<射撃ニュース2月>
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(狩猟中に弾当たり、男性重傷:長野)
10日午前10時10分ごろ、中野市更科の山中で銃弾が猟友会員に当たった―と119番通報があった。中野署によると、弾は市猟友会の会員で市内の自営業男性(53)の胸部を貫通したとみられるが、収容先の病院の診断は重傷で、命に別条はない。弾を撃ったのは一緒に狩猟をしていた市猟友会員の別の男性(68)。同署は誤射や、周囲の木などに当たって弾が跳ね返った可能性を調べている。現場は近くの民家から山中に約300メートル入った場所で、木が多く立ち積雪のある斜面。猟友会事務局がある中野市農政課によると、この日は午前9時ごろから猟友会員12人、市職員3人、県職員2人の計17人がシカやイノシシの駆除のため狩猟をしていた。同署によると、この日の狩猟は、銃を撃つ人と、動物を追い込む人に役割分担する「巻き狩り」の方法で実施。弾が当たった男性と撃った男性はともに銃を撃つ役割で、周囲から目立つようオレンジ色のジャケットを着ていた。猟友会員によると、現場は雪が舞う程度で、視界は悪くなかったという。

(ライフル協会「架空の指導者の領収書」:鹿児島)
鹿児島県ライフル射撃協会(鹿児島市)の助成金不正受給疑惑で、当時会計を担当していた理事が7日、不正を認めた。スポーツ教室の実技指導者とした3人中2人が「架空」で、「実際には来ていない指導者の領収書を書いた」と語った。指導者への謝金なども支払われておらず、計13万円の返還を検討するという。疑惑が浮上していたのは、射撃協会が2017年に8回行ったスポーツ教室事業に対し、県体育協会(会長・三反園訓知事)が交付した助成金。計26万円を受け取った射撃協会が提出した実施報告書では、指導者の3人に謝金と交通費を支払ったとされ、3人の領収印が押された領収書が添付されていた。会計担当だった理事は7日、2人が教室に参加せず、参加した1人にも謝金などを払わなかったことを認めた。指導者に渡らなかったのは計13万円分で、協会の別の会計に入れたと説明。「事前に提出した計画書と(実態を)合わせるためだった」と語った。

(野生イノシシの狩猟を自粛するよう要請:長野)
宮田村の養豚場で家畜伝染病「豚コレラ」の感染が確認された問題で、県は8日、殺処分した2482頭の埋却と施設の消毒作業を終えた。豚コレラの感染源となりうる野生イノシシの銃による狩猟を宮田村と周辺の計5市町村で自粛するよう猟友会に要請した。猟犬に追い回されたイノシシが、広範囲に移動することを防ぐためという。

(防鹿柵撤去試験「失敗」:長野)
高山植物が豊富な南アルプス・仙丈ヶ岳(標高3033メートル)でニホンジカの食害対策に取り組む「南アルプス食害対策協議会」(事務局・伊那市)は、昨年7月から試験的に行った侵入防止ネット(防鹿柵)の一部撤去について、「シカの食害の圧力はまだ高く、試みは失敗した」と結論づけた。今年は再び防鹿柵を設置し、保護に当たる方針という。6日に伊那市で行われた活動報告会で明らかにした。取り組みは、2008年の防鹿柵設置から10年が経過して、植生がある程度回復し、山域でのシカの捕獲が進んだことから実施。仙丈ヶ岳の馬の背ヒュッテ周辺(標高2640メートル)で、昨年7~10月に防鹿柵を張っている12か所(総延長約1090メートル)のうち、希少植物が少ない1か所(延長約75メートル)の設置を見送った。昨年8月に現地を確認したところ、シカが好むセンジョウアザミに大きな食害が確認され、ミヤマシシウドにも食べられた痕跡が見つかった。他の山域ではシカの被害が少ないバイケイソウにも被害がみられ、シカの足跡が多数確認されたという。将来的な完全撤去も見据えた全国の先例的な取り組みだったが、同協議会から調査を委託されている信州大学農学部の渡辺修准教授は「『柵をいつまで張り続けるのか』を考えてきたが、シカ柵は張り続けなければいけないというのが結論」と話した。

(高校生ハンター増やそう:高知)
高校生ハンターを増やそうと、高知県鳥獣対策課と県猟友会が9日、南国市の高知農業高校でわな猟狩猟免許試験の講習会を開いた。受講者の中には16日に受験する高校生も。合格すれば県内では2017年以来の高校生ハンター誕生となる。同課は11年度、吾川郡いの町の県立農業大学校で出前授業を開始。17年度からは高知農高のほか幡多農業高や高知大学農林海洋科学部にも出向き、鳥獣被害や狩猟の現状を伝えている。この日は、ともに3年生で高知農高森林総合科の3人、幡多農高グリーン環境科の2人が受講。野生鳥獣の習性や、わなの扱い方など試験問題の傾向と対策を、同会の宮崎信幸事務局長が指導した。県内で林業に就きたいという高知農高の谷内一成さん(18)は「高知の林業に狩猟の知識は欠かせない。猟師としても活躍したい」と話していた。

(イノシシ被害削減へ、ドローンで生態調査:茨城)
茨城県つくば市は筑波山麓(さんろく)で多発するイノシシによる農作物被害を減らすため、小型無人機「ドローン」を使ったイノシシの生態調査に乗り出した。同市生活環境部の担当者は「調査ですぐにイノシシが減ることはないが、生息数や分布域を把握することで、効率的な捕獲につなげたい」と話す。調査は7~9の3日間実施。ドローンで空撮などを行う水戸市の企業「優和」が無償協力している。赤外線カメラを搭載したドローンを地上150メートルほどに飛ばし、山の中を観察。同市の臼井▽沼田▽国松▽上大島の4地区で、同社の調査員ら6人がイノシシの活動範囲や頭数、ねぐらなどを調べる。7日は午前10時から調査を開始し、午後11時ごろまでに計約20頭を発見した。同社代表の荻津優さん(31)は「とても順調なスタート。継続的な調査でもっと多くのイノシシを見つけたい」と意欲を見せた。市によると、同市のイノシシによる農業被害額は2016年度が約3087万円、17年度は約3868万円と増加。畑の玉ねぎや芋類が掘り返される一方、イノシシが水田で体を洗うことで米が獣臭くなり、出荷できなくなることもある。調査結果は3月にある土浦、かすみがうら、石岡の周辺3市とのイノシシ対策合同会議で発表され、対策を図る。

(シカ捕獲、ドローンで一目:高知)
シカによる山林被害が深刻な県内で、ドローンを飛行させてワナの捕獲状況を受信するなど、情報通信技術(ICT)を活用したシステムの実証実験が行われている。労力が省けるうえ、迅速な加工が必要なジビエ(野生鳥獣)肉にも活用しやすい利点があり、すでに13頭を捕獲。四国森林管理局(高知市)は、「全国一の森林県発の対策として全国へ普及を進めたい」としている。安芸市の山林で、安芸森林管理署安芸・入河内森林事務所の職員が、ドローンを操作して飛ばした。山中の地面には、くくりワナが仕掛けられており、シカなどが、ワナにかかるとロープが引っ張られ、近くに設置された発信機が電波を発信。ドローンに搭載した中継機が電波をキャッチ、経由し、職員の手元にある受信機のタブレット端末の一覧表上に赤く表示される。複数のワナに沿ってドローンを飛行させることで、見回りをしなくても状況が一目で分かる。同事務所の担当者は、「数時間かかった見回りが、10分足らずで確認できる画期的なシステム。正式導入が待ち遠しい」と話す。スギやヒノキの苗木が食い荒らされるなど、全国的にニホンジカによる林業被害は深刻。同管理局によると、四国には約16万頭が生息するが、森林率が84%と全国一の高知県にはうち7万7000頭がおり、国有林の被害額(2012年~16年)は約2500万円と、四国全体の約8割を占める。適正な生息数(9200頭程度)に近づけるため、ワナによる捕獲などが行われているが、見回りには多大な時間と手間が必要。林道の整備が不十分な山も多く、狩猟者の高齢化などもあって思うように進んでいない。また、シカをジビエ肉にするには、捕獲から解体までを数時間で行う必要があるが、時間がたってからワナにかかっていることが分かることも多いという。安芸市の山林で行われていたドローンを利用するシステムは、同管理局が実証実験を行っている「シカわな捕獲通知システム」の一つで、県工業技術センターが開発。費用もドローンを含めて15万円程度と安くすむ。同管理局は、昨年9月から、安芸市の国有林に10基のくくりワナを設置し、シカ9頭の捕獲に成功した。さらに、簡易無線通信機を活用する別のシステムについても実験。東京の無線通信会社が開発したもので、シカがワナにかかると、設置した子機が電波を送信し、森林に張り巡らされた中継機などを経由し、狩猟者の端末に捕獲が通知される。梼原町で、くくりワナ5基、小型の囲いワナ3基で実験を行い、シカ4頭を捕獲。うち2頭でジビエ肉用加工も行った。同管理局は、今後県内の森林組合へドローンの貸し出しや共同利用なども考えており、全国にも広めたいという。野津山喜晴局長は「実証実験で改善を積み重ね、林業を変える高知発の新システムとして全国へ発信していきたい」と話している。

(カラスふん害、条例で歯止め:富山)
富山市は、カラスへの餌やりを禁止し、ふん害など生活環境への被害を防ぐ条例をつくる。数千羽が集まる中心街の被害が深刻で、捕獲中心の対策から踏み込み、罰則規定も設ける。カラス対策の条例は県内で初めて。三月市議会で「(仮称)市カラス被害防止条例」案を提案し、可決すれば、七月からの施行を目指す。市の中心街では、官庁やホテルが周辺にある富山城址(じょうし)公園の樹木などがカラスのねぐら。「餌やりをしている人がいて迷惑している」という苦情も市に寄せられ、鳴き声や臭い、通行人や道路へのふん害、羽毛の飛散、威嚇行為といった被害が深刻となっている。北陸新幹線開業で観光客が増える中、まちのイメージダウンも懸念されている。市は捕獲用おりを設け、猟友会の協力も得て生息数を減らしてきた。餌やおとり用のカラスでおびき寄せておりの中で捕獲し、処分している。環境保全課によると、中心街をねぐらにするカラスの数は捕獲開始以降、二〇〇八年の約一万二千羽をピークに昨年は約三千六百羽まで減り、効果を上げている。担当者は「餌やりはこうした取り組みに支障を来す。それに野生動物に餌を与えないのは基本」と条例の意義を強調する。条例案は、餌やりで生活環境に被害を生じさせてはいけないことを明文化。餌を与えた場合は、市職員が現場を調べたり、関係者に質問したりでき、違反者が是正の命令に従わないと名前を公表する。立ち入り調査の拒否やうその回答などには十万円以下、是正の命令違反には五万円以下の罰金を科す。

(市街地カラス対策、タカが救世主:福井)
福井県坂井市丸岡町地域をねぐらとするカラスが増えていることを受け、市は2月9日、タカによるカラスの追い払い実験を行った。新年度以降、活動を本格化させる。丸岡町地域では連日、同市役所丸岡支所周辺をねぐらとするカラスが数百羽集まっている。一帯は住宅が密集し、猟銃による駆除ができないことから追い払いに乗り出すことにした。市によると、カラスはタカがいる場所を敬遠するほか、タカを威嚇しようと、群れになる習性がある。この日は午前6時から、同市三国町加戸地区の3カ所で実験を行い、福井市でムクドリの追い払いも手掛けた石川県の鷹匠(たかじょう)吉田剛之さん(46)が駆け付けた。吉田さんが南米原産の「ハリスホーク」を放つと、カラスは瞬く間に退散。群れになったカラスを駆除できるかどうか、県猟友会三国支部のメンバーも立ち会った。市産業環境部の庄納俊明次長は「追い払いの効果が確認できた。今後、丸岡町地域でも実験を行いたい」と話していた。

