<射撃ニュース1月>
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(住宅に銃器百数十丁か、病死の住人男性所持:東京)
東京都文京区の住宅から拳銃やライフル銃のようなものなど、計百数十丁が見つかっていたことが30日、警視庁駒込署への取材で分かった。同署によると、住人で昨年7月に病死した50代の男性が所持していたとみられる。一部は殺傷能力を持つ本物の可能性があり、同署が鑑定を進めるとともに、銃刀法違反の疑いで捜査している。駒込署によると、昨年12月、40代の妻が「自宅に多数の銃があり処理に困っている」と同署に相談。部屋からは拳銃やライフル銃、機関銃や実弾のようなものが見つかった。男性はライフル銃の所持許可証を複数持っている。

(イノシシ、北東北で増加)
イノシシが東北地方で生息域を広げている。「絶滅」と判断されてきた北東北でも目撃件数が増え、農作物被害も出ている。イノシシ対策はこれまで、被害が多かった西日本で重点的に実施されてきたが、専門家は「このままでは東日本でも甚大な被害が出かねない」と警告する。「我々にとってはまったく新しい動物で専門家もいない。今のうちに対策をしなければ被害が大きくなってしまう」。長年、イノシシの「空白地域」だった秋田県の自然保護課の担当者は危機感をあらわにする。環境省によると、1978年の調査では宮城県南部が生息域の北限。当時は30センチ以上の積雪が70日以上続く地域や、森林面積が40%以下の地域では生息が確認されず、北陸や北東北などにはいなかったという。しかし、2014年調査では北陸などでも確認され、分布域は1.7倍に拡大していた。40年以上イノシシを研究する農業・食品産業技術総合研究機構の仲谷淳専門員は「雪深いと動きにくくはなるが、豪雪・寒冷地帯で生きられないわけではない」と話す。78年時点ではたまたまいなかっただけのようだ。山形県は03年発行の「レッドデータブックやまがた」で「絶滅」に区分したが、02年1月に天童市内で1頭捕獲されて以降、目撃・捕獲数が増加。17年度時点で、県内に3200頭(推定)生息しているという。秋田県では、12年2月に県南部の湯沢市内で初めて目撃された。17年度の目撃は43件だったが、今年度は1月21日までに69件。目撃現場も北上しており、「7~8頭の親子連れの目撃情報もあり、すでに定着していると考えられる」(同県自然保護課)。さらに北の青森県でも、南部の深浦町で17年8月に初めて確認された。同県自然保護課によると、今年度は目撃情報が12月までに13件に上る。江戸時代には各地でイノシシによる深刻な農業被害が頻発し、対馬(長崎県)で計画的に絶滅させた記録がある。東北では明治時代に豚コレラの流行で絶滅したとされるが、仲谷さんは「豚コレラ以前に農業被害対策で捕獲が進み、生息数が相当減っていたのではないか」と推測する。その後しばらく東北はイノシシの空白地域になったため捕獲する人がいなくなり、イノシシにとっての「楽天地」に戻った。そこに関東地方から侵入し、北に広がっているとみられる。「山中だけにすむ」「夜行性」というのは間違いで、捕獲する人間など怖いものがなければ、昼間に開けた土地に出てくるという。東北農政局によると、17年度のイノシシによる東北地方の農作物被害額は約2億5000万円だが、仲谷さんの試算では、このまま生息域が拡大すると数倍になると予測されるという。仲谷さんは「東日本では分布の最前線を制御して生息域を拡大させないのが喫緊の課題。自治体単位ではなく、広域で対策を考える必要がある」と指摘する。

(感染イノシシ8頭に:愛知)
愛知県は29日、同県犬山市の山中で捕獲された野生イノシシ2頭が豚コレラに感染していたと発表した。昨年9月に岐阜県で発生が公表されて以降、愛知県内で感染が確認された野生イノシシは計8頭となった。県によると、2頭は27日と28日にそれぞれわなにかかっているのが見つかり、県の遺伝子検査で29日に陽性と分かった。これまで感染が確認されていた6頭も犬山市で見つかっていた。

(シカの捕獲作戦始まる:愛知)
設楽町の北西部に広がる段戸国有林で、ニホンジカによる樹木の食害が深刻化している。このままでは森林の機能や生態系に悪影響が生じる恐れもある。林野庁愛知森林管理事務所(新城市庭野)はシカ対策を二〇一八年度の重点課題に掲げ、昨年暮れには職員による捕獲作戦も始めた。五千三百ヘクタールの面積を持つ段戸国有林は、県内の九つの国有林の中で最も広い。シカの群れはここ数年、急激に増え、苗木の葉っぱや成木の樹皮を食い荒らしたり、角研ぎで木の根元の皮を剥ぎ取るなどの被害が頻発している。同事務所は昨年四月、設楽町猟友会に捕獲駆除を委託し、これまでに十一頭を捕獲した。八月には猟友会員に捕獲用のくくりわなを貸し出し、林道ゲートの解錠番号を伝えて車で随時入林できる制度をスタートさせた。さらに、四人の職員が狩猟免許を取得し、十二月、くくりわなを二十五カ所に設置。シカの動きを監視して詰め所に通報するICTハンティング装置もわなの近くに取り付けた。設置から一カ月で三頭を捕らえ、うち二頭は設楽町津具の「ジビエの森」で食肉に加工された。段戸国有林では、戦後植えられたスギやヒノキが伐採期を迎えている。「伐採後、再び苗を植え育林していくのですが、シカの食害は、こうした森林資源の循環利用を阻害する恐れがあります」と、同事務所の酒向邦夫所長は話す。国有林内には豊川の源流があり、三河湾へとつながっている。「水源涵養(かんよう)など森林の機能を維持していくためにも、シカ対策の強化は不可欠」と酒向所長。今後は狩猟免許を持つ職員をさらに増やし、捕獲を進めていくという。

(北陸自動車道にはぐれザル出没:石川)
石川・金沢市内の北陸自動車道で、群れから離れたオスザルの目撃が相次いでいる。人に危害を加えるおそれがあるため、市の職員と住民が29日、70人体制でサルの山への追い払いを実施した。住民は、「これが保育所の玄関に来たサル。注意事項として張ってある」と話した。そんな中、捜索中、FNNの記者がサルを発見、しかしサルはすぐに姿を消した。金沢市環境局の桑原秀忠環境政策課長は、「(追い払いによって)サルが人間を恐れたということは言えたと思うので、その意識をつけられたのは、1つ成功かなと思っています」と話した。市は、サルを見かけても近づかないよう、呼びかけている。

(野鳥、前年度比6%減:島根)
県は、2018年度の県内の野鳥(ガン・カモ・ハクチョウ類)の生息調査の結果を発表した。前年度より3407羽(6%)少ない25種5万3654羽が確認された。調査は1月13日、県職員や日本野鳥の会県支部の会員ら28人が、中海や宍道湖、高津川など県内の主要な渡り鳥の飛来地7か所で実施した。発表では、キンクロハジロなどカモ類が前年度比1987羽(4%)減の4万9981羽、マガンなどガン類が同769羽(25%)減の2361羽、コハクチョウなどハクチョウ類が651羽(33%)減の1312羽だった。カモ類は中海、宍道湖、ガン類は宍道湖、ハクチョウ類は安来市周辺の能義平野と宍道湖が主な生息地となっている。調査に携わったホシザキ野生生物研究所の森茂晃所長は「宍道湖や能義平野は、大型のガンやハクチョウの飛来地では西端にあたる貴重な場所。想定内の減少で安心した」と話している。

(児童生徒、ジビエ味わう:三重)
三重県度会町内の小中学校で30日、みえジビエのシカ肉を使った給食が振る舞われた。県内の学校給食へのみえジビエ加工品提供は初めて。捕獲から解体、販売を含めた各みえジビエ登録制度の登録事業者や行政、関係機関で構成する「みえジビエ推進コンソーシアム」は普及促進を目的に、県と連携して供給体制の整備や新商品開発、PR活動などを実施。今回は取り組みの一環として度会小学校にシカカツ、度会中学校にシカコロッケ計約700食分を提供した。同町棚橋の度会小学校1年の教室には町や県関係者が訪れ、担当者が「三重県で捕れたおいしいシカ肉やイノシシ肉をみえジビエと言います」と説明。児童らは中村順一町長らと一緒に、伊賀市で捕獲されたシカのモモ肉を使ったシカカツカレーを味わった。1年B組の羽根優太君(6つ)は「シカ肉は初めて食べたけどおいしかった」とにっこり。県農林水産部フードイノベーション課の清田卓也課長補佐は「今後は食育や地産地消に絡めて県内の小中学校の給食で提供できれば」と話していた。

(地方発のジビエ、品揃え拡大:京都)
業務用食材卸売サイト「ISPフーズ」では、環境問題の解消につながるジビエ市場の拡大と、地方活性化に貢献すべく2018年12月21日「業務用ジビエ」コーナーを開設し、全国の飲食店が、各地方のジビエを手軽に購入することができるようになりました。ジビエがブームとなった要因として、栄養価が高くヘルシーな点、また肉本来のうまみが味わえる点、更に以前と比べ加工技術が進み、肉自体が格段に美味しく味わえるようになったことが、近年の健康・グルメ志向にマッチしたと考えられます。加工技術に関しては、農林水産省が平成30年5月18日、捕獲した野生のシカ及びイノシシを処理する食肉処理施設の認証を行う「国産ジビエ認証制度」を制定しました。これにより、より安全なジビエの提供と美味しい肉の提供が可能となった背景でもあります。2019年1月時点で、ISPフーズサイト内の国産ジビエ専門販売業者は、北海道1社、兵庫県2社、広島県1社、岡山県1社、愛媛県1社、福岡県2社、長崎県2社、鹿児島県1社、計11社となっています。またISPフーズサイト内のジビエ購入対象の飲食店は、約1,800店舗に上り、ジビエを実際に購入している業種もフレンチ・イタリアン、和食店、ダイニング、ワイン・日本酒バー、介護施設、ペット対応飲食店等と多岐に渡っています。2019年3月末には、ISPフーズサイト内国産ジビエ専門販売業者は、現在の参加意向業者を含めると50社以上にものぼります。参画頂く販売業者は、ジビエを扱う専門業者、環境省の「認定鳥獣捕獲等従事者」認定事業者、猟友会等、地方活性化を担う中小団体・個人事業者が中心となっており、上記以外の10地域以上からも参加予定となります。ジビエについては、農作物を食べたり田畑を荒らしたりするなどの被害が多くなっていることを背景に、駆除するだけではなく食肉として有効活用し、地域の活性化につなげようという取り組みが活発になっています。ただ現状、捕獲・加工されるものの、販売にうまく結びつけられない、という課題を持った地方自治体も多く、ジビエの食肉処理施設が赤字になっているケースも珍しくありません。ISPフーズの「業務用ジビエ」で販売することで、ジビエ加工・販売する地方の業者も直接飲食店と取引の機会が増え、販路拡大に取り組むことが可能となっています。

(今や老舗も扱うジビエ:東京)
ヘルシーな「赤身」として注目が集まる肉がある。それはシカの肉だ。今ではコロッケやハンバーグなど身近な料理にも使われている。東京・銀座のファストフード店にシカ肉を使ったハンバーガーがある。新メニューの開発にしのぎを削るハンバーガー業界。ロッテリア銀座クリスタルビル店で先週からお目見えしたのは、シカの肉を使ったハンバーガーだ。通常のハンバーガーの肉と比較すると、厚みたっぷり。それでいてカロリーは控えめだ。実は、狩猟などでとれた野生動物の食肉「ジビエ」の利用は近年、ジワリと広がっている。2017年度に流通したシカ肉やイノシシ肉は1146トン。前年度と比べると約10%増加した。人形町今半といえば「すき焼き」。だが、人形町今半惣菜本店ではシカ肉を扱っている。あらびきにしたシカ肉を使ったコロッケ。人気のすき焼コロッケと同じ甘みのあるタレが味付けの秘密だ。店は特有の臭みなどから敬遠されるのではと不安に感じながらの販売だったが、最近は鹿肉コロッケ目当てで来店する客も多いという。ジビエ料理の普及に力を入れる外食業界団体は野生動物が食材となるだけに安定的な供給の確保が今後の課題だと語る。

(「日本猪祭り」:東京)
2019年2月16日(土)、東京都江東区・豊洲の「CAFE;HAUS」にて「日本猪祭り」が開催されます!亥年に猪肉を楽しめる本イベントでは、20産地の猪肉を食べて最も美味しいと思うものに投票する「利き猪グランプリ」を開催。さらに、イノシシの骨付きモモ肉と鹿の骨付きモモ肉をドライエイジングした“熟成ジビエ肉”を味わうことができます。利き猪投票券、熟成肉券、飲み食べ放題付きで、参加費は8,640円(税込)。気になる人はチェックしてみては?

(ジビエ、おいしく安全に:石川)
小松市内の飲食店がジビエ料理を提供するイベント「こまつ地美絵(じびえ)食の祭典」を前に、料理人向けの研修会が三十日、同市第一地区コミュニティセンターであった。飲食店から二十五人が参加し、ジビエの活用法や衛生管理について学んだり、メニューを試食して意見を交わしたりした。いしかわジビエ利用促進研究会アドバイザーの點田(てんだ)賢司さんが講義した。フランスでのジビエの考え方などを話し「一つの食材と認識して料理に取り込んでほしい」と呼び掛けた。県南加賀保健福祉センターの担当者も、加熱の仕方など衛生面での注意を促した。続いて実際に提供するメニューを試食した。参加者は和食屋南(白嶺町)の治部煮、こまつ町家文庫(龍助町)のタンドリーイノシシのカレー、ミューレミュー(丸の内町)のスネ肉のグラタンを味わい、「臭みがなくおいしい」「肉が軟らかい」と感想を述べ合った。初めて参加したATAKA CAFE(安宅町)の由岐中亮介さん(42)は「ジビエ料理が普及して肉が安く手に入るようになれば、普段から食べやすくなるのでは」と話していた。「こまつ地美絵食の祭典」(二月一~十七日)は、和食やフランス料理、中華料理、ラーメンなど幅広いジャンルの二十三店が参加する。イノシシ肉を使った炒め物やうどん、ハンバーグなどさまざまな料理を楽しめる。実行委員会が二〇一三年度から毎年企画している。ジビエ料理とともに、地域の産物を発信する機会にしようと、九谷焼の器に盛り付けたり、ジビエ料理に合うオリジナルの地酒を造ったりしている。

(市役所食堂にイノシシメニュー:岡山)
今年の干支にちなんだメニューが岡山市役所の食堂に登場しました。数が増え田畑などに被害をもたらすイノシシを美味しくいただこうという1日30食の期間限定メニューです。岡山市役所の地下食堂に運び込まれたのは東区で捕獲されたイノシシの肉。田畑を荒らす害獣として駆除したイノシシの赤身肉を調理師さんが大鍋で炒めていきます。ピリ辛に味付けしてできあがったのは、イノシシ肉の「坦々うどん」です。「生姜焼き丼」もあわせ2種類のイノシシメニューが用意されました。イノシシ年にちなみ2月1日まで3日間一日30食限定で販売されます。岡山市では捕獲したイノシシのうち食肉として活用されているのはわずか10パーセントほど。市ではイノシシ肉の美味しさを広く知ってもらって市の新たなブランドとして育てていきたいとしています。

(亥年にイノシシ肉入り恵方巻:新潟)
2月3日の節分に食べると縁起が良いとされている「恵方巻」の具材を昨年住民の投票で決定した、上越市柿崎区のご当地恵方巻が今年も販売される。区内で捕獲されたイノシシの肉など地元産の7つの具材が詰まった恵方巻で、今年は亥年にちなみ「柿崎猪セブン恵方巻2019」と名付けた。100本限定で予約を受け付けている。

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(クレー射撃協会、都道府県組織に評価制度)
日本クレー射撃協会は28日、東京都内で理事会を開き、都道府県組織のガバナンス(組織統治)やコンプライアンス(法令順守)の評価制度を導入することを承認した。今後プロジェクトチームを設置して具体的な検討に入り、6月からの運用を目指す。日本スポーツ協会によると、中央競技団体が加盟組織を定期的に審査する取り組みは「聞いたことがない」としており、他競技への波及が注目される。スポーツ庁が策定する競技団体の運営指針「ガバナンスコード」などを基にチェック項目を練る。年に1度の審査を想定し、基準に満たない場合は各種大会の主催や日本協会の理事候補者の推薦を制限する罰則も設ける方向。日本協会では過去に補助金の不正受給などの不祥事が相次いだ。大江直之事務局長は「正常化に向かっていることを示すため、敏感に反応したい」と狙いを示した。

