<射撃ニュース3月>
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(国体に女性選手加入を義務化、日本クレー射撃協会)
日本クレー射撃協会は28日、東京都内で理事会を開き、2021年の三重国体から、各都道府県の選手団に女性選手加入を義務化することを決めた。協会によると、登録会員数約2千人のうち、約3%しかいない女性の比率を上げることが狙い。大江直之事務局長は「大変なことだが、協会関係者全員の意識や認識を変えたい」と話した。

(狩猟税減免措置の5年間延長)
平成31年3月27日、地方税法の改正が国会で議決され、平成27年度から4年間の期限で実施されていた鳥獣捕獲員を対象とする狩猟税減免措置が、5年間延長されました。これは、大日本猟友会が自民党鳥獣捕獲緊急対策議員連盟(二階俊博会長)や公明党野生動物被害対策プロジェクトチームをはじめとする与党与党に強く要請していたもので、お蔭をもちまして本会の活動が実を結びました。

(線路シカよけ、ハチの羽音「効果バツグン」:岩手)
山間部を走るJR釜石線や山田線で悩みのタネなのが、シカとの衝突だ。なんとか防げないかとJR東日本グループと民間企業が協力し、ハチの羽音を使った実証実験を行ったところ、効果はバツグンだった。JR東日本によると、2018年度上期(9月末まで)、列車とシカとの衝突事故は釜石線で84件、山田線で108件にのぼった。事故が起こる都度、遅延などダイヤの乱れにつながる。対策に悩んでいたところ、グループ企業を通じて、広島県福山市の養蜂業「はなはな」を知った。同社は養蜂で得た経験から、野生動物がスズメバチを恐れる習性を生かした装置を開発。複数種のハチの羽音や体臭を、配管を通じて害獣を退けたい範囲に送り出す。昨年12月から、JR山田線の陸中川井駅―腹帯駅(いずれも宮古市)間の約500メートルで実証実験をスタート。配管を線路脇に設置し、2メートル間隔に開けた穴からススメバチなどの羽音を聞かせた。すると、3月までに実験区間でのシカとの衝突事故はゼロに。「はなはな」の清水秀幸社長によると、2月には実験前にあったシカの足跡がなくなり、近所の住民からも「姿を見なくなった」と言われたという。今回は配管を地上に置いたが、地中に埋め込むこともできる。臭いも拡散すればより大きい効果が期待できる。シカのほか、イノシシ、ツキノワグマよけにも一定の効果があるという。JR側は今回の結果を受け、本格導入するかどうか検討する。

(ニホンジカに係る生態系維持回復事業計画策定ガイドライン)
環境省は、全国で深刻化する国立公園におけるニホンジカによる生態系被害を踏まえ、ニホンジカ対策を科学的かつ順応的に進めるために、「ニホンジカに係る生態系維持回復事業計画策定ガイドライン」を作成しました。近年、全国の国立公園において、ニホンジカの採食、踏圧等による生態系への被害、生物多様性への影響が顕在化しており、効果的・効率的なニホンジカ対策が必要となっています。このため環境省では生態系維持回復事業計画の策定・実施により、すみやかに国立公園の生態系を維持・回復させることを目的として、検討会を開催し有識者の方々の御協力のもと本ガイドラインを作成しました。本ガイドラインは、予防原則に基づき、科学的順応的にニホンジカ対策を推進することを基本方針として、事業計画を新たに策定または更新する際に効果的・効率的な計画を策定する方法を示したものです。事業計画の策定にあたっては、的確に現状を把握した上で、現状に即した対策方法を適切に選択することにより、効果的で検証可能な事業計画が実施できるよう本ガイドラインでは主に以下の内容で構成しました。(1)計画策定のために事前調査を行い、現状を把握し評価することの重要性(2)事前調査における、当該地域における過去の調査事例、衛星データや航空写真、航空レーザ測量など鳥瞰的なデータ、種々のデータを統合し合意形成を図るためのツールとしてのGIS活用などの有効性(3)ニホンジカの影響段階、対策進行段階の把握の方法(4)達成すべき数値目標設定の考え方と具体的な対策の実施方法(捕獲・防除)(5)対策の効果、目標の達成度の評価手法(6)他の関連計画との連携及び実施体制の構築.本ガイドラインは国立公園のみならず、国定公園や都道府県立自然公園、自然環境保全地域等におけるニホンジカ対策においても活用されることを期待しています。また、気候変動に脆弱な高山植生等が保全され、結果として気候変動への適応策をとる上でも役立つことを期待しています。なお、国立公園等におけるニホンジカに係る生態系維持回復の取組の強化のため来年度は生態系保全等専門員を全国に5名程度配置することとしています。

(駆除イノシシ焼却、専用施設完成:福島)
福島県南相馬市が市原町区小沢に整備した有害鳥獣焼却施設が完成し、現地で28日、記念式典があった。東京電力福島第1原発事故に伴う住民避難などの後、人の生活圏に侵入して住居や農作物を荒らす有害鳥獣を捕獲し、イノシシを中心に年間約1500頭を焼却処分する。4月に稼働させる。東日本大震災の津波被災地約1700平方メートルに延べ床面積440平方メートルの鉄骨一部2階の施設を新設。焼却炉2基を備え、1日2回の運転で最大500キロを焼却する。総事業費は約3億7300万円。国の福島再生加速化交付金などを充てた。焼却灰は放射性物質濃度が国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下は民間で処分し、上回れば指定廃棄物となる。市では原発事故後、出荷規制が続く捕獲したイノシシ5000頭以上を仮埋設処分してきた。福島で有害鳥獣専用炉が整備されるのは相馬市内に続き2例目。式典で門馬和夫南相馬市長は「営農再開などで市民の大きな不安材料となってきた有害鳥獣だが、施設完成で解消できる」と話した。

(県内最大規模のジビエ施設完成:長野)
イノシシとニホンジカのジビエ肉を処理加工する長野市直営の施設が完成し、28日に竣工(しゅんこう)式があった。4月から試験稼働が始まる。移動式解体処理車(ジビエカー)やストレッチャー付き軽保冷車も用意。年間1千頭の処理目標は県内でも最大規模で、関係者からは「ジビエ振興の牽引(けんいん)役に」と期待の声が上がった。「長野市ジビエ加工センター」は同市中条地区に設けられ、鉄骨造り平屋建て(延べ床面積約330平方メートル)。解体室や処理室、冷凍室のほかに肉をやわらかくし、うまみ成分が出るようにする熟成室もある。総事業費は約3億5400万円(うち国からの交付金1億2千万円)。センターでは、猟師や精肉業の経験がある3人が作業にあたる。初年度は600頭(食肉販売量10トン)の処理を予定し、最終的には年間1千頭に増やす方針。4~6月の試験期間に市内のホテルや飲食店で肉を使ってもらい、出荷先を広げていく考えだ。この間に「国産ジビエ認証」なども取得し、7月から本格稼働させる。

(五輪をめぐる、64年のレガシー)
今も射撃をしていますかと尋ねると、1964年東京五輪クレー射撃日本代表の佐波(さなみ)光男(82)は、白いスポーツカーで愛知県豊田市の県総合射撃場へ案内してくれた。2月、冬晴れの日だった。銃を構えるのは3カ月ぶりだったが、飛び交う的を次々と命中させた。「経験だね。仲間が『会長、来てください』と誘っログイン前の続きてくれるから試合に出続けている」。辞めてから20年も経ったが、地元では今も会長と呼ばれている。東京五輪では15位。「ベストは尽くした」。家業は菓子工場だったが五輪後はプロ射撃選手になり、鉄砲店も開業。喫茶店を開くとこれが当たった。仲間と行く北海道での鹿狩りなど、射撃は趣味として続けた。元五輪選手ということもあって愛知県クレー射撃協会の役員になると、県協会会長を経て、95年に日本協会の会長になった。97年、神奈川国体のリハーサル大会で問題が起きた。式典を補助した女子高校生がセクハラを受けたと匿名で訴えた。人権団体などが県と協会に抗議。責任を取って佐波は辞任した。人気があった佐波の復帰の声が高まったのは99年。2度目の会長職は同年4月から翌年1月までの10カ月。今度は熊本国体で役員のセクハラが指摘された。90年から協会で働く事務局長の大江直之(51)によると、神奈川のケースは加害者も被害者も特定されず、熊本では加害者とされた2人が否定した。潔白を主張する道もあったが、佐波は自分が辞めることで事を収めた。日本クレー射撃協会は「不祥事がたびたび起きる団体だった」と大江は言う。日本体育協会から除名されたこともあった。佐波が去って組織は一時弱くなったが、再建の過程で「すっかり変わった」。2016年、組織の復活を目指す8項目の規範を示し、これを「崇高な誓い」とした。佐波は選手強化でリーダーシップを発揮した会長だった。社会人選手の練習費用を補助する仕組みを作ったり、女子を重視する強化策を打ち出したり。96年アトランタ五輪から3大会連続で女子が入賞したのはその成果だ。強引なところもあったというが、会長の座にはこだわらなかった。「五輪を経験して、自分一人で道を切り開く自信がついた。だからいざという時に辞められた。射撃は未成年ができず、女性も少ない競技。普及が難しいから選手が大切で、競技が続くことが大事。私の役職なんて大したことではなかった」最近、長期政権の競技団体で不祥事が起きていることを思いながら話を聞いた。五輪での実績は、トップの立場を続ける理由にもなる。佐波はそうはしなかった。

(幼稚園に“シカ”が突進:埼玉)
さいたま市内の幼稚園に鹿とみられる動物が侵入、防犯カメラが入り口に突進してくる姿を捉えていた。23日の午後2時過ぎにさいたま市内にある幼稚園の防犯カメラが捉えた映像には、突如、幼稚園の入り口に何か動物が突進してくる姿が写っていた。その後、画面奥の駐車場の方へと走り去る動物、スローでもう一度よく見てみると鹿のように見える。幼稚園の出入り口のガラスにはヒビが入り修理が必要になったが、当時、休みで園児はおらずケガ人もいなかったという。警察によると、付近では数件、鹿の目撃情報が寄せられているという。

(大学構内にニホンカモシカ現れる:岩手)
岩手県の岩手大学の構内に27日朝、1頭のニホンカモシカが迷い込み、一時騒然とした。午前10時頃の岩手大学。大学職員や警察官が見つめる先にいたのは、野生のニホンカモシカ。体が大きく、ずっしりと構えた大人のカモシカ。27日午前7時半ごろ、大学の守衛が敷地内を歩くカモシカを発見。植物園の中をうろうろしたあと一度姿を見失ったが、再びこの場所で1時間ほどとどまっていた。周りには住宅街がある。辻本園長「夜までこうしておけば多分いなくなると思う」。麻酔をかけ捕獲するのか、それともこのまま見守るのか、動物公園の職員も交え対応を協議。すると、こちらの様子をうかがいながらそろりそろりとカモシカが歩き出し、事態が動く。カモシカ走り出す。「行っちゃった」「こっちにシカ来たみたいですが見なかった?」「シカ!?見なかったね」。いったん建物の裏にいるのが見つかったカモシカだったが、再び歩き出し、そのまま姿を消してしまった。辻本恒徳盛岡市動物公園園長「盛岡の街の周りにはたくさんいますので。例えばこの近くだと高松の池の山並みがありますね、そこはもともとカモシカが来て赤ちゃんを産んでいるような場所なので。たぶんそういうところから迷い込んでくるんでしょうね」。自然豊かな街中に顔を出したカモシカ。春の入学シーズンを前に一足早い学生生活を味わいたかったのかもしれない。

(豚コレラ問題でジビエ産業への支援策を要望:愛知)
豚コレラ問題で、知事にジビエ産業への支援策を要望しました。愛知県豊田市と田原市の養豚場では2月に豚コレラウイルスの感染が確認され、計2万4000頭余りが殺処分されています。県は感染拡大を防ぐため野生イノシシへの経口ワクチンの散布を始めています。豊田市の太田稔彦市長と田原市の山下政良市長は大村秀章知事に対し、経口ワクチンの散布でジビエ産業の売り上げが落ちた場合の支援制度の創設などを要望しました。要望を受けた大村知事は「農家の心が折れないように全力で取り組む」と述べました。

(猿の位置情報共有、SNSでリアルタイム:和歌山)
和歌山県印南町の農家が、猿害対策としてインターネット交流サイト(SNS)の一つである「LINE(ライン)」で、群れの居場所を共有し、追い払いなどの取り組みに効果を上げている。地域住民も鳴き声や目撃の情報を即時に投稿することで、電波発信機調査法(テレメトリー法)に基づいた群れの居場所の把握が強化できた。猿の接近に合わせたり、先回りしたりした畑の見回りや追い払い、わなの設置で被害を防ぐ。また、鳥獣害対策に欠かせない集落ぐるみの取り組みにもつながっている。同町では、農家や猟友会、JA紀州、印南町や県の担当者らで、町鳥獣被害防止対策協議会を組織する。山間部にある印南原地区はとりわけ鳥獣害がひどく、同町の2017年度の調査によると、被害金額は360万円で被害面積は1ヘクタールだった。猿による被害が3分の1を占めた。テレメトリー法の活用は18年2月に始めた。受信機3台を農家や県職員が持ち、群れの移動を把握しながら、農家らが煙火で追い払ったり、わなを仕掛けたりした。当初は電話で連絡を取り合っていたが、6月にスマートフォンアプリのLINEによる情報共有を始めた。協議会会長で花き果樹農家の尾曽紀文さん(58)ら印南原地区の農家仲間が始めた。グループ「印南原モンキーアラート」を立ち上げた。これに行政関係者やJA紀州、被害に悩む地域住民らが加わり、19年3月には約40人に増えた。スマホを持たない農家は家族が代わりに参加する。LINEには、メンバーの誰かが猿の居場所を察知するたびに「反応あり」「鳴き声を確認」「煙火で追い払いますか?」などとリアルタイムでやり取りが進む。尾曽さんは「猿の居場所が視覚的に分かり、情報がリアルタイムなので追い払い活動が確実になった」と実感する。LINEの利用で対策へのハードルが下がり、地域全体で連帯感が出てきた。同町産業課は「効率的な追い払いと猿の捕獲で被害は減っている」とみて、19年度に対策後の被害調査をする予定。

(野生動物出没、メール発信:石川)
イノシシの出没が市街地で相次いでいることを受け、金沢市は26日、市の災害情報メール通知サービス「金沢ぼうさいドットコム」を使い、イノシシやサルなど野生動物の出没情報をメール配信するサービスを始めた。市が提供する野生動物の出没情報は、クマについては2016年8月から配信している。今回はイノシシやサルのほか、人に危害を加える恐れがあるニホンジカやヒアリなどを対象にする。登録した校下や地区で目撃された日時や場所、痕跡や人身事故の情報などを発信し、地図も示す。農業水産振興課によると、市街地でのイノシシの出没情報は18年度、これまでに15件あり、うち12件が昨年10月に集中した。

