<射撃ニュース1月>
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(野生イノシシ3頭:群馬)
群馬県は27日、前橋、長野原、片品3市町村で捕獲された野生イノシシ3頭の遺伝子検査を行い、豚熱(CSF)感染を確認したと発表した。県内の感染事例は計98頭となった。

(狩猟免許試験で不合格者を合格と発表:佐賀)
佐賀県は28日、狩猟免許試験で不合格者だった受験者1人を、誤って合格者としていたと発表した。県は同日、この受験者に謝罪した。試験は24日に実施。受験者は、選択式の筆記試験で合格基準に達していなかったが、採点した職員が合否判定を誤り、試験当日に合格者として受験番号を掲示した。採点を行う職員は通常約30人の受験者に対して2人を配置している。今回の受験者は55人だったが、職員は2人しか配置していなかった。県は再発防止策として、受験者数に応じて職員を増やすとしている。

(70代男性がイノシシにかまれる:新潟)
上越警察署によると、2021年1月28日午前7時45分頃、新潟県上越市向橋の歩道で、歩いていた70代男性が体長約1mのイノシシに臀部2か所をかまれた。男性は自力で病院に行き、軽傷の模様。同署によると、現場は向橋町内会館から南方約150mの歩道上。男性が黒田小学校の児童の見守り活動を終えて向橋の自宅に徒歩で帰宅中、前方の車道に現れたイノシシが縁石と約50cmの積雪を越えて歩道に突進して来たという。イノシシは男性を襲った後、北西の金谷山方向に逃げた。男性は自力で帰宅し、病院を受診した。同署や市が周辺を捜索したが、イノシシは発見されなかった。黒田小は28日、教職員や住民が児童に付き添うなどしながら下校するという。市では29日の登下校時まで引き続きパトロールを実施し、イノシシに遭遇した場合は絶対に刺激せず、物陰に隠れたり高いところに登ったりしてその場を離れるよう、市民に注意を呼び掛けている。

(アライグマ捕獲、過去最多2300匹)
北アメリカ大陸原産で、かつてはペットとしても飼われていたアライグマ。どう猛な性格から飼い主に捨てられたり、逃げ出したりして繁殖し、今ではほぼ全国の都道府県で確認されている。年間で捕獲された数は5万匹を超えた。空き家などに住み着き、農産物を荒らす外来生物の「厄介者」は、捕獲数をはるかにしのぐ勢いで広がっている。環境省がまとめた直近の2016年度の統計によると、捕獲数で最も多かったのが北海道の1万4019匹。2番目が5676匹の埼玉で、5257匹の兵庫、4548匹の千葉と続く。九州・山口では9~11番目の1574匹の佐賀、1384匹の長崎、1166匹の福岡と、北部九州の多さが目立つ。佐賀では05年に初めてアライグマが発見され、以来、県内各地で徐々に増加。県が集計した最新の19年度の捕獲数は約2300匹と過去最多を記録した。3年前よりも約700匹以上も多くなっている。神埼市の県猟友会神埼支部の大澤達之支部長もこのところのアライグマの増え方に頭を抱えている。「農作物のある平野部で増えている。イノシシのわなに入って餌を食べているので、イノシシを捕るためにはアライグマも捕らないといけない。困ったもんです」と嘆く。捕獲数が繁殖数に全く追いつけないのは、まずは外来生物のため天敵がいないこと。イノシシの被害が大きいことからアライグマによる被害対策まで予算が十分に組まれていないケースも多い。さらに、空き家の屋根裏に簡単に入り込むため、捕獲するにも個人の空き家だから勝手に足を踏み入れられないなど「やっかいなんです」と大澤さん。アライグマの被害対策で研修会の講師として全国を回っている元埼玉県農業技術研究センター鳥獣害防除担当部長で、現在、野生生物研究所「ネイチャーステーション」(埼玉県狭山市)の古谷益朗代表は「今のままでは広がる一方。認識が薄く、遅すぎる所がいっぱいある」と指摘。策を打っても雄は数十キロ移動するため、対策が後手に回る所が多く、「被害が減ったからといって個体が減ったわけではなく、横に広がっている。隣接する行政で連携してやる必要がある」と強調する。そんな中でも古谷代表が「危機管理がうまくいっている」と話す宮崎県はこれまで捕獲したのは雄6匹。県は被害の拡大を水際で押さえ込むため年に1回講習会を開き、アライグマの痕跡調査も実施するなど「定着する前に手を打っている」と話す。

(鳥獣対策で地域に貢献する優良な取組を決定)
農林水産省は、野生鳥獣による農林水産業への被害が全国的に深刻な状況の中で、各地域における鳥獣対策を推進しています。こうした中で、鳥獣被害防止の取組については平成21年度から、捕獲した鳥獣の食肉(ジビエ)の利活用の取組については平成28年度から、地域への貢献が顕著であると認められる個人や団体を表彰する「鳥獣対策優良活動表彰」を実施し、優良事例を広く紹介することにより、効果的な鳥獣対策の推進を図っています。この度、令和2年度における農林水産大臣賞と農村振興局長賞の受賞者を決定しました。また、鳥獣対策に携わる関係者の情報共有の場として、「第8回全国鳥獣被害対策サミット」を開催し、受賞者からの取組事例の報告の他、サミットテーマに合わせた全国の取組事例の発表、パネルディスカッション、ポスターセッション、資機材・カタログの展示を行います。

(農作物被害やウイルス媒介、アライグマに注意:山形)
野生動物による農作物被害が問題となっている中、特定外来生物アライグマの生息の痕跡が近年、県内各地で確認されている。個体数の増加が農業や健康面に悪影響を及ぼす恐れもあるとして、専門家が早期の対応の必要性を訴えている。森林動物管理学が専門の江成広斗(えなりひろと)山形大農学部准教授が、27日の同学部の定例記者懇談会で説明した。同大は県から委託され、2018年度に鶴岡市と最上町、19年度に高畠町と米沢市で分布状況を調査している。いずれもアライグマの生息情報があった市町で、社寺仏閣の木造建築物の柱に残った爪痕を確認。社寺仏閣を含む1キロ四方を1メッシュとし、その範囲に爪痕があるかどうかを調べた。その結果、鶴岡は135メッシュ中37、最上町は27メッシュ中2で爪痕が見つかり、高畠は45メッシュ中10、米沢は78メッシュ中8だった。市街地に集中する傾向が見られ、鶴岡市温海地域では、アライグマと思われる足跡も確認された。アライグマによる農作物被害として、スイカに手を突っ込んで穴を開けるケースがあるが、猿による被害と混同されて見極めにくい。狂犬病ウイルスなどを媒介し、人間の健康に影響を与える恐れもある。江成准教授は「増加を防ぐため、早期の発見と対処が必要。移動に使われる水路に柵を設けるなど、経路を遮断する取り組みが考えられる」と話している。

(「わな稼働」お知らせ、「見回り負担の軽減に」:群馬)
安中市はNTT東日本と連携し、情報通信技術(ICT)を活用した鳥獣害対策の実証実験を始めた。捕獲わなにICT機器を設置し、動物がわなにかかると、あらかじめ登録したスマートフォンなど情報端末にメールや画像を発信する仕組み。自治体と同社による同様の実験は県内初めてで、市は「狩猟従事者が高齢化する中、わなを見回りする負担の軽減につなげたい」としている。市によると、同市松井田町国衙の耕作地近くや山林内にイノシシやシカなど大型動物用の箱わな二台や、くくりわな十台、センサーカメラを設置し、わな監視装置を導入する。動物がわなにかかると装置が作動し、複数の登録先に画像やメールを送信。低消費電力で長距離通信ができる無線通信技術を用い、山間部でも監視できる。同市では中山間地を中心にイノシシやシカなどによる農作物の被害が目立ち、二〇一九年度の被害額は約一千二百万円に上る。猟友会などの協力で有害鳥獣の捕獲や侵入防止策を行っているが、メンバーの高齢化もあり、山間地のわなの巡回などの負担が課題になっていた。監視装置導入により、見回りの手間やコストの軽減に加え、誤って他の動物などを捕獲した場合の早期対応にも役立つという。装置から送られるデータは蓄積され、わなの稼働状況を把握できるため、害獣の生息地や行動パターンの予測につなげることも期待する。二月末まで実験し、わなの仕掛けが作動する状況や誤作動の事例など有効性を調べ、導入を検討する。

(イノシシ対策でドローン使い実験:大分)
ゴルフ場に出没する野生のイノシシなどをドローンを使って追い払おうという実験が、27日、大分市で行われました。この実験は、去年1月、大分市内のゴルフ場で従業員や利用客が野生のイノシシに襲われてけがをしたことを受けて、市内の企業が行ったものです。27日は、野生のイノシシが出没している市内の別のゴルフ場で、地上5メートルの高さに飛ばしたドローンから超音波やレーザーを出して、効果を検証する形で行われました。この日は、イノシシなどは現れませんでしたが、先週行ったドローンのテスト飛行の際には、シカとみられる動物がレーザーの光が当たると逃げていく姿が確認できたということです。実験が行われたゴルフ場では、すでに設置している侵入防止のフェンスをイノシシが乗り越えてしまい、夜間に見回りを行う従業員の負担が増していたことから、自動操縦が可能になれば、ドローンを活用することを前向きに検討しています。実験を行ったワールドオフィスの秀嶋良昭社長は「超音波やレーザーが効果があるのは間違いないと思う。実用化に向けてソフト・ハードの両面からドローンの改善を進め、操縦を完全に自動化できれば危険も伴わず、さまざまな活用ができると思う」と話しています。

(鳥獣被害軽減へ官民連携:神奈川)
城山・津久井・相模湖・藤野の4商工会で構成する「津久井地域商工会連絡協議会」は昨年12月16日、地元自治会や観光協会、市関係者などと「鳥獣被害による意見交換会」を津久井商工会館で行った。意見交換では、4地域それぞれサル、イノシシ、シカを中心とした鳥獣被害が多い状況を報告。それに加え、地域によってはハクビシンやアライグマ、タヌキ、ヤマビルなどの被害も増えている状況が報告され、電気柵や罠による捕獲での対策では万全でない現状が報告されるなど、活発な意見交換がなされた。市からは行政の補助金に影響する「野生鳥獣による農業被害調査表」の提出への協力が求められ、今後は「住民、行政、猟友会などの連携が一つのカギとなるが、猟友会会員の高齢化対策も必要である。農業被害を資料にまとめ、具体的な対策を話し合っていく」ことなどが確認された。

(地域ぐるみの鳥獣被害対策セミナー:東京)
日本の農山村を鳥獣被害から守るため、鳥獣被害対策に関心がある方を大募集!全国で年間158億円(平成30年度)の野生鳥獣による農作物被害を食い止める、未来の担い手を発掘するため、地域ぐるみで鳥獣被害に立ち向かう手法や組織体制を学び、地域での鳥獣対策に関わる人口を増やすことを目的としています。セミナーでは人材募集を行う市町村等とのマッチング交流会も開催し、地域との繋がりを作ることができます!新型コロナウイルス感染症拡大状況を鑑み、オンライン限定での開催に変更いたします。

(ジビエハンター研修会:兵庫)
全国でニホンジカ(以降、シカという)やイノシシによる農林業被害や希少動植物の減少などの生態系への影響が深刻化し、被害防止や個体数管理の一環で、捕獲が推進されています。シカやイノシシは有用な食資源でもあることから、国や地方自治体は、安全・安心な食肉として消費者に提供するため、国産ジビエ認証制度をはじめ、衛生的な食肉処理施設の普及を支援してきました。今後、さらにシカやイノシシを食肉としての活用を推進するため、施設に持ち込む捕獲従事者の食肉としての衛生管理および安全な捕獲に関する最新の知見にも基づいたレベルアップが求められています。そこで、狩猟免許を有する者を対象にジビエハンター研修会(試行)を下記のとおり実施します。今回は、次年度以降の運用に向けた試行となりますが、研修終了後の試験で一定の成績を収めた者にはジビエハンター認証書(予定)を発行します。※ジビエハンターとは、シカ、イノシシを食肉に適した方法で捕獲から搬入までの衛生管理に関する知識を有する捕獲従事者としています。

(鷹匠による鳥害対策:神奈川)
岡上にある和光大学では、鳥害を防ごうと今月からタカを使った駆除を行っている。キャンパスには数年前からカラス、ハトが増え、止まりそうな場所にはネットをかけるなどしたが、効果がなく対応に苦慮していた。「カラスが目立つようになったのは2014年ごろ」と話すのは総務企画部事業室係長の平野雅規さん。ハトはそれ以前からも多く、「ハトはフン害もあり、カラスが飛び交うキャンパスは学生にとってよくない」と、巣の撤去や、校舎のベランダのひさし裏など、止まりそうな場所にネットを設置するなど対策を実施。明らかな効果はなかった。状況が変わったのは、新型コロナ感染防止のため、オンライン授業が続いた昨年の夏。学生がいないキャンパスには、カラスが我が物顔で歩く姿が見られ、同大では対策を再検討。学生が勉強する場所を考慮し、美観を汚すネットやワナの設置や忌避剤の散布などではなく、環境に負荷をかけない方法として、タカによる駆除が選ばれた。鷹匠による対策は、カラスの営巣、子育てが始まる前の今年1月から開始。昨夏に現場を確認した鷹匠の江頭千景さん((株)グリーンフィールド=本社大阪)は、「カラスは人が近づいても逃げることなく、ハトの巣の下はフンがたまっている状況だった」と話す。週1回の割合でタカを放ち、現在では「敷地内を闊歩するような状況はなくなったが、フン害はまだある」と平野さん。江頭さんは「鳥たちはタカが怖くて身を隠している状態。地域で生ごみの管理などエサになるものを出さない環境を作るのも鳥害を防ぐ方法の一つ」と話し、地域の継続的な対策を提案する。同大は、学生の学ぶ場として快適な環境を築きたいとしている。

(街からはじめる鳥獣対策「ドットワナ」:東京)
株式会社WorkVision(本社:東京都品川区/取締役社長:大和田 昭彦/以下、当社)は、主に都市部在住者へ向けて鳥獣対策活動の啓蒙・情報発信を行うウェブマガジンサイト「ドットワナマガジン」を2021年1月27日より正式リリースしました。

(タイワンリスに遭遇:神奈川)
鎌谷町の住宅街で「タイワンリス」に遭遇した。家と家の間から勢いよく出てきて、すぐそばの公園の塀を駆け上がり、するすると木に登って行った。保土ケ谷公園などではたまに見かけていたが、真昼間の住宅街でも見かけるとは…と驚いて思わずカメラを向けた。タイワンリスは頭の先から尾の付け根までの長さ20cm前後、尾の長さは18cm前後。樹木の種子や果実、花、葉などを食べるほか、昆虫やカタツムリなどを捕食する。市南部を中心に、近年急激に数が増えているという。姿こそ可愛らしいが、家の戸袋などに棲みついたり、樹木や電線をかじる、農作物への被害、生態系への影響などが危惧される特定外来生物だ。横浜市環境創造局動物園課は「野生動物には絶対に餌をあげないで」と呼び掛ける。また、「被害がないようであればそのまま見守っていて大丈夫」としたうえで、民有地で被害を与えるタイワンリスについては、鳥獣保護管理法に基づく捕獲許可証の交付や捕獲ワナの貸し出し、捕獲されたタイワンリスの回収処分などの対応を行っているという。 

(シカの痕跡探し獣道へ:長崎)
農作物を荒らし、農家を悩ませる野生のシカが、長崎県佐世保市でも増えつつある。同市鹿子前町の九十九島ビジターセンター(宮本博文センター長)は、新年度から南九十九島でシカの生息状況の調査に乗り出す。13日、市内の山で実施した予備調査に記者も同行。シカの痕跡を探して獣道を歩いた。同日午後。市内の山のふもとに、センター職員ら4人と県鳥獣保護管理員を務める小関航さん(40)、そして記者の計6人が集合。「現在猟期なので誤射されないように」。そう言って小関さんから蛍光色のベストを手渡された。緊張感で背筋に汗が流れたが、意を決して足を踏み出した。市有害鳥獣対策室によると、市北部の鹿町町や江迎町、小佐々町でニホンジカの生息が確認されている。2015年度、地元猟友会が捕獲した頭数は51頭だったが、19年度は189頭と約4倍に急増。タマネギの苗やミカンの木の皮をかじられるなどの農作物被害も15年度が0件だったのに対し、19年度は9件報告された。野生のシカの生息域がどう分布しているのかを把握するのがセンターの調査の目的だ。市によると、同市で生息が確認されている鹿町町はもともと「鹿待」と書く。シカが多く生息し、猟師が捕獲のために待機した場所-との説もあるという。地名の由来からも、人間とシカとの苦闘の歴史が想像できる。草木をかき分けて獣道を進んでいると、ぬかるみに残ったシカの足跡を発見。周囲の樹木には角をこすり付けてできた縦長の跡や、俵形のふんなど次々に痕跡が見付かった。「シカの足跡は副蹄(ふくてい)(かかと部分の蹄(ひづめ))がないのが特徴」。小関さんがイノシシとシカを対比しながら解説し、メンバーは理解を深めた。小関さんによると、多産のイノシシに対し、シカは1回の出産で1頭しか産まないため繁殖スピードは遅い。ただ、下草を好んで食べることから土が露出しやすく、雨天時に土砂が川に流れ込んで水生生物に影響を与えるなど、生態系への影響範囲はイノシシより大きいという。小関さんは「早めの現状把握、対策が重要なんです」と警鐘を鳴らす。一行は約3時間、山を歩き回ったが、野生のシカに遭遇することはなかった。今回調査した場所では生息密度が急激に高まっている状況ではなさそうだ。シカが人間の領域に踏み込んできたのか、それとも逆に、人間がシカの生息エリアを奪ってしまったのか-。そんなことを考えながら山を下りた。同センターは今後、予備調査をもう1回行い、南九十九島での具体的な調査場所など決める予定。

(動物と接触、山陽線に遅れ:広島)
JR西日本によると、28日午後9時45分ごろ、山陽線の東尾道駅(尾道市)―尾道駅(同)間で列車がイノシシと接触した。この影響で同線の岡山駅(岡山市)―糸崎駅(三原市)間の一部列車に5分~1時間の遅れや運転取りやめが出ている。

(ジビエ利用、コロナで停滞)
政府がシカやイノシシによる農作物被害対策の一環で推進する野生鳥獣肉(ジビエ)の利用が、新型コロナウイルスの影響で停滞している。ペットフードなど新規用途の開拓は進む一方で、外食向けの需要が縮んでいるためだ。利用量を2025年度までに19年度比2倍の4000トンとする目標は達成が危ぶまれている。19年度の利用量は16年度比約1.6倍の2008トンに膨らんだが、当初目標を22%下回った。農林水産省によると、国内の野生イノシシで伝染病の豚熱(CSF)が相次ぎ、食肉利用が抑えられたのが要因となった。そこへコロナ禍が追い打ちを掛けた。ジビエ業界の一部には「飲食店向けの流通が止まった」との声がある。観光客の減少で地域での直接販売も伸び悩み、20年度の不振も予想されている。19年度の野生鳥獣による農作物被害額は10年度比34%減の158億円と減少傾向にあるが、農水省幹部は「捕獲数が減れば再び増加に転じかねない」と話す。耕作放棄の増加や車両と野生鳥獣の衝突事故など地域への影響も少なくない。ジビエ利用は捕獲数全体の1割程度にとどまっており、未利用部位の活用も課題とされる。政府が全国16のモデル地区の一つに挙げるのが、岡山県美作地区の獣肉処理施設「地美恵の郷みまさか」(同県美作市)だ。地域資源の有効活用を掲げ、食肉処理のほか、ペットフード用の処理加工設備を導入。19年度の処理頭数は16年度に比べ36%増の1655頭、売上高は42%増の2582万円に伸ばした。ただ昨年の緊急事態宣言の際には注文が減り、在庫が積み上がった。運営を委託する美作市の担当者は「また注文が入らなくなる恐れもある」と懸念する。政府はジビエ利用の再活性化に向け処理施設や流通への支援体制を強化する方針だ。

