<射撃ニュース2月>
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(「狩猟インストラクター」新設)
環境省は、シカやイノシシを捕獲する狩猟の担い手不足を解消するため、熟練者を「狩猟インストラクター」として認定し、若手に指導してもらう制度を新設する。狩りに同行し、獲物の見つけ方や射撃、わな設置の技術などを実践的に教える。2021年度から全国数カ所で試行し、適切な指導内容やインストラクター認定の仕組みを検討。23年度から本格的に展開する。環境省によると、近年、狩猟免許を持つ若者は増えており、20代は06年度の2100人から16年度は7500人に、30代では8400人から1万5600人になった。鳥獣被害に悩む自治体や同省が狩猟の魅力発信に力を入れていることや、「狩りガール」を題材にした漫画の人気などが理由とみられる。しかし免許取得後、実際に猟へ出る人の数は伸び悩んでいるという。免許試験の実技は、銃やわなを正しく取り扱えるかという確認にとどまり、合格しただけで狩猟を行うのは難しい。そこで環境省は、免許取得者が実践的な技術や知識を習得できるよう、認定インストラクターが指導する制度を整える。獲物の発見や捕獲、仕留め方に加えて、関係法令の内容や猟場周辺の住民とのコミュニケーション方法などを現場で伝授する。既に一部の自治体や猟友会が初心者向け講習会などを開催しており、こうした先進事例を参考に、全国で展開できる指導プログラムを整備する。インストラクター育成に向けては、研修会を開いて修了者を認定する仕組みなどを検討している。認定インストラクターは個人事業主や民間事業者として、有料で若手を指導することを想定。同省は、副業などの形で務めてもらうことで、中山間地域の雇用創出にもつなげる狙いだ。

(カラシニコフ、電子機器搭載の散弾銃販売へ:ロシア)
自動小銃AK47で知られるロシアの武器メーカー、カラシニコフ(Kalashnikov)のドミトリー・タラソフ(Dmitry Tarasov)社長は9日、流行に敏感な層や若者をターゲットに、電子機器を搭載した散弾銃を販売する計画を明らかにした。タラソフ氏によると、同社が開発した12ゲージの半自動式散弾銃「MP155ウルティマ(MP-155 Ultima)」はコンピューターが内蔵されており、撃ち方の指南もしてくれる。コンパスやビデオカメラ機能の追加も可能。タラソフ氏は経済紙RBKに対し、「初のガジェット武器だ。生まれた時からガジェットに囲まれていて、それなしの生活など想像できない世代を引き付けることが目的だ」と説明した。「今日、昔ながらの狩猟はまれになってしまい、風変わりとさえみなされている」とし、そのため流行に敏感な層や1990年代中盤以降に生まれたZ世代を取り込みたいと語った。使用については「責任を感じつつも大いに楽しんでほしいと思っている」と続けた。MP155ウルティマは昨夏、モスクワ郊外で開催された軍事技術展示会で初公開された。販売予定価格は10万ルーブル(約14万円)。

(イノシシに襲われ男性死亡:兵庫)
12日午前7時55分ごろ、兵庫県洲本市池内の山中で、同県南あわじ市、無職梅本文男さん(79)がイノシシに襲われたと、一緒に猟をしていた男性から119番があった。梅本さんは搬送先の病院で死亡が確認された。洲本署によると、梅本さんは山中に仕掛けていたわなにイノシシがかかったため、捕獲しようと近づいたところ、わなが外れて体当たりされた。そのまま北約100メートルの用水路まで引きずられて落ちた。一緒にいた男性にけがはなかった。男性はイノシシについて「雄で体長約1メートル、体重約70キロ」と署に説明しており、現場から逃げたという。

(中学校近くに野生のサルが出没、60代男性が足を噛まれケガ:福島)
サルが出没したのは福島県いわき市鎌田字石名坂の平第二中学校付近で、2月10日午前7時ごろ、60代の男性が足を噛まれた。サルに足をかまれた男性は、軽いケガをした。サルは1月29日から出没情報が相次いでいて、同一のサルと見られている。サルは日を追うごとに市街地に近づいていて、目撃情報も数多く寄せられていた。ケガ人が出たことを受けて、市では捕獲を行うという。市や警察では、サルに近づかず、目を合わせない、大声を出したり、追いまわすなど威嚇するような行動はしないよう注意を呼びかけている。

(「野生サル」捕獲へわな設置:福島)
いわき市で、市民が野生のサルに襲われけがをしたことを受け、市は11日、同市平地区にサルを捕獲するための箱わな2基を設置した。サルはまだ捕まっていない。市と県の職員が対応に当たり、10日にサルが出没した同地区に鉄製の箱わな(縦約120センチ、横約60センチ、高さ約60センチ)を置いた。市は今後、目撃情報を参考に箱わな周辺を巡視する予定。市には、11日も目撃情報が複数寄せられた。市は、サルを目撃した場合は目を合わせたり、近づいたりせず、市役所や支所に連絡するよう呼び掛けている。

(イノシシが突進、頭などかまれ男性大けが:長野)
イノシシに襲われ大けがです。10日、長野県山ノ内町で男性が自宅のリンゴ畑で突然現れたイノシシにかまれて病院に搬送されました。目撃した男性の妻は「恐ろしかった」と振り返りました。10日午後5時半頃、山ノ内町夜間瀬の男性(農業・41)が自宅のリンゴ畑で飼い犬と遊んでいた所、突然現れたイノシシに襲われました。男性は手足や頭を噛まれて病院に運ばれましたが、重傷ということです。田畑さんの妻は当時、家の中で夫が襲われた様子を目撃していました。イノシシは成獣とみられ体長は1メートル以上あったということです。逃げたイノシシは見つかっておらず警察が付近の住民に注意を呼びかけています。先月6日には、小谷村のスキー場にイノシシが現れました。ゲレンデを滑っていた女性に突進しけがをさせました。県などによりますと、イノシシは冬眠せず一年中、出没する可能性があるということです。冬はエサが少なくなるため動き回ることもあり特に注意が必要です。

(野生イノシシ、豚熱感染0・5%:愛知)
県は十日、野生イノシシの豚熱(CSF)感染について、二〇二〇年十~十二月の調査結果を発表した。百八十九頭の遺伝子検査をしたところ、感染していたのは一頭で、感染割合は0・5%だった。同年四~十二月でみると感染割合は1%で、県の担当者は、感染イノシシが減少していると分析している。

(今年初、クマの目撃情報:秋田)
10日午後1時40分ごろ、秋田県仙北市角館町雲然荒屋敷の山林にクマがいるのを近所の70代女性が目撃し、仙北署に届け出た。クマの目撃情報が県警に寄せられたのは今年初めて。同署によると、女性が自宅周辺の除雪作業中に約90メートル離れた山裾を歩くクマに気付いた。クマはその後、山の中に入っていった。体長は不明。通報を受けて駆け付けた署員が、クマのものとみられる足跡を確認した。

(鳥獣対策への理解、ゲームで深めよう)
「シリアスゲーム」という、社会問題の解決が目的のゲームを通して、地域で鳥獣対策の意識を高めるためのボードゲームを、一般社団法人Pine Tree(パインツリー)が開発した。娯楽目的ではなく、課題の当事者意識を身に付けられるのが特徴だ。餌を求めて移動する鳥獣や、情報を基に鳥獣の居場所を突き止める住民になってプレーすることで、対策への理解が深められるようになっている。住民最大4人、動物1人、ハンター1人の順でプレーする。1ターンごとに地図上の森や集落のマスを移動する。8ターンまでに動物を捕獲できれば住民の勝ち、生き延びることができれば動物の勝ちとなる。動物は餌を求めて移動する。コマは置かず、位置を紙に記録。住民とすれ違えば報告する。住民は動物の餌の除去や対策ゴマを設置する。餌を食べられたり除去されたりした場合は盤面で確認できる。捕獲できるのはハンターだけで、餌を除去した住民の対策や動物の目撃情報を基に移動する。人間目線だけでなく動物の立場にもなることで、根本的な問題解決を意識しやすくなるという。住民同士の協力やハンターへの情報提供など、地域全体で取り組む重要性を認識できる。これまでに10の自治体でゲームを組み込んだ研修を実施。地域の実際の地形や道を地図に反映することで、参加者の実感が湧きやすくした。体験した自治体では、行政やハンターといった職種の垣根を越えた対策ができるようになったなどの効果が出ているという。代表の松木崇晃さん(30)は「ゲームなら安心して失敗できる。さまざまな立場の人に体験してもらうことで、鳥獣対策への理解が深まる」と期待する。熊対策ゲームも開発中で、クラウドファンディングで資金を集めている。価格は研修費を含め5万円(税別)。問い合わせはPine Treeのホームページから受け付ける。

(かかしが見張ってます、サル被害めっきり減少:和歌山)
和歌山県田辺市龍神村湯ノ又の自営業、岩手仁士さん(66)は、自宅近くにある畑にサルよけのかかしを置いて効果を上げている。いかにも人がいるような様子がサルに警戒心を与えたようで被害がめっきり減っているという。畑では年間を通して野菜を育てている。網を周囲に張ってイノシシやシカの侵入を防いでいるが、サルは高さ約2メートルの網をたやすく跳び越えて作物を荒らしていた。困り果てた岩手さんは、かかしを作ってサルを寄せ付けないようにしようと考えた。製作に取り掛かったのは約1年前。素材は自宅にあった農作業のビニール製雨がっぱ、胸元まであるゴム製の胴長靴、使わなくなったヘルメットなど。長年使用して穴が開いたり傷が付いたりしていたが、捨てるのはもったいないと再利用した。人間がいるという雰囲気を出すことにこだわり、農作業を一服して座っている格好にするため、かっぱや胴長靴の中は段ボールや新聞紙を丸めて入れ、大人の体型に合わせた。いすに取り付けた支柱の先にひもでビーチボールを垂らし、風が吹くと揺れるようにして人が動かしているかのようにした。着衣が雨風や夜露などで汚れて劣化したため、昨年末に再び廃品を利用して2代目のかかしを作った。岩手さんは「定期的にかかしの脚を伸ばしたり交差させたりして姿勢を変えている。サルが警戒して被害が減ってよかった」と話している。

(ジビエ料理の講習会:岩手)
マタギ文化が残る岩泉町で、シカやイノシシなどを使ったジビエ料理の講習会が開かれました。肉独特の臭みを取る方法にポイントがあります。講習会は、ジビエ料理を地域の食として定着させることで観光振興につなげ、シカなどによる農作物への被害を減らそうと開かれました。メニューはシカ肉を使ったおこわとイノシシ肉が入ったキノコ汁です。9日に地域の食文化を発信する「食の匠」の辺見むつ子さんが肉独特の臭みを取るコツをレクチャーしました。シカやイノシシの肉は日本酒に漬け置きしたあと沸騰したお湯でゆで、水を流しながら手でもみ込みます。こうすることで臭みを取ることができるそうです。参加した人たちは肉の処理方法を確認しながらおこわとキノコ汁を完成させました。ジビエ料理の講習会は、来年2月にも予定されています。

(富士見高原ファーム、農水省の優良活動表彰:長野)
富士見町とその近辺で捕獲した鹿の精肉をブランド化して全国に販売普及する信州富士見高原ファーム(同町、戸井口裕代表)が、農林業の獣害抑止とジビエ食文化の振興へ貢献したとして農林水産省の今年度の「鳥獣対策優良活動表彰」で農村振興局長賞を受賞した。地域の鳥獣対策推進を目的に2009年度から毎年、全国の活動団体、個人から表彰し、今年は農林水産大臣賞に2個人・団体、振興局長賞に6個人・団体が選ばれた。県内での表彰は同ファームのみ。同ファームは町内の猟友会有志が13年に設立した。捕獲時の個体から精肉、出荷まで明確な品質、衛生管理に徹して安心、安全を売りとした「富士見産ジビエ」のブランド化に成功。近年は全国の同業施設と連携して大手外食チェーン店へも販路を広げて消費を促進し、骨や角など食肉以外の部位の用途拡大にも努めている。また、調理師専門学校の授業受け入れや他施設の認証取得の支援にも当たり、国内のジビエ食の普及にも力を尽くしている。表彰はこれらの取り組み実績が評価された。ファームを運営する戸井口裕貴さん(40)と、荻原宏一さん(31)は受賞について「捕獲してくれる猟友会員や連携する日本ジビエ振興協会、取引先業者、店舗、消費者など多くの皆さんの支えあってこそ」と深く感謝。「消費者の目に見える形での安心・安全の体制を今後も磨き、当初から目標にする残さゼロを目指してさらに有効活用の道を広げたい」と話している。今年度は表彰式は行わず、17日付で表彰状が伝達授与される。

(「ニホンジカのこと、もっと知ってください」:静岡)
神奈川県立秦野ビジターセンター展示室(秦野市堀山下1513・県立秦野戸川公園パークセンター内)で2月14日(日)まで、県自然環境保全センター巡回企画展「ニホンジカのこと、もっと知ってください~神奈川県におけるニホンジカの保護管理の取り組み~」が開催されている。県自然環境保全センター(厚木市七沢)は、丹沢や箱根など、県内の豊かな自然を次世代に引き継ぐため、自然環境の保全再生に取り組んでいる施設。開成町と箱根町にも出張所がある。今回の展示では、丹沢山地などに生息するニホンジカによるさまざまな問題を取り上げ、人との共生や森を守るためにどのようにすれば良いか提起し、現状や問題解決のための県の取り組みなどをパネルで紹介している。時間は午前9時から午後4時半まで、入場無料。新型コロナウイルス感染防止対策のため、入場人数を制限する場合もあり。

(「ジビエ革」工芸に挑戦、オンライン講座:静岡)
浜松市天竜区で捕獲されたシカやイノシシの「ジビエ革」を使ったレザークラフト教室が、天竜区二俣町の山ノ舎(やまのいえ)を拠点に開かれ、オンラインで十二人が参加した。猟友会などの協力でオリジナルの皮革製品を企画・販売している近くのジーンズ店「スパイラル」の福沢郁子店長が講師を務めた。森林や農地保全のために野生動物の適切な捕獲は重要とされ、同店は地域の資源利用促進の試みとして財布やキーケースなどを販売してきた。参加者は、事前に郵送でカード入れ付きのキーケースの制作キットを受け取り、画面越しに話を聞きながら裁断や縫い付けなどの作業を進めた。都市部と中山間地域の住民の交流を目的に市が主催する講座「山の匠(たくみ)ワークショップ」の一つで、新型コロナウイルス感染対策として今回は一カ所に集まるのを避けた。オンラインでも参加側から自由に会話に加わることができ、和やかな雰囲気で進んだ。

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("エゾシカ"仕留めようと国道上で猟銃発砲:北海道)
国道上でエゾシカを仕留めるために猟銃を発砲したなどとして、49歳の男が逮捕されました。鳥獣保護法違反や銃刀法違反、火薬類取締法違反の疑いで逮捕されたのは、北海道余市町に住む49歳の会社員の男です。男は1月21日午前11時50分ごろ、石狩市厚田区の国道231号線上で、猟銃から1発を発砲し火薬を消費した疑いが持たれています。公道上での猟銃の使用は禁じられていて、警察によりますと当時現場を通りがかったドライバーが猟銃を発砲する男を目撃し警察に通報したことで事件が発覚。目撃情報などから男が浮上し2月8日に逮捕されました。当時男は現場に出没したエゾシカを仕留めようと発砲しましたが、弾は外れたということです。男は猟銃所持に関する許可は受けていて、銃弾による被害は確認されていません。調べに対し男は容疑を認めていて、警察が詳しく調べています。

(サルに襲われ住民4人けが:高知)
宿毛市の住宅地に9日、野生のニホンザル数匹が出没し、住民に飛び掛かるなどして4人にけがを負わせた。いったん追い払われた後も姿を見せ、民家に向けて石を投げるサルも。やりたい放題の振る舞いに住民は困惑し、宿毛署や市が注意を呼び掛けている。被害があったのは、土佐くろしお鉄道宿毛駅の北約700メートルの同市貝塚の住宅地。住民や宿毛署によると、サルはこの日午前7時50分ごろ、ごみ出しをしようと外出した女性(70)の前に現れ、腕を引っかいた。さらに、外出していた50代と60代の女性の腕をかむなどして、けがを負わせた。

(鳥インフル、白鳥1羽は高病原性:福島)
環境省と県は8日、郡山市逢瀬町の田んぼで死んでいたオオハクチョウ1羽を詳しく検査した結果、高病原性で致死性の高い鳥インフルエンザウイルス(H5N8亜型)に感染していたと発表した。遺伝子検査での陽性反応を受け、北海道大で行われた検査で確定した。県は感染拡大防止に向け、野鳥の監視を強化する。県内で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたのは2016(平成28)年12月以来4年2カ月ぶり。高病原性の確定を受け、県や同省は9日から死骸発見場所から半径10キロ圏内の「野鳥監視重点区域」に専門家チームを派遣。感染範囲や感染源の推定、周辺の風向きなどを調査する緊急調査を実施し感染拡大防止につなげる。このほか、県は28日まで同区域を2日に1回、ハクチョウやガン、カモが千羽以上確認されている県内8カ所を3日に1回巡視し、死んでいる野鳥がいないか監視する。県内の養鶏場ではこれまで異常は確認されていない。県は、県内の養鶏場に対し改めて情報提供と感染防止対策徹底を呼び掛けた。また、鳥と濃密な接触がある場合を除き、人が鳥インフルエンザに感染することはないとして〈1〉死んだ野鳥に素手で触らない〈2〉鳥のふんに触れた場合は手洗いとうがいをする―などの対応を求めている。同じ場所で多くの野鳥が死んでいるのを見つけた場合は、県や市町村に知らせてほしいと呼び掛けている。福島市小鳥の森のチーフレンジャー長門真弓さん(48)によると、今年はハクチョウなどの群れが例年より多く確認されている。今年1月に県内全域でも行われた全国ガンカモ一斉調査では、ハクチョウやカモの数は昨年の3倍近く多かった。雪の多さが影響しているとみられる。

(クマに餌やりで罰金30万円)
環境省が検討中の自然公園法改正案の全容が10日、判明した。国立公園や国定公園の一部地域で、クマなど野生動物に餌を与えることを禁じた上、30万円以下の罰金を科す規定を新設する。餌付けされた野生動物が人に慣れ、市街地を徘徊したり、人を襲ったりしたケースが相次いでいることへの対策。政府、与党で調整し、3月上旬の閣議決定を目指す。改正案は、絶滅危惧種の鳥獣などが多く生息する「特別地域」などで、哺乳類や鳥類に餌を与えてはならないと規定。公園を管理する国や都道府県の職員は、餌を与えている人にやめるよう指示できるとし、従わなかった場合、罰金を科す。