(住民が獣害対策で意見交換:神奈川)
イノシシやシカなどによる農作物の被害をなくそうと、2月3日に大磯町の寺坂老人憩の家で鳥獣害対策講習会が開かれ、今年度の対策重点地区である生沢と寺坂地区の住民が参加して意見交換を行った。田畑を荒らし農作物に被害を与える害獣に対し、大磯町では近畿中国四国農業研究センターの元鳥獣害研究チーム長の井上雅央さんを講師に2015年度から講習会を開いてきた。今年度から生沢・寺坂地区が新たに県の鳥獣被害対策重点取組地区に指定されたため、6月から県と町、住民による全6回の連続講習会を開いて電気柵の正しい設置方法や獣のひそみにくい環境づくりなどを学んできた。最終回の今回はこれまでの講習内容を振り返るとともに、井上さんの講演や参加者による話し合いが行われた。

(わなに出資制度、獣害防ぐ:神奈川)
イノシシなどが畑を荒らす獣害への新たな対策として、捕獲用わなの設置に出資してもらう「わなオーナー制度」の実証実験が、小田原市の石橋地区で始まった。市と地域住民、慶応大が連携して実施し、獣害悪化による農家の減少、耕作放棄地の増加という悪循環を地域ぐるみで解消する狙い。慶大生の1人は神社の社務所に寝泊まりして研究を続ける気合の入りようで、高齢化が進む地域で世代を超えた交流も生まれている。環境省のモデル事業として市は2016年度から「森里川海インキュベーション(起業支援)事業・寄気(よせぎ)」を展開。地域課題の解決を継続的に行う経済的な仕組みづくりを六つの大学と共同研究しており、わなオーナー制度はその一つ。同市の獣害は増加傾向で、市全体の農作物被害額は年間2900万円(14年度)。相模湾に面し、丘陵地にミカン畑が広がる石橋地区(77世帯)は被害が深刻なエリアだ。多くがかんきつ類の農家で、ミカンや湘南ゴールド、ポンカンなどを一年を通じ栽培。近年はサルやタヌキ、イノシシによる食害が相次いで発生し、農家を悩ませている。実証実験は狩猟可能な3カ月(昨年11月15日~今年2月15日)に実施。1カ月4千円の出資で、オーナーはわなの見回りに同行したり、動物が捕獲された場合は解体などに立ち会えたりする仕組みだ。出資金はわなの費用に充てるが、農作物の収穫も体験できる。慶応大は環境情報学部のゼミに所属する学生が参加し、その1人で4年生の菅田(すがた)悠介さん(23)が、わなの狩猟免許を取得した。餌でケージ内におびき寄せる「箱わな」や、踏むとワイヤが脚を捕捉する「くくりわな」を計9カ所に設置。菅田さんは実験のため、昨年10月から同地区にある子之(ねの)神社の社務所に移り住み、農家の人と交流し、猟友会にも弟子入りしながら道具の研究やわなの見回りを毎日続けている。大学は一時休学し、今年3月の卒業予定を半年遅らせてまで取り組む覚悟だ。ミカン園を営む地元自治会長の鈴木裕章さん(70)は「この地区は高齢化率が市内で一番高い。若い人たちとの交流で、いい刺激になっているし、(農作業などを)手伝ってもらって助かっている」と笑みを浮かべる。鈴木さんによると、耕作放棄地の増加に伴い、サルやイノシシが目立つようになったのはこの10年ほど。イノシシは食べる量が多く、サルは簡単に柵を乗り越えるなど、打つ手はなかった。地域住民も諦めていたところに今回のモデル地区の話が舞い込んだ。さらに無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使い、サルなどの出没情報を県や市、他地区の人たちとリアルタイムに共有する仕組みをつくった。

(「山くじら課」新設へ:島根)
山くじら(イノシシ)の特産化に取り組む島根県美郷町は、4月1日付で「山くじらブランド推進課」を新設する。獣害を逆手に取って地域資源として活用してきた取り組みをさらに強化する。7日にあった町議会臨時会に、現在の8課1室を10課にする課設置条例の一部改正案を提出。原案通り可決された。

(渡り鳥の飛来、40年で10分の1に:兵庫)
阪神間で渡り鳥の飛来ポイントとして知られる兵庫県伊丹市の昆陽池公園(昆陽池3)で冬鳥のカモが激減している。市などの調査によると、1982(昭和57)年をピークに増減を繰り返しながら徐々に減少。40年弱で今季は10分の1以下の355羽まで落ち込んだという。原因は不明だが、市は園内の環境や生態系の変化が与えた影響を指摘する。昆陽池公園は1973(同48)年に現在の形で整備され、27・8ヘクタールの広大な土地に池が配される。カモ類の多くは夏の間にシベリアなどで繁殖し、冬になると日本や東南アジアに飛来する。同園にはこの時期、マガモやキンクロハジロ、オナガガモなどさまざまなカモが池に姿を現す。市などの調査によると、ピーク時の82年には計10種類5862羽が渡ってきたとされる。だが、98年から2006年まで池のヘドロ除去や護岸の改修工事を進めている間に、千羽を下回るように。09年からは毎年冬に池の水位を約80センチ下げるなどして生息環境が変化した。また、開園時から飼育するハクチョウへの給餌はカモにとっても餌を得る絶好の機会だったが、ハクチョウも1980年の144羽から減少。2年前には高病原性鳥インフルエンザウイルスも流行し、現在は4羽を残すのみとなった。このほか、数年前からオオタカが繁殖期の夏場以外は園内にすみ着いたため、渡り鳥が避けるようになった可能性があるという。市の担当者は「(給餌など)人為的な介入で増やすのは本意ではない」としつつ、「冬の渡り鳥は夏よりも観察しやすく、見に来る来園者も少なくない。数よりもいろんな種類の鳥がやってくるよう環境を整えたい」と話している。

(除染廃棄物の仮置き場で深刻化するカラス被害:福島)
2011年の福島第一原発事故発生後、「除染」と称して地表から取り除かれた土などの廃棄物はその後どうなったのか。現状を正確に把握している方はそう多くないと思う。端的に言えば、廃棄物は除染の現場や「仮置き場」で一時的に保管されたあと、福島県内に設置が進められている「中間貯蔵施設」に順次移され、30年以内には県外の「最終処分施設」で処理される計画となっている。ところが実際は、中間貯蔵施設の用地確保が難航していることに加え、道路事情や人手・車両不足などのために仮置き場からの運び出しも遅れている。環境省の最新の発表によると、中間貯蔵施設への搬入完了は2021年度までかかるとされている。実は、このような保管期間の長期化のために、仮置き場では数年前から思わぬ問題が持ち上がってきている。それは、保管容器(フレキシブルコンテナなど)から除染廃棄物が飛散したり、雨水が浸入して放射性物質が流出したりするのを防ぐためにかけられた、カバーシートの劣化と損傷だ。当初、仮置き場での一時保管は3年が目安とされていたため、それに応じて紫外線などによる経年劣化はある程度想定されていた。しかし、いまそれ以上に関係者を悩ませているのが、カラスなど鳥獣による被害だ。福島第一原発の北側に位置する南相馬市で、2012年から市の委託を受けて除染事業を行っている竹中工務店・竹中土木らの共同企業体(JV)の副所長、鶴岡孝章さんはこう話す。「シートの損傷箇所を初めて発見したのは本当に偶然でした。仮置き場に限らず、除染にかかわる何もかもが初めての試みなので、カラスが問題を引き起こすなんて想像もしていなかった。だから、南相馬市と対策を話し合った当初は、そもそも鳥獣の接近を防ぐ方策を考えるべきか、損傷した箇所をそのつど補修すべきか、という基本的なところから議論が始まったのです」これはきわめて難しい問題だ。というのも、竹中JVが除染事業を行う南相馬市の北部(南部は国の管轄)だけでも、仮置き場は36カ所、除染廃棄物を保管する区画(セル)の総面積は24万平方メートル(東京ドーム約5個分)。そのすべてに鳥獣を寄せつけない方策を導入するのは、どう考えても容易ではない。一方、それほど広い範囲のカバーシートを人手で確認し、なおかつ損傷箇所を発見するのには、膨大な時間と労力がかかる。しかも、シート上面の高さは3~5メートル。作業員が転落する危険もある。しかし、南相馬市と竹中JVが当初選んだのはこちらの手法で、数カ月に1回、作業員がシートの上に登って目視で数センチ単位の損傷箇所を探すことになった。除染廃棄物の中間貯蔵施設への運び出しが滞り、仮置き場での一時保管が長引くにつれ、人手でカバーシートの確認を続ける作業は、先の見通しがたい負担となっていく。そんな時、外部から画期的なアイデアが投げ込まれた。提案したのは、自律飛行型ドローン「AEROBO(エアロボ)」とクラウド上でのデータ管理・処理サービス「AEROBOクラウド」を展開するエアロセンス。ソニーとロボットベンチャーZMPの合弁会社として知られる。従来、測量などに活用していた技術と知見を用い、除染廃棄物保管区画の高精細な画像をドローンで上空から撮影し、その画像から損傷箇所を発見しようというものだ。竹中JVと南相馬市はこのアイデアを採用。半年ほどのテスト期間を経て、2016年5月から実際の点検に着手した。2月5日に南相馬市内で報道陣向けのデモを披露してくれたエアロセンス技術開発部の額田将範さんは、撮影方法を次のように説明する。「Googleマップの位置情報にもとづいて、ドローンを飛行させるエリアとウェイポイント(経由点)を事前に入力。あらかじめ設定したルートをなぞり、シート全体を網羅する形で、上空約10メートルからの空撮を行います。2000万画素のソニー製カメラでおよそ3秒に1回、自動シャッターを切り、1区画(平均1500平方メートル)あたり5~6分かけて得られる100枚程度の画像を、あとでつなぎ合わせて1枚にします」より高精細な画像を使うほど、損傷箇所を特定する精度が上がりそうだが、「現状でも1区画あたり600MBほどのデータサイズで、クラウドにアップロードしたり、必要な処理計算を行ったりすることを考えると、これ以上画素数(に伴うデータサイズ)を増やすと、機材も労力もコストフルになってしまいます。ギリギリのバランスですね」(額田さん)グーグルの機械学習ライブラリを活用し、損傷箇所を予測ただし、時に硬貨ほどのサイズしかない損傷箇所を、つなぎ合わせた空撮画像から発見するのは、容易ではない。モニター上で2000万画素の画像を100枚、スクロールしながらチェックする作業がいかに大変かは、やらなくても想像がつくし、見落としが増えるのも当然だ。そこで使われたのが、グーグルがオープンソースで公開している機械学習用のライブラリ「TensorFlow(テンソルフロー)」だった。ドローン点検を1年ほど継続したころ、実際の損傷箇所の画像データが1000枚ほど集まった。エアロセンスクラウドサービス部のプロジェクトマネージャーで、一連の点検システムの開発にあたった菱沼倫彦さんは、開発の経緯をこう説明する。「損傷箇所の画像の明るさを変更したり、回転させたりして、機械学習させる際の『正解データ』を増やし、一方で1万枚ほどの『不正解データ』を用意。それらをもとに、TensorFlowを使って予測モデルを構築したことで、損傷箇所の候補を自動で一挙に表示できる検知機能を追加でき、目視で空撮画像をチェックしていた時に比べて作業時間が約60%減りました」放射性物質の流出を防ぐという絶対にミスが許されない目的があるため、「疑わしき(箇所)はすべて拾う」(菱沼さん)を基本スタンスとし、不正解(=実際には損傷していない)の可能性がある箇所も一定の範囲で検知されるよう、精度を緩めに調整しているという。また、損傷箇所として候補にあがったものはすべて、作業員が現地で視認点検を行うそうだ。ドローンによる点検開始から3年が過ぎようとしているが、現在までに発見され、シール補修に至った損傷は2000カ所以上にものぼる。テクノロジーを活用するアイデアを実現に結びつけた関係者の努力に頭が下がると同時に、人手不足が深刻化するなかで、防水シートの保守点検だけでもこれだけの労力と費用、技術を投じねばならない原発事故の被害の甚大さを、あらためて思い知らされる。前出の竹中JV副所長の鶴岡さんはこう語った。「除染事業が始まってから7年間、社内(竹中土木)での異動もなく南相馬市でこの仕事を続けています。3年で完了という目安はあったものの、我が国がかつて経験したことのない事態ですから、予定通り進むことはそんなに多くない。カラスごときに苦しめられている場合か、という本音もありますが、何年かかっても最後までやり遂げるしかないと思っています」近年の建築・土木分野に目を向ければ、東京五輪関連の建設工事に人手や機材が集中し、人件費が高止まりを続けている現実がある。そんな、確実な終わりがあって、成果の見えやすい現場がある一方で、東北の山奥で「おそらく市民にはあまり知られていない」(鶴岡さん)安全を守るための保守業務に最先端のテクノロジーを活かそうと、終わりの見えない努力を続ける現場もある。「必要は発明の母」と言うが、ドローンにせよ機械学習にせよ、近未来を支える真に有効な技術の活用法が、過酷な事故を経験してその後遺症に苦しむ福島から生まれてくるというのは、何とも皮肉な話だ。なお、本取材の情報提供や現地案内はすべてグーグルの協力によるものだ。東日本大震災の発生直後から被災地の取材を続けてきた記者にとって、あれから8年が過ぎ、人びとの記憶が日々薄れていくなかで、誰もが目を背けがちな原発事故の問題にあえてテクノロジーの視点から光を当てようというスタンスに、同社が「Do the Right Thing(正しいことをしよう)」と表現する企業文化を強烈に感じたことを、未来への希望として記しておきたい。

