<射撃ニュース11月>
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(クマ捕獲、1頭7000円支援金:秋田)
クマによる人身被害が相次ぐ秋田県は21日、緊急対策として猟師に対し、クマの捕獲1頭につき7000円の支援金を支給すると発表した。捕獲数とは別に県猟友会員約1500人に1人2000円を支給する。出動が大幅に増えた猟師の負担軽減を図る狙い。同日公表した補正予算案に計約2300万円を計上した。

(「とにかく異常で災害級」のクマ被害、狩猟自粛要請を撤回:秋田)
秋田県は24日、個体保護のため自粛を求めたクマの狩猟について、狩猟数の上限を100頭から200頭に引き上げることを決めた。狩猟は25日から再開する。有識者や狩猟関係者らで作る「県野生鳥獣保護管理対策検討委員会」の議論を踏まえた上で、方針を転換した。県は今年度の狩猟期間(11月1日~来年2月15日)の狩猟上限を100頭に設定。今月10日、狩猟数が上限に達する見込みになったとし、14日以降の自粛を要請した。これに対し、県猟友会は県が狩猟強化の姿勢を一転させたなどと反発し、自粛の「即時撤回」を求める意見書を県に提出する方針を示していた。この日、緊急で開いた検討委で「今年はとにかく異常で災害級の事態」などと再開で一致し、県はクマの人身被害や農作物被害が続いているとして、狩猟継続が必要と判断した。追加100頭の数は、これまでの上限と同程度の数として決めたという。県自然保護課によると、23日時点の狩猟数は106頭。検討委の会長を務める、県立大の星崎和彦教授は「冬眠に入る時期でそう捕獲は進まないと思う。保護管理の観点では全部取り尽くすのはよくなく、これからの狩猟は枠内でしていただきたい」と話した。検討委に出席した県猟友会の佐藤寿男会長は「クマがあと20日くらいで冬眠するので(追加の)100頭は妥当な数字」と評価した。県への意見書の提出は「やらないと決めた」とした。県は24日、ツキノワグマ出没警報を12月末まで延長すると発表した。

(クマの九州上陸はあるのか)
東北地方を中心に過去最悪の人的被害をもたらしているクマ。中国地方でも生息域を広げており、本州最西端の山口県でも近年、目撃情報が相次ぐ。自治体が警戒を強めるなか、関門海峡を挟んで隣り合う九州に渡る可能性を指摘する専門家もいる。絶滅したとされる九州に再び野生のクマが上陸することはあるのか。国内に生息するクマは北海道のヒグマと本州・四国のツキノワグマの2種。このうち広島、島根、山口の3県を含む西中国地方のクマが生息域を広げている。3県の調査では、西中国地方のクマの生息域は1999年度の5000平方キロから2020年度までに約8200平方キロに広がっており、22年時点で約1300頭の生息が推定されている。国内の生息域の西限である山口県では、4月以降で388件(11月24日時点)のクマの目撃などがあった。既に22年度の254件を上回り、過去10年で最多だ。今年は人的被害は出ていないが、22年6月には、同県岩国市の山間部で、70代男性が道路を散歩中にクマに遭遇し、首などに全治数週間のけがをした。山口県の担当者は生息域の拡大理由を「分からない」とするが、元々は絶滅の恐れがあったため94年度から狩猟が禁止され、各県が保護策を取ってきた経緯がある。生息数の増加を受けて3県は22年4月からの5年計画の中で、対策を「保護」から「管理」に転換。年間捕獲頭数の目安を、5年前の前計画開始時の80頭から135頭に引き上げた。本州最西端の山口県下関市では12年以降は毎年、クマが目撃されるようになった。今年10月には関門海峡から数キロの地点で目撃されている。そうなると気になるのは、クマが眼前の九州に渡る可能性だ。九州ではツキノワグマが生息していたが、絶滅したとされる。87年に大分県旧緒方町(現豊後大野市)で捕獲されたが、調査の結果、本州から持ち込まれたクマか、その子孫と結論づけられた。それ以前は、大分、熊本両県の県境付近で、子グマの死体が見つかった57年にさかのぼる。本州から九州に上陸する手段としては、関門橋を渡る▽関門トンネルを通る▽海峡を泳ぐ――の3通りが考えられるが、日本クマネットワークの足立高行・九州地区代表委員は「いずれにしても九州に渡る可能性は低い」とみる。橋やトンネルには、人から追い立てられるなど、特殊な状況でない限りクマは立ち入らないという。一方、泳いで渡る可能性については、海峡は最も狭いところで幅約650メートルしかなく、足立氏は「その距離を泳ぐ能力はある」とみる。ただハードルになるのが最速で10ノット(時速約18・5キロ)にもなる潮流だ。足立氏は「あの潮流では無理だ。潮流の遅いところを渡ったり、流されてどこかにたどり着いたりする可能性がなくはないが、私は懐疑的だ」と話す。一方、森林総合研究所東北支所の大西尚樹・動物生態遺伝チーム長は「関門海峡の幅であれば渡る可能性はある」との見方を示す。「実は、本州のクマのルーツは九州にある」という大西氏。海面が低かった氷河期には朝鮮半島と九州北部は陸続きだったため、大陸から九州へ移ってきたクマが本州や四国へ広がっていった経緯があり、「本州のクマが九州に渡れば、歴史的には『帰ってきた』ことになる」と説明する。もっとも、それは歓迎される話ではなく、大西氏は「クマは人的被害を生む以上、九州に渡ることで被害が広がる可能性がある。どういった対応を取る必要があるか、地域の人たちで考えてほしい」と指摘する。

(クマ出没で要請集中、猟友会「疲れ切っている」:岩手)
クマによる人的被害が相次いでいることを受け岩手県は27日、盛岡市内で緊急対策会議を開いた。クマの捕獲などを手がける県猟友会幹部が出席し、「出没の多さに疲れ切っています」と窮状を訴える一幕もあった。間もなくクマが冬眠する時期を迎え、被害も落ち着くとみられている。しかし、人に慣れたクマは冬眠が遅れる懸念もあり、参加した市町村や農協などの関係者は、引き続き警戒を怠らないよう確認し合った。

(クマ駆除推進の補助費用など補正予算案提出:北海道)
定例の道議会が28日開会し、道は被害が相次いでいるクマの駆除を推進しようとハンターの出動経費や報奨金を補助する費用を盛り込んだ、一般会計の総額で107億円あまりの補正予算案を提出しました。ことし4回目となる定例の道議会が28日開会し、道は一般会計の総額で107億円あまりの補正予算案を提出しました。予算案では被害が相次ぐクマの対策を強化する必要があるとして、来年2月以降、冬眠中のクマなどを駆除する「春期管理捕獲」を推進しようと▼ハンターの出動経費や報奨金のほか、▼弾薬などの必要な資材、それに▼ハンターを育成するための研修などを補助する費用に1500万円を計上しています。一方、先端半導体の国産化を目指す「Rapidus」で使用する水について、道は苫小牧市などの工業団地で利用されている水源から供給することにしていて、送水管などの必要な施設の整備費用を一時的に肩代わりするため、今年度から2027年度までの特別会計に総額192億円あまりを盛り込む案が示されました。定例の道議会は来月14日まで開かれ、エネルギー価格の高騰を踏まえた経済対策や観光振興にあてるための宿泊税のあり方をめぐって議論が交わされる見通しです。

(猟銃やナイフで住民と警官4人殺害、被告の弁護側は“精神鑑定”検討:長野)
長野県中野市で4人が殺害された事件から25日で半年です。青木政憲被告は殺人の罪で起訴されましたが、弁護側は改めて精神鑑定の申し立てを検討していて初公判の日程は見通せない状況です。専門家は裁判の争点は「責任能力」の有無になると指摘しています。。女性2人を殺害した動機について、こう供述していた青木政憲被告。11月16日、殺人の罪で起訴されました。中野市の農業青木被告は今年5月25日、散歩していた女性2人と駆け付けた警察官2人を猟銃やナイフで殺害した罪に問われています。事件では青木被告に刑事責任が問えて起訴できるかが注目されました。被告は女性2人を殺害した動機について、「『ぼっち』とばかにされていると思った」と供述していましたが、警察は一方的な思い込みの可能性があるとみていました。接見を続けている担当弁護士によりますと逮捕後の留置場でもこう話していたということです。「監視員からぼっちと言われる」。担当弁護士は思い込みではないかと話しています。その後、検察は精神鑑定などを行う「鑑定留置」を3カ月実施。そして、11月16日に「刑事責任が問える」として殺人の罪で起訴しました。担当弁護士によりますと鑑定留置中は好きな植物のツバキや自然の写真集などを見て静かに過ごしていたということです。ただ被害者や遺族について質問しても何も答えなかったということです。また、青木被告は自分の両親との面会は断り弁護士に次のように話したということです。「元気にしていますと伝えてください」。被告の両親は事件から3カ月の際、加害者家族を支援する団体を通じて「ただ、被害者に申し訳ない気持ちです。親として後悔の毎日です。謝っても謝りきれません」などとコメントしました。半年を前にあらためて取材を申し込みましたが団体から返答はありませんでした。事件からおよそ半年。裁判で弁護側は実行行為については認め責任能力や量刑を争う方針です。改めて精神鑑定を申し立てることも検討しているということで、初公判の日程は見通せない状況です。

(クマ襲撃、人を恐れず積極的に攻撃か:北海道)
渡島管内福島町の大千軒岳で登山者4人が相次いでヒグマに襲撃され、3人が死傷した事故を受け、道と道立総合研究機構(札幌)は24日、最初に北大生(22)と遭遇して人を攻撃することを学んだクマが、その後に消防署員3人に積極的に襲いかかった可能性があるとの見方を示した。人を襲う経験をしたクマは、人を恐れなくなる懸念が強い。道総研は「登山時は単独入山を避け、クマ撃退スプレーを所持するなどの対策が必要」と話す。道によると、今回のクマは大千軒岳中腹で10月29日に北大生を襲って死亡させたほか、同31日に3人を襲い、2人に軽傷を負わせたとみられる。亡くなった北大生は1人で登山していたとみられ、襲撃時の詳しい状況は分かっていない。ただ、11月9日に現地調査を行った道総研によると、遺体が見つかった沢の付近は急勾配があり、巨大な岩も複数並び、見通しが悪いという。道ヒグマ対策室の武田忠義主幹は「人との距離の取り方が分からない若いクマが、北大生に出合ってしまったのでは。驚いて襲ったのではないか」とし、偶発的な接近だったとの見方を示す。道総研エネルギー・環境・地質研究所の釣賀一二三自然環境部長も「沢の岩陰で互いが見えず、クマと北大生が存在に気付かないまま近づき、偶然遭った可能性はある」と語った。

(シカ被害、目標達成に対策強化を)
野生動物による深刻な被害が続く。目先の防止策とともに、人間と共存できる環境を目指していくべきだ。山や住宅地でクマに人間が襲われる事例が相次ぎ、今年度の人的な被害は過去最悪となっている。環境省は捕獲や駆除の交付金の対象となる「指定管理鳥獣」にクマを追加する検討を始めた。この対象に既になっているニホンジカとイノシシによる被害も、農作物や交通などに大きな影響を与えている。農林水産省によると、野生鳥獣による農作物被害は減少傾向とはいえ、21年度は155億円あった。国土交通省によると、旅客列車の30分以上の遅延など動物による輸送障害が22年度は1393件と、十数年前の10倍ほどになった。乗用車にも衝突する。山では立ち木がかじられ、高山植物が食べられ、生態系に悪影響がある。斜面の植生が失われれば崩壊の恐れもある。過疎化や狩猟者の減少、温暖化などで、ニホンジカの生息域は40年間で約3倍、イノシシは約2倍に広がった。環境省と農水省は13年度に10年でニホンジカやイノシシを半減させる目標を立てた。イノシシは豚熱の影響もあり121万頭が21年度までで72万頭に。一方のシカは233万頭が222万頭とあまり減っていない。23年度の半減達成は困難で、9月に目標が5年間延長された。猟銃免許所持者は減っており、今後は熟練者の減少も懸念される。駆除数を増やすには、経費の補助や情報通信技術を使った効率化などの対策がある。県をまたぐ地域での自治体間の連携やハンターや捕獲事業者の育成も必要だ。動物を粗末にしないためにジビエで使う支援も大切だ。ただ、高山で仕留めた場合など活用できぬ場合もある。そもそも駆除は被害を減らすのが主な目的だ。地域で暮らす人々の生活や生態系を守ることを第一に考えるべきだ。さまざまに影響を受ける都市部の人も関心を持ち、被害削減策に理解を深めてほしい。同時に、人間の側で生活圏に動物が出没する要因を減らす努力も欠かせない。田畑に放棄された生ごみや放置された柿や栗は人里に動物を引き寄せる。造林や耕作放棄地が増え、里山が手入れされなくなり、餌が増えたり隠れる場所ができたりして、野生動物と人間の距離が狭まってきた。身近な対策として、収穫しない果樹の伐採など誘引する要素を減らしていくことが必要だ。生態系を守り、どのように野生動物と共存するか。国土のあり方に関わる課題だ。

(クマ狩猟を解禁、推定生息数が800頭超え:兵庫)
兵庫県は今年、円山川、市川から西側の県内でツキノワグマの狩猟を昨年に続き解禁し、11月15日~12月14日を狩猟期間とした。2023年1月時点で、鳥取東部、岡山東部、兵庫北西部で構成する地域の推定生息数が800頭を超えたため。県内の両川東側では禁猟している。

(カラス死骸、発見相次ぐ:群馬)
群馬県前橋市公田町の畑や民家で、カラスの死骸が相次いで見つかったことが27日、関係者への取材で分かった。所管する県渋川森林事務所が9羽の死骸を回収し、鳥インフルエンザの簡易検査をしたところ、陰性が確認された。今後、国立環境研究所(茨城県つくば市)で遺伝子検査を行い、詳しく調べる。専門家は「死骸が感染症を広げる恐れもあるので、直接触れずに関係機関に連絡を」と注意を促している。複数の住民によると、死骸の多くは26日、地区の清掃中に発見された。畑や道路脇などに点在していたという。近くで農作業をしていた男性は、「この辺りはカラスが多いが、たくさん死んでいるのは珍しい」と話した。勤務先の敷地内で見つけたという50代の女性は「鳥インフルエンザじゃないと良いが…」と表情を曇らせた。検査に回った9羽以外に、27日にも少なくとも2羽の死骸が同じ地域で見つかった。県自然環境課によると、種類はハシブトカラスで目立った外傷はなかった。環境省のマニュアルに基づき、同じ場所で数日間のうちにカラス3羽以上の異常を確認した場合、鳥インフルの簡易検査を行っている。鳥インフルに詳しい鹿児島大共同獣医学部の小沢真准教授(ウイルス学)は「感染症のほか、誤って農薬を口にしたなどの中毒死も考えられる」と説明。集団死したカラスから鳥インフルが確認された例も国内で報告されているとして、「簡易検査の結果だけでは安心できない。死骸を放置せず、見つけたら関係機関に連絡してほしい」としている。相談は、県内各地の森林事務所などで受け付けている。

(クマの捕獲820頭、3年ぶりに目安の上限超:岩手)
岩手県は27日、盛岡市内でツキノワグマの緊急対策会議を初めて開いた。出没や人的被害の多発を受け、本年度の捕獲数は820頭(20日時点)に上り、目安となる上限(686頭)を3年ぶりに超えたと報告。専門家は人里に慣れた個体は「冬眠」が遅くなる可能性があるとして、引き続き警戒が必要と指摘した。市町村、猟友会、大学の関係者らが出席し、県が捕獲状況を説明した。2021年度は上限に対する捕獲率が84・4%、22年度は66・9%だったが、23年度は上限に到達。複数年で調整しながら適切に個体数を管理する方向性を確認した。今秋は餌となるブナが大凶作で、クマの行動範囲が広がっているとみられ、26日時点の人的被害は過去最多の44件47人。県は、市町村の判断で迅速に捕獲できる特例許可を拡大するなど被害防止策を進めている。

(クマ対策で佐竹知事「県民の生命を最優先に強化」:秋田)
秋田県議会の12月議会が28日、始まった。佐竹敬久知事は知事説明で、クマ被害対策について「有害駆除や狩猟に対する緊急的な支援を行う。引き続き市町村や関係機関と十分に連携しながら、県民の生命、財産を守ることを最優先に拡充、強化を図っていく」と述べた。佐竹知事は、「北海道東北地方知事会」が13日、クマの指定管理鳥獣への追加指定による財政的支援の拡大を国に要望したことを報告。伊藤信太郎環境相が追加指定に向けた具体的な検討を進める考えを示したことなどを挙げ、「国による支援強化に向け、一定の手応えを感じている」と語った。

(全国の野生鳥獣による農作物被害状況について)
農林水産省は、令和4年度の野生鳥獣による農作物被害状況について、都道府県からの報告を基に、全国の被害状況を取りまとめました。令和4年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は約156億円(対前年度約+0.5億円)、被害面積は約3万4千haで(同+0.8千ha)、被害量は約46万9千t(同+8千t)です。主要な鳥獣種類別の被害金額については、イノシシ(被害額36億円、対前年度▲2.7億円)、カモ(同4億円、同▲1.2億円)等で減少する一方、シカ(同65億円、同+4.0億円)、アライグマ(同5億円、同+0.4億円)等の被害は増加しています。

(22年度野生鳥獣被害額、釧路管内が全道一:)
北海道は27日、2022年度の野生鳥獣(海獣を除く)による農林水産業被害調査結果を発表した。全道の被害額は58億8700万円に上り、21年度と比べ4億3700万円増加。振興局別では釧路管内が5700万円増加し、全道ワースト1の14億3100万円。根室管内は2800万円減少し4億5900万円となっている。全道の被害額は11年度の72億2200万円をピークに減少、19年度には約47億円となった。しかし、エゾシカの個体数増とともに再び増加に転じ、14年度(52億8500万円)を上回るまでに上昇した。鳥獣別では、エゾシカが3億6600万円増加し48億4600万円で全体の82・3%を占める。次いでカラス類が3億1100万円、3位はヒグマで900万円増の2億7100万円。アライグマは1億440万円、キツネが1億3000万円と減少した。作物別では牧草が7800万円減の18億800万円。次いでデントコーンが1億4700万円増の6億900万円。3位がビートで4億7700万円、以下水稲4億7000万円、ジャガイモ3億3200万円など。振興局別では、釧路に次いで上川が2億6700万円増の9億3800万円、3位がオホーツクの7億1100万円、十勝6億9200万円など9振興局で増加。根室は5番目だった。釧路管内の被害の大半はエゾシカによるもので、約93%に当たる13億3500万円にも上った。産業別では農業が58億3600万円。林業4800万円、水産業300万円だった。

(近畿農政局管内の野生鳥獣による農作物被害状況について)
農林水産省は、令和4年度の野生鳥獣による農作物被害状況について、都道府県からの報告を基にして、全国の被害状況を取りまとめました。令和4年度の野生鳥獣による近畿農政局管内の農作物被害は約12億円(対前年度約1億2千万円減)、被害面積は約950haで、被害量は約5千3百tです。主要な鳥獣種類別の被害金額については、イノシシ約4億1千万円、シカ約3億4千万円、アライグマ約1億5千万円です。

(クマ用わなの監視に“AI搭載カメラ”:秋田)
クマの出没や被害が相次いでいる秋田県内で、11月16日から由利本荘市がAI=人工知能を取り入れたカメラでクマ用に仕掛けたわなを監視し、猟友会の負担軽減につなげようという実験を進めている。実証実験は、由利本荘市が初めて実施した。由利本荘市DX推進班・宮古隆秀さん:「わなを仕掛けている猟師が『毎日わなを見回りしなければいけないのが大変だ』という。20カ所以上わなを仕掛けている時期もあり、本当に困っていると」こちらの果樹園は、クマにリンゴを食べられたり、木の枝を折られたりする被害に悩まされている。果樹園には11月中旬まで箱わなが設置され、一角に市の職員などがカメラを備え付けた。カメラには、あらゆるものをインターネットに接続する技術=IoTが取り入れられ、撮影した映像を遠隔で監視できる。今回の実験中に実際に撮影された映像では、夜間の撮影だったがタヌキやシカの姿がはっきりと捉えられている。さらに、カメラには最先端の技術がもう一つ取り入れられている。NTT東日本秋田支店・平川義彦さん:「AIの機能を使い、ヒト、クマ、イノシシなどを判別することが可能」カメラが熱動体を捉えると撮影が始まり、10秒間のフルハイビジョン映像がインターネット上のサーバーに送られる。すると、AI=人工知能が映り込んでいるものを判別し、担当者にLINEやメールなどで知らせる仕組みだ。設置後のテストでは、カメラに映った人物を、AIが「81%の確率でヒト」と判定していた。実証実験はNTT東日本秋田支店の全面協力の下で進められ、27日までに市内8カ所にカメラが設置された。由利本荘市DX推進班・宮古隆秀さん:「必ずしもわなに入るとは限らない。クマ以外の動物が餌だけ持って行ったりとか。わなにかかっていなくても、どういう動物が来ているのかもすごく貴重な情報」実験の期間は積雪が確認されるまでの予定で、市は結果を取りまとめ、2024年度の運用につなげられるか検証する。

(小学校でクマ出没の想定で対応訓練:北海道)
道内各地でクマによる被害が相次ぐ中、十勝の陸別町では、小学校にクマが現れたという想定で、町や警察などによる合同の対応訓練が行われました。27日、陸別町の陸別小学校で行われた訓練には、全校児童およそ80人と町や警察、猟友会の関係者など、合わせて100人が参加しました。訓練は、小学校の休み時間中に校庭の草むらからクマが現れたという想定で行われ、校庭にいた児童たちはクマを刺激しないよう、教員の指示に従って、落ち着いた足取りで校舎に避難しました。そして、学校から連絡を受けた警察官や猟友会のメンバーらが現場に駆けつけ、ロケット花火を使ってクマを追い払う動作を確認しました。このあと、児童たちは体育館での寸劇を通して、クマに出会った時は▼クマから目を離さずにゆっくりと後ずさりして離れることや▼クマを刺激しないことが大切だと学んでいました。参加した6年生の児童は「実際に見たらパニックになってしまうかもしれないが、冷静になって襲われないようにしたい」と話していました。警察のまとめによりますと、道内では、今年に入り、クマの目撃などの通報件数が先月末時点の速報値で3720件と、去年の年間の通報件数を超えていて、対策が急がれています。本別警察署陸別駐在所の田中裕樹所長は「きょう学んだことをしっかり頭に入れて、実際に遭遇した時に慌てず対応してほしい」と話していました。

(狩猟初心者向けに魅力体験講習:広島)
初心者向けの「狩猟の魅力体験講習会」が12月9日午前10時~午後0時半、広島県三次市三次町の市民ホールきりりである。狩猟の担い手づくりを目指す市が初めて企画。わな猟のこつなどを学ぶ。

(狩猟免許の受験者増加、定員の2倍:北海道)
野生動物の有害駆除に欠かせない「狩猟免許」の試験に申し込みが相次いでいます。試験に挑戦するハンターたちは、相次ぐクマやシカの出没に、駆除は他人事ではないととらえ始めていました。25日に札幌で開催された講習会です。クマやシカを駆除できる狩猟免許試験の受験者が試験の前に受講できます。実技と座学に分かれ、猟友会札幌支部の会員が猟銃の組み立て方や解体方法などを指導しました。狩猟免許は散弾銃などを扱える第一種銃猟のほか、空気銃を扱う第二種銃猟・網・わなの4種類に分けられます。この狩猟免許、石狩振興局管内では今年度、試験の定員240人に対して475人から応募があったという人気ぶりです。道内では毎年のようにクマやシカによる農作物の被害が見つかっています。道によりますと、2021年度の有害駆除数はおよそ4万7千頭。10年前はおよそ1万頭で年々増加傾向にありますが、一方でハンター不足が課題です。(猟友会札幌支部奥田邦博支部長)「ローカルに行くと町にハンターが3人しかいない、でもリカバーしなきゃいけないエリアは広大だとなると、圧倒的に(ハンターは)足りないですよね。僕たちは先輩として猟のスキルを教えます。安全意識を教えます。それを辞めないハンターを増やすことでそこを上げたい」。クマの駆除に携わるには免許を取得してから一定期間の経験が必要です。有害駆除で貢献したいという人材をどう育てていくかー後継者の育成が急務となっています。

(川魚の捕まえ方、上高地の猿に個体差:長野)
信州大教育学部(長野市)の森林生態学研究室は25日、県内の動植物に関する研究成果を発表する「信州生態研究会」を松本市の同大松本キャンパスで開いた。北アルプス上高地(松本市安曇)のニホンザルがイワナ類を食べて冬を乗り越えることを発見した研究の報告などがあり、研究者や学生ら約30人が聞いた。信大などの研究チームは2021年、ニホンザルのふんのDNA解析からイワナ類を恒常的に食べていることを明らかにした。22年には上高地に設けたセンサーカメラなどで猿が魚を捕獲する映像の撮影に世界で初めて成功した。この日、研究会で発表した同大理学部特任助教の竹中将起さん(33)=発生遺伝学=は食料が少なく、地形や湧水など上高地の特殊な自然環境に猿が適応し、魚を捕まえる行動を身に付けた可能性がある―と指摘した。猿は川で魚を探す際に仁王立ちし、捕まえるとすぐに魚の頭をかじって絞める行動も見られたという。両手で捕まえる猿と片手を使う猿が確認でき、竹中さんは「捕まえ方に個体差があることも分かってきた」と説明。今後は「行動の違いの背景に何があるのか、明らかにしていきたい」と話した。信濃町の野尻湖の外来魚について研究している筑波大山岳科学センター菅平高原実験所(上田市)特別研究員のマイルズ・ピーターソンさんの発表もあった。

(ネコのエサに誘われて?イノシシが街に出没:静岡)
山にエサが少なくなりクマやイノシシが街におりてくるニュースは、今年よく聞く。ただ静岡県下田市では、イノシシは別の理由で街にやってきていたようだ。飼い主のいないネコのために、街中にまかれたエサだ。駆除する猟師たちは「野生動物がネコエサの味をしると元に戻れない」と話す。2023年11月静岡県下田市の市街地に大きなイノシシが現れ、猟師と警察が捕獲を試みた。イノシシは4カ月ほど前の7月頃から市街地に毎晩のように現れ、住民に不安を与えていた。住民は「何度も見ている」と困惑の表情だ。イノシシが出没する場所は、日中に大勢の市民や観光客が行き来する市街地だ。近くにはスーパーや小学校もあって被害が及ぶおそれもある。犬の散歩をしている人がイノシシに脅かされることもあり、捕獲作業が進められた。このところ山にエサがなくてクマやイノシシが人里におりてくるニュースをよく聞くが、下田市の場合市街地に出没する理由は、それだけではないようだ。駆除を依頼された猟師でふだんは飲食店を経営する男性は「街中に置かれているネコのエサに誘引されて、山からおりてきている」と推測する。飼い主のいないネコに与えられたエサ。エサを探しに市街地におりてきたイノシシは、ネコのエサの味を覚え、連日出没するようになったとみられる。下田市では地域ネコを保護する団体がエサやりをしているが、この団体はネコがエサを食べ終わるのを見届けて、残りはかたづけている。問題となっているのは深夜などにまかれ、そのまま放置されているエサだ。市内の10数カ所で、数人がまいているとみられる。捕獲作業を続ける男性が、イノシシがよく出没する、エサがまかれる場所を案内してくれた。下田市の図書館の敷地にまかれたり、他人の敷地に無断でまかれることもあるそうだ。静岡県には地域ネコのエサやりに関する条例などはなく、県の担当者は「地域でルールを作り、それに従ってほしい」と話す。静岡県賀茂保健所・山本隆宏主査:無責任なエサやりは周辺の方も迷惑する場合がありますので、地域でのルール作りが必要になってくると思います。11月5日イノシシが出没したという情報を受け出動する猟師たち。住宅地では猟銃が使えないため、使用するのは刺すと電流が流れる「電気もり」だ。イノシシを追い詰めるものの、なかなか捕まえることができない。約2週間後の11月20日にも市街地に現れた。猟師と警察が追い込んでいくものの、フェンスの隙間から逃げられた。しかし、深夜に限って仕掛けていた箱ワナには、イノシシがかかっていた。箱ワナはイノシシが警戒して、これまではなかなか入らなかったそうだ。昆虫のサナギや果物を入れていたが興味を示さなかったため、試しにネコのエサを置いたところイノシシが入ってきた。体重60キロ以上とみられる。ふだんなかなか入らない箱ワナの一番奥まで入り、エサを全部食べてあったことに猟師たちは驚く。4カ月以上追い続けた猟師たちは、「イノシシは地域ネコのエサやりの犠牲になった」という。猟師・大村賢一郎さん(飲食店経営):ネコのエサがなければ、この子もここへ出てこなかったかな。山で自然に育っていたのかな。この子は本当にネコエサの犠牲になったんだな。猟師・志田昇さん(飲食店経営):野生動物がこういう(ネコのエサの)味を知ってしまうと、元へ戻れなくなってしまう。そういうところがある。下田市では別のイノシシも出没しているとみられ、住民の不安は続く。飼い主のいないネコへのエサやりは、地域でルールを作りルールを守っておこなうことが求められる。

(熊との共存、保護と捕獲の調和とって:長野)
全国的な人身被害などの多発を受け、熊を「指定管理鳥獣」として扱うことを国が検討するという。 農産物や生態系、生活環境に被害を与え、「集中的かつ広域的に」管理する必要がある野生動物を指す。現在はイノシシとニホンジカが対象になっている。指定管理鳥獣となれば、財政面や特例などで都道府県が「捕獲」(殺処分)をしやすくなる。今年、人身被害が目立って多い東北6県と北海道、新潟県の知事が環境省に要望していた。これまでは「保護」に重きが置かれてきた。おりなどで捕まえると唐辛子入りスプレーを噴射して人間を恐れさせ、奥山に逃がす学習放獣もその一環だ。今回の動きは、保護から管理へとかじを切る転換点となり得る。人身被害は無視できない。本年度は10月末までに統計上で過去最多の180人を数え、5人が亡くなった。長野県も死者1人を含め10人に上る。住宅地など人里での被害も少なくない。住民の安全を最優先に、行政は対策を強化しなければならない。一方で、ヒグマやツキノワグマは森林生態系の頂点にある動物だ。地域全体の自然の豊かさ、健全さをはかる象徴であることに留意したい。生息数、生息域ともに拡大しているとはいえ、九州ではすでに絶滅し、四国では絶滅の危機にあるとされる。種として十分な生息数が保たれるよう、引き続き慎重な対応が求められる。長野県では県内を八つのエリアに分け、上限数を設けて年間計200~300頭を駆除と狩猟で捕獲している。それでも推定生息数は3年前の調査で7270頭(中央値)と増え続けている。耕作放棄地の増加、鉄砲による狩猟の減少などで人の生活圏との境界もあいまいになっている。人里への出没や被害が増える条件はそろってきている。10月に起きた飯山市での死亡事故を受け、県も対策の再検討を始めた。自治体の首長らが捕獲強化を訴える一方、専門家からは加害個体に絞った捕獲や山際の刈り払いなどによる出没抑制が重要だとの声が上がる。指定管理鳥獣になったとしても、捕獲事業を計画し、実行するかどうかは都道府県の判断だ。熊の行動範囲は広く、県境にかかわりなく動き回る。隣接県との広域連携を含め、山を背負った信州から、適正な管理モデルを発信していきたい。

(クマ出没防止で会議:兵庫)
全国でクマによる被害が相次ぐ中、神戸市が集落にクマを寄せつけないための対策を検討する会議を開き、エサになるカキやクリの実は早めに収穫することなどを呼びかけていくことを確認しました。神戸市役所のロビーで開かれた公開の会議には、神戸市の久元市長と、兵庫県や神戸市の鳥獣対策の担当者など4人が参加しました。はじめに県の担当者が、ことしは全国同様、県内でもクマのエサとなるドングリが凶作となっていて、人的被害は出ていないものの、集落に植えられているカキの実が食べられるなどの被害が出ていることを説明しました。さらにここ数年、クマの行動範囲が広がっていて、北部を中心に生息しているツキノワグマが、去年は神戸市に隣接する三田市や三木市で目撃されたとして、今後、神戸市内にクマが出没する可能性も否定できないと指摘しました。そのうえで集落にクマを寄せつけないための対策として、▼カキやクリの木があれば実をすみやかに収穫することや、▼屋外に生ごみや漬物のたるを置かないことなどを呼びかけていくことを確認していました。兵庫県森林動物研究センターの廣瀬泰徳副部長は「想定外の場所で目撃されるケースが増えてきている。クマが出没した原因を突き止めて取り除くことが大切だ」と話していました。

(鳥獣農林被害額が2年ぶり減少:兵庫)
兵庫県内の2022年度の野生鳥獣による農林業被害額は、前年度比16・4%減の4億6850万円(速報値)となり、2年ぶりに減少したことが県のまとめで分かった。加害鳥獣の捕獲強化や防護柵の設置拡大などが奏功し、ピーク時の10年度(約9億7400万円)から半減。一度被害に遭うと営農意欲の低下を招くなど影響が大きく、県は、捕獲指導などの支援に力を入れていく。

(害獣、駆除・捕獲参加促す:兵庫)
農作物に深刻な被害をもたらす鳥獣の駆除への理解を深め、捕獲活動の担い手への参加を促そうと、丹波篠山市主催の狩猟体験会が26日、同市大芋(おくも)地区で開かれた。市猟友会が協力した。農業者や狩猟に関心のある移住者、若者、女性らが対象。市内外から20~60代の22人が参加した。

(世界遺産・知床に“痩せこけたクマ”:北海道)
2023年9月、世界遺産・知床で船の上から撮影された写真には、ガリガリに痩せこけた1頭のクマが写っている。海岸の岩場をうろつき、何かを探しているようにも見える。撮影した写真家は、「あんなに痩せているクマは初めて見たので悲しくなった。サケの遡上がなかったためなのか、弱い個体だったのか。餌の競争に負けて取れなかったのか、病気なのか詳しい状況はわからないが、餌を探すような様子が気の毒に見えた」(写真家 齋藤一馬さん)。クマの生態に詳しい専門家に、痩せこけている原因を聞いた。「餌が少ない。夏から秋にかけてドングリがない。サケやマスが上がらない川がある。餌を食べることができないクマが、人里での出没につながっている」(北海道大学大学院獣医学研究科 坪田敏男教授)。北海道石狩市では体長180cm・体重320kgの巨大なクマが箱わなにかかり、その後駆除された。2023年7月に駆除された「OSO18」と同じクラスの大きさだ。餌不足の中、強い個体で山の木の実などを優先的に食べることができたという見方や、人里で農作物などを食べたためという可能性も指摘されている。餌を求めたクマの出没、一体いつまで続くのだろうか。

(「野生動物」による"被害"の深刻度)
今年は全国でクマによる被害が過去最多を記録する中、他の野生動物による被害も深刻となっています。せっかく育てたリンゴをサルに食べられてしまったり、イノシシに畑を掘り返されてめちゃくちゃにされてしまったり…。弁護士ドットコムの公式LINEには、野生動物による農作物への被害について、さまざまなエピソードが寄せられました。農水省の全国統計によると、被害額は毎年150億円を超えています。2021年度の被害額は155億円で、全体の7割がシカ・イノシシ・サルによるものでした。実際にはどのような被害があるのでしょうか。弁護士ドットコムに寄せられた体験談を紹介します。「畑がイノシシに荒らされました!」。そう話すのは、岐阜県の女性(30代)です。畑ではタロイモが栽培されていましたが、イノシシがあちこち掘り返し、用水路の石垣まで破壊してしまったそう。「重機がないと直せないので、しばらく放置してあります」と諦め気味です。実は、シカに次いで全国で農作物への被害が多いのが、イノシシです。農水省の統計によると、シカは61億円、イノシシは39億円の被害となっています(2021年度)。イノシシの被害をどう食い止めるか。鳥取県の女性(50代)はこんな体験を教えてくれました。あるとき、女性の知人の畑に植えてあったサツマイモがイノシシに食べられてしまいました。もともとは知人の両親の畑でしたが、両親が亡くなったあとは、荒れない程度に知人が管理していたそうです。しかし、収穫をしようと畑を見に行ったら畑一面、イノシシに荒らされており、「もう2度と畑はみたくない」と話すほど、知人のショックは大きかったといいます。そこで、女性がイノシシに荒らされない農作物を調べ、試しにアクの強いサトイモとショウガを一緒に栽培することを勧めたところ、功を奏して、現在はイノシシによる被害はなくなったそうです。「別の地方ではイノシシがサトイモを食べると聞きました。サトイモの株の間にショウガを組み合わせてみたらどうかとその地方の方にもお話したところです」(鳥取県の女性)。シカやイノシシに比べて、被害額が少ないサルですが、農水省の資料によると、サルの場合はさらに、人家に侵入したり、観光客に飛びかかったりといった被害が発生しています。「毎年、サルの被害に実家が困っています」と話すのは、三重県の女性(50代)です。サルは群れで行動する習性がありますが、多いときで30頭もの群れが、小学校の通学路にたむろし、子どもたちの安全を脅かしたりしているそうです。女性の実家では、庭にヤマモモやカキの木を植えたり、自家菜園もしていましたが、収穫期になるとサルに食べられてしまったため、もうやめたとのことです。「ご近所では、有刺鉄線で囲うなどして畑を続けているところもありますが、年々、被害が増えています。私の友人は、育てていたカボチャをサルが抱えて逃げようとしたので、爆竹で威嚇したところ、屋根の上にサルが逃げて、カボチャを投げつけてきました。友人にケガはありませんでしたが、カボチャは車のフロントガラスに落ちて割れてしまい、修理代がかかったと聞きました」。さまざまな体験から浮かび上がる深刻な被害。農水省では「鳥獣の捕獲による個体群管理」「柵の設置や追い払いによる被害防除」「餌場や隠れ場をつくらないような生息環境管理」を基本的な対策としています。中でも、シカやイノシシなどの捕獲頭数は年々、増えています。そこで農水省では、捕獲した鳥獣のジビエ利用を観光や外食、学校給食、ペットフードなどさまざまな分野で拡大する振興策を進めています。2016年には563施設だったジビエ処理加工施設も、2022年には750施設にまで増えています。これにともない、ジビエ利用量も約2000トンと、1.6倍に増加。2年後までには、4000トンまで増やすことを目標としているそうです。この理由として、動物による農作物への被害は、経済的損失にとどまらないと農水省は次のように指摘しています。「鳥獣被害は、営農意欲の減退、耕作放棄・離農の増加、さらには森林下層植生の消失などによる土砂流出、希少植物の食害などの被害をもたらしており、被害額として数字に表れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしている」(令和5年11月「捕獲鳥獣を巡る最近の状況」農水省鳥獣対策・農村環境課より)。農水省では、鳥獣捕獲の強化やジビエ利用の拡大を支援するため、今年度は96億円もの予算が「鳥獣被害防止総合対策交付金」として組まれています。

(「クマ・トランクキット」を活用して熊の生態を正しく知る)
今年度、本州におけるツキノワグマによる人身被害の数は昨年度の2倍以上と、過去最悪の状況です。ヒグマの棲息地、北海道でも市街地での出没件数が増えるなど、その被害が毎日のように報告されています。私たちは、ニュースで見聞きするたびに「クマは怖い」という恐怖心だけが増幅してしまいます。クマは決して人を襲うために人里にあらわれるわけではありません。クマと人の距離が近くなってしまった今、人がクマの生態や安全対策について正しい知識を持っておくことで、大きな事故を防ぐことができる場合もあります。そこで「クマを知ろう」という観点から、学校や一般の人向けに製作された、啓発グッズがあるのでご紹介しましょう。まずはクマ教育キット「クマ・トランクキット」です。これは、日本における人間とクマ類との共存を図るために活動や調査などを行う団体「日本クマネットワーク」が行っているもので、クマに関する品々がぎっしり詰まったトランクの貸し出しです。トランクはヒグマとツキノワグマの2種類。中身はというと頭骨、足跡シート、クイズシート、子グマのぬいぐるみ、毛皮、前後足剥製、乾燥フン標本、木の実サンプル、クマ撃退スプレーなど。標本類と、調査道具やクマ対策のための道具など、クマに関するさまざまなものが揃っています。例えばヒグマトランクにある、体重数100kg台のヒグマの毛皮。床に広げてその大きさや、"毛"を観察することができます。また、冬眠から出てきたころの体重5kgの子グマを再現したぬいぐるみなど、よりヒグマを実感・体感できる品々ばかり。クマの知識がない人でもプログラムを行うことができるように「ティーチャーズガイド」が入っているので、興味のある人なら誰でも利用することができます。貸し出しは2週間で、日本クマネットワークのHP内、貸し出しフォームから申し込むことができます。もうひとつのクマ啓発グッズは、北海道でヒグマフォーラムなどを開催する団体「ヒグマの会」が発行した「ヒグマノート」(税込300円※送料別)。B5のノートサイズで、かわいいイラストとともに、ヒグマの生態などをわかりやすく解説した小冊子です。内容はヒグマの形や一生、食べ物や行動範囲、ヒグマから身を守る方法、それでもヒグマに出会ってしまった場合どうしたらよいかなど、ヒグマを理解し共存するための情報が満載です。ヒグマの遭遇に関して、さらに詳しい対処法などをまとめた冊子もあります。それは、北海道の知床財団で取り扱いがある「ヒグマとの遭遇回避と遭遇時の対応に関するマニュアル(第2版)」(税込550円 ※送料別)。知床自然センターでの販売ほか、ネットショップでも購入することができます。また知床財団では「クマ・トランクキット」の貸し出しも行っています。

(奈良公園の鹿食害で元学生ら保護柵考案:奈良)
奈良公園(奈良市)に植えられた幼木や苗木を鹿の食害から守るための柵を、奈良女子大の元学生らが考案した。木々の成長に合わせて柵のサイズを変えられるようにし、鹿が嫌う外来樹「ナンキンハゼ」を材料に使うなど工夫を凝らした。奈良公園の景観を保全するため、奈良県は桜や松などの幼木や苗木を定期的に植樹している。しかし、新芽や若葉を鹿が食べてしまう被害が続出。鹿が近寄って木の周辺の地面が踏み固められ、根が十分に張らないことにも悩まされている。こうした課題を解決しようと独自の柵を考案したのが、大阪府豊中市の会社員、小西くるみさん(23)と、堺市の奈良女子大大学院2年、川合布公帆(ふくほ)さん(23)だ。2人は同大生活環境学部で人間の暮らしと自然の共生などについて研究。4年生だった2021年、教授の勧めで建設設計会社「日建設計」(東京都)が実施した、地域課題の解決策を競うコンペに応募した。コンペは同社の「つな木」と呼ばれる木材ユニットを利用することが条件。角材と特殊な金具がセットになったもので、災害時の仮設テントやイベント用の出店など必要に応じた構造物が自由に作れる。奈良公園が抱える問題を調べる中で鹿の食害を知った2人は、幼木や苗木の周りを囲う柵として活用することを提案。鹿が近寄れないよう木の成長に合わせて柵の大きさを変えるアイデアを出した。育っていく木をずっと守るという意味を込め、柵は「子守木」と名付けた。子守木はコンペで優秀賞を受賞。今年3月、県などの協力もあり、2人は奈良公園の桜の苗木3本の周囲を柵で囲った。さらに11月には、柵の素材をナンキンハゼに変える改良も加えた。公園付近の街路樹として植えられたナンキンハゼは繁殖力が強く、周辺の生態系に影響を与える恐れがあることから県が伐採を進めている。この伐採された木を有効活用することにした。理由は分かっていないが鹿はナンキンハゼを嫌うことから、2人は木を守る効果が高まると期待している。今後も経過を観察し、食害防止に効果があるかを検証する。効果が認められれば、さらに多くの木に取り付けたい考えだ。川合さんらは「奈良で大学生活を送り、奈良公園には愛着がある。この柵が広く活用され、木々と鹿が共生できるような環境になればいい」と話した。

(「伝説のマタギ一族」に密着取材:秋田)
27日も富山で精米機が壊されるなど相次ぐクマの被害。人間はどのようにクマと向き合っていけばいいのでしょうか。番組では、江戸時代から続く「伝説のマタギ一族」を密着取材。9代目当主が口にした“違和感”とは。かきむしられた扉。至る所にクマの爪痕があります。27日午前8時40分ごろ、富山市で「精米機の扉が壊されている」と住民から市に連絡がありました。クマが狙ったのは米を精米する際に出る米ぬかです。猟友会:「(クマが)中に入って米ぬかを食べた。(扉を)爪でやぶった」。米を巡る食害は各地で起きています。あぜ道に腰を下ろし、稲穂を頬張るクマ。よく見ると、顔にはもみ殻のようなものが。先月撮影された、田んぼで稲穂を食べる様子です。岩手県一関市では、倉庫などに保管された米が相次いで狙われました。雪深い山あいの町、北秋田市阿仁地区。住民はクマ被害に頭を抱えていました。大雪となったこの週末、男性の車庫から突如として現れたクマ。なんと、鼻でシャッターを押し上げたといいます。相談に乗るこの男性、ただ者ではありません。家にお邪魔すると、ひときわ存在感を放つクマの毛皮。数年前、男性が仕留めたといいます。鈴木英雄さん(75)。クマの狩猟を生業とするマタギです。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「中学生の時からずっとこの山奥を歩かされていた」。父親も、祖父も。鈴木さんは江戸時代から続くマタギの家系に生まれた9代目です。マタギ発祥の地と言われる阿仁地区。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「(Q.持っていくものは何ですか?)銃と弾です」。マタギの活動は雪が降った後が重要だといいます。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「イノシシだな」。雪に残る、野生動物の足跡。そこからクマの行動範囲を特定していきます。感じたのは、山の異変です。山の神に猟の安全を祈る神社。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「(Q.ガリッといかれていますね?)だいぶいってますね」。クマは人里近い神社にまで下りてきて、痕跡を残していたのです。クマのすみかの山で、一体何が起きているのでしょうか。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「今年は例外。あまりにも山のものがならない」。クマの餌(えさ)となる木の実などが、軒並み凶作。そのため、町に下りてきているのだといいます。クマが餌を食べる際、木の上にできる「クマ棚」。マタギ一族の家の近くにまで及んでいました。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「(Q.巣みたいに?)(クマ)棚」。クマ棚とは、クマが木に折った枝を積み重ねて作った、いわば食卓です。ここで栗の実を食べているそうです。そのクマ棚が、周囲の木にいくつも。マタギが警戒したのは木の下に散乱した枝。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「子グマがいると下に枝を落として餌をやる」これはここで鈴木さんが撮影した写真。クマ棚の数から察すると、親子グマは複数現れたとみられます。町を守るマタギ一族。目的は狩猟だけではありません。駆除したクマの内臓から作るのが、薬です。クマの肉も残さず食べるのが習わしだといいます。マタギ家系9代目 鈴木英雄さん:「クマは山の神の授かりもの、神聖なものとしています」。

(イノシシ捕獲を学ぶ高校生:千葉)
千葉県立安房拓心高校(南房総市和田町)で農業を学ぶ3年生36人が、獣害対策実習で、イノシシを捕獲するわなや防護柵の設置方法などの対策を学んだ。実習は今月1日、同校で行われた。講師を務めた市有害鳥獣対策協議会和田支部の小原(こはら)清一支部長らが、くくりわなや防護柵、センサーカメラなどの使い方を実演した。獣害対策の重要さについて説明もあり、3年伊関愛輝(いせきあき)さん(鋸南町)は「住んでいる近くでもイノシシやキョンを見かける。農作物の被害はあまり考えたことがなかった。狩猟、捕獲は苦労があると思う。感謝したい」。同尾形れもんさん(鴨川市)もキョンなどを見かけるといい「イノシシに出合ったら『刺激しない』『ゆっくり後ずさり』と教わり、身の安全にもつながった」と話していた。市農林水産課によると、本年度は10月末までに市内で2732頭のイノシシが捕獲され、前年度に比べ約60%増(同期比)。10月の1カ月では5.5倍の713頭だった。イノシシの生息数と生息域は、今後も拡大する可能性があり、農作物被害対策にさらに力を入れていく必要があるとして、実習を企画した。

(「神の使い」は農家には害獣?:奈良)
虐待疑惑に揺れる国の天然記念物「奈良のシカ」は、農家にとっては害獣ともいえる。「金属バットで畑を荒らすシカを殴る農家もいた」との声もある。奈良のシカをペットだと勘違いする住民・観光客によって人間の食べ物に慣れらされ、中には凶暴化するシカもいる。奈良市民が一千年以上にわたって共生してこられたのは、「神の使い」として大切に扱う為政者や住民の信仰心があってこそ。「神鹿」(しんろく)と人との関係は岐路に立たされている。「奈良市の農家にとっては、シカさんははっきり言うていらない存在なんです。一生懸命育てた野菜や米を食うんですから。新規就農者の中にも『もうシカに農作物を食い荒らされて限界です』と言うて辞めていかはった人もいます。(シカに対する怒りのあまり)金属バットでシカをボコボコにした(農家の)人も、シカの頭を6頭分に切って(頭を)川に流した人もおるくらいですよ」。虐待疑惑に揺れる国の天然記念物「奈良のシカ」について、そう語るのは中西康博氏だ。奈良の鹿愛護会の保護施設「鹿苑」内にある「特別柵」で飼育されていたシカが、虐待されていたのではないかとの疑惑が浮上し、県や市も巻き込んだ騒動になっている。特別柵は、農作物を食い荒らしたり、人を攻撃したりしたシカを死ぬまで収容するエリアだ。そこのエサの量やスペースの狭さなど、飼育環境が不適切だったのではないかと指摘されている。中西氏は奈良県の行政機関である「奈良公園室」で室長を務め、現在は一般社団法人奈良県ビジターズビューローの専務理事。役人時代に数々の奈良のシカ関連の外部委員会を立ち上げるなど、「シカファースト」の人物として地元で知られている。中西氏は奈良公園室長時代、被害農家との交渉を引き受けた経験から、「神鹿」と「害獣」の抜き差しならぬ関係を熟知している。奈良のシカをこよなく愛するがゆえに、今回の虐待疑惑に困惑気味だ。「シカさんがかわいそうや。外野に好き勝手に『虐待』と言われて。元はと言えば、奈良のシカとの付き合い方を知らん奴が増えたから、こういう窮状にシカさんが追い込まれている」(中西氏)。農作物を食い荒らして鹿苑で飼育されているシカは、奈良公園周辺から離れた「C地区」と呼ばれる地域で生け捕りにした個体がほとんどだ。C地区とは、1979年と1981年に発生した「鹿害訴訟」で、被害農家と管理・所有者の春日大社や奈良の鹿愛護会の間の和解条項で定められた文化庁の指導基準を元に、奈良県が保護管理区分の中で策定した「緩衝地帯」のことである(奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画)。保護管理区分では、原則として以下のように運用されている。A・B地区:「神鹿」として殺してはいけない。D地区:申請により捕殺可(一般鳥獣)。C地区:A・BとDの緩衝地帯として、殺してはいけないが生け捕りし農地から離す。つまり、奈良公園周辺に住む人にとっては「神の使い」である奈良のシカも、農家にしてみれば「商売をつぶす害獣」に他ならないのである。奈良県の山下知事は11月6日の記者会見で、「飼育環境に関する知識が不十分だった」と奈良の鹿愛護会に虐待の疑惑が持たれた責任の一端があるとの見解を示した。奈良県は、鹿愛護会にシカの管理を委託している立場だ。中西氏は、批判された鹿愛護会を擁護する。「東京に住んでいる人は分からへんかもしれないけど、奈良市民は本気でシカさんを“神の使い”と思って共存してきたのです。奈良とシカさんの関係性を理解しない観光客が増えても、シカさんと人間が共生できているのは、愛護会のおかげでしかないですよ」。「たとえばね、奈良に来はった人に聞きたいけどね、奈良県庁前や近鉄奈良駅前で、シカが死んでいるところを見たことある方、いますか?実際はね、奈良公園周辺だけで、交通事故を含めて年間100頭以上のシカが死んでいるんですよ。死んだシカの通報を受けると、当番の方が1人で軽トラを運転して、約60キロのシカを積み上げて、春日大社内にある鹿苑まで持っていくんです。他にもね、骨折したシカの面倒みたり、病気のシカを一生看病したりしているワケです」。「シカの中には、人を襲うことを覚えてしまった個体もいます。最近も、シカに襲われて太ももを7針縫う怪我をした観光客がいました。人に怪我をさせたシカを探すのも愛護会の役目です。そうした『不良鹿』の管理を含め、野生動物であるシカと人間が共生できる環境をつくっているのは、愛護会のおかげだと理解してほしいです」。「鹿害訴訟以前も、農作物を食べられた農家さんはいっぱいいました。でも、みんな『神さんの使いやから』と黙って我慢していたのです」。今回の虐待疑惑問題を取材しているとよく聞くのが「刑務所」という表現だ。生け捕りにされた「不良鹿」が死ぬまで飼育される鹿苑内の特別柵を指す。奈良県の資料によると、2022年度には特別柵に334頭が収容されていた。同資料では、エサの量自体に問題はないとされているが、収容頭数の許容能力を超えていると指摘されている。特別柵の収容環境は適切なのかどうか。奈良のシカ保護管理計画検討委員会で委員長を務める村上興正氏は「良好な環境でないことは確か」と前置きしつつ、「エサが不十分だったかどうかは、量だけでは判断できない」と説明する。「野生のシカは強いものと弱いもので、個体間関係を構築する。たとえ十分な量のエサを与えたとしても、優位の個体がエサの大部分を食べてしまい、劣位の個体はエサにありつけない可能性もある。集団飼育時は、個体間干渉を頭に入れて設備を整える必要がある。ただ、予算と人員不足、個体数の増加で、奈良の鹿愛護会もそこまでの努力はできなかったのではないか」(村上氏)。筆者は、奈良の鹿愛護会獣医師による虐待通報について、奈良の鹿愛護会と当該獣医師に取材を申し込んだが、返答はなかった。また、実際に虐待があったかどうかは、県は「判断できない」としたが、奈良市は24日に「虐待は認められなかった」と調査結果を公表した。いずれにしても、行政と奈良の鹿愛護会はともに、特別柵のスペースが狭いことは問題視している。その大きな原因は、鹿害訴訟後に決定された文化庁が指定するC地区の範囲の広さと、「生け捕り・終生飼育」に縛られる管理体制にある。つまり、収容されるシカの数が多すぎるのだ。だが、中西氏によると、もう一つ、見過ごされている大きな問題があるという。「シカさんは賢いんです。だから、人間があげる餌の味を覚えてしまう。最近はシカさんをペットかなんかと勘違いして、夜中に山盛りのキャベツをあげたり、食パンの耳をあげたりする人が増えてきました。また、飲食店オーナーの中には、閉店後に残飯を与える人もいました」。「残飯を与えるとその後どうなるか。シカが人間に依存して、ヒトを襲うようになるんです。人を襲ってエサを得る成功体験を持ったシカは問題行動を繰り返すようになります。これらのシカは奈良公園周辺に生息しているA地区のシカですが、人間を攻撃することに味を占めた個体を野放しにすることはできない。奈良公園はサファリパークじゃないんです。シカさんは野生動物で、芝とどんぐり、鹿せんべいしか食べてはいけないのです。その辺を分かっていない人間が増えすぎましたね」(中西氏)。中西氏は、鹿苑で終生飼育されるシカのなかには、特別柵のC地区の個体以外だけではなく、実際にはA地区で問題行動を起こした個体もいるのではないかと話す。人を襲うシカは、「人間をなめる」習性が身についており、一時的に保護した後に奈良公園に戻しても再び人間を攻撃する可能性があるため、現実的には終生飼育するしか方法はないだろうというのだ。筆者は11月9日に春日大社と奈良公園を訪れた。観光客は笑顔で鹿せんべいをあげていたが、中には人間に近づくたびに繰り返しお辞儀をするシカもいた。北海道大学大学院特任助教の立澤史郎氏によると、お辞儀は「鹿せんべいを要求する」行動だという。A地区のシカの人間依存が高まっていることがありありと伝わってくる光景である。A地区で問題行動を起こす個体は、全体からみれば少数だ。多くのシカは奈良公園でまどろんでいる。ただ、少数とはいえ一部の個体が繰り返し問題行動を起こしているのは事実だ。人間がシカをペットとみなし、餌の味を覚えてしまったシカが増えたことが「不良鹿」をつくりだした大きな原因といえそうだ。神鹿と奈良市民の付き合いは長い。768年に武甕槌命(たけみかづちのみこと)が、鹿島神宮から奈良に移る際、白鹿の背に乗っていたという伝承から、春日大社の「神鹿」とされ、手厚い保護を受けてきた。発情期の雄シカによる怪我を防ぐための「角切り」や「鹿せんべい」の餌付けは江戸時代にもすでに起源が見られる。そんな神鹿も、絶滅の危機を経験したことがこれまで2度あった。1度目は、廃藩置県後の1871年。新たに着任した奈良県令がシカを「有害獣」に指定し、射殺を許可したことで、シカの個体数が約40頭にまで減少したのだ。2度目の危機は、第2次大戦後の1945年。食糧不足に悩まされた奈良市民がシカを食用し、79頭まで減少。昭和天皇による1947年の戦後行幸の際、住民が天皇にシカの姿を見せようと「つくりものシカ」を遠くに配置した、という伝説まである。それほどまでに「神鹿」の数が減っていたのである。特に戦後の絶滅危機に際しては、奈良の鹿愛護会の前身である春日神鹿保護会の献身的な努力により、個体数を大幅に回復させた。だが、1970年以降、奈良公園内に生息するシカの数が増えすぎていることも指摘しておく必要がある。1971年に1000頭を突破した奈良のシカは、2000年以降は、1100~1200頭を推移するようになる。村上氏と中西氏は、適正な頭数は算出できないし、芝地面積などの確たるデータを抜きにして発表するべきではないと口をそろえる。過剰な調整を行うと、頭数の「下げ止まり」を実現できるかどうか分からない、というのがその理由である。一方で、両氏とも1200頭は「明らかに多い」としている。そこで両氏が提唱するのは緩衝地区であるC地区の区分見直しと縮小だ。文化財保護法下では奈良のシカの生息地域を「(旧)奈良市一円」としているが、地図を見れば分かるよう、その生息エリアが広い。現在のシカ保護管理体制は和解条項策定時の「A・B・C・D地区」をベースにしており、実質的には「A・B」は神鹿、「D」は野生のシカ、という運用になっている。「極端に言えば、C地区はなくしても良いと考えている。その代わり、A・B地区も同時に見直し、神鹿と野生のシカの区分をはっきりさせるべきだ。たとえば、奈良公園からほど近いJR奈良駅前はなぜかD地区扱い。JR奈良駅前に現れたシカはどう考えても神鹿。鹿害訴訟から時間が経ちすぎているし、より現実に即したものに変更すべきだ」(中西氏)。「C地区は面積が広すぎる。あの範囲で農業被害を起こした個体を愛護会職員が生け捕りするのは不可能。一度農作物の味を覚えた個体は、何度も被害を起こす習性をもつ。C地区の範囲を狭めるべきだ」(村上氏)。シカさんは神さんの使い──。アニミズム的とも形容できるこの言葉を奈良県民は日常的に使っているが、そもそも「神鹿」はフィクションなのだろうか。あながちそうとも言い切れないのである。福島大学共生システム理工学類准教授の兼子伸吾氏らが調査した研究によると、「奈良のシカ」は日本列島に生息する野生のニホンジカとは明確に異なる遺伝子を持っているという。同研究では、古来信仰の対象となっていた奈良のシカは、少なくとも1400年前から奈良公園に生息していたことを明らかにした。「奈良のシカは通常のニホンジカよりも狭い行動範囲で人間と共生していたからこそ、特定の遺伝子が濃く出ている。野生動物と人間の調和という意味では、世界に類を見ないケースだ」(村上氏)。ただ、近年は奈良のシカを観光資源と重宝しすぎるあまり、「神の使い」であるという意識が薄れてきた、と立澤氏は嘆く。「奈良のシカはこれまで何度も危機を迎えてきたが、これだけ人間の食べ物に常に慣れている状況は前代未聞で異常としか言いようがない。事実、コロナ禍で外国人観光客が減った期間は、(観光客から不適切な食べ物を与えられる機会が減り)シカの健康状態が向上したというデータもある。シカとの共生を未来に残せるか、不安になる時がある」(立澤氏)。中西氏も同意見で、現在の奈良公園は「オーバーツーリズム」だという。鹿苑内での虐待疑惑が浮き彫りにした、奈良のシカを取り巻く環境の激変と危機。奈良公園が「サファリパーク化」すれば、シカの人間への依存度がさらに高まり、凶暴化する個体が増えることは想像に難くない。奈良のシカの「家畜化」が進めば、これまでの共生の歴史が台無しになってしまう。神鹿とどのように付き合うべきか、奈良県は岐路に立たされている。

(またイノシシ目撃:栃木)
23日、宇都宮市でイノシシを目撃したという情報が寄せられました。宇都宮市内では先月下旬から目撃情報が相次いでいて、市は、見かけた場合は絶対に近づかないよう注意を呼びかけています。宇都宮市によりますと、23日午前1時ごろ、宇都宮市西川田町の路上で体長1メートルほどのイノシシ1頭を、近くを通りかかった住民が見つけ通報しました。現場近くでは、そのすぐあとにも目撃した人がいたということです。現場は、姿川中学校の西におよそ100メートルの場所で、イノシシの発見には至っていませんが、今のところ、24日午前8時時点で人的被害や物的被害は確認されていません。宇都宮市内では先月下旬以降、イノシシの目撃情報が相次いでいて今回で5件目です。市や警察は、地元の猟友会と共に、パトロールを行うことにしています。宇都宮市農林生産流通課は「イノシシを見かけた場合は決して近づかずにその場を離れ、建物などに避難してから警察や市に通報してほしい」としています。

(“狩猟系”ユーチューバー、イノシシ対面:福岡)
イノシシ被害が相次いでいる、2023年の秋。各地で対策強化に乗り出している。10月、複数のイノシシが住宅地で目撃された福岡・北九州市。11月11日、イノシシによる獣害が数多く報告されている山へと向かったのは、猟師歴4年の石田篤頼さん。この日行う猟は、イノシシが寝床として好む場所に猟犬を放ち、出てきたところを撃ち取るというもの。猟犬は、イノシシを発見すると鳴き声を上げる。そして、猟銃を静かに構える石田さん。仕留めたのは、体長40cm余りのイノシシ。猟師の不足が課題となる中、石田さんは猟師になろうとする人を増やすため、こうした猟の様子をYouTubeに公開している。猟師歴4年・石田篤頼さん「遠くに山が見えるじゃないですか、あの山の中で僕たちのような猟師が活動していると。そういうのをYouTubeを通して知っていただきたいですね」。一方、宮城・仙台市では、23日午前8時40分ごろ、イノシシが仙台東高校に侵入。体長は、1メートルほどだったという。さらにイノシシは校内を移動。体育館の正面入り口は、ガラスが突き破られていた。点々と続く血の先には、大きく割れたガラス。左右にあるガラスに血のりがついていることから、何度も体当たりをしていた様子もうかがえる。イノシシは、グラウンドも走り回ったという。グラウンドには、少年野球の児童や保護者など40人ほどがいたというが、幸い、けが人は出なかった。仙台東高校・菅野淳一教頭「非常に怖い事案だったと思いますので、安全対策を見直していきながら、緊急時に対応できるように考えていきたいと思っております」。周辺では23日朝から警察に、20件以上イノシシの目撃情報が寄せられ、通行人とぶつかったという通報も寄せられていた。