(給食に白山麓ジビエ:石川)
白山市白嶺小中学校の中学二年山本蓮さん(13)=同市佐良=が、白山麓で捕獲されたジビエの野生シカ肉や、特産品「木滑なめこ」など、同市の地場産品を盛り込んだ学校給食を考案し、県中学生学校給食献立コンクールの努力賞に選ばれた。献立を基にした給食が二十八日、同校であり、生徒や児童約七十六人が「山の味」を楽しんだ。ナメコの食感がおもしろい「木滑なめこのまぜご飯」や、白山麓で捕れたシカ肉をみそや金沢市産のハチミツで味付けした「シカ肉の和風みそ焼き」など五品。ふわふわとした食感の「おぼろ豆腐」を雪解けに見立てたけんちん汁や、「まっとうトマト」を使ったサラダも考案した。山本さんは「なるべく多くの地元食材を使うように工夫した。ナメコをご飯に入れる意外性を狙った」と説明する。実際の給食では、大量に調理するために献立をアレンジして提供された。かみ応えがあるシカ肉に苦戦する児童の姿も。木滑なめこのまぜご飯が特に「おいしい」と好評だった。木滑なめこやシカ肉を提供した地元企業「山立会(やまだちかい)」の川上隼人さん(28)もシカ肉や獣害について解説。「食事の時に生産者のことを想像してくれたらうれしい。野生動物に興味を持つきっかけになれば」と期待した。

(シカ肉使ったレトルトカレー発売:神奈川)
伊勢原市で獣害対策の一環として捕獲されたシカの肉を使ったレトルトカレーが売り出された。新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり需要が高まる中、飲食店やコンビニエンスストアを展開する地元企業のセゾオンが家庭でジビエを味わえるようにと開発。大学生がデザインしたパッケージも目を引く一品だ。セゾオンは、同市役所で「お食事処しいの木」を運営する。市が県猟友会伊勢原支部と協力して捕獲したシカを有効利用するための商品開発の打診を受け、昨年四月にメンチカツカレー、同八月にはミートボールスパゲティをメニュー化してきた。コロナ禍で外食控えの流れを受けて売り上げが減少し、新たに目を付けたのがレトルトカレー。ルーはタマネギを多めに使ってコクを深めた。高タンパク低カロリーが売りのシカ肉は別工程でボイルし、しっかり形を残して食べ応えが感じられる仕上がり。大山地区の施設「猪(いのしし)・鹿肉問屋阿夫利山荘」で狩猟後すぐに処理加工され、臭みはない。パッケージにはシカの顔をかたどった「鹿肉」の文字と角、地元の霊峰大山が描かれている。隣接する平塚市にキャンパスがある東海大三年でデザインを学ぶ鈴木梨沙さん(21)がデザイン。「どうやったら面白くなるかを考え、カレーではなく、シカ肉を前面に出してみた」と意図を説く。一人前二百グラムで八百四十二円。売り上げの1%は市の文化財の保護や周知に使われる。市役所売店などで販売。

(地元産イノシシなど使用、缶詰開発:京都)
龍谷大(京都市)政策学部3年のゼミ生7人が中心となり、京丹後市産のイノシシ肉や野菜を使ったカレーの缶詰を開発した。商品名は「宇川をかける~山の見えるカレー」。27日にゼミ生らが京丹後市で発表した。龍谷大生協などで2月1日から販売する。新型コロナウイルス感染症の状況をみて、地元の農産物加工品直売所などでも予定している。ゼミでは、持続可能な地域のあり方を研究テーマとして2015年度以来、同市丹後町宇川地区の水田で育てた米で米粉を作るなどしてきた。20年度は、駆除される害獣の利用を検討。食肉として味わいやすいイノシシを活用しようと、「京都知恵産業創造の森」による産学共同研究開発事業の支援も受け、カレーの開発に取り組んだ。インターネットによるクラウドファンディングなどで約50万円を調達。

(秘境のジビエを身近に手軽にお届け:岐阜)
岐阜県郡上市の山奥「西和良」より、ジビエをテーマにしたフードトラックのクラウドファンディングを開催中です。短期間で目標を達成し、現在ネクストゴールに向けて継続中です。西和良で獲れた健康・ダイエットに最適な鹿肉ジビエや、郡上産の美味しいお米や野菜をふんだんに使用したタコスなどのメニューをお届けします。身近で気軽なメニューで観光の際にも手軽にお楽しみいただけます!

(学校給食にジビエ料理:岐阜)
岐阜県本巣市では27日、市内で捕獲・加工されたシカ肉を使ったジビエ料理が学校の給食で初めて提供されました。本巣市では、コロナ禍で苦しむ市内の生産者を支援しようと、給食のすべてのおかずに市内の食材を使用する「もとまる給食の日」を2020年10月から設けています。27日は、農作物の被害を減らすために市内で捕獲されたシカ肉を使ったジビエ料理が、幼稚園や小中学校の給食で初めて提供されました。このうち真桑小学校では、臭みを減らす工夫が施されたシカ肉入りの混ぜご飯や、市内で生産された新鮮な小松菜や大根を児童たちが味わいました。里山ジビエ会 近藤正男代表理事「ヘルシーで栄養価が高いので、少しでも子どもたちが健康になれるように提供してはどうかと思い始めた。(今後も)子どもたち、また親御さんにも召し上がっていただける立派な肉を提供していきたい」。本巣市では、来年度から年に2回、ジビエ料理を給食で提供していく予定です。

(ジビエの魅力、可能性を語る)
野生鳥獣による農作物被害は2019年度に158億円。その63%はシカとイノシシによるものだ。被害を減らす取組みにより捕獲したシカやイノシシは、衛生を管理した上で天然食材の国産ジビエとして安全に食肉処理し、流通させる新たなステージに入っており、日本フードサービス協会による全国ジビエフェアの開催など、その普及が行われている。ジビエは、新型コロナウイルスの感染拡大で販路を失った国産農林水産物を食べて応援する販売促進緊急対策「#元気いただきますプロジェクト」のインターネット販売での送料支援の対象品目にもなっている。20年6月1日施行の改正食品衛生法は原則としてすべての食品事業者などにHACCPに沿った衛生管理を義務付け1年間の経過措置期間を経て今年6月1日から本格施行する。ジビエの処理加工施設向けにHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引き書を作成した一般社団法人日本ジビエ振興協会を率いる藤木徳彦代表理事がきょう29日の肉の日に合わせて、親交ある元女子体操日本代表選手の田中理恵さんと、栄養成分や家庭での調理法など、まだ十分に知られていないジビエの魅力や可能性について語り合った。47都道府県でシカやイノシシによる被害のないところはないといわれているぐらい、どこでも被害は深刻です。シカやイノシシが増えると、里に下りてくるようになります。エサを求めたイノシシはミカンなら実だけではなく木ごと倒してしまい、翌年から栽培ができなくなってしまう。農家にしてみればやっかい者です。どんどん捕ってくれということですが、シカ肉やイノシシ肉を食べる人が少なかったりすると山に掘った穴に捨てて埋めてしまうことになります。私たちレストランではシカ肉やイノシシ肉を仕入れて料理しています。片や食べられることなく捨てられています。捨てられるばかりであるのなら、命をいただくことに感謝しておいしく食べるジビエとして普及させなければいけないと思って日本ジビエ振興協会の活動を始めました。今は、シカとイノシシを合わせて1年間に全国で124万頭が捕獲されています(19年実績、20年9月10日現在の環境省の速報値)。猟師さんが自家消費している分は別として、ジビエとして流通されているのは、そのうちの1割ぐらいです。ニュースで良く見ますからね。田んぼや畑が荒らされて、柵を作ってもその柵が壊されるなど農家の皆さんが大変な思いをされているんですよね。人に被害も与えていますからね。ただ、野生動物に悪意があるわけではないでしょうし。ジビエには、食べられずに捨てられていく命に対する藤木シェフの思いもあるのですね。シカやイノシシを食べる文化はいろいろな地域で昔からありました。地域の食文化なのです。だけど日本でジビエのシカ肉やイノシシ肉が衛生管理を必要とする食肉として認識されたのは14年からです。厚生労働省がジビエを食肉として流通させるためのルールを「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」として14年に定めました。捨てるのではなくもっと食べようよというときに、安全・安心がしっかり担保できる仕組みを示したということですね。そのルールの下で捕獲する方法、食肉として処理する方法、調理と販売・消費時の取り扱いなどを定めました。それまではそのルールすらありませんでした。猟師さんはそれぞれに自己流で捕ってさばいて処理して食べていたので、腕が良く解体処理が上手な猟師さんの肉はおいしいし、そうでない肉は臭いなどばらつきがありました。かつてはレストランも腕の良い処理の上手な猟師さんから直接仕入れることができたのですが、現在は、食品衛生法に基づく許可を受けた野生鳥獣の食肉処理加工施設がガイドラインに沿って解体・処理した食肉を、われわれレストランも仕入れなければならなくなっています。現在、ジビエの処理加工施設は全国に667施設(19年度)あります。ただ、処理加工施設も衛生管理にばらつきがあるので、18年に農林水産省が「国産ジビエの認証制度」を定め、しっかりとした衛生管理が行われている施設を第三者機関が認定することになりました。この国産ジビエ認証には認証マークもあります。チェックマークをシカとイノシシの横顔でデザインしたものです。このマークをジビエの製品や加工品、販売促進資材のパッケージなどに貼ったりして使用することが認められる認証取得施設は全国に17ヵ所(20年12月末現在)あります。こういうマークがあれば、食べる側は安全・安心であることが分かりますね。国産ジビエ認証の取得施設は、まだ17ヵ所しかないので、もっと増やしていこうと取り組んでいるところです。ここに栄養成分の比較があります。牛肉、豚肉とシカ肉、イノシシ肉を100g当たりでカロリーとか、脂質とか、鉄分とか比較したものです。シカ肉はタンパク質がすごいのですね。鉄分も多いのですよ。カロリーも低いですね。アスリートは、特に体操競技はすごく体を絞らなくてはならない競技なので、低カロリーで高タンパク質という栄養成分は、最高にうれしいことです。アスリートにとって食事はトレーニングと同じぐらい大事なものですから。ただ、調理が難しそうですね。私は小学校から高校まで和歌山に住んでいたのですが、夕飯でカモ鍋がすごく出ていたのですよ。カモ肉はジビエですよね。しっかりかまないと飲み込めなかったという思い出があります。ジビエは常に家畜の肉の牛肉、鶏肉、豚肉と比較されます。家畜の肉とは質としてもまったく違うものなのかなと思います。ジビエは天然食材なのです。家畜は人が食べるために改良されています。おいしくなるようなエサをあげて1年中安定しておいしく食べられるようにしたものです。焼肉で考えると分かりやすいと思います。サシが入っている脂の多い肉はプロの料理人でなくても軟らかく焼けます。しかしジビエはそうでない。同じように焼くと硬くなります。一方、ジビエは野生の肉ですので季節のサイクルがあります。秋から冬にかけてイノシシはたくさん脂肪を蓄えます。また、常に山の中を駆け回っているので、全身が筋肉質です。サシが入ったシカ肉などもまずないのです。先ほど田中さんが言われたカモ肉もそうで筋肉質です。余計な肉は一切ついていません。そういうところがジビエの肉の特徴かなと思います。そこがジビエの魅力でもあるのです。調理でちょっと工夫しないと食べた時のおいしさは伝わらないかなと思います。ちょっとしたコツでご家庭でもおいしく食べられます。外で食べるものと思っていました。考え方が変わりました。家庭でも簡単においしく調理できる方法を教えてください。スーパーではあまり見かけないのでどうやって手に入れるかも。肉が硬くなってしまうのは加熱の方法によるものです。ジビエは加熱して食べるのが大前提ですが、赤身の肉は加熱しすぎると硬くなります。なるべく弱火でゆっくりと加熱することが理想ですが、ご家庭の料理は時間勝負でしょうから、生肉の段階で軟らかくしようという方法があります。シカ肉の食べ方でお薦めは唐揚げです。シカ肉には脂身がないので脂っこくなくさっぱりした食感になります。唐揚げは高温で加熱するから硬くなりそうですが、揚げる前に醤油、みりん、ショウガやニンニクなどの調味料に漬け込む際に、例えば200gの肉であれば、ヨーグルトを、カレーを食べる時に使うスプーンで1杯分入れれば軟らかくなります。ただ、漬け込み時間に1時間から2時間ぐらいは必要です。唐揚げに限らず、シカ肉やイノシシ肉でステーキを作ったり、スライス肉でショウガ焼きを作るのであれば、生肉をヨーグルトや塩麹、リンゴのすりおろしでもんでおくとか、酵素の力で肉を軟らかくする調味料に漬け込んでから焼けば硬くはなりません。簡単に調理するコツです。全国どこでも簡単に手に入る方法としては、インターネット販売が良いと思いますが、今でしたら「#元気いただきますプロジェクト」も行われています。主婦目線なのですが、インターネット販売は調理方法がサイトに載っているかどうかというところの違いは大きいですね。肉だけが並べられていても調理方法は分からないので。調理のコツとか、今教えていただいたようにヨーグルトを入れたらおいしくなりますとか、漬け込む方がおいしいですとか、作り方を細かく書いていただいたら、“おうち時間”で、「さあ、シカ肉が送られてきた。やってみよう」と楽しい時間になるのではないかなと感じます。価格についてですが、食肉処理加工施設から仕入れる価格、インターネット販売での価格もそうなのですが、豚肉よりも高く牛肉並みか牛肉よりもちょっと安いぐらいです。私の店でも、私がこのようなジビエの振興活動をしていても、「家畜はエサ代が掛かったり手間を掛けているのが分かるが、シカやイノシシの原価は無料でしょう。シカ肉やイノシシ肉はなぜこんなに高いのですか」と言われることがあります。ジビエを食べたことがない人には、お話した農作物の被害を減らす取組みをご理解いただけないと、価格が牛肉と一緒だったら買わないかなと思います。牛肉の味は知っているのですから。そこで「#元気いただきますプロジェクト」のようにインターネット販売の送料を支援してもらえると、まず買ってみようかなと思ってもらえる第一歩にはなるかなと思っています。大きな効果です。アスリートの育成施設にジビエの活動を応援してくださっている知り合いのドクターがいらっしゃいます。昨年、話を聞いていただける機会がありました。管理栄養士の方も交えたお二人にジビエの栄養価について話をしました。そうしたらそういう栄養価であれば、これからはジビエもアスリートの食事の献立に取り入れていきましょうという話もございました。このほかにも学校給食にジビエを使っていただきたいと思っており、いろいろな地域に行って話をしています。アスリートの食事の献立というのはすごいですね。育成施設にいるときは、管理栄養士の方々が私たちの食事を1から10まで全部考えて出してくださるのですよ。体操競技だけではないのですが、体重管理に困っているアスリートであったり、自分の体づくりの中で何を食べたらいいのか悩んでいるアスリートはいっぱいいると思います。低カロリーで筋肉にも体づくりにもすごく良いということが分かれば、皆が興味を持つと思います。知って食べるのは大切なことですね。世の中には、男性も含めて美容に興味がある方々は多いので、もっと知ってもらって皆に食べてもらいたいなという気持ちになってきますね。私自身、ジビエについて知らないことがいっぱいありました。アスリートにも、もっと広めていきたいと思います。

