<射撃ニュース8月>
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(野生イノシシ死がいずさんに埋設:富山)
県内で野生イノシシの豚コレラの感染が相次ぐ中、富山市内で野生イノシシの死がいがずさんに埋められていたことがわかりました。富山市は「感染拡大を招く恐れがある不適切な処理だった」として今後、埋設場所の確認を徹底するとしています。県内では7月末以降、野生イノシシの豚コレラの感染が相次いで確認され、感染の拡大を防ぐため、県や市町村が野生のイノシシを捕獲する事業など対策を強化しています。こうしたなか26日、富山市山田の住民から、埋められていたイノシシの死がいの一部が地上に出ていると富山市に通報がありました。富山市によりますとイノシシの死がいについて県から深さ1メートルほどの穴に埋めて土をかぶせ消毒するよう指導されていますが、市の担当者が現場を確認したところ、地中20センチほどの場所にイノシシの死がいが積み重なってずさんに埋められていたということです。埋められていた19頭のうち5頭は陰性が確認されていますがそのほかの14頭の感染の有無は分かっていないということです。富山市森林政策課の桐溪修一課長は「イノシシを捕獲して埋める猟友会との連携が取れておらず感染拡大を招く恐れがある不適切な処理だった。今後は、埋設場所の確認を徹底する」と話しています。富山市内で野生イノシシの死がいがずさんに埋められていた問題について、27日午前に開かれた富山市議会の経済環境委員会で、市の担当者がいきさつを説明した上で、「住民の方にご迷惑をおかけしたことを深く反省しおわび申し上げます。今後は猟友会に対し埋設の手順を順守するよう指示を徹底するとともに市によるパトロールを強化していきます」と謝罪しました。

(イノシシの農作物被害「深刻」:福島)
東京電力福島第1原発事故後に県内で急増したイノシシによる農作物被害について、山沿いを中心とした313集落が「深刻な状況にある」と認識していることが県の調査で分かった。市街地などを除くほぼ全域で生息が確認され、繁殖定着していないとみられる会津地方の西部でも雌の分布拡大に伴った個体数の増加が懸念される。県は地元の市町村や集落と連携を強化し、イノシシの侵入を防ぐ電気柵の設置など効果的な対策につなげる考えだ。県は昨年度、集落の代表者にアンケートを配布。本年度、地点を把握できた3530集落(質問項目の一部が未回答を含む)を対象にイノシシの生息状況や農作物被害状況を色分けしたマップを初めて作成した。被害について回答のあった1784集落のうち「深刻」としたのが18%の313集落で、「大きい」が26%の458集落、「軽微」が47%の846集落だった。また個体数の増減について尋ねた項目では「増えた」が65%に上った。県内では原発事故による避難指示が出た地域などでイノシシが繁殖し、生息域を拡大。果樹や水稲の食害や農地を荒らされるなどの被害が相次ぐ。県内の農作物被害額は2011(平成23)年度の4933万円から増加傾向にあり、18年度は7880万円と前年度から1613万円減少したものの、高止まりしている。県は18カ所のモデル集落での実証事業や各集落で対策の中心となる人材の育成などを進めている。ただイノシシが地域に定着していると答えた1213集落のうち約2割が「対策をしていない」と回答しており、農家が高齢化している集落などへの支援が課題となる。対策を講じた集落の近隣の地域が被害に遭うケースもあり、広域的な取り組みも必要となってくる。県は「木から落ちた柿や生ごみなどを置きっ放しにするとイノシシを引き付ける原因になる。住民の意識向上も図りたい」(環境保全農業課)としている。

(畑見回り中、クマに襲われる:秋田)
28日午後8時ごろ、北秋田市小又字平里の畑で農作物を見回り中の近所の男性(77)が体長約1メートルのクマに襲われ、両足にけがを負った。自分で車を運転して市内の病院を受診し、軽傷とみられる。北秋田署によると、男性が持っていた傘を振り回したところ、クマは山林へ去った。体長約50センチのクマもおり、親子連れとみられる。現場は秋田内陸線阿仁前田駅の南約1キロで、男性宅から約50メートル。このほか県内では同日、クマによるとみられる食害が明らかになり、目撃もあった。

(“かみつきタヌキ”捕獲、公園で男児ら2人けが:広島)
広島市の植物公園で来園者2人にかみ付いて逃げていたとみられるタヌキが27日に捕獲されました。捕獲されたタヌキは体長約40センチで雄とみられます。広島市植物公園では25日、野生のタヌキが現れ、30代の女性や近くにいた男の子にかみ付きました。2人は軽傷で、タヌキはそのまま逃げていました。公園側が罠を仕掛けたところ、27日朝に2人にかみ付いたとみられるタヌキが掛かっていました。

(迷いザル、捕獲後山に放つ:千葉)
松戸市は26日、市の施設内に野生の雄とみられるサル1匹が迷い込む騒動があり、捕獲した後、住宅や農地から離れた市外の山に放ったと発表した。市環境政策課によると、21日午前8時半ごろ、小山雨水ポンプ場(同市小山)の管理業者が「サルを見つけ、ポンプ場内に閉じ込めている」と市に連絡。市は松戸署と連携し、約2時間20分後にネットなどを用いて捕獲した。けが人はなかった。サルはペットでなく、市は県と対応を協議して一時保護。翌22日夕に放ったが、詳しい場所については穏やかな生息環境を確保するなどの理由で非公開としている。同一のサルとみられる目撃情報は7月上旬以降、埼玉県や東京都で相次ぎ、8月19、20日には松戸市に隣接する埼玉県三郷市でサルを見たという情報が寄せられていた。

(イノシシ、工場のガラス破り逃走:福井)
福井県越前市で8月25日、日野川にかかる日野大橋周辺を中心に、同じ個体とみられるイノシシ1頭の目撃が相次いだ。同市下平吹町では工場に迷い込んだ後、建物のガラスを割って逃走した。市農林整備課によると同日午後、下平吹町の工場から「敷地にイノシシが迷い込んだ」と連絡があり、職員が向かった。イノシシは工場の建物内に入り込み、ガラスを破って日野川河川敷の方向へ逃げた。イノシシの目撃情報は同日朝から向新保町、松森町、若竹町の住民らからも寄せられたという。同課は、目撃されたのはいずれも同じ個体で成獣とみており、「見かけても近寄らないで」と注意を呼び掛けている。

(回送列車がクマと衝突:秋田)
26日午前5時10分ごろ、岩手県八幡平市のJR花輪線湯瀬温泉―兄畑間で、上り回送列車がクマと衝突した。この影響で同線の普通列車上下各2本が最大2時間遅れた。乗務員にけがはなかった。JR盛岡支社によると、現場は本県との県境付近。車両に異常がなかったため運転を再開した。クマはその場で死亡した。
(住宅街でクマ目撃情報、見守り登校に:)
28日朝早く札幌市南区の住宅街でクマとみられる動物の目撃情報があり付近の小学校では見守り登校が行われました。「現場ではけさ、クマ出没注意という看板が設置されました。クマのような動物は、この市道を左から右へ横切っていったということです」。体長1メートルほどのクマとみられる動物が目撃されたのは札幌市南区澄川4条7丁目の住宅街です。午前5時ごろ帰宅中の男性から「車の中から道路を横切るクマ1頭を目撃した」と警察に通報がありました。警察が付近一帯を捜索しましたがクマの姿やふんなどの痕跡は確認されませんでした。近くの小学校では通学路に職員や保護者が立ち見守り登校を行いました。「困りますね。子供たちが安全に学校に行ければいいんですけど」。警察は引き続き警戒を続けています。

(野幌森林公園、クマに注意:北海道)
道立野幌森林公園(江別市、札幌市厚別区、北広島市)の江別市域で24日、約1カ月ぶりにクマが目撃され、食害も確認された。専門家は、6、7月に公園内に出没したクマと同一個体の可能性もあるとし、「農作物の収穫期を迎え、クマが公園内に居着く恐れもある」と注意を呼び掛けている。24日に目撃されたのは、森林公園内の西野幌地区の市道で、北広島市との境界に近い場所。午後1時55分ごろ、車で通りかかった女性が、道路を走って茂みに入る体長約1・5メートルのクマを見た。これに先立つ午前8時ごろには、クマが目撃された市道から西へ約2キロ離れた公園内のデントコーン畑で、クマの足跡や食べ痕が見つかった。食害は畑の少なくとも3カ所で確認され、計約900平方メートルが食い荒らされた。畑を所有する小林牧場(西野幌668)によると、被害は10万円以上といい、小林紀彦社長(53)は「7月中旬以降は公園周辺のクマ出没の情報はなく、江別からはいなくなったと安心していたのに」と頭を抱える。牧場では乳牛を飼育しており、「牛が襲われる前に早く解決してほしい」と話す。26日午前6時20分ごろには、24日に目撃された市道の約2キロ北側の牧草地でクマの足跡が見つかった。道立総合研究機構環境科学研究センター(札幌)の間野勉自然環境部長は、今回のクマが6、7月のクマと同一個体だった場合、「他のクマの妨害を受けずに作物を食べられる成功体験を重ねている状態だ」と指摘。クマを誘引しない対策として「公園に近接する場所ではクマのえさになるような農作物を優先的に刈り取り、また通常なら放置してしまう規格外の作物をそのままにしない、などの対応が必要」と訴える。

(クマの牛襲撃相次ぐ:北海道)
釧路管内標茶町で放牧中の牛がヒグマに襲われたとみられる被害が止まらない。7月中旬以降20頭に達し、うち10頭が死んだ。町は被害発生場所にわなをしかけて捕獲を目指す一方、道猟友会標茶支部の協力で見回りを強化しているが、捕獲・駆除には至っていない。「長期戦、消耗戦になるかもしれない」(町幹部)と身構えている。最初の被害は7月16日、町オソツベツの牧場を巡回中のスタッフが乳牛を引きずるクマを発見。乳牛は死にクマは逃げた。続いて27日までに計9頭の死骸が発見されたほか、背中などに爪痕のような傷を負った牛も相次いで見つかった。町は被害のあった牧場から牛を退牧させる一方、箱わなを5基設置し、同支部のハンターが毎日巡回しているが、駆除できたのは27日までに1頭だけ。「退牧させると隣接する牧場で被害が出る」という、いたちごっこの状態だという。わなに取り付けたカメラには周囲をうろつく親子とみられるクマや大型のクマが映っていた。わなの中に入らずに餌を取ろうと、周囲を深さ1メートル以上掘り返したり、上に乗った形跡も見つかっており、わなにかからない知恵をある程度、身に付けているとみられる。

(パトロール強化など要請、相次ぐクマ目撃で:栃木)
福田富一(ふくだとみかず)知事は26日の定例記者会見で、日光市内でクマの目撃が相次いでいることを受け、市町や関係機関にパトロールやチラシ配布の強化などを要請したことを明らかにした。クマの目撃件数は25日現在、県内で計81件に上る。7月末時点で前年同期より約8割増えているという。県はこれまで、クマが活動を始める4月ごろから、県ホームページでの注意喚起や希望する小中学校でクマの生態を教えるレクチャーなどを実施してきた。

(豚コレラ感染のイノシシ、4例目を確認:石川)
県は26日、白山市三ツ瀬町で捕獲した2頭の野生イノシシが豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染したイノシシが確認されたのは3、4例目。県農業安全課によると、2頭はいずれも雄の幼獣で、23日に仕掛けたわなで捕獲された。

(感染イノシシ81頭に:長野)
長野県は27日、県内で捕獲された野生イノシシ7頭が豚コレラに感染していたと発表した。伊那市と南箕輪村で新たに感染が確認され、11市町村の計81頭となった。監視対象農場も伊那市と宮田村の二つの養豚場が指定されて計4農場になった。県内では7月13日に初めて感染した野生イノシシを確認。現時点で養豚場への感染はない。県は既に、感染イノシシが見つかった地域などでワクチン入りの餌をまき、周辺を狩猟禁止区域に指定する方針を打ち出すなどの対策を取っている。

(豚コレラ現地踏査:長野)
中南信で豚コレラ感染の野生イノシシが広がっている問題で県は28日、阿智、平谷両村で経口ワクチンの本格散布に向けた現地踏査を始めた。摂取率を上げる狙いで、29日に阿南町、売木、天龍でも計画。イノシシの通り道など効果的な散布場所を決め、餌付けした後、9月6~8日に2エリアで計1400個を散布する。感染拡大防止対策で、飯伊2エリアの他、松本市、塩尻市の各1エリアで計2400個を散布する。県と市町村、県畜産会、県猟友会、県獣医師会、県養豚協会で設立した「県豚コレラ経口ワクチン対策協議会」が実施する。28日の踏査には、県や自治体の職員、猟友会員と委託業者の社員計12人が参加。阿智村役場で工程を確認した後、同村清内路と浪合、平谷村の3班に分かれた。清内路班の5人は、感染が広がる木曽地域に隣接する清内路峠付近の村有林を調べた。防護服を着用し、イノシシが通るけもの道や、寄生虫を落とすために泥をあびる「ぬた場」の位置を確認。掘り起こしの痕跡も調べながら、半径1キロ圏内各1カ所を目安に計10カ所の散布場所を探った。9月1日から行う餌付けの試行として、トウモロコシの粉末も置いた。散布は6~8日で、深さ10センチの穴を掘り、ワクチンを餌に混ぜて埋める。1カ所あたり20個を散布する計画で、飯伊では阿智・平谷と、阿南・天龍・売木の2エリアで各30カ所前後ずつ、計1400個を埋める。5日後の11~13日に回収し、摂取状況を把握する。10日後からは1エリア5~10頭を目安にイノシシを捕獲し、実際に抗体ができているかも調べる。県南信州地域振興局農政課の神通川洋一課長は「養豚農家にとって大きな脅威。できる限り効果を上げられるよう努め、ウイルスの侵入を防ぎたい」と話した。飯伊では7月に根羽村で見つかった野性イノシシ2頭の感染で、同村全域と平谷村、売木村の一部が半径10キロ円の調査対象区域になっている。岐阜県や木曽郡内の発生で飯田市と松川町、阿智村の一部も入っている。

(ジビエ拡大に豚コレラの壁:愛知)
有害獣の駆除と地域おこしを目的に、捕獲したイノシシとニホンジカの肉を食用の「愛知産ジビエ」として二〇一〇年度から売り出してきた愛知県。利用拡大を進めてきたが、収束が見通せない豚コレラが推進の壁になっている。県によると、一七年度に県内で捕獲されたイノシシとシカは狩猟を含め、計一万二千七百四十二頭。このうち、ジビエ料理などに利用されたのは千七百六十一頭(13・8%)だった。利用率は一五年度8・0%、一六年度12・8%で年々上昇していたが、一八年九月、岐阜県で豚コレラが発生。十二月には愛知県内の野生イノシシでも確認された。県はジビエ利用などの規制に踏み切っていない。有害獣の食肉処理場は少なくとも五カ所。豊田市などの発生地域では、ウイルスの拡散を防ごうと狩猟団体や処理場が活動を自粛する動きがあるという。県農業振興課の担当者は「販路拡大をやっている場合じゃない、との声もある。ようやく成果が上がってきたのに…」と嘆く。

(畜産セ公園の開園に慎重:岐阜)
岐阜市畜産センター公園(同市椿洞)で昨年十一月に家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が発生し、閉園が続いている問題で、柴橋正直市長は二十八日の定例会見で「豚コレラはなお終息が見えていない。状況を注視しながら開園時期を慎重に判断していく」と述べ、再開のめどが立っていないことを明らかにした。豚コレラは昨年九月、市内の民間養豚場で国内二十六年ぶりに発生が確認されてから、まもなく一年を迎える。同公園は昨年十一月に飼育施設では二例目の感染が判明し、飼育豚約二十頭を殺処分した。柴橋市長は「発生以後、柵の設置や出入り口の消毒設備を強化し、家畜の飼養衛生管理を徹底している」と現状を説明。養豚場や野生イノシシへの感染が拡大していることについては「大変憂慮している。豚に対するワクチン接種に期待したい」とも述べた。

(豚コレラ、消毒や検査体制強化:和歌山)
先月24日、三重県で豚コレラが発生したことを受け、県は27日、豚舎を消毒したり、検査体制を強化するなど、発生防止の緊急対策を発表した。畜産課は「予防が重要で、素早く対応したい」としている。豚やイノシシ、イノブタを飼育する県内全26戸の農場に対し、9月2日から消石灰を配布して緊急で消毒を実施する。

(四国のクマ16~24頭)
認定NPO法人「四国自然史科学研究センター」(須崎市)などは、四国に生息しているツキノワグマの個体数が「2017年時点で16~24頭」とする推定結果をこのほど発表した。これまでの推定では「1996年時点で50頭未満」とされてきたが、DNA解析による新手法で精度を高めた。集団の安定的な存続には最低100頭が必要とされ、四国自然史科学研究センターは「絶滅の危険性が非常に高いことがあらためて示された」としている。

(国有林のノウサギ食害防げ:高知)
高知県でノウサギに国有林の苗木を食べられる被害に頭を悩ませている。食害面積が大きいシカの対策は進む一方、見過ごされてきたのが現状だ。四国森林管理局の森林技術・支援センターの鷹野孝司所長は「ノウサギは苗木の幹をかみ切るので成長が止まる。枝を食べるシカより悪質」と指摘。捕獲用のわなを導入しようと工夫を続ける。鷹野さんは昨夏、高知、愛媛にまたがる国有林を見回った際、苗木がかみ切られた被害が多いことに気付いた。ついばむように食べるシカと明らかに違っており、ノウサギの仕業だと判断した。高知県土佐清水市の国有林に設置したカメラには植林して約1年のコウヨウザンを食べるノウサギが写り込んでいた。シカ用のネットはあったが、10センチ四方の網目を抜けて入ったとみられる。林野庁によると、2017年度の野生鳥獣による国有林と民有林の被害面積のうちノウサギが占めるのはわずか2%。74%のシカと比べると圧倒的に小さい。だが食害で苗木の成長が止まると植え直す必要があり、コスト面での打撃は大きい。高知県は17年度、北海道、静岡県に続き約16ヘクタールの被害が確認されており、鷹野さんは対策の必要性を感じている。鷹野さんによると、ノウサギは警戒心が強く、なかなか捕獲できない。ワイヤで拳一つ分の輪っかを作り、通り道に仕掛ける従来の「くくりわな」は習得が難しく、普及は困難だという。森林技術・支援センターはシカ用の箱わなを小型化、軽量化して実用化を目指し、誘い込むための餌の選定を進めている。鷹野さんは「有効な対策を確立し、被害拡大を食い止めたい」と話している。

(県内イノシシ捕獲最多2.6万頭:岡山)
岡山県がまとめた2018年度の鳥獣捕獲実績によると、イノシシは2万6042頭で過去最多を更新。

(狩猟免許試験で受験票を紛失:埼玉)
埼玉県みどり自然課は26日、東松山市内で25日に行った狩猟免許試験で、男性受験者1人から提出され同課が保管する受験票を紛失したと発表した。個人情報が掲載され、顔写真も添付されていた。同課によると、試験は同市の東松山文化センターで開かれた。即日合否が発表され、不合格者は申請すれば試験室から離れた廊下で採点内容を確認できたという。職員が申請者の本人確認のために廊下まで受験票を持ち込んだが、確認用に置いた机の上に置き忘れた。当日中に受験票が見当たらないことに気付き、26日まで試験会場で探したり試験に携わった職員への聞き取りを行ったが発見できなかった。紛失した受験票には受験者の氏名、写真、免許の種類、受験の日と場所、試験結果が記載されていた。生年月日、住所、電話番号は記載されていない。

(国体結団式で決意新たに:茨城)
秋の茨城国体に出場する県選手団結団式が27日、アダストリアみとアリーナ(水戸市)で行われ、各競技の監督や選手約800人が男女総合優勝(天皇杯)に向け、決意を新たにした。式典では、旗手を務めるクレー射撃の中山由起枝選手が大井川知事から団旗を受け取った。大井川知事は「最後まで勝ちにこだわることが必要。令和最初の国体で茨城の力を示しましょう」と激励。空手道の染谷真有美選手が選手宣誓で「開催地茨城県代表としての誇りを持ち、全競技一丸となって天皇杯、皇后杯(女子総合優勝)の獲得を目指し、正々堂々と最後まで戦い抜くことを誓います」と力を込めた。茨城国体は9月7日から会期前競技が始まり、新体操が最初の競技となる。28日に総合開会式を迎え、10月8日まで熱戦が繰り広げられる。県選手団は、都道府県対抗で得点対象となる37競技に924人が参加する予定。

(イノシシの捕獲学ぶ講習会:秋田)
県内では野生のイノシシの目撃件数がここ数年、一気に増加しています。農作物への被害も拡大する中、猟友会の会員などを対象に捕獲技術を学ぶ講習会が湯沢市で開かれました。県内では生息していないとされていた野生のイノシシ。2012年に湯沢市秋ノ宮で初めて野生のイノシシが捕獲されて以降、目撃数は年々増加し、昨年度は過去最多の延べ102頭が目撃されています。農業被害は初めて確認された2017年度で、被害額は2万円ほどでしたが昨年度は大幅に増加して210万円あまりに上っています。イノシシの増加と農業被害を防ぐ有効な手だての一つがワナでの捕獲です。県は28日、イノシシの目撃と農業被害が特に多い湯沢市で初めて猟友会の会員などを対象に講習会を開きました。県内でワナによるイノシシの捕獲実績はまだありません。講習会では仕掛けに触れると扉が閉まる「箱わな」と仕掛けに脚を踏み入れるとワイヤーが閉まる「くくりわな」の2つの使い方と特徴を学びました。県は今後も各地で講習会を開き、捕獲できる人材を増やすなど、イノシシ対策を強化する方針です。

