<射撃ニュース2月>
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(狩猟税の減免延長、24年3月まで)
環境省は26日、自民党の鳥獣被害対策合同会議で、2019年度以降の狩猟税の減免措置を示した。被害防止の銃猟やわな猟に対する半額減・免税など、現行の措置を24年3月末まで5年間延長する。税負担を軽くして、野生鳥獣を捕獲する担い手の確保と農作物被害をもたらす野生鳥獣の生息数の減少につなげるのが狙いだ。

(ICT捕獲全域助成、ジビエ利用倍増へ)
農水省は、野生鳥獣による農作物被害対策の支援対象を拡大する。これまで、情報通信技術(ICT)を活用した捕獲や商品開発などの経費助成は、野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用拡大を進めるモデル地区に限っていた。2019年度からはモデル地区でなくても、こうした支援を受けられるようにする。多くの地域が活用できる仕組みにすることで、鹿やイノシシの捕獲頭数増大につなげる。19年度予算に盛り込んだ「鳥獣被害防止総合対策交付金」で対応する。19年度に鹿とイノシシの捕獲頭数を68万頭近くまで伸ばし、ジビエ利用量を16年度の1283トンから倍増させるのが目標だ。同省は昨年、全国17地域をジビエ利用拡大のモデル地区に指定。年間処理頭数1000頭以上などを条件に、各種助成をしてきた。19年度は処理頭数が少なくても支援を受けられるよう、処理頭数の規模で条件は設けず、幅広い地域が支援を受けられるようにする。助成の一つに、わな周辺の映像を携帯端末で確認しながらわなを操作し、捕獲するなどICTを活用した「スマート捕獲」の推進がある。18年度の交付額は1市町村当たり100万円を上限としていたが、19年度は200万円に増額。本格的な導入を促す狙いだ。ジビエを使った新商品の開発や商談会への参加など販路開拓を目的とした活動も支援する。捕獲や処理加工、衛生管理に関する研修会の開催なども助成対象に含む。捕獲活動経費に対する助成も拡充。鹿かイノシシを捕獲し、焼却施設へ運搬する場合の助成として、1頭当たり8000円以内の助成枠を新設する。埋却処分では生態系に及ぼす影響が懸念されるため、政府は焼却処分を促している。

(猟犬2匹が逃走か:福岡)
福岡県警直方署によると、25日午前9時ごろ、同県直方市永満寺で、大型の猟犬2匹が逃走したという。犬は茶色と黒が混ざった色をしており、首輪がついている。同署は犬を見つけた時は▽近づかない▽目を合わさない▽食べ物を見せない-ようにし、すぐ通報するよう呼び掛けている。

(クマ出没か、ヒツジ2頭死ぬ:神奈川)
23日午後4時ごろ、南足柄市矢倉沢の農地で、クマにかまれて死んだとみられるヒツジ2頭が見つかった。市産業振興課によると、ヒツジの飼い主の男性が発見。男性は翌24日に松田署に通報し、県が25日に現地調査をしたところ、ツキノワグマによる被害とほぼ特定した。県や市は周辺の農道やハイキングコース入り口など計3カ所に看板を設置するなどして注意を呼び掛けた。周辺にセンサーカメラを設置したほか、同日から当面の間、ロケット花火を使った追い払い作業などを行う。市内でクマ出没が確認されたのは2012年11月以来といい、同課の担当者は目撃したときの対応について「走って逃げたりせず、刺激しないように、慌てずに静かに立ち去ってほしい」と注意と情報提供を呼び掛けている。現場は山間部で、周囲には住宅やペンションなどが建っている。

(獣害対策、県研究員が技術開発:山梨)
野生動物の食害に歯止めをかけようと、山梨県の研究員が道路から畑への動物の侵入を防ぐ、路面設置型のトラップを新たに開発した。シカやイノシシの侵入を96%以上防ぐもので実用化に向けて期待が高まっている。このトラップは、斜め35度に傾けた鉄板を10cm間隔で重ねたもので、車や人は通過できるが、鹿やイノシシなど蹄のある動物は鉄板に足をとられて通過することができない。従来のフェンスは道路と交差する部分で動物の出入りを許してしまったが、トラップの設置場所では、シカの通過を96・7%、イノシシは98・3%防ぐことができたという。トラップは県総合農業技術センターの本田剛研究員が開発し、26日、研究成果発表会で披露された。同じ効果を狙ったトラップは以前にもあったが、設置に工事が必要になるなど多額の費用がネックで、この点、新開発のトラップは地面に置くだけで設置でき、コストが大幅に圧縮できるという。開発したトラップは、現在、メーカーと実用化へ価格の調整を行っているという。

(ライフル射撃協会が助成金不正受給:鹿児島)
鹿児島県ライフル射撃協会が、県体育協会からの助成金26万円を不正に受給していたことが分かりました。協会で会計を担当していた理事は不正を認め、「心より反省している」と話しています。関係者らによりますと、県ライフル射撃協会は、おととし9月から12月に小中校生の向けの教室を8回開き、県体育協会から計26万円の助成金を受けました。助成金は、指導者への謝礼や交通費、会場使用料などに充てられるはずでしたが、県体育協会に提出された報告書には、指導していない2人の名前があったということです。また実際、指導した1人にも謝礼が払われなかったということです。協会の会計を担当していた理事は「私的な流用はない。協会の運営費が底をつき、謝礼を会の運営費に繰り入れた。不正と言われても仕方ない。心より反省している。」と話しました。協会によりますと県内のライフル射撃の競技人口はおよそ100人で、教室は、来年の「かごしま国体」に向けた競技人口の拡大を目的に開かれたということです。

(ハクビシン7年で100匹捕獲:和歌山)
和歌山県紀南地方で2012年に初確認された外来哺乳類「ハクビシン」(ジャコウネコ科)が生息域を広げている。調査している、ふるさと自然公園センター(田辺市)の鈴木和男さんの記録によると、捕獲数(交通事故含む)は24日現在、106匹となっている。17年と18年に捕獲された雌(24匹)の成獣は、多くが妊娠や子育て中だった。紀南での初確認は、12年5月14日に白浜町十九渕で捕獲された妊娠雌。同月24日には同じ場所で雌の幼獣が捕獲されている。13年は4匹と少なかったが、14年12匹、15年14匹、16年には24匹と一気に増えた。その後、17年19匹、18年29匹で推移している。今年に入っても1月に2匹捕獲された。地域別でみると、旧田辺市が63匹で最も多く、次いで旧白浜町の30匹だった。このほか、上富田町5匹、旧日置川町3匹、旧本宮町2匹、旧龍神村と旧中辺路町、旧大塔村がそれぞれ1匹。このうち、成獣が半数以上を占め、生後1年以内の幼獣も多く捕獲されている。

(ツキノワグマの生息最多に:岡山)
岡山県内に生息するツキノワグマの推定個体数(2018年末)は298頭で、県が推計調査を始めた12年以降で最多となったことが分かった。県内で昨年、人がクマに襲われる事案が15年ぶりに発生し、県は講習会を開くなどして被害防止を呼び掛けている。

(170キロ電気柵・金網、動物出没増加が原因:兵庫)
緑に恵まれた兵庫県三田市だが、人々が暮らしで関わり、親しむことのできる「里山」は危機に直面している。管理者が高齢になったり不在になったりして手入れが行き届かなくなり、奥山などにいた動物たちの出没が増加。田畑や集落への侵入を防ぐため、市が張り巡らせた電気柵や金網の総延長は約170キロに及ぶ。直線距離にして三田-名古屋間を超える長さだ。市は今年1月、「里山と共生するまちづくり条例」を施行。市域には阪神甲子園球場約14個分に相当する計54ヘクタールの竹林があり、その整備を促すなどとして2019年度予算案に110万円を計上した。竹を伐採して再生利用する事業者に補助金を出す。市の担当者は「事業者は今後選び、竹を生かした新しいビジネスにも期待したい」と話す。市によると、有害鳥獣の捕獲数は17年度、771匹と過去最高を記録した。最多はイノシシで302匹▽アライグマが286匹▽シカ100匹▽ヌートリア8匹-と続く。18年度も1月末時点で既に696匹を捕獲しており、前年度を上回るペースという。駆除増加の背景には、田畑や作物を荒らされる深刻な被害があり、その額は17年度が1314万円となり、10年度の3倍に膨らむ。市は6年前に「市鳥獣被害対策実施隊」を立ち上げ、県猟友会三田支部のメンバーと捕獲や被害調査を実施。アライグマ用のわなを市民に無償で貸し出したり、電気柵や金網を整備したりと被害防止策も進める。ただ、里山の荒廃が進む限り、出没と駆除が拡大していくという負の連鎖は止まらない。かつてのように日が差し込み、奥山の動物たちとはすみ分けつつ、子どもたちが多様な昆虫や植物に親しめる。そんな里山に戻せるか。市は「整備には市民の協力も呼び掛けていきたい」としている。

(ニホンジカ目撃相次ぐ:茨城)
大子町の八溝山山頂で食害をもたらすニホンジカとみられる雄のシカが確認されたことを受け、林業者向けの集会が26日、水戸市千波町の県民文化センターで開かれ、茨城県内でニホンジカの目撃が相次いでいることなどが報告された。専門家は「県内に雌が入り、子どもを産んで増え始めるのは時間の問題だ」と危機感を示し、目撃情報の共有で早期に対策を練る必要性を訴えた。集会は茨城森林管理署と県、県林業協会が共催。林業の関係団体などから約80人が参加した。同署の菊池毅地域林政調整官は現状報告で、近年は県北、県南地域を中心にニホンジカの目撃情報が相次いでいると指摘した。目撃されたニホンジカは雄や親子、子鹿だったとしつつ、食害は確認できなかったとした。その上で本年度から栃木、福島両県との県境にセンサーカメラを設置したことを明かし、昨年11月下旬には八溝山で雄のニホンジカを撮影したことを伝えた。さらにニホンジカが河川沿いを移動している可能性があるとし、「今後は山林ばかりではなく、河川敷にも目を配る必要がある」と呼び掛けた。講演した森林総合研究所の岡輝樹森林研究部門長は、ニホンジカの食害について「口が届くところは全て葉っぱがなくなる」と説明し、全国各地で森林の下草や樹木などの被害が深刻化しているとした。さらに分布域の拡大に伴い、防護柵の設置や維持にかかる費用が増大しており「農業にとっても林業にとっても最大の加害獣だ」と力を込めた。一方、ニホンジカが急増している岩手県を例に「雄が入ってきてから10年弱くらいで(ニホンジカの)生息地となる」と指摘。本県の定着阻止には目撃情報の共有化が先決として、情報共有サイトなどの取り組みを紹介した。その上で「一番有効なのは地域ぐるみだ」と力を込め、住民らを巻き込んだ活動にする必要性を訴えた。

(シカ、ひき逃げ続発:奈良)
奈良公園(奈良市)に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」が、車にひき逃げされるケースが後を絶たない。公園周辺では昨年、シカが巻き込まれた交通事故のうち、ドライバーから通報を受けたのは半数どまりだ。背景にはシカが天然記念物に指定されている事情があるとみられており、シカの保護活動に取り組む奈良の鹿愛護会は「多くのドライバーは天然記念物をはねたら罰せられると誤解しているのではないか」と推測している。昨年1年間で、同会が認知したシカの交通事故は110件。このうち、生息域を管轄する奈良県警奈良署が当事者から通報を受けたのは57件にとどまった。半数近くのドライバーはシカをはねた後、警察に通報せずにその場を去っていることになる。同会では、負傷したシカが現場から去り、その後に山中で死んでしまったケースは事故とみなしていない。このため、通報を怠っているドライバーの実数はさらに多いとみられる。原因の一つとして考えられるのは、奈良のシカが単なる野生動物ではなく、国の天然記念物に指定されていることだ。同会の職員によると、事故現場に駆けつけた際、ドライバーから「どんな罰則があるんですか」と質問されることが多いという。天然記念物を故意に傷つければ、文化財保護法違反に問われる。だが、故意でなければ罪に問われない。奈良署交通課の担当者は「誤ってシカをはねてしまった場合、物損事故として処理されるのが一般的」と説明する。一方、事故の通報を怠ると、道交法の事故不申告になる。道路に放置したシカの死骸が原因で別の事故を誘発した場合は、道交法の危険防止措置義務に抵触する。さらに物損事故の証明が署から発行されなければ、修理費用を自動車保険でまかなうことができず、経済的な負担も膨らむ。奈良市内では昨年、交通事故で死んだシカは66頭にも上った。同会の担当者は「すぐに治療すれば助かる場合もある。シカのためにも自分のためにも、きちんと通報してほしい」と呼びかけている。

(イノシシ165頭捕獲、目標数上回る:山形)
県が本年度、山形・天童、米沢・川西の両地域で実施したイノシシ捕獲事業が終了し、当初の目標数を上回る165頭を捕獲した。成果報告会が26日、天童市成生公民館で開かれ、参加者が活動を総括した。本県でイノシシは絶滅したとされていたが、生息域の拡大に伴って目撃情報が増え、今では県内でも繁殖が進んでいるとみられる。県の調査によると、2016年度末時点の生息数は約3200頭(推定)で、昨年に県レッドリストの絶滅種から除外された。捕獲事業は生息数の抑制を目的に、県猟友会などと連携して17年度から行っている。山形・天童は当初、100頭を目標としていたが、捕獲を始めた11月で既に97頭に達したため、115頭まで枠を増やした。ワイヤを用いたくくりわなによる捕獲が81頭と半数以上を占めた。一方、米沢・川西では、わなにはかからなかったものの、猟銃で目標とした50頭を捕まえた。全体では成獣142頭、幼獣23頭だった。報告会には猟友会のメンバーら約110人が参加した。県猟友会の山形、天童、米沢各支部の代表者が活動経過を報告し、「イノシシの出没は近年のことなので知識や技術が浅い」といった課題を挙げた。報告会で県みどり自然課の担当者は、今年1月28日、川西町で狩猟中だった男性がイノシシに右手首周辺をかまれてけがをしたことも明らかにした。猟銃で撃った後、逃げたイノシシを追っていた際、木の根元から突然現れて襲われたといい、参加者に周囲の確認徹底などを呼び掛けた。

(豚コレラ緊急対策事業実施へ:群馬)
群馬県渋川市は26日、平成30年度3月補正予算で計753万2千円の豚(とん)コレラ緊急対策事業を実施すると発表した。豚コレラが長野など5府県で発生したのに加え、20日には市内の養豚農家から県食肉卸売市場(玉村町上福島)に出荷された豚に感染の疑いがあるとして検査が行われた。結果は陰性だったが、関係者を不安を募らせており、感染防止などの徹底を図る。市内の養豚農家27戸に消毒薬剤などを無償配布するほか、感染源として疑われる野生イノシシの侵入を防ぐための電牧柵の設置に必要な資材などにかかる費用の一部も支援。市役所庁舎などの公共施設12カ所に消毒マットを設置し、捕獲奨励金なども増額補正する。

(狩猟誤射で死亡、被告に有罪判決:千葉)
サルを駆除するために撃った散弾銃の弾丸が男性の頭に命中し死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた無職、高橋勝被告(68)に対し、千葉地裁(本間明日香裁判官)は25日、懲役2年6月、執行猶予3年(求刑・懲役2年6月)を言い渡した。

(ジビエ専用アプリ、捕獲から出荷まで個体情報管理:兵庫)
ジビエ(野生動物)専門の食肉処理販売業「宝塚ジビエ工房」(宝塚市)が、ジビエの捕獲から食肉加工、出荷までの個体情報を記録管理する専用アプリを開発した。これまで手作業でしていた記録処理をアプリ上ででき、その情報が追跡可能になる。アプリの名称は「ジビエトレース」。同工房の処理場がある養父市の企業間連携推進事業を活用し、京都市の精密機器販売会社と連携して開発した。

(狩猟獣搬出、もっと楽に)
自民党が26日開いた鳥獣被害対策合同会議では、鳥獣を捕獲した場所から運び出す際に使う機器の試作品「ジビエストレッチャー」が披露され、出席議員が使い勝手をチェックした。イノシシや鹿などを捕獲しても、山間部で林道がないと、運び出す作業は重労働になる。このため作業負担の軽減が課題となっている。ストレッチャーの試作品は長野トヨタ自動車が用意。ワイヤと電動ウインチを備える。鳥獣を載せた状態でワイヤは車両や木などにくくり付け、ウインチで巻き上げてストレッチャーを引っ張り、移動させる。出席議員らは「林道もない奥地から重い動物を運び出すのは大変」として試作品に注目。車体は13キロあるため、軽量化を課題に挙げた。同社は10キロ未満に軽量化し、折り畳んで運べるよう改良する考えを示した。

