<射撃ニュース11月>
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(サル被害、6歳男児が頭など3カ所噛まれケガ:福岡)
福岡県那珂川市の住宅街で10日朝、サル1匹が出没し、6歳の男の子が頭など3カ所を噛まれケガをしました。春日警察署によりますと、10日午前7時50分ごろ、福岡県那珂川市片縄西の住宅街で、6歳の男の子が、母親と小学生の兄と一緒に自宅前の階段を下ったところで、サル1匹と遭遇しました。男の子が驚いてしゃがみ込んだところ、サルが襲いかかり、頭と背中と太ももを噛まれたということです。その後、サルは現場から逃げていて、男の子は病院で治療を受けていますが軽傷です。サルに襲われた子供の母親「子供が怖がってしゃがみ込んで、そこから上に飛びかかって。でも離れなかったので、子供が泣きじゃくって。私も本当にどうしていいか分からなくてパニックになって、どうしても離してほしくて鞄を投げた」。那珂川市内では、前の週も園児を含む子供3人がサルに襲われケガをするなど、サルによる人的被害が相次いでいて、警察が注意を呼びかけています。

(田んぼでクマに襲われ40代男性が負傷:秋田)
10日午前9時半ごろ、秋田県鹿角市十和田毛馬内の田んぼで測量作業をしていた40代の男性がクマに襲われ、左手を負傷した。自分で119番通報した。離れて作業していたもう1人は無事だった。

(柿の木から実とっていた女性 クマに襲われけが:秋田)
13日午後、秋田県八郎潟町で、75歳の女性が柿の木から実をとっていたところクマに襲われてけがをしました。ことし、県内でクマに襲われるなどしてけがをした人は、これで68人になり、過去最多の被害となっています。警察によりますと、13日午後1時すぎ、八郎潟町真坂で、1人で自宅近くにある柿の木から実をとっていた75歳の女性が、背後から現れたクマに突然、襲われました。女性は、足などを引っかかれてけがをし、意識はあるということです。クマの体長は1メートルほどで、警察は周辺をパトロールして住民に注意を呼びかけています。秋田県警察本部によりますと、ことし県内でクマに襲われるなどしてけがをした人はこれで68人と、過去最多だった平成29年の20人の3倍以上になっています。県と警察は「ことしは『いつでも・どこでも・誰でも』クマに遭遇するリスクがある」として、▽鈴やラジオなどで音を出して人の存在をアピールするほか、▽やぶなどの見通しの悪い場所には近づかないよう警戒を呼びかけています。

(クマ捕獲の資金支援拡大を、「指定管理鳥獣」化へ環境相が検討指示)
クマによる人身被害が全国で相次いでいることを受け、環境省は13日、捕獲や駆除のための交付金の対象となる「指定管理鳥獣」にクマを追加する検討を始めた。北海道東北地方知事会からの緊急要望を受け、伊藤信太郎環境相が指示した。指定管理鳥獣は鳥獣保護管理法に基づき定められる。都道府県がつくる管理計画の下、捕獲や生息状況の調査のための交付金がつく。現在は広域で増えているイノシシとニホンジカが対象。クマの捕獲に対する国からの支援は現状、農作物被害の防止に対するもののみだ。知事会は、捕獲する人の確保や報酬などに資金が必要だと求めた。環境省は、今後専門家の意見を聞きながら進める。2023年度のヒグマとツキノワグマによる人身被害は10月末時点で180人で過去最多。死者も5人に上る。生息域の広がりやエサ不足が一因とみられている。

(クマ対策強化、緊急要望へ)
クマによる人身被害が過去最多ペースとなっていることを受け、被害が多い東北6県と北海道、新潟県の知事でつくる「北海道東北地方知事会」がクマ対策の強化を政府に緊急要望することが10日分かった。クマを「指定管理鳥獣」に追加指定し、捕獲に取り組む都道府県への財政支援を求めることが柱。13日に環境省など関係省庁へ要望する。指定管理鳥獣は農産物などに被害を与える有害鳥獣の頭数を管理するため、捕獲や狩猟者育成に取り組む都道府県を交付金で支援する制度。現在はイノシシとニホンジカだけが指定されている。緊急要望はクマ対策を財政面・技術面で支援する制度の創設や、人家周辺での銃使用の基準明確化も盛り込んだ。

(狩猟シーズンに向け祈願祭:長野)
15日解禁の狩猟シーズンに向け、阿智村猟友会智里支部西部会(田中友弘代表)は5日、園原の信濃比叡広拯院で安全祈願祭を行った。鳥獣の供養や狩猟の安全、会員らの健康を祈願した。

(クマの行動範囲が“過去最悪レベル”:富山)
全国で相次ぐクマによる人身被害。富山県内のクマの活動範囲は「過去最悪レベル」に広がり海にまで迫ろうとしています。富山市にあるチューリップテレビの社屋の脇でも怪しい動物のふんが発見され、緊張が走りました。10月23日未明、砺波市庄川町。車の行く手に現れたのはクマ。あやうくぶつかるところでした。さらに、クマは車を追いかけてすごい勢いで走ってきます。全国各地で相次ぐクマによる人身被害。県内でも今年、6人が襲われ、女性1人が亡くなっています。クマの生態に詳しい専門家はことしのクマの行動範囲が「過去最悪レベル」だと指摘します。県自然博物園「ねいの里」赤座久明さん:「クマの目撃地点の広がり、2019年(出没:919頭)を超えて、2010年(出没:1387頭)の大量出没に近いような感じになってきている」。これは2022年までの6年間のクマの出没をまとめた地図、通称クマっぷです。赤が2023年の出没地点、市街地の行動範囲が広がっていることが分かります。中でも常願寺川沿いでは10月21日と11月5日に国道8号を越え、海までおよそ4.5キロに迫っているのです。富山市手屋にある柿の木にははっきりとクマの爪痕があり、糞も残されていました。この家に住む男性:「家内が味噌でも捨てたのかと思っていたが、これは変だなと思って、よく調べたら柿の種が入っていた。こんなところにまでクマが来るとはね」過去もっともクマの出没が多かった2010年には海岸で釣り人がクマに襲われたこともありました。専門家は、川を伝ってクマが食料を探しているとみています。富山市のチューリップテレビの社屋の脇にもあやしい動物のふんが。柿の種のようなものも見えます。クマではないか…緊張が走ります。防犯カメラを確認すると…。タヌキのような動物でした。クマではないようです。どこにも現われかねないと専門家は注意をよびかけます。県自然博物園「ねいの里」 赤座久明さん:「普段、クマに全く縁がないと言っていても、人身被害が起きることにつながっている。今からでも遅くないので柿の実の撤去と必要がないなら伐採をして、数年後の大量出没に備える」。対策の1つが、クマのエサとなる柿の木の伐採です。しかし。幹の太い柿の木もあり、どうやって伐採したらいいかわからないという声も聞こえてきます。柿の実がなったまま放置されている木もあちこちに見られます。クマの被害を防ぐためにも行政の支援が求められています。

(“クマ出没多発地域”を緊急点検:新潟)
新潟県内で発生したクマによる人身被害を受け、県は10月に「クマ出没特別警報」を発表しました。こうした中、長岡市ではクマの被害を未然に防ごうと、クマの多発地域で果樹やヤブなどの点検が行われました。県内で相次ぐクマの出没…。県が10月、クマ出没特別警報を発表し警戒を呼び掛けましたが、11月6日には新発田市で40代の男性がクマに顔と背中を引っかかれ、重症を負うなど自体は深刻です。柿の木に残る鋭い爪の跡…長岡市栃尾地域で行われたのは、集落緊急点検です。この点検はクマの出没が相次ぐ地域の状況を把握して、今後の被害防止に役立てようと長岡市が実施したもので、11月9日は栃尾地区の2つの集落で見回りが行われました。集落を歩くと、民家の菜園にクマの足跡が。クマは夜中に現れたとみられていて、当時、防犯用のライトが点滅したといいます。11月8日までに県内ではクマの目撃・被害件数は合わせて1130件発生していて、長岡市栃尾地域では、10月末までに62件に上るクマ出没多発地帯です。気をつけたいのが…【長岡市農林水産部 佐々木秀俊 課長】「柿の実がなりっぱなしという部分がある。早めの収穫・処分をしていただきたい」。注意点の一つが果樹。今年はクマのエサとなる木の実が凶作で、県をはじめ行政はクマのエサとなる柿の実などを処分してほしいと呼び掛けていますが…【北荷頃地区 諸橋良作 区長】「ご存知のように地権者が分からないというケースもある」。地権者の同意がないと果樹の処分ができないため、地域も苦慮しています。クマが柿の木の枝を集めて作る「クマ棚」と呼ばれる足場が確認できました。諸橋区長は「すでにクマの縄張りになっているのではないか」と今後の出没を懸念します。また北荷頃集落では耕作放棄地の増加でクマが身をひそめられるヤブが広がり、行動範囲がさらに広がる恐れもあるといいます。【長岡市農林水産部 佐々木秀俊 課長】「対策としては柿の木の伐採・ヤブ払いへ協力していただきたい。市の補助金を使いながら、ぜひ一緒に対応していければ」。長岡市は果樹の伐採やヤブの整備に補助金を出し、地域ぐるみの対策を呼びかけていますが、区長からはこんな要望も…【北荷頃地区 諸橋良作 区長】「私も頭が痛い。どうやってクマ対策をすればいいのか。長岡市に申請しているが、そういう制度を今後とも、もっと拡充していただければありがたい」。北荷頃集落では3年前から柿の木の伐採に補助金を利用していますが、補助額は一つの地区につき年間5万円と決まっているため、整備が進まないのが現状です。さらに、今年は心配な点もあります。クマは本来、11月下旬ごろには冬眠に入るはずですが…。【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】「エサがない時は、ずっとエサを探して寝ない」。エサ不足によるクマの出没の長期化を懸念するのは、クマの生態に詳しい長岡技術科学大学の山本麻希准教授。さらにこの長期化に気象状況も影響を及ぼすと指摘します。【長岡技術科学大学 山本麻希 准教授】「なかなか雪が降らないと、いつまでも諦めきれずに寝ないクマが出ることもある。今年は暖冬少雪と言われているので、最初の雪がドンと降るまでは、しばらくクマの出没は警戒したほうがいいと思う」。まだまだ緩めることができないクマへの警戒。さらなる被害を予防するため、地域と行政が一体となった対策が必要と言えそうです。

(キョン7万頭が爆発的に繁殖:千葉)
千葉県には「キョン」と呼ばれる野生動物が、およそ7万頭も生息しています。ここ10年で3倍に急増していて、農作物への被害や独特の鳴き声により、住民からは悲鳴が上がっています。濃い茶色の毛並みに、愛くるしい目。一見、かわいらしい見た目をしていますが、収穫間近のミニトマトは食べつくされ、全滅しました。キョンの見た目からは想像ができない不気味な鳴き声も…。住民を悩ませているのは、キョンです。20年以上前に千葉県勝浦市のレジャー施設から脱走し、野生化すると、爆発的に増加。生態系・農業などへ被害を及ぼす「特定外来生物」に指定されています。午後3時、番組スタッフが勝浦市に向かうと、キョンが跳ねるように歩き回り、道路を横断しています。閑静な住宅街に現れたキョンは本来、警戒心が強いと言われていますが、カメラの前でも堂々と草を食べ、歩き回っていました。人がすぐ近くを通っても、お構いなし。何より住民を悩ませているのが、かわいい見た目とは裏腹な不気味な鳴き声。昼夜問わず、鳴き声を響かせるのです。さらに、住民を悩ますもう一つの問題があります。雑食性のキョンは、花壇の花も家庭菜園の野菜も見境なしに食べてしまいます。千葉県によると、昨年度の米や白菜などの農業被害は421万円にも及んでいます。被害に遭った畑では、収穫間近だったミニトマトが実だけではなく、葉っぱまできれいに食べられてしまっています。御宿町の畑でもネットを張り、侵入できないように対策をしていましたが、キョンの足跡がはっきりと残されていました。野菜が被害に遭った各務敬さん:「畑の側から見れば迷惑です。うちの畑で食べられたものは、ジャガイモの芽。豆類の芽が好きですよね。それからナスとか。いたちごっこですよね、(対策)したところでまたそれを荒らしたりっていう」時には、対策用に設置した3メートルの高さのネットも跳び越えてしまうキョン。住民は頭を抱えていました。千葉県によると、2012年度はおよそ2万7900頭だったキョンの推定生息数は、昨年度は7万1500頭となり、10年でおよそ3倍に増えました。生息域も広がり続け、千葉県の半分ほどに定着しているとみられています。相次ぐキョンの被害に、いすみ市ではわなを設置する具体的な対策を実施しています。番組は現場に同行しました。いすみ市猟友会 有害鳥獣駆除隊 樋口陽太さん:「これもきのうとか、けさとか新しいですよ。この足跡は。まだ踏んで上に葉っぱが掛かっていない、多分、朝とかじゃないですかね」。猟友会のハンター・樋口さんが、キョンの駆除に用いるのはくくりわなです。週に3回、私有地の山など8カ所に仕掛けています。樋口さん:「キョンって細いところを通るんですよ。わなの横に木の棒をこうやって障害物を通り越して、ぴょんぴょんって跳んできて。ここを踏むと、こういう感じで(わなに)掛かります」。しかし、イノシシやシカに比べ、キョンは脚が細く俊敏で、わなに掛かっても逃げられることが多いと話します。樋口さんは月に5頭ほどのペースで駆除しているといいますが、数が増えていると指摘します。樋口さん:「増えていますね。明らかに街中で見かける数が増えていますね。多分、あと5~6年したら10万頭超えますよ」。君津市で午後8時ごろに撮影された赤外線カメラを搭載したドローンの映像です。映像をよく見ると、山の中を歩く3つの動く物体が捉えられていました。水を飲んでいるのでしょうか。池の周りをうろうろするキョンとみられます。実際に午後9時ごろ、車で走っていると、次々とキョンの姿が見られました。1時間で見つけたキョンの数は7頭。昼夜を問わず活発に動いていました。樋口さん:「天敵もいないじゃないですか。だから増えるだけなんですよね。捕る量に間に合っていない」。昨年度は、キョンの生息数7万1500頭に対し、捕獲数は8864頭。キョンは早ければ生後半年程度で妊娠できるようになるため、1年に複数出産することもあり、駆除が追い付いていないのが実情です。樋口さんは「街中だと猫が多いので、猫がいるところにはキョンのわなを置けない。キョンの根絶は不可能じゃないですかね」と話しました。

(実は高級食材だが...キョン〝爆発的繁殖〟の背景:千葉)
千葉県南部に生息する特定外来生物のキョンが7万頭にまで増えて農作物被害などが相次いでいる。キョンの雌は生後7~8か月で妊娠できるため繁殖力が高く、1980年代に施設から逃げ出したとみられる個体が野生下で繁殖。特定外来生物として駆除対象にもかかわらず、ここ10年で3倍にも増えてしまった。そんな厄介者のキョンだが、実はその肉は美味で、本来の生息地である台湾では高級食材として扱われているのは意外と知られていない。千葉県君津市でキョンの肉を販売している猟師工房の原田祐介代表は、「キョンは小型のシカの一種で、肉はクセがなく非常に柔らかいのが特徴。肉自体が繊細なので、アヒージョやコンフィ、ローストにするのがオススメです。もちろん、そのままBBQで食べてもおいしい」と話す。また、その皮も利用価値が高く、武道の道具に使われたり、鷹匠のグローブとしてもシカ皮より爪を貫通させないとして重宝されているという。肉もおいしく皮も利用価値が高いとなれば、特定外来生物としてもっと捕獲されてもいいはずだが、どんどん個体数が増え続ける裏にはこんな事情が…。「キョンはシカやイノシシに比べて国や自治体から出る捕獲報奨金が少ない。加えて有害鳥獣駆除の捕獲従事者しか捕獲できず、ほかの哺乳類と違って餌で誘引することもできない。また、シカやイノシシと共通のくくり罠だと捕獲率が著しく下がるので、そもそもキョンを狙う人が少ないんです」(原田代表)。結果、繁殖が捕獲のスピードを上回り、「あと数年で10万頭を超える」と予測する地元関係者もいるほどだ。千葉県の熊谷俊人知事は「地域課題の解決につながる」として、今年からキョンの肉をふるさと納税の返礼品としたが、同時に捕獲数を増やす施策も求められそうだ。

(登校中の小学生が大けが、指を噛みちぎるほどの剛力さ)
11月1日、鹿児島市の通学路で登校中の児童がイノシシに襲われ大けがをしたと報じられた。現場では見守り活動が続けられるなか、1週間が経ったいまも複数のメディアがイノシシの出没を目撃したという。8日には広島県福山市にある工場の敷地内に、血だらけのイノシシが侵入。県外から機械のメンテナンスに来ていた50代男性が太ももを噛まれ、病院に搬送されたという。「その後、別の工場敷地内で市職員らによって取り押さえられ、地元の猟友会が殺処分しました。イノシシは体長約1メートル20センチ、体重約70キロのメスの成獣だったようです。福山市では1日にも別の個体のイノシシが出没し、男性がけがをしたと報告されています」(全国紙記者)。さらに9日にも群馬県富岡市で、警察官を含む3人がイノシシに襲われた事件が発生。罠にかかったイノシシを捕まえようとしたところ罠が外れてしまい、90代と70代の男性が重傷を負うことに。通報を受けて駆け付けた警察官もイノシシに襲われ、けがをしたという。昨今、ヒグマの脅威がクローズアップされているが、イノシシの身体能力も侮れないようだ。「視力が弱いとされているイノシシですが、犬に匹敵するほど鋭い嗅覚の持ち主。記憶力も優れており、食べた農作物の場所を覚えているといいます。突進力が強いことでも知られていますが、鼻先には70kgのものを押し上げる力も。助走なしで約1メートルの柵を飛び越えられるほどのジャンプ力もあり、噛む力も強いのです。昨年11月には香川県宇多津町の市街地で、イノシシが男性の中指を噛みちぎった事例も報告されています。環境省が今年4月に公表した’21年度末におけるイノシシの推定個体数は約72万頭(中央値)で、’14年をピークに減少傾向にあると報告されました。とはいえ昔よりも生息する分布域は、拡大傾向にあるといいます。イノシシは冬眠しない動物でもあるので、今後も警戒が必要となってくるでしょう」(前出・全国紙記者)。ネット上でも、市街地に出没するイノシシを警戒する声が広がっている。

(大惨事も招く「バードストライク」)
航空機に鳥が衝突する「バードストライク」の被害が後を絶たない。最悪の場合、墜落などの大惨事につながりかねないが、抜本的な対策はない。渡り鳥が増える秋は、1年のうちで最も被害が増える時期。新型コロナウイルス禍が明け、航空旅客需要の更なる増加も見込まれる中、各空港は対応に追われている。「パーン」。福岡空港(福岡市)で時折響く乾いた音は、鳥を追い払うための空砲だ。専門業者が敷地内を車で巡回し空砲を鳴らすが、音に驚いて一旦は飛び立った鳥たちもしばらくすると再び舞い降りる。記者が取材した日もフェンスに囲まれた敷地でカラスやスズメが飛び交い、悠々とたたずむサギの姿もあった。福岡空港では10月30日午前、着陸しようとした日本航空機にトビとみられる鳥が衝突。エンジンに吸い込まれたとみられ、付近で別の鳥の死骸も見つかった。肉片を食べに鳥が集まらないよう消防車で散水して清掃する必要があり、1本しかない滑走路は約1時間閉鎖され、後続の12便は別の空港への着陸を余儀なくされた。11月1日正午前には韓国の航空機に鳥が衝突し、滑走路は約30分間閉鎖され、23便に遅れが出た。福岡空港では空砲のほかにも、鳥が嫌うレーザーを当てて追い払う「鳥防除レーザー」を導入し、日常的にバードパトロールを繰り返すが、年間40件前後のバードストライクが発生。数分おきに航空機が発着する超過密空港であるだけに滑走路閉鎖による混乱は大きい。福岡空港を運営する福岡国際空港(FIAC)の永竿(ながさお)哲哉社長は1日の記者会見で「対策がうまくいっていないのかもしれない。いい知恵があれば教えていただきたい」と吐露した。「鳥にとってサンクチュアリ(保護区)のような場所だ」。見通しがいい土地が広がり、草地にはバッタなど餌になる小動物がいて、関係者以外が立ち入らない――。バードストライクに詳しい鳥類学者の樋口広芳・東京大名誉教授は滑走路周辺をこう表現する。春にかえった鳥が育ち、渡り鳥も増えるため、件数は毎年10月ごろをピークに前後で増加する。国土交通省によると、サギ、カモ、トビなどの被害が目立つ。航空機のジェットエンジンは猛烈な勢いで空気を吸い込むため、近くを飛ぶ鳥が巻き込まれる。鳥が大型であるほど衝撃は大きく、エンジン内が損傷し、最悪の場合は停止する。2009年1月には、バードストライクで155人が乗った旅客機の左右両方のエンジンが止まり、米ニューヨーク市のハドソン川に不時着する事故も起きた。各航空機メーカーはエンジンの強度を上げるなどの対策を取る。だが、リスクをゼロにするのは難しく、空港による地道な対応が頼りだが、鳥の種類が多様なだけに、対策は一筋縄ではいかない。羽田空港(東京都)では絶滅危惧種に指定されているコアジサシが巣を作るのを防ぐため、平面地をアスファルトで固めているほか、ハトが集まらないよう、餌となるマメ科の草を実がなる前に伐採している。北九州空港(北九州市など)では滑走路周辺の草地でトノサマバッタが大量発生し、バッタを食べるトビなどが増加して航空機との衝突が相次いだ。このため草地でローラー車を走らせてバッタの駆除を進める。成田空港(千葉県成田市)では鷹匠(たかじょう)の協力で鳥を追い払う実験をしたこともある。国交省によると、全国のバードストライクの発生件数はコロナ禍の減便の影響で20年には968件に減ったが、21年に増加に転じ、22年は1390件と、コロナ前の水準に戻りつつある。22年の空港別では、羽田空港の104件を筆頭に、▽那覇(69件)▽大阪(伊丹、52件)▽成田(42件)▽福岡(38件)▽新千歳(36件)――の各空港が続く。機体が損傷したケースも全国で45件確認されている。国交省では専門家や航空関係機関を集めた「鳥衝突防止対策検討会」を年1回開き、発生状況の共有や対策の検討を続ける。担当者は「ある鳥を減らせば、別の鳥が増えることもあり、対策に答えはない。知見を積み重ねて少しでも減らすしかない」と話す。

(クマと人との“距離感”は…)
今度はクマが大阪府でも出没したという情報が。9日に注目するのはクマと柿です。クマが柿を食べる様子この秋、多く目にしますが専門家によりますと、実は「柿が大好き」というわけではないそうです。くっきりと残る大きな足跡。見つかった“場所”が問題です。大阪府の小学校内で子どもが見つけたものです。周辺では生々しい爪痕も残されています。喫茶店も閑古鳥が鳴く状況です。大阪府北東部に位置する茨木市。今月に入り、爪痕や足跡なども含めて目撃情報が相次いでいます。茨木市 農林課担当者:「例年は毎年1件か2件クマらしきものの通報があるが、異常な状況と認識している」。西日本でも相次ぐクマの出没。もはや北海道や東北だけの話ではありません。東京農業大学 森林総合科学科 山崎晃司教授:「西日本も分布域拡大と個体数増加は東北と同様に起こっている。理由はもしかすると、東北とは違って食べ物だけではない」。西日本で増加する理由。人とクマとの距離感の違いがあるというのです。東北や北海道で多くあったクマの目撃情報。今年は大阪や広島など、西日本でも相次いでいます。専門家は“地形上”の理由があると分析します。東京農業大学 森林総合科学科 山崎晃司教授:「西日本の方が山と人間の生活している空間がモザイク状に入り組んでいる。クマと人が会う可能性は東北と違った形で多いと思う」。クマの目撃が相次ぐ茨木市。上空から見ると、森と住宅が入り組んでいる様子が分かります。もう一つの理由。東北とは違う“風習”をあげています。東京農業大学 森林総合科学科 山崎晃司教授:「東北はクマを撃つ伝統的な狩猟者集団がいる。マタギとか。西日本でもそういう技術はあったはずだが最近は途絶え始めている。クマの数に対してプレッシャーをかける機会が減っている」。人里への出没が相次ぐなか、クマがこぞって集まっているのが柿の木。岩手県内で撮影された映像。クマが登っていた柿の木にいくつもの実がなっています。今年は“柿のあるところにクマあり”といった様相ですが、実は冬眠前のこの時期、好んで柿を食べているというわけでは必ずしもないといいます。東京農業大学 森林総合科学科 山崎晃司教授:「(クマは)冬眠に向けて脂肪を増やしたい。食べ物に含まれる脂肪分や炭水化物のようなものがとても大事。柿はそこまで体脂肪を増やす部分で貢献しないかも。一番、脂肪分が多いのはブナの実」。山に脂肪分が豊富な木の実が少ないため、人里にある柿を食べざるを得ない状況だといいます。より脂肪分のある餌(えさ)を求めて徘徊(はいかい)しているのでしょうか。クマは日本一大きいと言われる秋田県仙北市の名産も狙いました。黒い巨体がわなの近くで地面を探っています。仙北市で撮影された映像。日本一大きいと言われる「西明寺栗」の畑です。クマは赤ちゃんの握りこぶしほどの大きさもあるという栗を狙いました。収穫時期にもかかわらず半分ほどの栗が被害に遭ったということです。クマが冬眠に必要な栄養を接種できないとどうなるのでしょうか。専門家は…。東京農業大学 森林総合科学科 山崎晃司教授:「冬眠中は子どもを産むが、雌の体が持たないので出産を諦めるとか、来年冬眠から明けた時、痩せた状態になると思うので、また食べ物を探して歩き回るというのが4月くらい(早い時期)から起こる可能性もある」。

(クマ被害激増はドングリ凶作説だけでは説明できない!)
クマによる人身被害が後を絶たない状況だ。本来は臆病だとされるクマは、なぜ人間を襲い始めたのか。クマの生態に詳しい、NPO法人・日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長に聞いた。米田氏はクマに9回襲われ、そのたびに生還した経験を持つ。インタビュー前編となる今回は、最近になって知られ始めた「アーバンベア(都会化したクマ)」の意外な正体と、人を襲う理由、そして2025年にクマの人間襲撃がさらに増えるリスクがあることなどについて解説する。「クマが人を襲い、けがをさせた」「襲われた人が亡くなった」。そうした凄惨な事故が連日のように報道されている。環境省が11月1日に発表した速報値によると、2023年4~10月にクマに襲われたのは180人。06年に統計を開始して以来、最多を記録した。このうち死亡者数は5人に上る。クマは本来、臆病な性格であり、人間に対する警戒心も強いとされる。にもかかわらず、なぜここに来て私たちを襲い始めたのか。その理由を、NPO法人・日本ツキノワグマ研究所の理事長を務める米田一彦氏に聞いた。米田氏は秋田大学教育学部を卒業後、秋田県立鳥獣保護センターに勤務。1986年以降はツキノワグマの研究に専念し、89年に同研究所を立ち上げた“クマの専門家”である。また、米田氏はクマの観察や追跡調査を行う際、遭遇・捕獲したクマに9回襲われ、そのたびに生還した稀有な経験を持つ。クマの生態や有効な対策について身をもって知る、まさにスペシャリストだ。米田氏へのインタビュー記事の前編となる今回は、報道などで耳にする機会が増えた「アーバンベア(都会化したクマ)」の正体について解説する。「森と街」の境界線を踏み越えて、人里付近に現れるようになったクマを指す新語だが、米田氏は「そうしたクマは昔からいた」と話す。では、なぜ今、急に問題になっているのか――。また、米田氏はクマによる人身被害について、2年後の25年には「今年以上に被害件数が増えるかもしれず、警戒が必要」と警鐘を鳴らす。その理由とは何なのか。――クマによる人身被害が過去最多のペースで推移しています。なぜクマは人里に近い場所に出没し、人を襲うようになったのでしょうか。米田:林野庁は「クマのエサになるドングリ(ブナの実)の大凶作が影響している」などと説明していますが、私はそれだけではないと考えます。米田:そもそも、ブナという木は10年のうち1年くらいしか豊作の年がありません。それ以外は基本的に凶作です。この情報は、実はWikipediaにも載っているドングリの基礎知識です。今年クマ被害が多い秋田県は、確かに去年はブナが豊作だったようです。ですが、それ以外の年は凶作の年が多かったのだとみられます。なので、クマによる人的被害が県内で「過去最多」となった理由は他にもあるはずです。クマが出やすい地域の過疎高齢化や、地球温暖化に伴う猛暑および少雨の進行なども関係しているでしょう。私の感覚では、被害増の理由を「ドングリ凶作説」だけで説明できたのは2004年頃まで。それ以降は要因が多様化し、研究者でもなかなか意見を統一できていません。――さまざまな要因の中で、特に有力なものは何でしょうか。米田:クマの生息域の広がりでしょうね。もともと日本の森林は、大きく分けて2種類ありました。集落や市街地の近くにあり、人々が生活のために利活用してきた「里山」と、人里離れた「奥山」です。ただ、ここ30年ほどの間に「里山文化」が失われ、管理が放棄されるようになりました。その結果、里山の自然が手つかずになり、木々がまるで奥山のように立派になったのです。この「里山の奥山化」によってクマが住める環境が広がり、市街地の近くまで拡大してきたわけです。そして、今の里山と奥山では、暮らしているクマの「属性」が異なります。クマの世界にも階級や力関係があり、奥山は体の大きいクマや力の強いクマが牛耳っているとみられます。一方、弱いクマは強い個体を恐れ、自分の居場所を探して里山付近に下りてきているのです。この「弱いクマが里山に下りてきて育つ」という動きは1990年代頃から加速し始めました。ですので、最近よく見かける「市街地付近で育ったアーバンベア(都会化したクマ)が増えている」という報道には違和感があります。この現象は昔からあったわけですから。――最近話題のアーバンベアは昔からいたということでしょうか。米田:そうです。集落付近で暮らす若いクマは、90年代には「集落依存型のクマ」、00年代に入ると「新世紀グマ」「新世代グマ」などと研究者の間で呼ばれてきました。新天地を求めて奥山を離れることから「パイオニア(開拓者)」と呼ばれることもあります。それが今になって、呼び名を変えて「アーバンベア」などと言われ始めた次第です。――報道を見ていると、「アーバンベア」という新たな特性を持ったクマが出てきて暴れ回っているような印象を受けますが、そういうわけではないのですね。米田:はい。里山に下りてきて暮らすクマたちは、もともとは「人との間合い」をよく知っています。本来は人にけがを負わせないように上手に動くことができます。それが最近になって人と接触し始めた理由は、大きく2つあると考えられます。一つ目は、未熟なまま子を持つ若いクマが増えていることです。今年10月頭に秋田県の美郷町(みさとちょう)で、親子とみられる3頭のクマが畳店の作業小屋に立てこもったことがニュースになりました。このうち母グマの体長は約1メートルだったようですが、大きさに鑑みると年齢は3歳くらい。つまり2歳で交尾をし、子どもを持っていることになります。この若さで母親になるクマは、昔の自然界ではあまり見られませんでした。里山にいるクマの個体数が増え、繁殖期に交尾をしたいオスが多くなった結果、若いメスグマが「仕方なく妊娠して子を持つ」という選択を強いられているのかもしれません。いずれにせよ、若くして母親になったクマは、まだクマとして成熟していません。人との距離の取り方においても変わった行動を取りがちです。今回のように里に出てきて閉じこもる個体もそうですし、人から逃げたり隠れたりするのも下手です。クマとして未熟であるが故に、意図せずして人間の前に出てきている場合もあります。なので、「都会化したアーバンベアは狂暴で、人を襲っている」とは一概に言い切れません。二つ目は、人間側の「クマを森に押し返す力」が弱まっていることです。いくらアーバンベアが人との距離感を心得ているとはいえ、人間側の対策が不十分になると増長します。過疎高齢化によってハンターの数が減ったり、イヌが飼われなくなったり、自動車が市街地を頻繁に走らなくなったりした地域では、クマの警戒心は薄れます。高齢化した住民が市街地周辺の草を刈らなくなったり、クマの食べ物になりそうな果実を定期的に収穫できなくなったりした場合も同じです。最近はクマが高齢者を襲ってけがをさせたり、死なせたりするニュースが目につきますが、おそらくクマはお年寄りを故意に狙っているわけではないはずです。「森に押し返す力」が弱まった地域にクマが出て、その地域に住んでいる人間を襲った結果、被害者が高齢者だった――という順序が正しいと思われます。――今後もクマの被害増は避けられないのでしょうか。米田:再来年(25年)は今年のようにクマの被害が多く発生する可能性があります。というのも、今年はクマの出生数が多く、かつてないほど「赤ちゃんグマ」が生まれたとみられます。こうした子グマが2歳になり、自立して自由に徘徊(はいかい)し始めるのが25年です。エサの状況や気象条件にもよりますが、2年後は今年以上に被害件数が増えるかもしれず、警戒が必要です。

(クマ被害が多発、環境省が生息調査へ)
クマによる人身被害の多発を受け、環境省は10日に閣議決定された補正予算案に、人間の生活圏に出没するクマの生息状況調査などの対策費として7300万円を計上した。調査は人身被害を防ぐ方法を検討するための基礎となるデータを得るのが目的。クマが冬眠する巣穴を調べたり、生活圏への出没頻度が高い個体を把握したりすることなどを想定している。調査場所や方法は、都道府県からの要請に応じて検討する。また、放置されている柿の木の伐採など、出没を抑える計画を都道府県が作成・実施するのを支援する。クマは11~12月ごろに冬眠し始めるため、いずれも来年の出没に備えた対応策となる。同省によると今年度のクマによる人身被害は10月末時点で164件、被害に遭った人は180人に上り、統計を取り始めた2006年度以降で最多となっている。

(イノシシに襲われ9月以降で負傷者4人:広島)
広島県福山市内で9月以降、イノシシによるけが人が相次いでいる。市街地や住宅地で遭遇した4人が負傷し、市は「生息域が広がってきている」とみる。市内の捕獲頭数は過去10年で最多の昨年度と同じペースで推移するが、対策のための市の補助制度の利用は低調だ。一方で手作りの電気柵を設けて「撃退」に効果を上げる住民団体もある。市内では9月、市中心部の船町で男女2人が脚をかまれた。今月1日には引野町南1丁目の住宅地で出勤途中の男性が、8日には箕沖町の工場で作業員男性が襲われ、それぞれけがをした。引野町南で被害に遭った男性の家族によると、自転車で出勤した直後に路上にいたイノシシに襲われ、目と手の指に大けがを負い入院した。近くの60代主婦は「叫び声を聞き、傘2本を持って助けに出ようとしたが家族に止められた。脚が震えた」と振り返る。引野地区では9月以降、イノシシの出没が相次ぐ。引野交流館近くの畑で野菜作りをする女性(85)は早朝に畑でイノシシを何度も見かけた。「今年は植えても植えてもイノシシに全部掘り返される。去年まではこんなことはなかった」とため息をつく。市内のイノシシの捕獲頭数は本年度、9月末時点で約1200頭。過去10年で最多の1736頭だった昨年度と同じペースで、市は「管理されていない竹やぶなど、市街地近くに生息域が広がってきている」とする。昨年度は帰宅中にイノシシに体当たりされ、脚をかまれた1人がけがをした。ヒトと動物の関係学会会長の広島大大学院の谷田創名誉教授(人間動物関係学)は「手入れの行き届かない森林の増加や猛暑でドングリなどの餌が減った影響で市街地の近くに下りてきている」とみる。「大声を出したり背を見せて逃げたりすると興奮して襲ってくる。イノシシから目を離さず後ずさりで逃げて」と求める。市は2021年度、0・3ヘクタール以上を条件に、森林伐採や下草刈りの費用を最大250万円補助する制度を創設した。イノシシの生息域と人里を隔てる緩衝地帯(バッファゾーン)の整備を支援し、見通しの良さを嫌うイノシシなどの習性を利用して遠ざける目的だ。ただ、活用は新市町の団地での1件のみ。市の渡辺光広・水畜産林業振興担当課長は「森林の所有者全員に同意をとる必要があるなどハードルはあるが、実施した地域の評判はいい」と活用を呼びかける。独自に取り組む住民団体もある。ヒガンバナの名所の同市神辺町の堂々川では「堂々川ホタル同好会」のメンバーの渡辺稔さん(69)と由紀子さん(53)の夫妻が、約2キロにわたり自作の電気柵を張り巡らせた。ソーラーパネルで自家発電する仕組み。今年はワイヤを張った内側で被害はほとんどなく、花を守った。稔さんは「斜面からイノシシが登ってきにくい柵の角度を研究して結果が出た。地域の景色を守るために続けたい」と話した。

(クマ行動記録から見えてきたこと、“人とクマとの陣取り合戦”:長野)
捕獲され、麻酔でぐっすり眠っている若い雌グマです。人を怖がることも知らず、市街地近くに出てきていました。もし問題を起こしていたら駆除されていたかもしれません。しかし3年後、その雌グマは市街地に出てくることはなくなりました。「捕獲と駆除は必要。でもそれだけでは被害は繰り返される」人とクマが適切な距離をとってすみ分けることはできるのか。長期的な対策で被害を防いできた町で現地調査に同行取材しました。その町とは、長野県軽井沢町です。クマの生態に詳しい人材がいるNPO法人に委託し、20年以上前から対策を続けています。NPOはまず、わなで捕獲したクマの首に発信器を取り付けて、行動を追っています。冒頭で紹介した2歳のクマも、その1頭です。NPO法人ピッキオ 田中純平さん現実にクマによる被害が起きている中で、“なぜ捕獲したクマをまた森に返すのか”という意見もあります。軽井沢でも以前はそうした声が聞かれました。ただ、行動を調べていくことで初めて見えてくるものもあります。NPOではこの発信器から発せられる電波を手がかりに、クマの活動が盛んになる6月から10月にかけて、毎日欠かさず現地でクマの行動調査を続けています。10月下旬、この調査に同行させてもらいました。深夜、スタッフたちは車で森の中へと入っていきます。いま、発信器を取り付けているクマは38頭です。少しずつ移動しながら、アンテナを使って1頭1頭の電波を受信、位置を特定していきます。調査は毎日、夜中から早朝にかけて行われています。クマはもともと日中に行動しますが、人の住む地域に近づくと人目を避けるために夜行性になる傾向があるからです。もし人の地域に近づきすぎているクマがいることがわかれば、人が活動を始める朝までに、山側の方へと戻す必要があります。夜明け前、1頭のクマから電波を受信しました。「だいたい、ここから数百メートルのところにいると思います」。市街地にほど近い場所までたびたび来ていたことから、これまでも動きを注視していた1頭でした。この日は住宅地のすぐ近く、JRの駅からわずか1キロの距離にまで近づいてきていました。NPOでは調査の際はいつも「ベアドッグ」と呼ばれる特殊な訓練を受けた犬を連れて行動しています。ベアドッグは匂いを察知してクマを見つけると大きな声でほえて威嚇します。これがクマに「この場所にいては危険だ」と理解、学習させることにつながるといいます。もし発信器を付けていないクマが近くに潜んでいた場合にも匂いで気付くため、スタッフの安全確保にも欠かせない存在です。スタッフはベアドッグとともに、見つけたクマの近くへ追い払いに向かいました。日の出が近づき、人が散歩で外に出始める朝が迫っていました。危険を伴う追い払いの現場には同行せずに車の近くで待機していると、ベアドッグがほえる大きな声が響きました。クマは山林の方向へと逃げ去っていったということです。NPO法人ピッキオ 関良太さんクマに“ここは安心して食べられる場所じゃないよ”ということを、変わらず教え続けることが必要だと思っています。気付いたら人のエリアに入ってきてしまっているとなるとまずいので、地道で大変なこともありますけど、シーズン中は毎晩、責任を持ってどこにいるか調べるようにしています。実は軽井沢町では、1990年代後半から2000年代の初めにかけて、たびたびクマが人の住むエリアに出没していた時期がありました。クマに街なかのごみ箱を荒らされる被害が多発。市街地に出てきたクマに人が襲われ、けがをすることもありました。言わずと知れた歴史ある避暑地・別荘地で、年間を通じて多くの観光客が訪れます。被害が深刻化すれば、町のブランドが傷つきかねない。どうやって防ぐかは、喫緊の課題となっていました。一方で、葛藤もありました。町の森林エリアの多くは国の「鳥獣保護区」に指定され、猟銃を使うことが禁止されています。また、さまざまな野生動物も生息する自然の豊かさに魅力を感じて訪れる人も少なくない中で、駆除だけに頼った対策に踏み切ることはできませんでした。そこで取り組んだのが「ゾーニング」と呼ばれる対策です。軽井沢では町全体を3つのエリアに分けて、人とクマとのすみ分けを目指しています。「森林エリア」はもともとクマが生息してきた場所です。「市街地エリア」には人が多く暮らしています。そして、その間に設けたのが「緩衝地帯」です。森の中に別荘も点在して、人もクマも出入りするエリアです。森の中にブナなどのエサが不足していたり、ほかのクマとエサ場をとりあった結果、どうしても「森林エリア」から出てきてしまうクマもいるといいます。「緩衝地帯」では、特に人との接触の危険が高い日中にはクマが入ってこないよう、働きかけに取り組んできました。同行取材した調査でも、主にこのエリアから「森林エリア」にクマを追い払っていました。これまでに発信器をつけて行動を追跡してきたクマはあわせて217頭にのぼります。NPOでは、1頭1頭のクマに管理番号などにちなんだ名前をつけて管理してきました。ひとことで「クマ」と言っても個性があり、山の中にずっととどまっているクマもいれば、広範囲に動きまわるクマもいます。人里に出てきて問題を起こすのは、その中のごく一部のクマだということです。NPO法人ピッキオ 田中純平さん1頭1頭にどんな個性があってどういう動きをするのか、名前を付けることで把握しやすくしています。働きかけを重ねることで、徐々に行動に変化をみせたクマも出てきています。2014年の夏、2歳のときに「緩衝地帯」で捕獲された雌グマの「ジュンナ」です。日中に人前に堂々とあらわれ、人を怖がるようすもなく木に登って桑の実を食べているという通報が相次ぎました。発信器を付けたジュンナはその後どうなったのか。3年間の行動記録が残されています。赤色の点が、2015年にジュンナの電波が確認された場所です。赤い線が「緩衝地帯」と「市街地」のボーダーラインですが、ジュンナはそのラインを越えて、下側の市街地のエリアまでたびたび入ってきていたことがわかります。NPOではそのたびに追い払いを繰り返し、「この場所はだめだ」とわからせるための働きかけを繰り返しました。すると翌年2015年、ジュンナは行動を山側の方へと移していきます。青の点が2016年の電波が確認された場所です。「緩衝地帯」と「森林」の緑の線をほとんど越えることなく、森林エリアにとどまっていたことがわかります。その後もジュンナは人とクマとの“すみ分け”を守るような動きをみせ、市街地に近づくことはなくなっています。多くの時間と費用はかかるものの、軽井沢町では地道な取り組みが積み重ねられてきました。町ではクマにごみを荒らされる被害はほとんどなくなり、この10年余り、人の暮らすエリアでの人的被害は1件も起きていません。NPO法人ピッキオ 田中純平さん問題を起こしたクマを捕獲して駆除することは必要なことです。一方で、そうした受け身的な対策だけをしていても、また繰り返しクマは出てきて被害が起きてしまいます。将来のために、どうして人のエリアに出てきているのか、出てこないようにするにはどうすればいいかということをそれぞれの地域で考えていくことが今、求められているように感じます。各地でクマの被害が相次ぐ中、こうした軽井沢の取り組みは、ほかの地域のモデルになるものなのでしょうか。クマの生態に詳しい東京農工大学大学院の小池伸介教授はこう話しています。東京農工大学大学院 小池伸介教授軽井沢の取り組みはすぐできたわけではなく、長い時間と手間をかけてクマを押し返してきたもので、非常にきめ細かい対策を行っているという意味では理想的な対策と言えます。一方で、きめ細かい分だけお金もかかり、クマ対策をできる人材も用意しなければならないので、そこまで野生動物にお金をかけられない自治体も少なくないという現実もあります。そして、クマへの対策は地域の状況によって異なるとしたうえで、特に、目の前で今、出没と被害が相次ぐ地域で必要なことについては、次のように指摘しています。住民の安全を守るために“ある程度の捕獲や駆除はやむなし”というのが、クマが増えている東日本では現実的な対策です。集落の周辺では捕獲を強めてクマが居つかないようにすると同時に、柿の実などクマのエサとなる「誘引物」を除去するなどの対策を急ぐことが必要です。そのうえで小池教授は、目の前の対策に加えて長期的な視点で対策を打つことの必要性にも触れ、「本来は、今のような大きな問題になる前に対策を行わなければいけません。山の中のクマのモニタリングを続けることで、“フェーズが変わるタイミング”を的確に見つける。そんな先進的な取り組みがある」として、兵庫県のある試みをあげました。その兵庫県が取り組んでいるのは、クマの生息数の把握です。何頭いるかが推定できれば、場当たり的な駆除や保護ではなく、根拠を持って対策をとることができるからです。兵庫県の野生動物対策の拠点、兵庫県森林動物研究センターです。センターでは、わなで捕獲したクマを麻酔で眠らせ、個体識別のためのマイクロチップを体内に埋め込んだあと、再び山に放しています。そして翌年以降、捕獲したクマのうち何頭にチップが入っているかを確認することで、周辺にどれだけクマが生息しているかを推定しています。たとえば、50頭捕獲してほとんどマイクロチップが入っていないクマだと、周辺には他のクマがまだ多く生息していると、推定できます。一方、ほとんどがマイクロチップが入ったクマだと、他のクマはあまり多く生息していないことが伺えます。こうした情報をもとに統計的な分析を行うことで、生息数がどのくらいなのか、増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを推定できるのです。取り組みのきっかけは、実は「絶滅への危機感」でした。戦後、日本では今よりもずっと山での狩猟が盛んでした。その影響でクマの生息数が一時大幅に減少し、高度経済成長期には“幻の生き物”とも言われるほど、絶滅が危惧された地域もありました。兵庫県内でも1990年代にはクマが100頭以下しかいないとされ、狩猟が禁止され、保護を図ることになりました。ところが2000年代に入って、市街地でのクマの出没が増加しました。しかし、当時はクマがどのくらいの数いるのか、適切に把握することはできませんでした。兵庫県森林動物研究センター 横山真弓研究部長「生息数が正確に分からなければ、駆除しすぎて再び絶滅に追い込んでしまうおそれもあります。クマの数を管理していくためには何よりもまずは生息数を把握することが必要ですが、日本ではこれまで数を把握することはほとんどできていませんでした」。そこで、先ほど紹介したマイクロチップを使った調査と推定を始めた結果、「県内のクマの生息数は推定で800頭を超える」とするデータが割り出されました。予想していた以上に、頭数が増えていることを示す結果でした。兵庫県森林動物研究センター 横山真弓研究部長クマは増えにくい動物といわれてきましたが、現実的には非常に増加力を取り戻していました。闇雲な駆除をするのではなく、管理可能な数まで一旦減らし、それを維持していくという考え方が重要です。調査結果を受けて、兵庫県では2016年に狩猟を解禁。さらに、次の年からは市街地から200メートルの範囲に限って、捕獲を強化することにしたのです。その後も「800頭」を上回るか下回るか、センターの推計の結果を目安に、狩猟を実施するかや駆除する頭数を決めるなど、クマの生息数を一定に保つ「管理」を続けています。兵庫県ではこの2年、山の中でクマのエサとなるブナの実りが「大凶作」とされていますが、クマによる人的被害は1件も出ていません。兵庫県森林動物研究センター 横山真弓研究部長クマと共存していくためにどのくらいの数を駆除できるのか、ちょっとした変化もとらえていく必要があります。より細かな生息数のデータをもとに対策をとるようにしていかないと、長期的には被害を減らしていくことは難しいのではないでしょうか。今回の取材の中で、人とクマとのいまの関係を語る時、別々の専門家がくしくも同じことばを使って例えていました。「常に人間と動物の間は“陣取り合戦”的なものがあって」(東京農工大学大学院 小池伸介教授)。「ある意味“陣取り合戦”みたいな感じになります」(NPO法人ピッキオ 田中純平さん)。近年、クマは人が使わなくなった里山や耕作放棄地に生息の範囲を広げているとみられます。さらに人口減少や高齢化などがいちだんと進み、人の生活が変化しているのを背景に、生息地を広げてきたクマと人が出会ってしまい、各地で被害が多発するようになったと、専門家はそろって指摘しています。「“陣取り合戦”の中で人がクマに押されている」というのです。そして、過去最悪の被害が出ている今の事態を語るときにも、やはり同じことばが口々に出てきました。それは「クマによる被害は“自然災害”と同じ。防災対策と同様に“予期して備える”ことが重要だ」とするものです。東京農工大学大学院 小池伸介教授野生動物の問題というのは、“出てきたら駆除すればいい”という考え方が多かったと思いますが、実はクマによる被害はほかの自然災害と同じなんです。大雨への防災対策でも100年に1度の大雨に備えて大きな堤防を作ったりしますが、クマの場合もことしのように数年に1度のどんぐりの不作、凶作の年には出没が増えて被害が増えることがわかっているわけです。だからその数年に1度の大量出没に備えて誘引物を除去したり、クマの分布域を山奥に押し戻して出てこないようにする、洪水が起こらないようにするのと同じ視点が必要なんです。いま、環境省や農林水産省、それに大学などが連携して、野生動物管理の専門的な人材の育成に向けた取り組みに乗りだし、大学生に向けたカリキュラムが試行的に始まっています。同じ野生動物のニホンジカやイノシシなどをめぐっては農作物への被害が深刻化したことから積極的な管理が進められてきました。一方で、クマに対してどのような管理を図っていくか、より本格的な議論が求められています。東京農工大学大学院 小池伸介教授今まで人間の力が強いときはお金も手間もかけないで野生動物と付き合ってこれたが、日本人は少子高齢化でどんどん減っていく。今までのような付き合い方では、人間の方が安全に付き合っていけない。普段から手間もお金もかけて、動物が出てこないようにする、被害が出ないようにしていかなきゃいけないということを、今回のクマ騒動は教えてくれたのだと思います。

(クマの捕獲上限の撤廃、捕獲奨励金の創設を県に要望:群馬)
群馬県安中市内の山中で8日に登山者がクマに襲われて負傷したことを受け、同市は10日、市鳥獣被害防止対策協議会(会長・岩井均市長)の臨時会を開いた。人身被害の抑制に向け、県ツキノワグマ適正管理計画における捕獲上限頭数の撤廃や、ツキノワグマの捕獲奨励金の創設などを求める要望書をまとめ、同日付で山本一太知事に提出した。県の鳥獣保護管理事業計画により、生息数を調整するためのツキノワグマの「予察捕獲」は、現在認められていない。要望書では、人間の活動域に出没した場合はこれを認めていくことを求めたほか、子どもらへの安全確保策の徹底も盛り込んだ。臨時会には、市や猟友会、森林組合などの関係者14人が出席した。クマの生息行動域が拡大傾向にあり、市内での目撃情報が増えていることなどが報告され、農林業に被害が生じている現状を確認した。今回、人への被害が出たことを重視し、市単独の対策では限界があるとして、県への要望書提出を決めた。委員からは現行の捕獲制限などについて「対策が後手後手に回ってしまい、事故が起こってしまってからでは遅い」と、見直しを求める声が上がった。岩井市長は「市民の安心安全を守るため、しっかりと対策を講じたい」と被害の未然防止を徹底する考えを示した。クマによる負傷事故は、8日午後1時ごろ、同市松井田町北野牧の稲村山登山道で発生した。男性が下山中に親子と見られるクマ2頭と遭遇し、顔や手に軽傷を負った。

(なぜ「野生のクマ」は「犬」にだけ弱いのか)
日本中で人がクマに襲われる被害が相次ぐなか、犬がクマを撃退する事例がいくつも報告されている。飼い犬に吠えられて逃げ出すクマの動画がSNSで拡散されたり、軽井沢町では民家エリアに近づいたクマを森に追い返す「ベアドッグ」が活躍していたり。しかし、クマはなぜ、自分よりも小さな犬を怖がるのだろうか。『ざんねんないきもの事典』シリーズの著者で、動物学者の今泉忠明さんに解説してもらった。なぜ、クマは犬を怖がるのか。今泉さんにその理由をたずねると、「正確には、怖がるというより、避けたがっている。かつて里山に暮らしていた野良犬の記憶が残っているのでしょうね」と返ってきた。「クマが野良犬の縄張りに入った場合、犬は追い出そうと立ち向かってきます。どんな犬も単独ではクマにかないませんが、2~3頭以上の群れをなして集団で攻撃してくる。これがなかなか厄介なのです」。野良犬たちの戦術は、こうだ。まず1頭が、クマと正面から向かい合う。そして他の仲間はクマの後方に陣取り、隙を見て後ろから足にかみつく。アキレスけんを切れば獲物の動きが止まることを、本能的に知っているからだ。そして怒ったクマが後ろの犬を攻撃しようとすると、今度は最初に正面にいた犬が、再び後ろから足にかみつく……。クマはあっちを向いたりこっちを向いたり、犬たちにかく乱されるというわけだ。もちろんクマが本気で突進すれば、包囲網は抜けられる。しかし、多少なりともケガをするリスクがある以上、犬との接触を事前に避けようとするのは、当然の反応だろう。では、飼い犬と一緒に歩いていればクマを撃退できるのかというと、そう簡単ではないようだ。今泉さんは「近年のクマは犬が厄介な動物であることを忘れつつある」と、警告する。日本では、1950年に制定された狂犬病予防法のもと、野良犬の駆除が進められてきた。今泉さんによると、10年ほど前にほぼすべての野良犬が姿を消したといい、その結果、犬に襲われた経験のないクマや、母グマから犬を避けるよう教わっていない子グマが増えているというのだ。ここ最近、犬の散歩中にクマに襲われる事件が頻発している背景には、このような“犬を知らないクマ”の存在があると、今泉さんは分析している。「『人ともちがう、なにか見慣れない生き物が来たな』と関心を持たれてしまい、犬の存在がクマを引き寄せている可能性があります。また、鉢合わせた際に犬が激しく吠えると、クマが興奮して突進してくることも考えられる。犬を連れていることで、むしろクマの被害に遭うリスクが高くなる恐れがあるのです」。さらに踏み込むと、「野生動物が人里に下りてくるようになったこと自体が、野良犬の駆除の結果だ」というのが、今泉さんの持論だ。かつて、クマだけでなくシカ、イノシシ、サルなどにとっても、野良犬は厄介な存在だった。そのため、野良犬が暮らす里山は、自然界である山と、人が住む町の間の“防波堤”となり、野生動物を人のそばに寄せつけない機能を持っていたのだという。「野良犬を駆除したことで狂犬病は撲滅できたけど、代わりに獣害が増えてしまった。人間の都合だけで自然に手を加えてはいけないという、典型的な例です。一度壊した生態系は、なかなか元には戻らない。大変な時代になってしまったね」。今泉さんによると、最近のクマは犬だけでなく、もはや人のことも怖がらなくなりつつあるという。人が山に捨てる残飯の味を覚えたことで、クマよけの鈴の音を聞くと、エサを期待して逆に寄ってくるケースが指摘されているのだ。人間側の都合によって、クマはその生態をどんどん変化させ、私たちに牙をむくようになった。自然界からの“しっぺ返し”が収まる日は、来るのだろうか。

(市街地にクマ、至近距離なら「首から上を守って」)
全国でこの秋、クマによる人身被害が相次いでいる。環境省のまとめでは本年度は180人と既に過去最多で市街地での被害も目立つが、中国地方では1人にとどまる。専門家は「中国地方では人里と山が近く、クマが人間との距離感を心得ている」とみる一方、高齢化で里山が荒れてクマの行動範囲が広がっていると警告する。4~10月の人身被害は秋田県61人、岩手県42人など東北地方を中心に広がり、半年余りで統計が残る2006年度以降の最多を更新した。死者は5人に上る。中国地方では6月、島根県邑南町の70代男性が自宅の裏山でツキノワグマに顔を殴られ、右目などに重傷を負った。最近10年では毎年1~9人が被害に遭っている。広島、山口、島根県の西中国山地にすむツキノワグマの分布域は、20年度の3県の調査で約8200平方キロ。1999年度の1・6倍に広がったと推定される。

(とかいなかのワイルドライフマネジメント:茨城)
「都会で田舎」な街、つくば。そこには、歴史ある筑波山系の自然公園のみならず、研究学園都市に維持されてきた都市の中の自然があります。現在、これらの自然には生物多様性保全や市民参加による利活用のみならず、獣害や人畜共通感染症などのワンヘルスに関わる多様な課題への対処が求められています。本エクスカーションでは、そんな課題へ対処するふたつのサイトへ訪問し、関係者のお話を交えながら、「とかいなか」のワイルドライフマネジメントについて学びます。みなさまのご参加をお待ちしております。

(“大学生殺し”ヒグマの食性:北海道)
10月31日午前10時半ごろ、北海道松前郡福島町の大千軒岳(標高1072メートル)。地元、福島消防署の41歳と36歳の消防署員、それに隣の知内消防署の41歳の消防署員の3人が、登山開始から約3時間後に休憩中のところ、ヒグマに襲われる事故が発生した。7合目付近の急な登山道を登ったところに人が休める「休み台」というスペースがある。周囲は藪や林で鬱蒼としており、ヒグマはその中を下から駆け上がってきた。消防署員らが「おい!おい!」と大声を掛けても構わず向かってきて、まず知内署の男性を襲撃。首や太腿に噛みついているところを、福島署の41歳の男性が助けようとナイフで応戦。反撃に遭い、脇腹や太腿に軽傷を負ったという。普段、訓練を積んでいた消防署員だからこそできたと思われるヒグマの撃退。だが、喉に傷を負って瀕死のヒグマは、その後、そこから6合目付近の藪の中にある“別のエサ”の近くに向かって歩いて行ったとみられている。この事故から2日後の11月2日昼、この6合目付近の登山道から外れた藪の中で、性別不明の遺体が倒れているのが発見された。捜査関係者が語る。「31日の被害を認知した後、入山規制をしましたが、その日の午後7時半ごろに国道228号から6キロほど登った登山道入り口の駐車場に車が1台、置いたままになっていました。車の使用者との連絡が取れず、翌日から防災ヘリを飛ばし、携帯電話の着信のGPSなどを頼りに役場や消防署の協力も得ながら捜索を開始。翌日、『何か下にある』となりました」。まず見つかったのはオスのクマの死骸だ。喉元に傷があり、31日に消防署員らが遭遇したのと同じ個体であることが判明している。問題の被害者の遺体は、その30メートル先の藪の中に、クマが習性で自分の獲物に行うように土や枝が被せられており、登山道からは視認できない場所にあった。心肺停止状態で、遺体の損傷は激しく、死因は多発損傷による出血性ショック。付近には被害者のリュックが落ちていた。その後、道警による司法解剖が行われ、DNA鑑定の結果、被害者は函館市内の大学生、屋名池奏人さん(22)と判明。10月29日に「登山に行く」といったまま、行方不明となっていた。31日に消防署員らがヒグマに遭遇する前に、すでに被害に遭っていたとみられており、道警はクマの死骸から胃を摘出し、内容物を調べている。地元猟友会関係者が語る。「これまで登山者がクマを見たというのはあっても、人的被害はまずなかった。それが、人が襲われる事故が出てきたのがここ数年のことです。この夏は特に気温が高く日照り続きで、クマのエサである木の実が極端に少ない。田畑を食い荒らされる被害はよく出ていて、ウチも今年、畑のニンジンを全部やられた。それでもこれまでクマが出るのは、早朝や夜中などひと気のない時間帯でした」。別の猟友会関係者がこう明かす。「今年は特にクマの出没数が多く、実は福島町内でも9月の1カ月間だけで、檻の形の『箱ワナ』で、普段の1年分くらいのクマの捕獲があった」。福島町役場によれば、今年度に入りすでに町内で16頭が捕獲されているという。人を恐れぬクマの増加。周辺ではここ数年、人的被害が相次いでいた。福島町で最初にヒグマによる死亡事故が起きたのはおよそ2年前のことだ。今回の現場最寄りの国道を約10キロ南下した、海沿いの同町白符で起きた。2021年7月2日朝、国道から、津波などの際のために設けられている避難路を30mほど上がったところにある杉林内の、オオイタドリが生い茂った藪の中で、性別不明の人間の両脚が見つかったのだ。約20メートル先にはカボチャやジャガイモを植えた畑がある。遺体は傷だらけで、幅70センチ、深さ20センチほどに掘られた穴の中に、草の塊に覆われて隠されていたという。その後の司法解剖で、被害者は前日朝に畑仕事に出たまま行方が分からなくなっていた近所の77歳の女性であることが判明。「当時、担架で遺体が運ばれるのを見ていたが、シートの下にあるのは人間が寝ている形をしていなかった。この辺は冬場にはエゾシカが大量に出てくるから、それを獲物にしているクマではないか。クマは柔らかければ太腿の骨まできれいに食べちまうんだ」(近隣住民男性)。記者が現場の避難路を上がろうとすると、この男性から「ヒグマがいるかもしれねえから」と制止された。なお、道立総合研究機構が遺体に付着したクマの毛などを採取してDNA鑑定を行った結果、このクマはオスだと判明している。その1年後の昨年7月には、白符からさらに約10キロ先にある北海道南端の松前町白神の山林内で、82歳の男性と78歳の女性の夫婦がヒグマに襲われた。畑でジャガイモやスイカの栽培を行い、シカなどの獣害対策で周囲には高さ1.2メートルの防風ネットを設置していたが、ヒグマがこれを踏み越えて侵入。まず逃げようとして転んだ妻が腕や顔をかじられ、気付いた夫が背後から金属製の棒で叩いたが通用せず、頭や腕を噛まれ、左目を失明するなど重傷を負った。なお、このクマの毛のDNAを調べたところ、前年に女性を死亡させたのとは別の個体だったことが判明している。背景に見えてくるのは、ヒグマの強烈なまでの食物への“執着”だ。福島町役場産業課の担当者が語る。「クマが好きな食物の一つにコメがあります。このため町では農家を補助して田んぼの周辺に電気柵を設けています。獣の鼻先が触れるとビビッと電流を感じ、嫌がらせる効果があるのですが、それでもヒグマは田んぼの畦道を掘って下から侵入してしまう。掘られた場所まで電線を下しても学習能力があるので、また別の場所を掘って水稲を荒らします」。今回の大千軒岳の現場についてはこう推測する。「ヒグマはドングリ、コクワ、クルミ、クリなど時期によって違う木の実を食べますが、現場は山頂に近づくほど木の実も少なくなる。今はヒグマが冬眠に備えなるべく脂肪を貯めようとする時期です。登山道がエサ場と近くなってしまうなど、何か人を襲う条件があったのでは」(同前)。この担当者は、クマが出る恐れがあるところに行く際にはクマ鈴を携帯すること、そもそもそういう場所では単独行動をとらないことなどを対策として挙げた。登山道入り口付近の住民女性が語る。「昔は山の中に入ってもクマと出会うことはほとんどなかった。それが今では民家のすぐ脇のスモモの木を食い荒らしたり、食べ物の匂いがするからなのか、家屋の台所下の排水が流れるU字溝の中を漁ったりしています」。今回の事故に先立つ9月8日朝には、福島町内のするめ加工場にヒグマが侵入してするめを食い漁り、約20万円相当のするめが廃棄されている。福島町では捕獲したクマの大腿骨、肝臓、臼歯を前出の道立総合研究機構に試料として提出し、個体の特定や食性の研究などに利用しているという。同機構エネルギー・環境・地質研究所の釣賀一二三自然環境部長が、「研究所に送られてくる試料は今年、例年より確実に多い」としながら、ヒグマの出没数が増えている理由についてこう語る。「1990年までは『春グマ駆除制度』でハンターが積極的にクマの生息域に入り駆除を行っていました。追われて生き永らえたクマは人への恐怖心や警戒感から近づかなくなり、かなり出没数が減っていた。また警戒感が薄いクマは捕獲されていました。人とクマの接触が増えている背景には、全道的にクマの分布が拡大していることが挙げられます」。ヒグマの食性については次のように説明する。「農作物の被害は一貫して増えています。夏場は(飼料用の)デントコーンの被害が特に多い。食べ物への執着心という意味では養蜂場に強い執着を持っており、電気柵を設置しても穴を掘って侵入する被害が多く出ています。ただ、一般的にクマは人を食べない。ヒグマは本来、草食性の強い雑食性です。知床などではサケ、マスを食べますが、ごく一部だと考えられています。エゾシカも、死亡している個体を利用する(食べる)ことが多い。人の被害の場合、ばったり遭遇して背を向けて逃げるなど誤った対応をして、クマに捕獲されて食物と認識されてしまうなど、何かのきっかけがあるのではないかと考えています」。――一般的にヒグマが動物を捕獲したらどこから食べるのか。「……まずは内臓からでしょうね。すっかり食べてしまう個体もある」。ヒグマと人間、生物としての力の差は圧倒的だ。出没地域での安全確保が求められる。