(イノシシ被害が増える、高校にも出没:宮城)
23日に仙台市若林区の仙台東高校などに出没したイノシシは今も捕まっておらず、周辺では警戒が続いています。仙台市では他にもイノシシが住宅地などに多く出没し、被害が絶えません。23日朝に若林区上飯田の住宅などで目撃されたイノシシは、その後近くの仙台東高校にも入り込み窓ガラスを突き破った後、姿を消しました。この付近では24日夜にも2匹のイノシシがが目撃されています。いずれのイノシシも捕獲されていないため、住民らは不安を隠せません。仙台市東部の平地でイノシシが出没するのは珍しいものの、仙台市全域ではイノシシの被害は増え続けています。住宅街からほど近い青葉区茂庭では、住宅の庭にイノシシが入り込み植木の根などを食い荒らす被害が出ています。この住宅では、イノシシにより庭がすっかり荒らされてしまいました。依頼を受け金子さんたちが、住宅近くのやぶにわなを仕掛けたところ、翌日にはイノシシが掛かりました。罠に掛かっていたのは、小柄なイノシシです。人が近付くと興奮して必死に抵抗します。猟友会のメンバーが、イノシシの鼻をワイヤーでくくりようやく捕獲できました。金子さんは特にイノシシの数が多いと言います。県猟友会金子賢司さん「11月になってから24頭位捕っている。これだけ取っても減る気配は無い」。イノシシは本来臆病な動物ですが、興奮した場合などは人を襲うこともあります。どう頭数を減らしていくのか各地で模索が続いています。

(住宅地でクマの足跡:北海道)
27日夕方、夕張市中心部の住宅地でクマの足跡が見つかり、警察や猟友会がパトロールを強化するほか看板を設置して注意を呼びかけています。27日午後5時ごろ、夕張市清水沢宮前町にある住宅の敷地で「クマの足跡を見つけた」と男性から警察に通報がありました。警察によりますと、足跡は降り積もった雪の上に複数、残されていて、大きさから子グマのものとみられるということです。現場は市の中心部にある住宅地の一角で、近くには道道「夕張長沼線」が通っているということで、警察は猟友会とも協力してパトロールを強化するほか、看板を設置するなどして注意を呼びかけています。

(ツキノワグマ捕殺、イノシシのわなにかかる:神奈川)
神奈川県は27日、相模原市緑区沢井の住宅近くの山林で、有害鳥獣捕獲のために設置されたイノシシ用のくくりわなに雄のツキノワグマ1頭がかかり、人家に逃走する危険性があったため捕殺したと発表した。県県央地域県政総合センターによると、クマは体長111センチ、体重46キロと小柄。25日午前11時25分ごろ、同所のわなの設置者が発見した。クマは暴れていて、いつわなが外れてもおかしくない状況だったという。捕獲した個体は学術研究のため、県立生命の星・地球博物館(小田原市)に搬送された。

(大きな角が生えたシカ、地下鉄駅近くに出没:北海道)
札幌市南区の地下鉄・自衛隊前駅の近くで27日午後、シカ1頭が相次いで目撃されました。警察は、シカを見かけても不用意に近づかないよう呼びかけています。大きな角が生えた1頭のシカ。住宅街の柵を軽々と飛び越え民家の敷地に入っていきます。付近では車を気にすることなく道路を悠々と歩く姿も目撃されていました。シカが現れたのは、札幌市南区澄川の地下鉄・自衛隊前駅にほど近い住宅街。午後2時すぎから3時ごろにかけ、オスのシカ1頭が相次いで目撃されました。通報を受けた警察が駆けつけましたが、シカの行方は分かっていません。警察は、シカを見かけても不用意に近づかないよう呼びかけています。

(クマが餌求め里に接近:兵庫)
クマが柿などの餌を求め里に接近している。18日に兵庫県丹波市市島町上竹田(今中)で目撃情報、同町上鴨阪で痕跡情報、19日に同町上竹田(段宿)で目撃情報、20日に同市青垣町中佐治(杉谷)で痕跡情報が相次いだ。東北で人がツキノワグマに襲われ、丹波市民も「クマと出合ったら」と怖がっている。クマの生態に詳しい県森林動物研究センター(青垣町沢野)の横山真弓研究部長(兵庫県立大教授)は、「もし出合ったら、絶対騒いではいけない。野生動物は興奮させると何をするか分からず、手がつけられない」と言い、あわてずその場から離れるよう助言する。あわせて「出合ったときの心配をする前に、出合わないためにどうするのかを考えてほしい」と釘をさす。県ツキノワグマ管理計画(今年4月策定)によると、1996年度以降、記録されている人身事故は県内で27件。死亡事故は発生していない。うち3件が丹波市=表。22件が但馬地域。大量出没の2010年度の4件が最多。ゼロの年もある。令和元―3年度に各2件発生している。丹波市の3件のうち2件は山での出来事。里で起こったのは1件で、この時、目撃されたクマ2頭のうち1頭は射殺された。事故は山中、または山際で多く起こっている。クマは人を避けて暮らしているが、夕方から早朝の時間帯、食べ物に執着しているとき、人と鉢合わせして驚いたときに人身事故が起こる。もし出合ったときは、「クマが気付いていない場合は、気付かれないよう静かにその場を立ち去る。クマがこちらを見ている場合は大きく手を振りながら、穏やかに『おーい』と声をかけながら後退する。視力が悪く、こちらに近寄って確かめようとするので、体が大きな人間であることをアピールする必要がある。ただし、10メートル以上距離がある場合の対策。10メートル以内に近寄ると、クマスプレーを持っていない限り、できることはない」とする。通常、10メートル以内の至近距離に近寄ることはない。至近距離で出合うと、人は怖さでほとんど転倒してしまうという。鈴やラジオなど音がする物を持ち、至近距離で出合わないようにすることが重要だ。「里が餌場になると動かない。餌に執着し、近づく相手を攻撃するようになる。そうさせないようにするしかない。出合ったらどうしようと考えるより、出合わないためにどうしようとまず考えてほしい。車にぶつかったらどうしようと考える前に、ぶつからないように注意しようと考えるのと同じこと」と被害の未然防止対策を促す。クマは本来、肉食獣。人を襲って食べるクマは兵庫にいないのか。「ツキノワグマは、『機会選択的捕食者』と言い、肉があれば喜ぶが、狩りをしてまでは食べないと言われてきた。クマにもいろんな個性やタイプがあり、あまりに個体数が増え、誘引物を取り除かずに放置する期間が長くなると、狩りをするクマも出てしまうが、兵庫は、東北の事態にならないように地域と共に被害防除を行い、政策的に数が増え過ぎないよう対応していきたい」と、改めて個体数管理の重要性を説き、市民にクマを引き寄せないように「不要柿」をもぐよう注意喚起する。増え過ぎたシカの個体数管理に長い時間と労力がかかっているように、一度増えてしまった野生動物を管理するのは難しく、増やさないための「予防」が肝要だ。また、人里の食べ物の味を覚えたクマは山に帰らず、駆除する以外の対処法がない。共存には、人がクマを里に引きつけないようにすることが大切だ。

(クマが狙ったのは”米ぬか”:富山)
冬眠前にエサを求めて人里におりてくるクマ。柿の実を食べることは知られていて、中山間地では柿の木の伐採も行われていますが、27日、富山市の八尾小学校のそばでクマの痕跡が見つかりました。そこは精米所で、クマの狙いは『米ぬか』だったとみられます。「自由にお持ち帰りください」。地元住民のために誰でも持ち帰ることのできる米ぬかが置かれた富山市八尾町の精米所。“米どころ”ではよくみかける精米所ですが…そこにやってきたのは…。27日午前8時半すぎ、富山市八尾町下笹原の精米所でクマの爪痕やドアが壊されているのを近くに住む人が見つけました。市や猟友会によりますと、クマはドアの下の部分を突き破って侵入。中の米ぬかを食べたということです。精米所の内側の壁にはクマの手形らしきものも…。精米所は八尾小学校の目の前にあり、周辺には住宅街や保育園もあります。ほかにも八尾地域ではクマの目撃が相次いでいることから、猟友会は急遽、罠を設置。「柿だけではなく米ぬかにも注意しつつ、クマの冬眠までは警戒を緩めないでほしい」としています。

(クマ、浜通りにも:福島)
浜通りで、かつては生息していないとされたクマの目撃が相次いでいる。県警によると21日現在、今年に入ってからの浜通りでの目撃件数は8件。地元住民が「まさかクマが出るとは」と不安を募らせる一方、識者は「すでに生息していると言える」とし、冬眠前のクマや、冬眠しない「穴持たず」の個体への注意を促す。県内ではこれまで「阿武隈川の東にクマはいない」と言われていたが、最近では阿武隈山地でもクマの目撃が報告されている。浜通りでの市町村別の目撃情報は浪江町2件、川内村1件、相馬市3件、双葉町1件、いわき市1件。いわき市では17日に遠野町でクマの可能性がある動物のフンが発見され、21日には田人町の鮫川河川敷で1頭が目撃された。田人町の男性(46)は「生まれてからずっと住んでいて、イノシシやイタチを見たことはあったが、クマはない。ただただ驚いている」と話した。地元の県猟友会勿来支部田人分会は住民に注意を呼びかけるとともに定期的に地区全域を巡回し、警戒を強める方針だ。卜部八千穂(うらべやちほ)分会長(73)は「いわきでクマが発見されるとは思っていなかった。畑仕事で外に出る高齢者も多く、非常に心配だ」と表情を曇らせる。市の担当者は21日の目撃について「明るい時間帯の情報で信ぴょう性が高い」とし、地元猟友会などと連携して情報収集を進める考えだ。市によると、これまで市内では数年に1回程度、クマの目撃や足跡発見の情報はあるが、生息や被害は正式には確認されていない。目撃が増えれば、防災メールでの注意喚起や現地調査などを進めるという。クマなどの野生動物に詳しい福島大食農学類の望月翔太准教授は、浜通りでは2000年代前半ごろからクマの目撃情報が増えているとし「生息域拡大の要因として餌の凶作と耕作放棄地の増加が挙げられる」と指摘する。ほかの地域と行き来しているのではなく「浜通りに生息していると言える」と語気を強める。望月准教授によると、県内には5000~6000頭のクマが生息すると推計され、増加傾向にある。クマは餌が不足すればこれまでの縄張りの外に出て餌を求める。強い個体は山の奥深くでドングリなど木の実のほか、シカなどの動物を食べるが、メスや子どもなど小さい個体はその縄張りから追い出され「山では収容し切れなくなる」。耕作放棄地が増え、人が住む地域の近くに動物が隠れられる場所ができたことも、目撃情報増加の一因とみられる。今年は12月中旬ごろには、クマは冬眠し始めるが、望月准教授は「冬眠前のクマは腹をすかせていて、餌への欲求が人間への恐怖を上回ることもある。遭わないことが大事」と力を込める。カキやクリが実った木はクマが自らの餌場と認識していて、近づくと襲われる可能性がある。目撃情報の多い山あいの地域では庭先にクマが出ることもあるため「玄関を開く前にクマ鈴を鳴らして存在を知らせることも考えてほしい」と話す。また、今年は凶作による餌不足で流産したメスの「穴持たず」が増える可能性がある。穴持たずは凶暴になりやすいとする説もあることから、最善の注意を訴える。

(幼稚園の敷地、雪の上にくっきりクマの足跡:北海道)
札幌・南警察署は27日午前8時半ごろ、札幌市南区の幼稚園の敷地でクマの足跡を発見したと発表しました。クマの足跡が見つかったのは、札幌市南区石山にある「森の幼稚園」です。午前8時半ごろ、幼稚園の職員が敷地内にある雪の積もった畑の上にクマの足跡を見つけ、札幌市に連絡しました。畑は幼稚園から100メートルほと離れた場所にあり、クマの足跡が見つかったのは初めてだということです。警察と市の職員が現場に向かいましたが、クマの姿は確認できませんでした。

(ジビエ解体車、価格抑え小型化)
野生鳥獣の肉(ジビエ)の利用促進に向けて、新型の移動式解体処理車(ジビエカー)の実証車が完成した。「新型ジビエカー開発コンソーシアム」が手がけているもの。従来の車体に比べて小型で、低価格が特徴。本年度は山梨県と熊本県で新型車を実証実験し、2024年度からの販売を目指す。ジビエカーは、野生鳥獣の剥皮・内臓摘出といった一次処理や枝肉を冷蔵保存できる車両。従来のジビエカーは、車体が大きく、1台3000万円ほどと高価で、導入は4台にとどまっていた。新型車は設計を見直して小型化した。車内には内臓摘出をする解体室と冷蔵室を備えた。車両後方に車体パネルをスライドして作った壁とカーテンで仕切った空間で、洗浄・剥皮をする。厚労省のガイドラインに準じた解体処理ができ、将来的には、ジビエカー単体での国産ジビエ認証の取得を目指す。販売予定価格は1000万~1500万円。同協会の藤木徳彦代表理事は「移動ができるメリットをさらに生かし、さまざまな活用ができるよう提案していきたい」と話した。コンソーシアムは、日本ジビエ振興協会など民間4団体と2自治体で構成している。車体の製造は、シンクロ・フード(東京都)が担当した。

(ジビエフェスタ開催される:神奈川)
「横浜ジビエフェスタ2023」が11月25日に行われ、会場となった吉田町本通り(横浜市中区)にはシカ・イノシシ・クマなどのジビエ料理を提供するブースが出てにぎわった。吉田町名店街会の主催。近隣飲食店18店舗が、それぞれに趣向を凝らしたジビエ料理を提供した。神奈川県などで獲れたジビエ(野生鳥獣の食肉)がイベントの主役だ。

(ジビエの魅力、専門学校で特別授業:高知)
シカ肉やイノシシ肉などのジビエの魅力を若い世代に広く知ってもらおうと、ジビエの加工施設を運営する男性が11月27日に高知市の専門学校で特別授業を行った。高知市のRKC調理製菓専門学校で特別授業を行ったのは、ジビエ文化の普及に興味を持ち、長野県から香美市に移住して現在、物部町でジビエの加工施設を営む橘木岳大さんだ。この授業は、シカやイノシシなどの肉を有効活用しようと県が取り組む「ジビエ活用連携推進事業」の一環で行われたもので、27日は調理師科の生徒約40人が参加した。生徒たちは、橘木さんからシカ肉の解体方法などについて説明を受けたあと実際に解体し、シカ肉を使った餃子づくりに取り組んだ。昨年度の県内の野生鳥獣による農林水産業の被害は約1億円で、近年減少傾向とはいえ依然として高い水準で、生徒たちはジビエの活用に理解を深めていた。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、28日午前11時30分ごろ、登米市東和町米川寺内にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、28日、色麻町道命地区付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、28日午前8時30分ごろ、栗原市栗駒猿飛来鳥矢ケ崎にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、28日朝、色麻町新田地区滝本付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、27日午後9時22分ごろ、色麻町四竃はぬ木町にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日午後4時40分ごろ、仙台市青葉区芋沢大竹南にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日未明、仙台市青葉区錦ケ丘8丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日未明、仙台市青葉区芋沢柿崎中にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、27日午後6時50分ごろ、色麻町小栗山五輪付近にクマが出没しました。

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(クマに襲われ女性が顔などにけが:福井)
11月24日午前7時ごろ、福井県越前市上太田町の桜橋付近で女性(79)がクマに襲われ、顔などにけがを負った。午前11時現在、クマの行方は分かっておらず、市などが注意を呼びかけている。市によると、襲われた女性は自ら119番し、救急搬送された。現場はショッピングセンター「シピィ」から西へ100メートルほどの市街地。近くには小中学校もあり、市教委は各校への情報共有と注意喚起を行い、校区の安全点検を指示した。

(養鶏場、今季初の鳥インフルエンザ:佐賀)
佐賀県鹿島市の養鶏場でニワトリが死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、鳥インフルエンザウイルスが検出されました。鳥インフルエンザの感染が養鶏場で確認されたのは今シーズン初めてで、佐賀県は、養鶏場で飼育されていたおよそ4万羽のニワトリの処分を進めています。佐賀県によりますと、鹿島市重ノ木の養鶏場で24日ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、高病原性とみられる「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたということです。佐賀県は25日午前9時から、この養鶏場で飼育されているおよそ4万羽のニワトリの処分を始め、午後4時の段階で全体の24%にあたる9500羽余りを処分したということです。佐賀県は、この養鶏場から半径10キロ以内を「搬出制限区域」に指定して12の養鶏場にニワトリなどの区域外への出荷を禁止する措置をとったほか、周辺の7か所にポイントを設け、24時間体制で通行する車の消毒にあたるとしています。また、佐賀県によりますと、鹿島市内で死体で見つかったカラスが簡易検査で鳥インフルエンザに感染している疑いがあることが分かり、県は国の機関で詳しい検査を進めるとともに野鳥への監視を強化することにしています。農林水産省によりますと今シーズン、養鶏場で鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは、全国で初めてで、警戒を強化するよう呼びかけています。農林水産省は感染経路などの詳しい調査を行う専門家のチームを現地に派遣しました。また、すべての都道府県に対し、養鶏場に出入りする人や車両の消毒や、野鳥などを侵入させない対策、それに、死んだ鳥など異変に気付いたら早期に通報することなどを改めて徹底するよう通知を出して警戒を呼びかけています。世界的な感染拡大が続いていることを背景に、国内の養鶏場などでもここ数年、鳥インフルエンザの発生が相次いでいて、農林水産省によりますと、4シーズン連続で発生するのは初めてだということです。去年秋からことし春にかけての昨シーズンは、処分されたニワトリなどの数がおよそ1771万羽と過去最多となっていて、卵の価格が上昇するなどの影響が出ました。農林水産省は25日対策本部を開きました。この中で、宮下農林水産大臣は「今シーズンも今後、今回の地域以外でも発生するおそれがある。全国の養鶏業者や関係者には、改めて農場の衛生管理がしっかり行われているか確認していただき、発生予防とまん延防止に万全の対策を行っていただきたい」と述べました。そのうえで、感染が確認された養鶏場でのニワトリの処分の実施や、感染拡大防止のため、養鶏場周辺で消毒を強化し主要道路への消毒ポイントを設けるなどの措置を行い、速やかに対応していく方針を確認しました。政府は25日午後、総理大臣官邸で松野官房長官や宮下農林水産大臣らが出席して関係閣僚会議を開きました。この中で松野官房長官は、岸田総理大臣から、▽関係各省が緊密に連携して徹底した防疫措置を迅速に進めるほか、▽国民に対して正確な情報を迅速に伝えるよう指示があったことを報告しました。また、昨シーズンは世界的に感染が確認され、日本では、およそ1771万羽が処分されたことに触れ、今シーズンも、今後ほかの地域でも発生するおそれがあると指摘しました。そして、「養鶏農家に対する衛生管理の徹底など、発生予防措置について改めて全国の自治体など関係機関にも注意喚起の徹底をお願いするとともに、関係各省が緊密に連携し、政府一丸となって感染拡大防止のため緊張感をもって万全の対応をとってほしい」と述べました。今シーズン初めて養鶏場で鳥インフルエンザが発生したことについて、北海道大学の迫田義博教授は「先月上旬からさまざまな場所で野鳥からウイルスが検出され始めていたので、養鶏場などにウイルスが持ち込まれるリスクが高まっている状態だった」と述べました。また、初めて4シーズン連続の発生となったことについて「ウイルスは渡り鳥を介して拡散するが、ここ数年、ヨーロッパやアメリカ大陸などで世界的な感染拡大が起きている。国内でもこれからも毎年同じことが起きるのではないかと心配している」と話していました。そのうえで、今後の見通しについて「全国的に野鳥からウイルスが検出されているので、来年の春ごろまではどこでも発生しうる。過去最多の処分数となった去年の教訓を生かして、1件でも発生が減るように対応してもらいたい」と警戒を呼びかけました。

(ヒグマの体内から遺体の一部、死亡した大学生と特定:北海道)
警察は24日、北海道福島町・大千軒岳で死んでいたクマの胃の内容物について、DNA鑑定した結果、遺体で見つかった男子大学生(22)のDNAと一致したと発表しました。函館市の北海道大学水産学部の屋名池奏人さん22歳は11月2日、登山をしていた大千軒岳の6合目から60メートルほど離れた川の近くで遺体で発見されました。遺体の周りには土がかぶせられていて、数十メートル離れたところでクマの死骸が見つかりました。屋名池さんは全身が激しく損傷している状態で、司法解剖やDNA鑑定の結果、死因は出血性ショックだったことが判明しています。警察によりますと、クマの胃の内容物から遺体の一部とみられるものが発見され、DNA鑑定の結果、屋名池さんと特定しました。警察は、屋名池さんがクマに襲われて死亡した可能性が極めて高いとしています。クマは10月31日に、30代から40代の消防士の男性3人を襲った個体と同じで、男性らがナイフで首などを切りつけ撃退していました。その後の調査で、このクマは首の刺し傷が致命傷で死んだことがわかっています。

(女性狩猟団体のジビエ施設、公金投入も半年で休業:神奈川)
国の交付金を使い、神奈川県南足柄市の公共施設を女性狩猟団体「ジャパン・ハンター・ガールズ」(同市)が改修し、4月から運営するジビエ処理加工施設が、開設からわずか半年あまりで休業状態となっていることが23日、分かった。工事業者への改修費用の支払いもされず200万円以上の公金と寄付金が消えた形で、団体側と連絡が取れない状態が続いている。関係者は「公金も投じたのに行政が団体側に任せきりだったのが原因」と憤っている。ジビエ施設は「足柄森林公園丸太の森」(同市広町)内の使われていなかった施設(約30平方メートル)に洗浄スペースや加工室を整備。駆除したイノシシやシカなどを解体し、ジビエ肉として加工できる。将来的には食肉流通や地域の「食育」の拠点も目指していた。団体は狩猟免許を持った女性ハンターたちで構成され、2月には市などと協定を結び、指定管理者としてオープン当初から施設を運営した。開設資金約1400万円のうち、約620万円を農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金から捻出し、2021年にクラウドファンディング(CF)で集めた約250万円の寄付も充てられた。市によると、施設は今年10月23日から休業しており、団体代表者とも連絡が取れなくなったという。休業の理由すら聞かされていない市担当者は「工事も終わり、本来ならしっかり運営されているはずなのに。代表者が今どこにいるかさえ分からない」と困惑している。

(ジビエ施設休業、打ち合わせに市議も同席:神奈川)
国の交付金を投じて女性狩猟団体「ジャパン・ハンター・ガールズ」(南足柄市)が開設したジビエ加工処理施設が半年で休業状態になった問題で、団体と市、工事業者との開設準備の打ち合わせに当事者ではない男性市議も同席していたことが24日、分かった。その後、団体から工事費の支払いが滞り、責任者とも連絡がつかない状態となっていることに業者は「市議が同席して事業を応援していると感じ、信用した。公金も使われており、市議も責任を取るべきだ」と批判している。団体は「足柄森林公園丸太の森」(同市広町)内にある市の施設を改修し、4月にジビエ施設として開設した。改修工事費約1400万円には、国の交付金約620万円と寄付金約250万円が充てられる予定だったが、実際に支払われたのは約660万円で、200万円以上の公金と寄付金が消えた形となっている。関係者によると、昨年12月に開設に向けて市と団体、業者の担当者が市役所で打ち合わせをした。その席に市議も団体の関係者として同席したが同席理由は明かされず、席上で市議もほとんど発言しなかったという。市担当者は「工事期限が迫っており、行政や業者との調整役で来たと思った。経験上、こうした打ち合わせに議員がいたのは初めて」と振り返る。業者は「事業を後押ししている議員や市も関わっているから安心」と今年3月に代金未払いのまま、交付金申請に必要と要請された領収書を発行した。

(過去最悪「クマ被害」のいま!:秋田)
今年(2023年)の秋は、全国的に過去最悪のペースでクマ被害が急増中だ。クマのエサとなる木の実が凶作のため、空腹のクマが里に下りてきたことが要因の一つと考えられている。筆者の住む秋田県は元々ツキノワグマが多い地域だが、今年はとくに被害が多発しており、人身被害件数61件69名で、全国1位となっている(11月14日現在)。筆者自身、今のところクマと遭遇していないが、知人からクマとの遭遇体験や被害について聞くことが増えた。本記事では、知人の体験談を3つ紹介したい。筆者の知人は、山のふもとにある公園に行ったとき、獣のうなり声を聞いたそうだ。そこは、普段からたびたびクマが目撃される場所。知人は「クマの声かもしれない」と思ってすぐに車へ戻ったため、遭遇せずにすんだ。クマは本来、臆病な生き物で、人の接近に気づくと唸り声を出して威嚇する。これを無視して近づけば襲われる可能性もあるため、騒がずに建物内や車内など少しでも安全な場所に避難しよう。またクマ鈴やラジオを携行し、人間の存在をアピールしながら行動すると、クマの方が先に逃げてくれる可能性が高まる。別の知人は、仕事帰りに夜道を車で走行中、飛び出してきたクマを避けきれずに衝突してしまったそうだ。知人の車はバンパーが破損し、クマは道端でうずくまっていたという。クマが出たのは、里山の近くではあるが、幹線道路や住宅地にも近い場所だ。車の修理に保険を使おうにも、クマと衝突したことを証明するのは難しい。そこで、ドライブレコーダーの映像を警察と保険会社に証拠として提出したそうだ。野生動物は突然道路に飛び出すことがある。とくにツキノワグマは黒いので、夜道では気づきにくい。万が一のため、車にドライブレコーダーを付けておくことをおすすめする。また、クマの目撃情報がある地域での夜間外出は、なるべく控えたほうがいいだろう。筆者が毎年リンゴを買いに行く果樹園では、収穫間近のリンゴがクマに食べられてしまった。「明日収穫しよう」と予定していたリンゴが毎晩のようにクマに食べられ、収穫量は例年の5分の1ほどになってしまったそうだ。クマは木に登り、高い場所の果実も取ろうとするため、木の枝もかなり折られている。果樹園の管理者は「収穫量が元に戻るまで、5年以上はかかると思う」と悲しそうに話していた。また、リンゴの木に登っているクマの姿も目撃したそうで「怖くてハサミを握りしめていた」とも話しており、筆者もゾッとした。秋田県内では、栗農家が被害にあい、クマと鉢合わせしてケガをする被害も出ている。果物や栗はクマも好んでよく食べる。山に入る際は栗の木やどんぐりの木など、クマが好みそうな実を付ける木になるべく近づかないこともクマ対策の一つだろう。秋田県では、山から離れた市街地でも被害が出ていることから「いつでも・どこでも・誰でもクマに遭遇するリスクがある」として、住民に注意を呼びかけている。秋田市郊外にある筆者の家の近くでもクマのものと思われる糞が見つかり、公園ではクマが目撃された。そのため、近所の小学生はランドセルにクマ鈴を付けて登下校している。また、電車や新幹線がクマと衝突し、遅延することも珍しくない。今年はクマの餌である木の実の凶作に加え、暖冬予想のため、冬眠しないクマが出る可能性があるようだ。山へ出かけるときには、クマの活動域に立ち入ることをまず自覚して、十分なクマ対策をしてほしい。クマ対策や鉢合わせしたときの対応については、環境省のホームページに詳しく記載されている。クマの目撃情報が多い地域に出かける際は、事前に読んでおくことをおすすめする。

(シカが招くブナ林の「負のスパイラル」)
シカが森林の下草を食べつくした結果、土壌が失われ、ブナの成長が鈍る。すると落ち葉が減り、土中の微生物も悪いほうに変化、さらなるブナの衰退を招いていく――。そんな「負のスパイラル」が生じる可能性が、九州南部の山地を対象にした研究で見えてきた。調査した研究者は「影響を最小化する対策が必要」と指摘している。研究対象になったのは、宮崎県椎葉村にある九州大宮崎演習林と、熊本県あさぎり町の白髪岳。九大の片山歩美助教(森林科学)らが10月、岡山大や宮崎大の研究者らとともに2本の論文を発表した。九州南部は、ブナの西限、南限にあたる。演習林がある三方岳では、かつてブナの下にササ(スズタケ)が生い茂っていたが、1980年代からニホンジカによる食害が進み、2003年までに消滅したという。地面があらわになり、ブナの根がむき出しになったり、浮き上がった状態になったりしたところも少なくない。片山さんらは、山頂付近のブナ12本について、各方向の根が露出した高さを測って、土壌が失われた度合いを指標化。幹の太り方から成長の量を、回収した落ち葉から葉の生産量を見積もり、関係を調べた。すると、根が露出しているほど、幹の成長量や葉の生産量が低い傾向がみられた。幹の年輪から時期ごとの成長量を調べると、成長が鈍り始めた時期の平均は97年前後で、シカが増えて下層の植生が失われた時期とよく合っていた。幹の試料の分析からは、水分不足にさらされた可能性もうかがえる。根が露出して細かな根が失われたことで水分を吸収しにくくなり、成長に影響した可能性があるという。話はここで終わらない。

(熊駆除クレーマー続出が意味する、「理想化された自然」と「都市の論理」)
クマの駆除をめぐって賛否両論が巻き起こっています。駆除する側の行政にクレームが殺到するだけではなく、クレームに対する批判も大きくなっています。報道によれば、「殺処分するな」「武器を使うのは卑怯だ」などと感情論が多く、電話口で号泣する人もおり、行政が対応に苦慮しているといいます。クマの被害が多発する東北6県と北海道、新潟県の知事らは、11月13日に環境省を訪れ、クマを「指定管理鳥獣」に指定するよう要望。翌14日には、伊藤信太郎環境相が追加の検討を始めたことを明らかにしました。実は、同種の騒動は、もう20年近く前の話になりますが、2005年に青森で行なわれたサルの駆除でも勃発しています。人への威嚇や人家への侵入が問題になっていたことから、脇野沢村が捕獲した6匹のサルを駆除したのです。その後、村には抗議の電話が2日間で100件以上殺到。「猿を殺すなら村人を殺す」と脅迫めいたものもあったといいます(河北新報/2005年1月27日付)。現地の人々の実態をまったく考慮していない独りよがりな主張、単なる無知といえばそれまでかもしれせん。しかし、なぜ、このような極端な反発が噴き上がるのでしょうか。それは最近の報道で紹介されたクマの駆除に抗議する女性のコメントに如実に表れています。彼女は「みんな野生の生き物って、癒やしてるわけじゃない。クマは怖い汚い恐ろしいというイメージを植え付けられている。悪者じゃないよ、そう思わない?」と言ったのです。これこそが極端な反発の背景にある「理想化された自然」観であり、自然と人間の関係の単純化なのです。例えば、兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授の横山真弓は、野生動物が一線を越えて、人の生活圏に入ってくる原因について、巷で言われている山が開発され、森が荒れたて住みにくくなったなどはごく一部と述べ、三大要因として、(1)野生動物たちの数の増加、(2)人口減少による人間活動の縮小に伴う野生動物の生育環境の拡大、(3)野生動物たちの学習能力の高さを挙げました。横山は、昭和初期から第二次世界大戦にかけて日本の野生動物が絶滅寸前に陥っていたこと、戦後は一転して保護政策が始まったこと、個体数が増加する中で農山村から産業が撤退し、生息地が拡大したことなどを解説し、「自然を破壊する人間」と「住む場所を追われる野生動物」というわたしたちが思い描きがちな神話を否定したのです(同)。実際、クマの駆除を非難する人々は「人間の責任」を口にすることが目立ちます。歴史を振り返ると、前述のサルの被害は、江戸時代から存在しています。当時の旅行記には、鹿やサルが全部食べてしまうので、収穫できず、飢えることがあるなどと書かれており、農業書にはサルの食害対策などが紹介されているほどでした。名古屋大学環境学研究科教授の丸山康司は、それはサルが伝承で神格化されるといった文化的な位置付けや、霊力があるとされて薬用資源として利用されるなど、多様な関係性ありきの共存であったことを強調しています。そもそも多様な関係性が失われ、「害」の面しかない純粋な「害獣」は近代化の産物といえます。「手付かずの自然」という言葉がありますが、とりわけ近代化以降、もはや「手付かずの自然」はどこにもなく、地域ごとの生態系のバランスを保つために人が介入しなければならなくなっています。もちろん、それは人間の都合に過ぎないという言い方もできますが、地域住民の生存が懸かっている場合は介入を避けられません。社会が自然の保護や管理の主体として関わることが必須となるのです。なぜなら、「自然な」野山が幻想に過ぎないのと同じく、「自然な」捕食関係も幻想に過ぎないからです。けれども、まるでエデンの園のような「理想化された自然」観が世間に浸透しています。これは震災研究で知られる物理学者の寺田寅彦の「大自然は慈母であると同時に厳父である」という表現における「慈母の慈愛」しか見ていないことを意味します。クマ駆除の騒動では、ここに都市と地方の二項対立が入り込んでいます。先の抗議した女性は都市部に住んでいることを隠しませんでした。おそらくほとんどのクレームがその地域と何ら接点を持っていないのです。都市において野生動物を殺すことは「野蛮」であるという感覚的なものもありますが、昨今のエコロジーと持続可能性を重視する風潮は、植物を含むすべての生き物を生かすことを求めている節があります。これは、生命全体を平等に取り扱おうとするディープエコロジーに近い立場です。ディープエコロジーは、1973年にノルウェーの哲学者アルネ・ネスが提唱した概念で、すべての生命は人間と同等の価値を持っており、人間が勝手に侵してはならない「生命圏平等主義」(biospherical egalitarianism)という理念を掲げています。ただし、ネスは、人間が生きるために必要な動物の殺生などは否定していません。しかしながら、クマの駆除に怒りや悲しみの声を上げる人々は、より過激なディープエコロジーの信奉者のように、「いかなる理由があっても動物の命を奪ってはならない」という思想に突き動かされているように映ります。クマに襲われた人々の恐ろしい被害状況が報じられていますが、死亡する可能性が高い上、生き残っても交通事故と同程度の衝撃によって、顔や頭部が原形をとどめないほどの重傷を負います。自然は、人間が作り出した概念など素通りします。生態系のゲームに従っているに過ぎません。それは「生存すること」です。進化生物学者のダン・リスキンは、自身がヒフバエに寄生された原体験を振り返り、「自然は熱帯雨林の美しい写真ではない。それは、寄主から寄生者に、餌動物から捕食者に、そして腐りつつある死骸から腐肉食動物に流れるエネルギーをめぐる戦いよって引き起こされる、生と死のドラマ」だと述べました。当たり前ですが、わたしたちも生物であり、自然の一部であるからこそ、寄生されたり、襲撃されたりするのです。こういった諸々の連鎖、緊張関係、そして歴史的な経緯が蔑ろにされると、「かわいそう」「殺すな」という「癒しとしての自然」というファンタジーに乗っかった大合唱が生じるのです。皮肉なことに、野生動物も人間と同じく環境の影響をまぬかれず、その性質や行動パターンが変化を遂げてゆき、従来のイメージを刷新してしまうところがあります。その場合、人間の都合でこしらえた「自然観」は、現実離れした概念でしかありません。 時間を元に戻せない以上、わたしたちは自然に何かしらの形で手を入れるしかありません。自然と人間の二項対立ではなく、相互浸透が不可避な状況とどう付き合っていくかという道しかないのです。それは、一部の地域で始まっている捕食を前提とした狩猟ツーリズムに象徴される「害獣」カテゴリーを超える価値の創出といった「妥協点」を模索し続けるということです。野生動物との多様な関係性を地道に編み直すというリアリズムこそが不可欠になっているのです。

(研究施設で、シカ担当職員死亡:島根)
10月に島根県飯南町の県中山間地域研究センターで発生したシカを飼育する男性職員の死亡事故。シカの角には血が付着し、男性職員の服や長靴には穴が開いており、シカに襲われたとみられる。シカには猛獣のような危険なイメージはないが、痛ましい事故は起こってしまった。安全対策に問題はなかったのか。事故は10月25日に発生。同センターによると、男性は午前中、シカの飼育場に向かい1人で草刈り作業をしていた。昼休みになっても戻らなかったため、午後0時15分ごろに同僚職員が様子を見に行くと、シカを飼育していた柵の中で出血して倒れているのを発見。意識はなく心臓マッサージなどの措置をしたが、搬送先の病院で死亡が確認された。男性はセンターの鳥獣対策科に2003年4月から勤務するベテラン。一方のシカは推定10歳の雄のニホンジカで、体重75キロ、枝分かれした角の長さは47センチ。小鹿だったころの2013年に捕獲され、生態を研究する目的で鉄柵に囲まれた約2000平方メートルの飼育スペースの中で1頭で飼育されていた。シカは柵の中を自由に動くことができた。研究目的の飼育で野生のまま行動を観察する必要があるため、角切りもしていなかった。また、男性は長年同じシカの飼育に携わっていたものの、シカが自然な行動をするように、人に慣れることを避けていたという。安全対策はどうだったのか。柵の中を監視するカメラなどはなく、男性は普段から草刈りを1人で行っていた。また、センターには調査や作業の注意点をまとめた「労働安全対策リスク評価票」があり、それをマニュアルとして活用していたが、今年6月にできたばかり。それまでは明文化したものはなかった。リスク評価票では、シカを含む「動物飼育」の業務については、餌やり時に十分な距離の確保▽餌やり時の長靴、手袋等の着用▽シカの角の攻撃を受けないよう距離の確保(発情期には特に注意)――の3項目を定めていたが、確保すべき具体的な距離などは決めていなかった。一方、シカは本来は臆病な動物だが、繁殖期の秋は気性が荒くなるため、事故があった秋は特に注意していたという。同センターは、事故翌日の同26日に県庁(松江市)で記者会見を開き、これまでシカによる職員のけがなどはなく、男性の業務について「いままで作業は安全にしてもらっていたので、重大なリスクという認識はなかった」と説明した。松尾和巳所長は「事故は痛恨の極み。重く受け止め状況などをよく確認、検討して必要な対策を取っていく」と話した。飼育員が動物に襲われる事故は各地で起きている。動物を飼育する事業者は普段どのようなことに注意を払っているのだろうか。同県安来市で観光牧場「やぎのいえ」を経営し、かつて静岡県の動物園に勤めていた経験もある竹川奈緒さん(28)も、飼育エリア内で作業する時は「動物の性格によっては突っ込んでくる場合もある」と特に注意を払い、つないだり、普段その動物が暮らしている部屋に入れたりしてから作業することもあるという。今回の事故については「野生に近い状態で飼育していたということなので、より縄張り意識などが強かったのかもしれない」と話している。

(クマ捕獲・駆除上限を拡大:秋田)
クマによる人身被害が全国最悪の秋田県は24日、被害を減らすための捕獲・駆除に関し、本年度の上限と定める1582頭にこだわらず認めると決めた。新たな枠は設けないが、関連予算の範囲内で2700頭程度が限度になる見通しだ。県にいる推定個体数は約4400頭。捕獲の大半は、市町村の鳥獣被害対策実施隊員が時期に関係なく人里へ下りてきたクマをわなにかけるなどの有害駆除となる。これとは別に、上限の範囲内で11月~来年2月中旬に狩猟も行われる。狩猟については本年度の枠が100頭と定められており、こちらも200頭に拡大する。

(北海道民が語る「ヒグマと生きる」ということ)
クマによる被害の報道が増えていくなかで、クマを駆除した自治体へ「クマを殺すならおまえも死ね」といったクレームも増えている。だが、クマ出没地域に住む人間からすれば、現実を知ってほしいというのが本音だという。北海道にしか出没しない「ヒグマ」にまつわる体験談をもとに、クマとの共存について考える。北海道に生息するヒグマは、「エゾヒグマ」と呼ばれ、体長1.8~2.3mにも及び、本州に生息する「ツキノワグマ」に比べ、サイズがひと回りも大きい。道内のほぼ全域に生息し、ふだんは木の実や果実を食べるものの、人間や家畜を襲ったという事件も枚挙にいとまがない。今年7月、4年間で66頭もの酪農家の牛を襲い続けた体長2.1mの巨大ヒグマ「OSO18」が駆除されたのは記憶に新しい。また11月には、道南の福島町でヒグマに襲われたとみられる大学生の遺体が発見されるという痛ましい事故も発生している。道内では農畜産業などへの悪影響や人身被害などヒグマによる被害は多方面で確認されており、決して楽観視できる状況ではない。クマの駆除にクレームを入れる人々に対し、クマの被害の実態や恐怖といった現実を理解してもらえていないことに、やるせない気持ちを抱く道民も少なくないだろう。北海道では、被害を防ぐべく、ヒグマへの対策が徹底して練られてきた。たとえば道内でクマが出没した際、テレビやSNSなどで、どの地域のどの場所に出たか、どのような行動をしていたかまで迅速に報道される。道庁所在地で人口200万人都市の札幌市でもヒグマの目撃は相次ぎ、市街地に現れることもある。札幌市在住の医療従事者・Aさん(20代女性)は、ヒグマの恐怖と隣り合わせの生活をこう語る。「クマが出没したという話はよく聞きます。自宅は山のふもとの住宅街にあるのですが、人通りの多い商店街まで徒歩10分ぐらいなので、そこまで田舎な場所ではありません。私はまだ直接遭遇したことはありませんが、最近は夜が怖くてうかつに出歩けないですね」。「特に最近はよく出没する」と口にする札幌市民は多い。札幌市在住で通信会社に勤めるBさん(20代男性)によれば、クマのせいで事故を引き起こすこともあるそうだ。「車でヒグマとぶつかって、泣く泣く廃車せざるを得なくなった知り合いもいました。キタキツネやエゾタヌキの事故は、小さな傷がついたりヘコんだりするぐらいですが、クマとなると車体へのダメージはすさまじく、車のほうがひとたまりもありません。ちなみにエゾシカとぶつかって同様の被害が出ることもありますね」。札幌市では公式LINEで「ヒグマ出没情報」を配信しており、受信を希望する地域を選択することで、即座にクマ情報を受け取ることができる。そして、学校教育でもクマ対策を呼び掛けている。たとえば小学校の学区内でヒグマが出没した際には、集団下校を行う、保護者による引き取りなどの対応をとり、児童、生徒の安全を確保する。授業でもヒグマの生態や遭遇時の対応、クマ被害の歴史などについて教えられるため、幼いころから道民の間では、“クマは恐しい存在である”という認識が教え込まれているのだ。道東に位置し、世界自然遺産に登録された知床半島は、高い密度でヒグマが生息している地域だ。ヒグマを観察できる観光船でのツアーが人気で、ヒグマ見たさにたくさんの観光客が足を運ぶ。環境保全のため、一部エリアは立入禁止になっているが、一般車両でも通行できるところも存在する。したがって、至近距離でヒグマと遭遇する可能性もあるのだ。北海道札幌市在住でドライブが趣味というCさん(20代男性)は、今年7月に知床でヒグマと遭遇したという。「森に囲まれた道路を車で進んでいると、突然前を走っていた車両数台が止まってしまって。で、対向車線側の路肩を見てみると、ヒグマがいたんです。体長は1.8~2.0mで、ずんぐりと身体も肥えていてデカい。クマまでたった20mぐらいと至近距離だったので、さすがにびっくりしました。クマは動くものを追う習性があるので、動くに動けなかったです。クマのほうはこちらに怯えた様子はなく、しばらく見つめてきた後、茂みの中に帰っていきましたね。おそらくですが、知床は観光客も多くてクマも人慣れしているでしょうから、パニックにならなかったんだと思います。何もされなくてひと安心でしたが、ヒグマのほうから『見るのはいいけどこっちに手は出すなよ』という圧は感じましたね」。Cさん提供の動画では、特に人間を気にしておらず、リラックスしているような様子がうかがえる。知床半島付近では観光客も多いので、クマにとってそれだけ人間が身近な存在になっているのだろうかし一方、道南の日高町に住んでいた公務員のDさん(50代男性)が遭遇したヒグマは、また様子が異なっていたそうだ。「仕事で登山した際、登山道の途中で子どものヒグマに遭遇したのですが、こちらを見るなり、慌てて逃げていきました。日高町もクマの目撃は多く、私自身も3、4回ほど見かけましたが、そのほとんどが人慣れしていません。町東部には北海道を二分する日高山脈がそびえたっており、クマもほとんどそこに生息しています。もともとヒグマは臆病な動物なので、人と遭遇する機会が少ない個体であれば、ビビッて森の中に戻ってしまうんですよ。余談ですが、子グマの近くには、必ず母グマがいると言われています。なので、自分とクマの距離が少しでもズレていれば、どうなっていたかはわかりません……」。ヒグマは臆病な生き物なので、へたに刺激しなければ人間を積極的に攻撃してくることはほぼないという。とはいえ、前述したとおり、ヒグマが人を襲った事例もあるため、安全を守るために仕方なく駆除しているのだ。「クマ駆除はやむなし」というコンセンサスは、道民全体で当たり前になっているという。クマへの強い意識と知識を持っている道民からすれば、「クマがかわいそう」と訴える道民以外の人々の意見は、悲しく複雑な心境になるそうだ。結果として駆除せざるをえないケースはあるが、自治体も好きこのんでヒグマを駆除しているワケではない。北海道では、出没したクマの特徴や場所をもとに有害性を段階的に判断し、捕獲するか駆除するかを決定しているのだ。たとえ市街地に現れたクマでも駆除しないことがあるのは、知っておいてもらいたい事実である。そして札幌市では、「人は街で、ヒグマは森で。~すみ分けによる安全・安心な暮らしを目指して~」というビジョンを掲げている。ヒグマの生息域と人の生活圏を分けようと対策を練り、共存を目指そうとしているのだ。クマの被害規模が大きいこと、そして、むやみやたらに殺しているワケではないこと。せめてこの事実を知ってもらうだけで、“駆除は悪である”という見方は変わってくるのではないだろうか。クマに関する正しい知識を身につけることで、クマ出没地域へのヘイトがつのらないことを願うばかりだ。

(専門家「諦めきれずに寝ないクマも」:新潟)
新潟県内で相次ぐクマによる人身被害。長岡市ではクマの被害を未然に防ごうと、クマの多発地域で果樹やヤブなどの点検が行われた。一方で、専門家はエサ不足によるクマ出没の長期化を懸念している。新潟県内で相次ぐクマの出没。新潟県が10月、クマ出没特別警報を発表し、警戒を呼びかけたが、11月6日には新発田市で40代の男性がクマに顔と背中を引っかかれ、重傷を負うなど事態は深刻だ。そんな中、柿の木にはクマの鋭い爪の痕が残るなど、クマの痕跡が見られる長岡市栃尾地域で集落緊急点検が行われた。この点検は、クマの出没が相次ぐ地域の状況を把握して、今後の被害防止に役立てようと、長岡市が実施したもので、栃尾地区の2つの集落で見回りが行われた。集落を歩くと、民家の菜園にクマの足跡が。クマは夜中に現れたとみられていて、当時、防犯用のライトが点滅したという。庭の所有者は「防犯用の電気がパッとついて…嫌だ」と語る。この女性はクマを恐れ、深夜早朝の外出を避けているという。11月8日までに新潟県内ではクマの目撃・被害件数は合わせて1130件報告されていて、長岡市栃尾地域では10月末までに62件に上っている。長岡市農林水産部の佐々木秀俊課長は「柿の実がなりっぱなしという部分がある。早めの収穫処分をしていただきたい」と注意を促す。佐々木課長も話す、注意点の一つが「果樹」。2023年はクマのエサとなる木の実が凶作で、県をはじめ、行政はクマのエサとなる柿の実などを処分してほしいと呼びかけているが、地権者の同意がないと果樹の処分ができないため、地域も苦慮している。放置された柿の木には、クマが頻繁に現れた形跡があった。クマが柿の木の枝を集めて作る「クマ棚」と呼ばれる足場も。地元の区長は「すでにクマの縄張りになっているのではないか」と今後の出没を懸念する。また、北荷頃集落では、耕作放棄地の増加でクマが身をひそめられるヤブが広がり、行動範囲がさらに広がる恐れもあるという。佐々木課長は「対策としては柿の木の伐採。ヤブ払いへ協力していただきたい。市の補助金を使いながら、ぜひ一緒に対応していければ」と話す。長岡市は果樹の伐採やヤブの整備に補助金を出し、地域ぐるみの対策を呼びかけているが、区長は「長岡市の方に申請しているのだが、そういう制度を今後もっと拡充していただければありがたい」と要望する。というのも、北荷頃集落では3年前から柿の木の伐採に補助金を利用しているが、補助額は1つの地区につき、年間5万円と決まっているため、整備が進まないのが現状だ。さらに、ことしは心配な点もある。クマは本来、11月下旬ごろには冬眠に入るはずだが、長岡技術科学大学の山本麻希准教授は「エサがない時は、ずっとエサを探して寝ない」とクマの出没の長期化を懸念する。加えて、この長期化に気象状況も影響を及ぼすと指摘する。「なかなか雪が降らないと、いつまでも諦めきれずに寝ないクマが出ることもある。ことしは暖冬・少雪と言われているので、最初の雪がドンと降るまでは、しばらくクマの出没は警戒したほうがいいと思う」まだまだ緩めることができないクマへの警戒。さらなる被害を予防するため、地域と行政が一体となった対策が必要といえそうだ。

(人を恐れない「アーバンベア」に怯えるしかない人類)
全国でクマによる人身被害が深刻化している。クマは冬眠する11月下旬頃にかけて出没するケースが多く、8月から農地や住宅地などでの被害が急増。一部地域では小学校近くに出没するなど人間の生活圏を脅かし、人身被害は国が統計を取り始めた2006年度以降で過去最悪となった。危機感を強める自治体は住宅周辺での猟銃使用基準の明確化を国に要請するが、クマの捕獲や駆除には「かわいそう」「殺す必要まではないだろう」といったクレームも寄せられている。エサが凶作である今季は冬眠入りが遅れるとの専門家の見方もある中、国や自治体に打つ手はないのか―。経済アナリストの佐藤健太氏が解説するーー。「クマ類の出没抑制対策の財源確保や、法に基づく有害捕獲の制度改革の必要性、国民の理解促進について要望します」。北海道東北地方知事会は11月13日、捕獲や駆除にかかる財政的支援を要請するとともに、猟銃使用基準の明確化などを国に求めた。緊急要望の背景には、クマの人身被害が過去最多という恐怖に向き合っているものの、クマの駆除には多くの苦情が寄せられていることがある。被害が最も多い秋田県は「数を関係なく、今のところやっても良い。猟期になったら見つけたらすぐやる」(佐竹敬久知事)と積極的に狩猟する方針を打ち出し、すでに2023年度は1000頭以上を捕獲した。猟友会が使う猟銃の弾丸費用や運搬費用などの経済的支援も行い、被害の拡大防止策を強化していく構えを見せる。悩ましいのは、クマの駆除に対する苦情が殺到している点だ。佐竹知事は「電話は乱暴なんですよ。ほとんど『ワー!』でしょ。これに付き合っていると仕事ができないので業務妨害」と説明。2番目に被害が多い岩手県の達増拓也知事も「クマを撃つのはかわいそうという電話が自治体に殺到することがあり、必要な場合には撃つものだと国民に周知して欲しい」と政府に要請した。自治体に相次ぐ「クマがかわいそう」「駆除する以外に方法を考えろ」といった苦情は、地元からではなく他の住民から寄せられるケースが目立ち、抗議によっては威力業務妨害に当たる可能性もあるという。大量クレーム問題には「野生生物と社会」学会が11月12日、緊急声明で「クマ類は人との軋轢も大きく、付き合い方を間違えれば人命を奪うこともあり、一定数の捕獲は欠かせません。クマ類との共存のためには、人の生活圏に侵入した個体や再出没が懸念される個体は捕獲すること、さらには、人の生活圏には侵入させない対策は必要不可欠です」と指摘。その上で「愛護だけでは、地域社会のみならずクマ類の個体群をも守ることができません」「関係者への配慮の無い電話や執拗なクレームは、関係者の努力をくじき、かえってクマとの共存を妨げる結果を招きます」と説明している。そもそも日本にはヒグマとツキノワグマの2種類が生息し、ヒグマは北海道、ツキノワグマは本州や四国に分布している。ただ、近年は生息環境としての森林の変化やエサ不足などを引き金に生息域の拡大がみられ、田畑に放棄された生ゴミや柿、栗などが誘引物となって人里に出没するケースが後を絶たない。今年4~9月の出没件数は1万2699件に達し、昨年1年間の1万1135件をすでに上回った。10月末時点でクマの被害に遭った人は18道府県で180人に上り、人間を恐れず市街地に侵入する「アーバンベア」が地元住民に恐怖を与えているのだ。では、クマと「共存」する方法はあり得るのか。その手法の1つとされてきたのは「ゾーニング管理」だ。森林などクマの保護を優先すべき区域と、農地や住宅地周辺など人間の生活空間を守る区域に分け、その間に「ベアドッグ」と呼ばれる犬や銃器を用いた追い払いを行う緩衝地帯を設定。人とクマの適切な距離を確保し、人や農林業の被害を防ぐ手法と言える。ゾーニングで人とクマのすみ分けを目指す長野県軽井沢町では、捕獲したクマに発信器をつけて行動を調査し、電波情報をもとにベアドッグが追い払いを繰り返してきた。人間の生活空間での人身被害はなくなり、20年以上もかけた地道な活動が功を奏している形と言える。ただ、ゾーニング管理は長い時間と費用が欠かせず、出没が多い年だからといって急遽できるものではない。クマを侵入させないために柿などの誘引物を管理するにしても、伐採や刈り払い、フェンス設置などの費用をどこから賄うのかは課題と言える。野生鳥獣による農作物被害は2021年度に約155億円となっている。クマによる被害は飼料作物や果樹、野菜などが多く、これまでの対策は金網フェンスなどの侵入防止柵設置が多かった。電気柵は強い電気ショックを与えるが、ワイヤーに触れさせなければならず、適切な設置と維持管理ができなければ侵入防止効果は得られない。クマとのすみ分けで注目されることになったのがAI(人工知能)の活用だ。AIによる解析サービスを展開する「ZeroToInfinity」(ZTI、東京・新宿)と「カミエンス・テクノロジー」(東京・人形町)は2022年5月、AIを活用したクマ対策に乗り出した。群馬県嬬恋村の農家は例年、鳥獣による約1億円もの被害に悩まされ、電気柵を設置しても効果は限定的だった。そこで両社が共同開発したのは、クマが「嫌がり、監視する」もの。畑にAIセンサーを設置し、クマが接近すると検知するとともに忌避効果がある光や音を発信。登録先にどのようなクマが侵入したのかリアルタイムで通知する。ZTIの佐川亜希CEOは「設置期間中に複数のクマが周辺に近づいたことはあったが、この年の被害は確認されなかった」と語る。同社は秋田県北秋田市と連携し、クマの行動をディープラーニング(深層学習)させて検知率を上げており、鳥獣対策の依頼が殺到しているという。クマは植物を中心とした雑食性で、ブナ科の果実などを好む。地域によって引き金は異なるものの、好物の不作があれば代替となる食物を求めて人間の生活空間に出没するケースが多い。高齢化の進展で狩猟するハンターは減り、耕作放棄地が増える中、出没しやすくなったクマの生息範囲は広がっている。人の存在を恐れない「アーバンベア」にとっては柿や栗、リンゴといった果実に加え、家畜飼料や残飯は「ごちそう」に映るのだろう。クマによる被害は冬眠に入る時期にかけて相次いでおり、これ以上の犠牲者を出さないためにも国や自治体による新たな対策が求められている。

(「アーバン・ベア」だけじゃない!「ボア」が繁華街近くに)
今年、全国でクマによる人身被害が過去最悪ペースで発生し、大きなニュースになっている。だが、人に害を及ぼす動物はクマだけではない。イノシシによる人身被害も各地で起きている。農作物への被害に着目すればクマより深刻だ。町に現れるクマ「アーバン・ベア」ならぬ「アーバン・ボア(英語でイノシシ)」も。背景に何があるのか。そして、なすべき対策は。「家の中では全然気付かなくて、後で自宅の近くを通っていたのを知った。こんな都会に出るなんて」。22日午後、バスや乗用車が行き交う千葉市中央区の千葉駅西口ロータリーで、近くに住む70代の女性が驚きを交えて振り返った。駅付近ではマンションの建設が進み、県庁や市役所もある文字どおり政令市の中心部にイノシシが出たのは、10月25日未明だった。千葉県警千葉中央署によると、イノシシ目撃による通報は午前0時15分ごろから午前1時10分に十数件相次いだ。最初の通報地点は中央区中央2で、千葉都市モノレールの「葭川(よしかわ)公園駅」や繁華街「富士見本通り」からも近い。その後、通報地点は西へと移動。同0時半ごろには同区新宿2の市立新宿小学校近くであり、同区登戸2の国道14号付近でタクシーと衝突。駆け付けた警察官が千葉駅西口ロータリーで目撃した。夜が明けると、千葉港付近の海を泳いでいるのが見つかり、同9時ごろ、警察官が陸上でイノシシを取り押さえ、猟友会に引き渡した。捕獲されたのは体長104センチの雌。通行人の男性1人と警察官2人がかまれて軽傷を負った。市によると、同市緑区内の山林で処分された。同市内では近年、イノシシの目撃や捕獲件数が急増。2017年度に12頭だった捕獲件数は、昨年度145頭まで増えた。「これまで目撃情報は近隣市と接する緑区や若葉区に集中しており、中央区というのは例がない」と話すのは市環境保全課の木下英明課長。今回のイノシシがどこから来たのかは「不明」という。多くの地元住民にとっては予想外の出来事だったようだ。千葉駅前にいた派遣社員の女性(54)は22日、「こちら特報部」の取材で初めて、イノシシの出没を知ったという。「本当ですか。イノシシなんて人ごとだと思っていた」と、いまだ半信半疑だった。実際には今年、市街地でのイノシシ被害が全国で続発している。広島県福山市では、9月28日と11月1、8日に市街地や工業団地でイノシシの出没が相次いだ。いずれも住民らがかまれてけがをする被害が出ており、市が注意を呼びかけている。20年度まではイノシシの目撃情報がほとんどなかったという福山市。21年度は4件確認され、昨年度は1件、本年度は既に3件に上る。「9月はJR福山駅近くの繁華街。11月は小学校の近くや工場の敷地内で市民と遭遇した。パニックになったのか、3頭とも車にはねられた形跡があった」と同市農林水産課の渡辺光広担当課長が話す。首都・東京も例外ではない。都内では多摩地区の丘陵地を中心にイノシシが生息しているとみられるが、近年は国分寺市や国立市、立川市など市街地で出没が確認されている。23区内での目撃例は少ないものの、19年12月には足立区の荒川河川敷で相次いでイノシシが目撃された。イノシシによる被害増加を受け、環境省が全国の人身被害の統計を取り始めたのは2016年度。同年度から2年間、都道府県別の件数で唯一、2桁(14件、15件)を記録し、トップだったのが兵庫県だ。中でも神戸市の六甲山麓で被害が多発していた。麓近くまで民家が立っていることに加え、餌づけが問題になっていた。神戸市は02年、市内の一部地域でイノシシへの餌づけを禁止する全国初の条例を制定していた。それでも餌づけや被害がなくならず、14年には罰則を強化し、指導、勧告に従わない場合は氏名を公表するようにした。条例の効果もあってか、18年度以降は市内の人身被害は1桁で推移している。市の担当者は「餌づけをしないことに加え、イノシシが食べないようにごみを出す日時など住民にマナーを守ってもらうよう徹底したことも大きい」と話す。しかし、全国的な被害は減っていない。環境省によると、イノシシによる人身被害は昨年度、81人に上り、統計を取り始めてから最多となった。亡くなった人も1人いた。本年度も既に21人が被害に遭っている。農作物の被害も少なくない。農林水産省によると、21年度の野生鳥獣による被害は約155億円。うちイノシシによる被害は約39億円で、シカに次いで2番目に多かった。一方で、捕獲増もあり推定頭数は一時期より減っている。環境省によると、昨年度の捕獲頭数は速報値で約59万頭。14年度以降は50万頭以上捕獲している。推定頭数の中央値は10年度の145万頭から、21年度は72万頭まで減っている。頭数が減っているのに、なぜ被害は増えるのか。兵庫県森林動物研究センター業務部の広瀬泰徳副部長は農作物の被害が減らない理由を「イノシシは実を食べる傾向があり、被害の単価が高い。1頭いると被害が大きくなる」と言う。人に危害を加えるのは市街地に出てくる個体だ。広瀬氏によれば、イノシシは警戒心が強いが、一方で学習能力も高いため、「人は怖くない」と認識すると、市街地に出没を繰り返したり、餌づけをできたりするのだという。「一度覚えると行動がエスカレートする。餌づけやごみ出しに気を付けるのはもちろん、農作物を食べられないようにしないと、地域で飼っていることになってしまう」。生息域の広がりが被害拡大につながっていると主張するのは、宇都宮大の小寺祐二准教授(野生動物管理学)だ。「欧州では既に10年ほど前からアーバン・ボアが問題となっている。日本でも今のうちに対策をしなければ、大変なことになる」と警鐘を鳴らす。クマの出没が増えているのと同じで、里山が荒廃し、イノシシがすみやすい森林域が住宅街の近くまで広がったことが背景にある。さらに、小寺氏は「イノシシは泳げ、どんな川でも渡れると考えていい。首都圏の出没場所の近くには山などの緑がある。緑地や河原をつたって移動している」とみる。その上で「これまで確認された場所を考えれば、横浜市の中心部や東京23区内にいつ現れても不思議ではない」と指摘する。里山を整備して近寄らないようにするにしても、そうした地域は人口減、高齢化の問題を抱える。全国的に里山の管理を続けるのは現実的ではないとして、小寺氏はこう提言する。「餌づけは論外だが、農地近くは草を刈り、柵を設けることで近づけないようにする。都市部に入り込ませないようにするためには、移動経路を分断するため、ポイントを絞って樹木を伐採するなどの対策をとるべきだ」。「かわいそう」「殺すな」と、クマを捕獲した自治体に殺到する苦情・要望の電話が社会問題化している。イノシシを捕獲後、千葉市への電話は2件だった。クマと比べて少ないのは「かわいらしさ」のイメージの違いだろう。野生動物に対する現代人の勝手な距離感が浮かんでくる。

(クマ冬眠するまで12月いっぱい警戒を:富山)
県内でクマによる人への被害が相次ぐ中、県は「ツキノワグマ出没警報」を出して、クマが冬眠するまで、12月いっぱいは警戒するよう呼びかけています。県によりますと、ことしはブナなどが不作となり、クマが食べ物を求めて市街地などに出没するケースが相次いでいて、10月から22日夕方までの出没情報は412件と、去年の同じ時期の15倍余りに上っています。また11月16日には、富山市で柿の木を伐採していた男性2人がクマに襲われて大けがをするなど、ことしの人的被害は9人で、このうち70代の女性1人が死亡しました。こうした事態を受けて、県はことし5回目の「ツキノワグマ出没警報」を出し、クマが頻繁に出没している地域で出没情報がある場合は、不要不急の外出や、柿などクマを引き寄せる誘引物の除去など、屋外の作業は控えてほしいということです。ただそのほかの場合は、引き続き柿の実の収穫や木の伐採などの対策を進めてほしいとしています。そして、もしクマに遭遇したら、クマを刺激しないようゆっくり距離をとり、建物や車の中に避難するほか、間にあわない場合は、クマは顔や頭を攻撃することが多いため、両腕で顔や頭を覆うなど被害の軽減に努めるよう呼びかけています。県は、目撃や痕跡の情報をホームページ上の地図「クマっぷ」で公開していて、クマが冬眠するまで12月いっぱいは警戒してほしいとしています。

