<射撃ニュース9月>
9/12
(シカ捕獲写真使い回し、報償金狙い:徳島)
勝浦町猟友会副会長だった70代男性が4~6月、シカなどの有害鳥獣を捕獲した際、同じ個体の写真を使い回す手口で、報償金をだまし取ろうとしていたことが10日、町への取材で分かった。男性は不正を認めて副会長を辞任した。町は駆除許可を取り消したが、「反省している」として刑事告発しない方針。

(クマにかまれ男性軽傷:栃木)
那須塩原市の山林で、77歳の男性が子熊を連れた親のクマに襲われ、足をかまれるなど軽いけがをしました。クマは現場から立ち去り、警察は、付近の住民に注意を呼びかけています。警察によりますと、10日午前8時ごろ、那須塩原市上塩原の山林で、近くに住む、農業、君島義平さん(77)が知人の家に向かっていたところ、子グマ2頭を連れた親グマに遭遇しました。君島さんが逃げようとしたところ、体長およそ1メートルほどの親のクマに襲われ、右足や右腕にかまれるなどの軽いケガをしました。3頭のクマは現場から立ち去り、警察や地元の猟友会などが周辺のパトロールを行っています。市によりますと、付近では今月上旬から親子のクマの目撃情報が寄せられていたということで、警察は、付近の住民に注意を呼びかけています。

(クマに背中引っかかれ軽傷:岐阜)
9日午前11時15分ごろ、岐阜県高山市朝日町甲で、農作業中の男性(65)がクマに襲われた。男性は背中などを引っかかれ、軽いけがをした。高山署によると、クマは体長約1メートルの中型。付近の山に逃げたとみられ、警察や消防が住民に注意を呼びかけている。男性は「最初はイノシシかと思ったがクマで、うつぶせになったところに覆いかぶさってきた」と話していたという。

(ゴルフ場でイノシシに襲われ2人けが:香川)
11日午前10時20分ごろ、香川県三豊市のゴルフ場「琴平カントリー倶楽部」で、同県観音寺市の男性会社員(52)と同ゴルフ場の男性従業員(55)がイノシシに襲われ、手や脚をかまれて負傷した。三豊署によると、プレー中だった男性会社員が最初に襲われ、駆け付けた男性従業員も襲われた。会社員は右手と左膝を、従業員は左太ももをかまれたが、いずれも命に別条はない。イノシシは体長約1・3メートルの雄。襲われた際、従業員が草刈り用の鎌を頭に刺し、倒れているところを駆け付けた猟友会員が射殺した。現場では、数日前からイノシシの目撃情報があり、猟友会が見回りをしていた。

(ハチに刺され死亡、60カ所以上刺される:和歌山)
10日午後、和歌山・由良町の山の中で、近くに住む農業の浜野栄次さん(78)が、ハチに全身を60カ所以上刺され、死亡した。浜野さんの死因は、ハチに刺されたことによる急性循環不全だった。浜野さんは、山にイノシシのおりを見に行った際に、ハチに襲われたとみられる。

(エゾシカ処理加工施設、キロ135円で買い取り:北海道)
浦臼町鶴沼で建設中のエゾシカ処理加工施設が10月に開設されるのを控え、町などが準備を進めている。町はハンターが捕獲したエゾシカの買い取り価格を近隣の猟友会に周知。エゾシカを施設に持ち込むには事前に登録が必要で、町は今月中旬にも受け付けを始める。施設でのエゾシカの買い取り価格は体重(1キロ当たり135円)を基に計算し、弾が当たった部位や性別などで減額する。同施設は遠方からでも鮮度を落とさずに運べる移動処理車(要事前予約)を使ったり、衛生管理を徹底したりして、空知管内では初となる道の「エゾシカ肉処理施設認証」の取得を目指す。認証されれば同制度のロゴマークが使え、ブランド化が図れる。町は管内の猟友会を中心に施設の説明をしているが、管外からもエゾシカを受け入れる考え。採算ラインは年800頭で、初年度は10月~翌3月末までの半年で「200~300頭の受け入れを目指す」(町産業振興課)という。

(狩猟の前に講習受講を:長野)
長野県は9日、11月15日に解禁される狩猟について、豚コレラ感染の拡大を防ぐための講習を受けたうえで山に入るよう、狩猟者に呼びかける方針を決めた。豚コレラ拡大防止のため、感染地域を中心に狩猟を禁止すると8月に公表していたが方針を変えた。県は当初、11月15日~来年2月15日の狩猟期間中、豚コレラに感染したイノシシが見つかった地点から半径10キロの範囲で狩猟を禁止にするとしていた。だが、想定以上のスピードで感染地域が拡大した。このため、狩猟を禁止すればイノシシやシカなどの数が減らず、畑を荒らすなどの被害が増えるリスクが高まると判断。感染防止のための知識を身につけてもらったうえで狩猟を促す方針を採ることにした。県内で狩猟をする人は毎シーズン、県に登録する必要があり、登録前に講習を受講してもらう。講習は今月から県内各地で実施し、靴や車両の消毒など感染拡大防止のために気をつけるポイントなどを伝える。県内の猟友会員約4300人のほか、県外から狩猟に訪れるハンター約500人にも受講を呼びかける。

(豚コレラ防止、県内全域禁猟:岐阜)
県は11日、豚(とん)コレラの感染拡大を踏まえ、今年度は県内全域を禁猟にすると正式発表した。感染した野生イノシシや人などによるウイルス拡散を防ぐための措置。県猟友会などによる個体数削減を含めた野生イノシシ捕獲は推進する。銃猟やわな猟を11月1日から来年3月15日まで禁止する。

(アイガモ農法の水田から20羽が忽然と姿消す:長野)
アイガモを使ってコメ作りをしている農家のもとからアイガモ20羽が忽然(こつぜん)と姿を消しました。一体、何があったのでしょうか。アイガモ農法でコメ作りをしている河島努さんには、ある悩みがありました。それは、肝心のアイガモが日を追うごとに居なくなってしまうのです。道路にはくっきりと足の形が残されていました。アイガモ農法とは有機農法の1つ。アイガモが雑草や害虫を駆除してくれるため、農薬をほとんど使わずにコメ作りができるのです。河島さんがカモ26羽を購入したのは田植え直後の6月でした。ところが、7月に4羽、8月は13日に8羽、15日にも8羽いなくなって現在、わずか6羽となってしまったのです。田んぼの周りを電流が流れているワイヤで囲っていますが、効果はないといいます。5年前にアイガモ農法を始めたという河島さん。これまで延べ100羽近くが姿を消し、その都度、人の足跡も残されていました。アイガモは一体、どこへ行ってしまったのでしょうか…。河島さんは警察に被害届を提出。防犯カメラの設置を考えているということです。

(豚コレラ発生1年、感染7府県に拡大)
家畜伝染病の豚コレラが2018年9月、国内で26年ぶりに感染が確認されてから1年が過ぎた。感染は愛知など7府県の養豚場に拡大し、殺処分された豚は13万頭を超える。自治体は感染を媒介する野生イノシシ向けにワクチン入りの餌をまくなど対策を進めるが、終息の兆しは見えない。養豚農家には飼育豚へのワクチンの直接接種を求める声も高まってきた。「今でも怖くてたまらない」。今年7月に経営を再開した愛知県豊田市の養豚場「トヨタファーム」の鋤柄雄一代表(50)は硬い表情で語る。2月に豚コレラの感染が見つかり、関連農場を含め約7千頭の豚を殺処分した。感染発覚後に再開した養豚場は全国初だったが、同市内の別の養豚場で8月末に感染が見つかっており、不安が募る。豚コレラは18年9月9日、岐阜県の養豚場で発生が確認された。農林水産省などによると、検出されたウイルスは中国など海外から侵入し、野生イノシシが感染、ネズミなどの小動物が介在してまん延したとみられる。対策として愛知県などは野生イノシシに抗体を持たせようと、山林にワクチン入りの餌を散布。抗体を持つ個体の割合は増え、一定の効果が出ているとみられるが、大半に行き渡らせるにはまだ時間がかかる見通しだ。こうした中、養豚農家の間で期待が高まるのは飼育豚へのワクチンの直接接種だ。養豚場の衛生管理の徹底とともに、豚自身に抗体を持たせられれば感染リスクを減らせる。26年前の流行時もワクチン接種で感染を終息させた経緯がある。しかし、この「妙案」にも課題がある。ワクチン接種した豚とウイルスに感染した豚との区別は難しい。誤って感染していない地域に感染豚を出荷してしまう恐れがある。国際獣疫事務局(OIE)の国際ルール上の格付けも「清浄国」から「非清浄国」に格下げされる可能性がある。非清浄国になると清浄国から輸入を拒まれるなどの懸念があり、農水省はワクチン接種には慎重姿勢だ。養豚農家の声を受け、農水省は「折衷案」として地域限定でのワクチン接種の検討を始めた。接種地域とそうでない地域に分け、ワクチンを使った豚の流通を接種地域内に限定するというものだ。域外は清浄国扱いになり、輸出入への影響を限定的にすることができるとみられる。接種地域は流通が大幅に制限されることになり、養豚業が大きな打撃を受けかねない。愛知県の大村秀章知事は「極めて不十分なやり方。限定の流通になれば愛知の養豚業が壊滅する」とし、「予防、まん延拡大は国に一義的な責任がある。全国の産地に聞いて合意を取るべきだ」と主張する。岐阜、三重両県などはワクチン使用を国に求めており、自治体間での温度差も生じている。

(イノシシ感染確認で1施設が監視対象に:長野)
県は10日、上伊那郡辰野町小横川で捕獲した野生イノシシ1頭で豚コレラ感染を確認し、発見地点から半径10キロ圏内にある諏訪市の養豚場1施設が新たに監視対象農場になったと発表した。県内の監視対象農場はこれまでの塩尻、伊那、松本、安曇野の各市と同郡宮田村の計10施設から計11施設に増えた。県は同日、諏訪市の施設への立ち入り検査を実施し、異常は確認されなかったとした。11日以降、豚の遺伝子検査も行う。監視対象農場は、異常な豚がいないかどうかを県に毎日報告するほか、県への1カ月分の出荷計画提出や、出荷前日の体温測定なども求められる。県は10日、この他に辰野町で2頭、木曽郡木曽町で2頭、東筑摩郡朝日村で1頭の野生イノシシの感染を確認したと発表。朝日村での確認は初めて。県内の感染イノシシは計108頭になった。発見地点から半径10キロ圏内で、より厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域は中南信の27市町村で変わらない。また、県などでつくる協議会は同日、国の指針に基づき、松本市と塩尻市で、野生イノシシ向けの経口ワクチン計600個を散布した。

(イノシシ10頭目、新たに3農場監視:富山)
富山県は十日、富山、砺波市、立山町で見つかった野生イノシシ五頭が家畜伝染病の豚コレラに感染していたと発表した。立山町で感染イノシシが確認されたのは初めてで、発見場所から半径十キロ圏内にある三養豚場を新たに監視対象農場に加えた。県内での野生イノシシ感染は十頭目で、監視対象は県内の全十九農場のうち八農場となった。立山町で見つかったのは、雌の子ども。体長約四五センチ、体重約三キロで、同町横江野開の用水脇の草むらで横たわって死んでいるのを住民が発見した。ほかの四頭は、八月二十九日~九月八日に捕獲された。三頭が成体で一頭が子ども。既に感染イノシシが確認された地点の近くで監視農場の追加はない。富山市、立山町でイノシシが見つかった場所は、八月下旬にイノシシの餌に混ぜた経口ワクチンをまいた地点から半径二キロ圏内で、散布から十五日以内に捕獲された。ワクチンを食べたばかりのイノシシは陽性反応が出ることがあるため、国が精密検査し、感染を確認した。県農業技術課によると、現在まで監視対象の八農場で飼育されている豚に異常は確認されていない。

(「カラス防除機」を公開:岐阜)
高山市は、県内で感染が続く豚(とん)コレラの防疫対策として導入した「カラス防除機」を公開した。市内3カ所の養豚場で使用する。機械は、ウイルスを媒介する可能性のあるカラスなどの野鳥が農場に近づかないようにするため、カラスが嫌う音を発する。

(クマ警戒強まる、猟友会が朝夕見回り:岐阜)
九日に高山市朝日町甲に出没したクマが男性を襲ったことを受け、同町内で地元の猟友会や学校関係者らが警戒を強めている。猟友会は早朝と夕方にパトロールを始め、小中学校の登下校時は保護者が車で送迎をしている。クマによる襲撃から一夜明けた十日午前六時十分。飛騨猟友会朝日支部長の池田洋さん(57)と支部員の屋貝幸司さん(72)が、軽トラックで民家が点在する現場付近に乗り付けた。それぞれライフル銃を携えてパトロールへ出発し、同町の甲、立岩、見座、小瀬の計四地区を巡回。橋や畑など過去にクマが目撃された場所を中心に見て回り、新しい足跡がないかなどを確認した。伸び放題になった草むらに、屋貝さんは「こんなに草が生い茂ってたら、クマが潜んでいても気付かない。手入れが行き届いていないと、クマも集落へ入って来やすい」と指摘。一時間のパトロールでクマを発見することはなかった。池田さんは「今回のクマ襲撃で、地域住民も自分たちがいかに危険な場所に住んでいるのか再認識したのではないか。人々の安心のため、今後もしっかりと巡回したい」と話していた。猟友会によるパトロールは朝夕二回、今週いっぱいまで続けられる。地元の朝日小学校と中学校では同日朝、子どもたちが保護者に車で送られて登校する姿が見られた。児童は自衛のため、全員クマ鈴をランドセルに付けている。保護者による送迎は十三日までを予定。同小の平井敦子校長は「子どもたち自身が警戒するとともに、家族や地域住民による見守り活動が大事になってくる。子ども一人で出歩くことがないようにしてほしい」と話した。今年市に寄せられた同町内でのクマ目撃情報は九日現在、二十五件。昨年の二倍を既に超えている。

(クリの木に登るツキノワグマ、目撃相次ぐ:神奈川)
8日から9日にかけ、相模原市緑区牧野の同じ民家近くでツキノワグマが相次いで目撃された。両日とも住民が自宅裏のクリの木を登っているツキノワグマを見つけた。市が現地調査を行い、折れている枝などの痕跡を確認。体長は150センチほどで同じツキノワグマとみられている。現場は藤野やまなみ温泉や市立藤野南小学校から西に約250メートルで、丹沢の山間に住宅が点在する地域。

(幼いヌートリア、依然目撃相次ぐ:奈良)
王寺町の大和川左岸河川敷に特定外来生物のヌートリアが出没している問題で、町が捕獲器具を設置してから11日で2カ月となる。

(民家の庭にクマが出没:山形)
目撃者は「大きい太い木があるよね。ちょうどあの前のあたり。大きいクマだったのでこんな近くまで来ると怖い」とその時の様子を話した。10日午前7時半すぎ、鶴岡市羽黒町手向の民家の庭にクマ1頭がいるのを、隣の寺に住む女性が目撃し、市の羽黒支所に通報した。警察の調べによると、クマは体長1.5メートルほどで、女性が大声を上げたところ、南のやぶに走り去ったという。目撃された現場から西に約200メートル先には大東保育園がある。羽黒支所によると、現場付近では、今月3日にもクマが目撃されていて地元の猟友会が箱ワナを設置していた。警察や羽黒支所は周辺のパトロールを行い、住民に警戒を呼びかけている。

(サルの目撃相次ぐ:神奈川)
相模原市で猿の目撃情報が相次いでいる。1、2日には中央区で、3、5、7日には南区のいずれも市街地や公園などで目撃された。市によると、猿は同じ1匹の可能性があり、徐々に南下しているとみられるという。市が住民に注意を呼びかけている。市水みどり環境課によると、猿は1日午前6時半ごろに中央区矢部1丁目で、2日午前6時半ごろには同区上溝の道保川公園付近で目撃された。3日午後0時半ごろに南区磯部の市営峰山霊園付近で、5日午前6時半から9時に同区の磯部、新戸地区、7日午前7時ごろに同区当麻地区でも目撃された。いまのところ人に危害を与えたという情報はない。市は無理に捕まえず、様子を見守る方針。防災行政無線で住民に注意を促すとともに、教育委員会を通して学校にも連絡。猿に近づいたりしないよう注意を呼びかけている。

(送電トラブルでJR10本運休:北海道)
10日午後2時55分ごろ、札幌市手稲区のJR札幌運転所構内で、架線への送電が止まるトラブルが発生した。約1時間10分後に運転を再開。この影響で普通列車10本が運休したほか、特急1本で最大約46分の遅れが生じ、約2600人に影響が出た。JR北海道によると、トラブルが発生した現場でけがをしたカラスが見つかった。同社はカラスが架線に接触して感電し、その影響で送電が止まったとみている。

(3年ぶりクマ注意情報:石川)
石川県は10日、県内でツキノワグマの目撃情報が増えていることを受け、出没注意情報を3年ぶりに発令した。同日、県庁で市町や猟友会の担当者を集めた連絡会議を開き、今秋は例年より餌の木の実が少なく、人里近くで大量出没の恐れがあるとして、被害防止策の徹底を呼び掛けた。注意情報を出すのは過去10年間で6回目となる。今回はクマを人里に近づけないため、カキやクリなどの果実を早めに摘み取り、畑に野菜くずを放置しないよう要請。キノコ採りなどで山林に入る場合は2人以上で行動し、鈴やラジオの携帯を求めた。会議では、県側が8月に実施したブナ科植物に関する調査結果を示し、ブナ、ミズナラはいずれも「凶作」、コナラは「並作」と見込まれると報告した。県自然環境課の担当者は「奥山に餌が少なく、これまで出没していなかった地域にも餌を求めて山を下りてくる可能性がある」と注意を促した。県内での今年8月末時点の目撃件数は、前年同期比62件増の208件で過去最多となった。市町別では金沢市が82件で最も多く、小松市36件、加賀市24件と続いた。県側は目撃が増えている理由について、親離れしたばかりの警戒心の薄い子グマが里山周辺地域に出没していることに加え、個体数の増加や生息域の拡大が要因だとした。人身被害は8月末時点で過去最多と同水準の5件となり、7月には小松市大杉町で登山中の70代男性が成獣に左側頭部をかまれた。

(イノシシ被害深刻:鹿児島)
瀬戸内町加計呂麻島でイノシシの被害が深刻化している。畑では、イノシシがサトウキビやイモなど農作物を食い荒らす被害が多発。各地で民家の庭や校庭の芝生が掘り返されている。住民は柵や網、トタンなどで侵入を防ぐ努力をしているが、対策が追い付いていない状況だ。黒糖やきび酢を製造、販売している佐知克集落の西田製糖工場では、約3ヘクタールの畑で原料用のサトウキビを栽培。イノシシ被害は7月ごろからひどくなったという。周囲に巡らせた金網の隙間から複数のイノシシが侵入。金網を押し曲げて畑内に入るイノシシもおり、これまでに全面積の10分の1ほどのキビを食べられた。同工場の竹村明美さん(59)は「今年は特に被害がひどい。毎朝5時半から見回りをし、トタンや目の細かい網を買って隙間を埋めているが、追い付かない。これからキビの糖度も上がってきたら、そのおいしさを知るイノシシたちがさらに入って来ようとする。12月の収穫まであと3カ月も闘わなければならないのか」と疲れた様子だった。伊子茂小中学校では、7月下旬から8月中旬にかけてイノシシが複数回侵入し、約220平方メートルの芝生を回復不能な状態まで掘り返される被害に遭った。町や猟友会に対策を依頼。今月3日までに集落内で3頭のイノシシが捕獲され、その後の被害はないという。荒らされた芝生は、22日の運動会に支障を来さないよう、全て取り去った。櫻井登校長は「校区住民も自慢にしている芝生。できれば元の形にしたいが、多額な費用がかかる」と頭を抱えていた。町農林課によると、イノシシ被害は同島だけでなく、奄美大島側でも問題となっている。有害鳥獣を捕獲することのできる4~10月の期間、2018年度は町全体で133頭、うち加計呂麻島で58頭を捕獲した。本年度は8月末現在で、町全体161頭、うち加計呂麻島89頭と昨年度を上回るペースとなっている。町は本年度も一般会計予算で鳥獣被害対策実践事業費635万円を計上し、捕獲や柵の設置を進めているが、被害は収まっていない。町農林課の担当者は、被害が拡大している理由について、「山にシイの実などイノシシの食べ物が不足しているのではないか」と推測。「対策の基本は畑や集落周囲の草などを刈り、イノシシを寄せ付けないこと。今後はICT(情報通信技術)を活用した捕獲作戦なども考えたい」としている。

(ヒグマ被害により入山自粛を呼びかけ:北海道)
北海道・日高山脈のカムイエクウチカウシ山では、今夏、ヒグマによる人身事故が相次いだ。このため、北海道庁や北海道森林管理局、警察、中札内村などは、ヒグマがさらに登山者を襲撃する恐れがあると判断し、登山の自粛を呼び掛けている。また、ヘリコプターによるパトロールも行っている。7月に、登山者がヒグマとの遭遇した事故が2件あった。いずれも命に別状はなかったが、襲われてケガを負っている。一例は、自力では下山できず、警察に通報の上、救助ヘリで病院に搬送されている。これら2件の事故は同一個体による可能性もあり、さらに人身事故が続く危険性も指摘されたため、中札内村の入山地点では登山自粛を呼びかける掲出物を設置した。しかし、夏の登山シーズンとあって入山する登山者が後を絶たず、事態を重くみた帯広警察署は、ヘリによる巡回を行ない、上空から登山者に注意喚起のアナウンスを行った。秋はヒグマによる人身事故が増える季節。北海道庁生物多様性保全課動物管理グループでは、人に危害を加える恐れのあるヒグマがいるため、登山自粛とともに、周辺の山でもヒグマに充分注意し、クマ鈴の携帯など遭遇しないための対策をとり、痕跡を発見した場合、すぐに引き返すことなどを呼びかけている。