(農作物被害は158億円、ベテラン狩猟者と初心者の融合で解決目指す:荒舩良孝)
シカやイノシシなど野生鳥獣による農作物被害は、2019年度に約158億円にものぼった。各地で猟友会が駆除にあたり、一定の効果も見られるが、メンバーの減少や高齢化が深刻になっている。そうした中、狩猟免許を持ちながら経験の浅い若手と猟友会を結びつけ、鳥獣被害の問題を解決させる動きが起きている。どのような仕組みなのか、効果は出ているのか。埼玉県秩父の狩猟現場を取材した。周囲の山々に目を向けると、ほとんどの木が葉を落として肌寒い様子を見せている。人口8000人ほどの埼玉県横瀬町。昨年12月上旬の土曜日の朝、駐車場にオレンジ色や黄色のベストを着た10人の男性が集まっていた。その多くが町を拠点とする「武甲猟友会」のメンバーだ。メンバーはシカなどの大型動物を捕獲する「巻き狩り」に向かう。巻き狩りとは、獲物を撃つ「タツ」(射手)と呼ばれる猟師を山の中に配置し、狩猟犬を連れた「勢子(せこ)」と呼ばれる猟師たちが獲物をタツのいる場所まで追い込んで仕留める猟だ。打ち合わせをした後、タツは4人と2人の二手に分かれ、また、勢子の4人もそれぞれの持ち場へと向かった。4人組のタツの一人は83歳のベテラン猟師だ。山の登り口で経験の浅い3人に声をかけた。「歩いて暑くなるから、なるべく薄着になって登ったほうがいい」その後、ベテラン猟師は足跡などから、シカがよく通りそうな場所を見つけて3人の猟師をそれぞれ配置。獲物が来たときの撃ち方などもアドバイスした。ただ、そのうちの一人、吉田隼介さん(42)には道すがらこう声をかけた。「俺はいつまで来られるかわからないから、今度は吉田くんが狩りをいろいろ教えてやってな」。吉田さんは「はい」と短く応じた。吉田さんは猟友会に所属する一方、狩猟後継者の確保・育成をおこなうスタートアップ企業「カリラボ」の代表でもある。「狩猟免許は簡単に取得できますが、実際に猟をするにはものすごく高いハードルがあります。僕はもともと、2016年に免許を取得し、東京の猟友会に入っていたのですが、会での狩猟機会はありませんでした。狩猟ができずにペーパー猟師の人は、僕の周りには結構います。でも、横瀬町に来たら猟師不足で困っていた。猟師不足の地域と若手の狩猟者を結びつける仕組みができれば、みんながハッピーになるのではないかと考えたのです」。吉田さんは起業のきっかけをそう語る。カリラボは2019年10月に創業した。サービス内容はおもに三つ。地元のベテラン猟師たちと一緒に狩りをするカリナビ、動物を捕獲するわなを共同で仕掛けるワナシェア、シカやイノシシ肉のバーベキューなどを楽しみながら狩猟を身近に感じてもらうイベントの開催だ。このうち、カリナビとワナシェアは、基本的に狩猟免許を取得している人に向けての会員制のサービスだ。カリナビは猟期である11月15日から2月15日まで、ワナシェアは3月15日まで活動する。カリナビは、武甲猟友会が週末や祝日におこなう巻き狩りに参加させてもらう。ただし、銃を使うため、安全面から、カリラボの参加者は吉田さんを含めて最大で4人にしている。「カリナビやワナシェアの会員は、埼玉県の都市部や東京に住んでいる人がほとんどで、年代は30代から60代まで幅広いです。事業スタートから特に宣伝をしなくてもたくさんの問い合わせをいただきました。猟場探しに苦労していた人、技術を学びたい人が多いです」。吉田さんは東京都世田谷区と横瀬町の2拠点生活をし、平日は都内のIT企業に勤めている。狩猟事業に取り組むきっかけは、2017年に横瀬町に別荘を買ったことだった。週末を別荘で過ごすなかで、近くを通りがかった武甲猟友会の人たちを見かけ、思わず追いかけていった。そこで前年に狩猟免許を取得し、猟銃も所持していることを伝えると、「今度、巻き狩りに来いよ」と誘われた。それから1カ月もしないうちに、実際に参加することができた。継続的に猟に参加するようになって実感したのは、狩りの楽しさだけではなかった。野生動物による農作物や山林の被害が想像以上に多いこと、駆除の担い手である猟友会員が高齢化していることなど、狩猟をめぐる課題をひしひしと感じるようになった。そこで、狩猟免許があるのに狩猟機会のない猟師と、横瀬町をつなげることができれば、双方にとってプラスになるのではないかと考えた。「実際にカリラボの説明会を開いてみると、参加したいという人がたくさんいました。巻き狩りへの参加や設置したわなの見回りで、外から横瀬町にやってくるきっかけになりますし、何よりも地域の獣害対策に結びつきます。事業収益を得るよりも、このような貢献ができることにおもしろみを感じました」。農林水産省の調べによると、野生鳥獣による農作物の被害額は2019年度が158億円。その6割以上を占めるのがシカ、イノシシだ。本州以南のニホンジカの個体数は1989年度に28万頭だったのが2017年度には244万頭、イノシシは1989年度に25万頭だったのが88万頭と大幅に増えた。増えた要因の一つが、狩猟免許を所持する人の減少だ。環境省によると、全国の狩猟免許所持者数は1975年度の51.8万人から2016年度の20万人へと6割以上も減少。また、免許所持者の半数以上が60歳以上だ。要は、狩りをする人が減り、高齢化している。武甲猟友会も最盛期には100人ほどの会員がいたが、現在は20人ほどだ。大半が70代、80代。10年後に活動ができなくなる可能性も指摘されていた。こうした状況に行政も悩んできた。横瀬町の富田能成町長(55)はこう語る。「シカ、イノシシ、サルなどに畑や果樹を荒らされる被害は、この20年ほどのスパンでは増加傾向にあります。理由の一つは山間地の人口減少です。農地を電気柵で囲う、爆竹を鳴らすなどの対応をしていますが、根本的な解決は難しい。猟友会の協力で有害動物の駆除に力を入れていることもあり、この数年は改善が見られます。ただ、猟友会の方々の高齢化は、由々しき事態です」。町の地域おこし協力隊の元メンバーで、集落支援員の石黒夢積さん(33)もこう語る。「農家さんからは、頑張って農作物をつくっても半分は動物に取られてしまうと嘆く声を聞きました。何のためにつくっているのかわからないし、買ったほうが安いと話す人もいます。猟師が減ると、農業を諦めてしまう人が増えると思います」。シカやイノシシの被害が多い山間地では、山の斜面を耕していることが多いため、農地面積や農業規模が小さいことが多い。被害額は小さいものの、農家にとって心理的なダメージが大きいのだという。一方で、若手の猟師がすぐに力を発揮できるかというと、そう簡単ではない。命を落とす危険もある狩猟は、ベテランの指導の下、さまざまな経験を積む必要があるからだ。現在、狩猟免許は、網猟、わな猟、銃猟の3種に大きく分かれている。網猟はおもに鳥を捕獲するもので、シカやイノシシなどの獣の捕獲には、わなや銃が使われる。基本的に猟場となる都道府県に狩猟税を納めていれば、猟友会に所属しなくても猟期に狩猟をすることはできる。だが、銃やわなの使い方はもちろん、動物たちがどこの道を歩くのか、集まる場所はどこなのか、猟場となる山や森についても詳しく知らないと捕獲は難しい。仮に捕獲できても、山から下ろし、解体処理するには仲間の猟師の協力が必要になる。地域の猟友会は、猟師が協力態勢を組むハブの役割を担っている。秩父地域で暮らす70代の猟師はこう説明する。「法律的には、免許を持っていて、埼玉県の狩猟許可があれば、猟区で誰が猟をしてもいいことにはなっている。ただ、地元の猟師たちの間では、暗黙のうちに猟場が決まってる。やっぱり地元で猟をするには、猟友会に入ってもらわないといけないな」。免許を持っていても、知り合いがいない猟友会に入るのには、なかなか勇気がいる。環境省鳥獣害保護管理室の担当職員も、免許取得から実際に狩猟をするまでのハードルを下げる必要性を感じている。「都道府県の猟友会で、初心者の方々に技術を教えたり、同行して技術や知識を伝えたりしているところもあります。これからはそういう取り組みが必要になってくると考えています」。吉田さんのカリラボには、免許はあるものの、なかなか狩猟の機会がなかった人たちが集まってきた。「本当は一人で山に入って猟をしたいのですが、とっかかりがなくて。猟の体験を重ねれば、どこで銃を撃てばいいかもだんだんわかってきますし」。カリナビを通じて12月の巻き狩りに参加した40代の男性は、そう語った。アウトドア好きが高じて2019年に狩猟免許を取得したというが、猟の経験はこれまでに2回。横瀬町での巻き狩りへの参加は今回が初めてだった。武甲猟友会の会長を務める楮本佳司さん(68)は、カリラボの活動を好意的に受け止めている。「こういう活動で猟の楽しみを知る人たちがどんどん増えてくれればいいなと思っています。昔の猟師はよそからやってくる者は絶対に入れないという主義の人が多かったけど、今はよその人でも仲良くしていかないと。どこでもそうだと思いますよ」。ワナシェアは今年度、11人の会員が集まった。狩猟期間に共同でわなを設置する。わなに獲物がかかれば、会員で解体し、肉も分け合う。11月下旬、吉田さんと会員9人でわなを設置することになった。仕掛ける場所は、シカが頻繁に出没する吉田さんの別荘周辺。当日朝、吉田さんは事前に設置したトレイルカメラ(監視カメラ)の画像を会員に示し、シカの動きを説明した。「この場所で11月8日に雄ジカが写っていたのですが、これ以降はシカが来ていない可能性があります。理由はよくわかりませんが、11月15日から猟期が始まっているので、その影響でシカの動きが変わっているのかもしれません」。設置するわなは、ワイヤーで動物の足をとらえる「くくりわな」というもの。地面に踏み板とそれを取り囲むように配置したワイヤーを仕掛け、動物が踏み板を踏むとワイヤーが締まり、足をくくるという仕組みだ。参加者たちは猟場に行き、足跡や地形を確認して、動物が通りそうな道にわなを仕掛けていく。わなに触れるのはわな猟免許の所持者のみだが、いずれの人も経験が浅く、設置に四苦八苦していた。参加者の中に、さいたま市の60代の母親と30代の娘の親子がいた。2人は昨年9月にわな猟と銃猟の免許を取得したばかりで、猟の経験はまだなかった。「わなを仕掛ける場所もわからないので、初歩的なところから教えていただこうと思い、参加しました」。娘はワナシェアの会員になった理由をそう話し、母親は一人ではなくグループで取り組めるよさを語った。わな猟では捕らえた獲物を長時間苦しめないため、その日のうちに処理、解体する慣習がある。わなを仕掛けた後は、本人が毎日見回ることが求められるが、ワナシェアでは吉田さんと参加者でスケジュールを調整し、交代で見回りをすることになっている。従来とは違うスタイルについて、違和感を覚える猟友会のメンバーもいるかもしれないが、前出の石黒さんは「カリラボと地元猟師の理解を深めるため、地元に暮らす私がつなぎ役になれれば」と述べた。石黒さんは吉田さんの勧めで2019年にわな猟の免許を取得し、武甲猟友会にも所属。そして2020年度はカリラボの活動も手伝っている。カリラボの活動の重要性を感じているからこそ、地域との相互理解が重要だという。富田町長も「カリラボの活動には注目している」と話す。「吉田さんの提案は、横瀬町が抱える鳥獣害問題や猟師の高齢化といった社会課題にストレートに取り組むものです。カリラボの活動で若い人たちに狩猟や横瀬町に興味を持ってもらえたら、すてきだなと思います」。吉田さんは横瀬町でカリラボの活動を続けていくことが日本全体の有害鳥獣対策につながると考えている。「この活動を何年か続けていけば、経験やノウハウが蓄積され、他の地域に伝えられる人も出てくると思います。そういう人たちを増やして、日本全体に広げていければと思います」。

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(野生イノシシ2頭、豚熱に感染:神奈川)
神奈川県は21日、相模原市緑区の山林で捕獲された野生イノシシ2頭が豚熱(CSF)に感染していたと発表した。県内の感染確認は5、6例目となり、今月に入って4頭確認された。県は県内全ての養豚場に対し飼養豚の異常の有無を確認するとともに衛生管理の徹底を指導する。県によると、今月9日と13日、地元の猟友会メンバーが同区千木良の山林でいずれも雄の成獣2頭(体長70~80センチ、体重25キロ)を捕獲。県が遺伝子検査を実施したところ、21日に陽性が確認された。14日に陽性が確認された2頭も同じ地域で捕獲されたイノシシだった。

(養豚場で豚熱確認:和歌山)
和歌山県は26日、同県かつらぎ町の養豚場で豚熱(CSF)の感染が確認されたと発表した。この養豚場は約290頭を飼育している。県によると、国内の養豚場での感染確認は昨年4月以降では群馬、山形、三重に続き4県目。農林水産省は同日、省内で防疫対策本部の会合を開き、防疫措置の徹底や感染経路の調査など対応を進める方針を確認。和歌山県は27日に仁坂吉伸知事ら幹部が対策本部会議を開き、殺処分や消毒について検討する。県によると、養豚場から24日に「調子の悪い豚がいる」と連絡があった。25日に県が立ち入り検査し、6頭を検査した結果、26日にいずれも陽性と判明した。県はワクチン接種地域に認定されており、陽性となった豚は6頭ともワクチンを接種していたという。野上浩太郎農相は防疫対策本部の会合で「ワクチン接種済みの豚で発生したことは極めて遺憾だ」と述べ、「接種しても免疫を獲得できるのは8割程度だ」として改めて衛生管理を徹底するよう呼び掛けた。和歌山県内では昨年10月以降、豚熱に感染した野生イノシシが複数見つかっていた。

(有害駆除中に銃弾当たり大けが、猟銃を発砲した男性を近く書類送検へ:山梨)
2020年10月、山梨県南アルプス市でシカの有害駆除中、猟銃の弾が当たり男性が大ケガをした事故で警察が猟銃を発砲した猟友会の男性を、業務上過失傷害などの疑いで近く書類送検する方針を固めたことが分かりました。捜査関係者によりますと、業務上過失傷害などの疑いで書類送検されるのは、猟友会に所属する南アルプス市の60代の男性です。60代の男性は2020年10月、南アルプス市の山中でシカの有害駆除のために発砲した猟銃の弾が近くにいた別の猟友会の男性のあごに当たり、全治4週間の大ケガをさせた疑いが持たれています。男性は警察の任意の調べに対し、「シカと間違えて撃ってしまった」と容疑を認めているということです。警察は、注意を怠ったことでケガをさせたとしてこの男性を近く書類送検する方針です。

(熟練猟師が担い手育成、ペーパー狩猟者に同行:環境省)
環境省は、狩猟の担い手不足の改善を狙い、2021年度から「狩猟インストラクター制度」の構築に乗り出す。有害鳥獣としての捕獲数の増加や人や農作物への被害に歯止めがかからない中、熟練者が現場に同行して経験や技術を教える仕組みを想定。鳥獣害管理に携わる人材育成に向けて、複数県で試行後、全国規模の制度として展開する方針だ。

(豚熱ワクチン、26日から散布開始:茨城)
茨城県は25日、豚熱(CSF)感染予防のため、26日から2月26日にかけて野生イノシシへの経口ワクチン散布を行うと発表した。散布は昨年1月に開始。今回で5回目で栃木県境や利根川沿いなどの県内12市町で行う。

(イノシシ対ICT、軍配はどちらに:福島)
原発事故の避難指示が解除された地域を悩ませているイノシシ。住民の帰還や農業再開の妨げにもなっている中、福島県富岡町でICT(情報通信技術)で追い払ったり、追跡したりする実証実験があった。最新技術とイノシシの知恵比べ。軍配はいかに――。「今、歩いてきた道は、イノシシ街道と言っていいほど頻繁に通ります」富岡町役場の西1キロ弱の王塚地区。昨年12月に学術関係者らを招いた現地見学で、東京農工大学の金子弥生准教授(動物生態学)はこう説明した。「今、歩いてきた道は、イノシシ街道と言っていいほど頻繁に通ります」富岡町役場の西1キロ弱の王塚地区。昨年12月に学術関係者らを招いた現地見学で、東京農工大学の金子弥生准教授(動物生態学)はこう説明した。地区内に約20台設けたのが「イノシシ追い払いシステム」。イノシシを検知すると、青い光が点灯する。犬のほえる声が流れ、追い払う仕組みだ。カメラもついており、反応などを8秒間録画する。画像からは成獣5頭、幼獣16頭を確認。19回撮影された映像を解析すると、いずれもイノシシを遠ざけることができた。金子准教授は「農地への侵入をあきらめた可能性がある」とみる。実験は東京農工大、NTT東日本、町が昨年7月から約5カ月間取り組んだ。2017年4月に町の大部分の避難指示が解除された後、営農を再開した渡辺伸さん(60)が協力。渡辺さんは「電気柵だけで追い払うには限界がある」と、実験のメリットを語る。追い払うだけでなく、行動把握にも力を入れる。捕獲したイノシシに首輪型のGPS(位置情報システム)を取り付け、追跡調査した。情報は実験に関わる人々にメールで送られる。その結果、近くを流れる富岡川の河川敷など4カ所で休息し、近場の農地がエサ場となっていることがわかった。営農を再開した農家の6~7割は避難先から通っているため、夜間は静かで、イノシシがすみやすい環境が整っていると、金子准教授は分析する。行動範囲は、渡辺さん宅の北側を走る常磐線の線路を越え、住宅密集地にも広がっていた。農業被害だけでなく、電車や車、人とぶつかる可能性がある。これまでもICTはイノシシ対策に活用されてきた。ただ、わなを遠隔で監視し、猟師の見回りなどの負担軽減が中心だった。イノシシの追い払いについても、東京電力が18年、浪江町でドローンに超音波発信機を載せた実証実験をしたが、音や光で追い払う取り組みは珍しいという。イノシシは営農や住民の帰還の妨げの一つだ。震災前、富岡町には農家が733軒あったが、営農を再開したのは8軒。住民票がある町民のうち、実際に町で暮らすのは13%の約1600人にとどまる。今回の実証実験は今後も続けられる見通し。さらにデータを収集し、町は本格導入した場合の費用などを見極める考えだ。担当者は「対策効果を検証しながら、より良い対策を取り組みたい」と話す。県によると、県内のイノシシは、人口減少で耕作放棄地が増えたことなどを背景に生息域が広がってきた。さらに2011年の原発事故の避難指示で、狩猟や営農がほとんどできなくなり、浜通りの市街地でも頻繁に出没するようになった。県全体の推定生息数は、2014年は4万7千~4万9千頭だったが、18年には5万4千~6万1千頭に増えた。毎年、2万頭あまりが捕獲されているが、農業被害は深刻だ。19年度の野生鳥獣の被害は約1億7900万円で、うちイノシシは1億400万円と約6割を占める。

(カワウ400羽ねぐら:神奈川)
三浦市の小網代湾沿いに、大規模なカワウのねぐらがある。神奈川県の調査では昨年12月に約400羽の生息が確認され、県内最大規模とみられる。淡水魚の食害が問題視される大型の水鳥だが、海水魚の被害も深刻化。県は同湾のカワウの生態調査を進め、食害防止策を検討する。カワウのねぐらは奥まった小網代湾の北側にあり、背後は森、前方は海に面している。羽を休める樹木はふんで真っ白に染まり、枯れている木もある。地元住民によると、日中はねぐらを離れ、日が沈む頃に戻ってくるという。生態調査を進めている県水産技術センター内水面試験場(相模原市)の工藤孝浩主任研究員によると、カワウは神経質な鳥で、人間を極端に警戒する。容易に近づけない場所がねぐらに適しているらしい。カワウというとアユやウグイなど川魚の食害が問題視される。しかし、近年は湖や川よりも餌の多い海辺が餌場の中心になっているという。三浦半島の沿岸部でもいけすのイワシや、定置網に入った魚を海中に潜水して捕食する被害が報告されている。漁業関係者から駆除を求める声が高まり、2007年に鳥獣保護法施行規則で狩猟鳥に指定された。ただ、ねぐらを駆除しようとすると結果的に繁殖集団を広域に分散させてしまい、被害を拡大させる危険性がある。県は2月から繁殖期の状況を調査して対策を検討する。最近はドローンを利用してドライアイスを巣の中に落とし、卵をふ化させないことで繁殖を抑制する方法もあるという。工藤主任研究員は「他県の事例を参考にして、食害被害を減らすための効果的な対策を考えたい」と話している。

(わなに鹿、メールで通知:長野)
公立諏訪東京理科大学(茅野市豊平)の小林誠司特任教授の研究グループは、無線通信技術LPWA(ローパワーワイドエリア)を活用した「くくりわなの監視通報システム」の実証実験を茅野市内の山林で進めている。設置したわなの座標を地図アプリに表示し、鹿がわなに掛かると狩猟者にメールで知らせる仕組み。高齢化や後継者不足に悩む狩猟者の見回りの効率化などが期待される。実証実験は、同大学を中心に、LPWAを用いて地域課題を解決する「スワリカブランド」創造事業の最初の取り組みとして2018年12月から始まった。システムは3分間隔で位置情報を発信し、地図上ではわなの座標に旗のマークを表示する。鹿がわなに掛かるとセンサーが感知し、各狩猟者にメールで伝えるとともに鹿のマークが表示される。昨年11月からは、新たに開発した2種類の発信機を約30個設置し、製品化に向け改良を重ねている。新しい発信機はセンサーと発信機を一体化し、加速度センサを搭載した「引き込み型」と「トリガー型」の2種。引き込み型はわなに掛かった際の振動を検知、トリガー型は防犯ブザーのようにピンが引き抜かれることで検知して発信する。通信面では、LPWAの中でも「長距離安定通信」「高速移動体通信」「低消費電力」の特長を持つELTRES(エルトレス)を採用した。他のわな監視通報システムと比べ通信料が安価で、扱いやすいことも特長だ。11月から再び始まった実験には、市鳥獣被害対策実施隊員の男性が協力。システムについて男性は「わなに掛かった鹿の位置を把握できる一方で、わなの回収し忘れ防止などにも役立つ」などと評価し、「わな管理の補助的役割として最適ではないか」と話した。また、「すぐに駆け付けることができるので、痛い思いをしている鹿を早く楽にさせられる」とし、「いち早く狩ることで、より高品質なジビエへの転用につながるのでは」と指摘した。小林特任教授は「引き続き実証実験を重ね、地域や地元企業を応援できる成果になれば」と期待を寄せている。

(アライグマ捕獲数:九州)
北アメリカ大陸原産で、かつてはペットとしても飼われていたアライグマ。どう猛な性格から飼い主に捨てられたり、逃げ出したりして繁殖し、今ではほぼ全国の都道府県で確認されている。年間で捕獲された数は5万匹を超えた。空き家などに住み着き、農産物を荒らす外来生物の「厄介者」は、捕獲数をはるかにしのぐ勢いで広がっている。環境省がまとめた直近の2016年度の統計によると、捕獲数で最も多かったのが北海道の1万4019匹。2番目が5676匹の埼玉で、5257匹の兵庫、4548匹の千葉と続く。九州・山口では9~11番目の1574匹の佐賀、1384匹の長崎、1166匹の福岡と、北部九州の多さが目立つ。

(大型獣(イノシシ・ニホンジカ)巻狩り猟実践研修会:新潟)
県内においては、これまでほとんど生息が見られなかったイノシシ及びニホンジカ等の大型獣の生息数及び生息域拡大に伴い、農林業被害及び人身被害が深刻な状況にある中で、狩猟者は高齢化により減少傾向にあり、新たな捕獲の担い手の確保・育成が課題となっています。このため、県では、県内にお住まいの第一種銃猟免許取得後の経験の浅い狩猟者を対象に、技能向上を目的とした実践型の研修会を開催します。この機会に大型獣の捕獲に興味や意欲のある方の参加をお願いします。

