<射撃ニュース12月>
12/26
(天井裏にクマが20時間、壁を外して銃で駆除:福井)
福井県大野市は23日、同市朝日の民家の天井裏に、成獣のクマ1頭が入り込んで22、23日の20時間以上とどまり、猟友会員が駆除したと発表した。けが人はなかった。市によると、22日午後3時20分頃、この民家の住人が近くにいるクマを目撃。その後、クマは隣接する納屋から民家1階の天井裏に入り込んだ。市は民家周辺に暗視カメラを設置するなどしたが、クマは翌23日になっても出てこなかったため、猟友会員が民家の壁の一部を外した上で、同日午後1時頃に銃で駆除したという。現場は、JR九頭竜湖駅の北東約300メートルの山間部にある集落。

(サル被害、参拝客も:三重)
サルによる住民襲撃が相次ぐ志摩市磯部町で、伊勢神宮内宮の別宮・伊雑宮で参拝中の女性(65)が左足をかまれ、けがをしていたことが25日、同市の調査で分かった。市は市職員や猟友会員による町内の巡回の他、8カ所にオリを設置した。

(豚コレラウイルス「野生イノシシに由来」分析:長野)
県畜産試験場(塩尻市)と下伊那郡高森町の養豚場で9月に発生した豚コレラ(CSF)の感染経路について、農林水産省の疫学調査チームが両施設ともに、感染した野生イノシシに由来するウイルスが人や小動物などを通じて豚舎に侵入した―と推定する分析結果をまとめたことが25日、分かった。同チームは他県での発生事例も含め、予防に向け各養豚場での衛生管理の徹底が必要と指摘している。農水省によると、現地調査や両施設への聞き取り、豚の血液検査結果などから総合的に判断した。試験場には防護柵、高森町の養豚場近くには農業被害対策の柵があり、感染した野生イノシシが施設に入ったとは考えにくいという。9月14日に発生した試験場は、ウイルスが野生動物を介して農場内に入り、人やネズミなどの小動物、手押し車によって豚舎に持ち込まれた可能性があると指摘。同19日に発生した高森町の養豚場は、人や車両、野生動物、沢水を介して農場にウイルスが侵入し、人や小動物、手押し車などによって豚舎に持ち込まれたと推定した。試験場と高森町の養豚場は豚コレラが発生する前の同じ日に、同じ食肉処理場に豚を出荷していた共通点がある。農水省によると、食肉処理場を介して間接的にウイルスが広がった可能性も検討したが、この食肉処理場を利用した別の養豚場では発生していないことから、要因には挙げなかった。試験場と高森町の養豚場では、豚コレラの発生を受け計461頭が殺処分された。県農政部は、試験場の研究再開時期は未定とし「疫学調査チームの分析結果を踏まえ、対策を検討する」としている。

(豚コレラワクチン、県内で接種開始:神奈川)
農林水産省が豚コレラ(CSF)の発生県に隣接する8都府県にワクチン接種を拡大する方針を決めたことを受け、県は24日、県内の飼育豚約6万頭を対象にワクチン接種を始めた。県畜産課によると、発生していない8都府県で最も早い接種開始。初日は相模原市、南足柄市、清川村の養豚場6カ所の計約5千頭を対象に実施し、来年1月6日までに全頭の接種を終える見通し。この日、県養豚協会の山口昌興理事長らが県庁を訪れ、黒岩祐治知事に接種開始を報告。知事や県議会が実施した国への要望活動に対する謝意も伝えた。山口理事長は「これで安心して生産に専念できる。これからも消費者においしい豚肉を提供していきたい」と強調。黒岩知事は「何とかたどり着いた思い。神奈川の豚はとても大事なブランド。守り通したい気持ちは一緒だ」と応じた。ワクチン接種を巡っては、隣接する山梨や静岡県で野生イノシシなどへの感染が確認されているため、新たにワクチン接種推奨地域に追加された。

(豚コレラ、27日からワクチン接種:東京)
家畜伝染病「豚コレラ(CSF)」に対し、都は27日から、野生イノシシが多く生息する西多摩地域を中心に、都内の養豚場などでワクチン接種を始める。約2300頭が対象で、1月中旬までに終える。農林水産省が今月20日、都をワクチン接種の推奨地域に指定したことに伴う措置。都内では青梅市を中心に約10戸の養豚農家があり、今回は島嶼(とうしょ)部を除き、都内全域で接種を始める。ワクチンを接種した豚肉を食べても、人の健康への影響はない。都は9月に、豚コレラ拡大を防ぐため、緊急対策を実施。野生動物の侵入防止や衛生管理に必要な柵や網などの整備に、3千万円を上限に補助金を出している。豚コレラは昨年、国内で26年ぶりに岐阜で確認され、関東地方では埼玉、山梨の両県に感染が広がった。

(豚コレラ、法律では「豚熱」と表記へ)
農林水産省は12月24日、家畜伝染病予防法改正にともない、現在、「豚コレラ」と記載されているCSFを「豚熱」と表記する方針を明らかにした。農林水産省は11月12日に「豚コレラ」と「アフリカ豚コレラ」という名称について、細菌で発症するヒトのコレラとはまったく無関係でヒトには感染しないことから、風評被害を防ぐため、「CSF」と「ASF」に名称変更することにした。これらは国際獣疫事務局(OIE)で正式名称として使用されているものでCSFは「Classical swine fever」、ASFは「African swine fever」の略称である。ただ、法律には正式名称を記載する必要があり、家伝法改正にともなって「和名」について日本獣医学会に検討を要請していた。同学会は12月20日に家伝法での伝染性疾病の名称変更の提言を行い、そのなかで「豚コレラ」を「豚熱」、「アフリカ豚コレラ」を「アフリカ豚熱」とすることを妥当とした。農林水産省によると「豚熱」は法律にのみ記載され、名称としては「CSF(豚熱)」、「AFS(アフリカ豚熱)」を使用し定着できるようにしていきたいとする。BSE(牛海綿状脳症)と同様の考えだ。ASF予防のためのワクチン事前接種などを可能とする家伝法改正案は来年の通常国会に提出される。家伝法で掲げられている伝染性疾病は28。このうちブルセラ病をブルセラ症とするなど9件の名称変更も提言した。

(10年ぶり130kg超のイノシシ捕獲:静岡)
伊豆市の山中で捕獲されたのは重さ130kgを超えるイノシシです。捕獲したのは市内に住む内田康夫さん(65)です。内田さんは、シカやイノシシの被害に困っている農家の依頼を受け罠をしかけていました。23日は仕掛けてから3日目で、巨大なイノシシの他にも重さ60kgほどのイノシシ2頭を捕獲しました。内田さんは今年既に80頭を捕獲していますが、これほどの大物は10年振りだそうです。内田康夫さん:「やあーもう恐ろしいよ。恐ろしくて逃げようとかと思った」

(イノシシが出没、警戒続く:香川)
24日午前、香川県三木町の県道近くでイノシシが出没しました。まもなく捕獲されましたが、別のイノシシを目撃したとの情報もあり警察が付近を警戒しています。24日午前11時半ごろ、三木町下高岡の県道近くの倉庫でイノシシが捕獲されました。この前には近くの空き家に逃げ込んでいて、駆け付けた警察官や猟友会のメンバーなどが捕まえようとしましたが一旦、逃走。倉庫に追い込み、駆除されました。警察によりますと午前9時50分ごろにイノシシが車と接触したということで運転していた女性にけがはありませんでした。目撃した人によりますとイノシシは2頭いたとの情報もあり、警察ではあすも付近の警戒を続けるということです。

(食害拡大、県が対策強化:神奈川)
神奈川県内で野生動物による食害が広がっている。丹沢地域のニホンジカが箱根町にも生息域を広げているほか、県西部地域で生息していたイノシシは逗子市や葉山町にも定着しつつある。県は12月から通知機能がある捕獲ワナの設置を開始。人工知能(AI)で動物の生息状況を把握する取り組みも始めるなど対策を強化している。県自然環境保全課によると、箱根町でニホンジカが初めて見つかったのは10年ほど前だという。繁殖するにつれて農林業などの被害が拡大し、県は2017年に箱根町などを「定着防止地域」に指定して対策を強化。箱根周辺では18年度に17年度よりも20頭多い30頭を捕獲した。最近ではニホンザルが人気観光地の箱根湯本に出現するようになり、人的被害も出ている。逗子市や葉山町のイノシシは約5年前に見つかって以降、定着しつつある。イノシシは市街地に現れやすく、農場では食害が発生している。県は18年度から、国の交付金を使い一度に複数のイノシシを捕獲するワナを設置するなど生息域の拡大防止に取り組む。12月からは小田原市で、動物を捕獲するとスマートフォンやパソコンに通知が来るイノシシワナの設置も始め、捕獲の作業効率を高める。県は野生動物の生息状況を把握するため、11月からAIの活用を始めた。ドローンなどで撮影した画像をAIで分析し、野生動物の生息状況を調べる試みで、現在は各動物の特徴をAIに覚え込ませている。秦野市や伊勢原市などで試験的に実施する予定で、本格展開を目指す。18年度の県内における鳥獣による農作物被害額は1億8500万円だった。気温や環境によって各年でばらつきはあるが、5年前に比べて3割増えるなど増加傾向だ。捕獲数はニホンジカが2645頭と同3割増、ニホンザルは143頭と同9割増、イノシシは2469頭と同2.5倍に増えた。野生動物の増加は農作物への被害にとどまらない恐れがある。植生が荒らされた山が降水をため込む機能が低下し、山崩れが起きやすくなる可能性が高まる。自動車や鉄道との接触事故も増える。県自然環境保全課は「民家周辺でエサや隠れ場所をなくすなど、地域ぐるみで鳥獣が増えない環境をつくることも大切だ」と呼びかけている。

(サル由来のBウイルス、新たに元技術員の感染確認:鹿児島)
先月、国内で初めて感染が確認されたサル由来の「B(びー)ウイルス」について鹿児島市はすでに退職していた新日本科学の元技術員1人にも感染が確認されたと発表しました。新日本科学などによりますと今回「Bウイルス」の感染が確認されたのは2014年以前に鹿児島市内にある新日本科学の動物実験施設で働いていた元技術員です。元技術員はサルへのえさやりや投薬などをしていた2014年に体調不良を訴え、鹿児島大学病院を受診していました。当時は原因がわかっていませんでしたが、先月「Bウイルス」の1例目が確認されたことをうけて、病院が保存していた検体を国立感染症研究所で検査したところ、感染が発覚しました。新日本科学によりますと元技術員はサルに引っかかれたりかまれたりしたことはないとしていて、現在も治療を続けています。厚生労働省は「Bウイルス」について空気感染や、人から人への感染はしないとしていて、市は先月発覚した1例目との関連は無いとしています。今回の件を受けて新日本科学は「行政機関と連携を取りながら再発防止に全力を尽くして参ります」とコメントしています。鹿児島市や厚生労働省は今月21日に新日本科学の施設に立ち入り調査を行い、指導を行ったということです。

(都市部にイノシシが急増、台風被害と人間の愚かな行為が原因だった)
12月15日の昼過ぎ。東京都国立市のJR国立駅前は、日曜日ということもあり多くの人が行きかっていた。突如パトカーのサイレンが、あわただしく鳴り響く。「捕獲しろ!」網を持った警察官に追われるように現れたのは、体長1mほどのイノシシ。唖然とする通行人をしり目に、立川方面に走り去っていった――。全国の市街地で、イノシシの目撃情報が相次いでいる。12月2日には東京都足立区の河川敷で、4日には埼玉県志木市や富士見市で、15日には東京都立川市で。都市部に出没することから“アーバンイノシシ”と呼ばれる野生動物は、10月までにキバで刺すなどして32人にケガを負わせているのだ。ここまで頻繁に、イノシシが市街地で目撃されることは極めて珍しい。なぜ近頃アーバンイノシシが急増しているのか。野生動物保護管理学が専門の、兵庫県立大学・横山真弓教授は「理由は複合的」と解説する。「まず、イノシシの繁殖力が非常に高いことがあげられます。シカのメスは1年に2頭しか生みませんが、イノシシは4頭生む。12月から2月が繁殖期で、春に生まれたイノシシが大きくなっているんです。環境省は捕獲を進めていますが、とても追いついていない。山里から溢れた個体が、市街地に進出していると考えられます」環境省によると、‘17年度のイノシシの全国個体数は90万頭近く。30年前の3倍以上に増えているのだ。東京都猟友会の八尾明・副会長は、今秋に列島を襲った台風や河川の氾濫などの災害も影響していると推測する。「今秋起きた大型の台風が、イノシシの生息地域に大きな被害をもたらしたのでしょう。彼らが普段食べるミミズや木の根などのエサやすみかが、水害で流されてしまったんです」最も深刻な理由が、人間の心ない行為だという。前出の横山教授が続ける。「人間が山中などに捨てたゴミに、イノシシが反応しているんです。ゴミの中には、栄養価の高い野菜や果物の皮などが入っている。また人間は、イノシシが近づくと攻撃せずに逃げていきます。学習能力の高いイノシシは、人間は危険な相手ではなく、ご馳走を持っている存在と認識しているのでしょう。あまり恐怖感を持たず、ジワジワと市街地に生活圏を広げているのかもしれません。イノシシの体重は通常50kgほどですが、中には人間の食べ物に慣れ150kgを超える個体も確認されている。イノシシのアーバン化を防ぐには、安易に野生動物の生息圏にゴミを捨てる人間の意識を変えなければいけないでしょう」イノシシに遭遇したら、どう対応すれば良いのだろう。前出の八尾氏が話す。「大声をあげたり、走って逃げると相手を刺激して危険です。ゆっくり後ずさりして、建物の中などに退避することが大切。高い場所にいても安全ではありません。1mほどの高さなら、イノシシは跳躍し飛び越えることが可能なんです」災害や人間の行動によって、野生動物の生息域はどんどん狭まっているのだ。

(「ジビエは地方創生に大きな可能性」官邸主導でジビエ振興)
近年ジビエブームが続き、大型外食チェーンレストランでもジビエを扱った商品が展開されるようになってきている。一方イノシシやシカは「有害鳥獣」として農地を荒らしたり、近年では住宅地にも出没したりするなど、各地で社会問題となっている。シェフとしてレストランを運営する傍ら、振興協会理事長として全国の現場の声を取りまとめる藤木徳彦氏が聞き手となり、「ジビエ利用拡大に関する関係省庁連絡会議」の議長として陣頭指揮を取る菅官房長官にジビエ利活用の可能性や課題について聞いた。――官房長官は秋田県ご出身。ジビエは幼少期から身近だったのでしょうか。ジビエというと私にとっては「クマ」ですね。秋田では昔から熊肉を食べる文化があります。私は奥羽山脈のふもとにある県南部の村出身ですが、幼少期は毎年秋頃になると年に1~2回は口にしていました。今でもうちの田舎にはクマの革が玄関に飾ってあります。私が子どものころは今のように臭みを抜くような処理はされておらず…強烈な脂と、独特なにおいが特に印象に残っています。――ジビエ問題については現在、官房長官がトップに立ち旗振り役となって取り組んでいらっしゃいます。その背景には何があるのでしょうか。安倍政権は「地方創生」を大きな柱に位置付けており、農業改革はその中のひとつです。私は農家の出身ですが、農業改革を地方創生の柱として取り組み始めるまで、鳥獣被害がいま農家の人々にとってここまで深刻な状況になっているということをあまりわかっていませんでした。しかし、出席した農業関係の会合では、必ずといっていいほど鳥獣被害の窮状を訴える声が農家の方たちから寄せられました。「せっかく農作物を作っても鳥獣被害で一挙にやられてしまう」と。それは営農意欲が低下する要因になっていました。このまま深刻な被害を受け続けると日本における農業は大変なことになると、危機感が生まれました。そこでさらに色々調べ始めると、有害鳥獣をジビエとして利活用するという取り組みが進んではいるけれども、活用できている割合は捕獲頭数のうち10%にも届いていないことを知りました。――国内のレストランなどで提供されているジビエ料理には、ニュージーランドのシカやカナダのイノシシなども使われています。近年国内でもジビエ人気は高まってきていますし、2020年には東京五輪・パラリンピックを迎え世界から多くの方が訪れます。様々な点で非常に高い可能性があると判断し、政府をあげて取り組むことにしました。――官房長官はさらに、ジビエの普及について「スピード感を持って取り組む」といつも仰っていますジビエの普及を進めるには捕獲や食の衛生管理など様々な分野での整備が必要ですが、官公庁が「縦割り」の状態ではなかなか進まないのが実情です。たとえば狩猟者たちが所属する「大日本猟友会」は環境省が所管し、食肉への処理に関する衛生・安全面は厚生労働省、そして農作物などの被害対応は農水省の管轄でした。よりスピード感のある対策を取るためにも、2017年4月、私が議長を務める「ジビエ利用拡大に関する関係省庁連絡会議」を官邸で開き、官邸主導で進めていくことにしました。―― 首相官邸の主導で進めて3年弱。手応えはどのように感じていらっしゃいますかこの数年間は、特に被害が大きい地域から重点的に行なってきましたが、いくつか成功事例が出てきています。日本は一箇所で成功すると横展開が早い。今後は全国に広げていく段階です。一方、利用拡大を進めていくにあたり、いくつかの課題が浮き彫りになってきました。ひとつは「安定的に」ジビエの提供を望む購入側の声です。ジビエは、これまで「たまたま狩猟で捕れたので販売する」という流通が主流でしたが、拡大するにあたっては安定した供給が可能なネットワークを構築することが非常に重要だと思っています。――11月にはハンバーガーのロッテリアなどでジビエを使ったフェアが実施されるなど大手外食からの注目も高まっていますが、全国展開するには肉の量が足りないという課題がありました。また、そうした外食大手は「食の安全」について特に敏感です。外食産業からは、去年から始まった「国産ジビエ認証」を取得した施設の肉でなければ買えないという声が多く寄せられています。しかし、その認証施設が全国でまだ9箇所しかありません。新規認証取得費用には国の助成がありますが、更新等のランニングコストがかさむことで認証取得に消極的な施設もあるようです。その部分は改善したいと思っています。シカやイノシシは対策を取らない限り、どんどん子どもを産み増え続けていき、増加を止めないと農業への被害はさらに深刻になっていきます。必要な処理加工施設の認証を増やしていくのは当然政府としての役割ですし、思い切って進めていきたいと思います。――いま長野に住んでいますが、「田舎の若い人は東京に行きたいから出ていくのではなく、田舎には仕事がないから出て行かざるを得ない」との声をよく聞きます。仕事になるならぜひ地元の若者のためにもジビエ振興をしてくれとも地元の方から言われます。地方から若者が減っているのは、求人が減っているということに加え、所得が低いということも背景にあると思います。ジビエ振興を進めていくことは、鳥獣被害を減らすとともに、新たな職を生み出し、結果として地方の所得向上につながり市町村が活性化する大きな可能性を秘めており、まさに一石二鳥の取り組みだと思っています。――今後、ジビエを一過性のブームで終わらせないための政府としての取り組みはありますか現場における処理加工施設を増やし、鳥獣被害で困っている全国の市町村が有害鳥獣をジビエへと転換していけるような仕組みを引続き整えていくことや、捕獲から流通に至る一連の情報を関係者が共有する仕組みを作ること、また、全国チェーンレストランでのジビエフェアや料理教室の開催など、国民のみなさんにもっとジビエに馴染んでもらうことも重要です。ジビエは今後日本の地方創生において極めて高い可能性を持っていますし、特にしっかりと取り組んでいきたいと思っている分野です。最終的には現状10%程度にとどまっているジビエの利活用をほぼ100%に上げていきたいと思いますし、そのために政府としても環境整備を含め後押ししていきます。

(イノシシ処分場整備を:石川)
県猟友会金沢支部は二十五日、捕獲したイノシシの処分場整備などを求め、山野之義金沢市長に要望書を提出した。十一月に豚(とん)コレラ(CSF)に感染したイノシシが市内で見つかり、ジビエ加工施設への持ち込みなどができなくなり、処分が追いつかなくなっている。感染が確認された地域では、国の通知でイノシシ肉の利用は自家消費に限り他人への譲渡はできない。要望書では、全頭処理できる処分場の整備と、捕獲業務を行う人への財政支援の拡充を求めた。現在は焼却施設はなく、死骸を土に埋めるなどしているが、それには土地所有者の了解を得る必要がある上、作業は重労働になる。要望書によると、支部員の高齢化が進み、中には捕獲後の処分に困って捕獲を一時中止する人も出てきているという。羽場年久支部長は「まずは、捕獲したらすぐに保存できる冷凍設備を整備してほしい」と早急な対策を求めた。山野市長は「時間はかかるが、喫緊のテーマ。どこから取り組めるか話し合いたい」と話した。市農業水産振興課によると、四月以降に市内で捕獲されたイノシシの数は十一月末現在で約千七百頭で、二〇一八年度の一年間の捕獲数とほぼ同じ。前年同期比で約三百四十頭多い。このペースで増えると、本年度の捕獲数は二千頭に達する見込み。一四年度はわずか百八十四頭で、毎年増加し続けている。

(ジビエ出荷増にチャットボットを活用:広島)
中国地方でネットワークサービスやデータセンターサービス、クラウドサービスなどの法人向けサービス「EneWings」を提供する株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)は、獣肉の狩猟から処理までの情報連携を効率的に行えるよう、チャットボットを用いた情報共有システムを開発、広島県広島県三次市でフィールド実証実験を行うと発表した。野生の獣の肉を食す「ジビエ」が近年注目を集めている。しかし鹿、イノシシなど農作物を食い荒らす有害獣を狩猟しても、いちはやく処理を進めなければ劣化が著しく、食肉に適さない。そのため、現状では多くが廃棄処分されているという。エネコムではこの問題を解消すべく、有害獣の狩猟連絡から引き取り・運搬・処理の流れを迅速に行うためのシステムを開発した。具体的には、株式会社 L is Bのビジネスチャット「direct」をベースに、狩猟者が定型文を選ぶだけで処理施設へ種類・頭数・場所などを簡単に連絡できる仕組み。実験は、広島県北部の三次市を中心としたエリアで2020年3月まで実施予定。また、獣処理施設側として、地元業者の有限会社みわ375で連携する。

(「全身が宝!」のエゾシカを利活用して北海道の経済活性化を:北海道)
エゾシカ由来生薬原料を開発・製造の北海道鹿美健株式会社(北海道日高郡新ひだか町)は、北海道で増えすぎてさまざまな被害をもたらしているエゾシカを和漢生薬素材に加工し、有効利用することで地域への社会貢献につなげるため、エゾシカ由来の素材の鹿膠「ロクキョウ」を製造する工場を新ひだか町で運営しています。 今回、工場の設備投資をする資金を集めるためにプロジェクトを立ち上げました。近年、北海道ではエゾシカによる畜産業、農林業被害が拡大し、有害駆除が実施されています。一方、駆除された鹿の利活用については、未だ有効な方法が見つかっていないのが現状です。特にエゾシカの皮・骨は、ほぼ利用されず、産廃物として焼却処分されています。これに伴う焼却費用の発生、環境汚染の誘発も懸念され各自治体を悩ませています。大切な命が捨てられている現状に大変胸を痛め、この野生のシカを有効活用するすべはないものかと悩みました。本来、漢方の国では鹿は全身が宝と考えられ、貴重なものです。そこで、エゾシカを和漢の原料とするための工場をつくり、研究開発の結果、エゾシカ由来の和漢生薬素材が誕生しました。さらなる製造のためにも、工場の設備投資が必要です。シカの被害に悩んでいた地元住民に喜ばれ、北海道・新ひだか町の工場で作られた日本初の国産ロクキョウのさらなる製造のため、工場への設備投資の資金を集めたいと考えています。一人でも多くの方からご支援をいただきたいと思っています。北海道で害獣となっている野生のエゾシカを有効活用し、新ひだか町の工場でエゾシカからとれる国産ロクキョウ「鹿骨膠」「鹿皮膠」を開発・製造。シカの被害に悩んでいた地元民にも喜ばれています。そして、日本初の国産ロクキョウを配合したサプリメント「剛SUGI」や「ねむリラ」が誕生しました。エゾシカ由来のロクキョウが配合されたねむリラは北海道・新ひだか町のふるさと納税・返礼品として採用され、JTBのふるさと納税サイト「ふるぽ」で紹介されています。シカは中国では古来から「全身が宝」と謳われ、大切にされてきました。滋養強壮効果が高く、漢方の本場中国では、その価値が広く認知され、鹿由来の生薬、医薬品が数多く流通しています。昔から「シカは捨てる部位が無い」と言われているほどです。ちなみに生薬の中でも、「高麗人参・冬虫夏草・シカ」は三つの宝と昔から認められています。なかでもシカ由来の生薬・ロクキョウはその秘められたパワーから特に貴重なものとされ、珍重されています。ロクキョウは、シカの皮や骨、角を煮詰めてできるニカワの総称で、使用する部位によって名称や機能が異なります。例えば皮から作られるニカワ、鹿皮膠は血(けつ)を補い、めぐりを生みだすとされています。

(獣皮使い新製品開発へ:岡山)
手作りの革製アクセサリーなどを製作・販売する「建部獣皮有効活用研究所」(岡山市北区建部町宮地)が26日、有害鳥獣の皮を使った新たな製品開発を目指し、インターネットで事業資金を募るクラウドファンディング(CF)に乗り出す。同研究所は今年6月、岡山市の地域おこし協力隊員だった頼本徹さん(37)とともに移住してきた妻ちひろさん(37)が創業。かつて東京のアパレルメーカーで服飾製品を作っていた経験を生かし、駆除されたイノシシやシカの皮を加工してブローチやイヤリングなどを製作している。野生の獣皮の魅力をより多くの人に知ってもらい、地域活性化につなげようと、バッグや衣料品などの新製品開発を目指す。目標額は30万円。山陽新聞社(岡山市北区柳町)や中国銀行(同丸の内)などが連携したCFサービス「晴れ!フレ!岡山」を活用し、来年1月31日まで資金調達する。支援額に応じ、革製アクセサリーや名刺入れ、オーダーメード革靴などを贈る。頼本ちひろ代表は「駆除されたイノシシやシカの皮を素晴らしい製品に生まれ変わらせ、岡山の新たな魅力として発信していきたい」と話している。