(豚コレラ対策「国は本腰入れて」:石川)
国内で豚コレラの感染が判明しておよそ1年。依然、終息のめどが立たない状況に対し、谷本知事は、国の「本腰の対応」を求めた。11日の県議会で、豚コレラ対策に触れた谷本知事。県内でも、野生イノシシから感染が確認されたことから県では、9月補正で防疫体制の強化費を計上している。しかし、依然国内の感染は終息が見えず、このまま1年経つと「非清浄国」となり、輸出に影響が出る恐れがある。こうした状況に対し、谷本知事は、本会議後、国の「本腰の対応」を求める姿勢を示した。谷本知事は「ある意味、時間との勝負だ」と強調した。

(溝ぶた拡充、イノシシ対策に効果:富山)
滑川市は、獣害が多い中山間地でイノシシの侵入を防ぐグレーチング(溝ぶた)の設置を拡大する。昨年度から始め、被害防止に一定の効果があると判断した。10日の市議会本会議で、脇坂章夫氏の一般質問に黒川茂樹農林課長が答えた。グレーチングは、編目状になっている鉄や樹脂製の溝ぶた。ひづめのある動物は、穴に足がはまるため、通るのをためらう。市道沿いにある既存のフェンス柵と組み合わせ、集落を囲むことで侵入を防ぐ。市が昨年7月に同市下野の市道に初めて設置したところ、田んぼが荒らされる被害が減ったという。今年8月には同市東福寺野の市道にも整備。いずれも国の補助金を活用した。今後、各町内の要望も加味しながら設置箇所を増やす予定。この他、角川真人、開田晃江、大浦豊貴、尾崎照雄の各氏が一般質問した。決算特別委員会の委員長を開田氏、副委員長を青山幸生氏がそれぞれ務めることを決めた。

(クマの痕跡探しツアー:北海道)
キノコ採りの季節、山でクマと遭遇するおそれも増えます。クマに出会わないために必要なことを学ぶツアーが開催されました。大事なのは「痕跡さがし」と「音を出すこと」です。ことしの道内はクマの出没が相次いでいて、目撃件数は過去5年で最多の1540件に上ります。山に入るとすぐに、クマの爪痕が見つかりました。このような痕跡を探すことで、クマとの不用意な接近を未然に防ぐことができます。声を出す、手をたたく、鈴を鳴らす。音を立てることも大切です。人の気配をクマに伝え、クマの方から距離をとってくれるといいます。参加した市民らも、クマの特徴を学んだようです。万が一の事故を防ぐため、ちょっとした心がけが重要です。

(ハトやカラス、空気噴射で撃退)
竹中工務店は建物の屋上にハトやカラスを止まらせないようにする防鳥設備を開発した。センサーが鳥の飛来を検知すると、空気を噴射して鳥が逃げるように仕向ける。ハトが建物にフンをしたり、カラスが建材を壊したりするのを未然に防ぐ。実証実験では設置後2年目にハトとカラスの飛来頻度が前年比で約75%減少したという。開発した防鳥設備は「TORINIX」(トリニックス)。工場やオフィスビル、商業施設などでの利用を想定する。屋上の外周部に設置する空気の充填管と吹き出し管、センサー、空気を圧縮するコンプレッサーで構成する。センサーが鳥の飛来を検知すると空気をコンプレッサーから充填管へ送り、吹き出し管の小さな穴から発射する。鳥は空気が体に当たる刺激と吹き出し音に驚いて逃げるという。鳥は高くて見晴らしの良い屋上外周部を休息場所として好むという。巣を作るなどして建物に定着する場合がある。薬剤や鋭利な器具を使わず、鳥にやさしい形で建物への定着を防ぐ。吹き出し管は落雷の電流を逃がす「避雷導体」の機能も満たす大きさにする。屋上外周部に密着して取り付けることで、地上からの建物の見た目も損なわないという。工場やオフィスビル、商業施設などへの展開を目指す。まずは竹中工務店が設計や施工を手掛ける建物に導入し、その後外販する。料金は設置条件によって異なり、目安は100メートル分設置する場合で材料費が200万~300万円程度。

(イノシシ撃退新商品、青く光る「目」で威嚇:福井)
ブランド名を示す織物製タグ「織ネーム」を製造する日本ダム(本社福井市、内山忍社長)は、蓄光材を使った獣害対策商品を開発し、本格販売を始めた。オオカミの目玉を模した蓄光材が夜間、青色に光り、イノシシを威嚇する効果があるという。

(ジビエを使った缶詰も:大阪)
缶詰専門店「カンナチュール」が9月11日、大丸梅田店(大阪市北区梅田3、TEL 06-6343-1231)地下1階に期間限定出店する。化学調味料や保存料を使わない缶詰商品の製造を手掛ける「カンブライト」(京都府京都市)のポップアップショップ。同社は15年間IT業界で活動していた井上一馬社長が日本の食料自給率に危機感を抱き、2015(平成27)年に設立。併設する缶詰工場で、地域の特産品や規格外の農作物、加工の段階で出る端材などを活用した缶詰を作っている。

(射撃大会、日本一へ照準:新潟)
新潟県猟友会東蒲原支部の江口里江子さん(26)=阿賀町九島=が、7月に長岡市で開かれた安全狩猟射撃の県大会女性クラスで念願の初優勝を果たし、今月29日に大阪府で開催される全国大会に初出場する。町内在住の女性が県大会を突破し、全国大会に挑むのは初めての快挙。江口さんは「出るからにはトップを狙いたい」と頂点に照準を定めている。東京都出身の江口さんは東京農大卒業後の2016年4月、阿賀町の地域おこし協力隊として同町へ転居。3年間の任期中は林業に従事し、今年4月からは東蒲原郡森林組合で働いている。狩猟に関わったきっかけは、地域おこし協力隊時代。着任直後、鳥獣被害対策に携わっていた別の協力隊メンバーに誘われ、「自分の知らない世界。面白そう」と始めた。講習や適性試験、技能試験などを重ねて、その年の冬までに狩猟免許と鉄砲所持許可を取得した。17年には安全狩猟射撃の県大会に初出場したものの最下位。昨年は最下位を脱したが、上位陣とは水をあけられたまま。「本当に悔しくて、もっとうまくなりたいとの一心だった」折しも今年は、何年かに一度不定期に開かれる全国大会の年だと県猟友会のメンバーから知らされた。「県大会で優勝して全国大会に出たい」との思いが燃え上がり、今年の県大会に向けて1年前から準備を進めてきた。町内在住で国体クレー射撃の本県代表選手に選出された経験がある東蒲原支部所属の清野友弘さんに教えを請い、新潟市秋葉区の射撃場に週1回ペースで通って腕を磨いた。三度目の出場となった今大会には、県猟友会各支部から代表13人が出場。4種目で標的に命中させた総得点を競う勝負に挑んだ。1種目は「緊張した」と出遅れ。しかし「ほかで巻き返せばいい」と開き直り、2種目以降は「集中できて標的がよく見えた」。2種目でトップを奪う快進撃を見せ、100点満点で75点の自己ベストを出して頂点に立った。射撃を始めた当初は「まるで当たらなかった」が、「当たった時がうれしくて、極めてみたいと思うようになった」と練習に打ち込んできた。今も「夢みたい」と思いつつ、「好きこそものの上手なれ」とも実感している。上達した射撃の腕前を生かし、「町のためになれたら」と町の有害鳥獣駆除のメンバーとしても活動する。「お世話になった人、協力してくれた人たちに(優勝して)恩返しがしたい」と大一番に闘志を燃やしている。

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(クマに襲われ65歳男性けが:岐阜)
9日午前11時20分ごろ、岐阜県高山市朝日町甲のバス停付近で、「男性がクマに襲われけがをした」と110番があった。同市の65歳男性が背中や顔を負傷したが、命に別条はない。高山署によると、男性は道路脇にある畑で作業中に襲われた。近くにいた女性から連絡を受けた同市役所朝日支所の職員が通報した。クマは体長約1メートルで、男性を襲った後、逃げたという。同署は付近の住民に警戒を呼び掛けている。

(イノシシ被害深刻で「自己防衛」:宮城)
宮城県栗原市で、わな猟免許試験の受験者が急増している。イノシシによる農作物被害が拡大したため、自己防衛策として免許取得を目指す農家などが多いとみられる。栗原市築館の栗原文化会館で7月18日、県主催のわな猟免許試験があった。受験者計51人のうち、栗原市在住者が30人を占めた。1自治体から30人規模の受験者が出るのは「珍しい」(県自然保護課)という。背景には、栗原市でのイノシシ被害の拡大がある。同市内でのイノシシ目撃件数は1桁が続いていたが、2016年度に99件に急増。18年度は241件に増え、稲やイモ類などの農作物被害は約180万円だった。栗原市でのわな猟免許試験は、被害の増加を受けて市が県に開催を要望し、実現した。市は広報紙で特集を組み、市民に受験を呼び掛けた。7月に初めて受験した同市栗駒の酪農業菅原秀雄さん(86)も、数年前からイノシシ被害に悩まされている。「2、3日おきに牛の餌を狙って20頭近い群れがやって来る。自己防衛が必要と考えた」と話す。イノシシ捕獲に最も有効とされるのが、くくりわな。仕掛けの上にイノシシが乗るとワイヤが締まり、脚に絡んで捕獲する仕組みだ。市鳥獣被害対策実施隊員の菅原俊文さん(66)は、「イノシシは警戒心が強く、散弾銃での駆除はとても難しい。試験の難度、費用面からもわな猟免許が現実的」と説明する。県自然保護課によると、県内の18年度のイノシシによる被害額は8179万円、捕獲頭数は1万74頭だった。わな猟免許試験は例年、約300人が受験。19年度は10月までにあと2回実施する。

(ツキノワグマ、山に放つ:山形)
県は8日、松田町寄の山中に仕掛けられたわなに、メスのツキノワグマ(体長117センチ、体重43キロ)がかかったと発表した。同日夕、丹沢山中に放った。県西地域県政総合センターによると、同日朝、ニホンジカやイノシシを捕獲するためのわなにかかったクマを地域住民が発見し、猟友会を通じて県に連絡があった。丹沢に生息するツキノワグマは約40頭と少なく、絶滅の恐れがあるという。

(クマがミツバチの巣箱壊す:山形)
8日午前9時10分ごろ、山形県尾花沢市母袋(もたい)の母袋公民館から南東へ約220メートルの車庫兼倉庫の南側に設置していたミツバチの巣箱が壊されているのを男性(77)が見つけ、玉野駐在所に通報した。連絡を受けた尾花沢署員が駆けつけたところ、台に載せていた手製の木製巣箱がバラバラにされ落ちており、巣箱の木片にはクマの爪痕が残っていたという。同署によると、男性は7日午後7時に巣箱に異常がないことを確認しており、その後に壊されたものとみて、周囲の住民に注意を呼びかけている。

(校舎よじ登るサル、20匹が出没:静岡)
静岡・富士市のこども園や中学校に、20匹近くの野生のサルが出没した。校舎によじ登るサル。ベランダに現れ、警察も出動した。9日午前6時すぎ、サルが最初に目撃されたのは、富士市のこども園で、20匹近くのサルが、住宅の屋根を伝い、200メートルほど離れた吉原北中学校に移動。教室のベランダや、屋上にある避雷針などで遊んでいたという。通報した人は、「小さいサルから大きいサルまで。15メートルくらい跳んで歩いて、すごく楽しそうにやっていた」と話した。登校前に、警察が笛で追い払い、けがをした人はいなかったという。

(イノシシはね、列車に遅れ:佐賀)
7日午前8時50分ごろ、JR筑肥線の佐里-駒鳴駅間で、西唐津発伊万里行きの下り普通列車(1両編成)がイノシシをはねた。乗客にけがはなかった。JR九州によると、事故の影響で普通列車の下り1本に最大43分の遅れが出た。運転手が線路に横たわったイノシシの死骸をのけようとしたが、「あまりにも大きく、1人では無理だ」と応援を求め、唐津鉄道事業部から駆けつけた社員らと4人で線路脇に移動させた。

(ツキノワグマを捕獲:奈良)
県は6日、野迫川村池津川で雄のツキノワグマ1頭を捕獲し、殺処分したと発表した。8月上旬から同村で出没しており、村が設置したおりにかかっているのが9月5日朝に発見された。クマは成獣で156センチ、63キロ。

(豚コレラ、補助率20年度上げ)
環境省は2020年度から、豚コレラに感染したイノシシが発生した県を対象に、捕獲事業への支援を手厚くする。これまでイノシシや鹿の捕獲事業には、かかる費用の最大半額を補助してきたが、補助の割合を3分の2まで引き上げる。捕獲頭数の増加を後押しし、豚コレラまん延防止につなげたい考えだ。豚コレラは昨年9月に岐阜市で感染が発覚。感染イノシシが確認されたのは、7日時点で岐阜や愛知など7県に上る。同省は23年度末までに、鹿とイノシシの数を11年度比で半減させる目標を設定。「指定管理鳥獣捕獲等事業」で、都道府県による捕獲を支援している。具体的には、都道府県が計画を策定し、猟友会などに捕獲を委託。委託に伴い発生する費用に対し、同省が補助を出す。補助の割合は最大半額で、東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を受けた福島県だけ、3分の2まで引き上げていた。20年度からは豚コレラに感染したイノシシが発見された県も、同様の補助水準にする。同省は20年度から、検査体制も拡充する。現在、イノシシ捕獲後の豚コレラ検査は、各県の家畜保健衛生所と農研機構動物衛生研究部門が担っている。同省はもう1カ所新たに検査機関を増やし、既存の検査施設の負担減につなげる。同省は20年度予算の概算要求で、イノシシや鹿の捕獲事業に関する費用として前年度予算の6倍となる30億円を盛り込んだ。

(豚コレラ発生1年、官邸主導で感染拡大防げ)
豚コレラが再発生して1年がたつ。愛知や三重など1府6県に感染拡大を続け、収束のメドは立っていない。豚コレラが発生した府県や隣接県、養豚農家の危機感は強い。農林水産省や自治体に対策を委ねている状況にはない。養豚業という畜産業の存立に関わる危機的事態である。菅義偉官房長官が「極めて重大な局面を迎えている」と発言してからも1カ月がたつ。農水省の防疫対策本部を首相官邸に格上げし、環境省など省庁横断で感染拡大阻止に向け、あらゆる手立てを尽くすべきである。豚コレラは昨年9月9日に岐阜県の養豚場で26年ぶりに発生が確認された。今月5日にも岐阜県中津川市の養豚場で発生し、計40例となった。同日開かれた岐阜、愛知、三重の各県知事と名古屋、浜松両市長による東海三県二市知事市長会議で、岐阜県の古田肇知事は「国家レベルの危機事案」との認識を表明した。古田氏は、ワクチン接種を国の負担で実施することなどを提案した。農水省も5日、豚コレラの防疫対策本部を開き、今後の対応策をまとめた。注目したいのは、農水省がマーカーワクチンと呼ばれる新型ワクチン接種の検討を対策本部で初めて明らかにしたことだ。ドイツ製のマーカーワクチンは、感染豚とそうでない豚の区別がつき、流通を限定させなくて済む。ただ、国内未承認で海外でも使用実績がないことから効果の検証は不十分だ。食品安全委員会による評価手続きが必要で、手続きに時間がかかる難点もある。試験的な接種でデータをとり、効果を確かめるのも一法だ。マーカーワクチンに白羽の矢が立ったのは、通常のワクチンを接種すれば、抗体検査で接種豚とウイルス感染豚の区別が難しいためでもある。ウイルス感染した豚を接種豚とともに出荷すれば、ワクチンを使っていない地域の農場を汚染する可能性もある。接種豚やその豚肉が地域から出ないよう流通制限も課せられる。政府はマーカーワクチンに先立って、通常のワクチン接種を検討中だ。これを求める養豚農家の声は高まっている。使用に当たっては、接種の利点と欠点を丁寧に養豚農家に説明していかねばならない。水際やイノシシ対策、養豚場の衛生管理強化も急がれる。

(禁猟区の設定取りやめ、イノシシ捕獲増やす方針:長野)
長野県は9日、家畜感染病「豚コレラ」の野生イノシシへの拡大防止策として、11月15日の狩猟解禁日に合わせて予定していた禁猟区の設定を取りやめる方針を明らかにした。狩猟者を介した感染拡大を防ごうとしたが、捕獲を進めて個体数を減らす方向に転換した。県は8月、11月から来年3月までの狩猟期間中、感染イノシシが見つかった市町村を禁猟区に設定する計画を打ち出していた。県によると、狩猟者には、猟に入る前に県が開く「衛生対策講習会」の受講を求める。豚コレラの基礎知識や消毒方法を学んでもらい、最新の感染情報も入手するように徹底させる。また、岐阜県は9日、高山市や池田町など8市町で捕獲したり死んでいたりした野生イノシシ8頭の豚コレラ感染を新たに確認。県内の感染は累計で893頭になった。

(秋の味覚探しが豚コレラ拡散に:長野)
県内は秋の味覚、キノコ採りのシーズンを迎える。ただ、今年は、豚コレラの感染が確認された野生イノシシが100頭を超え、中南信の27市町村が厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域となっており、山に入った人や車がウイルスを広げてしまう可能性がある。自治体は入山者に注意喚起をするなどし、拡散防止の取り組みも進めているが、対策や意識付けは容易ではない。下伊那郡喬木村では7日夜、大島地区でキノコ採取ができる共有林への入山の権利を買う入札会があった。村は調査対象区域に入っていないが、入山の権利を買った人に消毒用の消石灰を配布。参加者は「複数の入山口を使うので、複数箇所に分けて使いたい」と袋を持ち帰った。村内にはブランド豚「くりん豚(とん)」を飼育する養豚場もあるが、小椋朝男区長(78)は「危機感を持っている人はまだ少ない」と指摘。「個人で民有林に入る人も多いので、どこまで対策が行き渡るかは難しい面がある」と心配を口にした。同村ではこの日を含め計7地区で入札会があり、消石灰計800キロを配った。諏訪市でマツタケ料理を提供する「松茸(まつたけ)山荘」を営む遠藤猶善(なおよし)さん(69)は7月下旬から、拡散防止の対策を始めた。マツタケの生育具合を確認するために入山した後は、靴底と軽トラックのタイヤに消毒液をかける。「少しの心掛けで感染拡大を防げるのなら徹底する」。ただ、入山者や通行車両は多く「自分たちだけで効果はあるのか…」とも思う。県や市町村は、林道や登山口に「下山後は靴底などの泥をよく落としてください」と書いた看板を設置。消毒用の消石灰を散布するなどしている。伊那市はホームページやケーブルテレビなどを通じた注意喚起もしている。諏訪郡富士見町の富士見パノラマリゾートにあるゴンドラ駅には県が消毒槽を設置。観光客らが靴底を消毒している。訪れた女性(70)は「養豚場の人は不安だと思う。県にはしっかり対策をお願いしたい」と話した。ただ、キノコ採りで例年山に入る人の中には、自らがウイルスを拡散する危険性を意識しない人も。県きのこ衛生指導員を務める南信地方の男性(69)は「キノコを採りに行ってイノシシを見ることはほとんどないので、豚コレラ対策は考えたことがなかった」。別の指導員の男性(60)も「養豚場が近くにないので特に対策はしていない。『人間にうつるわけじゃない』という頭もある」と明かした。林道の入り口などに消石灰を散布している安曇野市の担当者は「入山するルートが決まっている登山客と違い、キノコ狩りの場合、入山する場所がそれぞれ異なり、対策が難しい」と頭を抱える。県農業政策課の担当者は「豚コレラウイルスはイノシシのふんに混ざり、土などで運ばれる恐れがある」と強調。下山後は靴底のほかに、衣類などに付着した土もよく落とすよう呼び掛けている。

(豚コレラ対策へ県が独自マップ:長野)
野生イノシシへの豚コレラ感染が広がっている問題で、県は感染イノシシ発見地点やイノシシの出没場所などを示す「イノシシマップ」を独自に作り、捕獲わな増設などの対策に活用している。発見地点から半径10キロ圏内に入る自治体は6日時点で中南信の27市町村。エリアを拡大させないよう、捕獲を重点的に行う「防衛ライン」を地図上に設け、養豚場での豚コレラ発生を防ぐ考えだ。マップには1キロ四方のメッシュを引き、過去の調査で猟友会員などから野生イノシシの目撃情報があった場所に色を付け、感染イノシシ発見地点は星印で表示した。地形も考慮して独自に設けた防衛ラインは松本市の梓川から奈川、同市里山辺から塩尻市、岡谷市から上伊那郡辰野町、木曽郡南木曽町から下伊那郡阿智村、同郡平谷村から天龍村の5本の帯。2300個のわなを重点的に設置し、捕獲を強化する。県などでつくる協議会が6日に下伊那地域で始めた経口ワクチンの本格散布は、現地調査やイノシシマップも参考にエリアを選んだ。6~8日には下伊那郡阿南町、阿智村、天龍村、売木村、平谷村、根羽村、10日には松本、塩尻市に計2千個をまく計画だ。農林水産省は5日、豚コレラウイルスを媒介しているとみられる野生イノシシに関し、感染地域の拡大防止に重点を置く対策をまとめた。県鳥獣対策・ジビエ振興室は「マップを活用し、今後の国の対策や県内での感染イノシシの確認状況を踏まえて戦略的に対策を取る」としている。マップには監視対象農場になった養豚場も記され、県は内部使用にとどめている。