(クマによる傷、顔面は9割)
ツキノワグマに襲われ、救命救急センターで治療を受けた人のおよそ9割が顔面にケガを負っていることが、朝日新聞の集計でわかった。治療に携わる医師はクマによる外傷について、「ナイフよりも鈍器に近い性質で、組織をえぐりとる」と話す。眼球摘出に至るケースもあり、命が助かっても顔に傷や後遺症が残るリスクがあるという。今年は全国でクマによる被害が相次いでいる。環境省が今月1日に公表したクマの人的被害状況(速報値)によると、今年は10月末までに全国で180人が被害にあった。記録の残る2006年以降で過去最多となっている。180人のうち5人が亡くなっているが、このうち4人はツキノワグマによる被害だった。被害の増加には、クマのエサになるブナなどのドングリが不作であることや、クマの生息域が広がっていることなどが要因にあるとみられている。日本には北海道のみに生息するヒグマと、本州や四国にすむツキノワグマの2種類のクマがいる。ヒグマに比べ小さいツキノワグマでも、大人になれば体重は100キロを超える。クマは人を襲うとき執拗(しつよう)に顔を狙う習性があると言われている。朝日新聞はクマ外傷について報告し、誰もが読めるオープンアクセスとなっている11年以降の論文について調査。顔面の受傷にしぼって取り上げた論文や、患者の抽出範囲が明確ではない論文などを除き、岩手医科大と高山赤十字病院(岐阜)の2本の論文を用いて集計した。

(「問題グマ」予防を、対策は「柿もぐこと」:兵庫)
北海道、本州でクマの出没が相次ぎ、襲われて命を落とす人も出ており、クマに全国的な注目が集まっている。報道で敏感になった市民から「この足跡は、クマじゃないか」との通報が兵庫県丹波市にも寄せられ、担当者が現地確認に追われている。一方、同市内の出没数は、令和になった過去5年で最少ペース。世間の喧騒と市の実状はかけ離れている。クマの生態に詳しい専門家によると、県が10年以上前から取り組んできた個体数管理の効果で兵庫県では今のところ、問題個体は減っている。出没数も少ない丹波市民が今すべきことは、なり年で鈴なりになったまま放置されている「不要柿をもぐこと」と指摘する。誘引され、柿に固執するクマを生まないため、将来、里で餌をあさる「問題グマ」となるのを予防するためだ。その柿が、問題グマをつくる―。市によると、今年度(11月15日時点)の出没数は30件。毎年1―3月の出没はほぼゼロ。今年度は実質、残り1カ月半だ。昨年度は62件だった。10月は3件だったが、11月は6件と増えている。山の食べ物を食べ尽くし、これから柿を求めて里に降りて来ることが懸念される。同市青垣町にある兵庫県森林動物研究センターは今秋、ドングリの実りが悪く、人里周辺でクマの出没が増える恐れがあると警戒を呼びかけていたが、なぜ出没が少ないのか。クマの生態に詳しい同センター研究部長で、兵庫県立大教授の横山真弓さんは、「10年ほど前に議論を重ね、他県より早く個体数管理に取り組んだのが効いている」と説明する。推定生息数1群800頭を目安に、増えた分は捕獲、減れば捕獲上限数を下げる。県内生息数は600―800頭とみられる。府県境を越えて動いており、県は県内の個体を東西2群に分け、管理している。17年度に生息数が「絶滅の危機が解消されるまでに増加した」と判断し、保護政策から個体管理政策へ転換。個体数を一定に保っていることで、ドングリが凶作でもヤマブドウやアケビなど山にあるさまざまな物で十分餌を得られているとみる。また、人里で餌をあさる「問題グマ」に加え、「ゾーニング管理」という考え方で、人里から200メートル付近にすむ「問題グマ予備軍」を捕獲し、人里に近づくクマを18―20年度に政策的に減らした効果が出ているとする。環境省のクマ駆除頭数調べによると、県は19年度の120頭がピーク。今年度は9月末で21頭。岩手県は21年度の453頭がピーク。秋田県は、今月13日で捕獲数が1730頭に達した。同県は、県内生息数を4400頭(中央値、20年4月)と推定している。晩秋に山の食べ物が底を尽くと、里の食べ物が狙われる。横山さんは、新たな「問題グマ」「問題グマ予備軍」を生まないために、放置柿をもぐことの大切さを説く。「県ツキノワグマ管理計画」によると、2018年度から5年間の県内出没情報3035件のうち、柿が誘引原因の84%を占めた。それまで見向きもしなかった渋柿も、初冬には渋が抜けて甘くなり、狙われる。クマは一日中、餌を求めて歩いており、山頂と里を楽々と行き来する脚力がある。里に現れ、柿の位置を覚えて帰る。山の実りがなくなると、里にたくさんあり、楽して栄養が取れる柿に執着し、柿の近くに居着く「問題グマ」になる。横山さんは「人が無意識のうちに、餌付けしてしまっている」と言う。「問題グマ」を適切に駆除しても放置柿を除去しない限り、別のクマが現れ、次の「問題グマ」が生まれる。負のループが続き、被害はなくならない。里でクマと出合うと、偶発的な事故が起こり得る。災いの種を取り除くため、横山さんは、クマへの注目度が高まっている今こそ、「里に近づけない努力=柿をもぐ、もしくは木を切る」に、真剣に取り組んでもらいたいと願っている。「里まで来たのに食べる物がなければ、あきらめて山へ帰る。『里に来るだけ無駄』と学習させる」。クマはより効率的に柿を食べられる場所を探している。柿の密度が低ければ、後回しになる。自分の所の柿をもぐだけで「クマに好かれない、クマに魅力のない集落」に近づく。

(クマ出没が県内で10月に異例の増加:群馬)
群馬県は22日、県内の人里におけるクマの出没が10月は128件になり、9月の70件から大幅に増加したと発表した。出没件数は例年、8月をピークに減少していくが、10月に増加するのは異例。県は「冬が間近な時期ならクマは減ると考えずに、警戒を続けてほしい」と呼びかけている。県の集計によると、本年度の出没件数は6月が119件、7月が95件、8月が69件。9月のほぼ横ばいから10月に増加するのは前例がないという。昨年度は8月の119件をピークに、9月が53件、10月が12件だった。10月の地区別の出没件数は利根沼田が71件で最多。吾妻が28件、甘楽富岡が12件で続く。11月も一部自治体から「10月とあまり変わらない」との報告があるという。エサのドングリの不作が一因で、クマは寒くなると、冬眠に向けてエネルギーを蓄えるため活動を抑える傾向にあるが、11月に前橋市で気温25度を上回る夏日を観測するなど、高い気温が続いたことが影響した可能性もある。県自然環境課は「例年と異なる傾向に危機感を持ってほしい」といい、自治体のクマ出没情報に注意し、活動が活発になる早朝や夕方の外出を控え、人里でも鈴などを携帯することを勧める。

(興福院でアライグマ被害、修理費の支援募る:奈良)
奈良市法蓮町の興福院(こんぶいん)で、国の重要文化財に指定されている客殿(江戸時代)の檜皮(ひわだ)屋根に穴が開くなど、アライグマによる被害が出ている。修理費に充てるため、同寺はこれまで非公開としていた茶室をきょう24日から26日まで初めて一般に公開する。同時に本殿(県指定文化財、江戸時代)と客殿も公開する。

(クマ出没注意:埼玉)
クマの目撃件数が県内でも増えている。2023年度は21日現在で104件で、07年度以降、最も多い。大野元裕知事は同日の記者会見で「市町村と連携しクマの被害防止に努める。県民には十分気を付けていただきたい」と呼びかけた。23年度は秩父地域の6市町村が91件と最多。ほか13件も秩父地域と接する飯能市、小川町などの山間部だった。

(クマ厳戒、続けて!:福島)
今年、東北地方や北海道など各地でクマによる人的被害が後を絶たない。やがて彼らが冬眠すれば惨事も収まるはず――と思ったら、眠らないクマがいるらしい。どういうことか。識者に尋ねた。まず話を聞いたのは、森林総合研究所四国支所(高知市)の支所長、岡輝樹さんだ。岩手県でクマの生態について調査研究を手がけた経験がある。岡さんによると、秋口にたくさん栄養を取り、十分に体を太らせた上で、木のうろや土の中に潜って春まで過ごす。これが一般に知られるクマの冬眠だ。

(アメリカの事例から「クマとの共生」学ぶ研修会:宮城)
全国各地で連日クマの目撃が相次ぐなか、宮城・川崎町ではアメリカの事例からクマとの共生を学ぶ研修会が開かれた。23日川崎町で開かれた研修会には、全国から猟友会や山岳ガイドらおよそ20人が参加した。研修では、アメリカ・アイダホ州で35年間クマの生態を調査してきたグレッグ・ロシンスキーさんが、講師を務め、アメリカでのクマ対策を紹介した。グレッグさんによると、クマは人間の2000倍もの嗅覚を持っているという。アメリカでも、クマがゴミ集積場の残飯などのにおいを嗅ぎ分け人里に出没することから、ゴミ集積場に侵入できないようにする対策などが紹介された。また、嗅覚に優れるクマの撃退について、アメリカではクマよけ用のスプレーが最も効果的とされていると指摘した。クマの専門家・グレッグ・ロシンスキーさん「クマと共生していくために、クマのことを学ぶ必要がある」。今年、宮城県内では山でドングリなどが不作で、冬眠前のクマがエサを求めて里山に出没する姿が連日、目撃されている。グレッグさんは、駆除する前にクマの生態を理解し人里に近づかせない対策をとることで、共生を目指すべきと指摘した。

(「ペーパーハンター」化を防げ)
若い世代を中心とする狩猟への関心の高まりから免許取得者が増加する一方、実際には狩猟をしていない「ペーパーハンター」も増える傾向にある。クマをはじめ深刻化する鳥獣被害対策として捕獲者の確保が課題となる中、企業などで経験の浅いハンターらに機会を与える仕組みづくりが進んでいる。環境省によると、2019年の狩猟免許保持者は計約21万5000人と、10年間で約3万人増加。30代以下は09年の2倍を超える約3万人に上った。ただ、狩猟に必要な登録をしている人はここ数年6割程度にとどまり、活動をしていない人も多い。鳥獣による農作物被害に加え、今年はクマが人を襲うケースも相次ぐ。狩猟管理学が専門の伊吾田宏正酪農学園大准教授は「狩猟者の母数は増えているが、クマなどの捕獲には一定の技術がいるため若手ハンターの質を向上させることが必要だ」と指摘する。こうした状況を受け、小田急電鉄は22年、農作物被害に悩む農家と若手ハンターをつなぐ事業を開始。会員になると狩猟に必要な道具を借りることができるほか、地元猟師らから指導を受けながら、わなを設置するなどの経験を積める。同社によると、今月14日時点で約270人が入会した。発案者の有田一貴さん(31)は「若い人に狩猟に関心を持ってもらうことで、裾野が広がればいい」と力を込めた。販路拡大への取り組みも進む。北海道上士幌町のスタートアップ企業「Fant(ファント)」は、ハンターと飲食店をマッチングするアプリを開発した。飲食店が客に提供したい野生鳥獣を入力すると、ハンターが狩猟する仕組みで、現在約1700人、約150店舗が登録している。同社は今年、農家がアプリ上でハンターに直接捕獲を依頼できるシステムも開発。9月には札幌市内で実証実験を行い、今後は他の自治体での活用も予定している。高野沙月代表は「若いハンターの悩みをデジタルトランスフォーメーション(DX)の力で解決したい」と意気込んだ。

(模擬体験でハンターの役割学ぶ:青森)
青森県猟友会横浜支部(三浦勇三支部長)は19日、横浜町のふれあいセンターで「バーチャル射撃体験」を開いた。参加者は、狩猟期に入ったハンターの活動や野生動物の生態を学ぶとともに、プロジェクターとスクリーン、模擬の鉄砲を使ったクレー射撃を室内で体験した。有害鳥獣を駆除するハンターの減少は全国的な課題。会員9人の同支部では、狩猟への関心を持ってもらい、クレー射撃の競技人口も増やす目的で、毎年一般参加者を対象に催しを開催してきた。この日は町内と十和田市から2人が参加。英国から入手したクレー射撃のシミュレーターを用意し、同支部員でハンター歴12年の会社員藤野晋三さん(39)が指導役を務めた。参加者は、スクリーンに映し出された標的の円盤を実物とほぼ同じ大きさの模擬鉄砲で撃ち、散弾の飛び方、的の狙い方といったノウハウを体験していた。また藤野さんは講義で、ツキノワグマ、イノシシ、など野生動物の被害を防ぐためには行政とハンター、生産者の連携が大切なことを強調した。十和田市から参加した会社員角田聡さん(52)は「クマが里に下りるようになって、被害防止を人任せにできないと感じている。ハンターの役割の重要さが分かった」と話した。

(クレー射撃体験会を開催します:東京)
成田射撃場にて、まだ所持許可取得していない東京都民の方を対象にクレー射撃を見学(当会役員による解説付き)していただき、シミュレーターによる射撃体験を行います。参加対象者:東京都民・年齢は問いません。現地にご自分で来ることが可能な方に限ります。

(県の猟友会設立100周年記念式典開催:静岡)
県の猟友会が、ことしで設立100周年を迎えるのを記念して21日静岡市で式典が開かれました。静岡県猟友会は、有害鳥獣の駆除や狩猟技術の向上などを目的に、1924年に設立されことしで100周年をむかえます。静岡市葵区で開かれた記念式典には県の出野副知事ら来賓が出席したほか多くの会員が集まり、節目の年を祝いました。県によりますと、近年、県内ではイノシシやシカなどによる農林業被害が問題となっていて、昨年度の食害などの農作物被害額は、2億6千万円に上ります。これを受け、県猟友会では昨年度、イノシシとニホンジカをあわせて3万6千頭以上捕獲したほか、狩猟技術向上を目的とした研修会などを実施したということです。

(もし“イノシシに遭遇”したらどうする:宮城)
23日、仙台市の仙台東高校の敷地内にイノシシが侵入し、校舎の窓ガラスを突き破るなどして逃走しました。イノシシはその後、見つかっておらず警察はパトロールを強化し注意を呼びかけています。今回、イノシシは平野部の住宅街に突如として出没しました。専門家は「河川敷などの茂みから迷い込んできた可能性が高い」と指摘し、もし、出くわした場合は「刺激を与えず静かに立ち去ることが重要」と呼びかけています。農業・食品産業技術総合研究機構 平田滋樹上級研究員:「河川とか茂みになっている。そこが住みかとしてや移動経路として使われることは割と多い」。イノシシの生態に詳しい専門家は、23日出没したイノシシについて、河川敷の茂みなどから住宅地に入り込んできた可能性が高いと指摘します。農業・食品産業技術総合研究機構 平田滋樹上級研究員:「興奮状態にあったのだと思う。ちょうど今は繁殖期なのでオスは割と行動範囲が広くなる。それも相まってかなと思う」。イノシシは好き好んで人を襲う習性はないものの、興奮状態だと人に危害を加えることもあると話します。農業・食品産業技術総合研究機構 平田滋樹上級研究員:「一番怖いのは牙というか歯。牙はすごく鋭い。上下の牙が擦り合わさってナイフみたいに研がれているとよく言われる。服とかも普通に突き抜けたり、切れたりする」。イノシシは視力が低いため、もし出くわした時は大声を出さずそっと後ずさりしながら立ち去ってほしいと呼びかけます。農業・食品産業技術総合研究機構 平田滋樹上級研究員:「走って逃げきるのは難しい。猪突猛進だからと直線に走るのではなくて割とカーブとかUターンとかできる。かばんなど気を引けるものがあればそれをそっと置いて立ち去ると割と逃げられる」。平田さんは、もしイノシシを見かけたら警察や市町村に報告し、近くで出没情報があったらなるべく家や車から出ないなどの予防が重要だと話していました。

(根強く残る「かわいいクマさん幻想」の病理:武藤弘樹)
クマによる人身被害が相次いでいる。被害人数の過去最多は2020年度の158人(ツキノワグマ・ヒグマ)だったが、今年は10月末暫定値にかかわらず180人(2023年11月1日時点)と、これを大幅に更新している。すでに5人の死亡者が出ている由々しき事態で、各自治体は対応策のうちの一つの選択肢としてクマの駆除を行っている。しかし、それに対して「殺す必要があるのか」「適切な対処でない」という批判が持ち上がっており、自治体窓口には嵐のようなクレームが寄せられ、業務が滞ったりしているそうである。動物愛護の精神に我々はどのように向き合うべきか。クマの駆除に関する考え方を通して、世相が変わりゆく中、2023年の今改めて考えてみたい。今年クマが人の生活圏内に多く出没している原因については、主にクマの食料となるドングリやヤマブドウなどの不作が関係していると見られる。他の原因として専門家は、クマの生息域の変化や、生息数の増加(狩猟をする人が減っていることが関係しているとの説も)といった可能性を指摘している。また、クマ被害の増加とメガソーラー(大規模太陽光発電システム)の関連性を論じる風説や、森林伐採によってクマのもともとの住処が奪われているのではないかといった風説があり、それに対して「根拠のない情報を安易に鵜呑みにしないように」といった注意喚起も行われている。様々な情報が錯綜するのは現代の世の常だが、メガソーラーに関していえば、ゴルフ場跡地などのもともと開発されていた場所にソーラーパネルを敷き詰めることが多いそうで(ソーラーパネル設置のために改めて造成工事をすると莫大なコストがかかるため、行わない)、クマ被害を増加させている主要因とは言えなさそうである。ともあれ、情報の精査に神経を使いたい局面である。クマの駆除に反対する意見には、頷けなくはない面もある。まず、クマはルックスがいい。かわいく、よく二足歩行をするし、子グマを伴って目撃されたりするので、人間にとって擬人化して捉えられやすい。また、クマのぬいぐるみやキャラクターも非常に多く、かわいいクマのキャラなんぞは日常のそこかしこで目にすることができる。テディベアやくまのプーさん(ディズニー)は世界的に愛されるクマたちであり、いつも蜂蜜を舐めようと平和そうにポワンと佇んでいるプーさんが、クマとして実はひとなぎで人間を殺傷する能力を持っていることは、誰しもが忘れている。というか、クマのプーさんというキャラを見るときにそのようなことを想定するのは、無粋かあまのじゃくである。そうした積み重ねがあるから、クマが時として人にあだなす獣になり得るということを、想像しにくい感性が確立されてしまっている。鳥獣保護法に則った形で駆除が行われようと、「駆除、すなわち殺すことは許されないのではないか」と自ずと感じられてしまうわけである。そこで、「殺す以外の解決法をなんとか見出してほしい」というのが駆除反対派の主張である。一方、駆除を敢行する現場は、それを承知の上でやむなく駆除を行っている状況である。今年被害にあった人の数が最も多い秋田県では、すでにおよそ6年前に「熊の殺処分について」と題した声明を出し、殺処分に反対する県民の声に回答する形でその考えを示している。クマの駆除を行う自治体側の苦悩が端的にまとまっているので、箇条書きで紹介したい。・人身被害が住宅地含む県内どこにいても起こりうるので県民の不安は高まっている。・種々の施策は実施済。また、狩猟者に自粛要請を行っていたが、捕獲数上限を定めた上で自粛要請を解除した。県民の命の安全をふまえてやむを得ない措置。・動物の命の大切さは重々理解している。・ツキノワグマが人の生活圏に侵入せず、本来の生息域で暮らしていけることがそもそも大事なので、各施策に取り組んでいく所存。難しい状況の中で、やれることをやっているという印象である。とにかくクマ被害は死者が出ているので、当面差し迫ったその脅威をなんとかするべく、駆除が行われている状況だ。筆者は犬猫を飼っていた経験から動物愛護の精神が養われ、クマもできることなら殺す以外の方法で解決してほしいとは思うが、悠長なことは言ってられない状況なので、「対応に当たっている現場の皆様、お疲れさまです」という気持ちである。「駆除は反対だが、その代わり、自分や近しい人がクマに殺されても文句は言わない」と考える人は、正真正銘の「駆除反対派」を名乗るべきだと思うが、そうでない駆除反対派の人たちは、先述した感性によって「クマ=害獣」という認識が持ちにくくなっているのであろう。あるいは、クマへのかわいさのあまり、自身と利害関係のない人の命が軽く考えられている状況なのかもしれない。筆者は諸事において客観的な立場でいたいので、クマ側に過度の肩入れはしたくないのだが、クマ側に肩入れする人の心情はもちろん理解できる。そして、筆者と同様に感じている人は多いと思われる。クマを殺さずに済むならそれに越したことはない。人里に現れたクマにお仕置きをして山へ返す「学習放獣」という試みも行われているようだが、課題や議論の余地も残っている方法なので、過信は禁物である。えてして、動物愛護の精神は人をヒステリックに憤慨させる。筆者自身もその自覚があるし、憤慨した人からのご意見を頂戴しやすいのも動物愛護関連のトピックの記事を書いたときである。一度ペットショップについての記事を書いたとき、「あなたの記事は読んでいないけど、タイトルだけ見るにあなたは最低のクソライターだ」といった長文のご意見を、ある人から数日に渡って頂戴したこともある。「一度記事をお読みになってください。あなたが心配されているようなことは書いておらず、むしろ逆のことを書いています」と返信すれば、「いいえ読みません。あなたはクソです。はやくライターをやめてほしい」といった内容がもっとひどい言葉で返ってきて、こちらとしてはもうどうすることもできない、ということがあった。相手の方が個人情報をメールに署名していたので、調べてみれば「優しい」と評判の動物病院の院長さんである。その先生が怨念を込めて、理不尽な言いがかりのごとき長文のご意見をしたためるくらい、動物愛護の精神は人のバランスを失わせるポテンシャルを秘めているのである。「クマ駆除反対」の気持ちも、ともすればその状態に陥りやすいので、最低限の冷静さは失わないように意識していたいところである。ただし、クマを愛護しようとする気持ち、それ自体は決して否定されるべきものではないし、「駆除以外の方法を模索していこう」という提言も世の中にとって有益である。駆除反対派の人は、これらを被害の脅威にさらされる地域に思いをめぐらせながら行っていければ、立脚点のバランスがよくなるように思う。そうしたこと抜きで「クマ駆除反対」を唱えるのは、もうただの無思慮・無配慮の感情論ではないか。SNSなどで発散するぶんには問題ないが、自治体に電話して延々と文句を言ったり、筆者に異次元メールを送ったりしてくるのは、八つ当たりな行為であるため、控えた方がよろしかろう。一方「クマ駆除容認派」の人は、反対派の人と話をするとき、感情的にならないようにすることを心がけられたい。そして、冷静に対応しても相手の理解を得るのが難しいと感じたら、どこかの段階で自衛のために馬耳東風を決め込んでも罪には当たるまい。動物愛護の観点から菜食主義となる人がわずかずつではあるが増えてきている昨今、「クマ駆除反対」の声も動物愛護精神の高まりの一環のように思える。動物愛護は崇高な理念だとして、ではそれを達成するためにどこまでのことを犠牲にしていいのかは議論の余地がある。菜食主義は個人の自由だが、クマの被害は公共の治安に属する問題だ。場合に応じてその線引きを明確にし、世間で共有していく必要がありそうである。

(クマに町中で遭遇したら「死亡に至らないように…」)
クマによる人的被害が連日相次いでいる。環境省によると、北海道や東北地方を中心に目撃・出没が多発。23年は06年から始めた観測史上最多となった。専門家は一因として今年の「記録的な酷暑」を挙げ、3歳ほどの「ヤングママ」の雌グマが多く出没したと指摘した。暖冬なら12月ごろまで、被害が続く可能性があると予想する。また、クマの駆除に対する悪質なクレームも顕在化。クマと人の生活を取り巻く問題について、専門家に聞いた。日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦氏(75)は、クマによる人的被害が増えた理由について、酷暑が影響していると推察した。餌となる木の実などが凶作のため、クマは冬眠に備えて餌を求めて人里に下りてくるようになった。森林の保続培養を行う林野庁の地方支分部局「東北森林管理局」(秋田市)の調査では今年、管轄である青森、岩手、宮城、秋田、山形の東北5県全てで、クマの好物であるブナが「大凶作」と判定された。米田氏によるとブナのほか、ドングリやキイチゴも凶作だったという。米田氏は今秋に人里に多く出没したクマを「ヤングママ」と称した。山ではクマ同士の縄張り争いが繰り広げられている。大きくて強く、経験のある雄のクマは餌が豊富な山の奥にいるが、3歳ほどの若い雌のクマは人里近くに追いやられているという。米田氏は「年々増えたヤングママのクマは、人が耕作している近くで暮らしている」と分析。市街地では子連れの母グマが目撃されていた。町に出没するクマについて米田氏は「クマは元々森林にいる動物だから、平野部に出てくる時点で緊張している」と話した。「歩いているクマはほとんどいない。とっとっとって走っている。これは興奮状態で森に帰りたい様子」と語り、「クマは町の中の神社や公園、屋敷の木々に潜りたい。その前に人間に遭遇するとガツンとやるわけ」とクマの特性を説明した。クマを追い続けて50年。これまでに3000回ほどクマに遭遇したという米田氏に、町中でクマと出くわしたときの有効手段を聞いた。「まずはとにかく動かない。目が合ったら襲われる。平野でクマを見かけたとき、電信柱や家の角、車の後ろとかに体を半分隠すと、クマは人間と認識できなくなる」と解説。襲われることが確実となった場合については「死亡、重体に至らないように、首を手で防いで伏せるのが一番いいだろう。クマの爪は雑菌だらけ。猫に引っかかれても化膿(かのう)するように、この治療に相当苦しんだ患者がいる」と語った。米田氏自身も襲われた経験があるというが「イノシシのわなに引っ掛かったクマを外したときで、業務の中で襲われたので参考にはならない」と話した。クマ駆除への抗議も後を絶たない。10月4日、秋田県美郷町の畳店に体長約1メートルの親グマと約50センチの子グマ2匹の計3匹が立てこもり、翌5日に駆除された。これに対し、秋田県庁には「なぜ殺すんだ」「クマがかわいそう」などとクレームが殺到。知事は「業務妨害だ」と強調した。米田氏は抗議の電話をする人たちに関し「近年、罵声の浴びせ方がひどいと聞く。組織的に苦情をいれて、時間を遅らせてクマを助けると。行政の方は苦労して疲弊している」と口にした。その上で「中には亡くなった被害者の自宅に『山菜を採りに行ったのが悪い』とか言いがかりをつける人がいる」と憤りをあらわにした。米田氏は「年によっては12月ごろまでクマの事故がある」と示し、今年も暖冬ならば被害が続く可能性があることを示唆した。続けて「長期的な要因として、里山が立派になって手を入れないもんだから、クマの生息域が広がった。端的に言えばクマの数が増えている。これからも事故は続くだろう」と予想した。環境省は1日、23年度の全国のクマによる人的被害件数が4~10月末で、18道府県で計164件、死者5人を含む計180人に上ったなどと発表した。被害件数の測定を始めた06年度以降、最多となった。東北地方の被害が深刻で、秋田が61人で最も多く、岩手42人、福島13人、青森11人と続いた。10月の被害も13道県で59件、被害者は死者3人を含む71人に上り、同時期として過去最多。6月には島根県の70代男性がクマに襲われ右目を失明した。11月4日は栃木県那須町で犬の散歩中だった50代女性が背後からクマに襲われた。覆いかぶされ、衣服が破けて両腕に痕が残った。同16日には富山市の住宅で庭先の柿の木を伐採する作業をしていた70代と50代の男性2人が、クマに襲われ、顔や足などに大けがを負った。

(ここで越冬、いいカモ:長野)
長野県安曇野市明科の犀川沿いにある御宝田遊水池に、冬鳥のカモ類が集結し始めた。コハクチョウと同様、ユーラシア大陸北部などから飛来して犀川流域で越冬するため、コハクチョウと一緒に観察する人が多い。飛来するのはマガモ、オナガガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロなどで、多数の群れが集結する。コハクチョウには人が給餌しているため、そのおこぼれにあずかれることや、狩猟者に狙われず安全なことが集まる理由だとみられる。オナガガモやヒドリガモは日中は岸に上がって過ごすことも多い。彼らは給餌目当てで訪れた人に近寄る場合があり、群れに取り巻かれて「どうしよう」と戸惑う家族連れも見られる。

(イノシシ大暴れ、高校に侵入:宮城)
23日朝、仙台市の仙台東高校の敷地内にイノシシが侵入し、校舎の窓ガラスを突き破るなど暴れて逃げています。警察が、付近の住民に注意を呼びかけています。警察によりますと、23日午前8時半頃、仙台市若林区下飯田の仙台東高校で、イノシシが学校の敷地内にいるのを野球の試合を見学していた複数の保護者が目撃しました。イノシシは、校舎1階の渡り廊下の窓ガラス2枚と体育館の窓ガラス1枚を突き破るなどして暴れたあと、逃げていったということです。イノシシは、その後も、通行人にぶつかるなどしながら現在も逃げているということです。今のところ、けがをした人はいません。これより40分ほど前の午前7時50分頃、近くの若林区上飯田でも体長1mほどのイノシシが走っていると警察に通報がありました。警察が、パトロールを強化するとともに付近の住民に注意を呼びかけています。

(クマの食害相次ぐ:秋田)
秋田市で22日、クマによるとみられる食害が相次いだ。午前9時ごろ、豊岩石田坂字坂ノ下の民家敷地で、小屋につるしていた干し柿7個が食べられているのを、所有する60代女性が見つけた。秋田中央署によると、小屋の木製の引き戸にはクマのものとみられる爪痕が残っていた。

(民家敷地内の柿が食い荒らされる:山形)
山形県鮭川村の民家敷地内で柿が食い荒らされているのが見つかり、警察ではクマの仕業とみて注意を呼びかけています。警察によりますと、けさ8時ごろ、鮭川村庭月に村立鮭川中学校から北西におよそ1.2キロメートル先の民家敷地内で、植えてある2本の柿の木の枝が折れ、実が食い荒らされているのを住人が発見しました。警察では、柿の木の爪痕や、現場に残されたフンから、クマによるものと断定しました。人への被害は確認されていないということです。警察では鮭川村役場に連絡するとともに、パトカーを出して現場周辺を警戒し、地域住民に注意を呼びかけています。

(イノシシ、住宅の庭で“穴掘って寝る”:宮城)
23日午前8時前、宮城県仙台市の住宅の庭には「イノシシ」の姿がありました。その様子を捉えた映像には、生け垣の内側にたたずんでいて、頭を動かす様子が映っていました。警察などによると、付近ではイノシシの目撃情報が約20件寄せられ、23日午前8時半頃には、近くの仙台東高校にも侵入。体育館の正面入り口にはイノシシのものと思われる血痕が残され、突き破られたガラスが散乱していました。

(海を泳ぐ2頭のイノシシ撮影:宮城)
宮城県内で目撃が相次ぐイノシシ。七ヶ浜町の沖合では、イノシシが海を泳ぐ姿をカメラが捉えました。11月15日の午前10時ごろに、七ヶ浜町の沖合で視聴者が撮影した映像。海を漂う「黒い影」が映っています。その正体は海を泳ぐイノシシです。イノシシは2頭いて、鼻の先端を水面から出し器用に水をかいて進んでいます。撮影者によると、イノシシは塩釜から七ヶ浜方面に向かっていたということです。七ヶ浜町によりますと、撮影日の翌日の16日に東宮浜や代ヶ崎浜地区でイノシシが目撃されていて、周辺住民に注意を呼び掛けています。イノシシに出会ったら、静かに通り過ぎるのを待つか、慌てずにゆっくり後ずさりし、イノシシから離れるようにしてください。臆病な性格ですが、大声を出して興奮させないよう注意してください。

(道路に“仁王立ち”で海を見つめるヒグマ:北海道)
18日、北海道・興部(おこっぺ)町の道路で、仁王立ちになって海の方を眺めるヒグマが撮影された。動画を撮影した人によると、クマは海に向かって飛ぶ鳥を追いかけていたのではないか、ということだ。18日、道路の上で立ちすくむ、黒い姿。がっしりとした体に、頭には丸い耳。ヒグマだ。オホーツク海に面する、北海道・興部町で撮影された映像。クマは仁王立ちで海の方を眺めている。まるで、物思いにふけるようだ。車に気づくと、クマは草むらへと逃げていった。マーキングのために、木に背中をこすりつけるときなどにも仁王立ちになるクマ。今回はもたれる物もなく、きれいに直立している。クマは、仁王立ちが得意なのだろうか。酪農学園大学 環境共生学類・佐藤喜和教授は、「クマは比較的簡単に仁王立ちをする。イヌ・ネコに比べて、人間と同じように、かかとまでぴったりとつけて歩く。様子をうかがうときに、四つ足よりも立ち上がって見ることがある」と話す。動画を撮影した人によると、クマは海に向かって飛ぶ鳥を追いかけていたのではないかということだ。

(列車がイノシシと衝突、一時運転を見合わせ:山口)
JR西日本によると25日午後1時48分頃、山口線の仁保-篠目駅間で列車がイノシシと接触し停車した。このため山陰本線の出雲市-益田駅間の一部列車に午後7時45分時点で、5~20分の遅れが生じている。山口線の運転は4時に再開されたが一部区間で5~15分の遅れ。イノシシと衝突したのは新山口駅を午後1時20分に出発した3両編成の上りの特急。乗客にけが人はいない。

(中心部にイノシシ、逃走中:岡山)
25日午後2時半ごろ、岡山市北区磨屋町で「イノシシが出た」と110番があった。駆け付けた岡山中央署員らが約1キロ南の同天瀬の駐車場で1匹を発見し、捕獲を試みたが、逃げられた。市街地では複数匹の目撃情報もあり、同署が警戒を続けている。午後9時現在、けが人の報告はない。駐車場では午後3時ごろ、止めてあった自転車の脇に横たわっている1匹が見つかった。署員約10人が「パレット」と呼ばれる板を近所の事業所で借り受けて包囲。岡山県猟友会の会員2人が電気ショックを与えられる棒状の器具を手に捕らえようとしたが、イノシシはパレットに体当たりを繰り返した末、約1時間半後、駐車場の高さ約1メートルの塀を跳び越えて逃走した。体長は約80センチとみられる。現場はJR岡山駅から南東1・5キロのオフィスや飲食店が並ぶ中心市街地。駆け付けた県猟友会の中村伸一会長は「市街地にイノシシが出るのは珍しい。山間部から餌を求めて出てきたのだろうか」と話した。岡山駅周辺では25日、イノシシの目撃情報が相次ぎ、岡山県警は見つけても近づかないよう注意を呼びかけている。

(「お父さんやと思ったらクマだった」:福井)
22日、福井・鯖江市の住宅の庭にクマが現れた。クマは柿の木に登って実を食べたあと、一晩下りてこなかった。市の職員が監視を続け、23日午前3時半ごろ、山に帰っていったという。黒く大きな体は、庭の木の陰から現れた。22日、福井・鯖江市の住宅の庭にクマが現れた。狙いは柿の木だった。一瞬、あたりを警戒すると、さらに上へと登り、実を食べたという。家の中にいた女性は、木の上にいるのがクマだと思っていなかったという。家の中にいた女性は「お父さんやと思って、『お父さん、ご飯やで』って呼んで、そしたら誰も返事しない。バキバキ、バキバキって言うので、ちょっとのぞいてみたら、クマだった」と、当時の様子を語った。父親かと思ったら、クマ。さらに、柿を食べたクマは思わぬ行動に出ていた。一晩、柿の木から下りてこなかったのだ。女性は「怖かったですね。あれがみんなを襲うんだろうなと」話した。市の職員が監視を続けていたところ、クマは23日午前3時半ごろ、山に帰っていったという。

(高校近くにまたイノシシ:宮城)
11月24日夜、仙台市若林区で帰宅途中の男子高校生がイノシシ2頭を目撃しました。付近では23日にもイノシシ1頭が目撃されていて、高校の校舎のガラスが割られるなどの被害が出ています。警察は付近をパトロールするなどして注意を呼びかけています。警察によりますと、24日午後8時50分ごろ、若林区下飯田でイノシシ2頭を男子高校生が目撃しました。イノシシは体長約1メートルで、男子高校生の7~8メートルほど前を、横切って行ったということです。通報を受けた警察は、付近をパトロールしました。前日の23日には、隣接する上飯田地区や今泉地区で、イノシシ1頭の目撃情報が20件以上、警察に寄せられました。また、今回、イノシシ2頭が目撃された場所から直線距離で1キロメートルほどにある仙台東高校では、敷地内にイノシシが侵入し窓ガラス3枚を割られる被害がありました。警察が周辺をパトロールするなどして注意を呼びかけています。

(クマ人的被害対策に朗報!“クマ撃退カメラ”のスゴさとは?:福島)
いま、全国で相次いでクマが出没し、そして人的被害も増えています。その対策のため、新たな技術が導入されました。その名も、“クマ撃退カメラ”。“クマ撃退カメラ”が捉えた映像には、犬の鳴き声のような音に驚き、一目散に逃げていくクマの姿が映っています。この画像認識AIを搭載したカメラを研究開発した、会津大学の齋藤寛教授は、“クマ撃退カメラ”の仕組みと効果についてこう話します。会津大学 齋藤寛教授:こちらがクマやイノシシなどの害獣を検出して、音や光を出して近くにいる人に警報するという装置です。AIには、クマやイノシシなどの画像を読み込ませており、クマが出没した場合、装置が感知すると光や音を発するそうです。クマの写真で、AIの検知テストをしてみると…会津大学 齋藤寛教授:この(クマの)画像でですね、テストしてみたいと思います。クマの写真をAIカメラに近づけると…。♪警報音「ガーガー」。ランプが点灯し警報音が鳴り響きます。警報音は、犬の鳴き声など14種類の音がランダムで鳴る仕組みで、光は約40秒間点灯するようになっています。今年9月、AIカメラに捉えられた人里に近づいていたクマは、この音と光に驚いたのか、森の奥へと去っていきました。さらに、この装置には優れているところがあります。会津大学 齋藤寛教授:約360度動くことができるカメラです。もしクマなどが映ってましたら、カメラはクマに合わせて追跡しようと試みます。クマなどを検出すると、カメラが自動的に追跡するといいます。実際にカメラが5頭のイノシシを捉えると、一頭一頭のイノシシの動きに合わせて、カメラは自動で追跡しています。会津大学 齋藤寛教授:クマなどがどちらの方に行ったか、そういったところまで確認することができるようになります。さらに検出した情報は、事前に登録した近隣住民に対し、最速1分ほどでメールが届くということです。会津大学 齋藤寛教授:(クマなどの)追い払いに関して言ってしまえば、正直言うと、今以上の取り組みが必要だと思っていまして、におい、いわゆるクマスプレーとか、唐辛子というか、カプサイシンとかのにおいとか(を出す機能を)考えてもいいのかなと思っております。

(”超激臭”で厄介者のシカ撃退・クマにも効果が期待できそう:北海道)
運転中にシカが飛び出してヒヤッとした経験はありませんか。こうした事故や食害を防ぎシカを撃退するための新商品が開発されています。果たしてその効果は。餌に近づく1頭のシカ。次の瞬間…(飛び跳ねるシカ見せて)突然シカが驚いて飛び跳ね、逃げてしまいました。いったい何があったのでしょうか。ヒントは”臭い”です。実際、嗅いでみると…この強烈な臭いを発する正体は「強臭力」という商品でした。この商品、道民の救世主となるかもしれません。開発したのは根室市の吉田水産です。担当者の辻宰さんに話を聴きました。Qなぜシカに効く?「強い臭い、これとしか言いようがない。分析した結果、硫化水素等の硫黄化合物を主とした強烈な臭い機械で計れるキャパを超えているということで、計測不可能という数値になった」(吉田水産 辻 宰さん)。強烈な臭いを発する「強臭力」さらに驚くのはこの商品の原料です。Q中身の詳細は?「ミネラル水とヒトデだけ。根室市近郊でとれた天然ヒトデを生きたまま加工した、害獣忌避剤」(吉田水産 辻宰さん)。なんと漁師の天敵、「ヒトデ」が原料でした。地元ではホタテガイの漁でどうしても一緒に取れてしまうヒトデ。このヒトデの濃縮液から出る強烈なアンモニア臭でシカを撃退しようと考えたのでした。道内ではシカによるとみられる交通事故が4480件発生していて10月と11月に集中しています。2021年度のシカの食害による農林業の被害額も44億円を超えています。いつ遭遇するかわからないシカの事故…「強臭力」に期待が高まります。Q他の動物にも効く?「シカより鼻が利く動物であればすべて聞くと思う」(吉田水産 辻宰さん)。シカのほかにも道民を悩ませる動物…2023年はクマの目撃が3720件と過去最多。果たして効果はあるのか?「クマは臭覚を一番に頼って生きている動物なのでおそらく効果があるのでは(吉田水産 辻宰さん)。臭いの効果で動物の生息域と人の生活圏を分ける、共生の未来が描けるかもしれません。それにしても辻さん、この強烈な臭いのなか、開発は苦労したのでは。「製造しているんですけど、今(自分の)臭覚がゼロになってしまった。治せばいいんだけど、治してしまうとその香りを嗅いで仕事しなければいけないので。病院は行かないでそのままにしている」(吉田水産 辻宰さん)。

(ジビエの魅力発信、フェスタ開催へ:神奈川)
ジビエ(野生鳥獣肉)の魅力を発信する「横浜ジビエフェスタ2023」が25日、横浜市中区の吉田町本通りで催される。県内で年間約4300頭捕獲されるニホンジカの多くが山に廃棄されている現状を変えようと、まずは食文化の側面から浸透を狙っている。県内では森林保全のため、県の計画に沿って猟友会が年間約3千~4千頭のニホンジカを捕獲している。ただ、県内には解体した上で加工し流通させるシステムが乏しく、その場で埋葬されているケースがほとんどという。約10年前から狩猟に携わる吉田町名店街会の理事長を務める佐久間衛さん(48)は「仕方なくあやめた命。せめてありがたくいただくべきだ」と昨年から同フェスタをスタートさせた。県内産のジビエは流通量が限られるためフェスタで提供するのは県外産がメインとなるが、佐久間さんは「まずは鹿肉のおいしさを知ってもらいたい。そこからジビエが食べられる街、横浜のブランドを確立したい」と力を込める。

(多彩なグッズ、ここでシカ:奈良)
鹿をモチーフにした雑貨を展示・販売する催し「ならしかの休日」が22日、奈良蔦屋書店(奈良市)で始まった。全国各地の作家約30人による約1万点の作品が並び、多くの人でにぎわっている。12月12日まで。2014年に始まり、奈良の鹿愛護会が定めた「奈良のシカ」愛護月間に合わせ、毎年この時期に開催。今年は10年目ということもあり、6月にも開いた。会場には鹿をかたどった花瓶のほか、鹿せんべいをモチーフにした革製キーホルダーなどが並ぶ。また、鹿を撮り、インスタグラムで人気の写真家「Yoshi」さんが初参加し、カレンダーを販売している。催しが認知され、県外から泊まりがけで訪れる熱心なファンも。主催する奈良市のイラストレーター、 mittoミット さんによると、この催しにだけ鹿をあしらった作品を制作する作家もいることから「ここでしか出会えない作品もあり、ぜひお気に入りを見つけてほしい」と話している。

(アスリート食としてのジビエの魅力を:宮崎)
アスリート食としてのジビエの魅力を知ってもらおうとサッカーJ3・テゲバジャーロ宮崎のサッカー教室で、子どもたちに宮崎県産のジビエがふるまわれました。サッカー教室に参加したのは、県内の小学3・4年生およそ50人で、教室ではまず、ミニゲームなどでテゲバジャーロの選手たちと交流しました。このあと、食事セミナーが行われジビエが質の良い筋肉を作るのに適しているとして子どもたちに県産のシシ肉やシカ肉を使ったしゃぶしゃぶが振舞われました。(テゲバジャーロ宮崎・広報担当 黒瀬純哉さん)「ジビエ含めて栄養面を学んでもらって、サッカーに限らず、今後、子どもたちの体(づくり)や健康につなげてもらえたらと思う」。県は、アスリート食としてのジビエを2027年開催の国スポ・障スポに向けてPRしていくことにしています。

(豊かな山の恵み「ジビエ」を体験:島根)
松江市では…。イノシシ肉の串焼きに。シカ肉のおでん。松江市役所で開かれた「松江ジビエールフェス」。県の内外から20を超えるブースが集まり、イノシシやシカなどのジビエ料理を提供、家族連れなどでにぎわいました。このイベントは農作物に被害被害を与える野生動物の駆除の重要性について知ってもらおうと、4年前から開かれています。また、行列ができたこちらコーナーは、狩猟体験のシミュレーター。模擬銃を、画面に現れるシカやイノシシに向け撃つと先端からレーザー光線を発射、カメラで読み取って銃声が鳴る仕組みです。体験した子どもたちは、猟師になりきってねらいを定めていました。合同会社弐百円・森脇香奈江さん:「(ジビエが)おいしいという気持ちをもって、あとは狩猟と鳥獣対策のコーナーがあるので、捕獲の経緯や背景も一緒に学んで帰っていただけたら」。訪れた人たちは、料理や体験を通じて、豊かな山の恵み、ジビエを楽しんでいました。

(鹿肉でアスリート支援:長野)
小矢部市出身で砺波高ラグビー部OBの石畠吉一さん(48)は23日までに、長野県上田市菅平高原で捕って加工した鹿肉をトップアスリートに提供し、サポートする取り組みを始めた。高タンパク低脂質の鹿肉はスポーツ選手に適した食材とされており、第一弾として7人制ラグビー男子日本代表の林大成選手(日本協会)に毎月2キロを贈り、パリ五輪でのメダル獲得を後押しする。石畠さんは砺波高時代に花園出場を経験し、東京理科大進学後もラグビーを続けた。大学卒業後は広告代理店やIT企業などを経て、社会的な課題解決を支援する会社「そろそろ」を仲間と一緒に東京で立ち上げた。2016年に上田市に移住し、東京と行き来する2拠点生活を送っていたところ、菅平に多く生息しているシカが農作物を食べる被害が深刻化していることを知った。菅平は毎年夏に全国からラグビーやサッカー、陸上部など千チーム以上が訪れる合宿のメッカ。石畠さんも高校、大学時代に合宿に訪れた思い入れがある場所で、何か貢献できないかと考え、22年2月に狩猟免許を取得、クラウドファンディングで集めた資金で菅平にジビエ処理場を建設した。駆除したシカの加工を手掛ける傍ら、学生らの体づくりに生かしてもらおうと昨年から合宿に来た選手に鹿肉の提供を始めた。砺波高ラグビー部にも昨年から鹿肉を贈り、今年8月には後輩部員たちがバーベキューで味わったという。選手に好評だったことから、菅平を利用したことがあるトップアスリートにもエールを送りたいと鹿肉によるサポートを企画した。手始めに、20年から毎年菅平で合宿し、砺波高生を指導した経験もある林選手に提供することを決めた。今月から林選手に鹿肉を届けており、現役を引退するまで支援を続ける方針だ。石畠さんは今後もより多くの選手を鹿肉でサポートしていきたいと考えている。「鹿肉を食べて世界で活躍してほしい」と語り、希望者からの連絡を待っている。

(県内初「鹿肉専門の自動販売機」:岩手)
岩手県大槌町の鹿肉を24時間いつでも購入できる自動販売機が、11月24日に雫石町の道の駅に設置されました。岩手県内では初めてです。道の駅「雫石あねっこ」の入口近くに設置されたのが、県内初とされる鹿肉専門の自動販売機です。これは鹿肉の加工や販売を行う大槌町の企業「MOMIJI」と回転ずし店の「すノ家」が共同で企画しました。販売するのはMOMIJIがブランドとして売り出している「大槌鹿」で、うまみが強く柔らかいのが特徴で、鹿のロースや麹で漬けたものなど6種類の商品が用意されています。MOMIJI 藤原朋取締役「おいしい鹿肉をたくさんの人が食べて、県内のジビエの自動販売機で消費が拡大すれば良いと思う」。MOMIJIではこの自動販売機を今後30カ所に設置したいとしています。

(クマ出没:宮城)
柴田町によると、11月下旬、柴田町成田地獄沢でクマが出没したような痕跡が見つかりました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、25日午後7時45分ごろ、富谷市今泉坂ノ下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後7時30分ごろ、仙台市青葉区芋沢花坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後4時20分ごろ、仙台市青葉区芋沢中田東にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
柴田町によると、24日午前7時ごろ、柴田町入間田三ツ樟にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、23日午後2時5分ごろ、栗原市栗駒岩ケ崎裏山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、23日午前6時40分ごろ、富谷市富谷仏所にクマが出没しました。

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11/24
(野鳥ふん便から鳥インフル:千葉)
千葉県は20日、東金市でのモニタリング検査で採取した野鳥のカモ類のふん便から高病原性鳥インフルエンザウイルスを検出したと発表した。鳥インフルの確認は県内で今季初。環境省はふん便の採取場所を中心に半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定し、同市全域や近接する6市町の一部区域を対象に野鳥の死骸などの監視を強化する。県によると、県が東金市内で採取した43検体の遺伝子検査で、16日に1検体の鳥インフルエンザ陽性が判明。国に陽性の検体を提出し、20日に高病原性と確定した。野鳥監視重点区域に指定されたのは同市全域のほか、山武市、大網白里市、九十九里町、八街市、千葉市、茂原市の一部地域。鶏や卵の移動、搬出制限はない。県は陽性のふん便を採取した場所を中心に半径3キロ以内の養鶏農場に立ち入り検査し、異常がないことを確認した。今後は鶏の状況について毎日報告を求める。また、県内全ての養鶏事業者に対して消毒徹底などを注意喚起する。県畜産課担当者は「野鳥を媒介として、養鶏農場に感染が広がる恐れがある。引き続き注意喚起に努めたい」と述べた。県内では2022年度に鳥インフルが6件発生し約63万羽を、21年度は3件起き約6・6万羽を殺処分した。

(“クマ猟のハンター3人組”襲われ2人ケガ:北海道)
11月21日朝、北海道北東部、滝上町の山中で、ハンター3人組のうち、男女2人がクマに襲われケガをしました。もうひとりが発砲し、クマは捕獲されました。21日午前8時ごろ、滝上町上渚滑原野の山の中で男女2人がクマに襲われケガをしました。消防によりますと、東京都の40代の男性が頭部を切ったほか、腕や足などをかまれ、ドクターヘリで搬送されました。いっしょにいた滝上町の50代の女性も左腕を骨折した疑いで病院に運ばれています。2人とも搬送時、意識はあったということです。女性が離れたところにいた夫(59)に無線で「クマに襲われた」と知らせ、夫がクマに発砲。捕獲しました。町などによりますと3人はクマ猟で山に入りました。警察が詳しい経緯を調べています。

(重機が横転、運転の76歳男性が死亡:鹿児島)
22日午後、鹿児島県伊佐市の山林で、高齢男性が重機を運転中に横転し病院に運ばれましたが、その後死亡しました。警察によりますと、22日午後4時半ごろ伊佐市大口平出水の山林で、近くの農業、西ノ原芳治さん(76)が、建設現場などで使われる重機(ホイールローダー)を運転中に横転し、運転席から放り出されました。西ノ原さんは病院に運ばれましたが。約2時間後に死亡しました。警察が現場に到着した際、西ノ原さんは重機の横に倒れていて、胸を強く打ったとみられるということです。西ノ原さんは知人と2人で作業中で、知人は「イノシシ用のわなを重機でつり上げて移動中に横転した」と話しているということです。警察が当時の状況を詳しく調べています。

(クマに噛まれてケガをした70代女性が当時の状況を語る:福島)
福島・喜多方市で70代の女性が11月19日早朝、クマに襲われケガをした。被害があったのは、喜多方市熊倉町の市道。道路を歩いていた女性が体長約1メートルのクマと遭遇。女性は左胸などを噛まれましたが、自分で病院に行き手当てを受けて、命に別状はなかった。初めてクマに遭遇したという女性は「気付いた時には遅かった」と恐怖の瞬間を語った。被害にあった女性:「襲いかかって来た時に(自分が)仰向けになって逃げてってくれたから良かったんですけど2ヵ所は噛まれて・・・今考えると怖いですね」警察は現場付近のパトロールを強化している。

(クマに頭をかまれる、散歩中の80代男性が襲われけが:秋田)
22日朝、秋田市の市道で散歩をしていた80代の男性がクマに襲われけがをしました。秋田東警察署や消防によりますと、22日午前6時ごろ秋田市濁川の市道で、散歩をしていた80代の男性が1頭のクマに襲われ頭などを噛まれました。近くを歩いていた目撃者によりますと、クマは男性に覆いかぶさっていて、通りかかった車に驚いて逃げていったということです。男性は搬送時意識があり、歩くこともできたということですが、頭や顔から出血していて市内の病院で手当てを受けています。クマの体長は約1.5メートルということで、北側の住宅地の方へ逃げていったということです。男性が襲われたのはJR秋田駅から北に4キロほどの山間部で、住宅が立ち並ぶ場所です。今年度、秋田県内で発生したクマによる人身被害は今回を含め62件、70人となりました。

(3匹の猟犬が民家の庭に侵入『コーギーと飼い主に噛みつく』:滋賀)
警察によりますと、19日正午過ぎ、大津市内の民家の庭に猟犬3匹が侵入し、この家に住む50代の女性と飼っていた犬が噛まれてケガをしました。猟犬はいずれも地元の猟友会が所有する犬で、体長は70~80cm。猟友会のメンバーがイノシシなどの害獣駆除のため放していたところ見失い、その間に女性の家の庭に入り込んだということです。3匹の猟犬は女性が庭で飼っているコーギーに襲いかかり、尻に噛みついたということです。コーギーは肛門を縫うケガをしました。その後コーギーを助けようとした飼い主の女性の腕と足を噛みました。女性は軽傷だということです。警察は猟友会のメンバーから事情を聞いていて、猟の安全管理に問題がなかったか、業務上過失傷害の疑いも視野に当時の詳しい状況を調べるとしています。

(クマには63%が「駆除中心に対応を」)
毎日新聞が18、19両日に実施した全国世論調査で、各地で人がクマに襲われる被害が多発している問題を尋ねた。クマについて「駆除を中心に対応すべきだ」と答えた人は63%で、「駆除以外の方法を考えるべきだ」は28%だった。「わからない」は9%。若いほど「駆除を中心に」と答える割合が高くなる傾向がみられた。地域別ではクマが多く出没する北海道、東北、北関東、北陸・信越などで、全体よりも「駆除を中心に」と答える傾向が強かった。2023年度のクマによる人身被害は10月末時点で180人に上り、06年度の統計開始以降で最悪。環境省は捕獲事業をする自治体を交付金で支援する「指定管理鳥獣」にクマを追加する検討をしている。

(増えるクマ被害、県内のクマ出没件数は2倍に:新潟)
新潟県内で今年度のツキノワグマの目撃情報はすでに昨年度のおよそ2倍の件数になっています。なぜクマが人里に現れるのか、対策に追われる阿賀町を取材しました。11月1日、午前8時半の阿賀町鹿瀬支所。始業時間を迎えるやいなや電話が入ります。車で走行中にクマと接触したという住民からの連絡でした。有害鳥獣係には、いまクマに関連する情報が毎日のように寄せられます。ここで鳥獣被害対策専門員として働く江花一実さん。ハンターとしても40年にわたり活動しているクマ対策のプロフェッショナルです。賀町鳥獣被害対策専門員 江花一実さん「(さっきの電話は)国道のこういうところを横断した。この辺で餌を探しているということは、山に餌がないので里の近くに寄ってきている」。ことし、県内ではクマの目撃情報が相次いでいます。今年度の件数はすでに昨年度のおよそ2倍。各地でけが人も出ています。県は「クマ出没特別警報」を出し、11月末にかけて警戒を呼び掛けています。阿賀町の目撃情報はことし10月末までに132件。昨年度の3倍にのぼります。特に、山と集落が隣り合うエリアにクマが出没しています。その場所に案内してもらいました。阿賀町鳥獣被害対策専門員 江花一実さん「クマです。これはかなり大きいですね。1週間以上前の足跡なんで広がっていますけど、14センチ、100キロは超えている。体長1.3メートル以上」近くにはクルミや柿の木があり、それらを求めて集落の近くにやってきているとみられます。江花さん「クルミを食べておなか一杯になって、これは走ったのではなくて、ゆっくり歩いてこの林に入っていって、休んでまた食べに行ったりするという行動パターン」。さらに、柿の木にはこんな形跡もありました。江花さん「傷跡が開いているので数年前のものだけど、これは新しい、ことしのもの。何年も前の跡とことしの跡なので、何世代にもわたって利用している。餌場になっている」。

(増えるクマ出没:山口)
山口、広島、島根の西中国山地に生息するツキノワグマの山口県内での10月の目撃・痕跡情報は119件に上り、同月比で記録が残る1997年以降3番目に多く、2011年以降では最多だったことが、同県の集計で分かった。岩国、周南市を中心に県東部での増加が目立つ。専門家は「餌不作の年は果樹園が多い県東部に集まる」と指摘。地元猟友会は「里山で生まれたクマが奥山へ帰らない」と頭を悩ませている。県自然保護課によると10月の119件は前年同月比67件増。97年以降の同月比では04年(210件)10年(189件)に次いで多い。人身被害は確認されていない。市町別では岩国市(82件)と周南市(17件)で全体の8割強を占める。「岩国市は美和町や錦町、周南市は鹿野地区など山間部に集中し、足跡なども多い」と同課。一方、主な生息域とされる広島県北西部では今年10月は「目撃や捕獲がほとんどない」(廿日市市吉和支所)「例年並み」(安芸太田町)という。山口県は10月25日、周南市鹿野地区にクマ出没警報を出した。11月7日までを予定したが、さらに目撃が相次いだため同21日まで延長した。クマは秋、冬眠に備えて主にドングリ類を大量に食べる。不作年は行動圏が広がり、各地で出没件数が増える。西中国山地のツキノワグマは他地域から孤立して生息。かつては植林や高速道整備による生息環境の悪化で絶滅が懸念され、94年度以降は狩猟目的の捕獲が禁止された。環境省は今も絶滅の恐れのある個体群と位置付ける。県内では11月も目撃・痕跡情報は絶えず、10日時点で40件。冬眠する12月中旬まで注意が必要という。NPO法人日本ツキノワグマ研究所(廿日市市)の米田一彦理事長(75)は「県東部は昭和40年代に果樹園が増え、放置された果樹も多い。以前から冠山(廿日市市吉和)周辺のクマは餌不足の年に岩国や周南に移動し果樹を食べてきた」と指摘。美和猟友会(岩国市美和町)の政兼守会長(76)は「有害鳥獣としての捕獲は昔は年数頭。今年は20頭を超え、これ以上は手が回らない。なぜ増えたのか真剣に考える時が来ている」と訴える。

(年間194件の「クマ」目撃情報:東京)
全国で「クマ騒動」が続いている。東北、北海道を中心にクマによる人身被害が多発、環境省によると10月末までに164件、被害者は180人となり、統計を取り始めた2006年度以降最悪となっている。そんななか、意外なことに東京都内でもクマの目撃情報が相次いでいる。昨年は年間で194件の目撃情報などがあった。東京のクマの生態はどうなっているのだろうか。人口約1400万人の東京。超高層ビルが林立する大都会のイメージだが、実はもう一つの顔がある。東京都の総面積2194km2のうち、36%は森林なのである。奥多摩や裏高尾といったエリアには豊かな森が形成され、多くの野生生物が生息している。人気スポットの高尾山一帯は多様で多彩な生態系が保持され、約30種類もの哺乳類の生息が確認されている。イノシシ、タヌキ、ニホンザル、ニホンアナグマ、アカネズミ、ニホンテン、ムササビなどである。そして驚愕の事実が東京都のホームページに掲載されている。〈東京は世界的にも珍しい「クマが生息している首都」です〉。ツキノワグマの都内における生息地域は、都の西に位置する多摩地域(奥多摩町、檜原村、あきる野市、青梅市、八王子市、日の出町)の森林である。10月には町田市での目撃例が報告されているが、地理的には八王子市にごく近い山林で多摩地域に準ずるものと思われる。2017年度から2020年度にかけての都の生息状況調査によると、カメラトラップ法(赤外線センサーなどを用いて野生動物の接近や通過を感知し、自動撮影する手法)では推定生息数102頭(72─123頭)、ヘアトラップ法(有刺鉄線を囲ったわなにクマの体毛を引っかけて回収し、体毛のDNAを分析して個体数を推測する調査法)での推定生息数は平均161頭(128─181頭)となっている。ミシュランガイドで三ツ星を獲得したこともある人気スポット・高尾山から小仏城山、景信山を経て陣馬山にいたる裏高尾の縦走コースは、桜の季節や秋の紅葉シーズンには多くのハイカーで賑わう。そんな人気ルートの周辺でも、最近になってクマの目撃情報が寄せられているというから心配になる。東京都環境局がまとめている「東京都ツキノワグマ目撃等情報一覧」(最新は11月10日現在、痕跡なども含む)によると、直近では11月9日に2件の情報が確認されている。2つのケースは場所的にも時間帯も近く、ともに1頭の成獣ということから同一個体かもしれない。こんなポピュラーな登山コース周辺にまでクマが出没しているのだ。ちなみに東京都レッドリスト2020年版では、ツキノワグマは南多摩地域では絶滅危惧2類(VU)、西多摩地域では純絶滅危惧(NT)と評価され、2008年から狩猟による捕獲が禁止されている(2027年3月31日まで)。そんな東京都内における過去3年間のクマの目撃・痕跡情報を検証してみよう。昨年は年間で200件近い目撃情報があったという事実に驚かされる。今年はやや少ないペースだが、それでも7カ月あまりで127件だから月に17、8件は目撃されていることになる。あくまで目撃情報なので、イノシシやカモシカとの見間違いが含まれている可能性はあるが、それでもかなりの件数であることには変わりない。今年の目撃情報を市町村別にみると、標高2000mの雲取山をはじめとする奥多摩の山域に囲まれた奥多摩町が56件で断トツ。高尾山一帯が含まれる八王子市も20件と多い。その他、青梅市、あきる野市、日の出町、檜原村などとなっている。奥多摩の森にはブナやミズナラ、クリなどの広葉樹が茂り、クマの餌となるドングリなどの木の実に事欠かない。筆者も過去に山歩きや渓流釣りで奥多摩の山の中を歩き回り、ニホンジカ、サル、カワネズミなどに遭遇したものだ。幸いクマにだけは出会わなかったが。その奥多摩界隈の目撃場所を見ると、やはり登山コース周辺が目につく。登山者や渓流釣り師、トレイルランナーにはなじみのある地名が多いのではないだろうか。それだけ登山道周辺などは目撃されやすい場所と言えるかもしれない。では、人身被害をもたらしたケースはどれぐらいあるのか。環境省の「クマ類による人身被害について」(11月1日発表)によると、10月末時点で全国の被害者総数は180人で、うち5人が亡くなっている。都道府県別の被害者数は、秋田県61人、岩手県42人、福島県13人、長野県10人、北海道6人などとなっているのに対し、東京都はゼロ。2009年からの15年間でみても7人と少ない。最近では昨年、有害駆除に当たっていたハンターの被害が報告されている。都内における人身被害例が少ないとはいえ、油断は禁物である。前述のように、登山道周辺やバス停近くでの目撃例がかなりあるうえ、冬眠中と思いがちの冬季における目撃例も少なくないからだ。昨年度は、12月から3月下旬までの間に17件の目撃、痕跡情報がある。すべてのクマが冬眠しているとは限らないということだ。さらにこんなケースもあるという。「冬眠に入ったクマの中には、途中で目覚めて起きだし、穴から出て活動を始める個体がいます」(東京都環境局多摩環境事務所)。また、東京都レンジャーによる今年の奥多摩、御岳、檜原、高尾周辺の「堅果類調査実施報告」によると、ミズナラ、コナラ、ブナは凶作だった。冬眠前に少ないエサを求めて人里近くまでさまよう個体の出没が増える恐れもある。冬眠直前のこれからの時季は最大限の注意が必要だ。そして冬を迎えても、出没するケースはゼロでないということを肝に銘じておきたい。ここまで多い年で年間200件近い目撃情報がある東京都のクマ出没事情をお伝えしたが、最近の東北や北海道における悲惨な被害例を知ると、とにかくクマには遭遇したくない。一方で紅葉や豊かな自然環境を求めて山に行きたいという衝動もある。どうしたらクマとの遭遇を避けられるのか。あらためて多摩環境事務所の担当者に聞いた。「被害を防ぐにはクマと出会わないのがいちばんです。そのためには鈴を鳴らす、ラジオをかける、大声で話すなど、こちらの存在をアピールしてください。それと登山やキャンプを楽しむ方々にお願いしたいのは、食材や生ごみなどを放置せず、後始末をきちんとすること。クマを誘引しないことです」。最近は、北海道で大学生を襲ったヒグマのように、自ら人間を襲う個体が出てきているから、こちらの存在を知らせることはかえって逆効果ではないか、という指摘も一部に出てきている。悩ましいところだが、東北や北海道に見られるような凶暴なクマの存在は、都内ではまだ報告例がない。そうした点も考慮し、都内の山間部に入る際には、最低限クマとの遭遇を避けるためのクマよけの鈴やラジオ、万が一の際に身を守るための撃退スプレー、銃刀法に触れない小型ナイフなどを用意したいものである。最後に、東京都環境局のホームページにはクマの目撃情報、マップ、そして「被害を防ぐために」という注意点のまとめ情報もあるので、事前にこれらの最新情報を確認すると参考になるだろう。