(熊対策「崩壊の危機」:北海道)
野生鳥獣などの研究者らでつくる「ヒグマの会」は11日、札幌市北区でフォーラムを開き、被害の抑制に向けた現場の取り組みを共有した。発表者からは、人身や農作物への被害が多発する中、狩猟者を中心とした現行の捕獲体制は「崩壊の危機」にあるとの指摘が相次いだ。公益財団法人知床財団の山中正実特別研究員は、熊対策の最大の課題に不十分な体制を挙げた。人里出没時に捕獲を担ってきた狩猟者の減少・高齢化が進んでいるとし、将来的に「捕ることすらままならなくなる」と警鐘を鳴らした。普及啓発や個体の行動調査などの対策まで狩猟愛好団体に求めるのは困難との認識を示し、「今後は隣接する複数自治体による実働組織をつくり、専門の対策員を雇うなどして実効性を担保するべき」だと提言した。人と熊の生活区域を分ける「ゾーニング」についての報告もあった。同市の清尾崇・熊対策調整担当係長は、今春改定した市の基本計画で、ゾーン区分を3から4に細分化したと説明。区分や熊の行動に応じて捕獲や追い払いなど必要な対応をとり、被害軽減を目指しているとした。フォーラムには会員以外の市民なども含めて300人ほどが参加した。

(人間より「熊がかわいそう」自治体に抗議電話30件)
「熊」による人的被害のニュースが相次いでいる。そんななか、熊被害の多い地域の自治体に対し、熊駆除への抗議電話などが殺到しているという。先日、被害地域の自治体に対し、30件以上抗議電話をかけているという女性を直撃したテレビ番組が放映された。番組の取材に応えた女性の訴えに対し、「いや何言ってんだ」と、X(旧Twitter)にポストした、ゆるふわ怪電波☆埼玉(@yuruhuwa_kdenpa)さん。「抗議女性『クマは怖い、恐ろしいというイメージを植え付けられている!』いや何言ってんだ。※行政に30件ほどの電話をかけている模様 」「記者『自治体によると死者が出ているが』抗議女性『番犬!番犬を飼えばわかる!』。マジでヤバい感じで草。ていうか番犬でいけるんか?最悪エサが増えるだけでは?」「抗議女性『私は実際のところ都市部に住んでるから、農村部に住んでクマの被害におびえている人の気持ち、分からないところもあるから、なんか自分でも微妙』。最終的に意味不明でダメ」ゆるふわ怪電波☆埼玉さんの一連のポストに、多くのコメントが寄せられた。「自然を舐めすぎ」「『クマに襲われてケガ』がどれだけ悲惨か知らないんだろうな」「殴られても顔面半壊して眼球飛び出るだけだもんね」「実際怖い汚い恐ろしいんだよ。噛まれれば感染症の危険もある」「今は動物愛護的な観点で犬の外飼いは推奨してないんちゃう?」「確か北海道ではヒグマにわんこ食われてたぞ」「クマは可哀想で、番犬は可哀想じゃないのかよ」「動物愛護の観点からも矛盾してるんだよなあ」「地元民からしたら何人も襲われてて怖くて夜も眠れないのに。こういう奴に限っていざ自分が襲われたら助けを執拗に求める」「実家が保有する山にクマがいたので、我が家にもデカめの猟犬がいましたがクマにやられちゃいましたね…クマがヤル気で来たら無理かと思います」「子熊までなぜ殺した」「熊こそ被害者」と訴える人は、「麻酔銃」で熊を捕獲し、山に戻せと要求することが多いという。だが、「麻酔銃」は扱いが難しく、命中率も効果も不安定で危険なのだという。また、熊は「エサ」に対して異常な執着を見せ、一度覚えた「エサ場」には何度でも戻る習性があるため、山に帰すのは実質不可能と言える。なかには、牙や爪を除去しろ、避妊去勢して山へ戻せという声もあるが、そのための予算や人材の確保、作業者の安全に関する具体策や資金提供はなく、ほとんどが現実味のない要求と言わざるを得ない。死亡者も出ている被害地域住民の不安を顧みない熊駆除への苦情に対し、「住所と氏名、運搬料の入金、環境省が定める法律に基づいた認可書の写しなどの郵送、捕獲・飼育が決まった熊を逃した場合の省令違反に対する懲役と罰金、熊が他人に被害を与えた場合の罰則、損害賠償請求の覚悟を条件として回答すればいい」という正論もネットに寄せられ、多くの称賛が集まった。テレビ番組で見た女性の訴えに対して、「抗議女性の動物愛護の観点から、熊の駆除がかわいそうという心情には理解ができました」と、ゆるふわ怪電波☆埼玉さん。「しかし、実際に人的被害が出ていることや、熊に対する理解が不足しているようなコメントも見受けられ、当該地域に居住してる住民の方からすれば、到底受け入れられない内容ではないかと感じました。最終的には抗議女性自身も、『農村部に住んで熊の被害におびえている人の気持ちは分からないところがある』と述べていたので、感情的な抗議をする前に、いったん冷静になってみる必要があるのでは、と思います」(ゆるふわ怪電波☆埼玉さん)。番組によると、被害地域からの苦情は一切なく、取材に応じた女性と同様に、苦情はすべて熊被害のない「都市部」などから寄せられているという。また、熊駆除に対する抗議の多くは「感情論」であり、抗議女性を取材した番組では、「社会全体に不満を持つ人が『熊の駆除』という出来事を利用して鬱憤を晴らしている。自分の匿名性が担保されていると思い込んでいる人たちにとって、公務員は標的になりやすい」と、犯罪心理学者がクレーマーの心理を分析。ネットでは、理不尽なクレームを主張する人物には正論が通じない、むしろ逆上させてしまう恐れがあるという意見もあり、対応は難しいようだ。

(執拗なクレーム「かえってクマとの共存妨げる」、学会が緊急声明)
北海道と本州で相次ぐクマの出没と被害について、「野生生物と社会」学会は12日、要因や対策などに関する緊急声明を出した。自治体などに電話をしつこくかけて捕獲への抗議を続けるような行為については「かえって共存を妨げる」として、対策の必要性への理解を求めた。環境省のまとめでは、2023年度は10月末時点でヒグマとツキノワグマによる人身被害は180人で、統計を取り始めて以来最多。死者も5人に上り、その後も被害が続いている。声明ではこの秋の大量出没について「直接の要因は、ブナ科堅果類(どんぐり)の大凶作」としつつ、これまで数年おきに大量出没はあり、その規模も大きくなってきたと指摘。過去10年ほどの間に個体数が増えたり、分布域が広がったりして、市街地の近くにすむクマも増え、集落の放置されたカキなどに味をしめたことや、00年以降は捕獲が抑えられてきたことも大きいとした。被害を防ぐにはまず、市街地周辺での捕獲を進めることや、不要な果樹を伐採してクマを引きつけるエサを取り除くことが必要だとした。その上で中・長期的には、人とのトラブルを減らしつつ、クマも個体群が維持できるような分布範囲、個体数に向けた管理や、管理や被害の予測に必要なデータの蓄積といった対策を早急に検討するよう求めた。また、対策にあたる人たちへの配慮も要望。一部では、捕獲に関わった行政の窓口などに大量のクレームや中傷のような抗議が寄せられていることも報じられている。声明は、クマについて「付き合い方を間違えれば人命を奪うこともあり、一定数の捕獲は欠かせない」とし、「関係者への配慮の無い電話や執拗(しつよう)なクレームは、関係者の努力をくじき、かえってクマとの共存を妨げる結果を招く」と訴えた。緊急声明をまとめた同学会行政部会長の横山真弓・兵庫県立大教授(野生動物管理学)は「中傷で傷ついている職員らも少なくないと聞き、危機感を覚えている。対策の現場では、共存に向けた苦渋の選択が行われていることを理解して欲しい。人をしっかり守って初めてクマも守れる」と話した。

(本州唯一「クマなし県」:千葉)
クマが街に出没して人が襲われるなどの被害が全国で相次いでいるが、実は本州で唯一、千葉県はクマが生息していない「クマなし県」であることをご存じだろうか? かつては千葉、茨城の両県にクマがいないとされていたが、NGOの約10年前の調査報告で茨城の出没例が確認され、晴れて千葉のみとなった。それにしても、もっと都会のイメージがある東京都や大阪府でも出没例があるのに、千葉にいないのは意外な気もする。そこで、千葉になぜクマがいないのか、今後クマが千葉にやってくる可能性はあるのか、専門家に聞いてみた。国内にいるクマは2種類で、北海道はヒグマ、本州以南にはツキノワグマが生息している。環境省とNGO「日本クマネットワーク」が公表しているツキノワグマの分布図によると、本州の広い範囲で生息が確認されるが、関東では北部と西部に限られる。なお、九州ではかつて生息したが、今は絶滅したとされる。2004年の環境省の調査では、千葉県だけでなく、茨城県にもいないと考えられていた。しかし、14年の日本クマネットワークの調査報告書で、茨城県北部で複数の出没例を確認。千葉県が本州唯一の「クマなし県」となった。過去をさかのぼっても、千葉にはクマがいなかったようだ。「関東北部では後期更新世(約12万~1万年前)のクマの化石が出土しているが、千葉県内からは出ていない」。哺乳類学の研究者で、クマの生態に詳しい県立中央博物館の下稲葉さやか研究員(43)は指摘する。下稲葉さんによれば、県内でもクマの犬歯を使った縄文期の装飾品であれば、出土例はまれにある。しかし、装飾品は広い地域で流通する特徴があるため、生息していた証拠にはならないという。クマがいないのは環境のせいなのだろうか。「そう考える人も多いが、違います」と下稲葉さん。「世界には千葉と似たような環境でクマが住んでいる地域がある」というのが理由だ。例えば、千葉県南部にはカシ、シイ、クスノキなどの樹木が生育する「照葉樹林帯」が存在し、クマはそれらの実を食べて暮らすことができる。国内でも関東から西日本にかけての照葉樹林帯にツキノワグマが生息。海外でもヒマラヤ南麓や東南アジア北部などに類似する森林があり、それらの地域にクマが生息している。環境は適しているのに、千葉にはクマがいない-。謎は深まるばかりだが、下稲葉さんはその理由を「地理的な問題ではないか」と推測する。「房総半島の山は他の地域の山塊から孤立しているため、クマが森林を伝って来ることができない」。また、過去にクマが生息しなかったのも、地理的条件が影響していそうだ。縄文期の房総半島は「縄文海進」(気温の上昇で海水面が高くなり、内陸まで海が入り込んだ当時の現象)の影響で、本州から孤立した「島」だった。「広い行動圏が必要なクマは小さな島では暮らしていけなかったのでは」。では将来的には、クマが千葉にやって来る可能性はあるのだろうか。下稲葉さんは「誰かが連れてきて放ったりすれば、その可能性はあるかもしれないが…」と前置きしながら、「自力でやって来る可能性は非常に低いだろう」と話す。「川を泳ぐことはできるが、生息地から千葉までは遠い。途中で埼玉などの街中を通らなければならず、現実的ではない」。 千葉県民はとりあえず、一安心して良さそうだ。ただ、下稲葉さんは「動物はまれに想像を超す行動をする」とも付け加える。学習能力が高いと言われるクマ。千葉にいる限りはリスクは極めて低いものの、万一に備えて遭遇時の対処法は確認しておきたい。

(「マタギ」男性75歳が語る“今年の異常”:秋田)
今年は全国でクマに襲われるケースが相次いでいる。秋田県北秋田市の阿仁(あに)地区でクマの狩猟をする「マタギ」を約60年続けてきた鈴木英雄さん(75)も、「今年は異常」だと漏らす。鈴木さんの目には今年のクマはどう見えているのか、クマと出会った時の対処法はあるのか。普段であればクマがどんな時に攻撃してくるか、これまでの経験からある程度予測がつくものです。山の中では人と出会っても、むやみに人を襲うようなことはありません。むしろクマは人を避けて隠れようとします。ところが今年は異常です。クリ拾いや散歩をしていたら、突然襲われるケースもあります。普通ならいないはずのところから急に出てきたりします。私たちが知っているものとはかけ離れていますね。こちらのほうは街中といっても、周りは広葉樹というか、雑草というか、(人が住んでいるところの)近場でも藪や茂みの陰などクマが隠れられる場所はたくさんあります。普通なら人がいれば姿を見せません。出てくるとしても人のいない時間帯に動く。クマは本当に敏感だし、頭もよくて、動きも素早い。人の気配を感じたら、すぐに避けるように行動します。今は時間に関係なく、朝方や夕方にも人前に出てきます。朝一番でシャッターを開けたらクマがいた、なんてこともあります。田んぼや線路脇といった、すぐ近くにも姿を現します。今年はたくさんクマの写真が撮れました。今までは撮ろうと思っても全然撮れなかった。クマだけではありません。例年なら周りで見かけないような野鳥もいます。集団で来て、エサを食べているということがよくあります。――なぜ山から降りてくるのでしょうか。皆さんにももう知られているように、山の中に(ドングリなどの)エサがない。(山に木の実がならないのは)異常気象だからでしょうか。私たちの地域では、あまり大きなクマは出てきていません。子連れが多く、稲穂や豆類を食べていますね。行動範囲も数十メートルや数百メートルといったところで、広くはないようです。エサを取られるとでも思うのか、焦っています。イライラしています。気が立っていると思いますね。――クマと出会ってしまった場合はどうしたらいいでしょうか。そうですね…。今年はいつもとは全然違う動きをしていますからね。いつ、どこから出てくるか分かりませんし…。ただ、自分の存在をアピールするといいかもしれません。クマに対して「ここにいるよ」っていうことが分かるように。静かにしているよりは、事故にあう確率は減ると思います。とはいえ、クマ除けのためにラジオをつけながらタケノコ取りをしていたら、クマが荷物のあるところを察知して、弁当を取られてしまったケースもあるようです。存在をアピールすると、かえって近づいてきてしまう場合もあるのですね。大きな声を上げると逃げていく場合もありますし、手足を伸ばしたりして自分の姿を大きく見せることで驚かす方法もありますが、クマとどのくらい距離が離れているかなどにもよります。クマの個性や性格もいろいろですし、その場、その場で変わってきます。絶対的な答えはありません。―― こうした状況はどのくらい続くのでしょうか。エサがないということは、冬眠も間近だと考えることができます。今までの経験では、エサの少ない年は早い時期に姿が見えなくなります。エサがないのにウロウロしていると体力を消耗するのも早く、動けなくなってしまいますから。反対に、エサが多い年は正月すぎまで冬眠せずに活動しています。山の中に木の実がなっていないということは、実際に見てみれば分かります。だから猟をしようと思って山へ行っても、今は無駄足なのかなって思います。雪が降ってくると、足あとを追ってクマを探す「忍び猟」をします。でも今年は雪もまだ降っていません。強い霜でさえ、まだ降りていません。今日(11月2日)だって半袖です。それでも寒くない。雪が降ってくるのを待っている状態ですね。雪がないとクマの痕跡も分かりませんから。―― 自治体から相談などは寄せられているのですか。(クマに襲われる事故は)毎日のように起きています。そのたびに「捕獲してほしい」という要望はあるのですが、でもマタギだからといって、どこでも銃を撃てるわけではありません。線路越しに撃たなければならないだとか、道路越しに撃つとか、民家からどれくらい離れているかとか(銃を扱うのには)法律などで非常に厳しく決められています。ちょっと間違えただけで大変なことになりますから。だから難しい面があります。仮に街中に出てきたり、人が襲われたりしている場面に出くわしても、マタギは追い出すことはできても、そこで発砲はできない。そこは非常に気をつけています。

(シカ事故増加129件:北海道)
富良野署管内5市町村でシカが絡む交通事故が増えている。10月末までの速報値で、前年同期比18件増の129件。秋から初冬にかけてはシカが交尾期を迎えて行動が活発化。昨年の同管内のシカ関連事故150件のうち、半数超の78件が9~11月に発生していることから、同署は注意を促している。

(中心部シカ出没なぜ、10月目撃相次ぐ:北海道)
札幌市中心部でこの秋、エゾシカの目撃が相次いだ。繁殖期を迎えて活動が活発になった複数のシカが中心部に迷い込んだとみられる。突然の出来事に住宅街は一時騒然とし、シカが居座った都心の北大植物園は臨時休業に追い込まれた。出没現場に向かうと、猟銃が使えない市街地では、麻酔を仕込んだ矢による捕獲でもシカが暴れて人にぶつかる恐れがあり、シカが去るのを待つしかない実情があった。「まさか札幌の都市部にシカが出るなんて」。住宅やマンション、商業施設が立ち並ぶ札幌市中央区宮の森地区に雄シカ1頭が出没し、警察官や市職員が捕獲に追われた10月16日、記者はこんな思いを抱きながら取材に臨んでいた。2年前まで網走支局に勤務し、道東では市街地でのシカ出没は珍しいことではなかったからだ。ドンッ-。午後4時10分ごろ、閑静な住宅街に大きな音が響き渡った。住宅の庭から記者の目の前に突然飛び出してきたシカは体長約1・5メートル。頭には立派なツノが生えている。身じろぎせず、こちらをずっと見つめている。「突進されたら、大けがをするかも」と身がすくんだ。札幌西署によると、このシカの最初の目撃通報は同日午前6時すぎ、現場は宮の森地区に隣接する中央区北6西28のマンション敷地内だった。だが、警察官が駆けつけた時には既に姿はなかった。再び、目撃情報があったのは午後2時45分ごろだった。中央区宮の森地区の住民から「シカが家の庭に居座っている」と110番があり、警察官と市職員計約10人が現場に向かった。「あそこにいるぞ!」。塀で囲まれた場所で安全を確保できると判断し、市の委託業者が麻酔を仕込んだ吹き矢を放った。矢は命中したものの、シカは逆に興奮して走りだし、次から次へと複数の住宅の庭に入り込み、現場は一時騒然となった。警察官は付近を歩く住民に「シカが出没しています。急に飛び出すかもしれないので注意して下さい」と懸命に呼びかけた。市や専門家によると、興奮状態のシカに麻酔を打っても、うまく効かないことがあるといい、野生動物の捕獲の難しさを実感した。

(「クマを駆除するな」で分断される日本)
世界中で問題視されている分断の拡大。我が国においては、「クマ駆除の是非」をめぐり国民が分断されてしまったようだ。連日、クマによる被害が報道される中にあって、その駆除に乗り出した自治体へ執拗なクレーム電話や抗議を行う個人・団体が物議を醸している。多くの市民がクマの出没に怯えて日常生活さえままならず、実際にクマの襲撃による犠牲者数も日毎に増加しているのが現状だが、それでも外野から「クマを殺すな」「人命よりクマの命を守れ」と叫ぶ人間が多いのだ。なぜクマ駆除に抗議する人々は、「地方」の生活やそこで暮らす住民の命を見下すかのような声を上げるのだろうか。環境省のまとめによれば、今年度の10月末の時点までのクマによる人的被害は180人。統計開始以来最多となっており、5人の死者も出ている。11月に入っても北海道の山中で大学生が遺体で発見されるなど、死亡事故を含め被害が相次いでいる状況に変わりはない。本州で熊の出没情報がないのは千葉県のみ。SNS上では「結界により守られている」とする説を唱える声もあるが、専門家によると「地理的な問題」であり、過去にクマの生息例もないという。当然ながら各自治体は住民の安全確保のためにクマの駆除を行っているのだが、これに抗議する電話などクレームが殺到しているというから驚きだ。報道によると、さまざまな自治体に一人で30件もの抗議を入れた女性もいたという。彼女のみならず、X(旧Twitter)にはクマ駆除に断固反対の立場を取るアカウントも散見されるのが事実だ。しかしながら優先されるべきは当然ながら人命。実際に秋田県の佐竹敬久知事は人命最優先の熊対策を行うと表明しており、登山家の野口健氏もXに「里に降りてきてしまった熊の駆除も人命を優先するのならば、やむを得ない」とポストしたことがネットニュースなどでも広く報じられた。クレーマーたちの言い分の中には、「クマを殺すのではなく人間と共存の道を探れ」とするものもあるが、「野生生物と社会」学会は「関係者への配慮の無い電話や執拗なクレームは、関係者の努力をくじき、かえってクマとの共存を妨げる結果を招く」との声明を出している。つまりクレーマーたちは、自らの行為がクマと人間との共存を遠ざけていることに気づかないのだ。クレーマーたちはまた、クマ駆除への抗議の理由としてたびたび「自然保護」を上げるがこれとて本気度は疑わしい。「どんぐり勝手にバラマキ事案」をご存知だろうか。富士山の表高2,400m地点で大量のどんぐりが発見されたのだ。発見者のXへのポストによれば、この地点はどんぐりが生育しない標高ということで、人為的に撒かれた可能性が高いとのこと。芽吹こうものなら周辺の生態系に悪影響を及ぼすことは必至だ。何者の仕業かは未だ明らかになっていないが、一部のクマの保護を目的とした団体が、クマが人里近くに降りてこないよう、彼らの主要な食物であるどんぐりを集めて山に撒く活動していることが以前からたびたび報告されている。仮に今回のバラマキ事案がそうした団体の手によるものであったとしたら、クマを守るという目的のためなら生態系を変えることすら「善」とすることになり、ダブルスタンダードも甚だしいと言わざるを得ない。前出の「一人で30人クレームを入れた女性」はテレビ朝日の取材に対し、「自分は都市部に住んでいるため農村部に住んで被害に怯えている人の気持ちはわからない」という旨の発言をしている。彼女同様クレーマーたちは、クマ出没地域である「地方」全ての生活者を見下す都会人なのだろうか。そして地方に暮らす人々の安全や命はかくも軽いものなのだろうか。そんなクマ駆除問題から垣間見える「地方軽視」にネット上は大きく揺れ、そして分断も広がっている。生活を脅かすクマの駆除に執拗なクレームを繰り返し、クマが出没するのは人間の責任だと言い張り、保護のためどんぐりをばら撒き生態系を乱す…。彼ら彼女らのような人々は、一度クマが頻繁に現れる地方に暮らしてみてはいかがか。たとえ期間限定であってもいい。その時、今現在の主張を叫び続けることができるのだろうか。

(クマが食べるため?「山にどんぐり」問題が再燃)
大量のどんぐりが富士山の2400m付近で発見され、SNSで注目を集めている。「熊のために運び込まれた」という見方が出ており、過去に大量のドングリを山に運んでいた団体に疑惑がかけられている。活動報告を見ると近年までドングリを運んでいる様子もあるが……。〈なんじゃこりゃー 富士山(標高2,400m)で大量のどんぐりを発見。どんぐりが生育しない標高なので、人為的に撒かれたようです〉。11月4日、X(旧Twitter)にこんな投稿がなされた。投稿された写真を見ると、確かに驚くほど大量のどんぐりが一面に敷き詰められている。なぜ山の上にどんぐりが置かれるのか。SNSでは、〈クマのためではないか〉という指摘が相次いだ。今年はクマの食糧になるドングリが各地で不作だ。不作になると、冬眠前にクマがエサを求めて人里まで下りてくるとされる。全国のクマによる人身被害は10月時点で180人で、すでに過去最多になっている。その背景にあるのがドングリの不作だと見られている。実はそんなクマにドングリを届ける取り組みがある。自然環境団体などの取り組みで、全国からドングリを集め、大量のドングリを山の中に持ち込み、クマに食べてもらうことで、クマを人里まで来ないようにさせるのだという。クマのためにドングリを山に持ち込むという行為は以前からあるようだ。北陸地方のある自治体担当者はこう語る。「今年はまだ来ていませんが、ドングリが凶作の年になると『ドングリを山に運びこんだらどうか』という電話が来ることがある。私どもの立場からしたら、そのドングリをどこから持ってくるのか、また、置く場所の権利関係はどうなるのか、という問題が出てきて簡単ではない。そもそもそれが有効だという科学的データも見たことがありません」。専門家はどう見るか。富士山を管轄する環境省関東地方環境事務所に尋ねると、「環境省としては推奨できるような行為ではない。生態系を壊す恐れがある」と見解を述べた。生態系にどう影響を及ぼすのか。兵庫県立大学自然・環境科学研究所の横山真弓教授に話を聞いた。ドングリと一口に言っても、その種類は様々だ。種類によって生息する場所は異なる。また、ドングリの中に虫が入っていることもある。ドングリを全国から集め、山の中に置いてくることによって、その地域の生態系を乱す可能性があるという。「ドングリは豊作と不作を繰り返し、その中でクマなどの動物も増減を繰り返します。クマを保護することで、クマの数だけが増えてしまったり、ドングリを食べるねずみだけが増えてしまったりと、生態系のバランスを壊すことにつながります」。そもそもドングリを運びこむことの効果についても疑問だという。「クマがドングリ類を必要とするのは2、3カ月程度です。一時的におなかを満たせたとしても、時間がたてば再び人里に下りてくる可能性があります。また、個体数も正確に把握できていない中で適切なドングリの量をどう決めるのか。ドングリを山に運び込んでも何も解決しない。悪い方向にしか行きません」(横山教授)。また、ドングリを置く場所についても、かつて問題があったようだ。横山教授はドングリが山奥ではなく、林道わきや集落の裏に置かれる事例を見たという。「クマは頭が良いので、そのようなことをすれば、簡単にエサが手に入る場所だと認識してしまい、恒常的にクマが現れるようになってしまいます。人里に近いところを自分のえさ場と認識したクマはかなり危険。クマの命を守りたい気持ちはわかりますが、殺処分するしか方法がなくなります。クマの数をコントロールしながら、柿などクマの食料になるようなものは残さず収穫するなどしてクマを人里に近づけない取り組みが有効です」。批判的な見解が多いが、ドングリを運ぶ側の主張はどうか。2004年に7トンものドングリを奥山に運んだ日本熊森協会の森山まり子名誉会長は、「当時は大成功だった」としたうえでこう語る。「クマ1頭につき50キロのドングリを置くことで、一週間は人里に近づかないことがわかりました。生態系を壊すという指摘もありますが、うちの研究者と相談をしたところ、クヌギとコナラであれば、江戸時代に摂津から全国に苗木を大量に運んだという歴史的経緯があり、同じ虫も広まっているはずだから問題ないという見解でした」。現在はどんぐり運びをしていないのか。富士山にドングリが置かれていた件では「熊森協会ではないか」と疑惑もかけられていた。森山氏に尋ねると「標高が高くクマなどいない。おふざけとしか思えない」と否定した。また、「最近は日本熊森協会は基本的にドングリ運びはしていない」とも答えた。しかし、日本熊森協会のホームページを検索すると、2022年11月の活動報告の記事に「今年は山の実りの大凶作年ではないので、ドングリ運びはしません」と記載されている。また、20年11月の記事でも「熊森が運んだドングリをクマたちが食べています」とも書かれていた。どんぐり運びを前提にした記述のように見える。どういうことか。森山氏に再び尋ねると「支部によっては大凶作年にやる地域もある」と発言を修正したうえで、こう主張した。「今はクマが山の下のほうにまで下りて来てしまっている。ここで奥山にドングリを置いても効果がありません。本来であればドングリを運ぶべきですが、ここまで下りて来るとできない」。そして、より大きな論点を示した。「私たちはこの根本的な原因は、人間がクマの住みかだった奥山に人工林や道路を多く造ったことや、人間活動による急激な温暖化で天然林内も大荒廃していることだと見ています。水源の森を守るために、人間が奥山から撤退することが必要だと考えています」。ドングリを巡る見解は対立したままのようだ。クマが冬眠するまであと少し。ドングリ問題は再燃するのか。

(冬眠しない“穴持たず”今年は増加?)
季節が一気に進んでもこの野生動物の脅威は続くかもしれません。きょう12日も各地で目撃されたクマです。この冬は、冬眠時期でも眠らないクマの増加が懸念されています。クマによる人身被害が180人と過去最悪の事態になっている中。各地で様々なクマ対策が行われています。ドローンを使ったクマの捜索は現在、全国各地の自治体などに広まっています。ドローンが捉えた上空からの森の映像。一見、何もいない様に見えますが、赤外線カメラに切り替えると…体温に反応し、赤紫色に浮かび上がったクマの姿が確認できます。こちらは今年8月、岩手県岩泉町でクマの調査の為ドローンを飛ばした時の映像。人の背丈以上のトウモロコシ畑の中に潜む3頭のクマ…さらにドローンで追尾していくと、人目に付きにくい川沿いの藪を移動する姿も確認できます。さらに、山口県岩国市。こちらの協会では自動操縦で森林を巡回するシステムの運用を目指しています。周辺では例年に比べ、クマが多く目撃されています。(山口県産業ドローン協会芝田康平さん)「この大きなレンズが可視光カメラで望遠レンズも付いています。こちらに赤外線カメラが付いています」。手元の送信機にはリアルタイムの映像が確認できるモニターが付いています。住民が見守る中いよいよ探索開始です。最新ドローンでの捜索は搭載されているGPS装置を使い、座標をプログラミングすることで広大な地域を誤差数センチの間隔で探索できるといいます。人間が山に入り探索すると2日間はかかる広さを、およそ1時間で巡回出来るといいます。今回の飛行でクマを探知することはできませんでしたが、自動航行での運用は大きなメリットがあるといいます。秋のシーズンを迎え、多くの観光客が訪れる山間部では観光地全体で独自のクマ対策を行っている場所があります。長野県上高地。大自然の宝庫として国の文化財に指定され、年間120万人もの観光客が訪れる景勝地です。ツキノワグマの生息地の核心部ともいわれる上高地。この自然豊かな観光地では3年前からクマによる被害を食い止める対策を強化しているといいます。目撃情報が入った際はクマ対策専門の人員を配置します。こうした対策強化には3年前に起きたクマによる人身被害が教訓として活かされているといいます。2020年8月9日未明、キャンプ場にクマが出没。テント内の食料を漁ろうとしたところ、テントに泊まっていた50代女性の足にクマの爪が刺さり、けがをする事故が発生。そのおよそ11時間後、人を襲ったクマの姿が防犯カメラに捉えられていました。ゴミ箱を漁るクマ…その数分後。建物から離れるクマの数メートル先から人の姿が…クマの存在に気付いていない様子で一歩間違えば、さらなる事故につながる可能性がありました。(香取草平主任)「お客様に対する被害を防止しながら、クマを守っていく必要がある。非常に難しい場所。(私たちには)2つの使命がある。1つはもちろんクマの生活を変えない。2つ目は観光地としてクマと適切に共存して安全な観光地を目指す」“クマの生息環境を維持しながら人的被害を未然に防ぐ”ことを目標に上高地では、人とクマの住むエリアを明確に区分けしています。観光地全体を4つのエリアに分け対策。対応も厳密なマニュアルに従い管理され、目撃情報などは即座にネット上に共有されます。クマと人間の共生関係に詳しい東北芸術工科大学・田口洋美名誉教授によると、“2つの原因”で冬眠しないクマが増える恐れがあるとのこと。1.「凶作」→今年はクマの主なエサ・ブナの実などが少ない中、鹿などを食べ“肉の味を覚えたクマ”が一定数現れる。冬眠で穴に入っても体温が下がらず、寝つけずに外に出てしまう【穴持たず】と呼ばれるクマになる恐れがある。この「穴持たず」は“狂暴化”、そのうえ眠く判断力が鈍った状態で人に襲い掛かかってしまう危険性があり特に警戒必要。2.「暖冬」→多くのクマは空腹のまま無駄なエネルギーを消費しないよう早く冬眠に入るとみられるが、暖冬で穴の温度が高いと目覚めて外に出てきてしまう。田口氏は、「この冬も同じように冬眠できないクマが増えた場合、冬山にエサが無いので普段は来ない人が住む場所にまで行動範囲を広げる恐れがあり「人間側も行動に注意」が必要」とのこと。

(クマ討伐隊「パートに命かけられない」)
クマの駆除に対する執拗(しつよう)なクレームが、全国で問題になっています。ハンターの男性は、報酬など自治体からの支援が少なすぎる現状に「命がけでそんな馬鹿げたことをやってられるか」と苦言を呈しています。緊張した雰囲気に包まれた秋田県の大館市。クマがいるのは、カキの木の上です。親子なのでしょうか、2頭のクマがカキを食べています。2頭のクマは20時間以上、登り降りを繰り返していたといいます。何度か爆竹を鳴らし続けると、クマの姿は見えなくなりました。過去最悪のペースで広がるクマ被害。自治体では駆除など対策に追われています。しかし、先日も番組が伝えたように、クマの駆除を巡っては、自治体に対して執拗な抗議の電話やメールが寄せられている問題があります。12日、研究者らでつくる「野生生物と社会」学会は、緊急声明を発表しました。「野生生物と社会」学会 緊急声明:「クマ類は人との軋轢(あつれき)が大きく、付き合い方を間違えれば人命を奪うこともあり、一定数の捕獲は欠かせません。関係者への配慮の無い電話や執拗なクレームは、関係者の努力をくじき、かえってクマとの共存を妨げる結果を招きます」。実際に、命がけでクマと向き合うハンターも、複雑な胸の内を明かします。北海道猟友会 標茶支部 後藤勲支部長(80):「今、これだけ大騒ぎになっているから、やっぱりハンターの立場をきちっとしてもらわんとダメ」。こう話すのは、北海道の標茶町などで牛66頭を襲ったとされるクマ「OSO18」を追っていた地元猟友会の後藤さんです。7月にOSO18が駆除されたときも、苦情が殺到したといいます。後藤支部長: 「(クマを)撃ったことによって、誹謗中傷がどんどん出てくるってバカな話はない。私は共存というのは100%あり得ないと思っているから。このままほったらかしていたら、共存どころの騒ぎではない。人間がオリに入って歩かないといけない時代ができてくる。我々だって(クマを)かわいそうだと思うよ。思うけど、やはり被害に遭った人、遺族や兄弟親戚のことをどう思っているのか。(抗議をする人が)広い土地を持って、そこにクマを放して自分たちで管理してくれるなら、誰も殺さない。だけど、それはできるわけないから、やむを得ないでしょう」。クマハンターは、“命がけのボランティア”とも呼ばれます。国や自治体などからの支援が少なすぎるためです。ハンター歴60年以上の後藤さんでも…。後藤支部長:「熊が出たから(我々が)出て行ったって、パートの金額しか出ないんだから。(パトロール)4時間以内だったら6000円で、それを1割引かれて。パートに行くのに命かけて、そんな馬鹿げたことやってられるか」。3年ほど前から、パトロールが4時間を超えると1万2000円支給されるようになりましたが…。後藤支部長:「やっぱり我々、ボランティアって頭あるからね。金を出せとは口が裂けても言えない。義務でもなんでもないワケ。出ていかなければ出ていかないで『鉄砲を持ってるのに、あいつら何だ』と、こうなるワケでしょって。どっちに転んだって、ハンターに良い結果にはならない」。北海道では、ヒグマ1頭駆除するごとに、慰労金として1万円から5万円程度が支給されます。しかし、命がけの代償としては少ないと言わざるを得ません。後藤さんの自治体は、慰労金そのものが出ないといいます。高齢化も深刻な問題だというハンター。財政支援を強化すれば、若手は増えるのでしょうか。後藤支部長:「金を出すから鉄砲を持てというのは、なかなか難しいと思う。やはり趣味でやるということが、最初になってしまうから。言われて持つものでもない。昔は鉄砲持っていると白い目で見られてね。今ようやく日の目が出てきている感じ。そのころには、みんな年取っているから。これから大変じゃないかと思うよ。今の若者はパチンコやったり車持ったり、そういうものにお金を使うから。1回に何十万円もする鉄砲を買って、毎年警察に検査を受けて、大変な目にあって。そこまでして、オレだったらもう(鉄砲)持ちたくねえな。正直言って」。そんな後藤さんが今、最も警戒するのが“OSO2世”の存在です。後藤支部長:「(駆除されたOSO18の)顔に4つぐらい傷があった。世代交代で、次のクマが出てきて、それと戦ったのか。暑さで、ある程度まいっていたのか」「(Q.OSO18よりも強いクマは?)当然いるから、なんぼでも。ましてや4年も前からOSO18がウロウロしていたということは、OSO18のDNAを持ったクマが親になって来るワケだから。そうすると、また牛を襲うということ」。“命がけのボランティア”に、安息できる日は来るのでしょうか。全国最多の被害が出ている秋田県では、弾丸や薬きょうの費用を補助することに加え、猟友会メンバーへの財政支援として、1頭あたり5000円の慰労金を支給する方針を示しました。北海道や東北の8道県は13日、国に対して抗議に対する呼び掛けを含むクマ対策の支援などを要請します。岩手県 達増拓也知事(10日):「『クマを撃つのはかわいそう』とか、電話が自治体に殺到することがあって。必要があれば、駆除するものだと政府から国民に周知してほしい」国に求めるのは、現在ニホンジカとイノシシが対象の指定管理鳥獣にクマ類を追加することなど4項目です。

(害獣対策ロボット「雷鳥3号」:京都)
ロボット開発を手掛けるテムザック(京都市上京区)は11月13日、害獣対策ロボット「雷鳥3号」を宮崎県延岡市内の水田に設置し、稼働を始めたと発表した。話題になった野生のクマ対策にも応用できる可能性があるという。農業において大きな問題となっているイノシシなどの害獣対策として開発した。夜間に畑や水田に侵入した害獣をセンサーで検知し、自動的に対象に向けて高圧放水を行う。夜間の見回りや遠隔監視など人手をかけた対策を行う必要がない。稲作へのロボット活用を研究している同社「アグリ研究所」の水田で、収穫直前の稲がイノシシ被害を受けたため急きょ開発した。テムザックは「昨今、大きな問題となっている熊などの動物を追い払うことにも応用できる可能性がある」としている。テムザックは2000年設立のロボットメーカー。災害現場で活躍する全長5.4mの「T-54援竜」、歯科学生の臨床実習などに使える患者シミュレーター「デンタロイド」、介助用小型モビリティ「RODEM」など幅広い分野に向けたロボットを開発している。

(ハンター黒田未来雄氏「撃つ方」も死と隣り合わせ)
黒田未来雄(ハンター)。全国各地でクマによる人身被害が相次いでいる。餌となるブナの実の大凶作が原因といわれているが、それだけなのか。51歳でNHKを辞め、北の大地で肩に猟銃を担ぎ、獣たちと言葉なき対話を交わし、獲物を追う。「獲る 食べる 生きる」を上梓したハンターは、人間と動物の今をどう見ているのか。──人間はこれまでクマと共存してきました。鉢合わせした時の対応さえ間違わなければ、クマは人間を襲う動物ではないと思っています。20代の頃、米アラスカで現地の人に「目を見たまま決して振り向かず、少しずつ後ずさりしながら、クマを驚かせてしまったことを謝りなさい」と教わりました。クマは人間を強い生き物だと思っています。恐怖感にスイッチが入り、パニックになって襲いかかってくるのかもしれません。クマが変わったのではなく、人間の生活やクマを取り巻く環境が変わった。クマやシカが増えているといいますが、地球上で一番増えている動物種は人間です。その人間が自然を壊し、地球温暖化をもたらしました。──初めて動物の命を奪った時、どういう感覚を覚えましたか。30代の時、カナダ・ユーコン準州の奥地で暮らす先住民のキースさんの元を訪ね、狩猟に同行し、キースさんから狩猟に対する考え方や作法を教わりました。「かわいそう」という感覚よりも、厳かで敬虔な気持ちになった。動物に生まれた以上、食べなければ生きていけません。それが宿命です。食べるということは、こういう行為の上に基づいて成り立っていることを実感しました。自然からの恵みに対し、感謝の気持ちが湧いたのです。──「なぜ殺すのか」と言われませんか。「かわいそう」と思う気持ちは大事です。絶対、忘れてはいけません。だからといって食べることはやめられません。それでもやるんです。自分の死に直結するからです。誰かが牛や豚、鶏、魚を処理しなければ、私たちは食べ物に困ります。「スーパーでお肉を買えるのに、なぜ山に入って行ってかわいいシカを撃たなければならないのか」と聞かれます。スーパーの肉がどういう過程で生産され、野生で生きている動物の肉がどれだけ健康的でおいしいか。知らないからそういう発想が生まれるのです。せっかく自然が与えてくれたものがあるのだから、それを無駄なく消費する。安く流通させるための「工場的畜産」は短期間で家畜を太らせて殺してしまう。相当、家畜に負担をかけています。──三菱商事を辞め、NHKに移ったきっかけは何ですか。商社入社後、アフリカ諸国に自動車を輸出する部署に配属され、内戦が終わったばかりのアンゴラを担当しました。人口1000万人に対し、埋められた地雷は2000万個です。日本人ビジネスマンとしてテレビの取材を受け、最初の出張で大きな商談をまとめ、鼻高々でした。帰国の途に就こうとした時、乳飲み子を連れたお母さんの姿が目に入った。両足を地雷で吹き飛ばされ、付け根から先がありません。それでも子どもを背中に縛りつけたまま、上半身だけで地面を懸命に這っていた。その姿を見た時、一体何をやっているんだろう、金持ちの政府高官に車を売り、いい気になっていた自分が恥ずかしくなった。一度しかない人生、このままでいいのかと考え始めるようになったのです。──人生を左右する出来事だったわけですね。アンゴラは資源国で、ダイヤモンドも金も石油もあります。それでも、なぜ貧しいのか。教育と心の問題です。物が足らなかったら盗めばいい。気に入らないヤツがいれば殺せばいい。国は疲弊し、殺伐としていた。人の心を豊かにするような、未来を明るくするような仕事をしたいと思い、選んだのが、伝えるべきことを伝えられるNHKでした。──念願の「ダーウィンが来た!」の番組作りに携われるようになりました。企画を通すためにはオーバーなことを書くので、毎回、自分の首を絞めることになります。目的の動物が一匹も見つからず、毎日、高いボート代の支払いだけが続くこともありました。自然相手ですから、こちらの都合通りに出てきてくれることはありません。自然番組に「明日」はなく、毎回、プレッシャーとの闘いです。何百キロもある機材を抱え、テントや船上泊が続くこともあり、基本的にはつらいだけです。ただ、時には予想とはまったく違う、とんでもない映像が撮れることもあります。それまでの苦しみが喜びに変わる瞬間です。──「本当の自然の姿」を伝えられないジレンマもあったとか。お茶の間で夕食を囲みながら家族全員で見る番組に、あまりに残酷なコンテンツを入れることはできません。例えば、捕食シーンでは内臓を食べる場面はカットし、足の肉を食べる部分だけを流します。テレビでは、自然界で起きていることを希釈しなければなりません。──我々が知らない現実が、実際にはあると。2年前、初めてヒグマを仕留めた時のことです。「単独だ」「雄グマだ」と思って撃った弾頭が、50メートル先の標的に命中しました。でもヒグマは一撃では倒れず、斜面を駆け下りていきました。すぐに次弾を装填し、射撃姿勢に入ると、ヒグマが消えた方向から黒い影が飛び出し、スルスルと木を登っていった。生まれたばかりの子グマです。その時初めて、私が撃ったのは実は母グマだったと気付きました。木の上にいる子グマに銃口を向け、引き金を引くと、子グマはすべての力を失い、トスッと地面に落ちていきました。──子グマを撃つことに躊躇はなかったのですか。子グマを撃ったのは、母グマなしでは冬を越せないからです。無駄死にさせるぐらいなら自分たちが食べた方が良いという判断からです。子グマを仕留めたからといって、母グマからの反撃を避けることはできません。五感を研ぎ澄ませながら一歩一歩、親子グマに近づいていくと、新たにもう1頭の子グマと目が合いました。母グマは2頭の子グマを連れていたのです。残された子グマは恐怖に怯え、何か訴えかけるような目をしていました。それでも撃たなければならない。すぐに2頭目の子グマに向けて発砲しました。クマ撃ちは殺すか、殺されるか。緊張感と恐怖の連続です。3頭の死を確認し、精神的疲労から母グマの隣でへたり込んでしまった。──「撃つ方」も死と隣り合わせですね。まだ雪が残る翌年の春、林道で2頭連れの親子グマの足跡を見つけ、10月に親子グマを獲った場所に行きたくなりました。トドマツの幹を見ると、1頭目の子グマがよじ登った時につけた小さな浅い傷が残っていた。懸命に生きようとした証しです。ふと、その爪痕の下に目をやると、木の根元に子グマのものではない、深く大きな傷があった。母グマが絶命寸前、我が子を逃がすために最後の力をふり絞り、爪を突き立て、渾身の力を込めて子グマを押し上げた爪痕でした。母親の愛とはこれほど強いものなんだ。致命傷を負った彼女が生涯の最期にやろうとしたのは、子グマを逃がすこと。あらためて命の尊さを教えられた瞬間でした。──狩猟とは何ですか。食う者と食われる者が正面から向き合い、1対1の関係性を構築する行為だと思います。だから自分で獲物の命を奪っておきながら、彼らを哀れんで泣くことは、我が身を捧げてくれた動物に対して逆に失礼です。そしてハンターは、獲物がどういう環境の中で何を食べて生き抜いてきたのか、その姿を最後に見た唯一の人間、「生き証人」です。くくり罠で足を1本欠損したと思われる3本足のシカを撃って食べた時も、足を失いながらも、厳しい冬を生き抜いたシカに尊敬の念を抱いて食べました。食べることにもっと意味合いやストーリー性、感情を乗せた上で提供できるのがハンターだと思っています。──ハンターとしての使命をどう考えますか。母グマの爪痕から子グマへの愛情をひもとくような状況が「なぜ自分に起きたのか」と考えた時、山の神から何かを課せられているのではないか。北米先住民に古くから伝わる風習、口承文化に使われる一本の杖「トーキングスティック」を託されたという意識があります。だから現実に起きたこと、見たことを薄めず、つらいことや酷いと思われることも、大事なことは勇気を持って伝えなければと思います。

(狩猟再興へ、夢膨らむ:三重)
名張市で有害鳥獣の捕獲やその加工品開発などに取り組む地域おこし協力隊の讃井(さぬい)公隆さん(26)が10月1日、着任した。大阪市から移住し、名張市などの「狩猟者育成プログラム」への参加を機に会社員から転身した。「狩猟再興請負人」として、「ジビエ(野生鳥獣の肉)や皮革小物の開発と販売、それらの体験ツアーなどができれば」と夢を膨らませている。

(森林野生動物研究会第56回(2023年度)研究会大会:兵庫)
森林野生動物研究会第55回(2022年度)大会を2022年11月18日(土)・19日(日)に兵庫県立人と自然の博物館 (最寄駅:神戸電鉄フラワータウン駅、神姫バス停留所フラワータウンセンター、兵庫県三田市)(:エクスカーションも同じ )において開催致します.本大会では研究発表のほか公開シンポジウムを予定しております.多くの方々のご参加を心よりお待ちしています。

(「イノシシ用の罠にかかっていた」猟友会が住宅地近くの山林でクマを駆除:宮城)
県内でクマの目撃が相次いでいます。宮城県名取市では11月9日午後、猟友会のメンバーがイノシシ用の罠にかかったクマを見つけ駆除しました。11月9日午後1時半頃、住宅地から100メートルほどの場所にある名取市ゆりが丘1丁目の山林内で、猟友会の男性2人がイノシシ用の罠にかかっているクマ1頭を発見しました。クマの体長は1.6メートルほどで、猟友会は市と警察に連絡し、猟銃を使ってその場で駆除しました。警察によりますと、クマが捕獲されていた罠は猟友会がイノシシを駆除するために設置したものだったということです。またこのほか、11月9日は仙台市泉区の市道や色麻町の民家の敷地内、加美町の公園内など県内各地でクマの目撃が相次いでいます。警察はクマを見かけても近寄らないよう注意を呼びかけています。

(高校の敷地内に7時間居座ったクマ、猟友会会員らが爆竹で追い払う:秋田)
9日午前11時35分頃、秋田県能代市二ツ井町の能代高校二ツ井キャンパスの敷地内にクマ1頭(体長約50センチ)がいるのを、近くの70歳代女性が目撃し、110番した。能代署と市によると、クマはグラウンドを走り回った後、校舎東側のテニスコート近くにある高さ約5メートルの桜の木に登った。同署員や市職員、猟友会会員で監視を続けたところ、午後6時20分頃にクマが下りたため、爆竹で追い払うと、山に戻っていったという。

(連日現れたクマをわなで捕獲:宮城)
危険な興奮状態だった。10日午前9時半ごろ、宮城・栗原市の猟友会のメンバーなどがわなを確認したところ、クマ1頭がわなのドラム缶の中から鼻を突き出して威嚇。興奮状態が見てとれた。栗原市では、11月だけで少なくとも3日、住宅近くにあるニワトリ小屋で住民が設置したカメラにクマの姿が記録されていて、ニワトリの被害も出たことから、9日、わなが設置されていた。住人「半分安心したような状態。これで終わってもらえればいいんだけど、また来る可能性もないわけではない」。

(牛舎にクマ1頭侵入:新潟)
10日午後6時半ごろ、新発田市米倉の牛舎にクマ1頭が侵入し、中で牛の世話をしていた女性が気付いて110番通報した。女性は逃げて無事だった。市と警察が11日朝、地元猟友会の協力を得て牛舎の内部を確認したところ、牛舎内にクマは既にいなかった。牛20頭に被害はなかった。

(猟友会がクマ1頭を駆除、クマ2頭は逃げる:宮城)
クマの目撃があった宮城県大和町では12日朝、猟友会のメンバーが罠にかかったクマを駆除しました。12日午前3時半頃、大和町鶴巣北目大崎の民家の畑で「罠にクマ1頭がかかっていて付近にもクマ2頭がいる」と住人から警察に通報がありました。警察によりますと、罠にかかっていたクマは体長およそ0.8メートルの子グマとみられ、付近にいた2頭のクマは体長およそ1.5メートルと、体長およそ0.8メートルの親子とみられるということです。町から連絡を受けた猟友会が、猟銃を使って罠にかかっていたクマ1頭をその場で駆除しましたが、ほかの2頭のクマは逃げていったということです。現場は住宅が散在する地域で、警察は、クマを見かけても近寄らないよう注意を呼びかけています。

(イノシシウロウロ:香川)
11月10日朝早く、高松市中心部にイノシシが出没しました。これまでのところ、けが人はいませんが、イノシシは、まだ捕まっていません。10日午前4時35分ごろ、高松市本町のことでん本町踏切の近くにイノシシがいると通行人から110番通報がありました。イノシシは体長約1メートルで、30分後に約1キロ離れた中央公園に入っていく姿を警察官が見つけました。その後、イノシシは公園を出て西に向かい、午前6時半ごろに香川大学の近くにある駐車場に入っていくのが目撃されたのを最後に行方が分からなくっています。これまでのところけが人はいないということで、警察が引き続きイノシシを捜索するとともに、周辺の学校などに注意を呼び掛けています。

(老人ホーム近くでクマの目撃情報、目撃相次ぎ県は『クマ出没マップ』作成:静岡)
クマの目撃情報があったのは、茶畑などが広がる静岡市葵区の山間部。市のよると、7日午後1時半ごろ、この地区にある、特別養護老人ホームの北西付近で、「クマを見た」と通報があったということです。市によると、目撃されたクマのような生物は、体長1m20cm~1m50cmほど。目撃した作業員は、当時上流に向かって川を上っていたところ、1度クマのような生物と目が合い、その後、山の方へ逃げ去ったということです。市はクマの可能性が高いとみて、目撃されたその日に周辺を捜索していますが、痕跡などを見つけることはできなかったということです。クマの目撃情報に地元の人も困惑の色を隠せません。県によると水見色地区はクマの生息確認地域とされていますが、住民によるとクマの目撃情報はほとんどないといいます。県内では静岡市以外でも、10月から11月にかけ、「クマがいない」とされていた伊豆半島でクマが発見されたり、富士市の住宅街付近にクマの出没情報が相次ぐなど、緊張状態が続いています。そうしたなか、県は8日、クマ出没マップをホームページで公表。8日時点で、今年度65件のクマ目撃情報があることが明らかになりました。県は鈴を携帯するなど、クマよけ対策を呼び掛けています。

(東京でもツキノワグマが:東京)
環境省は、2023年4月から10月末までにクマに襲われるなど被害に遭った人が 全国で180人に上ったと発表しました。 統計を開始した2006年以来、過去最多ということです。東北などで特に被害が多く出ていますが、今年は東京都の八王子市内でも、20件近くの目撃情報があります。令和5年10月27日更新の東京都ツキノワグマ目撃等情報一覧 を見ると、(ツキノワグマらしき動物=カモシカ、イノシシなどの可能性ありを含みます) 八王子市内では18件の目撃や痕跡、撮影の情報があり、うち1頭は和田峠付近(醍醐林道)で捕獲されています。東京都では、地元住民や登山者、関係機関などから寄せられたツキノワグマと思われる目撃や痕跡(クマ棚、クマ剥ぎ、フンなど)、センサーカメラ撮影などの情報をまとめています。なお、東京都ツキノワグマ目撃等情報一覧には、ツキノワグマらしき動物(カモシカ、イノシシなどの可能性あり)の情報も含んでいますのでご承知おきください。山の中では、カモシカをツキノワグマと見間違えることがあります。ジッとして動かない黒い動物がいたら、ツノが生えているカモシカかもしれません。ツキノワグマがおもに生活するのは、落葉広葉樹林の森林です。そこに生育するブナ・コナラ・ミズナラなどの実(ど んぐり)を餌としています。落葉広葉樹林の森林はツキノワグマにとって非常に重要な場所です。 ツキノワグマの食物の 9 割以上は植物です。春には、芽吹いたブナの葉やさまざま植物を食べます。夏はアリやハチなどの昆虫を多く食べます。秋になると、ドングリなど 木の実をたくさん食べるようになります。林野庁は2023年10月20日、東北各県のブナの結実状況を発表しました。青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の東北5県で、大凶作ということなので里山にツキノワグマが出没しているということも考えられるそうです。東京都では都内においてはツキノワグマは狩猟禁止動物となっています。ツキノワグマは、東京都の保護上重要な野生生物種(東京都レッドリスト2020年版)において、南多摩地域で絶滅危惧2類(VU)、西多摩地域で準絶滅危惧(NT)(注2)として評価しています。また、アジアクロクマとも呼ばれ、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)では、国際希少野生動植物種に指定されています。クマは被害を出す動物なのになぜ保護するのでしょうか?クマの生息地に近いところに住む人たちにとって、クマは恐ろしい存在です。でも、食べた植物の種をフンとして出すことで植物の繁殖を助けるなど、クマは生態系を支える役目をはたしています。クマがいる森は、他の多くの動物も生息できる大事な地域です。人里とクマ 生息地の間にクマが立ち入りにくい場所を設けるなど、生活圏が重ならないようにすみわけ を目指した研究や対策が始まっているそうです。八王子市内でツキノワグマが目撃されているのは主に山奥の登山道や林道などですが、上恩方町や小仏バス停付近、裏高尾町、景信山などでも今年は目撃情報が出ています(ツキノワグマらしき動物=カモシカ、イノシシなどの可能性ありを含みます)。遠目にはツキノワグマと見間違えられることが多いニホンカモシカやイノシシなども、八王子市内では多数目撃されています。ツキノワグマは、時速40kmで走ることができ、木登りが上手で、泳ぎも達者です。こんなツキノワグマに追いかけられたら、人間の運動能力では逃げきることは難しいでしょう。襲われたら、命にかかわる場合もあります。出合ってからのことを考える前に、まずはツキノワグマと出合わないように対策をすることが重要です。

(「外を見たらもう血だらけ」クマがニワトリ襲う:栗原)
クマによるニワトリの被害が確認された。木の枝をつかむ「クマ」。食べ物を探しているようにも見える。8日午後10時ごろ、宮城・栗原市の住宅の近くに設置されたカメラがとらえた映像。この場所にはニワトリ小屋があり、11月だけで、少なくともすでに4日、クマがカメラの前に現れている。ニワトリを飼育する男性「(小屋の壁に)穴が空いてるし、ニワトリがいない、5羽いるうちの2羽がいない。外を見たらもう血だらけ」。住民は、ニワトリ小屋の入り口に柵を作るなど対策をしていたが、クマが何らかの方法で小屋の中に入り、ニワトリを襲ったとみられるという。

(また作業小屋の米袋荒らされる:岩手)
10日朝、一関市萩荘で作業小屋の中にあった米袋が荒らされているのが見つかり、警察はクマによる被害とみて調べています。この作業小屋は、10月にも同様の被害をうけているほか、この地域では米袋が荒らされる被害が相次いでいて警察は警戒を呼びかけています。警察によりますと、10日午前6時ごろ、一関市萩荘にある住宅と棟続きの作業小屋で、中にあった30キロ入りの米袋10袋のうち1袋が破れ、周囲にコメが散乱し、梅干しが入った瓶も割られているのをこの家に住む人が見つけました。米袋は保管庫の中にカギをかけたうえで置かれていましたが、カギが壊されドアも曲がっていたということで、保管庫にはクマのもと見られる爪痕が残されていました。住宅の人にけがはありませんでした。作業小屋には9日の午後3時半ごろから10日朝にかけて、人は立ち入っておらず、警察はこの間にクマが入り込んだとみて調べています。9日夜は、作業小屋の方からドンという音がするのをこの家に住む人が聞いていたということです。この作業小屋では10月31日にも保管庫に置いていた米袋を破られているのが見つかり、今回は隣の保管庫が被害を受けたということです。一関市萩荘では、住宅の倉庫の米袋などがクマに荒らされる被害が10月下旬から相次いでいて、一関市によりますとこれで11件となりました。警察や市は周辺をパトロールするなどして警戒を呼びかけています。

(住宅敷地内の柿の木に登るクマ、捕獲される:秋田)
10日、能代市二ツ井町の住宅で、敷地内にある柿の木にクマが登っているのが見つかり、通報から3時間あまりたって捕獲されました。けがをした人はいませんでした。警察によりますと、10日午前6時40分ごろ、能代市二ツ井町荷上場の男性が自宅の敷地内の柿の木にクマが登り、柿を食べているのを見つけました。クマは体長50センチほどで、通報から3時間あまりたった正午ごろ、県の担当者が網と麻酔を使って捕獲したということです。けがをした人はいませんでした。現場は、JR二ツ井駅から北東におよそ650メートルほどの住宅が多い場所で、周辺にはこども園や高校などもあります。また、警察によりますと、通報があったのとほぼ同じ時刻に現場から100メートルほど離れた住宅街の路上でも別のクマが目撃されたということで、警察は近くに住む人に警戒を呼びかけています。

(大学敷地内でまたクマ:新潟)
新潟県南魚沼市国際町の国際大学の敷地内で11日午後7時10分ごろ、警ら中の警察官が道路付近に体長約1mのクマがいるのを発見しました。クマは東方向に立ち去ったということですが、警察官が注意を呼び掛けながら警戒活動を続けていたところ、25分後にも体長約1mのクマを目撃しました。やはり東方向に立ち去ったということです。現場は大学敷地内にある学生寮の直近で、警察が注意を呼び掛けています。国際大学では10日午前0時5分ごろと0時50分ごろ、11日午前6時ごろにもクマが目撃されていました。警察は同じクマかは分からないとしています。

(住宅地に体長1mほどのクマ:新潟)
新潟県阿賀町で13日、体長1mほどのクマ1頭が目撃されました。目撃されたのは住宅地で、警察や阿賀町役場が住民に注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは新潟県阿賀町上ノ山です。警察によりますと13日午前6時頃、近くに住む住民が体長1mほどのクマ1頭を目撃し阿賀町役場に連絡しました。目撃した人は「クマは国道49号方向へ去って行った」などと話していたということです。目撃されたのは磐越道・津川インター近くの住宅地で、警察は阿賀町役場と連携して住民に注意を呼び掛けています。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼びかけています。長岡市では3日、畑で作業中だった女性がクマに襲われけがをするなど、県内では2023年度、クマに襲われて8人がけがをしていて、新潟県は、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(「柿の木にクマ1頭が登っている」と通報:新潟)
新潟県長岡市栃尾地域で13日、民家近くの柿の木に登るクマ1頭が目撃されました。警察や長岡市役所が警戒に当たっています。クマが目撃されたのは長岡市来伝で、13日午前11時過ぎに「自宅から見える位置の柿の木に体長1mほどのクマ1頭が登っている」と長岡市役所栃尾支所を介して警察に通報がありました。警察によりますと目撃された場所は住宅地の直近で、クマは現場近くにとどまっているとみられます。人間が近づくとクマが逃げるものの、少しするとまた柿の木のあたりに戻ってきているということで、警察や長岡市役所が警戒活動を行っているということです。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼びかけています。長岡市では3日、畑で作業中だった女性がクマに襲われけがをするなど、県内では2023年度、クマに襲われて8人がけがをしていて、新潟県は、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(柿と干し柿を食い荒らすクマ、カメラに一部始終:宮城)
13日未明、宮城県色麻町でクマが柿の木に登り実を食べたり干し柿を食い荒らしたりしました。khbが設置したカメラに一部始終が撮影されていました。被害に遭ったのは、色麻町四竃東原地区の住宅にある柿の木です。川村武治さん「朝に気が付いた時には柿が無いからクマが来たなと思って。12日の段階では約20個近く残っていたんですけどね」。クマは、一晩で約20個の柿を食い荒らしました。木の幹には、登る際に付いたとみられるクマの爪の跡が残されていました。川村武治さん「機械も全て倒されて一輪車とか、食べた跡もいっぱい残っています」車庫の端で竹竿に吊るしていた干し柿が約100個全てが食い荒らされたほか、軽トラックのミラーが破壊されました。川村武治さん「この辺りは以前、クマが全然いなかった。たまたまいてばったり会ったりしたら怖いですよ」。

(『クマ撃ちの女』で本当に描きたかったこと)
激しい怒りのあまり、極度の興奮状態となったヒグマと対峙する一人の女性猟師。著者自身、「リアリティのある現代の冒険活劇」と話す『クマ撃ちの女』(新潮社/Webマンガサイト「くらげバンチ」で連載中)について漫画家・安島薮太さんに話を聞いた。――作品の軸であるエゾヒグマですが、描写から異常なまでに生々しい存在感を感じます。その源を教えてください。そう言っていただけるとうれしいです。ただ、先に話したように実際に山の中でクマに出会ったことはなくて、資料として実際に見られたのは動物園のクマだけでした。あとは動画とか写真とか。でも昔から動物が好きで犬と一緒に育ってきたようなものなので、毛の生え方とか、細かい描写まで気を遣ってはいますね。――クマの描写にも、ハンターさんからのナマの声が活かされているのでしょうか。もちろんです。クマの生態、こちらのアクションに対してどう動いてくるのかなど、かなり細かく話を聞かせてもらっています。でもまだ満足はしていなくて、もっともっとリアルを表現したいなと。今、連載では物語がラストに向かっていて、ここから更なる山場が控えているので、より力を込めて描きますよ!――今後への期待感が一層高まりますね。ちなみに、お世話になっているハンターさんたちから漫画の感想が届くことはありますか?あります。これが結構うれしくて。ベテランハンターも多いので、語弊を恐れず言えば口うるさいような人もいるんですよ。最初は結構言われました「あんなんじゃない」とか。でもそれってしっかり読んでくれてるってことですし、本当にありがたいことなんです。しかも、そんな方々も今では「ハンターのリアルを描いてくれてありがとう」って言ってくれています。クローズドな世界で、しかも命のやり取りがある世界だから、たとえばドキュメンタリーとかでは映せない真実もあるんですよね。――フィクションの漫画だからこそリアルを描ける、というのが逆説的で面白いです。そうですよね。その点、この作品を描くことはすごく意味のあることだなと思っています。――さて、7、8話は1巻の最後を締めくくるお話ですが、手に汗握る怒涛の展開に突入していきますよね。続く2巻以降を読んでいく読者に、何か伝えたいことはありますか?ひとつの山場となるシーンをここで描きました。ただ、この作品で本当に描きたかったことを詰め込んでいるのはここからです。『クマ撃ちの女』は“現代の冒険活劇”なので、以降で描いていくハンターたちの人間関係をとおして、狩猟漫画としてだけではなく、人間ドラマとしても楽しんでもらえたらなと思います。――ここから、物語の深みが一層増していくと。あ、あとクマは本当に危ないです。ヒグマだろうが、ちょっと小さいですけどツキノワだろうが一緒です。両方とも非常に怖い存在なので、絶対近づいちゃダメですよというのも啓蒙していきたいかな(笑)。――そんなクマの恐ろしさに加えて、本作を通して読者に届けたいメッセージを教えてください。言語化したくない部分もあるけど…(笑)。人も、クマも、動物も、文明も、全部“自然”なんです。自然って人間が作った言葉なんで。その境界って実はほとんどなくて、人間も自然の一部なんだよ、ってことを伝えたいですかね。――新刊の発売も控えているんですよね。11月9日に12巻が発売予定です。物語は終わりに差し掛かり、これまで以上に盛り上がる展開と多くの読者が驚くであろう衝撃的な展開が待っています。――楽しみにしています。

(食害防ぎジビエで観光振興を:三重)
シカやイノシシによる食害を防ぎながら、新たな観光の目玉を-。鈴鹿市小岐須町でバーベキュー場やブルーベリー農園を運営する猿田彦ファームは10日、町内にジビエ加工施設を開設する。同社の伊藤嘉晃社長(41)=同町=が、自ら狩猟免許を取得。クラウドファンディング(CF)で資金を募り、開設にこぎ着けた。同社は、2021年6月にブルーベリー農園をオープンしたものの、当初から獣害に悩まされ続けた。伊藤社長は「獣害対策のために金属柵を設置して上に網を張っても、柵が蹴倒された」と苦笑する。近隣の畑では、インターネット販売をしようと無農薬栽培で育てたショウガやニンニクが、根こそぎ食べられ全滅した。

(『GIBIER GEEK』をテーマにした冬のパーティープラン:東京)
丸の内「東京ビアホール&ビアテラス14」は、2023年11月13日(月)より『GIBIER GEEK』をテーマにした冬のパーティープランを提供いたします。『GIBIER GEEK』をテーマに、猪・鹿・鴨のお肉を使用したジビエ料理を楽しむ期間限定のパーティープラン。蝦夷鹿は、今年狩猟した新鮮で臭みがなく食べやすい鹿肉。生ハムや串焼きで、赤身メインで蝦夷鹿本来の味をお楽しみいただけます。猪肉は、脂身のもつ独特の旨みと甘みが特徴のバラ肉を使用し、炙りで香ばしく仕上げました。鴨は希少な真鴨を使用。さっぱりとした胸肉は燻製で旨みを引き出し、もも肉は豪快に骨付き肉をCOEDOビールで柔らかく煮込んでいます。普段食べる機会の少ないジビエを気軽に楽しんでいただけるよう、イチヨン風にアレンジしたラインナップ。丸の内での忘新年会や冬の宴会・パーティーは、ビールにぴったりのジビエメニューと一緒に乾杯しませんか?