(カラス被害対策オンライン講演会:長野)
飯田市では、獣類による農作物被害は近年減少傾向にありますが、カラスをはじめとする鳥類による被害は依然として減少しておらず、特に対策が必要となっています。カラスによる農作物被害を減少させるためには、農業者の方だけでなく、市民の皆さんがカラスについて学び、対策を知ることが重要です。今年度の講演会は、カラス専門家を講師に迎え、カラスの生理・生態に関する知識や、簡単なカラス対策について、広く市民の皆さんを対象に講演していただきます。また、新型コロナウイルス感染症の感染状況をふまえて、今年度の講演会はオンラインでの開催となります。当日は下記掲載のリンクからYouTube(ユーチューブ)で講演を気軽にご視聴いただけます。※事前に告知しておりました上郷公民館での講演会開催は、新型コロナウイルス感染症の感染状況をふまえ、中止とさせていただきます。講演会はオンラインのみでの実施となります。急な告知となりご迷惑をおかけいたしますが、お間違えのないようにお願いいたします。

(シカとの衝突、「音」で防げ:山梨)
たびたび起きる列車と野生動物の衝突事故を防ごうと、JR東日本八王子支社は山梨県内の中央線の線路沿いの一部に、動物が嫌う音を出す特別な装置を設置した。列車の遅延につながり、多くの乗客に支障が出る事故を回避するため、あの手この手を尽くしてきた中で、最大の効果を期待している。導入されたのは、富士河口湖町の自動車部品販売会社「T・M・WORKS」が製造する「鹿ソニック」と名付けられた装置。動物が苦手とする12~30キロヘルツの高周波音を出す。同社は2017年、野生動物が車とぶつかる交通事故死(ロードキル)を減らそうと、開発に着手し、18年から車の前部バンパーに取り付ける装置の販売を始めた。そんな中、同社の轟(とどろき)秀明社長(56)は富士急行から「列車にも活用できないか」と相談を受けた。そこで、18年9月に富士急行線の上大月―田野倉間の2カ所に導入したところ、動物との衝突事故が減少するなど、一定の効果がみられたという。JR中央線内でも動物との衝突は相次いでおり、09年からは県内の衝突頻度が高い区間で全長約28キロにわたり、動物の進入を防ぐ柵を設置。18年11月からはLEDの発光で動物を威嚇する機械「クルナレーザー」を導入するなど対策を講じていた。しかし、なかなか効果は表れず、中央線高尾―小淵沢間で動物との衝突は17年度69件、18年度77件、19年度108件、20年度は12月までに73件を数えた。このうち、どの年もシカが約7割を占めた。富士急行線での実績を受けて昨年12月、八王子支社も鹿ソニックの試験的な導入に踏み切った。初狩―塩山間の13カ所に設置し、今年12月までの1年間、様子を見る。この装置には昨年6月、改良が施された。音を放つ角度を60度から100度に広げ、距離も約20メートル長い約70メートルに延ばすことで、広範囲まで音が届くようになった。動物が音に慣れてしまわないように、音の種類も複数に増やした。動物の出没は夜間が多いことから、装置を作動させるのは朝や夕方~終電に限定。日中は止める。シカには、鉄分補給のため線路をなめる習性があるので、終電~始発の間も動かさず、あえて鉄分を補給してもらう作戦だ。「もし24時間作動したら、別の場所に出没することになり、対策の範囲が広がって追いかけっこになってしまう。動物とうまく共存することが大事ですから」と轟社長。八王子支社の担当者は「これでなんとか動物との衝突事故が減ることを願っています」と話す。

(動画で“体験”ふるさと納税返礼に:兵庫)
ふるさと納税で狩猟体験はいかが──。兵庫県養父市は25日、ふるさと納税の返礼品として、リモート形式で狩猟を体験できるサービスを始めると発表した。地元猟師が遠隔操作型の囲いわなを使って鹿などを捕獲する様子を、動画で中継する。市によると、リモート形式で狩猟を体験できる返礼品は全国初。2月1日から募集を始める。中山間地域を多く抱える同市は、県内でも野生鳥獣による農作物被害が多いのが特徴。毎年1200頭以上の鹿やイノシシが駆除されている。今回、市は「農作物被害の軽減に向けて活躍する猟師の活動を多くの人に知ってほしい」と、狩猟現場に触れられる返礼品を考案した。同サービスでは、市内に設置された遠隔操作型の大型囲いわなを中継する。利用者はスマートフォンの専用アプリで、わなの様子をリアルタイムで見ることができる。わなにはセンサーが付いており、鹿やイノシシが入ると通知される仕組み。動画を見ながら、チャット形式で猟師と自由にやりとりすることもできる。囲いわなを作動させる際には、事前に日時が伝えられ、捕獲時の様子を見ることができる。寄付額は5万円。2月1日からの募集分(定員20人)では、4、5月の2カ月間、中継動画を楽しめる。終了後には鹿肉400グラムが手元に届く。市は「(返礼品を通して)猟師がどのように狩猟をしているのか、肉になるまでの一連の流れを知ってほしい」と話す。

(IoT・ビッグデータを活用したイノシシ対策の実証実験:広島)
広島県福山市で,株式会社電信(徳島県徳島市)が,IoT・ビッグデータを活用したイノシシ対策の実証実験(「福山市実証実験まるごとサポート事業」で支援決定)を実施しています。この実証実験は,簡易型の出没検知センサーとダッシュボードシステムを組み合わせた,有害鳥獣対策事業です。複数台設置したセンサーによる検知データや住民等から寄せられた目撃・被害データをダッシュボードシステムで一元管理し,マップや表形式で確認できるようにすることで,これまでハンターの経験などに依存していたイノシシ等の生息分布や動きなどを見える化し,箱わな設置や住民への注意喚起などの有害鳥獣対策立案と執行に活用します。

(有明海から環境考えるシンポ:佐賀)
「有明海から環境を考えるシンポジウム」が24日、鹿島市生涯学習センターエイブルで開かれた。有明海に飛来するカモによる養殖ノリの被害に関する初の調査結果の報告があった。被害の軽減につなげるため、カモの生態に添って対策を講じ、関係者間で密な情報共有を図ることが大切との提言があった。カモによるノリの被害調査は鹿島市が実施。シンポジウムでは、この結果を担当者が報告した。それによると、鹿島のノリ養殖場に飛来するのは植物を主な餌とするヒドリガモで、昨年1月、冷凍網を張った直後に飛来数が増加した。柔らかいノリの葉体を好んで飛来した可能性があるという。カモによる食害については、全国的にも抜本的な対策は確立されていない。市が調査を委託した会社の担当者は「追い払いや威嚇の他、食わせ用の網を設置して誘導を図るなど、対策は組み合わせることが大切」と提言した。市ラムサール条約推進室はLEDライトを活用して草がある陸地へヒドリガモを誘導できないか模索しており、「カモ類を守りつつ食害を減らす。産業と環境の共存を図りたい」との考えを示した。シンポジウムはラムサール条約登録5周年記念で開いた。鹿島市のユーチューブで視聴できる。

(ミヤマガラスふん害深刻、音や光で撃退実験:熊本)
冬場に飛来し、熊本市の中心市街地をねぐらとしているミヤマガラスのふんによる環境被害が深刻化している。市は事態を改善するため、専門家と協力して、音やライトを使って撃退する実証実験を行った。効果のほどは、春先にホームページで公表する予定だ。冬の日が暮れた花畑公園(中央区)。大量のカラスが羽を休める大木に向け、拡声機から「アー、アー」と鳴き声が流された。すると、一斉に羽音が響き、黒い塊が飛び立っていった。カラスを追い払うこの実験は、12月上旬から今月18日まで続けられた。市鳥獣対策室によると、市内ではこの時期、越冬するミヤマガラスの大群が中国大陸から飛来し、在来のカラスと一緒にねぐらを作っている。以前は山中をねぐらにしていたが、2年ほど前から市街地で群れを成すようになり、同時に街中での「ふん害」が問題となっていた。担当者は「街中は天敵が少なく、居心地がいいのではないか」と推測する。市は2019年度、カラスの生態を研究する佐賀大農学部の徳田誠准教授に生態調査を委託。その結果、渡来数の増加に伴い、ねぐらが市の中心部に拡大していることなどが裏付けられた。そこで、短期的な対策として、音やLEDライトを使って追い払えるかどうかを調べる実証実験を行うことにした。実験には、カラスの被害対策が専門のコンサルタント会社「CrowLab(クロウラボ)」(栃木県)が協力。ねぐらに向かって、カラスが仲間に危険を知らせる鳴き声などを組み合わせた同社独自の音声を一定の間隔で流したほか、LEDライトを照射した。同社の塚原直樹代表(41)は「様々な対策を講じ、人通りの少ないところへ移動させたい」と話していた。実証実験に関する報告書は3月までにまとまる予定。

(車道を走るイノシシ撮った:秋田)
雪の壁が高くて山に帰れない?―。記録的な大雪に見舞われた秋田県横手市増田町の車道で今月上旬、雪壁に沿って走るイノシシが目撃された。目撃したのは増田町荻袋に住む会社員高橋和人さん(35)。妻(33)が運転する車の助手席から、スマートフォンで撮影した。「犬かなと思って近づいたら、イノシシでびっくりした」と高橋さん。約40キロの速度だった車と同じくらいの速さで、必死に走る姿が印象的だったという。

(エゾシカ、トゲの枝食べ懸命に生きる:北海道)
雪と氷に覆われた真冬の野付半島。色を感じさせるものはなく、モノトーンの世界が広がる。夕方が近づくと、立ち枯れたナラワラの林から次々とエゾシカが現れ、道路沿いに集まった。積もった雪の下に埋まっている食べ物になりそうな枯れ草を探すが、雪の表面は何度も凍結を繰り返し、簡単に掘り起こすことができないほど固く凍っている。

(若手“猟師”の本業は“医師”:三重)
農作物被害への被害が後を絶たない三重県松阪市で、地域を守ろうとする猟師の男性。実は、男性の本業は猟師ではなく“医師”でした。“医療”と“農作物被害”、2つの側面から地域を支える男性が大切にしていることとは…?命をかみしめ、生と死に向き合い続ける日々を追いました。良雪雅(りょうせつまさし)さん。松阪市で、知る人ぞ知る若手の猟師です。猟師は、独学で始めたといいます。シカやイノシシによる農作物への被害が深刻な松阪市。相次ぐ被害を受け、良雪さんのもとには捕獲の依頼がやみません。去年11月。わなを仕掛けに行くという良雪さんに同行しました。イノシシがエサとなるミミズを探すため、耕すように掘り返した跡で、庭が一変していました。まっすぐに伸びた線は、麦畑を踏み荒らしたシカの足跡。生育途中の稲を、我が物顔で食べてしまうのです。ほかにも、飼い犬がイノシシに足をかまれ骨折。これまでに3回も襲われるなどの被害が。お手製のわなを民家の庭や裏山に仕掛け、毎日見回りを続けています。別の民家でも真新しいイノシシの痕跡を見つけた良雪さん。しかし、わなを仕掛ける準備の途中で、突然民家に上がり込みました。民家にいたのは、89歳になる草香妙聖さん。脳梗塞によって寝たきりとなり、妻の介護に支えられています。草香さん夫婦との付き合いは、猟師としてだけではありません。良雪さんの本業は、医師なのです。三重大学を卒業後、東京の病院に勤務。6年前に松阪でクリニックを開業しました。お医者さんモードのはずですが、ついつい猟師の顔が見え隠れ。良雪さんのクリニックは、休日や夜間でも受診ができ、救急にも対応する全国的に珍しいクリニックです。このクリニック、実は、街の危機を救う切り札となっていました。クリニックができる前、この地域では夜間や休日に診てもらう場合、救急車を呼ばなければ対応が難しかったといいます。そのため、軽傷であっても救急車を呼ぶケースもみられ、出動件数はみるみる増加。病院も疲弊していき、地域の課題となっていました。松阪の救急医療を救うため、市の委託を受けたクリニックが誕生したのです。新型コロナの余波は、松阪にも。この日は、2歳の女の子が40度の高熱との電話が。外には発熱患者専用の窓口を設置。導線を分け車内で検査を行います。女の子は、子どもによくある突発性の発熱でした。ほとんどの医療機関が休みのため、発熱患者はここを頼りに駆け込んで来るのです。地域の医療を守るためにも、発熱患者だからといって断ることはしていないといいます。良雪さんが自宅に帰ると、庭で待っていたのは名古屋コーチンや烏骨鶏などの“ニワトリ”。医師としての緊張感を解きほぐすのは“自然の恵み”だといいます。野菜も自ら育て、食べ物にはほとんど困らないそうです。休みの日には、シカやイノシシの肉を調理。自ら仕留めた命を解体して、おいしくいただくのがモットーです。この日向かったのは、“狩猟”ではなく、患者さん宅への訪問診療。森田恵美子さん。脚のリンパ液の流れが滞る病気で、常に痛みと闘う日々を送っています。10代から入退院を繰り返すなか、心の支えになっていたのが趣味の手芸でしたが、体の負担にもなるため、「無理せず寝ていればいい」と諭す医師がほとんどだったといいます。しかし、良雪さんは森田さんの生きがいを尊重しました。良雪さんに深く感謝しているという森田さん。そんな思いを届けたいと、森田さんは作品に思いを込めることにしました。年の瀬が迫ったある日、プレゼントが届きました。手芸ができる喜びと感謝が作品に込められています。良雪さんが猟師になったきっかけ。そこには、ある患者さんの存在があったといいます。生きがいを取り戻してあげることが治療。そう考え、猟師になる決断をした良雪さん。畑を荒らしたイノシシを捕まえ、その後も猟師を続けてきたのです。医師であり、猟師であるからこそ、自然のようにあるがままに生きることを大切にしたい。命をかみしめ生と死に向き合い続けます。

(女性猟師の松永さん、害獣駆除に奮闘:静岡)
静岡市清水区由比の松永如美(なおみ)さん(30)が由比地区唯一の女性猟師として、農作物を荒らすイノシシやシカの駆除に活躍している。後継者不足で猟師が減り、高齢化が進む猟友会の将来的な存続に向けた活動にも意欲的だ。実家は果樹農家。母方の曽祖父、祖父、父の松永信彦さん(58)も猟師で、如美さんが4代目のハンター一家。小学生の頃から庭先で解体されるイノシシを見て育ってきた。2018年、農作業の傍ら「自分の畑は自分で守るしかない」と奮闘する父の姿を見て介護関連業から転身を決めた。親戚の所属する静岡、山梨両県の猟師でつくるチームで修業を始め、猟銃免許取得後の19年12月には山梨県で銃を使った猟に挑戦した。初陣ながら体重50キロのイノシシを仕留めた。「ビギナーズラックだった」と振り返る。生まれ育った由比地区では、約20年前から畑の段を崩したり作物を食い荒らしたりとイノシシによる被害が絶えず、20年には由比猟友会によって110頭が駆除されるまでになった。5年ほど前からシカも加わり、ミカンの実や新芽を食い尽くす事態が発生。一方、猟友会に所属する猟師は約20人と少なく、平均年齢も60代後半と高齢化が深刻だ。猟は信彦さん、愛犬「ダイ」と行う。「猟は自分一人では始められない。ベテラン猟師が元気なうちでないと教えを受けられない」と、足跡の見方やおりの置き場所など土地に合った猟の伝承が途切れる事へ危機感を募らせる。「後が続かないと私で終わり。自分が教えられたように、次につなげていきたい」と語った。

(性被害告発、北京五輪出場の射撃選手:キプロス)
キプロスの女子クレー射撃選手、アンドリ・エレフセリウ(Andri Eleftheriou)が、性的暴行被害を警察に届け出たことで、同国が歴史的な性的スキャンダルに揺れている。キプロスでは被害者が名乗り出ることを恐れるケースが多いため、こうした告発はまれだったが、エレフセリウは前週、エミリー・イオリティス(Emily Yiolitis)法務相に促され、暴行を加えた人間の名前を警察に伝えることを決めた。

(捕獲イノシシをジビエに、事業者公募へ:千葉)
有害鳥獣対策で捕獲したイノシシを加工し、館山産ジビエ(野生鳥獣の食肉)としてブランド化していこうと館山市は、ジビエ加工処理施設の整備を計画しており、2月に建設から運営までを担う民間事業者の公募を実施する。被害が拡大するイノシシを食材として有効活用し、ゆくゆくは館山産ジビエとしてブランド化。これから整備を予定している食のまちづくり拠点施設の目玉にしようという。イノシシを買い取って加工し、飲食店などに販売する他、ハンターがイノシシを持ち込んで解体したり、施設側に解体してもらったりできる施設とする考え。ジビエの加工だけでなく、食肉の品質を高めるため、ハンターの指導や解体処理技術者の指導など担い手を育てる業務も展開していく。整備予定地は、同市出野尾の市衛生センターに隣接する旧収集管理センター建屋の一部。事業は、市の資金で民間事業者が施設の設計、建設から運営までを担う方式で実施する。施設整備までの市の財政負担は1200万円を上限としている。2月初旬に公募要項などを公開し、事業者の募集を開始。プロポーザル方式で事業者を選定し、11月の開業を目指している。市によると、市内のイノシシ捕獲頭数は、昨年度の899頭から今年度は昨年12月末現在ですでに約2080頭と倍増している。

(猛勉強で食肉工房開設:岐阜)
「ジビエという池田山の恵みを発信して地域活性化につなげたい」。池田町本郷で新聞販売店などを営む内田誠逸さん(72)が、昨年11月にシカやイノシシの食肉処理施設「岐阜ジビエ工房」を開設し、全国への流通を目指して一歩を踏み出した。地区の自治会長を務めていた内田さんは、住民からハクビシンやシカなどが家の中に入って汚したり、畑を荒らすといった相談を受けていた。獣害を何とかしたいと思った内田さんは狩猟免許を取ることを決意。2017年に猛勉強の末、わなを設置して獲物を捕らえるわな猟免許を取得した。その後は動画投稿サイト「ユーチューブ」を利用して、箱わなやくくりわなの作り方や設置方法を学んだ。池田山でシカを捕獲したり、解体して自ら食べたりしていたが、ほとんどの肉は一般廃棄物として処分していた。「大事な命を無駄にしているよう。多くの人においしく食べてもらえたら」。狩猟免許取得の際、食肉処理施設を開けば、ジビエを流通できると知った内田さんは、昨年5月に施設の開設を計画した。内田さんは販売店の敷地内の倉庫を改装して、ほぼ一人で施設を完成させ、保健所からの営業許可を得た。狩猟技術の次代への継承や池田山の活用法を考える県内外の30、40代を中心とした民間団体「美濃國池田山ふるさと工房」も設立した。施設では、団体メンバーが県が策定したぎふジビエ衛生ガイドラインに沿って処理を行う。肉の切り方など技術を高めるため本格的な流通は1年後の予定だが、施設設立を知った複数の飲食店から仕入れのオファーが来ているという。施設では、地元で採れた山菜の販売もしており、内田さんは「池田山の魅力をどんどんアピールしていきたい」と意気込んでいる。

(小学校でジビエ給食:宮崎)
五ケ瀬町・三ケ所小(宇田津浩一校長、59人)で19日、町内でとれたシカの肉を使った給食が提供された。初めて食べたという児童も多かったが、「おいしい」と好評だった。

(「熊野ジビエレストランバス」、県民対象に無料モニターツアー実施:和歌山)
和歌山県古座川を巡る「熊野ジビエレストランバス」は、県民を対象とした無料モニターツアーを実施する。熊野ジビエレストランバスプロジェクト協議会(会長 仲本耕士(古座川町副町長))は「ジビエ」を中心とした地産地消の地域資源を活かしたオリジナル料理を開発し、地域の新観光資源として定着させ、熊野エリアの魅力を発信する目的で、レストランバスを運行します。観光庁の実証事業としてモニターツアーを実施して、多くの意見をいただきながら、次年度以降の実施を目指しています。2021年2月13日(土)~23日(火・祝)レストランバス無料モニターツアーを開催します。ジビエの聖地・清流古座川を巡り、絶景を眺め、地元産ジビエをメインにした地産地消のスペシャルランチを堪能!「食」×「自然」×「観光」のとびっきりのレストランバスを味わってください。

