<射撃ニュース1月>
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(イノシシ2頭CSF(豚熱)確認:神奈川)
神奈川県は、相模原市の山林で捕獲された野生のイノシシ2頭がブタの伝染病「CSF」=豚熱に感染していたと発表しました。神奈川県によりますと、今月4日から5日にかけて、相模原市緑区の山林で捕獲された雄のイノシシ2頭について検査したところ、豚熱への感染がわかったということです。神奈川県内ではブタへの感染は確認されていませんが、去年5月と7月にも野生のイノシシへの感染が確認されていて、イノシシへの感染はこれで4頭となりました。県によりますと、感染した豚の肉を食べても健康に影響はないということです。県では、今回イノシシが捕獲された場所から半径10キロ以内にある2つの養豚場について立ち入り検査を行って、豚に異常がないか調べることにしています。県は養豚場などに対し、豚に異常がある場合はすぐに県の家畜保健衛生所に連絡するよう呼びかけています。

(野生イノシシ豚熱感染:栃木)
県は13日、那須塩原市で捕獲された野生イノシシ1頭が豚熱(ぶたねつ)(CSF)に感染していたと発表した。県内での野生イノシシの感染確認は、昨年12月4日以来で4頭目。県によると、感染イノシシは今月7日に同市関谷で捕獲された雌の成獣。県による遺伝子検査で13日に感染を確認した。県は同日、発見場所から半径10キロ圏内にある養豚場(12農場)に連絡し、異常がないことを確認した。

(野生イノシシ5頭が豚熱感染:群馬)
群馬県は12日、渋川市、長野原町、高山村で捕獲などされた野生イノシシ計5頭について、同日の遺伝子検査の結果、豚熱(CSF)感染が確認されたと発表した。県内の感染事例は計88頭となった。

(野鳥からA型インフルエンザウイルス陽性確認:宮崎)
県は今月6日、延岡市で回収された死んだ野鳥のカモからA型インフルエンザウイルスの陽性が確認されたと発表しました。県の発表によりますと、今月6日延岡市牧町で回収されたオナガガモの死がいの遺伝子検査を実施したところ、A型インフルエンザウイルスの陽性が確認されたということです。現時点では、病性は未確定で、環境省が高病原性鳥インフルエンザウイルスの確定検査を実施することにしていますが、結果が判明するまで1週間程度かかるということです。県によりますと、死んだ野鳥が回収された場所から半径3キロ以内に養鶏場はありませんが、環境省によって指定された野鳥監視重点区域内で野鳥に異常がないか、監視を強化することにしています。

(イノシシに襲われ3人が軽傷:新潟)
11日午後1時半ごろ、糸魚川市徳合の自宅前で除雪をしていた60代男性がイノシシに左ふくらはぎを噛まれ、けがをしました。その約2時間後、徳合の現場から8kmほど離れた糸魚川市能生の県道で歩行中の60代女性がイノシシと衝突。女性は転倒して頭を打つなどのけがをしました。さらに、そのわずか5分後、100mほど離れた県道で40代女性がイノシシとぶつかり、左手首にけがをしました。3人は病院に運ばれましたが、いずれも軽傷です。女性2人を襲ったイノシシは同一と見られています。糸魚川市によりますと、市内では今月イノシシの目撃情報が12件あり、警察とともに注意を呼びかけています。

(イノシシに襲われ男性2人ケガ:新潟)
柏崎市で12日午後、男性2人がイノシシに襲われ、1人は指を切断する大ケガをしている。現場は柏崎市善根の路上だ。市などによると12日午後3時前、近くに住む男性2人が会話をしていたところ、突然、イノシシに襲われた。62歳の男性は右手をかまれて薬指を切断する大ケガで、89歳の男性は足や手首など3か所にケガをした。イノシシは3頭確認されていて親子だという。現場には雪が積もっていて見通しが悪く、イノシシに気付かず突然襲われたとみられている。県内ではイノシシの目撃が相次いでいて、柏崎市は大雪によりエサを求めて人里に降りてきているとして注意を呼びかけている。

(総合射撃場、造成を前倒し発注へ:兵庫)
兵庫県は、狩猟者育成拠点となる県立総合射撃場(仮称)整備事業について、造成工事を2020年度内に前倒し発注する方向で調整している。発注業務は設計同様に兵庫県土地開発公社に委託する。

(今季2回目渡り鳥調査、大雪の影響で北帰行遅れそう:宮城)
今シーズン2回目の渡り鳥の生息調査が、宮城県内で一斉に行われました。今年の寒さと大雪は、渡り鳥の越冬にも影響を及ぼしています。調査は、県内500カ所の沼や川で行われ、夜明けとともに県の職員らが双眼鏡を使ってガンやハクチョウを数えました。その結果、県全体でガンは11万羽、ハクチョウは1万2000羽、カモは6万4000羽でした。県内の代表的な飛来地・伊豆沼では、連日の寒さで、ガンがねぐらとしている場所以外はほぼ凍結しています。去年11月の調査では、伊豆沼・内沼のガンは約9万5900羽いましたが、14日の調査では2万6000羽余りと7割以上減っていました。伊豆沼内沼環境保全財団では、伊豆沼周辺の凍らない川にねぐらを求め、雪の少ない田んぼで、餌を探すなど分散しているものとみています。また、今年の寒さと雪は、渡り鳥が北へ帰る北帰行にも影響を与えそうです。県伊豆沼・内沼環境保全財団・嶋田哲郎研究室長「去年は超暖冬で、(1月)中旬から北帰行が始まりましたが、今はこういう状況ですので、餌が十分取れませんし、次の中継地も雪があって行けませんので、(北帰行は)遅れると思います」。

(猟友会、メンバー確保に懸命:山形)
「もう一歩山に踏み込む本気のアウトドアを―」。県猟友会は新人ハンターを求めている。クマの目撃が相次いだ2020年、県内では人が襲われる被害も5件発生した。イノシシやクマなど有害鳥獣の駆除を行う猟友会は、地域の安全を守るほか、農作物被害を抑える上で大きな役割を果たしている。しかしメンバーは減っており、若手の獲得と定着が課題だ。県みどり自然課によると、クマの目撃件数は20年が794件(12月20日までの集計)で19年の450件から急増。イノシシによる農作物の被害も深刻で、19年度は7438万円と08年度の206万円から毎年、増加している。こうした実態から、地域の安全や農作物を守る意味で猟友会の役割は高まっている。しかし、県猟友会の会員数は1978(昭和53)年度の7141人をピークに減少し、2014年度には1397人になった。近年のジビエブームなどもあり、19年度までに1616人と回復傾向にあるものの、新規の狩猟免許取得者はわな猟が中心。猟銃を使いクマやイノシシに対応できる会員に限れば、10年度の1625人から19年度は1364人と、近年は小幅ながらも減少が続く。県猟友会では免許取得を検討している人に対し、射撃の見学やジビエの試食ができる狩猟普及セミナーを実施している。県は銃やガンロッカー購入費用などを補助し、猟銃を使った捕獲従事者を確保する取り組みを13年度から行っている。山形市と中山町の会員でつくる山形猟友会(佐藤勝彦会長)によると、免許取得後に挫折する人も多いという。獲物を捕れるようになるまでは経験と時間が必要だからだ。同会の青山克己副会長は「金銭面や最初の補助だけでなく、獲物を探して捕る『本気で自然と戯れる』楽しさが分かるまで、技術面の指導も充実させたい」と今後の展望を話した。

(豚熱ワクチン接種、18日にも開始:秋田)
山形県内で豚熱(CSF)の感染が確認されたことを受け、秋田県は、県内に82ある全養豚場の約27万5千頭を対象に、県南地方から先に予防的ワクチンの接種を進める。早ければ今月18日にも接種を始める方向で準備している。隣の山形県では鶴岡市の養豚場にいた豚の感染が先月25日に判明。飼われていたすべての豚が殺処分された。また同27日には、小国町で感染した野生イノシシが確認された。豚熱は一般的にイノシシがウイルスを媒介するとされ、関係者は秋田県内にも広がることへの危機感を高めている。国も先月28日、秋田県をワクチン接種推奨地域に指定。近く知事が全養豚場に対し、予防的ワクチンの接種を命令する。県畜産振興課によると、接種は地理的に感染リスクが高い地域の養豚場から先に開始し、全県で終えるには2~3カ月かかる見込み。①県南沿岸部②県南内陸部③県中央部④県北内陸部⑤県北沿岸部――の順でワクチン接種を進める。接種の手数料は初回は無料。数年にわたって飼育する繁殖豚や種雄豚が2回目以降の接種をする場合は、養豚場経営者が1頭あたり360円を負担する。8日に開かれた畜産関係者の会議で、川原誠副知事は「県にとって大事な畜産業を守り抜くため、皆さんには今後のワクチン接種とともに感染防止に努めてほしい」と話した。

(ニホンジカ・イノシシ保護及び管理に関する検討会:環境省)
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づく基本指針において、国は、全国的な見地から都道府県における特定計画の作成及び実施に対して技術的な支援を行うこととされていることを踏まえ、ニホンジカ及びイノシシに係る特定計画作成のためのガイドラインの改定を目的とした検討会を令和3年1月25日(月)及び2月8日(月)に開催します。なお、本検討会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からWEBを活用した形式で開催します。

(動物と接触、宇野みなと線に遅れ:岡山)
JR西日本によると、14日午後8時55分ごろ、宇野みなと線の彦崎駅―備前片岡駅間で列車がイノシシと接触したため、車両と線路を確認した。この影響で、同線の一部列車に約20分の遅れが出ている。

(冬眠場所の「宿替え」?クマ目撃:山形)
12日午前10時55分ごろ、南陽市赤湯のJR奥羽本線の線路近くで、列車の運転士が体長約1メートルのクマ1頭を目撃した。クマは通常、冬眠している時期で、専門家は「興奮状態となっている可能性がある」とし、注意を呼び掛けている。南陽署によると、現場は赤湯―中川間にある第一赤湯トンネル北側出口の北約50メートルの地点で、住宅地や赤湯温泉街、観光名所の烏帽子山公園も近い。現場を走行中だった山形新幹線の50代男性運転士が発見し、仙台輸送指令を通じて110番通報した。運転手が警笛を鳴らしたところ、クマは東側の住宅地方面へ逃げていった。同署は周辺住民に警戒を促し、パトロールを続けている。クマの生態に詳しい東北芸術工科大の田口洋美教授は「この時期は冬眠時期で、気温の上昇がない中での目撃情報は危険」と指摘。「冬眠場所を替える宿替えの可能性があり、成獣であれば冬眠できないイライラで興奮状態にあり、凶暴性も増している」と警鐘を鳴らした。

(イノシシ1頭捕獲:富山)
朝日町草野の民家近くで13日午前10時37分ごろ、体長約60センチ、体重約10キロのイノシシ1頭が捕獲された。現場は国道8号とあいの風とやま鉄道の間で、民家や事業所が点在し、近くにはショッピングセンターがある。町によると、街中での捕獲は珍しいという。この日は同町南保高畠でも1頭の目撃情報があり、町は注意を呼び掛けている。同日午前8時45分ごろ、同町月山の北陸自動車道朝日インターチェンジ(IC)近くでイノシシの目撃情報があり、通報を受けた町職員3人と町鳥獣被害対策実施隊2人が現場に駆け付けてイノシシを確認した。職員らはイノシシを見失わないように約500メートル追跡。国道8号を越え、民家の近くで網を使って捕獲した。同町のイノシシ捕獲数は2018年度107頭、19年度334頭で、今年度は1月5日までで83頭とばらつきがある。町担当者は「目撃情報を受けて追跡し、捕獲するのは難しい。雪で逃げ場が少なかったのか」と話した。同町南保高畠では13日午前9時10分ごろにイノシシ1頭が目撃されており、同町では捕獲されたイノシシとは別の個体とみている。イノシシに詳しい県自然博物園ねいの里(富山市)の間宮寿賴(かずより)係長は「イノシシは冬眠せず活動し、冬場は穴を掘り、草の根を食べてしのいでいる。雪の少ない場所を選んで餌を求めて平野部に出たのかもしれない」と話した。入善町では、19年12月28日に北陸自動車道入善スマートIC近くの住宅地でイノシシ1頭が住民を襲い、3人が重軽傷を負う被害があった。

(住宅街で「大きなシカ」群れる:北海道)
北海道・江別市内の住宅街に現れたのは大きなシカ。4頭から5頭のシカがあたりを見回したり、走ったりする様子が確認できます。午前7時すぎ、JR野幌駅周辺の住民が撮影した映像です。警察や市の職員が警戒にあたり、シカは住宅街から移動。その後午前11時ごろに、駅から600メートルほど離れた緑地で3頭のシカが確認されています。警察によりますと、これまでにけが人や事故はないということです。江別市によりますと野幌駅周辺でシカが出没するのは珍しく、野幌森林公園から来た可能性が高いということです。

(「Reborn-Art Festival」のオンラインプレイベント「Reborn-Art ONLINE」が開催決定)
アート・音楽・食の祭典「Reborn-Art Festival」の2021年開催に向けたオンラインプレイベント「Reborn-Art ONLINE」が開催されることが発表された。本イベントは、「鹿に導かれ私たちを見るとき」をコンセプトに、鹿の視点から世界をみた作家たちが神話、小積の風景などを素材に作品世界を展開する「鹿のゆくえ」と、国内外の作家が対話やパフォーマンスなどを実施する「交信 - 声なき声を聴くためのレッスン」の2つの企画を軸としたオンラインイベント。「鹿のゆくえ」の作品は、1月6日(水)より順次公開中、「交信 声なき声を聴くためのレッスン」の各コンテンツは、2月、3月に配信される。

(戦争中の食料不足、禁猟のカモシカ捕獲要請:富山)
太平洋戦争中、富山県は立山連峰などに入っていた猟師に、ニホンカモシカの捕獲を要請した。食料不足の中、軍需工場で働く人に肉を食べさせるためだった。国の天然記念物で禁猟だったが、値打ちがあるため猟師が最も欲しがった獲物。全国的に密猟されていたのが一転、ここでは堂々と狩猟できることに大喜びした。書籍「立山とガイドたち」で立山村(現立山町)芦峅寺(あしくらじ)の猟師は「昭和17(1942)年だった。『毛皮はいらない、肉だけ供出せよ。ただ、捕獲は角があるものに限る』というんだ」と振り返っている。県は繁殖への影響を抑えるため、オスだけ捕獲を求める建前で指示したようだが、メスにも角がある。つまり雌雄とも捕れることを意味し、猟師は余計に喜んだ。一方、文化庁には毛皮も納めさせた資料がある。「羚羊(かもしか)ノ捕獲禁止一時解除ニ関スル件」には、43年度に68頭を捕り、肉約563キロを県内の軍需工場に、毛皮は陸軍被服本廠(ほんしょう)に納入したとある。別の資料で、同本廠が県に毛皮100枚を求めた記録もある。県は44年度も12月から3カ月、オス100頭の捕獲を30人に許すよう求め、回答は「戦時下已(や)ムヲ得ザル」だった。