(狩猟者に豚コレラ対策の講習会:長野)
長野県は9日、2019年度の狩猟登録をする人に対し豚コレラの拡散防止に関する講習会を実施すると発表した。11月15日に狩猟が解禁される前の受講を要請。狩猟者がウイルスを運ばないよう、衛生管理の徹底や感染が確認された場所の近くで狩猟したイノシシを持ち出さないことなどを求める。講習会は9月上旬から11月10日に県内外のハンターに対して実施する。時間は1回につき1時間程度。豚コレラに関する基礎知識を説明するほか消毒の仕方などを説明する。感染イノシシが見つかった場所から半径10キロの「調査対象区域」内で狩ったイノシシは、区域外へ持ち出さないよう求める。県は当初、まん延地域で個人での狩猟を禁止する方針だった。ただ、まん延地域が拡大し禁止措置をとるとシカなど有害鳥獣の駆除に支障が出ると判断。狩猟者への注意喚起を徹底し、禁止区域は設けないことにした。18年度の登録者は県内・県外あわせて4800人程度だった。

(豚コレラ緊急支援で4億円:群馬)
群馬県は全国で拡大する豚コレラ対策を強化するため、生産者などに対する緊急支援費用を2019年度補正予算として計上した。総額約4億3830万円を山本一太知事が専決処分した。ウイルスを拡散するおそれがある野生イノシシの侵入防止柵の設置を補助するほか、消毒資材などを配布する。早急に防疫体制を整え、県内農家の被害を未然に防ぐ。侵入防止柵の設置補助として4億3400万円を計上した。防止柵の設置は国が費用の2分の1を補助しており、県はさらに費用の4分の1を上乗せして補助する。県内の全ての養豚農家で年内の着工を目指す。事業費の総額は17億3600万円と試算している。消毒資材の配布には211万円を計上した。農場の周囲に散布する消石灰を配布する。ほかに、捕獲した野生イノシシの感染確認を市町村の鳥獣対策協議会などに委託するため、219万円を計上した。

(豚コレラ1年、切り札を出す時だ)
家畜伝染病「豚コレラ」が、国内では二十六年ぶりに岐阜県で発生してから、一年が経過した。発生は七府県に広がった。現場は追い詰められている。もはやワクチン接種をためらう時ではない。目に見えない炎のように、豚コレラの感染拡大が止まらない。岐阜市を起点に一日最速四百二十メートルのペースで広がっているという。消毒や洗浄を徹底し、“運び屋”とされる野生イノシシに、えさ型の経口ワクチンを散布、移動を阻む防護柵を設置するなど、可能な限りの対策は講じてきた。しかし、いまだ封じ込めには至っていない。先月九日には、最高レベルの防疫体制が敷かれていたはずの、愛知県農業総合試験場での感染が発表された。殺処分は、計十三万頭にも上る。残された手段は、感染予防のワクチン接種。切り札だ。国の防疫指針によると、ワクチンは平常時には使わないことになっている。だが、▽殺処分と埋却による封じ込めが間に合わないほどの同時多発▽感染経路不明の発生が広範囲にわたる▽野生イノシシ対策が不十分-のいずれかに当てはまる場合には、接種に踏み切るとされている。「現時点では、いずれの条件も満たしていない」というのが、農林水産省の見解だ。本当にそうなのか。確かに、ワクチン接種に踏み切れば、デメリットは避けられない。国際獣疫事務局(OIE)の規約上、「清浄国」の格付け(現在は資格停止中)から外されることになり、日本からの輸出全体が制約される恐れが強い。地域を限ってワクチンを打てば、それ以外の地域はOIEから「清浄」と認められる可能性は残るというものの、そこからの移動や出荷は制限される。OIEの規定では、最初の発生から二年以内に感染が収束しない場合には、ワクチンを使わなくても「非清浄国」になる。一方、ワクチンを使っても、最終発生から三カ月間発生がなければ、清浄国復帰の道は開かれる。「いつ来るか」「再開してもいいものか」-。未発生の地域も含め、養豚農家の不安は限界だ。見た目は元気な生き物を殺して埋める-。炎暑の中、防護服に身を包んで殺処分や埋却作業に当たる現場の作業員らは、肉体的にも精神的にも疲れ切っている。一年以内に収束できる確かな方法がないならば、切り札を切るべき時ではないのだろうか。

(豚コレラ発生1年、終息兆し見えず)
国内で豚コレラが26年ぶりに発生して9日で1年を迎えた。これまで養豚場での発生は4県40例、殺処分された豚は13万頭超に上る。現在も毎週のように発生が相次ぎ、終息の兆しは一向に見えず、対策を徹底してきた農家の疲弊感は強まっている。豚コレラ発生農場は1年間で岐阜県から愛知県、三重県、福井県へと広がり、8日までに40例となった。ウイルスを広げて終息を困難にする陽性の野生イノシシは長野県、富山県、石川県でも確認が相次いでいる。農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームは、遺伝子分析などの結果から、ウイルスが中国やその周辺国から侵入したものと推定する。旅行客の手荷物や国際郵便で検疫を受けずに持ち込まれた豚肉製品が廃棄され、野生イノシシが食べて感染した可能性があるという。岐阜市では発生前の昨年6月下旬には、野生イノシシがウイルスに感染していたとみる。市内の死亡イノシシが例年に比べて多かったためだ。日本は国際獣疫事務局(OIE)の清浄国で、26年ぶりの発生だった。加えて、症状が弱くて致死率が低かったことも発見の難しさにつながった。感染したイノシシもすぐに死なず、ウイルスをまき散らしていることが分かったため、今年3月には国内で初めて、餌として食べさせる経口ワクチンを投入した。発生農場の殺処分と消毒による早期封じ込め、農場への侵入を防止する飼養衛生管理基準の徹底で発生を食い止めようとする現場の努力が続くが、終息の見通しは立っていない。政府は5日、防疫対策本部を開き、野生イノシシ対策や農場への対策を整理。豚へのワクチン接種を含めて、あらゆる方策を視野に検討を進めている。農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームがまとめた発生農場の現地調査報告によると、多くの農場に複数の不備が見つかっている。同チームが“見落としやすいポイント”としたのは8項目で、1農場当たり3項目以上の不備があった。「着替えの不十分、防疫服・手袋の未使用」など人・車両の出入り対策の不備が目立った。同省はあらためて対策の徹底を呼び掛けている。調査対象は7月29日に福井県越前市で発生した34例目まで。農場での発生は、感染イノシシや近隣の農場からのウイルスが、人や車両、ネズミなど野生動物を介し、農場や豚舎に侵入したためだとみられる。ウイルス侵入防止対策の不備のうち最も多かったのは「作業服の着替え不十分、防疫服・手袋の未使用」で、発生34農場のうち24農場が十分ではなかった。「長靴の履き替えや洗浄が不十分」は17農場だった。野生動物の侵入防止対策では、「ネズミの侵入」対策が19農場で不十分だった。同省はこれを受けて、①毎日の健康観察と早期通報・相談②野生動物の侵入防止対策の徹底③適切な洗浄・消毒④食肉処理場など関係施設での交差汚染防止対策の徹底⑤畜産資材の導入する場合の対策の徹底──などを呼び掛けている。

(滝野すずらん公園に再びヒグマ:北海道)
札幌開発建設部は10日、札幌市南区の国営滝野すずらん丘陵公園内で、巡視員が親子とみられるヒグマ2頭を見つけたため、公園を臨時閉園したと発表した。クマ2頭は10日午前7時20分ごろ、公園内の北東部で発見された。札幌開建は7月にも、親子とみられるクマ2頭が出没して公園を一時閉園しており、川沿いの北側を除く外周に全長7・1キロの電気柵を設置していた。クマの侵入経路などを調べている。再開は未定。

(エゾシカ悠々、パークゴルフ場の芝はむ:北海道)
根室総合運動公園パークゴルフ場(西浜町1)のコース内にエゾシカがたびたび現れ、芝をはむ光景がみられる。プレー中には邪魔になる場合もあるが、悠然と歩くシカの姿にゴルファーも諦め顔だ。総合運動公園パークゴルフ場では今季オープンした5月以降、朝や夕方にエゾシカが現れることがあるという。市の担当者は「シカは芝を食べているようだが、今のところ張り替えが必要なほどの食害には至っていない」と話している。8月31日午後にもエゾシカ4頭がコース内を悠々と歩いていた。近くのサッカー・ラグビー場ではサッカー大会が開かれ、にぎやかな声援が飛んでいたが、シカは気にする様子もなかった。

(カモシカの痕跡確認:富山)
4日、射水市黒河(小杉)の県民公園太閤山ランド近くでクマのような動物の目撃情報があったことを受け、市や猟友会などが5日、現地を調べたところ、カモシカとみられる痕跡が確認された。クマの痕跡は見つからず、同園は同日、通常通り開園した。市などによると、園周辺はカモシカが生息しており、目撃されることがあるという。

(市街地エゾシカ対策、囲いわな採用:北海道)
釧路総合振興局は今秋に釧路市内の市街地で計画しているエゾシカ捕獲について、委託先を阿寒で養鹿事業を展開している地元の北泉開発に決め、釧路市など関係機関・団体と調整の上、10月以降、春採湖地区と高山地区で実施する方針だ。捕獲方法は囲いわな方式を採用する。今回の捕獲は「エゾシカ指定管理鳥獣捕獲等事業」としての取り組みで、ハンターが入れない鳥獣保護区域などの捕獲困難地での捕獲方法の検証、確立が狙い。釧路総合振興局は一作年、釧路市阿寒で66頭、浜中町で42頭、昨年は鶴居村で51頭を捕獲。全て北泉開発に委託し、囲いわなで行われた。

(シカ衝突事故倍増:北海道)
稚内署管内で、自動車がエゾシカと衝突したり、シカを避けようとして路外に逸脱したりするなど、シカと関係する交通事故が多発している。1~8月の事故の累計は昨年の2倍の52件で、5月以降に急増している。例年は日没が早まる10、11月に事故が増える傾向にあり、同署は注意を呼びかけている。同署によると、今年の発生件数は、1~4月に7件(前年同期8件)だったが、5月に7件(前年同月0件)、6月に10件(同7件)、7月には15件(同5件)、8月には13件(同3件)。宗谷総合振興局は「昨冬は雪が少なく、エゾシカの駆除ができなかったことに加え、餌になるササも雪に覆われず、越冬できた個体数が多かったのではないか」とみる。52件の内訳は市町村別で稚内37件、猿払15件。時間帯は午前6時~午後5時が20件、午後5時~翌午前6時が32件。午後6時~8時の時間帯が最も多いという。事故のほとんどが郊外で発生している。

(小学生がヒグマの生態学ぶ講座:北海道)
ヒグマの目撃数が増えている網走市で子どもたちにヒグマの生態について学び、人とクマとのつきあい方について考えてもらおうという特別講座が開かれました。この講座は網走市内でヒグマを目撃するなどの通報が昨年度、過去最高になったことを受けて、子どもたちに人とクマとのつきあい方について考えてもらおうと市が開催したもので保護者を含めおよそ30人が参加しました。まず世界自然遺産の知床でヒグマの管理や保護を行う知床財団の職員がヒグマが▼シカの肉から木の実までさまざまなものを食べることや▼川や林に沿って移動する習性などについて説明しました。また紙芝居で捨てられていたジュースを飲んだヒグマが人間の食べ物を求めてキャンプ場に近づき駆除されるという物語を紹介しました。参加した小学生の女の子は「人間がゴミを捨てたことでクマが死んでしまったことがかわいそうでした。森などにゴミを捨てないようにしたいです」と話していました。講座を開いた網走市農林水産部農林課の野崎隼也さんは「ヒグマの生態を十分に知って、ゴミをそのままにしないようにして欲しい」と話していました。

(地域に密着した食肉処理加工施設:長崎)
長崎県島原市の「ももんじファクトリー」は、2015年に島原半島で初めて誕生した食肉処理加工施設。従来はほとんどが埋設処理されていた猪をジビエの「島原猪」としてブランド化。ジビエに向かない猪も全て受け入れ、焼却場への運搬や捕獲報奨金の申請代行も無料で行うなど、地域に密着したサービスで喜ばれている。ジビエの卸と加工品を製造する椿説屋(大分・由布市)が、島原市から要請を受けて建設した。同社は2012年の創業で、大分を中心に九州各地の食肉処理場から猪や鹿の肉を仕入れ、大手食品商社を通じて関東を中心としたレストランなどに卸している。2016年には取引先の外食企業と連携して冷凍ミートボールやハンバーグなどを製造する「九州狩猟肉加工センター」を稼働させ、取扱量を増やしている。島原半島(島原市、雲仙市、南島原市)は猪の農作物被害が深刻で、年間4千頭以上捕獲される。「ももんじ」は年間最大700頭の処理が可能で、当面の目標は500頭。昨年は363頭解体した。全頭に個体識別番号を付け、搬入日、個体の状況、各工程の作業状況を記録し安全性を担保。モモ、カタなど部位別の7種類に真空パックし、一部は大分の加工センターに送り加工品となる。「島原猪」は関東や関西のレストランなどで好評だが、市のブランド産物「島原スペシャルクオリティー」に認定され、地元スーパーや市のふるさと納税の返礼品としても人気が高い。

(強力ライトでイノシシ撃退:山口)
農作物を食い荒らす野生鳥獣の被害を防ごうと、山口県や農業団体らでつくる「山口市南部地域スマート農業活用促進協議会」が今月、LEDの光でイノシシを撃退する実証実験を始めた。サッカー場のナイター施設にも使われるほど強力で、市販されている鳥獣被害対策用のLED照明の数十倍ほどの明るさ。年内まで試行し、効果が確認されれば商品化も視野に入れる。山口市南部に位置する秋穂二島地区で4日、田んぼへとつながる3本の小道に高さ約30センチのLED照明計10機が設置された。裏手には雑木林や山が広がる。LEDの前を横切ると、センサーが感知して15秒間、白い光が激しく点滅する。使用するLED照明は、広島県三原市のLED照明の製造・開発会社製。LEDの近くにカメラを設置し、撃退効果を確認する。県農林水産政策課によると、県内の野生鳥獣による農作物の被害額は昨年度は約4億7400万円。うち、48%がイノシシによる被害だ。全体の被害額は2010年ごろから減少傾向だが、イノシシによる被害額の割合は45%前後で推移している。イノシシの捕獲頭数は昨年度、過去最多になった。「イノシシは一度で5、6頭出産することから、捕獲しても頭数を減らすのが難しい」と県の担当者は話す。

(里山で野草やシシ肉調理教室:山口)
里山で採集した野草やイノシシ肉を使って料理する子供向けクッキング教室が8月31日、山口市上天花町であった。約20人が参加した。子供たちに自然と触れ合う体験を伝えるNPO法人「もりのこえん」(山口市)が主催。子供たちは山を歩き、ササやアザミなどの食べられる野草の種類を教わり、採集した。

(高校生がジビエ食品を開発:鳥取)
農作物への被害を減らすため捕獲した、イノシシの肉をジビエの食材として活用したレトルト食品を、米子市の高校生が開発しました。開発された料理は、大山町産のイノシシ肉を使った炊き込みご飯の素と、パスタ用のミートソースの2種類で、米子南高校3年の2人の生徒が、家庭学科の課題として発表しました。2人は、半年かけて改良を重ねたということで、このうち炊き込みご飯の素は、脂肪分の少ないイノシシのももの部分を使うことで、くせのない味に仕上げました。また、パスタ用のミートソースは、イノシシのミンチ肉に合った隠し味としてみそを加えたということです。9日は学校で試食会も開かれ、招待された大山町の竹口大紀町長は「イノシシの食感や風味がよく生かされている。これをきっかけに地域のことを考える若者が増えてほしい」と話していました。開発されたレトルト食品は、今月中旬、米子市で開かれる地産地消のイベントを手始めに、県内で順次、販売が予定されています。開発した女子高校生は「食べやすい味に仕上がりました。この味で鳥取県を盛り上げたい」と話していました。

(駆除イノシシから高級革カバン:香川)
イノシシの狩猟・肉の販売を手掛ける五色の里(香川県東かがわ市)が、駆除したイノシシの皮で高級革小物を製造し、農家の収入に変える取り組みを進めている。山間部では人口減や高齢化が進み、害獣による農作物被害が深刻化。従来は廃棄していたイノシシの皮を活用することで農家の収入を増やし、駆除と里山の保全を循環させる仕組み作りに挑む。

(シカやイノシシ提供、農家民宿開業:兵庫)
兵庫県丹波篠山市の地域おこし協力隊員、梅谷美知子さん(35)が5日、同市大藤に農家民宿「うめたんFUJI」をオープンさせた。築90年以上の木造民家を改修しており、市内で捕れたシカやイノシシの肉を使ったバーベキューなどを提供する。梅谷さんは「農村での起業モデルとして頑張りたい」と意気込んでいる。尼崎市出身の梅谷さんは高校進学後、県外で生活していたが「地元の兵庫に立ち返りたい」と決意し、2017年4月に同隊員の村雲地区担当になった。東京でサービス業に従事した経験から「観光や農業体験もできる宿泊施設を」と思い立ち、物件を探していたところ、知り合いから6年間空き家だったこの民家を紹介され、窓から見える眺めに心を奪われたという。開業に当たっては、床の張り替えなど、約3カ月かけて建物に改修を施した。客室は8畳の和室1部屋。定員5人で、1日1組限定で予約を受ける。食事はジビエバーベキューセットとし、市内の猟師が捕らえた鹿肉と地鶏、地元野菜のセット(1人前2800円)や、イノシシとシカの肉、野菜のセット(同3800円)などが楽しめる。冬季限定でぼたん鍋も提供予定。クラフトビールや地酒も置くという。宿泊客や観光客を対象に、農業体験や観光ツアーを有料で開催し、丹波黒大豆収穫や丹波焼の窯元巡り、城下町ツアーなどを予定する。宿泊客の予約が無い時は、予約制でバー営業も行っていく。梅谷さんは「日本の原風景が広がる場所で、国内外の人が楽しめる宿にしたい」と話している。宿泊は大人1泊3500円。

(マタギ体験ツアー“事前説明会”:東京)
マタギとは、クマなどの大型獣を集団で狩猟することを生業としてきた人々のこと。今回、マタギ発祥の地である「北秋田市阿仁」で実施される2泊3日のマタギ体験ツアーに向けた“事前説明会”を実施します。マタギになりたい、狩猟を始めたい、マタギと関わりたい、ジビエに興味がある、北秋田市やマタギを知りたいなどお考えの方は、ぜひお気軽にご参加ください。