(駆除イノシシ肥料に:佐賀)
佐賀県武雄市は26日、農作物を食い荒らすイノシシを骨粉肥料にする事業に乗りだすと発表した。捕獲しても大半は食肉加工に適さず、焼却処分が必要になるため、乾燥処理し肥料としての活用を図る。市によると、イノシシの肥料化に自治体が携わるのは全国初。市は施設整備の補助金約3千万円を一般会計補正予算案に計上し、9月の定例市議会に提案。本年度内に施設を完成させ、来年度からの本格運用を目指す。武雄市では年約2千頭のイノシシを捕獲。猟友会出資の武雄地域鳥獣加工処理センターに持ち込まれる。しかし、血抜きを直ちに行わなければ臭みが出ることなどから、食肉加工できるのは5%にとどまり、残りは長崎県の委託業者が焼却していた。処理費の高騰を受け、センターは市の全額補助でイノシシを乾燥処理して骨粉肥料にする施設を整備。農家に販売し、売り上げを運営費に充てる。肥料には野菜や果樹の甘味を増す効果が期待されるという。イノシシの処理方法は埋設もあるが、周辺への臭気が課題。市は「畑を荒らすイノシシを肥料化して畑に返す循環のモデルを、武雄から始めたい」としている。

(狩猟地域リーダー育成のための狩猟講座:山梨)
山梨県南都留郡山中湖村で環境省主催、狩猟地域リーダー育成のための狩猟講座が開催されます。10/19~20と10/26~27の2回。

(狩猟の魅力まるわかりフォーラム)
毎年、環境省が主催し、各都道府県・狩猟関係者協力のもと開催をしている「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が今年は福井県・大分県にて開催されます。

(AIでシカ食害防止、“振動”を利用する仕組み)
KDDI総合研究所(埼玉県ふじみ野市、中島康之所長、049・278・7464)と常葉大学、国土緑化推進機構などは、人工知能(AI)を活用して野生のシカなどによる森林被害を防ぐ技術の実証実験を始めた。防鹿柵に振動検知センサーを複数設置し、振動原因をAIで推定する。取得した振動データを検証し、振動原因の推定精度の改善や、アラーム通知などによって人が出向いての監視業務に役立てられるかを検証する。実証実験はシカの食害被害が深刻な静岡県内の植林地域で実施する。期間は2019年度中を予定。植林地域を囲う防鹿柵に、振動検知センサーを4メートル間隔で56個設置し、動物の衝突や風など振動原因をAIで推定する手法を検証する。ここ数年はカメラを使った監視もしているが、機器の購入やメンテナンスなどの費用がかさんでいる。今回は振動原因の検証用として複数のカメラを設置するが、実用化の際にはカメラなしでの運用を想定。また振動センサーは振動検知時のみ稼働するほか、振動データを集約したりクラウド上に送信したりする装置は太陽光発電で作動させ、低コストで運用する。

(市街地周辺ヒグマ出没対策検証事業委託業務、公募型プロポーザルの実施について:北海道)
生物多様性保全課では、令和元年(2019年)8月27日に「令和元年度(2019年度)市街地周辺ヒグマ出没対策検証事業委託業務」に係る公募型プロポーザルを実施する旨公告しました。近年の夜間・市街地周辺に出没するヒグマに対処するため、ドローンやセンサ・カメラ等のICT技術を活用し、ヒグマの追い払いに有効な方法・技術などの検討及び検証を行い、夜間や市街地周辺へのヒグマの出没抑制対策に寄与することを目的とする。

(豚コレラでジビエ施設に支援検討:石川)
県内で相次いで豚コレラに感染した野生のイノシシが確認された問題で、県は感染が確認された地域の周辺にある野生のイノシシ肉などジビエ肉の食肉処理施設に対して経営支援を検討していることを明らかにしました。白山市では、8月20日に捕獲された野生のイノシシに続き、24日に死んで見つかった野生のイノシシが豚コレラに感染していたことが確認されています。県は、白山市にある野生のイノシシなどジビエ肉の食肉処理施設2か所に対し、感染が確認された地点から半径10キロ圏内のイノシシの処理を中止するよう8月22日に要請しています。この問題で、26日に開かれた県議会の環境農林建設委員会で、県は対象となるジビエ肉の食肉処理施設の経営支援を検討していることを明らかにしました。県によりますと、感染が確認されていない地域で捕獲された野生のイノシシを仕入れるための調整を行ったり、地域外から野生のイノシシを搬入するのに必要な保冷車を確保したりすることが考えられるということです。県は、今後、施設に直接聞き取りを行った上で、必要な措置を検討していきたいとしています。また、8月23日に白山市の同じおりで捕まった野生のイノシシ2頭が、新たに豚コレラに感染していることが県の検査で確認されました。県内で豚コレラへの感染が確認された野生のイノシシは4頭となりました。

(鳥獣被害防止、JAが捕獲檻を贈呈:奈良)
農作物などに被害を与えるイノシシなどへの対策として、捕獲用の檻がJAならけんから、県内の鳥獣被害の防止に取り組む協議会に贈られることになり、きょう、贈呈式が天理市で行われました。天理市役所で行われた贈呈式では、JAならけんの田中・代表理事理事長が、天理市の並河市長と天理市 鳥獣被害防止対策協議会の中野会長に目録を手渡しました。JAならけんによりますと県内では、イノシシやサルなどによる田畑への被害が年々深刻化していて、去年は2億円の損失があったといいます。この後、見学会もあり、性能などを確かめた対策協議会の中野会長らは収穫時期を迎えた秋にかけては被害が多くなることから「早速、使いたい」とその効果に期待していました。今回、JAならけんから贈られた捕獲用の檻は全部で25基あり、今後、天理市をはじめ五條市など山間部の多い市町村で設置されるということです。

(「シカの日」振興局で弁当販売:北海道)
道が毎月第4火曜日を「シカの日」としている27日、留萌市で、エゾシカ肉をメインにした弁当が販売されました。道は、農作物に被害を与えるエゾシカを有効活用しようと毎月第4火曜日を、語呂合わせ(4火=シカ)で「シカの日」とし、各地でエゾシカ肉の消費拡大に向けた取り組みを行っています。このうち留萌市では、市内の焼き鳥店がランチの時間にあわせて道の留萌振興局に出向き、エゾシカ肉をふんだんに使った「シカシチューサンド弁当」を販売しました。この弁当は、地元で捕獲したエゾシカの肉をデミグラスソースで煮込み、半熟卵とチーズをサンドしたもので、付け合わせとしてトマトやブロッコリーなどが添えられています。値段は1つ700円で、昼休み中の道の職員が次々と買い求め、用意された30食は1時間余りで完売しました。弁当を販売した焼き鳥店の川崎正紀店長は「鹿肉は血抜きをすれば臭みもなくおいしく食べられます。多くの人に味を楽しんでほしい」と話していました。初めて鹿肉を食べたという、20代の女性職員は「すごくおいしかったです。生臭いと思っていましたが、きちんと血抜きされていて問題ありませんでした」と話していました。

(ジビエ使った商品開発:東京)
工学院大学附属中学・高校(平方邦行校長、生徒1108人)で8月27日、鳥取大山特産のジビエを使った商品開発で地域をPRする探究学習が、ほうきのジビエ推進協議会や大山ジビエ振興会(いずれも鳥取県西伯郡)などの協力を得て行われた。生徒はこれまで約2カ月間、商品開発に必要なマーケティング調査や企画立案の手法を事前学習として学んだほか、実際に鳥取大山の現地に入り、大山登山や観光客へのインタビュー、レストラン、カフェの見学などをしてきた。ジビエ食肉加工場では、わなやイノシシの解体現場を自身の目で見て、食のありがたさを体験。加工場の職員からは「どうしたらジビエにより強く魅力を感じてもらえるか、考えてほしい」と期待を寄せられた。27日は「商品開発」「プロモーション」の2チームに分かれ、グループごとに施策を立案。商品開発チームでは、「20代後半から30代前半の女性に食べてもらいたい」と、抹茶を使用して大山の自然を連想させるグリーンカレーを考案したグループや、SNSでの調査を踏まえ、大山に降り積もる雪をチーズで表現した「映えるおしゃれなキーマカレー」を考案したグループなどがあった。プロモーションチームでは、大山の歴史的背景を意識し、イノシシを害獣ではなく大山の神話に登場する生き物と捉え、神から贈られた食物だとするコンセプトを基本として立案に取り組んだ。今後、各チームの施策に基づいて作ったジビエ料理の試食会や最終報告会を実施する。

(猿新聞、善意で13年:三重)
三重県名張市の山村凖さん(86)は、地域の猿出没情報や獣害対策を伝える手作りの新聞「猿新聞」を発行し続ける。月1回の発行を続け、8月号で通算158号となった。住民や市役所などに無料で配り、地域を挙げた獣害対策の重要性を啓発している。発行のきっかけは2006年。会社員だった山村さんは定年後、NPO法人「サルどこネット」が発信する猿の位置情報を受信しながら、自ら位置調査に協力していた。当時、山間部にいた猿が平野部にも出没するようになり、農作物被害が増加。個々の農家で追い払いや防護柵設置を進めていたが、山村さんは「他の畑に追いやるだけでは意味がない。地域共有の課題として取り組みたい」と考え、有効な対策をA4判の紙にまとめて近隣に配った。紙の名前は「サル追いはらいたい 猿新聞」。これが創刊号になった。その後も被害の連絡があれば、取材して記事を執筆。猿の生態や行動なども勉強した。毎号の最後には、地域に生息する猿2群の出没状況を地図上に示す。捕獲などで当時より個体数は減ったが、神出鬼没の個体もいて、まだ被害はあるという。猿以外にも鹿、イノシシ、アライグマ、ヌートリアなど多様な害獣を取り上げる。「獣害は災害ではなくヒューマンエラー」として、拡大造林や減反などの政策の批判もする。猿新聞は今はA3判で表裏2ページになり、毎号1500部を発行するまでに拡大した。山村さんが所属する名張鳥獣害問題連絡会が発行に協力している。地域住民だけでなく、市役所や市議会にも配布。同連絡会のホームページでも公開する。当初は1年ほどでやめるつもりでいた。しかし「いつも読んでいる。ずっと続けてくれ」という読者の声に応えるうちに13年たった。病気で入院した時も、連絡会のメンバーの協力で月1回の発行を続けた。山村さんは「キーボードを打つ作業がつらくなってきたが、読者がいる限り続けたい」と笑顔だ。今も被害の情報が入れば、現役記者としてすぐ取材に向かっている。

(県農業技術センター、獣害防止へ水路への電気柵開発:山梨)
山梨県内で深刻化するシカやサルなどの動物による農作物被害で、県総合農業技術センターは動物が水路を通じて麓に下りることを防ぐ電気柵を開発した。のれん型の電気柵で、水路の流れを妨げない仕組み。

(駆除シカなど革小物に:愛知)
駆除された野生のイノシシやニホンジカの皮を、名古屋市緑区の伝統工芸品「有松絞」の技法で染め、革小物にして販売するプロジェクトがこの夏、本格的に動きだした。農作物の食害を防ぐために駆除された個体を有効活用。有松絞デザイナーの安保(あぼ)成子さん(51)=同区=は「命を大切にしたいとの思いに共感してくれる人に届けたい」と、年内の販売開始を目指している。八月上旬、名古屋市西区のギャラリーに安保さんが手掛けた試作品が並んだ。シカの革に「手筋絞り」で縦じまをあしらった名刺入れや、イノシシの革に小花のような柄がいくつも並ぶ「蜘蛛(くも)絞り」の一枚革。布の絞り染めとは違う柄の出方や手触りに魅了された来訪者らは、素材が駆除鳥獣と知って驚いていたという。安保さんは十五年ほど前に牛や豚の革を絞り染めした経験がある。愛知県内では捕獲されたイノシシなどの八割以上が活用されていないという実態を、今年の初め、女性起業家らを支援する交流会「Wits」(同市中区)を通じて知った。有松絞の技術を生かし「どうにかできないか」と感じた。四月、交流会メンバーで狩猟免許を持つ横井弓美子さん(35)=春日井市、和小物作家の三野昌江さん(40)=名古屋市緑区=らと、すでにイノシシなどの皮を使って小物を作っていた団体「三州しし森社中」代表の竹尾博史さん(61)=豊田市=を訪問。四人でプロジェクトを立ち上げ、七月に初めての試作品を作った。プロジェクトで使う素材は県内産にこだわる。食用にする肉を取った後、残った皮に専用の工場でなめし処理を施し、仕上がった革に有松絞の職人らとともに染めや縫製を加えて販売する。製品化には最低四カ月かかる上、豚コレラの発生で素材を集められる地域が限られ、量産は難しい。そのため、一頭分のイノシシやシカの皮を買い取ってもらいオーダーメードで加工する「オーナー制」を主軸に検討している。野生の動物の皮は大きさや質もさまざま。処理の際にナイフで傷ついたものや、元々の皮膚が弱くなめしの工程で穴が開いてしまうものもある。安保さんは「革を絞る作業は布に比べて力がいるが、傷や厚みのムラを目立ちにくくする効果がある。命を余さず大事に使わせてもらいたい」という。一頭買いの場合、革は数万円以上を想定。アクセサリーやキーホルダーなど、手に取りやすい価格帯の商品も展開する予定だ。

(深刻さを増す豚コレラ、拡大は防げるか?)
二つの豚の伝染病が日本の養豚業に大きな打撃を与えようとしている。豚コレラとアフリカ豚コレラだ。名前は似ているが全く別のウイルスによる豚の病気であり、ともに日本にはなかった。アフリカ豚コレラはその名の通りアフリカ生まれで、ウイルスはヨーロッパから中国、そして東南アジアに広がり、日本にもいつ上陸するかわからない。他方、豚コレラウイルスはすでに日本に上陸して岐阜県で広がり、愛知県など周辺各県に拡大している。ここでは緊急の課題である豚コレラの状況について解説する。近隣のロシア、中国、モンゴル、韓国に豚コレラはあったが、日本になかった。ところが2018年9月7日、岐阜市の養豚場から死亡する豚が増加しているという届出があり、検査の結果、豚コレラと判定された。養豚場で飼育されていた546頭の豚はすべて殺処分された。詳しい調査の結果、遅くとも1カ月前の8月上旬には感染が始まっていたことが分かった。今回の豚コレラは弱毒性で食欲不振などの軽い症状が続き、死亡までの期間が長かったため、感染に気付くのが遅れたのだ。そして、その間に多くの豚に感染が広がった。感染症には共通する特徴だが、強毒性より弱毒性の方が恐ろしい場合がある。強毒性であれば感染を広げる前に感染動物が死亡してしまうのだが、弱毒性の場合には発見が難しく、症状が悪化して死亡するまでに周囲へ感染を広げてしまうからだ。今回はまさにそのような例であり、発見の遅れはその後も続いた。その後、養豚場の近隣で死亡したイノシシを検査したところ、次々と感染が見つかった。岐阜市では2015年度に27頭、16年度に6頭、17年度に7頭、18年度は8月までに23頭のイノシシが死亡しているのが見つかっている。豚コレラの検査はしていないので正確な死因は不明だが、その何頭かは豚コレラの可能性が高い。感染豚から見つかったウイルスは中国やモンゴルのものと同じであった。このことは、ウイルスが旅行客によって運ばれた可能性を示している。ウイルスが豚からイノシシに感染したとは考えられず、最初にイノシシが感染し、これが豚に感染したと考えられる。その経路としては①感染したイノシシが養豚場にやってきて豚が感染した②ネズミやキツネやハエがウイルスを養豚場に運んだ③イノシシの生息域を歩いた人やトラックにウイルスが付着して養豚場に運んだ、などの可能性が考えられている。メディア関係者がイノシシの生息地と養豚場を行き来して取材していたことを非難する声もあった。このような経緯から推測されるのは、おそらく2018年初めかそれ以前に、海外からの観光客が持参した豚肉入りの弁当に豚コレラウイルスが付着していたため、捨てられた食べ残しを夜に現れたイノシシが食べて感染し、他のイノシシに広がっていった。そしてイノシシから養豚場の豚に感染したのだ。その後、2カ月間は何も起こらず、感染は終わったと思われたのだが、それは嵐の前の静けさに過ぎなかった。11月16日に岐阜市、12月5日に美濃加茂市、12月15日に可児市、12月25日に関市、翌19年の1月29日に各務原市と、相次いで岐阜県内で感染が見つかり、1万頭以上の豚が処分された。そして2月6日以後は県境を越えて大養豚地帯である愛知県に広がった。7月24日には再び県境を越えて三重県、そして7月29日には福井県まで感染が拡大。8月23日までに岐阜、愛知、三重、福井の養豚場で感染が発生し、感染した豚が長野、滋賀、大阪に運搬されて、12万頭以上が処分された。また、岐阜、愛知、三重、福井、長野、富山、石川の7県で感染したイノシシが確認されている。豚コレラウイルスは豚とイノシシに感染するが、人には感染しない。だから、もし感染豚の肉を食べても人にリスクはない。感染した豚は食欲がなくなり、ぐったりして座ったままになる。続いて便秘や下痢、結膜炎など様々な症状が起こり、早ければ10日、遅い場合には30日くらいで死亡するのだが、今回は死亡までに長い時間がかかっている。初期の症状は他の病気と紛らわしく、見分けられないこともある。ウイルスは唾液や糞尿中に排泄され、これに接触すると感染するのだが、感染力は強い。豚コレラは治療法がないので、その対策は新たな感染を起こさないことしかない。そのための第1の方策は、少しでも早く感染した豚を発見して、その飼育農場に同居する豚を全て殺処分することで外へのウイルスの拡散を防ぐことだ。第2は、人間や野生動物などがウイルスを運ばないように消毒を徹底することである。国は「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」に基づいて、感染が見つかった農場のすべての豚の殺処分と焼埋却、発生農場から半径3km以内の豚の移動制限、防疫措置の実施、移動制限区域内の農場について感染の有無の検査、発生農場周辺の消毒、感染経路等の究明などの対策を実施した。しかしこれは感染源がその飼育施設に限られている場合だ。今回の感染源は農場の外で暮らす野生のイノシシと考えられる。そこで、イノシシから豚への感染を防ぐために、イノシシの侵入を防ぐ防護柵を養豚場周囲に設置すること、そしてイノシシにワクチンを投与してイノシシが感染しないようにする対策も実施された。ワクチンはえさに混ぜて、他の動物に食べられないように山間地に掘った穴に入れる。これは特殊なえさなので、ワクチンえさによりイノシシの豚コレラ対策を行った経験を持つドイツで作られたものを輸入した。イノシシがこれを掘り出して食べると抗体ができてウイルスに感染しなくなる。ワクチンえさの設置は平成31年3月に岐阜県と愛知県で始まり、富山、石川、福井、長野、静岡、三重、滋賀県でも実施されている。えさの設置はイノシシの感染がなくなるまで、少なくとも1~2年は続ける必要がある。5月の時点で農水省はワクチンえさによりイノシシの抗体が増加したことを確認し、一定の効果があったと発表した。しかしワクチンえさの設置場所は限られているのに比べて、イノシシの行動半径は広いため、感染を完全に抑え込めるのか疑問視されている。「なぜ豚にワクチンを投与しないのか?」。これはだれもが持つ疑問だ。その答えは、かつて日本がワクチン投与により豚コレラを克服した歴史にある。1887(明治20)年末、海外から北海道に豚コレラが侵入し、国内に広がって大きな被害をもたらした。1969(昭和44)年にワクチンが開発され、大変な費用をかけてこれを8割以上の豚に接種した結果、感染は激減した。そして1992年に熊本県で発生した豚コレラが日本で最後になった。