(人里でのクマ警戒いつまで?:秋田)
東北地方のクマは通常、11月末ごろから冬眠に入る。しかし今年はその時期が遅れ、人里への出没が続くと識者はにらむ。さらには、来年以降もこの異常出没が続くとの見方もある。新潟大農学部の箕口秀夫教授(64)=森林科学=は「少なくとも年末までは出没が続くと思った方がいい」と忠告する。餌の少ない年はクマが早く冬眠に入るとの研究報告がある一方、出没が多い年は明けてからも人里にクマが現れるケースが実際にあったという。

(県内で昨年の6倍、県警が注意促す:山口)
山口県内各地でクマの目撃情報が相次いでいることを受け、山口県警は今年目撃された地点などを地図上に示した「YPくまっぷ」を公開している。パソコンやスマートフォンから見ることができる。クマが出没した場所を目で見て把握することで、県民に一層の注意を促す狙いだ。マップは、情報が寄せられた地点を赤い印で表示し、クリックすると目撃日時と場所、頭数、体長を確認できる。柿の食害やふんといった痕跡が見つかった場所も記録されている。YPは「山口」「ポリス」の頭文字から取った。県のオープンデータを公開する「県オープンデータカタログサイト」で公開し、県警ホームページからも確認できる。現在は今月12日までの情報を網羅しており、月末に更新する予定だが、寄せられる情報が多い場合は頻度を上げるという。県内では20日午前8時時点で人身被害は確認されていない。一方、目撃や痕跡の情報は211件で、既に昨年1年間(32件)の6倍超に上っている。管内別では、岩国署の65件が最多で、周南署34件、山口署26件と続く。全国では今年度、クマによる死傷者数が過去最多となっている。地域企画課の山根徹也次長は「被害に遭わないために、くまっぷを活用してほしい」と話している。

(狩猟免許持つ人、半減も近年回復傾向:群馬)
野生動物の出没や農林業への被害が相次ぐなか、対策には欠かせない狩猟免許を持つ人は、県内ではピーク時の半数程度に減った一方で、近年は回復傾向にあります。県は、狩猟の役割や意義を知ってもらう取り組みを進め、若い世代の育成や確保を図る考えです。野生動物の出没が県内各地で続くなか、県によりますと県内での野生動物による農林業への被害額は昨年度、およそ5億円にのぼっています。こうした状況を受けて県が、狩猟者に野生動物の捕獲強化を呼びかけた結果、主に被害をもたらすニホンジカ、サル、カモシカ、イノシシ、それに、クマの捕獲数は増加傾向にあり、中でもニホンジカはおよそ3倍に増えました。一方で、捕獲を担う狩猟免許を持つ人は、異なる種類の免許を持つ人も含めた延べ人数で、ピークだった40年ほど前の半数に満たない4562人まで減少しているということです。そして、その半数あまりが60歳以上と高齢化が進んでいます。ただ、担い手の確保や育成が急務となるなかで、県が、狩猟の役割や意義を知ってもらう取り組みを進め、狩猟免許を持つ人は昨年度、過去最少だった2006年度から900人ほど増えて回復傾向にあります。また、60歳未満の割合は2020年度が39.8%だったのに対して、昨年度は4ポイント近く上がって43.5%になっていて、県は今後も取り組みを強めて、若い世代の育成や確保を図る考えです。狩猟免許を持つ人が回復傾向にあるなかで、去年、免許を取得して新たに狩猟を始めたのが、前橋市の42歳の萩原翔吾さんです。萩原さんは大工として働きながら、週に2日ほど、わなを使った猟をしています。狩猟を始めたきっかけは、父の畑が野生動物に荒らされる被害が相次いだことです。知り合いの農家と被害について話すなかで、「自分が被害を防ぎたい」と思い立ったといいます。狩猟を行っていた父親や、猟友会の先輩たちから学びながら、これまでに主にイノシシを20頭あまり捕獲してきたということです。萩原さんは「イノシシが一度畑を通ると畑全体が荒らされるといった被害があると聞いて、自分もやってみようと思った。高齢で獣害を防ぐことが難しい農家もあるので自分が役に立ちたい」と話していました。また、萩原さんが所属する前橋北部猟友会の今井進会長は「猟友会は高齢の人も多いので若い世代に頑張ってほしいし、われわれのような経験者がどう育てていくかも重要だ。萩原さんは勉強熱心で捕獲数も多く、大いに期待している」と話していました。狩猟の役割や意義を知ってもらう取り組みを進める県は、高校で特別授業を行ったり、動画投稿サイトを活用したりしているほか、免許の試験にかかる費用も一部で抑えています。具体的には、狩猟についてのイベントを4年前から開いているほか、YouTubeでは狩猟者に密着した動画を配信しています。また、狩猟免許の試験については、会場や日程を増やして受験しやすくしたほか、わなを使う猟の免許の試験では、通常は5200円かかる手数料を18歳と19歳に限って免除しています。みずからも狩猟免許を持つ県自然環境課の金子文大主任は「被害を減らすために動物の捕獲はどうしても必要なものだ。狩猟について知ってもらう機会を、今後も増やしていきたい」と話していました。

(クマによる人身被害多発、緊急対策会議の開催へ:岩手)
クマによる人身被害が相次いでいることを受け、岩手県は独自に外部の有識者を交えた緊急対策会議を開催する方針です。これは達増岩手県知事が20日の会見で明らかにしました。メンバーは岩手県内にとどまらず、専門家に参加してもらう考えです。現在の被害状況を情報共有して対策を検討し、実行に移すことになります。達増知事は「専門家にも参加してもらい科学的知見に基づいて対策を講じていきたい」と話しました。岩手県内では今年度、クマによる人身被害が19日現在で44件47人発生していて、過去最多を更新しています。岩手を含む北海道東北地方知事会は13日に環境省と農林水産省に財政的支援などを盛り込んだ要望を行いました。

(クマ対策費など盛り込んだ補正予算案を内示:秋田)
県はクマ対策をの費用などを盛り込んだ補正予算案を県議会に内示しました。有害捕獲に対しては1頭当たり7000円の慰労金を支払う方針です。県が内示した補正予算案は一般会計の総額で3億4800万円余りです。今年クマの被害が相次いだことで負担が大きくなっている猟友会を支援する費用などが盛り込まれています。クマを有害捕獲した場合は1頭当たり7000円の慰労金を支払います。現在県がクマ対策として所持している麻酔銃は1丁のみで、新たに県の出先機関である北秋田と仙北の各地域振興局に1丁ずつ配置する予算も計上しました。地域振興局の職員が研修を受けて麻酔銃を使用することになります。補正予算案にはこうしたクマ対策の費用、合わせて2400万円余りが盛り込まれました。補正予算案を審議する県議会は28日に始まります。

(クマ類の管理、国の主導で対策強化を)
環境省はヒグマを含むクマ類を鳥獣保護管理法に基づく「指定管理鳥獣」とする方向で検討に入った。北海道東北地方知事会が先週行った緊急要望を受けた。指定管理鳥獣の制度は、集中的・広域的に管理を図る鳥獣を国が指定し、捕獲事業を行う都道府県などに交付金を出す。夜間の駆除もできるようになる。保護に重点を置いてきたクマ類を捕獲によって管理しようとするもので、指定されれば、国の政策の転換点となる。過剰な捕獲とならぬよう配慮しつつ、専門家の意見を踏まえ検討してもらいたい。クマの生息数は本州でも増えている。人身被害も増加傾向で、環境省によると、今年4月から10月末までに全国で180人が襲われ、統計史上最多となった。亡くなった人も5人に上る。こうした状況を見れば、クマの管理強化はやむを得まい。国は主体的に対策を進めるべきだ。クマの生息状況は地域によって異なる。四国ではツキノワグマが減少し、保護対象となっている。絶滅に向かわぬよう、地域ごとに個体群を適切に管理することが何より重要だ。生息数など科学的根拠に基づいて厳密な捕獲計画を策定する必要がある。環境省は本年度補正予算案に、人の生活圏に出没する問題個体の調査や捕獲を行う緊急対策の事業費を計上した。危機感の表れでもあろう。自治体と連携して取り組んでほしい。人を恐れず市街地に出没する「アーバンベア」が増加している。知事会は住宅地周辺などでの銃器使用の基準明確化も要望した。本州ではクマが物置などに入り込む事案が珍しくなく、建物内での捕獲に麻酔猟銃を使えるよう法令改正が必要だとも指摘する。市街地での猟銃発砲は原則禁止されている。警察官が発砲命令を出せば可能だが、現場で判断できないケースが多いのが実情だ。法令違反の懸念なくハンターが活動できる環境を整備する必要はあるだろう。ただし、人の安全を決して損ねてはならない。クマが捕獲されると、自治体に抗議電話が相次ぐ。東北でも問題になっており、町や県の通常業務に支障が出るほどだという。クマは貴重な野生動物だが、人との共生には適切な管理が欠かせない。国は発信を強化すべきだ。被害の実態や捕獲現場の苦労を丁寧に伝え、やみくもに命を奪っているのではないことを理解してもらうことが肝要だ。

(シカ肉などを無許可販売疑い、ベトナム国籍2人逮捕:大分)
知事の許可を受けずにシカ肉などを販売したとして、大分県警は21日、食品衛生法違反の疑いで、グェン・ティ・アン・トゥエット容疑者(38)と、ブー・ホン・ナム容疑者(30)=いずれもベトナム国籍、住所不詳、職業不詳=を逮捕した。逮捕容疑は10月2~12日、県知事の許可を受けずに2度、大分市の男性にイノシシ肉やシカ肉計約27キロを宅配便で発送し、販売したとしている。県警によると、2人はフェイスブックを通じて全国に販売していた。

(クマ目撃情、3年ぶりに1000件超える:宮城)
東北各地で人がクマに襲われる被害が相次ぐ中、宮城県内では、クマの目撃情報がことし4月から11月にかけて1045件と、3年ぶりに1000件を超えたことが県の調査で分かりました。県内では今年度、クマに襲われてけがをした人は3人で、県によりますと、県内でクマの姿を見かけたりフンなどで確認されたりしたクマの目撃情報はことし4月から11月16日にかけて1045件にのぼっています。これは昨年度1年間の目撃件数を496件上回っていて、県内で目撃情報が1000件を超えるのは、令和2年度以来、3年ぶりです。また、11月だけでも16日までに158件の目撃情報が寄せられていて、去年の同じ月の目撃件数に比べておよそ20倍となっています。こうした状況を踏まえて県は、11月6日までとしていた「クマ出没警報」を、11月30日まで延長しています。県は、十分なエサが確保されていないと冬眠を迎えないクマもいるとして、朝夕の行動を避け、山に入る際は鈴やラジオを鳴らして複数で行動すること、それに、エサとなる生ゴミを持ち帰るなど、引き続き警戒するよう呼びかけています。

(狩猟シーズン迎え、猟銃の暴発事故などに注意を:岩手)
狩猟のシーズンを迎えるこの時期、警察は猟銃の暴発事故などを起こさないよう注意を呼びかけています。県内は狩猟のシーズンを迎え、ニホンジカ、イノシシ、ツキノワグマは今月1日から、キジやヤマドリなどは今月15日から狩猟が解禁されました。警察は、狩猟のため猟銃やライフルを持って山に入るこの時期、銃の暴発や誤射による事故が心配されるとしています。警察によりますと、県内では去年までの過去10年間に狩猟中の猟銃やライフルによる事故があわせて5件発生し、2人が亡くなっています。7年前の2016年11月には遠野市でシカ猟をしていた会社員が誤って仲間の男性をライフルで撃って死亡させる事故が発生しました。警察はハンターに対して、▽転倒したり誤って引き金に触れたりして銃が暴発するのを防ぐため、弾をこめたまま銃を持ち歩かないこと、▽弾は動物を確認してから銃にこめることなどを呼びかけています。また、一般の人に対しては、▽目立つ色の服装で山に入ること、▽鈴やラジオで音を鳴らしながら歩くことなどを呼びかけています。

(気づいたらクマ、いつもの散歩道や自宅の庭で:岩手)
全国各地でツキノワグマによる人身被害が止まらない。「いつもの散歩道で」「自宅の庭に現れた」。突発的で予想できない状況で遭遇する事故が増えている。東北地方では、特に被害が深刻だ。有効な対策はあるのか。栗を拾い、家に帰ろうとしたときだった。10月上旬、岩手県八幡平市の松尾地区で暮らす男性(73)は20メートルほど離れた草むらで何かが動く気配を感じた。次の瞬間、黒い物体が猛スピードで飛び出てきた。防御する時間はなかった。気づいたときには、クマがうなり声を上げて左腕に牙を立てていた。

(クマの人的被害、県内47人:岩手)
クマによる人的被害は岩手県内では2023年、47人に上っています。被害が相次ぐ中、11月21日に釜石市で自治体関係者などによる対策会議が開かれ、「出没情報を多く集めることが重要」との意見が出されました。21日に釜石市内で開かれた会議には、釜石市と大槌町の担当者のほか警察や猟友会などが出席しました。例年であれば開催は年に1回のこの会議ですが、2023年はクマによる人的被害が増加していることから、21日に2度目の会議を開き対策などを話し合いました。釜石市水産農林課林業振興係 宮本祥子係長「近隣住民はクマがウロウロしている状況を分かっていたが、市や他の機関に連絡をしていなかった」。会議の中で釜石市の担当者はクマの出没情報を多く集めることが、人への被害を未然に防ぐことにつながると説明しました。そのうえで住民の協力を得る重要性が増していると訴えました。釜石市水産農林課林業振興係 宮本祥子係長「クマがいるという情報が無ければ現場を知ることができないので、まず連絡していただいて、そのうえで対策を早期に進めたい」。また21日の会議では、クマが市街地に出没したという想定で、対応の手順を確認する図上訓練も行われました。

(県が市町村に「クマ対策」の支援制度を紹介:秋田)
秋田県と市町村が政策課題を話し合う会議が22日開かれ、県から猟友会の支援の改善策が紹介されたほか、食肉として流通させるための解体処理施設の整備などが提案された。会議は、秋田県と市町村が連携して行政サービスを向上させようと年に2回開かれているもので、佐竹知事と市町村長、県の部局長など約60人が参加した。今回の大きなテーマは「クマ対策の強化」。秋田県から、猟友会がクマを捕獲・駆除した場合、1頭当たり7000円を支給する制度を設ける計画が紹介された。また、県が管理しているクマの出没情報システムについて、自治体に運用の連携を提案した。さらに佐竹知事は、県北部の猟友会から、捕獲したクマの有効活用として「食肉として流通させるための解体処理施設を整備したらどうか」と要望があったと説明し、「県として前向きに補助を考えているので検討してほしい」と全ての市町村に提案した。県は現在、クマの狩猟の自粛を求めているが、24日に会議を開き、再開させるか話し合う。

(クマの狩猟自粛要請を撤回、捕獲上限はこれまでの1.7倍に:秋田)
佐竹知事はクマの狩猟の自粛要請を撤回し有害駆除も含めて2700頭程度まで捕獲を認める方向で検討していることを明らかにしました。2700頭はこれまでの捕獲上限の1.7倍にものぼる数で極めて異例です。今年度これまでに捕獲されたクマの数は2千頭前後にのぼります。狩猟で捕獲した数はこのうち100頭を超えています。佐竹知事は狩猟の自粛要請を撤回する考えを示し、有害駆除とあわせた捕獲頭数の上限を2700頭まで引き上げる考えを示しました。専門家が参加する委員会を24日に開き最終決定します。県は当初、狩猟を積極的に進める方針でしたが想定を上回るペースで捕獲が進み狩猟の自粛を要請していました。生息頭数については前回の本格的な調査から数年が経っていることから県は来年以降、専門家による調査を行い科学的な知見に基づく頭数の管理に乗り出す考えを明らかにしました。猟友会に対する支援も拡充しクマ1頭につき7千円の慰労金と1500人の会員に1人当たり2千円の慰労金を支給する方針です。また麻酔銃2丁を購入して地域振興局に配備する方針です。

(ヒグマ対策推進、報償半額補助へ:北海道)
道は21日、ヒグマ対策推進費などを盛り込んだ総額107億9147万円の一般会計補正予算案を発表した。市町村がハンターらに支払う報償費の2分の1を補助する新規事業が柱で、春期管理捕獲の実施自治体を今シーズンの19市町村から40市町村に倍増させることを目指す。28日に開会する道議会第4回定例会に提案する。新規事業は市町村が負担する狩猟従事者への報償費や、事前研修の経費、弾や燃料の購入費の2分の1を補助する内容で、1500万円を計上した。

(カギは「柿の木」クマ空き家“潜伏”に秘策あり:秋田)
22日も秋田県で男性がクマに頭をかまれ、けがをしました。後を絶たないクマ被害を防ぐには一体どうしたら良いのでしょうか。鍵は庭先に植えられている「柿の木」にありました。地域が一体となって、被害を激減させた町の秘策とは。柿の木の上には大きなクマ。我が物顔で、むしゃむしゃと実を頬張っています。現場は秋田県大館市の住宅の庭です。住民はいつ家に入ってくるか気が気ではなかったといいます。北海道興部町では道路にヒグマが現れました。改めて映像を見ると、最初クマは背筋をピンと伸ばして仁王立ち。何やら遠くを見つめています。すると、車に気が付いたのか、こちらをじろり。草むらへ逃げていきました。季節はまもなく冬ですが、クマはまだ冬支度を終えていないようです。群馬県は暖冬の今年は通常、クマが冬眠する来月以降も現れる可能性があると警戒しています。群馬県:「暖かいので冬眠する時期ではないと感じれば(冬でも)普通に活動するのかなと。(餌(えさ)を)探し続ける個体もいると思う」。負傷者も出ています。22日午前6時ごろ、秋田市内の路上で80代の男性がクマに頭をかまれました。病院に運ばれましたが、意識はあるといいます。男性を襲った後、クマはその場から逃げていきました。秋田市の職員:「周辺に柿の木もあるので、『できる限り早く実を落として』と注意喚起をする」秋田では異例のペースでクマが出没。被害者は70人に上っています。被害をひも解くことで分かる、新たな事実。取材班が向かったのは今年7件の人身被害が起きている富山県。1週間前に男性2人がクマに襲われた現場です。襲われた男性の母親:「(クマに)襲われるの初めてだから、あっという間だった。(茂みが)クマのすみかになっていたかもしれないと思うと恐ろしい」。隣接する住居と目と鼻の先。クマが空き家の敷地内で生活していたことが判明したのです。人里に出没する都市型クマと空き家。切っても切れない関係がありました。秋田県大仙市では2日連続でクマが出没。住民は空き家にできたハチの巣を狙ったのではと話します。岩手県西和賀町では住居から離れた倉庫に気付いたらクマが居座っていました。空き家とクマ。富山市で男性2人が襲われた事件では、空き家周辺にいくつも痕跡が残されていました。現場を調査した専門家は…。クマの研究歴19年 富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん:「古いフンと新しいフンがあるのが、空き家の屋敷にあるのを見た。(クマの滞在は)2日くらい。もう少し前かもしれない」。クマが少なくとも2日間、拠点にしていたと指摘。赤座さんが特に注目しているのが、空き家とそれを囲う屋敷林。風よけなどのために植えられた木々です。クマの研究歴19年 富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん:「日中の隠れ家になっている。あまり手入れが行き届いていない屋敷林は低木層がうっそうとしている。本来の昼間(山で)隠れ家にしている所とよく似た環境」。空き家の11年前の画像。そして現在。比べてみると屋敷林が、よりうっそうとしていることが分かります。空き家、そして管理が滞った屋敷林。2つが合わさると、よりクマに適した環境ができ上がってしまうのです。屋敷林だけでなく、空き家とともに放置される柿もクマ出没の大きな原因です。冬眠前のこの時期。今年は山のどんぐりが不作で、人里の柿の木に集まるクマが連日、目撃されています。21日に富山県立山町で駆除されたクマ。住民が週に1回ほどしか確認しない納屋に居着いていたといいます。赤座さんは、空き家や住民の高齢化で柿が放置されるケースが多いと警鐘を鳴らします。クマの研究歴19年 富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん:「昭和の時代は社会全体がまだ貧しくて、子どものころはよく庭の柿を自分たちでもいで、おやつの代わりにして食べていたが、多い家には5本か、それ以上の柿の木が今でもなりっぱなしの状態で放置」。クマの大量出没に悩んだ赤座さんはある行動に出ます。山間にあるにもかかわらず、この秋クマの出没はゼロ。劇的な変化を生んだ秘策がありました。富山市には、柿を剪定(せんてい)するなどし、丸ごと管理している地区があります。県内で19年クマを研究している赤座さんが手掛けました。クマの研究歴19年 富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん:「わずかな市役所の補助金を使って、今年も(柿の木を)3本切った。全部で120本を超える量を4年間で切った」。クマの痕跡などの目撃情報を確認すると、冬眠準備期間である10月以降、この庵谷地区にクマは出没していません。今年、対策に乗り出した地域もあります。富山市のお隣、立山町。70歳以上の高齢者のみが住む世帯を対象に地域おこし協力隊員が無償で柿の木を伐採。柿の木の伐採を呼び掛けていた赤座さん。今後はクマの滞在場所になり得る屋敷林を管理すべきと訴えます。クマの研究歴19年 富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん:「平野部には手入れのされていない、うっそうとした屋敷林に潜む場合が多い。クマがねぐらとするような薄暗い屋敷林を改善していく対策が必要」。

(狩猟から学ぶ自然との共生:岐阜)
シカによる食害やサルなどに農作物を荒らされる野生動物の「獣害」に悩む全国の中山間部では、害獣を駆除する猟師の高齢化やなり手不足が深刻な問題になっている。森林が面積の約9割を占め、〝日本三大猪産地〟として知られる岐阜県郡上市では、猟師という仕事への理解を深めてもらおうと、一般参加者が狩猟の知識や技術に触れられる講座やツアーを開いている。主催する、地元猟師らでつくる団体「猪鹿庁(いのしかちょう)」の安田大介代表(44)は「獣は山の恵み。とって終わりにはしたくない。猟師の立場から里山の保全や、人と自然との共生について考えていきたい」と話す。猪鹿庁は若い世代へ裾野を広げるため、猟師という職業の業務化にも取り組む。狩猟で得た肉の加工、販売までを行う「6次産業化」などを通じ〝食べられる職業〟にしていくことを目指している。

(ヒグマ襲撃増、捕獲目標へかじ:北海道)
道が約30年に及ぶヒグマ保護政策を転換し、捕獲目標数の設定に向けた検討を始めている。道内各地で人が襲われる事故が相次いでいるためだが、目標数を定めても、ハンター不足で実際に頭数削減に至るかどうかは不透明だ。人里に現れるクマを減らすため、性別や生息域など捕獲対象をどう定めるか、専門家の間で見解が分かれている。...

(クマ被害10倍、「異常事態」:秋田)
全国でクマによる人身被害が相次ぐ中、秋田県では本年度、14日までに前年度比10倍超の69人が襲われ、全国最悪の被害が出ている。その8割超が山中ではなく、市街地とその周辺で起きており、関係者は「異常事態」と危機感を強める。被害が相次ぐ秋田の現状を探った。 「俺はこのまま死ぬんだな、と覚悟した」。秋田県北秋田市の菓子店主湊屋啓二さん(66)は自宅敷地内でツキノワグマに襲われた体験をこう振り返った。10月19日午前、湊屋さんは同市中心部にある店舗兼自宅の車庫のシャッターを開けたところ、中にいた体長約1メートルのクマと遭遇した。「やばい、でかい」と思い、とっさに逃げたが、クマに倒されてのしかかられ、頭や脇腹をかまれた。数十秒間、牙や爪で攻撃され、何とか隙を突いて自宅に逃げ込んだ。鏡を見ると、右の耳たぶはかみちぎられ、頭部には骨まで達する傷があった。

(ヒグマ猟師と山の中へ、人里近くに残る足跡の先には:北海道)
各地で報告されるクマによる被害。今年、人が襲われた件数は過去最多となっています。バンキシャ!は人々の暮らしを脅かすヒグマを追う猟に密着。猟師たちは「街のすぐ近くにヒグマがすみつく、かつてない状況だ」と危機感を強めています。

(「肉の味を覚えてしまったヒグマ」の脅威:北海道)
北海道東部で2019年夏以降、放牧中の牛66頭が相次いで襲われた。“犯人”は「OSO18(オソじゅうはち)」の通称で呼ばれたヒグマ。ヒグマの主なエサは草木の根や木の実だが、オソは肉の味を覚えてしまったようだ。次なる被害を防ごうと、北海道庁や地元の役場などが「特別対策班」を結成し、捕獲を目指した。だが「忍者」と呼ぶ人も出るほど警戒心が強く、作戦は失敗を重ねた。ところが今年8月、事態は急変する。被害の出ていなかった町で7月に駆除された個体が、実はオソだったことが判明したのだ。危機は回避され、酪農関係者は安堵。しかし、専門家はこう警鐘を鳴らす。「オソは人間が生み出した。第2、第3のオソが出てきても不思議ではない。根本的な対策をしないと意味がない」。どういうことか。始まりは2019年7月。標茶町の下オソツベツという地区で牛の死骸が見つかった。ひっかき傷やかみ傷があり、ヒグマに襲われたと推定された。その年のうちに標茶町内で28頭が襲われ、2021年には隣の厚岸町でも被害が出始めた。時期は6~9月の夏場に集中。現場に残された体毛などをDNA型鑑定すると、雄の同一個体が襲撃している可能性が高いと分かった。北海道庁の出先機関・釧路総合振興局によると、足跡などから推定されるものも含めて今年6月までに両町で少なくとも66頭が襲われ、32頭が死んだとされる。被害の総額は2千万円を超えた。標茶町の酪農家高野政広さん(66)は被害を受けた1人だ。「話には聞いていたが、まさか自分の牛が襲われるとは」。2021年7月1日の朝、牧場に行くと1頭の牛が血まみれになって倒れていた。発見時はまだ生きており、直前に襲われたようだった。「牧場の被害も痛いが、いつ孫が襲われるかと思うと気が気ではなかった」と振り返る。振興局や標茶・厚岸両町などは下オソツベツの地名と、発見された幅約18センチの足跡からOSO18と命名し、初の対策会議を2021年11月に開催。翌22年2月、NPO法人南知床・ヒグマ情報センターの藤本靖さん(62)をリーダーに「OSO18特別対策班」を組織し、捕獲を目指すこととした。特別対策班を結成後の最初の被害は、22年7月の標茶町。1日に3頭、11日に1頭、18日にも1頭が襲われた。ヒグマは獲物を襲った現場に戻る習性がある。このため藤本さんらは18日に被害が出た牧場で、牛の死骸をあえて回収せずに張り込みを始めた。しかしオソが姿を現さない。1週間が過ぎ、張り込みを解除。そのとたん、残していた牛の死骸が消えた。「人の気配に極めて敏感なクマだ」。藤本さんはそう感じた。9月には、ヒグマの好物であるデントコーンの畑にわなを仕掛けた。しかしその30センチ横を通過し、わなは作動せず。駆除できないまま冬を迎えた。その隠密な行動ぶりから、いつしか「忍者グマ」と呼ぶ人も現れた。メディアの報道も過熱。「“闇夜にまぎれて行動する恐ろしい超巨大ヒグマ”を早く食い止めなければ」。地域の人々は焦りを募らせた。今年7月30日早朝、被害が発生していた地域から10キロ以上南の釧路町で、ハンターが1頭の痩せたクマを駆除した。このクマは2日前、オタクパウシ地区の放牧地に出没していた。人を見ても逃げないため、問題がある個体と判断されていた。死骸は食肉加工され、東京都内のジビエ料理店などに出荷された。釧路町の担当者は8月に入り、このクマが実はオソだったのではないかとの疑問が浮かんだ。町が残していたこのクマの毛をDNA型鑑定すると、オソだったと特定された。「あっさり駆除されてしまった」。あまりにあっけない幕切れ。4年にわたりオソを追い続けた標茶町の職員はそのことに驚き、振興局の担当者は「その思いつきがなければオソは行方不明のままだった」と胸をなで下ろした。釧路町に残っていた記録によると、オソは体長2メートル10センチ、体重は330キロ。大きめではあるが、決して「超巨大ヒグマ」とは言えない体格だった。推定年齢は約9歳6カ月の雄で、手足に皮膚病があり、痩せていた。「みんなが『牛を食べるくらいだから、オソは大きい』と強く思い込んでいた。だから寄せられる目撃情報も少なかった」。対策班リーダーの藤本さんは、これが捕獲が難航した理由の一つだと考えている。ただ、ヒントはあった。襲った牛のほとんどは体重120~180キロほどと、小柄なものばかりだった。藤本さんはこう推測している。「むしろ狙った牛を殺しきれないからこそ、複数頭に手を出したのではないか」。実際、2022年中に現場をしらみつぶしに調べた対策班のメンバーの中には「本当にそんなに大きいのか」という疑念も浮かんでいたという。「忍者」の異名の元となった、主に夜間に活動するというのも誤解で、実際は多く目撃されていた。「“超巨大ヒグマ”というフィルターを取り除いてクマの目撃情報を集計し直すと、22年だけでもオソらしきクマが7回目撃されている。まさかオソだとは思わず、対策班まで報告が上がってこなかった」と藤本さんは悔やむ。誤解はほかにもあった。行動範囲の意外な広さだ。今年6月、標茶町上チャンベツ地区でこの年最初の被害が出た。このころ対策班は既に、オソの体長は2~2・1メートル、体重270~320キロの「普通のクマ」だと見抜いていた。7月15日ごろには標茶町阿歴内でそれらしき足跡を発見。大きなチャンスと捉え、付近にわなを仕掛け、ハンターが張り込んだ。だが、いくら待っても現れない。釧路町で駆除されたとの一報が届いたのはそんなときだった。「え、そっちだったのか」。釧路町のオタクパウシ地区はクマが非常に少なく、捜索範囲から外していた。「よく出没していた厚岸町の上尾幌とは、山でつながっている場所。冬もオタクパウシで越していたのかもしれない」と藤本さんは分析する。「もしかしたら、そこの主だったのかもな」。駆除されて初めて、オソの生態が具体的に想像できるようになった。東京都中央区の人形町駅前にあるジビエ料理店「あまからくまから」は8月初頭、クマの肩肉ともも肉の計約42キロを仕入れた。下旬になって業者から「あの肉は話題になっていたオソだった」と連絡を受けた。店長の林育夫さん(58)は驚き、心配になったという。「人を襲ってはいなかったよな」肉はオソと判明する前からステーキ、もしくはアイヌ料理の「カムイオハウ」(神の鍋)として提供され、9月中にほぼ完売。他のヒグマと味はあまり変わらなかったという。地元には思わぬ余波が広がっていた。オソが駆除されたと報道されると、釧路町役場には「かわいそう」といった苦情が約30件相次いだ。そのほとんどは道外からだった。野生動物の駆除に関する苦情は多く、7月に札幌市で子を連れた親グマが駆除された際も、市に約650件の苦情が寄せられた。釧路町の担当者はこうした声が広がることを危ぶんでいる。「ハンターを誹謗中傷するような内容が出てくると、萎縮し担い手が少なくなってしまうかもしれない」北海道庁がホームページや交流サイト(SNS)で「捕獲は地域の安全に欠かせない」と理解を求める呼びかけを行うなど、異例の事態となった。9月下旬のX(旧ツイッター)への投稿は10月までに2千万回以上閲覧され、7万を超える「いいね」が付いた。藤本さんら対策班は、オソのようなクマが出現した一因にエゾシカの急増があるとみている。エゾシカの推定生息数は増加傾向で、2018年度の65万頭から、2022年度は72万頭に増えた。農作物を食い荒らすほか、自動車や列車との衝突事故が相次いでいる。北海道は駆除を推進しているが、同時に「残滓(ざんし)」と呼ばれる駆除後の死骸や解体後の内臓の不法投棄が問題化している。例えばオソの被害が出た厚岸町では2022年5月、国有林に100頭超分の残滓が投棄されているのが発見された。北海道猟友会の関係者によると、安価に死骸を持ち込める処理場が少ないことなどもあり、公になっていないだけで、同じことはほかにも複数発生しているという。藤本さんは、オソが肉の味を覚えたきっかけがエゾシカの死骸だった可能性があると指摘する。ヒグマは雑食で、主に草木の根や木の実などを食べる。しかし、オソが移動したと思われる経路上に、フキなどの草木を食べた跡はまったくなかった。肉食に執着していたとみられる。「シカが草木を食べ尽くしてしまうので、ヒグマは他の餌を探す。そのうちにシカの死骸を見つけ、肉の味を覚えたのかもしれない。肉というごちそうを一度食べてしまうと、クマは忘れられない。その延長線として、シカよりも緩慢な牛を狙うようになったんだろう」。そうだとすれば、「生み出したのは私たち人間の可能性がある」。藤本さんは自戒を込めてそう語った。エゾシカの駆除態勢や処理方法を早急に整備し、適切な個体数調整をしないと「第2、第3のオソはすぐ現れる。オソは突然変異ではない。周囲にもっと大きなクマがたくさんいる。それらが同じように肉の味を覚えたら、人を狙って襲いかかる個体が出てきても不思議ではない」。

(若い世代の免許取得にアプリ活用も!変わる「狩猟」の環境)
この数年、野生の動物を捕獲して調理する「ジビエ料理」が日本でも浸透し、イノシシやシカ、カモなどがその対象となっています。 狩猟には免許が必要ですが、最近では女性や若い世代の間でも取得する人が増えてきているそうです。 11月17日放送『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、最近の狩猟事情についてCBC加藤由香アナウンサーが紹介しました。以前この番組で、角上清司元アナウンサーが夫婦で狩猟免許を取った話をした加藤アナ。狩猟免許の種類は4つあり、角上夫婦はわな猟免許を取得しましたが、最近網を使った狩猟も取得したそうです。環境省によれば、狩猟免許の所持者は1975年(昭和50年)をピークに20代、30代の若い世代が減少が続いていました。それが2006年から増加に転じ、現在も右肩上がりとのことです。増加の背景のひとつには、前述のジビエ人気により狩猟への関心が高まっていること。そしてライフスタイルの変化により、若者の間で自然が豊かな地方への移住を考える人が増えてきたこと。さらに、マンガやYouTubeで狩猟の様子が取りあげられるようになったことが、その理由として考えられています。このように若い取得者は増えているものの、猟友会に入って本格的に猟や獣害対策を行うという人は少なく、ほとんどが実際は趣味に留まっているそうです。そのため、ペーパードライバーならぬ「ペーパーハンター」が多いそうです。ただ最近はクマなど野生動物による被害が増えており、対策に頭を悩ませる自治体も増えています。そのため各団体では、実際に狩猟を行う人を増やすために、さまざまな取り組みをおこなっているとのこと。ベテランと若手のハンターの接点を増やす機会を設けたり、接しやすい空気づくりを行なったりしています。北海道では若いハンターを応援する会社があり、アプリを開発して情報提供などを行なっています。このアプリでは、ハンターと飲食店もつなぐ取り組みも行なっているとのことです。現在、全国で約1,700人のハンターが登録し、飲食店は150店ほどが登録。例えば、ある飲食店が「◯月×日までにエゾシカを持って来て欲しい、報酬は△円です」と登録し、獲ることができたハンターは処理施設に搬入します。そして飲食店からハンターには報酬が、処理施設には費用が支払われ、アプリ会社には手数料が支払われる仕組みとなっています。その先にはハンターの評価制度なども考えられているそうです。「ジビエ」という古来からの風習と、ネットならではの情報や評価システムの組み合わせに注目したいところ。加藤は最後に「角上さんの話から、知らない世界を知ることができました」とまとめました。

(クマ被害多発、すみ分けの道探らねば)
クマによる人身被害が、東北地方を中心に全国各地で多発している。今年4~10月で計180人が襲われ、2006年度の統計開始以来、最多を更新した。死者は計5人に上る。ほとんどが本州、四国地方で広く見られるツキノワグマによる被害だ。中国地方もよそ事ではない。冬眠を前に、餌を求めて動きがより活発になる時期である。暖冬の影響で冬ごもりが遅くなるとの指摘もある。警戒を一層、強めたい。人身被害は秋田県61人、岩手県42人、福島県13人、青森県11人、長野県10人と続く。街中に出没する「アーバン・ベア」も問題になった。秋田では、通学途中の高校生が住宅街で襲われた。東北森林管理局によると、東北地方5県ではドングリが大凶作で、被害多発の直接的な要因とみられる。ただ、それだけではない。農山村の過疎化で里山の荒廃や耕作放棄が進んだ結果、人里と奥山の緩衝帯がなくなってクマの生息域が拡大し、個体数も増加傾向にある。果樹や畑の作物の味を覚えて人の生活圏に迫るクマもいるだろう。荒れた奥山から都市部へと、生息域がドーナツ化しているとの見方もある。西中国山地でも生息域の拡大と個体数の増加は顕著に見られる。広島、山口、島根3県の20年度の調査で生息域は約8200平方キロに及び、21年前の1・6倍に広がった。推定生息数は約1300頭。調査手法が違うため単純比較はできないが、2・7倍に上る。人身被害のリスクも当然、高まっている。本年度は、6月に島根県邑南町で70代男性が自宅の裏山で襲われ、重傷を負った。先週末には浜田市金城町で、新聞配達中の30代男性が遭遇し、軽いけがをした。目撃情報は、広島市郊外の住宅地周辺でも相次ぐ。一番の対策は出くわさないことだ。山沿いを歩く時は鈴や笛、ラジオの音を出してクマが逃げるよう仕向けたい。万が一、遭遇したら背中を向けずにゆっくり後退する。向かってきたら首や頭を両手で隠してうつぶせになり、致命傷を避けるほかない。西中国山地のクマは、環境省が絶滅の恐れのある個体群と位置付け、狩猟を禁じている。3県は個体数が減らないよう「保護」してきたが、人家周辺への出没が増えたとして昨年度、「管理」へと方針を転換。捕殺頭数の上限を引き上げた。住民の命や生活を守るため、増え過ぎないようにするのはやむを得ない。重要なのは「すみ分け」だ。3県の管理計画では、個体群の維持を図る保護地域、クマの侵入を許さない排除地域、中間の緩衝地帯の3ゾーンに分けてモニタリングや環境整備の強化を掲げる。地域にもできることはある。クマが寄りつかないよう果樹や農産物を管理し、生ごみをきちんと処理することは重要だ。集落内の柿を放置せず、ジャムの加工所を設けて地域産品化や住民の交流につなげた例もある。官民で知恵を絞り、共生の道を探る取り組みを各地で加速させたい。

(クマ最多、対策追い付かず)
東北地方を中心に今年度のクマによる人的被害が過去最多となる中、自治体の対策が追い付いていない。餌となるブナの実の不作が主な原因とされるが、過疎化に伴う耕作放棄地の拡大も背景にあり、根本的な対策は難しい。クマを駆除した自治体には「かわいそう」との批判が集まるケースもある。事態の深刻さを伝えようと、東北の知事らは国にクマ対策の緊急要望を行った。環境省によると、今年度、クマによる被害を受けた人は10月末時点で180人で、既に過去最多を更新。ブナの不作でクマが人里に近づいたためとみているが、担当者は「過疎化で人間の土地利用が減り、クマの生息域が拡大している」とも指摘する。全国最多の秋田県では、今年度の被害人数が今月17日時点で69人に上る。県自然保護課は餌不足に加え、耕作放棄地の増加もクマ出没の一因と分析。県内の2015年の耕作放棄地は9530ヘクタールで5年前から3割近く増えた。県林業研究研修センター幹部は「里山が減少して耕作放棄地が増え、そこにクマが住むことで森林と人が住む空間の境目があいまいになっている」と語る。県は5月、「ツキノワグマ出没警報」を発令。その後延長を繰り返し、現在は今月末を期限とする。発令中の駆除費用として地元猟友会に1頭当たり5000円の支給を検討している。秋田に次いで被害が多い岩手県では、来年度のツキノワグマの捕獲上限数を過去最多の796頭に引き上げた。ただ、担当者は「大量に出没した次の年も同じくらい出没するとは限らない」と対策の難しさを語る。駆除へのクレームにも悩まされる。秋田県内のある自治体では駆除後に「殺す必要があるのか」といった抗議の電話が殺到。県自然保護課も「駆除後2、3日は通常業務ができないほど電話が鳴りやまなかった」と明かす。「人命への危険が差し迫っている」。北海道東北地方知事会の達増拓也会長(岩手県知事)らは今月13日、伊藤信太郎環境相に緊急要望。頭数管理に必要な経費の支援が受けられる「指定管理鳥獣」にクマを加えることや、建物内に侵入したクマへの麻酔銃使用の許可を求めた。達増氏は記者団に「クマの市街地への出没は日本共通の課題で、新たな局面に入った」と訴えた。環境省はクマの指定管理鳥獣への追加指定に向け、検討を本格化させる。酪農学園大学の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は「クマが市街地の近くに住んでいる状況はリスクが高い。人の生活圏の近くに定着させないことが大事だ。クマに罪はないが安全のために捕獲せざるを得ない」としている。

(クマに襲われた新聞配達員「撃退」の一部始終語る:島根)
緊迫の一部始終を語りました。17日未明、浜田市金城町で新聞配達員の男性がクマと遭遇。男性は持っていた新聞紙で撃退しました。専門家は、クマが柿を狙って人里に現れたとみて、注意を呼びかけています。クマに襲われた新聞配達員・宮本優さん:「威嚇する声あるじゃないですか、ガルルみたいな。ああいう声を出しながら出てきたみたいな感じなんです」。クマと遭遇した緊迫の場面を振り返るのは新聞配達員の宮本さん。宮本さんがクマと遭遇したのは、浜田市金城町久佐。新聞配達をしていた朝5時30分ごろです。新聞を届けるため、家の前に車を止め、玄関にあるポストに新聞を入れようとしたところクマと遭遇。クマは、家の入り口付近に植えられた大きな柿の木の根元にいました。その距離は、わずか1メートルでした。新聞配達員・宮本優さん:「怖かったですよね。怖かったんで、自分自身も逃げることもできないんで、クマの動きを見ながら。逃げてくれたら、一番ありがたかったんですけどね。防御するしかないと思って」。宮本さんに気づいたクマは、いったん、別方向へ逃げようとしましたが…新聞配達員・宮本優さん:「僕の方に向かってきたんですよ。それで、新聞で頭を抑えるというんですか、これしかできないので、頭を抑えて。こういう状態ですよね。最終的に、クマは肩に(ひっかいてきた)って感じですね」。宮本さんは持っていた新聞紙をクマの顔に当て防御。数分のもみ合いの末、クマは逃げましたが、逃げる際に、宮本さんの手首と肩をひっかきました。軽傷でしたが、着ていたカッパの左肩部分はボロボロに。クマの爪の鋭さを物語っています。襲ったのはツキノワグマとみられ、体長約1m、体重30キロから40キロ程度で、メスか子どものどちらかとみられています。クマがいたのは大好物の柿の木の根元。食べられた跡が残る柿。さらに、家の周りにはクマのものと見られる大量の糞が残されています。専門家は、クマが頻繁に柿を食べに来ていたと見ています。島根県西部農林水産振興センター・静野誠子鳥獣専門指導員:「最近、空き家などが増えていて、その周りに柿の木があったりするので、そういうところで、人気のないところで、柿を食べて、そこで味を覚えて、人里の方までおりてきてしまうということもよくあることですね」。県によると、今年度のクマ目撃件数は10月末時点で726件。去年の同じ時期を約200件上回っています。ツキノワグマは、主に山の中に落ちているドングリを食べますが、県の調査によると、県西部でドングリがやや凶作となっているといい、その影響で人里に植えられた柿などを食べるため、山を降りてきているとみています。島根県西部農林水産振興センター・静野誠子鳥獣専門指導員:「空き家が増えていて、誰も管理していないというか、実も取らず放置されてしまっている柿も多くて、誰も取らない柿っていうのを減らしていくことが、(被害を減らすために)重要なんじゃないかと思いますね」。県は、地域住民と協力して空き家に放置された果物を取り除くなどの対策を取っています。島根県西部農林水産振興センター・静野誠子鳥獣専門指導員:「県としても、クマと人のすみわけというのを進めてまして、クマのいるエリアと人のいるエリアを分けて、人里にクマが出てこないような対策をしていこうとしているので、人間がクマにおびえて過ごすことがないようにしていきたいなと強く思ってます」。県は、冬眠が始まる12月末までは警戒をするように呼びかけています。

(ドローンから超音波出してイノシシ追い込み:広島)
広島県神石高原町と同町豊松地区猟友会などは20日、イノシシが嫌う超音波を出すドローンでイノシシを追い込む実証実験をした。町によると、ドローンと超音波を猟犬のように使ってイノシシを追い込む実験は全国でも珍しい。来年度以降の実用化を目指す。

(「山の猟師塾」の参加者募集について:三重)
昨年度"ご好評"をいただきました狩猟の魅力発信イベント「山の猟師塾」を本年度も開催します!!本講座では、地域で活躍する【若手ハンター】に注目!! 若い視点から見た【狩猟の魅力】や【リアルな狩猟の世界】を直接聞くことができる貴重な機会になりますので、狩猟やジビエなどに興味のある方は是非ご参加ください!

(登校時にクマを警戒:岐阜)
飛騨署などは20日、飛騨市神岡小学校周辺で、クマの被害から登校する児童を保護する見守り活動をした。同校付近では10月に男性がクマに襲われる事案が発生。市によると、4月から11月19日までに神岡町で43件、市内全体で113件の目撃情報が寄せられ、ともに昨年の倍以上となっている。

(“全国最多”共存目指す「学習放獣」:長野)
全国で相次ぐクマの被害です。長野県内は捕獲数は全国6番目ですが、駆除せずに山へ返すいわゆる「学習放獣」の数が圧倒的に多くなっています。里への出没が増える中、こうした取り組みをどう続けていくか県の議論が始まりました。全国で相次ぐクマの被害。県内でも10月末時点で1256件の目撃があり、2022年、2021年を上回るペースです。人身被害も10件・11人。飯山市では10月くくりわなにかかったクマに襲われた男性が死亡しました。そうした中、県はクマ対策の在り方を検討する会議を開きました。県の対策ではある傾向があります。それは捕獲したクマを人間の怖さなどを覚えさせてから山へ返す「学習放獣」の多さです。環境省のまとめでは、2023年9月末までの県内のクマの捕獲数は310。秋田(903頭)や福島(533頭)、北海道(488頭)などに次いで全国6番目に多い数字です。一方で、駆除せずに放した数は57(※非捕殺)と、全国で圧倒的に多くなっています。軽井沢町のNPO法人ピッキオが中心となって活動していて、軽井沢では人の生活する場所では2010年以降、人身被害は起きていません。県もクマとの共存を目指し人や農作物に被害を与えたクマ以外は原則「放獣」する方針です。ただ、20日の会議ではこれだけクマの出没が増える中で被害を出した個体かどうか判断が難しいケースや地域住民の理解が得られるかなど課題も指摘されました。参加した委員:「人里に出てきた個体に関してはおいしいもの食べて味を覚えてしまう。お仕置きして(山に)戻したところでまだ出てきちゃうんじゃないか」県は今後、駆除や学習放獣のあり方について、検討を進める方針です。また、引き続き放置された果樹などの誘引物の除去などの対策を強化します。県 鳥獣対策室・塚平賢治室長:「全国的なクマの出没状況が住民に心労というか心配を与えている中で、学習放獣をするかしないか難しい判断をしなければいけないかなと」。

(熊対策で意見交換、県が特定鳥獣保護管理検討委:長野)
県は20日、特定鳥獣保護管理検討委員会を県庁で開き、10月に飯山市で高齢男性がツキノワグマに襲われたとみられる死亡事故を受け、対策の在り方を検討した。有識者や行政の代表者など12人が出席。第二種特定鳥獣管理計画で示されたゾーニング(区分け)の実施や、わなにかかった「初犯」の熊と子熊を野生に放つ学習放獣の在り方などについて意見を交わした。県鳥獣対策室によると、熊による今年の人身被害は10件11人。目撃状況は10月末時点で1256件と直近2年の1年間の件数を上回っている。生息数は県内でも増加傾向にあるが、昨年の捕獲数は227頭(速報値)、放獣数は331頭(同)でともに例年並みだという。会議で白鳥孝伊那市長は、「学校や保育園の近くに出没することもある。里地付近に出没した熊は捕獲してほしい」と要望。他の委員からも、里地に下りてきた際の捕獲を求める声が相次いだ。県環境保全研究所の黒江美紗子研究員は、放獣される熊の多くが山奥で暮らし、山奥に設置されたシカ用のくくりわなにかかっているケースが大半だと指摘。「(山奥での)捕獲数の増加が、農林業被害や人的被害の減少につながるのか疑問。ゾーニングを実施してやぶの刈り払いや誘引物の除去などを徹底することで、熊を里地に近づけない取り組みを進めるべき」と述べた。県は今後、国の方針や専門家らの意見を踏まえ、年度内に対策の方針を決める予定。

(24歳女性ハンター「シカを仕留めて足が震えた」:静岡)
静岡県富士宮市の内房地区に、18日集まっていた地元猟友会のメンバーたち。県内でも11月から解禁された狩猟に、これから向かうところです。イノシシやシカを猟犬が追い立てたところをハンターが迎え撃つ、「巻き狩り」と呼ばれる伝統的な方法で猟を行います。ハンターたちが本格的に活動を始めるこの時期。しかし、今シーズンは例年とは違った緊張感があるといいます。富士宮猟友会会員:「ニュースでも見る通り、クマが出たりとか報道されていると思うのですけど、実際問題そういうところが心配なので…」。今シーズンのクマの目撃情報は17日までに79件。去年のおよそ3倍と急増しています。県がまとめたクマの出没マップを見ると、市町別で最も多いのは静岡市の31件。山間部のオクシズだけでなく、市街地や海に近い地域でも目撃情報が寄せられていて、従来の生息域の外でも多数確認されていることが分かります。一体なぜ今年は、県内でもクマの目撃が相次いでいるのでしょうか。静岡県森林・林業研究センター 大橋正孝さん:「やはりエサ不足でそうしたことが起きていると考えられる。(エサとなる)ドングリがなる山というのは、標高1000mよりも高い所が主体になると考えられる。(静岡市清水区由比の)薩と峠でも確認されているんですが、航空写真で見ると、静岡の山は割と木でつながっているところが多い。出没する可能性はある。ひょっとしたら市街地近くまでクマが来ても不思議ではない」富士市では住宅街での出没情報が相次いだほか、これまでは「クマがいない」とされていた伊豆半島でも発見される事態に。今年静岡市に次いで、県内で2番目に目撃情報が多い富士宮市。ハンターたちもクマへの警戒を強めています。富士宮猟友会 風岡正則会長:「クマを1回だけ見たことあるんですけど、こうゆう植林している山を上から下に走っていくときはものすごく速いですよね。獣が歩くところなんですけど、そういうところにシカの罠をかけるので、そこを歩きやすいからよく(クマが)罠にかかるケースが多いです。出やすい時間というのは、僕はないと思いますよ。常日頃エサを探しているし、警戒していると思います」。一方で、県内ではクマの狩猟は自粛扱いとなっているため、ハンターにとっては警戒が必要なのはもちろん、悩ましい存在でもあります。富士宮猟友会 風岡正則会長:「静岡県では、とにかく保護するんだという話になっているんで、保護しようと言っているんだから撃ちたくはないですよ。それは自分とか他人とかに被害が及ぶということになれば、どうしても撃ったり殺したりしなければならない」。増えすぎた野生のシカやイノシシによる様々な被害を抑えるのが目的の狩猟。ただ、その担い手であるハンターをめぐっては、大きな課題が…。県によりますと、県内で狩猟免許を持つ人は7443人。そのうちの半数以上が60歳以上です(2022年)。こちらの猟友会で、最高齢は…。榛原郡猟友会 杉本栄作さん:「83歳です。年金生活者ですね」。この日もベテランが多い中、数少ない若手の姿も。榛原郡猟友会 牧野徳子さん:「いま24歳ですね。(猟に参加したのは)去年の12月」。富士市に住む牧野徳子さん。普段は会社員として働いています。大好きな犬と一緒に何か始めたいという思いで関わるようになった狩猟。免許を取ってからまだ1年足らずですが、シカを一頭仕留めた経験があるそうです。榛原郡猟友会 牧野徳子さん:「うれしさもあったけど、申し訳ないという感じもあったりと、複雑でしたが、足はすごく震えていましたね」。若い担い手を増やそうと、県はおととしから資格を持たない学生を対象にした講習会を開催。一方で、猟友会は新人ハンターを対象にした研修会を年2回行うなど、フォローアップの態勢整備も進みつつあります。その成果もあってか、20代30代のハンターは2015年度と比べて1.5倍の1158人にまで増加しています。牧野さんも新人ハンターの研修会に参加しています。榛原郡猟友会 牧野徳子さん:「良くある話かもしれないですけど、命をいただいているというのをすごく身に染みて感じますね」。この日の猟には、およそ20人が参加。巻き狩りでシカやイノシシを捕まえます。同行した最高齢の杉本さん。急な斜面を物ともせずに進んでいきます。杉本さんが狩猟に出会ったのは27歳の時。その仕事にすぐに魅了されたといいます。榛原郡猟友会 杉本栄作さん:「(狩猟の魅力は)感動を与えてくれるというところです。もう年ですから80歳ぐらいでやめようかと思ったのですが、歩ける限りは続けようかと…」。ポイントに到着すると、猟犬の鳴き声などで獲物の位置を確認します。命と向き合う狩猟。全国的にクマによる被害が相次ぐ今年、ハンターに対して「かわいそうだ」「なぜ殺したのか」といった苦情や中傷も問題となっています。こうした現状に、県内のハンターたちは―。富士宮猟友会 風岡正則会長:「クマの命と人間の命とどっち大事なのか、しっかりはかりにかけてくれているのか? クマの怖さを知らない人は無責任だと思う」。榛原郡猟友会 杉本栄作さん:「生き物を殺すということで批判もあるんですが、猟をすることで数が少なくなれば、農作被害も少なくなるのではと思います。我々のように年を取ったものが山の中に入っているんですが、これからは若い人にも猟に参加していただきたい」。

(狩猟初心者向けに魅力体験講習:広島)
初心者向けの「狩猟の魅力体験講習会」が12月9日午前10時~午後0時半、広島県三次市三次町の市民ホールきりりである。狩猟の担い手づくりを目指す市が初めて企画。わな猟のこつなどを学ぶ。

(カラスの勝手は許さない!:福島)
JR福島駅周辺で冬場に多いカラスの群れによるふん害を食い止めようと、福島市が撃退作戦に乗り出した。大挙して押し寄せているのは渡り鳥の「ミヤマガラス」。警戒心をあおる音を流し、街からの追い出しを狙う。寒空を覆う黒い影と、地面に広がる白いふん。カラスと人間の知恵比べが始まった。

(迫るヒグマ、消防隊員はなぜ生還できたのか:北海道)
歩いてきた登山道を振り返るとヒグマがいた。命の危機に直面した3人の消防隊員たちはどうやって切り抜けたのか。10月31日、津軽海峡に臨む北海道南部の福島町の大千軒岳(だいせんげんだけ、標高1072メートル)。消防隊員3人は遭難者が出た時のために登山道を下見しておこうと、休暇を利用して訪れた。備え付けられたロープを頼りに登る急傾斜が続いた後、標高550メートルの大人3人が並べるほどの場所で水分補給をした。午前10時ごろ。そこは晴れ渡り、晩秋の澄んだ空気に満ちていた。「深いな」。大原巧海さん(41)は崖の下の沢を見下ろした。この山がヒグマの生息圏であることは知っている。ここまで登ってくる間、常にクマよけの鈴や笛、火薬銃で自分たちの存在を知らせてきた。「ふと登ってきた道を見ると、カーブからヒグマがのそのそと出てきたところでした」。阿部達也さん(36)が振り返る。すでに5、6メートルに迫っていた。「クマだ」と声を上げるとクマは一瞬動きを止めた。目が合った。その刹那(せつな)、突進してきた。崖側にいた阿部さんはのけぞった弾みで3メートルほど滑落したが、植物に手をかけてかろうじて止まった。

(現役マタギが怖れる「クマ襲撃」に起きている異変:秋田)
今年はクマによる人身被害が過去最悪となっている。環境省によると10月末時点で164件、被害者は180人で、5人が命を落としている。人里近くに暮らすアーバンベアの存在、市街地での襲撃などこれまでにない現象が相次いでいる。そんな異変を現役のマタギはどう見ているのか。秋田県の阿仁マタギ第15世・松橋利彦氏(60)に話を聞いた。今年は人里に下りてくるクマが多い松橋氏は秋田県能代市の出身。「伝説のマタギ」といわれる第14世・松橋時幸氏(故人)の娘婿となり、2008年にマタギの世界に入った。マタギの本場、北秋田市阿仁比立内で松橋旅館を営む一方、現役マタギとして猟期(11月1日から2月15日)には、仲間と山に入りツキノワグマを追う。――11月1日に秋田県で狩猟が解禁になりました。これまでに何回猟に行かれましたか。松橋:3回かな。最近はマタギも高齢化と後継者不足で数が減り、なかなか人数がそろいません。昔は統領(シカリ)からクマを追い出す役割の勢子(セコ)、クマを包囲して鉄砲を撃つ撃ち手(ブッパ)まで10人ほどのマタギ衆で猟を行うのが通例でしたが、最近は10人集まるのは年に数回がやっと。猟の回数も減りましたね。――今シーズンの山の状況はどうですか。クマはいますか。松橋:今年は山にドングリなどの餌がなくて人里に下りてくるクマが多い。過去に例がないほど多いんじゃないかな。里のクリや、これまではあまり食べなかった渋柿まで食べていますよ。山はねえ、まだ雪がほとんど降っていないから足跡が付かないので、奥まで行っても見かけなかったなあ。きのう、きょうで少し雪が降り始めてきたから、本番はこれからだね。――人里に下りてくるクマが多くて被害が続出したため、県は狩猟による捕獲の枠を制限しないことを検討する、と狩猟解禁直後に報じられていました。松橋:それがね、きょう(11月14日)、県の保護課からハガキが来ましてね、「令和5年度猟期におけるクマの狩猟は自粛くださるようお願いします」と書いてあったんです。今年はわなによる捕獲が増えたんですよ。捕獲しすぎるわけにもいかないから、こういうことになったのでしょう。だから、今年はクマ猟には行けない。代わりにシカやイノシシ、山鳥を獲りに行きますよ。※当初は捕獲上限を過去最多の96頭から引き上げて100頭まで認めることを決めた。その後、想定以上に狩猟が進み、早々に100頭に達することが確実視される見通しとなったため、自粛を求めたという。しかし、11月21日に、クマの狩猟について秋田県は、近く再開させる考えを示した。24日に開かれる専門家による検討会の意見を踏まえたうえで正式に決まる見込みだ。一方、有害鳥獣捕獲の制限はない。有害駆除数は11月6日時点で1400頭を超えている。

(第2の「OSO18」続々?“肉食化”のメカニズム)
21日も北海道ではクマに襲われて2人がけがをしました。そんななか、今恐れられているのが牛66頭を襲った怪物と呼ばれたヒグマ「OSO18」の再来です。クマの肉食化には子育てが関係しているといいます。今年6月に北海道標茶町で撮影された映像です。クマが食べる餌(えさ)に異変が…。北海道で何が起きているのでしょうか。21日も北海道ではクマが出没。滝上町の山中で朝、ハンターらがクマに襲われて2人がけがをし、ドクターヘリで病院に搬送されました。本来、クマは木の実などの植物を好んで食べるはずで、川で遡上(そじょう)するサケを捕らえる知床半島のヒグマの姿もおなじみの光景ですが、このクマが食べていたのは「牛」です。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん(62):「クマにしたら、かなり警戒しながら食べている状態」。今、肉の味を覚えたヒグマが北の大地にいるというのです。肉食のクマといえば、よみがえるのが「OSO18」の記憶。最初に被害に遭った地名と大きな足跡から「OSO18」と呼ばれ、2019年以降、道東で出没が相次いだヒグマです。OSO18もまた、牛を食べるクマでした。「OSO18特別対策班」のリーダーだった藤本さんがその脅威を語りました。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「牛を襲った数が66頭」「(Q.肉の味を覚えてしまう?)覚えさせてしまった」。OSO18はすでに駆除されていますが、藤本さんが今、懸念しているのが“肉食グマ”の再来です。6月に撮影された「牛を食べるクマ」はOSO18ではない全く別のヒグマです。肉食のヒグマが新たに現れ始めているのです。今季は「木の実」の不作やサケなどの漁獲量の激減など、餌を探し徘徊(はいかい)するクマが急増。「肉食グマ」が増える背景には、北海道にのみ生息する「エゾシカ」の存在があるといいます。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「シカも増えているし全然、昔とは違う。頭数が増えるとクマもシカを食べ出すっていうのがどんどん増えてくるので、そうなると肉を求めるクマも出るかな」。実は、エゾシカの生息数は2018年度を境に増加傾向となり、昨年度は72万頭に上ると推定されています。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「昔はエゾシカ猟の時期しかとらなかったが、(今は)通年でほとんどエゾシカをとっているが、数が減っていかない」。さらに藤本さんが今、懸念しているのが“肉食の連鎖”です。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「クマというのは2年間お母さんに育てられます。(肉食になるかは)母グマによる。木の実を一生懸命食べる母グマだったら(木の実を食べる)クマに育つし、エゾシカの死体を食べてばかりの母グマだったらそういうのを覚えてしまうし、必ず母グマに連れて行ってもらった所に子別れしたらクマがきょうだいで行きます」。肉食の生態は母から子へ…“肉食の連鎖”です。OSO18対策班でリーダーを務めた藤本さんは“OSO18”の再来を懸念しています。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「(Q.OSO18に続くヒグマが出てくる可能性は?)今のシカの状況を見ているとゼロではない。やっぱり肉はおいしいので…」。この状況を野放しにすれば今後、最悪の事態を招きかねません。OSO18特別対策班リーダー 藤本靖さん:「エゾシカの管理をしてあげないと、今回のOSO18みたいに火が付いて次の展開に行く。(肉食クマが)出ないとは限らないので。そこの段階をしっかり管理していくのが大切」。

