に減ったということで、地元の猟友会の男性は「効果は絶大だと思います。餌になる柿をとにかく取り除けばクマは出て来ない。クマとのすみ分けにもつながるのではと思っています」と話していました。一方、山梨県の富士吉田市では(ふじよしだ)市が設置した協議会から委託を受けた社団法人が、空き地や道路脇などに放置された柿の木や持ち主が自分では収穫できない柿の木を伐採する活動を行っています。木そのものを伐採することで、食べない実を収穫する手間もなくなり、抜本的な対策につながるとしていて、県や市が予算を組んで毎年取り組みを進めているということです。NGOの「日本クマネットワーク」の代表を務め、ツキノワグマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹教授は、人が暮らす場所の近くに柿などの餌があると、今後もクマが出没し続ける可能性があると指摘しています。大井教授は「クマは、餌がなければ冬眠に入るが、柿の実など何らかの餌が集落に放置されていると、餌を探し回って冬眠に入る時期が遅くなるかもしれない。そうした際に人と至近距離で出会う機会が増え、びっくりして攻撃的な行動を取る可能性が高くなる。11月いっぱいは確実に出没の可能性があり、多くのクマが冬眠する12月になっても、まだ行動するクマがいる可能性もあるので注意が必要だ」と話しています。

(獣害増の陰に狩猟者不足:福井)
県内でクマの出没が相次ぎ、10月以降、奥越を中心に計9人のけが人が出るなど被害が深刻化している。イノシシやシカによって農作物や森林が食い荒らされる状況も相まって、増えすぎた野生鳥獣の個体数を適正に維持する手段として、狩猟の担い手や猟友会の役割の重要性が増している。県自然環境課によると、県内の狩猟免許所持者は2018年度で1606人。田畑の鳥獣害対策としてわな猟の免許を持つ人が増え、近年は横ばい傾向だが、60歳以上が6割と高齢化が進む。全国の所持者は15年度で19万人と約40年前の3割台に低迷している。ハンターの減少と高齢化は全国的な課題で環境省は12年度から若手の確保に向け、各地で「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を開催しており、10月には大野市でもあった。大野会場では猟銃と同じ重さと大きさの模擬銃やわなが展示され、模擬銃を使って映像に映し出されたシカを撃つ体験コーナーが設けられた。ジビエ料理の試食も含め、若者や家族連れらでにぎわった。県内の若手ハンターによるパネル討論もあり、狩猟を始めたきっかけや魅力などが語られた。20代の主婦は18年の記録的大雪によって物流が止まった際に保存していたイノシシ肉が役立ったことをきっかけに、自分で食料を調達することの大切さを感じ、免許を取得したと明かした。30代の男性会社員は狩猟経験を「命の重みをより知ることができ、猟友会での付き合いも含めて価値観が広がった」と語った。来場した20~30代からは「狩猟は特別なことでなく暮らしにつながっていると感じた」との声が聞かれた。ただ、免許取得には費用が数万円かかる。鳥獣害対策として費用の一部を補助する市町もあるが、道具の初期費用は、わな数万円、猟銃数十万円と高額だ。同フォーラムを共催した県猟友会の齊藤藤伸会長もハードルの高さを認めた上で「若い人には細かくフォローして狩猟の魅力を伝えたい」と語る。中古の銃を探したり、将来ジビエ料理店を開きたいという若者の相談にも応じたりする。かつて年長者の姿から学んだ捕獲方法も、若手には現場で丁寧に教えるなど、組織ぐるみで若手育成に取り組む構えだ。豚コレラ対策もあり、ハンターの社会的役割がクローズアップされがちだが、狩猟そのものに楽しみを感じられなければ一歩は踏み出せないだろう。魅力を地道に伝えることが、若手確保には欠かせない。

(ニホンカモシカ県内で確認:熊本)
宮崎県境に近い熊本県高森町下切の山中で今月、地元農家の甲斐好夫さん(72)が国の特別天然記念物ニホンカモシカを撮影した。3日朝、シカ用の足わなにかかっているのを発見したもの。すぐに町教委と県教委に連絡し、近所の人と一緒にわなから外して山に戻した。体長1メートル、体高70センチほどで、健康できれいな毛並みだったという。熊本、大分、宮崎の県教委による2011~12年度の調査によると、九州のニホンカモシカの推定生息頭数は812頭で、その17年前の調査時の3分の1強。熊本県教委によると、熊本県内にはこのうち50頭しかおらず、その後もさらに減っている可能性が高いという。3県教委の調査報告書によると、カモシカは本来の生息域である高標高地での自然林伐採・造林とシカの侵入などで、高地から低い場所に下りて生き延びていると見られる。わなや農業用ネットにかかったり、病気に感染したりするリスクも高まっている。甲斐さんも10年ほど前からカモシカや、その死体を発見するようになったという。県教委はカモシカの保護対策に向けた生態調査を続けている。カモシカと思われる生き物や、その死体をみかけた場合は近寄ったり触れたりせず、地元の教育委員会に連絡するよう呼びかけている。

(イノシシ、眉山でわが物顔:徳島)
イノシシに家庭菜園を荒らされて困っている。眉山の南に位置する徳島市八万町宮ノ谷の70代女性から、徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」に、こんな相談が寄せられた。眉山と山麓一帯は鳥獣保護区のため捕獲方法が制限されている。市などを取材すると、イノシシの被害が深刻化する一方で、駆除の妙案がなく対応に困っていた。女性の菜園がイノシシの被害に遭ったのは10月下旬。白菜とピーマンの苗が茎ごと掘り返された。地中のミミズや昆虫を狙って侵入したとみられる。6、9月に続き3回目の被害で、女性は「『次こそは』と生育を楽しみにしていたのに」とやり切れない様子で語った。その2日前には眉山山頂の眉山公園で、芝生が100メートル以上にわたって掘り返されているのを女性が見つけたばかりだった。公園にはポルトガルの文人モラエスの銅像があり、市の名所は無残な姿になっていた。公園を管理する市公園緑地管理公社によると、被害は2017年10月ごろから発生し、修復するたびに荒らされるという。眉山中腹の西部公園や、麓のニュータウン城南台公園でもいたちごっこが続いている。住民への被害も出ており、17年10月には南庄町3の市道で、自転車に乗っていた70代女性がイノシシと正面衝突し、頭と足にけがを負った。市農林水産課によると、本年度の眉山一帯での目撃情報は例年並みの15件。北は南庄町から南佐古地区、南は八万町を中心に住宅地での出没が目立つ。県猟友会の理事は「山林の管理が手薄になって耕作放棄地が増えたため、イノシシが餌を求めて人家に近づきやすくなった」と話す。対策を講じようにも眉山は鳥獣保護区のため、捕獲が禁止されている。市などは目撃情報が増え始めた10年ほど前から、唯一認められた箱わなによる駆除を始めた。山中や麓の寺、民家の敷地に約40基を仕掛け、年間約150匹を捕獲している。しかし銃器や「くくりわな」に比べて効果は薄い。市担当者は「費用面から考えても、箱わなを年間4、5基ずつ地道に増やすしか手はない」。被害防止策としては▽イノシシを見掛けても近寄らない▽食べ物を与えない▽大声を出すなど刺激を与えないを挙げた。県によると、2018年度の実被害面積は24.3ヘクタール(前年度比6%減)、被害額は4011万円(5%増)。捕獲数は7451匹(増減なし)。鳥獣全体の被害額は1億321万円(7%減)で、10年連続で1億円を超えた。イノシシ、シカ、サルの順に被害が多く、全体の94%を占めている。

(アライグマ生息域拡大の危機:熊本)
令和元年(2019年)11月8日、熊本市北区植木町において、特定外来生物であるアライグマが1頭捕獲されました。熊本県内におけるアライグマの捕獲(死亡個体の回収を含む)は36頭目(熊本市3頭、荒尾市1頭、玉名市7頭、玉東町5頭、和水町2頭、南関町2頭、山鹿市9頭、菊池市1頭、宇城市2頭、小国町1頭、高森町1頭、山都町1頭、天草市1頭)になります。アライグマは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」により特定外来生物に指定されており、近年、全国的にその生息域を急速に拡大しています。また、農業被害の発生や、狂犬病、アライグマ回虫等感染症の媒介、希少野生動物の捕食など生態系への影響などが懸念されます。本県では、熊本市、荒尾市、玉名市、山鹿市、菊池市、宇城市、宇土市、天草市、玉名郡玉東町・和水町・南関町、阿蘇郡小国町・高森町、上益城郡御船町・山都町でアライグマの生息が確認されています。このことから、県内の他の地域にも生息域が拡大している可能性もあり、厳重な警戒が必要です。

(クマ出没急増、木の実の不作原因か:神奈川)
県の絶滅危惧種に指定されているツキノワグマが、県内で相次いで出没している。県によると、本年度の出没件数は10月末現在、271件。年度途中にもかかわらず、過去最多だった2016年度(193件)を既に大きく上回る。さらに冬眠前の10、11月は例年、多発する傾向にあり、県などが注意を呼び掛ける。出没が急増した要因について、専門家は餌となる木の実の不作に加え、森林の植生拡大や狩猟者の高齢化なども挙げ、中長期的な対策の必要性を訴えている。県自然環境保全課によると、出没件数を内容でみると、目撃が108件で最も多く、設置された定点カメラなどによる撮影(105件)、爪痕などの痕跡(51件)が続いた。県央地域や県西地域で確認されており、市町村別では、伊勢原市が最多の134件、次いで相模原市63件、厚木市34件、山北町10件などとなっている。人里での出没が全体の8割を占めた。同課によると、県内に生息するツキノワグマは丹沢山地を中心に40頭前後と推定されている。10月7日には伊勢原市子易の畑に仕掛けたわなに、体長136センチ、体重92キロのオスがかかっているのが発見された。県などは生息数が少ないことから、クマが嫌がるスプレーを吹き掛け、人間に近づかないよう学習させた上で丹沢山中に放った。だが、その後も周辺で目撃が相次いだため、10月下旬から11月上旬にかけて同市や厚木市内で捕獲された4頭を、人身被害防止の観点から捕殺した。同課によると、クマの目撃は冬眠から目覚めて間もない5~7月と、冬眠を前にした10、11月に増える傾向にある。実際、本年度も10月が最多の121件で、7、8月で計46件、5月も16件あった。ツキノワグマの出没について、東京農業大学の山崎晃司教授は「今年は県内だけでなく都内でも多く、本州全体で多い印象を受ける」と説明する。例年になく、多発している要因について「ブナなど餌となる木の実の結実が悪いのでは」と推察。また「定期的に山中の樹木を伐採しなくなったために森林の植生が拡大していることや、高齢化で狩猟技術を持つ人が少なくなったことも影響している」とみる。クマを人里に近づけない方法として、野菜や果物を畑や周辺に放置しないことなどを挙げた上で、「出没の原因を探ると同時に、来年、再来年に向けた対策を考えることが大切」と指摘している。

(イノシシ捕獲強化、来年度目標引き上げ:群馬)
豚コレラ(CSF)の感染拡大を受け、群馬県鳥獣被害対策本部(本部長・津久井治男副知事)は18日の会議で、野生イノシシの捕獲強化をはじめとする来年度の活動方針を確認した。捕獲目標頭数は、本年度の1万218頭を上回る水準に設定する。県は当初、本年度の捕獲目標を9千頭と設定していたが、県内で野生イノシシへの感染事例が確認されたことを踏まえ、10月に県内の33市町村に捕獲重点エリアを設定するとともに、捕獲目標を引き上げていた。

(アライグマ急増、箱わな一杯に:茨城)
茨城県坂東市で、野生動物のアライグマの侵入による農作物や住宅へのふんや尿の被害が深刻化し、市は箱わなを増やして独自に捕獲を強化している。専門家は「ひとごとではない」と、ほかの自治体にも対策を呼びかけている。市内では2年前からアライグマの被害情報が増え始め、市が対策強化に乗り出した。アライグマは夜行性。市民に箱わなを無料で貸し出し、わなにかかっていた場合は、連絡を受けた市職員が早朝に回収する。10月下旬には、鳥獣害対策にかかわる県や市町村、研究機関の職員ら約20人が、捕獲から回収、処分まで自前でこなしている同市の取り組みを見学した。この日、捕獲されたアライグマは10頭。担当職員が市内の住宅を車で駆け回り回収した。午後1時過ぎ、軽トラックの荷台はアライグマを収容した箱でいっぱいになっていた。大根畑のそばで捕獲した園芸業の男性(70)は以前、トウモロコシや落花生を食べられた。「スイカは割らずに中の実だけ器用に食べていた。本当に困るよね」と顔をしかめていた。アライグマ被害対策を求める市民の声は多く、無料で貸し出す箱わなを14台(2016年度末)から、国の交付金を活用して数を増やし、84台にした。処分の態勢も整えた。以前は土浦市の施設へ運んで処分していたが、ほぼ毎日、回収に回る職員は2人しかいない。「運搬する時間がもったいない」(直江章雄・農業政策課長補佐)との理由から、17年9月から市内で処分も始めた。態勢は整ったが、被害は減らない。農作物への被害だけではなく、外敵がいない屋根裏にすみ着いたアライグマの汚物被害も深刻で、ハクビシンと合わせ、年間40~50件、天井からふんや尿が垂れるなどの被害報告が市に寄せられる。直江課長補佐は「農作物の被害だけでなく、住宅を修繕して修理費がかかってしまうという被害まで出ている」と語る。箱わなをさらに増やし、被害が多い住宅には、1度に2個貸し出すことも検討している。昨年度、市内で捕獲されたアライグマは401頭。県内全体(974頭)の約4割を占めており、同市が突出して多い。しかし、捕獲された市町は29に上り、ほかの自治体にとっても「対岸の火事」ではない。坂東市に次いで多い198頭が捕獲されたかすみがうら市の担当者も、運搬時間の長さを理由に、市内での処分を検討しているという。自治体や研究機関による意見交換会に出席した農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)の小坂井千夏研究員は「生息適地を調べると、坂東市だけでなく、ほかの市町村でもアライグマが多い可能性がある」と警鐘を鳴らす。「栄養が高く甘い農作物はアライグマにとって魅力的なエサだ」とも述べ、果物などの廃棄により、農地がエサ場にならないよう気をつける必要性も指摘している