(ジビエグルメ、勢ぞろい:和歌山)
南海電鉄和歌山市駅直結のスーパー「ロックスターファームズ」で23日、イノシシやシカの肉を使ったジビエ料理を販売する「ジビエマルシェ」(県主催)が始まった。24日まで。県内でジビエ料理を提供している飲食店など5店の「焼肉弁当」(税込み1000円)や「みかんドッグ」(同700円)、「メンチカツバーガー」(同1080円)など計100食を並べた。午前10時の販売開始から約30分で3分の1近くが売れる盛況ぶりだった。これまでジビエを食べたことがないという和歌山市中の無職宮本史郎さん(70)は「硬そうなイメージがあるが、おいしければ継続して食べたい」と品定めしていた。24日は、午前10時から90食が並ぶ。2月20、21両日にも同じ催しがある。

(資源生かした新商品:山口)
下関市の中小企業が地域資源を生かして開発した新商品のお披露目会が市役所であった。2020年度の市地域資源活用促進事業の認定を受けた10社が自慢の品を紹介した。長州ジビエの鹿肉、瓦そば、ナシ、県産米、アンコウ、イチゴなどの農水産物を使った加工品だけでなく、関門海峡、日本遺産の関門“ノスタルジック”海峡という観光資源にちなんだ菓子、コーヒーなども登場。各社の担当者が商品の特長を前田晋太郎市長らに説明し、試食を勧めた。同事業で、地域資源を活用して新商品、新サービスの開発、販路開拓などに取り組む中小企業に市が最大50万円の補助金を交付する。お披露目会には支援機関の山口銀行、西中国信用金庫の関係者も出席した。

(「ジビエ」活用5年で倍に:高知)
高知県内で野生の鳥獣肉「ジビエ」の活用が広がっている。2019年度、食肉処理の許可を得た施設で解体されたイノシシとシカは少なくとも計924頭に上り、5年前の倍近くに増えた。ただ、捕獲頭数に占める割合はともに約2%にすぎず、全国平均を大幅に下回っている。県内の中山間地などでは、過疎が進み、人が入らなくなった山林や耕作放棄地が増えたこともあって鳥獣被害が深刻化。12年には農林水産業の被害額(サルなど含む)が3億5900万円に上った。こうした中、シカやイノシシの駆除促進とともに食肉として活用する動きが広がってきた。

(ジビエ飲食店巡るスタンプラリー:大分)
大分県内でジビエ料理が味わえる24の飲食店を巡るスタンプラリーが開催されている。1~3店舗でスタンプを集めて応募すると、抽選で計53人に最高5000円相当の県産ジビエ商品が当たる。県などでつくる大分ジビエ振興協議会が主催している。各店はイノシシ肉のコロッケや鍋などを提供する。応募は専用はがきで、2月28日の消印有効。

(ジビエ料理の旗手:東京)
「今の季節はランチもディナーもジビエのフルコース。ほぼすべての料理に何かしらジビエを使っています」。そう語るのは青山のフレンチ『LATURE(ラチュレ)』の室田拓人シェフ。確かにこの日のランチは1品目からジビエ。続く2品目も3品目も4品目もメインもジビエだった。食後の飲み物とともに供されたフィナンシェには、バターとイノシシのラードを併用。まさにジビエ尽くし。そうしたサステナブルな食を提供する取り組みが、『ミシュランガイド東京2021』で「グリーンスター」として評価された。

(犬だってジビエ食べたいワン:岐阜)
郡上市大和町の道の駅古今伝授の里やまとにあるショップ「みちしる」で、郡上産のシカ肉を使った犬用ペットフードが人気を呼んでいる。高タンパク、低脂肪のシカ肉はジビエ料理の定番だが、犬にとっても大好物のひとつ。店を訪れた人たちは、愛犬の健康のためにさまざまな商品を気前よく買い込んでいる。同店は郡上の物産品やスイーツを扱い、ぎふジビエ登録店としてシカ、イノシシ肉などの加工品販売にも力を入れる。ジビエのペットフードは店内の一角に専用コーナーを設け、犬用のおもちゃや洋服とともに売り出している。フードはシカ肉のジャーキーが中心で、大和町や明宝の業者が加工した商品が十種類ほど並ぶ。中にはパック入りのシカの肉付き骨もあり、犬にとってはたまらない品ぞろえだ。価格は五十グラム入りのジャーキーが千百円、肉付き骨は一本千五百円。一般的なフードに比べればかなり高級だが、売れ行きは好調という。尾藤真紀店長は「一度に五、六千円分の商品をどさっと購入されるお客さんが目立つ。犬はシカ肉を喜んで食べているようで、店の前まで愛犬を連れてくる人もいます」と話す。

(「房総ジビエ」コンテスト、5メニューが優秀作品に:千葉)
千葉県は県内で捕獲され、県内の食肉処理加工施設で処理・加工されたイノシシやシカの肉を使った料理「房総ジビエ」のコンテストを行い、県内外の飲食店の料理人が応募した50メニューから、書類選考で優秀作品5メニューが決まった。コンテストは3回目。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5メニューの中から最優秀賞などを決める実食審査は中止になった。選考で重視されたのは、飲食店で一般に調理可能かどうかや、創意工夫、独自性、見た目のインパクトなど。「さかなとおでん うおべぇ」(木更津市)の熊谷祐哉さんによる「シカシウマイ~山から海へ~」や、「Pizzeria e bar LEGAME」(成田市)の長内翔太郎さんによる「猪のポルペッティーニのアグロドルチェ 焼きリゾット添え」、「アルポンテ・ドゥエ」(千葉市)の高橋伸治さんによる「千葉県イノシシと地場野菜のスープパスタ」などが優秀作品に選ばれた。県は野生鳥獣被害対策の一環として、房総ジビエの消費拡大や認知度向上に取り組んでいる。令和元年度のイノシシ、シカによる農作物被害額は計2億円程度で、捕獲数は約3万頭。

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(狩猟の男性が行方不明:栃木)
10日午前7時ごろから、日光市足尾町の餅ヶ瀬渓谷(もちがせけいこく)に入山した東京・世田谷区のタクシー運転手の男性(71)の行方が分からなくなり11日、日光警察署が付近を捜索しましたが見つかりませんでした。警察によりますと、この男性は狩猟を目的に入山したとみられていて捜索には地元猟友会も協力しました。12日も朝から捜索を続けるということです。

(自宅でライフル銃“誤発射”60代男性を不起訴処分:福岡)
福岡市の住宅で去年、狩猟用のライフル銃が誤って発射された事件で、銃刀法違反の疑いで書類送検された銃を所有する住人の60代男性について、福岡地検は18日付で不起訴処分としました。警察によりますと、福岡市早良区の60代の男性は去年6月、自宅の2階で所有する狩猟用ライフル銃に実弾1発を装てんした疑いで、8月に書類送検されました。その後捜査していた福岡地検は、18日付でこの男性を不起訴処分としました。処分の理由については、「起訴するに足りる証拠がなかった」としています。警察の調べでは、男性は装てんした実弾を誤って発射させ、隣の住宅の雨戸に貫通したような穴が確認されましたが、実弾は見つかっていないということです。

(ボーガン所持許可制、国会審議へ)
警察庁は、18日に始まった通常国会で、ボーガン(洋弓銃)所持を許可制にする銃刀法の改正法案提出を目指す。これに先駆けて兵庫県がボーガンを所有する県民に届け出を義務付けた条例の施行から、1カ月半が経過。現在、193台が届けられている。警察庁は昨年12月、早ければ今国会に提出する方針を示していた。同庁の有識者検討会の報告書では、所持は都道府県公安委員会発行の許可証が必要。用途は射撃競技や学術研究などに限る。また、鉄砲と同様、アルコール依存症患者などは不許可とする欠格事項を設け、家族らへの調査も行う。許可は一部を除き3年更新で講習を義務付ける。一方、兵庫県は昨年、宝塚市や神戸市でボーガンが凶器とされる事件が相次いだことを受け条例を制定、12月に施行した。所有の届け出を義務化した条例は全国初で、従わないと5万円以下の過料が科される。取得者は14日以内、県外からの転入者は30日以内に届ける必要がある。届け出は18日午後3時現在で、193台。一度届けてその後廃棄された分が3台あった。銃刀法の改正法案について、県の担当者は「許可制は、県も検討していた内容。規制強化が進むのは喜ばしい。条例との兼ね合いは精査していきたい」とする。

(準空気銃など所持、陸士長を停職処分:北海道)
陸上自衛隊第5旅団(司令部帯広)は19日、銃刀法違反となる準空気銃とモデルガンを私有車内などで所持していたとして、第5偵察隊に所属する20代の男性陸士長を停職2日とする懲戒処分を発表した。処分は同日付。旅団によると、陸士長は2018年5月24日、駐屯地内の私有車両と根室管内の実家で準空気銃1丁とモデルガン2丁を所持していた。3丁はいずれも陸士長がインターネット上のサイトから購入したものとみられる。

(野生イノシシ4頭が豚熱感染:群馬)
群馬県は20日、中之条、高山、片品3町村で捕獲された野生イノシシ4頭について同日の遺伝子検査の結果、豚熱(CSF)感染が確認されたと発表した。県内の感染事例は計95頭となった。

(農作物鳥獣被害4億円、イノシシ生息域拡大可能性:岩手)
野生鳥獣による2019年度の岩手県内農作物被害が約4億円に上ることが、県の調査で判明した。鳥獣被害は12年度をピークにいったん減少したものの、15年度からは4億円前後で横ばい。県は「農家の意欲減退につながりかねない深刻な問題」と捉えており、捕獲強化に取り組む。19年度の被害4億円のうち、最多はニホンジカ(約2億1200万円)。クマ(約4400万円)やイノシシ(約1800万円)などが続く。このうちニホンジカとイノシシはこの10年で被害に遭った自治体が増えている。10年度に被害が確認されたのはニホンジカが11市町、イノシシは1市だったが、19年度はそれぞれ28市町村、13市町村に拡大した。県農業振興課によると、イノシシは明治時代に岩手では絶滅したとされていたが、温暖化が原因で生息域が拡大している可能性があるという。捕獲頭数が伸びる中、ハンターの不足が課題だ。県内の狩猟免許所持者は19年度3268人で、捕獲頭数は1万5192頭。10年前の09年度から免許所持者は500人増えただけで、捕獲頭数は10倍近く増えた。一部の地域ではハンターの負担を軽減するため、ドローンで上空から鳥獣の居場所を確認して狩猟の効率を上げたり、ハンターが設置したわなの見張りを地域住民「捕獲応援隊」に任せたりといった取り組みを進めている。県農業振興課の担当者は「捕獲応援隊など地域全体で鳥獣被害から守る取り組みを、他の地域にも広げていきたい」と話す。

(カラス退散、模型大作戦:愛知)
最近、名古屋・栄東地区(名古屋市中区栄四、五)の中心部・池田公園周辺に、カラスの“死体”が宙づりにされた不思議な光景が広がる。死体の正体はプラスチック製の模型。街のイメージ向上のため、歓楽街のごみを荒らすカラスの退散を目指し、地元住民グループが昨年十一月から設置を続ける。ただし、遠目では分かりにくいが、近づいて目を凝らすと偽物と丸分かりなのがネック。カラスは賢いと言われるが、果たして効果はいかに。

(見守り活動にICT活用へ:千葉)
安心・安全な街づくりを進めようと、千葉県木更津市とNTT東日本がICT技術を活用した子どもや高齢者の見守り活動に乗り出します。木更津市とNTT東日本は、これまでイノシシの罠の映像をスマートフォンなどで確認できるようにした鳥獣害対策や、地域のイベントでネットワークカメラなどを使い混雑状況を分析し、警備体制の強化を図るなど、ICTを活用した街づくりを進めてきました。19日のオンライン会見では、新たな取り組みとして市が保有する独自のネットワーク回線を活用し、遠隔で市内の子どもや高齢者の見守り活動が行えるようにするということです。

(ドローン物流構想実現へテストフライト:島根)
島根県美郷町は車による荷物の配送にかわるドローンを使った空の物流構想に乗り出します。通販などで宅配事業が激増する中、物流拠点から各家庭へのラストワンマイルの確保が課題になっている今、初めての試験飛行に密着しました。ドローンで荷物を運ぶドローン物流構想です。この日の実験で運ぶのは美郷町の特産いのしし「やまくじら」などの詰め合わせ・・・。やまくじらは無事届くのか!?飛んだ!ドローンにかける思いそこには美郷町が抱える問題がありました。そのひとつが47パーセントを超える高齢化率です。将来予想される配送事業の人手不足。そこにコロナ禍も加わり、人との接触を避ける宅配需要がさらに高まることが予想されます。そんな中、ドローンの活用を模索する美郷町は、佐川急便と共同で国の先進的な物流促進事業に採択され、国の物流先進技術導入促進事業を使い、今年度から3年かけ数千万円の費用で事業を実施今回ドローンによる物流の試験飛行にこぎつけました。姿を現した物流用ドローンの試験機、全長1.2メートルの本体に6枚の羽根。最大5キロまでの荷物を運ぶことができます。試験飛行では、宅配物で一般的な約2キロを想定。町の思いを託し、特産のイノシシ「やまくじら」を載せました。そしていよいよ離陸。町内の防災公園から約6キロ離れた公民館までで、万が一の落下に備え、川の上空を飛行します。操縦はなんと東京から。佐川急便社内から操作しドローンはあらかじめ決められたルートを完全遠隔飛行します。これはドローンに装着したカメラから捉えた映像。江の川上空をまるで空のハイウェイのように飛行しているのが分かります。公民館では地域住民が待ち構えます。羽の音を響かせドローンが到着、配送された肝心のやまくじらは・・・。箱明け箱に乱れはありません。無事にやまくじらが届きました。夢だけど、夢じゃない、衰退していく過疎地域が一週回って物流のフロントランナーになるために。美郷町は実に本気!2022年度のドローン物流実用化を目指しています。

(山肉山分け参加者募集、オンラインで狩猟体験も:和歌山)
和歌山県那智勝浦町の色川地区で鳥獣被害対策に取り組む原裕さん(30)が、捕獲された野生のシカやイノシシの肉を山分けするイベント「山肉山分け」への参加者を募っている。捕獲などの様子をオンラインで配信して、臨場感を感じられるようにする。また、肉を山分けするだけでなく、色川の人や魅力を発信することで、色川のファンを増やす狙いもある。棚田が広がる色川地区は、野生の鳥獣に野菜や果物を食べられ、生活を脅かされている。原さんは同地区出身で、大学卒業後、鳥獣害対策を担っている。クラウドファンディングなどを活用して昨春、「色川の小さな解体処理施設 だものみち」を開いた。施設の開設前から、実際に現地へ来てもらう狩猟体験ツアーを開いていた。しかし、コロナ禍もあり、オンライン方式での「山分け」を始め、今回が4回目となる。地区の猟師たちがわなを仕掛けるところやわなの見回り、捕獲、解体の様子など、野生動物が肉になるまでの過程を動画で配信する予定。オンラインなので、子どもでも安全に体験できる利点もある。イベントの期間(2月6~19日)の前半でイノシシやシカを捕獲、解体して発送。後半は、送られてきた肉をどう調理したかなど、参加者同士で交流する。猟師は兼業で、それぞれ農業などを営んでいる。色川のことを知ってもらうため、期間中に猟師たちの普段の仕事などの動画も配信する予定だ。同地区には、自然の中での暮らしを求めて移住者が多い。京都府出身で、炭焼き職人兼猟師の津崎兼一さん(38)も自給自足の生活に憧れて移住してきた。「不便な場所だけど、面白い人がいて、さらに人が人を呼んでくる」と話す。原さんは「色川に関心をもってもらい、人や情報が循環することで、外の人も色川の人も互いに刺激を受けられるようになれば」と話す。定員は20人。申し込みは2月5日までに「だものみち」のホームページ(https://damonomichi.com/別ウインドウで開きます)で。今回は原さんを含め猟師10人を3チームにわけ、いずれかのチームを参加者が選ぶ方式にする予定。肉だけでなく、野菜など特産品も送るという。獲物がかからなかった場合は、1・5キロの肉を送る予定。参加費は一般1万3800円、学生1万800円、リピーターは9800円。

(マタギの流れくむ男性、カモシカも駆除必要:秋田)
昨年は秋田県内でクマの出没が相次ぎ、県のツキノワグマ出没警報は12月末まで出された。北秋田市の阿仁マタギと並ぶ由利本荘市の鳥海マタギの流れをくむ三浦俊雄さん(72)に、最近のクマの特徴などについて聞いた。出没警報は昨年10月15日に発令された。県自然保護課によると、冬眠に入る前の11月のクマの目撃件数は43件で、過去5年間の11月平均(15件)を大きく上回っている。三浦さんによると、昨年12月までに鳥海地区で捕獲したクマは14頭。クマの主食とされるブナの実が胃で見つかった個体はおらず、多いのはコメ、クリ、クルミで、ソバ、ブドウ、モモなどもあった。三浦さんは「人里に出没させないためには、収穫されないクリやカキなどの果樹の伐採が必要。ナラ枯れでクマが食べるドングリが減っているのも問題だ」と訴える。鳥海地区で捕獲したクマは5頭が100キロを超えており、最大は180キロだった。三浦さんは「猟を始めた約50年前は、100キロ以上は大グマと呼び、めったに見つからなかった。ところが近年は200キロ超えもある。クマは数が増えただけでなく、巨大化している」とみている。クマが大きくなると、襲われた時の被害も深刻になるため、巨大化の原因とみられる餌となるカモシカなどの駆除を秋田でもスタートし、「巨大化に歯止めをかける必要がある」と考えている。被害を防ぐには「クマが人間を怖いと思わなければ、鈴やラジオで音を鳴らしても、役にたたない。怖さを教える意味で、猟師の役割は大きい」と話した。

(狩猟者の育成講習会:鹿児島)
鹿児島県環境技術協会は、ジビエ利用拡大を考慮した狩猟者の育成講習会を開催します。

(シカ猟の技、岩見沢仕込み:北海道)
新潟県の離島・粟島の粟島浦村で、岩見沢市出身の藤嶋祐介さん(24)が農作物を荒らすシカの駆除にあたっている。故郷のベテラン猟師に教えを受け、村の地域おこし協力隊員になって5月で2年。これまでに50頭近くを捕獲し生息数の抑制につなげている。将来は道内で後進を育成する夢を抱く。

(有明海を考えるシンポ:佐賀)
鹿島市が実施した有明海に関する調査の報告会「有明海から環境を考えるシンポジウム」が24日午後1時から、市生涯学習センターエイブルで開かれる。カモによる養殖ノリの被害の状況を初めて調査し、カモ類が飛来する時間帯や種別などを、センサーカメラを設置して調べた。人と自然が共生する地域づくりを探る手だてにする。調査は、2019年末~20年1月にカモ類の撮影を実施した。鹿島市沖のノリ養殖場に飛来するのは植物を主な餌とするヒドリガモが大半を占めることが確認され、種別ごとに採餌の傾向が異なることを明らかにした。今後の対策につなげていく。このほか、有明海沿岸4県でNPO法人バードリサーチが行った「有明海全域カモ調査2020」の報告がある。鹿島市の干潟がラムサール条約湿地に登録されたのを機に、佐賀大に委託して実施した5年間の有明海調査の報告もある。佐賀大農学部の速水祐一氏が報告する。シンポはラムサール条約登録5周年を記念して開催する。

(185万円の返礼品「モンスターウルフ」:北海道)
奈井江町のふるさと納税返礼品の野生動物向け忌避装置「モンスターウルフ」に、初めて申し込みがあった。必要な寄付額は185万円と高額のため、関係者に喜びと驚きが広がった。「ウルフ」は町内の機械部品製造太田精器が開発した。光や音などでクマやシカを追い払うオオカミを模した装置で、全長約1・2メートル。全国で約70台が設置され、最近は海外からも注目されている。昨年7月に町の返礼品に追加したところ、12月末に本州から申し込みがあったという。