(「クマ被害増加の背景にメガソーラー?」根拠不明の情報に注意)
「大規模な太陽光発電施設、メガソーラーの建設が関係しているのではないか」。クマによる被害が各地で相次ぐなか、SNSでこうした内容の投稿が拡散しています。しかし、専門家は十分な根拠がない情報だとしています。どういうことか、取材しました。クマに襲われてけがをするなど、被害に遭った人の数は今年度は国が統計をまとめて以降、過去最多となり、19の道府県で200人を超えています。被害が多くなった9月以降、旧ツイッターのXで広がっているのが「クマが多く出ている原因はメガソーラーではないか」などとする投稿です。NHKが、Xで「クマ(熊)」に加えて、「メガソーラー」「太陽光発電」「ソーラーパネル」のいずれかを含む投稿数の推移を分析すると、この3か月間で急増していることがわかりました。投稿は年間数百件だったのが、去年とおととしは7000件あまりに。そして、ことしの投稿数はすでにおよそ5万5000件、そのほとんどが9月以降でした。なかには70万回以上、閲覧された投稿もありました。同様の内容を語るYouTubeの動画は10万回以上再生されていました。11月に入っても、クマの出没とメガソーラーを関連付ける「まとめサイト」の記事が広がるなど、拡散が続いています。環境省のまとめによると、ツキノワグマに襲われてけがをしたり死亡したりした人の数は長期的に増加傾向にあります。太陽光発電の導入量も、同様に増加してきています。では、メガソーラーが建設されたことによって、クマの被害が増えることはあり得るのか、クマの生態に詳しい2人の専門家に単刀直入に聞いてみました。東京農工大学大学院 小池伸介教授「私は聞いたことがないですね。そのような研究を聞いたことはありませんし、関係はないのではないでしょうか」。石川県立大学 大井徹特任教授「聞いたことはない。35年以上研究を続けているが、クマの生息地である奥山で太陽光発電の施設を開発するような現場を見たことはない」。Xの投稿ではクマの被害が出ている場所と太陽光発電施設の重なりを主張するものもありました。大規模な太陽光発電施設はどのような場所に設置されるのか。国立環境研究所の調査結果を見てみます。下の図は、10メガワット以上の太陽光発電施設の設置面積を、土地の形態ごとにまとめたものです。特に多いのが「人工林」や「人工草原」。「人工草原」にはゴルフ場や牧草地なども含まれます。「天然林」や「自然草原」と違い、これらは人里に近い場所にある森林や草原です。クマの生態に詳しい東京農工大学の小池教授は「クマの被害が出ている場所と太陽光発電施設の場所が一致したとしても、山際の放棄地にソーラーパネルを設置しているからではないか」と話しています。メガソーラーのある場所でクマが目撃されてもおかしくはなく、それだけでは原因を示すことにはならないというのです。メガソーラーの建設によって、森林が減り、クマが追い込まれたのではないかという主張もあります。そもそも森林の面積は減っているのか。林野庁の調べでは、2022年の時点で、国内の森林面積はおよそ2500万ヘクタール。40年前と比べても、大きな変動はありません。また、太陽光発電のために開発された森林の面積は2013年度~20年度までで合計1万9000ヘクタールです。単純に比較すれば、森林全体の面積の0.08%ほど、1000分の1未満です。さらに、森林を伐採して発電施設を設置することはあるか、日本で最大規模だという事業者にも聞きました。発電量にして1.3ギガワットの太陽光発電所を開発している「パシフィコ・エナジー」からメールで回答を得ました。パシフィコ・エナジー「太陽光発電所はゴルフ場跡地など既に開発がなされた箇所への設置を主に進めている。山間部での設置にはなるが既に開発された場所が対象となる。一般に太陽光発電所は斜面への設置には不向きであるため、山地への設置には相当量の造成工事が必要となる。太陽光発電の買い取り価格が1キロワット時あたり10円を切った今後は山地への設置は経済的には起こりえない」。また、専門家はメガソーラーの設置場所はクマの生態に影響しないのではないかと指摘します。石川県立大学 大井徹特任教授「メガソーラー建設によってクマの生息環境が悪化しているということはないと考えられる。メガソーラーが本来のクマの生息地である山地に広がっているなら別だが、耕作放棄地など人間の生活圏そばの遊休地が利用されている場合が多いと考えている」。それならば、クマの被害はなぜ増えているのか?環境省や専門家は、クマが生息する範囲が年々広がっていて、特にエサのドングリが不作だったことしは人里に出没することが多かったことが大きな要因だとしています。環境省が2018年度に行った調査では、クマの分布域は北海道から中国地方まで広い範囲で拡大しています。その背景には、中山間地での過疎化や高齢化による人間活動の低下、耕作放棄地の拡大などがあるとしています。専門家も、人の活動の縮小とともに、クマの分布域が拡大していると指摘します。東京農工大学大学院 小池伸介教授「人が急速に里山から撤退したことで、数十年前と比べると、クマの分布が大きく拡大している。陣取り合戦があったところで、人がひいたので、クマをはじめとしたいろんな動物が入ってきている」。石川県立大学 大井徹特任教授「ことしについては、エサとなるドングリなどの不作が主な原因でクマの出没や被害が多くなった。また、それを助長したのはクマの生息域が徐々に広がってきていたことだ。人間の生活が変わったことで、人里と隣接する里山の利用が減った。人間の生活圏のすぐそばにクマが生活できる環境ができ、そこで暮らすクマも増え、人目につく場所へ出て行くことに心理的な抵抗のないクマも生じたと考えられる」。データを検証し、専門家に取材すると、「メガソーラーの建設によってクマの被害が増えている」という情報は、十分な根拠がないことが分かってきました。今回のケースのように、2つの異なる事象が同じような期間に増えていると、どちらかが原因で増えているように考えてしまいがちです。こうした主張は、クマの事例に限らず、SNSなどでよく見られます。データ分析が専門の慶応大学の中室牧子教授は「ある事象とある事象が同時に発生していることは、必ずしも原因と結果の因果関係があることを意味しないが、よく混同されるのが問題だ」と指摘します。本当に、原因と結果の因果関係があるか見分けるにはどうすればいいのか。中室教授は3つのポイントを挙げています。1「まったくの偶然ではないか」と考えること。2「第3の因子が存在するのではないか」と考えること。3「逆因果ではないか」と考えること。慶応大学 総合政策学部 中室牧子教授「事案が発生したところしか見ていないケースが多いが、発生しなかったところでどうなっているか比較しないと、実際には分からない。なんとなく増えている、減っているということではなく、因果関係を明らかにするには統計的な手法で分析しないといけない。単純にデータを並べるだけでは分からないので、注意が必要だ」。

(“クマの狩り”からみる生態と驚異の運動能力とは)
週末の3日間だけでも7人がクマに襲われてけがをしました。クマが動物を襲う狩りの様子を捉えた貴重な映像から驚くべき身体能力が見えてきました。山の斜面で首を左右に激しく振るツキノワグマ。現れたのはニホンカモシカです。すぐに立ち去ります。クマがくわえているのはカモシカの子です。野生のクマが狩りをする様子を捉えた貴重な映像。撮影したのは、滋賀県でイヌワシやクマなど野生動物を40年以上、観察している動物写真家の須藤一成さんです。動物写真家 須藤一成さん:「かなりの素早さで、子のカモシカにすぐにクマが追い付いた」。野生のクマが獲物を追い掛ける瞬間。逃げるカモシカを猛スピードで追跡。一発で仕留めます。親のカモシカが追い付きますが、時すでに遅し。撮影した須藤さんによりますと、クマが仕留めたカモシカは生後2カ月ほど。この時クマは、カモシカの成獣ではなく子だけを狙っていたといいます。動物写真家 須藤一成さん:「向こう(カモシカ)に自分の存在がばれてしまうと成獣を捕まえることはできないと分かっている。だんだん距離を縮めていって最後、親のカモシカが危険なので警戒する声を出したが、もうどうしようもない。子のカモシカは追い掛けられ、林から出てきた」。狩りの瞬間、クマは驚異的な身体能力を発揮します。動物写真家 須藤一成さん:「山の中で灌木(かんぼく)や植物がたくさんあるなかで、ものともせずに全速力で走っていた。捕まえて喉元に食らい付き、カモシカの子はすぐに死んでしまった」。ツキノワグマは、瞬間的に時速50キロもの速さで走ることができるといいます。動物写真家 須藤一成さん:「すごい勢いで走っていったり、動物の押さえるべき急所をよく知っていたり、狩りの能力をちゃんと持っている」。今年8月に撮影した映像です。母グマがどのようにして獲物を見つけているのか、その様子を捉えることにも成功しました。1歳ほどの子グマを連れた母グマが顔を高く上げる動作をします。鋭い嗅覚で獲物のにおいを嗅ぎ分けていると考えられます。動物写真家 須藤一成さん:「恐らく目視では(獲物が)見えていなかった。においで気付いてそっちの方向に慌てて歩き始めた」。何かを察知したのでしょうか、母グマがかなり急な斜面を器用に駆け上っていきます。母グマの後を子グマも追い掛けていきます。およそ100メートル進んで立ち止まった先にはシカの群れです。クマの気配を感じたのか、シカは一目散に逃げていきます。群れの中には子ジカの姿も確認できます。動物写真家 須藤一成さん:「多分、親のシカをあの距離で追い詰めて捕ることはできない。においで群れの中に子ジカがいることにクマは気付いて、群れを追い始めた」。この時は、シカに気付かれて獲物を捕らえることはできませんでした。一部始終を望遠レンズで撮影していた動物写真家の須藤さん。クマの嗅覚は侮れないと警鐘を鳴らします。動物写真家 須藤一成さん:「最終的に僕の存在に気付くのは、鼻を高く上げてにおいをかいだ後、人間がいることに気付いて逃げていく。目ではこちらが動かない限りはほぼ認識していない。突然、出合い頭に出合ってしまうとクマも驚いて危害を加える可能性もある。子グマを守る本能がすごく強い。子連れのクマは危険」。

(クマの駆除に「お前も死んでしまえ」と抗議電話する人々の正体)
読売新聞オンラインは10月28日、「クマ駆除の秋田県に『お前も死んでしまえ』など抗議電話殺到…佐竹知事『業務妨害です』」との記事を配信した。クマの駆除に反対する人が県庁や市役所などに電話をかけてきて、常軌を逸した抗議を行う「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が横行、北海道や東北各地の自治体や関係団体に多大な被害をもたらしている。読売新聞の記事では、秋田県庁にかかってきた抗議電話の内容が紹介されている。《「クマを殺すなら、お前も死んでしまえ」「お前らみたいな能力のないやつがなぜ県庁で働いているんだ」》というもので、文字通りの暴言だ。県自然保護課は抗議電話の件数を集計していなかったが、10月6日から1週間、《鳥獣保護管理チームの電話5台は鳴りっぱなしの状態》になった。「クマがかわいそう」という駆除反対の意見が大半を占め、県外在住者からの電話が目立ったという。11月10日には富山県の地元紙・北日本新聞社webunプラスが「『かわいそう』『殺さないで』 クマの駆除巡り県に抗議の電話相次ぐ」との記事を配信した。カスハラが北海道や東北地方だけでなく北陸地方にも広がってきたことが分かる。なぜこのような非常識な行動が広がり続けているのか、『カスハラの犯罪心理学』(インターナショナル新書)の著書がある東洋大学の桐生正幸教授(犯罪心理学)に取材を依頼した。「カスハラの抗議電話は大きく分けて3つの類型があります。1つ目は、本気で『クマがかわいそう』と訴えるもの。2つ目は、この件をきっかけとして職員を脅迫したり、爆破予告を行ったりといった犯罪性のある嫌がらせ。そして3つ目が自身の歪んだ正義感をベースに、自らの正しさをかなり強い調子で訴えるもので、この3つ目が最も数が多いのではないでしょうか。動物愛護法は発展途上の法律で、改正が必要な点も少なくありません。しかし抗議電話をかける人は、愛護法の“いいとこ取り”を行い、『駆除反対』という自説を自治体の職員などに押し付けます。職員の精神的苦痛や、業務に与える悪影響は看過できないレベルになっており、まさに『カスハラ』の代表例と言えます」。昔はカスハラなんてなかったのに──と首を傾げる50代以上の人もいるだろう。その疑問は正しい。カスハラは2000年代以降、顕著になってきたことがさまざまな調査で判明しているという。「2000年代以前の抗議電話は、特定の団体がマスコミをターゲットにするといった、何かしらの明確な目的を持つケースが目立つくらいでした。個人が企業などに悪質なクレーム電話をかけるというケースも存在したとは思いますが、企業内にて処理できるものが多く、社会問題として浮上することはなかったのです。特に80年代後半から90年代初頭、日本はバブル景気に沸きました。右肩上がりの幸福感が、カスハラを生じさせなかった一因になっていたのかもしれません」(同・桐生氏)。90年代初頭にバブル景気が弾けると、日本は「失われた20年」に突入した。そしてカスハラの“誕生”に深く関係しているのが、いわゆる「団塊の世代」だ。「2000年代から団塊の世代が出向を命じられたり、定年を迎えたりするなど、雇用状況に変化が生じました。収入や社会的地位は下がり、不景気が追い打ちをかけ、ストレスを抱える人も少なくなかったのです。そんな彼らが衣食住や交通といった日常的なサービスを利用すると、自分たちのプライドに見合わない対応を受けたと感じることがあり、その時は電話で企業に過度なクレームを行いました。タイミングの悪いことに、不景気で企業は消費者重視の姿勢に転じていました。彼らのクレーム電話に迎合してしまい、お詫びの品などを贈ったのです。結果、『文句を言った者勝ち』という状況が生まれ、日本社会にカスハラが猛烈な勢いで拡がっていきました」(同・桐生氏)。そして、まさに今、カスハラの件数は頂点に達したと桐生氏は見ている。日常生活でストレスを感じていない人たちであっても、クマの駆除というニュースに反応し、過度なクレーム電話で暴言を吐き散らす──。それくらいカスハラが一般的になったというわけだ。「コロナ禍の影響も重要です。自粛ムードで他者との関わりあいが減り、いったんはカスハラも沈静化したように思われていました。ポストコロナの到来でリアルな人間関係が復活しましたが、中にはコロナ禍で対人スキルが低くなった人が出てきます。例えば今、闇バイトが横行しています。日中に宝石店を襲えば、逮捕されることは明白です。ところがリアルな対人関係が薄れてしまったことで、行動が短絡的になり、自分が逮捕されるという想像力も低下する“幼稚化”現象が現れています。実は、カスハラを行う人にも同じ特徴が認められるのです」(同・桐生氏)。自分がカスハラに手を染めれば、その電話に応対する職員がどれだけ心に傷を負うか、どれだけ業務が滞るか、全く想像することができない。いや、そもそも自分の行為がカスハラだと認識することができない──。闇バイトに応募する者も、役所にカスハラ電話をかける者も、共感力や想像力が低下した幼稚な精神状態を持っているということになる。それにしても、「歪んだ正義感」で暴言をまくし立てる抗議電話に対応しなければならないのだから、自治体や関係団体の職員は大変だ。佐竹敬久・秋田県知事は10月23日の定例会見で、抗議電話について「すぐ切ります。ガチャン」「これに付き合っていると仕事ができない。これ業務妨害です」との見解を示した。県のトップが強い態度を示したことに安堵した職員もいただろうが、実際の現場では電話を切るのもなかなか難しいという。「民間企業は資金を持っています。代表電話を廃止し、チャットボットなどの自動応答システムなどを導入して社員の安全を守ろうとしています。しかし地方自治体は資金が潤沢ではありませんし、地域住民の電話に耳を傾けなければならない時も多いでしょう。そこで必要なのが啓発活動です。札幌市役所のようにカスハラ防止を訴えるポスターを掲示するのは効果が期待できます。さらに部署内部で対応マニュアルを作り、『この一線を越えたら電話を切る』とルール化することも必要です」(同・桐生氏)。自治体も徐々に対策を講じていくのだろうが、今後も日本ではカスハラの嵐が吹き荒れるのかと思うと、暗澹たる気持ちになってしまう。だが、桐生氏は将来を楽観視しているという。「今回、異常な抗議電話の問題がクローズアップされたことで、カスハラは絶対にしてはならない行為であり、場合によっては脅迫や威力業務妨害といった犯罪に該当するという認知が広がっています。さらに、東京都などは“カスハラ防止条例”の制定を進めています。条例によって『カスハラは、していけないこと』だという強いメッセージを社会に発信できるのは間違いありません。日本人の多くがカスハラの問題点について理解するようになり、今後、被害件数は減少に転じるのではないかと考えています」。

(農作物被害を防げ、女性ハンター:北海道)
ある時は映像制作会社で撮影担当。ある時は猟銃を手にハンターとして駆け回る。札幌市在住の道上綾子さん(33)は野生鳥獣による農作物被害を防ぐためボランティア巡回や、生息頭数が増加しているエゾシカの駆除などで活躍する。被害を受けている故郷・札幌の農家への思いもある。映像制作会社の同僚と、よくバーベキューをするのですが、「珍しい肉を」と思い、シカ肉を買ってみたら、わずかな量でも結構な値段がしたんです。子供のころに食べたシカ肉が本当においしくて、みんなと一緒にたくさん食べたいと思った。だったら自分でシカを捕ったらいいんじゃないかと思ったのがハンターを目指すきっかけです。令和元年に狩猟免許を取りました。警察署で丸1日、銃に関する講義など初心者講習を受け、筆記試験で合格すると第1段階が終了。その後も区役所で集めた書類を、警察に提出するなど手続きが大変でした。銃を所持する適性があるかどうかの身元調査も事前に行われます。親族や職場仲間、近隣住民とか聞き取りをする範囲は広いですね。身分証明書も提出して問題なければ射撃試験に進める。あまりに手続きが大変でくじけそうにもなりましたが、職場に狩猟許可を持つ先輩がいて随分と助けてもらいました。購入した銃は専用ロッカーで厳重に保管しますが、一般的な賃貸住宅は入居時の契約条件に「危険物(火薬など)の持ち込み禁止」などの事項があるため、保管できません。私は免許取得後、許可してもらえる住宅に転居しました。猟銃所持許可を持つ人は厳しいチェックを受けているので、貸主側には「安心できるクリーンな人」と認識していただけるようですね。初めて銃を撃ったときは衝撃と音がすごすぎて頭が真っ白になりました。試験では練習も含めて100発ほど撃つので、そこでもくじけそうに。受験料が5万円ほどで「落ちたらまたお金がかかる…」と思い、絶対受かろうと気持ちが切り替わりました。射撃技術が落ちないようできるだけ練習する時間をつくっています。弾代などの費用もかかるので結構大変ですけど、撃たないとうまくならないから、そこは必要経費と考えています。過去には練習のし過ぎで肋軟骨を骨折したこともありました。自分の射撃姿勢が悪かったのが原因なんですが、撃った瞬間に肩のあたりが〝ピキッ〟と…。帰路の運転ではシートベルトをするのも痛かった。仕事で迷惑をかけたくなくて職場の人には内緒にしてました。治るまでの1カ月ほど湿布を貼って我慢です。銃を取り出す際に誤って先端部が足先に当たり、小指が折れたことも。治るのに1カ月以上かかって、その時も湿布のお世話になりました。足の小指って体重を支えるので意外と大切だと思いましたね。北海道猟友会札幌支部に所属しており、女性会員の中では世代が若い方。猟友会は頑固なおじいちゃんたちがいるというイメージがありますが、それを払拭したい。今年の春からエゾシカやキツネ、アライグマなど有害鳥獣の駆除ボランティアに参加するようになりました。農家の依頼に応じて農場周辺を巡回をしたり、わなを仕掛けたりします。テレビ中継の仕事で農家を訪れたとき、収穫直前のトウモロコシが食害に遭ったという話を聞きました。頑張って育てたのに気の毒だなと。何か役立てることがないかと考えていたら、猟友会支部の人からボランティアの有害鳥獣駆除に誘われ、参加を決めました。「農家さんが喜んでくれるよ」と聞いたことも大きいですね。早朝巡回などをしていますが、苦労よりも勉強になることが多い。農家さんと仲良くなれるのもうれしいです。ハーフライフルと散弾銃、空気銃の3種類を持っていますが、免許取得から10年以上たつとライフルが持てるようになる。それが今の目標です。

(ベアドッグ、人との共生めざし軽井沢で20年:長野)
各地でクマの被害が相次ぐ。国内有数のリゾート地、長野・軽井沢もクマと人の「衝突」が課題だったが、20年以上にわたり共生をめざした取り組みが続く。その道のりを追った。11月上旬、軽井沢町の山林。町内に拠点を置くNPO法人ピッキオの田中純平さん(49)が「ベアドッグ」とともにツキノワグマの警戒に当たっていた。ベアドッグは人里に近づくクマを山に追い返す「水際対策」として、ピッキオが2004年に導入したクマ対策犬だ。現在はフィンランドとロシアの国境地帯原産で、古くからヒグマ猟に使われてきたカレリアン・ベアドッグを4匹飼育、訓練する。過去の捕獲時に発信器をつけたクマが別荘地や住宅地に近づこうとすると、その位置を特定する。ベアドッグと山中に入り、「ほえて」などと命じる。命令は30種ある。メスのタマ(9歳)はふだんは優しい性格というが、クマと向き合う夜は、大きな鳴き声でほえたて、クマを山に追い返す「番犬」の目に変わる。発信器をつけていないクマも警戒する。ベアドッグはにおいや気配を察知して知らせ、侵入を防ぐための移動経路の特定にも活躍するという。

(保育園内にクマ、川へ走り去る:山形)
18日午後3時50分頃、山形県新庄市北町の「はぐくみ保育園」で、園内に体長約50センチのクマ1頭がいるのを、同園の50歳代女性職員が目撃した。クマは、南側の川へ走り去ったといい、けが人はいなかった。現場は、新庄市役所から北に約900メートルの住宅街。新庄署の発表によると、当時園内に複数の園児や職員がいたという。

(クマが住宅の物置荒らす:宮城)
仙台市青葉区では、クマが住宅敷地内に18日夜に現れ、物置を荒らした跡も見つかった。体長1メートルほどのクマが、18日夜 目撃されたのは、青葉区芋沢の住宅。住人は、19日朝 物置が荒らされ、散乱した玉ネギなどを見つけた。また、壁にはクマが爪で引っかいたと思われる跡が、複数見つかった。クマを目撃した住人「ちょうどこのあたりでうろうろしているかんじで、その時にはもう(物置で)色々なものが下に落ちて、いたずらされているのが分かった」物置の「干し柿」などを狙った可能性が高い、とみられる。

(柿の実20個食い荒らされ、周辺にクマのものとみられるふん:秋田)
秋田県内では18日、クマによる柿の食害が相次いだ。由利本荘市矢島町元町の住宅の敷地内で午前9時頃、住人の70歳代男性が、柿の実約20個が食い荒らされているのを発見。由利本荘署によると、木の枝は折られ、周辺にクマのものとみられるふんがあった。秋田市下新城笠岡の休耕畑では午後0時5分頃、近くの70歳代男性が柿の木に登っている体長約1メートルのクマ1頭を見つけた。秋田臨港署によると、クマは柿の実を食べた後に、近くの山林に立ち去った。

(農作業中に茂みからクマに襲われた:岩手)
19日午前11時40分頃、岩手県釜石市甲子町の住宅敷地内にある畑で、住人の女性(79)が成獣のクマに頭や頬などを引っかかれ、軽いけがを負った。釜石署によると、女性は「農作業中に茂みから現れたクマに襲われた」と話しているという。クマは山の方向に逃げたとみられ、同署が警戒を呼びかけている。同県遠野市附馬牛町でも同日午後0時10分頃、住宅に隣接する物置小屋に子グマ1頭が侵入したのを通行人が目撃し、シャッターを閉めた。午後1時55分頃、地元の猟友会が爆竹を鳴らすなどして追い払い、山に逃げたという。けが人はいなかった。また、19日午前6時45分頃、福島県喜多方市熊倉町雄国の市道で、同市の女性(70)が体長約1メートルのクマに襲われて左胸や左脚にけがを負った。命に別条はない。喜多方署の発表によると、女性が歩いていたところ、やぶから飛び出してきたクマにかまれたという。

(「餌でおびき寄せる人がいる」と苦情:北海道)
北海道釧路市の市街地でエゾシカの目撃が増加している。市が受けた通報は2022年度、92件に上り、過去最多となった。「写真を撮るために餌をやっておびき寄せる人がいる」という苦情もあり、人慣れした個体も増えているという。市環境保全課によると、統計を取り始めた14年度の通報は18件だったが、20年度以降は毎年70件を超えるようになった。23年度は16日現在、64件で前年とほぼ同じペースとなっている。市立病院などがある春採湖周辺や、釧路湿原に近い愛国・文苑地区の住宅地を中心に、車道に飛び出してきたり、庭の植栽を食べられたりするケースが多い。ここ2~3年は、草を向けたら近寄ってくるなど、人慣れしたシカが見られるようになった。群れの写真を撮影するために菓子を与えるところを見たという事例のほか、残飯が置かれていたという通報もあった。シカをおびき寄せるためとみられている。市には追い払いの依頼も寄せられるが、同課の和田強専門員は「むやみに追うと興奮状態になって走り回り、二次被害を生む恐れがある。近寄らず、遠くから見守ってほしい」とした上で、「餌はやらないで」と訴えている。市街地のエゾシカは緑地帯などに沿って移動することから、近くの車道を運転する際は特に注意が必要だ。早朝や夕方の出没が多く、和田さんは「車間距離を取ってスピードを落としてほしい」と呼びかけている。道によると、22年度のエゾシカ推定生息数は72万頭で、うち44%(32万頭)が東部地域(オホーツク、十勝、釧路、根室地方)となっている。

(ガリガリのヒグマ目撃、餌不足で:北海道)
北海道の世界遺産「知床」で9月、餌不足によりガリガリにやせたヒグマが目撃された。一方で、10月には北海道石狩市で、忍者グマ「OSO18」と同程度の巨大なクマがわなにかかった。エサ不足のなか、この体格の差はどこからくるのか。9月、北海道の世界遺産「知床」の羅臼町をうろつくヒグマ。やたらと長い足と、それと同じくらいの長さの首に見えるが…実は、ガリガリにやせているのだ。はっきりわかるほど浮き出た肩の骨。水辺を歩いてエサを探しているのだろうか。撮影した写真家の齋藤一馬さんは「あんなに痩せたヒグマは初めて見たので、悲しい気持ちにはなりました」と話している。自然界の異変が、ヒグマをここまでやせ細らせている。北海道大学大学院獣医学研究科の坪田敏男教授は「餌が少ないため。夏から秋にかけてドングリがあまりなっていないとか、サケやマスが上がらない川がある」と解説した。一方、北海道石狩市では、10月に巨大なクマがわなにかかった。体長180cm、体重320kg。7月に駆除された忍者グマ「OSO18」と同じくらいのサイズだという。エサ不足のなか、あまりに体格が違う2頭のクマ。この差はどこからくるのだろうか。石狩市のケースは強いヒグマで、他のクマを押しのけて山で木の実を食べていたという見方や、人里で野菜などを食べていたという可能性も指摘されている。

(クマが軒下の干し柿食べる:秋田)
秋田県内で19日、クマによる食害が相次いだ。県警によると、正午ごろ、秋田市雄和相川字高野の民家敷地でクマが小屋の軒下につるされた干し柿を食べているのを、住人の60代女性が見つけ110番した。午後3時半ごろには、三種町天瀬川字水ノ目の70代女性宅の敷地にある柿の木にクマが登っているのを、女性の家族が見つけ能代署に通報した。

(クマが目撃される:山口)
20日午前、周南市四熊の市道で体長1.2メートルほどのクマ1頭が目撃されました。警察によると20日午前8時16分ごろ、周南市四熊の通例大橋北詰の西およそ150メートルの市道の中央付近で直立していた体長1.2メートルほどのクマ1頭を乗用車のドライバーが目撃しました。クマはそのまま南方向に立ち去ったということです。警察が付近のパトロールを行っています。

(クマが飛び出し軽乗用車と衝突:新潟)
11月20日午後7時ごろ、新潟県五泉市小山田の市道で、走行中の軽乗用車とクマが衝突した。運転していた40代女性と10歳未満の男児にけがはなかった。五泉署によると、クマは体長約0・8メートルで、道路脇から飛び出してきた。衝突後、現場から逃げた。現場は民家まで約200メートル。午後8時ごろにも、現場近くで体長約0・8メートルのクマが目撃された。

(車にはねられたクマ?国道脇でうずくまり4時間:新潟)
11月20日午前6時半前、新潟県新発田市菅谷の国道を車で通行していた男性から、「クマが車とぶつかったようで、路上でもがいている」と新発田署に通報があった。クマはその後、道路脇でうずくまり、動けない状態となった。約4時間後に現場から移動させるまで、署や猟友会が現地で警戒に当たった。新発田署によると、クマは体長約1メートル。経緯は不明だが、後脚を負傷していたとみられる。署には車でクマと接触したとする届け出などは寄せられていないという。現場の国道脇は山地で、滝集落の民家まで約150メートル。

(クマ捕獲、複数回目撃の個体か:山形)
クマの出没が相次いでいた新庄市万場町で20日午前8時半ごろ、市職員や新庄署員、猟友会員らが連携しクマ1頭を捕獲した。市などは18日から複数回目撃されていた個体とみている。市環境課や同署によると体長は約50センチ。午前7時ごろ、付近の通行人がパトロール中の同署員にクマがいると伝えた。JR陸羽西線の第二円満寺踏切近くで線路脇のやぶに潜んでいるのを発見した。複数人で網を使って捕獲し、山に放した。同市万場町、自動車販売業山科澄男さん(71)は「被害がなくて良かった。クマが山に戻ってほっとした」と話した。

(親子とみられるクマ3頭目撃:宮城)
20日午後8時ころ、富谷市富谷熊谷下の民家の敷地内で親子とみられるクマ3頭が目撃された。敷地内の柿の木が揺れていたため、住民が家の中から外を見たところ、クマを目撃し110番通報した。まもなくクマは立ち去り、住宅などへの被害はなかった。警察で付近をパトロールしているほか、付近の住民に注意を呼び掛けている。

(柿の木の上にクマ〝麻酔銃で捕獲〟:宮城)
国道沿いの住宅敷地内で発見されたクマ。体長80cmほどで、柿の木の上でゆっくりと動いていた。目撃されたのは20日午前11時前で、「民家の柿の木にクマが登って柿を食べている」と通行人から110番通報があった。警察や県職員などが注意を呼びかけるなか、通報から約6時間後…。クマは麻酔によって柿の木から落ち、午後6時前に県職員らがオリに捕獲した。警察によるとこれまでにケガ人はなく、クマは「子グマ」とみられるという。

(クマ初確認:広島)
全国的にクマの被害が相次ぐ中、これまで目撃情報がなかったとされる広島県庄原市南西部の木戸町で今月、クマの出没や痕跡が複数確認された。市は注意を呼びかけている。18日午後5時40分ごろ、農業金久信行さん(74)方の庭に体長約1メートルのクマが現れた。飼い犬がほえるため、庭へ出ると柿の木に登った1頭を発見。家に戻り通報している間にクマは姿を消した。「70年以上住んでいるが初めて見た」と金久さん。対策として毎夕の犬の散歩を1時間早め、柿の実も全て取った。市林業振興課によると、木戸町など旧庄原市域を中心とする市西部では、クマの目撃情報は国道183号より北側での報告はあったが、木戸町内は初めてという。同課は21日までに同町内8カ所の柿の木でクマとみられる痕跡を確認。告知放送で住民に警戒や対策を促している。

(親子のクマを駆除:富山)
立山町によりますと、きょう午後2時20分ごろ立山町草野地内の住民から「親子のクマが納屋に入った」と警察に目撃情報が寄せられました。猟友会がかけつけ、午後3時半までに2頭を駆除したということです。立山町ではクマの目撃情報が相次いで寄せられているため、今後も朝と晩の見回りを続けることにしています。

(クマ捕獲、殺処分に:岐阜)
大垣市青野町の山中で20日朝、ツキノワグマの子熊1頭が捕獲された。体長50~60センチ、体重20キロほど。県、市、大垣署、猟友会が出動し、殺処分した。周辺に母グマがいる可能性があり、市などが山林に近づかないよう近隣住民に注意を呼びかけている。市などによると、現場は青墓町5の円興寺からみて南西の方角で、青野町と青墓町の境界近くの山中。イノシシや鹿の捕獲用に設置した箱わなにかかっていた。クマの捕獲を受け、市は同日、青野町、青墓町、昼飯町の自治会にクマの出没情報を伝えた。21日には各町内に回覧板で周知したほか、林道の入り口など6カ所に注意喚起の看板を設置した。

(親子グマが再び住宅敷地内に出没:宮城)
11月11日、仙台市太白区の住宅敷地内に現れた「親子グマ」についてです。クマは、20日朝も同じ場所に現れたとみられ、猟友会が対策として、柿の実を枝ごと切り落とす作業を行いました。仙台市太白区八木山にある住宅敷地内では20日朝、県猟友会のメンバーが高さ18メートルほどの柿の木に登り、チェンソーなどを使い、実がついた枝を切り落としていきました。この住宅では11月11日、柿の実を食べるために木に登ろうとする「親子グマ」が現れ、猟友会が設置したカメラにその姿が映っていました。クマは20日朝早くにも同じ場所に出没したということです。木に登れないように設置したトタンをクマが破壊したとみられています。また、敷地内にはクマが折ったとみられる直径8センチほどの太い枝も落ちていました。剪定作業はおよそ2時間にわたって行われ、実の付いた枝は全て取り払われました。宮城県内ではクマの目撃が相次いでいて、11月17日には、色麻町で70代の男性がクマに襲われけがをするなど、人的被害も発生しています。県や警察が注意を呼び掛けています。

(北米でも人間を襲うクマが増加:アメリカ)
北米で近年クマの人間に対する攻撃が増加し、原因は気候変動に伴う食糧不足だと考えられる。ユーコン州では11月下旬、高齢オスグリズリーにより女性と乳児が殺害された。一方北極圏では海氷の減少でホッキョクグマが餓死の危機に瀕し、アラスカ州では通学途中の子供と保護者がホッキョクグマに襲われ死亡した。日本では今年、クマの人間に対する攻撃が激増し、住民の命をどう守るかが深刻な問題となっています。実は北米でも近年、クマの人間に対する攻撃パターンに著しい変化が見られています。その主な原因と考えられているのが、気候変動です。北米では1960年代以降、人間とクマの衝突に関する研究が続けられてきました。特にクマの2つの行動、食物に対する条件づけと、人への馴れを阻止することの重要性が明らかになりました。こうした研究結果は政策に反映され、多くの人間とクマの命を救ってきました。しかしこうした研究は、すべての生態系が安定していることが前提でした。科学ジャーナルで知られる非営利メディア「ザ・カンバセーション」への寄稿で、カナダのサスカチュワン大学のダグラス・クラーク教授はこう語ります。「クマと人間の衝突の急激な増加の原因は食糧不足。私たちはこれを、気候変動による生態系の崩壊という“ニューノーマル“として考えるべきだ」。2018年秋、ユーコン州では穏やかな暖かい日が続きました。その後、冬が始まった11月下旬に、人里離れた山小屋の近くで、女性と乳児がグリズリーにより殺害されたのです。このクマは痩せた高齢のオスで、これは捕食を目的とした攻撃だったと結論づけられました。その他にも冬の間に何頭ものクマの活動が報告され、クマが冬眠前に食べるベリーの不作が原因と考えられています。一方、北極圏では気候変動で海氷が溶け、ホッキョクグマは狩りができず、飢餓に陥っていることが問題となっています。そんな中、今年1月には、アメリカ・アラスカ州の学校近くでホッキョクグマが人を襲う事件が起き、大雪の中で通学途中の子供とその親が殺されました。体重が少ないオスのホッキョクグマは「人間を捕食しようとする可能性が高い」という研究結果もあるほどです。クラーク教授は、「明らかに何かが変わりつつある」とコメント。さらに「北部の農村部のコミュニティをより包括的に保護しなければならない。そのためにはクマと長く共存してきた先住民などの知識や経験を、新たな調査の中核に据える必要がある」としています。

(広がる「ゾンビ鹿病」、イエローストーン国立公園でも初確認:アメリカ)
米国で「ゾンビ鹿病」とも呼ばれる慢性消耗病(CWD)が野生の鹿などの間で広まっている。14日には、イエローストーン国立公園で初の感染例が確認された。CWDは牛海綿状脳症(BSE)と同系統の感染症で、人間にも感染する可能性が懸念されている。CWDはシカ、ヘラジカ、カリブー、トナカイ、ムースなどの偶蹄類が罹患する伝染病で、感染すると必ず死に至る。CWDはプリオン(異常な形に折りたたまれたタンパク質。感染性があり、近くの正常なタンパク質を同じ構造に折りたたんでしまう)によって引き起こされる。感染すると、脳と神経系が徐々に破壊され、急激な体重減少(消耗)や、頭を下げる、よろめく、元気がない、よだれを垂らすなどの症状が現れることから「ゾンビ鹿病」と呼ばれている。糞便、唾液、血液、尿などの体液に直接触れたり、感染性物質で汚染された物や環境に間接的に触れたりすることで感染する。ワクチンや治療法はない。プリオンは不活性化することが非常に困難で、CWDなどのプリオン病が一度その地域に定着すると根絶はほぼ不可能とされる。CWDが人間や家畜に感染した例は確認されていない。だが米疾病対策センター(CDC)は、もし感染するとすれば、感染したシカやヘラジカを食べることが原因となる可能性が高いと説明している(調理してもプリオンが「死ぬ」ことはない)。CDCは、CWDの生息地域で狩猟をする際には、病気に見えたり、死んでいたり、奇妙な行動をしている動物を避けること、肉を食べる前に検査すること、解体する際には手袋を着用した上で家庭用ナイフの使用を避けること、動物の臓器、特に脳や脊髄には触れないことをハンターに呼びかけている。CWDは伝達性海綿状脳症(TSE)の一種。他のTSEには、狂牛病とも呼ばれるBSE、スクレイピー、クールー病、クロイツフェルト・ヤコブ病などがある。CWDは飼育下のシカでは1960年代、野生のシカでは1990年代に初めて確認された。米政府のデータによれば、現在までに米国本土の少なくとも29州で報告されている。米国以外では、韓国、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、カナダの症例が報告されている。イエローストーン国立公園とワイオミング州狩猟漁業局は14日、イエローストーン湖の近くで見つかった雄ジカの成獣がCWDに感染していることを確認したと発表した。全米でも有数の観光地である同公園でCWDの症例が見つかったのは初めて。CWDは一度発生すると「根絶するための効果的な方法はない」ため、公園当局は今後、園内でCWDの危険性がある地域を特定し、園内のシカ科動物の監視と死骸やサンプルの検査を強化する予定だ。米地質調査所(USGS)によると、米政府は2000~2021年にCWD対策として2億8000万ドル(約420億円)を支出。うち1600万ドル(約24億円)余りはシカ科動物を扱う畜産業者への補償金だった。CWDは人間への感染リスクはないとみられているが、保健専門家たちは、それを確かめるのは難しいことを認めている。プリオン病は解明が進んでおらず、従来の方法では診断が困難だ。感染しても、はっきりした症状が出るまでに非常に長い時間がかかることもある。このため、狩猟民族や鹿を食べる人々のような特定のリスク集団の間でプリオン病が高い確率で発生しているかどうかを調べるのは困難だ。CDCは「ヒトがCWDプリオンに感染するかどうかはわかっていない」としながらも、一部の研究では、CWDがヒトにリスクをもたらす可能性が示されており、CWDとの接触を防ぐことが重要だと指摘している。

(熊やカラスを音と光で威嚇する害獣撃退器)
サンライズコーポレーションは、屋外で使える鳥獣害対策器「New! フロッグマン」を11月10日に発売した。価格は11,000円。赤外線センサーで物体を感知し、熊、鹿、カラス、サル、イノシシなど農作物を荒らす害獣を100dBの大音量とフラッシュ光で撃退する鳥獣害対策器。威嚇音は「鷹の鳴き声」「犬の吠え声」「銃砲音」から選べ、対策する動物に応じて変えられる。特に熊は犬を嫌がる傾向があるため、犬の吠え声が効果的としている。威嚇音は音量を調節できるほか、夜間などは消音してフラッシュ光のみ使うこともできる。ソーラー充電式のため、電源不要。付属の充電ケーブルでの充電も可能。IP67の防滴仕様により、屋外で置きっぱなしで使用できる。

(金型メーカー製作、クマよけの鈴が好評:愛知)
各地でクマに襲われる被害が相次ぐ中、愛知県小牧市の金型メーカー「ダイキ精工」が新商品としてクマよけの鈴を作り、好評だ。「キーン」という高音が響き、遠方のクマにもよく伝わるという。

(冬の味覚「ぼたん鍋」がシーズンだよ!:兵庫)
狩猟が解禁され、兵庫県丹波篠山市発祥の名物料理「ぼたん鍋」のシーズンが今年も巡ってきた。市観光協会は、文化庁による食文化の認定制度「100年フード」に昨年選ばれた自慢の「冬の味覚」を市内外にPRしている。同協会によると、市内でぼたん鍋を提供しているのは専門店や料理旅館など約40店。栗みそや白みそ、割り下など、鍋のベースは店ごとに特徴や工夫がある。1907(明治40)年創業の老舗料理旅館「潯陽楼(じんようろう)」(同市二階町)では、秘伝の合わせみそで猪(しし)肉や野菜をじっくり煮込む。試食した観光大使の山添琴音(ことの)さん(26)は「肉は軟らかでくさみもない。体があったまる」と笑顔。昨年移住し、農業法人で米や黒豆を育てており、「イノシシには被害に遭ってきたが、食べるととてもおいしい」と感動していた。

(工夫こらしたジビエをどうぞ:岐阜)
揖斐川町の揖斐高校生活デザイン科食物コース3年の14人が、ジビエや旧徳山村在来種のとうがらし「徳山なんば」を使ったメニューを考案した。17日、同校で報告会があり、鹿肉を提供する久保田工務店(揖斐川町)や道の駅関係者などが試食した。9月に中間報告会があり、アドバイスを受けて改良を重ねた7品を提供。ジビエでは大きなもも肉を使って鹿肉のおいしさが伝わる料理にしてほしいという要望に応え、唐揚げ丼を作った。卵とじにして子どもから高齢者までおいしく食べられる工夫をした。

(安全・安心なジビエ食べるには?)
高タンパク、低脂質で栄養価の高いジビエ(野生鳥獣の肉)。おいしくて注目を集めるが、家畜と違って野生のため、感染症の病原体や寄生虫が付着している可能性もある。安全・安心にジビエを食べるには、どうすればいいか──。狩猟、解体、消費それぞれの現場の衛生管理を取材した。11月上旬、午前5時30分。気温3度、目が覚めるほどの冷たい風が吹く長野県富士見町の八ケ岳山麓。フィーヨ、フィーヨと鹿の鳴き声が響き渡る。記者は同町の狩猟者、濱口敏昭さん(58)の鹿の捕獲に同行した。軽トラックに揺られ、濱口さんが仕掛けたくくりわな20カ所の確認に回った。「傷つく前にわなから外してやらないと。獲物が暴れて死んでいたら肉は傷んで、ジビエ用には回せない」と濱口さん。直径十数センチのわなでの捕獲。広い山の中での鹿との知恵比べは毎朝繰り広げられる。6カ所目のわなに鹿がかかっていた。前足を動かせず、おびえた様子の鹿。濱口さんは、すぐに状態を確認した。脱毛が激しかったり、痩せ過ぎたりしていると病気の可能性があるためだ。「45キロくらい。状態は良さそうだ」。食用可能な個体だと判断し、木の棒で鹿の頭をたたいて失神させ、ナイフを消毒してから首に刺して放血した。濱口さんは「安全・安心なジビエの提供には鮮度維持が大原則。素早く放血して、1時間以内に食肉加工施設に運ぶことを心がけている」と強調する。濱口さんが仕留めた鹿肉は、同町にある食肉処理施設「信州富士見高原ファーム」に運ばれた。年間500~600頭の鹿を解体する同ファームの荻原宏一さん(34)は「解体では、肉の状態を何度も確かめながら作業する」と話す。濱口さんら契約猟師から運び込まれた鹿は、解体前に改めて傷や健康状態を確認する。解体時は皮を剥いだ後の皮膚や摘出した内臓の状態を調べる。荻原さんによると、皮膚に寄生虫がたくさん付着があったり、内臓に疾患があったりする個体がまれにいる。「異常があれば廃棄することが重要だ」と強調する。ジビエを取り扱う食肉加工施設は小規模のため、全国で牛や豚を扱う施設数の約5倍となる750施設ある。ただ、国が安全な食肉処理施設と認める「国産ジビエ認証制度」の取得は34施設(2023年8月時点)にとどまる。同ファームは19年に認証を取得した。認証基準は、①厚生労働省のガイドラインに基づく衛生管理②捕獲個体情報をまとめた表示ラベルの順守③トレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)の確保──などだ。日本ジビエ振興協会は「狩猟者や食肉処理施設が指針と異なる自己流で解体したものも流通している」と指摘。研修会を開くなど認証取得を後押しする。ジビエは適切に処理をしても、寄生虫や病原体による腸管出血性大腸菌、E型肝炎など食中毒のリスクがある。日本ジビエ振興協会は「生食は厳禁。必ず加熱調理してほしい」と注意を促す。肉眼で異常を確認できなくても高確率で寄生虫が付着している。そのため、調理で使うまな板や包丁などは洗浄と消毒を徹底する。ジビエを安全に食べるには、中心部まで十分加熱をする必要がある。一方、鹿肉やイノシシ肉は火の通し方によっては肉が硬くなってしまう場合もある。家庭で簡単に作れるおいしい料理として同協会は「鹿肉のから揚げ」を薦める。作り方は、鶏のから揚げと同じように調味液に肉を1時間ほど漬け込んでから、揚げるだけ。調味液にヨーグルトを加えると、肉が柔らかくなり、ジューシーな食感が楽しめるという。農水省は2025年度までにジビエの利用量を19年度比で約2倍となる4000トンにする目標を掲げている。ただ、22年度の利用量は2085トンで目標とは大きな開きがある。野生鳥獣の狩猟、捕獲数は年々増えているが、ジビエ利用は1割程度にとどまる。イノシシについては、豚熱感染確認区域で捕獲したものでも同省の手引に従って処理すればジビエに利用できる。一時期ジビエの利用は低迷したが、同協会によると近年は捕獲頭数が増え、ジビエ利用は回復し、増加しているという。野生鳥獣による農業被害は深刻だ。鹿や熊による人的被害も問題となっている。捕獲した野生鳥獣をジビエとして利用することで、鳥獣被害をマイナスからプラスに変えられる。有害鳥獣捕獲の現場を初めて取材した。濱口さんはわなにかかった鹿を慣れた手つきで素早くとどめを刺した。「人間にとっては有害鳥獣だが、捕獲した個体に無駄な苦痛を与えたくない」という言葉が印象的だった。命を無駄にしないよう、利用をもっと広げるためにジビエの魅力を伝えたい。

(「ジビエの街 鶴巻温泉」のチャレンジ!:神奈川)
ジビエ卸売業を手掛ける株式会社川上商会(本社:神奈川県秦野市、代表取締役社長:川上拓郎、以下「川上商会」)は、地域活性化の一環として、「丹沢ジビエ」を使用したレトルト食品「イノシシ肉のキーマカレー〔赤ワイン風味〕」を、2023年11月29日より小田急線鶴巻温泉駅周辺の店舗および温泉施設等にて発売いたします。丹沢の玄関口として知られる神奈川県秦野市では、野生鳥獣による被害が深刻であり対策が急がれています。鶴巻地区では2020年より「ジビエの食べられる街 鶴巻温泉」グルメキャンペーンを展開しており、飲食店で提供されるジビエ料理が好評です。川上商会は「丹沢ジビエ」を使用したレトルトカレーを商品化し、キャンペーンの活性化を図ります。開発には、地方創生支援と社会課題の解決に取り組む東洋製罐株式会社が協業し、同社テクニカルセンター(神奈川県横浜市)が手掛ける食品・飲料開発支援サービス「Future Foods Labo. -ふふら-」を利用した数回にわたる少量試作により、当社開発レシピのオリジナルの味が再現されました。

(「ヒグマの手作り肉まん」「ヒグマの9部位食べ比べグリル」「熊味噌鍋」:東京)
ジビエに特化した居酒屋「米とサーカス」で、害獣として駆除された熊肉を使用した「ヒグマの手作り肉まん」「ヒグマの9部位食べ比べグリル」を11月17日より発売しました。米とサーカス渋谷PARCO店にて各限定50食づつを特別価格で提供。10年以上変わらず人気の秋冬定番メニュー「熊味噌鍋」も米とサーカス3店舗(高田馬場・渋谷PARCO・錦糸町)と公式オンラインショップにて11月より発売しています。米とサーカスではジビエの美味しさ・初めて出会う食の楽しさを多くかたかたに知っていただきたい、その思いで2011年に高田馬場で開店、当初より鹿や猪、熊など野生鳥獣を調理・提供しています。特に今年は近年最多の人身被害がニュースにも取り上げられ、駆除数も増加している熊。残念ながら駆除された多くは廃棄処分されている「害獣」と呼ばれる動物の存在と、その意外なほどの美味しさを多くの方に知ってもらえるように、メニュー開発しました。

(捕獲された有害鳥獣を利活用:宮崎)
有害鳥獣として捕獲されたシカやイノシシの肉を有効活用しようと、宮崎市にジビエ料理の専門店がオープンしました。手軽に楽しめるジビエ料理を通してオーナーが目指すものとは?

(鹿肉とリンゴのレトルトカレー:徳島)
徳島県阿南市の山間部で「カフェボスコベル」を運営するボスコベルは、ジビエ(野生鳥獣の食肉)を使ったレトルト食品「鹿肉とリンゴのカレー」を売り出した。県南のジビエ専門店から良質な鹿肉を仕入れ、独自の製法でスパイシーなカレーに仕上げた。230グラム入りで、希望小売価格は880円。自店などで販売するほか、インターネット通販も予定している。鹿肉とリンゴのカレーは同店の人気メニューの一つ。すり下ろしたリンゴやタマネギを使い、独自に調合したカレー粉と合わせる。うま味調味料や小麦粉を使っていないのも特徴で、小麦アレルギーの心配がない。地元の阿南信用金庫(阿南市)が仲介役となり、食品メーカーのタカラ食品(同)と連携してレトルト商品の製造販売に乗り出した。ボスコベルのオーナー、財前潮さんは2017年に首都圏から阿南市に移住。大型の民家を改修して18年にカフェを開いた。これまでに燻製(くんせい)しょうゆやスダチ調味料なども商品化している。

(ジビエ料理が集まるイベント:島根)
今、話題のジビエが松江市役所に大集合!地産の猪肉・鹿肉を使った料理をはじめ、猪革を使った小物・アクセサリー、ジビエペットフードも販売。今年は他市町村からも、自慢のジビエ料理や先進的な取り組みを紹介いただきます。現役猟師による模擬銃やハンティングシュミレーター、わなの架設体験など狩猟の魅力を体感できるブースも毎年好評!鳥獣被害対策ブースでは、野生動物の生態や鳥獣被害対策の基本知識を学んでいただけます。

(プロ招きジビエ調理に挑戦:富山)
ジビエ(野生鳥獣肉)をテーマにした「命と向き合う授業」が21日、富山市神通町の雄峰高校であり、同校の専攻科調理師養成課程の2年生23人が調理実習を通してイノシシ肉の魅力を学んだ。県内におけるジビエの振興につなげようと県が企画した。富山電気ビルレストラン洋食料理長の堂田貴史さんが講師を務め、調理の手本を示した。生徒はイノシシ肉は脂身がおいしいことや、下処理技術の向上で臭みのない肉が普及しつつあることを学んだ。グループごとにサラダやイノシシ肉の調理にも取り組んだ。試食する場面もあり、谷崎妃華(ひな)(19)さんは「ジビエは臭みがあって下準備が大変そうなイメージがあったけど、脂身が甘くておいしかった」と話した。

(飛騨にジビエを、鹿肉料理の研究会:岐阜)
飛騨地域でジビエ料理を普及しようと、飲食店主らでつくる「森のごちそうの里・コミュノーテ飛騨」は20日夜、高山市天満町の焼き鳥居酒屋「neighbird」で調理人を対象に鹿肉を用いた料理の研究会を開いた。年3回ほど実施し、この日は鹿肉の使用例が少ない和食がテーマ。飛騨地域で活躍するイタリアンやフレンチシェフが、それぞれ考案した品を持ち寄った。ロースト肉とキノコを酢で合わせた小鉢や、すじ肉と大根の甘辛い煮物など10種以上がずらり。集まった15人は酒のつまみにしながら、レシピや工夫を共有していった。

(肉尽くしの一日:宮城)
七ケ浜町観光協会は23日、町内外の肉料理を集めたイベント「肉フェスティバル」を、花渕浜多目的広場で開く。約20店舗が出店し、牛や豚、鳥、魚肉を使った多彩な料理を販売する。目玉は3種類のジビエ(野生鳥獣肉)料理の試食販売。クマ肉のシチューとイノシシ肉の汁物、鹿肉のソーセージを各100円で販売する。

(“ジビエ好き”有吉「うれしかったね」:富山)
有吉弘行がパーソナリティをつとめるラジオ生放送番組「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」。11月12日(日)の放送は、アシスタントに新宿カウボーイの石沢勤とブラックパイナーSOSの山野拓也を迎えてお送りしました。この日のメッセージテーマは“狩猟の話”。ゲスナー(※当番組でのリスナーの呼称)から狩猟にまつわるメッセージを募るなか、漫才協会に所属する石沢が「おぼん師匠が熊の手を食べたことがあるそうなんですが『脂っぽくて食えなかった』って言っていましたね」との発言からジビエの話題に。以前から“ジビエ好き”を公言している有吉は、「確かに熊の肉はだいたい脂っぽいからね」とおぼん師匠の言葉に合意。さらには、「やっぱりちょっとケモノっぽい感じもあるよね」とも。有吉のジビエ好きは世間にも認知されているようで、先日、富山旅行に行った際、宿泊先の旅館から特別に熊の肉を提供され、さらにはイノシシの肉も多めに出してくれたそうで「あれはうれしかったね」と笑顔で振り返ります。ここで、好き嫌いの多い石沢が「(熊やイノシシ肉の)クセはどうなんですか?」と聞くと、有吉的にはどちらもケモノくささはまったく感じないと言い、「そういう肉がダメな人に言わせたら、牛肉だって『くさい』って言うからさ。そういう意味では、やっぱりイノシシとかもくさいって思うんだろうな」と持論を展開。続けて、「(ジビエ肉を)食べたことはないの?」とアシスタントの2人に質問すると、石沢は「熊やイノシシは食べたことがないですけど、ジンギスカンはクセがあってダメですなんよね」と吐露。これに有吉は「今はもう“羊がくさい”っていうイメージはまったくないよ」と反論。さらには、「食レポとかを観ているとさ『この羊、こんなにクセがないんだ!』って言うのをよく聞くけど、普段から食べている人から言わせれば『そりゃそうだろ、バカが!』って(笑)。そんなの牛肉を食べて『このステーキ、クセがない!』とか『このトンカツ、豚独特のくさみがないですね!』って言ってるのと一緒。“クセがない”なんて感想を言っているうちに入んねぇんだよ!」と苦言を呈していました。

(クマ出没:宮城)
大崎市によると、22日、大崎市鹿島台広長にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前11時ごろ、仙台市泉区館3丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前8時30分ごろ、仙台市青葉区茂庭綱木東にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日午後9時ごろ、仙台市泉区西田中西沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後3時30分ごろ、栗原市一迫真坂寺下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前7時ごろ、仙台市泉区古内堀田下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前3時50分ごろ、仙台市青葉区芋沢柿崎下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日午後6時20分ごろ、仙台市青葉区荒巻青葉にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日午後6時ごろ、仙台市青葉区芋沢大竹原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、22日午前6時25分ごろ、富谷市富谷仏所にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日、仙台市青葉区芋沢本郷にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日午後8時10分ごろ、富谷市富谷熊谷下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、21日午後1時20分ごろ、色麻町高根宮田下付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日午後0時10分ごろ、仙台市青葉区川内追廻にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日、仙台市青葉区芋沢大勝草上野原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午後8時20分ごろ、仙台市青葉区愛子中央3丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午後5時50分ごろ、仙台市青葉区上愛子下大椚にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午後5時30分ごろ、仙台市青葉区芋沢大竹原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日、仙台市青葉区上愛子街道にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、19日午前10時ごろ、仙台市青葉区芋沢大竹原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、19日午前9時ごろ、仙台市青葉区芋沢大竹南にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、20日午後2時30分ごろ、仙台市青葉区上愛子街道の住宅にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日午前7時ごろ、富谷市富谷唐竹沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日未明、仙台市青葉区芋沢釜前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午後3時20分ごろ、栗原市一迫荒町にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
柴田町によると、18日午後10時ごろ、柴田町成田平城内付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、18日午後11時ごろ、富谷市富谷熊谷下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、18日午後5時ごろ、富谷市富谷熊谷上にクマが出没しました。

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(資格ない企業に指定管理者:栃木)
2020、21年に行われた栃木県の2施設の運営を委託する指定管理者の公募で、欠格事由に該当する企業が誤って選定されていたことが18日、分かった。企業の役員が県の労働委員を務めており、公募要領では資格外とされていた。県は「見落としがあった」とミスを認めたが、取り消しの予定はないとしている。県や県労働委員会によると、20年の県ライフル射撃場の公募には2団体が応じ、「北関東綜合警備保障」(宇都宮市)を含む共同事業体を選定。21年の県防災館には同社だけが応募し選ばれた。同社専務は19年7月から労働委員を務めている。

(クマに襲われけが、猟友会が射殺:山梨)
山梨県上野原警察署によると、17日午後2時過ぎに県東部の丹波山村で、男性がクマ1頭に襲われた。頭部、右足などを負傷し、甲府市内の病院に搬送された。その後、地元猟友会が付近の山林でクマを発見。会員に向かってきたため猟銃で射殺した。クマは体長が約1・3メートル。襲われたのは大萩谷橋付近の国道411号上で、男性は近くで商店を営んでいる。けがの状況はわかっていないが、搬送時には意識はあったという。山梨県内では、クマの出没や目撃情報は複数出ているが、クマに襲われてけが人が出たのは、先月25日に大月市内の畑で、男性がクマに襲われたのに続いて2件目となる。

(「ニワトリ小屋が壊されていたので中に入ったらクマと遭遇した」:新潟)
17日午後6時すぎ新潟県阿賀町で80代の男性がクマに襲われ顔などにけがをしました。命に別条はないということです。男性がクマに襲われたのは阿賀町津川の民家近くのニワトリ小屋付近です。警察の調べによりますと17日午後6時すぎ、80代男性が所有する鶏小屋でニワトリの様子を確認しようとしたところ体長1メートルほどのクマと遭遇し、襲われました。男性はその後、近くの親戚の家に逃げ込み警察に通報したということです。男性は右ほほなど顔にけがをし、病院に運ばれましたが意識はあり、会話ができる状態だったということです。現場は阿賀津川中学校から200メートルほどの場所で、近くには住宅もあり、警察が注意を呼びかけています。今シーズン県内でクマによる人身被害はこれで9件、10人目です。

(70代男性、自宅敷地内でクマに襲われ重傷:宮城)
11月17日午後9時すぎ、宮城県色麻町小栗山で70代の男性が自宅の外から物音がしたため、確認したところ、体長1メートルほどのクマを発見の場から逃げようとしましたが、追いかけてきたクマに額や両腕を引っかかれたりかまれたりしました。男性は右腕の骨を折る大けがをしましたが、命に別条はないということです。男性を襲ったクマは見つかっておらず、町は18日中に捕獲用のワナを設置する予定です。

(男性がクマに襲われけが:岐阜)
18日午前、岐阜県本巣市の山中で男性がクマに襲われ、頭などにけがをしました。今年4月以降、岐阜県内でクマに人が襲われるのは7件目です。岐阜県によりますと、18日午前8時15分ごろ、本巣市根尾大井の山中で、木の間伐作業をしていた40代の男性がツキノワグマに襲われました。男性は、頭を引っかかれ、左腕をかまれる軽いけがをしました。クマは体長1メートル50センチから2メートルくらいで、男性を襲った後、山の中へ逃げて行ったということです。岐阜県内では、今年4月以降、600件以上クマが目撃されていて、人が襲われるのは7件目です。岐阜県は、やむを得ず山に入る際は、複数人で行動し、クマの活動が盛んになる早朝や夕方は特に注意するよう、呼びかけています。

(ツキノワグマに襲われ新聞配達の男性けが:島根)
11月17日未明、浜田市で新聞配達員の30代の男性がツキノワグマに襲われ、肩や手に軽いけがをしました。男性はクマと揉み合いになりましたが、持っていた新聞で抵抗し、追い払ったということです。17日午前5時半ごろ、浜田市金城町久佐の住宅で新聞配達に訪れた30代の男性が、体長約1メートルのツキノワグマに襲われました。男性が、持っていた新聞でクマの頭を押さえつけるなど抵抗したところ、クマは山の方へ逃げていったということです。男性は、左肩と左手首をひっかかれましたが、軽傷です。男性が新聞をポストに入れようとしたところ、玄関前に植えられたカキの木からクマが降りてきたということです。島根県内のクマによる人的被害は2023年2件目です。島根県によりますと県内でのクマの目撃件数は10月末の時点で726件と、2023年の同じ時期を約200件上回っています。県はクマの出没情報に注意し、危険な場所に近づかないことクマの活動が活発になる早朝と夕暮れには音の出るものを身に着けるなど注意を呼びかけています。

