<射撃ニュース1月>
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(イノシシ衝突バイクの男性大けが:香川)
11日未明、香川県さぬき市の県道で、走行中のミニバイクにイノシシが衝突し、ミニバイクに乗っていた男性が転倒して大けがをしました。香川県さぬき市によりますと、11日午前2時半すぎ、さぬき市大川町の県道で、新聞配達員の男性がミニバイクに乗って走行していたところ、道路の右側からイノシシが現れ衝突しました。ミニバイクは衝撃で転倒し、男性は病院に運ばれ手当てを受けましたが、肩の骨を折る大けがをしました。イノシシは体長1メートルほどの成獣とみられ、警察や猟友会のメンバーが周辺を捜索したものの見つからず、山の中へ逃げたとみられています。現場は住宅と田んぼが点在する地域で近くに山があり、市によりますと、イノシシがよく出没する場所だということです。市は、猟友会にわなの設置を依頼するとともに、イノシシを見かけた場合は不用意に近づかず、静かにその場を立ち去り、すぐに市や警察に通報するよう呼びかけています。

(冬眠せずにクマ現れる:山形)
山形県南陽市でクマ1頭が現れ、下校途中の小学生が目撃した。クマが現れたのは南陽市川樋の市道で、中川小学校から西に500メートルほど離れた所。9日午後3時半ごろ、下校していた小学1年の女子児童が、道路近くの竹やぶに1頭のクマがいるのに気付き、近くの老人ホームに逃げ込んだ。クマは体長1.2メートルほどの成獣と見られ、立ち去った方向は分かっていない。(中川小学校・石塚良文校長)「この時期にクマが出るというのは想定していなかったので、正直驚いている」小学校は10日、クマが目撃された市道を通学路にする児童について、保護者による送迎やスクールバスで登下校させ安全確保に努めている。過去10年に、県内で1月にクマが目撃されたのは、2013年に1件あっただけ。

(アフリカ豚コレラ「予防的殺処分」、野生動物も対象に)
アフリカ豚コレラ(ASF)対策を急ぐため、自民党が議員立法を目指す家畜伝染病予防法改正案の概要が11日、分かった。飼養豚だけでなく、野生動物に感染が確認された場合も「予防的殺処分」の対象にする。豚コレラ(CSF)の法律上の名称は「豚熱」に改める。野党との調整を経て20日召集の通常国会に提出し、月内にも成立させたい方針だ。予防的殺処分は、感染力や致死率の高い家畜伝染病のまん延を防ぐため、感染していない家畜も含め一定の地域・種類の家畜を殺処分する措置。現行法では口蹄(こうてい)疫だけが対象となっている。調整中の改正案では、アフリカ豚コレラを予防的殺処分の対象に加える。同病は日本では未発生だが、中国や韓国を含むアジア各国で拡大。国内侵入の危険性が高まっており、有効なワクチンも存在しないためだ。アフリカ豚コレラ対策の予防的殺処分は、家畜での発生時だけでなく、野生イノシシなど家畜以外の動物で感染が確認された場合もできるようにする。同病の発生国では、野生イノシシ間で感染が拡大している場合が多いことを踏まえた。改正案では、豚コレラから「豚熱」へ法律上の名称を変更。アフリカ豚コレラは「アフリカ豚熱」にする。人のコレラとは別の病気で、国際的にも「豚コレラ」とは呼ばず、豚肉への風評被害を懸念した与党などから見直しが指摘されていた。農水省は、豚コレラやアフリカ豚コレラへの対策を強化するため、通常国会に家伝法改正案を提出する。だが、通常国会では予算案の審議が優先され、同法案の成立は4月以降の見込み。アフリカ豚コレラの侵入に早急に備える必要性から、自民党は昨年12月、予防的殺処分に関しては、通常より手続きを早められる議員立法で対応する方針を決めていた。改正案を巡り、自民党は今後、野党との調整を本格化する。通常国会では、2019年度補正予算案と並行して審議し、1月中の成立を目指す。政府は、アフリカ豚コレラが発生した場合、まん延防止のために患畜以外も殺処分する「予防的殺処分」をした産地に補償や支援を行う。現行の家畜伝染病予防法には定めがなく、議員立法で月内にも改正する見通しだが、これに先駆けて産地が自主的に対応できるようにした。現行法は予防的殺処分を命じられる口蹄疫について、法律に基づいた措置に対して国が損失の補償や焼却などの費用負担をすると定める。農水省によると、アフリカ豚コレラが国内で発生した場合、農畜産業振興機構(ALIC)が緊急事業を立ち上げ、対応に当たる。未感染で処分した豚1頭当たりの補償は、肥育豚が4万円、繁殖豚は評価額の10割。経営再開に向けた豚導入への支援としては、肥育豚に1万2000円、繁殖豚に5万7000円を支払う。この他、殺処分や焼却・埋却にかかる費用の支援も予定する。JA全中は、自主的な予防的殺処分を行う事態に備え、JAグループの対応をまとめた。該当地域では市町村などと連携し、措置の必要性や補償内容を組合員の養豚農家に説明し協力を依頼。全国段階では、JAグループを利用しない養豚農家とも一体で取り組みをするため、養豚協会などとの連携を強める。

(CSF感染イノシシ15頭目確認:群馬)
ブタの伝染病のCSF、いわゆる豚コレラに感染した野生のイノシシが神流町で新たに1頭見つかったことが県の検査で確認されました。県内で感染が確認された野生のイノシシは、これで15頭となりました。県によりますと、このイノシシが見つかった場所から半径10キロ圏内には1か所、養豚場はあるものの、すでにワクチンを接種していて監視対象にはならないということです。

(豚コレラ3例目に拡大、ワクチン接種も判断へ:沖縄)
沖縄県沖縄市で3例目の豚コレラ(CSF)感染が確認されたことを受け、沖縄県は10日午後、玉城デニー知事が本部長の第2回県特定家畜伝染病防疫対策本部会議を開催した。冒頭部分が公開され、玉城知事は「CSF発生が続いており、県内養豚農家の方々も非常に大きな不安を抱かれている」と述べ、適格な防疫作業の実施とウイルスの拡散防止に全力を尽くすと強調した。その上で「(国から)ワクチン接種の用意があると聞いているが、まず発生から10キロ圏内の養豚場で感染が広がっていないかを確認することが最優先」と話し、周辺養豚場での感染状況を確認し、農家の意見を聞きながらワクチン接種の必要性を判断する考えを示した。豚やイノシシを飼育する農家には、飼養衛生管理基準を順守し、異常が認められる時には24時間対応の県家畜保健衛生所へ迅速に連絡するよう呼び掛けた。県によると3例目は、1例目の豚コレラ感染確認後に半径3キロの「移動制限区域内」の養豚場で豚30頭から採血したところ、遺伝子検査で1例目と別の養豚場の2頭が豚コレラ感染の疑いがあることが分かったという。県は9日、再び検査し、豚の元気消失、せき、下痢などの症状を確認。異常豚の臓器を県家畜衛生試験場に搬入し、遺伝子検査したところ3頭全てが陽性だった。同養豚場で飼育する豚2809頭を殺処分する方針。

(ワクチン在庫不足、豚コレラ対策:沖縄)
うるま市の養豚場で豚コレラ(CSF)に感染した豚が発見された問題で、豚コレラ対策に有効なワクチンの在庫が国内で不足していることが9日、分かった。県が那覇市内で開いた養豚関係者を集めた説明会で、農林水産省の担当者が明らかにし、早期接種が難しいとする見方を示した。全国的な豚コレラの感染拡大に伴いワクチンの需要が高まっており、製造が追い付いていない状況だという。説明会の参加者によると、農水省の担当者から「製造が追いつかず(接種が)今すぐや、何カ月後など具体的な時期はとても言えない」と説明を受けたという。養豚関係者からは豚コレラの野生イノシシへの感染や、発生地域の拡大を防ぐため、早期の接種を求める声があった。摂取するかどうかの判断に時間をかけるべきだ、といった声も上がったという。県畜産課の仲村敏課長は「全国的にワクチンが不足している。ただ、時期的なものを考慮し、どこを優先するのかは(国と)相談できるのではないだろうか」と話した。

(ニホンザル捕獲:兵庫)
路市鳥獣対策室は、同市林田町地区で出没していたニホンザルが捕獲された、と明らかにした。雄の成獣で体長60~70センチ、体重17~18キロ。8日午後1時半ごろ、林田町六九谷の竹やぶで、県猟友会姫路支部の会員5人が捕まえ殺処分した。

(ガンカモ類、過去最多の33万8333羽が飛来:宮城)
県は9日、今季2回目のガン、カモ、ハクチョウ類の生息調査結果(速報値)を発表した。県内への飛来数は33万8333羽(前年同期比2万4864羽増)で、1970年の調査開始以来、最も多かった。飛来数の記録更新は3年連続。内訳は、ガン類が27万3721羽(同3万2716羽増)で過去最多。カモ類は5万5472羽(同1645羽減)、ハクチョウ類は9140羽(同6207羽減)だった。県自然保護課の担当者は「カモ類、ハクチョウ類は暖冬の影響で北へ帰る時期が早まっている可能性もある」と話す。県職員や野鳥保護団体関係者約100人が同日、蕪栗沼(大崎市)、伊豆沼・内沼(栗原、登米両市)などの飛来地約500カ所で調べた。

(原発周辺の立入禁止区域、野生生物の宝庫に:福島)
東京電力福島第一原発の事故を受けて住民が避難した福島県の被災地で、タヌキやイノシシなどさまざまな種類の野生生物が豊富に繁殖していることが、米ジョージア大学の研究チームが実施した調査で明らかになった。2011年3月11日の地震と津波によって発生した福島第一原発の事故では、炉心溶融が起きて放射性物質が放出され、10万人以上が避難した。ジョージア大学の研究チームは、この地域に生息する野生生物を遠隔カメラを使って観察。20種を超す野生生物の写真26万7000枚あまりを撮影した。その結果、人が住まなくなった福島第一原発の周辺地域で、タヌキやイノシシ、ニホンザル、キジ、キツネ、ニホンノウサギなどが大量に繁殖していることを確認。「避難区域では放射性物質による汚染が存在しているにもかかわらず、膨大な種類の野生生物が繁殖していることが初めて証明された」としている。撮影に使った106台のカメラは、汚染濃度が高いために人の立ち入りが禁止されている区域と、中程度の汚染により立ち入りが制限されている区域、および滞在が許可されている区域の3区域に設置した。120日間で撮影したイノシシの写真は4万6000枚。このうち2万6000枚以上は立ち入り禁止区域で撮影された。一方、制限区域でイノシシをとらえた写真は約1万3000枚、人が住む区域で撮影された写真は7000枚にとどまった。タヌキやテン、ニホンザルも、立ち入り禁止区域や制限区域の方が生息数が多かった。研究チームは放射性物質が野生生物全体に与える影響についても観察しているが、それぞれの個体の健康状態に関する評価は行っていない。同研究チームがかつて調査対象としたチェルノブイリでも、原発事故後に野生生物が繁殖していた。

(豚コレラ、新たな感染は確認されず:沖縄)
うるま市や沖縄市の養豚場で豚コレラ(CSF)感染が確認された問題で、県は13日、初期の発生地から半径3キロ圏内(移動制限区域内)で未確認だった17養豚場の検査結果が全て「陰性」だったと明らかにした。ただ、半径10キロ圏内(搬出制限区域)の他の43養豚場などの結果を待っており、新たな感染豚が出ないか警戒を続けている。CSFは8日にうるま市の2養豚場で確認され、10日には沖縄市の養豚場でも見つかった。県は三つの養豚場を中心とした半径3キロの移動制限区域を設定し、圏内で新たな発生がないか検査を進めていた。現段階で陰性の17養豚場の再検査は予定していない。一方、県は10日の沖縄市での発生を受け、家畜検査の対象を半径10キロの搬出制限区域に拡大。3~10キロ圏の43養豚場の検査を11日から進めている。県によると、検査から結果が出るまで8~10日かかるという。また野生イノシシについても捕獲して検査する方向で調整している。殺処分の対象となる豚の数は修正され、7175頭となった。13日午後9時現在、7025頭が殺処分されており、13日までに全て終える予定。同日、午前0時からは沖縄市内の3養豚場の豚を埋却する作業が始まっている。一方、うるま市の養豚場では豚舎内の飼料や堆肥の処理、作業器具などの洗浄、消毒など防疫措置で取るべき作業が遅れている。県は、今後CSF感染が拡大した場合、埋却地が不足する懸念が出ていることを踏まえ、殺処分された豚に熱を加えてウイルスを死滅させる「レンダリング処理」の装置を手配していることも明らかにした。

(豚コレラ、10市町でワクチン散布:茨城)
県は10日、農林水産省が豚コレラ(CSF)の発生県に隣接する8都府県にワクチン接種を拡大する方針を決めたことを受け、感染予防のため14日から県内10市町で経口ワクチン散布を開始すると発表した。各市町や猟友会と連携し、イノシシが生息する山林などに2月末にかけて散布する。県内で感染したイノシシは見つかっていないが、ワクチン散布によりイノシシが免疫をつけることで感染を防ぐのが狙い。事前に散布場所の周辺に餌をまいて慣れさせてから、経口ワクチンを入れた餌を土の中に埋めていく。国の方針に基づき、発生県の群馬や埼玉に近い県西地域や野生イノシシが生息する栃木県に隣接する県北・県央地域から始める。作業開始日は大子町、常陸大宮市、笠間市、境町、坂東市、古河市が14日、桜川市が15日、城里町、五霞町が20日、石岡市が21日。経口ワクチンは、トウモロコシなどを材料としたビスケット状の餌でワクチンを包んだもの。イノシシは食べ物を掘り起こす習性があることから、猟友会員や市町職員が約9900個を手作業で土の中に埋めていく。同じ場所に2回散布し、1巡目は1月中、2巡目は2月中に終える予定。散布後は、ワクチンの破片やワクチンを包むアルミホイルを回収し、摂取されたか確認する。今後捕獲されたイノシシはCSFの検査に加え、抗体の有無も調べていく。県内のイノシシは2018年度で9579頭が捕獲されている。豚へのワクチン接種は2月以降を予定。県畜産課は養豚農家に対し「引き続き衛生管理を徹底してほしい」と呼び掛けた。

(CSF拡大防止、19日からワクチン散布:三重)
三重県は10日、CSF(豚コレラ)の拡大を防ぐため、19日から野生イノシシの経口ワクチンを北勢で散布すると発表した。免疫のある個体が4%程度にとどまっているため、散布の場所を夏季の5割増とする。県によると、経口ワクチンの散布は昨夏に続いて2度目。県は昨年7―9月、北勢の延べ372カ所に計7440個のワクチンを散布した。うち約半数を野生イノシシが食べたとみられる。一方、免疫を付けた個体は4%程度だったことが散布後の調査で判明。県は「免疫を持つ野生イノシシを増やすには多くの個体にワクチンを与えるしかない」とし、散布の場所やワクチンを増やすことにした。桑名、いなべ、四日市、鈴鹿、亀山の5市と菰野町で、19日からの5日間と2月下旬からの2度にわたって散布する。野生イノシシが多く生息する山林や耕作放棄地に、ワクチンを混ぜたエサを埋める。散布後は3月末ごろまで野生イノシシを捕獲し、ワクチンによって免疫が備わったかや、CSFに感染していないかなどを調べる。調査の結果を踏まえ、春ごろにも再びワクチンを散布する予定。鈴木英敬知事はぶら下がり会見で「CSFは沖縄県でも感染が確認されるなど予断を許さない状況。ワクチンの量を増やして(免疫を付ける)確率を上げ、感染の拡大を抑止したい」と述べた。

(16日に豚コレラワクチン接種:新潟)
新潟県は10日、養豚場での豚コレラ(CSF)ワクチン接種を16日に上越地域で始めると発表した。上越地域は感染が確認された長野県、富山県に隣接することから最初に接種を行い、その後中越、下越、佐渡の各地域で実施する。3月下旬までに完了する見通しだ。県畜産課によると、接種の対象は県内112の農場で飼育されている豚とイノシシの計約13万5千頭。県内に5カ所ある家畜保健衛生所の獣医師が、農場で1頭ずつワクチンを接種する。県は条例で接種の手数料を1頭当たり330円と定めているが、初回は全額を免除する。農林水産省は当初、豚コレラのワクチンを接種する「推奨地域」を感染が確認された県に限っていた。だが本県など隣接県から推奨地域の拡大を求める声があり、昨年12月に隣接県でも接種することを決めた。県は不特定多数の人が農場に近づくと、家畜伝染病の感染リスクが高まる恐れがあるとして、16日に接種を行う農場名や詳細な所在地を公表していない。

(豚コレラ対策、10万頭以上への初回ワクチン完了:静岡)
静岡県は、豚コレラ(CSF)の飼育豚への蔓延(まんえん)を防ぐため、県内で飼育されている10万頭以上の豚に対する初回のワクチン接種を完了した。県が9日の防疫対策会議で報告した。ワクチンは昨年11月から今年1月にかけて、計10万3346頭の豚や子豚に接種された。このうち約3千頭を抽出して抗体検査を行ったところ、95%が抗体を持っていた。抗体が確認できなかった豚が飼育されていた農場では、追加のワクチンが接種された。飼育豚への感染経路とされる野生イノシシに対する経口ワクチンは、昨年9~12月に122カ所で散布された。また、9日には藤枝市内で捕獲されたイノシシと静岡市駿河区で見つかった死骸から豚コレラの陽性反応が確認された。これで昨年10月以降、県内で豚コレラ陽性が確認されたイノシシは40例となった。

(豚コレラ、緊急防疫対策を再徹底:大分)
沖縄県で家畜伝染病の「豚コレラ」が10日も新たに1件発生し、県は市町村担当者らに防疫対策の再度徹底を呼びかけました。県は10日に緊急防疫対策会議を開き、市町村の担当者や畜産関係者などに防疫対策や初動対応の再徹底を呼びかけました。県の担当者は県内54の豚農場や26のイノシシ農場を検査した結果豚コレラは陰性反応だったと説明しました。また沖縄県うるま市で今月8日に豚コレラが発生し感染が広がり10日に新たに3例目となる豚コレラの陽性反応が沖縄市の養豚場で出たとの報告がありました。県は去年2月から県外から導入する豚の豚コレラ検査を実施していますがすべて陰性でした。しかし、豚コレラを県内に侵入させないために畜産農家に立ち入る際は・車両の消毒を実施する・防護服と長靴を着用し十分な消毒をする・訪問者に必ず立ち入り記録を記入させるなど市町村の担当者にも協力を求めました。

(豚コレラ防疫対策会議:長崎)
沖縄県の養豚場で、豚コレラに感染した豚が見つかったことを受け、長崎県内の畜産業の関係者による対策会議が開かれました。豚コレラの対策会議には、長崎県の畜産担当者や、農協、食肉加工業などの関係者、約50人が出席しました。8日、沖縄県うるま市の養豚場の豚が、豚コレラに感染していたことがわかっていて、10日も、隣接する沖縄市で新たに感染が確認されています。長崎県内にある99戸の養豚農家などでの発生は確認されていませんが、侵入リスクが高まっているとして、会議では、消毒など感染を防ぐ対策の徹底を呼びかけました。食肉加工業の関係者 「守るのも当然だし、守る方法は色々な衛生対策もそうだが、ワクチン接種も、一つの最善の手法だと思いますので、そこを国も、今の規定を少しずつ変えないといけないと思う」感染ルートの一つとされる、野生イノシシの侵入などを防ぐため、今年度中には、長崎県内すべての養豚場に防護柵の設置が完了する見込みです。

(ワクチン接種で95%の豚に抗体:神奈川)
CSFいわゆる豚コレラに感染した野生イノシシの発見が相次ぐ中、養豚場の豚などにワクチン接種したところ95%の豚が抗体を得たことが県の検査で分かりました。「依然、県内ではCSFに感染した野生イノシシが相次いで発見されている。今後も養豚農場でのCSF発生防止、野生イノシシの感染拡大防止に万全を期す必要がある」(川勝平太知事)県内では、1月9日までに藤枝市や静岡市などで野生イノシシ40頭から豚コレラの感染が見つかっています。県は2019年11月に養豚場の豚など約7万9000頭にワクチンを接種しました。また、約1万6400頭の子豚にも12月末までにワクチンを接種しました。県によりますとワクチンの接種後の検査では、95%が抗体を得たことが確認できました。県は今後も定期的にワクチン接種などを続けていく方針です。