(「捨てられた鳥猟犬を救いたい」保護活動をする女性の思い:千葉)
捨てられてしまった鳥猟犬(鳥専門の猟犬で、人がしとめた獲物を見つけてくる犬)をおもに保護し、一般家庭へと譲渡する活動を行う千葉県市川市の「ガンドッグレスキュー CACI」の活動をご紹介します。一部のハンター(鳥獣を狩猟する人々)によって捨てられてしまったセターやポインターなどの鳥猟犬を保護し、一般家庭に譲渡する活動を行うガンドッグレスキュー CACI(以下CACI)。そのシェルターは、千葉県市川市の静かな住宅街にあります。シェルターには、飼育放棄された鳥猟犬たちが、多いときで20頭収容されることもあります。「鳥猟犬はしつけをしっかりしないと飼うのは難しい犬といわれています。ここでは、保護した鳥猟犬のケアだけでなく、家庭犬になれるよう、ドッグトレーナーとボランティアの協力を得て、トレーニングも行っています」と代表の金子理絵さん。現在までにCACIから一般家庭に譲渡された鳥猟犬は1,000頭以上に上るそうです。幼少のころから犬が大好きだった金子さんが、犬の保護活動を始めたのは1993年。千葉県の塩浜護岸沿いに数多くの犬が捨てられているのを発見し、なんとかしようと思い立ち、自身で「コンパニオンアニマルクラブ市川」を立ち上げました。「そのころは犬種を問わない保護活動をしていましたが、あるとき千葉県動物愛護センターに行ったら、5~6頭の鳥猟犬が収容されているのを見たんです。『この犬たちはどうなるのですか? 』と職員さんに伺うと、『鳥猟犬は家庭犬にはなれないのですべて殺処分です』と言われ、ショックを受けたんです」。周辺に、スポーツとしての猟を楽しめる場所が多数あるからか、千葉県の動物愛護センターで捕獲される鳥猟犬の数は、他県に比べ群を抜いて多いとのこと。金子さんは、その現状を変えたいと思い、2008年にCACIを設立しました。「千葉県の犬の殺処分数を減らすためには、鳥猟犬を率先して保護する必要があったんです。一部のハンターが鳥猟犬を捨てる理由は『犬が高齢になったり、病気になったりして使えなくなった』、『訓練したが猟に向いていない犬だった』などがあります」。金子さんはハンターの方々に鳥猟犬を使い捨てにしないよう、働きかけていくことも大切だと思ったそうです。そして、いざ鳥猟犬を保護して、お世話を始めた当初は、試行錯誤の連続でした。「鳥猟犬の多くは、外のおりで飼われるので、家庭での生活を知らないんです。たとえば、毛布の上で寝た経験のない犬は、シェルターのケージ内に敷いた毛布を食べてしまったり、またケージ内で糞尿まみれになったり、最初は本当に大変でした」。こうした犬たちを一般の家庭に譲渡できるよう、金子さんはドッグトレーナーの指導のもと約35名の登録ボランティアとともに、粘り強く犬たちに向き合っています。

(最後のマタギ、20年の記録:東京)
写真家で映画監督の本橋成一さんが、自身の作品展示や新人発掘の場にと1月にオープンさせたギャラリー・イベントスペース「ありかHole」(中野区東中野4・ポレポレ坐ビル7階)で、最初の写真展が始まった。写真展は「黒田勝雄写真展 最後の湯田マタギ」。

(狩りのシェアとは、鳥獣被害解決に新アプローチ:埼玉)
シカの食害により、葉が一部欠けてしまったサトイモ。こうした野生動物による農作物の被害を食い止めるため、重要な役割を果たす狩猟。不足する担い手を増やすため、ある取り組みが行われていた。カリラボ・吉田隼介代表「個人で数頭とるより、できる人を増やす方が、結果的に獣害対策につながる。経済的にも、時間的にも、労力的にも、シェアリングする考え方がワナシェア」。山の中で話し合う人たち。すると始めたのは、イノシシやシカを捕まえるための、くくりわなの設置。埼玉のベンチャー企業「カリラボ」が開催している、ワナシェアの活動。東京都内に住む磯貝さんは以前、個人でわな猟をしていたが、続けることはできなかったと話す。ワナシェアの会員・磯貝さん「社会の役に立ちたいというのがあり、4年前に一度だけ(わな猟を)した。(わなを仕掛けた場所までの)移動時間やお金がかかり、続けられなくなってしまった。(ワナシェアは)交通費が削れたり、金銭面でも余裕が生まれている」。通常、わな猟を行う場合は免許が必要なだけでなく、わなの購入などのお金、仕掛けたり見回りをする労力、わなを扱う知識などが必要になる。しかし、すべてを個人でそろえるのは難しく、免許を持っていても活動をしていないペーパーハンターになる人も多いという。そのため、ワナシェアでは参加者からの会費をもとに、わなを共同購入し、見回りは持ち回りで行うことで負担を軽減。加えて、わなの仕掛け方や解体の知識、解体した肉なども共有することで、学びながら獣害対策に参加でき、ペーパーハンターでも参加しやすい仕組みになっている。さらに、わな周辺に設置したカメラや、見回りを行った際の写真をSNSで共有。それをもとに、わなの設置場所をオンラインで話し合うことができ、毎日見回りに行くことのできない都心在住者も、積極的に狩猟の経験を積むことができる。ワナシェアを運営するカリラボの吉田さんは、参加者には取り組みを通して、獣害を解決する人材になってもらいたいと話す。カリラボ・吉田隼介代表「やりたいけどできない人が多いのが現状。免許を返納してしまうケースも多いと聞く。かたや、有害鳥獣の被害対策をする人が足りないとか、猟師が減っているというのでもったいない。(参加者には)ここで経験して、いろんな地域で同じ課題を抱えているので、それを解決する核のような人になってもらえるといいな」。未来の獣害解決に、一役担うことを可能にするワナシェア。今後は、獣害に悩むほかの地域にも、仕組みを広げていきたい考え。

(鹿の革鉛筆キャップ贈る:山口)
農作物への被害を抑えるため駆除されたシカの革を使った鉛筆のキャップが、長門市の小学校に贈られ、製作した猟師は、「地域のために駆除は必要だが、命をむだにせず大切に使ってほしい」と子どもたちに伝えました。シカの革を使った鉛筆のキャップを贈ったのは、地元に住む猟師の中野博文さんで、長門市の俵山小学校に通う全校児童29人分を製作しました。シカは、農作物への被害を抑えるために駆除したものだということで、中野さんは、「地域の生活のためにシカの駆除は必要だが、命をむだにせずに大切に使ってほしい」と子どもたちに伝えました。長門市によりますと、去年1年間のシカによる農作物の被害額はおよそ750万円で、去年は730頭が駆除されたということです。5年生の女の子は、「シカが鉛筆キャップになるのはびっくりしました。命を大切にして、一生大事に使いたい」と話していました。また、中野さんは、「シカの革を使った製品を通じて、自然豊かな俵山の可能性を感じてほしい」と話していました。

(ストラップ作製、駆除のイノシシ活用:福島)
伊達市農林業振興公社は、有害鳥獣として駆除されたイノシシの革を使い、マスクを首から下げるストラップ「マスクなくさなイーノ」を製作、販売している。ひもの部分がイノシシの革で作られており、両端のフックにマスクを掛けることで使用できる。同公社によると、マスクを首から下げることで、食事などでマスクを外した際の紛失防止につながるという。価格は1個1300円。赤、青、こげ茶、緑、オレンジの5色がある。道の駅伊達の郷りょうぜんなどで販売しているほか、ウェブサイトからも購入できる。

(ジビエのシカ肉をそぼろふりかけに:福井)
中山間地の活性化に向けた新たな取り組みとして、坂井市竹田農山村交流センター「ちくちくぼんぼん」は、ジビエのシカ肉を使った料理法を開発した。八日には、今後の活用法を探るために同施設で検討会を開いた。

(よさこいジビエフェア:高知)
野生のシカやイノシシの肉を使ったジビエ料理が楽しめる「よさこいジビエフェア2021」が15日、高知県内14市町村45店で始まる。よさこいジビエフェアは高知県鳥獣対策課が2014年から毎年実施。各店舗でシカ肉のローストや唐揚げ、イノシシ肉のベーコンや白ワイン煮込みなど多彩なメニューが用意される。

(専門店がレシピ動画公開:高知)
高知県香美市のジビエ料理専門店が、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に専門チャンネルを開設し、県内の特産物と合わせたレシピや、肉の下処理の方法などを紹介している。「新型コロナウイルス禍で自宅で過ごす時間が増えた今、おうちジビエを楽しんで」と呼び掛けている。香美市香北町吉野の「ヌックスキッチン」。代表の西村直子さん(50)が「ジビエ料理のおいしさを知ってほしい」と昨年10月にチャンネルを開設し、これまでに5~10分程度の動画5本をアップした。

(ジビエ料理の研修会:山口)
野生の鳥獣の肉「ジビエ」をおいしく食べてもらおうと、鹿肉料理の研修会が長門市でありました。研修会は、農作物への鳥獣被害を減らそうと、長門市や猟友会などでつくる協議会が開いたもので、旅館や飲食店の料理人ら13人が参加しました。講師には、日本ジビエ振興協会の代表理事で、長野県でジビエ料理のシェフとして活躍する、藤木徳彦さんが招かれました。処理施設で皮や内臓を取り除かれた鹿肉を、藤木さんがロースやモモなど部位ごとにカットしながら、特徴を説明しました。長門市では、有害鳥獣による農作物などへの被害は、昨年度およそ28ヘクタールで3200万円にのぼっていて、捕獲して被害を減らそうと取り組みが進められています。俵山猪鹿工房想・増野建治代表「田舎だから、経済的にもなかなか活性化していかないところだけど、これが有効な資源として活性化していければありがたい」肉が固くならないための調理方法や、それぞれの部位に合った料理も紹介されました。参加者「色々調べて、自分なりにいろんな物で柔らかくしていたけど、これで柔らかくなるのか、っていうのがあったので、これを利用して料理してみようと思う」日本ジビエ振興協会・藤木徳彦代表理事「ジビエ対策は、最後はおいしく食べるというところが確立されないと、『食べろ食べろ』と言っても食べる人がいないと普及しない。そこは大事なところ」試食会には、地元の人など50人ほどが招かれ鹿肉のステーキやから揚げなどを味わいました。協議会では、ジビエ料理を新たな特産品にするため、今後も普及に取り組むとしています。

(ジビエ店、夢へ第一歩:和歌山)
かつらぎ町の山間地にある花園地区で昨年12月、同地区で活動する地域おこし協力隊の阪本晃一さん(38)が野生鳥獣の肉「ジビエ」を解体、加工、販売する店をオープンした。ジビエ料理の普及や鳥獣による農作物への被害を減らすことを目標に、「『山の肉屋さん』として地域に愛される存在になりたい」と意気込む。店の名前は、ドイツ語で肉店を意味する「METZGEREI(メツゲライ)」。町中心部から車で約40分離れた山奥の一角に昨年12月10日、オープンした。八方を山に囲まれ、耳を澄ませば川のせせらぎや鳥の鳴き声が聞こえてくる敷地内には、店名が書かれた大きな看板と、飲食店だった建物を改装した約40平方メートルの木造平屋の店舗。薫製機や冷蔵庫が並ぶ店内では、バーベキューや鍋料理用に加工した鹿肉などを販売し、店に立ち寄った人が休めるように、6~7人が掛けられるカウンターも備えられている。阪本さんは「夢への第一歩を踏み出せた」と感慨深げに話す。大阪府和泉市出身の元保育士。2011年、勤めていた保育園の視察研修でドイツを訪れた際に見かけた現地の肉店の様子に感銘を受けた。活気ある本場の肉店の従業員らが豚や牛の解体から販売までを一挙に手がける「職人技」に格好良さを感じ、「これこそ熱中できる仕事だ」と直感。翌年には保育園を辞めてアルバイトなどで費用をため、14年に単身でドイツに渡った。語学学校で半年間、ドイツ語を学んだ後、17年夏まで、現地の肉店で住み込みで働いた。帰国後の18年、地域活性化策としてジビエに関わる地域おこし協力隊を募集していた花園地区に興味を持ち、移住した。町内の猟師が捕獲したシカやイノシシを年間数十頭譲り受け、地区住民からもらったり、購入したりした冷凍庫や薫製用のドラム缶を使って、ペットフードやジビエ料理用に加工。近隣県のホテルや町内のカフェ、キャンプ場などに販売した。事業は徐々に軌道に乗り、機材の購入費を含め約1500万円をかけて、夢だった店のオープンにこぎ着けたという。今後、販路拡大や、ジビエを使ったソーセージ作り教室の店での開催も計画する。近くに住む無職郷地ごうち早苗さん(72)は「高齢者ばかりですさんでいく一方だった村に若者が明かりをともしてくれた。地元住民の憩いの場にもなりそうだ」と喜び、猟師・中西一男さん(71)は「以前は捕獲した鳥獣を土の中に埋めて処理していたが、引き取って活用してくれるのはとてもありがたい」と笑顔だった。阪本さんは「ジビエを地域の名産品に育て上げ、町全体を盛り上げていきたい」と力を込めている。

(イノシシから学ぶ「命」:大阪)
昨年暮れの午後8時を過ぎた夜ふけ。大阪府島本町のイタリア料理店「リストランテ コンテ」に、男たちが1人、また1人と集まってきた。食事のためではない。この日の朝、近くの山でとれたばかりのイノシシをさばくためだ。地元でとれたイノシシやシカの肉料理をメインに提供する店だ。店主の宮井一郎さん(48)はシェフであり、猟師でもある。この日集まったのは、宮井さんらが2年前に結成した島本ハンターズのメンバーたちだ。店の一角に、わなにかかったイノシシが横たわっていた。「(体重)15キロくらいかな」。「脂(あぶら)少なめやね」。エンジニアの新田滉(ひろき)さん(25)と整体師の吉田広揮(ひろき)さん(30)がナイフを使い、慣れた手つきでゆっくりと皮をはいでいく。猟師歴20年を超える宮井さんは「手、切るなよ。脂に毛がつかんようにな」とそのつど助言する。メンバーらはロースやモモ、ヘレ、タンなど部位ごとに肉を切り分けていった。「骨は煮込んでブイヨンに。腸と皮以外全部使う」と宮井さん。肉は「島本ジビエ」として販売もしており、島本町のふるさと納税返礼品になっている。寝屋川市育ちの宮井さんは調理専門学校を卒業後、イタリアで修業し、日本に戻って開業した。趣味は古いイタリアの料理書の翻訳という根っからの料理人だ。ジビエはフランス語で野生の鳥獣の肉を意味し、欧州では高級食材として知られる。客に出す食材は自らの手で得たい。宮井さんにはごく自然なことだった。狩猟免許をとり、島本町内の山林30カ所以上にわなを仕掛けている。島本ハンターズのメンバーは約30人。狩猟免許取得をめざす人や解体、調理の手法を学びたい人が集まっている。宮井さんの生き様にほれ込んだ人も多い。新田さんもその一人だ。客として店に通ううち、「命に寄り添う」に徹する姿勢に心打たれた。コンテでは、来店を予約しているその日になって、「来るのを1時間ほど遅くしてもらえないか」と客に電話がかかってくることがしばしばある。仕掛けたわなに動物がかかり、宮井さんが現地に向かうためだ。もちろん、店の営業が終わってから行くことはできる。だが宮井さんは「人間のエゴで命を軽く扱うわけにはいかない」。わなにかかった動物の苦痛を少しでも短くするのが信念だ。「『殺生』とは殺して生きると書く」。宮井さんが客によくこう語る。人は、命を殺すことでしか生きられない。だからこそ、とれた獲物は最大限にいかし、「いただきます」と感謝すべきだ。ただ、スーパーで売られる肉はすでに切り分けられている。そこに「命」があったことも忘れられているのでは――。日本人にとって、最も身近な獣肉がイノシシだ。旧石器時代から食用にされていた痕跡がある。獣肉食が禁忌とされていたとされる江戸時代も「山くじら」などと呼ばれ、食用にされていた。今でも特に西日本では、イノシシの肉をみそやしょうゆ仕立ての汁で煮込んだ「ぼたん鍋」が郷土料理として人気だ。「ジビエの中でも特に脂がうまい。昔の人がごちそうにしてたのがよくわかる」と宮井さんは話す。ただ、イノシシはわなに足が1本かかった状態でも、人が近づくとそのまま突進してくる。その必死なさまは、ベテラン猟師の宮井さんでも思わず「怖い」と思わせる迫力がある。自ら捕らえてさばき、調理して客に差し出すのは、そんなイノシシから頂いた命そのものだ。農作物を荒らすイノシシはシカとともに代表的な「有害鳥獣」とされる。環境省によると、2019年度は全国で64万頭が捕獲された。半分は利用されず、焼却処分などになった。命に感謝し、最大限利用する。それが宮井さんの信念だ。「みんながそんな考えになれば、世界から『むやみな殺し』はなくなるのではないか」。店に来ることが「『命』について考える機会になってほしい」。そんな思いで料理をふるまい続ける。