(「野生イノシシ激増」の現場に見えた難題:千葉)
日本全国でイノシシやシカの生息地が拡大し、人口減少が顕著な農村地帯を直撃している。イノシシとの闘いの最前線の1つ、千葉県館山市を訪ねると、「イベリコ豚もびっくりのおいしさのイノシシを売りだしたらどうか」。そんな秘策を練っている人たちがいた。地元の農家に加え、最近この地域に移り住んだり、新たにビジネスを始めたりした人々。状況反転はなるのか――。「そこの田んぼが、全部ダメになりました」千葉県館山市の中心部から約10キロメートル、田畑が広がる神余(かなまり)地区で、農業を営む、長田等さん(56歳)は、今も憤懣やるかたない。「イノシシは、山奥で、背の高いヨシなどの周りをぐるぐる回って倒し、その下にもぐって、テントみたいな巣を作る。それをなぜか稲のところでやったんですよ。習性があるのかなあ。獣の臭いがついてしまい、稲は全部ダメになりました」こうしたイノシシによる被害が悪化、神余地区では4年前から侵入防止柵の設置を進めた。今では、延長2キロメートル以上にわたって、高さ90センチの鉄製ワイヤーメッシュによる防護柵、その上には電気柵が張り巡らされた中で、集落の農家約30軒が生活している。3月17日の日曜には、防護柵の外側に、つっかえ棒のような形で別のメッシュフェンスを立てかける補強作業が、集落総出で行われた。「それは、俺のアイディア」。そう胸を張る長田さんによると、イノシシは、防護柵の下の部分を鼻で押し、隙間を作って入ろうとする。しかし、その外側に、より低い防護柵を立てかけると、入ってこないという。同じ神余地区で、忙しいスケジュールの合間を縫って農作業も行う館山市議会議員、鈴木正一さん(68歳)は、「近隣のほかの市町村でイノシシの被害が悪化したため、『いずれはこちらにも来るぞー』と6年前に館山有害鳥獣対策協議会ができた。でもまさかこんなに増えるとは思ってもみなかった」とため息をつく。館山市のイノシシ捕獲数は、2008年度には31頭だったのが、倍々ゲームで増え、2018年度は3月上旬までで950頭と、1000頭にも迫る勢いで急増。10年間で32倍にもなった。狩猟免許を取る人が増えたことをはじめ、協議会の努力もあるが、「野生イノシシの繁殖力の尋常でない強さ」(鈴木市議)が大きいという。神余集落の近くには、「東紅苑」という住宅地がある。もとは分譲別荘地だったが、今は5割近くの住民が定住している。6年前、両親に合流する形でここに住み始めた加藤茂さん(39歳)は証言する。「イノシシが庭に入ってくるんです。近所の家では、庭を掘って水道管を壊し、水が噴き出した。気づいたときには、もう庭が沼になっていました。空き家の庭にウリ坊たちが集まり、合宿所みたいになってしまったこともあります。チビたちが住宅地内の道路をテコテコ歩き回る始末。追い払うのが大変でした」加藤さんは本業の翻訳・通訳のほか、紀州犬、四国犬などの日本の犬を猟犬として訓練する仕事をしている。銃やわなを使える狩猟免許を持ち、犬とともに地元の有害鳥獣駆除隊に加わることもある。一昨年、2017年の12月24日に起きたことは、忘れられない。加藤さんは振り返る。「犬2匹とともにイノシシを追って山に入った。ちょうど竹やぶの上のほうに60頭余りのアカゲザルの群れがいた。犬の1匹が山の奥のほうに入って戻ってこないので、私が見に行っているうちに、残った1匹がサルに囲まれ、ボコボコにされた。駆け付けた直後、犬は数歩歩いて倒れた。動脈をかまれて出血がすごく、脚も肉が骨から離れ、靱帯が切れて骨が見えていた。頭もやられ、耳がぶらぶらしている。抱き上げて山から降ろし、動物病院に連れて行った。病院の措置のおかげで犬は一命をとりとめたが障害が残り、猟から引退しました」田畑や住宅地はもちろん、道路上にもイノシシ被害が及んでいた。イノシシは道路脇の斜面や草地を掘り返す。ミミズを探して食べるためだが、植わっている木が倒れるほど深く激しく掘り返すので、地元では雪をかき分けて進むラッセル車にたとえて、“ラッセル掘り”とも呼んでいる。道路脇の草地からは、絶えず大きな石がごろごろ転がり出て、運転する側にとっては危険極まりない。イノシシが道路上に飛び出し、バイクや車にぶつかる交通事故も珍しくない。昨年6月には、新聞配達のバイクにイノシシが体当たりし、バイクに乗っていた人が川底に落ちて数週間のケガを負った。今年1月には、農家の人の車と飛び出してきたイノシシが衝突し、車が大破する事故があったという。野生のイノシシの生息域は拡大している。緑の国勢調査として知られる環境省の「自然環境保全基礎調査」による直近のデータは、2004年に実施された哺乳類分布調査によるものだ。今から15年前の調査になるが、この時点で、千葉県は「それ以前には生息が確認されておらず、新たにイノシシが見つかった場所」だった。環境省の堀上勝(まさる)・野生生課長は「全国各地で耕作放棄地が広がり、里に人が少なくなってきたことが大きな要因となり、生息域が急拡大している。人が生活するところにイノシシの生息域が近づいてきているので、被害が増えている」と話す。昨年は、イノシシによる「人身被害」も目立った。読売新聞によると、2月24日には茨城県常陸太田市の山林で、伐採作業中の37歳の男性が尻や腕をかまれてケガをし、2月26日には山梨県市川三郷町で農作業中の60代男性が左手をかまれ、全治1カ月のケガを負った。死亡事故も起きた。9月23日に静岡県南伊豆町の国道で、友人とバイクのツーリング中だった51歳の会社員が、右から飛び出して来たイノシシと衝突し、胸などを強く打って搬送先の病院で死亡した。福島県で子どもの自然体験キャンプ事業を続けている「野外計画」は、館山市の牧場跡に宿泊施設「シーマたてやま体験センター」を開いた。今年は本格稼働3年目。近隣の農家とタイアップしての農業体験プログラムなどを行ってきたが、今年1月、初めてイノシシをテーマに据えた野外体験キャンプを実施した。「東紅苑」の住人でイノシシの有害駆除を行う加藤茂さんは、講師の1人。銃を持ち、猟犬とともに、参加者を引率して入り、イノシシの生態や暮らしぶりについて説明した。途中、4回にわたって、イノシシと遭遇。その都度、緊迫したが捕獲には至らなかった。東京から来た人が主だった参加者の中に、シーマたてやま体験センター隣の畑集落の石井唯行さん(41歳)がいた。石井さんは31歳のとき、東京でケーブルテレビ会社の営業や工事を請け負う「ワンズディー」を設立し、館山に戻るつもりはなかったという。ところが2年前に、1000年以上の歴史を持つ畑集落の歴史を知り、館山支店を開いて館山に人と仕事を呼ぶ事業に乗り出した。キャンプ2日目の朝、石井さんの父(72歳)から、「箱わなに、イノシシ3頭がかかった」と連絡があり、急きょ、講師の加藤さんがイノシシ肉をさばく作業を見せる展開になった。「野外計画」の八木信行さん(68歳)は「スケジュールになかったことなので、参加者一同、びっくり。キャンプの食事は自炊ですが、加藤さんによる解体作業を見た後、そのイノシシの肉を、あらかじめ加藤さんが持ってきた肉や手作りのソーセージとともに味わった。おいしかったですよ」と話す。石井さんはこのとき、初めてイノシシの肉を「おいしい」と思ったという。「農業被害を防ぐため、父は箱わなをしかけてはイノシシを捕獲し、それをさばいて冷凍庫に入れていましたが、イノシシ肉は家族には不評でした。固いし、臭いし。ここのイノシシはミミズばかり食べているからまずい、とも言われていた。それなのに、加藤さんがさばいたイノシシの肉は柔らかい。脂身に甘味があっておいしい。さっぱりしている。衝撃でした」。加藤さんは、全国を歩き、名の知られたハンターのもとで修業。各地のセミナーにも参加して、イノシシ肉のさばき方を身に付けたという。石井さんは、肉のさばき方に秘訣があると知った。地域おこし協力隊員として館山市で獣害対策支援を行う沖浩志さん(36歳)は、「館山の山には、炭焼きに使うマテバシイというドングリのなる木が多い。炭焼きは行われなくなったが、秋から冬にかけて、山にはドングリの実がたくさん落ちている。それを食べ、走り回っているので、ここのイノシシはおいしいのではないか」と考えている。イベリア半島にあるスペイン産のイベリコ豚は、「ドングリを食べているからおいしい」をうたい文句に、日本で人気を博した。館山のイノシシの味はイベリコ豚の味に似るはず、というわけだ。ただ、たまたま捕獲したイノシシの肉を家族や知り合いに分けて食べることはできても、それを売ることはできない。保健所の許可を受けた解体施設を作り、県が主催する講習を受ける必要がある。沖さんは「自分で獲物を取って食べることに惹かれる人が増えている。農家には、こだわりを持って作業できる人が多いので、イノシシ解体技術の向上も期待できる」と思う。加藤さん、石井さん、八木さん、鈴木市議らとともに、額を突き合わせては、イノシシの肉を売る事業化への道を探っている。

(絶滅の危機、火打山のライチョウを救え:新潟)
新潟県妙高市の火打山(2462メートル)には、国の特別天然記念物、ニホンライチョウがすんでいる。1952年に発見されて以降、火打山には20~30羽が安定して生息しているとされてきた。ところが、近年の急激な温暖化の進行や山間地での狩猟の減少などにより、高山の環境が著しく変化し、何もしなければ絶滅の危険さえあるといわれるようになった。植生が変化し、ライチョウの餌となってきた植物が乏しくなったり、シカやイノシシの出現で高山植物の草地が食害にあったりしていることが大きい。生息域と生息数の正確な調査と、その結果に基づく環境保全活動が急務となっている。植生の変化とともに、懸念されるのがシカ、イノシシなどの出現だ。ライチョウの餌場の高山植物を食べ荒らし、翌年以降の芽吹きにも悪影響を及ぼす。高山帯には本来いない動物だ。火打山と並んで県内では糸魚川市の小蓮華山(2766メートル)のある山域にライチョウが生息している。この一帯のライチョウ調査を15年から続けている上越市の田中徳光さん(73)は「狩猟文化が衰退して、森の生態系が崩れ、増殖したイノシシやシカが温暖化と相まって北日本や高山にまで生息域を拡大しているため」と指摘する。田中さんは「ライチョウの天敵となるテン、オコジョ、サル、タカをはじめとする猛きん類も、高山で見受けられたり、痕跡が確認されたりするようになった」と懸念する。似たような状態が火打山山域にも見られる。長野さんは「植生にしろ生き物にしろ、本来の高山の姿から見るとバランスを著しく欠いた状態になってきていることは確か」と言う。「人間の活動がもたらした負の状態であるなら、人間が手を加えることでバランスのとれた形を再び取り戻すことが必要」と強調する。狩猟関係者は「イノシシやシカなどは、捕獲して適切な数を保つのが望ましい。その肉を食用に販売し、ネットなども活用して消費を促すことができれば、地元経済にも利点がある」と言い、そうした循環をどうつくるかも課題だ。いずれにしてもライチョウの生息環境が保たれるようにする活動に猶予はない。森林総合研究所北海道支所の研究員らのグループは、温暖化の影響に関し2081~2100年には高山植物が生える面積は今より約9割減ると算出し、警鐘を鳴らしている。

(ジビエ居酒屋「米とサーカス」:京都)
JR高田馬場駅前のジビエ居酒屋「米とサーカス高田馬場店」(新宿区高田馬場2)が3月18日、8周年を迎えた。ゴールデン街にあるバー「ゴールデンダスト」(歌舞伎町1)を運営する宮下企画の2店舗目で、ジビエ専門店として2011年にオープン。当初はシカやイノシシ、クマなど定番のジビエが中心だったが、徐々にラクダ、アライグマ、ワニ、ダチョウなど種類を増やしてきた。現在はオープン時の約10倍近くの種類のジビエを取り扱う。バレンタインデーの企画として、イナゴのつくだ煮をチョコレートでコーティングしたメニューを提供したところ、客から評判だったことがきっかけとなり、2015年から昆虫食にも取り組み始めた。最近でも、ひな祭りの3月3日には昆虫をあしらったパフェ「虫パフェ」(1,648円)を限定5食で提供するなど、高田馬場で話題に欠かない飲食店として知られている。3月18日は8周年にちなみ、何杯飲んでも生ビールを8円で提供する「8円祭」を開催。常連客や近隣の飲食店の店主が集い、同店の8周年を祝った。同日から馬料理を提供する「8種の桜祭り ~馬並みなのね、私はトリコ~」も開催。メニューは、「桜の金玉スライス バター醤油(しょうゆ)焼き」(1,280円)、「桜の大動脈」(710円)、「桜脊髄のポン酢和(あ)え」(780円)などで、春をイメージした企画となっている。石井翔店長は「多くのお客さまに支えていただき、8周年を迎えることができた。この数年間でジビエの認知は向上、昆虫食も以前に比べて知られるようになってきた。8年前から取り組んできた食材が世の中に広まってきてうれしい。これからもジビエや昆虫食の可能性を追求していきたい。『8種の桜祭り』の次はジビエの睾丸(こうがん)をさまざまな調理で提供する『キンタ祭り』を開催予定。こちらも期待いただければ」と来店を呼び掛ける。

(シカやイノシシ肉で料理教室:長野)
飯田市南信濃公民館主催の「春休み連続子ども講座」は26日、南信濃地域交流センターで開かれた。猟師や調理師免許を持つ若者らが講師を務め、地元の小中学生35人がシカやイノシシの肉を使ったドライカレー作りに挑戦した。子どもの長期休みの受け皿として公民館が企画。本の読み聞かせや手芸、旧木沢小学校への1日体験入学など多様な地域学習を春休み中に計画した。この日は猟師になるため2016年に南信濃へIターンした木股玄登さん(29)=岐阜県出身=と、南信濃出身で調理師免許を持つ野竹龍太郎さん(22)の2人が講師を務めた。木股さんは移住後、狩猟の免許を取得し飯伊連合猟友会南信濃支部に所属。この日も自身で捕らえたシカとイノシシの肉を食材として提供し、すじが多く食用は毛嫌いされる前足部分をミンチにしてカレーの具材として有効活用した。子どもたちも野菜を切ったり、目玉焼きを作ってカレーの上に乗せたり。小学3年の男子児童(9)は「食べたことなかったけど、すごくおいしい。柔らかいいつものカレーと違い、少し辛かった」と大きな口でほお張った。講座は子どもと地域で暮らす若者との交流も一つのテーマに掲げており、木股さんは「猟師や料理人が身近にいること、自分のやりたいことに励んでいる人間がいることを肌で感じるきっかけになれば」と話した。

(イノシシ革製品人気:岡山)
岡山県やNPO法人などが企画し、障害者が作り手に加わったイノシシの革製品が人気だ。今年は亥年で販売に弾みがつき、関係者は「さらにPRして売り上げを伸ばしたい」と意気込む。従来廃棄されていた有害獣の皮を有効活用するのと同時に、障害者の自立支援を図る狙いがある。古代吉備王国が栄えた土地であることにちなみ、革製品は「KIBINO」のブランド名で岡山市内の物産館などで販売。バッグやペンケース、キーホルダーなど約60種類を取りそろえている。障害者の就労を支援するNPO法人「岡山県社会就労センター協議会」や県が発案。県内の障害者就労支援事業所なども加わり、製品化を目指すプロジェクトが平成24年から始まった。岡山県中央部の吉備中央町で狩猟したイノシシの皮を東京都の専門業者がなめしたり染色したりした上で、岡山の三つの事業所の障害者が加工して製品を仕上げる。プロジェクト開始から1年がかりでデザインなどを改良し、25年度から販売を始めた。現在は都内のセレクトショップを含めて県内外で扱われるようになった。企画に携わる事業所がある障害者支援施設「吉備ワークホーム」の三宅律子所長は、「昨年末から問い合わせや売り上げが伸びている。受注が多ければ、その分障害者の所得向上につながるので一層広めたい」と話した。

(シカの「角」人気:京都)
これ誰が買うんだ?-。一見そう思える商品の売り上げは、修学旅行生の木刀しかり、案外、堅調だったりする。京都府との境にある、おおい町名田庄納田終(のたおい)の「道の駅名田庄」では、シカの角が年間100本も売れるという。価格は一本二千円。二本セットで売られているものはすべて同じ一頭から取れた一対のもので、四千円する。また、長さ十五センチに切った、お手軽なサイズ感のものもあり、これは二本入り千円。値段は全然お手軽ではない。道の駅名田庄の畑田一郎さん(61)によると、買い求めるお客の主な用途は二つで、「刀置き」と「犬のおもちゃ」。ニーズに合わせて売り方を工夫し、現在の陳列に至った。道の駅にこの角を卸しているのは、若狭町海士坂の嶺南地域有害鳥獣処理施設を管理する建築会社。角は自然に脱落したものではなく、駆除されたシカのもの。刀置きになることを見越し、頭蓋上部で二本の角が連結したタイプも加工している。シカの角は毎年生え替わるが、自然に抜け落ちるものを拾っていては、シンメトリーになる一対の角を採取するのは困難。一対でなければ、刀を水平にめでることはかなわないからだ。また近年、新たに伸びている用途が犬のおもちゃ。テレビの情報番組で火が付き、同道の駅でも昨年から短くカットしたものを売るようにした。断面からはほのかに骨髄の臭いが漂う。畑田さんは「室内犬は興味を示さないことも多いようだが、外で飼われている犬には好評なようです。のこぎりでもなかなか切れないくらい硬いので、ほかのかむおもちゃや、おやつと比べて、断然減りが遅いんです」と話す。県内のシカの猟期は今月十五日に終了したが、角は当然日持ちするので、通年で売られている。

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(豚コレラワクチンを埋設:岐阜)
岐阜県は25日、豚コレラの養豚場への感染拡大防止策として、野生イノシシ向けにワクチンが入った餌の埋設を始めた。29日までに、イノシシが多数生息しているとみられる18市町の山中900カ所に約3万6千個を埋める。美濃市の県中濃総合庁舎前で朝、地元猟友会の会員や県が委託した民間業者の作業員ら十数人がワクチンを受け取った。猟友会の男性(71)は「初めてなので分からないこともある。慎重に進める」と緊張した様子で話した。長尾安博県農政部次長は「時間がかかっても終息への第一歩にしたい」と述べた。県は今後、監視カメラなどで摂取状況を調べるほか、イノシシを捕獲し検査で抗体の有無を確認する。4月下旬に2回目を行い、夏と冬にも2回ずつ実施する。豚コレラは昨年9月に岐阜市の養豚場で判明して以降、岐阜、愛知両県で相次ぎ発生し、感染した養豚場の出荷先を含めると計5府県で確認された。岐阜と愛知では感染した野生イノシシも多数見つかり、イノシシを介した拡大の可能性が指摘されている。愛知では24日にワクチン埋設が始まった。

(野生イノシシにワクチン入りエサを散布:愛知)
野生イノシシの豚コレラ感染防止策として、24日から愛知県でワクチン入りのエサの散布が始まりました。豚コレラは、野生イノシシがウイルスを媒介して拡大している可能性があり、愛知県ではこれまでに13頭のイノシシの感染が確認されています。国は感染防止策として、24日、国内で初めてワクチン入りのエサを、愛知県の小牧市と春日井市の山中の約30か所にまきました。ワクチンは、トウモロコシを使ったエサの中に入れられ、土を10センチほど掘って埋め、それを食べたイノシシは体内に抗体ができ、ウイルスに感染しなくなるということです。25日は、犬山市や岐阜県内でも散布され、4月4日ごろから野生イノシシを捕獲し、抗体ができたかどうか確認するということです。