(農家が威力を実感した獣害防止ネットシステム:京都)
山間地で農業を営む農家の人たちにとって頭を悩ませる問題の一つが野生動物による獣害です。農林水産省の調べでは野生鳥獣による農作物被害額は平成29年度で164億円。全体の7割をイノシシやシカ、サルが占めるとのことです。多くの農家の人たちが抱えるその悩みに対して施工性の高い「獣害防止ネットシステム」で応えているのが、京都市に本社を構える近江屋ロープ株式会社。今回、実際にその獣害防止ネットシステムを導入した農家の方からお話をうかがってみることにしました。取材に協力して下さったのは、京都府相楽郡和束町(そうらくぐんわづかちょう)でお茶を栽培している松田義彦さん。「長年の悩みがあっさり解消されました」という一言からお話は始まりました。松田さんが農業を営む和束町は、鎌倉時代からお茶の産地として知られるエリア。現在では宇治茶のおよそ4割を生産するほどの茶どころとなっています。松田さんの家では明治時代から茶づくりを始めたとのこと。松田さん自身が手がけているのは露地栽培の煎茶。「甘味のあるさわやかな味わいの黄金色のお茶」を追求しています。その松田さんの持つ農地は山の斜面。幾何学模様にも似た美しい茶畑が一面に広がり、その一画には水田も見られました。「うちはお茶の他に特別栽培米も作っているんですが、その水田の方が荒らされるようになりましてね」と松田さん。以前からイノシシによる被害はあったのですが、それは電気柵で防ぐことができていました。しかし15年ほど前からシカやサルが出没するようになったと苦笑します。「イノシシ用の柵は低い部分に設置しているからシカやサルは平気で飛び越えます。だから別の対策を打たなければなりませんでした」。松田さんはネットを張ったり罠を仕掛けたりしましたが、獣害を完全に防ぐまでには至らなかったとのことです。そんな折り、松田さんが知ったのが農林水産省が推進している鳥獣被害防止対策。侵入防止柵の設置等を支援してくれる制度です。和束町も行政としてこの取り組みに力を入れており、松田さんは近隣の農家の人たちとともにこの制度を活用することにしました。「獣害に悩んでいるのはうちだけではなく、周りもみんなそうでした。それまでは個々に対策を打っていたのですが、みんなで一緒に取り組んでいこうということになったわけです」。この時に用いられたのが近江屋ロープの獣害防止ネットシステムでした。行政で実績のある製品だったので安心して使えたと松田さんは言います。近江屋ロープの獣害防止ネットシステムは格子状になった金属パネルを地中に打ち込んだ支柱に固定していくタイプの侵入防止柵です。「施工が簡単で、農閑期に妻と2人で設置しました。のべにして2週間程度でしたね」と松田さん。水田は約8反(80a)の広さがあり、その周囲をぐるりと囲んだとのことです。その効果のほどですが、すでにご紹介したように「長年の悩みがあっさり解消」。設置したのは昨年(2018年)の終わりでしたが、今年は農繁期を迎えた後も獣害がほぼゼロに等しいということでした。近江屋ロープの獣害防止ネットシステムの製品名は『イノシッシ』。この『イノシッシ』に電気柵を取り付けたタイプは『ビリビリイノシッシ』と言います。同製品が和束町で採用された経緯について、同社農林環境課の渡辺裕介さんは「採用は入札によるもので、地元の要望を取りまとめて町の方で特別仕様を決めていました。当社も入札に参加し、和束町向け特別仕様に対応させていただいたという流れです」と教えてくれました。設置場所の地形等を踏まえた上で既存製品をカスタマイズし完成度を高めたとのことでした。「松田さんのお話にもあったように施工のしやすさが当社製品の特長です。例えば支柱は二分割しているのですが、これは短くしたぶん打ち込みやすくなるからです。またパネルには柔軟性を持たせているので傾斜地や急カーブの場所でも問題なく設置できます」と渡辺さん。山の急斜面を農地にしている農家が多い和束町では特にアドバンテージがあると言っていいでしょう。また、耐用性も考えて亜鉛メッキを素材に使うなどさまざまな面で使い勝手を追求している点も見逃せません。同社はこの『イノシッシ』に設置可能な新型組立門扉も開発。設置後のメンテナンスや維持管理もよりスムーズにできるようにしています。近江屋ロープは江戸時代の文化年間に創業、なんと200年以上の歴史を持つ企業です。社名からも分かるようにロープ関連の製品を数多く取り扱い、その関係から獣害防止資材も手がけるようになりました。歴史に裏付けられた製品力の確かさは、獣害に悩む全国の農家の人たちに大きな安心感を届けてくれると言っていいでしょう。「実際に和束町以外の市町村への納入実績も多く、またJAや森林組合でも扱っていただいています。安心して使っていただきたいですね」と渡辺さん。その言葉にうなずきながら松田さんも「私だけではなく、一緒に導入したまわりの人たちも満足していますよ」と笑顔で語ってくれました。松田さんが作っている特別栽培米は『ヒノヒカリ』。多くの自治体で奨励品種に指定されているほどで、小粒ながらふくよかな味わいが特長と言えます。今年以降は獣害の憂き目にあうことなく、その美味しいお米を多くの消費者に届けられそうです。松田さんの笑顔はその安心感の表れと言ってもいいかも知れません。全国の野生鳥獣による農林水産被害は平成29年度で164億円。被害額は年々減少しているものの、決して少ないとは言えない数字です。近江屋ロープの獣害防止ネットシステムの普及によって獣害の減少に加速がかかる……と期待したいところです。

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(県猟友会幹部を書類送検:新潟)
7月の参院選比例代表に立候補して落選した自民党候補への投票を依頼する文書を送付したとして、県警が県猟友会の男性幹部を公職選挙法違反(法定外文書頒布)の疑いで書類送検していたことが23日、関係者の話で分かった。

(集団食中毒、鹿肉料理加熱不足か:新潟)
県は23日、南魚沼市大沢の旅館「里山十帖」で食事をした男女30人に下痢や吐き気などの症状が出たと発表した。県は、患者が全員同旅館の夕食を食べていたこと、診断した医師から食中毒の届け出があったことから同旅館の食事が原因の食中毒と断定し、同旅館に24日の1日間の営業停止を命じた。

(男性がクマに襲われ指2本失う:東京)
東京都奥多摩町の山中で今月18日、都内の60歳代の男性がツキノワグマに襲われ、左手の中指と薬指を失う重傷を負っていたことが警視庁への取材でわかった。青梅署幹部によると、男性は仕事のため1人で川苔(かわのり)山(1363メートル)に入山。18日午前9時40分頃、作業中に後ろからクマに襲われた。クマは体長約1・3~1・4メートルで、男性を襲った後に逃げたという。付近では8月になってクマの目撃情報が相次いでおり、同署が注意を呼びかけている。

(小屋にクマ、漬物食べ逃走:岩手)
23日午前6時頃、岩手県花巻市石鳥谷町大瀬川、会社員辻村雅之さん(60)が「小屋にクマが入り込み、漬物たるを荒らした」と通報した。駆けつけた花巻署員が倒されたたるを見つけ、中の漬物が食べられているのを確認した。辻村さんは小屋を出るクマを目撃しており、小屋には足跡も残っていた。

(台所にクマ、野菜食い荒らす:岩手)
21日午後10時35分ごろ、八幡平市松尾のペンション経営の男性(73)の自宅台所にクマ1頭が侵入した。宿泊客はおらず、男性の家族3人は別の建物に避難して無事だった。岩手署や男性の家族によると、男性の妻が、台所にいたクマを目撃し男性が110番通報した。22日午前7時ごろから市猟友会の会員らが現場を確認。台所へ通じる勝手口が壊されて冷蔵庫が開いており、中にあった野菜などが食い荒らされていた。現場は八幡平山頂へ通じる県道沿いで、付近には温泉施設などが点在。同会が付近にわなを設置し、同署もパトカーを巡回させて警戒している。

(ヒグマ被害、飼料食い荒らされる:北海道)
24日午前8時ごろ、北海道江別市西野幌の小林牧場で乳牛の飼料用トウモロコシが食い荒らされ、ヒグマの足跡も残っているのを経営者の小林智行さん(50)が見つけ、江別署に110番した。牧場のすぐ北側には、6月に1941年以来78年ぶりにヒグマが目撃され、その後も目撃情報が相次いだ道立野幌森林公園がある。同署は同じ個体が出没した可能性もあるとみて、調べている。小林さんによるとトウモロコシは来月に収穫を控えており、約30平方メートル分が数日間にわたり食い荒らされた様子だった。被害額は約6万円に上る。小林さんは「畑がヒグマの被害を受けたのは初めてで、非常に残念。これ以上被害が増えないよう、市に早急に対策を取ってほしい」と話した。同日午後2時ごろには、牧場から約1キロ離れた市道を車で通りかかった女性が道路上を走るヒグマ1頭を目撃し、江別署に通報した。

(電気柵まで破壊、クマ被害続く:北海道)
23日午前、札幌市西区の家庭菜園がクマに荒らされているのが見つかりました。この場所は連日出没していますが、23日は電気柵が壊されていたということです。住民:「札幌市では電気柵を推奨しているけど、(クマは)怖がっていない。ぶっ壊してメチャメチャにした」23日午前10時半ごろ札幌市西区小別沢の分譲型の家庭菜園で、利用者から「プラムなどが食べられている」と札幌市に通報がありました。調査したところ、現場にはクマの毛が残されていました。この付近の家庭菜園では、21日にもクマが果物を食い荒らした跡が見つかっていて、対策のために設置していた電気柵も壊されていました。所有者によりますとプルーン150個、プラム300個ほどが食べられていたということで、利用者はこれ以上被害に遭わないよう実を収穫するなど対応に追われました。

(女子校にサル侵入、職員引っかかれるも放送室で捕獲:福岡)
福岡市西区の市立福岡女子高で22日、校舎内にサルが侵入し、区職員、警察、猟友会らが捕獲した。福岡市教育委員会と西区の関係者によると、午前7時頃にタクシーの運転手が、学校の敷地内にサルが入るのを目撃し警察に通報。同8時には、廊下で教師がサルと遭遇。サルが放送室に逃げ込んだため、扉を閉めて閉じ込めた。その後、区職員が警察と猟友会と捕獲チームを編成し、午前11時に捕獲作戦を開始。サルが放送室内で窓ガラスを割るなど暴れたが、同11時半頃に捕獲した。同区の男性職員が左頬を引っかかれて軽いけがをしたが補習などで登校していた生徒、教師、職員らにけが人はなかった。サルは同日午後1時半頃に近くの山に放された。

(サル、自転車の男子高生襲う:千葉)
市原市の田淵旧日竹地区で、自転車の男子高校生(18)がサル3匹に追い掛けられていたことが23日、分かった。高校生は逃げて、けがはなかった。22日午前10時50分ごろ、高校生が道路を自転車で走っていたところ、畑の方向からサル6~7匹が、目の前に飛び出てきた。そのまま走行していたら、後ろから3匹のサルが追い掛けてきたという。高校生は「初めての経験。上り坂だったので怖かった」と話している。連絡を受けた市は23日、ホームページやメールなどを通じて注意を呼び掛けている。市農林業振興課は「(サルに)追い掛けられたケースは聞いたことがない」としている。同課によると、現場周辺には野生のニホンザルが群れで生息している。また、今年は、例年に比べて農作物被害に関する相談が多いという。

(日本勢は予選敗退、クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は22日、フィンランドのラハティで行われ、男子スキート予選で折原研二(那須国際射撃場)は81位、井川寛之(モダンビル管理)は84位、丸山和成(三晃ドリリング)は125位だった。上位6人による決勝には進めず、今大会での東京五輪出場枠の獲得はならなかった。

(ジビエ消費拡大へ、11月から全国フェア)
外食業界団体の日本フードサービス協会は21日、農作物への被害対策で捕獲されたシカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の消費拡大を目的に、今年11月から来年2月まで実施する「全国ジビエフェア2019」の説明会を東京ガス業務用ショールーム「厨BO!SHIODOME」(東京都港区)で開いた。フェアは全国の飲食店などでジビエ料理を提供するもので、今年2月まで実施した前回フェアには1千店以上が参加した。説明会では外食店を対象としたジビエ商品開発セミナーを実施。日本ジビエ振興協会の代表理事でシェフの藤木徳彦さんが講師を務め、「鹿肉の空揚げ」などのメニューを紹介。「ジビエはヘルシーで栄養価も高い。ヨーグルトに漬け込むなど工夫すれば柔らかくおいしく食べられる」と、調理のコツを伝授した。

(県内で初確認、野生のイノシシから豚コレラの陽性反応:石川)
石川県は、白山市で20日捕獲されたイノシシから、豚コレラウイルスの陽性反応が出たと発表しました。豚コレラに感染したイノシシが見つかったのは、石川県白山市旧尾口村の女原地区です。20日、猟友会が子どものイノシシ一頭をオリで捕獲し、その後県や専門機関が検査したところ、豚コレラウイルスの陽性反応がでたということです。これを受け、石川県は関係部署の担当者を集めた会議を開き、今後の対応を協議しています。豚コレラはブタやイノシシが感染すると高い確率で死ぬ伝染病で、これまでに福井や富山など8つの府と県で感染したブタやイノシシが見つかっていました。石川県内で陽性反応が出るのは今回が初めてです。県は今後、全ての養豚場にイノシシなどの侵入を防ぐよう指導を徹底するほか、引き続きイノシシの捕獲を進め状況の把握に努める方針です。

(豚コレライノシシを発見、県内2例目:石川)
県は24日、白山市の棚田で豚コレラに感染した野生イノシシの死骸が見つかったと発表した。県内で感染イノシシが確認されたのは、20日に同市で捕獲された個体に続いて2例目。イノシシは体長約65センチの雌の幼獣。24日午前、同市白山町の棚田で死んでいるのを、近くの住民が見つけて通報した。

(渥美半島のイノシシ根絶、豚コレラ拡大阻止へ:愛知)
愛知県は、豚コレラ対策として進める渥美半島での野生イノシシ根絶のため、生息地域を移動防止柵で区切り、捕獲や侵入防止を強化する。今後、猟友会や地権者らと協議して実施に移す方針だ。

(感染イノシシ84頭に:愛知)
愛知県は23日、同県豊田市で捕獲された野生イノシシ8頭が豚コレラに感染していたと発表した。県内で感染を確認したイノシシは計84頭になった。県によると、8頭は8~13日にかけ、猟友会がわなで捕獲した。いずれも県の遺伝子検査で22日に感染が判明した。

(豚コレラ経口ワクチン、7市町村で本格散布へ:長野)
野生イノシシへの豚コレラ感染対策で県は23日、国の指針に基づく経口ワクチンの本格散布を28日に松本市、塩尻市、下伊那郡阿南町、阿智村、天龍村、売木村、平谷村の計7市町村で始めると発表した。山林に餌をまいてイノシシを誘った上で、計2400個を埋める。県と7市町村、県畜産会、猟友会、獣医師会、養豚協会で組織する協議会が行う。トウモロコシなどによる餌付けを8月31日~9月3日に行い、9月5~8日に散布。同10~13日に掘り起こして回収し、周辺の野生イノシシに抗体ができているかを調べる。県は7月、塩尻、岡谷、諏訪、伊那市と木曽郡木曽町、木祖村、下伊那郡平谷村、根羽村、上伊那郡辰野町の計9市町村で経口ワクチン1600個を緊急散布。今回は、別の場所で行う。9月下旬以降、上伊那地域などに広げてさらに3万2千個のワクチンを散布する予定だ。県は23日、野生イノシシの豚コレラ検査結果も発表した。塩尻市、木曽町、木曽郡王滝村で各1頭ずつ感染が確認され、県内での感染判明は計74頭になった。新たに監視対象農場となる養豚場はなく、従来通り塩尻市の2施設のみ。発見地点から半径10キロ圏内でより厳重な豚コレラ検査が必要な「調査対象区域」は中南信26市町村で変わらない。

(家畜防疫対策室を新設へ、豚コレラ感染防止に集中:長野)
家畜伝染病「豚コレラ」の野生イノシシへの感染が県内で拡大している問題で、県は二十三日、農政部園芸畜産課に養豚場の感染防止に集中的に取り組む「家畜防疫対策室」を九月一日付で新設すると発表した。県によると、対策室は十二人態勢。専門職員七人が、養豚場への防護柵の設置を促し、衛生指導などの業務に当たる。野生イノシシの捕獲を一段と強化するため、林務部鳥獣対策・ジビエ振興室でも職員を三人増員し、十人態勢にした。また、感染イノシシの確認が相次ぐ松本市や塩尻市、阿南町などで、今月二十八日から経口ワクチンの散布を本格化させる計画も発表した。養豚場への接近を防ぐため、県や自治体、猟友会などでつくる「県豚コレラ経口ワクチン対策協議会」が、九月八日までに各地の山中に計二千四百個を埋める予定。県内では今月二十三日までに、野生イノシシ累計七十四頭で、豚コレラの感染が確認されている。このため、県は、養豚場に出入りする車の消毒設備や防護柵の設置費用の補助を拡充する緊急対策を打ち出している。長野県は二十三日、塩尻市や木曽町などで見つかった野生イノシシ三頭が、家畜伝染病「豚コレラ」に感染していたと発表した。県内での感染確認は累計七十四頭になった。

(豚コレラ、新たな緊急対策実施へ:富山)
県内で豚コレラに感染した複数の野生イノシシが見つかったことを受け、県は22日、イノシシ捕獲用わなの増設など、新たな緊急対策を実施すると発表した。予備費約1014万円を充てる。石井隆一知事が同日の定例記者会見で明らかにした。野生イノシシへの経口ワクチン散布を小矢部市と立山町でも追加実施することを決めた。二十二日までに富山、砺波、南砺市の計百五カ所で二千百個のワクチンを散布している。

(業者、ワクチンを切望:福井)
昨秋に岐阜市の養豚場で26年ぶりに国内感染が確認された豚コレラが北陸3県でも流行の兆しを見せている。福井県では7月下旬から8月上旬にかけて、2戸の養豚場で相次いで飼育豚が豚コレラに感染し、殺処分となった。富山県でも7月30日に、石川県でも8月22日に初めて、感染した野生イノシシが確認され警戒感が強まっている。各県は防護柵の設置やイノシシ用のワクチン散布など感染対策に力を入れるが、養豚業者からは「国は豚へのワクチン接種を認めてほしい」との声が上がる。

(豚コレラ対策強化:石川)
石川県内でも野生イノシシへの家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が確認された。豚コレラは昨年9月以降、岐阜、愛知、三重、福井の養豚場で発生。野生イノシシの感染も長野や富山に広がり、懸念が高まっていた。豚コレラは豚やイノシシの病気で、人には感染せず、仮に感染した豚の肉や内臓を食べても人体に影響はないとされている。養豚場で感染が確認された場合は、すべて殺処分される。県によると、感染が確認されたのは今月20日、白山市女原の山間部に設置された捕獲おりに入っていたイノシシの幼獣。県の遺伝子検査で陽性と判定され、国の検査で確定した。場所は福井県境まで約14キロの地点だった。国の検査によると、福井で感染した野生イノシシの遺伝子と同じ系統だったといい、石川県の担当者は「福井から来ているのではないか」と推測している。野生イノシシが養豚場にウイルスを媒介する恐れがあるため、県は全域で捕獲調査を進めてきた。白山市での感染確認を受け、県は発見地点を中心とした半径10キロ圏内で重点的に捕獲を進めるほか、市内2カ所の獣肉処理施設に対し、同区域内でつかまえた野生イノシシの利用を自粛するよう求めた。県によると、県内の養豚場は、かほく市より北に15カ所(計約2万1千頭)ある。20日からは養豚場への感染防止のため、かほく市と津幡町で野生イノシシへの豚コレラ経口ワクチンの散布も始めた。捕獲用のおりも近く増設が完了する予定で、地元などが設置した分も含めて県内全体で2260基になるという。谷本正憲知事は22日、「養豚農家や市町、猟友会などと連携して実施している防疫対策をさらに強化し、養豚農場で飼われている豚への感染防止に万全を期したい。県民の皆様には、国や県が提供する正しい情報に基づき、冷静に対応していただくよう、重ねてお願いしたい」とコメントした。

(JR肥薩線で一時運転見合わせ:熊本)
JR肥薩線では同日午前5時48分ごろ、熊本県八代市坂本町の鎌瀬-瀬戸石間で、八代発人吉行き普通列車とシカが衝突、約40分間にわたり運転を見合わせた。乗客はおらず、けが人はなかった。

(宇野みなと線で遅れ、イノシシ接触:岡山)
JR西日本によると、24日午後7時20分ごろ、宇野みなと線の八浜駅(玉野市)―備前田井駅(同)間で列車がイノシシと接触したため、車両と線路を確認した。このため、同線の岡山駅(岡山市)―宇野駅(玉野市)間の一部列車に約15分の遅れが出ている。

(水田で2頭のクマ目撃情報:宮城)
25日午後4時50分頃、大衡村大衡の水田で通行人の男性が2頭のクマを目撃し警察に通報した。ケガ人などの被害はない。100メートル程離れた場所には大衡中学校がある。県によると今年7月末までのクマの目撃件数は403件(昨年同時期比約6割)。

(クマ目撃:栃木)
26日午前5時半ごろ、那須塩原市中塩原の赤沢温泉から西に約100メートル付近、1頭、体長約1メートル。

(市街地でサルの目撃情報:高知)
高知市の市街地で8月21日以降、サルの目撃情報が相次いでいる。25日午前7時40分頃、高知市新屋敷の住宅地で、枝をつたって動く「サル」とみられる映像が撮影された。高知市によると、21日頃からサルの目撃情報が市内数ヶ所で相次いでいるという。25日午後には、高知市西久万の住民から情報をうけ、パトカーが現場に駆けつけたが、姿をとらえることは出来なかった。これらのサルによる被害の情報は今のところ入っていないという。高知市や警察では、今後、情報収集を続けることにしている。高知市では、目撃されたサルについて、群れからはぐれた1匹の野生のニホンザルとみていて、「サルを見かけても、慌てず、騒がず、近寄らず、冷静に対応してほしい」呼びかけている。

(県道上にサルが出没、警察が注意呼び掛け:熊本)
熊本県警山鹿署は22日、同県山鹿市志々岐の県道上で同日午前9時20分ごろ、サル1匹が出没したとして、メールで注意を呼び掛けた。サルを見つけた際は、不用意に近寄らない▽大声を出したり、物を投げたりして刺激しない―など身の安全を確保し、すぐに市役所や警察に通報するよう促した。

(クマ相次ぎ出没で警戒強める:宮城)
仙台市泉区の加茂、虹の丘の両地区で今月、クマの目撃情報が相次いでいる。21日現在で計7件に上り、市や泉署が警戒を強めている。両地区における目撃情報は表の通り。21日朝には加茂1丁目の県道北環状線で、乗用車とクマが接触する事故が起きた。泉署によると、公園や宅地周辺の道路などでの出没が多い。「バス停の近くにいた」「民家の敷地内から出てきた」といった情報もある。両地区に近い泉区上谷刈でも今月、目撃情報が複数あった。目撃されたクマは体長70~100センチ。人的な被害は確認されていない。市は19日、両地区に隣接し、クマが生息するとみられる水の森公園(青葉区)内に7カ所ある散策路の出入り口を全て封鎖した。21日には、公園内に捕獲用のわなを設置した。泉署も両地区の巡回数を増やし、複数台のパトカーを走らせるなどして住民に注意喚起している。加茂地区に住む無職曽山肇さん(77)は「今まで地区でクマが目撃されたことはほとんどなかった。注意が必要だと感じる」と話した。