(ジビエ安定供給、国が本腰)
人口減少を背景に中山間地の鳥獣被害が深刻化する中、イノシシやシカなどの野生鳥獣を食品として売り出す「ジビエ事業」に国が本腰を入れ始めた。全国でモデル地区を選定し、ジビエの安定供給を後押しする。だが、消費拡大には割高に受け止められている価格や、認知度不足といった課題も立ちはだかる。農林水産省のジビエ利用の「モデル地区」に選ばれた宮崎県延岡地区にあるジビエ販売、マツダコーポレーション(同県延岡市)は処理加工施設を完成させ、2018年11月に記念式典を開いた。同社の松田秀人社長(69)は「頭に描いていた通りの施設ができた」と自信を見せた。総事業費の半分近くを国の補助金で賄った施設は解体から食肉処理、調理まで可能。別棟には薫製室もあり、19年度はイノシシとシカ計1000頭の加工処理を目指す。農水省は18年3月、高い衛生基準でジビエを加工処理する全国17地区をモデル地区に選定。ジビエをビジネスとして軌道に乗せ、鳥獣による農作物への被害を減らすのが狙いだ。同省によると、16年度に全国で捕獲されたシカとイノシシは計約120万頭で、被害額は100億円を超える。対策として国は補助金支給などで後押しし、処理加工施設の数は全国で増加している。ただ、捕獲量に占めるジビエの割合は1割に満たない。そこで期待を集めるのが、主に都市部で高まっているジビエへの関心だ。宮崎市のカフェ「若草HUTTE(ヒュッテ)」ではシカ肉の料理やイノシシの焼き肉などを提供し、若い世代を中心に人気を集めている。店長の今西正さん(40)は、「いろいろな食べ方を提案していくことで、ジビエをもっと身近に感じてもらいたい」と意気込む。ただ、家庭での消費が広がるかどうかは未知数だ。九州各県でスーパーマーケットを展開するマックスバリュ九州(福岡市)は、一部店舗でイノシシ肉を取り扱っているが、売り上げが伸び悩んでいるという。イノシシ肉の販売価格は100グラム当たり400~700円台と、一般的な豚肉や鶏肉の3倍以上だ。担当者は「他の肉と比べ割高なことや、料理の仕方が分からないといったことが消費者にとってハードルになっている」と課題を指摘している。

(狩猟、ジビエ活用法考える:石川)
観光や旅行を通じ、自然環境や文化に理解を深めるエコツーリズムを勉強している中央大(東京)の学生四人が二十五日、七尾市能登島須曽町のイノシシ料理店「味処狩女(かりじょ)の里」で狩猟やジビエ(野生鳥獣肉)の活用法を考えた。エコツーリズムをテーマに研究する谷下雅義教授(52)=都市環境学、津幡町出身=のゼミ生の男女が訪れた。狩猟する女性でつくる団体「狩女の会」(七尾市)の主宰者、福岡富士子さん(48)=穴水町=が講師を務めた。学生らは昼食でイノシシ肉を使った丼と汁物を楽しんだ後、福岡さんに狩猟に関する質問をした。日ごろの活動で意識していることを尋ねると、福岡さんは「料理のアイデアをどんどん出し、イノシシを捨てるのではなく、どうしたら利活用できるかを重視している」と回答。学生らはすかさず要点をメモした。質疑応答の後、学生らは福岡さんの指導でイノシシの革細工でキーホルダーを作り、土産品としての価値を検討した。二年の浅野泰地さん(20)は「イノシシ肉は臭みがなくておいしかった。話を聞いて狩猟後の解体作業も気になった」と話した。ゼミでは二〇一五年から能登地方を舞台にエコツーリズムの企画を練っている。初めて狩猟やジビエを取り上げた。

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(3月、イノシシにワクチン)
吉川貴盛農相は二十二日、閣議後の記者会見で、岐阜県や愛知県で相次いでいる豚コレラへの新たな対策として、野生のイノシシにワクチン入りの餌を三月から散布すると発表した。豚コレラに感染した野生のイノシシを介して養豚場に広がったとみられており、封じ込めを強化する。野生動物へのワクチン投与は国内で初めて。豚コレラは昨年九月に岐阜県で二十六年ぶりに国内で発生が確認され、計五府県に拡大し、今月十九日には岐阜県瑞浪市で十例目が発生した。吉川農相は「野生のイノシシによる感染が疑われており、(新たな対策を打つ)時期が来た」と述べた。餌はワクチンをトウモロコシの粉などで包んだもので、ドイツから三月上旬に輸入。輸入量は一年超の散布量を想定した十二万個という。散布範囲は豚コレラに感染したイノシシが確認されている岐阜県と愛知県の一部地域に限定する。農林水産省によると、二十一日までの累計で岐阜県は百七十頭、愛知県は十頭の豚コレラ陽性のイノシシが確認されている。ワクチン入りの餌を食べると十日ほどで効果が発揮されるとされ、一年以上は散布を継続する方針だ。豚に対するワクチンもあるが、使用すると撲滅状態を指す「清浄国」への復帰が難しくなる。野生のイノシシへの使用は清浄国の扱いに影響しないため、農水省が使用を検討していた。

(豚コレラ感染経路「イノシシ関与」有力)
農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームは、多くの豚コレラ発生農場の感染経路に野生イノシシを挙げる。7例目までの岐阜県の事例では、何らかの形で野生イノシシが関連している可能性を改めて指摘。周辺でウイルスに感染したイノシシが見つかった農場もある。小動物を経由し、感染イノシシのウイルスが養豚場に運ばれたことも想定する。野生動物の侵入防止や、農場を行き来する人、車両などの消毒徹底が求められている。同チームは22日の第5回検討会で7、8例目を中心に発生農場の感染経路などを検証した。岐阜県各務原市の7例目では、発生1カ月前に感染イノシシが農場から2キロの地点で見つかっていることを指摘。野生イノシシ由来と想定した。さらに、農場内や周辺ではキツネなど小動物が目撃されている点を踏まえ、感染イノシシと何らかの形で接触した小動物が農場内にウイルスを持ち込んだ可能性も挙げた。1~6例目の検証結果も改めて整理。感染経路の一つに野生イノシシの可能性を挙げた。岐阜市の1例目は、イノシシが生息していると考えられる山林の周辺に農場があり、住宅地や大きな道路を避けて農場周辺に近付ける道があった。6例目の関市の農場でも、5キロ弱の地点で感染イノシシが見つかっている。こうした事態を踏まえて、農水省は野生イノシシに対し餌型のワクチン使用を決定。岐阜、愛知両県の感染イノシシから見つかった地域を中心に、一定の範囲内にワクチンを設置。3月から始め、複数年続ける見通しだ。一方、8例目の愛知県豊田市の農場は、農場を出入りする堆肥運搬車両の洗浄、消毒はしていなかったと指摘。発生は2月6日だが、ウイルスは11月下旬~12月中旬の侵入を推定した。一連の検証結果を踏まえ津田知幸チーム長は農場の出入り口や周辺、関連車両などに対し「適切な洗浄、消毒を徹底する必要がある」と強調する。

(感染イノシシ初確認、豚コレラ:岐阜)
岐阜県は22日、本巣、山県、美濃、美濃加茂、岐阜の県内5市で捕獲した野生イノシシ計10頭の豚コレラ感染を確認した。本巣市での野生イノシシ感染確認は初めて。累計は180頭になった。1頭が捕獲された本巣市根尾東板屋は、これまでイノシシの感染が確認された地点で最も北西。

(イノシシ北上、被害懸念)
イノシシが東北地方で生息域を広げている。「絶滅」と判断されてきた北東北でも目撃件数が増え、農作物被害も出ている。イノシシ対策はこれまで、被害が多かった西日本で重点的に実施されてきたが、専門家は「このままでは東日本でも甚大な被害が出かねない」と警告する。「イノシシの北上」を考えた。「我々にとってはまったく新しい動物で専門家もいない。今のうちに対策をしなければ被害が大きくなってしまう」。長年、イノシシの「空白地域」だった秋田県の自然保護課の担当者は危機感をあらわにする。環境省によると、1978年の調査では宮城県南部が生息域の北限。当時は30センチ以上の積雪が70日以上続く地域や、森林面積が40%以下の地域では生息が確認されず、北陸や北東北などにはいなかったという。しかし、2014年調査では北陸などでも確認され、分布域は1・7倍に拡大していた。40年以上イノシシを研究する農業・食品産業技術総合研究機構の仲谷淳専門員は「雪深いと動きにくくはなるが、豪雪・寒冷地帯で生きられないわけではない」と話す。78年時点では、たまたまいなかっただけのようだ。山形県は03年発行の「レッドデータブックやまがた」で「絶滅」に区分したが、02年1月に天童市内で1頭捕獲されて以降、目撃・捕獲数が増加。17年度時点で、県内に3200頭(推定)生息しているという。秋田県では、12年2月に県南部の湯沢市内で初めて目撃され、今年度は1月21日までに69件。目撃現場も北上しており、「7~8頭の親子連れの目撃情報もあり、すでに定着していると考えられる」(同県自然保護課)。青森県でも、南部の深浦町で17年8月に初めて確認された。同県自然保護課によると、今年度は目撃情報が12月までに13件に上る。江戸時代には各地でイノシシによる深刻な農業被害が頻発し、対馬(長崎県)で計画的に絶滅させた記録がある。東北では明治時代に豚コレラの流行で絶滅したとされるが、仲谷さんは「豚コレラ以前に農業被害対策で捕獲が進み、生息数が相当減っていたのではないか」と推測する。その後しばらくイノシシの空白地域になったため捕獲する人がいなくなり、イノシシにとっての「楽天地」に戻った。そこに関東地方から進入し、北に広がっているとみられる。東北農政局によると、17年度のイノシシによる東北地方の農作物被害額は約2億5000万円だが、仲谷さんは、このまま生息域が拡大すると数倍になると予測。「東日本では分布の最前線を制御して生息域を拡大させないのが喫緊の課題。自治体単位ではなく、広域で対策を考える必要がある」と指摘する。

(「イノシシ」100ベクレル超え:福島)
県が21日に発表した野生鳥獣28検体の放射性物質検査結果によると、矢祭町、相馬市、南相馬市で捕獲したイノシシ3頭、ヤマドリ1頭で放射性セシウムが食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えた。

(高い技術持つシカ狩猟者、県が育成へ:長野)
県林務部はニホンジカの捕獲頭数を増やすため、県内の狩猟免許所持者からの公募で高い捕獲技術を持つ狩猟者の育成に乗り出す。2019から22年度の4年間で計15人を育成。警戒心が強く、巧みに人を避ける「スレジカ」の増加や生息域の拡大、狩猟者の高齢化などを背景に減少傾向にある捕獲実績に歯止めをかけ、農林業被害を減らすことを目指す。狩猟者の育成は、プロのハンターを講師に招き、足跡を追い掛け銃で仕留める「しのび猟」を2年かけて学んでもらう。県によると、しのび猟は熟練することでスレジカでも捕獲できるようになるという。シカが足を踏み入れるとワイヤが締まる「くくりわな」が冬場に凍結して誤作動するのを防ぐ新技術も学ぶ。高度な技術を習得した狩猟者には、ニホンジカの捕獲が進んでいない標高が高い地域や、生息頭数が少なく捕獲が難しい地域での狩猟を促す。地元猟友会の会員を対象にした技術の講習会で講師役を務めるなど、高度な技術の普及にも貢献してもらう。17年度のニホンジカによる県内の農林業被害額は2億9400万円。捕獲や防護柵などの対策の効果で減少傾向にあるが、県鳥獣対策・ジビエ振興室は「依然として高い水準にある」として高い捕獲技術を持つ狩猟者の育成で対策を強化する。県の特定鳥獣保護管理計画は、ニホンジカの年間捕獲目標を15年度以降、4万頭に設定。実際の捕獲実績は15年度が3万1885頭(目標の79・7%)、16年度が2万5733頭(同64・3%)、17年度が2万6250頭(同65・6%)で、目標を大きく下回る状況が続いている。県は19年度当初予算案で、高度な捕獲技術者の育成関連事業に250万円を盛った。県鳥獣対策・ジビエ振興室は「増えすぎたニホンジカを適正な生息密度に戻し、農林業被害や自然環境への影響を軽減したい」としている。

(白いヒグマ、追跡調査へ:北海道)
八雲町上八雲の日本大演習林で希少な白毛のヒグマの動画撮影に成功した同大生物資源科学部(神奈川県藤沢市)の研究グループ代表の井上公基(こうき)教授が20日、はぴあ八雲で講演した。井上教授は、白いヒグマの子も白毛となるのかを含め、ヒグマの生態の「謎」解明に向け、追跡調査を行う方針を明らかにした。白いヒグマは、研究グループが設置した熱感知カメラが2016年から18年にかけて6回捉え、同一の雌とされる。野生の白いヒグマは北方領土の国後島と択捉島で確認されているが、北海道本島で繰り返し撮影された例は珍しい。井上教授は追跡調査について「(ヒグマの生態に)圧力を与えないことを前提に、新たな研究テーマを検討したい」と述べ、同学部の森林資源科学と獣医学、動物資源科学の3科が連携して進めていく考えを示した。また、演習林内の動植物の写真や動画を町のホームページなどを通じて公開することを提案した。講演は演習林内の調査報告会の中で行われ、50人が耳を傾けた。

(玉川国有林、今春も立ち入り禁止:秋田)
秋田森林管理署と秋田県仙北市は19日、昨年6月にクマに襲われたとみられる死亡事故が起きた仙北市田沢湖玉川の国有林について、2019年度も立ち入り禁止を続けることを決めた。範囲は宝仙湖周辺から鹿角市との境界まで。雪解けを待ち、国道341号沿いの林道入り口の施錠や駐車スペースの封鎖などを行う。同管理署と仙北市は同日、県や地元猟友会、仙北署などと市役所西木庁舎でツキノワグマ対策連絡会議を開催。現場周辺がタケノコ採りの盛んな場所であることから入林禁止の影響を危惧する意見も出たが、人を襲ったとみられる個体が特定できていないとして継続を決めた。入林禁止エリアにある林道13路線は入り口にバリケードなどを設置。玉川温泉周辺では、駐車スペースや入山できそうな場所をロープで封鎖する。タケノコ採りシーズンが終わる8月ごろ、玉川温泉から鹿角市との境界までの封鎖を解除し、観光客が国道沿いに駐車できるようにする。

(クマの目撃増加、狩猟期間延長へ:秋田)
県内ではこの数年、人里でのクマの目撃が増える傾向が続いていて、秋田県は対策のため、ことしからクマの狩猟期間をおよそ2週間延ばす方針を決めました。県内では、この数年、ツキノワグマの人里での目撃が増えていて、県によりますと、今年度はこれまでに900件以上の目撃情報が寄せられ、人が襲われる被害も7件起きています。このため秋田県は、クマを人里から遠ざけるためには、狩猟を行うことで、クマが人間を恐れるようにすることが効果的だとして、ことし初めてクマの狩猟期間を延長する方針を決めました。具体的には、これまで国の指針に沿って決めていた開始日を、およそ2週間早い11月1日とし、終了日は変えずに翌年の2月15日にするとしています。これは、狩猟の開始時期を早めることで、雪が深くなってクマが冬眠する前にハンターが山に入りやすくするのが狙いだということです。また、県内ではイノシシとニホンジカについても目撃件数が増え、農業被害が出始めていることから狩猟期間を延長し、クマと同じ期間にする方針です。県では今後、専門家などから意見を聞いたうえで、ことし夏にも正式に決定したいとしています。

(住宅街にサル出没:神奈川)
19日午前9時すぎ、横浜市神奈川区に出没したサル。雨どいをスルスルとのぼり、屋根の上へ逃げていった。横浜市によると、サルは、今月12日に大和市で見つかった後、横浜市で目撃されるようになった。そして19日午前、神奈川区の子安通で最後に目撃されて以降、行方が分からなくなっている。このサルは、県内の丹沢山地に生息する野生のサルの可能性があり、横浜市は、サルを見つけても近づいたり餌を与えたりしないよう呼びかけている。

(第6回全国鳥獣被害対策サミット:東京)
現在、鳥獣被害対策における担い手の確保や人材育成、体制づくりは多くの地域で課題となっています。こうした課題の解決に向け、他地域からの人材協力の受入や組織同士の連携など、新たな取組が各地で行われています。今回のサミットでは地域住民主体の被害対策を目指し、様々な立場から活動を支えている方々に、その取組や今後の展望などをお話しいただきます。

(急増する「ニホンジカ」の管理計画の方針示す:山形)
農林業などへの影響が懸念される「ニホンジカ」について、山形県は生息密度を「1平方キロメートルあたり1~2頭に抑える」などとする管理計画の方針を示した。県内の「ニホンジカ」は大正時代以降、長く絶滅したとされてきたが、2009年に大石田町で確認されて以降、目撃件数は増加傾向にあり、去年は103件と急増した。また5頭が捕獲されたものの、生息数の実態はまだ分かっておらず、今後個体数が増えれば、県内でも農林業などへの影響が懸念されている。「最初の目撃から10年が経過しているということで、目撃の増加だけでなく個体数自体が増加しているのでは」これを受け、県は個体数を調整する「管理計画」について、当初予定していた2021年度から新年度中に前倒して策定することを決め、14日、有識者などを集めた会議で骨子案を初めて示した。案には、生息密度を「1平方キロメートルあたり1~2頭に抑える」とする数値目標が盛り込まれたが、参加者からは「生息数が少ない今の実態に即した計画にすべき」などといった意見が出された。県の管理計画は「ツキノワグマ」や「イノシシ」に続き4件目で、県では出された意見を踏まえ、来年2月までに最終案をまとめる予定。

(アライグマ防除法学ぶ:石川)
近年全国的に野生化し、県内では南加賀を中心に生息している特定外来生物アライグマの防除講習会が、小松市役所であった。アライグマが増えると、農作物被害や生態系への影響、人への感染症媒介といった危険があるという。県と同市が開き、市内の三十三人が受講した。同市では、二〇一一年に市アライグマ防除実施計画を策定。一七年度は十一匹、一八年度は現在九匹が捕獲されている。受講者は、市の捕獲従事者となり、箱わななどを使って捕まえられる。動植物の生態系調査などをしている「地域環境計画」(東京)の専門家が講師を務めた。生態や外見での見分け方、家屋や畑への侵入を防ぐ方法などを説明。担当者は「数が増えてからの防除は大変。早期対策が重要」と呼び掛けた。続いて、市職員が箱わなの使用方法を実演した。日の出町の園部荘一郎さん(71)は、自宅の庭にアライグマが出たという。「かわいいイメージを持っている人が多いので、感染症の危険があることなどを周囲に伝えていきたい」と話していた。