(なぜ日本は豚コレラの流行を止められないのか)
豚コレラが発生してからもうすぐ1年。流行拡大は止まりません。昨年9月9月、岐阜県の養豚農場で確認されたのを皮切りに愛知県、三重県、福井県など計39農場・研究所で感染が確認され、関連農場等も含め1府6県で豚13万頭あまりが処分されています(9月3日現在)。豚コレラはウイルスが原因となる感染症です。治療法がないため、感染が見つかると豚を殺処分して感染の広がりを食い止めるしかありません。殺処分は確実に実行されています。しかし、当初は岐阜県内にとどまっていたのが愛知県へ広がり、今年7月に入って三重県、福井県へも拡大しました。万全の防御をしていたはずの愛知県総合農業試験場でも8月、感染が確認され、「全国に広がるのではないか」と養豚関係者の不安は高まっています。どうして、感染拡大を食い止められないのか? この先、日本の養豚はどうなるのか? 豚コレラは人には感染せず、仮に感染した豚やイノシシの肉や内臓を食べても人の健康には影響がありません。そのせいか、一般の人たちの関心を引かないのが実情です。でも、これは日本の食の大きな“危機”。そのことにまだ、多くの人が気付いていません。詳しく解説します。まず、豚コレラが急に流行し出した経緯を説明しましょう。豚コレラは日本では以前、一般的な豚の病気として存在していました。豚やイノシシが豚コレラウイルスに感染すると発熱や食欲不振などとなり、死亡する場合もあります。ウイルスは、豚やイノシシの体内で増え、唾液や糞尿に大量のウイルスが含まれ、排出され広がります。ほかの生物は、ウイルスに感染増殖することはない、と考えられています。ごく普通の豚の病気だった豚コレラ。しかし、国産ですぐれたワクチンが開発され豚への接種が始まり、1992年を最後に根絶しました。ワクチン接種も次第に減らし2006年には全面中止。07年に、国際獣疫事務局(OIE)に「清浄国」として報告しています。ワクチン接種というのは、ウイルスから作った弱毒化した抗原の投与なので、病気の根絶だけでなくワクチンも止めなければ、清浄国にはなれないのです。ところが26年ぶりに昨年9月、豚コレラが発生しました。現在流行している豚コレラは、遺伝子型が国内で昔流行したものとは異なり、中国やその周辺国から持ち込まれたウイルスによるもの、と考えられています。農水省が専門家を集めて設置した「拡大豚コレラ疫学調査チーム」が、28例目までの感染を詳しく解析して「中間とりまとめ」として公表し、推測しています。そこで示された可能性の高い感染拡大ルートは次の通りです。(1)豚コレラのウイルスが付いた肉や加工品が、輸入検疫をすり抜けて持ち込まれ、食べた残りなどが廃棄された、(2)野生のイノシシがそれらを食べ、ウイルスに感染、(3)イノシシの体内でウイルス増殖し、ほかの野生イノシシにも感染、 (4)感染イノシシが農場に入り込み豚と接触し感染、(5)あるいは、ネズミや猫などの野生動物によりウイルスが農場に持ち込まれ豚が感染、(6)あるいは、人や車などによりウイルスが農場に持ち込まれ豚が感染、(7)あるいは、豚の移動により、農場から農場へ感染。現在流行しているウイルスは病原性が比較的弱いため、感染イノシシはすぐには死なず、感染後、ウイルスを体内で増殖させながら動き、他のイノシシにもウイルスをうつし、ウイルスを環境中に排出して回っている、と考えられます。そのウイルスがネズミやネコ、鳥などの野生動物、人の衣服・靴、車などに付き、農場に持ち込まれる可能性も高くなります。こうして、豚コレラの感染エリアがどんどん拡大している、と考えられるのです。流行を食い止めるには、野生動物対策と飼育している豚の対策の両方をとらなければなりません。まずは大元のイノシシ。経口ワクチンを春、夏、冬と散布してイノシシに食べさせる計画です。しかし、野生イノシシの感染は止まらず、ついには7月上旬に長野県、下旬には富山県、8月下旬には石川県でも感染して死亡したイノシシが見つかりました。つまり、ウイルスが岐阜県から大きく広がり、周辺県でも養豚農家が厳重警戒中、というわけです。岐阜県や愛知県は、イノシシの行動を制限し広がりを防ぐため森林に防護柵を設置するなどしましたが、流行阻止の決め手とはなりませんでした。一方、豚の対策の中心は、ウイルスを農場に侵入させないための「バイオセキュリティ」のレベルアップです。農水省は、養豚農家に「飼養衛生管理基準」の遵守を呼びかけ、イノシシやネズミなどが豚舎に入らないように豚舎の壁の穴などは塞ぎネットやフェンスを設置し、人や車が農場・豚舎に入る前には必ず消毒をし、衣服も専用のものを用いるなどの対策を促しています。しかし、豚への感染を食い止められません。その結果が現在の状況です。農水省の「拡大豚コレラ疫学調査チーム」のメンバーで、愛知県田原市で「あかばね動物クリニック」を経営する獣医師の伊藤貢さんは、こう話します。「養豚農家は、自分たちの豚舎にはウイルスを入れるまい、と懸命に努力しています。しかし、とても防ぎきれません」。防げない理由は、イノシシで感染が広がり環境中のウイルス濃度がおそらくとても高くなっているからです。農場にいくらフェンスやネットを張ったとしても、24時間、全エリアを監視し生き物の侵入を防げるはずもありません。ネズミや野鳥など小動物は小さな隙間から入り込もうとします。それに、飼育している以上、定期的に飼料を運ぶ車が入り、豚の出荷もあります。豚の世話をする農家、社員も出入りします。目に見えないウイルスを完全にシャットアウトするのは、容易ではないのです。愛知県田原市の養豚農家、鈴木瑛策さんに聞きました。鈴木さんは、養豚団地で豚を肥育していました。養豚団地というのは、養豚農家が複数集まって豚舎を並べ、それぞれ、農場を経営する形態。団地にすると、糞尿を処理する堆肥場や事務所等を共用できるなどのメリットがあります。鈴木さんの農場では、ウイルス感染を防いでいました。周辺には野生イノシシは見かけず、団地の他の農場と共に万全の対策を講じているはずでした。ところが2月、団地内の別農場が陽性に。施設や道路の一部などを共用しているために、「団地内は、すでに感染している可能性がある」として、団地の16農場すべての豚が殺処分となりました。鈴木さんは「陽性となった農場は感染防止にもっとも頑張っており、衛生レベルはとても高かった。あそこが入られたのなら、もうどうしようもない、という気持ちだった」と言います。とはいえ、自分の農場の豚はまだ感染していなかったのです。「なぜ、豚を殺さなければならないのか?」。いまだに、殺処分で苦しむ豚の姿が目に浮かぶそうです。農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームは、カラスやイタチ等の野生動物や車などを介してウイルスが侵入した可能性がある、とみています。8月に発生がわかった愛知県農業総合試験場も、できうる限りの防御をしていたはずが、感染しました。拡大豚コレラ疫学調査チームは、車や靴などを介してウイルスが豚舎に侵入した可能性を指摘しています。養豚農家だけでなく、指導的立場の県施設でさえもがウイルスを防ぎきれない現実。拡大豚コレラ疫学調査チームメンバーの獣医師、伊藤さんは、「豚コレラウイルスは、10個あれば感染の可能性があり、100個あれば確実に感染すると考えられており、感染力が非常に強い。野生イノシシというウイルスの蛇口を閉められない状態なので、農家の努力にも限界がある。このまま、感染と殺処分が続くのは、養豚農家にあまりにも酷な話であり、動物福祉の観点からも問題があるのではないか」とみています。ただし、私は農水省がワクチンに慎重になる気持ちもわからないでもないのです。もちろん、鈴木さんのような養豚農家が再開して頑張るためにもワクチンは必要です。しかし、接種する非清浄ゾーンと病気の発生がなくワクチン接種もしていない清浄ゾーンを明確に分け、肉などの流通まで管理するのは簡単ではないでしょう。それに、農水省は、風評被害も懸念しています。ワクチン接種により豚肉の価格低下など風評被害が起きない、という保証はありません。消費者がワクチンを接種した豚肉と、接種していない豚肉の両方をきちんと理解し、気にせず食べてくれるでしょうか。小売り店が、適切に販売できるでしょうか。先日、愛知、岐阜に近く、豚コレラ感染が見つかっていない県職員に聞かされました。「大手スーパーマーケットのバイヤーが、愛知・岐阜の豚肉は買いたくないって、うちの方に買い付けに来てるんですよ。困ったものです。もちろん、豚コレラは食肉としての安全性には関係がない、とことあるごとに、説明しているのですが」。現在でもこうなのですから、ワクチン接種が始まったら……。もう一つ懸念があります。それは、ワクチン接種により養豚農家が安心し、農場のバイオセキュリティ向上への努力が弱まってしまうのではないか、という心配です。今でも養豚農家は必死なのに、もっと頑張ることを期待される。それは、海外からウイルスが侵入するリスクが常にあるためです。豚コレラは、海外からウイルスが入ってきたとみられています。そのため、農水省は空港や海港等での輸入検疫を強化し、ウイルスが付きやすい肉やハム・ソーセージなど加工品が国内に持ち込まれないように監視しています。豚コレラなどの病気がある国からの生肉や加工品はもともと、輸入禁止。しかし、こっそり手荷物などに紛れ込ませて持ち込もうとする事例が多発していました。そのため、検疫探知犬も増頭しています。また、今春から、違反を繰り返す場合には家畜伝染病予防法違反として警察に告発する旨を旅行者に伝えており、すでに4人が逮捕されています。この輸入検疫強化は、豚コレラの再侵入を防ぐ目的だけではありません。今、もっとも心配されているのは豚コレラではなくアフリカ豚コレラです。この病気は治療法がなく致死率が非常に高いのが特徴。ワクチンも未開発です。アフリカ豚コレラは、2007年にアフリカからヨーロッパやロシアへ侵入。次第に広がり昨年、中国で流行し始め、今年2月にベトナムへ。そして5月には北朝鮮でも発生が確認されています。つまり、じわじわと日本へ近づいているのです。実際に、旅行者が国内へ持ち込もうとして輸入検疫で見つかった加工品から、アフリカ豚コレラウイルスが活性をもったまま検出されています。もし、この加工品が輸入検疫をすり抜け国内に持ち込まれ、食べ残しが廃棄されて野生イノシシが食べたら……。影響は豚コレラの比ではありません。そして、日本全国のどこでも、病気が発生する可能性があります。こうした背景があるため、養豚農家は気を緩めることなく施設の衛生管理や消毒等に努めなければならないのです。豚コレラワクチン接種が始まれば、ちょっとほっとする。これは当然の人情でしょう。でもそれが許されない厳しい環境に今、養豚農家は置かれています。豚コレラ対策をめぐる科学と事情。その複雑さ故に部外者にはわかりにくく、豚肉を食べる消費者にはなかなか伝わりません。拡大豚コレラ疫学調査チームの一員の開業獣医師、伊藤さんはこう話します。「朝起きて、豚舎に行くのが怖い。もしも、豚コレラだったら。そんな毎日が一年近く続いているのが養豚に携わる生産者です。国は飼養衛生管理基準の遵守を、と繰り返すだけ。ウイルスの侵入を許したら、社会に生産者が悪いと言われ、生産者の方々は精神的に追い詰められています。とにかく早く、ワクチン接種に踏み切るべきだ」。疲弊するばかりでは、ミスも出ます。野生イノシシの感染が多い地域で期間を限ってワクチンを接種し、いったん落ち着いたうえで、新たな気持ちで病気の侵入防止のためバイオセキュリティの向上に力を注ぐべきだ、というのが伊藤さんの判断です。意見はもっともです。でもそれには、消費者や流通関係者等の豚コレラに対する正しい理解や努力、応援が不可欠です。この事態は、農家だけの問題ではありません。このまま流行がさらに広がったら、現在も高値傾向にある国産豚肉はさらに高騰するでしょう。もし、アフリカ豚コレラが豚にうつったら、国産養豚は壊滅します。養豚農家の厳しい闘いを理解すること、そして、豚コレラの流行やワクチン接種の意味も知り、豚肉の産地を区別することなく、おいしく食べてゆくこと。それが、消費者のできる応援、ではないでしょうか。

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(鳥獣駆除の銃弾が作業所貫通、建物内の夫婦あわや:兵庫)
7月、兵庫県上郡町野桑の作業所に、有害鳥獣駆除の銃弾が当たった事故で、3発の銃弾が建物に当たっていたことが県警相生署などの調べで分かった。同町は、県猟友会上郡支部に出していた有害鳥獣駆除の許可を停止した。相生署や上郡町などによると、7月20日午後、県猟友会上郡支部のメンバー9人が現場近くで有害鳥獣駆除を行っていた。イノシシを追って数人のメンバーが猟銃を発砲。建物内にいた夫婦によると、「バチバチーン」と作業所に当たったような音がし、外壁に穴が確認された。3発のうち2発が外壁を貫通し、1発がはじかれたとみられる。大日本猟友会(東京)が会員に使用禁止を通達している大粒散弾が使われたことも判明。3日、上郡町議会本会議の一般質問で遠山寛町長は「あってはならない重大な事故。猟友会にはルールを守るよう指導する」と答弁した。作業所では当時、夫婦が仕事中だった。穴の左右約60センチに窓ガラスがあり、夫の60代男性は「窓のそばに立っていて、命中してもおかしくなかった。二度とないようにしてほしい」と語気を強めた。

(豚コレラ拡大一日最速420メートル、年明けに関東到達か)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が国内で二十六年ぶりに岐阜市の民間養豚場で確認され、まもなく一年。ウイルスの運び役とされる野生イノシシの感染は愛知、三重、長野、福井など周辺六県に急拡大し計千頭を超えた。専門家は、感染は岐阜市内を基点に同心円を描くように、外側に直線距離で一日最速約四百二十メートルのペースで広がったと分析。年明けには関東まで到達する恐れがあると推測する。同市の養豚場で最初に豚コレラが確認されたのは昨年九月九日。野生イノシシの感染確認は五日後、約七キロ離れた市内の用水路で死んでいた一頭が最初だ。農林水産省の疫学調査チームは、問題のウイルスが、遺伝子の特徴などから中国やその周辺国から侵入したと推定。感染した豚肉や肉製品が国内に持ち込まれて廃棄され、野生イノシシが口にして感染が広がった可能性が高いとみている。昨年十二月には岐阜県以外で初めて、愛知県犬山市でイノシシの感染を確認。その後、他の周辺県でも相次いだ。岐阜県内は、累計で八百七十頭を超えた。「岐阜県豚コレラ有識者会議」委員の獣医師、伊藤貢(みつぎ)さん=愛知県田原市=は、各県の感染イノシシの位置情報から拡散状況を分析。豚の感染が最初に確認された岐阜市の養豚場周辺を基点に、直線距離で一日当たり何メートル拡散しているか調べている。七月に遠方の長野県塩尻市や富山市で見つかった個体の基点からの距離を分析し、一日最速四百二十メートル進んだとみている。過去にドイツで発生した感染例を文献で調べたところ、一日平均六十八メートルだったという。国内の拡散速度は、ドイツを大幅に上回っているとの見方を示す。伊藤さんは統計的な分析から、今後は最速で一日三百三十メートルずつ拡散すると予測。年明けには、豚の飼育頭数が全国有数の群馬県など、関東地方に到達する勢いとみている。岐阜県で豚が感染した大半の養豚場では、発生前に周囲六キロ以内で感染イノシシが見つかっていた。伊藤さんは「イノシシの感染対策は県単位では限界があり、広域的な視点でイノシシの個体を減らすなど抜本見直しが必要だ。飼育豚にも地域を限定しワクチンを接種すべき時期に来ている」と国の決断を促す。<宮崎大の末吉益雄教授(家畜衛生学)の話> 感染したイノシシが山地に入った時点で、人間による制御は難しくなった。富山や石川で感染が確認されたのは、岐阜でウイルスが付着した獣道に入るなどした人間が媒介した可能性もある。さらに遠方の地域で急に確認されることも考えられ、全国で警戒が必要だ。イノシシの感染を巡り、国や岐阜県の対策は後手に回り封じ込めは失敗した。岐阜市内で最初の感染イノシシが発見されて約二週間が経過した当時、感染が確認されたのは十頭足らず。地域も限られていたことから、農水省の疫学調査チームの幹部は取材に「感染源への対策を取り、これ以上広がらなければ収束できる」と楽観していた。実際には感染拡大に歯止めがかからず、岐阜県は一定地域内でイノシシを「捕り切る」(古田肇知事)作戦に着手。感染イノシシが外側に移動しないよう防護柵を設けたり、高速道路施設などを利用したりして十六市町にぐるりと総延長百四十四キロの“壁”を構築し、中に閉じ込める構想だった。昨年十二月から今年三月、防護柵の設置などに六億九百万円を投入した。だが、感染は国や県の想定を上回る速度で進行。事業に着手した直後には、早くも愛知県犬山市など壁の外側で感染が確認され始め、壁の意義は薄れた。今年三月以降、岐阜県は新たにイノシシに豚コレラの免疫を付ける経口ワクチンの散布を開始。中部各県も試みるが、効果は未知数だ。

(「イノブタ」分布拡大か、原発事故で野生化:福島)
東京電力福島第1原発事故による住民避難で野生化した家畜のブタと、野生イノシシが交雑した「イノブタ」の分布が、原発事故の帰還困難区域や旧避難区域の外にも拡大している可能性があることが、福島大の研究グループの調査で分かった。研究グループが4日、発表した。原発から40キロ以上離れた二本松市でも個体が見つかったという。研究は、福島大大学院共生システム理工学研究科の兼子伸吾准教授(41)と同研究科博士後期課程2年のドノバン・アンダーソンさん(26)らの研究グループが、原発周辺自治体や二本松、福島の両市などで捕獲した345頭のイノシシのDNAを分析。2017(平成29)年に行った調査では大熊、浪江両町など原発から20キロ圏内を中心にブタ由来の遺伝子を持つ個体が見つかっていたが、18年に行った今回の調査ではさらに生息域が拡大し、原発から40キロ以上離れた場所でも同様の遺伝子を持ったイノブタが見つかったという。また、飼育されているブタの遺伝子は種類が多いのに対し、今回の調査で検出されたブタ由来の遺伝子は1系統のみだったため、原発事故後に野生化したブタの多くは自然に淘汰(とうた)され、1系統のみが生き残り、分布を拡大しているとみられることも分かった。兼子准教授は「透明な水の流れに垂らした赤インクのように、ブタ由来の遺伝子があることでイノシシの移動を捉えることができた。帰還困難区域のイノシシが高い移動性を持つことが示された」と語った。今回の調査ではブタ由来の遺伝子を持ったイノシシの割合は過去の調査と同等の約5%と低く、兼子准教授は「東北におけるイノシシの増加はイノブタの増加によるものではないと考えられる」としている。同グループが8月8日、科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に論文を公開した。研究には同研究科の藤間理央さんと根岸優希さん(博士前期課程2年)、難波謙二教授、同大環境放射能研究所の石庭寛子特任助教とトーマス・ヒントン客員教授らが加わった。

(「イノブタ」急激に増えたとは言えない:福島)
イノシシと豚が交配して生まれる「イノブタ」について、「震災で急激に増えたとは言えない」とする結果を、福島大学の研究グループがまとめた。原発事故で避難指示が出された区域では、子どもをたくさん産む家畜の豚と野生のイノシシが交配することで、「イノブタ」が増えているのではないかと懸念されていた。福島大学の研究グループが、大熊町や浪江町などに生息するイノシシ338頭のDNA分析を行った結果、イノブタの割合は5%ほどだった。研究グループは「割合からみると、震災で急激に増えたとは言えない」との見方を示している。福島大学共生システム理工学類・兼子伸吾准教授「増えてるイノシシっていうのは、ブタがかけ合わさったからではなく、イノシシそのものとして増えている」。一方で、イノブタも含めたイノシシの分布範囲は広がっていることから、研究グループでは「今後も監視は必要」としている。

(また不適切処理、イノシシ死骸が市街地に:富山)
富山市で豚コレラの感染拡大を防ぐため捕獲された野生のイノシシの死骸が、マニュアルに反して捕獲した山中から市街地にあるJAの施設に運ばれていたことがわかりました。「3日、婦中町の山中で捕獲された成獣のイノシシを市街地にあるJA(ジェイエイ)の駐車場に運んだということです。消毒のため駐車場、一面に石灰がまかれています」。地元の猟友会によりますと3日早朝に猟友会の70代の男性が富山市婦中町の山中で1頭のオスのイノシシを檻で捕獲しその場で豚コレラ感染の有無を調べるための採血などを行いました。行政に届け出るためイノシシの死骸には捕獲した日付を記す必要がありますが、日付を書くスプレーが切れていたため、男性は、その日の昼ごろに捕獲したイノシシの死骸をトラックに積んで、備品が置かれている近くのJA(ジェイエイ)の施設に運んだということです。その後、男性は、JA(ジェイエイ)の敷地内の駐車場でビニールシートを広げ、スプレーでイノシシの死骸に日付を記入したということです。県が示している捕獲イノシシの処理マニュアルでは、作業はすべて捕獲した現場で行い、死骸は処分地に埋めるよう求めています。このイノシシが豚コレラに感染していたかどうかはわかっていませんが、イノシシの死骸が運ばれたJAの施設では5日朝から消石灰や消毒液がまかれました。豚コレラの感染拡大を防ぐため捕獲された野生のイノシシの死骸の処理をめぐっては、先週も富山市の山田地区で埋設作業に協力している地元猟友会がマニュアルに反し地表から20センチほどの浅い場所に埋めていたことが明らかになっています。捕獲を委託している富山市は「今後はマニュアルにそった作業を徹底してほしい」としています。富山市内で捕獲されたイノシシの不適切な処理が相次いだことを受け5日の県議会でも質問が相次ぎました。藤井県議が捕獲されたイノシシの処理や埋設を指導している県に今後の対応について質すと県は「イノシシの埋設までの過程における留意事項を改めて整理し、市や町を通して捕獲にあたる猟友会員に周知する」などと説明しました。また、3日までに県内で捕獲された野生イノシシ56頭のうち5頭から豚コレラの陽性反応が出ていることについては県内で感染が広がってきているとの見方を示し、陽性反応が出たイノシシの発見場所から10キロ圏内の感染確認区域に限らず、対策を徹底するとしました。県は豚コレラ緊急対策事業として9月補正予算案におよそ2458万円を計上。予備費を活用してすでに実施した緊急事業とあわせ豚コレラ対策の費用は1億1873万円に上っています。一方、農林水産省は5日豚コレラの終息に向けた対策を取りまとめました。感染拡大の原因となっている野生イノシシの捕獲を強化するため感染が集中している北陸と中部地方の東と西側の地域にそれぞれワクチンを混ぜたエサをベルト状に大規模に散布し、全国への拡大を防ぎたい考えで今月から実施する方針です。県内の養豚業者が要望していた豚へのワクチン接種については今回の農林水産省の対策会議の議題に盛り込まれておらず、具体的な意見交換もされなかったということです。県では来月ごろからイノシシの活動範囲が広がると見ていて、感染拡大が懸念されます。

(男子高校生がイノシシと衝突:福岡)
福岡県警小倉北署は4日、北九州市小倉北区寿山町7番付近で3日午後8時ごろ、通行中の男子高校生が山中から現れたイノシシと衝突しけがをしたとして、メールで警戒を呼び掛けた。同署は「イノシシと出会ったときは近づかず、ゆっくり後退し静かに立ち去る。威嚇したり、脅かしたりしないようにして」と注意を促した。

(ヒグマ駆除、家庭菜園出没の個体か:北海道)
5日正午ごろ、市内西の里地区のヒグマ捕獲用の箱わなに雄のクマ1頭が入っているのを巡回中の市職員が見つけ、地元猟友会のハンターが駆除した。市は8月中旬以降、北広島、江別両市の家庭菜園やトウモロコシ畑に出没していたクマと同じ個体とみている。市によると、クマは体長約1・6メートル、体重90キロで年齢は不明。クマの目撃情報や家庭菜園での食害が付近で相次いだことから、市が8月21日に箱わなを設置していた。