(クマ大量出没、猟友会存続に危機感:福井)
クマの出没と人身被害が相次ぐ福井県勝山市で地元猟友会が住民の安全確保に存在感を発揮する一方、会員不足や高齢化の課題も改めて鮮明になっている。福井県猟友会勝山支部の上弥吉支部長(69)は「クマに対応できるハンターが6、7年先には皆無になりかねない状況。住民を守るためにも若手の育成が必要」と危機感を募らせる。「若い人で銃を持つ人はいない。『誰かやってくれんか』とお願いするが、なかなか出てこない。市として育成をお願いできないか」。10月29日に勝山市教育会館で開かれた市クマ対策連絡協議会で上さんは支援を求めた。勝山支部は会員が約40人いるが、猟銃免許を取得しているのは十数人。上さんによると、クマに対応できるハンターは3、4人しかおらず、60、70代が中心という。同22日、市中心部の勝山市教育会館前で警備員の男性がクマに襲われ、頭を負傷。その後クマが侵入した繊維工場に突入したのは猟友会と警察だった。工場内を捜索して見つけると、最後は向かってきたクマを駆除した。上さんは「あのときは(勝山支部の)2人が県外にいたので急きょ大野から応援に来てもらい、何とか間に合った」と明かす。同25~28日に芳野町1丁目の木にクマ2頭が居座った際は住宅密集地のため猟銃を使用できなかったが、市職員が捕獲用おりを設置する際に同行するなど安全確保で役割を果たした。その後も隣の柿の実を落とすよう市に助言し、捕獲、駆除につなげた。「できれば駆除は避けたい思いもある。(判断、実行は)簡単ではない」と上さん。ただ、木の実が不作、凶作の中、「離れた場所に放獣してもクマは戻ってきてしまう。住民に危害が及ぶ恐れがあるし、放獣するにも人、時間、労力が必要なことを知ってほしい」と理解を求める。クマの対応には「度胸と経験」が必要だが、怖さを知っているからこそ細心の注意を払うという。人を怖がらないクマが出ている一因には会員数の減少もあるとみる。上さんは「私も70歳になるのであと5、6年できればいい方。若い人が興味を持って猟銃免許を取り、訓練を積んでくれれば安心して引退できる」と話す。市民の命や安全を守るため「40、50代の人を増やしていくことが必要。そうしないと次の大量出没年にも間に合わなくなる」と危機感をあらわにした。

(クマへの対策:秋田)
鈴なりに実をつけた柿の木を秋田市の住宅街で見掛けた。時々通る交通量の多い道路沿いにある。葉が茂っていた時には気付かなかった。近くには栗の木もあり、物置小屋の屋根にたくさんのいがが落ちていた。垣根越しに見たところ、庭や家屋の荒れ具合から空き家のようだった。収穫する人のいなくなった柿と栗は、やがて野鳥や小動物などの餌になってしまうのだろうか。本県では今年、クマによる人身被害が続き、出没警報が発令中だ。心配なのは人里での被害が目立つこと。本年度の人身被害13件のうち8件が人里で発生。自宅や学校、大型商業施設の近くで襲われた事案もある。人里でのクマ出没が目立つのは本県だけではない。新潟県では先月、魚沼市の中心部で計6人が相次いで襲われ、重軽傷を負った。鳥取県では今月、「クマが民家の庭の柿を食べている」との通報で駆け付けた警官2人が襲われてけがをした。山ではクマの好物とされるブナの実が大凶作という。そのため、餌を求めて人里に出没しているとみられる。冒頭の空き家は住宅街にあるとはいえ、最近の動向をみれば油断できない。山あいや近くに雑木林がある土地ならば一層不安は増す。空き家に限らず、家主が高齢になり柿や栗を収穫できなくなるのも珍しくない。地域や行政が収穫を代行したり、樹木を伐採したりする仕組みが必要となっている。腹を減らした冬眠前のクマを人里に近づけないために、あらゆる対策を講じたい。

(トドなどの死骸漂着増加、クマが近寄り危険:北海道)
羅臼、標津両町の海岸で本年度、トドなど海獣類の死骸の漂着が増えている。理由はよく分かっておらず、10月までの漂着頭数は、両町とも昨年の累計数に比べ10頭以上増加。海獣類はクマの好物で、漂着物の周辺にクマがとどまる危険な事態も発生した。回収を担う町役場の作業負担も増大している。 本年度の羅臼町の漂着数はこれまで19頭で、既に昨年度の計7頭を12頭上回った。標津町も本年度これまでに24頭と、昨年度の計1頭から大幅に増えている。漂着したのはクジラ、アザラシ、トドなどで、特に本年度はトドが多く、羅臼で9頭、標津で18頭が漂着。腐敗しているトドが多いことから、死骸にガスがたまって海中から浮き上がり、流れ着いたとみられる。増加の原因は、水産研究・教育機構北海道区水産研究所や地元関係者の間でも、見当がつかないという。

(島の宝「ツシマジカ」が害獣に:長崎)
長崎県の離島・対馬(対馬市)にのみ生息する「ツシマジカ」の頭数が急増し、林業などに被害を与えている。約50年前に県の天然記念物(生息地)に指定され、捕獲を禁止されたことが急増の一因。既に指定は解除されているが、「島の宝」と呼ばれたかつての希少種は今、害獣となって市民生活に影響を及ぼしている。対馬市の杉原敏さん(76)は今夏、島北部の運動公園でツシマジカ9頭の群れを見かけた。杉原さんは「山中の道路でもよく見かけるようになった。今年は特に多いのでは」と話す。ニホンジカの亜種で成獣の体長は約1メートル。戦後、狩猟で数百頭にまで減少し、1966年に県天然記念物に指定された。しかし、その後に頭数が急増。市などによると、推定生息数は2015年度時点で約3万9000頭に上る。県は04年に天然記念物の指定を解除し、有害鳥獣と位置付けた。県などによると、畑地では野菜やイモ類が食べられ、18年度の農作物被害額は計約280万円。スギやヒノキの樹皮を歯や角で剥がされるなどの被害も頻発しており、17年度の林業被害面積は約440ヘクタールと09年度より30ヘクタール以上拡大した。また、国内で対馬だけに自生する多年草「ハクウンキスゲ」の食害も確認。今ではシカが入れない急峻きゅうしゅんな崖など、限られた場所に残るだけとなった。市は今年3月、県や環境省と「シカ対策戦略検討会議」を設立し、効率的な捕獲の方策などについて検討を始めた。ただ、シカを捕獲する猟師約190人のうち約7割が60歳以上と高齢化が進んでおり、抜本的な対策は見いだせていない。東京農工大大学院の梶光一名誉教授(野生動物保護管理学)は「天然記念物に指定した動物の管理という発想が欠落していたことが問題。行政は今後、具体的な計画を立てて対応に当たるべきだ」と指摘している。

(シカVS植物学者、勝負の行方は?:京都)
西日本有数の原生林が広がる「芦生(あしう)研究林」(京都府南丹市)が危機にひんしている。豊かな植生の荒廃が進み、生物相の多様性が失われるなどしているのだ。原因は20年ほど前から急激に個体数を増やしたニホンジカによる食害。研究者らが対策に乗り出したが、保護区内への侵入を完全に防ぐことは容易ではなく、研究者とシカの“駆け引き”が今も続いている。京都府北東部を流れる由良川の源流域に広がる緑豊かな芦生研究林。約4200ヘクタールのうち約半分は人の手が加えられていない原生林として保全されてきた。研究林には貴重な植物種が数多く確認され、昭和16(1941)年には東大教授で植物分類学者の権威、中井猛之進氏が「植物ヲ學ブモノハ一度ハ京大ノ芦生演習林ヲ見ルベシ」と学術誌に評したほどだ。しかし、多様性に富んだ研究林は近年、むき出しになった地肌が目立ち、生育する植物にも偏りが見られるようになるなど姿を大きく変えつつある。最大の原因は、ニホンジカによる食害。研究林長の石原正恵准教授(森林生態学)は「多様性の危機を迎えていると言わざるをえない」と指摘するほどだ。シカの天敵だったニホンオオカミが絶滅し、代わりを担う猟師も高齢化に伴って激減したことなどが個体数の増加を招き、食害被害が顕著に。林内では、シカが好むササやアザミなどの植物が激減した一方、バイケイソウなどシカが食べない植物ばかりが繁殖し、植生の衰退が起きているという。植生の変化は林内の河川の環境や土壌にも影響を与えており、石原准教授は「生態系自体が変わりつつある」と危機感を募らせる。10年以上にわたって研究林に足を運んでいる植物研究家の福本繁さんも「森の姿が様変わりしている」と現状を説明。「今や本来の植生は研究林内の限られた場所にしか残っていない」とまで言う。シカの食害被害から生態系を守ろうと、平成18年には林内の一部を防鹿(ぼうろく)柵で囲んで保護する「芦生生物相保全プロジェクト(ABCプロジェクト)」が始動した。中心となる京都大の高柳敦講師(野生動物保全学)はプロジェクトの趣旨を「シカの影響を検証しながら、芦生の植物種を守るのが目的」と話す。同年6月、プロジェクトチームは総延長約1・5キロにわたる柵で林内の1つの谷を囲んだ。シカの侵入を防ぐことに成功し、柵内の植生は数年で回復したが、シカも柵の奥の食料にありつこうと柵内に入り込む方法を模索。数年たつとネットが食いちぎられ、柵内への侵入を許してしまった。研究者とシカの“駆け引き”は続く。高柳講師は柵の下1メートル部分を二重構造にした新型の柵で対抗するも、シカはネットの隙間などから侵入。完全に防ぐことは容易ではないという。そうした中、長年の試行錯誤を経て開発したのが、網の下1メートルにステンレスのワイヤを使用し、地面に対して「L字」型となるように設置する「AF(芦生フォレスト)規格」の防鹿柵だ。維持管理や積雪への対処に課題を抱えるが、高柳講師は「高い精度でシカを防ぐことができる」と自信を見せる。導入後の植生の回復は著しく、柵外とは対照的な芦生本来の自然が復活。AF規格の柵は芦生研究林以外にも、滋賀県の伊吹山など近畿圏の山間部でも導入が進み、成果を挙げているという。もっとも、柵でシカの食害被害を抑えられているのは、まだ林内のごく一部。継続的にシカを捕獲しながら希少植物を保護するなどの取り組みに務めることが不可欠だ。高柳講師は「自然の状態に目配せをしながら、バランスのとれた生態系を回復しなければならない」と強調した。

(イノシシ狩猟コンテスト初開催へ:茨城)
茨城県が現在、狩猟で捕獲したイノシシの大きさを競い合う「イノシシ狩猟コンテスト」の参加者を募集している。茨城県猟友会の協力で行う同コンテストは、茨城県内の鳥獣保護区以外の場所で、わな猟・銃猟(第一種銃猟及び第ニ種銃猟)のいずれかで捕獲されたイノシシの大きさを競う。茨城県自然環境課の担当者は「茨城県内のイノシシ生息数は現在、推定で3万2000頭以上。平成29年度のイノシシによる農業被害は1億5,000万円に上る。令和元年狩猟者登録は4000人前後で、年々登録者数は減少している。60歳以上が7割を超え、高齢化と技術の継承が課題となっている。今回、コンテストという形で競技性を仕掛け、駆除と担い手を確保したい」と話す。応募資格は、茨城県内で令和元年狩猟者登録した人。大きい個体を捕獲することが個体数減少につながるというデータに基づき、体長(尾の付け根から鼻の先までの長さ)が100センチ以上のイノシシが捕獲対象となる。 応募方法は 、申込書にイノシシの写真を添付して郵送する。申込書は自然環境課のホームページでダウンロード配布している。添付する写真は、イノシシを右向きに横たわらせ、体に油性スプレーで捕獲日を記載する。体長が分かるよう金属製のメジャーをイノシシの横に合わせ、捕獲者が1人一緒に写ることが条件。審査基準は、イノシシの「体長」と「後ろ足(関節から蹄の先まで)」の合計。1センチ=1点に換算し、合計得点が高い順に、最優秀狩人賞(第1位)、グッドハンティング賞(第2位)、猪突猛進賞(第3位)、討伐賞(第4位)、敢闘賞(第5位)を決定する。このほか、女性参加者の中から第1位に「狩りガール賞」、特別賞「茨城県猟友会長賞」を決定する。表彰式と賞金贈呈は2020(令和2)年3月下旬に茨城県庁で行う。