(イノシシ対策、地域一丸で:熊本)
熊本市は有害獣イノシシの被害を防ぐ新たな一手として、集落内の住民でつくる「地域駆除隊」を県内で初めて設けた。情報通信技術(ICT)を生かした捕獲わなは、近く運用を開始。ドローン(小型無人機)の試験導入も検討し、多角的に“包囲網”を狭めようとしている。市が昨年12月、地域駆除隊の創設を認定したのは、西区河内町の野出と東門寺、同区谷尾崎町の谷の3集落。いずれの集落も、温州ミカンを食い荒らされるなどの被害に悩まされてきた。集落の住民10人以上で構成し、わな猟の免許取得者が2人以上いることが創隊の要件。活動範囲は集落内に限られ、免許のない住民は補助員として餌まきや見回りを担う。免許取得者が同行すれば箱わなの設置も手伝うことができる。有害鳥獣の捕獲はこれまで、高齢化や担い手不足が課題となっていた狩猟免許取得者(ハンター)に頼ってきた。市農業支援課は、地域駆除隊の住民が加わることでハンターの負担が軽減できるとし、「ほかの集落にも広げ、有害鳥獣に強い集落づくりを進めたい」と意気込む。ICTを生かした捕獲わなは市が2月、イノシシが急増している立田山に1基を導入して運用を始める。スマートフォンでわなの扉を遠隔操作できるのが特長。従来の箱わなに比べて効果的な捕獲が期待できるほか、捕獲活動の省力化につながるという。市が2020年度から、ドローンの試験導入を検討するのも立田山。搭載カメラで上空からイノシシの行動を把握し、効果的な箱わなの設置に生かす。市によると、立田山で18年度に捕獲されたイノシシは43頭。17年度に比べ35頭増えた。19年度は9月までで62頭。子どもらの通学路にも出没し、不安を訴える声も出ている。ハンターや行政任せにせず、住民に当事者意識を高めてもらうのも地域駆除隊創設の狙い。同課は「収穫しない果実や生ごみの放置など鳥獣被害が起きやすい状況も改善してもらい、住宅街への侵入を食い止めたい」としている。

(イノシシ棲み家撲滅特別対策事業:千葉)
動物が寄りつきにくい環境を整えることは鳥獣害対策の基本。環境整備をきちんとしてこそ、防護柵や捕獲などの対策が真価を発揮する。そこで千葉県では、山林近くの耕作放棄地の刈り払いを助成する事業に乗り出した。地域の環境整備を後押しし、獣害に強い集落作りに向けて意識を醸成している。同県では水稲や野菜など幅広い品目でイノシシが猛威を振るい、2016年度には約2億6千万円の農作物被害を記録した。これを食い止めるため、2018年度から3カ年事業として始まったのが「イノシシ棲(す)み家撲滅特別対策事業」だ。市町村の有害鳥獣対策協議会や自治会、多面的機能支払交付金の活動組織などが実施する刈り払い作業に対し、10アール当たり3万9千円を上限に補助する。イノシシの被害防止計画を策定している市町村が対象。初年度は17市町が活用し、計119ヘクタールで草を刈った。刈り払うのは隠れ家となりやすい山沿いの耕作放棄地だ。日常的な作業に加え、同県では10月を「イノシシ対策一斉刈払い期間」に設定。活動の強化期間を設け、県民運動としての定着を狙う。集落環境を整備したことで、実際に被害が減少した地域も出てきた。刈り払い後に耕作が再開した例もあるという。同県農地・農村振興課の担当者は「鳥獣害対策は地域一体となるのが重要。事業がそのきっかけとなれば」と期待する。

(梅農家でもシカ食害深刻化:京都)
京都府城陽市の梅農家が深刻化するシカの食害に頭を痛めている。実がなり始める5~6月ごろに出没して若葉を食べるだけでなく、枝を食いちぎるケースもあり、農家は「栽培意欲がうせる」と訴える。京都有数の梅どころとして知られる市南東部の青谷地域。親族とともに約1・7ヘクタールで栽培する男性(64)=同市市辺=は「毎年、土壌を改良したり農薬をまいたりと工夫しているのに、枝を折られるのは悔しい」と声を落とした。市農政課は、2018年度に市が6次産業化推進に向けて開いた会合で、農家から悩みの声を聞くことが増えたという。昨年12月に市農業委員会が市に提出した意見書も、シカを含む有害鳥獣対策の積極実施を求めた。府山城広域振興局農林水産部は、青谷地域で進んだ開発でシカの動きが変わった可能性を指摘する。男性によると、シカはまず葉を食べ、なくなると枝を食いちぎる。ちぎられた枝はそれ以上育たなくなる。枝の皮を剥ぎ取って生育を妨げることもあるといい、男性やほかの2農家は府の補助を活用し、19年度中に高さ2メートルの防護柵を設ける。ただ、既に柵を張った梅林でも、シカが柵の間から首を差し入れて葉や枝を食べている場所もあり、抜本的な対策は難しい。市農政課によると、シカが嫌う音波を発して追い払う機器を試験設置した農家もあったが、効果は限定的で、梅林で使うのは難しいという。市は現在、地元の猟友会に依頼し、年に2カ月、週1回駆除しているが、20年度は6カ月に増やすことを検討している。農家の依頼がなくても、市が捕獲用のおりを設置することも考えているといい、同課は「なるべくシカの数自体を減らしていきたい」とする。府も今年、防護柵作りの講習会を開くことを検討している。

(イノシシの罠にかかるクマたち:岐阜)
CSF(豚コレラ)の感染源の一つとされるイノシシ対策に新たな脅威が現れた。イノシシを捕まえようと仕掛けたわなにツキノワグマが引っかかってしまう事例が相次いでいる。岐阜県は、調査捕獲にあたる人たちがクマの被害に遭わないよう、クマの痕跡を見つけたらわなを撤去するなどの対策を呼びかけている。県によると、昨年6月以降、イノシシの調査捕獲のわなにクマがひっかかる事例が各地で続発している。昨年12月27日現在で、岐阜市、下呂市、中津川市、揖斐川町、垂井町、白川村などで計21頭の錯誤捕獲の報告があったという。県はCSFの感染拡大を防ぐためにイノシシの調査捕獲に力を入れており、捕獲頭数は2千頭を超えている。県によると、イノシシのわなには「箱わな」と「くくりわな」があり、クマがひっかかっているのは主にくくりわな。イノシシ用のくくりわなは、イノシシより大きな動物がひっかからないよう太い脚は入らないよう設計されているが、比較的脚が細い若いクマがひっかかってしまったとみられる。昨年はクマの好物のドングリが県内全域で凶作で、冬眠前のクマがえさを求めて里山に出没する事例が増えている。昨年4~9月の県内のクマの出没件数は597件で、一昨年同期の270件を大きく上回る。昨年9月末時点で11人(10件)が襲われ、過去10年で最悪のペースになっている。豚コレラの調査捕獲ではないが、昨年6月には高山市で有害鳥獣捕獲のイノシシ用のわなにひっかかったクマに猟友会の男性2人が襲われてけがをした事例もあった。

(鳥獣害対策にもドローン、活躍めざましく効率化に期待)
農業界でドローンの活躍がめざましい。農薬散布や農作物の生育調査、播種などさまざまな農作業の効率化で期待を集めているが、鳥獣害対策の現場でも活用が進みつつある。ドローンを効果的に鳥獣害対策に採り入れるにはどんな方法があり、どんな注意点があるのか。実際に活用している例を交えて紹介する。神奈川県が設置するかながわ鳥獣被害対策支援センターでは、対策の第1段階となる集落環境調査にドローンを活用。目視だった現地調査を大幅に省力化した。集落の状況が白地図に比べて視覚的に分かりやすくなり、地域課題の把握にも役立っている。県内の農作物の被害状況をみると、ここ 5年はイノシシを筆頭に、アライグマ・ハクビシンなどの中型動物やカラス・ヒヨドリなどの鳥類による被害が多い。森林や住宅への被害も問題化。これに歯止めをかけるため、2017年に同センターが発足した。同センターでは住民や市町村が地域ぐるみで対策を進めるための体制づくりの支援に力を注ぐ。まず取り組むのが集落環境調査だ。被害農地の他、獣道や耕作放棄地などの被害要因、柵・罠などの対策の状況を明らかにする。地域に合った対策のために重要だが、目視では時間と労力がかかるのが難点。そこでドローンによる空撮に目を付けた。調査には小型のドローンを使う。航路を設定して自動操縦で飛ばし、撮影画像をつなぎ合わせて地区全体の空撮画像を作成。農地の利用状況はもちろん、農作物の食害痕やイノシシが掘り起こした痕跡なども確認できるという。従来は3ヘクタールほどの範囲を見て回るのに約4時間、さらに調査結果を白地図に落とし込む作業に約4時間を要していた。ドローン導入後は空撮が約10分、画像結合ソフトによる処理が約2時間と、劇的な負担軽減につながった。同センターの江口千津子主査は「地域の課題を客観的に見える化できることが最大のメリット」と強調する。地域の勉強会などでは空撮画像を印刷して共有。耕作放棄地の解消や侵入防止対策の強化など、活動計画の検討に役立てている。調査を実践した地域の一つ、相模原市名倉地区の野崎好夫さん(67)は「地域の現状を細かいところまで俯瞰(ふかん)できた」と話す。制約も少なくない。常緑樹林やササが多い場所だと画像が不鮮明になるため、撮影時期を考慮したり目視やセンサーカメラなどで補完したりする必要がある。現状では電池が短時間しか持たず、一度の撮影範囲も限られる。高低差のある複雑な地形では衝突の危険があり、自動操縦が難しいことなども課題だという。同センターでは動物の出没状況の把握などにもドローンを活用している。江口主査は「地域ぐるみの対策といっても、何から始めればいいか分からず悩む地域は多い。鳥獣害対策を考えるための一つの手法として、ドローンを活用していければ」と語る。

(わな学び次代のハンターに:長野)
県は13日、若手狩猟者の拡大を目指し「ハンター養成学校」を伊那市高遠町の山林で開き、県内の50人がくくりわなの設置方法を学んだ。鳥獣ごとの足跡の違いなどを教えてもらった上で、わなのワイヤを結ぶのに適した太さ20センチほどの木に装着した。県に登録する狩猟免許保持者は約6千人で、最近はほぼ横ばいだが、6割以上が65歳以上の高齢者。県森林づくり推進課は「野生イノシシを捕獲できる人が増えれば、豚コレラ(CSF)の拡大防止にもなる」としている。野生鳥獣の捕獲や解体を手掛ける岐阜県郡上(ぐじょう)市の合同会社「猪鹿庁」代表の安田大介さん(40)が講師を担当し、今回はこの日まで3日間開催。参加者は冷凍した鹿やキジの解体、モデルガンで鳥獣を仕留める練習もした。北佐久郡御代田町のパート村田京介さん(22)は「鹿のなめし革を使った製品作りに関心があり参加した。実地でさまざまな経験が積めて役立った」と話した。

(もう「神風」には頼らない:栃木)
昨年秋のアジア選手権で3位となり、通算5度目の五輪切符をもぎ取ったクレー射撃女子トラップの中山由起枝選手(結城市、40歳)。2000年のシドニー五輪での初出場後、結婚、出産を経て現役復帰。人生を共に歩む一人娘と支えてくれる大勢の仲間の思いを背負い、東京五輪で競技人生22年の集大成に挑む。昨年11月、カタールの首都ドーハで行われたアジア選手権は、五輪の最終選考会を兼ねた重要な大会だった。予選で調子が上がらず一時は敗退の危機にも直面したが、何とか盛り返してファイナルステージへ。上位入賞が限りなく難しい状況だったが、競技人生で得たすべてを出し切るつもりで射台に立つと、強風が吹いていた。その影響を受けて上位選手がミスを連発。次々と順位を落とすライバルを横目に集中力を高めていった。「割と冷静」にクレーを仕留め、3位入賞をもぎ取った。「私にとってはまさに神風。9回裏に逆転サヨナラ満塁ホームランを打った気分」と振り返る。五輪出場は今回で5度目。女子選手では柔道の谷亮子に並ぶ。東京五輪では主戦場の女子トラップに加え、新種目となる混合トラップにも出場する。散弾銃で素焼きの皿を打ち落としていくクレー射撃。瞬時に目標物をキャッチする動体視力のほか、メンタルのコントロールが重要となる。中山選手の競技人生は社会人生活とともに始まった。高校時代は3年間ソフトボール漬けの毎日で、高3夏のインターハイでMVPに輝き国体にも出場。類いまれな動体視力、身体能力、瞬発力、忍耐力を磨き上げた。生まれ持った資質と並々ならぬ努力が、クレー射撃部を立ち上げるに当たり候補選手を探していた日立建機(本社・東京都台東区)の目に留まり、「一緒に五輪を目指そう」とオファーを受けた。個人競技の経験も、ましてや銃を持つのも初めて。入社当時は18歳で、銃刀法により免許が取得できないためイタリアに射撃留学。瞬く間に才能が開花したが、競技歴3年弱の21歳で初出場したシドニー五輪ではプレッシャーに押し潰され頭の中が真っ白に。結果は予選落ちとなる13位だった。「怖いもの知らずの勢いで積み上げてきたものが、すべて崩れた」。大会後は結婚と出産、そして離婚を経てシングルマザーのアスリートとして愛娘・芽生(めい)さん(18)の育児に専念していたが、03年に「母として、競技者としても娘に勇姿を見せたい」と競技に復帰した。続く北京大会ではメダルにはあと一歩届かなかったものの健闘し自己最高の4位に。ロンドンとリオデジャネイロは予選敗退し、結果を残すことができなかった。「これまでの競技人生は娘の成長と共にあった」と話す中山選手。海外や国内の遠征中は祖父母に預かってもらったものの、練習場では皆がかわいがってくれた。けがや病気の時は競技に集中できないこともあったが、「ママが頑張る時は、芽生も頑張る。芽生が頑張る時は、ママも頑張る」という合言葉を励みに、母親の強い姿も弱い姿もすべてさらけ出してきた。「芽生と私にしかできない親子のスタイル。娘には、目の前の困難に毅然(きぜん)と立ち向かえる強い女性になって欲しい」と願っている。神風は、もう吹かない。それでも、今の自分には多くの人々との絆がある。

(舟下りに名物「しし鍋」復活:宮城)
台風19号の豪雨で被害を受けた宮城県丸森町にある観光スポット「阿武隈ライン舟下り」でイノシシの肉を使った郷土料理「しし鍋」の提供が11日から始まりました。台風19号の影響で一時、営業できなくなっていた「阿武隈ライン舟下り」は、去年11月から営業を再開しましたが、この時期の名物となっているイノシシの肉を使った郷土料理「しし鍋」は調理を担当していた町内のすし店が被災したため、提供できない状態が続いていました。すし店の営業は今月から再開し、11日から舟下りでの「しし鍋」の提供が始まりました。「しし鍋」はイノシシの肉とイノシシが食べるきのこや野菜など旬の食材をたっぷり入れたみそ味の鍋料理です。11日の午前中はタイから訪れた4人が舟下りを利用して川沿いの景色を見ながら初めての「しし鍋」を味わっていました。舟下りの最中には船頭による伝統の「丸森音頭」の披露も行われ、訪れた人たちはきれいな歌声を楽しんでいました。タイの女性は「鍋もとてもおいしく景色もきれいでした。船頭の歌もいい経験でした」と話していました。舟下りでの「しし鍋」の提供は3月いっぱいまで続けられるということです。

(ジビエ大国、目指せソウルフード:鳥取)
鳥取市西部の青谷地区の農村にほど近い山林内。イノシシ2頭がわなにかかっていた。猟師の伊吹達也さん(55)=同市=は慣れた手つきで血抜きをして殺処分後、市内にある食肉処理施設へ直行した。ジビエとして商品化するためだ。県は全国3位の生産量(2017年度61トン、農林水産省調べ)を誇る“ジビエ大国”でもある。

(国産ジビエ認証施設の第10号認証:山梨)
国産ジビエ認証制度に係る認証機関により、国産ジビエ認証施設(第10号)として、株式会社YAMATOが運営する食肉処理施設「早川町ジビエ処理加工施設」(山梨県早川町)が認証されました。農林水産省では、衛生管理基準及びカットチャートによる流通規格の遵守、適切なラベル表示によるトレーサビリティの確保等に適切に取り組む食肉処理施設の認証を行う「国産ジビエ認証制度」(以下「制度」という。)を平成30年5月18日に制定し、より安全なジビエの提供と消費者のジビエに対する安心の確保を図る制度の運用を行ってきたところです。この度、国産ジビエ認証委員会により登録された認証機関(ジビエラボラトリー株式会社)において、認証申請のあった株式会社YAMATOが運営する食肉処理施設「早川町ジビエ処理加工施設」の審査が行われた結果、制度に規定する全ての要件を満たすと認められたため、本日付けで「国産ジビエ認証施設(第10号)」の食肉処理施設に認証されました。

(今さら聞けない、ジビエ)
ジビエをおいしく食べるためには、死んだその場で新鮮なうちに、血抜き、解体作業が必要なのですが、食品衛生法の決まりで、山野で解体したものは、食肉として流通できません。食肉として流通させるためには、法の基準に適合した衛生的な施設で解体する必要があります。実際に狩猟で捕る場合は、山野で猟銃を放ち、山野で狩猟した個体を山野から離れた処理施設まで運ぶ必要があります。その時の労力を想像してみると、山道(獣道)から時に100kgを超える重たい個体を車が通れる道まで降ろすのが、まず重労働です。猟師も高齢化が進み、解体せずに個体を運ぶのがますます困難になっているとのことです。うまく運べたとしても、解体施設まで遠ければ、解体までに時間がかかり、肉の品質が落ちてしまいます。一方、生け捕りにする罠の場合は、鮮度が落ちる心配はありませんが、生きた、しかも暴れる個体を処理施設まで運ぶ労力が死亡した個体を運ぶよりもっと大変な労力がかかってしまいます。そのような場合の対策としては、山の麓に処理施設を造るか、移動式解体車(日本ジビエ振興協会推奨)を地域に1台配置するといった方法がありますが、いずれの方法も1000万円単位の費用が掛かってしまいます。このため、鳥獣害対策・ジビエ振興の一環でJAや行政が一体となって費用を捻出し、施設の設置なり専用車の配置を進めることが不可欠になります。今後の取り組みの拡大に期待したいと思います。ジビエをもっと身近にするには、まだまだ越えなければならないハードルが存在していますが、それを乗り越えるだけの価値がジビエにはあるようです。日本ジビエ振興協会によると、ジビエ肉は、一般的な家畜肉(牛・豚・鳥)よりも栄養価が高いそうです。それは、家畜肉の場合、運動量が少なく育てられるため筋肉に脂肪が入りこみやすくなります。和牛などは、脂肪分(サシ)がきれいに入っている方が有難がられるのはご存じのとおりです。これに対し野生の動物であるジビエは、運動量が家畜よりはるかに多く、筋肉が発達しています。そのおかげで、筋肉には、脂肪分ではなく、鉄分やたんぱく質が多く含まれるようになります。この栄養価の比較は、表のとおりで、ジビエ肉が家畜よりもヘルシーなお肉であることがわかります。百聞は一見にしかずです。お近くでジビエを提供するお店やイベント等を見つけたら、一度試してみてはいかがでしょうか?