(豚熱対策、イノシシ1万頭捕獲へ:岐阜)
岐阜県は8日、豚熱(ぶたねつ)(CSF)を媒介するとされる野生イノシシの捕獲目標を、2021年度は年間1万頭とする計画を発表した。同日に県庁で開いた有識者会議で方針を示し、承認された。野生イノシシの個体数が減少していることなどを踏まえ、本年度目標の1万5千頭より5千頭減らした。県は、豚熱の拡大を防ぐため、県猟友会の協力などを得て野生イノシシの捕獲を推進している。21年度は、餌状のワクチンを年3回、山中に散布し、抗体を持つ野生イノシシを増やすとともに、感染拡大を抑制できる生息密度に下げるため捕獲を進める。地域ごとの目標頭数も定めた。捕獲目標を本年度より少なく設定したのは、野生イノシシの個体数が減少しているため。昨年7月の調査では、県内では個体数が減っているとみられることが分かったほか、県と県猟友会の調査でも、約8割の猟友会員が「(豚熱発生前と比べ)あまり捕れていない」と回答している。1万5千頭の捕獲目標を掲げる本年度は、約7千頭の捕獲実績にとどまる見込み。県農政部は「依然として豚熱発生リスクがあるので、野生イノシシ対策を継続し、環境中のウイルス低減を図る」としている。有識者会議では、豚へのワクチン接種に関し、接種時期により免疫付与率にばらつきがあるとの調査結果や、県が独自に定めた養豚場の衛生管理への対応状況などが示された。

(日光シカ食害、対策強化:栃木)
ニホンジカの食害から希少な植物を守るため、環境省は年度内に、日光国立公園日光地域の「生態系維持回復事業計画」を策定する。自然公園法に基づく計画で、関係機関の役割をより明確化し、対策の効果を高めることなどが狙い。策定を機に奥日光や、足尾地区の一部でシカの捕獲を強化することも予定している。同省中央環境審議会の小委員会が1月、計画策定を諮問され、了承した。国立公園での策定は知床や尾瀬、白山などに続き12例目。同省によると、日光では1984年の豪雪を最後に降雪量が減少。シカの個体数が急増し、シラネアオイをはじめとする高山植物や湿原、林床などに被害が目立ち始めた。対策が講じられているが、シカの生息密度は依然高く、植生の回復は一部地域にとどまる。

(アメリカミンク、わなで捕獲:栃木)
大田原市鳥獣被害対策実施隊(橋本公夫(はしもときみお)代表)は8日、特定外来生物のアメリカミンクを捕獲した。2013年の同隊発足以来、初めて。アメリカミンクは北米原産のイタチ科の哺乳類で、肉食。桧木沢の那珂川北部漁業協同組合の敷地内にある養魚施設で稚アユなどが食べられた痕跡があり、同漁協から連絡を受けた同隊が5日、わなを設置した。7日、同漁協から捕獲の連絡を受け8日に引き取り、アメリカミンクと確認した体長は約50センチで、同隊の貝塚恒夫(かいづかつねお)さん(72)は「これまで道路でひかれ、死んでいるミンクを引き取ったことはあるが、わなで捕獲したのは実施隊の発足以来、初めて」と話している。県北環境森林事務所によると、那須町から下流の那珂川周辺に生息しているとい、アメリカミンクの捕獲は年に1件あるか、ないかという。貝塚さんは「生息の実態は分からないが、継続してわなをかけていきたい」としている。

(校舎に4時間“居座りサル”:佐賀)
場所は、佐賀・基山町にある、東明館中学校高等学校の校庭。8日午前11時ごろの様子。素早い動きで校舎を駆けのぼるサル。体長は、50cmほど。そして午前8時半ごろには、サルは登校中の生徒の足にしがみついたという。生徒や職員にけがはなかったが、サルは午後3時現在も、学校に居座っている。8日だけではない。この学校では6日朝、体長20cmほどの子ザルが姿を見せたほか、昼ごろには体長50cmほどのサルが体育倉庫の屋根にのぼっているところを目撃されている。基山町役場によると、周辺では、ここ2週間ほどで数回、目撃情報が寄せられているという。人や農作物への被害は確認されていないということだが、町は、学校にかかしを置くなどの対策をとることにしている。

(アライグマ、緊急事態宣言下の夜に:大阪)
新型コロナウイルスの緊急事態宣言下で人通りが途絶え、静まり返る深夜の大阪・ミナミの「法善寺横丁」に“珍客”が現れた。2月初旬の午前0時すぎ、飲食店が軒を連ねる細い路地に姿を見せたのはアライグマ。全身がこけむした「水掛不動尊」を前足でひとなですると、石畳の上をもそもそと歩いていった。北米原産のアライグマは、動物園から脱走したり、ペットとして飼われていたものが捨てられたりして野生化しているが、繁華街に出没するのは珍しい。「人がおらんようになったからかな」。近くのバーのマスター、山本剛士さん(44)はため息をつく。コロナ禍の前は、千鳥足の酔客が未明まで行き交っていた。今は「休業」「営業時間短縮」などの張り紙が目立つ。深夜まで営業していた山本さんの店も、大阪府の要請を受けて昨年11月に閉店時間を早めた。「ここは大阪を代表する街。早く元に戻ってほしい」。

(列車がイノシシと衝突、ダイヤに乱れ:福岡)
JR九州によると、9日午後3時23分ごろ、筑肥線加布里―一貴山間で、上り普通列車(西唐津発筑前前原行き)がイノシシと衝突した。同3時57分現在、同線上下線で遅れが出ている。

(春の訪れ告げるザゼンソウ、イノシシ食害が深刻に:群馬)
例年この時季に花を咲かせて春の訪れを告げるザゼンソウの群生地「沼の窪市有林」(前橋市富士見町赤城山)で、イノシシの食害とみられる被害により株が激減していることが8日までに、同市などへの取材で分かった。周辺は散策のために木道が整備されているが、市は保護を優先するため、昨年12月から立ち入りを禁止している。市などによると、ザゼンソウの花は僧侶が座禅しているように見え、例年2月中旬ごろに見頃を迎える。数年前から根を掘り起こされる被害などが目立ち始めた。木道周辺だけで1000株ほどが群生していたが、現在は十数株ほどまで減少してしまっているという。対策として市教委文化財保護課が群生地周辺に、イノシシの忌避剤をまくなど対策を講じた。本来の見頃時季を迎えるが、今後も周辺での立ち入り禁止を継続する。市富士見支所は「イノシシ対策を行ってきたが、観賞をしてもらえる状況ではなく、立ち入り禁止措置は大変残念。開花を楽しみしていた皆さまには大変申し訳ないが、理解してほしい」としている。

(鳥獣行政最前線への専門的人材の必要性)
令和3年3月14日(日)13時から行います「野生生物と社会」学会行政研究部会企画Webセミナー「鳥獣行政最前線への専門的人材の必要性 ~全国の「鳥獣専門員」の活動から~」。申込の締め切り日は、3月7日(日)です。

(クールな「相棒」と狩りに夢中、訓練重ねる20歳の鷹匠:山梨)
オオタカやハヤブサを放ち、キジやカモを捕らえる「鷹匠(たかじょう)」に憧れ、訓練を重ねる女性が山梨県富士河口湖町勝山にいる。旅館従業員の篠田朔弥(さくや)さん(20)だ。篠田さんが所属する「諏訪流放鷹(ほうよう)術保存会」(東京都青梅市、大塚紀子事務局長)によると、鷹狩りは平安時代の貴族や天皇に親しまれ、15世紀以降は戦国時代や江戸時代の武士にも広く愛好されたという。篠田さんは中学2年の時、海外から雄のオオタカ「颯雅(そうが)」を購入。2年前、諏訪流の認定試験に合格し、鷹匠になった。毎朝2時間、左手に颯雅を止まらせ、自宅近くの河口湖畔を散歩するのが日課だ。「信頼関係を育てるのに欠かせません」。片足で止まったり羽を膨らませたりするしぐさは、鷹が安心している証しだそうだ。自宅横の雑木林で飛翔(ひしょう)訓練もしている。円を描くように左手を振ると、颯雅は低く飛び出し、100メートルほど先のアカマツの先端に止まった。餌になるウズラの肉片を振ると左手に舞い戻った。狩猟期間中はキジを捕まえることもある。定期的に保存会の講習会に参加し、会員との情報交換も欠かさない。「犬や猫などのペットと違い、鷹の愛情表現はそっけない。そんな鷹との共同作業で狩りを成功させるのが魅力です」。

(ハンター親子、酪農地域救う:北海道)
北海道白糠町の松野穣さん(57)と次女の千紘さん(30)は、年間400頭のエゾシカを仕留める「ハンター親子」だ。エゾシカによる牧草の食害に悩む酪農家の“救世主”として活躍する。解体処理加工場も営み、年間4000頭を処理。ジビエ(野生鳥獣の肉)として全国へ出荷する他、従業員をハンターとして養成する、全国でも珍しい経営を進める。2007年に穣さんが立ち上げた(株)馬木葉(まきば)では、年間約4000頭の鹿を解体処理する。親子で捕える400頭に加え、ハンター仲間が持ち込む個体をほぼ毎日処理し、貴重な販路になっている。高齢化などでハンターが減少する中、後継者の育成にも力を入れ、これまで10人以上が狩猟免許を取得し、町内外で活躍している。穣さんが狩猟を始めたきっかけは育てていた牧草の食害だった。30年ほど前、エゾシカが牧草地にたむろしていて駆除を依頼したが、ハンターは勤務中で来られなかった。当時、牧草ロールに換算して年間約600万円分の食害を被った。「ならば自分で免許を取得するしかない」と思い立ったという。千紘さんは小学生低学年の頃から、父の姿を見て猟を学んだ。23歳で散弾銃の免許を取得し、猟友会白糠郡支部では唯一の女性ハンター(現在は2人)となった。エゾシカによる農林業被害額は道全域で年間約38億円。牧草と飼料用トウモロコシの食害は中でも5割を占め、酪農家にとって深刻な課題だ。食害などによる被害額は釧路管内が3割を占め、同町の被害額も1億円を超える。捕獲数は12年の約15万頭をピークに減っているが、18年は11万頭、中でも釧路・根室を含む東部地域では約6万頭が捕獲されている。国有林内での狩猟や夜間の狩猟が一部緩和されたが、減少するハンターと増え続けるエゾシカとの闘いは収まりそうにない。「地域の基幹産業である酪農の力になりたい」と熱く語る松野親子の活躍に、地域の酪農家は感謝している。同社ではロースやモモなど七つの部位に分ける。処理の速さは1頭当たり7、8分と驚異的で、加工技術も的確だと評判だ。販売ルートは口コミなどで全国に広がり、約1000件と取引するまでになった。部位肉の他、「エゾ鹿肉のキーマカレー」「鹿肉フランク」といった加工品も販売する。特に1頭から400グラムしか取れないヒレ肉には注文が殺到するという。15年からは同町のふるさと納税の返礼品に採用されている。穣さんは、処理場に持ち込まれる個体の傷みの多さを危惧する。「命をいただくからには良質なベニソン(鹿肉)としておいしく食べてもらうという意識が必要」と強調。狩りの時には、的確に殺傷させる確実性を重要視している。

(クマ撃ち半世紀、江差の佐藤さんが引退へ:北海道)
クマ撃ち歴半世紀以上の経験を持つ町内砂川の佐藤信幸さん(76)が今年、ハンターを引退する。佐藤さんはクマを撃てる数少ないハンターとして、クマが出没した際に町から依頼を受けて周辺を警戒する仕事を続けてきたが、体力の衰えのために一線を退く。佐藤さんは「危険な目にも遭ったが、住民の安全が少しでも守れたならうれしい」と語り、後継者の登場を望んでいる。佐藤さんは厚沢部生まれ。幼いころからハンターだった父に付き添って山に入り、クマを撃つ父の姿を間近で見てきた。自分も猟がしたいと20歳の時に狩猟免許を取得し、厚沢部から江差に移り住んでからもトラック運転手の仕事をしながら狩猟を続けた。しかし、昨年12月から腰が痛むなど、体力の衰えを感じ、狩猟免許の更新を来年に控えていることを機に、引退を決めた。

(鳥獣被害相次ぐ愛川町、イノシシ用わな寄贈:神奈川)
鳥獣による農作物の被害が相次ぐ愛川町に、地元の農協から、イノシシ捕獲用の「わな」が寄贈されました。イノシシを捕獲するための「わな」を寄贈したのは、JA県央愛川です。 JA県央愛川は毎年、町内で行われるイベントにアトラクションを設置するなどして協力してきましたが、去年は新型コロナの感染拡大でイベントが中止に。 代わりの地域貢献の一環として、鳥獣被害の減少に一役買おうと、イノシシ用の「箱わな」5個を寄贈することになりました。愛川町によりますと、今年度に発生した農作物の鳥獣被害は、金額にして前年度のおよそ6.6倍の656万円余りとなっていて、中でもイノシシによるものは311万円余りと、全体のおよそ47パーセントを占めているということです。JA県央愛川・馬場紀光代表理事組合長「まさか朝2~3時に行って、田んぼで見張っているわけにもいかないし…。人目につかない時間帯に行動するのが、イノシシの習性のようだ。地域住民は町が良くなれば一番良い。(今後も)こういうことを進めていきたい」。愛川町では、寄贈された箱ワナを、被害が頻発している山沿いの地域から速やかに設置していきたいとしています。

(鉄道向け鹿対策音声装置を拡販:大阪)
原田産業(大阪市中央区、原田暁社長、06・6244・0171)は、鉄道業界向けに鹿対策用音声装置「シカ離レール」の販売を拡大する。

(ジビエ肉の新作レトルトカレー発表:島根)
8日、ジビエ肉を使った新作レトルトカレーが発表された。8日、島根県美郷町が発表したおおち山くじらキーマカレー。山くじらと呼ばれるイノシシの肉をふんだんに使ったものだが、パッケージには、なぜか“春”と“秋”の文字。その理由は…。島根県立大学看護栄養学部 籠橋有紀子准教授:「イノシシは家畜と違って季節によって餌として食べているものが違うので、その季節に大好きな大好物のものを合わせてカレーにする」。美郷町では、年間約750頭のイノシシが捕獲されていて、ジビエとしての活用を目指している。今回発表されたカレーは、島根県産ジビエの商品開発を行う島根県立大学が企画し、松江市のカレー工房ダーニャが調理を担当した。春バージョンのカレーは、春にイノシシがよく食べるというタケノコと、大豆からできた豆腐を具に、強めのスパイスをきかせたカレー。一方、秋バージョンには、サツマイモやナッツ、キノコが入り、トマトベースのまろやかなカレーとなっている。2つとも美郷町産のイノシシを粗目に挽いたミンチを使ったキーマカレー。町長や肉の生産者による試食も行われ、2つのカレーを食べ比べながら味わっていた。

(閉校の小学校をゲストハウスに:兵庫)
2016年3月に閉校した兵庫県宍粟市一宮町上岸田の旧繁盛(はんせ)小学校を宿泊施設に改装する工事を、住民らでつくるNPO法人「More(モア)繁盛」が進めている。バイクや自転車で旅する人向けのゲストハウスやレストランを4月末にも開業する予定だが、建物の老朽化で水道管やガス管が想定以上に破損。膨らんだ工事費を賄うため、ふるさと納税を利用した「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」で3月1日まで資金を募っている。モア繁盛は、同小の閉校を機に繁盛地区の住民らで16年4月に結成。地域おこし協力隊員を受け入れ、狩猟体験ツアーの開催や減農薬の「繁盛米」などを栽培してきた。校舎の活用は長年の課題だったが、周辺を訪れるバイク客に宿泊場所を提供し、イベントで地区を訪れる人にも利用してもらおうと、安価で泊まれる「ゲストハウス繁盛校」として改修することにした。モア繁盛は20年7月にNPO法人化し、市から校舎を借り受けるとともに、県と市から計1500万円の補助金を得て事業を進めてきた。ただ、校舎は1978年に完成した鉄筋コンクリート3階建てでガス管や水道管などが老朽化。工事を始めてみると想定以上に修繕費がかかり、事業費は約2300万円と、予算を800万円ほどオーバーした。メンバーの出資や借り入れで資金は確保したが、追加工事に充てるためGCFを利用することになった。目標額は241万円で、1口2万円、3万円、6万円の3種類。返礼品として繁盛米や宿泊券、ジビエ料理の食事券を用意した。ふるさと納税制度を利用するため、2千円の自己負担以外は税金から控除、還付される。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で寄付できる。改修では1階の教室がレストランになり、昼はジビエ料理を提供。夜はバーとして利用する。校長室は大会議室、職員室はモア繁盛の事務室に充て、2021年度に閉鎖される「センター繁盛」の公民館機能も移転する。2階にはドミトリー(相部屋)や個室、シャワー室を設け、家庭科室を自炊室にする。1泊3500円~4500円の予定。開業後の運営もモア繁盛が担うことになっており、米田正富代表理事は「活動に協力してくれる人も増え、続けてきてよかった。気軽に泊まれ、客と住民が楽しめる場所にしたい」と意気込んでいる。

(料理人がジビエ料理学ぶセミナー:山梨)
農作物などに被害を与えるニホンジカを山梨県特産のワインとともに食肉として活用しようと、シカ肉の調理方法などをプロの料理人たちが学ぶセミナーが甲府市で行われました。山梨県が開いたこの料理セミナーには、ジビエ料理に関心がある料理人など20人余りが参加しました。参加者はまず、調理師専門学校の講師などからシカ肉の衛生管理の大切さやおいしさを引き出す加熱方法などについて学びました。このあと、講師と参加者がそれぞれ低温調理したシカのロース肉に甲州ワインとバターなどを使ったソースをあわせた料理や、シカの骨でとっただしで野菜やシカ肉を炊き合わせた料理を作り、県産ワインとともに試食してシカ肉の味わいや産地による違いなどを確かめていました。山梨県は、安全なシカ肉の流通を図るため、金属探知機の使用や流通履歴の管理などを盛り込んだ独自の認証制度を設けていますが、利用はあまり進まず、昨年度1年間に県内で捕獲されたニホンジカのうち、食肉として流通したのは5.5%にとどまったということです。参加した人は「おいしかったです。個体によって違う味わいを生かす料理を作れたらいいと思う」と話していました。山梨県農政部の坂内啓二部長は「消費者においしいと感じてもらうことで、やまなしジビエの拡大にもつながる。販路をしっかり確保し、生産から流通、食卓までが一体となる流れを作っていきたい」と話していました。