TOPへ

12/24
(シカ避けようと対向車線にはみ出し衝突か:北海道)
19日夕方、胆振の壮瞥町の国道で軽乗用車どうしが正面衝突し、60代の女性が死亡しました。19日午後5時半ごろ、壮瞥町久保内の国道453号線で軽乗用車どうしが正面衝突し、伊達市大滝区方向に走っていた軽乗用車の後部座席に乗っていた土川友子さん69歳が胸を強く打ち死亡しました。洞爺湖方向に走っていた車のバンパーにシカの毛がついていたことから、警察は、この車がシカを避けようと対向車線にはみ出し、前から来た車と衝突したとみて事故の詳しい原因を調べています。

(飛び出したエゾシカ×車衝突、弾みで対向車線へ:北海道)
北海道厚真町浜厚真の国道で乗用車とシカが衝突する事故があり、助手席に乗っていた女性がケガをしました。2019年12月19日午後5時40分ごろ、走行中の乗用車が前から飛び出してきたシカと衝突しました。この弾みでシカは飛ばされ、シカの身体の一部が対向車線の乗用車のフロントガラスを突き破り、助手席に乗っていた新ひだか町の女性(63)が頭にケガをして搬送されました。警察は運転中にシカを見かけた場合、注意して運転するよう呼び掛けています。

(山でクマに襲われ男性軽傷:新潟)
21日午前、長岡市の山林で男性がクマに襲われ頭をひっかかれるなど軽いけがをしました。クマは体長1メートルほどで、その後、山の中へ去ったということですが、警察は周辺の地区で注意を呼びかけています。21日午前11時半ごろ長岡市半蔵金の住宅から「人がクマに襲われた」という通報が警察に入りました。現場に警察官が駆けつけたところ、長岡市内に住む66歳の男性が体長1メートルくらいのクマにおそわれたといって近くの住宅に助けを求めていました。男性は「自分が所有する山の森林を点検していたら、突然現れたクマに頭をひっかかれ右手にかみつかれた」と話しているということです。クマはその後、山中へ去ったということです。男性は病院に運ばれましたが、けがの程度は比較的軽く、命に別状はないということです。警察は長岡市とともに周辺の地区でクマへの注意を呼びかけています。

(サルに襲われ男性けが:兵庫)
19日午前10時頃、兵庫県姫路市林田町六九谷の資材置き場で、同市内の男性作業員(36)がサルに腰を引っかかれ、軽傷を負った。県警姫路署によると、資材置き場に向かって歩いていた男性が3匹のサルに遭遇。声を出すなどしても逃げなかったため、男性が背中を向けたところ、1匹が後方から飛びかかってきたという。10月以降、同署には同市林田町や豊富町などで24件の目撃情報が寄せられており、現場近くでも何度か見かけられていた。

(クマに襲われ67歳男性けが:岐阜)
21日午後7時50分ごろ、岐阜県郡上市白鳥町那留の路上で、近くに住む男性(67)がクマに襲われ、顔や手足にけがをした。命に別条はない。市によると、現場は東海北陸自動車道白鳥インターチェンジ近くで、民家が点在する。男性は1人で散歩をしていた際、突然襲われた。その場で携帯電話から119番した。郡上署や市などが付近を巡回したがクマは見つからなかった。市は防災行政無線などで注意を呼び掛けた。

(サル被害、13件14人に:三重)
サルの襲撃事件が続く志摩市磯部町で、かまれるなどした被害は、子供から大人まで計13件14人に達した。市はサルの捕獲を最優先に、引き続きパトロールを続ける方針だ。市農林課によると、いずれも磯部町地内で発生。10月末から急増しており、今月16日には自宅の庭で70代の女性がかまれた。

(豚コレラワクチン接種拡大、発生県周辺指定へ)
豚コレラ(CSF)の感染拡大を防ぐため農水省は、飼養豚に打つ予防的ワクチンの接種地域を拡大する。関東では神奈川や千葉など、近畿では京都や奈良を接種推奨地域に指定することを検討。ウイルスをまき散らす野生イノシシからの感染が広がる中、ワクチンの数を確保できる見通しが立ち、範囲を広げる。20日に専門家で会議を開き、正式に決める。現状のワクチン接種は、感染した野生イノシシが見つかった県を国が推奨地域に指定し、県の接種プログラムを承認してから使う流れ。18日までに群馬、埼玉、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀の12県が接種している。このうち埼玉では感染イノシシが見つかるよりも先に養豚場での発生を確認。山梨では接種プログラムの承認を受けて、翌日からワクチンを打つというタイミングに農場で発生した。18日の同省の牛豚等疾病小委員会では、こうした背景を踏まえ、感染イノシシが見つかる前に推奨地域を広げ、予防的ワクチンを使うべきか議論した。推奨地域を広げるのは、人や物の移動などでもウイルスの拡散が進んでいる恐れがあるため。また、野生イノシシでウイルス拡大を防ぐため経口ワクチンの範囲を広げており、感染拡大防止を強化する狙いだ。不足が指摘されていた飼養豚に接種するワクチンは、増産で一定数が確保できる見通し。範囲を広げても対応が可能になるとみられる。同省は接種推奨地域の間に空白の県ができないよう、広域での指定を目指す。接種地域拡大では12月上旬、群馬、栃木、茨城の各県知事が首相官邸を訪れ、安倍晋三首相や江藤拓農相に要請している。

(8都府県追加指定、豚コレラワクチン接種)
農水省は20日、豚コレラ(CSF)の予防的ワクチンを接種できる推奨地域に、新たに8都府県(茨城、栃木、千葉、東京、神奈川、新潟、京都、奈良)を加えることを決めた。既に接種する12県と合わせて20都府県が推奨地域になった。感染した野生のイノシシの確認範囲が広がっていることや、人や物の移動によるリスクを踏まえた。同日の牛豚等疾病小委員会で決めた。同委では野生イノシシの感染地域が1年間で東へ200キロ、西へ60キロ広がっていることを懸念。感染イノシシの拡大状況を踏まえ、今後、野生イノシシへの感染が想定される地域は、先行して推奨地域とすべきだとした。ワクチンは12月中に250万頭分が製造され、今後も増産があるため、十分な数が確保できる見通し。栃木、茨城、千葉の3県は、来年2月からの接種で調整を進める。予防効果を高めるには、接種はイノシシからの感染リスクが高い地域から進める必要があるためだ。東京、神奈川は同日、接種プログラムを国に提出。東京は島しょ部を除く全域、神奈川は全域に接種する内容で、同委が承認した。江藤拓農相は20日の閣議後会見で、豚コレラ対策の飼養豚へのワクチン接種推奨地域の拡大を受け「ワクチン接種後もCSFの感染リスクは常に存在する」と指摘。関係府県と連携し、「飼養衛生管理基準の徹底を現場に周知徹底する」と強調した。愛知県のワクチン接種農場で豚コレラが発生したことについて、当該農場の周辺農場に感染が広がっていないか調査するよう同県に指示した。農水省は20日から、豚コレラ対策として野生イノシシ向けの経口ワクチンについて、自衛隊のヘリコプターで散布を始めた。同日は栃木県日光市など県内の約5000ヘクタールに2500個を散布。ウイルスの拡散を防ぐ「経口ワクチンベルト」を構築する一環。同日はヘリコプターに自衛隊員の他、同省と県職員、イノシシの専門家が同乗。1平方キロ当たり50個を目安に、イノシシが生息していると見られる地形を見極めながら、地上から高さ約50メートルの位置から散布した。冬季(12~2月)に約20万個を、17都府県(茨城、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、新潟、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都)で散布・設置する計画。

(イノシシにワクチン散布:静岡)
豚コレラの蔓延(まんえん)を防ごうと、静岡県は17日から、富士宮市芝川町と小山町で県東部初の野生イノシシ向け経口ワクチンの散布を始めた。県職員や畜産関係者が両市町の12カ所で、イノシシに食べさせる経口ワクチン入りの餌計240個を散布した。数日後に周辺でイノシシを捕獲して抗体の有無を調べる。これまでワクチン散布は、イノシシへの感染が確認された静岡市、藤枝市を中心とする県中部で行われていた。

(豚コレラ「ワクチンベルト」県境で構築:栃木)
家畜伝染病「豚コレラ(CSF)」の感染拡大の防止に向け、栃木県は18日、全市町と畜産関連団体などを集めた対策協議会を設けた。初会合では、野生イノシシの感染が判明した群馬との県境付近に、年明けから経口ワクチン入りの餌を散布する計画について説明。それに先立ち今月20日、日光市で空中散布が行われる。空中散布は、国が自衛隊のヘリコプターを使って行う。取水口やイヌワシの生息地などは避けながら、国有林約5千ヘクタールに2500個の餌を散布。豚コレラの発生地域を囲い込む「ワクチンベルト」を築く計画だ。一方、県による散布は、農政部畜産振興課に設けた家畜防疫班が来年1月に始める。まず感染イノシシが見付かった群馬県に近い県南部から始め、南西部の県境付近へ広げる。費用の大半は国費が充てられる。散布するのは液体ワクチンを詰めたトウモロコシのクッキー状の餌で、イノシシが好むやぶなどの土中に、1平方キロメートル当たり20個を埋める。散布の1週間後に餌が実際に食べられたかを確認し、10日後以降にイノシシを捕獲して豚コレラ抗体の保有率を検査する。実施に向け、対象の8市町(足利、栃木、佐野、鹿沼、日光、小山、壬生、野木)と県は、散布の効果が高いとみられるイノシシの生息地域を検討する。

(経口ワクチン、空中散布:栃木)
豚コレラ(CSF)の感染拡大防止のため、農林水産省は20日、日光市足尾町の国有林(約5千ヘクタール)で野生イノシシ向けの経口ワクチン約2500個を自衛隊のヘリコプターを使って散布した。群馬県での実験を除き、本格的な空中散布は全国で初めて。本県で豚コレラの感染は確認されていないものの、発生地域を囲い込む防疫帯「ワクチンベルト」を構築する計画の一環として実施された。

(CSFワクチン推奨地域に:茨城)
県は20日、家畜伝染病「CSF(豚とんコレラ)」対策として予防的にワクチン接種ができる接種推奨地域が本県にも拡大されたと発表した。大井川知事らが国に要望していた。接種が認められたことを受け、県は養豚場の豚への接種の計画をまとめたプログラムを1月中に農林水産省に提出。了承が得られれば2月にも県内31市町村の飼養豚46万6400頭の接種に乗り出す。「接種開始は2月にも接種を終える群馬県の後になる」(県畜産課)予定。接種期間は3~4か月かかる見通し。頭数が膨大なため、接種を行う獣医師の家畜防疫員(15日現在で221人)をさらに10~20人増やす。県養豚協会の倉持信之会長は「非常にありがたい。ワクチン接種で安心しないよう、引き続き衛生管理を徹底しないといけない」と話した。接種の費用負担や方法について、国や県に説明を求めるという。県は別の方法でも感染拡大を防ぐ。野生イノシシが生息する、栃木県境や利根川流域などの10市町(大子、常陸大宮、城里、笠間、桜川、石岡、古河、境、五霞、坂東)で防疫帯「ワクチンベルト」を構築。1~2月に経口ワクチン散布を各地で同時に進め、同じ場所で2回行う。県家畜保健衛生所や県農林事務所、県猟友会などが連携し、山林や河川敷にワクチンを埋める。県畜産課によると、野生イノシシの侵入防護柵は農家全体の8割にあたる323農場で着工・設置済み。

(豚コレラ、ワクチン接種:神奈川)
神奈川県は24日、農林水産省が豚コレラ(CSF)の発生県に隣接する8都府県にワクチン接種を拡大する方針を決めたことを受け、感染予防のため県内の豚約6万頭を対象にワクチン接種を始めた。県によると、8都府県で最初の接種開始となる。この日は相模原市、南足柄市、清川村の養豚場計6カ所の約5千頭が対象。今後、約2週間かけて全頭への接種を終える見通し。神奈川県内ではまだ発生していないが、隣接する山梨県で飼育豚や野生イノシシが感染し、静岡県でも野生イノシシの感染が確認されているため、新たにワクチンの接種推奨地域に追加された。

(ワクチン接種の効果、95.3%で確認:石川)
ブタやイノシシ特有の伝染病『CSF』感染防止のため、石川県内全ての養豚場で実施されたワクチン接種の結果、ほとんどのブタに抗体ができたことが確認されました。CSFはブタやイノシシ特有の高い致死率をもった伝染病で、石川県内ではこれまでに野生のイノシシ11頭からウイルスが見つかっています。感染防止のため、石川県は今年10月から11月にかけ県内の養豚場で飼われているすべてのブタおよそ1万6500頭にワクチンの接種を実施。その後の調べで95.3パーセントのブタに抗体があることが確認されました。一方、抗体がなかったブタについては再度ワクチンを打つとともに、毎月およそ3500頭生まれてくる子ブタにもワクチンを接種させ、養豚場でのCSFの発生を防ぎたいとしています。このほか野生のイノシシについて、県では感染の拡大を防ぐため、1月に津幡町などの山にワクチンがはいったエサおよそ6000個を埋めることにしています。

(豚コレラ(CFS)ワクチン、新潟も接種へ:新潟)
農林水産省は、CSFいわゆる豚コレラを予防するワクチンを接種する県を拡大し、新潟県も新たに含まれました。ワクチンの接種は、これまで野生イノシシのCFS感染が確認された、12の県に限って認められていました。隣接する自治体からワクチン接種を希望する声があがっていて、農水省はワクチン増産のめどが経ったことから、接種地域を新たに新潟県を含む8都府県に設定しました。これを受けて県は、直ちに国と協議し準備が整い次第、養豚場でのワクチン接種を開始するとしています。1月中旬をめどに始まる予定で、初回の手数料は全額免除されます。

(マダニ感染症が100人、高い致死率)
国立感染症研究所は17日、マダニが媒介する致死率の高い感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の今年の感染者の報告者数が初めて100人に達したと発表した。これまでは2017年の90人が最多だった。SFTSは、中国で09年ごろから発生が報告され、国内では12年秋に山口県で女性1人が死亡したのが最初の報告例。感染地域を広げながら患者数は増加傾向にある。媒介するマダニは、家屋にはあまりいないが、専門家は森や草むらに入る際には肌の露出を減らすよう注意を呼び掛けている。感染研によると、今年は西日本を中心に18都県から報告があり、山口県が11人と最も多く、徳島県が9人と続いた。13年から19年11月末までの報告を分析すると、患者総数492人の約14%に当たる69人が死亡した。発生地域は九州や西日本中心だが、今年は東京都でも確認された。SFTSはウイルスを原因とする病気で主にマダニにかまれて感染する。ネコなどペットから飼い主にうつることもある。発熱や全身のだるさ、下痢や腹痛などの症状が出て、重症化すると死亡することがある。ワクチンや有効な治療薬はなく、国内で薬の臨床試験が始まっている。

(民家の天井裏にクマが20時間以上とどまる、猟友会員が駆除:福井)
福井県大野市は23日、同市朝日の民家の天井裏に、成獣のクマ1頭が入り込んで22、23日の20時間以上とどまり、猟友会員が駆除したと発表した。けが人はなかった。市によると、22日午後3時20分頃、この民家の住人が近くにいるクマを目撃。その後、クマは隣接する納屋から民家1階の天井裏に入り込んだ。市は民家周辺に暗視カメラを設置するなどしたが、クマは翌23日になっても出てこなかったため、猟友会員が民家の壁の一部を外した上で、同日午後1時頃に銃で駆除したという。現場は、JR九頭竜湖駅の北東約300メートルの山間部にある集落。

(イノシシが高校の敷地内に侵入:長野)
長野県松本市の美須々ヶ丘高校の敷地内にイノシシ一頭が侵入し現在、捜索が行われています。松本市によりますと、17日午前10時頃、松本市の美須々ヶ丘高校近くでイノシシ一頭を目撃したと市に通報がありました。イノシシは、その後、高校の敷地内に侵入したとみられ、現在、市の職員や警察などが捜索しています。高校によりますと生徒を全員校舎内に避難させけが人はいないということです。

(ツキノワグマ出没増える:岡山)
岡山県内でツキノワグマの出没が増えている。県によると2019年度の出没件数は今月18日現在で215件と、年間で最多だった16年度(237件)に次ぐ多さで推移。餌のドングリ類の不作が影響しているとみられ、冬眠の時期に入る12月になっても報告が寄せられているため県が注意を呼び掛けている。痕跡や目撃といった出没件数を月別で見ると、冬眠前に餌を求めて活動が活発になる時期である11月が74件と最も多く、同月の最多を記録した。今年は主食となるブナなどのドングリ類が高地を中心に実りが悪く、人里に近づいた可能性があるという。出没の報告は12月に入っても10件以上あり、津山、美作市では人に危害を及ぼす可能性が高いとして捕獲した3頭を殺処分した。例年、1月になるとほとんど見られないが、18年度は12月から翌3月まで毎月、出没報告があったことから県は警戒を強めている。17年からはクマの狩猟が17年ぶりに解禁となり、今年の狩猟期間(11月15日~12月14日)では2頭を捕獲。初日に西粟倉村の山中で発見したのに続き、23日は美作市でわなの見回りに出掛けていた猟師が遭遇し、仕留めた。17、18年は各1頭だった。県自然環境課は、クマを引き寄せないよう家の周りに残飯を捨てない▽不要になった農作物や収穫しない果実を放置しない▽民家や道路周辺のやぶを刈り払って見通しをよくする―といった注意を促し「見かけたら県民局や市町村に連絡してほしい」としている。

(お尻が抜けずシカ八苦、フェンスこじ開け無事救出:北海道)
19日朝、北海道苫小牧市でシカが国道沿いのフェンスに挟まれて抜け出せなくなり、国道は一時、通行止めとなりました。フェンスに挟まれて抜け出せなくなったシカ。諦めたのかへたり込んでいます。午前7時すぎ、苫小牧市で「フェンスにシカが挟まって身動きが取れなくなっている」と通り掛かった人から警察に通報がありました。フェンスに挟まったシカは雄で、約2時間後に市の職員らがフェンスをこじ開けて助け出しました。目立ったけがはないことから、シカは山に返されました。現場は国道36号沿いで、シカが飛び出す危険があったため一時、通行止めとなりました。

(イノシシと接触、山陽線で遅れ:岡山)
JR西日本によると19日午前8時9分ごろ、山陽線西阿知駅(倉敷市)―新倉敷駅(同)間で列車がイノシシと接触したため、車両と線路を確認した。このため山陽線の一部列車が約20分遅れている。

(ツキノワグマによる被害、過去最悪に)
ことし4月以降、全国各地でツキノワグマに襲われてけがをするなど被害に遭った人は昨年度の3倍近くの149人と、国が統計を取り始めて以降、最も多くなっていることがわかりました。専門家は「冬眠の時期に入ったがまだ動くクマもいるので注意が必要だ」としています。NHKがツキノワグマが生息する32の都府県に取材したところ、ことし4月以降、クマに襲われけがをするなどの被害に遭った人は23都県の149人で、このうち宮城県で1人が死亡しました。これは50人だった昨年度1年間のすでに3倍近くに上り、環境省が統計を取り始めた平成16年度以降で最も多かった平成22年度の147人を上回って、統計開始以降、最悪の被害となっています。被害件数は10月は37人、11月は31人、12月は3人と、12月に入り減っていますが、12月8日には27年前の平成4年以来被害がなかった和歌山県で散歩中の女性がクマに襲われけがをしたほか、新潟県南魚沼市では診療所の倉庫に入りこみ冬眠していたとみられるクマ3頭が見つかるなど、出没が続いています。ツキノワグマが大量に出没する背景について専門家は、山の中にあるブナやミズナラなどクマの餌が凶作だったことに加えてクマが生息範囲を広げつつあることを指摘しています。ツキノワグマはイノシシやシカなどほかの野生動物に比べて繁殖力が低く、国内では1990年代にかけてクマの数が減ったことを受けて、環境省は「レッドリスト」で、全国5つの地域のツキノワグマについて絶滅のおそれがあると分類しています。こうしたことからツキノワグマが生息する各都府県では狩猟を自粛したり捕殺数の上限を定めたりするなど生息数が著しく減らないよう対策に取り組んでいます。クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹教授は「クマの生息数は回復しつつあり、2000年以降分布を拡大しつつある。生息地が山の奥から人里に近い「里山」へ広がることで『新世代グマ』と呼ばれる人間に慣れたクマも増えているため、クマによる人身被害が発生しやすくなっている」と話しています。

(イノシシ、上京次々:東京)
東京都内で多摩地域を中心に市街地での野生イノシシの目撃が増えている。相次ぐ台風や大雨で河川敷の森や林が流され、すみかを失ったことなどが原因とみられる。野生イノシシは豚コレラ(CSF)の感染源の一つとされる。自治体や警察は見かけても近寄らないよう呼び掛けている。多摩川に近く、市境を接する国分寺、国立、立川の三市で十五日、イノシシが相次いで目撃された。最初は午前十時四十五分ごろ、国分寺市西町付近で民家の林に体長一メートルほどのイノシシがいると一一〇番があった。午後にはJR国立駅前や、立川市役所がある同市泉町で計十四件の目撃情報が寄せられ、警察が捕獲しようとしたが見失った。イノシシはその後も立川市内で目撃が相次いでいる。九月から十月にかけては国営昭和記念公園や、多摩川を挟んで立川、国立両市と接する日野市でも出没。市や日野署によると、十月十八日には市内の道路で体長一・二メートルのイノシシが車に突進し、衝突して死んだ。市の担当者は「多摩川水系の上流から、川沿いを下ってきたのではないか」と話す。多摩川の上流側で日野市と隣接する八王子市でも今月、支流の南浅川沿いで目撃されている。区部でも、足立区の荒川河川敷で今月二日からイノシシの目撃情報が相次いだ。区によると、三日午後八時ごろに鹿浜橋付近で確認されたのが最後という。野生動物の生態に詳しい東京農工大の小池伸介准教授(生態学)によると、森林と住宅地の間にある里山に人が立ち入らなくなり、関東地方でもこの十年ほどでイノシシの生息域が住宅地の方へと広がり、都心部にも近づいている。それに加えて台風15号や19号などの影響で「大雨で河川敷の林が消滅し、すみかにしていたイノシシが街に出てきたとみられる」という。

(ヒグマ捕殺最多827頭:北海道)
人里に出没するなどして北海道で2018年度に捕殺されたヒグマが環境省の統計で827頭に上り、これまで最も多かった17年度の774頭を上回って史上最多となった。捕殺には批判があるが、19年度も10月末現在で539頭に達しており、家畜が襲われる被害が目立つ。住民が襲われる恐れもあるため道は対応に苦慮している。「そのまま育てば今ごろ子牛を出産していたのに…。もう来年から放牧はやめる」。標茶町の酪農家、高橋雄大さん(32)は7月、放牧中に行方が分からなくなった牛を山中で捜している時にクマに遭遇した。クマは逃げたが、付近では乳房や腹を食べられ、牛が死んでいた。

(捕獲のクマ3頭、保冷車で冬眠へ:新潟)
今月8日に、南魚沼市の診療所で親子のクマが捕獲されたニュースをお伝えしました。その後、クマは意外な場所で冬を越すことになりました。三条市の運送会社「マルソー」の保冷車で冬を越すことになりました。クマは日本熊森協会が保護し、協会の法人会員のマルソーが預かることに。クマの寝床は、保冷車の荷台に置いた頑丈な檻。檻のカギとは別に保冷車の扉もワイヤーのカギで施錠しています。3頭は冬眠状態に入ってきているといいます。協会では春に南魚沼市の山に返す考えで、市や県と相談していくということです。

(診療所侵入のクマに温かい支援:新潟)
新潟県南魚沼市の診療所で冬眠状態に入っていたとみられるクマ3頭が捕獲・保護された後、三条市で冬を越すことになった。親子とみられるクマを預かった自然保護団体の要請を、同市の物流会社が「お手伝いができれば」と快諾。社員らが餌やりなどの面倒を見ている。3頭は冬眠状態に入るため、三条市月岡の総合物流業マルソー敷地内に止めた保冷車の庫内に入れたおりで越冬する。おりは高さ1・6メートル、幅1・3メートル、奥行き2メートルほどで、側面など4面が鉄板で覆われた頑丈なヒグマ用。保冷庫の扉にはワイヤ錠を掛けている。保護した日本熊森協会(本部・兵庫県西宮市)によると、3頭の健康状態は良好という。マルソーが協会の法人会員だったことから協力することになった。渡辺雅之社長(50)は「クマは好きこのんで里に下りてくるわけではない。山に餌がなく、やむを得なかった」と思いやる。協会は来春、南魚沼市の山へ3頭を帰す考えで、「南魚沼市や県と相談しながら適切な時期や場所を決めたい」とする。マルソーには市民らからリンゴやドングリなどの餌が次々と寄せられ、おりに敷くわらも届いている。協会によると、3頭が越冬するのに十分な餌が既に確保されており、室谷悠子会長(42)は「大変ありがたい」と話す。ただ、「見学などで人が訪れると冬眠に影響する上、自然に戻すためにも人にならすわけにいかない。温かく見守ってほしい」と呼び掛けている。