(ジビエを使ったレシピグランプリ:徳島)
徳島県産のシカ肉やイノシシ肉といったジビエ(野生鳥獣肉)を使った料理のアイデアを競う「『阿波地美栄』料理レシピグランプリ」(県主催)で、三好市池田町イケミナミの飲食店経営の西﨑健人さん(35)が考案した「シカ肉のガパオライス」が最優秀賞に選ばれた。12日、県が徳島市で開く「阿波地美栄×狩猟フェスタ」で振る舞われる。昨年9~11月に県内のプロ・アマを問わず公募。寄せられた30点の中から、家庭で簡単に調理できることや食欲をそそる見た目かどうかなどの基準で選考し、最優秀賞1点と優秀賞2点を選んだ。ガパオライスはシカ肉のミンチを使用。ナンプラーやオイスターソースなどでエスニック風に味付けし、食べやすいよう工夫した。西﨑さんは「ジビエ料理の普及に役立てばうれしい」と話した。レシピは県のホームページで公開される。フェスタは午前11時~午後3時、徳島市の徳島グランヴィリオホテルで開かれ、午前11時10分からコンテストの表彰式と料理の試食(100食程度)がある。会場には、鳥獣被害対策機器を扱う企業による展示販売や子ども向けのゲームコーナーなど各種ブースを設置。狩猟を始める際の相談にハンターや狩猟免許試験関係者が応じるコーナーも設ける。

(福亥のししラーメン、今年も:福井)
福井市の殿下地区で狩猟され、地区内の施設で処理されたイノシシ肉を使った「殿下福亥のししラーメン」の販売が11日、同市大丹生町のFAN’s KITCHEN内の「福亥軒(ふくいけん)」で始まった。3月末までの土、日、月、祝日に味わえる。同地区出身で、東京からUターンしてきた松平成史さん(46)の発案。猟師に弟子入りした松平さんが、廃棄されるイノシシの骨でだしをとり、ラーメンを作ったのがきっかけだ。処理場が殿下地区内にあるため、精肉にするまでの時間が短く、新鮮で臭みがないという。昨年は計約1千食を売り上げた。

(イノシシ肉使った「ジビエの恵方巻き」:徳島)
那賀町大久保のもみじ川温泉は2月3日の節分に合わせ、地元産のイノシシ肉などを使った恵方巻き「ジビエ山賊ぼたん巻」(税込み千円)を発売する。甘辛だれで味付けしたイノシシ肉とコンニャクに、レタスやニンジン、ユズみそなどを加えてさっぱりとした風味に仕上げた。他に町特産のアメゴなどを使った「いい那賀巻」(700円)や恒例の「本まぐろ極み市松巻」(千円)「ヒレカツ巻」(700円)もある。販売はいずれも予約制。今月31日午後8時まで注文を受け付け、2月2日か3日に渡す。

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(本島、全域消毒へ:沖縄)
沖縄県うるま市の養豚場で飼育されていた豚が豚コレラ(CSF)に感染した問題で、新たに沖縄本島中部で感染が疑われる豚が見つかったことが9日、分かった。複数の関係者が明らかにした。感染が確認されれば、3例目となる。沖縄県は10日午前、玉城デニー知事を本部長とする県特定家畜伝染病防疫対策会議を開き、今後の対応を協議する予定。玉城知事は感染拡大を防ぐため、9日までに本島内全ての約270養豚農家に対し、施設の消毒を命じた。CSF感染が確認されたうるま市の養豚場では、9日も獣医師や自衛隊員らによる殺処分の作業が続いた。県によると9日午後2時までに、対象の1813頭中、約65%を占める1170頭を殺処分した。市内の別の処分地で、同3時までに約400頭が地中に埋められた。県は殺処分を10日までに終え、地中に埋める作業や豚舎の消毒などの防疫措置を11日までに完了させたいとしている。うるま市を中心に8カ所設置された消毒ポイントでも関係車両の消毒作業が続き、総勢約450人が作業に当たった。本島の消毒命令は、最初の感染が確認された8日付の公報で告示した。家畜伝染病予防法30条に基づき、県知事は感染拡大を防ぐために区域を限定し、家畜所有者に消毒を命じることができる。実施期間は9日から「当分の間」とし、養豚施設の周囲や敷地内に消石灰を散布することなどを命じている。県は必要な資材を調達し、農家へ配布する準備も進めている。同日、農林水産省であったCSF・ASF防疫対策本部の会合で江藤拓農相は「消毒資材などの経費は国が全面的に負担するので、県においてしっかりやってほしい」と語った。CSFは豚やイノシシ特有の家畜伝染病で、発熱や食欲減退などの症状が現れる。強い感染力と高い致死率が特長。ただ、人にはうつらない。県は「感染した肉を食べても人体に影響はない」と冷静な対応を呼び掛けている。

(豚コレラ感染イノシシ新たに7頭:滋賀)
滋賀県は8日、豚コレラ(CSF)に感染した野生イノシシが長浜、米原、東近江の3市で計7頭、新たに見つかったと発表した。昨年12月16~22日に捕獲された。県内で感染が確認された野生イノシシは同9月以降、計91頭(長浜市44、米原市34、彦根市1、東近江市10、多賀町2)となった。

(CSF(豚コレラ)対策、野生イノシシにワクチン入りエサ:山梨)
CSFいわゆる豚コレラの感染防止に向け山梨県は感染源とされる野生イノシシの対策としてワクチン入りの餌を山に置くことにしました。これは1月9日初めて開かれた県や猟友会、畜産協会など関係者による対策協議会で決まったものです。ブタやイノシシの伝染病のCSF、いわゆる豚コレラは去年、北杜市と韮崎市で野生のイノシシ3頭に感染が見つかったほか11月には韮崎市の養豚場でもブタが感染し890頭が殺処分されています。一般的に感染源は野生のイノシシとみられ対策が課題となっていました。今後、猟友会が中心となって北杜市と韮崎市の山林など野生イノシシが生息する20の地点に、ワクチン入りの餌を埋め実際に食べたのか、調査します。さらにイノシシを捕獲して感染の有無を確認し効果を調べることにしました。ワクチンは国から提供され、1月と2月にあわせて800個を対象となる地域に埋める予定です。

(CSFワクチン初回接種は8割超、イノシシ防止柵は2割:群馬)
CSF(豚コレラ)対策として群馬県が進める豚へのワクチン接種について、県は9日、226農場の約38万頭に初回接種が完了したと発表した。当初、63万頭に接種が必要としていたが、新たな試算で実際に必要とされる豚は46万6000頭となり、対象の8割超の接種を終えた状況となった。2月末を見込んでいた初回接種の完了は、2月上旬~中旬に早まる見通し。一方、ウイルスを媒介する恐れのある野生イノシシの侵入防止柵の設置は、資材不足などから作業が停滞している。初回接種は21市町村で完了し、養豚場が集積する赤城山南面でも順調に作業が進んでいる。46万6000頭とは別に、初回接種が始まった昨年10月末以降に生まれた豚などを対象とした接種も同時並行で進められ、これまでに110農場の約3万頭に実施された。一方、野生イノシシの侵入防止柵は、県内の325カ所で設置を予定しているが、作業が完了したのは2割程度の71カ所(昨年末時点)にとどまっている。

(ニホンジカ抑制、管理計画策定へ:山形)
ニホンジカによる農林業被害を防ごうと、県はメスの頭数抑制を柱とする管理計画を2019年度内に策定する。現在、年90日間の捕獲許可期間を通年に延長するなど、20年4月からの施行を目指す。県内のニホンジカは狩猟により、1919年以降に絶滅したとされてきた。しかし、09年に大石田町で交通事故死したシカが見つかり、18年度の捕獲数は10頭となっていた。

CC(豚コレラ「海外から侵入」説も)
沖縄県内で1986年以来、33年ぶりに発生が確認された豚コレラ(CSF)。野生イノシシを介して感染が広がる本土とは遠く海を隔てた沖縄に、どうやって侵入したのか。人や物、餌として与えられていた食品残さなどさまざまな要因が考えられる。8日に陽性と確認されたCSFの遺伝子配列をみると、岐阜で発生したものと似ていることが分かった。養豚場関係者に渡航歴はなく、施設に外国人の出入りもなかったことから、県は海外からの侵入の可能性は低いと分析する。ただ、岐阜の事例で農水省の専門家チームは、遺伝子分析などの結果から、ウイルスが中国や周辺国から侵入したものと推定している。旅行客の手荷物などで検疫を受けずに持ち込まれた豚肉製品が廃棄され、野生イノシシが食べて感染した可能性がある。県内にはアジアから多くの観光客が訪れるため、今回の侵入ルートについて農水省は「海外からの侵入も否定できない」と説明する。汚染された物品や人による接触、食品残さからの感染などさまざまな要因が想定される中、専門家チームは遺伝子情報のさらなる解析や養豚場関係者の話などを基に、究明を進めている。

(豚コレラ、食べても人体に影響なし)
農林水産省によると、豚コレラ(Classical swine fever=CSF)は強い伝染力が特徴の豚とイノシシの病気で、人には感染しない。仮に感染した肉や内臓を食べても人体に影響はない。また、豚は「と畜場法」に基づいて市場に流通する前に、都道府県などの検査員が全頭を検査しているため感染した豚肉が流通することはない。そのため、同省は「『当店ではCSFが発生している府県の豚肉は扱っていません』といった表示は不適切」とし、不適切表示については自粛や改善を求めている。豚コレラは2018年9月、岐阜県の養豚場で国内で26年ぶりの感染が確認された。昨年12月26日までに愛知や長野、大阪など1府8県での発生が確認されており、同省は畜産農家に飼養衛生管理の徹底や、早期発見のための観察を呼び掛けている。豚コレラ(CSF)とは、豚やイノシシ特有の家畜伝染病で、発熱や食欲減退などの症状が現れる。感染力が強く、致死率が高いのが特徴。人にはうつらず、感染した豚の肉を食べても影響はない。国内では1992年以降、未確認だったが、岐阜市内の養豚場で2018年9月、26年ぶりに確認された。アジアで流行が拡大している「アフリカ豚コレラ」とは別物。

(年末年始に約50頭が不審死していた、通報まで2週間以上が経過:沖縄)
沖縄県は8日、うるま市の養豚場の豚が豚コレラ(CSF)に感染し、隣接する養豚場では沖縄固有種のアグーからも陽性反応が出たと発表した。計1813頭の殺処分を決定したほか、養豚場から半径10キロ以内を搬出制限区域に指定するなど、感染拡大を防ぐ緊急措置を取った。感染が判明した養豚場では、昨年12月20日ごろから今月6日までに約50頭が不審死していたことも分かった。同日の沖縄県への通報まで2週間以上経過しており、発覚が遅れた。沖縄県内の発生確認は1986年10月以来33年ぶり。玉城デニー知事は感染拡大を防ぐため、自衛隊に災害派遣を要請した。関東や中部地方などに広がるCSFの被害抑制を目指してきた国は、海を隔てた沖縄で新たに確認されたことを深刻に受け止めており、専門チームを組織して詳しい感染経路を調べている。沖縄県によると、養豚場から6日、沖縄県に通報があり、国の遺伝子検査で8日に感染を確認した。別の業者が運営し、隣接する養豚場のアグー豚からも県の検査で陽性反応が出たため、緊急性があると判断し、独自の判断で殺処分を決めた。沖縄県が養豚場へ聞き取りしたところ、昨年12月20日ごろから死ぬ豚が急増。養豚農家は解熱剤や抗生物質を与えるなどして経過観察を続けたが、1月6日までに約50頭が死んだ。一方、12月26日に25頭を出荷していた。この養豚場では、餌に食品残渣(ざんさ)を与えていたが、衛生管理の手法として県などが呼び掛けていた加熱処理をしておらず、指導が浸透していなかった可能性もある。感染が確認された養豚場では8日、獣医師や自衛隊員らが豚を殺処分する作業に参加。市内の別の場所では建設業者の作業員らが豚を処分する穴を掘り、同日深夜、埋却作業を始めた。沖縄県は豚や農具などの移動を禁じる半径3キロの移動制限区域、これらの域外への移動を禁じる半径10キロの搬出制限区域を設定。農場出入り口を含め計8カ所で消毒作業も実施し、延べ222人を動員した。CSFは豚やイノシシ特有の家畜伝染病で、発熱や食欲減退などの症状が現れる。強い感染力と高い致死率が特徴。ただ、人にはうつらない。玉城デニー知事は県の対策本部会議で「感染した肉を食べても人体に影響はない。冷静に対応してほしい」と呼び掛けた。国内では熊本県で1992年に感染が確認されてから動きがなかったが、2018年9月に岐阜県で見つかった。感染は沖縄を含め10府県に拡大している。

(豚コレラ8県目、感染経路特定急ぐ)
農水省は8日、沖縄県うるま市の養豚場2戸で豚コレラ(CSF)が発生したと発表した。2018年に国内で26年ぶりに発生して以来、52、53例目で、本州以外では初。県は関連農場を含めた3農場の約1800頭を殺処分する。同県内で野生イノシシの感染は確認されておらず、国は感染経路の特定を急ぐ。農場での豚コレラ発生は岐阜、愛知、三重、福井、埼玉、長野、山梨に続き8県目。52例目は農場から6日に沖縄県に通報があり、国の遺伝子検査で8日に感染を確認。53例目は隣接農場で、8日の精密検査で疑似患畜とした。殺処分対象には沖縄固有の希少種「沖縄アグー豚」を含むという。沖縄県には野生のリュウキュウイノシシなどが生息しているが、豚コレラ感染は確認されていない。他農場への感染は確認中で、同省は「イノシシへの経口ワクチンや豚へのワクチン利用は専門家と協議し慎重に判断する」としている。国の遺伝子検査でのウイルスの型は岐阜などで見つかったものと近かった。ただ解析は一部分で、侵入ルートは不明。詳しい分析は「約2週間後の全遺伝子解析を待つ必要がある」(同省)という。県によると、発生農場で死亡する豚が出始めたのが昨年12月20日。抗生物質や解熱剤を投与して様子を見ていたが、死亡するペースが加速し、農家は異常に気が付いたという。26日までに25頭を食肉市場に出荷していた。また、県は豚の飼料に使う食品残さを加熱するよう呼び掛けていたが、発生農場では非加熱で給餌していたという。同県畜産課は「残さに含まれた肉の加熱が不十分でウイルスが生きていた可能性もある」と指摘した。家畜疾病に詳しい宮崎大学農学部の末吉益雄教授は、早急な対応の必要性を指摘する。「隣県からの感染ではなく、海を隔てて沖縄に発生したことは、人や人が運んだ物が原因でほぼ間違いない。全国どこで発生してもおかしくない状況で安心な所はない。これまで以上に衛生対策の徹底が必要」と強調。「原因ウイルスが一連の発生と同様の症状が弱いタイプだとすれば、死亡豚が見つかった段階で感染から3週間~1カ月経過している可能性がある。その間に取引した農場や業者を十分に確認すべきだ」と注意を呼び掛ける。19年2月時点の沖縄県の豚飼養戸数は237で全国5位、頭数は21万頭で同13位。同県の豚コレラ発生は1986年以来、33年ぶり。沖縄県の豚コレラの発生確認を受けて江藤拓農相は8日、同県で玉城デニー知事と会談した。感染が広がっている中部・関東地方から遠く離れた同県での発生に、江藤農相は「深刻な事態だ」と危機感をあらわにした。発生農家への支援を求める玉城知事に、江藤農相は「経営再開に向けてしかるべき支援をしたい」と応えた。会談後、江藤農相は同県固有種の「沖縄アグー豚」の種豚と母豚が殺処分の対象に含まれていることに言及。種を守るためにどんな対策が必要か、農家と協議して対応を進める考えを示した。昨年10月に首里城の一部が消失して観光客が減っているのを踏まえ、「これ以上沖縄の産業に影響が出ないよう、スピード感を持って対応したい」と話した。豚コレラの侵入ルートは調査中だが、他地域のようなイノシシを介した感染は考えにくいため、県畜産課は「ウイルス汚染を受けた人や物による可能性が高い」とみている。中国などで感染が広がっているアフリカ豚コレラ(ASF)の侵入リスクも踏まえ、江藤農相は「すさまじい危機感を持っている」と強調。水際対策が重要だとして、那覇空港と那覇港の検疫体制を視察した。

(豚コレラ、拡大防止に全力尽くせ:沖縄)
うるま市の養豚場で飼育されている豚から豚コレラ(CSF)ウイルスが検出された。隣接する養豚場も合わせて1813頭の殺処分が始まった。感染ルートの解明を進めるとともに、あらゆる対策を講じ、被害拡大を食い止めなければならない。県内での豚コレラ確認は33年ぶりである。県などによると、養豚場から6日に通報があり、国の遺伝子検査で8日に感染が確認された。本州で猛威をふるったウイルスと特徴が一致している。感染した養豚場から半径3キロ圏内は豚の移動を禁じる「移動制限区域」に、10キロ圏は豚やふんなどの搬出を禁じた「搬出制限区域」に指定した。他の地域でも発生がないか、感染の有無の確認と防疫措置が求められる。豚コレラは豚やイノシシ特有の家畜伝染病で致死率が高く、治療法がない。国内では2018年9月、岐阜県で26年ぶりに確認され1府8県の養豚場に広がり、殺処分は15万頭を超えた。沖縄の場合、感染源とみられるイノシシが海を渡ったとは考えにくいことから、人や物を媒介して持ち込まれた可能性が高いとみられている。17年の県内の養豚出荷数は33万頭。出荷額は131億円(前年比16%増)と順調に伸びていた。感染した豚の中には、観光客にも知名度の高い沖縄固有種の「アグー」も含まれる。感染が広がれば、養豚だけでなく観光関連産業にも影響が出かねない。豚コレラの県内への侵入を阻止しようと、国などの関係機関は空港や港での肉製品などの検疫対策を強化してきた。餌となる食品残渣(ざんさ)(残飯)の加熱処理を農家に呼び掛けるなど指導にも力を入れてきた。農水省が定めた指針は、豚の所有者に対し、豚の健康観察とともに「豚コレラが疑われる場合の届け出の習慣化・確実な実行」を求めている。今回感染が判明した養豚場では、昨年12月20日ごろから今月6日までに約50頭が不審死していたことが明らかになっている。6日の県への通報まで2週間以上経過している。連絡が遅れたことで対応が後手に回り、被害を広げた可能性がある。残飯の加熱もしていなかったという。危機感の薄さは否めない。県の農家への安全・衛生指導が浸透していたのか。検証が必要だ。豚コレラウイルスの封じ込めに失敗すれば、沖縄本島内で一気に広がる可能性がある。その際には、ワクチンの使用をためらうべきではない。沖縄には国内外から多くの観光客が訪れる。旅行者によってウイルスが持ち込まれるリスクは少なくない。農場への関係者以外の立ち入りを制限することも重要だ。懸念されるのは風評被害である。豚コレラに仮に感染した肉を食べても人体に影響はない。県には丁寧な情報発信が、県民には冷静な対応が求められている。

(豚コレラ発生、九州各県対策強化へ)
沖縄県うるま市の養豚場での豚コレラ(CSF)感染を受け、畜産の盛んな九州各県は対策を強化する方針だ。九州から海を隔てた沖縄での発生に「水際対策が非常に重要になってくる」(宮崎県の担当者)と警戒を強めている。鹿児島県は8日、対策本部を設置し、県庁で本部会議を開いた。三反園訓知事は「鹿児島は日本一の養豚県で、侵入した場合は地域経済に甚大な影響がある」と懸念を表明し「絶対に侵入させてはならないという緊張感を持って対応してほしい」と指示した。福岡県も対策会議を開催し、養豚農家や関係団体へ防疫対策に万全を期すよう求める方針を確認した。宮崎県は、市町村の防疫担当者と農畜産業関係団体に向けた緊急の会議を9日に開く。空港や港での防疫対策に加え、外国人労働者や海外留学生に対し肉を持ち込まないようチラシなどで啓発する。野生のイノシシの侵入を防ぐため全農場での防護柵設置も目指す。熊本県も畜産関係団体を集めた緊急対策会議を9日に開催する。発生状況について情報共有し、ウイルス侵入対策の徹底を関係団体に要請する。

(豚コレラ、県が緊急会議:宮崎)
沖縄県うるま市の養豚場で家畜伝染病「CSF(豚とんコレラ)」の感染が確認されたことを受け、県は9日、防疫対策の強化に向けた緊急会議を開き、市町村職員や養豚関連団体の関係者など約100人に対して警戒を促した。CSFは豚やイノシシが感染する伝染病。2018年9月に岐阜県で発生して以降、近畿地方から関東地方にかけて感染が広がり、今月8日、本州から離れたうるま市でも感染確認が発表された。この日の会議では冒頭、県の花田広・畜産新生推進局長が「海を隔てた沖縄県でも発生し、日本全国どこで起きてもおかしくない危機的な状況だ。考えられるあらゆる手段を打つ必要がある」と強調した。ウイルスを持ち込まないようにするため、▽野生動物の侵入を防ぐ柵の設置▽農場での消毒の徹底▽生肉を含む可能性がある飼料の加熱処理――といった対策を説明。CSFの症状は発熱や食欲不振など気付きにくく、異常を見つけたら速やかに家畜保健衛生所へ通報することも呼びかけた。県によると、昨年2月1日時点で県内の養豚農場数は434か所。豚の飼育数は83万5700頭で、鹿児島県に次いで全国2位だ。うるま市での発生を受け、家畜保健衛生所を通じて、県内の全農場に注意喚起するなどして対策を強化する方針。