(未利用魚や鹿肉活用、おでんとタコスで味わって:宮城)
市場に出回りにくい未利用魚や鹿肉など、石巻の食材をおでんとタコスにして味わう飲食店「Reborn-Art STAND」(リボーンアートスタンド)が11日、JR石巻駅構内にオープンする。地域食材の魅力を掘り起こし「気軽に1杯」を楽しめる店を目指す。石巻市を舞台とした現代アートと音楽、食の総合芸術祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)」の事務局を務める同名の一般社団法人が運営。祭りのPRも兼ねる。8日、現地で関係者向けの試食会があった。法人の松村豪太代表理事は「たくさんある石巻のおいしい食材を一つの料理に昇華し、地域の魅力を発信していきたい」と意気込んだ。昨年8月に閉店した喫茶店「マンガッタンカフェえき」の跡地に入った。店内飲食とテイクアウトの2形式で運営し、アルコールやソフトドリンクも提供する。おでんはコンブやさば節と、牡鹿半島産のイシガニでだしを取った。卵やさつま揚げといった定番メニューから、ツブ貝やタコ、野菜など季節の旬の食材を振る舞う。各種200円ほどで販売する。タコスは豚、鶏、鹿の3種で、ライムやスパイスなどそれぞれの肉にあった味付けで提供する。鹿肉は牡鹿半島で鹿やカモを狩猟し販売する「アントラークラフツ」の肉を使用する。豚と鶏は700円、鹿は850円で販売する。試食ではおでんとタコス3種が振る舞われ「おでんに味が染みている」「鹿肉なのに臭みがなくておいしい」と好評だった。RAFのグッズなども販売するほか、アーティストによる作品展示やイベントも開催する予定。

(学食で「エゾシカキーマカレー」を提供:東京)
全国で唯一の飼育施設を持つ東京農業大学、学食で「エゾシカキーマカレー」を提供。北の大地で害獣とされ駆除対象の「エゾシカ」、命を大切に活用することを肝に銘じて。東京農業大学ガストロノミー:白川健太シェフ×東京農大(世田谷キャンパス)学食「すずしろ」特別コラボ企画「蝦夷鹿(エゾシカ)キーマカレー」を提供。東京農業大学(以下、東京農大)は、「ガストロノミー」の観点から「食」の教育・研究を進めています。「ガストロノミー」とは、料理とその背景にある歴史や文化、食材や調理・加工など、食を包括的に分析・考察する学問体系です。世田谷キャンパスでは、ガストロノミーの一貫として「多様な食文化の発信」に力を入れています。食事や調理の面では、多数のシェフに客員研究員として協力を頂いており、今回ジビエ料理レストラン「レ・ココット」の白川 健太シェフと東京農大(世田谷キャンパス)学食「すずしろ」のコラボ企画として11月3~5日の世田谷キャンパス収穫祭期間中、「蝦夷鹿(エゾシカ)キーマカレー」を提供しました(一皿600円)。期間中は学食「すずしろ」に多くの方が来店。学食「すずしろ」でシェフをつとめる沼田 康弘さんは、「3日間いずれも反響がもの凄かった。3日間で300食程度を想定して食材を用意していて、初日は他の日よりも多く100食以上を提供したが開店から2時間もたずに完売した。残る二日間も開店から一時間ともたずに完売した。」3日間の営業を終えてほっと一息つきながら、当時の様子を語りました。東京農大は北海道網走市に「北海道オホーツクキャンパス」を擁し、全国の研究機関で唯一、エゾシカの養鹿施設を完備。ここで地域の特産物として利活用するための研究等を進めています。北海道オホーツクキャンパスの北方圏農学科 家畜生産管理研究室に所属する相馬 幸作 教授に「エゾシカ肉の現状と東京農大の関わり」について解説いただきました。「エゾシカは、北海道を代表する大型の哺乳動物です。近年では個体数の増加が著しく、北海道各地で農林業や交通への影響が出ています。特に、農林業被害が著しく、北海道におけるエゾシカによる農林業被害額(2021年度)は約44.8億円と、鳥獣による被害額(約54.5億円)の約8割を占めています。このため、北海道では全国に先駆けて1998年から『エゾシカ保護管理計画』を立案し対策にあたってきました。また、2014年から『北海道エゾシカ対策推進条例』を施行し、有効活用を含めたエゾシカ対策を推進しています。現在、地元猟友会の協力を得ながら、銃やワナによる捕獲を中心とした個体数調整と、貴重な天然資源として駆除個体を中心とした有効活用などの取り組みが行われています」。「東京農業大学 生物産業学部には全国の研究機関で唯一、エゾシカの飼育施設があります。また、当学部では地域の特産物を利活用するための研究や取り組みをサポートしています。このため、北海道が行っているエゾシカの有効活用について、これまでの知見を生かしながら協力を進めてきました。具体的には、エゾシカ肉を用いた食肉加工品やペットフードの開発、肉牛等の管理を参考にし、生体捕獲したエゾシカを牧場で飼育して肉質を高める一時養鹿事業の推進に協力してきました。また、エゾシカ肉を安心して食べていただけるように、一定の基準を満たしたエゾシカ肉製品に付与できる『北海道認証』を制定していますが、これらの取り組みに対しても、関係機関と協力しながら基礎データ集積に協力してきました。これにより、有効活用開始時に駆除された個体の有効活用率は1割程度でしたが、現在は2割までに増え、一部ですが北海道内のスーパーでも入手可能なお肉として一般的な食材になりつつあります。今後も、“命を大切に扱う”ことを肝に銘じながら、有効活用策を模索していきます」。「エゾシカ肉は昔から滋養強壮の食材としても珍重されており、現在では『ジビエ』の代表食材として認識されています。エゾシカ肉の成分を調べてみると、高たん白質、低脂肪であり、鉄分が豊富であるなど、健康食品としても魅力のある食材であることがわかっています。しかし、エゾシカ肉は一般的に言われている“赤身”の肉であり、“かたいお肉”と言われることもあります。しかし、肉の特性に合わせた調理方法にすることにより、クセのないやわらかいお肉としての認識が高まっています。また、ネット上でも様々な調理方法で楽しまれる食材となってきました。ぜひ一度、エゾシカ肉そのもののおいしさを堪能してみてください」。次に、世田谷キャンパスにおける東京農大の「ガストロノミー」について、産学官・地域連携センター副センター長の野口 敬夫 准教授に解説いただきました。「東京農大は、各学部・学科の専門分野に通ずる『食』を軸とした教育・研究を進める上で、ガストロノミーを推進しています。東京は、良質な食材と国内外の優れた料理人が集まり、多種多様な料理店が軒を連ねる美食都市です。世田谷キャンパスでは、この立地を活かしたガストロノミーの取組みとして、『料理に関する科学的分析・考察』と『多様な食文化の発信』の2つを進めています。東京農大の客員研究員である多様なジャンルのシェフと東京農大教員が連携して、これらに取り組んでいます」。「前者の『料理に関する科学的分析・考察』は、シェフの技術・経験と東京農大教員の専門的見地から、調理法や食事の美味しさの科学的な根拠を明らかにし、新たな料理に応用していくことを目的としています。2023年3月には、一般の方を対象とする『東京農大オープンカレッジ』として、客員研究員4名のシェフと東京農大・食品安全健康学科の岩槻 健 教授による【シェフの一品と『塩』の味覚を科学する】を開講。日常よく利用する『塩』を対象とし、その利用方法や美味しさについて味覚の観点からのアカデミックな解説を行いながら、シェフの料理を実食し、『塩』の有効性や利用に関するトークセッションを行いました」。「後者の『多様な食文化の発信』については、東京農大学生だけでなく一般の方々に対する食への理解醸成の観点から、国内外の多種多様な食について学びの機会を提供することを目的としています。2023年1月には日本料理の細川 敦史シェフから栄養科学科の調理学実習で和食文化について講義をしていただきました。食材の産地や生産者の情報、調理の一工夫から盛り付けまで、和食調理や素材の味について講義頂くとともに、一汁三菜の調理を実演して頂きました」。「また、イタリアン料理の前田 祐二シェフと東京農大生協とのコラボ企画として、『ヴィーガン(動物由来の食材不使用)』メニューの提供を行っています。世田谷キャンパスの学食『カフェテリアグリーン』にて『チリビーンズとタコス』や『大豆ミートのキーマカレー』を販売し、多様な食文化の一つとしてヴィーガンを知る機会を提供しました。この企画には、東京農大・栄養科学科の秋山 聡子 准教授がアドバイザーとして参加しました」。東京農業大学は今後も食に関する多角的な研究、産学官での連携を生かし、東京農大ガストロノミーとして、「料理に関する科学的分析・考察」と「多様な食文化の発信」を進めていきます。

(ジビエの調理体験や先進的な無農薬農法通じて次世代担う子どもたちへ伝える命の大切さ食の大切さ:長野)
SBCが加盟するJNN系列全体で取り組む「地球を笑顔にするWEEK」に合わせてお送りするSDGsに関する特集です。ジビエの調理や、農薬を使わない野菜の栽培で、食や命の大切さを伝える長野市のNPO法人の活動を取材しました。なお、添付された動画にはイノシシを解体するシーンが含まれています。運ばれてきたのは、2頭の野生のイノシシ。山林で猟師に捕らえられたもので、前日まで生きていました。長野市で5日に開催されたあるイベント。県内外から参加したおよそ30人が、イノシシを解体するジビエ調理を体験します。イベントは子どもたちへの安全な食材の提供などに取り組む、市内のNPO法人「地球環境フォーラム長野」が企画。活動拠点の「あんずカフェ」では農薬を使わない野菜を使った料理など提供していて、月に1回、子どもたちに向けた食育イベントを開催しています。猟師の説明を受けながらカッターを使って進めるイノシシの解体。普段はできない体験を通じて命や食の大切さを学びます。このNPO法人では「食」に関する新たな取り組みも始めています。11月2日、中野市の畑で行ったのはタマネギの苗植え。耕した畑にマルチを張っていきますが・・・。その前に。土に水を撒きますが、ただの水ではないようです。この日始めたのは、全国的にも珍しいという、岩塩を使った農法です。岩塩から作られるパウダーを1000倍の水で薄めて、土に撒くだけ。土のミネラルバランスが良くなり、農薬を使わずに野菜や果物の栽培ができるといいます。この農法に取り組むきっかけとなったのは、2019年に起きた台風19号災害でのある経験からでした。タマネギは2024年の6月ごろ収穫し、広くアピールしていく狙いです。11月5日に行った、ジビエの調理体験。イノシシの皮をはぎ、肉をさばいていきます。およそ1時間ほどで、肉をさばき終えると、その場で焼いて味わいます。参加者は改めて食や命の大切さを実感したようです。食の大切さや安全性を伝えるため、NPO法人では今後も活動を続けていきます。

(マタギ文化が根づく西目屋村のクマ丼・クマカレー:青森)
鳥獣害対策で捕獲したツキノワグマの肉をいかした、青森県西目屋村の「クマカレー」と「クマ丼」のレトルト商品が注目されています。クマ料理提供の経緯について、道の駅 津軽白神 Beechにしめや 桑田翼さんにうかがいました。道の駅 津軽白神 駅長 桑田翼さん「以前より、西目屋村ではクマをはじめとした野生鳥獣によるりんごなどの農作物の被害が多く、駆除したクマは加工する場がないために廃棄処分していました。しかし、マタギ文化が根づいた村民の間では、栄養価が高いクマを廃棄するのは勿体ないという声もあり、長い時間をかけ加工品としての実現を果たしました」。白神山地での狩猟採取を生業とした西目屋村には、昔からマタギの文化が根付いていて、クマはマタギの人にとっては「山からの授かりもの」とされてきました。村では、開発した商品を「白神ジビエ料理」と銘打ち、その第1弾として2022年、「白神クマカレー」「白神クマ丼」のレトルト商品の販売を始めました。今年はクマの出没が増え、猟友会や村で作る鳥獣被害対策実施隊が村内で捕獲したクマの数は70頭(2023年11月9日現在)2022年は10頭程だったのに比べ、すでに7倍の捕獲状況となっているそうです。捕獲の増大から、今年はクマの生肉販売も始めたそうですが即完売(現在は取り扱いしておりません)。各地から問い合わせもあったそうです。クマはどのように商品になるのでしょうか。捕獲し屠殺されたクマは30分以内に、食肉加工施設『ジビエ工房白神』に運ばれます。数日間、熟成庫で吊るし血抜きをしっかりすることで、臭みが消え柔らかいお肉になるそうです。その後、肉を小分けし真空パックして急速冷凍で保管。食肉加工センター「味な工房」でカレー用や丼用に加工されレトルト商品が完成します。桑田さん「『白神クマカレー』はクマ肉独特の旨味を生かしつつ、食べやすいように味付けを工夫しています。隠し味として、西目屋村産のリンゴジュースを入れることで、本格的な美味しさのカレーになっています。また『白神クマ丼』は、醤油と塩麹で味付けしてあり、西目屋特産のタケノコの歯ごたえもお楽しみください」。「白神クマカレー」と「白神クマ丼」を試食してみます。まずはカレーから。熱々のご飯にかけるそばから、本格的なスパイスの香りが…。一口食べると、すぐに、玉ねぎの甘み、その後カレーの風味が広がります。お肉は、ホロホロと口の中で崩れていくほどの柔らかさ。脂っぽさはなく意外にあっさり、けれど、しっかりとした肉肉しい風味が後に残ります。辛口が苦手な記者でも、食べられる辛さでした。「白神クマ丼」は、とっても食べやすいです。味付けは醤油や塩麹でされているそうですが、ショウガのさわやかな風味がきいています。こちらもお肉は柔らかくて口の中で崩れていく感じ。ゴボウとタケノコも、歯ごたえがあって美味しいです。世界自然遺産・白神山地周辺に根付いていた「目屋マタギ」の精神を継承し、クマ肉を活用した特産品『白神クマカレー』『白神クマ丼』は、道の駅津軽白神ビーチにしめやで販売中です。また、施設内のレストラン「森のドア」では、「くまそば」や「くま丼」などの白神ジビエ料理を数量限定で提供しています。是非、現地に行って、村自慢の味を食べてみてください。

(今年の冬は京都のジビエでまんぷくに:京都)
京都府と森の京都DMOは、ジビエ(鹿肉)の魅力発信と消費拡大を目的に、11月18日(土)から森の京都エリア及び舞鶴市の計43店舗で「第7回森の京都ジビエフェア」を開催します。高タンパク質で鉄分やビタミンも多く含まれるジビエの魅力を楽しんでいただける機会ですので、是非ご参加ください。

(害獣から町の資源へ、余すことなく鹿を活かす:北海道)
北海道の東部・太平洋側に面し、野生のえぞ鹿の越冬地となっている「白糠町(しらぬかちょう)」では、2023年11月1日(水)から2024年1月31日(水)までの期間、えぞ鹿の狩猟を解禁します。一時は絶滅寸前まで激減したえぞ鹿ですが、環境の変化や保護政策で急増。農産物への被害や、事故が増えるようになりました。そのため1990年代にはハンターによる捕獲など管理が始まり、同時に食肉利用としての取り組みも始まりました。白糠町に工場を置く「株式会社 北海道えぞ鹿ファクトリー」では、鹿肉の加工品を全国に届けています。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午後5時ごろ、仙台市青葉区芋沢新田にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午後2時15分ごろ、仙台市泉区西田中山岸にクマが出没しました。(

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日、仙台市太白区秋保町馬場石ケ森にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、15日午後6時30分ごろ、色麻町小栗山五輪にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、15日午後4時ごろ、東松島市小野笹森の山林にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、15日午後3時50分ごろ、栗原市築館上宮野秋山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
松島町によると、15日午後3時ごろ、松島町松島石田沢付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
柴田町によると、15日午前、柴田町入間田内ノ馬場付近でクマが出没したような痕跡が見つかりました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、14日午後5時ごろ、富谷市成田9丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、14日午後4時20分ごろ、仙台市青葉区新川佐手山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日未明、仙台市太白区長町越路にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日未明、仙台市青葉区芋沢釜前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日午前9時ごろ、仙台市青葉区芋沢青野木にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
大崎市によると、13日、大崎市三本木地域にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、12日、色麻町王城寺権三前二番にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午後5時40分ごろ、栗原市鶯沢南郷上日照にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、11日午前7時30分ごろ、富谷市石積刈又前付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、10日午後1時30分ごろ、仙台市青葉区大倉大原新田にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、10日午後4時45分ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、10日未明、仙台市青葉区芋沢八幡にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、10日午前7時ごろ、東松島市大塩旗沢の山林にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、10日午前10時ごろ、栗原市鶯沢袋島巡にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、10日午前9時50分ごろ、栗原市築館上宮野白坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、10日午前5時50分ごろ、加美町西田一番の住宅にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、9日夕方、色麻町大下新町北にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、9日午後4時20分ごろ、色麻町王城寺八原にクマが出没しました。

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(山林でイノシシに襲われ3人けが:群馬)
8日午後、群馬県富岡市の山林でイノシシのわなを確認していた男性2人と通報を受けて駆けつけた警察官1人がイノシシに襲われ、けがをしました。イノシシは、猟師によって駆除されたということです。8日午後2時半すぎ、富岡市原の山林で猟をしていた男性から「イノシシに襲われた」と消防に通報がありました。警察や富岡市などによりますと、地元の猟友会に所属する男性3人が、イノシシのわなを確認していたところ、70代と90代の男性2人が襲われました。通報を受けて駆けつけた30代の警察官も襲われ、男性2人はかまれて大けがをしたほか警察官も軽いけがをして病院に搬送されました。このイノシシは、体長およそ1メートル40センチ、体重およそ120キロで、ほかの猟師によって駆除されたということです。警察はイノシシなどの野生動物を目撃した場合、近づかず、安全な場所に避難してから警察や役所に通報するよう呼びかけています。

(登山中の男性、クマに襲われけが:群馬)
8日午後2時半ごろ、群馬県安中市内の病院から、同市内の稲村山に登っていた埼玉県川越市内の契約社員の男性(58)が「クマに襲われてけがをした」と、安中署に通報があった。男性は上唇や左手首に裂傷を負ったが、軽傷で命に別条はない。同署によると、男性は1人で安中市松井田町北野牧の登山道を下山中に、約20メートル先に動物がいることに気づいたところ、突進してきた成獣のクマに襲われた。子グマを連れており、2頭のクマはそのままいなくなった。男性は自力で病院に向かったという。同署や安中市は住民に警戒を呼び掛けている。

(渓流沿いに横たわる『クマの死骸』、大学生を襲ったクマか:北海道)
北海道南部の福島町の山中でクマに襲われたとみられる男子大学生の遺体が見つかったことを受けて11月9日朝から行われていた現地調査は、午後1時過ぎ終了しました。福島町の大千軒岳では2日、函館市の大学生が遺体で発見され、近くでは首に刺し傷があるクマの死骸も見つかりました。関係者によりますとこのクマは消防隊員3人も襲い、ナイフで反撃されて死んだクマとみられています。9日行われた現地調査では、クマの死骸を調べ、大学生や消防隊員を襲った状況などについて検証しました。調査は午後1時過ぎに終了し、関係者が下山しています。9日夕方にも福島町役場に集まり、会議を行う予定です。

(県内のクマ目撃605件、最多に:福島)
福島県警が今年、通報などで認知したクマの目撃件数は605件(6日現在)となり、2018年以降で最多となったことが8日、県警への取材で分かった。これまで最も多かったのは2019年の602件だった。クマに襲われ、けがした人はいずれも軽傷の13人で昨年の死傷者7人(死者1人、けが人6人)を超え、18年以降で最多となっている。6日現在の目撃件数は、前年同期比で224件増で大幅に増加している。月別では10月が68件、11月は26件と目撃が相次いでいることから、県警は注意を呼びかけている。県警などによると、クマの餌となる木の実の不足から、餌を求めて人里近くに出没するクマが多い状況が続いているとみられる。県警が被害防止のために求めている対策は▽カキやナシなどの果物は放置しない▽クマ鈴やラジオ、スマートフォンで音を鳴らして自身の存在を知らせる▽自宅周辺にあるササやぶなどにクマが潜まないよう、除草して見通しを良くする▽餌になり得るごみなどは自宅の外に出さない―など。

(クマの個体数が基準超え狩猟解禁へ:兵庫)
兵庫県は、隣接する岡山県や鳥取県を含む一部地域で、クマの個体数が基準を超えているとして、11月15日からツキノワグマの狩猟を解禁します。今年はクマの餌となるドングリが凶作で、冬眠前に餌を求めて集落に出没するリスクが平年より高いとして、県は注意を呼びかけています。兵庫県は、ツキノワグマについて狩猟禁止措置をとっていますが、県を東西2つに分け近隣の府県を含む地域で行っている調査のうち、西側の地域でツキノワグマの生息数が基準となる800頭を超えたことから、クマの狩猟を解禁することになりました。解禁期間は、11月15日から12月14日までの1か月間で、それ以降は狩猟が禁止となります。兵庫県内ではクマの目撃や足跡などを見たという情報は、今年度9月末までで268件で例年と大きく変わらない数字ですが、兵庫県によりますと今年は餌となるドングリなどが凶作で、冬にかけて餌の量が減ってくることから、クマが冬眠を前にえさを求めて集落に降りてくる可能性が高いということです。多くのクマが冬眠に入る今後1か月間は注意が必要で、県では山に入る際はラジオなど音の鳴るものを携帯するほか、集落では生ゴミを外に置かないなどの対策を呼びかけています。環境省によりますと、10月のクマによる人身被害の件数は速報値で全国で59件で、被害人数は71人となり、月別の統計を開始した2006年の10月以降最多であることがわかりました。また、今年度は10月までで人身被害件数が164件、被害人数が180人にのぼり、いずれもすでに年度別の最多を更新しています。

(クマ目撃62件、過去最多ペース:静岡)
全国でクマの被害が多発し、静岡県内でも目撃情報が相次ぐ中、県は8日、ツキノワグマの出没マップを県ホームページで公表した。本年度は既に62件(6日現在)の目撃情報があり、特に10月は1カ月間で27件と急増した。人身被害は出ていないものの、従来はツキノワグマの生息が確認されていなかった伊豆半島や富士市の住宅地付近でも目撃されているため、県は警戒を呼びかけている。県自然保護課によると、県内では南アルプスや富士山周辺の山間部にツキノワグマが生息している。一時期は減少したが、現在は回復傾向にあり、植林した樹木の皮を剥ぐなど林業に被害を与えているという。目撃件数は例年20~40件で推移していた。過去10年で最も多かったのは2021年度の82件。21年は5月に目撃情報が集中し、10月は13件だった。23年度は4~9月で32件、10月に27件と一気に増加した。11月に入ってからも浜松市天竜区、静岡市葵区、小山町で計3件の情報があり、21年の年間目撃件数を上回る可能性がある。県はホームページに出没マップとともに「山に入る時は鈴やラジオ、笛を用意して自分の存在をアピールする」「生ごみは持ち帰る」「50メートル以上離れていたら、落ち着いて音を立てず、反対側に逃げる」などの対策を掲載している。同課の担当者は「県民はもちろん、県外から訪れた人にも出没場所を知ってもらい注意してほしい」と話している。

(クマ駆除に抗議電話30件、女性を直撃「人の責任だ」)
クマを駆除した行政などに対して、「殺すな」と抗議の電話が殺到しています。行政に30件電話を掛けたという人物が取材に応じました。自治体に抗議した女性:「当たり前のように馬鹿みたいに(クマが)来たら殺す。それしかできないのっておかしい。みんな野生の生き物って、癒やしてるわけじゃない。クマは怖い汚い恐ろしいというイメージを植え付けられている。悪者じゃないよ、そう思わない?」。「人間がクマのテリトリーを侵している」とテレビ朝日に意見を寄せたのは、北海道や秋田など複数の自治体にクマの駆除について抗議の電話を掛けたという女性です。今回、番組は直接話を聞きました。自治体に抗議した女性:「もう数え切れないです、(抗議電話は)30件くらい」。過去最多を更新し続ける、クマによる人身被害。8日、秋田県では今年66人目となる負傷者を出し、岩手県八幡平市では男性が顔などをクマに引っかかれる被害がありました。同じ八幡平市ではこんな事故も起きています。クマが飛び出したのは、夜の「高速道路」。冒頭の女性はこう憤ります。自治体に抗議した女性:「もともと人の責任でしょ。高速道路造ってゴルフ場やリゾートで山を削ったので、とにかく自然を破壊して今に至っているわけですよね。結局、人が手を加えてそういうことをしているから、野生の生き物の生きる場所がなくなっているんですよ」。日々、抗議電話の対応にあたる、北海道のある自治体の職員はこう話します。クマを駆除した自治体の担当者:「クマを駆除した時は、数十件電話が来ることもあります。『他に駆除以外に方法はなかったのか』。苦情入れながら、感極まって泣きながら話す人も結構いる。よっぽどクマが可愛いんだと思う」。秋田県の自治体には、もはやクマとは関係ない憂さ晴らしのような電話が掛かってきていました。男性:「納得できない、クマを殺す必要はなかったんじゃないか」担当:「人身被害の危険もあるので、自治体としてはその対応しかなかったんです」男性:「税金泥棒」「役場を辞めろ」担当:「役場を辞めることはできません」男性:「クマと一緒に死ね」。自治体の担当者によると、1時間以上にわたって怒りをぶつけられたこともあるといいます。実際に自治体に抗議した女性は、こうした過度なクレーム内容について、次のように主張します。自治体に抗議した女性:「(Q.かなりの暴言をいう人もいるが?)私はそんな攻撃的な、そこまでは私はしないです。それは逆に無駄な抗議という気がします。(周りに)そういう過激な人はいます」。女性によると、過激なクレームを入れる人の中には、自分の名前は決して名乗らず、担当者の名前を聞いて、電話攻撃をするのがよいと話す人がいたといいます。武隈光希アナウンサー:「何か指示をしてくる人も中にはいらっしゃる?」自治体に抗議した女性:「電話しなさいって言われても、自分でニュースを聞かないと。自分が本当に納得して、おかしいなとか、これは何でと自分で思った時、自分の意思で電話してますよ」。武隈アナ:「どういうふうにしてほしいとお伝えしたのでしょうか」自治体に抗議した女性:「親子のクマは山に戻してほしいと。麻酔銃でおりに入れたら静かにしている。その間に運んで、山に帰してほしいって言いましたよ」。武隈アナ:「自治体にはどれくらいの数電話した?」自治体に抗議した女性:「あちこち数え切れないですね。30件はしてますね」。武隈アナ:「自治体によると死者出ているが?」自治体に抗議した女性:「そうですね、急に襲われるということも恐ろしいけどね。番犬、だいたい番犬。山に近い所にお住まいの方って、番犬飼っておけば犬が騒ぐと分かるじゃない」。武隈アナ:「クレームが殺到して、自治体も困っているという話についてはいかがですか」自治体に抗議した女性:「逆に電話したくないです。本当に。今年はこうして諦めるしかないんだなって。山を管理する人たちが、色々対策考えなくちゃいけないと思うんですよ。環境省が役所の環境、農林課とかいろいろ。だから、もっと一生懸命、頑張って」「クマは母親一人で子育てするわけ。若い母親だったらどこに行っていいか分からなくて、やっとの思いで餌(えさ)を探しているところを見つかって殺されて。想像すると、本当涙出ないの、あなた。やっとの思いで生きているのに、人の手で殺されて」。クマの駆除など「ありえない」と話す女性ですが、インタビューの最後にはこう話しました。自治体に抗議した女性:「そう言いながらも、私は実際のところ、都市部に住んでるから、農村部に住んでクマの被害におびえている人の気持ち、分からないところもあるから、なんか自分でも微妙」。秋田県などの自治体は、「クマが出没した町内に住む人からの苦情は一切来ていない」と説明しています。これがクマの出没地域で生きる人たちの実情です。秋田県 佐竹敬久知事(75):「仕事ができません。これ業務妨害です。最初から(強く)こられたら、これは『ガチャン』です」。秋田県の佐竹知事はクマの駆除に関する“悪質なクレーム”に対し、怒りをあらわにしてきました。佐竹知事:「感情論が非常に多いものですから。国がクマのいないような地域に対し、理解を得るような行動をとっていただければいいなと思っています」秋田県内の自治体では、1500件近くのクレームが殺到しているといいます。専門家は、クレーム電話を掛ける人の中には、クマの駆除への抗議だけが目的ではない人物もいると推測します。犯罪心理学者 東京未来大学 出口保行教授:「社会全体に不満を持っている人たちが、『クマの駆除』という出来事を利用しつつ、うっぷん晴らしのようなものをしている。自分の匿名性は担保されていると思ってる人が多いと思う。こういうことがかえって、攻撃性をさらに刺激している。公務員は市民国民のために働くのが当然の職務になるわけですから、こういう場合は標的になりやすいと言える」。

(“クマ擁護派”の「人間が悪い」論に被害者親族から怒りの声)
クマによる人的被害が急増している。ネットでは、一部ユーザーからクマ側を“擁護”する声が上がっているが、親族が被害に遭った人たちはその流れをどう感じているのか。取材した。環境省が1日に発表した「クマ類による人身被害」データ速報値によれば、2023年度は10月末までに全国で合計180人がクマに襲われており、クマ出没が頻繁に報告された19年度(157人)、20年度(158人)を約半年で上回るという最悪ペースとなっている。中でも被害数が急増しているのが秋田県。47都道府県でワーストとなる61人が被害を受け、2位に岩手県の42人、3位に福島県の13人と続いている。ネットでは連日、クマによる被害とその駆除がニュースとして報じられている。そんな中、コメント欄に必ずといっていいほど存在するのが「クマは臆病で人は襲わない」「殺さず保護するべき」「自然をいじくり倒した人間のせい」という、擁護の声だ。しかし、大勢を占めるのは被害者を思いやるコメントと、駆除を進めるべきという声で、「机上の空論」「だったら現地でクマと対話してこい」と擁護派を否定する意見も多い。この状況を、秋田の住民たちはどう思っているのか。クマの出没が相次いでいる秋田・由利本荘市の70代男性に話を聞いた。秋田駅から車で約1時間30分、鳥海山の麓で代々農家を営んできた男性は、4年前に従兄がクマに襲われた。「従兄夫婦が山菜とタケノコを採りに山に行ったら、突然背後から熊が飛び出してきて、従兄が襲われたんです。無我夢中で手足をバタつかせて追い払うも、顔を何度も食い散らかされてしまい、ドクターヘリで救急搬送。顔の形成手術を何回も繰り返していますが、それはそれは酷いものでした。これまで何度も行った山で、クマに襲われたなんてことは一度も聞いたことがなかったんです」(農家の男性)。その頃から、山のみならず自身が管理している田畑周辺にも熊が出始めたという。「9月、うちのお墓の掃除に行ったらクマがいたんです。偶然クマが逃げていったので良かったですが、ニュースでよく聞く『目を見ながら後ろに下がる』なんてやる余裕は全くなかった。想定していない場所にいるもんですから。その時は市にすぐ報告しましたが、農家をやっている仲間には役所関係者立ち合いの手続きが面倒だからと、連絡しない人もいる。報告されている数字以上に遭遇数は多いのだと思います」と続ける。ネットの一部に上がるクマ擁護論についてはどう感じているのか。男性は憤りを隠せない。「とんでもない話。地元でそんなことを言っている人は誰もいません。近くのリンゴ農家は、今年クマの被害でリンゴをほとんど食い荒らされた。対策として自動的に追い払う音の出る高価な機械を設置していたそうですが、それでも来てしまう。収穫予定だった野菜や果物が減り、対策費用もかかり、そんな苦しい状況で『人間のせいだ』と追い打ちの言葉を投げる人が同じ日本にいるのか。理解に苦しみます」(農家の男性)。秋田県内では8日、市街地にクマが出没し40代男性がけがを負っている。深刻化するクマによる獣害。ネットで平和な言い争いが展開される一方で、現地では死活問題となっている。

(甚大なクマ被害、共生への道を探りたい)
クマによる人的被害が多発している。本年度、北海道や長野、富山県などで5人が命を落とすなど10月末までに計180人が死傷した。この時期はクマが冬眠に備えてえさを求めるため、例年被害が集中するが、過去最悪だった2020年度の158人(うち死者2人)を既に上回っている。増加の原因は、一義的にはえさとなるドングリの不作。木の実は数年単位で豊作と凶作を繰り返す習性があり、人的被害も増減が激しい。最近の特徴は従来、目撃情報がなかった平地や市街地にもクマが行動範囲を広げたことだ。クマと人間との緩衝地帯だった里山は、人口減少などにより荒廃している。ハンターの高齢化も背景にして、人里も、人も恐れない「アーバンベア」が増えている。クマは本来、今月下旬ごろから冬眠に入る。しかし、今月に入っても各地で夏日を記録するなど、この異常気象である。今後も冷え込みが緩いようなら、12月以降も十分な警戒が必要になる。例えば、生ごみや農作物を放置しない、果樹園や養蜂箱は電気柵で囲うなど、地域を挙げてクマを誘引しない環境整備が大切だ。専門家によれば、万が一遭遇した時には「クマを見ながらゆっくり後退する」、接触が避けられない時は「両腕で顔面や頭部を覆い、うつぶせになる」など防御姿勢をとるべきだという。これまで目撃例がなかったような地域でも対策を浸透させたい。行政も通報や捕獲態勢をいま一度確認してほしい。10年余前からツキノワグマの目撃情報が急増し、被害は東日本から近畿や中国地方にも広がるが、正確な生息数や詳しい生態は分かっていない。まずは調査を進め、地域別の個体数などをできる限り把握すべきではないか。結果は行政や警察、消防、地域、ハンターらがそれぞれとるべき対策の基になろう。クマは行動範囲が広く、木の実を食べ、フンとして種を拡散させるなど生物多様性にも寄与する存在だ。里山の再生にも取り組みたいが、一朝一夕にはいかない。確実に被害を防ぎながら、共生していく道を探りたい。

(クマの出没相次ぐ、クマが嫌う忌避剤の売り上げ増:宮城)
クマによる人への被害が全国で相次ぎ、宮城県でも目撃情報が多く寄せらるなか、強い刺激臭でクマを近づけない忌避剤に注目が集まっています。2日、栗原市栗駒のニワトリを飼っている農家の敷地に、ツキノワグマが柵をかいくぐって侵入しました。前日にクマが現れた跡があったため、不安になった住民がカメラを設置したところ映っていたということです。この日最初に現れたのは午後5時半ごろでした。小屋の壁をこじ開けニワトリの餌をあさったと言います。その後立ち去りますが、午後7時半ごろと午後10時ごろにも姿を見せました。こうした中、注目を集めているのが仙台市泉区の企業が販売しているクマを遠ざける忌避剤です。商品の名前は「熊をぼる」。青森県の会社が製造していて「ぼる」は津軽弁で「追い払う」という意味です。腰やリュックにぶら下げる携帯用と、屋外に置く設置用の2種類があります。唐辛子の辛み成分カプサイシンと木酢液などが配合されていて、嗅覚が犬並みに鋭いと言われるクマが嫌がる臭いを発生させます。全国から注文が入っていて、売り上げは例年に比べ約3倍ということです。

(出没なくなった地区から見える課題)
脇腹の骨は浮き出て、ガリガリにやせていた。「人里へ食料を探しに来たんだろう」。納屋の前で射殺されたオスの成獣の体を見た、富山県自然博物園の赤座久明さん(70)は直感した。皮下を調べると、案の定、ほとんど脂肪がなかった。10月23日に富山市安養寺で発生したクマ被害の現場でのことだ。70代の男性の顔や脚に全治1カ月のけがを負わせ、納屋に隠れていた。その6日前には、2・5キロ離れた民家の敷地で、70代の女性がクマに襲われて死亡した。射殺された個体によるものかどうかは分からない。女性と夫の家の庭には、たわわに実った柿の木が残されていた。周囲の家々でもそうだった。高齢の夫妻を知る住民は記者に、「実を取ろうにも手が回らなかったのでは」と語った。今年の富山県では、ブナやミズナラなどのドングリ類が不作で、クマが里に出やすいとされる。すでに県内の人身被害は計6件で1人が死亡、6人がけがを負った。10月の出没件数は昨年の11倍にもなった。

(クマ?地元猟友会は「見間違いだろう」:愛知)
この秋、全国で相次いでいるクマによる被害。犬山市やその周辺でも10日ほど前から、クマの可能性がある目撃情報が3件寄せられている。ただ市は、クマとは断定できないとして、慎重な対応を求めている。一方で、これまでクマが出没した際の対応方針がなかったことから、マニュアル作りを始めた。最初の目撃は先月29日朝、小牧市境にある犬山市蓮池の県道で「クマのような動物を見た」とする情報だった。

(クマ出没か「小学校のグラウンドに“らしき”足跡」:大阪)
全国で相次ぐクマの出没。今度は大阪のベッドタウンのひとつ、茨木市で、クマの目撃情報が今月に入って5件連続しています。茨木市によりますと、きのう11月8日(水)午前7時30分ごろ、茨木市忍頂寺で、クマらしき動物の目撃情報が寄せられました。同じ日、茨木市佐保付近でも、クマの足跡らしきものが確認されました。その前日7日(火)夕方には、忍頂寺62付近の木にクマの爪痕があることが確認され、さらに前日の6日(月)午前9時頃には、茨木市泉原にある清溪(きよたに)小学校のグラウンドで、クマの足跡が確認されています。今月に入って、クマの目撃情報のほか、足跡や爪痕の情報が計5件確認されているということです。これまで、人的被害は出ていません。茨木市は、できるだけ山に一人で出かけないよう、注意を呼び掛けています。

(クマの目撃情報相次ぐ:宮城)
8日午後、大和町内でクマの目撃情報が相次いでいて、警察が付近の住民に注意を呼びかけています。8日午後5時30分頃、大和町小野の路上で、付近を車で通行した人から「クマ3頭が林の中に入っていった」と警察に通報がありました。クマはいずれも体長およそ1メートルだということです。また、この場所から1.6キロメートルほど北東にある路上では、8日午後10時15分頃、付近を車で通行した人から「クマ2頭が道路を横切って川の方に逃げていった」と警察に通報がありました。クマはいずれも体長1メートルほどで、警察が駆け付けた際には、クマはいなくなっていたということです。警察では現場周辺のパトロールを行うとともに、付近の住民に注意を呼びかけています。

(東出昌大の狩猟ドキュメンタリー映画「WILL」公開決定)
東出昌大の狩猟ドキュメンタリー映画「WILL」の音楽をMOROHAが担当する。「WILL」は2024年2月16日に全国公開されることが決定したエリザベス宮地監督による映画。東出は猟銃を持って山で生活しており、電気も水道もない暮らしを送っている。映画は狩猟で獲ったシカやイノシシを食べ、地元の人々と触れ合う日々が、彼に何をもたらしたのかに迫る内容で、命についての思いをはじめ、心の根底にある混沌、矛盾、葛藤を抱える東出の姿に、MOROHAが発する渾身の言葉が熱量を帯びて重なっていく。MOROHAのアフロは東出と長年の友人という間柄。アフロは今作について、「喰われながら、喰いながら 誰しもが生きている その罪深さを引き受けて人間はどのツラ下げて、どこへ向かうのか その一例を知りたかったらこれを観たらいい」とコメントしている。なお出演者には東出とMOROHAのほか、服部文祥、阿部達也、石川竜一、GOMA、コムアイ、森達也が名を連ねている。「子宮」。東出が発砲し、山道を走り、獲物の解体を始めてからはじめて口にした言葉だった。彼の右手には言葉通りのそれが握られていた。“役者の東出がどうして狩猟をしているのか”その答えを求め狩猟に同行したが、納得するための都合のいい言葉や理由が目の前の臓器や自然には追いつかないのを痛感した。東出と共に、答えのない旅をした1年間の記録。(東出昌大 コメント)僕はただの被写体でした。ですので「映画を通して伝えたいメッセージ」の様なものはありません。「生きる理由なんて思いつかなくて、死ねない理由を一つひとつ摘み上げては、掌の上で転がしながら確かめる」そんな想いをされている方に届くように、エリザベス宮地監督はこの映画を作ったのかなと、完成した映画を拝見し思いました。

(クマ出没:宮城)
南三陸町によると、9日午後2時ごろ、南三陸町歌津韮の浜付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、9日午前11時ごろ、栗原市築館下宮野大仏にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
涌谷町によると、9日、涌谷町成沢付近にクマが出没しました。

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(猟友会に解決金支払いへ、イノシシ捕獲補助金一部未交付で:岡山)
玉野市は6日、有害鳥獣のイノシシ捕獲に対する岡山県、国からの補助金が一部交付されていなかったとして、岡山地区猟友会玉野分会に378万円を支払う方針を発表した。市によると、対象は2018~21年の1~3月に同分会が捕獲した468頭分。当時の市担当者が1~3月分の補助金は交付が翌年度になり、捕獲数も少ないことから国や県に申請していなかった。担当者は申請しないことを同分会と協議して決めたというが、分会側に認識はなく今年5月、損害賠償を求める調停を玉野簡裁へ申し立てた。10月に簡裁から解決金として同期間の未交付分を支払う調停案が示され、市は受け入れる方針を決め、分会も同意した。14日の臨時市議会で関連議案を提出し、解決金は一般財源で賄う。記者会見した柴田義朗市長は「事務の進め方が適切でなかった」と陳謝。担当者の処分を検討する。

(牛舎近くでクマに襲われ男性ケガ:秋田)
秋田県で、クマによる被害が過去最多を更新し続けている。大仙市で、牛舎の近くで40代の男性がクマに襲われ、けがをした。8日午前7時ごろ、大仙市の住宅の敷地にある牛舎の前で作業していた40代の男性が、クマ1頭に顔や胸・手を引っかかれ、市内の病院に搬送された。当時、男性は1人で作業していて、牛に被害はなかった。クマは体長1メートルほどとみられ、男性が襲われた牛舎の近くで家族が目撃している。現場は、この家と牛舎のほか、住宅が点在している地域。秋田県内で2023年、クマに襲われるなどしてけがをしたのは66人となり、過去最多を更新し続けている。

(クルミ拾いをしていたらクマに襲われ男性(69)けが:岩手)
5日午前、岩手県奥州市の雑木林でクルミ拾いをしていた男性(69)がクマに襲われけがをしました。奥州警察署によりますと、5日午前10時45分ごろ、奥州市胆沢小山の自宅近くの雑木林で1人でクルミ拾いをしていた男性(69)がクマに襲われけがをしました。男性は帰宅後自ら消防に通報し、こめかみや頬をかまれるなどして県立胆沢病院に運ばれ、その後矢巾町の岩手医大高度救命救急センターに搬送されました。県立胆沢病院に搬送時意識はあり、会話も可能だということです。警察は現場付近の警戒に当たり、周辺住民に注意を呼びかけています。

(親グマに襲われ?男性が重傷:新潟)
6日朝、新潟県新発田市で子グマが2頭掛かったわなを見に来た男性がクマに襲われました。専門家は、親グマが男性を襲った可能性を指摘しています。午前1時ごろ、札幌市の住宅街。防犯カメラが捉えていたのは3頭のクマです。周辺ではこうしたクマの目撃情報が相次いでいます。目の前に現れた2頭のクマ。体の大きい母親とみられるクマは車に向かって突進してくるような動きを見せます。各地で出没する親子とみられるクマ。その習性によって新たな被害も出ています。通報から数時間が経っても新発田市の住宅地は緊迫していました。午前6時前、40代の男性がクマに襲われたのです。付近ではクマの出没が相次いでいたため、おりのわなを設置していたといいます。そこに2頭の子グマが掛かっていました。動物研究家 パンク町田さん:「母グマでまず間違いないと思う」。男性を襲ったのは捕らわれた子グマの母親だと話すパンク町田さん。今回の被害は“親子グマの本能”が引き起こしたと指摘しています。動物研究家 パンク町田さん:「(おりに入った)子グマがおびえていた。人がそばに近付くことでさらにおびえる。母グマは強い防衛行動に出る。本能的に。それで襲ったということ」。子グマがおびえると攻撃的になる母グマ。クマが親子でいる時は特に危険だといいます。さらに、各地で体の小さい子どもとみられるクマの出没も相次いでいますが、こうしたケースにも注意が必要です。動物研究家 パンク町田さん:「子グマが単独で歩いているように見えても母グマは実は100メートル、300メートル離れた所に潜んでいる確率が高い。目視で(母グマが)いなくても子グマの写真か何かを撮っている間に、母グマが追い付いてくる可能性はある。そういうことは絶対にやめたほうがいい」。新潟で襲われた男性は顔や背中などを引っかかれましたが、命に別状はないということです。わなに掛かった2頭の子グマは猟友会によって駆除されました。しかし、周辺では警戒が続いています。クマへの警戒は宮城県でも強まっています。仙台市立上愛子小学校 粟津淳教頭:「『親子のクマが目撃された』という報告を受けました」。午前10時半ごろ、小学校からおよそ30メートルの山林で職員が「2頭のクマ」を目撃。校庭で遊んでいた児童をすぐに校舎内に避難させたといいます。そして…。花火を使って山に追い払ったということです。宮城県はクマの出没が相次いでいることを受けて6日、「クマ出没警報」を今月末まで延長すると発表しました。

(イノシシが工場敷地に侵入、男性作業員が足を噛まれ軽傷:広島)
8日午前、福山市箕沖町にある工場の敷地にイノシシが侵入して走り回り作業員の足を噛んで逃走。その後、警察官などに取り押さえられ殺処分されました。福山市によりますと8日午前9時頃、血だらけのイノシシが福山市箕沖町にあるエフピコ箕島工場の敷地内に侵入して走り回り、50代の男性作業員の左太ももを噛み軽傷を負わせました。この作業員が、近くにあった工作機械の上に避難したところ、イノシシはその場から逃走したということです。そのおよそ1時間後、イノシシは、最初の目撃現場から南西に300メートルり離れた別の工場の敷地内で発見され駆けつけた警察や市職員によって捕獲、殺処分されました。捕獲されたイノシシは体長およそ1メートル20センチ、体重およそ70キロでメスの成獣でした。福山市によりますと、現場付近は海に近い工場地帯ですが近くに小さな山などがあり、先月18日にも、近くでイノシシが捕獲され殺処分されています。

(70代男性けが、わなにかかったクマに襲われる:岩手)
11月に入り、既に3人目の被害となりました。8日朝、岩手県八幡平市で70代の男性がクマに襲われ顔などにけがをしました。命に別状はありません。8日午前7時前、八幡平市野駄の山林でイノシシ用のわなを仕掛けていた近くに住む農業渡辺公慈さんが、現場を見に行ったところわなに足をひっかけていたクマに襲われました。渡辺さんは顔や背中を引っかかれ自力で帰宅後に救急搬送されましたが、会話が可能だということです。この近くには牛舎があり、飼料用のエサがイノシシやクマに荒らされる被害が起きていて、渡辺さんも所属する地元猟友会が警戒していました。県内のクマによる人への被害は11月に入ってから3人目となっています。

(ツキノワグマ、指定管理鳥獣に指定するよう国に要望へ:秋田)
人がクマに襲われてけがをする被害が過去最悪となる中、秋田県はツキノワグマを国の「指定管理鳥獣」に指定するよう、今月の予算要望の中で求める方針を固めました。指定されれば、捕獲などで国から補助金の交付を受けられるようになります。秋田県ではことし、クマに襲われるなどして人がけがをする被害が過去最多を大幅に更新していますが、クマの捕獲は金銭的な負担が大きく、県は狩猟者に慰労金を支給する方針を打ち出すなど対応に追われています。このため秋田県は今月行う国の来年度の予算要望の中でツキノワグマを国の「指定管理鳥獣」に指定するよう求める方針を固めました。指定管理鳥獣は集中的かつ広域的な管理が必要な動物について環境省が指定していて、指定されれば、捕獲をはじめ、狩猟者育成の研修などでも補助金の交付が受けられます。また、鳥獣保護管理法で禁止されている捕獲後の放置や夜間の猟銃使用が特例として認められます。指定管理鳥獣は現在は「イノシシ」と「二ホンジカ」だけが指定されていて、クマによる被害が過去最悪となる中、国の判断が注目されます。

(クマの食肉加工施設の整備支援を検討:秋田)
人身被害が相次ぐツキノワグマを巡って、秋田県の佐竹知事は定例会見で捕獲後の食肉加工施設整備の支援を検討していることを明らかにしました。秋田県は11月1日に解禁されたツキノワグマの狩猟を100頭まで認める方針です。捕獲されたクマを解体して食肉に加工する施設は市町村が国の交付金を得て整備できます。佐竹知事はこうした施設の整備について県として支援する考えを明らかにしました。【佐竹知事】「猟友会から完全にクマを食肉として扱う。ジビエの施設、解体、冷凍、食品衛生法に合致するような、県北の方にはマタギの文化もあって解体の経験者もいますので、そういうところに作ったらどうかということで検討しています」。また、佐竹知事は麻酔銃の規制緩和のほか、捕獲がしやすくなる「指定管理鳥獣」への指定を今後、政府に求める方針を明らかにしました。

(クマ駆除したら「税金泥棒」「役場を辞めろ」、大量クレームで業務に支障:北海道)
全国でクマの被害が相次いでいる。人に危害を加えた個体はもちろん、人里に現れた場合は大半が駆除される。被害と駆除が増える中、対応した行政に大量の苦情が寄せられ、業務に支障が出るケースが出ている。行きすぎたクレームはなぜ生じるのか。クマの保護は必要だが、駆除はやむを得ない面もある。クマとの共生はどのような形が理想なのか。「ヒグマ有害捕獲へのご理解のお願い」。北海道庁が9月下旬、公式X(旧ツイッター)でこう呼びかけた。というのも、道内で66頭もの牛を死傷させたヒグマ「OSO(オソ)18」が8月に駆除されたことが発表されて以降、道庁などに苦情が次々と寄せられたからだ。「1時間以上、抗議を受けることもあって、電話対応だけで忙殺された。中にはうそつき呼ばわりする人や泣き出す人もいて、説明を聞いてもらえないこともあった」。道庁の担当者がOSOの駆除判明直後の様子を振り返る。撃ったハンターを特定し、個人攻撃をしたケースもあったという。いざというとき、ハンターがいなければ人の安全を守るのは難しい。また、ハンターの高齢化、なり手不足も懸念されている。道庁はホームページでもハンターへの非難が高まると「ヒグマ対策の根幹を担う捕獲の担い手確保に重大な支障を及ぼしかねない」と危機感を表明。担当者は「問題あるクマを必要に迫られて捕獲している。むやみに殺すわけではない」と理解を求める。連日のようにツキノワグマによる被害が出ている秋田県。10月末現在、61人が負傷した。これまでの最多被害は年間20人。既に3倍に上っている。中でも10月5日に子グマ2頭と母グマを駆除した同県美郷町には多くの苦情が殺到した。人口2万人に満たない町に電話、メールそれぞれ700件以上が寄せられた。担当者は「直後は仕事にならなかった。『かわいそう』というもののほか、『税金泥棒』や『役場を辞めろ』といったクマと関係のない公務員批判もあった」と言う。クマが現れた場所は認定こども園や小学校のすぐ近く。担当者は声を落とす。「危険な状態だった。町内から批判の声は聞かない。県の方針に従って駆除しているが、ご理解いただけないのは残念だ」「放獣できないのか」という問い合わせもあるというが、秋田県では、民家近くに戻ってくる可能性が高いことや、放獣場所の地権者の理解を得るのが難しいことから、危険と判断した個体は基本的に駆除している。県の担当者は「苦情を寄せる人の多くは名乗らない。会って要望を伝えるわけでもなく、資料も受け取ろうとしない。一方的に話す方が多い」と話し合いができない状況に困惑する。日本三大地鶏の一つ比内地鶏の養鶏で知られる秋田県大館市比内町。10月19日、ビニールハウス内で飼われていた比内地鶏約30羽がクマに食べられる被害があった。同地域を管轄するJAあきた北の職員は「農作物への被害が収益に影響するほどではないが、とにかく怖い。鈴で音を出すなど作業をする際は例年以上に警戒している」と話す。その上で、駆除への苦情に対しては「殺さないで、という気持ちは分からなくもないが、亡くなった人もいる。住んでいる人や家族を守らないといけない」と漏らす。かつて日本のクマは絶滅が危惧されたが、現在は増加していると推測されている。環境省が2019年に公表した調査では、04年と比べてクマの生息域は全国で約1.4倍になっているとした。北海道のヒグマは1990年度の推計値5200頭から2020年度には1万1700頭に増加している。「四国を除いて、現在絶滅の可能性がある地域個体群はない。クマの数は安定しているとみられている。数が増えれば、山でエサが不足した年にエサを求めて人里周辺に出没するクマが増えるだろう」。酪農学園大の佐藤喜和教授(野生動物生態学)が被害が多発する背景をこう解説する。また、近年は人の生活圏近くで生まれ育ち、人への警戒心が薄い「アーバンベア」の増加も指摘されている。アーバンベアが増えているのも、クマの数が増加傾向にあることが要因の一つだと考えられている。駆除への批判の中には、クマを捕獲して山奥に放すことや、エサとなるドングリなどを山奥にまけば、クマと人との接触を減らせるはずだとの意見もあるという。しかし、佐藤氏はいずれも現実的ではないと説く。「放獣のためには麻酔で眠らせるといった特殊な技術と高額な費用がかかる。エサを山奥にまいても食べるのはクマだけではない。生態系への影響も懸念される上に、よりクマを増やす要因にもなる。効果は限定的だろう」。増え続けるクマとどう向き合えばよいのか。佐藤氏は、クマが人里に来るルートや農作物への接触を遮断し、里山のような緩衝地帯を設けて人とクマがすむ地域を分ける「ゾーニング」が重要だと強調。それでも、人里に現れたクマは駆除しなければ、人との共存はできないと訴える。「これだけクマが増えた中で、全てを保護する、一頭も殺さないというのは現実的ではない。山奥の森でクマがすみ続けられる環境を守ることは大切だ。しかし、人と同じ生活圏での共存は不可能。人里に出没したクマを駆除せずに人の生命、財産を守ることはできない」。クマに限らず、動物に関係する集中的な意見や苦情は地方自治体以外にも寄せられている。動物愛護法を所管する環境省動物愛護管理室は「必要な電話を取れなくなる」ことを理由に2021年から直通の電話番号を非公開とした。一般からの架電は外注のコールセンターで対応する。担当者は「話題になる案件や法改正のタイミングで多く電話がある。特に愛玩動物に関わるケースが多い」と話す。こうした現象をどう考えればいいのか。東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「カスタマーハラスメント(消費者・顧客による嫌がらせ)の一種と考えていいだろう。特に税金で働く公務員という意識があり、より遠慮なくクレームを言えるのかもしれない」と分析する。あまりに攻撃的な物言いや筋違いな批判は「本来の動物愛護を目的とした意見とは違うものが含まれているように感じる。不満を発散する場になっているのではないだろうか」とみる。しかし、桐生氏がクレームを行ったことのある人へアンケートをしたところ、「晴れやかな気分になった」という人よりも、「嫌な思いが続いた」「すっきりしない気持ちが続いた」と答えた人のほうが多かった。桐生氏は「アンケートからは、勢いに任せて怒りをぶつけても、何も解決しないどころか気持ちも晴れないことが推測できる。結局は誰も得しない。まずは冷静に、一呼吸を置いて別によい方法がないか考えるべきだ」と処方箋を説く。クマ肉を売ってもうけるためでも、趣味としてのハンティングでもない。人間の生命身体や農作物を守るためのやむを得ない駆除だ。それなのに地元民ではない人が、電話で猛抗議をしてくるというのは、どういう了見か。クマの生態系と同時に、世間常識にも異変が起きているのか。

(過去最悪のクマによる人的被害、10月に住民33人が襲われた秋田県の担当者は「名前を明かさないで」と懇願)
全国各地でクマの被害が相次いでいるなか、クマに襲われる人的被害の件数が過去最悪になったことが、環境省の調べでわかった。なかでも秋田県は、人的被害の3分の1を占める「異常事態」。東京都内でも、目撃例が相次いでいる。要因の一つと考えられているのが、クマのエサであるブナ類(ドングリ)の「大凶作」。今後も冬眠のため、エサを求めて動きが活発化すると見られており、警戒が必要だ。環境省は11月1日、ツキノワグマやヒグマによる人的被害の状況について発表。人身被害は全国で180人(10月31日現在)に上ったと明らかにした。記録がある2006年以降、これまで最多だった20年度の158人を上回り、過去最悪となった。そのなかでも最も被害が多いのが、秋田県だ。「もう何と言ったらいいのか。異常事態だとおっしゃる方もいます」。秋田県自然保護課の担当者は、切迫した状況を口にする。「本当に毎日、クマが出る。毎朝、地元新聞に出没情報が掲載されますが、ものすごい数です。ありとあらゆる場所にクマが出ている。記事もクマの話題ばかりですよ」。県によると、今年度のツキノワグマによる人身被害は、11月2日現在で64人。すでに昨年の10倍以上だ。このうち10月だけで33人も襲われており、被害がほぼ毎日のように起きている状況だ。「20年度は9人、21年度は12人、22年度は6人でしたから、今年はとんでもなく多い。クマの生息範囲が広がり、人の生活圏に出てきたクマと遭遇するケースが目立ってきました。今年は特にそうです」。0月9日、秋田市新屋寿町の住宅地にクマが現れ、回覧板を届けようとしていた70代の女性や散歩中の80代の男性など、5人が襲われた。鹿角市八幡平地区や仙北市玉川地区などには、人が集めた山菜を奪うなど、積極的に人を襲う、危険性の高い個体が生息しているとみられ、県はこれらの地区に立ち入るのを禁止している。ところが今年は「いつでも」「どこでも」「誰でも」クマに遭遇するリスクがあると、県がウェブサイトなどで注意喚起。担当者は、「本当にどこにでもクマがいる」。と話す。以前はタケノコ掘りや山菜採りなどのために山に入った人が襲われるケースが多かった。しかし最近は、市街地にクマが出没し、襲われるのだ。県は、クマと鉢合わせしないよう、鈴やラジオ、スマホを鳴らすなどして、音で人間の存在をクマに知らせるよう推奨している。しかし、それでも道端の藪の中から飛び出してきたクマに襲われた事例もあり、残念ながら被害を完全に防ぐ方法はないという。クマによる被害が増えている背景には、過疎化の進行とともに耕作放棄地が増え、クマの生息範囲が拡大していることがあるとされている。ではなぜ今年、これほど被害が多発しているのか。その理由の一つとされているのが、クマの食料不足だ。林野庁は10月20日、東北各県のブナの結実状況を発表。青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の東北全県で、「大凶作」という結果だった。ブナは、クマの主要な食料の一つとされる。日本の山岳地帯の森に広く分布する広葉樹で、春から初夏にかけて花が開き、10月ごろに実をつける。ところが今年、東北地方のブナはほとんど花を咲かせなかったのだ。食べるものが激減したクマは、集落に植えられているクリやカキなどに引き寄せられ、人の生活圏に接近してきたと考えられている、秋田県は住民に対し、早く実を収穫するよう呼びかけているが、「昔のように一生懸命にクリやカキを取る人も少なくなっており、なかなか難しい」と担当者は言う。ただ、それでも今年は被害が多すぎる、と担当者も首をかしげる。「ブナの実の凶作だけがすべての原因ではないと思います。そもそも最近のクマは山奥ではなく、人里近くに住みついているという話もあります」。クマが冬眠に入るのは、あと1カ月ほど先になる。「今後、状況がどうなっていくのか、予測がつきません」。クマの生息範囲が広がりつつあるのは、東北地方に限った話ではない。東京都町田市で10月18日、初めてクマが目撃されたのだ。場所は町田市西部にあるアウトドア施設「Nature Factory 東京町田」で、テントサイトや野外炊事場のそばを流れる境川の茂みにクマが現れた。施設の笠倉秀貴所長は、当時の状況をこう語る。「高齢者2人が登山道を下ってきたところ、5、6メートルほど離れた沢筋の方向から、がさがさと木が揺れる音を耳にしたそうです。何かと思ったら、黒い動物が急斜面を登り、その途中で脚を止めて、登山者の方を振り返った。そのとき、お互いに目が合って、イノシシではなく、クマだということがわかった」。クマが目撃されたのは、東京都八王子市と神奈川県相模原市に挟まれたエリア。両市ではクマが出没しているので、そのうちの1頭が町田市を通過したのではないか、と笠倉所長は推測する。「このあたりの森はヒノキやスギで、クマが食べるものがないんですよ。フンが見つかったという情報もありません。エサを探して歩いている最中にこのエリアに入り、たまたま人間と出合った、という感じがします」。24日も相模原市でクマが目撃されており、同じ個体である可能性があるが、実際のところはわかっていない。念のために笠倉所長は町田市と協議し、テントサイトと野外炊事場の隣にあるキャビンの利用を、11月15日まで止めることを決めた。ただ、東京都内での今年度の目撃件数は112件(10月27日現在)で、去年の同時期と比べると少ない。「とはいえ、奥多摩の方からクマの生息エリアが少しずつ広がっているのは事実のようです」(笠倉所長)。都環境局によると、東京は世界的にも珍しい「クマが生息している首都」だという。今回、目撃があった南多摩地域ではクマは絶滅危惧2類に指定され、「保護上重要な野生生物種」だ。都は08年から狩猟によるクマの捕獲等を禁止している。クマは人や農作物に被害を引き起こす動物だが、一方で繁殖率が低いため、いったん生息数が減ってしまうと回復がとても難しい生物でもある。人的被害の多い東北地方でも、宮城県は被害の予防・軽減とクマの個体数維持の両立を目標としている。市街地にクマが現れた場合、基本対応は「追い払い」で、人的被害が差し迫っていなければ、「捕獲」はしないという。秋田県も危機的状況のなか、クマへの対応に苦慮している。連日のように人的被害が発生しているにもかかわらず、クマを捕獲すると抗議の電話が殺到し、心ない言葉を浴びせられる。「記事では名前を明かさないでください」と、絞り出すように語った担当者の声が胸に刺さった。