(「ジビエソーセージ」を通販で販売開始:大阪)
ジンギスカンKEMONO店舗はご自宅で本格ジビエ料理が味わえる「ジビエソーセージ」を2021年1月14日から通信販売致しました。今回ご紹介するジビエ専門店「ジンギスカンKEMONO(https://kemono-pub.com/ ) 」は、地方(主に広島)の想いと僕たちサービス提供者の想いが詰まったお店です。お店の場所は大阪中央区の千日前にあります。このお店からジビエ料理の素晴らしさと必要性を日本全国に広めたいのです!獣害は今や大きな社会問題です。野生動物はどんどん力をつけており、その一方、農家が立ち並ぶ田舎では高齢化が進み、跡取りもなくお年寄りが農業を営んでおります。この獣害被害で作物が育たない、全国においしい野菜を届けることができない、など、ニュースでは、紹介されることのない社会問題が長年起きています。ジビエ料理を広めることは、地方の農家を守ることにつながると考えています。

(ジビエ再び熱い視線、若手猟師が継承:長崎)
長崎県波佐見町で途絶えかけた狩猟肉(ジビエ)活用の機運が、再び熱を帯びている。2年半前、県外でジビエ料理店を展開する企業が波佐見産のイノシシ肉の加工を始めたものの頓挫。地産地消の動きも一時、しぼみかけたが、地元の若手猟友会員が直接、加工販売に乗り出した。東京や福岡でジビエ料理店を展開する企業が、波佐見町井石郷(いせきごう)に地元で捕れたイノシシ肉の加工施設を開いたのは2018年夏。それまで町内で害獣駆除されたイノシシは焼却・埋設されていたが、加工・出荷されるようにもなった。猟友会員らは「捕れた肉は、食すのが本来のあり方」と歓迎した。町などからの害獣駆除の報奨金に加えて、肉を買い取ってもらえるようになった。だが、町外から食肉加工の担い手として招かれた猟師は、創業時の過大な負担もあって19年離職し、ジビエ料理の企業も撤退した。それでも地産地消の夢を捨てきれない地元猟友会の城後(じょうご)光さん(39)らは昨年2月、賛同者を募って資本金50万円でジビエ加工販売「モッコ」を創業した。森を興すの意の造語だ。引き継いだ加工施設では城後さんにスカウトされた関孝治さん(41)が、肉質を確認しながら部位ごとに肉をそぎ、解体する。それをハム作りで定評のある福岡県の手作り工房に出荷。粗挽(あらび)き・香辛料入り・プレーンの3種類のウィンナーとして製品化した。扱う肉は、仕留めて30分以内に加工施設に持ち込める新鮮さを条件にした。他社のイノシシ肉の加工品では脂ののりの悪い季節はブタの脂を注入して代用することが多いが、モッコは冬場のイノシシの脂身を保存しておき、活用する。「地元産のイノシシ肉100%をうたう責任」(城後さん)という。そんなこだわりも評価され、ネットショッピングだけでなく、ふるさと納税の返礼品にもなった。一昨年、肉の供給が途絶えて料理を出せなくなった町内の中華料理店も、コロナ禍の客足を見つつ仕入れを再開した。これまで県外資本や県外の人手に頼ってきた加工施設の運営だが、地元雇用を生み出せる期待も膨らみ、関係者に笑顔が戻った。だが、城後さんは「害獣駆除は重労働。かたや猟友会員の高齢化は深刻だ。市町村単位で対応するやり方は近い将来行きづまる」と、先行きには危機感も抱く。そこで期待を寄せるのが、広域的なネットワークの広がりだ。これまで町外の猟師から取引を持ちかけられても、「30分以内」の条件を満たせず断ることもあった。だが、害獣に悩む農家と猟師、加工施設を橋渡しできれば、ジビエの活用はもっと広がる。城後さんは「広域で害獣駆除に対応する素地もつくりたい」と、県北にネットワークを広げることを構想している。

(ロッテリア「ジビエ鹿肉 バーガー(エゾ鹿ラグーソース)」)
ロッテリア各店で、「ジビエ 鹿肉バーガー(エゾ鹿ラグーソース)」が発売されます。1月29日より、全国117店舗で数量限定販売。「ジビエ 鹿肉バーガー(エゾ鹿ラグーソース)」は、鹿肉ハンバーグパティのハンバーガー。パティは、農林水産省制定「国産ジビエ認証」制度の基準をクリアした長野県の工場で適切に処理した、低カロリーで鉄分豊富といわれている鹿肉を全体の6割に使用し、パン粉や黒こしょう、ナツメグなどの香辛料を加えて、より本格的に鹿肉の風味と旨味を味わえるように仕上げてあります。味の決め手となるソースには、エゾ鹿のひき肉を使用し、鹿肉の旨味を引き出すガラムマサラや数種のスパイスをブレンドしたスパイシーな「エゾ鹿ラグーソース」を採用。それらをマヨネーズ、レタス、トマト、スライスオニオン、ピクルスとともにバンズで挟んだ、ジビエ鹿の食材を生かしたバーガーです。価格は720円(税別)。取扱店舗は、関東50店舗、関西25店舗、北海道5店舗、東北3店舗、北陸1店舗、中部25店舗、九州8店舗が対象。

(“害獣”と言われてきた地域のイノシシを価値化:島根)
島根県出雲市の南に位置し、標高250m~300mの山に囲まれた雲南市を拠点にスタートした移住料理人のKANUKA PARK(代表 鹿糠俊二)は、雲南の地域資源に新たな命を吹き込み「カヌカのイノシシソーセージ」の販売を2021年1月15日(金)スタート。イノシシ肉のおいしさの魅力を伝えながら、同時に害獣被害や雇用問題、高齢化による人口減少など社会的な問題にも取り組んでいき、地域ならではの資源を最大限に価値化をしていきます。

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(厚真猟銃死「情報を」、苫小牧署など時効迫り呼び掛け:北海道)
厚真町桜丘の民有林で2011年2月4日に安平町の林業作業員新渡戸勝彦さん=当時(45)=が猟銃の銃弾に当たり死亡した事件で、10年の時効成立まで1カ月を切り、苫小牧署などは9日、町中心部で事件解決に向け、町民らに情報提供を呼び掛けた。呼びかけには同署や道猟友会苫小牧支部などの26人が参加。事件が発生した午前9時半ごろに合わせて黙とうをした後、役場前などで道行く人に「情報提供お願いします」と声を掛けた。併せて、事件当時、現場近くでオレンジ色の上着を着たハンター2人が青色・水色系のRVで走り去ったとの目撃情報や現場の地図を記載したチラシ、ティッシュペーパーを配った。

(サル、とうとう捕まる:秋田)
秋田県大仙市大曲でサルが保護され、10日に県鳥獣保護センター(五城目町)へ引き渡された。今年に入り市内で相次いで目撃された個体とみられる。市農林整備課によると、9日午後3時ごろ、同市大曲西根の企業の倉庫にサルがいると市民から連絡があり、職員と大仙署員が駆け付けた。サルは逃げ回ったが、5時半ごろ、電柱にしがみついているところを職員がたも網をかぶせて捕まえた。足をけがしており、暴れたり攻撃したりすることはなかったという。県仙北地域振興局森づくり推進課を通じ、10日に県鳥獣保護センターが引き取った。

(新幹線とイノシシ衝突:山形)
11日午後2時40分ごろ、JR奥羽線板谷(山形県米沢市)-赤岩(福島市)間で、山形発東京行き山形新幹線つばさ86号がイノシシと衝突し、現場に一時停車した。けが人はなかった。JR東日本山形支店によると、山形新幹線上下3本が最大51分遅れ、約370人に影響した。山形新幹線は在来線と同じ区間を走る「ミニ新幹線」。

(クマ被害者に見舞金:石川)
加賀市議会教育民生委員会では、市側は昨年10月以降、市内でクマに襲われる人身被害が3件5人発生したことを受け、重傷を負った人に見舞金5万円を支給するとした。被害時に市に住民登録があった人が対象で、市民災害見舞金から支給する。臨時的な措置であり、今後は条例改正して恒久的な見舞金制度を設ける。片山津地区で金明、湖北、潮津の3保育園を統合して4月に開園する「スワトン保育園」は定員100人にするとした。ゼロ歳児・1歳児保育のほか、医療的ケア児の支援、太陽光発電など行う。市内小中学校の卒業式は新型コロナ対策で来賓は出席せず、児童生徒、教職員、保護者のみで行うとした。保育園の卒園式も同様の対応とする。議会活性化特別委員会広報部会では、8日に配信を始めた議会広報番組の内容を確認し、中谷喜英市議会議長が「内容を充実させて取り組んでほしい」と述べた。

(セリ、大雪でカモの食害拡大:岩手)
岩手県北上市江釣子地区の特産「江釣子せり」が、大雪の影響でカモの食害に遭っている。餌場とする稲刈り後の田んぼが雪に覆われ、湧き水を引き込んだセリ田にカモが集中した。七草がゆの需要期を迎え、農家の痛手となっている。江釣子芹生産組合長の佐藤光子さん(78)のセリ田4アールでは、収穫を控えたセリの約半分が根っこを食べられた。「例年は七草がゆのため正月3日から収穫しているが、今年は採れるものがない」と肩を落とす。昨年12月中旬から岩手県南は大雪に見舞われ、落ち穂を食べられないカモが、セリ田に集まったらしい。「『グァ、グァ』と夕方から鳴き声が聞こえ、夜には十数羽いた」と佐藤さん。急いで鳥よけのビニールを下げたが、気休め程度の効果しかなかった。花巻農協によると、被害に遭ったのは生産組合の8戸のうち7戸。栽培面積約50アールの約4割が被害を受け、被害額は約300万円に上る。来季の種セリ分まで食べられた農家もあり、被害の少ない農家から融通して対応する。以前は多くの農家が鳥よけネットでセリ田を覆っていた。暖冬で雪が減ったため、ここ数年はネットをかけない農家が増えた。佐藤さんは「いい教訓になった。皆で集まり今後のカモよけを検討したい」と話す。江釣子地区は各所で湧き水が出る「清水(すず)の里」と呼ばれ、湧き水を利用したセリ栽培が盛ん。昨年度の出荷額約800万円と産地の規模は小さいが、香りが良く柔らかいと市場の評価は高いという。

(かわいくても餌あげないで、特定外来生物「クリハラリス」:静岡)
かわいい外見でも餌をあげるのはやめてください。農作物に被害を与え、生態系への悪影響も危惧される特定外来生物「クリハラリス(タイワンリス)」が浜松市内で生息域を拡大している。ペットのようなかわいい見た目で餌を与える市民が後を絶たず、駆除を実施している市は対応に苦慮している。クリハラリスは台湾や東南アジアに生息し、頭から尾まで全長四〇センチで繁殖能力が高い。市によると、市内に一万八千匹いると推定。駆除を実施しなければ二〇三〇年には十一万匹を超え、農作物への被害額は年間五千万円程度まで増加する見通し。野生化は一九八〇年ごろから浜松城公園周辺(中区)で始まり、二〇一八年には細江公園(北区細江町)でも生息が確認された。多くの個体は市内を横断する東名高速道路より南の地域で生息しているとみられるが、市の担当者は「今後も北に向かって生息域が拡大する懸念がある」と話す。ミカンや柿といった農作物の生産が盛んな地域に生息域が拡大すれば被害が広がるだけでなく、在来種のリスの生息域が脅かされる危惧もあるという。農作物への被害に加えて電線や住宅の木材をかじるなどの被害もあり、市は二〇一七年十月に駆除実施計画を取りまとめ、現在は金属製の箱の中に餌を置いて捕獲する方法で駆除に取り組む。その一方で、浜松城公園など一部の地域では、一見すると愛くるしい表情を見せるリスに餌をあげる市民が後を絶たないという。担当者は「生物の多様性を守り農作物などへの被害を防止する観点からも、かわいいからといって餌をあげるのはやめてほしい」と呼び掛けている。

(250羽以上のカワウ越冬:和歌山)
吉野熊野国立公園内の九龍島(くろしま、和歌山県串本町古座)で、250羽以上のカワウが越冬している。広域的に被害を与えるカワウの対策を考えるため、関西広域連合が春、夏、冬に実施している生息動向調査の定点の一つ。日本野鳥の会県支部会員が数えており、約4キロ離れた同町大島の権現島から移動してきた可能性があるという。九龍島は古座川河口から約1キロ沖にある無人島。広さは1・3ヘクタールほどで、希少種のウチヤマセンニュウが夏鳥として飛来したり、アマツバメが集団で繁殖したりする。植物のアオノクマタケランも自生する。2015年には国の名勝「南方曼陀羅(まんだら)の風景地」の一つに指定されている。カワウがねぐらに使っているのは島の北斜面。一部の樹木や岩が、カワウのふんで雪が降ったように真っ白になっている。カワウは日の出前に餌場に飛び出し、夕方になると九龍島の周辺に集まってくる。県支部会員によると、15年冬の調査では250羽ほどをカウントしていたが、16年に127羽と半減して17年には32羽と激減したという。このため、他の場所に移動したと推測して探しているうちに権現島で越冬しているのを確認した。その後は両方で定点調査をしており、18年は九龍島62羽・権現島99羽、19年は43羽・136羽だった。昨年冬(12月9日)の調査は254羽・6羽と大きく変動した。県支部会員によると、権現島の様子が変わってきたため、もともと多く飛来していた九龍島に集まったのではといい「串本町には、他にも橋杭岩や大島の北向きの断崖など利用できる場所がある。追われたり環境が変化したりすると移動してしまう」と心配している。

(クマ対策、山にドングリをまくのは大丈夫?)
クマの人里への相次ぐ出没を受け、対策が模索されている。餌となるドングリを各地から集め、山にまく自然保護団体の取り組みには各地から支援が集まっているが、専門家は生態系への悪影響を危惧し自粛を求める。ふるさと納税を活用し、ドングリの苗木の植栽に乗り出す自治体も出てきた。一般社団法人日本ヴィーガン協会(兵庫県)は2020年10月、千葉市や神戸市などのカフェや雑貨店でドングリを回収し、山に届ける事業「どんぐりすてーしょん」を立ち上げた。事業に寄付を募るクラウドファンディングは開始2日目に目標額の20万円が集まり、終了時には5倍に達した。協会によると、各地から届いたドングリは800キロを超える。北陸などの山間部へ運び、地元の人や動物保護団体の協力でクマの通り道やえさ場に置いた。協会の三宅久美子(みやけ・くみこ)代表理事(58)は「保育園児たちが集めてくれた例もあった。子どもが公園で拾えるような気軽さが大きな反響につながったのかもしれない」とみる。人に近づく個体は殺処分される場合もあり、「あくまでクマの命を守るための緊急の措置。殺処分にショックを受ける人に希望を与えたい」と語る。ただ、各地で集めたドングリを人為的にまく行為は、その土地の生態系を乱す危険をはらむ。森林総合研究所(茨城県)が11年に作成した「広葉樹の種苗の移動に関する遺伝的ガイドライン」によると、天然の樹木は長い時間をかけて気候変動に対応し、分布域を変えるなどしており、「人為的にかく乱すると、集団や種の衰退につながることがある」という。ガイドの作成に関わった同研究所の松本麻子(まつもと・あさこ)研究員は「樹木の成長は年月がかかり影響が見えにくいため、顕在化した時には手遅れとなっている恐れがある。予防的な措置の観点で、樹種はなるべく移動すべきでない」と指摘する。動物関連の書籍やテレビ番組を多数監修する「どうぶつ科学コミュニケーター」の大渕希郷(おおぶち・まさと)さん(38)も、「人が実を運ぶと、クマが人のにおいを学んでしまう。個体数が山の本来の収容力を超える恐れもある。結果として、人里への出没が増えて逆効果になりかねない」と警鐘を鳴らす。ゾウムシなどがドングリに寄生していれば、虫が拡散してしまうリスクもある。大渕さんは「共生や寄生、食物連鎖といった複雑な関係性の上に多様な生物が存在している。クマを救いたい気持ちは理解できるが、生態系全体を考慮する必要がある」と強調する。環境省によると、20年4月~11月のクマによる人身被害は151人と過去最悪ペースだった。餌となるドングリが2年連続で不作の地域が多く、冬眠前に農作物を求めて人里へ来たとみられる。同省は、カキやクリなどの農作物や生ごみを放置しない、鈴など音の出る物を携帯しクマに人の存在を知らせるといった対策を呼び掛けている。クマは本来なら人を避けて森の深くで暮らしている動物だが、急に遭遇した場合は驚いて攻撃してくることがある。学習能力が高く、人の食べ物の味を覚えると強く執着する習性もある。クマの生息地や目撃情報があった場所には近づかない、万一出会ってしまった場合は刺激しないようゆっくり後退するといった適切な行動が求められる。「痛ましい事故を避け、クマと共存できる道を探りたい」。石川県小松市は昨年11月、えさ場の整備や森林保全の資金を募るふるさと納税のコースを新設した。寄付は好調で、12月下旬には目標額を超えた。同市ではクマの出没が例年の5倍を超え、住宅街で女性が頭をひっかかれる事故も発生。消防や警察が警戒に当たったり、クマよけの柵を設けたりといった措置を講じてきたが、根本的な解決には、クマが餌に困らない自然環境をつくることが重要だと考えたという。ふるさと納税で寄せられた資金で、クヌギなどドングリの実を付ける苗木を育て、えさ場として整備する計画だ。植栽には年月がかかり出没を防ぐ特効薬とは言えないが、「長期的な視点に立ち、クマが自力で餌にありつける豊かな森をつくりたい。専門家のアドバイスを受けながら生態系に配慮して取り組んでいく」(担当者)としている。