(24歳女子、わな猟修業中:三重)
山にわなを仕掛けてシカやイノシシを捕獲する「わな猟」。津市美杉町のわな専門猟師、古田洋隆さん(63)の次女で会社員の愛さん(24)は、父親の技を受け継ごうと修業をしている。「命をいただく仕事なので簡単なことではない。わなの極意を学んで、いつか父のようになりたい」と語る。昨年十二月二十三日。市内の山中で、わなにかかったシカが逃げようともがいていた。洋隆さんから「ここを刺して」と指示を受け、愛さんがシカの胸元をナイフで刺すと、しばらくしてシカは動かなくなった。愛さんは猟銃で仕留めたことはあったが、わなにかかった獲物にナイフでとどめを刺すのはこの日が初めて。「怖かった。刺さった感じがなくて、合ってるか不安だった」古田家は代々猟師を家業としてきた。洋隆さんは獲物を捕獲する能力が高く、「わな師」と呼ばれる。獲物から素早く血抜きをして良質のジビエを提供するため、全国の料理店から注文が殺到している。愛さんは高校卒業後、理学療法士になろうと専門学校に通っていたが、洋隆さんが山から大変そうに獲物を運ぶ姿を見て手助けしたいと思い、中退して四年前に銃猟免許を取得。猟に同行するうちに、山で獣の足の運びを読み、巧妙にわなを仕掛けるわな猟の奥深さを知った。洋隆さんが作るわなは、地面に置いた木の板を踏むと、ワイヤが獲物の足を締めて捕らえる。市販のわなはウサギなどでも誤作動することがあるが、洋隆さんのわなは狙った重量の獲物だけ捕らえる。「直接、技術を受け継げるのは自分しかいない」。昨年八月にわな猟免許を取り、本格的な修業を始めた。洋隆さんは「これからが長い道のりだが、これで安心してバトンタッチできる」と喜ぶ。愛さんが猟をする理由の一つに、シカなどによる農作物の被害の広がりがある。農林水産省によると、二〇一七年度の農作物への獣害は全国で百三十二億円。一五年度時点で狩猟免許所持者の六割以上が六十歳以上で、猟師の高齢化が問題となっている。愛さんはピンクの狩猟着を身に着け、おしゃれにも気を配る。「同世代で本格的に猟をする人はいない。猟のイメージを変えることで、自分に続く若い猟師が出てきてほしい」今は同じ時期にわな猟免許を取った会社員の夫建輝(たつき)さん(24)と共に、仕事が休みの日に洋隆さんから教えを受けている。「父の助けを借りずにわなを仕掛けられるようになるのが次の目標。早く一人前になりたい」と話す。

(有害鳥獣の生態学ぶ企画展:広島)
イノシシやシカなど有害鳥獣の生態や対策について学ぶ企画展が、庄原市東城町の市博物展示施設「時悠館」で開かれている。24日まで。

(志賀高原スキー場”サル害”はインバウンドが原因:長野)
「駐車場に車を停めると、すぐにニホンザルが集まってきます。ドアやトランクなど2ヵ所以上開いていると、勝手に乗り込んで食べ物を奪おうとする。サルは出口が2つ以上あることを確認し、逃げ道を確保してから襲ってくるんです。50匹以上いることもあります。女性や子どもが近づいても、逃げるどころか怖がりもしません。中には、ツメで顔をひっかかれた人もいます」志賀高原スキー場(長野県北部の下高井郡)にある、ホテル従業員が話す。100年近い歴史があり長野五輪(’98年)も行われた名門スキー場が、“サル害“に悩まされている。普段は山の中に住むサルたちが、今冬は我が物顔でゲレンデを闊歩し食料を奪っているのだ。原因は、インバウンドにあると考えられている。「最近急激に増えた外国人スキー客にとって、野生のサルは珍しい存在。『かわいい』と、気軽にエサを与えてしまうことも多いようです。サルもだんだん調子にのり、人を恐れないようになり、平気で駐車場やゲレンデに現れるようになったのでしょう」(スキー場関係者)地元の宿泊施設も、対応に追われている。前出の従業員が話す。「サルは、カギのかかっていない部屋には引き窓を開けて入ってきます。ドアノブのある扉も簡単に開けてしまうので、油断できません。土産物の入ったビニール袋を破られたり、ひったくられる被害が多発しています。ロビーの自動ドアのスイッチを高い場所に移したり、サルの嫌うヘビやトラの置物を玄関に置いていますが効果はイマイチ。サルの群れを見たらおもちゃの銃で音を出し一時的に追い払っていますが、イタチごっこです。お客様へは部屋にいる時でも窓の旋錠を必ずするよう、貼り紙や館内放送をして注意をうながしています」野生動物に詳しい、信州大附属志賀自然教育研究施設助教の水谷瑞希氏が語る。「サルが家屋に侵入するなどの乱暴な行動をとるのは、たいがい人間に原因があります。その典型が餌付けです。サルが、人間の住む場所へ行けばエサがラクに手に入ると学習してしまうんです。行政も山林と人里の間の緩衝帯を整備するなど、サルが人間の世界に近づかないような対策をとるべきでしょう」名門スキー場のサル被害は、人間の不用意な行為の産物だったのだ。

(ジビエ料理コンテスト受賞者決定:徳島)
(一社)日本ジビエ振興協会は、「第3回ジビエ料理コンテスト」を実施。農林水産大臣賞をはじめ各賞の受賞者が決定した。同事業は、農林水産省の「鳥獣利活用推進支援事業」の一環として実施されていて、3回目となる。安全で美味しく親しみやすいメニューを募集し、 ジビエをより日常的な食材として普及させることを目的に行われている。今回は93件の応募があり、昨年末レシピの書類審査や実食審査を実施。1月25日に開かれた「第5回日本ジビエサミットin徳島」で表彰があった。

(小学生がイノシシ汁の調理:福井)
福井県小浜市下田の市立中名田小学校で7日、イノシシ肉を使ったジビエの調理実習があった。ベテラン猟師の指導で4、5年生の児童13人が、イノシシ汁の調理に取り組んだ。児童たちは今年度、総合学習の時間を使って、猟師がわなを仕掛ける様子や、鳥獣の解体・焼却施設を見学してきた。この日は、県猟友会小浜支部長の大椿明夫さん(60)ら2人が指導役となって、昔から伝わる「猟師鍋」を作ることに。2キロの肉を三つの鍋に入れて塩で味付けし、あくを取り除いた。隠し味に少量のみりん、しょうゆ、コショウを加えて完成させた。イノシシ肉を初めて食べたという4年生の大江佑奈(ゆうな)さん(10)は「とても好きな味です。家でも作ってみたい」と笑顔だった。大椿さんは「捕ったものは粗末にせず、山の恵みに感謝していただく猟師の文化を伝えられれば」と話した。

(91店舗でジビエフェア:福岡)
農作物を荒らす食害対策などで捕獲されたイノシシやシカなどの野生獣肉(ジビエ)を有効活用しようと、福岡県内の飲食店や販売店計91店舗で、ジビエ料理や加工品を提供する「第6回ふくおかジビエフェア」が開かれている。3月3日まで。県内は野生動物の農作物被害が北海道に次いで深刻とされ、イノシシを年間約2万5千~3万頭、シカを約1万頭捕獲している。うち一般に流通するのは5%未満にとどまることから、県が高たんぱくでビタミンなどが豊富なジビエの魅力をPRし、消費拡大につなげようと企画した。飲食店はステーキやピザ、カレーなどオリジナルメニューを用意し、道の駅や物産館ではハムやベーコン、レトルトカレーなど加工品を提供する。スーパーではイノシシのスライス肉の販売も。

(イノシシの丸焼き、親子連れら味わう:滋賀)
イノシシ肉やシカ肉などのジビエ料理を楽しめるイベント「西浅井ジビエ村」が十日、長浜市の西浅井運動広場であり、大勢の親子連れらでにぎわった。地元猟師や市内外の飲食店などが九のブースを出店。シシ肉入りのきのこ汁や、シカ肉のコロッケ、シシの骨でだしを取ったラーメンなどが出され、長浜農業高校もシシ肉のロールキャベツを提供した。午前中は降雪に見舞われたものの、中には行列ができる店も。無料で振る舞われたイノシシの丸焼きは、一時間半で二百食分がなくなる盛況ぶりだった。地元の若者らでつくる地域活性化グループ「ONE SLASH(ワンスラッシュ)」の主催。同市高月町から家族で訪れた甲佐菜穂子さん(29)は「ジビエは好きだけど食べられる場所があまりないので、こういう機会が増えてくれれば」と話した。