(「山くじら」カレー:島根)
イノシシ肉を「おおち山くじら」のブランドで資源活用する美郷町は、町産のイノシシ肉を使ったレトルトカレーを県立大と共同開発し、「しまね三昧おおち山くじらキーマカレー」として商品化した。春と秋の2種類があり、その季節にイノシシが好む食材を一緒に煮込んで、「イノシシとうまく共存する町」を表現したという。獣害対策を起点に産官学民が協力して地域活性化を目指す町の「美郷バレー構想」の一環。

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(山林で狩猟中にイノシシに襲われ男性けが:宮城)
7日午前、宮城県白石市で、狩猟中の男性がイノシシに襲われ、けがをしました。7日午前11時半ごろ、白石市越河平の山林で、仲間15人ほどとイノシシ猟をしていた川崎町の70代の男性が、体長約1.5メートルのイノシシに襲われました。男性は首の付近をかまれ出血し、ドクターヘリで仙台市内の病院へ運ばれました。命に別状はないということです。警察は、市と連携して付近をパトロールし、警戒に当たっています。

(住民悩ませ40年、「西湘の凶暴サル軍団」最後の1頭を捕獲:神奈川)
神奈川県小田原市周辺などで40年以上住民を悩ませてきたサルの群れ「S群」の最後の1頭が、昨年12月に捕獲されていたことがわかった。果樹や野菜を食べ回り、民家に侵入して室内を荒らすとして「西湘の凶暴サル軍団」とも呼ばれていたが、同市などの4年がかりの捕獲作戦で消滅した。同市環境保護課などによると、S群は1970年代から小田原や箱根、南足柄などの住宅地に出没したサルの群れで、生息地の「須雲川流域」の頭文字から名付けられた。最盛期の91年には59頭に及び、2000年代以降も20頭ほどで推移。05年度には地元猟友会などが「追い払い隊」を結成し、捕獲したサルに発信器付きの首輪を着けたが、被害はなくならなかった。5年ほど前に自宅で追い回された女性が階段から転落して負傷する事案も発生したことから、県は17年度にS群を「管理困難な群れ」に認定。小田原市や地元猟友会などと協力し、猟銃とワナによる全頭捕獲作戦に乗り出していた。18年度は5頭、19年度は2頭まで減少し、昨年夏頃から最後の1頭を探していたが、同12月9日、同市板橋地区でワナにかかっているのが確認された。同市久野の農家の男性は「収穫前のミカンを食べ散らかし、家の中でフンをする。子供や高齢者だと襲ってくる凶暴な群れだったので一安心」と話した。同市などは、真鶴町にかけて生息する別の群れ(約20頭)の全頭捕獲も検討している。

(イノシシ駆除を通年化:佐賀)
農作物に大きな被害をもたらすイノシシの駆除を推進するため、佐賀県は本年度から、捕獲したイノシシに対して補助金を交付する期間を通年化した。昨年度までは4月から10月までを補助対象としていた。県は現在、イノシシの駆除に対し、単独事業で1頭につき2500円を補助しており、市町の補助と合わせて1頭につき5千円が補助されるのが一般的になっている。県内では例年、2万頭ほどが駆除されているが、2019年度のイノシシによる農作物被害は9700万円に及び、ここ数年は増加傾向にあるという。県生産者支援課は「全体の生息頭数の減少にはつながっていないようだ」と説明する。そのため、駆除に向けた冬場の態勢を強化するため、猟期にあたり、今まで補助対象としていなかった11月以降についても補助対象にすることにした。県は「母イノシシは春先に子どもを多数産むので、この前に頭数を減らし、全体の生息数の減少につなげたい」としている。

(空飛ぶ狩猟犬?シカ追い込み捕獲:京都)
会員の減少や高齢化に悩む京都府猟友会が、有害鳥獣駆除に役立てようと小型無人機ドローンの活用を試験的に始めた。初日は福知山市に会員ら約20人が集まり、犬の鳴き声の入ったスピーカーを付けたドローンを使い、シカを捕獲した。ドローンの訓練場がある福知山市のゴルフ場周辺で、シカの狩猟が行われた。操縦者は犬の鳴き声や花火の爆竹音が大きく聞こえるよう、スピーカーの角度やドローンの高度を調節し、ハンターとの連携を確認した。途中で飛行の場所を変えながらシカを追い込んだ。府猟友会の西村義一会長(65)は「手応えはあったが、犬の鳴き声が聞こえる範囲が狭く、スピーカーの音の大きさの調節が必要と分かった。改良を重ねて機能を強化し、本格的に導入していきたい」と話した。府内では2019年度に2億7400万円の有害鳥獣の被害が出ている。行政から委託を受けて捕獲を行う府猟友会は、多い時で会員が6千人以上いたが、現在は約1800人に減少。平均年齢も60歳を超えているなど後継者の育成が課題で、府猟友会は大日本猟友会(東京)のモデルケースとしてドローン活用の実用化を目指している。

(イノシシの活動をドローンで追跡・撮影:広島)
鳥獣被害の対策事業を手掛けるDMM Agri Innovation(東京都港区)は2月5日、野生のイノシシをドローンで追跡・撮影し、得られた映像を獣害対策に役立てる実証実験を「広島県立びんご運動公園」(広島県尾道市)で行っていると発表した。実験では、イノシシの足跡や公園内のドローン空撮画像といったデータを基に、イノシシが出没しやすいエリアのマップを作成。エリア内に赤外線カメラを搭載したドローンを飛ばし、イノシシを追跡・撮影する。得られた映像を基に電気柵や忌避剤、イノシシを見張るセンサーカメラなどの置き場所を選ぶ。既に赤外線カメラを搭載したドローンによる撮影は2日連続で成功しており、映像はYouTubeで公開済み。今後は撮影を続けつつ、並行して映像の解析を行う。映像をイノシシの捕獲に役立てる方法も模索する。イノシシによる土の掘り返しといった被害が公園内で相次いでいることを受けた取り組み。実験には鳥獣対策を手掛けるアポロ販売(東京都千代田区)や、環境保全などに取り組む社団法人「CEFIC研究所」(愛媛県今治市)も協力している。

(カラスふん害、新撃退作戦:青森)
例年冬に市街地で増えるカラスのふん害に歯止めをかけようと、八戸市は、カラスが仲間に警戒を呼び掛ける際の鳴き声を使って追い払う作戦を始めた。これまで有効な手段は確立されておらず、関係者は「画期的対策になり得る」と期待を寄せている。「ガアー、ガアー」。市中心部の立体駐車場に設置されたスピーカーから30分おきに、切羽詰まったような音が響く。天敵を見つけた時などに出す警戒の声だ。夕暮れ時となってもカラスはほとんど見当たらない。近所で洋服店を営む50代女性は「ふん掃除の必要がなくなった」と喜ぶ。新機軸の発案者は、宇都宮市の企業「CrowLab(クロウラボ)」。同社によると、カラスは「危険」「餌を見つけた」など多種多様な鳴き声を使い分けている。同社の録音音声を活用して市が2020年2月に行った実験では、電線上のカラス約100羽がスピーカーの声に反応し、一斉に飛び立った。

(エゾシカしっかり捕獲、大型囲いわな公開:北海道)
北海道森林管理局は5日、苫小牧市丸山の国有林で1月から行っている大型囲いわなを使ったエゾシカ捕獲事業の現場を自治体関係者らに公開した。同局は道東地方では国有林に囲いわなを設置しているが、道央圏では初めてという。わなは全長20メートル、幅17メートルで、周囲を高さ3メートルの板で囲っている。乾牧草と大麦を餌にして、シカを囲いの内部に誘い、落とし扉を遠隔操作して閉じ込める。

(激辛スプレーに囲いわな、シカ食害・交通事故の対策着々:北海道)
道内で約67万頭が生息するとされるエゾシカ。豊かな自然を象徴する存在だが、農作物や希少な植物への被害、交通事故などの問題も起きており、各地で様々な対策が試みられている。冬に多くのエゾシカが集まる根室市の落石地区では、捕獲のための囲いわなが設置されている。今冬は餌となる森や草原の草が雪に埋もれて捕りにくく、わなでの捕獲が増えているという。根室振興局管内では、昨年12月末から今年3月上旬にかけ、自治体などが11カ所に囲いわなを設置した。落石地区のわなは振興局が設置。高さ2・7メートルの板製の囲いに餌の牧草ロールを置き、一定数のエゾシカがわなに入ると、遠隔操作で入り口の扉を閉める。2日は雌3頭がわなにかかり、2~3歳の2頭は食肉加工場に送られ、1歳ほどの1頭は食用となる秋まで育てるため飼育場に送られた。2日までの捕獲数は74頭で、昨季の同時期より33頭多い。道内での囲いわなによるエゾシカ捕獲の約半分は、根室振興局管内が占める。全道でのエゾシカの推定生息数は約67万頭、農業被害は40億円前後。エゾシカがからむ交通事故は19年度は3188件あった。エゾシカは猟銃でも捕獲されているが、生息数は高止まりしている。地球温暖化で雪が減り、餌の草が捕りやすくなったことが高止まりにつながっているとの見方は根強い。根室振興局の担当者は「食肉への有効利用を図りつつ、囲いわなの試みに今後も力を入れていきたい」と話している。高山植物への食害が深刻な雨竜沼湿原(雨竜町)では昨夏、「激辛スプレー」作戦が試みられた。雨竜沼湿原では6~9月、150種を超す植物が咲き誇る。ただ6年ほど前からエゾシカの食害が深刻で、特にエゾカンゾウはつぼみの段階から食べられ、開花から10日ほどで花が消える。湿原全体を柵で囲むわけにもいかず、銃やわなで捕獲しても、登山口までの搬出は難しい。そこで、地元の「雨竜沼湿原を愛する会」の副会長、佐々木純一さん(68)が考案したのが「激辛スプレー」だ。花茎に噴霧し、シカに「食べたら辛い、まずい」と学習させる作戦だ。昨年、遊歩道脇を中心に、エゾカンゾウの開花期の7月4日から数日おきにつぼみや花に噴霧した。8月1日の調査では、調査区周辺は99%が食害に遭ってたが、調査区内の花茎の残存率は平均19・1%だった。8月28日の最終確認でも残存率は3・7%で変わらなかった。スプレーの効果はあったが、問題点もわかった。調査区に設置した監視カメラをみると、スプレーが雨で流れ落ちた後は、エゾシカが調査区内の花茎も食べていた。雨が上がった直後に噴霧できればいいが、雨竜沼湿原は登山口から約1時間半もかかる。噴霧は「愛する会」のメンバーのほか、道や雨竜町職員らが協力したが、メンバーは平日は仕事がある人も多く、天候に合わせた柔軟な噴霧作業は難しい。ただ、やはり食害に悩むサロベツ湿原や霧多布湿原など、管理施設が近い低地の湿原では天候に合わせた噴霧作業がしやすく、効果を発揮できそうだ。激辛スプレーの成分は市販の唐辛子溶液で、花の成長への影響もなく、「安価で安全性が高い忌避剤」として手軽に利用できる。佐々木さんは「スプレーが低地湿原で役立てばありがたい」と期待しつつ、「エゾカンゾウは多年草だが、食害で種子繁殖が出来ない期間が続けば数が減っていく可能性がある。雨竜沼では別の方法を考えなくては」と話す。

(豚熱、長期対策が必要)
日本獣医学会は7日、豚熱とアフリカ豚熱をテーマにオンラインで市民公開講座を開き、食への安全性と対策の難しさについて専門家が講演した。豚熱は入り組んだ山間部の野生イノシシに感染が広がっている現状を踏まえ、長期に対策を継続する必要性を説明。アフリカ豚熱は消石灰では対策できず、適切な消毒液を使うべきだと呼び掛けた。獣医師や農家、猟師、消費者ら270人が参加した。北海道大学大学院獣医学研究院の迫田義博教授は2018年9月から発生が続く豚熱について、最近も発生が広がっていることなどから「国内の清浄化まで10年以上かかるのではないか」と推測。

(年々増加、カラスの大群3000羽超:長野)
「夕暮れ前 ビルの上空 びっしり黒い影が覆う 道路は真っ白に染まる」。カラス対策の啓発ラップ「night veil(ナイトヴェール)」です。特集は長野市街地に集まるカラスの大群。年を追うごとに増えていて駅周辺でフンによる被害が出ています。県は対策に本腰を入れるため生息調査をスタート。職員が得意の「ラップ」で協力を呼びかける動画も制作中です。夕方の長野市街地。日が落ちるに連れ、ビルや電線にカラスが集まり出しました。群れは長野駅へ。架線にびっしりと止まっていました。下を新幹線が通っても…逃げようとはしません。実は駅構内も「ねぐら」の一つになっています。駅周辺は大量のフンで汚れ、景観上も衛生上も問題になっています。駅周辺でカラスが目立つようになったのは5年ほど前から。猛禽類などの天敵がおらず、ねぐらになる電線や街路樹が多いのが要因とみられています。苦情を受けて、県や市は追い払いやコンテナ式のごみステーションの整備などをしてきましたが、解決には至りませんでした。肝心の個体数を減らすことには結びつかなかったためです。県は個体数を減らすための生態調査に乗り出しました。ポイントはエサです。県鳥獣被害対策係・宮嶋拓郎技師:「日中、北信方面でカラスがどこをエサ場にしているかとか、どのように移動しているのかをまず見ていこうと」。向かったのは千曲川の河川敷に広がる農地。環境アセスメントセンター・植松永至さん:「一番、エサが少ない季節ですので、自然界の食べ物を食べているのか、人の捨てたものに依存しているかで今後の対策に役立てられる」。次々と舞い降りるカラス。畑がエサ場になっているようです。近くには生ゴミも…。県は個体数を減らすにはエサとなる放置された果実や生ゴミを減らし、なるべく冬を越させないようにすることが重要だと考えています。県鳥獣被害対策係・宮嶋拓郎技師:「畑が冬場のカラスのエサ場になってしまって、冬を越す個体が増えると翌春に繁殖期を迎えるカラスが増えて結果的に市街地に群れをつくる状況になる」。対策の柱はエサを減らすこと。それには県民の理解と協力が不可欠です。実は宮嶋さん、「県職員ラッパー」。職員でグループを結成しラップに乗せて、県をPRする動画をユーチューブに投稿しています。宮嶋さんは「対策ラップ」の動画を制作中。「リリック」はカラスの生態やエサを増やさないための注意点です。県鳥獣被害対策係・宮嶋拓郎技師:「できるだけ多くの人にカラスの対策を呼び掛けたいと思っている。あまり県庁の情報発信ぽくないが、一つこういう形で県の言っていることが伝えられればと思ってラップに振り切った」。県鳥獣被害対策係・宮嶋拓郎技師:「東西南北、どこからどのくらい長野駅へ飛来してきているかを調査します」。この日は、市役所の屋上や駅近くの路地で個体数も調査。日暮れと共に数は増え、実に3000羽を超えるカラスが確認されました。調査は季節を変えてこれまでに3回行われ、ねぐらとエサ場の関係がある程度つかめたということです。県鳥獣被害対策係・宮嶋拓郎技師:「カラスのエサ場とするような地域がある程度、絞り込めてきたと思う。冬を越す個体を出来るだけ少なくすることが一番効果的と考えているので、冬場のエサ場となるものの要因は、いろいろな人に協力をして気を付けてもらいたいので、範囲を明確にして具体的な対策と合わせて注意喚起していきたい」。県は来年度以降、諏訪市や岡谷市などでも同様の調査を進める考えです。

(シカの食害、広域連携で拡大食い止めよ:福島)
ニホンジカによる農作物や貴重な植物の食害が増加している。被害が拡大しないよう万全の対策を講じていかなければならない。県は新年度から5年間のシカの年間捕獲頭数を、現計画の850頭から1400頭以上に増やす第2期管理計画案をまとめた。県内では捕獲頭数を上回るペースで増えているとみられ、現在の生息数は3100頭と推定されている。計画案では、2025年度末までに千頭に減らす目標を掲げた。生息域は南会津を中心に会津全域や中通りに広がっている。イノシシやサルに比べ被害額は少ないものの、19年度のイネ、ソバなどの農業被害は前年度の2.5倍に急増した。尾瀬国立公園内の希少植物の食害も問題となっている。シカは特定種を除きほとんどの植物を食べ、季節や天候などによって広い地域を移動する。効果的、効率的な捕獲のためには生息状況を的確につかむことが欠かせない。県は各地域の被害や目撃情報を集約するとともに国、隣接県と情報共有を図り、監視を強化していくことが重要だ。計画を進める上で課題となっているのが、捕獲を担う狩猟者の減少だ。高齢化が進み猟銃免許を持つ人が減っている。農業被害対策でわな猟の免許を取得する人は増加傾向にある。県は狩猟免許試験の実施回数を増やしたり、受験しやすい土、日曜日に試験を行ったりしている。狩猟者の確保と、若い世代に狩猟経験を伝えていく研修などの取り組みを充実させてほしい。尾瀬では、湿原周辺に設置した防護柵が、ニッコウキスゲなどの被害回復に役立っている。田畑や山林をシカの食害から守る上で防護柵は決め手の一つとなる。ただシカはジャンプ力があり、イノシシ対策用より柵を高くしなければならない。県は被害状況に応じ、市町村などと協力し設置を促進していく必要があるだろう。中山間地の過疎化が進んだことも生息域が広がっている要因の一つとされている。地域単位でシカを寄せ付けない対策を、どう進めていくかも課題だ。田畑に隣接する耕作放棄地や、やぶの刈り払い、シカの餌場となる牧草地を柵で囲うなどの環境整備は欠かせない。地域全体で自分たちの田畑を守っていく意識を高め、市町村や関係機関と連携して取り組むことが求められる。県内では8市町で野生鳥獣に詳しく、農作物の被害対策を支援するリーダーが活動している。専門的な知見を活用し、地域の実情に応じた対策を進めていきたい。

