<射撃ニュース5月>
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(猟銃誤射、起訴内容認める:北海道)
恵庭市の国有林で昨年11月、北海道森林管理局の男性職員が猟銃で撃たれ死亡した事故で、誤射で男性を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた札幌市中央区、美容室経営佐孝(さこう)英司被告(50)の初公判が24日、札幌地裁(中川正隆裁判長)であった。佐孝被告は起訴内容を認め、検察側が禁錮2年を求刑し即日結審した。判決は6月26日。検察側は冒頭陳述などで、佐孝被告が男性をシカと見誤ったと指摘。「何度も立ち位置を変え、全身を確認して発砲する」との猟友会幹部の説明や、男性が当時赤色やオレンジ色の作業着を着ていたことを基に「人ではないことを十分確認するという基本的な注意義務を怠った」と述べた。

(わな外れたクマ、猟友会の70代男性襲う:山口)
29日午前6時55分ごろ、山口県美祢市西厚保町原の山中で、猟友会に所属する同市の男性(72)がクマに襲われ、頭を負傷した。県警美祢署によると、男性はほかの男性らとわなにかかったクマの写真を撮ろうとした際、わなが外れてクマに襲われた。搬送される際に意識はあったという。クマは体長2メートルほどで、山中に逃げた。美祢市消防本部によると、男性は頭と両足のふともも付近にけがを負い、重傷だという。山口県は29日、クマ出没警戒情報を発令。県や美祢市、県警でつくる緊急対策会議を開き、広報やパトロール対策を強化する。

(熊に襲われ女性けが:青森)
22日午後、平川市で、タケノコ採りをしていた72歳の女性が熊に襲われてけがをしました。警察などによりますと午後1時すぎ、平川市切明の山の中で、弘前市城東の無職、奈良岡津恵子さん(72)が、熊に襲われました。奈良岡さんは熊に顔面を引っかかれる軽いけがをして、ドクターヘリで弘前市内の病院に運ばれ手当てを受けています。奈良岡さんは、別の女性と2人で現場周辺の山でタケノコ採りをしていて、助けを呼ぶ声を聞いて駆け付けた男性によりますと、奈良岡さんが熊に背中を向けたら襲ってきたということです。被害を受けて平川市では、現場周辺に捕獲用のわなを設置しました。

(田植え中の男性がクマに襲われけが:岩手)
23日午前11時40分ごろ、花巻市大迫町亀ケ森の水田で、田植え作業をしていた同町亀ケ森、農業の男性(55)が成獣のクマに襲われた。男性は北上市の県立中部病院に運ばれ、頭などにけがを負った。現場は大迫浄化センターの東約200メートル。花巻署によると、クマは南の稗貫川方面に逃げた。同署や同市が警戒を呼び掛け、市は周辺にわなを設置した。

(男性、クマに襲われ軽傷:宮城)
26日午前0時頃、宮城県色麻町王城寺で72歳の男性が自宅の庭でクマに襲われ、右腕や背中などに軽いけがをしました。警察によりますと、男性は飼いイヌが鳴き止まないことを不審に思い庭に出たところクマに出くわしたということです。

(オートバイとクマが衝突、クマに襲われけが:岩手)
25日午後、岩手県岩泉町の山林で、オートバイを運転していた男性がクマと衝突し、このクマに襲われてけがをしました。25日午後1時半ごろ、岩泉町岩泉横道の山林で、近くに住む林業・北川弘之さん64歳がオートバイで木の伐採作業に向かっていたところ、林道でクマと衝突しました。北川さんは衝突後、クマに頭をひっかかれ、左目や左耳、左の後頭部などにけがをしました。北川さんは自力で下山し、現在病院で治療を受けていますが、命に別状はないということです。

(乗用車、クマと衝突:秋田)
25日午後5時20分ごろ、秋田市河辺戸島字酌子(しゃくし)の秋田自動車道下り線で、能代市の40代男性の乗用車が道路を横切るクマと衝突し、バンパーは壊れたが、男性にけがはなかった。クマは死に、死骸はネクスコ東日本が回収した。

(乗用車とクマが衝突:秋田)
26日午後7時35分ごろ、秋田県小坂町小坂字円川原の東北自動車道上り線で、鹿角市の50代男性の乗用車がクマと衝突した。男性と同乗していた知人2人にけがはなかった。

(豚コレラ、ネズミやハエが媒介の可能性)
農林水産省は5月21日、今後の防疫対策を検討するため第7回拡大豚コレラ疫学調査チーム検討会を開いた。これまでの疫学調査から検討会は養豚密集地域ではウイルスが付着したネズミやハエが豚舎内にウイルスを運んだ可能性も指摘し、殺鼠剤の散布やネズミの新たな侵入を防ぐ必要もあるとした。検討会では13例目(3月27日愛知県・瀬戸市で発生)から22例目(4月22日愛知県・瀬戸市発生)について感染経路と今後の対策を検討した。各発生事例のウイルスの侵入時期や農場への侵入要因などを検討した。検討結果をもとに21例目までの感染時期を整理した(図)。そこで示されたのはウイルスが侵入したと推定される時期と豚コレラの発生時期にずれがあること。たとえば、3月29日に発生した16例目(愛知県田原市)のウイルスの侵入時期は1月中旬から2月上旬と考えられた。調査ではこの農場では1棟の肥育豚舎のみから感染が確認されており、少量のウイルスが侵入し、この豚舎のなかだけで時間をかけて感染が拡大していったことが考えられるという。調査チームの津田知幸チーム長(KMバイオロジクス技術顧問)によると豚コレラウイルスは「100個あれば感染する」として、ごく少量のウイルスが「隙間を縫って運ばれている可能性がある」と話した。野生イノシシからの感染が疑われる発生例もある、今回検討した10例のうち6例ではネズミの生存も確認されている。ネコやカラスが認められた農場も確認されており、小動物、野生動物を通じて農場内にウイルスが侵入した可能性もあるとした。とくに愛知県田原市の発生事例では、周辺で発生したウイルスが原因となっている可能性が否定できないとした。ごく少量のウイルスがわずかの豚に感染した場合は、そこから感染が拡大して多くの豚で症状が明確になるまで時間がかかるという。そのため今後の発生予防対策として飼養者が立ち入る頻度が高い分娩舎などでは▽踏み込み消毒や専用長靴の使用、▽立入前のこまめな手洗いを行うととともに「より丁寧な個体ごとの臨床観察が必要」で早期通報と相談を呼びかけた。また、養豚密集地域では発生農場で消毒、殺処分など一連の防疫措置が実施された際、ウイルスが付着したネズミやハエが散逸し、周辺農場へウイルスを運んだ可能性もあるとした。そのため殺処分の実施前にネズミやハエを駆除するための殺鼠剤散布や粘着シートなどの設置も必要だと指摘した。発生農場の近隣農場ではネズミ等の侵入を防ぐ消石灰の散布の徹底も求めた。今回発生が続いている豚コレラは症状が明確でなく発見しにくいとされている。中国や欧州でも「症状がマイルド」(津田チーム長)で、また、野生イノシシに感染が広がると発生が長引くというのは世界的な傾向だという。津田チーム長は「立入検査より、農家の毎日の観察が有効。今回は症状が目立たないという特徴があるが、自分の財産を守るという点から豚コレラを疑って観察してほしい」と話すとともに、農家と行政が一体感を持って対策に取り組む必要性も強調した。

(野生イノシシに苦慮、餌ワクチン効果未知数:)
愛知、岐阜両県が豚コレラの感染拡大の要因とされる野生イノシシ対策に苦慮している。両県が山中にワクチン入りの餌の散布を始めておよそ2カ月。約7割に食べた跡があり捕獲した個体の一部から抗体も見つかった。ただ膨大な頭数全体に抗体が行き渡るかは未知数で、感染例はいまだ相次ぐ。養豚場が集まる一部地域での根絶も目指すが、収束は見通せない。「一刻も早く沈静化してほしいが、どんな策も一朝一夕にはいかないだろう」。中部地方最大の養豚地域である愛知県の渥美半島で養豚業を営み、殺処分で豚3千頭を失った50代男性は難しさを認める。豚コレラウイルスの養豚場への侵入経路は、感染したイノシシの死体や排せつ物、唾液に含まれたウイルスが鳥・小動物や人を介して広がった可能性があるという。両県は感染を食い止めるため、イノシシが摂取しやすいようトウモロコシ粉などで包んだワクチンを5月中旬までに山中へ計約5万個以上埋設。6~7割にかんだ跡があり、岐阜県の検査では捕獲した個体の4%ほどにワクチンでできたとみられる抗体があった。愛知県でも数頭から抗体反応があり確認を進めている。ただ、イノシシの推定生息数は愛知県だけで1万5000頭を超え、岐阜県は「多すぎて推計できない」(担当者)。ワクチンがどの程度行き渡るかは予測がつかず、5月以降も感染例は後を絶たない。流行が長期化する中、愛知県が打ち出したのが渥美半島に絞って野生イノシシを根絶するプランだ。同半島の生息頭数は推定740頭で、今年度はわなを前年度比6割増の約100カ所に設ける。カメラの遠隔監視で箱に閉じ込めるわなの導入も進め、繁殖能力のある成獣を効率的に捕らえられるようにする。生態系の影響を懸念する声もあるが、「もともと半島にイノシシは生息しておらず、流入してきた動物なので影響はない」(県担当者)。県は今年度に県内全域で前年度を2割上回る1万頭以上の捕獲を目指し、感染拡大を食い止めたい考えだ。岐阜県もハンターへの謝礼金の額を増やすなどして後押しする。養豚場への対策も欠かせない。農林水産省はウイルス侵入を防ぐため、豚を適齢期前に出荷して一時的に豚舎を空にして洗浄し、新たな衛生設備を設ける案を検討中だ。通常6カ月ほどかけて出荷する豚を前倒しすれば、成熟していない分価格は安くなる。同省は売価と全国平均価格との差額補填や設備の改修費用を半額まで支援する案を養豚農家に示しているが、実効性や負担の重さを懸念する農家側からは反発する声も上がっており、実現へのハードルは高そうだ。今回の豚コレラの発生原因は特定されていないが、ウイルスの遺伝子が中国やモンゴルで流行した型に近く、野生イノシシで感染が確認されたことが特徴だ。農場関係者がこれら地域との接点がなく豚の加工品にもウイルスが残ることがある点などを踏まえ、手荷物で違法に持ち込まれて廃棄された加工品を食べたイノシシが感染した可能性があるとみられている。致死率がより高く予防法もないアフリカ豚コレラについても、今年1月、中部国際空港に中国からの旅客が持ち込んだ加工品から生きたウイルスが見つかった。これが国内で広がれば被害はより深刻になるだけに、国は空港に配置する探知犬を増やすなど畜産物の検疫体制を強化している。宮崎大の末吉益雄教授(家畜衛生学)は「海外から持ち込まれる食品への水際対策を徹底し、感染リスクを下げていくしかない」と話す。

(イノシシ向けワクチンで効果)
農林水産省は28日、豚コレラの感染源とされる野生イノシシに散布したワクチンの効果をまとめた。岐阜県と愛知県で、エサに混ぜた経口ワクチンを散布したところ、ウイルスの抗体を持つイノシシの割合が上昇したという。農水省はワクチン散布について「一定程度の効果があった」と結論づけている。同日開いた有識者による「第1回豚コレラ経口ワクチン対策検討会」で調査結果を示した。経口ワクチンは豚コレラ対策として今年3月以降、2県で合計約5万7千個散布した。回収できなかったり食べた跡があったりしたワクチン数を基に計算したところ、散布したワクチンの6~7割がイノシシに摂取されたとみられる。ワクチン散布区域で捕獲したイノシシを調査した結果、ワクチン散布前に比べ豚コレラの抗体を持つイノシシの割合は、岐阜県で40%から62%に、愛知県で50%から70%に高まり、ワクチンの散布の効果がみられた。岐阜県と愛知県では現在も豚コレラに感染した豚が養豚場で見つかっている。農水省は今後も岐阜県と愛知県でワクチンを散布し、イノシシによる豚コレラのまん延を防止する。

(豚コレラ対策、長野など3県でもワクチン検討)
農林水産省は28日、家畜伝染病「豚コレラ」のまん延を防ぐため、長野、三重、滋賀県でも野生イノシシへのワクチン入りの餌の投与を検討する方針を示した。いずれも豚コレラ発生が相次ぐ岐阜県と隣接しており、各県との境に近い岐阜県側で感染したイノシシが見つかっているため。実施されれば、ワクチン投与は5県に拡大する。

(イノシシ捕獲、3割増へ:岐阜)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が拡大している問題で、県は、ウイルスを拡散させている野生イノシシの対策を強化する。イノシシの捕獲頭数をこれまでより三割多い年間一万三千頭に目標を設定し、経口ワクチンの散布範囲を拡大する。二十二日、県庁で開かれ豚コレラ対策のための有識者会議で方針を示した。捕獲数の目標を年間一万三千頭としたのは、環境省の調査に基づいて推定される県内生息数一万六千頭と、自然増加率を基に計算した。三年間続ければ、理論上、感染イノシシはゼロとなる。今後、県独自の推計で、イノシシが増えれば目標も見直す。県内では、すでに年間一万頭を捕獲している。県が示した案では、昨年九月から県南部で進めている豚コレラの調査捕獲を、飛騨地方を含めた県内全域に拡大するほか、市町村の有害捕獲奨励金を県が上乗せしたり、秋以降の狩猟について県独自の報償金を創設したりして捕獲増を促していく。経口ワクチンの散布エリアも七月以降、現在の千八百平方キロ(九百三十七カ所、約二万八千個)から三千二百平方キロ(千六百カ所、四万八千個)へと拡大する。新たに揖斐川町と東白川村を加え、計二十三市町村が対象になる。これまで県内で確認された、豚コレラに感染した野生イノシシは約四百二十頭。新たに見つかった野生イノシシからウイルスの陽性反応が出る確率が高まっている。発見場所も郡上市や中津川市など県中部や東部に拡大している。記者説明で河合孝憲副知事は「長野県に近いところで陽性のイノシシが出たので、次の手を打つ必要がある。撲滅は不可能だが、目安の数値を示して順次対策を進めたい」と述べた。

(養豚の餌、食い荒らされる:花巻)
花巻市大迫町、高源精麦(高橋誠社長)の大迫工場で29日、給餌機のパイプが壊され、養豚用の餌が食い荒らされる被害が確認された。花巻署によると、従業員のいない28日午後6時半~29日午前8時40分に発生したとみられる。従業員や豚の被害はなかった。28日にも工場内に体長約1メートルの成獣とみられるクマが入り、従業員が追い払った。

(クマが納屋の肥料袋荒らす:岩手)
25日朝、花巻市石鳥谷町大瀬川地内で、民家納屋に置いていた肥料4袋がクマにより荒らされていたのが見つかった。花巻署によると、クマは成獣とみられ、同日午前6時30分ごろに周辺で目撃されたが逃げ去り、発見には至っていない。人身被害などはなかった。同署や市、猟友会などが周辺の警戒や広報に当たった。

(豚コレラ、県内439頭目:岐阜)
岐阜県は24日、岐阜市や美濃市、加茂郡白川町、養老郡養老町など7市町で見つかったイノシシ計10頭が豚(とん)コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは439頭となった。養老町での発見は初めてで、最も近い過去の発見場所でも24・6キロ離れており、県農政部の担当者は「とてもショック。山続きにイノシシが移動したのか、ほかの理由なのか、感染の経緯が分からない」と驚きを隠さない。県によると、養老町のイノシシは雄の成獣で、山際で死んでいるのが見つかった。発見場所から半径10キロ圏内に農場はない。7月に3回目を予定している野生イノシシ向けのワクチン散布計画で、養老町は対象地域に入っておらず、県は散布地域の見直しを検討する必要がありそうだ。

(熊の目撃情報:宮城)
30日午後6時50頃、登米市迫町新田字田上地内(品の浦行政区)で熊の目撃情報がありました。屋外では音の出るものを身に着けるなどの対策を行い、十分に注意してください。

(気仙沼大島にクマ:宮城)
昨年、生息しないとされたクマが相次ぎ目撃された宮城県気仙沼市の大島で今年もクマが出没している。気仙沼大島大橋の開通で本土とつながった安心感もあり、昨年に比べて島民の受け止めは冷静だ。一方、橋の開通で激増した観光客への注意喚起が課題となりそうだ。「島にクマがいるのは間違いないが、対応を間違わなければ襲われない。慌てないでほしい」。23日に大島中で開かれた生徒がクマの習性などを学ぶ勉強会で、県の担当者が強調した。島で今年初めて足跡が見つかったのは7日。民家の敷地内に子グマのものとみられる足跡があった。8日には2件、11日には1件、それぞれクマの目撃情報があった。勉強会は相次ぐクマの出没を受け、急きょ学校が開いた。昨年、島はクマの出没に揺れた。5月下旬に初めて目撃されると、島民から年間25件の情報(ふんなどの痕跡も含む)が市などに寄せられた。市全体(49件)の半分に当たり、市は島内3カ所にわなも仕掛けた。「明らかに別の動物のふんで、目撃情報には数えなかったものも多かった」(県気仙沼振興事務所林業振興部)。クマへの免疫がなく離島で逃げ場がない恐怖心から、島民が多くの情報を寄せたとみられる。今年は別の動物と思われる間違った情報は県、市に寄せられていない。市農林課は「勉強会などでクマの習性を知ってもらった。橋が架かり、本土から警察や市の職員が駆け付けられるのも大きい」と分析する。一方で増加する観光客への注意喚起の方法は定まらない。海水浴場がオープンする夏場は人出のピークとなる可能性も高い。星を見るために島内を散策した観光客が夜間に行動するクマと遭遇する危険性もある。市産業部の鈴木哲則部長は「県とわなの設置について協議している。観光客に対して最小限の注意喚起は必要だ。クマの目撃情報を注視しながら対応を検討したい」と話している。

(連日のクマに恐怖:島根)
島根県浜田市内でクマの目撃情報が相次いでいる。21日までの1週間連続で計12件が寄せられ、小中学校の通学路やJRの駅の近くにも出没。1~3歳のクマ3~4頭が繰り返し出没しているとみられ、専門家は、親離れした子グマが人間の生活圏に迷い出たのではないかと分析。住民たちは、出没が続くクマに恐怖を感じ、市はおりの設置など対策を取っている。「クマが人目に付く場所に出ていて怖い。子どもが遭遇するのではないかと思うと不安だ」。校区内の通学路などで6件の目撃情報があった国府小学校(浜田市下府町)に子ども2人が通う市嘱託職員の平野陽子さん(45)=浜田市上府町=が声を震わせる。

(アライグマ捕獲数急増:大分)
県内でアライグマ(特定外来生物)の捕獲数が急増している。農作物被害に加え、在来種の生物を捕食するなど生態系への悪影響が懸念されている。ここ数年は生息域が県内全域に広がりつつあり、調査や防除に当たる自治体、NPO団体は情報提供を呼び掛けている。県自然保護推進室によると、県内の捕獲数は2012年度の20匹から年に1・5~3倍のペースで増加し、18年度は663匹と約30倍になっている。捕獲・撮影や、死体の見つかった自治体数は12年度には3市だったが、18年度は12市町に拡大。生息数が特に多いとみられるのは大分、日田、中津の3市という。生態調査や防除に携わるNPO法人「おおいた環境保全フォーラム」(内田桂理事長)によると、アライグマはスイカやメロン、ナシなどの農作物に加え、カエルやオオサンショウウオなど在来種を食べ、生態系にも影響を及ぼしている。生後約1年で成獣となり、年間に約4匹産む上に天敵がほぼなく、数年の潜伏期間を置いて急増するという。このため早期の発見と防除が非常に重要とされる。県は18年度以降、県北西部を対象に防除事業を開始。環境保全フォーラムが委託を受け、住民を対象にアライグマの生態についての説明会や、防除従事者に登録できる講習会を開いている。大分市と周辺7市町も16年度から捕獲のノウハウや、わな・カメラの共有といった連携を進める。ただ地域により取り組みに濃淡があり、連携強化が課題となっている。アライグマは指先が器用で、農作物の果実に穴を開けるなどして中身だけを食べる。▽スイカやメロンにゴルフボール大の穴が開いている▽指が5本に分かれた足の跡がある―などの特徴がある。フォーラムの内田理事長は「アライグマの痕跡を見つけた場合はすぐに地元自治体などに連絡してほしい」と話す。

(クマ被害「ミツバチの巣箱壊された」:福島)
21日午前10時15分ごろ、福島市で、畑を見回りに来た70代男性から「ミツバチの巣箱が壊され、散乱している」と福島署に通報があった。この巣箱は20日にクマの被害を受けており、再びクマに荒らされたとみられ、同署はパトカーで周辺を巡回して住民に注意を呼び掛けた。同署によると、壊された巣箱は一つで、20日に被害を受けたため男性が直したばかりだった。また、同市の住宅近くでも、山林の斜面を登るクマが目撃された。喜多方市の国道459号でも、道路を横切るクマの目撃があった。