(射撃、狙え競技人口増)
2020年東京五輪・パラリンピックを機に、射撃の競技団体などが競技人口拡大に取り組んでいる。欧米で人気のスポーツだが、日本では銃の所持自体が難しく、選手育成のハードルも高い。競技団体は選手を支える相談体制を整備。五輪会場がある自治体も子供向けの体験会を始めるなど、競技の魅力や安全性のPRに努めている。2018年7月のある日。東京五輪で射撃競技の会場となる陸上自衛隊朝霞駐屯地(埼玉県新座市など)に、100人近い親子連れが集まった。射撃の楽しさを知ってもらおうと新座、朝霞、和光の3市が初めて合同で企画した射撃体験会だ。子供たちは所持許可が要らないビームライフルを使い、10メートル先の標的に光線を命中させる競技を模擬体験。五輪・パラリンピックに出場した選手らから競技の魅力について話を聞いた。新座市によると、来場者からは「射撃は近寄りがたいイメージだったが、楽しく安全なスポーツだと分かった」と好意的な反応が寄せられたという。大会期間中、朝霞駐屯地には海外から多くの選手、愛好家が訪れることが予想される。同市オリンピック・パラリンピック推進室の担当者は「射撃競技と五輪をともに盛り上げるため、19年度は2倍近い回数を開催していきたい」と意気込む。海外では10代から活躍する選手も珍しくない射撃だが、日本の環境は異なる。銃刀法などの規定により、銃を持てるのは原則20歳(空気銃は18歳)以上。日本ライフル射撃協会の田村恒彦・副会長兼専務理事は厳格な規制に理解を示しつつも「世界一厳しい規制のもとで射撃選手を育成するのは容易ではない」と話す。競技の継続にも難しさがある。10年以上クレー射撃を続ける東京都の男性会社員(44)は最近、不動産管理会社から「(自宅への)銃の持ち込みはお断りします」と通告を受けた。警察から管理会社に、男性の銃所持について確認する電話があったという。住宅の契約書には「危険物は持ち込み禁止」と書かれていた。男性は競技用の銃で、許可を得ていることを説明したが認められず、銃は自宅から離れた銃砲店に預けることにした。銃の所持には都道府県公安委員会の許可が必要で、許可を得る過程では職場や家族を含めて警察が調査する。規制の厳しさから「所持を断念する人は少なくない」(競技関係者)のが実態だ。そこで、日本ライフル協会は大学の射撃部などで競技する学生選手の支援に乗り出している。2017年度で7327人の全会員のうち学生は約4千人。その7割超が進学や就職時に住まいなどが変わることで銃を所持できなくなり、競技をやめてしまうという。同協会は選手らの相談にのったり、銃所持の継続に必要な手続きを手助けしたりして競技の継続を促していく考えだ。五輪で行われる射撃競技にはクレー、ライフル、ピストルがあり全15種目。参加国・地域は花形競技の陸上、水泳に次ぐ規模とされ、世界では広く人気だ。精密さ、集中力が要求され「精神のスポーツ」とも呼ばれる。クレー競技は散弾銃を使って秒速22~30メートルほどで飛ぶ素焼きの皿(クレー、直径11センチ)を撃ち落とす。鳥猟の練習から派生した。ライフル競技、ピストル競技は10~50メートル先の標的を狙い、できるだけ中心に弾を撃ち込み点数を競う。選手生命は長く、40代、50代の有力選手も多い。1992年のバルセロナ五輪でクレー・トラップ競技銀メダルを獲得した故渡辺和三選手は当時44歳だった。日本勢はバルセロナ大会以降、射撃競技で表彰台に上っていない。

(県猟友会が女性部会設立:福井)
有害鳥獣の捕獲や狩猟技術の継承につなげようと県猟友会は二十七日、女性部会を設立した。会員の高齢化が進む中、全国的に増えている女性ハンター「狩りガール」の力に期待を寄せている。猟友会によると、二〇一八年度の会員数は八百五十七人で、所属する二十~七十代の女性二十人で部会を設けることにした。設立式は福井市中央三の飲食店で開かれ、斉藤藤伸会長が「女性の観点から狩猟の楽しさやジビエ料理などの意見を出してもらいたい。そして名ハンターになってほしい」とエールを送った。自身の畑が鳥獣被害に遭った経験を持つ高浜町議の児玉千明さん(30)は「横のつながりで情報交換ができる」と期待する。大野市の地域おこし協力隊で、鳥獣害対策支援を担う角千鶴さん(36)は「福井の環境を守ることに、若者も関心を持ってほしい」と話した。県内では、一七年度のシカだけでも捕獲頭数が九千七百四十頭(うち自治体などの駆除依頼は九千頭)に上る。森林は食害によって枝葉や下草、落ち葉がほとんどなくなった場所もあり、雨水が直接当たって土砂が流出する恐れも指摘されている。県猟友会は会員を募集しており、来月二十三、二十四の両日、福井市の県中小企業産業大学校で狩猟免許試験準備講習会を開く。

(山を守る、自然と生きる:福島)
新潟県と接する雪深い福島県金山町の猪俣昭夫さん(68)は「県内唯一のマタギ」と呼ばれる。山の神に感謝し、降り積もった雪を踏み、クマをはじめとする命と向き合う。鉄砲を担いで40年余。「山を守って自然と共に生きる」。「共生の志」を体現し、伝える活動に取り組む。雪の山道を進む足が止まる。手を合わせて頭を下げる。雪の下にほこらがあるという。入山、下山の際の厳粛な儀式だ。「無事を祈って、山の神様にあいさつをするんだ」猪俣さんは定年まで、消防士との二足のわらじを履いてきた。父も猟師。幼い頃から一緒に山を歩いた。地元の高校を卒業後、上京して石油会社で働いた。23歳の時、父が山で行方不明に。数カ月後に遺体で見つかった時、「帰ってこいと言われている気がした」と、帰郷を決断した。年老いたマタギが暮らす集落に通い、狩猟を学んだ。最後の1人が亡くなったが、当時はマタギとしての自覚はなかった。転機は30年ほど前。仕留めたクマのそばに、生後数カ月の子グマがいた。親子グマは殺さない-。山のおきてを破ってしまった。せめて子グマを救いたいと、連れて帰り、動物園に連絡したが、受け入れ先は見つからない。山に帰しても死んでしまう。最終的に自らの手で絞め殺した。「かわいそうで、それから山でクマを撃てなくなった」2、3年後、市街地でのクマ出没が目立ち、有害駆除が必要になった。おりの中で殺処分される姿に心が痛んだ。クマの出没増の背景には、里山の荒廃に加えて猟師の減少がある。金山町にもかつて、100人を超える猟師がいた。「自分がやめたら、クマを守る人がいなくなる」。山の動物の数を把握し、捕りすぎず、繁殖させすぎないようにバランスを保つ。「マタギの教え」を痛感し、再び山に入ってクマ撃ちを始めた。東京電力福島第1原発事故でクマやイノシシの肉は出荷制限が続くが、狩猟はやめない。「人と自然のバランスが崩れている」との危惧が強い。頂いた命は自家消費している。近隣ではシカの食害も増えている。樹木が枯れて影響が山全体に及びかねない。「自然は痛い目に遭っても声を上げられない」猪俣さんは「マタギ」と記した名刺を持ち歩く。春が来れば畑を耕し、日本ミツバチを飼育。町内で養蜂セミナーを開き、都会の人々と一緒に山を歩く機会も設けている。昨年5月、町の地域おこし協力隊の男性(26)が弟子になった。「自然と共生する。山を守るため、マタギの教えを広めていきたい」。山の守り人の神髄が次世代につながる手応えを感じている。

(厄介者イノシシで地域興し:佐賀)
佐賀県嬉野市で、若者たちが農家を困らせるイノシシを使ってまちおこしをしようとしている。地域団体「嬉野狩部」(太田政信代表)が地域に合ったイノシシの活用方法を模索中で、17日には福岡県糸島市で「狩りガール」と呼ばれる畠山千春さん(33)を招き、「勉強会」を開いた。嬉野狩部で活動しているのは20~30代の若者が中心で、現在は箱わなを使ったイノシシの捕獲や、インターネットなどを通じて狩猟の魅力を発信する活動をしている。昨春には、わなに動物が近づくと自動で写真を撮影するカメラの費用を、カメラ画像の閲覧権などを特典にクラウドファンディングで募り、目標の2倍以上の約113万円を集めた。今後、イノシシを地域の特産品や収入源にすることを目指して地域にあった活用方法を探っており、その取り組みを県も支援。イノシシ活用に関する勉強会も開いている。17日、嬉野市嬉野町吉田の「分校カフェha(は)ru(る)hi(ひ)」であった畠山さんの講演は、3回目の勉強会だ。地域住民や県内外の猟師など約30人が参加した。畠山さんは糸島市で米や野菜を作ったり、鳥を解体するワークショップや田舎暮らしのイベントを手がけたりしている。猟師でもあり、講演ではイノシシの通り道にワイヤで脚をくくる型のわなを仕掛け、解体して食べていることなどを話した。イノシシが、張り巡らせた柵をかいくぐって稲を倒し、獣臭をつけてしまうこともあるという。畠山さんは「狩猟は暮らしの延長。肉を捕りながら畑と田んぼを守る」と説明。最後まで活用したいと毛皮を使った製品作りにも取り組んでいるという。後半は、嬉野狩部のメンバーとのトークセッション。地域との関わりかたについて質問された畠山さんは「地主さんにイノシシ被害で困っているところがないか聞くことにしている。わなを仕掛けると喜んでもらえることがある」。また、イノシシ肉を薦めるときには「地域の人が好きな味を生かすことが大事」として「ターゲットに合わせて提供の仕方を変えるといいと思う」と助言した。情報発信についても「SNS、ブログをこまめに更新」「良いカメラで写真にこだわる」といった工夫も語った。嬉野狩部は2月9日午後3時から、嬉野市嬉野町吉田の肥前吉田焼窯元会館で「うれしの猪(いのしし)トークセッション&大試食会」を開く。猟師の太田代表のほか、地元の若手茶農家、陶芸家、旅館経営者が話す。予約不要、無料。その後にある糸島市のフレンチシェフによるイノシシ肉や嬉野茶を使った料理の試食会は、参加者が定員を超えた。

(豚コレラ対策15億円:岐阜)
岐阜県は25日、県内で感染が拡大している家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の対策費として、約15億円を新年度当初予算案に盛り込む方針を明らかにした。古田肇知事は「野生イノシシの拡散防止など対策を強化したい」と話した。国にも支援を要望していくという。予算案では、野生イノシシの拡散防止対策としてワイヤメッシュ柵の設置などに約10億円を見込むほか、獣医師確保のため獣医学生向けの修学資金貸付制度の拡充や狩猟者の確保事業などを盛り込む。一方、昨年12月25日に飼育豚の豚コレラ感染が判明した関市の農場から半径3キロ以内の移動制限は26日午前0時に解除。昨年11月に岐阜市畜産センター公園で2例目の豚の感染が判明してから、2カ月ぶりに県内の制限区域がなくなる。2カ所の消毒ポイントも閉鎖。国と協議し、区域内の2農場はすでに営業を再開している。また、県は25日、美濃加茂市山之上町で捕獲した野生イノシシを遺伝子検査した結果、豚コレラの陽性反応が出たと発表した。県内で感染した野生イノシシは105頭目。

(ツキノワグマを守ろう:高知)
研究者や自然保護関係者らでつくる日本クマネットワーク(JBN)が26日、シンポジウム「四国のツキノワグマが絶滅しそう」を高知市内で開き、絶滅が心配されている四国のツキノワグマの保護策などを考えた。四国のツキノワグマは剣山周辺の徳島と高知両県の限られた地域で確認されている。環境省は1996年時点で多くても数十頭と推定。同省のレッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。シンポはツキノワグマをめぐる現状を地元住民に知ってもらおうと企画した。四国を中心にJBN会員ら約120人が参加した。

(狩猟罠用IoT機器「スマートトラップ」:兵庫)
huntechは、同社が提供する狩猟罠用IoT機器「スマートトラップ」を、兵庫県が県内の鳥獣被害対策として120台導入したことを発表した。「スマートトラップ」は、市販の罠に設置することで野生鳥獣の捕獲をリアルタイムで管理者に通知し捕獲情報を独自のデータベースに記録ができるIoT機器。捕獲時の通知だけでなく、捕獲情報および罠の設置情報をデータベースとして管理することが可能だ。これにより市町村でデータを蓄積し、出没場所・時間の傾向分析、効果的な被害対策の検討に活用していくことが可能となる。兵庫県内のシカ、イノシシ等による農林業被害は、2010年以降、減少傾向に推移しているものの、2016年度はイノシシだけでも1億9500万円もの被害が報告されている。今回の「スマートトラップ」導入により、狩猟者の罠の見回りを効率化することで、罠の設置および管理に割く時間を増やし、捕獲効率の向上を目指す。本体価格は3万3800円、システム利用料月額980円(すべて税抜)。

(イノシシを効率捕獲:熊本)
熊本県の若手農家らのグループが、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用し、農作物を荒らすイノシシを効率よく捕獲しようとしている。箱わなに近づく段階で画像がスマートフォン(スマホ)に送られ、わなの様子も確認できるため、頻繁に現場を見回る必要がない。2018年10月までの1年間で約160頭を捕獲し、食肉販売にも乗り出した。「もうやめようと思う」。獣害に悩むかんきつ農家の言葉に心を動かされた同県宇城市の洋ラン農家宮川将人さん(40)が、20~30代の25人に呼び掛け、16年4月に「くまもと☆農家ハンター」を結成した。IoTを使った方法は北海道や東京のシステム会社が開発し、17年6月に取り入れた。わなの周辺に発信器付きの赤外線カメラを置き、イノシシなど動物が近づくと反応し自動で画像がスマホに送られてくる。メンバーはわなに掛かったのを確認して現場に向かう。勉強会を県内で10回以上開き、メンバーは約100人に増えた。わなも猟師らの指導を受けて設置場所を決め、20カ所から50カ所に広がった。県によると、17年度の野生鳥獣による農作物被害は約5億円で、イノシシが半分ほどを占める。県は「農家離れの要因の一つになっている」とし、取り組みを評価する。グループはイノシシの加工処理もし、18年11月に食肉としてインターネットで販売。ペットフードとしても売り出す予定だ。わななどの費用はネットで資金を集めるクラウドファンディングを利用してきたが、今後は売り上げを充て持続性のある取り組みを目指す。宮川さんは「効率化で農業と両立できるようになる。担い手を育て、消防団のように地域を守る存在になりたい」と語る。

(ジビエの有効活用)
シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉である「ジビエ」の有効活用には、安全で良質な食材として安定供給できる仕組みが重要となる。農林水産省では捕獲から運搬、処理加工、販売までをしっかりと行える全国の17地区を「ジビエ利用モデル地区」に選定し、他地域に広げていく取り組みを展開している。また厚生労働省が定めた衛生管理の基準や食肉としての流通規格を順守している処理加工施設を認定する「国産ジビエ認証制度」も導入した。さらに良質なジビエを供給するために推進しているのが、「移動式解体処理車」(通称・ジビエカー)の普及だ。捕獲現場近くまで出向き車内で解体した上で処理加工施設に搬入することにより肉質の劣化が防げるという。このほか、年間を通じた安定供給に必要な在庫を保存する保冷施設の整備、流通事業者や消費者に安心して利用してもらうためのトレーサビリティー(生産流通履歴)の提供などを後押ししている。日本フードサービス協会が2月10日まで実施している全国1千店超の飲食店などでジビエ料理を提供する「全国ジビエフェア」では、こうした取り組みによって供給された安心・安全で良質なジビエを利用している。同協会では「より多くの人にジビエを食べてもらう機会を設け需要を創出することが供給の拡大につながり、好循環が生まれる。ジビエの有効活用で外食企業が果たすべき役割は大きい」としている。

