<射撃ニュース2月>
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(アジア競技委、県射撃場の整備可能性を検討:愛知)
愛知・名古屋アジア競技大会組織委員会は、第20回アジア競技大会射撃会場における競技実施可能性検討業務を進めている。アジア競技大会で射撃会場として仮決定した愛知県総合射撃場について、競技実施に必要な要件などを整理し、整備内容を提案する。

(ニホンカモシカ、初確認:兵庫)
兵庫県内で未確認だった国の特別天然記念物「ニホンカモシカ」が同県猪名川町内に生息していることが分かった。人里近くの急斜面にいた体長1・3メートルほどの1頭を望遠レンズで撮影した。県自然環境課は「どこから移ってきたのか、はっきりしたことは分からない」としている。ニホンカモシカはウシ科の日本固有種で、雄雌共に頭部に十数センチの角があり、黒褐色や灰褐色の体毛をしている。成獣の体重は約40キロ。東日本や四国、九州などの主に険しい山岳地帯に生息するが兵庫県では確認例がなく、京都府は最新版のレッドリストで「絶滅寸前種」に指定している。猪名川町では昨年12月から住民による目撃情報が相次ぎ、町教育委員会が同月14日に1頭の生息を確認した。雄か雌かは分からず、子どもとみられる。保護のために詳しい生息場所は公表しないという。草や木の葉を食べる姿を撮影すると、シャッター音に反応してじっとこちらを見つめたが、しばらくして再び食事を始めた。ニホンカモシカ4頭を神戸市立王子動物園と共同飼育している神戸市立森林植物園の岡本佳菜子副園長(37)は「本来は山深い所で暮らしている動物。今は静かに見守ってほしい」と話した。

(激減カモシカ保護管理計画案:大分)
県内で数が激減している国の特別天然記念物ニホンカモシカについて、大分県は飼育による繁殖も将来的な視野に入れた保護管理事業計画案をまとめた。2019年度までの調査で県内の生息数は7~28頭と推定され、存続が厳しい状況にある。最終的には県内での増加傾向に持ち込み、安定的に生息できる状態をめざす。3月15日まで県民の意見を募っている。ニホンカモシカは、県内では佐伯市、竹田市、豊後大野市の祖母・傾山系を中心に生息しているとみられている。ただ、生息域が人里近くに移っているとみられており、計画案では、まず生息状況の把握に最優先に取り組み、緊急的対応として絶滅回避を目標とする。聞き取りやフンの調査、自動撮影などによる行動追跡で現状を把握し、個体数や行動範囲、どのような環境を好むかなどの情報を蓄える。中期的には、減少傾向に歯止めをかけるため、安定的な生息に必要な環境の維持や、存続を圧迫する要因の除去や軽減を図る。シカとの競合でエサとなる植生が奪われていることも減少の要因とみられるため、生息に適した森林を育成。人為的な死傷も極力避ける必要があるとして、シカのわなにかからないような工夫を狩猟団体や林業団体などの関係者に要請する。長期的には保護区の設定や、飼育による繁殖や野生復帰も検討する。九州山地全体でも個体数が減っているため、分布が分散して遺伝的多様性が失われることによる絶滅の危険性も考慮。専門家の意見を踏まえ、繁殖の必要性を検討する。保護管理事業計画は、県希少野生動植物保護条例に基づいて策定する。これまで植物4種とカブトガニについて、計画に基づく保護管理が進められている。

(シカと人間、どう関わる?:京都)
京都府南丹市日吉町中世木で23日、シカを題材にしたイベントがあった。参加者はシカを捕らえるわなの仕組みや猟師が高齢化している現状、さまざまな味わい方ができるシカ肉の特徴を聞き、獣害の現状やジビエ(野生鳥獣肉)への関心を深めた。住民でつくる中世木ビジョン委員会が猟や獣害について知ってもらおうと開催。南丹、亀岡市から20人が参加した。地元でわな猟を手掛ける男性が講師となり、地域の野生動物についてシカによる被害が多いのに加え、近年はアライグマも目立つと述べた。豚熱(CSF)の広がりで、最近はイノシシが減っていることも伝えた。男性は「猟師が高齢化している。免許を取る人が増えてほしい」と話した。

(グラつくリンゴの若木、野ネズミの被害が深刻化:福島)
年間、数十トンのリンゴを出荷している福島県福島市の阿部幸弘さん。果樹園やまと・阿部幸弘さん:「およそ2か月間、雪と氷の状況があったもんですから、ここにきて野ネズミによる被害が甚大だっていうことがわかりました」。ぐらつく若木の原因は…野ネズミによる食害。果樹園やまと・阿部幸弘さん:「もう完全にかじられてしまって、本来であれば根っこの色って木の肌の色なんですけど、中の肌が見えていますから。根っこの機能がないですね」。ネズミにとって雪の層が天敵のネコやキツネから身を守る隠れ蓑となり、被害が拡大。ネズミが嫌う匂いを散布するなど対策はしていたが、100本ほどの若木のうち半分が食害にあっているとみられ、被害額は現状だけでも50万円に上るという。収穫まで10年かかるというリンゴの木。今後、懸念されるのが…果樹園やまと・阿部幸弘さん:「10年20年先を見据えて作っているんですけれども、(将来的に)品質の良いものの生産量が減るということと、あとは古い木ばかりになるますと生産量も落ちてくるんですよね」。被害が確認された5年目までの若木は伐採するしかなく、長期的に影響が出てくる心配がある。果樹園やまと・阿部幸弘さん:「来年も降らないという保証はありませんので、また今回の失敗を糧にして。まもなく東日本大震災から11年になりますけれども、ああいう被害を経験していますので乗り越えないものはありません。実質的に今回かなりの被害になりましたけれども必ず乗り越えていきますから」。

(ハクチョウ麦食害、米作付け減が影響?:島根)
島根県東部にある宍道湖、中海周辺に飛来したコハクチョウが、松江市で栽培する小麦を食害していることが分かった。これまで食害はなく、水稲の作付け減を要因に挙げる関係者もいる。コハクチョウは3月中旬までとどまるため、農家は作柄への影響を心配する。食害を確認したのは、農事組合法人佐々布農産が30ヘクタールで栽培する小麦。コハクチョウは10月中旬に飛来。早朝になると、約100羽が、同市宍道町昭和新田地区に現れる。昨年末までは田で落ち穂を食べていたが、麦畑に移動し、20センチ近くに生育した小麦の先端を食べ始めた。追肥作業を始めた同組合理事の三島正さん(66)は「麦の食害は初めて。出穂期にならないと被害額は見通せない。収入保険での補償が頼りだ」と話す。県東部農林水産振興センターによると、小麦はコハクチョウが好んで食べる作物ではない。要因は「圃場(ほじょう)整備などで水稲作付け減少といった、生育環境の変化が考えられる」と推測。飼料用などを含め水稲の早生系品種が減少し、餌となる「ひこばえ」が減っているとみる。隣の出雲市でも、約100羽の一群が麦に口ばしを入れる姿が見られている。

(知事が語る、“狩猟”に尽力する取り組みとは?:群馬)
本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保が、リスナーのみなさんと「社会人の働き方・生き方」を一緒に考えていくTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。2月限定(全4回)の毎週木曜日のコーナー「スカロケ狩猟部」(18:40頃~)では、講師を毎回お迎えし、リスナー社員のみなさまに“狩猟”の魅力をお伝えしていきます。2月17日(木)の放送では、お休みのやしろ本部長に代わり、お笑いコンビ・東京ダイナマイトの松田大輔本部長代理が番組を担当。群馬県知事の山本一太(やまもと・いちた)さんをリモートゲストに迎え、群馬県の狩猟事情や取り組みについて、お話を伺いました。浜崎:今回は、山本知事に群馬県の“狩猟”についていろいろと伺いたいと思います。群馬県は、狩猟に力を入れているとのことですが、そのきっかけはなんだったのでしょうか?山本:群馬県は本州最大の養豚県なんです。ところが、群馬県の養豚場で豚とイノシシの病気である豚熱の感染が何度も起こっていまして、養豚農家にとっては本当に大きな被害となっています。しかもそれが、野生のイノシシを介して、県内に広がっていることが分かったんです。ですので、とにかく群馬県にとって大事な産業である養豚業を守るためには、野生のイノシシを捕獲しなければいけないということで、そのために、まずは狩猟者を増やすことが大事だと考えたのがきっかけです。松田:それだけ被害が出ているということですよね。浜崎:実際、農林業の被害はどのぐらいあるのでしょうか?山本:例えば、2020年度の被害額で言うと約5億6,000万円になっておりまして、依然として高いんです。特にシカとイノシシによる被害が多く、シカとイノシシだけで全体の78%を占めている状態です。浜崎:具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?山本:養豚業を守るためには、野生のイノシシを戦略的に捕まえていかないといけないので、いわゆる捕獲の担い手の確保・育成はものすごく大事です。民間の捕獲事業者の方々の活用も考えなきゃいけないと思うんですけど、プラスして、狩猟免許を持っている人を増やしていかなければなりません。ですから群馬県では、動画を通じて狩猟の魅力をどんどん発信したり、狩猟の社会的役割を知っていただくために、学生の方々に特別授業をおこなったり、猟に出る人を育成するために講習会を開くなどをしています。また、ICTわな(獣がわなにかかったことをメールで知らせる機能付きのわな)の開発活用や狩猟報告のデジタル化など、狩猟でもデジタル化を懸命に進めています。松田:狩猟とデジタルがつながるとは……。浜崎:ICTわなは初めて聞くワードでした。狩猟免許の難しさ、ハードルはどうですか?山本:(群馬県の場合、受験者の)9割以上が合格していますし、しっかりと講習を受ければ大丈夫だと思います。ICTわなについては、例えばわなを仕掛けて、毎日見回りに行くのは大変じゃないですか。浜崎:はい。山本:そういう狩猟者の負担を少しでも軽減するために、群馬県は職員自ら簡易構造の(ICT)わなを開発して、捕獲現場で使用しています。見回りをICTで省力化するなどして効果を上げています。松田:へぇー! 確かに、毎日見回りに行くのは大変ですもんね。浜崎:最後に山本知事から、狩猟に興味のある方や“やってみたい”という方に向けて、メッセージをお願いします!山本:群馬県は依然として深刻な農林業被害に悩まされているので、ラジオをお聴きの方には、ぜひ狩猟に興味を持っていただきたいと思います。狩猟免許を取って、1人でも多くの狩猟者が群馬県で狩猟に携わってくれることを願っています。そして、2月27日(日)にオンラインイベント「ぐんま狩猟フェスティバル2022」を開催しますので、ぜひ視聴していただけるとうれしいです!知られざる狩猟の魅力をオンラインライブで楽しむ「ぐんま狩猟フェスティバル2022」が、2月27日(日)11:00から6時間にわたり開催されます。各界の狩猟にまつわる著名人やハンター女子のトークライブのほか、豪華景品が抽選で当たる狩猟クイズ大会など、さまざまなコンテンツが盛りだくさん!「スカロケ狩猟部」の特設サイト内にある「ぐんま狩猟フェスティバル2022」のリンクから、ぜひチェックしてみてください。

(AI使った装置が“圧勝”、1千羽以上押し寄せる『カラス』を撃退:岐阜)
“迷惑者”の退治についに街が乗り出しました。カラス撃退の切り札として岐阜県大垣市で導入されたのは人工知能です。カラス対AI決戦の行方は…。ごみを漁るカラス。「防鳥ネット」もお構いなしです。仲間と協力し、ひとしきり食い荒らした後に残るのは…散乱したゴミです。この迷惑カラス問題は岐阜県大垣市でも…。大垣市役所と周辺の建物では10年ほど前からカラスが増え始め、最近は夕方になると1000羽以上が押し寄せるように。市役所の屋上は…。大垣市役所環境衛生課の担当者:「ご覧のようにカラスの固形のフンが沢山あるのがうかがえるかと思います。ある一定の場所に集まって、ゴミステーションはここが荒らしやすいよとか、そういった情報共有をする場所がこういう高台だと聞いております」。住民からの相談も相次ぎ、市は害獣駆除業者と手を組み迷惑カラス撃退に乗り出しました。市役所屋上にカラス撃退装置を設置。制御するのは人工知能=AIです。さらに、屋上には3台の監視カメラとスピーカーが設置され、カメラがカラスだけを判別し、カラスが嫌がる音を出して追い払うと言います。防除研究所の梅木社長:「カラスの嫌な音を色々研究して40種類作った。ずっと同じ音だったら学習して、カラスは頭が良いので毎回違う音が出るというのがこの装置の特徴です」。AIと迷惑カラスの戦い。見慣れない装置を警戒することを見越し、6日たった2月15日に実験スタート。夕方いつもの時間、何も知らずにカラスの大群がやってきました。いよいよその時です…。効果あり、嫌がっています。時間を置いてまた屋上にやってきましたが、再び嫌な音に驚いて逃げ、作戦は大成功。撃退装置の威力は絶大で、市役所の屋上には1羽として止まることが出来ませんでした。実証実験は4月末まで、AIの精度を高めたりカラスの嫌いな音を選別したりするなど検証が進められる予定です。

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(わな猟の免許所持者急増:みやぎ)
野生動物を捕獲するわな猟の免許所持者が宮城県内で急増している。2020年度は2000人に迫る勢いで過去最多となり、県猟友会の会員数も増加に転じた。イノシシなどによる農作物被害が拡大し、ハンター志望ではない農家が取得するケースが増えている。県自然保護課によると、4種類ある狩猟免許のうち散弾銃などを扱う第1種銃猟免許と、箱わなやくくりわななどわな猟免許の11~20年度の所持者数の推移は表の通り。わな猟免許の所持者は20年度に1862人に上り、11年度の3倍以上となった。一方、第1種の所持者は趣味の多様化などを背景に減少傾向が続いている。ピーク時の1976年度には1万人以上もいた。わな猟免許所持者が急増している主な要因は獣害の拡大だ。イノシシなどが農作物を食い荒らす被害が相次ぐ仙台市太白区秋保町。農家の男性(68)は「電気柵やスチールフェンスで農地を囲っていても、穴を掘ったり飛び越えたりして侵入される」と嘆く。狩猟目的ではなく営農継続のため、免許を取得したという。免許所持者が増え、減り続けていた県猟友会の会員数も増加。2013年度末に底を打つと毎年度増え、本年度は13年度末より400人以上多い1867人(1月26日現在)となった。会員のうち、免許取得から実質2年以上を経て加わる有害鳥獣捕獲隊の隊員数も右肩上がりだ。隊員は猟期(11月15日~翌年2月15日)以外の日でも、イノシシなどを捕獲できる。県自然保護課や県猟友会の担当者は「免許取得費を助成する市町村が増え、捕獲隊に入ると猟友会費を補助する県事業も後押ししている」とみる。所持者の急増は新たな課題も生んでいる。同県蔵王町のベテラン猟師の男性(64)は「わなで捕っても止め刺し(殺処分)ができないので、第1種の所持者が依頼を受け、忙殺されている」と明かす。

(散弾銃を無許可で販売か、男2人を再逮捕:栃木)
散弾銃を無許可で販売したとして栃木県警生活環境課などは22日、富山県高岡市の会社役員の男(73)と那須塩原市接骨木の会社役員の男(73)を武器等製造法違反の疑いで再逮捕しました。2人は2019年5月から2021年1月にかけて県知事の許可を受けずに3回わたって散弾銃3丁を合わせて189万円で販売した疑いがもたれています。2人は2月2日、散弾銃を不法に所持したとして銃刀法違反容疑で逮捕されています。

(ジビエ、ペット向けに活路)
新型コロナウイルス禍で、飲食店でのジビエ消費が大きく落ち込む中、ブームとなっているペットのイヌやネコ向けにジビエを加工、販売する動きが進んでいる。栄養価が豊富で、ペットの飼い主からも好評という。野生鳥獣による農作物の被害は依然として多額に上る。関係者は販売拡大で、猟師への報酬の原資を捻出し被害を抑えたい考えだ。脂肪の少ない真っ赤なエゾシカのもも肉が厚さ1センチのステーキ大に機械で切られ、乾燥機に運ばれた。今年1月中旬、北海道南富良野町のエゾシカ肉を専門に取り扱う食品加工会社「南富フーズ」で行われていたペット用ジャーキーの製造作業。同社はエゾシカを仕留めた猟師から購入している。ジビエは低カロリー、高タンパクなのが特徴で、飲食店で近年人気に。農林水産省によると、新型コロナ感染拡大前の2018年度の食用としての利用量は1496トンで、統計開始の16年度と比べ36%増加したものの、20年度は1297トンにとどまった。07年創業の同社でも年々売り上げが増加していたが、感染拡大で飲食店の需要が落ち込み、売り上げは大きく減った。目を付けたのが、折からのペットブーム。ペットフード協会のまとめでは、20年のイヌとネコの新規飼育数は、19年と比べ合計で約14万増えた。南富フーズは13年からペットフードへの加工に取り組んでいたが、新たな設備を導入するなど本腰を入れた。ジャーキーやふりかけなどに加え、レトルトのハンバーグを開発するなどラインアップを増やし、ペットフードの売り上げは20年度は前年度の約1.5倍になった。ジビエの販売を手掛ける有限責任事業組合「一網打尽」(京都府南丹市)も感染拡大を受け、猟師から仕入れたシカを加工しペットフードとして販売を始めている。シカの肉はアレルギーの心配も少なく、タンパク質や鉄分なども豊富で、ペットの飼い主からは「食いつきがいい」「毛並みが良くなった」などと好評という。厳しい経営環境下で事業を継続する理由は自らのためだけではない。農水省によると、野生鳥獣による農作物被害額は減少傾向にあるものの、20年度は161億円に上った。07年まで地元の農協に勤め、獣害に苦しむ農家の姿を見てきた南富フーズ社長の糠谷雄次さんは「売り上げが激減したコロナ禍でも、猟師が継続して狩猟できるようにしたい」。一網打尽の営業担当者も「飲食店での需要が減る中でも獣害を減らすのに貢献したい」と力を込めた。