(イノシシの子どもが畑にゴロン:沖縄)
数日ぶりに太陽が顔を出した13、14日の昼下がり、沖縄県大宜味村田嘉里のシークヮーサー畑でイノシシの子どもが昼寝をしているのが見られた。ポカポカ陽気に誘われたのか熟睡している様子で、1時間後に目を覚ましシークヮーサーを上手に食べ、またゴロンと昼寝。イノシシの赤ちゃんのウリボウに見られるしま模様は薄くなり、人間で言えば小学1年生ほどかと思われる。畑の持ち主によると、イノシシは2日連続で現れ、自分の庭のように振る舞っていたという。シークヮーサーの皮が周辺にいくつも並んでいた。

(新得産シカ肉入りカレー:北海道)
人気が高まっているジビエ(野生鳥獣の肉)の缶詰などを製造、販売する古川建設ドリームヒル・トムラウシ事業所(町屈足トムラウシ)は、新得産のエゾシカ肉と群馬県産のリンゴを使ったレトルトカレー「エゾシカとりんごのスパイスカレー」を発売した。辛さと酸味がほどよくマッチし「シカ肉の新たな魅力を引き出せた」という自信作。同事業所がレトルト食品を販売するのは初めて。同事業所が町内トムラウシで養鹿(ようろく)したエゾシカの肉を角切りにして、群馬県川場村特産で幻のリンゴと呼ばれる「ぐんま名月」と組み合わせ、シカ肉の柔らかい食感が楽しめるようにじっくり煮込んだ。香辛料とトマトをふんだんに使い、女性に好まれるスパイシーで酸味を利かせた味に仕上げた。

(「第5回ジビエ料理コンテスト」の結果について)
ジビエの普及啓発等に取り組む農林水産省の「鳥獣利活用推進支援事業」の一環として開催した「第5回ジビエ料理コンテスト」において、農林水産大臣賞等の受賞者が決定されたのでお知らせします。農村地域で深刻な被害をもたらす有害鳥獣の捕獲数が増加傾向にある中で、これを地域資源としてとらえ、野生鳥獣肉(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっています。このような状況の中で、農林水産省では、平成28年度からジビエの普及啓発や調査実証等に取り組む「鳥獣利活用推進支援事業」において、ジビエの全国的な需要拡大を推進しています。本コンテストは、同事業の一環として事業実施主体である「一般社団法人日本ジビエ振興協会」が取り組んだもので、選定・表彰された料理レシピを広く紹介・提供することで、消費者等への普及啓発を図り、ジビエの全国的な需要拡大や鳥獣利活用の推進を図るものです。第5回となる今回は220点の応募があり、書類審査及び実食審査の結果、農林水産大臣賞ほか7賞の受賞者が決定しました。

(鹿肉活用「もみじラーメン」:岩手)
大槌町本町のカレー店どんりゅう庵(植山竜太郎店主)は来月、同町で捕獲された鹿を使った新メニュー「もみじラーメン」の提供を始める。同店の鹿肉メニューは2品目。昨年、県内唯一の鹿肉加工工場が稼働した同町で、「ジビエ」料理の浸透が加速しそうだ。新メニューは、鹿の骨やバラ肉などをじっくり煮込んだしょうゆベースの甘いスープが太麺によく絡む。やわらかく味の染みた鹿肉の角煮がトッピングだ。

(「イノシシ丼ぶり」販売開始します:大阪)
ジンギスカンKEMONOは広島県産いのしし肉を使った「いのしし丼ぶり」を新開発し1月20日よりお昼限定のメニューを販売開始。専用に調合した甘辛タレで旨味を最大に引き立たせ、ジンギスカン用の鉄板で一気に焼き上げ旨味をとじこめる。目の前のカウンターにて肉のスライスから、焼きあげた肉をそのままご飯にのせて完成。

(駆除したシカを有効利用:兵庫)
県によりますと、鳥獣による農業や林業の被害は、2010年のピーク時には10億円近くに及びました。そのうちおよそ8億円がシカやイノシシによる被害ということです。これはシカが身長が届く範囲の枝を食べてしまった跡です。シカは植林したヒノキやスギの皮を食べるなどして、林業被害も深刻です。丹波市で害獣駆除をしている猟友会のメンバーです。県はシカやイノシシ1頭に最大で2万4000円の報奨金を出すなどして地元の猟友会に協力を呼び掛けています。(猟友会 谷石昌一さん)シカの糞、分かるかなポトポトと落ちているこれ。これ見たらシカの道がずっと斜めにこっちに来ているのが1カ所ある。私はきょうはここで待つ。気配を見つけたら身を潜めてシカが現れるのをじっと待ちます。しかしこの日は気温1度を下回る寒さの中、4時間待ちましたがシカは現れませんでした。兵庫県内では昨年度、シカ4万頭、イノシシ2万2000頭が駆除され、農林業の被害額は3億3000万円とピーク時と比べ半分以下に減少しました。ここで問題となったのが駆除したあとの処理です。こちらの鹿肉加工会社の丹波姫もみじは、駆除したシカの有効利用を目指していて、多い日には20頭ものシカが運ばれてきます。この施設に県と丹波市はそれぞれ1300万円ずつ補助金を出しています。(丹波姫もみじ 柳川瀬正夫社長)イノシシは昔からボタン鍋として篠山を中心に(需要が)あって、たくさんイノシシは取られていたが、シカなんかは割合この20年来じゃないですかね、(需要が)増えてきたのが。イノシシの肉は牡丹鍋の材料として需要がありますが、シカ肉は需要がなく、これまで埋めて処理されてきました。(柳川社長)内臓は全部落として必ず毛とかは付かないように丁寧に剥いて、それで熟成庫に持っていくんですよ。内臓には雑菌が多いため食用にならないだけでなく、加工する際に傷付いて破れるなどしたら肉の部分も食用として使用を禁じるなど、県は食用加工に厳しい基準を設けています。(丹波姫もみじ 柳川瀬大介さん)うちなんかは丹波の猟師さんがほぼ100%持ってきますから、うちに来たシカ肉は食用になり活用されるわけなんで、うちは廃棄はほぼないんで肉に関しては良いと思いますけどね。規格から外れた肉や内臓も廃棄されるわけではありません。別の会社に出荷され、ペットのエサとして加工されています。(EGサイクル 神保俊英社長)こちらは弊社で人気の「丸ごとスティック」という商品です。商品名の通りシカのお肉と内臓をブレンドしてスティック状にした大変人気のおやつです。兵庫県からも5つ星兵庫の認証をいただいてて、安心で安全なおやつとなっています。丹波市の古民家を改装した宿泊施設無鹿リゾートでは、ブランド化された鹿肉「丹波姫もみじ」のメニューが楽しめます。もも肉のステーキをいただきました。(松本カメラマン)余分な脂肪がないので、あっさりしてるんですけども噛めば噛むほど肉のうまみが押し寄せてきて。すごくおいしいですね。(無鹿リゾート 鴻谷佳彦社長)(シカ肉は)一般的になってきて抵抗なく食べていただける方も多くなってきました。ブタやウシと違って自然なお肉なので自然な脂の乗り具合というかうま味が多いです。希少部位のシカのタンです。(鴻谷社長)ウシのタンは周りの皮を取ってしまうんですけど、シカは皮ごと食べれてプリプリしてます。廃棄されていた鹿の有効利用率はまだまだ低いものの、この7年間で2%から20%に伸びるなど飛躍的に改善されました。(おうちジビエ試して食べて、日本食肉消費センター)おうちで手軽にジビエはいかが――。日本食肉消費総合センターは、国産のジビエ(野生鳥獣の肉)を使った加工品が当たる「冬のおうちジビエキャンペーン」を1月末まで行っている。自宅で気軽に楽しめるレトルトカレーや総菜などのプレゼントに加え、料理のレシピも提案する。(「ジビエ 鹿肉バーガー」ロッテリアで)ロッテリアは1月29日より、「ジビエ 鹿肉バーガー(エゾ鹿ラグーソース)」(税抜720円)を全国117店舗にて限定販売します。ロッテリアでは、2016年4月から地元食材を使用したご当地バーガーとして北海道産ジビエ「エゾ鹿」を使用した「エゾ鹿バーガー」を、2019年には大分県・熊本県産の鹿肉を使用した「ジビエ鹿肉バーガー」を期間限定で販売しました。今回、2021年最初の29肉(ニク)の日に合わせ、農林水産省制定「国産ジビエ認証」制度の基準をクリアした長野県の工場で適切に処理した鹿肉を使用した「ジビエ 鹿肉バーガー(エゾ鹿ラグーソース)」を販売。鹿肉ハンバーグパティは、牛肉や豚肉に比べて高タンパク、低カロリーで鉄分豊富といわれている鹿肉を全体のおよそ6割使用し、パン粉や黒こしょう、ナツメグなどの香辛料を加えて、より本格的に鹿肉の風味と旨味を味わえるように仕上げたそう。長野県、宮崎県、大分県、島根県、鳥取県、徳島県、高知県、静岡県、京都府、岐阜県産の鹿肉を使用しています。味の決め手となるソースには、エゾ鹿のひき肉を使用し、鹿肉の旨味を引き出すガラムマサラや数種のスパイスをブレンドしたスパイシーな「エゾ鹿ラグーソース」を採用。それらをマヨネーズ、レタス、トマト、スライスオニオン、ピクルスとともにバンズで挟んだ、ジビエ鹿の食材を生かしたバーガーとのこと。

(やまなしジビエを楽しもう:山梨)
県では、適正な衛生管理・処理を行っている。シカ食肉処理加工施設で処理され、県の基準を満たした「安全・安心・高品質」なシカ肉を「やまなしジビエ」として認証しています。シェフと猟師、両方の顔を持つ豊島さんが「やまなしジビエ」を使った絶品ジビエ料理を提供しています。県では、2月28日まで「やまなしジビエフェア」を開催。「やまなしジビエ」を使ったメニューを提供するお店をHPやポスター、リーフレット等で紹介しています。この機会に是非「やまなしジビエ」をお楽しみください!

(ジビエ特産化、第4弾は『信州そば×鹿肉』:長野)
ジビエ料理を新たな特産にしようと取り組む長野市の西山地域。このほど「新メニュー」が登場…シカの肉がたっぷり入った「そば」がお目見えしました。長野市の「道の駅 信州新町」。ここで人気なのが「そば」です。今月9日に登場したメニューは、一見、普通の「肉そば」に見えますが、実はシカの肉なんです。作り方は、シカのバラ肉をそばつゆなどで甘辛く煮込みます。そばと一緒に煮込まないのがポイント。肉を温かいそばに盛り付けて完成です。信州新町を含む長野市の西山地域では、おととし中条地区に加工センターが完成し、ジビエを新たな特産にと取り組んでいます。道の駅でも、「鹿肉ジンギスカン」に「から揚げ」などさまざまな商品を展開。今回の「そば」は鹿肉シリーズ「第4弾」で、ジビエの認知度も高まり、1日20食ほど注文があるそうです。

(そば祭り、山で取れるイノシシの肉入り:大分)
大分県佐伯市の山間部で取れるシイタケやイノシシの肉を使ったオリジナルのそばが味わえる「2021さいき新春そば祭りin本匠・直川」が佐伯市で開かれている。そばを提供するのは、同市直川上直見のレストランコリーヌと、同市本匠小半の水車茶屋なのはな。コリーヌの「いのしし南蛮そば」(税込み千円)は、イノシシの骨やシイタケ、昆布などを2日間煮込んだスープが特徴で、ゴボウやタケノコ、ネギなどが具材として入る。なのはなの「猪仔(いのこ)南蛮そば」(同)は地元産の秋そばを使用。そばに入れる肉は、柔らかい子どものイノシシにこだわったという。

(イノシシ肉で四川風麺料理、ジビエ料理コン:大阪)
農水省は、ジビエ(野生鳥獣の肉)の需要拡大につながる料理のアイデアを競う「第5回ジビエ料理コンテスト」の結果を発表した。最高賞の農水大臣賞に、大阪府堺市の専門学校生・中西優花さんが考案した、イノシシ肉を使った麺料理「麻辣猪肉刀削麺(マーラーヂュウロウタオシャオミエン)」を選んだ。

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(「かも猟」男性3人死亡、一酸化炭素中毒か:千葉)
18日、千葉県いすみ市で「かも猟」のために山林に入った男性3人が、テントの中で死亡しているのが見つかりました。一酸化炭素中毒の可能性があるということです。警察などによりますと、18日午前8時すぎ、いすみ市に住む男性から「男性3人、山の中で意識ない」と119番通報があり、警察や消防が捜索したところ、山林に張ったテントの中で50代から70代とみられる男性3人が心肺停止の状態で発見されその場で死亡が確認されました。3人は17日午後から他の仲間2人と「かも猟」をしていましたが、山林に残りテントの中で宿泊したとみられるということです。捜査関係者によりますと、密閉性の高いテントで中に石油ストーブかあったことなどから、一酸化炭素中毒で死亡した可能性があるということです。警察は3人の身元の確認を進めるとともに、死因を調べるということです。

(全米ライフル協会、戦略的な破産申請:アメリカ)
銃所持の権利を主張し米国内最強の利益団体として知られる全米ライフル協会(NRA)は15日、日本の民事再生法に相当する連邦破産法第11条の適用を申請したと発表した。NRA敵視政策を取る東部ニューヨーク州から拠点を移し、南部テキサス州で組織を再編成するための措置で「今後の発展と成長につながる戦略的な判断」と説明している。NRAは1871年創設。会員数は公称550万人超を誇る。武器保有の権利を認めた憲法修正2条の堅持を最大の活動目標に据え会費を資金源にした巨額の献金で政界への影響力を行使してきた。1980年以降の大統領選では毎回、共和党候補者を支援している。

(猟銃死事件、時効前に遺族が心境:北海道)
胆振の厚真町の山林で作業中の男性が銃で撃たれて死亡した事件から来月で10年になり時効を迎えます。これを前に亡くなった男性の両親がNHKの取材に応じ、「10年は長く感じた。犯人には罪を償ってほしい」と心境を語りました。平成23年2月4日、厚真町の山林で作業をしていた林業の新渡戸勝彦さん(当時45)が撃たれて死亡し、警察はハンターが誤って撃ったとみて業務上過失致死の疑いで捜査を進めています。警察の調べによりますと、新渡戸さんが倒れて見つかる直前に、ハンターとみられる2人が青のRV車で走り去る様子を新渡戸さんの同僚が目撃していますが、容疑者の特定には至らず、事件から10年がたつ来月4日に時効を迎えます。これを前に新渡戸さんの父親の義博さんと母親の勝子さんがNHKの取材に応じ、心境を語りました。このなかで義博さんは「この10年間きょうこそはと毎日待っていたが、なかなか捕まらず長く感じた。犯人には罪を償ってほしい」と話しました。また勝子さんは「誤射したときに救急車を呼び謝罪してくれていたら気持ちも和らぐが、10年もたっても逃げているのが残念でしかたがない。名乗り出てきてくれれば息子に報告もできる。ただそれだけを願っている」と涙ながらに語りました。今月9日には、警察と地元の猟友会が厚真町の中心部で地元の人たちにチラシを配り、当時、目撃していなかったかなど情報提供を呼びかけました。警察によりますとこの10年間で100件あまりの情報が寄せられているということですが、去年は数件にとどまったということです。苫小牧警察署の山田千歳刑事一課長は「時効まで残りの時間は短いが、ささいなことでもいいので情報を寄せてほしい」と話しています。

(豚熱、野生のイノシシが感染源か:山形)
農林水産省の有識者会議が15日開かれ、鶴岡市の養豚場で先月確認された豚熱は野生のイノシシが感染源だとみられるという調査結果を公表した。鶴岡市の養豚場で先月25日に発生した豚熱はブタやイノシシに発熱や下痢などを引き起こす伝染病でヒトへは感染しない。15日の農水省の有識者会議では鶴岡市で確認された豚熱のウイルスについて、野生のイノシシに由来するものだという調査結果が公表された。また感染ルートについては野生のイノシシから車や人にウイルスが付着したり、他の動物を介したりして、養豚場のブタに感染したとみられ、衛生管理が不十分だったと指摘した。一方、県は他の養豚場に異常はなく、豚熱の封じ込めに成功したとの見方を示している。

(野生イノシシ11頭が豚熱:三重)
三重県は15日、津市などの6市町で捕獲された野生イノシシ11頭がCSF(豚熱)に感染していたと発表した。大台町での感染確認は初めて。県内で感染が確認された野生イノシシは284頭となった。県によると、新たに感染が判明した野生イノシシは津市と名張市で3頭ずつ、松阪市で2頭、大台町、伊賀市、鈴鹿市で1頭ずつ。いずれも地元の猟友会員が捕獲し、15日の検査で陽性と判明した。このうち大台町の捕獲地点は、これまでに県内で感染が判明した地点としては最南端に当たる。県は伊賀市の養豚場で豚熱が発生したことを受け、今月から調査捕獲の対象を同町などに広げていた。

(野生イノシシ3頭が豚熱感染:群馬)
群馬県は15日、前橋市、長野原町、沼田市で捕獲などされた野生イノシシ計3頭について、同日の遺伝子検査の結果、豚熱(CSF)感染が確認されたと発表した。県内の感染事例は計91頭となった。

(野犬に襲われる事案、減らない理由は「餌やり」:山口)
山口県周南市内で市民が野犬にかまれる事案が相次いでいる。元日には同市古泉で飼い犬を散歩中の女性がかまれて軽傷を負い、今年度の咬傷(こうしょう)被害は3件となった。県と市は檻(おり)による捕獲を強化しているが、捕獲数は微増にとどまっており、対応に苦慮している。住宅地に囲まれた都市公園「周南緑地」。計80ヘクタールの敷地にスポーツ施設や緑地が広がる憩いの場だが、野犬がすみ着き、目撃情報が相次いでいる。市は公園が広大なために犬が身を隠しやすく、捨てられた犬が繁殖したとみている。7日午後3時頃に訪ねてみると、国道2号線側の東緑地内に中型の4匹が出没した。いずれも体は茶色で、顔は黒っぽい。舗装された道を横切り、植え込みに入っていった。近くの工事現場で交通整理をしていた男性は「毎日のように見かける。これまでに襲ってきたことはないが、気持ちが悪い」と話した。市によると、出没が相次ぐようになったのは2014年頃から。同年度は県全体で捕獲された1322匹の犬のうち、周南市内が518匹と4割を占めた。県全体に占める市の割合が突出して高い状態は続いており、19年度も市内で841匹が捕獲され、全体の5割を超えた。一部は迷子の犬が含まれるが、ほとんどが野犬という。市民が野犬にかまれる被害は17年度が1件、18年度が4件、19年度が2件と、毎年発生。今年度は昨年10月、12月、今年1月と相次いでいる。野犬の捕獲は保健所を管轄する県の業務だが、19年5月に就任した藤井律子市長は「市が率先して対策を講じる」と言明。同7月には県、周南署と連絡協議会を設立し、周南緑地付近の大型檻を1基から7基に増やすなど対策を強化した。しかし、1年間の捕獲数を強化前(18年8月~19年7月)と強化後(19年8月~20年7月)で比べると、強化前の792匹に対し、強化後は811匹で、2・4%の微増となっている。市環境政策課によると、捕獲数が増えない理由の一つが、一部の人による餌やりだ。餌があれば食べ物を求めて檻に入らず、檻が置かれた状態が続けば犬が警戒し始める。設置の効果が薄れるというわけだ。餌やりを防ぐため、市は週4回のペースで職員2人態勢によるパトロールを実施。餌やりを注意したり、放置された餌を撤去したりしている。橋本俊彦課長は「同情して餌をやるほど、不幸な野犬が増えるだけだ。餌やり禁止を粘り強く伝える」と話す。むやみな餌やりは、市迷惑行為禁止条例で禁止されており、命令に従わない場合は名前を公表できる規定がある。しかし、実際に公表した事例はなく、実効性は乏しい。最近、効果を発揮しているのが、スマートフォンのアプリを活用した市民からの犬の目撃情報の通報。目撃情報を入力すると、画面上の地図に位置が表示される。開始した昨年9月10日から12月末までに延べ740件の情報が寄せられた。通報をもとに鳴いている子犬を見つけるなど、捕獲に役立てているという。ただ、野犬を怖がる市民の声もアプリに届く。コメント欄には「ずっと吠(ほ)えられ怖かった」「いつまで我慢をしなければならないのか」と切実だ。藤井市長は6日の記者会見で、相次ぐ被害に対し、「市民が襲われることになり、申し訳なく思う」と陳謝。「これからも野犬対策に全力で取り組む」と述べた。