(クレー射撃日本代表・大山重隆選手インタビュー:埼玉)
新座市は東京2020大会で射撃の会場になります。今回は、クレー射撃(トラップ種目)で東京2020オリンピック代表に選ばれた大山重隆(おおやましげたか)選手に、競技の魅力や大会への思いなどを伺いました。▼クレー射撃を始めたきっかけは。父の影響で狩猟に興味があり、小さい頃から秩父の山やクレー射撃場に行っていたので、散弾銃が身近な物でした。小学生から大学生まで野球をやっていましたが、部活の引退が間近になった大学4年生の時に、父の勧めで散弾銃の所持許可を取得しました。狩猟をするための銃の取扱いやクレー(お皿)の狙い方などを練習しているうちにクレー射撃に興味を持ち、国内大会(国民体育大会や全日本選手権)などに挑戦する意欲が湧きました。▼競技の魅力、難しさは。オリンピックではトラップ種目とスキート種目があり、本物の散弾銃や装弾を使用します。銃の発射音が生み出す高揚感や、クレーを撃ち落とす爽快感などが競技の醍醐味です。私が出場するトラップ種目は、15メートル先からランダムに飛び出す直径11センチのオレンジ色のクレーを撃ち落とし、1ラウンド25枚、合計5ラウンド125枚の撃破数を競います。上位6人が決勝(ファイナルラウンド)へ進みます。予選ラウンドは1枚のクレーに対して2発まで発射可能ですが、決勝ラウンドでは1発のみの発射となります。クレー射撃はメンタル(精神)面の影響が強い競技と言われます。1枚のミスで順位が大きく左右されるため、選手はハイパフォーマンスを出せるように、ルーティン(立ち位置や呼吸、構えなど、自分が作り上げた一連の動作の決め事)を取り入れています。トップシューターそれぞれの撃ち方やルーティンを見るのも観戦の面白さです。▼東京2020大会が1年延期になったことへの思いを聞かせてください。新型コロナウイルス感染症拡大が世界中で深刻な問題となっている中、私自身も生活や練習の制限が続いています。今何ができるのかを考え、フィジカル(肉体)トレーニングやメンタルトレーニングを中心に活動しています。延期になったことをプラスに考え、この1年で、人間性、競技技術を更に磨き上げていきたいと思っています。▼市の皆さんへメッセージをお願いします。新座市で射撃競技が開催されるということについて、市民の方々に感謝しています。大会は延期となりましたが、気持ちをリセットし、オリンピックに向けて精進しています。今年の夏に、皆さんと笑顔でお会いできるのを楽しみにしています。

(エゾユキウサギの生息域確認:北海道)
野生生物の生態などをライフワークとして調べている野崎司春さん(67)=芽室町、帯広大谷短期大学特任教授=が、帯広市とその近郊で積雪期のエゾユキウサギの生息状況について調査結果をまとめた。2009年から11年間にわたり、雪に残った足跡を基に丹念に調べ、芽室町上美生や帯広市八千代の山麓地域、十勝川や札内川の河川域、同町北明から清水町美蔓にかけての森林などを生息域として確認した。

(日本の野鳥633種、食べ物を調査:京都)
京都大学の森井悠太特定助教や美幌博物館のグループは、日本の野鳥全633種類の食べ物をデータベースにまとめた。1913年から2018年に発表された論文や書籍から情報を集めたほか、キジバトとエゾライチョウの胃を調べた。食べ物のうち、特に軟体動物に着目した。キジバトやエゾライチョウはカタツムリの仲間を食べていた。633種の野鳥のうち、陸にいるナメクジやカタツムリなどを食べていたのは87種類いた。タニシなど淡水産をエサにしていたのは48種類だった。イカやタコも41種類が食べていた。論文を英科学誌に発表した。

(猟期終盤、雪山の狩り:岐阜)
険しい雪山の斜面。視界の隅を黒い影が横切った瞬間、鋭い銃声が響いた。年末年始から雪が続く奥美濃で、今シーズンの狩猟が終盤戦を迎えた。猟師たちは今日も山々に分け入り、猟銃を手に獲物を追う。一月下旬の日曜日。郡上市白鳥町大島の建築業河合隆治さん(63)方に、猟仲間五人が集まった。誤射を防ぐオレンジ色のベストを着け、無線機の周波数を合わせる。午前九時、三台の小型四輪駆動車で出発した。荷台には三匹の獣猟犬が乗っている。みんな引き締まった体つきをしている。車は雪に埋もれた林道に入り、低速で高度を稼ぐ。きつい坂では、四駆のタイヤがずるずる滑る。カーブを曲がると、雪が山肌から崩れ落ちていた。スコップで掘り起こした狭い道を、車が斜めになって進む。気温二度だが、朝から冷たい雨が降りやまない。風もある。猟犬を使った巻き狩りは断念し、車上から獲物を探す流し猟に切り替えた。今年は雪が多いため、シカやイノシシが山奥から下りてきている。仲間の一人が「暖冬だった去年よりもずっといい」と笑った。

(クマ出没の可能性:宮城)
柴田町によると、4日午後4時ごろ、柴田町本船迫岩ノ入にクマとみられる動物が出没しました。

(クマ目撃相次ぐ、冬眠浅い個体か:鳥取)
4日午前7時ごろ、鳥取市国府町町屋の袋川と美歎(みたに)川の合流地点付近の土手で、通り掛かった市民がツキノワグマを目撃した。

(住宅地に「サル」出没、110番通報が相次ぐ:福島)
6日午前7時ごろ、いわき市の住宅地で「サルがいる」と住民から110番通報が相次いだ。通報を受け、いわき中央署員らがサルの捕獲に乗り出し、住宅地は一時騒然となった。目撃されたのは、JRいわき駅から北に約3キロの住宅地。サルは一時、トラックなどが置かれた倉庫内に逃げ込んだ。署員が捕獲用の網などで取り押さえようとしたが、一瞬のうちに逃げられた。その後も、市職員が捕まえずに山へ追い返そうとサルの足取りを追ったが、見失ったという。市やいわき中央署によると、けが人や農作物の被害は確認されていない。3、4、5日にもサルの目撃情報が寄せられていたという。市は、サルを目撃した場合、追い回して威嚇したり、餌を与えたりしないよう注意を呼び掛けている。目撃された現場の近くに住む会社員の60代男性は「この地区にサルが出没するのは初めてだ。無事に山に帰ってほしい」と願った。

(ぼたん鍋「いの一番」で注文を:長崎)
長崎県諫早市の市役所食堂で、イノシシの肉を使った期間限定の平日ランチメニュー「はじめてジビエのぼたん鍋」(税込み800円)が提供されている。26日まで。肉は地元猟友会の組合が開設した「諫早猪(いのしし)処理販売センター」で処理されたイノシシ。おいしいとされる冬の若い雌の肉にこだわり、臭みが少なく赤身はジューシーという。食堂の永江信敏店長(30)によると「みそで味付けしただしで煮込み、あったかで一層のコクが楽しめる」仕上がりで、鍋の底に隠れたチャンポン麺もお楽しみ。「いの一番」に注文されるメニューとなるか。

(ジビエの魅力知って:石川)
羽咋市兵庫町の中村恵美さん(36)は4日までに、自宅敷地に、能登で捕獲されたイノシシやシカの肉料理、革製品を販売する「中村屋」を開店した。14平方メートルの小屋には、キッチンと物販スペースなどがあり、毎週水、木、金曜に営業する。能登で仕入れるイノシシやシカ肉を使ったランチメニュー、静岡のお茶などを提供する。客が持ち込んだ自家栽培の野菜と、割引券や別の野菜と交換する場も設けた。静岡県沼津市出身の中村さんは、中央大の同級生だった俊博さん(35)と結婚し、夫の出身地である羽咋に2013年に移住した。夫が捕獲するイノシシの料理に魅了されたといい「体によいジビエ料理などを多くの人に知ってもらいたい」と話した。

(獣害の今、革雑貨で伝え:岡山)
岡山市の北端にある建部町地区で、野生のイノシシやシカの皮を使い、名刺入れやアクセサリーなどの雑貨を製作している。野生動物の肉は「ジビエ」として人気が広がっているものの、皮は廃棄されることが多いといい、「いただいた命を大切に使いたい」と話す。東京都東久留米市出身。手先が器用で、高校生の頃には趣味でアクセサリーや洋服を作っていた。一方で理系分野に関心があったことや「いつかは起業したい」という思いもあり、東京農業大に進学し、流通経済などを学んだ。大学3年生の時、先輩たちが大学で学んだ内容と関係ない進路先を選んだのを見て、違和感を覚えた。「私が本当にやりたいことって何だろう」。洋服作りを仕事にしようと決め、大学を中退して服飾専門学校に入学。卒業後は都内の複数の店を転々としながら、洋服修理やウェディングドレスのオーダーメイドなどの仕事をしていた。獣害の問題を考えるようになったのは2015年頃。東日本大震災を機に夫や子どもと京都府福知山市に移住し、イベントで猟師の話を聞いたのがきっかけだった。国道でイノシシが車にはねられるなどの様子を見聞きしていたが、自分自身が獣害にあったことはない。田畑を荒らす動物が捕獲されることに対し、「仕方がない」と受け止めつつも、「かわいそう」という思いを捨てられなかった。「なんでそんなに猟をするんですか」。問いを投げかけると、猟師はぽつりぽつりと話してくれた。ニホンオオカミが絶滅したためにイノシシやシカが増えすぎていること、囲いを作っても破られたり飛び越えられたりして困っていること、木の皮まで食べるので山が丸裸になったところもあること――。「捕獲した肉はできるだけ食べる。いただいた命だから」。「皮はどうなさるんですか」。質問を重ねると、猟師は「どうにもならん」と気まずい顔をした。野生動物の皮は個体差もばらばらで傷や穴があり、加工が難しく、多くが廃棄されている現状を知り、「もったいない」と活用の道を探ることにした。早速猟師にかけあってイノシシの皮を譲り受けた。こびりついた肉や脂をそぎ落とし、自力でなめすが、スルメのように固くなるなど、思うようにいかなかった。16年、夫が岡山市の地域おこし協力隊に選ばれたのをきっかけに建部町に移住。野生動物の皮を扱う加工業者に出会ったことを機に商品作りにこぎ着け、19年から事業として始動した。オンラインショップでの販売のほか、イベントなどで対面販売をしている。はじめは怪訝けげんな顔をする人も、獣害のことを説明すると、「いいね」と喜んでくれた。「駆除した動物の命を大切に使うという意義を知れば、商品も大切に使ってもらえる」と手応えを実感する。「野生動物の革は軽く、水にぬれても乾きやすいので普段使いしてほしい」という。シカ革は「革のカシミヤ」ともいわれるほど、柔らかな手触りが特徴。イノシシ革は傷に強くワイルドな風合いで、男性にも人気だという。最近はマスクのゴムひもに装着して耳の痛みを軽減させるマスクバンドなど「新しい生活様式」に沿った商品の開発を進める。新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントの機会は減ったが、オンラインで一緒に雑貨を作るワークショップが人気だという。「これからも多くの人に、獣害の現状やジビエレザーの魅力を伝えたい」と意気込む。

(鹿肉シチューがジビエ料理コンテスト入賞:京都)
京都府福知山市の薬膳指導者の女性が考案した鹿肉を使ったシチューが、全国から応募がある「ジビエ料理コンテスト」で入賞した。

(若者が起業、ジビエ業の現場)
気鋭の経済思想家、斎藤幸平さん(34)が現場を歩き、新しい社会のあり方を探る連載。今回は事業を通して社会問題の解決を図る「ソーシャルビジネス」がテーマ。畑を荒らされるなどの獣害に悩む京都の山あいの地で、ジビエ業の会社を起こした若者たちの挑戦を追った。日々、「命」と向き合う現場に立つ3人の思いとは。目の前には鹿の死体が山のように積まれ、異臭を放っていたという。「ショックでした。この状況を放っておけない。知った側の責任がある」。起業した理由をそう語るのは、獣害に悩む京都府笠置町で鹿の狩猟から解体、販売までを行う会社「RE―SOCIAL」(リソーシャル)の代表取締役、笠井大輝さん(23)。龍谷大在学中の2019年、ゼミ仲間3人で事業を起こした。

(狩猟は忍耐を伴う、だから女と男は平等なのだ:近藤康太郎)
冬が終わる。昔はたいてい鬱(うつ)気味になっていた暗い季節が、いまは名残惜しい。猟師になったからである。厳しい冷気の中、鴨(かも)や鹿を追う。響くのは、枯れ葉を踏む自分の足音ばかり。誰にも会わない。独り言が多くなった。感染症になりようもない奥深い山中の爽快は、何物にも代えがたい。猟の魅力の一半は、そこにある。独りになること。世間から、「人の作ったもの」から、離れること。さて。さてじゃねえよ(〈C〉山下陽光)。山から里に下りると本なども読むのだが、「存在しない女たち」(キャロライン・クリアド=ペレス著)がたいへん話題になっていた。入学や昇進で女性はなにかと差別される。オーケストラの採用、トイレの設置、コンピューターのプログラミング、除雪の順番まで、いたるところで、男性を基本形として社会を作っている事実を、本書はデータで明らかにする。日本でも医学部受験で女子学生が一律に減点されたり、「女性がいる会議は時間かかる」と、自分こそ話の長いおっさんに揶揄(やゆ)されたりする。なぜこんな社会になったのか。「人類の進化は男がもたらした」という謬見(びゅうけん)があるからではないかと、同書は指摘する。「人類が類人猿とは異なる特徴を備えたのは、すべて太古の狩猟者たちのおかげである」という人類学の説がある。そして「男性=狩猟者説」は広く信じられている。つまり「人類の進化は男によってもたらされた」といいたいわけだ。それに対し、男が猟に出ているあいだ、女は出産や育児で協力した、採集でも力を発揮したという反論を、同書は紹介する。だが、ここにわたしは引っかかった。女性も、狩猟のきわめて大きな戦力だったはずだ。むしろ「男性=狩猟者説」じたいが、謬見なのではないか。けものを〈獲(と)る〉のは力のいる仕事だが、〈探す〉方は、忍耐そのものである。たとえば鴨は、見えやすいところに落ちてくれない。たいてい、イバラが生い茂り、枯れた竹やぶに落ちる。ホームセンターで売っているような鉈(なた)では、歯が立たない。本物の鍛冶(かじ)屋が作った本物の鉈で、一歩、また一歩、やぶを切り開く。1羽の鴨を探すのに、2時間かけたことがある。見つかればいい方で、2時間かけてなお、見つからないときがある。努力して見られるところは全部見ました、ではない。偏執的に、10センチ区画で、すべての地面を視認して、枯れ草をひっくり返して、なお見つからない。UFOに持っていかれたと自分を納得させ、あきらめる。わたしの感触では、猟は〈発見する〉が2割、〈獲(と)る〉が3割、〈探す〉が4割、〈解体・精肉する〉が1割。力仕事より、丁寧な人、我慢強い人が、有利だ。だから、人類の歴史の大部分を占める狩猟採集生活では、男女はきわめて平等だったはずだ。猪(いのしし)の力強さ、鹿の跳躍力、鴨の俊敏さに比べれば、性差や個人の能力差――腕力や走力など、ものの数ではない。人間は、弱いけものなのだ。猟の魅力のもう一半は、自分の弱さの自覚にある。「人間の知性、興味、感情、そして基本的な社会生活は、すべて狩猟活動にうまく適応したことによる進化の産物である」という学説を、同書は紹介する。猟師としてはうれしいが、「だから男がすぐれている」ではなく、「だから女と男は平等である」のだ。頭で言っているのではない。自分の汗で、それが分かる。よって、男性のために設計されたこの社会は、端的に間違っている。失敗した設計図だ。だからこそ、希望もある。公共トイレやオフィスの温度の身近な問題も、選挙や入試や人事や税制の、大きな設計であっても。五輪組織委員会の会長も。なんであれ世界は変えられる。それが、人の作ったものであるならば。

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(厚真の猟銃死事件、公訴時効成立:北海道)
胆振管内厚真町の民有林で2011年2月、同管内安平町の林業作業員新渡戸勝彦さん=当時(45)=が銃弾に当たり死亡した事件は4日午前0時、業務上過失致死罪の10年の公訴時効が成立した。苫小牧署はハンターによる猟銃での誤射の可能性が高いとみて捜査を進めたが、同日までの解決に至らなかった。事件は11年2月4日午前9時半ごろ発生。厚真町桜丘の山林で伐採作業中の新渡戸さんが銃弾を受け倒れているのを同僚が発見した。同僚は直前に銃声を聞き、現場から約200メートル離れた町道にオレンジ色の上着を着たハンターらしき2人がいるのを目撃したという。

(イノシシのCSF7例目:神奈川)
神奈川県は厚木市の山林で捕獲された野生のイノシシが、ブタの伝染病「CSF」=豚熱に感染していたと発表しました。県は養豚場などの豚に異常が見つかった場合はすぐに連絡するよう呼びかけています。神奈川県によりますと、先月22日に厚木市飯山の山林で捕獲された雄のイノシシについて検査したところ、4日、CSF=豚熱への感染がわかったということです。県内では先月、相模原市でイノシシ4頭の感染が確認されるなどしていて、去年からことしにかけて感染が確認されたイノシシはこれで7頭となりました。県は県内の養豚場などに対し、豚に異常がある場合は県の家畜保健衛生所に連絡するよう呼びかけています。

(野鳥1羽の死骸から「鳥インフル」:福島)
県は3日、郡山市の田んぼで見つかったオオハクチョウ1羽の死骸から、A型鳥インフルエンザの陽性反応が出たと発表した。確定検査をするため検体を北海道大に送った。1週間程度で高病原性かどうか判明する見込み。環境省は発見場所から半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定した。県によると、住民が1月29日午後3時10分ごろに見つけ郡山市に通報した。県が行った簡易検査で陰性だったが、環境省のマニュアルに従い国立環境研究所で遺伝子検査をしたところ、陽性だった。付近でほかに衰弱したり、死んだりした野鳥は見つかっていないという。家畜伝染病の防疫指針では、発見場所から半径3キロ以内の100羽以上を飼育する養鶏場への立ち入り検査を義務付けているが、3キロ圏内に養鶏場はない。県は3日、県庁で関係部局による連絡会議を開き、野鳥監視重点区域に加え、ハクチョウやガン、カモなど計1000羽以上の生息が確認されている県内8カ所の監視強化を決めた。県内にある養鶏場への情報提供と注意喚起も続ける。県によると、鳥インフルエンザは濃厚接触した場合を除き人に感染しないとされ、肉や卵を食べて感染した事例も報告されていないという。確定検査で高病原性と判明すれば、県内では2016(平成28)年12月28日に鏡石町で確認されて以来、4年2カ月ぶりとなる。