(11月末までクマ出没警報を延長:宮城)
宮城県は6日、同日までを期限としていた、県内全域が対象の「クマ出没警報」を今月30日まで延長すると発表した。10月の目撃件数が過去5年平均(78件)の3倍を超える240件となり、依然として出没が増加傾向にあるため。東北森林管理局(秋田市)が10月下旬に発表した、クマの餌の一つであるブナの結実状況調査は「大凶作」だった。県自然保護課の担当者は「今後も冬眠前に餌を求めたクマが山を下りてくる可能性がある」と分析する。県内での人身被害は6月の2件以降発生していないが、隣県の岩手や秋田では人身被害が多発している。 同課は「県内でも、他県と同様の被害がいつ起きてもおかしくない状況にある」と警戒。(1)音の出るものを鳴らす(2)単独行動を避ける(3)生ごみを放置しない-などの対策を呼びかけている。

(「エキノコックス」、アラスカ起源か:北海道)
北海道大の野中成晃教授(寄生虫学)の研究チームは、道内のキタキツネなどが媒介する寄生虫エキノコックスについて、遺伝子を解析した結果、約3700キロ東の米国アラスカ・セントローレンス島が起源の可能性があると発表した。北海道にはもともとエキノコックスはおらず、寄生した動物を人間が持ち込んだのが原因と考えられていたが、科学的に裏付けられた形だ。また道東のエキノコックスは約3500キロ西の中国・四川省から持ち込まれた可能性があるという。世界では、合法・違法を問わずペットを含む動物の輸出入や移入が行われている。チームの研究は、寄生虫の拡散には人が強く介在していることを改めて示す結果で、野中教授は「エキノコックスも拡散防止のための対策が必要だ」と強調する。論文は、米科学誌アイサイエンスに掲載された。エキノコックスは、幼虫がネズミに寄生し、そのネズミを食べたキツネなどの腸内で成虫になる。成虫が産んだ卵はフンと一緒に排出され、人がキツネに触ったり水などを介したりして感染すると、数年から十数年の潜伏期間を経て重い肝機能障害などを起こす。チームは道内のエキノコックス66個体とセントローレンス島の5個体、欧州の1個体のゲノム(全遺伝情報)を解析し、世界17地域のデータベース情報と比較。道内の大半はセントローレンス島の個体と塩基配列が似ていることがわかった。道東の一部個体は四川省のものと近似していた。文献によると、ロシア・カムチャツカ半島沖のベーリング島や千島列島では20世紀初頭、毛皮目的でキツネが盛んに飼育され、島外から餌となるネズミが持ち込まれていたという。セントローレンス島は昔からエキノコックスの一大流行地で知られる。今回の研究で、エキノコックスはセントローレンス島のネズミを介してベーリング島などに持ち込まれ、ネズミを食べたキツネが道内に移入されたことで広がったと推測される。一方、道東のエキノコックスが四川省の個体となぜ近縁関係にあるのかについて、チームは詳しい侵入経緯が不明だとしている。野中教授は「研究は、エキノコックスの拡散には人為的な影響があることを強く示唆している。道内から本州に広がる恐れもあり、監視が重要だ」と強調する。日本でのエキノコックスの主な感染源は北海道に生息するキタキツネとされるが、犬にも感染する。そのため道外でも感染例がある。埼玉県では2005年、県北部で捕獲された雌犬のフンからエキノコックスの卵が見つかった。遺伝子解析の結果、北海道でみられるエキノコックスの塩基配列と一致した。愛知県では14年以降、知多半島で野犬数匹からエキノコックスが確認されている。県の担当者によると、原因は不明だが、道内で感染した犬が人の手で半島に移り、広がったことも考えられるという。感染例は野犬だけに限らず、札幌市では昨年、飼い犬の感染が判明した。散歩の際に、感染した野ネズミを捕食した可能性があるという。市の担当者は、目が届く範囲のリードを付けて散歩させることや、犬に触れた後は必ず手を洗うことなどを呼びかけている。

(大学生を襲った場所に執着し3人襲撃か、同一個体か調査:北海道)
北海道福島町の大千軒岳で、登山中にクマに襲われたとみられる大学生が遺体で発見された事故の続報です。この山はクマが多く生息することで知られていて、クマの習性から立て続けに人を襲った可能性があることがわかりました。遺体で発見されたのは、函館市の北海道大学水産学部の4年生・屋名池奏人さん22歳です。屋名池さんは今月2日、福島町の大千軒岳6合目付近の山中で、損傷が激しい状態で発見され、死因は「出血性ショック」と判明しました。(道・野生動物対策課 ヒグマ対策室 武田忠義主幹)「この一帯はもともとクマの生息数が非常に多い地域といわれています。いざというときのためにクマスプレーを常に使える状態で携行する、これを改めて徹底してほしい」。屋名池さんの遺体から数十メートル離れた場所ではクマの死がいが発見され、刃物によるものとみられる傷があったということです。この山では先月31日、登山中の消防隊員の男性3人も体長およそ1メートルのクマ1頭に襲われ、2人が軽いけがをしています。襲われた3人は登山道で休憩中、斜面を上ってきたクマに突然襲われました。クマは中央にいた男性に襲いかかり、隣にいた男性がナイフでクマの目を刺すと、クマはこの男性に覆いかぶさるように襲いかかったということです。男性がクマの首を刺したところ、ひるんだクマは斜面を下りて逃げていったといいます。今回クマが立て続けに人を襲ったとみられる背景には、クマの習性が関係している可能性があるということです。(道・野生動物対策課 ヒグマ対策室 武田忠義主幹)「クマはエサを守ろうとしてこのような行動をとるということは考えられます。最初に事故が起こったあと、ヒグマがその場所に執着していて、次に登ってきた人をその場から排除しようとして攻撃をしたというパターンが考えられます」。道は、クマの胃の内容物などから2つの事故のクマが同じクマなのか調べるとともに、改めて現地を調査することにしています。

(渡良瀬遊水地で急増するイノシシ:栃木)
9月末の渡良瀬遊水地。日没後、1匹のイノシシが目の前に現れた。道路脇の草むらで餌を探しているようで、その後ヨシ原の中へ消えていった。渡良瀬遊水地ではイノシシの生息数が急増している。本県、群馬、茨城、埼玉の4県でつくる渡良瀬遊水地連携捕獲協議会の調査によると、2022年度のイノシシ生息数は488頭で、19年度の205頭から2・4倍に増えた。遊水地にはもともと生息していなかったとされるが、09年度ごろから確認されるようになったという。22年度にニホンジカ5頭も確認されており、貴重な湿原や周辺農地への被害が懸念されている。遊水地の近くに住む70代男性は「畑の土を掘り返したり、尿をまき散らしたりする。ここ数年で人が住む場所にも出没するようになった」と頭を抱えている。

(子猿抱えたサルが電気柵すり抜け、ブドウ園で被害相次ぐ:愛知)
愛知県岡崎市のブドウ園で、サルによる被害が相次いでいる。被害が多いのは比較的値段の高いブドウで、今シーズンの被害額は最大で100万円、例年の3~4倍にあたるということだ。

(クマ対策へ本腰:福井)
市役所入り口で鳴り響く大音量のラジオ、行政防災無線による呼びかけ、柿の木伐採や実の回収、登下校の安全確保-。クマの出没が多く続いている勝山市では、対策に懸命だ。クマによる負傷者も出ているなど、危険と隣り合わせの山際の市が、ソフト、ハード面で対応に追われている。本年度の市内でのクマの出没状況は10月末日現在、目撃が49件(昨年度同期比27件増)で痕跡が41件(同35件増)。出没全体では102件で、100件超は大量出没年だった2020年度(137件)以来。10月には70代男性が後ろから襲われて負傷。人身被害も同年以来3年ぶりだ。

(クマ17頭を捕獲、過去10年で最多:群馬)
全国で相次いでいるクマの被害に関連し、群馬県渋川市は6日、本年度は9月末までに市内で捕獲したツキノワグマが17頭に上ったと発表した。過去10年で年間を通じて最多だった2020年度の10頭を大きく上回った。市は捕獲地点が市内のほぼ全域に広がり、市民の生活圏に出没する恐れもあるとして、十分な注意を呼びかけている。市環境森林課によると、有害鳥獣対策として市が大型のおりで捕獲した頭数を集計した。昨年度までの10年間の捕獲頭数は、年間1~10頭で推移していた。昨年度の年間3頭と比較すると、本年度の多さは際立っている。同課は「そもそも市内でクマが多く出没するという認識はなかった」としている。本年度の地区別の捕獲状況は、渋川と伊香保、子持、赤城の各地区がいずれも4頭、小野上地区は1頭と、ほぼ全域に広がっている。北橘地区は0頭だった。渋川地区の捕獲地点はいずれも山沿いで、市街地は含まれていないという。餌となるドングリ(堅果類)について、県鳥獣被害対策支援センターは、今年は2年連続で「不作」とする調査結果を明らかにしている。市は餌不足が本年度の捕獲頭数の増加を引き起こしているとみている。県内では10月、東吾妻町で散歩中の80代女性が襲われて重傷を負った。本年度は5、6月の2件と合わせ、これまで3件の人身被害が確認されている。市は本年度の捕獲状況を踏まえ、人身被害に遭わないよう、市内でも警戒を強める必要があるとしている。市は目撃したり遭遇したりした場合の対応を、ホームページで公開中。目撃情報は防災行政無線やメールで提供している。

(「立派な環境破壊」富士山に“あるはずない”大量のどんぐりが撒かれ物議)
11月4日、ある登山ガイドのユーザーがX上に行った投稿に注目が集まった。その内容は、“富士山の標高2,400m地点で大量のどんぐりを発見した”というもの。ユーザーによると、この地点はどんぐりが生育しない標高だといい、“人為的に撒かれたのではないか”との疑念とともに、地面に落ちた大量のどんぐりの写真が投稿されていた。「この投稿に対して、《これは環境テロですよ》《元々生息しない地域だと環境破壊に繋がるのでは》《高山植物に影響を与えるかもなのでこれはアウト。立派な環境破壊です》と“どんぐり撒き”にショックを受ける人々が相次ぎました。また、一部のクマの保護を目的とした団体が、エサを求めたクマが人里に降りてこないように、クマの主要な食物であるどんぐりを集めて山に撒くという活動をしていることが以前から度々報告されています。そのため、“クマ避け”のためのどんぐりではないかとの指摘もあがりました。ただし、今回の“どんぐり撒き”がクマの保護団体によるものかはわかっていません」(WEBメディア記者)。仮に人為的に撒かれたものだとしたら、どのような問題があるのか? 富士山を管轄する環境省関東地方環境事務所の国立公園課の担当者に話を聞いた。「環境への影響は、どこからかわからない由来のどんぐり、つまり種子を持ち込むというのは、元々ない物であれば、ない物を持ち込むことになるので、生態系が乱れるのでよくないということです。また、どんぐりの中に入り込んだ虫なども、元々そこにいないものであれば、同じく生態系の乱れを招く恐れもあります」(環境省の担当者・以下同)。生態系の乱れの恐れと同時に、法令違反の可能性も指摘する。「標高2400メートルということですが、“特別保護地区”になるかならないかというところだと思います。“特別保護地区”では自然公園法上も、種子を巻くことは許可を受けなければできないとなっているので、もし“特別保護地区”であったならば法令の違反にもなります」。クマ避けの可能性も指摘されている山の中での“どんぐり撒き”。担当者は、クマがエサを求めて人里に降りてこなくなる効果があるかは「わからない」とした上で、弊害については次のように話す。「人為的に餌を与えるというのは、基本的には避けていただきたいことです。“人慣れ”、あるいはクマ本来の行動ができなくなったりということがあるからです。人馴れしてしまうと、それによって人との距離が近くなるという懸念もあります」。餌付けによって野生動物本来の行動パターンが変わって人間の環境に依存するようになり、その結果、さらに被害が増し駆除されることにもつながりかねないというのだ。生態系に影響を与える可能性がある上に、そもそも「野生動物に餌をあげないでほしい」ということから、環境省としてはこうした行為は「推奨できない」と話していた。

(クマ対策、進まない柿の木伐採:富山)
全国各地で、クマによる人的被害が相次いでいます。富山県内では、ことしこれまでに7人がクマに襲われ、高齢の女性1人が死亡しました。クマが山から人里に下りてくるのを防ごうと、食べ物となる庭の柿の木などを伐採する動きが広がっています。ほとんどの柿の木を伐採した集落では、クマの姿が見られなくなりました。しかし、多くの地域では、柿の実の収穫や木の伐採が、十分に進んでいないのが実情です。その背景にあるのが「高齢化」と「空き家問題」。クマの冬眠まであと1か月。

(クマ対策など意見交換:富山)
富山市当局と市選挙区選出の県議13人が意見交換する市政懇談会が7日、同市新総曲輪の県民会館であった。出没や人身被害が相次ぐクマへの対策について、県議らは住民のさまざまな要望を伝え、藤井裕久市長は「リニューアルするくらいの方策が必要と考えている」として、意見を踏まえて対応する考えを示した。クマについて市側は過去5年間の出没と目撃件数や、車の台数を増やした市職員による朝夕のパトロール体制、各自治会による対策を対象とする補助金の内容などを説明した。県議からは「対策を徹底していただき、地元としても喜んでいる」と評価する声が出た一方、果樹の伐採を住民自身が行うことを前提にした現在の補助金制度については、「(住民の)高齢化が進んで業者に委託したいとの声もある」として柔軟な対応を求めた。クマの出没が頻繁になり、「もう連絡していないとの声も聞く」として、目撃件数の正確性を疑問視する声も上がった。藤井市長は来年度の予算編成について「現状を捉えながら、現場重視でやっていきたい」と述べた。地域コミュニティーの維持や大雨などによる浸水被害対策も議論した。

(クマ被害対策、知事が財政支援など要望へ:富山)
クマによる人への被害が相次ぐ中、新田知事は9日、伊藤環境大臣と面会し、クマの捕獲にあたる県内の自治体への財政支援などについて直接要望することを明らかにしました。新田知事は8日開いた定例会見のなかで、9日、県議会議長とともに東京・霞ヶ関の環境省を訪れ、伊藤大臣に緊急要望を行うと明らかにしました。緊急要望では、環境省が北海道と東北3県を対象に実施する方針を示しているクマの捕獲などにあたる自治体への財政支援について、富山県内の自治体も対象に含めるよう求めることにしています。また、ことし、クマの出没情報の約8割が市街地など本来クマが生息していない地域で報告されていることから国がクマの行動パターンの調査を行うなど来年度以降の被害防止を見据えて対策をとるよう要望する考えを示しました。新田知事は「国が主導して市街地への出没傾向や行動パターンなどの生態調査を実施するようあわせてお願いしたい」と話していました。このほか、国の指針をもとに県がクマの捕獲数の上限などを定めている計画について、富山市から見直すよう求められていることに関連して「時間があれば伊藤大臣とも意見交換をしたい」と述べました。富山県内では10月のクマの出没情報が255件と去年の同じ時期の11倍余りに増えているほか、ことしは7人がクマの被害に遭いこのうち1人が死亡しています。

(JR千葉駅前に出没したイノシシは「災害」なのか)
千葉市のJR千葉駅前など市中心部に10月25日未明、イノシシが出没した。相次いだ目撃情報を受け、県警の警察官や地元猟友会が駆けつけて捕獲する騒ぎとなった。近年、各地で生息域を広げ、農業被害や人的被害が増えているイノシシ。街に迫るイノシシは「災害」だとして、千葉県議たちが防衛省に自衛隊の支援を求めるほど危機感を強めている。地元メディアなどによると、千葉市中心部で目撃されたイノシシはその後、港湾地区の海を泳いでいるのが見つかり、陸に上がってきたところを約20人が包囲。網やさすまたを使って捕獲したという。イノシシは体長104センチ、体重42.5キロの雌で、捕獲後に殺処分された。通りがかった男性が噛まれて負傷したほか、捕獲にあたった警察官2人もけがをしたという。千葉市環境保全課によると、市内では林や田畑が残る緑区や若葉区でイノシシの生息が確認されていたが、最近では人家に近い場所でも目撃されるようになっている。神谷俊一市長は、イノシシが現れた翌日の定例記者会見で、こう語った。「SNS上で流れた映像を見ると、私の自宅前の道路を通過していました。中央区の中心部でイノシシが確認されたのは初めてです。有害鳥獣対策をどう強化していくか、検討しなければいけないと感じています」。イノシシの被害は全国に広がっている。環境省の調査によると、ここ40年間でイノシシが確認されたエリアは約2倍に広がっている。最近では人を恐れず、市街地などに現れるイノシシも増えており、イノシシにかまれたり、牙で刺されたりした人的被害は昨年、過去最多の81人に上った。死者も出ている。急速に増えるイノシシ被害を受けて、環境省と農林水産省は13年、イノシシの個体数を10年後までに半減することを目標とする「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を策定した。そして捕獲を強化した結果、イノシシの数は14年度の120万頭をピークに減り始め、19年度には80万頭に減少。今年度中に50万頭にまで減らそうとしている。ところが、頭数は減った一方で、生息範囲は東北や北陸、関東で広がっている。14年度と比べて、19年度の生息範囲は全国で1.1倍に拡大したことが、環境省の調査で明らかになっている。分布域が広がっている地域の一つが関東地方で、そのなかでも著しいのが千葉県だ。千葉県が21年度に全市町村の農家組合長らに聞き取りをしたところ、県北の一部地域を除いて「イノシシの生息を把握している」という回答を得た。イノシシは米や野菜、果物などを食い荒らすため、分布の拡大とともに農作物被害も増えている。県内での農作物被害額は00年ごろから目立ち始め、16年には約2億6千万円に上った。イノシシの捕獲を進めているものの、その後も約2億円前後で高止まりしている。そして農作物への被害も深刻だが、電気柵の設置などお金や労力をかけたイノシシ対策もうまくいかず、あきらめて農業をやめてしまった人も少なくない。耕作放棄地は草が伸び放題の荒れ地となり、イノシシの絶好のすみかができるという悪循環になっているという。また、わなでイノシシを捕えても解体施設が限られるため、ジビエとしての活用もできていないのが現状だ。千葉県内のイノシシは、一度「絶滅」したとされている。県内では1952年から68年にかけて豚コレラがまん延し、72年に捕獲された2頭を最後に、県内から姿を消した。ところが86年にふたたび捕獲され、その後は2000年を境に捕獲数が急激に増えたのだ。「絶滅」したと思われていたイノシシがなぜ、復活したのか。県による聞き取り調査やイノシシのDNAの分析結果によると、80年代中期以降、イノシシは県外から複数回にわたって持ち込まれ、県南の鴨川市などに放たれたと見られている。 そして、その後の対策も後手に回った。イノシシによる被害は県南の一部の自治体に限られていたこともあり、他の自治体に危機感は共有されず、足並みを揃えた対策がとられなかった。県議会の自民、立憲、共産など超党派の議員からなる「有害鳥獣対策推進議員連盟」で幹事長を務める木下敬二さんは、「ある首長さんは『うちに本籍のあるイノシシはいない。たまに越境してくるやつがいるだけだ』と言っていました。ところがその後、その自治体ではイノシシが尋常でない増え方をした。当時、手を打っていれば、なんとか対応できたかもしれませんが、今となってはどうしようもない」と話す。県は15年以降、毎年2~3万頭を捕獲しているが、拡大を抑えられていない。イノシシは年に1回出産し、平均して4~5頭を産む。条件が良いときの繁殖率は1.63と推定されるが、計算上は1000頭のイノシシが翌年には1630頭、5年後には約1万1500頭、10年後には約13万頭に増えることになる。それに対し、イノシシの捕獲を担う県内の狩猟免許所有者は、1978年度の2万656人をピークに減少し、2020年度は3分の1以下の6578人。そのうち60歳以上は62%を占める。狩猟者の減少と高齢化のため、イノシシの捕獲が追いついていない状況なのだ。危機感を強めた議連は、打開策を求めて今年1月、防衛省に浜田靖一防衛相(当時)を訪ね、陳情書を手渡した。「野外活動の経験が豊富で、高度な技術を持つ自衛隊OBに、イノシシをわなに追い込む『勢子(せこ)』を担っていただければ、ありがたい」さらに現役の自衛隊員にも組織的な支援をしてほしいと検討を求めた。木下さんは、「これはイノシシによる『被害』というより『災害』です。でなければ、国防が本来業務である防衛省に、こんなお願いはできません」と話す。千葉県富津市が地元の浜田防衛相は、「お気持ちはわかります」と返答したという。しかし、木下さんには十分な手応えは感じられなかった。「十分にご理解いただけたと思います。ただ、今はそういう時期ではない、と考えられている印象を受けました」。さらに気になるのは、イノシシの行動が変化してきていることだ。臆病な性格のため、見通しの良い幹線道路も渡れないと言われてきたイノシシが、最近では人家の多い場所に出没するようになった。兵庫県神戸市では、人から危害を受けることはないと学んだのか、住宅地のごみ集積場をあさるイノシシも現れたという。関東でも同様の事態になる可能性は、十分にある。「敵は進化している」木下さんは危惧する。押しとどめる手立てもないまま、イノシシは街に迫っている。

(クマとの遭遇避けて「人間の努力必要」)
全国で人がクマに襲われるケースが頻発する。環境省の速報値によると10月は13道県で59件発生。71人が被害を受け、同時期では記録が確認できる2006年以降、最多だった。死者は3人。山陰両県でも、6月に島根県邑南町で男性が襲われ大けがをしたほか目撃情報が相次ぐ。県西部農林水産振興センター県央事務所の鳥獣専門調査指導員・岩下幸代さん(35)に、ツキノワグマの生態を聞いた。Q クマは人を襲う恐ろしいイメージがある。A 本当はおとなしく、人を恐れている。昼行性だが、餌を求めて人里に下りるのも日中ではなく人の少ない朝夕が多い。Q なぜ人を襲うのか。A 出合い頭で襲われるケースが多く、クマがパニックになっている場合がある。かんだりひっかいたりするが、クマからすれば狩りではなく、逃げるための攻撃。急所を狙ってくるわけでもない。Q 最近、市街地に現れ人を恐れないクマ「アーバンベア」が問題視される。A 「新世代クマ」などと間違ったイメージが先行しているが、アーバンベアとて人慣れしてはいない。人を避け本能的に逃げたいのは同じ。民家の敷地に侵入するのも身を隠したい気持ちによる。Q クマはどんな食性か。A 植物中心の雑食性で基本的に何でも食べる。春はタケノコ、夏はアリなどの昆虫、イノシシやタヌキの死骸も食べる。秋は冬眠前に脂肪を蓄えるためドングリなど脂の多い木の実を求める。足りないと栄養価の高い柿に強く執着する。普段いる山奥が木の実不足だと行動範囲を広げる。Q 出くわした際はどうすればいいのか。A 刺激するような行動を避けることが重要。クマが人に気付いていない、もしくはかなり遠くにいる場合は、静かにクマから目を離さず立ち去る。クマも気付き距離が近い場合は背を向けず、目を離さず、後ずさりするようにして去る。襲われたら急所を守る防御態勢を取る。両腕で頭を抱えて顔、頭部を守り、うつぶせになって腹部を守る。Q 山を歩くときに特に気を付けることは。A 遭遇時の対応を知っておくことも大切だが、出合わないことが一番大切。鈴を鳴らしたり、ラジオをかけたり存在を知らせながら山に入る。遭遇は朝夕が多い。この時間帯は特に山林での単独行動を避け、複数で入る場合は会話することを意識してほしい。Q 他の鳥獣との違いをどう見るのか。A 農林業に悪影響を与えるイノシシ、シカなどと比べると、被害の性質が異なる。島根県内では農作物被害の大半をイノシシによるものが占め、ツキノワグマは金額としては全体の1%未満に過ぎない。人を襲うのが問題だが、クマが望んでいるわけではない。人里や市街地に呼び込まないよう、人がいなくなり放棄された果樹の撤去や残飯、生ごみの処分の徹底など、人間の努力が求められる。

(拡大する獣害、人と農作物を守り共存を)
イノシシやクマなど野生動物の被害や目撃情報が全国で相次いでいる。過疎と住民の高齢化で荒れた田畑や里山が増え、野生動物の生息域が広がった影響が大きいようだ。人間と動物が共存できる環境づくりに知恵を絞りたい。今年は東北地方を中心に、クマが人を襲う被害が目につく。環境省によると、4~10月の被害者は死者5人を含む180人で、2006年以降最悪のペースで増加している。ツキノワグマが絶滅したといわれる九州では、イノシシやサル、シカの被害が多発している。山村だけの問題ではない。最近は福岡市などの住宅街で子どもがサルにかまれ、けがをした。都市の住民も十分に注意してほしい。福岡、佐賀、長崎、熊本4県では4~9月、8人がイノシシに襲われて負傷した。大きいものだと体重200キロを超す。突進されると危険で、22年度と21年度は全国で各1人が亡くなった。農作物の被害も甚大だ。農林水産省の調査では、21年度の野生鳥獣による被害額は155億円に上る。7割がシカ、イノシシ、サルによる被害だ。九州ではイノシシが田畑を荒らし、野菜や果物を食べたり、傷つけたりして農家を悩ませている。全国のイノシシの生息数は21年度で72万頭と推計されている。14年度以降は減少傾向にあるものの、1989年度と比較すると約4倍の数だ。シカは約8倍に増えている。野生動物は警戒心が強いため、かつては人間の生活圏に近づくことが少なかった。人の手が入らなくなった農地や里山が増えるにつれ、餌を求めて移動範囲が広がり、人間にも慣れるようになった。野生動物の行動範囲に合わせ、対策は自治体の枠を超えた広域で取り組むべきだ。野生動物を私たちの生活圏に近づけないために、すぐにできることはある。餌になるごみやペットフードなどを屋外に放置するのはやめよう。餌付けも禁物だ。農地を守るにはフェンスや電気柵で囲んで侵入を防ぐほか、捕獲が欠かせない。ただ、狩猟免許を持つハンターが高齢化で減っている。担い手を確保するには、捕獲した野生鳥獣の肉(ジビエ)の需要を増やし、ハンターの安定収入を支援したい。加工施設の整備も必要だ。特定の野生動物が増え過ぎると、生態系に悪影響をもたらす。捕獲には適正数を保つ意味合いもある。野生動物と遭遇した際に身を守るすべは頭に入れておきたい。大声で騒がず、なるべく背中を見せずにゆっくりと後退し、静かに離れることがポイントだ。石を投げるなど威嚇してはならない。山を歩く場合は、鈴やラジオのように音が出る物を携行すると良いそうだ。特に農林業で山に入る人や登山者は心得てほしい。

(「日本でクマ被害が増えているのはなぜ?」に対する1つの興味深い視点:亀山陽司)
今年は日本全国でクマによる被害が多くあり、痛ましい限りである。筆者が住む北海道でも道北地域の朱鞠内湖(しゅまりないこ)で釣り人がヒグマに襲われて死亡している。よく知られているとおり、ヒグマは北海道に生息し、本州以南に見られるツキノワグマとは別の種である。ヒグマはツキノワグマに比べ、凶暴で人を襲うというイメージがあるが、実際には、主食は野草や木の実、昆虫であり、動物を襲うことはそれほど多くない。筆者は北海道で林業に従事している。この春、苗木を植えて間もない造林地で作業していた際にヒグマの足跡が明瞭に残っていたのでヒヤリとした。それでも、苗木の根元を踏んで倒れないようにする作業(「根踏み」という)は続けた。というのも、クマは基本的には警戒心が強く、人がいるところに近寄ってくることはほとんどない。しかも、造林地のように隠れる場所もなく見晴らしがよいところであればなおさらである。そのため、危険は大きくないと判断したのだ。それでも、ヒグマの危険性を侮ってはならない。不意に山道で出会ったりして、ヒグマを驚かせてしまえば、襲われる可能性も十分ある。そのため、北海道では、クマの目撃情報や、糞や足跡などの痕跡が見つかれば、行政が取りまとめてマッピングし、一般に公開している。場合によっては公園やキャンプ場を一時的に閉鎖することもある。この夏、筆者の地元の中学生が課外授業で訪れるはずだった自然公園で、直前にクマの糞が見つかったため、課外授業が中止となったこともある。ヒグマの糞は大きく、他の野生動物とは段違いなのですぐにわかる。糞を見れば、何を食べたのかもだいたいわかる。筆者がよく見るのは、春先であればフキの繊維が残った白っぽい糞や、サクラの実を食べたと思われる種がたくさん残った黒っぽい糞。いずれにしても、木の実や野草を食べているようだ。しかし、クマが草食であることは必ずしもいいことばかりではない。里に下りてきて農作物を食べる個体も出てくるからだ。特に好物なのはデントコーンという飼料やデンプンに使われるトウモロコシで、農作物被害の約55%を占める。北海道によれば、2021年度のヒグマによる農業被害額は2億6000万円を超えて過去最高となった。では、なぜクマが里に下りてくるのか。それはやはり、山の中で十分に食料を得られないからだと考えられる。ヒグマは巨体であるため、木の実で腹を膨らまそうとすれば大量の数が必要だ。特に秋口には、冬眠に備えて脂肪を蓄えなければならない。そこで重要となってくるのが、秋の主食となるドングリである。ドングリは、ナラ、シイ、カシといったブナ科の樹木の実であるが、年によって豊作であったり、凶作であったりするという特徴がある。今年のようにドングリが凶作の年には、クマたちは食べ物を求めて里に出てくる可能性が高まる。もう1つヒグマの好物として知られているのが、コクワ(サルナシ)の実。つる性植物で、晩秋に直径3~4センチの緑色の実をつけるが、皮ごと食べるとキウイのように甘酸っぱくてとてもおいしい。しかし、つる性植物なので、木の高いところにまで登らないと手に入らないため、意外と食べる機会に恵まれない。去年の冬の初め頃、山で木を伐倒していたとき、倒したエゾマツにたまたまコクワが巻き付いていて、偶然コクワの実にありついたことがある。時期的に完熟しており、シャーベット状に凍っていてうまかった。そのとき、大先輩から「コクワはヒグマの食べ物だから、あまり食べすぎないように」と注意を受けたのが印象的だった。山は本来、人間ではなくヒグマをはじめとする野生動物の領分である。そこで得られるものは、人間が第一に食べていいものではない。味見程度にとどめておけ。そうしなければ、今度は山の生き物たちが里に下りてきて人間の作ったものを食べにくるぞ――ということなのだ。これこそが、人間と野生動物の領分(なわばり)についての基本的な考え方だと思う。北海道の酪農家に恐れられたヒグマに「OSO18」と名付けられた個体がいる。OSO18は2019年から、標茶や厚岸といった道東地域を中心に66頭もの乳牛を襲っている。警戒心が強く、しかけた罠にもかからず、対策に苦慮していたところ、今年の7月、釧路町のハンターによって偶然仕留められた。後のDNA鑑定によってOSO18であることが判明したのである。本来は草食性であるヒグマがOSO18のように動物を意図的に狙って襲う事例は特殊であり、一般的ではないが、その原因として指摘されているのが、増える一方のエゾシカだ。エゾシカがヒグマの食料となる木の実や山菜を先に食べてしまうこと、さらにエゾシカの死骸をヒグマが食べることで肉食化する傾向が強まるのではないかというのだ。エゾシカは明治期の乱獲で一時激減したが、ここ30年ほどで大きく増加しており、現在では、農作物や林業へのエゾシカ害は大きな問題となっている。北海道によると2021年度のエゾシカによる被害額は44億8000万円と、ヒグマと比べ桁違いに大きい。エゾシカの個体数は約70万頭前後で推移していると考えられている。ちなみにヒグマは2020年度の推定個体数で1万1700頭とされ、1990年度の5200頭、2014年度の1万0500頭と比べても増加傾向にある。そして、エゾシカの数の多さがヒグマを里に追いやっているとすれば、問題はヒグマだけの話ではなくなってくる。つまり、野生動物が全体的に増加している中で、人間の生活圏への野生動物の侵入という問題が発生しており、これにどう対処すべきかという話になる。野生動物の駆除については、動物愛護の観点から批判も見られる。OSO18が駆除されたときも、主に道外から批判の電話が20件ほど寄せられたという。野生動物が人里に出てくるのは、人間が野生動物の生活圏を脅かしているからである、との発想に立っているのだろう。「人間も自然の一部である」という観点から野生動物との共生共存を主張する立場もあるが、自然の一部というのはどういうことなのだろうか。本来、野生においては、動物たちは決して「共生」しているわけではない。動物によっては自分のなわばりを持って生活しており、エゾシカのように繁殖期には雄1匹を中心とするハーレムを作っているものもある。ヒグマはなわばりを持っていないと考えられているが、肩を寄せ合って互いに協力して生きているわけではない。つまり、野生動物の世界は基本的に自分の生活圏で「自己中心的」に静かに孤立して生活しているという表現が実態に近いと考えている。互いに適度な「距離」をとっている、と言ってもいい。親しき中にも礼儀あり、という言葉があるが、野生動物の世界にも、同じような適正な距離感というのがあると考えられる。人間と野生動物の関係も同じで、適正な距離感がなければ、関係が破綻してしまう。人里近くで生まれ育ったヒグマのことを「新世代熊」と呼ぶことがあり、新世代熊は人間の生活音に慣れ、人間を恐れないという。これは、ヒグマと人間の距離感が崩れ始めているということだ。こうした中、適正な距離感を保つために有効だと考えられるのが、人間に対する恐怖心、人間のなわばりに近づいてはいけないという認識を野生動物に与えることではないだろうか。その観点から有効なのが狩猟や許可捕獲である。狩猟というのは、狩猟免許に基づき狩猟期間中に狩猟鳥獣をとることであり、いわゆる狩りである。一方、許可捕獲というのは、生態系などへの被害防止や個体数調整を目的として都道府県の許可を得て行うもので、農作物被害等を防ぐためのものである。知り合いのハンターによれば、エゾシカはハンターを恐れて狩猟許可区域を避け、禁猟区にかたまっているという。つまり、狩猟行為がエゾシカに一定の圧力を与えていることになる。ヒグマについても同様のことが言えないか。1989年に春グマ駆除活動が中止されたことがヒグマに対する捕獲圧の緩和となって、ヒグマが人を警戒しなくなった要因と考えられているのだ。それまでは春になればハンターがクマを駆除していたため、ヒグマが人間の「なわばり」に近づくことを恐れていた。春グマ駆除活動中止直後の1990年の道内ヒグマ推定個体数が5200頭で、現在1万頭を超えているから、春グマ駆除中止は、ヒグマ個体数増加の原因にもなっていると考えられる。北海道では、近年のヒグマ出没件数、ヒグマ被害の増加を受けて、春グマ駆除活動を再開すべきではないかとの意見も増えてきているようだ。しかし、そもそもハンターの数が減ってきているという問題もある。つまり、野生動物の生活圏に近い山間部の人口減少とも関連していることになる。大きな視野で見てみれば、日本社会の人口減少によって、特に農村部の過疎化が進み、それが人間社会のなわばりを縮小させている、とも言えるのではないだろうか。つまり、ヒグマをはじめとする野生動物被害の増加は、日本社会の縮小という現実を反映している。私たちは日本社会の縮小という現実に適応し、野生動物との距離感を改めて考え直さなければならない地点に立っている。ヒグマやエゾシカは、何かの間違いで都市部に入ってきているのではなく、当たり前のようにすぐそこにいるというのが現実になりつつある。ヒグマが人間を警戒するように、人間も野生動物を警戒しなければならなくなっている。この現実は、人間が圧倒的優位に立って野生を脅かしてきたこれまでのあり方に疑問符を突き付けているのだ。

(クマだけじゃない「イノシシ被害」の壮絶な実態)
人里に降りてきたクマを駆除した自治体に対し、「人でなし」「可哀想じゃないか!」といった抗議が相次いでいるが、クマはれっきとした狂暴野生動物である。クマと出会ったらヘタしたら殺される。抗議をした者は、クマの命の方が人間の命よりも尊いと考えているか、パディントンや、くまモンのようにかわいらしく、温厚で人間と心が通じるとでも考えているのか。そんなワケがない。クマは恐ろしい。一度秋田や島根や新潟でクマに近付いた経験をしたら、もはや抗議をしたことを恥じることであろう。

(クマ出没を示す地図を分析すると対策のヒントが見える:富山)
県内で相次いでいるクマによる被害についてです。富山県は、住民に注意を呼びかけるため、クマがどこに出没したかを示す地図「クマっぷ」をホームページ上で公開しています。クマの目撃に加え、ふんや足跡など痕跡の情報がまとめられています。NHKは今回、過去10年のデータを入手し、専門家とともに分析。すると、クマがなぜ市街地などに出てくるのか、その背景と対策のヒントが見えてきました。県の面積の7割近くが森林で、クマの生息域が広い富山県。ことしの出没情報のうち、およそ8割が市街地など本来クマが生息していない地域でした。友人がクマに襲われた人「まさかこんなところでクマが出てくるなんて思わないから本当に怖い」。クマの被害を防ぐため、専門家とともに出没情報のデータを分析しました。県の自然博物園の職員で、クマの生態に詳しい赤座久明さんです。ことしは11月5日までに、493件確認されている出没情報。赤の点は、クマが目撃されたり、足跡や糞などの痕跡があったりした場所を表しています。10月上旬までは、山での出没が中心でした。ところが、中旬になると、市街地など平野部での出没が急増。10月、クマに襲われた人の場所は、すべてこうした地域でした。いずれも住宅の敷地内で被害にあっていたのです。なぜ、市街地などでクマが出没するのか。データから見えてきたのは、複数のルートです。1つ目が、川です。専門家「すごくジャングルみたいに育っているんですよね。クマが夜になるとその河川敷の林、草やぶから出て」。赤座さんが注目したのは、川沿いに集中する出没情報。山からこの川に沿ってクマが市街地へ下りてきていると見ています。川沿いを確認すると、草木が生い茂る場所が広がっていました。ことしはエサとなるブナやミズナラの実が不作だったため、エサを求めてさまよっていたクマが川沿いを通って市街地に出没したとみられます。赤座さん「この正面なんかも、コンクリートの上の堤防までぎっしりなってますでしょ。身を隠す場所がいっぱいあるんですよね。川沿いというのは、人が利用していないが故に、動物にとっては、割合安全に移動できるルートということですね」。さらに、別のルートも見えてきました。川がない場所にも関わらず、赤い点が山から市街地へ向けて連なっているところがありました。どのような場所なのか。赤座さん「これは昔の神通川の岸辺だったところで河岸段丘の崖、そこに林が成立している」。「河岸段丘」と呼ばれる地形です。崖が山から続くこの場所の近くには住宅地があり、かつては里山として利用されていたといいます。赤座さん「昔はやっぱり枯れ枝を取ったり、木を切ってまきにしたりと生活の場だった。人が山を離れたおかげでクマたちが自由に動ける場所になった」。クマを市街地に引き寄せてしまう大きな原因となっているのが「柿」です。冬眠を前にエネルギーを蓄えるため、人里にある柿を探しているのです。赤座さん「これは食べたあとですよね.まだ葉っぱ新しいでしょう」。黄色は、出没情報の中から柿が食べられたり、木が傷つけられたりした痕跡などのデータを抽出したもので、その数は49件。その周辺で、赤の多くの目撃情報があることが分かります。現場を訪ねてみると、ここにもクマが潜みやすい環境が見つかりました。田畑の中に住宅が点在する集落です。住宅の周りには、風を防ぐなどの目的で植えられた「屋敷林」と呼ばれる林があります。被害を受けた住宅は、いずれも屋敷林などの木々が近くにありました。赤座さん「屋敷林の茂みなんかにこう、日中はこもって、また同じ場所に行って食べると。熊にとっては快適な餌場で、長期滞在して、そこでまとまってえさが採れるっていう、そういう場所になってしまっている」。では、どのような対策ができるのか。赤座さんは、柿の実を早めに収穫したり、不要な木を伐採したりするほか、クマの進入ルートを断つことが有効だと指摘します。赤座さん「河川敷も、あの今みたいに、ずっと続くんじゃなくて、ところどころ(草を)刈って、むき出しの状態にしておく。クマがちょっとこう抵抗を感じるような、オープンな空間をね、やっぱりところどころに作っておくような、そういう管理が大事なんじゃないですかね。災害と同じですよね、減災とかって言いますけども、やり方しだいでは被害をうんとうんと低く抑えることができるんだ」。クマが冬眠するのは、12月ごろとされていて、あとひと月は警戒が必要です。

(3000回遭遇の名人ら激白!秋の凶暴クマから「命を守る」5か条)
列島がクマの被害に見舞われている。「熊に襲われた人の数は、4月からの半年間で109人と過去最悪。17道府県で死傷者が出ていて、年間の被害者数が過去最多になることは確実です」(全国紙社会部記者)。もはや、クマの活動領域は山中だけではない。「富山県では17日、自宅敷地内で70代女性がクマに襲われ、頭と顎に深い傷を負った遺体で発見されました。東京の町田市でも目撃されるなど、住宅地でも安心はできません」(前同)。犠牲者出た富山県で対策に当たる自然保護課の県職員は、こう話す。「現状、前年と比較して7倍ものクマが出没する異常事態です。毎年、山のドングリを調査していますが、今年は例年にない凶作。エサを求めているのでは」。富山市では、警察と猟友会が連日、パトロールする厳戒態勢の日々だという。「死亡事故が起きた家には柿の木がありました。“放任果樹”はクマを招くので、除去するよう呼びかけています。最近のクマは倉庫や車庫にまで侵入するので、戸締まりの徹底もお願いしています」(前同)。これらはクマに遭遇しないための対策だが、もし出合ったら、どうすればいいのか。“クマ王国”日本で生き抜く5つの対策を専門家に伝授してもらった。(1)自分を大きく見せる。「クマは自分より大きな生き物を怖がる。リュックを振って自分を大きく見せるべきです」(猟友会関係者)。(2)動かずに立ち尽くす「背を向けて逃げるのは禁物。クマに3000回は遭遇したというツキノワグマ研究家の米田一彦氏の話では、“30メートルほどの距離なら、立ち尽くしていれば、クマは木だと思い通り過ぎる”とのこと。それより近い場合は、後ずさりしながら離れるのが基本だと語っていました」(前出の記者)。(3)大声で追い払う。「クマは臆病なので大声で逃げていくことも。ただし、クマを目の前にして大声を出すのは勇気がいる。米田氏ですら固まってしまい、声を出せないそう」(前同)。(4)首を守って伏せる。「いわゆる“死んだふり”。米田氏は“首を守って丸まるか、伏せる”ことを推奨していました」(同)。一方、動物研究家のパンク町田氏は、防御に徹するのは最善ではないと言う。「首をガードして命を守ったとしても、重傷は避けられません。それより棒を振り回すなどクマと距離を取ったほうがいい。クマ被害が多いアメリカでは、戦ったほうが生存率が高いというデータがあります。そもそも、クマは人間を恐れるから襲ってくるんです。人間への恐怖を利用したほうが難を逃れやすいのに、死んだふりをすると逆効果になってしまいます」。(5)クマ避けスプレーで撃退する。「これが最も実践的な方法です。ただし携帯用だと数回の噴射で空になるので、遠くから何度も噴射していると、いざというとき役に立たない可能性も。最後の手段として、取っておくといいでしょう」(前同)。山歩きやキャンプをする際は、心の準備を。

(連日の悲惨なクマ被害、最後の手段「撃退スプレー」)
全国で、クマによる被害が連日報告されている。関西でも出没が相次いでいる。クマによる被害に遭わないために、私たちはどうすれば良いのだろうか?私たちが生活するすぐそばでクマは相次いで目撃されている。北海道で10月29日に目撃されたクマはカメラに気づいても逃げるそぶりもない。10月30日午後11時25分ごろには、富良野行きの1両編成の普通列車がクマと衝突した。クマの生死がわからず、乗客5人は、夜が明けてクマが死んでいるのが確認されるまで、約7時間にわたり車内で過ごした。北海道では66頭ものウシを襲ってきたヒグマ・OSO18が駆除されるなど、クマの被害は住民を恐怖に陥れてきた。環境省によると、クマによる被害にあった人は2023年9月までに全国で109人にのぼる。これは記録が残る2007年度以降で、過去最悪のペースだ。秋田県では取材班がクマの親子に遭遇した。さらに、長野県の柿畑で撮影された映像には、柿を目当てに集まったとみられる複数のクマの姿が映っていた。クマが立ち去った後には肉球の跡がくっきりと残っていた。死亡事故などもあり緊急点検を行うなど対策が行われている。クマの目撃は関西でも。滋賀・大津市の民家の目の前でクマが目撃されたという。クマの対策グッズも売り上げを伸ばしているという。アウトドア用品店では、人の気配を感じさせるために音が鳴る鈴や、鈴よりもさらに大きな音を出すことができるグッズなどが人気で、そもそもクマを寄せつけないためのアイテムも多く取りそろえられている。それでも、もしクマに遭遇してしまった時は「熊スプレー」だという。モンベル広報部 渡辺賢二さん:熊スプレーは10メートル以内に近づいた時に発射するものです。トウガラシのかなり濃い強い成分なので、肌についたらかなり痛いものですので、嫌がって一目散に退散する。最後の手段として撃退するスプレーです。最後の手段ということあって値段も高価だが、こちらも一時在庫がなくなるほどの売れ行きだそう。モンベル広報部 渡辺賢二さん:最近だと通学路とかにクマが出没するということで、学校単位で購入されることにまでなっています。特にことしは被害に伴って、2022年の1.2倍近く売れている。関西でも2023年、クマが人に危害を加えるケースがあった。15年前から比叡山に登っている鎌田東二さん(72)は、2023年の山の日に京都市左京区の比叡山でクマに襲われ、大けがをした女性を助けた。15分から20分かけて、沢を3つ越えて登った尾根で、叫びながら下ってきた青ざめた女性を見つけたということだ。血が流れる腕には、クマが爪を刺した跡がはっきり見てとれたそうだ。京都府などによると、女性を襲ったのは子グマを連れた体長150cmほどのツキノワグマだったそうで、トレイルラン中に登山道から外れた道を走っていたところで襲われた。女性は幸い、意識はハッキリしていて鎌田さんは救急隊に引き渡したという。この山道はトレイルランやハイキングだけでなく観光で来る外国人も多いそうで、鎌田さんは府などに頼み、4カ国語で注意を促す看板を設置してもらった。登山客も対策しているようだ。「鈴と笛を持っている。クマに『これから通りますよ~』と言って、笛を吹いたりしている」と話す。京都府では20年前より3倍以上クマが増えたとして、2021年から保護対象だったクマに対し、狩猟による捕獲を解禁した。京都府内の2023年度の出没情報を見ると、山だけでなく、住宅地での目撃情報も出ている。京都府農村振興課・藤井伊参事:今年は目撃が多いですね。今年の状況を見ると、過去と比べて比叡山の所ではちょっと出没情報が多いですね。京都府全体の数は例年と変わらないが、2023年は、かつて出没しなかった比叡山エリアに出てくるようになったそうだ。京都府農村振興課・藤井伊参事:寒くなれば減るんですけど、今1年の中で1番多い月ですね。クマがいる可能性があるという前提で、鈴をつけたりラジオを鳴らすとか、自分の存在をクマに知らせていただくといい。10月31日、国の対策会議が開かれた。環境省の担当者:今シーズンはクマの出没を踏まえて、クマ対策の専門家をクマ出没地域に派遣して、出没対策の指導・助言を行っていただきます。トレッキングやハイキングに最適な今の季節。クマが出没するかもしれないと思って、まずは個人でできる対策を行ってほしい。

(ヒグマはなぜ1発で仕留めなければならないのか:北海道)
数十年前のある日、池上さんの背中に寒気が走りました。山の中で、7~8メートル先にいるヒグマを狙っていたら、ヒグマがスッ……と茂みに沈んだのです。下手に背中を向ければ後ろから襲われる。かといって静止していても、ヒグマが茂みの中を移動してこちらへ来るかもしれません。「ヒグマの毛っていうのはさ、すごく柔らかいんだよ。音を消すんです。笹の音や風の音……茂みの中に沈んだらもう、気配を感じない。だから怖いんだ」。幸いこの時は、ヒグマがすぐに立ち上がりました。その瞬間に、喉元を狙ってその下の肺をドンッ! と撃ち、一命をとりとめました。現在73歳の池上さんは、北海道・砂川市の猟友会で支部長を30年以上務める、地区一のベテランハンターです。砂川市は、札幌から北東へ80km。12月中旬でも腰の高さまで雪が積もるほどの豪雪地帯で、あたり一面が白で埋め尽くされていました。砂川市を含め、北海道ではここ数年、市街地にヒグマが相次いで出没しています。そのたびに池上さんらハンターが出動し、地域住民を守っているのです。池上さんは1949年、北海道上砂川町で生まれました。母親は教育熱心で、戦後間もない1950年代に、まだ幼かった池上さんに知人のもとで英語を習わせたといいます。高校時代は美術や剣道、トランペットに打ち込んだ池上さん。卒業後は、「太平洋の真ん中でトランペットを吹いてみたい」という夢を胸に、北海道大学の水産学部へ進みました。北大では、少林寺拳法の同好会に所属。相手の手を掴んだだけで簡単に投げ飛ばす技を見て、「剣道とは違う、変わった武道だな……」と興味を持ったのです。「いつかは道場を開いて、子どもたちに少林寺拳法を普及したい」という目標も持っていました。大学卒業後は、国内トップクラス水産会社の一つ、株式会社極洋から内定を受けて上京しました。入社時面接で、大学で学んだ「捕鯨(クジラ漁)を取り巻く現状」を語った池上さんは、捕鯨部・漁ろう科に配属されます。その後3年間、捕鯨母船の指令室で、捕鯨船を指揮しました。しかし当時、捕鯨は世界中で反発運動が高まり、衰退の一途を辿っていました。その時、「この会社の捕鯨がダメになっていくのを見たくない」と感じた池上さん。同時に、「いつかは」と思い描いてきた、「子どもたちに少林寺拳法を教えたい」という気持ちが湧き上がってきました。池上さんは1975年、25歳で会社を辞め、砂川市に帰りました。ただ、少林寺拳法の世界では、指導者はあくまでもボランティアとして務めるため、生活するには本業を別に持たなければなりません。ある時池上さんは、市内に住む医者から相談を受けます。「池上さん、塾をやってもらえませんか?」。そのころ砂川市は、大手財閥が炭鉱会社や化学会社を営むなど、市全体に経済力がありました。一方で子どもの平均学力は低下しており、医者の頼みは、「医学部に行くような子を増やしたい。そのために、子どもたちに勉強を教えてほしい」というものでした。本職を探していた池上さんはさっそく、妻の実家のクリーニング屋の2階を借りて、学習塾「池上塾」を発足しました。車で数分の場所に、少林寺拳法の道場も開講。学習塾は、生徒が次々と地元の偏差値トップ校へ進学したことで、口コミですぐに評判になりました。市内の小中学生が100人以上、池上塾で学んでいたといいます。1978年には、知人数人で市議会議員選にも挑戦しました。市長選にも出馬し、惜しくも落選はしたものの5,000票以上の市民票を集めました。16時ごろまで市議会議員としてはたらき、夜は塾や少林寺拳法の先生として、子どもたちに教える日々。真面目で面倒見のよい池上さんは、あらゆる場所から引く手あまたでした。1970年代の時点で、すでにパラレルワークを実現していたというので驚きです。1981年、池上さんが41歳の時。仕事の合間によく通っていた喫茶店のオーナーが、池上さんにこう漏らしました。「農家のカラス被害がひどい。ハンターの人手が足りなくて困っている」。そのオーナーは、猟友会の当時の事務局長・藤井録郎氏でした。猟友会とは、すべての都道府県に設置されている、一定の条件を満たしたハンター集団のことです。池上さんは、資格を取ればハンターとして銃を持てると聞き、「農家のためなら」とやってみることにしました。「資格」とは、第一種銃猟免許のことです。狩猟に使う銃には、主に「ショットガン」と「ライフル」の2種類があり、この免許があればどちらも所持することができます。池上さんは、免許を取るために、浦臼(うらうす)町の射場でショットガンの訓練をしました。訓練とはいえど、銃は他人のものを触ってはいけないため、指導者はいても、結局は自分の銃で練習を繰り返すしかありません。池上さんは的に向かって何度も撃ちながら、ベストな”構え方”を研究しました。ショットガンとは、小さな弾が同時に何発も飛ぶ銃で、最大有効到達距離は約100m以内。鹿や鳥類を撃つのに適しています。ライフルは、日本で所持が許可されている銃の中でもっとも威力が強く、最大到達距離はなんと2,000m以上に及びます。その威力は「鉄筋すら破壊する」ほどで、ヒグマはライフルで撃つのだといいます。ライフルは、ショットガンを10年以上所持して初めて、所持許可を受けることができます。「銃の持ち方は、少林寺拳法の『左中段構え』に似ているんですよ。銃を中央に持ち、きちんと頬づけをする。そうしないと銃が跳ねてしまうから、しっかりとした構えが必要なんだ」。池上さんが「怖い」と感じたことは、この時から今の今まで一度もありません。「動じない精神を(少林寺拳法で)鍛えていたからね」と池上さんは笑います。免許を取得した池上さんはまず、事務局長から聞いたとおり、カラスの有害駆除を始めることになりました。有害駆除とは、自治体から依頼を受け、農作物の被害などを防ぐために行うものです。池上さんがヒグマを撃ったのは、それから10年以上後のことでした。山の食糧が豊富だった1980年代当時、ヒグマは人里になど降りてこなかったのです。初めて撃ったヒグマの記憶は薄れてきましたが、1990年代以降、ライフルを使えるようになった池上さんは、徐々に「箱罠(はこわな)」にかかったヒグマの駆除を依頼されるようになったのです。「檻の外からではなく、檻のすき間から銃を差し込んで、一発でドンッと撃つ。普通はおっかなくて、銃を中にも入れられないよ。ヒグマにこう(手で振り払う仕草をしながら)やられてしまえば、銃自体が飛んでいくから。ところがね、ヒグマっていうのは、覚悟するんだわ。可哀想だけど、頭を下げて『まいった』って」。撃つ場所は、脳天。体を傷つけず、一発で苦しまずに倒れるようにするためです。池上さんいわく、「ヒグマは頭のいい生き物」。箱罠の中で銃を向けられ、状況を理解するのだといいます。「可哀想だ」という気持ちは、池上さんの中に常にあります。もともと池上さんは、ヒグマの絵を頻繁に描くほど、ヒグマのことが大好きなのです。池上さんはヒグマを撃ったあと、必ずその場で手を合わせ、般若心経(はんにゃしんぎょう)を唱えます。「生き物を殺すということは、生命を断ち切ること。毎回、”命をいただきます”という気持ち」だと、絵を眺めながら話します。「仕留め方」は、藤井氏に教わりました。彼の教えは、「必ず一発で仕留めろ」。理由は2つあります。一つは、ヒグマが苦しまずに済むように。もう一つは、一発で死なない「半矢(はんや)」状態になった場合、反撃してくる恐れが極めて高いためです。ハンター自身の命が危険なことはもちろん、人に攻撃心を抱いたヒグマは、その先も人を襲うようになります。「一発で仕留めろ」という教えは、かつて経験したクジラ漁でもよく言われたことでした。そのため池上さんは、これまで必ず、一発でヒグマを射止めてきました。一度も外したことはありません。それが、どれだけすごいことなのか。ある時、池上さんが箱罠にかかったヒグマを撃とうとした際、「ヒグマを撃ったことがないので、代わりにやらせてほしい」と別のハンターに頼まれた池上さん。それなら、と任せたものの、銃を構えた腕がぶるぶると震え、いつまでも撃つことができなかったといいます。そう、大抵の人は、たとえ鹿や鳥類のベテランハンターだったとしても、巨大なヒグマを目の前にすると恐怖に圧倒されてしまうのです。ヒグマを一発で仕留めるために、池上さんが意識していること。それはまず、「四つん這いで歩いている状態のヒグマを決して撃たないこと」と、「20m以内の近距離から撃つこと」の2つです。下手に遠距離から撃ったり、動いているヒグマを狙ったりすれば、半矢になる危険があります。「半矢にするということは、そのヒグマを山の中へ探しに行き、必ずとどめを刺さなければいけないということ。『撃つ』というのは、とてつもない責任が伴うんです」。そして3つ目は、茂みの中に沈んでいる(かがんでいる)ヒグマに狙いを定め、ヒグマが立ち上がり、目が合った瞬間に撃つことです。撃つのは、箱罠とは異なり、ヒグマが立ち上がっているため喉元のやや下です。「立ち上がったクマはたいてい、こちらを見ます。その瞬間に撃たないと、ダーッと走って襲ってくる。そこが怖いのよ」。ここで、「麻酔銃を使えばよいのでは?」という、素人的な疑問も湧きます。たとえば、麻酔で眠らせたヒグマを山の中へ運び、そのまま置いてくることはできないのでしょうか?池上さんに伺うと、それは難しいと分かりました。まず、麻酔銃を扱うには、獣医師などが持つ専門資格が必要です。加えて、ハンターとして銃を扱う資格を持ち、その中でもヒグマを前にして発砲する度胸がある人は「まずいない」といいます。砂川の猟友会にも、ヒグマを撃った経験のあるハンターは、池上さんを含め3人しかいないのです。だからこそ池上さんは、自治体や警察にとっても頼れる存在です。そもそも池上さんたちハンターは、なぜヒグマを撃つのでしょうか?池上さんが「我々は“熊撃ち”じゃない」と言うように、商売や趣味、そしてヒグマを撃つことを生き甲斐にしている人たちと、池上さんのように「有害駆除」のみ行うハンターでは、目的が大きく異なります。池上さんたちの場合、「自治体」「地域の振興局」「警察」の三者が「駆除したほうがよい」と判断して初めて、猟友会に依頼が来ます。この時、特定のハンターが指名されることはありませんが、支部長である池上さんは、自ら担当することが多いといいます。自治体ごとの「目標頭数」というのも存在します。各自治体で目指す、ヒグマの駆除数のことです。なぜそんなものが定められているのかというと、ヒグマによる農作物被害は深刻で、2019年には、その被害額が北海道だけで2億円以上に及んでいるからです。「農業ってのはね、農家さんの一生の中で、できる回数が本当に少ないんだよ。1年に1回しか収穫できないと考えると、30歳から60代までやったとしても、30数回しか収穫のチャンスがない。そのうち1回がだめになるだけで……農業の被害っていうのは、本当に言い難いものがある」。お金のためにプロハンターになろうと考える人は近年、ほとんどいません。国からの報酬はあるものの、生活の糧にできるほどではないからです。2019年以降、砂川の猟友会では、ある事件を機にヒグマの駆除を一旦取りやめています。ただ、池上さんのもとには今も、自治体から「プロファイリング」の依頼が頻繁に舞い込みます。プロファイリングとは、ヒグマの足跡や目撃者の声から、ヒグマの移動ルートを探ることです。約30年ヒグマと向き合い、山を熟知した池上さんだからこそ成せる作業です。「DNA鑑定などでプロファイリングをする専門家とは違い、我々ハンターは、現場で『動物と植物の動き』を目の当たりにして判断するんです。山の変化は、毎日見ないとわからない。早朝に行くのは、ヒグマたちはいつも、夜明けとともに麓へ水を飲みに来るからです」。そんな池上さんを、ヒグマたちは影から見ているのでしょうか。ある牧場から「ヒグマがしょっちゅう出て困っている」と言われ池上さんが訪れたところ、現場に着くや否や、目の前に突然、ヒグマが現れました。ところがヒグマは、池上さんを見るなり、ものすごい勢いで逃げていったのです。「ヒグマは、怖い人間とそうでない人間を見分けているんです。我々が鹿を解体する現場も、ヒグマは遠くから見ている。解体中に1~2分その場を離れて戻ったら、忽然と鹿がなくなっていたこともあるし、残滓(ざんし:死がいのこと)が掘り起こして食べられていることもある。ヒグマが持って行くんです」。「いろいろな見解があるけれど、私は、ヒグマは単にエゾシカを追ってきているだけだと考えている」。北海道内でその数を増やし続けているエゾシカ。天敵だったエゾオオカミの絶滅や、ハンター人口の減少が原因だと言われていて、そのせいで山の食糧が不足し、人里に降りてくるのです。「ヒグマは肉食動物。もちろん野菜や果物も食べるけれど、それは彼らにとって、前菜やデザート的な存在。メインディッシュは、やはり肉。たとえばあなたの目の前に、牛のサーロインステーキと“草”があったら、どっちを食べたい? ヒグマも、人間と同じさ」。増えすぎたエゾシカを減らそうと、北海道では今、「鹿肉をジビエとして食す」ことがトレンド化しています。そのためハンターが駆除したエゾシカも、一部は、道内に15以上ある「エゾシカ肉処理施設」へ送られていきます。これを池上さんは、本来「山に置いてくるべき」だと考えます。そうすれば、ヒグマは山の中でエゾシカを食べることができ、自然の原理でエゾシカは増えなくなる。農作物の被害も減り、ヒグマを必要以上に殺さなくて済むのだ、と。池上さんは今、ハンターとしてヒグマのプロファイリングをする傍ら、少林寺拳法の道場に通う子どもたちに英語を教えています。池上塾の教え子たちは、東大や東北大、早稲田、一橋などの有名大学を卒業しました。過去には「池上さんのようなハンターになりたい」と訪ねて来る若者もいましたが、池上さんは簡単にOKを出しません。というのも、生き物を銃で撃つということは、「反発を受ける」ことが日常になるということ。池上さんのもとにも、抗議の電話が掛かってくるほか、ひどい時には恐喝まがいの言葉を吐かれることもあります。「撃つことでその人の人生が変わる。家族がいる人に、安易に『行ってくれ』なんて頼めないでしょ?」。池上さんの心の根底にあるのはいつも、「半ばは自己のために、半ばは人のために」という少林寺拳法の理念です。自己を確立できたら、その力を社会や人のために役立てよう──。そうした意味が込められているといいます。「一番はやっぱり、教育一筋。ただ、少林寺拳法の『一瞬の判断で決める』という教えは、『命を守る』というハンターの仕事につながるんです」。大自然の命と向かい合いながら、住民の命を守る。池上さんは今日も、猟友会の支部長として、自身のやるべきことをまっとうしています。

