<射撃ニュース12月>
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(カラス駆除の散弾銃で男性2人撃たれる事故:熊本)
11日午前、天草市でカラスの駆除をしていた男性が撃った散弾銃の弾が別の男性2人にあたる事故がありました。事故が起こったのは、天草市五和町手野です。警察によりますと、11日午前9時半前、散弾銃でカラスの駆除をしていた77歳の男性が撃った弾が天草市の70代男性と60代男性に当たりました。弾が当たった70代の男性は後頭部と左肩を負傷し、ドクターヘリで搬送。60代の男性は左手と左の太ももを負傷しましたが2人とも意識があり命に別条はないということです。男性らは当時、4人でカラスの駆除にあたっていました。天草市によりますと、農業団体から収穫期を迎えた柑橘類を狙うカラスの駆除依頼があり、12月初旬から地区の猟友会に見守りを依頼していたということです。警察が事故の詳しい原因を調べています。

(クマ駆除協力に広がる懸念、猟友会が事前協議促進へ:北海道)
自治体の要請を受けてヒグマを駆除した際、周辺の建物に銃弾が当たる恐れがあったとして、猟友会の男性の猟銃所持許可を取り消した北海道の処分を適法と認めた札幌高裁判決が波紋を広げている。道猟友会は11月、会員の懸念の高まりを受け、発砲する際の責任の所在などを明確化するため、事前に自治体や警察と協議するよう全ての支部に通知することを決めた。不安が払拭されない場合は、支部ごとの判断で要請に応じないことも可能としている。訴訟は、道猟友会砂川支部長の男性(75)が原告となって提起。札幌地裁は道の処分を違法と判断したものの、札幌高裁は「現場は跳弾が起きやすい環境で、周辺にある5軒の建物に到達する危険性があった」として、男性の逆転敗訴を言い渡した。男性は「ハンター全体に影響を与える不当な判決」として上告した。道猟友会には約5400人の会員が所属。高裁判決の影響は大きく、同会には多くの支部から「処分されるならやってられない」「処分が怖くて町中で駆除できない」など懸念の声が相次いで寄せられたという。同会幹部によると、ハンターは自治体や警察からの要請を受け、自主的に協力する立場で駆除に参加。発砲する場所やタイミングは現場の警察官が許可を出す権限を持つが、ハンターに判断が委ねられる場合が多く、個人の責任が大きいという。そのため、同会は駆除要請が少ない冬季に、各支部と自治体、道警の3者で事前に発砲の条件や態勢について話し合うよう、全71支部に通知を出すことを決めた。道猟友会側の懸念の高まりを受け、鈴木直道・道知事も、同会会長と共に環境省を訪れ、ハンターの不安払拭に向けた取り組みを要望。道のヒグマ対策室によると、道や市町村、猟友会などの関係者が集まる地域連絡協議会でも意見交換するなど、連携して取り組む方針という。ヒグマの生息数が多い道東の自治体担当者は、高裁判決について「ハンターが不安に思うのは当然」と理解を示した上で、「今後もクマが出没するシーズン始めと終わりの顔合わせや振り返りなどを継続し、猟友会と良好な関係を築いていきたい」と話した。

(ヒグマの捕獲数、道南85%増の300頭:北海道)
道は昨年度のヒグマの捕獲数の確定値を公表した。全道で1804頭と、統計を取り始めた1962年度以降で最多。道南(渡島・桧山管内)でも300頭と、前年(2022年)の162頭から85%増となった。昨年は木の実が不作で、冬眠前のクマの人里への出没が増えたためとみられる。全道の23年度ヒグマ捕獲数は、22年度の940頭から9割以上の増加。21年度の1056頭と比べても7割以上の増となった。道野生動物対策課ヒグマ対策室は「昨年は、全道でも道南でもクマの秋の主要食物のドングリ、ヤマブドウ、コクワ(サルナシ)が不作で、クマの出没が多発した」とし「問題個体(人を恐れず、農作物などに執着するようになったクマ)が目立つようになったことから、捕獲の機会も増えた」としている。環境省のクマの許可捕獲数統計(速報値)によると、今年4月から10月までの全道の狩猟を除くクマ捕獲数は613頭となっており、今年の捕獲数は昨年を大幅に下回る可能性が高い。同室は、今秋は山の木の実が豊作であったことからクマの出没は減ったとみているものの「個体数自体は増えており、来年は人とクマのあつれきが増える可能性がある」とみている。道は、年内にも一部を見直す「ヒグマ管理計画(第2期)」に盛り込むゾーニングと頭数管理の方針を踏まえ、来年からはより積極的な捕獲を進め、頭数を抑制してあつれき低減を目指す。