(ヒグマ、札幌で出没増加:北海道)
札幌市の住宅地に8月、ヒグマが連日出没し、ハンターによって駆除されるまで住民らは不安の日々を過ごした。専門家は、人口減少や高齢化によりクマが人間の生活圏に入り込むケースが続くとみており「対策に必要な人手も人材も足りない」と危機感を募らせる。札幌市や北海道警によると、ヒグマは8月上旬から同市南区の簾舞地区や藤野地区の住宅地をうろつくようになった。パトカーのサイレンやクラクションにも動じず、畑のトウモロコシや木によじ登って果物を食べた。同14日早朝、南区の山中で体長140センチ、体重128キロ、推定8歳の雌のクマを地元猟友会が射殺した。南区は山や森林の面積が8割を占め、クマの出没件数も市内で最多。昨年度の出没情報は市全体で137件、うち123件は南区だった。ヒグマに詳しい北海道立総合研究機構の間野勉部長によると、出没が相次いだ地区には農地だった場所が広がり、長年手入れがされず草地に覆われている。クマが農地跡で果物を食べて味を覚え、住宅地に入り込むようになった可能性がある。間野さんは「かつては住民による草刈りや見回りで野生動物の侵入を防いでいたが、人手が足りず管理が難しくなった」と指摘する。南区の人口は最多だった1998年の約15万7千人から約13万7千人に減少。後継者不足などからブドウやリンゴの果樹栽培をやめ、放置された果樹園もある。北海道では冬眠から目覚める時期に実施されていた「春グマ駆除」という制度があったが、絶滅の恐れがあるとして90年に廃止。ハンターも減少した。札幌市にはクマの駆除後、「麻酔で眠らせ山に返すべきだった」などの抗議もあったが、「仮に遠くの山に返しても、その近くで市街地が狙われることになる」と市の担当者。間野さんは「現状ではハンターによる駆除しか選択肢がない」と話している。

(ヒグマ出没札幌174件、注意呼びかけ:北海道)
札幌市や近郊で今月、ヒグマの出没が相次いでいる。14日には同市南区藤野でヒグマ1頭がハンターによって駆除されたが、依然として果実などが食い荒らされる被害が続き、市や道警は、クマを寄せ付けないよう電気柵の設置や、生ゴミを放置しないよう呼びかけている。一方、市には駆除に反対する意見も多数寄せられ、対応に苦慮している。

(熊9頭捕獲、昨年上回るハイペース:長野)
駒ケ根市内で熊の目撃情報が相次ぎ、市は7月から今月23日までにツキノワグマ9頭を捕獲した。昨年同期と比べ6頭増のハイペース。市は県などの指導に沿い、熊に人への恐怖感を与えて人里に再び出て来させない「学習放獣」を実施し、麻酔を掛けた後、山奥に運んで放している。捕獲おりに入った熊は全て違う個体と見られ、県は「学習放獣の成果が現れている」とみている。駒ケ根市内では6月下旬、南部の南割区や福岡区などで目撃情報があり、市農林課は地元猟友会の協力を得て捕獲おりを仕掛けた。7月12日には駒ケ根高原に仕掛けたおりへ体重63キロ、推定年齢7~8歳の雄が入ったのを皮切りに、雌雄、年齢ともさまざまな熊が捕獲された。最も小さい熊は今月21日の体重38キロ、体長113センチの雄(推定年齢4歳)、最も大きな熊は同23日の体重71キロ、体長129センチの雄(同10歳)だった。おりは猟友会員が毎朝5時ごろに確認。熊がいる場合は市に報告し、市は県、県は生態に詳しい専門家に連絡し、麻酔を打って体格を測った後、奥山へ放す。学習放獣は熊がおりへ入り、麻酔をされるだけで「十分、人への恐怖心を与えられる」とし、過去に行った刺激性のあるスプレーの噴霧を「今はしない」という。県上伊那地域振興局林務課によると、今年は駒ケ根だけでなく上伊那の各市町村で頻繁に熊が目撃されているが、「上伊那全体の捕獲数は昨年並み」という。人里への出没理由は「諸説ある」としながら「春先の低温で樹木の花芽が凍り、餌となる木の実が少ないため、餌を探しに現れるのではないか」と予測する。今のところ人や作物への被害報告はないが、県は「被害があれば捕殺もする」としている。同市農林課では「熊の出没が収まるまでおりを設置する一方、目撃や捕獲情報を随時広報し、注意喚起を続けたい」と述べた。

(アライグマ捕獲、前年度比58匹増の142匹:北海道)
苫小牧市内で今年4月から7月末までに捕獲された特定外来生物のアライグマは、前年度同期比58匹増の142匹に上った。9月中にも2018年度の年間捕獲数180匹を上回る勢い。家庭菜園の野菜が食い荒らされるなどの被害も出ており、市は「見つけてもむやみに近づかず、餌は与えないでほしい。食害を見つけたら連絡を」と呼び掛ける。道生物多様性保全課によると、北米原産のアライグマが道内で野生化したのは1979年ごろ。恵庭市内で飼育されていた10匹ほどが逃亡し、酪農地帯などで定着したのが始まりとされる。天敵がほとんどおらず、満1歳ごろに成獣化。雌は出産時に3~6匹を産むなど繁殖力が強く、シカなどと同様、農作物への被害が懸念されている。雑食性だが、農作物としては主にコーン類を好む傾向にあるという。市は2010年から業者に委託したり、農家に箱わなを貸し出すなどして捕獲を強化。今年も樽前や丸山の山林、沼ノ端地区の郊外、苫小牧東部工業地域など、ほぼ市内全域で捕獲されている。今年度、7月末までの142匹の内訳は業者捕獲が97匹、わな貸し出しによる捕獲が45匹だった。成獣の雄が最も多い53匹で、1歳未満の幼獣の雌40匹、幼獣の雄28匹、成獣の雌21匹となっている。例年、繁殖期を迎える4月ごろから捕獲に乗りだし、行動が活発化する6~8月ごろに捕獲数が増える傾向にある。今年は4月が19匹(前年同月比1匹減)と前年並みだったが5月47匹(同24匹増)、6月35匹(同18匹増)、7月41匹(同17匹増)と毎月1・5倍ぐらいの捕獲数で推移。8月は22日時点で、21匹(同3匹減)という。関係者によると、今年も市内各地で家庭菜園のビニールハウスやネットが破られたり、収穫前のコーンやイチゴ、ブドウといった果物類が食い荒らされるなどの実害が出ている。過去5年間の市内での捕獲数は14年度107匹、15年度169匹、16年度242匹、17年度182匹、18年度180匹。市環境衛生課は「今年は想定の範囲内の捕獲ペース」としながら「アライグマは長い5本指の足跡が特徴。家庭菜園の食害などが疑われる場合は相談を」と呼び掛ける。成獣でも体長が70センチ程度しかなく視認しにくい上、警戒心が強く、人前にあまり姿を見せないことなどから市内での生息数は把握できていないのが実情だ。18年12月時点で、道内で生息が確認された市町村数は156市町村。17年度の全道捕獲数は、前年度比3828匹増の1万6182匹に上る。

(川で『ヌートリア』、目撃相次ぐ:奈良)
『何なんこれ?ヌートリア!?野生??』7月、奈良県王寺町の大和川の河川敷で撮影された映像。警戒心なく悠然とヌートリアが草を食べている。この周辺で6月以降、目撃情報が相次いでいるという。ヌートリアは、国内で最も大きいネズミの仲間で、水辺に生息している。もともとは南アメリカ原産だが、第二次世界大戦で兵士の軍服に使う毛皮のために日本に輸入された。しかし、戦後に野生化し…2017年度の調査では生息エリアが西日本全体に広がっている。年間の農作物への被害は5800万円にものぼる。北海道大学・立澤史郎助教:ネズミの仲間なので、年に2回繁殖することもあるということで、文字通りネズミ算式に増える。もともと湿地帯の生き物で、どんどん巣穴が横に拡張して、約7mくらい中で巣穴がつながっていた例もある。あるとき突然堤防が決壊したり…。専門家によると、最も深刻なのは生態系への影響で、大阪の淀川では、希少な魚が卵を産みつける二枚貝をヌートリアが食べあさる例も報告されているという。環境省の「特定外来生物」にも指定されていて、王寺町では、えさをあげないよう注意を呼び掛ける看板を設置するとともに、7月からワナをしかけて、駆除を行っている。果たして、繁殖を食い止められるのだろうか。

(「有害鳥獣処理設備」公開、帰還困難区域でイノシシなど捕獲増加:福島)
環境省は22日、浪江町の災害がれき仮設焼却施設内に整備した有害鳥獣の軟化処理設備を報道公開した。双葉郡の帰還困難区域ではイノシシなどの有害鳥獣の捕獲量が増加、埋設地が不足しており、同省は帰還促進に向けた復興支援として処理に取り組む。軟化処理設備は仮設焼却施設の受け入れヤード内に、コンクリート壁で区切った前処理のための軟化槽を設置、軟化槽の菌床にイノシシなどを埋設して軟化処理し、残りかすを焼却処理する。軟化処理設備は7月に稼働を始め、今月9日までにイノシシやアライグマ、ハクビシンなど316頭約6.5トンの軟化処理を行い、焼却処理した。年間約780頭処理する計画。1キロ当たり10万ベクレルを超す焼却灰は中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)、10万ベクレル以下の焼却灰は国有埋め立て処分場(富岡町)で処分する。受け入れ期間は、仮設焼却施設の設置期限である2022年3月末までの予定。

(クマの生態など学ぶ市民向け講座:宮城)
クマの出没が相次ぐなか、仙台市では、市民が専門家からクマの生態や遭遇したときの対策を学ぶ講座が開かれました。この講座は、クマの生態を理解して対策につなげてもらおうと仙台市が企画したもので、およそ20人が参加しました。最初にエサを求めて養鶏場などに現れるクマの動画が紹介されました。続いて野生動物の生態を調査している企業の社員が講話し、クマは朝と夕方に活動が活発になるため特に注意が必要なことや、鈴やラジオの音は自然界にないのでクマが驚きやすく、遭遇を防ぐのに効果的であることを説明しました。宮城県によりますと、ことし4月から7月末までに県内で目撃されたクマは403頭に上り、7月19日には気仙沼市の山中で80代の男性がクマに襲われて死亡し、県などが注意を呼びかけています。講師を務めた小野晋さんは、「クマは決して凶暴な動物ではないので、もし遭遇したら騒がず落ち着いて、後ずさりをするなどの行動を取ってほしい」と話していました。

(野生鳥獣との共生ビジョン策定へ意見交換:秋田)
クマやイノシシなど野生動物が人里に現れるケースが増え、農作物の被害の増加が見込まれるなか、県が23日、研究者などを集めて人里への侵入防止策や森林の保全・管理について話し合いました。共生ビジョン策定協議会には、県や市の担当者のほか野生鳥獣の研究者などが出席しました。会議ではビジョンの骨子案が示され、意見が交わされました。県のまとめによりますと、野生動物による農業被害額は去年初めて1億円を上回りました。クマの目撃件数は、3年前に急激に増え、おととし初めて1000件を超えています。野生動物が人里に現れるケースも増えています。これまでは主に駆除や捕獲で被害の対策を行ってきましたが、ハンターの減少や山林の環境変化により個体数の管理だけでは限界になってきているといいます。共生ビジョンの骨子案では、エサになるブナの木などを野生動物の生息域に植樹し森林の保全・管理に努めるほか、人と野生動物の緩衝地帯を設けることなどが盛り込まれています。県は、専門家などの意見を踏まえ、今年度中にビジョンを策定することにしています。

(ニホンジカは絶滅種じゃない、県の継続観測種に:秋田)
秋田県版レッドデータブックで「絶滅種」としてきたニホンジカについて、県が来年の改訂版で絶滅種から外す方針であることが22日分かった。県内での生息状況を把握し、適正に管理する必要がある種として新たに設ける「継続観測種」に分類する。県内全域でシカの目撃が近年相次ぐことを受けた。レッドデータブックは2002年作成。県内に生息する野生生物のうち、絶滅の恐れがある種や生息状況に留意すべき種をまとめた。県はほ乳類・昆虫編を初めて改訂するのに合わせ、指定する種の案(レッドリスト)を今月公表した。現行のブックで「絶滅種」に分類されるほ乳類はニホンジカだけ。県自然保護課によると、本県のシカは、昭和初期に絶滅したとされていた。しかし、近年はしばしば目撃され、目撃・捕獲数は09年度に2頭だったが、18年度には84頭に増加し、本年度は30頭(14日現在)に上る。生息域も広がったとみられる。昨年11月には、本県と青森県にまたがる世界自然遺産・白神山地の本県側緩衝地域で初めて発見。ブナ原生林を食い荒らされる恐れがあり、関係機関が警戒している。

(大型わなをスマホで操作:愛媛)
今治市上浦地域で、情報通信技術(ICT)を活用したイノシシ捕獲が成果を上げている。スマートフォンで遠隔操作するタイプの大型わなを地域の農家が4月以降3基設置し、8月19日現在で計43頭を捕獲した。かんきつ類を中心に農作物の被害は深刻で、獣害の防止が期待されている。協議会によると、週に1回程度のペースでイノシシがわなに掛かっており、19日は同市上浦町瀬戸に設置した2基で計9頭(成獣2、幼獣7)を捕らえた。曽我さんは「収穫減だけでなく生産意欲の低下にもつながっている。個人が仕掛けるわなでは効果が上がらず、地域ぐるみでの取り組みが重要」と強調する。大型わなは1基約100万円で、JAおちいまばりが設置費用の半額を助成している。上浦地域での成果を受け、本年度中に管内で10基程度にまで増やしていく方針。

(光るオオカミの目?イノシシ撃退:福井)
ブランド名を示す織物製タグ「織ネーム」を製造する日本ダム(本社福井県福井市清水杉谷町、内山忍社長)は、蓄光材を使った獣害対策商品を開発し、本格販売を始めた。オオカミの目玉を模した蓄光材が夜間、青色に光り、イノシシを威嚇する効果があるという。野生イノシシが感染源とみられる豚コレラが福井県内でも問題となる中、電気柵などに比べて施工しやすい点をアピールし、県内外で販路を広げたい考えだ。同社は、太陽光や照明の光を蓄えて発光する蓄光プレートを開発し、店舗などの避難誘導用の看板として使われている。短時間の照射でも高輝度で発光できるのが特長。この技術を獣害対策に活用できないかと2017年に検討を始めた。イノシシは青色を識別することから、動物が天敵とみなすオオカミに似せた「目」を青く光らせることが有効と考えた。開発した商品「イノ用心」は、長さ75センチ、重さ75グラムの支柱の上部に、目玉型の二つの蓄光材がバネでぶら下がっている。昼間に太陽光を蓄え、夜間に約8時間光る。設置方法は、水田の周囲などに5~10メートルの間隔を開け、支柱を土壌に約15センチ刺す。電源や配線は不要。風で目玉が揺れて不規則な動きをするため「イノシシが慣れることもない」(同社)という。17年秋以降、福井市やあわら市など県内外14カ所の水田や畑で試験施工。同社が設置した暗視カメラでは「イノ用心」に近づいたイノシシが後ずさる様子が確認できた。設置した農家からも「イノシシが来なくなった」という声が寄せられている。昨年から水田に「イノ用心」を設置している福井市美山地区の農事組合法人「HJK」の半原定男社長は「(設置する)間隔を狭めたり、電気柵や侵入防止用のネットと併用したりすることでさらに効果が高まるのでは」と話している。メーカー希望小売価格は1本1980円(税別)。同社によると、100メートルあたりで一般的な電気柵は約3万円だが、イノ用心は約2万円(10メートル間隔に設置)。蓄光材は半永久的に光り続ける。福井県によると、18年に鳥獣害に遭った県内農地の面積は146ヘクタールで、獣種別ではイノシシが約8割を占めた。商品開発部の乾義明課長は「軽くて高齢者でも簡単に取り外しできる。農作物被害に悩まされている方の役に立てれば」と話している。県内のホームセンターなどで販売している。

(ジビエ加工センター、「国産ジビエ認証」取得:長野)
長野市ジビエ加工センター(長野市)はシカやイノシシなど野生鳥獣のジビエ肉が衛生上安全に加工処理される施設として、国の認証を取得した。農林水産省の「国産ジビエ認証施設」に認証される施設は長野県内では2件目、全国では8件目となる。取得をきっかけに、飲食店などにジビエ肉の販売を始める。販売価格の目安はシカ肉の場合、ロースが1キロ4000円。イノシシのロースは同4500円程度を見込む。ロースのほか、モモ肉やバラ肉なども販売する予定。4月に開設した同センターは7月からの本格稼働に伴い、ペットフード向けなどに販売していたが、食用は売り出していなかった。国産ジビエ認証制度は農水省が2018年5月に始めた。県内では信州富士見高原ファーム(富士見町)、他府県では京都府や徳島県の施設などが認証されている。

(限定10食「熊骨ラーメン」:愛知)
「クマに襲われた、と感じてもらえる味を」。ジビエの提供に力を入れる愛知県新城市八束穂の道の駅もっくる新城で、ひときわ異彩を放つ逸品がある。1日限定10食の「熊骨ラーメン」だ。その名通り、ジビエの中でも流通の珍しいクマの骨でだしを取っている。同道の駅では普段から、物産コーナーでシカやイノシシ肉はもちろん、クマやウサギ、キジ肉など変わり種ジビエまで取り扱う。食事コーナーでは、シカ肉のカレーなどを味わうことができるほか、ジビエをメニューに取り入れたランチバイキングもある。駅長の田原直さん(49)よると、ジビエの提供を充実させて以降、道の駅の売り上げ全体も好調に推移しているという。熊骨ラーメンは、さらなる目玉商品として、昨秋から提供を開始。クマの骨は味が深いといい、70~80度で3~5時間、ゆっくり煮出す。出来上がったスープは濁りもなく、一見すると癖はなさそう。しかし、そこはジビエ。個体ごとに味はさまざまで、「クマに殴られた」(田原さん)と感じるほど濃厚なだしが取れるときもあれば、上品な味に仕上がる日もある。もっくるでは野性味あふれるスープを、鶏がらスープで割って調整。クマの肉の脂身の甘さが、鼻に突き抜けるくらいの濃さに調整する。トッピングは、塩こしょうで焼いたクマ肉と、匂い消しのタマネギ。よくスープがからむ細麺と素揚げゴボウ。風味を楽しんでもらおうと、塩ラーメンで提供している。クマ肉は希少だが、もっくるでは長野県飯田市のジビエ加工業者から融通してもらっている。100g1700円ほど。原価は材料費だけで900円かかっているが、価格は1杯1200円。田原さんは「ジビエの登竜門として食べてほしい」と話している。

(イノシシ肉を新名物に:長崎)
長崎県東彼波佐見町の地域おこし協力隊員で猟師の近藤晋一さん(44)は、町内で捕獲したジビエ(野生鳥獣肉)料理を新名物として売りだそうと奮闘している。地域のイベントに出向き、「イノシシの丸焼き」を実演。インパクトのある見た目で引きつけ、おいしさを知ってもらう作戦だ。28日の「はさみ夏祭り」にも登場する。近藤さんは長崎市出身。数年前に狩猟免許を取得した。有害鳥獣の駆除をするうちに、埋設か焼却処分しかないイノシシを食用にできないかと考えるようになった。ジビエ活用に前向きな波佐見町で4月、地域おこし協力隊員に着任。町内の食肉処理施設「波佐見tracks(トラックス)」を拠点として普及促進に取り組んでいる。イノシシの丸焼きは7月から町内各地で披露。内臓を取り除いたイノシシを回転させながら焼き、来場者に振る舞う。火が通るまでに時間がかかり、労力はいるが、集客効果は抜群。写真や動画を撮る人も多いため会員制交流サイト(SNS)での情報発信も期待できるという。近藤さんは「『残酷だ』と眉をひそめる人もいるかもしれないが、『命をいただく』意味を実感してほしい。実際に食べるとおいしいので、波佐見のジビエが定着するように発信をしたい」と話している。