(イズシカトレイン運行:静岡)
伊豆箱根鉄道は2019年3月15日(金)と3月20日(水)、地元の伊豆市の地酒と、伊豆の鹿肉「イズシカ」を使った料理を堪能できる「日本酒電車イズシカトレインⅨ」を、駿豆線で運行します。この列車は、車内で日本酒「萬燿の純米吟醸」や焼酎「鬼の念仏」、ソフトドリンクが飲み放題で、イズシカのロースト、イズシカの竜田揚げ、イノシシの生ハムなどのジビエ料理が提供されます。車内では日本酒の試飲でき、お土産として伊豆市の地ビール醸造会社ベアードビール製造の「わびさびジャパンペールエール」が進呈されます。料金は税込1人4,500円です。未成年の方は、乗車できません。

(ジビエ振興に力、有害鳥獣を地域資源に:千葉)
有害鳥獣を地域資源に変えようと、千葉県君津市はジビエの振興に力を注いでいる。獣肉処理加工施設が市内に三つもあり、うち公設民営の施設は冬季限定メニュー用として東京都内の外食企業にイノシシ肉を出荷、高い評価を得ている。今年度から始めた「狩猟ビジネス学校」は人気で、来年度も継続予定という。市の2017年度のイノシシなどによる農作物被害額は4600万円超で県内最大だ。市は、有害鳥獣を地域資源に転換しようと、ジビエの利用拡大を推進する。ジビエとは狩猟で捕獲された野生鳥獣の食肉を意味するフランス語。市は事業費約8千万円をかけて、年間350頭のイノシシやシカの食肉加工が可能な施設を整備。捕獲従事者で作る食肉加工組合が12年秋から運営している。この施設に搬入されるイノシシの肉は県の方針に基づいて放射性物質の全頭検査を実施している。また、市は獣肉処理衛生管理マニュアルを作成。施設では、ロースやヒレ、バラなど11部位に分けて丁寧に食肉加工される。今年度、市内で捕獲されるイノシシは約3200頭に上るとみられ、市は施設での加工頭数の大幅増を目指している。

(ジビエ、安定供給後押し:宮崎)
人口減少を背景に中山間地の鳥獣被害が深刻化する中、イノシシやシカなどの野生鳥獣を食品として売り出す「ジビエ事業」に国が本腰を入れ始めた。全国でモデル地区を選定し、ジビエの安定供給を後押しする。だが、消費拡大には割高に受け止められている価格や、認知度不足といった課題も立ちはだかる。農林水産省のジビエ利用の「モデル地区」に選ばれた延岡地区にあるジビエ販売、マツダコーポレーション(延岡市)は処理加工施設を完成させ、2018年11月に記念式典を開いた。同社の松田秀人社長(69)は「頭に描いていた通りの施設ができた」と自信を見せた。総事業費の半分近くを国の補助金で賄った施設は解体から食肉処理、調理まで可能。

(ジビエに合う日本酒いかが:徳島)
三好市池田町サラダの三芳菊酒造は、野生鳥獣肉(ジビエ)の料理に合う日本酒「ジビエ ヌーベルヴァーグ」を造った。ジビエの加工品とセットにし、東京都内の百貨店などに売り出したいとしている。イノシシ肉用の「TUSK(タスク)」と、シカ肉用の「HORN(ホーン)」の2種類。それぞれ英語で牙と角を意味する。タスクは、東みよし町産の酒米「コシヒカリ」を使い、強い酸味のしっかりした味に仕上げた。岡山県産の酒米「雄町」を用いたホーンは、フルーティーな味わいが特徴だ。1月下旬の「第5回日本ジビエサミットin徳島」の開催を機に企画。昨年12月中旬に仕込み、サミット来場者に提供した。

(児童がいろり囲みシカ肉頬張る:福岡)
豊前市畑地区に伝統行事・畑のどんど焼きで使われる「おこもり小屋」が登場した。6日は地元の角田小の児童18人が「おこもり」を体験して、小屋の中でシカ肉などを頬張った。

(高校生、カレー開発:静岡)
静岡県立藤枝北高の生徒とスーパーマーケットを展開する「田子重」(焼津市)が協力してオリジナルのカレーを開発した。レトルト商品として2千袋を用意し、9日から志太地域(藤枝、焼津、島田)の田子重7店舗で販売を始めた。発酵食研究のほか、浜松市天竜区水窪町で農家民宿のオープンを目指して準備を進めるなど地域おこしに取り組む藤枝北高食品サイエンス部の生徒が中心となって開発に取り組んだ。完成したのは水窪産の雑穀のタカキビと、イノシシ肉のひき肉などを使った「みさぼーキーマカレー」。9日は藤枝市の田子重清里店で販売会を行い、サイエンス部の生徒たちが試食を勧めながら売り込んだ。「タカキビのもちもち感をうまく出すために試行錯誤を重ねた」と、カレー開発を担当した3年生の青島実来さん。「タカキビという水窪の地域資源を通じて地域の魅力が伝われば。ジビエのおいしさも知ってほしい」とアピールした。

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(山中で散弾銃1丁紛失:神奈川)
3日午後3時15分ごろ、東京都渋谷区の会社役員の男性(66)が秦野市の山中で散弾銃1丁をなくしたと110番通報した。署は男性が紛失したとみて付近を捜索している。装弾されておらず、犯罪に使われる恐れはないとして、署が4日に公表した。署によると、散弾銃は全長120センチ。男性は仲間と14人で、3日午前8時ごろから午後0時ごろまで伊勢原市境付近の山中で狩猟をしていた。その後、秦野市蓑毛の蓑毛バス停から北東方向へ約400メートル離れた林道付近で仲間と昼食を取り、同2時半ごろ、車に荷物を積んで発進したが、後部座席に置いたはずの散弾銃がないことに気づいたという。男性は東京都公安委員会の許可を得て散弾銃を所持していた。署員が3、4日に捜索したが、見つかっていないという。

(「カラ指導」助成金不正受給か:鹿児島)
一般社団法人・鹿児島県ライフル射撃協会(鹿児島市)が昨年度、架空の「指導者」を記入した文書を使って、助成金を受け取っていた疑いがあることがわかった。県体育協会(会長・三反園訓知事)が5日にも調査に乗り出す。指導者とされた射撃協会理事の一人は「指導はしていない」と朝日新聞の取材に認めた。射撃協会の実施報告書によると、ライフル射撃の競技人口の拡大などを目的とした「育成競技スポーツ教室」事業に対し、協会があらかじめ提出する事業計画に基づいて県体協から助成金計26万円が交付された。協会は2017年9~12月、市内の射撃場で計8回の教室を開き、1回ごとに指導者3人に謝金と交通費を計5500円ずつ支給したり、会場使用料などに充てたりしていた。実施要綱によれば、指導者人数については「県内指導者3人とする」とされていた。報告書に添付された領収書には、8回とも実技の指導者として3人の実名と支払金額が記載され、本人名の領収印が押されていた。3人とも射撃協会理事。うち一人は計4万4千円が支給されたことになっていたが、「一回も指導はしていない。印鑑も押していないし、お金も受け取っていない」と証言した。県体協も問題を把握しており、幹部は「事実関係を確認し、助成金の返還請求を含めて、早急に対応したい」との方針を示した。射撃協会の複数の関係者によると、3人のうちの別の理事が実質的な会計責任者。この理事は「当時は私が会計を統括していた。私的流用はしていない。指導実態がないとの指摘については、今は言えない」と語った。

(汚染土除去へ調査着手、射撃場鉛問題で:佐賀)
伊万里市大川内町の市営散弾銃射撃場に大量の鉛散弾が放置されている問題で、市の環境対策検討委員会は4日、鉛に汚染された土壌の対策に着手することを確認した。

(感染イノシシ124頭に:岐阜)
岐阜県は6日、美濃加茂市や可児市、川辺町の山中でわなにかかっているのが見つかった野生イノシシ計5頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは124頭となった。県によると、4~5日、地元猟友会などが川辺町で3頭、美濃加茂市と可児市で1頭ずつを発見した。いずれも6日の遺伝子検査で陽性だった。周辺ではこれまでも感染した野生イノシシを確認している。

(豚コレラ警戒本部設置:兵庫)
大阪府と滋賀県の養豚場での豚コレラ感染確認を受け、兵庫県は6日午前、警戒本部を設置した。県によると、県内では神戸や姫路市など計26戸の養豚場に約2万400頭が飼育されている。県は岐阜市の養豚場での判明(昨年9月)以降、各養豚場に衛生管理の徹底などを求めている。また、県猟友会にも、山中でイノシシの死骸を発見した際に通報するよう要請。これまで4件の報告があったが、検査の結果いずれも陰性だったという。県は、県内の養豚場や食肉センターについて、感染が確認された5府県の養豚場からの入荷実績の有無を確認している。

(イノシシにワクチン検討を:岐阜)
県内で豚とイノシシの豚(とん)コレラ感染が相次いで確認されている問題で、県の有識者会議(委員長=浅井鉄夫・岐阜大大学院教授)は4日、中間報告をまとめた。野生イノシシに経口ワクチンを投与する案が関係者で議論されているが、投与実績のある欧州に調査団を派遣し、投与を検討するよう提言した。中間報告によると、欧州では過去にドイツやフランスが経口ワクチンを採用し、スイスは使わなかった。フランスの事例を参考に、県内での経口ワクチン投与の費用を5年間で約23億円と試算した。浅井委員長は「費用は高額。現状ではワクチン投与が有効かどうかを判断する材料が乏しく、調査団を派遣するべきだとの意見が出た」と述べた。

(「シカとふれあい」けが人続出:奈良)
野生のシカと触れ合えることで人気の名所、奈良公園。古都・奈良で愛され続けるふれあいの場で、ある異変が起きていた。奈良公園では、シカに突き飛ばされるなどしてけがをした人が、2018年4月から2019年1月末までで209人にのぼり、過去最悪を記録した。シカによる人間への被害が年々増加。2018年度は、けがをした209人のうち8人が、腰などを骨折する大けがをしている。記録が残っている2017年度までの8年間をあわせると、骨折した人は10人。2018年度は、異例の急増となっている。2018年度の骨折事例は、シカの気性が荒くなる、9月から11月の発情期に集中していた。増加の原因について、奈良県奈良公園室・北畑雄一郎室長補佐「やっぱり観光客が増えたのが原因と思っている。外国人の方、特に中国人の方が増えています」けがをした209人の内訳は、日本人45人に対し、外国人164人。骨折した8人のうち、5人が外国人観光客だった。外国人のけが人が多い理由として、県担当者は、外国人が抱きがちな、ある「イメージ」が影響していると指摘する。奈良県奈良公園室・北畑雄一郎室長補佐「奈良のシカは野生なんですけど、(外国人は)それをペットのような感覚で近づいている方が多い」「警戒心のない方が結構、多いのかなと思う」トラブル予防などにあたる「奈良公園のシカ相談室」によると、ケガが発生する状況は、鹿せんべいを与えているときが圧倒的に多いとのこと。「奈良公園のシカ相談室」では、連日、相談員が公園内をパトロール。シカとの接し方について、注意を呼び掛けている。相談員の新井さんが使っていたのは2018年12月に導入した、手のひらサイズの翻訳機。英語や中国語などの音声で注意を促している。中国語での注意喚起「人に攻撃することがあるので、子どもだけで近づかないでください」公園内には、シカせんべいの与え方について解説する外国人向けの看板も設置。シカの攻撃を避けるためには、シカせんべいの正しい与え方をしることが大切だと、新井さんは言う。