(県内のクマ出没、過去10年で2番目の多さ:青森)
今年も青森県内で出没が相次いだツキノワグマ。秋以降はペースが落ち着き、1年間の出没件数は過去最多だった昨年を下回る見込みだが、ここ10年間では2番目の多さとなりそうだ。6月には県内で3年ぶりの死亡事故も発生した。冬眠の時期を迎えたクマ。ただ、県は「12月以降も例年目撃情報がある」として、引き続き注意を呼びかけている。県は11月30日、6月から県内全域で発令していた出没警報を解除した。県によると、足跡の目撃や食害を含む今年の県内のクマ出没件数は今月9日時点で658件(前年同期比463件減)。秋から出没が少なくなったのは、クマの好物であるブナの実が豊作で、餌を求めて人里に下りてくる機会が少なかったことが背景にあるとみられる。一方、秋にブナの実が豊富だと、冬に多く子グマが生まれ、来春の出没が多くなると言われており、県は来春に「出没注意報」を出すことにしている。今年のクマによる人的被害は、6月に青森市の八甲田山系で女性がクマに襲われて死亡した被害を含めて4件。死亡事故を受けて県などは周辺の登山道を段階的に9月まで封鎖する措置を取った。8月上旬に現場付近で1頭のクマがわなにかかり捕獲されたが、人を襲ったクマかどうかは判然としていない。5月には深浦町で80代男性が襲われて顔を負傷。6月には八甲田山系で60代女性が太ももに大けがを負った。8月には三戸町の60代男性が自宅敷地内で襲われ、肩や顎などを負傷した。県は来年度、クマの生息環境の管理や狩猟者の育成などに向けた方針を示す「特定計画」を策定する予定。策定の前段階として県は本年度、5年ぶりに県内のクマの個体数推定調査を業者に委託して実施、来年1月にも結果が出る見通しだ。また、1月から専門家らによる「科学委員会」の会合を開き、意見を計画に反映させるという。県は引き続き、山で活動をする際はクマに注意し、食べ物や生ごみなどを放置しないよう呼びかけている。秋田市では今月上旬、市街地にあるスーパーにクマが侵入して立てこもり、従業員が負傷した。クマの生態に詳しい岩手大学の山内貴義准教授は「暖かい気候が続くと、冬眠に入る時期が遅くなるクマもいる。春の目覚めが早くなるクマもいる」と指摘した。