(楽しみながら磨く技術、獣害阻む:宮城)
「パン!」。山の中に乾いた破裂音が響き渡った。13日午後、宮城県蔵王町遠刈田温泉地区の雑木林。雪上に点々と続く足跡の先に猟犬を放ち、やぶの中に潜むヤマドリを追い立てると、散弾銃の引き金を引いた。ヤマドリは直後、羽ばたきをやめた。「当たったのは体ではなくて羽。逃げられるところだった」。同地区で牛の繁殖を手掛ける杉山彰啓(あきひろ)さん(36)が、はにかんだ。はって逃げようとしたヤマドリは、同行した父の良夫さん(64)が確保。彰啓さんの今シーズンの成果はこれでヤマドリ5羽、キジとコガモがそれぞれ1羽の計7羽となった。彰啓さんが狩猟免許を取得したのは2020年夏。いとこで運送業を営む稔さん(32)と共に、散弾銃などを扱う第1種銃猟と、箱わなやくくりわなを仕掛けるわな猟の免許を得た。狩猟は2人の祖父や良夫さんがやっていた身近な趣味だった。18年にUターンし実家に戻った彰啓さんにとっては、イノシシによる農作物被害もきっかけとなった。高校を卒業し東京に行くまで、近所にイノシシが出ることはなかった。久しぶりに地元に戻ると、牧草地はミミズを掘るイノシシに荒らされ、牛のエサ確保に難儀していた。「あまり若い人もいないし、害獣駆除のためにやらないと」。20年11月、良夫さんが会長を務める蔵王町遠刈田猟友会に稔さんと一緒に入った。21年12月6日、彰啓さんと稔さんは遠刈田温泉地区の牧草地にいた。今シーズン初の二人きりの出猟。3匹の猟犬がやぶに駆け寄り、中にいた1羽のキジを追い立てた。2人は同時に散弾銃を構えたが機を逸し、キジはそのまま飛び去ってしまった。それでも2人は腐らない。その後も幾度となく猟に出て、先輩に教わりながら技術を磨いた。「腕はまだまだ。撃つ前に飛んでいってしまうことも多いが、当たった時は他に例えられない楽しさがある」と2人は口をそろえる。厳冬期の寒さや山野を歩き回る労力など、大変なことは多い。それでも山に入り散弾を放つ彼らの存在が、地区を荒らす野生動物の警戒心を高め、農地への侵入を抑えている。「ヤマドリ5羽はすごい。キジの何倍ものスピードで飛び、『幻の鳥』と言われているのに」「まだ2シーズン目なのになあ」。シーズン最終日の22年2月15日、猟友会の仲間の別荘であった「矢納め」。各自が酒や食べ物を持ち寄り無事を祝う会で、彰啓さんは先輩たちから盛んに褒められた。「たまたまですよ」と笑いながら彰啓さんがガスコンロにかけたのは、午前中からだしを取っていた鍋。主菜は2日前のヤマドリだった。皆で食べる自分の獲物の味は格別だった。趣味の多様化などを背景に減り続けていた猟友会の会員数が増加に転じた。農家の高齢化と後継者不足などによる里山の荒廃で獣害が拡大。狩猟免許を取って対抗する人が増えたためだ。単なる趣味にとどまらず、人間の生活圏を野生動物から守る役割が期待される猟友会。21年11月15日から3カ月の猟期に、遠刈田猟友会の若手に密着し実像に迫った。

(くくりわな仕掛け、一年中見回り:宮城)
「そごでね。もう何センチか横だ」。半世紀以上に及ぶ猟師歴を誇る佐藤秀一さん(80)の声が山中に響く。昨年12月6日、宮城県蔵王町遠刈田温泉地区の町道脇。遠刈田猟友会の後輩に当たる杉山稔さん(32)が、指示通りの場所にくくりわなを埋めていった。短径12センチ、長径18センチの楕円(だえん)形をしているくくりわなは、イノシシに輪の中の板を踏ませることで脚をくくって捕獲する。設置する場所はもちろん、わなの存在を見破られないよう工夫しながら、獣を誘導する技術が求められる。「わなが凍らないよう、カムフラージュで掛ける土は乾いたものを」「上に枯れ葉をまく時は、わなと干渉するので厚みのあるスギの葉はもむ」「イノシシは枯れ枝を避けて歩くので、わなの前後に置く」稔さんが矢継ぎ早に飛ぶ指示を黙々とこなしていく。いとこの彰啓(あきひろ)さん(36)と2人で、40分ほどかけて3本の獣道に五つのくくりわなを仕掛け終えた。ハンターというと鳥などを撃つ銃猟のイメージが強いが、わな猟も活動の柱の一つだ。この日は猟友会長で彰啓さんの父良夫さん(64)が数日前、2頭のイノシシを見掛けたので設置した。近在の農家らから頼まれて仕掛けることもあり、多い時は毎日のようにわなを埋める。わなは仕掛けて終わりではなく、毎朝、作動したかどうかを見回らなければならない。雨の日も雪の日も午前4時半~6時半ごろに巡回し、掛かっていれば散弾銃などで仕留める。脚をくくったワイヤは周囲の樹木に結ばれているが、切れることもあって、暴れ狂うイノシシが突っ込んでくる危険性も伴う。根気と覚悟が要るだけでなく、趣味性の強い狩猟の期間は11月15日~翌年2月15日と定められているのに対し、わなを使ったイノシシなどの有害鳥獣駆除は一年中続く。狩猟免許を取得して猟友会員となり、経験を積むと、特別な研修を経るなどして各地の有害鳥獣捕獲隊に加入。猟期が終わっても専門家として人間の生活圏を守ることになる。「蔵王町というと山と温泉のイメージかもしれないけれど、イノシシ対策に忙殺されるのもここの現実だ」。遠刈田猟友会の面々が口をそろえる。良夫さん方近くの町道脇の土手は、餌のミミズを探すイノシシに大きく崩され、路面のアスファルトが見えなくなったほど。崩れた土砂はトラクターを使ってよけた。今年2月9日、彰啓さんは広い牧草地の端を流れる沢沿いに立ち、のこぎりで大きな立ち木の枝を切っていた。切り終えると佐藤さんら仲間5人と一緒に牧草地の真ん中へと運んでいき、ワイヤを結わえて、くくりわなを仕掛けた。「こうすればワイヤを結ぶ木がない場所でも、わなを設置できると教わった。イノシシは枝ごと引っ張っていくが、どこかで引っ掛かって動けなくなる」佐藤さんらベテランの技術を徐々に蓄え、猟師として成長を続ける彰啓さん。稔さんと共に4月、捕獲隊員になる。

(“無敵”アライグマ対策は:石川)
特定外来生物のアライグマの防除講習会が小松市公会堂であり、市民約二十人が生態や捕獲方法を学んだ。動植物の調査会社「地域環境計画」(東京都)の今井涼子さん、宮畑貴之さんがオンラインで講義した。アライグマには、農業被害や家屋への侵入、感染症の媒介の恐れがあるという。今井さんは生態や、タヌキなど他の動物との見分け方を紹介し「繁殖力が強く、国内では天敵がいない。早期発見と防除が大切」と話した。市職員による箱わなの使い方の説明もあった。県と市は農業被害などを防ぐため、毎年講習会を開いている。受講者は「アライグマ捕獲従事者」になり、箱わなを使って捕獲できる。市全域で生息が確認されており、市によると、本年度は例年並みの八頭が捕獲されている。

(有害鳥獣を捕獲するための体制整備に乗り出す:福島)
喜多方市は新年度、市街地に出没した有害鳥獣を捕獲するための体制整備に乗り出す。近年、市街地でクマやイノシシなど有害鳥獣が多数目撃されている。しかし会津北部地域は、捕獲用の麻酔銃を扱える人が猪苗代町の職員1人のみで、人材の育成と確保が課題となっている。麻酔銃の取り扱いには、麻酔の所持や取り扱いの免許と麻酔銃の所持許可が必要。市は新年度に県公安委員会に銃の所持を申請、市職員に免許を取得させる計画だという。

(冬眠しないヒグマ、目撃相次ぐのはなぜ:北海道)
真冬の北海道内で、ヒグマの目撃が相次いでいる。専門家によると、冬眠から早く目覚めるヒグマが増えている可能性があるという。2月以降に林業の活動が本格化することから、北海道が注意を呼びかけている。2月10日午後3時ごろ、留萌市の神居岩公園のスキー場のクロスカントリーコースで、「隊員が訓練中にヒグマを見た」と、陸上自衛隊留萌駐屯地の隊員から留萌署に通報があった。市と道警地域企画課によると、体長2メートルのヒグマ1頭が山の方へ歩いているのを隊員2人が目撃。コースとの距離は30メートルほどだったという。市はスキー場の入り口に看板を置くなどして注意を呼びかけている。市の担当者は「市内では10年以上、2月に出没していない」と話す。

(サル害少ないピーマンPR:島根)
野生のニホンザルによる農作物の被害を防ごうと、サルに食べられにくいピーマンの生産を促すPR動画が完成した。川本町とJAしまね島根おおち地区本部が取り組む「ピーマン大作戦」の一環。

(スマホに目撃情報続々:兵庫)
「イノシシの目撃情報(10月1日・神戸水上)」。スマートフォンに届く大量のメールの中に、こんなタイトルが紛れ込んでいた。「神戸水上」とは兵庫県警の警察署の一つ「神戸水上署」。文字通り神戸市の神戸港周辺の海域と、陸地では人工島のポートアイランドを含む神戸市中央区の沿岸部を管轄する警察署である。水上署管内でイノシシ? 何かの間違いではないか。戸惑いをあざ笑うかのように、メールはその後も続いた。「10月21日・神戸水上」「10月24日・神戸水上」-。気がつけば、足は自然とミナト方面に向かっていた。発見された場所は海上輸送に使う倉庫が広がる港、神戸市中央区小野浜町周辺だ。一帯に山はない。くだんのメールは、兵庫県警が配信する「ひょうご防犯ネット」。誰でも無料で登録でき、不審者の目撃やひったくりなどの街頭犯罪の発生だけでなく、警察が認知したクマやイノシシといった野生動物の出没情報も確認できる。過去の配信を整理してみると、神戸市中央区を管轄する生田▽葺合▽神戸水上-の3署のうち、山側に当たる生田、葺合両署の管内では昨年1~12月にイノシシの目撃情報が39件。それに対し、海側の国道2号線以南を受け持つ神戸水上署管内はたったの6件。もっと言えば、9月29日まではゼロで、9月30日に国道2号より南の「みなとのもり公園」付近にこつぜんと現れている。一体どこからやって来たのか。この疑問にはおそらく、神戸市民なら容易に推論を立てることができる。六甲山だ。先に中央区をおおまかに山側、海側と表した。六甲山地と大阪湾に挟まれた神戸の市街地は、地図上では「横長」の形に見える。中央区の三宮近辺はその特徴が色濃く、南に張り出している山麓から神戸港まではせいぜい2キロ程度しか離れていない。ただし、目撃地点と六甲山麓の間に広がるのは、兵庫県内最大の繁華街である。オフィスビルあり、商業ビルあり、飲み屋街あり。仮に市街地をとことこと抜けてやって来たとすれば、いくら夜中でも1人や2人くらいの目には留まり、多少なりとも騒ぎになったのではないだろうか。目を皿にして防犯ネットで目撃情報の分布図を見ても、三宮駅以南の目撃情報はない。足取りが全くつかめないのだ。神戸水上署の担当者が明かす。住民と話す中で、人目につきにくい、とっておきのルートの存在に気付いたという。生田川は、六甲山系の「摩耶山」や「石楠花山」から布引貯水池、JR新神戸駅を経て神戸市街地を抜け、大阪湾に注ぐ延長1・8キロの短い河川である。神戸水上署の推理を参考に、このイノシシの足取りについて仮説を立ててみた。(1)六甲山を下りてくる最寄りの山としてあまり疑いようがないため、ここは至ってシンプルに考える。(2)生田川に下りる生田川は、歩道や車道よりもはるかに低い場所を流れている。管理する兵庫県神戸土木事務所によると、主に石積みの護岸は、最低3メートル以上の高さでできている。川底はコンクリート製で、歩くのに都合のいい河原がない。それには理由がある。もともと、ここは地下水路だったのだ。明治初期までは現在地の約800メートル西、今の「フラワーロード」と呼ばれる県道の場所を広大に流れていた生田川。度重なる洪水被害を理由に東方に付け替えられ、1932(昭和7)年には一度、地下水路に改修された。しかし、6年後の「阪神大水害」で土砂や流木が詰まるなどして土石流があふれ出し、周辺に大きな被害を及ぼした。洪水が昔の流れに沿ってフラワーロードを下ったといい、さらなる洪水対策として天井が外され、今の形になった。川幅も狭く、深い堤防が周辺の歩行者やドライバーの視界を遮る構造が、イノシシにとっては「人目につきにくい」利点にもなる。ただ、一方で、どこから川に下りたのかの説明ができないという問題に突き当たる。そこで、神戸市内ではイノシシの出没頻度が高い山際の新神戸駅あたりを出発点と仮定。実際に足を運んでみると、左岸に広がる「生田川公園」から、川に下りていける階段を少なくとも4カ所発見した。新神戸駅からすぐ南の「布引橋」の南北に2カ所と、そこから約700メートル下流に当たるJRの高架下付近、さらに200メートルほど下った国道2号(中央幹線)北側にそれぞれ1カ所だ。ここなら、イノシシも歩いて川に下りられるに違いない。増水時の注意を促す看板が掛かっていることから、川へ下りるこれらの階段は、子どもの水遊びも想定した親水エリアなのだろう。いずれの場所も立ち寄ったのはよく晴れた日で、人間なら漬かっても足の甲かな、というほど浅かった。イノシシでもまあ、歩くことができそうだ。ところが、もう少し河口に近い下流域まで回り込んでみて歩道から川を見下ろすと、相変わらず河原はないまま、水深だけが深まっていた。生田川を歩き続けるには、行き止まりというわけだ。なお、神戸土木事務所の担当者いわく、JRの高架付近の生田川公園より南には、ほかに川に出入りできる階段はない。はて、どうするか。航空写真と現地での確認、同事務所の説明を総合すると、生田川公園の階段を使えば、新神戸駅前からJRの高架を抜け、中央幹線の少し北側までの約1キロは川の中を歩いて進むことができそうだ。たが、この方法で再び陸路に戻ったと仮定した場合、「ゴール」のみなとのもり公園がある一帯にたどり着くには、あと500メートルは地上を南下する形になる。そうすると、今度は別の障害が立ちはだかる。みなとのもり公園のすぐ北側を東西に走り、「浜手幹線」と呼ばれる片側4車線の市道である。市道と言っても国道2号から分岐し、合流するまでの区間であり、交通量は非常に多い。筆者も平日週末、日中夜間を問わずよく車で通るが、トラックなどの大型車が目立ち、すいていたらすいていたで、猛スピードで飛ばす車を見かけもする。50メートルほどある長い横断歩道を、交通ルールもへちまもない野生動物が果たして、青信号のうちに首尾よく渡れるものか。ひかれたり、誰かの目に留まったりするリスクは、生田川の比ではない。そんな陸路の最大の難所も、生田川を突っ走ることさえできてしまえば、全く問題にならない。地下をするすると抜けて浜手幹線の南側、発見場所である小野浜町周辺に突如出てくることができるからだ。もはやだれ目線かは分からないが、やはり、この生田川を最大限使わない手はないのではないか-。とすれば、残る選択肢はこれしかない。(3)河口まで泳いでしまってから上陸。調べてみると、イノシシが泳いだという例はごまんとあった。2014年、香川県・小豆島近くで泳ぐイノシシを高知海上保安部が発見。この年は、ほかに愛媛県や長崎県の沖合でも海を泳ぐイノシシが目撃されたという。離島でイノシシが見つかり、増殖するケースは後を絶たず、兵庫県森林動物研究センター(丹波市)によると、姫路市の家島諸島でも島の間を行き来しており、「それなりに上手に泳げる生き物」なのだという。また、昨年3月の神戸新聞淡路版では、淡路島本島から3~4キロ離れた離島の「沼島」(南あわじ市)で、災害避難や観光客用の歩道がイノシシに荒らされているとの記事が掲載された。記事によると、沼島にはもともと野生の獣類はおらず、島外から泳いで渡ってきたイノシシが年々増殖し、駆除が追いつかなくなってきているとの背景があるという。神戸水上署管内で見つかったイノシシに話を戻すと、こうした事例を鑑みるに、延長1・8キロ程度の生田川なら、仮に最も上流から川に漬かっていたとしても河口までは泳ぎ切ってしまえる。陸路の道中と考えられるような場所での目撃情報がなかったことも踏まえると、泳いだ説がより現実味を増してくる。なお、浜手幹線の南側には、岸に上がる階段こそないものの、護岸が一部途切れ、公園に上がっていける緩やかなのり面に囲まれた干潟が広がっており、「ここなら岸に上がれるかもしれない」(同センター)という。神戸市中央区の沿岸部、みなとのもり公園付近で9月末から突如相次いだイノシシの目撃情報について、神戸市の担当者は「全て同一個体とみています」。みなとのもり公園がある神戸市中央区小野浜町でのイノシシの出没は過去にもほぼ例がないらしく、今回も一度に複数頭が見つかったケースはない。「たまたまやって来た1頭が、ぐるぐると近辺をさまよっているのではないか」とみる。ちなみに、防犯ネットで配信されているのは110番など警察が把握したケースに限られているが、神戸市の「鳥獣相談ダイヤル」には、現場周辺でほかにも20件ほどの目撃情報が、9~11月の間に寄せられたという。市への最初の通報は、防犯ネットの最初の情報よりも3日早い、9月27日の夕方に寄せられていた。場所はみなとのもり公園のすぐそばにある神戸税関の東側駐車場で、「ウリボーがうろうろしている」との内容だったという。目撃された時間帯はほぼ日没から夜間。場所もおおむね、みなとのもり公園あたりに集中した。イノシシは決して夜行性ではないが、非常に臆病な動物とされるため、「暗くなってから公園にえさを食べに来て、日中は人目につきにくいところで身を潜めている」というのが、担当である農政計画課の見立てだという。繰り返しになるが、みなとのもり公園の周囲は砂浜が広がる海岸ではなく、倉庫が立ち並び、コンクリートの岸壁が入り組む港である。イノシシにとって過ごしやすい環境とはとうてい思えない。出没と動向の背景を探るのに、別の手掛かりはないか。兵庫県森林動物研究センターに状況を説明してみると、「迷って帰れなくなっているとは考えにくいですね」との回答だった。いわく、もし純粋に迷い込んだとすれば、すぐどこかに去って行くはずなのだという。仮に生田川を下りてきたとすれば、一本道を忘れることもないだろうし、川の流れに逆らって山へ帰るのは難しいとしても、それなら多少人の目に付こうが陸路を北上すればいい。それも嫌なら、別に東西に動くことだってできるわけである。つまり、断続的とはいえ、約2カ月間にわたって目撃されたということは、イノシシが好んで滞在した可能性が高いのだという。11月中旬の昼下がり。「誘引物」を探すべく、約5・6ヘクタールの広大な公園を、ぷらぷらと歩いてみた。中央に大きな芝生の広場があり、親子が走って遊んだり、若者が飲み物を片手に話し込んだりしている。広場のまわりを陸上のトラックのようにぐるりと囲む遊歩道の脇に、小さな森のような場所があった。木々をすり抜けていきながら足元に目をやると、落ち葉に紛れて小さな木の実がいくつも転がっている。ドングリだ。公園に立つ案内板によると、一帯は市民らが加わった植樹活動によって緑化されてきた場所なのだという。「みなとのもり公園」は実は愛称で、正式名称は「神戸震災復興記念公園」。オープンしたのは2010年1月17日で、6434人が亡くなった阪神・淡路大震災の発生から丸15年の節目だった。「震災を語り継ぐ」ことを目的とした広場には、震災で全壊した旧第1勧業銀行神戸支店(中央区栄町3)の部材を使ったアートや、震災復興を願う合唱曲「しあわせ運べるように」の歌碑などが立てられた。記憶の継承だけでなく、災害時の避難場所にもなるためできるだけ人々が安らぎ、憩える空間にすることも、公園を作る上で大切なテーマだった。スローガンは「海辺に森を」。市によると、オープン前後に行った3回の植樹式も含め、公園全体には計6千本の木が植えられた。市民参画の植樹に携わってきた「みなとのもり公園運営会議」代表の辻信一さん(72)=神戸市東灘区=の話では、阪神・淡路の追悼式で配られたドングリを市民が自宅などで苗木に育て、再び持ち寄って植え込んだ場所もあり、こうして根を張ったコナラやクヌギも500本以上に上るという。当然、イノシシのために整えたものではない上、「市街地の公園なので防犯上、見通しが悪くならないように定期的に下枝を切っている」(辻さん)。昨年秋ごろの活動時にイノシシを見たというメンバーはおらず、この辺りで路上生活する人の中にも、鉢合わせた人はいなかったという。やはり日中は倉庫地帯など別の場所で身を潜めていたのか、公園に住み着いたとまでは言えなさそうだ。また、「誘引物というのは絶対的なものではなく、相対的なもの。山で食べるものがなくなるなど、ほかのえさとなるものの量や個体の性格などにもよると思われます」(兵庫県森林動物研究センターの赤堀邦輝次長)とのことで、みなとのもり公園のドングリが「誘引物」だったかどうかの特定も難しいようだ。個体の性格という要素も関係するのであれば、イノシシ界では未開の地であろう海辺の森に目を付けたこの個体は、もしかすると結構賢かったのかもしれない。11月17日朝、みなとのもり公園から東に約600メートル離れた、国土交通省神戸港湾事務所(神戸市中央区小野浜町)。出勤した幹部は、「前夜に構内でイノシシを見た」と、複数の職員や警備員から報告を受け、耳を疑った。念のため総務課が職員たちに注意を呼び掛けた直後の午前10時ごろ、草刈り中だった敷地内の草むらにイノシシがいるのを職員が見つけ、市に通報した。同事務所によると、市の依頼で駆け付けた猟友会のメンバーが敷地の端の袋小路にイノシシを追い込んだが、棒のようなもので一発たたいた途端、暴れて逃走。同事務所の敷地内をぐるっと一周し、手出しができない人間たちをよそに、そのまま同事務所の北側の湾に飛び込んでしまったという。「犬かきみたいな感じで、上手に泳いでいきました」と証言する若杉賢一総務課長。およそ100メートル先の対岸まで渡った後、陸に上がる場所を探すように、岸に沿って、HAT神戸がある東の方向に泳いでいったという。若杉さんいわく、それほど大きなイノシシではなかったが、全速力で走る姿には恐怖を感じたたといい、「誰も襲われなくて良かった」と胸をなで下ろした。イノシシは凶暴で、人が襲われる事故も後を絶たない。三田市では昨年10月、畑で農作業をしていた70代の男性がイノシシにかまれ、下腹部を5針縫う大けがを負った。11月には姫路市安富町で、猟友会に所属する60代の男性が腰や尻をかみちぎられ、意識不明の重体で病院に運ばれた。兵庫県森林動物研究センターの話では、県内でのイノシシによる人身事故件数はツキノワグマより多く、死亡事故も発生しているといい、「見つけても決して餌付けはせず、近づかないで」と注意を呼び掛けている。神戸水上署によると、今回、イノシシの目撃は相次いだが、人が襲われるなどの被害は確認されなかったという。そのイノシシはどこへ行ったのか。関連のありそうな目撃情報は新たに入っていないが、沿岸や人工島であっても出没する可能性はあるため、念のためご注意を。