(クジャク対策、群れ捕獲へ「囲いわな」設置:沖縄)
宮古島市環境衛生課は、急増する外来種のインドクジャクの対策として12日に「囲いわな」を設置した。これまで猟銃での駆除や箱わなで捕獲していたが、一度に群れごと捕獲するために効果がある囲いわなを導入。クジャクが近づいたときや囲いわなに入ったときに通知する遠隔監視・操作システムによるスマートフォンのアプリを使用し、群れを確認すると「捕獲ボタン」を押して捕獲する対応を行っている。クジャクへの対応は、今年4月から農政課から環境衛生課に移った。環境衛生課では専門家の「宮古諸島における外来種インドクジャクの生活環境と生息状況」や、9月3日に開かれた第2回宮古島の希少種保全・外来種問題(イタチ・クジャク)に係る複数の事業関係者による対策連絡会議の資料を参考に対策を取っている。囲いわなは、猟銃による駆除や箱わなの捕獲よりも群れで捕獲することから効果が大きいとして導入。12日の設置後には5羽が捕獲されており、現在も遠隔監視・操作システムで監視している。環境衛生課によると、クジャクは島全域に生息していると見られており、数が増えるとともに農作物を食い荒らしたりする被害が寄せられているという。また宮古諸島の固有種で絶滅危惧種に指定されている「ミヤコカナヘビ」を捕食することから生態系への影響が懸念されている。この状況に農家から悲鳴が挙がっていることを踏まえ、市は2007年度から猟銃による駆除や箱わなの捕獲を行ってきた。07年度から19年度(9月末現在)までの捕獲数は探索犬や個人、猟友会八重山などを含めると成体が2145羽、雛が15羽、卵は29個となっている。

(イノシシ農業被害増で対策強化へ:岩手)
地球温暖化の影響などで県内でもイノシシの生息する地域が県南部を中心に広がり、農作物の被害が増えていることから県や各自治体ではイノシシ対策を強化することにしています。岩手県によりますと、昨年度、イノシシによる稲などの農作物への被害額は県南部を中心に10の自治体で合わせて1530万円に上り、前の年の1.4倍に増えました。また、猟友会による捕獲頭数も合わせて243頭に上り、前の年の3倍に急増しているということです。自治体別では一関市が110頭ともっとも多く次いで奥州市が43頭、平泉町が39頭、雫石町が14頭などとなっています。県内ではイノシシは明治期の乱獲などで生息が確認できなくなったとされていましたが、平成22年に一関市で農業被害が確認されたことをきっかけに各地で出没情報が相次ぎ、生息範囲が広がっているということです。背景には温暖化やメスが1回に4、5頭を生む繁殖力の高さなどがあるとみられ今年度も被害や捕獲の報告が相次いでいるということです。このため県や各自治体は対策を強化するため電気柵やわなの使い方について研修会を開催するほか、捕獲頭数をさらに増やしていくことにしています。

(眞子さま佳子さま、各国大使らもてなす:千葉)
冬の恒例行事となっている皇族方の外交団鴨場(かもば)接待が17日、千葉県市川市の宮内庁新浜鴨場であり、秋篠宮家の長女眞子さま、次女佳子さまが接待役を務めた。姉妹そろっての接待役は初めてで、英国、ベルギー、オランダなど17カ国の大使夫妻らをもてなした。鴨場接待は眞子さまは6回目、佳子さまは初めて。お二人は大使夫妻らとともに、竹ざおの先に網を張った道具を使った伝統のカモ猟を行い、208羽を捕獲。足に飛来調査用の標識を着けて全て放した。そっと置くように放したカモが勢いよく飛び立つと、眞子さまは「おおっ」と声をあげた。佳子さまも目を丸くして行方を見つめた。

(イノシシ被害対策研修会:鹿児島)
サトウキビ食害が深刻化を受けた「徳之島におけるイノシシ被害対策研修会」(県大島支庁・徳之島地域総合営農推進本部共催)が17日、天城町防災センターであった。県環境技術協会の塩谷克典氏(農学博士、県鳥獣被害対策アドバイザー)が演題「農家ができる寄せ付けない対策と効果的な捕獲方法を」でノウハウを説いた。徳之島3町の生産農家など関係者ら約130人が参加。大島支庁農政普及課によると、イノシシによる島内農作物被害額の9割弱はサトウキビ。2012年度の約7千万円をピークに減少し近年は1千万円前後で推移していた。だが今年度の被害認定面積(農業共済12月9日現在)は1447㌃となり早くも前年度(629㌃)比約2・3倍に増加。島北部の山間部を中心に、海岸部にも被害が広がっている。塩谷氏は全国的な鳥獣被害の増加例に「鳥獣はもともと〝山の生き物〟ではない。平地はヒトがいなければ餌が多くて過ごしやすい場所。ヒトの作りだす農作物はものすごい餌資源供与になる」。野生鳥獣と人間の攻防の歴史もひも解きながら「イノシシなどが里に降りてくるのは『山に餌がないから』はウソ」。労せず平地で農産物の味をしめたことが原因と解説。その上で、「集落で行うべき被害対策の第一点は集落の〝餌場化〟を止める。野菜くずや落ちた果実の放置をやめるなど残渣(ざんさ)を無くす」。侵入防止柵も「張りっぱなしではダメ。どんな柵も放置すれば破られる。電気柵もきちんと管理しないと効果がない。1人で管理するより集落で設置して穴を塞ぐなど管理するのが最近の流れ」。ほか効果的な狩猟の重要性やわな・捕獲手法の改良などについても専門的に解説した。

(毎年数百匹駆除、シカの肉や皮どう活用?:長崎)
農業被害対策などのため、五島市内で毎年数百匹が駆除されているシカ。その肉や皮の活用策について考える「五島シカ肉祭」が22日、同市の玉之浦町公民館であった。参加者はシカ肉料理を試食したり、なめした革でストラップを作ったりして、楽しみながら有効な「使い道」を考えた。発案した市地域おこし協力隊員の野澤努さん(52)は、捕獲数が増えているシカを捨てずに有効活用することを目指す。野澤さんは災害で地域が孤立した場合にも、シカを「生きた備蓄食料」として役立てられないか検討している。市によると、昨年度は市内で約700匹のシカが捕獲されたが、一部が食肉用として市販された他は、大半が埋設処理された。本年度は10月までに800匹以上が捕獲され、3月までに千匹ほどに上る見込み。会場では地域住民らが、市内で捕獲されたシカのロースとバラ、モモの各部位を、炭火で焼いて来場者に提供。企画の一つ「シカ肉非常食料理グランプリ」では地元の食生活改善推進員らが、災害時でも作りやすいよう「調理30分以内」「よく熱を通す」などを条件に、シカ肉でつみれ汁やまぜご飯、カツなどを作った。革に金具を打ち込んだり、はんだごてで文字を焼き付けたりしてストラップを作るコーナーもあった。野澤さんは「シカが増え続ければ農業だけでなく交通事故なども増える恐れがある。シカ肉はきちんと処理すれば臭くも硬くもない。地域住民が自ら計画を立て、捕獲し解体して食べる力を付けてもらえれば」と話した。

(ツキノワグマ、県内に606頭:栃木)
本県に生息するツキノワグマの推定数は2019年度で606頭に上ることが21日までに、県環境森林部の調査で分かった。14年度の前回調査より145頭増加した。これまで確認されていない地域での目撃があり、生息域が広がっているとみられる。専門家は「昔に比べ人の手が入らないため荒れるなど山の状況が変わり、野生動物のすめる範囲が広がった。生息域や個体数は全国的に増加傾向にある」と分析している。調査は19年度中に策定する県ツキノワグマ管理計画の基礎資料として6~8月、高原地区(高原山周辺)と県南地区(鹿沼・佐野地区)で実施。蜂蜜などの誘因物に引き寄せられたクマをカメラで記録し、過去の調査結果などを加味して推定数を算出した。

(狩猟フェスタが開催:徳島)
徳島県主催の「阿波地美栄×狩猟フェスタ」が以下のとおり行われます。当日は、ジビエ料理の試食・販売の他、狩猟免許取得相談や、ハンターカフェ等、狩猟を始めるための様々な手続きや悩みについて、ご相談に応じるコーナーもあります。是非ご参加下さい。日時:2020年1月12日(日)場所:徳島グランヴィリオホテル

(イノシシ捕獲数過去10年で最多:山口)
野生動物による農林業への被害が深刻となるなか、昨年度、県内で捕獲されたイノシシの数は、前の年度より5割多い2万2500頭余りで、過去10年で最も多くなりました。山口県は、農林業に被害を与える野生動物について、昨年度1年間に捕獲された数をまとめました。それによりますと、▽イノシシは2万2539頭と最も多く、前の年度より7408頭、率にして49%増えたほか、▽ニホンザルも934頭と、前の年度より266頭、率にして36%増えました。捕獲数は、いずれも過去10年で最も多くなっています。一方、▽ニホンジカは6129頭と、前の年度より219頭減りました。県内では、野生動物による農林業への被害が後を絶たず、昨年度は、金額にして4億7000万円余りに上っていて、県などは有効な対策を模索しています。イノシシの捕獲が大幅に増えたことについて、県自然保護課は、「イノシシが、餌を求めて人が住んでいる集落に近いところに出没するケースが増えたためではないか」と話しています。

(「きょん」が4万頭の大量発生:千葉)
「キョンは朝と夕方に山から下りてきて、稲、大豆、イチゴなどの農作物を食べてしまう。民家の庭にも出没し、植木の草花を食い散らかすので、住民は困っています。それだけじゃない。キョンはどこでもオシッコをするため、雨上がりの日には町中に牧場のようなムッとした臭いが充満する。夜になると首を絞められているかのような声で鳴き気持ち悪い。すばしっこく、罠(わな)を仕掛けてもなかなか捕まりません」(千葉県いすみ市の住民)。11月下旬の日没間近、千葉県南東部に位置するいすみ市の住宅街に足を踏み入れると、体長1mほどの焦(こ)げ茶色をした動物がそこら中を徘徊していた。2本の角を生やし、車道や民家の庭先を我が物顔でうろつく姿は、まるで小鹿のようだ。人が近づこうとすると素早い動きで物陰に身を隠す。時折「ガー、ガー」と唸(うな)るような鳴き声で仲間に合図を送るこの動物は、シカ科の外来生物、キョンだ。実は、このキョンが今、千葉県民を深刻な悩みに陥れている。’19年、千葉県民は数々の自然災害に悩まされた。9月の台風15号では、6万5000棟もの住宅で屋根が飛ぶなどの被害が発生し、約64万軒が停電。復旧が長引いたため数週間エアコンが使えず、熱中症による死者も出た。10月の記録的豪雨では、11人が亡くなり、2000棟以上の住宅で浸水などの被害があった。これらの風雨で県内の農林水産業が被(こうむ)った損害額は430億円に及ぶ。こうした災害で大きな痛手を受けた千葉県民だが、それに加えて現在はキョンが住民の生活に危害を及ぼしている。キョンは中国や台湾を原産地とする小型の草食獣。八丈島で飼育されているキョンが有名だが、野生では千葉県と伊豆大島にしか生息しないという。キョン対策に携わっている元戦場ジャーナリスト・石川雄揮氏が語る。「キョンは体高40~50㎝、体長70~100㎝の小型動物で、大きさはニホンジカの5分の1ほどしかありません。体重も軽く、10㎏程度。野生のキョンの生息地は国内では千葉県と伊豆大島のみです。メスは生後半年から妊娠可能であり、出産した翌日には再び妊娠できる。強力な繁殖力のせいであっという間に増殖してしまい、現在千葉県には約4万頭のキョンが生息すると推定されています」これは、伊豆大島での生息数である1万5000頭を大きく上回る数字だ。千葉県の調査によると、キョンは最近5年間(平成26年度から平成30年度)で実に1万頭以上増加しているという。これだけ多くのキョンが、なぜ今、千葉県に生息しているのか。「きっかけは、’01年に閉園した千葉県勝浦市の動植物園『行川(なめがわ)アイランド』で飼育されていたキョンが脱走したことだと言われています。’80年代の話です。キョンは施設内で放し飼いにされていたので、脱走しやすかったのかもしれない。当初は勝浦市にしか生息していなかったものの、今は県内各地に生息域が広がっている。東京都に近い柏市での目撃情報もあります」(千葉県勝浦市の住民)繁殖を重ね、現在は原産地で見られない独自の性質も身に付けている。「本来のキョンは草食性ですが、千葉県内では肉類を原材料としたドッグフードを食べている姿も多く目撃されています。原産地の台湾ではキョンが肉を食べることはありえません。イギリスではキョンが増えすぎて、蝶が卵を産みつけるための植物が食べ尽くされてしまったことが確認されている。日本でも生態系が変わる恐れがあります」(前出・石川氏)増えすぎたキョンは、住宅街に住み着き、人々の暮らしを脅かすようになっている。いすみ市の住民に声をかけると、困ったような表情をしてこう答えた。「いすみ市は高齢化で空き家が増えている。手入れされていない庭や軒下などは、キョンにとって絶好の住み処なのでしょう。近所の空き家を住まいにしているキョンが、昼間から周辺でエサを探している姿をよく見かけます。おかげでこの辺りの花壇の草花は、すべて食べ尽くされてしまいました」。このままでは生態系が攪乱される恐れがあるとして、国は’05年、キョンを特定外来生物に指定した。千葉県はより早い’00年から駆除対策を進めている。「千葉県は’13年からキョンの『防除実施計画』を実施中です。生息数の多い勝浦市、いすみ市、鴨川市など7市町を集中防除区域に定め、県や市町村単位で罠や猟銃を使った捕獲作戦を行っています。イノシシなどと同様、1頭捕獲してもらうごとに自治体は6000円前後の報奨金を出す。昨年度は捕獲と報奨金のためにおよそ4000万円の県予算を投じ、4111頭のキョンを捕獲しました。最終目標は県内から野生のキョンを完全排除することです。しかし、人手や予算の関係上、増加数に比べて捕獲が追い付いていないのが現状です」(千葉県環境生活部自然保護課の三井士郎副課長)増えすぎたキョンを〝有効活用〟する動きもある。前出の石川氏は、キョン肉の試食を含む狩猟体験を主催しているほか、キョンのなめし革を使った工芸品を作る『ハント・プラス』社を立ち上げた。「高たんぱくで低脂質なキョン肉は、台湾や中国では高級食材。レストランで1頭食べると約6万円します。春が旬で、刺身で食べると美味しい。私が主催する狩猟体験では、キョン肉のローストを試食してもらっています。牛肉の赤身に近いあっさりとした味わいです」(石川氏)キョン革を使った小物も徐々に売り上げを伸ばしているという。「キョン革は肌触りが非常に良く、台湾では生まれたての赤ちゃんを包むのに使われる。日本でも、伝統工芸品などの素材として従来キョン革を輸入してきた。私は、千葉県で捕獲したキョン革を使用してこうした工芸品を作る試みを始めています。具体的には、罠で捕獲したキョンの皮を革職人に送り、巾着袋やがま口にしてもらっています」(石川氏)生態系を変えてしまうキョンも恐ろしいが、その原因を作った人間こそ自然に対する最大の脅威なのかもしれない。

(ツキノワグマ、人間襲う個体対策急務:宮城)
2019年、仙台市では泉区でのクマの目撃情報が相次ぎ、近隣住民は不安と恐怖で生活に支障を来しました。登下校する児童・生徒ばかりではなく、見守る大人たちも心配でならなかったでしょう。さまざまなイベントの中止もありました。本州のツキノワグマは人を襲わないというのが、定説でした。そのため、山菜取りなど山に出掛ける際には、クマを驚かせて襲われることのないよう、人に気が付いてもらえるように鈴を鳴らしたり、ラジオをつけたりして、人の居場所を教えるのが一般的な対処法でした。しかし最近は、数年前に秋田県で人を襲って肉を口にするものが現れ、これまでの概念を大きく変えました。ツキノワグマも学習をし、獲物として人を見ることを覚え、それが多くのクマたちに伝わることにより、人間を襲うクマが多く見受けられるようになってきました。私が住む宮城県川崎町でも、近所の人が柴犬を散歩していたら、田んぼから突然クマが道路に出てきて、100メートルほどの距離から、走って追い掛けてきたと聞きました。動物愛護の観点からは、難しい問題も含まれていますが、捕らえて山に帰したとしても、人間を襲うことを学んだクマはまた山から下りてきて、人々に危害を加えないという保証はありません。今回、仙台市では、麻酔銃でクマを眠らせた後、射殺しています。人々の不安と恐怖を考えれば、この行為は仕方のないものだと私は思います。クマの出没する地域に住んでいる人と、そうではない地域の人とでは、考え方に大きな温度差ができることでしょう。実際に経験しなければ、不安や恐怖は想像だけのものです。ただ、きれいごとだけでは済まされない現実がそこにはあることを、できるだけ理解してほしいと切に望みます。これから先、野生動物との距離は、より近くなるでしょう。人を恐れない野生動物たちは、これから私たちにどんな行動をとってくるでしょうか。手遅れになる前に、何らかの策を講じなければいけない時期にきています。昔の野生動物と今の野生動物とでは彼らが持っている知恵も明らかに違うことを考慮した上で、早急に対応することが望まれます。

(クマ被害多発、対応難しく:秋田)
県内は今年、ツキノワグマによる人身被害が人の生活域で相次いだ。個体数の増加や食物不足、里山の荒廃などが複雑に絡んでいるとみられ、クマを遠ざける有効な手だては打てていない。「帰宅時間が遅くなるとクマのことが頭をよぎる」。秋田市添川の60代男性はそう話す。10月31日夜、近所の40代男性が自宅敷地内でクマに襲われ重傷を負った。現場東側に山林が広がるものの、約280世帯が暮らす住宅街。「ここに20年住んでいるが、家の近くでクマを見た人はいなかった。なぜ出たのか不思議だ」と続けた。

(イノシシ2頭目撃:新潟)
12月20日午後8時ごろ、新潟県加茂市本町地内の道路を歩く体長約1メートルのイノシシと子どもと思われるイノシシの2頭が目撃された。住宅街での目撃情報でもあり、加茂署では付近をパトロールするとともに被害防止の注意を呼びかけている。19日夜にも加茂市と田上町で同じ個体と思われるイノシシ2頭の目撃情報が3件あった。

(イノシシ2頭の目撃情報が相次ぐ:新潟)
新潟県警加茂署の発表では12月19日夜から加茂市内、続いて田上町内で親子と思われるイノシシ2頭を目撃した通報があった。最初の目撃情報の通報は午後9時40分ごろ。加茂市若宮町1丁目地内の道路上で体長約1メートルのイノシシと子どもと思われるイノシシの2頭が路上を歩いているところが目撃された。それから2時間後の午後11時40分ごろに田上町吉田新田地内の道路上、さらに20分後の20日午前0時ごろに田上町羽生田地内の青海団地付近でいずれもイノシシ2頭を目撃した通報があった。3件とも2頭が目撃されていることからイノシシ親子の可能性が高そうだ。加茂署では住宅街での目撃情報のため、付近をパトロールするとともに、被害防止の注意を呼びかけている。

(サルの出没:佐賀)
令和元年12月23日午後3時40分ころ、佐賀市木原二丁目付近において猿1匹が出没しました。今後も出没する可能性がありますので注意してください。

(サルの目撃情報:大阪)
2019年12月18日(水)午後4時10分頃、千里北公園付近でサルの目撃情報が寄せられました。

(サルの目撃情報:兵庫)
2019年12月18日の午後2時頃、姫路市林田町の路上でサルが出没しました。

(家庭菜園の電気柵補助へ、クマの市街地侵入対策:北海道)
札幌市内の住宅街にヒグマの出没が相次いだことを受け、札幌市は来年度から、家庭菜園に電気柵を設置する市民への補助事業を始める。補助対象はこれまで、農家限定だった。8月に南区で駆除されたクマは家庭菜園のトウモロコシを食べており、電気柵設置を進めることでクマ出没を抑制する狙いだ。道立総合研究機構環境科学研究センターは「家庭菜園用の電気柵の設置への自治体の補助は聞いたことがない」という。

(令和元年度捕獲者研修会:北海道)
全国でシカによる農林業被害が深刻化し、捕獲が推進されています。一方で、優良な食肉資源であるシカ肉の安全安心を確保するために、食肉衛生に関する捕獲者のスキルアップが重要です。国産ジビエ認証制度を補完するシカの捕獲者を対象とした食肉衛生の基礎知識および衛生的な屋外内臓摘出等に関する研修会を実施します。受講者には研修修了証明書(予定)を発行します。

(令和元年度鳥獣の保護管理のあり方検討会の開催:東京)
環境省では、平成26年に改正し、平成27年5月に完全施行された「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)」の施行状況について確認を行い、鳥獣の保護及び管理に関するあり方について議論を行うことを目的として、下記のとおり検討会を開催します。ニホンジカ、イノシシ等による自然生態系への影響及び農林水産業被害の深刻化や狩猟者の減少・高齢化等による鳥獣捕獲の担い手の減少により、鳥獣の捕獲等の一層の促進と捕獲等の担い手育成が必要とされていることを踏まえ、平成26年に鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)が改正され、平成27年5月に完全施行されました。その際、本法附則第18条において「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされたところです。これらを踏まえ、令和2年5月に新法の施行から5年を迎えることから、新法の施行状況及び鳥獣保護管理行政に係る課題について検討を開始するものです

(獣害対策に乗り出す:岩手)
盛岡市薮川地区の活性化を担当する地域おこし協力隊の袴田優樹さん(37)は、2019年5月から岩手大の地域課題解決プログラムを活用して、中山間地域農業の獣害対策に取り組んでいる。18年8月に協力隊に着任以来、「極寒天国・薮川地域をもっと稼げる地域に」をテーマに活動中。19年度は新たな地域産業の確立として取り組む高糖度トウモロコシの特産化と並行し、同大農学部の山内貴義准教授の協力を得て、定点カメラによる野生動物の生態調査を実施した。近年増加しているニホンジカやツキノワグマによる農作物の食害は、薮川地区でも問題。玉山総合事務所産業振興課によると、薮川地区の農作物の被害相談件数はツキノワグマが15年度3件、16年度9件、17年度9件、18年度17件、ニホンジカが16年度1件、17年度4件、18年度2件と増加傾向にある。袴田さんは「薮川地区ではクマにトウモロコシが食べられたり、ソバや豆類がシカに食べられたりしている」と話す。袴田さんが山内准教授らと実施した調査では、高糖度トウモロコシの栽培地の周辺に、定点カメラ3台を設置して計7回の生態調査を実施。どういった獣種が、どのくらいの頻度で来るかを確かめた。獣害対策を講じていたこともあり、出現回数自体はそれほど多くなかったが、ツキノワグマ、ニホンジカ、キツネ、タヌキなどが撮影された。取り組みの一環として、19日には地区住民を対象に薮川地区獣害対策勉強会(盛岡市、岩手大主催)を開催。山内准教授が野生動物の生態や各地の獣害対策の取り組みなどを紹介した他、獣害対策機器販売業者が電気柵の効果などを説明した。山内准教授は、駆除による対策では限界が来ているとし、目撃や出没情報、被害状況の行政への報告、電気柵などによる獣害対策など、地域ぐるみでの取り組みが必要と指摘した。勉強会に参加した薮川地区の日野杉勉さん(71)は「7、8年前くらいから春に水稲の苗を植えたと思ったらシカに食べられるし、そろそろ実がなってくるとまた入ってきて食べる。田んぼの岸の方を今年もがらっと食べられた。野菜は柵をして、網を張っている。それがなければ全部食べられる。トウモロコシも網を張らないとクマやカラスにやられる。電気柵はあまり知らなかったが、仕組みが分かり、検討してみたい」と勉強会の感想を語った。山内准教授は「他の地区に比べて、薮川地区はやり始めたばかりで、住民の意識もまだ高くない段階。まずは、アンケートなどで住民の獣害に対する意識レベルをいかに上げるかを考えている。被害があることは分かっているので、まずは問題点を洗い出す。一番は住民と行政との関係で、住民側が行政はどうせ何もしてくれないとネガティブになっているとうまく回らない。住民と一緒にやれることを模索していければ」と話した。袴田さんは「今回の勉強会がまずは1回目だが、自分がこういうことをやりたいので、住民の皆さんにお願いしますではうまくいかない。まずは基本的な知識を住民の皆さんと共有しながら、現状を見詰め、どうしていけるかを考えることが地域としての一番最初の取り組みになる」と意気込む。

(ムクドリ駆除に効果あり:滋賀)
八日市駅前のケヤキ並木で、ムクドリの大群が夏場に飛来して騒音やフン害の苦情が寄せられていた問題で、県東近江土木事務所が街路樹の剪定(せんてい)時期を前倒ししたり、回数を増やして実施したところ、今夏のムクドリ被害は減少した。市当局が市議会一般質問で明らかにした。同市生活環境課によると、2、3年前から夏場になると、ムクドリ2、3千羽の大群が駅からショッピングプラザアピア付近にかけての街路樹約50メートルに飛来するようになり、鳴き声による騒音やフン害が発生していた。このため、市の要望を受け道路管理者の県東近江土木事務所は、ムクドリが飛来する前の6月に剪定を実施して、ムクドリが「ねぐら」にしている街路樹の枝を取り払った。7月下旬になるとムクドリを見かけるようになり、8月中旬に大群が飛来した。これを受けて2度目の剪定を8月下旬に実施するとともに、9月下旬に電磁波による駆除も試みた。この効果もあって、例年であればムクドリは11月まで居座るが、今年は10月上旬から減り始め、中旬には姿を見せなくなった。同市生活環境課の担当者は、「剪定時期を早めることで、ムクドリが減少したので、効果があったといえる。来年も県に要望して同様の対策をとりたい」としている。ただし、ムクドリが街路樹に寄りつかなくなった一方、商工会議所やJA前の電線にとまるようになったため、来年度は電線に鳥よけのピアノ線を張る対策をとりたいとしている。

(カワウの生息地分散化進む:滋賀)
漁業や森林に被害を与える水鳥のカワウについて、これまで最大だった長浜市の竹生島の生息数が大きく減った一方、栗東市の野洲川などで増加するなど生息地が分散化していることがわかりました。カワウは、体長80センチから1メートルほどの大型の水鳥で、繁殖力が強く、びわ湖のアユを食べたり、フンで樹木が枯れたりする被害が問題となっています。関西広域連合がことし5月に行った調査によりますと、県内のカワウの生息数は7462羽と、去年と比べ855羽、率にして11%余り増えました。カワウの増加は2年ぶりで、ここ数年は最も多かった平成20年の3万7865羽の5分の1ほどの7000羽前後で横ばいの傾向にあります。生息地別では、▼栗東市の野洲川が1737羽と去年より50%余り増えて初めて県内最多となったほか、▼愛荘町の愛知川が26%増の1425羽と2番目に多くなりました。また、これまで6年連続で最多だった長浜市の竹生島は35%余り減って3位。竹生島と並ぶ生息地だった近江八幡市の伊崎半島は46羽で90%近く激減するなど、生息地の分散化が進んでいることがわかりました。県の鳥獣対策室では「そばに住宅地があり、銃による駆除ができない地域に分散したのではないか。今後は卵をふ化させないようにして繁殖を抑える対策も進めたい」としています。