(専門家が明かすアーバンベアの進化)
12月2日、秋田市内のスーパーに侵入したクマは捕獲された。市役所や県庁には相変わらずクマ駆除に反対する抗議電話が相次いだという。抗議の内容を報じた読売新聞の記事によると「山に食べ物がなく、仕方がなく下りてきている」という電話があったそうだ(註)。腹を減らしてやむを得ず街までたどりついた熊を処分するのは可哀想というわけだ。ところが「山に食べ物がない」という認識は事実誤認だとご存知だろうか。秋田県警のSIT(特殊事件捜査係)も出動した“大事件”を振り返っておこう。11月30日の早朝、秋田市土崎港西のスーパーで男性従業員がクマに襲われた。男性は頭を噛まれ、さらに顔などをひっかかれるケガを負い、血を流してうずくまって「痛い」と叫んだ。開店準備を行っていた店員は避難。クマは店内に居座り続け、市は店舗内にクマの好物であるはちみつや米ぬかを入れた箱わなを設置した。そして発生から3日目の12月2日、午前4時ごろにわなのセンサーが反応。午前8時過ぎに警察が店舗内に入り、クマが捕獲されているのを確認した。スーパーは秋田港の近くにあり、周囲には大きな貨物駅や物流倉庫、ホテルや観光施設が林立する完全な市街地だ。市内の森林地帯から数キロは離れており、これほどの都市部をクマが自由に歩きまわった衝撃は大きかった。民放キー局は現場周辺の地図を紹介し、どれほど森林地帯が遠いのか視聴者に訴えた。Xでも「これほどの距離を森から歩いて来たのか」と驚きの声が投稿されたが、タイトルで触れた通り“専門家”は異なる見解を持っている。作家で、日本ツキノワグマ研究所の理事長を務める米田一彦氏は、秋田大学の教育学部を卒業し、秋田県庁に入庁すると生活環境部自然保護課に勤務した。86年に退職して以降はクマの研究家として全国各地を調査し、その知見を積み重ねた。米田氏は全国のクマの動向について最新の情報を得ている。さらに秋田県はなじみの深い場所だ。土地勘が豊富な米田氏に今回の“大事件”について見解を訊いた。「テレビなどの報道を見て、『山にエサがなく、冬眠前の腹ごしらえのため市街地のスーパーに現れた』と受け止めた方は少なくないでしょう。ところが今年は全国の山間部でドングリなどクマの食料は豊作なのです。東北や北海道も例外ではなく、今年の9月以降、クマが出没したという通報は全国的にぴたっと止まっていました。そうした中、今回のスーパー立てこもりが起きたわけですが、問題のクマは体長が1・1メートル、体重が69キロあったそうです。1メートルの熊なら体重は40キロ前後が一般的です。およそ倍の体重ですから、それほど猛烈に太ったクマだったのです」山間部は確かに豊作だ。とはいえ通常の倍以上に太るのは尋常ではない。はち切れそうなクマの体から「森に住んでいたクマが数キロ歩いてスーパーに来た」という可能性は低いことが導き出される。「もともと都市部で生活していたクマ」だと判断すべきだという。「昨年の冬、秋田県や福島県などでは母グマと子グマが一緒に行動している姿が相当数、目撃されました。母グマは捕獲、駆除されたのですが、かなりの子グマが残されたようです。赤ん坊グマは母グマを見失ったところで母グマを待つ習性があり、東北各地で昨年の初冬期に体長50センチの子グマが出没し続けたのです。今年の春に各地の都市部郊外で50センチのクマが目撃されたのは、そのためです。このような状態から近年、秋田市の郊外では若いクマが常在するようになり、いわゆる北海道で言う『アーバンベアー』のような都市型のクマが増えています。こういうクマは広島県や島根県では80年代から普通に見られました」(同・米田氏)。テレビ局など一部の報道機関はスーパーの西側は海が近いためクマは棲息できず、東側は森までの最短距離が数キロあると解説、スーパーの付近はクマが出没するような場所ではないと指摘した。だが、これも事実とは異なる。初夏に若いオスグマが大移動することがあるが、基本、夏に見たクマは、その近くで生まれており、その場所が故郷だ。この夏、秋田市から潟上市にかけて多数のクマが目撃されており、もはや海岸部も常在化しているという。「秋田市の湾岸地帯は木が生い茂っている場所があり、クマは頻繁に発見されています。またスーパーの北側には県立博物館があり、この周辺は自然が豊富です。子グマなら人に見つからず、越冬も可能でしょう。つまり母グマとはぐれた子グマが博物館周辺など市内で年を越し、秋になって天王地区で果樹などを食べた可能性が指摘できます。そしてクマが『森に帰ろう』と判断するのは気温の低下を感じ取ってからです。今回の秋田市のスーパーに侵入したクマは、9月から秋田市北西部の金足地区、天王地区で多数目撃されており、11月末から悪天候、具体的には平野部が積雪に覆われる前に東側に連なる大平山系に向かって移動を始めたのですが、車や交通体系に阻まれて移動できなくなり、南側に見える高清水公園を目指したと思われます」(同・米田氏)。東に向かうべきところを間違って南下し、スーパーを見つけて店内に入ってしまったということのようだ。2010年代では人を恐れないどころか、「人間は食べ物」と学んでしまった「新世代クマ」の出現が注目された。2020年代に入ると、北海道を中心に人間の生活圏に出没する「アーバンベア」が脚光を浴びた。米田氏は、さらに新しいタイプのクマが出現する可能性が高まってきたと指摘する。「アーバンベアは都市部に近接する森林地帯から住宅地などに移動してきたクマを指します。それが秋田市のケースでは『都市部で育って成長した』という、いわば“生粋の都会育ちであるクマ”の存在が明らかになりました。実は20世紀末から、山間部の集落では人間と共存する『集落依存型クマ』の存在が明らかになっています。クマが集落から都市部に移動するのは必然だと考えられ、例えば青森県では十和田市と三戸郡、津軽平野への生息の広がりが顕著で、弘前市内に出没したり、八戸港で駆除されたりしています。アーバンベアの次は『アップルベア』でしょう。90年代は絶滅の恐れがある広島、島根、山口県の山間地ではクマと住民の共存が図られましたが、現在では人口そのものが消滅して被害の訴えが減り、かえって海岸部での出没騒ぎが目立ちます。今後はクマと都市部の住民を巡って、様々な軋轢が表面化すると考えられます」(同・米田氏)。テレビ局はクマの居座るスーパーにSITが駆け付け、ワナの設置を行う様子を視聴者に伝えた。「なぜ発砲しないのか」と疑問に感じた方もいただろうが、それは専門家も同じだ。「札幌高裁は10月、ヒグマの駆除で建物に向かって発砲したため猟友会の支部長が猟銃所持許可を取り消された問題で、取り消しは適法とする判決を下しました。秋田市のスーパーでSITが対応する様子を私もテレビで見ましたが、判決の影響で現場が萎縮しているのは明らかだと思います。スーパーにクマが居座っているという事態で警察が出動したのですから、この状況で適用されるべき法律は警察官職務執行法でしょう。そして実際に警察官がクマに向かって発砲した事案はあるのです。SITなど県警の警察官がクマに向かって発砲すべき状況だったにもかかわらず、それは行われませんでした」(同・米田氏)。「生息地が拡大しているわけですから、人とクマが接近する機会は確実に増えている。にもかかわらず、私たちはクマが何頭いるのか正確な数字を把握できないまま、クマ問題と対処する必要に迫られています。クマの駆除で猟銃の使用が制限されてきたのは2000年代から始まっています。現場からは『警察に銃の使用許可を求めると、最低でも1時間、ひどい時は2時間半かかった』という悲鳴が上がるようになりました。もちろんクマは動いていますから、1時間も経てば見失ってしまうことも珍しくありません。今、クマの駆除に関する新しい法律やルール作りが話し合われており、来年以降に発表される見通しです。ただ、山間部が豊作の今年に発表されていれば、対応が楽だったと思わざるを得ません。不作と新法律や新ルールの実施が重なってしまうと現場が混乱するのは明らかです。いずれにしても、今後も人とクマのトラブルは続くのは間違いないでしょう」(同・米田氏)。