(シンポジウム「空間スケールに応じた野生動物管理の在り方」)
近年、野生動物による問題は、農山村における農林業被害という従来の問題だけではなく、市街地における人身被害も発生しています。また、野生動物の分布が拡大し、生息数が増加しているため、こうした問題は一部地域だけではなく全国各地で発生しています。こうした問題に対応するために、国は鳥獣保護管理法、各都道府県は特定鳥獣管理計画を策定した上で、増え過ぎた野生動物の管理を試みています。しかし、一つの都道府県単位で管理計画を運用していくだけでは不十分であり、管理計画を適切に運用していくために、管理スケールの異なる縦の連携や隣の都道府県や市町村との横の連携が重要となります。また、特定鳥獣管理計画を運用するためには、野生動物管理を担う専門的な行政職員が必要であり、さらに継続的に管理計画を実施していく上では、将来を担う人材の確保が急務の課題とされている一方で、鳥獣行政に関心のある学生は現場の窮状を知らないことが多い。そこで本シンポジウムは、野生動物管理を担う多様な職種の中で、行政に焦点を当て、国や都道府県、市町村という複数スケールでの野生動物管理に対する取り組みと課題を提供し、今後の日本の野生動物管理を担う若い人材に現状を把握してもらうことを目的とする。

(とちぎ鳥獣被害対策フォーラム)
野生鳥獣による農林業被害等の軽減を図るため、栃木県と連携し、獣害被害対策に関する専門的な知識と技術を有し地域のリーダーとして鳥獣被害対策に取り組む人材の育成や地域特有の課題の解決を目的とした研修会を開催しており、その一環として鳥獣被害対策フォーラムを開催いたします。指導者の人材育成に焦点を当てたアドバイザー派遣事業の事例報告や総合討論、有識者の基調講演を通して、関係者の理解促進と情報共有を図ります。

(サル目撃、人通り多い場所:東京)
車が行き交う橋の下を歩く、1匹のサル。すると、地面に飛び降り、川の方へ向かっていった。そして川を渡ると、再び橋のたもとへと上がり、そのまま去っていった。このサルは、東京・多摩市の新大栗橋で10日に撮影された。サルを目撃した人「毎朝同じ場所を通っていて、いつもサギとか水鳥がいるので、注目して見ていたら、茶色い物体がいて何だろうと思ったら、サルだった」。サルを撮影した人は、交通量や人通りが多い場所でサルを目撃したことに驚きを隠せない。サルを目撃した人「(当時の状況?)『あーサルだー』と言って、父もビックリして、ポカンとしていた。カメラを向けたら、こっちに気づいてびっくりして飛び降りちゃった」。実は、多摩市では、1月6日ごろからサルの目撃情報が多数寄せられていた。

(シシ肉加工品が好評:高知)
高知県高岡郡梼原町広野のNPO法人ゆすはら西が、シシ肉の加工品を売り出し、好評を得ている。アヒージョの缶詰とカルパスの2品。濃厚な味わいに加え、常温保存で手軽に持ち運びできるため、土産品としても受けている。同法人は解体施設「ゆすはらジビエの里」を運営しており、端肉の活用と生肉以外の収益確保を目指して加工品を開発した。シシ肉をオリーブオイルで煮たアヒージョは昨年9月に発売。甘辛い大和煮の缶詰は多く出回っていたため、平脇慶一施設長(35)は「万人受けより〝とがった〟商品を」。県外の製造業者と試作を5回重ねたという。シシ肉は匂いやかみ応えをほどよく残し、オリーブオイルはニンニクとローズマリーの風味が効いている。バゲットに付けたり、パスタに絡めたり、今までにないシシ肉の味わい方ができると評判だ。12月までに800個の初回製造分を完売し、追加発注したという。カルパスは細身のドライソーセージで、11月に発売。町内の木製ペレット工場から、ペレットと見た目が似たカルパスを来客用の土産にしたいとの提案を受けて商品化した。濃い味は酒のつまみにぴったり。こちらも初回の700個はほぼ完売したという。新型コロナウイルス禍で飲食店向けの生肉販売は減っているといい、平脇施設長は「加工品に活路を見いだしたい。今後も手に取ってみたい商品づくりに力を入れる」と意気込んでいる。アヒージョは165グラム入り910円、カルパスは1袋40グラム入り450円(いずれも税込み)。梼原町のマルシェ・ユスハラや高知市のアグリコレットなどで販売している。

(エゾシカ革でロングスカート:北海道)
北星学園大4年の久保えりなさん(24)が、エゾシカ革のロングスカートの製品化に向けた取り組みを進めている。道内ではシカ駆除が必要だが皮革の活用は進んでおらず「命を取っている以上、有効活用したい」と久保さん。自己資金を開発費に充て、不足分をクラウドファンディング(CF)で募っている。久保さんは2018年から約1年間、ワーキングホリデーでドイツに滞在。飲食店に菜食主義者用メニューがあったことなどで「動物愛護の価値観が印象に残った」という。帰国後、道内ではエゾシカ皮革があまり活用されていないと知り、衣類づくりを決意した。

(犬の本能刺激「ジビエ」フード広がる:広島)
シカやイノシシの肉など「ジビエ」を使った犬向けのペットフードが広島県内で広がっている。これまで捨てられていた部位を活用。脂肪分が少なくヘルシーで、味も犬に好まれるようだ。広島市内では、人も犬も食べられるシカのスープを提供するカフェも登場し、注目されている。広島市佐伯区の会社員鶴田直樹さん(60)は、愛犬エルドレッドがシカの骨付きジャーキーをむさぼる姿に驚いた。「食いつきがよく、もっともっと、と欲しがった」。与えたのは、三次市の第三セクター「みわ375」の商品。同社は、主に地元で捕獲されるシカを解体し、硬い部位や内臓などを加工。40グラム660円のシカの赤身ジャーキーなどが、同市三和町の物産館などで人気を集め、新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年春からインターネットでも販売を始めた。片岡誠社長(53)は「いただいた命を、そのまま捨てるのは申し訳ない。少しでも有益に使いたい」と強調する。人が食べるのはシカ1頭のわずか3割。それがペット用を加えると、8割近くまで利用できて捨てる量がぐっと減る。犬にとっても、ジビエはおいしい食材のようだ。片岡さんは「犬は、もともと肉食のオオカミだった。草食動物のシカを好むのは本能」と説明する。三次市三和町の坂田恭子さん(50)は、自宅の犬2匹がシカ肉を好むため、体調が悪い老犬を飼っていた千葉のいとこに、シカ肉のレトルトスープを送った。すると「元気になったよ」とお礼の電話をもらった。「山のものを食べた無添加のジビエ肉なので犬の体にもよさそう」と笑う。シカやイノシシが畑や田んぼを荒らし、農作物への被害は深刻になっている。農林水産省によると、2018年度の被害額は101億円に上る。捕獲する頭数が高止まりしているだけに、ペット用としての活用にも関心が高まる。安芸高田市や庄原市で捕れたシカやイノシシの肉をインターネット販売する「フォレマ」(広島市中区)では、犬を飼っている人の自宅にジビエを月1回配送する定期便がある。1キロ3千円余りと、人向けの豚肉や鶏肉より高いが人気だ。小泉靖宜社長(43)は「高タンパク低脂肪なので健康志向の飼い主に受けている。アレルギーがある愛犬向けに買う人も多い」と言う。広島市中区の28(ニワ)カフェ&キッチンでは、シカの骨を丸1日煮込んで、サツマイモやブロッコリーなどを加えたスープをプラスチックのカップに入れて冷凍販売している。店の前の公園を多くの犬が散歩しているのにヒントを得て、1カップ660円で今夏に発売した。「老犬の食欲が回復した」「しっかり歩けるようになった」などと口コミが広がり、今では5、6個まとめて買っていく人も。犬向けのため調味料が入っていないが、味付けすれば人もおいしく食べられる。店の担当者は「ペット向けも地産地消のメニューを提供できたらうれしい」と話していた。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、6日午後10時30分ごろ、仙台市青葉区八幡7丁目にクマが出没しました。

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(厚真猟銃死、2月時効:北海道)
胆振管内厚真町の民有林で2011年2月に同管内安平町の林業作業員新渡戸勝彦さん=当時(45)=が猟銃の弾に当たり死亡した事件の時効成立まで残り1カ月に迫った。苫小牧署はハンターによる誤射の可能性が高いとみて業務上過失致死の疑いで捜査しており、遺族は事件解決を強く願っている。「ただただ、残念のひとことです」。勝彦さんが愛用していたヘルメットを抱え、母勝子さん(77)がつぶやいた。バイクや自転車が好きで、休日はよくツーリングに行っていた勝彦さんのヘルメットは実家の2階で大切に保管している。父義博さん(78)は「病気や悪いことをして死んだなら諦めもつくけど、勝彦は一生懸命仕事をしていて死んだ。とんでもない話だ」と憤る。

(野生イノシシ(計4頭)の豚熱が確認:新潟)
新潟県は5日、十日町市、新発田市、阿賀野市で野生イノシシ(計4頭)の豚熱が確認されたと発表した。県内ではこれまで6市町(上越市、妙高市、五泉市、三条市、糸魚川市、阿賀町)で野生イノシシにおいて豚熱の感染が確認されているが、新たに3市で捕獲された野生イノシシでの感染が確認されたもの。県内23から26例目となる。12月21日に十日町市戊で捕獲した2頭(2頭とも成獣、雌、体長90センチメートル)を1月5日に、中央家畜保健衛生所で検査したところ、陽性だった。また12月27日に新発田市八幡で捕獲した1頭(成獣、雄、体長100センチメートル)を、1月5日に、中央家畜保健衛生所で検査したところ、陽性だった。さらに12月29日に阿賀野市福永(成獣、雌、体長100センチメートル)を1月5日に、中央家畜保健衛生所で検査したところ、陽性だった。なお豚熱は、豚やイノシシの病気であり、人に感染することはない。また、感染した豚が市場に流通することはないが、万が一感染した豚やイノシシの肉を食べても健康に影響はないという。

(スノーボーダーにイノシシが突進、男女2人けが:長野)
長野県小谷村のスキー場のゲレンデに突如イノシシがあらわれ、女性客に突進しました。男女2人がけがをしましたが、命に別状はないということです。ゲレンデを歩く大きなイノシシ。体長は1.5メートルほどあるとみられます。これは、小谷村の白馬乗鞍温泉スキー場で撮影された映像です。6日正午過ぎ、「イノシシと人がぶつかって、けがをしている」とスキー場の関係者から消防に通報がありました。スキー場によりますと、ゲレンデでスノーボードをしていた女性客にイノシシが突進し、頭と足にけがをしたということです。その後、追い払おうとした男性従業員も足をかまれ、けがをしました。消防によりますと、2人は病院に搬送されましたが、命に別状はないということです。スキー場によりますと、イノシシがゲレンデで目撃されるのは珍しいということです。山に囲まれているため、今後も野生鳥獣が出没する可能性があるとして、スキー客への注意の呼びかけを強化することにしています。

(イノシシ急増2.8倍に、東北で北上警戒)
東北地方でイノシシが急増している。捕獲数は2014年度に約1万5500頭だったのが、19年度は約4万3900頭と5年で2.8倍に。東京電力福島第1原発事故で住民が避難した福島県で特に増え、地球温暖化などで生息域は北へ広がった。農作物の食害のほか、豚熱(CSF)を養豚場に持ち込む恐れもあり各県は警戒している。19年度に東北の7割近い3万700頭余が捕獲された福島県では、避難指示区域での目撃が集中。隣の山形県の担当者は「県内では100年前に絶滅したとされるが、一気に攻め込まれた」とため息をついた。捕獲数は5年で13.2倍となり、農業被害額も増えた。これまで生息していなかった東北北部での捕獲例も発生。イノシシの生態に詳しい福島大の望月翔太准教授(野生動物管理学)は地球温暖化と過疎化を理由に挙げ「東北南部で個体数の増加を食い止めれば、北上する頭数も必然的に減る」と指摘する。喫緊の課題は豚熱への対応だ。養豚場に広がれば殺処分は免れない。ウイルスを運ぶ野生のイノシシを捕獲して感染リスクを下げる必要があり、自治体は頭を悩ませている。東北では20年9月に福島県でイノシシの感染が判明。12月には山形県でも感染が確認された。福島県富岡町の農地で20年7~11月、イノシシを遠ざける実証実験が行われた。町は避難指示が一部解除、農業も再開されたが、食害が続けば住民帰還に水を差す。町、NTT東日本などはセンサーや犬の鳴き声を流す機器を設置して追い払いに成功した。同社は被災地での事業展開につなげたい考えで、担当者は「個体数や行動歴を把握して対策を練り、復興に寄与したい」と話した。

(アライグマ被害、過去5年で最悪:埼玉)
埼玉県内のアライグマによる農作物の被害が昨年度、過去5年で最悪の2000万円以上になったことが県のまとめで分かりました。北米が原産のアライグマはペットとして輸入され飼われていたものが放されるなどして野生化し、埼玉県内ではおよそ7万頭が生息しているとみられています。埼玉県によりますと県の西部や北部を中心に、トウモロコシやなすなどの農作物への被害が増えていて、昨年度の被害額は2136万円と、過去5年間でもっとも多くなったということです。また、捕獲頭数も昨年度は7223頭と、5年前に比べて2倍以上に増え、過去最多となりました。県はアライグマの手を伸ばして獲物を取る習性を利用し筒状のアライグマ専用の捕獲装置を開発したほか、狩猟免許がなくても捕獲できるよう農家や自治体職員を対象に、講習会を開くなど対策に力を入れていくことにしています。埼玉県は「このままでは被害が増える一方なので農家や他の自治体と協力し、被害減少に努めていきたい」としています。