(エゾシカに花壇荒らされる:北海道)
「第45回くしろチューリップ&花フェア」(25、26日)の会場となる鶴ケ岱公園の花壇が荒らされているのが21日、見つかった。フェアを主催する実行委員会事務局の釧路市民活動センターわっとに市民から連絡が入り、釧路警察署に届けたが、エゾシカによる被害とみられている。調べたところ、計100株以上が苗ポットごと引き抜かれているか、なくなっていた。当初は人の手によって荒らされ、持ち去られたともみられたが、釧路署員と状況を調べた結果、足跡も見つかり、エゾシカによる被害と結論付けた。

(住宅街にクマ出没:長野)
22日午後、長野市の県庁の近くの住宅街でクマがいるのが目撃されました。警察によりますとけが人はいないということです。

(クマ被害受け「明神ケ岳」山開き中止:福島)
会津美里町の山林で4月、山菜採りをしていた女性2人がクマに襲われた事故を受け、同町教委は22日までに、6月2日に予定していた同町の明神ケ岳(1074メートル)の山開きを中止することを決めた。入山は可能だが、町教委は注意を呼び掛けている。22日午前10時5分ごろ、喜多方市山都町の宮古川沿いで、「木に登るクマを目撃した」と近所の男性から市役所を通して喜多方署に通報があった。同署によると、クマは午前9時ごろ目撃された。体長は約1メートル。現場から約300メートル南西にある山都小は集団下校する児童に教職員が付き添ったほか、山都中は生徒に注意喚起した。また、二本松市木ノ根坂の県道では午後2時30分ごろ、道を歩くクマ1頭を目撃したと郵便配達中の男性から市役所に届け出があった。二本松署によると、体長は約1メートル。郡山市熱海町でもクマの目撃情報が郡山北署に寄せられた。

(国道付近でクマ目撃:北海道)
22日午後5時45分ごろ、村元町付近の国道にクマがいるのを車で走行中の村内の男性が見つけ、寿都署に通報した。同署によると、クマは体長約1・5メートル。国道の山側におり、そのまま山林に向かったという。現場から民家までは約150メートルで、同署は付近の住民らに注意を呼びかけている。

(シカ初確認:高知)
高岡郡越知町の横倉山でこのほど、ニホンジカの生息が初めて確認された。貴重な植物への影響が懸念され、専門家らが警鐘を鳴らしている。横倉山は佐川町出身の植物学者、牧野富太郎博士も愛した植物の宝庫。複雑な地質もあって多様で貴重な植生が残されており、県が絶滅危惧種に指定したものもある。県環境共生課などによると、これまで横倉山にはニホンジカはいないとみられていたが、近年、越知町の一部や近隣自治体で目撃されるように。これを受け県は昨年、横倉山の貴重な植物の食害調査を県立牧野植物園に委託。昨秋の調査で、あったはずの植物がなくなっていたり、植物の先端部分が不自然になかったりしたことが確認された。

(クマの出没相次ぐ、被害なし:秋田)
秋田県内は23日、クマの出没が相次いだ。県警によると、被害は確認されていない。午後3時55分ごろ、大館市十二所字十二所町の民家の庭に体長約30センチの子グマがいるのを、民家に住む70代男性が目撃し110番した。大館署によると、市の依頼を受けた地元猟友会が約55分後に子グマを捕獲し、近くの山に逃がした。

(クマの出没、県内で相次ぐ:山口)
クマの出没が山口県内で相次いでいる。県自然保護課によると、県東部を中心に今年度の目撃件数(24日現在)は前年同期比約1.5倍の57件に達し、ツキノワグマ6頭を捕獲、5頭を殺処分した。件数は近年増加傾向にあり、過疎高齢化による地域の衰退で、クマの進出地域が広がっていることなどが背景にあるとみられる。県は人とクマが接触しない環境づくりに取り組んでいるが、整備が追いつかず苦慮している。12日午後8時ごろ、岩国市周東町祖生の60代女性は、自宅の玄関に覆いかぶさる体長約1メートルのクマを見つけた。「黒い塊が扉を引っかいていて、目が合ってクマだと分かった。こんなことは今までなかった」と振り返る。出没した地域の小学校では登下校時に教員や保護者が付き添うなど、市民生活に影響が出ている。岩国市によると、今年度の市内での目撃件数(24日現在)は39件で、例年同期の約4倍に上るという。行政は対応に追われた。17日には岩国市や県、猟友会などで緊急対策会議を開き、パトロール強化やクマが興味を持つ生ゴミなどを屋外に置かないよう改めて呼び掛けることを確認した。なぜ出没が増えたのか。保護政策による頭数回復に加え、県自然保護課の担当者は「クマと人が接触しない環境作りが進んでいない」と打ち明ける。県内のツキノワグマは西中国地域個体群と呼ばれ、広島、島根、山口の3県に生息する。山林開発などで激減したため、環境省は絶滅のおそれがあるとして、1994年度に3県へ狩猟禁止措置を発令した。県は97年度に保護管理計画を定め、2002年度には広島、島根、山口の3県合同で広域的に取り組むことにした。推定生息数は99年の約480頭から15年に約850頭と約15年間で2倍近く増え、現在は安定している。県内の目撃件数は大量出没した年もありつつ、増減を繰り返しながら増加傾向だ。10年度には最近20年間で最多の435件だった。反面、人身被害や人里への出没が増加したため、保護に重点を置いてきた3県は方針を修正した。17年度から人の生活圏とクマの生息域を分ける「ゾーニング管理」を保護計画へ新たに盛り込んだ。しかし、計画は難航している。県自然保護課によると、県内は山間部に点在する集落が多く、実施が難しいという。それでも、これまでは地域住民が自発的にやぶを刈り、見通しを良くして、クマを寄せ付けない緩衝地帯が作られていた。近年は過疎高齢化で里山の荒廃が進み、より困難な状況に陥っている。養蜂箱を壊される被害に遭った岩国市由宇町神東の男性(79)は「近所の道は使う人が少なくなって、草木が茂っている。クマが隠れられる場所が増えている」と不安をもらす。クマのゾーニング管理に詳しい島根県鳥獣対策室の沢田誠吾さん(42)は「西中国は中山間地域の割合が高く、ゾーニング管理が他地域よりも難しい。運用は手探りが続いている」と指摘。県は「今後も各自治体と情報を共有し、対策の進捗(しんちょく)と難航する原因を精査したい」と話す。

(クマ出没続く:岡山)
庄原市で5月に入り、ツキノワグマが出没し始めた。この1カ月間ですでに2頭がイノシシ用の罠(わな)に入った。

(小学校近くでクマ3頭:福井)
5月24日午前7時35分ごろ、福井県福井市本堂町で、集落北側の山の中に入っていくクマの幼獣3頭を安居小児童が自宅の窓から目撃、登校後に学校に伝えた。現場は学校の西側約300メートル。同校はクマが近寄らないよう校庭で爆竹を鳴らし、体育の授業を体育館内で行った。教職員が、集団下校の時間に校区内を巡回した。一方、福井市鹿俣町では5月23日午後6時ごろ、クマの幼獣1頭が道路を横断して山に入っていくのを地元の住民が目撃した。

(銀座でハクビシン?:東京)
東京・銀座に24日夜、ハクビシンのような動物が現れた。24日午後10時すぎ、銀座の歌舞伎座から東銀座駅に接続するエスカレーターに、ハクビシンのような動物が出現、通行人の間をすり抜けて駅構内に侵入した。その後、駅員が捕獲した。動物を保護した警視庁は25日、種類を特定して、適切に対処するという。

(クマ川泳ぎ、国道横切る:石川)
28日午後2時40分ごろ、羽咋市千里浜町の羽咋自動車学校付近でクマ1頭が目撃された。クマは島出町方面へ逃げ、その後、羽咋川を泳いで渡り、対岸の住宅街や国道を横切る姿が断続的に目撃され、同4時40分すぎ、大川町1丁目のやぶに逃げ込んでいるのを羽咋署員が見つけた。市や警察、消防の約30人が捕獲を試みたが、2時間余りクマは逃げ続け、捕まえることはできなかった。市によると、クマは体長約70センチの幼獣で、午後5時25分ごろ、市職員が捕獲作戦を開始した。茂みに隠れるクマを追い出そうと、市職員がスコップをたたいて音を出したり、車のクラクションを鳴らしたりした。出てこないため、草刈り機でやぶを刈り、上と下から追い込む作戦を続けたが、クマは茂みの中を行ったり来たり。午後7時すぎ、日没のため、捕獲活動を打ち切った。現場は羽咋市中心部で、羽咋川対岸に公立羽咋病院があり、捕獲の様子を見守る人の姿も見られた。クマを目撃した自営業男性(75)は「こんな所でクマなんて信じられない。早く捕まってほしい」と話した。羽咋市は29日、午前6時半から現場周辺で広報車5台を走らせ、防災無線で注意を呼び掛ける。羽咋署も巡回を強化する。市教委は羽咋小、西北台小、瑞穂小、羽咋中の児童生徒の安全を確保するため、車での送迎を認め、各校はメールや電話で保護者に伝えた。

(子グマどこに?:石川)
羽咋市と宝達志水町で29日、クマの目撃情報が相次いだ。市や町、羽咋署などは27~28日に相次いで目撃された幼獣と同じ個体が移動している可能性が大きいとみて、目撃現場周辺を捜索するとともに、付近住民に注意を呼び掛けた。川を泳ぎ、道路や線路を横切りながら20キロ近くを逃げ続ける子グマに関係者は振り回されている。

(山へ移動?クマ騒動一服:石川)
27日からクマの目撃情報が相次いだ羽咋市と宝達志水町で30日、目撃情報がなかった。3日連続で目撃された幼獣が山へ向かった可能性もあるとみられ、騒動は4日ぶりに沈静化した。クマは27日に宝達志水町宿を皮切りに、敷浪、柳瀬で目撃され、28日は羽咋市千里浜町、島出町に出没後、対岸の大川町へ川を渡り、住宅街のやぶに逃げ込んだ。29日は吉崎町の羽咋運動公園周辺で目撃され、石野町やJR南羽咋駅付近、宝達志水町柳瀬のJR七尾線沿いなどでも見つかった。両市町によると、クマは体長約70センチ~1メートルの幼獣で同じ個体とみられる。最後に目撃された場所から山が程近く、山へ移動した可能性もあるという。宝達志水町のメール配信サービス「安心ほっとメール」で、登録者の一部にクマの目撃情報が届かないトラブルが発生したことが30日、分かった。町によると、29日夜にトラブルは解消されたが、原因は不明。複数回メールが届かない場合は登録が解除されている可能性もあり、再登録するか、町に連絡するよう呼び掛けている。町によると、メールが届いていないのは、Appleドメインの携帯など。町はシステム会社を通じて原因を調べている。

(中心地に出没「想定外」:石川)
羽咋市や宝達志水町で二十七~二十九日に相次いで目撃された体長一メートルのクマ。従来は生息しないとされていた中心地での出没に市と町は「想定外」の苦慮が続く。二十八日夕、同市大川町の住宅地のやぶに潜んだクマを市職員、羽咋署員、消防署員が取り囲んだ。しかし、崖の下に待ち構えた市職員が素手で持っていたのは、農地の鳥獣侵入防止用のネットと小動物用のたも網。「市街地に出現することは想定していなかった」(担当課)という。県自然環境課も「極めて危険」と指摘する状況だった。倉庫や建物の中などの膠着(こうちゃく)状態となれば、麻酔銃が使えるが、動き回っている状態では手が付けられず対応が難しいためだ。町も「クマの捕獲用具はないのが現状」と明かす。県によると、県内のクマ生息地は二〇一五年まで、七尾市以南とされていた。だが、一六年に志賀町のほか穴水町、能登町で目撃され、一気に奥能登まで生息範囲が広がったとみる。白山自然保護センターの八神徳彦主任研究員は「能登に限らず、人間と動物の境は押し合いのようなもの。人の手が入らない森林や休耕田が増え、動物が押している状態」と解説する。一方で能登は半島のため周囲から入ることはなく、いなくなるのも早いという。三十日は目撃されなかったが、両市町はすでにクマ生息地となっており、今後に向けた対策を迫られている。

(市街地に野生のシカが出没:鳥取)
29日の朝8時過ぎ、鳥取市の中心市街地に突如として野生のシカが現れた。JR鳥取駅から直線距離で約750メートルの鳥取市文化センターの自動ドアに、角を当てて威嚇行為をしているのが目撃された。その後、生け垣を飛び越え逃げて行ったが、飛び越えた直後に自転車に乗った女性が通過。まさに間一髪で衝突を免れた。通報を受けて駆け付けた警察官と市役所の職員で捕獲を試みたが、包囲網を突破して逃走していった。鳥取市によると、今回出没したのは推定2歳から3歳で成獣ではないが、シカは人間を怖がらない性格で、ぶつかってくる恐れもあるため、目撃した際には絶対に近寄らず警察や市役所に連絡してほしいと呼び掛けている。

(野生の鹿が鴨川に:京都)
30日朝、京都市の中心部を流れる鴨川に野生とみられる鹿が現れ、警察が出動する騒ぎとなりました。突然の珍客に床で食事をしていた人たちも驚いた様子でした。京都市や市立動物園によると、鴨川上流の山間部で鹿はたびたび出没しますが、三条大橋付近で目撃されるのは珍しいということです。鹿は1歳から2歳のオスでエサを探して山から下りてきたとみられていて、警察が道路に出ないよう見守りを続けています。

(幼稚園近くにクマ:長野)
木曽町福島の街中で、野生動物の出没が相次いでいる。二十九日には木曽幼稚園近くにある木曽建設会館前にツキノワグマ一頭が、三十日には福島小学校近くの木曽川沿いにニホンザルの群れが出現。町などが注意を呼び掛けている。ツキノワグマは二十九日午後二時半ごろ、木曽建設会館前の路上を歩いているのを住民らが見つけた。近くの幼稚園児が帰宅する時間帯で、まだ近くにいた園児や保護者は園舎にいったん避難した。クマは町職員、木曽署員、地元猟友会員が見つけ駆除した。推定三歳、体長約一・二メートル、体重三一キロ。三十日午前七時半~八時ごろには、関町地区を中心とした木曽川河川敷や川沿いの住宅の屋根などに、ニホンザル計二、三十匹が現れた。近くの福島小児童が登校する時間帯で、同校職員や住民らが手をたたいたり、ロケット花火を打ち上げたりして対応した。同校はこの日、こうした野生動物の出没や事件事故に警戒するため、保護者に可能な範囲で屋外での見守り活動をするよう求めた。

(住宅街にクマ、注意呼び掛け:福井)
5月22日午前8時20分ごろ、福井県大野市中野町でクマ1頭が目撃された。地元の猟友会が付近の住宅街を捜したが見つからず、市は同町南側の亀山に逃げ込んだ可能性が高いとして山を立ち入り禁止にした。

(クマの足跡:富山)
22日午前8時ごろ、富山市婦中町青島の新保大橋下を通る道でクマの足跡が見つかった。20日にクマの目撃情報が相次いだ県中央植物園と同じ神通川左岸側で、南に約3キロの位置。

(利尻島の「ヒグマ騒動」、痕跡途絶え10カ月:北海道)
106年ぶりの上陸で話題を呼んだ北海道・利尻島の「ヒグマ騒動」は、足跡の初発見から30日で1年になる。監視カメラで撮影もされたが、昨年7月を最後に新たな痕跡が見つかっていない。利尻富士、利尻両町は観光シーズン前の来月末をめどに終息を宣言する方針だ。最初に足跡が発見されたのは昨年5月30日で、地元の人が警察に届けた。その後、専門家が27日と28日に島南部と北部で見つかったフンもヒグマのものと確認。オスの成獣1頭とみられ、島全域で次々に痕跡が見つかった。林野庁や役場が設置した監視カメラでも撮影されたが、7月13日以降、痕跡は途絶えた。10月末の関係機関による連絡会議で、ヒグマに詳しい道立総合研究機構の間野勉・自然環境部長は「島には99%いないと考えた方がいい」と指摘。「繁殖目的で上陸したが、メスがいないため、本島に戻った可能性が高い」とした。滑落などで死んだ可能性もあるが、島に生息していないことの証明は難しく、終息宣言には至らなかった。

(「イノシシ」捕獲3万頭超:福島)
昨年度に県内で捕獲されたイノシシが3万頭を超え、過去最多となる見通しになった。24日の県議会政調会で県が示した。県は「個体数の増加に加え、関係団体が駆除に向けて最大限の努力をしたため」と分析している。一昨年度以前の過去10年の捕獲数は、2016(平成28)年の2万6130頭が最も多かった。17年度は2万603頭。県は3月末、イノシシ管理計画を改定し、県内の推定生息数を約5万頭(2014年度時点)から6万2000~5万4000頭に上方修正した。県は本年度、ICT(情報通信技術)を活用した効率的な生息情報の収集や捕獲に取り組み、個体数の抑制と減少に働き掛ける。原発事故後のイノシシを巡っては、頭数の多さなどから捕獲後の処理が問題となり、各市町村が対応に苦慮してきた実情がある。県は「各自治体で専用の焼却炉など施設整備が進んだ。昨年度のイノシシの処理に支障が出たとの話は聞いていない」としている。

(鳥獣による農林業被害額、8年連続減少:長野)
2018年度の上伊那地方の野生鳥獣による農林業被害額は、前年より約1640万円少ない6253万円余りとなり、8年連続で減ったことが22日、県上伊那地域振興局のまとめで分かった。ピーク時に比べ3分の1以下までに減少。被害の大部分を占めるシカを中心に、市町村や猟友会、農林業団体、集落などと連携して捕獲や防護、環境整備といった総合対策を継続してきた成果とみている。伊那市内で開いた上伊那地区野生鳥獣保護管理対策協議会で報告した。振興局林務課によると、被害の内訳は農業関係が前年比約950万円減の5588万円で、林業関係は665万円と半減。サルや鳥類の被害も減ったが、他の獣種に比べると依然多い。一方、シカの捕獲数は個体数調整と狩猟を合わせて3990頭(速報値)で、現行計画で定める上伊那の捕獲目標数を引き続き上回った。守りの対策では、国の補助を活用して農地周辺に張った防護柵の総延長が300キロを超えたと報告があった。シカの生息数について、市町村からは「減ってきたとの声がある一方、(警戒心が強く)捕獲しにくいスレジカが増えたとの見方もある」と意見が出ていた。協議会は、今年度のサルの捕獲上限を583頭にすることを確認した。同課は「サルは捕獲だけでは被害が減らない。捕獲と追い払い、環境整備、地域への啓発を併せて進める」と説明。駒ケ根高原のサル対策で、駒ケ根市は「サルの習性や現状の取り組みなどを市報に載せて、市民に啓発している」とした。

(イノシシ激増、18年度43頭捕獲:熊本)
熊本市中央区と北区にまたがる立田山で、イノシシが急増している。市がまとめた2018年度の捕獲頭数は、17年度の8頭から5倍以上増えて43頭。農作物の被害が相次ぐ一方、住宅街が近いため猟銃が使えず、駆除は追いついていない。市は民間の狩猟団体と連携して箱わなを増やすほか、自治会や学校に注意喚起するなど対策に力を入れ始めた。森林総合研究所九州支所によると、立田山では江戸時代までイノシシが生息。明治時代以降に狩り尽くされたとされる。ところが、13年12月、同支所が南側の実験林に仕掛けた自動カメラがイノシシの姿を初めて撮影。それから5年が経過し、同支所はほぼ全域に活動範囲が広がったとみている。同支所森林動物研究グループ長の安田雅俊さん(50)は「どこから入ってきたのか分からないが、10年ほど前に痕跡が見つかり始めた。最近は頻繁にカメラに写っており、増えているのは間違いない」と指摘。急増の背景としてイノシシが多産であることに加え、立田山は餌が豊富で、水や隠れる場所があることを挙げる。住宅街は立田山の周囲に広がっており、田畑のほか家庭菜園が荒らされる被害も出始めた。市鳥獣対策室は18年10月、イノシシの生態や対処法を知ってもらうため、立田山に隣接する12の自治会や小中高7校などと対策会議を開催。チラシを配布し、餌になる生ごみや野菜くずを捨てないよう呼び掛けた。箱わなしか頼れない捕獲には限界があり、同室は「行政や駆除隊だけでは太刀打ちできない。地域の協力が不可欠」としている。

(県立中央公園、22日再開:秋田)
県総合公社は22日、クマの目撃情報を受けて14日から休業していた県立中央公園(秋田市雄和)の一部区域の営業を再開する。最初の目撃情報以降、目撃や痕跡が確認されなかったことから決めた。公園近くの県道脇で13日、体長約50センチのクマ3頭が目撃された。同公社は来園者の安全確保のため、14日からフィールドアスレチックやファミリーキャンプ場など5区域を臨時休業にしていた。