(「地域活性部」受賞ラッシュ:兵庫)
センバツ出場校に14年ぶりに選ばれた東洋大姫路(大森茂樹校長)。野球部に加えて取り組みが高く評価され、国や県の賞に相次いで輝いている部活動がある。有志6人で3年前にスタートしたばかりの「地域活性部 PROJECT TOYO」だ。地域の耕作放棄地で野菜や果物を育て、害獣のシカをゼロから学び商品化までこぎ着けた。一連の活動がSDGs(持続可能な開発目標)の先進事例として注目されている。「地元を元気に」をテーマに2019年度に同好会としてスタート。住民に働きかけて休耕田を借り、教えを請いながら水まきや土作りから始めた。だが生徒たちは畝の作り方も分からず、苗は枯れ、雑草も害虫もひどかった。始めは惨たんたるものだった。

(シカの誤食を最新技術で防ぐ:奈良)
奈良先端科学技術大学院大学が「共創」をキーワードに新たな大学院像を模索している。産学官に地域金融機関を加えた「産学官金」の連携を推進。地元企業や自治体のニーズを吸い上げ、最先端の技術で社会課題の解決に挑む。小型カメラを先に取り付けたトングでごみを拾うと、スマートフォンを通じてその種類と位置が自動的にサーバーに記録される。奈良公園(奈良市)のシカがごみを誤食する問題を解決しようと、情報科学領域ユビキタスコンピューティングシステム研究室のチームが独自開発したシステムだ。研究チームは地元のボランティア団体と協力し、公園内のごみの調査を始める。ごみ拾い作業を繰り返すだけで、誰がどこで何を拾ったかという情報を蓄積できる。地図上に表示し、公園内のポイ捨てを可視化する狙いだ。奈良公園では死んだシカの胃袋からレジ袋やお菓子の袋が見つかるケースが相次ぐ。松田裕貴助教は「データが集まればごみ拾いを効率化できる。奈良公園だけでなく、地域のごみ問題の解決にもつなげたい」と意気込む。

(イノシシ成獣の侵入阻止100%、市販チェーン電気柵を改良:山口)
山口県農林総合技術センターは、農業用水路からの有害獣侵入を防ぐ市販のチェーン電気柵を改良することで、高い侵入防止効果を発揮することを確認した。市販品のたるみを解消することで漏電を防止。約4カ月の実証でイノシシ成獣の侵入を100%阻止した。小型の野生動物にも対応するため、チェーンの高さや幅の調節など改良を続ける。県は獣害対策で侵入防止柵の整備を進めるが、水路に設置した柵は、土砂やごみがたままって壊れたりする。土砂をせき止めない上からつるすチェーン式電気柵もあるが、チェーンのたるみが大きくなると、チェーンが水に浸かり、漏電して効果が落ちる。チェーン式は、イノシシがチェーンに触れると電気が流れる仕組み。実証試験では、チェーン電気柵を販売する末松電子製作所(熊本県八代市)が協力。水路の両岸に繊維強化プラスチック(FRP)製の支柱を立て、のれんのようにチェーンをつり下げる。市販品は中央部のチェーンがたるむため、左右の支柱にFRP製の棒を渡し、チェーンをはわせるように改良した。山口県中部にある防府市の農事組合法人切畑ファームの管理する農地で、2021年3~6月に実証した。水路から侵入する動物の数を確認するため、赤外線カメラで監視。イノシシの成獣をターゲットに、チェーンは水面から15センチの高さに8センチ間隔に設置。11頭が現れ、うち6頭を撃退、5頭は、警戒して近づかなかった。ただ、イノシシの幼獣やヌートリア、アライグマ、テンなど小型動物は侵入した。また、水路ごとに電気柵本器が必要なため、費用がかかることも課題に上がる。同センターは「効果は確認できたので、小型動物にも対応できる設置方法や、コスト削減方法を検討する」と話す。

(ジビエ料理、挑む飲食店:埼玉)
農作物被害をもたらすイノシシやシカなどの野生獣を加工処理して、食肉の「ジビエ」として利用しようと取り組む千葉県君津市の力になろうと、友好都市の埼玉県白岡市の飲食店が名乗りを上げた。まちのおそば屋さんやカフェバーなどがジビエ料理に挑戦。「君津も白岡も盛り上げよう」と熱く燃えている。JR白岡駅東口にほど近いカフェバー「PLABE(プレイブ)」では、黒いスレート皿の「ジビエ3種盛り」(税込み2800円)が楽しめる。「猪(イノシシ)肉の赤ワイン煮込みバゲット添え」は、一晩熟成させて特有のかたい繊維質を崩した肉と、刻んだニンジンやタマネギ、トマトなどの野菜を8時間煮込む。考案したチーフマネジャーの福井照美さん(35)は「歯ごたえもあり、やわらかくてホロホロした食感に仕上げるのが目標です」。「鹿肉のロティ」は、ユズコショウの特製ダレにつけ込んだ鹿肉の表面をこんがり焼いてうまみを閉じ込め、ゆっくりと低温で加熱して仕上げる。ロティの下にバルサミコソースをしき、ピンクペッパーも添えて味や香りにアクセントをつけた。3品目は「パリパリ鹿チョリソー」か「鹿肉とチーズキャベツのパリパリ揚げ」が選べる。今月5日、最初に3種盛りを注文した市内の40代女性は「この辺でなかなか食べられない。やわらかくて臭みもなく、とてもおいしかった」とたいらげた。福井さんは「ジビエとおいしいワインが楽しめる店にしていきたい。君津と白岡の力になれたら」と話す。房総半島では害獣による農作物被害が深刻な問題になっている。君津市は面積の約3分の2を森林が占める。市農政課によると、2020年度の野生鳥獣による被害額は2748万円に上った。一方、捕獲従事者約150人の平均年齢は65歳前後と高齢化が進み、人手も足りず、捕獲が追いつかない。市は、18年度から3年間、「狩猟ビジネス学校」を開催。捕獲した野生獣を万全な衛生管理のもとで「きみつ×ジビエ」として商品化するなど、狩猟で生活が成り立つような環境づくりを後押ししてきた。君津市と白岡市は、江戸時代中期の政治家で儒学者の新井白石ゆかりの地。白石は幼・青年期を君津で過ごし、白岡(旧野牛村)には白石の領地があったという縁で、20年8月に友好都市協定を締結した。その絆を頼って、君津市の担当者が昨年、白岡市にイノシシとシカの肉約50キロの「お試し提供」を打診。白岡市が市内の飲食店に呼びかけ、7店が応じた。「一過性に終わらせず、後につながるように、君津のことをきちんと知ろう」と各店主らは昨年11月、現地におもむいた。君津市内の山間部、食肉加工場、ジビエ料理を出す飲食店、食肉や工芸品を扱う施設を回り、理解を深めた。同市経済振興課は「シェフに積極的に質問するなど、すごく熱意を感じた」と話す。白岡駅東口に近い「そば処更科」では、季節に応じたジビエ料理を提供。冬季限定の「ぼたん鍋」(同1人前1210円、要予約)が味わえる。「火がよく通った状態で、安心して食べてもらいたい」と言う2代目店主の東川勲さん(46)。「かえしを使うなど、そば屋の良さを生かせる和食で、家族みんなで食べられるものに」と、父で先代の務さん(75)と一緒に考案した。君津産イノシシ肉と、白岡産のネギや春菊、白菜などの旬野菜がコラボした友情ジビエ鍋だ。ジビエを料理するにあたって、最も神経を使うのは衛生管理。保存方法も調理工程も、ほかの食材と完全に分けるなど、手間暇のかかる食材だという。東川さんは自分が君津で見て触れて感じたことを伝えていきたいという。「食べたお客さんが実際に君津を訪れ、触れて、命の大切さを学ぶことにつながれば。白岡のまちや歴史にも関心を持つ機会になってくれたらうれしいですね」。7店は「広報しらおか」の2月号で掲載している。数量限定でなくなり次第終了する店も。

(シシ肉、店舗で継続販売:石川)
小松市江指町の獣肉処理加工施設「ジビエアトリエ 加賀の国」が扱う南加賀産のイノシシ肉の販売が二十四日から、同市の中ノ峠物産販売所で始まる。一般消費者向けに継続して販売するのは初めて。地元のジビエのおいしさを知ってもらおうと、同販売所はシシ肉を使った肉うどんも提供している。ジビエアトリエは昨年十月から、県内外の飲食店に、南加賀地域でとれたシシ肉を出荷している。消費者への直販は月一回、施設で開く直売会のみだったが、好評だったため初めて小売店に置くことにした。販売所では冷凍のスライス肉を購入できる。販売所は、山菜やイワナなどの山の幸を使った飲食も提供する。昨秋から、シシ肉のしぐれ煮を小松うどんにのせた肉うどんを提供している。肉をしょうゆやみりん、ショウガと炊き、かむほどにうま味が感じられるしぐれ煮とやさしいだしが評判という。店長の本一枝さん(82)は「くせがなくおいしく食べられる。ぜひ食べに来て」と話す。

(自販機で地元食材ギョーザ:石川)
金沢市堅田町の飲食店「ご飯処かどや」は23日、加賀野菜「加賀れんこん」や、地元のジビエを使った特製ギョーザの提供を始める。新たに店先に冷凍ギョーザの自動販売機を置き、店内だけではなく、持ち帰って気軽に地元食材の料理を楽しんでもらう。店主の加藤純子さん(64)は「大人から子どもまで多くの人に食べてほしい」と話している。コロナで家での食事が増えたことに加え、入院中の夫・悦晶さん(69)の付き添いで休業する際にも、24時間かどやの味を提供できるように自販機を設置することにした。新商品のギョーザは地元食材にこだわり、加賀れんこんのほか、森本地区の「ジビエ工房三谷」のイノシシ肉、薬師谷地区のヤーコンを入れた。もっちりとしたレンコンと、ヤーコンのシャキシャキ感、粗みじんにしたイノシシ肉の歯ごたえが特長だという。自販機にはギョーザの他に、店の人気メニューのお好み焼き「かどやき」と「かどピザ」の3種類を用意する。全て冷凍で、ギョーザは自宅で焼いたり揚げたりして食べてもらう。ギョーザは8個入りで500円。かどやきは1個1500円、ピザは千円。今後も金時草やジビエを使ったピザを商品化予定で、加藤さんは「家族へのお土産にもしてほしい」と話している。

(ジビエ専門店が通販で販売開始:大阪)
株式会社DONOJAPAN(代表取締役森島立彰)が運営するジビエ専門店KEMONO(大阪市中央区心斎橋筋1-3-6)はより多くの人にジビエ料理を知ってもらい、味わってもらいたい思いで「ジビエソーセージ」に続き2022年2月18日「天然猪の猪の挽肉カレー」の通販販売開始いたします。

(獣害減へ鹿捕獲、加工:埼玉)
埼玉県飯能市の遠藤拓耶さん(36)は、神奈川県から2017年に移住し「半農半X」を実践する。平日は東京都内で勤務する傍ら、週末は野菜栽培や獣害に悩む農家の依頼を受けて鹿の駆除にも励む。妻の望さん(34)と駆除した鹿肉を犬用のジャーキーへの加工・販売も手掛ける。拓耶さんは、ログハウスに住むのが夢で自然豊かな場所への移住を考えていた。移住先を4、5年探す中、住宅情報誌で飯能市の独自制度に目が留まった。市街化調整区域の遊休農地に住宅を建てられる国の「優良田園住宅制度」を基に農業体験、家庭菜園、農園利用、農地利用のプログラムで講習会や栽培指導などの支援が受けられる。市は16年度から農業活性化を目的に、制度を利用した移住者に最大400万円を交付している。「都心まで電車で約1時間、広い土地に家を建てられて家庭菜園もできる。ここしかない」と、望さんを説得。長男の就学を控え、制度を知った翌月には市内の仮住まいに引っ越した。拓耶さんは近隣農家から指導を受け、「のらぼう菜」を栽培し、消防団や祭りにも携わるなど立派な地域の戦力だ。「世代の離れた人との付き合いが多いが、移住者が心を開けば田舎暮らしは何倍も楽しくなる」と語る。移住2年後、知人の誘いで鹿を解体した。地域では、農作物の獣害に悩まされる一方、駆除後はごみとして捨てられることに胸が痛んだ。「命を他の命につなぐ手伝いをしたかった」と話す。わな免許は仕事の合間に取得した。集落にわなを10基ほど仕掛け、主に仕事のない週末に見回る。捕獲できるのは月に1~3頭。鹿肉は犬用のジャーキーなどに加工し21年から販売する。イベントで1日100個売れたこともあったという。今後は「衛生面に配慮した加工施設を整え、人の食用基準を満たした鹿肉加工品の開発を目指したい」と意欲的だ。

(エゾシカ肉使った特製弁当販売:北海道)
道は毎月第4火曜日を「シカの日」としています。留萌市ではエゾシカ肉を使った特製のハンバーグ弁当が販売されました。道は、毎月第4火曜日を語呂合わせから「シカの日」とし、各地でエゾシカ肉の消費拡大に向けた取り組みを行っています。留萌振興局の売店では、この「シカの日」に合わせて毎月、エゾシカ肉を使った弁当が販売されていて、22日はエゾシカのひき肉を使ったハンバーグ弁当50個が売り出されました。22日の弁当には、留萌市特産のかずのこのあえ物や天塩町でしぼられた牛乳を使ったミルクプリンも付いていて、留萌地方の特産品を味わうことができます。20代の女性職員は「シカ肉はもっと臭みがあると思っていましたが、とてもおいしいです。今後もいろいろなシカ料理を食べてみたいです」と話していました。留萌振興局環境生活課の前地光さんは「スーパーでもシカ肉を購入できるのでぜひ家庭でも食べてほしいです」と話していました。「シカの日」の特製弁当は、今後も毎月第4火曜日にメニューを変えながら売り出され、振興局の職員以外でも購入することができます。

(駆除シカの皮活用、商品化:福岡)
登山者向け地図アプリ「YAMAP」を運営するヤマップ(福岡市博多区)は、農業や森林被害などのために駆除されたシカの皮を利活用し、財布やポーチなどの革製品を商品化、販売している。「人と山をつなぐ、山の遊びを未来につなぐ」をビジョンに掲げ、山や自然を守る活動にも取り組む同社の「めぐるしか」プロジェクトの一環。2021年6月に第1弾で缶バッジやピンバッジを飾るタペストリーを販売し、完売。同10月には、第2弾でスマホポーチと財布を販売している。22年4月にはタペストリーを再販する。プロジェクトは狩猟免許を持つ社員が入社したことがきっかけ。駆除されては処分される野生鳥獣の現状を見て、利活用できないかと取り組み始めた。近年はジビエとして食肉用に流通することも増え始めたが、食肉用に加工されても皮は処分されている。

(大統領選、狩猟規制が再び争点に:フランス)
フランスで17歳のハンターが発砲した流れ弾によってハイカーが死亡する事故が発生し、狩猟規制の強化をめぐる議論が再び大統領選の争点になっている。事故が起きたのは、森林が多い中部カンタル(Cantal)県オーリヤック(Aurillac)近郊。19日に友人と共にハイキングコースを歩いていた25歳女性に流れ弾が当たった。発砲したのは、イノシシ狩りに来ていたグループの17歳の少女で、16歳の時に狩猟免許を取得した。