(住宅街にサル出没で大捕り物:富山)
4日午前8時前、富山県魚津市の中心部にサルが現れました。3歳から4歳の雌のニホンザルで、民家の塀や電線など伝って逃走を続け、午後3時ごろに住宅の瓦屋根の上でうずくまっているのが見つかりました。そして、約8時間半後の午後4時半ごろ、麻酔銃で撃たれて保護されました。市などによりますと、サルは今後、山に戻されるということです。

(サルの民家侵入被害多発:兵庫)
兵庫県香美町香住区の上計と沖浦地区で昨年12月から今年1月にかけて、ニホンザルの目撃情報が相次いでいる。集落の南の山林から、餌を探しに来たとみられ、民家の米や仏壇の供え物などが盗まれる被害が多発。両地区は海岸沿いの集落で、同町でサルが海岸部に長期間出没し、民家に侵入するケースは珍しいという。町はサルの追い払いや捕獲に乗り出している。町によると、上計地区では昨年12月6日以降、柴山小学校から「通学中の児童や見守りに立つ保護者らがサルを見掛けた」という通報が相次いだ。1月上旬には隣の沖浦地区で、住民の通報を受けて現場に来た同町職員らが、民家裏手にいるサル1頭を目撃。その後も上計地区を中心に、多い時は5、6頭ほどで出没したという情報が、1月末までに計10件寄せられた。このほか上計地区では、民家に侵入したケースも5件ほどあったという。いずれも屋内の米袋を破って食べられたり、仏壇に供えていた果物が奪われたりする被害が出たという。実際に米を食べられた同地区長の今西基さん(63)は、「家族が普段使わない入り口の引き戸が開けられており、サルはそこから忍び込んだようだ。上計に40年近く住むが、ここまで大胆に家屋に入り込まれた例は記憶にない」と驚きを隠さない。香美町では近年、小代区に生息するニホンザルの群れが行動範囲を拡大。村岡区の射添地区などでも、農作物の被害が増えている。しかし、今回目撃されているサルの性別や頭数、移動経路などは不明で、同町農林水産課は「香住区でも年に数回目撃されることがあり、群れから離れたサルが冬の餌を求めて来たのだろうが、どこからかは定かではない」とする。同課は対策として、家屋の戸締まりを厳重にする▽集落内に生ごみや食べ物を出さない-といった注意を住民に呼び掛ける。またサルを追い払うためのロケット花火を、両地区に計200発以上配布したほか、地元猟友会とわなによる捕獲準備も進めている。同課の担当者は「地域の山林に居着かれると、児童や住民らに危害を及ぼす恐れが高まる。民家は餌場ではなく、人や集落は怖いと覚え込ませるため、住民と協力して追い払いや捕獲に当たりたい」と話す。

(貨物列車と鹿が衝突:北海道)
6日午後5時40分ごろ、JR根室線富良野―野花南間で、貨物列車(13両編成)とシカが接触した。乗務員にけがはなかった。JR北海道によると、貨物列車は車両点検を行い、同7時40分ごろ、運転を再開した。この事故で滝川発東鹿越行き快速狩勝など2本に最大107分の遅れが出て、約60人に影響した。

(新人ハンター入門セミナー:千葉)
有害鳥獣を捕獲するハンターを育てるため、県は3月3日、「新人ハンター入門セミナー」を県射撃場(市原市古敷谷)で開く。ハンター(狩猟免許所持者)は高齢化から減少しており、猟に興味がある若者や女性を中心に参加を呼び掛けている。参加費無料、定員は120人で申込期限は今月8日。

(害獣駆除を地域おこしに、ジビエ活用を視野:埼玉)
シカやイノシシに農作物や森林を荒らされる獣害に悩むときがわ町が、対策に取り組む「地域おこし協力隊員」を募集している。高齢化する地元ハンターの指導でノウハウを身につけ、将来的にはジビエ(野生鳥獣肉)活用で町の経済活性化につなげることが狙いだ。町内の水田の一角で、昨秋に収穫を終えた稲の切り株や土が広範囲にでこぼこと盛り上がっている。小川猟友会都幾川支部の内田富三男支部長は「イノシシが掘り起こした跡です。湿った地面が好きで、地中のミミズを食べている」と眉をひそめた。

(狩猟の魅力、塩尻で講演:長野)
鳥獣被害を食い止めるために狩猟者を育成する「県ハンター養成学校」の修了式に合わせ、塩尻市の市民交流センターで県猟友会会長やライターが市民ら約90人を前に狩猟の魅力を語った。

(鹿から高山植物守れ:長野)
伊那市など4市町村や南信森林管理署、県、信州大学農学部などでつくる南アルプス食害対策協議会(会長・白鳥孝伊那市長)は6日、活動報告会を伊那市役所で開いた。会員や一般市民ら約50人が参加。今年度の活動報告や研究発表を通して、ニホンジカから高山植物を守る手法を探った。協議会事務局による活動報告では、仙丈ケ岳馬の背に設置した総延長1キロを超える防鹿柵の張り替えや、柵を設置したことによる高山植物の植生の回復状況を説明。北沢峠直下の大平山荘から歌宿までで行った外来植物除去活動の成果も報告し、「外来植物の除去数は前年より半数ほどに減った。貴重な高山植物を絶滅させないための対策を継続していきたい」とまとめた。信大農学部の渡邉修准教授は「馬の背における柵設置のあり方について」の研究結果を説明。防鹿柵の設置によって、高山植物の植生は数年で回復したが、以前と同じ高山植物が発生していない―と指摘。最終目標をシナノキンバイの優占群落形成とし、「温暖化で高山植物の開花期が前進しているので、柵設置のタイミングを検討する必要がある」と報告した。報告会では同大の竹田謙一准教授らが、シカ忌避剤としてのカプサイシン活用の可能性を説明し、南信森林管理署が「ついで見回り・通報」の取り組みを報告。南アルプス自然保護官事務所が仙丈ケ岳周辺におけるニホンジカの捕獲事業を説明した。

(シカ情報提供継続喚起を:青森)
第18回白神山地世界遺産地域科学委員会が5日、弘前市民会館で開かれた。委員を務める専門家らがニホンジカの目撃情報の減少に対する意見交換を行ったほか、関係機関が2019年度のニホンジカ対策事業計画などを説明した。県自然保護課によると、昨年12月20日時点でのニホンジカの目撃頭数は県全域で114件158頭(昨年度175件222頭)、白神山地周辺で15件17頭(同40件43頭)。今年度は昨年度の同時期と比べて減少した。また、西目屋自然保護官事務所が、昨年8月中に秋田県で4度撮影された雄1頭について、特徴的な斑点模様が共通して見られたとして同一個体の可能性が高いとする分析を説明した。

(「とっとりジビエフェス」開催:鳥取)
鳥取県は2月23日(土)まで、東京都内のイタリアン・フレンチレストラン15店舗で「とっとりジビエ」を使用した料理を提供する「とっとりジビエフェス」を開く。「ミシュランガイド東京」で星付きのレストランも参加する。同イベントは鳥取県内でも2月28日(木)まで行われ、県内の旅館や飲食34店舗が参加。国民宿舎山紫苑や三朝館などでジビエ料理付きの宿泊プランを提供し、ジビエを観光誘客につなげる。同県は「食のみやこ鳥取県」をテーマに、豊かな自然に育まれた食資源による県政の推進に取り組んでいる。近年では、山間地域に生息するシカ、イノシシを新たな地域資源として位置づけ、ジビエの活用を推進。都内では、約100店舗で県産の鹿肉が提供されており、料理人からの評価も高い。商工労働部兼農林水産部市場開拓局、食のみやこ推進課は「亥年にあたる今年は、猪肉の販路拡大をはかる。ジビエを使った料理を有名料理店で提供してもらうことで、ブランド化を促進したい」と語る。

(獣が潜む道に注意:愛知)
鹿やイノシシといった野生動物が原因で起きた交通事故の場所がわかる地図を、豊田市内にある足助署が作った。「急に飛び出してきて事故に巻き込まれるおそれがあるので、山間部での運転は速度を抑え、ハイビームも使い、注意してほしい」と呼びかけている。山間部の稲武、旭地区などを管内に持つ足助署によると、昨年、野生動物と衝突した事故は36件。2年前より2件、3年前より6件それぞれ増えた。動物別では、鹿が20件で半数を超える。次いでイノシシの11件、ほか5件はタヌキやハクビシンなど。発生時間は早朝と午後10時~11時が目立つ。車体に傷、へこみが生じる物損事故だが、衝撃で車を動かせなくなったケースも数件あったという。

(カラス対策にGPS:青森)
弘前大学などが追い払いに役立てようと、カラスにGPSを取りつけて放し、追跡調査を始めました。調査は、弘前大学と県、それに弘前市が鳥獣被害を防ぐため、国の交付金を活用して共同で実施します。6日は、GPSとタグをつけた1羽とタグだけをつけた7羽の合わせて8羽のカラスを弘前市郊外から放しました。弘前市の調査によりますと、市内には3800羽のカラスがいて日が暮れる頃に中心街に集まり、市民が不快感を感じています。去年11月には、天敵のタカを鷹匠が羽ばたかせて追い払うなど様々な方法でカラス対策を続けてきました。弘前市民は…「カラスの生態とかそういうの調べた方が良いと思いますね」「調査は大賛成ですよ。何か工夫してなくなれば良いと思います」今回は、カラスが群れを作って確保しやすいこの時期に、調査を始めました。 GPSの位置情報を追跡調査するとともに、タグがついたカラスの目撃情報を集め、移動のルートやどこにとどまっているかなどカラスの行動実態を突き止めるのが狙いです。弘前大学農学生命科学部東信行教授「カラスの行動をGPS発信機をつけ、日々どういう行動をしているのか、どういう所で被害が出ているのか、駆除、対策する場合、どういう方法が効果的かを明らかにしたいと考えています」GPSによる追跡調査は、4か月をめどに行われ、周辺市町村とも協力しながら、被害を封じ込める具体的なカラス対策につなげていく方針です。