(全国初のハンター育成施設:兵庫)
兵庫県は、農林業に被害を与える野生動物の駆除を強化するため、狩猟者の育成拠点を三木市内に整備する。射撃やわなを設置する訓練場のほか、基礎知識を学ぶ研修施設を設け、2022年5月の開設を目指す。県によると、実技と研修の両方を備えた養成施設は全国で初めてという。「県狩猟者育成センター(仮称)」。総事業費の見込みは約25億円。19年度当初予算に土地の測量や設計などとして1億7千万円を盛り込んだ。新センターは、同市吉川町福井、上荒川にまたがる県有林約75ヘクタールを活用。散弾銃やライフル銃の六つの射撃場と箱わななどの設置訓練場、研修棟、模擬銃による狩猟体験設備などを備える。県によると、県内の狩猟免許所持者はジビエ(野生鳥獣肉)料理のブームなどを受け、12年度の5514人から17年度には7058人に増えた。ただ、60歳以上の所持者が58%を占め、この10年間で免許所持者の約5割が更新を見送って返上したという。県は37年度に狩猟者が半減すると試算する。県内の野生動物による農林業被害額は17年度で5億200万円。08~11年度の9億円前後から減ったものの依然高水準となっている。野菜や樹木の食害などが多く、イノシシ(1億8200万円)とシカ(1億7500万円)で約7割を占める。イノシシに指をかみ切られるなど人への被害も後を絶たない。鳥獣被害が出た際には、各市町の依頼を受けた猟友会のメンバーらが随時駆除。一方、野生動物との共生を図る観点から、県はイノシシやシカなどの推定生息数をもとに年間の捕獲数目標や猟期を設け、狩猟者が猟を行っている。県鳥獣対策課は「将来的に捕獲が十分にできなければ、鳥獣被害が増えかねない。新センターで必要な狩猟者を育成していきたい」としている。

(92歳、イノシシ撃退し生還クワで応戦:神奈川)
神奈川・小田原市の畑で、92歳の男性が、襲ってきたイノシシをクワで撃退した。24日午前8時前、小田原市早川の畑で、92歳の男性が、体重およそ80kgのメスのイノシシに襲われた。男性は、持っていたクワで応戦し、イノシシは、その場で死んだ。男性は、手などをかまれるなどして病院に運ばれたが、命に別条はない。

(サルをGPS追跡、農業被害に新対策:岩手)
サルの群れの位置を把握できるインターネットサイト「アニマルマップ」の公開を釜石市が始めた。深刻な農業被害を起こしつつも、岩手県が絶滅危惧種に指定しているため捕獲対策が難しいニホンザル。野生動物の居場所を特定する「動物位置情報システム」を活用した、県内初のサル専用の追跡情報サイトだ。市のサル対策は民間委託の「サル去るパトロール隊」による花火を使った追放作戦や電気柵による作物の自主防護ぐらいしかなかった。ただ、効果があがらず、市が事務局を務める釜石地区鳥獣対策協議会が東北野生動物保護管理センター(仙台市)に相談、先月から同システムの試験運用に取り組んでいる。市内の甲子地方には25~30頭の1集団しか確認されておらず、群れの中心的なメスの首に全地球測位システム(GPS)の発信器を装着。群れの行動範囲や出没状況などをスマートフォンやパソコンで、農家や関係者が確認し「傾向と対策」を事前に検討できる仕組みだ。このアニマルマップ基地局は東北では青森、宮城に1基ずつしかなく県内では釜石市内だけ。情報サイトのURLはhttp://animalmap.jp/ IDはfourm@animalmap.jp、パスワードはmirudakeでアクセスできる。

(日本勢は予選敗退、クレー射撃W杯)
女子スキート予選で日本勢は上位6人による決勝に進出できず今大会で懸かっていた2020年東京五輪の出場枠は獲得できなかった。石原奈央子(古峯神社)は40位、南谷奈穂(オークテック)は47位だった。

(スキート男子、日本勢は予選敗退)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は25日、メキシコのアカプルコで行われ、男子スキート予選で日本勢は上位6人による決勝に進めず、今大会での2020年東京五輪出場枠の獲得はならなかった。井川寛之(モダルビル管理)は73位、脇屋昴(上野ガス)は83位、横内誠(横内商店)は順位なしだった。(

(クマ対策講座に関心、延べ1600人受講:秋田)
県自然保護課の職員が、クマの生態や対策について話す講座が人気を集めている。県庁の各課が県民の要望に応じて開く「出前講座」の一環だが、約200講座のうち初年度で早くも開催回数では上位を占める。同課は「県民のクマへの不安感や関心が予想以上に高かった。来年度は態勢を拡充したい」と驚いている。2016、17年度にクマによる人的被害が相次いだのを受け、県のホームページやチラシでの注意に加え、職員が県内各地に出向く出前講座を始めた。「事故を未然に防ぐために、県がより積極的に取り組もうと考えた」(高松武彦課長)という。予約を受け付けたところ、幼稚園や学校、自治会などから開催の要望が相次いだ。昨年4月から今月10日までに鹿角市や東成瀬村など内陸部を中心に計31回開き、受講者は延べ1672人と当初予想の500人の3倍以上に達した。

(シカ分布拡大、農業被害防ぐ手だてを:秋田)
県内では2000年ごろまで目撃されることがなかったニホンジカの分布域が急速に拡大している。小坂町と大潟村を除く23市町村で目撃されており、18年度は白神山地の本県側世界自然遺産地域で初めて確認されたほか、三種町とにかほ市では水稲の食害が見つかった。ニホンジカは繁殖力が強く、生息環境が良ければ急激に頭数を増やす。県内では16年度以降幼獣の目撃が毎年複数あることから、既に繁殖している可能性が高い。目撃情報は近年、年間80頭台で推移しているが、今後、農作物や造林木、自然植生などに被害が一気に拡大する恐れもあり、関係機関や農家らは警戒を強める必要がある。国の調査によると、北海道や東北、北陸地方で急速に分布域を広げている。狩猟圧力の低下や中山間地域での人間の活動域縮小、暖冬・少雪傾向に伴う生息適地の拡大などが背景にあると考えられる。国内の野生鳥獣による食害は17年度164億円に及んだが、鳥獣別ではニホンジカが55億円とトップでイノシシ(48億円)を上回った。本県の被害は18年度1万6千円と少ないが、いったん頭数が増えると駆除に力を入れても被害を抑え込むのは極めて難しいのが実態だ。お隣の岩手県では水稲や果樹、野菜などの農業被害が深刻化している。1990年代前半は約8500頭だったシカが約20年で4万頭に増えたと推計されている。農業被害は2013年度に3億円近くに達し、ここ数年は狩猟を含め毎年9千頭以上を駆除しているが、17年度も2億円近い被害があった。青森県にまたがる白神山地への影響も懸念される。遺産地域内では15年以降、青森側で2頭、本県側で1頭が確認されている。ただ本県側では遺産地域に近い場所での目撃情報が多い。遺産地域への群れの侵入を防ぎ、原生的なブナ林や多様な林床植生を守ることが最も重要だ。ダメージを受けた自然は簡単には元に戻らない。個体数の少ない今は、群れ形成の兆候をいかにつかむかが問われる。把握できれば、銃猟や囲いわなによる駆除や防護柵設置などの対策を特定地域で重点的に行うことができるからだ。県は、シカ被害の怖さと生息状況に関する情報提供の重要性について市町村や農林業関係団体を通じさまざまな方法で周知すべきだ。実効性を高めるには県民の協力も欠かせない。農業被害を未然に防ぐ手だてにも力点を置く時期だ。田畑への侵入を防ぐ電気柵の設置費用の補助など農家への支援も強化したい。さまざまな局面でどんな対策手法を施せば効果的なのか。被害地域の取り組みからも学べることは多いはずだ。県には、国、市町村、農業団体、猟友会などとネットワークを構築することを求めたい。現状に即した対策を迅速に行う体制づくりが急務だ。

(「奈良のシカ」保護、暫定計画来月運用:奈良)
県は、奈良市の奈良公園周辺に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」を4エリアに分けて保護・管理する取り組みで、重点保護地区を主な対象としたシカの保護計画を策定し、4月から運用する。計画期間は3年。ただ、検討すべき事項がなお多いとして、暫定計画にとどめた。今月20日に開かれた第8回奈良のシカ保護管理計画検討委員会(委員長・村上興正元京都大学理学研究科講師、9人)でおおむね了承した。昨年3月の第7回委員会で計画の骨子案が示されていたが、内容を整理した。

(イノシシ出没、女性がけが:栃木)
24日午前8時半ごろ、小山市乙女1丁目の路上でイノシシが同市、無職女性(83)と衝突した、女性は顔にすり傷。小山署によると、同8時15分ごろから同市乙女、間々田、粟宮などでイノシシを目撃したとの110番が相次いでいたという。女性は道路の清掃中で、イノシシは民家敷地内から出てきた。

(捕獲イノシシ、シカなど190頭供養:静岡)
熱海ワナの会(松尾護会長、会員41人)は22日夕、鳥獣慰霊祭を下多賀の通称「山の神様」にある供養塔で行い、駆除名目で捕獲したイノシシなどを供養した。仏式で営まれた慰霊祭には会員、市、JAあいら伊豆の職員約25人が参加。祭壇に焼香し、神妙な面持ちで手を合わせた。あいさつで松尾会長は「好きで駆除しているわけではないが、事故もなく1年を終えることができて良かった」と述べた。同JAによると、本年度の捕獲数は2月末現在イノシシ169頭、シカ4頭、ハクビシン17匹。1年間でイノシシ227頭、シカ7頭、ハクビシン22匹を捕獲した前年度に比べて減少している。同JAの担当者は「会員は若手を中心に増えてはいるが、ベテラン会員の高齢化が影響している」と話した。

(「熊除け鈴」で安全な登校を:神奈川)
相模原市緑区の山間部に近い六つの市立小学校の新1年生76人に、産業用ロボット制御設計の中村電機(同市南区大野台)の中村勝彦社長が18日、「熊除(よ)け鈴」を贈った。同市役所で小林輝明教育局長に鈴を手渡した。贈り先は藤野、藤野北、藤野南、青野原、鳥屋、桂北の6小学校。市教育委員会によると、緑区沢井の民家の敷地で今月上旬、クマの足跡が見つかるなど同区内の山間部ではクマの痕跡がしばしば報告されている。中村社長は2013年、やはりクマの目撃情報や足跡があったことから、自社で使う電線材料を加工して鈴を取り付けた「熊除け鈴」を作製。子どもたちが安心して通学できるようにと寄贈した。以来毎年、「熊除け鈴」の寄贈を続けている。中村社長は「安心して通学してほしい」という願いとともに「市内の工場やものづくり企業に、子どもたちが興味を持ってもらえれば」などと話していた。例年、鈴を受け取った1年生はランドセルなどにくくりつけて登下校しているという。

(野生動物への理解深めよう、猟師ら講師に招き催し:兵庫)
兵庫県内の野生動物への理解を深める催し「野生動物についてよく知ろう」が23日、同県三木市福井の三木山森林公園で開かれた。県森林動物研究センター(同県丹波市)の田口彰さんと同県朝来市の猟師、吉井あゆみさんが講師を務め、動物の分布や人との関わりなどを話した。田口さんはシカ、イノシシ、クマ、サルの分布や生態のほか、農地のあぜが破壊されるといった最近の被害を紹介。県内の生息数が千頭程度とみられるクマとサルは「被害があるとはいえ、生物多様性の観点から守らないといけない部分もある」と話した。一方で数万から十万頭いるシカ、イノシシについては計画的な捕獲が欠かせないとした。

(食べて学んで!富山のイノシシ:富山)
今年のえとにちなみ、イノシシと人の関わりを学ぶ催し「富山のイノシシ&ジビエ最前線!」が二十三日、富山市古沢の市ファミリーパークの無料エリアで始まった。二十四日まで。出入り口近くで職員がシシ鍋を振る舞った。市内で捕獲されたイノシシの肉二キロを、炊き出し用の鍋で野菜やみそと煮込み、家族連れなど百人に配った。富山市音川小学校二年の五十嵐迦舟(かいしゅう)君は「初めて食べた。臭くなくて、脂身のところがおいしかった」と喜んだ。県内の被害対策を紹介するパネル展も開催。電気柵の設置や集落周辺での捕獲といった中山間地の取り組みを、写真やイラスト入りの六点で解説している。二十四日も午前十一時からシシ鍋を先着百人に振る舞う。被害対策やジビエに関わる県職員や経営者の講演会も開かれる。

(高校生、料理の腕競う:北海道)
「第1回うまいっしょ北海道 高校生料理コンクール」が24日、市立三笠高の料理研修施設「エソール」(三笠市若草町)で開かれた。道産食材を使ったワンプレートランチで腕を競い、三笠高のチームが優勝した。市教委や北海道新聞社などでつくる実行委の主催。レシピによる書類審査に道内16校から計40チームの応募があり、審査を通過した道内各地の8チームが出場した。チームは2人一組で調理し、料理紹介のプレゼンテーションも行った。札幌グランドホテルの小泉哲也総料理長ら5人が味や見た目などを審査。三笠高2年の蛭田陸駆(りく)さん(17)・清水響(きょう)さん(17)が、エゾシカ肉を使った「フワッとジューシー エゾ鹿肉のハンバーグランチ」で優勝した。

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(厚真猟銃死、時効まで2年:北海道)
厚真町桜丘の民有林で2011年2月、安平町の林業作業員新渡戸(にとべ)勝彦さん=当時(45)=が猟銃の銃弾に当たり死亡した事件は、時効成立まで2年を切った。苫小牧署は延べ1万人以上を投入し捜査をしてきたが、解決に至っていない。遺族は「早く犯人が捕まってほしい」と焦りを募らせる。事件は2011年2月4日午前9時半ごろ発生した。山林で伐採作業中の新渡戸さんが銃弾を受け倒れているのを同僚が発見した。その際、現場から約200メートル離れた場所にいたオレンジ色の上着を着たハンター2人が青っぽいRVで走り去ったのを目撃している。新渡戸さんは搬送先の病院で死亡が確認された。同署刑事1課の駿河健一課長は「点の情報でも、つなぎ合わせると線になる可能性がある。ささいなことでもいいので情報を提供してほしい」と呼び掛けている。

(シカ増える→植物、生き残りへ小型化:宮城)
ニホンジカが増えている地域で、一部の植物が小型化していることを、山形大学理学部などの研究グループが明らかにした。同学部の横山潤教授(多様性生物学)は「シカに食べられにくかったものが生き残ったと考えられる。生息が広がり始めている山形県内でも起きる可能性は十分ある」と話している。研究グループは、ニホンジカが多く生息する宮城県の牡鹿(おしか)半島で2016年からオオバコやタチツボスミレを採取し、仙台市内などシカの影響がない地域と大きさを比較して、研究してきた。オオバコは通常約30センチまで成長するが、牡鹿半島のものは数センチ程度。茎が15~20センチほど伸びるタチツボスミレも数センチまでしか育っていなかった。採取したものを山形大小白川キャンパス(山形市)で育てても、それ以上大きくならず、「遺伝的な変化があった可能性が高い」という。1990年代後半の牡鹿半島では変化は確認されていなかったため、ニホンジカが増え始めた2000年代ごろから起きたと見られる。小さい植物は、シカが見つけにくかったり、食べても十分な栄養にならなかったりする。「食べられにくいものが多く残ることによって、変化が生じていると考えられる」と横山教授。小さくなっても、花が咲き、種がつくというサイクルは維持しており、動けない植物がシカの餌になることをかいくぐる「生き残り策」のようだ。ただ、「もともとの大きさには、繁殖面などで利点がある。その大きさでいられないことは、あまり良い状況ではない」と指摘。変化して生き残っている植物はごく一部で、多くは食べ尽くされてなくなっているという。今後、小型化の性質が次の世代に受け継がれているのかを、遺伝子などを分析して調べる方針だ。ニホンジカは1919(大正8)年を最後に、山形県内では絶滅したと考えられてきたが、近年、目撃数が増えている。このため、絶滅危惧種などのリスト「県レッドリスト」の今年度改訂で、ニホンイノシシとともに絶滅種から除外された。県によると、宮城、新潟など隣県から侵入しているとみられ、定着が懸念される状況という。ニホンジカは繁殖力が強く、爆発的に増える恐れがある。ほとんどの植物を食べるため、木の幹の皮を食べて枯らしてしまったり、下草を食べて植生を衰退させたりといった被害が問題になっている。他県では、下草を食べ尽くしてしまったことによって土壌の流出も起きている。現在、県内でも一部の捕獲に対して国の補助金が出ている。県は、生息数を抑えるための管理計画を2019年度中に策定する方針で、研究者らによる委員会が検討中。ただ、県内の生息状況の把握が十分でないことや、長く絶滅状態だったためにシカ猟に慣れた狩猟者が少ないことなど、課題は多い。

(微生物でイノシシ分解、処理施設完成:宮城)
村田町内で有害駆除されたイノシシを微生物で分解処理する施設の竣工(しゅんこう)式が22日、同町小泉の現地であった。イノシシの捕獲頭数が近年急増し、駆除や処理に当たる町猟友会の負担を軽くするのが狙い。県によると、同様の施設の設置は県内で初めてという。施設は軽量鉄骨平屋で床面積約70平方メートル。町や町猟友会などでつくる町農作物有害鳥獣対策協議会が整備した。事業費は国の補助約1700万円を含め約3700万円に上る。駆除したイノシシをおがくずの中に入れ、温度を60度に保って水分を調節し、おがくずに含まれる常在菌で分解する。1頭の分解に1週間~10日程度かかるという。同時に10頭前後を処理でき、町は年間300~400頭の処理を見込む。町内で捕獲したイノシシの数はグラフの通り増加傾向にある。町は、山中の餌が減ってイノシシが人里に下りる機会が増えたことや、繁殖のペースに捕獲が追い付かないことが増加の原因とみる。駆除したイノシシはこれまで、猟友会の会員が山中や空き地に埋めていた。竣工式で佐藤英雄町長は関係者ら約60人を前に「年を追うごとに農作物の被害地域が広がっている。処理の負担を軽減することで、捕獲作業に重点的に当たってもらうことができる」と語った。