(ジビエじわり拡大:石川)
地元で捕獲されたイノシシなどを石川県内各地の飲食店やホテルが一斉に提供する「いしかわジビエ料理フェア」(いしかわジビエ利用促進研究会主催)が28日、始まった。4回目となる今回は、過去最多の91店が参加。農作物の被害が拡大する一方、イノシシの駆除数が増え、料理への活用も進んでいる。クミンが香るイノシシ肉とトマトのシューマイ、タンドリーイノシシのカレー、白山イノシシ酒かすしゃぶしゃぶ…。金沢市内のホテルで二十八日に試食イベントが開かれ、会場に多彩な料理が並んだ。薫製を食べた金沢市大野町の無職永井尚彦さん(72)は「軟らかく、思っていたような臭みもなかった」と満足そうに話した。フェアには七尾市から小松市にかけての店、道の駅、旅館などが参加。二〇一六年に開催された第一回の四十二店から毎年増えている。料理関係者、猟友会、加工業者などでつくる研究会メンバーの県農林水産部の担当者は「駆除されたイノシシが燃やされたり、埋められたりせずに食べられることによって、駆除する人たちの励みにもなってほしい」と話す。イノシシによる同県内の農作物被害は年々増え、一七年度は過去最大の一億七百六十一万円に上った。食用に使うなどの利活用も比例して増え、同年度は初めて千頭を超える千百二頭となった。フェアに初回から参加している「ジビエ工房三谷」(金沢市高坂町)の松田和男さん(71)は「今後もいろいろなイベントに参加してイノシシ料理を広めたい」と意気込む。金沢市本町の「タパス・エ・バール」では、ヨーグルトや爽やかさが出るスパイスを使ったキーマカレーを提供。総料理長の米田岳人さん(52)は「硬い、臭いのイメージを払拭(ふっしょく)したい」と言葉に力を込めた。フェアは二月二十八日まで。店内で食べた料理を写真で撮ってインスタグラムなどの会員制交流サイト(SNS)に投稿し、写真を県里山振興室に送れば、景品の抽選に応募できる。

(駆除イノシシをカレーに:鳥取)
地元のジビエ、イノシシ肉の活用を広げようと、鳥取県倉吉市の倉吉農業高の生徒と食品製造販売業「宝福一(たからふくいち)」などが連携し、レトルトカレー「ししくんのイノシシカレー」を商品開発、2月中旬から販売する。同高では、「農作物を荒らすイノシシを何とかして」「駆除したイノシシの肉を製品化できないか」といった地元農業者や猟友会などの声に応え、平成24年から授業の一環で「食品科食品コースジビエプロジェクト研究班」の生徒らが、ジビエ活用をテーマに開発をスタート。これまでに、イノシシ肉のウインナーソーセージやジャーキーなどを商品化してきた。レトルトカレーのプロジェクトは27年から、宝福一や、地元レストラン「白壁倶楽部」のシェフ、昨年12月に県のHACCP認定を受けた食肉解体業者・日本猪牧場(倉吉市)などと連携して進めてきた。試作・試食を繰り返してレシピをつくったり、工場生産の段階では、使用する調理器具に合わせてさらに味を微調整したりと、試行錯誤を繰り返して商品化した。タマネギを大量に使って甘味を出し、イノシシのすね肉は長時間煮込んで軟らかくし、旨味を引き出した。ジビエへの抵抗感をなくし、若い人にも好まれる辛さに仕上げた。研究班のメンバーで3年の久米千晴さん(18)は「HACCP認定を受けた衛生的なイノシシ肉をたくさん使用し、とても美味しいカレーができた。学校の後輩たちも研究を継続し、新商品を開発して、地元のジビエを全国に広げてほしい」と話した。「ししくんのイノシシカレー」は180グラム入りで600円。2月中旬から、県内の道の駅や観光土産品店などで販売を始める予定。同17日には倉吉市のパープルタウンで試食会が行われる。

(国産ジビエ認証:徳島)
地元で捕獲された野生のシカやイノシシの肉(ジビエ)を生産している食肉処理施設「祖谷の地美栄(じびえ)」(徳島県三好市東祖谷)が農林水産省の「国産ジビエ認証」を受けた。認証は京都府京丹波町の「京丹波自然工房」に次いで全国2例目。「祖谷の地美栄」は、三好市やJA、森林組合や猟友会などでつくる市鳥獣被害防止対策協議会が2013年に開設した。東祖谷地区猟友会が対策協から委託を受けて、施設を運用しており、17年度にはシカ161頭、イノシシ6頭を食肉に加工した。今年度は目標の計300頭を達成できる見通しだという。精肉は市内のカフェやレストラン、宿泊施設などに提供しているほか、シカ肉ソーセージなどの加工食品の開発もしている。

(ジビエ(イノシシ肉)流通が拡大:佐賀)
24日、マックスバリュ九州(株)は、佐賀県内で捕獲された天然イノシシを食肉加工したジビエ(イノシシ肉)の販売を開始した。取り扱うジビエは佐賀県産猪肉(冷凍)の「ローススライス150g」と「切り落し150g」の2種類で、売価はロースが798円、切り落しは698円となる。販売されるジビエは、有害鳥獣被害対策として佐賀県吉野ヶ里町に新設された脊振山系鳥獣処理加工センターにもち込まれる状態の良いイノシシを精肉したもの。同センターには開業した昨年4月から12月までの期間に622頭のイノシシがもち込まれ、そのうちの98頭が食肉加工された。イノシシ肉は高タンパク質、低脂肪、低カロリーで、ビタミンやコラーゲンが豊富であることから健康に良いとされ、脂がしつこくなくまろやかな味わいが特徴。ロース肉ならシンプルに塩と胡椒で炒めたり、切り落とし肉であれば生姜焼きなどの調理方法が好まれる。今回ジビエ販売を開始したマックスバリュ九州の担当者は「地域の特産品・観光資源としてジビエの販路を拡大できれば、高齢化する猟友会の意欲を保つことができ、処理加工センターの運営も持続可能になる」と語る。イノシシを食用として活用することで、イノシシなどの捕獲がさらに進み、高齢化が進む中山間部において有害鳥獣による農林業被害の軽減が期待されている。

(捕獲イノシシ、革製品に:愛媛)
愛媛県今治市の大三島、伯方島で捕獲されたイノシシを革素材「島シシレザー」として活用する重信幹広さん(38)、瑠依(るい)さん(32)夫妻が大三島の民家にギャラリー・ショップを開いた。都会から移り住み、イノシシ革という得難い素材に出会った2人。「自分の尺度」を意識したいという思いに「磁石」をかけ、ブランド名は「自尺」(Jishac)に。暮らしに寄り添えるものを作りたいという。幹広さんは東京都町田市、瑠依さんは埼玉県川越市の出身。「地域でものづくりをしたい」と2013年3月に大三島に移住し、その月に結婚した。幹広さんは今治市上浦町の地域おこし協力隊員となり、瑠依さんはデザイナーとして前年から手がけていた革小物の制作活動を続けた。イノシシとの縁はすぐに生まれた。大三島には2003年ごろからイノシシが上陸し、耕作放棄地などで急激に繁殖。大三島・伯方島の農家、猟友会員らは肉を食材として活用し、共存を探ろうと「しまなみイノシシ活用隊」を10年に結成しており、幹広さんは渡辺秀典隊長(42)に「来ますか」と誘われた。捕獲後のイノシシの皮はそれまで捨てられていたが、旧知の東京のなめし加工業者は野生獣の加工に定評がある。「入らせてくれませんか」。皮革担当として入隊し、肉や脂肪を取り除く下処理を独学で身につけた。「牛革ほどの硬さや厚みはなく、同じ厚みなら牛、豚より丈夫なことも分かった」と幹広さん。デザインを担当し、1点1点を手縫いする瑠依さんも「柔らかいのにしっかりした素材。牛革にない風合いがある」とほれ込む。幹広さんが地域おこし協力隊の任期を終えた16年春、「自尺」の活動は本格化した。開発した商品は約220種。しまなみ海道沿いの10店舗でも商品を委託販売してきたが、品ぞろえを見てもらおうと、同市上浦町盛の自宅兼工房向かいの民家を借りてギャラリー・ショップを開いた。キーホルダー700~2000円、長財布2~3万円と手ごろな価格帯を心掛け、かばんなどのオーダーメードも可能。農家の主が日々使う財布は「小銭たっぷり、カード入れ不要、免許証入れは必須」というように、使い勝手優先で相談を受ける。松山市から訪れた一色秀剛(ひでたか)さん(34)、光美(てるみ)さん(33)夫妻は「好みの注文ができ、イノシシを有効利用できることもうれしい」と、「亥(い)年」生まれの父親の還暦祝い品を発注していた。

(厄介イノシシ資源に:佐賀)
今年の干支(えと)はイノシシ。平成最後、新元号最初となる記念すべき年の「主役」だが、近年は農地や農作物を荒らす“厄介者”となっている。そのイノシシをめぐって、食や美容の分野では、資源として有効活用する取り組みが広がっている。佐賀市大和町の西山田観光農園は県内でもいち早く、9年前からイノシシ肉の加工処理施設を整備し、直売所やレストラン向けに販売している。建設会社を経営する代表の池田博司さん(65)が地域の耕作放棄地対策として開園し、地元の猟友会がイノシシの処理に困っている話を聞いたことから加工にも乗り出した。新鮮さが保てるよう、農園から30分圏内の猟師と委託契約を結び、1キロ200円で全量を買い取っている。処理頭数は年間約200頭で、1頭ずつ状態をチェックして履歴も管理している。「イノシシ肉は食わず嫌いの人が多いが、血抜きなど最初の処理をきちんとすれば臭みはない」と強調。ぼたん鍋だけでなく、バーベキューやしゃぶしゃぶ、すき焼きなどにも合うという。ジャーキーや薫製などの加工品も試作し、今後は保管冷凍庫の増設も検討している。若い人を中心に狩猟やジビエに興味を持つ人は増えており、池田さんは「食文化として広がっていけば」と期待する。ジビエブームの後押しは供給側にも及ぶ。大手スーパー・マックスバリュ九州は24日から、佐賀県内の店舗でイノシシ肉の販売を始めた。高タンパクで低カロリー、低脂肪であることを打ち出し、消費拡大につなげるのが狙いだ。取り扱うのは脊振山系で捕獲されたイノシシで、吉野ヶ里町の鳥獣処理加工センターと連携する。マックスバリュ基山、唐津、南佐賀、伊万里駅前と、イオン唐津店の5店舗で、冷凍のローススライス(150グラム、798円)、切り落とし(同、698円)を販売している。同社の中村一博畜産部長は「スーパーや外食産業で扱う所が多くなれば、処理頭数も増える。高齢化が進む猟師のモチベーションが向上し、捕獲頭数の増加につながるような、地域に貢献できるモデルをつくりたい」と話す。「忠兼(ただかね)総本社」(佐賀市高木瀬町)は、イノシシ脂100%を使った保湿クリーム「ぼたん油」を販売している。同社の主力商品は馬油だったが、数年前から原料が高騰したため、イノシシに着目して開発した。保湿能力も高く、昨年1月の販売以来、累計3千個が売れるほど好調といい、イノシシ脂が思うように集まらないのが悩みの種。現在は島根県や石川県などからも買い取っているという。百田忠兼社長(33)は「イノシシ肉の消費が増えれば、脂ももっと買い取れる。厄介者に困っている人たちの助けになりたい」と話す。2016年度の佐賀県内の被害額は約1億6800万円で、イノシシによる被害は1億500万円と全体の6割を超える。ピーク時(02年度)の4分の1まで減少しているものの、依然として農家にとっては死活問題で、侵入防止柵の機能維持や狩猟免許取得者の高齢化も課題になっている。17年度のシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の全国利用量は前年比27%増の1629トン。佐賀は7トンで、食肉処理施設が販売したイノシシが5トン、自家消費向けが2トンとなっている。

(房総ジビエフェア:千葉)
千葉県は26日から、各飲食店が県内産のイノシシやシカを使った料理を提供する「房総ジビエフェア」を開く。県内や東京都、埼玉県の飲食店60店舗が参加し、フレンチやイタリアン、和食、中国料理など各店の特色を生かしたジビエ料理を販売する。開催は2月24日まで。フェアは4回目で、参加店舗数は過去最多。対象店でジビエ料理を食べた来店者には、房総ジビエの加工品や落花生の新品種「Qなっつ」などを抽選で贈る。フェアに先立ち、25日には優れたジビエ料理を選ぶ「房総ジビエコンテスト」を千葉市で初開催。応募した17人の料理人のうち書類審査を通った3人が出場し、滝川伸輔副知事や審査員を務める有名シェフを前に腕を振るった。最優秀賞に選ばれたのはイタリア料理店、ペペロッソ(東京・世田谷)のイノシシ肉のパスタ。野菜や卵、塩など厳選した県産食材を使用し、滝川副知事は「まさにオール千葉の一皿だ。(調理に使った)九十九里の地ビールの味わいも効いている」と講評した。

(のとししカレー:石川)
羽咋市の道の駅のと千里浜は、駅内のレストラン「のとののど」のカレーを家庭でも味わってもらおうと、レトルトを「肉の日」に合わせた29日に発売する。地元で駆除、処理したイノシシ肉「のとしし」を使った人気メニューで、同店の高田順治シェフが監修して再現しており、野間仁駅長は「ご自宅やお土産にどうぞ」と話す。駅内では、のとししを使ったカレーパンも売れ行きが好調で、客からの商品化の要望に応えた。肉は、歯触りは残して小さめに。塩と植物性の材料だけで作っただし「ベジブロス」で味付けしている。辛さを控えることで、具材とだしの味わい深さを生かし、子どもでも食べられるようにしている。愛媛県内の企業が製造した。

(地元産ジビエおいし猪:鳥取)
地元産イノシシをジビエ食材に活用する動きが鳥取県内で活発化している。県中部では、温泉旅館などがフェアでイノシシ料理の提供を計画しており、新メニュー開発も進みつつある。イノシシの食肉処理に定評のある「日本猪(いのしし)牧場」(倉吉市)が、食品の衛生管理の国際的手法「HACCP(ハサップ)」を採り入れた施設として県の認定を受けたことも追い風になりそうだ。

(小中学校でジビエカレー給食:鳥取)
鳥取県北栄町の北条小学校で28日、イノシシ肉を身近に感じてもらおうと「ジビエカレー」の給食が提供された。町内にあるイノシシ肉専門の処理場「日本猪牧場」で処理された肉が使われた。「日本猪牧場」は関東や関西を中心に年間500頭以上を出荷している。この日は町内の4つの小中学校で「ジビエカレー」が提供され、給食の時間には校内放送で、ジビエを広める活動をしている協議会のメンバーが、イノシシによる農作物被害の現状とともに、町の貴重な資源であることを子どもたちに伝えた。協議会では、今後も子どもたちにイノシシ肉を食べる機会を提供し、地元の資源のひとつとして理解を深めてほしいとしている。

(イノシシを食べよう!:大阪)
[ちちんぷいぷい - 毎日放送] 2019年1月18日の放送では、落語のまち池田の冬の風物詩、参加12店の猪肉メニューが食べられる「池田の猪買い」を紹介していました。落語には、冷えに悩む男が猪肉を求め池田の猟師を訪ねる旅噺である「池田の猪買い」という話があり、これにちなんで猪料理の祭典が毎年行われます。どんなお店でどんな猪料理を食べることができるのでしょうか? 番組では、3つのお店の自慢の猪料理を紹介していました。まず1つ目は中国麺飯専家「丸一食堂」の酢豚ならぬ「酢猪(すしし)(972円・税込み)」で、肉を揚げる前に池田の地酒「呉春」で下味をつけるのでクセがなく、また甘酢をからめるのではなくかけているのでカラっとした食感だそうです。2つ目はすし和食のお店「田まい」の「猪煮込み(950円・税込み)」で、猪のすね肉を炭酸水で6時間煮込み、麦味噌やかつお出汁で味付けをしています。また、猪肉のクセをなくすために香りの強いゴボウで出汁をとっているそうです。3つ目は「おやじカレー」の「猪三(ししさん)カレー(1,100円・税込み)」で、猪肉カレーに焼いた猪肉をトッピングしてあります。淡路産のタマネギとともに長時間煮込むので、猪肉がトロトロだそうです。また、隣の兵庫県川西市が産地のイチジクでうま味を引き出していて、さらに別途100円でイチジクのトッピングもできるとのことです。この「池田の猪買い」ではスタンプラリーにより食事券獲得のチャンスがあります。3店分のスタンプでは1,000円、6店分のスタンプでは2,000円の食事券が抽選で当たるとのことです。スタンプラリーは1月31日まで。「池田の猪買い」は池田市内12の飲食店にて2月28日(木)まで開催しています。