(銃が原因で失う生涯の年数、自動車事故を上回る:アメリカ)
米国で銃火器による死亡で失われる生命喪失年数の合計が、自動車事故の死亡による同年数を上回り、外傷による死亡原因で筆頭となったことが、このほど学会誌に発表された調査結果で明らかになった。22日の外傷外科学会誌に発表された調査結果によると、2017年、銃器のために失われた可能性のある生命喪失年数は144万年に達し、自動車事故によって失われた命の年数(137万年)を上回った。この傾向は翌年の18年も続いた。この数字は、米疾病対策センター(CDC)の09~18年にかけての統計に基づいている。研究チームは米国人の平均年齢78.7歳を踏まえ、80歳の基準年齢から死亡時の年齢を引いて、潜在的な生命喪失年数を算出した。銃火器による死亡理由で最も多いのは自殺だったことが判明。銃による自殺者は増加している。09年に1万9000件を下回っていた銃による自殺件数は、18年には2万4000件を超えた。10年間の動向を調べた結果、銃による自殺者の大半は白人男性で、潜在的な生命喪失年数は10年間で495万年に上ることが分かった。一方、銃が絡む殺人事件の死者は黒人男性が最も多く、320万年の潜在生命が失われた。殺人による死者は若者が多い傾向があり、殺人の被害者になった黒人男性の生命喪失年数は平均で50.5年だった。一方、自殺した白人男性の喪失年数の平均は29.1年となっている。黒人が米国の人口に占める割合は13.4%。女性の場合、銃が絡む殺人事件の死者は10年間で約10%以上増え、銃による自殺は31%以上増加した。

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(「店も客を選ぶ」銃販売、それでも事件がなくならない事情:埼玉)
埼玉県ふじみ野市の住宅で男性医師が散弾銃で射殺された事件で、無職渡辺宏容疑者(66)が18日、殺人未遂容疑で再逮捕された。渡辺容疑者は許可を得て散弾銃2丁を所持していた。銃規制は強化されてきたのに、なぜ事件は防げなかったのか。捜査関係者によると、渡辺容疑者は許可を得て散弾銃2丁を所持していた。1丁は米国のレミントン製で、もう1丁はイタリアのベレッタ製。渡辺容疑者宅の2階の押し入れとクローゼットにそれぞれ保管庫があり、複数の種類の銃弾もあった。2000年に渡辺容疑者に散弾銃を販売したという店によると、容疑者が購入した散弾銃はレミントン製で、射撃よりも狩猟に用いられることが多いという。約6万円の代金のうち2万円を支払い、残金は分割払いの約束だったが、支払われないままだった。この店では実弾は購入していないという。県警によると、渡辺容疑者は所持の許可を00年と08年に受けており、20年に更新した際の使用目的はクレー射撃などを示す「標的射撃」だった。県警幹部は「容疑者の銃の更新については、必要な調査を行った上で欠格事由が認められなかった」と話す。銃規制は強化されてきているが、事件は防げなかった。

(ボーガン所持、3月から許可制に:山形)
ボーガン(クロスボウ)の所持が今年3月15日から許可制になる。県警は改正銃刀法が成立した昨年6月から無償で回収しており、今月15日までに20丁を引き取った。ボーガンの多くはインターネットで売買され、正確な流通量は分かっていない。県警は「原則禁止で、鑑賞用や収蔵目的では持てなくなる」と注意を呼び掛けている。2020年6月に兵庫県宝塚市で家族4人が死傷するなど、ボーガンを使った殺傷事件の発生を背景に規制が強化された。対象となるのは引いた弦を固定する機能があり、人の生命に危険を及ぼす威力をもつもの。所持には都道府県公安委員会の許可が必要で原則として講習を受ける必要がある。また「18歳未満」や「禁錮以上の刑を終えて5年を経過していない人」など18項目の欠格事項が設けられ、用途はスポーツ射撃や動物麻酔などに限られる。改正法が成立した昨年6月から全国で回収されたボーガンは約2千丁。県警生活安全企画課によると、県内では2月15日までに13人から計20丁、計86本の矢が各警察署に持ち込まれた。いずれも鑑賞用としてインターネット通販で購入したり、知人から譲り受けたりしたもので、1人で4丁を持っていた人もいた。県内の競技団体である上山市ボウガン射撃協会の野村文明会長は「事件でボーガンが危険なものとして注目されるのは残念」と話し、インターネットで誰でも簡単に買えてしまう問題点を指摘する。10人ほどの会員は「競技を続けるためには許可を受けることになる」としている。現在所持している人は3月15日から6カ月以内に許可申請や破棄、譲渡をしないと、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。同課の後藤豊管理官は「処分に困った場合は、悪用されないよう最寄りの警察署に持ってきてほしい」と話している。

(高病原性鳥インフル、今季16例目を検出:北海道)
道は21日、宗谷管内利尻富士町で15日に回収したハシブトガラス5羽の死骸から、致死率の高い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)を検出したと発表した。道内で今季(昨年10月以降)16例目。道は回収地点の半径10キロ圏内で緊急調査を行う予定。現時点で道内の養鶏場から異常の報告はない。道内での高病原性のウイルスに感染した野鳥の確認は、季別最多を更新した。

(わな猟の免許所持者急増:宮城)
野生動物を捕獲するわな猟の免許所持者が宮城県内で急増している。2020年度は2000人に迫る勢いで過去最多となり、県猟友会の会員数も増加に転じた。イノシシなどによる農作物被害が拡大し、ハンター志望ではない農家が取得するケースが増えている。県自然保護課によると、4種類ある狩猟免許のうち散弾銃などを扱う第1種銃猟免許と、箱わなやくくりわななどわな猟免許の11~20年度の所持者数の推移は表の通り。わな猟免許の所持者は20年度に1862人に上り、11年度の3倍以上となった。一方、第1種の所持者は趣味の多様化などを背景に減少傾向が続いている。ピーク時の1976年度には1万人以上もいた。わな猟免許所持者が急増している主な要因は獣害の拡大だ。イノシシなどが農作物を食い荒らす被害が相次ぐ仙台市太白区秋保町。農家の男性(68)は「電気柵やスチールフェンスで農地を囲っていても、穴を掘ったり飛び越えたりして侵入される」と嘆く。狩猟目的ではなく営農継続のため、免許を取得したという。免許所持者が増え、減り続けていた県猟友会の会員数も増加。2013年度末に底を打つと毎年度増え、本年度は13年度末より400人以上多い1867人(1月26日現在)となった。会員のうち、免許取得から実質2年以上を経て加わる有害鳥獣捕獲隊の隊員数も右肩上がりだ。隊員は猟期(11月15日~翌年2月15日)以外の日でも、イノシシなどを捕獲できる。県自然保護課や県猟友会の担当者は「免許取得費を助成する市町村が増え、捕獲隊に入ると猟友会費を補助する県事業も後押ししている」とみる。所持者の急増は新たな課題も生んでいる。同県蔵王町のベテラン猟師の男性(64)は「わなで捕っても止め刺し(殺処分)ができないので、第1種の所持者が依頼を受け、忙殺されている」と明かす。

(IoT活用し農作物の鳥獣対策:長野)
伊那市などと連携してIoT(モノのインターネット)技術を活用した農作物の鳥獣被害対策に取り組む信州大農学部の渡辺修准教授(52)らが十六日、白鳥孝市長に二〇二一年度の活動を報告した。

(牧草、3~5割鹿の食害に:長野)
夏場に牛の放牧が行われている松本市郊外の美ケ原高原と、塩尻市郊外の高ボッチ高原で、牧草の3~5割がニホンジカに食べられているとの推計を、県畜産試験場(塩尻市片丘)がまとめた。問題視されてきた鹿の食害の大きさが改めて浮き彫りになった。牛が下山した後の令和2年11月に、2メートル四方の鉄柵を両牧場に4カ所ずつ置いて鹿が入れない区画を作り、翌年5月に柵の内側と外側の牧草量を比較して食害割合を推計した。それによると美ケ原では最大92・0%の牧草が食べられ、食害の割合は4カ所平均で56・2%に上った。高ボッチでは最大70・0%の牧草が食べられ、食害の割合は平均35・4%となった。二つの高原では、ニホンジカが増えすぎ、牧草や高山植物の食害が深刻化している。美ケ原牧場を運営する畜産農業協同組合の百瀬勤組合長は「ここ15年ほど食害が続く。もっとひどい年もあったのではないか」と試験場の推計を受け止め、駆除を強化する必要性を訴える。新型コロナウイルス禍に伴う海上輸送の混乱などを背景に、輸入飼料が高騰しているといい、コスト削減のために牧場利用を希望する畜産農家が今後増える可能性がある。畜産試験場の井出忠彦飼料環境部長は「想像以上の(食害の)数字。関係者で情報共有して対策を検討していきたい」と話している。

(佐土原鴨網猟の危機:宮崎)
400年以上の歴史がある、宮崎市佐土原町の県指定無形民俗文化財「巨田(こた)池の鴨網猟」に異変が起きている。3カ月間の猟期を15日で終え、カモの捕獲数は過去20年間で最低となる、110羽にとどまった。3年連続でそれ以前の半分以下という。

(アライグマ被害、無自覚な餌付けやめて:埼玉)
急増するアライグマなどの害獣被害を抑え込むため、埼玉県越谷市は14日から1週間、野生生物の餌となる作物や生ごみを屋外に放置しないよう呼び掛ける「無自覚な餌付けストップ・キャンペーン」を始めた。市は広報紙やホームページ上で、木に実った果物を落として処分したり、生ごみを新聞紙などで包み捨てたりするよう住民に求めている。アライグマは外国原産で日本では生態系などへの影響が懸念される特定外来生物に指定されている。越谷市では2009年ごろから捕獲されはじめ、昨年度の捕獲頭数は77頭。全県の昨年度の捕獲頭数(狩猟除く)8080頭(前年度比900頭増)に比べると規模は小さいが、2年間で2倍以上に急増したことから、対策を急いでいる。県のアライグマ防除実施計画によると、アライグマは水辺を餌場とし両生類や虫類など水辺の生態系への影響が懸念されている。雑食で繁殖力が強く、農作物被害や家屋への侵入、汚染も発生している。越谷市内ではペットとして飼育されていたカメが食いちぎられる被害が起きており、アライグマの関与が疑われている。10年ほど前から箱わなでアライグマを捕獲している会社員の60代の女性は「1年で10頭捕獲することがある」と近年の増加に懸念を示す。アライグマとの因縁は深い。最初に被害に遭ったのは自家栽培していたトウモロコシだ。「一本だけやられたなら『残念』で済むが、少しずつかじられて全滅した」。越谷市の特産品の一つで縁起物として親しまれるクワイも被害を免れなかった。「種から大切に育てていたのに、収穫間際になって荒らされた。アライグマの仕業」と憤る。女性はわなを置く位置に細心の注意を払う。指が長く特徴的なアライグマの足跡を発見すると、足跡が向かう先の直線上から少しずれたところに置く。足跡が鮮明になる雨上がりにはよく捕れる。経験を積むうちに、旅先でも目ざとく足跡を見つけ「(この地域にはアライグマが)いる」と直感できるようにまでなったという。女性は「みんなで気を付けることが大事」と越谷市のキャンペーンに賛同する。啓発活動に合わせて市は庁舎入り口にアライグマなどの剥製を展示している。市民の男性(41)は「アニメでかわいいイメージがあった。越谷にもいるとはびっくり」と剥製の写真を撮影。パート従業員の女性(53)は「栽培していたスイカが食べられていたことがあったが、アライグマだったのかも」と首をかしげ、「危ないから近づかないようにしようね」と孫に語り掛けていた。

(シカ対策、技術共有:静岡)
天竜森林管理署(浜松市浜北区)は18日、県西部自治体の林業・獣害対策担当者を招いた現地見学会を同市天竜区龍山町の瀬尻国有林で実施した。同署が取り組むシカの捕獲や防護柵による獣害対策を紹介。地域事情に応じた対策法について意見を交わした。浜松、湖西、磐田、掛川の4市と森町の担当者が参加。わなを使ったシカの捕獲現場を見学し、職員が仕掛けの設置を体験した。新たに造林したエリアに設けたシカやウサギ対策の柵も紹介した。同署管内の国有林では主伐後の再造林を進めているが、シカの食害で苗木が育たないケースが多発し、駆除を含めた対策に力を入れている。同署の宮内基好森林技術指導官は「獣害対策は地域全体で取り組む必要がある。各市町で取り入れられる部分は参照いただき、情報共有を進めていければ」と呼び掛けた。近年シカの増殖エリアとなっている森町の河原崎壮馬主事は「非常に参考になった。うちでふさわしいやり方を考えたい」と話した。

(農作物の鳥獣被害95%減、柵の設置行き渡る:宮城)
宮城県七ケ宿町の2021年の鳥獣による農作物被害が激減した。被害金額は前年比95・7%減の4万8000円、面積は同95・9%減の5・5アール。電気柵やワイヤメッシュ柵の設置が町内にほぼ行き渡り、捕獲による駆除も後押しした。町内全戸を対象とした町のアンケートによると、過去6年間の被害状況はグラフの通り。金額は19年の619万円、面積は18年の1449アールが高い数値だったが、20年には減少に転じ、21年は被害をほぼ抑え込んだ。町内では東日本大震災以降、イノシシが北上し、人口減少も相まって農作物被害が増えた。町は補助金を出すなどして17年度から柵設置を支援。21年度には町内の水田と畑の8割ほどに設置が浸透し、被害に遭いそうなエリアの対策はほぼ終了した。ワイヤメッシュ柵の総延長は76キロに及ぶ。町は捕獲も進め、サルは19年97匹、20年198匹を駆除した結果、人里を警戒して近寄らなくなった。21年は75匹と、過去6年間で3番目の少なさだった。イノシシは19年200頭、20年253頭と増加が顕著だったが、21年は47頭まで急減した。豚熱も影響したとみられる。町農林建設課の浅井岳希さん(24)は「学習能力のあるサルは電気柵を見るだけで避けるようになり、効果が出ている。引き続き被害が増えないよう注視したい」と話す。

(令和3年度クマ類保護及び管理に関する検討会)
環境省では、特定鳥獣であるクマ類について、生息や被害の現状の確認や保護・管理の取組状況の評価と進め方に関する検討を行うことを目的とした検討会を令和4年3月1日(火)に開催します。なお、本検討会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からWEB会議形式で開催します。

(農水省、農地の林地化を支援)
農水省は2022年度、受け手がいない農地を計画的に林地化するための支援に乗り出す。農業生産に利用する農地の周縁部の農地に植林し、有害鳥獣の緩衝帯として機能させる。

(高速道路への侵入、期待を寄せる大型の柵)
シカやイノシシなど野生動物が増え、高速道路へ入り込む事例が後を絶たない。大事故にもつながりかねないため、出没する地域では、新たに柵を増設するなど管理会社は対策に追われている。三重県松阪市矢津町の伊勢自動車道。集落から離れた山間にある、のり面の下では、柵の設置工事が進められている。もともとあった高さ1・5メートルほどの金網の侵入防止柵の上に、1メートル分をかさ上げする形で取り付けている。地中15センチまで刺さっており、動物が穴を掘ってくぐらないようにもしている。3月までに松阪~玉城間のうち上下線計9・5キロで設置する。費用は1メートルあたり3万円ほどかかるという。

(雄ジカ遺伝的に生息分布ごとの系統分け:福島)
福島大などの研究グループは、雄のニホンジカの生息分布を系統分けできる遺伝的性質を見つけたと発表した。広範囲に移動するとされる雄ジカが、どこから来たかなどを推定する材料になる。行動パターンを把握することで各地で生息するシカの数を適切に管理し、農作物の食害を防ぐことも期待される。生態学国際誌に掲載された。ニホンジカの系統を分類したり生息分布を把握したりする方法は雌の遺伝情報を受け継ぐ「ミトコンドリアDNA解析」が主流で、雄の遺伝情報を基に分析する方法はなかった。同大共生システム理工学研究科の高木俊人さんと兼子伸吾准教授は、これまでに全国8か所で採取された雄のニホンジカ107個体分の遺伝情報を分析した結果、生息地域によって異なる遺伝的性質を持つことがわかった。環境省によると、ニホンジカの生息域は特に東北地方で拡大し、1978年度から2018年度は約2・7倍に広がった。兼子准教授は「他地域から流入した個体を駆除しても、流入元の個体数を減らさなければ、再度流入した個体により、すぐに駆除前の個体数に戻る」と指摘する。今後はサンプルを増やすことで、繁殖経路や他地域間での交雑の過程をより詳細に解明していく。兼子准教授は「全国各地で食害や人里への侵入が課題となっている。今後の個体管理につながるよう研究を進めていきたい」と話した。南会津地域で急増するニホンジカが、これまで主流と考えられていた栃木県日光市南部にある「日光国立公園」とは別の地域からも流入していたことがわかった。福島大の兼子准教授らの研究グループが遺伝情報を解析し、同公園内に生息するシカとは別系統のシカが生息していることを確認した。県自然保護課などによると、南会津町や下郷町、昭和村などの南会津地域では、2000年代後半からシカの目撃が増え、捕獲数は07年度の64頭から19年度の779頭まで急増。県内のシカによる農作物被害も20年度は約720万円と、11年度の約20万円から30倍以上にまでふくれあがっている。環境省国立公園課によると、08年頃から始まった日光国立公園や尾瀬国立公園周辺のニホンジカに対するGPS(全地球測位システム)の首輪を用いた個体調査の結果によって、南会津地域のニホンジカは、主に日光国立公園から流入してきた個体が数を増やしてきたものと考えられてきた。共生システム理工学研究科の藤間理央さん(博士後期課程2年)と兼子准教授は、遺伝情報の解析による分布調査を南会津地域のニホンジカで初めて実施。雌のみの遺伝情報を受け継ぐミトコンドリアDNAを同地域や日光市全域に生息する119個体で解析した。その結果、南会津地域の58個体のうち、37個体が日光国立公園内の個体で多くみられた遺伝的性質を示さなかった。日光市北部や尾瀬国立公園などから流入した個体が南会津地域で数を増やしているとみられる。同大は今後、雄ジカの遺伝的性質を使い、更に詳細な繁殖経路などを調査するという。兼子准教授は「急増するシカは南会津で深刻な問題。被害を受けている人たちの助けになればうれしい」と話した。哺乳類の遺伝学に詳しい森林総合研究所の大西尚樹動物生態遺伝チーム長(保全遺伝学)の話「近年、遺伝情報を使った哺乳類の生態分布が注目されている。雄特有の遺伝的性質を見つけたのは世界的にもとてもめずらしい。他の哺乳類で応用が進められる先駆的な研究だ」。

(サル撃退にGPS、出没場所を分析:富山)
富山県は新年度、住民主体でニホンザルの被害防止を図る取り組みを始める。県内ではサルの行動範囲が広がっており、新たに群れが出没し始めて対策が浸透していない地域を対象に、ICT(情報通信技術)を活用して効率よく追い払う実証を行い、サルを寄せ付けないモデル地域をつくる。新年度当初予算案に事業費380万円を計上する。事業の対象はニホンザル管理区域である県東部8市町から5地域程度選ぶ。サルに発信機を付けて衛星利用測位システム(GPS)で位置情報を詳細に分析。集落周辺での出没を把握する受信機も活用して効率的に追い払う仕組みを構築する。先進地の対策を学ぶ市町村向けの研修会も開く。サルの被害防止には捕獲も有効な手法だが、捕獲の影響で群れのバランスが崩れて被害が拡大した事例もあり、慎重に対応する必要がある。中山間地域では高齢化や担い手不足もあり、デジタル技術を活用して住民の負担を軽減する。