(乗客ら「爆発音」で騒然:山形)
19日午後3時ごろ、JR山形駅構内で、停車中の仙山線普通列車のパンタグラフにカラスがぶつかった。車内に爆発音が響き、驚いた乗客らがホームに避難し一時騒然となった。この影響で仙山線は30分ほどダイヤに乱れが生じた。JR東日本山形支店によると、カラスがぶつかったのは午後2時56分発仙台行き上り普通列車で、大きな音と共に火花が散ったという。点検の結果、架線から集電するパンタグラフにカラス1羽が接触し、スパークしたと判明した。カラスは感電死したとみられる。担当者は「走行中の例はあるが、停車中は非常に珍しい。暖かくなり、誤って巣作りしようとしたのでは」と分析。異例の事態にツイッター上でも「爆発音って何事」「白い光が見えた」などの投稿が複数あった。

(クマ対策で19年度も入山規制:秋田)
秋田県鹿角市鳥獣被害防止対策協議会(会長=大森誠・市農林課長)の2018年度総会が18日、市役所で開かれ、クマの人身被害が近年発生した十和田高原地区と仙北市境界付近での入山規制を、18年度に続き、19年度のタケノコ採りシーズンも継続することを決めた。両地区とも大型連休前の4月下旬、規制を開始する予定。十和田高原地区では、16年に死亡事故が相次いだ熊取平・田代平の一帯で、市道を通行止めにしたり、入山禁止の看板やロープを設置したりする。仙北市境界付近では、国道341号沿い約5キロの区間に看板、ロープ、バリケードを設置して国有林への入山を禁止する。18年にクマに襲われたとみられる死亡事故が発生した仙北市側でも、入山規制継続が決まっている。

(18年度のクマ人身被害はゼロ:福島)
県会津地方振興局がまとめた「ツキノワグマによる人身被害の状況(会津管内)」によると、本年度は人身被害が起きていない。これからクマの冬眠が明ける時期を迎えることから、同振興局は「油断せず、万全の対策が必要」と注意を呼び掛けている。同振興局によると、クマの大量出没年だった2010(平成22)年度には9件の人身被害があった。10~13年度は死亡事故も発生している。07年度からの累積で、月別被害が最も多いのは5月の12件。次いで9月の7件、7月の6件が多い。冬眠明けのクマの活動が盛んになる時期は、特に注意が必要だという。同振興局は18日、会津若松市のピカリンホールで会津地域ツキノワグマ対策協議会研修会を開き、市町村や警察署の担当者、猟友会の会員らが冬眠明けのクマへの対応を考えた。鳥獣被害などを研究するNPO法人おーでらす(磐梯町)の今野万里子代表理事が講師を務め、4グループに分かれて被害防止の対策などを話し合った。

(2年ぶりクマ注意報発令:岩手)
県は20日、ツキノワグマの出没に関する注意報を発令した。発令は2年ぶり。今年は降雪量が少なく、例年よりも冬ごもり明けが早まることが予想される。餌不足の年にも当たることから人里での出没が懸念され、注意が必要だ。クマの出没はブナの豊凶と関係があるとされる。県によると、今年は不作予想。不作の年は餌を求めるクマの人里での出没が多い傾向にある。県は入山時の鈴やラジオの携行、複数人での行動を呼び掛け。県自然保護課の高橋一志総括課長は「耕作放棄地が増え、手入れをしていないやぶにクマが潜みやすくなっている。子連れの母グマは子を守ろうと特に危険なので、油断しないでほしい」と語る。

(日本勢は決勝に進めず、クレー射撃W杯)
女子トラップ予選で日本勢は上位6人による決勝に進めず、今大会で懸かっていた2020年東京五輪の出場枠は獲得できなかった。予選で大前有希(都商事)は14位、井上恵(ナスタジャパン)は48位だった。

(クレー射撃W杯、大山は64位)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は19日、メキシコのアカプルコで行われ、男子トラップ予選で日本勢は上位6人による決勝に進めず、今大会で懸かっていた2020年東京五輪の出場枠は獲得できなかった。予選で大山重隆(大山商事)は64位だった。

(紋別市元職員の加重収賄:北海道)
紋別市の宮川良一市長は19日、エゾシカ捕獲用囲いわなの購入契約を巡る元市職員の汚職事件の監督責任を取り、自らの給与を30%3カ月(4~6月)、棚橋一直副市長の給与を15%3カ月(同)を減額する条例案を定例市議会に提出し、原案通り可決された。3カ月分の減給総額は、市長が76万5千円、副市長は30万5100円。元職員は、シカわなの発注で指名競争入札を行ったかのように装い、受注した業者から見返りとして約98万円を受け取った加重収賄などの罪で2017年に起訴された。元職員は昨年5月に懲戒免職処分となり、今年2月に旭川地裁から懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受け、確定した。宮川市長は閉会後、「重く受け止めている。事件には上司と部下とのコミュニケーション不足が背景にあり、市役所全体で再発防止に努めたい」と話した。

(国道にシカの群れ、車5台が絡む事故:北海道)
21日小樽市銭函の国道でシカ2頭と車5台が絡む事故がありました。21日午後6時過ぎ、小樽市銭函3丁目の国道5号で、海側から道路上に飛び出してきたシカ2頭に走行中の複数の車が衝突、さらに急ブレーキをかけた車に後続の車が追突するなどして、乗用車や軽乗用車あわせて5台が絡む事故となりました。警察によりますと、この事故で病院に運ばれた人はいないということです。一方シカは、群れで道路を横断しようとしていたということで、このうち車と衝突した2頭は死にました。現場は当時雨が降っていました。

(13頭目感染イノシシ:愛知)
愛知県は20日、同県春日井市の山林で死骸が見つかった野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認されたイノシシは13頭目。県によると、付近の住民が9日に発見し、19日の県の遺伝子検査で陽性だった。周辺ではこれまでもイノシシの感染が確認されている。

(クマ、今年初の目撃情報:秋田)
19日午後1時50分ごろ、秋田市新屋町字天秤野の国道7号・勝平はまなすトンネルの上にクマがいるのを、国道を車で通り掛かった同市の40代男性が見つけ、近くの秋田防災ステーションを通じて110番した。県警地域課によると、県内でクマの目撃情報が寄せられたのは今年初めて。

(イノシシ農作物被害、初の防止対策会議:秋田)
県は12日、湯沢市でイノシシの農作物被害防止に向けた対策会議を開いた。初めての開催となり、急増する食害の対策などを協議した。会議には自治体や農協、猟友会関係者など約40人が出席した。県自然保護課によると、イノシシは積雪30センチ以上が70日を超える地域では生存が確認されていなかったが、県内では2012年に湯沢市で初めて目撃情報が寄せられた。

(ニホンジカの捕獲、間近で:長野)
松塩筑猟友会里山辺支部の若手有志らでつくる実行委員会は21日、松本市で狩猟体験ツアーを初めて開いた。県内外の18人が有害鳥獣駆除に同行し、わなで捕まえたニホンジカを仕留めたり、市内の施設で解体処理したりする様子を見学。最後にジビエ料理を味わいながら、山の恵みについて理解を深めた。支部の猟友会員で、飲食店経営の砂子慎哉さん(43)らが事前にわなを仕掛けた市内の山林を案内。参加者はニホンジカの雄がくくりわなに捕まっているのを見つけると「すごい角」と驚いた様子。砂子さんはニホンジカの首元にナイフを刺して仕留め「最後にけいれんして命が尽きます」と説明した。この日はニホンジカの雄2頭を捕獲。解体処理の様子も見学し、市内の飲食店「くりや」でジビエ料理を食べた。松本市城東の会社役員田辺修さん(57)は「命の最期を目の当たりにして切ない気持ちになったが、見ることができて良かった」と話していた。

(イノシシ被害が深刻:沖縄)
イノシシによる農作物被害の広がりが懸念されている。城辺長北の一部ほ場では、畑が掘り起こされ、サトウキビが根元から倒れてしまうという被害が見られる。今年度は2月末時点で前年度並みの35頭を捕獲したが、生息数は50頭を超えるという見方が強い。クジャクが野菜を食い荒らすといった被害報告もあり、より効果的な鳥獣駆除が求められそうだ。市は19日の市議会一般質問で、生息数調査や猟友会会員の増員に取り組む方針を示した。市農政課によると、城辺の北海岸線の林野でイノシシの目撃情報が多い。城辺保良地区にあるゴルフ場にも出没しているといい、行政や猟友会による捕獲作業がイノシシの繁殖の速さに追い付いていない実態があるとみられる。農政課によると、イノシシは、地中にいる昆虫の幼虫などを食べるために土を掘り起こすという。その際に、サトウキビが根元から倒れてしまっているのではないかとみている。実際、現場のほ場に入ると、複数のサトウキビが倒れている様子が分かる。駆除は、わなで捕獲する方法が主流だ。今年度も30頭以上を捕獲する成果を挙げている。ただ、今も50頭以上の生息が推測されており、駆除はいたちごっこの様相を見せ始めている。一方、クジャクによるものとみられる被害も城辺保良で確認された。80代農家が栽培するニンジンの葉が食い荒らされたという。クジャクは雑食性で生態系に与える影響が懸念される。イノシシ同様に効果的な駆除が求められる。市は次年度も鳥獣駆除に取り組む。19日にあった市議会一般質問で、松原清光農林水産部長が生息範囲を報告。イノシシは城辺保良から平良高野にかけての北海岸一帯で、クジャクは宮古島全域に及ぶとした。その上で松原部長は「県が実施する有害鳥獣被害対策調査で個体数を調査している。駆除は、県猟友会に委託することになるので会員の増加に向けて取り組んでいる」と述べた。狩猟免許初心者講習会の宮古島市開催も要望しているといい、猟友会の会員を増やして駆除対策を拡充させる方針を示した。

(アライグマ調査へ、被害深刻:北海道)
急増する特定外来生物アライグマによる農業被害を防ぐため、空知管内新十津川町は道立総合研究機構環境科学研究センター(札幌)の協力を得て、町内の生息数調査を2019年度から始める。空知管内はアライグマによる農業被害が道内最多で、調査を今後の対策に生かす。道総研がアライグマの生息数調査に協力するのは初めて。アライグマは繁殖力が強く、1年間にその地域にいる約6割を駆除しないと生息数が減少に転じないとされる。効率的な駆除を行うため、野生動物の生態に詳しい道総研に町が協力を求めた。町の計画では、農家に計50台の箱わなを貸し出し、町内全域で4~11月の8カ月間、捕獲数やわなを仕掛けた日数を記録する。道総研はデータを分析し生息数を推計。町はこの結果を参考に次年度以降、本格的な捕獲に乗り出す方針。

(カラス増える、病院移転のせい?:北海道)
帯広市は19日の市議会予算特別委で、市中心街でカラスの群れが増えたのは、道路を挟んで向かい側にあった帯広厚生病院が昨年11月に移転したことが要因との見方を示した。有害鳥獣駆除に関連する石井宏治氏(開政会)への質問に答えた。石井氏は「市役所周辺で最近、フンが大量にみられる」と質問。市農村振興課は「帯広厚生病院の移転で夜になると以前より人けが少なくなり、カラスが安全だと感じるようになったからだと思う」と答弁した。市によると、昨年秋ごろから、市役所近くの電線や街路樹にカラスが現れ始め、年末ごろに群れが大きくなったという。

(干潟カモ食害:千葉)
潮干狩り場や漁場のアサリをスズガモの食害から守ろうと、木更津市内の3漁協が対策に乗り出している。ここ数年で被害が目立つようになり、各漁協は猟友会の協力を得てカモを追い払ったり、干潟の上にカモよけのテグス(漁業用の釣り糸)を張ったりと、あの手この手で木更津の大事な地域資源を守っている。「一昨年ぐらいから被害が出始めた。今、対策しないといけないのはカモ」。木更津漁協の榎本伸二専務理事(72)が説明する。スズガモは越冬のため秋から春に飛来し、潜水してアサリなどの貝類を採食する。昼夜を問わず一羽で1日数キロを食べるともいわれ、干潟が粉砕されたアサリの貝殻だらけになったこともあったという。以前はこれほどの被害はなかったといい、榎本さんは「カモのエサがなくなったからアサリを食べるようになったのか」と首をかしげる。当初、被害の原因がカモだという確証はなかったため、牛込漁協は昨年3月、確認のため水中に定点カメラを設置した。すると、カモが潜水して次々とアサリを食べる様子が映っていた。アサリが無くなる原因は水質や食害など複合的な要因が指摘されているが、その一因がカモだと判明した。「まさか砂の中のものまで食べるとは」(木更津漁協の担当者)。情報を共有した各漁協は対策を本格化。同漁協では昨年4月から、組合員2人体制で夜警を実施し、潮干狩り場のスピーカーで花火や金物の音を流してカモを追い払おうとしたが、すぐに慣れてしまった。江川漁協では同月から、潮干狩り場の上にカモよけのテグスを張り、回りにはクロダイの食害対策も兼ねて侵入防止の囲い網を巡らせ、効果を上げた。再び越冬時期を迎えた昨年12月から今年1月には、木更津、江川、牛込の3漁協が、猟友会に船上から散弾銃を撃ってもらい、カモを追い払う対策に乗り出した。市と連携し、実施する時間や場所を関係機関と調整するなど安全には万全を期した。千葉県と市は、一定の効果があったとして新年度から、同対策を講じる漁協に費用を補助する新制度(予算183万円)を創設する方針だ。ただ、この取り組みでもしばらくするとカモが戻ってきてしまう。効果が限定的だった木更津漁協では1月から、江川漁協が昨春から始めたカモよけのテグスと囲い網を導入し、被害を減らしているという。木更津の味と春の風物詩を堪能してもらおうと、対策に余念がない各漁協。本格的な潮干狩りシーズンの到来を受け、担当者は「対策の効果でアサリは守られている。順調に育っているのでぜひ来てほしい」と呼び掛けている。

(80キロ級イノシシ捕獲、親世代は初:兵庫)
海を渡って入ったとみられるイノシシによって農作物被害などが出ていた兵庫県南あわじの離島・沼島で18日夕、80キロ級のオスのイノシシが捕獲された。これまで子どもは捕まえていたが、親世代の捕獲は初めて。沼島にはもともとイノシシはいなかったが、数年前から農作物の被害が続出。淡路島本島から海を渡って上陸したとみられていた。昨年8月に生後数カ月の子どもを初めて捕まえて以降、今年1月までに計10匹を捕獲したが、いずれも昨春に生まれたとみられる子どもだった。18日夕、地域おこし協力隊員が沼島の山中に仕掛けたくくりわなの様子を見に行き、発見。灘地区の猟師らも駆け付けて仕留めた。猟師らによると、今回捕獲したオスは年齢4~5歳とみられ、体重は約80キロ。1月の発情期前は体重100キロにもなっていたとみられる大物だった。被害が出始めた時期を考慮すると、沼島で最初に生まれた世代とみられる。足跡の違いや昨シーズンの子どもの数から、メスはまだ2匹以上いるとみられる。メスは4~5月にも再び子どもを産む可能性があるといい、今後も捕獲を進めるという。

(カモによるノリ食害:佐賀)
鹿島市議会の一般質問は14、15、18の3日間で、7人が登壇した。議員が養殖ノリの食害への対応について、写真スライドを示して質問した。山浦康則ラムサール条約推進室長は「新年度に養殖場での実証実験を予定している。食害状況を調査し、ノリを食べるカモの種類を特定し、その生態を踏まえた被害軽減と共存を探る対策をとっていく」と答弁した。

(鹿211頭イノシシ49頭、鳥獣対策捕獲隊:静岡)
伊豆市の天城湯ケ島山葵(わさび)組合(渡辺雅美組合長)は本年度、鹿やイノシシなどの鳥獣害対策チーム「捕獲隊」(斎藤美智男隊長)を立ち上げ、「くくりわな」による捕獲に取り組んでいる。これまでに鹿211頭、イノシシ49頭を捕獲した。同地区では野生鳥獣によるワサビ沢や里山への被害が深刻で、数年前から同組合メンバーがわなによる対策を行っていた。猟友会の高齢化も進み、自分たちの大切な農産物を自分たちの手で守っていかなければと、昨年4月の総会で正式に立ち上げた。メンバーは30代後半から90代までの生産者15人で、全員がくくりわなの免許を取得。最年長95歳の生産者も最前線で駆除に活躍している。捕獲した鹿は市食肉加工センター「イズシカ問屋」などに持ち込み、食肉としても利用している。初の講習会をこのほど、吉奈のワサビ沢付近で開き、捕獲隊と渡辺組合長、JA伊豆の国職員が参加した。先輩生産者が若手生産者に、わな設置のポイントなどを説明。動物の足跡から獣道を把握すること、わなにかかった後の処理を考え道路からあまり遠くない場所に仕掛けることなどを指導した。斎藤隊長は「特に冬場はえさが少なく、定植後1、2カ月のワサビの葉を食べられ、成長が遅れてしまう。収穫時期のワサビを食べられると傷物が多く、獣臭がついて出荷できない。今回のような講習会を毎年定期的に開き、組合みんなでワサビを守っていきたい」と話した。

(カラス対策コンサルに出資:栃木)
栃木銀行は20日、傘下のとちぎんキャピタル(宇都宮市)と組成したファンドを通じてカラス対策コンサルティングのCrowLab(クロウラボ、同市)に出資したと発表した。出資は同日付で金額は非公表。同社は昨年、栃木銀主催のビジネスプランコンテストで最優秀賞を受賞している。今後の成長を見込み事業拡大を後押しする。クロウラボは16年間にわたるカラス研究の経験がある塚原直樹代表らが2017年に立ち上げた宇都宮大学発スタートアップ企業。カラスの生理・生態を踏まえたカラス被害防止のコンサルティングや対策製品の開発・販売を行っている。