(ジビエ販売、里山の宝フル活用:石川)
白山麓で暮らす石川県白山市の有本勲さん(35)は、きのこ栽培やジビエ(野生鳥獣の肉)の加工・販売、野生動物の生態調査など里山の資源をフルに生かし事業を展開する合同会社「山立会(やまだちかい)」の代表。地域では数少ないIターン移住者で「過疎化が進む地域の価値を創出したい」と張り切る。山口県出身。6歳から12年間、関西圏で暮らした。進学した東京農工大学ではツキノワグマの研究に没頭。個体に衛星利用測位システム(GPS)の発信機を付け移動経路を追跡するため、学生時代の大半を東京の奥多摩や富山の北アルプスなどで過ごした。「周りは都会の暮らしを謳歌(おうか)していた頃、無我夢中で山中を駆け巡っていた」と笑顔で振り返る。「学んだことを役立てたい」と博士課程を修了した28歳の時、就職先の石川県白山自然保護センターがある同市へ移住。地元の法人でイノシシなどの食肉処理や猟銃の手ほどきを受けた後、33歳で起業した。独立し、収入が不安定な中、注目したのが廃棄されていたイノシシの腹部の脂だった。化粧品メーカーの協力でハンドクリームを商品化。地元マスコミが注目し、同会の認知度が一気に高まった。高齢化で事業継続を断念した地元のナメコ生産組合から昨年、栽培と販売を承継。年間35トン生産し、今ではこの事業が経営の柱だ。従業員2人を雇用し、今年度の売上高は1600万円を見込む。「3年後には売上高を1億円に乗せ、10人程度雇用したい。いずれは白山麓で培ったノウハウを他地域でも生かし、全国の里山を元気にしたい」と夢が膨らむ。

(神戸牛の革、パリでアピール:兵庫)
神戸市は、神戸牛と市内で捕獲されたイノシシの皮革を使った新たな革製品の発表会を、フランス・パリのギャラリー「アトリエ・ブランマント」で24日(現地時間)に開いた。地元のデザイナーやバイヤー(仕入れ担当者)ら約400名が参加した。靴やかばんのほか、1872(明治5)年に開業した神戸家具の老舗「永田良介商店」のロッキングチェアなど計10点を出品。久元喜造市長がビデオメッセージで「海外から神戸に伝わったものづくりの技術と、日本の文化を融合した新たな神戸ブランドをスタートさせる」とあいさつ。永田良介商店店主の永田耕一さんは「開港以来育んできた神戸のものづくりの歴史を感じほしい」と述べた。

(なぜジビエ振興協会はNEMベースのブロックチェーンmijinで食肉管理するのか)
鹿やイノシシなど、珍しい食材として近年注目を集めているジビエ。日本では江戸時代から牡丹肉や桜肉などと言われ親しまれてきた食材でもあります。人気があるにも関わらず、ジビエ肉はスーパーなどではあまり見かけません。そこには食肉として流通させるための高いハードルがあるからです。その課題にテクノロジーで解決策を見出したのが一般社団法人日本ジビエ振興協会です。日本ジビエ振興協会は食肉管理にテックビューロ社の開発したNEMベースのブロックチェーンである『mijin』を採用しています。ブロックチェーンで食肉管理をすることでいったいどんなメリットがあるのか、今後のジビエ食肉の管理や流通がどうなっていくのか、解説していきます。まず、日本におけるジビエを取り巻く環境について知っておく必要があります。近年、日本では野生の鳥獣による影響が深刻化していて、希少植物の食害、交通事故、農作物への被害などが問題となっています。農林水産省が公開しているデータによると平成29年度の被害額は164億円にものぼっており、営農意欲の減退や離農といった、農業へのダメージが懸念されています。さらに被害を及ぼす鳥獣の内訳を見ると、イノシシとシカだけで62%もあるのが現状です。そこで農林水産省は「有害な鳥獣の駆除」というマイナス面の対策と、「ジビエ振興」というプラス面の対策をセットで推進しています。鳥獣被害も減らしつつ、ジビエでビジネスを盛り上げよう、というまさに一挙両得の施策を走らせています。鳥獣被害防止を目的として、シカやイノシシの捕獲数は年々増加しています。しかし、捕獲数が増えたからといって、市場に流通するジビエ肉が増える訳ではありません。現在、外食産業で流通しているジビエ肉の8割は海外からの輸入品です。日本で捕獲されているシカとイノシシはそれぞれ60万頭ほどですが、このうち市場に流通するのはわずか5%ほど。なぜこのような事態に陥っているかと言うと、流通ルートが整備されておらず「食肉」として認められるジビエが少ないためです。シカやイノシシの捕獲はほとんどが個人によるもので、個人のハンターが捕獲して加工しています。それらの肉は食材の安心・安全を担保するシステムが今まで整備されていませんでした。ですが2014年に厚生労働省の主管で『野生鳥獣肉の衛生に関する指針』が作成され、ジビエ肉のガイドラインが定められたことで、やっと規格の統一を整備するスタートラインに立てたのです。つまり、日本のジビエの食肉管理はまだまだ始まったばかりの段階だと言えます。食肉のトレーサビリティは基本的に台帳ベースで行われます。生産者、加工業者、卸売業者、物流会社、小売店などのデータをガイドラインに準拠した形でデータベース化して管理します。ただし、これをクラウドだけで管理しようとすると大型のサーバーを用意する必要があり、膨大なデータベース管理費用が発生してしまいます。ジビエ振興協会もジビエ食肉管理システムを検討し始めた時にこの問題に直面したそうです。その解決策としてブロックチェーンを採用した背景について、日本ジビエ振興協会事務局の石毛俊治氏は日経BPの取材に対して以下のように語っています。「一般的なデータベース管理も考えましたが、複数の大型サーバーが必要になり、構築や運用のコストがかかります。しかし、ブロックチェーンの技術を使えば、複数のパソコンで『台帳』を共有すればいいので、費用を抑えることができます。また、牛肉や豚肉などとは異なり、ジビエ肉には既存の物流管理システムがなかったため、新しい技術を導入しやすかったことも大きな理由です」ブロックチェーンは「サーバー/クライアント型」のように中央集権的な管理システムとは異なり、「Peer to Peer(ピアトゥーピア)型」なので、複数のノード(パソコン)にデータが分散されており、非中央集権的な管理が可能になります。そのため、ブロックチェーンの導入によってコストカットを実現しました。前述の通り、ジビエの食肉流通のガイドラインは2014年にできたばかりです。さらに、ジビエのハンターは個人が多いため、ガイドラインに準拠した流通ができるかどうかが課題となります。この点でもブロックチェーンの強みが発揮されます。ブロックチェーンはその性質上、記録したデータにデジタル署名がされ真正性が担保され、さらにデータに誤りがないかネットワーク参加者が検証します。つまり、ガイドラインに則していないデータは流通する前に弾かれるのです。そしてブロックチェーンは改ざん不可能であるため、ジビエの捕獲から消費者の口に入るまでの食の安心・安全が担保されるシステムが実現しました。このシステムによって、例えば「シカの個体Aに病原体が見つかった」という事態が発生したとしても、Aという個体だけ回収することが容易になります。mijinとは、テックビューログループが開発するエンタープライズ向けのプライベートブロックチェーン製品です。プライベートブロックチェーンの特徴はネットワークに参加できるのは限られた企業や団体または個人だというところです。対義的なのはパブリックブロックチェーンで、誰でもネットワークに参加することができます。ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨はパブリックブロックチェーンを採用しています。プライベートブロックチェーンのメリットは数多くありますが、食肉管理する上のメリットは前述のようにコストカットや改ざん不可能性にあります。mijinはブロックチェーン製品として2015年から事業を展開していて、これまで300社以上に導入実績があります。しかし、この300件のほとんどは実証実験の段階のものでした。そんな中、日本ジビエ振興協会は実システムとして稼働した初めての事例となったのです。導入実績豊富なmijinの中でも、ジビエが最初に実システムとして稼働したという事実からもわかるように、ブロックチェーンは様々な領域での活用が期待されます。2017年、2018年は「ブロックチェーンといえば仮想通貨」というイメージが先行していましたが、これからはむしろ物流や食品などの管理に導入されていく流れが強まるかもしれません。有効に利用できる事例がどんどん増えてくれば、仮想通貨を含めてブロックチェーンが再び注目を浴びるようになり、新たなブームが巻き起こるのではないでしょうか。

(幻の缶詰工場を追って:北海道)
苫小牧市美術博物館で企画展「美々鹿肉缶詰工場展」が3月3日まで開かれている。明治期、苫小牧地域に開設された官営缶詰工場の史料や人間とエゾシカの関わりを考古学と歴史の両面から紹介している。同館の岩波連学芸員と佐藤麻莉学芸員が全5回にわたって解説する。苫小牧市内では多くの縄文時代の遺跡が確認されており、長さ3メートル以上、幅80センチほど、深さ1・4メートルほどの細長い溝状の穴がしばしば見つかっている。エゾシカ用の落とし穴とみられ、これまで700基以上発見されている。約5500年前の縄文時代前期の遺跡が残されている植苗や静川では、人々が食べた貝殻などを集めた貝塚と呼ばれる遺構から多くのエゾシカの骨や角と、それらを素材とした骨角器が出土している。その骨は硬く、真っすぐな部位が多いため、漁具のもりの先などの素材として重宝されたようだ。角は毎年生え替わり、入手しやすいため、さまざまな道具の素材として利用された。その後、アイヌの人々にとっても鹿はサケと並ぶ大切な資源となり、肉や毛皮はもちろん、骨、角から内臓などに至るまで余さず使い、身の回りの品に利用した。苫小牧周辺にはエゾシカという資源が豊富にあり、人々はそれを長い間、巧みに活用して生活した。こうした歴史を背景に開拓使は今から141年前の1878(明治11)年、美々に鹿肉缶詰工場を開くことになる。明治時代、北海道の行政や開拓を担った開拓使は、地場産業の育成と近代化を推し進めるため、缶詰の製造に着手する。彼らは米国から魚肉缶詰技師U・S・トリートを雇って缶詰作りの技術を学び、現在の石狩市、苫小牧市、釧路管内厚岸町、同別海町、根室管内紗那村(択捉島)の5カ所に缶詰工場を設置。石狩はサケやマス、厚岸はカキといったように、各工場で地域の特徴を生かした缶詰を造った。苫小牧では野生のエゾシカを原料とする缶詰を、その猟期に当たる秋から冬にかけて製造した。工場は1878(明治11)年、植苗村美々に建設され、米国の缶詰工場をまねたコの字型で、敷地内には板蔵(倉庫)、井戸、脂肪室などの施設があった。缶詰造りはブリキの板から缶を製作することから始まり、材料の洗浄、切断、缶のふたの取り付け、煮沸後の空気抜き、仕上げのラベル貼りに至るまでを職人20人が全て手作業で行った。初年度は約4カ月で7万缶以上を生産したという。本展では1974(昭和49)年、工場跡での発掘調査で見つかった缶詰の破片やエゾシカの骨のほか、古文書や写真資料を基に作成した工場の復元模型などを展示している。開拓使は美々など道内各工場で製造した缶詰を海外に輸出することを考えていた。このため、ラベルは海外でも通用するデザインを目指し、鹿肉缶詰の場合は、2頭の鹿と開拓使のトレードマークである五稜星に加え、日本語と英語を併記した。開拓使に画工として雇われた牧野数江がデザインを手掛けたとされており、完成品は大蔵省紙幣局(後の国立印刷局)で印刷された。また、明治政府が欧米の近代技術の習得や貿易の拡大を目的として、海外で開催される万国博覧会(万博)への参加を決めたことを背景に、開拓使は缶詰を外国の博覧会に出品し積極的に商品を宣伝した。1878(明治11)年のパリ万博では、牛、羊、鹿肉、サケ、マスの諸缶詰が「表章」を獲得。さらに翌79(同12)年のシドニー万博では、マス、鹿の缶詰が特賛賞を受賞し、賞状と銅牌(メダル)を受け取った。シドニー万博での実績は、81(同14)年の明治天皇の北海道行幸に随行した川田甕江(おうこう)が84(同17)年に著した「随鑾(ずいらん)紀程」にも記され、外国の博覧会での缶詰の受賞が第三者から見て目を引くものであったことがうかがえる。海外進出に向けて順調なスタートを切ったかに見えた美々鹿肉缶詰工場だが、1880(明治13)年1月に原料のエゾシカ肉の入手量が予定よりも大幅に下回った。エゾシカの不猟が原因で、次の猟期になっても回復の兆しが見えなかったため、開拓使は同年12月に鹿肉缶詰製造の見合わせを決定。再び美々で鹿肉缶詰が作られることはなかった。わずか2年で製造中止となった背景には、79(同12)年の大雪でエゾシカが冬を越せず大量死したこと、狩猟制度の改正に伴う狩猟者の増加でエゾシカが乱獲されて激減したことが影響したと考えられている。東京で開拓使が作った缶詰やビールを販売していた開拓使物産取扱所からの報告によれば、80(同13)年時点で美々からの輸送分4万7656缶のうち、売れたのは(贈答、試験用含む)2万1116缶で、半数が在庫になった。当時の国内で缶詰は高級品であり、庶民の口に入る代物ではなかった。またサケやマスの缶よりも鹿肉缶は値段が高く、売り上げが伸び悩んだようである。もし原料が十分に確保できたとしても事業を継続するのは難しかったかもしれない。1881(明治14)年、開拓使長官の黒田清隆は、資金を投じ北海道を10年かけて開拓する「開拓使十年計画」の終了を前に、明治天皇に北海道への行幸を陳情した。この結果、同年夏に北海道の拓殖の状況を視察する行幸が実現する。小樽上陸後に札幌、千歳、白老を経由し、室蘭から船で森に渡り、函館に至るルートとなった。天皇一行は札幌から室蘭に向かう途中、植苗や苫小牧に立ち寄り、美々鹿肉缶詰工場、ウトナイ湖沿岸、柳町の一本松、矢代町の植田惣吉宅、宮前町の太田又兵衛宅の5カ所で小休止、昼食を取った。当時まだ稼働していた美々の工場では、敷地内の生徒舎(工場で働く人たちのための宿舎)を小休止の場所として改装し、玉座などを整備した。81(同14)年9月3日、工場を訪れた明治天皇が工場近くに湧き出ていた水を飲まれたという逸話が元になり、その地域周辺を「御前水」と呼ぶようになったと言われている。鹿肉缶詰工場は跡形もなく消えてしまったが、工場の歴史を示す痕跡は、遺物や地名として現在も残っている。

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(「イノシシ処理施設」浪江に整備:福島)
東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された地域を中心にイノシシ被害が深刻化する中、環境省は災害がれきを処理するために設置した浪江町の仮設焼却施設に、帰還困難区域で捕獲したイノシシなどの焼却処分前処理施設を整備する。4月に整備を始め、7月の稼働を目指す。受け入れ期間は、仮設焼却施設の設置期限である2022年3月末までの予定。双葉郡の帰還困難区域では年間約700頭のイノシシが捕獲されているが、焼却の前処理が難しく、各自治体で一時埋設している。しかし、捕獲量の増加に伴い、埋設地が不足していることから、復興支援として処理に取り組む。仮設焼却施設の受け入れヤード内に、コンクリート壁で区切った前処理のための軟化処理ヤードを設置、木質チップや米ぬかなどを発酵させた菌床に捕獲したイノシシなどを埋設する。同省が昨年行った実証試験では、2週間後にはイノシシの重量は半分程度になり、簡単に切断できる状態になった。さらに2週間後にふるいにかけて残りかすを取り出し重機で切断、仮設焼却施設で焼却処理を行う。放射性物質濃度が1キロ当たり150~5万ベクレルのイノシシなどを年間約700頭処理する計画で、前処理施設の事業費は約6000万円。焼却灰は同施設に隣接する仮設灰保管施設に保管する。焼却灰の最終処分は今後検討していく方針。

(豚コレラ、104頭目:岐阜)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が広がっている問題で、岐阜県は24日、同県御嵩町古屋敷の山中で捕獲した野生イノシシ1頭の感染を確認した。県内では104頭目。同町内での感染確認は初めて。

(スプレー噴射、風に流され4女性の喉に炎症:京都)
臨済宗南禅寺派の大本山・南禅寺(京都市左京区)で昨年5月、観光客らが喉の痛みなどを訴えた異臭騒ぎで、京都府警が、現場近くでイノシシよけのためにカプサイシン(唐辛子の辛み成分)入りスプレーをまいた20歳代と30歳代の男性作業員2人を業務上過失傷害の疑いで書類送検したことが捜査関係者への取材でわかった。地検は2人を不起訴(起訴猶予)としたという。捜査関係者によると、2人は昨年5月2日、南禅寺近くの山中で、スプレーを地面に吹き付け、風に流された成分で女性4人に喉の炎症などのけがを負わせた疑い。府警は当日の風向きなどからスプレーが原因と判断し、今月9日に2人を書類送検した。2人は京都市から獣よけの防護柵の点検などを委託された業者の作業員だった。