(サル被害深刻、GPSで群れ把握:新潟)
サルによる農作物被害に悩む新潟県阿賀町は本年度、本腰を入れている対策を前年度よりもさらに強化している。農林課内に専門の有害鳥獣係を配置したほか、県内でも先進的な取り組みとされる衛星利用測位システム(GPS)の活用で群れの位置をリアルタイムで確認できる環境が整いつつある。最新技術を駆使したサル対策が被害の防止や抑止につながるのか、注目が集まっている。4月中旬、町役場から2・5キロほど離れた同町天満の山林。地元猟友会の集落支援員が事前に仕掛けた2つの捕獲わなに、雄と雌のサルが1匹ずつ掛かっていた。支援員らが雄を殺処分する一方、雌はGPS発信機の首輪をはめて山林に放した。雌だけを放したのは、スマートフォンなどを通じて群れの行動を把握するためだ。サル対策は駆除だけでなく、効果的な追い払いが有効とされている。町から業務委託を受ける民間会社「新潟鳥獣警備」(同町鹿瀬)の波多野健治代表(32)によると、サルは母系社会で群れをつくって暮らしているため、雌の位置や動きが分かれば群れ全体を把握しやすいという。「雌を駆除すれば、雄は群れから離れて対処が難しくなる。雌を通じて群れの総数を減らし、群れを弱くする狙いがある」と語る。同町では10年ほど前から、自家用に栽培している野菜を中心にサル被害が全町的に発生。正確な被害額は定かではないが、町によると少なくとも年間約400万円に上るという。被害が相次いだ結果、耕作放棄する事例も生じるなど、深刻な問題になっている。昨年にトウモロコシが被害に遭った同町天満の女性(69)は「サルが食べる野菜を作らないようにし、サルが食べない山菜などを作るようになった」と表情を曇らせる。野菜づくりは高齢者にとって生きがいや健康増進になるとして、町では昨年度からサル対策を本格化。町全体で群れの数を20群と見なし、18年度は7群にGPS発信機を装着、20年度までに全20群に発信機を取り付けることを見込む。サルを追い払う対策もてこ入れし、18年度からはエアガンの購入費を補助。1年間で11件の利用があった。ただ具体的な成果や効果は未知数なのが現状だ。事業費は本年度だけでも約4千万円と高額で、発信機の電池寿命も1年で毎年更新を必要とするなど、財政や労力の面でも課題は多い。町農林課の江花一実課長は「サル被害で耕作放棄した高齢者が引きこもりや体力低下になれば、認知症や寝たきりになりかねない。金額で表せない深刻で喫緊の課題だ。対策を強化する中で住民の自衛意識は高まっている」と話している。

(甲武信ヶ岳周辺でシカの食害が深刻化:山梨)
ユネスコのエコパーク・生物圏保存地域への登録がほぼ確実となった甲武信ヶ岳周辺で、ニホンジカによる食害が深刻化していることが分かった。人里で駆除から逃れたシカが、エコパークの核心地域に入り込み、植物を荒らしている可能性がある。

(イノシシ捕獲「AIわな」:岡山)
イノシシ被害が深刻化している笠岡諸島の北木島に、人工知能(AI)機能などを搭載したハイテクの「囲いわな」が仕掛けられ、捕獲頭数の大幅アップに期待が高まっている。囲いわなは、縦横各約5メートル、高さ約2メートル。わなには捕獲支援システム「WebAIゲートかぞえもんAir」が取り付けてあり、赤外線センサーでイノシシの出入りを把握する。設定した頭数以上のイノシシがわなに入ると、ゲートが自動的に閉まる仕組みとなっており、群れごと捕まえることもできるという。ゲートが閉まると登録したアドレスにメールが送信され、わなの見回りの手間も省ける。自宅の畑がイノシシ被害に遭った男性(73)=同市=は「イノシシは年々増えているように感じる。人的被害が起きるのではと心配。新たなわなで一網打尽にできれば」と話していた。総事業費約125万円。北木島では、2016年度からイノシシ被害の通報が急増しており、市と猟友会が計約10カ所にわなを設置し、地元の有志らが餌付けやわなの見回りを行っている。17年度に4頭、18年度に9頭を捕獲。19年度は5月16日までに、3頭を捕獲したという。市農政水産課は「見回りをしてくれる地元の人の負担を軽減するとともに、効率良くイノシシを捕まえる態勢を整えていきたい」と話している。

(ドローン・カメラでシカ捕獲:山梨)
熱赤外線カメラを搭載したドローンを使い、猟銃でニホンジカを捕獲するという実証実験に、国内で初めて成功したと、山梨大が発表した。獣害対策に取り組むNPO法人などと共同で研究し、肉眼では発見しにくいシカの位置を上空のカメラで捉えて狩猟者に伝える仕組みだ。山梨県内には適正頭数の10倍と言われる5万頭以上のシカが生息するとみられ、森林や農業の被害が広がっている。一方で、高齢化が進んでシカを捕獲する狩猟者は減少し、技術の伝承も難しくなっているのが現状だ。そこで野生鳥獣の被害対策に取り組む特定NPO法人「甲斐けもの社中」が中心となり、山梨大の馬籠(まごめ)純助教(水文〈すいもん〉水資源学・環境学)、県猟友会、京都大などと共同研究グループを発足。シカの個体数や位置を事前に把握することで、安全で確実に捕獲できる技術の開発を続けてきた。

(狩猟セミナー、県が開催:大分)
狩猟を始めたい人を対象にした入門セミナーが26日、県庁で開かれた。狩猟免許の取得を目指す約50人が参加し、先輩猟師の講話やジビエの試食を通じて理解を深めた。有害鳥獣被害防止の担い手となる狩猟免許取得者を増やそうと、県が開いた。夫婦で免許を持つ大分市の塾講師、広畑美加さんが講話。仕留めたイノシシや野鳥の写真をスライドで紹介し、「とどめを刺さなければいけないが、野生動物と対話できるような楽しさがある」と魅力を語った。参加者はシカ肉とイノシシ肉の串焼きを試食したほか、箱わなの設置方法なども見学した。県森との共生推進室によると、2017年度の県内のイノシシやシカによる農林業被害額は約1億9500万円。同年度の狩猟免許所持者は、わなと網が計3464人、銃(1・2種)が計1932人だったが、60歳代以上が7割超を占め、高齢化が課題になっている。日出町の自営業、村木早知子さん(51)は実家の田を荒らすイノシシ駆除のために免許取得を目指しているといい、「同じような境遇の先輩猟師の話が参考になった。合格を目指したい」と話していた。

(カワウ駆除効果じわり、アユ漁獲量回復期待:大分)
日田市の日田漁協はアユを捕食するカワウの駆除に力を入れている。狩猟免許を持つ同漁協の組合員が取り組み、2018年度は市内の河川などで295羽を捕獲した。アユの漁獲量は14年度の記録的不漁から回復しつつあり、関係者は豊かな漁場が復活するよう期待を寄せる。日田漁協などによると、カワウは体重の3~5割の川魚を一日に食べる大食漢。複数で潜水しながら岸辺に川魚を追い込み、丸のみにする。アユの稚魚を放流する春が繁殖期。カワウの被害が大きくなると釣り客が減少し、遊漁料収入にも影響が出るという。「アユの食害を防ぐには駆除が最も効果的」と同漁協組合員の秋好純一市猟友会長。カワウは学習能力が高く、餌場を求めて数十キロを飛ぶとされ、「仲間が捕らえられた場所にはいったん来なくなるが、1週間もすると戻ってくる。続けることが大切だ」と強調する。日田漁協は全国内水面漁業協同組合連合会の補助金などを活用し、駆除したカワウ1羽を5千円で買い取っている。組合員に声を掛け、14年度以降は年間150羽以上を捕獲するようになった。川に着水防止用のテグスを張ったり、定期的に花火を使って追い払ったりするなどの対策も取っている。同漁協は「カワウの数はかなり減ったと思う。釣り客にしっかりアピールし、漁獲量も回復させたい」と話している。

(シカ用ワナ、全国展開:高知)
全国に広がるシカによる森林被害を減らそうと、四国森林管理局(高知市)が独自開発した捕獲用のワナの全国展開に乗り出した。小型、軽量の運搬に便利な点などが評価され、関東と東北地方の管理局を通じて、シカ被害に悩む林業や農業従事者に販売された。2019年度には残る4管理局にも売り込み、年間販売を18年度比5割増の100台を目指す。ワナの名称は四国森林管理局がある高知にちなみ「こじゃんと1号」という。「こじゃんと」は土佐弁で「すごくたくさん」という意味。「たくさん捕獲する」という願いを込めたワナは直方体で囲い状の構造物。シカ専用で縦1.3メートル、横0.8メートル、奥行き1.8メートルだ。四国森林管理局が11年年度に開発し地元鉄鋼中堅のヤマサ(同)に製作・販売を委託した。価格を5万円と市販の囲い状のワナの半分ほどにして、軽トラックに積載できるよう重さを60キロと軽量化。組み立てと解体いずれも2人で5分ほどで終えるようにするなど初心者も使いやすくした。シカをどう捕まえるのか。5月上旬、高知県四万十町の国有林に「こじゃんと」が仕掛けられていると聞き、担当者に連れて行ってもらった。3カ所回ったが、この日は収穫ゼロ。ならばと記者がシカに代わった。ワナのゲートが開いた入り口付近にはシカをおびき寄せるための牧草を乾燥させて小さく固めた餌がまかれている。確認後、体を丸くして扉をくぐる。餌はゲート奥にもある。進んでいくといきなりガシャンとゲートが閉じた。驚いた記者に担当者は「扉奥に細い糸を進行方向から見て横にピンと張っており、それに触れたから」と種明かし。接触して揺れた糸はワナの囲いに付けたネズミ捕りのバネと連動。バネが外れて扉を持ち上げていたワイヤがゆるんで扉が閉まったわけだ。ワナの中から簡単操作を実感した。四国の国有林で活躍し、ヤマサが民間向けの販路を開拓。その評判が伝わった関東と東北の2管理局が導入。それぞれの地域の民間需要も広がり累計販売台数は19年3月末で243になり、約900頭のシカを捕獲した。残るは北海道、中部、近畿中国、九州の4管理局。既に西日本の管理局から購入の打診があり、四国森林管理局はさらなる需要が見込めるとみて売り込みを強化する。設置の仕方を解説したパンフレットを配布したり、それぞれの管理局にワナの展示コーナーを設置してもらうよう働きかけたりする。高知から実演部隊も随時派遣する。全国展開で19年度の販売台数目標を大台の100台に定める。拡販へワナも改良する。据え付けたネズミ捕りはシカが蹴飛ばして台無しになることがしばしば。しかもネズミ捕りは別売りだ。「頑丈な代替物を仕掛けるか検討中。耐久性や性能を上げるとともに別売り部品も合わせた価格を5万円にしたい」と担当者は今後の戦略を描く。林野庁によると17年度、野生鳥獣による森林被害面積は全国で6400ヘクタール。このうち枝葉や木の皮をはがして食べるとともに人里に下りて農作物を荒らすシカの被害は全体の74%にのぼる。山林や農地を維持するのは高齢者。使いやすいといわれる「こじゃんと」の出番は増えそうだ。

(奈良のシカ、胃からポリ袋4・3キロ:奈良)
国の天然記念物に指定されている「奈良のシカ」がお菓子の袋などを食べ、体調を崩して死ぬケースが相次いでいる。シカの保護活動に取り組む「奈良の鹿愛護会」が死んだシカを解剖したところ、ポリ袋とみられる4・3キロもの異物が胃から出てきたケースも。お菓子の袋には食べ物のにおいが付いており、シカが落ちている袋を食べ物と勘違いしたり、観光客がお菓子を与える際に誤って食べてしまうケースが目立つという。背景には外国人を含む観光客の増加でマナーが徹底できない事情がある。「東大寺の近くに様子のおかしいシカがいる」3月23日、「奈良の鹿愛護会」に通行人からこんな連絡があった。職員が現場に向かい、東大寺南大門付近でやせ細ったシカ1頭を保護。ひどく衰弱していた上、餌にもほとんど口をつけず、翌日死んだ。シカは17歳ぐらいのメスで、適正体重を約10キロも下回る30キロしかなかった。同会が解剖したところ、ポリ袋とみられる異物のかたまりが胃をほぼ埋め尽くしていたという。その量は3・2キロ。「これでは食べても栄養をほとんど吸収できない。苦しかったはず」。解剖を担当した同会の丸子理恵獣医師(51)はそう話す。反芻(はんすう)動物のシカは4つの胃を持っており、異物は第1胃から見つかった。第1胃は食べた草を微生物などの力を借りて発酵させ、栄養を吸収する役割がある。異物が詰まっていると正常に機能せず、次の胃に食べたものを送ることができない。シカを治療する器具は少ないといい、「小型犬や猫のように内視鏡は使えないし、手術で胃を開くのはリスクが高すぎる。できることはあまりない」と丸子獣医師。慢性的な人手不足もあり、同会はこれまで死んだシカの解剖には積極的ではなかった。だが丸子獣医師は昨年11月、夏毛のまま、やせ細って死んだシカの死因に疑問を持ち、解剖に踏み切った。すると、今回と同じように胃からポリ袋が見つかった。そこで今年3月以降、死因が不明のシカ8頭を改めて解剖したところ、冒頭に挙げた1頭を含む6頭から大量の異物が見つかった。異物は最大のもので4・3キロもあったという。こうした事案が相次ぐ背景には、外国人を含む観光客の増加がある。ゴールデンウイーク最終日の5月6日、観光客でごった返す奈良公園を訪れてみた。目についたのは飲食物が入ったポリ袋を持ちながら、シカとたわむれる外国人観光客の姿だった。同会によると、シカの成獣の肩高は72~85センチ。手から提げたポリ袋はちょうどシカの顔の高さにくる。シカがポリ袋をくわえ、外国人観光客と引っ張り合う光景も目撃したが、その後、シカは食いちぎった切れ端を食べてしまった。なぜポリ袋を食べるのか。同会の職員は「観光客らがお菓子などを与え、においが似たものを食べ物と誤って認識してしまったのではないか」とみる。奈良県などは昨年、鹿せんべいの正しい与え方を英語、中国語、日本語で記した看板を公園内の鹿せんべい販売所に設置。「鹿せんべい以外の食べ物は与えないで!」と注意喚起しているが、効果は薄い。丸子獣医師は「(ポリ袋だけでなく)人間の食べ物を食べれば、シカの胃に生息する微生物のバランスが崩れ、機能が正常に働かなくなる恐れがある」と話す。奈良公園ではごみのポイ捨ても横行しており、職員は「見つけたらすぐに拾うようにしているが、シカが落ちている袋をどれだけ食べているかは分からない」とお手上げの様子。マナー違反は、シカの命を危険にさらすことにもなり、同会は観光客らに根気強く注意を呼びかけている。こうした中、奈良市の印刷会社「新踏社」は3月、観光客向けに、奈良特産の蚊帳生地を使ったエコバッグ「OTOMO(おとも)」(税込み1350円)を発売した。鹿の子模様のデザインと、小さな風呂敷のような形状が特徴で、折りたたんで持ち運べる。ネット通販や土産物屋を中心に販売し、観光客に普及させたい考え。同社の安達研社長(59)は「シカによるごみの誤飲が多いという現状を知り、何かできることはないか」と考えたという。観光客のマナーを自発的に改善させる方法はないものか。丸子獣医師は「子ジカは親をまねるので、(マナー違反をすれば)不幸なシカを増やすことになる。適切な距離を保って、シカと接してほしい」と訴えている。

(外来種アナウサギ根絶:石川)
国の指定鳥獣保護区で石川県輪島市沖にある七ツ島大島に生息する外来種のアナウサギについて、環境省中部地方環境事務所は、約30年にわたる駆除の結果、根絶に成功したと発表した。根絶は国内で初めてで、アナウサギによる被害を受けてきた鳥類や植生など島の自然も回復してきているという。ウサギの生態に詳しい森林総合研究所非常勤研究員の山田文雄さん(66)によると、アナウサギはスペイン・イベリア半島原産で、家畜化されたものをカイウサギやイエウサギと呼ぶ。国内では2016年現在、12の島でアナウサギが野生化しているのが確認された。毛皮利用や食用などとして持ち込まれたとみられる。環境省によると、七ツ島最大の大島は無人島で面積12・6ヘクタール。渡り鳥のオオミズナギドリなど希少な鳥類の集団繁殖地となっていた。ところが1984年にアナウサギのつがい2組が島に持ち込まれ、ピーク時の2013年には300匹以上が生息していたと推定されている。アナウサギは、地面に穴を掘って巣をつくるオオミズナギドリの巣穴を占拠。また食害でノアザミなどの植生が破壊されて裸地化が進み、鳥類の生息環境も悪化した。

(狩猟PRのパンフ作成:石川)
農作物を食い荒らすイノシシなどの駆除に当たってもらおうと、狩猟免許の取得を呼びかけるパンフレットが作成されました。このパンフレットはクマが市街地に現れたりイノシシが農作物を食い荒らしたりする被害が増えていることから、多くの人に狩猟免許を取ってもらい駆除に当たってもらおうと県が作成しました。パンフレットは「目指せ!ハンター!」と題し、狩猟免許の試験内容やわなや猟銃といった猟に使う道具について説明しています。また、狩猟免許の種類や捕らえることができる鳥獣の種類、狩猟期間など、狩猟に関する基礎的な情報をQ&A方式でわかりやすく解説しています。県自然環境課によりますと、狩猟免許を取得する人は農家などを中心に年々増え、ことし3月時点でのべ2814人とここ10年でおよそ3倍に増えています。一方、耕作放棄地の増加などで鳥獣被害が増えていて、昨年度の被害額は過去最高だった平成29年度のおよそ1億2000万円を上回る見込みです。県自然環境課はパンフレットを作成して市町役場などで配布し、「鳥獣被害を減らすためには狩猟が必要なことを多くの県民に知ってもらい、狩猟者の確保を進めたい」と話しています。

(捕獲専門チーム始動:岐阜)
イノシシやニホンジカを効率的に捕獲しようと、県捕獲専門チームが本年度新たに黒部、高岡の両地区で結成された。

(鳥獣被害、ドローンで効率よく調査:神奈川)
農作物の鳥獣被害対策に小型無人機「ドローン」を活用する取り組みが神奈川県内で進んでいる。被害状況の確認を短時間で行うことができるのが特徴で、県は2017年から導入。農林水産省が「先行的」と評価する取り組みは関係者の評判も上々で、県外での関心も高まっている。県は24日、秦野市平沢小原地区で調査を実施した。計約30ヘクタールの土地を、約60~80メートル上空からドローンで撮影する。後日、撮影した画像をつなぎ合わせ地域住民らと分析することで、有害鳥獣の現状を確認する。シカやイノシシなどによる農作物の被害は、全国で深刻な問題となっている。農水省によると、17年度の全国の被害額は約164億円にのぼる。県内での被害額も1億~2億円程度で推移しており、17年度は2億1200万円だった。鳥獣別では、ヒヨドリ4400万円▽イノシシ3800万円▽シカ3700万円――などと続く。こうした事態を受け、県は17年に「かながわ鳥獣被害対策支援センター」(平塚市)を設置し、現在は10人の職員が地域での対策支援に取り組んでいる。ドローンは主に、イノシシが掘った穴や獣道、鳥獣の住みかなどを特定する「集落環境調査」に利用。従来は実際に歩いて確認する必要があり時間と労力がかかったが、「6ヘクタールを5分ほど」(県担当者)でカバーできるドローンを活用することで、効率よく調査することができるようになったという。センターは、年度ごとに「重点取組地区」を定め、これまでに18地区の支援にあたってきた。このうち地形などの事情で飛行できない場合を除く9地区でドローンを活用してきた。センターの職員が操縦にあたる。耕作放棄地の増加や里山の未整備などもあり、被害は減っていないのが実情だ。それでも、ドローンによる調査を実施した地区の関係者からは「電気柵の設置をしたり、農地回りの伐採をしたりでき、対策をする住民が出てきた」などと好意的な意見があがっているという。県によると、取り組みを知った全国の複数の自治体から問い合わせを受けるなど、県外からの関心も高まっている。農水省によると、県はドローンを利用した取り組みを先行的に行ってきた自治体の一つで、こうした調査に利用する試みは、民間企業や全国の自治体で少しずつ注目され始めている。