(狩猟者目指す人に無料講習会:愛知)
イノシシなどの捕獲に興味を持つ人を対象にした、講習会が名古屋市内で開かれました。この講習会はCSF(豚コレラ)対策の一環として愛知県が開き、講師をつとめた猟師が、参加者に銃の構え方を指導したり、罠の使い方を紹介したりしました。愛知県によると県内では20日までに捕獲された野生イノシシのうちCSFの陽性反応が出たのは107頭で、県は防疫対策の一つとして狩猟人口を増やしたい考えです。

(センサーでサル侵入感知しスマホに通知:京都)
京都府南丹市はこのほど、情報通信技術(ICT)を活用した遠隔操作でサルを捕獲する大型おりを同市園部町南八田に設置した。サルの農作物などへの被害防止につなげる。同市内のサルは兵庫県丹波篠山市と南丹市を行き来する「園部A群」が生息し、今年8月の調査で52匹が確認されている。60匹に達すると、群れが分裂する恐れがあるといい、被害防止につなげようと捕獲おりを設置することになった。捕獲おりは縦横5メートル、高さ1.8メートルで二つの扉が付いており、扉入り口のセンサーでサルの侵入を感知。スマートフォンやパソコンに通知が届き、おり付近に設置されたカメラで様子が確認できる。サルが大量におりの中に入ったタイミングで、ボタンを押すと、扉が閉まる仕組みだ。設置場所の近所の男性(73)は「20年くらい前からサルが出始め、農作物が食い散らかされている。屋根の上にのり、雨どいにぶら下がって遊び、壊れたこともある。捕獲してほしい」と話した。

(サルの位置情報配信システム導入:京都)
ニホンザルの被害に悩む京都府伊根町では、サルの位置情報配信システム「サルイチ」の活用を今年4月から始めた。「サルイチ」はサルの群れの位置情報をメールで即時に知らせ、インターネット上の地図で確認できるシステム。兵庫県丹波篠山市のNPO法人里地里山問題研究所が開発し、京都府の自治体単独では伊根町が初めて導入した。システム一式の導入費100万円は国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用。年間約36万円の運用費は同町単独費を充てる。町内に生息する四つのサルの群れのメス各1頭に発信機を装着。今年4月からサル監視員を務める町職員の三野平史郎さん(62)が毎日軽トラックで巡回する。受信機の音を頼りに群れに近づき、位置や頭数、被害状況などをタブレット端末から入力している。システム利用者は受信情報の設定が可能だ。受信したい群れと出没期間、接近距離などを選択すると、群れの位置や移動経路が地図上に色分けされた〇印と矢印で表示され、群れの動きが一目で分かる。

(有害鳥獣、捕獲数昨年の3倍に:神奈川)
秦野市内でイノシシやシカなどの出没が増加している。これに比例して農作物への被害なども増えており、市では生ごみや家庭菜園等での廃棄果樹・野菜の適切な処理などを呼び掛けている。はだの都市農業支援センターによると、農業者・生産組合が設置したわなによるシカ・イノシシの捕獲頭数は今年4月から10月までに149頭に上るという。昨年と比較し2・75倍(昨年同時期54頭)となっており、2018年度1年間の捕獲総数125頭も超えるペースで増加している。秦野市はもともと盆地で山に囲まれており、イノシシやシカなどの動物が比較的近い場所に生息している。かつては住宅地と山との境目に農地が多くあったが、現在は後継者問題等から農地を手放す人も多く、荒廃地となった場所に有害鳥獣が出没することも増えている。「鳥獣の生息地がより住宅地に近くなり、比例して目撃情報も増えている」と担当者は話す。秦野では今年、特にイノシシの出没が大幅に増加しているが、隣接する伊勢原市ではツキノワグマの出没も目撃されている。県内でのツキノワグマの出没件数は過去最多を更新し、今年10月末時点で271件。秦野市でも10・11月にツキノワグマの目撃情報が上がっており、自治体の喫緊の課題となっている。こうした現状を受け、秦野市をはじめ厚木市・伊勢原市・愛川町・清川村で構成する「広域行政連絡会」(会長・小林常良厚木市長)は12月9日、神奈川県へ「有害鳥獣対策の推進を求める緊急要望書」を提出した。県への要望は毎年行っているが、今回は有害鳥獣による人的被害が出る前に早急な対策が必要であると判断。過去10年でも実績がない「緊急要望」として、ツキノワグマ及びイノシシについて、被害の未然防止に向けて対策を講じてもらうよう、県に申し入れた。冬場はエサも少なくなり、被害の増加も懸念される。同センターでは家庭菜園などで収穫物や廃棄果樹・野菜の放置、生ごみを外に置くなど、餌付けに繋がる行為をしないよう呼び掛ける。また「イノシシやシカなどと遭遇した場合、急に近づくと思わぬ反撃にあうこともあります。目撃情報がある場所では、特に動物が活発になる夜間の不要・不急の外出は控えるようにお願いします」と話している。

(シカ食害、ワサビ絶滅の危機:京都)
京都府南丹市美山町芦生でシカの食害によって絶滅の危機にある自生ワサビを保全し増やすプロジェクトが、京都大、岐阜大、山口大と「芦生わさび生産組合」の共同で始まった。氷河期から生き残ってきた学術的に貴重な固有種で、その価値を広く知ってもらうとともに地域資源としての活用を目指す。プロジェクトメンバーでワサビの起源や進化に詳しい岐阜大の山根京子准教授(遺伝育種学)によると、芦生に自生するワサビは氷河期に大陸から伝わって以来、交配することなく当時のままで残っていることがDNA分析で判明している。芦生では古来、このワサビが多く自生し、地元の人たちが食してきたが、近年、増えたシカの食害でかつての繁殖地も姿を消した。芦生区は5年前、自生ワサビの保存田を設置、村おこしの一つとして組合を結成してワサビ栽培を始めた。ただ、種は他県から取り寄せたものだ。共同プロジェクトでは、わずかに残る自生ワサビの周囲と新たに種が根付きそうな所にシカよけネットを設置していく。今月上旬には、山根准教授や京都大芦生研究林長の石原正恵准教授(森林生態学)、山口大の内田恭彦教授(経営学)、組合員らメンバーが山中を巡って作業した。さらに、このワサビの価値を広く知ってもらうために、地元で毎年4月に営まれる伝統祭事「わさび祭り」を文化財に指定するよう行政に働きかける。今井崇組合長は「若者たちが住み続けられる状況をつくっていく取り組みの一つ」と位置づけ、山根准教授らは「自生ワサビが保全され、経営的にも生かせるようなシステムを構築したい」としている。

(シカと電車の衝突急増なぜ?:京都)
JR西日本の沿線で、電車と野生動物の衝突事故が増えている。滋賀県を含む京阪神近郊エリアと福知山支社管内では今秋、発生件数が前年を25%上回り、列車遅延をたびたび引き起こしている。事故原因で圧倒的に多いのはシカ。要因については、鉄分を補給するために線路をなめにくる生態や、どんぐり不作の影響などが挙がっているものの、はっきりしないのが実情だ。11月2日、JR湖西線和邇-蓬莱間で、金沢発大阪行きの特急サンダーバードがシカとみられる動物と接触した。この電車は、前夜に福井県内で発生した別の電車とイノシシの接触事故の影響で既に運行が遅れていたこともあり、大阪駅着は当初予定から約10時間半遅れとなった。これは、JR西日本の管内で起きた動物との衝突事故のほんの一例だ。同社近畿統括本部によると、アーバンネットワークと呼ばれる京阪神地域では今年9~11月、電車と動物の衝突事故が119件と前年同期に比べて33・7%増えた。北近畿エリアを管轄する福知山支社の管内でも、同期間に前年同期比23・3%増の328件に上った。衝突する動物の大半を占めるのはニホンジカだ。まず、個体数そのものが増加している。狩猟者の減少などさまざまな要因で1990年代以降に急増し、環境省の調査による推定個体数は2017年度末に全国で244万頭と30年前の8倍に達した。また、生存に必要な鉄分を線路のレールから摂取しているという「ミネラル補給説」もある。建材や防護柵などを製造する日鉄建材(東京)は約10年前、鉄道会社がシカの侵入に悩まされていることを知り、新規事業でシカ対策の研究を始めた。電車とシカの接触が多い地点でその生態を観察したり、鉄分を配合したブロック状の塊をシカに与える実験を行うなどした結果、シカは鉄分を補うためにレールをなめにくるという結論に達した。成果を踏まえ、同社は鉄分と塩分を混ぜた誘鹿(ゆうろく)材「ユクル」を商品化。JR東海やJR西日本などが導入し、「シカとの衝突を減らす効果を上げている」(同社鉄道商品営業室)という。ただ、それではなぜ今秋に衝突事故が増えたのかの説明がつかない。今年ならではの背景として、シカの主食の一つであるどんぐりの凶作が影響した可能性も指摘されている。京都府が丹波地域と丹後地域でブナ科のどんぐりのつき具合を調べたところ、今年は凶作だった。ツキノワグマが人里で目撃される事例も増えており、府農村振興課は「推測だが、秋になってシカの衝突事故が増えたのであれば、同じ理由かもしれない」としている。

(シカが鉄分補給を線路で、JR沿線 対策進める)
近畿管内のJRの沿線でこの秋、列車とシカが接触する事故が急増していることがわかりました。JR西日本はシカが鉄分を補給するため、線路をなめにくることが要因の一つに考えられるとして、線路への進入を防ぐ対策を進めています。JR西日本によりますと、滋賀県内の草津線など近畿管内の山あいの路線を中心に、この秋、列車とシカなどの動物が接触する事故が相次ぎ、9月から11月の3か月間では、およそ570件と去年の同じ時期に比べて3割ほど増えています。圧倒的に多いのはシカで、事故処理のため列車の運行が大幅に遅れたこともあるということです。JR西日本によりますとシカが鉄分を補給するため、レールをなめに線路に入り込むことが要因の一つとして考えられるとして、鉄分などを配合した鹿寄せのブロックを線路脇に置いて、進入を防ぐ対策を進めています。また事故が特に多い場所では「鹿柵」と呼ばれる鉄製の柵を張り巡らせる対策も行っていて、一定の効果を上げているということです。JR西日本は「被害が増加していることに頭を悩ませている。今後とも試行錯誤しながら対策を進めていきたい」としています。JR関西線の線路近くで撮影された映像です。大きな角のあるオスのシカが、画面中央の木の根元近くにあるシカ寄せのブロックに口を近づけています。資材にはシカが好むという鉄分などが混ぜられていて、しきりになめているのが確認できます。JRによりますと資材は16センチ四方の大きさですが、設置してから3か月ほどでなくなるということです。上野動物園によりますと、鉄分を含むミネラルはあらゆる哺乳類に必要な栄養素で、病気になりにくくするなど体調管理に重要な役割を果たします。野生動物は土をなめるなどしてミネラルを補給していて、動物園では岩塩やカルシウムを餌に加えることで代用しているということです。一方、シカやゾウなど特定の動物がそれぞれどれくらいの鉄分を必要としているのか、詳しいことは分かっていないということです。

(猟友会にレディース、彼女らが引き金を弾く理由:和歌山)
狩猟シーズンに野生鳥獣の駆除などをする猟友会。和歌山には全国的にも珍しい女性部がある。顔ぶれは美容師や大学講師、カフェの経営者など多士済々。こうした「狩りガール」が脚光を浴びる背景には、野生鳥獣の肉を使用したジビエ料理ブームなどがある。パァーン、パァーン。10月下旬、和歌山市北部を流れる紀の川河川敷に乾いた銃声が響いた。散弾銃を構えた女性の視界をカワウが横切ったのだ。女性は同市加太の美容室経営、溝部名緒子さん。川のアユを食い荒らす鵜(う)の駆除が目的で早朝から猟区でハンティングをしていた。夫の転勤で同県有田市に住んでいた約10年前、地元の猟友会会員に誘われ、キジ猟を見学したのが狩猟に興味を持つきっかけだった。その後、イノシシやシカの猟にも同行。仕留めた獲物をその場で手際よく解体する会員の姿に、「格好よくてハートを打ち抜かれた」。6年前に故郷の加太に戻った際、散弾銃の所持・使用が認められる第1種銃猟免許を取得。県猟友会に所属し、昨年10月に自らの発案で女性部を立ち上げた。大日本猟友会(東京)によると、全国の会員数は約10万5千人(平成30年度)で、高齢化などにより減少傾向にあり、約10年間で2割減となった。一方、近年はジビエ料理ブームのほか、女性にも人気の狩猟漫画「山賊ダイアリー」(岡本健太郎著、講談社)などの影響で、女性会員は集計を始めた27年度(約1180人)以降、増加傾向にあり、昨年度(約2130人)は初めて2千人を超えた。それでも、全国的に女性による専門部があるのは和歌山のほか福井や大分などごくわずかで、会の担当者は「ここ数年は会員を募るポスターに現役の女性猟師を起用しており、特に女性の新規勧誘に力を入れている」という。和歌山では、シカやイノシシ、サルなどによる農産物被害が例年3億円を超え、県農林水産部も「鳥獣害の駆除にあたる女性ハンターの活躍は頼もしい」と期待を寄せる。県猟友会女性部は現在、65人ほどの会員がいる。10月27日には和歌山市で発足1周年を記念するイベント「狩りガールフェスタ」を開催した。会員で第1種銃猟免許を持つ道下優海(ゆみ)さん(38)は、29年に東京・渋谷から同県田辺市龍神村に移り住み、地元でカフェを経営する。イベントでは「狩りガールの体験談」を披露し、「大切に育てた野菜が日々、イノシシに食い荒らされる。『食べられたら、食べ返す』。そんな心意気で狩猟を行っています」と会場を沸かせた。また、会員で近畿大先端技術総合研究所講師の松橋珠子さん=同県岩出市=は、ジビエ肉のカレーの炊き出しに協力。「農産物を食い荒らす野生動物がなぜ里山だけでなく市街地でも増加しているのか。ハンティングを通して一緒に考えていきたい」と話す。イベントでは、女性を対象に狩猟免許の取得方法に関する相談会も開催。当初は数人程度の参加を想定していたが、約20人が訪れ盛況だった。龍谷大農学部3年の海津荘乃子さん(21)=京都市=は「狩猟は『男の世界』というイメージがあったが、女性部の存在を知り、一気に身近な存在になった」と関心を持った様子。溝部さんは「女性同士がおしゃべりしながら気軽に狩猟ができるように、仲間を増やす活動に取り組みたい」と意気込んでいる。

(「クマを殺すな!」批判に猟友会員「害獣駆除への社会的無理解の方が問題」)
お声がかかれば、押っ取り“刀”ならぬライフル片手に、オレンジ色のベスト姿で馳せ参じてくれるご存じ猟友会員。今年も全国でクマ退治の現場に引っ張りだこだが、その口をついて出るのは「やるだけ損だ」というボヤキばかり。秋田県鹿角(かづの)市の温泉街、十和田大湯の一角で、メスのクマが撃ち殺されたのは11月20日の朝のことだ。「我々が通報を受けたのは午前6時過ぎ。鹿角署員と温泉宿の庭先に駆け付けると、体長1メートルほどの1頭がうずくまっていました。警官が山に帰そうと追い払い、一旦は近くの川沿いに逃げましたが、再び住宅街を徘徊し始めたのです」。そう振り返るのは、顛末を知る地元猟友会の関係者。「11人の警官に猟友会員4人と市職員4人の計19人で後を追いましたが、駆除できたのは約3時間も後のこと。その間、猟友会員はクマに襲われ、1人が額と左手に擦り傷を、もう1人は右手の指を噛まれる重傷を負いました」。自治体ごとに異なるが、害獣駆除には1時間当たり数千円の手当が支払われる。命懸けの任務の割には十分な報酬と言えないうえ、大ケガのリスクまであるとは。その見合わなさがボヤキの理由かと問うと、猟友会員歴50年を超える老マタギは首を振って否定した。「手当を欲しがる会員なんか一人もいませんよ。それより、クマを含めた害獣駆除への社会的な無理解こそ、ずっと深刻な問題です」。どういうことか?「市街地に出没するクマは、住民たちの命を危険にさらす重大な脅威。だから我々は、常に射殺を念頭に動いている。なのに全国から“殺す必要があるのか”“山へ帰せばいいじゃないか”といった批判が殺到する。かと言って殺さずに追い払ったりしたら、今度は地元から“また来たらどうするんだ”と厳しいお叱りを受けてしまう」。どうあれ非難されるとあれば、さすがに文句も言いたくなろう。まして鹿角市の一件で、猟友会員たちは反撃の機会を封じられ、むざむざ傷を負ってもいる。「発砲には警官の許可が必要ですが、彼らもまた“殺すな”という批判や不慮の事故を恐れ、なかなか許可を出さない。結果、あの日のクマは逆襲に出て猟友会の仲間に傷を負わせた。猟友会員ならケガをしてもやむなしと言うのですか」(同)。大日本猟友会の浅野能昭専務理事も、「警官が所持する拳銃の威力では、クマを追い払うことも殺すこともできません。悲惨な獣害を防ぐため真に有効な対策は何なのか、冷静に議論する時期が来ていると思っています」。一仕事終えて足取りも軽く現場を去る猟友会のハンターたち、なんていうイメージとは大違いなのだ。

(「アーバン・イノシシ遭遇時の対処」:福岡)
このところ関東の市街地でアーバン・イノシシ(都市部に出没するイノシシのこと)の目撃情報が相次いでいる。12月2日頃に東京・足立区の荒川河川敷を移動しているところを発見され、4日には埼玉県の荒川上流域にあたる富士見市の住宅街にも現われ、警察や消防などによって捕獲された。しかし、足立区で目撃されたイノシシと体格が違うとの情報もあり、山から下りてきたイノシシが複数いる可能性が示唆された。その後、15日午後にも東京・国立市のJR国立駅前にイノシシが現われ、駅前を猛スピードで走り去ったという。約1時間後には立川市でも目撃されたが捕獲には至らなかった。地方の里山などであれば、畑の作物を荒らされるなどのイノシシ被害は多く、人里に出没するのも珍しくはないのかもしれない。だが、都市部に住む人は、街中でばったりイノシシに出会ってしまったら、どう対処していいかわからない人が多いはずである。福岡県福岡市では、イノシシが市街地に出没し、人へ危害を加える被害が相次いだため、今年4月からイノシシ被害の対策に特化した特命担当課長、通称“イノシシ対策課長”を新設したという。市街地でのイノシシ対策については、東京などより進んでいるに違いない。そこで、“イノシシ対策課長”こと福岡市農林水産局の水崎亮二課長に、街中でイノシシに出会ったときの対処法を訊いた。「イノシシは基本的に臆病でおとなしい性格で、通常は人間の気配を感じると立ち去っていきます。しかし、驚いて大声を出したり、モノを投げつけたりして興奮させると、突進してくることがあります。イノシシは足が速く、数秒で時速20キロに達し、最高時速40キロで走るといわれていて、ジャンプ力もあり、1メートル以上の高さでも超えてきます。イノシシに追いかけられたら、人は逃げられません」(水崎課長)体重100キロを超える個体もいるので、そのスピードで衝突されたらただではすまない。さらに、イノシシは噛む力も強く、捕獲しようとした人が指を噛みちぎられたケースが実際にあったという。また、雄・雌ともに横方向に伸びる牙があり、突進してきて衝突されて、太ももに牙が刺さって大怪我をしたというケースもある。「ばったり出会った場合は、刺激を与えて興奮させたりしないようにするのが基本です。背中を見せると追いかけてくるので、目をそらさないようにして後ずさりしながら、ゆっくり離れるようにします。その場から立ち去れないときは、建物や車の中、塀の影などで身を隠してイノシシが立ち去るのを待ちましょう。ガードレールは下に隙間があるのでダメですね。数十センチの隙間でもイノシシは入ってきます」(水崎課長)イノシシは木に登れないので、自分の方に向かってきて隠れる場所がないという最悪の事態では、木や電柱に登ったり、なるべく高い塀や柵の上に登るというのもありだ。マンガみたいだが、真面目な話である。ただし、落ちて怪我をしないように気をつけたい。そしていざというときは、イノシシ対策課長の言葉を思い出していただきたい。

(アーバン・イノシシ、なぜ師走の街に)
東京近郊の市街地で、イノシシが連日のように出没している。SNS上では「アーバン(都市)・イノシシ」と呼ばれて話題に。なぜ師走の街を駆け抜けるのか。15日昼、東京都国立市のJR国立駅近く。住宅街にパトカーのサイレンが響く。「危ない!」。そう叫ぶ警察官たちが追うのは、逃走中の凶悪犯――ではなく、イノシシだった。「なんでこんなところに?」。騒ぎに足を止めた人たちの一人がつぶやく。体長1メートルはある。歩道で警察官をかわし、交差点を渡り、コンビニや郵便局の前を抜けて走り去った。自転車ほどのスピードだったという。

(「五輪レガシー」、1964年の熱気を歩く:埼玉)
いよいよ来年夏に迫った東京五輪・パラリンピック。埼玉県内ではサッカーやゴルフなどの競技が開催予定だが、実は1964年東京五輪でも会場になっていたのをご存知だろうか。埼玉の面白スポットを紹介するフリーライター「サイタマニア イシ★バシ」こと石橋啓一郎さん(40)=川越市=が探し出した埼玉の「五輪レガシー」を紹介する。64年の東京五輪では、ボートなど4競技が県内5会場で開催された。石橋さんは「アジア初のオリンピック。感動のあまり(会場の地に)記念を残したんです」という。県内だと川口の鋳物職人が命懸けで聖火台を製作した話ぐらいしか聞いたことがないので、内心「たいしたことはないだろう」と思いつつ、JR東所沢駅から所沢市南永井の「オリンピック道路」に向かった。畑や流通センターらしき建物が並ぶ中、道路脇に「五輪之和」と刻まれた石碑が建っていた。クレー射撃の会場だったことを示すものという。射撃場はその後、閉鎖され、現在、県立所沢おおぞら特別支援学校などの敷地に。所沢でオリンピックがあったという事実に「!」をつけたいほど驚いたが、ひっそりとたたずむ碑に55年前の五輪を思った。次に向かったのは、キツネノカミソリの群生で知られ、陸上自衛隊朝霞駐屯地に隣接する新座市新塚の市営墓園。石橋さんは、植え込みに囲まれた円形の台を指差し「五輪で使われた射撃競技の表彰台です」と説明する。朝霞駐屯地内にある朝霞訓練場は2020年、そして64年時も射撃の競技会場。墓園はもともと競技会場近くにあったと思われる国有地。市に聞くと理由は分からないが、83年4月の開園以降も表彰台を維持。市が10月に設置した「表彰台跡地」のパネルには、表彰式の様子が印刷され「メダリストが立っていたのはここかな」と比較しながら歩くことができる。

(「脊振ではカラスを食べる」市議が一般質問で発言:佐賀)
佐賀県神埼市議会一般質問の発言で、脊振町の住民に不愉快な思いをさせたとして、野口英樹議員が定例議会最終日の19日、発言の取り消しを申し出て、謝罪した。野口議員は6日の一般質問で、脊振の魅力に触れる中で「脊振には自然がある。千代田や神埼にはないジビエもある。アナグマやカラスを食べていると聞いた」などと発言した。議会事務局によると、同日以降、インターネットの議会中継などを見た脊振町の住民から「カラスを食べている地域と思われてしまう。そんな事実はない」「どこからの情報か」といった苦言や問い合わせが数件あったという。議会運営委員会で対応を協議し、野口議員が最終的に19日の本会議冒頭で「脊振町の方々に不愉快な思いをさせた。おわびを申し上げ、発言の取り消しをお願いします」と申し出た。山口義文議長がこれを許可し「以後、発言には注意を」と述べた。

(マタギ文化をスマホで:秋田)
秋田県北秋田市など4市町村でつくる地域連携DMO(観光地域づくり法人)「秋田犬ツーリズム」は、北秋田市阿仁打当のマタギ資料館に音声ガイドシステムを導入した。Wi-Fi(ワイファイ)無線機と来場者のスマートフォンを接続し、QRコードを読み取ると、展示品の解説を日本語と英語で聞くことができる。運営する市の第三セクター・マタギの里観光開発の仲澤弘昭社長は「じっくりと説明を聞いて、国内外の多くの人にマタギ文化に詳しくなってもらいたい」と話している。資料館には、マタギが使う「村田銃」、刃物「ナガサ」といった道具のほか、クマやキツネの剥製などを展示し、マタギ文化を紹介している。音声ガイドは、館内のQRコードをスマホで読み取って利用する。展示に即して「狩猟の道具」「阿仁の森」「熊狩りの技」などの17項目があり、画面にタッチすると音声が流れる。説明を画面で読むこともできるので、耳の不自由な人も利用可能だ。