(イタチ捕獲、大阪が断トツ:大阪)
大阪市内の夜の街角で小動物が走るのを目にした。「ネズミ?やけにでかいな」と驚くと、大阪育ちの知人が「あれはイタチだよ」と言う。冗談だろうと思ったが、調べてみると、大阪府内では糞害などによるイタチの苦情がカラスより多いという。なぜ都会にこれほどイタチが生息しているのだろうか。大阪府によると、府内の市街地で見かけるイタチの大半は大陸由来のシベリアイタチという外来種だ。別名のチョウセンイタチに聞き覚えのある人もいるかもしれない。日本固有種のニホンイタチは主に山間部に生息。外来種が固有種を駆逐する話はよく聞くが、そうではなく、すみ分けができているらしい。イタチ保全の研究を行っている筑紫女学園大学(福岡県太宰府市)の佐々木浩教授によると、シベリアイタチは人家や田畑の近くに生息するが、ニホンイタチは河川周辺など自然豊かな場所を好む。都市部では開発によってニホンイタチの生息域が狭まる一方、シベリアイタチはそこで勢力を広げたとみられる。シベリアイタチの〝入国経路〟は2つあるというのが通説だ。1つは「福岡ルート」で、昭和初期に貨物船にまぎれ込んで北九州から侵入。もう1つは「兵庫ルート」だ。尼崎や明石の業者が毛皮採取目的で繁殖。昭和初期に野外に放ったという。1935年に大阪、51年に近畿一円や四国、中国地方で生息を確認。現在の生息域は岐阜や静岡以西の西日本とみられる。イタチはネズミ駆除に活用された歴史もあるが、近年は有害鳥獣として扱われる。環境省によると、イタチの捕獲数(2016年度)は全国で約1500頭。大阪府が約700頭と半数近くを占める。なぜ大阪府が突出して多いのだろうか。「コナモン(粉物)が好物なのでは」という上司の冗談は愛想笑いで流した。確かにイタチは雑食性だが、主食はネズミや小鳥などの小動物という。より有力な情報を得るため、イタチの被害に悩む民家を訪ねた。「10日ほど前から、壁に頭突きをするような音がしている」と訴えるのは、大阪市住吉区の80代の女性。住居は築60年の木造住宅で隙間が多い。同行させてくれた駆除業者、大洋防疫研究所(大阪府八尾市)の松田健太郎さんによると、イタチは3センチほどの隙間があればどこからでも侵入できるという。イタチは民家の屋根裏など暖かい場所を好み、断熱材のグラスウールを巣作りに利用することも。「大阪府には古い家屋が集まっている地域が多い」(松田さん)のも、イタチには都合がいいようだ。確かに大阪では木造家屋の集まる古い住宅地が多い。国土交通省の調査によると、地震時などに著しく危険とされる密集市街地は全国で2982ヘクタール(19年度末)。特に大阪府で解消が進まず、全国の6割超を占めている。「水都」といわれる大阪の地形との関連も見逃せない。害虫・害獣駆除の研究や技術指導を行う日本ペストコントロール協会(東京・千代田)によると、ネズミ駆除の相談は大阪が西日本で最も多い。降雨時に水が集まる低地や地下水路が多く、シベリアイタチが好んで捕食するドブネズミも多数生息するという。一方、大阪府内でイタチの捕獲数が多いのは、自治体の熱心な取り組みの成果という側面もある。捕獲には市町村長の許可が必要で、東大阪市などでは無償で捕獲道具を貸し出す。同市によると、19年度は37件の申請があり、市民の手で32頭を捕獲した。捕獲したイタチは水辺などに放つか殺処分する。大阪府ペストコントロール協会(大阪市中央区)によると「人情味のある大阪では、大半の人が放獣を望む」。殺処分より安く済むのも理由というが、イタチごっこのような気も……。

(空から3D攻撃大群で夜襲、渡り鳥の農業被害増:熊本)
熊本県は、2019年度の野生鳥獣による農作物被害が前年度よりも8900万円増え、5億3千万円に上ったとする調査結果を公表した。鳥獣別では渡り鳥のカモやヒヨドリによる被害が急増。姿は愛らしいが「柵で防げるイノシシやシカと違い、空から3Dで攻めてくる厄介者」と県担当者。渡り鳥が増える冬場を迎え、農家の悩みは深まる。県むらづくり課によると、鳥獣別で最大の被害額を及ぼしているのはイノシシの2億1765万円。被害全体の約4割を占めるが、電柵の整備や捕獲といった対策が進み、前年度比2%減と成果が表れている。一方、増えているのが渡り鳥。カモによる被害額は前年度の4757万円から1億367万円に倍増し、ヒヨドリは1262万円から6320万円と5倍に増えている。最大の被害を受けているのは農作物の一大生産地・八代市一帯。県八代地域振興局によると、カモやヒヨドリは日中は川や干潟で過ごし、大群で「夜襲」をかけてくる。キャベツなどの露地野菜を食い荒らし、特産のイ草を倒して、ふんをまき散らすという。県担当者は「天敵の猛禽(もうきん)類の鳴き声を流したり、タカを模したたこを飛ばしたりすると被害は減るが、対策を取っていない別の畑が襲われる」。効果的なのは防鳥網だが、広大な畑の全面に網を張るのは現実的に困難という。

(野生生物の被害対策をデジタルで:山形)
クマの出没が相次ぐなど野生生物の被害が深刻化するなか、山形県は新年度からドローンで撮影した野生生物の痕跡をAI=人工知能を使って画像分析するなど、野生生物の対策にデジタル化を取り入れる方向で調整しています。山形県内では去年、クマの出没が相次ぎ先月20日までの目撃件数は794件と平成15年以降で最も多くなったほか、野生生物による農作物の被害額も昨年度は4億6000万円あまりと東北6県で最も多くなるなど深刻な状況が続いています。このため県は、野生生物対策を強化しようと新年度から、対策のデジタル化を進める方向で調整しています。具体的にはモデルとなる集落をドローンで上空から撮影することを検討していて、イノシシやシカの足跡などの痕跡をAI=人工知能を使って画像分析するほか、管理が行き届かず実がついたままになっている柿の木などクマが寄ってきやすい環境がないかどうか調べることを検討しています。また、夜間、赤外線カメラで野生生物を追跡して活動状況を調べることも検討しています。県はこうしたデジタル化の取り組みで得られるデータを活用し、被害状況を示すマップを作成するなどして野生生物の新たな対策を進めていきたいとしています。

(マタギになりたくて阿仁へ移住した若者たち:秋田)
北秋田市阿仁地域の伝統的狩猟集団「阿仁マタギ」。近年、マタギを目指す若者の県外からの移住が続いている。彼らを引きつける魅力とは何か。移住者4人に話を聞き、マタギ文化の奥深さを探った。「一年を通じて山と関われる」。この3年間に、マタギを目指してそれぞれ北秋田市阿仁地域に移り住んできた3人は、その魅力について口をそろえて語る。3人は木村望さん(26)=農業、益田光さん(26)=クロモジ茶製造販売、山田健太郎さん(26)=市地域おこし協力隊。仕事をしながら打当マタギのシカリ(頭領)鈴木英雄さん(73)らに師事し、共に猟をしている。

(兵庫県ボウガン届け出条例、1ヵ月で180台が届け出:兵庫)
兵庫県で12月、ボウガンを所有する場合に届け出を義務づける条例が全面施行されたことを受け、1ヵ月間で180台の届け出があったことがわかりました。2020年6月、宝塚市で家族4人がボウガンで撃たれ死傷した事件をうけ、兵庫県はボウガンを所有する際に住所や氏名などの届け出を義務づける条例を、12月1日に全面施行しました。対象となるのは、弦を引く時の重さが約14キロ以上のボウガンです。兵庫県によりますと、12月30日までに「県内に射撃場があった数十年前に趣味として使っていた物を捨てられずに持っている」といった理由で、145人から180台の届け出があったということです。今後、新しく購入した場合は14日以内に県に届け出なければならず、従わない場合には5万円以下の過料が科されます。

(特急とシカが接触:北海道)
4日午後8時5分ごろ、上川管内美深町のJR宗谷線恩根内―紋穂内(もんぽない)間で、稚内発札幌行きの特急宗谷(4両編成)がシカと接触し、緊急停止した。乗員と乗客18人にけがはなかった。JR北海道によると、車両に異常がないことを確認し、約2時間20分後に運転を再開した。普通列車1本が部分運休するなどし、約60人に影響が出た。

(なぜクマが大量出没するようになったのか?)
それは、前代未聞の事件だった。2020年8月8日深夜、長野県上高地にある小梨平キャンプ場には約250のテントが張られていた。キャンプ場全体が寝静まった頃、東京から友人とハイキングに訪れ、1人用テントで就寝していた50代の女性は、突然テントが強い力で引っ張られるのを感じて、目を覚ました。思わず「助けてください!」と叫ぶと、移動は止まったが、次の瞬間、テントは一瞬で引き裂かれ、黒いものが襲い掛かってきた。テントは15mも引きずられていた。“犯人”は体重150kg(推定)のツキノワグマだった。女性はクマの攻撃が緩んだ隙にトイレに逃げ込み、周囲の人の助けで病院に搬送され、九死に一生を得た(クマの爪により右足に10針縫う軽傷)。クマは襲撃後、立ち去ったと見られるが、テントは元の場所から15mほど引きずられ、中の食料はすべて食べつくされていたという。関係者によると「上高地での人身事故は、初めてでは」とのことだが、近年、全国でクマによる人身事故は増加の傾向にある。環境省によると、全国のクマ類(ヒグマ含む)による人身被害は、2018年度は51件、昨年度が140件、今年度は9月までの速報値で既に80件に上り、10月には秋田県の住宅街で、80代の女性がクマに襲われる事件も起きた(後に女性は死亡)。この事件について報じた記事には、県の担当職員の次のような談話が載っている。「解釈に苦しむ。(クマの食料となる)クリが多い高台から住宅街に下りて来る動機があるのか」。いったい今、クマと人間との間に何が起きているのだろうか。「食料不足」がクマ出没の原因ではない。クマの大量出没が起きたとき、その理由としてよく指摘されるのは、「食料となるドングリの生るブナ類などが山で不作なのでは」というものだが、40年以上クマの生態を研究している日本ツキノワグマ研究所の米田一彦氏は、“ドングリ不作説”には懐疑的だ。「ブナ類の不作は大量出没の一因ではありますが、すべてではない。08年にも、ブナの大凶作によるクマの大量出没を森林総研が予測しましたが、結果は平穏でした。(大量出没は)ドングリの不作要因よりも、人間社会の社会構造の変化による影響が大きくなりつつある」。米田氏が指摘する「社会構造の変化」とは、いわゆる“里山”の荒廃である。「かつては集落に近い里山は、炭焼きや草刈り場として人間の手が頻繁に入っていました。だからクマたちは、その奥にある奥山にしかいませんでした。ところが平成になって里山を管理する人が減り、里山が奥山のように繁茂すると、そこに若いクマやメスのクマ、親子グマ、が居つき始めたのです」(同前)。なぜ若いクマやメスのクマは奥山を出たのか。「実はクマにとって最大の敵は、クマです。奥山には大きくて強いオスのクマがいますから、それを避けるために、彼らは里山へと逃げてきたのです」(同前)。こうして若いクマやメスのクマが人間社会に守られるような形で里山に住み着き、人間の生活圏と接触するようになった結果、両者の接近遭遇の機会が増えたのである。また里山への侵入は、クマたちの気質にも変化をもたらしたという。「里山にはシカやイノシシ、サルなども侵入していますが、クマがこれらを捕食し、肉食の傾向が強まっている。これまでは、たまたま見つけたシカの死体などを食べているとされていましたが、近年、クマがシカを襲撃している様子なども撮影されています」(同前)。人間との接触の機会が増えることで、とくに若いクマは人間を恐れなくなるという。「里山では若いクマたちが密に棲息して、互いにエサをめぐり、常に葛藤している状態です。だから人間と接触しても、これをライバルのクマと見立てて攻撃、排除に及ぶ可能性が高い。その意味では、“凶暴化”していると言えるかもしれません」(同前)。クマより先にハンターが「絶滅」。原因が構造的なものである以上、今後もクマと人間の接触は増加していくことが考えられるが、何か対策はあるのだろうか。「今から里山を管理するのは、現実問題として難しいでしょう。可能性があるとすれば、里山と集落の間に電気柵などを設置することで、里山と人間社会を切り離す“ゾーニング”しかないと思います。ただ、これも多額の費用がかかり、簡単ではない」(同前)。また、人里に出没したクマを駆除するにしても、そのハンターが不足しているという。南知床・ヒグマ情報センターでヒグマの捕獲や各種調査に携わっている藤本靖理事長はこう語る。「現役ハンターの高齢化に加えて、猟銃所持の規制強化も影響し、新たにハンターを増やすことも簡単ではありません。このままでは、クマより先にハンターが絶滅しかねない」。ところが、そういう状態であるにもかかわらず、国や自治体のクマ対策への動きは遅々として進んでいないという。「ヒグマ対策はヒグマが出没した自治体が単独で行っており、横の連携はほとんどありません。だから現状では“道東のハンターが札幌の有害クマを駆除する”ことさえできません。一方でクマは、そんな人間側の事情にお構いなく、複数の行政区にまたがって活動している。今後は研究機関や各自治体、地元組織が一体となって情報を共有し、連携していかなければ、すべてが手遅れになりかねません」(同前)。クマと人間に残された時間は決して多くはない。

(クマの足跡見つかる:富山)
6日午前7時ごろ、上市町東町の上市川の河川敷で、住民が雪の上にクマの足跡を見つけ、同町に通報した。富山県自然保護課によると、通常冬眠するクマが1月に出没することは珍しく、同町では昨年1月に続く出没情報となった。担当者は冬のクマは腹をすかせて凶暴化しているおそれがあるとして警戒を呼び掛けている。上市町産業課によると、2頭分の足跡が確認され、いずれも成獣とみられる。足跡をたどると、河川敷を川下に進んだ可能性が大きい。地元猟友会と町職員が周辺をパトロールしたが、クマは見つからなかった。現場は上市高から南に約200メートルに位置する住宅街。町は付近の上市高や上市中央小にクマが近くにいる可能性があることを伝え、注意を促した。近くに住む主婦野沢茂子さん(61)は「クマが現れることはあるけど冬に出るとは思わなかった」と驚いた様子だった。クマの生態に詳しい県自然博物園ねいの里(富山市)の間宮寿賴係長は冬眠中のクマが寝床を替えるために移動した可能性があるとした上で、「今後目撃情報が増えるようであれば要注意だ」と話した。県内では2005年以降、1月の目撃、痕跡情報が25件を数えている。

(熊の足跡か、民家ベランダで発見:三重)
伊賀市は1月5日、同市高尾の民家敷地で熊と思われる動物の足跡が見つかったと発表した。民間の専門機関に写真画像の確認を依頼したところ、熊の足跡である可能性が高いとの回答があった。市では地域住民に注意喚起するとともに、名張署に巡回を依頼するなど対応している。足跡が発見されたのは昨年12月中旬ごろ、住人の60代男性が自宅ベランダにつま先からかかとまで約7センチの足跡があるのに気付き、スマートフォンで写真を撮影した。同月28日に同市役所青山支所に連絡があり、今月4日に足跡の確認を依頼していた。現地で足跡を確認した市農林振興課の担当職員も「他の動物の可能性もあるが、ツキノワグマの前足と似ている」と話しており、民家敷地の畑に定点カメラ1台を設置し、経過観察を続けるという。現場は津と名張の市境にある南端地区の県道蔵持霧生線沿いで、周囲は小川が流れる山林。

(湖で泳ぐヒグマ、漁船からとらえた迫力映像:北海道)
湖をスイスイと泳ぐ黒い生き物。体長2メートルほどのヒグマです。時折船に接近するなど迫力の様子がカメラにとらえられています。視聴者:「怖い、めっちゃ速く泳いでいる」。船と並んで泳ぐ体長2メートルほどのヒグマ。2020年11月、根室市と別海町にまたがる風蓮湖で漁に向かう途中の漁船から撮影されました。視聴者:「ガオガオって言っている」「やばいやばい、来た」。うなり声をあげながら威嚇するように漁船に向かってくる様子も。北海道立総合研究機構 間野勉さん:「泳ぐのは上手ですね。3年前にも北海道北部の利尻島にクマが渡ったという記録もある。あそこは海峡の幅が18キロくらいありますのでそのくらいの距離は泳ぐ」。風蓮湖では2020年6月にもクマが泳ぐ姿が捉えられていました。見慣れないヒグマの目撃が増加する背景に専門家は道東で過疎化が進んでいることで、クマの生息域が広がっているとみています。北海道立総合研究機構 間野勉さん:「可能性としてはこの周辺でのクマの活動性が高まっている。個体数の増加がおきている」。

(サル、市街地をすいすい移動:秋田)
秋田県大仙市大曲の中心市街地で5日、前日に続きサルが出没した。大雪で市内の道路が混み合う中、電線やアパートのベランダなどをつたって住宅街をすいすい移動。市職員と大仙署員らが後を追いながら住民に注意を呼び掛けた。市や署によると、5日午前7時10分ごろ、大仙市福田町の国道13号にいるのを市民が目撃。8時半には南西約1キロの朝日町の市道でも目撃された。その後、大曲白金町のアパートや大曲花園町の大曲小学校近くに移動し、柿をもいで食べる姿が見られた。午後1時半には大曲日の出町の秋田地裁大曲支部近くの電線を渡り、公務員宿舎玄関に入り込んだ。市職員が確認すると外に逃げ、2時ごろに電線の上を歩いて雄物川の堤防付近の林に入っていった。目撃されたのは雄で、同一個体とみられている。市はかまれる恐れがあるなどとして、見掛けても近づいたり餌を与えたりしないよう呼び掛けている。