(クマ襲撃か、肉牛死ぬ:北海道)
平取町芽生の町営牧場内で3日、クマに襲われ死んだとみられる肉牛1頭が見つかったため、町は地元の猟友会に委託し、箱わなを設置するなど警戒を強めている。町内では近年、家畜が襲われる被害はなく、注意を呼び掛けている。牧場を管理する町畜産公社によると、死んだのは11歳の繁殖用肉牛。首の骨が折れ、クマが動かした際に付いた傷や皮の破れもあった。頭部以外は、縦1メートル、横2メートル、深さ約50センチの穴に埋まっていた。穴はそれまでなかったもので、公社はクマが掘ったものとみている。現場付近には有刺鉄線が張り巡らされていたが、一部切れており、周囲にクマの足跡が複数あった。同牧場では、町内の農家から預かった肉牛約120頭を四つの集団に分けて放牧。職員が1日1回は巡回しているが、死んだ牛は1日午前10時ごろには確認されていた。行方は2日に分からなくなったという。地元の猟友会は4日朝、発見場所に箱わな1基を設置。当面は現場周辺を1日3回巡回する。町は農協を通じて農家にファクスで周知し、門別署は地域住民に注意を促す文書を配った。牧場を所管する町産業課の加藤三明(みつあき)課長(52)は「見回り回数を増やして監視を強化し、職員一丸となって再発防止に努めたい」と話す。

(「危険ごみ」にまた実弾?:三重)
津市は5日、収集した「危険ごみ」に散弾銃の実弾らしきものが混入していたと発表した。任意提出を受けた津南署は火薬類取締法違反の疑いで調べている。津市環境施設課によると混入していたのは散弾銃用の実弾とみられる薬きょう10発。4日午前に津市久居地域で収集した、スプレー缶や蛍光管などの危険ごみの中に混じっていた。

(イノシシ囲い込み、餌ワクチン帯状に)
豚コレラの感染拡大を防ぐため、農水省は感染源となる野生イノシシの囲い込み対策に乗り出す。餌に混ぜて与える経口ワクチンを発生地を囲むように帯状に集中的に散布し、未発生地域への感染拡大を防ぐ「経口ワクチンベルト」を作る構想だ。発生県と隣県を含む9県で猟友会と連携、捕獲対策も強化する。吉川貴盛農相は、3日の閣議後会見で「野生イノシシの総合的な対策をさらに強化していかなければならない」と強調。5日に豚コレラ防疫対策本部の会合を開き、新たな対策を決定することを明らかにした。経口ワクチンの集中散布は、9月下旬から始める方向で調整。これまでは感染が確認された県で、ウイルスの濃度を低めるために散布していた。今後は、これに加えて発生地域を囲うように帯状に集中散布する「経口ワクチンベルト」を設け、域外への感染拡大を食い止める。具体的には、愛知、長野、静岡、富山、石川の5県を「東ベルト」、三重、福井、滋賀の3県を「西ベルト」とし、発生地帯を東西から挟み込む案が浮上。特に東には群馬など関東の養豚が盛んな県があるため 、これ以上の感染地域の拡大に歯止めを掛けたい考えだ。県ごとに重点捕獲エリアを設定。猟友会と一体で野生イノシシの捕獲対策を展開する。情報通信技術(ICT)を活用したわな導入も支援する。飼養衛生管理基準を見直し、農場の防護柵の設置を義務づける方針。柵の設置工事も加速させる。発生県と隣県を含む9県では、感染を防ぐ飼養衛生管理を徹底するため、都道府県が農場ごとにカルテを作成し、国も指導する。

(野生イノシシの防疫強化)
農林水産省は5日、再発生から1年が経過する豚コレラの防疫対策本部を開き、今後の対策をまとめた。ウイルスまん延の原因となる野生イノシシの拡散を防ぐため、静岡や長野、滋賀などに「防衛ライン」を設定し、ワナや銃猟による捕獲を強化する。愛知・岐阜を中心に東西へ広がる感染イノシシを食い止め、被害の抑制を目指す。豚コレラは昨年9月9日、岐阜県の養豚場で26年ぶりに発生が確認された。現在までに愛知や三重など1府6県で発生が確認されており、収束のメドが立っていない。会合ではイノシシのエサに混ぜたワクチンの散布についても議論した。今まで愛知や岐阜などで散布してきたが、今後は感染イノシシの生息域を囲むようにベルト状に散布し、ウイルスの拡散を防ぐ方針を決めた。養豚農家の間では、豚へのワクチンの接種を望む声が強い。会合後の記者会見で農水省の担当者はワクチン接種に向けた検討は進めていると説明した。特にマーカーワクチンと呼ばれるワクチンを検討していることを明らかにした。通常のワクチンを豚に接種した場合、豚コレラに感染した豚とそうでない豚の区別が付かなくなるため、豚や豚肉の流通をワクチン接種地域に限定する必要がある。一方でマーカーワクチンは、感染豚とそうでない豚の区別がつくため、流通を限定させる必要がなくなる。ただ、このワクチンは国内未承認で、海外でも使用実績がない。遺伝子組み換え技術で作ったワクチンのため、食品安全委員会による評価などの手続きも必要で、活用には時間がかかる。同日の会合では、野生イノシシ対策を強化するため、家畜伝染病予防法の見直しを検討すると決めた。養豚場の衛生管理レベルを引き上げるための指導を徹底する方針も確認した。

(イノシシ対策強化、家伝法)
豚コレラの感染拡大防止の対策を拡充するため、農水省は感染源となる野生イノシシの対策を家畜伝染病予防法(家伝法)に位置付ける方向で検討に入った。野生イノシシへの対応が長期化が予想される中、法的根拠を整え、対策を強化するのが狙い。5日に開く豚コレラ防疫対策本部で、終息に向けた各種対策を正式決定する見込みだ。同省は、豚コレラの拡大防止は「野生イノシシとの戦い」(吉川貴盛農相)として、野生イノシシ対策を重視する。一方、複数県で野生イノシシが豚コレラウイルスに感染するケースが依然として続く。野生イノシシ対策を一層強化するため、同法に位置付け、法的根拠を整備することを検討する。イノシシ捕獲の強化に向けて、捕獲重点エリアの設定や銃猟の活用、わなの増加、猟友会などとの連携を想定する。さらに、餌に混ぜて与える経口ワクチンを帯状に集中的に散布する「経口ワクチンベルト」の構築を目指す。飼養豚への地域限定ワクチン接種の課題や可能性も検討する。終息に向けた対策の一環で、アフリカ豚コレラへの対応も兼ねて、感染経路を遮断する対策を推進する。講習会などを通じて飼養衛生管理基準を順守するよう繰り返し徹底することや、「早期出荷」の働き掛けを強化する。同基準を改正し、野生動物の侵入防止のための防護柵設置を義務付けることも視野に入れる。発生農家の早期経営再建の後押しも盛り込む。県と連携し、手当金の早期支払いや支援策について、生産者の相談に対応する。

(豚コレラ発生1年、終息見えず)
豚コレラの発生が岐阜市で確認され、9月で1年が経過する。終息の兆しが見えず、感染イノシシが増える中で、養豚場での発生がない周辺県でも切迫感が高まってきた。衛生管理対策の徹底を急ぐものの、「限界がある」として離農も考え始める農家もいる。岐阜や愛知以外の養豚農家も苦悩しながら、経営の展望を模索する。長野県飯田市の「天龍峡黒豚」。母豚20頭を飼育する今村篤さん(48)が「名勝を生かしてこのふるさとをにぎやかにしたい」と考え、地域のイベントを企画する仲間や飲食店経営者と共に地域ぐるみで発展させてきたブランド豚だ。しかし、今村さんは今、苦悩の渦中にいる。「経営を続けられないかもしれないと離農の考えもよぎる。前にも後にも進みようがない」今村さんは35歳で両親が創業した養豚業を継いで以来、地域密着で養豚経営を進めてきた。母と2人で小規模ながら豚を育て、年間4分の1は地元向けに直売する。ブランド化をして10年、特別な営業はしたことがないが、口コミだけで広がり、人気の食材にまでなった。地域にとっても今村さんにとっても、天龍峡黒豚は誇りだ。しかし、両親が建てた豚舎は、築35年を超す。豚舎を張り巡らせるネットは、JAみなみ信州の協力で今年設置し、豚舎ごとに靴の履き替えも徹底するものの、不安点がいくつもある。生まれた子豚は豚舎から豚舎へ屋外を歩かせなければ移動できず、シャワーイン・アウトなどの設備もない。柵の設置もこれからだ。国の衛生基準に合致する豚舎の改修には多額の費用が掛かる上、岐阜などの最新鋭の豚舎でも発生していることを踏まえると、今村さんは「豚コレラが迫る中で投資はできない。1度感染したら再開できなくなる」とうつむく。4日現在、長野県内では養豚場での発生はないものの、県内でのイノシシの感染は80頭を超え、同市近隣の上伊那郡などでも見つかり、県内でいつどこで発生してもおかしくない。「覚悟はしているものの、発生すればどうなるか具体的には想像できない。感染し殺処分になれば地域に迷惑が掛かる」と今村さんは、不安を募らせている。JAでは感染イノシシの広がりを受けて7月に、豚コレラ対策本部を設置した。JAは養豚産業の県内屈指の産地で、管内のJA系統の養豚農家は10戸。JAによると管内の畜産の売り上げは30億円で、そのうち養豚は10億円に上る基幹産業だ。JAは豚コレラの感染リスクを少しでも軽減するため養豚農家が集まる部会などの開催を自粛する。農家からは「非常事態だからこそ、農家が集まるべきだ」などと声が上がるものの、侵入経路が分からない状況で集まることの危険性を踏まえ、苦渋の決断をしたという。JA対策本部は「集まらなくても、情報共有を綿密に進めていきたい」とする。石川県かほく市で母豚100頭を飼育する「河北畜産」は電気柵を8月に設置し、石灰をまき、今後はネットも張り巡らせて対策を進める。しかし、経営者の沢野明久さん(71)は、年齢などを考え来年で廃業する予定だ。豚舎は山から離れた住宅街付近にあるものの、侵入経路が分からないため感染の不安は拭えない。「岐阜や愛知などの状況を踏まえると若い農家は養豚に夢や希望も持てない。廃業は豚コレラとは関係ないが、こういう状況下で養豚業と離れるのは残念だ」と訴える。同県では4日現在、養豚農場の感染はないが、イノシシの感染が見つかっている。県内農家は、神経をとがらせて衛生管理対策を早急に進めている。豚やイノシシの感染のない静岡県。それでも、養豚農家は不安を募らせる。母豚180頭を飼育し直売所も経営する浜松市の鈴木芳雄さん(70)は「神経をすり減らす日々だ」と疲れ切った様子で打ち明ける。柵の設置準備を急ピッチで進めている最中で、交差汚染もあるだけに、車両の消毒などでも厳戒態勢を敷く。「豚コレラのことを考えると投資もできない。気が気じゃない毎日だ」とため息をつく。

(豚コレラ対策で国に提言:静岡)
東海地方の発展に向けた課題などを協議する3県(岐阜、愛知、三重)2政令指定都市(浜松、名古屋)の知事市長会議が5日、浜松市中区のアクトシティ浜松で開かれ、東海地方で感染が広がっている豚コレラに関する迅速な情報共有などの連携強化を確認した。同会議は2017年度まで3県と名古屋市が持ち回りで開催してきたが、18年度から浜松市が加わり、今回初めて開催地になった。豚コレラは18年9月以降、岐阜、愛知、三重各県の養豚場などで相次いで発生し、野生イノシシへの感染も多数確認されている。古田肇岐阜県知事は「まさに広域的な課題であり、国家レベルの危機管理事案」と訴えた。静岡県内ではこれまでに、野生イノシシへの感染は確認されていないが、鈴木康友浜松市長も「情勢が時々刻々変化している。緊密な情報交換が重要」と述べた。会議では、豚のワクチン接種を国の責任、負担で行うことなどを盛り込んだ緊急提言を国に提出することを決めた。

(感染、計875頭に:岐阜)
家畜伝染病「豚コレラ」の感染が拡大している問題で岐阜県は4日、大野町で死骸で見つかった野生イノシシ1頭の感染を新たに確認した。県内の感染は計875頭になった。

(豚コレラ、2頭感染:福井)
県は3日、勝山市とあわら市で見つかったイノシシ2頭が豚コレラに感染していたと発表した。2市はいずれも石川県に接しており、あわら市では初めて。県内で感染を確認したイノシシは11頭となった。

(豚コレラ感染イノシシ新たに確認:長野)
安曇野市や松本市にある養豚場の半径10キロ圏内で、豚コレラに感染した野生イノシシが新たに確認され、県は6つの養豚場を「監視対象農場」に指定し、4日にかけて立ち入り検査を行うことにしています。県によりますと2日、安曇野市、松本市、それに塩尻市にある7つの養豚場の半径10キロ圏内で、野生のイノシシの豚コレラ感染が確認されたということです。県はこのうち、安曇野市と松本市の合わせて6つの養豚場を新たに「監視対象農場」に指定し、3日から4日にかけて立ち入り検査を行って、飼育されているブタに異常がないか確認することにしています。また、このほかの県内すべての養豚農家に対しても、異常がないか聞き取り調査を行うことにしています。県内では、塩尻市と伊那市、宮田村にある4か所の養豚場がすでに「監視対象農場」に指定されていていて、県内の監視対象農場は10か所になりました。豚コレラに感染した野生のイノシシは、3日も新たに9頭が確認され、これで合わせて98頭となりました。

(感染イノシシ県内100頭に:長野)
県は4日、木曽郡木曽町の野生イノシシ2頭で豚コレラ感染を新たに確認したと発表した。1頭は2日に捕獲し、もう1頭は同日に死骸で見つかった。県内での野生イノシシの感染確認は計100頭。監視対象農場は塩尻、伊那、松本、安曇野の各市と上伊那郡宮田村の計10施設。発見地点から半径10キロ圏内にあり、より厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域は中南信の27市町村で、ともに変わらない。

(豚コレラ経口ワクチン緊急散布:長野)
県上伊那地域振興局などは3日、上伊那地方にある養豚場の半径10キロ圏内で豚コレラに感染した野生イノシシが見つかったことを受け、伊那市と宮田村の山中に野生イノシシ用の経口ワクチンを緊急散布した。市、村の職員や猟友会メンバーらと4班・約20人態勢を組み、計20カ所に400個を埋めた。野生イノシシに食べさせて抗体を持たせ、感染や拡散を防ぐ目的。上伊那地方での散布は2回目で、今回は範囲をより南側に移して同市西箕輪│宮田村で実施。前回イノシシの摂取痕(かんだ跡)が多かった同市西春近の山中に重点的に散布した。11日に掘り返してイノシシがどの程度食べたかを調べる方針。作業後に従事者がウイルスを持ち出さない対策も徹底していく。上伊那地方では8月、伊那市や南箕輪村などで感染イノシシが確認され、半径10キロ圏内にある同市と宮田村の2カ所の養豚場が監視対象農場に指定された。この日の作業に先立ち、振興局の平谷敏彦農政課長は「少しずつにはなるが、抗体のついた野生イノシシを増やしていき、養豚場への侵入を防いでいきたい」と話した。

(クマ情報、住民に周知せず:山梨)
甲府市横根町で8月下旬にツキノワグマが捕獲された際、地元自治会が「他にも周辺にクマがいる可能性がある」として、市に防災無線で住民に注意喚起するよう要望したにもかかわらず、市が断っていた。

(住宅地へ向かうクマ撮影:北海道)
白老町石山地区でヒグマの目撃情報が相次ぐ中、同町の男性が8月下旬、同地区を車で走行中に遭遇し、住宅地に近い道路を走って渡る様子をスマートフォンで動画に収めた。男性は会社役員の大西潤二さん(40)。同月26日午前11時ごろ、石山地区の萩の里自然公園前の石山大通を苫小牧方向へ車で走行中、体長約1メートルのクマを目撃。現場近くで高齢の男性が散歩していたため、安全のために声を掛けて乗車させた。車を動かしてから間もなく、同公園に隣接する住宅団地入り口付近に再びクマが出没。車を止め、大型車や普通車が行き交う石山大通を北から南方向へ走り渡る一部始終をスマホの動画機能で撮影した。クマが向かった先は住宅地のため、大西さんは車で後を追い、屋外にいる住民に危険を知らせた。「とにかく驚いた。人に被害が出なくて良かった」と振り返る。大西さんが目撃したのは若いクマとみられる。石山地区では8月下旬から今月にかけて目撃情報が相次いでおり、町は2日から、事故回避のため同公園の園路を封鎖した。3日も石山地区で目撃された。石山地区を流れる川や森林帯を利用して、同じ個体が市街地と森を行き来している可能性もある。人への警戒心が薄く、堂々と人里へ姿を現す行動は、全道的に目立つようになったヒグマの傾向でもある。町や猟友会は連日パトロールを続け、地域住民に警戒を呼び掛けている。

(「クマ」目撃相次ぐ:福島)
5日午前6時45分ごろ、会津若松市大戸町で山林内を歩く1頭を見たと、国道118号を車で走っていた50代女性から会津若松署に通報があった。同署によると、体長約1メートル。午前9時ごろには福島市松川町の市道で、車を運転していた60代男性が道路を横断する1頭を目撃、市役所を通じて福島署に通報した。同署によると、体長は約1メートル。

(集落にクマ、7~8頭を確認:奈良)
野迫川村の集落で7、8月、ツキノワグマの目撃が相次ぎ、避難する住民も出ていることが4日までに分かった。村内の目撃情報は例年0~2件だが、今年は7月11日~8月末で17件に上る。先月下旬からは池津川地区でクマ1頭が頻繁に出没。村は警戒を呼び掛ける一方、おりによる捕獲を試みているが成功の見通しは立っていない。2週間にわたって自主的な避難生活を続ける住民もおり、県はクマの保護管理計画で定める捕獲方法の見直しも検討している。クマが目撃されているのは池津川、北股、今井、桧股の各地区。村産業課によると、昨年の目撃情報は0件だったが、7月11日に親離れした子グマが村役場周辺に現れて以降、8月30日までに7~8頭の個体が確認された。

(イノシシ目撃相次ぐ:茨城)
土浦市北東部の上大津地区で、8月下旬からイノシシの目撃情報が相次いで寄せられている。けが人の報告はないが、付近には住宅街や小中学校3校があるため、市は捕獲する方針だ。小中学校に立て看板を設置し、防災行政無線でも注意を呼びかけている。

(宮古島でクジャク大繁殖:沖縄)
沖縄県の宮古島で外来種のインドクジャクが大繁殖している。羽を広げた優雅な姿とは裏腹に、雑食で大食漢の「招かれざる鳥」。専門家によると、島全体に生息域が広がっており、固有種のミヤコカナヘビなどの生態系への悪影響や、農作物への被害も出始めている。宮古島市や猟友会は駆除や食肉としての有効活用といった対策に本腰を入れ始めた。宮古島の市街地から車で10分ほどの亜熱帯原生林。8月中旬、駆除隊員を示す緑色の腕章をつけた猟友会の砂川秀夫さん(60)は何かを見つけると、さっと木の陰に隠れ、素早く散弾銃を構えた。「パーン」。乾いたさく裂音が響き渡り、50メートルほど離れた松の木から、首筋に鮮やかな青色をまとった体長50センチ超の雄のインドクジャクが落下した。「今日はこれで10羽目か」。慣れた手つきで駆除の証拠となるトサカを切り落とす。沖縄県猟友会宮古地区の猟師として35年以上、ハトやカモをとってきたが、ここ数年はクジャクを撃ち落とすことが増えたという。「本当にどれだけいるのか見当もつかん」。砂川さんは薬きょうを拾いながら、ため息を漏らした。宮古島市によると、島にインドクジャクが持ち込まれたのは1980年代後半。飼育用に島内の小学校などに贈与されたものが、台風で小屋が壊れるなどして逃げ出し、野生化が進んだという。天敵のトラやヒョウもおらず、雑食で島内に餌が多かったことから定着したとみられる。市は2007年度から猟友会と共同で駆除に乗り出したものの、生息範囲は既に島全体に拡大。生息数は2000羽に上るとの見方もあるという。爬虫(はちゅう)類を捕食するため、宮古諸島の固有種で絶滅危惧種に指定されるミヤコカナヘビなど生態系への悪影響も指摘され、市は昨年、駆除のための専門家会議も開催した。島の希少種保護が専門の国立研究開発法人森林研究・整備機構(茨城県つくば市)の亘悠哉主任研究員は「島内の森林全体に生息域が広がっている。ただでさえ数が減っているミヤコカナヘビなどへの影響を考えると、対策は待ったなしだ」と指摘する。農業被害も深刻だ。「もう畑の場所を変えるしかないですね」。島内でソバを育てる宮古島穀物生産組合の新里五尾組合長(63)は肩を落とす。今年に入り、島内で育てるソバの畑8ヘクタールのうち2~3割をクジャクに荒らされたという。面積が広いため、鳥よけなどの対策も難しい。同市農政課によると、ソバ以外にも野菜の新芽などを食べられる被害が出ているという。被害の拡大を防ぐため、市は駆除対策に本腰を入れる。今年から繁殖期にあたる5~6月に卵を探し出すための探査犬を導入し、卵26個を駆除。銃を使えない人でも駆除ができるよう、さおの先にワイヤを取り付けて捕らえる「くくり罠(わな)」とよばれる簡単な道具も秋に導入し、効果を試す方針だ。猟友会の陣容も拡大させ、5年前に7人だった実稼働人数は、今年度は15人程度に増える見込みという。18年度は前年度比約2倍となる300羽を駆除、19年4~6月には137羽を既に駆除したという。もっとも、完全な駆除には時間がかかる見通しだ。市は30年までに島北部と橋でつながる伊良部島での根絶を、50年までに宮古島からの根絶を目指している。同市環境衛生課の守武大・自然環境係長は「今は地道に続けていくしかない。いずれ効果的な手法を見つけ出し、駆除のスピードを上げていきたい」と話している。駆除したクジャクを食肉として活用する試みも進んでいる。沖縄県猟友会宮古地区の上原浩人さん(55)によると、これまでクジャク肉は「硬い、臭い」とのイメージがあり、敬遠されてきたという。猟師には市から1羽当たり数千円の駆除費が支給されるものの、銃の管理などにかかる費用も多く「狩りに出ても赤字になってしまう人も多かった」。そのため猟友会の有志らはクジャク肉を有効活用できないか、レシピの検討を進めてきた。その成果が今年5月から島内の「みやちゃん食堂」で提供し始めた「クジャクカレー」(1200円)だ。店主の宮国幹雄さん(54)がミンチ肉を使ってキーマカレーにした。クジャク肉のハンバーグも上に乗せ、付け合わせのサラダにもフレーク状にした肉をちりばめた。食べてみると肉の硬さや臭いはなく、だしのうまみや適度な弾力の食感が楽しめる一皿。店の名物料理のひとつになりつつあり、多い日には15食以上の注文があるほか、島外から食べに来る人もいるという。宮国さんと猟友会のメンバーはさらに他のメニューも考案中で、砂肝やレバーの焼き鳥などが候補に挙がっている。上原さんは「食肉としての価値が上がれば、駆除にもさらに弾みがつくはずだ」と期待を込めている。