(列車と動物の衝突、「害獣王」で防げ:宮城)
宮城、福島、山形の3県で列車とイノシシなど動物との衝突が急増している。3県を管轄するJR東日本仙台支社によると、2018年度は135件(前年度比50件増)で過去最多。列車の故障や長時間の不通など多くの客に迷惑が及ぶことから、対策に知恵を絞っている。3県で起きた衝突135件の内訳は、イノシシ(53件)を筆頭にカモシカ(38件)、クマ(12件)、シカ(9件)と続く。線区別では東北線と仙山線がいずれも28件で、両路線で4割強を占めた。奥羽線(27件)や磐越西線(24件)も多かった。東北線や磐越西線ではイノシシ、仙山線や奥羽線ではカモシカやクマとの衝突が目立ったという。背景にあるのは、耕作放棄地の拡大や温暖化に伴う積雪量の減少による、中山間地域での動物の増加だ。加えて、福島第一原発事故以降、基準値を超える放射性物質が検出されたツキノワグマやイノシシの肉の出荷が制限され、ハンターが減ったことも大きい。衝突が多いのは夜間だ。乗務員が動物を線路外に撤去して車両周りを点検するなど、運転再開まで30分はかかる。ブレーキなど機器の故障が見つかれば、運転見合わせは数時間にもなり、後続列車の手配など影響は多方面に及ぶ。そこで、JR東は動物が線路に近づかないよう対策を進める。今のところ効果が高いのは、赤外線センサーで接近を感知し、動物の嫌う青色の光と超音波で追い払う装置だ。17年度以降、「害獣王(がいじゅうおう)」の名前で東北線や仙山線などに設置され、衝突はゼロ。ただ、守備範囲は半径約6メートルで、1台当たり20万円とお高いのがネックだ。動物の侵入を防ぐフェンスも、これまでに3線区(約1・3キロ)に取り付けており、衝突の報告はない。こちらも、1メートル当たり4万円と割高だ。今年度も地形などの条件から「害獣王」が置けない東北線と仙山線の2カ所(約600メートル)に設置する。費用が安いのが忌避剤(きひざい)。イノシシには唐辛子エキスが入ったものを、シカにはヒトデを原料にしたものが有効で、線路の周辺に作業員がまく。人件費を除けば1メートル当たり350円。1度まくと3カ月は効果が続き、衝突件数も減ることが確認されているという。JR東の担当者は「過去の衝突実績が多い区間から優先的に対策を進めている」と話す。

(植物園でイノシシの被害:栃木)
上三依の上三依水生植物園で、イノシシが侵入し、クリンソウの群生地の一部など約50平方メートルが荒らされる被害が発生したことが27日までに分かった。同園の被害は過去9年間で最大規模だという。イノシシは16~21日の夜間、同園に侵入。3500株以上あるクリンソウの群生地(約200平方メートル)のうちの約40平方メートルや、ヒメサユリ、ヤマユリ、コオニユリなどが荒らされた。湿地帯などの土も掘り返されたという。被害が続くことから同園は20日、市に報告。22日に地元の猟友会の協力を得て、進入経路とみられる西側にわなを設置した。今後、被害にあった植物は補植する方針。

(動物と列車衝突421件:愛媛)
JR四国管内で列車とシカやイノシシなど動物との衝突が増え、2018年度は過去最多の421件に上ることが、同社のまとめで分かった。中山間部を中心に発生しているが、四国で乗降客の最も多い高松駅の構内で衝突したとみられるケースが初めて確認された。JR四国は「野生動物がどこに出てきても今や不思議でない」と対策に苦慮している。JR四国によると、衝突はこの数年、350件前後で推移していたが、18年度に再び増加に転じ、集計を始めた10年度(169件)の2・5倍になった。衝突件数の内訳は、シカが292件と7割近くを占め、イノシシが94件。ほかにイヌ9件、鳥5件、タヌキ、ネコ各2件だった。残り17件は不明。県内の件数も最多の59件となり、予讃線は51件の大半がイノシシとの衝突で、予土線の8件は全てシカだった。予讃線は関川(四国中央市)―新居浜と下宇和(西予市)―立間(宇和島市)、予土線は真土(松野町)-西ケ方(高知県四万十市)の各区間で多発しているという。

(クマ出没対策で県と5市町会議:山形)
山菜採りで山に入る機会が増える中、ツキノワグマ対策を話し合う会議が22日、県庄内総合支庁(三川町)であり、県と管内5市町の担当者ら約40人が出没時の対応などを確認した。県によると、管内の4月の目撃情報は2件で昨年より4件少なく、県全体でも少ないという。

(イノシシの目撃、昨年度は102頭と最多:秋田)
野生のイノシシの県内での目撃頭数が昨年度、2018年度は102頭に上り、農業被害額が去年1年間で200万円を超えました。いずれもこれまでで最も多くなっています。県のまとめによりますと県内では2012年に湯沢市秋ノ宮で初めて野生のイノシシが捕獲されて以来、目撃頭数が年々増加傾向にあり昨年度は過去最多の102頭が目撃されました。農業被害は初めて確認されたおととし、2017年で被害はごくわずかでしたが、去年は急増して被害額は217万7000円に上っています。イノシシの目撃情報は当初は県の南部が中心でしたが去年は八峰町の青森県境付近でも死骸が見つかるなど北上が進んでいます。県は全てのイノシシの捕獲を方針に掲げ、生息域の拡大を防ぎたい考えです。

(国体、ライフル射撃知って:茨城)
今秋に迫る茨城国体の開催機運を盛り上げ、ライフル射撃について知ってもらおうと、桜川市実行委員会は、アニメ「ライフル・イズ・ビューティフル」とコラボレーションしたライフル射撃(CP以外)競技会のポスターを制作した。

(クマの表情リアル、強く注意喚起:秋田)
秋田県は本年度、クマ被害への注意を喚起するチラシに、初めて画家によるクマの絵を使用した。これまでは主に写真を使っていたが、迫力あるクマの表情を繊細に描いたデザインで、注意をより一層強く訴える狙いがある。クマの絵を描いたのは、横手市山内の画家永沢碧衣さん(24)。県自然保護課の職員が昨年、上小阿仁村で開かれたアートイベントでクマを題材にした永沢さんの作品を目にし、チラシ用の作画を依頼した。

(鳥獣肉活用へタッグ)
大日本猟友会と日本ジビエ振興協会は、国産野生鳥獣の肉(ジビエ)の振興に向けて連携を強化する。衛生管理の徹底や未利用部位の利活用、処理施設の大規模化といった国産ジビエが抱える課題解決に両者が連携して取り組み、外食産業での利用促進などにつなげていく。国内では、有害駆除で捕獲しても食肉として活用されずに埋却や焼却されるものも多い。ロースなどの一部部位に需要が集まり、有効利用されていない面もある。また、国内の処理施設は小規模が多い。このため外食産業などからのニーズはあっても、大量に肉をさばける大型の処理施設がなく、対応できない課題もあった。全国の狩猟者を抱える同会と、外食産業など流通・消費のニーズをつかむ同協会が連携することで、課題解決に取り組む。連携するテーマは①狩猟者から流通・消費の現場までの衛生管理の徹底②食肉として活用するための狩猟技術の向上や全頭引き取りの推進③大規模処理施設の整備と安定供給④未利用部位のペットフードなどへの利活用⑤国産ジビエの輸出拡大⑥インバウンド(訪日外国人)向けのジビエ提供や狩猟ツアーの実施──などを想定する。まずは高品質な食肉として利活用するための仕留め方、速やかな内臓除去や血抜き処理の実施、衛生管理など、狩猟者向け講習会の開催を視野に入れる。国産ジビエ認証制度に沿った衛生的な処理・加工を目指す。高タンパクで脂肪が少なく鉄分が多い鹿肉については、ジビエを食べ慣れた外国人や、アスリートに向けた需要拡大も進める。将来は全国のモデルとなる大型処理施設を建設し、外食産業にも安定供給できる体制を構築する。日本で狩猟をしたい旅行客に向けた特区の申請なども検討課題に挙げている。日本ジビエ振興協会の藤木徳彦代表は「狩猟者を束ねる同会と連携することで、一貫して課題解決に取り組める」と歓迎する。大日本猟友会の佐々木洋平会長は「野生鳥獣の肉は自然界からの贈り物。両者が連携して命を無駄にすることなく、食材として活用できる体制づくりに取り組んでいきたい」と話す。

(動物愛護を追う、猟師に疑いの目:高知)
猫の殺処分を減らすには野良猫の出産防止が一番だが、高知の場合、犬の問題も絡んでいるように思う。というのは、県中央小動物管理センター(高知市孕東町)に収容される犬は猟犬関連が多いようで、「半分ぐらいはいる。猟犬系が減れば猫の世話にも手が回り、殺さずに済むのに」という声を聞くのだ。2017年度の収容犬は289匹。その半分だから150匹弱。「間違いなく猟犬」という証拠はないが、体に傷があり、人なれしている。つまり、山の中を走り回り、人が飼っていたと思われるらしい。その猟犬が野犬化し出産。子犬が捕獲されてくる場合もあるそうだ。犬は猫より、はるかに手が掛かる。そして、センターは狭い。犬同士のかみ殺しも発生するため、16年度途中まで犬の収容上限は約20匹。超えると殺処分していた。だが、動物愛護の機運の高まりに伴い犬小屋を建て増し、通路のスペースも活用するなどしたので収容数は今、40匹前後に倍増。そのしわ寄せで職員は犬の管理に追われ、猫への対応ができないという。もし、首輪に鑑札が着いているか、体内にマイクロチップが入っていれば、飼い主に即返還もできるのだが、めったにない。狩猟免許更新の際に保健所職員が説明し、協力を求めているが浸透してないという。実は、猟師に対する愛護活動家の評判は極めて悪い。「猟期が終わると、餌代がもったいないので山へ捨てに行くらしい」「帰って来られないように、背骨をたたき折る人もいるらしい」とまことしやかに言われている。ハンターに聞くと、「昔はあったかもしれないが、犬は家族同然。今はそんなことする人はおらんのでは」と否定する。それに、わな猟が増え、猟犬の数は激減したという。

(シカは受難、観光客のゴミ食べ健康被害:奈良)
山間部では獣害が叫ばれる一方、奈良市中心に位置する奈良公園のシカは観光客の捨てたゴミなどを食べて健康被害が生じている。インバウンド(訪日客)が増える中、県は多言語で注意を呼び掛ける看板を設置したが、意識向上は一筋縄ではいかない。

(「罠オーナー制度」その仕組みは?)
罠猟師の菅田悠介氏に「罠オーナー制度」の仕組みなどについて話を聞く。現在、慶應義塾大学4年。1年生の時にカモの解体をしたことから、食料廃棄問題について興味を持った。そこで狩猟免許を取得。動物を解体するワークショップを主催している。また、小田原市と大学で「罠オーナー制度」を企画。市民オーナーが罠の狩猟にかかる資金を提供し、猟師の負担を軽減、見返りとして狩猟体験などをオーナーに提供するという仕組みだ。狩猟を通して命をいただき、フードロスを考える機会をつくることを目指している。

(ドローンで鳥追い払い:大阪)
西日本最大級の農業総合展示会「農業Week(ウイーク)大阪」が22日、大阪市住之江区のインテックス大阪で始まった。生産者らからの関心の高まりを受け、情報通信技術(ICT)などの先端技術を生かした商品やサービスを集めた「スマート農業フェア」を初企画。作物の栽培環境のモニタリングと作業者の熱中症対策を組み合わせた営農支援ツールや、ドローン(小型無人飛行機)を使った鳥獣害対策資材などが注目を集めた。主催は、イベント会社のリードエグジビションジャパン。全国から280社が出展し、24日までの3日間で約2万5000人の来場を見込む。ソフトウェア開発などを手掛けるデータプロセスは、作物の栽培環境のモニタリングと作業者の熱中症対策が同時にできる営農支援ツール「アグリーフ」を提案した。ハウスなどに設置したセンサーで温湿度などを、腕時計型の端末で心拍数などを収集し、組み合わせることで熱中症の危険度を診断して警告する仕組みだ。「暑さが厳しい農業現場の働き方改革に役立ててほしい」とPRした。NTTデータは、JAの担当者と生産者らが、栽培計画や作業内容などをタブレット端末やスマートフォンで共有できる「あい作」を紹介した。農薬の種類や使用基準などがあらかじめシステム内に登録されているため、短時間で手軽に入力できる。「60代以上の農家でも、スマートフォンが使えれば簡単に使いこなせる」という。月額5万円(税別)でユーザー100人が利用できる。農業生産工程管理(GAP)に求められる作業記録にも生かせる。鳥獣害対策資材を取り扱うエイカーは、ドローンを活用した鳥などの追い払い資材を展示し、注目を集めた。会場では、企業によるセミナーや農機の試乗会なども行う。

(狩猟「はじめて」セミナー:福島)
福島県では、狩猟および鳥獣被害の対策に関心のある方を主な対象として、狩猟についての理解と魅力について知っていただくためのセミナーを開催します。(参加費無料)全く知識の無い方も受講いただける内容となりますので、この機会を是非ともご活用ください。皆さんのご応募を、お待ちしております!

(農作物の被害減へ、猟友会が鳥獣捕獲:佐賀)
イノシシやカラスなど有害鳥獣の捕獲に取り組む「伊万里市有害鳥獣捕獲隊」の辞令交付式が30日、市役所であった。市が猟友会の会員12人に委嘱し、イノシシが現れたときの緊急出動やパトロールなどで農作物の被害軽減を図る。捕獲隊の任期は1年で、今回で7期目になる。深浦弘信市長は隊員一人一人に委嘱状を手渡し、「危険と隣り合わせの仕事なので、けがのないよう捕獲に当たってほしい」と激励した。捕獲隊は昨年度、緊急出動と集落パトロールを25回ずつ行った。隊長の武重道隆さん(71)は「イノシシは季節に関係なく山を下りてくる。登下校中の子どもの安全を守るためにも、1匹でも多く捕獲したい」と話した。市猟友会(会員107人)は昨年度、市内でイノシシ3244頭、カラス330羽を捕獲した。

(ツキノワグマ活発期:青森)
東北巨木調査研究会会長の高渕英夫さん(67)が、青森県十和田市法量銀杏木にある国の天然記念物「法量のイチョウ」付近の、自身が所有する山林内に設置した定点カメラで野生のツキノワグマの姿をとらえた。

(シカの食害で地肌露出:滋賀)
米原市と多賀町にまたがる霊仙山(りょうぜんざん)(標高1094メートル)で、ニホンジカによる食害の現地調査が行われた。かつてササに覆われていた山頂一帯約20ヘクタールは食害で地肌が露出しており、米原市の職員や霊仙クリーンロードクラブ、霊仙山麓トレイル研究会のメンバーが小型無人機(ドローン)を飛ばして現状を確認した。県内最高峰の伊吹山(1377メートル)の南に対峙する霊仙山の山頂一帯は、ニホンジカがクマザサなどの植物を食べ尽くした結果、石灰岩が露出して雨のたびに泥水が流出。中腹の谷あいでは地崩れも多く、山麓の地域では土石流による被害などが懸念されている。伊吹山の山頂部の「お花畑」にはシカ対策の柵が設けられているが、霊仙山は「花の百名山」として知られているにもかかわらず、放置状態が続いている。今回の調査では、9合目付近(標高約1000メートル)の丘陵地一帯は草木がなく地肌がむき出しで白い石灰岩が露出していることが判明。雨で赤茶色の地表が流出し、新たに出来たドリーネ(すり鉢状の窪)2カ所も確認された。沼地にはニホンジカの足跡が多く見られ、木も根元部分がかじられて枯死していたという。米原市や霊仙クリーンロードクラブ、霊仙山麓トレイル研究会は6月中にも「霊仙山再生プロジェクト」(仮称)を結成し、県湖北森林整備事務所と協力して対策を進める方針だ。調査にあたった野生植物の生態に詳しい県立大の野間直彦准教授は「10年前はササが胸まであったのに、風景が全く変わり果てしまい、悲しい思いだ。伊吹山以上に食害のひどさが良く分かった」と話している。

(「アーバンイノシシ」高カロリーの生ゴミ食べて繁殖)
都会に定住する「アーバンイノシシ」が、市街地の学校やコンビニ、商業施設などで頻繁に目撃されている。福岡市の駅前では昨年(2018年)10月、男性がイノシシに足を噛まれて大けがする被害もあった。兵庫・神戸市では、イノシシに餌付けをし、近寄ってパシャパシャ写真を撮る人までいる。兵庫県立大学の横山真弓教授はこう警告する。「通常、イノシシはミミズや土壌の昆虫、木や草の根っこなどのエサで十分体が大きくなれます。しかし、(生ごみのような)野生にはないような高カロリーな食べ物を一度食べてしまうと、麻薬のようにやめることができなくなります。人は自分たちを攻撃してこない生き物で、非常に栄養価の高い食料を持っている。それを奪い取っても自分に攻撃してこないと学習してしまうんです」神戸市では現在、条例でイノシシへの餌付けが禁止されている。博多大吉キャスター「山に食べ物がなくなって、人里に下りてきているんですか」イノシシ研究家の小寺祐二さん「山はイマ非常に豊かになっていて、そこで増えたイノシシが新天地を求めて出てきています。耕作地だったところが耕作放棄されていることや、都市部も緑豊かにということで、動物が住みやすい環境を提供しているので、一度都市部に入ってしまうと、定着しやすくなります。日本で減っているのは人間くらいなんです」東京でもあきる野市の住宅街で目撃されたり、府中市で電車と衝突したりしている。ばったり遭遇したらどうすればよいのか。小寺さん「まず、イノシシがどういう状況か観察してください。普通なら人間の姿を見れば逃げていってくれます。逃げずに人間の方を見ていたら、壁や塀の裏に隠れます。隠れる場所がなければ、牙にやられないように高い所に上がる。イノシシで一番危ないのは牙です。木があれば木に登ってください」隠れる場所も登る所もなければ、ジャケットなどをイノシシの顔にかけてる。傘を持っていれば、イノシシに向かって開けば攻撃を交わせる可能性が高い。小寺さん「イノシシの習性として、目の前に見通せない所があると、そこから先に突っ込まないんです」