(ヒグマ出没、駆除以外の道:北海道)
人と野生動物が近づきすぎている。札幌市でこの夏起きたヒグマの出没と駆除はそれを象徴するできごとだった。かつてのように人が動物のすみかを奪ったのではなく、人口減少で縮む人間社会に動物のほうが迫ってきたとみるべきだ。彼らと適度な距離を保ち、人なれさせない手立てを講じる必要がある。背後に森が広がる札幌市南区の住宅街にヒグマが現れだしたのは8月上旬。市街地にクマが出ると、市は「ヒグマ基本計画」に基づき4段階の有害度に応じた対応を取る。今回は畑のコーンが食べられ、追い払っても出没を繰り返した。このため市は、上から2番目で駆除が必要な状態と判断し、山中に移動したところを猟銃で駆除した。「なぜ殺したのか」「麻酔銃で眠らせて山に返してほしかった」。市に届いた電話やメールの6割は駆除反対の声だった。ただ、麻酔銃が当たると興奮して走り回るおそれがあり、住宅地で使うのは危険が伴う。仮に麻酔銃が使えたとして山に返しても、人の食べ物の味を覚えたクマは住宅地に戻る可能性が高い。人なれが進んでしまうと駆除以外に道はない、というのが専門家の一致した見方だ。ヒグマの個体数は近年、増加傾向とされる。これに伴って駆除される頭数も増え、2017年度は過去最多の781頭にのぼった。市街地に出没するたびに対症療法的に駆除を繰り返す――。そんな実態が浮かび上がる。昔の農村のすがたを想像してみよう。果樹園や畑の周りの雑草は刈り取られ、薪を得るために木を切り出していたから、森への見通しが利き、動物は隠れにくかったろう。今より多くの人が暮らし、森から動物が近づいてくれば早く気づくこともできた。「人間の生活の営み自体が、結果として野生動物と距離を取る一定の役割を果たしていた」と北海道立総合研究機構環境科学研究センターの間野勉・自然環境部長は指摘する。そのバランスが崩れた。人は山あいから中心部へ徐々に退き、逆にクマは生息域を広げて人の生活圏を脅かしつつある。果樹栽培が盛んだった今回の出没地に、昔なら近づけなかったかもしれない。北海道だけではない。兵庫県では、ツキノワグマの推定個体数の増加を受けて8年前から有害個体の放獣はやめ、集落に出没した個体の駆除を進めるが、それでも増加傾向が続く。「人間の生活は、昭和30年代の『燃料革命』で山の資源に頼らなくなった。結果、山の資源の大半を野生動物が使えるようになった」。増加の背景を同県立大の横山真弓教授はそう読み解く。東京などで相次ぐイノシシの出没も根は同じとみられる。クマがすむ豊かな環境を守りながら今以上に駆除を増やさないためには、彼らが人の生活圏に入らないようにするしかない。たとえば、下草刈りや間伐にボランティアの協力を求められないか。コミュニティーが縮小し住民だけで解決が難しいならなおさら、関心を持つ多くの人をつなぐ工夫が行政に必要だ。

(都心部に出没相次ぐ「野生イノシシ」:東京)
東京のベッドタウンや都心部でイノシシの出没が相次いでいる。農産物を荒らすだけでなく、豚コレラの感染源となる例もあり、畜産業への影響も深刻だ。さらに住宅地などでの「猪突(ちょとつ)猛進」に遭遇した人が大けがを負う事故も後を絶たない。野生のイノシシは今月初めに東京都足立区から埼玉県富士見市などに出現したが、15日にもJR中央線国立駅前から立川市周辺で疾走する姿の目撃情報が相次いだ。イノシシの目撃が相次いでいる背景について、動物行動学者の新宅広二氏は、「台風15号や19号の影響で北関東の生息地が荒れたことで川沿いに下ってきた可能性がある。通常は人の少ない地域で収穫時期の農作物を狙うことが多いが、つい道路に出てしまい警笛を鳴らされたりすると、パニックで方向感覚を失い、どんどん人里の方に出てしまうこともある」と解説する。タレントのダレノガレ明美(29)が《食べるものがないから街に行くしかないのよね。(中略)危ないけれどもイノシシを殺さないでほしいな》とツイートしたところ、物議を醸す一幕もあった。群馬県などでは野生のイノシシ十数匹から豚コレラ(CSF)のウイルスが検出されており、イノシシがウイルスを媒介したことで養豚の盛んな関東地方にも豚コレラの感染が拡大した可能性も指摘されている。農林水産省の2018年度の「全国の野生鳥獣による農作物被害状況」の統計では、イノシシによる被害面積は5900ヘクタール、被害額は47億3300万円にのぼり、シカに次いで多い。人への被害も怖い。今年11月には、神戸市北区の山中で73歳男性がイノシシにかまれて左指を骨折したほか、尻を複数回刺されるなどして重傷を負った。直後に約700メートル先の植物園で87歳男性が左手をかまれ全治2週間のけがを負った。「2メートルの塀も登ることができるので、人間の生活圏に障害になるものはない」と新宅氏。「突進時は瞬間で時速約40~50キロ出て、乗用車が迫ってくるような恐怖感がある。ライオンと同程度の10センチ以上の犬歯を持ち、猟犬でも殺されることがある。相手の急所をよく知っていて、人間を襲う際には股の動脈付近を狙うこともある」というから恐ろしい。駆除や捕獲をするのもひと苦労だ。「散弾銃を使う場合、散弾ではなくスラッグ弾(1発弾)を至近距離で撃たないとイノシシは即死しない。ただ、住宅街などに動きが速い動物がいると、獣害駆除であっても撃つ方角や弾丸の数が制限されるのでハンターも思うように撃つことはできない」と新宅氏は語る。イノシシに出くわした場合、どうすればいいのか。「突進時にワンタッチ傘を広げるとひるむともいわれているが、建物や車中などに逃げるべきだ。離れた場所からスマホで撮影している人もいるが、方向転換して突進してくることもあるので危険だ」と新宅氏。くれぐれも野次馬根性を見せないほうがいい。

(丹沢大山再生、県が活動報告会:神奈川)
県と民間団体が連携して取り組む丹沢大山自然再生活動に関する本年度の報告会が14日、日本大学生物資源科学部(藤沢市亀井野)で開かれた。丹沢大山自然再生委員会の主催で、約320人が参加。2007年度から3期にわたる丹沢大山自然再生計画の成果と課題について議論した。報告会では、委員会の羽山伸一委員長が基調講演。全国で食害が深刻なシカについて「管理捕獲の強化で(丹沢での)生息密度は低下しつつも、箱根など周辺部に拡大が見られる」と指摘。「対策事業は県独自の水源環境保全税が主要財源になっているが、26年度に期限を迎える」とし、事業継続のための新たな財源を確保する必要があるとの認識を示した。続いて登壇した県自然環境保全センター研究企画部の羽太博樹部長は、丹沢での自然再生について「例えば、貴重なブナ林が残る東丹沢の堂平では、植生保護の取り組みにより、目に見える形で回復している」と説明。「ただ、丹沢再生には長い時間が必要。人口減による担い手不足や、今秋の台風被害で直面した防災・減災への対応も求められる」と訴えた。その後、参加者を交えた討論会が行われ、会場からは「06年度以降、丹沢大山総合調査が実施されていない。取り組みの検証には(調査を)再開すべきではないか」「ブナ林再生への温暖化の影響が懸念される」などの意見が出された。丹沢大山自然再生活動は、丹沢山地で増え過ぎたシカの生息数を抑制し、放置・荒廃した人工林を適正に管理するなど、官民協働で1990年代にスタート。報告会は約30年に及ぶ取り組みに関心を持ってもらうため、開かれている。

(クマ肉ローストで食中毒:北海道)
札幌市保健所は20日、同市南区のイタリア料理店「純や」でクマ肉のローストを食べた30~70代の男女6人が発疹や発熱を訴えたと発表した。うち女性1人から多くの野生動物に寄生する「旋毛虫(せんもうちゅう)」の抗体が検出されたことから食中毒と断定した。いずれも回復に向かっている。保健所によると、6人は11月10日に同店で食事。その後に全員が体調不良となったことから今月10日に病院で受診し、食中毒が判明した。保健所は食品衛生法に基づき、同店を20日から3日間の営業停止処分とした。クマ肉は店の経営者の知人が4年前に入手し冷凍していたもので、経営者は11月に譲り受けたという。旋毛虫は凍結に強い種類もおり、発症までの潜伏期間が長い。重症化すると肺炎や心不全を起こして死ぬこともあるという。

(シカ捕獲と肉活用に挑む高校生:北海道)
道東の標茶町の高校生がことし、わな猟の免許を取得し、エゾシカの捕獲から製品の開発まで行う取り組みを始めました。深刻な農業被害がきっかけで始まった「命」と向き合う授業。高校生に生まれた変化とは・・・。道東にある標茶高校でエゾシカ肉を使った食品開発に取り組む「食品ゼミ鹿班」3年の女子生徒たち。11月、高校の敷地内の林にシカを捕獲するためのわなを設置しました。設置したのは「くくりわな」と呼ばれるひも状のわなで、踏み入れたシカの脚をとらえます。道によりますと、高校でエゾシカを捕獲する取り組みは道内で初めてとみられるということです。なぜ高校生たちはシカを捕獲する取り組みを始めたのでしょうか。酪農のマチ、標茶町にとって大きな課題となっているのがエゾシカによる農業被害です。このうち牛のエサとなる牧草が食べられる町内での被害は金額にして年間およそ2億8000万円。道内全体の牧草被害額の実に15%近くにのぼっています。これまで生徒たちは、地元でハンターに駆除されたシカの肉を有効に活用しようと、ミンチジャーキーなどの食品を開発してきました。その過程で、エゾシカによる被害に悩まされる地域の当事者として、捕獲する行為をせずに課題とは向き合えないと考えたのです。シカの捕獲に向けて動き出した生徒たち。シカがたびたび出没する高校の敷地内の林の中に、わなを仕掛けることにしました。まずは、監視カメラを複数設置して、シカの通り道を把握しました。ただ、シカを捕獲する際には18歳から取得できる「わな猟」の免許が必要です。このため、学校が資金を補助して生徒のひとりが試験を受けて、ことし夏、免許を取得しました。わなを設置してからおよそ1か月後の12月。シカのメス1頭がかかっているのが見つかりました。シカはハンターによってその場で処理され、生徒たちは命を絶たれたシカを目の当たりにしました。神妙な表情でシカを見つめていた生徒たち。このうちの1人は「大事な命をいただいている。大切に使わなければならないという気持ちがさらに強くなった」と新たな決意を語ってくれました。シカの捕獲から4日後、生徒たちは、さっそく新たな製品の開発を始めました。使うのは、ほとんど流通せずに捨てられている内臓です。専門の加工業者からアドバイスを受けて、まず、ペットフードにする方法を学びました。かたい筋などを慎重に取り除き、少しでも無駄にならないよう心がけていました。命の重さを感じながら、シカ肉を大切にむだなく扱いたいと考えるようになった生徒たち。今後は、廃棄されることが多いほかの部分も使って新たな製品をつくっていく考えです。そして、卒業前には活動報告にまとめて校内外で発表して、エゾシカを有効に活用する方法について伝えていきたいとしています。

(ジビエ産業化に熱:千葉)
千葉県内でジビエの産業化に向けた自治体の取り組みが広がってきた。房総地域を中心に鳥獣による農作物被害に悩む人が多くいる一方、認知度向上を受けて、ジビエの消費量は増加傾向。民間企業と連携したりPRを強化したりすることで、駆除と消費拡大の「一石二鳥」を狙おうと、各自治体が知恵を絞っている。今夏、君津市にジビエをテーマにした施設「猟師工房ランド」が開業した。市内で捕れたシカやイノシシから作ったハンバーガーが食べられるほか、皮や骨から作った小物などを販売する。同施設は君津市が廃校の有効活用を目指し、鳥獣害対策をテーマに民間の事業者を募った中から、狩猟ビジネスを手掛けるTSJが事業を受託、開業した。市の担当者は「鳥獣による被害は県内でも最悪。民間の知恵を取り入れて市の名産として育成し、苦境をチャンスに変えたい」という。農作物被害が昨年4500万円と県内最多級だった君津市。20年には隣の市原市で開かれる大規模イベントにもジビエ店を出店する。同じく鳥獣による被害が深刻な木更津市も、4月からジビエの調達から販売までのルート構築に向けた実証実験を始めた。NTT東日本と組み、ICT(情報通信技術)を活用したオリを設置。イノシシなどが捕獲されると自動的に猟師に通知される。猟師は捕まえた動物を提携した獣肉処理加工場に持ち込む。獣肉は小売店などで販売する。市の担当者は「捕獲は定期的な見回りが必要で、重労働で割に合わないとの声もある。市主導で効率的な捕獲体制と流通経路を整備できれば、猟師らの所得向上につながる」と期待する。千葉県も、消費喚起に向けた取り組みを進める。昨年度、プロ向けに開催した「房総ジビエコンテスト」を今年度は県民に魅力を知ってもらう大会へと模様替え。対外的な情報発信を強化する。担当者は「ジビエの露出を高めることが需要開拓になる」と期待する。千葉県によると、2018年度の鳥獣による農業の被害額は約4億1000万円。イノシシやシカなどの主な動物の捕獲数は5万1344頭だった。ただ、そのうちジビエなどに活用できたのは1000頭にも満たないとみられる。県内7カ所の処理場の能力合計が1200頭程度(県試算)と少ないことなどが影響している。ジビエの産業化への動きは全国的な流れでもある。農林水産省によると、鳥獣の捕獲頭数は増加傾向にあるが、多くは流通に乗らず処分され、活用率は1割に満たない。政府は19年度までの3年でジビエの消費量を2倍にする計画を掲げ、認証制度を制定したり全国の飲食店でフェアを開催したりしてきた。16年度には1283トンだった全国の消費量は、18年度には1887トンまで増えている。いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は「ジビエ需要の拡大はまだまだ見込めるが、ひとくくりにジビエと言っても種類は多種多様だ。食に保守的な日本人にいかに口にしてもらうかも、今後知恵を絞らなくてはいけない部分だ」と指摘している。

(アスリートへ「ジビエ」を:宮崎)
獣害をおいしく解決―。県産の野生鳥獣肉「ジビエ」を活用したアスリート向けメニューの発表会(県主催)は19日、宮崎市のコテージ・ヒムカであった。捕獲鳥獣を有効活用しつつ、本県が掲げる「スポーツランド」の価値を高めようと企画。シカ、イノシシ肉を使ったハンバーグやみそ炒めなど県栄養士会考案の18品が披露された。鉄分やビタミンB1などを多く含み、「臭みがない」「牛肉より好み」など出席者の反応は上々。県の担当者は食を核としたスポーツ客誘客へのスタートダッシュに満足げだった。

(梼原のジビエが農林水産省の「国産ジビエ認証」を県内初取得:高知)
高知県高岡郡梼原町広野でイノシシやシカを解体、販売する「ゆすはらジビエの里」が県内で初めて、農林水産省の「国産ジビエ認証」を取得した。衛生管理や捕獲時の状況確認を第三者機関が全国共通の基準で審査するため、取引相手に安全性をPRできる。四国では徳島県三好市の事業者に次いで2例目、全国では9例目。農林水産省の統計によると、有害鳥獣として捕獲したイノシシやシカなどを食肉やペットフードとして利用する量は増加傾向。それでも、昨年度の活用量は全国の捕獲頭数の約1割にとどまる。

(イノシシラーメン試食会:鳥取)
農作物に被害をもたらすイノシシを有効活用しようと、鳥取県倉吉市の高校生がイノシシの骨や肉を使ったラーメンを開発し、18日、試食会が開かれました。このラーメンは倉吉農業高校の3年生9人が市内の食堂と一緒に半年間かけて開発し、試食会には地元の関係者およそ20人が参加しました。スープには地元で捕獲されたイノシシの骨からとっただしが使われているほか、チャーシューにはイノシシの肉が使われています。しょうゆ味とみそ味、それにカレー味の3種類が用意され、参加した人たちは「イノシシの臭みがあまりなく、だしがよく効いていておいしい」、「甘い味付けで食べやすい」などと話しながら味わっていました。開発した倉吉農業高校のメンバーの1人、西川悠理さんは「月けい樹やニンニクなどを使い、臭いを消しました。自信作なので多くの人に食べてほしいです」と話していました。このラーメンは倉吉市内の食堂で今月26日から100食限定で提供されるということです。

(イノシシ活用へ食肉処理施設:石川)
石川県内で増えるイノシシを有効活用しようと、長野県で駆除に取り組む都内の人材派遣会社が来年2月、珠洲市折戸町で食肉用の処理施設を開設する。狩猟免許を持つ派遣会社の創業者ら3人が珠洲に移住し、林業の際に長野で培った捕獲のノウハウを生かす。埋設処分が中心となっている奥能登地域からイノシシを受け入れ、県内や首都圏の飲食店に供給して珠洲産ジビエ普及を図る。食肉処理施設は「奥能登ジビエしおかぜファーム」で、人材派遣会社「ジョリーロジャー」が開設する。長野県在住で創業者の中林昌人さん(42)が責任者を務め、長野、愛知県出身の20~30代のスタッフ2人とともに珠洲に移った。石川県里山振興室によると、私設のイノシシ肉加工処理施設は現在、金沢、白山、羽咋、七尾市、穴水町に計6施設あるが、県外企業が運営を手掛けるのは初めてという。処理施設は外浦の「奥能登絶景海道」沿いにある耕作放棄地約400平方メートルに開設する。幅と高さが各3メートル、奥行き5メートルのコンテナ型の解体施設3棟、肉の冷蔵冷凍施設1棟のほか、事務所を設ける。県猟友会珠洲支部やスタッフが捕獲したイノシシを運んで解体作業を行い、ロースやバラなどの部位別に分けてパッキング、保管した上で、出荷する。年間処理頭数は500~600頭を目指す。骨や皮など食用にならない部位は堆肥化して活用するほか、珠洲市が2021年2月の開設を目指す微生物によるイノシシ分解処理施設とも連携していく。 中林さんは会社の事業として5年前から長野県内で林業を営んできた。ただ、シカなどが伐採用の樹木の皮をはいで食べる被害が急増し、駆除に取り組んできた。長野や首都圏ではイノシシは高級食材として需要が高まっている一方、奥能登では消費しきれないほど捕獲され、廃棄処分されていることを知り、長野での駆除ノウハウを生かし、ジビエ料理への活用拡大を図ることにした。珠洲市内では昨年度、1622頭が捕獲された。同ファームは今後、県内の飲食店や首都圏の高級レストランに出荷するとともに、捕獲隊の担い手確保も後押しする。中林さんは「イノシシの活用は地域全体の課題であり、ジビエ料理の普及拡大を通じて能登の活性化に少しでも役に立ちたい」と話している。

(鹿肉で「チーズタッシカ」:北海道)
潮見が丘中の2年生82人が総合的な学習の授業で、稚内で生息が増加しているシカの肉を使った料理を考案、17日に同校で発表会が行われた。考案したのは「チーズタッシカ」で、今後レシピを市内の飲食店約30店に配るほか、駅、空港などに置いて普及を目指す。韓国料理「タッカルビ」にチーズを加えた「チーズタッカルビ」を応用し、タッカルビで使う鶏肉を鹿肉に置き換えた。この日は同校の調理室で、宣伝を担当する3組の6人が調理した。

(特別な日にジビエ料理を、ワインと相性抜群)
シカやイノシシなど農作物の被害対策で捕獲された野生鳥獣肉(ジビエ)の消費拡大を図ろうと、外食業界団体の日本フードサービス協会が、飲食店でジビエ料理を提供する「全国ジビエフェア」を来年2月28日まで開催している。本格的なフランス料理やイタリアンから、気軽に楽しめるハンバーガーやラーメンなど幅広いジャンルの全国約800店が参加。ジビエ料理はワインとの相性が抜群で、この時期、クリスマスディナーや年末年始のパーティーメニューとして味わってみてはどうだろう。「クリスマスは特別な日なので、印象に残って思い出になるような特別な料理としてジビエを選んだ」こう語るのは、外食大手のコロワイドグループでカリフォルニアレストランを展開する「ウルフギャング・パック ジャパン」(横浜市西区)の総料理長、湊康平さんだ。同社は「ウルフギャング・パック ピッツァ バー 赤坂アークヒルズ店」(東京都港区)など3店舗で23~25日まで、クリスマスコースの一品として「蝦夷(えぞ)鹿肉のラグーニョッキ」を提供する。シカのひき肉を2時間以上かけてじっくり煮込んだトマトベースのラグーソースをパスタの一種のニョッキにからめていただく。「肉は軟らかくクセも臭みもない。初めての人でも食べやすく、ジビエ独特の味わいを楽しめる。赤ワインによく合う」と、湊総料理長は料理の出来栄えに自信を示す。1本180グラムのボリューム満点の自家製「国産鹿肉のソーセージ」を提供しているのは、多業態の飲食店を展開するMYU(東京都港区)のビストロ「表参道 ワイン食堂 Den」。

(AIでジビエ肉質判定:鳥取)
人工知能(AI)の技術を活用して野生鳥獣肉(ジビエ)の肉質を判定する「Gibier-AI(ジビエーアイ)」が鳥取発で開発され、実用化に向けた取り組みが進んでいる。実用化には判定の精度の向上が鍵を握る。鳥取県、県東部の狩猟者や飲食店などでつくる「いなばのジビエ推進協議会」や鳥取大工学研究科などが開発。

(シカ肉のレトルトカレー開発:岡山)
養鶏業「ウッディライフ」(美作市大内谷)は、地元で捕獲されたシカを使った2種類のレトルトカレーを開発した。24日から同市内で販売を始める。商品名は「薬膳鹿肉黒カレー」と「鹿肉と鶏もみじの薬膳キーマカレー」。クミンやカルダモン、コリアンダーなどの香辛料でシカ肉のうま味を引き立てた。黒カレーはタマネギやリンゴの甘みを引き出し、キーマカレーはスパイスを利かせた味に仕上げている。2種類とも自社の鶏肉も加えている。薬膳料理専門家のアドバイスを受けたり、市職員への試食会を行ったりして味を調整した。織田忠宜社長(71)は「シカ肉を食べたことがない人にも気軽に楽しんでもらいたい」と話している。

(ジューシーでしつこさなし:奈良)
「食」のイメージが薄い奈良県で近年、個性的な飲食店がじわじわと増えている。けん引している分野の一つが野生動物の肉を使った「ジビエ」だ。郷土料理として有名なイノシシの「ぼたん鍋」をはじめ、ジビエが和洋幅広く展開し、新たな「地産地消」として注目を集めている。五條市の和食店、源兵衛。近隣で収穫した野菜がコース料理の売りで、野菜との組み合わせを考えて提供されるのが古来食べられてきたイノシシやシカなど地元産の肉だ。冬に脂が乗るシシ肉をぼたん鍋にしてもらった。薄切りの肉を大皿に盛りつけたさまが「ぼたん」の語源とされる。だしの入った鍋にホワイトセロリや朝採りの生の白キクラゲとともにシシ肉を投入する。「コポコポと煮立ってきたら引き上げて」。料理長の中谷暁人さん(39)の言うとおりにすると、プリプリとしっかりした肉のうまみに合わせて野菜のシャキシャキ感が楽しめた。野菜の種類は日によって変わるという。シシ肉は食肉処理加工施設「ジビエール五條」から直送される。鳥獣被害対策の一環として市が2015年から運営する施設で、市内200基の捕獲おりに掛かった野生獣を60分以内に持ち込んで処理する。イノシシは特産の柿の果実、シカは柿の新芽を食べる害獣だ。中谷さんは「素早い処理で肉の品質が良い。柿を食べるからか、シシ肉は獣臭くなくフルーティーな余韻もある」と話す。奈良県は適切に処理された県産のシシ、シカ肉を扱う飲食店を登録制とし、「ならジビエ」としてPRしている。現在25店があり、和食からフレンチ、カレーまでジャンルは幅広い。奈良市の旧市街にあるイタリア料理店、リストランテリンコントロは早くからジビエに注目してきた店の一つだ。オーナーシェフの西岡正人さん(38)は食材を求めてハンターとともに山へ入ることもある。11月、お任せコースにニホンジカの田舎風パテや都祁(つげ)エリアで捕獲されたイノシシの網脂包み焼きが入った。包み焼きはハンバーグの原形とされ、1頭を余すことなく使い切る工夫だ。あふれる肉汁はジューシーでしつこさがない。「ジビエは一期一会なのが面白く、難しさでもある」と西岡さんは話す。ほかにも修験道とのかかわりで知られる天川村の洞川温泉街でも、伝統ある「行者宿」の多くでジビエが定着している。冬が到来し、山の恵みや食材の歴史に思いをはせれば、味わいはより深まる。奈良県五條市のジビエール五條は市直営の食肉加工処理施設だ。一面に柿畑が広がる丘陵地を越えた一角にあり、狩猟免許を持つ市職員が主導して運営。厳しい衛生基準を定め、1頭ごとの記録も丁寧に管理している。加工品の商品開発も行い、イノシシやシカ肉に柿ピューレを加えたレトルトの「ジビエカレー」や薫製肉などが、精肉とともに市内の道の駅や地元スーパーで購入できる。シカの革や角の利用にも取り組み、メガネや貴金属を拭く「セーム革」が商品化されている。