(猛禽類の減少、科学的裏付けある対策を:長野)
科学的な裏付けのある保護対策を早急に始めなくてはならない。ワシやタカ、フクロウの猛禽(もうきん)類だ。世界各地の500種のうち、18%が絶滅の危機にひんしていることが分かった。国際的な鳥類保護団体バードライフ・インターナショナル(本部・英国)などの研究グループの調査である。国内でも調査対象となった34種のうち14種で数が減っている。中には北海道に生息するシマフクロウなど3種の絶滅危惧種も含まれている。猛禽類は生態系でトップに位置することも多い。数が減れば全体に悪影響が出る。減少の原因は生息地の破壊や捕獲など、さまざまとされる。小手先の対策では効果は限定されるだろう。詳細に原因を分析して、思い切った対策をとるべきだ。調査では、数が減る傾向にあるのは全体の52%、292種に上る。絶滅の恐れがある種が18%103種となっている。増加傾向は9%、49種にとどまった。国内ではサシバやチョウゲンボウ、チゴハヤブサなどの減少が確認された。絶滅危惧種はシマフクロウのほか、オオワシとカタシロワシである。チョウゲンボウは、県内では中野市の十三崖が集団営巣地として国天然記念物に指定されている。ここでも草木の繁殖や主食とするハタネズミの減少を主な原因として営巣数の減少が続いている。市教育委員会によると、1950年ごろには20ほどあった営巣数は一昨年、昨年と連続して一つしか確認されなかった。市教委は生息環境を改善するため、崖の整備に取り組んでいる。新たな巣穴を掘るほか、既存の巣穴の周囲の植物を除去する。効果が出るまで数年かかる見込みだ。地道な取り組みが今後も必要になるだろう。オオワシは鉛中毒や風力発電の風車への激突で死ぬケースが増えているという。鉛中毒は、体内に狩猟の鉛弾が残ったシカの死骸を食べて発生する。オオワシだけでなく、絶滅危惧種のイヌワシやクマタカでも同じ被害が起きている。北海道では大型獣の狩猟で鉛弾の使用や所持が禁止されている。それでも被害は減らない。本州のハンターが持ち込んでいるとみられる。代替品の普及も始まっている。鉛弾の使用を全国的に禁止することも検討する必要がある。風力発電も環境影響評価などで、衝突を回避する対策をより強く求めていくべきだ。

(男女4人食った「凶暴グマ」のおぞましい実態:秋田)
今も厳戒態勢の下にある秋田県鹿角(かづの)市・熊取平(くまとりたい)と呼ばれる一帯……3年前の初夏、ここで悲劇は起きた。ツキノワグマが次々と人を襲い、4人もの人が命を落としたのだ。しかし当時、地元の住民たちは耳を疑った。この土地は古くから野生のツキノワグマが生息しているが、彼らは人間の気配に気付くと逃げると信じられてきたからだ。人を襲うはずがないと思われてきたツキノワグマにいったい何が起きたのか?その真相をつかむべく追跡取材した。1人目の犠牲者は79歳男性。毎年、熊取平の笹やぶに入り、タケノコを採るのを楽しみにしていた。この時期採れるのは初夏の味として好まれるネマガリダケだ。たくさん採れればそれなりの収入にもなるとのことで、多くの人がこの時期、熊取平を訪れるほどだった。しかし男性は翌朝、変わり果てた姿で発見されることに……。巨大な爪で傷つけられたとみられる深く大きな傷が身体に残されていた。遺体発見の次の日も1組の夫婦がタケノコ採りで山に入り、用心のためクマよけの笛を吹きながら歩いたという。だが、妻がその場を少し離れた隙に、クマは夫を襲い、攻撃したとみられている。最初に襲った位置から、遺体発見現場まで100メートル以上も離れており、その執拗さは恐ろしいという言葉だけでは表せないものだった。専門家も現地に入った。米田(まいた)一彦さんは、40年余り野生のツキノワグマの生態を追い続けている研究者だ。人間との接触を嫌うツキノワグマがなぜ人を死ぬまで襲ったのか……米田さんは「人肉を食らうためだったに違いない」と考えた。取材班は、2人目の遺体を発見した人物に話を聞くことができた。頭には大きなひっかき傷が、額にはかみ痕、そしてあろうことか、脇腹は、肉がえぐれていたというのだ。1人目はさらに無残で、左半身の肩や太もも、そして内臓まで食い尽くされていたことが後にわかった。巨大な爪、そして鋭い牙でむさぼった無残すぎる遺体……次々と人を襲ったクマは100キロを超えているのではないかと憶測が飛びかった。2人目が殺されてからわずか3日後、今度は65歳の男性が消息不明に。その5日後ようやく発見されたものの、ひどく食い荒らされた状態だった。両手両足はほとんど骨だけとなり、内臓も失われていたという。1人目よりもさらにひどい状態となって見つかってしまった。米田さんは、この人食いツキノワグマを“スーパーK(鹿角のK)”と名付けた。本来、木の実や果実を好み、人間の気配を感じると遠ざかると思われたツキノワグマにどんな異変が起きているのか?取材班は“スーパーK”と思われるクマに襲われたが、奇跡的に逃げ切った生存者の男性の話を聞くことができた。彼もまたタケノコを採りに山に入ったという。やぶから突然現れたクマは、わずか1メートルという至近距離まで近づいてきた。荒い息づかいとともに、鋭い目でにらみ付けてくるクマに、男性は一瞬「ここで自分は死ぬのか……」と思ったというが、そう簡単に諦めるわけにはいかなかった。とっさに取り出したのは、自分のタバコ。獣は火を恐れるのではないかと想像し、無我夢中で火を付けた。タバコをクマのすぐ近くまで投げる……もくもくと煙を出すタバコに、反応するかと思われたが、相手は微動だにしなかった。男性とクマのにらみ合いは、20分ほど続いたという。その後、男性は次の手に出る。目だけを動かし、そばにあった竹を持っていたナイフでそっと斜めに切り、鋭い槍のようなものを作り、相手の目を狙い思い切り投げた。すると……目にこそ当たらなかったが、顔に命中。クマはついに、やぶの奥へと消えていったという。男性は命拾いしたものの、ある恐ろしい光景が今でも忘れられないという。「鼻のここのところに、血のりがべったりとついていたんです」その血こそ、人間を食らったときについたものだったのか……。そして、ついに4人目の犠牲者が……。女性だった。相次いで人を襲った“スーパーK”は、次第に凶暴化しているように思われた。一体、熊取平のどこに息を潜め、新たな人間=餌を狙っているのか――。人々の不安は高まる一方、タケノコを採りに山に入る人たちは後を絶たなかった。フジテレビの取材班も彼らにマイクを向けた。「クマが出るのを知っていますか?」すると答えは「知っていますよ。怖いですけど、実際に見たことがないから」。4人の犠牲者が出てもなお、山に入る理由……それは、あのタケノコ、ネマガリダケだった。旬のネマガリダケは、業者に売れば1キロ350円。1日1万円以上稼ぐ業者もいたという。さらに、この年は不作でさらに高い値がついたと言われている。ツキノワグマを研究して40年の米田さんは、ある答えを導き出した。なぜ穏やかなツキノワグマが人食いグマ“スーパーK”に豹変してしまったのか――。それは、人々が追い求めた、ネマガリダケなのではないか、と。米田さんの調査によると、このタケノコは、クマの大好物でもあったのだ。この年は不作で、ただでさえ山に生えているネマガリダケが少ないのに、さらに人間たちに奪われてしまう……。山に入った犠牲者たちは、自分たちが採ったネマガリダケを身に着けていた袋に入れていたという。次から次へと自分たちの貴重な餌が入っていく袋を、どんな思いでやぶの中からにらみをきかせていたのだろうか。米田さんは、人間の味を知ってしまったツキノワグマは同じ味を求めて、また人を襲うだろうと分析した。「駆除するしかないでしょう」と。猟友会に出動が要請される。熊取り名人らが団結して、“スーパーK”と思われるクマと向き合うことになる。カメラの前で繰り広げられる激しい銃声……。まさに命がけのミッションだった。急所を外してしまうという事態に見舞われるも、最終的に仕留めることができた。体重70キロほどのメスグマだった。しかし、このクマが4人の命を奪った“スーパーK”なのか? それは鑑定をして、胃袋の中を見るまではわからない。3日後、このクマの胃の中から人体の一部が見つかったが、米田さんは、体格から見ても“スーパーK”である可能性は低いのではと推測する。では生存者が見た、巨大な“スーパーK”は、いったいどこに行ってしまったのか?「数頭以上、関わっているのではないでしょうか」米田さんによると、人肉の味を知ってしまったクマは複数いて、まだあのエリアに息を潜めている恐れがあるという。あれから3年、人が命を奪われるような獣害事件は鹿角では起きていない。しかし、米田さんは引き続き現地調査を続けている。

(「三嶺をまもる会」に大賞:高知)
シカの食害が広がる三嶺や物部川などの保護活動を行う「三嶺の森をまもるみんなの会」(依光良三代表)がこのほど、日本自然保護協会(東京都)が毎年選定する「日本自然保護大賞・保護実践部門」に選ばれた。高知県初の快挙に依光代表は「全国から三嶺保護に関心が集まるよう今後もまい進したい」と意気込んでいる。

(獣害対策、ウルフロボがほえる)
イノシシやシカを自動で追い払うロボット、捕獲状況を監視するAI(人工知能)のわな――。地方の獣害対策に最新の技術が活躍している。高齢化が進む狩猟者らの負担を減らし、農作物を守ろうと、自治体や農協などで導入が広がっている。「グァウアー!」人里に続く獣道。真っ赤な目のオオカミが首を振り、雄たけびを上げる。脚の部分は金属パイプがむき出しで、人間ならロボットと一目でわかるが、野生動物は驚きそうだ。猟師をまねた声も出す。「来た、来た、撃て、撃て!」追い払いロボ「スーパーモンスターウルフ」は、北海道奈井江町の機械部品メーカーが開発した。赤外線センサーで動物を察知し、最大90デシベルの大音量で威嚇する。動物が慣れてしまわないよう約60種の鳴き声や不快な電子音をランダムに出す。「お前だけは許さない!」とのせりふもある。2016年に発売し、1台約50万円。香川や兵庫など10道府県で約40台が活躍中だ。太田裕治社長(60)は「ばかばかしく見られるが、獣害対策も楽しくないと続かない。効果はてきめん」。イノシシによる米や落花生の食害に悩むJA木更津市(千葉県)は昨春から、ウルフ10台を有料で農家に貸し出している。担当者は「収穫期だけの利用希望も多く、被害の軽減は実感している」と言う。年間1万頭を超えるイノシシが捕獲される香川県。昨年は高松市内の観光名所・栗林公園にも出没し、園は一部閉鎖された。県は16年度、国の交付金約2300万円で、AIを使った最新のわな12基を導入した。囲いわなに入ってきた動物の頭数から群れの大きさをAIがはじき出し、あらかじめ定めた頭数になるとゲートが閉まる「かぞえもん」。新型は管理者にメールも送る。兵庫県立大などが開発し、同県加古川市のメーカーが販売する。昨秋時点で全国で約220基が稼働。4基を導入した兵庫県洲本市の担当者は「群れごととはいかないが、週2~3頭のペースで順調にシカが捕れた」。だが香川県の17年度の実績は、12基でイノシシ計22頭だった。県西部の三豊市で管理を任された猟師の山地俊則さん(69)は「エサの補充や点検に何人もの手間がかかる。エラー通知も多くて手に負えん」と苦笑い。市の担当者は「高機能のものより、高齢者も使いやすい簡単で安価なものが普及してほしい」と話す。「かぞえもん」の生みの親で、野生鳥獣対策連携センター(兵庫県丹波市)社長の坂田宏志さん(50)は「獣害対策は労力や根気、技術が必要。機械だけで効率が上がるわけでなく、今は各地で使い方や適性を試している段階だろう」。

(イノシシの目撃、年末から相次ぐ:群馬)
前橋市の市街地で年末以降、イノシシの目撃情報が相次いでいる。けが人の情報はないが、市はホームページに「餌となる生ごみなどを放置しない」などのイノシシ対策を掲載。住民らには「見かけたら落ち着いて車や建物の中に避難して」と、注意を呼びかけている。市赤城森林事務所によると、昨年12月20日以降、関根町や紅雲町、元総社町などの道路や近くの畑で、これまでに計12件の目撃情報が寄せられている。出没が多いのは赤城山南麓が中心だったことから、担当者も「ここまで頻繁に市街地に出るのは初めて」と驚く。山中の餌不足や暖冬の影響が考えられるという。今月14日には北代田町の河川敷に現れた。近隣住民の通報で駆け付けた市の職員が体長約1メートルのイノシシを確認したが、すぐに草むらの中に隠れてしまったという。市は、出没しているイノシシは3頭ほどとみている。

(ニホンカモシカ、餌求め人里に?:熊本)
国の特別天然記念物「ニホンカモシカ」が熊本県高森町の山間部、草部地区の民家近くで相次いで目撃されている。専門家は急増するシカに餌場を追われて人里に下りてくるようになったのではないかと指摘する。3日、同町永野原の町道沿いで、近くに住む農業工藤進二さん(70)が1頭を発見し、スマートフォンで撮影した。工藤さんは、その後も付近で数回目撃。高森町教育委員会の田中忠教育指導員は「10年前までは人里で見かけることはなかった」と話す。ニホンカモシカはウシ科の日本固有種。熊本、宮崎、大分の3県の合同調査では、九州での生息数は1994~95年が約2200頭だったのが、2011~12年は約810頭に減った。県内には約50頭が生息すると推定される。森林総合研究所九州支所(熊本市)の安田雅俊森林動物研究グループ長は「シカに餌となる植物を奪われたニホンカモシカは、生息域が標高の低いところに移動した」と指摘。「病気などで弱っている場合は市町村の教育委員会に連絡してほしい」としている。(:)

(イノシシ被害、現状報告:佐賀)
嬉野市の「分校カフェharuhi」で18日、「うれしの猪(いのしし)会議」が開かれた。県内外から集まった約30人が、猟の注意点や捕獲したイノシシの活用方法を議論した。イノシシ被害の現状や狩猟の魅力などを発信する若者グループ「嬉野狩部」が開催。

(四国のクマ、絶滅させるな:高知)
絶滅が心配されている四国のツキノワグマの保全策を考えるシンポジウムが26日、高知市内である。研究者や行政担当者らがそれぞれの取り組みなどを伝え、絶滅回避に向けた地元の関心を高める狙いだ。「四国のツキノワグマが絶滅しそう―私たちにできることって何だろう?―」は研究者らでつくる日本クマネットワーク(JBN)の主催。JBNと日本自然保護協会などは2017年から、生息の実態を明らかにしようと四国で広域調査を実施。自然保護協会によると、これまでのところ、従来確認されていた剣山(徳島)周辺以外への生息域の広がりはみられなかったという。環境省のレッドリストは四国のツキノワグマを「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定している。26日午後1時から高知市知寄町2丁目の「ちよテラホール」であるシンポジウムでは、JBNや環境省、林野庁の各担当者らが保全に向けた取り組みを報告。「林業女子」「クマ女子」のチームに分かれたトークセッションもある。

(ぎふジビエ、逆風負けず:岐阜)
栄養価の高さやヘルシーさが注目され、人気が高まっているジビエ料理。自然豊かな県内で育った野生のイノシシやシカの肉は、「ぎふジビエ」としてブランド化が図られている。家畜伝染病の「豚とんコレラ」の影響で、風評被害や狩猟制限などの逆風が吹き続ける中、岐阜市の日本料理店「桜梅桃李」の店主・玉越勝利さん(51)は「ぎふジビエのおいしさを知ってほしい」と、県産にこだわっている。「岐阜のイノシシは普段からマツタケやクリ、タケノコなんかを食べているからね。他県産や家畜の豚、牛よりも、自然の恵みを受けていて脂にうまみがある」。玉越さんは新鮮なイノシシ肉を鉄板で焼きながら、笑みを浮かべた。解体処理や血抜きを適切に行った肉は臭みが出ないといい、同店では肉本来の味を楽しむために、味付けは塩こしょうだけが基本だ。イノシシ特有のこりこりした脂の食感や濃厚な味わいがくせになる人も多く、玉越さんは「食わず嫌いなだけで、一度食べてみると『こんなおいしかったんだ』と驚く人ばかり」と胸を張る。県は、衛生管理や解体処理の方法などについて独自の指針を作成し、この指針に沿った野生のシカやイノシシの肉を「ぎふジビエ」として認定している。県外の飲食店関係者が買い付けに来ることもあるといい、ブランドイメージは向上中だ。しかし、県内では昨年から豚コレラが猛威を振るい、野生イノシシへの感染が日に日に拡大。26市町で狩猟が禁止される事態となった。桜梅桃李でも仕入れに一部影響があり、取り扱っていた揖斐川町産のイノシシ肉が提供できなくなった。豚コレラは人には感染しないが、安全性についての風評被害も大きくなった。こうしたことから、県産に見切りをつけ、愛媛県や静岡県から仕入れ始めた知り合いの店もあったというが、玉越さんは、狩猟禁止区域外の海津市や郡上市、白川村のイノシシ肉を使い続けている。「岐阜で店を出している以上は、ぎふジビエの魅力を伝えていきたい」と力を込める。県猟友会の大野惠章会長は「関係者は大変な思いをしていると思うが、ブランドを守っていくためにも、何とか県産を使ってほしい。微力だが、豚コレラの実態解明に向け、捕獲調査などでサポートしていきたい」と話した。