(住宅地にサルの群れ出没:富山)
富山市郊外の住宅地で去年末からサルの目撃が相次いでいます。5日も20匹ほどのサルの群れが住宅の周辺で目撃されました。電線を器用に渡るサル。5日朝、7時30分ごろ富山市上布目で地元の人が撮影しました。警察によりますと、付近では先月26日からサルの目撃情報が多く寄せられています。現場を取材すると目の前には20匹近いサルの群れが。住宅の屋根の上でのんびり毛づくろい。そして道路の真ん中に陣取り、通ろうとする車とにらめっこ。人を気にする様子は全くありません。今のところ人への被害はありませんが、畑の野菜が荒らされ、住民は頭を抱えています。サルの生態に詳しい県自然博物園ねいの里の赤座久明さんは、農作物の味を覚えたため居座り続けているとみています。県自然博物園ねいの里の赤座久明さん「その地域は今まで20頭前後のサルを見たことがないし、対応したことがない地域なので、怖いから外に出ないでおこうという感じだと、その地域が自分たちにとってちっとも危険ではない地域だというふうに踏んでいると思う」。警察は小中学校の3学期開始に合わせてパトロールを強化します。また富山市はサルの捕獲に向け県と調整を進めているということです。赤座さんは、サルを見かけたときは不用意に近づくと襲ってくることがあるので気を付けてほしいと話しています。

(広がる奥能登ジビエ:石川)
奥能登で捕獲されたイノシシの食用肉の販路が広がってきた。珠洲市折戸町で食用イノシシ肉の加工を手掛ける「奥能登ジビエしおかぜファーム」は5日までに、県内のほか1府3県に出荷、京都・祇園の高級洋食店から100キロ単位の大口の注文を受けた。家庭向けに少量をスライスして販売する手法でコロナ禍の「巣ごもり需要」もつかんでおり、同ファームはさらなる販売拡大に照準を合わせる。同ファームは昨年4月に営業を始め、コロナ禍で飲食店向け需要が落ち込む逆風の中で販路を模索してきた。屋外で楽しむバーベキュー人気の高まりをうけイノシシのブロック肉をそのまま豪快に焼いて味わう食べ方を提案し、好評を集めた。個人客向けの販売は主にネット通販となる。鍋料理の季節となる冬を迎え、200グラム程度のスライス肉を販売したところヒットした。同ファーム代表の猟師、中林昌人さんは「家庭では焼くだけ、煮るだけで食べられる方法を提案したら当たった」と手応えを語る。購入者の6割が繰り返し何度も買い求めるリピーターという。現在の販路は京都府、秋田県、福島県、神奈川県に広がった。中間業者を通じて販売した祇園の高級洋食店とは今後も100キロ単位のまとまった供給が可能かどうか商談を進めている。全国各地のイノシシ肉の産地で、豚熱がはびこる一方、同ファームは奥能登はまだ影響を受けていないことが販路開拓の追い風となっているのではないかとみる。奥能登でもイノシシによる農業被害が増える中、珠洲市で昨年4~11月末に捕獲されたイノシシは1535頭に上る。ただ、同ファームでの処理頭数は昨年は約80頭とまだまだ食肉利用は少なく、道の駅狼煙での販売や市内飲食店でのジビエ料理のイベント開催など、地元への普及を進めるほか、贈答用のほか、珠洲市のふるさと納税返礼品への採用を見込む。珠洲産ジビエの供給力を高めるには設備の拡大が必要となるが、中林さんは「ジビエはまだまだ入り込む余地がある。プレミアム感のある商品開発も進めたい」と引き続き、需要開拓を進める考えだ。

(特産のシシ肉を使ったそば味わって:大分)
佐伯市は「さいき新春そばまつりin本匠・直川」と銘打ち1月、特産のシシ肉とシイタケを使ったそばの提供を市内2店で始める。期間限定。食で地域を盛り上げる「東九州バスク化構想」佐伯推進協議会(会長・田中利明市長)の事業の一環。2店は同市直川上直見のレストラン「コリーヌ」と同市本匠小半の「水車茶屋なのはな」。「コリーヌ」はイノシシの骨を2日間煮込み、シイタケのだしを利かせた「いのしし南蛮そば」を用意する。直川産の山の幸を使った「七草入りしし雑炊」もある。「なのはな」は本匠因尾産の秋そばにシシ肉とシイタケ、ネギを添えた「猪仔(いのこ)南蛮そば」を販売。ゴボウや大根、ニンジンなどが入った「しし雑炊」も提供する。価格は両店ともそばが千円。雑炊は「コリーヌ」が500円、「なのはな」が600円(いずれも税込み)。期間は「コリーヌ」が8日から31日まで。「なのはな」は12日から2月28日まで。同協議会は「寒い時季に佐伯産の食材を使ったおいしい料理を食べて温まってほしい」と呼び掛ける。

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(「鹿と間違えた」登山男性に散弾銃誤射:山梨)
山梨県丹波山村で73歳の男性登山者が散弾銃で誤って撃たれ、重傷とみられています。撃ったのは地元の猟友会のメンバーで「鹿と間違えた」と話しているということです。警察によりますと、2日午前11時ごろ、丹波山村のサオラ峠付近の山の中で東京都内から登山をしに来た73歳の男性が1人で登山道を歩いていたところ、散弾銃の弾が指に当たりました。男性は左の人差し指を開放骨折する重傷とみられています。現場付近の山の中では地元の猟友会のメンバー十数人が管理捕獲のために鹿などの狩猟をしていました。登山者の男性を誤って撃ったのは猟友会に所属する73歳の男性会社員で、「登山者を鹿と間違えた」と話しているということです。警察は業務上過失傷害の疑いで捜査しています。

(食べ物を求めて"水平移動"するツキノワグマ)
ベストセラー書籍『ざんねんないきもの事典』の監修で知られる動物学者・今泉忠明先生に、動物学の観点から見る地球環境について、動物の行動の裏には何があるのかシリーズで伺う。近年、ツキノワグマが住宅街に出てくるケースが多発し、温暖化などによるクマの食糧事情が取りざたされています。先生は著書の中で、クマの習性について“水平移動”と“刷り込み”というワードで出没する事情を説明なさっていますね。基本的には食べ物によるものです。“水平移動”というのは、標高が同じなら温度が同じため、同じドングリの種類が同時期に熟します。そのドングリを求めて標高が同じところを標高通りに歩いていくのが“水平移動”です。ドングリは山の上部では(標高と温度の関係から)まだ実っていないし、山の下部はもう実っていない。ですから本来クマにとってはその標高のあたりにいるのが理想でしょうね。ところが先生の著書によると、秋の重要な食物が不作になると100㎞にわたる水平移動をしても食糧にありつけず、仕方なく里に下りてくるという。いよいよもって人里に降りてくる様子が目に浮かびます。それに対し“刷り込み”とはどういう習性を説明するものなのでしょうか。子グマは母親グマに連れて来られた場所は “出て行っても良い場所(食べ物にありつける場所)”と思っています。人間にも通じる親子の仕組みはクマも同じです。一度“良い場所”とインプットされてしまうと、里山や街もそのように認識してしまう母クマによる“刷り込み”です。著書によると、成長して大きくなっても刷り込みにより堂々と住宅街に来てしまうという。そもそも親子グマは用心深いとのことだが、ブナが不作の年には先ほどのドングリ探しにより行動圏が広がり、人里に出没するようになるとのこと。クマの好物ブナは、春の最低気温が平年並みなら開花量は多くなるが、平年より1度以上暖かいとほとんど開花しない。気象庁も先日、生物季節観測の大幅廃止を発表した。生物の生態環境が変化し、動物の観測でもこれまで通りに見つけられないケースが多すぎるという理由からだ。昨今の温暖化がダイレクトに植物に影響を与えている結果、クマにまで影響を及ぼし、ひいては人の生活を脅かす結果となってしまっている。近年、西日本でクマの出没が活発になっている。その西日本の中でも、特に出没が目立つのが広島県だ。県のまとめによる上のグラフを見ると、今年(令和2年)は、吐出してツキノワグマの目撃数が多いことが分かる。西日本でクマの出没が目立つ原因について、先生は著書で自然林がなかったからではないかと分析している。自然林があれば台風が来ようが暑くなろうが、クマはその場に留まったのではないか、きっと八方塞がりでクマも困ったのではないかと。先生も調査中にクマに遭遇したことがあるそうですが、不意にクマに出会ってしまったらどう対処するのが正解なのでしょうか。ラジオや鈴など音の出るものを持っていると良い、死んだフリなど色々と言いますが、本当のところを教えて下さい。最近特にそういう事例が多いですね。2004年以降、人がツキノワグマに襲われる事故が続いていますが、ツキノワグマは、本来はそんなに危険な動物ではなく、元々は人を襲いません。でも遭遇した際は何とかしなければなりませんね。正解は“戦う”のです!身構えて立ち上がって睨みつける。そしてゆっくり後ずさりをし、距離を離していくのが大事。人間が距離を離してくれると、クマの方も「ああ、よかった」と思うんです。クマに遭遇した時やってはいけないのは「キャー!」「わ!クマだ!!」と悲鳴を上げること。クマも「なになに??」と興味を持ってしまい、本能がむき出しになり襲いかけられてしまいます。これはイヌも同じ、野犬に会った時大声を出し走って逃げたら必ず襲われます。もしクマが好奇心を持ってこちら(2mくらいの所)へ来たら、今度は逆に「ワーッ!」と大声で叫んで自分の身体をできるだけ大きく見せ脅した方がいいんです。そうすることで、どんなに大きなクマが来たかと思いビックリして逃げます。それに向かって反撃するクマはまずいないです。クマも人間に遭遇したら「どうしよう困った、ヤバイヤツに出会った」という顔をします(笑)。しかし2mって、かなりの至近距離ですね。そこまで我慢できるでしょうか・・・。距離によって動物の心理って違うんですよ。離れていると自分も余裕があるから逃げられますよね。ただし、ゴミや残飯に餌付いているクマは別で、気を付けなくてはいけません。そういうヤツは出会った瞬間わかります。最初から「クーッ」とやる気です。もしそういうのに出会ってしまったらひたすら後退りするしかないですね。その時大事なのは決して悲鳴を上げない、そして走らない。怖いけど頑張ってその二つをやりきるしかないですね。山中への山菜採りなどは、元々クマがいる場所へ人間の方が入って行っているのだから、そこを忘れてはいけないと先生は諭す。大事なのは「お邪魔しますの精神」。侵入者は私たち人間の方。クマはいるものと心して入山しないといけないのだ。今回、“水平移動”や“刷り込み”という、クマの本能的な行動についてうかがって思ったのは、相手(今回はクマ)の性質や行動を熟知していれば、こちらが回避または先回りすることによって、困った状況に出くわさないで済むこともありそうだという点だ。父・自分(+兄)・息子と親子3代で動物学者という今泉先生。今回、先生はユーモアを交えながら実に楽しそうに動物の習性について話をしてくれた。「なんといっても調査は面白い」と、先生は70歳を過ぎた今でも現場に足を運び調査を行う日々。野生動物が相手のお仕事。思い通りにならず空振りに終わることも多いのではと、調査のご苦労について尋ねると「楽しいですね。大変さよりも楽しさが勝ります。」とにこやかに話してくれた。調査は動物の行動を数値化して“知る”こと。インタビューで先生が「地球は人間だけのものじゃないよ」と語った通り、動物という相手をもっとよく知り多様性を大切にしながら生活していくべきと感じた。

(鳥インフル媒介の渡り鳥、今季は西日本に集中:徳島)
西日本の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの発生が相次ぐ中、19日には徳島県内で初めて阿波市の養鶏場で確認された。専門家は、ウイルスを運んでいるとみられる渡り鳥の飛来ルートが、例年と異なり西日本に集中していると指摘する。県内にはウイルスを媒介する動物が侵入しやすい構造の「開放型鶏舎」が多いため、「感染が広がる恐れがある」と警戒を強めるよう呼び掛けている。鳥インフルは、カモやハクチョウなどの渡り鳥を宿主にすることが多い。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の調査によると、11月5、8両日に香川県で確認されたのは昨冬に欧州で流行したウイルス「H5N8亜型」の近縁に当たる。渡り鳥を介して今秋、国内に侵入したとみられる。今季、鳥インフルが確認されたのは徳島を含む13県32例(今月27日時点)。24日に千葉県いすみ市で発生するまで全て西日本での発生だった。宮崎大農学部の末吉益雄教授(獣医学)によると、シベリア方面から日本に向かう渡り鳥のルートは<1>北海道から東北<2>日本海から中四国<3>朝鮮半島から九州―の三つある。末吉教授は「気象など何らかの要因が影響し、<2>のルートに渡り鳥が集中したのではないか」と推測する。鳥インフルが18例発生している香川県で指摘されているのが、ため池の多さ。全国3位の1万4619カ所あり、県土の面積当たりの密度は全国で最も高い。ため池は渡り鳥が休息のために集まりやすく、鳥の死骸を食べたイタチやネズミなどが感染したまま鶏舎にウイルスを持ち込むとされる。徳島県内には農業用ため池が548カ所あり、このうち阿波市内は74カ所と県内で3番目に多い。個人所有の池などを含めるとさらに増える。市によると、鳥インフルが発生した養鶏場は市内でもため池が多い場所にあり、半径1キロ以内にはため池が48カ所ある。県によると、今回の養鶏場を含め、県内の養鶏場244カ所の大半が、鶏舎の周りを金網やカーテンで囲った「開放型鶏舎」の構造。温度調節がしやすい利点がある一方、隙間が多く動物が侵入しやすいという。末吉教授は「『開放型』が集まっている地域では、動物を介して感染が広がる可能性がある」と指摘する。県は農家に対し、侵入防止対策を取るよう指導している。ただ、施設そのものの改修はコスト面から断念する農家が多い。三好市で開放型の養鶏場を営む男性は「(密閉度の高い鶏舎への)建て替えには数億円が必要といわれる。コストがかかり過ぎて難しい」と話す。金網を二重に張るなどして対策しているが「できることはやっている。これ以上の対策がない」と漏らす。県は、鶏舎の新築に限っている国の支援制度を、改修・改築も対象にするよう農林水産省に求めている。末吉教授は施設改修以外の防止策として「動物が近寄りにくい環境をつくるのが重要。周辺の木の枝打ちや草刈り、消石灰の散布を徹底してほしい」としている。

(警戒の鳴き声でカラス撃退:青森)
例年冬に市街地で増えるカラスのふん害に歯止めをかけようと、青森県八戸市は、カラスが仲間に警戒を呼び掛ける際の鳴き声を使って追い払う作戦を始めた。これまで有効な手段は確立されておらず、関係者は「画期的対策になり得る」と期待を寄せている。「ガアー、ガアー」。市中心部の立体駐車場に設置されたスピーカーから30分おきに、切羽詰まったような音が響く。天敵を見つけた時などに出す警戒の声だ。夕暮れ時となっても、カラスはほとんど見当たらない。近所で洋服店を営む50代女性は「ふん掃除の必要がなくなった」と喜ぶ。