(クマを駆除すると「捕獲奨励金」がもらえる?)
連日メディアではクマによる人身被害が報道されており、2023年10月24日には伊藤信太郎環境相が自治体のクマ対策に緊急支援を実施する方針を明らかにしました。対象となるのは北海道、青森県、岩手県、秋田県の4道県です。この秋、何かと話題のクマですが、駆除すると捕獲奨励金がもらえるケースがあることをご存じでしょうか。捕獲奨励金をもらうための条件や金額相場について紹介します。鳥獣による農産物の被害を減らすために、クマなどの対象鳥獣を捕獲した人に対して「捕獲奨励金」を支給している市町村があります。捕獲奨励金の対象となる鳥獣は、ヒグマ、アライグマ、イノシシ、ニホンジカ、カラスなどです。対象となる鳥獣は市町村によって異なるため、公式ホームページなどで確認してください。農林水産省では、市町村に対して有害捕獲に係る捕獲活動経費を支援しています。捕獲活動経費の補助率は定額で、クマ・サル(成獣)は1頭8000円、鳥類は1羽200円となっています。イノシシ・シカに関しては、ジビエ利用の場合は1頭9000円、焼却処分の場合は1頭8000円、埋設の場合は1頭7000円です。国から支援される捕獲活動経費に、市町村が独自で上乗せしたものが捕獲奨励金として捕獲者に支給されます。ただし、捕獲奨励金は誰でももらえるわけではありません。有害鳥獣駆除ができるのは、基本的には狩猟団体に所属する狩猟免許所持者のみです。捕獲奨励金の対象となる条件は市町村によって異なりますが、北海道浦河町の場合は「町内狩猟団体に所属し、狩猟団体の長より推薦された狩猟免許所持者」と定められています。北海道浦河町を例にとると、ヒグマを駆除すると1頭あたり1万円の捕獲奨励金が支給されます。アライグマを駆除した場合の捕獲奨励金は1頭あたり1000円なので、ヒグマの駆除には10倍もの捕獲奨励金が支給されることになります。また、町の指示により箱わなを設置した場合は1基1万円、町の要請により出動した場合は1回5000円がそれぞれ支給されるため、こちらも把握しておきましょう。なお捕獲奨励金は市町村によって異なるため、あくまでも北海道浦河町の場合と考えてください。捕獲奨励金は、事業所得や雑所得として課税対象となります。過去にはハンター約30人が国税局の税務調査を受け、捕獲奨励金で得た所得約1億7000万円の申告漏れを指摘されたケースがあります。30人は年間最大500万円超の奨励金を得ながら、所得の申告を怠ったり、過少に申告したりしていました。中には、捕獲奨励金が課税対象だと知らなかったハンターもいたようです。捕獲奨励金は課税対象となることを頭に入れておき、正しく確定申告を行いましょう。一部の市町村では、クマやイノシシなどの鳥獣を駆除すると捕獲奨励金が支給されます。捕獲奨励金の金額は市町村によって異なり、幅はあるものの1万円という例もあります。有害鳥獣を駆除できるのは基本的に狩猟免許所持者のみで、捕獲奨励金を支給するためには市町村が定めた条件を満たさなければなりません。素人が鳥獣を駆除するのは危険なため、くれぐれも真似しないように注意してください。

(自宅で野鳥13種73羽飼育した疑い:静岡)
沼津市内で野鳥13種類73羽を無許可で飼育したとして、沼津署は16日、鳥獣保護法違反の疑いで同市の農業の男性(65)を静岡地検沼津支部に書類送致した。自宅や自身が所有する畑などで捕獲したとみられ、自作した箱わなや落としかご、おしわなを使っていた。「子どもの頃から鳥が好きで飼いたかった」と供述しているという。書類送検容疑は6月23日、県の許可を得ないまま13種類73羽の野生鳥獣を自宅で飼育した疑い。男性は狩猟免許を持っていなかった。同署によると、男性が飼育したのはスズメやカワラヒワ、キジバト、ヒヨドリなど。捕獲後は鳥かごの中で飼育していたという。パトロール中の署員が発見した。

(発砲まで2時間半以上も、クマ捕獲までの複雑な手続き:山形)
山形市で、全国的に多発する住宅地付近でのクマの出没に備えた対応訓練が行われました。山形市環境課・豊後真課長「いつ人的被害が発生するかわからないという危機感を抱いている」。山形市は、2020年に住宅地にクマが出没した際の対応マニュアルを策定していています。きょうは、全国的なクマの出没増加を受けて、山形市滑川の住宅地のそばにクマが出没しケガ人が出たとの想定で、マニュアルに沿った対応訓練が行われました。クマの目撃情報が寄せられると警察などが現場に向かい花火などで追い払いますが、鳥獣保護法で保護されているクマにはすぐに手が出せません。複雑な手続きが必要です。山形市役所に集まったのは県、市、警察、消防の関係者。クマの扱いには関係機関の同意が必要なのです。山形市環境部・板垣裕子部長「速やかに危険の除去を行うには銃器による捕獲を行うべきと考える」。しかし、ツキノワグマの捕獲の権限を持っているのは県。市が捕獲するには市への権限の委譲が必要です。県の担当者「捕獲許可権限が山形市に移譲されることに異存はない」。市の担当者「自治体による銃器でのツキノワグマ一頭の捕獲許可をこの場で口頭で申請する」。この会議の結果を現場に連絡です。市の担当者「対策会議で銃器による捕獲が発出された」。住宅地での発砲ということで、警察が周囲の安全を確認し、猟友会がようやく発砲。クマを仕留めました。マニュアルに沿った訓練で、かつスムーズに進行しましたが、発砲まで2時間半以上がかかりました。こうした手続きについて、市は。山形市環境課・豊後真課長「複雑なところはあるが法なりで定められたものなので手続きに従って対応していきたい」。訓練では改善点も見つかりました。山形市環境課・豊後真課長「(現場などと)電話でやりとりしているが今は様々な情報機器があるのでリアルタイムでわかるような仕組みがないかと感じた」。今年度、山形市で確認されているクマの出没件数は、昨年度を33件上回る76件。また、山形市内ではないものの、県内では小国町や白鷹町などで合わせて5件の人的被害も出ています。県と山形市は、山の近くではいつクマに遭遇してもおかしくないとして注意を呼びかけています。対策会議の現場にいましたが、正直申し上げて時間がかかるなという印象でした。しかし今の仕組み上は、きょうは2時間半以上時間がかかりましたが、その時間が長いかというと適正です。しっかりと手続きを踏んでいる。住宅街で銃を使う以上は安全第一なのは仕方がないことですが、本番はクマは待ってくれない。もっと時間を短縮する柔軟な仕組みがあってもいいのではないかと感じました。

(カモ猟、安全に楽しく:山形)
カモ類を対象とした狩猟が15日、県内で解禁された。ハンターたちは「ルールを守り、けがなく安全に楽しむ」と、気を引き締めて初猟に臨んだ。山形市蔵王山田の古竜湖周辺には夜明け前、山形猟友会桜分会(菊地由郎分会長)のメンバー7人が集まった。日の出の午前6時20分ごろ、カモを驚かせる花火を打ち上げると、対岸から続々とカモが飛び立った。メンバーは群れめがけて引き金を引き、乾いた発砲音が響き渡った。今年は猛暑の影響で沼や湖の水が減り、カモの個体数の減少が懸念されていた。菊地分会長は「空を覆うほどたくさんいて驚いた。いい意味で予想外。幸先の良いスタートだ」と笑顔を見せた。初日の猟果2羽をメンバー同士で分け合った。イノシシ、ニホンジカを除く本県の鳥獣の今季狩猟期間は来年2月15日まで。県警生活環境課によると、今年は猟銃の不法所持で2人を摘発した。同課の担当者は「手入れや保管、免許の更新も注意して行ってほしい」と呼びかけた。

(市街地出没のクマに発砲想定:山形)
東北地方など各地でクマによる人的被害が相次ぐ中、山形市は17日、住宅地での出没を想定した訓練をした。地元猟友会メンバーで今年結成された、猟銃による駆除の特別班「アーバンベア等対応チーム」が初めて参加。捕獲のため市街地で発砲する事態も想定し、警察など関係機関と連携しながら入念に手順を確認した。市内の2023年度のクマの出没は16日現在76件で、既に前年度の2倍弱。特に住宅や学校近くで「アーバンベア(都市型のクマ)」の目撃が増えており、対応マニュアルの更新を迫られていた。訓練は市東部の滑川地区を会場に3年ぶりに実施された。体長約1メートルのツキノワグマ1頭が道路を徘徊(はいかい)しているのを住民が目撃し、110番通報があったとの想定で始まった。目撃情報を受け、市の担当者や警察官がパトロールを開始。住宅地でクマを発見し、花火で追い払おうとしたが効果がなかった。市は関係部署による対策会議を招集し、現地と連絡を取りながら対応を協議。周辺の住宅地や小学校を警戒区域に設定した後、銃器を使った捕獲を決定した。猟銃の扱いに慣れた特別班のメンバー7人が現地に到着。警官と手順を確認しながら、実際にクマ役の人に銃を向けるなどした。市環境課の兼子大課長補佐は「このような事態が発生した際、すぐに対応できるようにすることが狙い。今回出た課題は対応マニュアルに反映したい」と話した。

(今年急増?冬眠しない「穴持たず熊」の脅威)
雪の上に残された大きな足跡は15日朝に確認されたクマのものです。例年、この季節に冬眠するはずのクマが眠らない事態も。さらに食の変化が凶暴化の一因となっていました。これから冬本番を迎える北海道でもクマの出没が急増。その脅威は雪が積もる15日も。雪で白く染まる北海道苫前町。日本海に面した人口3000人に満たない町もクマの脅威にさらされています。雪の上に比較的、新しいヒグマの足跡があり、人間の手より大きいサイズのものが続いています。猟友会に所属する林さんは先月、この場所でヒグマに遭遇しました。その時に撮影された映像です。関係各所に連絡した後、林さんがその場を離れようとした時でした。人の背丈ほどのヒグマ。こちらに気付いても慌てる様子はありません。その後、設置したわなでクマは捕獲されましたが、そこで“思わぬ事実”が発覚します。わなに取り付けたカメラには3頭の親子グマや丸々と太ったクマなど、特徴の違うクマが次々、映り込んでいたのです。その数、少なくとも8頭。苫前町猟友会 林豊行会長:「私にしてみれば、かなり異常」。さらに、林さんはこんな“恐ろしいクマ”の存在を教えてくれました。苫前町猟友会 林豊行会長:「“穴持たず”」。“穴持たず”と呼ばれる冬眠しないクマ。この町で100年以上も語り継がれる1頭のクマが次々と村人10人を襲う事件を起こしました。先月、ヒグマに遭遇した猟友会の林さん。北の大地に伝わる“恐ろしいクマ”の存在を語ってくれました。苫前町猟友会 林豊行会長:「大正4年(1915年)くらいの話だから。女の人だとか子どもたちがいて、クマがそれを襲った」。「三毛別ヒグマ事件」。北海道開拓が続いていた大正4年12月、380キロの巨大なクマに臨月の女性や子どもなども狙われ、10人が死傷しました。その悲劇を引き起こしたのが…。苫前町猟友会 林豊行会長:「“穴持たず”」。“穴持たず”とは冬眠する穴を持たない、冬眠しないクマのこと。林さんは今でも“冬眠しない”クマは一定数いると話します。苫前町猟友会 林豊行会長:「(冬眠しないクマは)ここにも確実にいる。足跡があるんだから」。今年1月に林さんが撮影した写真です。降り積もった雪の上にクッキリと浮かぶ足跡。札幌市でも去年の大みそかにクマが出没して大騒ぎとなりました。なぜ、冬眠しないのでしょうか。専門家は“2つの原因”を指摘します。狩猟文化研究所代表 東北芸術工科大学 田口洋美名誉教授:「寝苦しくなって、おなかも空いて『やっぱり何か食べようかな』と思って起き出すとか、人間でもあるじゃない」。田口教授によりますと、クマの行動は人間と同じで個体差があり、暖冬で穴の温度が高くなれば、なかには寝付けず「冬眠“できない”クマ」が現れるといいます。そして、もう一つが「食べ物」の影響です。狩猟文化研究所代表 東北芸術工科大学 田口洋美名誉教授:「今年のような夏に食物がなくて、その裏でシカを食べたりイノシシを食べたり、一年を通して肉食化しているやつがいる」。シカなどを食べて肉の味を覚えたクマは栄養状態が良すぎて冬眠でエネルギーの消費を抑える必要がなくなり、まれに冬も動き回るクマが現れるといいます。木の実が不足して暖冬が予想されるこれからの冬は特に警戒が必要。そうしたクマは眠くなって判断力が鈍ると、“狂暴化”する恐れもあります。狩猟文化研究所代表 東北芸術工科大学 田口洋美名誉教授:「人間というものを、一種の餌(えさ)と見間違えるというか、そういうものが個体として現れる危険性がある」。

(出没するシカ、逃げ込む先に猟友会嘆き:京都)
京都府城陽市南東部の丘陵地で、有害鳥獣駆除に当たる地元猟友会を悩ませている問題がある。せっかくシカを追い込んでも、あるエリアに逃げ込まれてしまう。「まるで保護区のよう」と猟師が嘆く場所は、一般の立ち入りが禁止されている陸上自衛隊の演習場。新たな方法の模索を始めている。同市ではシカの出没が増え、特産品の梅の木への食害などで農家を悩ませている。市は宇治猟友会城陽支部に駆除を委託しているが、年間10頭前後で推移していた有害捕獲数は、2021年度には47頭、22年度は20頭と急増している。同支部では通常、生息地に猟犬を放ち、猟師たちが待ち伏せするポイントまで追い込んでいる。

(「銃持つ覚悟」狩猟免許試験に応募殺到:富山)
クマ被害の影響で、狩猟免許試験の応募者が殺到しています。15日から猟が解禁された群馬県で、ベテランハンターに密着しました。全国でクマによる被害が相次いでいます。富山市では16日、50代と70代の男性が柿の木を切る作業中にクマに襲われました。顔をけがするなどの重傷です。クマの行方は、まだ分かっていません。環境省によると、4月から10月までの被害人数は全国で180人。統計開始以来、史上最多を更新し続けています。クマの出没が相次ぐ北海道では今、狩猟免許試験への応募者が殺到しています。今年の試験には1200人以上の応募があり、コロナ禍前の1.6倍に増えました。一部の会場では、定員オーバーとなったため抽選を実施しましたが、急きょ抽選に漏れた137人に対しても、来年に新たな試験日を設定し、試験を受けられるようにすることを決めました。先週、神奈川県の狩猟免許試験を受けたばかりだという大学生(23)は「自分で動物を獲って食べてみたいということに興味を持っていた」と話します。クマと遭遇することについても、大学生は「就職先が群馬の会社なので、そこで獣害駆除隊員として、銃を持って山に入りたいというふうに考えています」と話し、覚悟を決めています。若い世代が狩猟免許の取得に興味を持つなか、番組は実際にクマ猟を行うベテランハンターに密着しました。クマ猟師歴45年、これまで50頭のクマを駆除してきた高柳盛芳さん(69)です。高柳さん:「ちゃんとした神髄があるから、それを見極めないとクマ獲りは無理。最低10年かかる。1人前になるのに」。6人の弟子を抱える高柳さん。16日、ハンター仲間と群馬県みなかみ町の山にクマ猟に入りました。高柳さん:「きょうはクマがいる餌(えさ)場。餌のなってるところを探して、できたら捕獲する。餌場が分からないから、獲れない。普通のハンターはね」。険しい山を登ること1時間近く、高柳さんは「あそこを見てごらん。杉が皮むけてるだろ。あれ、クマがむいた」と話します。さらに、山奥深くに進み、ついにクマの餌場に入りました。クマの気配を感じるなか、高柳さんに動きがありました。高柳さん:「近くにいるぞ」。耳に手を当てる高柳さん。一気に緊張感が高まります。高柳さん:「子グマが鳴いたのが聞こえた?キャキャキャキャって言ってた」「(Q.子グマがいるということは?)親がいる」。鳥の声や枝葉のこすれる音に紛れてしまったため、番組のカメラでは子グマの鳴き声を捉えることはできませんでしたが、高柳さんは聞こえた鳴き声を頼りに、クマの親子を追います。今年の山には異変が起きているといいます。高柳さん:「こんなにナラがあっても、実(ドングリ)がならなかった。クマが来ない。普通はここにクマがいる。2頭か3頭いるんだよ。餌がないんだよ。だから、下におりる」「(Q.だから、人里に?)そうそうそう」。結局、この日はハンターの前でクマが姿を見せることはありませんでした。クマは高い木の上に潜んでいることもあり、急に目の前に現れる危険性もあります。群馬県では狩猟免許を持つ人が増加傾向にあり、40代以下は10年前の2倍以上です。猟友会によると、ジビエ料理に関心がある人や、サバイバルゲームから興味を持ち始める人もいるといいます。ベテラン猟師・高柳さんは「若い子が免許取ってくれて、一生懸命やってくれるとありがたい。それを切に願うよね。良いハンターになって、農家を害獣から守ってもらいたい」と話し、若者に期待を寄せています。

(獣害から農作物守れ、自衛へ防護柵や狩猟:静岡)
晩秋を迎えた静岡県西部の中山間地で、農作物を食い荒らすシカやイノシシへの警戒が強まっている。農家は果樹や野菜を守る柵の設置や補修といった備えを進め、地元猟友会は今月1日の銃・わな猟解禁を受けて捕獲や狩猟を展開する。浜松市天竜区佐久間町浦川で10月下旬、野生鳥獣向けの防護柵の使い方を学ぶ研修会が開かれた。農家ら約25人が、シカに網を破られたり、支柱を倒されたりした畑の状況を確認。ワイヤメッシュ製の柵を組み立てる作業を行った。2022年度の野生鳥獣による県内農産物被害額は2億6千万円と前年度を4・4%上回った。同区水窪町の住民でつくる「みさくぼ野菜を育てる会」の守屋銀治会長(89)は「田畑を荒らすシカやサルが多く、油断できない」と大根や葉物野菜への被害を懸念する。県西部農林事務所天竜農林局によると、2019年からの豚熱(CSF)流行で減少していた野生イノシシの頭数に、回復傾向がみられる地域があるという。石原秀哲地域振興課主任は「イノシシは冬に備えて養分を蓄えようとするため、果樹や野菜の畑を荒らす恐れがある。管理捕獲の重要性は高い」と話す。鳥獣被害対策の一環として、ジビエ(野生鳥獣肉)の消費拡大に挑む動きも見られる。同区熊の「道の駅くんま水車の里」は19日、シカ肉試食会を開く。肉そぼろやカレーといった料理を披露して味わいをアピールする。シカ肉を用いた土産品は好評で、担当者は「販売を増やすことで獣害対策に少しでも貢献できれば」と強調した。

(「ハンター不足」このままでは「クマ」と戦えない!)
クマ出没のニュースが後を絶たない。環境省が1日に公表した速報値によると、4~10月末の時点でクマによる被害に遭った人は、18道府県で過去最多の180人にのぼる。例年、クマの出没は冬眠に入る前の10月から増える傾向にあるが、今年は特に人里での目撃が相次いでいる。背景には深刻なエサ不足があるとされる。「クマのエサであるドングリが全国的に凶作傾向で、北海道では山ブドウやコクワも不作の地域が多いようです。クマは例年12月上旬から中旬にかけて冬眠に入りますが、エサが多い年は冬眠が遅く、エサがないと冬眠が早い。エサ不足の今年はちょっと早まるかもしれません。ただ、その前の時期はエサを探して人里まで行動範囲を広げるだろうし、本州だと民家周辺に柿を食べに出てくる可能性があります。人間にとっては厄介でしょうね」。クマの生態に詳しく、北海道のヒグマ対策の最前線にも立つ酪農学園大学の佐藤喜和教授はそう指摘する。異例の頻度でクマが出没するため、捕獲や駆除を担う猟友会は出動の機会が増える一方だ。しかし、猟友会の多くはハンターの高齢化と担い手不足の問題を抱える。たとえば道内71支部から成る北海道猟友会の会員数は5361人で、ピーク時の4分の1近くまで減っている。「猟友会は基本的に狩猟愛好者の団体で、入会率はかなり高いです。その中には鳥撃ちをする人もいれば、シカやイノシシが専門の人、クマを獲る人もいます。ただ、猟銃を所持することのハードルは高いですし、そもそも若い世代が銃で野生動物を獲ることに興味を持つかというと、昔ほど多くはない気がします。クマはかつて、毛皮や肉、熊の胆(くまのい)を含め、北海道では一頭が最高で100万円くらいの値をつけたこともありました。同時にクマ撃ちは地域の安全を守ることにもつながっていて、やりがいがあったわけです。それが今は、薬事法とワシントン条約によってクマの胆のうは商取引が規制され、毛皮もまったくお金にならず、すっかり市場価値を失ってしまった。クマ撃ちの対価として得られるのは、日当か一頭に対する報奨金くらいです。そうすると、担い手は増えにくい。一方で現役のハンターは高齢化していく。それが猟友会の現状だと思います」。それでも、自治体はクマ駆除の要である地元の猟友会に頼らざるを得ない。「有害鳥獣駆除の専門的な技術を持つのは、たいてい猟友会に所属するハンターです。地域での活動単位となる支部や部会の中で受け継いできたノウハウがあり、長年の経験から得た地域の地形やクマの行動パターンなどに関する知識もあります。今は、猟友会の会員が自治体から業務委嘱を受けて、要請があった場合に出動するという形式が多いようです。出動に対して日当が決まっている場合もあれば、1頭の捕獲に対して報奨金が支払われる場合もあり、報酬に関しては自治体それぞれだと思います。いずれにしても、猟友会の会員が元気でクマの駆除を担えるのであれば、若手に技術や知見を継承しながら続いていくに越したことはないでしょうね」。今でこそクマの駆除に対して2万円以上の報奨金を支払う自治体もあるが、やはり地域差があり、見合わない額ながら地域の安全のためにと責任感から出動要請に応じるハンターは少なくないようだ。本来は狩猟愛好者である猟友会員が、ほぼ手弁当で現場判断から駆除まで担う今の体制を疑問視する声もある。「猟友会の高齢化が進んでいたりすぐに出動できる会員がいなかったりする地域は、狩猟に関心のある若い人を市町村の役所が雇用し、有害駆除を担う人材として育成するといった方向を検討してみてもいいのかもしれません。たとえば地域おこし協力隊を活用し、3年の任期中にハンターの知識と技術を身につけながら鳥獣対策に当たってもらい、任期終了後に職員として雇用するのも一つの方法じゃないでしょうか」。参考になる事例はあるのだろうか。「北海道だと、占冠村が野生鳥獣専門員を雇用しています。彼ももともと地域おこし協力隊です。今は村の職員でハンターでもあり、クマの生息状況や被害の調査、出没に対応している。地元の猟友会とも連携しつつ、若い人たちを中心にクマを観察したりデータを取ったりしながら、駆除が必要かどうか判断するというやり方で効果的な対策に取り組んでいます」。地域に十分な知識を持った鳥獣対策専門の職員がいると、住民は安心できるし心強い。「自治体職員や猟友会が地域に生息する野生動物とその問題を理解していると、住民にしっかり説明できます。調査に基づいた報告やデータを示すことで、たとえばクマの出没を防ぐためにゴミの始末や農地の管理をきちんとしようと住民の意識も変わってくる。緊急時には確実にクマを捕獲する技術が維持された上で、駆除か保護かリアルな判断ができる人がいると、住民の許容のレベルが上がり“クマに強いまち”になっていくのではないかと思います」。さらに佐藤教授は、既存の公的組織の活用を提案する。「本来は鳥獣行政組織の中に、クマをはじめとする大型野生動物の市街地出没などの際に現地対応できる専門部署を設置すべきです。しかし人口減少社会の中で、新たな行政組織を立ち上げるのはハードルが高いかもしれません。既存の組織の中でと考えると、実は『消防隊』が適任ではないかと考えています。日頃から地域を災害から守る役割を担っているので、鳥獣対策と親和性が高いと思うんですよ。たとえば、クマが人の生活圏に侵入した際に対応する特殊部隊のような人員を広域的にどこかの消防署に配置し、緊急時にはその隊員が優先的に出動できる仕組みを構築する。消防学校のカリキュラムに鳥獣対策の科目を新たに加えて、選択する人を募る形で教育もできるでしょう。最終的に、特殊部隊が事故を防ぐ啓発活動から侵入防除策の実施、そして捕獲までを担うようにするなど、いろいろ可能性はあると思っています」。警察官は銃の使用範囲が定められているため野生動物に向けて発砲できないが、佐藤教授は「検討の余地があるのではないか」と言う。「市街地での猟銃発砲は、鳥獣保護管理法で原則禁止されています。ハンターが市街地に出没したクマに発砲できるのは、警察官職務執行法4条に基づいて警察官が人の命に関わる差し迫った状況だと判断して命令を出した場合だけです。でも、それはちょっとおかしな話で。時給や日給で非常勤雇用されているハンターが市街地で銃を使用できるようにする以前に、警察官が責任を持って役割を分担するべきではないでしょうか。それが無理なら、鳥獣行政担当者や消防官、自衛隊などの別組織がその役割を担えるようにしていくべきです」。ところで、環境省は10日に閣議決定された’23年度補正予算案に、クマ対策の事業費7300万円を計上した。生活圏に出没する問題個体の調査、捕獲などの緊急対策を行うという。環境省はすでに先月24日、クマの市街地出没が多い北海道と北東北3県を対象に緊急支援に乗り出すと発表。それを受けて北海道は、ハンターへの報酬や出動経費に対する支援制度の創設を求めていた。「国が都道府県のクマ対策を支援するにしても、単年度で終わるのではあまり意味がありません。やはり、継続的な支援が必要です。北海道ではクマ問題が道議会でもかなり議論され、クマの管理にしっかり取り組んでいく方向に進み始めています。国の支援のあるなしにかかわらず、道は道として長期的な視野に立って人材や予算を配分していってほしいです」。北海道が進めようとしているクマの管理とは。「道は昨年3月に改訂した『ヒグマ管理計画』で捕獲数の上限を決め、個体数を大きく減らさない中で問題を起こす個体を捕獲し、軋轢を減らそうとしてきました。しかし、実際の捕獲数は上限を下回っています。結果として、地域によってはクマが増え、軋轢も増えている。そこで専門家が今、軋轢が発生する人里の周辺地域に対して捕獲目標数を設定することを検討しています。人との軋轢を減らすためには、人里周辺のクマの頭数を積極的に管理していく方向にシフトしていかざるを得ない。技術のあるハンターが高齢化し減少していく中で実現するためにはどうするか考えなければなりません。それは北海道だけではなく、全国的な傾向だと思います。ただ残念ながら、北海道は管理計画があまりうまく進んでいません。現場に出られる職員がいなくて基本的なモニタリングができないため、問題個体を管理すると言いながら問題個体の数やその動向を把握し切れていないんです。また人里への侵入防止のための防除策の普及も遅れています。一方、先進的な取り組みをしている知床半島や札幌市では、問題個体の特定と数の把握がかなりできている。そうしたクマ対策が進んでいる自治体や地域のやり方は、少なからず参考になるのではないでしょうか」。クマとの戦いは、まだまだ予断を許さない状況であることは間違いなさそうだ。佐藤喜和(さとう・よしかず)酪農学園大学教授。1971年、東京都生まれ。北海道大学農学部時代に「北大ヒグマ研究グループ」に所属。現在、北海道ヒグマ保護管理検討会委員、知床世界自然遺産地域科学委員会委員・ヒグマワーキンググループ座長などを務める。著書に『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』(東京大学出版会)。

(ジビエ川柳募る:鳥取)
県中西部の飲食店や食肉加工施設などでつくる「ほうきのジビエ推進協議会」(琴浦町)は、ジビエ(野生鳥獣肉)の魅力や「食べたい」という思いを川柳で表現する「ジビエ川柳アワード2023」の作品を募っている。30日まで。作品は自作、未発表のもので1人3点まで。同協議会と県川柳作家協会で構成する審査委員会が、最優秀賞1人、優秀賞3人、ほうきのジビエ大賞1人、食肉加工施設4社賞各1人を選ぶ。入賞者にはイノシシ肉やシカ肉のセットなどの賞品が贈られる。同協議会ホームページの専用フォームなどから投句する。入賞作品はホームページで公開する。

(クマの移動ルートは熊野川:富山)
県内でクマが今年多く出没しているのが、富山市の熊野川周辺だ。立山カルデラ砂防博物館の白石俊明主任学芸員は、河川敷などが山間部に生息するクマの移動ルートになっていると説明。月岡や熊野校区にはクマが侵入しやすいと指摘する。白石さんは「クマといつ遭遇してもおかしくない」とし、都市部の生活圏も最大限の警戒をしなければならないと強調。玄関から出る時は音を立てて人の気配を出す▽クマが隠れられそうなものは片付ける▽夕方に車から降りる際はライトで周辺を照らす▽痕跡を見つけた場合はすぐに自宅に戻る-などを注意点に挙げる。16日の人身被害が、クマの誘因物であるカキの収穫や伐採中に発生したことについては、なるべく大人数で作業し、ヘルメットの着用が必要と強調。「万が一、クマに襲われたとき、被害を最小限に抑える対策をしてほしい」と呼びかける。

(農家のサル対策は個人でもできる!)
全国のサルによる農作物の被害額は約7.5億円(2021年度)。鳥獣別ではワースト4位の加害種です。サルの多くが群れで生活しており、作物のおいしいところだけを次々とかじって捨てるので、一度に受ける農作物の被害が大きいと言われています。農作物の食害だけではなく、人がサルに襲われたり、屋根が壊されたりするなどの被害も出ています。また、学習能力が高く、木に登ることができるため、被害対策も非常に厄介。そこで、全国のサル対策の成功事例を紹介しながら、どのように対策すべきかをお伝えします。対策するためには、まず相手を知ることが重要です。サルの生態や行動、能力などの特徴について知っておきましょう。野生のサルの寿命は約20年と言われています。繁殖能力は栄養状態が良い環境下にあるかどうかでずいぶん違います。栄養があまり豊富でない山のサルに比べ、エサにありつける可能性が高い里のサルは、繁殖しやすいと言えます。1回の妊娠で1頭出産し、双子はまれです。サルはほとんどが群れで生活します。群れの大きさは10頭のものもあれば100頭規模のものもありますが、個体数が多くなると分裂するのが特徴です。群れは成熟したオスとメス、そしてその子供で構成されますが、群れで生まれたオスは4~5歳になると群れを離れます。群れを離れたオスは別の群れに入りますが、単独行動をするハナレザルになったり、もしくはオスだけでグループを作ったりすることもあります。「今までサルを見たことがなかったのに、この前1頭だけ家の屋根の上にいた」という場合、そのサルはハナレザルだと推定されます。野生のサルの場合、個体の順位はあっても「ボスザル」と呼ばれるようなリーダー的存在はいないと言われています。餌場などへの移動などのとりまとめはメスが行っていて、餌場などの知識はメスから子が引き継ぐようです。サルは学習能力が高く、試行錯誤を繰り返すことができます。一度だめでも成功するまで何度もチャレンジする力があるのですね。記憶力も良く、場所や人の顔を覚えたり、過去にあった出来事も覚えたりすることができます。サルの行動を見ていると「あのニンゲンは以前威嚇したら逃げていった。気にしなくて大丈夫」「あのニンゲンはこの場所で嫌がらせをしてきた。逃げよう」といった具合に記憶しているのかもしれません。サルは果実や野菜、種子、樹木の若芽、花などの植物質を中心に食べますが、昆虫、小動物などの動物質も食べます。運動能力は非常に高く、少しのとっかかりがあれば壁を登れるほどです。跳躍力は垂直方向で2メートル、水平方向へは5メートルと言われています。また、手先も非常に器用です。学習能力が高いといった特性からもわかるように、サルは非常に厄介な動物です。被害を防止するためには、住民、農家、行政が協力し合いながら計画を立て、それぞれが活動する必要があります。「サルはどうやっても防げない」「なんだか大変なことになりそうだから気が引ける」そんな気持ちになってしまいそうですが、すでに全国各地でサルの追い払いや被害防止に成功した自治体の事例があります。成功の秘訣(ひけつ)は「住民が自発的に参加し、みんなで行うこと」。まずは被害にあっている者どうしで立ち話。そんなきっかけで大丈夫です。国からもさまざまな援助を受けることができますので、あきらめずに行動を起こしてみることが重要なポイントとなります。現在サルの被害を受けているということは、そこでは栄養価の高いおいしいものが低いリスクで手に入ると学習している証拠。「あそこに行ってもおいしいものがない、行ったら危ない」と学習させる必要があります。そこでまず、一人一人で対策できるのが、サルを寄せ付けない環境づくり。次に、イノシシやシカなどと同じで、サルの侵入を防ぐために柵を設置すると効果的です。サルは数ミリのとっかかりがあれば壁をよじ登ることができます。また、跳躍力も非常に高いです。ですから、イノシシやシカ用のワイヤーメッシュ柵や電気柵ではあまり効果がありません。サルが「人なれ」していくと行動はどんどんエスカレートしていきます。「サルが人を襲った」「民家に侵入した」というニュースをよく耳にします。これはサルが「人なれ」した結果、起こった事例です。「人間はみんな怖いぞ」と学習させれば、サルは人が遠くにいてもその姿を目にするだけで逃げていくようになります。そのために、住民みんなで追い払いをする必要があります。追い払いは可能な限り大人数で行いましょう。1人や2人の少人数で行っても効果は高くありません。サルは「たまたま攻撃性のある人間にであっただけ。あ~怖かった。あっちの畑に行こう」と思うだけです。そして、別のルートから人間のテリトリーに入ってきて居座ります。サルを追い払う時には大きな音を出したり石を投げたりして、山の方まで追い払うのがポイントです。主に追い払いに使われている道具としては、ロケット花火、パチンコ、電動エアガンなどが有効なようですが、フライパンをたたいて音で威嚇する人も中にはいるようです。サルが出てきたらしつこく行い、「民家付近に出ると怖い」とサルが学習するまで続けます。また、「モンキードッグ」といって、訓練を受けた中~大型の犬で効果的に追い払いを成功させている自治体もあります。こちらは訓練を受けて認定を受けた犬のみが行えます。野生鳥獣追い払いのためにロケット花火を利用する際、打ち上げる方向によっては人身事故や火災につながる危険性があるので、安全に十分留意する必要があります。さらに火薬類取締法上の注意すべきポイントが2点あります。まず1点目は、使用に際して都道府県知事の許可が必要な場合があるということです。火薬または爆薬10グラム以下のロケット花火の場合、1日に201個以上使用するときは、使用する都道府県に申請して許可を得ましょう。200個以下の場合は許可は不要です。2点目は、使用にあたって事故などを避けるために安全対策する義務があるということです。消火用水を備えることや、あらかじめ定めた危険区域内に関係者以外立ち入らないようにすること、風向きを考慮して上方やその他の安全な方向に打ち上げることなどの決まりを順守する必要があります。いずれも知らなかったでは済まされないので、十分注意しましょう。自治体によって予算、住民の数や年代、山の地形……さまざまなことが異なります。自分たちに可能な体制を住民自ら考え、効果的に追い払う方法を模索することが必要です。たとえば、ある集落では住民がサルを目撃したり、パトロール隊がサルに付けた受信機の電波を拾ったりすることで住宅へのサルの接近を確認したら、メールやオフトーク放送(地域の音声放送)などで住民へ知らせ、みんなが集まって追い払いに参加するといった体制をとっています。また、2023年8月、長野県安曇野市では市民63人を臨時職員として採用して「ニホンザル追い払い隊」を結成。毎日交代で見回りと追い払いを行い、効果を検証するという取り組みも始まっています。防除対策や追い払いなどを行っても被害が抑えられない場合、捕獲するという方法もあります。加害個体や攻撃性の高い個体を狙う、多くなりすぎた群れを減らすなどの目的で捕獲することがほとんどです。ただし、前述した通り、住民と行政の協力で被害防止に取り組んでいる自治体が多くあります。まずは自治体の獣害対策の部署に相談し、十分な被害防止対策の計画を立てることが重要です。無計画に捕獲をすれば、群れが分裂してしまい、かえって被害が防ぎにくくなることもあります。捕獲方法は、箱わな、囲いわな、銃などがあります。サルは狩猟の対象種ではないため、狩猟時期であっても捕獲はできません。農業被害を防ぐなどの目的で動物を捕獲したい場合は、自治体に特別な捕獲の許可を取る必要があります。許可の条件は自治体や対象動物によってさまざまです。一般的には、狩猟免許を取得した人であることが条件になることが多いです。個人に許可が出る場合もありますし、猟友会に所属している人を母体とする組織や法人などに委任している場合もあります。まずは被害を防止したい土地の自治体に問い合わせをしてください。以上、サルの被害対策についてお話ししました。農家自らできることは、廃棄農作物の放置や未収穫果樹などによる「無意識の餌付けを行わない」こと、「農地の周りを見通し良くしておく」こと、そして「防護柵で農園を守る」ことです。さらに、みんなで追い払いをしてサルに「人間はみな怖い」と学習させることも重要です。農家や住民自らが立ち上がり、行政に手伝ってもらいながら対策を行いましょう。

(行政のクマ対策、「公務員ハンター」制度化など提案)
クマによる人身被害や市街地への出没を防ぐため、これから求められる対策は何か。識者は▽クマの専門家やハンターを行政に置く▽クマを人里から遠ざけるための森を育成する▽被害を防ぐ道具を開発する―といった案を挙げる。新潟大農学部の箕口秀夫教授(64)=森林科学=は「今年の結果をきちんと整理し、解析する必要がある」と指摘する。全国でクマに襲われる事例が相次ぐ中、とりわけ本県の被害件数が突出して多い理由や、出没件数と人身被害の関連性などを検証することが、対策を練る上で欠かせないと説く。

(うり坊への餌付けにも警告:鹿児島)
鹿児島市の原良小学校3年生の男児が登校中にイノシシに襲われ大けがをした事故から2週間が過ぎ、周辺では学校関係者が登下校を見守るなど警戒が続けられている。この時期に活動が活発になるイノシシに遭遇した際、どのように身を守ればよいのか。専門家によると、興奮させずに後ずさりすれば襲われることは少ないという。同校の月俣員貞教頭によると、1日の事故後、イノシシの目撃情報はほぼ毎日学校に寄せられている。「元々目撃は多かった。だが、人を襲わない動物というのが地域の常識だったのに」と不安を漏らした。平川動物公園の桜井普子飼育展示課長は「イノシシは本来臆病な性格で、基本的に人に近づいてくることはない」と説明。遭遇した場合は音を立てて刺激しないよう、背中を向けずに静かに後ずさりすれば襲われる可能性は低いという。ただ、イノシシの状態によっては注意が必要だ。体毛を逆立てたり、雄たけびを上げたりしている個体は興奮していることを示す。その場合、時速40~50キロの速度で突進してくることもある。走って逃げようとせず、立ち木などの高い場所に上るか、不透明な傘などで姿を隠せば、攻撃性をいったん低下させる効果が期待できる。人里にイノシシが現れる原因の一つに、人間による餌付けがあると桜井課長は指摘。「うり坊はかわいいが、食べ物を与えると成獣になった後も市街地に下りてくるようになる。見かけても絶対に餌付けしないで」と強調した。

(柿もいでクマ出没防げ:富山)
クマによる人への加害が相次いでいる。クマの世界に何が起きているのか。被害を防ぐためには何ができるのか。10、11月の出没件数が昨年の13倍となった富山で考えた。そのクマは脇腹の骨が浮き出て、ガリガリにやせていた。

(増えるクマ被害、県内のクマ出没件数は2倍に:新潟)
新潟県内で今年度のツキノワグマの目撃情報はすでに昨年度のおよそ2倍の件数になっています。なぜクマが人里に現れるのか、対策に追われる阿賀町を取材しました。11月1日、午前8時半の阿賀町鹿瀬支所。始業時間を迎えるやいなや電話が入ります。車で走行中にクマと接触したという住民からの連絡でした。有害鳥獣係には、いまクマに関連する情報が毎日のように寄せられます。ここで鳥獣被害対策専門員として働く江花一実さん。ハンターとしても40年にわたり活動しているクマ対策のプロフェッショナルです。阿賀町鳥獣被害対策専門員 江花一実さん「(さっきの電話は)国道のこういうところを横断した。この辺で餌を探しているということは、山に餌がないので里の近くに寄ってきている」ことし、県内ではクマの目撃情報が相次いでいます。今年度の件数はすでに昨年度のおよそ2倍。各地でけが人も出ています。県は「クマ出没特別警報」を出し、11月末にかけて警戒を呼び掛けています。集落のあちこちにクマの形跡 そこから分かることとは?阿賀町の目撃情報はことし10月末までに132件。昨年度の3倍にのぼります。特に、山と集落が隣り合うエリアにクマが出没しています。その場所に案内してもらいました。阿賀町鳥獣被害対策専門員 江花一実さん「クマです。これはかなり大きいですね。1週間以上前の足跡なんで広がっていますけど、14センチ、100キロは超えている。体長1.3メートル以上」。近くにはクルミや柿の木があり、それらを求めて集落の近くにやってきているとみられます。江花さん「クルミを食べておなか一杯になって、これは走ったのではなくて、ゆっくり歩いてこの林に入っていって、休んでまた食べに行ったりするという行動パターン」。さらに、柿の木にはこんな形跡もありました。江花さん「傷跡が開いているので数年前のものだけど、これは新しい、ことしのもの。何年も前の跡とことしの跡なので、何世代にもわたって利用している。餌場になっている」。親グマから子グマへと餌場となる柿の木が引き継がれているというのです。クマが頻繁に現われるこの場所にはある特徴があるといいます。なぜ、クマが人里に下りてくるようになっているのかー長岡技術科学大学で野生動物の生態を研究する山本麻希准教授は次のように指摘します。長岡技術科学大学 山本麻希准教授「人間が山に入らなくなった、あるいは中山間地の農地が非常に荒廃していて、耕作放棄地が増えている。最近は人もいなくて手も入らなくてとなれば、動物が人に会うことなく山からおりてこられる。そういう社会的な環境もある」。さらに、クマの餌となるブナやナラの実は数年の周期で豊作と凶作を繰り返しています。ブナの実が凶作になった2020年はクマの目撃件数が過去最多となりました。ことしはそれ以来の凶作となっています。長岡技術科学大学 山本麻希准教授「毎回、集落近くの柿とかを求めてしょっちゅう集落におりるという体験をしてしまった。そこで、クマと言うのは学習力が高い動物ですから、人里におりるとおいしいものがあると学習します」。人の手が入らなくなった里山や農地ーそんな環境がクマの生態に影響を及ぼしているというのです。クマに襲われ10日間入院した男性はー阿賀町新谷に住む安宅 一茂さんです。10月19日の夜クマに襲われました。駐車場から自宅に向かって歩いていたときのことだったといいます。クマは柿の木に登っていたとみられ、安宅さんは10日間の入院が必要となるほどの大けがを負いました。対策に追われる阿賀町の集落。安宅さんの被害を受けて、新谷地区はクマの餌となる果樹の伐採を始めました。この日は、青年会のメンバーなどが作業にあたります。高く伸びた木の伐採は大人10人がかりでも骨の折れる作業です。電線に影響しないように慎重に切っていきます。新谷地区はこれまでに20本ほどの果樹を伐採してきましたが、空き家が増える中、持ち主の分からない木の対応に困っているといいます。山本准教授は、クマが暮らしている森にも手を入れていく必要があると話します。長岡技術科学大学 山本麻希准教授「長期的な視点からいえば、人間が手を入れなくなったことで老木化し、ナラ枯れと言う病気が流行ったという背景がありますので、やはり里山にしっかり手を入れて、生物多様性がしっかり保たれた森を作っていくということ、クマが本来の生態系で山の中で暮らせるような状態に戻すということも重要」。阿賀町の鳥獣被害対策専門員・江花さんです。この日、仕掛けたおりを確認します。民家近くの林にクマがすみついているといいます。人手不足に空き家問題、耕作放棄地ークマの出没には人口減少という課題が密接に関わっています。人里近くにすむクマとどのように向きうべきかー過疎化が進む山あいの集落は頭を悩ませています。

(獣たちの食事:長野)
秋も深まり、全国的にクマが市街地に下りて来て人間社会を脅かしている。飯田下伊那地域も例外ではなく、先月は阿智村や泰阜村でクマの出没が相次いで確認された。中山間地域では、クマが人里に生息しているのではなく、「クマ里」に人が住んでいると考えたほうが自然か。とはいえ、野生動物によって起こる獣害に目をつむってはいられない。先日、根羽村では愛知県三河地区の企業「アイシン」などが植樹を実施。同社が使用する矢作川の水源となる村の森林を保護するためのプログラムだが、植えた苗木が、シカなどの野生動物によって掘り起こされ、食べられてしまうこともあるのだとか。

(“クマ出没マップ”県が作成:静岡)
今が一番危険な時期ということです。静岡県内で相次ぐクマの目撃情報。県はクマ出没マップを作成し、注意を呼びかけていますが、万が一、遭遇した場合どう行動すべきか。専門家に聞きました。全国的にも相次ぐクマの目撃情報、県内でも目撃が相次いでいます。こちらの静岡市葵区水見色では、11月7日、土木工事の作業員から「岩場でクマを見た」と通報があったということです。その後、調査を行ったところ、クマの痕跡は見つからなかったということですが、県は注意を呼び掛けています。県によりますと、クマの目撃情報は、10月中旬に、河津町で見つかって以降、16日までに44件と急増していて、県民の関心が高まっているということです。こうした状況に、県は「クマ出没マップ」を作成し、県民や県外からの観光客に注意を促しています。(県自然保護課 小澤 真典 さん)「県では人身被害は発生していないが、目撃情報は増えている。注意喚起のために目撃情報を視覚化したマップを作成した。自分の身を守るために参考にしてほしい」。一方、県は目撃情報には、カモシカやイノシシなどを見間違えていることもあるため、クマに対し敏感になり過ぎず、冷静に状況を把握して欲しいと話しています。それでは、実際にクマに遭遇した時、どう対応するべきか、野生動物の生態に詳しい森林・林業研究センターの大橋正孝さんに聞きました。まず、クマはどんな場所に出没するのでしょうか。(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)「動物は開けた場所を避ける。やぶが発達しているような場所。こちらはお茶が放棄されて伸び放題になっているため、動物が隠れるにはいい場所。川沿い、沢沿いは動物が移動に使うには最適」。クマに遭遇した場合、クマとの距離で対応の仕方を変えた方がよいということで、記者が実際にやってみると…(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)「死んだふりというは正しくはない、致命傷になる部分を守ってうつぶせに防御する。これは本当に距離が近いときにやる動作」。そのほかにも、鈴のような音の出るものやクマよけスプレー、万が一、クマが襲ってきた時のために棒や、山での作業で使う鉈をぶら下げておくことも良いそうです。一方、クマと至近距離でなく遭遇した際は、クマを驚かさないことが重要だということです。(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)「背を向けて走ってしまうのは、追いかけてきて襲い掛かることがあるので絶対避けたい。後ずさりをするように、その場を立ち去ることがまず大事」。そのうえで、クマが好む場所を人間が作らないことも重要だと大橋さんは言います。(森林・林業研究センター 大橋 正孝 さん)「冬はクマは冬眠する。その前は食欲旺盛、死に物狂いでエサを求めている。この時期にクマが各地で出没するのは、山のエサが不足していると考えられる。普段よりも広く動き回りエサを探している。人里にカキやクリが放置されていると、クマは甘いものに目がないので食べあさることがある」「匂いがするもの、エサになりそうなものは撤去してもらうことが、クマ出没の情報がある場合は重要」。身を守ることも大切ですが、クマが出没しない環境づくりにも目を向ける必要がありそうです。県によりますと、クマの目撃情報は、10月中旬に、河津町で見つかって以降、16日までで44件と急増していて、クマに関する県民の関心が高まっています。その一方で、クマによる人身被害はこれまで発生していませんが、目撃情報が増加したため、これまでの目撃情報を視覚化した「クマ出没マップ」を作成し、注意を促しています。この情報は、熊の目撃情報を元に、実際に現地調査を行って足跡などの痕跡を調べ「クマではないかと判断したものを」マップに落とし込んでいるということす。さらに、地図上の緑で示されている範囲は、クマの生息が確認されている地域です。それ以外の黄色い地域などでも、ことしは目撃情報がでてきているという状況です。今回、取材に協力してくれた森林・林業研究センターの大橋さんによりますと「クマが冬眠する直前のこの時期は、食欲旺盛で、死に物狂いでエサを求めていて、普段よりも広く動き回っている」ので、警戒するよう呼び掛けています。県の担当者は「クマは気温がもっと低くなりエサがなくなると冬眠したり、活動範囲が狭くなるので、そういった状況になるまで警戒してほしい」と話しています。

(現代の鷹匠、変電設備の守護神に:三重)
カラスのフン害などによる変電設備の故障や停電を防ごうと、天敵の 鷹たか を使った追い払い作戦を中部電力が進めている。 鷹匠たかじょう による取り組みは3年目を迎え、今年は今月から計12回、三重県松阪市久保町の南勢変電所で実施する予定だ。かつて将軍家や貴族に愛好された鷹狩りの技術が、現代に生かされている。今月上旬の夕暮れ時、南勢変電所に、周辺をねぐらとするカラスの群れが町から戻ってきた。追い払い作戦にあたるのは、鷹匠2人、鷹1羽。鷹は小型の「ノスリ」と呼ばれる品種で、1人の鷹匠が腕に乗せて、カラスによく見えるようにして構内を歩いた。カラスを模した疑似餌に食らいつく鷹(中電南勢変電所構内で)電線に集まったカラスは「ギャア、ギャア」と騒いだ。鷹匠が鷹を放つ。カラスは一度は逃げたが、すぐに舞い戻ってきた。別の鷹匠が、カラスを模した疑似餌を取り出した。疑似餌はひもでつながれており、それを空中で振り回す。鷹は疑似餌を脚で捕らえ、地面に降りて食らいついた。カラスは一斉に飛び去った。鷹匠によると、「仲間が襲われた」とカラスに恐怖心を与えることが最も重要という。こうした作業を週2回のペースで繰り返し、効果を上げていくという。中電によると、秋から冬にかけて南勢変電所に集まるカラスは、多い時で数百羽に上る。変電設備にフンを落としたり、機器の隙間に石を入れたりして、故障につながるケースがある。担当者は「停電には及ばなかったものの、故障につながる事故がこれまでに3件起きた」と話した。現代の鷹匠は、市街地や商業施設などで鳥の被害を防ぐ役割を担っている。南勢変電所で活動する鷹匠、 和藤わとう 紗奈さんが所属する鳥害対策会社「オオヨドコーポレーション」(大阪府)では10年ほど前から、鷹匠への依頼が増えている。依頼者は、物流センター、ホテル、大型駐車場、地域のごみスペースなど多岐にわたるという。航空機に鳥が衝突する「バードストライク」を防ごうと、各地の空港で鷹匠を活用する試みも始まっている。

(「クマもキョンも殺すな」「動物園をつくればいい」役所に鳴り響く「かわいそう」の声:千葉)
ここ10年で、千葉県内の推定生息数が3倍に爆増しているキョン。住民への被害もあり、自治体は駆除が急務となるなか、動物保護派からのクレームも少なくない。そして、ついに千葉県がキョン対策に本腰を入れた。キョンの見た目は確かにかわいらしい。まるでバンビのようで、つぶらな黒い瞳をしている。しかし、かわいいだけではない。「キョンは昼夜とわず現れて庭の花もみかんの葉も食べちゃうから、庭が寂しくなるけど何もやらなくなりました。動物も生きていくためにしかたがないとはいえ、もう少し全体の数が減れば悪さも少なくなると思うけど……」。もちろん自治体も手をこまねいているわけではない。千葉県環境生活部自然保護課鳥獣対策班は県内から野生のキョンを完全駆除すべく、毎年8500頭の駆除を目標に活動している。しかし、このような取り組みがテレビのニュース番組などで報道されると、たちまち一部の動物保護派からクレームが殺到した。県内のとある市役所関係者は言う。「昨今、クマ駆除のニュースが流れるたびに『クマがかわいそうだから殺すな』という非難が自治体に集中するのと同じですよね。こちらにもキョンに関するクレームが一日中ひっきりなし鳴りやまないこともあり、『キョンを捕獲して動物園をつくればいいじゃないか』『人間ではなくキョンの市にしたらどうか』とか突拍子のないことを言ってくる人もいます。ですので、キョンに関する取材は猟友会も含めて基本的に受けていません」。住民の生活を守るために、駆除はいたしかたない部分はある。しかし、前編でも触れたとおり、増加数に比べて捕獲が追いついていないのが現状だ。いすみ市で狩猟体験ツアーを行う合同会社「Hunt+」代表、石川雄揮氏は、ハンターの数や若手の少なさを嘆く。「いすみ市猟友会80名の会員の中で、市からの依頼で有害鳥獣を捕獲する『有害鳥獣駆除隊』は30代が3、4人いるだけで、ほとんどが60代の方です」。そんな中、県内のキョン根絶に本腰を入れたのが千葉県だ。千葉県君津市でキョンをはじめとしたジビエ専門店「猟師工房」を営む原田祐介代表は言う。「千葉県はキョンの食肉化にはこれまでずっと否定的でしたが、2021年に初当選した熊谷俊人千葉県知事が今年7月に、有害鳥獣対策における幅広い担い手を確保するために『千葉県有害鳥獣捕獲協力隊』を募集するなど、対策にも積極的です。キョンの肉もふるさと納税の返礼品とするなど、食肉化への考え方も変わりました。キョンって、ローストやコンフィとして食べてもおいしいし、アヒージョにも合うんです」。千葉県環境生活部自然保護課鳥獣対策班は言う。「あくまで、我々としては『キョンの肉はおいしい』などと二次的な価値をつけて、それを産業として定着させずに根絶することが第一優先。ふるさと納税の返礼品にしたのは、命をいただいた以上、それを有効活用したいと始めたことです」。キョンの成体は7キロから12キロほど。そこから取れる食肉は2キロほどとかなり少なく、もともとの生息地の台湾では高級食材とされている。日本でも邪馬台国の時代からキョンの皮が工芸品に使われているなど、日本人とは密接な関わりのある生き物だという。その歴史の重みに触れつつ、今後も増殖防止に励んでもらいたい。

(「キィー」と悲鳴のような鳴き声とつぶらな瞳でハンターの心をえぐる:千葉)
大量発生がなにかと物議をかもしているキョン。その鳴き声は「ギャー」とか「キィー」とか、人間の悲鳴のようにも聞こえ、人々の生活を脅かし、中には不眠を訴える人もいるほどだ。千葉県いすみ市で狩猟の世界を通じた自然体験ツアーを主催し、キョンの生態などを伝える。体長は70~100cm程度で体重は7~12kg程度とニホンジカよりも一回り小さいくらいのキョン。その頭には短い角があり、体色は黄褐色や赤褐色の個体が多く、頭から鼻にかけては黒色だ。「本当に見た目とは裏腹に、昼間は“ぎゃー”とか“おおー!”とかものすごい声を出すんです。銃で撃ってしまうと食肉にも皮製品の加工にも使えなくなってしまうので、そのほとんどは罠にかかったところでナイフで仕留めています。“自分は殺されるんだ”というのはキョンにもわかるので、命乞いの声を出して仲間に助けを求めて“ヒィヒィ”と鳴くんです」(石川雄揮さん)。の鳴き叫ぶ声と、黒いつぶらな瞳で命乞いするように見つめてくるのが、ハンターたちの心をえぐる。しかし一方で、原産地の台湾ではキョンのこうした声を囮にした狩猟法もあるという。「以前、台湾のハンターにも話を聞きましたが、捕まえたキョンをわざと鳴かせて、ほかのキョンをまねきよせて獲るそうです。台湾ではキョンは高級食材でありツノは高級漢方としても使われるし、実は日本でも古来から皮が甲冑や剣道の防具、伝統工芸品の印伝などに使われ、日本文化を支えてきました」。キョンの食肉化や加工術が進んだことで有効活用が進んでいるが、かつてはそのほとんどが駆除されて、捨てられてきたという。「台湾では特定保護動物にも指定されているキョンが、来たくもない日本に連れてこられ逃げ出して増えてしまった。日本ではキョンの価値を知らずに殺して捨てるだけを10数年も繰り返してきたわけですが、昨今ようやく、仕留めた以上は食べたり革製品に加工したりして活用していく動きが出てきたのです」。石川氏は県内外の子どもや大人を対象に狩猟体験を通して命の尊さを伝えている。「ここまで増えすぎた個体は自然界へ致命的な毀損をもたらす危険があるのでやはり防除による頭数の調整は必要です。でもその前にしっかり立ち止まり、キョンの命もかけがえのないものだということをもっと強く認識すべきです。肉や皮の活用はもちろんですが、うちではキョンの"いのちの声"と現場で深く向き合ってもらうことで、本質的な命の尊さ、大切さを参加者へ伝えています」。

(“ペーパーハンター”が熟練ハンターから学ぶ講習会:千葉)
有害鳥獣による農作物の被害などを防ごうと、千葉県は狩猟免許を取得したものの狩猟の経験が少ないいわゆる「ペーパーハンター」が熟練のハンターから学ぶ講習会を開きました。君津市で開かれた講習会には狩猟免許を取得したものの狩猟の経験が少ない26人が参加しました。講習会では熟練のハンターから動物を捕獲する「わな」の仕組みや設置方法を学んだあと、動物の通り道に設置して足をワイヤーで捕まえる「くくりわな」と呼ばれる「わな」を作りました。千葉県では中国などに生息するシカ科の特定外来生物「キョン」やイノシシなどによる農作物の被害が相次ぎ、昨年度の被害額はおよそ2億7000万円に上り、対策の強化が課題となっています。参加した60代の男性は「少しでも力になりたいと思い参加しました。実際に体験しながら基本的なことを学ぶことができて勉強になりました」と話していました。千葉県自然保護課の市原岳人 副課長は「今後、参加者が狩猟の技術を身につけ実践してもらえることを期待しています」と話しています。

(アーバンベア、出没に備え連携:山形)
山形県内の市街地でクマの目撃が増えていることを受け、山形市は17日、住宅街への出没に備えた訓練を実施した。市や猟友会によるアーバンベア(都市型クマ)の対応チームや警察官ら計約100人が参加し、連携を確認した。山形自動車道山形蔵王インターチェンジから東に約1キロの住宅街で、近隣住民がクマ1頭を発見したケースを想定。市職員らは現地と市役所にそれぞれ拠点を設け、銃器での捕獲やけが人の搬送に必要な情報共有などに当たった。対応チームの猟友会員7人は捕獲の手順を確かめた。県内では6、7月、酒田、鶴岡、米沢各市の中心部にクマが相次いで出没した。山形市は8月、猟友会員25人の「アーバンベア等対応チーム」を結成。チームを生かして迅速な対応につなげようと、今回の実地訓練を行った。市環境課の兼子大課長補佐は「市内でも住宅地に近い山林などで目撃されている。訓練で見えた課題を洗い出し、マニュアルに反映させることで対応の精度を上げたい」と話した。

(「ロードキル回収袋」が画期的な理由)
人間の生活圏に出没するようになった野生動物たち。道路上での死亡事故「ロードキル」の増加は深刻なものだ。同時に、道路管理者にとっては、増え続ける死体の処理も大きな問題となっている。ここで、西日本高速道路メンテナンス関西は大嘉産業と共に、現場の要望に応え、野生動物の死体処理に適した「ロードキル回収袋」を開発した。NEXCO東日本・中日本・西日本、首都高、本四高速におけるロードキル死体処理件数は、年間5万件(2021年)に及んでおり、特にNEXCO西日本では年間2万800件と、NEXCO3社の中で最も多い件数となっている。実際、NEXCO西日本の関西地区の高速道路をメンテナンスしている西日本高速道路メンテナンス関西でも、増え続けるロードキルの死体処理に頭を悩ませていた。ブルーシートやダンボールに死体をくるんでいたというが、現場からは「動物の血液がつく」「動物のにおいがつく」「体液が漏れる」「虫(ダニ)がつく」といった声があがり、野生動物の死体処理に適した袋を開発することになった。「ロードキル回収袋」は野生動物の死体を回収して、処理施設まで運搬し、そのまま焼却できる袋だ。野生動物の死体の大きさに合わせた4サイズとなっている。製品の規格に対して、収容する野生動物の種類は限定していないものの、大~中はニホンジカ、イノシシ、小~ミニはアライグマ、タヌキなどを想定。ニホンジカより大型のエゾシカは角がなければ収納できる。また、ツキノワグマより大型のヒグマは大サイズでも収納できないかもしれないとのことだ。ロードキル回収袋の製品化に至るまで、血液・体液漏れの防止や袋閉めでの虫飛散防止など、様々な実証実験と改良を繰り返した。西日本高速道路パトロール関西で実験的に取り入れると、ロードキルの死体を収納する現場からは「動物の血液が付着しない」「動物の臭いがつかない」と反応は上々だった。また、焼却処理場まで死体を運搬している西日本高速道路メンテナンス関西や協力会社の社員からも、時間が経過し、虫の発生も拡大している死体をジッパーで閉じ込めた状態で運搬できるうえ、焼却処理施設で内容物の確認もできると、高い評価を得られた。現在、ロードキル回収袋は、関西、中国、九州の高速道路管理者で使用されている。北海道、東北、北陸、四国などでも実験的に使用する動きがみられている。その他、猟師の購入実績もあり、ロードキルだけでなく、増加する野生動物を駆除する現場でも活用の兆しがみられている。ただし、ロードキル回収袋は、現在、ほぼハンドメイドで制作しており、価格が高め(9700~2万1800円)のため、普及の足かせとなっているという。西日本高速道路メンテナンス関西によると、材料や工程を見直し、安価で販売できるよう検討しているという。道路事業者や野生動物の処理に関わる人々にとって、手の届く製品となることが期待される。