(クマの糞を291個拾った学生を、研究の道に導いた“卒論提出3ヶ月前の悲劇”)
若くしてツキノワグマの生態を解き明かす新発見を重ね、今や日本を代表するクマ研究者となった東京農工大教授・小池伸介氏。その原点は山梨県の山岳地帯で道なき道をさまよい歩いたクマのウンコ拾いの日々だった。順風満帆のウンコ拾いで卒論に突入した若者を襲う教授の学者魂! 提出3ヶ月前のテーマ変更という絶体絶命の危機に追い討ちをかける就職氷河期の洗礼......。迫りくる新卒無職の危機に小池氏が選んだ道とは!?ウンコ集めと糞分析が終わり、あとは卒論にまとめるだけ。そうすればめでたく卒業である。当時私は大学院に進んで研究者になろうなどという気は毛頭なかった。無難に卒論を提出して、高校教師になりたかった。だからほどほどに卒論を書いて卒業することしか頭になかった。クマの糞分析の先行研究では2年間で193個ウンコを拾っていた。私は1年半で291個拾った。記録更新である。もう十分だろう。俺の卒論終わったな!しかし世の中はそんなに甘くなかったのである。不幸は、卒論の進捗をゼミで発表しているとき、古林先生に、「クマのエサの中で夏はヤマザクラを〇個食べていて、秋はドングリが〇%ぐらいを占めていましたね」。そう報告したところから始まった。報告を聞いた先生からは、「なんでヤマザクラだけ食べた個数がわかるわけ?」と鋭い質問が飛んだ。古林先生の研究対象はシカで、シカは食べ物を胃の中で反芻する。だからほとんどの食べ物が細かく噛み砕かれてしまって、「この木の実を〇個食べた」というのがわからないのだ。あとで知ったが、シカなどの植物食動物の糞分析は、クマの比にならないほど細かく、植物の破片を顕微鏡で調べて気孔の形の違いなどから食物を特定したりする。何も知らなかった私は平然とありのままを答えた。そんなの、ヤマザクラの実の中にタネが1個入っているから、タネの個数を数えれば何個食べたかなんてすぐわかる。噛み砕かれていたとしても、破片からタネの個数が推定できる、と。古林先生の瞳がキラーンと光を放った。「ちょっと待った。クマの糞にはタネがそのまま入っているんだね?」「ええ、そうですね」。この何気ない私の回答がどうやら先生の研究者魂に火を付けてしまったらしい。「もしかしたら、クマは木の実を食べることで植物の種子を運んでいるんじゃないのか」「確かに......そういうことになりますね」「いや~、面白いよこれは! そこをもっと調べてみたらきっと面白い研究になる」「鳥だけではなく、クマによっても植物のタネが遠くまで運ばれるかもしれないということですよね」「これ糞分析じゃなくて、シュシサンプという切り口で卒論を書いてみたらいいんじゃないのかな」。古林先生、大興奮。真面目な学生たちも加わって何やらめちゃくちゃ議論が盛り上がっているじゃないか。しかし、何なんだよ、「シュシサンプ」って。そんな言葉知らねえよ。なんかの呪文か? と、私は思った。ここで読者の皆さんにこの「シュシサンプ(種子散布)」について、ちょっと補足説明しておきたい。植物はなるべく遠くへと自分のタネをまきたい。というのも、自分の種(しゅ)の生息域を広げておけば、例えば森林火災や土砂災害などで自分の生えている場所の植物が全滅しても、子孫がどこかで生き残れる可能性が高まり、絶滅を免れることができるからだ。もちろん、植物は自分で動いてタネをばらまくことはできないので、さまざまな工夫をする。タンポポのようにタネに綿毛をつけるのも種子散布の工夫のひとつである。綿毛によってタネは風に乗れるから、遠くまで運ばれるだろう。もうひとつ、動物による種子散布もある。果実を動物に食べてもらい、動物の体内で消化されないタネがウンコに混じって排出される。動物が移動しながらウンコを出せば、タネは元の木から遠くに運ばれるというわけだ。これを周食型の種子散布という。また、リスなどの動物は植物の実をどこかに貯めて、そこから少しずつ食べる性質があるが、その実を貯めた場所を忘れてしまったり、貯めた実を食べきれなかったりすることがある。すると、その実のタネは春に発芽する。こちらは貯食型の種子散布である。それまで周食型の種子散布を行うのは鳥類だと考えられてきたが、ちょうど私が卒論を書こうとしていた2000年ごろは、世界中で哺乳類による周食型の種子散布の可能性が注目され始めた時代だった。クマは周食型の種子散布者かもしれない。それは、古林先生のみならず、研究室のメンバーを興奮させたのである。シュシサンプ!シュシサンプ!シュシサンプ!先生も、大学院生も、勉強熱心な同級生も、熱に浮かされたように「シュシサンプ」を繰り返す。議論にはついていけないし、彼らが何をいっているのかさっぱりわからなかった。それでも非常にヤバい事態が起こっていることだけはわかった。このとき、大学4年生の10月。そろそろ集まったデータを分析して論文を書き始める時期である。それなのに、新たに哺乳類の種子散布の先行研究の論文を読み、再びヤマザクラ以外のタネを数えなければならないとは!本人を置いてきぼりにして勝手に盛り上がるのはまだいい。しかし、提出3ヶ月前に卒論のテーマを勝手に変えて、たんまり面倒くさい作業を押し付けるのは本当に勘弁してくれ......。実は結果的にこれが私に研究者への道を開くきっかけになるのだが、あのときの私にとっては、きわめつけに不幸で不運な事故でしかなかった。本人の思惑をよそに勝手にテーマを変えられてしまった卒論。とにかくデータ分析をやり直さねばいけない。つまり、集めたウンコに入っていた22種類のタネを数え直すのだ。幸か不幸かウンコを洗って出てきた植物のタネは、アルコールに漬けて保存してあった。ひとまずこれを数えるとするか......。ところで、数えるべき植物の種子とはどういう形をしているかご存じだろうか。まず、ヤマザクラの種子というのは、サクランボのタネのようなものである。これはまだいい。問題は、キイチゴやサルナシである。ざっくりというとキイチゴはイチゴの野生種、サルナシはキウイフルーツの野生種である。そのタネは? イチゴの周りについているプツプツした白い粒、キウイフルーツの中に入っているプツプツした黒い粒がそれである。あれを1粒ずつ数えるのだ。サルナシを食べたウンコなら1つあたり1万粒ほど入っている。アルコールに漬けているので、リキュールのような香りがする。嗅いでいるうちに気分が悪くなる。そしてアルコールが飛ぶと、乾いたタネは鼻息レベルの風で飛んでいってしまう。だからアルコールが飛ぶ前に10個ずつなどの塊にしなければいけない。時間との闘いだ。その作業を、研究室のメンバーが帰ったあとにトレイにタネをあけて、夜な夜なやった。夜に細かい粒を見つめるので目も疲れてくる。酒でも飲まなければやってられん! と、冗談抜きに思ったから、本当に飲みながら数えた。ここへきて、ウンコを張り切って拾いまくったことを心から後悔した。あんなに拾わなきゃこんな苦労しなくてよかったのに。結果としてウンコを集めすぎたのがあだになるとは夢にも思わなかった。こうしてもはやヤケクソの気分で夜な夜な地道にカウントをひたすら行い、ようやく終わったのが12月。これだけ苦労しても卒論の中では「このタネが〇個」という表が1つ増えるだけなのだ。ほかの同期からはもう卒論を書きあげたという声が聞こえ始める。なのに、自分はここからがスタートラインなのだ.......。しかしやらなければいけない。実はこのころ、私の進路は崖っぷちであった。目指していた高校教師の道が閉ざされてしまったのだ。教員不足の今では想像できないが、当時は就職氷河期真っ只中。公立の教員採用試験の倍率は非常に高く、狭き門だったのである。私立に行くにしても男だらけの学校は嫌だった。しかし、新卒の男性教員を女子校はまず採用しないし、共学は倍率がなかなかエグい。結局私は就活に失敗してしまった。しかも、夏に実施された農工大の大学院の入試、すなわち院試にも落ちてしまっていた。院試は翌年2月にもう1回チャンスがあるものの、ここで落ちたら新卒の無職になってしまう。うにかこうにか卒論をまとめ、卒論の発表会を迎えた。その翌日が院試である。卒論の発表が終わってお祭りモードの同級生たちが打ち上げに向かう。しかし私は参加できない。「お前は絶対に来るな! 院試落ちたらどうするつもりだ」とこっぴどく叱られていたのであった。今日はこれから勉強をしなければいけない。あの悲しさを今も忘れられない。結局なんとかその2月の試験に合格し、修士課程への進学が決まった。しかし、そのころ私の周りには博士課程に進む人はいなかっため、就職するまでの腰かけぐらいのつもりしかなかった。次の2年間を適当にやり過ごすことしか頭になかったのである。英語は嫌い。研究にも熱心ではなく、いかに楽をするかしか考えていない。そんな不真面目な学生だったあのころの私を知る人たちはみんな、私がクマの研究者になり、母校の教授として学生たちの指導をする立場にあると知って驚き呆れる。まあ、それも当然だろう。人生本当に何があるかわからない。

(クマにかじられた「顔面」は路上に落ちていた…)
熊による今年度の人的被害が、統計開始以降最多を更新している。ヒグマ、ツキノワグマを問わず、熊は人間の顔面や頭部を執拗に攻撃する習性があるという。そのため、「命に別状はない」と報道される場合も、実際は頭部や顔面が激しく損傷するなど、凄惨な状況であることが多い。先日、秋田大学医学部付属病院が提供した「熊外傷」のCT画像をNHKが公開した。農作業中に遭遇し「熊に顔をひっかかれた」被害者が、顔面中央部分を激しく損傷していることが、CT画像からもはっきりとわかった。これを受け、「熊外傷」の公開論文のURLと共に、「形成外科が関わる顔面外傷でも最悪の類」と、X(旧:Twitter)にポストしていたのは、海外を拠点にする再建・形成外科医、世界のどこかで再建外科(@Recon_surgeon)さん。論文に掲載された想像を絶する症例に対し、多くの医師からも反響が寄せられた。一連の投稿に対して、「今年13件目を手術しました。いちばんひどかったのは、中顔面をかじり取られて、顔面動脈吻合で再接着。顔面移植ってこんな感じなのかと思いました」とコメントしていたのは、医学部附属病院の形成外科医、ぽっぺん師匠(@2DVDinmVxMeTJjp)さん。ぽっぺん師匠先生によると、通常は年に1件あるかどうかという「熊外傷」の手術を、今年はすでに13件も担当。明らかに「今年だけ全く状況が違う」のだという。ぽっぺん師匠先生がXに投稿していた、「熊にかじり取られた中顔面(下まぶたから上唇までの顔部分)」は、約4時間を費やし、「顔面動静脈を顕微鏡下に吻合することで血流を再開させてつなげる手術」を実施。熊にかじり取られた被害者の中顔面は、「眉間から両下眼瞼、頬、鼻、上口唇がひとまとまりに路上に落ちていたのを、救急隊が拾って持って来てくれました」と、ぽっぺん師匠先生。この言葉からも、「熊外傷」の凄まじさが容易に想像出来ることだろう。「熊は顔面を狙って攻撃してくることが多く、顔面に重篤な破壊を加えられると後遺症を残すことになり、その後の人生に大きな影響を与えるものとなります。普段接することがないほどの強い力で襲われるため、特に顔面に残る後遺症は、傷跡だけでなく、顔が動かなくなり、眼が開かない、閉じない、口が動かないなどの症状が残り、対策の手術を繰り返すことになります」(ぽっぺん師匠さん)。「患者さんに話を聞くと、ほとんどが突然襲いかかってきた、あるいは後ろから襲われた、藪の中から飛びかかってきたといった受傷形態です。熊に出会ったら熊から眼を離すな、後退りしてゆっくり離れろ、などと言われていますが、このような対策は現実的ではないと感じます」と、ぽっぺん師匠先生。それでも、「熊の鋭利で長い爪で眼球を引っかかれると失明を免れないため、眼を守ることが被害を小さくする対策として有効であると考えます」と、先生は語る。転落事故や交通外傷など、重傷例を担当する整形外科医でさえ絶句するという「熊外傷」。秋田県では住宅街にもツキノワグマが多数出没しており、通学や通勤、買い物など、日常の外出でさえ危険な状況だという。にも関わらず、被害地域外から「熊の駆除」への苦情が寄せられていることに対して、「熊外傷」の手術・治療にあたる形成外科医として、ぽっぺん師匠先生はこんな風に話す。「過去にも異常気象により植生が変動した年はあったはずなのに、今年だけ特殊な状況にある理由については、まだはっきりとは解明されていません。山の斜面を切り拓いた太陽光発電パネルの設置など、人と熊の生息域の境目が変わったことを原因のひとつとしてあげる方もいますが、判然とはしません。イノシシとのエサ争いに負けたのではないかと考える意見もあります。杉を植林した山を、本来の植生である広葉樹林に変えるのは理想的な構想です。しかし、自然回復のための公共事業には多額の予算と時間がかかるうえ、どのような効果があるかは予測不能です。野生の猛獣が山奥から人の住む領域に出てきて、人的被害が出ているのが今年の状況です。熊を絶滅させることが正しいとは思いませんが、単純に駆除される熊がかわいそうというのは、被害地域の住民には理解されない意見だと思います」(ぽっぺん師匠さん)。熊に襲われた際の「熊外傷」は、例え命が助かったとしても、複数回の手術や感染症治療、術後の後遺症、顔面損傷による社会的なダメージなど、その後の人生を大きく狂わせるものだということを忘れてはならない。

(「熊は出るんじゃない、いるんだよ」)
近年、北海道や秋田県をはじめ、日本各地で熊が人間の生活圏に出没し、被害が発生したという報道を頻繁に目にするようになりました。生活圏への出没が増えた原因としては、熊のエサとなる木の実などが不作のため山で採れなくなったため、食べ物を求めて人里へ降りてきているためだと考えられています。X(Twitter)にも熊を目撃した体験や被害にあったエピソードが多数投稿されており、熊は人間が簡単に相対できる生き物ではないことを伺い知ることができます。ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)が解説する「3分くらいで分かる週刊X(Twitter)トレンド【J-CAST出張版】」、今回は「熊との遭遇」について掘り下げます。あるXユーザーは山が近くにある土地に引っ越した際、近所の人と熊について話をしたエピソードを投稿しました。そのユーザーは近所の人に「(このあたりに)熊、出ますか?」と聞くと「熊は出るんじゃない、いるんだよ」と答えたそう。この返事にその時は笑っていたものの、一年住んでみた結果、「出るんじゃない、いるんだな」と実感したのだそうです。この投稿には森林のそばに、一頭の熊が写った写真が添えられており、まさにユーザーが「熊はいる」と感じたことを現す一枚となっています。熊は子熊であり、姿を見つけた時は車に乗っていたこともあり、その場を無事立ち去ることができたそうです。さらには、ヒグマの足跡を発見した体験談が拡散されたこともありました。北海道の湿地で昆虫採集をしていたXユーザーは、まだ出来たばかりと思われるヒグマの足跡を発見。このユーザーに被害はありませんでしたが「これが走馬灯か...」と投稿しています。投稿された画像を見ると、足跡の大きさは人間とほぼ同じくらい。投稿者は、足跡の水の染み出し具合から、足跡がついたのは「10分前かそこらか」と予想したそう。出来て間もない足跡があるということは、身体の大きなヒグマが投稿者のすぐ近くにいることを意味しています。ヒグマは時速40km~50kmで走る能力を持っているので、全速力で向かって来たら人間が逃げることは困難です。生々しいヒグマの足跡の画像を見たXユーザーからは「本当に怖い」「出会ったら生きたまま食べられますね...」「熊の足跡(の画像)が流れてきてゾッとしました。無事でよかったです」と投稿者の無事に安堵する声が集まりました。投稿者は熊に出会わないための対策をしっかり確認することを呼びかけており「走馬灯が~...とか言ってますが、最悪の場合、走馬灯すら見ずに終わりますので」と述べていました。目の前に熊が現れ、格闘したという体験談もあります。あるXユーザーは熊に襲われた結果、1週間入院。左手の指を骨折するなど、全治3か月の大けがを負い、ニュースでも実名で報じられたことなど、熊に襲われた体験の一部始終をXに投稿。生々しい体験談は多数のユーザーから拡散されました。熊は「遭遇した」と気づいた4秒後には襲いかかってきたといいます。その時の様子について「熊は蹴ると岩のようだった」「熊よけのスプレーを持っていたが、至近距離で出会うと熊よけスプレーを取り出す暇さえない、ということを考えていなかった」のだそう。しかし、熊に人間が歩いていることを知らせるための「熊鈴」はつけていなかったと反省を交えつつ述べており「熊鈴をつけて歩くべき」であること、保険から入院費を賄うことができたことから「山岳保険に必ず加入すること」が大切だと伝えています。さらに、熊は思っているより近くにいると実感できる話もあります。あるXユーザーは熊の研究者である米田一彦さんが述べていた言葉を引用しつつ、熊から逃げるには「東京都以南の大都市に住むしかない」と投稿しています。この投稿について納得する声が多く、「さすが国土の4分の3が山というだけのことはあるな...」「熊の心配をしないでもいいのは九州くらい」との感想が集まっています。熊は九州をのぞく、日本全土のほとんどで生息している生き物です。そのことを考えると「熊は出るんじゃなく、いる」という認識でいる必要があるのではと思えてきます。これらの体験談などから、熊は遠くに姿を見つけた、あるいは足跡があったというだけでも人間の身に危険が迫っているのと同じであることがわかります。もし熊と遭遇するようなことがあっても、適切な対応ができれば難を逃れる可能性はあるので、これらの体験談を教訓として心得ておくとよいかもしれません。

(クマ被害が過去最多、世界初の映像から分かるクマの生態を知り身を守ろう)
環境省は、今年4月から10月末までにクマに襲われるなど被害に遭った人が全国で180人に上ったと発表しました。統計を開始した2006年以来、過去最多ということです。なぜここまで被害が拡大しているのか…実は異例の暑さもその一因なんです。一体どういうことなのか、クマの生態を世界初の映像から知り身の守り方をお届けします。環境省は、今年4月から10月末までにクマに襲われるなど被害に遭った人が全国で180人に上り、うち5人が死亡したと発表しました。クマ被害は統計を開始した2006年以来、過去最多ということです。日本に生息するクマは2種類。北海道のヒグマと本州・四国のツキノワグマ。今日注目したいのはツキノワグマです。一体どんなクマなのでしょうか?本当に身近な動物でありながら、意外とツキノワグマのこと知らないのかなということを私も実感しました。まずは体長からです。頭から尾までですと110から130センチ、そして体重はオスで80キロ程度と、オスの方が大きいですね。メスは50キロ程度、そして胸に三日月の模様があることが特徴です。大きな体ですが大変運動能力が高いんです。走る速度は車並み、短時間だったら時速50キロぐらいで走ることができます。100m走にすると7.2秒ですから、世界記録よりも速いということになります。それから、木登りが得意です。爪の立つものなら垂直の壁も登ることができます。また、水を恐れないので、おそらく泳ぐこともできるのではないかということでした。横倒しにしたドラム缶の中でUターンができるほど柔軟性が高いそうなんです。狭いところでもくるっと回れるんですね。ですから動物界の中では天敵は存在しないと言われるのが、クマであるということでした。岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:天敵はもうほぼいないですね。森林の生態系の中では今、頂点の動物になっています。また五感も優れているんです。長年ツキノワグマの観察などをしているNPO日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長によりますと、4キロ離れた先でも餌のにおいがわかるそうです。視覚、目も良いんです。人間並みかそれ以上といわれています。聴覚も良いです。高音に敏感。ですからクマ除けの鈴を持っていると効果的と言われますよね。このようにクマの生態を知ることは、私達は自分の身を守ることにも繋がると山内先生は指摘しています。岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:非常にやっぱり頭が良くて知能があるというよりは、非常に学習能力が高い。例えばゴミ出しっぱなしにして、一度美味しいものを覚えちゃうと、もう頻繁に来るようになったり、学習能力の高さは非常に伺える。ここからは、クマは一体何を食べているのか、食性について見ていきます。ツキノワグマは雑食なんです。ただ肉よりも植物性のものを好んで食べるようです。また季節によって食べるものが変化していきます。春、柔らかい新芽などを好んで食べます。夏は、木苺などのベリー類、それから昆虫を食べます。実はツキノワグマというのは消化能力があまり強くないので、夏の硬い葉っぱというのはあまり好きではなく、夏にはどちらかというと、餓える傾向にあるということです。岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:餌がないので。すごく広範囲を動き回ることに加えて、初夏の時期はちょうど繁殖期にあたるので、特にオスはメスを求めて、広い範囲を動くので人と遭遇する確率が非常に高くなる。018年5~6月に捕獲した4頭の大人のクマにGPSとカメラのついた首輪を装着して、東京農工大学大学院グルーバルイノベーション研究院 小池伸介教授らの国際共同チームが野生のツキノワグマの採食行動を記録することに世界で初めて成功した映像があります。・カスミザクラという山に自生している桜の実を食べているところ。・ササを前足で上手に抑えながら柔らかいところだけ食べている。・朽ち木を崩して、中に住んでいるアリの巣。特に夏場だとアリも食べるようです。・死んだカモシカを食べている映像、も捉えられていました。基本は雑食なんですよね。岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:ほとんど植物なんですけども、たまたま自分が歩いて行動範囲に動物の死体などがあった場合には死肉を漁ったりすることもあります。山の中にはこれだけいろいろとクマが食べるものがありますよね。それなのになぜ人里に下りてきてしまうのか?それは、体の大きなオスなどの個体が山の中の食料を優先的に食べてしまうからだそうです。そこからあぶれてしまった子連れの個体、それから若いクマが食料を求めて人里近くに降りてくるそうです。ただ通常市街地で目撃されるのは、先ほど話しました食料が少ない夏の時期なんですが、山で豊富に食料があるはずの秋に、これだけの人身被害があるというのは異常事態だというふうに山内先生が言いました。先生まず今、記録的にブナとかとれていないという話ですが強い大きな個体は(少ないブナで)何とかこの秋をしのいで餌がない子どもであったりとか、子連れであったりとかっていうクマが今降りてきてるんですか?岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:そういう個体がどうしても外に排除されちゃうっていうので、食べ物がなくて本当に困って里に出てきてるのかなという感じがしますね。クマは集団で動く?それとも家族、個体?岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:基本的に全部単独行動。群れでいるのは親子連れだけになる。クマは冬眠中に実は出産をするのが特徴なんです。食料が少ないと冬眠時の蓄えが足らず、お母さん側が出産まで至らないで赤ちゃんを流産してしまうのです。ただそうなると危険なのが、出産しなかったメスは、オスと同じように行動範囲が広くなるということなんです。子連れのクマの行動範囲は狭いですが、来年の春出産しなかったメスのクマがもしかしたら広く行動する可能性が高い。来年の春も注意が必要ということでした。しばらく続くのでしょうかこの状況。岩手大学農学部准教授 山内貴義氏:そうですね。来年の春にもしかしたら出没が続く可能性はある。

(デヴィ夫人「クマを麻酔銃で捕獲し山に帰してあげます」)
統計開始以降最多になっているクマにより人身被害。一方で、駆除に踏み切った自治体に暴言や執拗な要求を繰り返す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とみられる抗議電話が寄せられたと報じられました。そんな中、タレントのデヴィ夫人が「アメリカでは、クマを麻酔銃で捕獲し、沢山の果物などの食物をつけて山に帰してあげます」とインスタグラムに投稿し、「いろいろ勉強不足のコメント」「すさまじくのんきなご意見だ」と批判が相次ぎました。クマを駆除した際、必ずと言っていいほど上がる「麻酔銃で捕獲できなかったのか」というご意見。デヴィ夫人が唱える麻酔銃で捕獲して山に帰するというやり方はどこまで現実的なのでしょうか。ミリタリー系のイラストや漫画を描いているXユーザーのねんまつたろう(@KITASAN1231)さんは以前、麻酔銃の理想と現実を漫画にして話題になりました。SNSで最初に公開したのは2020年10月ですが、その後麻酔科医から連絡があり、専門家から取材するなどして、内容、文言をブラッシュアップ。現場を知らない人が考える麻酔銃の理想と現実が描かれています。【麻酔銃の理想】・殺傷力はないので誰でも撃てる・遠くから安全に狙って撃てる。外してもすぐ連発して撃てる・命中すると一瞬で眠る。【麻酔銃の現実】・麻酔銃は動物に薬をうてる資格のある人(基本的に獣医師)しか撃つことができない。動く熊を撃つ訓練をしたことがある獣医師は少ない・射程距離はピストル型で15m、ライフル型で40m、連発はできない・命中しても効果が出るまで時間がかかる・当たりどころによっては効果が出ない。熊が興奮するリスクもある。人身被害件数が今年もっとも多いのは秋田県で61人、次いで岩手県が42人、福島県13人、青森県11人です。ねんまつたろうさんは大学進学までは青森が地元でした。「私自身は熊と遭遇したことはないのですが「出没した」「知り合いが襲われた」といったことは珍しいことではありませんでした。なので「怖い生き物」という印象があります」と話します。2016年3月に環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室が発行している「住居集合地域等における麻酔銃の取扱いについて」では、漫画で描かれたような麻酔銃のメリットや注意点がまとめられています。住居集合地域の麻酔銃の対象は原則としてニホンザル。ニホンザル以外のクマ類(ツキノワグマ、ヒグマ)、イノシシ、ニホンジカなどの大型獣類に麻酔銃猟を実施する場合、麻酔薬の効力が現れるまでに時間がかかり、撃たれたことにより個体が興奮し、従事者が反撃を受けたり、周辺の住民に重大な危害を及ぼす恐れがあるため、原則として許可されていません。麻酔銃は、投薬器(ダート)を飛ばし、個体に薬液を注入します。容量が大きいほど必要とする力は大きくなり命中精度も下がります。体積に対して質量が低いため、風の影響を受けやすく、小さな枝葉にあたっても大きく弾道を変えてしまいます。投薬器は目で追えるスピードで飛んでいくので落差が大きく、周囲に障害物が無いか、特に注意が必要ーといった取り扱いの難しさがまとめられています。人とクマとの関係は、もちろん「共存」できればそれに越したことはない。しかし現実に被害が続出し人命が奪われている以上、放置するわけにはいきません。ねんまつたろうさんは「実態を知らずに熊駆除に抗議電話を入れる人については大変遺憾に思います。しかし「生命を大切にしてほしい」という思いで電話をしていると思うので、その気持ち自体は大切なことだと思います。なのでなおさら麻酔銃や駆除、現場の実態について少しでも正しい知識を持ってほしいと思います」と話しています。ねんまつたろうさんは「サバゲーサークルへようこそ」「自衛隊上がりのかーちゃんが怖い」「一方その頃スナイパー女子高生は」などの漫画作品をニコニコ漫画で公開しています。今回の麻酔銃の漫画はシリーズ「青なんとかさんと赤西さん」にあります。

(クマが出没、地元の人たちの反応は:東京)
全国で相次ぐクマ被害。東京の多摩地域、さらに八王子市や町田市でもクマの目撃例が相次ぎ話題となっている。東京でもクマに襲われる可能性があるという状況を地域の人たちはどう捉えているのか。もともと東京はクマの生息地である。多摩地域の森林にはツキノワグマが暮らしており、東京都環境省のサイトでは東京を「世界的にも珍しいクマが生息している首都」としている。しかし、その数は決して多くなく、クマを目撃したことがあるという人は極めて少ない。奥多摩町に暮らす40代の男性に聞くと、こんな答えが返ってきた。「もともとクマ出没情報が多いところなので、普段から気にしてますよ。今年は、市街地にクマで出てくることが多くて騒がれているみたいですけど、こちらではクマは普段から近くに住んでいるので気をつけなければならないものです」。普段からクマの存在を意識しているためか、新たにしている対策は今のところはないという。ちなみに男性によれば「最近増えているのは、クマよりもクマのことを取材している報道陣です」とのことだ。とはいえ今年のクマ被害が深刻なのは、食べ物を求めてクマが市街地にも出没するようになっていることだ。そのため東京では八王子市や町田市でもクマの目撃情報が相次いでいる。その地域の人たちはクマを恐れているのだろうか。町田市の中心部に住む男性に聞いてみると……。「町田市でもクマが出たという報道を見て驚きましたけど、よくよく見ると出没したのは、高尾山の近くにある草戸山のハイキングコースだというじゃないですか。さすがに市街地でクマが出るんじゃないかと恐れている人はいませんよ」。

(「首都クマ」と共存の道)
全国のクマによる人身被害が統計を開始以降、過去最悪のペースで推移している。東北などでは住宅街や農作業小屋、あるいは畑などに出没し、人が襲われるケースが多発しており、国が警戒を呼びかける事態に。ところでそのクマ、この都内でも多摩地域には生息しており、日本は「首都にクマが生息する数少ない国」ともいわれている。いまのところ都内での目撃件数は昨年より少ないというが、季節は秋の行楽シーズン真っただ中。関係者が模索する「首都クマ」との共存の道とは。環境省は1日、10月のクマによる全国の人的被害件数が13道県で59件、被害者が71人となり、同時期の記録が確認できる平成18年以降、最多だったと発表した。とくに秋田県では、4~10月での被害者が61人に上り、北秋田市の市役所にほど近い市街地にクマが出没して高校生ら5人が襲われる事故も発生した。その秋田から遠く離れた奥多摩町を走るJR青梅線。終点の奥多摩駅から4つ手前の川井駅のホームを降りると、来訪者を出迎えるのが白目をむくイラストが印象的なクマへの注意を呼びかける看板だ。近隣住民によるといつから設置されたかは記憶にないといい、看板を支える柱の木は相当年季が入っていることが分かる。都環境局によると、今年に入ってからのクマの目撃例や痕跡の発見例は10月27日時点で112件(イノシシなど「ツキノワグマらしき」例も含む)で、昨年同時期よりも少ないという。ただ、全国で相次ぐ被害に引っ張られる形で「目撃」の部分が強調されてしまっていると、同局の担当者は動揺を隠さない。都は都内で生息するツキノワグマについて、「保護上重要な野生生物種」と位置付け、平成20年から狩猟による捕獲などを禁止している。生息地は奥多摩町、檜原村、あきる野市、青梅市、八王子市、日の出町に広がる森林で、都のホームページは「東京は世界的にも珍しい『クマが生息している首都』です」と、その存在を強調している。都内で最も多くの目撃例が報告されているのが、面積の94%を森林が占める奥多摩町だ。貴重な野生動物であると同時に、人に危害を加える恐れもある害獣という側面もあるクマについて、町の担当者は「明らかに人身被害につながる危険がある場合以外、捕獲はしない」と話す。同町は前述の看板などを通じて、山に入る人々に注意をうながしている。一方で、クマは本来、人を見れば逃げ出す臆病な生き物だが、近年は市街地近くの森林で育ち、人を怖がらない「アーバンベア(都市型クマ)」の出没や被害の増加が指摘されている。担当者は「人家近くのクルミの木など、エサとなりうる作物の伐採を町側が請け負っている。今では町民の間にも誘因物となる食料、調味料の管理徹底などが浸透している」と話し、幸いにも今年に入ってからクマが里に下りてくるような事態は起きていないという。再び、青梅線の川井駅。間もなく日が暮れようとするころ、大きなザックを背負った山歩き帰りの人々がホームへと続く階段を上がってくる。トラブルなく家路につくその後ろ姿を、白目のクマが見送っているようにも見えた。

(クマ対策、DNA分析で市街地侵入防ぐ:北海道)
全国各地で連日、クマによる被害が出ています。ことしは市街地に出没するケースが相次いでいて、こうしたクマは「アーバンベア」と呼ばれます。旭川市も例外ではなく、毎年、「アーバンベア」への対応を迫られています。市では市街地への侵入を防ごうと、クマのDNAを分析して個体ごとの特性を把握する新たな取り組みを進めています。旭川市郊外にある果樹園では、この秋、プルーンやナシの木の枝をクマに折られる被害が相次ぎました。取材に訪れた果樹園では、2021年にもナシの木が折られ、損害額が数百万円にものぼったということです。山を離れて街なかに出没する「アーバンベア」。旭川市では近年、その対策に悩まされています。旭川市の職員でハンターの資格を持つ橋口城児さんは、この春までクマが出没するたびに現場に急行し、対策の陣頭指揮をとってきました。市内の現状に危機感を持っています。ハンターの資格持つ 旭川市職員 橋口城児さん「ことしの6月にも旭川市内の美瑛川の河川敷で、市が設置した赤外線カメラにクマが写っていた。間違いなく人里に近づいてきている。最後の一線、街なかまで突入してしまうかどうか、そこをクマが越えていないだけであって、『大丈夫』という感覚は持っていない」。橋口さんは、異動で現場を離れたあとも「クマによる人的被害が出ないように」と、ハンターとして休日に市内をパトロールしています。同行取材させてもらったこの日は、家畜飼料用のトウモロコシ、デントコーンの畑を見回りました。畑の近くには14センチから15センチほどのオスのクマとみられる足跡が、はっきりと残っていました。ハンターの資格持つ 旭川市職員 橋口城児さん「食べ物の味を覚えている。ことしはここでとどまっているが、来年、もっと街のほうでコーンが植えられたとすると、街に近づいていく。家庭菜園で育てているコーンにも手を出し始めているので、コーンをつたって市街地に入っていく可能性は十分考えられる」。着実に市街地へと近づくクマ。橋口さんは被害を未然に防ぐためには“先手”の対策が必要だと訴えています。ハンターの資格持つ 旭川市職員 橋口城児さん「クマは必死に生きていて、目の前に食べ物があるから食べる。なるべくクマを悪者にはしたくないし、人的被害も出してはいけない。一度、食べ物の味を覚えると、その味を求めて何度も市街地に来てしまうので、クマが出てからの対策は非常に困難になる。やはり先手先手で対策をとる必要がある。クマが来る前から農作物を守るなど、対策を考えていかなければならない」。いま求められる“先手”のクマ対策。旭川市はクマのDNAを分析することで、個体ごとの特性を把握しようとしています。旭川市 環境総務課 猪股正孝さん「市内にどれくらいクマが生息しているのか、食害を起こす個体がどこにいて、どう動いているのかが正直まったく分からない状況。クマのDNA情報を分析することで、個体数や行動パターンを把握しようというのがわれわれの目的だ」。DNAの分析に欠かせないのが、出没現場に残されたフンや毛です。クマのデータを充実させるためには、より多くの検体を手に入れる必要があります。そこで活用しているのが「くい」に有刺鉄線を巻いた「ヘア・トラップ」です。「くい」には、クマが興味を示すにおいがついていて、そのにおいにひかれて体をこすりつけてきたクマの毛を採取できます。「ヘア・トラップ」は導入されたばかりですが、採取した毛をもとにクマの個体を特定できたケースもあります。2022年は3点の検体のDNA分析に成功。すべて同じ1頭のオスグマのものであることが分かりました。また、この「ヘア・トラップ」のほか、出没現場で採取した検体のDNA分析からも新たな事実が明らかになっています。2022年、市の東部で相次いだクマの目撃情報とトウモロコシなどの食害。目撃情報も20件以上あったことから、「この地域には多くのクマが生息しているのではないか」と住民が不安に思っていました。しかし、DNA分析の結果、地域に生息するクマの数が想定よりも少ないとみられることが分かったのです。旭川市 環境総務課 猪股正孝さん「DNA調査の結果、すべて同一のオスの個体であることが判明した。このクマの検体を採取した4つのポイントは、それぞれ何キロも離れていたので、複数のクマがいると考えられていたが、1頭がかなりの距離を動いていることが分かった。一般的にはオスのほうが広い範囲を動くと言われているが、移動距離を把握できると、どの地域にいるのか予想もでき、対策をとりやすくなると思う」。さらに、特定されたオスグマはトウモロコシを食べていて、その味を覚えて再び畑を襲うおそれがあることも明らかになりました。旭川市は今後、DNA分析のデータを蓄積していくことで、クマの行動を想定して先回りし、有効な対策をうっていく考えです。旭川市 環境総務課 猪股正孝さん「今後、調査を積み重ね、クマのデータを集めていくことで、問題を起こす個体がやってくる規則性のようなものを明らかにしていきたい。そして、将来的には、そのデータをもとに市街地に入ってくるクマのルートを突き止め、食い止めるといったような“先手”の対策ができることを期待している」。今回の取材を続ける間にも、秋田県をはじめ各地でクマによる被害が相次ぎました。幸いにも旭川市では人的被害が出ていませんが、畑にはっきりと残るクマの足跡を目にした私は、確実にクマが人里へ迫っているという事実を突きつけられたように感じました。紹介した旭川市東部の地域では8月、1頭のヒグマが捕獲されました。このクマが畑を荒らした個体かどうか、市ではこれまでに採取した検体のDNAと照合して確かめる考えです。私が暮らす旭川エリアの魅力は大雪山系の山々に囲まれた豊かな自然です。山から山へと移動し、街に近づくクマへの対策に自治体の境界はありません。旭川市は将来的に、隣接する町ともDNA分析の結果を共有して、より広い範囲でのクマの生息域や行動ルートの把握を目指しているということです。“先手”の対策をうつことで、クマとの共存は実現できるのでしょうか。始まったばかりの旭川市の取り組み、継続取材していきます。

(クマと人間の共存は可能か?)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今月1日、環境省はツキノワグマやヒグマによる人的被害の状況について発表。全国の人身被害は10月31日時点で180人に上り、記録がある2006年以降では20年度の158人を上回り過去最悪となった。特に被害が深刻な秋田県では被害者が60人を超え、市街地での被害も多数報告されている。この先、人間とクマが共存していくことはできるのか。50年近くにわたってツキノワグマの調査を続ける日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長に、日本列島に起きている異常事態の真相を聞いた。米田氏は1948年、青森県十和田市出身。秋田大学教育学部を卒業後、秋田県立鳥獣保護センターや秋田県生活環境部自然保護課に勤務、県庁職員としてクマ対策に当たってきた。86年、38歳のときに秋田県庁を退職し、当時被害が深刻だった西日本のクマ調査に携わる。その後、01年に広島県でNPO法人「日本ツキノワグマ研究所」を設立。以来東北から西日本まで全国各地でツキノワグマの生態調査を続けている。「まず知ってほしいのは、クマと人間の関係は時代や地域によって全く実情が異なるということです。古い新聞によれば、明治から戦後まで農村部では野生動物が貴重なタンパク源で、毛皮やクマノイ(漢方薬になる胆のう)も高値で売るため、今とは反対に人間が村人総出でクマを襲う時代でした。戦後一度は絶滅しかけ、徐々に回復したものの利用は続き、2000年頃からようやく保護の時代に移行。10年頃から個体数が増加に転じ、15年頃からは再び駆除の時代に入っています。また、西日本では山と集落が入り組んでおり、人とクマの距離が近いために被害が多かった。ただ、個体数は多くないので保護する必要もあって、奥山放獣といって捕獲したクマを山奥に放ったり、集落全体を電気柵で囲うなどの対策を行ってきました。一方、東北は山が深く、正確な調査には限界があった。長年にわたって、個体数を過小評価し続けてきてしまったのではと思っています。やがてクマが増え、若いクマが高齢化で人の手が入らなくなった里山に生息域を広げて行きました。正確な数は分かりませんが、20世紀末と比較すると4~5倍になっているのではと思います」。クマの出没には多い年と少ない年が存在する。エサとなるブナなどのドングリ類の豊凶と関係があるとされているが、それにしても今年の被害者数は異常だという。いったい何が起こっているのだろうか。「ドングリ類の凶作は一つの要素だとは思いますが、それがすべてということはできない。私はイノシシなど他の野生動物の増加と、温暖化や台風の影響があるのではないかと見ています。75年の環境庁調査では福島県南東部にしかいなかったイノシシが東北全域にまで広がってきている。クマは木に登ってドングリを食べますが、台風で実が落ちるとイノシシとエサの取り合いが起きる。今年に限って言えば、7月に秋田で大規模な水害がありましたが、あれにより夏のエサとなる昆虫や液果(山に自生する果実の一種)の生育に影響が出た可能性もあります」。クマ被害は季節によっても様相が異なる。通常、夏の間は人間が山に入ることで被害が起こるが、秋はクマが里に下りてくることで発生する。それも、季節が深まるにつれて深刻化する傾向にあるという。「クマは共食いをします。自身の遺伝子を残すため、子グマを殺してメスの発情を促すためと言われています。このためドングリ類が凶作の年に大きなクマが動くと、里山に定住する母子クマや若いクマは強いオスを恐れて人里に押し出されてくる。9月には1メートルほどの若いクマ、10月には母子クマ、11月になると大きいクマというように、徐々に出てくるクマも大型化するため、重傷化する割合も高まってきます。また、食糧の確保も困難になってくるため、ときに民家にまで入り込むようなケースも起こってくるでしょう」。平地で雪の降り出す時期まで、これからさらに深刻化が予想されるクマ被害。もし、市街地でクマと出くわしてしまった場合にはどのような行動を取ればいいのか。米田氏は「山と街では対応はまったく異なります」と話す。「山にいるクマは逃げ場があるから基本的にはおとなしい。私はこれまで無数のクマに遭いましたが、人間に気づけば向こうから逃げていくことも多いので、クマ鈴で存在を知らせてあげたり、見かけてもゆっくり後ずされば追いかけてくることはありませんでした。ただ、街に出たクマはまったくの別物です。身を隠す森林のない街中ではクマは常に興奮状態で、動くものが視界に入れば誰彼構わず襲いかかってくる。最悪なのは背を向けて逃げること。また、立ったままだとクマは頭部を狙ってくるので、ゆっくりと物陰に身を隠す、それができなければその場で伏せて頭や首を腕で覆ってください。いわゆる『死んだフリ』という方法と同じ形です。ただ、これはツキノワグマに限った対処法。北海道のヒグマは攻撃性が高く、死んだフリは絶対にやってはダメという研究者もいます」。50年近くにわたってツキノワグマを研究してきた米田氏だが、この先のクマと人との関係性については悲観的な見方を崩さない。「年間に180人も襲われる、こんなに悲しくて恐ろしいことはありません。私も研究者として、20世紀までは保護に尽力してきた。しかし、クマの繁殖力がここまで強かったとは思い至らなかった。今でも人を襲ったクマ以外はなるべく殺したくない、何とか助けてあげたいという思いは、私を含め研究者全般から聞きますし、遺伝子分析で加害グマの特定も行っています。ただ、奥山放獣では43%は現場に戻ってきてしまい、5年ぐらいで人の怖さを忘れてしまうんです。絶滅の恐れのある地域では奥山放獣も必要でしたが、中国地方でも増加に転じており、今後は駆除、狩猟の再開が必要になっている。また、長野以東の生息状況も安定しており、毎年知事によって一定の上限が決められた捕殺は認められている。私は2年後の25年に、今年以上の大出没が起こると予想しています。北東北では、今やクマに人が押し負けているのです」。時代の流れとともにいつしか形勢逆転した人とクマとの関係性。今後は我が身を守るため、駆除もやむを得ない時代に突入している。

(クマ出没が過去最悪、なぜ?どう対策すべきか?:東京農業大学)
クマ出没が過去最悪・・・なぜ?どう対策すべきか?日本におけるクマ研究の第一人者、山﨑 晃司 教授が提言。連日のように日本各地で報じられるクマ出没。報道によるとクマによる人的被害は統計開始以降最多となり、今年度10月末の時点で180人に上るという。●2023年、なぜクマ被害が増えているのか!?●日本の森林に何が起こっているのか!?●私たちはクマ被害にどのように対策すべきなのか!?●実際に出会ってしまったらどうするべきなのか!?●クマとどのように向き合っていけばいいのか!? etc.東京農大が誇る、日本におけるクマ研究の第一人者、山﨑 晃司 教授が動画内で提言します。動画【ハカセのテイゲン #1 クマとの上手な付き合い方】をご視聴ください。

(人を襲うクマ、過去最悪ペースに)
クマが人を襲う被害が過去最悪のペースで続いています。近年、増加する事故を受け、2021年には環境省が14年ぶりに『クマ類の出没対応マニュアル』を改訂していました。クマに遭遇したときにはどうすればいいのか、対応をまとめます。11月1日、環境省は10月の全国のクマによる人的被害件数が13道県で59件、被害者が71人で、統計を開始した2006年以降、最多だったことを発表しました(※)。※速報値のため数は変わる可能性あり。また、今年4~10月の合計では被害件数が164件、被害者が死者5人を含む180人となり、7カ月間の集計にもかかわらず、これまでで最多だった20年度の158人を超えたこともわかりました。同省などはその理由として「クマの個体数の増加や分布域の拡大」や「東北地方などで餌となるドングリが凶作とみられること」などを挙げています。実は、「近年、人里へのクマ類の大量出没による人身被害が増加しており、人とクマ類のあつれきは一層深刻な状況となっています」として、同省は2021年に、14 年ぶりに『クマ類の出没対応マニュアル』を改定していました。その中では、「クマ類の生息域となる山林等へ入山する際はもちろん、人の生活圏でもクマ類と遭遇する可能性があります」「クマ類による人身被害を回避するためには、クマ類と遭遇した際に適切に行動することが大切です」として、クマ類と遭遇した場合に取るべき行動を以下のように説明しています。まず、「遠くにクマがいることに気がついた場合」。この場合は「落ち着いて静かにその場から立ち去ります」。「クマが先に人の気配に気づいて隠れる、逃走する場合が多いですが、もし気がついていないようであれば存在を知らせるため、物音を立てるなど様子を見ながら立ち去りましょう」とします。しないように注意するべきは、「急に大声をあげたり、急な動きをしたりする」こと。クマが驚いてどのような行動をするかわからないためです。次に、「近くにクマがいることに気がついた場合」。このとき「まずは落ち着くことが重要」。それは「時にクマが気づいて向かってくること」があるためです。ただし、「本気で攻撃するのではなく、威嚇突進(ブラフチャージ)といって、すぐ立ち止まっては引き返す行動を見せる場合があります」。この場合は「落ち着いてクマとの距離を取ることで、やがてクマが立ち去る場合があります」とします。また、「クマは逃走する対象を追いかける傾向があるので、背中を見せて逃げ出すと攻撃性を高める場合があります」「そのため『クマを見ながらゆっくり後退する』『静かに語りかけながら後退する』など落ち着いて距離を取る必要があります」。その上で、「慌てて走って逃げてはいけません」と注意喚起します。そして「至近距離で突発的に遭遇した場合」です。このときは「クマによる直接攻撃など過激な反応が起きる可能性が高くなります」と警戒を呼びかけます。残念ながら「攻撃を回避する完全な対処方法はありません」。クマの攻撃的行動としては「上腕で引っかく」「噛みつく」などがあります。なお、ツキノワグマでは一撃を与えた後すぐ逃走する場合が多いとされているということです。顔面・頭部が攻撃されることが多いため、「両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつ伏せになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要」。「クマ撃退スプレー(唐辛子成分であるカプサイシンを発射するスプレー)」を携行している場合は、「クマに向かって噴射することで攻撃を回避できる可能性が高くなります」とその使用を勧めます。ちなみに、親子連れのクマと遭遇した場合、母グマは子グマを守ろうと攻撃的行動をとることが多いため「より一層注意が必要です」。「子グマが単独でいるような場合でも、すぐ近くに母グマがいる可能性が高いため、近づくことはせず、速やかにその場から離れること」とします。また、前述のスプレーについては、カプサイシンは粘膜を刺激するため、「クマの目や鼻・のどの粘膜にスプレーが当たるよう、顔に向かって噴射することが重要」。「射程距離は5m程度と短い製品が多いため、十分クマを引き付けてから噴射する必要があります」と指摘。「下草が人の背丈ほどに鬱閉したところなどでは効果的な噴射が難しく、十分な効果を期待できないことがあります」「刺激性物質の効果は人も同じなので、風向きによっては噴射した本人へも影響があります」としながらも「それでもクマからの攻撃を回避するためには、躊躇せずスプレーを噴射することが重要です」。また「誤射に注意しつつ、いざという時にすぐ使うことができる場所に携帯することが必要」である一方、「とっさに使用することは難しいので、事前にトレーニング用スプレーなどで練習することも重要です」と、クマへの対処法をまとめました。

(クマ被害に遭わないためのポイントと対策)
過去最多の被害となっているクマによる襲撃。各地で被害が報告され、中でも人の生活圏で襲われるケースがあとを絶ちません。被害に遭わないために注意すべきポイント、出会ってしまったときにどうすればいいのかなどの対策、そして、各地のクマ被害についての特集記事をまとめました。全国で9月に被害にあった35人がクマに遭遇した時間帯や場所を分析、特に警戒すべき点を専門家に聞きました。富山県内で、クマの出没が相次いでいます。今年に入り10月末までに7人が襲われ、このうち高齢の女性1人が死亡しました。なぜクマの出没が増えている?いつ、どこに出没しやすい?クマの被害を防ぐには?もしも出会ってしまったら?現場や専門家を取材しました。紅葉を楽しむためにハイキングしたり、キノコ採りに行ったりなど、山の中に入る機会が多い秋。山でクマに出会わないようにするにはどうしたらよいのか?対処法についてお伝えします。北海道の各地で目撃情報が相次いでいるクマ。万が一出会ってしまった場合どうしたらよいのか?出会う可能性があるシチュエーション別に対処法をお伝えします。秋田県ではクマによる人への被害の8割が民家近くなどの生活圏で起きています。ことしの被害の状況を分析すると“ある異変”が見えてきました。クマはどうやって人が住む地域に出てくるのか。目撃情報や痕跡、人口、地形のデータを重ねて分析したところ、「クマが市街地に向かうルート」や「被害を減らすために必要なこと」が見えてきました。5月、上川の幌加内町にある朱鞠内湖で釣り人がクマに襲われて亡くなりました。事故を受けて、地元の観光関係者は町などの協力を得てクマ対策を進めてきました。事故から半年。キャンプ場や釣りの営業再開にこぎつけたものの、安全を確保するために設けたルールで湖の様子は一変しています。現地のいまを取材しました。

(クマ駆除に抗議殺到、法的問題は?)
北海道や東北などで野生のクマが増え、彼らに襲われて死傷する人的被害のほか、畑や民家が荒らされる財産的被害が相次いでいます。前者に限っても、10月末時点ですでに180人と過去最悪のペースです。被害におびえる住民からは「クマを何とかしてほしい」といった切実な要望が出ており、鳥獣保護管理法などの法令に基づき、自治体がやむなく駆除する例もあります。一方で、そうした自治体には「なぜ殺す」「かわいそう」といった抗議の電話が殺到し、通常の業務に支障をきたすほどになっています。クマが生息していない地域からのものが多く、氏名を名乗らず一方的に意見を述べるほか、同一とみられる人物が何度も抗議するケースもあるとのことです。人間と野生動物との共生や彼らの駆除を巡り、さまざまな法的問題が浮き彫りになっていることから、参考となる記事をまとめました。専門家によると、20世紀末と比べてクマの個体数が4~5倍に増えている上、エサとなるドングリ類の凶作やこれを食い合う他の野生動物の増加、温暖化などの影響でクマが人里まで下りてきており、2年後には今年以上の大出没が予想されるとのことです。被害に悩む自治体からは、国に法改正や財政的な支援を求める声が上がっています。

(山でツキノワグマに遭わない秘訣は「こちらが先に見つけること」)
植物写真家の髙橋修さんは、入山者の少ない山にばかり入っているため何度もヒグマやツキノワグマを見ているが、幸い、被害に遭ったことはないという。クマに襲われるニュースが後を絶たないが、ツキノワグマに出合わないために、高橋さんがツキノワグマに対してふだん気をつけていることは「こちらが先に見つけること」だという。自然科学の立場から言えば、ツキノワグマのヒグマもヒトも同じ大型哺乳類だ。山は彼らのナワバリ内。だから、彼らのルールに従って行動するほうがよいのは当然だ。クマのニュースが飛び交っている2023年秋。クマの個体数の増加とブナとドングリの不作が原因とされている。植物写真家である筆者は、山の植物を撮影のため年間に何十日も登山者が少ない山ばかりに入っており、野生生物に出合う可能性は高く、実際何度もヒグマやツキノワグマを見ている。しかし、今まで山でクマから被害に遭ったことはない。単にラッキーな可能性もあるが、山ではいつも注意していることがある。それはツキノワグマをこちらが先に見つけることによって、接近遭遇を避けることだ。ツキノワグマも6月と10月には特に要注意だ。しかし、ただ怖がっていても意味がない。科学的に知ることが最大の防御になる。どのようなことに注意したらいいかは、山に入るひとりひとりが考えるべきだと思うが、とりあえず筆者が経験上注意していることを書いてみる。しかし、筆者は動物学者ではないので、情報のひとつとして知っていただきたい。本州の山の多くはツキノワグマの生息域で、ツキノワグマのナワバリだ。ツキノワグマも山の自然の一部分であり、生態系の重要な一部分を担っている。ツキノワグマは死んだシカを食べることもあるなど、雑食性ではあるものの、主食は草や木の実だ。冬眠前の晩秋にはドングリやブナをよく食べる。だから、コナラやミズナラ林にツキノワグマは多く、スギの植林地やブナ科以外の広葉樹林にはツキノワグマは少ない。夏にはミズバショウの果実もよく食べる。春には草地で植物の葉を食べている。餌になる植物を知るとクマがいそうな場所がわかる。ツキノワグマの天敵はツキノワグマとヒトだ。山ではツキノワグマ同士で縄張り争いをしており、より大きくて強いツキノワグマを恐れている。大きく強くて経験のあるツキノワグマはドングリ類が不作の年でも、まだ餌が豊富で安全な山の中にいる。小さな若グマや、弱い子熊を連れた母グマは山から追い出され、食べ物を探しに里に出没しているようだ。ツキノワグマの主な行動時間は早朝と夕方。この時間帯はツキノワグマがねぐらから餌場まで移動している。しかし、日中も食事をしている姿を見たことがあるから、昼でも安心できない。大型哺乳類同士、お互いに危険な攻撃は、ツキノワグマだって避けたい。しかし気が付かないで近距離で接近遭遇してしまうと、避けようがなくなったツキノワグマが、恐怖に駆られて攻撃してくる。ばったり出合わないようにすることが重要だ。山菜採りやキノコ採りの場合は、下ばかりを見てツキノワグマに接近しているのに気がつかない。登山者も足元ばかり見て、遠くを見ないと危険である。登山者が攻撃されるのは単独か2人くらいの少人数の場合が多い。4~5人以上で歩いていればツキノワグマのほうが先に気がついて避けていくだろう。山でツキノワグマにばったり出合わないためには、まずクマよりも先に見つけることだ。筆者は、山ではいつも耳を澄まし、足元ばかりを見るのではなく、いつも遠くを見ながら歩くようにしている。これはバードウォッチングなどの自然観察と同じ要領である。そして耳をすまして自然の音をよく聞く。秋にはツキノワグマは昼間からドングリやブナの実を食べていることが多く、バリバリ、ガサガサ音がする。移動時には比較的静かだが、ガサガサ落ち葉を踏み、パキパキとヤブを通ってくる。「コフッ、コフッ」と声がすることもある。筆者は、いつもこれらの音を聞き逃さないようにしている。また獣のにおいや、ツキノワグマの糞にも注意を払っている。餌になる植物が多い場所では、クマが出ると思って行動している。ツキノワグマが登山道から見えるところにいるとは限らない。そんなときは、ヒトの存在を知らせる必要がある。熊鈴やラジオが推奨されているが、実験では効果は大きくないようだ。最近は民家の庭先のカキをツキノワグマが食べにくる事態である。ヒトをあまり気にしない、ヒトを恐れない、熊鈴が効きにくいツキノワグマが増えている。熊鈴はいつも同じ音が出ているので、すぐに慣れてしまうのだ。筆者は秋田駒ヶ岳で、熊鈴を鳴らしている登山者を気にするそぶりもなく、ツキノワグマがずっと高山植物を食べているのを観察したことがある。熊鈴は体の前側に付けたほうが効果的で、ザックに付けると音が後ろに向かって響く。熊鈴やラジオがあれば安心だと思ってはいけない。また、熊鈴やラジオは鳴らす場所を考えよう。登山者が多い山で、登山者が多い時間帯なら熊鈴は必要がない。静かに山を歩きたい登山者もいる。マナーを守って熊鈴やラジオを使ってほしい。ラジオを聴きながら山を歩いていると耳をラジオに奪われ注意力が散漫になり、ツキノワグマが発生させる音が聞こえにくくなるので、筆者はラジオも熊鈴も使わない。見通しのわるい、クマがいそうな植生の場所を通過するときには、手をたたいたり、ストックで石をたたいたり、大声を出したり、笛を吹いたりして、ヒトの存在を知らせるだけでなく、人間がクマを注意しているぞ、とツキノワグマに思わせるのだ。ツキノワグマは、ほぼ草食動物なので、食べるために人間を襲うことはなく、恐怖に駆られ逃げるよりも先に手や牙を出してしまうのだ。ヒトがツキノワグマに攻撃されるのは、出合い頭にばったり遭遇してしまったとき、子熊を連れた母熊が子熊を守るとき、逃走したいのにその方向をヒトがふさいでいるときなどだ。ツキノワグマも怖いので、なんとかしてこの場を逃れたいのだ。うまくクマが逃げるように誘導しよう。そのまま襲ってくることもあるが、数メートル手前で威嚇のために一度立ち止まることもある。距離があれば、まず木があれば木の幹に隠れる。できるだけ太い木がよいが、なければ細い木でもよい。半身が隠れるとクマが認識しにくくなるようだ。また、ツキノワグマの武器である歯と爪を防ぎ、直線的に攻撃されにくくなる効果もある。ツキノワグマは木登りが得意なので木には登らないように。また決して背を見せて走ってはいけない。クマは走って逃げる動物を追いかける習性がある。ツキノワグマのほうが足は速い。ゆっくりその場を離れよう。後ずさりは、転倒の可能性が高いので、足元もよく見ること。クマスプレーは効果的だ。噴出されるのは主にトウガラシ成分で、ツキノワグマの目と鼻、口を強烈に刺激する。しかし、すぐに発射できるよう常に腰に装着していなければ意味がないし、普段は重く邪魔になるのが難点だ。クマスプレーは有効射程距離が5m程度(製品によって違う)なので、近距離でツキノワグマににらまれている恐怖に打ち勝って、ピンを外し、狙いを付けて、噴射しなければいけない。事前に噴射練習をしないと使い物にならないだろう。クマが突進してきたら、立ち向かって、大きく手を広げて少しでも自分を大きく見せたり、持っているカメラを振り回したりすることくらいしかできない。運がよければこれでツキノワグマが逃げることもある。ストックも有効。ストックを両手でしっかり持って、先端をクマの顔に向ける。クマの最も危険な攻撃の噛みつきを防ぐことになる。最初の攻撃、爪のひっかきか噛みつきの後、さっと背を向けてツキノワグマから去っていくことが多い。ツキノワグマに襲われたら、手を首の後ろで組んで頸動脈がある首と後頭部を守り、下を向いて地面に顔を付けるように丸くなるか、うつぶせになろう。ヒトの弱点を隠すこの格好のまま動かないで、ツキノワグマから逃げるチャンスを待つ。以上が、筆者が山で気を付けていることだ。ツキノワグマのナワバリに入っていることを意識し、耳をすまし、周りの植生もよく見る。そして、ツキノワグマを先に見つけて、回避できるように行動することを心がけていれば、ツキノワグマを含めた、山の自然と生態系を少しでも安全に楽しむことができる。

(メディアの過激な「クマ被害」報道)
全国各地で相次ぐクマ被害に日本中が震撼している。日本に生息するクマは全部で2種類。北海道のみに生息するヒグマと、本州以南に生息するツキノワグマがいて、いずれも生息数は増加傾向にあるという。環境省は1日、クマによる人的被害状況の速報値を発表。今年は10月31日までに180人が被害に遭ったとされ、記録のある2008年以降で最悪の数字をマークしている。クマの冬眠は12月頃から始まるため、いまは「食い貯め」の時期。行動が活発化するため、被害の拡大が予想される。生息数が増加して、人々の暮らしを脅かす――。そのような地域がある一方で、四国は真逆の状況にあるという。四国はツキノワグマが生息する世界で最も小さな島だ。しかし「四国で捕獲されたツキノワグマの血縁関係と繁殖履歴」(2019年=鵜野-小野寺レイナ、山田孝樹、大井徹、玉手英利)によると、2019年時点の推定生息数はたったの16~24頭。環境省が発表する1種あたりの最小存続可能個体数(個体群が長期間存続するために必要な個体数)は100頭のため、絶滅の危機に瀕しているといえる。日本自然保護協会の生物多様性保全部部長の出島誠一氏がこう話す。「四国のクマはなぜか個体数が増えないのです。つい20年ほど前、紀伊や中国地方でツキノワグマの絶滅危機が問題となり、国の方針で捕獲を制限することにしました。すると、みるみるうちに個体数が回復したのですが……。四国では40年ほど前から正式な捕獲記録がないにもかかわらず、状況が好転する気配がありません。個体数が少ないことによる近交弱勢が起こっている証拠も、特定の病気も確認できていないので、どうしたものかと……」。増えすぎても困るが、絶滅されても困る。ひとことで「生物多様性」のためといわれてもピンとこないが、クマがいることで森に意外なメリットがもたらされるという。「クマは肉食のイメージが強いかもしれませんが、基本的に雑食です。木の実などを大量に食べるし、行動範囲が広いので、極めて優秀な種子散布者なのです。食べてからその移動先でフンをするだけで、種子を遠くまで運んでくれる。森にクマがいるかいないかでは、森そのもののありかたなどがまったく異なるというデータがあるくらいです」(出島氏)。国立研究開発期間の森林総合研究所はこんな発表をしている。「花咲かクマさん・ツキノワグマは野生のサクラのタネを高い標高へ運んでいた」(2018年)。詳細は省くが、表題の通りツキノワグマが生態系の保全にひと役買っていることがわかる。四国では人間とクマの軋轢はほとんど起きていない。それでも、現地の人々からクマの保全活動への理解を得るのは難しいという。「ただでさえクマの生息数を増やす活動に、即座に賛同してくださる地元の方は多くはありません。その上、今年はこれだけニュースでクマ被害が報じられています。我々の活動によって、これから怖い思いをするのではないかと不安を与えかねません。非常に肩身の狭い思いをしています」(出島氏)。数あるクマ被害報道の中には、世間のインプレッションを稼ぐために必要以上にショッキングな見出しを付けて報じるケースも少なくない。しかし、それらの報道と、受け取り手の感性次第では、結果的に四国の人里離れた森の奥でひっそりと生きるツキノワグマを絶滅に追いやる危険性を留意すべきだろう。