(〝いいとこ取り〟の猟師生活:千松信也)
京都の山中。11月15日の狩猟解禁日に罠(わな)を仕掛けたそのときから、僕の猟は始まる。前日までに入念に山の下見をし、狙っているシカやイノシシの残した痕跡からその行動を判断し、頻繁に使っているけもの道を見つけ出す。糞や足跡、ドングリの食痕、木に残された傷や泥跡。それらのヒントから見えない獲物の姿を想像する。山の中のけもの道は無数に枝分かれしているが、そのなかの有望そうな道を選んで5~10丁ほどの罠を仕掛ける。けもの道に直径12センチの穴を掘り、そこを獲物が踏んだら鋼鉄製のワイヤーがその獲物の脚を括って捕獲する〝くくりわな〟というタイプの罠を使っている(くくりわなの直径はクマの錯誤捕獲防止のため法令で12センチ以下と定められている)。罠を仕掛けたら、その後はいつ獲物が掛かるかわからないので毎日の見回りが必須になる。日本で認められている法定猟法は大きく分けて3つある。銃と罠と網。そのうち、銃による猟は日の出から日没までと決められている。網猟も特殊なものを除くと張りっぱなしの網は許可されておらず、自分で操作する網を用いるのが原則となっている。そういう点では、罠猟だけが〝24時間営業〟の猟のスタイルと言えるのかもしれない。僕は運送会社の準社員として働き、現金収入を得ているが、猟のシーズンはだいたい週3日ほど働いている。仕事のある日は出勤前の早朝か仕事が終わった後、山の見回りに行く。冬場の猟の時期は日が落ちるのが早いので、暗くなってからヘッドライトをつけて見回ることもある。くくりわなは獲物を傷つけるようなタイプの罠ではないが、掛かった獲物を長時間放置すると、暴れたときに起きる怪我や打撲などで肉質が低下してしまっていることが多く、場合によっては死んでしまったりする場合がある。美味しい肉を得るためにも、獲物を無駄に苦しませないためにも毎日の見回りは欠かせない作業だ。見回りでは、獲物が掛かっているかどうかをチェックするわけだが、そのけもの道に狙っている個体が来たかどうか、来ているならなぜ罠を踏まなかったのか、前夜に残された足跡などからそれらを推測しながら歩いていく。時には、罠の直前ギリギリのところで罠に気づきUターンしている足跡を見つけることもある。僕がこうやってけもの道を歩くように、シカやイノシシもこのけもの道を歩きながらクンクンと地面のニオイを嗅ぎ、「なんか怪しい人間が来ているぞ。用心しないと」なんて思っているのだろう。雨が降ろうが風が吹こうが、自分が風邪を引いていようが、見回りには必ず行かないといけない。一つの山をだいたい30分程度で回れるような感じで罠の配置を調整し、2~3つの山に罠を仕掛けるのが例年のパターンだ。それぞれの山の間の移動時間などを考えると、見回りの所要時間はだいたい2~3時間となる。これはその年の自分の忙しさとの兼ね合いで、もっと規模を縮小する場合もある。子どもが保育園に通っている頃は園の送迎などもあったので、罠の数も今より減らしていた。ただ、この所要時間はあくまでも獲物が掛かっていなかった場合の話。獲物が掛かっていた場合、かかる時間は格段に延びる。見回り時に罠に掛かった獲物の姿が見えたら、まずは遠くから状況を確認し、問題なければ獲物を驚かせないようにその場を離れ、次の罠のチェックに向かう。ワイヤーが木に絡んで獲物が変な体勢で倒れ込んでしまって弱っているような場合以外は、発見してもすぐに止め刺しは行わない。まずはすべての罠を見回って、全体の状況を把握してからの作業になる。1日に2頭、3頭とまとめて掛かっていることもたまにあるからだ。その場合は、搬出ルートやそれぞれの獲物の状態などを考慮して、もっとも効率の良い作業手順を頭で組み立ててから作業に取り掛かる。獲物が掛かっていると、その止め刺し&血抜き、搬出、ハラ(内臓)出し、冷却作業など、一連の作業を終えるのに1頭あたり2時間ほどは余計に掛かる。罠猟は単独猟が基本なので、獲物を山から引きずり出すだけでも大仕事だ。夕方から見回って獲物が掛かっていたときは全部の処理を終えたら深夜になっていることもしばしばだ。そんな見回りの手間を省くために最近は罠に取り付けるセンサーなんかも売られている。罠が作動したらその連絡が携帯電話に送られてくるというものだ。なかには現場の映像までデータ送信されてくるものもある。僕は、「昨日の夜からぐっと冷え込んだし、今日はボチボチ掛かってるかもなあ」なんて言いながら毎日けもの道を歩くのが楽しいので、「そんな便利なもんもあるんやな」くらいに思ってあまり興味がなかったのだが、先日センサーを実際に使っているという人と話す機会があり、意外な話を聞いた。「いやあ、見回りせんでええし、時間の節約になると思ったら逆やってなあ。獲物が掛かってへんかどうか気になって携帯電話のメールばっかりチェックしてまうんやわ。しかも仕事中に獲れとる写真が送られてきたら、逃げへんか気になって仕事が手に付かんし、夜中にメールが来たらやっぱり目え覚めてまうし……。24時間いっつもわかるってのも考えもんやで」僕が猟を始めたのは大学生の頃。大学での勉強に意義を見いだせず、4年目の春から4年間休学していた。学費・生活費も自分で稼がないといけなかったので、最初の1年はひたすらバイトに精を出したが、その後は海外を放浪したり、なんでも面白そうなことに手を出したりしていた。狩猟免許を取って罠猟を始めたのも、最初はそんな〝面白そうなこと〟の一つでしかなかった。子どもの頃から動物が好きで、動物たちと関わる暮らしがしたいという思いは常々あったが、貧乏学生だった当時の僕はどっちかと言うと「がんばれば、何十キロもの肉がタダで手に入るなんて最高やん」というような単純な動機で猟を始めた。それが、気づけば今年でもう19年目になる。最初は「猟師になる!」なんて気持ちは全然なく、気軽に始めたのだが、それがどっぷりとハマってしまい、8年後には『ぼくは猟師になった』なんてタイトルの本まで出してしまったのだから面白い。ちなみに、猟師だと言っても僕は自分が獲った獲物の肉を販売して生計を立てているわけではない。自分や家族、友人たちで分け合って1年間で食べ切れるだけの量の獲物を1シーズンで捕獲する。それは数で言えば、シカ・イノシシ合わせて10頭程度。肉200キロくらいだ。

(廃棄の鹿皮、商品に:長野)
長野市南千歳1でイタリア料理店「Piu’Lungo(ピュルンゴ)」を営む長崎晃さん(34)が、鹿の皮を使った革製品のブランド「Inswirl(インスワール)」の設立を目指している。店でジビエ(野生鳥獣の肉)が人気を博す一方、その皮は産業廃棄物として処分される。「皮もおしゃれな商品として生かし、人にも地球にもやさしいライフスタイルを確立したい」と、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

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(車内で猟銃暴発、男性重傷:三重)
18日午後5時35分ごろ、三重県紀北町上里の県道に駐車していた軽トラック内で、松阪市の無職男性(63)が所有する猟銃(ライフル銃)の弾が、助手席に座っていた娘の夫で同市会社員男性(39)の右足のひざ下に当たる事故が起きた。娘の夫は重傷を負ったが命に別条はないという。尾鷲署によると、男性は町から有害駆除の許可を受けており、サル駆除のため同5時半ごろ、上里小学校近くの山林に入り、1匹を駆除した。娘の夫は見学のため同行し、車内で待っていた。男性が駆除を終え、運転席に猟銃を置こうとした際、暴発したという。男性は「私の責任です」と話しており、同署は業務上過失傷害の疑いを視野に入れて詳しい経緯を調べている。

(「ジビエハンター」認定へ、野生鳥獣処理で研修制度)
農林水産省などは、シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉「ジビエ」の利用拡大に向け、捕獲してから処理加工施設に搬入するまでの間、血抜きなどの衛生処理を適切に行える「ジビエハンター」の認定制度を2020年度にも創設する。肉を安全かつ良質な状態でさばいて運べるハンターを増やし、流通量拡大と有害鳥獣の有効活用につなげたい考えだ。野生鳥獣をジビエとして活用する際、肉に細菌が付着したり臭みが出たりしないよう、現場のハンターには衛生的に処理する技術が求められる。まず内臓を傷つけないよう腹部以外を撃たねばならないほか、捕獲した現場で速やかに血を抜く作業が必要だ。農水省は18年度、国産ジビエについて、衛生管理基準や流通規格を順守している処理加工施設の認証制度を創設。7月時点で7施設が認証されているが、施設に運び込むハンター個人の技術や能力を認定する制度はない。そこで、座学と実技によるハンター向けの研修を全国展開。高度な捕獲技術を持ち、適切に衛生処理できる捕獲者を「ジビエハンター」として認定し、施設に運び込める肉を増やせる仕組みをつくる。狩猟免許(銃、わななど)を持っている人は、16年度で約20万人。農水省は現在、厚生労働省、環境省などと合同で、野生鳥獣を処理加工施設に運び込むまでの衛生管理に関するマニュアルを作成中。捕獲から搬入までの具体的な手順を示す。今年度末までに完成させる予定で、捕獲現場で活用してもらうと同時に、研修にも取り入れる意向だ。

(住宅街に出没繰り返すヒグマ射殺、猟友会に依頼:北海道)
札幌市は14日、市内の住宅地で今月上旬から出没を繰り返していたヒグマについて、人に危害を与える恐れがあるとみて猟銃で駆除した、と発表した。によると、ヒグマは13日夜から14日未明にかけて、同市南区の住宅地に断続的に姿を現した後、午前4時半ごろやぶに入って姿が見えなくなった。市の依頼を受けた北海道猟友会のメンバーと警察官、市職員ら十数人が出動して追跡。姿を見失った地点から約400メートル南の山中でヒグマを発見し、午前6時6分に射殺した。体長140センチ、体重128キロの雌で、住宅地で頻繁に目撃されていたクマと同一の個体と確認した。同市南区では6日から連日、ヒグマの出没が続いた。夜間だけでなく日中も姿を現し、トウモロコシなど畑の作物を食べるなどしていた。当初は人を避けていたが、最近は車が通っても逃げずに居座るようになっていた。

(ヒグマ駆除後も苦悩、1週間に意見530件:北海道)
札幌市南区の住宅街に出没を繰り返したヒグマが銃器で駆除されてから21日で1週間。市の対応に道内外から賛否の意見が相次ぐ。市内では依然としてヒグマの出没情報が続くものの、侵入を防ぐ手だてに乏しく、市は対応に苦慮している。市によると、ヒグマ駆除に関する意見は電話とメール、はがきの合計で20日までに530件に達した。内訳は「反対・抗議」が5割強、「賛成」と「どちらでもない」が各2割ほど。道外は反対・抗議が大半で、道内は賛成が多いという。今回被害に遭った南区藤野・簾舞(みすまい)両地区でヒグマが住宅街に居座るようになった要因の一つに、プラムやリンゴ、トウモロコシなど家庭菜園の農作物が指摘されている。南区はもともと果樹園の広がっていた場所で、ここに住宅地の開発が進んだ。サクランボやリンゴなど当時の果樹が庭先などに残り、近年はクマを引き寄せる餌になっている。専門家は有効な対策として電気柵を推奨するが、昨年からクマの出没が増えていたにもかかわらず、備える世帯はわずかだった。札幌市はクマ対策として、2017年度から家庭菜園用の電気柵を1年目に限り、無料で貸し出す制度を開始。80セットを用意したが、貸し出しは17年度が28セット、18年度が65セットにとどまる。19年度は20日までに約60セットを貸し出したが、半数はクマが連続して出没するようになった8月5日以降。市は本年度、利用を呼び掛けるアニメを制作するなどPRに努めるが、市は「自分の所は大丈夫と思う方もいる」(担当者)と、なかなか普及しないのが現状だ。クマが最初に出没した時点で、ゴム弾や花火などで威嚇し、追い払う手段もある。しかし、逆に興奮させてしまう危険も伴う。市は「追い払いは、職員だけではできない」と警察と連携し、車で森に追い返していたが、クマは餌を求めて何度も住宅街に戻ってきた。札幌近郊ではクマの個体数が増えているとみられ、依然としてクマの出没が続く。19日も札幌市南区、北広島などで目撃情報があり、20日は札幌市西区小別沢でクマによるトウモロコシなどの食害があった。市は「札幌には山と接する地域が多くあり、市だけで対策を施すのは難しい。電気柵の設置や生ごみの管理の徹底などを呼び掛けるしかない」と悩む。北大大学院獣医学研究院の坪田敏男教授(野生動物学)は「専門的な判断ができ、技術もある人を市が常時抱えておく必要がある」と話す。

(県北部の狩猟禁止:三重)
いなべ市の養豚場での家畜伝染病「豚(とん)コレラ」発生を受け、県は十一月からの本年度の狩猟期間中、同市など県北部でイノシシやシカの狩猟を認めないことを決めた。野生イノシシがウイルスを運んでいる可能性がある地域のため、狩猟者や車にウイルスが付いて拡散することを防ぐ。県は例年、十一~三月に愛好家らに狩猟を許可しているが、本年度はいなべ、桑名、四日市、鈴鹿、亀山市と菰野町を狩猟禁止区域にする。同様の措置は、昨年度、既に豚コレラが発生していた愛知、岐阜両県でとられたという。一方、農作物を食べるなどの動物を駆除する「有害捕獲」は、この狩猟許可とは別制度のため、年間を通して実施できる。県は野生イノシシでの豚コレラ確認以降、いなべ市を中心に地元猟友会と協力してイノシシの有害捕獲を続けている。これまでに百四十頭を捕獲して全頭を検査した。豚コレラに感染していたのは、六月二十七日と七月一日に捕獲された計四頭のみだった。捕獲は検査に加えて、イノシシ数の減少も目指すが、県畜産課の担当者は「現実には数を減らすところまではなかなか難しい」と話している。また県は十六日、いなべ市で豚コレラが発生した養豚場から半径十キロの豚の搬出制限を解除した。国が定める感染防止策のスケジュールに合わせた措置だが、現場から十キロ圏にはほかの養豚場がないため、監視体制に大きな変化はないという。

(ワクチン、野生イノシシの74%で免疫確認:愛知)
県は19日、野生イノシシを介した豚コレラの感染拡大を防ぐために散布している経口ワクチンについて、散布地域で捕獲したイノシシのうち、74%で豚コレラに対する免疫ができていることを確認したと発表した。

(シカと衝突?オートバイで転倒の男性死亡:滋賀)
18日午前3時半ごろ、大津市八屋戸の県道で、同市大石東5丁目、会社員の男性(48)が倒れているのを通りがかった車の運転手が見つけ、119番した。男性は頭などを強く打ち、死亡した。近くには男性のオートバイと、シカ(体長約1・5メートル)が横たわっており、滋賀県警大津北署は衝突したとみて調べている。現場は、見通しが良い片側1車線の直線で、付近には住宅が点在している。

(クマに襲われけが、ドクターヘリで搬送:秋田)
18日午前8時半ごろ、秋田県北秋田市坊沢字大野宮後の畑で、草刈りをしていた近所の会社員男性(60)がクマに襲われ、頭や顔、腕にけがを負った。重傷とみられる。北秋田署によると、男性は自身が所有する畑に車で向かい、1人で作業している際にクマに襲われた。自分で車を運転し、市内の病院を受診。けがの程度が重いため、ドクターヘリで青森県弘前市の病院に搬送された。搬送時に意識はあったという。

(クマ捕獲へ、おり設置:秋田)
秋田県北秋田市でクマによる人身被害が出たことを受け、県は19日、同市の県北秋田地域振興局で緊急対策会議を開き、市や警察、地元猟友会などの19人が再発防止や捕獲に向けた連携について協議した。同市坊沢では18日午前8時半ごろ、畑で草刈り中の会社員男性(60)がクマに襲われ、頭や顔、両腕などに重傷を負い、青森県弘前市内の病院で手当てを受けた。命に別条はない。会議で市農林課は、19日に現場近くに捕獲用のおり1基を設置し、9月17日まで置くことを報告。地元猟友会は「クマは数キロの範囲を移動して餌を探し回るので、おりを3基ほどに増やした方が良いのではないか」と提案した。県自然保護課は本年度の県内のクマの出没、被害状況などを説明。18日までに、いずれも朝の時間帯に4件の人身事故が発生したと報告した。

(新聞配達の60代女性、クマに襲われけが:秋田)
14日未明、秋田県大仙市で新聞配達中の60代の女性がクマに襲われ、顔などにけがをしました。クマは立ち去って見つかっておらず、警察は付近の住民に注意を呼びかけています。14日午前3時半ごろ、秋田県大仙市太田町の住宅の敷地で新聞配達をしていた60代の女性がクマに襲われました。警察によりますと、女性は顔や頭などにけがをして病院で手当てを受けていますが、命に別状はないということです。現場は山のふもとの住宅が点在している地域で、女性を襲ったクマはその場を立ち去り、捜索しましたが見つかっておらず、警察は付近の住民に注意を呼びかけています。

(年度初クマ対策会議:秋田)
大仙市の住宅敷地内で14日に新聞配達中の女性がツキノワグマに襲われて負傷したことを受けて県は15日、同市で今年度初となる「ツキノワグマ被害緊急対策会議」を開いた。地元猟友会や大仙署などの関係者15人が参加し、被害状況を確認して今後の対応を協議。

(男性がクマに襲われる:青森)
16日昼ごろ、十和田市の山林で、70代の男性がクマに襲われ、顔などにケガをしました。十和田市や消防によりますと、男性は命に別状はないということで、市では、看板を設置するなどして、住民に注意を呼びかけることにしています。16日正午ごろ、十和田市切田の山林で、市内に住む70代の男性が突然、クマに襲われました。男性は自力で消防に通報し、その後、ドクターヘリで八戸市内の病院に運ばれて手当を受けています。十和田市や消防によりますと、男性は、右のほおを深く切っているほか、胸や手にケガをしているということですが、命に別状はないということです。十和田市は、現場周辺に急ぎ看板を設置するとともに、市民向けのメールを送るなどして、クマに注意するよう呼びかけることにしています。

(起きたら台所にクマ:福島)
夜中に起きたら台所にクマ――。14日午前3時20分ごろ、猪苗代町蚕養の50代の男性宅にクマが侵入した。猪苗代署によると、2階で寝ていた男性が物音に気づき、1階に行くとクマがいたという。その後、クマは外へ出て男性にけがはなかった。署によると、クマは玄関の網戸を破って入ってきたとみられ、台所の米ぬかが荒らされていた。町農林課によると、男性宅のある集落周辺では、以前からクマの目撃情報があったという。現場は中ノ沢温泉に近い住宅が点在する山間部。町は付近の山林内にワナを仕掛けるとともに、クマのエサとなる生ゴミを夜中に出さないことや、作物を早めに収穫するなど、注意を呼びかけている。

(ヒグマの飼い犬襲撃、全て同じクマと判明:北海道)
根室管内羅臼町では、ヒグマが飼い犬を襲う被害が相次いでいる。昨夏に1件、今夏は7月から8月上旬に3件あり計5匹が死んだ。ふんに残されたDNAから全て同じクマと判明。町などは飼い犬を室内に入れるよう促す一方、駆除の態勢を強めている。一方、釧路管内標茶町では乳牛や肉牛がクマに襲われる被害が相次いでいる。飼い犬被害は羅臼町内で昨年の8月1日、今年は7月10、27日、8月3日に発生。周辺にあったふんを野生生物の調査・研究などを行う知床財団(オホーツク管内斜里町)が北大に委託して調べた結果、全て同じクマだった。雄の成獣とみられる。通常のクマはドングリやフキ、シカなどを食べるが、このクマは犬を捕食。クマは一度味をしめると執着する習性があり、羅臼町などは「駆除やむなし」として被害後、現場周辺に箱わなを設置してきたが、今夏の相次ぐ被害を受け、町内のハンターに加え、他町のハンターにも協力を要請して駆除態勢を強化した。町民には夜間、飼い犬を屋内に入れたり、クマが潜みやすい家屋周辺の草を刈ったりするよう呼び掛ける。雄グマの成獣の行動範囲は半径50~60キロと広く、このクマの毛は、昨年8月下旬に羅臼町西側の斜里町ルシャ地区でも見つかっている。財団の山中正実事務局長は「エサを食べているクマを追い払おうとすると反撃される恐れがある」と指摘し、クマに遭遇した場合は刺激せず、町や財団への通報を促す。

(こまち、クマと接触:秋田)
15日午後2時ごろ、JR田沢湖線赤渕(岩手県雫石町)-田沢湖(秋田県仙北市)間で、東京発秋田行き秋田新幹線「こまち19号」がクマとぶつかった。安全確認のため32分遅れが出て、約200人に影響した。乗客乗員にけがや、他の新幹線への影響はなかった。JR東日本盛岡支社によると、赤渕駅から約2キロの地点。接触後、クマは見えなくなったという。秋田新幹線は在来線の田沢湖線を走るミニ新幹線。

(民家にクマ、台所の煮物やみそ食い荒らす:岩手)
15日午前0時半ごろ、花巻市鉛の女性(87)方に成獣とみられるクマ1頭が侵入した。1階台所の出窓から入ったとみられ、リンゴや煮物などをあさった跡があった。女性は隣人宅に逃げて無事だった。花巻署によると、目を覚ました女性が台所の流し台の前にいるクマを発見し、隣人宅に避難。女性は4時間半後に帰宅し、被害を確認した。台所には泥が残され、鍋や炊飯器がひっくり返るなど荒らされていた。みそを多く食べられた。現場は市営鉛温泉スキー場の北方約1キロで、民家が点在する地域。女性は「カチカチと音がして、家の中の電気をつけたら台所にクマがいたので、刺激しないようにこっそり逃げた。数日は親戚の家に泊まりたい」と声を震わせた。

(クマが住宅侵入:広島)
15日夜、廿日市市でクマが80代の女性の住宅に窓ガラスを破って押し入り、台所を荒らしました。女性は住宅の外に避難し、けがはありませんでしたが、クマはその後、姿を消し、市などが注意を呼びかけています。15日午後9時すぎ、廿日市市吉和に住む80代の女性から「クマが家の中に入ってきた」と消防に通報がありました。これを受けて、市の職員などが現場にかけつけた際には、すでにクマは姿を消していましたが、台所の窓ガラスが割られていたほか、冷凍庫の中が荒らされていました。通報した女性によると、大きな物音がしたため台所を見に行ったところ、クマが窓ガラスから顔をのぞかせていて、女性はスリッパで床をたたいて、クマを追い払おうとしたということです。このあと女性は、近くの家に逃げたため、けがはありませんでした。女性は「本当にびっくりしました。スリッパで大きな音を出しましたが、全然効果がなくて、とても怖くなり逃げました」と話していました。現場は、廿日市市北部の山沿いの地域にある住宅地で、被害があった住宅から500メートルほどのところに保育園や小中学校があります。廿日市市によりますと、ことしに入ってからのクマの目撃情報は20件と、去年の6倍以上に増えていて、市は地域に捕獲用のわなを設置するとともに、住民に注意を呼びかけています。

(住宅侵入のクマ、殺処分:広島)
クマは今月15日、住宅の窓を破り侵入した。冷蔵庫の中の物を食べるなど台所を荒らしたという。廿日市市はワナの檻をしかけていたが19日捕獲した。見つかったのは体長128センチのツキノワグマで、広島県などの職員立ち合いのもと殺処分された。

(クマ3頭目撃、一部散策路を閉鎖:秋田)
秋田県大館市教育委員会は16日、クマに遭遇する恐れがあるとして同市長走の長走風穴散策路の一部を閉鎖した。解除時期は未定。

(クマに襲われ乳牛被害相次ぐ:北海道)
標茶町で7月中旬以降、乳牛がクマに襲われる被害が相次ぎ、15日には同町上茶安別の放牧地で1頭の死骸が見つかった。これまでに18頭が襲われたとみられ、うち8頭が死んだ。町は5カ所に箱わなを設置。ハンターと共に町内を巡回し、警戒にあたっている。