(クマ目撃、最多795件:山形)
2020年、県内では三川町を除く34市町村でクマの目撃情報が相次ぎ、統計が残る03年以降で過去最多だったことが、県のまとめで判明した。初めてクマ出没の「注意報」も発令された。唯一の空白地域の三川町は、クマの根城となる山が周囲にないことが大きな要因とされており、県域の大半を山地が占める地理的事情と、出没の関連性が裏付けられたといえそうだ。件数は、生きたクマを目撃し、県警に連絡した数を集計している。県によると、20年は795件(19年比345件増)で過去最多となった。月別の最多は、冬眠前に餌を求めて活動が活発化する20年10月の261件(同215件増)。餌のブナが凶作で、これまでになかった住宅地や平野部など、人の生活圏にも出没し、目撃件数が大幅に増えた。

(“新世代”イノシシ、人身・農作物被害が急増:新潟)
新潟県内で昨年12月中旬以降、イノシシに襲われる人が相次ぎ、負傷者は1月末現在、8人と過去10年間で最多となっている。背景には、人間の居住地近くに住む“新世代”のイノシシが増えていることがある。専門家は、増大する被害を防ぐため、県内の捕獲数を今後現在の10倍の年間3万頭程度にしなくてはいけなくなるだろうと指摘する。県鳥獣被害対策支援センターによると、過去10年間のイノシシによる人身被害は平成24年度が2人で、29年度が3人。それ以外の年は被害ゼロとなっている。同センターの神部淳所長は「人身被害が目立つようになったのはここ10年ほど。今年度は恐らく過去最多」とみている。今年度最初の人身被害は昨年12月18日、県南部の十日町市で発生、男性が自宅前で頭などをかまれ重傷を負った。その後、妙高、糸魚川、柏崎、上越各市で計7人が襲われた。大半は大雪の直後に発生している。イノシシの生態に詳しい長岡技術科学大学の山本麻希准教授は「イノシシは雪を避ける習性があり、冬場は雪が少ない場所に複数の家族でいることが多い。ところが今冬は大雪でいる場所がなくなり、除雪が行われている市街地に出てきたとみられる」と指摘する。イノシシによる農作物被害も深刻化しており、令和元年度の被害額は年間5100万円と平成27年度の1100万円から5倍近くに急増。主に稲が被害を受けている。「イノシシは根にでんぷん質を多く含む稲を好んで食べる。さらに体の寄生虫を落とすため、水田で泥水を浴びる性質がある。これをやられた水田は獣臭さが残るため、米を出荷できなくなる」。背景にあるのがイノシシの県内生息数の増加だ。29年度は推定8600頭で、24年度のほぼ2倍。「イノシシは繁殖力が非常に強く、個体数は1年で1・64倍になるといわれている。昨年までの2年間、新潟は少雪だったことから死なずに冬を越した子供のイノシシが多いとみられ、特に糸魚川、上越、柏崎各市の個体数は相当増えているとみられる」。加えて気候変動の影響とみられる少雪で、北陸、新潟、東北が生息しやすい環境となり、個体数が増えている西日本から移り住むイノシシが加速度的に増えている可能性もあるという。最近は、新潟市中央区の県庁近くなど都市部にも出没するようになり、人身・農作物被害は今後、確実に増えていくとみられる。また、強い伝染力と高い致死率が特徴の豚などの伝染病、豚熱(CSF)に感染したイノシシも見つかっており、感染リスクの高まりも懸念される。県はこれまでイノシシの捕獲期間を11月15日~翌年2月15日と定めていたが、今年度から期限を3月15日まで延長。県内の猟友会に捕獲強化を要請した。山本氏は、被害を減らすためのポイントを次のように説明する。「水田を電気柵で囲ってイノシシが入らないようにしたうえで、水田を荒らしに来たイノシシを徹底的に捕獲することが大切。そのような個体は人の居住地近くに住み、(稲などの)おいしいものを食べ続けることが当たり前になる。そのようなイノシシを増やすことは人身、農作物被害の増大に直結する」。県内のイノシシ捕獲数は令和元年度で約3千頭。生息数が増えていけば「今後年間3万頭程度を捕獲する必要が出てくる」(山本氏)と指摘する。

(エゾシカ捕獲の現場を公開、囲いわななど:北海道)
根室振興局は2日、市内落石に設置したエゾシカの囲いわなと捕獲の様子を報道関係者に公開した。全道的に増えているエゾシカは個体数管理やジビエ(野生鳥獣肉)としての有効活用が進む一方、繁殖力が強く、減らすのが難しいという。囲いわなは長さ約14メートル、幅約10メートルで、周囲を高さ約3メートルのコンパネ(コンクリート型枠用合板)で囲った。餌の牧草ロールでエゾシカを内部に誘い込み、落とし扉を遠隔操作して閉じ込める。根室振興局は2017年度以降、エゾシカが越冬する落石で毎年冬に1基を設置し、市内の食肉加工販売業「ユック」(西尾裕司社長)に管理を委託している。

(クマ目撃1000件上回る、人身被害4件:広島)
広島県内でのツキノワグマの目撃件数が2020年4~12月の間で1196件に上り、県に記録が残る13年度以降で初めて千件を上回った。梅雨の長雨やナラ枯れ被害の拡大がクマの餌になるドングリの不作に結び付き、人里への出没につながったとみられる。13~19年度の7年間で1件にとどまっていた人身被害は4件発生。例年より早く、春先からクマが活発に活動を始める可能性を指摘する専門家もいる。県自然環境課によると、市町別の目撃件数は、北広島町241件▽安芸太田町222件▽広島市193件▽庄原市180件▽三次市127件▽廿日市市107件▽安芸高田市96件―など。638件の目撃があった19年4~12月の1・9倍となった。生息域とされる西中国山地のほか、東広島市16件▽三原市6件▽府中市3件―など、県南東部への広がりもうかがえる。NPO法人日本ツキノワグマ研究所(廿日市市)の米田一彦理事長(72)は「昨年は梅雨の長雨で全国的にドングリが不作だった。いつも以上に冬眠直前の秋に餌を求め、動き回る範囲が広がったのではないか」とみる。10、11月の目撃件数は19年同期の78件から7倍強の561件に急増した。4~12月の目撃件数に占める10、11月の割合は、19年の12・2%から46・9%に拡大している。山林の荒廃も進む。県森林保全課によると、虫を媒介に広葉樹林で広がる「ナラ枯れ」の被害は、県内で初確認された06年度から徐々に増加。ドングリ不作の一因になっている。目撃増に比例するように人身被害は深刻化している。13年度以降は三原市で17年8月に1件しかなかったが、20年は7~11月に庄原市で2件、安芸高田市と北広島町で各1件発生。庭の草取りや農作業中の高齢者が、クマに襲われ4人が重軽傷を負った。農業被害も相次いだ。三次、庄原両市では8~9月、果樹園に侵入したクマにナシやモモの木が折られた。米田理事長は「空腹のまま冬眠に入ったクマが、例年より1カ月ほど早い3月から活発に動く可能性がある。引き続き注意が必要だ」と話している。

(イノシシ人身被害、最悪ペース:新潟)
新潟県内のイノシシによる人身被害が、2020年度は6件8人(2月3日現在)と過去最悪のペースとなっている。被害は全て20年12月以降だ。背景には、イノシシの分布域拡大や生息数増に加え、大量の雪が短期間に降ったため餌を求めて人里への出没が増えたことがあるとみられる。県は捕獲を強化するとともに、生ごみなど餌となるものを放置しないといった対策を呼び掛けている。近年の暖冬傾向などで、イノシシの分布域は全国的に拡大している。県内でも10年ほど前から生息数が急増。県環境企画課によると、県内の生息数は約8600頭(17年度推定)で、上中越地域に特に多い。捕獲数も右肩上がりになっており、19年度は過去10年間で最多の2953頭だった。県によると、県内で初めてイノシシによる人身被害の報告があったのが09年度(1件2人)。以降は10年度(1件1人)、12年度(1件2人)と17年度(2件3人)で、20年度の被害が突出している。20年度の人身被害は十日町、妙高、糸魚川、柏崎、上越の5市で発生し、生息数が多いとされる地域に集中している。60代男性が自宅前で襲われ、手の指を切断する大けがをした事例もあった。今冬、被害が多発する理由について、野生動物の生態に詳しい新潟大農学部の箕口秀夫教授(61)は「短期間に大量の雪が積もり、地中の根や虫を掘って食べることができなくなった。餌を求めて除雪された場所に移動し、人と遭遇する機会が増えた」とみる。生息数が増えれば、人身被害に加え、農作物の被害が拡大する懸念もある。19年度までは毎年、狩猟期間を11月15日~2月15日としてきた。だが被害拡大を踏まえ、県は20年度からは狩猟期間を1カ月延長し、3月15日までとすることにした。また、狩猟者育成に向け、イノシシ猟講習会を2月下旬に初めて開催する。現在はイノシシの交尾期(12~2月)でもある。県鳥獣被害対策支援センターの神部淳所長(県農産園芸課長)は「雄が移動範囲を広げ、被害が続く恐れがある。遭遇した場合は刺激しない、餌となるものを放置しないなどの対策を徹底してほしい」と呼び掛ける。県内では昨年はクマの出没も相次ぎ、人身被害では01年以来となる死者も出た。箕口教授は「耕作放棄地が増えるなど中山間地が衰退し、(人里の近くから)山の動物を押し返す力が弱まってしまった」と指摘。捕獲をビジネスとして担う民間組織を行政が支援するといった取り組みの必要性を強調している。

(獣害被害、チームで対策:東京)
八王子市内北部の高月地区では昨年からイノシシなどの「獣害」が増えている。市によると2019年が通報2、捕獲3だったのに対し昨年は通報7、捕獲11と大幅に増加した。農作物の被害にあう農家もおり、そのような状況の解決にと昨年11月から民間企業も加わった対策チームが活動をしている。獣害による農作物の収穫ロスは全国的な課題となっており、そのための収入減から、中には農業を辞めることを考える人もいるそう。市内では高月地区において昨年来、これまであまりなかったイノシシの出没が相次いでおり、田や畑を荒らす被害が報告されている。そんな中、獣害対策にのり出したのが八王子市と八王子商工会議所による産業活性化組織「サイバーシルクロード八王子」(明神町)だ。同団体では八王子農業を支援する取り組みも続けていることから、生産者らの力になれればと支援を申し出た。昨年11月、民間企業を含めた対策チームを発足させた。チームがまず始めたのが実証実験。イノシシの行動を把握するため高月町、丹木町の畑にセンサーカメラを設置した。1月26日にあった会議でその報告が行われた。カメラは暗闇の中で動くイノシシの姿をとらえた。1月上旬の夜、数匹が丹木町の畑に現れ、仕掛けた餌に近づく様子が残されていた。「このような映像の記録は初めてかもしれません」。チームに協力する市の担当者はそう話した。チームメンバーは「なかなか餌を食べない。特に人が触ったものには全く反応しなかった。想像以上に警戒心が強い」と感想を述べた。チームでは今後、カゴの設置やGPSによる追跡なども検討している。農家の1人は「本当に早くいなくなってほしい」と切実に訴える。メンバーは「獣害によるロスを減らし、農業を絶やさないようにしたい」と話す。

(相次ぐイノシシ農業被害、地元住民危機感募る:栃木)
宇都宮市北部の上河内地区でイノシシによる農業被害が相次ぐ。これまでは羽黒山の山麓地域が中心だったが、近年、鬼怒川河川敷にも生息域が拡大。田畑へのさらなる影響が懸念され、地元住民は「早く手を打たなければ、大変なことになってしまう」と危機感を募らせている。同山東側の県道付近。麦をまいた畑は、まるで重機が入ったかのように一面が掘り返されていた。「こんなこと、今までない。山に餌がないのか」。同地区猟友会の田辺久雄(たなべひさお)会長(81)は厳しい表情を浮かべた。市農林生産流通課によると、2019年度の市内のイノシシ捕獲数は510頭で、このうち同地区は146頭に上る。イノシシによる市内農業被害額は17年度以降、減少しているが、同地区が占める割合は18、19年度といずれも4割を超えた。

(鳥インフル、渡り鳥飛来地でウイルス調査:富山)
先月、小矢部市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは、渡り鳥の持つウイルスが侵入した可能性も指摘されています。これを受けて県は2日、渡り鳥のいる池などで鳥のふんを採取してウイルスを調べる取り組みを始めました。2日は、県の職員や鳥獣保護管理協力員合わせて4人が、池の周囲にあるカモなどのふんをすくいあげ、試験管に集めていきました。先月、小矢部市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザでは、感染力や致死率が高い「H5N8型」のウイルスが確認されました。渡り鳥の持つウイルスが養鶏場に入り込んだ可能性も指摘されていて、県は鳥インフルエンザが発生した養鶏場から半径10キロ以内の野鳥監視重点区域と県内の主な渡り鳥の飛来地、合わせて16か所で野鳥の監視を強化しています。ふんの調査は、例年の田尻池に加えて、この野鳥監視重点区域でも行われましたが、感染拡大防止のため、田尻池の調査だけが公開されました。2日は合わせて100個のふんを採取したということです。県自然保護課 服部耕一郎主幹「野鳥に関してはいろんなウイルスを持っている。野鳥全部をコントロールすることはできないが、養鶏場とか家きんをやっている人に被害が及ばないように、できるだけの調査をして、警戒を呼びかけたい」。集めたふんは愛知県の検査機関に送って、高病原性のウイルスが含まれているかなどを分析し、結果は10日ほどで判明します。県は、ふんの採取調査を4月上旬までに、あと3回行うことにしています。

(都筑スポーツ・文化賞表彰:神奈川)
都筑区がスポーツ及び文化の各分野においてめざましい活躍や顕著な功績のあった人を表彰する「都筑スポーツ・文化賞表彰式」が1月27日に区役所で開催され、五輪内定選手や全国で活躍する児童2人の計3人が受賞した。中野創区長は「皆さんの活躍は都筑に明るいニュースを届けてくれた」と話した。令和2年度の受賞者は、井川寛之さん・クレー射撃、川上優さん・自転車競技(茅ケ崎小3年)、舟越柚奈さん・ダンス(都田西小6年)の3人。受賞者には区長から賞状と盾が贈られた。村田輝雄都筑区連合自治会町内会会長は「それぞれの分野で素晴らしい活躍だ、コロナに負けず世界にチャレンジしてほしい」と選手らを労った。第14回アジア大陸射撃選手権大会スキートMIXで3位になった井川さん。同競技は、男女でペアを組み、左右から発射されるクレーという陶器を銃で撃つもの。クレー射撃で東京五輪に内定していることから「無事に開催されることを願い、練習を重ね金メダルを狙いたい」と意気込んだ。

(鷹で害鳥駆除を図る:東京)
学生が学ぶ構内に相応しくない害鳥を駆除するため、金井ヶ丘にある和光大学では1月からタカによる駆除活動を始めた。「ハトやカラスが構内を我が物顔で歩いているなんて」と同大学職員の平野雅規さん。2014年頃から目立ち始めた害鳥を大学でも「どうにかしたい」と、これまでも防鳥ネットや剣山による対策をしてきたが、思ったほどの効果は見られなかった。コロナ禍で休校になり、学生がいない構内で害鳥の存在がさらに目立つようになったことで今回実施に至った。依頼を受けてタカを飛ばすのは鷹匠の江頭千景さん((株)グリーンフィールド=本社大阪)。「タカを飛ばした結果、構内を歩く害鳥の姿はなくなり、害鳥自体も減った。けれどもカラスは非常に頭が良いので、近くで様子を伺っている。完全に駆除は難しい」と話す。また害鳥を減らすには大学単体だけではなく、できたら今後は地域と一緒に取り組むことが望ましいとのこと。

(鹿が出没して車と衝突:熊本)
熊本東署は2日、熊本市東区戸島町で1日午後8時50分ごろ、鹿1頭が出没して車両と衝突する交通事故が発生したとして、防犯メールで注意を呼びかけた。

(クマ目撃、冬眠に入れなかった可能性も:新潟)
2日午後3時前、新潟県魚沼市明神の国道を車で走行中の市職員が道路脇の雪壁の上にいるクマを目撃した。クマは10分ほどとどまった後、山中に逃げた。クマの体長は不明。現場は民家まで約50メートル。同5時ごろには、警戒中の小出署員が現場から約200メートル離れた同市明神の民家前でクマを目撃した。同署と市は同じクマの可能性もあるとみて、警戒している。現場はJR浦佐駅から西へ約6キロ。県によると、2月に県内でクマが目撃された件数は暖冬だった2020年に3件あったが、例年はゼロまたは1件程度にとどまっている。野生動物の生態に詳しい長岡技術科学大の山本麻希准教授は「冬眠に入れなかったクマの可能性がある」と指摘。「冬は山に餌が少なく、クマが生ゴミなどを求めて人のいる場所に近づきやすい。過去に目撃された場所では十分な注意が必要だ」と呼び掛けている。