(動物への感謝忘れず:長野)
冬場は積雪が3メートルを超す長野県栄村の秋山郷には、「マタギ」と呼ばれる伝統的な猟師たちが暮らす。「ホーッ、ホイホイ」と大きな声を出しながら雪上のクマを仲間と追い込み、猟銃で仕留める。福原和人さん(61)は、マタギならではの「巻き狩り猟」に30年前から携わってきた。高校進学を機に集落を離れ、調理師として志賀高原のレストランに就職。兄が急逝したため28歳で実家の民宿「出口屋」に戻った。江戸時代後期、マタギの本場・秋田県から先祖が移住してきた。5代目にあたる父がまだ現役だった30年前、6代目になろうと決心し、猟銃免許を取得した。子どものころ、父が野山で取ってきたウサギやクマの肉は最高のごちそうだった。「気がついたら自分も狩ってみたいと思うようになっていた」と振り返る。猟の前には身を清める意味を込めて自宅の神棚に祈り、悪霊をはらうため猟銃に向けて火打ち石を打つ。山に入れば「逃げた」「死んだ」という縁起の悪い言葉は御法度。こうしたおきては今も必ず守る。マタギにとって獲物のクマは「山の神に恵んでもらった贈り物」。自分の手でさばき、鍋物などに調理して民宿の客に振る舞う。動物の命に最後まで付き合うことが、マタギとしての誇りだ。30年前は集落に20人以上のマタギがいた。現在は移住してきた若者を含めて6人しかいない。高校1年の息子には後を継がせようとは思っていない。「先祖のようにマタギだけで生計が立てられる時代ではない。強制はできない」それでも自分は体が動く限り現役でいようと思う。「動物に対する感謝の気持ちを忘れないことが他のハンターとマタギの違い」。伝統の灯を絶やさないことも使命だと考えている。

(若手女性鷹匠の害鳥駆除に密着:兵庫)
翼を広げた大きさは約1メートル。「食物連鎖の頂点」に君臨するとされる生き物。それが鷹です。その鷹を、自由自在に操る「鷹匠」の女性が兵庫・神戸市にいます。江戸時代に鷹匠が管理していた鷹は、徳川家康が愛したとされる「鷹狩り」で使われていたようですが、現代ではちょっと違います。(鷹匠の三輪優奈さん)「鷹を使って、鳩とかカラスとか害鳥の追い払いをやっています」。そう、害鳥駆除。どんな仕事なのか、若手鷹匠の三輪優奈さん(22)に密着させてもらいました。三輪さんの力強い相棒たちは「露ちゃん」と「雫ちゃん」、「霞ちゃん」の3羽。すべてメスです。カラスやハトなどの「害鳥」被害に悩む場所で、天敵の鷹を飛ばして追い払い、その場所に寄りつかなくさせるという「生き物本来の習性」を利用した駆除で活躍します。(優奈さん)「猛禽類ってメスのほうが身体が大きいんですよ。私はカラスの追い払いの現場が多いので、身体大きいほうが威圧感あるというか、安心感があるので」。この3羽は「ハリスホーク」という種類の鷹。別名「空飛ぶ犬」とも呼ばれるほど、良くなつき、頭もいいので調教しやすいんだそうです。飼育に特別な許可は必要なく、犬や猫と同じように、自宅で飼うことができます。ある日の午前11時半。雫ちゃんと霞ちゃんを車に乗せ、依頼を受けた現場に向かいます。(優奈さん)「きょうの現場は美術館なんですけど、その敷地に庭園があるんです。そこの芝生とか苔がカラスに荒らされるということで、その被害を防ぐために追い払います」。やってきたのは、大阪市都島区にある「藤田美術館」。隣接する「藤田邸跡公園」は、都心にあるとは思えない、緑豊かな公園です。優奈さんは、雫ちゃんを連れて公園の中を歩きながら何度も飛ばし、カラスや鳩に「天敵の存在」をアピールします。優奈さんによると、この時期は春に生まれた若いカラスが「定住先」を探す季節なんだそう。公園に住み着かないようにするため、優奈さんが仕掛けたのがルアー、疑似餌です。疑似餌とは、鳥に見立てた狩猟道具のことで、カラスが多く飛んでいる中で、鷹に疑似餌を取らせると「仲間がやられた」と勘違いをするんだとか。(優奈さん)「カラスは集団で集まって、鷹を追い払おうとしてくるんですけど『この鷹は狩りができる鷹だ』と分かると近づいてこなくなります」。後半はもう1羽の霞ちゃんもお仕事。鷹の疲れ具合を見ながら、順番に飛ばします。飛ばすことおよそ3時間。最初の現場が終わりました。2000年、神戸市で生まれた優奈さん。小さい頃からとにかく“鳥が大好き!”だったといいます。(優奈さん)「鳥を幼稚園ぐらいのときから飼い始めて、そこから鳥が大好きになったんですけど。高校を選ぶとなったときに、加古川にある農業高校で「鳥類研究会」というのがあるというのを見つけて。絶対ここしかないと思って」。高校進学は「鳥類研究会」という猛禽類の生態を学ぶ部活動が決め手に。そして卒業後は、動物園などへの就職も考えたそうですが・・・。(優奈さん)「鷹匠の仕事を見させてもらったら、やっぱり全然違うなと思って。迷わず鷹匠でしたね」。4年前、害鳥駆除を専門とする会社に入り、先輩鷹匠と現場を回って半年ほどで独り立ちしました。自治体やマンション、工場などから依頼が殺到していて、いまでは月に50件ほどの現場をこなしています。午後6時。この日2つめの現場は大阪府門真市の京阪・古川橋駅周辺。駅前の街路樹に集まる大量のムクドリ。古川橋駅周辺は秋になると多くのムクドリがやってきて、長年騒音などに悩まされてきたといいます。優奈さん、雫ちゃんを飛ばします。すると、ムクドリが一斉に散っていきました。しかし、これで終わりではありません。駅周辺をくまなく飛ばすこと30分。200羽はいたであろうムクドリが姿を消しました。(優奈さん)「きょうの終了は遅い方ですね。日の出とともに始まる日もあれば、こうやって夜に終わる日もあります」。休日も世話を欠かさず、365日鷹匠の仕事に追われる優奈さん。そんな優奈さんのことを、ご家族はどう思っているんでしょうか?(母・安希さん)「娘が鷹匠になると聞いて最初は びっくりしました。もともと小さいときから鳥が好きだったので、鳥関係の仕事に就きたいとは聞いていて、動物園とかかなと思っていたんですけど。好きなことが出来ているんでいいかなと思っています」。屈強な鷹を手懐け、ともに困っている人々を助ける。優奈さんにとって鷹匠とは?(優奈さん)「生き物相手なので難しさもありますけど、達成感もそれなりに大きいと思います。自分の好きな鳥と一緒に仕事ができるっていうのは、私にとって天職だなと思います」。

(通学路、クマ警戒:静岡)
相次ぐクマの目撃情報を受け、裾野市は小中学生の安全対策を始めた。目撃場所に近い学校の児童生徒にクマよけの鈴を配り、10月末から猟友会などの協力で通学路の見守り活動を実施している。

(小学校から300メートル先の道路でクマ目撃:山形)
4日午後8時すぎ、山形市下宝沢にある市立東沢小学校から東南約300m先の県道でクマが目撃されました。目撃者(20代女性)が車で西進中、山側から体長約1mのクマが飛び出してきたということです。クマはそのまま出てきた場所とは反対側の馬見ヶ崎川方面に立ち去って行ったということです。人や物への被害は確認されていません。警察はパトカーを出動させて、現場近くの住民に注意を呼びかけています。

(鶏舎で換気扇のシャッター壊される:岩手)
3日午後、八幡平市の農場で鶏舎の換気扇のシャッターが壊され、クマとみられる足跡が見つかりました。付近では同じような被害が相次いでいて、警察はクマによる被害とみて、警戒を呼びかけています。警察によりますと、3日午後8時半ごろ、八幡平市平笠の農場の鶏舎で換気扇のシャッターが壊されているのが見つかり、すぐそばにクマのものとみられる足跡が残っていたということです。また、4日未明には、数メートル離れた別の鶏舎3棟でもシャッターが壊され、クマとみられる足跡が見つかっていました。いずれもニワトリに被害はありませんでした。警察ではいずれもクマによる被害とみて、警戒を呼びかけています。

(作業小屋から米袋なくなる、クマによる被害か:岩手)
4日朝、一関市で、作業小屋の中の米袋がなくなったことが分かり、この近くではクマに米袋が荒らされたとみられる被害が相次いでいることから、警察では警戒を強めています。警察によりますと、4日午前6時半ごろ、一関市萩荘の作業小屋で木製の戸が壊され、中にあった米袋2袋のうち、1袋がなくなっているのが見つかりました。米袋にはおよそ10キロのコメが入っていたということです。この付近では、クマに米袋が荒らされたとみられる被害が相次いでいることから、警察では今回もクマによる被害とみて警戒を強めています。

(小学校近くでクマ出没:滋賀)
全国で相次いでいるクマの目撃情報。滋賀県長浜市では6日朝、小学校の近くでクマ1頭が見つかりました。警察によりますと、6日午前6時ごろ、長浜市当目町の市道で、車で通りかかった人が、体長約1mの成獣とみられるクマ1頭を発見しました。クラクションを鳴らしたところ、近くの山へ入っていったということで、目撃者は午前7時20分ごろ、警察署に連絡したということです。警察によりますと、目撃現場の近くには草野川があり、この川沿いを通って移動するクマの目撃がこれまでもあるということです。今年は初めてということですが、近くには民家が並ぶほか、長浜市立小学校もあります。警察と市は、防災無線やメールをつかって呼び掛けるとともに、通学時間帯はパトカーで巡回するなどして警戒しています。

(わなにかかったクマ見つかる:福井)
6日、南越前町でわなにかかった成獣と見られるクマ1頭が見つかりました。町と県は午後2時、このクマを駆除しました。南越前町の山で発見された一頭のクマ。右腕を柿の木に取り付けられたわなにかかり動けない状態となっていました。この場から逃げようとしているのか、柿の木を何度もかじっています。町によりますと、6日午前、クマ1頭がシカ用のわなにかかっていると町に通報がありました。町は県と協議した上で、午後2時クマを駆除しました。クマは成獣と見られるということです。付近では、柿の実の収穫作業にあたる住民の姿も見られました。県内では10月からクマの出没が相次いでいて、連日、目撃情報が県や市町に寄せられています。5日までに526件、県内の全ての市町で確認されているほか、10月18日には今シーズン初めてとなる人身被害が発生。勝山市の70代の男性がクマにかまれ頭を6針縫うケガをしています。

(神社に“アライグマ”、捕獲例ない場所に出現:東京)
東京都港区の神社で27日、ごみ箱をあさるアライグマの姿が撮影された。目撃された場所は、過去にまだアライグマが捕獲がされていない場所で、都内で生息域を拡大している。東京都が出した「アライグマの捕獲分布」では、11年前(平成24年度)と3年前(令和2年度)を比べると、都心に生息域を広げていることがわかる。今回見られたのは、海からわずか500mの場所だった。分布を見ると、捕獲数は0だ。どんどん生息域を拡大する、アライグマ。次は、あなたの街に現れるかもしれない。

(イノシシと衝突で列車が最大49分の遅れ:埼玉)
5日午後7時10分ごろ、埼玉県小川町青山のJR八高線小川町―明覚間で、高崎発高麗川行き上り普通列車(2両編成)が走行中にイノシシとぶつかり停車した。列車は安全を確認して約20分後に運転を再開したが、線路内に死骸があったため、同区間の上下線で一時運転を見合わせた。乗員乗客にけがはなかった。JR東日本高崎支社によると、撤去作業と安全確認をし、午後8時38分に運転を再開。この影響で八高線は上下計3本の列車に最大49分の遅れが生じ、乗客約80人に影響した。

(住宅設置の防犯カメラに3頭のクマ:北海道)
6日未明、札幌市の住宅に設置された防犯カメラに親子とみられるクマ3頭が捉えられ、札幌市などが注意を呼びかけています。クマが写っていたのは札幌市西区山の手の住宅に設置された防犯カメラで、6日午前1時ごろ親子とみられる3頭が住宅の脇の道路を市街地の方向に向かって歩いているのが写っています。朝になって映像を確認した住民がクマに気づいて通報したということです。防犯カメラを設置していた住宅に住む女性は「60年近くここに住んでいるがクマを見たのは初めてです。いるだろうとは思っていたがいざ見ると不思議な感覚です」と話していました。また、6日朝は情報を受けた札幌市の担当者などが現場を訪れ、足跡がないかなどを確認していました。市の担当者は先月、市内で確認されていた親子のクマの可能性もあるとして注意を呼びかけています。

(温泉街にイノシシが出没し店舗に侵入:佐賀)
6日午前、佐賀県嬉野市の温泉街にイノシシ1頭が出没し、発見からおよそ4時間後に捕獲されました。イノシシは温泉街の店の中に入りこむなどしましたがけが人はいませんでした。6日午前9時すぎ、嬉野市嬉野町の温泉街で近くにいた人から、「本通りでイノシシを見た」と市に通報がありました。また、午前9時50分ごろには、警察に「1メートルくらいのイノシシが家の中にいる」との110番通報がありました。イノシシは、嬉野温泉の公衆浴場「シーボルトの湯」のすぐ近くの釣り具店のなかに侵入したあと、温泉街の中を動き回っていたということです。イノシシはおよそ4時間後に市内の塩田川で嬉野市や猟友会、警察によって捕獲され、けが人はありませんでした。嬉野市によりますとイノシシは体長がおよそ1メートル30センチ、体重およそ90キロのオスだったということです。釣り具店の店主は、「音も無く、突然黒い大きな物体が横切っていのししだと気づいてすぐに静かに店の外に出た。ゾッとしたが、襲われなくてよかった」と話していました。また、イノシシを目撃した人は「街なかにイノシシが出るなんて驚いた。今後も気をつけないといけないと思った」と話していました。嬉野市は、イノシシに遭遇した場合近づいたり、目を合わせたり、走って逃げたりはせずに、静かにゆっくり後ずさりして距離をとってほしいと呼びかけています。

(半年がかりで"迷惑サル"御用!:長崎)
2023年4月ごろから島原市の住民を悩ませていた野生のサルが捕獲されました。神社の木の上に悠然と腰掛ける一匹のサル。2023年4月末から島原市内の各地で目撃されていた野生のサルです。市によりますと人に危害を加えたことはなかったものの、作物を食べたり、子供を追いかけまわしたという報告があったということです。市が中心部の3カ所にワナを仕掛けていたところ、11月2日に弁天町で捕獲されたということです。エサにはピーナッツが使われていました。サルは3、4歳のオスと推定されていて、今後サルをどうするか市が検討しています。

(クマがイノシシ用のわなに:広島)
全国で野生動物の出没が相次いでいるが、広島県三次(みよし)市では、クマがイノシシ用のわなにかかった。また、呉市では女児がサルにかまれる被害が相次いでいる。イノシシのわなにかかっていたのは、体長1メートル30センチ、体重78キロの大人のメスのツキノワグマ。11月2日午前8時過ぎ、三次市の果樹園の関係者から「クマがイノシシ用のわなにかかっている」と、市に連絡があった。クマは駆け付けた猟友会により駆除された。けが人はなかったが、果樹園のカキやリンゴが食べられる被害が出た。三次市では、クマの目撃情報が相次いでいて、9月末の時点で31件にもおよぶということだ。一方、呉市ではサルによる被害も。呉市によると、10月30日午後5時すぎ、弟と帰宅途中の小学2年生の女子児童が、サルに遭遇。声を上げて逃げたところ、サルが追いかけてきて足をつかみ、倒れた女の子の脇腹を引っかき、腰を噛んだという。同じ町内では10月7日にも農作物を保管する倉庫で、4歳の女の子が右足のふくらはぎをサルにかまれ軽いけがをしたということだ。呉市は、下校時の見守りなど警戒を強めている。

(電車とシカが接触:兵庫)
6日午後6時20分ごろ、神戸市北区道場町生野のJR宝塚線道場-三田間で、大阪発新三田行き下り普通電車の運転士が線路上に鹿が3頭いるのを見つけ、非常ブレーキをかけたが間に合わず接触した。車両の安全を確認し、約1時間後に運転を再開した。乗客約300人にけがはなかった。

(測量作業員がクマと遭遇、スプレーで撃退しけがなし:島根)
11月7日午前、浜田市三隅町の林道で熊が目撃されました。クマと遭遇した人にケガはありませんでした。クマが目撃されたのは、浜田市三隅町黒沢地内の御部ダム上流2キロ付近の林道で、7日午前11時15分ごろ、ダム湖の測量をしていた男性作業員2人が約1mの距離にクマが近づいていることに気がつきました。クマはツキノワグマとみられ、体調は約1.3mで、作業員が持っていた撃退スプレーを噴射したところ、すぐに山の中へ逃げていったということです。作業員にケガはありませんでした。御部ダムを管理する島根県は周辺のパトロールを強化するとともに、近くの公園やキャンプ場を閉鎖し注意喚起の看板を設置するとしています。島根県によると、2023年度のクマ目撃件数は10月末時点で726件で、2022年の同じ時期を約200件上回っています。県はクマの出没情報に注意し、危険な場所に近づかないことや、山林に入る際は2人以上で行動することなど被害に合わないよう注意を呼びかけています。

(市街地にイノシシ出没:和歌山)
和歌山県田辺市街地でこの秋、イノシシの目撃情報が相次いでいる。夜間、民家や商業施設近くにも出没しており、住民らを怖がらせている。稲成町荒光区では11月上旬、推定体重約80キロのイノシシが目撃された。住民によると、ライトを照らすなどして追い払おうとしても、逃げる様子もなく困惑したという。商業施設や保育所につながる道路もあることから、区は注意喚起の回覧で「歩行や自転車で移動する際は十分気を付けてほしい」と呼びかけている。市農業振興課には、稲成町など市街地の複数の場所で目撃情報が寄せられている。防災行政無線や防災メールなどで注意を呼びかける一方、地元の猟友会に依頼してわなを設置するなどの対策をしている。同課は「イノシシを見かけても、大声を出して脅かしたり、追いかけたりしないでほしい。残飯やごみをきちんと処理するなど、餌になるようなものを放置しないように気を付けてほしい」と話している。

(ニホンカモシカ出没:静岡)
浜松市の田畑や住宅が並ぶ地域に、ニホンカモシカが出没しています。8日も高校の校庭で目撃情報がありました。11月4日 午前11時半ごろに浜松市西区で撮影された映像。道路を勢いよく走っているのは、国の特別天然記念物、ニホンカモシカです。目撃されたのは、佐鳴湖にほど近い浜松市西区神ケ谷町。住宅地や田畑が広がる場所です。浜松市によりますと、8日 正午前にも、この場所に近い浜松大平台高校の校庭でニホンカモシカが目撃されたということです。野生動物の対策を担当する県の森林・林業研究センターは「ニホンカモシカは基本的には大人しいが、興奮すると襲ってくる可能性もあるため見かけても近づかないでほしい」と呼び掛けています。

(わなにツキノワグマ殺処分、放獣場所確保できず:神奈川)
神奈川県は7日、相模原市緑区寸沢嵐の樹林に設置されたわなにツキノワグマ1頭がかかり、殺処分したと発表した。県によると、クマは体長104センチ、体重38キロのオス。同日午前8時半ごろ、シカやイノシシを捕獲するためのわなにかかっているのを発見された。樹林近くには住宅もある。人を恐れるように学習させた上で山に放つことを検討したが、放獣場所を確保できず、同日午後に殺処分した。今後、県立生命の星・地球博物館(小田原市)で学術研究に役立てるという。県によると、クマの殺処分は本年度4件目(前年度は2件)となった。

(保育所にクマ、庭を歩く姿が防犯カメラに:福島)
警察によりますと、6日午前11時ごろ、福島県金山町川口にある川口保育所で「保育所の庭でクマの糞(ふん)を発見した」と女性職員から警察に通報がありました。保育所に設置された防犯カメラを確認すると、6日午前3時ごろに、クマ1頭(体長約1メートル)が、東側の町道から敷地内に入り、立ち去る様子が映っていたということです。これまでに、クマによる被害は確認されておらず、警察は付近の警戒や広報を行っています。

(木の上にクマ、約3時間後に立ち去る:福島)
警察によりますと、7日午後4時50分ごろ、福島県会津若松市東山町石山院内で、男性が、木に登っているクマ1頭(体長約1メートル)を目撃しました。クマはその後、しばらくの間木の上に留まりましたが、約3時間後に木から降りて、南にある湯川方向に立ち去り、これまでにクマによる被害は確認されていないということです。警察は、会津若松市に情報提供するとともに、付近の警戒や広報を行っています。

(体重320キロ“OSO18クラス”の大型ヒグマ、箱わなに:北海道)
ヒグマの出没が相次いでいた北海道石狩市で、オスのクマ1頭が箱わなにかかり、駆除されました。11月5日午前7時ごろ、石狩市浜益区に設置していた箱わなにクマ1頭が入っているのが見つかり、市と猟友会が駆除しました。駆除されたクマはオス。体長が180センチで、体重は320キロありました。そのほかのサイズは、胴回りが170センチ、前足の長さが17センチ、後足の長さは29センチでした。ウシ66頭を襲い恐れられ、7月に駆除された「OSO18」と同じクラスの大きさです。石狩市によりますと、同市浜益区では2023年(11月6日現在)、51件のクマの目撃情報が寄せられていて、2022年の7件、2021年の5件を大きく上回っています。北海道は9月29日に浜益区全域を対象に「北海道ヒグマ注意報」を出し、市民へ注意を呼び掛けていました。民家敷地内でもクマの目撃が相次ぐなど出没が相次いだことを受け、10月25日に市が同区内の林道を通行止めにして箱わなを設置しました。10月30日には駆除されたとみられるクマが箱わな周辺をうろつく姿が監視カメラに捉えられていました。石狩市は11月6日に「クマの駆除の報道は区民の安心につながる」として今回の駆除に関して公表しました。北海道をはじめ全国で、クマの駆除を実施した自治体などへ「なぜ殺したのか」「クマがかわいそう」などと苦情が殺到する事例が多く発生していますが、11月7日までに石狩市へ苦情などの連絡は寄せられていないということです。

(鹿革馬具が開く暑熱対策の未来)
日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の小林篤尚(46)が担当する。JRAは猛暑を受け、来年から開催時間の変更などに動いた。馬具でも暑熱対策を――。鹿革を使った馬具「放熱バンテージ」の普及を目指す馬具メーカーmiru.の西岡秀華代表に話を聞いた。腕に冷たさが伝わった。水でぬらした放熱バンテージを巻くだけで、ひんやり気持ちいい。これを馬の脚部に巻くことで、放熱効果があるという。株式会社miru.の西岡秀華さんは「メソポタミアの時代、鉢巻きには鹿革が使われていました。データを取れない時代からも、鹿革で放熱できることを知っていたんですね。それを復元して、アピールしたいです」と太古から息づくものだと説明。古代の人々は鉢巻きを巻く(=頭部の熱を下げる)ことの大切さと、それには鹿革が適していることを知っていた。常温の水でぬらして馬の脚部に巻くと、皮膚の温度が約2度ほど下がる。冷却ではなく放熱。それが4~5時間ずっと続く。メンテナンスを行えば、半永久的に使える。水に触れるだけにフレグモーネ(傷腫れ)を心配する向きもあったが、その点もクリア。「暑い夏場のレース後や、脚元の弱い馬に使ってもらえれば。熱中症の対策にもなると思います」と見通しを語る。猛暑にフィットする馬具と言える。現在は厩舎でテストなどを行っている。JRA・G126勝を挙げた角居勝彦元調教師が2年前から開発に携わっている。先月25日に栗東トレセンを訪れた角居氏は「加工されているとはいえ生きている皮。呼吸もします。馬具は海外が主流ですけど、日本にも独自の鹿革なめしの技術があることを世界に証明したい。ジャパン・ブランドとしての活動です」と語った。長野県諏訪産の和鹿を使っている。「食性とか土がいいのか肌ツヤがいいですね」と話す。一個一個手作業で縫製しているので、機械での大量生産ができない。完成まで2、3カ月はかかるという。「前脚で1セットと考えると年間で出せるのは100セットくらいかな」とのこと。希少な商品ゆえ、ずっと使えるのはうれしい。秀華さんはもともと馬が好き。奈良県宇陀市長の紹介で、鹿革なめしと出合った。馬具そのものにも造詣が深い。馬のことを思って、日々活動している。「皆さんに鹿革の概念を知ってほしい。そして奈良の技術を発信していきたいです」と語った。これからも猛暑は続いていくだろう。さらに厳しさを増すかもしれない。馬具が開く暑熱対策の未来。本格的な実用化へ向けての取り組みが続く。

(農林水産省がおこなう「ジビエ」普及に向けた取り組みとは?)
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。11月5日(日)の放送では、農林水産省 農村振興局 農村政策部 鳥獣対策・農村環境課長の藤河正英(ふじかわ・まさひで)さんを迎えて、「食べて使って笑顔になって! ジビエの魅力」をテーマに話を伺いました。“ジビエ”とは、シカ、イノシシ、クマ、カモ、キジ、ウサギなど、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉、または、その食肉を使った料理のことです。狩猟が盛んなフランスでは、シカやウサギ、カモなどの食肉を使った料理が文化として定着しています。また現在は、ひと昔前と比べてジビエを取り巻く環境は変わってきており、「まず大前提として知っておいていただきたいのは、近年は地球温暖化による暖冬、ハンターの高齢化など、さまざまな要因で生息域が広がっており、農作物にも被害が発生しています」と藤河さん。主にシカやイノシシによって農作物が荒らされ、2021年度の被害額は155億円にも及びます。そして、手塩にかけて育てた農作物が被害に遭ってしまうと、農業を続けることが困難になり、農業をやめてしまう方もいます。さらには、シカなどに森林の下草が食べ尽くされて土壌が流出してしまったり、車と衝突したり、町に迷い込んで人にケガをさせるなど、鳥獣被害は人間社会にさまざまな影響を及ぼしています。こうした背景もあり、近年では被害防止などを目的にシカやイノシシの捕獲を進めていて、捕獲頭数は年々増加しています。2022年度に捕獲したイノシシとシカは合わせて131万頭です。しかし、ハンターの方が自分で食べるぶんを除くと、食肉として利用される割合は1割程度とそれほど高くありません。それ以外は、埋めたり、焼却をしなければならず、その労力や処理費用が捕獲者や自治体の負担になっています。そこで、そうした野生鳥獣を人間に被害をもたらす“害獣”として処分するのではなく、地域の有用な資源として活用し、さらに地域活性化にもつなげようという取り組みが進んでいます。藤河さんによると、地元のレストランでジビエを使った新しいメニューを開発して提供したり、ソーセージやハンバーグに加工して、道の駅やネットショッピングで販売する事業者が増えているそうです。また、ジビエの処理施設は食品衛生法の許可を受けているため、「そこから出荷された肉であれば、加熱すれば安全に食べることができます」と説明します。野生鳥獣肉の衛生管理に関しては、2014年に厚生労働省がガイドラインを設けており、農林水産省は、このガイドラインなどを遵守しているジビエ処理施設を認証する「国産ジビエ認証制度」を2018年に設け、安全・安心なジビエの普及を進めています。2024年2月29日(木)まで、ジビエの特設サイト「全国ジビエフェア」が展開しています。同サイトでは、フランス料理、ファーストフード、和食など、さまざまなジャンルのジビエ料理が食べられる飲食店や、革製品、ペットフードが買えるお店を紹介しており、10月26日(木)時点で1,000店舗以上が参加しています。ジビエを食材として利用することや皮革などを無駄なく活用することは、食料確保、廃棄物の削減につながり、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献することにもなります。また、ジビエは食肉としてとても優秀で、例えば、シカ肉は牛肉と比べてカロリーが半分以下なのに、タンパク質、鉄分、ビタミンが豊富で、イノシシ肉は豚肉と比べて鉄分が4倍、ビタミンB12は3倍も多いのが特徴です。さらに、今ではソーセージやハンバーグだけでなく、さまざまな加工品があり、家庭で調理するための食肉をネットショッピングで手軽に購入することができるほか、ふるさと納税の対象になっているジビエの食肉や加工品もあります。なお、ジビエのポータルサイト「ジビエト」では、ジビエに関する基本的な情報から「ジビエを楽しむ旅」など、魅力あるコンテンツを動画などでも紹介しているほか、「イベント」という項目では、全国で開催されているジビエイベントの紹介も掲載されています。改めて藤河さんは、「これから狩猟シーズンが本格化するので、全国さまざまな場所でジビエイベントが開催されます。ぜひ検索してみてください」と呼びかけました。足立は、今回のテーマを通して「私たちが食べるぶんだけじゃなくて、革製品やペットフード、ペット用品まであることにビックリでした。ジビエはいろいろな使い方、楽しみ方があるんだなと思いました」と感想を述べます。一方、“筋トレ好き”の青木は、ジビエが高タンパク、低カロリーである点に着目。「(ジビエは)健康にもいいし、理想的な食材。また、足立さんが挙げていた革製品やペットフードなどもそうですし、(ジビエを食べるだけでなく)無駄なく活用することは、結果的にSDGsに貢献することになりますよね」と話していました。

(ジビエの調理通じて、子どもたちが食や命の大切さ学ぶ:長野)
ジビエの調理を通じて、食や命の大切さを学ぶイベントが4日、長野市で開かれました。調理に使うのは山林で仕留められた野生のイノシシです。イベントは安全な食材の提供などに取り組む長野市のNPO法人が開いもので、県内外からおよそ30人が参加しました。参加者は猟師の説明を受けながら、カッターを使ってイノシシをさばきその後は、焼いて味わいました。NPO法人の関係者は「イベントを通じて、改めて食や命の大切さを感じてもらえれば」としています。

(猟師が営むジビエ料理専門店:長野)
2021年に長野市に移住したオーナーが地域おこし協力隊として狩猟に携わった経験を活かし、2023年3月にジビエを扱うカフェ「ジビエ食堂 ino-shika(イノシカ)」をオープン。駆除される命を余すことなく活用するために低温調理などを駆使し、丁寧に鹿や猪肉をやわらかく味わい深い一品に仕上げているそう!プレートやパスタには+150円で自家製パンの追加もOKです。定番料理のほか季節限定メニューも用意されています。

(鹿肉の利活用広めたい、命を捨てない世界に:ペットのおやつ専門店「&C」代表 長原駿)
私は「命」を捨てたことがあります。最近では、狩猟後に保管が難しかったシカを山に埋設しました。なぜ捨てなければいけないのでしょうか。初回はこのことについて考えます。私は猟師見習いをして、廃棄予定のシカをペットのおやつなどに利活用する「&C(アンドシー)」という事業を行っています。現在、県内に生息しているシカは有害鳥獣に指定されています。有害鳥獣とは農林業や人間に害を及ぼす鳥獣のことで、シカは主に森林被害に関わってきます。シカは木の新芽や皮を食べたり、角を研いだりして表皮を傷つけます。それによって起こるのは木の腐敗です。自然の中で起こることだから、私たちには関係ないじゃないかと感じる人も多いでしょう。しかし、林業で生計を立てている人の所有林にその被害が及んだ場合、どうでしょうか。または森全体が腐敗し、その麓で過ごしている人たちへの土砂災害につながっていたらどうでしょうか。それが家族だったらどうでしょうか。本県ではシカが増え過ぎています。増えた理由についてはここで触れませんが、人の手によってもたらされた結果です。過去の清算を今の猟師さんが担っています。いつからか「食べるために狩猟する」から「駆除するために狩猟する」に変わりました。消費するよりも大きな数になった駆除頭数。必然的に廃棄という選択肢が出てきて、もはや当たり前になっているのが現状です。それ以外の選択肢が取れないことも事実です。たまたま私は料理人で、さばき方や加工方法、販売などにも知識があるため「&C」を運営していますが、全員がそうではありません。私にできることをとにかくやり抜き、いつか廃棄数を利活用数が上回り、資金ができて森を整えられたら駆除も廃棄もしなくてよくなります。実現までは程遠いですが、小さなところから私なりに行動していきます。ただ、利活用を進めるためだけにペットおやつ専門店を選択したわけではありません。私は愛犬と共に暮らしています。生まれた時から家には犬がいるのが当たり前で、他にも鳥やハムスターなどたくさんの動物に囲まれて育ちました。動物が大好きという気持ちは強く、そして今もなお、大きくなっています。そんな大切な存在にとって、鹿肉は良いところがあることを知りました。成分や脂質の含有量などがそうです。愛犬にとってスーパーフードの一部になり得るポテンシャルを秘めていて、これからも注目の食材として認知が進んでいくと感じています。廃棄予定だったものからも価値を生み出すことができるのです。手がける商品をもっと洗練させていき、多くの命を廃棄する前に、他の選択肢を提示することができればいいなと考えています。

(「そらちエゾシカフェア」:北海道)
エゾシカ肉の魅力を発信しようと空知地方の飲食店が特別メニューを提供する「そらちエゾシカフェア」が開かれていて人気を集めています。「そらちエゾシカフェア」は道の認証を受けたエゾシカ肉の処理施設がある浦臼町と空知総合振興局が今月1日から行っています。空知地方のあわせて24の飲食店が参加していて、それぞれがエゾシカ肉を使った特別メニューを提供しています。このうち浦臼町の飲食店はたれや塩で味付けした「エゾシカ肉丼」と手打ちそばのセットを提供し、訪れた人たちがじっくりと味わっていました。女性客のひとりは「シカ肉は高たんぱくで鉄分も多いので美容のためと思い、よく食べています」と話していました。浦臼町産業課商工観光係の内藤賢係長は「エゾシカ肉をなじみの食材として、みなさんにもっと食べていただきたいです」と話していました。「そらちエゾシカフェア」は今月23日まで開かれています。

(狩猟から食肉提供までの理念を一冊に:北海道)
豊頃町内で食肉加工製造を手掛ける「ELEZO(エレゾ)社」の佐々木章太社長(42)が初の著書「美しき食肉の世界」(旭屋出版発行)を出した。食材となるエゾシカなどの狩猟から食の提供まで、理想とする食肉の「フードチェーン」を構築した同社の理念や哲学が分かる一冊だ。

(熟成シカ肉に舌鼓、改良重ね試食会:奈良)
宇陀市周辺で捕獲された野生ジカの熟成肉の試食会が、橿原市北八木町1の「ビストロ・ラ・フワジャ」であった。ジビエ料理に興味を持つ市民ら12人が参加し、うまみが凝縮された肉の料理に舌鼓を打った。

(「第6回房総ジビエコンテスト 加工食品部門」:千葉)
ちばの山野を駆け巡る天然の肉「房総ジビエ」。獣害被害を減らし、余すところなく自然の恵みを活かすサステナブルな活動として注目を集めるジビエの加工食品部門コンテストを初開催し、受賞作品を決定しました。千葉県農林水産部流通販売課(所在地:千葉市中央区市場町1-1/事務局:株式会社オニオン 新聞社、代表取締役 山本寛、所在地:千葉市中央区中央3-3-1)では、野生鳥獣被害対策の一環として、県内で捕獲されたイノシシやシカの肉を 「房総ジビエ」と銘打ち、その消費拡大を図っており、令和5年10月23日(月)に「第6回房総ジビエコンテスト 加工食品部門」の実食審査及び表彰式を開催しました。 夏季の需要喚起を目的として初めて開催した当部門には、飲食店・調理師専門学校生・食品関連事業者から26作品の応募があり、書類審査及び実食審査を経て、下記のとおり、受賞作品を決定しました。

(イノシシ肉の「ししまるカレー」、マラソン大会で初めて販売へ:栃木)
栃木県の那珂川町地域おこし協力隊の富山、須藤(すどう)ゆうさん(40)が馬頭高生と連携し、イノシシ肉を使ったカレー「ししまるカレー」の開発を進めている。町内には県内唯一のイノシシ肉加工施設があり、「施設の高い加工技術を伝えたい」と意気込む須藤さん。12日に開かれる第2回なかがわ清流マラソン大会で初めて販売する。須藤さんは三重県出身。元益子町地域おこし協力隊員で、農産物の加工などの経験がある。那珂川町が食や農に関する分野で協力隊を募集していたことをきっかけに2022年4月に着任した。同施設で加工されたイノシシ肉を「獣臭くなく、食べやすい」と評する須藤さん。食品加工の経験を生かし、脂分が少なく用途が限られるすね肉や肩肉を使った商品開発に取り組むことを決めた。イノシシ肉を使ったカレーの開発をすでに進めていた馬頭高生とつながった今年5月以降、レシピの改良へアイデアをもらうなど、連携を深めた。大会で販売するカレーは辛さ控えめで、同施設で加工された千葉県産のイノシシ肉とタマネギのみを具にする。肉はニンニクとショウガ、イノシシの脂で炒めて風味を付け、煮込む。うま味を追加するため、この煮汁の一部はルーに使うなど、イノシシづくしだ。10月24日に実施した試作では、塩味の微調整にこだわった。須藤さんは「イノシシ肉のおいしさや町の加工施設を知ってもらうため、納得できる品を作り上げたい」と話した。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、8日午後5時ごろ、仙台市青葉区落合2丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、8日未明、仙台市青葉区芋沢小坂南にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
登米市によると、8日午前11時10分ごろ、登米市南方町ぜん荷前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
利府町によると、8日午前8時ごろ、利府町神谷沢菅野沢付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、7日、栗原市志波姫刈敷の川沿いでクマが出没したような痕跡が見つかりました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、7日午後2時30分ごろ、富谷市今泉鶴巻にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、7日午前6時30分ごろ、色麻町王城寺八原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、6日午前10時30分ごろ、仙台市青葉区上愛子白沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、6日午前7時20分ごろ、仙台市青葉区芋沢川坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、5日午後7時15分ごろ、富谷市富谷南裏付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、5日午後2時ごろ、富谷市今泉水神沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、5日午前6時35分ごろ、栗原市一迫真坂大門にクマが出没しました。

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(自宅脇の畑でクマに襲われ60代女性がけが:新潟)
3日朝、新潟県長岡市郊外の住宅街で、60代の女性が自宅脇にある畑でクマに襲われ頭や肩などにけがをして病院に搬送されました。警察官が駆けつけた時にはクマはすでにおらず、警察などが注意を呼びかけています。警察などによりますと、3日午前6時40分ごろ、長岡市金沢で60代の女性が自宅脇にある畑で農作業をしていたところ、クマに襲われました。女性は頭や肩などにひっかかれたような傷があり、近くの病院に搬送されました。意識はあるということです。クマは体長1メートルほどとみられ、警察官が駆けつけたときには、すでに現場にはいなかったということです。現場は住宅街の一角で、警察や市が注意を呼びかけています。新潟県では、全国的にクマによる被害が相次いでいることなどを受け、先月下旬から最も警戒レベルが高い「クマ出没特別警報」が出されています。60代の女性がクマに襲われた現場近くに住む70代の女性は「このあたりは毎年のようにクマの目撃情報はありますが、クマに襲われてけが人が出たというのは40年以上住んでいて初めて聞きました。とても驚きました」と話していました。

(野生動物の出没相次ぐ、サルに襲われ女児2人がケガ:広島)
広島県内各地では野生動物の出没が相次いでいますが、三次市の果樹園で、2日朝、イノシシ用のわなにかかったメスのクマが見つかりました。イノシシのわなにかかっていたのは・・・体長1メートル30センチ、体重78キロの大人のメスのツキノワグマです。2日朝8時すぎ、三次市布野町の果樹園の関係者から「クマがイノシシ用のわなにかかっている」と、三次市に連絡がありました。クマは駆け付けた猟友会により駆除されました。けが人はいませんでしたが、果樹園のカキやリンゴを食べられる被害がありました。三次市では、クマの目撃情報が相次いでいて今年は9月末時点で31件にもおよぶということです。一方、呉市の倉橋島ではサルによる被害も。呉市によりますと先月30日午後5時すぎ、倉橋町宇和木で弟と帰宅中していた小学2年生の女子児童が、サルに遭遇。声を上げて逃げたところサルが追いかけてきて足をつかみ、倒れた女の子の脇腹を引っかき腰を噛んだということです。同じ町内では先月7日にも農作物を保管する倉庫で、4歳の女の子が右足のふくらはぎを噛まれ軽いけがをしたということです。呉市は、下校時の見守りなど警戒を強めています。

(山中でクマに襲われ、きのこ採りの男性けが:長野)
3日午前、大町市の山の中で、50歳の男性がクマに襲われ頭に軽いけがをしました。クマは見つかっていないということで、警察や市が注意を呼びかけています。警察によりますと、3日午前9時ごろ、大町市平の山の中で、きのこ採りをしていた静岡県の会社員の男性(50)がクマに襲われました。男性は、頭をクマにかまれた傷があり、病院に搬送され手当てを受け、軽傷だということです。男性は、「きのこを採ろうとかがんだところ横から頭をかまれた」と話していて、襲ったクマは成獣とみられ見つかっていないということです。けがをした男性を見た人は、「頭を押さえて『やられた』と言っていた。こめかみと側頭部をかじられた感じで血だらけだった」と話していました。現場は、木崎湖の東側の湖畔の住宅や店舗が点在する国道148号沿いから東のほうに歩いて10分ほどの山中です。この被害を受けて、大町市は3日から1週間、「クマ出没警戒警報」を発令し、クマの活動が活発になる朝や夕方の時間帯の外出をなるべく避けるほか、山に入る場合は鈴や笛などを鳴らすこと、不要となった農作物を放置しないことなどを呼びかけています。

(クマに襲われ新聞配達中の男性けが:秋田)
2日、秋田県北秋田市で男性2人がそれぞれ別の場所でクマに襲われ、けがをしました。ことし、秋田県内でクマに襲われる被害が相次いでいてけがをした人は65人にのぼり、これまでで最も多くなっています。警察によりますと、2日午前4時20分ごろ、北秋田市五味堀の民家の敷地で新聞配達をしていた60代の男性がクマに襲われ、首にけがをしました。男性は、近くの民家に駆け込んでその後、市内の病院に搬送されましたが、意識はあり、会話もできるということです。また、午後3時ごろには、北秋田市阿仁水無で近くに住む50代の男性がクマに襲われました。男性は、市内の病院に搬送されました。意識はあり、会話をしたり、自力で歩いたりできるということです。60代の男性が襲われた現場は、住宅が点在する山あいの地域で、警察は現場周辺をパトロールするとともに、近くに住む人に警戒を呼びかけています。秋田県警察本部によりますと、ことし県内でクマに襲われる被害が相次いでいてけがをした人はこれで65人となり、これまでで最も多かった平成29年の20人の3倍以上になっています。県と警察は、「ことしは特に、『いつでも・どこでも・誰でも』クマに遭遇するリスクがある」として、やぶなどの見通しの悪い場所には近づかず、鈴やラジオなどで音を出して人の存在をアピールするよう警戒を呼びかけています。被害にあった男性が駆け込んだ民家に住む73歳の女性は、「子グマに首筋をかまれたようで、傷が深そうだったので、すぐ消防に通報した。この周辺では去年まではほとんどクマが出ることはなかったが、ことしは多く出ているので驚いている」と話していました。クマによる被害が相次いでいる秋田県で、自治体や警察などが参加する緊急の対策会議が開かれ、収穫しない柿の実を取り除くなど、これから冬にかけての注意点を確認しました。2日、秋田県庁で開かれた緊急の対策会議には、国や自治体、それに警察などの担当者およそ50人が出席しました。このなかで秋田県の担当者が、クマの目撃件数は例年9月以降は減少する傾向にあるものの、ことしは9月に特に多く目撃されていることや、クマのエサとなるブナの実などが凶作となり、オスだけでなく警戒心が強いメスのクマも、山から集落に下りてきていると説明しました。その上で、これから冬にかけての注意点として▽これまでクマがあまり食べないとされていた「渋柿」も食べる可能性があるので、収穫しない柿などの実を取り除くこと▽クマが隠れられる場所を減らすため、車庫のシャッターなどを閉めておくことを徹底するよう呼びかけました。県自然保護課の斎藤寿幸 課長は「ことしはクマ大量出没の年といえます。 出没が増えると必然的に人身被害も増えるので、いま一度注意を呼びかけていきたい」と話していました。

(サル出没、男児3人がけが:福岡)
3日夕方、那珂川市でサルが出没し、住宅の庭で遊んでいた子ども3人が噛まれるなどのけがをしました。警察によりますと3日午後5時すぎ、那珂川市恵子で「子どもが泣いていて話を聞いたらサルに噛まれたと言っている」などと通報がありました。けがをしたのは、4歳から9歳の男の子3人で、頬や尻を噛まれるなどしましたがいずれも軽傷ということです。3人はきょうだいで、自宅の庭で遊んでいる際に突然サルに襲われたということです。また、午後3時ごろには那珂川市の現場から3キロほど離れた福岡市南区柏原でもサルが目撃されていて、警察は、「サルを見かけても絶対に近づかず、目を合わせないように」と注意を呼びかけています。

(クマが女性襲撃:栃木)
4日午前6時半ごろ、那須町大島の町道で犬の散歩中だった茨城県、女性(58)が背後からクマに襲われた。クマが覆いかぶさってきたため、衣服が破けて両腕に痕が残ったが、出血などのけがはなかった。クマは立ち去った。栃木県によると、県内で2023年度、クマに人が襲われたのは初めて。町などによると、クマは体長1メートル未満。道路沿いの竹林から女性の前に現れた。女性は逃げようと後ろを向いたところ、クマに襲われたという。クマは、竹林とは反対側の茂みに入っていった。町などによると、クマは体長1メートル未満。道路沿いの竹林から女性の前に現れた。女性は逃げようと後ろを向いたところ、クマに襲われたという。クマは、竹林とは反対側の茂みに入っていった。現場は大谷交差点から西に約1・5キロで、農地や山林に囲まれている。近くには民家や宿泊施設が点在している。女性は近くの宿泊客で宿泊施設が町に連絡。町は関係機関に周知した。町内では23年度、クマの目撃が37件ある。町は「万が一遭遇した場合は刺激せず、離れて身の安全を確保してほしい」と呼びかけている。

(ヒグマ死骸付近で激しく損傷した遺体発見:北海道)
11月2日、北海道福島町の大千軒岳でクマ1頭の死骸が見つかったことが報じられた。大千軒岳では、10月31日に登山をしていた消防署員3人がクマに襲われており、そのうちの1人が仲間を救おうと応戦し、ナイフでクマの目元と喉元を狙って刺したという。見つかった死骸は、男性3人を襲った個体とみられている。さらにこのクマの死骸から数十メートル離れた場所で、男性1人の遺体が見つかったことも報じられた。大千軒岳では、20代男性が10月29日から行方不明となっていた。遺体は損傷が激しく、土や枯れ草がかけられていたことから死亡したヒグマによる襲撃とみられている。福島町があるのは北海道の南端に位置する渡島半島。津軽海峡に面した本州の目と鼻の先のこの地域で、ここ数年ヒグマによる事故が連続で起こっている。’22年7月15日には福島町に隣接する渡島管内松前町で、自宅のすぐそばにある家庭菜園で農作業をしていた高齢夫婦がヒグマに頭部や腕をかじられ、重傷を負った。松前町はこの事件を受けて、今年からクマの侵入を防ぐ家庭菜園用電気柵の購入費用を助成する事業を始めている。さらに、’21年7月には福島町で、高齢の女性が畑作業中に別のヒグマに襲われて死亡した。「遺体には上半身がなく、損傷が激しかったことから、当初は性別がわからない状態でした。全身に引っかかれたような傷があったといい、後に死因は外傷性ショックだったことが判明しています。現場となった山林は民家のすぐそばにあったことは、多くの住民にショックを与えました。この事件と、’22年に夫婦を襲ったヒグマは別の個体であることがわかっています。北海道内では、’90年に冬眠明けのクマを狙う春グマ駆除が個体数減少の懸念などから廃止されました。渡島半島には、’90年には1100頭ほどのヒグマがいるとされていましたが、駆除廃止の影響もあってか、2020年時点では1,840頭に増加しています。昨今のヒグマによる被害の拡大は個体数の増加も関係しているといわれており、道では今年からヒグマの冬眠期と重なる2月~5月下旬の期間に、地域や捕獲数の制限を設けたうえで冬眠中の個体や親子の狩猟を許可しました。ただし、人を襲っていないクマを捕獲することに対しては反発も寄せられています」(全国紙記者)。ヒグマの活動範囲が拡大する今、共存するためのより良い方法が模索されている――。

(市街地で出没が相次ぐ“シカ”はどこからやってくる?「麻酔で眠らせて山に返す」ことが簡単にできない事情:北海道)
大都市・札幌のマチなかで、シカの出没が止まりません。先月29日、札幌市西区の市街地に現れたシカ。パトカーが警戒します。シカはJR発寒駅近くの線路に入り込み、列車と接触。一時、列車の運行が止まりました。札幌市環境共生担当課 坂田一人課長「10月11月は、シカにとっては繁殖期に当たりますので、今の時期、オスジカがメスの鹿を追い求めて、かなり広い範囲を動き回っている時期」。先月中旬から、札幌市内の広い範囲で、市街地でのシカの出没が相次いでいます。どうやって市街地までやって来たのか?そして、出没への対策は?都会のシカをもうひとホリします。16日、中央区宮の森の道路をシカが猛ダッシュ。車のすぐそばを駆け抜けていきました。18日には白石区のマンションの敷地にシカが出現。この直前には、シカと乗用車が衝突する事故が発生していました。こうしたシカが、市街地までやってくるルートは?札幌市環境共生担当課 坂田一人課長「大きな川、豊平川とか新川とか河川がたくさんあります、そういった川を伝って、あるいは防風林ですとか、そういうような緑地を伝って市街地まで簡単にたどり着くことができます」。24日には、中央区の北大植物園にシカが入り込み、臨時休園に。翌日の朝にはシカはいなくなっていましたが…。植物園にいたのと同じ個体とみられる大きな角のあるオスジカが、翌朝は東区の住宅街に移動していました。札幌市環境共生担当課 坂田一人課長「急な鹿の飛び出しによって、自動車や人に接触して事故になることがないように、何人か職員をつけて見守りをするというのが現状。危険な場所に行かないように、なるべく誘導できるようにしたい。川や緑地が近くにあれば、そちらの方に少しずつじわじわです」。東区に朝から居座っていたシカは、夕方、豊平川へと向かい、姿を消しました。目撃からおよそ9時間後のことでした。一部では、シカを麻酔で眠らせ移動させたほうが、早く解決できるという声もありますが。札幌市環境共生担当課 坂田一人課長「麻酔を打ってから麻酔がかかって眠るまでに、20分ぐらいはかかるんじゃないかと思います。その間に麻酔を打たれたショックで、びっくりして走り回る危険性もあるので、逃げ場がいっぱいあるような場合には、麻酔で眠らせて、ということにはならない」。札幌市内では、シカの生息数が増えているとみられ、市街地への出没と同時に、シカによる農業被害も出ています。3月、札幌市などの要請を受け、北海道猟友会札幌支部が、南区の国有林でシカの有害駆除を行いました。ハンターの強い味方となるのは…ドローンです。ドローンが上空からシカの位置を正確にとらえ、その情報をハンターに伝えます。この日は、ハンターら65人が参加し、オスジカ7頭を駆除しました。効率的な駆除を行うことで、シカを適正な数に保つことが求められています。札幌市内の農業被害額は、昨年度、大幅に増えて5000万円を超えました。その前の冬が大雪で、山でエサ不足になったシカが果樹園まで来て、樹木の皮を食べる被害が深刻化しました。そんな中、新たな試みもあります。道内企業が、開発中のシカ駆除システム「ファント」の実証実験が、9月に南区で行われました。シカの被害を受ける農家が、シカが出る場所をシステムで地図に記録し、直接ハンターに駆除を依頼します。ハンターはその場所に出動して駆除を行います。今回は駆除依頼と出動の部分を実験しましたが、最終的にはシカを食肉処理施設に持ち込み、オーダーのあった飲食店に肉として卸し、有効利用するまでをこのシステムで一貫して行います。開発企業では、各自治体への導入を目指しています。市街地や農地に出るシカとどう向き合っていくか、豊かな自然に恵まれた札幌だからこそ、避けられない課題です。

(狩猟での捕獲上限、100頭に:秋田)
クマの被害が後を絶たず、秋田県の人身被害は全国で最多となっている。これを受け2日、関係機関を集めた緊急の会議が開かれ、出席者がクマを集落に寄せ付けないポイントを確認するとともに、2023年度の猟について、上限を100頭と定めることが報告された。2日は、警察や行政の担当者など約50人が出席した。会議では、県の担当者から9月以降の傾向について、例年ならクマの目撃件数は減るが、2023年は逆に増えていることが報告された。特に10月の目撃件数は、過去最多だった2017年を上回る1472件で、人が行き交う場所にクマが多く現れ、襲われる危険性が高まっているという。一方で、集落での注意点として、クマが隠れやすい小屋や車庫のシャッターなどを普段から閉めること。クマの餌となり得るものを放置せず、収穫しない柿の実などを取り除くといったことが紹介された。また、1日に解禁された2023年度のクマ猟について、100頭を上限とすることが示され、超えた場合は県が自粛を要請する。2022年度は40頭が捕獲された。有害駆除による捕獲は制限しない。県自然保護課・斎藤寿幸課長:「ことしは大量出没年。生ごみは放置しないなど、集落まわりにクマを呼び寄せない対策も一緒に進めていきたい」。なお、警察からは「猟友会の安全を確保するため、ヘルメットや腕につける装備品などの購入費を補助してほしい」という意見が出された。

(クマを寄せ付けないために、空き家の柿の木を緊急伐採:富山)
クマの出没が相次ぐ富山県内では、クマ対策が急ピッチですすめられています。こうした中、魚津市では2日、空き家の柿の木の緊急伐採が行われました。魚津市黒沢地区にある柿の木。丸々とした柿がたくさん実っています。木は3年ほど前から空き家となっている住宅の庭にあり、手つかずとなっていました。今回、黒沢地区から市に相談し、この家に住んでいた人の親戚から了承をもらって、柿の木の伐採に至りました。2日は市から委託されたシルバー人材センターの会員2人が作業にあたり、樹齢40年ほどの柿の木を30分かけて伐採しました。魚津市では今シーズン、クマによる人身被害はないものの、9月からの2か月間で痕跡や目撃などクマの出没情報が8件寄せられました。この住宅から山を越えた反対側でも、ブドウ園付近の柿の木の下で大きなクマのふんが確認されたといいます。魚津市農林水産課 澤井優さん:「クマを目撃したら(市に)知らせていただきたい。朝夕外出しないということ、出没場所を知っていただいて、慎重に行動していただくことをお願いしたい」1日から2日にかけて寄せられた県内のクマの出没は、午後5時時点で24件。富山市で11件、立山町で6件などとなっています。県は引き続き、山間部だけでなく、市街地でもクマの出没に注意するよう呼びかけています。

(人身被害や目撃相次ぐ、対処法は:広島)
この秋、広島県内でサルやイノシシに襲われる人が相次いでいる。呉市では子ども2人がサルにかまれてけがをし、福山市ではイノシシによる人身被害が2件起きた。クマの目撃情報も絶えない。県などは、イノシシやクマに出合ったときの対処法をホームページで公開し、注意を呼びかける。(興野優平、根本快、大野晴香)呉市は1日、同市倉橋町で女児2人が野生とみられるサルに襲われ、軽傷を負ったと発表した。同じ個体の可能性もあるという。市によると、サルによる人的被害は今年度で初めて。市によると、10月7日昼前に農作業小屋にサルが侵入し、小屋に1人でいた女児(4)のふくらはぎにかみついた。女児の叫び声で近くにいた母親が駆けつけ、サルは逃げたという。また、同月30日夕には友人宅から帰宅途中だった小学2年生の女児と弟が、柿を食べているサルに遭遇。女児が声を上げて逃げたところ、サルは追いかけて女児の足をつかみ、倒れたところで脇腹をひっかき、腰をかんだという。弟は逃げて無事だった。現場は瀬戸内海に浮かぶ倉橋島。市全域では今年4月以降、サルの目撃情報が18件寄せられている。市の要請で地元猟友会がわなを設置したものの捕獲はされておらず、市内の全小中学校に注意を呼びかけている。市の担当者は「サルと出合ったら、近寄らず、目を合わせないで」と話している。福山市では1日朝、男性がイノシシに襲われけがをした。市内のイノシシによる人身被害は今年度で2回目という。市によると、同市引野町の住宅街で男性がイノシシに襲われけがをした。イノシシは付近の住民と警察官に取り押さえられ、猟友会によって殺処分されたという。イノシシは体長約130センチ、重さ約70キロの雌の成獣。頭から出血があり、脇腹にもアザがあったといい、市の担当者は「人を襲う前に車にぶつかるなど何らかの原因でけがをし、パニックになって人を襲ったのでは」と推測する。福山市では9月にもJR福山駅の近くにイノシシが現れ、2人がけがをした。市によると、これまでイノシシによる人的被害の報告はほとんどなかったが、2021年度以降毎年のように起きている。担当者は「イノシシは隠れやすい場所を好む。手入れのされていない山が増え、生息域が人里に近づいてきたのでは」と原因を分析する。広島市安佐北区の安佐動物公園では10月28日夕、野生のツキノワグマの親子が歩く姿が園内の調査用カメラに映っていた。園は、柵をよじ登って園内に入ってきたとみている。人的被害はなかったが、2頭が見つかった西園を当面の間、閉鎖する。県によると、県内のクマの目撃情報は今年度、9月末までに281件あった。中区では今月2日、市環境局中工場西側の海に面した堤防でイノシシが捕獲された。2日前に入り込んでいるのが見つかっていた。イノシシやクマが人里で多く目撃されていることについて、広島修道大学の奥田圭准教授(野生動物管理学)は「人口減少などで人間の生活エリアが縮小し、野生動物の生息域が拡大して近接してきているため」と指摘する。空き家や管理されない畑が増えると、そこに野生動物が入り込みやすくなるという。対策としては、エサとなるものを人間の生活圏に置かないことや、山際と人里の間の木を伐採することを挙げた。クマやイノシシに遭遇したら、どうすればいいか。県自然環境課はクマ対策をホームページで公開している。距離がある場合はすぐに静かにその場を立ち去る▽気づかれたらゆっくり後ずさりする▽攻撃されそうになったら両腕で顔や頭を覆い、うつぶせになってダメージを最小限にする、ことが重要だという。イノシシはどうか。福山市も対策をホームページで公開。大声を出して逃げるとイノシシがパニックになり突進してくることがあるため、静かに立ち去る。危険を感じたらブロック塀の上など高い所に逃げることが有効だという。市農林水産課の担当者は「イノシシは本来、自分から人を襲う動物ではない。怖がらせたり逃げ場を無くしたりすると、人に向かってくる」と話す。

(住民より多い「キョン」に苦悩:東京)
伊豆大島(東京都大島町)の住民が、シカ科の特定外来生物「キョン」による特産品アシタバの食害や、鳴き声に頭を悩ませている。強い繁殖力に捕獲が追いつかず、一時は約7000人いる人口の3倍近い推定2万匹まで増加。都は毎年10億円近い予算を投じ、捜索にドローンを導入するなど根絶に取り組んでいる。「ギョー」「ギャー」。大島町役場がある元町地区の住宅街を夜に歩くと、キョンの鳴き声が聞こえてきた。住民の40代男性は「かわいい見た目と違っておじさんみたいな声で、寝ている時に鳴かれるとうるさい。車とぶつかった話もよく聞く」とため息をつく。キョンは体高50センチ程度で、元々は中国や台湾に分布。濁った声で鳴き「ホエジカ」とも呼ばれる。観賞用として島内の動物園に持ち込まれ、1970年に、台風で壊れた柵から十数匹が逃げ出し野生化したとみられる。アシタバや伊豆諸島の固有種サクユリを食べ、農作物や生態系の被害は深刻だ。繁殖は千葉県の房総半島でも問題となっている。都は2007年から捕獲を開始。年間1000匹弱を捕まえていたが、「年に1・2倍増える」(都の担当者)という繁殖力が上回り、生息数(推定)は06年の約4500匹から、19年には約1万9500匹に達した。年数千万円だった都の関連予算は16年度に億を超え、ここ5年は約7億~9億円を計上。網やかごのわななどを広範囲に設置し、柵で区切ったエリアで複数のハンターがキョンを追い込む手法も取り入れた。20年度以降は毎年5000匹を捕らえ、生息数はようやく減少に転じたものの、昨年末時点でまだ1万7000匹がいる。今年10月からは、警備大手ALSOKに委託してドローンでの捜索を開始。赤外線カメラで草むらに隠れたキョンの熱源を上空から探知し、ハンターに場所を伝える。毎月1週間ほど実施予定で、同社担当者は「捕獲につなげたい」と話す。都は捕獲したキョンを安楽死させ、焼却処分している。台湾では高級食材として扱われており、都の有識者検討委員会ではジビエ(野生鳥獣肉)としての利活用も話題となったが、委員からは「生態系の保全という目的を見失うべきではない」との慎重意見があった。都の佐藤基以・野生生物担当課長は「捕獲の効果が出てようやく個体数が減少に転じている。ただ、依然として食害は深刻で、一刻も早い根絶に向け取り組んでいく」としている。

(高校生がクマの生態学ぶ、被害を減らす方法は:岩手)
盛岡市動物公園でツキノワグマに関する勉強会が開かれ、高校生がクマの生態や被害を減らすための方法について学びました。盛岡農業高校の生徒を対象に開催された今回の勉強会は、岩手県と盛岡市動物公園が開きました。勉強会の講師は岩手大学農学部の山内貴義准教授です。山内准教授によると、クマは山にエサが少ない時期に畑や果樹園に出没し、人間の食べ物の味を覚えると何度も人が住む場所に現れるようになるといいます。対策として、山内准教授はクマを駆除するだけではなく、草刈りでクマが隠れる場所をなくしたり電気柵を設置するなどクマが出没しにくい環境を作ることが重要だとしました。午後には、社会課題の解決を学ぶためのゲーム「シリアスゲーム」を生徒たちが体験。これは現在ZOOMOが開発中のもので、クマとの共生に向けたまちづくりの方法を学ぶことができます。生徒たちはゲームを通して人間の活動がクマや森にどのような影響を及ぼすか学んでいました。また実際にクマの毛皮や骨格に触れる時間もあり、生徒たちはクマの存在をより身近に感じているようでした。ツキノワグマに関する勉強会は、今年度あと2回開かれる予定です。県内では一関市で保管していた米袋が破られたほか、遠野市では柿の実が食い荒らされるなど2日もクマによる被害が少なくとも4件確認されています。

(狩猟免許、抽選で受験者絞ったのに追加試験:北海道)
北海道は2日、狩猟免許試験を受けるために行った抽選の落選者に対し、追加試験を実施すると決めた。ヒグマやエゾシカなど野生動物とのあつれきが増し、ハンターの確保が課題となる中、道は人材確保に向けた試験方法を模索している。道は今年度から、狩猟免許試験を受けるために、抽選を伴う事前申請制を導入。当選者が試験を受ける形にしたが、前期と後期をあわせた今年度は222人が抽選にはずれた。落選した札幌市の会社員女性(24)は大学時代、京都府でも応募したが抽選にはずれていた。「いつになったら試験を受けられるのだろう」と肩を落とす。