(カラスの糞害打つ手なし:熊本)
熊本市中心部を数千羽のカラスがねぐらとし、糞(ふん)害が広がっている。熊本市が駆除の対策を検討しているが、有効な手段が見つかっておらず、頭を悩ませている。熊本市中央区花畑町周辺では、夕方になると大量のカラスが上空を飛び回り、ギャーギャーと鳴き声を上げる。日没前になると電線やビルの屋上の手すり、道路標識などにとまって、大量の糞をする。周囲の道路上には足の踏み場もないほど、糞が散らばっている。カラスが大量に集まる交差点にある「銀座通り歩道橋」は特に糞が集中する。階段にも手すりにも糞が降り積もり、通行人の頭に落ちることも珍しくない。付近で営業するタクシー運転手男性(70)は「『バシャバシャー』と雨のように降ってくることもある。何度も糞を拭き取って営業を続けるするしかなく、たまらない」と憤る。熊本市農業支援課鳥獣対策室によると、これらのカラスは朝鮮半島から越冬のために飛んでくる「ミヤマガラス」という。渡り鳥で初冬に飛来し、春先に再び飛び立っていくという。理由はわからないが数年前から熊本市中心部をねぐらとするようになり、市民からも苦情などが寄せられるようになった。今季は「糞をなんとかして」などの要望や苦情が約10件寄せられている。駆逐に有効とされている猟銃やロケット花火でカラスを追い散らす方法が市街地では実施できないため、市は別の方法を探している。これまでに、カラスが嫌がる超音波を出す作戦や、フクロウなどの猛禽(もうきん)を使って駆逐する方法などを検討したが、カラスが超音波にすぐ慣れてしまうことや、フクロウで追うにも数が多すぎることなどからあきらめ、現在までに有効な対策は見つかっていないという。ミヤマガラスは日中は市街地でほとんど姿を見ない。市職員が探索したところ、郊外の田畑などで餌をあさっていたという。夜になると天敵のいない安全な市街地に寝に帰っているとみられる。九州電力にも「電線にカラスがとまって糞が落ちる」という苦情が寄せられているという。九電広報担当者によると、こうした苦情に対して、電線の周辺にカラスが警戒する透明のテグスを張るなどの対応をしている。高所作業のため、費用もかさむという。市農業支援課の岡本岬課長は「効果的な対策が見つからないので、春になって飛んでいくまでは道路の清掃などで対応するしかいまのところない」と話している。

(ジビエ供給に国が本腰:宮崎)
人口減少を背景に中山間地の鳥獣被害が深刻化する中、イノシシやシカなどの野生鳥獣を食品として売り出す「ジビエ事業」に国が本腰を入れ始めた。全国でモデル地区を選定しジビエの安定供給を後押しする。だが、消費拡大には割高に受け止められている価格や、認知度不足といった課題も立ちはだかる。農林水産省のジビエ利用の「モデル地区」に選ばれた宮崎県延岡地区にあるジビエ販売、マツダコーポレーション(同県延岡市)は処理加工施設を完成させ、2018年11月に記念式典を開いた。同社の松田秀人社長(69)は「頭に描いていた通りの施設ができた」と自信を見せた。

(ジビエ料理で農作物守れ:千葉)
野生鳥獣による農作物被害に悩む県が、対策の一環として駆除されたイノシシやシカの肉を「ジビエ料理」として消費する取り組みに力を入れている。先月末から今月24日まで行われている「房総ジビエフェア」は4回目を数え、参加店舗も過去最大の60店に拡大した。ただ、食材としての流通量は少なく、さらなる消費拡大には、解体施設の整備や高齢化が進むハンターの後継者養成などの課題の解決も必要となってくる。フェアに先立つ先月25日、千葉市中央区の千葉調理師専門学校で、県内で捕獲されたイノシシやシカの肉を使った料理の出来栄えを競う「房総ジビエコンテスト」が初めて開催された。コンテストでは、県内外のシェフ3人が独創的な料理を披露。会場では、県が招いた「インフルエンサー」と呼ばれる強い影響力を持つSNSユーザーらが調理の様子や料理をカメラやスマートフォンで撮影する姿が随所で見られた。コンテストで最優秀賞に輝いた東京都世田谷区のイタリア郷土料理店「ぺぺロッソ」の今井和正総料理長(34)は、県産のイノシシ肉をソースにして、県産の小麦やコメを使用した手打ちの生パスタと合わせたオリジナル料理を提供。イノシシ肉は16年前から使っているといい、「イノシシは豚より肉質がしっかりしているので、自然を感じられる力強い味わいを食べて楽しんでほしい」と話す。フェアに参加する店舗の中には、ジビエの一般への普及を考え、入手困難な調味料を使ったり、難しい調理方法を用いたりしないようにする店も増えてきているという。課題は流通網の整備だ。県によると、平成29年度に県が駆除したイノシシは1万9568頭。そのうち食肉として処理されたのはわずか214頭にとどまる。県内では今年度、6カ所目となる新たな食肉処理場が誕生したが、従来の5施設と同様に、解体従事者が不足しており、十分な稼働率には達していない。昨年度にはイノシシ肉の出荷・検査方針を5年ぶりに改正し、捕獲場所における職員の立ち会いを不要とする手続きの簡素化も行ったが、有害鳥獣による農作物被害はここ数年4億円前後で推移している。県では、ジビエの普及に加え、高齢化が進むハンターに若年層を取り込む講座の実施なども行い、ジビエの消費拡大と農作物被害の軽減の両立を目指し、取り組みを強化していく考えだ。

(ひたジビエグランプリ仲良鹿鍋が給食に:大分)
動物の命を有効活用することで命に感謝しようと6日、日田市の小学校で給食にジビエが提供されました。動物の命を有効に活用することで命を慈しみ感謝する心を育もうと日田市でも地元で捕獲されたイノシシやシカの肉を食用に処理して給食に提供しています。日は日田市の前津江小学校の児童27人が市内の高校生が考案し去年11月のコンテストでグランプリを受賞した「仲良鹿鍋」を味わいました。県内では10の市でジビエが小中学校の給食に提供されています。県によると県内で捕獲されたイノシシとシカのうちジビエとして流通されているのはわずか3%です。

(地元産ジビエで特別料理:岐阜)
郡上市大和町のフランス料理レストラン「ももちどり」は、郡上やまと獣肉利活用推進協議会と連携し、地元産イノシシ肉とシカ肉を使った特別料理の提供を始めた。豚(とん)コレラによる風評被害が心配される中、あえてシシ肉を使うことでジビエの販路拡大を目指す。今月限定の料理は「郡上産鹿ロース肉と猪(いのしし)ロース肉ポワレ赤ワインソース」。パリで修業した松永秋範シェフ(64)の自信作で、ランチとディナーのメイン料理として出している。やわらかく仕上げたシシ肉は野生ならではの濃厚な味わいがあり、県外から訪れる人たちにも人気という。郡上は丹波篠山(兵庫県)、天城山(静岡県)と並ぶイノシシの三大産地のひとつ。松永さんは「獣肉は個体差が大きいが、おいしい肉を確保できた」と話す。レストランは古今伝授の里フィールドミュージアム内にあり、道の駅などを展開する郡上大和総合開発が運営している。昨年十二月、大和町でジビエ解体処理施設を開設した協議会からの働き掛けもあり、イノシシ肉を取り入れた。県内では昨年秋、豚コレラが発生し、各地の養豚場に拡大した。国内での感染は二十六年ぶり。イノシシにも感染が広がったことから、岐阜、関、多治見、美濃加茂市など広範囲で狩猟が禁止された。郡上市は禁止区域ではなく、感染も確認されていないが、協議会の松森勇会長は「豚コレラ騒ぎが獣肉の取引に大きな悪影響を与えている。新たに売り込むことも難しい状況だ」と嘆く。郡上大和総合開発は、道の駅やレストランで地元食材を積極的に提供してきた。出崎善久統括は「風評被害を防ぐためにも、地元の猟師が捕獲したイノシシ肉を使ってジビエの魅力を伝えたい」と話している。

(「ジビエ県」PR:大分)
大分ジビエ振興協議会(事務局・県森との共生推進室、TEL 097-506-3876)は2月9日から、イノシシやシカ肉のコース料理や商品などが当たる「大分ジビエスタンプラリー」を展開する。期間中の17日にはジビエ料理を無料で振る舞う催しも開催。2つのイベントで県民に国内有数の「ジビエ県」をアピールする。スタンプラリーは初開催。県内でジビエ料理を提供している20店が参加する。賞品総額は約50万円で当選数は218本。特賞はジビエを使ったフランス料理のコースペア食事券(2万円相当、2本)で、A賞はイノシシ鍋やシカ肉ソーセージなどのセット(1万円相当、3本)。以下、県産ジビエの関連商品で、B賞(5,000円相当、10本)、C賞(4,000円相当、20本)、D賞(3,000円相当、60本)、参加賞(1,000円相当、123本)。チラシに印刷された専用はがきに、参加店でジビエ料理を注文してスタンプをもらい、3つたまると応募できる。チラシはスタンプラリー参加店で入手できる。締め切りは3月15日。スタンプラリー期間中の2月17日にはJR大分駅府内中央口で「大分ジビエPR day」を行う。昨年に続いて2回目の開催で、当日は11時と13時にイノシシ肉を使った「ぼたん鍋」を各回先着300人に無料配布するほか、12時から「大分の食文化を伝える会」が和食の「シカ肉のつみれそば」、洋食の「イノシシ肉のビール煮」、中華料理の「イノシシ肉の角煮」をそれぞれ先着100人に無料で提供する。このほかジビエを使った串焼き、ソーセージ(以上100円)、コロッケ(150円)、ハンバーガー(500円)を限定販売する。会場ではスタンプ1つを押したスタンプラリーの応募はがきも配布する。開場時間は10時~14時。協議会によると、大分県のイノシシとシカを合わせた捕獲数(6万9615頭・2017年)は北海道に次いで全国2位だが、利用割合は3.3%と低く、一般消費者への浸透もいまひとつという。県ではジビエ利用量を2019年度までに倍増させたい考えで、スタンプラリーとPRイベントで「ジビエ県」のさらなる浸透を図る。県森との共生推進室では「大分のジビエを知ってもらい、親しんでもらえるイベントを用意した。2つとも気軽に、お得に楽しめる内容なので利用してほしい」と呼び掛ける。

(シカ肉を使った料理教室:鳥取)
バレンタインデーにおすすめのジビエ料理を学ぶ教室が4日、鳥取市のスーパーで開かれた。サンマートは、鳥取県内で唯一シカ肉の販売を行っている。鳥取市のイタリア料理店でシカ肉料理を提供している木下陽平シェフが講師を務めた。

(シカのステーキはいかが:和歌山)
和歌山県古座川町月野瀬の「古座川ジビエ山の光工房」は、イノシシとシカの肉を使ったジビエの家庭向け商品を開発した。今月からインターネットで販売している。同工房の忠志緒莉さん(26)は「サイト販売の様子を見て、地元の道の駅やスーパーなどでも販売していきたい」と話している。新商品はステーキ(バジル味、ガーリック味、トンテキ味)、焼き肉、ソーセージ、コロッケ、ハンバーグがあり価格は税込みで550~800円。「高品質でおいしいジビエ肉で客の心を打ち抜きたい」との思いから「こころうたれるシリーズ」と銘打っている。町から運営委託を受けている同工房は、清流古座川の豊かな自然環境で育ち、捕獲されてから2時間以内のシカ、イノシシのみを処理加工している。肉に臭みがなく、一流レストランのシェフからも高い評価を受けているという。町はジビエ商品を特産品として売り出している。町内で加工されたジビエを使った「里山のジビエバーガー」は2016年の「とっとりバーガーフェスタ」(実行委員会主催)でグランプリを受賞。17年の「第4回ディスカバー農山漁村の宝」(内閣官房・農林水産省選定)では、古座川ジビエ振興協議会の取り組みが特別賞(ジビエ・グルメ賞)を受賞している。

(猪カレー開発:京都)
府南部の相楽東部地域(笠置町、和束町、南山城村)を食の魅力でPRしようと、イノシシの肉を使った「京都やましろ猪(しし)カレー」が誕生した。イベント会場で販売する。3町村と府が、奈良市を拠点にキッチンカーの移動式店舗「フンドシキッチン」を営む向井信悟さん(32)と開発。ジビエ料理は、昨年10月から販売している「京都やましろ鹿肉バーガー」に続いて2品目だ。「ミンチにした肉とタマネギだけを使い、10種類のスパイスで煮込んだ」と向井さん。ほおばるとピリ辛で独特のうまみが口に広がる。キッチンカーのメニューにする予定だ。