(猟銃免許取り消されたハンター、上告審に向け新たな弁護団とともに発砲現場に:北海道)
クマ駆除をめぐり猟銃免許を取り消された砂川市の男性が、処分の撤回を求めている裁判。2審で逆転敗訴となった男性が、上告審に向けた準備のため、新たな弁護団とともに発砲現場を訪れました。池上治男さん)「私は人を撃つってことはありえない。ヒグマだけ撃ったんですから」。砂川市のハンター、池上治男さん(75)。2018年、クマを駆除する際、建物側へ発砲したとして道公安委員会から銃を持つ許可を取り消され、道に処分取り消しを求めています。札幌地裁は2021年、池上さんの訴えを認めましたが、道はこれを不服として控訴。今年10月、札幌高裁は「弾丸が跳ね返って建物に到達する恐れがあり周辺にいた3人の生命を危険にさらした」などとして一審判決を取り消し、池上さんの訴えを棄却しました。池上治男さん)「聞いていて考えられない。一般のハンターの人たちは発砲することすらできなくなりますよね」。この判決を受け、道猟友会は自治体や警察がハンターの発砲の責任を負わない場合は、支部の判断でクマ駆除の要請を断ることを認める方針を示しています。池上さんは2審での逆転敗訴を受け、最高裁に上告。自らもハンターとして活動する三重県の弁護士を新たに弁護団に迎え、11日、砂川市の発砲現場で当時の状況などを確認しました。伊藤正朗弁護士)「この状況で跳弾(弾丸が跳ね返る)の可能性と言われてしまうと、抽象的には可能性はあると思いますが、それを跳弾の可能性として捉えられるのであれば、かなりの部分で撃てなくなってしまう」。池上治男さん)「ハンターそのものと銃そのものを発砲できなくなるだろうということを懸念している。だからこれをほっとくわけにはいかないということで、上告して最高裁に判断を求めたい」。