(狩猟開始も、山にクマがいない?:秋田)
連日のクマ被害が続くなか、秋田県ではツキノワグマの狩猟期間が始まりました。しかし、今年は深刻な餌(えさ)不足で山にいたクマには異変が。人間の生活圏の近くで縄張り争いをしているということです。檻(おり)に掛かったツキノワグマ。鉄格子にかみ付き、体を何度も回転させながら逃れようとしています。秋田県湯沢市。クマの檻は地元の猟友会が人の生活圏に近い林道付近に設置したものです。秋田県では、今月1日からツキノワグマの狩猟期間に入っています。捕獲されたツキノワグマは先月までで1167頭。すでに去年1年間の2.5倍以上にも及んでいます。クマが生息する山では今、異変が起きています。今月3日も猟友会の猟師たちが銃を携帯し、山の中へ。クマを捕獲するためのわなを仕掛けます。湯沢市南部猟友会 高橋俊一さん:「今年は本当に異常だ。異常もいいところだ。尋常じゃない。今年のクマの行動、出没は。標高の高い山はブナとかナラとかほとんどない、今年は。皆無の状態」山の中の餌が極端に不足しているため、住宅地に出没するクマが増えているとみています。人の生活圏のすぐ近くでは、クマの縄張り争いも起きていると指摘します。湯沢市南部猟友会 高橋俊一さん:「里山のクリとかクルミとか、クマが縄張りを作りながら来た。そのクマを捕獲すると別のクマがそこに縄張りを作る。そうすると小さい若いクマが排除される。それが市街地や集落の中まで追い出されてきている感じがする」。北海道でも今年はクマの行動に大きな変化が。知床半島の海岸で撮影されたのは痩せ細ったヒグマ。この秋、餌を求めて山から下りてくるヒグマが急増しているといいます。ヒグマの観察ツアーを毎年行っている船長は…。知床らうすリンクル 野田克也さん:「今年の場合は去年よりも(ヒグマを)見られる確率は高い。ほぼ100%。去年まではそこまで確率は高くなかった。2、3歳くらいの個体が海岸に出てきて見られることは多い」。クマによる被害を減らすため、秋田県では対策を強化。秋田県 佐竹敬久知事:「なるべく撃てる状況であれば狩猟してもらう」。暗い中でも住宅地に出没するケースが増えていることから、麻酔銃での夜間や建物に向かっての発砲について規制を緩和するよう、今月中旬にも国に要望する方針です。

(クマの知識を学び事故防止を:北海道)
道内各地でクマの出没が相次ぎ、人身事故も発生するなか、札幌市中心部の地下街で、クマに関する知識を多くの人に知ってもらい事故の防止につなげようというイベントが開かれました。「ヒグマフェス」と題されたこのイベントは、道が札幌市中央区の地下歩行空間で開催しました。はじめに5年前、クマが住宅近くに連日出没した後志の島牧村の取り組みが報告され、▼住宅と山の境界に沿って、村が広い範囲に電気柵を設置してクマを近寄らせないようにしたことや、▼猟銃の購入費用を助成してハンターの育成を後押しするといった、対策が取られたことが紹介されました。このあと、クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授が登壇して、山に入るときは▼鈴やラジオなどで常に音を出して、クマに自分の存在を知らせることや、▼クマ撃退スプレーをすぐに取り出せるように準備や練習をしておくことが重要だと呼びかけました。会場を訪れた札幌市の40代の女性は「ここ何年か札幌でもクマが出てくるようになって怖いです。たくさん学びがあったので、家族や友人に伝えようと思います」と話していました。

(専門家「富山のある“地形”がクマ出没につながっている」:富山)
今年は、平野部にも関わらずクマによる人身被害や目撃情報が相次いでいます。この問題について、クマの専門家は富山のある地形が出没につながっていると指摘しています。クマの生態に詳しい立山カルデラ砂防博物館の白石俊明主任学芸員。クマの移動ルートになっているという場所に案内してもらいました。向かったのは、国道41号線沿い、熊野川にほど近い富山市小黒地区。*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員「山の方が岐阜との県境。大沢野に入ると河岸段丘の崖が続いてきて斜面林になっている。さらに北に行くと河岸段丘が終わり熊野川の河川敷。熊野川に上流から入り込んだクマ。神通川流域の河岸段丘を通つて下ってきたクマが熊野川を利用して集落へと散開していく可能性が高い」。神通川流域の大沢野地区には、河岸段丘という階段状の地形があります。白石さんは、この河岸段丘の崖の部分、林や森として残っているところがクマの移動ルートになっていると指摘します。そして、熊野川の流域では…。*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員「(集落)飛び石のように使える屋敷林や周辺にカキもある、移動ルートであり、休み場であり採食する場所でもある(クマが生活しやすい)条件が揃ってしまっている。野生動物にとっての安全安心をそがないと、クマは来てしまう。住みづらく、寄せづらくすることが大事」。河岸段丘の林に、河川敷のヤブ、そして屋敷林。クマにとっては、安全を確保できる移動ルートです。*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員「クマが何カ所からも流入してくる地形が残っている、地形は、なかなか変わらないので、将来に渡って警戒をしないといけない。将来の大量出没に備えて獣害に強い集落にしていかないといけない」。白石さんは、里山で育ち、人や車を恐れない「新世代ベア」の存在を指摘。これまでの常識を変えて警戒、対策するよう呼びかけています。*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員「長年暮らしてきた常識を捨てて、クマが来る場所だと思うこと。朝晩はクマに気をつけましょうではなく、クマは昼でも出遭う可能性がある。常識改革をしてクマと付き合っていく必要がある」。Qクマ出没、警戒いつまで?*立山カルデラ砂防博物館 白石俊明主任学芸員「雪の降り始めが冬眠のきっかけになる。雪が降るのが遅いとなかなか冬眠に入らない。過去の状況からみて12月中旬までは警戒したほうがいい。今月15日から狩猟が始まると、おそらく人身被害は減ると思うが、希望的なもの警戒は高めておくほど良い」。

(ヒグマ“激やせ”、記録的不漁で市街地に出没相次ぐ:北海道)
かつてない異変が起きているのが「北海道」です。番組では、痩せこけたヒグマの映像を入手しました。北の大地で一体、何が起きているのでしょうか。2日も北の大地にクマが出没。観光客なども通る国道に現れたのは親子のヒグマです。羅臼町役場 産業創生課 田澤道広主任:「親子が道路際に」「(Q.どのくらいの大きさ?)親は100キロぐらい」「全然、道路から出てくれなくて苦労した」。世界遺産に登録されている北海道の知床半島。海岸沿いを走る船の上からの映像です。北海道在住の写真家がカメラを向けた先には海岸に現れた黒い生物の姿が。ズームしてみると、岩場の水際を歩きながら何かを探しているように見えます。ガリガリに痩せこけた姿。実はヒグマです。写真家 齋藤一馬さん:「あのレベルの痩せ細ったクマは初めて見たので、本当に餌(えさ)がないんだなと驚いた。これから冬眠に向けて蓄える時期だが、無事に冬を越せるのかなと悲しくなる。あの姿を見ると」。急増する都市型クマの実態に迫ります。毎日のようにクマが市街地に出没している北海道東部の羅臼町です。世界遺産に登録されている知床半島にはヒグマは400頭から500頭、生息しているといわれています。冬眠に備えて秋は餌をたくさん食べて栄養を蓄える時期です。ところが、今年は痩せ細ったクマの目撃が相次いでいます。ヒグマの写真を知床半島でこの秋に撮影したのは北海道在住の写真家・齋藤一馬さんです。写真家 齋藤一馬さん:「船の上からヒグマを撮影するツアーに参加した」。山から海岸に下りてきたクマを観察することができます。写真家 齋藤一馬さん:「一番最初に出てきたのは海岸で昆布をあさっているヒグマ。大体ヒグマのとる餌をカラスが横取りするシーンがよくある。サケが遡上(そじょう)しているとヒグマがサケをとって、落としたサケをカラスが狙う」。3年前の9月に撮影された映像です。知床半島の海を泳ぐヒグマ。口にくわえたのは、オホーツク海など北の海に生息するカラフトマスです。秋の時期、カラフトマスは産卵のため海から川を遡上してきます。ヒグマは遡上してくるカラフトマスやサケを狙い、冬眠に向けて栄養を蓄えているのです。ところが、今年の秋は様子が違います。ヒグマが川の水面をのぞいていますが…。写真家 齋藤一馬さん:「サケがそもそもいなかったのでずっと探していた。サケが遡上していないから他の何か打ちあがった魚とか甲殻類とか探していたんじゃないかと。あまり餌は見つけられていない様子だった」。海岸には、ガリガリに痩せ細ったヒグマの姿も…。写真家 齋藤一馬さん:「今まで見てきた太ったヒグマの方が活気があるイメージだが、あそこまで痩せちゃってると表情からも悲しい感じが伝わってきた。痩せて肉がないので、むしろ爪はすごくはっきり見えた」。実はクマの貴重なタンパク源となっているサケやカラフトマス。ただ、北海道では今年、漁獲量が激減しています。羅臼漁業協同組合 竹内勉参事補:「今年は全く駄目。皆無に近いくらい。近年カラフトマスは本当に取れなくなった」「(Q.少ない理由は?)地球温暖化による海水温の上昇が一番大きいと思う」。カラフトマスは、これまで豊漁と不漁の年が交互になっていましたが、この3年は不漁続きで今年は過去最低の記録に。酪農学園大学 佐藤喜和教授:「冬眠明け後も春から夏にかけて、この秋に蓄えたエネルギーで賄っているところがある。人の生活圏まで出てしまった結果、駆除も多く行われている」。2日、親子のヒグマが国立公園を通る国道に出没。町の職員が対応に追われています。羅臼町では今年、ヒグマの目撃情報が500件を超え、すでに過去最多を記録しています。羅臼町役場 産業創生課 田澤道広主任:「若い2、3歳のクマが非常に多い。親とはぐれたのか親が死んだのか、ちょろちょろしている状況がいくつもあった」ガソリンスタンド店員:「フェンスの上、普通に歩道にいるとたまに歩いている。知床峠もそうだが、街中で普通に道路に座ってたりする。山に餌がないのか、餌を探しに来るクマもいるからおっかない」。羅臼町では電気柵を設置するなど、ヒグマが町へ近付かないよう対策をしています。

(「倒れていても襲ってくるから絶対油断するな」ベテラン猟師も驚く今年のクマの異常な多さ:北海道)
今年度の熊による被害総数は10月末時点で過去最悪の180人と報道されている。「熊なんて滅多に会わなかったのに、今年は熊によく出会う」という北海道・十勝地区のベテラン猟師。一体なぜ今年はこんなにも熊の出没が多いのか? ヒグマとエゾシカ猟が解禁される10月の北海道でヒグマ猟に密着した。私が猟銃と狩猟の免許を取得して15年が過ぎた。ヒグマとの遭遇を願い、毎年欠かさず北海道の猟場へ通い、山梨県では有害駆除に従事しているのだが、未だに一度も熊に遭遇したことがない。これだけ熊が出没しているにも関わらず、片想いが成就しないのは世の常か、はたまた私の殺気が強すぎるのか。10月21日は北海道の十勝地区におけるエゾシカ猟の解禁日。(ヒグマは10月1日解禁)私は10年以上お世話になっている十勝在住のハンター仲間と一緒に猟場へと向かった。グループのリーダーで68歳の光雄さんは猟歴40年のベテランだ。毎年、冬眠前のヒグマを仕留めていて、つい先日も2頭のヒグマを獲っている。今日の猟は光雄さんをリーダーに20~50代のハンターたちで猟場へと向かう。光雄さんと私が向かったのはヒグマが多く生息する鹿追町で、つい3週間前に光雄さんが2頭のヒグマを獲ったのもこの山だ。早朝5時、鹿の繁殖期ということもあり、立派な角を持つ雄鹿を何度も見かける。ふだんならチャンスとばかりに撃つのだが、今日の狩りの目的はヒグマなので鹿を横目に先を進む。「ここは十勝でも熊がたくさんいるよ。強い熊の縄張りから追い出された熊が山のふもとのほうに追い出されるんだ。今までは車で林道を走っていて熊に出会うことなんて滅多になかったのに、今年は1日で熊に2回も遭遇して2頭獲れた。そんなこと、これまでにありえなかった」。山に隣接している飼料用のデントコーンの畑には夏から秋にかけてヒグマが入り、作物を食い荒らすので困っているという農家の人の話を聞いたことがある。先日、光雄さんが仕留めたという場所を通りかかるが、ヒグマの姿はない。牧草地に隣接する林道を車でゆっくり走っていると、地面の所々に黒い山盛りの糞が落ちていた。車を降りて確認しに行くとヒグマの足跡がある。糞の大きさからして親のヒグマだ。やはりこの一帯にはヒグマが潜んでいる。「今年の夏は北海道でも記録的な暑さだったから、ドングリやコクワの木の実が不作だったのが影響してるみたいだな。強い熊が餌場を独占するから、餌にありつけなかった熊が人里に降りてくるんだよ」。そんな光雄さんの話とは裏腹に、3時間ほど森の中を車で走ってみたがヒグマには遭遇しなかった。ヒグマから鹿に狙いを変えて歩き、山の斜面から50mほどの位置に大きな牝鹿が立っているのを見つけたので私がライフルで仕留めた。草むらに倒れているのは丸々と太った牝鹿だ。光雄さんと一緒にその場で血抜きの作業をしているときに、猟仲間に起きたというヒグマにまつわる話をしてくれた。「銃声がしたらハンターが鹿を仕留めてその場には解体した残滓があることを熊はわかっている。だから、鹿を撃って解体中に熊が出るということもあるんだ。数年前、ハンター仲間のひとりが鹿の解体中にヒグマが近づいてきたことがあってね。ライフルを構える間もなかったけど、手にナイフを持っていたんだ。これはもう戦うしかないと思って大きな声で叫んで、ナイフで立ち向かったらヒグマがたじろいで逃げて行ったそうだよ。その後、また熊が来ることを予想して手元にライフルを置いて解体を再開していたら、うしろからゴソゴソと音がして、また熊が現れたので今度は仕留めたんだ。山に入ったらいつでもどこでも熊が出るという感覚で猟をしていないといけないよ」。山梨県の山中で山荘を経営している友人は森でキノコを探していたときに木の上からツキノワグマの親子が落ちてきて、親熊は興奮して威嚇してきたという。武器になるナイフは背中のバックパックの中に入っていたので、バックパックを熊の顔面に叩きつけて大声で叫んだら熊は驚いて逃げたそうだ。他にも熊に襲われて命拾いしたという人たちは咄嗟に同じような行動をしていた。鹿の解体をしていると、光雄さんの携帯電話が鳴った。グループ最年少の27歳の晢太と30代で猟歴9年目の塚ちゃんが上足寄町の林道でヒグマの親子に遭遇して撃ったという。12番のハーフライフルを使って200mの距離で獲物を仕留めるベテランの域に達している晢太だが、初めて対峙したヒグマを仕留めそこねて、深手を与えたまま逃がしてしまったという。「撃たれているなら30分から1時間ほどしたら、どこかに倒れていると思うから血痕や足跡をたどって山に登って探してみろ。倒れていても襲ってくるかもしれないから、いつでも撃てるように銃を腰だめにして気をつけて探せよ」そう晢太にアドバイスをする光雄さん。我々は素早く鹿の解体を終わらせて肉を車に乗せるとヒグマを撃ったという現場に急行した。40分後に上足寄町の林道の入り口で晢太と塚ちゃんに合流し、そこから5分ほどで現場に到着した。晢太の弾は親熊の腹を撃ち抜き、塚ちゃんは1発で木によじ登った子グマを倒したという。親熊は腹を撃ち抜かれながらも山を駆け上がったそうだ。光雄さんと私は山の麓から捜索する。見晴らしがいいとはいえ、手負いのヒグマを探すというのは恐ろしい。しばらくすると上のほうから「見つけた!」という晢太の声が聞こえた。私は声のほうに向かって走って行くと山の中腹に大きな黒いヒグマが横たわっていた。初めてヒグマを仕留めた興奮と恐怖をないまぜに顔に浮かべた晢太が腰だめで銃を構える。恐る恐る倒れた熊に近づくとまだ息があり手足を動かしている。人間が近づいてきた気配を感じるとさらに手足をばたつかせて最後の抵抗を見せている。自然に生きるヒグマをこの距離で見ると、なんともいえない恐怖心に襲われる。光雄さんが晢太に止め刺しを命じ急所に弾を撃ち込む。至近距離で12番の3インチのマグナム弾を急所に受けても、まだ息が絶えないことに驚いた。ヒグマの生命力の強さには驚かされる。光雄さんが話していた通り、倒れていても絶対に油断してはいけないということを実感した。ヒグマを仕留めた2日後、ハンター仲間が集まって獲ったヒグマを料理して食べることになった。自然の中で育った野生の鳥獣の肉を仕留めて初めて食べたときの感動を家族や友人にも食べさせてあげたい。そんな理由で狩猟を始めて20年が経った。そのなかでも、今まで食べたあらゆる肉の中でヒグマの肉が一番美味しい。口に入れた肉を噛みしめる度にヒグマに怯えて山を探したこと、弾が当たった瞬間を思い出す。野生の恵を仲間と共に美味しくいただけることに感謝する。取材で地方に行くたびに地元の人たちから熊、鹿、猪による獣害に悩まされているという声を多く聞く。ハンターが高齢化し、年々その数は減少しているのだ。コロナ禍、ウクライナ戦争、円安の影響で弾薬の値段が高騰していることもハンター減少に拍車をかけている。これから狩猟を始めたいと思っている若者にとっても状況はなかなか厳しい。狩猟という自然との対峙に命の大切さを感じる身としては一抹の寂しさを感じる。

(クマ被害、北海道から西日本まで広がり過去最多)
全国各地でクマに襲われる被害が相次ぐなか、自治体や地元メディアなどがクマの出没地点をまとめた地図を公開して注意を呼びかけている。都道府県単位のクマ出没マップのデータを産経新聞で集約したところ、北海道から西日本にかけて広い範囲でクマが目撃されている様子が浮かび上がった。目撃情報や人身被害が特に多い秋田県については、出没地点を時系列で可視化して実態を探った。ただ、出没地点を公開していない自治体も多く、データ活用には課題が残る。環境省が1日に公表した速報値によると、今年4月~10月のクマによる人身被害は全国で180件となり、統計開始以来最多を記録。死者は5人にのぼっている。こうした中、クマ出没を伝えるウェブ地図を13の道府県が公開しており、市町村単位でも同様の取り組みがみられる。行政だけでなく、地元の新聞社やラジオ局が出没マップを作成・公開して注意を呼びかけている例もある。13道府県に、下野新聞提供の栃木県のウェブ地図を合わせた14道府県のクマ目撃情報は、10月末時点で7801件。1枚のウェブ地図に集約すると、クマが生息する中国・四国地方以東の各地で、山間部を中心に多くの出没地点が帯状に連なった。ウェブ地図として公開してない東京都など33都府県は含まれていない。今年、クマによる人身被害が65人(11月2日時点)と全国最多の秋田県では、10月末までに2071件の出没情報が公表された。ウェブ地図を詳しく見ると、森林地域と、人間が生活する地域の境界付近でクマの目撃が多い。ただ、秋田市などの市街地でも多数出没している。秋田県自然保護課の担当者は、「耕作放棄地が増え、クマの行動半径が広がっている。木の実も大凶作で、人身被害の増加につながっている」と分析する。林野庁東北森林管理局によると、クマが好むブナの実は今年、生育状況を0・0~5・0の数値で表す豊凶指数が、管轄する青森、岩手、宮城、秋田、山形の5県すべてで1を下回っている。全域での大凶作は4年ぶり。ブナが凶作になればクマが人里に出没する可能性が高まることから、同局は「警戒や注意を怠らないことが重要」としている。地図上の目撃情報には、人家近くの柿などの食害も含まれている。ドングリが実る秋は、冬眠を控えるクマがエネルギーを蓄える重要な季節だ。東京農工大の小池伸介教授らの研究によると、ツキノワグマは秋のドングリで1年間に必要なエネルギーの約8割を摂る「食いだめ」をしている。5月中旬から8月中頃までは、一日のエネルギー収支がマイナスなのに対し、冬眠前の10月前後は一日約4000キロカロリーのエネルギー超過だという。メスのクマは冬眠中に出産することもあり、秋の食料確保は欠かせない。クマは初夏に繁殖行為を行うが、冬眠までメスの受精卵が着床しない「着床遅延」という特性をもつ。メスの体重は通常50キロ前後だが、冬眠に向けてドングリなどを飽食して体重を数十パーセント増やす。こうしたクマのライフサイクルも影響し、秋には人間の生活圏への出没が増えている。秋田県のデータでも、9月中旬から10月中旬にかけて目撃情報が最も多くなっている。クマ出没マップは地域のリスクを知るために役立つが、すべての都道府県が使いやすい形で提供しているわけではない。人身被害だけを表形式で提供している自治体もあれば、全く情報公開していないケースもある。被害の多い秋田県のクマ出没マップは、住民が位置情報や写真を付けて情報を投稿する仕組みもあるが、大部分は警察への通報に基づいている。このように警察と自治体が連携し、危険情報をオープンデータとして使いやすい形で公開することは、住民の行動変容につながり、被害を減らせる可能性がある。例えば全国の交通事故のデータは2019年以降、警察庁が発生地点の座標付きでオープンデータとして公開するようになり、これまで見過ごされていた危険な場所の発見につながっている。秋田県のクマ出没マップの担当者は、「自宅の近くや、普段訪問する場所の出没情報を見ることで、クマ対策のきっかけや判断基準にすることができる」と効果を説明している。

(クマ駆除ハンターが語る過去最悪の被害状況:秋田)
全国各地で、クマによる被害が相次いでいる。被害件数は、国が統計を取り始めてから最も多かった2020年の143件を上回り、過去最多を更新している。秋田県では10月19日朝、市街地のバス停でバスを待っていた女子高生がクマに咬まれ、ほかに4人が次々に襲われた。同県のクマによる被害は8月頃から急増し、人身被害の件数は10月31日までの統計で全国最多の61件に達する。 現地で何が起こっているのか。NEWSポストセブン記者は現地へ向かった。秋田県能代市に住む男性は、「今年のクマの数はちょっと考えられないほど多い」と不安を口にする。「家の玄関前にはクマがしょっちゅう現れるし、窓から外を眺めると前の道を歩いてるんだから。里に下りてきてるんだよ。親子で3匹のクマが、田んぼの向こうを平然と歩いていたのを見たこともある。大人は車で移動すればなんとかなるけど、子どもは怖くて外には出せないよ」。人の生活圏に下りてきたクマは『アーバンベア』と呼ばれ、駆除の対象となる。秋田県では市町村が地元猟友会に委託をして、駆除等を行っているのが現状だ。湯沢市ではクマ対策として、すでに約90頭ものクマを捕獲しているが、地元猟友会の高橋俊一氏は「異常事態だよ」と語る。「8月頃からクマが出没しだして、本格的に増えてきたのは9月半ばくらい。3日連続でクマが罠にかかることもあった。40年ほど猟友会で活動しているけど、過去にこんな年は記憶にないよ。はっきりした原因はわからないけど、猛暑で木の実などの餌になる植物が凶作で、餌を求めて市街地に出てくるようになったと言われているね」。クマが増えるに連れて、今年は農作物を荒らすだけでなく、人を頻繁に襲うようにもなった。「女性や子どもが襲われたら、ひとたまりもない。クマがこれだけ増えた以上は駆除せざるを得ません。子グマを駆除したときは動物保護団体から批判されましたが、今、個体数を減らさないと、数年後に成獣になって、また住民が被害に遭うことになってしまう」(同前)。クマの大量発生を受けて、猟友会には県から1頭捕獲につき5000円の補助が出るようになったが、クマの駆除作業は基本的にボランティアで、持ち出しも多い。「地域の安全を守るために、誰かがやらなければならない。好き好んでやるわけないじゃない。クマを仕留めるときには、なんとも言えない気持ちになるんだよ……」(前出の高橋氏)。NEWSポストセブン記者は、実際に高橋氏が罠を仕掛けている場所を案内してもらった。そこは市街地である湯沢駅から車で20分ほどの距離で、山里と民家の境のエリアだった。罠は直径80cmほど、奥行き2mほどの土管状になっており、中に酒粕や米ぬか、はちみつを混ぜた発酵性のエサを入れてクマをおびき寄せるという。恐る恐る中を覗くと、ちょうど今朝クマが罠にかかったようで、駆除した際の血痕が残っていた。人里に、日常的にクマが出没していることがありありと伝わってきた。湯沢市内のリンゴ農園を訪れたところ、鼻を突く異臭に気づいた。辺りを見渡すと、食い散らかされたリンゴの破片が散らばっているだけでなく、クマの糞が散在していた。なかには“半生状態”のものまである。リンゴ農園の経営者の話。「半生は1~2日前の糞です。大きさで大人のクマか子グマかがわかります」。改めてリンゴの木を確認すると、ところどころ無残に枝が折れて、リンゴが不自然な状態で垂れ、地面にもかけらが散らばっていた。「芯だけ残して上手に食べているでしょう。11月半ばに収穫するのに、あと少しというところでクマに荒らされると、今まで何をしてきたのかとやりきれない気持ちになります。折れた枝を元通りにするのにも、数年はかかりますからね」(農園経営者)。大音量でラジオを流したり、ロケット花火で威嚇したりと対策はしているが、クマは学習能力が高く、すぐに効果がなくなるという。なすすべもなく、食い散らかされたリンゴと糞の異臭が入り混じった匂いが、しばらく鼻から離れなかった。

(500キロのヒグマ「北海太郎」、町の郷土資料館に展示されるワケは:北海道)
北海道北部、日本海に面した小さな町の郷土資料館に、巨大なヒグマの剥製(はくせい)が展示されている。その背景には、1世紀以上前に起きた悲劇がある。苫前町郷土資料館を訪れると、ヒグマの剥製が点在していた。中でも目を引くのが、「北海太郎」と名づけられたクマだ。体重500キロで、日本で確認された中では最大級のヒグマとされる。地元ハンターが8年かけて追跡し、1980年に駆除した。館内には「渓谷の次郎」(380キロ)も展示されている。海岸線沿いに広大な農地や牧場が広がる町内には、至る所にヒグマのイラストが目につく。役場と郷土資料館の入り口には、ヒグマの像やパネルが置かれている。ヒグマをここまでアピールするのは、開拓時代に起きた事件の存在がある。事件が起きたのは1915年12月。三毛別という小さな集落を、体長2・7メートル、体重340キロのクマが襲った。7人が殺され、3人が重傷を負う史上最悪の被害となった。町教育委員会で社会教育課長を務める森哲也さん(54)は言う。「開拓をしていたさなかに起きた事件。町中にヒグマのイラストや像があるのは、いまの苫前町をつくってくれた先人たちの感謝の意味もあります」。

(クマに襲われた男性、下敷きになった状態からナイフで反撃:北海道)
10月31日、北海道福島町の山中で、男性2人がクマに襲われ、首をかまれるなどのけがをしました。「このままじゃ、やられる」。襲われた男性が当時の状況を語りました。「ただじゃすまないと思った。助かったのは、運がよかっただけ。」HBCの取材にこう話したのは、北海道福島町の消防隊員の41歳の男性です。男性がクマと遭遇したのは、10月31日午前10時ごろ。41歳の友人の男性と、36歳の同僚の男性とともに、福島町の大千軒岳(標高1072m)での登山中でした。午前7時半ごろに入山した3人は、3時間ほど山を登り、休憩していたところ、体長1メートルほどのクマが、登山道を上ってきたことに気づきます。3人とクマとの距離はおよそ5メートル。3人は声を出して、クマが逃げるよう仕向けましたが、クマはゆっくりと、3人に近づいてきました。そして、距離が2メートルほどになったところで、クマは突然、3人に向かって走り出しました。3人のうち36歳の同僚は、逃げようとしたはずみで、3~4メートルの崖下に転落。クマは、友人に襲いかかり、馬乗りになりました。友人の危機を目の当たりにした男性は、とっさに、所持していた山菜採り用のナイフをクマの目に向かって突き刺しました。すると、クマの標的は、男性に移ります。クマは男性の足を払い、襲いかかりました。男性は「体長1メートルくらいで、体は自分より小さなクマだったが、力は自分以上にあった」「このままじゃ、やられる。一か八か首にナイフを刺そう」と、クマの下敷きになった状態から、クマの首にナイフを刺しました。そしてクマがひるんだすきに、離れることができました。その後、その場にいた友人と2人がかりで、クマを蹴って“反撃”すると、クマはようやく登山道を下に降りて行ったということです。男性は、左わき腹や太ももをひっかかれたほか、男性の友人は、首や太ももをかまれるなどのけがをしました。また、崖に転落した同僚の男性に、けがはありませんでした。自力で下山した3人は、途中、クマが待ち構えていたため、石を投げるなどして追い払いながら、山を下りたといいます。取材に応じた3人のうち男性と、男性の同僚は「鈴や笛、火薬などを常に鳴らしながら、かなり警戒して登山していたが、近距離で遭遇するとは思わなかった」「無事でよかった。生きててよかった」と、緊迫の状況を振り返りました。

(クマなど「危険動物」の目撃情報は昨年の1.5倍以上)
日本各地でクマの出没が相次いでいる。市街地周辺で目撃されることもあり、危機的な状況だ。それは数字にも表れている。企業や自治体に事件・事故・災害などのリスク情報を収集・配信するサービス「FASTALERT(ファストアラート)」を運営する、株式会社JX通信社(東京)によると、クマを含む「危険動物」の目撃情報が増えているという。危険動物の目撃情報は、2022年10月が587件だったのに対し、2023年10月は19日時点で573件。前年比で1.5倍以上のペースとなっているほか、その多くがクマに関連する情報という。さらに、目撃されたエリアも広がっているとのこと。東北地方を例にした目撃情報の分布をでは、2023年10月は昨年同時期と比べて、市街地に近いところでの投稿が目立つという。クマはなぜ、街に近づいているのか。被害を避けるためにできることはあるのか。分析から想定されることを、株式会社JX通信社の担当者に聞いた。――「FASTALERT」は危険動物の目撃情報をどう収集している?SNSを中心としたビックデータを、当社独自のAIが収集・分析しています。また、当社が開発・提供する無料ニュースアプリ「NewsDigest」ユーザーからの「リアルタイム防災」機能への投稿情報も含みます。投稿は文字だけではなく、写真や映像などの内容も加味し、デマやフェイクニュースを除去した状態の、正しい情報のみを届けています。――危険動物にはどんな動物が含まれる?クマの割合は?自然に生息している地域ではない場所で発生し、かつ、市民の生命や財産に影響を及ぼす可能性のある哺乳類を原則対象にしています。クマのほかにはサル、イノシシ、ヘビなども含まれます。具体的な割合は控えますが、危険動物の半数以上がクマに関連する情報です。――クマの目撃情報が増えているのはなぜ?2021~22年はコロナ禍で狩猟活動がしにくくなり、野生動物が増加したそうです。ただしその「増加」は、イノシシやシカなどが中心であったはずです。クマの個体数が急激に増えるとは考えにくいため、クマの活動域に変化が出た可能性があるのではないかと推測できます。――クマの活動域にはどんな変化が出たと思う?ひとつは生息域の拡大です。人口が減ったことで、耕作放棄地やクマが隠れやすい藪が増加したほか、2023年は猛暑でクマの餌となる、ドングリの実りも悪いと言われています。食べ物を求めた結果、人の住む場所にまで生活範囲を拡大していることが想定されます。また、最近はキャンプや登山に行った方が、食べ物や料理の始末をきちんとしないこともあると言います。人間の食べ物の味を覚え、探しに来ているところもありそうです。人慣れした「アーバン・ベア(都市型クマ)」が増えているかもしれません。――2023年の目撃情報から、クマの出没が目立つ環境のようなものはある?傾向としては山間部よりも市街地での目撃が目立ちます。SNS利用者の多さもあるのでしょうが、野生動物の活動域が一層、市街地に近づいている傾向があると考えます。地域だと東北地方が中心で、秋田県、岩手県、宮城県では特に増えていますね。それでは、クマらしきものを目撃したらどうすればいいのか。JX通信社の担当者によると、クマは本来警戒心が強いが、最近は人や家畜などを襲うケースもみられるため、刺激をせず、安全確保を最優先に考えてほしいとのこと。その上で可能なら「NewsDigest」から、目撃情報を報告すると、周囲への情報共有・注意喚起ににつながるという。報告はNewsDigestアプリから「リアルタイム防災」に進み、右下の「報告する」をタップ。そうすると写真や動画を投稿できる。その場での撮影のほか、保存済の写真や動画も投稿可能だ。説明などを追加して報告すると、アプリの地図上で情報が共有される仕組みとなっている。このほか、リアルタイム防災では、他ユーザーが投稿したリスク情報を見ることもできる。アプリの「絞り込み」から「危険動物」だけを選べば、クマなどの目撃情報に絞って、地図上から確認できるので、参考にしてほしい。

(クマ出没背景に消えた“緩衝帯”と「市街地で人は何もしない」恐怖の“慣れ”)
全国的に市街地などで人間の生活圏でクマが目撃され、人への被害が増えている昨今。10月18日には東京・町田市の山中にある宿泊施設でも、クマが出没した。環境省によると、全国でクマによる被害に遭った人は、今年4月から9月までで109人と、過去最悪の件数になっている。一体、自然界で何が起こっているのか?「今年は多くの地域で、クマが越冬するために必要なエサのどんぐりが不作なんです。山の中にエサがない状態なので、市街地まで出てきているということと、出没を加速させている要因のひとつに、クマの分布拡大があります」。クマの数が増えた?こう話すのはクマの生態に詳しい、石川県立大学の大井徹教授。環境省で行っているクマの分布調査では、2004年から'18年の間に4割も分布が広がっているという。「私の住んでいる石川県では、面的に広がりつつも市街地周辺、金沢市や小松市といった中規模の市街地周辺にもクマが常にいるような状態になっています」(大井教授、以下同)。分布が広がったということは、クマの数が増えているということなのだろうか?「個体数調査をしていないのではっきりとは言えませんが、山奥でクマの数が増えた可能性もあります。別の理由としては、市街地や集落の周辺にあった里山の森林が再生した、ということも挙げられます」。里山とは薪を取ったり、炭を焼いたりしていた場所。そのために里山周囲から木を切り出していたので、太い木々が消え野生動物と人の生活圏の“緩衝帯”になっていたのだが─。「薪の代わりに灯油などの化学燃料を使うことで、里山を利用する必要がなくなりました。放置された里山では森が回復し、どんぐりなどを実らせる木が生い茂るように。このように里山にクマの生息できる条件が整い、クマが人の生活圏のすぐ近くにすみ着いてしまったと思います」。もともと、クマは臆病な動物。ならば、市街地などになぜ姿を見せるのか。「人里近くでは人と出会っても人間は何もしてこないし、逆に逃げますよね。エサとなるものも多いし、クマを鉄砲で撃つ猟師もいない。市街地は安全地帯だと、クマは察しているのかもしれません」知床半島のヒグマも最近では観光道路沿いに現れ、車の中の荷物を取ろうとしたり、車の前に立ちはだかったりもするのだとか。「今年は本来の生息地にエサがなくなり、人里に出没した結果、人的被害が出ているのです。でもクマだって人間を襲おうとしているのではなく、自分の身を守ろうとしているだけ。そういうことから、最近は駆除をしたときに“クマがかわいそう”というクレームが自治体に入ることも多くあります。気持ちはわかりますが、人命がかかっているので、やむを得ないということもわかってほしいです」。クマが“悪者”となってしまっている今、大井教授は現状をこう憂える。「本州と四国だけに生息しているツキノワグマは世界では数が減少し、国際的に絶滅が危ぶまれています。そんな中、日本で安定的に生き延びていることは、日本の自然が豊かな証拠。人に危害が及ぶのなら駆除もやむを得ませんが、何か共存する方法を探らないといけないと思います。人間の生活の変化により、動物や森林への関わり方が変わったことが大きな原因。私たち人間が解決しなければならない問題だと思います」。

(クマ被害防止で臨時協議会:秋田)
秋田県男鹿市は1日、臨時の市鳥獣被害防止対策協議会(会長=湊智志・市産業建設部長)を開き、クマが出没した際の関係機関の連携体制を確認した。全県的にクマによる人身被害が多発し、市内でも目撃情報が増えていることを受けた対応で、猟友会や農協、警察などから計16人が出席。湊会長は「かつて男鹿にはクマがいないと言われていたが、遭遇リスクが現実的に高まってきている。被害を未然に防ぐ連携体制を取っていきたい」と述べた。

(狩猟の魅力、伝えたい:群馬)
シカやイノシシなどの野生動物による農林業被害を防ぐ一環で、県は狩猟の魅力を伝える高校生対象の出前授業を実施している。狩猟免許保持者の高齢化と人手不足が課題となっており、若年層に理解を広げるためだ。2023年度最初の授業があると聞き、太田市の県立新田暁高を訪ねた。狩猟の免許を持つ県職員が被害の実情を紹介しつつ、猟銃の写真や自らの狩猟体験をスライド写真で紹介していく。同高で10月末に実施された選択科目「環境一般」の授業には3年生13人が参加した。

(第2回けものネットワークふくしま交流会:福島)
社会構造の変化と野生動物~どうなる?!”ひと”と”けもの”の陣取り合戦~。この交流会は、けもの関係者を広く参集して相互の情報交換・交流を促し、野生動物と関わる魅力を再確認するとともに、今後の福島県における野生動物管理・保護等の発展に資する繋がり創出と連携の強化・促進を目的として開催します。

(クマによる被害が相次ぐなかで緊急の対策会議:秋田)
秋田県内でクマによる被害が相次ぐなか、自治体などが緊急の対策会議を開きました。住宅地で発生も多くクマを近づけないための対策が急務となっています。2日開かれた緊急の対策会議には県内の自治体や警察、猟友会のメンバーなどが参加しクマによる被害の発生状況などを確認しました。2023年はブナの凶作などで山にエサが少なく、本来クマが好まないとされる渋柿などを見境なく食べる傾向があるといいます。秋田県自然保護課 近藤麻実さん:「(カキが)甘かろうが渋かろうが木を切る、切れなければ実をとる、難しければ電気柵を設置する対策をお願いしたい」。会議では、クマが隠れることのできる小屋や車庫などのシャッターを日頃から閉めておくことや小屋などにコメや野菜、果物を保管しないことなどが大切なポイントとしてあげられました。秋田県自然保護課 斉藤寿幸 課長:「今年は大量出没年。いつでもどこでも誰でもクマの被害に遭う可能性がある。注意をお願いしたい」。住宅地への出没が相次いでいますが、猟銃や麻酔銃を使うことができないので住民の安全を確保しながらの対応が課題となっています。2023年度はクマの捕獲上限を1582頭としていて、10月末時点の捕獲頭数は1167頭となっています。11月からは狩猟期間に入っています。緊急性の高い有害駆除以外の狩猟目的での捕獲については100頭までとし、上限に到達し次第自粛要請するということです。

(畜産試験場、今期は条件付き:北海道)
新得町内の道総研畜産試験場(新得西5線)は来年1月末まで、場内でのエゾシカ猟を条件付きで認めている。場内の水道設備で昨年、銃弾跡が見つかり、狩猟目的の入場を禁止にしていた。

(ヒグマクライシス、転換期の対策を考える:北海道)
北海道では今年もヒグマの出没が頻発し、大きな事故も発生しました。2023年のヒグマ関連のニュースを振り返りながら、改めてヒグマと人の生活との距離感、そして転換期を迎えた対策について北海道新聞のヒグマ担当記者(クマ担記者)と専門家が考えます。

(“クマの生態は未だ謎が多い”専門家が語るクマ対策の難しさとは?)
各地で相次ぐクマの被害。全国的には180人が人身被害に遭っており過去最多に。岐阜県でも5人がけがをする被害が出たため「クマ出没警戒情報」を発令し注意を呼びかけています。今年はエサとなるどんぐりが不作のため、食べ物を求めて人里に現れているといわれていますが、何か効果的な対策はないのでしょうか。東京農工大学大学院の小池伸介教授によると、クマの生態は未だ謎が多いといいます。小池伸介教授:「クマっていうのは鹿とか猿と違って、直接観察することが非常に難しい動物。どうやって打開していくかっていう中で、動物にカメラをつける」。小池教授らの研究チームは、生態を調査するためクマ4頭の首にGPS装置とカメラを設置。クマ目線での撮影に成功しました。その調査の結果によりますと、個体によって食べ物の好みがあり、行動範囲もバラバラであることが判明。今後、クマが近づきにくい環境を作り出すなど研究を進めていくということです。

(クマ被害相次ぐ:岩手)
11月3日も岩手県内ではクマによる被害が相次ぎました。岩手県一関市萩荘では3日朝、作業小屋で米袋2つが破られているのが見つかりました。また八幡平市平笠の十文字チキンカンパニー田頭ファームでは、鶏舎のシャッターが壊されました。いずれもクマによる被害とみられています。

(クマ食害か、リンゴ450個が被害に:山形)
3日午前9時ごろ、酒田市市条の果樹畑で、リンゴ約450個が食い荒らされているのを、様子を見に来た50代男性が見つけた。木に残っていた爪痕や落ちていたふんから、クマによる食害とみられる。酒田署によると、リンゴは販売用で、4本の木で実が食い荒らされていた。畑では他に柿などを栽培している。現場は一條コミュニティセンターから南東に約350メートル付近。

(クマと車が衝突:山形)
3日午後6時15分ごろ、米沢市入田沢の国道121号で、60代男性の乗用車と車道に飛び出してきたクマが衝突した。米沢署によると、クマは体長1.5メートルほどで、男性が走行中、左から国道に出てきたという。車は右前のバンパー付近が破損したが自走できる状態だった。クマはその後、近くの山林に入っていった。現場は道の駅田沢から約2キロ南側。

(イノシシ3頭がリンゴ畑に出没:山形)
山形県中山町で2日、住宅地に近いリンゴ畑にイノシシ3頭が出没しました。警察や猟友会が出動し追い払われましたが、3日も周辺でイノシシ1頭が目撃されました。今も潜んでいる可能性があり町が注意を呼びかけています。2日午後3時過ぎ、中山町のリンゴ畑で撮影された写真です。映っているのは3頭のイノシシたち。地面に鼻を近づけて、嗅ぎまわっているように見えます。出没した畑には、至る所にイノシシが土を掘り返した跡が残されています。2日午後3時ごろ、中山町岡の山の近くの住宅地にイノシシがいるのを住民が発見しました。イノシシはその後、出没した住宅地のすぐ東にあるリンゴ畑に逃げ込み、およそ1時間ほどエサを探して歩き回っていたということです。2日は、警察や猟友会も出動し、爆竹を使って追い払う作業などが行われ、イノシシは近くのやぶの中に逃げ込んだということです。近くの人の話しでは3日も午前9時ごろに同じ場所でイノシシ1頭が目撃されました。中山町は、イノシシがまだ近くにいる可能性もあることから注意を呼び掛ける看板を設置するとともにイノシシに出会った際は絶対に近づかないよう呼び掛けています。

(“クマ出没の町”相次ぐ:岩手)
「毎日来る」。クマの出没が相次ぐ町を緊急取材しました。取材班の5メートル先にもクマが現れました。緊迫する遭遇の一部始終を追いました。相次ぐ出没に騒然とする町の日常を追跡しました。岩手県花巻市で、ベテランハンターにとっても経験したことのない事態が起きていまし た。花巻市猟友会 藤沼弘文会長:「クマが民家に入ったということで来た。見ての通り、街のど真ん中なんです」。現場は住宅街にある民家で、隣には病院もあり、危険な状況です。地元の猟友会が現場に到着してすぐに撮影した映像によると、体長1メートル以上のクマが民家の柿の木に登っていました。警察官も出動し、騒然とする住宅街。藤沼会長:「クマがいますから、いないでください。飛び出してきたら、やられるよ」。ハンターが、クマが目撃された民家の裏庭へ向かいます。警戒しながら、クマを確認しに行くと…。藤沼会長:「(Q.見当たらない?)うん。逃げたな。隙間から逃げたんだね。でも、逃げてくれてよかった。居座れば、何とかしなきゃいけないから」。今年、岩手県はクマによる人身被害が深刻で、42人と過去最悪のペースになっています(11月1日時点)。番組スタッフも雫石町を走っていたところ、クマに遭遇しました。民家の庭先で何かを食べているクマ。すると、遭遇したのは母グマと子グマです。撮影する車内からは、およそ30メートルの距離でした。ツキノワグマは、 母グマは子グマを守るため人間を襲う可能性が高く、特に危険と言われています。実際、佐藤誠志さんは今年9月、キノコ採り中に親子グマに襲われました。雫石町でも、今年4件の人身被害が発生しています(11月1日時点)。クマに遭遇した男性は、犬の散歩中に危険な目に遭いました。夕方、いつものように散歩中、突然犬が何かに反応しました。しきりに薮の中を気にしている様子の秋田犬。次の瞬間、突然、やぶの中から攻撃態勢で飛び出してきた体長1メートルほどのクマ。男性は必死に大声を出し威嚇すると、クマはそのままいなくなり、九死に一生を得ました。さらに別の日も、犬を警戒し、木の上に登ったクマ。今までもクマに遭遇したことはありますが、今年は特に多いと男性はいいます。相次ぐクマの人身被害により、住民の生活も脅かされていました。雫石町の隣に位置する滝沢市に住んでいる白石彩矢香さんを取材しました。小学6年生の娘・詩音さんは、およそ4キロ離れた学校まで自転車で通っています。白石さん:「今年すごくクマが多くて、やっぱり危ないかなということで、できるだけ一緒に行っています」。朝と夕方の登下校時、万が一の事態に備え、保護者が持ち回りで付いていっているといいます。今年、クマによる被害が拡大している理由を専門家は次のように指摘しました。岩手大学農学部 森林科学科 山内貴義准教授:「ブナというドングリが不作になって低い標高にクマの行動域がシフトしている。クマの行動自体が昔よりもかなり大胆になって(目撃・被害)件数が増えていっているのでは」。人口の減少や高齢化により、山と人里の境界線が後退したことにより、人に慣れたクマが年々増えているといいます。現場でクマと対峙(たいじ)してきた猟友会の藤沼会長は、別の要因を指摘しました。藤沼会長:「イノシシの異常発生ですよ。イノシシが(餌を)全部掘って食べちゃう。クマの餌が全くない」。藤沼会長は、イノシシが大量に発生していることにより、クマの餌(えさ)となるドングリやクリなどを食べ尽くしていることも要因の一つだといいます。取材中、何者かが食べ散らかした大量のクリを発見しました。定点カメラを仕掛けてみると、クマは映っていませんでしたが、4頭のイノシシがクリを食べていました。猟友会は、朝と夕方にパトロールを実施しています。すると、一頭のクマを発見しました。雫石町猟友会 新里幹夫さん:「あれ、クマじゃねえか」。まだ日の高い午後4時ごろ、体長およそ1メートルのクマが田んぼの横にあるクリの実を食べていました。10分ほどとどまり、しばらくすると、山の中に消えていきました。被害は、人だけではありません。肉牛を育てている吉澤貞男さんに聞きました。吉澤さん:「今年は6月中旬から毎日です」「(Q.毎日ですか?)毎日です。1日も欠かさず」「(Q.最近見たのはいつ?)さっき」。毎日やって来るというクマはこの時は6頭でしたが、最大でなんと8頭ものクマがいたこともあるといいます。クマのお目当ては、牛の餌となる飼料です。クマが好むハチミツや黒砂糖なども混ぜているため、味を覚えて毎年やってくるといいます。牛を守るため、侵入を防ぐ対策を何度講じても壊されてしまい、費用にも限界があるといいます。取材班は被害を探るため、牛舎に定点カメラを設置しました。作業を終え車に乗り込んだ直後の午後5時すぎ、クマが出現しました。ネコの餌を横取りした後、牛の目の前で餌を食べるクマ。かなり大きいことが分かります。さらに、なんと2頭同時に牛舎に侵入しました。結局、クマは牛舎に6時間以上も居座わり、牛の餌をむさぼっていました。別の日、吉澤さんの仕事を撮影していると、その瞬間に遭遇しました。なんと目の前に、牛の餌を堂々と食べている大きなクマの後ろ姿。毎日のように遭遇しているだけあって、動じる様子のない吉澤さんですが、クマとの距離はおよそ5メートルです。すると、100キロはあろうかという大きなクマが一瞬、こちらを威嚇しましたが、そのまま去っていきました。雫石町でも、この牛舎の状況を把握しています。ただ、この地域ではクマによる人身被害が確認されていないため、積極的な駆除は行っていないといいます。町では、今後も定期的に現場を視察する方針です。

(畑の中に体長0.5mほどのクマ1頭:新潟)
新潟県新発田市で3日昼頃、畑の中でクマ1頭が目撃されました。付近では連日、クマの目撃情報があることから、警察や新発田市役所がパトロールするなどして注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは新発田市荒町で、3日午後0時15分、近くを通りかかった人から「畑の中で体長0.5mほどのクマ1頭を見た」などと警察に通報がありました。警察によりますと目撃された場所は民家から50mほど離れた場所で、ほぼ同じ場所でクマの目撃情報がもう1件あったということです。周辺では10月30日と11月2日にも、クマが目撃されていて、警察や新発田市役所ではパトロールするなどし注意を呼び掛けています。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼びかけています。長岡市では3日、畑で作業中だった女性がクマに襲われけがをするなど、県内では2023年度、クマに襲われて8人がけがをしていて、新潟県は、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(体長1.2mほどのクマ1頭の目撃情報:新潟)
新潟県阿賀町で3日午前、体長1.2mほどのクマ1頭が目撃されました。クマによる被害が新潟県内で相次いでいることから、警察や阿賀町役場ではパトロールするなどして、注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは、阿賀町日野川です。警察によりますと「3日午前9時半頃、体長1.2mほどのクマ1頭を目撃した」などと警察に通報がありました。目撃された場所は近くの住宅からはおよそ300m離れているということです。警察や阿賀町役場はパトロールするなどして、注意を呼び掛けています。新潟県内では2023年度、クマに襲われて7人がけがをしていて、新潟県は『クマ出没特別警報』を発表しました。新潟県では、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(道路に横たわるクマ、走る子グマも:山形)
全国的にクマの目撃やクマによる人への被害が出ています。こうした中、山形県はクマ出没警報を出して県民に注意を呼び掛けています。今後の対策と注意点は。これは先月16日、真室川町と金山町の境の山道で撮影された走る子グマ。この子グマは、車のクラクションを鳴らすと山に戻っていったということです。さらに、先月31日には、鶴岡市で車に衝突したとみられるクマが撮影されました。ここは民家も多い場所。道路に横たわるクマはすでに死んでいましたが、通勤通学の時間帯だったこともあり、撮影者は危険を感じたと言います。クマの目撃が相次ぐ中、県はきょう会議を開き、クマの対策などを話し合いました。クマの食べ物の状況は。県環境エネルギー部・荒木泰子次長「ブナの豊凶調査については県環境科学研究センターの予測は県全域で凶作。東北森林管理局の調査では大凶作となっている」県によりますと先月29日現在、県内のクマの目撃件数は660件。去年の同じ時期より291件も多くなっていていて、人がケガをした被害は5件発生しています。さらに市街地での目撃も多くなっていて、県はクマ出没警報を出して注意を呼び掛けています。市街地にクマが現れる原因は、食べ物不足のほかにも。県みどり自然課・鈴木慎一課長補佐「山の近くに人が住まなくなったり耕作していた畑が放棄されたりした結果、だんだん人の方にクマの生息域が近づいてきている」会議では、今月17日に山形市で市街地にクマが出没したことを想定した訓練を実施することが発表されたほか、12月の冬眠の時期までは注意が必要だとして、県民に注意を呼びかけていくことが確認されました。県は、クマが来ないよう農作物のとり残しや生ごみの放置は避けてほしいとしていますが、万が一、市街地でクマに遭遇したら。県みどり自然課・鈴木慎一課長補佐「近くに逃げ込める建物や家があった場合なるべく入って出ないようにすることが大切」。

(民家の庭に「柿食べるクマ3頭」:宮城)
3日午後、宮城県加美町の民家の敷地内でクマ3頭が目撃されました。警察によりますと3日午後2時半ごろ、宮城県加美町の民家の敷地内で、柿を食べているクマ3頭が目撃されました。クマ3頭はいずれも体長1メートルほどで、その後、近くの川の方に、逃げていったということです。人的被害はありませんでした。現場は、周囲に田畑が広がり住宅が点在する地域で、警察が付近のパトロールを行い注意を呼びかけています。

(ソバ畑でクマ12頭前後目撃:秋田)
3日午前6時20分ごろ、秋田県鹿角市花輪字女平のソバ畑に12頭前後のクマがいるのを、車で農道を通りかかった同市の60代男性が見つけ、鹿角署に通報した。署によると、男性が車で花輪方向から十和田末広方向へ走行中、右側のソバ畑にクマ2、3頭のグループが数十メートルおきに複数いるのを目撃した。体長は不明。現場はかづの厚生病院から北西に約1・3キロの山林内。

(イノシシ肉販売24%増、捕獲増え「ジビエ」も浸透)
2022年度に食肉として販売されたイノシシの量が442トンとなり、過去最多を更新したことが農水省の調べで分かった。豚熱感染などで生息数が減り、利用量が落ち込んだ21年度と比べて24%増えた。捕獲の強化や消費者らへのジビエ(野生鳥獣の肉)の普及が進み、大幅な増加に転じた。22年度のイノシシの捕獲頭数は59万100頭。豚熱感染の影響はあったものの、2年ぶりに増加に転じた。これに伴い、食肉処理施設での解体頭数も同22%増の3万6087頭に上り、食肉販売量の増加につながった。一方で、鹿肉の食肉販売量は871トンと同8%減。特に、主産地の北海道で同13%減少した。ただ、食肉処理施設での鹿肉の解体頭数は10万8892頭で、同10%増えた。同省は、コロナ禍で外食需要が落ち込んだ後、物価高もあり「需要が完全に回復しておらず、在庫に回っている」(鳥獣対策室)とみる。販売価格は、イノシシ肉が1キロ3228円で、21年度比9%低下。鹿肉は同2167円と横ばいだった。食肉の他、ペットフードや自家消費向けに利用された、イノシシや鹿などのジビエ全体の利用量は2085トン。鹿の減少が響き21年度に比べ2%減ったが、調査を始めた16年度(1283トン)と比べると1・6倍に上る。内訳は、食肉販売された鹿が4割、同じくイノシシが2割など。同省は、外食産業での利用拡大・定着などを進めている。ジビエの利用量を25年度までに、19年度比で倍増となる4000トンに増やす目標を掲げるが、達成は道半ばだ。

(ジビエ解体、手順学ぶ:宮崎)
シカやイノシシなど野生鳥獣肉(ジビエ)の利用拡大につなげようと、県は2日、ジビエ調理セミナーを宮崎市のマナビヤ宮崎アカデミーで開いた。県内の調理師や同校の生徒ら25人が、ジビエの解体手順や素材の魅力を学んだ。

(ジビエ給食、セボン!:三重)
松阪市西部の山間部にある市立香肌小学校(同市飯高町森)で全校児童20人が給食の時間に、鹿肉を使ったフランス料理を味わった。鹿は地域で身近な食材だが、ジビエ料理として新たな魅力を発見した。10月31日、同市山室町の「ビストロ古川亭」の古川和隆シェフ(57)が同校に出張し、鹿肉とジャガイモを使ったグラタン風の「パルマンティエ」、鹿肉背肉のロースト赤ワインソース添え、サツマイモのポタージュの3品を振る舞った。コース料理が運ばれると児童たちはナイフとフォークを使って料理を口に運び、フランス語で「おいしい」を意味する「セボン」と言って、残さず食べた。5年生の小林玲歌さん(10)は「普段から焼き肉などで鹿肉を食べる。今日のお肉は柔らかくておいしい」と話した。

(鹿肉メンチカツバーガー:静岡)
伊豆今井浜東急ホテルは、レストラン「Melesea」とティーラウンジ「フローラ」にて、伊豆産鹿肉を100%使用した「伊豆産ジビエ 鹿肉メンチカツバーガー、わさびマヨネーズソース」を2023年11月6日(月)より販売。メンチカツに使用するのは伊豆産鹿肉100%です。鹿肉は新鮮な状態のまま低温貯蔵庫で数日の熟成期間を設けているものを使用します。余分な水分を抜き、旨味成分が肉へと染み込んだことで、ジビエ特有の臭みをほとんど感じることがありません。この鹿肉をメンチカツにすることで柔らかく、肉本来の味を閉じ込めました。生姜醤油ベースの甘辛タレにくぐらせたメンチカツは、ピリッとわさびがきいたマヨネーズソースとの相性も抜群。ジビエが苦手な方にも美味しく召し上がっていただけるバーガーです。

(ジビエも「マッチングアプリ」を使う時代!?:北海道)
『北海道Likers』がお届けする新ラジオ番組『北海道Likers Voice~北海道をもっと好きになるラジオ~』。「北海道でいちばん聴かれているラジオ局」として支持される『株式会社STVラジオ』と連携し、毎週土曜22:15~22:30に放送。北海道を盛り上げている人や次のトレンドを創る人(=ライカーズ)をゲストに迎え、あふれる北海道愛を声(=Voice)で伝えます。今回は2023年10月21日の放送回をご紹介します!高野沙月さん(以下、高野さん):アプリを使ってハンターと飲食店を繋ぐ上士幌町の「株式会社Fant(ファント)」代表。高野さん自身もハンター。東京でデザイナーとして活躍していたキャリアを辞してジビエに身を投じる。今回の“ライカーズキーワード”は「ジビエ」。最近聞くことが増えた言葉ですよね。実際に食べる機会はあまりない方も多いかと思いますが、北海道でもっと身近な食材にしようと立ち上がった女性がいます。アプリを使ってハンターと料理人を繋ぐ、上士幌町の「株式会社Fant」代表・高野沙月さんをゲストに招き、ジビエの魅力を語っていただきました。高野さん:当社のウェブのプラットフォーム「Fant」を使ってジビエを購入したい飲食店の方とジビエを捕獲しているハンターの方をマッチングし、飲食店の需要とハンターの供給を繋いでいます。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、4日午後5時20分ごろ、栗原市築館城生野入の沢付近の国道沿いにクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、4日午前9時30分ごろ、富谷市富谷坂松田にクマが出没しました。

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(市街地でクマ駆除、発砲基準の明確化検討)
全国でクマによる人への被害が相次いでいることに関し、松村祥史国家公安委員長は31日の参院予算委員会で、ハンターが市街地に出没したクマを猟銃で駆除できる判断基準の明確化を検討する考えを示した。市街地での猟銃発砲は鳥獣保護管理法で原則禁止されており、関係者からクマの駆除や安全確保の難しさを指摘する声が出ていた。市街地での銃によるクマの駆除は、警察官が人の命にかかわる差し迫った状況だと判断して命令を出した場合に限り、ハンターは警察官職務執行法4条に基づいて発砲できる。松村氏は予算委で「警職法の解釈や適用事例を通達し、現場で適切に判断できるようにしているが、さらに対応したい」と述べた。一方、ハンターは、クマに襲われるなど刑法上の緊急避難に該当する場合は、警察官の命令がなくても猟銃でクマを駆除できる。ただ、どのような状況が緊急避難に当たるかの明確な基準はなく、予算委でも警察庁は「個別の判断をせざるを得ない」として、具体例は示さなかった。立憲民主党の徳永エリ氏への答弁。

(73歳男性がクマに襲われけが、人身被害が前年の10倍超:秋田)
30日夜、秋田県北秋田市で73歳の男性が散歩していたところ、突然クマに襲われた。2023年のクマによる人身被害は61人となり、2022年1年間の10倍に上っている。 30日午後7時30分ごろ、北秋田市阿仁銀山の市道で散歩していた73歳の男性が、突然目の前に現れたクマ1頭に襲われた。男性はクマに頭や顔、肩を引っかかれたが、自ら消防に通報し助けを求めた。男性は市内の病院に搬送され、手当てを受けた。現場は、秋田内陸線・阿仁合駅から約200メートルの住宅や店舗が点在する地域。2023年、秋田県内でクマに襲われるなどしてけがをしたのは61人となり、2022年1年間の被害の10倍を超えている。また、人身被害は10月だけで33人に上っている。

(クマに襲われ2人けが:富山)
31日午前11時ごろ、富山市加納で「クマに襲われて2人がけがをした」と住民から119番があった。富山県や地元消防によると、クマは住宅内に侵入し、住民の女性(75)が頭と腕に、親戚の女性(37)が肩から腕にけがをして病院に運ばれた。2人とも搬送時に意識はあったという。

(3人で登山中にクマに襲われる:北海道)
10月31日午前、北海道南部の福島町の山中で登山中の男性2人がクマに襲われケガをしました。31日午前9時半ごろ、福島町の大千軒岳で男性3人が列になり登山口から2時間半ほど歩いたところで、最後尾の40代の男性が突然背後からクマに襲われました。一緒にいた別の40代の男性が持っていたナイフで反撃したところ、クマは山へ逃げていったということです。クマは体長1.7mほどで2人はそれぞれ首や足をひっかかれるなどしてケガをしましたが、自力で下山し病院で治療を受けています。いずれも軽傷です。道はこれを受けて11月末まで、登山道などを対象にヒグマ注意報を出して注意を呼びかけています。

(住宅地ではイノシシに襲われ男性がけが:広島)
安佐動物公園の敷地内で撮影された映像、カメラの前を横切るのはツキノワグマの親子。安佐動物公園は先月31日から園内の一部を閉鎖し警戒を続けています。ツキノワグマが確認されたのは園内のピクニック広場の最上部住宅街にも近い場所です。閉鎖されたエリアではレッサーパンダなど9種の動物が飼育されています。特にクマの親子は注意が必要だといいます。安佐動物公園 阿部勝彦園長「子グマと親との間に入ってしまうと親が子を守ろうとして襲ってくるので、はじめて親子が写っていたので今までよりも危機感を持っています」。安佐動物公園はツキノワグマの親子が確認された先月28日に園内を点検しましたがクマは発見されず。現在のところ周辺で被害の報告はありません。男性を襲ったイノシシは体長およそ1.3m、体重およそ70kgのやせ型のメスで、近隣住民や駆けつけた警察官によって取り押さえられました。消防によりますと襲われた男性は右目のまぶたや両手にけがをして病院に搬送されたということです。福山市はイノシシは餌を求めて現れた可能性があるとしています。

(クマに襲われ65歳男性けが:秋田)
2日早朝、北秋田市で65歳の男性がクマに襲われけがをしました。2日午前4時半ごろ北秋田市五味堀で新聞配達をしていた65歳の男性が近くの田んぼから出てきた体長50cmほどのクマ1頭に首をかまれてけがをしました。病院で手当てを受けていて意識はあるということです。この地域では先月も帰宅途中の中学生がクマに襲われけがをしています。秋田県内で今年これまでにクマに襲われけがをした人は64人となり過去最多を更新し続けています。

(損傷激しくクマに襲われた可能性も:北海道)
きょう昼過ぎ、道南・福島町の大千軒岳の山中で、男性の遺体が見つかりました。遺体には外傷があり、近くにはクマの死がいが見つかったということです。警察は男性がクマに襲われた可能性もあるとみて、詳しい死因を調べています。男性の遺体は午後0時半ごろ、大千軒岳の標高約600メートル地点で見つかりました。大千軒岳では20代男性が「10月29日に山に行く」と言ったあと、連絡がつかなくなっていて、先月31日に登山口で、男性が使用していた車が発見されています。20代男性をけさから探していた捜索隊が山中で倒れている男性を見つけました。男性の遺体は損傷が激しく、近くではクマ1頭の死がいも見つかったということです。警察は遺体の身元は、行方不明になっている男性の可能性もあるとみていて、男性がクマに襲われた可能性も含めて詳しい死因を調べています。