(民家車庫にクマ、けが人なし:秋田)
18日午後1時半ごろ、秋田県北秋田市米内沢字長野の民家車庫内にクマがいるのを住人の70代女性が目撃した。北秋田署によると、クマの目撃情報が県警に寄せられたのは今年初めて。クマは捕獲された。けが人はいなかった。署によると、女性が帰宅時に車を車庫に入れて降りた際、体長約50センチのクマがいるのを発見し110番した。

("シカ"目撃相次ぐ「過去最多レベル」:北海道)
2月17日深夜、北海道札幌市の市街地でシカの目撃が相次ぎました。シカが目撃されたのは、札幌市豊平区中の島2条6丁目の市道です。2月17日午後11時25分ごろ、「シカを目撃した」と110番通報が相次ぎました。警察によりますと、目撃されたのは体長約2メートルの角がないシカ1頭で、中の島通を南方向に進んでいたということです。警察が現場付近を捜索しましたがシカの姿はなく、ケガをした人や交通事故はありませんでした。現場付近では、17日の午前9時ごろにもシカが目撃されていて、同一個体とみられています。北海道警によりますと、2020年のシカが関係する交通事故は調査を開始した2004年以降で最多の3511件となっていて、その4割が札幌周辺に集中しています。札幌市ではエゾシカは群れで行動する習性があり、連続して道路に飛び出したり、道路上で驚いて立ち止まったりすることがあるため、シカを見つけたらドライバーに減速するよう注意を呼びかけています。

(古座川ジビエに公式キャラ:和歌山)
「古座川ジビエ」にマスコットキャラクターが誕生した。和歌山県古座川町月野瀬にあるシカ、イノシシの食肉処理加工施設「古座川ジビエ 山の光工房」施設長で総合格闘家でもある鈴木貴裕さん(35)と格闘技が縁で親交がある漫画家つの丸さんが、たくましいシカのキャラクターをデザイン。格闘技イベント「K―1」初代王者にちなんで「シカティック」と名付けており、鈴木施設長は「このキャラクターとともに、ジビエ界の王者を目指して頑張りたい」と意気込んでいる。つの丸さんは週刊少年ジャンプで連載した「モンモンモン」や「みどりのマキバオー」などのヒット作で知られ、ユニークで愛らしいタッチで描かれたキャラクターを愛するファンは多い。「ジャイアン貴裕」というリングネームで活動している鈴木施設長は以前に千葉県にある格闘技ジムに所属していた際、格闘技好きで知られるつの丸さんと知り合って交流がスタート。試合に応援に来てくれたり、2017年に古座川町に移住し、その後、山の光工房で働くようになってからもジビエの商品を買ってくれたりと交流が続いているという。そんな中、鈴木施設長が「つの丸先生が描く動物はユニークでかわいらしくインパクトがあり、マスコットキャラクターを描いてもらったら面白い」と制作を依頼。舌を出して愛らしい表情をした雄のシカが腕組みをしたものと、力こぶをつくったポーズの2種類のデザインを描いてくれた。つの丸さんの画風の特徴である「おなら」もさりげなく表現。名前についても考えてもらい、「シカ」つながりで、1993年に開かれた「K―1グランプリ」初代王者のブランコ・シカティックにちなんで名付けられたという。

(手軽に本格ジビエ料理、県産ミールキット開発:鳥取)
鳥取県内で捕獲された野生鳥獣肉(ジビエ)を使った本格イタリアンのミールキットが開発され、期間限定でオンライン販売されている。自宅ですぐに調理できるよう、レシピと共に必要な分量の食材や調味料がセットになっており、コロナ禍でも手軽に本格的なジビエ料理が味わえる。

(イノシシの加工食品開発:香川)
多度津高校(多度津町栄町)の海洋生産科食品科学コースの生徒たちが取り組んでいるイノシシ肉の加工食品開発で、第3弾となる角煮缶詰の試作が同校で行われた。

(わかやま給食グランプリ:和歌山)
県産の食材を使用した優れた給食メニューを決めるコンテスト、「わかやま給食グランプリ」の最終審査会がこのほど、県庁のきいちゃん食堂で開かれました。このコンテストは、学校給食や和歌山の地場産品に興味を持ってもらおうと、県庁北別館にある食堂、「きいちゃん食堂」を運営する和歌山市の株式会社フーズファイルが、去年に続いて開いたものです。県内の児童や学校調理師などから500件以上の応募があり、この日は、書類審査を通過した6つのメニューの最終審査が行われました。審査会では、スタッフや県学校給食会のメンバーらが味や作りやすさやなどを総合的に審査し、投票でグランプリを決めました。投票の結果、和歌山大学附属小学校6年の吉田朱里さんが考えた、ジビエを使ったハンバーグや新ショウガを使った混ぜご飯などのメニューがグランプリに選ばれました。受賞メニューは一部を変更し、今月21日から28日まで、きいちゃん食堂と和歌山市のぶらくり丁にある「ぶらくりきっちん」で販売される予定です。

(ジビエ料理、親しみを:新潟)
「糸魚川市の食材を使ったジビエ(野生鳥獣肉)料理講習会」が19日、同市横町1の糸魚川地区公民館で開かれた。ジビエ初心者の参加市民11人が、イノシシ肉などジビエの種類や特徴、おいしく食べる方法などを学び、地産地消による消費拡大を理解した。

(おいしいパンやイノシシ肉マップで紹介:兵庫)
新型コロナ禍で、近場で過ごす「マイクロツーリズム」が注目される中、猪名川町商工会(兵庫県猪名川町柏梨田)は、地域資源をPRしようと、グルメなどの情報を盛り込んだマップ3種類を発行している。おいしいパンやイノシシ肉を使った料理店のほか、野外レジャー拠点などを紹介。町商工会は「大阪や神戸から近い猪名川町には楽しい場所がたくさんあることを知ってもらいたい」としている。

(駆除シカ、動物園の餌に:愛知)
愛知県の奥三河地方で有害鳥獣として駆除されたシカを、飼育動物の餌として活用する取り組みが始まった。農作物の被害に悩む住民と、動物の生育環境を豊かにしたい「豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)」(愛知県豊橋市)が手を組んだ。給餌の様子は公開され、獣害問題や野生動物の生態について理解を深める機会となっている。昨年12月、のんほいパークのライオン放飼場。骨や皮がついたままのシカの太もも部分を与えられると、雄のアース(3歳)と雌のオト(22歳)は前脚で抱え込むようにしてなめたり、かぶりついたり。時折、ガリッと骨をかみ砕く音も聞こえ、来園者は「迫力あるね」などと見入っていた。「肉汁をなめるなどの行動は、普段の馬肉の餌では見られない」と同園の吉川雅己専門員(49)。時間と手間をかけて食べるため、活動量も増えるという。シカ肉は、同県東栄町や周辺で有害鳥獣として捕獲されたものだ。同町の獣肉加工処理会社「野生動物 命のリレーPJ(プロジェクト)」が猟友会などから買い取り、内臓を取り除いて洗浄・殺菌し、注文を受けて供給している。元町長の尾林克時さん(72)ら町の高齢者が同社を設立したのは昨年5月。飼育環境の向上に取り組むパークから、獣肉提供を依頼されたのがきっかけだ。町でも、農作物を荒らすシカに頭を悩ませていた。町内や近隣で年間2000頭超が捕獲されるが、ジビエなどに活用されるのは2割ほど。多くは廃棄されていた。町内に専用処理施設を整備し、パーク側から衛生面などの指導も受けた。パークでは昨年12月から、第2、第4日曜にシカ肉の給餌の様子を公開している。同園の動物研究員・伴和幸さん(35)によると、有害鳥獣を餌とする取り組みは全国十数か所で行われているが、獣肉の安定的な供給源を確保し、定期的に公開している施設は珍しいという。尾林さんは、「駆除したシカが他の動物の餌となることで、命がつながる。動物の生態に対する理解を深めることにも貢献できる」と手応えを語る。他の動物園への提供も目指しており、安定供給を軌道に乗せたいパーク側も、近隣施設に活用を呼びかけている。

(「屠体給餌」ってなに?:埼玉)
「屠体(とたい)給餌」という給餌方法をご存じだろうか。近年、この屠体給餌を行う動物園が増えている。埼玉県の東武動物公園ではネコ科の動物に実施しているという。今回、休園日を利用してホワイトタイガーの屠体給餌を行うというので、取材することにした。屠体給餌とは、簡単に言えば動物の肉をそのまま与える食事方法だ。食べやすく刻んだり、他の食べ物と混ぜたりしない。野生下では、捕まえた獲物をその場で食べるわけで、これと同様な食事を飼育下でも(できるだけ)再現しようというものだ。東武動物公園では、2021年より屠体給餌を始めたという。一般に屠体給餌を実施するのには、2つの理由がある。一つは、増えた野生動物による農作物被害の対策。もう一つは肉食動物たちの健康管理、QOLの向上のためだ。捕食動物の絶滅・減少(屋久島には屋久鹿を捕食する動物がいない)と生活圏の減少によって、シカやイノシシの農作物への被害が深刻な問題となっている。農林水産省の報告では被害額は161億円にも達し、今も増え続けている。個体数が多い動物は駆除対象となっているが、その最終処分も課題だ。ジビエ肉(食肉)による消費に加え、屠体給餌も注目されている。自然の肉もタンパク質、脂肪、ミネラルなどのバランスに優れた栄養食だ。毛皮や骨のついた肉は飼育下の動物たちの本能を呼び覚まし、ストレスを発散させる効果が期待できる。動物園の食事は栄養バランス、カロリー管理がされている。食べやすく刻んだりもするが、半面、動物たちにとっては刺激が少なく、食事へのモチベーションが下がることもある。東武動物公園に屠体給餌用の鹿肉を提供しているのは、屋久鹿ジビエ王国というジビエ肉を扱う専門事業者だ。同園が屠体給餌について考え始めたとき、偶然にもこの会社から提供のオファーがあったそうだ。相談すると、動物園の事情に理解を示し、屠体給餌用の処理も対応可能との返事を得た。すぐに協力をお願いすることになったという。動物園側の希望は、屠体は骨格(頭骨以外)、毛皮、四肢、蹄などはそのままであること。ただし、血抜きされ頭と内臓が取り除かれ冷凍された状態とのことだ。血抜きや内臓除去は腐敗防止のため。頭はあまり食べるところがないという。動物に与える前に殺菌のための加熱処理が行われる。同園 飼育係 ネコ科他担当の北濱健太氏によれば、これは「野生下ではその環境で生活する動物を捕食しますが、飼育下で異なる生息域・環境の動物の生肉を与えるとお腹を壊したり感染症の危険があります。内臓除去と殺菌処理は、過去にそういった事例が確認されているから」だという。加熱処理は、高温(72度)だと1分くらいで殺菌消毒できるが、肉に火が通ってしまい堅くなったり新鮮さが損なわれてしまう。そのため、同園では「63度くらいの温度でゆっくり3~4時間かけて下処理を行う」(北濱氏)そうだ。これで赤身を残したまま殺菌もできる。取材日には1頭の屋久鹿の屠体が用意され、2頭のホワイトタイガー、カーラとシュガーに半分ずつ与えられた。鹿肉は展示スペースにそのまま置かれる。この状態で獣舎の扉が開けられるとトラが出てきて食事タイムとなる。最初はカーラの番だ。さっそく鹿肉の存在に気付き、駆け寄ってにおいチェックをする。だが、カメラの存在を気にしてか、一瞬警戒するそぶりを見せた。しかし、すぐに肉をくわえて走り出した。お気に入りの場所に持っていって食べるためのようだ。すぐにかじりつくかと思ったが、最初は舌をつかって肉を舐め始めた。舐めるといってもネコ科の大型獣の舌なので、肉をしっかり削ぎ落している。しだいに骨ごとかじりだすようになった。最後は「ガリガリ」音をたてながら骨ごと鹿肉を堪能していた。もう1頭のシュガーは、バックヤードのケージの中での食事となった。展示もそうだが、ほぼ単独で行動するトラは個別の展示や食事となるそうだ。食事の場所のせいか、性格のせいかシュガーの方が、食べながら何度も周囲を確認するため顔を上げたりしていた。ときおり口を開けて威嚇するような表情さえ見せていた。北濱氏によれば、特別な餌なので、誰かに盗られないか気にしているのだそうだ。2頭とも肉を加えて走り回ったり、ジャンプしたりしてはしゃいでいるのがわかる。それだけ、嬉しい食事、食事に興奮しているということだ。「普段の食事は5分くらいで終わってしまうが、屠体給餌だと1時間くらいかけてじっくり食事を楽しんでいます。骨もほとんど残らず、細かい毛皮の切れ端と蹄を残すくらいです」(北濱氏)。ただ、ジビエ肉がふんだんに手に入るわけではなく、同園では月1回が屠体給餌の目安だそうだ。それも一度に全部のトラやライオンたちの分があるわけでもない。だが、野生下では毎日狩りが成功するわけではないので、数か月ごとの頻度もやむを得ないだろう。ネコ科の大型猛獣たちは楽しみにしており、喜んでいるのがわかるほど、屠体給餌の効果は高いという。人間もトラも、食事の時間が楽しめるというのは健康で長生きするのための秘訣であることは変わりないようだ。

(大学生がジビエのまちPRにひと役:千葉)
イノシシ肉を使って館山総合高校生徒が考案した、おやき「BOUSOUおやちょ」を広め、「ジビエのまち館山を盛り上げたい」と、大学生らがチラシを作成し、館山駅周辺の飲食店に配布するPR作戦を展開した。BOUSOUおやちょは、館山産イノシシ肉と地元の野菜をチーズとともに米粉の皮で包んだ同校家政科生徒ら考案のおやきで、おやきと野猪(やちょ)をかけてネーミングした。館山ジビエセンターの製造で、同市北条の「リビングエニウェアコモンズ館山」で350円(税込み)で販売されている。今回PRに取り組んだのは、市内で2週間にわたって繰り広げられている大学生向けのビジネス研修プログラムに参加している3人。「館山の食のまちづくりに貢献せよ」といった地方創生の課題に取り組む中で、おやちょの存在を知り、もっとPRすることでジビエのまち館山の活性化につなげたいと企画した。チラシは500部を作成。おやちょ考案のコンセプトを説明することで、より魅力が伝わるのではと、商品の紹介だけでなく、駆除されたイノシシの有効活用や被害に悩む農家の助けになりたいという高校生の思いも入れ込んだ。18、19日には、チラシを片手に駅周辺の飲食店を回って、配布を依頼。ジビエ料理を提供している洋食店の「モンレーヴ館山」では、店主の島田孝之さんが受け取り、「ジビエのまちとして盛り上げたいと私も取り組んできたが、こうして学生らが協力してくれて感激」と喜んだ。PR活動をした岡山大学4年の柘植秀太さん(22)は「地方の課題について現場の生の声を聞きながら関わることができて、とても良い体験になった。プログラムを通して館山の人の温かさに触れることができた。4月からは東京都内の会社に就職する。将来は2拠点生活にも興味があり、ぜひ館山を拠点にして、まちづくりに携わることができれば」と話していた。

(イノシシ皮からパスケース:熊本)
熊本県の八代農業高校泉分校3年生が卒業制作でパスケース作りに取り組みました。素材に使われたのは、田畑を食い荒らすあのケモノです。八代市の中心部から約10キロ離れた山間部に位置する八代農業高校の泉分校。この日3年生が取り組んでいるのは卒業制作のパスケース作りです。素材となるのはイノシシの皮です。熊本県によると、最新の鳥獣による農作物被害は年間5億円を超えていて、このうち半分近くがイノシシによる被害です。最も被害の多い八代地域が県全体のおよそ30%を占める中、地元高校の生徒として、イノシシの皮剥ぎなど解体実習を通して、地域課題の解決策を学んできました。約2時間をかけて、イノシシの命が色とりどりの個性的なパスケースに変わりました。高校生活3年間の卒業制作は思い出作りに留まらず鳥獣対策とその命について考える大切な機会となったようです。

(高校生が弘南鉄道応援商品:青森)
弘前実業高校と黒石高校の生徒が考案した弘南鉄道応援商品が21日、県庁で披露された。公式キャラクターラッセル君の体を模した最中「どんどんず」、食べる部位で味が変わる「弘南鉄道チャレンジパン」、ペットフード「わんこのうんこ」と、高校生のアイデア満載の3商品が22日に発売される。インターネット交流サイト(SNS)で話題を集める、いわゆる「バズる」を意識した企画。県中南地域県民局が沿線の高校、地元事業者、弘南鉄道と連携して開発した。昨年4月に事業に着手し、弘前実業高校商業科・情報処理科2年の120人、黒石高校情報デザイン科2年の37人から集めたアイデアを形にした。ラッセル君の尻と津軽のバナナ最中を組み合わせた「どんどんず」(税込み210円)は、弘前市の老舗菓子店「いなみや菓子店」が協力。色白バージョンと日焼けバージョンがある。「弘南鉄道チャレンジパン」(同540円)は、5両編成をイメージした2種類のちぎりパン。「弘南線」は清水森ナンバ使用のカレーパンで、先頭部位の「弘前駅」から辛さが増し「黒石駅」は激辛状態。リンゴジャムを使用した「大鰐線」は「中央弘前駅」から「大鰐駅」まで「胸焼け」状態に甘さを増す。弘前市の農業生産法人「ANEKKO」と、同市の社会福祉法人七峰会多機能型事業所「エイブル」が生産した。ペットフード「わんこのうんこ」(同540円)は白神山地のクマの内臓を干した犬用おやつ。クマ肉と異なって捨てられる部位を活用し、見た目の黒さなどから名称を工夫した。「どんどんず」「弘南鉄道チャレンジパン」は駅周辺のコンビニエンスストア・ファミリーマートや道の駅などで販売。「わんこのうんこ」は来月7日まで大鰐町の鰐comeなどで取り扱う。

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(大量繁殖のキョン駆除で報酬、不法滞在の外国人雇い逮捕:東京)
警察車両の中からカメラを見る黒いマスクの男は、外国人を違法に働かせた疑いで逮捕された、山田芳男容疑者(58)。東京・大島で、土木工事会社「ジャスティス」を経営していた山田容疑者。島で問題となっている、ある動物を駆除するために、不法に外国人を雇った疑いが持たれている。その動物とは、特定外来生物に指定されているシカ科の「キョン」。キョンといえば、千葉県内でも大量に繁殖。FNNでは、2021年にその様子を取材していた。千葉県では、およそ4万4,000頭を超えているとみられ、農作物を食い荒らすといった被害が出ている。そんなキョンによる農業被害は、今回の不法就労の舞台となった大島でも起きている。特産物のアシタバが食べられ、その駆除は急務となっている。駆除を請け負った山田容疑者は、30代のベトナム人の男2人を、不法残留状態と知りながら雇った。勤務は、午前8時から午後3時半までの週6日。日給1万円から1万2,000円を受け取っていて、それぞれ100万円前後の報酬をもらっていたという。さらに、住む場所も与えられていた2人。しかし、「2人が歌うカラオケがうるさい」との110番通報を受け、調べたところ、不法残留が判明した。調べに対し、山田容疑者は、容疑を認めているという。また、ベトナム人の男が調べに対し、語ったのは「島では捕まらないという認識があった」という。警視庁は、山田容疑者がほかにも不法滞在の外国人を雇っていたとみて、調べを進めている。