(クマ大量出没の可能性、注意を:富山)
県内ではことし、山のドングリの実りが悪く冬眠前にエサを求めるクマが街なかにも大量出没する可能性が高まっているとして県は注意を呼びかけています。県によりますとブナやミズナラのドングリは冬眠前のクマの主な食べ物となり、その実り具合と街なかでの熊の出没状況は深い関係があると考えられています。県の調査ではことしのドングリの実り具合は県内全域で「凶作」となっており、9月中旬以降11月にかけて街なかにも熊が大量出没する可能性が高いということです。4日富山市の県民会館で開かれた対策会議には、県や各市町村の担当者など約60人が出席し、クマのエサとなる庭先のカキやクリ、ギンナンなどは放置せず早めに取りきることや、クマが隠れやすい草やぶを刈ること、クマが出没した際は市町村が必要に応じて警報を発令し、速やかに住民や学校などに周知するマニュアルなどについて確認しました。県自然保護課の小杉知毅副主幹は「県内全域、特に西部でドングリの実りが悪く、庭先のカキの実などクマの出没につながるものの除去を徹底してほしい」と話していました。

(カラス撃退スピーカーを市が貸与:岐阜)
家畜伝染病「豚コレラ」の感染防止に努めようと、岐阜県高山市は6日から市内の三つの養豚場にカラスを撃退するスピーカーを貸し出す。雑食性のカラスがウイルスを媒介する可能性が指摘されており、農場にカラスを寄せ付けないようにするねらいがある。撃退用スピーカーはリンゴやブドウを栽培する果樹園などでカラスよけに使われている電子防鳥威嚇機「カラス用心棒2」。天敵のタカなどの鳴き声や危険を感じた際に発するカラスの鳴き声、人が追い払おうとする声、銃声など16種類の音をランダムに組み合わせて再生する。バッテリーで10日以上作動するという。市は豚コレラ対策で農場周辺の消毒を進めているが、空からウイルスを持ち込ませないため、スピーカーを貸し出すことにした。農場側には、カラスが音に慣れないよう定期的に場所を変えて音を流してもらい、感染のリスクを減らしたいとしている。

(ツキノワグマの防除対策出前授業:岩手)
市街地に出没するクマにどう対処するかを専門家に学ぶ「ツキノワグマ防除対策出前授業」(岩手県の花巻保健福祉環境センター主催)が5日、クマの出没件数が多いことで知られる北上市和賀町横川目を通学区域とする和賀西小学校で開かれた。出前授業に招かれたのはクマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授で、同校と笠松小の4年生計22人、地域住民合わせて約50人が授業に参加した。山内准教授はクマは走力が自動車並みに速く、鋭い爪を持っていることから、クマに遭遇しないように鈴や笛の鳴り物を常備することの重要性を説いた。最悪の場合に備え撃退スプレーの有効性も紹介。市街地への出没を減らすにはクマが隠れる里山や耕作放棄地の雑草の刈り取りが有効であることを訴えた。児童全員がクマ避けの鈴を持つ地域柄で、クマの知識も多い子供たちだが、ツキノワグマが魚を食べないことに驚き、毛皮や頭骨に興味津々だった。笠松小4年の小原苺春さん(10)は「クマは近くで見たことあるけど、爪がこんな鋭くて大きいとは思わなかった」と目を丸くしながら話していた。

(ムクドリ対策、街路樹剪定が有効か:岩手)
8月17日付の本紙に掲載された「街路樹に鳥の大群」を読んだ盛岡市津志田の住民から「ムクドリの大群への対策を教えてほしい」と、特命記者係に情報が寄せられた。同地区でも長年ムクドリが夜遅くまで大きな鳴き声を響かせ近隣住民を悩ませていたが、8月上旬ごろ突然姿を消した。専門家は、街路樹の剪定(せんてい)でねぐらを変えた可能性を指摘。ムクドリ対策の有効な対策と言えそうだ。現場は国道4号の津志田交差点から西側の市道沿いにある街路樹。夕方から空を黒く染めるほどのムクドリが集まり、「ジュリジュリ」という鳴き声を響かせていたが、ぱったりと聞かなくなった。市道沿いの民宿で働く佐々木ツヨ子さん(59)は「夜中まで鳴き声が聞こえたが、お盆ごろから急に音がしなくなった」と首をかしげる。市は街路樹の枝葉が伸びて通行に支障を及ぼさないよう、本年度内にケヤキ31本のうち老木や病気の7本を伐採、残りを剪定する計画。現場のケヤキも8月上旬に一部の枝葉を刈り取っている。日本野鳥の会もりおか(佐賀耕太郎代表)によると、ムクドリは餌場の近くで外敵から身を隠せる枝葉の生い茂った木々に集まる傾向がある。鳥が隠れられないよう枝切りしたり、野鳥が危険だと認識するような音を出したりすると寄りつかなくなるという。

(IoTでイノシシを自動捕獲、KDDIが実証実験:福島)
福島県国見町とKDDIは、イノシシによる農作物被害の低減を目指し、IoTを活用した自動捕獲の実証実験を開始する。国見町は桃やプラムなどの産地だが、近年イノシシなどによる食害が拡大し、人的被害の発生も懸念されているという。また、全国的に見ても、野生鳥獣による農作物被害は年間164億円におよび、そのうちイノシシによる被害は約48億円とされ、深刻化している。国見町では有害鳥獣の駆除や侵入防止柵の整備といった対策を行ってきたが、狩猟者の高齢化による人手不足、定期的な見回りの負担などが課題となっている。そこで、KDDIやKDDI総合研究所と協力し、遠隔監視カメラの活用など、効率化のための取り組みを2018年1月から行ってきた。今回の実証実験では、まず、囲いわなへの動物の接近をセンサーで検知し、メールやアプリを通じて狩猟者に知らせる。通知を受けた狩猟者は、カメラ映像を通じて動物の種類や頭数を確認し、遠隔操作でわなを作動させて捕獲できる。また、複数のセンサーでわなの内外の状況を判別し、自動で捕獲するモードも用意される。

(イノシシ撃退をLED実証実験:山口)
イノシシによる農作物の被害を防ごうと強力なLEDライトを利用した実証実験が山口市で始まった。こちらが実証実験で設置されたLEDライトだ。非常に明るいことが特徴で、サッカー場の夜間照明で使用されるものと同じく1台9万ルーメンの明るさで発光する。センサーがイノシシに反応し、自動的に発光する仕組みになっている。実証実験は山口市秋穂の二島西地区で始まった。イノシシによる農作物への被害を軽減しようと地元の農家で作る協議会と県などが協力して実施するものだ。二島西地区ではイノシシによる去年1年間の被害額はおよそ100万円に上るという。現地では先月から暗視カメラによる監視を行っていて、イノシシの出没が確認できたエリア3か所に10台のLEDライトが設置された。実証実験は12月下旬まで行われ、イノシシの反応や出没頻度などを検証していくことにしている。

(動物の交通事故を防げ「鹿ソニック」開発:山梨)
富士山山麓(さんろく)で多発する野生動物の交通事故死(ロードキル)を防ごうと、地元の山梨県富士河口湖町のNPOと自動車部品メーカーが協力し、シカや小動物が嫌う周波を発する機器「鹿ソニック」を開発した。動物が立ち入る鉄道線路や田畑の獣害対策にも活用されており、応用した商品の開発も目指している。開発したのは富士河口湖町の自動車部品メーカー「T・M・WORKS」(轟秀明社長)。富士山山麓でロードキルの発生状況を5年前から調査している同町のNPO法人「富士山アウトドアミュージアム」の協力を得て、2016年に開発を始め、18年5月に商品化に成功した。「鹿ソニック」は自動車前方のフロントグリルに取り付ける。シカなどの動物が嫌うとされる20~30キロヘルツの高周波を発し、50~70メートル以内に近づくと動物が避ける効果がある。違う周波を組み合わせた35パターンをランダムに発することで、動物が周波に慣れ効果が弱まるのを防いでいる。時速60キロ未満の走行で効果を発揮することから、それ以上での走行を想定し風圧を利用するシカよけ笛との併用を呼び掛けている。富士山山麓では、この10年ほどでロードキルの発生が急増している。富士山アウトドアミュージアムの舟津宏昭代表は14年5月から富士山周辺の山梨、静岡県の11市町村でロードキルの発生状況を調査している。道路をパトロールし、動物の死骸を発見した際の通報を地元住民らに呼び掛けるなどして、5年間で計891個体の発生状況をデータとして収集した。発生件数はシカが最多の207件だった。これらのデータを活用し、轟社長が鹿ソニックの改良を重ねた。車両への搭載以外にも使用方法は広がっている。シカと電車の衝突事故が多発していた富士急行線では線路脇の8カ所に計40台を設置し、動物が線路内に立ち入るのを予防している。イノシシやハクビシンなど小動物にも効果があり、一部農家が獣害対策用に畑に設置しているという。同社は今後、ソーラーパネルを電源に畑などで使える製品を来年をメドに商品化する予定だ。轟社長は「友人から運転中にシカと衝突したという話をよく聞く。鹿ソニックで事故減少につながれば」と期待を寄せている。鹿ソニックは税別1万9000円。

(豚コレラ防疫支援、柵設置費など4億3830万円:群馬)
山本一太知事は5日の定例記者会見で、隣の長野県などで感染拡大が続く豚コレラの県内侵入を防ぐため、補正予算として「豚コレラ対策緊急総合支援」約4億3830万円を計上し、専決処分したと発表した。山本知事は「豚コレラ対策は喫緊の課題と考えている。一日も早い防疫態勢確立に全力をあげる必要があると判断した」

(豚コレラで苦境、ジビエ業界を食べて応援:愛知)
豚コレラの感染拡大で苦境に立たされているジビエ業界を、愛知県が食べて応援です。愛知県庁西庁舎の食堂では、4日と5日、愛知県産のイノシシ肉を使った特別メニューが販売されます。県によりますと、県内のジビエ業者は豚コレラ拡大の影響で食肉用イノシシ肉の流通が縮小するなど、打撃を受けています。特別メニューはジビエ業界を食べて応援し、安全性とおいしさを知ってもらおうと企画され、大村知事も試食しました。西庁舎食堂でのジビエ応援メニューの提供は、5日までです。

(豚コレラ余波、ヤギ市中止?:愛知)
例年6月に愛知県新城市で行われる子ヤギのせり市が、今年は開催のめどが立っていない。2018年9月から続く豚コレラの影響で運営の人手が足りないことに加え、畜産関係者が集まることによって感染拡大につながる恐れがあるからだ。10年の口蹄(こうてい)疫の際に規模を縮小したことはあるが、中止は例がないという。さまざまな品種のヤギを手に入れる貴重な機会とあって、除草などで活用している農家からは落胆の声が漏れる。せり市は愛知県緬山羊(めんさんよう)協会が主催。県ヤギ品評会と併せて毎年6月中旬に開く。同協会だけではスタッフが足りないため、後援する県畜産課職員の応援を得て、同市の家畜市場で実施していた。しかし、今年は同課職員が豚コレラ防疫対応に追われており、さらに流行が終息しないことから開催を延期。協会は「畜産関係者が集まるので、感染拡大のリスクがある。ひとまず延期しているが、現状では開催のめどが立たない」と打ち明ける。協会によると、国内でヤギのせり市があるのは群馬、長野、沖縄と愛知の4県。このうち沖縄では主に食肉用、群馬と長野は乳用の「日本ザーネン種」を出品。トカラヤギや雑種、愛玩用の品種も取り扱うのは愛知県だけで、近年のヤギ人気の高まりもあって注目の市場となっている。ヤギを除草に活用する農家にも影響が及んでいる。岐阜県白川町でトマトや有機栽培米を手掛ける佐伯薫さん(64)、美智代さん(57)夫妻は10年ほど前から、あぜの除草のためにヤギを飼養。昨年まで5頭いたが、譲ったり死んでしまったりで今は1頭だけに。例年なら草がきれいになくなっている堆肥置き場周辺は手が回らず、雑草が茂っている。美智代さんは「近所の子どもたちが触っても危なくない、角がない子ヤギが欲しい。早くせり市が再開できるようになってほしい」と願う。

(丹沢ジビエの可能性模索へ:神奈川)
秦野の新たな観光資源として『丹沢ジビエ』の可能性を模索しようと、秦野商工会議所の佐野友保会頭が主催する「ジビエ試食会」が8月30日、渋沢駅北口のスペイン食堂ビバラーチョで行われた。丹沢には鹿や猪などの野生動物が多く生息しており、鳥獣被害なども問題となっている。佐野会頭はこの問題に着目し、新たな観光資源に生かせないかと「丹沢ジビエ」を提唱。ビバラーチョのオーナー・嶽石康昭さんも、地産地消の推進や他店との差別化などのためジビエを研究していたことから、今回、地元で味わってもらおうと、高橋昌和秦野市長や市川和雄秦野市観光協会会長らを招いて試食会を行うことになったという。当日は同店のスーシェフがコースメニューを組み立て、地産地消を味わってもらおうと(株)Shune365(平沢)の野菜や秦野名産落花生なども食材に使用された。メインのジビエ肉は、まず味や食感を味わってもらうため、ピジョン(鳩)と子猪、夏鹿、丹沢鹿を炭火焼きで提供。クセがない味や肉質の違いなどを体験し、参加者らは「肉自体が美味しい」「ジビエの印象が変わった」などと話した。高橋市長は「ジビエの可能性を感じた。鳥獣被害対策としても研究に値すると思う」と話す。鳥獣被害対策としても注目されるジビエだが、食肉として流通させるには鳥獣の捕獲から2時間以内に処理加工施設等への搬入が必要で、施設の建設はどうするかという問題もある。またブランド化するには、安定供給と安定消費が必要だ。嶽石オーナーは「山のまち・秦野のジビエ肉を提供できるよう、皆さんにも体験していただきたい」と話し、今後同店でのジビエフェアも企画しているという。佐野会頭は「試食をした皆さんの反応を見て手ごたえを感じた。商業者として需要を伸ばしていくことが役目。ジビエ料理を普及していきたい」と話した。

(飛騨産ジビエくせなく歯応え:岐阜)
創作イタリアン・フレンチのレストランで、昨年9月に「ぎふジビエ」の登録店となった。高級ホテルで腕を振るった玉腰正人シェフ(61)の趣向を凝らしたシカ肉料理が味わえる。シカのロースステーキをメインとしたコース(税別3800円)とジビエ尽くしのコース(同5800円)は要予約。くせがなく歯応えのあるジビエらしさを堪能できる。シカ肉をじっくり煮込んだキーマ風カレー(同1080円)は予約なしで注文が可能。玉腰シェフは、ホテル時代の経験からイノシシ、野ウサギやカモなどの扱いにも精通している。「飛騨産ジビエを扱うのは長年の夢だった。ジビエを見る目が変わるはず」と話す。

(ジビエ鹿肉料理が有名なイタリアン:兵庫)
鹿肉はヨーロッパでは高級レストランで特別に食べられる最上の肉とされています。栄養価も高く、カロリーは牛肉に比べると20分の1程度。コラーゲン、鉄分も豊富で女性にとっても嬉しい食材です。「アントン」さんでは兵庫県産を中心に一年中鹿肉が食べられる!増えすぎた鹿を駆除している猟師さんと協力しているのだそうです。

(特産キジ肉で肉まん:愛媛)
鬼北町の県立北宇和高生産食品科の3年生6人が掲げた地域創生プロジェクトがこのほど、「愛媛大社会共創コンテスト2019」(実行委主催)で特別賞を受賞した。その名も「『鬼』の町にぎわい創生プロジェクト 北高発、米(こめ)ゲル大作戦」。町の基幹産業・米とキジ肉を生かした「キジ肉まん」を広めようというアイデアが展開され、商品化の準備も町内で進んでいる。

(鳥獣被害をなくしたい:神奈川)
イノシシ、シカ、サルなどの被害が深刻な青根・青野原地区。「食べ物が豊富な人里に下りてきて、人を怖がらない鳥獣が増えている」と、農作物被害は特に深刻で、その対策は急務となっている。県から地区の管理員に任命されてから18年。様々な対策を行っているが、なかなか被害が減らないのが現状だ。「農家にとって被害は生活を脅かす重大な問題。難しい問題が山積みだが、少しでも役に立ちたい」。16人で現在狩猟を行う「青根猟友会」の会員としても、鳥獣駆除に奔走する。罠を仕掛ける猟の他、犬で鳥獣を追い込み、銃で仕留める猟は、根気のいるもので、後継者がいない苦労もある。「狩猟は規制も多く、銃が好きな人はクレー射撃などに流れる。狩猟は山が好きでないと続かない」と危機感を募らせる。林業を営んでいた父親とともに1982年、青根に「うらたんざわ渓流釣場」を創業。道志川に清流を注ぐ「神の川」の最上流部にある1・5Kmにも及ぶ釣り場は、1年中、ニジマス・ヤマメ・イワナなどが釣れ、ファンの間では渓流釣りが楽しめる穴場として知られる。「青根の宝は澄んだ水。昔は恵まれた水のおかげで、田んぼも多く、美味しいきゅうりも栽培していた」と懐かしむ。「戦後人工林が増え、山から食べ物が減った。その影響で最近は人里にクマが増えた」と、クマ被害にも警鐘を鳴らす。2012年11月には、数多くのクマ被害が見られ、仕掛けた檻に、97kgにもなるクマがかかったこともあった。絶滅危惧種であるクマはすぐに山に放されたが、翌日には畑に下りてきて作物を荒し、2度と檻に捕まることはなかった。「今年は山の作物が不作で、クマが人家に出没する可能性が高い。我々も気をつけねば」と話した。

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(シカ対策、新手法で捕獲数が急増:和歌山)
植林地を食い荒らすシカを捕獲するため、和歌山森林管理署(和歌山県田辺市)が足用の「くくりわな」の新たな設置法を3年前に開発、捕獲数が急増した。考案者名から「小林式誘引捕獲」と呼ばれ、他の森林管理署も採用しつつあるという。同管理署によると、従来の方法では、くくりわなを林道から離れた獣道に設置。適した場所を見極める経験や技術が必要で、年間で数頭の捕獲にとどまっていたという。ビデオカメラで撮影した生態記録や餌の食べ残しの観察から、餌をドーナツ状に置いて中央に長さ20センチ余りのわなを仕掛け、周囲にもぱらぱらと餌をまいてシカを誘引する方法を考案した。

(豚コレラ対策でイノシシ捕獲予算倍増)
東海地方などで猛威を振るう家畜伝染病「豚コレラ」対策として、環境省はウイルスを媒介する野生イノシシの捕獲を強化するため、今年度より倍増となる約30億円の予算を新年度概算要求に盛り込む。山間部での生息密度を下げて感染拡大を抑えるとともに、感染経路の調査を強化する狙いだ。豚コレラは昨年9月、岐阜県で26年ぶりに国内感染が判明して以降、北陸や近畿で捕獲されたイノシシなどから陽性確認が相次いでいる。人に感染せず、感染した豚肉を食べても人体に影響がないとされる一方、豚やイノシシには強い感染力を持ち、感染すると高い確率で死に至るため、法律で家畜伝染病に指定されている。感染が確認された地域では、感染経路などを調べるために捕獲が行われているが、その実務は、環境省の「指定管理鳥獣捕獲等事業」の枠組みで交付金を受けた都道府県が委託した民間団体が主に行っているという。感染の広がりに対応して捕獲数を増やすため、予算増額を求める。また環境省は近く、狩猟愛好家らがレジャーとして行うイノシシ猟への対応を都道府県から聞き取る予定だ。猟を逃れたイノシシが拡散したり、狩猟愛好家が不用意に感染した肉を流通させたりする恐れがあるためだ。岐阜県は昨年度、狩猟愛好家らによる狩猟を制限している。同省は同様の対応も含む、都道府県レベルでの様々な対策の広がりを期待する。イノシシは全国で年間60万頭程度が捕獲されている。制度上は狩猟による捕獲と、その他の、農作物や人間生活への被害を防ぐ目的の有害鳥獣捕獲などに大別される。