(カモの伝統猟、今季も巨田池で:宮崎)
宮崎市佐土原町の巨田(こた)池で400年以上続き、県の無形民俗文化財に指定されているカモの伝統猟が盛期を迎えている。佐土原鴨越(かもごえ)保存会(山本圭吾会長、25人)によると、今季は例年より池への飛来数が少ないが、会員たちは連日、夕暮れ時に池を囲む丘陵の尾根に陣取り、網を構えている。竹をY字形に組んだ網は持ち手の長さが約150センチもあり、巨大なテニスラケットのようだ。巨田池のカモは日が暮れると、餌を求めて一斉に飛び立つ。天敵の猛禽(もうきん)類を避け、尾根ぎりぎりの低空を飛ぶ。その瞬間、網を上空に投げて捕獲する。勝負は日暮れ前後の15分程度だ。猟は会員にだけ許され、猟期は11月15日から翌年2月15日まで。副会長の清範夫さん(72)によると、10年ほど前には期間中に600羽以上捕れたこともあったが、減少傾向が続き、昨季は141羽で終わった。今季も20日までに53羽と、昨季と同じペースだ。巨田池への飛来数が少なくなったのが主因という。その理由について、会員たちは「温暖化?」「高速道路のせい?」「周辺の他の水辺に群れが散ったのでは」と想像をめぐらせるが、はっきりしない。獲物が減っても、スリリングな猟の面白さ、カモ料理の味に魅了された会員たちの士気は落ちない。10日は1羽、20日は3羽。翌21日はゼロに終わった。それでも、「正月もやっど」と笑顔を見せ、きょうも極寒の尾根で息を潜める。

(東京五輪・パラで輝け!:栃木)
新型コロナウイルスの影響で1年延期になった東京五輪。栃木県関係選手は昨年10月に自転車ロードレースの増田成幸(ますだなりゆき)(宇都宮ブリッツェン)が代表の座を勝ち取るなどここまで5人が代表に内定した。クレー射撃では女子トラップの中山由起枝(なかやまゆきえ)(小山市出身、日立建機)が4大会連続5度目の出場を決め、同スキートは石原奈央子(いしはらなおこ)(鹿沼市、古峯神社)も2大会連続の五輪切符をつかんでいる。

(狩猟免許の取得支援:長野)
駒ケ根市は来年度、狩猟免許の取得を支援する補助制度を創設する方針を固めた。費用の半額程度を補助する方向で調整する。同市の駒ケ根高原などでは、人間を恐れない「人なれ」したニホンザルによる農作物被害が深刻化。観光への影響も懸念されることから、市有害鳥獣対策協議会を中心に対策を強化したい考えだ。観光地の駒ケ根高原一帯に出没するサルは人に接する機会が多いため「人なれ」が進んでいるのが特徴で、県は加害レベルを最高水準の「レベル4」に位置付け。2017年度に同市の捕獲上限値を前年度の50頭から100頭に引き上げている。同協議会はこれまでも大型捕獲おりやくくりわなの設置、地元地区や観光事業者を対象にした追い払いの講習会を開く対策を講じてきた。今年度はこれまでに市内で72頭を捕獲したが、地元の北割一区や北割二区などでは果物や野菜に加え、収穫前の米も食い荒らされるなど被害が深刻化している。同協議会によると、捕獲に携わる駒ケ根猟友会の会員は19年12月末現在で76人。平均年齢は68歳で高齢化が課題になっている。狩猟免許の取得補助は猟友会入会を条件とし、会の体制強化を図る方針。狩猟免許の取得には諸経費を含め18万円前後が必要といい、この半額程度を支援する方向で猟友会と協議して制度設計を進める。捕獲のほか、追い払いでも住民主体の組織的な仕組みの構築を目指しており、上在地区営農組合が具体化に向け検討しているという。協議会事務局の市農林課は「農作物被害が続けば農家の生産意欲低下につながる。観光被害も防がなくてはいけない。猟友会をはじめ地域と連携し、被害軽減に努めていく」としている。

(公園にハクビシンが出没:岩手)
一面の雪景色となった盛岡市内丸の岩手公園で30日、ハクビシンが出没した。人の目を避けるように木陰に隠れながら駆け回り、雪の積もる年の瀬の町に姿を消した。体長は70センチ前後、性別は不明。額から鼻にかけて伸びる白い線と太く長いしっぽが特徴的だ。通りがかった市民も「猫?」「タヌキ」と目を丸くした。

(命をいただく、命と向き合う:茨城)
東京から茨城県に移住した2018年に「わな猟」の免許を取り、狩猟に関する情報をコンテンツ化したYouTubeチャンネルで注目されるNozomiさん。ほんの数年前までハイヒールで営業先回りをこなし、コンビニに依存して生活する、どこにでもいる東京の会社員だった。ゲームのように営業成績の数字を追う日々から、動物の命と向き合う生活へと人生を一変させた物語をひもといていく。「いだだきます」は「命をいただく」ことへの感謝の気持ちを表す言葉だと、日本人なら一度は聞いたことがあるだろう。しかし、生産地から遠く離れた都会で暮らし、スーパーできれいにパックされて並んでいる肉や野菜を見慣れていると、「命をいただく」感覚は希薄だ。Nozomiさんは都会での会社員生活を捨て、3年前に茨城県の筑波山にほど近い地に移住、命に向き合う毎日を送っている。茨城県への移住を決めたのは、祖父のお葬式の日だった。大学卒業後は東京で就職。営業担当として、ピンヒールをはいてコツコツとビル街を歩き回っていた。仕事は嫌いではなかった。目標を立て、戦略を練ってひとつずつ関門を突破していくのは、ゲームでステージを上げていくような面白さがあった。早朝に家を出て終電近くまで残業して、頼まれれば、休日出勤も断らない。「売り上げ」を立てることに全精力を注いだ。頑張れば頑張るほど給料が増えるのも気分がよかった。でも、振り返れば、単なる仕事中毒だったのかもしれない。コンビニとカップ麺ばかりの不規則な食事がたたって学生時代よりも10キロ近く太り、精神的に不安定になることもあった。そんなNozomiさんを心配して、茨城で農業をしている祖父母が送ってくれる野菜を食べると、「生きている」ことを実感した。おじいちゃんの野菜は、体の中に自然とエネルギーが注入してくれる―そんな感覚だった。毎日、こんなおいしい野菜を食べて暮らせたらどんなに幸せだろう。から、葬式の後、祖母が「一人では、畑も直売所も続けていけない」と言うのを聞いて、居てもたってもいられなくなった。孫たちで話し合い、しっかり準備をして数年後にみんなでおじいちゃんの畑を引き継いで農業をしようと約束したのだ。体調を崩したことがきっかけで始めたヨガに興味を持ち、必死になってインストラクターの資格を取った。武者修行のつもりで都内のヨガスタジオでいくつものレッスンを担当し、ヨガ教室の運営と農業との2本立てで暮らしていけると見極めをつけると、学生時代から約10年間暮らした東京を離れ、茨城に移住した。もちろん、不安がなかったわけではない。東京から突然やってきた「よそ者」が、果たして、地方の小さなコミュニティーで受け入れてもらえるのか。高齢化が進む地域で、年上の人に囲まれて、うまく人付き合いしていけるだろうか。しかし、そんな心配は杞憂(きゆう)だった。「畑仕事をしていると、近所の人が、『何やってんでい?』と気軽に話しかけてくるんです。うちの畑ではミズナは作っていないと分かると、自分のところで多くできたからと持ってきてくれる。それが、ごく当たり前のことなんですよね」。東京のマンション暮らしでは、軽く会釈してすれ違う程度で、いわゆる “ご近所付き合い”とは無縁だった。それどころか、無関心・無干渉がよしとされていた。田舎暮らしは180度逆だ。でも、それは、干渉されるというよりも、誰かが自分のことを見守り、心配してくれているという心地よさだった。農業に携わるようになって、生産者への感謝が生まれ、安心安全な作物を作りたいと思うようになったという。「東京のスーパーでキレイに並んでいる野菜を見ても、農薬のことなんて考えたこともなかった。でも、農業地帯に住んでいると、農薬を散布する場面に出くわすことも珍しくはない。自分自身が生産者の側になって、少しでも体にいいものを作って、消費者にお届けしたいと強く思うようになりました」。「近くで獣害があるとは聞いていたのですが、うちの畑は被害に遭ったことはなかったので、漫然と大丈夫だろうと思い込んでいました。でも、初めて苗から育てた落花生が、もうすぐ収穫という時に、イノシシに根こそぎ食べられてしまったのです。荒らされた畑を見た時には、本当にショックで、しばらく声も出なかった」。Nozomiさんはすぐにインターネットで情報収集して、電気防護柵を作ってみた。しかし、思いのほか重労働で、費用もかさんだ。しかも、自分の畑に防護柵を張りめぐらせれば、イノシシは周辺の無防備な畑を襲うことになるだろう。かといって、近所のお年寄りに防護柵を設置するように言っても、経済的、体力的な負担を考えると簡単には実現できないことは目に見えていた。防護柵では、問題の根本解決にはならないと悟り、行きついたのが、猟師になることだった。この地で生きていくと決めた以上、問題に真正面から向き合って、少しでも地域に貢献したいと考えたのだ。猟場は自宅からわずか十数分の場所にあった。日本の国土の約7割は山林で、1億3000万人の人口のほとんどは海沿いに開けた平野や山に囲まれた盆地などに集中する。支配者である人間の領地に動物が侵入してくるわけではなく、もしかしたら、人間が動物の領域を侵食しているだけなのかもしれない―猟をするようになるまで、考えてもみなかったことだ。2018年にNozomiさんは「わな猟」の狩猟免許を取得。ヨガ教室の運営と畑仕事との掛け持ちで日々忙しいため、銃猟よりも、「仕掛けて待つ」わな猟の方が自分の生活スタイルには合っていると考えた。道具をそろえるにも、初期費用が圧倒的に低く、初心者でも始めやすいこともあった。(その後、19年に第一種銃猟免許も取得)。「イノシシ猟は、しっぽを切り取って役場に提出すると、獣害対策の報奨金がもらえます。役場で顔を合わせるのは、大抵は、70歳以上の高齢猟師。ネットで知り合った同世代の猟師は何人かいますが、リアルな同世代の猟師仲間はいません。狩猟は体力が必要なので、今、70歳代の人たちが10年後も続けていられるは微妙ですね。ベテランの腕のいい猟師が引退してしまうと、獣害対策はますます難しくなる」。農業生産者の高齢化が進む中で、獣害は離農や耕作放棄の引き金になりかねない。農地が荒れれば、地域全体が荒廃し、新規就農者を引きつけることもできない。担い手が減ることで耕作放棄地が増え、さらに獣害が増える負のサイクルを止めなければ、いずれ日本の農業が衰退してしまう。危機意識を持ったNozomiさんは、若い世代に問題をもっと身近に感じてほしいと思い、ユーチューブチャンネル「Nozomi’s狩チャンネル」を始めた。猟に使う道具やノウハウの紹介など気軽に見られるものから、捕獲したイノシシを実際に調理して食べたり、臨場感あふれる狩猟の場面までコンテンツは幅広い。若い女性猟師という珍しさもあって、チャンネル登録者はどんどん増え、全国の見知らぬ先輩猟師が、コメント欄でアドバイスしてくれることもあるという。どこで暮らしていても、ネットさえあれば、日本中の人とつながることができることは心強い。その一方で、ネットの怖さも意識しないわけにはいかない。「わなに掛かったイノシシ」「イノシシの解体」の場面の編集には、特に神経を使うそうだ。「動物の命にどう向き合うか―それぞれに考え方が違うので、議論が白熱しやすい」からだ。これまで、“炎上”を経験したことはないが、見る人がどう感じるのか、いつも考えながらの編集作業だ。茨城県のイノシシ猟で使用するくくりわなは、直径12センチ以上。Nozomiさんはコストを抑えるため、材料をホームセンターで購入して手作りしている。「一人、一回の猟に使うわなは30個まで」と決められているが、基本は現場の状況と、自己管理ができる数量だ。毎日見回りをするので、多く仕掛ければその分、負担も大きくなる。Nozomiさんは、自宅近くの山林に平均して5~6個のわなを仕掛けている。狩猟デビューして間もない頃、自分が向き合うべき獲物の存在感に圧倒されたことがあったという。「仕掛けたわなの見回りで山に入った時のことです。ガサッと物音がしたので、まずは人間かどうか確認しようと声掛けをしたのですが、振り返ると、子どもを連れた大きなイノシシがこちらを見ていたんです。次の瞬間、2頭はいっきに頂上の方へ走り去ったのですが、あの時、自分の方向に向かってきたらひとたまりもなかったと思います」Nozomiさんは、地元出身のこの道30年以上の大ベテランの猟師を師匠と仰ぎ、指導を受けている。言葉に出さなくとも、自然や生き物を心から愛しているのがじんわりと伝わってくるような人物だという。狩猟デビュー最初の年は、師匠はNozomiさんに獲物にとどめを刺す「止め刺し」はさせず、ただ師匠がどのような手順で命を絶つかを目に焼き付けるようにと言った。「私は、それまで、人の手によって命が終わる瞬間を見たことも体験したこともなかったんです。本当に自分勝手だと思うんですが、狩猟の免許をとっておきながら、なぜか『ごめんね』という言葉しか出てきませんでした。生き物は私たちに殺されるために生まれてきた訳ではないし、私が謝ったところで、イノシシにはなんの意味もないことです。私は単に『ごめんね』という言葉で、気持ちを軽くしたかっただけかもしれませんが、私にとっては、それが精一杯の言葉だったのです」。Nozomiさんは師匠から、人間の都合で猟をするので、苦しい時間はできるだけ短くするように指導されている。捉えられて誰からも気付かれずに衰弱死するなんてもってのほかだ。捉えた以上は、できるだけ早く苦しみを解く。Nozomiさんは今もこの教えに従って猟をしている。2年目に入って、Nozomiさん自らが止め刺しをすることになった。狙うはイノシシの首から肩にかけての部分、頸動脈だ。この日の出来事はNozomiさんにとって一生忘れられないものになった。「師匠は何十年も狩猟をしているので、動物の体の構造もよく理解していて、作業もすばやく、ナイフを入れてから絶命するまでの時間がとても短いです。いつも師匠がやっているように刺したつもりだったのに、イノシシは絶命するまで苦しみ、泣き叫んでいました。苦しむイノシシを見て私はパニックに陥り、大号泣してしまいました。申し訳ないことに、私はイノシシに不要な苦しみの時間を与えてしまったのです」わなに掛かっているとはいえ、自分よりも体重があって、生き延びるのに必死のイノシシにナイフを突き刺すのは容易ではない。この日は師匠や狩チャンネルの仲間と一緒だったが、皆、イノシシが息絶えるまで苦しむイノシシとパニックのNozomiさんを見続けるしかなかったという。できるだけ早く苦しみを解くことの難しさを身にしみて感じたNozomiさんは、それ以来、食肉の解体施設などにも通って動物の体の構造の勉強にも励んでいる。自らがイノシシの生命を絶ったことで、「生きる」ことは他の動物や植物の命を奪った上に成り立っているということを実感した。全ての生き物は見えない鎖でつながっている。本で読んだとか、机上の話ではなく、実際にこの地で生活して分かったことだった。 仕留めた獲物は担いで下山した後、軽トラで自宅に運び、敷地内に作ったポールに吊るして血抜き作業をする。その後、解体して部位ごとに冷凍保存する。茨城県は東日本大震災の福島第1原発爆発事故の影響を受けている。農産物の放射性物質量は食品の基準値を大幅に下回っているが、猟で捕獲した肉を販売するには、市職員が立ち会った上で解体や食肉業者への出荷しなければならない。ただ、人手不足の市は立ち合いのための人員を確保することができず、肉はもっぱら自家消費するしかない。Nozomiさんは独自に放射能レベル測定しているが、だいたい1キロ当たり6ベクレル程度で、国の基準である1キロ当たり100ベクレルを大きく下回るが、ルールはルールなので仕方がない。「私が狩猟を始めたのは、あくまでもおじいちゃん、おばあちゃんの畑を守りたかったから。趣味で狩猟をしているわけではないので、人間と生き物がうまくすみ分けできるようになれば、狩猟は続けない」ときっぱり。ただ、ユーチューブチャンネルを通じて全国の仲間とつながり、都会で暮らす人に、農業や田舎暮らしに興味を持ってもらったことには手ごたえを感じている。「私にもできる小さな社会貢献」――Nozomiさんが本当に伝えたいのは、狩猟のことではなく、生命感あふれる自然の素晴らしさと、人と人とがつながる田舎暮らしの楽しさなのだ。