(獣害対策に有効な「わなオーナー制度」松浪健四郎)
先日、自民党本部で大日本猟友会(佐々木洋平会長)が、大パーティーを開催した。私どもも招待されたので参加させていただいたが、二階俊博幹事長をはじめ、多くの大臣や官房長官等、有力議員の参加でにぎにぎしかった。猟友会が毎年、自民党本部のみならず、あちこちで同じ大パーティーを開いている。農家を救うために獣害対策の普及が目的だ。動物愛護の精神は大切である。が、田畑を荒らす動物が増えている現在、その獣害を減少させるためには国民の理解が求められる。先般、山梨県知事に当選した長崎幸太郎氏の衆院選挙の応援に行った時の話。小菅村という山中にある小さな村で演説をしていた折、数名の聴衆しかいないのに、眼前の電線には猿が数珠つなぎ、聴衆であるかのように私の演説に耳を傾けていたのにはショックを受けた。「猿、イノシシ、鹿の増加で、農作物がほとんど荒らされるのには閉口しています」と住民が泣くように語った。「愛くるしい。かわいい」なんて、動物園内で語る言葉は、獣害で苦しむ人たちには通用しない。全国的にイノシシ、鹿、ハクビシン、アライグマ、熊、猿、タヌキ等が増加し、どれだけ農家が苦しめられているか、私たちの理解は不足している。で、大日本猟友会のパーティーでは、イノシシ肉やジビエと呼称される鹿肉を使った料理が幾種類も提供される。美味である。欧州、特にフランスではジビエは高級料理である。また、牛肉や豚肉よりもジビエの方がアスリートには栄養価値の高いデータがあり、私の日体大にも各自治体から売り込みがある。学内のレストランを紹介し、ジビエ、イノシシ肉を使ったメニューをお願いしている。が、問題は安定供給である。いくつかの自治体と組んで商品の提供を安定させないと、特別メニューで終わってしまう。日体大の学食は大きすぎようとも、小さなレストランなら安定供給を受けることができよう。国民間にイノシシ肉やジビエを普及させることが獣害対策につながる。近年、猟銃を用いないで「わなの狩猟免許」を取得する人が増加しているという。猟銃による狩りの場合、たいていは猟犬を使う。「わな」による狩猟なら猟犬も不要、手軽であろう。餌でケージ内におびき寄せる「箱わな」や、踏むとワイヤーが動物の脚を捕捉する「くくりわな」がある。獣道に「くくりわな」を仕掛ける。それを踏んだ動物の脚はワイヤーによって捕獲される。先日の大日本猟友会の展示品の中に、ワイヤーによって捕獲された鹿の足があった。逃げるために己の脚を切り落とした悲劇、自然の中で生きる鹿の生命の執念に、ちょっぴり同情させられたが「くくりわな」の威力を教えられた。神奈川県小田原市では、「わなオーナー制度」の実証実験が始まっている。獣害対策として、捕獲のための「くくりわな」の設置に一般住民に出資してもらう制度である。人間には、古代社会で生きるうえで、狩猟、採集を日常のものとしてきた狩猟本能がある。だから、釣りをはじめ、狩猟に興味を持つのだ。すでにオーナー登録者は20人を超えたという。獣害を心配したり興味を持つ人たちが出資し、現場を見たり、捕獲された動物の解体作業も手伝う。1カ月4千円を出資してもらいオーナーとなるのだが、この実証実験を全国に普及させたいものである。一般住民も獣害を案じ、地域課題の解決に協力する、この運動が拡大すれば農作物の被害額を減少させることができる。出資金によって多くの「くくりわな」を設置することができる。そしてジビエやイノシシ肉の料理を楽しんでもらえる。「わなオーナー制度」は、有効なアイデアであるが、この制度を誰が音頭をとって主宰するかが問題である。小田原市の場合、市と住民、慶応大が連携して実施することができた。私は、自治体が中心となってこのオーナー制度を作り、農作物を守るべきだと思う。何もしない自治体が多すぎるのは、なぜなのだろうか。

(イノシシ目撃情報:新潟)
3月21日午後4時ごろ、新潟県燕市分水地区の渡部地内でイノシシ1頭が目撃され、燕市では市民に注意を呼びかけている。翌22日に市民から目撃情報があった。市はホームページの「有害鳥獣の出没について(イノシシ・シカ・サル)」のページに目撃情報を掲載し、関係部局へ連絡し、警察へも通報。生活環境課職員が渡部地内をパトロールしたが、イノシシも、その痕跡も見つからなかった。燕市内では近年、有害鳥獣の目撃情報が増えており、ことしにイノシシの目撃情報はこれが初めて。市民には野生動物の特徴をよく知り、人身被害が発生しないように十分な注意と備えを呼びかけている。

(大鍋でしし汁振る舞う:高知)
高岡郡四万十町大正地域の加工グループが集合した「季節の産直マルシェ」が16日、同町の道の駅「四万十大正」で初開催され、観光客らが大鍋のしし汁や炊き込みご飯などの「大正の味」に舌鼓を打った。生産者と加工者、消費者がつながる場をつくろうと、町地域おこし協力隊ら有志でつくる四万十大正直販市実行委が企画した。「いごはち」(打井川)「ポテトクラブ」(大正北ノ川)「であいの里」(道の駅直販所)「集落活動センターこだま」(大正中津川)の4団体が出店。古代米入りの切り餅やショウガ・イチゴ大福、サツマイモスティック、ドライフルーツ入りの手作りパンなど、各地区自慢の食がずらり並んだ。この日は、時折風雨が舞う「寒の戻り」を思わせる気候で、熱々のしし汁の振る舞いが大人気。来場者たちは「インパクトもあり、最高のサービス」「シイタケのだしがうまいね」などと頬張るたびに笑顔が広がった。今回は試験的な開催だったが、山田雅弘委員長は「出店者同士の刺激になったのでは」と手応え。「情報を交換し、新しい商品が生まれる場にしたい」と継続に意欲を見せた。

(中学校で「ジビエ」の特別授業:岐阜)
シカやイノシシなど、野生動物の肉「ジビエ」について学んでもらおうという特別授業が、恵那市の中学校で開かれました。恵那市の串原中学校で行われた授業には、1年生と2年生あわせて9人が参加しました。はじめに、岐阜県の職員がシカやイノシシなどが農作物を食い荒らす獣害について解説し、継続的に駆除を行うことが必要だなどと説明しました。このあと、地元でシカやイノシシの猟を行う人から、「くくり罠」の使い方などについて説明を受けました。このあと給食では、地元で捕まえられたシカの肉を使った「ジビエカレー」が提供され、生徒たちはカレーに入っている牛肉や豚肉との味や食感の違いを確かめるように味わっていました。ジビエカレーを食べた生徒は、「いつも食べている牛肉や豚肉と違う食感でした。味もあっさりとしていておいしかった」と話していました。

(鹿と猪はこう食す!知りたい森と獣害のこと:東京)
今、森林率が7割り近くを占める日本のあちこちでイノシシやシカ、クマといった野生動物が出没し、その生息数の増加、生息域の拡大によって「獣害」という社会問題が発生しています。一方で狩猟を通じて得られる、そうした野生動物の肉=ジビエは、地域の資源として価値が見直され普及への期待が高まっています。今回は獣害問題に端を発し、ジビエ肉供給ビジネスを実践している石崎さんの取り組みや、実際にジビエを食べる体験も通じて、獣害と森林の状況、そして地域資源としてのこれからのジビエについて考えたいと思います。

(「ジビエスタンプラリー」作戦変更が奏功:大分)
大分ジビエ振興協議会(事務局・県森との共生推進室、TEL 097-506-3876)は3月18日、「ジビエスタンプラリー」の最終応募数が当選数の218を超える254件だったと発表した。応募条件を「スタンプ3つ」から「1つ~」に引き下げた緩和策が功を奏した形で、10日あまりで17倍に激増した。スタンプラリーはジビエを使ったフランス料理のコースペア食事券などが当たるイベントとして2月9日~3月15日の期間で実施。当初は参加20店のうち3店でジビエ料理を食べてスタンプを3つ集めるルールで行っていたが、応募数が開始から3週間過ぎた時点で15件と全く奮わなかったことから、3月1日から応募条件を変更していた。緩和後はネット上での情報拡散などもあり、応募数が急増。3月14日までに138件となり、15日と18日(15日消印分)に駆け込みで約60件ずつ増え、最後の最後で当選数を超えた。反応の弱さに気をもんでいた同事務局の担当者は「100%当たってしまうと思っていたので驚いた。それらしい抽選会をできるのがうれしい」と表情を緩める。内訳はスタンプ3つが79件、2つが58件、1つが117件で、3分の2が緩和枠による応募だった。応募者の住所は、県内は大分市87、佐伯市19、宇佐市・中津市各18、日田市17など215件で、九州は福岡県17、熊本県11など33件。広島県、大阪府、東京都からも6件の応募があった。ラリーに関して担当者は「県内に店が点在し、夜だけの営業の店もあり集めるのが難しかった」とし、「ポスターを貼っていなかったり、ジビエ商品をアピールしていなかったりする店もあり、イベントの一体感がなかった」と反省点を挙げた。3月19日に県庁内で抽選会を行い、「特賞・A賞」「B~D賞」「参加賞」を決めた。特賞以外は発送をもって当選とするという。同協議会によると、大分県のイノシシとシカを合わせた捕獲数(6万9615頭・2017年)は北海道に次いで全国2位だが、利用割合は3.3%と低い。県ではジビエ利用量を2019年度までに倍増させたい考えで、事務局では「応募はがきの中に『おいしかった』『楽しかった』などの声のほか『ジビエのファンになった』といったコメントもあった。手応えは感じ取っているのでこれに懲りずに、来年度もジビエの売り込みにまい進したい」と意気込んでいる。

(ジビエ販売のス―パーでシカ肉の料理教室:鳥取)
鳥取市のサンマート湖山店で開かれた教室では、「シカを使用した簡単家庭料理」をテーマに、鹿肉レシピ3品が紹介された。

(シカ肉ビビンバ、全国Vの味:岐阜)
岐阜県高山市清見町牧ケ洞の道の駅「ななもり清見」のレストランは、野生鳥獣肉(ジビエ)料理のコンテストで最高位に輝いたレシピを基に作った「シカ肉のビビンバ」の提供を始めた。レシピは飛騨猟友会清見支部の猟師上屋薫里さん(35)が考案し、日本ジビエ振興協会主催のコンテストで農林水産大臣賞を受賞した。清見で捕れ、地元の解体処理施設「飛騨ジビエ清見」で処理されたシカ肉を使う。ご飯の上にシカ肉のそぼろとニンジン、モヤシ、温泉卵などがのる。スープ付きで、税込み1500円。道の駅を運営する七杜の滝上耕平社長(74)は「シカ肉はこれまで、提供しようといろいろな料理に挑戦したものの硬くてだめだったが、おいしく仕上がっている。一度食べてみて」と話した。

(ジビエ料理人、自然の中の暮らし語る:長野)
伊那市の有志らが21日、自然に囲まれて暮らす人の話を聞く「ミドリナcafe」を同市長谷杉島の民宿「ざんざ亭」で開いた。宿を管理するジビエ(野生鳥獣肉)料理人、長谷部晃さん(45)が鹿肉料理を振る舞いながら経験を語り、県内外の18人が耳を傾けた。ミドリナは、緑と伊那を組み合わせた造語。市民ら約30人でつくるミドリナ委員会が、昨年5月から続けているイベントの一環で開いた。長谷部さんは北アルプスの山小屋で管理人を経験し、2002年に伊那市へ移住。最初に林業に携わり、森に生きる動植物の豊かさを伝えようと、11年にざんざ亭の料理人として働き始めた。この日は上伊那地方産の野菜で作ったサラダや鹿肉カレーを提供。伊那の名物ローメンは鹿の骨でだしを取ったといい、「伊那の自然には豊富な食材がある。しっかり生かせれば、楽しい暮らしを続けていける」と語った。委員会はこれまで、地元の木材で家を造る職人の話を聞く催しなどを開催。副委員長の平賀裕子さん(55)は「これからは参加者が自ら自然と関わりを深める行事をしたい」と、5月には山菜採りのツアーを企画している。

(元町工場の社長が『猟師工房』FC1号店:千葉)
千葉県に本社を置く、猟師工房 千葉店(代表:北嶋 貴弘)が猟師工房フランチャイズ第一号店として2019年3月20日より営業を開始いたしました。同社は狩猟や駆除でとれた猪・鹿の利活用を推進するべく、キッチンカーを制作、ジビエバーガーの販売をはじめとする飲食・イベント運営事業をスタートし、増大する害獣被害の問題に取り組みます。また当事業立ち上げに伴い、キャンプファイヤーにてクラウドファンディング企画にも挑戦中です。

(イノシシ皮でなめし革、仏パリで:兵庫)
皮革業者「大昌」(兵庫県姫路市花田町高木)が神戸市の依頼を受け、同市内で捕獲されたイノシシを使ったなめし革を作った。革は神戸の業者によって靴やかばんに姿を変え、フランス・パリで開かれた商品発表会にも出品された。イノシシの革製品は国内外であまり例がなく、大垣昌道社長は「革としての魅力に加え、獣害対策で駆除されるイノシシの皮を生かす意義も伝えたい」と語る。神戸市内では年間約千頭のイノシシが捕獲されることから、神戸ならではの皮革として再利用し、ブランド化も図ろうとする取り組み。同社は2年ほど前から同市の提案を受け、なめし製法の研究を重ねてきた。皮革製品に使われることが多い牛や馬に比べ、イノシシは皮下脂肪が分厚く除去する工程が必要。一方で「部位によって面白い模様が出る」(大垣社長)のが魅力という。意見を聞いた仏大手ブランドのデザイナーからも「野生ならではの傷が特徴的で、他にはない革製品」との評価を受けた。パリでの発表会には靴やかばん、家具など同社が手掛けた革を使った計10点が出品され、地元のデザイナーやバイヤーら約400人の関心を集めた。同社もプロジェクトを機に、自社工房で白なめし革の財布やコースターを製作。さらに神戸ワインで染めた革の開発にも取り組んでいる。今後は、元エルメス副社長やコンサルタントら海外市場の専門家と連携しながら、製品のレベルアップを図り、日本の皮革文化の発信にも力を入れるという。大垣社長は「駆除した動物を再利用し、循環させていく日本的なストーリーを仏でも理解してもらいたい。それがイノシシ革のPRにつながるはず」と意気込む。

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(野生イノシシへのワクチン散布、猟友会員ら研修:岐阜)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の拡大防止策として25日から着手する野生イノシシへの経口ワクチンの投与に向け、農林水産省と岐阜県は13日、ワクチン投与やその前段階となる餌付けについての研修会を美濃市曽代の県森林文化アカデミーで開き、猟友会員らが手順などを確認した。ワクチンは餌に混ぜて散布することから、餌のある場所をイノシシに覚えさせるため、18日から餌をまく。対象エリアは岐阜、中濃、東濃地域で、餌を食べたことが確認された場所にワクチンを散布する。研修会には、餌付け作業を担う各地域の猟友会員、ワクチン散布を担う環境調査コンサルタントら計約100人が参加した。ドイツのワクチンメーカーの専門家、エイドリアン・フォス氏が講師を務めた。ワクチンの取り扱いについて講義した後、施設内の山林で穴を掘ってワクチンを埋める作業などを実演した。フォス氏は「餌を1カ所に大量にまかない」「ワクチンは再利用できない。余ったら注意して捨てる」などと説明。「春は餌が少ないので食いつくだろう。辛抱強く結果を待ってほしい」とアドバイスした。大野惠章県猟友会長は「業務を担うのはベテランばかりなので自信はある。豚コレラ撲滅にまい進したい」と意気込みを語った。

(五輪球場近くでクマ目撃47件:福島)
2020年東京五輪で野球・ソフトボールの試合が行われる福島県営あづま球場(福島市)周辺で、16年度以降の3年間に目撃されたクマの情報が47件に上ることが16日、分かった。開幕戦が予定される7月にも目撃されており、国内外から訪れる観戦者の安全確保に向け、対策が求められそうだ。あづま球場は体育館や陸上競技場なども備えた「あづま総合運動公園」内にあり、山が近い市南西部に位置する。南側は河川敷が広がり、動物が隠れやすいやぶが生え、移動経路に使われやすい。県の担当者は「公園が山と市街地の境界にあり、餌を求めてさまよううちに出没しているのではないか」と話している。

(狩猟者育成へ拠点:兵庫)
兵庫県は、農産物の鳥獣被害を防止するため狩猟者の育成に乗り出す。捕獲技術や狩猟時の安全対策などを学ぶ「狩猟者育成センター」を設置。射撃訓練や箱わな、くくりわなの設置方法などを現場に近い形で実践できる拠点とする。高齢化による狩猟者の減少に歯止めをかけ、捕獲数の向上を目指す。2022年から稼働させる計画だ。同県によると、県内の銃免許所持者数は2867人と約30年前に比べて6割減少。年齢構成は60歳以上が約6割を占め、狩猟者の育成が課題となっている。県の推計では、今後、何も対策をしなければ、狩猟者は17年の4420人から27年には2720人に減少。鹿の捕獲頭数は4割減る。センターは、三木市の約10ヘクタールの敷地に設ける。同県では、狩猟の知識や実技などを2年間学ぶ「狩猟マイスター育成スクール」を14年度から行っており、センターでも同様の研修を想定する。捕獲技術だけでなく、安全対策や野生動物管理に関する知識も学べる。狩猟体験を行うなど、情報発信の拠点としても活用する。総事業費は約25億円を見込む。県は「ここ数年は狩猟者が微増しているが、以前に比べると減っている。狩猟者が減れば、野生鳥獣による被害が増えてしまうので、育成に力を入れていきたい」(鳥獣対策課)としている。19年度当初予算に「狩猟者育成センター(仮称)整備事業」として、1億7000万円を計上した。