(IoT害獣よけデバイス:兵庫)
イーマキーナは、超音波で有害獣を寄せ付けない機器「Evasi(エバジー)」を発売した。価格は92,000円(税抜)。別途エバジー専用のACアダプター (4,000円)が必要。ネズミなどの小動物が嫌いな音(超音波)を発生させて、その場から追い払う製品。最大音圧レベルは110dB以上。有害獣が嫌う様々な周波数を複数パターン組み合わせることで、ネズミ以外のイタチやアライグマ、ハクビシンなどの小動物のほか、イノシシやシカなどにも効果があるという。また、スマートフォンやタブレットと接続すれば、電源のON/OFF、タイマー設定、可聴域カットモードへの切り替え操作が可能。100Vのコンセントに挿して、有害獣の被害にあっている方向に向けるだけで使える。また、長さの違うエバジー専用の電源増設ケーブル(別売)を使えば、連結させて使えるとする。上下または左右360度に回転できる2軸構造なので、柱や壁に固定した際も、向けたい方向に調節できるとする。

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(イノシシ猟、猟銃誤発射で男性が重傷:熊本)
2日午後1時40分ごろ葦北郡芦北町女島の山中で地元の仲間5人が猟銃でイノシシ猟をしていたところ、介護士の男性の右肩に仲間の撃った弾が当たる事故がありました。介護士の男性(52)は重傷です。撃った男性(68)は「イノシシの動く気配と間違えて撃ってしまった」と話していて警察は業務上過失致傷の疑いで調べています。

(イノシシ、東北に警報:青森)
イノシシが東北地方で生息域を広げている。「絶滅」と判断されてきた北東北でも目撃件数が増え、農作物被害も出ている。県内では今年度の目撃情報は13件に上る。イノシシ対策はこれまで、被害が多かった西日本で重点的に実施されてきたが、専門家は「このままでは東日本でも甚大な被害が出かねない」と警告する。

(元市職員に有罪判決、購入契約で便宜:北海道)
紋別市のエゾシカ捕獲用わなの購入契約を巡り、業者に便宜を図った見返りに現金を受け取ったなどとして、加重収賄や詐欺などの罪に問われた元同市職員、菅原豪被告(48)に対し、旭川地裁は1日、懲役3年、執行猶予5年、追徴金98万円(求刑・懲役4年、追徴金98万円)を言い渡した。

(イノシシ感染終息道半ば:岐阜)
県内で家畜伝染病の豚コレラが発生した問題で、県は26日午前0時、関市の発生養豚場から半径3キロの豚などの移動制限を解除した。飼育施設の防疫措置が完了した一方で、野生イノシシの感染は同日現在、11市町で計105頭に上り、終息の見通しは立っていない。現場では感染状況を確認し、個体数を減らすための猟友会による調査捕獲が続く。山県市猟友会のメンバー5人が25日朝、同市大桑の山際に集まった。このエリアは野生イノシシの調査捕獲エリアに指定されている。山の入り口近くに仕掛けてあるわなを確認したが、イノシシの足跡や餌を食べた痕跡はなかった。同猟友会の村瀬隆夫会長(72)は「終息は、いつになるのだろうか」とため息をつく。同猟友会は山県市内で、約140か所に、ワイヤで脚を縛り上げて捕獲する「くくりわな」、約40か所におり型のわなを設置。毎日、捕獲状況を見回っている。わなにかかったイノシシを見つけた場合は防護服に着替えて殺処分などを行い、県の検査施設に持って行く。昨年9月以降、野生イノシシの検査頭数は約700頭に上る。死んでいた場合も含めて1頭でも見つけると、1日がかりの作業になる上、記録用の写真の撮影も求められている。村瀬会長は「捕獲を続けることで野生イノシシの数は少なくなっているけれど、ゼロになるのは難しいだろう」とこぼす。「もし、気づかない場所で豚コレラに感染したイノシシが死んでいた場合、冬場は死骸が傷みにくいから、トンビやカラスなどの野鳥がその肉を食べ、ウイルスを運ぶ可能性もある」と指摘する。県によると、感染が多く確認されている岐阜市椿洞、同市大洞、可児市、八百津町を中心にした4区域では野生イノシシを捕りきる考えで捕獲を続けてきたが、今月になっても各区域内で感染したイノシシは発見されている。県は野生イノシシの検査態勢も強化した。豚の検査と分離するため、使用していなかった県中央家畜保健衛生所高度病性鑑定センター(岐阜市今嶺)を再整備し、今月からイノシシの検査専用施設として稼働させている。先月、発足した有識者会議は「感染症」と「イノシシ」の二つのグループが対策の協議を進めており、今月末をめどに意見を取りまとめる予定だ。いつになったら「終息」と言えるのか。今のところ、農林水産省にも県にも野生イノシシの防疫措置完了に関する明確な基準はない。感染が確認された地域で、豚コレラウイルスが消えたと見極めることは難しく、県の担当者の一人は、「終息したとの判断は年単位になる見込みだ。できることを一つ一つやっていくしかない」と話す。県農政部は「野生イノシシの捕獲や検査は継続し、拡散防止に努めるとともに、飼育施設の衛生管理を徹底してウイルスの侵入を防ぐ」としている。

(白神山地、シカの脅威)
ブナの原生林が、豊かな生態系を育んできた白神山地は昨年、世界自然遺産登録25周年を迎えた。生態系の元々の脅威は人の手による開発だったが、平成も終わりに近づく今、ブナの芽や樹皮を食い荒らすニホンジカという自然の脅威にさらされるようになった。白神山地には国の特別天然記念物のニホンカモシカや、クマゲラ、イヌワシといった希少な鳥類、クロサンショウウオやモリアオガエルなどの水生生物、木々の間をはう昆虫類など、2000を超える生物が生息している。「何もなかったはずのおらほの『岳だけ』が世界遺産になった。これがどれだけすごいことか」。昨年11月中旬、ブナの白い幹が並ぶ白神山地・岳岱だけだいで、秋田白神ガイド協会会長の斎藤栄作美えさみさん(69)は1993年(平成5年)の世界自然遺産登録が決まった当時を、興奮気味に振り返った。「ブナは全ての生き物の命を支える。ブナがなくなってしまうようなことだけはあってはなりません」と固く口を結んだ。白神山地が価値を認められ始めたのは80年代のこと。青森県西目屋村と秋田県八森町(現八峰町)を結ぶ「青秋林道」建設計画への反対運動が活発化したのがきっかけだ。開発によって、豊かなブナ林が分断されるとの危機感から、地元住民らが声を上げ、自然保護の専門家らの関心が集まった。90年には、林野庁が白神山地を森林生態系保護地域に定め、林道開発計画は凍結。93年12月、世界自然遺産登録が決定した。入山者による自然への影響も懸念されたが、核心地域への出入りはわずかで、「人」の手からは守られた。しかし、昨年8月25日、関係者の間に緊張感が走った。ブナの原生林を調査していた森林総合研究所の堀野真一さん(62)は、赤石川上流部の核心地域で、獣に食いちぎられたジャコウソウを発見。「シカの食痕では」。思わずうなった。実はその1年前、林野庁が入山者の動向を調査するために設置したカメラがニホンジカの姿をとらえていた。繁殖すれば、森は食い荒らされる。そんな懸念が現実味を増したのだった。「世界遺産地域にシカが侵入して繁殖するというシナリオはすでに始まっている。将来を見据えた対策が急務だ」。堀野さんはそう訴える。ニホンジカは最大数百頭もの群れをつくり、繁殖力も強い。実際、昨年6月には、周辺で子ジカが初めて目撃された。秋田、青森県では明治時代にシカが姿を消したとされるが、環境省は10年以降、白神山地の麓の能代市、八峰町、藤里町、青森県鰺ヶ沢町、深浦町、西目屋村の6市町村で、計134件の目撃情報(昨年12月26日現在)を確認している。秋田県立大の蒔田明史教授(63)(森林生態学)は、「生態系への影響は確認されていないものの、予断を許さない」と警鐘を鳴らす。立ちはだかる“自然の脅威”から、自然遺産を守ることが、新たな時代に託された使命となっている。

(被害防止へ有害鳥獣の生態学ぶ:愛媛)
愛媛県の南予地域シカ捕獲・活用促進研修会が29日、宇和島市天神町の県南予地方局であり、宇和島圏域の猟友会や自治体関係者ら約50人が有害鳥獣の生態について認識を深めた。

(シカ食害じわり:愛媛)
希少植物が多い西日本最高峰の石鎚山系(愛媛・高知両県)で、シカの食害が広がりつつある。愛媛県内では南部や東部地域で食害が深刻で、石鎚山系はまだ被害が少ないが、放置しておくと取り返しがつかない状況になる、と専門家は指摘する。対策の必要性を広く伝えるシンポジウムが11日、愛媛県西条市で開かれる。中国四国地方環境事務所や県によると、2015年には被害がなかった地域で、16年にリョウブやササの食害、樹皮はぎなどの被害が確認された。植物に詳しい松山東雲短期大の松井宏光名誉教授は「シカの群れが徐々に石鎚山系に移動している」と指摘する。石鎚山系にはキレンゲショウマやシコクイチゲ、ミヤマダイコンソウなど、県レッドデータブックにある希少植物が多く、「先手を打って個体数調整などの対策が必要だ」と話す。シカの食害は四国の山地ですでに深刻化している。高知・徳島県境の三嶺(さんれい)は食害で表土がむき出しになり、雨で土が崩れる被害も出た。保全活動をしている「三嶺の森をまもるみんなの会」の依光良三代表(高知大名誉教授)は「放置しておくと石鎚も三嶺の二の舞い。急峻(きゅうしゅん)な森林にもシカは入っていくので、そこがやられるとどうしようもなくなる」と警鐘を鳴らす。県や西条市、愛媛大などは昨年、シカ食害の拡大を受けて「石鎚山系生物多様性保全推進協議会」を設立し、シンポを企画した。県の担当者は「シカ食害で生物多様性が失われ、人間にもかかわってくることを知ってもらえれば」と話す。シンポは11日午後1時から西条市総合文化会館で。参加無料で、4日までに申し込みが必要。東京農工大大学院の梶光一教授が「ニホンジカの生態と生態系へのインパクト」、NPO法人西条自然学校の山本貴仁理事長が「石鎚山系におけるシカの歴史と現状について」の題で基調講演。希少野生植物の保全について、松井名誉教授ら専門家が議論する。

(猪の出没:長崎)
唐津警察署からのお知らせです。31日午後4時45分ころ、唐津市二タ子4610番地付近で大型のイノシシ2匹が出没しました。民家付近に出没する可能性もあります。

(ジビエ事業、国が本格支援)
人口減少を背景に中山間地の鳥獣被害が深刻化する中、イノシシやシカなどの野生鳥獣を食品として売り出す「ジビエ事業」に国が本腰を入れ始めた。全国でモデル地区を選定し、ジビエの安定供給を後押しする。だが、消費拡大には割高に受け止められている価格や、認知度不足といった課題も立ちはだかる。