(マタギが語る捕獲のジレンマ)
2020年は毎日のように全国各地で「クマ出没」のニュースが流れた。4~10月の出没数は1万7746件と16年度同時期を上回り、過去最多を更新。本州の広い範囲で、クマによる農業被害や人身被害が相次いだ。原因について環境省は「餌のブナ類やナラ類などの木の実が凶作で、農作物を目当てに人里に近づいた」と分析している。全国有数のマタギの里、山形県小国町でマタギ歴50年以上の遠藤春男さん(71)がこう言う。「森というのは木や落ち葉が保水役、肥料となって木々が育ち、花を咲かせ、実をつける。19年から20年にかけ、極端に雪が少なかったため、水不足になった。木は1年かけて実を結ぶが、2、3年前に豊作になり過ぎたため、花芽が一気につかなくなり、並作、凶作になったのです」。マタギは1年間で子どもが何頭増え、どれくらい自然死するかを計算し、予察駆除で何頭取るかを決める。小国町でも毎年、55頭取らなければ増えていくという。10年ほど前は狩猟許可が簡単に下りたため、マタギの判断で捕獲数を調整し、バランスを保っていた。ところが今は捕獲数が決められていることから、1頭でも多く捕獲しようものなら、大問題となる。20年は人がクマに襲われる被害が頻発(ひんぱつ)したが、クマが増えればますます被害が増える。「昔のクマは人を襲うことは、そんなになかった。それが今はうなりながら向かってくる。襲ってくるクマは右肩から左肩まで幅がある大きな月の輪が特徴です。人間を恐れず、襲い掛かってくる。同じ家系ではないかとみて、山形大の研究室で遺伝子を調べているところです」(遠藤さん)。近年は暖冬の影響で冬の寒さにも耐えられるようになり、冬眠期でも各地でクマが出没したという報告が寄せられている。

(『うりぼうと母さん』が「日本写真絵本大賞」金賞に:兵庫)
「日本写真絵本大賞」は、大空出版による「写真」と「文章」で物語をつづる「写真絵本」の作家発掘のための賞で、今年はじめて設けられました。現実の一部を切り取った写真に、作家が思い思いの物語をつける「写真絵本」は、イラストを使う一般の絵本とは一味違った魅力があり、国内外から約320作品が集まったそう。その中で金賞選ばれたのが『うりぼうと母さん』。動物写真家の矢野誠人さんが「六甲山」で出会ったイノシシ母子を写真におさめストーリー化したもので、警戒心が強く人間の前でリラックスした様子をめったに見せないはずのイノシシのありのままの姿が映し出されているそうです。

(コロナ禍の“エンターテインメント”鍋料理のススメ:東京)
鹿、猪、熊に始まり、果ては鴉やアライグマまで……!現在、高田馬場店など3店舗を展開する『米とサーカス』は、この時期、各種取り揃えたジビエ鍋が人気だ。昆虫食でも有名な同店だが、鍋特集の今回はあえてジビエ鍋に焦点をしぼり、その獣っぽくも奥深い世界。

(エゾシカ肉の限定料理を提供:北海道)
センチュリーロイヤルホテル(札幌市中央区北5西5)はホテル内3つのレストランで、北海道が食の推進を行っているエゾシカ肉を使った限定料理を1月1日から提供する。館内レストランが一斉にエゾシカ肉を使った料理を提供するのは今回が初。同企画は農林水産省が進める「元気いただきますプロジェクト」(品目横断的販売促進緊急対策事業のうち地域の創意による販売促進事業)の一環で、近年、鉄分が豊富なヘルシー食材として注目を集めている「エゾシカ肉」を活用した限定料理を提供し、エゾシカ肉の外食での消費喚起の促進を図り、安心安全に処理された、美味しいエゾシカ肉のPRを目的としている。北海道では、人とエゾシカとの適切な関係を築き、地域社会の健全な発展に寄与するため、2014(平成26)年3月に制定した「北海道エゾシカ対策推進条例」に基づき、捕獲などによる個体数の管理や、捕獲個体の有効活用推進など、総合的かつ計画的にエゾシカ対策を進めている。しっかりと安心安全に処理をされ、おいしいエゾシカ肉を提供できるように、2016(平成28)年10月から高度な衛生管理を行う施設を認証する「エゾシカ肉処理施設認証制度」をスタートさせ、エゾシカ料理の普及拡大によって増え続ける鳥獣被害を減らし、地域の活性化や社会貢献の実現に向けた活動に取り組んでいる。23階スカイレストラン ロンドでは「アニバーサリーディナー」(2人で1万8,000円)、「世界三大珍味ディナー」(8,000円、1月12日~)を提供。19階の日本料理 北乃路では「北乃路 旬菜会席」(1万2,000円)、2階のユーヨーテラス サッポロでは朝食ビュッフェの1品として「エゾシカ肉のジンギスカン」や「エゾシカ肉の生姜焼き」「エゾシカ肉の肉じゃが」を日替わりで提供する。総調理長の金子厚さんは「西洋料理では高級食材として重宝されるジビエ。中でもエゾシカの肉は高タンパクで低脂質、かつ鉄分を豊富に含むヘルシーな食材として注目されている。官民一体となって、北海道固有の資源であるエゾシカの優れた栄養特性や 美味しさ等をPRし、エゾシカ肉の価値向上に協力していきたい」と話す。スカイレストラン ロンドは2月28日まで、日本料理 北乃路とユーヨーテラス サッポロは1月31日まで。

(ジビエ料理には日本酒を合わせてみよう)
おいしい日本酒には、おいしい料理を合わせたいもの。たとえば、脂のうまみと香辛料の刺激がアクセントとなる肉料理には、熟成したふくらみをもつタイプの日本酒がよく合います。最近では、「ジビエ」を売りにしたおしゃれなレストランも増え、そこでジビエと日本酒とのマリアージュを楽しむという方も増えてきたようです。ジビエとは、狩猟で捕えた野生動物の食肉を意味するフランス語です。ヨーロッパでは伝統料理として古くから親しまれてきた食文化ですが、実は豊かな自然に囲まれた酒蔵で働く酒造関係者にとっても、狩猟やジビエはとても身近な存在でした。なかには狩猟免許を取得して山に入る蔵人も多いようです。近年、クマやイノシシ、シカなどが住宅地に現れ、ニュースで報道されることが多くなりました。野生動物が現れるのは住宅地だけでなく、農地では作物が荒らされたり、花や果樹の苗木を食べられたりする被害も出ています。この野生動物による農作物被害は、酒造りに関係がないわけではありません。日本酒の原料は米ですが、山から下りてきたイノシシが水田を遊び場(ぬた場)とするので植えた苗を荒らされたり、倒伏させられたりという被害が出ています。もちろん電気柵などを張ってイノシシたちが入ってこれないように対策をするのですが、それでも突進して柵を倒してしまうので、米農家は泣く泣くその補修に追われます。狩猟ができる期間のことを猟期(りょうき)といいますが、日本の猟期は秋から冬にかけて。原則11月15日から翌年2月15日までです。この時期はちょうど酒造りの時期と重なるため、出猟できる日数も限られるのですが、酒造関係者のなかにも狩猟免許を持った杜氏や蔵人がいます。山や田畑に囲まれた自然豊かな土地にある酒蔵で働く人々のなかには、夏は農業、冬は酒造りに従事する人も多く、食品の流通網がまだ発達していなかったころには、貴重なタンパク源である野生動物の肉を確保するために狩猟も行っていました。このように酒造りと農業と狩猟は、古くからそれぞれ密接につながっていました。冬の酒造りの時期は、休日は月に2日ぐらい。その日が好天とも限りませんし、のんびりと休みたい日もあります。それでも、安全に注意を払いながら山に入ります。獲物が獲れたときは喜びも大きく、大切に扱いながら解体や調理を進めていきます。狩猟の魅力は、野生肉を自力で手に入れられることとその技術の会得、そして、なにより酒蔵のある周囲の自然環境についてより深く知れることです。酒造りも稲作も狩猟も、先人たちから受け継いできた大切な技術です。自分で育てた米と野菜、自分で獲った肉、そして自分で造った日本酒。狩猟や酒造りでの良かった点、直したい点を思い浮かべながら、それらをゆっくりと心ゆくまで味わうのです。狩猟は、鳥獣保護法等の法令のもと、狩猟免許や猟銃所持許可を所持しているハンターだけが行えます。狩猟対象の鳥獣は、イノシシやニホンジカ、マガモなど、よく見かけるものから、ヌートリア、ハクビシンなど聞き慣れないもの約20種類。狩猟の方法は、散弾銃やライフル銃の装薬銃や空気銃を使うもの、罠や網を使うものなどさまざまです。ジビエは、これまで自家消費が主でしたが、ハンターや精肉店、飲食店、関係官公庁などの尽力で流通網が整えられ、最近では都市部の飲食店で目にする機会が多くなりました。ひとくちにジビエといっても、その味わいは動物の種類によって異なりますし、加えて、調理法によっても大きく変化します。ワイルドなイメージが強いジビエですが、調理法によっては意外と日常的な料理にもなじみます。部位によっては、おいしい部位とそうでない部位がありますが、ハンターとして大事なのは、余すことなく、そのすべてをおいしく調理していただくことです。狩猟にでかける際の持ち物は、銃、狩猟登録証、銃砲所持許可証、ハンター専用の地図(鳥獣保護区等位置図)、ナイフ、大きめの米袋など。米袋は捕えた獲物を入れる時に使います。日の出時刻以降でなければ銃を使えないので、猟を始めるのは少し明るくなってきた朝方です。カモ猟であれば、川辺を目を光らせながら探し、見つけたら一旦その場を少し離れます。ですが獲物から目は離しません。周囲の安全、風向き、自分の隠れ場所、そして、どのように狙うかを考えて動きます。2名以上で出猟するときは、川下と川上の両方から狙ったり、銃を撃つ役と双眼鏡で見て指示する役に分かれて行動したりします。獲物を有効射程距離内に捉え、周囲の安全を再度確認したら引き金に指をかけて仕留めます。獲物を回収したら止め刺しをして、素早く内臓を取り出して清水で洗います。この作業を現場で行うことで肉の鮮度は保たれます。自宅に持ち帰ったら、羽をむしって精肉していきます。この解体から精肉の工程が一苦労で、狩猟しているよりも時間がかかることもあります。狩猟にはさまざまな技術が必要です。動物の生態は必須の知識。解体時には内臓や筋肉、関節の位置関係を覚えなければうまくさばけません。そのほか、登山と同じように地図から地形を読み取る技術。寄生虫や触ってはいけない草木の知見、もちろん銃器の取り扱いにも技術や慣れが必要です。最初はわからないことだらけですが、ベテラン猟師さんと一緒に山に入り、実際にやりながら覚えていきます。罠も自作やメンテナンスしますので、ロープワークや工具も自在に扱えなければいけません。これらは酒造りの現場でも大いに活かせる技術です。道具がうまく使えるというだけで仕事効率も上がりますし、蔵でトラブルがあった時に業者を呼ばなくても自分で直せたりしますから、覚えておいて損することはありません。スーパーマーケットなどで肉を買う場合、新鮮な肉を必要な分だけ100g単位で買い求めることができますが、狩猟で獲物が獲れたらそうはいきません。カモなどの鳥類ならまるまる1羽分、イノシシやシカなら1頭分なので数十キロにもなります。大量の肉を一度に消費することはできませんから、腐らせず日持ちするように下処理をする必要があります。ジビエ料理でよく使う調味料は、塩と酒とスパイス。これらを使うのも肉を腐らせないようにするための工夫です。塩は、肉の余計な水分を抜き防腐性を高めます。これにコショウやニンニク、山椒、クローブ、ローレル、八角などお好みのスパイスを加えて防腐性を高めながら味を付けていきます。肉を酒に漬けると臭みが取れて、全体に味がなじみます。塩漬けにした肉を酒粕に漬けると風味もよく、柔らかくなります。冬に乾燥した冷たい風の吹くような地域では、干し肉もおすすめです。燻製も保存性を高め、肉をおいしく頂く方法です。ホームセンターなどで燻製セットなどが販売されているので気軽にできるのもいいですね。このような方法で保存性を高めたジビエを素材とし、その特徴や個性を活かして、シチューやハンバーグ、鍋物、串焼き、混ぜご飯など、さまざまな料理を作るわけです。ジビエ料理に合わせるなら、お酒はやっぱりワインやビールでしょうか?いやいや、日本酒もジビエ料理にはとても合うんです。ジビエ料理は塩やスパイスを多く使うので、基本的に濃い味に合う日本酒がよいですが、香りが華やかなお酒でも合う場合もあります。ポイントは、ジビエ特有の肉の硬さと脂の融点とどう付き合うかです。ジャーキーやスジ煮込みのような硬い肉を使った料理はおのずと濃い味付けになるので、繊細な酒よりも濃醇な酒がよいでしょう。ジビエは味噌仕立ての料理が多いので、生もとや山廃など飲みごたえのある濃い酒が抜群に合います。米のうまみを感じられる酒を燗酒にすると、箸が止まりません。肉の硬さが苦手な場合は、細かくミンチに。香草も使ってハンバーグやボロネーゼにするのがよいでしょう。トマト系のソースにあわせるならチーズも振って、生酒と一緒に楽しむのがおすすめです。肉だんごにしてしまえば、鍋物のつくねとしても使えますね。豚肉や鶏肉と同様に、下味をつけて串に刺して焼くだけでもおいしくいただけます。噛めば噛むほど肉の旨みを味わえます。鳥類の肉は融点が低いので、冷やした日本酒に合わせてもおいしくいただけます。ポン酢煮にしたり、茹でたあと冷製仕立てにして梅やネギのソースで和えて食べるのもよいです。酸味がおいしい料理が多いので、合わせるなら甘口濃醇の吟醸酒がよいでしょう。もうひとつ脂の融点が低い代表格はアナグマ。しぐれ煮などが良いでしょう。こういった料理には火入れの純米酒です。普通の料理には米の旨さが合うのです。常温でしっとりとした脂が魅力のイノシシなら、熱々の牡丹鍋。これに合わせるならやはり燗酒がよいでしょう。ネギがたっぷりの鴨鍋、根菜がたっぷりのウサギ鍋にも芳醇なお酒がよく合います。融点の高い鹿肉はミンチなどがおすすめです。ちなみに、ジビエの生食は感染症や寄生虫の危険があるので、必ずしっかりと加熱してからいただいてください。酒造りが自然の営みと密接に関連しているように、狩猟とジビエも自然の恩恵のなかで育まれてきた文化です。ジビエ料理をいただく機会があれば、ぜひ同じ土地で造られた日本酒と一緒に、その地域の風景を思い浮かべながら味わってみてください。

(有害鳥獣の肉をペットに:島根)
島根県の雲南市を拠点に商品開発を手掛ける市民団体「チーム・クロサキ」(黒崎寿夫代表)が、無添加のペット用補助食品「しっぽのおやつ」を開発した。家族同然に暮らすペットのえさに配慮する飼い主が増えており、ニーズがあると判断した。地元で捕獲されたイノシシやシカの肉を使っており、有害鳥獣駆除された獣肉の活用法の一つとしても一役買う。「しっぽのおやつ」は、手軽さと長期保存を念頭に置いた乾燥タイプで、食材を湯煎して砕いたミンチをスティック状にした。鶏肉にアレルギー反応が出る犬が多いため、地元産のイノシシ肉やシカ肉、魚、野菜を活用することにした。肉や魚のみの商品が5種類、肉と魚、野菜のミックス商品が5種類の計10種類となる見通しだ。開発のきっかけは、スタッフが飼っている犬の「涙やけ」の悪化だった。目の周りが黒くなり、獣医師の助言を受けて手作りフードに変えたところ、症状が軽減したという。これを踏まえ、通常のえさだけでなく、無添加の補助食品が作れないかと企画。6月ごろから検討を始め、50種類に及ぶ試作品を作るなど試行錯誤を重ねてきた。黒崎代表(62)は「地元の新鮮な食材を使えば、いろいろな可能性が出てくる。喜んで食べてもらえるおやつを作りたい」と話した。今後、定期便としての販売や雲南市の土産物として定着させたいという。1袋当たり20グラムで、価格は500円程度を想定。来年1月から、「食の杜(もり)」の杜のパン屋(雲南市木次町寺領)とJR出雲大東駅内のつむぎ(同市大東町飯田)で販売を予定している。

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