(定着化狙い“新人”講習:鳥取)
イノシシやシカなどを捕獲するハンターの養成スクール(県主催)が、鳥取市・鹿野町であった。狩猟免許を取得して3年以内の“新人”約40人が参加。捕獲と解体、イノシシ肉を使ったジビエ料理について学んだ。

(鳥獣被害対策講演会:三重)
名張市のつつじが丘自治連合会や名張鳥獣害問題連絡会などが主催する「鳥獣被害対策講習会」が、11月23日(土)午後7時から、つつじが丘市民センター(同市つつじが丘北5)多目的ホールで開かれる。参加無料、申し込み不要。同連絡会の古川高志さんが「名張A群の現状と対策」、県中央農業改良普及センターの木村宏さんと県伊賀地域農業改良普及センターの市川昌樹さんが「みんなで取り組む獣害対策」、市農林資源室の仙頭賢さんが「獣害対策の現況とサルドコネット」と題して講演する。

(イノシシによる芝生掘り起こし:新潟)
上越市教育委員会は2019年11月12日、柿崎区法音寺の柿崎総合運動公園で野生のイノシシによる公園の芝生掘り起こし被害が確認されたと発表した。市内では各地で同様の被害が相次いでいる。柿崎総合運動公園で芝生が掘り返されているのが11月8日に確認された。多目的グラウンド内に被害はなく、使用にも支障はないという。掘り返されたのはグラウンドの周辺の複数の場所で、市教委では今後復旧方法や木酢液やトウガラシの散布などを検討するとしている。

(シカとイノシシ食害深刻、クリ特産化難航:滋賀)
旧近江国栗太郡にあったというクリの巨木の伝承にちなみ、滋賀県栗東市商工会と金勝生産森林組合が特産化を目指して8年前に着手したクリ園「めぐみの森」(同市荒張)の計画が難航している。植えたクリの木がシカとイノシシの食害で思うように育たないためで、新ブランド「栗東のクリ」誕生への道のりは厳しそうだ。めぐみの森は金勝山麓に同組合が保有する1・83ヘクタール。市商工会と協力し、新たな観光資源としてクリを用いた商品開発とクリ拾いができる果樹園の整備を計画した。2011年春に苗木500本を市民約200人の協力で植樹した。しかし翌年以降、シカなどに樹皮が食べられるなどして苗木が枯れ、100本以下に減ってしまった。周囲にはシカよけのネットを張り巡らしていたが効果がなかったという。同組合などは追加対策として、3年前に新たに数十本を植樹し、昨年10月には約100メートルにわたって鉄製フェンスを設置した。市内にある三菱重工業の工場の社員もCSR(企業の社会的責任)活動の一環で年2回、雑草刈りと肥料やりをボランティアで行っている。同組合の澤幸司組合長(80)は「収穫はできるが、現実に思うように良いクリが育っていない」と話し、市商工会も「自然相手なので仕方ない」とする。両者は今後も鉄製フェンスを増設するとともに、新たに造成した場所にクリの苗木を植樹していくという。

(ハトのふん害、タカで解消?:神奈川)
戸塚駅(横浜市戸塚区)周辺のハトやムクドリによるふん害を解消しようと、戸塚土木事務所がタカなどの猛禽(もうきん)類による追い払いに取り組んでいる。3カ月間の予定で9月末に試行を開始し、タカの姿を見るだけでハトが逃げるなど一定の“効果”が表れ始めている。ただ、餌をあげる人がいると戻ってきてしまうといい、同事務所の担当者は「餌をあげないよう啓発も行いつつ、効果を検証して、ふん害解消につなげたい」と話している。同事務所などによると、戸塚駅のペデストリアンデッキは地元で「ハト広場」と呼ばれており、9月下旬の市の調査ではハト60~150羽、ムクドリ100~180羽、スズメ220~360羽を確認。駅利用者からは「手すりがふんまみれで使えない」などと苦情が寄せられている。鳥よけのピンや鳥が嫌いな音を流す装置などを設置したが改善されず、所内などからの提案を踏まえ、市内の土木事務所では初めて試行することになった。追い払いは週1回ペースで行っている。委託を受けた「ふくろうカフェ福来楼本牧店」(同市中区)の千野力店長らがフクロウのユーラシアワシミミズクやタカのハリスホークなどを伴い、昼前から日没まで駅東西のデッキやバスセンター下などを巡回。ハトなどが集まっているとタカなどを放っている。1度逃げたハトは、千野さんらの滞在中は近付いてこないといい、「追い払いを繰り返すことで『天敵がいる』と認識させ、常時近寄らせないようにしたい」と話す。課題は人間側にある。工場やマンションなどで猛禽類を使った追い払いを手掛けてきた千野店長は、同駅にハトが集まる要因として水場となる川が近いことに加え、「餌をあげる人がいる」と指摘し、「餌をなくすことが大切だ」と強調する。同事務所はこれまでにも餌をあげないよう呼び掛ける看板を設置してきており、担当者は「ビラや声かけなどを通して餌をあげない環境をつくっていきたい」と話している。

(クマ、駆除と保護のはざまで)
ツキノワグマは繊細で臆病な動物で、好んで人を襲うことはない。ただ栄養源であるドングリ類の実りが少ない年には、人里に下りてきて人と遭遇するケースが増える。環境省によると、こうしたクマの出没件数は全国で年1万件を超える。人が襲われ死傷する事件が報道され、「危険な猛獣」というイメージが強まりつつあるようにみえる。管理のため罠(わな)を仕掛けて捕獲したクマは、かつては唐辛子スプレーを吹きかけるなど恐怖を与えて奥山に放す「放獣」が主流でしたが、現在では全体の捕獲数の数%で、多くは殺処分されます。行政の担当者の立場に立てば「事故が起きてからでは遅い」「地域の人にかみついても責任を取れない」というのが本音でしょう。昭和時代以降、ツキノワグマの捕獲が官民挙げて推進されました。こうして九州ではツキノワグマが絶滅し、四国でも剣山周辺でしか確認されていません。環境省は2016年度に公表したツキノワグマの管理のためのガイドラインで、クマを将来にわたって残していく「コアエリア」を設定する一方、人間活動を保証するためにクマの排除地域を設ける「ゾーニング管理」の手法を打ち出しました。野生動物の保全や管理について、対策が進んだ国から学ぶべき点は少なくありません。ノルウェーでは、クマやオオカミが家畜を襲ったり農作物被害を起こしたりした場合、直ちに専門家を派遣して検証し、現場の遺留物から遺伝子を抽出してデータベースから加害個体を特定します。被害に応じての補償制度まで整備されています。そのための人員と予算が確保されているのです。日本の人口は現在約1億3000万人だが、60年には9000万人を割り込むと推測されている。野生動物との緩衝地帯だった里山で、高齢化と過疎化がさらに進むのは避けられない。人間の安全確保を最優先するのは当然です。ただ、クマを狭いエリアに閉じ込めたり、駆除一辺倒に走ったりしても、問題を起こすクマがいなくなるわけではありません。ノルウェーに倣って1頭1頭を個体管理することも大事です。都道府県には、個体管理の技術やコアエリア・排除区域を線引きするための専門的知識を身につけた人材の確保が欠かせません。よく考えてみれば、日本人の祖先が日本に渡ってきたのは数万年前、人が林業などで山を積極的に利用したのは最近の数百年にすぎません。一方、ツキノワグマが大陸から地峡伝いに日本に入ってきたのは30万~50万年前の中期更新世です。こうした時間軸で眺めれば、クマの管理は、彼らの分布域を人間社会からなるべく離すように押し戻すだけではなく、クマに譲る場所を検討してよいのかもしれません。ダウンサイジングしていく日本に、野生動物に対してそのくらいの目配りがあってもいい、というのは言い過ぎでしょうか。

(クマとの共生、悲劇から探る:北海道)
大正時代、苫前町で開拓民がヒグマに襲われた「三毛別ヒグマ事件」を題材にした映像作品を、市内のアマチュア映像作家有沢準一さん(82)が制作した。事件の研究で知られる故木村盛武さんら関係者10人以上に取材。クマとの共生を考える約20分間の作品に仕上げた。11日に市内のカフェで上映する。作品は「史上最悪のひぐま事件~木村盛武さんに学ぶ~」。1915年(大正4年)12月、巨大ヒグマが古丹別地区奥地の開拓農家を襲い、妊婦や子どもを含む7人が死亡、3人が重傷を負った事件を題材にした。ベテランのマタギによって射殺されたヒグマは体重340キロ、体長2・7メートルあったという。作品では関係者らを回って集めた当時の写真を使い、ナレーションで事件の経緯を紹介。木村さんをはじめ、巨大ヒグマを射殺したマタギの孫らのインタビューをちりばめた。

(獣害解決へ、糸口探る:熊本)
「自分たちで地域農業を守る-。その本気度に心を打たれた」。井上拓哉さん(24)は3月、千葉県野田市から宇城市三角町の戸馳島に移住し、島を拠点に活動する「クマモト☆農家ハンター」に加わった。「クマモト☆-」はイノシシによる農作物被害を減らそうと、110人ほどの県内の若手農家でつくる。いわば消防団のような自衛組織だ。情報通信技術(ICT)を活用して地域外の人々と連携し、箱わなを使った駆除に取り組む。学生時代の現場実習で、小規模農家を中心に獣害被害が深刻化している実情を知った。そこで狩猟免許を取得した。だが、地元の猟友会はほとんど活動していなかった。「まずは地域の仕組みから変えなければいけない」と考えていた時、農家ハンターの活動を知った。当時、大学3年生。「自分がやりたいことを彼らが具体化していた。自分が銃を買うより、お金を有効に活用してくれると思った」。狩猟用の銃を買うためにアルバイトでためた10万円を、「クマモト☆-」が箱わなの購入費を募るために開設したクラウドファンディングに寄付した。そして、心を固めた。「安泰な道ばかり選んできた人生を卒業したい。獣害と本気で向き合いたい」。民間企業の内定を蹴り、戸馳島での生活を選んだ。自身は農家でない。イノシシの駆除には葛藤する。「被害を受けていない自分が命を奪っていいのか」-。それでも、この活動を全国に広げて獣害をなくしたいと思う。「地域自らが取り組む戸馳なら解決の糸口が見えるかも。まずはここで経験を積みたい」と奮闘の日々を送る。今月中旬から本格稼働する「ジビエファーム」の施設長に就いた。食肉加工だけでなく、皮で小物を作り、骨や赤身はペットフードや堆肥に回すなど捕獲したイノシシを余すことなく使い切りたいと試行錯誤する。「捕獲され、埋められて終わりだったイノシシたちを弔うためにも、無駄のないサイクルを確立したい」。手腕が試されるのはこれからだ。