(ヒトを危める熊は殺めるほかない――そのために永田町は早急に法整備を:姫路大学特任教授 平野秀樹)
各地の里山や農村地帯から、連日のようにクマによる被害の報告が相次いでいる。田畑や果樹園が荒らされるだけでなく、人的被害も多い。今日、クマ問題の次元は一ランク上がったと言っていいだろう。なぜこれほどまでにクマはヒトを襲うようになったのか。「クマが人間を襲うのはドングリが不足しているからだ」。かつてそう信じて問題解決のために動いたNPO(民間非営利団体)があった。2004年、“ドングリを集めてほしい”と全国に募集したところ、たちまち4トンのドングリが集まった。しかし全国のドングリが交雑し、生態系に悪影響を及ぼす懸念が指摘された。2010年にはクリの実を真っ赤なナイロンネットに入れて、奥山の木の枝に置いた人がいた。親切のつもりで置いたのだろうが、「人里にクマを引き寄せるきっかけ」になり逆効果だとされた。里クマ(アーバン・ベア)を増やす手助けや、餌になる食材(残渣)の放置はできれば止めたい。WWFジャパン2011.10.13「シリーズ:クマの保護管理を考える(2)大量出没にどう対応するか」/ワイルドライフ・フォーラム2021,25(2) 草刈秀紀 今年のブナは東北では大凶作で、豊凶指数は0.06(5県平均:東北森林管理局)。凶作年といわれた2010年の0.48、2014年の0.44、2016年の0.14、2019年の0.24より低く、過去最悪の数値になっている。人身被害もこれまでで最もひどく、環境省によると18道府県で180人(10月末現在)に増えた。死者は5人となった。ブナ、ナラ、コナラなどの出来ぐあいがクマ出没・人身被害の一因だが、原因はこれだけではない。大きくは列島社会全体の、もうどうしようもない3つの趨勢による。(1)ヒトの減少・中山間地域の過疎化(2)境界域(耕作放棄地・里山等の緩衝帯)の「再自然化」(3)クマ(野生獣)の増加。いずれもこのままでは止められない流れで、ヒトの居住域の縮小と撤退がこれからも続くため、クマなど野生獣の生息域の拡大は続く。日本列島におけるヒトとクマの相対的な力関係の変化は、クマなど野生獣の個体調整(駆除)を行わない限り、押し戻せない。境界域近くに暮らす人たちは割を食う。安寧な暮らしが脅かされながら、それでもそこで生きていかなければならない。林道を横切るクマや遠くの山腹を歩くクマは、仕事柄、何度か見たが、鉢合わせたこともある。40年前の青森県S村での話だが、山中で大きなタラの芽を車窓から見つけた私は、車道から2メートルほど飛び降りた。その時、眼下7、8メートルの至近距離でガバァ――。1.5メートルの黒い巨体がこちらを向いた。クマを驚かせてしまったようだ。目と目が合い、互いに固まった。睨み合っていると、みるみるクマの剛毛が一本一本逆立ち、巨体はさらに大きくなった。刃渡り30センチメートルの腰鉈を私は携行していたけれど、鉈を手にすることができなかった。睨み合いは数秒続いたろうか、クマは突然、踵(きびす)を返し、猛スピードで駆け降りた。ガラッ、ガンッガンッ……。岩石が山頂から落下するような音を立ててクマは谷間へ消えた。その速さたるや到底ヒトが追いつけるものではない。命拾いしたが、しばらくは声が出ず、体の震えは数分経ってから膝にきた。クマの行動パターンは「人を恐れて隠れる」ということ――その基本を私は忘れてしまっていたのだ。現在、出没地域では威嚇音、轟音玉(手投げ式の動物追い払い用花火)などがクマ撃退に使われているが、忍者みたいなクマといつ遭遇するか分からないという恐怖は、当地に暮らしている者にしか理解できない。デヴィ夫人のように、クマの射殺を可哀そうだからやめてと言い、動物愛護を優先させるべきだと主張される方がおられる。しかしクマの危害を受けた地域では、「精神的被害」も含め、クマと人との軋轢が深刻な社会問題になっていることを忘れてはいけない。TVなどに愛らしい子グマやウリボウ(子猪)、それにバンビがしばしば登場したり、キャラクターグッズでもくまモンたちが人気だ(ちなみに九州ではクマは絶滅したとされている)。おかげで野生獣を身近に感じることができるようになった。見れば可愛く、それを愛でたくなるのが人情だ。「その動物を殺すなんてもってのほか!」「可哀そうだから守ってやって……」と発するのはごく当たり前の感覚である。憂うべきは、そのお茶の間感覚がいつでもどこでも正しいと思い込んでしまうことだ。アフリカのサファリ遊覧車からフラフラと降り、野生動物に近づこうとして襲われた悲劇をNGOの方から聞いた。被害に遭うのは動物園感覚の日本人がとりわけ多いというが、ニュースにはなっていない。現行の動物愛護管理法だって、動物の福祉と愛護がごちゃ混ぜになってしまっている。2023年度、全国で4204頭のクマが駆除(環境省:9月末暫定値)されたが、この行為を即刻中止すべきだとの意見も一部である。悪いのは本来臆病なクマではなく、生息地に自動車道路をつくったり、リゾート開発をした人間が悪いのだと。大切なことは、“クマと遭遇してしまう場所に暮らす人たちがフツーの暮らしを続けていくには”という視点ではないか。都会の人工的環境に居て、そういった場所を遠くに見ながら評論するのではなく、そこに暮らす人々の思いを尊重していくことである。それにしても、クマに襲われた人やご親族たちの辛い思いはいかばかりだろうか。居住するエリアにまで侵入してくる恐ろしい獣と、いったいどう対峙すればよいのか。丹精こめてつくり上げた収穫物を一度ならず、二度、三度と根こそぎ荒らされた人たちは耕作を諦めてしまう。日本とはクマの密度がまるで違うが、海外でもヒトとクマの対立はある。2004年、フランスではピレネー山岳地帯に暮らす人たちの生活域にヒグマが現れた。当事者は“正当防衛で射殺した”と主張したが、パリに住む都市派からは、“かわいそうだ、撃つべきではなかった”と大いに叩かれた。2021年には、フランス南西部のスペイン国境に近いアリエージュ県で、70歳の猟師がヒグマに遭遇して襲われ重傷を負い、高山憲兵隊によって助けられた。ヒグマの死骸が近くにあったというが、この猟師がクマを撃ったかどうかについては明確に報道されていない。憲兵隊の広報は報道を控えたとみられる。報道していたら、北海道釧路町の「OSO(オソ)18」のケース(2023.8)のような騒ぎになっていたかもしれない。日本と比べて事情が複雑なのが、フランスのヒグマが皆、輸入したヒグマの子孫であるという点だ。というのも1995年、フランス国内のヒグマの生存頭数はわずか5頭で、ほぼ絶滅に追い込まれていた。「これではまずい」と考えたフランス政府は、翌1996年、再繁殖させるべく、スロベニアから輸入したヒグマをピレネー山脈に放ったのだ。放獣計画への賛成派の言い分は、「人間もヒグマも地球の一員。ヒグマにも生きる権利がある」(地元村長)、「ヒグマの血筋を絶やす環境大臣になりたくない」(環境大臣)、「私たちは生物多様性という考えに愛着をもっている」(マクロン大統領)だった。放獣のおかげでフランス国内のヒグマは増えた。2020年には64頭になった。しかし、クマは放牧中の羊を捕食する。年間200頭程度の羊がフランスでは犠牲になっているから、当然のことながら畜産農家たちは放獣に対し猛反対を続けている。2018年の放獣に際しては、反対派は放獣場所の山に至る通行を妨げようと道路上に陣取っていた。このため、2頭のスロベニア産のヒグマはヘリコプターでピレネー山脈まで空輸されたという。フランスでも、人が襲われるなどしたクマ関連の被害は増えており、とうとう2020年には329件と過去最多になってしまった。今日、クマを射殺せず麻酔銃やわなで捕獲し、奥山に戻すケース(奥山放獣)が各地で試みられている。ただし効果をみるには時間と人手を要する。クマの行動範囲は平均20~40平方キロメートル(中には100平方キロメートルの事例も)に及び、わずか数キロメートル程度運んだとて、戻ってくる。人里のおいしい柿や残飯の味を学習してしまった賢いクマ(里クマ)を遠ざけるには、からしスプレーをかけるだけではおぼつかない。何よりコストがかかる。軽井沢町のクマ対策は間違いなく先進的だが、20年以上も継続できる予算と経験ある人材の確保を、全国自治体に敷衍化できるかというと、かなりハードルが高い。 兵庫県(クマ推定859頭/人口537万人)の取り組みも先進的な対策モデルの一つだ。研究を続けられる組織と少ないながらも予算が継承され、個体数把握と駆除が進められている。 しかし、「人口当たりのクマ頭数」が兵庫県の30倍になってしまった秋田県(クマ推定4400頭/人口91万人)をはじめ東北・北陸などの人身被害の増加県やヒグマを擁する北海道では、クマ対策を継続的に担っていくための予算とマンパワーが圧倒的に不足している。何よりも人命にかかわる問題が顕在化してきているわけだから、ここはもう国策による踏み出しが急務で、政治マター。永田町(国会議員)の仕事である。とりわけ(1)鳥獣保護管理法(環境省)、鳥獣被害防止特措法(農水省)、動物愛護管理法(環境省)など各法律の補強、(2)国(農水省、環境省)、都道府県、市町村、猟友会(ハンター)など各セクター間の連携強化、(3)中長期的な問題に対する包括的な財政支援など、将来に向けた骨太の改善策が不可欠だ。研究者も論文量産のためかフィールド離れが目立つが、地元ハンターや農林家の声をもっと拾っていきたい。幸いなことに11月13日、環境省はクマを捕獲や駆除のための交付金の対象となる「指定管理鳥獣」に追加する検討を始めたと報じられた。ぜひ実効性のある施策に結び付けてもらいたい。無策のままだと、ヒトとクマの緩衝帯(バッファー)である耕作放棄地(42万ヘクタール)と里山(約400万ヘクタール)は自然遷移による「再自然化」が進み、里クマやシカにとっても好都合な「隠れ家」と「食糧基地」になり変わってしまう。結果、国土全域に広がるヒトとクマとの遭遇線が都市エリアにさらに近づき、接することになり、クマとのニアミスや人的被害、悲劇が都市内でさらに頻発化していくだろう。私たちはそれを望んではいない。

(ガソスタにクマ出没:岐阜)
クマの目撃情報や人的被害が相次ぎ、県内でもツキノワグマの出没警戒情報が発令されている。東濃地域では7月、中津川市加子母で70代男性がクマに襲われ、右肩に傷や打撲を負った。恵那市でも10月、市街地に子グマが出没しており、警戒を強めている。恵那市などによると、市街地の目撃情報は10月16日午前11時半ごろ、大井町の国道19号沿いのガソリンスタンドから寄せられた。車の修理やオイル交換を行うピットで、子グマが見つかった。猟友会が捕獲して被害はなかったが、なぜそこにいたのかは不明だ。市内の本年度のクマの目撃情報は、14日で20件。昨年度は11月末で23件、全体で29件で、いずれも人的被害はない。

(クマ目撃相次ぐ:山形)
県内で15~16日、クマ目撃の届け出が県警に相次いだ。15日午後10時5分ごろ、鶴岡市山五十川の路上で、車で通りかかった市内の60代男性が体長約1メートルの1頭を目撃した。同市羽黒町荒川では16日午前7時半ごろ、羽黒中の男子生徒が路上にいた体長約80センチの1頭を見つけた。南陽市元中山では同日午後3時10分ごろ、市内の60代男性が、体長約1メートルの1頭が畑にある柿の木に登っているのを目撃した。

(道路沿いに体長1メートルほどのクマを見た:新潟)
新潟県湯沢町で18日朝、道路沿いにいる体長約1メートルのクマ1頭が目撃されました。警察がパトロールするなどして注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは、湯沢町湯沢の県道です。警察によりますと18日午前7時すぎ、県道を車で走っていた人から「県道沿いに体長約1メートルのクマ1頭を見た」と警察に通報がありました。クマが目撃されたのは民家から約500メートルの場所で警察や役場が連携して注意を呼び掛け、警戒活動を実施しています。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼び掛けるとともに、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないようにとしています。

(民家近くに現れたクマ、イノシシ捕獲用オリのエサ食べる:宮城)
クマの目撃情報が相次ぎ、宮城県は出没警報を11月末まで延長している。宮城・大崎市では、民家の近くにたびたび現れるクマの姿を、住民が撮影した。11月14日。大崎市鳴子温泉新田地区の林道で撮影された映像だ。一頭のクマが、イノシシ捕獲用のオリの中をのぞいたり、上に登る様子が確認できる。17日、撮影した現場を案内してもらうと、林道に設置したオリは崖下へと落下していた。クマは80キロはあるというオリを動かし、残った米ぬかを食べていったという。また、この場所から600メートルほど離れた自宅敷地内でも、10月初め頃からつい先日まで、クルミを狙ってクマが連日のように現れていたという。宮城県内の今年度のクマの目撃情報は、11月10日現在 982件で、10月の目撃件数は過去5年平均の3倍となっている。宮城県は、引き続き、朝晩の行動を避ける、クマ鈴やラジオを鳴らすなど、クマと遭遇しにくい対策をとるよう呼び掛けている。

(クマの仕業か、枝が折られカキ約30個が食べられる:岩手)
18日午後、岩手県一関市で住宅敷地内のカキの木の枝が折れているのが見つかり、警察はクマによる被害とみています。一関警察署によりますと18日午後1時ごろ、一関市萩荘下本郷の住宅で敷地内に植えられたカキの木2本の枝が折れているのが見つかりました。住人の70代女性が倉庫に向かう際に発見したもので、木の周辺にはクマの足跡があったため、警察はクマによる被害とみています。折られた枝の先になっていた約30個のカキが食べられたということです。クマが庭先の果樹を求めて人里に近づくケースが相次いでいて、クマの食料となるものを放置せず、寄せ付けない対策が重要です。

(朝焼けにマガンのシルエット:宮城)
朝焼けに染まった空に飛び立つマガンのシルエット。宮城県登米市と栗原市にまたがる伊豆沼は国内有数の越冬地で、約10万羽の渡り鳥がロシアのベーリング海沿いから飛来する。

(猟や農作業で成長の鍵探る:長野)
味の素(東京)は16日、若手・中堅社員を対象とした人材育成プログラムを佐久市望月地区で3日間の日程で始めた。自身の「志」(パーパス)を見つめ、主体的・自発的に行動する人材を育成する狙い。社員7人がシカの猟や農作業などを通じて持続可能な農業や循環型社会の在り方を学ぶ。

(ジビエ処理加工施設「あしがらジビエ工房」:神奈川)
中野博さん。有害鳥獣による農作物被害が深刻化したことを受け、足柄上郡5町が設立、今秋に運用が開始された「あしがらジビエ工房」。地元猟友会のメンバーが捕まえたシカやイノシシが運び込まれ、解体、精肉まで行われる。これまで埋設処理や自家消費が主だったが、今後は地元飲食店などに卸し有効活用される。今年9月までは町議員を4期16年務め、先月にはジビエ工房の施設長に就任。「農家の方をはじめ地域の方々のためにも多くの猟師に使っていただきたい」。開成町出身。幼い頃から自然に触れ「酒匂川のアユ獲りでは絶対に誰にも負けなかったよ」と笑う。山北高校卒業後に松田町に移り住み、相鉄の運転士に。成績優秀者として社長から表彰されたことも。しかし体調を崩したことを機に運転士を辞め地元の酒類の商社で営業マンとして、メーカーや小売店を飛び回った。クレー射撃に興味があり20歳で猟友会に入会。以降半世紀以上活動を続け、今では約120人を束ねる足柄上支部長だ。当初の活動は鳥を撃ち落とすなど「趣味の域を出ないもの」だったが、約20年前から里山に降りてくるシカやイノシシが増えたことで猟の対象も有害鳥獣に。農家や行政からも頼られる団体になった。また、会員には「常に紳士たれ」と伝えている。世間から活動を認めてもらうため、銃を扱う責任を感じてもらうためだ。まだ販路は多くないというが、ジビエの人気の高まりから、今後はニーズが増えると考えている。自身も猟師として山へ赴く傍ら、施設の管理や販売先との調整もあり忙しくも充実した日々を送る。「じっとしているのが嫌いでね。これまで楽しく生きてきた分のご恩返しの気持ちだね」。

(ほっこり「ぼたん鍋」いかが:兵庫)
狩猟が解禁されたのに合わせ、丹波篠山市観光協会は16日、丹波篠山の名物料理「ぼたん鍋」の本格的なシーズン到来をPRした。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行して初めての冬ということもあり、市内の提供店や観光関係者らは集客アップを期待している。同協会などによると、ぼたん鍋は篠山発祥とされ、明治期に駐屯していた旧陸軍の兵隊たちがイノシシの肉をみそ汁に入れて食べたのが広まったという説がある。2021年度には、地域で受け継がれる食文化として、文化庁の「100年フード」に認定された。市内では飲食店や旅館など約40店で鍋を提供。現在は家畜伝染病「CSF(豚熱= 豚とん コレラ)」の影響で、地元産をはじめ、県内の大部分で捕獲された野生イノシシは市場に流通しないが、全国から良質のしし肉が集まるという。関係者らは「店独自の秘伝の 出汁だし やみそ、食べ方の違いを堪能して」と呼びかける。この日は1907年(明治40年)創業という料理旅館「 潯陽楼じんようろう 」(二階町)が自慢のぼたん鍋を作った。丹波篠山観光大使の山添琴音さん(26)が皿に盛られた見事なしし肉を披露。旅館スタッフが秘伝の合わせみそ入りの出汁に入れて煮込み、鍋を仕上げると、観光協会のメンバーらが早速頬張った。山添さんは「肉は軟らかく、臭みもなくおいしい」とコメント。店主の藤井恵一さん(66)は「最後の汁まで飲んで味わえます」とアピールしていた。

(「第7回森の京都ジビエフェア」:京都)
京都府からのお知らせ、「第7回森の京都ジビエフェア」と一般販売された『「寶CRAFT」<京檸檬>』について、それぞれ詳しく見ていこう。「第7回森の京都ジビエフェア」京都府と森の京都DMOは、ジビエ(鹿肉)の魅力発信と消費拡大を目的に、11月18日(土)~令和6年2月18日(日)の93日間、森の京都エリア及び舞鶴市の計43店舗で「第7回森の京都ジビエフェア」を開催する。

(山々と清流の恵み、旬のジビエを通じて:岐阜)
「長良川清流ホテル」は、岐阜の里山川文化を再解釈し、「食」にフォーカスを当て、現代社会との程よい距離感をお愉しみいただくスペシャルプランを販売開始。プランは、シーズンごとにテーマを変えてリリースする予定です。第一弾として、今冬シーズンは「ジビエ」をテーマに掲げ、里山川文化を体験していただくコンテンツをご用意いたしました。パートナーに気鋭の狩猟チーム「猪鹿庁」代表の安田大介氏をお迎えし、土着の文化に想いを馳せる特別なひとときを用意。里山川文化に生きる人々の価値観に、「恩送り」という考え方があります。恩送り」とは、誰かから受けた恩を、別の誰かに送る。そしてその送られた人がさらに別の人に渡す。そうして「恩」が世の中を螺旋のように渡り歩いて行く。里山川文化では、目先の”得”ではなく、見返りを求めない”徳”を重ねることで、自然が優しく受け入れてくれることを知っていました。私たちは、この価値観にとても共感し尊敬を込めて、「恩送り」を表現したおもてなしをご用意しております。私たちの想いを汲み取り、プランを監修していただく特別パートナーに、里山保全組織「猪鹿庁」代表の安田大介氏をお招きしました。土地に生き、自然の手触りと狩猟の魅力を発信している彼らの声に、日常にはない温度を感じていただけることと思います。

(やまなしジビエフェア開催中:山梨)
山梨県は、農林業被害対策として捕獲したシカの有効利用を進めるため、「やまなしジビエ(狩猟肉)フェア」を開催している。県内の飲食店など17店が自慢のシカ肉料理を提供。県独自の認証基準を満たした安全なジビエを堪能できる。来年2月29日まで。フェアは2020、22年度に続く3回目。ステーキやロースト、カレー、ハンバーガーなど、各店が県産シカ肉を使ったオリジナルメニューを提供する。県内の狩猟期間(11月15日~来年3月15日)と前後して開催時期を設定している。県内では、ほぼ全域でニホンジカの生息が確認されている。県によると、農作物や樹皮を食い荒らすなどシカによる農林業被害は深刻化し、14~16年度は年間3億円に及んだ。県は12年度からニホンジカの管理計画に取り組み、17年には、捕獲したシカの有効利用を進めるため、シカ肉の安全・安心を担保する独自の「やまなしジビエ認証制度」を創設。県が認定したシカ食肉処理加工施設で認証基準を満たしたシカ肉を「やまなしジビエ」として認証している。そのPRと消費拡大がフェアの狙いだ。県PR事務局の担当者は「旬のシカ肉が安心して、おいしく食べられる」と宣伝している。詳しくは県公式ホームページから「やまなしジビエフェア2023」を検索。

(カレーでジビエの魅力発信:広島)
今春、広島県呉市川尻地区の地域おこし協力隊員に就任した三村明日海(あすみ)さん(28)=鳥取県境港市出身=が、地元産ジビエ(野生鳥獣肉)を使った特製スパイスカレーを開発した。19日に地元である「かわじり元気まつり」で販売し、ジビエの特産地である川尻の魅力をPRする。

(工夫こらしたジビエをどうぞ:岐阜)
揖斐川町の揖斐高校生活デザイン科食物コース3年の14人が、ジビエや旧徳山村在来種のとうがらし「徳山なんば」を使ったメニューを考案した。17日、同校で報告会があり、鹿肉を提供する久保田工務店(揖斐川町)や道の駅関係者などが試食した。9月に中間報告会があり、アドバイスを受けて改良を重ねた7品を提供。ジビエでは大きなもも肉を使って鹿肉のおいしさが伝わる料理にしてほしいという要望に応え、唐揚げ丼を作った。卵とじにして子どもから高齢者までおいしく食べられる工夫をした。

(「ジビエ料理」の給食:岐阜)
農作物を食い荒らすシカを食材として活用しようと、駆除された肉を使った「ジビエ料理」の給食が本巣市の小学校などで提供されました。本巣市ではシカが田畑を食い荒らす被害が相次いでいて、昨年度は農作物8トンあまり、約270万円相当の被害が確認されています。本巣市教育委員会は駆除したシカの肉を食材として活用するとともに、子どもたちに命の大切さを考えてもらおうと、おととしから年2回、市内の幼稚園や小中学校などで「ジビエ料理」の給食を出しています。教育委員会によりますと、シカの肉はタンパク質や鉄分が豊富で成長期に必要な栄養がまかなえるということで11月14日にはシカ肉のミートソースを使ったスパゲッティが提供されました。このうち、本巣市郡府の席田小学校では「増えすぎた動物を捕って捨てるのではなく自然の恵みとして命に感謝して食べましょう」と放送が流れ、子どもたちはふだん食べる機会の少ない料理をおいしそうに味わっていました。小学5年生の女の子は「とてもおいしかったです。本巣市にシカがたくさんいると知らず、びっくりしました」と話していました。席田小学校の片野綾栄養教諭は「もりもり食べてくれて安心しました。命をいただいていることを感じ、大切に食べてくれる子に育ってほしいです」と話していました。

(駆除のエゾシカ、有効活用:北海道)
農作物被害を防ぐため駆除されたエゾシカの活用を考えるイベント「えぞ鹿フェスティバル」が25、26の両日、中標津町総合文化会館で開かれる。駆除後のシカの有効活用に取り組む住民らのグループ「グレートグリーングリッド中標津実行委員会」の主催で、4回目。...

(クマ出没:宮城)
宮城県警などによると、17日午後9時10分ごろ、色麻町小栗山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午後4時30分ごろ、仙台市青葉区上愛子街道にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、17日午後2時ごろ、色麻町四竃狐塚の学校にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、17日、色麻町大下新町北付近にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、16日午前10時10分ごろ、仙台市青葉区上愛子街道にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、16日午後4時10分ごろ、仙台市青葉区荒巻青葉にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、16日午後5時ごろ、仙台市青葉区芋沢向田にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、17日午前10時35分ごろ、栗原市築館沢入にクマが出没しました。

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(柿の木伐採中、クマに襲われ男性2人重傷:富山)
富山市で50代と70代の男性2人がクマに襲われ、顔などを負傷し重傷です。午前10時前、富山市上今町で住民から「家族がクマに襲われた」と119番通報がありました。被害にあったのは、59歳の男性と72歳の男性2人です。富山市によりますと、72歳の男性が柿の木を切る作業を行っていたところ、クマに襲われ顔面を負傷し、その後、男性の叫び声を聞き駆けつけた59歳の男性が再びクマに襲われ左足の太ももにけがを負いました。2人とも、意識はありましたが市内の病院に搬送され重傷だということです。15日午後には現場からおよそ800m離れたところでクマの足跡が見つかっていました。クマの行方は分かっておらず、警察などがパトロールを続けています。

(クマ捕獲、100頭が確実に:秋田)
環境省の速報値(10月末現在)では、クマによる人身被害は全国で180人に上る。うち死者は5人で、岩手県2人、北海道、富山県、長野県が各1人。秋田県内の負傷者は69人(13日夕現在)で、過去最多の3倍を超える異常事態となっている。県は積極的な駆除を促すため、狩猟者への慰労金支給や猟銃用弾丸の購入費補助を決めた。県は11月からの狩猟期に合わせ、捕獲上限を過去最多の96頭から更に引き上げて100頭まで認めることを決めた。ところが想定以上に狩猟が進み、猟期中に100頭に達することが確実視されるとして、県は10日、一転して猟友会などに狩猟の自粛を求めた。

(クマ狩猟自粛の撤回を佐竹知事に要求へ:秋田)
秋田県がツキノワグマの保護管理のため、今猟期(今月1日~来年2月15日)の狩猟自粛を要請したことに対し、県猟友会が近く、佐竹敬久知事に自粛の撤回を求めることが分かった。県が積極的に狩猟を促してきた姿勢を短期間で一転させたことに不信感があるとし、自粛が人里への出没増加などを招くと懸念する。県は10日、狩猟捕獲数が本年度の上限100頭に達する見込みとなり、猟友会などに自粛を求めた。クマによる人身被害の多発を受け、佐竹知事は先月、県が猟銃の弾丸購入費を負担するなどして狩猟捕獲を促す考えを示していた。猟友会によると、多くの会員が解禁後間もない方針転換に困惑しているという。会は県の対応に整合性がないと批判。早期の自粛は、来春以降の人里への出没増加や、ハンターの育成機会の減少につながると指摘する。猟友会は来週にも知事宛てに意見書を提出する方針。担当者は「県は(狩猟で)捕れと言ったり捕るなと言ったりで戸惑っている。国への要望で協力している隣県では自粛を求めていない。足並みをそろえてほしい」と訴える。県によると、本年度の有害鳥獣捕獲と個体数調整の捕獲数は13日時点で1730頭となり、狩猟を含む県の上限1582頭を上回った。県自然保護課は「狩猟が想定以上のペースで進んだ。自粛は個体群の維持管理に必要だ」と理解を求める。

(クマ対策「建物内で麻酔銃を」、北海道東北地方知事会が緊急要望)
北海道と東北、新潟の知事でつくる「北海道東北地方知事会」は13日、環境省を訪れ、伊藤信太郎環境大臣にクマを「指定管理鳥獣」に指定することを要望しました。北海道東北地方知事会・会長 達増拓也岩手県知事:「麻酔銃ですね。現状、建物内に侵入したクマ類に対しては銃を使ってはならぬということで。麻酔銃を撃てるように制度を見直してほしいと」。「指定管理鳥獣」は、捕獲などに取り組む都道府県を交付金で支援する制度で、イノシシとニホンジカだけが指定されています。また、住宅地へのクマの出没が相次ぎ、建物内に侵入するケースも発生していることから、建物内でも捕獲できるように麻酔猟銃の使用を認める制度改正を求めました。

(死んだカモから高病原性鳥インフル:鹿児島)
出水平野で死んだカモ2羽から毒性が強い高病原性の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。野鳥からの確認は、今シーズン初めてです。鹿児島県によりますと、出水市の東干拓で今月11日に回収されたオナガガモの死がい1羽と、12日に見つかったヒドリガモ1羽の死がいから、遺伝子検査の結果、毒性の強いH5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。野鳥からの高病原性ウイルスの確認は今シーズン初めてです。東干拓では今月8日に回収されたヒドリガモ1羽の死がいからもウイルスが検出されていますが、高病原性かどうかは分かっていません。また、今月7日には近くの出水市高尾野町江内でも死んだヒドリガモ1羽が見つかっていて、ウイルスの確認が続いています。出水平野では、今月6日に野鳥のねぐらで採取された水から高病原性のウイルスが検出され、国は半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定しています。国は今回、高病原性ウイルスの野鳥が確認された地点も新たに重点区域に指定し、監視を強化しています。

(弾の価格高騰「1発も無駄にできない」:岐阜)
散弾銃やライフル銃を使う狩猟が解禁された15日、岐阜県内各地で獲物を追って山に分け入る猟友会員の姿が見られた。海津市南濃町では、地元の元県猟友会副会長竹中孝道さん(79)や横山寛見さん(65)ら10人が三重県境の養老山地に入山。猟犬を連れた勢子(せこ)がシカ、イノシシを駆り立て、獣道に待機した仲間が迎え撃つ伝統的な巻き狩りを繰り広げた。

(クマ被害69人の秋田県、頭数の上限理由に狩猟自粛を要請:秋田)
今月始まったクマの狩猟について、設定していた狩猟頭数の上限に達することが確実になったとして、秋田県が猟友会などに14日から狩猟を自粛するよう求めたことがわかった。狩猟とは別に、危険なクマを駆除する有害捕獲は続ける。県自然保護課によると、今年度の猟期(11月1日~来年2月15日)の狩猟上限は100頭だが、10日までの県への報告数は既に70頭に上る。同課によると、今年度は銃弾の費用補助などを県が検討していることもあり、ハンターが積極的に狩猟を行ったとみられるという。2017~22年度の狩猟数は31~52頭だった。狩猟を含まない、今年度の県内の捕獲数は6日時点で1427頭。県設定の総捕獲上限1582頭に近づいている。ただ、集落周辺などに現れるクマは人に危害を及ぼす恐れがあるとして、上限を超えても有害捕獲は続けるという。同課は「奥山で行う狩猟は長期的には人身被害を防ぐ効果があるが、クマの保護管理とのバランスを取る必要もある。人身被害に直結するクマは有害捕獲で対応したい」としている。県内では14日もクマの被害が確認された。午前7時20分頃、鹿角市十和田末広の会社倉庫内で、女性従業員がクマ(体長約1メートル)を発見。鹿角署によると、窓ガラスが割られ、くず米約1キロが食い荒らされていたという。また、県警は同日、北秋田市阿仁根子の山林で10月20日午前6時30分頃、箱わなの見回り中だった同所の男性会社員(50)がクマ2頭(体長約1メートルと約50センチ)と遭遇し、逃げる際に斜面を転落して胸の骨を折るなどのけがを負ったと発表した。県警地域課によると、今年の人身被害は69人。

(ハンターのシカ死骸不法投棄相次ぐ、ヒグマ招く危険性:北海道)
解禁中のエゾシカ猟で、ハンターが死骸を適切に処理せず不法投棄する事例が、猿払村内で相次いで確認されている。村によると、3年ほど前までは不法投棄はほぼなかったが、昨季は5件、10月1日に解禁された今季は1カ月間で早くも3件が見つかった。村や関係者は「釣り人が集う場所にヒグマを呼び寄せてしまう」とし、適切な処理を強く呼びかけている。...

(クロウサギの食害防げ:鹿児島)
鹿児島大学農学部の髙山耕二准教授らは10日、研究の一環で徳之島町のタンカン農園に野生動物の侵入を防ぐ電気柵を設置した。動物の学習能力を利用して作物に近付かなくさせるもので、近年増加する国の特別天然記念物アマミノクロウサギによる食害防止が目的。髙山准教授は「クロウサギを農家の敵にせず、共存しながら状況に合った効果的な対策が取れるようにしていきたい」と語った。世界自然遺産登録地の奄美大島と徳之島の一部地域では、2017年ごろから特産品のタンカンの木へのアマミノクロウサギの食害が頻発。樹皮や枝先をかじられたり、よじ登られて枝を折られたりした木は樹勢が弱り、枯れることもあるという。徳之島町母間でタンカン農園を営む吉本勝太さん(70)は「捕まえるわけにもいかず、農家はほとんど泣き寝入りになる。タンカンだけでなく、サトウキビやジャガイモでも被害があるようだ」と話した。農地への柵の設置は、アマミノクロウサギと人間の共存を目指す鹿大の研究プロジェクトの一環。10日は農学部農業生産科学科の学生4人が参加し、吉本さんのタンカン畑の周囲延べ約700メートルにわたって電気柵を設置した。柵に触れると約1万分の1秒という短い時間、強い電気が流れる。健康に害はないが、痛みを学習したクロウサギは柵に近付かなくなるという。電力は太陽光パネルで賄う。髙山准教授は「電気柵は下草の管理などが必要だが、作物を選ばず設置でき、必要に応じて移動できるという利点がある。利用できる選択肢を増やし、必要な方法を選んでもらえるようにしたい」と話した。

(シカ急増、食害相次ぐ:島根)
島根県側の中国山地でニホンジカが増えている。県内の生息域は島根半島が中心だったが、生息数の多い広島側から餌を求めて島根側に北上しているという。天敵がおらず、狩猟者の確保がままならない現状が追い打ちをかける。植栽したばかりの木の新芽をかじる食害が相次いでおり、林業事業者は「山が山として成り立たなくなる」と危機感を募らす。

(西部で「ツキノワグマ猟」解禁:兵庫)
熊による被害が全国で相次いで確認される中、兵庫県では11月15日に一部地域でツキノワグマの狩猟が解禁されました。環境省によりますと、今年4月~10月までに全国で180人が熊の被害に遭い、すでに昨年度1年間の2倍を超えています。兵庫県は、兵庫・岡山・鳥取の3県で今年1月時点のツキノワグマの推定生息数が基準となる800頭を超えたとして、11月15日に兵庫県の西部で狩猟を解禁しました。上郡町では朝から担当者が町内を回り、猟師らに猟を行う際の注意などを呼び掛けました。ツキノワグマ猟は12月14日までの1か月間です。

(クマ猟が解禁「食用の道も…」と思いきや『食肉に適した熊』はエサ不足で減少か:兵庫)
兵庫県内の一部地域などで11月15日にツキノワグマの狩猟が解禁されました。兵庫県によりますと、隣接する岡山県・鳥取県の一部地域とあわせると、今年1月時点のツキノワグマの推定生息数は、狩猟解禁の基準となる800頭を超えたといいます。兵庫県の担当者は次のように話しています。(兵庫県環境部自然鳥獣共生課被害対策班 石川修司班長)「熊の管理については、個体群の安定的維持と、人身被害・事故・被害の防止の両面で行っていますので、極端に数を減らしたりとか、極端に増加しないように数のコントロールをしていく」。環境省によりますと、今年度のヒグマとツキノワグマによる人的被害は180件で過去最多となっています。群馬県に住む80代の女性は散歩中に熊に襲われました。3週間ほど入院したという女性。顔には痛々しい傷跡が残っています。そうした中で今年7月に捕獲されたのが『OSO18』と呼ばれたヒグマ。2019年以降、北海道内で牛66頭を襲い、単純計算で3300万円の被害をもたらしました。このOSO18ですが、解体・加工して食肉として飲食店に提供する形で処分が行われました。あまり聞かない「熊肉」は一体どんな肉なのでしょうか。扱ったことがある兵庫県丹波篠山市のジビエ専門店「丹波篠山おゝみや」で話を聞きました。ほとんど流通しないということで、この店では100gあたり2000円で販売しているということです。(担当者)「(Q熊肉は年にどのくらい?)去年は2~3頭くらいで本当に少なかった。数の問題もありますし、獲れる地域も限られている。全国どこでも獲れるわけじゃないので」。ではクマ肉はどんな味なのでしょうか。兵庫県姫路市の割烹料理店「姫路瓢亭本店」では、熊肉の入荷が少ないため、すっぽんとあわせてしゃぶしゃぶ鍋として提供しています。美味しい熊肉ですが、環境省によりますと、食用として流通するのは捕獲された熊の1割ほどだということです。もっと食用に回して活用することも考えられますが中々難しいようです。環境が変化する中で熊と上手く共生する方法は見つかるのでしょうか。

(狩猟解禁クマ照準:石川)
石川県内で15日、カモなどの狩猟が一斉に解禁された。県は今年、ツキノワグマの出没が相次いでいることから、捕獲数の上限を2年連続で最大の250頭まで引き上げた。県内ではクマによる人身被害が3年ぶりに発生しており、日の出とともにハンターが山林に初撃ちに繰り出し、獲物を狙って銃声を響かせた。県自然環境課によると、今年は「ツキノワグマ出没警戒情報」を発令しているため、捕獲数の上限を昨年同様に180頭から250頭まで増やした。各自治体が編成する捕獲隊が、おりなどを使って捕らえたクマの捕獲数は、10月末時点で前年同期に比べて25頭多い56頭となっている。クマの捕獲について、狩猟解禁前は、自治体の指示の下で捕獲隊として出動し、銃を使用することができるが、15日の解禁後は、本格的な狩猟が可能になる。金沢市内の山あいでは同日、県猟友会金沢支部の東川伸二副支部長(66)ら6人がクマやイノシシに狙いを定めた。東川副支部長は「近くにはクマが枝を折ったり、木の実を食べた痕跡がある。そばにいる獲物を狙いたい」と話した。県内では10月、金沢市の大乗寺丘陵公園、小松市の木場潟公園東園地で、いずれも男性がクマに襲われ、重傷などを負った。クマの目撃件数は11月9日現在で242件(前年同期241件)で、うち加賀市の74件(24件)が最も多く、次いで金沢市62件(64件)、白山市46件(23件)となっている。狩猟期間は来年2月15日まで。県内ではマガモなど鳥類26種、タヌキやキツネなど獣類20種が日の出から日没まで狩猟可能となる。農林業被害を防ぐためイノシシとニホンジカは猟期が延長され、2月末まで銃猟、3月末までわな猟ができる。県内の狩猟者登録数は15日現在で前年同期比58人減の1649人となっている。

(狩猟解禁、“クマ対策“で猟友会に積極的活動呼びかけ:長野)
今シーズンの狩猟が15日、解禁されました。長野県内でもクマによる被害が相次ぐ中、クマが人里に近づかない対策にもなるとして、県は猟友会に対して積極的に山に入り、狩猟活動を行うよう呼びかけています。今シーズンの野生鳥獣の狩猟は、全国で15日解禁され、県内でも鳥獣保護区を除いて、イノシシやシカ、クマそれに鳥などの狩猟が実施できるようになります。解禁にあわせて、長野市や信濃町では朝早くから警察や地元の猟友会の会員がパトロールを行い、猟銃を打つ際近くに民家がないかや銃の向きが安全かどうかなどを確認していました。環境省によりますと、ことし4月から先月末までクマによる被害にあった人は全国で180人と、昨年度1年間の2倍以上にのぼっているほか、県内でも先月、飯山市で80歳の男性が死亡しています。一方、長野県によりますと、県内のクマの捕獲は年間およそ250頭で、その9割がおりによる捕獲です。銃などで追い立てられる経験が少なく、クマが恐怖心を覚えないことが被害増加の背景にあるとみています。このため県は、人が山に入ることでクマが人への恐怖心を覚え、活動範囲が山に限定されて人里に近づかない効果も期待できるとして今月7日、県の猟友会に対して積極的に山に入り、狩猟活動を行うことを会員などに周知するよう、文書で依頼しました。長野市やその周辺で活動している長野地方猟友会の嶌崎厚会長は「ことしはクマの確実な追い払いを意識して、狩猟に取り組みたい」と話していました。

(相次ぐ野生動物出没に対応訓練実施へ:栃木)
全国各地の市街地でクマやイノシシなどの野生動物の出没が相次いでいることを受け、福田富一(ふくだとみかず)知事は14日の定例記者会見で、捕獲や追い払い対策などを強化する「市街地出没対応訓練」を来年1月末~2月初めに宇都宮大峰キャンパスで実施すると明らかにした。本県では10月下旬、宇都宮市中心部で初めてイノシシが目撃された。同市岩曽町の住宅付近では5月にシカと乗用車が衝突する事故が発生している。県北では宿泊施設やその付近でクマが出没し、散歩中の宿泊客が襲われるケースもあった。県自然環境課によると、訓練は市町職員や猟友会員らを対象に、市街地に野生動物が出没したとの想定で、捕獲や追い払いまでの一連の流れを確認する。県と宇都宮大による「県獣害対策地域リーダー育成研修」の一環として実施する。福田知事は関係団体と連携しながら対策を強化するとした上で「人的被害を防ぐには地域住民や観光客の協力も不可欠になる。野生動物を誘引する柿などの果実の除去や隠れ場所になるやぶの刈り払い、早朝や夕方の一人歩きを避ける対策などを改めてお願いしたい」と呼びかけた。

(5人襲ったクマ、ふんからそばの実:秋田)
先月、高校生を含む5人が相次いでクマに襲われた秋田県北秋田市の中心市街地で、現場から見つかったクマのふんを県が調べたところほとんどがそばの実だったことがわかりました。県はクマが、山に食べ物がない中で畑の作物に引き寄せられ、人里に出没しているとみて、電気柵で畑を囲うなど対策を呼びかけています。秋田県内では14日までにクマに襲われるなどして69人がけがをし、過去最多となっています。このうち、先月19日には秋田県北秋田市の中心市街地でバスを待っていた高校生を含む5人がクマに襲われけがをし、県は同じクマが襲ったとみています。クマは、その場から逃げましたが最後に襲われた男性の自宅の車庫にはクマのふんが残されていて、県が採取して調べたところ、ほとんどがそばの実だったことがわかりました。クマは本来、生息する山では、ブナの実などを食べますが、ことしは秋田県のブナの実が不作で県は栗や柿などの果樹だけでなくそばの実や大豆など、収穫を迎えている農作物もクマを引き寄せる要因の1つだとみています。このため県は、電気柵で畑を囲うほか、収穫しない作物も放置せず早めに刈り取るよう呼びかけています。秋田県自然保護課は「山で食べ物を確保できなかったクマが人里におりてそばの実などを食べ始めているとみられる。畑周辺にクマが定着する恐れもあるので、適切な管理を呼びかけたい」としています。

(クマに襲われ100針以上、男性が語る恐怖:北海道)
クマに襲われて100針以上を縫う大ケガをした男性が、その恐怖を語りました。男性は先月、北海道釧路市で釣りをした帰りの林道で、ヒグマの親子に遭遇しました。ヒグマに襲われた 高橋和寿さん(52):「どこか見えないところに隠れようとしたが、子グマに発見されて。子グマがいきなり寄って来た。子グマ寄って来た瞬間に、親がいきなり怒りはじめて。びっくりするくらい声出して、よだれ、だらだらたらしながら、アタックしてきました」。男性は、持っていたクマ撃退スプレーで対抗しましたが、スプレーをかわされると、親グマに顔面をひっかかれ、肩をかまれて振り回されたと言います。高橋さん:「2.5メートル~3メートルくらいまで引き寄せて、クマスプレーで顔とかに向かって吹きかけたんですけど、かけた瞬間クマも起き上がって回避して、僕の右に回って、そこからガッてきた」。男性は何とか逃げ切って救助されましたが、100針以上を縫う大ケガをして、およそ1カ月入院しました。現在もリハビリ中の男性は、クマに襲われた瞬間をこう振り返ります。高橋さん:「怖いことは怖いですけど。あまり記憶がないと言うか」「(Q.考える間もなかった?)そうですね」。

(人食いヒグマを撃退した消防隊員の壮絶な独白:北海道)
牛を次々と襲った「OSO18」。さらに市街地に出没する「アーバンベア」なる言葉まで流行語に選ばれ、今年の日本列島は“クマ予報”が必要なほどクマの目撃談で溢れている。10月31日、北海道の福島町で登山をしていた男性3人グループがクマに襲われ、2人が負傷。彼らが語った衝撃の“激闘”とは――。ヒグマは雄の成獣で体長2メートルに達し、体重が400キロになる個体もいる。北海道に生息する国内最大最強の陸上動物であり、その膂力(りょりょく)は人類をはるかに凌駕する。吉村昭の小説『羆嵐(くまあらし)』の題材にもなった三毛別(さんけべつ)ヒグマ事件は、約100年前、北海道・苫前(とままえ)村三毛別(現在の苫前町三渓〈さんけい〉)の集落で起きた惨劇だ。1頭のヒグマが女性と子供ら7人を殺害し、3人に重傷を負わせた凶事であり、ヒグマの底知れぬ恐怖を今なお現代に伝えている。道内の登山者が最も警戒すべき生物でもある。しかし10月31日午前10時半ごろ、北海道南部・渡島(おしま)管内福島町の大千軒(だいせんげん)岳の山中で男性が対峙したのは、そのヒグマにほかならなかった。突如、背後から現れたどう猛な野獣。それは低いうなり声を上げながら男性の同僚を組み伏せて、まさにその命を奪わんとしている。男性は仲間を救うために意を決する。ナイフを握りしめると、猛り狂う相手の目に狙いを定めた――。その3時間前。澄み渡る秋晴れの空の下、地元消防署員の大原巧海(たくみ)さん(41)と同僚の船板克志さん(41)、それに後輩(36)の3名の姿は大千軒岳の登山口にあった。彼らの誰もが、これから生命の危機に遭遇するとまでは思ってもみなかったに違いない。もっとも、その時の彼らには知る由もなかったが、北海道大学4年生の屋名池奏人(やないけかなと)さん(22)が同月29日から、大千軒岳の登山中、消息を絶っていたのである。「人が亡くなっていますので、あまり喋るべきではない話ですが……」。そう躊躇(ためら)いながらも、当事者の一人である船板さんが経緯を語ってくれた。「登山者や山菜採りの方々が遭難すると、われわれ消防隊員に応援要請があって捜索に入る場合があるんです。だから万が一に備えて、どんな山なのか知っておこうと思い、その日に登ったわけです。服装は全員、一般的な登山服で5キロ前後のリュックを背負っていたと思います」(同)。各自、クマ除けの鈴を装備。要所では笛を鳴らしながら登って行ったうえ、火薬で音が鳴るピストルも2丁用意。時おり発砲しながら、歩を進めたという。こうして細心の注意を払いながら山道を進み、7合目付近に差し掛かった頃だ。「一番後ろにいた私が何気なく振り返った、その時です。四つ足を踏みしめ、のっそりとクマが曲がり角から姿を現した。体長は1.7メートルくらい。音もなく忍び寄ってきて、自分から5メートルもない距離でした。“クマだ”と声を上げましたが、刺激しない方がいいとの知識もあったので、にらみ合いながら、徐々に後退することを選択しました」。しかしヒグマはまるで意に介さず距離を詰めてきた。「三人で“おいっ!”などと大声を出して威嚇しましたが、クマは止まりませんでした。また、ポケットからピストルを取り出して、計3発鳴らしたのですが、まったく怯む様子もなかった。見つけてから10秒くらいですかね。まずいと思い、木の陰に逃げ込もうとしたその瞬間、クマが突進してきて、左手の爪で右太ももを引っ掻かれるように引き倒されてしまって……」。船板さんは必死に抵抗を試みたという。「かまれまいと両足でクマの顎(あご)を蹴り上げたり、足を突っ張ったり。それでも、右太ももをかまれ、次に首をかまれた。その時は必死で、死ぬかもしれないと考える余裕もなかった。目の前に爪、牙があって。致命傷にならないようにと、もがくので精一杯でした。時間にしたら10~20秒かもしれませんが、体感ではもっと長く感じました」。突然の危機に唖然とする同僚たち。「一瞬の出来事で、クマが船板にどう襲い掛かったのかは分かりませんでしたが、気付いたら彼がごろんと地面に転がり、クマに覆い被さられていました」。そう明かすのは大原さんである。ここですぐさま彼は意を決した。「とっさに急所の目を狙うしかないと思った」(同)。唯一の武器は刃渡りわずか5センチのレジャーナイフ。函館市内のホームセンターにて、約千円で購入したものだ。それを右手で握り締めると、クマの右目に狙いを定めた。「刺しに行く瞬間、怖さを感じる余裕はありませんでした。とにかく船板を助けなくては、という一心で」。だが、その一撃は致命傷を与えるには至らなかった。「右目にナイフを刺そうとしたのですが、カツンと音がして跳ね返った。たぶん、目の周囲の骨に当たってしまったのだと思います」。ヒグマの反応は速かった。船板さんから身を離すと、即座に大原さんに襲い掛かってきたのである。「右の前足で足を払われて、自分が尻餅をついて倒れたところに、クマが圧(の)し掛かろうとしてきた。そこで自分はクマの顎を左足で押しだし、ともえ投げのような体勢を取った。数秒の間、その状態で膠着(こうちゃく)したものの、クマも負けじと顔をグーッと押し付けようとしてくる。同時に爪が太ももの裏あたりに食い込んで、太ももの肉ごと持っていかれそうになりました」。そこで大原さんは命を賭した勝負に出た。「一か八かで、クマの喉元にナイフを刺そうと考えました。左足の力を緩めて、前屈みのクマの頭部が手前に落ちる形に仕向けた。結果的には手に握っていたナイフが狙い通り、首元に突き刺さってくれました」。ヒグマはこの反撃に怯み、後退し始めたという。再び、船板さんが言う。「4、5メートル離れたところでクマが止まって、われわれとにらみ合いになりました。クマの首にはナイフが刺さったままで、首からは血がダラダラと流れていました。向こうも深手を負わされたので、けん制していたのでしょう。時間にすれば1分もないはずですが、ものすごく長く感じました」。その後、ヒグマは血を垂らしながら、山中に消えていったという。三人は九死に一生を得た。しかも不幸中の幸いと言うべきか、ヒグマと格闘した二人も首や太ももなどにそれぞれ傷を負ったものの、大事に至らなかった。一方で屋名池さんだが、「11月2日、3名が襲われた場所からそう離れていない場所で土に覆われた状態で見つかった。遺体は激しく損傷していましたが、発見時、地表から唯一のぞいていた顔には目立った傷が見当たらなかったそうです。また、体長1.5メートルのヒグマの死骸も付近で見つかっています。首の刺し傷が致命傷になったと見られています」(社会部デスク)。地元猟友会のメンバーは、「ヒグマは食害した獲物を備蓄するため土饅頭(どまんじゅう)にして隠す。その周囲に安易に近づくと攻撃される場合がある。今回、消防署の3名はそうしたヒグマのテリトリーに足を踏み入れてしまったのでは。また、この地域では2年前に女性がヒグマに襲われて亡くなっているのですが、そのヒグマはこれまで見つかっていませんでした」。人肉の味を覚えたヒグマほど恐ろしいものはない。3名の生還がいよいよ奇跡に思えてくるのだ。

(クマ被害の影響?「狩猟免許試験」に応募殺到:北海道)
ヒグマの出没が相次ぐ北海道で、狩猟免許試験の事前申請の抽選に落ちたものの追加で受験できるようになったと、X(旧ツイッター)上で投稿があり、注目を集めている。抽選になったのは、若者などの希望者が以前より多かったためと、北海道の野生動物対策課が取材に説明した。なぜハンターを目指す人が増えたのか、関係者に取材した。北海道や東北を中心に、クマの出没が相次ぎ、地元の猟友会などが駆除に追われている。エサとなるブナの実などの凶作が原因だともされた。その一方、クマが可哀そうとのクレームが多く、ハンターらは苦慮しているとも報じられている。そんな中で、北海道在住という若い女性「日報」さん(@nippou_)は、クマなどから自分の畑を守りたいと、狩猟免許の取得を目指した。しかし、2023年10月26日のX上の投稿で、試験の事前申請で抽選に落ちてしまったと嘆いた。第3希望まで外れ、来年頑張るとしていたが、11月12日になって、抽選に落ちた受験希望者全員が受験できると通知が来たとX上で報告した。日報さんは、「頑張りましょう受験者の皆様!!」と意気込んでいる。この投稿は、5万5000件以上の「いいね」が押されており、ハンターの不足や高齢化が話題になっているだけに、大きな反響を呼んだ。狩猟免許試験を担当する道の野生動物対策課は13日、J-CASTニュースの取材に対し、猟銃2種類と罠、網の4つの試験があり、23年度後期の12月と24年2月の試験は、今回初めて事前申請を実施し、全体の定員1212人をオーバーしたため、一部で抽選を行ったと説明した。うち札幌・旭川両市の会場を第1志望とした137人が抽選に漏れてしまったが、全員を対象に3月に新たな試験を実施することを決めた。その理由としては、クマも含めて鳥獣による人的被害、農業被害が大きいため、保護管理の担い手となるハンターを増やしたいからだと説明した。北海道の狩猟免許試験では、20年度から新型コロナウイルス対策として3年間、収容人数を抑える定員制にしていた。23年度は、コロナ対策は止めたが、定員がなかった時代は、技能試験が順番で夜遅くなるケースに苦情が相次いだことから、定員制は続けて試験の回数などを増やした。ところが、コロナ前の19年度の受験者757人より倍近い希望者が殺到して、会場によっては抽選となってしまったという。「40代以下の若い人たちの受験が増え始めています。受験者には、女性の名前もけっこういますね。コロナ禍での定員制で受けられなかった人が多かった可能性もありますが、増えた理由については、こちらでは分かりません」。前出の日報さんは、若者らの受験希望が増えたことについて、こんな見方を示した。「マンガやジビエ人気の影響ではなく、身近な被害を自分たちの手で食い止めたい気持ちからの志望増加ではないかと思います。私も、猟友会の方の高齢化や狩猟人口の減少などのニュースを見て、暮らす地域の野生生物対策をいつまでも人任せにしていてはいけないなという気持ちで受験を申し込みました」。とはいえ、免許を取って猟銃などを所持しても、クマを捕獲できるまでにはハードルも多い。「今増えた若い受験者が、将来的に実効性のある狩猟者になるにあたって、昔に定められた制度の見直しをお願いしたいです。例えば、わな猟の際、罠に自分の住所と氏名を添える決まりなど。現代においては個人情報を人の目に触れる屋外に掲示しっぱなしというのは、違和感があります。特に若い女性ハンターは個人情報掲示に抵抗があるのではないでしょうか」。現場のハンターは、若者の狩猟免許希望者が増えたことをどのように見ているのだろうか。北海道猟友会旭川支部長の高梨秀二さん(73)は11月13日、取材に対し、次のような見解を述べた。「クマやシカが徘徊しているとマスコミが報道していることで、関心が高くなっているのではないでしょうか。マンガなどの影響だけではなく、人がケガをしたり、農作物が荒らされたりして、ハンターの社会的なニーズが上がっているのだと思います。人に頼っても守ることができないと、自衛意識が出てきています」。旭川支部で行っている試験の予備講習には、50人の定員に対し、11月26日の講習だけで30人が希望しており、24年1月28日に臨時の講習を行うことを決めた。希望者30人は、若い人と年配者が半々ぐらいだという。「ただ、ハンターになるには、覚悟が必要です。シカから始まって、クマを撃てるまでには10年はかかります。かなりの度胸や強い意志も要ります。ある程度の経験を積んだベテランでないと難しいですね。クレームは、いちいち聞いていれば、何もできなくなってしまいます。お金目当てでは、5万円や10万円でも合わないでしょう。報酬は数千円ほどですので、皆を守ろうと道義的責任を持ってボランティアでやっていますよ」。

(狩猟解禁、相次ぐクマ目撃で猟友会“より注意深い対応”:埼玉)
クマの目撃情報が埼玉県内でも相次ぐ中、県や地元の猟友会は15日解禁された今シーズンの狩猟にはより注意深い対応で臨むことにしています。埼玉県内でも15日から来年2月15日まで、ニホンジカやイノシシをはじめ、キジやマガモなど46種類の動物や鳥類の狩猟が解禁となり、秩父市大滝地区では15日朝、夜明けとともに地元の猟友会のメンバー9人が山に入りました。入山前には道路に出る時は猟銃にカバーをかけることや、発砲前には前方に人がいないか確かめるなど、注意点を確認していました。ことしは各地でクマによる被害や目撃情報が相次ぐ中、埼玉県は国のガイドラインに基づき、ツキノワグマの個体数維持のため、人的被害を防ぐ場合を除いて狩猟の自粛を呼びかけています。一方、県によりますと今年度は秩父地域を中心にクマの目撃情報が100件を超え、すでに昨年度1年間を上回っているということです。奥秩父猟友会の青木博志会長は「クマは去年、狩猟シーズンになると山奥へ引っ込んでいなくなりましたが、ことしはまだウロウロしています。主に猟の対象にしているのはシカやイノシシで、できればクマとは会いたくない」と話していました。埼玉県はクマに遭遇した場合は身の安全を確保するよう呼びかけています。

(クマ厳戒の中、狩猟解禁:石川)
カモなどの狩猟が15日、石川県内で一斉に解禁された。今年はクマによる人身被害が3年ぶりに発生し、捕獲上限が2年連続で最大の250頭に引き上げられており、初撃ちを心待ちにしたハンターは警戒しながら山林で銃を構えた。加賀市片野町のラムサール条約登録湿地「片野鴨池」では、県有形民俗文化財の伝統猟法「坂網猟(さかあみりょう)」も始まり、猟師18人がマガモをめがけて坂網を投じた。坂網猟は、長さ4メートルの逆三角形の網を用いる猟法で、大聖寺藩が藩士の鍛錬として推奨した。大聖寺捕(ほ)鴨(こう)猟区協同組合の猟師が夕暮れ時に身を潜め、マガモが飛び立つ瞬間に合わせ坂網を投げ上げた。同組合の山下範雄理事長(74)は「伝統猟法を次世代に受け継いでいきたい」と話した。金沢市内では、県猟友会金沢支部の東川伸二副支部長(66)らがクマやイノシシを狙った。東川副支部長は「痕跡を探し、獲物を狙っていく」と意気込んだ。県内では10月、金沢市と小松市で男性がクマに襲われて負傷している。ツキノワグマ出没警戒情報を受け、県は捕獲上限を180頭から250頭に引き上げた。捕獲数は10月末時点で、前年同期比25頭増の56頭となっている。狩猟期間は来年2月15日まで。鳥獣類45種が対象で、イノシシとニホンジカは2月末まで銃猟、3月末までわな猟ができる。15日の県内は上空の寒気や低気圧の影響を受け、雨や曇りとなり、最低気温は珠洲4・2度など3地点で今季最低だった。最高気温は金沢17・3度、輪島15・9度と11月上旬から平年並みとなった。

(狩猟解禁、県など指導取り締まり:長野)
今シーズンの狩猟が解禁された15日、早朝からハンターが山へ繰り出して狩猟対象の鳥獣を狙った。猟期は来年2月15日まで。ニホンジカとイノシシはわな猟に限り、3月15日まで1カ月延長する。解禁に伴い同日、県警は県や市町村、猟友会などと653人態勢で、指導取り締まりを実施。安全狩猟のための指導や違反行為の取り締まりを行い、事件・事故の防止を図った。初日は無事故で法令違反もなかった。県警生活安全企画課のまとめによると、猟銃による人身事故は過去5年では2018年の1件のみ。法令違反は18年が4件、19年が4件、20年が2件、21年が3件、22年はなかった。上伊那地方でも関係機関が各地で狩猟解禁を周知しながらパトロールを実施した。箕輪町では、伊那署員や町役場職員、猟友会メンバー、鳥獣保護管理員が早朝から、山林や河川の猟場を巡回。休猟区や公道禁止区域での発砲、発射する場合以外での実包装填の禁止、狩猟者の服装などに重点を置いて見て回った。

(狩猟解禁、府と府警など37班で一斉パトロール:京都)
京都府内で15日早朝、狩猟が解禁された。各地で関係機関による一斉パトロールが実施され、福知山市内では府職員、福知山署員、府緑の指導員が夜久野地域を回って適正な狩猟が行われているかを監視した。一斉パトロールは銃猟の事故防止と、くくりわなの適正使用の徹底を重点にしていて、府内全体で約100人37班体制で行った。福知山では、解禁初日に人気のカモ狩りが多い夜久野地域の河川沿い、山裾を中心に、狩猟禁止エリアへの侵入がないかにも警戒して巡回した。猟期は来年2月15日までの3カ月間。ただし、イノシシとニホンジカは1カ月長く3月15日までとする。狩猟対象は、獣類がイノシシ、ニホンジカのほか、ツキノワグマ、アライグマ、ハクビシン、タヌキ、キツネなど計20種、鳥類はマガモ、コジュケイ、スズメ、カワウなど計24種としている。

(クマの市街地侵入ルート断つ対策:富山)
全国でクマによる人身被害が相次ぐ中、女性(79)が襲われ死亡する被害が出た富山県ではクマが隠れて都市部に侵入するルートを断つため、河川敷の草木を取り除く対策が進む。

(狩猟者の確保育成へ特別授業:群馬)
野生動物による農林業への被害を防ぐために欠かせない狩猟者の確保や育成が急がれる中、富岡市の高校では、狩猟の役割などを知ってもらう特別授業が行われました。特別授業は、県が富岡実業高校で16日に行い、農業や畜産業を学ぶ2年生の生徒30人余りが出席しました。県によりますと、県内では昨年度、野生動物による農林業への被害額がおよそ5億円に上る一方で、狩猟免許を持っている人はピークだったその40年ほど前の半数に満たない4562人まで減少しているということです。さらに、免許を持つ人の半数余りが60歳以上で、担い手の確保や育成が急務となっています。16日の授業では、県の職員がこうした現状を説明したうえで、農林業への被害を減らすためには狩猟が欠かせないことや、免許の取得方法などについて講義をしました。このあと、野生動物の捕獲を職業としている狩猟者が、シカのぬいぐるみや、わなの実物を使いながら実演を行い、生徒たちは興味深い様子を見せていました。男子生徒の1人は「狩猟について『動物を殺す』というマイナスなイメージを持っていたが、きょうの授業で、その大切さがわかった」と話していました。また、県自然環境課の金子文大主任は「今回のような情報発信を通じて担い手の確保につなげるとともに野生動物の適正な管理について理解が進むことも期待したい」と話していました。

(エゾシカの農業被害に驚き:北海道)
道とプロ野球北海道日本ハムファイターズは、エゾシカの頭数増加に伴う農業被害や対策を学ぶ出前授業を幌別西小で開いた。3年生37人は、シカの角や皮を活用したストラップ作りも体験した。

(ヒグマ「土まんじゅう」からエゾシカ掘り出す:北海道)
十勝管内芽室町内在住の野生動物研究家、野崎司春さん(69)が10月、ヒグマが獲物を土や枝で埋めて隠す「土まんじゅう」からエゾシカの死骸を掘り出す様子の動画撮影に成功した。専門家は「クマの生態が分かる学術的にも貴重な記録」と話している。

(全国のクマ被害、すでに昨年度の2倍超え)
全国で相次ぐクマによる被害。15日から「ツキノワグマ」などの狩猟が一部地域で解禁されました。富山県では、15日からツキノワグマを含む46種類の鳥獣の狩猟が解禁されました。県内では10月のクマの出没情報が2022年の12倍に増えています。Q.(クマが)急に現れたら?鳥専門の猟師「そうなったら撃つしかない。弾持っているので」。兵庫県・郡町でも「ツキノワグマ猟」が解禁に。猟師「地域の皆さんも害獣として大変困っているのは聞いてますし、少しでも役に立てたらと思う」。環境省によりますと、2023年4月から10月までに全国で180人がクマの被害に遭い、すでに、昨年度の2倍を超えています。青森県では14日、肥料工場の倉庫にクマが侵入する騒ぎが起きました。肥料袋の上にいるクマ。警察官がクラクションをならすと、パトカーの間を縫うように逃げて行きました。肥料の製造会社 圓山 大高社長「おそらく有機肥料の中の魚かすとか、そういったにおいに反応して来たんじゃないかな」。エサを求め、市街地に出没するクマ。15日、広島県の民家では住民が「柿の実」の撤去作業に追われていました。住民「この地区ではイノシシとシカだけで、(クマは)全くいなかったんでびっくり」13日、東広島市では、イノシシの仕掛けの前を横切るクマの姿を監視カメラが捉えていたのです。住民達はエサとなる柿の撤去や、生ごみの管理を徹底することを急きょ決めました。一方、11日、民家の干し柿をクマに食い荒らされた宮城県・大崎市の集落では…猟友会「あそこに(クマの)手の跡が付いてるから。あれがクマのサイズ」14日も民家にクマが現れたといいます。14日に仕掛けた罠を今朝、見に行くと…猟友会「来てないから、ダメだね」。クマはかかっていませんでした。地元猟友会では、クマが捕まるまで引き続き罠を設置することにしています。