(ヒグマまた被害?肉牛3頭がけが:北海道)
ヒグマによるとみられる家畜の被害が相次いでいる標茶町で19日、肉牛3頭が背中などにけがをしているのを放牧地のスタッフが見つけた。クマの爪痕と見られる。同町上茶安別の放牧地で同日午前10時ごろ発見され、被害を防ぐため放牧中の約60頭をその日のうちに各牧場に戻した。

(ワゴン車がクマと衝突:北海道)
17日午後7時25分ごろ、渡島管内森町姫川の道央道上り線で、ワゴン車がクマ1頭と衝突した。けが人はいなかった。この事故で森インターチェンジ(IC)―大沼公園IC間が上下線で約40分間通行止めになった。道警函館方面本部函館機動警察隊によると、クマは体長約2メートルで体重約150キロの雄。衝突後にその場で死んだ。現場は森ICから函館方面に約3キロの地点。

(クマ目撃、ふんや食害も:北海道)
18日午後6時35分ごろ、北広島市西の里の市道で、歩いて通りかかった男性がヒグマを目撃し、札幌厚別署に通報した。同署によるとクマは市道を歩いていて、道路脇のやぶに入ったという。これに先立つ同日午前8時半ごろには、近くでクマのふんが見つかった。同署員が周囲を調べたところ、約50メートル離れた住宅の家庭菜園で足跡と、トマトなどが食べられた跡が見つかった。現場は道立野幌森林公園から南に約1・5キロの工場や住宅が点在する地域。

(クマ出没か、鶏小屋が壊される:栃木)
19日午前8時10分ごろ、那須塩原市塩原、会社役員男性(70)方の鶏小屋が壊されていると通報があった。那須塩原署によると、周囲にクマのものと思われる足跡や爪痕が残されていた。けが人はなかった。同署によると、18日午後6時半ごろから19日午前7時半ごろまでの間に被害にあったという。

(クマと貨物列車衝突:北海道)
20日午後7時50分ごろ、上川管内占冠村のJR石勝線占冠―新夕張間で、新富士(釧路)発札幌行きの貨物列車がクマ1頭と衝突した。運転士1人にけがはなかった。この衝突で貨物列車のブレーキに不具合が生じて走行できなくなり、クマも線路に横たわったままとなった。JR北海道は20日の札幌―帯広、釧路間の特急列車計5本を運休または部分運休したほか、21日午前6時45分帯広発札幌行きの特急スーパーとかち2号の運休も決め、合わせて約600人に影響が出た。同社とJR貨物は21日早朝にクマと列車の除去作業を行うという。

(クマの食害、トウモロコシ食べられる:北海道)
20日午前10時ごろ、札幌市西区小別沢の畑で、トウモロコシなどが食べられた跡を、畑の所有者の男性が見つけ、札幌西署に通報した。同署員が駆け付けたところ、畑にクマの足跡や毛が残されていた。同署はクマによる食害とみて注意を呼び掛けている。同署などによると、畑のトウモロコシ7本ほどとプラム数十個が食べられていたという。現場は市立福井野小から南に約1キロの住宅が点在する地域。

(豚コレラ、感染イノシシ1000頭超)
豚コレラに感染したイノシシが19日、合計1008頭に達した。感染は6県53市町村に広がり、うち31市町村852頭と8割以上を岐阜県が占める。検査や狩猟の体制が整っていない県もあり、検査していないイノシシにも陽性が広がっている可能性があり、防疫対策の徹底が重要になっている。19日までの各県発表で岐阜の他、愛知県5市76頭、長野県9市町村64頭、福井県4市町7頭、富山県3市5頭、三重県1市4頭。岐阜県は県境の市町村でも広がり、県全体の42市町村のうち31市町村に広がった。愛知県ではここ最近、豊田市の感染イノシシが目立つ。同県は、各地域で狩猟体制が異なり、同市では調査捕獲したイノシシの数が多いことも同市が目立つ要因の一つとみている。福井県は7月25日以降検査していない。二つの養豚場から豚コレラが発生したため、殺処分など防疫措置などに人員が必要となり、検査に人が回らないためだ。20日以降は検査を再開する。この間に調査捕獲したイノシシは検査せずに焼却などで処分しており、県は「検査を再開すればかなり増える可能性がある」としている。富山県は7月30日からの検査で3市から5頭の感染を確認した。県は「感染状況を踏まえると今後も広がっていく恐れがある。相当な危機感がある」とする。三重県は検査は毎週実施しているが、6月27日以降、陽性は見つかっていない。県は「他県では発生しており、これで収束したとは思っていない。危機感が強い」と話す。8月に入り雄だけでなく、雌の感染も目立つ。イノシシは初夏などに繁殖シーズンを迎える。雄は単独行動だが、雌は出産し数週間たてば子どもを連れて行動する。このため餌が増える秋にかけて、さらにイノシシの行動範囲が広がる可能性がある。

(感染イノシシ、859頭に:岐阜)
岐阜県は21日、同県関ケ原町で初めて、豚コレラに感染したイノシシ1頭が見つかったと発表した。中津川市など2市1町でも3頭見つかり、県内で感染を確認した野生イノシシは計859頭となった。県によると、関ケ原町では17日、滋賀県境から約3・4キロの山中でわなにかかっているのが発見され、21日の岐阜県の検査で陽性と分かった。感染イノシシが確認されたのは、県内42市町村のうち32市町村となった。

(豚コレラ感染の野生イノシシ64頭に:長野)
県は16日、木曽郡木曽町の野生イノシシ2頭で豚コレラの感染を新たに確認したと発表した。15日にも同町で1頭、塩尻市で2頭の計3頭が確認され、県内での野生イノシシの感染確認は計64頭になった。新たに監視対象農場となる養豚場はなく、従来通り塩尻市の2施設のみ。感染を確認したのは13、14日に捕獲したり、死んだ状態で見つかったりしたイノシシで、県松本家畜保健衛生所(松本市)が遺伝子検査した。発見地点から半径10キロ圏内で、より厳重な豚コレラ検査が必要な「調査対象区域」に含まれるのは中南信の24市町村で変わらない。

(野生イノシシ、5頭目陽性反応:富山)
県は16日、砺波市井栗谷で14日に捕獲された野生イノシシ1頭から、豚コレラの陽性反応が出たと発表した。県内では5頭目。県農業技術課によると、イノシシは体長約90センチの雌の成体で、山中に設置したわなにかかっていた。

(豚コレラ、ワクチン散布開始:石川)
中部地方を中心に猛威をふるう豚コレラへの対策で、県は20日、かほく、津幡両市町の山間部で野生イノシシ用の経口ワクチンの散布を開始した。22日までに50カ所に計1000個を散布し、能登地区にある養豚農場へのウイルスの侵入を防ぐ。

(新たにワクチン散布:三重)
いなべ市の養豚場で豚コレラが発生し、感染拡大が懸念されている問題で、県は21日、新たに四日市、鈴鹿、亀山市でも野生イノシシにえさと一緒に食べさせるワクチンの散布を始めるとともに、いなべ市など3市町でも2回目の散布をする。新たな散布は、四日市市の30カ所と鈴鹿、亀山両市の各20カ所の計70カ所。

(住宅街でクマ目撃:富山)
16日午後9時半ごろ、魚津市吉島の国道8号吉島西交差点付近で体長60センチほどのクマ1頭が山側に走っていくのを目撃したと、車で近くを走行していた男性が110番通報した。同署と同市、猟友会が同11時ごろまでと、17日午前6時から約1時間、周辺をパトロールしたが、クマの痕跡は見つからなかった。同署などは住民に注意を呼び掛けた。目撃地点は、あいの風とやま鉄道魚津駅の東約1キロの住宅街で、近くには清流小や認定こども園、リンゴ園などがある。

(クマ目撃相次ぐ:福島)
県内で18日、クマの目撃が相次いだ。けが人はいなかった。18日午前2時ごろ、猪苗代町で、自宅敷地内にいる1頭を目撃したと、自宅で就寝中の60代女性が猪苗代署に通報した。同署によると、体長は約1メートル。物音がして女性が自宅の外を見たところ、クマがいたという。女性宅の網戸が破かれ、窓枠ごと落下していた。また、17日午後10時50分ごろに喜多方市の住宅玄関前で1頭を目撃したとして家人の男性が18日午前、110番通報した。このほかにも同市と下郷町で各1件のクマ目撃の通報があった。

(またクマの痕跡:北海道)
19日午前9時10分ごろ、北広島市西の里の畑で、作業に訪れた男性がヒグマのふんを発見し、110番した。札幌厚別署員らが付近を捜索したところ、畑のメロンが食べられた跡も見つかった。クマは見つからなかった。同署によると、現場は道立野幌森林公園から南に約1・2キロの工場や住宅が点在する地域。周辺では18日にもクマの目撃情報があり、同署が注意を呼び掛けている。

(ヒグマ出没相次ぐ:北海道)
白老町内でヒグマの出没が相次いでいる。6月以降、ポロト湖周辺を中心に社台から虎杖浜までの広範囲で26件の目撃情報が町に寄せられている。町は農業被害の拡大を防ぐため20日、トウモロコシ畑が食い荒らされた社台地区で捕獲用の箱わな1基を設置した。町によると、町内でのヒグマの目撃情報は今年、6月11日以降に続々と寄せられ、今月20日時点で前年同期比17件増の26件に上っている。16日午後2時20分ごろには、町内白老の町道で、車を運転していた男性が体長約1・2メートルのヒグマと遭遇。人畜への被害は確認されていないが、現場はポロト自然休養林インフォメーションセンターから200メートルの地点で、町は18日まで、ポロト自然休養林を閉鎖した。ヒグマの出没は特に別々川から道道白老大滝線にかけての範囲で目立っており、町は現場近くに看板を設置したり、防災行政無線でヒグマへの注意を呼び掛けている。箱わなは20日朝、町職員や道猟友会苫小牧支部白老部会のメンバーら約10人が役場の倉庫からトラックで社台の農場に運搬。幅1メートル、長さ2・7メートルの鉄製で餌に誘われて中に入ると、入り口が閉じる仕組み。設置場所について、町は「ヒグマが近くにいる危険性がある」と非公表にした。設置されたとみられる農場では、15日に農業被害を初確認。トウモロコシが食い荒らされ、ヒグマの足跡やふんが見つかった。町生活環境課は、足跡からヒグマの体長は1・5メートル程度、4~5歳と推測している。16日から18日にかけて別のトウモロコシにも被害が出たため、食害拡大を防ぐため箱わな設置を決定。被害は約20アールに上っており、町はヒグマを捕獲後、殺処分する。町は箱わな設置について「人が襲われないようにするとともに、農業被害を防ぐため」と強調。生態に詳しいヒグマ学習センター(登別市)の前田菜穂子代表も「ヒグマは一度餌の場所を覚えると再び訪れる」と設置の必要性を説く。町内での箱わな設置は、2016年9月以来、約3年ぶり。3年前にはポロト自然休養林内に置いたが、捕獲できず約1週間後に撤去した。15年には町内の牧場内に設置し、体長1・3メートルで体重約80キロの雄を捕獲し、殺処分した。今回は1週間程度の設置を予定している。町は「万一、ヒグマに遭遇した場合は、静かにゆっくりと離れるなどして刺激しないよう心掛けてほしい」と注意を呼び掛けている。

(近年で2番目に多いクマの目撃情報:福島)
今年のクマの目撃情報は近年で2番目に多く、捕獲頭数は最多となっていることが19日、県のまとめで分かった。専門家は秋までは人里に出没する可能性が高いと注意を呼びかけている。県みどり自然課によると、4月から今月18日までに寄せられたクマの目撃情報は84件で、近年最も多かったおととしの同じ時期に次いで2番目に多くなっている。こうした中、猟友会などによる捕獲も増え、先月までの捕獲頭数はデータが残る2014年以降最も多い16頭となっている。専門家は、クマの繁殖が進み個体数が増えている可能性を指摘している。また県によると、先月末からは山梨市や笛吹市の畑でクマが果実を食べた痕跡も増え始めている。望月准教授は夏は山の中でクマの餌が減るため、秋までは人里に出没する可能性が高まると説明する。県や専門家は、クマを人里に近づけないためにも、畑に落ちた果実を放置しないよう呼び掛けている。

(クマ出没か、防災無線で注意呼び掛け:和歌山)
和歌山県田辺市上芳養の県道秋津川田辺線でクマらしき黒い動物を目撃したという通報が19日、田辺市役所に寄せられた。市は防災行政無線などで注意を呼び掛けた。市農業振興課によると、田辺市稲成町の男性が17日午前8時半ごろ、県道秋津川田辺線を車で通行中、上芳養地区でクマのような体長約1メートルの黒い動物が県道を横切るのを目撃した。翌18日午後5時ごろには上芳養地区の木道峠から石神のパイロットに通じる農道付近で農作業中の女性がクマの鳴き声らしき声を聞いたという。2人の情報を受け、19日朝に上芳養町内会長から市に通報があった。市は19日午後5時に上芳養、稲成、秋津川の3地区に防災行政無線を放送、防災・行政メールなどでも注意を呼び掛けた。今のところ、農作物への被害や人的被害は確認されていないという。

(高山城一帯(城山公園)の遊歩道を開放:岐阜)
高山市は17日、クマの目撃情報に基づき閉鎖していた高山城一帯(城山公園)の遊歩道を開放した。目撃情報は7月2日に3件寄せられたが、その後、クマの痕跡が無くなったという。 市は、パトロールを継続する。

(ツキノワグマ目撃急増:栃木)
今年に入り、栃木県内では野生のツキノワグマの目撃情報が急増している。6月に25件、7月に37件が寄せられ、両月ともに過去5年間で最多となった。今年は人里近くでの目撃が多いことが特徴で、「日光東照宮」(日光市)でも観光客が「クマを見た」と通報するなど、出没が相次いでいる。有数の観光資源にとっては大きなマイナスで、同市関係者は「風評被害で観光に影響が出なければよいが」と頭を抱えるが、急増の原因は判明していない。国内外から多くの観光客が集まる日光東照宮。周辺では今年6月以降、クマの目撃情報が相次いだ。7月の連休には、観光客の男性が「クマを見た」と東照宮の職員に連絡。職員が県警に通報した。1メートルほどの体長だったというクマは、すぐに現場を立ち去り、男性にけがなどはなかった。東照宮ではほかにも、防犯カメラにクマの姿が捉えられるなど、出没が相次いでいる。日光市内では、ほかの場所でも連日のようにクマの目撃情報が寄せられている。中学校の敷地内で確認されたケースもあり、市がわなを設置するなどの対策に乗り出している。県内ではほかにも5月に、塩谷町上寺島の尚仁沢(しょうじんざわ)湧水付近で、写真撮影をしていた男性がクマに太ももをかまれてけがをする被害が出た。多くの観光客や登山客が訪れる那須町などでも連日、目撃情報が県警や県に寄せられており、関係者は「今の時期は観光シーズンで、風評被害による出足の鈍りが心配だ」と気をもむ。県自然環境課によると、県内でみられるクマはツキノワグマで、足利、佐野、栃木、鹿沼、日光、塩谷、矢板、那須塩原、那須の9市町に生息すると推定されている。例年気温が上がる5月以降に多く目撃される傾向にあり、昨年は6月に10件、7月に19件だった。それでもここ数年は月に10~20件ほどで推移していて、今年は目撃数が突出している。関係者からは、豊富な餌を狙って人里に近付いているなどの可能性が浮上しているが、目撃情報増加の原因ははっきりしない。県北環境森林事務所は「冬眠前に餌をたくわえるにしては時期が早い。県内のクマの生態は研究が進んでいない部分もあり、不明な点が多いのが実情」という。秋にかけて活動を活発化させ、目撃情報がさらに増える可能性もあると指摘する。県は注意喚起のためにこれまで約2000枚配布したチラシを約6000枚増刷し、各市町の観光協会やビジターセンターなどに配布。山林を歩く際は鈴などでクマに自分の存在を知らせ、万が一、遭遇した際には、背中を見せずにゆっくりと逃げることが大切という。県の担当者は、「クマは基本的に臆病な動物だが、子を連れた母グマなどは人を襲うこともある。早朝や夕方は特に目撃情報が多く、注意してほしい」と呼びかけている。

(サルの目撃情報相次ぐ:大阪)
先月末から点々と茨木市内でサルの目撃情報が出ており、また昨日21日早朝にも目撃されたとのことです。

(サル出没、警察が注意呼び掛け:和歌山)
21日朝、和歌山県和歌山市の南海和歌山市駅や市立伏虎義務教育学校、県庁周辺でサルの目撃情報が相次いだ。和歌山西署によると、午前7時30分から8時20分までの間に3~4件の通報があり、1匹のサルが付近を走り回っていたところが目撃されている。19日にも市立高松小学校(東高松)周辺で目撃情報があったが、同じサルかどうかは不明。同署ではえさを求めて民家周辺に出没することもあり、和歌山西署ではサルを見掛けても急に走り出すなどせず、目を離さないようにして後ずさりし、刺激しないようにして安全な場所に避難するように注意を呼び掛けている。

(サルの目撃相次ぐ:福岡)
福岡市中央区でサルの目撃が相次いでいます。20日は大濠公園周辺を中心に午前中、9件の情報が警察に寄せられました。福岡市中央区では、大濠一丁目や今川一丁目など、サルの目撃情報が警察に寄せられています。サルは19日も長浜鮮魚市場など、主に大濠公園の北側で目撃が相次ぎました。同じ個体だとすると、19日夜から20日朝にかけて大濠公園の北側から南側に移動した可能性があります。福岡市動物園では、群れを離れた若いサルが街なかに迷いこんだのではと話しています。人的な被害の報告はなく、警察や福岡市は、遭遇しても近寄ったり、えさを与えたりしないように、注意を呼びかけています。

(サル目撃情報:福岡)
福岡市中央区内で17~18日に猿を目撃したという複数の通報があった。中央署によると、けが人はいない。福岡市動物園は「餌を与えたり、大声を出したりして刺激をしないで」と話している。

(足立区でサル、区が注意呼び掛け:東京)
16日午前8時半ごろ、東京都足立区六木3の六木団地付近でサル1匹を目撃したと住民が区役所に通報した。区によると、サルは用水路をつたって南方向に逃げたとみられ、出没による被害はなかった。区は「住宅に侵入してくる可能性もある」とメールで注意を促すとともに、見かけた場合はむやみに近寄らず、110番するよう呼びかけている。足立区に隣接する埼玉県八潮市でも、15日夕と16日午前7時ごろに体長約1メートルのサルの目撃情報が寄せられている。

(ニホンジカ、奥能登初捕獲:石川)
能登町時長で14日、イノシシ用の捕獲おりにニホンジカ1頭が入り込んでいるのを住民が見つけ、町に連絡した。町によると、奥能登2市2町でニホンジカが捕獲されたのは初めて。町内では3年前からシカが目撃されており、関係者は個体数が増加すれば、農林業の被害につながる恐れがあるとして警戒している。町によると、捕獲されたニホンジカは体長約120センチ、体高約90センチ、体重約60キロの雄の若い成獣で、捕獲後に処分された。おりは旧内浦放牧場に近い山間部にあり、仕掛けた猟銃会員の住民が見回り中、シカが入っているのを見つけた。シカはおりの中で暴れており、角が折れ、口も切っていた。

(シカてくてく:石川)
13日午後3時15分ごろ、金沢市中心部を流れる犀川の御影大橋近くに、ニホンジカ1頭が現れた。「自転車で走っていたら川にシカがいてびっくりした」と話すのは、近くを通りかかった写真家、南島幻さん(58)=同市弥生。近隣住民5、6人が写真を撮っていたが、逃げる様子はなかった。「きょとんとした顔をしていた」。シカは浅い川の中をテクテクと歩き、一度河原に上がった後、再び川に入って上流へ向かったという。いしかわ動物園の担当者によると、ニホンジカは9月下旬の交尾期を迎えるとよく歩き回るが「今の時期に市街地まで歩いてくるのは珍しい」。

(クマ目撃:栃木)
21日午後1時35分ごろ、那須塩原市鴫内の田舎ランド鴫内付近、1頭、体長約80センチ。

(クマ目撃:栃木)
19日午後11時50分、那須塩原市上塩原の住宅敷地内。体長約1メートル。

(雨水ポンプ場に“猿”迷い込む:千葉)
21日午前、千葉・松戸市の雨水ポンプ場に猿1匹が迷い込み、市の職員に捕獲される騒ぎがあった。松戸市などによると、21日午前8時半ごろ、千葉・松戸市の小山雨水ポンプ場の管理業者から「朝来たら猿がいた。ドアを閉めて出ないようにしている」と市に連絡があった。市の職員や警察官らが駆けつけたところ、猿1匹が、ポンプを動かすための機械が置かれた部屋に閉じ込められていて、警察官が猿にネットをかぶせ、道具を使って首を固定し、午前11時ごろに捕獲した。市の職員「こちらの後ろのところにちょうど猿が入ってきたので、この上から全体にネットをかけて、道具を使って猿を引きずり出してオリの方に入れた」千葉県などは捕獲した猿の引き渡し先について協議している。猿は先週、東京・足立区で目撃され、その後も埼玉・三郷市や東京・葛飾区で相次いで目撃されていた。

(折原梨花52位、石原奈央子56位で敗退:クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は21日、フィンランドのラハティで行われ、女子スキート予選で折原梨花(林テレンプ)は52位、石原奈央子(古峯神社)は56位で敗退し、上位6人による決勝に進めなかった。

(大山、中山組は決勝進めず:クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は18日、フィンランドのラハティで混合トラップが行われ、大山重隆(大山商事)中山由起枝(日立建機)組は予選31位で決勝に進めなかった。

(大山は予選敗退:クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は17日、フィンランドのラハティで行われ、男子トラップ予選で大山重隆(大山商事)は109位だった。上位6人による決勝には進めず、今大会での東京五輪出場枠の獲得はならなかった。