(車にイノシシが一直線:新潟)
12日、新潟県柏崎市で車の中から撮影されたこの映像。イノシシが雪道を逆走し、なんと車に激突してきたのだ。運転手の男性は「猪突猛進という言葉もありますけど、そのまま突っ込んでくるんだなと思ってびっくりしました。車のこの辺りにぶつかって、何事もなかったようにどこかへ行きました」と話す。この動画が撮影された8時間後、5キロほど離れた集落で、除雪作業をしていた60代と80代の男性2人がイノシシに襲われケガをした。さらに、糸魚川市でも。11日に撮影された映像には、6匹のイノシシが車道に出てくる様子が収められていた。糸魚川市ではこの日、3人がイノシシに襲われケガをした。なぜイノシシの襲撃が相次いでいるのか。長岡技術科学大学の山本麻希准教授は「たくさん雪が降った年は当然、地面を掘れる場所が非常に限られてくる。道路の場合は雪がないところがあるので、(道路に)出てきてしまうことはある」との見方を示す。餌場が大雪で埋もれてしまったため、餌を求めて人里へ出てきたイノシシが人を襲っているのではないかということだ。他にも、イノシシは臆病な動物で、除雪機の大きな音などに驚いて人に向かってくることも考えられるという。

(イノシシ人身被害が過去最多、大雪も影響か:新潟)
イノシシによる人身被害が過去最多となっているとして15日、新潟県が注意を呼び掛けました。大雪も関係しているようです。雪の山から突然姿を現し、横断歩道を渡るイノシシ。その数なんと6頭です。新潟県糸魚川市木浦の県道で、11日に撮影された映像です。新潟県内では、冬になってもイノシシの目撃情報が相次いでいて、3年ぶりにけが人も出ています。今年度、イノシシによる人身被害は5件、けが人は7人に上っていて、統計がある2012年度以降、過去最多になっています。県はイノシシの被害が増えている要因の一つに、積雪の多さがあると見ています。【県鳥獣被害対策支援センター 神部淳所長】「雪が深くなったときに、なるべく雪のない場所に移動するような生態。雪のなくなった市街地にも下りてきてしまうことも想定されます」。特に上越や魚沼地方の出没が多く、県はイノシシに遭遇した場合は絶対に刺激をせず近づかないことや、えさになるものを放置しないことなどを呼び掛けています。

(各所でサルが出没か:福岡)
福岡県警嘉麻署は15日、嘉麻市内各所で14日から15日にかけ、サルが出没しているとして、防犯メールで注意を呼びかけた。今月上旬から目撃情報があるという。

(猟師育てジビエも振興:山口)
県内の料理人らが集まり県産ジビエ料理の振興に取り組む団体「長州ジビエ団」が全国的にも珍しい“狩猟の学校”を立ち上げ、次世代の猟師の育成に励んでいる。同団代表で猟師兼シェフの財満将広さん(43)=山陽小野田市=が中心となって狩猟方法や狩猟免許の取得をサポートするほか、獲物のジビエ加工なども指導する。昨年12月下旬、山陽小野田市内の山林で行われた活動には5人が参加し、財満さんが狩猟可能な鳥獣の種類や見分け方などを説明。この日の狙いはため池の鳥類で、空気銃で羽ばたかせたところを散弾銃で撃ち落とす計画を立て、各自の役割を指示しポジションに配置。財満さんは狩猟のリーダーとなる人材を育成すべく、狩猟の戦略などを熱心に指導した。猟師の高齢化に伴う人手不足や農作物の深刻な鳥獣被害を背景に、2019年9月に学校を立ち上げた。毎年11月から始まる猟期に合わせて活動。2シーズン目を迎え、1期生と2期生合わせて女性3人を含む県内外の20~60代の14人が受講。県内の山林で財満さんら講師に同行しながら鳥類やシカ、イノシシなどの猟銃や箱わなによる狩猟方法を学んでいる。受講生は原則2年で卒業を迎え、狩猟免許取得者が講師の立場に回ることで、育成サイクルの確立を図る。長州ジビエ団の組織内にはハンティング部や処理部、純血の猟犬を繁殖育成する猟犬の部を設け、狩猟から加工、流通までを手掛ける。受講生が6次産業化の仕組みを学ぶことができ、ジビエ振興も期待される。財満さんも昼は山林を駆け回って獲物を捕らえ、夜は自身が経営する宇部市中央町のレストランのシェフとして腕を振るってジビエ料理を提供するなど、6次産業化に取り組む一人。ユーチューバーとして狩猟中の動画を投稿し、教材や広報にも活用している。長年活動する中で猟師の需要の高まりを認識する一方、今後、担い手になり得る人たちが狩猟をしたくても学ぶ場がないことを危惧し、学校の設立を決めた。県農林水産政策課によると、19年度の県内の野生鳥獣による農林業被害額は約4億3600万円。10年度をピークに減少傾向にあるものの、財満さんは「廃業農家の加速が被害の実態をぼかしているに過ぎない」と指摘し、「鳥獣が増えすぎたが猟師の数は不足し、被害のスピードを遅らせることしかできない」と被害の深刻さを語る。それでも「自然と動物の適正なバランスを保つためにも、森の番人と言われる猟師の役割は重要」とし、「鳥獣被害に困っている地域があればすぐに対応できるプロの猟師を育てたい」と語る。今後はわなを作るワークショップを計画するなどすそ野を広げる活動を展開するほか、すでに大分県や岩手県で請われて指導をするなど、県外にも活動の場を広げていきたいと意気込む。

(イノシシ対策の助っ人、わな狩猟職人募集:新潟)
村上市の山北地区では農作物を中心に有害鳥獣被害が増加しています。中でもイノシシによる被害は、近年急激に増えています。鳥獣害は、ほ場の損壊や稲などの食害といった直接的な被害に加え、被害により耕作意識が低下することで将来的な耕作放棄地の拡大につながるなど、中山間地域の農村社会の衰退が危惧されるものです。これまでも地域住民と行政・猟友会が連携し対策にあたってきましたが、専門知識に乏しいことや猟友会の担い手不足、負担増などが原因で、依然大きな課題として存在しています。この度、地域おこし協力隊としてイノシシ被害の対策に従事する人材を募集します。狩猟免許の取得や現地での捕獲技術取得などを中心に活動していただき、将来的にはノウハウの蓄積や対策・技術の横展開を図ることで、地域全体での被害低減を目指します。着任してから技術取得のための研修を受けることができるので、狩猟免許のない方でも応募可能です。鳥獣害から美しい日本の原風景を守るため、地域と一体となって対策に取り組む人材を募集します。

(ふるけもJOB活オンライン2021)
獣害対策・野生動物管理業界に特化したキャリアイベントです。2018年度から毎年開催し、毎回150名の大学生から転職希望の社会人まで様々な方にご参加いただいております。2020年度は、コロナ対策として、オンラインにて開催いたします。自治体などの地域おこし協力隊枠から、獣害対策に関するメーカーなど様々な求人が出展されます。”けもの”に関わる仕事の「人材が欲しい団体」と「仕事が欲しい方」のマッチングを行うオンラインイベントです。ぜひご活用ください。

(大都会に出没する野生動物の侵入ルートと隠れ家:田中淳夫)
最近、テレビのニュースやワイドショーで、東京などの大都市圏にシカやイノシシ、サルなどが出没し、それを追いかけ回す人々の映像がよく流れる。野生動物が都会に姿を見せるのはニュースバリューがある=視聴率が稼げるからだろう。ただ、ここ数年頻繁になってきて、視聴者も徐々に慣れっこになってきたきらいがある。そもそも動物に素人の警官などが不用意に捕獲しようとして網などを手に飛び掛かるのは危険だと思うのだが……。ところで不思議に思わないのだろうか。一般に野生動物は奥山の森林地帯に生息しているが、山に隣接した農山村、せいぜい地方都市ならともかく、人が多く、緑も少ない都心に、どうやっていきなり出現するのか。電車や車に乗れない(多分)のだから、これだけの距離を移動するのは大変なはずだ。しかも途中見つからないルートはどこにあるのか。ワイドショーなどでは簡単に「迷い込んだ」などと説明しているが、おそらく生息していた山から数十キロも離れているはず。どうやって長距離移動をなし遂げるのか。そして目的は? まさか若者のように自由で賑やかな都会に憧れるなんてことはない(多分)だろう。実は、山岳地帯から都心まで、身を隠しながら進めるとっておきのルートがある。それは河川および河川敷、そして河川の土手に生まれた緑地帯だ。たとえば東京の23区内でイノシシやシカが出没したケースでは、たいてい荒川などの周辺が多い。荒川の上流は埼玉県の秩父まで遡れるし、支流も含めたら千葉県や茨城県の山間部に伸びている。そして河川敷はもちろん、河道にも草が繁っているところは多い。ここを伝わると、山から都心まで比較的見つからずに侵入できるというわけだ。しかも草など途中の餌も、河川敷にはあることが多い。ただ動物側の気持ちになって言えば、緑と水のあるところを伝って新天地を求めて進んでいたら、突然コンクリートジャングルに出てしまった、というところだろうか。神戸市では、都心のコンビニにもイノシシが姿を見せるのが日常となっているが、その往復で河道を歩くイノシシがよく目撃されている。3面コンクリート張りの河川で身を隠す藪がなくても平気だ。もはや河は野生動物の道と認識されているのだろう。川だけではない。街路樹や道路沿いの緑地帯も、動物にとっては移動ルートになっている。とくに夜行性の動物にとって、夜に人が目を向けにくい河川や緑地帯は、人に見られず移動するのにもってこいなのだ。そして都心に入ってしまったら、隠れ家は意外なほど多い。私が感じるのは、公園などよりも空き家が動物が隠れるのに向いている。公園は見通しの利く広場などが設けられるし、草刈りも頻繁に行われがちで、意外と藪が少なく隠れにくい。それに人もしょっちゅう出入りする。その点、一戸建ての空き家の庭は私有地だけに他人が覗き込むことも滅多にない。ときに建物も破れて中に入れるようになるが、そうなると極めてもってこいの住処となる。何より、居間は都心にも長く手を付けられない空き家が増加しているのだ。さらに神社などの境内林も隠れ家になるだろう。さすがにシカやイノシシのような大型動物には狭いかもしれないが、タヌキやアナグマ、ハクビシン、アライグマなど中型動物にはもってこいの隠れ家兼餌場になる。池があれば水場も不自由しないし、さらに下水溝なども住処にしやすい。また通路として周辺にも見つからずに足を運ぶこともできる。私も自宅近くの道路の側溝などに潜むタヌキの家族をよく見かけた。一部は暗渠になっているので、姿を見られずに移動できる範囲は意外なほど広い。また街には生ゴミなど餌も豊富だ。空き家に柿などの木の実がなる木があるケースも見かけるし、ときに人間が餌やりを行っている。ノラネコなどに餌をやっているつもりが、実はキャットフードなどはタヌキなどが食べていることも多いのだ。(そもそもノラネコに餌をやること自体がよろしくないのだが。)もちろん飼いイヌ飼いネコの餌を横取りすることも起きる。野生であっても、食べ物をもらえる経験をすると、繰り返し現れるようになる。アライグマなどはネコ自体を襲うこともある。意外なようだが、現在の日本の山には、動物の餌がたくさんある。里山には耕作放棄地が増えているし、農地にも収穫されないまま放置された作物が多い。そこで数を増やし、人は怖くない、人里には餌も豊富にあると覚えた動物たちは、より生息域の拡大を求めて拡散していく。その際のルートが、河川や緑地なのだ。そして都心に入ってからの隠れ家が空き家なのだ。国交省や都市部の自治体の中には「水と緑の回廊」とか「エコロジカルネットワーク」という名で街づくりを進めているところがある。河川沿いに樹林帯を設けたり、街路樹を増やして各地に点在する自然をつなぎ、都会にも自然を取り戻そうという発想だ。そして動物の生息域を分断せず、各地の個体を相互交流させることをめざしている。それが生物層を豊かにするという発想だ。たしかに野生動物にとっては有り難い施策だ。いや日本列島各地で人が切断してしまった生き物のネットワークを回復するためには必要な手段だろう。しかし、ときに回廊を利用して侵入する野生動物もいることに留意しないといけない。もしクマが都心に入り込んだら危険極まりないだろう(すでに札幌などで起きている)。サルやイノシシだって、人には恐ろしい牙を持つ。動物側からすると、いきなり人が多く緑のない都心に飛び出てしまってパニックになるかもしれない。そして自分を捕獲しようと集まってきた人を襲うかもしれないのだ。とはいえ、まだまだ野生動物を都市を導くルートや隠れ家・住処については謎が多い。そうした点をどうすればよいのか。都市計画の見直しが迫られるかもしれない。

(クマ被害が市街地でも増加、命を失わないための「正しい身の守り方」)
2020年10月、石川県のショッピングセンターにクマが侵入し、数時間後に射殺された。同月に茨城県でも託児所にイノシシが入り込み、一時騒然となった。大型野生動物が市中に出てきてしまう事例が増えている原因はどこにあるのか。そして、万が一、クマやイノシシと遭遇した場合に身を守るためにすべきこととは。「近年、クマやイノシシ、シカなどの大型野生動物が人にけがをさせたり死亡させたりするケースが残念ながら増えています。特にクマに関しては、ここ2年で明らかに目撃例、交通事故、人身被害ともに増えていますね」。こう話すのは長岡技術科学大学准教授で獣害対策に詳しい山本麻希氏だ。実際に環境省が出している「クマ類による人身被害について」の統計を見ても、10年前には被害人数が150人に上り過去最高を更新したが、19年は157人、20年は151人(11月現在)といずれの年も、10年前の数をさらに上回っている。「昔から、クマは山の中でのエサとなるドングリが凶作の年に人里に下りてきて、人に遭遇してしまうというのがパターンでした、ただ、もしかしたら近年は個体数自体もかなり増えている可能性もあると考えています。都道府県によって生息頭数の推定方法に違いがあり、正確な数字は分かりませんが……」。クマは九州、沖縄以外のすべての都道府県に生息しているが、生態調査や分布を調べるには人手と費用、そして時間がかかるため、自治体によってはしっかり調査ができないケースもあるのだという。イノシシ、シカの被害についても同様だが、毎年少なくない被害報告が出ているのは事実だ。「イノシシも毎年人身被害を起こす危険な動物です。本来は臆病な動物なので、夜に民家の畑や敷地に入ってエサだけあさって帰るのが普通ですが、誤って市街地に入って周りの人に大騒ぎされた場合、パニックに陥りなんとしてでも逃げようとします」。個体差はあるものの、新潟に生息するイノシシは大きい個体は100キロをゆうに超える。それが時速40キロくらいで突進してくるとなれば、その衝撃はまるで軽自動車がぶつかってくるようなもの。また、牙で足の内側の動脈を切られて失血死という事例もある。「イノシシに不用意に近づくのは大変危険です。また、クマやイノシシに比べるとおとなしいイメージのシカも、道路に飛び出して交通事故に遭うことが多いし、わなにかかったシカの角が猟師の体に刺ささりその猟師が死亡したケースもあるので、油断はできません」。クマ、イノシシなどの大型野生動物には、本来は会わないようにするのが一番いい。そのために、できるだけ複数人数で行動し、常に音の出る鈴やラジオ、クマスプレーを携帯という対策がある。それでも万が一遭遇してしまった場合どう対処すればいいのか。山本氏は対処法をこうアドバイスする。「クマは走るものを追う性質がありますので、背を向けて走って逃げないでください。絶対に追いつかれて襲われます」。まずクマの様子をよく見ながらゆっくりと後ずさる。2メートル離れても襲ってこなければ、次は10メートル、10メートルで大丈夫なら次は15メートルというように、ジワジワと距離を取る。距離ができることでクマに余裕が生まれる。すると、たいていの場合、クマの方から去っていくという。「子グマ連れの母グマで子どもを守ろうと気が立っている状態だったり、あるいは人間を見たら襲ってやろうと思っているクマも一定数います。運悪くそんなクマに遭遇したときは絶対逃げられませんので、すぐに『防御姿勢』を取ることを覚えておいてください。クマの攻撃は1発でも受けたらひとたまりもありませんから」。「防御姿勢」とは獣に襲われたときにとっさにとるべき体勢のことだ。まず襲われたら致命傷になる顔や目、頭部、あるいは内臓を守るため、うつぶせになり自分の体の前部を完全に隠す。首の後ろ部分もクマの爪や歯が当たらないように、両手を組んだ状態で覆う。クマはそれをひっくり返そうとすることがあるので、足を開いて転がされないようにする。「新潟県でクマに襲われた人が、防御姿勢をとって命を落とす重傷事故に至らなかったケースがあったと聞いています。どういう体勢でクマの攻撃を受けるかが生死を分けることもあるんです。また、もしリュックを背負っているなら決してクマに投げつけたりせず、背負ったままで自身の背中をガードしながら防御姿勢を取るのが得策だと思います」。イノシシの場合はどうだろう。興奮状態のイノシシ相手では、人はなすすべがなさそうだが。「クマは木登りができるので高いところに登っても意味がありません。しかし、イノシシは登ってこられないので、もし近くに高さ1メートル以上のものがあったらその上に登るのが有効です」。万一高い場所がないときはイノシシは先が見えないところには突っ込んで来ない性質があるので、物陰に隠れること。しかし、興奮状態のイノシシは回り込んできてかむこともある。そのため、イノシシの攻撃から身を守るための防御姿勢は、正座して手を首の後ろに回しダンゴムシのようにうずくまる体勢だ。その際足の内側の動脈を守るため足を閉じるのも大切。そして腕は身体の側面にピッタリ付けること。「相手がクマでもイノシシでも、もし車の中にいるなら、そこが一番安全です。絶対に外に出ないことです。ただ、間違っても車両を動物にぶつけようとは考えないでください。彼らが車にやられたという負の感情を持ち、今度は別の人間を襲う可能性があります。じっと停車して様子をみる。もしどうしても退かないなら、軽くクラクションを鳴らして追い払うのがよいでしょう」。山本氏は「ドングリの凶作だけでは説明ができないほど、大型野生動物の出没と人への被害が激増している」と危機感を示す。2020年9~10月、旅館の敷地内にクマが出没し人を襲った事例が新潟、群馬の温泉街で相次いだ。大型野生動物の中でも、特にクマは過疎化が進んだ地方の市街地を怖がらなくなってきているというのだ。「たまたま市街地に出てしまうケースもありますが、過去に特定の場所で柿の実を食べたとか『おいしい思い』をした記憶があれば、そこをエサ場と認識し、行く道を覚えてしまうんです。そういう経験をした獣が増えるほど市街地に出る個体もドンドン増えていきます。また子グマは母グマからエサの取り方を学びます。母グマが市街地のエサを利用すれば子グマも利用することになるため、そうした事例も無視できません」。また、市街地に出てしまったクマ、イノシシを処分したところで、エサとなる誘引物がなくならない限り他の個体の出没は止められず、根本的な解決にはならない。「それ以上に、人間がエサ場を作ってしまっているのが最大の問題です。森と市街地の境界線として機能していた柵を壊れたまま放置して、動物が市街地に行ける道ができてしまっていたり、耕作放棄地がヤブになっていて動物がひそめたり、空き家がメンテナンスされなくなったり、人が管理できずにほったらかしにしている柿の木や栗の木がそのままになっているのも心配の種です」。山本氏は動物の駆除だけに力を入れるのではなく、まず人がエサを提供しない状態にすることが先決だという。実をとるカキの木は電気柵で守り、実は早めに収穫、また実をとらない木はきちんと伐採する、人が意識して取り組まない限り獣害被害はなくならない。一方で、過疎化が進んだ場所では対策ができる人員が限られてしまう。山本氏はその問題を踏まえてこう語る。「例えば所有者や相続人が他の地域にいて、管理できなくなった土地があるとします。当然そこの土地は木々や草が荒れ放題です。そこに獣が来てしまい、近隣の住民が不安を抱えていても、今の法律ではそこの土地に第三者が勝手に入ってメンテナンスすることはできません。長期間管理できないことが明確な状態の土地には、第三者に管理責任を持たせられる、そんな条例改正が必要だと思います。獣害問題に真剣に取り組まないと、いずれ地元の人が獣と鉢合わせして、命の危険にさらされてしまいます」。大型獣はとても賢く、我々の想像以上に人間のことを学習していて、年々人の社会に適応している。野生動物と共存するためにも、獣に人が生きる場所がエサ場ではないということを今一度はっきり認識させる必要がある。