(かわいいアライグマの、ちょっと怖い話)
日本全国でアライグマが増殖している。出没情報は農村や山間部だけとは限らない。最近は都会でも、その姿が見られるようになった。昨年10月には、東京・赤坂の路上にアライグマが現れた。街路樹の枝にアライグマがいると110番通報があり、警察、消防、そして多数の野次馬が入り乱れての捕り物劇が演じられた。東京都自然環境部によると、2017年に都内で捕獲されたアライグマは約400匹。その前年は約600匹にも及んでいる。ちなみに今世紀初めあたりは毎年10匹から30匹程度の捕獲数だったが、06年ごろから右肩上がりに増えていった。「鳥獣対策として自治体が取り組みを強化してきたことが数字に反映されている部分もあるとは思います。ですが、昨今は23区内での捕獲も目立つようになりました」(担当者)どうやら都会進出に乗り出したようだ。環境省の調査でも、全国におけるアライグマの生息地域はこの10年間で3倍に拡大していることが確認されている(2016年度発表による全国の捕獲数は約3万5000匹)。縞模様の尻尾と目の周りの黒い縁取りが特徴のアライグマ。昨今ではアニメ「けものフレンズ」や映画「アベンジャーズ」のキャラクターとしても大人気だ。その見た目は抱きしめたくなるほどの可愛さだが、本来の生息地は北米大陸。しかも生態系や農林水産業に大きな被害を与える"害獣”として、日本では特定外来生物に指定されている。つまり、法律上は招かれざる客なのだ。よって、アライグマは研究など特別の理由がない限り、飼育も輸入も販売も、そして野に放つことも、外来生物法などによって禁止されている。2017年には富田林市でアライグマ4匹を許可なく飼育した後に逃がしたとして、女性が書類送検された。女性は動物好きで、勤務先の倉庫にすみついたアライグマを「このままでは駆除されてしまう」と、自宅に持ち帰った。しかし、「このまま飼育しているのはまずい」と思い直し、山林に逃がしたのだという。繰り返す。アライグマは飼うことも放すことも禁止。要するに、かわいいからと抱きしめた段階で、厳密には罪に問われてしまうのだ。実に理不尽。正直、納得しがたい。「それだけ深刻な被害が相次いでいるのです」険しい表情でそう話すには、環境コンサルタント会社「地域環境計画」(本社・東京)野生生物管理グループの宮畑貴之氏だ。同社は全国の自治体などから野生生物の防除計画を依頼されている。「アライグマは雑食性で、とにかく何でも食べてしまう。ザリガニ、魚などの水中生物から、小動物、そして果物や野菜、畜産飼料や人間の残飯までも餌にします」(宮畑氏)手先が器用で、ミカンはわざわざ皮をむいて食べるし、スイカも穴をあけて、中身だけをきれいにくりぬいて食べてしまうという。「ですから農業生産者にとっては死活問題。放置するわけにはいかないのです。だからこそいま、全国の自治体でもアライグマ対策に取り組んでいるのですが、正直、捕獲が増殖に追い付かない部分はありますね」(宮畑氏)自治体の中には「見逃さない」「増やさない」「負けない」といったアライグマ「3ない運動」にとりくんでいるところもある。だが、アライグマは頭がいい。箱わな(餌を仕掛けて箱の中に誘い込む方法)の餌だけ奪って逃げる者もいれば、そもそも用心して、わなに近づかない者もいるらしい。アライグマではあるが、人間とのイタチごっこを繰り広げているのだ。そして冒頭でも話したとおり、農村での厄介者は、都市部にもそのテリトリーを広げた。「この季節(春から初夏にかけて)はアライグマばかりに追われている」そう話すのは、害獣駆除の専門会社「AAAホームサービス」(本社・東京)環境衛生事業部の丸山潤氏。「ちょうど、子どもが生まれる時期なので動きも活発になります。鳴き声が目立ったりすることもあり、そこで家の中にアライグマが入り込んでいることを認識される方も多いんですね」(丸山氏)そう。アライグマと"同居"している家庭は、けっして少なくないのだという。「アライグマは環境適応性が高く、どこにでも進出するんです。ここ数年、住宅地からの駆除要請も急増しています。最近の住宅はグラスウールの綿を使った断熱材が天井などに張り巡らされています。これがアライグマにとっては最高のお布団なんですよ。ふかふかして、しかも暖かいものだから寝心地がいい。そこを拠点というか"実家"のようにして暮らしているわけです」実家であるから、飯も食えば糞もする。たまった糞尿は不衛生であるばかりか、ハエやゴキブリ、ダニ、ネズミなど他の生物を引き寄せることにもなる。当然、子どもも実家で産む。しかも、多産だ。「一度に5~6匹の子どもを産むのが普通です。しかも産まれてから1年もすれば妊娠が可能。子どもの死亡率も低いので、短期間で急増していくんですね」(丸山氏)ねずみ算ならぬアライグマ算。驚異の繁殖力だ。気が付いた時にはアライグマの大家族が天井裏で生活していることも多い。駆除にはもっぱら箱わなを使う。人間を恐れるので、網や素手で捕獲することは難しいのだ。「箱わなにおびき寄せるための餌としては、甘くて油分が多いものがいい。いろいろと試行錯誤を重ねましたが、キャラメルコーンや餡ドーナツなどが効果的でした」(丸山氏)捕獲したアライグマはアルミケースの中に収めて、炭酸ガスをゆっくり注入して安楽死させる。これだと眠りながら死んでいく感じになるのだとか。息を引き取った個体は冷凍保存してから回収業者に引き渡す。「年に一度は供養の儀式もおこなっています。害獣とはいえ、アライグマ自身に罪はないのですからね」(丸山氏)確かにアライグマにとっては不幸なことに違いない。だが、放置すれば農産物も家屋も被害にあう。なかには狂犬病を持っているアライグマもいるため、人体への直接被害も懸念される。それだけではない。「なごや生物多様性センター」(名古屋市)で生物多様性の保全担当をしている髙尾知基氏は「生態系維持のためにもアライグマ対策は必要」だと強調する。「希少な生物がアライグマの被害にあっているのです。このままでは地域の生物環境が大きく変化してしまいます」(髙尾氏)愛知県内でも、最近では名古屋市の繁華街にも出没するようになった。生息域が拡大する過程で、公園の池や沼地にすむ在来動物にも被害が及んでいる。「首を食いちぎられたカスミサンショウウオや腕を引きちぎられたニホンイシガメなどの希少生物が発見されています。いずれもアライグマの仕業だと考えられます」(髙尾氏)だからこそ駆除したうえでの殺処分もやむを得ない。「もちろん、個人的にはかわいそうにも思います。見た目もかわいいですし。だからこそ、少しでも不幸な犠牲を減らしたい。当センターでは、殺処分されたアライグマを解剖し、生息実態の研究を進めています。命を無駄にしないように、少しでも役立てていきたいと考えています」(髙尾氏)ところで──素朴な疑問だ。なぜ、日本にいるはずのないアライグマが生息しているのだろう。環境省の資料などによると、野生のアライグマが国内で最初に発見されたのは、1962年のことだった。愛知県犬山市にある動物飼育施設で飼育されていたアライグマ12匹が檻から逃走したのだという。では、この12匹が"アライグマ算"で増えていったのか。どうやらそうでもないらしい。急増の最大の要因だと関係者の誰もが口にするのは、あの有名アニメである。「あらいぐまラスカル」──1977年にフジテレビ系列で放映されたテレビアニメは、当時、大ブームを引き起こした。11歳の少年が、森の中で幼いアライグマのラスカルと出会う。人懐っこいラスカルと少年の友情物語。原案は米国の作家スターリング・ノースの自伝的小説である。クークーとかわいらしい鳴き声をあげながら少年にまとわりつくラスカルの姿は、全国の少年少女、いや、おとなたちの琴線を激しく揺さぶった。ラスカルが欲しい!多くの人がそう思ったことであろう。私もそうだった。賃貸の団地住まいだった私は犬を飼うことができなかったので、ラスカルの一匹や二匹くらい、一緒に暮らしてもよいと思った。友達が少なかったので、子分のようにラスカルを連れまわしてみたかった。私は願望だけだったが、実際にペットとして飼う人が続出したのである。そのころはまだ、外来生物法などの法律は整備されていない。国内にアライグマはいなかったので、ペット業者は米国から仕入れ、それが飛ぶように売れた。だが──。「同時に飼育できなくなって手放す人も増えてしまったんです」と話すのは前出・「地域環境計画」の宮畑氏。実は、アライグマは飼育の難しい動物だとされる。日々、アライグマと格闘している前出の駆除会社「AAAホームサービス」の丸山さんも、「私だったら無理。絶対に飼育できない」と断言する。「生まれたばかりの頃ならばともかく、大人になったら暴れて手が付けられない。たとえケージの中に入れたとしても、餌をやるたびに、ひっかかれないかとびくびくしてしまいますよ。たぶん……一緒にいても楽しくないと思います」(丸山さん)そうしたこともあり、当初は家族として受け入れたアライグマも、結局は飼い主の手に負えなくなり、近くの山林などに「逃がす」人が多くなったのだという。そういえば、すでに忘れている方も少なくないとは思うが、「あらいぐまラスカル」の最終回も実は暗示的ではあった。父親の事業が失敗し、転居の決まった少年はラスカルを森に返すことを決める。もちろん、最終回近くでは、生長してやんちゃになったラスカルの様子も描かれる。小舟に乗って、少年はラスカルとともに森の奥深くへ向かう。お別れにサンドイッチを手渡し、少年はラスカルを森において、そっとその場を離れる。くーーん、くーん。悲し気に鳴くラスカル。さようならラスカル!私も泣いたが、現代の日本では外来法違反で書類送検は間違いなしだ。そう、かくしてアライグマは野に放たれた。繁殖した。被害も増えた。そして、殺されていく。考えてもみれば、人間の身勝手が生み出した現象でもある。私たちが招き入れ、都合悪くなって手放したのだから。本来、アライグマに責任はない。彼ら彼女らは生きようとしているだけなのだ。一方、本当にアライグマは人間の手に負えない動物なのか──疑問に感じている人もいる。動物園「市原ぞうの国」(千葉県市原市)副園長の小竹隆氏だ。同園では取材時、3匹のアライグマが展示されていた。「かわいいものですよ」と小竹氏は目を細める。小竹氏は前任地の「長崎バイオパーク」(長崎県)のときからずっとアライグマを見続けてきた。「凶暴なアライグマが人の手で捨てられて増殖した、というストーリーを私は少しばかり疑っているんです。だって、ちゃんと飼育していれば人間にもなつきますよ。そりゃあ、成長すれば動きも大きくなるけれど、それは他の動物だって同じこと。少なくとも私は、アライグマがそれほど攻撃的な動物だとは思っていません」同園では名称通りに「ぞう」が一番人気だが、その次に人気を集めるのがアライグマだという。「表情も動きも愛らしい。しっかり育てれば、ちゃんと言うことも聞きます。ただ一般家庭では、大きく育って動きも派手になると、それを凶暴だと思ってしまう人もいたかもしれません」いま、同園では厄介者扱いのアライグマを積極的に受け入れようと考えている。「農産物被害などが深刻であることは理解しています。でも、いや、だからこそ、アライグマの本当の姿を動物園で見てもらいたい」ちなみに私が取材で訪ねたときは、3匹ともにおとなしく寝ているだけだった。夜行性なので、昼間はじっと寝ていることが多いのだという。さて、人間になつこうが、愛くるしい動物であろうが、それでも被害や生態系を考えれば、そのままにしておくことは難しい。というよりも現行法ではそれが許されない。では、捕獲したアライグマの命を無駄にしない方法はないだろうか。ひとつ、方法がある。お肉としていただく、というのはどうだろう。愛知県豊田市の郊外にある「山里カフェMui(ムイ)」。古民家を改造したジビエ料理店だ。店主の清水潤子さんは狩猟免許を持ち、仕留めた動物を上手に活用している。鹿のソースカツ丼、イノシシのハンバーグ、カラスのアヒージョ。そして清水さんが「もっともおいしい」とすすめるのが、アライグマである。私が注文したのはアライグマのトマトソース煮込み。いやいや、これがうまいのなんのって。正直、牛肉だと思ったくらいにクセが少ない。ほどほどの脂身が口の中でとろける。「血抜きして、内臓を素早く取り除けば、ぜんぜん臭みがないんです」(清水さん)清水さんは地域での農業体験をきっかけに害獣被害を知った。そこで狩猟免許を取得し、駆除に関わるようになるが、「命を無駄にはしたくない」と思うようになった。そこで調理師免許も持っていることから、ジビエ専門店を開業した。「駆除した動物って、結局は土に埋められるか焼却処分されるかなんですよ。あまりにもったいないと思ったんです」そして、捕獲した野生動物を片っ端から食べてみた。おお、なかなかいけるじゃないか。カワウとタヌキ以外は、ほとんどが料理に活用することができた。「食べることで、動物の、いや人間の命の重みも考える。ここに来て、そういうことを思ってもらえてもいいなあと」清水さんのつくるジビエ料理は評判を呼び、いまでは休日には県外からも多くの客が訊ねるようになった。私は躊躇なくアライグマを胃の中に入れた。大満足だった。こうして私は生きていく。人間の身勝手も、農業被害も考える。生物の多様性を守るために、できることは何か。ともに生きる、とはどういうことなのか。胃袋の中からアライグマが訴えるのだ。

(「人間の匂いが付くと母鹿が子育てしなくなる」:奈良)
一般財団法人奈良の鹿愛護会がツイッターで、子鹿に触らないよう呼びかけている。5月24日に投稿した「子鹿には絶対に触らないでください。子鹿に人間の匂いが付いてしまうと、お母さん鹿が子育てをしなくなります。お母さん鹿がいなくては、子鹿は生きていけません。絶対に、触らないでください」というツイートは、27日には10万件近くリツイートされている。5月中旬から7月は特に注意「野生の生き物だと理解しそっと見守って」同会の担当者によると、母鹿は子鹿を匂いで判断しているという。そのため、「人間の匂いなど自分以外の匂いが付いてしまうと、自分の子どもではないと判断してしまう可能性がある」と明かす。鹿は群れで行動する動物だ。子鹿が単独で行動しているように見えても、近くに母鹿がいる可能性が高い。人間が子鹿に近づけば近づくほど、母鹿に攻撃される可能性も増すのだという。また、5月中旬から7月にかけてはメス鹿の出産時期にあたる。団体公式サイトでも、この時期のメス鹿は「子鹿を守るためにたいへん気が荒くなるので危険」として、「決して子鹿には近づきすぎないように注意して下さい」と注意喚起している。触ろうとする観光客は以前から多いが、子鹿が増える時期になるのを受け、改めて注意を促した。担当者は、「近くで見てみたい思いがあるかと思いますが、野生の生き物ということを理解して、過剰な関わり方のないよう、そっと見守ってもらえたら」と話していた。

(紀州犬8匹、新たに台帳登録:三重)
国の天然記念物で県南部発祥の「紀州犬」の審査会が二十六日、松阪市嬉野川北町の県埋蔵文化財センター嬉野分室で開かれた。市内や鈴鹿市、紀北町など県内から参加した、血統書付きの八匹全てが、保存の必要があるとする「優良紀州犬」に選ばれた。紀州犬の保存と繁殖を目的に、県教委が一九五一年から毎年開いている。県教委によると、昨年度までに八百三十四匹が優良紀州犬として県の台帳に登録され、現在も百二十九匹が飼育されているという。狩猟犬として飼われてきた紀州犬は、毛色は白が多く、巻いた尾や立った耳が特徴。審査会では歯の数や尾などを、日本犬保存会県支部員らが審査した。登録された二歳七カ月の雌「伯耆乃峰女(ほうきのほうにょ)」の飼い主で、紀北町上里の岩橋早由里さん(47)は「選ばれてほっとした。ふだんからきれいに歩く練習などをしていて、娘の一人としてかわいがっている」と話していた。

(生保会社からNPO法人へ、猟師にも“転身”:京都)
京都市の林利栄子さん(31)は、野菜の販売などを行うNPO法人の職員として働きながら、猟期には銃を携えて毎週のように山に出向く猟師だ。狩猟をする中で感じた「命を無駄にしたくない」との思いから、鹿肉を使った料理の食事会を独自に企画するなど、野生鳥獣の肉(ジビエ)の消費を増やそうと奮闘する。同市出身。大学を卒業した後、生命保険会社の営業として大阪市で働いていた。しかし、働く中で「お金や契約を通じた人とのつながりが嫌になってきた」(林さん)。契約などを考えず人と付き合える仕事がしたいと思うようになり、転職を決意。兄の紹介で参加した飲み会で出会ったのがNPO法人「いのちの里京都村」(京都市)の職員だった。「移住するわけではないし、農業、農村に関わる仕事もいいかもしれない」と2013年に同法人に就職した。最初の仕事は、鹿肉を使った肉まんの販売だった。府内のイベントに出店して1個500円で販売したが、待っていたのは消費者からの「臭そう」「高い」「かわいそう」といった声だった。「当時は知識もなく、なぜ高いのか、なぜ鹿肉を活用した方が良いのか、消費者に答えを返せなかった」。ジビエや鳥獣害について真剣に学ぼうと、猟師を志すようになった。転職してから1年目で、銃猟ができる第1種銃猟免許を取得した。知り合いの猟師に同行して狩猟に行き、生まれて初めて鹿を捕まえ、解体する姿を見た。「返り血を浴びても淡々と処理する姿に圧倒された。遊び半分ではなく、使命感を持ってやらないといけない」と感じ、食べて無駄なく活用したいと思うようになった。家庭での消費拡大につなげようと、鹿肉を使った食事会「べにそん会」を15年から始めた。料理は自ら調理する。ハンバーグやかつ、しょうが焼きなど家庭料理を5品ほど出す。家庭でできるメニューにこだわる。参加者からは「これなら家でも鹿肉を使えそう」といった声が上がるなど好評という。参加費は2000円。毎回、20人程度が参加し、これまでに20回以上開いた。林さんは「猟師は高齢化が進み、ジビエの普及までするのは大変。若手の私が普及に力を入れジビエの消費を増やしたい」と話す。

(省電力広域無線技術による、鳥獣捕獲検知システムの導入実証実験を開始:)
平川市(市長:長尾 忠行)と株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック(本社:青森県平川市、代表取締役社長:木村 清勝、以下jwp)は、jwpが開発したクマやイノシシといった鳥獣捕獲を検知・通知するシステム「わなベル」導入による捕獲罠見回り省力化の実証実験を2019年6月より開始いたします。近年、各地で鳥獣被害が深刻化しており一刻も早い対策が望まれる一方で、捕獲に携わる狩猟者の減少や高齢化などにより、捕獲効率の向上や見回り負荷の軽減が課題となっています。この課題を受けてjwpでは、LPWAネットワーク「Sigfox」を利用し、既存の捕獲罠にも簡単に取付できる捕獲検知・通知システム「わなベル」を開発しました。実証実験では平川市が主導する鳥獣被害対策実施隊と連携し、システムのフィールド運用・課題抽出・有用性の確認を行います。今回通信に利用するSigfoxは、IoTに特化して開発・普及が進んでいるLPWAネットワークのひとつで、低コスト・低消費電力・長距離伝送を特長としたグローバルIoTネットワークです。2009年よりフランスで導入が始まり、日本国内においても2020年3月までに全国にサービスエリアが拡大される予定で普及が進んでおり、既に青森県でも平川市を含む多くの地域で利用が可能です。「わなベル」はSigfoxの特長を活かし、乾電池での動作が可能で、面倒な工事の必要もなく、既存の捕獲罠にも簡便に取付できるのが特徴です。センサーが捕獲を検出するとSigfoxを通じてクラウドに捕獲情報が伝送され、利用者にメールなどで捕獲情報や位置情報が通知されることで、見回りの負担が軽減されます。また、捕獲後の迅速な処理が可能となることで、捕獲鳥獣のジビエ利用などにも活用が期待できます。

(カラスの巣を撤去:三重)
中部電力三重支店では、電柱に作られたカラスの巣の撤去作業に追われている。同店津営業所は30日も、津市内の電柱に作られた巣の撤去作業に当たった。同営業所によると、カラスは2―5月に巣を作る。巣の材料に使われるハンガーや木の枝が電柱の機器に接触することで停電につながるという。同営業所管内では昨年度カラスの巣が原因の停電が3回あった。巣作りの期間は撤去しても新たに作り直すため、5月上旬までは停電につながると判断した危険な箇所だけを撤去。停電につながらないと判断した箇所は、目印をつけ随時点検する。巣を取った後でも同じ箇所に作られるため、点検をしても次の点検までにまた作られることもあるという。5月末から、巣立った後の巣の撤去を始める。同営業所の管轄では、4月末時点で約400個の巣を残し、様子見していた。巣立ちに合わせ2カ月かけて残りの巣の撤去に取りかかる。同営業所の藤森啓行保守長は「電柱にある巣を見つけたら最寄りの営業所に連絡してほしい」と呼びかけている。

(シカ肉を使ったジビエ料理体験:大阪)
ワークショップとは、“体験型講座”のこと。定期的に通う習い事とは違って、好きな時だけ参加できる自由度の高さも話題だ。今回は大人がハマっているジビエ料理教室のワークショップをお届けします!大阪・「ぽけっと」のワークショップでは、猟師でシカ肉料理研究家の平岡祐子さんから、シカ肉の調理のコツなどを学べる。参加者は分担しながら教えられたとおりに調理し、出来上がった料理を食べた後は、野生肉の特徴や調理する上での注意点など、あまり知られていないジビエ料理の裏ワザを聞く。参加者の多くが、「シカ肉がこんなにおいしいなんて知らなかった」とその味にハマり、通販で取り寄せて自宅でつくっているという。所要時間は料理や座学なども含め約3時間。メニューはチンジャオロース、シカ肉のサンラータンスープ、有機野菜の発酵ドレッシングがけ、発芽玄米ご飯と魅力的だ。

(豚コレラで苦境のシシ肉、鹿が救う:岐阜)
豚コレラの発生を受けてイノシシ肉の出荷自粛が続く中、岐阜県山県市の野生鳥獣の肉(ジビエ)解体処理施設「ジビエ山県」は、鹿肉の販路開拓に奮闘している。21日には県内で豚の移動・搬出制限区域が全て解除になり区切りを迎えたとはいえ、ジビエの販売環境は依然、厳しい。JAぎふや外食店などと連携しながら、イノシシ肉のピンチを鹿肉でカバーする懸命の努力が続いている。ジビエ山県は昨年7月に設立したばかり。8月にはJR岐阜駅隣接の商業施設「アクティブG」で進発イベントを行い、ジビエを地域資源にと意気込む中、昨年秋から豚コレラが発生した。野生イノシシでの豚コレラ感染確認が相次ぎ、自慢のイノシシ肉が出荷できなくなってしまった。鹿肉も、ジビエ全体への抵抗感などで販売先の開拓は容易ではなかった。しかし、進発イベントでコラボ料理を提供した(株)円相フードサービス(本社・各務原市)との協議で、同社が運営する東京都の飲食店「エリックサウス」3店舗で提供するカレーのスープの材料として鹿肉を使えないかとの提案があり、供給が始まった。廃棄されていた部位も利用することになった。ジビエ山県の鹿肉は「臭みも少なく、だしとしてもしっかりと主張する」と高評価で、定期的な供給ができるようになった。現在は1カ月に約30キロを供給している。4月末に東京・秋葉原で行われたイベントでは、2日間で用意した鹿肉25キロ分のカレー約70キロ・600人前が完売し、岐阜の鹿肉に大きな反響があったという。ジビエ山県代表の臼井勝義さん(65)は「イノシシ肉の出荷ができなくなった時はどうなるかと思った。鹿肉がメインとして販売できたことで、山県のジビエを“つなぐ”ことができたのではないか。早く正常化し、イノシシと鹿の両輪でジビエを提供したい」と話し、改めて「ぎふジビエ」や山県市のジビエが地域資源として広がっていくことに期待している。岐阜県はジビエ利用振興のため、県内で捕獲し衛生面などの要件を満たした施設で処理したイノシシ肉などを「ぎふジビエ」として認証する取り組みを進める。これらの肉を扱う処理施設や飲食店を100近く登録している。一方、豚コレラの拡大要因とされている野生イノシシの対策として今年3月、岐阜、愛知両県でワクチン餌の設置が始まった。1年間設置して効果を検証する。当該地域での狩猟は規制されるため、ジビエへの打撃は長引く見通しだ。豚コレラの発生によって、ジビエの注文が減るといった影響も出ている。食品安全委員会は、ワクチン餌を食べたイノシシ肉を人が食べても、健康への影響はないとする評価書を承認しているものの、ジビエ関係者からは「風評被害」を懸念する声が出ている。