(中山、大前は予選敗退:クレー射撃W杯)
クレー射撃のワールドカップ(W杯)は16日、フィンランドのラハティで行われ、女子トラップ予選で中山由起枝(日立建機)は14位、大前有希(都商事)は44位だった。上位6人による決勝に進出できず、今大会での東京五輪出場枠の獲得もならなかった。

(ヒグマ対策、市街地侵入防ぐ工夫を:北海道)
ヒグマの生息域のすぐそばで暮らしていることを自覚し、遭遇を避ける努力が欠かせない。札幌市南区の住宅街に連日出没していたヒグマが駆除された。市は「餌に執着する行動は異常」で射殺の判断を下したという。地域の人々は胸をなで下ろしているのではなかろうか。ただ、南区では親子とみられるクマなどの出没情報も相次いでおり、警戒を怠らないでほしい。クマを人間の生活圏に立ち入らせない工夫が重要だ。自治体など関係機関には、出没情報の提供と、正しい知識の普及啓発が求められる。札幌市内での出没情報は、本年度は160件(14日現在)と、過去10年の同期比で最も多い。市が2016年にまとめた調査結果によると、市内近郊には少なくとも12頭の雌が生息している。親から離れた若い雄が、新たな生息域を確保しようとする過程で市街地周辺に出没する傾向がある。ヒグマは頭が良く、農作物や残飯の味を覚えたら厄介だ。今回も家庭菜園のトウモロコシを食べ、出没を繰り返した。自分の餌と考え、近づいた人を攻撃する危険もあったという。市街地に入ると、猟銃の使用が法律で禁じられるなど、駆除は簡単ではない。麻酔銃もあるが、クマは麻酔が効くまで時間がかかり、暴れ出す恐れがある。肝心なのは、実効性のある侵入防止策だ。ごみステーションやコンポストを頑丈にする。電気柵でショックを与えれば、人里は危険だと学習させられよう。こうした対策への自治体の支援が不可欠だ。クマは河畔林や緑地を伝い、市街地に侵入しやすい。周辺の低木や雑草を刈り取り、隠れ場所をなくすことも効果的である。山に入る時は、出没情報や対処法を確かめ、足跡やふんを見つけたら引き返す勇気が必要だ。個体減が懸念され、30年前に春の駆除が廃止された。12年度は全道で1万600頭と当時の1・8倍に増えたと推測されるが、人を恐れないクマも現れている。道は人工知能(AI)やドローンを使い、クマの嫌う音や光を発して追い払う技術開発に取り組んでいる。実用化に期待したい。札幌市を含む石狩西部地域のヒグマは、環境省のレッドリストで絶滅の恐れのある地域個体群に指定されている。個体数の把握に努め、理想的な共生のあり方を模索する必要がある。

(ドイツ、リトアニアで防疫措置などを調査:三重)
豚コレラウイルスの感染拡大を受け、県は岐阜県と共同で野生イノシシ対策の先進地であるドイツとリトアニアの欧州2カ国を現地調査する。有識者と両県の担当者、計9人を24日まで派遣する。両国は過去に豚コレラウイルスが発生した経験があるが、野生イノシシへの感染対策を徹底することで、豚への感染拡大を防ぎ、海外に豚肉を輸出できる「清浄国」を保った。

(豚コレラ、中国などから侵入か)
昨年9月に26年ぶりに発生し、現在も猛威を振るっている豚コレラの感染経路について、農林水産省の疫学調査チームが中間とりまとめを公表した。中国やその周辺国からの旅行客が不正に肉を持ち込むなどしてウイルスが日本に入り、ウイルスを含む肉が廃棄されて野生イノシシに感染したのが発端になった可能性がある。感染経路の究明により、ウイルスの封じ込めが急がれるが、効果の高いワクチン接種ができない“お家の事情”もあり、農水省は思い切った対策を打ち出せないでいる。一連の感染で大きな役割を果たしているのは、野生イノシシだ。感染地域が拡大している理由について、農水省はウイルスが強毒でなくなったことを上げる。1970年代に流行したときは強毒だったため、野生のイノシシが数日で死んだ。今回のケースでは、イノシシが数週間生きながらえるため、感染が広がっているというわけだ。調査チームの分析対象になった事例では、出荷先を含めて岐阜、愛知、長野、滋賀、大阪の5府県で豚への感染が確認された。農水省は、畜産農家に対し、車両の洗浄・消毒、野生イノシシが入ってこないよう防護柵の設置などを徹底するよう改めて呼びかけた。こうした中、豚コレラの被害防止を訴える発生地周辺の養豚農家からは、被害拡大を防ぐためにも一刻も早い豚へのワクチン接種を実施すべきとの声が上がっている。長野県の阿部守一知事は8日、農林水産省を訪れ、感染拡大を防ぐために農場で飼育する豚にワクチンを接種する必要があるとの考えを吉川貴盛農水相に伝えた。阿部知事は「豚へのワクチンは最も効果的な手法。県内の農家は一日も早く打ちたいと思っている」と述べた。農水省は、発生県の豚に対するワクチン接種の是非について検討を始めている。対象地域の豚の移動を制限したり、豚肉が域外で販売されないようにしたりするなど、ワクチンを使った豚肉が地域外に流通しない厳格な仕組みを構築することなどを協議している。しかし、吉川農水相は2日の会見でもワクチン接種について、「慎重に判断していく」との姿勢を崩さなかった。なぜなら、豚にワクチンを使うと、国際機関が豚コレラを撲滅しているとして認定する「清浄国」への復帰に時間がかかり、各国が日本からの豚の輸入を避ける可能性があるからだ。最近では、タイが日本から豚肉の輸入を始めることで合意したばかり。政府全体で農産品の輸出額目標1兆円の達成に向け、弾みがつくと喜ぶ中、水を差すようなことはしたくないというのが農水省の本音だ。こうした中、豚コレラより致死率が高く、有効な治療法やワクチンがない、アフリカ豚コレラが中国や北朝鮮などで発生し、新たな脅威にもさらされている。 豚コレラの感染地域の拡大について、菅義偉官房長官は7日の記者会見で、「極めて重大な局面を迎えている」との認識を示しており、まさに緊急事態を迎えている。農水省は「指導、指導結果の報告要請、飼養衛生管理の遵守を徹底させる」(吉川農水相)ほか、空港での水際対策に躍起となっている。ワクチン接種という“伝家の宝刀”なしで、事態を収束させられるのか注目される。

(アフリカ豚コレラ防げるか)
家畜伝染病のアフリカ豚コレラが中国で初めて発生して1年が過ぎた。これまで香港やラオス、ベトナムなどアジアの7カ国・地域に感染が広がり、日本では渡航者が持ち込んだ肉製品からウイルスの遺伝子が確認された。政府は悪質な持ち込みについて立件するなど水際対策を強化するが、予防ワクチンや治療法がなく「数十年単位の戦いになるのでは」(農林水産省幹部)と感染拡大に危機感を強めている。7月末、東京都内でアフリカ豚コレラ対策を協議する国際会議が開かれ、中国など12カ国・地域の防疫担当者らが参加した。4月の中国北京市に続く2回目の会合だが抜本的な対策を打ち出せず、肉製品を違法に国外に出さないよう各国が責任を持つことを確認するにとどまった。国連食糧農業機関の専門家は「中国には世界の豚の半分がいる。食料安全保障の問題になりかねない」と懸念した。アフリカ豚コレラは人間には感染しないが、豚の致死率は高い。日本での感染事例はないが、空港では中国などから持ち込まれた肉製品からウイルスの遺伝子が複数見つかっている。農水省は4月以降、空港の検疫探知犬を増やしたほか、福岡県警が今月6日に豚や牛の輸入が禁止されているフィリピンから肉製品約92キロを福岡空港に持ち込んだとして、家畜伝染病予防法違反の疑いで雑貨店経営の男ら2人を逮捕。ただ、訪日客の増加で昨年は全国で9万件超の違法持ち込みがあり「全てに網を掛けるのは不可能」(検疫関係者)なのが現状だ。国内でいったん感染例が出れば、封じ込めは極めて難しい。アフリカ豚コレラとは別の病気で、昨年9月に岐阜県で発生した豚コレラは、イノシシなどを通じて愛知や三重、福井各県に拡大中。農水省は「アフリカ豚コレラも物理的障壁がないとコントロールが難しくなる」(熊谷法夫・動物衛生課長)として、全国の養豚農場に、イノシシを近づけないよう防護柵の設置を進めている。日本産豚肉を巡っては、タイが7月に輸入解禁を決めるなど、鹿児島県産の輸出拡大が期待される。だが、アフリカ豚コレラが発生すれば輸出停止となり、発生していない地域の畜産農家でも打撃は大きい。熊谷課長は「夏季休暇シーズンは国内外の往来も増える。敵は一つと各国で協力して、防疫に努める」と話す。

(鳥獣駆除不正、厳格審査で防止徹底図れ:徳島)
農作物に害を及ぼすシカなどの有害鳥獣を駆除する三好市の捕獲員3人が、うその報告をして市から報償金計26万円を不正に得ていた。鳥獣被害は今も深刻な状態が続いている。公金から報償金を出して被害軽減を目指す仕組みに付け込んだ、断じて許されない行為である。不正を働いた3人は、駆除したシカやイノシシの個体の写真を偽造するなどして申請した。提出義務のある切り取った耳と尻尾は、報償金がもらえない期間に捕獲した個体の部位を冷凍保存しておき、虚偽申請時に使うという周到ぶりである。今年6月までの1年間に、シカとイノシシ計17頭の不正があった。このうち70代の男が大半の16頭分、24万円をだまし取っていた。計画的で悪質というほかない。鳥獣駆除を巡る不正受給は全国で相次いでいる。2年前には鹿児島県で、1頭の個体を別の場所や角度で撮影して捕獲数を水増しする手口が横行し、狩猟者29人が計252件、総額241万円を不正に受け取った。兵庫県でも2人が報償金の支払われない手段で捕獲した個体を、対象となる方法で捕まえたとうその申告をして44万円をだまし取っている。こうした不正が相次ぎ、農林水産省が注意を促していたにもかかわらず、なぜ防げなかったのか。不正続発を受けて農水省が2年前に行った全国一斉点検では、新たな不正は見つからなかったが、写真などを十分に確認していない自治体・団体が15%あったという。自治体や団体の審査に甘さや緩みがあるのは問題である。巧妙な手口を見抜くチェック体制を築いても、それを生かす意識を欠くようでは意味がない。報償金の原資は税金だという認識に立ち返る必要がある。農水省によると、2017年度の農作物の鳥獣被害額は164億円に上る。10年度から約3割減ったとはいえ、依然高い水準だ。徳島県の17年度被害額は1億1148万円で、9年連続で1億円を超えている。被害規模は大きく、報償金付きの捕獲事業に取り組んでいる三好市など15市町は、引き続き捕獲員らによる駆除に頼らざるを得ないだろう。新規の狩猟免許取得者は16年度に全国で約1万7千人と、10年間で倍増した。野生鳥獣肉「ジビエ」の需要が拡大し、ビジネスチャンスが広がっているのも影響しているとみられ、若者や「狩りガール」と呼ばれる女性の狩猟者も増えている。徳島大では、捕獲から加工商品開発までの「6次産業化」に取り組むサークルも活躍している。報償金の不正は、鳥獣被害対策に結びつくこうした新展開の勢いにも水を差す恐れがある。審査に関わる自治体や団体は、どんな小さな不正も見逃さないよう厳格にチェックしてもらいたい。

(熊注意報を「警報」に:秋田)
県は21日、ツキノワグマ出没注意報を警報に切り替え、被害防止の呼びかけを強化した。先月11日に注意報を出したが、今月に入り熊に襲われて2人が重傷を負い、警報基準の「複数の重傷者」に該当。さらに、人に危害を加える可能性がある有害獣としての駆除頭数が6月の50頭に続き、7月も84頭と平年の2・2倍に上っている。東北森林管理局のブナ結実予測が「大凶作」であることから、県自然保護課は「餌を求めて人里に出没し、人身被害が増えると危惧される」としている。警報の期間は9月30日まで。

(クマ、出没続く恐れ:山形)
県内で、人家付近へのクマの出没が続いている。目撃件数はほぼ前年並みだが、クマが食べるブナはこの16年間で最悪の大凶作と予測されており、秋に入っても出没が続く恐れが出ている。県みどり自然課によると、今年のクマの目撃情報は8月4日現在で255件(前年は7月末で236件)。山形市内の山形聾(ろう)学校や白鷹町の小学校、飯豊町の幼稚園など、教育施設の近くでも目撃されている。山形市内では7月17日、男性が襲われてけがをした。

(サル被害、LINEとエアガンで撃退へ:長野)
長野県内各所でサルによる農作物被害が増える中、木曽町の開田地区では無料通信アプリ「LINE」を活用した追い払い作戦を始めている。サルの出没情報をリアルタイムで共有、拳銃型の軽量エアガンで追い払う。開田地区は御嶽山のふもと、標高1千メートルを超える高原。昼夜の寒暖差があるため、特にトウモロコシは甘みがあって人気が高い。ところが近年、そのトウモロコシやソバなどがサルに狙われるようになった。町開田支所にはマシンガンタイプのエアガンを備えているが、住民がエアガンを借りに来たときにはサルは逃げたあと。エアガン自体も重さが2キロ以上あり、使い勝手が悪かった。ロケット花火を使って追い払いを試みる人もいるが、効果は出ていない。対策として町が目を付けたのが、LINEのグループ機能だった。

(農作物の鳥獣被害3億円:和歌山)
野生鳥獣による和歌山県内の農作物被害額は2018年度、3億207万円あった。半分ほどがイノシシによる被害。作物別では8割を果樹が占めた。県が各市町村の被害を取りまとめ、発表した。被害額は前年度比で98%。ほぼ横ばいで、3億円を超えるのは9年連続。3億5千万円前後あった数年前と比べると少し減ったが、高止まりの状態は続いている。県の担当者は「劇的によくなることはない。総合的な対策を講じていくことが大切」と話す。県のまとめによると、鳥獣別ではイノシシのほか、シカ(全体の16%)、サル(同14%)、アライグマ(同10%)と続く。カラスやタヌキなどによる被害もあった。イノシシによる被害が最も多い傾向は、少なくともこの10年、変わっていない。被害は野菜などにもある。

(人とクマ「すみ分け」、草木刈り払いや餌撤去:福島)
福島県内でクマの目撃情報が相次ぐ中、県は人里近くの被害を抑えるモデル事業に取り組んでいる。クマの隠れ場所となる草木を刈り払うなど、餌を求めて人里に下りてくるクマを人の生活圏から遠ざける試みだ。県自然保護課は「駆除するだけでなく、人とクマの接触が減るように環境を整備し、人的被害を防いでいきたい」としている。東京電力福島第1原発事故後、本県では放射線への不安やクマ肉の出荷制限に伴い、住民の山林への立ち入りや狩猟者の活動が大幅に減った。県は、こうした状況からクマへの人間の圧力が弱まり、クマが人里に下りやすくなったと分析し、2017(平成29)年度から3カ年事業で、会津若松市東山地区や会津美里町岩渕地区、福島市佐原地区など県内7地区をモデル地区に設定、人の生活圏とクマの生息域のすみ分けを進めてきた。モデル地区では、住民と行政の担当者、専門家が地区内を巡り、クマを引き寄せやすい果樹やクマが隠れやすいやぶ、クマの足跡などを地図に落とし込み、情報を共有。必要に応じ草木を刈り払ったり、クマの餌になりやすい農地に廃棄された農作物を撤去したりするなど、クマが人の生活圏に侵入しにくい環境を整備してきた。また、生ごみを捨てるときは曜日と時間を守りクマの餌になることを避けるなど、住民自身もクマ対策を担う意識を高めた。県は「こうした取り組みが奏功し、モデル地区ではクマの目撃数が減るなど一定の結果に結び付いている」と手応えを口にする。県によると、クマは餌となるブナやドングリが不作の年に山を下りてくる傾向にあり、目撃数は年ごとに変動する。ただ、原発事故以降は全体の目撃件数が増加傾向にあるほか、春先の目撃が増えつつあり、県は「気候変動で冬眠から早く覚め、餌を探して人里に下りるケースが増えているのではないか」と分析する。県のツキノワグマ管理計画(第3期計画)の推計では、17年4月現在の生息数は2970頭に上る。人里に下りてきたクマは人的被害の防止のために捕獲が必要となるが、クマは繁殖力が弱く、駆除が進めば絶滅につながる可能性もあるとしている。県は本年度、会津若松市門田、北塩原村裏磐梯の2地区を新たにモデル地区に設定、継続となる7地区と合わせた9地区で事業を展開している。年度内に成果をまとめ、広域的な取り組みに発展させる考えだ。ただ成果につなげるには時間が必要だ。県自然保護課は「クマが出る地域では鈴をつけて外出したり、遭遇したら刺激せず後ずさりして逃げるなど対策を取ってほしい」と短期的な対策の必要性も強調する。

(野生イノシシ捕獲支援で補正予算:福井)
福井県越前市は8月14日、市内養豚場2施設で豚コレラの発生を受け、ウイルスを媒介している可能性が高い野生イノシシ捕獲を支援するため、猟友会などへの捕獲強化委託料に充てる99万円の本年度一般会計補正予算を発表した。奈良俊幸市長が同日、専決処分した。内訳は成獣1頭当たり7千円を130頭分、幼獣千円を80頭分。現在の出動費や処分費などの捕獲奨励金に上乗せして支払う。財源は全額、県の補助金を充てる。

(獣道を残す柵でシカ食害軽減:神奈川)
スギやヒノキなど林業にとって深刻なシカの食害。ネットの柵で植林地を囲っても破られるのが課題だった。そこで「森林研究・整備機構森林整備センター」(川崎市)の甲府水源林整備事務所は発想を転換。完全に排除するのではなく、植林地の中に柵で囲わないシカの道(獣道)を残し、通過を許すことによって被害が軽減できることを実験で確かめた。被害の多い地域への導入が期待される。

(豚コレラ、ワクチン本格散布開始:富山)
富山県内で豚コレラに感染した野生イノシシが相次いで見つかる中、イノシシ向けの経口ワクチン(ワクチン入り餌)の本格散布が13日、県内で初めて南砺市で行われた。県、市職員や猟友会員ら20人が5班に分かれ、ワクチン計500個を埋めた。イノシシがワクチンを食べることで、感染を予防して養豚場への拡大を防ぐ。豚コレラはイノシシを介して広がっているとみられる。経口ワクチンは、イノシシが2回摂取すると豚コレラの抗体が完全にできるとされる。経口ワクチンの散布は南砺市福光、城端地域の山沿いを中心に行われた。南砺市職員らが25カ所の箱わな周辺に深さ10~15センチ程度の穴を10カ所に掘り、一つの穴に2個ずつ埋めた。市によると、19日にイノシシが食べたか穴を掘って確認し、24日から箱わなでイノシシを捕獲して抗体ができたかどうか調べる。約1カ月後に2回目の散布を行う。南砺市では5日に菅沼で感染イノシシ1頭が見つかっており、市農林課の藤井外史林政係長(46)は「できる対策を実施し、豚舎の豚への感染だけは絶対に防ぎたい」と話した。経口ワクチンは8日に富山市の県畜産研究所敷地内で先行散布された。本格散布は南砺市に続いて14日に砺波市、22日に富山市で実施する。小矢部市では今月中の散布を計画している。県内では13日までに富山、砺波、南砺市で感染イノシシが計4頭見つかった。県によると、養豚場のブタに異常はない。県は13日、富山、砺波市で8~11日に捕獲されたイノシシ6頭を検査し、いずれも陰性だったと発表した。

(花火でサル撃退へ:和歌山)
日高町鳥獣被害対策協議会(会長=松本秀司町長)は19日、役場で緊急会議を開き、被害が大きいサルへの対策を協議した。稲作の収穫が目前となり、稲刈りが終了する9月末ごろまで猟友会に見回りを協力依頼するほか、鳥獣を追い払う花火も取り入れて被害軽減を図る。担当の産業建設課によると、農産物への鳥獣被害金額は2015年度が928万円でピーク。16年度は787万円、17年度は772万円、18年度は733万円と減少しているが、サルによる被害は全体の7~8割で推移。昨年、サルにGPS首輪を装着するなどして調査した結果、261頭の大きな群れがいることが分かった。緊急会議には区長、猟友会、生産者ら町の関係職員約30人が出席。意見交換では「個々に対応するのでは撲滅させるというような取り組みが必要」などという意見が上がった。今回、対策として取り組む追い払い花火の使用には講習の受講が必要で、町は9月2、3日に若者広場グラウンドで講習会を開催する。希望者は27日までに申し込むこと。26、27日には中央公民館でニホンザル行動域調査報告会も開く。

(出没クマ増えそう、エサの木の実凶作:新潟)
今年の秋は県内の人里にツキノワグマが出没する可能性が高いとして、県が注意を呼びかけている。クマのエサとなるブナなどの木の実が、全県的に凶作や不作になるためだ。県環境企画課によると、7月から今月2日まで県内の里山など170地点でクマのエサになる木の実の状況を調べた結果、ブナやコナラは「ほとんど実がならない凶作~不作」、ミズナラ、クリ、オニグルミは「不作~まばらに結実する並作」だった。9月上旬にも最終的にまとめる予定で、結果は今後変わる可能性があるが、現状ではエサが少なくなる見通しだ。クマは冬眠前の秋に栄養を蓄えようとするため、この時期に山中のエサが不足すると、人里に出没する可能性が高まる。クマの生活圏となる山奥の木の実が豊作だった昨年度は、9~3月のクマの目撃件数は約80件だったが、凶作だった2016年度の同時期は約350件に上った。同課の担当者は「不作の年は9月に入ると目撃情報が格段に増える」と話す。