(都心でタヌキの目撃相次ぐ:東京)
東京23区内で昨年以降、タヌキの目撃報告が相次いでいる。記者も先月中旬、都心の港区白金で目撃した。23区内には緑が多い公園などをねぐらにするタヌキが約1000匹生息するとみられ、遭遇の可能性は常にある。専門家は「都会でたくましく生きるタヌキを温かく見守ってほしい」と話す。1月14日夜。地下鉄白金高輪駅近くの港区白金1丁目を歩いていた記者に向かい、何やら動物がスルスルと駆け寄ってきた。「犬か?」。いや、首輪はつけていない。街灯に照らされた顔を見て正体がつかめた。「タヌキだ!」。思わず叫んだ。タヌキは港区立公園「白金一丁目児童遊園」に入り、落ちていたペットボトルを口先で転がしていたが、近づいてスマートフォンで写真を撮っても逃げない。数分後に再び路上へ。さらに近寄ってスマホを向けると、西へ走り去った。約20年前から東京のタヌキの生態を調べ、「東京タヌキ探検隊!」のホームページで公表している宮本拓海さんによると、タヌキが出たこの公園から半径500メートル圏内では2007年以降、4件の目撃報告がある。ではどこに住むのか。宮本さんによると、約1.5キロ南西には20万平方メートル(東京ドーム約4個分)の敷地に豊かな自然が残る「国立科学博物館付属自然教育園」があり、当初はここにいた可能性が高いという。その後、タヌキは記者の目撃地点にほど近い白金2丁目付近に「転居」。一帯には敷地内に木々が茂る服部時計店(現セイコーホールディングス)創始者、服部金太郎氏の旧邸宅(現在は空き家、敷地面積約1万6000平方メートル)や寺社が点在しており、現在は周辺をねぐらにしているようだ。本紙が昨年12月に目撃例を報じた豊島区、さらに江東区など、最近は東京都心でタヌキの目撃報告が相次ぐ。19年度に江東区内の関係機関に寄せられた目撃報告は5件だったが、20年度は既に14件に上る。個体差はあるがタヌキは夜行性で人目を嫌う。目撃の増加は新型コロナウイルスの感染拡大で夜に出歩く人が減り、タヌキが活動しやすくなった影響もあるように思えるが、麻布大いのちの博物館(相模原市)の高槻成紀名誉学芸員は「それは状況によって変わる。東京全体で人の動きとタヌキの関係が変化したとまでは言えない」と語る。ギンナンや柿などの木の実や昆虫を好み、都心でも緑が多い場所には生息。かつて上皇さまは皇居のタヌキの生態を研究されていた。尾が長いハクビシン、尾にしま模様があるアライグマと違い、タヌキは木登りは苦手で、木に実る農作物を食べることは少ない。「狸」の文字通り古くから人里近い場所に生息し、東京でも生き延びてきた。高槻さんは「病気や寄生虫を持つこともあり触らないようにしてほしいが、優しい目で見てあげて」と話す。

(クマ目撃で登下校の見守り強化:栃木)
宇都宮市横山3丁目の住宅地付近でクマの目撃情報があったことを受け、現場近くにある豊郷北小の教職員や地域関係者は2日朝、登下校の見守りを強化した。通行人が「クマ1頭を目撃した」との110番をしたのは1日夜。同校は2日早朝、保護者らに見守り活動への協力を要請。児童に対し、「見つけても近寄らない」などと注意喚起をした。過去には周辺でイノシシの目撃例があり、学校側は冷静な対応に努めた一方、イノシシ目撃時よりも多くの関係者が警戒に当たったという。警戒に当たった麦倉克英(むぎくらかつひで)副校長(53)は「イノシシの目撃があった時などに指導しており、子どもたちは落ち着いて登校していた。遭遇した際の対応を念入りに指導したい」と気を引き締めた。同市から数日間の見守りを依頼された地元猟友会は「クマだったら珍しいし一大事。安全のため登下校を見守りたい」とした。

(テレビ東京コミュニケーションズ、「ジビエキッチン」開催:東京)
テレビ東京コミュニケーションズ(TXCOM)は、2021年2月、オンライン料理教室のライブ配信と、都内各所でキッチンカーによるジビエ料理の販売を行うイベント「ジビエキッチン」を開催する。ジビエとは野生鳥獣の肉を意味するフランス語。日本でもシカやイノシシなどの野生鳥獣を食する文化が古くからあり、近年これらを用いたジビエ料理が注目を集めている。今回は、2020年10月に開催したイベントの第二弾。「ジビエキッチン」と題し、ジビエ消費拡大のためジビエ料理の無料オンライン料理教室や、キッチンカーによるジビエ料理の販売を実施する。無料オンライン料理教室には、Instagramで人気の料理家・ぐっち夫婦を起用。ぐっち夫婦は、「日々の暮らしを楽しくおいしく。ちょっとおしゃれに」という思いをのせて、簡単で美味しい料理を夫婦で発信している。本ライブ配信では、「ジビエをもっと身近に」をテーマに、料理好きから初心者まで楽しめる、ジビエレシピを紹介。調理のポイントなどを実演しながら分かりやすく届けていく。さらに2月中、そのジビエ料理が食べられるキッチンカーを都内各所に出店し、青空の下や自宅で楽しめるようにテイクアウト販売を実施する。出店場所はオフィス街、住宅街、商店街とバリエーション豊かに、そして販売時間帯も、おうち時間が増加している現在の生活スタイルに合わせて、ランチタイムとディナータイムに対応する。

(ジビエ事例に学ぶ、事業者セミナー:長野)
茅野市内の4金融機関で構成する同市金融団は1日、新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける飲食業や観光業を中心に支援する初のセミナー「『美味しさ』で地域ブランドを創る!」を同市のマリオローヤル会館で開いた。市内外から50人余が参加。八ケ岳山麓で普及を進めるジビエ(野生鳥獣の食肉)の活用をテーマに食材の調達や調理、加工などに関わる4人から話を聞き、新たな商品開発やサービスのヒントにしてもらった。コロナ後も見据え、地域特性を生かした活性化の一助になればと企画した。基本調理の講師を務めたオーベルジュ・エスポワール(茅野市)の藤木徳彦オーナーシェフは、ジビエが浸透するには「おいしさ」が生命線とし、味が良くて安全に提供できる肉の加熱条件を伝授。普及には「関わる人みんながもうかる仕組みをどうつくるのかが大事」と述べた。レストランピーター(同市)のハム・ソーセージ職人の坂本育也さんは、試食品を提供しながら食肉加工技術を伝えた。食材調達については信州富士見高原ファーム(富士見町)の戸井口裕貴さんが同社の食肉処理施設での処理工程に触れながら、2019年に取得した農林水産省の「国産ジビエ認証」について説明した。日本ジビエ振興協会の鮎澤廉常務理事は鳥取県などが取り組むジビエ振興の事例を紹介した。市金融団を代表してあいさつした八十二銀行の伊原淳一茅野支店長は「金融団が持つネットワークで皆さんを応援したい。人のつながりや持っている技術を共有し、新しい商売やサービスにつながることを期待したい」と述べた。金融団は3月中旬にもセミナーを計画している。

(地産地消へ調理教室、シカ肉ソーセージ「おいしい」:北海道)
オホーツク管内に多く生息するエゾシカの地産地消を促そうと、滝上町は1月31日、シカ肉入りのソーセージ作り教室を町農産品加工研究センターで開いた。町民15人が参加した。町外の鳥獣肉処理施設から仕入れたシカ肉2キロをひき肉にし、豚ひき肉、ショウガ、ニンニクと混ぜて皮に詰め、ソーセージの形に仕上げた。その後、桜のチップを使って約2時間いぶして完成。事前に作ってあったソーセージを試食した濁川小1年の関町琉那さん(7)は「肉詰めは難しかったけど、食べやすくておいしかった」と笑顔で話した。完成品は各自持ち帰った。

(国産ジビエ認証施設の第18号認証について:鹿児島)
国産ジビエ認証制度に係る認証機関により、国産ジビエ認証施設(第18号)として、株式会社屋久鹿ジビエ王国が運営する食肉処理施設「屋久島ジビエ加工センター(鹿児島県屋久島町)」が認証されました。農林水産省では、衛生管理基準及びカットチャートによる流通規格の遵守、適切なラベル表示によるトレーサビリティの確保等に適切に取り組む食肉処理施設の認証を行う「国産ジビエ認証制度」(以下「制度」という。)を平成30年5月18日に制定し、より安全なジビエの提供と消費者のジビエに対する安心の確保を図る制度の運用を行ってきたところです。この度、国産ジビエ認証委員会により登録された認証機関(一般社団法人日本ジビエ振興協会)において、認証申請のあった株式会社屋久鹿ジビエ王国が運営する食肉処理施設「屋久島ジビエ加工センター」の審査が行われた結果、制度に規定する全ての要件を満たすと認められたため、本日付けで「国産ジビエ認証施設(第18号)」の食肉処理施設に認証されました。

(ジビエ研究会発足、アライグマなど捕獲し新たな食文化:埼玉)
鳥獣被害対策や駆除後の利活用を研究する「熊谷ジビエ研究会」が2月1日、熊谷市に発足した。参加メンバーは熊谷市内で印刷会社を営む萬年康平さん、フランス出身のフォトグラファーでジビエ料理に詳しいオスカー・ラビさん、熊谷市立江南文化財センターの職員ら。野生動物の適切な管理方法や食文化としての利活用について研究を進める。江南地域の新山遺跡でシカやイノシシなどを捕獲し食用とした縄文時代の「落とし穴遺構」が発見されたことから、原始人の狩猟方法を含む「ジビエ」文化に関する歴史調査も行う。狩猟で捕獲される野生鳥獣や動物肉はフランス語で「ジビエ(gibier)」と表記し、近年日本でも積極的に料理に生かし消費する取り組みが行われている。活動理由の一つに野生化した鳥獣が農業や人々の生活に被害を与える問題がある。熊谷環境政策課によれば、市内でも「アライグマ」の農作物被害も増えており捕獲数も年々増加傾向で、2019年度は470頭、2020年度は12月までに509頭に上り、駆除に向けた対策が急務となっているという。アライグマ捕獲従事者で江南文化財センターの学芸員、山下祐樹さんは「野生動物の理想的な生態系の形成を念頭に置きながら、新たな食文化の創出を試みたい」と意気込む。現在、「落とし穴遺構」周辺に所在する谷津沼の農業については「世界農業遺産」への登録を目指しており、「『熊谷ジビエ』の発信を通じて登録を後押ししたい。研究成果やレシピ案などの公開に向けて3月上旬にはブログを開設する予定」とも。

(ジビエソーセージの加工場がオープン:島根)
2021年1月、雲南市木次町にジビエ(イノシシ肉)ソーセージの加工場「KANUKA PARK」がオープンしました。ソーセージを製造するのは、東京から移住してきた料理人の男性で、地域の方が捕獲したイノシシの解体から加工までを手掛けます。1月中旬に初めて発売したソーセージは、なんと1日で完売。その後もSNSで出荷予定を告知すると、すぐに完売という人気ぶりです。ソーセージは3種類(オリジナル・チーズ・スモーク)で、鵜鷺の藻塩や木次乳業のチーズなど、地元の素材を使用。スモークに使う桜のチップも雲南市産の桜の木のものだそうです。食品添加物を使わず、必要最低限のシンプルな原料でしっかりと美味しい商品!パッケージもお洒落なので贈り物にも良さそうです。

(「はじめてジビエ」認知度アップへ:長崎)
長崎県諫早市で捕れるイノシシなどの野生鳥獣肉(ジビエ)を「長崎県諫早育ち はじめてジビエ」のブランド名で販売する市鳥獣処理加工販売組合(永尾洋一組合長)は、認知度向上を図ろうと、ブランドロゴとリーフレットを制作した。イノシシ肉は、五つの猟友会でつくる同組合が同市福田町の諫早猪処理販売センターで加工。品質が良いとされる冬に捕れた若いメスだけを使っている。同組合によると、豚肉に比べ、鉄分やビタミンB12は3倍以上あり、臭みが少なくジューシーな赤身と脂のまろやかな味わいが特長。真空パックした冷凍肉を同センターや同市山川町のAコープ西諫早店などで販売している。ロゴデザインはイノシシのイラストに諫早の眼鏡橋などを組み合わせた。リーフレットにはレシピも掲載している。1日から市役所食堂「レストランながえ」が期間限定メニュー「はじめてジビエのぼたん鍋(しし鍋)」(800円)を提供。みそ味で煮込み、ちゃんぽん麺を加えてボリュームたっぷりに仕上げている。永尾組合長は「衛生管理が行き届いた施設で安全に加工している。おいしいジビエの魅力を味わってもらえれば」と話している。

(「山くじら」研究所:島根)
イノシシを「山くじら」と名付けてまちづくりに生かしている美郷町が、企業や大学などとの連携を強化するための研究所を新たに設け開所式が行われました。新たに設けられたのは「おおち山くじら研究所」で、美郷町の嘉戸隆町長と、神奈川県にある麻布大学の客員教授で獣害対策などが専門の江口祐輔さんが、看板を掲げて開設を祝いました。研究所は、イノシシを「山くじら」と名付けてまちづくりに生かしている町が、獣害対策で協定を結んでいる11の企業や大学などとの連携を強化するための拠点として設置し、新しい技術や商品の開発などを行って、町の活性化につなげる役割を担うということです。また、研究所には麻布大学で動物の行動学などを研究している学生らが学ぶためのスペースも、ことし4月に併設されるということです。嘉戸町長は、「研究所ができたことで組織立った動きができるので、町民といっしょになって地域づくりに役立てていきたい」と話していました。所長を務める江口客員教授は「これまで行ってきたイノシシ研究や獣害対策研究をより進めて、地域の発展につなげていきたい」と話していました。

(鹿肉そば、道の駅に登場:長野)
長野市の「道の駅信州新町」内のそば店「そば信」が、ニホンジカの肉を使ったそばの提供を始めた。店主の中村翔さん(35)が、「鹿肉のおいしさをシンプルに味わってほしい」と1年ほどかけて開発。地元農家が野生鳥獣の被害に悩む中、地域の人がジビエ料理に親しむきっかけになればと願っている。発売したのは「信州ジビエ 鹿のピリ辛肉そば」。同市中条地区にある野生鳥獣解体処理施設「市ジビエ加工センター」から仕入れたばら肉をやわらかく煮込み、温かいそばに載せた。脂分が少ない鹿肉とそば、汁の一体感を高め、味のアクセントにするため、ごま風味のラー油も添えた。地元名物のジンギスカンで羊肉には親しんでいたものの「ニホンジカは食べたことがなかった」と中村さん。つくねにしたり、ローストを冷たいそばに載せたりと試行錯誤する中で、おいしさに気付いたという。新メニューは好評で、「鯨肉のよう」という年配客もいるという。同店はこれまでも地元豆腐店の豆乳や県産の豚肉や鶏肉を使った限定商品を発売。今回はジビエに着目した。店で使う野菜を信州新町で育てる中村さんの祖母を含め、地元農家にとって田畑を荒らすニホンジカやイノシシは悩みの種で、中村さんは「店でおいしさを知ってもらい、地元の人が普段から食べるようになれば、捕獲数も増えるのではないか」と考えたという。2019年の同センター稼働後、中条や信州新町でジビエを活用して地域を盛り上げようとする動きが出ていることにも刺激を受けた。税込み850円。3月中ごろまで提供する予定。その後も冬季の限定商品などとして販売を続けたいとしている。

(甲州印伝に新風:山梨)
鹿革に漆で繊細な模様を施す山梨県の伝統工芸品「甲州印伝」に新しい風が吹いている。今年度の全国伝統的工芸品公募展で「印伝の山本」(甲府市)の工芸士、芹沢依子さん(37)の作品が最優秀の内閣総理大臣賞を受賞した。また、県なども新たな印伝ブランドの新製品販売に本格着手。県全体で伝統工芸の振興に取り組んでいる。「まさに伝統と革新の融合。県の伝統工芸の行く先を示すようなものになる」。1月13日に県庁を表敬訪問した芹沢さんの作品を手にした長崎幸太郎知事は感嘆の声を漏らした。伝統の技に現代生活で使われるためのアイデアや表現を導入した工芸品を評価する同公募展には全国から254点の応募があった。芹沢さんの作品「鳥獣人物戯画 袋物一式 まう・ねらい・かける・みなも」は、繊細な国宝絵巻「鳥獣人物戯画」の場面を漆模様で表現し、合切袋(がっさいぶくろ)やポーチなど4点1セット。小桜やトンボなどの柄が多い甲州印伝だが、芹沢さんは「肩の力が抜けるような遊び心をデザインに入れてみたい」と考え、美術品の要素を取り入れた。芹沢さんは「目で見て、手で触れて楽しめる。ありそうで無かった甲州印伝を作りたかった」と話した。一方、県内では害獣として捕獲した鹿革を活用した革製品の新ブランド「URUSHINASHIKA(うるしなしか)」の製品販売がスタートした。従来、鹿革製品は肌色に近い白色しか出せなかったが、県産業技術センターなどが開発し、白色度の高い加工に成功。県は他産地との差別化を図ろうと2017年、県内施設から供給された鹿革に印伝加工を施すなどした製品をURUSHINASHIKAとしてブランド化。製品化の検討を重ねてきた。製品化第1号は「甲州印伝スリーブ付きカップ」だ。「印伝の山本」とコーヒーチェーンの「スターバックスコーヒージャパン」(東京)が共同開発し、県内のスタバ8店舗で販売している。カップの熱伝導を防ぐスリーブに甲州印伝を用い、漆の凸凹感や手触りのほか、白色の光沢が特徴という。県内ではニホンジカによる深刻な農林業被害があり、管理捕獲を続けている。肉はジビエとして一部が流通されているが、皮の有効活用策として同ブランドには期待が込められている。県産業振興課の担当者は「シカの活用だけでなく、甲州印伝そのものの高付加価値化につながる取り組みだ。社会課題の解決と伝統工芸の振興が両立し、いい影響が出てくることを祈りたい」と話す。

(害獣レザーを加工:千葉)
千葉県が抱えるイノシシなどの有害鳥獣問題。農作物の被害額は年間3億円を超え、被害面積も300ヘクタール前後と高い水準で推移している。科学関連の講座や教材開発などを手がける一般社団法人、サイエンスエデュケーションラボ(SEL、千葉県柏市)は、そうした害獣のレザーを革製品や教材として活用するプロジェクトを始めた。害獣とされるキョンやイノシシ、シカなどは主に県央から県南部に生息。SELでは勝浦市や館山市などの猟師の協力を得て、駆除した動物の皮を剥ぎ、加工業者に委託してなめしている。駆除された害獣は放棄されたり、食用肉に活用される場合にも皮や骨は廃棄されたりすることが多いという。駆除件数を増やしつつ、放棄を減らそうと皮は猟師から買い取っている。なめした革はキーホルダーやアクセサリーに加工し、柏市の「道の駅しょうなん」や勝浦市の土産物店などで販売している。柏市のふるさと納税の返礼品にも採用された。さらに「次世代に課題意識や解決に向けた取り組みを引き継ぐには、害獣を取り巻く状況を理解してもらう必要がある」(羽村太雅代表)と、害獣について学べる教材を作った。それがブレスレットの手作りキットだ。材料となるイノシシなどの革は細いリボン状で入っており、ハサミですぐ切れるほどの柔らかさ。うっすら見える模様が1つ1つ異なり面白い。革やビーズ、革に穴を開ける道具のほか動物の生態や害獣の現状をまとめた冊子をセットにする。イノシシやシカの体の構造、皮や骨の特徴などは理科の学習に、レザーが手元に届いた経緯、害獣を取り巻く現状や課題は社会の学習につながるという。害獣が増えれば、地域の農業や生態系に大きな影響を及ぼしかねない。野生動物にエサをあげない、畑に野菜や生ごみを放置しない、ペットを放逐しない――。身近なところから意識や行動を見直し、将来的には害獣そのものを減らそうとの目標だ。対象は小学3年生以上としているが「むしろ大人にこそ学んでほしいテーマ」(羽村氏)。現在は試験販売中で、11日には購入者向けに害獣について解説するオンライン講座も開く。本格販売は2月末以降、1セット1980円で予定する。今後は販路を広げるとともに、対象の動物もアライグマやハクビシンなどに増やす方針。子どもから大人まで、楽しく手を動かしながら害獣の問題に目を向ける好機になりそうだ。