(鳥獣被害対策専門員の募集:神奈川)
かながわ鳥獣被害対策支援センター(自然環境保全課平塚駐在事務所)では、野生鳥獣による農作物被害や生活被害を防止するため、地域が一体となって取り組む「地域ぐるみの対策」を進めています。こうした取組を広げていくため、地域の方や市町村に向けた技術的な助言や現場での支援を行う「鳥獣被害対策専門員」を募集します。

(ジビエ普及、担い手に:香川)
野生のイノシシやシカの肉「ジビエ」を有効活用しようと、県はハンターから鳥獣を購入し、処理して一般販売する「食肉処理施設」の開設などを目指す人材育成講座を初めて開いた。農地を荒らすイノシシなどを捕獲してもジビエとしての利用量は1割以下にとどまっており、大部分は廃棄されている。県は「県内に施設が少なく、適切な処理や衛生管理の知識を持つ人材を育成していきたい」としている。県が高松市内で9日に初開催した「ジビエ活用普及のための人材育成講座」。狩猟免許を持つ人が対象で、当初定員を100人としていたが、申し込みが殺到して約190人が参加した。野生鳥獣による農作物被害を防ぐため、県内の狩猟免許取得者は増えているが、捕獲した鳥獣の処理に困っているのが現状だ。県は解体技術講習会や調理講習会を年に数回開いてきたが、自家消費量には限界があり、ジビエとして消費者に届けられる食肉処理施設が必要と考えてきた。しかし兵庫県などの先進地と比べて県内は約10店と少なく、ノウハウを伝え、同施設を開設してもらおうと、講座を企画した。講座では、兵庫県丹波市にある野生鳥獣対策連携センターの松金知香さんらが講師を務め、食品衛生法などの関連法令や処理施設に必要な許可・資格などを説明。開設には、食肉処理業や食肉販売業の許可を保健所から得なければいけない。また施設内には食品衛生責任者の配置や、解体、包装など工程に応じて区画された部屋も必要となる。このほか、講座では素早い血抜きで肉に臭みが残らないようにする方法や、冷蔵庫での熟成・保管、販売価格の決め方などが示された。松金さんは「ジビエブームで初めて購入される人も多い。最初に良い肉を食べてもらわないと、二度と買ってもらえなくなる」と強調した。講座に参加したハンター歴4年という高松市の古市祐士さん(66)は「イノシシを捕って自家消費しているが、本当においしい。食べきれず、大半を捨ててしまうのがもったいなく、個人で処理施設をつくりたいと思った」と熱心に聞き入っていた。県みどり保全課は「想像以上の盛況ぶり」とし、今後も人材育成の講座を開いていきたい考えだ。県は2019年度一般会計当初予算案でハンターの育成やジビエ活用事業に570万円を計上した。県によると、県内に生息するイノシシは推計約2万9000頭、シカは約3200頭。昨年度末の狩猟免許保持者は2131人と5年前と比べて459人増えた。イノシシとシカの捕獲件数は計約1万3000頭で今後、さらに増える見込み。農業被害額は抑制される傾向にあるが、1億3300万円に上っている。

(イノシシ被害が全国最多、餌やりの罪:兵庫)
兵庫県内でイノシシが餌を求めて住宅街に現れ、ごみを荒らしたり人を襲ったりする被害が深刻化している。同県の人身被害の件数は環境省による全国調査が始まった平成28年以降2年連続で全国最多。その大半が住宅地に隣接する神戸市の六甲山周辺で発生している。市は「餌付け」を禁止する全国初の条例を施行するなど対策を講じるが、被害は一向になくならない。本来は臆病というイノシシが、なぜ兵庫では市街地に現れ人を襲うのか。「あれはもしかして」。神戸市東灘区に住む70代の女性は昨年10月、帰宅中に道路を横断するイノシシ3頭を見掛けた。慣れた足取りで市街地を歩き、ごみを物色していたという。女性は自宅近くでこれまでに何度もイノシシを見かけている。「食料品が入ったスーパーのビニール袋が狙われやすいと聞くので、手に持っていた袋をとっさに隠した。怖いのでその日は別の道から帰った」と振り返る。同区内で働く男性(57)もイノシシに遭遇した一人。午後10時ごろ、徒歩で帰宅中に肩にかけていたショルダーバッグを背後から引っ張られた。振り向いたが誰もいないので、しばらく歩くと再び引っ張られた。驚いて足下を見るとそこにいたのは大型のイノシシ。男性はバッグを渡し、少しずつ後ずさりした。しばらくにらみ合いが続いたが、イノシシは通りかかったバスに驚き、バッグを放して逃走した。男性は「バッグに食べ物が入っていると思ったのだろうか。こちらがあわてていたら襲われていたかもしれない」と話す。環境省によると、イノシシによる人身被害は29年度に全国で55件(76人)発生し、兵庫県が全国最多の15件(16人)だった。2位の京都府の4件(8人)に比べても突出する。28年度も全国の49件(64人)のうち最多の14件(14人)が兵庫県で、その全てが神戸市に集中していた。兵庫県内では昨年10月9日夜、神戸市中央区の路上で、バイクで走行していた70代の男性がイノシシと接触して転倒し、重傷を負った。同11月5日には同市灘区の路上で、パトロール中だった県警の男性巡査長がイノシシに襲われ、右足を切る軽傷。さらに同12月4日には神戸市と隣接する芦屋市の路上で、散歩していた80代女性がイノシシに左手の薬指をかみちぎられる重傷を負った。このほか、ハイキング中に尻をかまれたり、路上で食料の入った買い物袋を奪われたりと、さまざまな被害が発生している。いずれも六甲山のイノシシが住宅地にまで下りてくることで起きた被害だが、兵庫県森林動物研究センターの畑一志専門員は「本来イノシシは警戒心が強く、市街地に出てくる動物ではない」と指摘する。江戸時代に六甲山は当時、燃料となっていた薪の確保のため森林破壊が進んだが、明治時代に植林を進めたことで昭和40年代までに森林が回復。山にはイノシシの食べ物が豊富にある。それなのになぜ市街地にまで出てくるのか。原因は昭和40年代後半から見られるようになった住民による餌付けという。イノシシが人慣れし、「街に行けば食べ物がある」と学習してしまった。餌がもらえると思って人に近づき、被害に発展するケースも多い。住民の中には山からイノシシが出てくるのは「山に食べる物がないため」と勘違いして餌を与えるケースもある。畑専門員は「イノシシの賢さは犬以上。生存するための必死さはペットの犬とはプロとアマチュアほどの差がある」と話す。余ったネコの餌や放置されたごみも餌付けと同じ影響を与えるという。六甲山は鳥獣保護区に指定されているため狩猟ができない区域が多く、登山者に配慮して銃の使用も禁止されているため駆除も難しい。市街地に住み着いたイノシシは動かなくなって腹がふくれたり、筋肉が発達しないなど野生化とはほど遠く、人間社会に対応した姿に変わるという報告もされている。こうした状況を危惧した神戸市は14年、全国初の「イノシシ条例」を施行。規制区域を設けて、その区域での餌付けやごみ捨てを禁止した。しかし、思うような効果がでていない。26年に女子中学生が襲われるなど被害がさらに多発したことから、市は条例を改正してイノシシへの餌付けをやめない場合は氏名などを公表する罰則を設けた。ただ、これまで公表には至っておらず、住民による餌付けが依然行われているという。畑専門員は「市外からの登山者による餌付けが特に問題。『かわいい』『珍しい』と餌を与えてしまっている」とする。市は年中無休で相談や通報を受け付ける専用の「鳥獣相談ダイヤル」を開設。通報内容は猟友会や民間の捕獲事業者に伝えられ、わなを設置するなどの対応をとっている。イノシシによる農作物への被害も深刻で、兵庫県によると29年度の県内の農作物被害は約1億8千万円に上った。県は28年度に過去最多の1万9648頭を捕獲したが、イノシシは1回の出産で5頭程度を生むなど繁殖力が強く、数を減らすのは容易ではない。米国でも、同様にクマが餌を求めて民家やキャンプ場に侵入することが問題化。餌をやれば人に慣れて市街地に現れるため、餌をやった段階ですぐに殺処分が決まることもある。兵庫県鳥獣対策課の赤堀邦輝副課長は「イノシシは人に隠れて生活するのが本来の姿。市街地に出てきてしまうとわなの設置も難しく、住民感情などもあり捕獲が困難になる。厳密に餌付けを防止し、人と住み分けさせることが重要だ」と話している。

(ニホンジカの簡易捕獲技術開発:和歌山)
県林業試験場(上富田町)は、農林業に被害を与えているニホンジカをくくりわな(踏み上げ式)で簡易に捕獲する技術を開発した。エサなどでシカを誘引・誘導する方法で、未経験者でもベテランの狩猟者以上の成果が期待できるという。同試験場では「植栽したスギやヒノキの苗を食べられる食害が深刻。簡単な方法なので試してもらいたい」と話している。くくりわなはシカが踏み台に足を入れるとワイヤーが締まって捕獲するという仕組み。通常はシカが通る獣道に仕掛けるが、設置する場所選びなどに熟練した経験や高度な技術が必要となる。今回、林業試験場ではくくりわなの経験が乏しい人でも効果的に捕獲できる技術を開発した。方法は、1週間に1㌔のエサを3週間にわたって置き、ニホンジカの警戒心を弱める。次にシカがエサを食べようとすると必ずわなに足を入れるように倒木と石で「コ」の字のような形の囲いを作るというやり方。上富田町と田辺市で実験を行い、エサには牧草を固めて乾燥させたヘイキューブを使用した。シカの出現は給餌前と3週間の給餌後では約2倍に増え、実際に2カ所にわなを仕掛けたところ、20日間でそれぞれ5頭と8頭、計13頭が捕獲できた。通常の方法の2~3倍となる捕獲効率という。同試験場では「くくりわなを使ってシカを捕獲する場合は、狩猟免許が必要です。わなに掛かったシカは暴れるので、防護柵が破損されない場所に仕掛けを設置することも大切。今回は植栽地の防護柵の近くで実験を行ったが、畑の近くなどでも応用できるのでは」と話している。近く、県林業試験場のホームページにマニュアルを掲載する。

(ヌートリアの農業被害深刻:山口)
鳥獣被害と聞いて、イノシシ、シカを思い浮かべる方が多いが、ここ西日本では最近になって知名度を急速に上げてきた有害鳥獣がいる。南米原産の大型ネズミ、ヌートリアだ。

(わなオーナー制度など継続を:神奈川)
地域の自然環境の保全と経済的な自立を両立させようと、市民や行政、大学などが共同研究者となり小田原市内で2016年度から取り組んできた事業の最終報告会が22日夕、同市役所で開かれた。環境省のモデル事業としての実証期間が3月で終了するのに合わせ、わなオーナー制度をはじめとした研究成果や課題を報告。大学間の連携やビジネスモデルへの模索など、今後につながる総括を行った。同省のモデル事業「森里川海プロジェクト」は全国10地域で展開され、小田原市では「寄気(よせぎ)」と名付けた起業支援事業が行われている。市内の環境団体などでつくる横断的な組織「おだわら環境志民ネットワーク」(辻村百樹会長)と連携。ネットワークの会員や市環境政策課、東京工業大や慶応大、星槎大などの研究者や学生のグループが集まった。文教大は自然や歴史、文化など小田原固有の資源を生かしたエコツーリズムの可能性を発表。駅でのニーズ調査の結果、20代でも自然への関心が高いことを踏まえ、「学生が企画するエコツアーに興味を寄せる人は多い」と報告した。24日には同市荻窪の山林で、木と職人技の魅力に迫るモニターツアーを試行予定。4年生の小倉琴美さん(22)は「本格的なツアー開催まではできなかったが、今後は他の大学との連携も図っていきたい」と振り返った。高齢化が進む石橋地区の獣害対策として「わなオーナー制度」を実証した慶応大の報告では、センサーカメラを使った調査で最低9頭のイノシシの生息を確認した。1カ月4千円の出資でわなの購入費用などを負担してもらう代わりに、狩猟・解体や農業体験で還元する仕組みを構築。昨年11月から3カ月間で首都圏の10代から60代までの31人が参加した。狩猟免許を持つ4年生の菅田(すがた)悠介さん(23)が現地に住み込んで奮闘。リーダーの3年生、岩本将道さん(21)は「せっかく継続してきたので、企業と連携するなど、多くの人を巻き込んで続けたい」と話した。加藤憲一市長は「いろいろな行政分野を環境という観点で串刺ししてつなげていくことが必要。しっかり受け止め、反映していく」と協力に感謝した。

(イノシシ捕獲事業費、441万円増額:山形)
生息域が拡大しているイノシシの捕獲事業について、県は2019年度当初予算案で前年度当初比441万円増の1702万円を計上した。捕獲区域を拡大するためで、16年3月策定の県イノシシ管理計画に基づいて同事業を始めた17年度当初予算986万円から3年連続で増えた。

(県内にクマ3700頭:秋田)
秋田県は22日、2018年度の県内のツキノワグマの推定生息数を3700頭とする調査結果を明らかにした。17年度の推定2300頭から1400頭(60・9%)増え、記録が残る1984年度以降で最多となった。県は19年度のクマの狩猟期間を従来より2週間長くする方針を明らかにした。同日の県議会福祉環境委員会で示した。目視(4~5月)と、カメラトラップ法(9~11月)で調査した。目視では、県内180地点の生息区域で各地の猟友会がクマの足跡やふんなどから頭数を推定。カメラトラップ法はクマの胸の三日月形の模様を撮影して個体識別する方法で、仙北、湯沢・雄勝両地区の山間部に設置した自動カメラで写した個体から生息数を把握した。県は調査の精度向上に向け、17年度からカメラトラップ法を導入し、3年計画で地区を移して調査している。17年度は阿仁・森吉地区で実施。19年度は白神、鹿角両地区の予定。

(県内でイノシシ82頭を目撃:秋田)
今月8日時点で延べ82頭に上り、既に前年度の43頭の倍近くに増えていることが22日、分かった。イノシシの目撃や農作物被害が相次いでいるのを受け、県が秋田市のルポールみずほで開いた被害防止対策研修会で出席者に説明した。県によると、11市町で目撃情報があり、最も多かったのは湯沢市で47頭。由利本荘市は13頭、五城目町7頭、大仙市5頭、男鹿市、にかほ市、羽後町が各2頭、三種町、八峰町、潟上市、横手市が各1頭だった。イノシシ被害が目立つ宮城、山形両県から北上しているとみられるという。

(動物と衝突、10カ月で155件:山梨)
山梨県内で電車と動物が衝突する事故が相次いでいる。中でもJR身延線は昨年4月からの10カ月間で155件発生。2日に1回発生している計算だ。衝突する動物のほとんどがシカといい、JR各社は線路沿いに侵入防止柵を設置。

(新幹線停電、原因はフクロウ:石川)
17日夜に北陸新幹線で発生した停電は、フクロウが架線に衝突したことが原因と18日、分かった。昨年6月に富山―新高岡駅間でもカラスの接触で停電が起きており、野鳥対策が課題となっている。JR西日本金沢支社によると、黒部宇奈月温泉駅付近の枕野トンネル内の架線に、焼け焦げたフクロウの死骸が引っ掛かっているのが見つかった。架線は列車に電力を供給するために張られた電線。金沢支社は、過去に鳥の接触があった架線付近の柱に鳥よけの薬剤を塗ったり、とげの付いたワイヤを巻いたりしている。同支社は今回の区間にも同様の対策を検討する。JR西によると、架線は広大な範囲にわたり、鳥が接触する箇所を予測するのは非常に難しく、根本的な対策はないのが現状。担当者は「目視による巡回を地道にやるしかない」と頭を抱える。停電は17日午後7時25分ごろに発生。走行中の東京発金沢行き「かがやき513号」が緊急停止した。電源を入れ直したところ回復し、22分後に運転を再開した。上下線5本に最大34分の遅れが生じ、約2100人に影響した。

(豚コレラ、ジビエ業界に打撃:愛知)
愛知県と岐阜県で相次いで発生した豚コレラが、ジビエ業界に深刻な打撃を与えている。田畑を荒らす野生イノシシを捕らえ、食材として活用する取り組みが広がりつつあったが、販売自粛などを迫られている。愛知県豊田市の山間地にある「猪鹿工房・山恵(やまけい)」は2月初め、約30キロ離れていながら同じ豊田市の養豚場で豚コレラが確認されたことで、イノシシの引き取りを中止した。店長の鈴木良秋さん(67)は「豚コレラは人に影響はないと言われるが、万が一、豚に感染を広げる原因となっては取り返しがつかない」と話す。駆除したイノシシとシカの肉を有効利用しようと地元有志が立ち上げた店で、今年は創業4年目。ロースやバラ肉のほか、ウィンナーなどの加工肉も扱い、売り上げは徐々に伸びていた。取扱量の9割はイノシシで、昨年4月から今年2月初めまでに約450頭を引き取ったが、今後の入荷の見通しが立たない。「この状態が続くと営業ができなくなる。死活問題だ」豊田市北小田町でジビエ料理店「山里カフェMui(ムイ)」を営む清水潤子さん(47)によると、今年は亥(い)年とあって、イノシシ肉が一番人気。自身で捕獲した元気なイノシシの肉だけを使い、解体の際にも異常がないか慎重に確認しているという。「早く落ち着いてほしいけれど、そのためには感染源が解明され、正確な情報を発信してもらわないと」と話す。豊田市と接する同県設楽町の観光協会は、昨年12月から「設楽猪(しし)鍋セット」の販売を自粛している。毎年300セットを準備し、予約受け付け開始から1~2日で完売になっていた人気商品だが、「お客さんの不安を考えるとやむを得ない。楽しみにしている人も多く本当に残念です」と担当者は肩を落とす。農林水産省は3月にも、国内で初めて野生イノシシにえさ型ワクチンを使うことを決めた。「山恵」の鈴木さんは「専門家の間で効果について意見が分かれ、終息まで何年もかかるという話も聞くが、そんなに時間がかかるのは困る。何よりも早く養豚場での感染が解決して終息宣言が出てくれれば」と望む。