(イノシシ、シカ肉の魅力を発信:千葉)
千葉県は、毎年、県内で捕れたイノシシやシカの肉を「房総ジビエ」と名づけ、その魅力を発信するイベントを開催してきたが、今年は過去最多60店舗が参加し、ジビエ料理を提供する。1月25日から2月24日までの期間中、千葉・東京・埼玉の参加店舗でジビエ料理を食べてアンケートに答えると、抽選で「房総ジビエ」加工品セットなど県産品が当たる。また1月25日には、芳野学園千葉調理師専門学校で「房総ジビエコンテスト」が開催される。書類審査を通過した「BOEUF ROUGE」野口利一氏、「ペペロッソ」今井和正氏、「ごくりっ」熊谷祐哉氏が、メニューの調理、提供、プレゼンテーションを行う。有名シェフの室田拓人氏、打矢健氏ら審査員が実食審査で評価し、千葉県知事賞および農林水産部長賞を決定する。

(ジビエ普及へ91店舗とフェア:石川)
石川県は県内で捕獲したイノシシの有効活用を進めるため、ジビエ料理の普及と消費拡大に向けたフェアを28日から1カ月間開く。県内の飲食店や精肉店など91店舗が参加。消費者が注文した料理や商品の写真をSNS(交流サイト)で投稿すると賞品が当たるキャンペーンを実施する。投稿写真の応募期間は28日から2月28日まで。賞品はイノシシ革の財布を1人分、鍋用のイノシシ肉を10人分用意した。1月28日にはオープニングイベントとして、フェア参加店舗によるジビエ料理の試食会を金沢市内のホテルで開く。

(マックスバリュとイオンが県産イノシシ肉を販売:佐賀)
マックスバリュ九州とイオン九州は24日、佐賀県内で捕獲・処理されたイノシシ肉の販売を始めた。県内でもイノシシによる農業被害は多く、関係者は「商品の背景にある問題を知ってもらうきっかけにもなれば」と期待している。販売されるのは神埼市、吉野ケ里町で捕獲されたイノシシを処理し、「脊振ジビエ」というブランド名で売り出している冷凍肉。いずれも150グラムで、ロース(税別798円)、切り落とし(同698円)を県内のマックスバリュ、イオンの5店舗で扱う。

(ジビエ料理を特産ブランドに:兵庫)
野生のイノシシやシカの肉を使った「ジビエ料理」を地域の特産に育てようと、兵庫県洲本市が市内の飲食店と協力し、「AWAJISHIMA shishika(淡路島シシカ)」のブランド名で売り出す。島内では野生動物による農作物被害に悩まされているが、捕獲された後の食肉が十分に活用されていないのが現状。新たにロゴマークも作成し、まずは27日から約1カ月間、各店舗で料理を提供する。同市などでつくる市鳥獣被害防止対策協議会が企画した。市農政課によると、市内の農作物被害額はピークの2013年度で約1900万円に上った。その後は減少傾向だが依然として深刻で、農家の生産意欲減退から耕作放棄地拡大の一因にもなるという。その対策として市内では年間約2千頭のシカやイノシシが捕獲されているが、ほとんどが埋設処分されている。こうした食肉を処理場で適正に加工し、新たなブランド食材の確立を目指す。プロジェクトには市内の和洋食や中華、ホテルなどの料理店9店が参加。27日から2月24日までは「shishikaフェスタ」を開催し、店頭にロゴのステッカーを掲示して、各店が独自に考案したメニューを提供する。参加するイタリア料理店「リゾレッタ」オーナーシェフの井壷幸徳さん(52)は「良いものを提供できる店がそろった。獣害による悪い循環を、良い循環に変えていけたら」と話す。またフェスタの初日と最終日には、洲本市民広場(同市塩屋1)で開かれる青空マーケットにキッチンカーが出店、ジビエ料理を販売する。

(ジビエ料理もお手の物:大分)
日田市の私立昭和学園高調理科で18日、イノシシやシカなど野生鳥獣の肉を食材とするジビエ料理教室があり、調理師の卵の3年生約30人が慣れた手つきで5品を仕上げた。大分西部流域林業活性化センターと県西部振興局の主催。高タンパク・低カロリーで豊富な鉄分など、健康食として注目されるジビエ料理を普及させる目的。

(小学校給食にジビエ料理:大分)
宇佐市の小学校で22日、給食のメニューに地元で獲れたシカ肉を使ったジビエ料理が登場しました。宇佐市は地元食材への関心を高めてもらおうと、市内の小中学校の給食でジビエ料理を初めて提供しました。このうち宇佐市の封戸小学校では、県の職員が農林業を守るため駆除したシカやイノシシの命を無駄にしないよう食材として利用していることを子どもたちに説明しました。給食に登場したのは地元で獲れたシカ肉を使ったジビエカレーです。ほとんどの児童がシカ肉を食べるのが初めてで、料理を味わうとともに命の尊さを学びました。宇佐市では昨年度3,600頭以上のシカやイノシシが有害鳥獣として捕獲されていて、今後も給食のメニューとして取り扱う考えです。

(給食でジビエ「おいしい」:静岡)
浜松市天竜区春野町のジビエ解体加工施設「ジミート」が提供するイノシシ肉入りのカレーが二十二日、春野町内の小中学校と幼稚園五カ所の給食で振る舞われ、子どもたちがひと味違うカレーを味わった。市がジビエの地産地消を目的に初めて企画。今季に捕獲されたイノシシの肉七キロを使い、町内の給食センターが二百五十五食分を作った。学校給食週間にちなみ、この日は昭和の代表的な献立も取り入れ、麦ご飯、煮卵などが付いた。犬居小では複式学級の五、六年生十二人が円になって給食を味わい「言われなければ気付かない」「カレーにすればおいしい」などと感想を言い合った。狩猟が地域に根づき、イノシシやシカの肉を自宅で食べた経験がある児童も。自宅近くの山で狩猟を見たが、食べるのは初めてという六年の松田心美さん(12)は「普段のカレーとちょっと歯応えが違った。楽しみにしていて、おいしかった」と話した。

(ジビエラーメン、野生のうまみ凝縮)
狩猟したイノシシやシカを食肉として提供するジビエ。フランス料理など高級食材としてのイメージが強いが、ここ最近様々な料理で使われるようになりメニューの幅が広がった。そんな中、ジビエの骨や肉でダシを取った「ジビエラーメン」が激戦区のラーメン業界で注目を集めている。あっさりとした後味に加え、多彩なうま味が特徴で人気を集めるラーメン店も増えてきた。東京・八丁堀のラーメン店「麺や七彩」は昨年からジビエを活用したメニューを追加した。2月10日まで期間限定でイノシシの骨や肉を使った「牡丹の江戸甘味噌らーめん」(1500円)を提供する。注文をすると、一杯ずつ麺を手打ちにしてくれる。作っている姿は客席からも見ることができる。それだけでも楽しい気分だ。スープは甘みの強い江戸合わせ味噌をベースにイノシシの脂と煮汁を加える。おいしい香りが店内に漂う。「できましたよ」。10分もしないうちに藤井吉彦代表から手渡されたラーメンの見た目に思わず感激した。平打ち麺の上には骨のついたイノシシ肉がゴロゴロ。その上に粉チーズ、ネギ、豚の背脂、トウガラシにコショウが振りかけられている。1500円という値段もうなずけるボリュームだ。まずはイノシシの肉を一口。見た目のインパクトとは裏腹に味は優しく、口の中でほろほろとほぐれていく。「しょうゆと砂糖などシンプルな味付けで3時間半じっくり煮込んでいます」と藤井代表。記者は肉の脂身特有のブヨブヨした食感が苦手なのだが、イノシシの脂身はプリッとかみ応えがありホルモンのような食感だ。これならいくらでも食べたい。スープをのむと華やかな脂の甘さに思わず驚いた。後味は意外にもあっさり。野生で育ったイノシシは運動量が多いからだろうか。毛むくじゃらの見た目からは想像ができないほど繊細な味だ。「豚や牛など人間につくられた家畜とは違い個体ごとに、育った環境や食べている餌が違う。そのため複雑なうま味がでるんです」(藤井代表)という。イノシシの仕入れが少ないため、1日20食限定で販売しており、いつも完売してしまうほどの人気だ。仕入れの関係から提供できない日もある。同店では、日本フードサービス協会が昨年から実施している全国ジビエフェアに合わせてジビエをつかったラーメンメニューを提供している。昨年の夏は鹿を使用した「もみじの担々麺」を販売した。昨年から通常のレギュラースープにも鹿の骨を使用しダシをとっている。以前は鶏ガラに豚骨などを加えたものだった。東京駅に近く外国人も多い土地柄、宗教上の理由から豚の入ったスープを食べられない客も多かったことから豚骨を鹿骨に切り替えた。イノシシに比べて鹿の方が全国的に利用が少ないため安定的に調達できるという。店舗に行かずに気軽にジビエラーメンを食べられないものか。調べてみると愛媛県今治市にある「猪骨ラーメン」が通信販売していた。猪骨(ししこつ)ラーメンは地元愛媛県でとれたイノシシを使い、骨でダシをとりつくったもの。店舗では塩・しょうゆ・味噌の3種類があるが、通販で頼めるのは塩味だけ。地元特産の伯方の塩を使用したスープは「一番イノシシのうまみを引き出してくれる」(店主の吉井涼さん)。早速注文して自宅で作ってみることにした。価格は2人前で1500円(送料別)。麺とスープが別袋になっており冷凍されて送られてくる。「食べる1日前には冷蔵庫に移してください」(吉井さん)。スープには猪肉で作られたチャーシューとメンマが入っており、具を足さなくても十分だ。せっかくなのでもやしとネギ、半熟卵に吉井さんお薦めのレモンを加えてみた。白濁したスープは豚骨を思わせるが、一口飲むとかなりあっさり。後から上品なうまみが広がる。獣臭さは全く感じられない。イノシシの骨や瀬戸内海の海産物や食材を8時間以上かけてじっくりと煮込んでいるという。レモンをしぼると爽やかさが加わり、あっという間に一杯平らげてしまった。ジビエラーメンが魅力的なのはそのおいしさだけではない。これまで進んでいなかった高級部位以外のジビエ活用拡大につながると業界関係者から熱い視線が注がれている。農作物の鳥獣被害が深刻になり捕獲数が増加しているにもかかわらず食用の利用がなかなか増えないためだ。環境省の調べでは、1978年から2014年の36年間でニホンジカの生息地域は2.5倍、イノシシも1.7倍に広がった。農作物被害は年200億円ほどだ。ある業界関係者は「捕獲鳥獣は高級料理に使用されるヒレやロースなどを除く約9割が捨てられる。特に骨は焼却が難しく、高温での焼却や埋めたてに多額の費用がかかるため猟師にとっても大きな負担だった」と話す。日本フードサービス協会によると2月10日までの冬の全国ジビエフェアに参加するラーメン店は全国10店舗。うち5店舗が新規でジビエラーメンを提供する。豚骨ラーメンや煮干しラーメンのようにあたりまえにジビエラーメンを目にする未来もそう遠くないのかもしれない。

(「ジビエギョーザ」販売へ:東京)
ギョーザ専門店「Mikiya Gyoza Stand(ミキヤ・ギョーザ・スタンド、以下ミキヤ)」が現在、豊前(ぶぜん)ジビエを使った「シカもも肉のラグーギョーザ」を数量限定販売している。「シカもも肉のラグーギョーザ」(3個600円)は、福岡県豊前市産・天然のシカもも肉を3日間煮込んでギョーザにしたもの。ミキヤ店主・三木教一(のりかず)さんによれば、近隣の飲食店経営者と共に「豊前ジビエセンター」などの見学ツアーに昨年参加し、「ジビエメニューの商品化ができたらと、ラグーパスタをイメージしてシカ肉を使ったギョーザ作りに取り組んだ」という。「数量が限られているため、早ければ1月27日で販売終了になるかもしれない」と三木さん。販売期間中、シカ肉に合う赤ワイン(グラス=400円)も提供する。「豊前ジビエセンター」(豊前市大西)は、野生のシカやイノシシなどによる農林業への被害が深刻化していたことから豊前市が開設し、2019年の本格稼働に向けて昨年10月から操業をスタートしたジビエ処理施設。昨年12月4日には、道の駅「豊前おこしかけ」や「うみてらす豊前」といった市内施設でジビエの販売を始めた。豊前市は有害鳥獣被害の軽減だけでなく、同市特産品としてジビエのブランド化を進めている。三木さんは、当時閉店していた中華料理店「三木家」のギョーザの味にほれ込み、味と店名を引き継いで同店を2017年7月にオープンした。それまではニューヨーク在勤で会計関係の仕事に就いていたという異色の経歴で、「板橋で店を成功させて、ゆくゆくはニューヨークとパリに店を開いてミキヤのギョーザを世界に紹介できたら」と話す。スタート当初は作りたての「焼きギョーザ」と調理前の「生ギョーザ」のメニュー2種類・テークアウト販売のみだったが、店内カウンターに4席のイートインを設置。地域のグルメイベントに「カレーギョーザ」や「パクチー水ギョーザ」(後にレギュラーメニュー化)を開発し、板橋区内の農家とコラボレーションした「川口農園のさや隠元とお肉のギョーザ」など、数々の創作ギョーザを数量限定で提供しながらレギュラーメニューを拡充してきた。イートインでは、焼きギョーザ(5個250円)、水ギョーザ(5個250円)、肉ギョーザ(5個400円)、大葉と肉のギョーザ(1個80円)、パクチートッピング(50円)のほか、生ビール(500円)、シャリキリレモン(400円)、ハイボール(300円)、ウーロンハイ(300円)、スパークリングワイン(300円)、ソフトドリンク(150円)のドリンク提供も行う。テークアウト販売ではイートインのギョーザメニューのほか、生ギョーザ・冷凍生ギョーザ20個(以上700円)も用意。昨年末から冷凍ギョーザお徳用パック「野菜ギョーザ30個」(900円)、「肉ギョーザ20個」(1,100円)の販売も始めた。ギョーザはいずれもにんにく不使用。

(ビストロ、地産地消テーマに:山口)
山口市佐山に1月11日、レストラン「やまぐちBISTRO 328(ビストロ ミツワ)」がオープンした。提供するのは、カジュアルフレンチのコース料理。地産地消をテーマに地元で採れる農家直送の野菜や地場の漁港で目利きをして仕入れる魚介類を使うほか、三和さんが狩猟免許を持つことから、イノシシやシカなどのジビエ料理も提供する。

(ジビエ、鹿肉バーガー:東京)
1月24日(木)より、銀座クリスタルビル店と大分県内5店舗で「ジビエ 鹿肉バーガー(BBQ&チーズソース)」先行発売が開始されます。『ジビエ 鹿肉バーガー(BBQ&チーズソース)』のパティは、その名のとおり「鹿肉」。大分県・熊本県さんを中心とした九州産鹿肉を使用し、パン粉やナツメグ等の香辛料を加えてふっくら食感に焼き上げたハンバーグパティとのこと。さっそくかぶりついてみると、鹿肉のパティしっとりとしたやわかさに驚かされます。1月31日の全国発売。

(亥年に食べて多彩なジビエ:滋賀)
イノシシ肉などのジビエ料理を楽しめるイベント「西浅井ジビエ村」が二月十日午前十時から、長浜市の西浅井運動広場体育館で開かれる。主催する地元の若者グループは「亥(い)年にイノシシ肉を味わって、勢いのある一年にして」と来場を呼び掛けている。地元猟師や市内外の飲食店が十のブースを出店し、イノシシ肉のケバブやピザ、シカ肉のそばや焼き肉などを販売。イノシシの丸焼きも用意し、約百食を無料で振る舞う。地元出身の二十、三十代の若者らでつくる地域活性化グループ「ONE SLASH(ワンスラッシュ)」が昨年に続いて企画。前回は予想を上回る八百人が訪れ、京阪神や名古屋市などからの来場者も目立った。ワンスラッシュのメンバーで市地域おこし協力隊員の山瀬鷹衡(たかひで)さん(32)は「イベントを通じ、獣害や耕作放棄地の問題にも理解を深めてもらえれば」と話している。