(「農家ハンター」広がる獣害を解決し、農家を幸せに:熊本)
農家の担い手の減少、温暖化による野生動物の爆発的繁殖......人間と野生動物の領域のバランスが崩れかけている今、全国で獣害が広がっている。宮川将人(まさひと)さんは、熊本・天草の島々に近い戸馳島でラン栽培に取り組む花農家。それが2016年からは「農家ハンター」として獣害の解決に取り組んでいる。「農家ハンター」がユニークなのは、画像解析の技術などITを活用して野生動物の見える化やSDGsの活動にも取り組んでいるところ。どのような活動をし、何を目指しているのか。宮川さんと、その活動をサポートする楽天技術研究所未来店舗デザイン研究室シニアマネジャーの益子宗さん、楽天のサステナビリティ部シニアマネジャーの眞々部貴之さんに話を聞いた。──農業大学を卒業後、オランダやアメリカにも留学して「花き栽培」を学ばれたそうですが、どういう経緯で獣害対策に取り組まれるようになったのでしょうか。宮川将人さん(以下、宮川):僕は花農家の3代目なんですが、留学先がシリコンバレーの近くで、ITの風を感じたこともあって(笑)、熊本の田舎の島から全国を相手に楽天市場でネット販売を始めたんです。はじめはなかなか売れなかったのですが、2009年に「息子が生まれました」と誕生祭をやったのがきっかけでブレイクしました。2011年の母の日に、僕らが育てた「母想い」という特別なランが楽天市場の総合ランキング1位になったんですよ。2位は人気アーティストのベストアルバムでしたから、すごい事件です。ところが、計画の何倍も注文を受けたせいでパンクして、クレームが発生。対応に追われるうちに体調を崩しまして。34歳の時でした。これを機に、「ああ俺、金のことしか考えてなかった」と思うようになり、「社会のために自分は何が残せるんだろう」と真剣に考え始めたんです。それから2016年の2月でした。地域のミカン農家のおばちゃんが「ミカン農家辞めようと思う」と言うんです。「イノシシの被害がひどくて」と。正直、僕はそれまで、イノシシが出ることも被害が出ていることも知らなかったんですが、調べてみると、猟師の数は半減しているのに、イノシシの数は倍増している。放置していたら、農業被害に留まらず、人との接触事故が多発するようになると危機感を持ちました。そこで思いついたのが「農家ハンター」です。僕はたまたま楽天市場への出店をきっかけにITを利用している「サイバー農家」だったので(笑)。この「サイバー」と「ファーマー」、そして「ハンター」を組み合わせたら、イノベーションが生まれるのではないか。火災や災害から地域を守る消防団のように、地域と畑を守るために農家が立ち上がろう。それで「農家ハンター」を立ち上げることにしました。──農家ハンターの活動はどのようにして始まったのでしょうか。宮川:2016年の4月10日に「イノシシ合宿」というのをやりました。農業高校時代の同級生をはじめ、熊本県内各地から農家ばかり25人集まったんですが、被害を受けていたメンバーはたった2人。自分のことじゃなくても真剣に、地域のためにと理念に共感できる人たちが集まったんです。ただ、合宿があと4日遅かったら、今のようにはなっていなかったかもしれない。直後の4月14日にあの熊本地震が起こりましたから、奇跡的なタイミングだったんです。震災のときは、合宿の仲間で避難所に農産物を持ち込んだり、いろんな活動ができました。農家ハンターの活動では10回以上の講習会を開催して獣害について学ぶ場を作ったり、柵を設置して畑を守ったりしてきましたが、何より一番難しいのは捕獲すること。イノシシを捕まえるのは体力的にも精神的にも容易ではありません。私たちがどんな大義を持っていても人間都合で彼らの命を奪うわけですから。──「ファーマー」が「ハンター」も担うようになったということですね。「サイバー」はどう関わっているのでしょうか。宮川:僕らの本業は農業ですから、ハンターだけでなくファーマーもやらなくてはいけない。熊本県の三角町だけでも狩猟用の罠は200基もあるので見回るのが大変です。そこで罠にIoTを実装しました。動くものを撮影してスマホに転送するシステムです。ところが、猫や鳥、タヌキなどの画像も撮ってしまうので、年間4,000枚の画像のうちイノシシはたった800枚という効率の悪さでした。そんな中、2017年の12月、楽天が大学で行う寄付講座を通じて大学で講義させてもらう機会があって上京しました。そのときにたまたまタクシーで同乗したのが益子さんで、イノシシの話をしたんです。「今イノシシが増えすぎていて、大変なんですよね」って。益子宗さん(以下、益子):当時は4万5000ほどある楽天市場に出店する店舗様と何か新しいことができないかと考えていたころでした。ちょうどAIやディープラーニングを使って、出品したい商品を撮影するとそれが何かを認識してくれるシステムを開発した頃だったので、宮川さんの話を聞いて、そのシステムが使えるのではないかと話しました。翌4月に改めて東京で会議をしました。眞々部貴之さん(以下、眞々部):今も思い出深い会議ですよね。私はその4月の会議に、「元マタギ」という枠で呼ばれまして。昔、屋久島のヤクシカや北海道のエゾシカの調査をやっていたので「マタギ」のようだと(笑)。ちょうどサステナビリティの担当として、楽天の技術やサービスなどを使って地域のために何かできないかと考えているときでした。北海道では罠にかかったエゾシカの写真を撮ってツイッターにアップするというIoTの機械を作ったことがあったのです。それを使えるのではないかということになりまして。益子もAIを使えば「イノシシの判別ができますよ」と。益子:1週間後には、非公開のツイッターシステムが出来上がっていました。宮川さんから「これはすごい!助かります!」と言われ、2018年11月から一般にも公開し始めました。宮川:なぜこれを楽天とやったのかというと、熊本は、熊本地震で電気が止まったりと本当に大変な被害を受けた。そのときすぐに来て取材して、熊本の様子をちゃんと伝えてくれたのが楽天だったんです。楽天が掲げている「エンパワーメント」という言葉が僕は好きなんですが、あのとき楽天がITを使って地方をエンパワーメントするというのは「本気なんだな」と感じました。アイディアでも貰えたらと相談したら、農家の僕には想像できないようなテクノロジーで解決してくれる。この技術開発も楽天が主体で動いてくれました。それだけ、僕らに寄り添ってくれているんです。眞々部:これまでもNPOさんや社会起業家さんと社会課題解決に取り組んだりはしてきたのですが、宮川さんを含め、楽天市場の店舗様のパワーとスピード感、テクノロジーへの感覚はすごいです。もしかするとネットショップが社会課題解決を担っていく時代が来たのではないか、なんて思うこともあるくらいで。益子:私も新卒で楽天に入社したときからエンパワーメントという言葉が好きで。実は私がこの農家ハンターでやりたかったのはIoTのカメラのシステム開発ではなく、それを通じた新しい買い物体験を作ること。モノがどこから来て、だれが作ったのか、そしてそのストーリーがわかるような。それがこのシステム、このメンバーならできる。かなり新しい形だと思うのです。──農家ハンターの活動は、これからどう展開していくのでしょうか。宮川:今では地域の仲間たちと年間約1000頭のイノシシを捕獲しています。捕獲したイノシシを無駄にしないために、ジビエ肉として販売することを考えたのですが、それには衛生管理をパスした施設が必要でした。そこで施設建設のために会社を作って融資を受け、さらに楽天市場のクラウドファンディングで資金(合計約600万円)を集めることができました。おかげで先日、念願のジビエファームという施設が落成しました。年末までにはジビエ肉として出荷ができるようになると思います。ここでは農家ならではの循環型モデルを作り、全国に広げていくことを計画しています。こうした取り組みも、続けられなくては意味がないんですよね。実はこの活動に一所懸命になりすぎて、自分の口座がすっからかんになりかけたんです。それで、僕自身もサステナブルでなければと痛感しました。社会貢献とビジネスを両立させていくために、会社を立ち上げ、ジビエファームを作り、また楽天市場に「農家ハンターSHOP」という店舗を構えました。他での出店を考えなかったのは、商品を売るだけでなく、そこに至るまでのストーリーや農家の想いも伝えたかったからです。ただの買い物ではなく、こうして届いた肉、守られたミカンを食べることで、地域を守ることの一助になると思って買ってくださるお客様がいてくださるんですよね。眞々部:チャリティではなく、社会課題を解決するには新しいテクノロジー、ビジネスが必要だと考えているのがこのメンバーです。ジビエのお店でお肉を買うことと、地域の農家さんが幸せになることの間がこれまでは繋がりにくかった。しかし、この「農家ハンター」の取り組みを通じて、山の可視化や被害を受けている人のストーリー、肉のトレーサビリティをテクノロジーで繋ぐことができたのではないかと思います。宮川:田舎で洋ラン栽培をしながらイノシシと向き合う。これだけでもユニークですが、インターネットの恩恵を受けながらこうして共感してくださる人たちと繋がり、応援してもらえる今の時代は本当にありがたいなと思います。熊本の小さな島で花を栽培しながら、農業仲間を巻き込んでイノシシの捕獲に奔走する宮川さんと、IT企業、楽天の従業員である益子さんと眞々部さん。並んで座り、まるで古くからの友人のように笑いを挟みながらリズムよく会話をするお三方の姿をみているとネットショップが社会課題の解決に一役買う、すぐそこにある未来の姿を目の当たりにしているようであった。

(マタギの注目度:秋田)
北秋田市の阿仁マタギに対する関心が年々高まっている。マタギになろうと県外から阿仁地区へ移住する若者が増えているほか、マタギ文化を体験する市主催のツアーも人気だ。クマ猟が解禁された1日、阿仁打当の通称「マタギ神社」には、マタギの見習いをする広島県出身の益田光さん(25)がいた。大学生の頃にマタギに興味を持ち、今春から阿仁中村に住んでいる。同じ目的で阿仁地区へ移住した県外出身者は他に2人いる。来春、大阪から移り住む計画の男性もいるそうで、マタギの注目度の高さがうかがえる。

(専業猟師へ転身した元教師:兵庫)
イノシシの肉をみそ仕立てで味わう「ぼたん鍋」で知られる兵庫県丹波篠山市に、教師から専業猟師へ転身した男性がいる。「捕らえた1頭を無駄なく『生かしたい』」と、自宅を改装したジビエ専門店で解体や販売も手掛ける。胸に抱くのは、小中学校の食育で子どもたちに教えてきた「命の大切さ」。兵庫県内ではきょう15日、シカやイノシシなど鳥獣類の狩猟が一斉に解禁された。同市住山で「山大(やまだい)」を営む西村大二郎さん(36)。シカとイノシシの狩猟期間は11月15日~3月15日だが、有害鳥獣駆除に取り組む市の特別職公務員としてそれ以外の期間も山に入る。解禁を3日後に控えた今月12日にも、箱わなで捕らえ血抜きを終えた2頭のイノシシが自宅脇の施設に並んだ。若い雄と、出産経験のない「産まずの雌」。ナイフで丁寧に毛皮をそぎ取り、背を割って、切り分けていく。血はほとんど出ず、においもない。「産まずの雌は肉がきめ細やかな最高級品。雄は正月にかけてどんどん脂が乗りますよ」と西村さん。本年度はシカを含めて既に計約100頭を捕獲。他の猟師からの持ち込みも加えると200頭以上を解体した。肉は全国の飲食店や個人に販売し、在庫を確保できないほど好評だ。曽祖父の代から続く猟師の家。大学を卒業して神戸で数年会社勤めをした後、故郷で教師になった。狩猟は手伝いから始め、24歳で免許を取得。9年間、小中学校で教えながら休日は猟に出た。当時、駆除したシカは山の中に埋めるのが当たり前だった。西村さんは教壇に立って子どもたちに「命に感謝して食べなさい」と教えていたが、どこか矛盾も感じていた。「いい肉を無駄にせず流通させたい」と、2016年に「山大」を開業。ジビエブームも追い風となり、専業猟師になった。「今は自分で解体することで、ほとんど全てを利用できている」という。ホームページで丹波篠山の自然、シカとイノシシの新鮮な肉を紹介すると、販路は年々広がっていった。獣害を嘆く農家にとって、鳥獣駆除は欠かせない。市森づくり課によると、市内で本年度駆除されたイノシシは約260頭、シカは約640頭。イノシシはほとんどが食肉として流通するが、シカは半分ほどが廃棄されているという。市猟友会丹南支部長も務める西村さんは「山にいる獣の数を適正に保つことが山を守ることにつながり、農家や私たちの暮らしも守る」と話す。

(シカ対策、最新捕獲法学ぶ:島根)
中国山地のニホンジカの林業被害対策を考える現地検討会が14日、島根県美郷町乙原の竹山国有林で開かれた。県内では生息頭数が増えており影響が少なかった地域でも被害の増大が懸念されるとし、県西部の自治体や森林組合の職員ら約50人が最新の捕獲法を学び、わなの設置も体験した。県中山間地域研究センター鳥獣対策科によると、県内で中国山地に位置する地域のニホンジカ生息頭数は2017年3月末現在3千頭(推定)で、07年の370頭(同)の約8倍となっており、実際に国有林でシカの角こすり、樹皮摂食の拡大が確認されている。