(市長と猟友会の意見交換会:愛知)
有害鳥獣害について対策を考えてもらおうと新城市猟友会(佐藤勝彦会長)は12日、新城観光ホテルで穂積亮次市長らと意見交換会を行った。会員らは畑や民家での防止、若手の狩猟者育成の必要性を訴えたほか、イノシシやシカの肉をジビエ料理への活用法などを穂積市長に要望、提案した。会員の高齢化や、イノシシやシカによる農作物被害が後を絶たないことから会と行政と情報共有の場を設けた。会からは11人、市から穂積市長、産業振興部、農業関係ではJA愛知東役員が出席した。同会からはイノシシやシカは「入れない、近づかない、捕獲することが必要。農家では畑に未流通の作物を放置しないことなど、各家庭への呼び掛けが大切。市が先頭に立って講習会などを開催してもらえれば」と要望した。また、ジビエ料理への活用策として移動解体車「ジビエカー」の導入や、廃校となった施設を解体場所として利用を提案したほか、シカやイノシシの野生動物が関連する交通事故「ロードキル」が多発していることへの対策を訴えた。

(若手ハンター3人デビュー:石川)
イノシシの農作物被害を防ぐため、南砺市蓑谷の20代~40代の「若手」3人が狩猟免許を取得し、会員の高齢化が進む市猟友会に入会した。免許取得費用は被害を懸念する地元自治会が負担した。3人は11日、実戦デビューし、イノシシ1頭を捕獲する成果を挙げており、関係者は今後の成長に期待した。入会したのは山田哲弘(あきひろ)さん(42)、田原政人さん(39)、木戸久暉(ひさてる)さん(25)。3人は会社員で木戸さんは市猟友会で最年少会員となった。昨年4月、山すそにある蓑谷自治会が「イノシシの増加で田んぼの被害が懸念される」と地元のハンターを育てることになり、免許取得費用を負担する条件で受験者を募った。山田さんら3人が警察や県の講習会や試験を受けて、昨年10月に狩猟と猟銃所持の免許を取得した。11日は3人はベテラン会員と3グループに分かれて祖谷の山中に入った。会員が寝ているイノシシを見つけ、木戸さんが撃ち、逃げ出したところを入会3年目の会員が仕留めた。イノシシは成獣で85キロあった。市猟友会は会員約70人で、会員数は横ばいだが60代~70代が中心で高齢化が進んでいる。中川一男会長は「狩猟で一人前になるには経験を重ねる必要があり、若手が技術を受け継いでほしい」と期待した。田原さんは「約3時間、山を歩き続けて疲れたが、やりがいを感じた」、山田さんは「早く一人前になりたい」と意欲を話した。木戸さんは「銃を撃つ時は緊張した。蓑谷でも狩猟ができるように経験を積みたい」と力を込めた。

(小学生がイノシシの被害を学ぶ:熊本)
宇城市の小学校でイノシシによる農業被害に関する講演会が開かれ、児童たちが被害の現状や対策を学びました。この講演会は、宇城市三角町の三角小学校が地域に関する総合学習の一環として開いたもので、3年生の児童25人が参加しました。講師には県内の農家で作るイノシシ問題対策グループの代表、宮川将人さんが招かれ、農作物被害の現状を説明しました。宮川さんは、イノシシによる被害で農業を辞める人も出てきていると指摘したうえで「人が暮らす場所にイノシシがウロウロするようになると、実際に害を加えるなどして人が住めなくなる可能性がある」などと語りかけました。宮川さんらのグループは、イノシシによる農業被害を防ぐため、3年前から、人が住む地域に出てくるイノシシを捕獲する取り組みを続けていて、年内にも食用のための解体施設をつくる計画です。この日は、宮川さんたちが捕獲したイノシシの試食会も開かれ、児童たちは、初めて食べるイノシシを美味しそうに味わっていました。参加した女子児童は「イノシシを捕まえて殺すのはかわいそうと思ったけど、人の役に立つためならしかたががないことだなと思いました」などと話していました。

(狩猟や動物解体、移住ツアー:京都)
移住や里山の暮らしに関心がある人を対象にした「真冬の丹後半島・世屋暮らし体感ツアー」(府丹後広域振興局主催)がこのほど、宮津市の上世屋地区で開かれた。大阪府内の男性2人が狩猟や野生動物の解体、地域住民らとの交流を通して農村の暮らしに触れた。「ナイフで骨を感じつつ、肉を残さないように切っていきます」。上世屋の解体施設で農業兼猟師の小山愛生(ひでき)さん(37)がイノシシの肉を傷つけないよう手際良くさばいていく。参加者の建設作業員北川誠康さん(48)=大阪市=と、立命館大2年成田丈士さん(21)=大阪府茨木市=も約20キロの子イノシシの解体を手伝った。ナイフを入れる力加減に苦戦しながら骨と肉を切り分けた。ツアーは丹後を移住先として考えてもらうと企画。地域の生活に溶け込んでもらうため4泊5日の日程で行われ、住民団体「ドチャック会議(上世屋定住促進協議会)」が迎え入れた。2人は地域に伝わるこんにゃく作りをしたり畑仕事をしたりしたほか、小山さんら猟師たちが活動する山も巡った。雪上に残された動物の足跡から種類や体長、進行方向などを推測する方法を学びながら、うっそうとした獣道を進んだ。夫婦で移住先を探しているという北川さんは「自然と生きる人たちの自立力を感じ、移住のイメージが湧いた」。成田さんは「加工前の食材を見ることができ食について考えられた。生き方の選択肢も参考になった」と振り返った。小山さんは「村の人と触れ合うことでたくましさや暮らしぶりが伝わったと思う。ハードルは高いけど今後の移住につながれば」と話した。

(映画「カレーライスを一から作る」上映会:京都)
ハートピア京都(京都市中京区烏丸通丸太町下る東側町、TEL 075-222-0874)で3月2日、映画「カレーライスを一から作る」を上映する。主催は京都映画センター(京都市中京区)。映画は冒険家で医師の関野吉晴さんと武蔵野美術大学の課外ゼミの学生が9カ月掛けてカレーライスを一から作るまでを追ったドキュメンタリー。野菜や米に限らず鶏やスパイス、塩、食器やスプーンまでを作る中で、悪戦苦闘したり家畜に愛着が湧いてしまい殺すべきか葛藤したりするメンバーの姿を描く。上映後は元会社員で現役猟師の林利栄子さんを招き、講演「命をいただくということ」を開く。狩猟活動や、そこで感じた命の重さなどをテーマにトークを展開する。京都映画センターの宇都宮信人さんは「人が生きるためにはほかの命を食べないといけないが、命を食べるという行為はどういうことか、映画だけでなく、林さんの講演を通じてより深く考える機会になるのでは」と話す。

(自然体験会、ニホンジカに注意を:富山)
野生動物と人の関わりについて考えるイベントが自然博物園ねいの里で開かれました。このところ、県内では、サルやイノシシの出没が問題となっていますが、専門家は、今後はニホンジカの影響が心配されるとしています。このイベントは、野生動物への理解を深めてもらおうと、自然博物園ねいの里が企画したもので、家族連れなどおよそ60人が参加しました。中では、ニホンジカのはく製を見せながら職員が体の構造を解説し、人間が足の裏全体で歩くのに対し、4つの足がある動物は指で歩くことなどを説明しました。このあと、今月8日に狩猟で捕獲された体調1メートル30センチのニホンジカの解剖が行われました。子どもたちの代表も解剖に参加し、職員に教わりながら筋肉の部位ごとに手際よく切り取っていました。野生動物をめぐっては、近年、イノシシやクマによる農作物被害が増えています。しかし、専門家は、注意すべき動物はそれだけではないと話します。(ねいの里・間宮さん)「近年、人と野生鳥獣のあつれきが増えていて、特にイノシシの農作物被害の状況は大きい。シカも分布が拡大しているという状況の中で」今後、ニホンジカによる被害が懸念されるというのです。ねいの里によりますと、県内で捕獲されたニホンジカの数は、9年前はわずか4頭でしたが、3年前は122頭、おととしは155頭となり、増加傾向にあります。すでに、長野県などでは農作物や高山植物などに大きな被害が出ています。(ねいの里・間宮さん)「今は被害がない状況だが、今後増えてくると自然生態系への影響が大きく懸念される。そういった事がないように早め早めの対策が期待される」11日は、イベントの最後にニホンジカの肉が入ったカレーうどんが配られ、子どもたちは初めての食感を楽しみました。(子ども)「初めて食べた。甘い」「なんか柔らかくて、レバーみたい。美味しい」(間宮さん)「今後イノシシやシカについても1人1人がどうやって付き合っていけばいいのか特に中山間地の人も含めてみんなで考えてうまく付き合っていく住み分けが出来るようになればいいので今後もこういう情報共有に取り組んでいきたい」ねいの里では、今後もニホンジカの分布範囲の把握や生態調査を行い、普及啓発活動を続けていきたいとしています。

(獣害への対処法学ぶ:和歌山)
和歌山県の日高地域鳥獣被害対策本部(本部長・日裏勝己印南町長)はこのほど、本年度の研修会を御坊市名田町にあるJA紀州がいなポートで開いた。地元の農家ら約80人が、効果的な獣害対策について専門家の講演を聴いた。同本部によると、日高振興局管内の2017年度の鳥獣害による農作物被害は果樹を中心に約5千万円で、ニホンザル、イノシシ、ニホンジカが全体の8割以上を占める。講演では、岐阜大学の森部絢嗣准教授(39)が「シカ・イノシシの生態と効果的な被害対策について」と題して話した。森部准教授は「獣害は人や体制の問題だ」と述べ、シカやイノシシの生態を解説し、田畑の管理ができておらず追い払いもないと、ここは安全だと思った野獣がすみ着いて繁殖する仕組みを説明。電気柵の設置や管理方法についても具体例を挙げて助言した。捕獲については数にこだわるより、まずは成獣を捕らえることを強調。初心者も可能なわな猟についても取り上げ、倒木や岩などを利用して餌を置き、シカやイノシシの通り道にくくりわなを仕掛ける例を紹介した。捕獲後の処理について、地域で協力体制を築いていくことを勧めた。

(ICT活用し獣害対策、スマホで遠隔操作:兵庫)
自宅のパソコンやスマートフォンから操作でき、捕獲頭数の調整も可能-。シカやイノシシ、サルなど獣害対策の効率を大幅に向上させる策として、各地に情報通信技術(ICT)を備えた捕獲おりが広まっている。兵庫県も2019年度にイノシシ対策として30基を導入予定だ。人工知能(AI)を活用し、自動で捕獲する機械もすでに実用化されており、高齢化が進む獣害の現場で期待される。ICTを活用した捕獲おりの基本的な仕組みは、備え付けたセンサーや赤外線カメラなどで内部への進入頭数やおりの周辺状況などを把握。その情報がインターネット回線を通じて手元のスマホなどに届き、遠隔操作でおりの門を閉めることができる。閉める操作にはわな用の狩猟免許が必要で、機種にもよるが価格は装置だけで数十万円から。おりと合わせると100万円台が中心になる。決して安くはないが、離れた場所からおりの状況を確認できるため、見回りをする手間を省けるメリットは大きい。ゲートの操作も簡単で、例えば群れの進入を確認してから一網打尽にしたり、狩猟禁止獣の誤捕獲を防止したりと、狙いを絞って捕獲ができる。兵庫県立大などが開発に関わり、兵庫県加古川市の調査会社「一成」が11年から販売する「かぞえもん」はAI機能を搭載した優れものだ。捕獲おりに進入した害獣の頭数データを蓄積し、おりの大きさなどに応じたベストの捕獲頭数をはじき出す。設定した頭数に達した瞬間、自動でおりが閉まるという。また、近年のICT捕獲機は、ウェブ上で会話のようにメッセージをやりとりできるチャット機能を併設したり、複数のおりを同時に管理できたりと情報機能が充実している。「かぞえもん」も15年には「かぞえもんAir」にバージョンアップ。一成の担当者は「捕獲情報を猟師とおりの設置者の双方へ同時に届けることができ、仕留めの作業も効率的に行える」とPRする。兵庫県ではイノシシ対策として、19年度当初予算案にICT大型捕獲おり30基の導入費用を盛り込んだ。希望する市町や農会など、団体に貸与する形での運用を検討しており、鳥獣対策課の担当者は「効率の向上、狩猟に慣れない住民や集落へのサポートを通じて、捕獲に対する地域の意欲を高めたい」と期待を寄せる。ICTなどを活用したハイテク捕獲おりが開発された背景には、獣害が多発する中山間地域の住民と猟師の高齢化がある。環境省の資料では2015年度の狩猟免許所持者は約19万人で40年前の4割以下に激減。60歳以上の割合も8・8%から63・3%と大幅に増えた。三重県でサル対策に取り組み、捕獲おりの遠隔監視装置「まるみえホカクン」の開発にも関わった兵庫県森林動物研究センター(丹波市)の山端直人主任研究員は「足跡から動物の動きを読み取れるような熟練者も減り、過疎高齢化の農村では人海戦術には限界がある。ICT捕獲おりは少人数でも取り組める有効な手法」と話す。「まるみえホカクン」も加古川市の調査会社が開発した「かぞえもんAir」と並んで県内で多く使われている機種。ライブ映像で状況確認ができ、遠隔操作で捕獲ができる仕組みで、最大の特徴はクラウドシステムの活用だ。多くの関係者が情報の共有と交換をできる仕組みを盛り込むことで捕獲を共同作業化し、住民たちの幅広く積極的な関与を促すという。山端さんは獣害対策は地域全体で取り組むべき課題とし、「ICT捕獲おりも道具にすぎないので、何のための捕獲か、目的を明確にしないと有効に活用できない。防護柵も含めた総合的な対策も踏まえるなど、運用する側の人材育成は忘れてはいけない」と指摘する。

(世界の環境の今、映像で問う:東京)
世界の環境の今を伝える映像作品から優れた作品を選び上映する「グリーンイメージ国際環境映像祭」(佐藤忠男実行委員長)が、22日から3日間、日比谷図書文化館(千代田区)で開かれる。年一回の開催で、今回は六回目。世界四十八の国と地域からアニメーション、ドキュメンタリー、ドラマなど百六十三作品の応募があった。会期中は、このうち選考された入賞十作品が上映され、大賞が一作品選ばれる。日本からは三作品が受賞。うち二作品は狩猟が題材で、「坂網猟-人と自然の付き合い方を考える」(今井友樹監督)は、石川県加賀市で三百年以上続くカモ猟を、「けもの道 京都いのちの森」(川原愛子監督)は現代の猟師を撮った。川原監督と猟師の千松信也さんらのトークもある。もう一作品は、東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の漁村を追った「願いと揺らぎ」(我妻和樹監督)。

(シカ害ないはずが…:奈良)
若者の流出に歯止めがかからず、人口減少率が全国でワースト5位にランクされる奈良県東吉野村。典型的な過疎の村が7年前、起死回生の一手として打ち出したのがユズの栽培だ。寒さに強いユズは育てやすく、シカの食害を受けにくい農作物として知られる。ところが、ふたを開けてみると、シカに葉を食べられるケースが相次ぎ、収穫量は当初の見込みを大幅に下回った。人口約1600人の村の約100世帯が参加したプロジェクト。「ゆずの里」へのシナリオには狂いが生じたが、村民はめげていない。

(「対策強化」考えるフォーラム:神奈川)
箱根近隣のシカの調査や清掃活動などを続けるNPO・小田原山盛の会が「箱根山地のシカの生息密度が急上昇している」と指摘し続けている。同会では23日 午後1時から小田原市役所横の生涯学習センターで「箱根山地のシカ対策強化」をテーマにフォーラムを開く。林業被害について仙石原野生鳥獣クリニックの柏木聰さんが調査報告するほか、湯河原町や箱根町など行政サイドの取り組みも発表する。参加は無料。シカは食べる草木に選り好みがあり、増え続ければ貴重な植生に影響が出るのは必至だ。ススキ草原で知られる仙石原湿原も最近になり、金網で囲まれた。シカの総数を正確に把握するすべはないが、同会の調査で林道やゴルフ場周辺など、出没しやすい「ホットスポット」があることが分かってきた。町内の猟友会員や観光関係者に取材しても「数は増えている」という声がほとんど。足柄下郡3町などに会員を擁する小田原森林組合によれば「増加したのはここ2から3年」。植林した若い木を好み、先端から食べたり、大樹の幹にも角をこすりつけて傷めてしまう。過去にシカの増加で注目された丹沢では、下草が減り各地で土がむき出しになった。現在は管理捕獲に加えて至る所にシカ除けの金網が設置されているが、箱根に柵は少ない。外輪山の北側、長尾山の尾根ではすでに下草や低木が減るなど丹沢に似た光景が広がる。それでも一般人には「食圧」による変化や影響は分かりにくく、話題にのぼらない。同会の川島範子さん(60)は「観察会などで伝え続けるしかない」と話す。