(イノシシ肉の薬膳カレー販売へ:栃木)
北向田の道の駅ばとう内の中核施設「馬頭むらおこしセンター」(藤田真一(ふじたしんいち)社長)は、町特産品のイノシシ肉を使った新メニュー「八溝ししまる薬膳カリー」を考案した。薬膳師の監修の下、旬の町産食材をふんだんに使っているのが特徴で、6月3日から道の駅のレストランで1日10食限定で販売する。藤田社長(65)は「食べに来て英気を養ってほしい」と話している。八溝ししまる薬膳カリーは、イノシシ肉を使ったキーマカレーとウインナーのほか、古代米入りのごはん、季節によって変わる温野菜と生野菜、野菜スープ、杏仁(あんにん)豆腐が、小砂(こいさご)焼の大きな陶器に盛り付けられている。税込み1300円。監修した国際中医薬膳師の小鮒千文(こぶなちふみ)さん(39)=矢又=によると、イノシシ肉は内臓の働きを高め、体力回復に作用するという。また女性に必要な良質な鉄分やビタミンBが豊富に含まれ、貧血や美肌、美髪効果も期待できるという。さらに旬の野菜を食べることで、心身を整える薬膳に近い効果が期待できるとしている。

(エゾシカ肉のペットフード人気:北海道)
知床半島などに生息するエゾシカの肉を使って犬や猫が食べやすいよう工夫したペットフードが、地元の道の駅などで人気を集めています。このペットフードは、オホーツク海側の斜里町でエゾシカの捕獲から加工まで行っている食品加工会社が開発しました。知床半島などに生息するエゾシカの肉を添加物を加えずに長時間加熱し、ペットが素材の味をそのまま味わえるよう工夫したということです。ペットフードは、もも肉やレバーなどエゾシカの部位によって犬用4種類、猫用2種類が用意されています。ことしに入って斜里町ウトロの道の駅「ウトロシリエトク」や会社のホームページなどを通じて販売したところ、観光客をはじめ全国から注文が寄せられているということです。ペットフードを開発した食品加工会社の羽田野達也社長は、「エゾシカの肉は高たんぱくで低カロリーです。やわらかく作っているので、年をとって歯が悪くなった犬でも楽しめると思います」と話しています。

(がっつりうまい猟師めし:兵庫)
かつて兵庫県香美町小代区で暮らした「山の民」のごちそうはいかが-。同区神水のジビエ食肉販売施設「峰鹿谷」が6月下旬から、シカやイノシシなどの肉と農産物の薫製を詰め合わせた商品「マタギめし」と「木地師めし」の販売を始める。代表の井上亀夫さん(61)は「小代らしい土産品で、炊きたてのご飯やお酒との相性は抜群」と胸を張る。今月25日から予約を受け付ける。2004年の台風被害で不通となっていた町道岩小屋線(同区秋岡-鳥取県若桜町)が25日、国道482号に昇格して通行を再開するのに合わせ、観光振興の一助にと開発した。地元の古老らによると、昭和初期には一帯の山中でイノシシやウサギなどを狙う猟師たちが存在。また同40年頃までは、木材をろくろでくりぬいて椀や盆を作る職人「木地師」が多く居住し、住民に製品を売って生計を立てていたという。井上さんが商品の構想を練り、地元の猟友会や営農組合から食材を調達して、薫製専門店「香味煙」(同町村岡区福岡)に製造を依頼した。猟師の携帯食をイメージした「マタギめし」には、同町で捕獲されたイノシシとシカの肉、和歌山産の梅の薫製などを詰め合わせた。地元住民が製造したみそに乾燥野菜を混ぜた「みそ玉スモーク」は、カップに入れて湯を注ぐだけで独特の香りのみそ汁が味わえる。「木地師めし」には鳥取産の鶏肉や黒毛和牛のほか、昆布などで味付けしたタマネギの薫製を入れた。井上さんは「食材の宝庫でもある小代について知ってもらえれば」と話している。それぞれ6480円、3240円、2160円の3通りあり、内容や分量が異なる。峰鹿谷や小代物産館(同区神水)、香味煙などで販売。

(ジビエ料理もっと身近に:和歌山)
「ジビエ(イノシシやシカなどの野生鳥獣肉)を知る会」が25日、和歌山県田辺市上芳養の日向会館であった。地元の住民や行政関係者ら約50人が、ジビエの冷しゃぶや唐揚げなどを味わいながら、地域の農業や鳥獣害について考えた。地元農家でつくる会社「日向屋」が農業や狩猟の活動を報告するとともに、ジビエに親しんでもらおうと企画した。日向屋は地区にあるジビエの食肉処理施設と連携し、ジビエの普及を図っている。メニューは「シカ肉のから揚げ」「シカすじコンニャク」「イノシシの冷しゃぶ」「イノシシのチャーシュー」など。上芳養在住で、日向屋の活動に参加する料理人、更井亮介さん(29)が腕を振るった。会には子どもから高齢者まで幅広い世代が参加したが、どのテーブルもすぐに完食。ジビエ初体験のみなべ町上南部小学校5年の那須慶太君(10)は「肉料理は大好き。おいしかった。特に冷しゃぶが気に入った」とぺろりと平らげていた。また、シカとイノシシの粗びきミンチで作るパティとスライス肉を挟んだハンバーガー「日向バーガー」のお披露目もあった。今後、野外イベントなどで提供するという。

(ジビエで作物被害減へ:千葉)
キッチンカーでジビエ(野生鳥獣肉)料理を販売する猟師工房千葉店(木更津市、北嶋貴弘店主)は、深刻化する農作物の獣害をジビエの普及で食い止めようと、今年3月から営業を始めた。被害が多い君津市内で捕れたイノシシやシカを活用し、ハンバーガーや弁当を提供する。店主の北嶋貴弘さん(46)は、父から引き継いだ東京都内の金属加工会社の社長を去年10月に辞し、ジビエ産業に参入した。何か新しいことを始めようと考え、趣味の狩猟を「仕事につなげたい」と一念発起した。狩猟をしていた父の影響で、子どもの頃からジビエの「うまさ」も知っていた。「シカは低カロリーで高タンパク。アスリートに良い。イノシシは豚と肉質が似ていて栄養価が高い」と北嶋さんは説明する。狩猟事業を展開する一般社団法人「猟協」とフランチャイズ(FC)契約を結び、猟師工房のFC1号店として木更津市内で営業を始めた。長女の杏李さん(18)と長男の夢慎さん(17)、スタッフの計4人で店を切り盛りする。メニューは、イノシシバーガーやシカバーガー、シカ弁当など。街道沿いの知人の敷地を借りて販売するほか、市内のスーパーにも出店。イベント会場などでも営業できないか模索している。木更津では、ジビエ料理を扱う店がまだ少ないといい、北嶋さんは「このピンク色のキッチンカーを見たらジビエだと周知したい」と意気込む。県南地域ではイノシシやシカによる農作物被害が深刻な問題になっている。北嶋さんは、2007年から15年ごろまで山間部の木更津市真里谷に住んでいたことがあり、獣害に苦しむ農家の悲鳴を受け、可能な限りイノシシの捕獲に協力していた。北嶋さんが真里谷から転居した後は、被害が増えて耕作をやめた人もいたという。現状を目の当たりにしてきた北嶋さんは「深刻な問題。(ジビエを)食べてもらうことで被害を少しでも食い止めたい。目指すのは(ジビエの)利活用と地域貢献」と展望している。

(国産ジビエ認証施設の第4号及び第5号認証)
国産ジビエ認証制度に係る認証機関により、国産ジビエ認証施設(第4号及び第5号)として、食肉処理施設「西米良村ジビエ処理加工施設」及び「TAG-KNIGHT(タグナイト)」がそれぞれ認証されました。農林水産省では、衛生管理基準及びカットチャートによる流通規格の遵守、適切なラベル表示によるトレーサビリティの確保等に適切に取り組む食肉処理施設の認証を行う「国産ジビエ認証制度」(以下「制度」という。)を平成30年5月18日に制定し、より安全なジビエの提供と消費者のジビエに対する安心の確保を図る制度の運用を行ってきたところです。この度、国産ジビエ認証委員会により登録された認証機関(一般社団法人日本ジビエ振興協会)において、認証申請のあった食肉処理施設「西米良村ジビエ処理加工施設」及び「TAG-KNIGHT(タグナイト)」の審査が行われた結果、制度に規定する全ての要件を満たすと認められたため、本日付けでそれぞれ「国産ジビエ認証施設(第4号及び第5号)」の食肉処理施設に認証されました。

(「農業」「福祉」連携カレー:石川)
白山市のJA松任と障害者就労支援施設「生きがいワークス白山」(鶴来本町)が協力してレトルト食品のトマトカレーを作り、白山市内のJA直売所や道の駅などで販売している。農業と福祉の事業者が連携する「農福連携」で、市内産の規格外のトマトや白山麓のシカ肉をふんだんに使った爽やかな風味が人気を呼んでいる。カレーに程よい酸味を醸し出すトマトは、JA松任が提供。形や大きさが規格外で出荷できなかったトマトを活用する。規格外トマトの付加価値を高め、農家の収入増につなげる狙いがある。シカ肉は、地元の猟友組織、白山ふもと会(同市東二口)やハンターベースジャパン(同市河内町下折)が地元で捕獲した野生鳥獣肉(ジビエ)を使用している。二十人が利用する生きがいワークス白山が昨年五月に発売し、現在は月千五百食を生産するフル稼働状態。今年三月には、東京国際フォーラム(東京都)で開かれたJAグループの国産農畜産物商談会に出展し、好評だったという。施設を運営する金沢市福増町の建設会社「生きがい工房」の奥田和也社長(48)=同市鶴来朝日町=は「農家と障害者が互いに補うことで、素晴らしいものを作れる。農業関係者が食品加工や流通販売に業務展開する六次産業化により、農家の収入アップや施設の仕事の確保につなげたい」と話す。好調な売れ行きに、利用者も仕事の励みになっているという。

(食肉加工、高校生学ぶ:富山)
氷見市と連携協定を結んでいる名城大農学部(名古屋市)の林利哉教授(49)=食品科学=による出前講義が二十九日、氷見高校であった。イノシシ肉の軟化や加工を研究している生徒らが、食肉がハムやソーセージとなる仕組みを学んだ。農業科学科三年生の十八人が出席。中でも食品製造専攻の六人は、授業でイノシシ肉を軟らかくする方法を研究し、チャーシューやベーコン、カレーなどへの加工を目指している。昨年度は名城大を訪問して研究施設などを回った。林教授は食肉となる筋肉の仕組みや栄養素を解説。食肉を塩漬けすることで一部のタンパク質が溶け、さらに加熱するとゲル化して肉粒子間の接着剤として働き、ハムやソーセージの加工に適した状態になることを説明した。林教授の指導は続く予定で、西川大成さん(18)は「筋肉の構造を初めて知った。普段聞けないようなことを聞けて知識が増えた」と話した。河原萌さん(18)は「今日習ったことを生かし、(イノシシ肉加工が)おいしくできるように頑張りたい」と研究への意識を高めていた。氷見市と名城大農学部は二〇一七年十一月に連携協定を締結。昨年度には氷見高で四回の出前講義を行った。

(シカの角、指輪やピアス考案:山梨)
県は地場産業の宝飾品加工技術を生かし、食害対策で捕獲したニホンジカの角を使った指輪やピアスを考案した。皮や肉は工芸や食用として一定の需要があったが、角は大半が処分されていたといい、担当した県産業技術センター主任研究員の串田賢一さん(49)は「活用方法が増えれば猟師のモチベーションとなり、さらに高品質な革やシカ肉の生産につながる」と期待する。

(厄介者シカで地域活性:熊本)
八代市東陽町の地元有志が、食害に悩まされているシカの皮を使い、名刺入れやブックカバーなどを作った。ショウガの産地で知られる同町は約9割が山地で、シカなどの鳥獣被害は長年の懸案。捕獲したシカを有効活用し、「新たな地域おこしにつなげたい」と意気込んでいる。製作しているのは、東陽町の地域協議会に所属する約10人で構成する「東陽鹿クラフト倶楽部くらぶ」(赤崎鐵男代表)のメンバー。町内の基幹産業は農業で、なかでもショウガは県内有数の産地だ。一方、シカやイノシシといった有害鳥獣の食害は深刻で、八代市農林水産政策課によると、2018年度の被害額は6993万円、シカの捕獲数は2438頭に上った。これまでは地元猟友会のメンバーが捕獲し、シカ肉を自家消費していた。ただ一向に頭数は減らず、「10年ほど前からは逆に増えてきた」(赤崎代表)という。東陽鹿クラフト倶楽部では、メンバーが捕獲したシカの皮をはぐ作業を男性陣が担当。その後、東京都の会社に依頼して皮をなめし、女性陣が名刺入れのほか、ペンケースやブックカバー、財布などを製作している。全て手縫いで行い、名刺入れにはカード類のポケットを付けるなど、一つを製作するのに数日間の手間暇がかかっているという。メンバーらは21日に市役所鏡支所を訪れ、中村博生市長に名刺入れをプレゼント。手に取った中村市長は「シカの革がこんなに柔らかいとは思っていなかった。八代のお土産にしてもいい」と喜んでいた。27、28日に熊本市で開催した販売会でも「柔らかくて、肌触りが気持ちいい」と好評だったという。赤崎代表(75)は「鳥獣被害対策だけでなく、地域の活性化にも一役買いたい。少し値は張るが、色んな人に使ってもらいたい」と話していた。名刺入れは1個6000円(税込み)。

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(民家の窓ガラス割られる、ライフル銃の銃弾か:栃木)
17日、佐野市閑馬町、無職男性(79)宅で、割られていたガラス窓のカーテンからライフル銃の銃弾のようなものが見つかり、男性の次男が佐野署に届け出た。同署は鳥獣保護法違反事件として捜査している。

(伊勢原の射撃場から基準値超の鉛検出:神奈川)
県は20日、県立伊勢原射撃場(伊勢原市上粕屋)の排水から、県の基準値を超える鉛が検出されたと発表した。県スポーツ課によると、定期的な水質検査の一環として14日、雨水などが集まる排水溝から採水し検査。基準値(1リットル当たり0・10ミリグラム以下)を0・01ミリグラム上回る鉛が検出された。3月の検査では基準値を下回っており、同課は今後、周辺の排水溝や地下水も調べる。

(「クマよけの爆竹を…」原野火災:秋田)
19日(日)昼前、秋田市河辺で原野火災があり、原野を所有する70代の男性が両足にやけどをして病院に運ばれています。男性は「クマよけの爆竹を使った」と話しているということで、警察は爆竹の火が燃え広がったものとみて調べを進めています。火事があったのは、秋田市河辺戸島の原野です。警察と消防によりますと、19日(日)午前11時半すぎ、「雑草が燃えていて消火できない」と原野を所有する70代の男性から消防に通報がありました。消防車両12台のほか、県の防災ヘリなまはげが出動し、火は通報からおよそ5時間後に消し止められましたが、スギ林約3,000平方メートルや作業小屋などを焼き、所有者の男性が両足にやけどをして病院に運ばれました。この男性は「クマよけのために爆竹を使った」と話しているということで、警察は爆竹の火が燃え広がったものと見て、詳しい出火原因を調べています。

(銃刀法違反容疑で男を逮捕:大分)
佐伯署は20日、銃刀法違反の疑いで、40代男性を現行犯逮捕した。逮捕容疑は午後0時15分ごろ、同市の国道で、軽トラックの運転席付近に、正当な理由がなく散弾銃1丁を置いていた。

(ジビエなどが感染源のE型肝炎、最多ペースで増加)
ウイルスに汚染された野生鳥獣の肉(ジビエ)などを摂取して急性肝炎を起こすE型肝炎の患者報告数が、感染症発生動向調査が始まった1999年以降で過去最多を記録した2018年の報告数を上回るペースで増えている。報告数の多い自治体では、飲食物を十分加熱するよう呼び掛けている。E型肝炎はウイルス性の急性肝炎で、ウイルスに汚染された食物や水を摂取することで感染。15-50日の潜伏期間の後、腹痛や食欲不振といった消化器症状を伴う急性肝炎を発症する。野生のイノシシやシカなどの生肉、加熱が不十分な肉が感染源と疑われるケースも少なくない。国立感染症研究所によると、19年(5日まで)の患者報告数は164人。都道府県別では、東京が43人で最も多く、以下は、神奈川(24人)、千葉(15人)、北海道(13人)、茨城(8人)、群馬と新潟(共に7人)、埼玉(6人)、山形(5人)、宮城と福岡(共に4人)などの順だった。ジビエ料理を提供する飲食店が少なくない北海道では、札幌市の患者報告数が半数近くを占めている。同市は、ホームページにE型肝炎の年・週ごとの患者報告数を掲載。「感染の予防には、現状で使用可能なワクチンがない状況にあるため、手洗いの励行と飲食物の十分な加熱が大切」としている。

(クマと車2台が衝突:宮城)
18日午前2時45分ごろ、栗原市高清水の東北自動車道上り線で、乗用車2台が中央分離帯から飛び出してきたクマに衝突した。けが人はなかった。宮城県警高速隊によると、仙台市若林区の男性会社員(41)の乗用車、岩手県紫波町の男性会社員(41)の乗用車が続いてクマとぶつかった。クマは体長約1メートル。道路を横断しようとしたとみられ、即死した。

(クマにかまれ生物調査の男性軽傷:青森)
19日午前、東通村の山林で野生生物の調査をしていた40歳の男性がクマに足をかまれ、軽いけがをしました。19日午前10時半ごろ、東通村小田野沢の山林で40歳の国家公務員の男性がクマに襲われました。男性はクマに足をかまれましたが、けがの程度は軽いということです。男性は当時、同僚と4人で野生生物の調査をしていましたが、1人でヤブをかき分けて進んでいたところ、クマに遭遇し襲われたということです。一緒に調査をしていた3人は離れた場所にいて無事でした。男性を襲ったクマは、その後、山の中へ姿を消したということで、警察は山菜採りなどで山に入る際はクマに注意するよう呼びかけています。現場は、東北電力東通原子力発電所のPR施設から1キロほど離れた山の中です。

(軽乗用車とクマ衝突:秋田)
18日午後8時ごろ、仙北市角館町山谷川崎上萩ノ台の市道で、同市の30代女性の軽乗用車とクマが衝突した。女性にけがはなかった。クマはそのまま立ち去った。

(豚コレラ、県内全ての制限解除:岐阜)
岐阜県は21日、豚コレラが発生した同県恵那市の養豚場から3キロ圏内で豚を運ぶことを禁じた移動制限を解除した。対象はペットとしてミニブタを飼育する2施設で、養豚場は含まれない。一連の豚コレラで、岐阜県内で設定された移動制限や搬出制限は全てなくなった。恵那市の発生養豚場が4月16日、「出荷予定の3頭が死んだ」と県に連絡、17日の県の遺伝子検査で9頭から陽性反応が出たため、全9830頭を殺処分した。また岐阜県は20日、同県白川町や郡上市など7市町で見つかったイノシシ7頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染が確認された野生イノシシは417頭となった。県によると、住民などが16~17日、山際や山中でイノシシの死骸を発見し、いずれも20日の県の検査で陽性だった。

(市街地にクマが!どう駆除?:福島)
県庁から約900メートル南に位置する福島市の弁天山公園で今月、野生のクマが目撃され、市の鳥獣被害対策実施隊員の猟銃で駆除された。住宅地近くでの銃による駆除は異例で、住民に衝撃が広がった。鳥獣駆除の関係者からは「市街地での銃使用は判断が難しい」との声が漏れる。住民の安全を確保した上で、人に危害を加えかねないクマを捕獲・駆除しなければならない現場の課題を探った。「バーン」。4日午後4時30分ごろ、弁天山公園周辺に1発の銃声が響いた。標高142メートルの弁天山周辺には住宅が密集し、発砲現場は住宅地からわずか200メートル。約500メートル離れた場所には中学校もあった。近隣住民は「クマの被害がなくて良かったが、市街地で発砲音は怖い」と複雑な心境を漏らした。クマの目撃情報を受け、市は現場が市街地から近いことから、人に被害が及ぶ危険性のある「緊急事態」と判断した。また、クマの駆除方法は警察官の同行の有無で分かれる。「人への危害の恐れがあったため、猟銃の使用許可を現場の警察に依頼した」と市担当者。近くに住宅が立ち並ぶ現地は猟銃による駆除が禁止されている場所だったが、警察官職務執行法に基づき、現場にいた警察官の判断で緊急的な措置として猟銃が使用された。県警は「今回の猟銃の使用許可に問題はない」との見解を示すが、警察官が同行していなければ、猟銃を使用できなかった可能性がある。駆除の関係者は「市街地のクマ出没は珍しく、今後も市街地で猟銃を使えるかどうか分からない」と現場の苦悩を打ち明ける。クマの駆除方法には麻酔銃で眠らせて捕獲し、山に帰すという方法もあるが、猟銃などによる駆除が最も多いのが実態だ。背景には麻酔銃を扱うことができる獣医師が少ない現状がある。県による厳格な審査と特別な許可が必要なためで、県内でクマの捕獲のため麻酔銃を扱える獣医師らは4人。県が出動を依頼した場合でも到着に時間がかかったり、出動できないケースもある。県によると、2018(平成30)年度に駆除された253頭のうち、捕獲して山に帰したのはわずか3頭だ。県警によると、今年のクマの目撃件数(17日現在)は昨年同期比25件増の69件。冬眠明けのクマが餌を探し、人里近くへの出没が増えているとみられる。猟銃で駆除された直後の9日にも弁天山公園周辺ではクマの目撃情報があり、市が同公園の立ち入りを制限し、わなを仕掛ける対応を取った。県は「捕獲駆除の方法は現場の各市町村に判断を委ねている」と説明する。16日には会津若松市湊町の人家の中から出てくるクマも目撃された。猟銃使用が避けられない現場で、いかに安全を確保して駆除を進めていくか、現場では難しい対応が続く。