(クマの狩猟期間延長へ:秋田)
県はクマ被害対策強化のため、来年度、クマの狩猟期間をこれまでより延長する方針を決めました。クマの活動が盛んな時期に狩猟期間を合わせることでクマが人を恐れる効果を狙っています。県環境審議会自然環境部会は専門家の知見をもとに野生動物の保護と管理について検討をします。18日の会議で県は狩猟によってクマの目撃件数や捕獲数が大きく減った地域があったことを指摘しました。その上で狩猟期間をこれまでより2週間早めて11月1日からにして期間を延長する計画を委員に諮り了承されました。狩猟によって人間は怖いものだと学習させ、人里への出没と人身事故を減らしていくことが狙いです。委員からは狩猟の時期が早まることで紅葉を楽しむ行楽客に危険が及ばないよう注意喚起を徹底するよう求める意見がありました。また会議では、県内でも目撃が増えているニホンジカとイノシシについても狩猟期間を延長することが了承されました。県は今後、関係団体などから意見を聞いて、8月には狩猟期間の延長を国に報告する予定です。

(市営散弾銃射撃場の鉛汚染問題:佐賀)
伊万里市議会の一般質問は11~13日の3日間で11人が登壇した。懸案だった射撃場(大川内町)の汚染土処理について、市は新年度予算に調査費516万円を計上した。深浦市長は「射撃場周辺の住民が安心して生活できる環境を整えるため、できるだけ早期の解決を図りたい」と答えた。

(初のイノシシ焼却費計上、捕獲数約3倍に:神奈川)
葉山町は捕獲したイノシシを焼却処分する費用を、2019年度一般会計当初予算に初めて計上した。町周辺での捕獲数が18年、前年の3倍近くに急増。従来の埋め立てを優先しつつ、今後の増加も見据え、別の処分方法の予算を確保した。町環境課によると、18年に葉山、逗子、横須賀の3市町にまたがる二子山山系で捕獲されたイノシシは83頭で、前年(29頭)から3倍近くまで跳ね上がった。町内では13年ごろから目撃情報が寄せられており、同課は「里山に人の手が入らなくなり、三浦半島の温暖な気候と相まって、繁殖しやすい環境になっている」などと分析。100キロ超の個体も目撃されている。農業被害も増えている。町によると、イノシシは町内の幹線道路に囲まれた上山口や木古庭の北部などに生息し、隣接する田畑や人家の庭に侵入し、畑の野菜、芋類などを掘り起こして食べる。県の調査によると、町内での17年度の被害額は62万円で前年度の倍になった。被害を防ぐため、町内では、わな猟の免許を持つ町民有志らでつくる「町鳥獣被害対策実施隊」が山間部など300カ所にくくりわななどを設置。捕獲したイノシシは殺処分した上で解体し、町内の民有地に埋めている。だが、捕獲数が急増したことで、町は「埋め立て処分だけでは賄いきれなくなる恐れがある」と判断。19年度一般会計当初予算案に焼却処分業務委託費として約55万円を計上し、可決された。近隣自治体にある施設での処分を検討している。また委託費と合わせ、注意喚起のための看板設置と、畑にイノシシを寄せ付けないための薬剤購入などのための予算も確保した。

(白神のカメラでニホンジカ12頭確認:青森)
東北森林管理局津軽白神森林生態系保全センター(鯵ケ沢町)が今年度、世界自然遺産白神山地周辺地域の本県側全32地点に設置したセンサーカメラの解析結果がまとまった。白神山地の生態系への影響が懸念されるニホンジカは計12頭が確認され、前年度より3頭増となった。すべて雄で撮影時期が秋に集中していることから、センターは「白神周辺に定着していない」とみるが、生息域拡大を懸念し今春以降もカメラによる監視を継続する意向だ。また、外来種で農業や森林生態系への影響が懸念されるハクビシンの撮影個体数が急増しており、警戒を強めている。

(ニホンジカ県内2割減:山梨)
ニホンジカの2017年度末時点の県内推定生息数は5万424頭で、前年度から1万2957頭(20・4%)減少したことが、県のまとめで分かった。

(狩猟に関心持って:長野)
南箕輪村有害鳥獣対策協議会と村猟友会は17日、「狩猟フォーラム」を村公民館で開いた。有害鳥獣捕獲の担い手確保に向け、まずは狩猟に関心を持ってもらおうと初めて企画。村内外から約60人が参加し、ベテラン・若手の猟師らによるパネル討論や講演を聞いたほか、シカやイノシシの肉を使った鍋など“猟師飯”を味わい、狩猟の醍醐味やジビエ料理の魅力を知った。シカ肉の処理加工施設「信州ジビエかとう」(同村)代表で、狩猟歴35年の加藤尚さんが講演し、狩猟者の減少と高齢化が上伊那地域でも進んでいる現状を説明。「70代が中心で、10年後が心配。30~40代を増やさないと有害鳥獣捕獲が困難になる」と警鐘を鳴らし、「猟師は豊かな森を取り戻す活動をしている。その活動を一緒にやろう」と呼び掛けた。パネル討論では、村有害鳥獣捕獲実施隊長の北條欣一さん=村猟友会長=ら5人が登壇した。狩猟の魅力に関しては「獲物を仕留めた時のどきどき感、わくわく感」「賢い野生動物との知恵比べ」などが挙がり、ジビエは「体を温めてくれる効果もある」と伝えた。信州大学農学部生で狩猟歴3年の三上彩音さんが「売っていない、いろいろな肉を食べてみたかった」とハンターになった動機を語ると、狩猟歴52年で師匠でもある兼子力さんは「頑張ってついてきている。銃の免許を取得し、技術を覚え、仕留められるようになっている。本物だと感心している」と努力と根性をたたえた。参加者は猟師飯を堪能しながら“狩猟トーク”。上伊那農業高校の畜産班は、鹿肉ジャーキーと現在開発中の地場産牛肉のビーフジャーキーを紹介した。

(有害鳥獣に「わな班」活躍:大分)
有害鳥獣駆除に取り組む大分市猟友会の野津原支部に本年度、「わな猟班」が結成され、銃猟班と並行して活動している。駆除員不足を補うための増員策で、わな猟専門の班編成は市内7支部(17班)では初めて。イノシシなどによる農作物被害が後を絶たない中、一定の成果を上げている。大分市猟友会は市の要請などを受けて会員から駆除員を募り、通常の猟期外(3月16日~10月31日)にもイノシシなどの捕獲作業に当たっている。同支部では二つの班が地区内で銃猟をメインに活動していたが、新規加入者の減少や班員の高齢化で一つに統合。新たに地区内のわな猟免許を持つ会員に呼び掛け、昨年5月に専門班を設けた。わな猟班の活動は同年8月から。18人が居住区ごとに2人一組で出没ポイントや通り道に箱わなを仕掛け、10月までにイノシシやシカなど計30頭を捕獲した。地区では農業者の高齢化で自衛もままならない農家が増えているという。耕作放棄地や荒れた山林がイノシシのすみかになり、田畑の周囲に防護柵を設けた場所でも穴を掘って侵入するなど被害が絶えない。甲斐隆司支部長(70)=市猟友会副会長、今市=は「捕獲数を上げるためには駆除員を増やすことが不可欠」と話す。今月16日から今年の駆除期間に入り、新たに2人が加わったわな猟班も活動を再開した。和田清秀班長(75)=上詰=は「場所によっては『イノシシを見なくなった』という声も聞かれる。農家が安心して作物を作れるように取り組みを続けたい」と話した。

(獣肉の前で白目の写真、動物愛護団体が町議に辞職を申し入れ:福井)
福井県高浜町議会の児玉千明議員が、フェイスブック上に獣肉の前で包丁を持って白目をむくなどした写真をアップロードしていたのは不適切だとして、公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」(杉本彩・代表理事)が、議員辞職を求める要望書を同議会に提出したことが判明。その是非をめぐり、大論争が勃発している。問題となっているのは、県猟友会に所属する児玉議員。自身のSNS上で、狩ったと思われる正体不明な獣肉の前で包丁を持ち白目をむく写真や、熊の腹を切り裂いた写真を「腹割ってクソいい匂いがします!これが熊さんのオイニー!(興奮)」との文章付きで載せる、鴨の写真に「大きくなりました(じゅるり)」と文章をつけてアップロードするなどしていた。(現在は投稿を削除)3月に入り、一部のネットユーザーがTwitter上でこの件を取り上げると、瞬く間に拡散。高浜町議会事務局に100件超の抗議メールが入る事態に発展する。そしてこれを受けた「動物環境・福祉協会Eva」が、「議員でありながら命を軽視している」「倫理観の欠如を助長させることに繋がる」として、議員辞職を求める要望書を提出した。児玉議員は高まる批判に対し、「残酷、汚いなどの鳥獣処理の悪いイメージ払拭が問題だった」と説明。「不快にさせ、町などに迷惑をかけたことは反省している」と話している。現在ネットでは、この議員について一部のネットユーザーが猛批判を浴びせており、脅迫なども入っているとのことで、そちらについては法的措置を検討するのだという。この事案にネットの意見は真っ二つ。「命を軽視している」「獲った動物を小馬鹿にするのは許せない」「最低」など批判する声もあるが、「猟友会は畑を荒らす獣を守っている」「狩った肉を何に使おうと自由では?」「マグロの解体ショーは喜ぶくせに熊だと文句を言うの?」「動物を食べて生きているんじゃないの?」と擁護する声も根強い。また、「画像は不適切かもしれないが、県外から議員辞職を求めるのは筋違い」「画像だけ見て執拗に叩くネットユーザーのほうが怖い」「炎上させてどうにかしてやろうというマインドのほうがよっぽど問題」という声もあった。なお、このニュースを見た堀江貴文氏は「何が悪いのかさっぱりわからんのだが、嫌なら見なければいいだけ」とTwitterでコメントしている。ネットユーザーの指摘にもあるように、猟友会は畑や人を獣から守る役割をしている。賛否両論あるものの、その行為を否定することは難しい。動物愛護団体としては不愉快かもしれないが、猟友会の活動が地域を守っているということをアピールする意味では、画像アップもやむを得ない部分がある。しかし、反対派の言うように、包丁を持ち白目をむくことは、命を奪うことを軽視していると言われても致し方なく、「不適切」という考えも理解できるものだろう。今後、高浜町議会がどのような対応を取るのか注目される。

(害獣おりにセンサー、メールで捕獲通知:京都)
京都府与謝野町はイノシシやシカといった害獣がおりにかかったことを検知する機器を導入し、管理する猟友会員にメールで知らせる事業をこのほど始めた。高齢化が進む会員の負担の軽減が狙い。現在、町内には300基ほどのおりがあり、うち町と町野生鳥獣被害対策協議会が所有する261基については与謝郡支部猟友会と宮津支部猟友会の会員38人が毎日巡回するなどして管理している。今回はおりの扉が閉まったことなどを検知する2種類の機器計20台を購入した。当面は20基のおりで運用する。情報は2017年度に町内全域に整備された無線通信技術のネットワークを利用して、会員の携帯電話にメールで送られる。このほど同町金屋で現場説明会があり、業者がおりに機器を取り付け、猟友会の役員たちに仕組みを説明した。おり13基を管理する与謝郡支部猟友会副会長の山本孝市さん(64)=同町滝=は毎日約4キロの距離を1時間半ほどかけて見回りしているといい「来月には水稲の準備が始まって見に行く手間が惜しくなる。軽減できたらありがたい」と話していた。

(ドローンでカワウ対策、実証実験開始:栃木)
アユやコイなどを捕食し漁業被害をもたらすカワウの繁殖を抑えようと、漁協関係者や研究員らが13日、小型無人機「ドローン」を使って巣の卵にドライアイスをかけてふ化を防ぐ県内初の実証実験を矢板市石関のため池で行った。2時間半で九つの巣の39個の卵に投下した。県によると、冬期の県内カワウ生息数は近年2千羽ほどで推移。同ため池周辺は100カ所近い巣がある県内有数の繁殖地で、約300羽が生息する。カワウは卵を駆除しても再度産卵するため、実験は卵を残して親鳥に産卵させない方法を試した。県鬼怒川漁業協同組合や県漁業協同組合連合会担当者ら12人が参加し、ドローンにつるした箱に粒状のドライアイスを入れ、高さ15メートルほどの巣の真上から遠隔操作でふりかけた。中心となってドローンを操作したのは、カワウ対策を研究する国立研究開発法人水産研究・教育機構中央水産研究所の研究員坪井潤一(つぼいじゅんいち)さん(40)。風向きや枝の位置を考えながら操作し、「アユの放流時期に卵をふ化させないことが漁業被害対策の肝にもなる」と効果を説明した。同組合の小貫克巳(おぬきかつみ)事務局長(65)は「漁協単独で実施できる人材を育てたい」と話した。実証実験は19、26日にも同所で行う予定。

(鳥獣被害対策セミナー:神奈川)
ICT技術を活用した地域ぐるみでの鳥獣被害対策、事例紹介などを行う「鳥獣被害対策セミナー」が3月17日(日)、午後1時30分から大井町のいこいの村大会議室で開かれる。定員100人、参加費無料。大井町鳥獣対策協議会では、イノシシやシカなどによる農業被害の対策に取り組んでいる。農作物の被害を防ぐため、猟友会や農業者で構成される鳥獣被害対策実施隊がイノシシやシカの捕獲を行っているが、仕掛けたワナを毎日見回りに行く必要があるなど、かなりの負担となっているのが現状だという。近年はICT技術を活用して捕獲に係る作業の効率化、省力化が進んでおり、当日は兵庫県立大学教授の山端直人氏を講師に招き、話を聞く。当日は直接会場へ。

(獣害の実態正しく知って、野生動物の剥製展:兵庫)
兵庫県三木市福井、三木山森林公園森の文化館展示ホールで、野生動物の剥製展が開かれている。県森林動物研究センター(丹波市)所有のニホンジカやキツネなどの剥製13点とパネル5点が並ぶ。24日まで(20日休み)。無料。同園が獣害について知ってもらおうと開催。パネルでは一部の動物の生態と分布、人間への被害と対策などを紹介する。アライグマ、ヌートリアといった外来生物は在来種の生態系に影響を及ぼし、感染症を媒介する恐れもあるという。県内でも農作物に多大な被害を及ぼすイノシシは、餌になる作物を残さない▽体を隠せる茂みをなくす▽柵で囲い侵入を防ぐ-と対策を挙げる。同園職員の久世智英子さんは「野生動物の大きさや特徴、被害といった実態が、イメージではなく正しく伝われば」と話す。

(107年前に利尻上陸、クマの爪か:北海道)
宗谷管内利尻町の町立博物館は、1912年(明治45年)に利尻島に上陸したヒグマのものとされる爪を元町民から寄贈されたことを、同館の研究紀要で報告した。これまでは当時のクマの毛皮や爪は行方不明となっており、クマの写真しか残っていなかった。同館は「貴重な資料」として、今秋の公開を検討している。昨年5月、106年ぶりにクマが島に上陸し、その後姿を消した「クマ騒動」がきっかけ。騒動を知った岩見沢市の自動車販売業で利尻出身の安藤裕文さん(64)が、「少しでも地域のためになれば」と、利尻町内の親戚を介して同年6月に寄贈した。島には、1912年に海を泳いで渡ってきたクマが、上陸後再び海に戻った際、捕獲された記録が残っている。安藤さんが所有していた爪は、小学生の時、「明治時代に利尻にやってきたクマの爪だよ」と母方の祖母から譲られたという。利尻町内の実家に長年飾っていたが、3年前に家を片付けた際、岩見沢市の自宅に持ち帰って保管していた。安藤さんは「みんなの思い出になればうれしい」と話す。

(カラスの動態調査:青森)
フン害などを起こしているカラスの対策に力を入れている青森県弘前市で、弘前大学農学生命科学部の東信行教授がカラスの移動範囲や停留場所などを調べる実証実験を始めた。集めたデータを効率的なカラスの駆除や農作物被害の防止などに役立てるのが狙いだ。東教授らは18日、市が箱わなで捕獲したハシボソガラス4羽とハシブトガラス2羽にタグをつけて放鳥した。タグは縦7・5センチ、幅4・5センチでハシボソは緑色、ハシブトはピンク色。それぞれに「14」「15」などの数字を記しており、見つけた人からの連絡(市環境管理課へ。電話0172・36・0677)で移動地点を把握する。実験は2月からで、タグをつけて放したカラスは計19羽になった。別の2羽には自動的に位置がわかるよう全地球測位システム(GPS)の発信機を装着し、放鳥。精度を上げるため、今後もタグや発信機をつけたカラスを増やす計画だ。実験は2年間続ける。市環境管理課によると、市内のカラスは近年2500~5300羽程度で推移し、フン害や農作物被害などに悩まされている。猟銃や箱わなで毎年1千羽以上駆除しているが、抜本的な解決策にはなっていない。こうした現状を踏まえ、東教授は「カラスがどの時期にどこにいて、何をしているのか。その実態をまず把握することが重要。カラスは平川市や黒石市など弘前市外まで移動している。実験のデータが周辺市町村と連携した抜本的なカラス対策につながってほしい」と話している。