(漫画「罠ガール」が話題)
鳥獣による農作物被害が各地で深刻化する中、女子高生2人がわな猟で動物を捕獲する漫画「罠(わな)ガール」が話題を呼んでいる。作者は、自身も農家の後継ぎでわな猟免許を持つ福岡県在住の緑山のぶひろさん。「中山間地の現状が伝わり、狩猟や駆除に興味を持ってもらえればうれしい」と話している。罠ガールは、月刊誌「電撃マオウ」に連載中。わな猟免許を持つ朝比奈千代丸と昼間レモンが、農作物を荒らすイノシシや鹿などをわなで捕獲しようと奮闘する物語。2017年12月に発売された単行本第1巻は続々重版して、第3巻までの発行部数は計約11万部に達するほどの人気だ。千代丸もレモンも実家は農家。第1話ではレモンが育てたホウレンソウが食い荒らされ、2人で荒らしたイノシシを捕獲すべく「くくりわな」を仕掛ける。随所でわなの仕組みや使い方、動物の生態を解説していて、狩猟に縁遠い読者も理解しながら読み進められる。緑山さんは、大学卒業後にいったんは就職したが、高校のころからの夢だった漫画家を目指し上京。専門学校を経てアシスタントとして働いた後、数年ぶりにコメ農家を営む福岡県内の実家に戻ると、周囲の田畑でイノシシや鹿による農作物被害が深刻だった。わな猟の免許を持つ父親と駆除に取り組むようになり、自身も免許を取得。現在の担当編集者が、別の漫画家から緑山さんのことを耳にして、わな猟をテーマにした漫画の執筆を依頼。「罠ガール」が誕生した。鹿の解体シーンを描くために埼玉県であった解体のデモンストレーションに出向くなど自身の知識で足りない部分は取材で補っている。捕獲された動物を食するために処分するシーンを丁寧に描くことで「生」をいただくことの重さを伝える漫画にもなっている。農林水産省の統計によると、鳥獣による農作物の被害は年々減少傾向にあるとはいえ、17年度の被害量は47万4000トン、被害額は164億円に上る。被害額のうち6割超はイノシシと鹿が占めている。緑山さんは「人手とわなの数が足りない」と駆除する態勢が追いつかない現状を指摘。「すべてを駆除するのは不可能で、いずれは柵を作って動物を山に押し上げるのが一番の理想。作品を通して鳥獣被害の現状を知ってもらいたい」と話している。

(イノシシでまちおこしを:佐賀)
厄介者のイノシシでまちおこしをしようと、地元の若手猟師や旅館経営者らのトークセッションが佐賀県嬉野市嬉野町吉田の肥前吉田焼窯元会館であり、約40人が参加した。イノシシ肉を使ったフランス料理の試食会もあり、参加者らは舌鼓を打った。20~30代の猟師でつくる「嬉野狩部」が、「肉の日」の9日に合わせて企画した。代表で元農家の猟師・太田政信さん(30)はトークの冒頭、イノシシの全国での農業被害面積が、嬉野市の農地面積よりずっと広く、被害で農家をやめていく人もいると問題提起。イノシシを、肉や革製品など「資源」にすることもできるとして「ピンチではなくチャンスかもしれない」と呼びかけた。茶農家の田中将也さん(30)は「肥料をやっているすぐ横をイノシシが走っていることもある。イノシシも慣れてきている」と実例を挙げ、「捕獲量が増えたら助かる」と話した。このほか、「東京から来た観光客に向け、ジビエなどのレストランがあったらいい」「量が確保できないと産業としては続かない」などの意見が交わされた。試食会ではイノシシ肉のパテや赤ワイン煮などが出され、参加者は「全然臭くない」などと話しながら口に運んでいた。基山町の小学4年、森山慶久君(10)は「イノシシは焼いて食べたことがある。(今回のは)生ハムがおいしかった」。母の茜さん(37)は「高級志向でびっくり。普段食べる味ではないけど、臭いというイメージがある人にはいいかもしれない」と話した。太田さんは将来的に食肉処理場をつくり、嬉野産の肉を流通に乗せたいといい、「イノシシがいることをプラスに考えてもらうきっかけになったかと思う。情報発信しながら、応援してもらえるようにしたい」と語っていた。

(国の認証制度が始まり、ジビエがもっと身近なものになる!?)
近年、おしゃれなレストランや温泉宿などで人気が高まっているもの。そう、ジビエ料理だ。 ジビエとは、シカやイノシシ、ウサギなど、野生鳥獣の狩猟肉のことで、山間部では古くから食されていた。最近では、秋から冬にかけての味覚の一つとして注目を集めるようになり、都市部に専門店も増えている。 しかし、ジビエは野生の肉ということもあり、肉の品質や細菌など、衛生面で注意が必要だ。これまでは解体や加工に関するルールがなかったが、今年から全国統一の認証制度もスタート。これを機に、ジビエ料理がもっと身近な存在となっていく可能性も高まるのではないだろうか。現状を調査してみた。ジビエはフランス語で、「狩猟によって捕獲した野生鳥獣の食肉」を意味する。もともとはフランスをはじめヨーロッパ各地の広大な領地を持つ貴族たちが、自ら狩りを楽しみ、そこで捕獲した野生鳥獣の肉を調理して食べることから始まったものだ。つまり、貴族の高級な伝統料理として発展してきた食文化というわけだ。日本にも、猟師が山で捕獲した野生鳥獣の肉を料理する「またぎ料理」などもあるが、こちらは鍋料理など、どちらかといえば素朴な田舎料理。これに対して「ジビエ料理」と言うときには、フランス料理を中心に高級で特別な野生肉料理を指す。森を自由に駆け回っていた野生鳥獣の肉は、脂肪が少なく引き締まり、栄養価が高い。その肉をはじめ、内臓や血液など、すべての部位を上手に料理し、美味しくいただき、森の生命に感謝するという考え方が、ジビエ料理の根底には流れている。日本国内で、ジビエといえばシカやイノシシなどの肉が代表的だ。これらの野生鳥獣は、ジビエ料理の食材となるが、農作物に被害をおよぼす害獣でもある。しっかりと駆除しなければ、山間部の農家などに大きな損害を与える。農林水産省の調査によれば、鳥獣による2017年度の農作物被害は、被害金額が約164億円で、前年度に比べて約8億円減少(対前年5%減)している。被害面積は約5万3000ヘクタールで、これも前年度比約1万2000ヘクタール減少(対前年18%減)、そして被害量は約47万4000トンで、前年比約1万3000トン減少(対前年3%減)している。また、主な獣種別の被害金額については、シカが約55億円で前年度比約1億円減少(対前年2%減)、イノシシが約48億円で、前年度比約3億円減少(対前年6%減)などとなっている。年々被害が減少しているのは、さまざまな防止対策を施しているからだ。それでもなお160億円を超える被害が出ているのだから、農家にとっては深刻だ。野生鳥獣による農作物被害によって、農業を続けることが困難になり廃業する人もいるくらいだ。今後も実効性のある被害防止策が生まれてくることが求められている。鳥獣被害対策が進み、毎年、捕獲される野生鳥獣の数は増加しているが、その9割以上は焼却されたり、埋められたりしているという。頭数でいえばイノシシは約62万頭、シカは約58万頭(いずれも2016年度)が捕獲されており、それぞれの肉の利用率は捕獲頭数の8%ほどでしかない。まだまだ日本でのジビエ料理は非常にニッチなジャンルと言えるだろう。

(白神ビジターセンターが出張イベント:青森)
白神山地ビジターセンター(西目屋村)の出張イベント「白神山地ビジターセンターがやって来たin青森市&Kidsフェア2019」が23日、2日間の日程で青森市の県総合社会教育センターで始まった。ワークショップやアトラクションを通じ、子どもから大人まで幅広い年代が白神山地の魅力に触れ、世界遺産の価値を学ぶ。

(駆除動物をおがくずで分解:北海道)
バイオトイレ開発の正和電工(北海道旭川市)は駆除したエゾシカなどの動物を分解処理する装置を開発した。動物の死骸を投入すれば、おがくずで約2週間かけて分解する。道内外の自治体などに売り込む。し尿をおがくずで分解する同社のバイオトイレの特許技術を活用。福井県大野市がこのほど、装置2台と骨の破砕機1台を購入し、稼働させた。農作物被害が深刻だったイノシシやシカの処理に活用している。

(サムライ6号ファンドは34.5億円、ペット用ジビエ肉とバーチャルアドレスに投資)
サムライインキュベートは2月21日、同社運営のファンド「Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合」で34.5億円の組成を完了したことを発表した。当初目標だった30億円を超える規模になったとのこと。同社は、創業時のスタートアップに特化したベンチャー・キャピタル(VC)。6号ファンドの投資テーマは、物流、ヘルスケア、リテールテック、フィンテック、建設、MaaSなどの領域で、日本、イスラエル、アフリカ大陸などでスタートアップを支援する。1社総額で5000万円程度の投資を実施予定とのこと。同ファンドはすでに始まっており、国内ではペット用国産ジビエ定期便サービス「Forema」(フォレマ)、アフリカ・ケニアでは住所がない人向けにバーチャルアドレス発行サービスを展開する「MPOST」に出資している。Foremaは、犬や猫などのペット向けに鹿肉や猪肉などのジビエ食材を提供するサービス。国産かつ人間と同じ衛生基準で処理しているのが特徴。1カ月限定のお試し便は、税別月額980円+送料950円、内容量は500グラム。定期便はジビエ肉1.8~2キロのセットで税別月額4360円+送料950円。定期便の内容は月替わりだが、例えば鹿肉部位混合切り落とし500g、鹿肉部位混合切り落とし250g×2、猪肉混合切り落とし250g、猪ミンチ250g、鹿ハツ350gなどがそれぞれパック詰めされ冷凍状態で届く。なお送料については、北海道と沖縄のみ別途500円加算される。ペットにとっては、高タンパクで低カロリーのジビエ肉によって健康維持に役立つ。一方、ジビエ肉の販売ルートを確立することで、残念ながら駆除されてしまった野生動物を商品として流通させることが可能になる。現在、農作物被害や森林被害を解決するためにやむを得ず駆除される鹿や猪は、1割未満しか食用として使われておらず、9割以上は破棄・埋蔵処分になっているとのこと。同社はこの問題の解決を目指すスタートアップだ。

(鳥獣対策、肉も皮も活用)
大阪府から鳥取県琴浦町に兄弟で移住した高橋龍太さん(29)、太雅さん(25)は、野生鳥獣の肉(ジビエ)や皮革の魅力発信に力を注ぐ。農作物に被害を与える野生鳥獣の駆除や資源活用を広め、地域の活性化につなげる夢を描く。兄の龍太さんは、鳥取大学在学中にボランティアで同町を訪問。町や人情に引かれ、2015年から3年間、地域おこし協力隊員として活動してきた。活動中に、農作物などへの鳥獣被害を目の当たりにし、就任1年目にわな猟の狩猟免許を取得。被害調査や捕獲後の利活用を進めるジビエ教室などを開いた。17年には、「ジビエの全てを愉(たの)しむ組織」として、新米猟師2人と任意団体カサドールを立ち上げた。野生獣の解体体験やトークイベントなどを定期的に開き、狩猟やジビエに興味がある人を呼び込む活動を展開。今は30、40代を中心に40人以上が参加するまでに拡大した。「これ以上にやりたいことがない」と、任期が終了した17年、同町に定住を決めた龍太さん。皮革の販売や商品開発をなりわいにすることに決めた。これまでに販売した皮革が神社のお守り入れになった他、名刺入れを開発中だ。弟の太雅さんは、やりがいのある仕事を探し、兄を追って17年から同町の地域おこし協力隊員として活動。ジビエ料理の移動販売を計画し、3月にもスタートさせる。県内のイベントでイノシシ肉を使ったタコスや肉巻きおにぎりを販売したところ、好評だった。「豚肉の方がおいしいと思っていたが、臭みも気にならず、イノシシ肉の方が好き」とほれ込んだ。2人は、住民から野菜をもらったり食事に誘われたりと、気に掛けてもらっていることに感謝する。龍太さんは「農作物への被害が減ったらうれしい。どういう対策ができるか、いろいろな人と協力し良い物を作っていきたい」と意気込む。「鳥獣害の現場を知って、施策に役立てたい」「地域に貢献する」──。山梨県の行政トップである副知事と、農政部次長が、相次いで狩猟免許を取得した。2人は鳥獣被害やジビエに、関心を持つ人が増えることを期待する。わな猟の狩猟免許を取ったのは柵木環副知事と坂内啓二農政部次長。共に農水省から同県に赴任している。坂内さんは2018年4月に着任し、狩猟免許の取得を目指した。学科試験の勉強の他、わな猟の免許を持つ県職員からわなを借りるなどして使い方を練習。9月に免許を取得した。これに影響を受けたのが柵木さん。農水省時代から鳥獣対策の重要性を認識し、17年4月の副知事への着任後にジビエ料理を作る女性が狩猟免許を持っていることを知り、「免許取得は地域貢献につながる」と思い立った。19年2月に免許を取得した。山梨県で減少傾向だった狩猟免許所持者数は、若手ハンター育成や免許取得者への経費助成などに力を注いだ12年度以降、増加傾向にある。県では鹿肉を対象にした「やまなしジビエ認証制度」など、捕獲した鹿肉の有効活用も進める。「中山間地域の多い山梨県では、鳥獣害は地域の存立に関わる」と危機感を抱く2人の取り組みで、狩猟免許取得を考える県職員も増えているという。

(イノシシなどの食肉利用考える:富山)
イノシシやシカなどの野生鳥獣の食肉利用について考える「ジビエ研究会」が19日、県民会館で開かれた。県内の狩猟者や獣肉処理業者、自治体の職員ら約60人がジビエについて理解を深めた。研究会は野生鳥獣の食肉利用を進めようと県が昨年7月に設立し、3回目。国から国産ジビエ認証施設の第1号認定を受けた処理業者「ART CUBE」(京都府)の垣内規誠代表が認証取得のポイントについて講演。衛生管理の基準や食品のパッケージに貼るラベルの表示方法について説明した。イノシシ肉を使った料理の試食もあり、ロース肉のソテーとひき肉をつくねにした2品が振る舞われた。メニューを考案した全日本司厨士協会県本部の渡辺徹会長は「みそやしょう油などを使うことで食べやすい味になる」と解説した。このほか研究会の活動計画について意見交換し、ジビエの安定供給と需要拡大に向けた取り組みを推進することを確認した。

(仕込み不要の本格ジビエメニュー:東京)
ima株式会社(本社:東京都杉並区浜田山、代表取締役社長:高井 直)は、「飲食店様に手間がかからず、お客様に楽しんで貰える珍しい商品を販売するお店」として「珍食堂」を設立し、同名のECサイトを開設いたしました。その第一弾商品として、2019年2月15日より、国産鹿肉を使った「鹿肉のメンチカツ」「鹿肉の餃子」「鹿肉のハンバーグ」の販売を開始しました。ここ数年、鹿や猪など有害鳥獣駆除の利活用方法としてジビエが注目されていますが、実際にジビエが提供される飲食店は高級店やジビエ専門店に限られ、大衆飲食店での提供はごく少数となっています。話題性からジビエメニューの導入を検討される飲食店様が多い一方、「原価が高い」「仕入先の選定が面倒」「仕込みの手間が大きい」などの理由が導入へのハードルになっており、それらを解決し手軽にジビエを導入していただくべく、鹿肉の3商品を開発・販売開始致しました。かつてのジビエはトドメから解体までの時間・手順が確立されていなかったため、内臓の腐敗臭が肉に移り、独特の臭みを生み出していました。弊社の扱う鹿肉は最適な時間・手順で解体されているため、ラム肉のような草の香りと牛肉のような旨みを併せ持ち、嫌な臭みは全くありません。

(ジビエ肉の有効活用を目指す:富山)
イノシシやシカなどのいわゆる「ジビエ肉」の加工処理施設が黒部市に完成しました。県内7番目の施設で年間300から350頭を加工処理しジビエの普及を目指します。この施設は黒部市と魚津市の有害鳥獣実施隊員などでつくるNPO法人が、駆除したイノシシやシカなどの肉を加工処理しより身近な食材として普及させようとおよそ8700万円をかけて整備したものです。施設には内臓を取り除き洗浄する部屋や部位ごとに切り分け、加工する部屋などがあり、黒部市と魚津市の実施隊員が捕獲し血抜きを行ったイノシシを持ち込めば加工まですべてが行うことができます。県では昨年度およそ5200頭のイノシシが捕獲されていますが、ジビエ肉として活用されたのはそのうちの107頭、わずか2パーセントでした。そのため、施設では年間300から350頭を加工処理しジビエ肉を普及させることが期待されています。「東京のほうからも施設のことで問い合わせがありますので、いろんなところに足を運んで、このジビエが新川地区から発信できるように頑張っていきたいので、PRよろしくおねがいします」(理事長野村春幸さん)

(かむほど風味じわり、鹿肉ジャーキー:宮崎)
地元の田畑や山を荒らす鹿の肉を有効活用し、新たな特産品として売り込もうと、えびの市鹿協会が開発したのが「鹿肉ジャーキー」だ。市猟友会が捕獲した鹿を使い、これまでバッグや名刺入れ、財布といった革製品を手掛けてきた同協会。皮以外の食肉部分も活用しようと、加工食品の開発に着手。「牛や豚に比べ、認知度の劣る鹿肉でも、手軽に食べられるなら人気が出るはず」と、ジャーキーを考案し、2017年8月から販売を始めた。