(韓国大使館に銃弾と脅迫文:東京)
東京都港区の在日韓国大使館に先週、銃弾1発と脅迫文を入れた封書が届いていたことが分かった。関係者によると、封書に書かれた宛先は李洙勲・前駐日韓国大使で、差出人は記載されていなかった。銃弾は拳銃用とみられる。大使館側は警視庁に被害届を出した。封書には便箋(びんせん)1枚も入っていた。ライフルを何丁も持っており、韓国人を狙っているとの趣旨の文言で、「韓国人は出て行け」とも書かれていたという。韓国人を脅迫する目的で封書を送りつけたとみられるが、元徴用工や慰安婦問題については明記されておらず、最近の日韓関係との関連は不明という。

(クマに襲われけが:秋田)
28日午後8時ごろ、北秋田市小又の畑で、近くに住む農業の男性(77)がクマに襲われ、両足を引っかかれて軽傷を負った。クマの目撃やクマによるものとみられる食害も相次いでおり、県警は警戒を呼びかけている。

(イノシシ捕獲強化、年1.5万頭目標:岐阜)
岐阜県は1日、豚(とん)コレラ対策として、感染を媒介するとされる野生イノシシの数を減らすため、捕獲を強化する方針を明らかにした。11月からの狩猟期は県内全域で禁猟とする方針だが、県猟友会の協力を得て広域的な捕獲と駆除を進め、個体数を削減する。同日に県庁で開いた有識者会議で方針を示し、了承を得た。従来は調査捕獲、有害捕獲、狩猟により年間1万3千頭の捕獲を目標としていたが、狩猟を県内全域で禁止する一方、個体数調整の捕獲を強化することで、新たに年間1万5千頭の捕獲目標を立てた。個体数調整で捕獲したイノシシは豚コレラの検査をせず、山の中に埋める方針。経費は県が補助する。調査捕獲したイノシシの検査も原則、血液で行い、死骸は山に埋めて処理する。捕獲に当たる猟友会員らの負担を軽くするためで、現在は禁じている銃の使用も認めていく。検査手法も見直し、より短い時間で結果が判明するリアルタイムPCR検査の導入に向け、国と協議していく。一方、養豚農家が要望している豚への地域限定のワクチン接種について、河合孝憲副知事は「もしやるなら、どういうルールでやるか都道府県に丸投げせず、国の責任で示し、経費を支援してもらいたい」と訴えた。

(捕獲イノシシ、現地で埋める運用検討:岐阜)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が野生イノシシに広がっている問題で、岐阜県は調査のために捕獲したイノシシを現地に埋めて処分する運用の検討に入った。イノシシを調査機関に運ぶのは負担が大きく、焼却炉の受け入れも限界に達していることなどが背景にある。検査には、現場で採取した血液を使うという。現在、岐阜県内で調査捕獲されたイノシシは、猟師が消毒した上で県中央家畜保健衛生所の分室(岐阜市)まで運び、職員がウイルスの有無を検査している。検査が終わると、死骸は施設内で焼却処分する。だが収束が見えない中、持ち込まれるイノシシは増え続け、累計1千頭を超えた。施設内の焼却炉の処理能力は1日10頭程度で、「1日に20頭運び込まれることもあり、対応しきれない」(担当者)という。焼却しきれない死骸は、冷房を利かせた部屋で一時保管しており、専用の冷蔵庫の購入も準備しているという。こうした状況から、県はイノシシを捕獲した現場で血を抜き、家畜保健衛生所の分室で検査することを検討する。死骸は現地に穴を掘って埋める。先行的に7月から36例実施しているが、大きな問題はないという。捕獲にあたる猟師も「重いイノシシを運ぶのは重労働。山と衛生所の往復で1日が終わってしまったこともある。血だけでいいなら楽になる」と歓迎する。一方、野生動物に詳しい岐阜大学の浅野玄・准教授(野生動物医学)は「現地に埋めるのであれば、クマなどの動物が餌付かないよう、埋設地点にカメラを設置して適切な深さを検討することが必要かもしれない」と指摘している。

(高速にクマ、半日後に駆除:宮城)
宮城県川崎町の山形自動車道上り線で1日午後6時ごろ、中央分離帯のブロック塀の脇にクマが倒れているのを東日本高速道路の巡回車が見つけた。夜間で駆除が難しく、県警高速隊が2日午前9時5分ごろから約45分間、上り線の笹谷インターチェンジ(IC)-宮城川崎IC間を通行止めにし、地元の猟友会が駆除した。高速隊や川崎町によると、体長約85センチ、体重約17キロの子グマ。車にはねられたとみられ、動かないため放置しても車の通行に影響はなかったという。

(クマ雄1頭捕獲、まだ生息か:宮城)
30日午前10時ごろ、仙台市泉区加茂2丁目で「家の近くの土手にクマがいる」と住民から110番があった。市は地元猟友会などに協力を依頼。目撃現場近くの雑木林で同日午後1時15分ごろ、東北野生動物保護管理センター(青葉区)の関係者が麻酔銃を撃ち、1頭が捕殺された。加茂地区をはじめ水の森公園(青葉区)の近隣で今月、クマの目撃情報が十数件あり、市や宮城県警泉署などが住民に注意を促していた。市や泉署は周辺に他にもクマが生息しているとみて警戒を続ける。市によると、捕獲したクマは体長約1メートルの雄。生後2年程度で、体重は32.5キロだった。現場はJR仙台駅から北に約8キロ離れた住宅街で、市職員や泉署員ら計約30人が捕獲に当たった。周辺では警察が交通規制を実施。広報車が住民に警戒を呼び掛け、一時騒然となった。住民の無職及川弘和さん(70)は「木が大きく揺れていて、登っているクマが見えた。捕獲されてよかった」と話した。近くに住む主婦畑多寿子さん(72)は「すぐ近くまで来るとは思わなかった。不安な生活が続いたが、少し安心できたと思う」とほっとした様子だった。周辺で目撃情報が相次ぐ中、対応の遅さに疑問を投げ掛ける住民の声も聞かれた。会社員早坂幸さん(52)は「やっと安心できるが、警察の巡回や警戒だけでは住民の不安を解消できていないのではないか」と語った。

(住宅街にクマ、取材中に発見:宮城)
爆竹とみられる乾いた破裂音が響いたのは、宮城・仙台市の住宅街。警戒していたのはクマ。住宅から、わずか数メートルほどの茂みからのぞく黒い耳。別のカメラには、ギロリとこちらをにらむ、体長1メートル弱のクマの姿が。連日、住宅街に現れ、付近の住民を不安に陥れていたクマの姿を、FNNのカメラがとらえた。クマの体には、“麻酔銃”だろうか、赤いものが刺さっているように見え、次の瞬間、クマが木の下に落ちる様子が確認できる。8月5日以降の目撃情報は、18件。クマは2歳程度のオスとみられるが、山に帰しても、再び住宅街に現れる可能性があるなどの判断から、殺処分となった。

(またクマの活動が活発に、付近の畑では食害も深刻:北海道)
クマの目撃が相次いでいた野幌森林公園周辺近くでまたクマの活動が活発になってきました。付近の畑では食害も深刻になってきています。北海道江別市では住民らに厳重な警戒を呼び掛けています。ことし6月に野幌森林公園近くで撮影されたクマ。公園周辺では先月から今月に入ってクマの目撃が相次いでいます。先月24日にはこちらの畑で、クマの食害も確認されました。クマに食べられていたのは収穫目前のトウモロコシ。クマが食い荒らしたため、周辺のトウモロコシの茎も倒されていました。「トウモロコシの収穫がこのあと1か月後なんですよ。それまでにやられなければいいなと思っていたんですが、やられました。初めてのことで戸惑っています」そして、再びクマが目撃されました。「学校に近いこちらの場所できのうの朝、車に乗った男性がクマを目撃しました」2日午前6時過ぎ、江別市の野幌森林公園付近でドライバーから道路を横切るクマを見たと、通報がありました。目撃された場所は立命館慶祥中学校と高校のすぐ目の前でした。実は目撃された場所はトウモロコシの食害があった場所から学校を挟んだ向かい側でした。野幌森林公園近くでは先月、JR千歳線近くでクマの目撃情報が相次いだあとクマの姿は徐々に北上して目撃されるようになっていました。周辺でクマの目撃が相次いだ学校では下校時に生徒がスクールバスに乗る様子を教員が見守っていました。教員の手にはクマよけのスプレーがありました。「大人がいるところで必ず活動することや、もしもクマが近くにいる事態になったら、速やかに校舎に入るように指導している」江別市では6月以降に野幌森林公園周辺で目撃されたクマが一時期、北広島市内に移動したあと再び、戻ってきたとみて周辺住民に注意を呼び掛けています。

(クマの目撃情報、登下校時の警戒続く:北海道)
札幌市清田区や江別市でクマの目撃情報が相次いだことから、警察などが周辺をパトロールしてクマへの注意を呼び掛けています。札幌市清田区清田では1日夜、体長1メートルほどのクマの目撃情報がありました。これをうけ、2日朝、パトカーが周辺をパトロールして周辺住民に注意を呼び掛けました。クマの痕跡は見つかっていませんが、周辺の小学校では今後1週間は登下校時の見守りを強化する予定です。一方、1日朝、江別市の野幌森林公園付近でもクマが目撃され、畑のトウモロコシが食い荒らされているのが確認されました。

(クマ、県道横切る:秋田)
秋田県内で31日、県道を横切るクマが相次ぎ目撃された。午後4時10分ごろ、能代市二ツ井町切石の県道をクマ3頭が横切るのを同市の70代男性が目撃した。能代署によると、クマは1頭が体長約1メートル、残り2頭は約40センチ。男性が二ツ井白神インターチェンジ(IC)と県道の交差点付近を車で通行中に見つけた。近くの商店から約20メートル。

(温泉の勝手口にクマ入り込む:秋田)
30日午後7時半ごろ、秋田県鹿角市八幡平の蒸ノ湯(ふけのゆ)温泉の勝手口に体長約1メートルのクマが入り込んでいるのを従業員の60代男性が発見、声を上げるとクマは立ち去った。勝手口に置いていた廃油缶がなくなった。けが人はいなかった。

(車とクマ衝突、けが人なし:秋田)
29日午後6時半ごろ、秋田県三種町鯉川字川代の秋田自動車道上り線で、能代市の30代男性の乗用車が横断してきた体長約1メートルのクマと衝突した。約35分後には同じ場所で、秋田市の30代男性の乗用車が路肩に横たわっていた同じクマに乗り上げた。2人にけがはなく、クマは死んだ。

(クマ、養蜂箱壊して蜂蜜を食べる?:秋田)
2日午前8時半ごろ、秋田県横手市増田町吉野のリンゴ畑で養蜂箱1箱が壊され、中の蜂蜜が食べられているのを所有者の60代男性が見つけ、横手署に届け出た。同署によると、箱の爪痕からクマによる食害とみられる。秋田市河辺三内字三内段のリンゴ畑では先月31日午前10時ごろ、リンゴ約20個が食い荒らされているのを所有者の40代男性が見つけ、2日に110番した。秋田東署によると、木の爪痕からクマによる食害とみられる。

(乗用車とクマが衝突:秋田)
2日午後10時15分ごろ、秋田県仙北市角館町白岩の広域農道・みずほの里ロードで、仙北市の20代男性の乗用車が横断してきた体長約1メートルのクマと衝突した。男性にけがはなく、クマはそのまま山林に立ち去った。仙北署によると、男性が田沢湖方向から大仙市方向に走行中、右側から飛び出してきたクマとぶつかり、右前部バンパーが破損した。現場から民家までは約160メートル。

(ツキノワグマがイノシシのわなに、山中に放つ:神奈川)
県は30日、山北町平山の山中に仕掛けられたわなに、メスのツキノワグマ1頭(全長125センチ、体重47キロ)がかかったと発表した。絶滅の恐れがあるため、同日夕、丹沢山中に放った。県県西地域県政総合センターによると、同日朝、イノシシ捕獲用に設置されたわなにかかったクマを猟友会のメンバーが発見し、同町に連絡した。丹沢に生息するツキノワグマは約40頭と少なく、県の絶滅危惧種に指定されている。

(メスのイノシシ初捕獲、100キロのオスも:兵庫)
海を渡ったとみられるイノシシが農作物などに被害をもたらしている兵庫県南あわじ市の離島・沼島で28日、初めてメスのイノシシが捕獲された。同時に100キロ程度と大物のオスも捕獲。これまで計15匹を捕獲しているが、まだ島内には別のイノシシがいるとみられる。捕まえたのは、60~70キロのメス、100キロ程度のオス、今年生まれたうり坊のメス-の3匹。27日深夜に、それぞれ3カ所のおりわなに入った。100キロの大物は淡路島内でもめったにおらず、イノシシは沼島で大きく成長している恐れがある。メスは3歳程度とみられ、沼島で生まれて成長したと推測される。海を渡ったとみられる親世代のメスは捕獲できていないほか、別のうり坊の群れを目撃したという情報もある。

(豚コレラ1年で13万頭処分)
家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が国内で26年ぶりに確認されてから、9日で1年になる。養豚施設の感染は岐阜県から6府県に広がり、防疫のために殺処分された豚は13万頭を超えた。なぜ食い止めることができないのか。昨年9月初め、岐阜市郊外の養豚場で豚が相次いで死に、1992年に熊本県で確認されて以来の豚コレラと確認された。数日後に同市内で発見された野生イノシシの死体からもウイルスが検出され、次第に周辺自治体へと広がった。ウイルスの遺伝子型から海外から持ち込まれたとみられるが、どのようにして入ったのかはわかっていない。野生イノシシの感染は昨年12月に隣の愛知県に広がり、今年2月には同県豊田市の養豚場の豚で確認された。豚コレラは致死率が高いとされていたが、この養豚場でみられたのは食欲不振だった。経営者の男性(49)は県の家畜保健衛生所の職員と相談した上で子豚を長野県や滋賀県、大阪府などに出荷したが、結果として出荷先にも感染を広げることになった。「死んだ豚はいなかったので、まさか、という思いだった」と経営者は悔やむ。農林水産省の畜産統計(2018年)によると、愛知県内の豚の飼育頭数は約33万頭、岐阜県は約11万頭。岐阜県では全飼育頭数の半数超が殺処分された計算で、その中には県が約10年かけて開発したブランド豚「ボーノポーク」の種豚も含まれる。国内の養豚業は九州や関東が中心で、今のところ全国の豚肉の流通に大きな影響は出ていない。だが発生地域では飼料の需要が落ち込んだり、食肉処理場の稼働日が減ったりするなど、深刻な打撃を受けている。愛知県の畜産関係団体の代表者らは8月29日、大村秀章知事に口々に訴えた。「収入を断たれ、生活に対する不安が増すばかり。経営再建計画を立てることもままならない」

(試験場で豚コレラなぜ?:愛知)
農水省の拡大豚コレラ疫学調査チームは8月30日、愛知県農業総合試験場(長久手市)で発生した豚コレラについてウイルスが侵入した要因を分析した結果、一部の対策に不備があったと発表した。道路の衛生管理区別が不十分だったり、豚舎に出入りする時に靴を履き替える場所が曖昧だったりしたと指摘。同省は「わずかな抜け穴が感染要因になる」(動物衛生課)として、農家や研究機関などに対し、改めて対策徹底を呼び掛けている。試験場で感染が判明したのは8月9日で、計707頭を殺処分した。今回の調査結果によると、「ウイルスの侵入防止対策は、おおむね講じられていた」。だが、一部の対策が不十分で、ウイルスの侵入を許すポイントが複数あったと指摘した。試験場内の農場への侵入要因には、堆肥運搬車両の通る道が、感染イノシシの見つかった場所を通る車と共通していたことを挙げた。試験場の敷地内では7月22日に感染イノシシを確認。農場に入る前に車両を消毒していたが、同省は「ウイルスが存在する可能性が高く、慎重に対応すべきだった」とした。豚舎内への侵入については、裏口で靴からスリッパに履き替える場所に、境界となる足場がないと指摘。ウイルスが靴に付いていればスリッパを通じて入り込んでしまう恐れがある。他に、豚舎内でネズミを見掛けることがあったという。同省は「一日でも作業を怠ると感染の恐れがある」として、豚舎の出入りや消毒の手順の要点は文書化し、定期的に教育・訓練が必要だと呼び掛ける。

(鳥獣の農林業被害、6年連続減:群馬)
群馬県内の2018年度の野生鳥獣による農林業の被害額は約5億2千万円で、過去10年で最少となった。前年度より4154万円の減少。12年度の12億2429万円をピークに6年連続で減少傾向が続いているが、シカによる農業被害は増加傾向にあり、県は引き続き対策を強化する。県鳥獣被害対策支援センターによると、18年度の被害の内訳は、農業が2億8489万円(17年度比2378万円減)、林業が2億3880万円(1776万円減)。地域別では、吾妻1億5464万円、東部1億5059万円、西部1億4610万円、利根沼田4761万円、中部2475万円だった。センターは被害が減った要因として、動物の種類に対応した侵入防止柵の設置や、捕獲を継続的に行ってきたことなどを挙げる。森林と集落の間の動物が隠れるやぶの草を刈ったり、木を切ったりして緩衝帯を多く作ったことで、動物が警戒して集落に下りにくくなったことも影響したとみている。農業被害を鳥獣種別にみると、シカ6866万円(5・6%増)、カモシカ7569万円(20・0%減)、イノシシ6899万円(8・5%減)、クマ1270万円(8・1%増)など。シカとクマの被害が増えた理由についてセンターは、シカは生息頭数の増加と生息域の拡大、クマはえさとなるミズナラの不作による集落への出没増を挙げている。センターは柵の整備のほか、シカの捕獲強化のためICT(情報通信技術)の活用に向けた研究を続け、実用化を急ぎたいとしている。シカ、イノシシ、サル、クマ、カモシカの野生鳥獣5種の捕獲総数は1万7444頭で、前年度より1150頭(7・1%)増えた。シカは前年度比2・6%、イノシシは16・4%の増加となった。

(豚コレラ対策で組織改正:長野)
長野県が豚コレラ対策強化のために設けた新部署「家畜防疫対策室」が2日、始動した。豚コレラ対応の専任職員を置き、養豚農家への防護柵設置やウイルス拡散防止などの対策を早急に進める。農家への波及こそないものの、県内では野生イノシシ87頭の感染が確認されており、拡大が止まらない。収束が見通せないなか、県は長期戦を見据えて対応する方針だ。家畜防疫対策室は1日付で農政部園芸畜産課内に設置し、人員は12人。これまで同課の家畜防疫対策担当は6人だったため、対応にあたる人員は倍増する。12人中7人が豚コレラの専任だ。獣医師免許を持つ職員も増員した。林務部鳥獣対策・ジビエ振興室も7人から10人に増やし、野生イノシシ対策を進める。阿部守一知事は2日の訓示式で「農家での豚コレラ発生を絶対防ぐという強い決意を皆さんと共有したい」と述べた。家畜防疫対策室の職員などが養豚農家を回り、防護柵の設置などを支援する。県と市町村で連携し、農家の防疫対策にかかる自己負担をゼロにする方針だ。ジビエ振興室では猟友会などと連携し、野生イノシシの感染拡大を防ぐ。捕獲用のわなを約2200個用意し、豚コレラが発生している地域を囲むように設置する。川などの地形も利用し、県東北部などまだ豚コレラが発生していない地域にイノシシが侵入しないようにする。3日には伊那市などで野生イノシシ向けにワクチンを散布するほか、下旬には大規模散布も予定する。秋からはシカやイノシシなどの狩猟が解禁されるが、豚コレラがまん延している地域では個人での狩猟を禁じる区域を設ける方針だ。ただ、県内でのシカの狩猟の2割近くが個人の狩猟によるもので、禁猟区域を広げすぎると、シカによる農作物の食害が拡大するという懸念も県庁内にはある。県内では7月に初めて野生イノシシでの豚コレラ発生が確認されたが、イノシシを原因とした農家での豚コレラの発生はまだない。ただ、豚コレラ発生地点から半径10キロの「調査対象区域」がある市町村は26まで拡大。10キロ圏内にあり、出荷時の豚の検査を強化する「監視対象農場」も4農場になった。対策予算も膨らみ、2018年度2月補正予算以降、豚コレラ対策に計約3億円の予算を計上している。豚コレラを巡っては、農場などの豚へのワクチン接種の是非が議論されている。豚コレラの感染防止には有効だが、接種に踏み切ると国際機関による「清浄国」の認定から外れ、輸出に不利になる可能性があるため国は慎重姿勢だ。ただ、県内の農家などからは接種の要望が強い。「県では豚肉の輸出はあまりなく、農家を守るために早く接種したい」(県関係者)といい、国に実施を求める方針だ。長野県内の農業関係者が警戒を強めているのが人を介したウイルスのまん延だ。豚コレラウイルスは人には感染しないが、靴などに付着したウイルスが広がる可能性がある。キノコ狩りや紅葉などの行楽シーズンを控え、県は県民や観光客などへの呼びかけを強める考えだ。阿部守一知事は2日の訓示で「陽性反応が出たイノシシがいる地域に入った時にはしっかり靴の泥を落としたり、消毒措置をしたりすることを呼びかけなければならない」と述べた。一部の山岳観光地では泥を落とすよう求める看板を設置している。ただ、県の関係者からは「一人ひとりに意識してもらうため、もっとアピールする必要がある」との指摘もある。