(豚コレラ侵入阻止を、緊急防疫対策会議:鹿児島)
沖縄県でCSF、いわゆる豚コレラの発生が確認されたことを受けて、県は畜産関係者を集めて緊急の会議を開き、消毒など防疫対策の徹底を呼び掛けました。沖縄県うるま市の養豚場では、豚が感染すると発熱や呼吸障害を引き起こし、高い致死率を持つ豚コレラの発生が確認されたため、豚の殺処分が行われています。会議は、県内への豚コレラの侵入を防ごうと、県が畜産や食肉業者の関係者を集めて急きょ開かれたものです。会議では、豚コレラが8日までに1府9県で53例の発生が確認され、県内への侵入リスクが高まっているとして、空港と港に消毒マットを設置したことが報告されました。また、会議の参加者には車両や人の消毒のほか、イノシシなどの野生動物が農場に入らないよう防護柵を設置したり、ネズミの駆除や豚の健康観察を入念に行うことなどが呼び掛けられました。参加者からは鹿児島の畜産を守るために防疫対策の徹底を求める声が上がりました。

(県、初動対応を確認:佐賀)
沖縄県の養豚場で豚コレラ(CSF)に感染した豚が確認されたのを受け、佐賀県は8日、関係部署による庁内連絡会議を開いた。畜産課が県内の飼育豚に異常がないことを報告、県内での発生に備えて初動対応の確認を求めた。佐賀県内では48カ所の農場で約8万頭の豚を飼育している。家畜保健衛生所が養豚農家に情報を提供し、異常がないか確認を求めたほか、消毒を徹底する防疫対策を指導した。沖縄県から持ち込まれた豚がないことも確認した。佐賀県内では1971年以来確認されていない。連絡会議は豚コレラ対策の行動指針に基づいて開き、45部署の担当者が参加した。豚コレラに特化した会議は本年度初めて。県は豚コレラ侵入防止の緊急対策事業費に1億2800万円を投じ、ウイルスを運ぶイノシシなどの侵入を防ぐ防護柵の設置や検査態勢の強化に取り組んでいる。畜産課の田代浩幸課長は沖縄県の感染経路が判明していないため「いつ佐賀で発生してもおかしくない。発生させない取り組みもやるが、万が一、発生した場合に備えて各部署のマニュアルを確認してほしい」と呼び掛けた。

(農家販売減2億7925万円:静岡)
静岡県は9日、豚コレラ(CSF)防疫対策本部会議を県庁で開き、豚へのワクチン接種に伴う流通制限の影響で、県内農家の販売額が2億7925万円減少するとの見通しを明らかにした。農家への聞き取りに基づき推計した。ワクチン接種は豚コレラの感染予防につながる一方、未接種の地域には子豚や種豚、精液を流通できなくなり、農家の経営面への影響が懸念される。国は昨年12月、接種推奨地域を20都府県に拡大したため当初より影響は軽減される見通しだが、県は経営支援に向け来年度当初予算案に関連予算を盛り込む方針。対策本部はワクチン接種後の検査で95%の豚に免疫ができたことも報告した。ただ、藤枝市や静岡市で野生イノシシの感染が相次ぎ、エリアも拡大していることから、ワクチン接種や農場の消毒徹底といった感染防止対策に引き続き万全を期す。野生イノシシ向けに散布した経口ワクチンの効果を検証したところ、免疫が確認できたイノシシは最も高い地域でも6%にとどまった。県は今後も散布を続け、免疫の獲得状況を見極めるとしている。

(動物園で「アグー」「イノシシ」展示中止:沖縄)
沖縄県うるま市の養豚場の豚から豚コレラウイルス(CSF)が検出されたことを受け、沖縄市の沖縄こどもの国は8日、園内で飼育しているアグーとリュウキュウイノシシの展示を当面中止するとホームページなどで発表した。同園は、感染拡大防止のため、入場口に消毒マットも設置した。

(ICTでイノシシ捕獲:宮城)
イノシシによる農作物被害の拡大に歯止めを掛けようと、大崎市は昨年12月20日、情報通信技術(ICT)を活用した捕獲わなを導入した。スマートフォンを使い、わなの扉を遠隔操作する仕組み。市鳥獣被害対策実施隊員ら約25人が岩出山南沢の草地に縦横5メートル、高さ2メートルの囲いわな1基を仕掛けた。獣の侵入を検知するセンサーや入り口付近を監視するカメラも付設した。センサーが反応すると、隊員のスマホに通知される。5、6人の捕獲班はチャットでやりとりしつつ、生の映像を確認。獲物が確実にわなに入った頃合いを見計らい「捕獲」ボタンを押せば、鋼のゲートが閉まる。「自動捕獲」モードもある。業者によると、導入事例は約300あり、宮城県内の自治体では仙台市に次いで2例目。市の担当者は「新技術で駆除の負担軽減や効率化を図りたい」と話す。

(猿害防止電気柵漏電、スマホで確認:大分)
大分市は、高崎山自然動物園の猿害防止のために設置している電気柵が漏電した場合、いち早く感知するシステムを導入する。スマートフォンやパソコンで漏電箇所が確認できるようになるため、対応する職員の負担軽減や周辺地域の森林や作物への被害防止などに効果が見込めるという。電気柵は高さが3~5メートルで総延長約7キロ。1秒に1回高圧電流を流し、サルが越えられないようにしている。5区間に分けて通電状況を管理。漏電すると警戒音が鳴る。漏電は草木やヘビが柵に絡まると発生。職員が近づきにくい場所にも柵があるため、警戒音が鳴っていても気付くまでに時間がかかるという。新システムは電圧の状況を常時監視し、漏電して電圧が下がるとスマホやパソコンに通知が来る仕組み。管理区間を八つに増やし、より細かく漏電箇所が絞り込めるようにする。電線に当てると左右どちら側で漏電が起きているかが分かる機器も購入する。12月議会で関連予算1300万円を可決。今後、業者選定と設置工事を進める。システム稼働は2020年3月下旬~4月上旬を見込んでいる。市観光課は「電気柵の近くは急傾斜の所も多く、漏電箇所を探して山中を歩く職員の負担は大きかった。労務環境の改善にもつながると期待している」としている。

(クレー射撃・石原奈央子選手:栃木)
中東カタールの首都・ドーハで昨年11月に行われた第14回アジア大陸射撃選手権。クレー射撃スキートに出場した石原奈央子選手(45)は、16位という結果に「最低でした」と肩を落とした。日本人最高位で開催国枠で五輪代表に大きく近づいたが、目標としていた国別出場枠は獲得できなかったためだ。その厳しい言葉は、目標に向かって努力を続けてきた「向上心」の裏返しでもある。30代前半で本格的に競技を始めて頭角を現し、前回のリオデジャネイロ五輪ではアジア予選を制して出場権を獲得した。

(海のごみ集め、大潮時に交代で作業:佐賀)
昨年12月下旬、鹿島川の河口へハゼ(ハゼクチ)釣りを撮影に行った。そのあと鹿島大橋に向かっていると、大橋の方から脇に大きな袋網を取り付けた漁船がゆっくり下ってくるのが見えた。慌てて望遠ズームが付いたカメラを取り出してのぞくと、正福丸という文字。浜町南船津の土井正夫さん(88)が操船していた。声を掛けると、手を上げて応えてくれた。ごみ集めの作業だった。西部地域特有の地形的な事情で塩田川や鹿島川、浜川の河口沖にはごみが集まるらしい。そこで毎年、漁協の各支所から3人(計9人)に委嘱して、主に大潮の期間に交代で作業しているそうだ。ノリをカモの食害から守るため、各支所では1人(計3人)に委嘱して、カモの群れがノリ漁場に居着かないようにハンターを乗せて追い払う作業も行われている。狩猟対象ではないツクシガモやサギ類がいるので、他の方法も試みているようだが、野生の鳥たちには迷惑なことだろう。

(冬の「マタギ弁当」新作発表:岡山)
季節の食材を使った弁当で、まちおこしに取り組んでいる鏡野町のグループが、野生のイノシシやシカの肉をメインの食材にして「マタギ弁当」と名付けたこの冬の新作を完成させました。鏡野町の旅館や飲食店などでつくるグループは、10年前から季節ごとに地元の旬の食材を使った弁当を販売しています。このほど完成した冬の新作は、地元で捕獲したイノシシや、シカの肉をメインの食材とした3種類の「マタギ弁当」です。串焼きやみそ焼きにした肉を、地元の野菜と一緒に詰め込んだものや、そぼろご飯や生姜焼きを味わえるもの、それにサバ寿司やアマゴの南蛮漬けなど、魚料理と一緒に楽しめるものなどバラエティーに富んでいます。弁当を企画したグループ「やま弁友の会」の下山彩華さんは「山のさちをしっかりと詰め込んだ弁当ができました。ぜひ食べて見てください」と話していました。この「マタギ弁当」は、今月11日から来月11日までの土日と祝日に、町内の道の駅や観光案内所などでいずれも1個1000円で販売されます。

(大学キャンパスに処理施設:兵庫)
獣害対策で捕獲したイノシシやシカの肉を活用するための食肉処理加工施設「志知ジビエ」が、吉備国際大学南あわじ志知キャンパス(兵庫県南あわじ市)に完成した。同大とジビエを扱う業者「アスカ」(神戸市)が共同でオープン。野生獣の捕獲に取り組む同大狩猟部の学生は「淡路島のジビエを知って、おいしく食べてもらいたい」と話す。もともとは、県の事業で淡路島全体の処理施設開設を目指していたが、場所が決まらず頓挫。その後、同大と同社が連携し、国や県からの補助金を含めて約3900万円かけ、大学内への設置にこぎつけた。施設は同大の実習室を改装した約55平方メートルで、処理室、加工室、食肉販売室を備える。昨年3月に完成し、食肉処理業の営業許可を取得した同10月から本格的に稼働した。肉の有効な活用方法を研究してきた同部はこれまで、捕獲した個体を高知県の施設まで運んで処理。その肉を持ち帰ってジビエ料理の開発などに取り組んできたが、今後は全ての作業が大学内で可能となった。同部のほか、業者や地元猟師が捕獲した個体も扱い、年間で300頭ほどの処理を目指すという。同大は、肉のうま味などを研究する醸造学科の授業にも施設を活用。肉の流通や販売は主にアスカが受け持つ。洲本農林水産振興事務所によると2018年度、島内のシカとイノシシの農業被害額は、計約2900万円。狩猟期間も含めてシカ約2700頭、イノシシ約5400頭を捕獲したが、ほとんどは埋設処分された。同事務所は「施設を活用して対外的にアピールできれば」と期待する。同部部員は現在28人。地域住民らと協力しながら捕獲を試みる。昨年11月の狩猟解禁以降、イノシシ9頭、シカ4頭を捕まえた。出荷はまだだが、ジビエカレーをはじめ、ラーメンやマーボー豆腐など新たなメニュー開発にも力を入れ、“売れる肉”を目指す。副部長の2年芝池宏明さん(20)は「地元農家への被害を少しでも抑えられたら。肉の解体技術も上げ、島のジビエを多くの人に知ってもらいたい」と力を込める。

(ジビエ鹿革専門バッグブランド、クラウドファンディングで先行予約開始:兵庫)
神戸の鞄職人によるジビエ鹿革専門バッグブランド「エニシカ」が1月10日より、商品の先行予約販売を行う。野生鳥獣による農作物の被害総額は、全国で163億円(平成29年度、農林水産省発表)。捕獲コストの低減と農作物被害軽減のため、「ジビエ肉」として活用する動きもあるが利用率は少なく埋設・焼却処分されているのが現状となっている。「ジビエ皮革」の資源化・利活用の動きもあり、各地の猟師や作家、自治体が製品化。兵庫県は北海道に次ぐ「ジビエ大国」と言われており、衣食住の事業を展開する「メリケン・ヘッドクォーターズ」や天然鹿皮洗顔クロスを販売する「鹿加工組合丹波」などが独自の事業を展開している。今月立ち上がる同ブランドは、元アパレル大手のグラフィックデザイナー出身で工房ショップ「育てる革小物ma-sa」(神戸市中央区栄町通2)の革職人・松木真麻さんが野生の鹿の革を使って商品を製造。兵庫県の害獣専門タンナー(なめし革メーカー)を皮革供給元とし、供給の安定化を図る。ブランド立ち上げに合わせ、日本の風土をイメージした6色のバッグ、サコッシュ、クラッチ、コインケースを開発。国内最大手のクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」にプロジェクトを立ち上げて先行予約販売を行う。松木さんは「野生の鹿の革を使っているからこそ、傷やムラは一期一会。革1枚1枚どこを使うか状態をチェックしながら裁断しており、全てのエニシカのバッグがオンリーワンの製品になっている。革の経年変化、使うほどいい風合いになっていくのを楽しむことができるのは自然のものでなければ感じられない天然皮革の魅力。使っている鹿革は、柔らかくもちもちとした質感や絶妙な色合いを表現するオリジナルの手法で作っている。エニシカ独特の感触と使う変化を楽しんでいただけたら」と話す。

(スナイパーがラクダ最大1万頭の殺処分開始:オーストラリア)
干ばつに見舞われる豪サウスオーストラリア州で8日、スナイパーたちがヘリコプターに乗ってラクダ最大1万頭の殺処分を開始した。干ばつの影響で、野生のラクダの大きな群れが水を求めて遠隔の町に近づき、先住民のコミュニティーを脅かしている。サウスオーストラリア州当局によると、「非常に大きな」ラクダの群れが先住民の集落に侵入し、不足している食料や飲み水を奪おうとしたり、インフラ設備を壊したり、車の運転手に危険をもたらしたりしているという。2019年はオーストラリアの観測史上で最も暑く、最も乾燥した年となった。深刻な干ばつで複数の町は水不足に陥り、同国南東部を焼き尽くす森林火災の激しさは増した。サウスオーストラリア州北西部の先住民の自治体APYは、水を求めるラクダの群れが先住民社会や牧畜に圧力をかけていると訴えた。同州の環境当局はヘリコプターからのラクダ殺処分を支持しており、ラクダが渇き死んだり、水を求めてお互いを踏みつぶしたりするなどの「動物福祉の深刻な問題」も干ばつは生み出していると指摘。「動物の死骸が大切な水源や文化遺産を汚染しているケースもある」と報告した。ラクダは1840年代にオーストラリアの広大な奥地を探検するために持ち込まれた。その後60年間で最大2万頭がインドから輸入された。現在オーストラリアに生息する野生のラクダの個体数は世界最大とみられており、当局は同国内陸の砂漠に100万頭以上がいると推定する。公共放送のABCによると、ラクダの殺処分は先住民のコミュニティーから離れた場所で行われ、死骸は焼かれるという。

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(狩猟の男性、川で遺体で発見:高知)
1日、山に狩猟に出かけたまま行方が分からなくなっていた高知県香美市の59歳の男性が3日、山の近くを流れる川の中で遺体で見つかりました。警察は、誤って足を滑らせて川に転落したとみて、詳しい状況を調べています。遺体で見つかった、香美市物部町大栃の藤原元さん(59)は1日の午前8時ごろ、「狩猟に行く。昼ごろには帰る」と家族に伝え、自宅から15キロほど離れた山に猟銃1丁を持って車で向かったということです。午後になっても藤原さんが帰宅しなかったことから、家族が警察に通報し、2日の朝から警察や消防など40人余りが出て捜索していました。その結果、3日正午ごろ猟に向かった山の周辺を流れる、斜面から20メートルほど下の川で藤原さんが死亡しているのが見つかりました。藤原さんの猟銃は遺体の肩にかかっていて、近くの山の斜面に滑落した痕跡が残っていたことから、警察は藤原さんが誤って足を滑らせて川に転落したとみて、詳しい状況を調べています。

(豚コレラ疑い、感染確定なら33年ぶり:沖縄)
沖縄県うるま市内の養豚場で、家畜伝染病「豚コレラ(CSF)」に感染した疑いのある豚が見つかったことが7日、分かった。県の遺伝子検査で陽性反応が出たため、国の機関で詳細な確認作業を進めているという。8日朝に結果を公表する。県内で感染が確定すれば、1986年秋以来約33年ぶりで、県は法律に基づき養豚場で飼育されている全頭を殺処分する方針。

(豚コレラワクチンの初回接種終了:神奈川)
神奈川県は6日、豚コレラ(CSF)対策で県内の飼育豚を対象にした初回のワクチン接種が終了したと発表した。昨年12月24日から14日間で、横浜や藤沢市をはじめ県内17市町村にある73農場などの計5万2699頭に接種した。県畜産課によると、哺乳期の豚は対象外のため、今月中旬以降に離乳後の豚を対象に随時接種していく。また、母豚は半年ごとに接種するという。豚へのワクチン接種を巡っては、農林水産省が昨年12月、CSF発生確認地域に隣接する神奈川など8都府県にも拡大することを決定。国から備蓄ワクチンの提供を受けた県が接種を実施した。県内では豚や野生イノシシのCSF感染は確認されていない。

(カワウ最大営巣地が琵琶湖の島から川に:滋賀)
滋賀県内に生息するカワウの分散化が顕著になっている。関西広域連合が昨年5月に実施した調査で、生息数が最も多かったのは野洲川(栗東市)だった。長らく県内最大の営巣地だった竹生島(長浜市)はピーク時の1割以下となり、愛知川(愛荘町)に続く3位にとどまった。生息数全体がピーク時の2割にまで減る中、河川への移動が進む。専門家は「優先的に守るべき場所はどこで、許容できる場所はどこか。カワウとの共存の形を考える段階に入った」と指摘する。カワウはアユ、フナなどを大量に食べ、ふんで樹木を枯らすなどの被害をもたらす。県内に今春飛来したカワウは2年ぶりに増えて7462羽だった。ここ5年は7千羽前後で推移し、最も多かった2008年(3万7865羽)の2割程度に落ち着いている。生息地別では、野洲川が1737羽(前年比50%増)で初めて県内最多となり、愛知川が1425羽(26%増)で続いた。6年連続で最多だった竹生島は1372羽で、前年より745羽(35%減)減った。この他、大津市小野の山林(887羽)や高島市の安曇川(862羽)など計9カ所で確認された。県は09年以降、目立った漁業被害がなかった1990年代半ばの「4千羽程度」を目標に、銃器による駆除を本格化させた。かつては琵琶湖に近い竹生島と伊崎半島(近江八幡市)に集中していたが、駆除の効果で生息数は大きく減少。内陸部の川や池に分散し、18年には2番目に少ない6607羽が最多13カ所で確認された。中でも野洲川は17年に初めて確認され、一気に増加。愛知川も15年以降定着している。一方、08年に約2万9千羽が生息し、県内全体の約8割を占めた竹生島は年々減少し、今春は当時の4%まで激減した。07年に1万羽を超えた伊崎半島もわずか46羽だった。県によると、安曇川や愛知川では、周辺集落でのふん害や河川の漁業被害などの影響が出始めている。人家に近いため銃器を使った駆除は難しく、県担当者は「分散はやむを得ないが、生息域が広がり管理しにくくなっている」と話す。住民らが川面に防鳥糸を張ったり花火を打ち上げたりして追い払い、被害の抑制に努めているという。カワウの調査や駆除を手掛け、関西広域連合や滋賀県の管理計画の検討委員を務める須藤明子氏は「とにかく総量を減らそうと駆除してきたが、今後はどこで受け入れるかを考えなければいけない。移動した場所に応じていろいろな手法を組み合わせ、生活に影響が出ないよう管理することが大切だ」と話している。

(府県境でのクマ被害防止へ情報共有:兵庫)
兵庫県朝来市と京都府福知山市にまたがる夜久野高原でクマによる被害を防ごうと、両市が府県境での被害状況などについて情報共有することでこのほど合意したほか、兵庫県と京都府も連携を確認するなど、それぞれ協議を始めた。おりの設置場所などについて事前に情報を交換するという。同高原では2018年から農作物への被害が目立っていた。自宅前の道路が府県境という農家の三宅和幸さん(67)=朝来市=は昨年11月、朝来市側に所有する土地の柿の木が被害に遭ったといい、クマが歩いたとみられる跡が福知山市側から続いていた。朝来市と県に報告したところ、おりが設置されたのは朝来市側のみで、福知山市側の対応はなかった。クマを捕獲するおりの設置許可は都道府県知事が、決められた捕獲頭数の制限内で出すため、具体的な設置場所は各府県が判断している。県の担当者によると、但馬の府県境は大半が山間部のため、これまで府県で共有すべき被害情報はなかったというが、同高原では農地や住宅が混在することから「この場所だから発生した特殊な問題」と説明する。府県境に沿って住宅が並んでいる朝来市側で昨年、県は3カ所のおりで3頭を捕殺した。一方、府県境は農地が中心の京都府はおり1カ所を設置し、1頭を捕殺。朝来市の担当者は「目撃情報が朝来市民に偏っていた可能性がある」としている。三宅さんら地元住民が行政側に被害情報の共有などを求めたことを受け、府県などが協議を開始。県の担当者は「今後、被害や目撃の情報をどのように共有するか、検討を進める」としている。