(ジビエも格付け、和牛並み等級制度が変えたこと:和歌山)
シカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の品質を和牛のように格付けする独自の等級制度を和歌山県が創設し、近年ブームのジビエ料理の普及に努めている。制度を利用すれば、品質の一定した肉を安定して仕入れることができるため、利用する飲食店も増加。県は、農産物を荒らす野生鳥獣の駆除にもつながると一石二鳥を期待する。「最高級のシカ肉を使っているので、おいしいですよ」。和歌山市小松原通のイタリア料理店「RestaurantGoGoKitchen」。おすすめ料理の「シカのタタキ風カルパッチョ」は、軽くあぶったシカの背肉に県特産のブドウ山椒(さんしょう)のソースをかけた逸品。シカ肉は、県に紹介された加工業者から仕入れた厳選のAランクの肉を使っている。取材で訪れた際、シカ肉の「内モモ肉のロースト」とともに味わってみた。肉はきめ細かい舌触り。噛(か)むむとほどよい弾力があり、口の中でほどけるような食感がある。臭みはまったくなく、ほのかに脂の甘味を感じる。「きちんと調理されたジビエを食べると、(お客さんは)そのおいしさに驚いて一気にファンになってくれる」とオーナーシェフの田辺美里さん。県が推奨する加工業者のジビエ肉を使用する店は、ここだけではない。ジビエ料理を提供する店と協力して県が毎年展開するキャンペーン「わかやまジビエフェスタ」への参加店は、平成23年度の40店から令和元年度には64店と1・6倍に増えた。普及の背景には、和牛のように肉の品質を格付けするため県が平成25年度に導入した独自の等級制度がある。県が認証する処理施設で解体され、専門の研修を受けた格付員が審査した肉を「わかやまジビエ」と認定。散弾銃で仕留めたり、腹部を撃ち抜いたりした野生鳥獣の肉は品質が落ちるため使用せず、厳格に定めた解体や血抜きの方法に沿った肉のみを流通させている。格付けは和牛を参考にして「皮下脂肪の厚さ」「肉の締まり、きめ」「肉の光沢」「脂肪の色沢(しきたく)と質」の4項目で実施。シカは上からAとBの2等級、イノシシはA、B、Cの3等級で評価している。「イノシシの場合、ぼたん鍋なら脂の乗ったAランクのロース、煮物なら脂の少ないCランクのモモなど、料理ごとに使い分けられる。認証制度で店が希望する肉を入手しやすくなり、消費拡大につながっているのでは」と県の担当者。一方、野生鳥獣による県内の農作物被害額は、30年度は3億円を超え、県は鳥獣害対策との一石二鳥も狙う。ジビエ料理は近年、若い女性らの間でブームとなっており、国も令和元年度までにジビエ利用量を約2600トンに倍増させる計画を打ち出すなど、消費拡大を後押ししている。農林水産省の担当者は「ジビエ活用の動きは全国的に広がりつつあるが、肉を格付けして付加価値を高めるという取り組みは、和歌山以外で聞いたことがない。先進的な取り組みだ」と高く評価。11月には県選出の二階俊博・自民党幹事長も同県田辺市のジビエ加工施設を視察し、「ジビエは立派な資源。積極的に活用し、農作物の鳥獣被害をチャンスに変えるべきだ」と訴えた。等級制度という独自の取り組みが成果をみせ始めている和歌山県。仁坂吉伸知事は「多くの人にPRし、県外にも売り出していきたい」としている。

(『淡路島シシカフェスタ』:兵庫)
イノシシとシカの肉を新たな食の魅力にしようとブランド化された「AWAJISHIMA shishika」を洲本市と淡路市の飲食店で提供する取り組み『淡路島シシカフェスタ』が行われている。12月29日まで。「AWAJISHIMA shishika」は、洲本市鳥獣被害防止対策協議会が鳥獣被害対策の一環として立ち上げたブランド。これまで流通することがなかった島内のイノシシ肉やシカ肉の魅力を広く知ってもらおうと、イノシシとシカを合わせた愛称「shishika(シシカ)」と名付け、今年1月に初めて同フェスタを開いて以来同市では様々な取り組みを行ってきた。2回目となる今回の『淡路島シシカフェスタ』では、洲本市15店と淡路市1店が参加。期間中は、低カロリーでありながら、脳機能向上の効果があるアセチルカルニチンも含まれるなど栄養価の面でも注目されるジビエ料理を、各店が趣向を凝らしたメニューで提供する。

(超音波で害獣被害を防ぐ『Evasi(エバジー)』:兵庫)
イーマキーナ株式会社(神戸市中央区、代表取締役 藤井誠)は、レンティオ株式会社(所在地:東京都品川区、代表取締役:三輪 謙二朗)と提携し、令和元年12月20日より超音波で害獣をよせつけないIoT対応機器「Evasi(エバジー)」の月額プランを開始します。近年、害獣(ネズミ、アライグマ、イタチ、ハクビシンなど)の被害で特に食品の汚損、農作物被害、分電盤などの電気設備の被害、住宅や工場、倉庫への侵入が深刻な問題になっております。当社としましては、深刻な害獣被害を軽減すべく、対策の必要性を感じております。本サービスは、多くのお客様から購入前に試してみたいとのお声をいただき、超音波害獣忌避(きひ)装置『Evasi(エバジー)』を最低3ヶ月から月額6,000円の支払いでお手軽にお使いいただけるプランです。貸出時・返送時の送料は無料で、不要になったら3カ月経過後はいつでも返却可能です。さらに安心の補償プランが無料で付帯しており、レンタル品が故障した場合はRentioが修理を行います。原則お客様に修理費はかかりません。

(ライオンの餌にイノシシ1頭:愛知)
愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園「のんほいパーク」で22日、「害獣」として駆除されたイノシシ1頭が雌ライオンのオトに与えられました。このイノシシは九州で駆除された個体で、病気の感染性の高い頭と内臓を取り除き、冷凍殺菌されたものです。これは「環境エンリッチメント」という取り組みで、動物の飼育環境を野生に近づけようと、農作物に被害を与えるとして駆除された動物が有効活用されています。のんほいパークの獣医・吉川雅己さんは「食べてる様子は全く違う。食べる速度もゆっくりで効果はあると思う」と話していました。のんほいパークでは、将来的に地元で駆除されたイノシシやシカを、動物たちの餌として取り入れたいとしています。

(鳥獣被害対策とジビエ利活用の取り組みについて考えた)
11月に東京ビッグサイトで「鳥獣対策・ジビエ利活用展」が開催された。増える鳥獣被害対策とジビエ利活用について、同展の展示から考えた。豊かな自然に恵まれた日本では、古来から人間と野生動物が隣り合って暮らしてきた。しかし、人間の暮らしを豊かにするための山間部の道路整備や宅地造成による森林伐採は、野生動物の生活圏を減少させてしまった。それゆえに互いの境界線が曖昧になり、野生動物が住宅地などに出没するようになったのだ。一方で、温暖化やオオカミなどの捕食者の絶滅、農村の過疎地などが原因でシカなどの増えすぎた個体数が問題ともなっている。野生鳥獣による農作物への被害総額は158億円(2018年度)にものぼる。この甚大な被害額により、農家の営農意欲減退や、耕作放棄・離農が増加し全国で深刻な問題となっている。被害は農作物ばかりではない。増えすぎた野生鳥獣は、下層植生の消失などによる土壌流出、希少植物の食害、車両との衝突事故など、影響は広範囲に及んでいるのだ。これらの被害の拡大を防ぐため、全国で狩猟による鳥獣捕獲が行われている。全国農業協同組合中央会(以下、JA全中)のブースでは、全国の中でも特に野生鳥獣による被害が大きいJA京都の農作物被害対策の事例がパネルで紹介されていた。パネルのグラフを一見すると、被害額は年々減少しているように見えた。しかし、実際は報告をあげていない農家がいるから実際の被害規模とは乖離があるのだという。「これは京都府を例に挙げてますが、全国で同じような乖離はありますよ」と語ってくださったのはJA全中の鬼丸副主査だ。「そもそも、日に日に農家は減ってますから、実際に農家一軒あたりで考えたら決して減少はしていないんです」単純に被害総額のみでは計れない背景があるようだ。こうした状況の中、狩猟による鳥獣対策の重要性が高まっているのだが、狩猟者も減少傾向にあるのが現状である。JAでは職員も狩猟免許の取得を推奨するほか、自治体も「認定鳥獣捕獲等事業者」制度などで狩猟者の活動しやすい環境を作るなど、鳥獣対策の活性化のために環境整備に力を入れているという。こうした取り組みの結果、京都府南丹市では2019年度の有害鳥獣捕獲状況が前年度に比べて2倍以上で推移しているという。そして狩猟による鳥獣対策を推奨しているJAでは、農家のジビエ食品の製品化に対するサポートも積極的に行っている。道の駅などで販売している製品には鹿肉カレー、スープにシカの背骨を使用した韓国の鍋料理「カムジャタン」、そして食品以外ではシカ革の洗顔シートなどがある。これらの商品は、すべて捕獲した農家が考案しているそうだ。こうしてジビエ商品を普及させ、狩猟者の生計を賄えるような環境を作り上げていくことは、野生鳥獣対策の中でも重要なキーポイントとなる。そんなジビエに対する注目度は、日本食肉消費総合センターの出展ブースの盛況ぶりからもうかがうことができた。ジビエ肉の試食ができるとあって、ブースには長い行列ができていた。試食メニューは「エゾ鹿肉のロース焼肉」と「ローストボア・ボアコンフィ(猪のモモ肉)」だった。試食とはいえ、筆者の両手サイズほどもある皿に数切れずつが贅沢に提供された。エゾ鹿肉の焼肉は、肉の味わいがしっかりとしているのに臭みがなく、噛み応えも程よいものだった。そして猪のローストとコンフィは、パサパサせず柔らか、肉の旨味がたっぷりつまっていた。実は肉料理があまり得意ではない筆者でも、肉臭さを感じることなく美味しくいただくことができた。こうしたジビエの普及促進は、多くの人に味覚から郷土への魅力を再発見してもらうきっかけにもなるだろう。「ジビエ利活用」は、営農者、狩猟者、ユーザーにとって、鳥獣被害対策の現実的な一対策といえそうだ。

(逮捕の医師を不起訴処分、ゴム銃で金属の玉撃ち込む)
ゴム銃を使い、他人の家に金属の玉を撃ち込んだ疑いで逮捕された医師の男性が、不起訴処分になった。医師の男性は11月、「スリングショット」という強力なゴム銃を使い、金属の玉を近所の家に撃ち込み、雨戸を傷つけた疑いで逮捕された。東京地検は、男性を不起訴処分としたが、理由を明らかにしていない。

(ニュージーランドで銃5万丁回収)
ニュージーランド南島クライストチャーチで51人が殺害された3月のモスク(イスラム教礼拝所)銃乱射事件後、銃規制強化の一環として導入された市中の銃買い取りが20日期限を迎え、ナッシュ警察相は5万6千丁以上の銃、約18万8千個の関連部品を回収したと明らかにした。ナッシュ氏は「この2週間、人々が進んで正しいことをするようになったため土壇場で急増した」と評価。提出者に謝意を示したが、市中にはまだ多くの銃が残っているとの見方もある。ニュージーランド政府は事件で使われた殺傷能力の高い半自動式銃の販売や所持を禁じ、6月に銃の買い取りを始めた。

TOPへ

12/17
(給食室に狩猟の銃弾か:奈良)
12月9日朝、奈良県下市町の町立下市中学校で、給食調理員が給食室の窓ガラスが割れているのを見つけました。警察が調べたところ、アルミ製の窓枠と天井に1か所ずつ小さな穴が開いていて、天井裏で“金属の塊”1個が見つかったということです。けが人はいませんでした。近辺は山に囲まれていて、11月から狩猟シーズンが始まっていることから、警察は見つかった金属の塊が狩猟で使われた銃弾の可能性が高いとみています。「やっぱり怖いですし、長年住んでいるけど、そういうことは無かった。」(学校の近くに住む人)大阪府猟友会の事務局長によりますと、「建物が立っている200m以内では鉄砲を使った狩猟は禁止されていて、学校など公的な施設がある近くでは狩猟は避けるべきだ」と話します。「矢先の確認をしていない。家の方に向かって弾を発射してはいけないという、きちっとした決まりがある。そういう事故があるというのは、急いでいて、周囲を見渡すことを怠って撃ってしまったのでは。」(大阪府猟友会 田中茂雄事務局長)。さらに奈良県の登録があれば、県外の人も狩猟が行えることから、弾を発射した人の特定は難しいと言います。警察は周辺の自治体に安全対策の徹底を呼び掛けています。

(「クマ」に襲われ男性けが:福島)
8日午前11時30分ごろ、郡山市熱海町の磐越道磐梯熱海インターチェンジ北側の山林で須賀川市の会社員男性(64)がクマに襲われ、顔などに軽傷を負った。郡山北署によると、男性はイノシシ猟のため40代男性と2人で山林に入ったが、1人でいた際に体長約1.2メートルのクマと遭遇。頭をかまれ、顔を引っかかれたという。けがをした男性は40代男性の運転で病院に向かい、手当てを受けた。

(自作エアガンなど169台販売、男性主査を懲戒処分:福岡)
うきは久留米環境施設組合(うきは市吉井町)は13日、フリーマーケット(フリマ)サイトで自作したライフルや拳銃型のエアソフトガン169台を販売し収入約260万円を副業で得たとして、男性主査(45)を減給10分の1、3カ月の懲戒処分にした。同組合によると、主査は2017年1月から今年11月まで、圧縮した空気でプラスチック製の弾を飛ばすエアソフトガンをフリマサイト「メルカリ」で販売。

(ワクチン入り餌、7都府県追加へ)
農林水産省が豚コレラ(CSF)対策を強化するため、野生イノシシ向けのワクチン入り餌の散布地域を拡大することが明らかになった。茨城、栃木、東京、神奈川、新潟、山梨、京都の7都府県を新たに加え、今年12月から来年2月までの期間に約20万個を散布する方向だ。自治体と協力して発生地域を囲う「ワクチンベルト」を広げ、豚コレラのまん延を食い止める。

(イノシシ捕獲に手引、ウイルス拡散を防止)
環境省と農水省は、豚コレラ(CSF)、アフリカ豚コレラ(ASF)対策として野生イノシシの捕獲に関する防疫措置の手引を作成した。国がイノシシ捕獲の手引を作成するのは初めて。野生イノシシの捕獲を強化する必要がある一方で、捕獲でウイルス拡散の恐れがあることから、狩猟者に防疫の手法を徹底する。手引では、これまで農水省がイノシシ捕獲に関して通知していた文言や特定家畜伝染病防疫指針などを踏まえ、捕獲作業の事前準備から帰宅後の対応までを写真と共に掲載した。現地に到着し、わなの設置や見回りをする前に手袋や長靴を装着するなど、作業ごとのポイントを解説。手袋は二重に装着し、内側のゴム手袋は洋服の袖口を覆うように着用するなど詳細に注意を呼び掛けた。防護服や靴底の泥落としに使うブラシなどの持ち物チェックリストも併記している。環境省は「イノシシを捕獲する中で、豚コレラが拡大してしまうことを防ぐため、あらゆる捕獲に関する防疫手法をまとめた。手引を参考に、各地域で必要な防疫対策をしっかり行ってほしい」(野生生物課)と呼び掛ける。手引は、アフリカ豚コレラが発生した際にも活用できる。

(豚コレラ新たに14頭:滋賀)
滋賀県は9日、豚コレラ(CSF)に感染した野生イノシシが長浜、米原、東近江、彦根の4市で計14頭、新たに見つかったと発表した。11月27日~12月3日に捕獲された。彦根市での確認は初めて。いずれも半径10キロ圏内に養豚農家はない。県内で感染が確認された野生イノシシは9月以降、計72頭(長浜市32、米原市29、彦根市1、東近江市8、多賀町2)となった。

(豚コレラ、ワクチン散布へ:栃木)
農林水産省は13日、豚コレラ(CSF)対策として野生イノシシ向けのワクチン入り餌を栃木県の国有林で自衛隊のヘリコプターを活用して20日に空から散布すると発表した。空中散布は11月28日に群馬県の畜産試験場で実験しているが、本格的な実施は初めて。栃木県日光市の国有林約5千ヘクタールに2500個を散布する。付近にある取水口やイヌワシの生息地などは避ける。栃木県では豚コレラは確認されていないが、発生地域を囲い込む新たな「ワクチンベルト」を構築する計画の一環。ワクチン入り餌の散布は飼育豚の感染源となる野生イノシシの感染拡大を防ぐ狙いがある。

(野生イノシシの豚コレラ感染、13頭に:群馬)
群馬県は10日、同県富岡市内で捕獲された野生イノシシ2頭の豚コレラ(CSF)感染を確認したと発表した。2頭は遺伝子検査で陽性反応があり、感染が確定。県内の感染事例は計13頭となった。県によると、2頭の捕獲地点から半径10キロ圏内の養豚場(18カ所)では既に豚コレラワクチンの接種が完了しており、いずれも監視対象農場には指定されないという。

(イノシシ1頭、新たに豚コレラ感染確認:群馬)
県は13日、神流町内で捕獲された野生イノシシ1頭の豚コレラ(CSF)感染を確認したと発表した。同日の遺伝子検査で陽性反応があり、感染が確定した。県内の感染事例は計14頭。捕獲地点から半径10キロ圏内に養豚場はないという。

(イノシシ出没、警察が注意呼びかけ:東京)
15日午後、東京国立市のJR国立駅前や近くの住宅地にイノシシが出没しました。イノシシはその後、隣の立川市にも出没していて、警察は見つけても近づかないよう、注意を呼びかけています。警察によりますと、15日午後1時半ごろ、JR国立駅前や近くの住宅地でイノシシを目撃した人が相次ぎました。午前中には、国分寺市でもイノシシの目撃情報があったということです。イノシシは逃げ続けていて、午後2時すぎには立川市にも出没しています。15日は捕獲に至らなかったということで、警察は住民などに対し見つけても近づかないよう、注意を呼びかけています。15日午後2時前に国立駅近くの住宅街で撮影された映像では、1頭のイノシシがマンションの前などを勢いよく走り去る様子が撮影されています。数人の警察官が捕獲しようと待ち構えていましたが、イノシシはそれを振り切って逃げてしまいます。そのまま横断歩道を横切りコンビニエンスストアの前を駆け抜けていきました。動画を撮影した50代の男性は「盾を持った警察官もいて、ものものしい雰囲気でした。JRの駅も近く、これまでイノシシが出たという話は聞いたことがありません。周囲に山も森も無いのでどこから来たのか不思議です」と話していました。SNS上にはイノシシの出没に関する投稿が相次ぎました。このうち立川市栄町で撮影されたドライブレコーダーの映像では午後2時半前に車が住宅地の道路を走行していると、前から突然、1頭のイノシシが現れ、車の横を通り過ぎていく様子が写っています。目撃した男性は「イノシシは体長が1メートルほどあるように見えた。こんなに大きなイノシシが自宅のすぐそばに現れるとは思っていなかったのでとても驚きました」と話していました。

(「アーバンイノシシ」目撃相次ぐ)
都市部で活発化する、名付けて「アーバンイノシシ」の目撃が相次いでいます。東京都内の住宅街では警戒する警察官を猛スピードで振り切り、駆け抜けていきました。年の瀬の住宅街。前からやってきたのは今年の干支(えと)です。歩いていたのはイノシシ。驚くのも無理はありません。東京・立川市の住宅街です。週末、都内各地でアーバンイノシシが出没。JR国立駅前、1メートルほどの巨体とは思えぬスピードで警察官を振り切ったイノシシ。マンションが立ち並ぶ駅近くの交差点。車が往来するなか、猪突猛進(ちょとつもうしん)、駆け抜けました。その約1時間後、徐々に進路を西に変えたのでしょうか。隣の立川市内に姿を現しました。人々も半信半疑のようです。箱根では3頭のイノシシが温泉街を縦横無尽に走っていました。車が来ようと怖がるそぶりはなく、バックして別の道へ。動物専門家のパンク町田氏によりますと、「台風の影響で山に餌(えさ)が少なくなり、アーバンイノシシが増加したのでは」といいます。

(山林でツキノワグマ捕獲:岡山)
津山市は12日、同市吉見の山林でツキノワグマ1頭が捕獲されたと発表した。市は、人に危害を及ぼす可能性が高いとして、岡山県のツキノワグマ保護計画に基づき殺処分した。市によると、推定8歳の雄で体長1・3メートル、体重56・5キロ。同日午前10時20分ごろ、猟友会員でつくる鳥獣被害対策実施隊が見回り中に「くくりわな」に掛かっているのを発見し、市に連絡した。最も近い家までは約200メートルだった。市内のツキノワグマの捕獲は本年度3件目で、殺処分は今回を含めて2件。市森林課は「冬眠の時期だが、柿など食べられるものを屋外に出さないよう注意してほしい」と呼び掛けている。

(住宅地にイノシシ出没:奈良)
大阪近郊のベットタウンとして住宅地が形成された奈良市西部で近年、イノシシが出没。市の都市計画公園「黒谷公園」(約6ヘクタール)では、エサのミミズを探して地面が激しく掘り起こされる被害が続き、10月には公園に隣接する市富雄第三小中学校(高塚佳紀校長、633人)の学校農園が荒らされ、収穫前のサツマイモが全滅させられた。市議会からも対応を急ぐよう声が相次ぐが、今は狩猟期間とはいえ、住宅地そばで檻を設置したり、駆除などの行為は危険。市は猟友会と相談を重ねながらも対策に頭を痛めている。 

(柿の木にクマ爪痕、住民に注意呼び掛け:京都)
京都府亀岡市篠町でこのほど、クマの爪痕などが見つかった。同市や府南丹広域振興局は看板や捕獲おりを設け、住民やハイカーに注意を呼び掛けている。11月6日、住民が同町山本の柿の木にクマの爪痕を発見。通報を受けた市が確認したところ、付近にはクマのふんも見られた。その後も住民から目撃や痕跡の情報が寄せられたため、同町を南北に流れる鵜ノ川周辺を中心に、A4判の看板を計15カ所に設置。さらに今月10日までに捕獲おりを二つ用意した。けが人はない。市農林振興課は、えさとなる農作物の回収を呼び掛けるとともに、「クマが活動する朝夕は山に近づかないで」としている。

(イノシシの目撃情報:埼玉)
2019年12月12日(木)午前6時40分ごろ、川口市南鳩ヶ谷3丁目でもイノシシの目撃情報があったようです。

(路上でイノシシ出没:徳島)
12日午前10時半ごろ、藍住町徳命の吉野川近くの路上に体長1・5メートルほどのイノシシが出没したと、徳島板野署に通報があった。正午ごろにも付近で目撃情報があり、駆け付けた署員が小さな別のイノシシを発見したが、逃走した。署が住民に注意を呼び掛けている。

(イノシシ騒動各地で相次ぐ、“撃退スプレー”も:東京)
10日、東京・八王子、そして神奈川の箱根と相次いで人里にイノシシが出没した騒動で、地元では被害を抑えるための対策が取られていました。騒動はいつまで続くのでしょうか。10日、日本有数の観光地、神奈川県の箱根湯本でもイノシシの目撃情報がありました。箱根湯本では5日にもイノシシが目撃されています。道路をゆっくり歩く大きな2頭のイノシシ。駐車場の奥からさらにもう1頭イノシシが出てきました。合流して3頭になったイノシシは、ごみ箱の餌(えさ)をあさっていました。撮影した田中康久さん:「アメリカで市販している熊の防御用スプレーを何本か買って(イノシシが)よく出る住民のところに置いています」また、イノシシが本来いないはずの場所に姿を現したことで住民が困惑しています。商店街の人:「こういう山だから昔からタヌキが出たりサルが出たけど、イノシシとか、大きいのはこの辺にはいなかったけどね」10日は八王子市の住宅街でもイノシシが見つかり、先週には東京・足立区や埼玉県富士見市でも見つかって捕獲作戦も決行されました。台風の影響で山の餌が少なくなり、山を下りてきたとみられるイノシシ。この先も、こうした事態が続くのでしょうか。野村獣医科Vセンター・野村潤一郎院長:「冬に備えてご飯がたくさん必要なのに餌が少ないということ以外に、発情期でもあるんですよね。ちょうどね。正月が明けて成人式のころですかね。そうするとイノシシたちも落ち着きますから。(イノシシと遭遇したら)ゆっくりと声を荒らげたりしないで、自分を透明化する。そよ風のように後ずさりして、彼らの縄張りのサークル(範囲)から離れる。食べ物を持っていた場合は、それを捨てて落とす。食べ物に気を取られますからより良いのではないかと」。

(住宅街の熊駆除厳しく、猟銃発砲も条件付き:秋田)
秋田県鹿角市十和田大湯の温泉旅館や住宅が建ち並ぶ地域で11月20日、ツキノワグマに襲われるなどして猟友会員ら3人が重軽傷を負う事故があった。この際、熊の発見から猟銃による駆除の判断までに3時間近くを要し、住宅街での発砲指示の判断が難しい実態が浮かんだ。鹿角署などによると、温泉旅館の中庭に熊がいるのを宿泊客が目撃したのは午前6時5分ごろ。旅館従業員が110番し、鹿角署員11人や、市の要請を受けて猟銃を所持した地元猟友会員4人ら計19人が出動した。熊は当初は落ち着いた様子だったというが、約2時間半後に敷地北側へ逃走。大湯川を流され、「わかば保育園」付近で姿が見えなくなった。その後は住宅街を歩いたとみられ、市道で熊を探していた猟友会員の70代男性が背後から襲われ、顔などをけがした。助けようとした鹿角署の男性巡査長も右足をすりむいた。熊はさらに保育園近くの河川敷で、60代男性の2本の指の一部をかみちぎった。午前8時50分ごろ、鹿角署の50代の男性警部補が発砲を指示し、猟友会員3人が河川敷にいた熊に向かって猟銃で9発を発射。うち8発が当たって熊は死んだ。体長115センチの雌だった。鳥獣保護管理法は、住宅地での銃の使用を禁じている。だが熊が人里に出没して人を襲うなどの事故が起きたことを受け、警察庁は2012年4月、警察官職務執行法第4条第1項を根拠に「急を要する場合はハンターに猟銃を使用して駆除を命じることは行い得る」との見解を示した。この通達を受けて県警が住宅街で発砲指示をしたのは、確認できるだけでは、これまでに12年4月に鹿角市の「秋田八幡平クマ牧場」でヒグマ6頭が脱走した際と13年8月に横手市で熊が住宅街を歩き回ったときの2回だった。北海道では12月1日、帯広市の中心部に体長約1・5メートルの雌のヒグマが現れ、小学校敷地内で同法に基づき駆除されている。鹿角署などによると、旅館の庭で発見されたときは弾が敷地内の庭石に跳ね返って人に当たる恐れがあるほか、熊が落ち着いていて危険といえないことなどから発砲指示を出さなかった。爆竹などで追い払うことや麻酔銃の使用を検討したが、追い払いは山林までの距離が遠く、麻酔銃は撃てる人が現場近くにいなかったという。また3人が負傷した現場周辺は住宅が建ち並び、水平方向に撃つと人に当たる恐れがあった。警察官が指示を出したのは、熊が河川敷にうずくまっているとき。猟友会員が高さ2~3メートルの護岸から至近距離で発砲。射角が斜め下で土の地面にヤブが生い茂っており、弾が跳ね返る危険性がなかったと判断した。同署の阿部展久副署長は今回の対応は「適切だった」としている。慎重に対応せざるを得ない発砲指示。一方で今年度は、県内で16人が熊に襲われて重軽傷を負い、うち11人が人里で被害に遭った。秋田市添川の住宅街では10月31日、男性が帰宅直後に自宅敷地内で襲われ、大けがをしている。今回、猟友会員ら3人がけがをしたことを受けて、地元猟友会に出動を要請した鹿角市農林課の大森誠課長は「出没から駆除までの状況を振り返り、早めに対策を講じられなかったか検証したい」と説明する。県自然保護課の桜田良弘課長は「警職法第4条第1項を根拠とした熊の駆除は現場判断によるため、マニュアル的な決め方ができない。現場でどういう対応ができるのか、県警や市町村など関係者同士で話し合っていきたい」と話した。