(ジビエ、地産地消で活気:長崎)
長崎県波佐見町でイノシシ肉の地産地消が始まった。昨年夏、町に食肉処理施設ができたことをきっかけに、これまで有害獣として捕獲後に焼却・埋設していた狩猟肉(ジビエ)の料理を出す飲食店が出てきた。奪った命に、食べることで報いたい猟師たちも喜んでいる。11日、波佐見の中華酒場「くまや」に猟師やジビエに関心がある人たちが集まった。イノシシ料理のお披露目を兼ねた新年会だ。ゆでた肉を薄切りにした前菜の雲白肉(ウンパイロウ)、水餃子(スイギョウザ)、シューマイ、角煮風の東坡肉(トンポーロー)……。東京や福岡でジビエ料理店を経営する「夢屋」の幹部も「うちよりうまい」と賛辞を贈った。

(イタリア料理店で「いしかわジビエ料理フェア」:石川)
イタリア料理店「Ristorante SUGIYAMA」で1月28日、「いしかわジビエ料理フェア」が始まる。石川県が「いしかわジビエ」の利用促進として提唱する「いしかわジビエ料理フェア」の一環として企画。予約時に要望があれば、県内猟師から仕入れた新鮮なイノシシ肉をコース内のパスタやメインディッシュとして提供する。

(スズメバチの羽音とにおいで有害獣撃退:広島)
スズメバチの羽音やにおいを利用して有害獣を撃退するユニークな装置を広島県福山市の養蜂業者が開発し、ベンチャー企業の取り組みを支援するJR東日本グループのプログラムに採択された。現在、岩手県のJR線で、列車と動物の衝突防止に向けた実証実験を行っており、成果が期待される。ハチミツなどを製造・販売する「はなはな」(同市加茂町中野)が開発し「境界守(きょうかいもり)」と名付けた。スピーカーやにおいの発生装置が組み込まれたコントロールボックスと配管で構成。配管を通じて録音したスズメバチの「ブーン」という羽音や化学的に合成したにおいを流すことで、近くにハチがいると動物に錯覚させ、近寄らせないようにする。清水秀幸社長(69)が、田畑を荒らすイノシシやシカがミツバチの巣箱に一定距離以上近づかない習性に気付き、「野生動物もハチに刺される恐ろしさを知っているのでは」と推測。5年ほど前から開発を進めてきた。大手製薬会社などに協力してもらい、ネズミやサルといった動物でも効果を確認しているという。野生動物の衝突事故対策にも応用できると考え、昨年4月、ベンチャー企業と新ビジネス創出を目指すJR東日本グループのプログラムに応募。全国から提案があった182件から他の22件とともに選ばれた。実験は、JR東日本管内でシカの衝突事故が最も多い岩手県のJR山田線で、昨年12月20日から3月まで実施。線路脇約500メートルにわたって配管を敷設し、動物が立ち入らないか検証している。同グループは、1月18日までの約1カ月間に衝突は起きていないとし、「フェンスを設置したり、ライオンの排せつ物をまいたりしたが決定打にはならなかった。全国の鉄道事業者が同じ悩みを抱える中、アイデアを生かせれば」と期待。清水社長は「解決につながればうれしい。研究を進め、より効果が出る方法を探っていきたい」と話している。

(クマと駆け引き、命懸け:秋田)
東北には、今も山と向き合い、共生しながら暮らす伝統的な狩猟者「マタギ」がいる。猟だけで生計を立てるのは難しいにもかかわらず、弟子入りしたいとやってくる若者もいる。なぜ危険を冒して山へ入るのか。昨年11月、半世紀以上もマタギとして活動してきた男性の猟に同行した。午前8時ごろ、北秋田市の鈴木英雄さん(71)と「マタギ神社」を詣でた。「山の神に感謝し、クマを授かるようにお祈りした」という。その後、山の入り口へ。斜面は急で滑落しそう。気温10度を下回ったが額に汗がにじんだ。

(師匠が絶賛!ハンターデビューした東出昌大の腕前)
俳優の東出昌大(30)が昨年12月中旬、山梨県の奥秩父でハンターデビューを果たした。登山家の服部文祥氏は、自身のツイッターで、次のように明かした。〈今シーズンデビューの新人がまた止めました。右の子鹿です(中略)名前を出してもいいというので発表しておくと、東出という若い俳優です〉その腕前については、師匠はこう語る。〈単独猟4日目、出猟5日目にしてすでに2頭。俺は最初の一頭を獲るまで丸2年かかったけど……〉服部氏は、週刊文春の取材に対して、"ハンター東出"の腕前をこう絶賛した。「初日だけ一緒に歩いたあとは別行動でした。その3日間は獲れなかったけど、その後に群馬の知り合いの猟場と、また俺の猟場で獲りました。(5日で2頭は)ちょっとありえない。鉄砲は誰がやっても狙ったところに飛びますが、チャンスが来た時に冷静に全ての行為を行うというのが一番重要で、一番難しい」東出は以前、猪を解体し、その際に「命って何だ?」「普段食べている食べ物って何だ?」と自問したことがきっかけで、狩猟免許を取ろうと思い立ったという。

(政府が野生オオカミ56頭中42頭を射殺へ:ノルウェー)
ノルウェーでは野生オオカミをどれほど射殺するかで世論は二分している。ノルウェー政府はノルウェーで生息するオオカミ56頭中50頭を射殺することを決定していた。狩猟期間は10月1日に始まっており、すでに5頭が射殺されている。世界自然保護基金WWFノルウェーは、オスロ地方裁判所に政府を訴える。11月21日、最終的な判決がでるまで、狩猟を一時中断するように裁判所は言い渡した。オオカミ減少を望む政党、ヒツジ農家などは大きく反発。1日、ヴィーダル・ヘルゲセン気候・環境大臣(保守党)は、裁判所に指摘されていた「狩猟許可が必要だとする理由」の文章を一部変えた。射殺頭数をわずかに減らし、新たな狩猟許可を出したことを発表。ノルウェーでは狩猟対象は「オオカミゾーン」の「内」にいるか、「外」にいるかが重要なポイントとなる。ゾーンの中にいれば、オオカミが優先され、ゾーンの外では、オオカミよりも人間や家畜活動が優先される。環境大臣はオオカミゾーンの外で26頭、ゾーンの内で16頭を射殺する許可を出した。裁判所側がなにかしら反応してくるかもしれないという考慮から、政府は狩猟再開は12月21日からとしている。農家に支持されている野党・中道左派「中央党」は、当初の予定通り政府は「もっと」射殺するべきとする立場。環境大臣の判断は、甘いと批判している。中央党のボルク国会議員は、「オオカミを怖がっている人がいるだけで、射殺の理由としては十分。スウェーデンにもオオカミがいるのだから、ノルウェーのオオカミが減っても問題はない。オオカミは絶滅の危機に瀕してはいない。ノルウェーには多すぎる」と国営放送局NRKの討論番組で話す。WWFノルウェーや環境団体らは、政府の対応に落胆。WWFは弁護士と相談して、今後の対応を決めるとしている。ノルウェー環境管理局によると、野生動物(クマ、クズリ、オオヤマネコ、イヌワシ、オオカミ)に殺されたとみられるヒツジは今年で1546頭。昨年と比較して100頭ほど増加。オオカミによる被害はその三分の一を占める。ノルウェーのヒツジの数は2012年に220万頭だったが、2016年には245万頭に増加。ノルウェー国内で生息している野生オオカミは54~56頭、加えてノルウェーと隣国スウェーデンを行き来しているのは51~56頭とされている。

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(散弾銃の実弾12発、道の駅で車から盗まれる:兵庫)
18日午後6時10分頃、大阪市西区の無職男性(80)から、「猪名川町万善の道の駅いながわで、駐車していた普通乗用車からバッグを盗まれた」と兵庫県警川西署に届け出があった。バッグには狩猟用の散弾銃の実弾約12発が入っていたといい、同署は窃盗事件として捜査している。発表によると、男性は同日午後1時40分頃、兵庫県篠山市へ行く途中で立ち寄り、鍵をかけずに車から離れた約20分間に盗まれたとみられる。バッグは後部座席に置いてあり、散弾銃を入れた別のバッグはなくなっていなかったという。

(狩猟中、イノシシに襲われた男性死亡:山梨)
20日午前9時40分ごろ、山梨県山梨市牧丘町杣口の小楢山の林道で、狩猟中の同町城古寺、会社員、長谷川洋さん(59)がイノシシに襲われた。無線で「やられた」と連絡を受けた仲間が、約10分後に駆けつけたが、長谷川さんは意識不明の状態だった。市内の病院に搬送され、同日午後に死亡が確認された。日下部署によると、長谷川さんは仲間3人と入山し、現場では1人でイノシシを待ち受けていた。左足を負傷しており、背後からイノシシに襲われたとみられる。近くに長谷川さんの銃が落ちていた。イノシシは山中に逃げたとみられる。同署で詳しい状況や死因を調べている。

(感染イノシシ6頭に:愛知)
愛知県は18日までに、同県犬山市善師野で捕獲された野生イノシシ2頭が豚コレラに感染していたと発表した。昨年9月に岐阜県で発生が公表されて以降、愛知県内で感染が確認された野生イノシシは計6頭となった。県によると、2頭は16日、わなにかかっているのを地元の猟友会が発見した。17日に県の検査で陽性と判明した。また岐阜県は17日、岐阜市の山中で捕獲された野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは計94頭となった。

(シカなど224頭捕獲:大分)
県は16日、陸上自衛隊日出生台演習場内で実施した有害鳥獣駆除でシカなど224頭を捕獲、過去最多だった。

(駅付近で出没のイノシシ捕獲:佐賀)
佐賀県警武雄署は16日正午前、武雄市北方町のJR北方駅付近で出没した大型のイノシシ1頭を捕獲した、と発表した。

(小学校まで200mの畑、サル50~60頭出没:石川)
18日午後1時頃、金沢市辰巳町の市立犀川小学校近くの畑で、近くに住む女性が50~60頭のサルの群れを発見し、110番した。女性や児童らにけがはなかった。金沢市の発表によると、サルは、同小から200メートルほど東の畑で、大根などを食べていたという。同日午後2時頃、市職員らが近くの山の斜面でサルの群れを確認し、ロケット花火などで追い払った。同小の児童は一時、下校を見合わせた。

(小学校近くにクマ出没:栃木)
17日午前10時半ごろ、足利市板倉町の同市坂西北小北側の山林にクマ1頭が出没したと、同校教頭が足利署に通報した。休み時間に校庭で遊んでいた児童2人がクマを目撃し、別の教員に知らせた。県によると、県内で今年のクマの目撃情報は今回が初めてという。同署や市によると、クマの体長は約1メートル。現場の山林は校庭と隣接しており、周辺には民家が点在している。

(イノシシ捕獲、最多ペース:石川)
珠洲市内で今年度、イノシシの捕獲数が急増し、4~12月末は前年同期の約4倍の1484頭と過去最多となり、1500頭を超えるペースとなっている。市内では2014年2月に初めてイノシシ1頭が捕獲されて以降、個体数の急増によって農作物被害が拡大しており、捕獲おりや電気柵を設置する動きが進んだことが背景にある。市内のイノシシ捕獲数は13年度が1頭で、14年度が26頭、15年度が118頭、16年度は468頭、昨年度が412頭となっている。今年に入り、新たにおりにかかったイノシシもいるとみられ、市は「今年度は捕獲数の1500頭超えは確実」(産業振興課)とみている。農作物被害も増えており、昨年4~10月末の被害額は863万円と、17年度458万円の倍近くとなった。市は捕獲隊員に貸し出している捕獲おりを82基に増やしたほか、住民が設置する電気柵などの防護柵も今年度は約155キロに拡充し、被害の軽減やおりへの誘導につなげている。

(わな猟に若い世代:群馬)
シカやイノシシ、サルなど野生動物の目撃が近年は群馬県内で相次ぎ、市街地への出没例も増えている。耕作放棄地の増加や里山の手入れが行き届かない中で行動範囲が広がり、捕獲の担い手の高齢化や減少も背景にあるとされる。行政は対策を強化し、農林業被害は全体的に縮小へ向かうが、県民が被害軽減を実感できる態勢づくりが急務だ。2017年度の県内農林業被害額は5年連続減の約5億6500万円となり、過去10年間で最少だった。一方、加害鳥獣種別ではシカが前年度比16.3%増の約1億9千万円、イノシシが3.2%増の約7500万円で、いずれも前年度を上回った。県は昨年、18、19歳のわな猟免許の受験手数料を無料化し、制度を利用した高校生らが新たに免許を取得。警備会社も参入し、さまざまな対策が続く。捕獲鳥獣を地域資源と捉え、食肉や加工品として活用するには課題もある。鳥獣害対策を巡る現状を探った。「イノシシのふんがある」「ここを通ったんじゃないか」。今月16日、藤岡市上日野の山林で、藤岡工業高の生徒3人がイノシシやシカの痕跡を追った。林の中をじっくり観察すると、動物が通りそうな場所を選び、慣れた手つきでわなを仕掛けた。3人はいずれも3年の小暮啓介さんと笹野大樹さん、萩原悠太さん。授業でわな猟を学び、本年度、わな猟免許の試験に合格、狩猟者登録した。この日は小暮さんの祖父、忠助さん(83)の畑に近い山中にわなを設置した。忠助さんは果樹や野菜が動物に食い荒らされる被害に20年以上悩んでおり、「祖父の畑を守りたい」という小暮さんの思いに2人が協力した。地域の高齢化は進み、害獣駆除に出られる人は減る一方だ。忠助さんは「若い人がシカやイノシシを捕獲してくれるのはありがたい」と歓迎する。近くに住む橋本時夫さん(81)も「3人は救世主」と手放しで喜ぶ。狩猟免許の保有者の減少と高齢化を踏まえ、県は昨年、条例を改正して18、19歳のわな猟免許の試験手数料(5200円)を免除した。取得を後押し、若い世代の担い手を増やす狙いだ。ただ、実際に狩猟をするには狩猟者登録が必要で、損害保険への加入や狩猟税などで年間2万円近くかかる。わなは一つ5千円以上するものが多い。同校で鳥獣被害対策を教える富岡賢洋教諭は「高校生にとっては大きな額。行政がわなを貸し出せば、経済的な負担は軽くなる」と指摘する。担い手の減少が懸念される中、警備会社のシムックス(太田市)は2009年、新たなビジネスチャンスと捉えて鳥獣害対策に乗りだした。わなが作動すると自動で設置者に知らせるなどする無線システムを開発。身体的な負担が大きいとされる見回りの労力を軽減させた。同市や下仁田町のほか、県外の猟友会にもシステムが採用された。13年からはニホンジカによる食害が深刻な赤城山で、県の捕獲事業を受託。昨年7月からは同市や警察と連携し、主に夜間に出没した有害鳥獣を警笛や盾を使って追い払う業務も担っている。高橋直人取締役は「警備で培った技術を生かし、新たな対策の形をつくりたい」と先を見据える。田畑を荒らし厄介者とされる鳥獣だが、活用の道もある。皮や角などを工芸品に加工するほか、野生鳥獣肉(ジビエ)としての利用だ。農林水産省は地域振興につながるとして、「国産ジビエ認証制度」をスタートさせるなど捕獲した鳥獣を有効活用する取り組みを推進。全国にはジビエを学校給食に取り入れている地域もあるという。ただし、本県では東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質の影響で、全域で野生獣肉の出荷制限が続く。中之条町のイノシシ肉加工施設「あがしし君工房」は07年のオープン以来、コロッケやレトルトカレーなどに加工して販売していたが、出荷制限を受けて12年に稼働を休止。町によると、地元の猟友会員から再開を望む声は根強いものの、先行きは見通せない。出荷制限が解除になった場合でも、利活用を進めるには課題があるという。工房の運営に携わった町職員は「販路を確保するのに苦労した」と振り返る。ジビエは捕獲時季によって脂の乗りなど品質にばらつきがある上、捕獲数も事前に見通せなかったためだ。消費を拡大させることで、積極的な捕獲につなげたいと考えるのは、インターネットでジビエ料理の飲食店を紹介する「全国ジビエフェア」の主催団体、日本フードサービス協会の担当者。需要が伸びれば買い手も増え、捕獲の意欲が高まる好循環が生まれるとみる。「おいしさを伝えてジビエを普及させることで、鳥獣被害に歯止めをかけられればいい」と話す。県は昨年3月、野生鳥獣の捕獲後の処理や利活用の要点をまとめたハンドブックを作成し、市町村や猟友会などに配布した。現状では出荷できないものの、具体的な利活用構想などを紹介している。担当者は「他県では一部解除となった例もある。ジビエを検討する団体の助けにしてほしい」としている。