(「襲わないで」とクマさん側にお願いする看板が話題:埼玉)
山に入ると気をつけなければならないのが野生の動物。11月には、秋田県や富山県などでクマに襲われる被害が出ていて、最近では人里にまで出没するケースも増えてきた。こうした中、山道で「クマに注意」という看板を目にすることがよくあると思うが、人ではなく、クマに向けられた看板が話題となっている。「熊さんにお願い。あなたの住んでいる地域に、人が音を出しながら立ち入りますのでどうか、襲わないようお願いします。」と訴えるクマのイラストが描かれた看板だ。これはTwitter投稿者の朴葉=ニャン(@obashuji)さんが16日、埼玉県横瀬町にある丸山の六番通り登山口に設置された看板を撮影したものだ。「クマが住んでいる場所に人が立ち入りますよ」というクマに向けられたメッセージとなっていて、中々見かけることのない看板に、Twitter上では、「人間側がクマが住んでいる地域にお邪魔しているって意識を持つだけでもだいぶ変わってくるのだろう」「くまさん、漢字読めるのかな」、「埼玉にもクマが出るのか」などのコメントが寄せられ、1万5000超のいいねが付いている。朴葉=ニャンさんは「内容はクマにわかるように音を出して歩くようにという普通のクマ看板と同じだけど、クマのほうにお願いするという表現はコンビニのトイレの『いつもきれいにお使い頂きありがとうございます』という表現に近いものを感じて面白かった」と話す。なぜこのようなクマに向けた看板にしようと思ったのか。そしてあまり埼玉県にクマの出るイメージはないがどうなのだろうか。看板を設置した横瀬町役場の田端将伸さんにお話しを伺った。ーーなぜこのような看板を作ったのか?この地域はそれほどクマが出没するわけではありませんが、年に2、3度の目撃情報など、登山者から寄せられていました。そのため登山口に「熊出没注意」という一般的な看板を掲示していました。さらに出没するたびに「この付近で熊が目撃されました。〇年〇月〇日 横瀬町役場」と紙に打ち出したものを掲示していました。登山者が増加傾向のなかで、「熊出没注意」の看板の老朽化などにともない、追加で作成する際に、1.当町の地域は、奥深い山々にもつながっており、クマや動物が今後も出没することが想定されていること。2.山は動物の住まいであり、そこに我々人間が立ち入っていること。3.クマは通常の状態は臆病と言われており、人間に会いたいと思っていないこと。などから、「この地域にはクマがいて、そこにお邪魔する人間が、音(クマよけの鈴、ラジオ、話声など)を出すことで熊が逃げてくれる。」という趣旨の看板を制作しようと思いました。登山がそれほど好きでいたわけではない担当の自分が、出没するたび、クマが出たところまで「出没した旨の表示」を掲出するのが大変で、かつ、古くなるとボロボロになり、登山道としても見栄えが悪かったこともありました。年間を通して登山者に注意喚起がしたかったためです。ーーいつ、どこに何カ所設置された?確か当時私が観光担当で2年目くらいだったと思うので、今から8~9年前だったかと思います。目撃情報のあった登山口を中心に10か所設置しました。ーー看板を作るにあたり、こだわった点は?看板屋さんが販売している既存のイラストを使い、組み合わせることで、安く仕上げてもらった記憶があります。看板屋さんも本当にこれでいいんですか?と心配してもらったような…また、役場が単独で表明するのではなく、登山者全員が同じ気持ちになってもらいたいと「登山者一同」と勝手に入れました。ーー横瀬町にはクマは出没する?どんぐりなどの木の実の量によっても異なりますが、年に2、3度目撃情報が寄せられます。ーークマにこの看板のメッセージは届いていると思う?はい。以前、山に登った際、山中で「この看板どうですか?」と大声で叫んだ時に、返事をしてくれたためです。おそらくクマ語で「そうだよ、俺たちの庭だからね。人間も人の庭に入るときは「こんにちはー」って、声出すでしょ。あれと一緒にしてほしいだけ。」と言ってくれた気がしています。ーー看板を見た人から何か反応はあった?今回もそうですが、設置した当初から「いい看板ですね。」「そうなんですよね。私たちがクマの生息地域に入るんですよね。」「クマ除けの鈴を買いました。」「友達とおしゃべりしながら行きます。」など、いい反応をもらっています。中には「こんな看板あったけど、クマがわかるわけもない。」と言ってSNSで発信してくれる人もいますが、それでもその投稿を見た多くの心ある方には、意図がちゃんと伝わっていて、感謝しています。設置理由は年間を通して登山者に注意喚起するためであった。確かにこれならクマが住んでいる所にお邪魔するのだから気をつけようという気持ちになるだろう。クマからも返事があったということなので、看板の効果で人がクマに襲われる事例が起こらないことを祈るばかりだ。

(主が戻った「ガラサームイ」:沖縄)
那覇市でカラスの目撃が相次いでいる。やんばるが主な生息地だったが、南下しているようだ。もともと県内全域に住んでいた。識名園の一角には、ガラサームイ(カラスの森)がある。どうぶつたちの病院沖縄の金城道男副理事長(57)は「沖縄戦で住む場所を奪われた」と指摘する。戦火で中南部の森を失い、北部に追いやられた。戦後も復興に伴い、住宅用の木材が大量に必要。「復帰以降、鉄筋住宅の普及で木が育つにつれ、生息範囲を広げたのでは」と推測する。那覇市の学芸員、鈴木悠さん(35)は先週、ガラサームイで初めてカラスを見かけた。「ようやく名前通りの場所になりましたね」と感慨深げだ。鳥類で群を抜いて賢い。くちばしで水道の栓をひねり、蛇口から水を飲む猛者もいる。都市部では木の代わりに、見晴らしが良いビルの屋上から獲物を探す適応力を見せる。超然と俗世を見下ろす姿は、はみ出し者の代弁者でもある。長渕剛さんは〈黒いカラスよ、お前は寂しくはないか/銭だ銭だで/損か得かで/日が暮れていく〉と打算的な社会を嘆いた。金城さんは「沖縄には天敵がおらず、ヒトを除く生態系のトップにいる」と指摘する。農作物や家庭ごみを荒らされぬよう、知恵比べになる。仏の遊園地にはカラスにえさを与え、吸い殻を拾うよう訓練したジンブナーもいる。

(ビームライフル体験、小中高生25人:山梨)
光線を的に当てて得点を競う「ビームライフル」の体験会が11日、山梨市大野の県立ろう学校であり、小中高の児童・生徒25人が参加した。ビームライフルは東京五輪・パラリンピックの正式種目ではないが、種目にあるライフル射撃に関心を持ってもらおうと開かれた。

(鳥獣捕獲、アプリでデータ集約簡単に:兵庫)
農作物や環境に被害を及ぼす鳥獣の捕獲を支援する携帯端末のアプリ「狩ingマップ」を、兵庫県立大自然・環境科学研究所が開発した。捕獲場所や捕獲個体の体重、わな設置から捕獲までの日数などの基礎データをスマートフォンなどで収集できる。捕獲情報については従来、狩猟者らが書類を提出し、県はこれに基づき個体数を推定したり捕獲目標数を決めたりしていた。アプリ導入により情報集約が省力化。適切な捕獲とともに、生態系保全にも役立つツールとして期待される。アプリを使用するのは、わなや銃で狩猟や有害鳥獣の駆除・捕獲に取り組む人。画面の地図上にわなの設置場所を表示し、猟場や動物の目撃位置、足跡やふんといった動物のフィールドサイン、捕獲した個体の写真・体重・体長などを記録できる。アプリ使用者の情報を集計し、最新の捕獲結果を蓄積。地図は衛星利用測位システム(GPS)対応で携帯ネットワーク網が届かない山中でも現在地が分かり、目印を地図上に残せる。有害鳥獣駆除に関する講習会や加工処理施設などの情報を通知する機能もある。同研究所次長の横山真弓教授は「狩猟者や捕獲者の活動記録は、個体数の動向を把握し、生態系を適正に維持する上で重要なデータだ」とし、同マップの活用を呼び掛けている。「グーグルプレイストア」または「アップストア」で無料でダウンロードできる。

(罠の作動メールで知らせるセンサー導入:徳島)
徳島県阿波市は、罠が作動するとメールで知らせるセンサーを導入して山間部の罠の見回りの負担を軽減している。使用するのは(株)NTTPCコミュニケーションズの製品「みまわり楽太郎」。導入した市場町大影地区と土成町宮川内地区では、合計の農業被害額が2013年度の73万円から2018年度には19万円に減少した。「罠の見回りに手間がかかる」との猟友会の声を受け、2015年度に市が同製品を導入。箱罠8台と囲い罠1台の、合わせて9台に設置した。市猟友会の西田賢二さん(40)は、市場町大影地区の山間部に設置した2台の檻を、同製品を使って管理する。「以前は2カ所の見回りに1時間かかり、毎日となると大変だった。これを使うと罠が作動した時だけの確認で済むので、楽になった」と話す。同製品は親機と子機から成る。親機は携帯電話の電波が届く場所に設置する必要があるが、子機は親機から数キロ以内なら同電波が通じない山間部にも設置できる。親機と子機の通信には同電波の範囲外でも遠距離通信が可能な通信方法(LPWA)を使うためだ。カメラを付ければ罠が作動した時の写真を撮影してメールに添付もできる。省力で動く点も特長で、単三乾電池4本で親機は約5カ月、子機は約10カ月作動する。

(害獣忌避装置を拡販、不快音で追い払う:愛知)
中部SG販売(本社東海市名和町北三宅山34の5、加古利雄代表、電話052・604・7565)は、音で害獣を追い払う害獣忌避装置を拡販する。今年から事業を本格展開しており、すでに100台近くを納入した。今後は農業をはじめ工場・倉庫、鉄道・道路関連、リゾート施設、ゴルフ場などを対象に、新規受注の獲得を目指す。

(坂網猟を違法な銃猟から守る:石川)
夕暮れ時、カモの群れが頭上をかすめる一瞬を狙い、Y字形の網を放り投げる-。加賀市の片野鴨池周辺で、大聖寺藩の藩政期から脈々と続く「坂網猟(さかあみりょう)」。人と自然のほどよい関係の上に成り立つ伝統猟法は、終戦後まもなく、連合国軍の米司令官らが放った銃声によって存続が脅かされた。坂網猟師のまとめ役だった村田安太郎は、連合国軍総司令部(GHQ)に銃猟禁止を直訴し、鴨池と坂網猟を守り抜いた。「私らには神様みたいな人」。片野鴨池のほとりに立つ番小屋で、大聖寺捕鴨(ほこう)猟区協同組合前理事長で現役猟師の浜坂加寿夫(70)は畏敬の念を込めて語る。安太郎と銃猟事件を巡る物語は先輩猟師から若手へ語り継がれてきた。関係者の高齢化で事実が風化することを危ぶんだ地元関係者が調査に乗り出し、二〇〇八年出版の書籍「片野鴨池と村田安太郎」(市片野鴨池坂網猟保存会)で初めて全貌が明らかになった。数万羽の冬鳥が水面を埋め尽くす片野鴨池を、最初に銃声が襲ったのは一九四七年秋~翌四八年春の猟期だったとみられる。福井に駐屯する米軍人だった。四八年十二月には米第八軍第一軍団司令官のスイング少将、さらに翌四九年一月と二月には米第八軍司令官のウォーカー中将が銃猟に訪れ、勝手気ままにカモやガンを撃ち落とした。銃声におびえ、鴨池のカモは激減した。憤った安太郎は四九年一月から、GHQのマッカーサー最高司令官宛てに手紙を出すなど窮状を再三訴えた。同十月には東京のGHQ天然資源局に一人で乗り込み、野生生物課長だった鳥類学者のオースチン博士に銃猟禁止区域での違法な行為をやめさせるよう直談判した。「銃猟は鴨池にとって致命的」「われわれは三百年以上続いた歴史的な鴨池を失う」。近年の調査で発見された国立国会図書館蔵のGHQ文書には、安太郎の切実な訴えが記録されている。上京前には「今生の別れになるかもしれない」と家族や猟師仲間と水杯を交わした。決死の訴えはGHQ内部を動かし、少なくとも五〇~五一年の猟期以降、片野鴨池で銃猟が行われることはなくなった。「福井地震で揺れた時も火鉢の前にじっと座っていた」。孫の佳栄子(84)はもの静かで動じない、でも優しかった祖父の姿が記憶にある。坂網猟保存会長の現代美術家中村元風(がんぷう)(64)は安太郎が昭和初期の大火の際、自分の家より、貴重な書画や骨董(こっとう)を納めた隣家の土蔵を守るよう指示したエピソードに触れ、力を込める。「郷土の宝への歴史的、文化的な価値の理解、そして勇気。この二つがないと、なし得なかった。先人が命懸けで守った坂網猟を、何とかして残したい」

(鳥獣被害対策の応援アプリの提供を開始:東京)
株式会社WorkVision(東京都、ワークビジョン)は、鳥獣被害の対策応援アプリ「.Wanna!(ドットワナ)」の体験版の提供を11月18日に開始した。正式版は2020年秋に発表予定。近年、猪やシカなどの鳥獣に農地や家畜が荒らされる被害が多発していて、新潟県でも鳥獣対策は喫緊の課題となっている。ただ、鳥獣被害は農業従事者や畜産業者にとっては深刻な問題である一方、都市部では認知度が低いのが現状。そこで、都市部での認知度を高めることで、被害対策への支援の輪を広げようと、このアプリを開発した。プレイヤー(応援者)はアプリ内で、地域に設置されている鳥獣捕獲用の罠と連動した仮想的な「ワナ」を購入する。実際に地域での捕獲が成功するとポイントを獲得。そのポイントを貯めると地域の特産品と交換することができるという。ワナは別の地域につけかえることも可能で、有効期間内であれば何匹でも捕獲できる。(※体験版では、アプリ内通貨の追加購入および景品交換は行えない。開始時にワナの購入資金として1000タギー(アプリ内通貨)が払い出される。モニターアンケートでAmazonギフト券が貰える。)アプリ内の収益は、自治体を通して農業従事者や畜産業者に還元し、罠の設置や維持などの被害対策費用として活用してもらうという。なお、鳥獣被害の対策地域応援アプリ「.Wanna!(ドットワナ)」は、11月20日から東京ビッグサイトで開催される、「第2回鳥獣対策・ジビエ利活用展」に出展する。ワークビジョンのブースはG3-07。