(「ジビエ丼」、数量限定で提供:宮崎)
宮崎・美郷町の温浴施設「南郷温泉 山霧」(美郷町南郷神門、TEL 0982-59-0100)で2月1日から1カ月限定、数量限定で鹿肉を使ったメニューを提供する。宮崎県が県産ジビエの魅力を知ってもらおうと企画した「みやざきジビエフェア」。県内36の飲食店が参加しており、同施設のレストラン「山霧茶屋」もその一店に名を連ねる。同店では県内でとれた鹿肉を使った「ジビエ丼」(スープ、サラダ付き、1,000円)と「鹿シチュー」(ライス、サラダ付き、1,000円)を提供する。ジビエ丼は2018年8月に県内の26市町村で競った「2018ご当地グルメコンテスト」(宮崎市)で3位となったもの。南郷・渡川地区の町おこしグループが考案したものを今回再現した。鹿シチューは同店の料理長、原田大輔さんのオリジナルレシピ。原田さんは「ジビエ丼は鹿のモモ肉を使い、仕込みの時に丁寧に筋を取っているので柔らかい。生肉の状態でシイタケパウダーをまぶし、ローストし、香ばしく臭みなく仕上げた。地元で猪肉や鹿肉を使った料理は珍しくないが、地元の人やその他、今まで食べたことのない人に食べてもらいたい」と話す。美郷町は山に囲まれており、年間200頭以上の鹿が捕獲されているが、加工施設がないためほとんどが廃棄されていた。原田さんによれば、2018年にジビエの加工施設を設置することが決まり、地元の地域資源であるジビエを生かそうとこのフェアに参加したという。南郷・渡川地区の町おこしグループ代表、今西猛さんは「ご当地グルメコンテストでよい成績を残せたが、今まで地元で提供できるところがなかった。今回、山霧茶屋に協力いただいて、初めてコンテスト以外で食べてもらえるようになった。期間限定ではあるが、多くの人にジビエ料理を堪能してもらい」と語る。

(小学生がジビエで焼きそば:和歌山)
和歌山県田辺市の上芳養小学校で18日、野生動物の肉「ジビエ」を使った調理実習があった。6年生15人が地元に住むフランス料理シェフの更井亮介さん(29)に教わり、地元で捕れたイノシシの肉で焼きそばを作った。西牟婁振興局農業水産振興課主催。同課と更井さんが子どもたちにジビエに親しみを持ってもらい、食のありがたみを感じてほしいと企画した。上芳養地区にはジビエ処理施設「ひなたの杜」がある。調理実習では地元で捕れ、同施設で処理加工されたイノシシを使った。調理実習の前に更井さんが、シカやイノシシなどの野生動物を捕獲しているのは、生息数が増えて農作物に被害が出ているためだと説明。捕獲した動物を処理するのにも限界があり、ジビエはフランスでは高級食材として扱われていることから、積極的に食材として活用するようになったと話した。食べる際には、命を頂くという気持ちと、料理を作ってくれた人や生産者らに対する感謝の気持ちを持って「いただきます」と言うことの大切さも伝えた。調理実習では、児童が4班に分かれて「ジビエの焼きそば」を作った。更井さんの実演で手順を教わり、切った野菜とイノシシの薄切り肉を麺と炒め、ソースを絡めて完成させた。焼きそばと一緒に、更井さんらが用意したイノシシのひき肉を使った「ジビエのそぼろ丼」も試食した。

(イノシシ肉でカツサンド:和歌山)
和歌山県みなべ町晩稲の南部梅林で16、17日、和歌山工業高等専門学校(御坊市)の学生が、御坊市のパン店「ヤナギヤ」と共同で開発した「ジビエ(イノシシ肉)のカツサンド」を販売した。農作物への獣害が問題となっている中、ジビエ肉のおいしさを知ってもらい、有効活用しようという取り組み。23、24日も午前9時から販売する予定。ジビエのカツサンドは、学生有志が、昨年5月から開発。10月に御坊市であった商工祭や和歌山市のホテルで販売してきた。南部梅林での販売は今回が初めて。イノシシ肉に合うパンを選び、イノシシ肉のカツや梅干しの果肉をペーストにしたものを挟んでいる。1個500円(税込み)で販売は1日100個。梅公園付近で販売し、16日は昼ごろまでに完売した。17日も次々と観梅客が買い求めた。生物応用化学科2年の瀧口莉央さん(17)は「肉が軟らかく、相性の良いパンに挟み、みんなに食べてほしいと思える商品になった。『おいしかったよ』と声を掛けてくれる人もいてうれしい。これからも、成分分析をするなど、おいしく食べるための研究をし、もっといろんな人に食べてもらいたい」と話した。

(ジビエ、商品化大詰め:石川)
狩猟する女性でつくる任意団体「狩女(かりじょ)の会」(七尾市)が監修する能登地方のイノシシ肉を使ったレトルトカレーの商品化が大詰めを迎えている。団体の主宰者、福岡富士子さん(48)=穴水町=は「避けられることが多いジビエ(野生鳥獣肉)を手軽に身近な存在にしたい」と意気込む。カレーは中辛でイノシシのひき肉をふんだんに使う。二十日に輪島市内で開かれた試食会でメンバーら六人が味わい、「こんなにおいしいのに、捨てるのはもったいない」などと感想を伝えた。試食会に続き、商品を入れる箱について、イノシシ肉のPRや食欲がそそるようなデザインになるよう話し合った。真ん中にカレーの写真を置くことや、赤やオレンジといった暖色系を使うと決めた。能登地方で近年、イノシシの頭数が増えている。そうした背景を踏まえ、狩女の会は食用に生かす機会をつくりたいと、二年前から、国民食のカレーで商品化を進めていた。製造は四月から障害者の就労支援施設を開く予定の株式会社「奥能登元気プロジェクト」(輪島市)が担う。奥田和也社長がジビエ関連の仕事で福岡さんと知り合いだった縁で実現した。商品箱のデザインは穴水町地域おこし協力隊でデザイナーの戸田実沙さん(27)が担当。百八十グラム入り一箱で六百~七百円で取り扱う。早くて三月末から能登地方の道の駅などで販売を始める。

(シカ肉、味わい豊か:山梨)
山梨県東部の丹波山村の製造販売業者「アットホームサポーターズ」は、村に生息する野生のニホンジカの肉を使った「タバジビエ」の鹿そぼろ、鹿カレーを販売している。ニホンジカは農作物を食い荒らす害獣として、同県で年間1万頭以上が駆除される。一方、肉は鉄分が多く低カロリーでヘルシーなため、食肉利用が期待されている。

(イノシシ骨でスープだし:岡山)
ホテル経営などの吉備高原リゾート(岡山県吉備中央町吉川)は20日、町内で捕獲したイノシシの骨でスープのだしを取ったラーメンを開発した。野性味あるイメージと異なり、こくがありながらあっさりした味の意外性にちなみ、名付けて「へぇラーメン」。3月から町内飲食店で順次販売し、ご当地ラーメンとして確立を目指す。町産野菜とともに骨が崩れるまで約10時間かけて煮込んだスープで、チャーシューも町内のイノシシ肉を使った。麺は町内産の米粉麺を推奨している。町内にイノシシ肉の加工施設があることや、硬くて通常は廃棄される骨の活用策として商品化を発想した。県内で捕獲したイノシシなどの加工品の開発や販路拡大に対する県の助成を活用。昨年6月から試作を進め、この日、町内で約70人を招いて試食会を開いた。3月12日から「郷土和食 加賀や」(同町吉川)、同20日から道の駅かよう(同町北)で販売する。加盟店を募ってスープを共用し、それぞれの味にアレンジして地元名物として広める考え。同社の芝村啓三代表取締役は「これがイノシシの味かと楽しんでもらえたら。ご当地ラーメンとしてアピールし、観光振興につなげたい」と話している。

(県庁食堂でイノシシ料理:和歌山)
イノシシの肉を使ったメニューが二十日、県庁の食堂で販売された。県が普及を目指す「とやまジビエ」の事業の一環で、食堂の利用者は次々とジビエ料理を手に取り、舌鼓を打った。とやまジビエは県のガイドラインに沿って野生動物を処理した肉。県は流通量を増やそうと、獣肉処理施設の建設に補助金を出し、本年度は二施設増えて県内計七施設になっている。事業を進める背景には、野生鳥獣による農作物の被害のうち、イノシシによる被害が大きいことがある。県によると、昨年度の被害額九千四百七十三万円のうち、イノシシは過去最多の七千二百五十万円。被害が増えるにつれ捕獲数も増加し、昨年度は前年度より約千頭多い五千二百六十七頭だったが、とやまジビエに処理されたのはそのうち百七頭とごく少なく、ジビエの普及が課題になっている。食堂で提供されたメニューはしょうが焼き五十皿と煮込み料理八十皿。しょうが焼きを食べた県教委県立学校課の伊東和也さん(51)は「くさみがなくてさっぱりとしておいしい」と味わっていた。ジビエは濃厚な脂でもしつこさがなく、栄養価が高いのが特徴。県農村振興課の担当者は「家庭で食べられる機会がこれから増えていくと思うので、味わってもらえるようになれば」と願っていた。

(ジビエ弁当でモニター調査:長野)
野生鳥獣の山肉「ジビエ」の消費拡大に向け、県南信州地域振興局は21日、県飯田合同庁舎に勤務する約130人の職員を対象にしたモニター調査を実施した。昼食時に「ジビエ弁当」を販売して感想を聞き、認知度や需要を高めるための方策を尋ねた。消費者の意識調査の位置付けで、普及方法を検討する際の参考にする。同庁舎内で食堂を運営する葵の協力で弁当を試作。社長で県ジビエマイスターの中塚敏行さん(69)が、いずれもシカ肉を素材にした春巻き、生姜焼き、竜田揚げ、南蛮そば、カレーをパッケージした。昼食時間の前に「おいしい記者会」を開き、報道陣に弁当をお披露目した。中塚さんは牛乳を使って血を抜き、しょう油や塩のこうじとヨーグルトで漬け込んで臭みを取り、旨味を凝縮させた。「シカ肉は火を通すと硬くなるため、漬けて煮込む調理法がお勧め」とPRした。希望した職員130人に900円で販売し、林務課がアンケート調査を実施。メニューごとの評価や食堂でジビエ料理を提供した場合の価格、ジビエに対するイメージ、消費拡大につながる方策などを聞いた。振興局は22日に同庁舎で開く「南信州 元気な森フェスタ」でもジビエ試食会を計画している。午後0時半から3階の講堂などで行う。土屋智則局長は「流通などの課題もあるが、まずは地元の人に食べてもらうことが大切。そこから地域外への売り込みも考えていきたい」と話していた。

(天然猪肉がおいしく味わえる:愛知)
ヘルシーで栄養豊富なジビエ料理の人気が高まりつつある。新城市矢部にある「三河猪屋(ししや)」は天然イノシシの肉にこだわった和食店。社長の原田民夫さん(69)は、鳥獣被害対策として狩猟されたイノシシの多くが捨てられていることを憂い、以前から資源として活用したいと考えていた。地域の特産品として、地域活性化にもつなげたいとの思いもあった。JAあいち経済連を退職後に準備を始め、2007年オープンさせたのがこの店。ぼたん鍋、しししゃぶしゃぶのほか、しし焼き肉、ししハンバーグなどの定食から、しし丼、ししうどん、ししコロッケ、ミンチカツ、しし餃子などまでメニューは豊富。「ししまぶし」「しし重」などの新メニューもあり、臭みが全くないおいしい猪肉料理を楽しむことができる。国の助成金を受け開発した地元米の米粉パンの奥三河バーガーも人気。ジビエ料理はフレンチ、イタリアンでは昔から有名だが、原田さんは「あくまで和食にこだわり、ジビエ和食を提供したい」と言う。「一生懸命生きている人が素晴らしい」と話す原田さん。好きな言葉は「日日是好日」だという。店には原田さんの熱い思いや人や物に対する優しい心配りが詰まっている。店舗は静かな環境の中にあり、テーブル席のほかに25人から30人が座れる座敷もある。猪肉やタレなどの直売所も隣接している。

(ジビエ味わって:宮崎)
新鮮で野趣に富んだ西米良村産ジビエ肉の魅力を広くアピールしようと、村は飲食店などと連携した「にしめらジビエフェア」を開催している。村内5店舗が28日まで、同村産のシカ、イノシシ肉を使った多彩な料理を提供する。

(ジビエ、冬満喫:石川)
冬の白山麓の魅力を発信する「白山スノーフェスティバル」と「白山麓いのししまつり」が二十四日、白山市瀬戸の道の駅瀬女であった。晴天の下で子どもたちが雪の斜面をそりで滑ったり、家族らがジビエ(野生鳥獣肉)料理を楽しんだりした。前夜祭を二十三日に計画していたが、雪が少ないため本祭の二十四日だけの開催になり、恒例のジャンボ雪迷路や雪上でスノーモービルがボートを引っ張るスノーラフティングは中止になった。会場には雪でつくった斜面が設けられ、子どもたちがそりで滑って楽しそうに遊んでいた。いのししまつりは「青い鳥ワークセンター」(白山市)や「こまつ地美絵(ジビエ)・こまつ町家文庫」(小松市)など八団体のブースが並び、スパイシークマカレーや猪鹿ソーセージなどのジビエ料理を販売した。「ジビエ工房三谷」(金沢市)は丸ごとのイノシシ肉を焼いて提供。会場に訪れた人たちが写真を撮影し、味わっていた。県猟友会白山支部は、シミュレーターを使い、イノシシ猟が体験できるコーナーを開設した。野々市市から家族五人で訪れた新木寿洋さん(42)は「ジビエ料理を食べたことはあまりなかったが、すごくおいしい」と話していた。

(鹿もつ鍋「絶品」:静岡)
静岡市葵区梅ケ島の市営梅ケ島新田温泉「黄金の湯」で24日、地元で捕獲された鹿を味わう「鹿もつ鍋を楽しむ会」が開かれた。市内外から大勢の観光客が訪れ、同市中山間地域「オクシズ」のジビエ料理に舌鼓を打った。地元猟友会の協力で2年前から始まったイベント。今年捕獲された鹿のホルモンや肉のほか、大根や白菜、こんにゃくなどの具を大鍋に入れ、みそで煮込んだ。観光客らは「臭みも無くおいしい」と話しながら、具だくさんの鍋を堪能した。おろしたてのワサビが添えられた鹿肉の串焼きや地元産の茶などの“梅ケ島グルメ”も提供され、オクシズの味を楽しんだ。

(国際交流員、外国人目線で魅力発信へ:島根)
島根県の国際交流員6人が20日、美郷町乙原にある野生イノシシの缶詰工場や住民が運営する産直市場を訪れ、イノシシを地域資源化する取り組みを取材した。亥年(いどし)に合わせ、イノシシの活用が進む町の魅力を探るのが狙いで、同町での取材活動は13日に続いて2回目。外国人の目線で感想を記事にし、外国語情報誌を通じて世界の人に情報発信する。同町では猟友会だけでなく、農家自らが狩猟免許を取得してイノシシを捕獲し、Iターン者らが精肉や缶詰製品にして販売している。また、婦人会が革製品を手作りしたり、鳥獣害対策の実験ほ場で収穫した野菜や果物を産直市場「青空サロン市場」で販売したりしており、住民主体の取り組みが注目を集めている。取材に訪れたのは、カナダから来日したオリバー・マーシャルさん(24)ら国際交流員。19日に町の担当者から事前説明を受けた後、住民が待ち受ける現場に入った。缶詰工場では、スタッフのジ・リョウさん(32)にインタビュー。仕事内容や商品づくりの課題などを質問し、熱心にメモを取った。青空サロン市場では、地域の婦人会が用意したおにぎりやおはぎなどに舌鼓を打ち、同町の嘉戸隆町長とも交流。マーシャルさんは「住民がイノシシをキーワードに集まり、元気に活動している姿がすごいと思った」と感心していた。

(郡上のイノシシ肉、美味日本一に輝く:岐阜)
郡上市の里山保全組織・猪鹿いのしか庁などでつくる里山めぐり利き猪しし実行委員会主催の「第3回日本猪いのしし祭り」が東京都江東区豊洲のカフェレストランで16日に開かれ、郡上市大和町の獣肉処理施設「ジビエITAYA」のイノシシ肉が「美味日本一」のグランプリに輝いた。同祭りはイノシシ肉の魅力をアピールしようと2年前に始まり、同市内で行われていたが、より多くの人に関心を持ってもらおうと、今回は初めて都内で開催。約200人の参加者の食べ比べなどによる「利き猪グランプリ」に、千葉、岐阜、愛知、福岡など14県、22か所の獣肉処理施設からイノシシのモモ肉が出品された。予選、決勝とも産地を伏せた上で、炭火で焼いて食べ比べ、「脂身と赤身のバランスがいい」などと評価された郡上産が日本一となった。先月22日に同市内で銃で仕留められたメスで、県内からグランプリに選ばれるのは初めて。準グランプリには「のとしし団」(石川県)、「ジビエール五條」(奈良県)、「加茂川有害獣利用促進協議会」(岡山県)、「ししの里・せいよ」(愛媛県)の4施設が選ばれた。大日本猟友会の浅野能昭専務理事は「昭和時代にはイノシシやシカの捕獲頭数は年数万頭だったが、今や120万頭を超える。このような祭りの成功が、ジビエの普及や地域振興に貢献する」と話していた。