(ロープウェイで異臭騒ぎ:岐阜)
18日午後3時10分ごろ、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷の新穂高ロープウェイの従業員から「ゴンドラ内で異臭がして、気分が悪くなった人がいる」と110番があった。乗員乗客44人のうち10人ほどが不調を訴えたが、病院への搬送者はいなかった。高山署によると、異臭騒ぎがあったのは、麓の新穂高温泉駅と鍋平高原駅をつなぐ「第1ロープウェイ」の下り便。署員が現場に到着する前に、すでに立ち去っていた乗客も10人いたという。ゴンドラ内に、オレンジ色の液体が付着しているのが見つかった。クマよけのスプレー缶から溶液が漏れた可能性もあるという。一般的なクマよけスプレーは、トウガラシなどから抽出した辛味成分が含まれ、目や鼻などの粘膜に強く作用する。新穂高ロープウェイは異臭騒ぎを受け、同日午後3時半発の便で、第1ロープウェイの上下線の運行を停止。鍋平高原駅の利用者約70人を臨時バスで新穂高温泉駅まで送った。乗客の男性は「みんなせき込んでいた」と話していた。

(クマ目撃情報、例年より早く:群馬)
15日午前8時20分ごろ、群馬県渋川市赤城町津久田の渋川津久田小付近でクマを目撃したと、住民から市に通報があった。市は現場付近を確認したが、クマは見つかっていない。市によると、昨年の最初の目撃情報は5月で、この時季の出没は例年よりかなり早いという。市のメールサービスやポスターの掲示などで注意を呼び掛けている。市農林課によると、目撃されたのは同校から南東350メートルほどの場所。子グマとみられる。防災行政無線などで情報を把握した同校は、狩野俊輔校長らが現場近くを見て回ったほか、学校敷地内の安全を確認。児童に校内放送で知らせ、保護者にメールで連絡した。

(目があったイノシシが車の前に:高知)
高知市の高知自動車道の高知インターチェンジ(IC)周辺で野生のイノシシが出没している。取材に向かう途中、乗用車の目前を1頭の大きなイノシシが横切った。急ブレーキを踏み、衝突は避けられた。今月9日、四万十市から高知市方面に向けて車を走らせていた。快晴だった。高知ICの料金所に向かっていた午前10時18分、進行方向左の道路脇に物体が見えた。イノシシだった。イノシシと目があった瞬間、ブレーキを踏んだ。幸いにも追突しなかった。イノシシはあっという間に林の中に消えた。どっと冷や汗が出た。

(サル追い払い犬認定:兵庫)
篠山市は18日、ニホンザルによる農作物の被害対策のために飼い主の協力で養成しているサル追い払い犬「篠山モンキードッグ」に、市内の犬2匹を認定した。同市菅、岡本節美さん(64)の「きなこ」(雑種、雌1歳)と、同市本郷、細見敏之さん(63)の「サツマ」(薩摩ビーグル、雄5歳)。同市日置の城東多目的広場で、酒井隆明市長が「頑張って地域のために活躍してください」とあいさつし、認定犬を示すオレンジ色の首輪と認定書を飼い主に贈った。首輪を着けてもらった2匹は、飼い主の指示で「伏せ」や「待て」、「呼び戻し」など、9か月間の訓練の成果を披露した。岡本さんは「甘えたで怖がりの犬だけれど、気配には敏感なので頑張ってくれる」と話し、細見さんは「よくほえる元気な犬。地域のために活躍してくれると思う」と期待した。制度は2010年にスタート。市が養成費を全額負担して訓練士が出向いて訓練している。これまでに36匹が認定され、うち19匹が活躍している。市内には5群、約190匹のニホンザルがいるとされ、市は引き続き追い払い犬を募集する。

(イノシシやシカの食害に遭わず遊休農地で大規模栽培:埼玉)
美里町円良田の農産物直売所「円良田特産センター」で、町特産のエゴマの搾油作業が最盛期を迎えている。健康食材として注目を集め、2年ほど前には一時、店頭から姿を消した。同町ではブームに先駆け、4年前から円良田地区の住民が共同作業でエゴマを栽培。油に加工して販売もしている。昨年秋、再びテレビで紹介されると購入者が一気に増加。品薄状態が続いているという。エゴマは、α(アルファ)リノレン酸を含み、高血圧や認知症に加え、心筋梗塞など生活習慣病やがんの予防などにも効果があるとされている。同町によると、県内でエゴマを大規模栽培しているのは秩父市と美里町だけという。同町円良田地区は円良田湖北側の中山間部。高齢化やイノシシなどの被害で遊休農地が増え、同町は対策を検討していた。2015年3月、原田信次町長が出張でたまたま立ち寄った高速道路のサービスエリアで、福島から農産品の販売に来ていた職員に「シソ科植物のエゴマはイノシシなどの食害に遭いにくい」と聞き、円良田地区で試すことにした。早速、同年5月に住民対象のエゴマ栽培講習会を開催。試験栽培し、イノシシやシカの食害に遭わなかったことを確認。翌16年に同地区住民29世帯で生産者団体「円良田EGOMAクラブ」を立ち上げ、20年以上手付かずだった遊休農地を活用した共同生産を開始した。代表の田島国利さん(65)は「農地をきれいな状態に戻して子どもや孫に引き継ぎたい」と意気込む。16年12月には、町補助金を活用しエゴマ油を製造する搾油機を導入。町産えごま油「輝―KAGAYAKI―」が昨年11月、埼玉県ふるさと認証食品プレミアムに認証された。昨年は約3・5ヘクタールに種をまき、2ヘクタール分を収穫した。今年は4ヘクタールに種をまく予定で、収穫量を増やす方針。共同作業の成果も出ている。年数回のイベントで顔を合わせていた人たちとの交流が深まり、地域のつながりもより強くなった。生産者の妻たちも協力的で、地区外の女性同士の交流も始まった。田島さんは「年間を通して食べてくれる客を大事にしたい」と話す。同町でも「町全体に生産者を増やし、家族が1年間食べられるエゴマを生産してもらって自身で健康を維持してほしい」と期待を寄せている。

(ジビエ活用考える:石川)
奥能登二市二町で農林漁業に携わる女性らの交流会が十四日、能登空港内の奥能登行政センターであった。参加者二十人が、近年注目が高まっているジビエ(野生鳥獣肉)の活用拡大を考えた。全国各地でジビエの魅力を伝える活動を行っており、昨年、穴水町に移住した福岡富士子さん(48)が講演。狩猟免許を取得したきっかけや、主宰する全国の女性狩猟者による任意団体「狩女の会」を立ち上げた当時を振り返った。「獣」の印象が強く、食わず嫌いになりがちなジビエ。福岡さんは「学校の食育活動を生かし、子どもの時からジビエ料理を口にする機会をつくることが大切」と指摘した。試食品として、イノシシ肉と奥能登特産シイタケ「のと115」で作った甘露煮と、イノシシの骨を煮込んだスープを参加者に振る舞った。交流会は、教養を深めたり横のつながりを築いたりしてもらおうと、県奥能登農林総合事務所が企画した。

(捕獲イノシシ、ラーメンに:岡山)
ホテルなどを経営する吉備中央町吉川の「吉備高原リゾート」が、町内で捕獲されたイノシシを使ったラーメンを作った。骨から取ったスープはコクがありながらあっさりとした味で、その意外性や「これがイノシシ?」という驚きなどから「へぇラーメン」と名付けた。12日からホテル内で販売を始めただけでなく、希望する町内の飲食店にスープを提供する予定で、ジビエを生かした“ご当地ラーメン”として町の活性化にも貢献したいとしている。標高400~600メートル前後の山々に囲まれた同町では、イノシシによる農業被害に悩まされている。農家は防護柵などの対策をとっているが、同町によると、水稲や黒大豆、野菜などが食い荒らされ、2017年度は660万円の被害があったという。この厄介者を有効利用しようと同社では昨年6月から料理に生かす研究を開始。スープを作るため、石のように頑丈な骨を約10時間かけてじっくりと煮込んだ。香味を加えるなどの試行錯誤の末、地元産の野菜を使った組み合わせで、うまみとコクのあるスープを完成させた。チャーシューは、イノシシ肉を町内の加工場で処理し、くさみを感じさせないものにした。地元農家が栽培したコシヒカリを使った米粉麺も開発し、ホテル内の飲食店「加賀や」などで、780円(税込み)で販売している。2月下旬の試食会には、飲食店や行政、観光業の関係者ら約70人が参加。味はしょうゆ、塩、トマトの3種類が用意され、「チャーシューはかめばかむほど味が出る」「女性にも好まれそう」などの感想が上がった。ラーメンの決め手となるスープは、他の店とネットワークを作って共用。各店で独自の味付けを工夫してもらい、ラーメンを食べ歩く滞在型の観光客を増やしたい考えだ。すでに3店から依頼があったといい、山本雅則町長は「イノシシの捕獲やジビエの有効活用のほか、観光客を呼び寄せる起爆剤になってほしい」と期待。芝村啓三社長は「力を合わせて『へぇラーメン』を名物料理に仕上げ、町を全国にアピールしたい」と話していた。

(シカ肉おいしく洋風に:福井)
シカ肉の特徴と調理の際の注意点を学ぶ料理教室が十二日、小浜市食文化館で開かれた。嶺南地域有害鳥獣対策協議会と県が計画した。嶺南地方でジビエ(野生鳥獣の肉)向けの加工処理施設が二〇一七年度までに四カ所できたことを受け、飲食店主、関心を持つ団体代表、行政の担当者に呼び掛けた。二十人が受講。肉の表面に付着する「筋膜」と呼ぶ部分を取り除いて、熱の回りを良くする方法などを学んだ。メニューはシチューやロール巻きで、敦賀市御名でイタリア料理店を経営する江守謙裕(のりひろ)さん(40)と、美浜町新庄で獣肉加工処理施設を運営しながら飲食店も営む中村俊彦さん(55)が調理方法を指導した。県猟友会小浜支部長の大椿明夫さん(60)は「こうした教室はジビエ普及に向けていいことだ。われわれが料理するのはすき焼きや焼き肉程度」と話し、新しい感覚で調理体験に取り組んでいた。

(ジビエすき焼き:愛知)
新城市のつくで田舎レストラン「すがもり」で10日、地元の作手小学校5年生19人が考えた地元特産物を使った新メニュー「ジビエすき焼き定食」が登場。多くの来店者が注文しその味を確かめた。

(「ジビエ」使ったドッグフード発売中:兵庫)
兵庫県福崎町や姫路市に3店舗を展開するペットショップ「ワンスマイル」(同町西田原)が、県内産のシカ肉や鶏肉を使ったドッグフードを発売した。「おいしく安全なものを愛犬に食べさせてあげてほしい」と、代表の千家浩平さん(35)が素材選びから加工まで自ら手掛けた自信作だ。元々両親がペット販売を営んでいたという千家さん。より愛犬家のニーズに応える店にしたいと、各店舗でサロンやドッグカフェも設けた。一般に流通するドッグフードも販売してきたが、仕入れた商品を「愛犬が食べてくれなかった」という購入者の声を聞き、「自信を持って勧められるものを自分で作りたい」と約3年かけて自社製品の開発に取り組んだ。

(害獣による被害が甚大な伝統野菜を害獣のジビエ肉と組み合わせブランド化:宮崎)
宮崎県西米良村は、害獣被害により滅びつつある同村由来の伝統野菜を、被害の大元となっている鹿猪と組み合わせブランド化する試みを本格スタートさせる。村内伝統文化の保護と伝承を目的とした「西米良村GBA(じいちゃんばぁちゃんが守ってきたアグリカルチャー)プロジェクト」の一環。今後、イベント販売やふるさと納税への登録、情報発信プラットフォームの整理等を順次実施する。山林が面積の96%を占める同村では、わずかな水田で米をつくり、山を切り開いた焼き畑では伝統野菜「糸巻大根」や「伊勢芋」の栽培を行ってきた。しかし、近年の農業の担い手減少に伴い、シカやイノシシの数が増大、耕作地を食い荒らし、収量が激減、壊滅の危機に陥っている。事態を重く見た同村役場は、2018年3月にジビエ専用の食肉加工場を村内に完成。2019年度以降は、害獣被害を逆手に取った伝統文化とジビエのブランド化を推進する。3月~5月末の土日は、同村内(西米良温泉ゆた~と、おがわ作小屋村ほか)至る所で様々なイベントを開催。山間を覆う桜で日本の原風景を眺めながら、伝統野菜やジビエを使った食体験も予定しているという。

(「キャンプでジビエ」最優秀賞に:高知)
県内で捕獲した野生のイノシシや鹿の肉などを有効活用するアイデアを競う「ジビエコンテスト」の表彰式が高知市で開かれました。このコンテストは県鳥獣対策課が初めて開いたもので、一般の人から寄せられた20のアイデアのうち、ジビエ料理やジビエ普及のためのアイデアを提案した3つ案が選ばれました。最優秀賞に選ばれたのは大豊町で民宿を営む安達大介さんの「よさこいジビエキャンプ」です。高知の大自然の中に獣の毛皮を敷いて、鹿の角やイノシシの牙を使ったナイフやフォークで、ジビエのキャンプ料理を楽しむという提案で、高知らしいと高い評価を受けました。優秀賞には、▼鹿とイノシシの合い挽き肉を使ったハンバーグのレシピと、▼観光客が集まる日曜市に開発したジビエの商品を出店するアイデアを出した男性が選ばれました。県内で野生のイノシシや鹿により農作物が食い荒らされる被害は今も年間2億円近くあり、駆除が進められる一方、捕獲した肉は2%しか使われないのが現状で、どう有効活用できるかが課題となっています。最優秀賞の安達さんは「自分も猟師で鹿などを捕獲しているので、活用されないのは残念と思い提案しました。キャンプを通してジビエの美味しさをもっと知ってほしい」と話していました。

(のとししカレー、特産品に:石川)
イノシシによる農作物などの被害が深刻化する石川県羽咋市。そこで捕獲したイノシシの肉を有効活用しようと生まれたのが「のとししカレー」だ。肉は専用のセンターで素早く加工して特有の臭みを抑える。じっくりと煮込んだ野菜だしをベースにまろやかな味に仕上げた。市の特産品として観光客にアピールしながら、売り上げを加工の費用に充てる持続可能なモデルを作り上げる。

(鹿カツバーガー、給食に再登場:北海道)
陸別町給食センター自慢の逸品「鹿カツバーガー」が13日、より食べやすくなって学校給食に再登場した。鹿カツバーガーは、ジビエ(野生鳥獣の肉)料理の第2回全国コンテストで農林水産大臣賞を受賞した「鹿カツドッグ」をアレンジした。昨年も給食で提供したが、「肉が少し硬い」という声もあり、給食センターで試行錯誤。シカ肉をしゃぶしゃぶ用程度にスライスし、ミルフィーユ状に重ねて揚げた。

(インバウンド、クマ肉や大太鼓体感:秋田)
北東北の魅力を世界に発信しようと、海外の旅行サイト運営者らを招いたツアーが13~15日、秋田、岩手両県で行われた。八つの国・地域から参加した17人が、岩手県八幡平市から北秋田市までを横断し、現地ガイドから見どころの説明を受けたり、工芸品の制作を体験したりした。大館、北秋田、小坂、上小阿仁の4市町村でつくる地域連携DMO(観光地域づくり法人)「秋田犬ツーリズム」と岩手県の八幡平DMOが共同で初めて企画。秋田犬の人気が高まっている米国や中国、シンガポールなどからの誘客に結び付けようと、インターネットや会員制交流サイト(SNS)で発信力のある関係者を招いた。

(のとししの串焼き発売:石川)
羽咋市の道の駅のと千里浜で16日、能登産イノシシ肉「のとしし」を使った塩麹(こうじ)漬の串焼きの提供が始まった。のとししの脂身が多いバラ肉や、肉感を味わえるモモ肉などが交互に楽しめる。野菜の切れ端でとるだし「ベジブロス」と塩麹で調整したたれで漬けた。関係者は「臭みがなく、自宅でも簡単に食べられる。食べず嫌いではなく、一度食べてほしい」と勧めた。

(ジビエ祭り:山口)
シカやイノシシ肉の料理を無料で提供する「豊田町ジビエ祭り」が17日、下関市豊田町の道の駅「蛍街道西ノ市」であった。同町観光協会が2016年から毎年開いている。ジビエはフランス語で、狩猟で得た野生鳥獣の食肉を意味する。会場にはシシ汁やソーセージ、竜田揚げが並び、近くの県立西市高校生はジビエクリームシチューを振る舞った。