(ミロクが大幅に6日続落し年初来安値更新:高知)
ミロク<7983>が大幅安で6日続落し、年初来安値を更新した。前週末6日の取引終了後に24年10月期の連結業績に関し、最終損益が従来の黒字予想から一転、22億9400万円の赤字(前の期は4億8100万円の最終黒字)で着地したようだと開示した。期末配当予想は8円減額の2円に見直しており、ネガティブ視されたようだ。24年10月期の売上高は計画を7億8200万円下回る109億1800万円(前の期比8.2%減)で着地したもよう。猟銃事業では受注は堅調だった一方、製造工程の不具合発生などが響いた。工作機械事業は主要部門の販売が予想を下回った。加えて、猟銃事業を手掛ける子会社で固定資産の減損損失として16億6900万円を特別損失に計上。繰延税金資産2億3900万円の取り崩しも赤字幅を拡大させる要因となる。年間配当予想は前の期比33円減配の12円となる。

(後志の猟友会4支部、ヒグマ駆除協力へ:北海道)
ヒグマの駆除要請を巡り、北海道猟友会(札幌)が全支部に自治体や警察との連携が不十分な場合、各支部の判断で出動を拒否するよう通知する方針を決めたことに対し、後志管内の支部の大半は「住民の安全を守るため拒否できない」との考えを示している。発砲判断がハンター任せとなっている現状があり、複数の支部が「警察が現場で責任を持って対応してほしい」と訴えている。

(中高生アスリートへの補助金、県ライフル射撃協会が目的外使用:福岡)
不参加なのに交通費?日帰りしたのにホテルの領収書――?五輪出場などが将来期待される高校生アスリートに対し遠征費などを補助する福岡県関連の事業をめぐり、県ライフル射撃協会(飯塚市)が対象選手のために補助金を使わず、目的外使用していたことがわかった。開会中の県議会一般質問で12日、新開崇司県議(維新)に尋ねられ、寺崎雅巳教育長が答えた。事業は、2017年度に始まった「トップアスリート育成強化事業」。県教育委員会が事務局を務める県選手強化推進実行委員会から、指定選手1人あたり年間15万~40万円を各競技団体を通じて助成される。指定選手の大会参加費や交通費、宿泊費などが対象だ。県教委などによると、目的外使用が認められたのは少なくとも20年度の1年間で、当時県立高校のライフル部に所属していた選手2人に対し助成された40万円。そのうち、少なくとも約13万円分について、協会側は指定選手が出場していない大会の交通費を申請するなど誤った報告をしていた。また、実際に選手が出場した大会であっても、選手側に交通費や宿泊費を渡していないケースも約23万円分あった。県教委は、協会担当者の認識不足が原因と説明。すでに協会から実行委や選手側に返金したという。複数の関係者によると、19年度でも同様の目的外使用があったという。協会理事で、部の顧問を務めていた50代男性教員は、取材に対し、「指定選手個人のために使うという認識がなく、消耗品など部のために使った」と説明。県教委に指摘されるまで誤った認識のままでいたといい、着服目的は否定した。一方、参加してもいない大会も申請していたことについては、20年度当時新型コロナ禍で大会参加が少なかったことを挙げ、「申請額が少ないと協会幹部に叱られることが嫌だった」と話した。選手2人は当時、多くの大会に自費で参加していたといい、不審に思って県教委に問い合わせ発覚した。1人の選手の保護者は「家計をやりくりしながら競技を続けさせてきた。協会は反省し、適切な会計に努めるべきだ」と話した。