(イノシシ豚熱感染急増、東北3県205頭)
東北で2021年に確認された野生イノシシの豚熱(CSF)感染数が宮城、山形、福島の3県で205頭に上ったことが15日、各県の調査で分かった。山形、福島両県で12頭だった20年から大幅に増加。22年はすでに3県で45頭が確認された。宮城や山形の養豚場では、飼育中の豚が感染し殺処分するなど、畜産業の被害も広がっている。東北では20年9月、会津若松市でイノシシに初めて確認され、12月には山形県小国町でも見つかった。21年6月に山形、福島両県に接する宮城県七ケ宿町でも確認された。

(野鳥から5例目の鳥インフル陽性:岩手)
岩手県は2月14日、久慈市で衰弱して見つかった野生のオオハクチョウについて鳥インフルエンザの簡易検査を行った結果、陽性反応が出たと発表した。県によると、久慈市長内町で14日に衰弱した状態で見つかりその後死んだオオハクチョウ1羽について、A型鳥インフルエンザの簡易検査をしたところ、陽性反応が確認された。死がいは高病原性かどうかを調べるため鳥取大学に送られていて、結果は1週間ほどで判明する予定。久慈市内では野鳥からの鳥インフルエンザの陽性確認が相次いでいて、これで5例目。

(散弾銃射撃場で鉛汚染土を除去、地元住民ら:佐賀)
伊万里市大川内町の市営散弾銃射撃場に大量の鉛散弾が放置されている問題で、市職員と地元住民が17日、鉛を含んだ土壌の除去を行った。2021年3月に続き2回目で、着弾区域の一角を手作業で取り除き、土のう袋200袋分を回収した。市によると、射撃場には約5万3100平方メートルに推計57トンの鉛散弾が堆積している。市は鉛の汚染濃度が高い約3600平方メートルの土壌を業者に頼んで撤去する方針で、22年度中の工事着手を目指している。今回の作業は現状把握を主な目的に実施した。傾斜地に堆積した汚染土をスコップですくい取り、1時間で約3トンを回収し、事務所跡に保管した。大川内町区長会長の川原善行さん(70)は「弾が思ったより深く入っていた。粒が小さくなっているのは溶けているからとみられ、早く取り除いてほしい」と望んだ。

(クマ対策緑地「準市街地」に:北海道)
札幌市は17日、「さっぽろヒグマ基本計画」の改定検討委員会で、ヒグマの生息域や人の生活圏を示す「ゾーニングマップ」に関し、森林から市街地をはさんだ場所にある緑地などを新たに「準市街地」と区分する案を示した。昨年6月に東区で男女4人に重軽傷を負わせたヒグマが北区の茨戸川緑地を経て住宅街に現れたとみられるためで、同様の緑地の対策強化に役立てたい考え。ゾーニングは現在、《1》ヒグマが侵入してはいけない「市街地」《2》小規模集落があり、出没のあり得る「市街地周辺」《3》生息地である「森林」―に3区分。準市街地は「本来の生息域から離れているか、森林と市街地を挟んだ地域」と定義した。

(機械学習でイノシシの出没確率を予測:岩手)
森林研究・整備機構森林総合研究所(大西尚樹氏)と岩手県立大学(今田日菜子氏、一ノ澤友香氏)の研究グループは2月15日、岩手県で分布域を拡大しているイノシシの出没を機械学習で予測するハザードマップを作成したと発表した。この手法は地域を限定しないため、他の地域にも応用が可能だという。研究グループは、2007年以降の岩手県内のイノシシの出没データ(目撃・被害・捕獲情報をまとめたもの)を基に、種の分布モデル(種の分布を推定する手法)を用いた機械学習法により、出没予測図を製作した。また予測には、標高、植生、土地利用、人口、年間最大積雪深の5つの環境データ(国土地理院や政府が公開しているオープンデータを採用)を用いたが、このすべてを組み合わせて予測図を作ったところ、標高、植生、土地利用の3つを用いた場合がもっとも信頼度の高い予測図となった。そして、最初の目撃例からの拡大期にあたる2007年から2017年の出没データを用いた予測図と、拡大を終え定着期に入り大きく出没件数が増えた2018年から2019年の出没データを用いた予測図とを比較したところ、予測確率が高い地域ほど出没が多いことがわかった。つまり、データ量が多いほど予測確率は高くなるということで、2019年までの全データを用いた出没予想図は、今後のイノシシ出没ハザードマップとして活用できるという。

(性染色体の遺伝解析で追う雄ジカ達の歴史:福島)
福島大学共生システム理工学研究科の高木俊人氏(博士後期課程2年)および、兼子伸吾准教授を中心とした筑波大学、奈良教育大学、山形大学、森林総合研究所の共同研究グループは、ニホンジカの雄の種内系統や、その分布の把握に有効な遺伝マーカーを新たに開発しました。これまでニホンジカの種内系統や遺伝的多様性の研究においてはミトコンドリアDNAを対象とした研究が主流でした。しかし、ミトコンドリアは、母親のみを介して仔に伝えられるという遺伝特性を持つため、雌の種内系統しか明らかにすることができません。そこで本研究では、雄のみが持つY染色体上にあるSSR遺伝子座に着目し、近縁種であるアカシカの公開ゲノム情報を用いて、雄の種内系統を識別可能な遺伝マーカーを開発しました。本研究成果が個体群生態学会の国際誌『Population Ecology』に正式発表されることになりましたので、ご報告いたします。

(赤外線カメラ搭載ドローン活用、シカの生息状況調査:静岡)
静岡県は16日、赤外線カメラ搭載のドローンを活用したニホンジカの生息状況調査を伊豆市の棚場山周辺で行った。食害によって農林業に大きな影響を与えるニホンジカの生息場所を把握し、効率的な捕獲に役立てる。野生生物の調査を専門に行う委託業者がニホンジカの動きが活発になる夜間に備え、昼間の内に調査場所でドローンを飛ばして飛行可能な高度や障害物の有無を確かめた。夜間は昼間に記録したルートを自動で飛行し、人が簡単に入れない山間部を調査する。調査結果は県が狩猟者などと共有し、わなの設置場所の判断材料にする。調査は本年度、伊豆地域と小山町で試行的に初めて行った。来年度以降、他地域での実施を検討する。県の推計では、ニホンジカは伊豆地域に2万3千~3万6千頭ほどが生息しているとみられ、2020年度は1万6千頭が捕獲された。

(ドローンでサル撃退:静岡)
JAなんすんと沼津市などでつくる市有害鳥獣被害防止対策協議会は15日、ドローンを活用した鳥獣対策試験を同市浮島・愛鷹地区で実施した。同地区でサルが農作物や人を襲う被害が多発する状況を受け、生産者や同JA職員ら約20人がドローンから警報ブザーを鳴らしサルなどを追い払う手法を実験した。鳥獣対策ドローンを専門に扱う「きっちんらぼ」(滋賀県長浜市)の松本浩幸さんが指導に当たった。使われたのは「アタックドローン」と呼ばれる警報ブザー付きドローン。サルを追い払う方法について「音と光で威嚇しても効果はない。体当たり感覚で操縦する必要がある」とし、サルが逃げた後やサルがいない時でも飛ばして対処していくことが重要と強調した。市によると、2020年の鳥獣による農作物被害は2178万円。サツマイモを生産する同JA青壮年部愛鷹支部長の大島芳夫さんによると、電柵を設置しても被害があるという。実際に操縦を体験し「意外と簡単。自動操縦もできるし、生産者で協力して活用できそう」と導入に意欲を示した。同協議会はアタックドローン1台を購入していて、市農林農地課の伊藤尚志主事は「講座を機に、生産者に導入を促すきっかけづくりにしたい」と話した。

(カワウ食害防止へかかし設置:愛媛)
カワウの食害から肱川のアユを守ろうと、愛媛県大洲市の肱川漁協菅田支部が市内の河原に鳥よけのかかしを作って設置する取り組みを進めている。6月のアユ漁解禁までを目安に、組合員らがモニタリングを続け、かかしの効果を見極める。同支部は10年以上にわたり、肱川の漁場のアユなどを食い荒らされる被害に悩まされてきた。冬場でもカワウが50羽ほどの群れをなして飛来し、6~9月には200~300羽ほどの大群となることも。カワウの1日の捕食量は約500グラムといわれており、換算すると、体長15~20センチのアユを毎日5匹ほど食べていることになる。これまでに組合員らがかかしを設置した一部の河原では、周辺にカワウが近寄ってこなくなる効果がみられたという。天然アユが遡上(そじょう)を始める3月を前に、支部として対策に乗り出すことにした。

(鳥獣被害対策、活用して:宮崎)
県鳥獣被害対策支援センターは2021年度、鳥獣被害対策の手引を改訂し、県ホームページ(HP)からもダウンロードできるようにした。農家や行政関係者らに広く活用してほしいとしている。手引では獣害の原因などを説明しているほか、近年アナグマやタヌキの被害が深刻化してきていることから、新たに中型野生動物に有効な柵を紹介。樹脂ネットと電気を組み合わせたもので、樹脂ネットを登ると高さ約40センチの位置にある通電線に鼻先などが触れ、感電する仕組みという。手引はA4判で全19ページ。同センターは「ダウンロードすれば簡単に手に入るので、正しい知識を身に付けて対策してほしい」と呼び掛けている。冊子は380部作製しており、事前連絡をすれば同センターで受け取れる。県によると、野生鳥獣による農林作物などの被害額は20年度約4億2300万円で、前年度より約261万円減少している。

(雌クマ死亡数「引き上げを」:北海道)
オンラインで15日に開かれた知床世界自然遺産地域科学委員会のエゾシカ・ヒグマワーキンググループの1日目の会議では、問題個体の頻繁な出没に悩む自治体から、環境省などがまとめる次期(2022~27年度)の知床半島ヒグマ管理計画案で、交通事故や捕獲などで人為的に死ぬ雌クマの数「死亡総数」の上限を引き上げるよう求める意見が出た。東京農工大などの研究グループは、主に羅臼、標津、オホーツク管内斜里の3町で行動するクマについて19~21年度、体毛などのDNA判定による調査を実施。幅がある推定個体数の中央値として19年は「472頭」、20年は「399頭」との値が打ち出され、次期計画案に盛り込まれた。

(タカを訓練、自在に操り鳥獣駆除:岡山)
タカを自在に操り、威嚇することで鳥獣駆除に取り組む男性コンビがいる。田中一さん(51)=倉敷市=と、中塚忍さん(51)=同市。自然豊かな酒津公園(同市酒津)を中心に訓練を重ねており、「タカのように広い視野で、一つでも多くの悩み事を解決したい」と意気込んでいる。1月下旬の午前。木々に囲まれた公園内の広場で、1羽のタカが冷たい空気を切り裂くように飛ぶ。30~50メートル離れた2人の間を往復し、まるで腕から腕へ吸い寄せられるようだ。人通りがあり樹木の多い同公園は訓練に絶好のエリアという。2人は興陽高(岡山市南区)時代の同級生。幼少期から鳥類を飼育し親しんでいた中塚さんは、以前からタカを使った鳥獣駆除の構想を温めていた。昨春、田中さんに声を掛けて任意団体「一忍(たか・しん)」を結成。野良猫やハト、カラスによる被害に悩む農家らの力になろうと訓練を重ね、これまで約30件の駆除依頼に応えてきたという。2人の“相棒”は、いずれも昨春生まれた「ハリスホーク」種の雌。おっとりした性格の「羽紅(はく)」を田中さんが、食いしん坊の「紅輝(こうき)」を中塚さんが担当する。トレーニングは、多様な環境に慣らすため、倉敷市保健所の許可を受け、同公園のほか、児島公園(同市児島駅前)などでも毎日続ける。今後はタカの数を増やし、イヌなど新しい仲間も迎えたいという。2人は「鳥獣などを追い払えるタカを使った活動を知ってほしい」と話している。

(農業省力化研究成果、信大生ら伊那市長に報告:長野)
伊那市とIoT(モノのインターネット)技術を活用した農業分野の省力化に取り組む、信州大学農学部の渡邉修准教授と学生らが16日、市役所を訪れ、これまでの研究成果を白鳥孝市長に報告した。農作物を食い荒らす有害鳥獣の捕獲を知らせるセンサーと、ドローンを使って国の水田転作交付金算定に必要な農地確認を行う研究。渡邉准教授は「どちらも大幅な作業の効率化、省力化がみられた」と実績を強調した。獣がわなに掛かるとメールでスマートフォンに知らせる「鳥獣わなセンサー」は2017年、猟友会員がわなを見回る手間を省く目的で、市と信大、市有線放送農協が開発に着手。19年に実用化した。この日は、信大農学部4年の榊原広大さん(23)がセンサーの有無により作業効率を比較する実験の結果を報告。「センサーで獣がわなに掛かった時だけ現場へ行くと、センサーを使わずに毎日見回りするよりも時間と経費は7割の削減になった」と述べた。一方、農地確認作業は、同学部研究専属職員の加藤航太さん(26)が、ドローンを使った空撮と画像分析による農地面積の換算や作付け作物の判別について説明。「空撮による農地確認は、煩雑な事前準備が不要」とし、「同様のシステムを導入した他の自治体では従来比7割の省力化に成功している」と発表した。渡邉准教授は空撮による分析の課題を「水稲や小麦、大豆、ソバ、牧草を除く野菜などの判別は、今後精度を高める必要がある」と指摘した。白鳥市長は「研究は災害対策などでも、幅広い用途や応用が考えられる。新ビジネスとして発展させてほしい」と述べた。

(獣害対策用グレーチング、新工法で採用拡大へ:広島)
グレーチングのトップメーカー、ダイクレ(本社=広島県呉市、山本貴社長)は獣害対策用グレーチングの販売に力を入れる。グレーチングの用途拡大の一環として開発したもので、道路に専用グレーチングを設置し、イノシシやシカの侵入を防ぐ。このほど施工を効率化する新工法を実用化した。獣害に悩むゴルフ場などでの採用拡大を目指す。

(ヒグマの会をグッズで支援:北海道)
札幌の合同会社モリノコ商会(宮本尚代表)は、猟師やヒグマ研究者らでつくる「ヒグマの会」の活動を支援するため、チャリティーグッズを製作した。Tシャツと2種類のクリアファイルで、売り上げの約1割を同会に寄付する。モリノコ商会は、環境保全活動に関するグッズ製作やイベント企画会社として昨年11月に設立された。商品の第1弾として、収益事業がないヒグマの会を応援するため、知床のヒグマの写真をあしらったTシャツ(3850円)と、ヒグマのイラストが描かれたクリアファイル(440円)などを製作した。

(ふるなび、白糠町の2つのクラウドファンディングプロジェクトへの寄附受付を開始:北海道)
アイモバイルが運営するふるさと納税サイト「ふるなび」が北海道白糠町の、赤潮被害軽減、鹿害被害の解決を目的とした2つのクラウドファンディングプロジェクトへの寄附受付を開始した。北海道には「えぞ鹿」がおり、その特徴は体長約2m体重150kgととても大きく、国内最大級の草食動物。一見可愛い鹿に思えるが、白糠町を含む道東ではえぞ鹿による深刻な被害が出ている。これまでにも農家を中心に出資して柵を作ったり頭数管理を行ってきたが、被害により減収している今、対策資金の捻出に大変困っている。このプロジェクトで受けた寄附は、農家へ支援やエゾシカ対策(柵の新設や延長等)へ活用される。

(がんで余命宣告→寛解して移住、猟師として町を救う:愛知)
「都会を卒業して、田舎でゆったり暮らしたい」――誰しも、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。とはいえ、家族の説得、家や仕事探し、新たなご近所さんとのお付き合いなど、越えるべき多くのハードルを前に「移住は夢物語」とあきらめている人も多いはず。そこで、地方に移り、新たな生活をスタートさせた「移住の先輩」に移住成功の極意を聞きます。伊那街道の宿場町として栄え、今も紅葉の名所として知られる愛知県豊田市足助町。田畑があちこちに点在する、名古屋から車で約1時間ののどかな中山間地です。「10年前の自分に、今、私がここで何をしているかを話してもまず信じないでしょうね」。2017年、名古屋のベッドタウンの刈谷市から足助町に移住した清水潤子(50歳)さんは、そう言って笑います。それもそのはず。現在の職業は、以前の仕事からは想像もつかないハンター兼ジビエカフェ店主。江戸時代に建てられた古民家に暮らし、田畑を荒らすシカ、イノシシ、アライグマなどの有害鳥獣を年間100頭あまりも捕獲するだけでなく、解体や調理まで行っているのですから。前職は「やりがいに満ちていた」という介護職。仕事にまい進していた清水さんに何が起き、現在地へとたどり着いたのでしょうか。清水さんは新潟県長岡市出身。愛知県の大学で学び、三重県内の障害者施設に就職しました。「多忙でしたが、子どもから大人までさまざまな人を担当し、触れ合う中で、私自身、日々多くのことを学べました。障害者介護の仕事が大好きで、一生続けようと思っていました」。ところが34歳のとき、人生が一変。体調に異変を感じ、診察を受けたところ、いきなり末期がんを宣告されたのです。事態を受け止められず、ぼうぜんとしつつも、「周囲に迷惑をかけたくない」と家財道具一式を処分して一人暮らしの家を退去。愛猫は友人に託し、仕事も断腸の思いで辞めました。わずかな荷物とともに移ったのは、当時は「友人の一人」だった現在の夫のアパート。「名古屋市の愛知県がんセンターに通うのに便利な場所だったので(笑)。半分ルームシェアのつもりでしたが、遊びに来た彼の母に、『部屋に女性の影がある』と感づかれ、『ならば』とプロポーズされました。私の母は、『娘はもう長くないので』と彼を翻意させようとしましたが、彼の母は、『だったらなおのこと一緒になって、潤子さんをみとってあげなくちゃ』と彼にはっぱをかけたんです」。結婚後は刈谷市の新居で療養に専念。「ほぼ寝たきり」でしたが、「自然の中に身をおけばきっとよくなる」と信じる夫の運転で、休みのたびに長野県の農村へ。この転地療養も功を奏したのか、余命宣告を覆し、徐々に体は回復していきました。足助町で開かれた半年間の米作り体験講座に通い始めたのは、がんが寛解し、ゆっくりとしたペースでなら日常生活を送れるようになった2014年。「農業体験の発案者で地主でもある地域の顔役(故・小澤庄一さん)が、農作業の合間に足助の歴史や魅力、未来像を語るかたわら、毎回、害獣による農業被害を切々と訴えたんです」。損害額は豊田市だけでも年間1億円近くに達するにもかかわらず、駆除する猟師は高齢化で急減。とはいえ、「誰か狩猟免許を取って、町を助けてくれんか」との訴えを聞いても、「大変だなとは思いつつ、正直、他人事でした」。ところがある日の農業体験中にイノシシが突如現れ、田畑を荒らし回る様を目撃。「農家が丹精こめた収穫間近の作物がなぎ倒される事態を目にし、これ以上、見て見ぬふりはできないと義侠(ぎきょう)心に火が付きました」。狩猟免許は猟銃、わな、網など、猟の方法により4種類に区分されます。清水さんは足助町で伝統的に行われてきたわな猟による狩猟免許を取得。小澤さんに免許を取ったことを報告すると、すぐにわな猟のベテラン猟師を紹介され、修業がスタート。わなに動物がかかったと連絡を受けるたび、1時間半の距離を運転し、刈谷市からひとりで足助町に駆け付ける日々が始まりました。子どものイノシシがわなにかかったある日、「止め刺ししてみろ」と清水さんは師匠から槍を渡されました。「免許取得時に審査されるのはわなの扱い方までで、自分の手で動物を駆除するのはこの日が初めて。なんとか槍を突きましたが、槍から伝わってくる心臓の鼓動に耐えられず、『私には無理』と告げました」。それでも翌日以降も連絡はやみませんでした。矢のような催促を断りきれず、しぶしぶ田んぼ脇のわなにかかったイノシシの駆除作業に出かけた清水さんが見たのは、駆除を済ませた師匠に「これでまた畑を続ける気力がわいた」と、拝むように「ありがとう」を繰り返す農家の老夫婦。食肉処理施設まで追いかけてきて、お礼を伝えた農家もいました。獣害により意欲をそがれ、離農する農家は珍しくありません。その結果、耕作放棄地が拡大。人の手が及ばなくなった田畑や果樹園は格好の隠れ場所兼餌場となり、さらに鳥獣の個体数が増える悪循環に陥ります。被害額として数字に表れる以上に、獣害は農業に深刻な影響を及ぼしているのです。「それを防ぐ駆除が、いかに農家から感謝される仕事か実感でき、駆除に取り組もうと改めて決心しました」。師匠の下でわな猟を学ぶ一方、鳥獣の生態に関する本を読みあさりました。また射撃場にも通い、駆除に携わる人や、関心を持つ人とのネットワークを構築。さらに刈谷市の猟友会にも所属しました。最初は「女性だからと侮られ、悔しい思いもした」ものの、イノシシを駆除している実績が知られると、仲間として受け入れられるように。やりで止め刺ししていることを心配した猟友会会長に、「銃を使うほうが危険が少ない」と強く勧められ、2016年には装薬銃と空気銃を扱える第1種猟銃免許も取得。わなを使った駆除だけでなく、銃を使った駆除も行えるようになりました。。駆除経験を重ねるうち、「奪った命」に意識が向かうようになった清水さん。ジビエが食文化として根付き、高級食材とされる欧州と違い、日本では駆除された動物のほとんどが活用されずに捨てられています。「頭数が増えたのは耕作放棄などの人間の都合なのに、人間の勝手で駆除される。彼らの命を奪う以上、せめてきちんと食べるべきだと思うようになりました」。料理人だった父の影響で、清水さんは30代に調理師免許を取得済み。足助町で暮らして駆除に本腰を入れ、ジビエカフェを開こうとの思いが自然に浮かんだと言います。「足助町の人々は、当初からよそ者の私に『最近体調はどう?』『次はいつ来る?』と気さくに声をかけてくれた。ここでなら居心地よく暮らせそうとの思いも、移住を後押ししました」。ただ家探しは難航しました。空き家は多いにも関わらず、地元の物件を扱う不動産屋はなく、当時は空き家バンクもほとんど機能していませんでした。小澤さんの口利きで、ようやく購入できたのは、築150年以上の古民家。空き家だった期間が長く、「家全体が傾き、畳はプカプカ」。そこで入居前に、ゆがみを直して床を張り替え、水回り設備を一新する大規模なリフォームを行いました。同じ愛知県内ながら、足助町から夫の勤務先までは車で片道約1時間半。「遠距離通勤を強いるのは心苦しく、私は内心、別居するしかないだろうと思っていましたが、『走り出したら止まらないのが潤子。オレがついていく』とすんなり移住を受け入れてくれました」。こうして清水さんは夫と2人、足助町での新生活に踏み出しました。