(クマの被害・目撃件数が最多に:新潟)
県内では秋から冬にかけてクマの出没が各地で相次ぎ、去年、クマに襲われてけがをした人数と目撃件数が県が統計を取り始めて以来、ともに最も多くなりました。県内では秋から冬にかけクマの被害や目撃が急増し、去年10月には魚沼市で4人が襲われて大けがをしたほか、先月には南魚沼市の診療所の倉庫で親子とみられるクマ3頭が見つかり、捕獲されました。県のまとめによりますと、去年、クマに襲われてけがをした人の数は20人に上り、目撃件数も先月26日現在で1441件と、ともに平成6年に県が統計を取り始めて以来、最多となりました。県によりますと、クマの出没や被害は9月から11月にかけて急増していて、去年はブナなどの木の実が不作で、冬眠前のクマがエサを求めて人里に出没したことが原因と見られています。先月以降は目撃件数は減っているということですが、県によりますと、冬の間も人に慣れたクマが出没する可能性があるということで、山に入るときは単独行動はしないことやスズやラジオを携行すること、えさになりうる生ゴミや農作物は適切に処理をすることなどを呼びかけています。

(クマ目撃件数が過去最多:山梨)
県内では今年度、クマの目撃が相次いでいて、先月目撃件数が初めて200件を越え、統計を取り始めた平成18年度以降、最多となりました。県のまとめによりますと、今年度、県に寄せられたクマの目撃情報の件数は、先月3日に200件に達し統計を取り始めた平成18年度以降最も多かった平成24年度の199件を越えて過去最多を更新しました。県によりますと、目撃件数はその後も増え先月16日時点で203件にのぼっています。地域別で見ると、目撃が多かった順に大月市が38件、山梨市が35件、笛吹市が21件などとなっています。人がクマに襲われる被害も出ていて、去年5月に都留市の山林で60代の男性が顔などにけがをしたほか、去年10月には北杜市で60代の男性が顔や足などにけがをするなど、県内では今年度、2人がクマに襲われています。県みどり自然課は、「今は冬眠の時期で比較的目撃件数は落ち着いているが、春先には再び多くのクマが人の生活圏に来ることもありえる。時期に関係なく、特に山付近に行く際には注意してほしい」と注意を呼びかけています。

(サルの目撃情報:大阪)
大阪市西淀川区でサルの目撃情報がありました。6日10時に酉島⇒11時に百島ということですので、東(淀川区方面)に向かっている可能性もあります。1月3日に茨木市で子どもさんがサルに噛まれたとの報道もあったところです。サルを見かけても近づかないようにしてください。また12/30、午前11時15分ころから午後0時にかけて、西淀川区御幣島竹島付近で、サルの目撃情報が複数寄せられています。サルは人に危害を場合がありますので注意してください。野生のサルに遭遇したときは、おどかしたり、刺激したりせず、落ち着いてその場から立ち去ってください。

(電話1本、サル情報:富山)
畑を荒らすサルの被害に悩む富山市細入地域が、全10地区に電話1本でサルの出没情報を知らせる連絡体制を整備した。地区ごとに担当者を決め、目撃場所や逃げた方向をほかの地区に伝え、サルを素早く追い払う。細入地域周辺には約120匹が生息しているとみられる。専門家によると、サルは繰り返し危険を感じると、近寄らなくなるとされ、地域一丸で被害に歯止めをかける。各地区の男性3~5人が連絡システムに登録し、特定の電話番号に発信すると、話した内容を登録者全員が聞くことができる。細入地域には約20年前からサルが出没するようになり、現在は集落周辺に約50匹の群れが二つ、約20匹の群れ一つが生息している。サルは群れで人里に降りてくるため、一度に複数の畑が被害に遭う。住民は電気柵を設置するなど対策をとってきたが、サルは電気が通っていない支柱を登って侵入したり、体が小さい子ザルを隙間から入らせて野菜をとっていったりと、知恵比べが続く。細入地域では2018年から、サルを追い払うため、射程距離が最大約50メートルで連射機能を備えた強力な電動エアガンを全地区に配備している。連絡システムでサルが集落に近づいていることをいち早く知り、エアガンを効果的に使う。県自然博物園ねいの里の野生鳥獣共生管理員で、細入地域の庵谷地区自治会長を務める赤座久明さん(66)は、エアガンによる痛みや音で繰り返し追い払うと、サルが集落を「危険で怖い場所」と学習するという。自治会連合会長の江尻裕亮(65)さんは「システムを生かして、被害を抑えていきたい」と話した。

(ニホンザル管理計画に基づく事業の実施状況について:神奈川)
県では、平成29年度から令和3年度までを計画期間とする「第4次神奈川県ニホンザル管理計画」を策定し、サルの群れごとに計画的な追い上げや個体数調整を行うとともに、被害防除対策や生息環境整備を進め、人との棲み分けを図ることで、サルによる被害を減らすことを目指しています。令和元年度は第4次計画の中間年にあたることから、第4次計画に基づく事業の実施状況について県民の皆様にお知らせするとともに、意見交換を行うため、明会では神奈川県におけるサル対策の経緯や現状と課題、今後の方向性等についてお話します。お住いの地域に関係なく、いずれの回にも御参加いただけますが、説明内容は開催地域に合わせた内容となりますので御了承ください。県民説明会を開催いたします。

(成獣捕獲へICT活用、イノシシ対策:神奈川)
はだの都市農業支援センター(秦野市平沢)は、農業被害をもたらすイノシシの成獣を捕獲するため、箱わなに設置したセンサーで体高を識別し、成獣の高さであれば扉を閉める新たな方法を取り入れた。成獣の捕獲数が全体の3割にとどまっており、わなに触れずに餌を食べる知恵を付けたことが要因とみられる。まずは市内2カ所のわなにセンサーを設置。センターは「効果が上がれば、他の場所でも設置を検討したい」としている。センターは昨年12月24日、同市堀西と寺山の2カ所に設置された箱わなに、センサーを取り付けた。センサーで体温を感知し、わなの中にイノシシが侵入したことを確認。体高も計測し、60センチ以上の場合、わなの扉を閉めて捕獲する仕組みだ。設定した体高より小さい場合はそのまま逃がすという。センターが捕獲に情報通信技術(ICT)を活用することを決めた背景に、捕獲数の内訳がある。センターによると、箱わなは現在、市内に79基設置。3月から11月までにイノシシ計123頭を捕獲した。ただ多くは幼獣で、農地に深刻な被害を与える成獣は3割だった。農家からは「成獣が捕まらない」「わな周辺に足跡はあるが、おりの中に入らない」と嘆く声がセンターに寄せられているという。成獣がなかなか捕まらない理由について、センターは「成獣がわなの仕組みを学習したとみられる」と説明する。設置されている箱わなは、おりの中に入ったイノシシが内部のワイヤや鉄の棒に触れることで、扉が閉まる仕組みになっている。だが餌だけ食べられた例もあり、成獣がワイヤなどに触れないようにしていると考えられる。「イノシシも知恵を付けてきて、だまし合いになっている」と担当者。そこで成獣に狙いを定め、内部に触れなくても捕獲できる方法を考案した。新たな捕獲方法や鳥獣被害対策は市議会12月定例会でも話題に上り、横山むらさき(公明)、原聡(創和会)、古木勝久(無所属)の3氏が一般質問した。市環境産業部の石原学部長は、ICTの導入について「成獣を優先的に捕獲すれば、繁殖の抑制にもつながる」と説明。「他市の先進事例を収集するなど、秦野市の実情に合った効果的な活用方法を調査、研究したい」と答弁した。センターによると、イノシシによる農業被害は17年度、5251アールで2230万9千円に上る。

(「アニマルセンサーリモート」開発:徳島)
徳島県と(株)アイエスイー(三重県)、兵庫県立大学は、狩猟者が罠の作動を制御できる製品「アニマルセンサーリモート」を開発した。携帯電話やスマートフォンで操作でき、狩猟者が罠を頻繁に見回れない場合やジビエ用の新鮮な肉を手に入れるのに役立つ仕組みだ。昨年に製品化し、全国の約20地域が導入している。狩猟者からは「見回れない日の前日は罠を作動しないようにできるので、仕事などの予定に合わせた捕獲ができる」「毎日は通えない遠い地域での捕獲を頼まれているが、見回る日程に合わせて罠を作動させられるので助かる」などの声が寄せられる。導入費は1台約20万円で、類似の製品に対し比較的安価に利用できる。自動で捕獲する「らくらくモード」と、狩猟者が携帯電話などに送られた写真を見て罠の作動を判断する「本気モード」の二つのモードを搭載。いずれも携帯電話などのショートメッセージサービス(SMS)を同製品に送信して罠を操作する。前者は設定した大きさ以上の動物が檻に入った場合に自動で罠が作動し、同時に指定したメールアドレスに写真を送信して狩猟者に知らせる。長時間罠が作動する状態にしておけば見回りの負担軽減にも活用できる。充電式のバッテリーで動き、作動させ続けた場合でも約2週間持つ。後者は動物が檻に入った場合に、同製品が狩猟者の携帯電話に写真を転送。錯誤捕獲の防止に加え、群れや親子をおびき寄せてまとめて捕獲する場合や狩猟者の技術の育成にも使える。

(シジュウカラガン飛来地再生活動:宮城)
元号「令和」の典拠となった日本最古の歌集『万葉集』。登場する鳥で2番目に多いのが「雁(かり)」、つまりガンだそうです。宮城に舞い降り続けてきた渡り鳥の危機と復活について考えてみましょう。「ガンは昔から私たちに身近な水鳥だった」。こう話すのは日本雁(がん)を保護する会(栗原市)会長の呉地正行さんと会員の香川裕之さんです。多賀城に赴任したとされる万葉集編者の一人、大伴家持も雁に触れた6首を詠んでいます。マガンをはじめ多くが飛来するため、ガンは宮城の「県鳥」。江戸時代の図鑑には「仙台周辺で雁猟をすると10羽のうち7、8羽はシジュウカラガンだった」と記録が残っています。しかし、シジュウカラガンの日本飛来は1935年ごろ、途絶えてしまいました。繁殖地のアリューシャン列島と千島列島に、毛皮目的で放されたキツネの餌食となり、絶滅したと考えられたのです。アリューシャンで63年、小さな群れが再発見されて事態は好転します。米国が羽数回復に取り組み始めました。83年には日本雁を保護する会と仙台市八木山動物公園も同様の事業を共同で開始。米国に加えてソ連崩壊後はロシアの協力も得ながら、繁殖地での放鳥を続けました。一方、宮城など国内の越冬地では、冬の田に水を張って生息湿地を回復する「ふゆみずたんぼ」も進めました。現在は日本への飛来数が5000羽以上(2017年度調査)に回復。18年1月には仙台市東部上空を飛ぶ77羽の群れが確認されたそうです。多賀城には塩釜市、利府町にまたがる形で「加瀬沼」があります。「ここは江戸時代以降の記録や猟師の証言から、ガンのねぐらだったと考えている」と呉地さんは説明します。大伴家持が雁の歌を詠んだ万葉の時代、加瀬沼は多賀城の外堀の役割も果たしていました。当時、シジュウカラガンが飛来していたかもしれません。越冬地の沼や田んぼ。身近な自然を守って生き物と共生することは、歴史的な風景を取り戻すことにつながる。呉地さんたちの活動を知り、そう感じました。

(「地ジビエ」、地域ブランド化の可能性は)
「ジビエ」という言葉は、ひと昔前までは一部の食通にしか知られていなかった。しかし、農林水産省や自治体の野生鳥獣被害対策の一環で食材名称として使用されるようになったことで、急速に食シーンの一般名詞となりつつある。元々、冬の狩猟シーズンには、ぼたん鍋(いのしし)や鴨鍋などで食されてきた歴史をもつ日本の野生鳥獣だが、ここにきてその食材としての可能性が都市部、そして家庭の食卓レベルにまで広がっていることに注目したい。2019年冬現在、3大EC(電子商取引)サイトといわれる、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングの食品カテゴリで「ジビエ」を検索するとかなりの数がヒット。しかも、海外からの輸入ものに加えて、イノシシ肉、鹿肉、熊肉など、日本産のジビエが相当数あり、誰でも簡単に手に入れることができる。そして、日本産ジビエには「〇〇県産」など、狩猟地域、加工場所を明記したものが多い。つまり「地ジビエ」というわけだ。これは、「鳥獣被害防止対策支援事業」「ジビエ倍増モデル整備事業」などによって、国内の鳥獣処理加工施設が急増したことも大きく関与していると考えられる。従来の「ぼたん鍋用イノシシ肉」以外にもバリエーションが増えてきたため、筆者もECサイトでジビエを購入することが増えた。今回購入したのは山口県産「長州ジビエ」の鹿もも肉だ。通常価格は1kg2730円(税込み)。今回はブロックで購入した。解凍して切り分けると、ほとんど脂肪がない赤身で、みるからにヘルシー。一見、ステーキでもいけそうに思えるが、実際は脂がなく、すじのないところでもかなり固い肉質のため、一般家庭でシンプルに焼いて食べるには少々厳しいかもしれない(もちろん、ロースや肩ロースなどの部位を選べば、焼き肉としても十分楽しめる)。そこで今回はワイン煮込みにしてみた。ほのかな野性味がより食欲をそそる。大ぶりに切った肉で食べ応え十分だが、コスト的には牛肉で作ったときの3分の1程度というのがありがたい。インパクトがあるうえ、コストパフォーマンスが良い日本の野生鹿肉は、飲食店はもちろん、惣菜店などでも使いやすい素材ではないかとあらためて感じた。「ふるさと納税」の返礼品にも地ジビエが増えてきていることをご存じだろうか。岐阜県山県市、奈良県五條市、徳島県那珂町、鳥取県日南町、大分県杵築市、佐賀県神埼市、熊本県球磨村など、いくつもの自治体が返礼品にジビエを加え、それぞれ、ジビエの個性的な味わいや、栄養の豊富さなどをアピールしている。ジビエの返礼品には、肉そのものと加工品があるが、こちらは、長崎県対馬市の返礼品「島ジビエ」。害獣として駆除したイノシシ、鹿を使ったシャルキュトリ(フランス式の肉加工品)だ。イノシシのベーコン、イノシシ肉を使ったパテ・ドゥ・カンパーニュとレバーパテ、鹿肉とイノシシ肉を使ったモザイクソーセージの詰め合わせで、どれも本場フランスのものにひけをとらない味わいに仕上がっている。野生鳥獣被害対策として、ジビエを捕獲・食肉加工しても販路が難しいという話も聞くが、地域ブランドとして確立していくことも必要になってくるのだろう。また、対馬の「島ジビエ」のように、卓抜した加工技術で「ほかにはないおいしさ」を創り出すことも今後のジビエ販路の拡大につながると考えられる。ジビエを味わいに行くならハイクラスなフランス料理店というのが一般的。また、日本古来のぼたん鍋も料理店で味わうとなると決して気軽に楽しめる価格ではない。それを打ち破ったのが滋賀県で「カレーハウスCoCo壱番屋」をフランチャイズ展開する株式会社アドバンスだ。県内の11店舗で、地元猟友会と協力して滋賀県産の鹿を使った「近江日野産 天然鹿カレー」をオンメニューしている。一皿に、ひと口大の鹿肉が5切れ程度。鹿肉ならではの風味を残しつつ、食べやすく仕上げられている。ジビエならではのクセが強いと初めての人には食べにくいだろうし、かといって消しすぎると風味のない牛肉のようになってしまい「鹿肉を食べたい」という要求に応えられない。そのバランスをうまく考えた使い方に驚かされた。スパイシーなカレーソースの中でもジビエの個性が生きていて満足感が高い。しかも、966円(税込み)という価格でジビエが味わえるのは画期的といえる。野生鳥獣被害対策で各地に処理施設も建設され、これからはその販路が今以上に問題になってくる日本のジビエ。新しい食文化として根付かせるためにも、関係業界の協力は必須といえる。「ジビエ」という言葉の認知度も上がってきている今こそ、飲食業以外にも多くの業態がジビエに取り組む可能性が見えてきたのではないだろうか。

(イノシシ肉、上品な味のカレーに:新潟)
カレー専門店を展開するキリニフーズ(新潟市中央区)は、イノシシ肉を使ったレトルトカレー「イノシシのキュリー」を発売した。素材をじっくりと煮込み、上品な味に仕上げた。野生鳥獣肉ジビエを、身近な食品だと知ってもらう取り組みとして企画した。同社の森本祐造社長が代表を務める野生鳥獣処理施設「柿崎ブーシェリー」(上越市柿崎区)と連携。ブーシェリーが、自然の中で育ち、鮮度の良いイノシシを厳選した。カットした骨などを香味野菜とともに15時間煮込み、うま味を最大限引き出した。ひき肉も使い、素材の味を生かす味付けとした。イノシシなど野生鳥獣の肉には「硬い」「臭い」といったイメージがあるため、まずおいしさを知ってもらう狙いだ。消費を広げ、将来的には獣害対策に悩む農業者らの負担も減らしたい考え。森本社長は「適切な処理をすることで本来の野生の肉はおいしくなる。食べてもらう機会を増やしていきたい」と話している。

(七草入りシシ雑炊いかが:大分)
七草の節句の7日、佐伯市直川上直見の「レストランコリーヌ」(直川カントリー倶楽部内)で、地元のソウルフードのシシ雑炊に春の七草を入れた新メニュー「七草入りシシ雑炊」が訪れた人たちへ無料で振る舞われた。新メニューは1993年5月にレストランがオープンして以来、店主の橋迫喜美代さん(69)が毎年1月7日、店の常連やお世話になった人たちに元気に1年を乗り越えてもらおうと無料で振る舞ってきた料理だ。イノシシやシイタケ、ゴボウ、春の七草など、すべて直川産の材料を使っている。イノシシの骨を2日間煮込んで取ったスープに薄口しょうゆやみりん、塩を加えたシンプルな味付けだが、奥深い味わいで臭みもない。

(罠シェアリング、猟期シーズン後期入会キャンペーン:埼玉)
株式会社カリラボ(創業:吉田 隼介、本社:秩父郡横瀬町、以下カリラボ)は、猟期後期に差しかかる2020年1月8日より、「ワナシェア」(罠シェアリング事業)にて、希望者向けにシーズン後期入会キャンペーンを実施いたします。

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(鳥インフル、確定検査で「陰性」:新潟)
12月、阿賀野市で回収されたヒドリガモの死骸から鳥インフルエンザの陽性反応が出ていた問題で、県は確定検査の結果、陰性だったと発表しました。県によりますと、12月19日、阿賀野市でヒドリガモの死骸が見つかり、国立環境研究所で遺伝子検査をしたところA型の鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ました。その後、国の検査機関で確定検査をした結果、A型の鳥インフルエンザウイルスは検出されず、陰性だったと発表しました。環境省はカモが見つかった現場の半径10キロ以内を監視の重点区域に指定していましたが、解除しました。

(サルやイノシシに襲われけが:兵庫)
1日午後、兵庫県姫路市内で人が野生の動物に相次いで襲われ、けがをした。同日午後2時半ごろ、同市林田町口佐見の国道29号では、止めた車の助手席にいた市内の自営業の男性(42)が開けていた窓越しにサルに右手を引っかかれ、軽傷を負った。姫路署によると、昨年10月以降、同町を中心に目撃情報が30件以上あるといい、12月にも同町で男性がサルに引っかかれてけがをした。同日午後10時40分ごろ、同市余部区上余部の路上では、歩いていた近くの男性(69)がイノシシに背後から尻と腰をかまれ、軽傷。網干署によると、県猟友会員が2日午前、逃げたイノシシを捕獲したという。