(とっとりジビエフェア:鳥取)
県は2月、県内の飲食店や東京都内のレストランなどで県産のジビエを使用した料理を提供する「とっとりジビエフェア」を行う。28日まで。県内は飲食店や旅館など34店舗が対象で、6日から始まる。各店舗で、ぼたん鍋や、シカ肉をふんだんに使ったカレーなどのジビエメニューが楽しめるほか、倉吉市魚町の白壁倶楽部ではローストしたイノシシ肉、鳥取空港(鳥取市湖山町西)内の「アジアンリゾートラウンジ陶庵」では、シカ肉のハンバーグ丼を提供する。料理注文時に所定の用紙に押印されるスタンプ1個を1口として、住所、氏名、料理の感想などを書いて投函とうかんすれば、抽選で30人に5000円相当のジビエの加工品などが当たる。都内では1日から、「ミシュランガイド東京」で星を獲得したレストランなど計15店舗で、県産ジビエを使用したオリジナルメニューを味わえる。県食のみやこ推進課の和田昌史課長補佐は「期間中は各地でバラエティー豊かなメニューが楽しめる。県内外の人に鳥取のジビエのおいしさを広めたい」としている。

(ジビエフェア開幕:宮崎)
県産ジビエを飲食店で-。鳥獣害対策で捕獲されたイノシシやシカを活用しようと、県内36店舗で各店自慢のジビエ料理を楽しめる「みやざきジビエフェア」が1日、始まった。県内のイノシシとシカの捕獲頭数に対する消費率が4%にとどまる中、県が初めて開催。宮崎市の飲食店であった開幕イベントでは低温で30分焼いたシカ肉ステーキなど6品を約30人が味わった。昨年までに延岡市と西米良村で新たな処理加工施設が完成し、本格的な食用出荷体制が整った本県。「今年をジビエ元年に」との関係者の思いは、県民や観光客のハートを射止められるか。

(房総ジビエフェア:千葉)
有害鳥獣を有効利用する「ジビエ料理」を食べてもらおうと、県は「房総ジビエフェア」を今月二十四日までの約一カ月間の日程で開催している。四回目となるフェアは昨季から一転、イノシシ肉の供給体制が改善傾向で、前回より十店ほど多い六十店が参加した。
フェアを前にした先月二十五日、ジビエ料理のコンテストが千葉市内で行われた。書類審査を通過した三種類のメニューで争われ、イノシシ肉をミートソースにしたパスタを考案したイタリア料理店「ペペロッソ」(東京都世田谷区)の今井和正さん=四街道市出身=が知事賞に輝いた。ほかのメニューは「BOEUF ROUGE(ブッフルージュ)」(木更津市)の野口利一さんによるイノシシ肉スペアリブのブルーベリー煮込みと、「ごくりっ」(木更津市)の熊谷祐哉さんによるシカすね肉のケークサレ(甘くないパウンドケーキ)。フェアについて、流通販売課の担当者は「肉が調達できずに参加を見合わせた店はない」と話し、二店が直前に不参加となった前回との違いを強調する。昨季は、「二週間手に入らない」など、参加者から品不足を不安視する声があった。県内の食肉加工施設の処理数が少なかったのが要因だ。二〇一七年度の農業被害額は前の年度より一億円弱減って三億七千百五十万円。山の実りが豊かで、イノシシなどが里山まで下りてくるケースが少なかったと考えられる。今回は、捕獲した鳥獣を食肉加工する施設が五から六に増加。一八年度のイノシシの処理数は十二月末時点で四百一頭と、一七年度の三百八十頭をすでに上回る。同年度の解体実績のイノシシ四トン、シカ二トンから増えるとみられる。昨年二月からは、検査体制が一部簡略化。加工施設が引き取る際に施設と市町の職員が、わななどの捕獲場所での仕留め作業に立ち会う必要があったが、捕獲者台帳に記入することで取った場所を確認できるようにした。ただ、イノシシ計九百六十頭の処理能力がある施設の稼働率は低く、捕獲したうちの九割以上が有効活用されていない。捕獲の担い手となるハンターの高齢化の課題もある。知事賞の今井さんは県内のジビエについて「文化として根付いている長野県と比べて、千葉県は施設によって肉質が違うなどまだ差がある。解体技術の向上や職人の増加などで改善できる」と、さらなるジビエの普及を期待した。

(とっとりジビエレストランフェア:東京)
今年2019年は、亥(いのしし)年です。亥年にあわせて鳥取県産猪肉の魅力を発信するため、「2019亥年(いーとし)とっとりジビエ おいし猪(いの)」として、県産猪肉をはじめとする「とっとりジビエ」のPRを行っており、その一環として、「とっとりジビエレストランフェア」を、2019年2月1日(金)~2月23日(土)に東京都内にて開催いたします。脂が甘くてしっかりした肉質の「猪肉」となめらかな肉質に香りは繊細でクセのない味わいの「鹿肉」をテーマ食材に、都内屈指の人気店15店舗がそれぞれ腕をふるい、魅力的な一品に仕上げてご提供します。この機会に各店舗にてご賞味いただき、次回はぜひとも現地までお運びの上、自然の恵み豊かな鳥取県産食材の素晴らしさを心ゆくまでご堪能ください。県内の山間地域に生息するイノシシやシカを“とっとりジビエ”として新たな地域資源として位置づけ、その活用を推進しています。調理、加工次第で魅力的な料理や食品となり、地域の活性化や発展につながる食材として普及活動を行っています。また、捕獲したシカやイノシシを安心して食べていただけるように、鳥取県野生獣肉衛生管理ガイドラインに沿った技術研修の実施や鳥取県HACCPの認定等、解体処理に係る技術向上や衛生管理の向上を進め、安心でおいしいジビエの提供に努めています。

(ジビエ、狩猟の魅力知って:高知)
ジビエや狩猟の魅力を伝える「香美市狩猟フォーラム」が、2日午前10時~午後4時、香美市香北町韮生野の健康福祉センター香北で開かれる。ジビエ料理の専門家が講演し、ジビエを使った料理などが全品100円で販売される。山間地の多い同市は狩猟に力を入れており、ジビエのおいしさの周知と、猟師の新規確保のため企画した。フォーラムでは、狩猟が盛んな和歌山県でジビエ料理の普及にあたるフレンチ・シェフ、更井亮介さんが講演。高知大学の狩猟サークルや高知商業高校生の発表もある。ジビエ料理店「ヌックスキッチン」、「べふ峡温泉」、料理を学ぶ専門学校生らの料理や、ジビエBBQ、シカ肉ドッグフードなどを販売する。このほか、わなやジビエの解体を学ぶ教室も開かれる。香美市農林課の主催。

(シカ肉でタコライス:埼玉)
県立皆野高(皆野町)の2年生が、選択授業「マーケティング」の一環でシカやイノシシの肉を使ったタコライスをつくり、9日に長瀞町の宝登山神社で販売する。秩父地域で野生のシカやイノシシによる農作物被害が相次いでいることから、駆除した後のひき肉を利用する。肉にはスパイスを利かせ、レタスやトマトなどを盛りつけて見た目もこだわった。同高では2017年度に今の3年生がシカやイノシシの肉を使った「激推げきおし イノシカバーガー」を開発した。18年1月から地域のイベントなどで生徒たちが販売し、人気を呼んだ。18年度の2年生15人も、第2弾を開発しようとアイデアを出し合い、ひき肉などタコスの具材をご飯の上にのせるタコライスを作ることにした。18年10月、インターネットで見つけたレシピをもとに初めて試作したが、野生動物の肉特有の臭みが残ったという。昨年末以降、皆野町の宿泊施設「いこいの村ヘリテイジ美の山」の調理長からアドバイスを受け、1月18、22日にも試作を重ねた。クミンやオレガノなどのスパイスを利かせて肉の臭みを抑え、ひき肉にはシカ肉60%、イノシシ肉25%に、地元産の大豆「白光はっこう」を15%加えた。野菜も添えて栄養面や見た目にも気を配った。生徒たちは9日正午から、宝登山神社にある売店の店頭に立ち、30食限定で販売する予定。若林千尋さん(17)は「シカ肉は鉄分が豊富なので、女性に人気が出るといいと思う」と話している。

(シカ肉の犬用ジャーキーが好評:群馬)
群馬県南牧村の山中で狩猟をしている岩井亮さん(46)=富岡市上小林=が自ら捕ったシカの肉で作った犬用のジャーキーが好評だ。処理に困っていた肉の活用法として販売を始め、口コミで常連客もできた。周辺では有害鳥獣の影響で離農する農家もあるとされ、岩井さんは「被害を少しでも抑えられれば」と話す。狩猟歴6年の岩井さんは本業の石材業で知り合った客の紹介で、同村を猟場とするチームに入った。イノシシ、クマ、シカを追い、猟期は平日に山中に入ることもある。「自分の鼓動が聞こえるくらいの静寂さ。非日常感が魅力」という。獲物の肉はチーム内で均等に分けているが、廃棄することが多かった。活用法を模索する中で低脂肪、高タンパクとされる鹿肉に注目し、ペットの犬用のえさとしてジャーキーにすることにした。捕ったシカは自ら解体し、脂肪や神経といった赤身肉以外の部分を丁寧に切除。冷凍などの工程を経て乾燥機で8時間ほど乾かす。一連の作業には最低でも2日間ほどかかる。妥協しない姿勢は品質にも表れ、好評という。今後は都内にも売り込みたい考えだ。岩井さんは猟場近くで知り合った農家から感謝の気持ちを伝えられる一方で、「シカに農作物を食われるくらいなら農家を辞める」という声も聞いてきた。ジャーキー作りが「ちょっとでも人の役に立てたら」と話している。

(害獣を恵みに:島根)
今年は亥年(いどし)。その突進力にあやかり元気に過ごしたいが、イノシシには作物を食い荒らす害獣の側面も。長年、悩まされてきた島根県美郷町はいま、「山くじら」と呼んで街おこしにつなげる。食肉加工から革製品の加工まで。

(在庫カウントの手法応用、ハクチョウ飛来調査:宮城)
スーパーなどで在庫をカウントする民間企業の手法を鳥類調査に応用する試みが31日、全国有数のハクチョウの飛来地、宮城県の鳴瀬川で行われた。棚卸しサービス業エイジス(千葉市)が社会貢献事業として協力。鳥類調査は研究者や個人のボランティアに頼っており、企業が乗り出すのは珍しい。同社が環境省のガン、カモ類調査の事務局を担うNPO法人バードリサーチ(東京)と共同で実施。東松島市の鳴瀬大橋から約11キロ上流の木間塚大橋まで9カ所を調査し、ハクチョウ計2892羽を確認した。エイジスの社員4人は電卓のような棚卸し端末を使用。数える対象を複数の固まりで捉える「ブロックカウント」という在庫管理の手法を用い、数羽から数十羽の集まりを瞬時に見極めて端末に入力した。カウンターで1羽ずつ数えたバードリサーチの2人との誤差は10%以内に収まった。鳥類調査はボランティアの高齢化で担い手不足が課題になっている。エイジスは47都道府県に拠点があり、社会貢献の一環として今回初めて試験的に実施した。全国調査に協力する意向も示している。参加したエイジスの服部剛典さん(40)は「数を数えるプロとして普段の仕事の延長でできた。有意義なデータを提供できるのであれば、スタッフのモチベーション向上にもつながる」と意欲的に語る。バードリサーチ研究員の佐藤望さん(34)は「数えることに関しては全く問題ない。練習を重ね、来年1月の環境省調査に協力してもらえるように調整していきたい」と期待する。

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