(熊対策、閉鎖から開放へ:北海道)
国内有数のカタクリの大群生地がある北海道旭川市東鷹栖の突哨山(とっしょうざん)に昨年5月、半世紀ぶりに2頭のヒグマが現れた。市民に開放されていた山は閉鎖されたが、指定管理者がクマの行動を監視。今後出た場合の態勢を整え、閉鎖から開放へ運用ルールを変更した。今年は市民らが、少し緊張感を持ってカタクリの花見を楽しんだ。突哨山は旭川市と比布町にまたがる標高239メートル、総面積225ヘクタールの丘陵地。1990年代にゴルフ場計画が持ち上がったが、農家と市民団体が計画に反対し、バブル崩壊で開発計画は頓挫した。2000年に旭川市と比布町が土地を買い取り、09年からNPO法人「もりねっと北海道」(山本牧代表)が山を管理している。研究者らでつくる「ヒグマの会」(江別市)の副会長でもある山本代表によると、昨年5月から8月までに中型の雄と、小型の若クマの2頭が突哨山に入り込んだ。自動カメラでの監視や痕跡調査をしたところ、中型クマは突哨山の先端の男山自然公園付近まで移動していた。ただし、目撃は遠くから1回のみ。人為的なものに手は出さず、人を避けて用心深い行動をしていた。小型クマの行動範囲は狭く、数回目撃されていた。近くの牧場の牧草ロールをつめで掻いた跡はあったが、一度きりで麓に降りてくることはなかった。痕跡調査で、2頭のクマは草や木の実、アリなどを食べていたことが判明。道が昨年策定した「ヒグマ出没時の対応指針」によると「非問題グマ」にあたり、駆除や追い払いの対象にならないという。93年から市民団体がカタクリが見頃となる大型連休中に、市民に散策を楽しんでもらう「カタクリフォーラム」を開催してきた。遊歩道は昨年12月まで閉鎖され、今年もクマが現れる可能性があったが、もりねっと、旭川市、比布町、道、突哨山運営協議会が対策を検討。山を開放する運用ルールに変えた。現在はクマはいないが、開放にあたり、山の3カ所にクマよけの鐘を設置。パンフレットなどで、入山者に「朝夕や1人だけでは入らない」「ペットを連れてこない」などの注意を呼びかけた。24時間、カメラで監視を続け、目撃されればすぐに関係機関に通報する態勢も整えた。山本代表は「最近は高齢化でベテランハンターが減り、クマが増えて里に降りてくる傾向がある。しかし、すぐに駆除や閉鎖で対応するのではなく、人里に近づけず、人も危険を回避するように距離を測りながら、付き合っていけるようにしたい」と話している。

(中山、二上組は予選敗退)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は17日、韓国の昌原で行われ、混合トラップ予選で中山由起枝(日立建機)二上勝友(京都府協会)組は40位で敗退した。

(クレー射撃、男子は予選敗退)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は16日、韓国の昌原で行われ、男子トラップ予選で日本から唯一出場した二上勝友(京都府協会)は99位に終わり、上位6人による決勝に進めなかった。

(男子スキートは予選敗退)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は11日、韓国の昌原で行われ、男子スキート予選で日本勢は上位6人による決勝に進めず、今大会での2020年東京五輪出場枠の獲得はならなかった。井川寛之(モダンビル管理)が47位、鈴木貴秀(東京都協会)が75位、折原研二(那須国際射撃場)が77位だった。

(クマを乗用車で追い払う一幕も:北海道)
札幌市南区では15日夜、自転車を追いかけていたクマを乗用車で追い払う一幕があったほか、その後も周辺でクマの目撃情報が相次ぎ、近くの小学校では一斉下校の対応をとるなど注意を呼びかけています。15日午後11時半ごろ、札幌市南区石山1条の市道で、60代の男性が乗用車を運転していたところ、自転車を追いかけながら近づく体長1メートルほどのクマ1頭が前から現れました。乗用車の運転手が、自転車に乗っていた人を助けようとクマと自転車との間に割って入ると、クマは乗用車に衝突して後ろに2回ほど転がり、そのまま後方に立ち去ったということです。警察によりますと、男性と助手席に乗っていた妻にけがはありませんでした。その後も、同じ南区にある真駒内公園内では15日夜から16日朝にかけて、体長1メートルほどの大きさのクマの目撃情報が3件寄せられたということです。この影響で、真駒内公園小学校では16日午後、学年ごとに生徒を一斉に下校させる対応をとりました。児童の母親の1人は「去年もこのあたりでクマの目撃情報がありました。息子がクマと遭遇した時に本当に逃げられるか心配です」と話していました。札幌市はクマが目撃された周辺に注意を呼びかける看板を設置したほか、警察も付近でパトロールを続けて警戒にあたっています。車を運転中にクマと衝突した札幌市清田区の渡邊義章さん(62)は15日夜、南区内で友人と会ったあと、妻と自宅に戻るため南区石山の市道を運転していたところ、前方から走ってくる自転車の後ろをクマが追いかけている様子を目撃しました。渡邊さんは、自転車に乗っていた人を助けようと、クマと自転車の間に車で割って入ったところ、クマが車にぶつかり、後ろに2回ほど転がってそのまま後方に立ち去ったということです。渡邊さん夫婦や自転車に乗っていた人にけがはありませんでしたが、ナンバープレートが一部外れたほか、バンパーにはクマについていた泥や体液のようなものが付着していたということです。渡邊さんは「クマの出没はニュースで何度も見ていましたが、まさか自分がぶつかるとは思っていませんでしたし、怖かったです」と話していました。16日午前6時前、札幌市南区の真駒内公園の近くで運転していた車のドライブレコーダーが撮影した映像では、100メートルほど離れた先で道路を左から右に横切るクマの様子が写っています。

(クマ出没で一部閉鎖:北海道)
札幌市南区藤野の市藤野野外スポーツ交流施設(フッズ)の敷地内で17日、クマのフンと食痕が見つかり、市は現場周辺の一部を閉鎖した。期間は約2週間。同日午前、登山客からヒグマの親子2頭を見たとの情報があり、職員が午後、1カ所で痕跡を確認した。閉鎖は敷地の山側半分で、散策路とマウンテンバイクコースの一部。芝生広場やインラインホッケーコートは使用できる。昨年も出没が相次ぎ、5月中旬~10月末、一部または全面閉鎖されていた。南区の道立真駒内公園でも17日朝、ヒグマのふんが見つかり、現場に近い真駒内セキスイハイムスタジアムは前日に続き休館。周辺駐車場2カ所を閉鎖した。

(小学校そばにクマ:北海道)
18日未明、札幌市でまたクマが目撃されました。目撃されたのは、小学校のすぐそばでした。午前2時半ごろ、札幌市南区で小学校のグラウンド脇の道路を歩いていた男性が道路を歩いているクマを目撃しました。クマは体長1.5メートルほどの大きさで、男性が来た道を引き返すと、男性とは反対の方向に去っていったということです。南区では先月20日、クマが道路を歩く様子が撮影されています。札幌市の調査で、今月に入ってからも南区では合わせて10件のクマの目撃情報があり、警察などが警戒を呼び掛けています。

(住宅にクマ入る:福島)
16日朝、会津若松市の住宅にクマが入っているのが目撃されました。クマは逃げて住人にけがはなく、市や警察が注意を呼びかけています。16日午前7時すぎ、会津若松市湊町の住宅に住む66歳の女性が、農作業の途中で自宅に戻った際、玄関の扉が開いていたため不審に思い、クラクションを鳴らしました。すると家の中からクマが出てきて、住宅の裏の山林に逃げたということです。クマは体長がおよそ1メートルで、女性にけがはありませんでした。警察によりますと、県内ではことしに入ってから15日までに66件のクマの目撃情報があり、去年の同じ時期に比べて26件増えているということです。このうちクマに襲われて3人がけがをしていて、会津若松市や警察は、住宅の周辺でのパトロールを強化し、クマに注意するよう呼びかけています。現場は会津若松駅から南東におよそ10キロの住宅が点在している山あいの地域です。クマが立ち入った住宅に住む女性は15日、物置に置いてあったリンゴの入った袋が動いていたので不審に思ったということです。そして、16日朝も閉まっているはずの玄関の扉が開いていたため、クマがいるかもしれないと思い、車のクラクションを鳴らしたところ、家の中からクマが出てきたということです。住宅の玄関にはクマがひっかいたとみられる複数の跡が残されていて、女性は玄関の扉の前にトラクターを停め、クマが入れないようにしていました。女性は、「もし気づかずに自宅に入っていたらと思うととても怖いです。このあたりはクマをよく見かける地域ですが、家の中まで入ってくるクマは初めてです。早く捕まえてほしいです」と話していました。

(歩道でクマ1頭目撃:北海道)
19日午後4時30分ごろ、札幌市豊平区の西岡公園に通じる自然歩道「西岡レクの森ルート」で、散歩をしていた同区の40代男性がクマ1頭を目撃し、110番した。札幌豊平署によると、クマは体長約1メートルで、現場は同ルートの東端付近。

(クマ目撃相次ぐ:福島)
19日午後2時ごろ、福島市の民家で、「庭の木をクマが登っている」と住人の女性(60代)から110番通報があった。福島署によると体長1メートルで、その後、山林に入っていった。また、同日午後6時30分ごろ、同市の県道でもクマの目撃情報が1件あった。同署によると、体長約1メートルで、山林に入っていった。同日午後8時15分ごろには会津坂下町の路上でも目撃があった。

(市街地の中学校にシカ:福井)
福井県坂井市内の市街地で5月17日、ニホンジカが目撃された。体長1メートルほどの雌の成獣で、坂井中学校グラウンドや住宅地に現れ、同市丸岡町坪ノ内の山付近で姿を消した。市職員と福井県警坂井署員がシカの後を追い、目撃情報のあった集落に注意を促した。同校生徒や住民が危害を加えられることはなかった。市農業振興課や坂井署によると、午前6時50分ごろ、北陸自動車道丸岡インターチェンジに近い同市丸岡町猪爪7丁目の公園にシカがいると、住民から110番があった。同11時20分ごろには坂井中グラウンドに現れ、5分ほどで南方へ消えた。グラウンドに生徒はいなかった。その後同市丸岡町舟寄で目撃され、午後0時50分ごろ、署員が同市丸岡町坪ノ内で山に向かって走って行くのを目撃、周辺に姿が見えなくなったことから山に入ったとみて捜索を打ち切った。同課は「ニホンジカは警戒心が強く、市街地に現れるのは珍しい。群れで行動するのが一般的で、はぐれたあと迷って市街地に出てきたのでは」と話していた。

(クマ目撃相次ぐ:秋田)
秋田県内は20日、クマの目撃が相次いだ。県警によると、被害は確認されていない。午前11時25分ごろ、秋田市河辺神内字一本柳の国道13号沿いにクマ1頭がいるのを、ドライバーの30代男性が見つけた。秋田東署によると、クマは体長約1メートルで、男性が大仙市方向から秋田市方向に走行中、左側の草地にいるのを見つけた。直近の民家まで約30メートル。同署がパトカーで巡回し注意を呼び掛けている。

(植物園内外にクマ:富山)
富山市婦中町上轡田の県中央植物園周辺で20日午前、クマの目撃情報が相次いだ。成獣とみられる1頭が繰り返し目撃された可能性が高く、市や警察、猟友会が周辺を巡回したが見つからなかった。近くに大型ショッピングセンターや住宅地がある平野部での出現に、同植物園や周辺施設の関係者は「こんな人の近くになぜクマが」と驚き、警戒を強めている。富山市などによると、目撃情報は神通川に沿って相次いだ。県中央植物園内で見たとの知らせが午前9時50分ごろにあったのをはじめ、同園の北東にある飲食店付近で同10時ごろ、南東にある会社付近で同10時10分ごろ、それぞれ警察などに寄せられた。同園では、来園者の男性が敷地南側の「クリ・コナラの森」でクマを見つけ、同園事務所に通報。草むらで動物が移動したような跡が見つかった。同園は放送で退園を呼び掛けた上で臨時休園し、21日も休園を決めた。同園の村家直樹企画情報課長は、園内でクマが見つかるのは初めてだとし「非常に驚いている。ドングリが実る時季でもないのになぜだろう」と首をかしげた。22日は開園することにしているが「来園者の安全を第一に、状況をみながら判断したい」とした。同園近くの認定こども園「ピノキオナースリースクール」は、午前10時半ごろに富山西署から連絡を受け、園庭で遊んでいた園児を建物内に避難させ、厳重に施錠した。保護者に迎えの際は注意するよう求めるメールを緊急送信した。玄関付近にホワイトボードを立て、保護者に伝えるために情報を書き込んだ。大谷弓子園長は「こんな近くの平野部にクマが出るなんてびっくり。子どもたちに怖がる様子はないが、十分気を付けて過ごすようにしたい」と話した。園児の散歩で同園を頻繁に訪れているが、安全が確認されるまでは控えるという。富山市教委は、市内全ての幼稚園、小中学校にファクスで注意喚起した。近くの速星中学校は、生徒になるべく複数で帰宅し、クマを見つけた際には刺激しないように指導した。20日は運動会の振り替えで休みだった速星、鵜坂の両小学校は、21日の登校時に注意して児童を見守るよう保護者や地域住民に依頼した。県自然保護課は、20日に富山市街地に現れたクマは山間部から神通川沿いを下ってきたとみている。例年4月下旬から冬眠明けのクマの目撃情報が増える傾向にあるという。本年度は4月9日から計19件の目撃情報が寄せられているが、例年と比べて突出して多いわけではない。秋以降にクマが市街地に現れる場合は山間部に餌となるドングリなどが少ないことが要因となるが、今回は春の出没。同課の担当者は「山に異変が起きているわけではないだろう」と話した。

(「庭の木をクマ登っている」:福島)
19日午後2時ごろ、福島市の民家で、「庭の木をクマが登っている」と住人の女性(60代)から110番通報があった。福島署によると体長1メートルで、その後、山林に入っていった。また、同日午後6時30分ごろ、同市の県道でもクマの目撃情報が1件あった。同署によると、体長約1メートルで、山林に入っていった。同日午後8時15分ごろには会津坂下町の路上でも目撃があった。

(住宅や商業施設の近くでクマ目撃:秋田)
18日朝早く秋田市の国道沿いでクマが目撃されました。近くには住宅や商業施設があり、警察が注意を呼びかけています。クマが目撃されたのは秋田市四ツ小屋小阿地の国道13号沿いです。秋田東警察署の調べによりますと18日午前6時前、国道を大仙市方向へ走っていた車の助手席に乗っていた40代女性が左側ののり面に体長1メートルほどのクマ1頭がいるのを目撃しました。現場は近くの住宅までおよそ100メートルで、1キロほどの場所にはショッピングモールもあります。警察が辺りを巡回して注意を呼びかけています。

(自宅の玄関から「クマ」出てきた:福島)
16日午後4時ごろ、同市の一箕中東側山林で、60代男性がクマ1頭を目撃したと、同校を通じて会津若松署に通報があった。同署によると、クマの体長は約80センチ。クマは山林奥に立ち去ったという。同校によると、当時は授業中でけが人はいなかった。また、同日午前7時15分ごろには、同市湊町の住宅で、60代の女性が自宅の玄関から出てくるクマ1頭を目撃した。同署によると、体長約1メートル。農作業に出た女性が荷物を取りに自宅に戻ったところ、玄関の引き戸が開いていたため不審に思って車のクラクションを鳴らすと、玄関からクマが出てきたという。クマは北側の山林に立ち去った。また二本松市油井の市道でも1頭のクマが目撃された。

(クマの目撃情報:島根)
浜田市にある石見海浜公園の近くでクマ1頭が目撃され、県や市が注意を呼び掛けている。15日午後6時半頃、公園近くの国道9号を走るバスに乗っていた市民が、クマがのり面を登っているのを発見し市に連絡した。

(サル捕獲用のわな追加:青森)
サルに追いかけられた児童が車にはねられた大鰐町で、捕獲用のわなが追加されました。サルは、被害が相次いだ唐牛地区からほかの地区に移動したとみられますが警戒は続いています。サルを捕獲するわなは大鰐町の除雪ターミナルに運び込まれました。わなを乗せたトラックが着くと重機を使って慎重に降ろしていました。わなは鉄製の組み立て式で、幅と奥行きが4メートル、高さは2.6メートルです。大鰐町では唐牛地区の児童2人がサルに追いかけられ、車にはねられるなど被害が相次いでいました。4月25日にメスザル1頭が捕獲されてからは唐牛地区で子どもや住民がサルに追いかけられる被害は起きていませんがほかの地区で農作物が荒らされ始めました。「唐牛地区に入りしだい設置という考えであったんですけども、(サルが)捕獲されて沈静化、落ち着いているので。農作物の被害のある方へやった方が実質有効利用できるのかなと考えています」大鰐町はこれ以上被害が広がらないようにサルを捕獲する考えです。

(鳥獣被害15年間で激減:佐賀)
佐賀県内の野生鳥獣による農作物被害額が、ピークだった2002年度の約5分の1まで減少したことが、県の調べで分かった。直近の17年度の被害総額は約1億4500万円。

(保護の子グマ、一般公開:北海道)
登別市の「のぼりべつクマ牧場」は、日高管内新ひだか町内で保護された子グマを引き取り、一般公開している。同牧場によると、4月末に新ひだか町内の牧場で地元の猟友会が保護した。当初は親グマが迎えに来ることを考慮し、簡易な箱に子グマを入れていたが、1日たっても迎えに来なかったため、子グマの体力を考慮して保護した。道の指示により、新ひだか町を通じて同牧場に依頼があり、5月1日に引き渡された。

(ニホンジカ、目撃5年ぶり減:青森)
環境省東北地方環境事務所は、白神山地周辺で2018年度に目撃されたニホンジカの頭数が43頭で5年ぶりに減少したと発表した。ニホンジカは定住すると希少な植物の植生を乱し、生態系を崩す恐れがあるといい、同省が調査を続けている。

(天然記念物生息の池、シカ害深刻:京都)
生息する動植物が国の天然記念物に指定されている深泥池(みどろがいけ)(京都市北区)で、春に開花する希少植物ミツガシワがシカの深刻な食害に遭っている。近くの住民から「今年はミツガシワが皆無に近い」との情報が京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に寄せられた。深泥池を毎年調査している研究者も「今年の被害は例年以上」と指摘。東側の宝が池(左京区)でもシカの食害が見られ、周辺の住宅地での目撃情報も増えていることから、「洛北一帯が『奈良公園化』している。対策が必要だ」と訴えている。ミツガシワは、湿地や沼に生える多年草の水草。氷河期から生き残った植物とされ、京都府のレッドデータブックで要注目種に指定されている。深泥池では岸辺や浮島に群生しており、毎年4月ごろに白いかれんな花を咲かせる。左京区の主婦(58)からミツガシワの被害について情報提供があったのは4月中旬。取材に対し、「開花を楽しむため毎年春に訪れているが、今年は浮島のところしか咲いていない。シカに食べられてしまったのではないだろうか」と落胆した様子で語った。深泥池のシカ害を小型無人機ドローンで継続的に調べている研究者がいる。京都先端科学大バイオ環境学部の丹羽英之准教授だ。一緒に現地を訪れると、岸辺近くの湿地に生えているミツガシワの上部分が刈り取られたようになくなっていた。周辺には、シカとみられる足跡やふんが無数に残っていた。丹羽准教授は「今年の食害はかなりひどい」と話した。丹羽准教授によると、深泥池へのシカの侵入が激しくなったのは数年前から。ドローンの空撮画像を年ごとに比較すると、シカに踏み荒らされたとみられる黒い部分が湿地帯にどんどん広がっているという。「宝が池でも同様にコバノミツバツツジがシカに食べられているので、両方の池を行き来しているのだろう。行政がシカの捕獲を進めているが、繁殖のペースに追いついていない。今のうちに手を打たないと、生態系が変わってしまうのではないか」と危惧する。深泥池を管理する京都市文化財保護課は「シカの周回路に当たる池の南東側に柵を設け、通れなくするアイデアも寄せられている。さまざまな研究者の意見も踏まえ、対策を考えていきたい」としている。

(ジビエ拠点施設、狩猟者育成「学校」も:島根)
島根県出雲市内で捕獲されたシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大に向け、地元の猟師たちが同市佐田町須佐に拠点施設「出雲ジビエ工房」を開設した。一定規模の食肉処理環境が整ったことで、年間を通して解体処理が可能になり、都会地のレストランなどに年200頭分の出荷を計画する。狩猟者の後継を育てる「ジビエ学校」としても活用し、農林作物被害の軽減と農村の所得増、担い手育成につなげたい考えだ。ジビエの活用は近年、シカやイノシシによる農林作物の食害対策として注目され、都会地では健康志向の高まりで一定の需要がある。出雲市内では2018年度にシカ1008頭、イノシシ1338頭を捕獲したが、大半が廃棄処分されたという。