(住宅地にイノシシ出没、5人が襲われるなどし軽いケガ:愛媛)
愛媛県松山市の住宅地で1日午前にイノシシが出没し、複数の場所であわせて5人が襲われるなどし軽いケガをしました。イノシシはこの日の夕方に猟友会により殺処分されました。1日午前10時15分過ぎ、松山市高浜町の道路で付近の住民が「イノシシがいる。山の方に入っていった」と警察に通報しました。その後、目撃現場に近い複数の住宅地にイノシシが出没。警察によりますと60代男性の2人と70代女性のあわせて3人が、体当たりされたり足をかまれたりして軽いケガをしました。また消防によりますと、このほか近くの公園で、イノシシから逃げようとした60代の女性が転倒し右手にかすり傷を負ったほか、1歳の男の子も頭を打つ軽いケガをしたということです。その後イノシシは逃走を続け、市の職員により市内古三津の水路に追い込まれ、この日の午後4時過ぎに猟友会によって殺処分されました。

(住宅地にイノシシ出没、20代の男性が襲われ顔や腕にけが:広島)
1日朝、福山市の住宅地で男性がイノシシに襲われ顔や腕などをケガしました。福山市などによりますと1日午前7時前、福山市引野町で、付近の住民から「男性がイノシシに襲われている」と警察に通報がありました。20代の男性1人がイノシシに噛まれ、腕や顔にけがをしましたが、命に別条はありません。イノシシは体長1メートルを超えるメスの成獣で、駆けつけた警察官に取り押さえられたのち、猟友会に引き渡され殺処分されたということです。

(環境省、クマ被害で専門家派遣へ)
クマによる人的被害が過去最悪のペースになっていることを受け、環境省は31日、都道府県や市町村の要請に応じ、対策に関する指導や助言をする専門家の緊急派遣事業を始めると発表した。同日、警察庁、農林水産省、林野庁などと開いた関係省庁連絡会議で明らかにした。クマやシカ、イノシシといった鳥獣保護管理の専門家を登録している環境省の「鳥獣プロデータバンク」を活用。11月1日から自治体の要請を受け付ける。派遣費用は、通常時は一部を除いて自治体が負担するが、昨今の被害状況を受け、クマ対策に関する緊急派遣事業では環境省が負担する。

(続く被害に対策、消防署で研修や補助金も:富山)
富山市内でクマによる人身被害が相次ぐ中、同市の大山消防署で31日、署員ら対象のクマ対策研修会が開かれた。クマの生態に詳しい赤座久明さん(70)が被害の防止策を提案した。赤座さんは同県自然博物園ねいの里(同市)の野生鳥獣共生管理員を務めている。この日は実物のツキノワグマの頭蓋骨(ずがいこつ)などを持参し、「ツキノワグマはほぼ草食で人を襲って食べるということはない」と指摘した。

(狩猟が解禁に:宮城)
宮城県で2022年の農作物被害が約8000円に上るイノシシの頭数を減らそうと、1日から狩猟と駆除作業が始まりました。午前8時過ぎに、仙南地域の猟友会のメンバーが猟犬を連れて集まりました。宮城県では、11月1日にイノシシの捕獲が解禁されました。猟友会は、農作物などの被害を防ぐため県から許可を受けて実施する有害鳥獣駆除を行っています。猟犬で獲物を追い立てて銃で仕留める、巻狩りと呼ばれる手法で捕獲に当たりました。 宮城県のイノシシによる農作物被害は、前年1年間で7919万円に上っていて後を絶たない状況です。宮城県は2023年度、有害鳥獣駆除により4000頭のイノシシの捕獲を目指しています。あぶくま次郎太郎会相澤晴朗「耕作放棄地の田んぼなどを見ると掘り返した跡が多数あり、特に丸森・県南地域は被害は継続してある」。午前中の捕獲作業で、30キロほどのイノシシ1頭が捕獲されました。イノシシの狩猟期間は2024年3月31日までで、有害鳥獣駆除は2024年2月29日までとなっています。

(クマ猟解禁:秋田)
秋田県内のツキノワグマ猟が1日、始まった。クマによる人身被害が過去最多を更新する中、県は狩猟がクマの人里への出没抑制につながることを期待する。

(狩猟解禁、安全確認徹底を:静岡)
静岡県内で11月1日、イノシシとニホンジカの狩猟が解禁され、県警や県などの関係機関が一斉パトロールを行った。担当者がわな猟の設置場所や状態を確かめ、猟銃の安全利用の徹底を呼びかけたほか、熊の目撃情報などが各地で相次ぐ現況を踏まえた注意喚起もした。

(鳥獣害対策「地域ぐるみ」が鍵:愛知)
鳥獣害対策を学ぶ「鳥獣害フォーラム新城2023」(中日新聞社後援)が10月28日、新城市のJA愛知東本店であった。主催する豊田市のNPO法人愛猟の鈴木康弘理事長や人間環境大の江口則和講師(森林科学)らが、地域ぐるみで対策を講じる大切さを伝えた。新城市や愛猟によると、同市ではシカやイノシシなど野生動物による農作物被害は2022年度900万円に上ったほか、車との衝突事故が16年に156件発生。農業被害だけでなく、文化財がイノシシなどに掘り起こされるなど、幅広い分野で影響が出ている。

(登校中にイノシシに襲われ男子児童が救急搬送:鹿児島)
鹿児島市できょう1日朝、登校中の児童がイノシシにおそわれ、病院に搬送されました。警察や学校などによりますと、きょう1日午前7時半ごろ、鹿児島市原良6丁目で、1人で登校していた小学3年の男子児童にイノシシが突進してきました。児童は救急搬送され、右半身を中心にけがをしました。「イノシシに持ち上げられて落とされた」と話しているということです。現場は周辺を山に囲まれた住宅地で、MBCには先月、イノシシの目撃情報も寄せられています。児童が通う学校では、1日は集団下校を呼びかけ、警察もパトロールを強化しています。(原良小学校 月俣員貞教頭)「昼休みに対象地域の子どもたちを集めて、出くわした時の対処方法、登下校の仕方、心のケアについて話した」。平川動物公園によりますと、イノシシは寒くなると体温を保つために食欲が増す傾向にあるということで、屋外にカキやミカンなどエサになるようなものが落ちている場合は拾うこと、出くわした時は刺激せず静かに離れるなどの対策が有効としています。

(クマに注意!「くまっぷ」公開:山口)
山口県内で相次ぐクマの出没に注意を呼び掛けるため、県警は目撃された場所や日時などの情報を地図で示した「YPくまっぷ」のインターネット上での公開を始めた。目撃や出没痕跡の確認の情報が県警に寄せられた地点を赤い印で示している。印をクリックすると、目撃された日時や住所、クマの頭数、体長の他、「車で走行中、国道を横切る熊を目撃した」といった目撃の際の状況が分かる。随時更新される。YPは、山口・ポリスの略。県警地域企画課によると今年、県警にクマの目撃情報などが174件(10月31日午前8時現在)寄せられている。けがを負った人はいない。1~3月は0件、4月4件、5月37件、6月20件、7月25件、8月15件、9月21件、10月52件と9月以降増加傾向にある。所轄署別の内訳では、岩国署が51件、周南署25件、山口署24件、萩署19件、光署16件、長門署11件と続く。同課の山根徹也次長は「クマの被害に遭わないため、YPくまっぷを活用してほしい」と話している。

(もし市街地にクマが、どう対応する?:秋田)
クマが市街地に現れた際の対応を確認する訓練が31日、秋田県湯沢市関口の旧三関小学校敷地などで開かれた。市や湯沢署、猟友会などの関係者ら約30人が参加し、出没時の追い払い方などを実践した。JAこまち、市などでつくる市有害鳥獣被害防止対策協議会(会長=遠田武・同JA組合長)の主催。県内で市街地でのクマ出没、人身被害が続発していることから、有事の際の連携の取り方に理解を深めてもらおうと企画した。講師は県雄勝地域振興局の金萬誠志さんが務めた。

(マタギたちが神社で猟の安全を祈願:秋田)
ツキノワグマなどの狩猟が秋田県で1日から解禁されたことを受け、北秋田市阿仁地区では動物の狩りを仕事とする「マタギ」たちが神社で猟の安全を祈願しました。クマの捕獲には、市町村が安全のために要請し、オリで捕獲する「有害鳥獣駆除」と山に入って銃で猟をする「狩猟」などがあり、このうちツキノワグマなどの狩猟が1日県内で解禁されました。これを受けてマタギ発祥の地として知られる北秋田市阿仁地区でマタギの鈴木英雄さんなど5人が阿仁打当地区の山の神をまつるという神社を訪れ、猟の成功と安全を祈りました。鈴木さんはことしは餌不足の影響で山にクマが少ないとみていて、1日はクマが人里に下りてきていないか車で見回っていました。県内でことしクマに襲われるなどしてけがをする被害が過去最多を更新するなか、県内では今年度、先月30日時点で有害鳥獣の駆除で1139頭が捕獲されているということです。狩猟による捕獲頭数は例年40頭ほどですが、ことしは県がクマによる被害を防ぐため、捕獲に対し報奨金を支給することを検討していることなどから増加が見込まれています。鈴木さんは「人目に敏感なクマが近くの田んぼなどに姿を見せるなど異常な事態だ。今は山にクマが少ないので様子を見て猟を始めたい」と話していました。

(会津総合射撃場指定管理者候補者の選定結果について:福島)
会津総合射撃場を管理運営する指定管理者について、会津総合射撃場指定管理者候補者選定委員会での審査の結果、次のとおり指定管理者候補者を選定しました。選定された指定管理者候補者は、当該団体を指定管理者とする議案を12月市議会定例会議に付議し、議決を得た場合には、令和6年4月から会津総合射撃場の指定管理者になります。団体名:有限会社 会津銃砲火薬店。

(シカやイノシシ出たらALSOK:福岡)
福岡県筑後市は31日、シカやイノシシなどの出没や被害が出た際に捕獲や処分を依頼するための協定を、綜合警備保障福岡支社(志免町)と締結した。関連会社のALSOK福岡(福岡市)の職員が出動し、箱わな設置などの対応をする。

(特定外来生物アライグマ、捕獲数が過去最多:山梨)
山梨を含めた全国の各地で、クマの出没が相次いでいます。県内はアライグマの捕獲数が過去最多となっていて、野生動物の被害防止に向け捕獲に関する講習会が開かれました。愛くるしい見た目でかわいらしいアライグマですが、実は農作物を荒らしたり人やペットに感染症を引き起こすやっかいな動物なんです。生態系や農作物への被害を及ぼす特定外来生物に指定されているアライグマ。県内では1996年に初めて捕獲されてから年々増加し、2022年の捕獲は308匹で過去最多となりました。人里に適応した生態をもち、甲府市や笛吹市、上野原市など都市部で捕獲数が増加傾向にあります。31日は市町村職員や一般市民を対象にした、アライグマ捕獲のワナを設置するための養成講習会が開かれ、専門家がアライグマの特性や捕獲方法などを説明しました。アライグマは水路を移動するケースが多いため、ワナの設置で通り道を特定することや、果樹園の近くでは食べ慣れているはねだしの果物をエサにすることなどがポイントということです。県自然共生推進課 保坂一郎課長:少しでも減らすために研修会を受けていただいて、減らす手伝いをしてもらえたらと思う。なおアライグマを捕獲する場合、特例として狩猟やワナの免許を持たなくても、この講習を受ければ、市町村から貸し出されるワナが設置できるようになります。

(クマ多発、行楽の秋直撃:富山)
富山県内でクマの出没と人身被害が相次ぎ、里山周辺の屋外施設が警戒を強めている。1日に敷地内で1頭が目撃された立山町の県常願寺川公園はバーベキュー場を閉鎖し注意喚起の看板を増設。富山市の割山森林公園天湖森(てんこもり)は爆竹を使ってクマを遠ざける。巡回を強化したり営業時間を短縮したりする施設もあり、3連休を控えた秋の行楽シーズン真っ盛りに、緊張感が高まっている。「きょうもクマが出たと連絡があった。いつか大ごとになるのではないかと、内心ヒヤヒヤしている」。県常願寺川公園管理事務所のスタッフは周辺でクマの目撃が相次ぐ状況について心配そうに話した。立山町によると、公園周辺では10月下旬ごろから目撃、痕跡の情報が相次ぐ。同22日に幼獣1頭、同27日に足跡が確認され、1日は園内のラグビー場近くで幼獣1頭が見つかった。こうした状況を受け、管理事務所は10月21日からバーベキュー場を閉鎖した。1日には新たに遊歩道やテニスコート周辺などにクマ出没への注意を呼び掛ける看板15枚を設置した。割山森林公園天湖森は、3連休初日の3日朝、キャンプ場周辺で爆竹を鳴らしクマの侵入を防ぐ。担当者は火薬の臭いを残すことでクマが寄りつかないようになると説明した。利用客には生ゴミの処理を徹底するよう求める。園内のパークゴルフ利用者にはクマよけの鈴を貸し出している。キャンプ場の予約は3、4日がほぼ埋まっている状況で、担当者は「万が一にもクマの被害が出ないようにする」と話した。富山市の県総合運動公園は10月以降の人身被害多発を受け、職員による園内の巡回頻度を増やしている。同市の神通川水辺プラザでは1日から、パークゴルフ場の利用時間を1時間短縮して午後5時までとした。富山県によると、今年の県内のクマによる人身被害は、10月17日に富山市江本(えのもと)の住宅庭で70代女性が死亡したケースを含め6件で、被害者は計7人となった。いずれも富山市内で発生している。

(クマの人身被害防止、県などが緊急点検:長野)
ツキノワグマによる人身被害を防ごうと長野県などは30日、クマの目撃情報のあった地域を中心に現地の状況を見回り、対策を呼びかける緊急点検を始めた。長野県飯山市では今月14日、イノシシのわなを見に行ってクマに襲われたとみられる男性の死亡が確認された。この事故を受けた緊急点検で、県内各地で11月14日まで行われる。同市内では、この日の朝から緊急点検が始まった。県や市の職員らが集まり、県に「クマ対策員」を任されている長野市の後藤光章さん(49)ら専門家とともに、市内9カ所の状況を確認した。事故のあった現場近くでは、住宅そばの山林でクマが残したとみられる複数の食べかけのカキや足跡を見つけた。後藤さんによるとやぶが人家近くまで続き、その先に放置果樹などがあると、やぶをたどって住宅近くにまでクマが出没しやすいという。後藤さんは「今はちょうどクマの被害がでやすい時期。クマが目撃された地域では、放置されたカキやクリの木があれば話し合って切ったほうがリスクを減らすことができる」と指摘。今後、市や北信地域振興局などとともに山里の住民らに注意を促していくという。県は事故を受けて20日に開いた緊急の会議で、県内10カ所の地域振興局などによる野生鳥獣被害対策チームが、クマが好む放置果樹の状況やクマが潜みそうなやぶの状況を見回って、被害防止対策の強化を呼びかけていくことを決めていた。

(生息域の外にクマの目撃相次ぐ:静岡)
11月1日から、イノシシとニホンジカの狩猟が解禁となりました。一方で、静岡県内の山間部ではクマが相次いで目撃されていて、行政は、山に入る人たちにクマに注意するよう呼びかけています。狩猟が解禁となった1日朝、裾野市では、県や市、警察、猟友会がパトロールを行いました。イノシシとニホンジカは、罠と銃で捕獲する猟が認められています。パトロールでは、禁じられた方法を用いていないかなど、狩猟における違反行為が無いかを確認します。<静岡県東部農林事務所 森林整備課 遠藤淳班長>「クマはイノシシやシカより脚が大きいので(罠は)大きな直径ではないものを掛けてもらうようにお願いしている。大きいとクマが錯誤捕獲で(狩猟を自粛している)かかりやすくなってしまう」。いま、静岡県内で目撃が相次いでいるクマ。静岡県では富士山周辺と南アルプスがツキノワグマの生息域とされています。この生息域のマップに、県内で10月以降、クマが目撃された場所を重ね合わせたものです。クマを目撃したという通報は、11月1日までに県全体で20件を超え、生息域から外れた場所で相次いで出没していることが分かります。裾野市内では、10月19日に須山地区で子どものクマが目撃されました。<裾野市農林振興課 山井真乃介さん>「(19日の)朝9時頃、このあたりで子グマ2頭を見たという目撃情報がありまして」。<駿東裾野猟友会 荻田勝美さん>Q.このあたりもクマの生息エリアになる?「ならないですね。普段はいないですね。やっぱりエサがないので、捨ててあるゴミとか食べに来ているんだと思います」。パトロールでは、山で作業をしている人たちにもクマへの注意を呼びかけました。クマに遭わないよう、日頃からどう備えているのかベテランの猟師に聞きました。<駿東裾野猟友会 荻田勝美さん>「私は犬を連れていきますからね。犬が追い立てますから。あとはラジオをかけるとか、鈴をつけるとか、そういった方法しかないんじゃないですかね」。Q.音を出しておくのは効果的?「効果的ですね」。クマの生息域近くの山に入る場合は、ラジオや鈴などの音を鳴らして、人間がいるということを知らせることでクマと出くわすリスクを下げることができるということです。

(イノシシやニホンジカの狩猟解禁で一斉パトロール:静岡)
1日からイノシシや二ホンジカの狩猟が解禁となり、静岡県内では違反を取り締まるパトロールが一斉に行われました。このパトロールは罠や銃による狩猟が、禁止されている場所や方法で行われていないか確認するため、県下一斉で毎年この時期に実施されています。1日は河津町でも県や警察猟友会のメンバーなど5人が山中を見回り、罠が仕掛けられている場所や罠の表示が適正かなどを確認していきました。また町内で10月ツキノワグマが捕獲されたこともあり、1日は笛や鈴、注意を呼び掛けるチラシを持ちながらパトロールを行いました。県賀茂農林事務所 伊藤允彦主査「100年ぶりという形ではあるんですけど、クマが出たという事がありますので、山の中で歩いたりする方がいらっしゃいましたら、熊鈴をつけたりラジオをかけて流す等の熊への注意喚起を改めて行っていただきたいと思います」。一斉取締りは、鳥類の狩猟が解禁となる11月15日にも行われる予定で、県はモラルをもって安全な狩猟を心がけるよう呼びかけています。

(狩猟が解禁に:宮城)
宮城県で2022年の農作物被害が約8000円に上るイノシシの頭数を減らそうと、1日から狩猟と駆除作業が始まりました。午前8時過ぎに、仙南地域の猟友会のメンバーが猟犬を連れて集まりました。宮城県では、11月1日にイノシシの捕獲が解禁されました。猟友会は、農作物などの被害を防ぐため県から許可を受けて実施する有害鳥獣駆除を行っています。猟犬で獲物を追い立てて銃で仕留める、巻狩りと呼ばれる手法で捕獲に当たりました。 宮城県のイノシシによる農作物被害は、前年1年間で7919万円に上っていて後を絶たない状況です。宮城県は2023年度、有害鳥獣駆除により4000頭のイノシシの捕獲を目指しています。あぶくま次郎太郎会相澤晴朗「耕作放棄地の田んぼなどを見ると掘り返した跡が多数あり、特に丸森・県南地域は被害は継続してある」。午前中の捕獲作業で、30キロほどのイノシシ1頭が捕獲されました。イノシシの狩猟期間は2024年3月31日までで、有害鳥獣駆除は2024年2月29日までとなっています。

(クマの目撃、今年は10月が多いんです:宮城)
10月はクマの目撃件数が大幅に減るシーズンですが、今年の宮城県内は違いました。7月のピークを過ぎても下がり幅は小さく、10月に入っての目撃件数147件(19日現在)は過去10年の平均の2倍以上となっています。データと原因を探りました。

(2022年度の狩猟者登録1776人、新規取得と若年層が増加:秋田)
人口減少や高齢化を背景に狩猟者の担い手確保が全国的な課題となる中、秋田県内の狩猟者登録数はここ10年、横ばいで推移している。2022年度は1776人だった。県自然保護課は、新規取得を促す施策の効果とみている。同課によると、県内の登録者数は03年度が3255人で、この20年で半数近くに減った。ただ、13年度以降は1600~1700人台で推移している。高齢ハンターが引退する一方で、狩猟免許の新規取得者が増えているのが横ばいの要因だ。本年度は年度途中のため、まだ増えるとみられるが、10月末時点で1416人が登録している。

(目が合ったクマが両手を上げ襲ってくる:秋田)
秋田県内で1日、クマに襲われて2人がけがを負った。また、同日には県内でのツキノワグマなどの狩猟が解禁された。鹿角市八幡平で午前7時30分頃、農事組合法人の男性(46)が米を保管する倉庫でクマに襲われた。鹿角署によると、倉庫内の飼料米2袋が食い荒らされた。男性によると、出勤した後、倉庫でクマのふんと壊れたドアを発見。中を探すとクマ1頭がうずくまっているのを見つけた。クマは男性と目が合うと牙をむき出しにし、両手を上げて飛びかかってきたという。男性は持っていた護身用のスコップで抵抗したが、「ひるむ様子がなかった」クマに押し倒されて転倒し、頭を6針縫うなどのけがを負った。その後、クマの顔めがけてスコップを投げつけると、クマは外へ逃げたという。男性は「まさか襲われるとは。市内の学校に通う子どもが心配」と話した。このほか、秋田市河辺高岡の住宅で午後6時40分頃、「母親が外に出たときにクマに襲われた」と家族から110番があった。秋田東署などによると、被害に遭ったのは住人の女性(83)で、自宅前でクマと鉢合わせして、背中を引っかかれたとみられる。会話はできるという。県警地域課によると、クマによる人身被害は計63人となった。また、県内では1日、ツキノワグマなどの狩猟が解禁された。県によると、クマの捕獲を担う猟友会会員らに対し、1頭5000円程度の慰労金を支給するほか、狩猟経費も補助する方針。県自然保護課は「狩猟者がクマの捕獲を続けられるよう、サポート体制を整えたい」としている。一方、大仙市はクマ捕獲の箱わな購入費など約785万円の専決処分を10月31日付で行った。新たに箱わな20基(600万円)を購入し、市所有の箱わな数は26基から46基へほぼ倍増となる。このほか、クマの出没や捕獲の増加で不足する市鳥獣被害対策実施隊の活動費などに約116万円を充てる。市内猟友会で組織する実施隊は7支部あり、約100人が活動している。

(クマに襲われた男性、とっさに腹に蹴りを入れ「このやろう」と叫ぶと逃げる:青森)
「急所を的確に狙われた」――。10月、青森市合子沢の山林でクマに遭遇し、大けがを負った医療従事者の男性(71)が読売新聞の取材に応じ、恐怖の瞬間を語った。県内ではツキノワグマ出没警報が発令中で、活動が活発になる冬眠前は注意が必要だ。「ウオオオ、ウオオオ」。あの時の低いうなり声は、今でも耳から離れない。男性がクマに襲われたのは10月12日午後2時半頃。キノコ採りに備えた下見のため、道路脇にある空き地に車を止め、2~3メートル程度やぶに分け入った時だった。幅50センチほどの小川を挟んだ向かい側で「カサカサ」とやぶが揺れる音を聞いた。イノシシかと思った直後、突然、目の前に真っ黒い巨体が覆いかぶさってきた。「発見してからは、あっという間。1秒にも満たないくらいだった」という。立ち上がった体長約1・2メートルのクマに頭をつかまれ、後頭部や左顎に爪が食い込んだ。首にかみつこうとするクマの口をとっさに左手で防ぎ、腹に蹴りを入れた。「このやろう」。大声を出すと、驚いたクマはやぶに向かって逃げていったという。突然の遭遇に無我夢中だったが、気付くとぽたぽたと頭から血が垂れた。首と顔に裂傷を負い、頭蓋骨を骨折。左手も骨折していた。軍手をしていたおかげで、かみつかれた親指を食いちぎられずに済んだという。タオルで止血しながら自力で近くの交番に駆け込み、県立中央病院に搬送された。現場は、青森公立大学の敷地から西約400メートル、八甲田憩いの牧場から東約500メートルの地点だ。男性は10年以上前からこの場所でキノコ採りをしてきたが、一度もクマを見たことはなかった。音を鳴らしたり、複数人で行動したりするなど入山時にクマを警戒する方法は知っていたが、「近くでは釣りをしている人もいる場所。まさか、こんな人里近くで遭うとは思わなかった」と驚く。男性はキノコ採りを当面やめるという。「いつでも、どこでも、誰でも遭う状況だ」と、こわばった表情で語った。県自然保護課によると、今年の出没件数(10月26日時点)は、前年同期比491件増の778件。人身被害は9件増の10件に上っている。ブナの実が「大凶作」で十分なエサが得られず、人里近くまでクマが下りてきている可能性がある。人口減少で耕作放棄地やクマが隠れやすいやぶが増加しているのも、原因とみられる。県では遭遇した場合、慌てず静かにしていることや、近づいてきたらゆっくり後退することを呼びかけている。ただ、至近距離で遭遇した場合は「攻撃回避の完全な対処方法はない」といい、両腕で頭を覆い、うつぶせになって大けがを避けるべきだとしている。

(クマの好む物、知られざる生態:岩手)
またクマによる被害です。岩手県西和賀町で住宅の車庫にクマが居座り、丸一日経った1日午後、捕獲されました。連日被害が相次いでいますが、クマが好む食べ物を調査した実験映像で新たな習性が明らかになってきました。小屋をのぞいてみると、天井近くのスペースに体長40センチほどの子グマが。西和賀町で住民が車庫として使っている小屋に少なくとも先月31日の夕方から子グマが居ついていたといいます。子グマはこの後、捕獲されました。人里付近でクマの出没が相次いでいます。広島市の安佐動物公園付近で撮影された映像。先月31日にカメラを確認したところ、母グマと子グマとみられる動物が映っていたといいます。餌(えさ)があるのでしょうか。鼻先で餌を探しながら歩いているようにも見えます。動物園は念のため、園内の一部を閉鎖しました。今年は山のどんぐりが不作で、クマが餌を求めて市街地に出没しやすくなっている可能性も指摘されています。クマはどのような食べ物を好むのか。国内の飼育施設の協力で実験が行われました。用意したのは左から、リンゴ、キャベツ、鶏肉、ハチミツ、キャットフードです。ゆっくりと餌に近付く雌のツキノワグマ。鶏肉を見たと思ったらキャベツのにおいを嗅ぎます。しかし、口をつけないまま再び鶏肉、いや、本命のハチミツへ。このままハチミツを舐めるのかと思ったその時、キャットフードに興味を移します。そして、食べ始めました。キャットフードを何回も口に運んでいます。この実験結果に専門家はある注意を促します。東京農業大学 森林総合科学科 山崎晃司教授:「嗅覚によって選択する食物を食べる前に判断した。(キャットフード中には)すぐ体脂肪に変えられるものとしては脂肪分や炭水化物、猫の餌なので香り成分も入っている。魚粉のようなもの、牛や豚の骨なども(入っている可能性)。地域猫に餌をあげる人がいるが、今の時代クマが誘われる可能性」。ちなみに2番目はハチミツ、次いでリンゴ、キャベツの順番に食べました。

(狩猟専門誌『狩猟生活』初のオンライントークイベント:東京)
インプレスグループで山岳・自然分野のメディア事業を手がける株式会社山と溪谷社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:二宮宏文)は、11月9日(木)に、狩猟専門誌『狩猟生活』のオンライントークイベント「狩猟とジビエ」を、You Tubeで生配信いたします。『狩猟生活』は「知恵と体力を総動員して獲物を狩り、解体して、おいしくいただく」をテーマにしたハンターのための実用ムック。猟のノウハウや獲物の利活用法、草木や農作物の食害と人身被害などの社会問題について取り上げています。本誌は、2019年9月から山と溪谷社で刊行を開始し、2023年9月11日発売号で15冊目(山と溪谷社では11冊目)を迎えました。さらに、2022年11月からはより幅広い層に狩猟の文化や魅力、自然環境問題の実際などを発信していくために、Twitter(現X)、noteの公式アカウントの運用も開始しました。今回はその取り組みのひとつとして、全国で猟が解禁される直前の11月9日に、初のオンライントークイベントを開催いたします。イベントでは、本誌編集長・鈴木幸成をはじめ、誌面で活躍する著者である小堀ダイスケさん、北尾トロさん、豊和精機製作所・佐藤一博さんによる「ジビエ」をテーマにしたトークセッション、ジビエ料理のリアル試食会を実施。現役ハンターや本誌愛読者をはじめ、ジビエなどの食文化に興味がある人、山野の環境破壊や食害の問題に関心がある人などに楽しんでいただける構成になっています。イベントの内容はnote、X(旧Twitter)の狩猟生活公式アカウントでも発信していきます。

(「わな体験ツアー」を開催します!:高知)
今、狩猟が注目を集めています。そこで、狩猟の魅力に触れ、くくりわなの仕掛け方を学べるわな猟体験ツアーを開催します。狩猟に興味はあるものの、なかなか一歩を踏み出せないでいるあなた、わなの免許は取ったものの、きっかけや知識がなくて実際に狩りには出られていないあなた、ツアーに参加して、狩猟の世界に飛び込みましょう!あなたも、ハンターに!

(クマに遭遇したらどうすれば:京都)
全国でクマによる人身被害が多発しており、2023年度は過去最多のペースになっている。湖や山林で釣り人や野鳥観察中の人たちが襲われるケースなどがある一方、住宅街や農地といった生活圏で住民らと鉢合わせになることも。命を落とす人も出ている。アーバン・ベア―。市街地近くの森林などで育ち、街中に出没する「都市型」のクマの存在が指摘され、主食となる木の実が凶作となる中、人を怖がらないクマが餌を求めて動き回っている恐れがある。近年、12月から翌年3月ごろの本来は冬眠する時期にも出没が確認されることもあるといい、注意が必要だ。

(クマ“異常事態”、市街地にどう出てくる?:富山)
クマによる人への被害が、各地で“異常事態”となっています。10月31日には玄関のガラス戸を破って住宅の中に侵入、女性2人が襲われるなど、今まで安全だったはずの場所で被害が相次いでいるのです。クマはどうやって人が住む地域に出てくるのか。目撃情報や痕跡、人口、地形のデータを重ねて分析したところ、「クマが市街地に向かうルート」や「被害を減らすために必要なこと」が見えてきました。今回、注目したのは、クマの「目撃」についてのデータです。クマの出没が相次ぐ多くの都道府県では、地域の人から寄せられたクマの「目撃」や「痕跡」の情報をインターネット上の地図にまとめ公開しています。注意喚起を目的とした地図ですが、中でも富山県が公開する「クマっぷ」は更新の頻度も高く、過去10年間のデータが蓄積されています。富山県内では10月31日にも住宅に侵入したクマに女性2人が襲われけがをしているほか、17日には79歳の女性が住宅の敷地内で襲われ死亡するなど、被害はこれまで7人に上っています(10月31日時点)。NHKでは富山県の許可を得て、このマップのデータ、2014年以降で計3591件の情報を分析。被害を防ぐために必要な手がかりが得られないか、専門家と一緒に探りました。まず、ことし富山県内ではどのようなエリアでクマが目撃されているのかを見てみます。2014年から去年(2022年)までのデータとことし(2023年)のデータを比較してみると、ことしは富山市中心部に近い平野部でも目撃。これまで以上に市街地またはその近くで目撃されていることが伺えます。こちらは10月1日の時点。目撃や痕跡の情報は山間部や中山間地域に点在していたのが、10月末になると。平野の市街地でもみられるようになりました。ことしはクマのエサとなる山の中のブナなどが不作で、冬眠に向けて栄養を蓄えようとしたクマが10月に入って市街地や近くまで出てきているとみられます。市街地には学校や幼稚園など子どもたちが集まる施設も多く、そうした施設の近くでのクマ目撃の情報はどうなのでしょうか。学校などから500m以内のものを分析すると、67件ありました。全体の15%が、子どもの施設のそばで確認されていることになります。ここまでのデータからは、ことしは人が多く住む市街地でもより多くのクマの目撃や痕跡の報告がされているように感じられますが、ここをデータでより詳しく分析、深掘りしていきます。使用するのは、その地域に人が何人住んでいるかを示す国勢調査の人口データで、これを「目撃」「痕跡」のデータに重ねてみます。上の地図では、濃い赤色になるほど人口が多いエリアを示しています。やはり人口の多い市街地やその周辺に出てきているようです。「目撃」「痕跡」があったポイントの周辺の人口も推計してみました。クマの目撃・痕跡から半径500mの範囲の人口を推計。これが1000人以上(広島市の人口密度と同じ水準)となる割合を分析し、年ごとの変化を見ていくと。ことしは8.3%と最も高くなりました。「人がより多く住んでいるエリアにクマが出てきている」と言えそうです。クマの生態に詳しく現地調査を行っている富山県自然博物園「ねいの里」の赤座久明さんにここまでのデータを見てもらいました。赤座さんは「ことしは山の中のブナなどが凶作で、エサを探して行動範囲をひろげ、より人の生活圏深くに入っているとしても不思議ではない」としたうえで、特に10月に入ってからのクマの動きについて、次のように指摘しています。「9月まではなんとか山の中で頑張っていたのが、いよいよ冬眠の時期が近づくと、これでは冬眠に備えるだけの栄養が摂れないと、食物を求めてどんどん平野の方に踏み出す。1歩踏み出し2歩踏み出し、10月に入るとそのうち複数のクマがドドドっと平野の中央に出てきました。山の中では食べはぐれてしまって、どんどん新しい採食場所を求めて平野に下りていくという、そうした動きが反映されていると思います」(富山県自然博物園「ねいの里」赤座久明さん)。一方、データからはクマの習性や行動も見えてきました。赤座さんがポイントに挙げたのは「川」でした。川の位置を地図に重ねてみると。市街地で確認されたクマのそばには、川が流れていることがわかります。川沿いには背の高いやぶなどが生えていて、クマにとっては身を隠しながら移動しやすいルートの1つとなっているということです。しかし、必ずしも川沿いではない場所でのクマの動きも見られました。富山市の平野と山間部の間では、川に沿って東から西に連なるポイントの帯がありますが、これとは別に北へ向かう帯も確認されます。ここがどんな地形なのかを知るため、マップに、現場の標高や高低差など地形のデータを表現した地図を重ねてみると。北へ向かう帯は、高低差がある崖のような地形に沿うように伸びていることがわかりました。この地形は「河岸段丘」と呼ばれ、長い年月をかけて川が地形を削り平らな土地と崖が階段状に形成された地形です。平地は田畑などとして利用され人の手が入りますが、崖のあたりは利用が難しく帯のように林や森が広がります。「こうした崖は格好のクマの移動ルートにもなります。クマが出ると『突然市街地に』と思われがちですが、クマは森林から続く川の河川敷や河岸段丘の林に身を隠しながら移動してエサを探している。川のそばには住宅地が広がるエリアも多いので、騒ぎになるし被害も大きくなる傾向があります。これは全国的にも同じです」(富山県自然博物園「ねいの里」 赤座久明さん)。さらに赤座さんは「川や森がそばに無ければ安心」というわけでないとも話しています。どういうことなのでしょうか。例えば富山市の総合運動公園に近い田園エリアには、川や河岸段丘が見当たりませんが、目撃・痕跡のポイントがあります。地図をズームしてみると。田畑に点在し、屋敷林で住宅を囲った「散居村」が広がっていました。富山県内の平野部などではよく見られる光景です。「散居村は小さな森のようなもので、河川敷がない場所でも、散居村から次の散居村へと身を隠しながら移動していると考えられる。さらにこれが空き家になっていれば格好の隠れ家にもなります。森のそば、川のそばじゃないから安心とはもはや言えない。クマはまれに出会う動物ではなく、もはや出会って当然というふうに考えて警戒しなくてはならないと思います」(富山県自然博物園「ねいの里」赤座久明さん)。データからは「川」「河岸段丘」「散居村」を移動ルートに、例年にないほど市街地に接近するクマの姿が見えてきました。被害にあわないために、今できること、今後必要なことは何なのでしょうか。データ分析から見えてきたことをもとに、赤座さんに指摘してもらいました。「被害が相次ぐ今、もはやクマ被害は自然災害と同じように、完全に防ぐことは難しくとも、対策を取ることで被害を減らす“減災”は出来ます」「川沿いのやぶや河岸段丘の林を断続的に刈ることは効果的です。クマの移動を100%防げるわけではありませんが、身を隠せないことでクマに移動する負担を与えることが出来ます。エリアを区切ればクマが出た時の捜索も容易になり、クマを早く発見できれば被害を減らすことにつながります」「また、クマが食べる柿の木の実などを落としておけば、クマがその場所に居座る時間を短くすることができ、人と遭遇する確率を低くすることが出来ます。クマのエサとなるブナやナラの実は『豊作』『凶作』の予報が毎年夏に出るので、クマが本格的に人里に出る秋まで時間的な余裕があるので事前対策としても今後やってくべきです」。

(相次ぐクマ被害の原因は、ドングリの不作と個体数の増加)
毎日のようにクマが出没したというニュースをご覧になっていると思いますが、山の中だけでなく、市街地でもクマの姿が増えているというのは怖いですよね。今年はなぜクマの目撃情報が多いのか?関西では、なにか対策はしているのか?など、私たちも注意しなければならないことについて、クマの生態を研究している兵庫県立大学教授の横山真弓さんに聞きます。全国の市街地でクマの被害が相次ぐ異例の事態になっていますが、なぜ被害が増えているのでしょうか。今年のクマ被害の原因は3つの要因“トリプルパンチ”による影響が大きいとのことです。・まず1つ目は「生息数の増加」。クマの生息確認エリアは、2003年度に日本全土の39,5%だったのが、2017年度には54,8%まで増加しています。いままでクマがいなかったエリアにも、生息するようになったと考えていいんですか?【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「一時は絶滅の危険性に陥ったツキノワグマですが、今は生息数を増加させて少しずつ分布域を拡大して、もうすでに10年以上たっていますので、かつてはいなかった山にも生息しています」。・2つ目は、「クマが利口になった」。生息域を拡大し、人間の街や食べ物を学習していった。・3つ目は、「ドングリの不作」。食べ物を求め、山からより街へ来るようになってしまった。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「どんぐりの不作は今年だけの要因です。個体数が増えて徐々にいろいろな所に行くクマが増えて、人の生活圏に近いところに、おいしい柿や栗がたくさん実って放置されているということを少しずつ学習をしてきた結果、行動が大胆になってきり、人の生活圏で行動する時間が増えてきているので慣れてきているというのがあります。そういった中で今年どんぐりが不作で山の中にないので、里近くで大胆に食べてしまっているという状況です」。対策として庭先の柿や栗は食べない分を収穫するか、隠してしまうなどして“クマに見つからない”ようにすることが大事だということです。関西でもクマの出没が相次いでいます。今年の1月から9月までのクマの出没情報に関する件数です。最も多い京都では526件、そして兵庫の268件と続き、関西ではクマの出没情報がなかった都道府県はありません。このような現状の中で、兵庫県は2012年から人の生活圏に近づいたクマは殺処分しているということです。いまクマを殺処分というのは賛否が出ていますが、仕方のないことなのでしょうか。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「数が増えてきているので、ある一定数を超えると人間の生活圏にどんどん侵入してきてしまいます。人を恐れないクマはやむを得ず殺処分をせざるをえない。そうしないとクマと人との共存というのは果たせない状況になっていると思います」。殺処分を行ってこなかった結果、数が増えていったという背景もあるのでしょうか。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「特にいま秋田で起こっているのは、増えている数に対して捕獲数が全然足りていないとこで、もしこの対策を兵庫県でしなかったら秋田のように今年なっていると思います」。クマの保護を通して増えすぎてしまったという状況ということですね。加藤デスクは過去にクマハンターを取材されたことがあるそうです。【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「兵庫県豊岡市で鳥獣害対策員というのがあります。市が設けていて人を一度でも襲ったことがあるクマやその予備軍になるようなクマがどこに生息しているのかを現地で調べる方がいます。その方にお話しを聞いたのですが、あくまでも狩猟が目的ではなく共存することが目的であって、有害な個体だけを選別して殺処分を行っているということです。その取り組みをしていても危険な個体は出てきてしまうので、柿の木を伐採するなどの人の手を入れることが大事で、それが共存につながるとおっしゃっていました」。人に危害を加える個体かどうかを判断できるのであれば判断したいですが、そういったことも踏まえて、殺処分は本当に必要な事なのでしょうか。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「もともとクマやシカ、イノシシなどの野生動物は人間がかなり古くから薬や食べ物として利用してきて数が減りすぎました。その中で、全く利用しなくなってきたので今度は増えすぎという状況になるので、一体どこを求めていくのかという、非常に難しい判断を日々迫られながらやっているというところです」。クマと人間が共存するのは難しい判断をしないといけないということですね。他にも2018年から広域で頭数の管理をしています。兵庫県、京都府、鳥取県、岡山県が広域協議会をつくり、クマが街の近くまで来るほどの数に増えないように広域で管理しています。その結果、現在2つのエリアで800頭ほどの数で推移しています。近隣の都道府県と協力して管理するというのは、どのようなメリットがあるのでしょうか。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「クマは広域に動き回ります。かつては兵庫県は兵庫県だけで生息数を推定していたのですが、実は同じクマが鳥取県に行った利してダブルカウントしてしまうことで、実際は数が少ないにもかかわらず多く見積もられてしまうとか、その逆もあります。主に県境をまたいで生息していますが、クマにとっては県境は関係ないので主な生息地を中心に、近畿圏では2つの個体群があるのでそれぞれで生息数を管理するという取り組みをスタートさせたところです」。このようにすることでより正確に生息数が管理できるということですね。管理を進めているということですが、関西のクマ対策は進んでいるのでしょうか。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「かつて絶滅の危険性が高かった時代からなんとか絶滅させないようにしようということで、不要な補殺を減らす対策とか殺処分をしても柿がまた次のクマが来てしまうので、不用意に引き寄せないような取り組みを進めてきた結果、今年近畿圏でもどんぐりの不作で普段クマが来ないようなところにも来てしまっていますが、秋田のような深刻な状況には至っていないので、これはいろんな方々が努力をした結果だと考えています」。地域に人や自治体、県と連携を取っていかなくてはいけないということですね。関西でもクマの出没情報が相次ぐ中で、私たちも被害にあう可能性もあるかもしれません。クマ被害に遭わないために、私たちにできる対策についても考えます。・クマと遭遇しないように予防するまず大前提として遭遇しないようにすることが大事です。山に入る時は、高く短い音が出る鈴や笛を身に付け、歌ったりすることでクマに存在を教えていくことが大事になるということです。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「鈴は高い音が鳴るもので、持って歩くことでずっと鳴っているものをクマ用と呼んでいますので、専用のものではないといけないというわけではありません。高い音を出すことでクマに人間が入るよということを、存在をまず教えるということです。私たちもさんざん山に入っていますけど、とてもうるさくして入っていますので1人で山に入っても出会うことは非常に少ないです」。・もしも遭遇してしまったら、ある程度の距離がある場合は手を振り、声を出し離れるすごくリスクがありそうな気がしますが…なぜ声を出して手を振るのが効果的なんですか?【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「10メートルくらいまで近づくとクマスプレーを使わないといけないのですが、それより離れている場合は、実はクマは目が小さい動物で、小さいだけでなく視力も悪いのです。白黒の世界でものを見ていて目が悪いので、何か音がしても、なんだろう?と探すんですね。においとか音で探すときに、こちらは大きい生き物だというのを見せながら後ずさりをしたり、どうしても気が付いてなくて近づきかけている状況であれば、『キャー』『わー』とかだとかえって刺激してしまいますので、できるだけやさしく穏やかに大きな身振りで『おーい』と声を出すとよいです」。クマから見ても人間のサイズは大きく見えてもびっくりしますよね。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「クマは怖くて、逃げるために一撃をくらわすという行動をとりますので、ある程度距離がある場合は、とにかく人間だぞ、怖いぞとアピールしていくと良いです。ただ、本当にできますかというと、こういう事態に私自身は陥ったことがないのでやったことはないです。ですから基本的に『クマと遭遇しない』ということを徹底していただければと思います」。人とクマのそれぞれの暮らしを守るためにも、まず人ができる予防をするべきなのかもしれませんね。今後は都市部でもクマと遭遇する確率が高くなるのでしょうか?【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「個体数が増えていて、個体数管理がまだできていない地域では、しばらくこういった状態が続きますが、近畿圏ではかなり対策は進んでいるので市街地までということはだいぶ減ってきていると思います。ただクマの行動範囲はかなり広いので思わぬところに出没するという危険性はあると思っていただきたいと思います」。今年はどんぐりが不作ということが要因ということですが、どんぐりがどれくらい採れるなどは周期性があるのでしょうか。【兵庫県立大学教授 横山真弓さん】「どんぐりは年によってとれる量が異なります。今年は凶作の度合いが高いのですが、毎年近畿圏では調べています。必ずホームページで9月中旬ごろにクマの出没の予測を出していますのでそういったものをチェックしていただけると良いかと思います」。今年は特に多いというクマの出没情報ですが、自分は大丈夫と思わず、十分に警戒しクマに遭わないための予防をしてください。

(狩猟再興請負人に着任:三重)
三重県名張市の地域おこし協力隊「狩猟再興請負人」に着任した大阪市出身の讃井公隆さん(26)が10月31日、名張市役所で今後の活動への意気込みを語った。着任は1日付。讃井さんは遺伝子工学を学んでいた大学時代、ゼミでイノシシの解体現場を初めて訪問し、生き物に向き合う狩猟への興味を強くした。建築施工管理の仕事に就いた後も、2022年夏に宇陀・名張地域鳥獣害防止広域対策協議会の狩猟者育成プログラムに参加し、猟に同行するなどして理解を深め、同年11月には狩猟免許(第1種銃猟、わな猟)を取得。今夏、名張市が募集した協力隊に応募した。協力隊では、農作物に被害を及ぼす鹿やイノシシなど有害鳥獣の捕獲活動の他、利活用や加工品製作のノウハウを学び、狩猟ビジネスの実現に向け取り組む。任期は最長3年。讃井さんは「捕獲後の処理に困っているという話も聞く。まずは地域の方に認められ、3年後にはジビエの販売や狩猟体験のツアーなどもできたら」と意欲を語った。市によると、市内の有害鳥獣捕獲は地元猟友会(95人)の協力で行われているが、平均年齢は70歳ほどと高齢化が進んでいる。22年度の捕獲頭数はニホンジカ373頭、イノシシ55頭だが、多くは現場で地中に埋めて処分している状況だという。

(民家の車庫でクマ居座る:岩手)
岩手県西和賀町では民家の車庫にクマが入り込み、今も居座っています。きのう午後5時すぎに住人の男性が、クマが車庫の中に入っているのを見つけ、警察に通報しました。クマは体長50センチほどの子どもとみられ、現在も天井近くにある梁のあたりに居座っています。町や猟友会が午前7時ごろに車庫の中にわなを設置して捕獲を試みています。町はクマが衰弱していて、人に危害を加える心配がないことから、捕獲した後で山に放す方針です。

(イノシシ出没、発見から約5時間半後に捕獲:福岡)
30日、福岡市博多区などの住宅や会社が建ち並ぶ地域にイノシシ1頭が出没し、発見からおよそ5時間半後に警察によって捕獲されました。30日、午後4時ごろ、福岡市博多区井相田で通行人から「イノシシ1頭が道路を歩いている」と警察に通報がありました。警察が捜索を行ったところ、近くにある深さ4メートルほどの水路に落ちているイノシシを発見しました。その後、警察や猟友会などが網などを使って捕獲を試みたものの水路から逃走しました。警察が追跡したところ、800メートルほど離れた大野城市山田の住宅街で、イノシシが支柱に衝突して倒れたため30日夜9時20分ごろ警察が取り押さえ、最初の通報からおよそ5時間半後の捕獲となりました。警察によりますと、捕獲したイノシシは、体長1メートルほどで、捕獲後に死んだということです。現場は住宅や会社が建ち並ぶ地域で、周辺は一時、騒然となりましたがけが人はいませんでした。

(キツネ目撃、かわいくても寄生虫などに注意:福岡)
福岡市西区の人里近くで、キツネが目撃されました。映像では犬のようにも見えますが、立派な尻尾。福岡市では別の場所でもキツネ目撃情報があり、専門家は「野生のキツネが人里におりてくることは珍しい」と話しています。キツネが現れたのは、福岡市西区の山沿いにある金武地区。遠くに福岡タワーも見ることができる高台で、すぐ近くには閑静な住宅街も広がっています。キツネと遭遇したのは、近くに住む40代の女性でした。動画を撮影した女性「最初はヒョコっと顔を出して、ちょっと行っては振り返って、向こうにチョコチョコっと行くような感じ。最初は犬かなと思いましたが、尻尾がフワフワしていて、きれいなんです。まさかこんな所にキツネがいると思わないから、すごくびっくりしました」さらに毎日犬の散歩をしているという人からも、目撃情報が――。一方、沿岸部の福岡市西区田尻でもキツネが目撃されていました。7月の早朝。朝日を撮影するために波止場を訪れた際、近くの資材置き場から聞こえてきたのが、変わった鳴き声の動物でした。福岡市で目撃された2匹のキツネ。福岡市動植物園で動画を見てもらうと、動物相談員「これは…! 尻尾がフサフサしていて先が白くて、鼻も長くて耳が大きいので、ホンドギツネ。山の中にいるのですが、人の行動範囲には入らないようにすると思うのですけど」。福岡市動植物園によると、ホンドギツネは九州や四国、本州に生息していて、尻尾が大きく、首から胴にかけて白い毛並みになっていることが特徴。鳴き声について聞いてみると――。「“コンコン”のイメージがありますが、“ワン”に近い声で鳴くんです。“ワンワン”という鳴き声がするので犬だと思って飼っていたら、実はキツネだったという話を聞いたことがあります」。福岡県保健環境研究所によると、ホンドギツネは準絶滅危惧種に指定されていて、基本的に山の中に生息しているため、今回のように人里におりてくるのは、非常に珍しいということです。動物相談員「山間のところでは(タヌキなど)ほかの動物を見ることがあっても、きつねはあまりみかけたことがない、と聞いています。珍しいかもしれないですね」。2匹のキツネが目撃されたのは同じ福岡市西区内ですが、直線距離で10キロほど離れていて、見た目からも別のキツネと思われます。ただどちらも、人が行き来するような場所で目撃されています。福岡県保健環境研究所でも「正確なことは分からない」とした上で、人里におりてくる理由として「田畑のミミズなどエサを求めておりてくる」ことのほか、「親離れの分散の時期で、誤って人里におりてきてしまった」などの可能性があるということです。つい近寄りたくなる方もいるかもしれませんが、野生のキツネの体にはノミやダニ、寄生虫がいて、注意が必要だということです。

(オスのニホンジカと見られる目撃情報:山口)
31日未明から早朝にかけて、山口県岩国市の市街地を含む数か所でニホンジカ1頭が目撃されました。市では、見かけた場合シカを脅かさないよう注意を呼びかけています。午前1時ごろ岩国市中津町の門前橋付近で川沿いを歩いているシカを目撃したとの情報が警察に寄せられました。オスのニホンジカとみられ、その後、門前橋からおよそ2キロ北西の楠町2丁目交差点付近、午前6時半すぎにはさらに1キロ北西の錦見3丁目の国道2号付近でも目撃されました。警察が見回りに行きましたが、すでにいなくなっていて姿は確認できなかったということです。目撃された場所はいずれもJR岩国駅から3~4キロの住宅地や幹線道路で近くに学校などもあります。岩国市では、19日にも尾津町のハス田で、オスのニホンジカ1頭が目撃され、その後行方がわからなくなっていました。市では、同じ個体ではないかとみています。シカは臆病な動物で、近づいたり追い払おうとしたりすると興奮して危害を加えることもあるということです。市は、見かけても大声を出したり脅かしたりせず静かに立ち去るようにと注意を呼びかけています。

(動物園の監視カメラにツキノワグマの親子:広島)
先月28日夜、広島市の安佐動物公園の監視カメラにツキノワグマの親子が映っていたことがわかりました。動物園では、園内の一部を閉鎖しています。広島市安佐動物公園によりますと、28日夜、園内に設置していた監視カメラに野生の親子のツキノワグマが映っていたということです。31日に映像を確認し、その後園内を巡視するもツキノワグマは発見されず、人的・物的被害は確認されていませんが当面の間、園内の一部を閉鎖しています。園によりますと、数年前から園内にクマが出没していたため、センサーカメラを設置していました。園は職員に対して鈴を持って歩き、早朝や夜の作業をしないような態勢をとっているということです。広島市安佐動物公園 阿部勝彦園長「子グマと母グマの間に人が入ってしまうと、必ず母グマが襲ってくることも考えられる。出会わないように、こちらの存在をわかってもらって逃げてもらうしかない」。

(「イノシシを追いかけるクマを見た」2日間で3件:静岡)
全国的にも相次いでいるクマの目撃情報です。静岡県富士市では30日から31日にかけ3件の目撃情報が寄せられ、市は注意を呼び掛けています。30日午後9時45分頃、富士市鵜無ケ淵で「山際の住宅地にある家に帰宅したところ、道を挟んだ林で小さなイノシシを追いかけるクマを見た」と市に通報がありました。周辺にはイノシシの足跡が残っている畑があり、農作物を荒らされる被害も出ているためクマの目撃情報に不安が広がっています。富士市内ではクマの目撃情報が相次いでおり、これまでにケガをした人はいないものの市は注意するよう呼びかけています。

(車とクマの衝突相次ぐ:山形)
小国町と酒田市で31日、車とクマの衝突が相次いだ。小国町では午前0時半ごろ、伊佐領の国道113号で、町内の60代男性の乗用車がクマとぶつかった。小国署によると、男性が直進中、30メートルほど前をクマ3頭が右から飛び出し、このうち体長60センチほどの1頭とぶつかった。クマはやぶの中に引き返していったという。酒田市では午後5時20分ごろ、落野目で市内に住む40代女性の軽乗用車がクマと衝突した。酒田署の話では、女性が走行中、道路脇の最上川河川敷から飛び出してきた体長80センチほどの1頭とぶつかった。バンパーがへこんだが、自走できる状態だった。

(老人ホームの駐車場でクマの目撃情報:宮城)
1日午前、宮城県加美町の老人ホームの駐車場でクマ1頭が目撃されました。けがをした人はいませんでした。警察が周辺をパトロールして警戒を呼び掛けています。1日午前8時45分ごろ、加美町菜切谷の老人ホーム青風園の駐車場で、施設の職員から「敷地内にクマがいる」と警察に通報がありました。出勤していた職員が車の中から体長1.5メートルほどのクマを目撃したということです。施設の南側の公園の方へ逃げていったということです。当時、施設には利用者55人と職員が10人ほどいましたが、けがをした人はいませんでした。クマの出没を受け、500メートルほど離れた広原小学校では外での活動を中止したほか、下校時間に職員が児童を見守るなどの対応を取りました。警察が周辺をパトロールして、警戒を呼び掛けています。

(米袋や肥料袋が荒らされる、クマの被害か:岩手)
31日朝、一関市で作業小屋の中の米袋が荒らされ、近くでクマの足跡が見つかりました。八幡平市でも、肥料袋が荒らされる被害があり、警察はいずれもクマによる被害とみて警戒を呼びかけています。警察によりますと31日午前7時ごろ、一関市萩荘の住宅と棟続きの作業小屋で、中にあった30キロ入りの米袋10袋のうち1袋が破れ、周囲にコメが散乱しているのをこの家に住む人が見つけました。付近にはクマとみられる、大きさ10センチを超える足跡が残っていました。一方、家の人はクマを目撃しておらず、けがなどもありませんでした。この家に住む女性は「足跡を見るとだいぶ大きなクマだと猟友会の方から言われました。ここに嫁いできて50年になりますがこんなことは初めてでとても怖いです」と話していました。現場は住宅が点在する山間部です。作業小屋は30日の午後4時ごろから31日朝7時ごろまでの間、人が立ち入っておらず、警察はこの間にクマが入り込んだとみて、周辺をパトロールするなどして警戒を呼びかけています。31日朝はこのほか、八幡平市石名坂下タでも倉庫の前に積まれていた肥料袋50袋のうち、半分の25袋が破れているのが見つかりました。現場は商店街の一角で、警察は破れた袋に爪の痕があったことから、こちらもクマによる被害とみて警戒を呼びかけています。

(列車がクマと衝突、安全確認できずその場で運行を停止:北海道)
北海道のJR根室線で10月30日深夜、列車とクマが衝突する事故がありました。この事故で乗客5人が約7時間にわたり車内に閉じ込められました。10月30日午後11時25分頃、JR根室線の1両編成の普通列車が、野花南駅~富良野駅間でクマと衝突しました。衝突したクマが車両の下に巻き込まれましたが、生死不明のため、乗務員が降車して運行の安全確認をすることができず、その場で運行を停止しました。さらに周囲に他のクマがいる危険があったため、明るくなった午前6時30分ごろにハンターも同行して安全を確認。

(民家屋根にクマ、柿食べ警察官とにらみ合い:新潟)
11月1日午後5時半過ぎ、新潟県新発田市本田の民家敷地内にクマ1頭が現れ、約2時間居座った。クマは屋根に上り、駆け付けた新発田市職員や警察官とにらみ合った末、民家裏のやぶの方へ逃げた。けが人はいなかった。クマは体長約1メートル。住人の女性(70)らによると、クマは家の裏手にある柿の木に現れ、屋根に移動して柿の実を食べていたという。

(クマ対策でジビエの活用案を披露:秋田)
「駆除が私たちの糧になる。経済的な視点から考えることも必要だ」。大館市で相次ぐクマの人身被害に関し、福原淳嗣市長は10月30日の記者会見で、ジビエ(野生鳥獣肉)として活用するアイデアを披露した。ジビエの普及を目指す青森県西目屋村の取り組みを紹介。

(ハンターの店主が命の尊さを伝える「シカ肉レストラン」:北海道)
北広島市輪厚(わっつ)にある「シカ肉レストランあぷかの森」は、北海道でも数少ないエゾシカ料理店です。店主の湯峯和幸さんは自ら仕留めた獲物を解体処理し、調理することでシカ肉のおいしさと命の尊さを伝えています。初めて動物に向けて引き金を引いたとき、さまざまな葛藤があったと言います。ハンターでありシェフとしての想いを伺いました。湯峯さんは建設会社を経営する傍ら、趣味でクレー射撃を楽しんでいました。今ではハンターとして活動していますが、当時は「動物を撃つなんて野蛮な行為」と思っていたそうです。そんな湯峯さんのもとにエゾシカ駆除の依頼が舞い込みました。エゾシカはアイヌ語で「ユク(獲物)」と呼ばれ、アイヌの人たちは、肉は食材として、毛皮や皮革は衣類として無駄なく利用していました。乱獲や明治時代の記録的な豪雪で一時は絶滅寸前になりましたが、禁猟措置などの保護政策により徐々にその数は回復しました。しかし、現在は数が増え続け、農林業被害や交通事故などが深刻な社会問題に。エゾシカによる被害を問題視していた湯峯さんは、猟銃を手に取ることを決意しました。

(鹿肉を学び味わう食育イベント:広島)
ハマ冷機工業株式会社(本社:東京都大田区、代表取締役 中元寺正樹)は、「ジビエを学び!味わう!」をコンセプトに広島県安芸高田市で小学生向けに開催している食育イベント「こどもの森のレストラン」をオフィシャルスポンサーとして応援しています。「こどもの森のレストラン」は、鹿肉ブランド「Premium DEER 安芸高田鹿」のコミュニケーション拠点「Deer Labo安芸高田」で開催されている食育イベントで、当社は「Deer Labo安芸高田」の冷蔵冷凍機器の設計、施工、メンテナンスを担当しています。近年、鹿をはじめとした鳥獣被害が深刻化する中で、捕獲した野生動物を食肉にする取り組みが進んでいます。熟練のハンターのもと、加工と保存のプロセスにこだわった安芸高田の鹿肉は、安芸高田市に存在する豊かな食材のひとつです。その魅力をこどもたちにも知ってもらいたいという思いから、本イベントは企画されました。「こどもの森のレストラン」は、安芸高田市に多数生息する鹿について深く知り、調理して食べる経験を通じ、「いのちをいただく大切さ」を親子で学ぶ食育の場です。食品加工技術が発展したことで「食材」の本来の姿を知らずに育つこどもたちが増えています。「食の安全と発展」を事業構築のスローガンのひとつに掲げ、いつの時代も挑戦し続けている当社は、「いのちをいただく大切さ」を伝え、そのいのちと共存する未来を子供たちと描いていきたいと考え、「こどもの森のレストラン」に共感、賛同し、今回スポンサーとしてパートナーシップを結ぶことになりました。

(小学校給食にジビエのフレンチ:三重)
「田畑の作物を食べ荒らすシカの肉を地域の特産品にしたい」。そんな児童たちの願いが三重県松阪市立香肌小学校(松阪市飯高町森)で実を結んだ。31日、狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉「ジビエ」を使ったフランス料理が給食として出され、児童と教職員の計約30人がシカ肉のコース料理を楽しんだ。この日のメニューは「サツマイモのポタージュ」、シカもも肉のミンチにマッシュポテトを載せた「シカ肉のパルマンティエ」、ミディアムレアに焼いた「シカ背肉のロースト、赤ワインソース添え」の3点。山あいにある香肌小の6年生2人が、害獣として駆除されるシカ肉の利用を促進する方法として「ジビエランチ」を提案。小中学生の夢を具体化する市の事業に採択されて実現した。メニューは、食通の中西祐司教頭が持っていたフランス料理の本やネット検索で決めた。シェフは、中西教頭の知人で松阪市山室町でビストロ古川亭を営む古川和隆さんが務めた。食材は地域の猟師がわなで捕らえたシカの肉。ポタージュのサツマイモやマッシュポテトのジャガイモは、児童らが学校で育てたものだ。ジビエランチを提案した千葉百々花さんも盛りつけや配膳を手伝い、提供する料理を説明した。児童たちは「肉がやわらかくてソースと合う」「セボーン」(仏語で「おいしい」)と声を出して喜んだ。千葉さんは「こうしたシカ肉料理が地域の特産品として定着すればうれしい」と話した。

(ジビエシーズン到来!森のごちそうジビエを楽しむ秋「ジビエト」:神奈川)
株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:福田一平)が運営する「ジビエト」は、農林水産省「令和5年度鳥獣被害防止総合対策交付金(全国ジビエプロモーション事業)」によるジビエ需要拡大・普及推進事業の一環で、2023年11月3日~5日に横浜赤レンガ倉庫で開催される「全国ふるさとフェア2023」に出店します。「全国ふるさとフェア」は2004年の初開催以来、「全国の郷土や食文化を広く一般に情報発信しよう」という主旨のもと、文明開化さきがけの地・横浜の名所の一つ「横浜赤レンガ倉庫・イベント広場」にて開催されてきました。“横浜の秋の風物詩”として定着し、昨年は4日間で来場者15万4,000人を記録し、今回17回目を迎えます。「ジビエト」では、手軽に食べられるジビエ料理を提供します。コラボレーションするのは、自然豊かな愛媛県今治市で、農作物を猪から守るために立ち上げられた「しまなみイノシシ活用隊」です。険しい野山を駆け回った鹿や猪の旨味の強い味わいとしっかりとした食べ応えを体感しに来てください。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、2日午後6時50分ごろ、色麻町四竃東原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、2日午後4時50分ごろ、仙台市青葉区芋沢権現森山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、2日午前9時30分ごろ、仙台市青葉区芋沢二尺木にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、2日午前7時30分ごろ、栗原市瀬峰藤沢要害にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、1日午後3時ごろ、栗原市栗駒岩ケ崎三島にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
登米市によると、1日午後1時ごろ、登米市中田町浅水長谷山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、10月31日午前6時15分ごろ、仙台市泉区住吉台西4丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、10月31日午前6時15分ごろ、仙台市泉区実沢広畑にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、10月31日午前6時ごろ、仙台市青葉区落合芋沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、10月31日午前2時40分ごろ、仙台市青葉区落合4丁目にクマが出没しました。

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