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(イノシシにかまれ男性けが:栃木)
31日午後4時半ごろ、小山市渋井の島田橋から1キロ北の思川右岸河川敷で同市、大工男性(55)がイノシシに右脚をかまれ、けがをした。小山署によると、男性は同日午前、イノシシによる農作物被害防止のため実施された野火焼きの残り火を点検していた。イノシシは体長約1メートルで、雑木林の中から現れ、男性をかんだ後、逃げたという。

(高校の女子トイレにシカが:神奈川)
29日午前10時20分ごろ、大井町西大井の県立大井高校で「シカが学校敷地内に侵入した」と松田署に通報があった。シカは校内のトイレに迷い込み、約2時間後に地元の猟友会などによって捕獲された。生徒や教職員にけがはなかった。地元猟友会によると、シカは目測で体長約130センチ、体重60~70キロの雄。角の長さは約60センチで7、8歳とみられるという。同校などによると、シカは午前10時ごろ、1階の窓を破り侵入。その後、改装工事中だった2階の職員用女子トイレに入り込んだ。職員らがベニヤ板などで入り口を封じて閉じ込め、午後0時半から猟友会や同署員ら10人がロープでシカの脚を縛って捕獲した。シカは近くの山に放された。同校には生徒約460人が登校しており、授業が一時中断したという。シカは人里に近い酒匂川周辺を生息域としていたとみられ、猟友会の髙橋和久さんは「前日の雨で川が増水して行動パターンが変わり迷い込んだのかも」と推測した。同校の八田直昭校長は「生徒にけががなくすぐに捕獲されてよかった」と振り返った。

(イノシシ1頭が豚熱感染:群馬)
群馬県は1日、昭和村で死亡した状態で見つかった野生イノシシ1頭の遺伝子検査を行い、豚熱(CSF)感染を確認したと発表した。県内の感染事例は計99頭となった。

(カラスやヒヨドリの死骸から殺虫剤の成分を検出:埼玉)
埼玉県狭山市で26、28日に計12羽死んでいるのが見つかったカラスやヒヨドリについて、県は29日、検査の結果、鳥インフルエンザは陰性で、殺虫剤などに使われる有機リン化合物「シアノホス」が検出されたと発表した。県みどり自然課によると、鳥の死骸は同市新狭山の三ツ木公園の生け垣や広場などで見つかり、通り掛かった人が通報した。県が、うち7羽について鳥インフルエンザ簡易検査と化学物質検査を行ったところ、鳥インフルエンザは陰性でシアノホスが検出された。

(鳴き声やドローンから観測、尾瀬のシカ調査:福島)
東大や福島大の研究者らが、本県など4県にまたがる尾瀬国立公園にある尾瀬ケ原に生息するニホンジカの数を、鳴き声やドローンによる観測から推定する手法を開発した。これらの手法で、600頭前後が生息していると今回初めて推定された。尾瀬ではニホンジカの食害が深刻で、研究チームは「将来的にはより精度の高い推定手法を開発し、シカの個体数管理のためのデータを提供したい」としている。東大生産技術研究所の沖一雄特任教授(52)や福島大食農学類の牧雅康准教授(45)らの研究チームが29日までに、計測手法などに関するスイスの国際科学誌「センサーズ」や国内の学会誌に発表した。環境省によると尾瀬ケ原にどれくらいニホンジカが生息しているか推定されたことはなかったという。今回の研究は2017(平成29)年度から3年間にわたって行われ、「フィーヨ、フィーヨ」という繁殖期のオスジカの鳴き声に着目した。複数設置したマイクロホンに届く鳴き声のタイミングのずれからシカの位置をリアルタイムに特定し、尾瀬ケ原全域のシカの分布を把握することに成功した。また、熱赤外カメラを搭載したドローン2台を飛ばし、約10平方キロの尾瀬ケ原全域のシカの数を把握する手法を開発。これまでのデータと組み合わせて生息数を推定した。研究チームは、人が踏み込むことによる自然環境への影響を最小限に抑えることができる調査だとしている。結果、鳴き声などによる推定では約550頭、ドローンの観測などによる推定では約630頭という数字が出た。沖特任教授は「この手法を尾瀬の植生被害を低減させるために役立てたい」と話した。牧准教授は「二つの異なる手法による推定で、比較的近い生息数に行き着いたことに意義がある」と指摘。その上で、「浜通りのイノシシの実態など、他地域の獣害対策にもこの手法を応用していきたい」と話した。

(公園で野生動物が異常行動、原因は大量のエサやりか:北海道)
札幌の円山公園で、野生動物が自然界では見られない異常ともいえる行動を見せ、北海道大学が実態を調べています。その結果1.5キロの遊歩道に、年間130キロも“あるもの”が撒かれていることがわかりました。札幌の中心部に近い市民の憩いの場、円山公園。国の天然記念物に指定されている原始林と、かわいらしい野生動物が訪れる人を癒します。北海道大学大学院農学研究院の花卉・緑地計画学研究室で公園の計画や維持管理を研究している愛甲哲也さんは、円山周辺の野生動物への餌付けの状況を調査しています。1月中旬、調査に同行するとこの日も木の洞や根元に、スーパーで売られていたと見られるクルミや公園には自生していないヒマワリの種が置かれているのが見つかりました。愛甲さんの研究室では6年前から遊歩道に置かれているエサの量や種類、人と動物との距離などを継続的に調べています。その結果、およそ1.5キロの遊歩道に年間で130キロものエサが置かれていることが分かりました。「周辺の三角山や旭山や藻岩山と比べるとかなり特殊な状態だ。ほかの場所で餌付けがないわけではないですけど、ヒマワリの種が散らばっているとかはない」と話します。さらに調査に同行すると直接手のひらから野鳥にエサをやる人がいました。北大のこれまでの調査で円山公園でエサやりを行う人は年間でのべ600人。多い日には1日に7人がエサをやっているのが確認されました。餌付けをしている人に取材をしましたが、話を聞くことはできませんでした。愛甲さんのこれまでの聞き取り調査では、餌付けの理由は都市化が進んで餌が少なくなり、生きる手助けをしたい、近くで見られて楽しい、かわいがりたい、写真を撮りたい、などが主だということです。「人との距離も短くて人への恐怖心もない動物が増えていく。さらに人があげたエサに依存していくので鳥の生態自体が変わってしま。一羽の鳥に起きた話だけじゃなく今度はその鳥を食べる他の鳥も集まってきたりして、森の生態系全部がおかしくなっていく」と指摘します。北大の調査結果を受けて公園には餌付けをしないよう呼びかける看板が立てられました。札幌市みどりの管理課の鈴木浩二課長は「野生動物や環境への影響が餌付けによって懸念される。エサやりはぜひとも自粛していただけるよう声掛けなどの啓発活動は進めていきたい」と話します。愛甲さんは「人間が本当にやってあげなきゃいけないことは、もともといるべき動物が生きていられるような環境を作ってあげたり、自然をできるだけ元に戻す努力をするべき」と訴えます。エサやりは動物を一か所に集めてしまい、そこにウイルスが入り込むと一気に感染が拡大してしまいます。動物から人に、あるいは人から動物に感染症が広がる可能性もあり、その意味でも動物を集めるエサやりは人にも動物にも良いことではないという認識が広がっています。

(イノシシによる負傷者が続出:新潟)
新潟県内でイノシシに襲われる人身被害が相次いでいる。28日にも上越市で1人が負傷するなど、今年度の負傷者は過去10年で最多の8人に上る。専門家は昨季までの暖冬から一転して大雪となったことが関係しているとみている。28日午前7時45分ごろ、上越市向橋の歩道で、70代男性が尻2カ所をかまれ、軽傷を負った。上越署によると、体長1メートルほどのイノシシが男性の前方から走ってきて、かみついたという。現場はJR上越妙高駅から北西約2キロの集落。イノシシは北西の金谷山の方向に逃げたとみられる。県鳥獣被害対策支援センターによると、今年度のイノシシによる負傷者は計8人。12月2人、1月6人で、糸魚川や柏崎などで被害が出ている。過去10年の負傷者は、2017年度の3人、12年度の2人のみ。いずれの年も大雪だった。負傷者が相次ぐ理由について、鳥獣害被害に詳しい長岡技術科学大の山本麻希准教授(49)は「ここ2年の暖冬で数が増えたうえに、積雪でエサを十分にとれない個体が人里に出てきているのでは」と指摘する。昨季もその前も少雪のため、イノシシは冬場でも地中のヤマイモやクズの根を掘り出して食べることができ、飢えずに個体数が増加。大雪となった今季は、山沿いを中心に雪が多く積もったため、エサを求めて除雪された市街地に出るようになったとみる。同センターによると、イノシシは本来臆病な性格だが、人と遭遇してパニックになると、突進したりかみついたりするという。近づかず、エサとなるものを屋外に放置しないよう呼びかけている。

(イノシシ被害を防げ、ビッグデータ活用した実証実験:広島)
近年増加するイノシシ被害を防ぐため、ビッグデータを活用した実証実験が福山市で始まりました。福山市で始まったのはイノシシの目撃情報などをビッグデータとして蓄積し、生息分布を地図上で確認できるようにする実証実験です。福山市ではイノシシが生息する場所と住宅地が隣接している地域があり、最近は市街地での目撃情報が増加傾向にあります。これまでイノシシが生息する場所は猟師などの経験に基づいて推測してきましたが客観的なデータを集め可視化することで罠の設置場所など、効率的な対策への活用が期待されます。

(コロナ禍のカラス対策、鳴き声加工で:熊本)
コロナ禍でのカラスの被害。鳴き声を加工して追い払いました。新型コロナウイルスの影響で巣ごもり生活が続き、家庭ごみが増えるなか、熊本市では市街地でカラスが飛び交い、糞(ふん)をしたりごみを荒らすなどの被害が相次いでいました。こうしたなか、対策としてカラスが警戒した時の鳴き声を加工して拡声器で流したところ、カラスが9割ほど減りました。熊本市鳥獣対策室・大塚一徳室長:「人が住むところとカラスが住むところを分けるところに最終的に持っていければ」今後はカラスの移動先についても調査も進めるということです。

(「カラスがワナに…」悩める農家:神奈川)
「農園にカラスを捕獲するワナがあるが、中でカラスが死んでいて心配です。行政が管理しているのでしょうか…」。横浜市の市民農園で野菜を栽培しているという男性(70)から「追う! マイ・カナガワ」取材班にこんな声が届いた。現地を訪れて取材を進めると、都市部の農家が抱える苦悩が浮かび上がった。1月上旬、ワナが置かれている横浜市郊外を訪れた。市民農園は市が設置し、趣味で野菜や果物を作る市民約500組に貸し出されている。「カアー」と鳴き声が響く。顔を上げると、電線に止まる“黒い影”が見えた。男性から送られた画像を頼りに、ワナを見つけた。木枠に金網を取り付けた造りで、天井にある入り口の周囲には針金がつるされ、中に入ったカラスが、羽が当たるのを嫌がって出られなくなる仕組みだ。近づいて視線を下げると死骸が2羽、目に入った。掲示には「横浜市」や「JA横浜」などの文字が並んでいた。管理者を特定するため、各方面に問い合わせてたどり着いたのは、意外にも地元の農家だった。再び現地を訪れた。ワナが置かれていたエリアには、市民向けの農園だけでなく、地元の農家の畑も隣接して並んでいた。ワナを管理しているという兼業農家の男性(72)に話を聞いた。キャベツやハクサイなどを近くの直売所などで販売しているというが、「カラスには長年悩まされてきた。農家としては捕獲などの対策をせざるを得ない」と打ち明けた。カラスは手塩にかけて育てた農作物を食い荒らす。トマト、キュウリ、ナスなどがよく狙われ、以前は個々の農家がネットで囲って対策していたが被害が悪化。約70軒ある農家で話し合い、10年ほど前に市の許可を得て「箱わな」を設置した。各農家が交代で見回り、週に何度か片付けていたという。「他地域のカラス。いわばよそ者を数羽、ワナの中に入れておく。すると、この辺りのカラスが、よそ者を追い払おうと入ってくる」。男性はワナについてそう説明したものの浮かない顔だ。理由を聞くと、「入れておいたカラスが最近、アライグマかハクビシンの餌食になってしまって…」と悔しさをにじませた。ワナにはカラスの餌としてパンの耳を置いていたが、それを狙った野生動物に侵入され、カラスも餌食になったという。針金の仕掛けも、アライグマやハクビシンには意味をなさなかった。「今カラスを入れてもまた同じことになるし、これといった対策が見つかっていない」と一時的にワナの使用はやめているという。取材中、兼業農家の男性が「話を聞きたいと言われて、動物愛護関係の苦情かと思った」とこぼした。一帯は大規模な住宅街から近く、散歩コースにしている住民もおり、中には事情を知らずにワナを見て動物虐待のように感じる人もいるのだという。住宅街に近接していることで生まれた誤解なのだろう。男性は「ここの農家はみんな漁業などとの兼業で売り上げもわずか。それを守るための対策だと理解してほしい」と訴えた。「ワナの中でカラスが死んでいる」。そんな声から始めた取材で、都市部の住宅街に近い場所で農業を営む難しさを知った。カラスの被害を知らない住民が、ワナを不審に思うのは無理もない。一方で農家のカラス被害の悩みは切実だ。相互の理解が進むことを願わずにはいられなかった。

(イノシシ防護柵を一斉点検:広島)
尾道市瀬戸田町の高根島の住民が31日、イノシシ対策の防護柵を一斉点検した。農作物被害を防ぐため、高根地区猪(いのしし)対策協議会が15年前に島の中腹を囲んで設置した1周約15キロの柵を中心に、破損がないか確認した。

(カワウの食性調査1年:長野)
信州大学理学部付属湖沼高地教育研究センター諏訪臨湖実験所(諏訪市)の笠原里恵助教(44)=鳥類生態学=が、諏訪湖や周辺河川に生息する魚食性鳥類カワウの食性を魚の骨といった未消化物の塊「ペリット」やふんを用いて調べている。食性調査を通じ、諏訪湖や河川の水中と水上の生態系の研究に役立てる。今年は並行してマイクロプラスチックの水鳥への影響も調べる方針だ。カワウの食性調査は2020年1月に開始し、今年1月でちょうど1年が経過した。漁業に対する食害が問題化しているカワウは漁期や釣りのシーズンに合わせた食性調査はあるが、年間を通じた調査は国内では05~06年に琵琶湖で行われたのみ。諏訪湖の結氷の影響を調べるため、今冬と湖が凍らなかった昨冬との比較も研究対象とした。諏訪湖の魚と魚食性鳥類との関係のような水中と水上の関係性の調査は水中の生態系と比べると、研究例は少ない。例えば、湖の主要水産資源のワカサギに対するカワウの食害が問題とされている一方で、ワカサギを捕食する外来生物のオオクチバスを主に食しているとの指摘もあり、はっきりとした裏付けはないという。マイクロプラスチックの調査は昨年10月、水鳥の観察のため湖上に設置したカメラの上に落ちていたペリットの中から約1センチ角のプラスチック破片が見つかったことを機に、調査の必要性を認識するようになった。笠原助教によると、海と比べ、湖沼のマイクロプラスチックに関する調査は全国的にもあまり進んでいないという。県環境保全研究所(長野市)は昨年、諏訪湖の湖底からマイクロプラスチックが見つかったことを明らかにした。笠原助教は「諏訪湖の生態系を理解する上では、水中と湖の外にいる鳥との関係も見ていく必要がある。海だけでなく湖や川に生息する鳥に対するマイクロプラスチックの影響も調べたい」と話している。

(鹿の新施設整備にクラウドファンディング活用:千葉)市原ぞうの国(千葉県市原市)は、同園で飼育する鹿のための施設を造成する資金をクラウドファンディング「キャンプファイヤー」で2月14日まで募集している。同園は、丸太を使った動物の展示や子どもが遊べるアスレチックなど、人と動物がともに楽しめる施設「MAZEOO(メイズー)」を新設するなど、3月にリニューアルオープンを予定している。鹿のための施設(名称=ケープの森)はメイズーの中に設置する。樹木で鹿が適度に見え隠れする空間を創出。もともと野生だった鹿が安心して暮らせる環境を整備するという。500万円を目標に募集。支援者にはオリジナルTシャツや鹿の落ち角をリターンとして贈る。

(自然博物館で「カモシカに大接近」展:和歌山)
今年の干支(えと)にちなみ、ウシ科のカモシカにスポットを当てた企画展「特別天然記念物 カモシカに大接近」が現在、和歌山県立自然博物館(海南市船尾、TEL 073-483-1777)の第2展示室で開催されている。同展ではカモシカの全身骨格標本1点と頭の骨格標本3点、比較用にニホンジカの頭の骨格標本3点を展示。カモシカの角は雌雄ともに生え変わらないことやニホンジカは上顎(じょうがく)に犬歯があることなどを紹介する。このほか、カモシカの写真、ニホンジカとの特徴の違いや特別天然記念物になった経緯を解説したパネル4点を展示する。カモシカは偶蹄目(ぐうていもく)ウシ科の動物で、本州、四国、九州に生息する日本固有の哺乳類。岩場や急斜面のある森林に住み、低木の葉、芽、小枝、花、実などを食べる。九州、四国、紀伊山地、鈴鹿山地のカモシカは、環境省レッドリスト2020年で「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている。カモシカとニホンジカの骨格標本の展示は、身体的特徴や分布状況を解説。県内のカモシカの死亡例を紹介するパネルには、病気や崖からの転落のほか、交通事故や害獣侵入防止用の網によるものなど、人間の活動に起因する事故等が143件中72件と半数を占めることを説明する。館内の「保全上重要なわかやまの自然」コーナーでは、ツキノワグマやクマタカなどとともにカモシカの剥製を展示する。学芸員の佐々木歩さんは「カモシカの骨格標本や角の鞘(さや)から、けがをした形跡や年齢を推定できる。ニホンジカの骨格標本と見比べ、生態の違いを観察して楽しんでほしい」と話す。「報告してくれる人が多い可能性もあるが、和歌山はカモシカの死体発見数が多い。日本固有の動物であるカモシカに思いをはせ、人間の活動による動物たちの事故防止に目を向けてほしい」と話す。