(ジビエ利用量16%増、捕獲数増加)
野生鳥獣害の肉(ジビエ)の利用量が2018年度は1887トンとなり、前年度から16%(258トン)増えたことが農水省の調査で分かった。飲食店でのジビエ人気の高まりが追い風となった。一方、イノシシと鹿の捕獲頭数に対する利用率は9%台にとどまり、一層の販路拡大が不可欠。同省はペットフードへの利用も促す。豚コレラ(CSF)に感染したイノシシが見つかった地域での対策も課題となる。調査は3回目。利用量全体のうち、飲食店などで食肉として利用された量は1400トンで、全体の7割超を占める。このうちイノシシは426トン(32%増)、鹿は957トン(18%増)だった。同省は「ジビエの人気が高まっている。特にイノシシは豚肉に近いことが受けて、広まり始めている」(鳥獣対策・農村環境課)とみる。ただ、捕獲頭数に比べると、利用にはまだ余地がある。18年度のイノシシと鹿の捕獲頭数は114万4100頭(速報値)。一方、イノシシと鹿の処理数は10万8736頭(18%増)と伸びているが、利用率換算では9%台にとどまる。政府は、19年度にジビエ利用量を約2600トンに増やす目標を掲げており、達成に向け、食肉だけでなくペットフードとしての利用拡大にも力を入れる。だが、18年度のペットフードへの利用量は374トンで、前年度とほぼ同じ。食肉利用と比べて、販路が確立されていないのが実態だ。同省は地方農政局から情報を集め、各地の処理加工施設を訪問するキャラバンを開始した。ペットフードへの利用拡大に向けて、活用できる補助事業を紹介するなどして、取り組みを促している。豚コレラもジビエの利用拡大の障壁となる。感染した野生イノシシが見つかった地域では、ウイルス拡散を防ぐため、同省は発見現場から半径10キロ以内で狩猟したイノシシの流通自粛を要請。問題なく流通ができるようになるめどは立っていない。

(二階氏、ジビエ施設視察:和歌山)
自民党の二階俊博幹事長は17日、イノシシやシカなど野生鳥獣肉(ジビエ)を食材として生かす取り組みを広げようと、和歌山県田辺市に昨年開設されたジビエの加工施設を視察した。全国農業協同組合中央会(JA全中)の中家徹会長も同行した。二階氏は記者団に「ジビエは立派な資源だ。積極的に活用し、農作物の鳥獣被害をチャンスに変えるべきだ」と語った。加工施設では、捕獲されたばかりのイノシシを解体する様子を見学。鹿肉を使ったメンチカツなどジビエ料理も味わった。

(ロッテリアがジビエバーガー)
ロッテリアでは「ジビエ鹿肉バーガー(ラグーソース)」が限定販売されます。スパイスをたっぷりきかせたソースで鹿肉のうまみを引き出す味つけになっています。価格は単品で720円(税別)。11月29日を「イイニクの日」として全国123店舗で取り扱いが始まり、「年に一度のご褒美バーガー」として堪能できるとか。これに先立ち22日より東京、名古屋、大阪の6店舗でも先行販売されます。主たる具材には、牛肉や豚肉に比べて高タンパク、低カロリーで鉄分豊富といわれている鹿肉が全体の6割に使われ、さらにパン粉やナツメグなどの香辛料が加えられ、より本格的に鹿肉の風味とうまみを味わえるハンバーグパティにしあげられています。さらに味の決め手となるソースには、鹿肉の旨味を引き出すガラムマサラや数種類のスパイスを加えた鹿肉ラグーソースが採用され、レタス、トマト、オニオンとともにバンズで挟まれています。ロッテリアでは、まず2016年に北海道産ジビエ「エゾ鹿」が使われた「エゾ鹿バーガー」が、また2019年1月にも大分県、熊本県産の鹿肉が使われた「ジビエ鹿肉バーガー(BBQ&チーズソース)」が期間限定されています。新たに登場するジビエ鹿肉バーガー(ラグーソース)は、農林水産省制定「国産ジビエ認証」基準を満たす長野県の工場で処理された鹿肉が使われるとのことです。

(ジビエ利活用展とサミット:東京)
全国の野生鳥獣の肉(ジビエ)振興の先進事例や消費の動きなどを共有する第6回日本ジビエサミットが20日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開幕した。利用拡大に向け、鳥獣害対策の延長だけでなく、食材としての魅力を高めるために関係者が連携することの重要性が示された。22日まで。日本ジビエ振興協会の主催。都内での開催は初めて。協賛したJA全中の中家徹会長は「ジビエを普及させることは、地方や農業の振興にも大きな役割を果たす」と期待を寄せた。会場では、野生鳥獣の捕獲、運搬、処理からジビエとしての利用まで、最新の技術や道具が展示され、情報交流、商談が行われた。セミナーでは、食肉と豚コレラ(CSF)の安全性について講演を行った。会場では、情報通信技術(ICT)を活用し、イノシシや鹿を捕獲するわなの見回り作業を軽減する装置が目立った。わなの作動をセンサーで感知し、狩猟者にメールで知らせる仕組み。これまでの製品は、わなに設置するセンサー(子機)と電波を集約して飛ばす親機の設置が必要だったが、アンテナメーカーのマスプロ電工は、子機だけで稼働するシステム「ワナの番人」を展示。導入にかかる総経費を割安に設定したこともあって、来場者の評判を呼んでいた。捕獲した野生鳥獣の処理を効率化する機器も注目を集めた。フロンティアインターナショナルの「バイオベーター」は、残さを堆肥化するコンパクトなドラム式処理機。エー・ワンの小型焼却炉「クリーンファイア」は骨まで灰にできるのが特徴だ。講演では、麻布大学の押田敏雄名誉教授がジビエと豚コレラの関連について解説した。「豚コレラの発生によりイノシシの食肉利用を控える店が出ているが、豚コレラに感染したイノシシを人が食べても人体に影響ないことを、もっと周知する必要がある」と指摘。また、豚コレラの感染リスクを高めない狩猟方法についても紹介した。現場で解体しない、ブルーシートに包んで運搬、残さの正しい処理などのポイントを挙げていた。

(ジビエ処理加工施設開業:山口)
ジビエ処理加工施設「西日本ジビエファーム」(山陽小野田市大字山川字鋳物師屋、TEL090-6434-2055)が11月1日、山陽小野田・厚狭の山あいにオープンした。施設まで約30分圏内のエリア(山陽小野田と宇部・美祢・下関の一部)で捕獲されたシカやイノシシ、カモなどを受け入れ、冷凍コンテナに設けた加工室と梱包室で鮮度や温度管理などにこだわって処理・加工する。真空包装したジビエ肉の直売価格はイノシシやシカが500グラム1,750円。代表の仲村真哉さん(44)は厚狭出身。23歳の時に難病のクローン病を発症し、病態が悪化した10年ほど前にUターン。脂肪分の摂取を抑えなければならない病と付き合う中で、低脂肪で鉄分が多いシカ肉に着目し、5年前に狩猟を題材にした物語を読んだこともきっかけとなり2016(平成28)年8月に狩猟免許を取得した。以来、「山陽地区猟友会」の一員として活動する仲村さん。「野生獣による農作物被害が増えていて、駆除を目的に活動する猟師は多い。捕獲した野生獣を処分するのではなく、食肉として流通させられれば猟師のやりがいになるはず」と必要性を感じて施設の開設を決意。食肉処理業と食肉販売業の許可を得て、開業にこぎ着けた。プレオープンとして8月から駆除された野生獣の受け入れを始めたところ、「暑い夏場は温度管理が難しいので、自分で解体するのが困難な猟師に喜ばれた」という。10月末にはオンラインショップを開設し、ニホンジカとイノシシの狩猟が解禁となる11月1日に本格稼働した。「冬はジビエ肉に脂がのる。ジビエを扱う飲食店の商品購入が増えるのでは」と期待する。仲村さんは今秋から県内のイベントに出店し、ジビエの普及活動にも取り組んでいる。「シカ肉を食べ始めて体調が良い状態が続いている。ジビエ肉は『臭みがあるのでは』と懸念されるが、しっかりと処理すればおいしい。一般家庭で安心して食べられるジビエ肉の流通を目指して頑張りたい」と意気込む。

(大学生、ジビエ居酒屋開店:長野)
信州大農学部(南箕輪村)3年で伊那市西箕輪の福田渓樹(けいじゅ)さん(21)が13日夜、同市荒井で毎週水曜のみ営業する「ジビエ居酒屋きくちゃん」を開店した。わな猟で鹿などを捕獲し、ジビエ(野生鳥獣肉)料理を提供する民宿で1年近く修業してきた。本格的な料理店開店という目標に向け、一歩を踏み出した。ジビエ料理はローズマリーなどで香り付けした「鹿のハーブロースト」、クルミ入りタルタルソースで食べる「鹿カツ」など「ずっと作ってきた自信のある」品々だ。パスタや水ギョーザ、鶏の唐揚げに、お酒も並べる。同学部3年の奥田百音(もね)さん(20)=南箕輪村=が一部の木皿を作り、店を手伝う。店名は福田さんのあだ名にちなんだ。新潟県妙高市で小学3年まで過ごした福田さんにとって山は遊び場だった。信大入学後、1年生の時にわな猟の免許を取得。料理が趣味で、ジビエ料理を友人に振る舞ってきた。ジビエ料理を提供する伊那市長谷の民宿「ざんざ亭」で、今年1月から調理補助などのアルバイトをして腕を磨いてきた。8月末、上伊那地方の飲食店主や山岳関係者でつくる一般社団法人「アスタルプロジェクト」が、JR伊那市駅近くの商店街の空き店舗を改装し、飲食業に挑戦する人を募っていると知り、開店を決めた。福田さんは「多くの人に山の恵みを伝えられる店にしたい」と話している。

(イノシシの丸焼きにびっくり:宮崎)
宮崎県綾町の主な祭りに登場するイノシシの丸焼きが、町民や町外からの来訪者をびっくりさせ、名物となっている。地元猟友会が炭火で焼いた丸焼きを取り分け、無料で振る舞う。猟友会の心を込めたおもてなしに、町への新規移住者が感動し、高齢化で人手不足に悩む猟友会の活動に関心を持つなど、移住者への町の魅力アピールに一役買っている。11月10日に開催された綾有機農業まつりでは、9月に捕獲し冷凍保存していた約40キロのイノシシを、毛を抜くなどの丁寧な処理をした上で丸焼きに。取り分けられた焼きたてのイノシシ肉は、やや硬さはあるものの、かむたびに濃厚な味が染み出て、祭り参加者らは喜んで頬張っていた。

(地元シェフが小学生にジビエ授業:和歌山)
和歌山県白浜町中の南白浜小学校6年生9人は8日、田辺市上芳養在住のフランス料理シェフ、更井亮介さん(29)から野生動物の肉「ジビエ」についての出前授業を受け、調理実習でジビエ料理を教わった。児童は作った料理を昼食として味わった。西牟婁振興局農業水産振興課主催。同課と更井さんが子どもたちがジビエに親しみを持ち、食のありがたみを感じてほしいと、昨年度から始めた。更井さんはジビエ活用などに取り組む、上芳養の農家でつくる会社「日向屋」に料理責任者として参加している。出前授業で、更井さんは野生のシカやイノシシの生態、農家が獣害で困っていることを説明。動物に荒らされないようにわなを仕掛けて上芳養地域の畑を守っている日向屋の活動を紹介した。食事をするときは料理を作ってくれた人や食材の命に感謝の気持ちを持とうと話した。調理実習では、更井さんに教わりながら、シカ肉を使った焼きそばを作った。昼食は焼きそば、イノシシ肉と地元農家からもらった米を使ったそぼろ丼、全校児童で作ったサツマイモ入りのみそ汁が並び、児童や更井さん、教員らで味わった。五十嵐悠香さん(11)は「自分たちで作った料理はおいしかった。授業では野生のシカやイノシシの現状を知った」、古川永和さん(12)は「普段食べている肉と変わらず食べられた」と話した。11日には、白浜町の日置小学校で6年生を対象に同様の出前授業と調理実習が開かれる。

(ジビエフェスタ、64店が参加:和歌山)
イノシシやシカといった野生鳥獣肉を使った「ジビエ料理」を楽しんでもらおうと、県は「わかやまジビエフェスタ」というイベントを12月に始める。県内の飲食店など64店で、県内で捕れた肉の料理が提供される。来年2月29日まで。肉の消費を通して農作物などへの鳥獣被害を減らすことや、ジビエ料理への関心を高めることを目的に2011年度に始まったフェスタで、今年で9回目。フェスタに参加する各店では、ぼたん鍋やシカ肉のロースト、パイ包みなど工夫を凝らした料理が提供される。参加店でジビエ料理を食べた人は応募はがきがもらえ、抽選で20人に5千円相当のジビエ詰め合わせがプレゼントされる。県畜産課の担当者は「ジビエ料理を食べたことがない人はぜひ一度食べてほしい。食べたことがある人はいろいろな料理に挑戦してほしい」と話している。

(猪の肉団子、チャーシュー:石川)
新川地区獣肉生産組合はイノシシ肉の販路拡大を目指し、ハムに続く新たな加工品として肉団子とチャーシューの生産を始めた。9日に黒部市三日市商店街で開かれる「くろべ食堂」で肉団子入りスープを販売する。組合では加工施設が2月に完成し、「にいかわジビエ」としてイノシシ肉の販売を本格的に始める一方、家庭でも手軽に食べることができる商品開発を進めていた。いずれも税込みで10個入り300円、50~60個入り1700円、チャーシューは1グラム8円で300~400グラムで販売する。くろべ食堂では、野菜などを入れた肉団子スープを1杯400円で提供する。