(「絶滅」一転、イノシシ被害7300万円:山形)
山形県は10日、2018年度のイノシシによる農作物被害額が前年度比約43%増の約7300万円と過去最悪だったと発表した。野生鳥獣全体の被害額はここ数年間減少傾向にあり、同約11%減の約5億1000万円だったが、イノシシ被害が突出している。

(芝生無残、イノシシ次々:山形)
山形市民の憩いの場である市馬見ケ崎プール「ジャバ」の公園が、イノシシに荒らされている。せっかくの芝生が広範囲に掘り起こされ、無残な状態に。市は猟友会による捕獲を進めているが、それ以上に被害は拡大しており食い止められない状況だ。周囲を散歩する市民なども多く、人的被害の懸念も。市は各所に張り紙などをして注意を呼びかけている。被害を受けているのは、ジャバ西側にある「芋煮広場」(約5千平方メートル)と、遊具などがある東側のジャバランド(中央広場、約7千平方メートル)。いずれも敷地面積の3分の1ほどの芝生が約10センチの深さで掘り起こされており、異様な光景となっている。明確な目撃情報はないものの、残る足跡からイノシシの仕業とみられている。市と管理事務所によると、被害は10月から確認され、11月から目立つようになった。事務所職員は「こんなことは初めて。状況からしてかなりいるのではないか」と不安を口にする。市の依頼を受けた地元猟友会が周辺の山にわなを仕掛け、イノシシを捕獲しているが、それ以上に被害が拡大し、追い付かない状況という。芝生の復旧も課題だが、管理する市公園緑地課は「今の段階で、全面張り替えは厳しい」と困り顔。「雪が降れば、イノシシの被害も落ち着くはず。一冬は状況を見た上で、使える芝生は使い広場を元に戻したい」としている。イノシシは明治以降、県内で絶滅したとされたが、地球温暖化などの影響で県外から入り込み、現在は県内全域に生息域を拡大しているとみられる。県みどり自然課などによると、県内には2017年度末時点で、5300頭が生息していると推定されている。18年度の捕獲数は1575頭で前年度の1.8倍に増加しているが、繁殖に歯止めがかからない。近年はイノシシが市街地に出没するケースも出てきている。ジャバの場合、裏手に広がる愛宕山周辺にも生息していると考えられ、今回のケースでは、餌のミミズなどを探すため地面を掘り返したとみられる。イノシシは昼夜を問わず活動し、日中に人と出くわす危険性がある。県は不用意に草むらややぶに近づかず、イノシシを見かけても刺激しないように注意喚起している。鈴やラジオなど音で存在を知らせることも有効だという。

(イノシシ捕獲最多、10月末で5120頭:富山)
本年度に県内で捕獲されたイノシシの数が10月末時点で5120頭となり、過去最多だった2018年度の4982頭を上回った。県内の生息数が増加しているのに加え、イノシシへ感染が広まった豚コレラ(CSF)の対策として、各自治体がわなを増設したのが要因とみられる。イノシシは冬も活発に活動し、まれに人を襲うケースもあることから、県は見かけても決して近づかないよう呼び掛けている。県農村振興課によると、4~10月の7カ月間に県内で、わななどで捕獲されたイノシシの数は5120頭。7カ月間で過去最多の18年度を上回った。県自然保護課によると、県内に生息するイノシシの推定数は15年度に約4900頭、17年度は約1万9千頭で、増加傾向にある。11月には富山市の牛島本町や新根塚町など市街地に出没した。同市森林政策課は「市街地でイノシシが出ることはめったにない。山から川沿いに下ってきたのではないか」と話す。捕獲数が増えたのは、豚コレラの感染拡大を防ぐため、県内の自治体がわなを増やした影響とみられる。豚コレラは18年9月に岐阜県で発生し、県内でも今年7月末から今月10日までに富山と射水、砺波、南砺、立山の5市町で計30頭の感染イノシシを確認。県内には約2千基のわなが設置されていたが、8月以降に146基が増設された。県自然博物園ねいの里(富山市婦中町吉住)の間宮寿頼係長によると、イノシシは冬眠などはせず季節に関係なく活動するが、警戒心が強く人に近寄ることは少ないという。ただ、今年1月には山梨県で狩猟をしていた50代男性がイノシシにかまれて失血死する事故も起きており、富山県自然保護課は「突進してくる可能性もあるので、見かけても近づかず、刺激しないようにしてほしい」と呼び掛けた。

(ツキノワグマ出没件数350件超:神奈川)
ツキノワグマの出没件数が過去最多を更新する中、厚木など5市町村は9日、ツキノワグマやイノシシといった有害鳥獣の対策を拡充するよう、知事宛てに緊急要望した。県内でのツキノワグマの出没件数は11月末時点で353件。うち厚木、秦野、伊勢原、愛川、清川の5市町村が7割を占める。要望書で、「(捕獲器の不足など)同時に複数箇所で対応する環境が整っておらず、迅速な捕獲に支障をきたしている」と指摘。ツキノワグマ対策として、▽最新の生息数の把握や実態に即した生息地の管理▽地域ごとに専門の知識や技術を持つ正規職員を配置するなど「かながわ鳥獣被害対策支援センタ-」の体制拡充▽捕獲用機材や民間事業者を含めた体制の整備や予算措置─などを挙げた。一方、イノシシ対策では、新たな捕獲手法の研究・確立や捕獲体制強化を求めた。5市町村でつくる連絡会は「人身被害が起きる前に、現場の切迫性を理解してもらいたい」と説明している。

(ニホンジカの移動、県境越えて広範囲に:群馬)
昨秋から今春にかけて、野生のニホンジカが群馬、長野県境を越えて広範囲に移動したことが、群馬県が初めて実施したGPSの追跡調査で明らかになった。季節によって移動するシカがいることはこれまでも指摘されていたが、今回の調査で裏付けられた。近年はシカの生息数が増加しており、県は今回得られた移動経路などのデータを今後の捕獲に生かしたい考えだ。県によると、調査は昨年10月5日、藤岡市のみかぼ森林公園内で捕獲した体重55キロの雄に、GPS付きの首輪を装着して始まった。このシカは11月下旬までは同園周辺にいたが、12月上旬に南牧村内に入り、上野村に移動。12月15日に十石峠付近から県境を越えて長野県内へ入り、主に佐久穂町で冬を過ごした後、今年5月19日に同町内でハンターによって捕獲された。藤岡市から佐久穂町までは直線距離で42キロあり、シカが季節を通して広範囲に移動する実態が明らかになった。県は得られたデータを長野県に提供したほか、県ホームページ上でも公開。「捕獲の際の参考資料として活用してほしい」(自然環境課)としている。野生鳥獣による県内の農林業被害額は減少傾向にあるが、シカは生息数の増加とともに生息域も拡大し、2018年度の農業被害額は過去最多の6866万円に上った。県は本年度の捕獲目標として1万2000~1万6000頭を掲げ、捕獲に力を入れている。

(野生動物の捕獲期間延長へ:山形)
イノシシなどの野生動物による農作物への被害を減らすため、野生動物を捕獲できる期間がこれまでより延長される見通しになりました。県は10日、農林水産省の担当者や大学の専門家など13人を集めて山形市内で野生生物への対策について協議しました。この中で、農作物の被害について県の担当者が説明し、昨年度、県内であわせて5億972万円の被害が確認されたことが報告されました。このうちイノシシによる被害額は7260万円で前の年度の1.4倍に急増しているということです。県は、これまでイノシシを捕獲できる期間を年間で最大90日以内としていましたが、10日の会議で、年間を通して捕獲できるようにする案を示しました。また、タヌキやハクビシンを捕獲できる期間についても、現在の年間90日以内から6か月以内に延長するとしています。出席者から目立った反対意見はなく、これらの野生動物を捕獲できる期間は延長される見通しとなりました。県みどり自然課の加藤雄祐課長補佐は「野生動物の適正な管理を進めるとともに、狩猟免許を持つ人も増やしていきたい」と話していました。

(白神山地でニホンジカの痕跡調査:秋田)
世界自然遺産の白神山地の周辺で、かつては生息していないとされていたニホンジカの目撃情報が増えているため、林野庁などでは、赤外線カメラを設置するなどして、シカの生息状況を調べる調査が行われています。秋田県と青森県にまたがる世界自然遺産、白神山地の周辺では、ニホンジカの目撃が増えていて、ブナなどの貴重な生態系への影響が心配されています。このため林野庁などでは、シカの生息範囲を詳しく調べるため、冬期にも赤外線カメラを設置して、ニホンジカの越冬状況や進入経路の調査を進めています。10日は、世界遺産の登録地域から10キロほど離れた、八峰町の小入川林道に設置されたカメラの映像を林野庁の職員が確認しました。県内に設置されたカメラではことし、7頭のニホンジカが撮影されていて、八峰町のカメラでも11月に入ってから数回、シカの姿が撮影されています。10日に確認した動画には、シカの姿はありませんでしたが、ニホンカモシカやクマが歩いている様子が捉えられていました。この冬は、県内にあわせて11台のカメラを設置して、調査を行うことにしています。東北森林管理局藤里森林生態系保全センターの谷藤忠志所長は「10年ほど前から増えていると言われているが、実際にどこに、どの程度いるかというのはわかっていない。監視カメラでの調査を続け、具体的な対策に役立てたい」と話していました。

(鳥獣被害、10年連続1億円超:徳島)
イノシシやシカなどの野生動物による、昨年度の農作物被害額は1億300万円余りと、10年連続で1億円を超えたことが県のまとめでわかりました。県によりますと、イノシシやシカ、サルなどの野生動物による昨年度の農産物被害額は1億321万円で、10年連続で1億円を超えました。動物ごとの被害額は、イノシシが最も多い4011万円、シカが3676万円、サルが1973万円などとなっています。また、野生動物の捕獲頭数も2万1700匹余りと、5年連続で2万匹を超えました。県によりますと、野生動物を駆除するハンターのうち、7割以上が60歳以上と高齢化が進んでいて、県は若手のハンターを育成するため、各地で研修会を開くなど人材育成に力を入れています。県鳥獣対策・ふるさと創造課は「今後も『被害の軽減』を実感できるよう被害対策の取り組みを推進していきたい」と話しています。

(イノシシ、生息域が拡大:茨城)
茨城県内のイノシシ生息域に異変が起きている。これまでほぼ無縁だった利根川沿いの自治体でも捕獲が増えており、鹿行地域も鹿嶋市などの南部まで分布が拡大している。

(イノシシの子目撃情報:佐賀)
佐賀北署は13日、佐賀市開成の団地付近で同日午後4時ごろ、イノシシの子ども1頭を目撃したとの通報があったとして注意を促した。

(イノシシの出没について:佐賀)
佐賀北警察署からのお知らせです。17日午後4時ころ、佐賀市開成所在の鍋島団地付近においてうり坊1頭を目撃したとの通報がありました。

(クマの糞が発見:北海道)
2019年12月12日、高丘森林公園(緑ヶ丘公園の北側)において、クマの糞が発見されました。それにより、現在、公園内の立ち入りを禁止している模様です。

(クマ3頭と接触し緊急停車:北海道)
12日午後8時40分ごろ、JR石勝線の川端(空知管内由仁町)―滝ノ上(夕張市)間を走行中の札幌発釧路行きの特急スーパーおおぞら11号(7両編成、69人乗車)が、クマ3頭と接触して緊急停止した。乗客乗員にけがはなかった。列車に異常はなく、間もなく運転を再開した。JR北海道によると、クマの除去作業のため、この列車を含め特急計4本が最大約3時間遅れた。

(AI、森林の木材量を把握:北海道)
北海道立総合研究機構(札幌市)は人工知能(AI)で森林の木材量を把握する新技術を開発した。精度は従来方法と同程度を維持しつつ、コストを大幅に低減できる。高齢化が進む林業従事者の作業負担も軽減できる。道総研はAIを使った画像認識技術の応用を進めており、森林資源量の特定も成果の一つ。今後も各分野でAIの活用策が広がる見通しだ。木の葉が茂っている「樹冠」の大きさと幹の太さに相関関係があることに着目。ドローン(小型無人機)で森林全体を撮影し、それぞれの木の樹冠の大きさを把握することで幹の太さを推定し、森林の木材量を特定する仕組みだ。まず、AIが樹冠の大きさを識別できるように、森林の写真上で木の樹冠を1本ずつ線で囲うようにした状態で画像を学習させる。森林を空撮した画像をAIに読み込ませると、それぞれの木の樹冠の大きさを判別できるようになる。森林の画像300枚弱(木は計4万本強)をAIに学習させた後、数十本の木の幹の太さを推定したところ、実測値との誤差は平均3センチメートル強と精度が高かった。森林の空撮に使うドローンの導入費は1機当たり20万~30万円程度と、コストを抑えられる利点もある。新技術の実用化に向け、2020年度に民間事業者と具体的な利用法などを協議していく予定だ。木材量の把握は従来、林業従事者が森林に足を運び、木の幹の太さなどを1本ずつ計測していた。航空機から森林にレーザーを放ち、木材量を特定する手法もあるが、コスト高がネックになっていた。林業は人手不足と従事者の高齢化が深刻だ。新技術が実用化できれば、人手不足の緩和や作業負担の軽減にもつなげられる。道総研は農業や林業などの分野で、AIによる画像認識技術の応用を目指している。小麦の品質に悪影響を与える「赤カビ病」を判別する技術も開発。赤カビ病の小麦の画像をAIに学習させたところ、赤カビの有無を98.4%の精度で特定できた。現在は野生のシカによる農林業被害の軽減策にも取り組んでいる。定点カメラで森林を撮影し、AIがシカの好む場所を特定。シカが頻繁に出現する場所にワナを仕掛けられるようにする。北海道ではシカによる農林業被害が年間40億円弱に上る。道総研は20年度にも研究成果を取りまとめる予定だ。

(シカ出没、AIで把握:神奈川)
県西部・丹沢山地などでニホンジカが山の樹木や農作物を食い荒らす被害が減らず、「管理捕獲」を実施する自治体との攻防が一進一退を続けている。農林業の被害は申告されたものだけでも毎年2000万~4000万円程度と深刻で、県は新たに人工知能(AI)を使った対策に乗り出した。県は、ニホンジカに関する保護管理計画を策定し、2003年から食害の被害軽減や植生の回復を目的とした捕獲に本格的に取り組んできた。現在は、被害状況などを分析して作成する毎年の実施計画を基に捕獲を進めている。

(獣害対策、ICT活用のわな設置:岐阜)
大垣市鳥獣被害防止対策協議会は、ニホンジカの獣害対策で、情報通信技術(ICT)を活用した捕獲おりを初めて導入。十二日は、同市上石津町下山の山林の一カ所に設置した。近年、ニホンジカが生息域を広げており、農作物の被害に加え、林業でも木の皮をはがしたり、枝葉を食べたりする食害が増加傾向にある。おりは七メートル四方で、高さ二メートルほどの金網で囲い、金網の屋根をつけた。高さ一メートルほどの入り口のゲートを閉めて捕獲する。おりの装置には、確認モードと捕獲モードがある。確認モードで野生動物の侵入状況を記録し、人工知能(AI)が捕獲可能な最少と最多の頭数を判断する。捕獲モードでは、おりに入った頭数などにより自動でゲートを閉める。モードの切り替えは遠隔操作ででき、データも送信されるため、巡回などの手間を削減できる。事業費は二百二十万円で、国の鳥獣被害防止総合対策交付金も活用した。市農林課は「今回のおりの状況も確認しながら、来年度以降も適地があれば設置を進めていきたい」としている。

(猟友会が猟犬用GPS導入:長野)
根羽村猟友会(片桐龍男会長)は本年度、県の元気づくり支援金を活用して猟犬用のGPSを導入した。猟犬を有効に活用して効率的な有害獣の駆除につなげようと狙っている。発信器6台と受信機4台を導入し、11月の猟期の開始から10回ほどにわたって使用してきた。県によると、猟犬用GPSは大町市なども導入しているが、飯田下伊那地域では根羽村が初。15日は猟友会員10人ほどが参加し、GPS首輪付の猟犬を使った「巻狩」を実施。愛知県境方面から勢子の猟犬が獣を追い、長野県側の射手がGPS受信機で犬の位置を把握しながら待ち構えた。同猟友会によると、GPSの利用前は、放した犬が戻ってくるまで待たなくてはいけなかったが、位置が把握できることで回収が容易になった。また、犬がゴルフ場やスキー場など人がいる場所に出たり、人家に下りてニワトリなどを襲ったりという事故の防止にもつながるという。片桐会長(72)は「無線だけで連絡を取り合うよりも非常に便利。使いこなすのはまだまだ難しいが、回数を重ねて慣れていきたい」と話していた。

(講習会主催し集落守る意識高める:滋賀)
標高1000メートル弱の山地から里山、琵琶湖畔まで変化に富む地形に204集落が立地する滋賀県高島市。範囲が広くさまざまな地形を持つため、市内一律での対応が難しい。そのため、各集落は自律的に獣害から身を守っている。同市の被害は2004年にピークを迎え、農業被害額は1億2千万円を超えた。有害獣も鹿、猪、猿と種類が多かった。行政や猟友会のみでは対策が追い付かず、同市は集落単位での講習会を主催するなど、住民が集落を自らの手で守る意識を高めていった。対策で大きな効果を発揮しているのが、集落全体を囲む柵の設置だ。対策当初は市が柵の種類に応じて、一定額を補助。現在、柵の全長は約320キロに及んでいる。中でも最も普及しているのが、鹿も跳び越えられない高さ2メートルの恒久柵。その上に50センチの電気柵を張り、猿の侵入も防いでいる。それに加え、地面にコンクリートを打ち付け、猪が穴を掘って侵入することを防いでいるタイプも多い。現在は、鳥獣被害防止総合対策交付金を活用し、資材費を全額補助している。設置の前年までに要望を出すことが必要だ。それを受けて、県が国に要望額を報告している。捕獲にも力を入れた。2009年には、「鳥獣被害対策実施隊」を結成。集落に住む銃猟免許保持者の中から市が任命し、捕獲や止め刺しを市が依頼する仕組みだ。2016年には鹿2840頭、猪599頭の捕獲に成功。同年の被害額は3627万円まで減った。

(“狩猟コンテスト”、「狩りガール賞」も:茨城)
茨城県は、狩猟で捕獲したイノシシの大きさを競う「イノシシ狩猟コンテスト」を初めて企画した。捕獲したイノシシの写真をもとに審査する。コンテストを通じ、狩猟の担い手を増やしたい考え。応募は来年2月21日まで。県内での狩猟者登録を行い、鳥獣保護区を除いた県内で捕獲する。わな猟か銃猟で捕獲した体長1メートル以上のイノシシが対象。個体の体長が分かるように金属製のメジャーを置いて撮影し、応募する。3月下旬に上位5人を表彰し、2万~10万円相当の副賞を贈る。女性の最上位者の「狩りガール賞」、全応募者のうち捕獲数が最多の「特別賞」にも5万円相当の副賞を贈る。県自然環境課によると、イノシシなど野生鳥獣による2017年度の農業被害額は約6億円で、前年度より約2300万円増えている。県内の狩猟者は18年度に約3000人が登録されているが、60歳以上が約7割を占める。20代と30代を合わせても1割に満たず、高齢化が進んでいる。

(コウノトリすみよい郷に、防獣の人工物で死傷多発:京都)
野外でコウノトリが狩猟用のわなや農作物用の防獣ネットなどの人工物により死傷する事案が増えていることを受け、兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(豊岡市祥雲寺)で12日、国や県、市の担当者らの連絡協議会が初めて開かれ、対策を話し合った。同公園によると、豊岡市内で7月、コウノトリが狩猟用のわな「トラバサミ」に掛かり、足を負傷する事案が発生。野外のコウノトリは約180羽に上り、人工物による死傷も増えているという。協議会では、同公園の松本令以獣医が、2005~18年末までに死傷した延べ105羽のうち計47羽(約45%)が鳥獣対策の資材や電線などの人工物によるものだったと報告。特にシカやイノシシから農作物を守るために田畑に設置する防獣ネットに引っ掛かるケースが多く、ほとんどが幼鳥や繁殖中の個体だったという。「飛来した各地で増えると予想され、対応マニュアルの作成などが必要になってくる」と話した。同市からは、農家に対し、使用していない防獣ネットを撤去したり、ホームセンターに現在は狩猟での使用が禁止されているトラバサミの適切な販売を呼び掛けたりしていることなどが報告された。このほか「コウノトリはネットの地面にたわんでいる部分に掛かりやすい」「しっかりと張っているほうがシカ対策にも有効」などの指摘もあった。

(希少オオワシの列車事故急増、はねられたシカ食べに来て:北海道)
北海道内で近年、列車事故に遭う希少猛禽(もうきん)類のオオワシ、オジロワシが急増している。今月8日夜には、根室市で列車事故に遭ったエゾシカを線路際で食べていたとみられるオオワシが列車と衝突、列車前部のガラスを破って車内に飛び込んだ。運転士や乗客にけがはなかったが、オオワシが運転士を直撃していれば、重大事故に発展していた可能性もあった。

(駐日大使ら招きカモ猟ご接待:千葉)
秋篠宮ご夫妻の長女、眞子さまと次女の佳子さまは17日、千葉県市川市の宮内庁新浜鴨場で、駐日外国大使夫妻らに伝統のカモ猟を紹介する恒例行事に接待役として参加された。佳子さまのご参加は初めて。カモ猟には17カ国の大使夫妻ら約30人が参加。眞子さまと佳子さまは猟の前に、英語を交えながらごあいさつ。飲み物を片手に参加者と談笑された。皇族による鴨場でのご接待は例年、カモの狩猟期間の11月から2月ごろまでの間に計5回行われる。

(人口減少で増える動物、専門家育て科学的管理を)
人口減少と高齢化は農林業の担い手を奪う。人の手が入らず荒れてしまった里山や農地には、シカやイノシシなどが生息域を広げる。農業被害などを防ぐため、専門知識を持つ人材を育成して科学的に管理するよう求める提言を日本学術会議がまとめた。

(鳥獣害、地域のプロを:栃木)
野生動物による農業被害を防ぐ専門家を育てようと、宇都宮大教授らが創設した民間資格「鳥獣管理士」の取得者が全国に広がっている。養成講座も開かれ、資格取得者は今年1月時点で34都道府県の315人。鳥獣害対策は行政だけでは限界があり、資格を認定する鳥獣管理技術協会(宇都宮市)は「地域に密着し、住民を支援する専門家が必要だ」としている。「あそこに足跡が見えます」。九月中旬、栃木市で開かれた養成講座の現地実習。講師役の鳥獣管理士が指をさした先には、イノシシのものとみられる足跡がいくつもあった。イノシシは防護柵を乗り越えてしまうことがあるとの鳥獣管理士の説明に、十五人の参加者は真剣な表情で聞き入った。鳥獣管理士は、宇都宮大や県が二〇〇九年、社会人や自治体職員を対象に始めた鳥獣害対策の人材育成プログラムを基にスタート。農作物の被害防止に必要な知識や技術の程度に応じて一~三級まであり、防護柵の設置指導経験や猟友会の捕獲活動への協力、学会への参加などを「単位」と認定。一定数を取得して試験に合格すれば、昇級できる仕組みだ。受験資格が得られる協会の養成講座は、動物の生態を学ぶ座学や、現地で対策を考える実習も用意。正確な知識や現場経験を重視し、即戦力の育成を目指しているのが特徴だ。東京都や大阪府でも始まり、本年度は初めて熊本県で開いた。協会の事務局長を務める宇都宮大の高橋俊守教授(地域生態学)は「受験者には地域に貢献したいという、シニア層も多い」と話す。鳥獣害対策は、地域住民が一体となって草刈りや見回りを続ける必要もあり、「対策を通じて地域社会を再構築することにもつながる」と説明する。鳥獣管理士が全国最多の県(百十二人)では、鳥獣被害に悩む市や町から要請を受けた県が鳥獣管理士を現地に派遣。住民を対象に勉強会を開き、動物が隠れやすい場所を地図化したり、動物に侵入されにくい防護柵の設置方法を指導したりする。こうした対策で大きな被害を免れている地域もあるといい、県も「異動がある行政職員と違い、継続的に地域を見守れる」と評価する。野生動物による農業被害は深刻化しており、全国の被害額は一八年度で約百五十八億円。中でも野生イノシシは、感染が拡大する豚コレラのウイルスを媒介しているとされ、対策が急務だ。高橋教授は「高い能力を持つ鳥獣管理士を養成し、対策の正しい知識を普及させたい」と強調した。

(ミロクの19年10月期、純利益14.8%増9億3800万円:高知)
ミロクが13日に発表した2019年10月期の連結決算は、純利益が前期比14.8%増の9億3800万円となった。売上高は前期比13.8%増の153億円、経常利益は前期比15.6%増の12億円、営業利益は前期比20.4%増の11億円だった。猟銃事業においては、欧州市場で、販売は伸び悩んでいるものの、米国市場は景気の緩やかな拡大に伴い購買ニーズが順調に推移したことから、主力製品の上下二連銃及びボルトアクションライフルの販売が前期を上回った。工作機械事業においては、ガンドリルマシンは機械部門の営業強化が奏功し、高価格製品である大型物件の受注等により販売台数は前期比大幅増となり、売上高及び営業利益とも前期を上回った。2020年10月期は純利益が前期比19.1%減の7億6000万円、売上高が前期比0.4%減の153億円、経常利益が前期比11.8%減の11億円、営業利益が前期比14.7%減の9億8000万円の見通し。