(深層学習の技術駆使、野生動物を撮影・判別:岐阜)
野生動物の生息状況などを調べるために自動撮影してきた写真から、写っている動物の種や頭数を判別するツールを、岐阜大のチームが開発した。12万枚近くの写真とコンピューターが自ら学ぶディープラーニング(深層学習)の技術を使った成果。99%の精度で動物がいることを見分けたという。野外に置いたカメラは、赤外線を使い、動物が通りかかると撮影する仕組み。日中はカラーで、夜間はモノクロになる。ただ、動物がいないのに撮影しているケースもあり、研究者らが写真を1枚ずつ調べて動物の種や頭数を判別するため、手間がかかることが難点だった。開発したツールでは、それらの多くの写真について速やかに判別できるという。

(ライオンのふんやレーザー光、鹿との接触防げ:岩手)
鹿との接触、防ぎたい。岩手県内の鉄道路線をカバーするJR東日本盛岡支社は、列車が鹿とぶつかる事故を避けようと、あの手この手の対策を試行中だ。秋にラグビー・ワールドカップ(W杯)が開催される同県釜石市は、これまで特に鹿との接触が多い。W杯の観客を乗せた列車が立ち往生しないよう、先月には線路のそばに鹿の嫌う臭いを付けた液剤をまいた。鹿との共生を目指す取り組みは実るのか。JR東日本管内では昨年度、鹿との接触が811件起きた。このうち半数以上の467件は、県全域に加えて青森、秋田、宮城各県の一部が含まれる盛岡支社管内でのものだった。同管内の件数は過去10年で最も多かった。岩手県内には、釜石市と大船渡市、住田町にまたがる五葉山周辺を中心に、多くの鹿が生息する。列車との接触も相次いでおり、山田線で209件、釜石線では177件。山田線の上米内-区界間だけで52件、釜石線の陸中大橋-洞泉間でも40件に上った。接触の影響は大きい。5月の東北本線前沢-平泉間で起きた事故では152分もの遅れが出た。先月には三陸鉄道リアス線のトンネルに子鹿が侵入。徐行しながら子鹿を出口まで「誘導」したことで92分遅れた。先月、同支社は山間部を抜ける釜石線の洞泉-小佐野間で、約5キロにわたり、ライオンのふんから抽出した成分を含んだ液剤を約1000リットルまいた。鹿が線路に近付きにくくなるという。開発した「岩手野生研究所」の西千秋さん(38)は「天敵に対する鹿の本能を利用した。猫や象のふんなども試したが、一番効果があったのはライオン」と語る。効果は2~4カ月間保たれるといい、W杯開催中も持続する計算だ。これに先立つ昨年11月には、昨年度40件の接触があった陸中大橋-洞泉間の5カ所に「クルナレーザー」を設置した。野生動物が苦手なレーザー光を出す装置を使い、線路に近寄らせない作戦だ。緑と赤に点滅・回転する光が40~50メートル先まで届く。鹿は夜行性のため、光を出すのは早朝と夜間。照射する角度も鹿の体高に合わせた。設置前の2017年11月~18年3月末の接触は21件だったが、設置後の翌年同時期には5件へと激減した。新たな対策も試している。野生生物の天敵である、スズメバチの生息環境を人工的に再現する実験だ。昨年12月~今年3月、山田線の陸中川井-腹帯間の約1キロに初めて装置を設置し、スズメバチの羽音を出してみた。期間中、この区間で列車との接触は起きなかった。今後はスズメバチの臭いを出すことも検討しているという。同支社によると、管内での鹿との接触は07年の87件から5倍以上に激増している。西さんは「昔は鹿に会うと追い払っていたが、今は楽しく写真を撮ったりしている。それが鹿を安心させてしまっている」と分析する。「人間側がしっかりと対策を取り、列車との接触で鹿を殺してしまうことをなくしたい」と語る。

(鳥獣捕獲通知システムを開発:青森)
精密機器製造のジョイ・ワールド・パシフィック(JWP、青森県平川市)は、クマやイノシシなど鳥獣が捕獲罠(わな)にかかったときにセンサーが感知しスマートフォンなどに通知するシステム「わなベル」を開発した。装置は既存の捕獲罠に取り付けられる。鳥獣が捕獲されたかどうかを定期的に見回る負担を減らすことができる。捕獲罠の入り口が閉まったことに反応して通知するため、熱源を感知する仕組みより誤通知が少ない。通信は省電力広域無線技術(LPWA)のサービス「Sigfox(シグフォックス)」を利用。装置は単3乾電池2本で1年程度はもつという。価格は未定。近年、青森をはじめ各地で鳥獣被害が深刻化しているが、狩猟者の減少や高齢化で、捕獲効率の向上や見回り負担の軽減が課題になっている。JWPはこの課題の解決へ同システムを開発した。同社は平川市と連携し8月末まで同システムの実証実験を行っている。

(IoTで鳥獣被害から苗木を守る:)
KDDI総合研究所、KDDI、常葉大学、国土緑化推進機構は、鳥獣による森林被害の軽減を目的とした「IoTを活用した森林管理効率化の実証実験」を開始した。農林水産省が発表した「鳥獣被害の現状と対策」によれば、日本国内で鳥獣被害を受けている森林の面積は、年間約6000ヘクタールに及び、林業への影響などが問題視されている。実証実験が行われる静岡県内の森林ではシカによる食害が増加しており、特に狙われやすい植林地を中心に、防鹿柵による侵入防止などの対策を講じている。しかし、防鹿柵は動物の衝突や倒木によって破損してしまうこともあり、破損の発見や修復を迅速に行うための定期的な巡回が必要とされる。業務負荷を軽減するためにカメラによる遠隔監視も取り入れているが、広大な植林地域全体の監視には多数のカメラが必要となり、機器や通信設備のコストが課題となる。今回の実証実験では、監視カメラの映像ではなく、IoTセンサーで「防鹿柵の揺れ」をとらえ、振動の原因をAIが推定するという手法を検証する。広範囲の遠隔監視を低コストで行う手法の確立を目指す。先述の通り、今回テストされる遠隔監視システムは「IoTセンサーで防鹿柵の揺れを検知」「振動の原因をAIが分析」という2段階で構成される。山中の実証実験が行われている場所を歩くと、携帯電話が圏外となる部分も多い。植林されたばかりの若い苗木が多い場所を囲う防鹿柵のうち、特に動物に突破されやすい場所のネットを支える柱に振動検知センサーを取り付けているが、すべての設置場所がLTEのエリア内というわけではないため、通信可能な場所にデータを集約して送る仕組みになっている。まず、各センサーからBluetooth Low Energyでアグリゲーターと呼ばれる中継機器にデータが送られ、さらにLTE網に接続されたゲートウェイ装置までWi-Fi経由で送られる。センサーで取得したデータはクラウド上に集積され、「防鹿柵が揺れた」というデータを、AIによって動物によるものや天候によるものなどの原因別に分類する。解析の結果、シカやイノシシなどの動物がネットに引っかかったことによる揺れだと判断されれば、その箇所に小さな穴が開いたり、あるいはそれを別の動物が広げて侵入に至る可能性があり、修復が必要な箇所である可能性が高い。将来的には、この結果を元に管理者への通知を行うなど、監視業務における実用性を検証していく。KDDI総研では今回の試みのほかに漁業におけるIoTを活用した効率化にも取り組んでいるが、これらに共通して、電源の確保や省電力化は苦労した部分だという。電気が引かれていない場所で動く防鹿柵の監視システムを構成する機器のうち、振動検知センサーはボタン電池で1年間の連続駆動。アグリゲーターやゲートウェイ装置にはソーラーパネルとバッテリーが接続されている。基板を樹脂皮膜で覆ったセンサーはもちろん、ソーラーパネルの配置ひとつを取っても、人力での頻繁なメンテナンスが難しい場所で稼働する設備ならではの工夫が盛り込まれている。常葉大学の小杉山晃一准教授は、過疎化や放棄山林の増加を背景とした野生動物による被害の拡大は、山間地域だけではなく人の暮らしそのものに影響する問題だと危機感を抱く。林野庁は、野生鳥獣被害対策の考え方として、「個体数調整」「被害防除」「生息環境管理」という3つの対策を並行して進めていく基本方針を示している。今回の「IoTを活用した森林管理効率化」は被害を未然に防ぐ、早期に発見することにつながり、3つの対策のうち「被害防除」にあてはまる取り組みといえる。そして、「個体数調整」においてもIoTを活用できるのではないかと小杉山氏。ハンターの減少、高齢化は深刻化しており、自身のゼミに所属する学生には研究の一環として狩猟免許を推奨しているという同氏だが、免許を持っていても生態系維持のための狩猟に参加するのはなかなか難しい実情があるという。その理由のひとつに、「わな猟」の免許を取得してくくりわななどを設置した場合、(非狩猟鳥獣の保護などの観点から)頻繁な見回りが必要になり、毎日のように足を運べる人でないと実際に猟を行うのは難しいと説明。今回の防鹿柵の取り組みのようなセンサーを用いた仕組みを応用できれば、いずれはわなの監視も効率化でき、ハンター人口の増加につながるのではないかと期待を語った。

(獣肉加工、知見共有へ)
野生の鹿やイノシシの処理・解体を手掛ける施設などでつくる初の全国組織、NPO法人獣肉加工施設連絡協議会が21日、設立された。解体処理技術や衛生管理、商品開発などのノウハウを共有し、持続的な施設運営につながる仕組み作りを目指す。行政や研究者、企業などとも連携し、担い手の育成や販路の確保などの課題解決につなげていく。

(「鳥海マタギ」を知って:秋田)
秋田県由利本荘市鳥海町にかつて多く存在した「鳥海マタギ」の文化を紹介する企画展「鳥海マタギ文化ふれあい展」が、同市鳥海町のホテルフォレスタ鳥海で開かれている。鳥海マタギの装備や狩猟道具のほか、鳥海山麓に生息する小動物の剥製などの貴重な資料約60点が並ぶ。31日まで。同ホテルを運営する市の第三セクター「フォレスタ鳥海」と由利連合猟友会鳥海支部などの主催。地域固有のマタギ文化に触れてもらおうと初めて企画した。

(国体、ライフル射撃競技体験も:茨城)
茨城国体開催50日前イベントが10日、桜川市真壁町桜井の県営ライフル射撃場で開かれ、ビームライフルなどの射撃体験のほか、同市の炬火(きょか)の集火式が行われた。

(大学構内に射撃場、中部で唯一:愛知)
専用のジャケットと靴に身を包み、空気銃(エアライフル)に小さな弾をこめる。意識を集中させ、狙うは10メートル先の直径4.5センチの標的だ。引き金を引いた瞬間、「パンッ」と甲高い銃声が響いた。ここは名城大学天白キャンパス(名古屋市天白区)のクラブハウス(7階建て)内にある射撃場だ。6階部分の一角の天井や床、壁を分厚い鉄板で覆い、防炎加工を施した板を張りつけて2018年12月に完成した。同時に3人が練習でき、今年2月に公安委員会指定射撃場として許可された。学内に専用射撃場があるのは中部地方では名城大だけだ。ライフル射撃部の部員は18人。数人は全国大会にも出場する腕前だ。近隣に射撃場はなく、これまでは車で片道2時間かかる愛知県豊田市の山中にある県総合射撃場に出向くしかなかった。「新射撃場のおかげで平日の空いた時間に気軽に練習できる」と話すのは経営学部2年の大島里奈さん(20)。「射的が好きで、運動が苦手な私でもできると思った」と入部したが、当初は的に当てることすらままならなかった。恵まれた練習環境を生かし、今では的の中心を連続で射抜くなど腕を上げている。競技は約5キロの銃を構えて60発撃ち、654点満点で得点を競う。主将も務めた理工学部4年の山田貴也さん(21)は「精神状態が大きく影響する競技で、授業よりも集中力が求められるかもしれない」と話す。動きは派手ではないが、見た目以上に過酷なスポーツだ。寄付を含め射撃場の設置を主導したのが、部長を務める理工学部の深谷実准教授(71)。25年ほど前、地元猟友会への参加を機に狩猟免許を取得した。04年から部長を務めてきたが、19年度いっぱいで定年を迎える。深谷准教授は「学生時代から約50年間、お世話になった大学への恩返し。ここから五輪選手が誕生してくれたらうれしい」とほほ笑んだ。

(エゾシカ肉、ブランド力強化:北海道)
ジビエ(野生鳥獣肉)として人気が高まるエゾシカ肉のブランド化を図るため、道は、地域ブランドを守る国の「地理的表示(GI)保護制度」でのエゾシカ肉登録を目指し、申請を行う団体の支援を始める。登録されれば野生鳥獣の肉としては全国初。同様の制度を持つ海外でもブランドが保護される。早ければ来年度の申請を目指し、準備を加速させる方針。GI登録は民間団体が申請でき、登録によりブランドの品質基準や特性を定めて保護することができる。国がブランドを保証し、名称の不正使用は取り締まられる。道内では夕張メロンや十勝川西長いも、北海道ワインが登録されている。エゾシカ肉については、道東や日高管内などでブランド化を進める動きがあり、道は加工業者でつくる「エゾシカ食肉事業協同組合」(オホーツク管内斜里町)などによるGI申請を想定。申請にはブランドの品質や味、成分、衛生管理の基準を明確にする必要があり、道は、こうした基準作りや手続きについてアドバイスし、申請を目指す団体を支援する。ブランド名についても協議する。登録には、ブランドに地域の名前が含まれ、地域に浸透しているなどの条件もある。道はGI登録実現に向け、既存のエゾシカ肉製品のPRも強化する。

(イノシシ肉活用目指す組合が試食会:富山)
食肉としてイノシシ肉を活用しようとしているNPO法人「新川地区獣肉生産組合」が20日、富山県黒部市内で初めてのジビエ料理試食会を開いた。販路の開拓に力を入れる同組合だが、県内では富山、砺波、南砺3市で野生イノシシの豚コレラ感染が確認された影響で、飲食業者らとの商談が進めづらい状況。野村春幸理事長は「しばらく様子を見守るしかない」と話す。試食会には黒部、魚津両市内の飲食店関係者らが参加。魚津市内の旅館の料理長、田村千代志さん(64)が調理したローストやトマト煮、昆布じめや朴葉(ほおば)みそ焼きなどを味わい、イノシシ肉の購入方法などを質問する業者もあった。同組合によると、先月末も富山市内であった県主催の県産食材の商談会があったが、豚コレラの影響で具体的な商談を進めるには至らなかったという。

(シカを原料に“魔法の薬”製造:北海道)
この数年、高級レストランでもジビエを提供する店が増え「ジビエブーム到来」などといわれているが、その陰には切実な害獣問題があるのだ。ジビエのひとつとしてエゾシカが人気だが、このエゾシカは北海道では「害獣」であり多くの農家が頭を抱えている。エゾシカは通常、森林などに生息するが、繁殖力が高く個体数は増える一方で、その結果、人間の生活域まで分布域を拡大し、人々の生活を脅かしている。北海道庁の環境生活部環境局生物多様性保全課では、エゾシカ対策グループを発足し、捕獲等による個体数の管理や捕獲個体の有効活用推進などを行っている。北海道におけるエゾシカの捕獲数は、平成22年から毎年10万頭を超える。ジビエブームとはいえ、それほどの数のエゾシカをすべて食肉として利用することは難しい。捕獲されたエゾシカの処理には莫大な費用がかかっていた。しかし、このエゾシカから製造する和漢成分に着目し、生薬素材への利用を考えた人物がいる。それは、北海道鹿美健(ろくびけん)株式会社の代表取締役で薬学博士でもある鄭権(ていけん)氏だ。エゾシカを原料とした生薬素材とその製造に至るまでの軌跡を聞いた。鄭権氏は、これまで多くの美容、健康増進のためのサプリメントの開発、製造に携わってきた。そのなかでも「アキョウ(阿膠)」と呼ばれる和漢成分にこだわり、飲んだ人が良さを実感できるサプリメントの製造に尽力してきた。日本ではあまり聞き慣れないアキョウだが、日本でもいくつかの漢方薬に含まれており、補血・止血作用をもち婦人科系の疾患に処方されることも多い。「アキョウは、中国では、その昔、宮廷妃が美と健康を保つ魔法の薬として飲んでいたといわれています。アキョウには豊富なミネラル、ビタミン、アミノ酸、コンドロイチンなどが含まれ、現在も多くの中国人がアンチエイジングや健康増進のため飲んでいます。しかしながら、中国でもアキョウは価格が高騰し、容易には入手困難な状況です」(鄭権氏)価格が高騰した理由は、その原料にある。「アキョウとはロバの皮から抽出される和漢素材です。中国ではロバが稀少となり、大変高価なものとなっています。私たちは、品質と安全性が保証された本物のアキョウを、より多くの皆様にお届けできるように商品の開発・製造を続けていましたが、ある時、北海道のエゾシカの害獣問題を知り、驚愕しました。シカは貴重な和漢原料。特にエゾシカからつくる和漢成分、ロクキョウ(鹿膠)は、アキョウにも負けない効果が期待できます」(同)鄭権氏は北海道に向かったが、すぐには理解を得られず、地元の協力を得るために歩き回った。半年かかって1軒の民家を借り、エゾシカを原料に和漢成分の抽出を試みた。「膠職人が何年も修行してようやく習得する技術ですので、試作はたやすくはありませんでした。試行錯誤の末、完全とはいきませんでしたが、工場の設備と膠職人の専門の技術があればできると確信しました」。年間10万頭以上のエゾシカが捕獲され廃棄されている現状は、鄭権氏にしてみればまさに宝を捨てるようなものだった。エゾシカを和漢原料として利用できれば、北海道のエゾシカによる害獣問題も同時に解決できると考えた鄭権氏は、まず工場としてつかえる場所を探した。「工場とする場所を探して奔走すること1年以上。廃校となった新ひだか町東静内の旧静内第二中校舎を利活用する企画案を街が募集していることを知りました。『これだ!』と思い、すぐさま応募しました」(同)その結果、見事に企画案が採用され、2018年2月より、和漢成分ロクキョウの開発・製造を開始した。しかし、北海道での開発製造には多くの苦労があったという。「廃校を工場として使えるように整備するのも、スタッフと私で行いました。寝袋で廃校に寝泊まりしたのですが、その寒さは想像以上でした。水道管が凍って破裂したこともあります。原料調達のため、1日500キロあまりを7~8時間かけて運転。数日で数千キロを走破することもありました。鹿は大きくて重く、力仕事でいつもヘトヘト。原料の新鮮さを保つため、施設ごとに大容量冷凍庫が必要です。電気工事をして、冷凍コンテナの運搬にもクレーン車を用意して、結果、多額の費用が発生しました」(同)また、エゾシカを原料としてその和漢成分を取り出すには、熟練した技術者の存在が不可欠だった。「中国から技術者を呼びましたが、そのビザがなかなか下りず、大変苦労しました。膠職人の技能を説明することが難しく、書類を何度もつくり直し、最終的には法務省での審議を受けて、許可が下りました」(同)ロクキョウを取り出し、高品質の和漢素材をつくりたいという熱意が勝り、工場は軌道に乗り始め、廃校の利活用と害獣問題の解決にもつながる鄭権氏の取り組みは、道内外から大きな注目を浴びている。工場として稼働し始めた現在、鄭権氏にはさらなる構想があるという。「今後、エゾシカを原料とする和漢素材の製造工場として規模を広げ、道内での雇用拡大など地域貢献ができればと考えています。エゾシカの問題を解決するために行動を起こす、道内すべての人がヒーローだと私は考えています。私は、和漢素材づくりを通してパワーを送り、そういったヒーローの皆さんが元気に働けるようサポートしたいと思っています」(同)そう話す鄭権氏は、エゾシカを利活用し、和漢素材で多くの人を健康にすることで、人々を誰かのヒーローにしていくことだろう。

(野生動物との遭遇率98.9%:長野)
ピッキオは10月までの毎夜、夜の森で動物を見つける「ワイルドサファリツアー」を開催している。広い角度を照射する専用のライトを搭載したクルマに乗って、ガイドとともに動物を探索。安全が確保できる場所ではクルマから降りて、動物に近づき観察する。野生動物との遭遇率は98.9%。ニホンジカ、ノウサギ、キツネは比較的見つけやすく、日によってはイノシシ、アナグマ、タヌキと出合えることもある。

(イノシシよけにイルミ点灯:佐賀)
佐賀県伊万里市東山代町川内野地区に11日夜、イノシシよけの柵を利用したイルミネーションがともされた。住民らが昨年から始めた地域おこしの取り組みで、山あいの集落に約400メートルの光の帯が浮かび上がった。11月末まで点灯する。周辺は昨夏の豪雨で土砂崩れなどの被害を受け、イルミネーションには地元を元気づけたいとの思いも込められている。昨年に続き、佐賀大で地域おこしを学ぶ学生たちが作業を手伝った。点灯式には地区外からも大勢の人が駆け付け、アーチ形の門や動物をかたどった電飾の前で写真撮影を楽しんだ。山本三夫区長(78)は「今後も若い人の力を借りながら、この取り組みを続けていきたい。できれば他の地域にも広がってほしい」と話した。

(生徒が鳥取大山の特産を使った商品開発で地域PRに挑戦:東京)
工学院大学附属中学校・高等学校(所在地:東京都八王子市、校長:平方 邦行)と特定非営利活動法人 very50 (本社:東京都豊島区、代表理事:菅谷 亮介)、鳥取大山にあるコモレビトサンセットカフェ(所在地:鳥取県西伯郡、代表:小谷 英介)は鳥取大山の特産を使った商品開発による地域PRプロジェクトを実施します。本プロジェクトは、ほうきのジビエ推進協議会(所在地:鳥取県西伯郡)、大山ジビエ振興会(所在地:鳥取県西伯郡)の協力のもと、中高生たちが柔軟な発想力と事前に学んだビジネススキルを活用し、鳥取大山特産のジビエを使った商品開発に挑戦するものです。ぜひ鳥取大山のPRに取り組む中高生の姿をご取材頂けましたら幸いです。

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