(若手ハンター確保へ青年部新設:徳島)
農作物を荒らす野生動物を駆除する役割を担う若手のハンターを増やそうと、徳島県の猟友会は新たに青年部を作って、狩猟免許の取得に関する相談窓口を設けたり、狩猟の技術を教えるセミナーを開くなどして、若い世代にアピールしていくことになりました。徳島県によりますと、イノシシやシカなどによる農作物の被害額は平成29年度およそ1億1000万円で深刻な被害が出ていますが、駆除する役割を担う徳島県猟友会のメンバーの数は、前年度は1600人余りと減少傾向が続き、高齢化も課題になっています。そこで徳島県猟友会は若手のハンターを増やそうと、今月18日に新たに青年部を作ることになりました。青年部では狩猟免許の取得に関心がある人に向けた相談窓口を設けたり、わなや銃を使った狩猟の方法を教えるセミナーを行ったりするほか、シカやイノシシの肉を使ったジビエ料理の教室を行うなどして、若い世代にアピールしていきたいとしています。県猟友会青年部の上野浩嗣部長は「若いハンターを確保して、農作物を荒らす野生動物の駆除をさらに進めるとともに、若者ならではの目線でジビエ料理を商品化するなどして、地域に貢献していきたい」と話しています。

(シカ柵の有効性は:長野)
霧ケ峰高原におけるニホンジカの柵対策の効果などを調査する任意団体「霧ケ峰高原研究会」(小山明日香代表)は20日、シンポジウム「霧ケ峰シカ柵研究の最前線」を諏訪市の県諏訪合同庁舎で開いた。霧ケ峰環境保全団体や一般市民ら約50人が参加。これまでの2年間の調査結果を一般向けに初めて発表し、ニホンジカの食害に対する柵の有効性などを説明した。同研究会は国、県、大学の草原生態の研究者ら6人で構成している。国内有数の面積を有する草原「霧ケ峰高原」に設置されている柵の総延長距離は約15キロ。植物・昆虫の保全にどれだけの効果があるのかを科学的に解明しようと2017年4月に会を発足させた。東京大学の内田圭助教の調査では特定のエリアを指定し、咲いている花を目視で数えたという。「ニッコウキスゲだと柵外に比べ柵内は約300倍多かった。ほかの植物種にとっても良い影響になっている」と述べ、柵の効果を解説した。ドローン(小型無人機)調査も行い、「霧ケ峰の様子をデジタルデータ化することで、5、10年後どのように変化したのかを知ることができる」と空からの調査の有効性も説明した。兵庫県立大学の中濱直之講師はチョウなど昆虫への影響について調べ、「霧ケ峰の素晴らしい生物多様性は柵の設置によって守られている」と報告した。同会の代表で森林総合研究所(茨城県つくば市)の小山主任研究員は「シカ柵の成果を普及させることは重要になってくる」と話し、さらなる調査に意気込んでいた。同会では今後、成果を論文にまとめるとしている。

(クマに注意!看板設置:青森)
クマの出没が目立つ時期に入りました。青森市浪岡地区では県道沿いに看板を設置し、クマへの注意を呼びかけました。看板が設置されたのは青森市浪岡の王余魚沢地区の県道沿いです。20日は、青森南警察署の5人が高さ180センチ、幅45センチの看板を設置しました。看板は青森南警察署と県山岳遭難防止対策協議会がクマの目撃情報が多い県道沿いで注意を促すため毎年設置しています。青森南警察署管内では去年とおととしで合わせて14件、クマが目撃されています。「基本的にこの辺に生息するのはツキノワグマで、臆病な性格と言われている。ですから、ラジオとか鈴などで人がそこにいるんだということをアピールすることが大切だと思う」。19日、東通村では動植物の調査のために入山した男性がクマに太ももをかまれてけがをした被害があったばかりです。このため、青森南警察署はクマのえさになるものを道路に捨てたりしないよう注意を呼びかけています。

(珍入者、追わザル対応を:富山)
「今は発情期ではない。群れを求める欲望や行動はなく、定着できる良い場所を探しているうちに迷ったのでは」。ニホンザルの生態研究が専門の富山県自然博物園ねいの里(富山市)の赤座久明さん(65)は推測する。赤座さんによると、市街地を逃げ回ったのは八歳前後のニホンザルの雄で、体重は一〇~一五キロほどとみられる。立山連峰から流れる常願寺川を下り、川から約一キロ西の富山市新庄中学校周辺に迷い込んだ可能性がある。野生の雌は基本的に一生同じ群れで過ごすが、雄は五、六歳になると繁殖のため生まれ育った群れを離れる「ハナレザル」になる。近親交配を避けるための習性で一生のうちに複数の群れを渡り歩く。発情期は九~十二月ごろのため、市街地に出没したサルは「生まれ育った群れを出た後に別の群れに入れず、単独行動していたのかもしれない」。人に危害を加える可能性は「発情期でなければ危険性は少ない」と赤座さん。野生の雄は群れを守ったり、群れの中で格好付けたりするために威嚇することはある。だが、今回はそうした状況下にはなかった。「悪さをするのは本来の野生のサルではなく、(餌付けなどで人に)野生生活をゆがめられたサル」。赤座さんは違いを強調する。しかし、行政や警察の対応は混乱した。十三日に新庄中に現れた後、県警や富山市、市猟友会はサルを懸命に捜索。常願寺川に追い込む作戦も試みたが、失敗した。「住民や警察、マスコミが桁違いに過熱した。サルは追われるから逃げやすい所へ走って行った」。赤座さんは初期対応が裏目に出た可能性を指摘する。市街地から出て行く様子を見せない場合、一時的に捕獲して自然に返す方法も選択肢に入る。一つの方法が麻酔銃の使用だ。実際、今年二月には同県魚津市中心街に出没したサルの捕獲は麻酔銃で成功した。ただ、使用にはさまざまな制限が伴う。今回は十四日に二回、富山市の要請で使用が検討されたが、サルが衰弱していなかったため見送られた。「サルに体力が残っていれば、命中しない可能性がある。失敗したら次から警戒されて成功率が下がる」。使用の許認可を担う県自然保護課の小杉知毅・副主幹は判断の背景を説明する。周囲の安全確保も重要で、警察の協力で大規模な交通規制を敷かなければならない。小杉副主幹は魚津での捕獲例を「サルがすでに衰弱していたからうまくいった。かなり珍しいケースで奇跡に近い」と例外を強調する。たも網は、「サルの動きが素早く、捕まえられない」と言い切る。自然の豊かさが魅力の富山県。ただ、それは野生動物がすぐ隣にすんでいるということ。特に富山市は常願寺川と呉羽丘陵という「二大動物移動ルート」に囲まれており、今後も野生動物が迷い込む可能性がある。赤座さんは「サル一匹ぐらいの一時的な通過は『山にそのうち帰る』ぐらいのおおらかさで見守ってほしい」と呼び掛ける。富山市の街中に出没し、地域に混乱を巻き起こした一匹のサル。騒動三日目の十五日、呉羽丘陵の方向へ走って行く姿を見せたのを最後に、目撃情報は途絶えた。なぜ、サルは現れたのか。私たちは、どう対応すれば良かったのか。

(サルの声追い、屋久島で調査30年:鹿児島)
鹿児島県の屋久島で、ニホンザルのユニークな調査が30周年を迎えた。ひと呼んで「ヤクザル調査隊」。毎年夏に学生らが生息分布を調べ、太古の自然が残る島での暮らしぶりを明らかにしてきた。きっかけは、伐採ですみかを追われたサルと人との争いだった。九州本土の南端から約60キロ。亜熱帯の森林が広がる屋久島は、九州最高峰の宮之浦岳(1936メートル)がそびえる「洋上のアルプス」でもある。山頂付近の気候は青森に近く、日本列島をぎゅっと凝縮したような環境をもつ。そこに生きるニホンザルの亜種ヤクシマザル(ヤクザル)の生息数に、研究者は魅せられてきた。

(シカ肉レトルトカレー開発:徳島)
四国大短期大学部と弁当製造販売の「さわ」(徳島市東沖洲1)が、野生のシカ肉を使ったキーマカレーのレトルト商品を開発した。農作物の食害対策として捕獲されるシカの肉を地域資源として有効活用し、消費拡大につなげる。19日に同市で開かれる日曜市「トモニSunSunマーケット」で初めて販売する。商品はシカのひき肉を使い、美馬産のとうがらしで味にアクセントを加えた。パッケージはシカのイラストが入った3種類を用意。200グラム入り750円(税抜き)で、さわの本社と、徳島市東沖洲2の交流拠点施設「徳島新鮮なっとく市」で購入できる。19日は100食限定で100円引きで販売するほか、シカ肉を使った料理をまとめたレシピ集も配る。四国大の植田和美教授(食品加工学)は「手軽においしく食べられるので、ジビエを知る入り口にしてほしい」と話した。人間健康科食物栄養専攻の学生4人と「さわ」が連携し、2018年4月から商品の開発に取り組んできた。嗜好調査や加工食品の衛生管理に関する勉強会などを経て1月に完成させた。

(出雲にジビエ拠点施設:島根)
島根県出雲市内で捕獲されたシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大に向け、地元の猟師たちが同市佐田町須佐に拠点施設「出雲ジビエ工房」を開設した。一定規模の食肉処理環境が整ったことで、年間を通して解体処理が可能になり、都会地のレストランなどに年200頭分の出荷を計画する。狩猟者の後継を育てる「ジビエ学校」としても活用し、農林作物被害の軽減と農村の所得増、担い手育成につなげたい考えだ。ジビエの活用は近年、シカやイノシシによる農林作物の食害対策として注目され、都会地では健康志向の高まりで一定の需要がある。出雲市内では2018年度にシカ1008頭、イノシシ1338頭を捕獲したが、大半が廃棄処分されたという。

(シカ肉に黒大豆:兵庫)
丹波黒大豆などの農産物や野生鳥獣の肉など、丹波市にある地域資源を生かした新商品開発をサポートする同市の事業で、昨年度、菓子やつくだ煮など八つの商品が新たに開発された。地域の名物にしようと工夫をこらした多様な商品がそろい、15日に発表された。今回発表されたのは、ネックジャーキー(EGサイクル)▽丹波の森街道ぶっせ「こころ」(銘菓の井上)▽喜作のおもたせ(喜作)▽田舎ミックス饅頭(まんじゅう)(山王自治会)▽丹波戦国ものがたり赤井Ver.明智Ver.(御菓子司 藤屋)▽丹層宝蔵(美の里庵(あん))▽丹波黒大豆のブルーベリー酢漬け(やながわ)▽丹波の栗いなりの素・丹波の出世いなりの素(ゆめの樹野上野(きのこの))。「丹波三宝」と呼ばれる丹波黒大豆と丹波栗、丹波大納言小豆のほか、お茶やシイタケ、山の芋、シカ肉などが用いられている。このうち、「ネックジャーキー」は、廃棄されることが多いシカの首の部位を用いたドッグフード。「捨てられている部分を一手間かけて活用し、廃棄物減少にもつなげたい」と同社は意気込む。「丹層宝蔵」は、丹波三宝をぜいたくに使った焼き菓子。「それぞれに持ち味がある三つの素材を一つにまとめるのに苦労した」と担当者は話す。

(まるでローストビーフなジビエ燻製:宮崎)
宮崎県延岡市で150年以上続く海産加工業者を営む兄弟が、ジビエの燻製(くんせい)作りに奮闘中だ。曽祖父の代から継ぐ家業が衰退する中、起死回生の一手だった挑戦が今、実を結び始めている。土々呂漁港を目前に臨む日向(ひなた)ととろ株式会社=同市土々呂町=の加工場で夕方、作業着姿の斉藤泰蔵さん(58)が、燻製したシシ肉と鹿肉をパックに詰めていた。実働するのは専務の泰蔵さんと、代表取締役を務める弟の和也さん(54)の2人。会社の入り口には「斉藤水産」と書かれた看板があった。1868年創業の斉藤水産は、港に揚がった魚介を加工し、全国の小売業者や給食センターなどに卸す。同社当主も務める泰蔵さんによると、約40年前には70人以上いた従業員が今は約10人に。売り上げも10分の1ほどに落ち込んだ。かつての主力商品はチリメンやメヒカリの加工品だった。気候変動の影響を受けてか漁期はずれ、水揚げ量も減った。

(駆除の鹿やイノシシ、命生かし革製品に:長野)
食害防止のため駆除された鹿やイノシシの皮を使って革製品を作る飯田市北方の革職人、木下英幸さん(46)が創業した「ハナブサレザー」が、同市の官民による市新事業創出支援協議会「I-Port(アイポート)」の認定を受けた。木下さんによると、駆除された鹿やイノシシは2割程度が食用となるが、それ以外は埋却処分されているという。木下さんは「命を無駄にしてはいけない」と処分される前の皮に着目。

(ジビエ普及へ、シカ肉加工施設:福岡)
嘉麻市の本間滋さん(35)と森本祥予さん(41)が同市上山田で、捕獲したシカを食用に処理する加工施設「しかや」を開設し、運営している。施設はもともと飲食店だった建物を2人で改装。地域で深刻な問題となっている有害鳥獣による被害の軽減を図るほか、捕獲された野生獣肉(ジビエ)の有効活用に向け、個人で運営する加工施設の普及を目指している。施設は、本間さんの祖父が経営していた食堂(延べ床面積約30平方メートル)を昨年7月から約3カ月かけて改装。内臓処理や加工、梱包(こんぽう)などを行う四つの部屋を設け、精肉まで全ての工程を行う。かかった費用は総額約100万円で、嘉麻市によると、加工施設の個人経営は珍しいという。本間さんはフランスの外国人部隊に所属していた経験があり、25歳の時に帰国。自身の技術を生かしたいと考えていたところ、北九州市で開かれた異業種交流会で「オーガニック食品」に関心を持つ森本さんと出会った。森本さんが高タンパクで低カロリーなシカ肉に注目していたことから2人は意気投合し、加工施設の開設を決めたという。シカを捕獲する際、2人はわなを使わず、猟銃で急所の頭や首を狙う「クリーンキル」と呼ばれる方法で仕留める。苦しむ時間を最小限に抑えることで肉の品質を維持するのが狙いで、より質の高い肉を提供するために毛が肉に触れないよう慎重かつ迅速に処理。加工した肉は現在、筑豊地区や北九州市などの飲食店や卸業者に販売している。嘉麻市によると、市の有害鳥獣駆除員が捕獲したシカの数は、2012年度の133頭から18年度には1043頭まで増加。市の担当者は「十数年前までは木の皮などを食べる林業被害や田畑を荒らす農作物被害が多かったが、近年は人口減少で人通りが減り、シカやイノシシが民家の敷地内に侵入するなどの生活被害も起きている」と話す。本間さんと森本さんは「加工施設が増えれば(捕獲された野生獣肉を)食肉として活用でき、被害防止にもつながる」と指摘。開設を検討している人に向けた情報発信にも力を入れており、会員制交流サイト(SNS)で施設の設計図や工事の過程などを、写真を添えて紹介している。2人は「積極的に情報交換を行い、アドバイスをしていきたい」としている。より専門的なアドバイスにはコンサルティング料が必要。

(シカ牧場をつくってシカ害を防げ)
シカやイノシシが農作物や森林に被害をもたらす獣害が深刻化しているが、その解決策としてジビエ(野生動物の食肉)の振興が謳われている。増えすぎたシカなどをジビエにすれば駆除が進む、という発想だ。だが、これは絵に描いた餅になりそうだ。有害駆除個体をジビエとして供給するのはハードルが高いのである。具体的には銃弾が腹に当たったものはダメ。頭か首を撃ち抜いて即死させないと肉として使えない。また罠も含めて即死しさせないと、暴れて体温が上がり筋肉は俗にいう“蒸れ肉”状態となって食えたものではなくなる。そして解体は、死後2時間以内に認可の下りた解体施設で行わねばならないが、山の駆除現場から運ぶのは至難だ。野外で解体するのは食品衛生法からも御法度。その肉は流通させてはならない。そして、何よりジビエが普及していない。需要がなかなか増えないのである。それには、供給が安定していないことも原因だ。そのほか細かな問題が多々あり、有害駆除とジビエの流通を両立するのは厳しいのだ。現実に、駆除個体のうちジビエなどで利用されているのは約8%にすぎない。そこに、「シカ牧場をつくろう」という提案を行う人がいる。日本鹿皮革開発協議会会長の丹治藤治氏である。シカが増えすぎて害をなしているのに、牧場で増やしてどうするねん! と思わずつっこみたくなるのだが、話を聞いてみた。実は丹治氏は、1990年に全日本養鹿協会を設立して、シカの飼育に取り組んできた先駆者なのであった。獣医師である丹治氏は、70年代から中国との畜産技術交流の際に養鹿に触れ、それを日本に広めるために尽力してきたのである。実は中国を始め、欧米・ニュージーランドではシカの飼育は珍しくない。大規模なシカ牧場をつくって、肉や毛皮、角などの商品化を進めて一大産業になっている。クリスマスになるとトナカイが登場するが、これもトナカイ牧場があるおかげだ。シカを資源として取られた場合、肉よりも皮革や角の方が有望である。在庫が容易なだけでなく、とくに幼角(鹿茸)は古来より滋養強壮・沈痛薬として高値で取引されている。ただしほとんど輸入。日本は山野に多くのシカが生息しているが、資源としてほとんど利用していないのだ。日本でもシカを飼育する動きがなかったわけではない。1970年に北海道鹿追町に最初のシカ牧場が作られている。その後、各地で試されてきたのだ。そして丹治氏の尽力もあって、平成時代には全国に66カ所養鹿場が開設された。ところが、2001年にBSE(牛海綿状脳症)が発生し、世界中で大問題になる。その対策事業の煽りを受けて予算は削減され養鹿は次々と中止に追い込まれた。現在では、長崎県に1カ所あるほかは、ほとんど壊滅状態となった。全日本養鹿協会も実質的に活動を止める。そこで丹治氏は日本鹿皮革開発協議会を設立するのだが……。結果的に養鹿事業は頓挫してしまうのである。だが、一方でこの頃から農作物の獣害問題、とくにシカ害が全国的に拡大するようになった。「ディア・ウォーズ」が叫ばれるようになり、有害駆除事業が拡大されるようになる。さらに駆除個体を有効活用する手段としてジビエなどの利用が模索され始めた。しかし、ジビエと有害駆除を結びつけるのが難しいことは、冒頭に書いた通り。そこにシカ牧場がいかに関われるのか。丹治氏の思い描くのは、完全な飼育ではなく準飼育だ。駆除現場で殺すのではなく生体捕獲し、シカを一定期間牧場で活かすことで、肉や毛皮の安定的に生産できるというものだ。一部は飼育下で繁殖させることで頭数も安定する。飼うのは牧場と言っても畜舎飼いではなく、山を囲い込んだ場所に放すのである。餌も野山の草でよい。むしろ山を囲ってシカを放てば、草刈り効果がある。牧場飼育だからこそ、肉も毛皮も品質を保てるし、安定供給が可能になる。通年飼育しておけば、高価な幼角も十分に取れる。シカ肉、シカ皮革の良さも、安定供給しなければ普及もできない。需要を増やしてビジネスとして軌道に乗せる。シカ牧場によってシカ産業を確立することで、有害駆除を推進することができる、しかも山村地域の地域おこしになる。シカが身近になってシカ害も含めてみんなが考えてくれるだろう……というのだ。実はシカの飼育は比較的簡単でローコストなのだ。意外と人間にすぐ慣れる。繁殖も勝手にするし、発情期以外はおとなしく危険が少ない。こうした点は、奈良のシカを思い浮かべたら理解しやすいかもしれない。奈良のシカは野生であり給餌もしていないが、人に交わって生きている。鹿せんべいも食べるが、主食は奈良公園の芝草だ。出産妊娠も基本は勝手に行う。そして人を恐れない。触られても平気。発情期以外は凶暴でもない。どちらかというと可愛い。シカは飼育しやすく家畜向きなのである。丹治氏によると、飼育技術はほぼ確立しているらしい。ただ山中に生息するシカを生体捕獲するのは難しいかもしれない。農地周辺に出てくるシカを生きたまま捕獲する必要がある。とくに北海道のエゾジカなら、多くが平野に生息するから群ごと捕獲する大型囲い罠などを使えば生体捕獲も行いやすい。体格が大きいので肉や毛皮も十分に採れるから採算に合いやすいのではないか、と思えてきた。すでに生体捕獲技術の研究も行われているはずだ。さて、シカ害に困っているからこそ、シカを飼ってシカ産業を発達させようという発想はいかがだろうか。実はイノシシでも生体捕獲して、短期間だけ飼育してからジビエとして出荷する試みは、各地で少しずつ行われている。肉質を高めて高値になるそうだ。有害駆除とジビエなどのシカ資源利用の狭間に、シカ牧場をおくことで両者を上手く機能させることができるのではないか。一考に値するかもしれない。

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