(6歳女児がサルに襲われ足にけが:大阪)
大阪府茨木市で6歳の女の子がサルに襲われ、足に軽いけがをしました。友達とかくれんぼをしている6歳の女の子。電柱の向こう側から突然、サルが襲いかかります。3日、午後5時ごろ、茨木市北春日丘の路上で、6歳の女の子が、友達数人と遊んでいた所、突然サルに襲われました。女の子は、左足のふくらはぎを噛まれるなど軽傷を負っています。サルに襲われた女の子は「誰かなと後ろを振り返ったらサルやった。めっちゃ痛かった」と話しました。警察によりますと、サルは今月1日から連日、現場近くで目撃されており、大阪府は、サルを目撃しても近づかないように注意を呼びかけています。

(野生ザルの被害続出「食べ物見ると襲ってくる」:大阪)
2019年末から年明けにかけて、大阪府北部で野生のサルに児童が襲われ軽傷を負う被害が相次ぎ、目撃情報が多数寄せられている。府動物愛護畜産課は、サルが興奮する行動を避けるよう注意を呼びかけている。同課によると、12月25日朝、吹田市山手町2の路上で4歳の男児がサルに飛びかかられて転倒し、膝や額に擦り傷を負った。吹田市内では、同18~30日にも柿の実を食べるサルが複数回、目撃されている。また茨木署などによると1月3日夕方には、茨木市北春日丘3の路上で、6歳の女児がサルにふくらはぎやすねをかまれるなどした。茨木市内では同1~3日に民家のベランダや路上で目撃情報が相次いでいる。同課によると、目撃情報はいずれも1匹で行動するニホンザルだといい、群れを離れた大人の雄が別の山へと移動する途中で市街地に現れている可能性があるという。担当者は「サルが大声を聞いたり、食べ物を見ると、襲ってくる危険がある」として、注意を呼びかけている。

(新年早々イノシシ騒ぎ:石川)
4日午前7時ごろ、金沢市鳴和1丁目の金腐川でイノシシ1頭が目撃され、付近住民の通報を受けた金沢東署員や市職員、猟友会員らが周辺を捜索した。イノシシは金沢星稜大そばの上流に向かって移動し、同11時40分ごろに捕獲、駆除された。亥(い)年が去った新年早々のイノシシ騒ぎとなった。金沢東署などによると、イノシシは体長1メートル超の成獣で、体重は100キロ以上とみられる。捕獲の際には猟友会員らが約10人がかりでロープを引っ張った。イノシシは河川敷から出ておらず、けが人や建物被害は確認されていない。

(メダルに照準、クレー射撃・中山由起枝選手:茨城)
張り詰めた空気を「バン」というライフルの音が引き裂く。弾は標的のクレーに命中し、クレーは粉々に砕け散った。火薬のかすかなにおいが鼻をつく。栃木市の山間部にある射撃場。東京五輪クレー射撃代表に内定した日立建機の中山由起枝選手(40)が先月、調整していた。元々はソフトボールに打ち込んでいた。出身の結城市で小学校高学年の時に始め、市立結城中学から強豪の埼玉栄高校に進学。捕手として3年の全国総体で準優勝した。最優秀選手にも選ばれ、将来の日本代表とも期待されていた。

(初の試験植樹、枯死やシカ食害深刻:奈良)
国の特別天然記念物で世界文化遺産の一部でもある「春日山原始林」(奈良市)で、植生を保全するための試験的な植樹が初めて行われた。害虫が運ぶ病原菌で樹木が枯死する「ナラ枯れ」やシカの食害などが原因で、古来守られてきた森林の景観が壊れる可能性が指摘されているためだ。ただ過去にこうした目的で植樹を行った記録はなく、効果が出るまでには時間がかかりそうだ。春日山原始林は奈良公園の一部で、春日大社の神域とみなされたことから841年以降、狩猟や伐採が行われず、原生的な環境が守られてきたとされる。シイやカシが優占する照葉樹林が大部分を占め、大木が多く「春日杉」と呼ばれるスギなどもある。11月に試験植樹を行ったのは、春日大社の東側にあたるエリア。山中を走る「奈良奥山ドライブウェイ」沿いの大木が枯れた跡地など、2カ所に合計30本の苗木を植えた。苗木は原始林内でシイやカシ類のドングリを拾い、発芽させて数年間育てた。学術関係者らが見守る中、県から委託された事業者が苗木を植え付け、シカの食害から守るための柵も設置した。植樹は2016年に策定された「春日山原始林保全計画」に基づく。特別天然記念物の298ヘクタールと、隣接する人工林エリアの計約500ヘクタールが対象で、現状維持だけでなく「照葉樹林が元の姿に戻ることを支援する」のが特徴だ。県が13年に行った調査によると、シイやカシなどの広葉樹で胸の高さの直径が80センチ超の大径木は369本あった。うち1メートル超のものは144本で、市民団体が02年に行った巨樹調査と定義や条件を近づけて比較し、急減したとするデータも示された。実際、その後の調査で369本のうち59本が18年度までにナラ枯れなどで枯死している。さらに大径木周辺や倒木などでできた林の隙間で同様の樹種の「後継樹」が育っていないことも判明。要因の一つがシカだ。神鹿(しんろく)として保護されてきた「奈良のシカ」は近年増加傾向で、19年には過去最多の1388頭に上った。シカがシイやカシのドングリや若木を食べてしまうという。代わりに増えるのがナギや外来種ナンキンハゼといったシカが食べない樹木。特にナンキンハゼは紅葉が美しく生育も速いため街路樹として人気で、奈良公園内にもある。種が鳥に運ばれているとみられ、市民団体「春日山原始林を未来へつなぐ会」の酒井二郎副会長は「一昨年の台風で折れた木の跡地に出ている新芽はナンキンハゼばかり」と指摘する。県は同会の協力も得て外来種を駆除したり、13年からシカ対策の「植生保護柵」を人目につかない計36カ所に試験的に設置したりしてきた。植樹はこうした取り組みと並行し、森林の自然な「更新」を促す目的で、長期間かけて効果をモニタリングする方針だ。手つかずの自然とされる原生林や天然林と異なり、春日山原始林は人の手で守られてきた。歴史的にも台風による倒木の記録が残り、外来種の増加を危惧する指摘は1980年前後から見られる。奈良教育大学の松井淳教授(植物生態学)は「手を入れないことが良いという考え方もあるが、そうもいっていられないほど『崩壊』が速まっている」とした上で、「保全のノウハウはない。5年や10年で効果が出るわけではなく、息の長い取り組みが必要だ」と話す。

(クマ肉特産化へ加工施設:秋田)
人里での出没が相次ぐツキノワグマ、目撃が増えてきたニホンジカとイノシシ。野生鳥獣の被害対策や地域振興につながると注目されるジビエ(野生鳥獣肉)活用が、秋田でも動き出そうとしている。狩猟をなりわいとするマタギの文化が各地に伝わる本県だが、「ジビエ料理」にいまひとつピンとこない県民もまだ多いはず。県内の取り組みとジビエの最前線を紹介する。かつて多くのマタギ集団がいた仙北市田沢湖地区。市街地のど真ん中に、クマなどのジビエを食肉処理する加工施設がある。田沢湖地方猟友会の会員らでつくる「田沢湖ジビエの会」が昨秋開設した。従来は山の中や小屋で行っていた作業を、食品衛生法の基準にのっとった施設で行うことで、市場で販売できるようになる。約30平方メートルの小さな小屋だが、県内で同様の施設はまだないのが現状だ。ジビエの会の会長で、同猟友会長でもある菅原陽三さん(77)は「全国的にジビエが盛り上がっているが、秋田では動きがない。しかしクマやシカ、イノシシは目に見えて増えている」。猟友会員の高齢化や減少が続く中、現状のままでは駄目だという危機感が背景にあったと語る。クマ肉を収益に変えつつ、ジビエを広めて狩猟に関心を持つ若者を増やす。そんな青写真を描く菅原さんは「クマやシカなどの肉が、仙北市や秋田県の特産となるように頑張りたい」と意気込む。

(おせちに飽きたらヌートリア:東京)
子年の2020年、大型ネズミ「ヌートリア」を食べちゃおう。飲食業を手掛ける宮下企画(東京都新宿区)は、居酒屋「米とサーカス」とジビエ肉バル「パンとサーカス」で、ヌートリアの肉を使用したメニューを2020年1月2日から1月31日までの期間限定で提供する。20年の干支「子」をテーマにしたフェア「新春子(ヌートリア)祭り」で、ラーメン、唐揚げ、鍋、グリルなど全部で7品がそろう。ヌートリアは、ネズミ目に属する哺乳類で、日本では西日本各地の水辺に生息している。肉はタンパクで上品な味わいで、やわらかく食べやすいという。今回は、岡山県で猟師が獲ったヌートリアを料理に使用する。新春フェアは、「米とサーカス」高田馬場本店、渋谷PARCO店、錦糸町ダービー通り店と、「パンとサーカス」新宿三丁目店の4店舗(いずれも東京都)で開催される。「米とサーカス」ダービー通り店で提供される「ヌートリアヌードル」は、ヌートリアの骨を5時間以上かけてじっくり煮込み、ヌートリア本来のうま味を引き出した塩ラーメンだ。ラーメンの上には、ヌートリアハムが乗っている。価格は1480円。「ヌートリアの塩焼き」は、ヌートリアをシンプルに塩焼きで仕上げ、素材の美味しさが感じられる1品。「米とサーカス」高田馬場本店で提供され、価格は2280円。「ヌートリアの唐揚げ」は、「米とサーカス」渋谷PARCO店のメニューで、価格は1280円。同店舗では、1月2日~3日の限定で「ヌートリアのお雑煮」も販売する。ヌートリアの各部位を惜しみなく使用し、滋味深い味わいとのこと。価格は600円。「パンとサーカス」新宿三丁目店では、「ヌートリアのグリル」を提供する。1日3食限定で、シカ、イノシシ、クマなどの肉と食べ比べもできる。価格は3400円。

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(野生のカモから鳥インフルエンザ陽性反応:新潟)
今月、新潟県阿賀野市で野生のカモ1羽が死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、鳥インフルエンザの陽性反応が出ました。新潟県によりますと、今のところ、半径10キロ圏内の養鶏場に異常はないということです。新潟県と環境省によりますと、今月19日、阿賀野市の水路で野生のヒドリガモ1羽が死んでいるのを近くに住む人が見つけ、連絡を受けた県が回収しました。国立環境研究所が遺伝子検査を行ったところ、鳥インフルエンザのA型の陽性反応が出たということで、今後、別の研究機関でさらに詳しい検査が行われることになっています。確定的な結果が出るまでには1週間程度かかる見通しだということです。新潟県によりますと、半径10キロ圏内にある養鶏場に連絡を取ったところ、これまでに異常は見られないということで、対策の徹底を指示したほか、水辺や山などで野鳥の監視を強化しています。

(虚偽の調査書作成か、巡査処分:高知)
警察署の20代の巡査が、猟銃所持の更新手続きを担当した際、更新希望者の自宅訪問などを行わないまま虚偽の調査書を作成したとして、虚偽有印公文書作成などの疑いで書類送検されていたことが分かりました。県警察本部監察課によりますと、県内の警察署の20代の男性巡査が、ことし3月と7月、猟銃所持の更新手続きを担当した際、更新希望者の自宅訪問や面接、それに猟銃の保管場所の確認などの必要な調査を行わないまま虚偽の調査書を作成していたということです。県警察本部は、この男性巡査を今月9日付けで虚偽有印公文書作成などの疑いで書類送検するとともに、同日付けで本部長訓戒の処分としました。高知地方検察庁は、この男性巡査を不起訴にしたということですが、理由は明らかにしていません。県警察本部監察課の聞き取りに対し、男性巡査は、「調査結果の提出期限が迫っていたため、調査をしたかのようにして提出してしまった。反省している」と話しているということです。県警察本部監察課は「人事管理と職務倫理を徹底し、再発防止に努めます」とコメントしています。

(猟犬放置し小学生にけが、罰金50万円:徳島)
徳島区検は26日、飼い犬の管理を怠り小学生の姉妹3人にけがを負わせた阿南市の農業男性(79)を業務上過失傷害、狂犬病予防法違反の両罪で略式起訴した。徳島簡裁は罰金50万円の略式命令を出し、即日納付された。命令などによると、男性は昨年3月18日にイノシシ猟で入った佐那河内村の山中で猟犬を見失ったが十分捜さず、民家の敷地で猟犬が姉妹3人にかみついてけがをさせた。また飼い犬4匹を阿南市に登録していなかった。

(クマにかまれ県職員がけが:島根)
25日午前、益田市で県の職員がツキノワグマの入ったおりを運ぼうとしたところ、クマに左足をかまれ軽いけがをしました。25日午前9時40分ごろ、益田市匹見町で県の職員が、おりにかかったツキノワグマを殺処分しようと、人気のない場所までおりを運ぼうとしていたところ、このクマに左足をかまれました。男性職員は病院で手当を受けましたが、内出血を伴うもののけがの程度は軽いということです。県によりますと、職員を襲ったツキノワグマは体長が147センチ、体重が62キロの大人のメスで、すでに殺処分されたということです。おりは益田市が設置した鉄製で、クマはさびて腐食した部分を壊して、その部分から頭を出してしたということで、職員がおりに戻そうとしたところを襲われたということです。県では今後、県が設置している37基のおりについて、さびなどによる腐食が進んでいないか点検を行うとともに、おりを設置している市町村に対しても、注意や点検の実施を呼びかけることにしています。

(イノシシ大暴れ、3人けが:富山)
28日午後0時15分頃、富山県入善町神林で、男性3人が相次いでイノシシに襲われるなどして、重軽傷を負った。襲ったとみられるイノシシは地元の有害鳥獣捕獲隊員によって約30分後に駆除された。県は、イノシシを見かけたときは、近づかずに自治体や警察に通報するよう呼びかけている。入善署や県などによると、男性(71)が自宅の車庫でタイヤ交換中、突然イノシシに右足の太ももをかまれ、重傷を負った。また、付近の路上を歩いていた男性(31)が、イノシシに驚いて転倒し、右肘打撲などの軽傷を負い、イノシシを追いかけた別の男性(59)も、右腕をかまれ、軽傷を負った。イノシシは、約30分後、現場から西に約2・5キロ離れた同町青木の用水路で駆除された。

(ヒグマ捕獲、62年以降で最多918頭:北海道)
2018年度に道内で捕獲されたヒグマの数は、前年度を67頭上回る918頭で確定し、統計が残る1962年度以降で最多となった。道が公表し、農業被害額も初めて2億円を超えた。生息数の回復や、耕作放棄地が増えてクマの生息域と住宅街の距離が縮まっていることなどが背景とみられる。道によると、捕獲されたクマはいずれも駆除されている。自治体や農業団体が道の許可を受けて猟友会などに依頼し、銃で直接撃つケース、箱わなで捕まえて射殺するケース、狩猟によるケースの合計。捕獲数は統計の初年度、62年度の868頭が最多だったが、18年度はこれを更新。17年度の851頭をも上回った。農業被害額は2億2800万円で、これまで最大だった17年度の1億9800万円を3千万円上回った。

(外来種シカ生息数調査へ:和歌山)
和歌山県は、国内で唯一、外来種のタイワンジカの生息が確認されている、和歌山市沖の無人島「友ヶ島」に、定点カメラを設置して、生息数を詳しく調べることになりました。和歌山市沖の無人島「友ヶ島」では、60年ほど前に、当時の観光会社が持ち込んだ、外来種のタイワンジカが野生化し、国内で唯一、繁殖が確認されています。この友ヶ島から海を挟んで10キロほどの場所にある大阪・岬町では、平成28年に二ホンジカとタイワンジカの遺伝子を持つシカが見つかっていて、和歌山県では、タイワンジカが海を泳いで対岸に渡り交雑したとして、対策を検討しています。こうした中、和歌山県はシカの繁殖状況を把握しようと、来月、島にカメラを20台設置して、詳しい生息数を調べることになりました。県によりますと、平成29年に環境省が行った調査では、タイワンジカがおよそ70頭いることがわかっていて、県は今回の調査でシカがどれだけ増えているか確認したうえで交雑を防ぐための対策をたてたいとしています。和歌山県自然環境室は「いまのままでは、タイワンジカがいつでも島から泳ぎ出せる状態なので、今後、外来種との交雑のリスクをなくすためにも、島を管理する和歌山市とも協議しながら対策を進めていきたい」としています。

(陸自演習場でシカの駆除始まる:大分)
玖珠町や九重町など、陸上自衛隊の演習場内で繁殖したシカが田畑を荒らす被害が相次いでいることを受けて、演習が休止となる年末年始の26日から、地元の猟友会がシカの駆除を始めました。大分県の陸上自衛隊の日出生台演習場などの周辺の玖珠町や九重町などの田畑では、演習場内で繁殖したシカが農作物を食い荒らす被害が相次いでいます。このため毎年、演習がない年末年始に地元の猟友会が演習場に立ち入り、シカの駆除ができるよう自衛隊と周辺自治体が5年前に覚書を交わしています。ことしは26日から来月5日まで駆除が行われることになっていて、玖珠町では26日朝8時半に、地元猟友会の30人ほどが演習場近くに集まって出発式を行ったあと、駆除のため演習場に向かっていきました。大分県によりますと、日出生台演習場では1000頭を超えるシカが生息していると推定されていて、駆除をしなければ毎年200頭ずつ増えていくことが予想されています。玖珠町猟友会の藤本勝美会長は「周辺の農家がシカの被害でとても困っているので、全力で駆除に取り組みたい」と話していました。

(ウミガメ卵のイノシシ食害続く:鹿児島)
国内有数のウミガメ上陸・産卵地として知られる鹿児島・奄美大島などで、絶滅危惧種のウミガメの卵がリュウキュウイノシシに食べられる被害が続いている。ウミガメ研究者などでつくる「奄美海洋生物研究会」(興=おき=克樹会長)によると、今年はウミガメの産卵巣293カ所のうち47カ所で被害が確認された。ウミガメの上陸・産卵は年々減少しており、研究会は食害の影響を懸念している。研究会によると、イノシシによる食害は2008年に奄美大島の南西の請島(うけじま)で初めて確認された。研究会は12年から荒らされた産卵巣を本格調査。被害は年々増え、最も多かった17年は産卵巣632カ所のうち154カ所、昨年は384カ所のうち82カ所の卵が掘り返され、周りに割れた殻が散らばっていた。一度産卵巣が荒らされた浜は翌年以降も狙われる傾向があり、今年被害に遭った浜6カ所はいずれも数年続けて襲われている。請島の浜3カ所では調査を始めた12年以降、ほぼ全ての産卵巣の卵が食べ尽くされているという。背景には島で進む過疎化がある。被害に遭った浜がある奄美大島の大和村は、この10年間で人口が400人以上減り、1411人(10月1日現在)。かつては山から人里に下りてきたイノシシが浜の背後地の田を荒らしていたが、過疎化で耕作放棄地が目立つようになった頃から浜まで下りてくるようになったという。研究会は「高齢化・過疎化によって、リュウキュウイノシシが人間を警戒することなく砂浜まで行きやすくなっている地域が多い」と指摘する。日本に来るウミガメの大半を占めるアカウミガメとアオウミガメは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定され、国内では1980年代から保護活動が本格化した。そのかいあってか国内の上陸・産卵数は少しずつ増え、奄美大島でも12年は1081回の産卵を確認できた。しかし、その後は年々減少し今年は293回。興会長は「被害が続けば今後の個体数に関わる」と対策強化を訴える。ただ、対策は容易ではない。産卵巣を柵や網で守れば一定の効果があるが、鹿児島県の担当者は「多くの浜は市町村の中心部から遠く、役場の職員が行き来するのは大変。人員や予算を考えると難しい」と話す。一方、ウミガメが養殖の網を破ると訴える漁業者から「むしろウミガメを駆除してほしい」と求められている自治体もある。長崎県などで有害鳥獣の駆除に携わった農研機構・鳥獣害グループの平田滋樹上級研究員は「地元ではイノシシによる被害はウミガメの卵だけでなく農作物や住民生活にも及んでいるだろう。そうした被害全般の対策を講じて人間との緊張関係を保てば、イノシシは警戒して浜まで行きにくくなる。地域で合意形成しながら進めることが大事だ」と話す。