(イノシシ肉創作料理:石川)
イノシシ肉を使った創作料理「しし丸3兄弟」を七尾市農業委員の橋本良子さんが考案した。農家の天敵であるイノシシを食材として活用してほしいと考えたメニューで、二十七日に七尾サンライフプラザで開く料理教室「わいわいカフェ」でレシピを伝授する。活用するのは、能登産のひき肉。見た目の抵抗感を薄め、高齢者でも食べやすいように脂身を避け軟らかく仕上げる。味付けは、キムチ、チーズ、みその三種類で臭みを出さないように配慮した。「発酵食品のうまみを引き出せれば」と話す。「イノシシは害獣でイメージも良くない。けれど駆除した命を食べ物にして大切にしてほしい」と願う。地産地消もテーマで当日は能登かきの南蛮漬けも作る。

(害鳥退散、廃材利用し:宮崎)
農作物を食い荒らし、洗濯物や太陽光パネルにふんを落とすカラスやスズメを撃退しようと、宮崎県都城市花繰町の電気工事業、六反田(ろくたんだ)至さん(79)らがユニークな野鳥追い払い機を開発した。六反田さんは自家用に麦や米を栽培。これまで種まきや収穫期に度々、害鳥の食害に頭を悩ませてきた。そこで市内の同業者、福島義政さん(80)とともに独自の追い払い機の製作に乗り出した。完成したのは、高さ約3メートルの鉄パイプを軸とした回転型の追い払い機。軸から伸びる2メートルの細長い樹脂製ポール4本が回転しながら、タコの足のように四方八方にくねるような不規則な動きで害鳥を寄せ付けない仕組みだ。材料に廃材や自動車ホイールを活用することで、7基で計約3万円と安価に仕上げた。動力も風力式と、太陽光発電を使ったモーターで回る電動式の2種類を用意した。既に完成した追い払い機を畑などに設置し、一定の効果を確認できたという。六反田さんは「設置後は鳥が近づかなくなった。今年は麦や米が安心して作れそう」と笑顔を見せた。

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(狩猟者育成センター(仮称)を整備:兵庫)
狩猟者育成センター(仮称)を三木市吉川町に整備することとなりました。鳥獣被害防止対策のために、狩猟者の捕獲技術(銃、わな)の向上、狩猟者の法令や安全対策の知識の習得、狩猟体験や情報発信を通じた新たな狩猟者の確保対策の拠点として整備されます。クレー射撃場、標的射撃場、わな実践フィールド、研修棟等狩猟者の人材育成拠点としての機能充実のほか、スポーツ競技者など新たな利用者ニーズ(国体クラスの競技大会等が開催できる規模・設備)への対応を行います。

(空気銃でネコ虐待か:千葉)
傷付いたネコの体内から5ミリほどの鉛とみられるものが見つかった。事は千葉市の稲毛海浜公園で起こった。先月と今月、出血している2匹のネコが保護されたのだが、その体内から見つかったのは金属製の弾のようなものだった。2匹のネコを処置した動物病院の院長は…。動物病院の院長:「体を診ていくと、もう1個上の所にしこりみたいなのがあったのでそれを切開して中を見てみたら鉛玉が出てきた」警察によると、弾のようなものは直径5ミリほどで鉛とみられ、空気銃の弾丸の可能性があるという。摘出された弾を専門家に見てもらうと…。千葉県ライフル射撃協会・大小島滋理事:「先端が丸いので狩猟用のエアライフルの弾になります。狩猟鳥獣である鳥といったものを撃つのがほとんどの用途になります。(射程は)銃にもよるが、狩猟用ですと30メートルから40メートルくらいなら十分、力はある」仮に空気銃の弾丸だとすると鉛の弾を使う空気銃は狩猟などにも使用され、都道府県の公安委員会の許可がなければ所持できない。警察は銃の威力によっては銃刀法違反の疑いにあたる可能性もあるとしている。

(害獣駆除、わな使用急増:福島)
東京電力福島第1原発事故の影響で減った県内のハンターの登録数が回復している。銃に比べ手軽な、わなを使うハンターが急増しているのが要因。原発事故によるイノシシなどの出荷制限もあり、県内では害獣による農業被害が後を絶たない。こうした事態に「自分の手で捕獲して少しでも被害を減らしたい」と、わなを手にする農家も増えているという。

(野生イノシシにワクチン投与へ)
吉川貴盛農相は19日、閣議後の記者会見で、豚コレラ対策として野生のイノシシに対するワクチン入りの餌の投与を早期に実施する意向を示した。

(豚コレラ専門組織を新設:岐阜)
豚コレラの発生が相次ぐ事態を受け、県は予算案に対策費18億円を計上。家畜防疫を専門とする組織を立ち上げるなど、感染の拡大防止に力を入れる。予算案では、養豚場の防疫体制を強化するため、獣医師をアドバイザーとして派遣する事業費として7150万円を盛り込んだ。また、一連の問題では獣医師不足が浮き彫りになったことから、産業動物獣医師を志す獣医学生に修学資金を貸し付ける人数を現在の5人から10人に増やす。豚コレラウイルスを拡散させる恐れがある、野生イノシシ対策も柱。調査捕獲には猟友会の協力が欠かせないため、高齢化する狩猟者の担い手確保や、育成推進の費用として計4790万円を計上した。研修会を開いたり、射撃練習の経費を支援したりする。一方、組織改編では、現在の畜産課を、家畜防疫対策課(11人)と、飛騨牛など畜産ブランドの振興に取り組む畜産振興課(19人)の二つに再編する。また、農村振興課鳥獣害対策室には、イノシシの捕獲を専門とする係を設ける。

(コレラ対策へ消毒液など無償配布:群馬)
長野など5府県で豚(とん)コレラが発生したことを受け、前橋、高崎、伊勢崎の3市はそれぞれ市内の養豚農家に消毒液などを無償で配布すると発表。消毒の徹底を支援し、感染を防ぐ。前橋市は養豚農家の希望を聞き取った上で、畜舎の周りにまく消石灰(20キロ入り10袋)か、希釈して畜舎や車両の消毒に使う逆性せっけん(1リットル入り5本)のいずれかを配布する。市内の70戸が対象。猟友会には、豚コレラを媒介する可能性が高い野生イノシシの駆除を要請。狩猟期間が終わる28日まで、市内で狩猟したイノシシ1頭当たりの奨励金支給額を5千円から1万円に引き上げる。

(国が豚コレラ対策費追加、イノシシ捕獲や減収補填)
農林水産省は12日、岐阜県など5府県に拡大した家畜伝染病「豚コレラ」の対策費を追加すると発表した。野生イノシシ捕獲活動への支援を強化するほか、監視対象農場の出荷制限に伴う減収を補填(ほてん)する。吉川貴盛農相は同日の記者会見で「発生防止に万全を期す」と述べた。野生イノシシ対策は、防護柵の設置支援として、岐阜県に1億2千万円、愛知県に6千万円を交付。地元自治体の負担割合は実質1割になる。今後、追加要望があれば対応する。また、野生イノシシを捕獲するためのわな設置に対し岐阜、愛知両県に計1千万円、地元の猟友会の協力を受けながら進める捕獲活動に対し両県に2千万円ずつ追加配分する。捕獲活動については、豚コレラ発生県への交付限度額を撤廃する。一方、野生イノシシへのワクチン投与について、担当者は「検討を着実に進めている」としている。岐阜県は同日、山県市と関市で捕獲された野生のイノシシ計3頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは計133頭となった。

(「住田の魅力」に照準、狩猟免許取得女性3人が催し:岩手)
住田町に移住し、狩猟免許を取得した女性3人でつくる「チームいただきます」は16日、同町世田米のまちや世田米駅で映画鑑賞やハンターの経験談を聞く催しを開いた。田舎暮らしの良さを住民と一緒に捉え直そうと初企画。「よそもの」で若い女性という少数派の視点から、住田での豊かな暮らしを実現するアイデアを見つけ、発信する。3人は一般社団法人SUMICAの菅原優衣さん(26)、町教委の教育コーディネーター小宅優美さん(26)、林野庁から町林政課に出向している横江美幸さん(27)で、2018年に同町に移住した。食べることが好きという共通点からチームを結成し、同町の補助金を利用して12月までに狩猟免許(網、わな、猟銃)を取得。県のいわて若者アイディア実現補助事業の助成を受け、狩猟のほか教育や林業、まちづくりなどそれぞれの得意分野と住田の魅力を絡めた活動を目指す。同日の「住田とけものと狩人と。」と題した催しには町内外から15人ほどが集まり、田舎暮らしを描いた映画「リトル・フォレスト夏・秋」を鑑賞。50年以上狩猟を続ける同町上有住の橋本勝美さん(72)が自給自足生活や変化する狩猟の環境について語った。

(「イノシシ特命担当課長を命ず」:福岡)
福岡市は13日、市街地への出没が相次ぐ野生のイノシシによる生活被害対策を強化するため、農林水産局に4月1日付でイノシシ被害対策に専従する特命担当課長を配置すると発表した。特定の野生動物対策に特化した課長ポストは異例。イノシシは生息域との緩衝地帯となる里山の減少などから市街地に出没しているとみられ、市街地でのイノシシ被害を防止したい考えだ。市によると、イノシシに家庭菜園やゴミ置き場を荒らされるなどした市内の農作物・生活被害は、近年は減少傾向ながら2017年度は総額4974万5000円。捕獲数は13年度の1244頭から17年度は1507頭と増加傾向にあり、昨年10月には同市西区のJR今宿駅前で男性が襲われて脚を13針縫うなど市街地での人的被害が相次いでいる。このため、市は農産物の被害防止に重点を置いていたイノシシ対策を、担当課長のもと生活被害防止にも乗り出すことにした。19年度からは山間部や離島に赤外線センサーを設置し、イノシシの生息状況を調査。調査結果に基づいて箱わなを30カ所以上増設して集中捕獲をする。さらに、高齢化する猟友会メンバーの箱わな見回りの省力化を図るため、わなが作動すれば自動的に猟友会にメールを送信する機器の実証実験も予定している。担当課長はこれらの調査結果や捕獲状況などの情報を各区役所と連携し、人家周辺への出没防止に役立てる。市はイノシシの生活被害対策費約4000万円を含む総額約8666億円の19年度一般会計当初予算案を15日開会の市議会定例会に提案する。

(シカの森林食害防ごう、効率的捕獲へ官民協定:宮崎)
シカによる森林の食害を防ごうと、宮崎北部森林管理署と日向市、同市東郷町の有害鳥獣捕獲班は、シカ被害対策に乗り出した。捕獲班が国有林に入る際の手続きが不要になり、同署が捕獲に使う「くくりわな」を無償で貸与する協定を締結。農林業や生態系を守るため、官民が力を合わせる。

(イノシシ捕獲研修場:新潟)
長岡市の長岡技術科学大学内にあるベンチャー企業「うぃるこ」が2019年度から、農家や住民らにもわなを使ってイノシシなどの野生有害鳥獣を捕獲する方法を広く普及させるため、同市内に技術研修場を設ける。社長を務めている同大の山本麻希准教授(47)(生態学)は「人里への出没が増えているイノシシを減らす対策は急務」と呼びかけている。「うぃるこ」は、野生鳥獣被害対策の専門組織として18年5月に設立。人間と野生動物の共存を目指し、鳥獣の生態調査や被害対策に取り組んだり、自治体の担当者を対象に研修を企画したりと相談事業を担っている。同市内の農地、納屋などを研修拠点として学んでもらう対策の主な対象はイノシシ。自治体職員らに加えて、猟友会メンバー、農家や住民らに「箱わな」や「くくりわな」の仕掛けや、野生動物が通る場所の見極め方などについて学んでもらう。山本准教授は「春から夏にかけてはやぶが深く、銃による捕獲ができない。わなによる捕獲技術を広く習得してもらいたい」と話している。県によると、16年度末時点で、県内のイノシシ生息数は推計で3215頭~2万5171頭。生息範囲の拡大も確認され、捕獲数は急激に増えて17年度は2689頭に達し、農作物被害は17年度は約3900万円に上っている。県内自治体も電気柵を設置するなどの対策を進めているが、山本准教授によると、野生のイノシシはオスが繁殖期にメスを求めて動き回って生息範囲を広げるという。家畜の豚が発熱や下痢で死ぬことがある豚とんコレラは、隣接する長野など5府県で感染が確認され、野生のイノシシを経由する感染拡大に警戒が必要で、農林水産省が捕獲や移動防止策を強化していく。山本准教授は「野生のイノシシからの感染は止めるのが難しいが、県内でも防疫対策を進めておく必要がある」と指摘する。

(IoT利用促進実験、鳥獣被害対策など:埼玉)
京セラコミュニケーションシステム(KCCS)と埼玉県はあらゆるものがネットにつながるIoTの利用促進に乗り出した。鶴ケ島ジャンクション(JCT)周辺の13市町と連携。同社が整備する通信網を鳥獣被害対策や介護施設などで活用する実証実験を始めた。職員などの作業負担軽減につなげるほか、実験を基に自治体にIoT活用を促す。埼玉県飯能市は鳥獣被害対策でIoTの活用を始めた。省電力で広域通信ができる無線通信技術「LPWA」と通信機器メーカーのアイ・サイナップ(東京・港)が開発した通信機器を使って、わなに動物がかかると職員が場所を把握できるようにした。木に通信機器を設置し、わなと機器をワイヤでつなぐ。動物がわなにかかるとワイヤが外れ、通信機器のセンサーが感知。LPWAの基地局を経由して職員に通知メールを送信する仕組み。3月末までに市内に通信機器を約30台設置する予定。これまでは免許を持つ職員が毎朝見回り、わなにかかった鹿やイノシシなどの動物を駆除していた。IoTの活用で見回り業務をなくせるほか、捕獲場所が事前に分かるため、地元猟友会と連携した駆除も検討できるようになるという。埼玉県は17年、埼玉県農業大学校の跡地活用に関連し、鶴ケ島市など鶴ケ島JCT周辺の13市町にAI(人工知能)やIoTを活用した先端産業を集積させる計画を策定した。LPWAの通信網整備は同計画の一環で、整備地域への企業誘致に生かす。KCCSは自治体のIoT活用のニーズを調査したうえで実証実験を始めた。担当者は「各自治体での取り組みを通じて、地域への貢献度を確認したい」と話す。

(奈良のシカでけが、最多:奈良)
奈良公園(奈良市)に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」にかまれるなどの被害が、2018年度は今年1月末時点で200件と過去最多になり、5年前から4倍に増えたことが19日、奈良県の調べで分かった。けが人の約8割を中国人などの外国人が占めた。鹿せんべいを与える際に写真を撮ろうとして、じらされたシカが攻撃的になることが要因とみられる。集計を始めた13年度は全体で50件だった。日本人の被害件数は横ばいだが、外国人の被害増加が目立つ。今年1月末時点の集計では、けがをした人の大半が軽傷だったが、シカに体当たりされて骨折するなどの重傷を負った人が8人いた。重傷者は既に13~17年度の合計10人に迫っている。奈良公園や周辺などに生息するシカは国の天然記念物。太平洋戦争前は約900頭いたが戦後、密猟などで約80頭に減少した。「奈良の鹿愛護会」などの活動によって再び増加し、現在は約1360頭が生息している。県は18年4月、鹿せんべいを与える際の注意点を英語、中国語、日本語で書いた看板を公園と周辺のせんべい販売所に設置した。18年12月には、県が主導して設けた民間団体「奈良公園のシカ相談室」がパトロールの際に外国語翻訳機を導入。外国人観光客らに注意喚起している。室長の吉村明真さん(60)は「一見おとなしそうだが、野生のシカなので攻撃することもある。シカと人の触れ合いができるのが奈良の良いところ。『また奈良に来たい』と思ってもらえるようにトラブルを減らしていきたい」と話した。

(石鎚の危機:愛媛)
石鎚山系でシカの被害が広がり始めている。先日、西条市で今後の対策を考えるシンポジウムがあった。昭和の初めにはこの地のシカは姿を消したが、05年ごろから再び目撃されるようになった。他の地域で生き延びた個体が急増し、流入してきたらしい。

(サルに注意:神奈川)
座間市は2月12日、防災行政無線や緊急情報メールサービスで「サル目撃情報」を発信した。サルの目撃情報は11日に相模原市から座間市への一報から始まった。11日午後2時18分ごろ、相模原市の担当課から座間市の担当課へ電話で「相模原市で目撃されたサルが座間市へ移動した」との報告を受けた。続いて座間警察署から4時30分ごろ、「相模が丘6丁目で目撃情報。座間市でもパトロールしてほしい」との要請が入った。座間市職員2人が周辺をパトロールしたが見つけられなかった。翌12日、朝6時30分ごろ「大和市で目撃情報あり」との連絡を受け、午前7時ごろにメールなどでサルの目撃情報および注意点を発信した(2月12日現在)。座間市は「登校時間の前に情報を発信する必要があると思い、その時間に発信しました。サルは一匹です。見つけても近づかないように」と話している。

(相次ぐサル目撃情報:神奈川)
16日、横浜市内の住宅街に設置された防犯カメラの映像には、サルが階段の手すりを器用にのぼり、その後、車からフェンスに飛び移り、歩いている様子が映っている。横浜市などによると、サルは今月12日に大和市で見つかった後、横浜市で目撃されるようになった。18日午前には保土ヶ谷区で、正午頃には東白楽で目撃されている。このサルは、県内の丹沢山地に生息する野生のサルの可能性があり、横浜市は、サルを見つけても近づいたり餌を与えたりしないよう呼びかけている。

(野生動物目撃情報:滋賀)
2月14日のバレンタインデーの日に、草津市内で野生動物の目撃情報が相次いだようです。大路2丁目では、午前11時頃、野生のサル一頭の目撃情報が、また午前7時15分頃には、草津小付近でアライグマの目撃情報がありました。