(三笠高、エゾシカ肉で同点優勝:北海道)
全国各地の高校生が地元と島根の食材を組み合わせた料理やレシピを競う「第4回食の縁結び甲子園」が9日、松江市で開かれ、三笠高と島根県立出雲農林高が同点で優勝した。各地の予選大会などを勝ち抜いた8都道府県10校が参加。「地域を元気にする!“縁結びどんぶり~一汁・デザート付き~”」をテーマに、島根県特産品である「こめ卵」、シジミ、キノコを使用したレシピで挑んだ。過去2回の優勝経験を持つ三笠高は、北海道のエゾシカ肉のおいしさを全国に広められるようにとレシピを考案。チームの清水響さん(18)は「優勝できたのはうれしいけれど、単独でないので悔しさは残る」と話した。

(高校生、ジビエ創作料理競う:大分)
「第3回高校生ひたジビエレシピグランプリ」が16日、日田市の昭和学園高であった。同校調理科の8チームがエントリーし、市内で捕獲、処理されたイノシシ肉とシカ肉を使った創作料理に挑戦した。今回の課題はカレーかハヤシライス。各チームは、肉をやわらかくするため日田梨に漬け込んだり、余分な脂や臭みを落とすために湯引きしたりした。団子汁から発想した「梨団子カレー」や野菜をふんだんに使った「彩りピラフ」、「カレー鍋」など柔軟な発想で、趣向を凝らした料理が出来上がった。学校給食の栄養士や料理研究家らが審査した結果、「日田のおいしさをぎゅっと煮込んだ鳳(おおとり)のハヤシライス」が頂点に輝いた。シカ肉を軽く焼いてから煮込むなどの処理方法や、家庭でも簡単に調理できるレシピが評価された。リーダーの江藤舞茄(まな)さん(18)=3年=は「シイタケや日田梨などの地元特産品も使った。果物でジビエのうまみを引き出し、小学生でも食べられるよう甘くした。3度目の挑戦でグランプリになれてうれしい」と喜んだ。グランプリのレシピは本年度、市ホームページに公開し、市内の小中学校の給食で使われる予定。獣肉の消費拡大などを目的に市ジビエ推進協議会が2017年度から開いている。市獣肉処理施設(上津江町)では18年度、イノシシとシカ計約150頭を食肉に処理し、計約2600キロを出荷。市内の道の駅などで販売している。

(ジビエ、安心して食べて:石川)
小松商工会議所や小松市などでつくる「こまつ地美絵(じびえ)実行委員会」は十二日、イノシシ肉を使ったジビエ料理の勉強会を同市上小松町のJA小松市本店で昨年に続いて開いた。豚コレラが問題になる中で、ジビエの普及や安全性をPRするため開催。担当者は「イノシシ肉は安全に食べられる。風評被害の防止につながれば」と話している。感染イノシシの発見場所から半径十キロ圏内で捕獲したイノシシは、県が利用を自粛するよう求めている。これまで小松市では二頭が見つかっており、勉強会では圏外のイノシシを使用。JA小松市女性部の十四人が参加した。金沢市のフランス料理店の元オーナーシェフ點田(てんだ)賢司さん(69)が講師を務め、イノシシ肉のドライカレー作りを指導した。仮に人が豚コレラに感染したイノシシ肉を食べても影響はなく、點田さんは「私たちが食べて危険な食材ではない。安心して使ってほしい」と呼び掛けた。イノシシ肉は丁寧な加熱が必要だが、特別な処理は必要ないという。點田さんは「内部温度七五度で一分以上の加熱を」などと注意点を紹介。小松市江指町の獣肉処理加工施設「ジビエ アトリエ 加賀の国」が試作したチャーシューも振る舞われ、参加者たちはカレーと一緒においしく味わった。実行委は、市内の飲食店がジビエ料理を提供する恒例の「こまつ地美絵 食の祭典」を来年二月に予定通り開く。担当者は「次が七回目になり、小松で定着してきたイベント。九谷焼の器に盛り付けるなどのコラボもある」と例年通りの開催をPRしている。小松市江指町に六月完成した北陸最大の獣肉処理加工施設「ジビエ アトリエ 加賀の国」は、まだ出荷の見通しが立っていない。南加賀の大半が感染イノシシの発見場所から十キロ圏内に含まれるためで、現在は試作品の開発にとどまっている。加賀の国は小松、能美、加賀、川北の四市町と猟友会などでつくる「南加賀ジビエコンソーシアム」が運営。四市町内で捕獲したイノシシの解体から加工までを手掛け、年間約千頭を処理できる。

(ジビエそばなど登場:富山)
黒部市役所内食堂に十一日、新メニューのジビエ(野生鳥獣肉)そば、うどん、小鉢が登場した。NPO法人新川地区獣肉生産組合が食肉処理したイノシシ肉の消費拡大を図ろうと、食堂を運営する社会福祉法人くろべ工房が肉団子として使った。肉団子はイノシシのばら肉に鶏肉を混ぜ、タマネギ、大豆由来の粉末たんぱくを加えて、ショウガ味に仕上げた。うどん、そば、小鉢にそれぞれ三個ずつ入っている。食堂は職員以外も利用可で営業時間は午前十一時~午後二時。そば、うどんは四百五十円、小鉢は百円で販売する。

(県庁食堂のジビエ発信:高知)
高知県は18~22日、県庁本庁舎の食堂でシカ肉を使ったカレーライスを販売する。15日から鳥獣狩猟が解禁されるのに合わせたジビエ(野生鳥獣肉)の消費拡大の一環。税込み価格700円で1日20食提供する。県庁食堂でジビエのメニューを出すのは2018年の同時期以来、2回目。「県庁食堂の薬膳シカカレー」と題して提供。高知産の骨付きシカ肉と県産ショウガを使用。数種類のスパイスとハーブを加え体の温まるカレーに仕上げたという。18年は「高知家の鹿ダブル丼」を1日20食で合計100食販売したが、午前11時30分の開店前から長蛇の列ができた。県は早めの来店を呼びかけている。

(「ジビエ」を料理に有効活用:兵庫)
食材としての野生鳥獣「ジビエ」の魅力を広め、地産地消につなげようと、神戸市北区のあいな里山公園でイベント「里山deスペシャルジビエの集い」が開かれた。中学生から中高年まで24人が参加。県内で捕獲されたシカやイノシシの肉料理を味わい、ジビエの活用について知識を深めた。同公園は今夏から、里山の生き物と人との共存のあり方を探るプログラムを展開している。県によると、野生鳥獣が田畑などを荒らす農林業被害額5億200万円(2017年度)のうち、7割をシカとイノシシが占める。捕獲後に廃棄されるケースも多いが、シカは高たんぱく、低脂肪で鉄分豊富なため、食用など有効活用に向けた取り組みが各地で進んでいる。

(ジビエに合う日本酒できた:石川)
能登町宇出津の老舗酒蔵「数馬酒造」が、イノシシやシカ肉といったジビエと合わせて楽しむ日本酒「竹葉gibier(ちくはジビエ)純米」を、狩猟解禁日に合わせて十五日、千本限定で発売する。全国の女性狩猟者らでつくる「狩女(かりじょ)の会」(穴水町)と共同開発した。同会を主宰する同町の福岡富士子さんは「ジビエを食べたことがない人にも魅力に触れるきっかけになれば」と期待する。奥能登各地で捕獲頭数が増加するイノシシやシカを、地域資源と捉えておいしく食べることで活用する取り組みを促そうと企画。この夏から、県内のイタリア料理店シェフらも交えたジビエの試食や試飲会を重ねて開発した。能登の自然で育った脂肪が少なく滋味深いジビエの風味を受け止めるような、米のうまみが広がる奥行きのある味わいが特徴という。能登産の酒米「五百万石」のみを使用し、水とこうじと米だけを使って酵母を純粋培養する伝統製法「山廃(やまはい)仕込み」で仕上げた。「ジビエの鍋料理をはじめ和食はもちろん、ソーセージや薫製といった洋食にもぴったり」と福岡さん。ボトルのラベルには「gibier」の文字でかたどったシカのイラストをあしらった。

(ジビエ料理で誘客、パンフ作成:長野)
諏訪地域振興局は、ジビエ料理を中心に諏訪地方を発信するパンフレットを作成した。ジビエ料理を提供する15店、地元の酒蔵9蔵、高原野菜の直売所30店を紹介している。地元の料理店や都内にある県の情報発信拠点「銀座NAGANO」、首都圏の駅に出店するJR東日本グループの飲食店などを通じて配布し、諏訪地方への誘客につなげる。表紙には諏訪湖を囲む夜景の写真を使い、パンフレットのタイトルを「SUWA STYLE(スワ スタイル)~諏訪とジビエのおいしい関係~」とした。日本ジビエ振興協会代表理事でフランス料理店「オーベルジュ・エスポワール」のオーナーシェフ、藤木徳彦さんがジビエの魅力を紹介し、日本酒や高原野菜との関係、諏訪大社の「鹿食免(かじきめん)」など諏訪地方の文化とジビエ料理の結び付きなども伝えている。料理店のページはジビエ料理、店の外観、内観と共に料理に使用している地元野菜や取り扱っている地酒の種類を盛り込んだ。作製は編集業務の委託先を公募型プロポーザル(企画提案)方式で選んだ第一企画(長野市)が担当した。A5判32ページ、オールカラーで5000部作った。地域振興局の裁量で執行できる「地域振興推進費」を活用した。製作費は約85万円。ジビエ料理の振興に向け同局林務課は2月にコンテストを諏訪市内で開催した。パンフレット掲載店はコンテストに参加した店が中心。同課の石澤啓二課長は「台風19号などの影響で県内の観光は大きな打撃を受けているが、諏訪地方は幸いにも大きな被害はない。ジビエを通じ、諏訪地方はもちろん県全体の観光を少しでも盛り上げられたらと思う。諏訪のジビエは『ひと味違う』といったイメージで売り出したい」と話していた。

(イノシシ料理の魅力発信:静岡)
イノシシを「ジビエ」(野生動物の肉を意味するフランス語)として食べる魅力を伝える「学びのジビエ」が17日、浜松市中区で開かれた。環境教育などに取り組むNPO法人ルーツジャパン(浜松市)によるイベントで、参加したジビエ好きの市民や狩猟愛好者ら約30人はイノシシ料理のおいしさを実感していた。菊川市の西欧料理店オーナーシェフ山口祐之まさゆきさんは、イノシシ肉のクリーム煮やローストなどを披露した。食べた参加者は、「驚くほど軟らかい」などと感想を言い合っていた。山口さんはイノシシ肉について、「臭いという人がいるが、きちんと処理すればクセがなく、ソーセージなどの加工品にも向く。おいしいからこそ食べてほしい」と解説した。狩猟専門誌「けもの道」編集長の佐茂さも規彦さんは、国がイノシシなどの野生鳥獣を衛生的に処理する指針をまとめていることを挙げ、「信頼できる店で食べるのが安心だ」と指摘した。イノシシによる農林産物被害は深刻化しており、浜松市だけで2017年度の被害額は2160万円に上る。国はイノシシの捕獲を進めるとともに、ジビエとして有効活用する取り組みを進めている。県内では家畜伝染病「CSF(豚とんコレラ)」に感染した野生イノシシが相次いで見つかっている。ただ、CSFに感染したイノシシを食べても人体に影響はない。現時点では県内で風評被害は目立っておらず、山口さんらはジビエの魅力を発信し続ける考えだ。

(「第4回ジビエ料理コンテスト」の結果について)
ジビエの普及啓発等に取り組む農林水産省の「鳥獣利活用推進支援事業」の一環として開催した「第4回ジビエ料理コンテスト」において、農林水産大臣賞等の受賞者が決定しましたのでお知らせします。農村地域で深刻な被害をもたらす有害鳥獣の捕獲数が増加傾向にある中で、これを地域資源としてとらえ、野生鳥獣肉(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっています。このような状況の中で、農林水産省では、平成28年度からジビエの普及啓発や調査実証等に取り組む「鳥獣利活用推進支援事業」において、ジビエの全国的な需要拡大を推進しています。本コンテストは、この一環として事業実施主体である「一般社団法人日本ジビエ振興協会」が取り組むもので、選定・表彰された料理レシピを広く紹介・提供することで、消費者等への普及啓発を図り、ジビエの全国的な需要拡大や鳥獣利活用の推進を図るものです。第4回となる今回は84点の応募があり、書類審査及び実食審査の結果、農林水産大臣賞、農林水産省農村振興局長賞、一般社団法人大日本猟友会長賞、一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事賞の受賞者が決定し、本日(11月20日(水曜日))、「第6回日本ジビエサミットin東京」において表彰を行いました。【農林水産大臣賞】「棒棒鹿(バンバンロク)」平岡祐子氏(ヒラオカユウコ)[シカ肉料理教室&発酵ワークショップぽけっと(大阪府枚方市)]【農林水産省農村振興局長賞】「クミンみそ風味のイノシシ丼たっぷり野菜とともに」澤田康一氏(サワダコウイチ)[カフェこっとんぼーる(千葉県長生郡長南町)]【一般社団法人大日本猟友会長賞】「猪のがんもと治部煮の炊合せ」山本剣氏(ヤマモトケン)[隠れ屋敷典膳(千葉県南房総市)]【一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事賞】「巣立ちの鹿ドッグ」森松晶子氏(モリマツショウコ)[NHK徳島放送局(徳島県徳島市)]