(「見つけたら、ためらわず撃て」、マタギも恐れる冬眠しないクマとは)
今年、東北地方や北海道など各地でクマによる人的被害が後を絶たない。やがて彼らが冬眠すれば惨事も収まるはず――と思ったら、眠らないクマがいるらしい。どういうことか。識者に尋ねた。まず話を聞いたのは、森林総合研究所四国支所(高知市)の支所長、岡輝樹さんだ。岩手県でクマの生態について調査研究を手がけた経験がある。岡さんによると、秋口にたくさん栄養を取り、十分に体を太らせた上で、木のうろや土の中に潜って春まで過ごす。これが一般に知られるクマの冬眠だ。「途中で起きて餌を探すことなどはせず、じっとしています」。北海道に生息するヒグマや東北などのツキノワグマにも共通した生態で、岩手のツキノワグマの場合、早くて11月ごろから翌年5月初めごろまでが冬眠期間になるという。ところが、今年は各地でクマの餌となるブナの実の大凶作が伝えられている。餌が乏しい分、エネルギー消費を抑えるため早めに冬眠するクマもいるとみられる一方、岡さんは「十分に食べられず、準備できないクマが、なかなか冬眠せず動き回ることもありえます」と話す。過去には12月や1月の目撃例もあるという。クマが冬にも出没する背景は他にも考えられるといい、それが人の多い市街地などに出現する「アーバンベア」だ。人里で繰り返し生ごみをあさるなどするうち、その環境に慣れてしまい、人をあまり警戒しなくなるというのだ。岡さんは「冬場も住宅の生ごみ処理を徹底するなどして、クマを寄せ付けないようにする必要がある」と注意を呼びかける。「マタギなどの間では『穴持たず』と呼ばれるクマの存在も知られています」。そう教えてくれるのは、狩猟文化を長年研究している東北芸術工科大(山形市)の田口洋美名誉教授(環境学)だ。田口さんによれば、たとえ木の実などが豊富な年であっても、肉食を好むクマは一定数存在するという。肉食化したクマと言えば、北海道東部で2019年から4年間にわたり放牧中の牛60頭以上を襲い、コードネーム「OSO(オソ)18」として恐れられた雄のヒグマが記憶に新しい。田口さんは、肉食化したクマのうち、寒くなっても冬眠せずにさまよう一部のクマが「穴持たず」だと説明する。「冬場には餌となる獲物が乏しく、腹をすかせて気が立っています」。動物を襲うことを覚えているため、人も襲うのだという。「見つけたら、ためらわず撃つようマタギの間では伝わっています」。田口さんはそう話し、「科学的な調査結果があるわけではありませんが」としたうえで、「『穴持たず』は数十年に1度ほどの割合で出現しているようです」との見方を示した。カナダやロシアなど海外でも同様の行動をするクマが知られているという。「暖冬になれば体温が下がり切らず、クマが眠れなくなる事態も考えられます」と田口さん。雪山に分け入る冬スキーなどは特に注意が要りそうだ。クマへの厳戒態勢が続く2023年。これから冬の到来で被害が終わると早合点しない方が良さそうだ。

(クマの被害に遭わないよう気を付けて:長野)
恵那市内でクマの目撃情報が相次ぐ中、恵那警察署、恵那県事務所、恵那地区防犯協会、岐阜県猟友会恵那市支部と市が協力し、クマによる被害に遭わないよう呼びかける啓発活動を行いました。11月14日には、軽登山者や観光客にも注意を促すため、岩村城跡を訪れた人にチラシと熊鈴を配りました。恵那警察署の山内康行地域課長は「市内でも目撃情報が連続し、全国的にはケガなどの事例も報道されている。クマは本来は臆病な動物だといわれるので、音の出るものを身に着け、見かけても近付かないようにして、気を付けてほしい」と呼びかけました。その後署員らは、岩邑小学校でも全校児童に注意を呼びかけ。児童らは、入学時に市交通安全協会岩村支部から熊鈴をもらっており、ランドセルに付けています。もしクマに遭遇した場合どうすればよいかなどの話を聞いた後、署員に見守られながら下校しました。登下校時の見守りは、クマが冬眠するとされる12月中旬頃まで、市内全小中学校で続けられる予定です。

(熊対策、各地で奔走)
11月に入っても熊の出没・被害が続く中、各地の住民グループや自治体は、安全確保のため、熊が潜むことができるやぶの刈り払いや出没情報などの共有を進める。11月は熊が冬眠に入り始める時期だが、餌を探して動き回ることを考慮。熊を人里に近づけず、遭遇するリスクを下げるための対策に奔走する。静岡県は、熊の目撃情報をまとめた「クマ出没マップ」を今年初めて作った。県内で人的被害は出ていないが、目撃情報が急増しており、11月以降も農家を含む県民に警戒を促すため作成に踏み切った。マップを最初に公表したのは11月8日。県のホームページで公開中で、随時更新しており、熊の目撃場所と日付を番号を付けて表示している。県内の目撃情報は11月10日時点で72件に上り、21件だった昨年の3倍を超えている。10月だけで全体の4割近い27件に達し、11月だけでも既に13件の目撃報告がある。県は「餌になる農作物を屋外に放置しておくと、その味を覚えて翌年以降も来る可能性がある。収穫後の残さなどをそのまま置いておかないよう、農家では注意してほしい」(自然保護課)と呼びかける。新潟県新発田市の松岡集落の住民有志でつくる里山整備保存会は、熊を人里に近づけないため、山際の竹やぶ40アールを刈り払った。密集した竹を3分の1ほどに間引き、熊が隠れることができる場所を集落周辺からなくした。保存会は行政の補助を活用しながら、毎年10、11月に刈り払い作業を続けている。会長の湯浅英仁さん(23)は「山の手入れをきちんとして、熊が出てこないようにしたい」と話す。今年は11月に作業を開始。14日までに、集落周辺の山際の竹やぶ計40アールに入り、高さ10メートルほどの竹をチェーンソーなどで切り倒し、奥まで見通せるほど密度を下げた。山あいに位置する同集落では今年、熊が6回出没し、2頭捕獲されている。12日には、空き家の柿の木に熊が居座り、騒ぎとなったばかり。住民から「怖くて犬の散歩もできない」「家を出るときは、なたを持参する」といった声も出ている。2020年には人身被害も発生しており、住民らは警戒を強めている。市によると、今年の出没件数は104件、人身事故は2件。20年に次ぎ、過去5年で2番目に多い。

(目撃情報が多すぎて「クマ出没マップ」が大変なことに:新潟)
全国で熊の目撃情報や人的被害が相次ぐ中、新潟県がまとめている「クマ出没マップ」の尋常ではない“出没”ぶりが大変なことになっている。県内の目撃・痕跡情報を地図上に丸印で落とし込んでいるのだが、2023年度の丸が多すぎて、一見すると「よくわからないがとにかく多い」ことしか伝わってこないのだ。目撃・痕跡の件数は実に1157件。このうち人身被害件数は8件(9人)に上るという(いずれも11月13日現在)。県の担当者に聞いた。山や海に囲まれた自然豊かな新潟県には、様々な野生の動物が生息。中でもツキノワグマは新潟県の自然の豊かさの象徴ともされている。本来はおとなしく、人間と距離を取って生活しているツキノワグマだが、近年は登山、山菜やキノコ採取などで入山者が増え、人身被害が発生しやすい状況に。また今年の秋はブナが凶作で、その他の堅果類は不作~並作。冬眠前のツキノワグマがエサを求めて人里に出没する可能性が高まっているという。「本年度は確かに多いですが、実は、ここ十数年で最も大量に出没した2020年度ほどではありません」と話すのは、新潟県環境対策課の担当者。20年度の目撃・痕跡確認数は1957件で、人身被害は17件(21人)だったという。「とはいえ多い傾向にあるのは間違いなく、引き続き注意喚起をしていきます」今月13日には、新潟を含む北海道・東北地方知事会の代表が環境省などを訪れ、熊を「指定管理獣」に指定するよう要望書を提出。同省も検討を始めている。要望の中で注目を集めたのが、熊の駆除に対して自治体に寄せられる苦情の電話だ。「殺処分するな」「熊がかわいそう」といったものだけではなく、新潟県のある市には「武器を使うのは卑怯」「素手で対応しろ」などの理不尽なクレームも届いているといい、SNSなどでは「いちいち対応しなくてもいいのでは」「まともに聞く必要はない」という意見が噴出した。熊による人的被害が相次いでいる秋田県の佐竹敬久知事が先日、記者会見で「抗議の電話はすぐ切ります。ガチャン」「これに付き合っていると業務に支障が出る」という姿勢を示したことが話題になった。しかし新潟県の担当者は「実際に電話を受ける現場の職員としては、話も聞かずに一方的に切るということはなかなかできません」と苦情対応の難しさを明かす。

(クマの目撃情報、専門家「食べ物を求め行動範囲広がる」:愛知)
愛知県犬山市の入鹿池(いるかいけ)で13日、クマの目撃情報がありました。クマが目撃されるエリアが広がっている理由を専門家に聞きました。岐阜県恵那市の岩村城では14日、クマの出没警戒情報が書かれたチラシとクマよけの鈴が配られました。恵那市では2023年4月からクマの目撃情報が19件寄せられていて、10月にはガソリンスタンドのピットに小熊が出没するなど、警戒を強めています。岐阜県内では2023年のクマの確認件数が、2022年の同じ時期に比べておよそ2倍にも増えているといいます。今、全国でツキノワグマの目撃が相次いでいます。愛知県犬山市でも13日、クマの目撃情報がありました。13日、警察へ通報があったクマの目撃情報。現場は犬山市の入鹿池の入鹿大橋の西側でした。取材に対し目撃した男性は「血の気が引いた。死ぬかもしれないと思った」と話していました。23年度に入ってから、愛知県でもクマの目撃情報が相次いでいて三河だけでなく、尾張地方の山間部にも広がっています。なぜ今、クマの行動範囲が広がっているのか。生態に詳しい専門家は…。岐阜大学の淺野玄准教授:「(冬眠に使う)エネルギーは脂肪という形で蓄える。短期間で脂肪を蓄えないといけないので、食べ物を求めて行動範囲も広がりますし、食欲も旺盛になります」。

(後を絶たない熊被害、政府主導で実効策急げ)
11月に入っても熊の被害が後を絶たない。冬眠の時期は近づくが、引き続き警戒が必要だ。北海道や東北の知事らは、国に対し、熊対策への支援を要請した。現場からは、狩猟者の高齢化が進み、捕獲体制は「崩壊の危機」との声も挙がる。政府主導で実効性ある熊対策を急ぐべきだ。環境省によると、今年は4~10月にかけて全国で180人が熊の被害に遭い、うち5人が死亡。統計開始以来、最多を記録した。屋外での作業が多い農家にとって気が抜けない。例年なら11月は、熊が順次冬眠に入る傾向にあるが、いまだに目撃や被害の情報が寄せられている。北海道東北地方知事会の達増拓也会長らは13日、環境、農水両省を訪問し、熊対策への支援を要請。ニホンジカやイノシシが対象の「指定管理鳥獣」に熊を追加し、捕獲の費用を国が負担することや、熊捕獲に対する国民の理解促進を求めた。熊による人身被害が相次いでいる農村の現状を発信することで、都市住民と問題を共有したい。なぜ、ここまで被害が多発するのか。今季は餌となるドングリが凶作であることに加え、人を恐れない熊の出現が背景にある。東京農業大学の山崎晃司教授によると熊は11月以降、山に餌がないと諦めて順次冬眠に入るが、人を恐れない熊は、農作物の残さや実が着いたまま放置された果樹があると、それらを求めて動き回り冬眠が遅れる可能性があるという。被害を防ぐために、必要なのは「熊を近づけない環境づくり」だ。冬眠に入るまで最大限警戒し、地域を挙げて対応に当たりたい。農作物の残さや放任果樹など熊を誘う原因を除去しよう。人家に近い場所に茂みがあれば熊の隠れ場所になるため、刈り払いをする必要もある。既に熊が出没したり被害が発生したりした場所では、再び侵入できないよう電気柵で物理的に遮断する対策も重要だ。農閑期にこうした対策を徹底しておくことで来季以降、熊を近づけない環境ができる。最大の課題は、狩猟者が減っていることだ。野生鳥獣などの研究者でつくる「ヒグマの会」は、札幌市で開いたフォーラムで「隣接する複数自治体による実働組織をつくり、専門の対策員を雇うなどして実効性を担保するべき」だと提言した。政府主導で被害増加の原因を分析し、来季以降の実効策を確立することが求められる。山崎教授は「熊による今季の被害が収束した後に、状況と課題を整理する必要がある」と指摘する。省庁や自治体、研究者、現場の狩猟者らの力を結集し、原因の究明と有効な対策を示すことが、熊による被害を防ぐ一歩となる。

(「クマ被害の町からはクレーム1件もない」:秋田)
殺到するクマ駆除への抗議の声を、秋田県知事が「業務妨害」だと切り捨てた。今年クマの被害を受けた人は180人(環境省2023年)と、過去最高を記録。うち5人の死亡が確認されている。しかしクマの駆除に対しては「納得できない。クマを殺す必要はなかったんじゃないか?」「人間がクマのテリトリーを侵している」と、秋田県の自治体に1500件近くの抗議が殺到。なかには1人で30件ほどのクレームを入れた人もいるのだとか。この事態に、秋田の佐竹敬久知事は「仕事ができません。業務妨害です。最初から(強く)こられたらガチャン」と、抗議の内容によっては「ガチャ切り」をすると語った。また、知事によればクマが出没した町内からのクレームは1件もなかったという。

(クレーム殺到に困惑するクマ擁護派)
地元猟友会や自治体がやむを得ずクマを駆除したとの報道がされると、必ず殺到するのが「クマを殺すな」といったクレーム。だが昨今はそのクレームに対してもバッシングが巻き起こる連鎖が起きている。クマを擁護するあまりに誹謗中傷の的となってしまっている環境保護団体「日本熊森協会」の森山まり子名誉会長に話を聞いた。今年はどんぐりの大凶作の影響もあって、北海道や本州でクマの出没が相次ぎ、人里での多くの目撃情報や、5人の死者、180人のケガ人を出すなど、熊害は環境省が統計を取り始めて最多ペース(10月末時点)となっている。これに伴い、クマの駆除件数やそれに対するクレームの数も増加している。10月4日に秋田県美郷町でツキノワグマの親子3頭が作業小屋に侵入し、24時間ほど立てこもったすえに銃殺された事件では、駆除にあたった町役場を中心にクレームの嵐となった。「『かわいそうだろ』『なぜ殺すんだ』といった内容がほとんどで、なかには感極まって泣きだしたり、『クマと一緒に死ね』などと強い言葉を使ってくる人もいたそうです。クマ被害のない地域からの連絡も多く、もはやただの憂さ晴らしのための抗議と思えるものも少なくないようです」(情報番組ディレクター)。これに対して佐竹敬久秋田県知事は10月26日の定例記者会見で「(クレーム電話は)すぐ切ります。これに付き合ってますと仕事ができません。業務妨害です」と発言。11月6日の記者会見でも「(電話をかけてくる人は)感情論が多い。理解を得られるように国が行動をとってほしい」と、自治体としてこれらの抗議に毅然とした態度で対応する意思を表明した。「このこともあって、クマ被害の多い東北各県へのクレーマーからの電話は、10月中旬をピークに減っていったのですが、その一方で最近、ネット上では“クマを擁護する人”叩きが盛り上がっている印象です」(同)。ターゲットの筆頭となっているのが、クマと棲みわけ、共存できる社会を目指している一般財団法人「日本熊森協会」だ。同団体の名誉会長、森山まり子さんは、10月下旬配信のネットニュースのインタビューで「クマこそ被害者」「(人的被害対策として)どんぐりを撒けばいい」などと発言。これが大炎上へとつながった。「(あの記事が出てから)クレームの電話はものすごいですよ。『お前らが役所にクレームを入れてるんだろ!』、『クマと共存したかったらお前が全部引き取れ』といったものや、『今度クマが人を殺したらお前らを殺してやるぞ』といった脅迫まがいの電話やメールが一日中くるようになりました。“クマと共存できる社会の到来”を訴えているのはウチ(日本熊森協会)しかいないので、おそらく美郷町役場に電話したのもウチの呼びかけだと決めつけているのでしょう」。日本熊森協会では、およそ27年の活動のなかで、発足当初は会員たちに抗議の電話を呼びかけたこともあったが、現在ではそうした呼びかけをすることはないという。そもそも熊森協会の会員には、自分の発言に責任を持たせるためにも、電話の際に協会名と本名を名乗ることをルールにしているという。「私が美郷町に確認したところ熊森協会と名乗る人からの連絡はなかったそうです。それなのに、うちがクレームを入れてると決めつけて、匿名電話で罵倒してくる。今の社会って誰かがバッシングを受けたら、みんなが集団リンチのように一斉に叩いてくるじゃないですか? それとまったく同じで、ウチに電話をかけてくる人たちもただ罵倒してストレスを発散したいだけのように思えます。なんだか悲しくなりますよね……」。ちなみに森山さんは、美郷町の親子グマ殺処分の件で一度だけ町役場にアドバイスのつもりで電話を入れたという。「猟友会(実際には美郷町鳥獣被害対策実施隊)の人たちに囲まれたことで、ツキノワグマの親子は『やばい、人間に見つかった。どうしよう』と完全にパニックになっていたように思います。テレビでは『小屋に逃げて立てこもった』と報じられていましたが、おそらく怖くて出てこられなくなっただけなんです。だから私は美郷町役場に『こんな時は、小屋のちかくに赤外線モニターを取りつけて、2人ぐらい残してみんな離れてください。地図を確認したら山へのクマの帰り道には人家はないので、夜、扉を開けておいたら一目散に山に帰りますよ」と伝えました。また、クマの生態についてはこう言及する。「誤解されている方も多いですが、クマはものすごく臆病な動物で、以前は人と遭遇しないように山奥で生活していました。よくクマは人間の食べ物を知ると味をしめて戻ってくるなんて言われていますけど、そんなことはありません。日本熊森協会では、5歳まで野生で育ったクマを保護飼育していますが、冬ごもり前のこの時期は、目の前にリンゴや柿といった果物を置いてもどんぐりしか食べません。人間の勝手な思い込みはやめてほしいんです」。そう肩を落とす森山さんは、今、クマによる人身被害が最多ペースになっている理由をこう分析する。「自然界は人間の頭では計り知れない世界である上、わからないことでいっぱいですが、今年のどんぐりの大凶作だけが原因ではありません。なぜなら今までもこうしたどんぐりの大凶作年はありました。本当の原因は、戦後、クマたちの生息地であった広大な天然林がスギなどの人工林にされたり、道路やダムなどの開発で破壊されたりしたこと、近年の急激な温暖化によって、受粉してくれる昆虫が激減したことです。その結果、今年は山ぶどうなどの液果(えきか)まで大凶作になっています」。これら原因の中心にいるのが“人間”という存在だという。「最近は、さらに輪をかけて、広大な森林を伐採してメガソーラーを設置したり、尾根筋に巨大風車を建てたりと、人間の都合で山をどんどん開発し、クマの食料の大飢饉を引き起こし、その結果、クマは過疎化した人里どころか市街地にまで餌を求めて降りてくるようになりました。自然の森は密閉状態で初めて存続できるのに、勝手に“穴”を開けてしまったら乾燥してしまいます。ウチの団体は『祖先がしていたように、人間は水源の森である奥山から一歩下がれ』と主張しています。これ以上クマによる被害を増やさないためには、当面は当協会がしているように、家周辺のクマの餌になる物の除去や、クマが潜める藪の刈り払いなども必要です」。クマを中心に巻き起こる主張とバッシング。まさか自分たちが人間社会にこのような争いもたらしているとは、クマたちは夢にも思っていないだろう。

(県内のクマ目撃件数が急増:静岡)
静岡県内でクマの目撃件数が急増している。静岡県の集計では、2023年度の目撃件数は11月8日時点で前年比約3倍の65件に上る。秋の観光シーズンでにぎわう静岡市の山間部「オクシズ」でも出没しており、自治体が警戒を呼びかけている。県によると、静岡では南アルプスや富士山周辺の山間部にツキノワグマが生息している。23年度の件数を市町別にみると、静岡市の28件が最も多く、富士宮市(13件)や富士市(7件)が続く。静岡市内では、最北部で紅葉の名所やキャンプ場のある井川地区や梅ケ島地区での目撃が目立つという。近年では21年度の82件が最も多かった。23年度は4~9月は月2~10件だったが、10月に入り27件に急増。11月の目撃件数が高い水準で続けば、21年度を上回る可能性もある。県は23年度、クマの目撃情報があった場所を知らせる「クマ出没マップ」を初めて作成するなど、注意喚起に力を入れている。県自然保護課の担当者は「まだ被害は出ていないが未然に防止したい」と話している。

(クマが顔面を粉砕、「明らかに狙ってる」:秋田)
各地でクマによる被害が拡大している。注意喚起のため、クマによる被害の恐ろしさを医師が語った。クマに襲われた重症患者のCT画像を見ると、一目で大きく骨が砕けているのがわかる。秋田大学医学部附属病院の土田英臣医師は「顔面から頭部の外傷が9割ほどを占めているので、やはり明らかに狙っていると感じる」と解説。また「顔面骨骨折になっているので、クマのパワーはすごい」ともコメント。土田医師によると、クマの鋭い爪で引っかかれた衝撃は交通事故に匹敵するという。今年クマの被害を受けた人は180人(環境省2023年)と、過去最高を記録。うち5人の死亡が確認されている。千原ジュニアはこの話題に注目して「明らかに狙っているんですって。そのあと弄ぶとか言いますもんね」とクマの性質について語った。

(ツキノワグマを50年追い続ける写真家・米田一彦)
今年はクマが各地で出没し、過去最多の人的被害を記録する深刻な状況になっている。冬眠を控えたクマは、エサを求めてより動きを活発化させるとみられ、今後も警戒が必要だ。クマを50年間追い続けてきた「専門家」が見た、クマの姿とは(この記事は、2023年7月17日に「AERA dot.」で配信した記事を再編集したものです。肩書や年齢は当時のもの)。ツキノワグマを追って50年になる米田(まいた)一彦さんによると、クマは本来、臆病な動物で、人間の存在を察知すると、そっと逃げていくという。「クマは森林の動物ですから、森の中にいるときは非常に穏やかな顔をしているんですよ」。米田さんの作品には、夏の小川のせせらぎのなかであおむけになって気持ちよさそうに昼寝をするクマの姿や、森の中に座ってのんびりと毛づくろいする様子が写っており、なんともほほえましい。一方、狭い穴の中で迷惑そうな目でこちらを見るクマの写真もある。「これはクマが越冬している穴の中にカメラを持った腕を突っ込んで、ストロボをたいて写した写真です。カシャっと撮った瞬間、ガーッとカメラをかじられた。レンズに装着したフィルターに穴が開いた」と、淡々と語る。これまでに米田さんが出合ったクマは数えきれない。襲われることも珍しくない。「一般的な攻撃とは違う、殺人的な攻撃で襲われたのは9回。捕まえるときに麻酔で失敗したとか、越冬穴に入ったら襲ってきたとか」。いずれも重大な事故にならなかったのは、経験によってクマの動きを読めたからだという。米田さんは1948年、青森県十和田市で生まれた。秋田大学を卒業後、秋田県庁に就職し、生活環境部自然保護課に配属された。「50年前、行政も研究者も、クマのことは何も知らなかった。研究は全く揺籃(ようらん)の時期だった。クマの管理といえば駆除がほぼ100%だった。そこで不法な捕殺行為がたくさん行われていた」。米田さんの業務は農作物被害をもたらす野生動物や、希少生物の確認だった。「その際、写真を撮って確認を行うんですが、それをきっかけに、写真に凝るようになった。『アサヒカメラ』もずいぶん読みましたよ。それで、機材をたくさん買わされた。大迷惑ですよ(笑)」。昭和40~50年代はニホンカモシカによる食害が深刻だった。「それで撮影したカモシカの写真を何げなく『アサカメ』に送ったら、カラーで大きく掲載された」。米田さんはいわく、「カモシカは明るいところに出てくるから、撮影は簡単なんです」。「一方、クマの撮影は難しかった。森の中は暗いので、高感度フィルムを使ってもほとんど写らない。なので、クマがやってくる場所にロボットカメラなどを仕掛けて、ストロボをたいて撮るしかなかった」。ロボットカメラというのは、クマがカメラの前を横切ると自動的にシャッターが切れる仕組みだ。「でも、ロボットカメラは好きじゃない。できるだけ自分の手でシャッターを切りたかった」。米田さんは森の中に1畳ほどのスペースの小屋を設け、クマが訪れるのをじっと待った。「クマは来る場所は決まっています。夏は沢で草を食べているし、秋は実のなる木の上にいる。そこにカメラを仕掛けて、クマが来たら遠隔操作でシャッターを切る。昼も夜も、日曜日も。ずっと仕事の延長だった」。「動物写真家とやっていることは変わらないですね」と、筆者が言うと、「へっへっへ」とうれしそうに笑う。ちなみに、最近のクマの研究は、クマにGPSを装着して人工衛星で行動を追跡したり、体毛やふんなどから取り出した遺伝子の分析が主流になっている。それに対して、米田さんの研究は、山に分け入って、クマはどのようなところで暮らしているのか、「森を見る」と表現する。「最近の研究者はずいぶん遠くからクマを見ている感じがします。彼らが話すクマの生態は、本当のクマの生き方とは違うような気がしてね」。86年、米田さん秋田県庁を退職し、90年にフリーのクマの研究者として広島県廿日市に移住した。「環境省が『西日本のクマの実態は全然わからない。研究者が誰もいない』って、言うんですよ。それで、こっちに引っ越してきた。広島県の一番山奥です」。秋田県とは異なり、中国地方に生息するクマは「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されている。クマとの共存を訴える米田さんは、農作物被害を防ぐために捕獲したクマを殺さずに山奥に放つ「奥山放獣」を始める一方、これまでと同様、クマの観察や撮影を続けた。「最近はカメラがデジタルになって、感度がすごく上がったのと、さまざまな画像処理が施せるようになったので、暗くて陰影の強い森の中でもふつうに撮れるようになりました」。米田さんは7月18日から東京・新宿のニコンサロンで写真展「クマを追って50年 思い出の40コマ」を開催する。「写真作家の登竜門と言われるニコンサロンに応募して、通ったわけですから、もう写真家だよね。ははは」。展示作品の約半数は自宅のある広島県で写した写真だが、その他は比較的最近、秋田県で撮影したものである。理由を尋ねると、衝撃を受けた。「秋田の写真は16年に4人が殺された『人狩り熊』の延長で撮影しています。個体識別をする必要があるので、クマの顔写真を全部撮っています」。山菜採りに入山した4人が死亡、4人が重軽傷を負った本州最悪の獣害事件、いわゆる「十和田山熊襲撃事件」である。事件はすでに終息しているはずだが、なぜ今も当時の現場に通い、クマを撮り続けているのか。「あの事件は1頭が起こしたわけじゃないんですよ。関係したクマが6、7頭いる。それが、どう駆除され、残存しているのか、写真を撮って、識別している」。先に書いたように、クマは基本的に臆病な動物で、不意に鉢合わせしたりしなければ、まず人を襲うことはない。「ところが、クマが人を襲う重大事件はどの地域でも同じように起きているのではなくて、特定の地域で継続して起きている。そこには攻撃性の強い、凶暴な家系のクマが生息していると、研究者の間では言われています」。広島県の自宅周辺の森では5メートルくらいまでクマに近づいて顔のアップを写したりする。クマの対処法を知っているので、それほど怖くないという。一方、秋田県で写した写真の多くは大豆やソバの畑にやってきた来たクマである。「畑で撮るのが一番怖いですね。相手からこちらが必ず見えていますから。もちろん、気づかれないように『だるまさんが転んだ』方式で接近します」。クマが他の方向を見ているときに、たたっと走って、止まり、クマにレンズを向ける。「この母子グマの写真は距離10メートルくらいです。非常に緊張しました。子連れの場合はどう反応するか、わかりませんから」。襲われた場合は、催涙スプレーの一種である「クマ撃退スプレー」を使用する。「これまでに何回もクマスプレーに助けられました。メーカーによると、90%の撃退実績があるそうです。でも残り10%はそれでも襲われる」。米田さんは「クマがクマの世界で暮らしている姿をみんなに見てもらいたい」と言う一方、「場合によってはクマは害獣でもある。だから殺すことも手伝ってきた」と語る。「私はクマの被害対策をずっとやってきたわけですが、今、山村の人々の被害意識と、都市住民の愛護の意識との乖離(かいり)がひどいんですよ。クマを捕獲すると、地元の自治体に『殺すな』と電話がたくさんかかってきて、事務停滞を引き起こす。なので、都市住民にもクマの実像を伝えたい。日本の中心で写真展をやるなんて、望まなかったんだけれど、やることになっちまった、という感じです」。

(若木を鹿の食害から守る:奈良)
奈良市の奈良公園で、在来種の幼木を鹿の食害から守ろうと、奈良女子大の学生2人が木製の支柱「子守木(こもりぎ)」を考案した。県の許可を得て、今年3月に園内の3カ所に設置し、卒業後も木の生育を見守り続けている。考案したのは、小西くるみさん(24)と川合布公帆(ふくほ)さん(23)。大学4年で卒業を控えた2021年、「離ればなれになる前に何かを残したい」と考えた。入学当初から仲良しで、ともに住環境学科で学んだ。「なぜこんなに元気のない街路樹が多いのか」との問題意識を持っていた。「植えておしまい」で、育て続ける発想に乏しいのでは――。一方、身近な奈良公園に目を転じれば鹿のえさとなるシバが減少し、鹿が木々を食べてしまう食害が問題となっていた。

(女性ハンター、シカ駆除奮闘:北海道)
当麻町内で有機野菜とハーブを栽培する福山萌子さん(41)がエゾシカによる農業被害を防ぐため、ハンターとして奮闘している。農繁期の夏場も町内の農地周辺を回り、年間150~200頭を仕留める。給食の食材に自身が町内で駆除したシカ肉を提供するなど子どもたちの食育にも関心を寄せる。

(森のヒグマとどうつきあうか:北海道)
林業に携わる人たちがヒグマとなるべく出会わないようにするにはどうしたらいいのか。苫小牧市内の民有林で研究が続いています。月末の土曜日朝、総合テレビで放送している「0755DDチャンネル」から、研究の様子をご覧ください。

(至近距離でツキノワグマを撃ち抜く緊迫の現場、豪雪地帯の「狩猟民」を追った写真家・西野嘉憲)
今年はクマが各地で出没し、過去最多の人的被害を記録する深刻な状況になっている。冬眠を控えたクマは、エサを求めてより動きを活発化させるとみられ、今後も警戒が必要だ。クマと対峙してきた猟師を追った写真家が見た、クマの姿とは。写真家・西野嘉憲さんの作品展「熊を撃つ」が1月20日から東京・新宿のオリンパスギャラリー東京で開催される。西野さんに聞いた。「私が撮影しているのは、自然のなかで生きる人間、『狩猟民』なんです。日本を代表する狩猟文化と考えているのは、沖縄の海人(うみんちゅう)の潜水漁、千葉県の房総半島沖で行われている沿岸捕鯨、そして今回の写真展の雪国のツキノワグマ猟。この3つのテーマを同時に20年ほど前から追い続けてきました」。西野さんがクマ猟を写した舞台は、富山県境に近い岐阜県の最北部。クマ猟というと、東北地方で狩猟をなりわいとする「マタギ」が有名だが、なぜ西野さんはこの地を選んだのか? たずねると、「写真家としてのすごく身勝手な都合で」と言う。「写真って、基本的には1枚の絵で表現しないといけないじゃないですか。猟師さんとクマが離れていると、緊迫した瞬間を1つの画面に収めるのは難しい。飛騨地方のクマ猟は、冬眠している穴からクマを追い出して、目に前に達したのを鉄砲で撃つ。なので、必然的に猟師とクマと対峙するんです」。ふーん、そうなのか、と思い、作品を見ていくと、1枚の写真に目がくぎ付けになった。それは2人の猟師がクマに向けて発砲した瞬間で、銃口から噴き出した煙が生々しく写っている。写真奥の猟師と倒れたクマとの距離は約5メートル。想像していたよりもずっと近い。「写真を見ると『うわっ、かわいそう』とか、思うかもしれないですけど、実際の現場は、ものすごーく怖いです」。そして、「『冬眠』という言葉を使ってほしくないくらいですね」と、西野さんは続ける。「猟師や猟犬が近くに来たときにはクマは穴の中で確実に起きていて、あとは、いつ飛び出してやろうか、襲いかかってやろうか、と臨戦態勢なんです。だから、穴から出てくるときは、めちゃくちゃ速い。動物園でのっしのっしと歩いているクマとはまったく違います」。俊敏な動きを見せるのはクマだけではない。「猟師がベテラン同士のときは、ほんとうに見事に配置につくんですよ」。このときも、クマに対して2人の猟師が十字砲火の態勢をとり、発砲するまで、あっという間の出来事だったという。十字砲火というのは1人がクマの正面から、もう1人が側面から、お互いの弾道がクロスするように射撃する、必殺の態勢だ。「クマが穴から飛び出して逃げようとした瞬間、斜面の上で待ち構えていた猟師の1人が、ばーっと駆け下りて、クマの逃げ道をふさぐように立ちはだかって、2人同時に発砲したんです」。突進してくるクマはまさに目の前。もし、弾を外したら、襲われかねない。「それで、『よくやりますね』と、声をかけたら、『クマを獲りに来ているんだから、撃たないとしょうがないよ』と、淡々と言うんです。それを聞いて、やっぱり、彼らは猟師だな、と思いましたね。解体したら、弾は2発とも首に当たっていました。さすがです。ごく狭い範囲、頭、首、心臓のいずれかを撃って即死させないと、ほんとうに危ない」。そんな勇猛な猟師たちが暮すのは、飛騨市の山之村集落。標高約900メートル。かつては「秘境」と言われ、昭和30年代まで1年のうち約半年間は雪に閉ざされ、ふもとの町とは行き来ができなかったという。「自然環境の厳しさはいまでも変わらない。そんな場所で自然と一体になって生活している人たちにもすごく興味がありました。そして、風景の美しさ。古きよき時代の山村風景が残っている。それがここで写真を撮ろうと思った決め手でもありますね。あと、山之村のクマ猟はまだ誰も、研究者や取材者が調べていなかった。それもここで取材しようと思った要素です」。ちなみに、取材者にとって、「どこで」「誰を」対象とするかはとても重要で、特に西野さんのように長期間にわたる取材では、「ほんとうに運命の分かれ道になる」。「ほかの狩猟もそうですが、このクマ猟の現場も禁忌的というか、取材者はもちろん、仲間内でも限られた人にしかいちばん大切なことは教えないようなところがある。ましてや、獲物を殺しているところは、あまり人に見せるものじゃない、という気持ちがあると思います」。幸いなことに、当時、山之村には知り合いのライターが移住していて、「その方がある程度、取材の趣旨などを猟師さんに話してくださって、すごく助かりました」。それでも、実際の狩猟の現場に連れて行ってもらう前には「試験」があったという。「最初はしぶしぶ、知り合いの紹介だし、連れていくしかねえか、みたいな雰囲気で、2回くらい猟師さんと山を歩いたんです。そのときは気づかなかったんですけれど、そこはもう、めちゃくちゃ簡単な、猟場といえるかどうかも分からないような近場で、後から考えたら、『こいつ、どの程度歩けるかな』と、見られていた」。クマは賢い動物で、狩猟者に見つからないように、かなりの奥山で冬眠するという。「だから、猟場にたどり着くだけでも3、4時間はかかる。そこで、『もし、同行者が歩けなくなったら、置いて帰るしかないんだよ』と、後で言われて、ああ、そうなんだ、と思いましたね」。クマの狩猟期間は11月15日から2月15日まで。西野さんは2008年から17年にかけて、計8シーズンのクマ猟を取材した。「豪雪地帯の厳寒期なので、『かんじき』を履いても膝まで雪にもぐるのは当たり前。いったんふぶくと視界もきかない。そんな山を迷わずに1日中歩きまわれるというのは、すごいと思いますね。この方たちはGPSとか持っていかないですから。尾根をいくつも越えたら、もう自分1人じゃあ、帰って来られないです(笑)」。この時期、クマは太い木や岩にあいた穴の中にこもっている。「そういう穴が山のなかにたくさんあるんです。ある程度は目星をつけるんですけれど、その穴を一つひとつのぞいて、しらみつぶしに探していく。それを猟期の間、ひたすら繰り返すんです」。穴の中にクマがいるのか、それを知る1つの目安が「あたり」という。「クマは冬眠に入る前、穴の周辺に『俺はここで冬眠するぞ』って、他のクマに伝えるために、幹をかじったり、爪でひっかき傷をつくる。猟師さんはそれを『あたり』と、呼ぶんです」。ただし、クマが「あたり」をつけても、必ずその穴に入るわけではないという。西野さんは、クマがいなかった穴の前で振り返る猟師の写真を見せながら、「あとは、いわゆる野生のカンというか」と言い、猟師の不思議な動きについて語った。「このとき、『ここにいないとなると、あっちの尾根があついぞ』みたいなことを言ったんです。『何、言ってんだろう? ほんとかよ』と思って行くと、ほんとうにいた。そういうのは、経験というか、ひらめきみたいなものなんでしょうね」。穴の中にクマがいるときは、猟犬を近づけると、すぐに反応する。その場合、即座に鉄砲の用意をして、猟犬を穴に入れ、クマを追い出したところを撃つ。ところが、取材を始めた08年は、雪山を歩けど歩けど、クマがいる気配さえ感じることができなかった。徒労感ばかりがつのる毎日で、心が折れそうだった。「実は、1頭も獲れない年も珍しくなくて、3頭獲れたら、『今年はすごくよかったね』という感じなんです」。西野さんが初めてクマを獲る場面に出合えたのは19年2月15日。「狩猟期間の最終日にようやく獲れた」と言い、そのときの様子をまざまざと語った。「クマのなかでも大きいのは特に賢いから、穴から出たら撃たれるのは分かっている。だから、猟犬を穴に入れても中でじっとしているようなやつがいるんです。このときもそうだった。でっかい穴の入り口から私が立っていたところまで約3メートル。ごぉーっと、腹に響くようなうなり声が聞こえてきて、初めての私は足がすくむような感じでした」。猟師たちは粘りに粘った。なにしろ猟期の最終日である。「穴からクマが顔を出した瞬間、バンと撃ったです。ほんとにすごく怖かった。状況もよく分からないし、もう、腰が引けていた」。来る日も来る日も雪の斜面を歩き続け、ようやく訪れた瞬間。しかし、西野さんはクマのそばでぼうぜんと立ち尽くすばかりで、シャッターを切るどころか、ファインダーをのぞくことさえできなかったという。「ようやく撃つ瞬間が撮れたのは2頭目。だんだんと、クマはこういう感じで出てくるんだとか、猟師の動きが分かってきて、満足できる瞬間が撮れるようになったのは3頭目からですね」。命をかけることはないにせよ、ときには身を削るようにしてレンズを向け、シャッターを切る写真家の仕事は、狩猟と通じるものがある。熱をこめてクマ猟の現場を語る西野さんと、猟師の姿が重なった。

(軽乗用車がクマと衝突:秋田)
15日午後5時15分ごろ、秋田県能代市二ツ井町字茶屋下の県道で、同市の50代女性が運転する軽乗用車がクマと衝突した。女性にけがはなかった。能代署によると、軽乗用車が二ツ井町方向から北秋田市方向へ走行中、左から出てきた体長約1メートルのクマとぶつかり左前部を破損した。クマは立ち去った。現場は会社建物まで約20メートル。

(防犯カメラがとらえた“クマが軒先の干し柿食い荒らす”:宮城)
11日と12日の夜、宮城県大崎市の住宅敷地内にクマ1頭が2日連続で出没し、干し柿を食い荒らしました。防犯カメラが、クマの姿を捉えていました。11日午後8時頃の映像。画面中央に見える黒い影、住宅敷地内に出没したクマです。体を伸ばし、軒先の干し柿を食べ荒らす様子が防犯カメラに映っていました。防犯用のライトが光っても逃げる様子はありません。クマが出没したのは、大崎市三本木斉田の住宅敷地内で、体長1.5メートル程のクマ1頭が干し柿を食い荒らしました。こちらの住宅では、12日も午後8時半頃、クマが出没しました。クマの出没を受け近隣では13日、庭にある柿の木を伐採する人もいました。クマが目撃された現場は、国道4号線から北西に1キロほどの住宅が点在する場所で、警察が注意を呼びかけています。クマは鼻が良く、エサに執着するため、県は、クマのエサとなるようなものはなるべく外に出さないようにと呼びかけています。

(ツキノワグマ1頭捕殺:神奈川)
神奈川県は13日、相模原市緑区千木良の住宅近くの樹林地で、有害鳥獣捕獲のために設置されたシカ・イノシシ用のくくりわなに雄のツキノワグマ1頭がかかり、人家に逃走する危険性があったため捕殺したと発表した。県県央地域県政総合センターによると、クマは体長130センチ、体重71キロ。11日午前8時25分ごろ、同所のわなの設置者が発見した。クマは暴れていて、いつわなが外れてもおかしくない状況だったという。同センターによると、同地区周辺では5、6年前に頻繁にクマが出没していたが、近年は目撃の報告がなかったという。捕獲した個体は学術研究のため、県立生命の星・地球博物館(小田原市)に搬送された。

(会社倉庫にクマが一時入り込む:青森)
14日朝、平内町にある会社の倉庫にクマが一時入り込みましたが、およそ2時間後に逃げました。今のところ、けが人はいないということですが、町などは注意を呼びかけています。14日朝8時半ごろ、平内町外童子にある会社の事務員から「倉庫の中にクマが入り込んだ」と警察に通報がありました。クマが入ったのは肥料メーカーの倉庫で、町の職員や警察官、猟友会のメンバーが駆けつけて対応に当たりました。警察官はその後、車で倉庫の中に入り、クラクションを鳴らすなどしたところ、通報からおよそ2時間後、クマは倉庫内に積み上げられた肥料の袋の間から姿を現し、倉庫の正面から外へ出て北の方へ逃げていきました。町によりますと、今のところ、けがをした人はいないということです。クマが逃げたあとの倉庫内の肥料の袋には、クマが破ったとみられる痕や爪によるとみられる穴などが残っていました。町によりますと、クマは体長が1メートルほどで、これまでもこの周辺でのクマの目撃情報が寄せられていたということです。倉庫を所有する肥料メーカーの圓山大高代表取締役は「目撃情報は聞いていたがまさか自分のところに来るとは思わず驚いている。クマがいなくなったのでよかったが、今後は、作業中も倉庫のシャッターを閉めるなど対策をしていきたい」と話していました。町などはクマが近くにいる可能性があるとして注意を呼びかけています。

(住宅地にイノシシ:沖縄)
大宜味村根路銘ではリュウキュウイノシシが現れるようになり、地域の人たちが人懐っこい姿に目を細めています。大宜味村根路銘の住宅近くにひょっこり現れたのは、若いリュウキュウイノシシです。3週間ほど前から朝と夕方の1日2回、近くの山から下りてきては住民からカーブチーやドラゴンフルーツなどエサをもらっています。沖縄在来種のリュウキュウイノシシは絶滅の恐れがあり、本州のニホンイノシシよりも体が小さいのが特徴です。うり坊だったイノシシも体長50センチほどに成長し、住民たちはこれからも元気に育って欲しいと願っています。

(サル出没、7時間後に捕獲:宮崎)
14日午前、宮崎市の中心部にサル1匹が突然現れました。その後、逃走を続けたサルは、県と市の職員により、およそ7時間後に捕獲され、けが人はいませんでした。14日午前8時前、宮崎市の平和台病院の周辺で「サルを目撃した」と警察に通報がありました。サルはその後、3キロほど離れた市内中心部の住宅街に逃走し、電線をわたりながら移動するなどたびたび姿が目撃されました。そして、県や市の職員9人で捜索を続けた結果、目撃情報からおよそ7時間後の午後3時ごろに、宮崎市江平中町にある4階建てのアパートの改装中の室内に逃げ込んだところを捕獲されました。市によりますとけが人はいないということです。また、市では広報車を出して住民にサルを見つけても近づかないように注意を呼びかけたほか、目撃情報があった地域の4つの小中学校では集団下校を行うなど対策をとったということです。捕獲されたサルはニホンザルで市の所有する山に放したということです。サルが見つかった現場の近くの西池小学校では下校時の子どもたちの安全確保へ対応に追われました。下校前には担任が子どもたちに、サルに遭遇しても、▽目をあわせないことや、▽刺激しないよう騒がず、ゆっくり離れることなど注意点を指導しました。このあと帰る方向が同じ児童で学年ごとにまとまって下校しましたが、途中まで教師が付き添い、なかには学校まで迎えに来る保護者もいました。1年生の女の子は「サルは怖いので優しくなってほしいです」と話していました。孫を迎えに来た女性は「サルが出たという連絡を受け心配になったので迎えにきました。早く確保されて欲しいなと思います」と話していました。宮崎市の街なかにサルが出没したことについて、ニホンザルの生態に詳しい京都大学野生動物研究センター幸島観察所の鈴村崇文さんは「はっきりとした理由はわからないが、オスザルは5歳から7歳くらいで群れから一度離れるのでそうしたオスのサルではないか。ひょっとしたら人間の食べ物の味を覚えて飲食店などで出る食べ物を狙ったのかもしれない。ただ、基本的にニホンザルは森林やその周辺に暮らしているので街なかに姿をみせることはめずらしい」と話していました。

(クマの目撃情報相次ぐ:大阪)
全国各地でクマによる被害が問題となる中、クマが生息していないとされる大阪でも今年、目撃や痕跡の情報が自治体に相次いで寄せられている。今月には小学校で足跡が見つかり、授業が中止になる事態となった。今年度の通報件数は18件とすでに昨年度(11件)を上回り、一昨年度(5件)の3倍以上となっている。いったいどこからやってきているのか。大阪府茨木市北部の山あいに民家が点在する下音羽地区。猪谷昭弘さん(80)は今月4日午後5時頃、自宅前の竹やぶが揺れているのに気づいた。約10メートル先にいたのは体長1メートルほどの真っ黒なクマ。近くの駐在所に連絡し、警察官と確かめに行くと、柿の木の幹に数センチの爪痕が複数残っていた。猪谷さんは「ずっとここに住んでいるが、野生のクマを見るのは生まれて初めて。一人暮らしだから怖くて眠れない」と不安を語る。2日後には、南西約3キロの同市立 清溪きよたに 小のグラウンドで、児童がクマのものとみられる足跡を見つけた。学校は授業を取りやめ、児童を集団下校させた。翌日から消防隊員らが登下校時の通学路を巡回している。8日朝には同市内で車で出勤中の男性が路上でクマと遭遇。バックしたところ、クマは立ち去ったという。いずれも同じ個体とみられ、清溪小近くに住む主婦(60)は「クマの被害は東北や北海道の山奥の話と思っていた。まさかこんな身近に出てくるなんて」と話していた。府内では2005年度を最後に13年度まで8年連続でクマの出没情報はゼロだった。しかし、14年度に5件の出没情報が寄せられてから毎年確認されている。通報件数で見ると、20年度は2件だったが、21年度は5件、22年度は11件。今年度は今月14日時点ですでに18件に上る。出没場所は年々住宅地に近くなっている。クマの生息数の確認は自治体が実施しているが、府は、府内にクマは生息していないとしている。出没情報があるのは茨木市や高槻市、豊能町など大阪府北部の山中や山あいの地域で、京都、兵庫両府県から越境してきた可能性が高い。一方、両府県では今年、クマの出没情報は増えていない。兵庫県は9月末時点で268件と前年並み、京都府は10月末時点で631件と昨年同期より173件減っている。大半は山の中での目撃だ。クマの保護活動に取り組む一般財団法人「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)の森山まり子名誉会長(75)は「クマの個体数自体は増えていないが、今年の猛暑で餌が山で不足し、各地で人が住む地域まで下りてきている。大阪だけに下りてきているわけではないが、もともと目撃数が少なかったため、増加が目立っているのでは」と推測。「クマの活動時期は12月下旬頃まで続くので注意してほしい」と呼びかける。市街地に現れるクマは「アーバン(都市型)ベア」と呼ばれる。茨木市は、今後も続けば、府猟友会茨木支部と協議して捕獲を検討するとしている。しかし、府猟友会によると、支部にクマへの対処経験がある会員はほぼいない。府猟友会事務局長の田中茂雄さん(81)も「私も若い頃に福井の山で何度か経験しただけ」と話し、捕獲が必要となれば、約1200人の会員から経験がある人を募り、現地への派遣を検討するという。府は、対策としてラジオや鈴など音が鳴る物を身につけたり、自宅周辺にある柿の木など餌になって引き寄せるものを取り除いたり、住民に予防策を講じるよう呼びかけている。環境省によると、全国のクマの出没件数(北海道、九州など除く)は今年度、9月末時点で1万3132件に上り、すでに前年度1年間を約2000件上回っている。人の被害も相次ぎ、4~10月で180人(速報値)と、これまで最も多かった2020年度の158人をすでに上回り、過去最多を更新している。関西でも京都市左京区の山中で8月、女性がクマに襲われて負傷した。こうした事態を受け、同省は、計画的に捕獲する「指定管理鳥獣」の対象にクマを追加することを検討している。指定されれば、現在は禁止されているわなによる捕獲や夜間銃猟も特例で認められる。

(クマ1頭の目撃情報:新潟)
新潟県五泉市で15日昼すぎ、建設会社の作業場敷地内でクマ1頭が目撃されました。住宅地にも近いことから、警察や五泉市役所は付近をパトロールするなどして、近くの住民に注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは、五泉市菅出にある建設会社の作業場敷地内です。警察によりますと15日、五泉市役所から警察に「午後0時20分ころ、建設会社から従業員が東方向から西方向に移動するクマを目撃したと連絡があった」などと通報がありました。クマは1頭で体長0.5mほどだったということです。目撃された場所は住宅地にも近いことから、警察は五泉市役所と連携し付近をパトロールするなどして、近くの住民に注意を呼び掛けています。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼びかけています。県内では2023年度、クマに襲われて8人がけがをしていて、新潟県は、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(民家から150mほどの地点でクマ目撃情報:新潟)
新潟県魚沼市で15日朝、国道を横断するクマ1頭が目撃されました。警察は付近をパトロールするなどして、近くの住民に注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは、魚沼市葎沢です。警察によりますと15日、魚沼市役所から警察に「午前6時前、国道352号を北側方向に横断するクマ1頭を目撃したと連絡があった」と通報がありました。目撃された場所は民家から150mほど離れていて、クマはその後、山の中へ入っていったということです。クマの大きさはわかっていません。警察は付近をパトロールするなどして、近くの住民に注意を呼び掛けています。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼びかけています。長岡市では3日、畑で作業中だった女性がクマに襲われけがをするなど、県内では2023年度、クマに襲われて8人がけがをしていて、新潟県は、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(住宅の庭先に3頭のクマが出没:福島)
福島県下郷町の住宅の庭先に3頭のクマが出没。木の上に逃げた1頭が捕獲され、山に帰された。警察によると、11月15日午前6時前、下郷町中妻で住民の男性が自宅の庭先にいる3頭のクマを目撃した。男性が大声を出したところ、2頭のクマは木の上に登り逃げたが、体長0.5メートルほどのクマ1頭が木の上にとどまった。下郷町は午後1時ごろ麻酔銃を使い、クマを捕獲、山に帰した。住民などにケガはなかった。福島県内では今年に入りクマの目撃件数が623件、人的被害が13件と過去5年間で最も多くなっていて、県と警察などが注意を呼び掛けている。

(カメラがとらえた住宅敷地の「親子グマ」:宮城)
宮城県内では連日クマの目撃が相次いでいます。仙台市太白区にある住宅の敷地内では11月11日、柿の木に登ろうとするクマの姿がカメラによって捉えられました。大きな体を伸ばして柿の木に登ろうとするクマ。11月11日、仙台市太白区の八木山地区にある住宅の敷地内で撮影された映像です。時間は、午後10時台。近くには道路があり人の往来もある時間帯です。宮城県猟友会 金子賢司さん:「目が光るでしょ。結構高くまで首を上げたなと思った」。県猟友会の金子賢司さんです。住民から相談を受け、カメラを仕掛けたその日に体長およそ1.2メートルのクマが現れました。柿の木の高さは18メートルほど。クマは木をよじ登り、はるか上にある柿の実を取ったとみられます。宮城県猟友会 金子賢司さん:「上のほうにこっちから見ると、横に傷がついているでしょ。あれクマの登った跡だから」。さらに映像を見ていくと…。宮城県猟友会 金子賢司さん:「ほら今、出てきたけど。これ目が光るから、ほら!これ子グマ」。木の陰から顔を出した、一回り小さなクマ。実は、現れたのは「親子グマ」だったのです。柿の木の近くには、親グマが木に登って折ったとみられる枝が散乱していました。宮城県猟友会 金子賢司さん:「これはただ手で折るんじゃなくて、かじって折るの。下に子供がいるとバサバサと落として。それで、(枝に付いた実を)食べさせる」。クマを刺激する可能性があるため、県猟友会は今後、捕獲はせず、柿の実を取り除くなどの対策をとることにしています。

(イノシシ逃走中「まさかここに来るなんて…」:福井)
福井市の森田中学校の近くで15日、下校時間の夕方にイノシシが目撃され、警察などが周辺をパトロールするなどして注意を呼びかけています。(11月15日)市などによりますと、15日午後3時半ごろに、通行人から「イノシシが出た」と通報がありました。イノシシは一頭で体長は1メートルほどあり南の方へ逃げたということです。現場は住宅街で、近くに山はないということです。民家の庭にはイノシシのモノと思われる足跡も確認されました。警察などが周辺をパトロールして注意を呼びかけています。現場近くの住民は「まさかイノシシがここに来るなんて思ってもいないし、どこから来るかもわからないので怖い」と驚いた様子を見せていました。同中学校の生徒は午後3時ごろには下校していて、これまでのところ被害は確認されていません。

(クマ2頭の目撃情報:新潟)
新潟県新発田市で16日午後、相次いでクマの目撃情報がありました。近くには温泉や屋内運動場もあることから、警察や新発田市役所がパトロールするなどして注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは、新発田市浦です。警察によりますと16日午後1時半ころ、新発田市役所から「午後1時20分頃、通行人の女性がクマ2頭を目撃した」などと通報があったということです。目撃された場所は、松浦屋内多目的運動場から東へおよそ100mほどの位置で、クマはその後、東側にある山のほうへと去って行ったということです。その後、16日午後2時10分頃にも、クマ1頭の目撃情報がありました。近くには温泉やゴルフ場もあることから、警察や新発田市役所はパトロールするなどして注意を呼び掛けています。新潟県は『クマ出没特別警報』を発表し、クマに厳重に警戒するよう呼びかけています。県内では2023年度、クマに襲われて8人がけがをしていて、新潟県は、クマを寄せ付けないようにするために、やぶを刈り払い、柿などの餌となる果樹を伐採するほか、クマの活動が活発化する朝や夕方は1人で行動しないなど、厳重な警戒を呼びかけています。

(路上にイノシシ十数頭:青森)
14日午後9時半ごろ、青森県八戸市石手洗の中居林小学校近くの路上で、車で通りかかった会社員男性(38)がイノシシ十数頭の群れを目撃し、市に通報した。男性によると、大きい個体が2頭、小さい個体が8頭以上いたといい「1、2頭ならそんなに驚かないが、あまりの多さにびっくりした」と振り返り、同校保護者の立場から「子どもたちや保護者に注意してもらいたい」と語った。同校は市中心街から約3キロ離れた場所にあり、周囲には住宅や林、畑などがある。男性は家族を乗せて国道340号方面から同校方面へ運転中、イノシシ1頭が道路を横切ったのに気づき、よく見ると路上に十数頭が集まっていた。群れは車のヘッドライトに動じることなく周辺にとどまっていたが、男性が窓を開けて車内からスマートフォンで群れを撮影し始めると、人の気配に気づいたのか、道路沿いに駒沢幼稚園の方向へ逃げたという。これを受け同校は15日、児童の登下校時、安全確保のため、通学路で職員が見守りを行った。また児童に対し、万が一イノシシに遭遇した場合は興奮させないようゆっくりと後退する-といった注意点を指導した。担当者は「学校周辺にハクビシンやタヌキはいるが、イノシシは見たことがなかった。集団だと怖いと感じる」と語った。

(『ジビエカー』最新型が全国初のお披露目:石川)
猟で捕まえた野生のイノシシやシカ。その肉を適切に処理したジビエは、高タンパクで低脂肪なことから今注目の食材です。そんなジビエのために作られた最新型の車が14日、全国で初めて県内でお披露目されました。14日にお披露目されたのは最新型の「ジビエカー」。「ジビエカー」とは、猟で得た野生のイノシシやシカなどをその場で解体、冷蔵して運搬できる車のこと。2018年に日本ジビエ振興協会などが開発し、今回、その最新型が全国で初めて県内でお披露目されました。動物の洗浄から解体まで吊るしたまま行われるため肉が床につくことがなく衛生的だということです。最新型は、性能はそのままにサイズをコンパクトにして値段も半額以下に抑えています。日本ジビエ振興協会 藤木徳彦代表理事:「処理施設が老朽化で作り変えないといけないときに車で処理施設と同じ作業をという形で、いろんな使い方があると思います」。捕獲した場所から処理場に移動する間に肉が腐ってしまい食用になるのは、全国で約10%しかないそうで、協会では、ジビエカーを使って廃棄される量を減らすことができればと考えています。このジビエカーは今年度、実証実験を行い、来年度、本格的に導入されると言うことです。

(第4回ひょうごジビエコンテストの開催:兵庫)
兵庫県では、鳥獣による農林水産業被害対策として捕獲および利活用の推進を行っています。この取組の一環として、ひょうごニホンジカ推進ネットワークと協力し、兵庫県産のシカ肉・イノシシ肉などを活用した『ひょうごジビエコンテスト』を令和2年度から開催しています。今年度、『第4回ひょうごジビエコンテスト』を実施することとし、レシピを募集します。

(鹿革レザークラフト入門:新潟)
駆除された鹿の革を使って作るハンドメイド体験。鹿革の柔らかさを活かしておしゃれなコインケースまたはメガネケースをつくる。本格的な道具を使って気軽にレザークラフトを楽しめる講座になっている。

(「ジビエ料理で根羽村を救う」:長野)
長野県根羽村で多く生産されるにもかかわらず、村外への流通が少なく廃棄されることの多い鹿肉などのジビエを活用しようと、「ジビエで村を救うレストランイベント」が12日、同村の地域交流拠点「くりや」で開かれた。村内外から来店した11人の客が「鹿の背ロース」や「あまごのカルパッチョ」など村の食材で作る料理を味わった。根羽村立義務教育学校の根羽学園9年生とレストラン「Barca.」(愛知県東郷町)の共同での取り組み。前田積志さん(15)と片桐悠晟さん(14)が同校の総合の時間を使って企画。同レストランを営む堀江政史さん(44)に連絡を取り、村をプライベートでも訪れる堀江さんが快諾した。

(鹿肉をジャーキーに:長野)
休暇村リトリート安曇野ホテル(安曇野市穂高有明)は15日、信州産の鹿肉「信州ジビエ」のジャーキー「VENISON JERKEY(ヴェニソン・ジャーキー)」をホテル売店で発売する。県外客にも知名度のある美ケ原産の鹿肉を使用。鹿肉処理や卸販売の近福加肉(ちかふくかにく)販売(茅野市)と共同開発した。今後、鹿肉を活用した土産物のシリーズ化を目指す。

(ジビエ調理実習、地元資源の魅力知ろう:長野)
木曽町中学校の1年生約50人が14日、同校でジビエの調理実習をした。木曽地域で捕れたシカの肉でカツレツを作り、地元資源の魅力を味わった。塩尻市奈良井の複合施設「BYAKU Narai(ビャク・ナライ)」の友森隆司総料理長らが講師を務め、ジビエ肉を取り扱う上松町の百田商事が鹿肉を提供した。同商事の百田健二郎さん(76)は「クマやシカなど木曽のジビエは味が良くて獲物も豊富だが、猟師は高齢化し減ってきている。若い人に興味や親しみを持ってもらい、地元消費の拡大も図っていきたい」と語る。

(航空精密部品の金型メーカーが作った「熊鈴」は音色へのこだわりがハンパない!:愛知)
例年にない頻度で報告されているクマの目撃情報。痛ましいニュースも幾度となく報道されています。安心して野遊びを楽しむためにはできる限りの対策をしておきたい、そこであらためて注目が集まっているのが熊鈴です。熊鈴とは、登山やハイキング、あるいは山間地での作業を行う人が、「そこに人間がいること」をクマに知らせるために身につけるモノ。一般的には真鍮や銅などが使われますが、Makuakeにて予約販売中の「Daifeel(ダイフィール)」(9350円~ 11月9日現在)は、金属を知り尽くした金型メーカーが考案した硬質アルミニウム製の2WAY熊鈴。思わず日常使いしたくなる、美しいフォルムと音色に注目です。愛知県小牧市で50年続く航空精密部品の金型メーカー・ダイキ精工が、自社技術を活かして作ったオリジナル熊鈴「DaiFeel」。連日報道されるクマ被害の対策として、自社技術を活かして何か貢献できないかと考案されたものです。底部直径4cm×高さ6cmのベル型タイプ。熊鈴としては大きすぎず小さすぎずのサイズ感ですが、一般に熊鈴では真鍮や銅などが使われるところ、この「DaiFeel」ではあえて硬質アルミニウムを選択。遠くまで響く澄んだ音色と共に、重量35gという驚きの軽さを実現しています。また必要な時以外は音を止められる消音機能も搭載するので、アウトドアはもとより通勤・通学や農作業中などにも気負うことなく、日常的に利用することが可能。一般に熊鈴の消音機能は、便利な反面壊れやすいという欠点があるのですが、「Daifeel」では消音部分の部品に十分な耐久度を与えることでこの課題をクリア、ここにも金型メーカーならではの技術とこだわりが光ります。そして何よりもこだわったのはその音色。「DaiFeel」では、耳に心地よく伝わる鈴虫の音色の音域 4000Hzに近づけるためにひとつひとつ丁寧に削り出して音色をチューニング。その結果、耳に心地よく響く3700Hz~3800Hzの音域を奏でる優しい音色の熊鈴が完成しました。さらに、この美しい音色は風鈴としても利用可能。同梱の専用カラビナを使って、テントやランタンスタンドから吊るすこともできるので、夏は涼をとるためのアイテムとして、秋から初冬、初春以降は熊よけアイテムとして長く活用できます。風を受ける短冊部分には、石から抽出した無機鉱物粉末から作られたストーンペーパーを採用。硬質な質感はベルのモダンなフォルムと相性抜群、インテリアアイテムとしてライフスタイルに取り入れてみるのも良さそうです。

(登別温泉でジビエ研修:北海道)
胆振や日高管内などの調理師でつくる北海道全調理師会第2ブロックの研修会が13日、ホテルゆもと登別で行われ、料理人ら12人がエゾシカ肉を使って実技を学んだ。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、16日午前6時10分ごろ、色麻町王城寺権三前二番付近にクマが出没しました。

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