(サル目撃相次ぎ注意喚起:兵庫)
今月に入って、兵庫県太子町の住宅地でサルの目撃情報が相次いでいる。被害は出ていないが、学校の通学路などに出没しており、町が注意を呼び掛けている。町によると、野生のオスザルとみられる1匹。今月1日に佐用岡地区で目撃されたのを皮切りに、東出、東保、鵤地区など同町中心部でも出没。隣接するたつの市誉田町でも目撃されるなど広域に移動している。太子町の男性(79)宅では10日午後3時半、実家に遊びに来ていた長女(50)が太田小学校近くの通学路でサルに遭遇。通りがかりの人に飛びかかり、払いのけられる一幕もあったという。円尾さんは「登下校時には大勢の児童が通る。何事もなければいいけど…」と心配する。町は登下校時などを中心にパトロールしており、今のところは人や農作物などの被害は確認されていないという。「見つけたらその場を離れ、生ごみなどえさになるものは外に置かないで」と呼び掛けている。

(カラスのフン害で対策会議:熊本)
熊本市の中心市街地に数千羽にもおよぶカラスの群れが集まり、フンや臭いの苦情が寄せられている問題で熊本市が18日、対策会議を開きました。各区役所や土木センター職員など約30人が出席し、日本野鳥の会熊本県支部の坂梨仁彦副支部長が苦情の原因となっている渡り鳥ミヤマガラスの生態について講演。ミヤマガラスは3月にかけ日本を離れるということですが、熊本市は来シーズンも見据え具体的な対策を検討していくとしています。

(ジビエ料理食べ比べ:大分)
野生のイノシシやシカの肉「ジビエ」をPRするイベントが17日、大分市のJR大分駅前で開かれた。ぼたん鍋やイノシシ三枚肉の角煮など計約900食が無料で振る舞われ、買い物客らが列を作った。県や県猟友会でつくる「大分ジビエ振興協議会」が主催。県によると、2017年度に県内でジビエとして流通したイノシシとシカの肉は約30トンで、駆除したうちの約3%にとどまる。農林水産省は17年度、県を含む全国17地区を「ジビエ利用モデル地区」に選定。同会は県内のジビエの消費拡大を目指している。会場には、県内でジビエの串焼きやハンバーガーを販売する飲食店など4店が出店。ジビエ料理の無料配布もあり、来場者は食べ比べをして楽しんだ。大分市の主婦(67)は「どれもおいしかった。もっとスーパーなどに出回れば、消費量は増えると思う」と話していた。同会は3月15日まで、県内でジビエ料理などを提供している店を3店回ると、3000~2万円分のジビエのコース料理や加工品が当たるスタンプラリーを実施している。

(シカのチタタプの豆乳スープ:北海道)
イオン北海道(札幌市白石区本通21)が2月13日から、道内の「イオン」「イオンスーパーセンター」40店舗で「鹿肉団子のチタタプ豆乳スープ」の販売を始めた。センチュリーロイヤルホテル(中央区)と北海道栄養士会(同)が昨年8月に開催した「みらいの『食べる北海道スープ』レシピコンクール」で、最優秀賞に選ばれた「シカのチタタプの豆乳スープ」をイオン北海道が商品化した。同社がシカ肉を使った総菜を製造・販売するのは、今回が初めての試みという。レシピは釧路短期大学 生活科学科の学生 小椋彩花さんが考案。ミンチ状にした肉と山菜と合わせるアイヌ民族の料理「チタタプ」をヒントにしたという。みそと豆乳入りのスープに、シカ肉のひき肉とみじん切りのゴボウ、ギョウジャニンニクパウダーで作った肉団子をメインの具にして、大根、チンゲインサイ、ニンジンで彩りを加えた。コンクール受賞後に小椋さんと短大の教職員らで約3カ月間かけて試作・試食を重ねて商品化にこぎ着けた。併せて、コンクールで入賞したレシピをまとめた「みらいの『食べる北海道スープ』レシピBook」をセンチュリーロイヤルホテルが作製した。具だくさんスープ部門(シカ肉・道産秋サケ)、お野菜たっぷりのポタージュ部門、北海道米のスープ部門の入賞作品とホテルシェフが考えたスープなど全15レシピを掲載。今月15日から同ホテルで配布を予定する。同コンクール実行委員長の桶川昌幸さんは「商品化したスープは、アイヌ伝統の食文化に着目した未来と過去を融合した作品。今回の販売を通じて、シカ肉の消費拡大にもつながれば」と話す。

(薄切り肉に高評価:石川)
羽咋市でイノシシの狩猟や食肉処理をしている「のとしし団」が十六日、「第三回日本猪(いのしし)祭りin東京」に出場し、準グランプリに輝いた。のとしし団は、東京を中心とした首都圏から引き合いが増えており、代表の加藤晋司さん(31)は「狙いとしている東京で評価してもらえた。今後につながれば」と手応えをつかんだ。日本猪祭りは、里山めぐり利き猪実行委が主催。祭りでは、薄切りのもも肉を食べ比べて競う「利き猪グランプリ」を企画。十四県から二十二団体が出場した。予選として五組に分かれ、各組の一位が決勝へ進んだ。のとしし団は、予選を突破したが、五団体中の一位である「グランプリ」には惜しくも届かず、準グランプリだった。肉を食べた人からは「赤みもおいしい」「バランスが良い」と高評価を得た。中には、何度も訪れる人や、施設の見学を希望する人もいたという。第一、二回は、予選落ちだった。今回は準グランプリとなり、商品に貼れるステッカーを贈られるといい、活用を考えている。加藤さんは「感想を直接聞ける貴重な機会だった。イノシシ肉の嫌いな人のイメージが変わっていけば」と願った。

(農作物荒らすイノシシ活用:石川)
農作物を荒らすイノシシの肉を地域の特産品にしようと石川県羽咋市が進める事業が、軌道に乗っている。市の獣肉処理施設で処理するイノシシの数も肉の出荷量も年々増え、県内外から視察も相次ぐ。イノシシの解体や食肉処理といった活動を支えるのは、地域おこし協力隊やUターンでやってきた若者たちだ。県自然環境課などによると、県内では1998年度以降、イノシシによる農作物被害が広がった。加賀地域が中心だったが、近年は能登地域でも拡大。2016年度には羽咋市を含む能登地域4市5町の農作物被害額は4459万円にのぼり、加賀地域7市3町の3647万円を上回った。暖冬傾向で積雪が減り、イノシシの生息する地域が拡大していると考えられている。捕獲頭数も増えている。17年度は県内で9174頭と5年前の5倍以上。羽咋市も11、12年度はそれぞれ1頭だったが、17年度には354頭までになった。そこで市が考えたのが、「のとしし大作戦」。市内や近隣市町で捕獲されたイノシシを資源として活用する試みだ。市が15年10月に設置した獣肉処理施設の運営を委託するのは合同会社「のとしし団」。地域おこし協力隊員やUターンした若者、金融機関退職者ら5人で運営している。1月下旬。志賀町の猟師から「イノシシを捕獲した」と連絡があり、のとしし団代表で京都府出身の加藤晋司さん(31)と地域おこし協力隊員で宮崎県出身の樋口大輔さん(23)が引き取りに行った。現場で仕留め、鮮度を保つため、1時間以内に施設に持ち帰って内臓を取り出し、冷蔵庫で保管後に皮をはいで肉を切り分ける。加藤さんも元地域おこし協力隊員で、4年目のいまも市内に住む。白山市でイノシシの食肉処理をしていた人に一から処理を習った。「猟師さんが農作物の被害防止のために捕獲しても、食べないこともある。そうすると捨てるしかない。『持っていってくれてありがとう』と言われるとうれしい」。現役隊員で富山県出身の梶嘉美さん(48)は「山に出入りしている人が高齢化している。自分が山の仕事をしたい」とやってきたという。解体や肉のスライスなど、一通りできるようになった。中村俊博さん(33)は東日本大震災を機に、IT系の仕事を辞めて川崎市から故郷の羽咋に戻った。「食料を自給できるようになりたい」と野菜作りの次に始めたのが猟だった。中村さんのことを知った市職員に誘われ、インターネットの広告事業を営む傍ら、この施設で働いている。のとしし団では、料理人や食品関係者が集まる県の商談会や買ってくれた人の口コミで販路を広げてきた。肉の出荷量は16年度が4トン、17年度が4・8トン、18年度は6トンを超える見込み。肉を買ってくれる人や猟師のためにも、長く続けていくのが目標だ。価格は部位によって違うが、ロースのスライス(250グラム)が税抜き1625円、バラスライス同1125円など。電話注文にも応じる(0767・26・2944、平日午前9時~正午、午後1~5時)。羽咋市の道の駅のと千里浜やJAグリーンはくい、農産物直売所「神子(みこ)の里」、金沢市のカジマート桜田店でも肉や加工品を買うことができる。

(ジビエやパイ、地元の味25品:石川)
白山市宮丸町の道の駅めぐみ白山で九日、お薦めや人気の食品をPRする試食会が始まった。十六、二十三の両日にも開催する。白山麓のジビエ(野生鳥獣肉)を使ったジビエソーセージ、地元のイノシシ肉や同市特産のトウガラシ「剣崎なんば」を使用した「ゴロゴロカレー」、アップルパイなどの食品二十五品を用意。店内で調理するなどしてふるまい、来場者が列を作っていた。

(山小屋風ビストロで味わうジビエ:福岡)
大名の裏路地、狩猟をするマタギの山小屋をイメージした店内に入ると、カウンター越しにはシェフの丸山裕介さん。ここはビストロスタイルのジビエ料理店だ。ジビエとは狩猟で得た野生鳥獣の食肉のこと。古くフランスでは貴族が狩りを楽しみ、それを食すという伝統的食材であり、今に伝わる食文化である。森や山の自然の恵みを感じさせるなんとも魅力的な食材だ。ジビエとともに狩りガールという言葉や、自身で狩猟し解体することがブームになるなど、話題は事欠かない。野生の尊い命をいただく。命に感謝をするという思いもある。ライフスタイルを含め、食に関する安心安全へのこだわりが一端なのだろう。猪や蝦夷鹿、時に熊など、日本各地から取り寄せたジビエで舌鼓を打つ。

(イノシシ肉処理場復活、また頑張る:島根)
美郷町乙原にイノシシ肉処理販売会社「おおち山くじら」の事務所がある。昨年7月の西日本豪雨の際は近くの住民らの避難所となった。同町吾郷の食肉処理場は浸水したが、地域住民の助けやインターネットで資金を集めるクラウドファンディングで8月には完全に復活。「販売先の紹介などでも地元の人々に良くしてもらっている。ここの暮らしが楽しい」とIターンを満喫している。

(ジビエ料理:愛知)
愛知県豊田市の名鉄豊田市駅周辺で16日、市街地の活性化を狙った物販イベントが始まった。約20店が出店し、17日まで続く。目玉の一つが、地元などで捕獲された野生イノシシなどの肉を使った「ジビエ料理」だ。豊田と言えばクルマの街だが、山間部では農作物が食い荒らされる獣害が深刻化し、2017年の被害額は約1億2000万円。

(地元産イノシシ肉100%使用のハンバーグ:新潟)
新潟県上越市の市立水族博物館「うみがたり」1階にあるレストラン「レストランテ ロス クエントス デルマール」で地元産イノシシ肉100%を使用したハンバーグプレート(1200円)が登場した。平日10食、土曜・日曜・祝日20食の数量限定。同店は「この機会に地元産のイノシシ肉を気軽に食べてもらいたい」と話している。イノシシ肉を使用したハンバーグは、今年の干支にちなんだ話題となるメニュー開発の中で誕生。狩猟肉を使った「ジビエ料理」は特有の臭みや固いというイメージから敬遠されがちだが、同店の宮本小雪店長(25)は「完成したハンバーグはイノシシ特有の臭みもなく、おいしく仕上がりました。子供たちにも喜んでもらえそう」と笑顔を浮かべる。ハンバーグに使用するイノシシ肉は粗挽きミンチで、同市柿崎区の「柿崎ブーシェリー」から仕入れる。そこに、安塚区で雪室貯蔵された甘みのあるタマネギのみじん切り、山本味噌醸造場(同市中央1)のみそを混ぜ合わせて手捏ねする。150gで形成し、フライパンで両面に焼き目を付けてからスチームコンベクションで加熱調理する。「ミンチは粗挽きなので食感を楽しめ、食べごたえがありますよ」と宮本店長。

(駆除シカ活用、「角」工芸品が人気:滋賀)
滋賀県長浜市北部の山中で駆除されたシカの角で作ったキーホルダーや帽子掛けなどの工芸品が、同市西浅井町塩津浜の道の駅「塩津海道 あぢかまの里」で販売されて人気を集めている。猟師として駆除に従事する男性の手作りで、「角を手に取って、野山を駆け巡っていたシカの命を感じてほしい」と思いを込める。県猟友会に所属している同市余呉町中之郷の建設業桐畑清太郎さん(64)が、自宅の工房で約3年前から手作りしている。駆除したシカは、猟師仲間や知人に解体した肉を配る以外は、山中に埋めるなどの廃棄処分にしているため、「猟で奪った命を少しでも無駄にしない」と、雄シカの角を工芸品の材料に使うことを思い立ったという。キーホルダーは角をのこぎりで長さ10センチほどに切り、やすりで磨いて滑らかな手触りに仕上げた。角の原形を生かした帽子掛けは高さ約50センチで、木の台座に固定した。アザラシやカッパの形に削った小物もある。余った端材は、飼い犬にかませて遊ばせる「ペット用おもちゃ」にした。道の駅の浅井正彦駅長(67)に勧められて2年ほど前から売り出したところ、観光客らから「珍しい」と評判だという。工芸品の価格は、千~1万5千円程度。桐畑さんは「里山環境保全のための駆除活動について理解が広がれば」と話す。

(「文鹿祭」鹿革製品の普及目指す:兵庫)
兵庫県シカ・イノシシ丸ごと一頭活用コンソーシアムが主催するイベント「文鹿祭」(ぶんかさい)が26日、神戸・三宮の生田神社で開かれる。地元でセレクトショップを運営するメリケンヘッドクォーターズ(入舩郁也社長)が企画などで協力している。同イベントは地域資源として野生のニホンジカを活用した料理や食品、鹿革製品を普及するのが目的だ。穴粟市(認証商品)、養父市・朝来市(農産物・加工品)など地域特産物も並ぶ。入場無料。ジビエ肉やペットフード、鹿革製品の商談会も生田会館で開く。「業界団体関係者など有識者をはじめ、一般市民を含めた多くの人たちが楽しみ、気軽に交流することで、地域創生と自然環境問題の解決につなげたい」としている。

(狩猟歴半世紀以上、ベテラン猟師:兵庫)
単身山に入り、自作の「くくり罠」で獲物を仕留める猟を30年以上続けている。技術の高さから猟師仲間に一目置かれる存在。探究心の塊で、イノシシを中心に野生動物との知恵比べを楽しんでいる。猟師が仕留めたイノシシは、石生駅から鉄路で篠山に運ばれ売られた。昭和38年の豪雪時に近所の猟師がイノシシを大量に獲ったのを見て「冬の仕事に」と志した。プロ猟師が大勢おり、犬を放しチームで銃猟をする伝統的な巻き狩り猟に加わった。一貫目(3・75キログラム)1万3000円、昭和45、46年ごろは30―40キロのイノシシ1頭で17、18万円にもなった。「子ども8人を鉄砲で大きくしたという人がいた」。昭和の終わりごろからシカが増えた。この頃から、ワイヤーに脚をからませる「くくり罠猟」に切り替えた。塩ビパイプとバネとワイヤーを組み合わせた小型のわなは改良を重ねるほどに模倣され、あちこちで使われている。ねらいはイノシシ。シカが少ない猟場を求め、鳥取県まで猟に出かけた。山を見たらイノシシが通りそうな所が分かる。「理屈理論ではない。野性の勘」。「獲物がわなを踏みさえすれば獲れる。踏ますにはどうするか。発想の良い者と悪い者の差が出る」とにんまり。先輩の教え「かけがえのない命をよばれるんやから、殺生はするな。食べるか、肉を売ってお金にするかどっちかや」を肝に銘じている。「補助金のためのような猟は好まない」。来シーズンに向け、わなを作っている。「79歳の来季はもう1年猟をやりたい。猟はおもしろい」。78歳。

(イノシシと盤上の攻防:石川)
小松市の自然環境について学ぶ「環境王国こまつ里山学会」が十六日、市公会堂であった。参加者たちは鳥獣対策のボードゲームに挑戦し、楽しみながら理解を深めた。ボードゲームは東京都の一般社団法人「Pine Tree(パインツリー)」が製作。約五十のマスがあるマップを使い、イノシシと住民、ハンターの三役に分かれて進める。それぞれが移動しながら、ハンター役がイノシシ役を捕獲するか、地図上の餌を食べさせずに飢えさせれば成功となる。今回は約三十人の参加者が五、六人のグループに分かれて挑戦した。パインツリーの今井修副理事長(70)が「餌のある場所を守るのが住民の役目」などと解説。初めは戸惑っていた参加者たちだが、住民役が柵を設置してイノシシを追い出すなど、ゲームを通して鳥獣対策を学んだ。今井副理事長は「実際の現場でも、住民が協力して柵を設置すると効果がある。ゲームを通して関心を深めてもらえたら」と話していた。学会は、里山保全に取り組む「こまつSATOYAMA協議会」と市が主催。金沢大人間社会学域地域創造学類の林直樹准教授による講演もあり、約七十人が熱心に聞き入った。

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