(天城路で“しし鍋”:静岡)
河津町の観光名所で観光客らにイノシシの肉と野菜がたっぷり入ったしし鍋がふるまわれました。「滝まつり」と呼ばれるこの催しは、これから紅葉が見頃になる天城路をPRしようと、地元の観光協会が毎年この時期に開いています。河津川上流にあるカニ滝の広場には、直径80センチの2つの大きな鍋でしし鍋が用意されました。鍋には、およそ30キロのイノシシの肉や白菜、大根などの野菜もたっぷり入り、みそで味付けされていて、観光客に1杯100円でふるまわれました。また、アマゴの塩焼きやワサビをのせた焼き餅も用意され、観光客らが味わっていました。女性客の1人は、白い湯気を上げるしし鍋を食べて、「おいしいです。ダシがよく出ています」と話していました。天城山の紅葉は11月末から見頃になるということです。

(大学生男女3人、ジビエで起業へ:京都)
龍谷大の学生3人が、獣害をもたらすシカやイノシシをジビエ(野生鳥獣肉)として加工・流通させる会社を京都府笠置町で立ち上げる。獣害を受ける人の怒りと、粗末に扱われる野生動物の命。二つの課題を解決するために起業を決意した。ジビエ生産者に弟子入りして解体・加工する技術を習得。イスラム教徒の戒律に従った「ハラル」認証も取得予定で、3人は「命を無駄にせず、次の命へとつないでいきたい」と大きな志を抱く。同大学政策学部4年の笠井大輝さん(22)、江口和さん(22)、山本海都さん(22)。ゼミで実践的に地域課題を学び、「アクションを起こさなければ何も変えられない」と就職ではなく、起業の道を選んだ。特に印象に残ったのが獣害。府北部で有害鳥獣の埋設場所を訪れると、捕獲・処分された大量のシカやイノシシが無残に捨てられていた。「こんなことがあっていいのか」と衝撃を受けた。一方、被害を受けた住民には動物への怒りが渦巻いていた。至った結論は「命を無駄にしない」。駆除された動物をジビエとして生かす会社を起こそうと決めた。3人は5月、徳島県のジビエ生産者へ弟子入りを志願。1カ月半、住み込みで家事や農作業を手伝いながら解体や加工を学んだ。食肉に臭みを残さないよう素早く血を抜くため、心臓が動いている状態でとどめを刺す。「最初は手が震えたり、涙が出たりした」。でも、山積みで廃棄された動物が目に浮かんだ。「自分たちがやらなければ、あんな風に処分される」。覚悟は決まった。その後、笠置町と関わりのある同大学や京都信用金庫を通じて同町と縁ができた。府北部に比べれば獣害は少ないものの、家庭菜園を荒らされるなど統計には計上されない被害も多いことから、起業の地に選んだ。10月から町のお試し住宅に移り住み、共同生活を送りながら起業の準備を進めている。今月中にも会社を設立し、町内に加工場を建てて来年1月下旬の操業開始を目指す。町内の捕獲数だけで採算が合うかといった課題もある。すでに狩猟免許を取得した3人は、わな猟に乗り出すほか、町の猟友会とも連携を図る。シカ肉でハラル認証を取得し、多彩な調理法を知るイスラム教徒向けに、さまざまな部位を流通させたいと考える。「限りある資源を循環させる社会にしたい」。3人は確かな未来を見据えて走りだす。

(ジビエ人気も捕獲数のうち9割廃棄の現実、ブームの影で何が起きているのか)
最近、飲食店やメディアなどで「ジビエ」を見聞きする機会が増えているのではないだろうか。シカやイノシシなどの野生鳥獣肉。「臭みが強い」といったイメージがつきまといがちだが、調理次第でおいしく食べられ、しかもヘルシーな食材として話題だ。なぜ今、ジビエなのか。苦難の歴史と、人気の理由を探る。「大きな穴の中に、シカの死骸がたくさん埋まっていました。見るに堪えない、無残な光景でしたよ」一般社団法人日本ジビエ振興協会(以下、ジビエ振興協会)の代表理事・藤木徳彦さんにとって、あのときの光景が今も目にこびりついて離れない。シェフとしてレストランを経営する傍ら、20年近くジビエの普及に奔走してきた。走り続ける原点は、そこにある。約20年前、自身のレストランで使うシカ肉を調達するため、ある猟師のもとを訪ねたときのことだった。待っていたのは、大量のシカの死骸。「命をこんなに粗末に扱っていいのか。ショックでしたね。命あるものを生かして、無駄なくいただく。おいしく調理できれば、愛される食材になる。そんな料理人としての思いが、この活動の原動力です」「野生の旨みを、噛み締めろ」。ジェイアール東日本フードビジネスサービスが首都圏の駅ナカを中心に展開しているファストフードチェーン「ベッカーズ」で10月1日、期間限定商品「別格信州ジビエザ★鹿肉バーガー」が発売された。鳥獣被害対策で捕獲・処理された長野県産のシカ肉を使用。ベッカーズが同県産のシカ肉を使ったジビエバーガーを販売するのは、今年で7年目となる。シリーズ累計約10万食を売り上げる人気商品だ。そもそも、ジビエとは何か。シカやイノシシなどの野生鳥獣の食肉を意味するフランス語で、フランスをはじめヨーロッパでは高級食材として親しまれてきた。一方、日本では長く猟師やその家族、近隣住民などの家庭食として使われてきた。レストランや飲食店などで提供されるケースは稀で、多くは埋設、焼却処分されてきた歴史がある。それがここにきて、なぜ注目されるようになったのか。それは、ジビエが地域活性化の起爆剤になると期待されているからだ。今、全国各地で野生鳥獣による被害が深刻化している。狩猟者の高齢化と減少が止まらず、野生鳥獣の生息数は各地で増加。農作物を食べたり、田畑を荒らしたりと甚大な農業被害をもたらしているのだ。農林水産省の調査によると、農作物被害額は164億円(2017年度)に上る。直接的な被害だけではない。それによって農家の営農意欲が低下し、離農、さらには耕作放棄地の増加に拍車をかけかねない。そこで野生鳥獣の捕獲を強化し、さらに食肉として有効活用することで、新たなビジネスや雇用につなげようという動きが生まれた。各地の行政や飲食店関係者らが動き出し、国も法整備などに乗り出した。外食チェーンや飲食店も、新たな食材として高タンパク・低カロリーなジビエに目を光らせている。厄介モノから、地域資源へ。ジビエは今、こうして生まれ変わる最中にある。ただ、ここまでたどり着くまでには長く険しい道のりがあった。「食肉として扱うためのルールがなかったんです」。そう話すのは、ジビエ振興協会の藤木さんだ。東京都出身で、1998年に長野県茅野市にレストラン兼宿泊施設「オーベルジュ・エスポワール」を開業した藤木さん。地元産の食材を使った料理にこだわる中で、シカ肉の存在を知った。これをレストランで提供し、さらに「信州ジビエ」として地域のブランドにしようと思いついたという。2004年、まずは近隣の飲食店関係者を招いてジビエ料理の勉強会を開催することにした。しかし、予期せぬ事態に直面する。保健所からストップがかかったのだ。「野生鳥獣の肉をメニューに入れるのは『けしからん』と言われたんです。当時は、食肉として扱うための衛生管理の基準がなくて。食べちゃいけない基準もなければ、食べていい基準もない。だから、保健所としては許可できないというわけです。これだけ鳥獣被害が深刻なのに、県はもちろん、国も基準を設定していませんでした」(藤木さん)そこから、藤木さんは県とともに野生鳥獣を食肉として利用するためのルールづくりに乗り出した。2007年、県は衛生管理に関するガイドラインを作成し、捕獲から運搬、処理、加工・調理、販売までの各工程について基準を設定。「最初の一歩を踏み出した」(藤木さん)これに全国の自治体が着目し、「教えてほしい」と藤木さんのもとに依頼が殺到。藤木さんは各地を駆け回り、自治体や飲食店関係者らと勉強会を重ねた。その後、各地で長野県と同じようなガイドラインが策定されることになる。そして2012年、藤木さんはジビエ料理の普及を目指す全国組織として、ジビエ振興協会(当時はNPO法人、2017年に一般社団法人化)を立ち上げた。一方、国も動き出した。2007年、深刻化する鳥獣被害に歯止めをかけようと、鳥獣被害防止特措法を制定。対策を講じる自治体への財政支援や、狩猟や被害対策に関わる担い手の確保に乗り出した。そして2014年、厚生労働省は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」を策定し、捕獲から販売までの衛生管理に関する基準が設けられた。国はその後も関連制度の改正などを行い、ジビエ消費を増やすための環境整備を進めてきた。その影響もあり、近年は有害鳥獣の捕獲頭数が増加している。同特措法成立前の2006年、20万頭を切っていたシカの捕獲頭数は2016年に58万頭に増加。イノシシも同様に増えている(下記グラフ参照)。また、ジビエの利用量も徐々に増えてきている。農林水産省の調査によると、2018年度に全国約560の食肉加工処理施設で処理されたジビエ利用量は1887トンに達し、前年度から約16%増加。このうち、ペットフードや自家消費分などを除き、食肉として販売目的で処理されたのが1400トン(前年度比約22%増)。シカが約5割、イノシシが約2割を占める。こうした数字を見ると、ジビエの利用が進んでいるように見える。ただ、その裏にはもう1つ、驚くべき数字がある。捕獲した鳥獣のうち、実際に処理した割合を示す利用率だ。2016年度のシカとイノシシの利用率は、実に約7%にとどまる。最新の調査(2017年度)でも、約8%とほぼ横ばいだ。残りの9割以上が埋設、あるいは焼却処分されているのだ。捕獲頭数が増えているのに、なぜここまで極端に利用率が低いのか。藤木さんは、それを阻む壁の1つに「流通」の問題があると指摘する。「今これだけジビエと叫ばれている状況でも、ここには卸業者が参入してないんです」。藤木さんがそう話すように、ジビエについてはまだ一般的な流通体制が整備されていないという。なぜなのか。まず、全国の食肉加工処理施設は数人規模で経営しているケースが多く、人手不足もありまとまった流通量を確保するのが難しい。価格が安定しないため、卸も参入に二の足を踏んでいるのだ。今はほとんどの施設が自ら地道に営業し、飲食店などと直接取引しているのが実態だという。いくら捕獲しても、消費の出口がなければ利用率は上昇しない。「今はほとんどの処理施設で在庫が余っている。捕獲し、処理しても置いておくスペースがない状態」(藤木さん)という。国、地域を挙げて取り組む鳥獣被害対策とジビエの利用。一歩ずつ前進してはいるものの、まだ課題は少なくないようだ。「ジビエの歴史はまだ浅いですからね。ルールのないところから始まって、そうはいってもものすごいスピードでここまで来たと思いますよ」。課題はあるものの、藤木さんはこれまでの前進ぶりに手応えも感じている。冒頭で紹介したベッカーズのほかにも、ジビエ料理は大手ファストフード店や居酒屋チェーンなどでメニュー化される例は増えている。ジビエと聞くとフランス料理が真っ先に浮かぶが、和洋中とバリエーションも広がっているという。そうした中、農林水産省は2018年5月にシカとイノシシを対象にした「国産ジビエ認証制度」をスタートさせた。厚生労働省が策定したガイドラインの順守に加え、新たに金属探知機による検査や、捕獲地や賞味期限などを記したラベルの表示などを義務付けた。より厳格な衛生管理基準を設けることで、外食チェーンなどにとって安心感が増し、仕入れやすくなる効果が期待できるという。現在、認証を取得した食肉処理加工施設は8つにとどまるが、「認証を取りたいという声は多い」(藤木さん)と、今後どんどん増えていきそうだ。また、ここにきて各地の食肉加工処理施設が広域連携する動きも出てきた。国産ジビエ認証を取得している「信州富士見高原ファーム」(長野県富士見町)。ここは認証を取得する他の7カ所の施設と連携し、まとまった量を安定的に素早く配送する体制づくりを進めている。流通に対する新たなアプローチだ。依然として狩猟者の高齢化と減少は続いているものの、新たに狩猟免許を取得する人が増加傾向にあることも追い風だ(下記グラフ参照)。特に近年は40代未満の占める割合が上昇しており、2016年は1割を超え、10年前から倍増した。20年かけて、ようやくここまでたどり着いた。危機感は変わらずあるが、希望もある。だから藤木さんは、これからも走り続ける覚悟だ。「このままでは、地方はどんどん疲弊していきますよ。鳥獣被害対策は待ったなしです。ジビエはまだ、『最近よく聞くよね』くらいの小さなブーム。これを早く定着させないといけません。まずは外食チェーンなどで食べていただく機会を増やして、次はスーパーマーケットで売られ、学校給食にも入る。そんな身近な食材として、みなさんの食卓にどんどん普及させていきたいですね」ジビエ市場はこれからさらに拡大していくのか。ブームから定着へ。今がまさに、その正念場なのかもしれない。

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