(「クマの勝山」イメージ変えるには:福井)
勝山高校の一年生九十九人が二〇四〇年の勝山市長として、市長に政策を提言する「未来ワークショップ」が十六日、同校で開かれた。同市の山岸正裕市長や教育関係者ら十五人が来校し、生徒たちの提案に耳を傾けた。未来ワークショップは、勝山高と千葉大、勝山市の連携事業で、十月二日に一回目を開催。五~七人のグループに分かれて、市の四〇年の人口予測などのデータを基に、観光や空き家活用、若者増加をはじめとした課題を洗い出し、総合学習の授業で対策などについて考えてきた。最終回となるこの日は、各グループが検討成果をポスターにまとめて発表した。飯野美樹さん(16)ら五人のグループのテーマは「クマらない街勝山」。市内で九月以降クマの出没が相次いだことで勝山についたクマのイメージを、観光に活用してイメージアップを図ろうと「くま動物園とジビエ料理のテーマパーク」を考案。クマを見られるスペースやクマ肉の料理が食べられる店などを設けるアイデアを出した。期待される効果としては、多くのクマを捕獲して生息数を減らすことでクマによる被害が減少することや、新たな市のイメージや特産品開発につながることなどを挙げた。飯野さんは「理想ばかりじゃなく現実的に可能な費用を考えないといけないのが難しかった」と話した。まとめで山岸市長は「自分のこととして考える、それに発展する力がある。素晴らしい形で今後も進めていってもらいたい」と話した。千葉大大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授(55)による講評もあった。

(「ヒグマの会」40周年:北海道)
道内のヒグマ研究者やハンターらでつくる「ヒグマの会」の設立40周年を記念した市民イベント「ヒグマックス クマづくしの1日」が8日、札幌市内で開かれた。450人が来場し、道内のクマの映像を観賞し、クマの習性などを専門家とともに考えた。札幌や知床などで暮らすクマを撮影した約10分の短編映像5本を上映した。酪農学園大(江別)の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は自動カメラが捉えた札幌の市街地周辺に生息するクマを紹介した。木の幹に背中を擦りつけて臭いを付ける「背擦り」という習性を利用し、同大が山に仕掛けたくいにクマが背中を擦りつける珍しい姿を映した。佐藤さんは「背擦りで付く臭いで、クマ同士はコミュニケーションをとっている」と話した。

(兵庫県森林動物研究センターシンポジウム:兵庫)
森林内でひっそりと暮らす哺乳類を観察することは簡単ではありません。そのため研究センタ-では自動撮影カメラや痕跡、DNAを調べて個体数や生態系内の影響、群れ間の移動を明らかにしてきました。シンポジウムでは研究センターで継続的または新しく開発した調査手法を紹介し、調査結果によりわかってきた哺乳類の生態を紹介します。

(獣がいツーリズムの可能性探る:兵庫)
獣害対策をきっかけに地域活性化の方法を探る「第2回獣がいフォーラム」が14日、兵庫県丹波篠山市内で始まった。初日は各地で多彩な体験プログラムがあり、市内外の人々が参加。獣害対策に取り組む集落のツアー、狩猟や解体作業の見学などを楽しんだ。同市や市有害鳥獣対策推進協議会、丹波農林振興事務所などでつくる実行委員会が主催。15日午前9時半からはユニトピアささやま(同市矢代)でシンポジウムがある。35世帯93人が暮らす矢代集落には、地元の高校生や県内外の大学生ら16人が訪れ、「獣がいツーリズム」の可能性を考えた。中井悦夫自治会長(65)ら地域住民が案内。柱にアルミはくを巻いてサルが登れないようにした電気柵や、センサーでシカを感知して遠隔操作できる捕獲おりなどを見学した。かつて集落には68本の柿の木があったが、管理しやすいよう35本を伐採し、枝を手入れしたところ、人里に現れるサルが減ったという。中井さんは「昔からある柿の木を切るのは葛藤もあったが集落で話し合った」とし、集落全体で獣害対策に取り組む重要性を伝えた。篠山鳳鳴高校1年の男子生徒は事前に学習し、捕獲おりの特徴を参加者に解説した。「農業に興味がある人や都会に住む人は楽しんでくれるのでは」とツーリズムの可能性に期待していた。

(罠シェアリングのスタートアップ:埼玉)
株式会社カリラボ(創業:吉田隼介、本社:秩父郡横瀬町、以下カリラボ)は、11月17日より「カリナビ」「ワナシェア」サービス提供を開始し、有害鳥獣駆除実績を積み上げております。また、罠シェアリング東京(プロデューサー:イクメン猟師 小川岳人、所在地:東京都あきる野市)と共同で、12月14日に初の両会員向けコラボレーションイベントを開催いたします。若年層も巻き込んだ狩猟の新時代に向け、幅広く活動の輪を広げてまいります。埼玉県(平成30年度)において、最も鳥獣種別農作物被害金額が多い鳥獣種はイノシシ、昨年よりも被害金額が増加した鳥獣種はシカ、アライグマ、ハクビシンでした。本取り組みにおいては農作物被害金額の多い鳥獣の捕獲を目指してまいります。11月18日(月)より、箱罠5機を仕掛けており、12月10日現在までに、埼玉県指定管理鳥獣捕獲等事業実施計画に指定されているニホンジカ、特定外来生物に指定されているアライグマ、農作物への被害報告のあるテンを捕獲いたしました。活動拠点付近のトレイルカメラ映像には、イノシシ、アライグマ、シカ、ハクビシン等が日々記録されています。農作物被害額軽減のため、今後も捕獲活動を推進してまいります。11月17日(日)より、会員とともに、埼玉県横瀬町にて、地元猟友会と連携し、巻狩りを実施しております。12月10日までに、有害鳥獣に指定されているニホンジカ4頭の捕獲実績を上げております。

(一人前に向け奮闘中:富山)
南砺市猟友会に、昨年そろって狩猟免許のうちの第1種銃猟免許を取ったばかりの3人の「若手」がいる。イノシシによる農作物への被害に悩む地域の人たちに推されてハンターになった。ツキノワグマの出没が相次ぐ今年は、クマの駆除やパトロールに仕事の合間を縫って参加している。

(「写真で語るツキノワグマ」:秋田)
太平山周辺でクマの写真を撮り続けている秋田市の加藤明見さん(71)の講演会が15日午後1時半から、横手市増田町の増田地区多目的研修センターで開催される。「クマが問題になり、身近に出没する地域なので」と、増田地区交流センターが毎年主催する環境講演会として開催する。質疑応答を含め2時間の予定。入場無料。講演会のテーマは「写真で語る ツキノワグマ」。10年間撮りためた中から写真約100点に動画を交えながら、クマの生態を説明する。加藤さんは千屋村(現美郷町)生まれ。2009年、農水省青森農政事務所を定年退職後、本格的にクマを撮るようになり、年間100日ほど出かける。著書に写真集「私の好きな、秋田。」、「秋田市にはクマがいる。」(いずれも無明舎出版)がある。住宅地に出没するクマについて加藤さんは、「冬眠前の脂肪を蓄える時期に、ブナの実が凶作で、食べるものがない。また、今年生まれたクマも多かった」とみている。

(女性の起業計画コンテスト「ジビエでペットフード」栄冠:熊本)
女性起業家の育成を目指すビジネスプランコンテスト「くまもとチャレンジャーアワード2019」が8日、熊本市中央区の市中央公民館であり、ジビエ(野生鳥獣肉)を活用したペットフード事業を計画する山都町地域おこし協力隊員の植村真穂さん(40)がグランプリに選ばれた。地域社会の課題解決を念頭に、9月から専門家の指導を受けて起業の計画を練り上げてきた県内の30代~50代の女性7人が発表した。植村さんは、愛犬の皮膚病に悩んだ経験や地域で駆除されたシカやイノシシを解体する仕事の技能を生かし、犬用の「安心安全な手作りご飯とおやつ」の製造・販売を計画。「山都町の資源を活用することで、愛犬が20歳まで健康に生きられる社会につながる」と意義を訴えた。準グランプリは、子育て世代向けの飲食店「保育園レストラン」を経営する熊本市の葛西江美さん(36)が受賞した。コンテストは、子育て支援や女性の自立に向けた事業に取り組むミューズプランニング(熊本市)と熊本日日新聞社が、3月の「みんなの夢アワードin熊本」に続いて企画した。

(クマ肉をふるさと納税返礼品に:秋田)
秋田県仙北市は市内で捕獲したクマの肉をふるさと納税の返礼品にする準備を進めている。野生鳥獣肉(ジビエ)は返礼品として全国で人気を集めているが、クマ肉は珍しい。予定するのは市内の食肉処理加工施設が手掛ける缶詰。しょうゆやみそ、ショウガで味付けしてある。年内にも返礼品に加える。加工施設は市などの補助を受けて、市内の田沢湖ジビエの会が10月に完成させた。缶詰は庭園やレストランがある田沢湖ハートガーデンハートハーブで販売している。市内では4月以降、53頭のクマが駆除されているという。

(ジビエのお歳暮人気:大分)
イノシシのブロック肉が機械で厚めにスライスされていく。つやのある赤身と白い脂身のグラデーションが美しい。杵築市山香町で獣肉の加工販売をする「山香アグリ」は、お歳暮やおせち料理用ジビエの注文対応に追われている。バラ肉、ミンチのほか、ソーセージやハムなどの加工品も人気という。「ぼたん鍋、焼き肉、ハンバーグ…。うま味が強いので、どんな肉料理にも合いますよ」と話すのは代表の鶴成宏さん(76)。地元の山で自ら猟をするなどしてイノシシやシカを調達。連日、妻京子さん(66)と肉を処理してパック詰めし、首都圏を含む県内外の顧客に送っている。田畑を荒らす有害鳥獣だが、食材としての実力は十分。ジビエは有効活用策として近年、注目度が高まっている。「いのしし年もあったのかな、今年は一年を通して注文が多かった。たくさんの人に魅力が伝わっていたらうれしいね」と夫婦。真っ直ぐに走り続けた一年を振り返った。

(ジビエ、ブランド化:佐賀)
イノシシやシカなど野生動物の食肉「ジビエ」。近年はヘルシーな食材として注目され、県内でも肉や料理を提供する店はあるが、日常的に食べる機会は少ないのが現状だ。吉野ケ里町と神埼市の脊振山系で捕れたイノシシが「脊振ジビエ」としてブランド化されていることを知り、取材に向かった。ジビエの利活用に取り組む「日本ジビエ振興協会」によると、ジビエとは狩猟の対象となる野生の鳥獣肉やその料理を指すフランス語。家畜の肉よりも鉄分やタンパク質を豊富に含むのが特徴で、近年は鳥獣被害対策に加えて観光資源化や食文化の創出による地域活性化にもつながるとして注目を集める。吉野ケ里町と神埼市でも農作物を食べられたり、畑を掘り返されたりするなどの被害が発生しており、被害防止のためイノシシを駆除。捕獲場所で埋めて廃棄処分する手間を省いて肉も有効利用しようと、2018年6月、脊振ジビエを売り出した。肉は吉野ケ里町の脊振山系鳥獣処理加工センターで処理。県猟友会の神埼支部に所属する猟師が捕ったイノシシを迅速に解体して冷凍する。血抜き後1時間以内に持ち込まれ、個体ごとに傷や内臓の異常がないかなど食用に適しているか検査するため、新鮮で高品質な食肉に加工できる。センターを見学した。年末年始を除く毎日午前中、5、6人の猟師が常駐してイノシシの個体検査から製品化までを手掛ける。搬入したイノシシは高温、高圧洗浄機で洗って皮をはぎ、内臓を出した後で台にのせて解体。スライスしてパック詰め後に出荷する。施設は地元の猟友会員でつくる一般社団法人が管理、運営を担う。代表理事の大坪広喜さん(76)は「ジビエ利用には処理の速さが命。安心、安全な食肉としてもっと地元の特産になってほしい」と話した。イノシシはどのように捕れるのだろう。大坪さんに箱わなを見せてもらった。獣道の中に置かれた長さ1・5メートル、幅70センチほどのおりに、餌の米ぬかが入っている。イノシシが入ればもりや空気銃などでとどめを刺し、センターへ運ぶ。「1カ月に1頭捕れればいい方。わなを自然に近い状態で置かないとイノシシは寄って来ず、失敗すれば危険を学んで捕れなくなる。戦いです」と大坪さん。人間とイノシシの知恵比べ。猟師たちの創意工夫と苦労の積み重ねがあり、肉は食卓へ届く。販路開拓やPRにも力を入れる。吉野ケ里町産業振興課によると佐賀ではイノシシを食べる習慣は根付いておらず、「品質の悪い肉を食べて『硬い、獣臭い』というイメージを持つ人も多い」。イベントでの提供などを通して認知度向上に尽力する。「とにかくまずは食べてみてほしい。おいしさに驚きますよ」それならばと、脊振ジビエを料理してみた。フライパンで両面を焼いて塩こしょうを一振りした焼き肉に、肉を野菜と一緒に煮込むだけのイノシシ鍋。「なるべくシンプルな方がおいしい」という大坪さんの助言もあり、鍋はみそと白だしのみで仕上げた。どちらも簡単に調理できた。焼き肉では濃厚なうま味が感じられ、脂身もあっさりしておいしい。同僚と囲んだイノシシ鍋も「全然臭みがない」「意外に軟らかい」などと好評だった。脊振ジビエは神埼市と吉野ケ里町の道の駅や物産館のほか、スーパー「マックスバリュ」の南佐賀店などで手に入る。猟師たちの手で丁寧に食肉加工され、県内でも気軽に手に入る脊振山系のイノシシ肉。滋味に富む山の恵みを一度味わってみてはいかがだろうか。

(話題の「国産ジビエ」をもっともっと知りたい:東京)
ジューシーで食べ応えのある肉を形容する「肉肉しい(にくにくしい)」が流行語にノミネートされるなど、肉がパワーワードとして注目された今年。東京国際フォーラムにて、11月9日に「国産ジビエ」のシンポジウムが開催されました。公益財団法人日本食肉消費総合センター主催で開催されたこのシンポジウムのテーマは、「今こそ知ろう!国産ジビエシンポジウム」。「ジビエ」という言葉をよく見聞きするようになった今だからこそ、今改めて「国産ジビエ」をより正しく、より深く知るべく、有識者を招いての講演やパネルディスカッションが行われました。一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事の藤木徳彦氏は、「いちシェフである私がジビエ料理ではなく、ジビエ振興に取り組んでいると聞くと不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。きっかけは、八ヶ岳山麓(さんろく)でオーベルジュをオープンし、地産地消の食材として地元のジビエを扱い始めて、野生鳥獣の問題を身近に感じたことです。シカが駆除され、悲惨な状態で遺棄されているのを見たり、丹精込めて育てた農作物が荒らされている現状を知り、志を同じくする仲間たちとジビエ振興協会を立ち上げました」と語りました。また、「おいしくジビエを食べることで、鳥獣被害低減にも役立ちます。どうぞみなさんも召し上がってみてください」とアピール。衛生管理を中心に、処理の段階までのルール作成に奔走し、流通、マッチングなどの課題にも取り組み、現在は、安心安全なジビエ普及のために、ルールにのっとった、外食店でのジビエメニュー化の促進にも取り組んでいることを伝えました。続いて、農林水産省農村振興局鳥獣対策室長の仙波徹氏が講演。「野生鳥獣による農作物被害は広域化、深刻化しており、現場の生産意欲に関わる問題となっています。現在、政府は、オールジャパンで鳥獣対策とジビエの利活用の取り組みを進めています」と、政府の取り組みについて話しました。さらに、ジビエの供給量を増やす取り組みとしては、処理加工施設への補助や、ジビエ利用に適した技術を持つハンターを育成するためのカリキュラムづくりを進めていること、処理加工施設が衛生管理に取り組んでいることなどを消費者に知らせするために、国産ジビエ認証制度を始めたと語りました。「処理加工技術を有する人材を育成するためにOJT研修実施を支援するように予算要求をしています。ジビエの認知向上のためにジビエトというポータルサイトもあります。みなさんには、まず国産ジビエを知っていただき、味わっていただければと思います。それが農山村を守り、支えることにつながっていきます」基調講演終了後の第2部では、押切もえさんをゲストに迎え、ジビエ有識者のみなさんとパネルディスカッションが行われました。ジビエにはどのような歴史があり、現在は、どのようにシカやイノシシが捕獲され、安全を担保して流通ルートに乗っているのか。さらには個人でジビエを食するときの注意点は何かなど、「国産ジビエ」を取り巻くさまざまなことがパネルディスカッションではトピックとしてあげられました。「国産ジビエ」の背景をきちんと知り、また「国産ジビエ」の魅力と可能性についての理解を深めることができた今回のシンポジウム。「国産ジビエ」に関心を持ち、まずは食して、そのおいしさを実感することから、私たちも「国産ジビエ」の普及拡大に参加することができると言えるでしょう。

(ジビエの家庭料理教室:京都)
京都府綾部市鍛治屋町の里山交流研修センターでこのほど、シカのジビエ(野生鳥獣肉)を使った家庭料理教室が行われた。市民らがオムレツやピロシキを作り、調理の仕方を学んだ。府中丹広域振興局が、ジビエ料理を家庭でも楽しんでもらおうと昨年から実施。市民ら5人が参加し、福知山市夜久野町のシカ肉を使って調理した。タマネギなどと炒めた肉を具に、小麦粉の生地で包んだり、卵でくるんだりして仕上げた。調理中は臭いやパサつきを心配していた参加者も次々に口に運び、「素材を生かしていろんな料理に使える」との講師の説明にうなずいていた。会社員の女性(38)=綾部市上八田町=は「今までシカ肉をもらっても使い方が分からなかった。できたら家でも作ってみたい」と話していた。

(地元シシ肉の田楽みそ、生徒がレシピ考案:三重)
県立伊賀白鳳高校の生徒がレシピを考案した「猪肉田楽味噌」の商品発表会が12月12日、伊賀市緑ケ丘西町の同校で開かれた。伊賀産のシシ肉を使った取り組みは2014年からで、出席した県市や観光協会の職員らが試食した。発表したのはフードシステム科フードサイエンスコースで学ぶ、「猪肉班」の3年生6人。野生の鹿やイノシシのジビエ食材を活用しようと解体処理や加工、販売をしている地元の団体からの協力依頼がきっかけ。今回の新商品は同じコースの先輩の生徒が手掛けた15年から販売している「猪肉味噌」に工夫を重ねてアレンジした。担当の西島淳太教諭(58)によると、使用する夏のシシ肉は冬に比べて需要が少なく、煮炊きすると独特の獣臭が出て硬くなる点が課題だったが、血抜きの下処理工程で塩水の浸漬時間や濃度を調整して克服。みそを提供した市内の醸造会社からは地元の豆腐田楽が有名なことやライバル商品があまり出回っていないことなど助言をもらい、商品製造は名張市の農産加工所が引き受けた。シシ肉以外の食材は玉みそと砂糖、みりん、香辛料のサンショウ。「猪肉味噌」より甘めの味付けに仕上げ、利用しやすいとろみを加減したり、容器もびんからビニール製の包装材に変更したりした。生野菜に付けたり、ご飯と一緒に食べてもおいしいという。試作品は今月14日に開く同校のアンテナショップ「白鳳cafe」で販売。80個限定で、価格は150グラム入り税込み540円。商品発表を終えた山口華楓さん(18)は「試行錯誤で大変だったが、試食した方においしいと言ってもらえる商品ができた。シシ肉を食べたことがない人や苦手な人にもお勧めしたい」と話した。

(ジビエ「地産地消」追求:静岡)
静岡市のレストラン「KAWASAKI」のオーナーシェフ、河崎芳範さん(41)は11月以降、静岡県富士宮市の自宅で日の出前に起床する。7歳と2歳になる娘の寝顔を眺めながら朝食をかき込み、車で富士山の裾野の狩猟場に向かい、日の出とともに狩猟を始める。天気が悪くても「元旦を除いてほぼ毎日」の日課である。冬に狙うのはキジやカモ、ハトといった鳥類だ。散弾銃2丁と1発だけ銃弾が出る空気銃1丁を携え、午前9時ごろまでひたすら獲物を狙う。狩猟が終わると、近くの農家に依頼して栽培した有機野菜を収穫するほか、養殖場でニジマスを手に入れることも。レストランで提供する食材はすべて地元で調達する。メニューはレストランへの車中で考える。狩猟した獲物のジビエ(野生の鳥獣肉)のコースなど3つのコース料理を予約する際、客は主な食材を指定できる。だが当日の熟成度合いなど食材の状態に応じ調理法を変えるので、実際の料理の姿は供されるまでわからない。それでも「地産地消」料理を求める客は首都圏からもやってくる。経歴は変わっている。兵庫県出身の河崎さんは高校卒業後、ギタリストを目指し上京。専門学校で出会った師匠と食べ歩きするうちに料理に目覚め、兵庫県明石市の和食店で修業した。再び上京し、フレンチの名店「キノシタ」(東京・渋谷)など4つのフランス料理店を渡り歩いた。転機は2007年。農業の6次産業化で注目される松木一浩氏が富士宮市の畑の中に開いた「レストランビオス」にシェフとして招かれた。「東京は同じ素材を使うので料理の差をつけるのが難しい。ゼロの状態から新鮮な食材を仕入れるため、生産者の近くで働きたかった」という河崎さんにとって、富士山を水源とする澄んだ水と豊かな自然に育まれた野菜や牛や豚、ニジマスといった食材にあふれる富士宮は理想郷だった。14年に独立し、KAWASAKI開業後も、富士宮ですべての食材を自ら調達して調理するスタイルを続けてきた。15日に開業5年目を迎える中、河崎さんは富士宮市の地産地消を加速するため新たな挑戦を始めた。18年に富士宮市にできたカフェ「JINQ」の料理を監修するなど、地元での活動を増やしている。「いつか富士宮に戻って、料理と観光をからめた事業をやりたい」と考えている。音楽家を志した河崎さんにとって、料理は「自分を表現する手段の一つ」にすぎない。地元の食材を使ったジビエなどの料理の魅力を訴え、世界中から富士宮に人を呼び込む日を夢見ている。

(ジビエ使った親子料理教室:鳥取)
サッカーJ3ガイナーレ鳥取の運営会社SC鳥取は15日、八頭町橋本の大江ノ郷ヴィレッジで、野生鳥獣肉(ジビエ)を使った親子料理教室を開いた。小学生を中心に親子10組が参加。

(農林水産省・東海農政局の食堂に『ジビエ』:愛知)
名古屋市中区にある東海農政局の食堂。昼時にお邪魔すると、一見普通の“ピビンパ”のように見えるメニューが…。しかしこの日、一日限定で提供されていたのは、普段食堂では食べることのできない特別メニュー『鹿肉のビビンパ』。岐阜県で駆除のために捕獲された鹿の肉を使っています。食べた局員:「臭みもなくて普通にビビンバと変わらないので、おいしくいただけました」別の局員:「癖もなく、すごくおいしい」と、職員の評判も上々。実はこのピビンパ、日本ジビエ振興協会が実施したコンテストで農林水産大臣賞にも輝いたメニューです。国もすすめるジビエメニュー。その背景には次の様な事情があります。昨年度の害獣による農作物への被害は、日本全国でおよそ158億円。そこで国は害獣駆除によって捕獲されたシカやイノシシの肉を一般に流通させることで、農村地域の新たな収入元につなげられないか模索しているのです。今回の食堂での提供は、こうした施策への理解を深めてもらうために行われました。東海農政局の担当者:「せっかく捕獲した命なので、有効活用して農山村の所得につながるように取り組んでいます」東海農政局では、今後もこうした活動を通じて、駆除のために捕獲したシカなどの肉が無駄にならないように理解を求めていきたいとしています。

(高校生、ジビエ料理開発:埼玉)
県立小鹿野高校総合学科の三年生らが、シカ肉を使ったジビエ料理の開発に取り組んでいる。秩父地域の農作物に被害を与え、地元猟友会に駆除された野生ジカの肉を活用。料理は来年にも小鹿野町内の飲食店で、新メニューとしてお目見えする見通しだ。生徒らが開発に取り組んでいるのは、そぼろ丼▽肉とシイタケのフライ▽肉のつけ汁うどん▽肉豆腐▽しゃぶしゃぶサラダ-の五品。この中からさらに改良を重ね、数品を飲食店で提供したい考えだ。今回の取り組みは、同校と秩父地域の野生ジカの利活用を図る「ちちぶのじか活性化協議会」が十月から、家庭科の選択科目「フードデザイン」の授業の中で進めている。選択した生徒十五人は、豚肉や牛肉を使ったメニューをシカ肉に置き換えたジビエ料理を目指している。県農業支援課のまとめによると、二〇一八年度の野生ジカによる県内の農作物の被害額は約千六百万円。イノシシやサルの被害が減少する一方、シカは高止まりしているという。地元ではこれまで駆除したシカは埋めていたが、〇八年ごろから利活用する方向に転換。活性化協議会などが、シカの背骨を使った料理や革を生かしたキーホルダーなど、さまざまな商品を編み出してきた。ジビエ料理の開発に当たっては、東京電力福島第一原発事故によるシカ肉の放射能汚染問題があったため、全頭検査で合格した肉のみを使用。ジビエ肉の臭みを減らすため、捕獲後一時間以内に血抜きしたシカを扱うなど食味にも配慮している。肉豆腐の開発に取り組む増田汐里さん(17)は「これまでの試作では味付けがうまくいかなかったが、何とかなった。つゆの味が肉に染み込み、おいしくできた」と笑顔で話した。

TOPへ