(ジビエをおいしく手軽に)
シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉である「ジビエ」の消費拡大を図ろうと、ジビエ料理を全国1千店超の飲食店などで提供する「全国ジビエフェア」が2月10日まで開かれている。フェアを主催する日本フードサービス協会の副会長で、総菜や精肉事業を展開する柿安本店(三重県桑名市)社長の赤塚保正さんに、ジビエの魅力や普及に向けた取り組みについて聞いた。--なぜジビエ普及に取り組むことになったのか「3年前から副会長兼食材調達・開発等委員会の委員長を務め、ジビエの有効活用に取り組んできた。一つには、全国で農作物を食べ荒らす被害が200億円にも上り深刻化していた。さらに野生動物が木の根や樹皮を食べる森林への被害が、土砂崩れなどの自然災害の間接的な原因になっている。鳥獣の駆除の大切さを幅広い消費者に知ってもらう必要があると考えた」--フェア開催の狙いは「日本ではジビエの食文化がまだまだ定着しておらず、食わず嫌いの人が多く、その良さが知られていない。まずは食べてもらうことが大切。食肉処理施設に対する『国産ジビエ認証制度』が農林水産省によって導入され、安心・安全なジビエが供給されるようになったこと、ヘルシーであること、そして何よりも、『ジビエっておいしい』と言ってくれる人を増やしていきたい」--ジビエを食べたことのない人がまだまだ多い「やはり値段が高いことが課題だ。例えば、鹿肉の場合、高級なロースしか使われていない。手軽に気軽においしく食べてもらえる工夫が重要になる。柿安本店では、ロース以外の部位を使い、牛肉のしぐれ煮の技術を活用して『鹿肉そぼろ&牛肉しぐれ煮丼』を考案した。ひき肉の配合を工夫し子供にも食べやすい鹿肉のハンバーグも開発した」--外食企業が果たすべき役割は大きい「おいしく手頃な値段で提供するという点で、まさに外食企業の腕の見せどころだ。普及にはやはり旗振り役が必要。国の取り組みとしてジビエの有効活用の大切さを広く理解してもらうとともに、外食企業がおいしくヘルシーなジビエを手頃な価格で提供する。官民一体で流れを作れば、広がっていく。日本らしいジビエの食文化を定着させたい」--フェアへの参加店舗も1千店を超えた「日本ではまだ家庭料理でジビエを味わうのは難しいので、外食店で楽しめる機会を増やすことが重要になる。安心・安全は当然で、おいしくてヘルシーで、しかもお値打ち価格で提供しているので、この機会にジビエを堪能してほしい」

(ジビエの有効活用、「十分な加熱」で安心・安全)
シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉である「ジビエ」の普及のカギとなるのが、安心・安全の確保だ。山野を駆け巡って育った“天然の恵み”のジビエは、食肉用に育てられた家畜よりも寄生虫や細菌のリスクが高い。ジビエをおいしく安全に食べるには、衛生管理が重要となる。厚生労働省は、「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」をまとめ、(1)狩猟(2)運搬(3)処理(4)加工・調理・販売(5)消費-の各段階における衛生管理のポイントを公表している。なかでも大切なのが調理段階での「十分な加熱」。ジビエに関するすべてのリスクを死滅させる加熱条件として、「中心温度75度1分間以上またはこれと同等以上の加熱」を順守するよう求めている。外食業界団体の日本フードサービス協会では、1千店以上でジビエ料理を提供する「全国ジビエフェア」(2月10日まで)に合わせて、飲食店向けのセミナーを開催し、おいしく安全な調理方法の普及に取り組んでいる。調理のポイントは「75度1分間以上と同等」の条件を満たす加熱温度と加熱時間の関係。講習では「65度15分間」~「70度3分」まで段階的に示し、メニューに適した最適な調理方法を採用するようアドバイスしている。同協会では「各店が安心・安全はもちろん、工夫を凝らしておいしく食べやすいメニューを考案し提供しているので、この機会にジビエを味わってほしい」と話している。

(有害獣類の被害防止対策:愛知)
マスプロ電工は、愛知県日進市、日進市猟友会と共同で、イノシシなどの有害獣が箱罠で捕獲された情報を、LPWA (Low Power Wide Area)を利用して通知するシステムの実証実験を開始した。近年、イノシシなど野生有害獣による被害は、住宅地に出没し人に危害を加えることや農作物被害など一つの社会問題になっている。マスプロのLPWAを利用した通知システムを利用することで、定期的に箱罠を確認するなどの手間が省け、人手不足に苦しむ猟友会の省力化につながると同社は説明する。 このシステムでは、イノシシが箱罠に入り檻が降りると、あらかじめ登録した携帯電話などにメールで通知する。担当者が定期的に箱罠を確認する必要がないため、確認作業を省力ができる。また、LPWA規格の一つである「Sigfox」は一度に送信できるデータ量は小さいが、遠距離通信や乾電池のみで駆動する圧倒的な低消費電力を実現した新たな通信手段として注目されている。このシステムでは、電源工事も不要で移設も容易で、またランニングコストを抑えて運用が可能だという。

(最旬グルメ「ジビエ」の高い栄養価)
狩猟が解禁される冬期は、「ジビエ」のシーズンでもある。ジビエとは、野生の鳥獣の肉を意味するフランス語。日本では主にシカやイノシシの肉を指し、グルメな人以外にも広く注目されつつある。ジビエが注目される一因となっているのが、深刻化している野生鳥獣による被害。農作物の被害総額は毎年約160億円にものぼるだけでなく、耕作放棄・離農という副次的な問題も生んでいる。また、主にシカによる森林の被害面積は、年間約6千ヘクタール。土壌の流出や希少植物の危機的減少も現実化している。車両との衝突事故などもあり、野生鳥獣対策は待ったなしの状況。ハンターが仕留めて埋伏・焼却処分する頭数管理だけでなく、食用としての活用推進が政府によって積極的に進められている。平成28年度の統計では、ジビエの利用量は1629トン。そのうち約75%が食用として供され、残りはペットフードなどに使われている。政府による、ジビエ活用のモデル地区や鳥獣被害防止総合対策交付金の整備と、ジビエ料理の認知拡大によって、今後利用量は増えていくことが予想されている。ジビエが注目されるもう一つの理由は、栄養価の高さ。例えば、エゾシカ。このもも肉には、100gあたりたんぱく質が約22g含まれている。この値は、鶏肉や豚肉とほぼ同じだが、体内の脂肪燃焼を促す機能性アミノ酸のカルニチンの含有量が目立って多いという特徴がある。そして、脂肪は100gあたり約5g含まれている。比較的低脂肪なうえに、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスがよく、家畜肉の脂肪のような生活習慣病のリスクが少ないと考えられている。鉄分については、豚肉・鶏肉の約5倍含まれており、貧血の緩和・予防にもよいとされる。シカ肉と家畜肉の主要栄養価比較(日本ジビエ振興協会ウェブサイトより)イノシシの肉については、分類学的には同じ種である豚の肉と栄養価は似ているが、鉄分とビタミンB2、B6、B12の含有量において勝っている。栄養価が高くヘルシーであっても、もちろんまずければ食べる気にはなれない。かつてジビエには、「硬くてくさみがあってまずい」というイメージがつきまとっていた。しかし、料理人の工夫と努力もあって、現代人の好みにマッチしたレシピ・調味料が多数生まれており、おいしい料理の素材としてもてはやされるまでになった。特にシカ肉なら、自分で買って最小限の味付けをした焼肉でもいけるくらいだが、味には個体差もあるので、初心者のうちはジビエのメニューのあるレストランや居酒屋で食べるのがおすすめ。通年でジビエ料理を出す専門店はまだ少ないが、冬の狩猟シーズンの間は、通常の飲食店でも期間限定メニューとして出すところは、ぐっと増える。ロッテリアの『ジビエ鹿肉バーガー』のように、ファストフード店でも提供されるところがあるくらいなので、グルメ雑誌やネットで検索して、地元の店を探してみるとよいだろう。ちなみに、一般社団法人日本フードサービス協会が、「全国ジビエフェア」をウェブ上で展開している(~2019年2月10日)。参加店舗でジビエ料理を注文し、写真を撮って送ることで、5千円の全国共通お食事券が当たるチャンスがある。行きたい店がなかなか決まらなければ、ここに掲載のお店からチョイスしてはいかがだろうか。また、ジビエは、通販でも入手しやすくなっており、生肉だけでなくハム・ソーセージに加工されたものを取り扱っているところも幾つかある。特に通販に力を入れているのは地方の精肉店で、店のオンラインショップのほか、Amazonや楽天でも購入可能なところもある。言うまでもなく、ジビエは飼料・衛生管理が行われていない「天然物」。寄生虫やE型肝炎ウイルスといった病原体を体内に取り込んでしまう危険性があるので、十分に加熱してから食べるのが必須の要件。それでも毎年何人かの人が、加熱不十分なジビエを食べて被害に遭っている。2016年には、熊肉のローストに残留していた旋毛虫で15人もの人が食中毒にかかった。厚生労働省が衛生管理のガイドラインを整備し、今後こうした事故は根絶されるはずだが、口コミ評判の芳しくないモラルの低いと思われる飲食店は避けるようにしたい。

(白イノシシ3頭「縁起良い」:鹿児島)
鹿児島県薩摩川内市東郷町の藤川天神で、亥(い)年にふさわしく白いイノシシ3頭が公開されている。地元で捕獲されたつがいの子どもで、昨年7月に生まれた。3頭とも雌で、拝殿近くのおりで元気に動き回っている。学問の神様、菅原道真を祭る藤川天神。東郷町は西郷隆盛の愛犬「つん」の生まれ故郷とされ、境内にはつんの銅像がある。昨年の戌(いぬ)年は大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放映もあり、多くの参拝客が訪れた。“主役”の交代にも宮司は「白蛇など白い動物は縁起が良い。白イノシシを見て『亥亥(いい)』年にしてほしい」。公開は1月末までの予定。

(狩猟の今)
10代に日本の今を伝える「読売中高生新聞」。1月18日号のラインアップは……。イノシシやシカなどが農作物を荒らす被害が相次いでいます。その額なんと164億円。少子高齢化や自然環境の変化、里山の荒廃など、さまざまな理由がありますが、野生動物の捕獲の担い手である猟師の数も減少の一途をたどっているという背景もあります。野生動物のいる豊かな森のようにも思えますが、動物の数を適切に管理しなければならないというのが実情です。野生動物と人はどう共生できるのか。狩猟の現状と、野生動物の利活用について考えます。

(平成生まれの新米シカ猟師、師匠は95歳:静岡)
年がおよそ70歳離れたシカ猟師の師弟が静岡県伊豆市持越にいる。高齢者が大多数を占める典型的な過疎集落。昨年移住してきた平成生まれの弟子が、大正生まれの師匠から指導を受けている。伊豆市山間部を流れる持越川沿いで先月、井沢庄作さん(95)が軽トラックを走らせていた。小雨模様の朝。「雨が降る時は、シカがかかりやすいですね」。向かう先は、自宅から数分の山道。弟子の鈴木修平(のぶつね)さん(26)がわなを仕掛けた場所だ。弟子は満面の笑みで待っていた。「かかっていたよ」。道沿いのがけに左後ろ脚がわなにかかった小ぶりのシカがいた。

(学校給食に「シカ肉カレー」が登場:福井)
学校給食を通して地域の魅力や課題を知る取り組みが進む中、小浜市の小学校のジビエ給食に、野生のシカ肉を使ったカレーが登場しました。

(ハンター入門講座:北海道)
昨年12月に開通した後志道の余市インターチェンジから車で5分。赤井川村との境に近いモンガク谷と呼ばれる丘陵地に「余市エコビレッジ」はある。6ヘクタールにおよぶ休耕地に、果樹園や山林がどこまでも広がる。辺り一面が雪に覆われ、白一色になった昨年12月中旬、「ハンター入門講座」が開かれた。道内各地から集まった約10人の参加者は、地元猟師が前日にしとめたエゾシカの肉を使ったジビエ料理を楽しんだ後、猟師からシカの解体方法の手ほどきを受け、実際に肉や皮に分けた。講座を企画したのは、余市エコビレッジを運営するNPO法人「北海道エコビレッジ推進プロジェクト」(HEPP)スタッフ、志村光菜子(みなこ)さん(29)。「動物は保護するだけでなく、命をやりとりする対象でもある。人間と動物がお互い支え合って生きていくというのが本来のあり方だと思う。そのことを知ってもらえてうれしかったです」と話し、締めくくった。

(PAでジビエ料理を提供:兵庫)
NEXCO西日本中国支社と西日本高速道路サービス・ホールディングス中国支社は2019年1月21日(月)、中国道上りの上月PA(兵庫県佐用町)を2月6日(水)朝8時にリニューアルオープンすると発表しました。食事コーナーでは、シカ肉を使用した「鹿カツ定食」(900円)、イノシシ肉を使用した「ししかば重」(880円)といったジビエ料理や、地元名物というホルモン焼きうどんなどを提供。ショッピングコーナーでは、岡山や蒜山、山陰方面の土産品に加え、地元上月特産の「もち大豆」を使用した「上月もち大豆味噌」などを取りそろえます。

(イノシシ肉、パエリアに:石川)
急増するイノシシの肉を使った料理教室が十九日、七尾市崎山地区コミュニティセンターであり、地元の男性ら二十人がパエリア作りに取り組んだ。参加者は、金沢市のフランス料理店の元オーナーシェフ點田(てんだ)賢司さんから、イノシシのモモ、ヒレ、肩肉のほか、加賀れんこんや五郎島金時を使った調理方法を教わった。タマネギの切り方やニンニクの炒め方のこつなど、プロの技も学んだ。参加者の小川理一さん(70)=七尾市鵜浦町=は「普段は料理をしないので、自宅でできるようにしたい」と話した。崎山地域づくり協議会が企画した男性対象の料理教室で、県の事業であるいしかわジビエ料理教室を活用した。同地区ではここ五年くらいでイノシシが急増しており、新たな有効利用を考えようと初めて開いた。

(人気フレンチとイタリアンで三者三様のイノシシ料理を:東京)
今年の干支はイノシシ。それにちなんでイノシシを使った料理を楽しむコラボレーションイベントが開催される。ニホンオオカミの絶滅により、害獣被害は年々深刻化。その被害を主にもたらしているのがイノシシと鹿で、貴重な食材を収穫する畑などが荒らされることが多くなっている。そこで「今年イノシシが干支になったことをきっかけにイノシシを積極的に食べよう」という主旨のもと、人気レストラン3店のシェフがコラボする一夜限りのイベントが実現した。会場となるのはフレンチレストラン「T3」。シェフの山下浩幸氏は「銀座レカン」やマンダリン オリエンタル東京の「シグネチャー」など国内フレンチの名店で修業した後、アメリカのフレンチレストラン界を代表するエリック・ジーボルト氏に5年半師事した経歴の持ち主。モダンアメリカンやフレンチのテクニックをベースに、和牛をメイン食材として、伊勢海老や鴨、新鮮な野菜など旬の食材をふんだんに使用。日本伝統の和食器に盛り付け、少量多皿のコース仕立てで味わえる点にリピーターも多い。さらに腕を振るうのはイタリアンレストランのシェフ2名。まず一人は、西麻布にある「エルバ ダ ナカヒガシ」の中東俊文氏。京料理の名店「草喰なかひがし」の店主を父に持ち、本場イタリアンの名店で修業を積んだ中東氏は2016年に自らの店をオープン。京都でも害獣被害が深刻であることから、同店では京都美山町から届く鹿肉を約2週間ドライエイジングして備長炭で焼き上げた料理など、地元に根ざした料理を提供している。確かな腕で作り上げた創作料理とワインとのマッチングを楽しむコース付きワインイベントや海外シェフを招へいして行うコラボディナーなど、特別イベントなども活発に展開している。加えて“イタリアン懐石料理”と呼べる料理が楽しめる「珀狼」の篠原佑希氏も参加。イタリアの名店で修業した気鋭の若手シェフとして注目を集めている。臨場感のあるライブカウンターが存在感を示している和モダンな店内でいただく、旬の食材を使った月替わりのコースが目玉。有田焼や九谷焼などの小皿に盛られたイタリア料理がこちらも少量多皿で味わえるとして、人気だ。それぞれに個性のある3店舗のシェフが、丹波から届いたイノシシを使ってメニューを考案。猪肉を用いた料理を中心に、各店のシェフによる料理を合わせたスペシャルコースを、各店のソムリエが提案するペアリングドリンクと一緒に味わえるという。一夜限りの贅沢なメニューで特別な時間が過ごせそうだ。

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