(豚コレラ対策に2.9億円:石川)
石川県は2日、2019年度の9月補正予算案を発表した。一般会計で95億円を増額し、補正後の累計は5739億円となる。野生イノシシへの感染が拡大している豚コレラ対策に、国の直接執行分を含めて2億9千万円を計上する。養豚農家の防疫体制強化には約4千万円を配分した。県内農家に対してイノシシの侵入防護柵や小動物の侵入防止ネットの設置を進める。養豚場に出入りする車両を消毒する動力噴霧器などの導入も支援する。野生イノシシ対策には2億4千万円超を充てる。イノシシの調査のための檻(おり)を150基から300基に増やすほか、経口ワクチンの散布対象に県内5市町を追加する。

(イノシシの豚コレラ感染、新たに3頭:長野)
県は29日、野生イノシシ3頭の豚コレラ感染を新たに確認したと発表した。27日に上伊那郡辰野町で捕獲した2頭と、同じ日に木曽郡王滝村で死骸で見つかった1頭。県内での野生イノシシの感染確認は計87頭になった。監視対象農場は塩尻市と伊那市、上伊那郡宮田村の計4施設でこれまで通り。発見地点から半径10キロ圏内でより厳重な豚コレラ検査が必要な調査対象区域も中南信の26市町村で変わらない。

(南越前で初の感染、イノシシ1頭:福井)
県は28日、南越前町で見つかったイノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。同町では初めてで、県内9頭目。県によると、同町大門の山際で26日、わなにかかっているのを地元猟友会が発見、28日の県の検査で陽性反応が出た。

(野生イノシシ、29頭を殺処分:富山)
砺波市の夏野修市長は三十日の記者会見で、豚コレラ対策で取り組む野生イノシシの捕獲状況を発表した。一日から二十八日までに陽性反応が出て発表済みの三頭を含む計二十九頭(死骸含む)を捕獲、殺処分し、うち十五頭を焼却、十四頭を埋設処理した。山間部がある市内四地区に五十七基のおりを仕掛けている。捕獲後は必ず市職員の立ち会いの下、市鳥獣被害対策実施隊(猟友会)が殺処分し、検体採取後、焼却炉に投入可能な大きさの幼獣はクリーンセンターとなみ(同市太田)へ、成獣は自治振興会長と地権者が承諾した場所に埋めている。解体は一切せず、搬送には市の車を使用。埋設する場合は県の規則に従い重機で深さ一メートルの穴を掘り、五十センチ以上の盛り土をしている。夏野市長は「適切な手続きで処分している」と強調した。埋設場所は三カ所あり、近くもう一カ所増やすと、市内四地区ごとに整うことになる。感染拡大防止の野生イノシシ向け経口ワクチンは、九月十四日ごろに二回目の散布を予定している。

(クマ目撃情報:宮城)
仙台市泉区で今夏、クマの目撃が相次いだ。北中山、南中山の両地区で7月に7件、加茂、虹の丘両地区でも8件(27日現在)と集中的に出没した。いずれも昨年は目撃が全くなく、市や宮城県警が注意を呼び掛けている。地域住民に取材すると「近くにいると思うと不安だ」との声が聞かれた一方で「本当に出たという実感が湧かず、生活は普段通り」と話す人もいた。驚きだった。目撃情報が多くなり、広報車やパトカーの巡回が増えたことを、住民は知っているはずだ。しかし、クマを身近な存在と認識し、クマとの遭遇を自らの身にいつでも起こり得る危険と捉える意識には、個人差があるようだ。泉区で今年、人的被害は発生していないが、気仙沼市では7月、農業男性(88)が山中でクマに襲われ死亡した。仙台でも、いつ誰が被害に遭うか分からない。目撃情報に関心を持ってほしい。

(クマ目撃相次ぐ、過去5年で最多:東京)
東京・多摩地域でクマの出没が相次いでいます。奥多摩町では、けが人が出る事態になっています。東京都内でクマの目撃件数が増えています。一番多いのは奥多摩町で、例年は年間20~30件ほど目撃されていますが、今年は4月から8月の間だけですでに43件となり、この5年間で最も多い目撃数となっています。8月18日には奥多摩町にある川苔山で、ワサビの栽培をしていた60代の男性がクマに襲われ、左手の指に大けがをしました。なぜ、人里までクマが降りてくるようになったのでしょうか。今年、東京は平年に比べ、梅雨の期間が9日間ほど長くなりました。専門家は、梅雨が長かったため、餌となる木の実などが減ったことが原因とみています。東京農工大学の小池伸介准教授は「山中の食べ物が一時的に減ったり雨が多くて果実がならないと、クマは食べ物を探しに行く。カキやクリ、生ごみなどに魅力を感じている」といいます。小池准教授は、クマは冬眠に備えて食料を確保しようと活発に動くため、冬までは注意が必要だとして、「秋にはカキやクリがなるが、きちんと収穫すること。生ごみを外に置いておくと、クマやサルなどの動物が来て食べてしまうので、生ごみを放置しないように」と呼び掛けています。

(クマの目撃相次ぐ:山梨)
8月25日から、富士北麓を中心にクマの目撃情報が相次ぎ、山梨県富士吉田市では通学路の近くでも目撃されたことから、警察が児童の登下校時のパトロールを始め警戒するよう呼びかけています。警察などによりますと富士吉田市と山中湖村、それに都留市では8月25日からあわせて8件、クマの目撃情報が寄せられています。このうち富士吉田市旭では3日連続で小学校の通学路周辺の草むらなどでクマが目撃されています。このため警察は8月30日、小学生の登下校時にあわせたパトロールを始めました。パトロールは今後1週間程度続ける予定で、地元の猟友会と富士吉田市もクマに警戒するよう呼びかけています。

(「イノシシが徘徊」と通報:福岡)
2日午前5時半ごろ、福岡市博多区金の隈3丁目付近の交差点で「イノシシが徘徊(はいかい)している」と110番があった。県警博多署によるとイノシシは東方に逃走中で、行方を追っている。現場の東側数百メートルの距離に病院や中学校があり、署が注意を呼び掛けている。署によると、イノシシは体長約60センチ。午前5時50分ごろ署員が駆け付けると、近くのマンション敷地内に入り込んだところで、動向を警戒していたが同7時すぎに逃げられたという。

(住宅街にイノシシ、けが人なし:福岡)
2日午前5時半ごろ、福岡市博多区金の隈2丁目で「道路をイノシシが歩いている」と目撃した男性から110番があった。博多署によると、イノシシは体長60センチ程度。一時、同3丁目のマンション敷地内の植え込みにいたが、その後、東側に逃げた。けが人はないという。署は「遭遇したら近づかずに、すぐ逃げてほしい」と注意を呼び掛けている。現場は、福岡県大野城市に近い住宅街で、半径600メートル以内に御笠の森小や御陵中がある。

(クマ目撃:新潟)
9月1日午前5時半ごろ、新潟県三条市笠堀地内の国道289号の大谷大橋付近、民家から約300メートルのところでクマが目撃された。

(クマ目撃:新潟)
8月31日午前6時ごろ、新潟県三条市庭月地内の庭月公会堂付近に畑でクマの足跡が確認された。 三条市ではクマに遭わないように注意を呼びかけている。

(イノシシ捕獲ワナの使い方学ぶ:秋田)
イノシシによる農業被害が拡大していることを受け、湯沢市では、わなを使ったイノシシの捕獲方法を学ぶ講習会が開かれました。この講習会は県が開いたもので、猟友会のメンバーなどが参加し、オリの中にイノシシをおびき寄せて捕まえる「箱わな」と呼ばれるわなや、イノシシの足をワイヤーで捕まえる「くくりわな」と呼ばれるわなの使い方を学びました。このうち、「くくりわな」の使い方では、講師役を務めた専門家がわなと気付かれないよう、バネやワイヤーを土などでしっかりと隠すことや、隠す際にもイノシシの足をしっかりと捕まえられるよう、わなの上に落ち葉や小枝を置かないようアドバイスしていました。参加者たちは早速、くくりわなの設置を練習し、ワイヤーに落ち葉を巻き込んでしまったり、バネが緩くわながうまく作動しなかったりと、苦戦しながらも熱心に取り組んでいました。参加した猟友会のメンバーは、「クマだけでなく、イノシシも捕まえなければならないのは大変ですが、地元でも被害が出るかもしれないので、きょう来れてよかったです」と話していました。県自然保護課の櫻田良弘課長は「秋に収穫を迎える農作物への被害が心配されるが、講習会を通じて、猟友会には積極的にイノシシを捕獲してもらうようお願いしたい」と話していました。県によりますと、県内では長い間、野生のイノシシの生息は確認されていませんでしたが、平成23年度以降、湯沢市などで確認され、県は岩手県や宮城県から県境を越えてきたものとみています。昨年度、県内でのイノシシの目撃数は102頭で、前の年の43頭の2倍以上となっています。また、イノシシによるとみられる農業被害も昨年度は210万円あまりと、前の年度のおよそ2万円から大幅に増えています。湯沢市秋ノ宮の菅耕司さんは、先月19日畑にいったところ、イノシシに荒らされているのに気がつきました。サツマイモやジャガイモなどを食べられたり、観賞用に植えていたユリを倒されたりしたほか、イノシシに畑を掘り起こされた跡があり、地元の猟友会に被害を報告したということです。菅さんは「以前からイノシシが近くに来ているとは聞いていたが、ここに来たのは初めてで油断していた。一生懸命ユリの種をまいて、みんなを楽しませようと思っていたのでがっかりだ」と話していました。

(クマ出没、危険性を点検:秋田)
全県にツキノワグマ出没警報を発令している秋田県は30日、人身被害が14日に発生した大仙市太田地域で緊急点検を行った。市や周辺市町の担当者、地域住民ら約20人が、クマの隠れる場所や食べ物になるものがないかを確認した。相次ぐクマによる人身被害を受け県は今月、点検の箇所や手順などを定めたマニュアルと、クマの隠れる場所や食べ物になるものを挙げてそれぞれの対策を一覧できるシートを作成。参加者はマニュアルとシートを手に歩いた。山際の道路脇には、草木が生い茂る箇所を発見。県自然保護課の専門員泉山吉明さん(63)が「クマの隠れ場所になる可能性がある。定期的な手入れが必要」と指摘した。農地も巡回し、食べ物になる米ぬかや肥料が放置されていないかを確認。参加者は地図に危険箇所を記入していた。

(キノコ採りシーズン、クマに注意を:秋田)
秋田県内で今年、山岳遭難が増えている。今月25日までに山菜採りや登山、釣りなどで50人が遭難し、昨年1年間の55人を上回るペース。死者や行方不明者も出ている。今後はキノコ採りの入山者が増加する上、食べ物を求めるクマの活動期とも重なるため、県や県警が注意を呼び掛けている。「まさか遭難するとは思わなかった」。横手市の70代男性が秋の山の怖さを語る。昨年10月、友人と仙北市の山林に出掛けた。秋には必ず足を運ぶマイタケのスポット。夕方、見慣れた景色の中を歩いて引き返す途中、数メートル先にいるクマを見つけた。とっさに逃げたのは、普段は通らない道。気付くと友人とはぐれ、どこを歩いているのか分からなくなった。周辺は既に暗く、気温も急に下がった。携帯電話で連絡した友人と何とか合流したが、「慣れた山だという考えが甘かった。早めに下山するなど、遭難の危険性を常に想定するべきだった」と振り返った。

(イノシシ被害、地域ぐるみで農作物守ろう:福島)
実りの秋を前に、稲や野菜など農作物の被害を最小限に食い止める手だてを講じておきたい。県が野生鳥獣から農作物を守るため集落単位のアンケートを行い、鳥獣類別の生息、被害状況をマップにまとめた。農作物の被害額の5割強を占め最も影響が大きいイノシシをみると、被害が「深刻」「大きい」と答えた集落は合わせて771集落で、回答があった集落の約4割を占めた。県によると、2018年度のイノシシの推定生息数は5万4千~6万2千頭とされている。生息数が多い中通り、浜通りから会津に広がり始めている。東京電力福島第1原発事故に伴い避難指示が出された地域を中心に人里に出没するようになったことや温暖化による降雪量の減少、人口減、高齢化による耕作放棄地の増加などが要因とみられる。県には、今回の調査で分かった集落単位の状況をさまざまな機会を通して周知し、実態に合ったより効果的、効率的な対策に最大限活用してもらいたい。今回の調査ではイノシシが近くに生息していると答えた集落の中で、対策をしていない集落が約2割あることが分かった。被害対策では、高圧電流を流す電気柵が有効とされているが、住民の高齢化が進み設置作業ができない集落が増えてくることも想定される。県には市町村、JAなどと連携しながら、きめ細かに支援していくことが求められる。農作物の被害対策を個人単位で講じたとしても対策を取っていない隣接する田畑が食い荒らされる可能性もある。集落、地域単位で取り組むことが被害を食い止める近道だ。県は18カ所のモデル集落で実証事業を進めており、検証結果をしっかり地域に還元していくことが大切だ。集落の実態に応じた対策を取る上で、野生鳥獣の知識を持った専門家がいると心強い。県は鳥獣による農作物被害の対策を支援するリーダーの育成モデル事業を進めており現在、8市町に配置されている。リーダーの大半は県外出身者で20~30代の若者たちだ。意欲を持って本県で勤務するリーダーの力が地域で発揮されている。さらに配置を増やしてほしい。イノシシ対策としては、侵入を防ぐ柵の設置、捕獲に加えて、やぶの刈り払い、肥料用として使う生ごみを畑に置かないといった、イノシシを人里に寄せ付けない方法が効果的だ。身近にできる取り組みから意識を共有していくことも必要だろう。

(クマ出没地点ネット公開:北海道)
北海道建設新聞社と日本不動産研究所は、道内のクマの出没情報などをまとめた地図「e-kensin(イーケンシン)マップ」を作成し、インターネット上で公開している。担当者は「家の近くや外出先の情報を安全管理に役立てて」と呼びかけている。地図には今年クマが目撃された場所にクマの顔や足跡のアイコンが表示され、出没地点が一目で分かる。クリックすると日時や状況などの詳細も見ることができる。

(草刈りでヒグマ侵入防げ:北海道)
札幌市南区の札幌藻岩高の生徒8人が30日、住宅街へのヒグマ侵入を防ぐ草刈り作業を行った。地域課題の解決方法を生徒たちが考える同高の「総合的な学習の時間」の一環で企画。南区はヒグマ出没が相次いでいるため、クマの移動経路になりやすい草むらを刈り取り、クマが市街地に近づかないようにした。この日は同高の総合学習の現地実習で、2年生350人が校外で活動。草刈りは、クマ対策を年間テーマに選んだ男子3人、女子5人が取り組み、南区藤野の山あいを流れる野々沢川の草むらを刈った。この川はクマの通り道になっている疑いがあるという。

(こいつで被害減らせたら:和歌山)
日高町は2日、若者広場グラウンドなどで鳥獣追い払い用花火の講習会を開き、農家ら約60人が使用方法を学んだ。収穫シーズンを迎えている稲に対し、サルによる食害が多いことから開催。講師は有田川町で追い払い用花火の製造販売を行っている㈲紀州煙火の社員。中央公民館で安全対策などの説明を受けたあと、若者広場グラウンドに移動して実際に使用して確かめた。長さ45㌢の筒状のホルダーに花火を入れて手に持って使用するタイプ。蚊取り線香で点火したあと、8~10秒後に連続で飛び出し、空中で「バーン」と大きな音を出して爆発した。1人ずつ順番に行い、使い方を確認。畑で栽培しているトマトやナスなどが被害に遭っているという産湯の角谷政照さん(67)は、「花火で被害が少なくなればと思い参加しました」と話していた。3日も同様の講習会を開くことにしており、町内の農業者ら約40人が参加する。

(鹿ソニック、野生動物の事故死防ぐ:山梨)
富士山山麓(さんろく)で多発する野生動物の交通事故死(ロードキル)を防ごうと、地元の富士河口湖町のNPOと自動車部品メーカーが協力し、シカや小動物が嫌う周波を発する機器「鹿ソニック」を開発した。動物が立ち入る鉄道線路や田畑の獣害対策にも活用されており、応用した商品の開発も目指している。開発したのは富士河口湖町の自動車部品メーカー「T・M・WORKS」(轟秀明社長)。富士山山麓でロードキルの発生状況を5年前から調査している同町のNPO法人「富士山アウトドアミュージアム」の協力を得て、2016年に開発を始め、18年5月に商品化に成功した。「鹿ソニック」は自動車前方のフロントグリルに取り付ける。

(シカ解体講習、命のありがたみ実感:滋賀)
県立長浜農業高食品科の生徒が長浜市余呉町中之郷の猟師、白川芳雄さん(59)からシカの解体方法を学んだ。白川さんは猟師歴約40年のベテラン。生徒たちは昨年からジビエ料理のレシピ開発や普及に取り組んでおり、今年2月にジビエ料理のイベントで知り合った白川さんにシカ解体の講習を依頼した。

(校内にシカのふん、獣害対策は:長崎)
長崎県対馬市内の中学生が議員として登壇する「子ども議会」がこのほど、同市豊玉町の市議会議場であり、全13校の代表計26人がまちづくりや観光、教育などについて比田勝尚喜市長らに答弁を求めた。子ども議会は、中学生の視点でふるさとを見直し、地域の将来像について考えてもらおうと市が毎年開催。中学生は市議会の一般質問席に立ち、学校ごとに市側に質問や再質問をした。このうち、市立豊玉中は対馬で深刻化している獣害対策について市側をただした。3年の根津知央(ちひろ)さん(14)は「校内にシカのふんがあり、花や野菜が被害を受けているようだ」と訴え、原田花音さん(15)も、「多くの防護柵を設置すれば、被害が食い止められるのでは」と提案した。これに対し、比田勝市長は、市が1999年度から2018年度までの間、農地などに設置した防護柵は、対馬の上下両島の外周に相当する延長1082キロと説明。これまでに侵入が確認された小中学校各4校でも防護柵設置が完了していると話し「豊玉中でも確認されれば、検討が必要になる」と答弁した。根津さんは取材に「市がそんなに防護柵を設置しているとは知らなかった。集落でも、家の周りなどを囲ってもらえたらみんな安心すると思う」と話した。

(とっとりジビエレストランフェアを開催中:鳥取)
食のみやこ鳥取県は、東京都内での県産ジビエの消費拡大を図るため、「ミシュランガイド東京」で星付きのレストランなど15店舗が参加する「とっとりジビエレストランフェア」を開催中。日本海と中国山地に囲まれ、豊かな自然を誇る鳥取県は、本州でトップクラスのジビエ産地。シカやイノシシは澄んだ天然水を飲み、山のめぐみをエサに育ち、高低差のある山にすみ運動量が多いため身は締まり、香りよく、きめ細やかでなめらかな肉質。創作意欲を刺激するとシェフからの評価が高いのが「とっとりジビエ」です。なかでも評判がよい鹿肉が最もおいしいといわれるのが、実は夏。この機会にぜひ夏ジカのおいしさをご堪能ください。

(イノシシ肉ソーセージ発売:佐賀)
佐賀市の食品卸売業「鶴商興産」は、道の駅しろいし(白石町)で白石レンコン入りのイノシシ肉ソーセージを販売している。農家を困らせる害獣の資源化を模索する中で地元食材とコラボした。鶴商興産代表取締役の坂本竜一さん(38)はイノシシ肉を扱う中で、加工処理の仕方で驚くほどおいしくなる奥深さや、イノシシ被害の現状も知ったという。イノシシ肉の販路を確立することで、農業被害が減らせないかと考えた。高知県の工房とタイアップし、通常のイノシシ肉ソーセージを約3年前から吉野ヶ里町の直売所「吉野麦米」で販売。割高なのでスーパーでは売りにくいため、地元産品とコラボし土産物の需要も見込める道の駅での販売に乗り出した。レンコン入りは約200グラム入り850円から。食感がいいレンコンと、甘みのあるレンコンをブレンドした。

(原材料は天然鹿肉のみ:長野)
チョウザメの育成及び各種加工食品の製造販売を行なうドリームウィングス株式会社(本社:長野県小県郡長和町、代表取締役社長:東久保貴之)は、信州・蓼科山麓で健康に育った天然鹿肉【蓼科ジビエ】のみを使用した『venison(ベニスン)』をインターネットショッピングサイトのテロワールメノカミ、長和町にある小さな物産館「とびっ蔵」にて発売開始しました。『venison』は、天然鹿肉のみを原材料に使用した犬用の栄養補助食品です。鹿肉は他の肉原料と比較して高たんぱく、低カロリー、低脂肪となっており、鉄分や亜鉛、リンなどワンちゃんの日々の健康維持に欠かせないミネラルも豊富です。また天然の鹿肉はアレルギー発生リスクも低いと言われていますので、安心して与えていただくことができます。成長期のワンちゃんや出産前後、高齢のワンちゃんの食欲不振時の栄養補助としてお使いいただけます。

(アブダビ国際狩猟・乗馬見本市(ADIHEX)が開幕:UAE)
アラブ首長国連邦(UAE)でアブダビ国際狩猟・乗馬見本市(ADIHEX)が開催された。今年は「持続可能な狩猟イニシアチブを強化する協力」をテーマに、動物医薬品、猟獸、馬術などの11区分が設けられた。猛禽(もうきん)類の違法取引撲滅を目指すワークショップ、ラクダのオークションや芸術作品のオークションなども開催された。この見本市は今回で17回目を迎え、初日には予想を上回る来場者が集まった。

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