(最も身近な野鳥カラス、人間に寄り添って暮らす知恵者)
路上のゴミを食い散らかす、人を攻撃してくる…。カラスの悪評は枚挙にいとまがなく、そのイメージは他の野鳥に比べるとかなり悪い。しかしそんなことにお構いなく、知恵者である彼らは人間のそばにいれば「食・住」に事欠かないことを熟知しているようだ。カラスとは一体どんな鳥なのか。その生態と行動を長年にわたり観察し続けてきた研究者が解き明かす。あらかじめお断りしておくがカラスという種の鳥はいない。日本でカラスと呼ばれるのは、スズメ目カラス科カラス属に分類される5種のカラス類の総称である。そのカラスであるが、何かとメディアで取り上げられることが多い。同じ野鳥でも野生絶滅種・絶滅危惧種としてトキやコウノトリが話題になることはあるが、頻繁に登場するのはカラスである。その扱われ方はトキやコウノトリとは異なる。大半は、われわれの生活との軋轢(あつれき)に関するあしき話題だ。例えば、ごみ集積所の生ごみをあさり周辺を汚すお困り者、大集団を形成するがゆえの騒音・糞(ふん)害などの報道である。一方、そのような現実とは裏腹に、カラスは古来より世界各地で神の使いや知恵の伝道者として位置づけられてきた。北欧神話に登場するオーディンの神に仕えたとされるフギンとムニンと呼ばれた「思考」と「記憶」の象徴であるワタリガラス、わが国では熊野古道で知られる熊野三山に祭られる八咫烏(やたがらす)が有名である。このカラスは神武天皇東征の時に熊野から大和に至る道案内をしたと、わが国最古の歴史書『日本書紀』に記載されている。中国古代説話で太陽の中にいるという3本足のカラスで、幸運吉兆の鳥とされている。日本サッカー協会のエンブレムとしても有名である。また、小正月のころカラスが描かれた的に無病息災や家内安全を祈願する「オビシャ祭り」を行っている神社が全国にいくつもある。このようにその存在は脈々と日本文化に息づいている。しかし、現在のカラスの地位は、かつてのように高いものではなくなっている。分類学的にカラスと呼んでいいカラス科カラス属は、世界に47種が生息している。前述したように日本にはハシボソガラス、ハシブトガラス、ミヤマガラス、コクマルガラス、ワタリガラスの5種がいる。その中で季節を問わず常駐しているのが、ハシボソガラスとハシブトガラスである。そのため、ハシボソガラスとハシブトガラスを指して私たちはカラスと呼ぶ場合が多い。本稿でもこの両者をカラスと呼ぶ。一方、冬に大陸から渡ってくるカラスにはミヤマガラス、コクマルガラス、ワタリガラスがいる。今のところワタリガラスは北海道に限定されている。最近の動向としてはミヤマガラスが興味深い。1970年ごろまでは九州地方にしか渡ってこなかったミヤマガラスは、80年代には中国地方、90年代は新潟県や秋田県を含む日本海側、そして今や全国で目撃されるようになった。地球の温暖化による魚類などの分布変化と同じには考えられないが、日本のカラス分布地図も少しずつ塗り替える必要が出てきた。北海道内では、ワタリガラスの分布が拡大している。統計などのデータによるのもではないが、エゾシカの狩猟が盛んになるにつれて未回収屠体(とたい)が増え、それに伴って飛来も多くなったと聞く。カラスは、森の生き物と言うよりも古くから人間の暮らしの中にいた。その証しとしてノアの箱舟の神話、旧約聖書、コーランなど人類の創生史の記述にもたびたび登場する。日本において祭事に祭られたりするのもそのためだろう。いずれにしろ彼らにとっては、ヒトのそばで暮らすことに利点があった。今でこそイノシシやクマがヒトの生産する農作物に寄って来るが、カラスはいち早くヒトの営みからの利益に気付いていた。人間の近くに生息した生物学的要因は、雑食性と発達した脳にある。つまり、餌として農作物あるいは廃棄された食材や食べ残しを全て利用できること。そして葬儀の後はお供えとして食材が出てくるというヒトの営みと食物の因果関係を読み解く知的能力があったのである。このようにカラスはわれわれと生活圏をともにする「隣人」ならぬ「隣鳥」となっている。しかし、しょせん人間と鳥、人間同士の隣人愛とは程遠い感情を私たちが抱かざるを得ないのも事実である。日本で今起きているカラスと人間の軋轢の具体例を紹介する。カラスはあらゆる場所で問題を引き起こす。なにせ、人間のいる所にはカラスもいる。主な被害現場は以下の通りである。畜舎:ハシブトガラスは牛舎を好む。牛の餌に含まれるトウモロコシやムギの粒が大好物である。また、隣接する堆肥場にはミミズなどの昆虫も豊富で餌の宝庫だ。これらを食べるだけならいいが、カラスの頭の高さとウシの乳頭の高さがほぼ同じ位置にあるため、牛舎で乳頭を突くことがある。そのかみ傷が乳房炎を発症させ、重症化し廃牛として処分に至る場合もある。さらに傷口を執拗(しつよう)に突くあまり太い血管を突き破り失血死させることもある。また、病気の持ち込みも考えられ、畜産農家には敬遠される存在だ。動物園:畜舎と同じくハシブトガラスは動物園を好む。多くの動物園では肉食動物から草食動物まで多様な動物を飼育しているので、餌も種類が豊富である。雑食のカラスには格好の餌場となる。いわゆる盗食である。さらには、幼獣をつついて傷める事故もあるので厄介者として嫌われている。電力会社:一般的には知られていないが、電力会社の被害は深刻である。電柱や送電鉄塔への営巣が送電障害の原因となる場合が多い。カラスの営巣素材が電柱や鉄塔にある電線と電線の接続部に触れて、何千世帯もの停電を招くこともある。北陸電力は何万本とある電柱を巡回パトロールし、停電を起こしそうな巣を毎年撤去している。2018年、営巣期にあたる2~5月に撤去した巣は1万5880個に及んだ。このような問題は全国の電力会社でも生じていて、各社とも巡回や撤去、営巣防止装置の設置などのコストは数億円に上ると言われる。都市部:カラスが生ゴミをあさりゴミ収集所周辺を汚くするばかりでなく、鳴き声による騒音、繁殖期の人への攻撃などが問題になっている。秋から冬にかけては、都市部の電線や街路樹に大集団でねぐらを形成し、騒音・糞害で住民を悩ます。中には、1万羽ほどの集団が市街地の電線に数珠(じゅず)つなぎに止まり、その下は糞だらけで衛生面でも心配である。ここ数年、大陸からやってくるミヤマガラスが九州の都市部で同様の問題を起こしている。このようなカラスだが、「羽毛を身にまとった霊長類」という異名まである。彼らは知能が高いだけに、われわれが予想もつかない問題行動を起こすことがある。複雑な人間の生活に適応できる多様性があるので、一つの問題行動を解決する糸口が見えても、それを超えた次なる問題行動がカラスによってもたらされる。カラスは他の鳥類に比べ、著しく脳が発達している。体重当たりの脳の重さの割合は1.4%で、ニワトリ(0.12%)の10倍以上だ。ヒトが1.8%だから、ニワトリより桁違いにヒトに近い。車の通る場所を予想しクルミを置き割って実を食べる、外れたら置き直す行為などはその表れである。こうした知恵があるから、人間のそばに棲(す)めば「食・住」に事欠かないで生きていけることを古来より知っていたのだろう。そしてその生活様式が大きく変わっても、それに適応してこれまでやってきた。人間の生産効率が良くなって物が余りだすと、彼らの食・住の素材が多くなり、結果としてカラスが増えるようになる。高度成長期の東京都では約3万7000羽のカラスが棲み、群れをなして繁華街の裏に捨てられた残飯の吹きだまりにある生ごみに群がっていた。1998~2001年がそのピークで、彼らが行動する前の深夜のごみ回収、各自責任を持ってごみ管理する個別回収など、さまざまな対策が講じられた。現在はそうした措置が効果を発揮し、生息数は3分の1に減少した。苦情件数も当時の10分の1となり、カラスと人間の関係はやや落ち着いている。しかし、こうなるまでに20年の歳月を要している。一度バランスを崩すと、人間と野生動物の共存関係を取り戻すのは容易ではない。カラスだけでなく野生動物は常に食を求めている。食いついたらなかなか離れない。賢い鳥としての行動や習性を解明して、上手に付き合っていく手だてを考えるのが、自然とのバランスを崩しがちな人間の務めと考える。

(クマとヒトの共存について考える、シリアスボードゲームを開発したい)
シリアスゲームとは、「社会課題の解決」を目的としたゲームのことであり、シリアスボードゲームはシリアスゲームのボードゲーム版のことです。はじめまして!シリアスボードゲームの開発を行う一般社団法人で代表理事をしている松木崇晃と申します。今から5年前、大学院生時代にシリアスゲームと出会い、「ゲームを通じて社会課題の解決を促す」という考えに強い感銘を受け、同じ想いの仲間達と共に、鳥獣対策・水産資源管理・キャリア教育など様々なゲームを開発してきました。現状、北海道・七飯町では、ヒグマとヒトは農業被害という軋轢を抱えています。ヒグマが農地に侵入し被害を出せば、問題個体として捕獲され、命を奪われてしまう可能性があります。ヒグマが農地に侵入するのは、決して人間に害を与えようと思っているのではなく、畑に残された作物や心ない餌付けによるものだったりするのです。「人間側の都合だけではなく、クマの生態も理解し、ヒトとクマが共存できる方法を学ぶ方法はないだろうか?」そんな想いを持っていた吉田さん(一般社団法人ハイパーイナカクリエイト,代表理事)はある時、一般社団法人Pine Treeの開発したシリアスゲームをプレイした際に、「これだ!ゲームで学ぶことができるはずだ!」とビビッと感じ、クマ対策ゲームの開発を共同で行うことになりました。そこで今回は、吉田さんが拠点としている北海道・七飯町でのクマ対策をテーマとし、「クマとヒトの共存・クマ対策の在り方」について学べるボードゲームの開発を行い、「失敗から学ぶ」「当事者意識を持つことができる」「主体的な考えを持つことができる」といった、シリアスボードゲームの特徴をフルに活かし、北海道・七飯町の抱える課題に挑戦していきます。

(ジビエの可能性を広げたい、ミシュランシェフの持続可能な挑戦:東京)
『ミシュランガイド東京2021』において、グリーンスターという新しい指標が示されたことをご存知だろうか? サステナブルな食を提供する飲食店の取り組みを評価したもので、絶滅危惧種の保護、環境に配慮した生産者への支援、フードロスの削減などを積極的に行っているレストランが初のグリーンスターに輝いた。三ツ星では「カンテサンス」「レフェルヴェソンス」、二ツ星で「NARISAWA」「フロリレージュ」、一ツ星で「シンシア」「ラチュレ」の6軒だ。「ラチュレ」のグリーンスター受賞の理由は、『ミシュランガイド東京2021』に以下のようにある。「持続的な食の調達を考え、自社菜園を実践。環境に配慮して栽培した野菜は、余すことなく料理に。私たちは食の未来を見据えた社会活動にも取り組み、食育の授業を定期的に行っている」。今回、害獣として社会問題になっているジビエへの取り組みから「ラチュレ」室田拓人シェフにフォーカスして、その活動を追ってみた。「もともとジビエは素材として好きだったんです」という室田氏は、その扱いに長けていらした『タテルヨシノ』で修業を積んだのち、渋谷『DECO』でジビエに主眼を置き、6年在籍。2016年8月に独立し、ラチュレを開いた。「狩猟免許を取ったのは9年前のこと。その理由は、タテルヨシノにいた頃に、一つ一つのジビエの個体差や状態の違いに驚き、自分でもハンティングをしてみなければわからないと思ったからです。食べている餌で肉質や旨み分が全く変わる。また、処理の仕方で状態の良し悪しが決まる。雌雄の違いや冬眠前と後の違いなど、さまざまな条件が重なって、肉の状態=価値が決まってくるのだということがよくわかりました」。室田氏はハンターでもあるけれど、店で使用する肉は自身が仕留めたものだけでは足りないので、全国の食肉処理施設に足を運び、条件を満たすところのものを仕入れている。休日はほぼすべてハンティングか施設回り、千葉にある自家菜園の手入れに費やされているというのだから、その情熱には頭が下がる。全国を回るなかで、農家が鹿や猪から受けている被害に関しても、心を痛めている。鹿が農作物の若芽を根こそぎ食べてしまったり、猪が鼻で畑を掘り起こしたり……。そうした被害は、農家にとっては死活問題だ。多くの農家は狩猟免許を持ち、ハコワナを仕掛けて鹿や猪をとらえるが、食肉処理施設まで運ぶのに1時間以内でないと食肉として使用できない、と法律で決められている。それを超えると、廃棄せざるを得ないのだ。また、ハコワナに3頭同時にかかっても、高齢化が進む農家では、3頭を運ぶだけのマンパワーがないのも事実である。現在そうして廃棄されている鹿や猪の肉は、なんと全体の捕獲量の9割以上を占めるという。なんとか正しい形で食用に生かすことができないかと、室田氏は日々考えている。同様の被害はフランスなど他国でも問題になっているのかと問うと、「全てを知っているわけではないけれど、国が山の管理をしっかりしているために、食糧不足で人里に降りてきてしまうことはない」との答えが返ってきた。しかしその一方、フランスでは熊がすでに3~4頭しかおらず、絶滅寸前だという。日本はこんなに小さな国でありながら、里山には動物の影の濃い国なのである。そんな折、環境問題を考えながら、ジビエの精肉販売、食肉加工を行う九州の会社「椿説屋(ちんぜいや)」との出会いがあった。きっかけは、室田氏がクラウドファンディングのMakuakeで「鹿節」という面白い商品を見つけたことだった。世界のベストレストラン50で1位に輝いた「noma」のレネ・レゼピシェフが、和食の旨味に共感し鹿節を開発したというニュースをネットで見つけ、再現したのが始まりで、鰹節ならぬ鹿節が完成した。西洋料理に鰹や昆布の出汁を合わせると、どうしても生臭さが拭えないが、鹿肉を燻し、熟成させた鹿節ならその心配がない。室田氏は、たとえばそれを鰹節のように薄く削って、鯛のマリネなどにからめているそうだ。この珍しい鹿節をきっかけに信頼関係を築き、精肉そのものも仕入れるようになり、コラボレーション企画が始まった。「20席あまりのレストランでは、ジビエを普及させるにも限界があります。広く、一般の方々に食べてもらえる商品を開発したいと考えているときに、ちょうど、椿説屋さんもそれを考えられていたんです。他の食肉に比べて、ジビエは加工品というジャンルがすっぽり抜けている。だから両者のコラボレーションはまったく自然の流れでした」と室田氏。そして完成した商品はすべて無添加の「猪肉と南仏野菜のトマト煮込みハンバーグ」、「鹿肉と森のキノコの赤ワイン煮込みハンバーグ」、「猪肉餃子~ローズマリー&黒胡椒~」、「鹿肉餃子~カトルエピス~」の4種類。椿説屋の高田健吾氏が設立したアグレボヘルスフーズが販売する。レトルトで温めるだけの商品なのに、どれも、ジビエの風味をしっかり生かし、かつ、万人に好まれる完成度の高い味に仕上げているのは、さすがシェフ渾身の力作だけのことはある。「老若男女に喜んでもらえるメニューとして、最初から無添加のハンバーグを考えていました。ただ、10人20人の料理を作るのと、100人~200人の料理を作るのは全く別のこと。そのあたりのレシピへの落とし込みの苦労はありましたが、無添加ということでは何も問題なかったですね。レストランで作っている料理は当然無添加ですから」。レストラン以外に広く一般にジビエの魅力を広げていくことが「自分の使命だと思っている」という室田氏は、商品の完成をとても喜んでいる。レストラン以外に広く一般にジビエの魅力を広げていくことが「自分の使命だと思っている」という室田氏は、商品の完成をとても喜んでいる。レストランで意識していることを聞くと、「プレゼンテーションにすごく気を遣っています」との答えが返ってきた。もともとジビエ目当ての客ならいざ知らず、思いがけず来店したゲストや女性にジビエを好きになってもらうためにも、あまりに本格的だったり、ハンティングの世界観を前面に出すのではなく、どこかに女性らしさをしのばせた、趣味のいい愛らしさを演出しているのだという。これから取り組んでいきたいことは、「ジビエの可能性を広げること」だと言う。「たとえば、僕はジビエでデザートも作っているんですよ。サーターアンダギーを揚げる脂に猪の脂を使用したり、熊の脂でアイスクリームをつくるとか。意外に思うかもしれませんが、自然の甘みがあり、なめらかで実に美味しいんです。また、鹿肉は、カロリー的には鶏のささみくらいしかないのに、赤身で栄養分もミネラルも豊富です。アスリート食としての可能性も追求できるのではと思っています。“美味しい”の先に何があるのかを探っていきたい」。室田シェフの未来は、持続可能な日本の里山の保護とともに広がっている。

(鹿肉専門ビストロが誕生:東京)
株式会社Anthill(所在地:東京都品川区、代表取締役:石渡 彩恵)は、2020年12月1日に目黒にオープンした「鹿とパンとワイン Bistro STAGMAN」にて、新オープンを記念し「Makuake(マクアケ)」にて募集していたプロジェクトが、開始3時間で100%を達成したことをお知らせいたします。

(シカ肉ぎょうざ、シカ肉竜田揚げ:長野)
2021年1月10日より、長野県庁とコラボ!することが決まりました。シカ肉ぎょうざ、シカ肉竜田揚げ、テンホウ全店舗で販売開始となります。

(「ジビエソーセージ」通販開始:大阪)
大阪市のジビエ専門店「ジンギスカンKEMONO」は1月14日、自宅で本格ジビエ料理が味わえる「ジビエソーセージ」の通信販売を始めた。「ジンギスカンKEMONO」は、広島を中心とした地方とサービス提供者の想いが詰まった店。店舗のある大阪中央区の千日前からジビエ料理の素晴らしさと必要性を発信している。高齢化が進んだ農家が多い地方では獣害は大きな社会問題。「獣害被害で作物が育たない」「全国においしい野菜を届けることができない」という状況のなか、同社は「ニュースでは紹介されることのない社会問題が長年起きている。ジビエ料理を広めることは、地方の農家を守ることにつながる」と考えている。今回は、同店で提供するジビエ料理をより多くの人に知ってもらい、味わってもらおうと「ジビエソーセージ」を通販で提供する。広島の鳥獣肉解体加工施設、備後ジビエ製作所の新鮮な広島産の天然イノシシ肉とエゾ鹿肉を使用。鮮度よい肉を使っているため臭みがなく食べやすい。スチームで加熱はされているため、解凍後はフライパンで焼くだけで香ばしいジビエの味わいを楽しめる。

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