(房総ジビエ普及へコンテスト:千葉)
千葉県内で捕獲されたシカやイノシシの肉を使った料理の出来を競う県主催の「房総ジビエコンテスト」が開かれた。最終選考に残った5品は、現在開催中の房総グルメフェアの一環で各店舗で味わえる。28日まで。コンテストは4回目。深刻な農作物被害となっている野生鳥獣の肉をジビエとして消費拡大につなげようと始まった。①調理(ジビエのおいしさを引き立てているか)②盛り付け③おいしさ④再現性(テイクアウトのしやすさ)――などの観点から審査された。最優秀賞は、船橋市のレストラン「SEASONS」の下田健太シェフ(37)が考案した「鹿肉のラザニア」。系列店の「ISARA」で提供される。一口大の鹿肉がごろごろと入ったソースを小松菜を練り込んだ生地で包み、焼き上げた逸品だ。県産品をふんだんに使い、下田シェフは「千葉が食材ゆたかな土地で、おいしいものが育つ魅力があることを料理を通して知ってもらえたら」と話す。県の担当者は「イノシシとサツマイモに蜂蜜を組み合わせたものなど幅広い世代に親しんでもらえる逸品もある。この機会に味わってほしい」と話している。

(「第6回ジビエ料理コンテスト」の結果発表)
ジビエの普及啓発等に取り組む農林水産省の「鳥獣利活用推進支援事業」の一環として開催された「第6回ジビエ料理コンテスト」の農林水産大臣賞を始めとする各賞の受賞者が発表された。今回は、全国から218点の応募があったが、書類審査や実食審査により、農林水産大臣賞ほか8賞の受賞者が決定している。農村地域で深刻な被害をもたらす有害鳥獣の捕獲数が増加傾向にある中で、これを地域資源としてとらえ、野生鳥獣肉(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっている。こうした状況を踏まえ、農林水産省では、平成28年度からジビエの普及啓発や調査実証に取り組む「鳥獣利活用推進支援事業」で、ジビエの全国的な需要拡大を推進している。ジビエ料理コンテストは、この事業の一環として事業実施主体である「一般社団法人日本ジビエ振興協会」が実施しているもの。選定・表彰された料理レシピを広く紹介・提供することで、消費者等への普及啓発を図り、ジビエの全国的な需要拡大や鳥獣利活用の推進を図ることを目的としている。各賞の受賞者 農林水産大臣賞は、専門学校生(宮城県仙台市)の松浦 祐未惠氏の「柔らかく仕上げたシカ肉のロースト 色とりどりの野菜添え、芋煮の季節を感じて」が受賞した。農林水産省農村振興局長賞は、エスパシオエンタープライズ株式会社 名古屋観光ホテル(愛知県一宮市)の加藤 英治氏の「猪バラ肉のラグーヴァンルージュ プロバンスの香りを添えて」が受賞。一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事賞には、株式会社明治記念館C&S(埼玉県狭山市)の中西 佑輔氏の「鹿の内もも肉のすき焼きボール」が選ばれている。一般社団法人大日本猟友会会長賞は、料理研究家(東京都杉並区)の安藤 まどか氏の「鹿肉のレモン・キーマ」が受賞した。公益社団法人全国調理師養成施設協会会長賞は、美作市地域おこし協力隊(地美恵の郷みまさか)(岡山県美作市)の濱田 恭德氏の「野猪可排骨(猪スペアリブのコーラ煮)」が受賞。一般社団法人全日本司厨士協会会長賞は、株式会社京都ホテル 京都ホテルオークラ スカイレストランピトレスク(大阪府茨木市)の木村 夕星氏が「鹿のビール煮込みハンバーグ 京の秋山のイメージ」で受賞している。一般社団法人全国日本調理技能士会連合会会長賞は、おふくろの味総合研究所(石川県小松市)の小西 成幸氏の「鹿と猪のあそび寿し」が受賞。一般社団法人日本エスコフィエ協会会長賞には、発明料理 絵地尊(北海道札幌市)の斉藤 大樹氏の「蝦夷鹿のラビオリとロワイヤル和風仕立て」が選ばれている。株式会社日本食糧新聞社賞は、カフェこっとんぼーる(千葉県長生郡長南町)の澤田 康一氏が「イノシシとレンコンのコロコロ和風カレー」で受賞している。

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(オオハクチョウから高病原性鳥インフルエンザ:岩手)
2月8日に岩手県久慈市長内町で発見され、高病原性鳥インフルエンザの疑いがもたれていたオオハクチョウの死がいについて、県は遺伝子検査の結果、陽性と判明したと発表した。久慈市ではほかにもカラス3羽が簡易検査で陽性となっていて、県では付近の監視を強化している。

(新たに3町で11羽:北海道)
北海道は2月14日、えりも町と標津町、斜里町で見つかった計11羽のハシブトガラスの死骸から、「高病原性鳥インフルエンザウイルス」が確認されたと発表しました。北海道内では7日から8日にかけて、えりも町で6羽、標津町で4羽、斜里町で1羽、計11羽の死んだハシブトガラスが回収されていて、北海道大学で詳しい検査を進めていました。遺伝子検査の結果、すべてのカラスから「H5亜型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたということです。「H5亜型」の鳥インフルエンザウイルスは、ニワトリが感染すると高い確率で死に、感染を広げる力も高いとされています。いずれも回収場所から半径3キロ以内に養鶏場などはなく、現時点で異常の報告はありませんが、北海道は回収地点から半径10キロ圏内で緊急調査を行うなどして監視体制の強化を継続するとともに、北海道内の養鶏農家などに対し侵入防止策の徹底などを呼びかけています。北海道内では今シーズン、鳥インフルエンザの確認が相次いでいて、これで12例目となります。このほかにも、羅臼町でも死んだオジロワシが見つかっていて、遺伝子検査が進められています。

(乱射事件で銃メーカーと遺族が和解、84億円支払い:アメリカ)
米コネティカット州の小学校で2012年、児童20人と学校関係者6人が死亡した銃の乱射事件で、犯行に使われた銃のメーカー側と遺族が15日、和解することで合意した。遺族に7300万ドル(約84億円)が支払われる。専門家によると、こうした和解は異例。凶器は殺傷能力の高い「AR15」タイプの半自動ライフル銃で、米銃器大手のレミントン・アウトドアが製造していた。遺族側は14年12月の訴状で、同社が銃の乱射事件を予見できた可能性を指摘。「利益を得るために、正当化されないリスクを無視して販売した」と訴えていた。

(スタンレーパークの名物大砲、火薬不足で無期限空砲休止:カナダ)
バンクーバー公園管理局(Vancouver Park Board)は2月11日、スタンレーパークにある名物大砲「ナインオクロックガン(Nine O’clock Gun)」の空砲を当分の間休止すると発表した。世界的な火薬不足のため。1894年に同公園に設置されて以来、空砲を鳴らし漁師や市民に時を告げてきた同大砲。近年では毎晩午後9時に空砲を鳴らし観光名所のひとつにもなっている。公園管理局は休止の理由を「空砲を鳴らすのに必要な黒色火薬の供給が、カナダを含む北米とヨーロッパで不足している。昨年秋には管理局の長年の仕入れ先も閉業となったため、本日分以降の火薬の確保ができなかった」と発表。再開時期は未定とするものの、「できる限り早期にまた空砲を打てるように火薬の入手方法を探っている」とする。

(保護のオジロワシ鉛中毒と確認:北海道)
伊達市で保護された国の天然記念物のオジロワシが鉛中毒になっていることが確認されました。狩猟で使われる鉛の弾を飲み込んだとみられ、被害が後を絶ちません。環境省北海道地方環境事務所などによりますと、14日、伊達市で衰弱したオジロワシ1羽が保護され、釧路市の猛禽類医学研究所に運ばれました。研究所が調べた結果、血液から高濃度の鉛が検出され、鉛中毒になっていることが確認されました。銃で撃たれたシカなどの肉を食べ鉛の弾を飲み込んで鉛中毒になったとみられていて、現在、治療が行われています。道内では先月も浦河町で保護されたオオワシが鉛中毒で死ぬ被害がありました。北海道では猛きん類の鉛中毒を防ぐため、エゾシカ猟での鉛の弾の使用や所持が条例で禁止されていますが、被害は後を絶ちません。環境省は鉛の弾の規制を強化し、2030年度までに鉛中毒になる野鳥をゼロにすることを目標に掲げています。猛禽類医学研究所の渡辺有希子獣医師は「本来発生するはずのない被害であり、大変残念だ。毒性の高い鉛が激しい症状を引き起こすことを理解してもらい、鉛以外の銃弾を使うようお願いしたい」と話しています。

(「絶滅」九州のクマ、DNAで系統研究)
1950年代に確実な生存情報が途絶え、2012年に環境省が絶滅宣言をした九州のツキノワグマ。そのDNAの分析に、宮崎大などの研究チームが成功しました。決め手になったのは、ヒ素公害の実態を追い続けている記録作家が山間部で見た「安産のお守り」でした。DNAが分析されたのは、宮崎県高千穂町岩戸・土呂久(とろく)地区の佐藤幸利さん宅に「熊の手」として伝わる、ツキノワグマの前脚首の毛皮。

(害獣捕獲数5年で2.4倍:兵庫)
兵庫県の明石市内で農作物に被害を与える害獣の捕獲数が急増している。2021年度には1月末時点で既に16年度全体の2・4倍に上ったことが市農水産課のまとめで分かった。生息数の増加のほか、特定外来生物の殺処分について市民の協力が得やすくなったことが原因とみられる。同課によると、市内の捕獲数は、16年度がアライグマ50、ヌートリア10、イノシシ7の計67匹だったのに対し、21年度(1月末時点)がアライグマ90、ヌートリア60、イノシシ13の計163匹に増えた。シカの生息は確認されていない。アライグマとヌートリアは、生態系への悪影響が懸念される特定外来生物。市街地を含む明石市全域に生息し、住宅を汚すなどの被害も確認されている。同課に寄せられる目撃情報も年々増加している。兵庫県猟友会明石支部は「休耕田の増加や、都市環境に動物が適応し始めたことが原因では」と推測する。わなは同課から連絡を受けた猟友会が設置。安全面から市道などには設置できず、主に市民の協力を得て私有地に仕掛ける。捕獲できた場合は同課と猟友会に連絡し、殺処分する。特定外来生物を運搬したり逃がしたりすることは禁止されているため、原則その場で殺処分するしかない。「近年は外来種の生態系への影響も広く周知され、協力してくれる人も増えた」と同課。イノシシは、主に稲などの農作物を掘り返すなどの被害から捕獲される。大久保町松陰付近の山中や、そこから近い畑などで捕まえられるが、昨年は魚住町金ケ崎の畑で足跡を発見。姿は確認できなかったが、複数の畑が被害に遭ったという。生息域が広がっている可能性があるとして、警戒感を強めている。

(大迷惑な野生のサル、エアガンで追っ払うと動物愛護法に抵触するのか)
野生のサルが食べ物を求め、住宅地にやって来るニュースがしばしば報道される。作物を食い荒らす野生のサルに対し、ロケット花火やエアガンを使い追い払うケースもあるようだが、動物愛護法などで罰せられる可能性はないのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。昨年、都内に野生のサルが出没し、大騒ぎとなりましたが、私の地元では頻繁に見かけます。見かけるだけならまだしも、庭の柿を食い荒らしたり、迷惑をこうむっています。今度、庭の柿を狙って姿を現わしたら、エアガンで追っ払ってもよいですか。それとも、動物愛護法で罰せられてしまいますか。鳥獣の保護や管理、狩猟の適正化を目的とする『鳥獣保護管理法』は鳥類、または哺乳類に属する野生動物を対象とするので、野生のサルにも適用されます。この法は哺乳類であればクマ、イノシシなどの食肉、または毛皮の目的や管理目的などで捕獲、または殺傷(「捕獲等」)できる野生動物を「狩猟鳥獣」とし、同法が定める狩猟許可を得て、鳥獣保護区域や休猟区以外の狩猟可能区域にて、狩猟期間中に法の定めた方法で行なう狩猟を認めています。ただ、野生のサルは狩猟動物に含まれず、狩猟許可を得ても、捕獲等できません。違反者は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金で処罰されます。しかし、環境大臣や知事の許可を得ての学術研究、鳥獣の保護、または管理などの目的でする捕獲等は可能です。他方、野生動物の農作物被害のある地域の実情に合わせ、市町村レベルで対応できる『鳥獣被害防止特措法』があります。サル被害の市町村が「鳥獣被害防止計画」を定めて対象鳥獣にすれば、サルの捕獲等は『鳥獣保護管理法』の許可によるものと看做されます。ただし、捕獲等は市等が設置する鳥獣被害対策実施隊が実行します。防止計画がない市街地でも、サルが出没して人に危害を加える恐れがあれば、警察が『警察官職務執行法』に基づき、危険防止のために通常必要と認められる措置として、捕獲可能です。なお、単なる追い払いは捕獲ではなく、法律違反にはなりません。モデルガンでサルを殺傷しなければ同様です。殺傷にならなくても、暴行などの虐待を禁じる『動物愛護法』はありますが、同法が罰則で禁止しているのは犬・猫などの愛護動物であり、サルは含まれていません。それでも、エアガンでサルを傷つけると、『鳥獣保護管理法』違反になります。

(とちぎ野生動物研究交流会を開催します:栃木)
栃木県では、県内の野生生物について研究している方たちの発表の場や県内の鳥獣被害対策に役立つ情報共有の場を設けることにより、鳥獣行政への知見の活用と研究の活性化を図ることを目的として、研究交流会を開催します。

(ジビエ、駆除と両立に課題:鳥取)
イノシシやシカのジビエ利用に力を入れる鳥取県は、農業や林業などへの被害低減へ向けた捕獲目標引き上げなどを盛り込んだ2022年度からの5年間計画を策定した。県東部の森林面積が9割以上を占める智頭町で18年からジビエ解体処理施設、ちづDeer'sを運営している赤堀広之代表に課題などを聞いた。――地域の野生動物とジビエ活用の現状について教えてください。「かつてこの地域ではイノシシが多く、被害防止のための柵も低いタイプが主流だった。その後隣県から移動してきたとみられるシカが増え、イノシシに合わせた低い柵を乗り越えてしまい農業などへの被害が広がった。シカとイノシシは共存しないとされ、イノシシは追いやられて少なくなったとみられている」「そのシカも近年は食料となる山中の下草が少なくなったためか、西へ移動し分布が拡大しているようだ。開業1年目は年間約600頭が持ち込まれていたが、この1~2年は年約400頭程度。持ち込む人も減った。智頭町では猟友会メンバーは40人ほどだが、活動している猟師はわな猟を中心に10人程度。年齢も60~80歳代後半で高齢化が進む。銃で仕留めた獲物は傷みが激しく、肉に加工しにくいものは引き取りをやめたこともある」「猟師はイノシシは自家で処理して食べるが、脂が少ないシカは駆除活動で仕留めたら山中に埋めるケースが多い」。――ジビエの食肉加工ではどんなことに取り組んでいますか。「以前に猟師から自家で処理した肉をもらったが、毛がついていたとか、硬かった、臭かったという体験があり、ジビエに抵抗のある人も多い。だが、最近は専門の処理施設でおいしい肉を作れる。決め手は仕留めてから処理施設へ持ち込むまでの時間で短いほどいい。仕留めた後、内臓でガスが出ると臭いにつながり、発酵で体温が高くなれば肉質が落ちる。処理まで2時間以内という基準があるが、当施設では智頭町内の獲物は30分程度で処理している」「これまで冷凍で販売していたが、冷蔵にも取り組んでいる。神戸市内のフレンチレストランのシェフと現在、冷蔵で2週間程度熟成させて、軟らかさやうま味を向上させられないかという試みが進行中だ」。――今後のジビエ業界の展望はいかがですか。「駆除活動を通じ農業などへの被害は減らさなくてはいけないが、食肉などとして有効利用する量も増やす必要がある。地域によっては駆除の拡大で将来の個体数が減りすぎる懸念もある。一方で、現在は全国に小規模なものも含めて約600まで拡大しているとされる専門の処理施設だが、事業採算を確保するのが難しく、淘汰が進む可能性もある。猟師に獲物を処理施設へもっと持ち込んでもらえるように呼びかけていくことも必要だ」。