(サラリーマン、猪を狩る:静岡)
「金が欲しくて働いて、眠るだけ~」。かつて忌野清志郎が歌っていたように、ただ働いて、ただ食べて、ただ眠って……というマンネリな毎日を過ごしているビジネスマンも少なくないのでは?上司にはドヤされるし、客には文句を言われるし、通勤電車は混みまくりだし、働くっていうのは、本当に"いいことばかりはありゃしない"。結論からお伝えしよう、そんな人は"狩猟"をしてみるといい。2019年は亥年。ということで、狩猟素人だけどイノシシ狩りに行ってみようと思いつき、リサーチを始めて約半年。もってこいのツアーを発見した。それが、伊豆市やシダックスなどから成る「中伊豆農山漁村振興推進協議会」が2月16・17日に開催した「中伊豆狩猟体験ツアー」だ。そもそも狩猟とは何か? なぜイノシシやシカを狩らなければいけないのか? 獣害が甚大な中伊豆の現状を通じて"狩猟や環境問題の今"を学ぶ、というのがツアーのコンセプトになっている。正直に白状すると、当初は"亥年だからイノシシを狩りに行くって、面白いんじゃね?"的な軽めのノリだった。でも、ツアーから帰ってきた今、そんなバカなチャラリーマン(※チャラいサラリーマン)だった自分をブン殴りたい。ツアーでは、獣害によって枯れ木が目立つ山中を歩き、地元の猟師や農家の方々の話を聞き、そして、狩猟によって今まさに命を失おうとする動物の姿を、目を、声をこの身に感じた。――もう一度お伝えしたい、今の生活にマンネリを感じている人は、"狩猟"をしてみるといい。ツアー初日、東京から電車を乗り継ぎ、集合場所の伊豆箱根鉄道駿豆線「修善寺駅」に到着。小春日和とまではいかないが、冷たい風が吹きつける東京よりは随分と暖かく過ごしやすい。「あぁ、これは狩猟日和だなぁ」なんてノホホンと考えながら、他の参加者たちとともに車に乗り込み、さっそく宿泊施設&猟場へ移動する。20分ほど車に揺られて着いたのは、山間からほど近い温泉宿「天狗之杜」。「いらっしゃーいっ!」と気さくな女将さんのお出迎えに癒されつつ宿内に入ると、まずは広間で狩猟体験の説明を受ける。お話してくれたのは、伊豆で地域活性事業を行っている「NPOサプライズ」の事務局長・コミュニケーション事業部長であり、猟師(!)の野田康代さん。ニュースで「猟師の高齢化」というワードをよく耳にする。てっきりスタローンみたいな屈強なオジ様を想像していたのだが、野田さんはとっても可憐。ロングヘア―でオシャレで細身。一見すると「カフェの店員さんかな?」というルックスながら、週末に山へと繰り出して狩猟に励んでいるのだという。なんてギャップ!そんな野田さんは、もともとレストランのコックをしていて、28歳のときに地元から近い伊豆市へ移住。3年前に狩猟免許(わな)を取得し、静岡県の猟友会にも所属している。そもそもなぜ狩猟を始めようと思ったのか聞いてみると、移住して間もない頃のある体験がきっかけだったそう。「夜中に家にいると『キャーッ』って叫び声が聞こえてきたんです。女性の声!? 大丈夫!? と思って近所の人に聞いてみると、当たり前のように『え、あの声? シカだよ』って言われて……。そのときに初めて、こんな民家のすぐ近くにも動物がくることを知ったんです」それから獣害について調べてみると、狩猟人口は減少と高齢化の一途を辿っているにも関わらず、シカやイノシシの数は増える一方。それにつれて、名産のワサビやミカンをはじめ、農作物がどんどん食べられてしまい、その被害額は1年で1億8,000万円(2014年時点)にも及ぶ事実を知った。それから「若い自分だからこそ何か役に立てないか」と思い立ち、猟師になったのだという。ちなみに、野田さんいわく「今、猟師は60歳で若手」とのこと。ズバ抜けて若くて紅一点の野田さんは超レアな存在と言える。だからこそ、今はNPOの仕事や狩猟だけでなく、伊豆市の狩猟や獣害の現状を知ってもらうためのさまざまな発信も行っており、言わば"広告塔"のような役割も担っているのだ。では、いざ狩猟へ……というのは、まだ早い。そもそも"なぜ狩猟が必要なのか"ということを先に解説しておこう。ツアーでは野田さんをはじめとする猟師の方々、地元の農家の方々、食肉加工センター「イズシカ問屋」の職員、獣害対策に尽力する役所の職員……など、さまざまな立場の目線から"獣害と狩猟の現状"について話を伺うことができた。今回、話を聞いて初めて知ったのだが、この獣害ってヤツはかなり深刻。伊豆市の人口が3万1,627人にもかかわらず、なんと伊豆半島の山には約2万7,700頭ものシカが生息しているそう(※2017年時点)。人口にも迫る勢いでシカがいるわけだが、「え、それって多いの? そんなもんじゃないの?」って思った人もいるのでは? それは大間違い。実は、そもそも適正な生息頭数は800~1,600頭なのだ。かなりの異常事態なのだ。それが何十倍もの頭数に増えてしまったものだから、食べるものがなくなって畑を荒らしたり、道に飛び出して交通事故を起こしたり、はたまた木の皮を食べて山を枯らしてしまったり、と今では完全に自然や人間との共存バランスが崩れてしまっているそう。そうなると「なんでそこまで増えたの?」ってことも気になる。役所の方いわく、それには大きく3つの要因があるそう。それが以下だ。狩猟者の数が減少した。また、近年まで国からメスジカの捕獲制限がかかっていたというのも大きな要因とのこと。過疎化や耕作放棄地の増加、林業従事者の減少によって森林への立入の減少、また温暖化の影響による積雪量の減少も一因。一夫多妻制で、生後15~16カ月で約8割が妊娠。そしてほぼ毎年出産する。つまり、5年で約2倍(!)の数に……。というわけで、シカが爆増しているのだ。例としてシカの獣害について解説したが、イノシシ事情もほぼ同様。これらを受けて伊豆市では現在、動物の適正な生息数を目指し、猟師たちを募って鳥獣を捕獲しているほか、農作地への侵入防止柵の設置、ツアーでも見学させてもらった食肉加工センター「イズシカ問屋」の運営などの対策を実施している。もしかしたら"狩猟"ってかわいそう……と思っている人がいるかもしれない。でも、このままでは山が枯れ果て、食べ物はなくなり、人が暮らせなくなり……と、動物にとっても人間にとっても、かわいそうどころの騒ぎじゃない最悪の事態も招いてしまう。山を、動物を、里を守るためにも"狩猟"は必要というわけだ。いざ、山にわなを仕掛けに行くではでは、狩猟体験に話を戻そう。狩猟についての座学の後は、実際に"わな"を仕掛けに宿の裏山へ向かう。事前に、空き地でわなの構造や仕掛け方などの説明を受けた。使用するのは「くくりわな」と呼ばれる代物で、お弁当箱のようなアルミの箱を地中に埋め、その上を動物が踏むと即座にワイヤーが足を締めつけて捕獲できる構造となっている。ここからは、野田さんが師匠と仰ぐ、同じく猟師の内田康夫さんも同行し、実際にわなを仕掛けていく。内田さんは、猟師歴ウン十年というベテラン中のベテラン。山男らしいワイルドな風貌ながら、ジョークを連発するお茶目なオジ様だ。山中に到着するも、どこにわなを仕掛ければいいかわからずにオロオロしていると、「そこ!」「あそこ!」と的確に指示をしてくれる。「おー、これが熟練猟師の勘ってヤツかぁー」なんて感心していたのだが、ちょっと違うらしい。勘なんて曖昧なもんじゃなくて、「ここに足がきて、この枝をよけて、ここを踏むから、この場所にわなを仕掛けるんだ」と、めちゃくちゃ的確なのだ。しかも参加者が仕掛けたわなを見て「これじゃダメだ」と手直しもしてくれたのだが、これがスゴい。仕掛け終わると、どこにわながあるのか、素人目にはさっぱりわからないのだ。「スゲェー! スゲェー!」と言っていると、内田さんは「人間にバレるようなわなに動物は絶対かからないからな」と断言。この完成度の高いわなこそが、猟の難しさを物語っていると言っても過言ではないだろう。全員が罠を仕掛け終わったころ、内田さんから「おい、今から昨日獲れたイノシシを解体しに行くけど、見にくるか?」と思わぬお誘いが。この後は夜にジビエ肉バーベキューをするまで時間が空いていたので「行きたいっす!」と即答して、内田さんの山小屋まで連れて行ってもらった。細い山道を車で走ること15分、見晴らしのいい小高い丘のような場所に内田さんの小屋はあった。ニワトリや犬が走り回り、空にはトンビ。「これぞ山小屋!」と叫びたくなるような光景が広がっている。でも、2頭獲れたというイノシシの姿は見当たらない。ふいに「ちょっとこのロープを引っ張ってくれ」と言われ、「ん、重いなぁ……」と力を入れて引っ張ると、いきなり山の中から吊るされたイノシシがどーーんと出現! まさかの登場に腰を抜かしそうになった。捕まえた後すぐに内臓は処理してあるので、2頭ともお腹はフルオープン。約40kgとさほど大きいサイズではないそうだが、かなりの迫力……。お腹はパッカリだけど、それ以外はまんまイノシシなので、今にも動き出そうな気さえも……。「じゃあ、やるか」と、内田さん&野田さんはナイフを巧みに使って皮をはいでいく。こんなシーンを初めて目撃したので、最初こそビビったが、みるみるイノシシからシシ肉に変わっていく様をみていると、いつしかコワい感情よりも興味深さの方が勝っていた。そんなとき、内田さんが「ちょっと代わってくれ」とひと言。「またまたぁ」と冗談だと思ったのだが「ほら、手袋つけてこい」と本気のご様子。言われるままに手袋をつけ、ナイフを握り、見よう見まねで皮をはぐ。これが、かなり難しい。イノシシは皮に分厚い脂身がくっついているのだが、これをキレイにはがすのは至難の業。しかも重労働。わなに続き、熟練猟師というのはスゴイなぁと改めて感心した。「昔はなぁ、猟師歴10年ぐらいじゃないと、ナイフなんて握らせてもらえなかったんだぞ」「なんか、すいません」「いいから、そっちの足やってくれ」「……はい」と、手厚いご指導を受けながら、日暮れまでみっちり解体を体験させてもらった。宿に戻ってからは、庭でイノシシ&シカ肉のバーベキュー。お肉はイズシカ問屋で加工されたものだ。「さっきまでイノシシの解体をしてたのに、よくイノシシ食べられるね……」という声が聞こえてきそうだが、これが不思議と食べられるのだ。というか、解体を経験したからこそ"ありがたく食べなくてはいけない"というちょっとした使命感があったのかもしれない。いざ口にしてみると、これがめちゃくちゃうまい。イノシシは脂がのってて肉の味が濃く、逆にシカはわりと淡白な感じ。東京でもジビエは食べたことがあったが、処理の仕方が丁寧だったり鮮度が高かったり、上質な中伊豆のジビエ肉は特有の臭みなどもまったくなくて本当に美味だった。気さくな女将さんが、シシ汁やシシ肉の角煮も振舞ってくれたのだが、そのどれもがうまい。東京に帰った今も、あの味が恋しくなるくらいだ。そんな食事の席では、内田さんが隣にいてくれたので色々と猟師の話を聞けた。ほんの十数年前までは里山にシカやイノシシはほとんどいなかったということ、昔はもっと大勢の猟師仲間がいたこと、そして毎日のように狩猟をしているけどなかなか獣害が減らないこと。ずっとこの場所で猟師をしてきた内田さんだからこそ、今の危機的な状況をなんとかしたいという想いがあるのだろう。何気なく「今日仕掛けたわなに、明日はイノシシかかってますかね?」と聞くと、「どうだろうなぁ。でもイノシシがかかってても、お前すぐ近づくんじゃねえぞ」と注意された。聞けば、ワイヤーに締めつけられた足を自分で引きちぎり、突進してくることもあるのだという。「そりゃ向こうも命懸けだからさ」とのこと。そういえば、さっき解体したイノシシの一頭も足がちぎれかかっていた。やっぱり危険な目に遭うもこともあるんですか? と聞くと「あぁ、ついこないだもさ、120㎏の山の主みたいなデカいイノシシがかかって、いきなり突っ込んできて危なかったんだよ」と衝撃発言が飛び出した。今日見たイノシシでさえデカかったのに、その3倍ぐらいの超巨大なヤツが突進してくるなんて、……絶対死ぬ。内田さんほどの熟練猟師はかわし方を心得ているそうで、そのときも少しばかり足を怪我した程度で済んだらしい。でも毎年、同じような狩猟中の事故で命を落とす猟師も少なくはないという。やはり"命懸けの仕事"なのだ。翌朝の早朝、宿の前に集合。いよいよ昨日仕掛けたわなに、獲物がかかっているか見に行く。山の朝とあって、きっと寒かっただろう。でも、それよりもわなの状態が気になっていたし、このあと起こった出来事の印象が強すぎて、寒かったかどうかなんてまったく覚えていない……。宿の裏山に入り、わなの付近を見てみると……獲物の姿はない。かかっていなかったのだ。近くに行ってみると、ひとつのわなが作動していたのがわかった。でも、ワイヤーにかかっていたのは木の枝。猟師の野田さんいわく「動物が軽く踏んだのは間違いないけど、うまくかからなかったんだろう」とのことだった。参加者たちが「残念だったね」なんて口々に話していると、野田さんに一本の電話が。内田さんからだった。なんと、内田さんの猟場に仕掛けていたわなには、一頭のシカがかかっているのだという。「今から止め刺し(とめさし※とどめを刺すこと)をするから、見にくるか?」とのことだった。そんな貴重な瞬間を見られるのなら、ぜひ見たい。二つ返事で内田さんの猟場に向かった。道中、内田さんの友人だというシイタケ農家の方の車に同乗させてもらったのだが、山道を走りながら「あそこを見てみろ」と言われ、目を向けると一部分だけ禿げあがった山肌が見えた。「シカが木の幹や新芽を食べるから、ああやって山が死んじゃうんだよ」という。山の中でシイタケを育てる農家さんにとって、シカは今や天敵。でも、獣害は人間がまいた種でもある、だからこそ複雑なんだ、と話していた。なんて答えたらいいか、いい言葉が浮かばない。思わず考え込んでしまった。そうこうしていると、山中の猟場に到着。内田さんが「あそこだ」と指さす方向には、一頭のシカがわなにかかり、もがいていた。僕らの存在に気づいたシカは、ワイヤーを噛んだり、逃げようと暴れたり、必死に抵抗している姿が遠目に見てとれる。わかってはいたけど、その光景はやはり痛ましい。胸が締めつけられる。「可哀想だから、早く終わらせてあげたい」と棍棒を手にしてシカへと近づいていく野田さん。それを追っていこうとした矢先、「来ないでっ!」と鋭い声が飛ぶ。どうやら、足の骨が折れ、皮一枚でつながっている状況とのこと。足がちぎれたら、いつ突進してくるかわからない。そんな緊迫した空気の中、野田さんはゆっくりシカとの距離を詰めていく。最期の瞬間を悟ったのだろうか、シカは「キーッ、キーッ」と甲高い声をあげながら、激しくもがいている。次の瞬間、野田さんの振りおろした棍棒がシカの頭をとらえた。すぐさまシカはばたりと地面に倒れ込む。後ろ足をバタバタさせながら痙攣している。ナイフを取り出した野田さんは、シカの首筋をスッとひと突き。濃い色の血が、勢いよく流れ出す。それとともにシカの目は徐々に生気を失い、白く濁っていった。――文字にすると、どうしても長くなってしまうが、これは本当に一瞬の出来事だった。でも、その鳴き声も、もがく動作も、巻き上がった土煙も、流れ出す血の色も、すべて鮮明に覚えている。絶命したシカをロープで縛り上げて引っ張り、車の荷台へと運ぶ。触ってみたのだが、まだ温かいし、柔らかい。ふとお腹に目をやると、膨らんでいるのがわかった。妊娠していたのだ。また、わなの周りには小さな足跡がいくつも残っている。それを見た内田さんは「子どもがいたんだな」とポツリ。わなにかかって動けない母シカに、子シカがおろおろと寄り添っていたのだろう。一晩中。……なんとも言えない。口をつぐんでいると、内田さんがこう続ける。「止め刺しに行ったら、わなにかかった親のそばに子どものイノシシやシカが寄り添っていたり、乳を吸っていたり、時には死んで乳が出なくなった母親の血をすすっていたり……いろんな光景を目にすることもある」そう言った後、小さな声で「可哀想だろ、おれは可哀想で仕方ないよ」と漏らしていたのが、今も心に残っている。長年にわたって狩猟を経験してきた"猟師なのに"、いや、そんな"猟師だからこそ"の想いなのかもしれない。これが、狩猟の現場なのだ。それから車で宿に戻り、食肉加工センターの見学や地元の飲食店でジビエ肉のピザをいただいたのだが、少し記憶が曖昧になっている。失われつつある山の自然も、猟師たちの想いも、獣害を受ける農家の方々の話も、そしてシカの最期の瞬間も、いろんなことが頭をぐるぐると巡っていたから。東京からたった2時間の場所で、息をのむような命のやりとりがあり、そんな命のうえに僕らの命は成り立っている。だから、もっと食べ物を大切にしてほしい? 自然環境を大切にしてほしい?そんなのは当たり前のこと。他にも、ツアーを通じて学んだことは本当に数多かった。でも残念ながら、そういう大そうなことを声高々に伝えられるほど自分は立派な人間じゃないし、たった一度の体験だけで偉そうなことを言いたくもない。ただ、ツアーを経験してひとつだけ言えるのは"知ることの大切さ"。何気なくスーパーに並ぶ肉も、もとをたどれば命があって、飼育した人がいて、食肉へと加工する人がいて、僕らの食卓へと並んでいる。そこにはいろいろな人たちの想いが込められているに違いない。知らなければ当たり前だけど、知ればこの当たり前が"いかに尊いのか"がわかる。今回出会った猟師をはじめ、農家や役所の職員など狩猟に関わる人たちもまた、それぞれの立場でそれぞれの想いを胸に、一人ひとりが真摯に自分の仕事と向き合っていた。でも、生活のため、家族のため、やりがいのため……いろんな想いを胸に毎日懸命に働くべきなのは、僕らビジネスマンだって同じはず。遠いようで近い"狩猟"を知ることは、きっと働き方や生活など今の自分を見直すいいきっかけになるに違いない。これだけは、自信をもって言える。

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