(深刻な鳥獣被害、駆除と共に「すみ分け」も)
シカやイノシシなどの野生鳥獣による農作物や森林への被害が依然、深刻だ。鳥獣被害は農林業を続けていく意欲を従事者から奪い、耕作放棄や離農につながる。森林の管理も行き届かなくなる。地域の活力を減退させ、災害を防ぐ力を弱めることにもなり、九州をはじめ地方部に共通の問題となっている。このままでは過疎が進み、さらに悪化する悪循環に陥る地域も出かねない。食い止めるため官民一体で知恵を絞りたい。農林水産省によると、2018年度の鳥獣による農作物の被害額は158億円、森林の被害面積は約6千ヘクタールに上った。最大の要因はシカやイノシシがここ30年ほどで急増したことだ。シカは17年度、244万頭(北海道を除く)と推定され9倍増に、イノシシは同じく88万頭で3・5倍増にもなった。背景には、高齢化に伴う狩猟者の減少、過疎が進んで耕作放棄地や手入れの及ばない里山が増え、生息域を広げていることなどがあるという。国は08年、鳥獣被害防止特措法を施行し、侵入防止柵設置費の8割助成など対策を強化してきた。13年にはシカやイノシシの生息数を23年度までに11年度比で半減させることを目標に定め、改正法で駆除後の肉を食用にするジビエ利用を促す施設整備などを追加規定した。これらの成果もあって、被害額は10年の239億円をピークに減少傾向にあるが、なお高い水準で推移している。鳥獣による農作物被害額が北海道に次いで多い福岡県では、駆除したシカやイノシシの解体・加工施設や特産品化に取り組む団体が協議会を設置し、解体法の統一や指導、肉の融通などで協力している。そうした団体は概して小規模で、人手不足などもあり、十分な活動が難しいケースも少なくないという。官民を問わない人的支援の検討が急務だ。加えて、駆除を効果的にするため研究が進む遠隔監視によるわなや、移動式解体処理車などの新技術も生かしたい。国は18年、ジビエの認証制度を制定し、衛生管理や解体法、出荷元の明確化などを客観的にチェックできるようにし、消費拡大を後押ししている。ただ駆除した鳥獣全体をジビエの拡大で処理するのは無理がある。福岡市中心部で昨年末、野生ザルが迷い込む騒ぎがあった。開発が進み、野生動物と人間社会との距離が近くなっている証左だ。鳥獣被害を防止の観点で捉えるだけでなく、人間と野生動物の生存圏を上手に「すみ分け」するなど自然との適切な関係を考える契機にもしたい。

(市街地の電線上を歩くサル:福井)
みなさん、元気にしていなサル?―。福井県大野市役所周辺を“散歩”するニホンザルの姿が2月1日、福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)に寄せられた。市農業林業振興課によると、サルは越前大野城が建つ亀山に2020年から1匹ですんでいる。特に悪さはせず、亀山周辺の地域では、民家の屋根や赤根川にいる姿が度々見られている。この日は少し足を延ばして、天神町を訪れた。スルスルと身軽に電線上を歩くサルの姿を、近くに勤める男性が写真と動画に収めた。男性は「まさかいると思わなかった」と驚いていた。サルは周辺を見回った後、亀山に“帰宅”したとみられる。

(ヒグマとの共存を考えるパネル展:北海道)
ヒグマとの共存のあり方などを市民に考えてもらうためのパネル展が、札幌市で開かれています。このパネル展は道が主催したもので、会場の札幌市中央区の書店ではヒグマの生態や被害を防ぐための心得などをまとめた30枚のパネルを見ることができるほか、ヒグマに関する書籍や写真集が販売されています。パネルでは、人との接触を避けるはずのヒグマが生ゴミの不法投棄などが原因で人里に近づくようになっていることなどをイラストを交えて説明しています。訪れた男性は「気になって足を運んでみた。最近は札幌市にもヒグマが出没して駆除されるが、クマにも生きる権利があるんだなと思った」と話していました。道自然環境課の鴨田真伍さんは「このパネル展がヒグマへの理解を深め、被害を未然に防ぐために何ができるのかを考えるきっかけになってほしい」と話していました。このパネル展は、2月4日まで「紀伊國屋書店札幌本店」で、最終日をのぞき午前10時から午後7時まで開かれています。

(えさやり禁止、シカるべし:奈良)
国の天然記念物「奈良のシカ」にスナック菓子などの不適切な餌やりをする人が増えているとして、県と奈良の鹿愛護会は1日から「えさやり禁止キャンペーン」を始めた。この日は奈良市の奈良公園で「STOP!えさやり」と書かれた看板を設置し、観光客らに啓発チラシを配った。

(広めるぞジビエ、食肉処理施設オープン:岐阜)
池田町本郷で新聞販売所を営む内田誠逸さん(72)が、シカやイノシシを食肉処理する施設「岐阜ジビエ工房」を店舗敷地に開いた。郷土の恵みを全国に販売しようという取り組みで、「池田山のジビエを発信し、地域活性化につなげたい」と意気込む。地元の自治会長を務めていた際、住民からハクビシンやアライグマが畑や家を荒らすと相談を受けた。何とかしようと独学で猛勉強し、2017年にわな猟免許を取得した。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、わなの作製法や設置方法も学んだ。池田山で年に数頭のシカを捕獲するようになったが、町内には、ジビエ肉を販売するために必要な食肉処理施設がなく、自家消費するしかなかった。「獣害を考えると駆除は必要だが、大切な命を多くの人においしく食べてもらえないか」と考え、昨年5月から施設の開設を計画。再利用の資機材などを集め、倉庫を自前で改装して、保健所の営業許可を得た。県からは、施設整備で一部助成も受けた。狩猟技術を次代へ継承しようと、県内外の30、40代を中心としたグループ「美濃國(こく) 池田山ふるさと工房」も組織する。今春に約10人で設立総会を開く予定。ジビエの流通だけでなく、山菜や工芸品の販売などにも取り組むという。施設では、メンバーが県のガイドラインに沿って、シカやイノシシを解体処理する。本格稼働はこれからで、食肉の流通は1年後の予定だが、既に近隣の都市圏など複数の飲食店から納入依頼も来ているという。内田さんは「いくつになっても挑戦はできる。池田山の魅力を全国にアピールしたい」と話している。

(味を追究、野生イノシシ肉を加工:栃木)
イノシシによる農作物被害に頭を悩ませてきた栃木県那珂川町は、福島、茨城の3県にまたがる八溝(やみぞ)山系で捕獲した野生のイノシシを食肉に加工し、地域の特産品「八溝ししまる」として売り出している。昨今のジビエブームに先駆け、安心安全なイノシシ肉の加工に取り組んできた町営の加工施設を訪ねた。真っ白な調理台に置かれた一抱えもある巨大な肉の塊を、慣れた手つきでさばいていく。野山を走り回るイノシシは筋肉が発達していて筋が硬い。解体を担当する原田正行さん(73)は「ジビエは飼育されたものと異なり1匹ずつ肉質が違うので、とても気を使う。どうしたらおいしく食べてもらえるか、毎日が勉強です」と笑顔をみせた。

(ジビエ、新たな販路:岐阜)
ジビエ(狩猟で捕獲された野生の鳥獣)業界が、新たな販路を拡大している。その一つがペットフードだ。本巣市佐原の里山ジビエ会では、主にペット用として、この五年間でシカ肉の需要が急増した。新型コロナウイルスによる需要減も相殺するほどの売り上げとなっており、新たな市場として期待されている。本巣縦貫道を北上すると、山に囲まれた根尾川沿いにシカ肉を加工する施設がある。この施設には年間約千三百頭のシカが生きたまま運び込まれ、うち七割がペットフード向けの肉として出荷される。血抜きをして皮をはぎ、熟成庫で約三日間保存。骨を取り除いて肉に加工し、市内直売所や取引先へ卸す。生きたまま血抜きをすることで獣肉独特の臭みや硬さが消えるため、施設では生体搬送にこだわっている。施設はもともと、鳥獣害対策の一環として二〇一六年に建設された。ジビエ会の近藤正男代表理事(77)は「シカのほとんどが殺処分するしかなかった」と振り返る。焼却場を造るのにもお金がかかる。「では食べてもらおう」。施設の建設に踏み切った。開業当初の売り上げは年間二百万円ほど。ホテルやレストランに卸すだけでは出荷頭数に限界があった。

(鹿肉料理が味わえる古民家レストラン:兵庫)
丹波の豊かな自然に囲まれた三尾山のふもとにある農村の古民家を改装したレストラン「無鹿リゾート」をご紹介。鹿肉料理専門店として2010年に誕生した同店は、「丹波の野菜と鹿料理 無鹿」から「無鹿リゾート」に屋号を変更し2018年9月にリニューアル。野菜ソムリエでもあるシェフが、地元丹波の旬の野菜や山川の食材を用いて織りなすこだわりの鹿肉料理が堪能できます。時間を忘れてゆったりと料理を楽しんで欲しいと、レストランに加え、新たに1日1組限定の宿泊施設が設けられました。レストランでは、野菜6種と鹿肉3種の前菜盛り合せ、本日の野菜と鹿肉のメイン、有機野菜のスープ、ご飯、デザート、ドリンクがセットになった「無鹿のコース 2,800円(ランチ)」や、メインが2品ついた「森の恵みコース 3,800円(ランチ・ディナー)」が味わえます。そのほかディナーでは、ボリューム満点のコースや、シンプルに鹿肉の美味しさが味わえる「しかくぃ鍋(要予約)」、地酒純米酒の酒粕で作る冬季限定の「白鹿鍋」、ボタン鍋などが用意されています。

(ご自宅に超希少な「天然クマ味噌鍋」をお届け:東京)
豊富なジビエや希少肉を扱う居酒屋「米とサーカス」(高田馬場本店/渋谷PARCO店)・新宿1の肉の品揃えを誇るジビエ肉バル「パンとサーカス」(新宿三丁目)は1月23日(土)より、新たなテイクアウトデリバリーサービスを開始しました。「米とサーカス」では紅葉鍋(エゾシカ)、牡丹鍋(イノシシ)、熊味噌鍋(ヒグマ)、穴熊味噌鍋(アナグマ)の4種の天然ジビエを使った「獣鍋」を。 「パンとサーカス」では店舗で挽いたエゾシカ肉を80%使用した「鹿ハンバーガー」を提供。緊急事態宣言発出中の現在、少しでもおうち時間を楽しく過ごしていただけるよう、心を込めてお作りしています。

(「ジビエ」や「こうじ甘酒」を使用した特別メニュー:奈良)
明日香村で、明日香村の恵みをうけた「ジビエ」や「こうじ甘酒」を使用した特別メニューが楽しめるキャンペーンが開催されます。「明日香の恵み、いただきます。」と題したイベントで、村内のたくさんの飲食店さんが参加されます。

(カレー店も営む猟師:長野)
岐阜県から五年前に飯田市南信濃に移住した木股玄登さん(29)が、猟師として山を駆け巡ったり、古民家改修をしたりと、地域の特性を生かし、自分らしい暮らしを追い求めている。二〇二〇年から市内のカフェなどを間借りした週末限定のカレー店も開き、盛況だ。みそや漬物を販売する創業百十三年の老舗蔵元「稲垣来三郎匠」(同市上郷黒田)。店の奥に踏み入ると、日本の伝統食品とは別のスパイスの香りが漂う。木股さんが経営するカレー店「HIBI CURRY(ヒビ・カリー)」は、同蔵元で毎週日曜日営業している。今月二十四日に訪れると、十一時の開店直後から列ができ、二時間後には深い鍋の底が近づいて売り切れ寸前だった。木股さんは、会員制交流サイト(SNS)などを見て訪れた客にオリジナルのスパイスカレーとライスを笑顔で手渡す。カレーを食べた後、地元の老舗蔵元の漬物などを購入して帰る客もいるという。木股さんは岐阜県土岐市出身。大学休学中に、祖父からもらったキジバトをさばいたのをきっかけに狩猟に興味を持った。一六年、そのまま大学を中退し、南信濃に移住して、介護職の傍ら猟師になった。

(最高級猪肉の鍋セットを通販で:兵庫)
日本の3大猪肉名産地である丹波篠山では11月に猪猟が解禁となります。まさにいま「ぼたん鍋(猪鍋)」のベストシーズン。例年2か月待ちのケースもあるほどのぼたん鍋の名店「丹波篠山 囲炉裏料理 いわや」をご紹介します!猪肉ってなんとなくクセが強いのでは?という心配は無用。同店の店主は、毎日、猪問屋に出向きます。全体の容姿、脂の質や乗り具合、毛並み、罠のかかり跡、鉄砲玉の入り部位や角度、オスメスの判定、未経産かそうでないか?等など、約30年の経験を元に1頭買いし、生肉を一枚一枚手切りでスライスして皿盛りするというこだわりよう。甘くて柔らかくクセも少ないと評判なんですよ。現在の状況でなかなかお店に行けない方のために、最高級の猪肉を自宅でも楽しんでもらおうと、お取り寄せセットの提供が始まっています。約4人前で猪肉500グラム、新鮮野菜(白菜、山の芋、椎茸、ネギ、水菜、大根、コンニャク)特製味噌、山椒がセットになっており、すぐにおうちで同店の味を堪能できますよ(※商品は全て冷蔵です)。いわや名物の〆、玉子乗せご飯の主役、「丹波与作米」も別途販売しています。店主自ら育てたコシヒカリは、甘み、粘り、香りに優れ、良質米部門において「県知事賞」を受賞しています。この機会に最高級のぼたん鍋を自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか。

(獣害対策・ジビエ普及へ「しし鍋定食」:長崎)
獣害対策とジビエ(野生鳥獣肉)普及を狙った「しし鍋定食」が1日、諫早市役所本館2階の食堂「レストランながえ」に登場した。市農林水産部と連携した取り組みで、26日まで。しし鍋定食は、800円。猟師のアドバイスを受け、みそダシに仕立て、白菜、ニンジン、ゴボウ、サトイモが入り、ユズゴショウで味わう。

(米最強のロビー団体、全米ライフル協会が存続の危機に陥った理由)
増え続ける非白人を脅威に思う地方の貧しい白人層に働き掛け、共和党の政治家には多額の献金──アメリカ政治に絶大な影響を及ぼしてきたNRAが窮地に追い込まれている。全米ライフル協会(NRA)は過去40年間、アメリカ政治と共和党に最も大きな影響を与えてきたロビー団体と言えるかもしれない。毎年約4万人が銃で命を落としているにもかかわらず、多くのアメリカ人が銃を「自由」の象徴と見なしているのは、NRAの力によるところが大きい。だが今、NRAは最大の試練に直面している。1月15日、NRAはニューヨーク州司法長官が起こした訴訟から逃れるため連邦破産法11条を申請し、登記先をニューヨークからテキサス州に移転すると発表した。合衆国憲法が保障する個人の「武器を保有する権利」を声高に主張する強硬派がNRAの主導権を握ったのは1977年。彼らはそれ以来、銃規制は「全ての個人の自由」を奪う行為だと主張してきた。NRAの影響力は絶大だ。会員数は自称500万人。年間予算は約3億ドル(2013年)。アメリカには現在、人口100人当たり121丁の銃があり、所有率は世界で最も高い。銃による年間の死者は、比率で言えば他の先進国の25倍に達する。それでも「武器を持つ権利」への支持は過去20年間で34%から52%に上昇。逆に銃規制への支持は57%から46%に低下した。その力の源泉は恐怖とマネーだ。NRAは人種や国籍、文化の多様化が進む都市部の非白人に脅威を感じる地方の貧しい白人層に働き掛け、銃を彼らのアイデンティティーの一部とすることに成功した。さらに銃規制支持派の40倍以上の金を使い、何百人もの共和党政治家に多額の寄付を行ってきた。現在、民主党支持層の91%と無党派層の59%が銃規制強化に賛成しているが、共和党支持層の賛成は32%にすぎない。そのNRAが今、149年の歴史で最大の窮地に追い込まれている。原因は上層部の腐敗と財政難、銃規制派の法的戦略だ。ここ数年、NRAでは30年前から副会長を務めるウェイン・ラピエールの資金流用疑惑が取り沙汰されてきた。団体の資金をデザイナー仕立てのスーツや自分用の豪邸、贅沢な海外旅行、豪華なヨットにつぎ込んでいたというのだ。しかも、同時期にNRAは収入が大幅に落ち込んだ。そのため2016年には5440万ドルを共和党候補に献金を行っていたが、2020年の献金額は920万ドルに激減。NRAは20%の人員を一時解雇し、週休3日制の導入を決めた。アメリカの裁判所は数十年間、「武器を保有し携行する国民の権利を侵害してはならない」という合衆国憲法の規定に基づき、銃の所有権をおおむね支持してきた。だがラピエールの資金流用疑惑とNRAの財政難が、銃規制派にチャンスを与えた。ニューヨーク州のレティシャ・ジェームズ司法長官は2020年8月、ラピエールら上層部の不正を組織的腐敗の証拠に挙げ、NRAの解散を求める訴訟を提起した。NRAは形式上「非営利の慈善団体」であり、団体として登録されているニューヨーク州の司法長官に監督権限がある。この攻撃はNRAにとって致命傷となりかねない。彼らは司法の追及から逃れるため、1月中旬に破産を申請。ニューヨーク州当局による政治的迫害を主張してテキサス州での再法人化を申請した。しかし、この作戦は失敗に終わったようだ。ジェームズ州司法長官は、「NRAが説明責任とわれわれの監視を逃れることを許さない」と明言。ニューヨーク州の判事は1月21日、NRAによる訴訟棄却の訴えを却下し、NRAが再法人化してもニューヨークでの訴訟は継続するとした。証拠を見る限り、NRAの不利は否めない。もし1977年以降に銃で殺された150万人が陪審員席に座っていたら、評決の結果は言わずもがなだろう。

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