(サルから農作物を守れ!ドローンで追い払う飛行試験:静岡)
静岡県沼津市の山あいの地区でサルによる農作物の被害が相次いでいることを受けて、市と地元のJAがドローンを活用してサルを追い払う取り組みを始めることになり、15日に飛行試験を行いました。沼津市西部の山あいにある浮島地区と愛鷹地区ではサルが農作物を荒らすなどの被害が相次いでいて、市によりますと、昨年度の野生鳥獣による農業被害は2100万円余りにのぼっています。これを受けて沼津市と地元のJAではドローンを活用してサルを追い払う新たな取り組みを始めることになり、15日に地元の広場で市やJAの職員、それに農家など、およそ20人で飛行試験を行いました。使用するドローンは警報音を鳴らす機能が搭載され、サルを威嚇して追い払うことが期待されていて、参加した農家の人は講師として招かれた男性から操作方法を教わりながら実際にリモコンを使ってドローンを飛ばしていました。沼津市農林農地課の伊藤尚志主事は「これまで、わなを設置するなどの対策を行ってきましたが、サルを捕獲することは難しかったです。鳥獣対策としてドローンを使うのは初めての試みなので、農家の皆さんと一体となって取り組んでいきたい」と話していました。市とJAでは3月以降、本格的にドローンを使った対策を始めることにしています。

(避難地域鳥獣対策支援員(福島県復興支援員)の募集:福島)
東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故により、避難12市町村の一部ではそれまで居住していた住民が避難を余儀なくされた結果、住民不在の状況が続き、市街地内がイノシシ等の野生鳥獣の生息地となり、住宅地や河川内の竹林等をねぐらとし人を恐れないなど、イノシシ等の生態が変わってきました。これらのイノシシ等は、現在帰還している住民や一時帰宅をする住民、今後帰還しようとする住民も含め、今後コミュニティを再構築しようとする住民に対する大きな阻害原因となっているため、市街地から排除するなどの総合的な対策を行うことが必要になっています。しかし、避難地域の市町村は復興業務が多く人手が不足している上、鳥獣の対策等に詳しい者が少ないため、イノシシ等の対策を進めるための人材が必要となっています。そこで、市町村職員の取り組みを支援し、地域住民と共に鳥獣対策に取り組み、住民の帰還を促進し、新しく生まれ変わる地域を築くことでコミュニティの再構築を図るとともに、避難12市町村の鳥獣被害対策のあり方を一緒に考え、未来へと伝えてくれる方を「避難地域鳥獣対策支援員」として募集します。

(急増する列車衝突対策に「ライオン糞のにおい」「スズメバチの羽音」:岩手)
JR東日本管内で昨年度の野生動物と列車との衝突事故が過去最多の約1800件に上った。被害に遭うのはクマやウサギ、タヌキなど様々で、圧倒的に増えているのがシカだ。全体の7~8割を占めており、JR東では嫌がる臭いや音を駆使するなど試行錯誤で対策を進めている。JR東によると、2020年度の動物との衝突件数は1825件。17年度の1・8倍に上り、増加分の多くがシカとの衝突事案という。動物種別の内訳を出している盛岡支社の集計では、20年度の754件のうち8割超の647件がシカだった。動物との衝突は、死骸の除去や安全確認で数時間にわたる運休が必要となる。そのためJR東はシカの習性を分析し、毎年のように新たな対策を試みている。その一つがシカが恐れるライオンの 糞ふん の成分を含む薬剤の散布だ。岩手大と共同開発したもので、20年度は岩手県の釜石線と山田線の計約15キロに散布された。同県では「レーザー光」を使った装置も用い、シカが出没しやすい早朝や夜間に断続的に緑や赤の光線で威嚇している。山梨県では、シカが嫌がる高周波音を周囲数十メートルに発して、線路に近づくのを防ぐ装置「鹿ソニック」が使われている。21年度から釜石駅で試みられているのが、多くの獣が嫌がるスズメバチの羽音や臭いに着目した対策だ。約500メートルのパイプを張り巡らせ、録音した羽音を反響させるとともに、内部に合成した香料を送り込み、周囲に臭いをしみ出させる。いずれの対策も時間とともに効果が薄れることが多く、JR東の担当者は「費用対効果も含めて検討する必要があり、抜本的な解決策は見つかっていない」と明かす。近年、シカとの衝突が急増し始めた理由は判然としない。個体数は減少傾向にあるからだ。環境省によると、北海道を除く全国のシカの個体数は、捕獲の強化によって14年度の246万頭(推定値)から19年度は189万頭(同)まで減っている。指摘されるのが生息域の拡大の影響だ。1970年代後半、シカは東日本では長野県や山梨県などを中心に生息していた。現在は岩手県の全域や千葉県南部などでも目撃されるようになり、生息域は面積で約2・7倍になった。静岡県立農林環境専門職大の小林信一教授によると、過疎化による山林の荒廃で、シカの餌となる木陰の下草や木の実などが育ちにくくなっていることや、人家近くの耕作放棄地が増え、そこに茂る草を餌にするようになったことが要因という。ただし、生息域の拡大だけではここ数年の急増は説明が難しい。JR東の担当者は「動物の生態については分からないことも多く、要因は分析したい。衝突事故は人間、動物双方にとって不幸なことなので、共存していけるよう知恵を絞り、安全な運行ができる対策を進めていく」と話している。野生動物との衝突では、個体数が少ない貴重な生き物が犠牲になることもある。JR東日本盛岡支社の集計では、20年度の衝突件数のうちシカに次いで多いのが、国の特別天然記念物に指定されているカモシカだ。カモシカは北海道と中国地方を除いた本州・四国・九州の山地丘陵地帯に生息し、JR東管内では、東北地方で衝突事例が多い。天然記念物に指定された動物は文化財保護法上の「文化財」にあたり、衝突事故があると各地域の自治体の教育委員会などに届け出が必要だ。件数は多くないが、慎重な対応が求められるのがクマだ。動物の死骸の除去は列車の乗務員が行うが、クマの場合、仲間が近くにいると襲われる恐れがある。そのため地元の猟友会に連絡し、周囲の捜索などを依頼して安全を確保する必要があり、運転再開まで時間がかかることが多いという。

(市販の花火、プロ花火師が手掛けると:京都)
新型コロナウイルス禍の子どもたちを花火で元気づけようと、京都府南丹市園部町の児童自立支援施設・淇陽学校で11日、プロの花火師による市販の花火を使った花火大会があった。冬の夜空を鮮やかな花火が彩り、見ていた子どもたちは歓声を上げながら楽しんでいた。一般社団法人「京都芸術花火振興会」の主催。2018年と19年に京都競馬場(京都市伏見区)で開催した花火大会「京都芸術花火」に児童養護施設などの生徒を招待していたが、コロナで中止に。20年度からは府内の施設を訪問し、花火を打ち上げている。この日は、國友銃砲火薬店(下京区)の花火師西谷智行さん(45)らが打ち上げを担当。音楽に合わせて、市販の花火をコンピューターによる制御で正確に打ち上げた。迫力ある演出に、子どもたちは「すごい」と感嘆の声を漏らした。振興会の岡本幸博代表理事(50)は「花火には心を照らす力がある。市販の花火でも工夫すればきれいに打ち上がることを知ってもらえれば」と話した。

(エゾシカの角に網や流木:北海道)
道内各地でエゾシカが増加傾向にある中、角にロープの網や流木が絡まり、もがいている雄のエゾシカを苫小牧市弁天の道路沿い付近で厚真町民が発見し、写真を撮って情報を寄せた。撮影者は、町観光協会の原祐二事務局長。今月6日午後4時ごろ、厚真町内から勇払方面に向けて自家用車で運転中、苫小牧港・東港の周辺で見つけた。角に絡んでいるロープの網は人が捨てたものと思われ、原事務局長はエゾシカの様子について「弱っていて、助けを求めているようにも見えた」と話す。普段は農家の畑を荒らすなど住民生活に被害を及ぼす「害獣」とされるが、この光景には「さすがに胸が痛んだ」と振り返っていた。今冬は例年以上にエゾシカの出没が目立っており、苫小牧市と厚真町内でも出没が頻発している。

(鳥取砂丘近くの住宅地でツキノワグマを目撃:鳥取)
14日夜、鳥取市内の住宅地でツキノワグマが目撃されました。市は現場付近の見回りを実施するとともに周辺の住民に注意を呼びかけています。ツキノワグマが目撃されたのは鳥取市浜坂の市道で、14日午後6時15分ごろ、ジョギング中の女性が道路脇の茂みで体長1mほどのクマを目撃し、市に連絡しました。目撃されたのはツキノワグマと見られます。現場は鳥取砂丘近くの住宅地で、付近に学校や保育園があることから、市は周辺の見回りを行うほか、今後、看板を設置して、住民に注意を呼びかけることにしています。鳥取市内でクマが目撃されたのは今年に入って初めてです。

(「神の使い」白いエゾシカ:北海道)
神の使い」ともいわれる白いエゾシカが13日夕、北海道北部のサロベツ原野に現れた。2頭おり、それぞれ別の場所で仲間と一緒に雪下の草や牧草を食べていた。現れたのはともに、日本海に沿ったオロロンライン(道道)の東側。1頭は豊富町の雪原で散らかった牧草を食べていた。もとはロール状だったが、毎日のように食べられ、原形がなくなった。この白いシカは1月にも目撃されており、「常連」らしい。もう1頭は幌延町の雪原で、一回り大きな雌ジカと一緒に行動していた。白いシカはともに若い雌とみられる。この時期のシカは茶色が濃い冬毛だが、白いシカは水玉の白い鹿の子模様がはっきり見え、神々しさを増していた。周辺では時々白いシカが目撃されているが、今回少なくとも2頭いることがわかった。今冬は大雪のため、エサを求めて積雪が少ない海沿いに群れで現れているようだ。オロロンラインをゆっくり車で走れば、白いシカが見られるかも知れない。

(シカの捕獲檻にクマタカ:京都)
環境省のレッドリストで絶滅危惧種に掲載されているクマタカを、京都府福知山市夜久野町桑谷の農業、中島松治さん(67)が、地元の山林で見つけた。鋭いくちばしと爪を持つ大型の猛禽類で、「森の王者」と呼ばれる。山のふもとに設置された有害鳥獣捕獲檻(ほかくおり)に入り、捕まっていた子ジカを食べたらしい。市職員に写真を送り、クマタカであることの確認を受けたうえで檻から逃がした。クマタカはタカ目タカ科。体長は70センチ~80センチで、翼を開いた長さは140~170センチ。留鳥として府内にも生息するが、個体数は少なく、年々減っている。比較的険しい山地に生息し、肉食で森の中にすむ野ウサギなどを獲物として狩りをする。中島さんは地元の営農組合員で、1月15日午後4時ごろ、かんじきを履いて雪上を歩き、山のふもとに設置された有害鳥獣捕獲檻の見回りに行った。すると間口、高さ各1メートル、奥行き2メートルの檻のなかに、背中が茶褐色で、腹と翼の裏面がしま模様をした体長80センチほどの大きな鳥が入り、出ることができずじっとしていた。檻には食べ尽くされた状態の子ジカの骨もあった。中島さんは登山愛好家で組織する居母山クラブに所属し、たびたび登山に出かけ、多くの野鳥に出会ってきたが、クマタカを見たのは初めて。「発見する2日前は檻の中は空っぽだった。檻の天井には1カ所だけ、他より広い30センチ四方の隙間があるので、恐らくそこから侵入し、わなにかかっていたシカを食べたのだと思う。鋭い眼光でにらみつけられて、恐ろしかった。檻の扉を開けて逃がすと猛スピードで飛び立ったが、精悍な姿を写真に収めることができた」と話していた。クマタカは、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧1B類に入る。野鳥に詳しい福知山市自然科学協力員の大槻浩さん(62)は「クマタカの生存には豊かな森林環境が不可欠で、府レッドリスト2021でも絶滅危惧種になっています。山が雪に覆われて、餌が捕れなくなると、里に降りてくることがあって、由良川沿いで冬に3回ほど見たことがありますが、夜久野町での確認は貴重な記録です」と話していた。

(大学生にシカの解体手ほどき:岐阜)
郡上市白鳥町で大物猟を続ける会社員の片桐裕基さん(26)が十四日、猟師を目指す慶応大三年の長南征樹さん(21)に、シカの解体方法を手ほどきした。同町出身の片桐さんは、早稲田大大学院に在籍していた二〇一八年に猟銃の所持許可を取得し、東京都内で働きながら郡上に通っている。全国の猟友会が高齢化に悩む中、片桐さんは「後継者育成には、若者が狩猟に触れられる場をつくることが一番大切」と語る。

(「ジビエが食べたい」と狩猟免許取得した女性:和歌山)
今、全国各地で取得を望まれているというのが「狩猟免許」だ。野生動物による農作物被害などを減らすため、後継ハンターの育成が急務となっているのだ。では、実際に狩猟免許を取得した女性に話を聞いた。「ハンターになったきっかけの1つは、イノシシ肉を食べて体調がよくなったからです。ジビエは高価なので“じゃあ自分で捕ろう”と」。そう言って笑うのは、和歌山県加太町在住の溝部名緒子さん。エステサロン経営の傍ら、2018年に猟友会の女性部を創設。「狩りガールフェスタ」というイベントを開催し、ジビエ料理の講習や狩猟の魅力を伝える活動を行う。狩猟免許は、銃猟免許(第一種・第二種)、わな猟免許、網猟免許の3種あり(このほか銃猟免許の場合は警察で銃刀法の試験がある)、各都道府県で猟具や鳥獣、法令の知識試験と猟具取り扱いの技能試験が行われる。ジビエが食べたくて始めた狩猟の世界は、予想外に広がっていった。「いまは動物と人間が住む地域の境界線が曖昧になっていますが、狩猟者が山に入ることで野生動物が警戒し、里に下りてくるリスクを回避できます。害獣駆除の面でも、イノシシやシカは有名ですが、一見かわいらしいアライグマも、実は空き家にすみ着いて畑を荒らす問題児。貴重な鮎を大量に食べてしまうカワウ(鳥)もやっかいです。こうした生態系の営みも、狩猟を通して学んだことです。また、SDGsの観点から、捕った動物の活用法として、アライグマの毛を使った化粧筆の開発を進めています」。溝部さんはさらに、全国の小学校を回り、子供たちに「捕って食べる」授業や、食品ロス問題の一環として「駆除したジビエの活用を考える」授業を行っている。ハンターになって、生活が180度変わったという。「山に入り自分たちが食べるものを自分たちで捕る。シンプルですが、ものすごく豊かな暮らしだと実感します」。問題あるところに活路あり。需要に合う資格や免許を取れば人の役にも立てそうだ。

(鹿肉を食卓へ:長野)
筑北村で、有害鳥獣として駆除された鹿の肉を使った特産品開発が始まった。村猟友会が本年度、移動式解体処理車(ジビエカー)を所有する茅野市の業者と連携。ソーセージなどに加工し、新たな特産として売り出す計画もある。

(限定5000食の「国産ジビエ 鹿肉バーガー」)
JR東日本(東日本旅客鉄道)グループのJR東日本クロスステーション フーズカンパニーは、「国産ジビエ 鹿肉バーガー」をベッカーズ9店舗とR・ベッカーズ2店舗で販売する。期間は2月15日~3月31日。価格は単品が740円、セットが1070円。限定5000食で、なくなり次第終了となる。2021年夏に販売していたものを、好評を受けて今回再販することに。「国産ジビエ 鹿肉バーガー」は、クセが少なくヘルシーな鹿肉のパティの上に、あわび茸をソテーしてのせ、鹿肉の旨みを閉じ込めた特製オリジナルジビエソースを合わせた、ジビエソースの旨みと具材の香りが特徴の上品なハンバーガー。JR東日本グループが取り組む「地域再発見プロジェクト」の一環として、2010年からジビエメニューの開発販売を行ない、2022年で12年目となる。

(ペットフード用シカ肉「争奪戦」:長野)
犬や猫のペットフードとして、シカなどの肉「ジビエ」が人気だ。コロナ禍で飲食店での需要が減る一方、「低脂肪・高タンパクなシカ肉はペットに最適」と飼い主に好評で、ペットフードメーカーが「シカ肉を奪い合う状態」と関係者。ペット用ジビエの解体処理販売額が北海道に次ぎ全国二位の長野県では、シカ肉が不足する加工施設も出ている。県南部の豊丘村にあるペット用ジビエの加工会社「こもれび」では、従業員約十人が忙しそうに、スライスしたシカ肉を長さ九センチの犬用骨型ガムに巻き付けていた。トレーはあっという間に、骨付き肉で埋め尽くされていく。同社では、県内の処理場から年十トン超のシカ肉を仕入れて加工。ペットフードメーカーに卸しているが、需要に追い付かない状況だ。「『在庫があるだけ全部ほしい』とメーカーから言われる」と、代表の佐々木トモ子さん(63)は説明する。県北東部の小諸市にある市の解体加工施設も状況は同じ。「メーカーのオファーを断ることもある」と担当者は打ち明ける。人気が高まった近年は市内で捕獲されるシカだけでなく、周辺の自治体からも仕入れている。だが、駆除の最盛期は四~六月のため冬は仕入れが難しく、現在は冷凍シカ肉の在庫も既に尽きたという。農林水産省の調査によると、ジビエのペット利用は二〇一六年度の百五十トンから、二〇年度は三倍超の四百八十九トンに急増した。ジビエ全体に占める割合も11・7%から27・0%になった。ジビエペットフード協会(東京)代表理事の高橋潔さんは、コロナ禍の影響で飲食店用を含む全体量が伸び悩む一方、ペットフード用の割合は二一年もさらに増したと指摘する。高橋さんは、ペットの肥満やアレルギーを避けようと、原料にこだわったペットフードを買う人が増えたと解説。「犬の仲間であるオオカミはシカを食べる。低脂肪、高タンパクなシカ肉はピッタリ」と人気の理由を話す。高橋さんは加工施設とメーカーの仲介も担っているが、昨年末からシカ肉の仕入れ先を探すメーカーの問い合わせはさらに増えている状況だ。施設も食肉用から、ペットフード向けに転換するところが相次いでいるという。ペット用は単価が安く、自治体の補助金に頼る施設も多い。ペット用ジビエの解体処理販売額は北海道が一億一千五百万円、長野県が四千五百万円と市場規模もまだ小さい。高橋さんは「全国のペットがシカ肉を食べるようになれば、駆除鹿を廃棄せずに活用できる。人気が定着すれば」と期待している。

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