(クマ対策で県が生息数を調査へ:福井)
ことし県内ではクマが大量に出没し、9人が襲われてけがをしましたが、県は対策を進めるため4年ぶりに県内に生息するクマの数を推定する調査を行うことになりました。県内では、ことしの秋から冬にかけて各地でツキノワグマが大量に出没し、10月と11月にはクマに襲われる被害が相次ぎ、けがをした人は過去10年で最多の9人にのぼりました。こうした中、県は今後の対策を進めるために、山の中にいるクマの生息数を推定するための調査を4年ぶりに行うことになり、9月から作業を始めています。調査は、山の中に設置した有刺鉄線に付着したクマの体毛から個体を識別し、周囲の山の中にどのくらいの数のクマがいるか密度を割り出して生息数を推定するものです。前回、4年前に行われた調査では、県内におよそ950頭が生息していると推定されたということです。今回の調査は、来年度にかけて行われる予定で、県は調査で割り出した生息数をもとに、県内のクマの増減など最新の情報を把握し、人が暮らす地域にクマが出没した際などに駆除する数の上限を設定し直すなど、今後の対策に活かすことにしています。

(カワウ追い払い、柵にビニールテープ効果:長野)
県水産試験場諏訪支場(下諏訪町)などは諏訪湖の水産資源への被害軽減策として、魚食性鳥類のカワウのねぐらになりつつあった諏訪湖の人工島「初島」の柵にビニールテープを巻き付けている。同支場によると、一時は約180羽が島をねぐらに使っていたというが、対策後は数羽ほどに減った。テープを使う追い払いは昨年、上川で実施したのに続き、2年目。「効果はある」(同支場)としている。初島は秋ごろからカワウが集中し、一時は島全体がふんで覆われ、石彫公園の湖畔からも初島の樹木などが白く見えるほどになっていた。今月19日には、諏訪湖の観光関係者らでつくる初島奉賛会(横山真会長)が初島に上陸し、高圧洗浄機やデッキブラシを使って掃除した。横山会長は「初島内の木にも何らかの対応があった方がいい」と感じたという。テープは市販のビニール製。昨年はカワウが密集していた諏訪市上川の上川河川敷に立つ高さ15メートルほどの木に、植物由来でバクテリアによって分解される特殊なテープをドローン(小型無人飛行機)を使って巻き付け、寄り付かないようにしたが、今年は人の手の届く範囲で作業ができるため、一般的なビニールテープを使ったという。同支場によると、カワウはテープの揺れや風切り音を嫌がっているらしいが、「テープの何がカワウに効いているのかはよく分からない」としている。テープの巻き付けとカワウの監視は当面続ける予定。同支場は「カワウがテープ自体に慣れてしまい、また戻ってくることも考えられるが、まずは水産資源への被害軽減に少しでもつながればいい」と話している。

(羅臼町のクマ出没、ワースト2に:北海道)
道東の羅臼町では今年度上半期の市街地でのヒグマの出没が過去10年で2番目に多くなり、野生生物の保護管理をしている知床財団は「クマの警戒心が低下していること」などが影響しているとみています。環境省などのまとめによりますと、ことし10月までの半年間に羅臼町の市街地で確認されたヒグマの出没は123件と、統計が残る過去10年で2番目に多くなっています。このうち7月から8月にかけては飼い犬がヒグマに襲われる被害が3件相次いで起きています。ヒグマの出没が増えている理由について、知床財団は人里に対するクマの警戒心が低下していることや、生息域ではそ上するサケ・マスや木の実が少なかったことなどが考えられるとしています。その上で、知床財団は「ヒグマは早ければ3月に冬眠から目覚める。山に近い住宅では背丈の高い草を刈って見通しをよくしたり、飼い犬を屋内に入れたりするなど対策を取ってほしい」と話しています。

(わが物顔のサル・シカ・クマ:東京)
サルやタヌキやシカとみられる野生動物が目撃されたのは、東京都の西の端にある奥多摩町。その中でも、最も西側に位置する日原地区。鍾乳洞や渓流釣りなどのレジャーが楽しめる、観光客にも人気だという、この地区に何が起こっているのか。地元の団体のSNSには、「日原街 道は動物園状態です。」というコメントがあった。いったい、どんな様子なのか聞いてみると、日原地区に60年住む住民は「ことしは、特に多い」と話した。日原保勝会・原島二三和事務局長は、「頻繁に見るようになりましたね。山々(山の中)にいる動物がたくさん出てきている。サルが屋根に登ったりするんで。この前もBSのアンテナを曲げられ、映らなくなったと...」と話した。中には、家の中に入ってきたと訴える人も。地元住民は、動物が頻繁に現れるようになったわけを「台風19号」とみている。10月に猛威を振るった台風19号で、日原地区につながる唯一の道路が崩落。2カ月以上たった12月も徒歩でしか通行できないことが、動物たちがわが物顔で現れる理由の1つだとしている。なぜかというと...。原島事務局長は、「(以前は)車通りも多かったりとか、音も結構してたんで。今はそういうことがあんまりないんで、(動物の)警戒心も途切れている」と話した。道路の復旧が遅れ、観光客がほとんど来ないため、動物の警戒心が薄れたという。確かに取材中も、タヌキが道路を平然と横切り、住民が猫のために置いていた餌を失敬。さらに、サルやシカ、イノシシにキツネ。そして、なんと、クマまで頻繁に出没するようになったという。日原地区に動物たちが頻繁に出現する理由について、専門家も台風などが原因で、人の往来が減ったことが理由の1つと指摘。また、全国各地の街中で、山に生息する動物たちの姿が目撃される理由についても、同様の問題があるという。東京農工大学・梶光一名誉教授は、「一番大きいのは、人間が減っていくことですね。人間がどんどん撤退していって、動物の生息地を増やしている。その結果、動物と人間のせめぎ合いの場が里地里山からどんどん都心の近く、都市部の方に入っていきます。迫ってきています。それが一番、都市に侵入する大きな問題」と話した。東京都によると、日原地区の道路崩落現場は重機の搬入が困難な場所で、完全復旧におよそ1年かかる見通しだという。

(特急がシカと接触:北海道)
26日午後7時15分ごろ、JR室蘭線の幌別―富浦間で、函館発札幌行きの特急スーパー北斗17号(9両編成、乗客229人)がシカと接触し、停車した。乗客乗員にけがはなかった。 JR北海道によると、車両点検を経て約45分後に運転を再開した。

(逃走カピバラ、見つかりました:神奈川)
平塚市の花水川などで目撃された南米原産でネズミの仲間のカピバラが31日、大磯署などにより捕獲された。今夏から湘南地域一帯で目撃情報が相次ぎ、地元で「カッピ-」の名で親しまれていたカピバラの可能性が高く、署が飼い主を探している。署によると、同日午後1時40分ごろ、大磯町西小磯で体長1メートル以上もあるカピバラがいるのを通行人が発見し110番通報。署員や町関係者らが出動し、住宅の縁の下に逃げ込んだところをイノシシ用の檻を仕掛け、午後4時半ごろ捕獲に成功したという。6月ごろから藤沢、茅ケ崎市内の河川敷でカピバラの目撃情報が相次ぎ、28日には花水川の中州にいたのが見つかった。捕獲を試みる保健所などの手から半年にわたり逃げていたとみられる。藤沢市内の男性が「ペットのカピバラが逃げた」と藤沢北署に届け出ているといい、大磯署が確認を急いでいる。捕獲を手伝った同町の獣医師中山和也さんは「1日も早く飼い主の元に戻ってくれれば」と話した。

(狩りガール押し立てイノシシ狩猟:茨城)
茨城県がイノシシ狩猟コンテストを行っている。亥年(いどし)の今季が初開催。元年度の「狩猟者登録」を行ったものが参加でき、新年2月15日まで県内で捕獲したイノシシ限定で体長の大きさを競う。県民以外でも参加できるが、茨城県で狩猟者登録を行い、県内で捕獲した体長(尾の付け根から鼻の先までの長さ)100センチ以上のイノシシが対象になる。捕獲方法はわな猟、銃猟になるが、国の補助金が出ている有害鳥獣捕獲許可と指定管理鳥獣捕獲等事業で捕獲したイノシシは対象外となる。参加者は捕獲したイノシシを横たわらせ、メジャーで採寸する写真を撮って応募する。コンテストは、体長に後ろ足長を加算したポイントを基準に審査し、上位入賞者を決める。第1位は最優秀狩人賞として10万円相当の副賞が贈られるのをはじめ、5位までを表彰。女性参加者の第1位には狩りガール賞(副賞5万円相当)、応募数が最も多かった者には特別賞として県猟友会長賞(副賞5万円相当)が出る。県によれば、県内のイノシシによる農作物被害は17年度に約1億5000万円で、前年から約3割増加し、獣類全体の8割以上、鳥獣全体の約3割を占めた。さらに最近は市街地にまで出没し、通学や日常生活の安全安心の観点から看過できない状況になっている。対策の強化が求められる一方で、捕獲の担い手となる狩猟者は20年前に比べてほぼ半減した。狩猟免許所持者の約7割が60歳以上と高齢化も進んでいるなど、全県的に担い手の確保が大きな課題となっている。このためコンテストは、狩猟の意義や役割を広く発信し、理解を深めてもらうとともに、少しでも多くの人に捕獲の担い手になってもらう機会と位置づけ実施する。この際「大型獣を駆除するほど個体数の減少に効果があるという研究結果もある」(県自然環境課)ことから100センチ以上を対象にした。現在わな猟、銃猟合わせ延べ4000人近くが参加資格を持つという。コンテストは県の主催、県猟友会の協力で行われるが、応募や問い合わせの窓口は旅行代理店が担っているのが異色だ。同店では今季の猟期中、2回に分けて「狩りガールと行く狩猟体験ツアー」(主催は県)を企画・催行しており、第1回の「わなプラン」は今月7、8の両日、城里町で行った。箱わなの架設見学やイノシシの解体体験に29人が参加、土浦市から3人、つくば市から1人の参加もあった。全体で20代、30代からそれぞれ2ケタの参加者があり、底辺拡大の目的は一部果たした。来年2月8、9日には第2回「銃プラン」の開催が予定されており、こちらは1月17日の締め切りを前に募集定員超え、抽選が必至となっている。

(野生動物調査で連携:山梨)
山梨県道志村と山梨大は、自然環境や健康・福祉などさまざまな分野で協力し、地域振興を図るための包括連携協定を結んだ。調印式が16日に村役場であり、長田富也村長と島田真路学長が署名した。地域協働事業として、同大生命環境学部の馬籠純助教を中心に、小中学生や猟友会員らの村民、専門家、NPO法人などと連携した「野生動物との豊かな共生」に取り組む。ドローンで野生動物の生態を調べ、シカやイノシシなどの農林業被害防止に生かすほか、県全体の獣害対策につなげることもめざす。山梨大によると、同大と県内自治体の包括連携協定は14例目。野生動物の調査・分析を内容にしたものは初めてという。

(ヤマビルは人が大好き?:新潟)
新潟県阿賀町のヤマビルは人の血がお好き?町内の山中で採取したヤマビルの体内に残る血液などをDNA診断し、興味深い傾向が分かった。それによると、吸血した宿主生物はヒトが最も多く、6割弱に達した。調査を依頼していた町地域おこし協力隊の堀口一彦さん(51)は「意外な結果にびっくり。何を意味するのか、さらなる調査で探りたい」と話している。DNA診断は、6月下旬に町内で開催した地域おこしイベント「ヤマビル蛭蛭(ひるひる)ミーティングin阿賀町2」の取り組みの一環。町内ではヤマビルが生息域を広げていることから、どんな動物の血を吸っているのかを突き止めようと、同町京ノ瀬のイベントで捕獲した36匹を宮崎大教育学部の西田伸准教授に送り、調査してもらった。ヤマビルは、体の大部分を消化管が占める。その組織の一部もしくは、消化管内に残存する宿主血液から、DNA診断を行い、どの生き物の血液かを解析した。36匹のうち、診断できなかった7匹を除いた29匹の内訳は、ヒトが17匹で58・6%と最多。次いでニホンザル、ニホンカモシカ、タゴガエルが2匹ずつ、ヤマドリ、ヤチネズミ類が1匹ずつ、不明が4匹だった=グラフ参照=。ヤマビル研究会(千葉県)によると、国内では森林の荒廃や地球温暖化などでカモシカやイノシシといった野生動物の増加に伴い、ヤマビルも生息域を拡大しているという。秋田県や兵庫県、神奈川県での研究では、ヤマビルはカモシカやニホンジカ、イノシシの吸血が多く、ヒトは少ないことが報告されている。ただ西田准教授が先行実施した宮崎県の調査は阿賀町との結果に近く、ヒトの吸血が多くを占めている。堀口さんは「ヒトがあまり出入りしない場所なのに、想像以上にヒトを吸血している印象だ。今後は捕獲先を変えたり、飼育実験を行ったりし、阿賀町のヤマビルの生態を掘り下げ、今後のイベントにも生かしたい」と意気込んでいる。

(外来生物の生態を学ぶ講習会:長崎)
外来生物が環境に及ぼす影響について学ぶ市民向けの講習会が、五島市で行われました。講習会は「あなたの知らない五島の外来生物最前線」と題して開かれました。講師は、五島・福江島の動植物について、長年、調査や情報収集をしている、五島自然環境ネットワークの 上田 浩一 代表と、7年前から、島内でタイワンリスの駆除を行っている、森林総合研究所の 安田 雅俊 さんです。上田さんは、五島で確認された「タイワンリス」や「ウシガエル」など7種類の特定外来生物に加えて、様々な外来生物が五島の生態系に影響を及ぼしていると指摘しました。高浜海水浴場の近くで見つかった植物「ビロードモウズイカ」や、「アメリカザリガニ」もそのひとつです。また、安田さんは「タイワンリス」の生息域があと10年で島全体に広がる恐れがあるとして、今後の対策について説明しました。講習会には約50人が参加し、2人の話を聞きながら島の自然の保存について真剣に考えていました。

(イノシシ侵入防止柵、豚コレラ対策で補助:茨城)
豚コレラ(CSF)の対策の一環で、土浦市は、養豚農家を対象に、イノシシの侵入を防ぐ柵設置への補助を行う。2019年度一般会計補正予算に698万円を計上し、主に新治地区の7軒への補助を見込む。

(イノシシ取材に振り回されたテレビ業界人の嘆き)
2020年の干支はネズミだ。去年はイノシシだった。いま多くの人が気持ちあらたに、新年を迎えているはずだが、イノシシを引きずり続けた人たちがいる。イノシシに翻弄され、ネズミどころではない。それは、テレビ業界の話である……。2020年の干支はネズミだ。去年はイノシシだった。いま多くの人が気持ちあらたに、新年を迎えているはずだが、イノシシを引きずり続けた人たちがいる。イノシシに翻弄され、ネズミどころではない。それは、テレビ業界の話である……。テレビでは「イノシシが出没」と報じられることが多い。いったい、なぜなのか?「もう三日連続です。都内ならまだしも埼玉や東京都下でしょう……。そんなもん、出ても普通なんじゃないですか?」。昨年末、投げやりな態度で筆者にこう話すのは、都内の民放ディレクター・T氏(30代)。社会部記者として警視庁クラブや司法クラブでほとんど睡眠時間が取れないほどの激務をこなし、現在は報道番組のディレクターチーフとして頑張るエース候補。そんな彼が仕事への愚痴とは珍しい。一体どうしたのか?「“イノシシ”ですよ。局によってはヘリで追跡し、記者やディレクター、カメラマンなど十数人も出しています。他にやるべきことがあるだろうと……。視聴者からもそうした厳しい指摘を受けています」(T氏、以下同)  昨年11月下旬から12月にかけて、埼玉や東京などで野生のイノシシの出没情報が相次ぎ、テレビ各社はイノシシの現在地を追った。警察や自治体職員たちが一匹のイノシシを追いかけ、取り囲み、最後は網で絡めとるように捕獲する様子が生中継され、視聴したという読者も少なくないだろう。T氏は、このイノシシをほぼ一週間にわたり追いかけさせられたのだという。 「スマホ片手に、ツイッターで目撃情報を見つけては現場へ行き、ずっとイノシシ探し。他局がイノシシを報じると、本社からは『何をやってるんだ』とドヤされて。朝から晩までずっとですよ。もうほとほと疲れました」  ともあれ、例のイノシシは捕獲され、一件落着と相成った、が……。 「どこかの局に出ていた害獣の専門家が、捕獲されたイノシシは、別の地域で目撃されたイノシシとは別の個体である可能性がある、なんて解説しちゃったんです。それからはまたイノシシ探し。私、普段は事件ばかりやってるんです。私40代ですよ。なんでこんなことを……」。ネット上にも、イノシシばかりを取り上げるテレビ局の姿勢を非難する書き込みが相次いだ。テレビ局はなぜここまでイノシシを執拗に追いかけたのか。別のテレビ局報道デスクが説明する。 「そりゃ田舎じゃイノシシも猿も当たり前でしょう。ですが、都心に近い住宅街に出たとなれば、それは市民の命が危機にさらされていることを意味します。大げさではなく、報じる意味があるのです。ただ、各社があまりに執拗に追って報じるから、過熱気味だったことは間違いありません。あと……数字(視聴率)が取れることも、否定はしません」(報道デスク)  確かに、首都圏に猿が出没した時のテレビ報道の加熱っぷりもハンパではない。まるで凶悪犯人が刑務所から脱走したかのように大騒ぎである。人身安全のためと主張しつつ、数字も取れると明かす報道側、そしてくだらないと思いながらも見てしまう私たち。前出のT氏がいう。 「結局、視聴者が面白いと思う、興味を持つものしか放送しないし、できない。どんなに意味のある取材ができて放送しても、それが面白くなければ見てくれない、数字も出ない。一部の人たちからくだらない、他に報じることがあると指摘されて、私たちだってそう思いますが、大多数は見てくれるんです」(T氏)。大衆に迎合することを「ポピュリズム」などと表現するが、我々はテレビを見ているつもりでいて、実はテレビも我々を見ていることを、人はあまり考えない。テレビはまさに我々の姿を映し出す鏡なのだ。

(シシ肉で新商品:長崎)
長崎県平戸市田平町に事業所を置くIMFホールディングス(東京)は27日、有害鳥獣として捕獲したイノシシの肉を使ったハンバーグやカレーなど4種類の新商品を発売すると発表した。新商品は、平戸いのししハンバーグ(160グラム、1100円)▽カレー(200グラム、1320円)▽ベーコン(100グラム、1045円)▽ロースハム(120グラム、同)。家庭で気軽にシシ肉を味わってもらおうと企画した。シシ肉は味にくせがなく、牛や豚に比べアミノ酸が豊富で、低カロリーが特徴という。来年1月8日から東京・中央区の日本橋三越本店で開かれる「長崎展」で発売する。引き続き、田平町の「平戸瀬戸市場」でも取り扱う予定。IMFの市山幹雄社長は平戸出身。同社は地域貢献の一環として、猟友会員の協力を得て平戸と近隣でイノシシを捕獲し、肉をソーセージなどにして地元で販売している。同社の山口龍一郎平戸事業所事業推進マネジャー(61)は「シシ肉が平戸でポピュラーな食材になってほしい」と話した。

(再利用商品を開発、第1弾シカ肉ペットフード:高知)
シカ肉加工の際に廃棄される部分を使い、布団の端切れで作った袋で売る―。そんなペットフードが近く発売される。県内のさまざまな事業者が手を結び、捨てられがちなものを組み合わせて環境配慮の商品を開発するリユース(再利用)プロジェクトの第1弾。企画者は「社会課題の解決に少しでもつながれば」と新アイデアにも意欲を見せる。

(駆除された鹿を天然藍で染めた革製品に:徳島)
クリスマスや新年の贈り物にバッグや財布を選ぶ時、その素材の背景に思いを巡らせることがあるだろうか。「駆除された鹿を藍で染めてみました」。徳島出身の映画監督・蔦哲一朗氏(35)は、こんな看板を掲げて地元の祖谷(いや)地方で駆除された鹿を、藍で染めた革小物にして販売するプロジェクトに取り組んでいる。畑違いの挑戦は、2013年に発表した映画「祖谷物語-おくのひと-」がきっかけ。猟師に同行して山に入り、食害をもたらす害獣として地元で多くの鹿が駆除され放置されている実態を知った。鹿や猪などによる農作物被害は全国的に深刻で、昨年駆除された鹿は56万頭(環境省調べ)にのぼる。「数が増えて駆除するのはやむを得なくても、使い道があるんじゃないか。もったいない」。そんな疑問から17年にクラウドファンディングで資金を募りDEER(鹿)と祖谷を合わせて名付けたブランド「DIYA」(ディヤ)を立ち上げた。駆除された鹿は猟師によって必要に応じて地元の専用施設に運ばれ、肉はジビエとして食べられる。蔦氏が買い取った皮は、職人たちによる丁寧な作業工程を経て財布や名刺入れに生まれ変わる。なめした革の染めには特にこだわり、600年もの歴史を誇る地元産の天然藍で青く染めて「付加価値」をつけた。鮮やかに染め上がった革を初めて見た時の感動は忘れられないという。鹿皮を扱う業者そのものが少ない上に「新参者」のハンディがあり製造ルート確保の苦労もあった。そんな時、力になってくれたのは、攻めダルマと呼ばれた亡き祖父、池田高校野球部元監督の蔦文也氏。「じいちゃんの話題からスンナリ物事が動いたこともあった。常に僕の人生は支えられています」と感謝する。商品はネットで販売されているほか展示販売会も随時、開催。「話をして納得して買ってもらうのが大事」と説明役にも熱が入る。日本で地盤を固めて、藍染め人気が高い中国やヨーロッパに進出することも視野に入れる。都会での暮らしではなかなか思い至ることのない里山の現実、人と動物の共存という問題は、自身の映画製作のテーマにも通じる。「これが日本の、田舎の現状。鹿が駆除され放置されている日常があることを知ってもらえれば」。製品を通じて背景にある問題が伝わり、考えるきっかけとなることを蔦氏は願っている。

(駆除したイノシシを資源に:愛媛)
瀬戸内海に浮かぶしまなみ海道最大の島、愛媛県今治市の大三島(おおみしま)では、農作物への被害をもたらす害獣イノシシを資源として活用しようとする取り組みが進んでいます。ジビエ肉の販売や皮や骨の有効利用など、農業被害額を超える価値をイノシシから生み出そうと活動している「しまなみイノシシ活用隊」の代表、渡邉秀典(わたなべ・ひでのり)さんに今年で9年目となる隊の活動内容について伺いました。今年で44歳になる渡邉さんが実家の柑橘(かんきつ)農家を継ぎ始めた2000年頃には、大三島にはイノシシはいなかったとのこと。就農して4、5年が過ぎた30歳くらいの頃、突如現れ始めたのだそうです。イノシシの繁殖力は高く、島の人がなすすべもなく手をこまねいている間に、農家が丹精こめて育てた柑橘を存分に食い荒らし、あっという間に数を増やしました。旺盛なイノシシの食欲に、園地のみかんを食い荒らされてしまった渡邉さん。「このままではみかんが全滅してしまう!」と約50万円の費用をかけてワイヤーメッシュの柵を導入し、父親と2人で、足場の悪い柑橘畑の急斜面に1カ月かけて設置しました。そのかいあって、柵を設置した園地からはイノシシの被害がなくなりましたが、代わりに柵を設置できない園地や農家の柑橘畑に被害が集中。そして、イノシシ被害を受けて廃業する農家が出始め、その廃業した農家の耕作放棄地でイノシシがまた繁殖する、という悪循環に島内は陥りつつありました。「防ぐだけでは解決しない。攻めに出なければ」と、渡邉さんは檻(おり)わなを設置して、ボランティアでイノシシの駆除を始めました。が、100キロ近くある大きなイノシシを解体して山に埋める作業は、一日がかりの大変な重労働。渡邉さんや仲間がボランティアとして受けられる許容量をはるかに超える作業を伴うものでした。さらに、駆除は数匹捕って終わるものではなく、島の農業の存続のためには年間を通して日々続けていかなくてはならないほど、イノシシは大三島で数を増やしていました。そこで「手間ひまかかる駆除作業をボランティアとして存続させていくことは不可能。報酬が発生するビジネスにしていかなければ」と、渡邉さんはイノシシ駆除で地域貢献をしつつ収入も得ていくためのグループを組織することを決意。そして2010年、渡邉さんを中心に島の柑橘農家や猟友会のメンバーから成る「しまなみイノシシ活用隊」(以下シシ活隊)が結成されました。シシ活隊のメンバーは現在17人。島外からの移住者を含むメンバーのほとんどが狩猟免許(わな・猟銃)を保持しており、わなの設置と見回り、わなに獲物がかかった時に止め刺し(とどめを刺すこと)と放血をする捕獲スタッフと、その後の処理を請け負う解体スタッフに分かれています。ハンターなどから成る捕獲部門は人材が豊富だそうですが、現在解体スタッフが3人しかいないため、解体処理ができるメンバーを募集中です。狩猟期間は各自治体によって決められていますが、ここ今治市の大三島では所定の届を出して手続きをしておけば、島の住民ならば、ほぼいつでもイノシシの捕獲(駆除)が可能。年間を通して400頭あまりが島民によって駆除されているそうで、そのうちの250~300頭がシシ活隊によるものです。また、狩猟のシーズンには島外からイノシシ猟のハンターが集まり、さらに年間約400頭が捕獲され、そのまま島外に持ち帰りされています。このように年間約800頭のイノシシが大三島では捕獲されていますが、大三島のイノシシの繁殖力はすさまじく、これでやっと増殖を抑えられている状態なのだそうです。シシ活隊の食肉加工の第一人者として確かな処理技術を持つ渡邉さんですが、シシ活隊として活動するまでは動物をさばいた経験は全くなかったそうです。本来は動物好きな渡邉さんだからこそ「イノシシは殺して終わりじゃない。命を無駄にしないためにもそこからが大変なんです!」と、資源化して有効活用することの重要さ、難しさを語る言葉に力が入ります。名立たるレストランのシェフたちから絶賛され、全国からオーダーが入るシシ活隊のジビエ肉。大三島の自然の中で特産の柑橘や、ドングリをお腹いっぱいに食べて育ったイノシシは「軟らかで甘みがあって爽やかな柑橘の香りがする」と、2016年度の日本猪祭りで利き猪グランプリに選ばれています。ですが、この快挙にも「ジビエってのは自然のもので個体差があるものだから、日本一になったのはたまたまだと思う」とあくまでも一つの現象としてクールにとらえ、一つ一つの個体のポテンシャルを引き出す努力を惜しまない渡邉さんとシシ活隊。イノシシの解体作業を始めて9年目のシシ活隊は、さまざまな顧客からの要望に応えることのできる、きめの細かい解体・加工技術を体得しています。ジビエシーズンに入った11月下旬の取材時、最も力を入れているのは鮮度を保つことができる皮つきの半身での出荷なのだと話してくれました。その他、肉の状態や季節に応じて、部位としてではなくスライス肉やミンチ肉、ソーセージなどの加工品にしたりして、各個体を無駄なく有効活用しています。シシ活隊のメイン活動は食肉処理・加工ですが、他にもイノシシ肉を使ったランチ店の経営や、地域おこし協力隊として大三島にやってきたメンバーによる、皮・骨を利用した活動も行われています。最初の2年間は廃棄されていた皮ですが、3年目からは姿を変え、「Jishac(ジシャク)」というブランド名が付けられた皮革製品になっています。キーホルダーやコースターといった小物のほかにバッグや財布などがあり種類も豊富。このメンバーは地域おこし協力隊としての活動を終了した現在も大三島に定住し、イノシシ革の活用で生計を立てています。埼玉から移住してきたメンバーは、廃棄されていたイノシシの骨を利用して「猪骨(ししこつ)ラーメン」のお店を2018年に島内にオープン。豚骨のようにこってりしすぎず、かといってあっさりもしすぎず、全てが絶妙においしいという猪骨ラーメンは新たな島の名物となっています。11月下旬はジビエのシーズンで、全国のレストランから入る受注処理に渡邉さんは大忙し。在庫の方も、ここ3日間で10頭ものイノシシが持ち込まれたそうで、取材日の前日までは解体作業で息つく暇もないほどだったとか。「ジビエをビジネスにするには営業スキルがとても大事なんです。ジビエって自然のものだから、いつどんな肉質のものが入ってくるか分からないんですよね。『いいのが入った時に連絡して』とこちらを信じて待っていてくれるお客さんをたくさん持てることが重要なんです。お客さんとの信頼関係がなければジビエ肉の販売は成り立ちませんね」(渡邉さん)ジビエを扱うレストランや老舗旅館に足を運び、プロの料理人たちの声を聞き、要望に一つずつ応えることでリピートにつなげ、シシ活隊ならではの一歩踏み込んだ商品づくりに日々努めている渡邉さんです。「イノシシを害獣として駆除するのではなく、被害を資源に変えてビジネスとして成り立たせていく」シシ活隊のポリシーはぶれることなく、現在、大三島のイノシシは、しまなみ産の野生イノシシ「あらくれ」として愛媛の特産品の地位を築きつつあり、売り上げの方も3年前の2016年からは農業被害額を上回るものになっています。「『地域貢献をしつつ自分の生活も成り立たせていく』という発足当時の目標をクリアできた今、そのノウハウを知りたいといろんな自治体から問い合わせや視察の申し込みがきています。農家の高齢化が進み、耕作放棄地が増えている今、ジビエはもっとメジャー化し、獣肉加工施設を運営する団体は今後もっと増えてくると思います」(渡邉さん)現在、大三島のシシ活隊の他に松山市でも「高縄ジビエ」として、もう1カ所獣肉加工施設を運営している渡邉さん。来春からはジビエ加工を学びたいという若者が新たに加わる見込みで、基地となる獣肉加工施設もさらに増やしていく予定。9年の活動で培ったジビエのノウハウを希望者には伝授していきたいと渡邉さんは言います。現在はイノシシの内臓と足先部分のみ利用方法が見つからないため破棄していますが、これを有効活用することが今後のシシ活隊の課題なのだそう。「堆肥(たいひ)化を試みてはいるんだけど、なかなか難しくて。内臓と足先の活用化のアイデアとそれを実現化してくれる人、誰かいませんか?」(渡邉さん)全ての部位を活用できてこそ、真のイノシシ活用隊という渡邉さん。シシ活隊が目指す、害獣ではなく資源としてのイノシシの活用、その新しい共生のカタチに今後も目が離せません。

(ジビエ活用へ、スマホで円滑共有:広島)
スマートフォンを使って野生鳥獣を捕獲した狩猟者と処理施設をマッチングするシステムが開発された。定型文を使った自動会話機能で、狩猟者が捕獲場所や頭数を報告し、施設が対応可能かどうか、素早くやり取りする。今冬から広島県で実証試験を開始。迅速な情報共有で野生鳥獣の肉(ジビエ)の活用を後押しする。中国電力グループのエネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)が開発した。捕獲した鹿やイノシシをジビエに利用するのは約1割。野生鳥獣をジビエとして流通させるには「仕留めてから1時間以内に処理が必要」(エネコム)で活用を促すには、狩猟者と処理施設の素早いやり取りが必要だ。電気通信事業を手掛けるエネコムは、スマホアプリで開発した定型文による自動会話システム「チャットボット」を使い、ジビエの有効利用を促す。野生鳥獣を捕獲した狩猟者は、「鹿1頭」「イノシシ2頭」などの定型文から該当する頭数を選び送信する。位置情報も送れる。処理施設は「即時回収に向かう」「施設まで持参してほしい」「対応できない」など四つの定型文から返答する。操作は簡単で高齢者でも扱いやすくした。同社は、同県三次市三和町地区で、地元の処理施設、三次ジビエ工房みわ375と連携し、11月に実証実験を始めた。地元の猟友会メンバーでつくる駆除班のリーダーにエネコムがスマホを無償提供し、施設との連携を促すことで、処理能力を高める。食肉への加工、販売も手掛ける同工房は、鹿やイノシシを年間約500頭処理する。狩猟者から電話で捕獲場所などの連絡があるたびに処理作業を中断することも多い。片岡誠社長は「作業の合間でも狩猟者と素早く連絡が取れれば、処理や加工の作業効率が高まる」と期待する。エネコムは20年度、実験エリアや対象施設を拡大するなどし、システムの精度を高める。農水省によると、18年度のイノシシと鹿の捕獲頭数は114万4100頭。一方、処理頭数は10万8736頭で、利用率は9%台にとどまる。

(ジビエにも等級制度:和歌山)
シカやイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)の品質を和牛のように格付けする独自の等級制度を和歌山県が創設し、近年ブームのジビエ料理の普及に努めている。制度を利用すれば、品質の一定した肉を安定して仕入れることができるため、利用する飲食店も増加。県は、農産物を荒らす野生鳥獣の駆除にもつながると一石二鳥を期待する。「最高級のシカ肉を使っているので、おいしいですよ」。和歌山市小松原通のイタリア料理店「RestaurantGoGoKitchen」。おすすめ料理の「シカのタタキ風カルパッチョ」は、軽くあぶったシカの背肉に県特産のブドウ山椒(さんしょう)のソースをかけた逸品。シカ肉は、県に紹介された加工業者から仕入れた厳選のAランクの肉を使っている。シカ肉の「内モモ肉のロースト」とともに味わってみた。肉はきめ細かい舌触り。噛(か)むむとほどよい弾力があり、口の中でほどけるような食感がある。臭みはまったくなく、ほのかに脂の甘味を感じる。「きちんと調理されたジビエを食べると、(お客さんは)そのおいしさに驚いて一気にファンになってくれる」とオーナーシェフの田辺美里さん。県が推奨する加工業者のジビエ肉を使用する店は、ここだけではない。ジビエ料理を提供する店と協力して県が毎年展開するキャンペーン「わかやまジビエフェスタ」への参加店は、平成23年度の40店から令和元年度には64店と1・6倍に増えた。普及の背景には、和牛のように肉の品質を格付けするため県が平成25年度に導入した独自の等級制度がある。県が認証する処理施設で解体され、専門の研修を受けた格付員が審査した肉を「わかやまジビエ」と認定。散弾銃で仕留めたり、腹部を撃ち抜いたりした野生鳥獣の肉は品質が落ちるため使用せず、厳格に定めた解体や血抜きの方法に沿った肉のみを流通させている。格付けは和牛を参考にして「皮下脂肪の厚さ」「肉の締まり、きめ」「肉の光沢」「脂肪の色沢(しきたく)と質」の4項目で実施。シカは上からAとBの2等級、イノシシはA、B、Cの3等級で評価している。「イノシシの場合、ぼたん鍋なら脂の乗ったAランクのロース、煮物なら脂の少ないCランクのモモなど、料理ごとに使い分けられる。認証制度で店が希望する肉を入手しやすくなり、消費拡大につながっているのでは」と県の担当者。一方、野生鳥獣による県内の農作物被害額は、30年度は3億円を超え、県は鳥獣害対策との一石二鳥も狙う。ジビエ料理は近年、若い女性らの間でブームとなっており、国も令和元年度までにジビエ利用量を約2600トンに倍増させる計画を打ち出すなど、消費拡大を後押ししている。農林水産省の担当者は「ジビエ活用の動きは全国的に広がりつつあるが、肉を格付けして付加価値を高めるという取り組みは、和歌山以外で聞いたことがない。先進的な取り組みだ」と高く評価。11月には県選出の二階俊博・自民党幹事長も同県田辺市のジビエ加工施設を視察し、「ジビエは立派な資源。積極的に活用し、農作物の鳥獣被害をチャンスに変えるべきだ」と訴えた。等級制度という独自の取り組みが成果をみせ始めている和歌山県。仁坂吉伸知事は「多くの人にPRし、県外にも売り出していきたい」としている。

(鹿肉バーガー、全国で好評:長野)
ハンバーガーチェーンのロッテリア(東京)が、信州富士見高原ファーム(富士見町)が骨付き肉から加工した鹿肉を材料にしたハンバーガーを全国123店舗で数量限定販売したところ、予定より大幅に早い約3週間でほぼ完売したことが26日、分かった。ロッテリアは販売期間を約2カ月と見込んでおり、予定より早く売り切れそうだ。ハンバーガーは「ジビエ鹿肉バーガー(ラグーソース)」(税抜き720円)の名称で11月29日に発売。同ファームから仕入れた鹿肉を、パティ(ハンバーグ部分)の約6割に使用した。パンにパティとトマト、レタス、ミートソースなどを挟んで仕上げた。客には「おいしい」「鹿肉が珍しい」と好評だったという。ロッテリアの担当者によると、鹿肉のうま味が引き立つように、パティにナツメグなどの香辛料を加えたり、他の商品用より厚めのパティにしたりした。鹿肉を食べ慣れない人でも、なじみのあるハンバーガーなら抵抗感が少なかったとみられるという。同社は「今後も鹿肉を使った商品の販売を検討していく」とする。ジビエ鹿肉バーガーの販売店舗は、地方別で関東が最多の45店。次いで中部(33店)、関西(29店)など。県内では販売されていない。販売数量は明らかにしていない。信州富士見高原ファームは農林水産省の国産ジビエ認証施設。鳥取や大分、宮崎、徳島各県にある認証施設から、鹿の骨付き肉を買い取り加工している。骨付き肉は処理の手間が敬遠されて廃棄される場合も多いが、同ファームは一括処理することで経費削減と流通量確保を図り、外食産業に販売している。この仕組みを主導する「日本ジビエ振興協会」(茅野市)は11月、第24回信毎選賞を受賞した。

(今さら聞けない営農情報、ジビエ)
最近何かと話題のジビエ。農業現場では農作物被害を及ぼす大敵も、食材としては評価が高く、鳥獣害対策でジビエに取り組む地域が増えているとのことです。日本におけるジビエは捕獲数や被害の多いシカ、イノシシを中心にとらえられていますが、実際の定義では、狩猟の対象となっている野生鳥獣は全てジビエとのことです。つまり、シカやイノシシはもちろん、野ウサギ、山鳩、真鴨、小鴨、尾長鴨、カルガモ、キジ、コジュケイ、最近話題のカラス、ハクビシンといった珍しい動物もジビエです。協会のホームページによると、「ジビエとは狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉(フランス語)で、ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化です。その昔フランスなどでは、ジビエを使った料理は自分の領地で狩猟ができるような、上流階級の貴族の口にしか入らないほど貴重なものでした。そのためフランス料理界では古くから高級食材として重宝され、高貴で特別な料理として愛され続けてきました。そこでは、動物の尊い生命を奪う代わりに肉から内臓、骨、血液に至るまで、全ての部位を余すことなく料理に使い、生命に感謝を捧げようという精神が流れています。山野を駆け巡り大空を舞った天然の肉は、脂肪が少なく引き締まり、栄養価も高い、まさに森からの贈り物。力強く生命力に溢れた冬季限定のごちそうです。」とあります。つまり、ジビエは高級食材で、貴重な食品でもあるのです。ですが、農業にとってみれば、農作物に害をなす厄介なやつでもあります。農林水産省の「捕獲鳥獣のジビエ利用を巡る最近の状況(平成31年3月)」によれば、野生鳥獣による農作物被害額は、平成29年度は164億円であり、平成21年度頃の200億円より減っています。これは、全国での捕獲体制強化や改正鳥獣保護法(平成26年)の成果として考えられていますが、依然として農作物への被害は大きい状況です。その被害は、7割がシカ、イノシシ、サルによるもので、特に、シカ、イノシシの被害が増加しているとのことです。この被害を軽減するためにも、各地でシカやイノシシをジビエとしてもっと活用できるようにすれば良いのですが、それを進めるためには1つ課題があります。それは、ジビエ肉処理施設の問題です。ジビエ肉は、死んだその場で新鮮なうちに、血抜き、解体作業が行われれば、臭みもなくおいしい肉が得られるのですが、死んでから解体まで時間が経つほど臭みが増し、食肉としては使いにくいものになります。ところが、食品衛生法の決まりで、食肉として流通させるためには、法の基準に適合した衛生的な施設で解体する必要があり、山野で解体したものは、食肉として流通できません。そのため、おいしい肉を得るためには、罠で生け捕りにして、処理施設に運ぶ必要がありますが、それにかかる手間と労力が大きく、ジビエ振興の足かせになっているようです。なお、今回ご紹介した内容は、(一社)日本ジビエ振興協会のホームページに詳しく掲載されています。

(6市町でジビエフェア:京都)
「森の京都」の恵みでもあるイノシシやシカの肉「ジビエ」を使った各店自慢のオリジナルメニューが味わえる「森の京都ジビエフェア」が舞鶴、福知山、綾部、南丹、亀岡、京丹波6市町の56店舗で始まっている。

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