(野生鳥獣による県内農作物被害、過去10年で最少の2億4900万円:和歌山)
イノシシや鹿など野生鳥獣による和歌山県内の2023年度の農作物被害額は、過去10年で最少の約2億4900万円(前年度比95・3%)だったと、県が公表した。被害額は1998年が過去最大の約5億円だったが、当時と比べると半減している。県のまとめでは、イノシシ、鹿、猿、アライグマは「主要4獣種」とし、被害額のおよそ84%を占める。中でもイノシシの被害額が最も高く9328万円だった。鹿が5348万円、猿が3736万円、アライグマが2359万円だった。猿とアライグマによる被害額は前年に比べて減少したものの、イノシシと鹿は横ばいだった。イノシシの被害額について、20年度は1億2868万円だったが、21年度は9177万円まで減少し、22年度は9314万円と微増した。作物別の被害は、果樹(76%)、野菜(12%)、水稲(6%)と続いた。県鳥獣害対策課によると、被害額が減った要因として捕獲や防護柵設置などの対策が進んできたことを挙げる。加えて担当者は「豚熱(CSF、豚コレラ)が流行し一時的にイノシシの個体が減ったことも要因だ」と指摘する。ただ、流行が収束して再び個体が増えているとし、引き続き対策は必要という。一方で、和歌山市は今年度の鳥獣被害について、イノシシの捕獲数が前年度より大きく増加していると発表した。市街地での被害が多くなっているとして対策を強化している。市によると、今年4月から11月までの捕獲数は1059頭で、前年度1年間の636頭を大きく上回った。豚熱が収まった影響で、減っていた個体数が以前に戻ってきているという。市は対策として、狩猟免許を持つ職員らでつくる「鳥獣被害対策実施隊」が、防護柵設置の指導などを強化しているという。尾花正啓市長は6日の定例会見で「市街地でイノシシが発見されることは大変な状態。出没を防止するため捕獲を強化する」と述べた。

(今年度のクマ出没、近年最多の166件:滋賀)
滋賀県内で2024年度、クマの出没が11月までに166件あり、15年度以来最も多くなっている。県は、京都府、福井県と共同で生息状況を調査し、広域で保護・管理する方向で協議している。6日の県議会一般質問で、九里学県議(無所属)の質問に、中村達也・県琵琶湖環境部長が明らかにした。県によると、調査を始めた04年度以降、目撃件数と捕獲件数を合わせた出没件数が最も多かったのは10年度の322件。14年度に168件で、それ以降は160件を下回っていた。人身被害は2件あった19年度以降、報告されていない。今年度の166件の市町別では高島市88件、大津市47件、長浜市22件、栗東市4件、甲賀市3件、米原市2件。湖西地域でドングリなどの実りが悪かったため、高島市や大津市での出没件数が多くなったのではないかという。クマは県境を越えて分布するため、3府県が連携して24年度に調査し、その結果を踏まえ25年度に管理方針を決めるという。環境省のガイドラインに基づき、「コア生息地」「緩衝地帯」「防除地域・排除地域」などとゾーニング管理の考え方を採り入れ、人の生活圏とクマの生息域をすみ分けることを目指す。県内のツキノワグマは、東日本と西日本の地域個体群の重要な中継地点になっているという。生息数は現在、米原市と長浜市(一部)に分布する湖北個体群164頭、高島市、大津市、長浜市(一部)に分布する湖西個体群152頭と推定され、近隣府県に比べ少ない。県は「クマの地域個体群の安定的維持」と「人身被害の回避と生活環境被害・農林業被害の低減」を目的とする計画をつくり、保護管理を進めている。

(クマの目撃件数過去最多で県が目撃地点のマップを公開:山梨)
今年度の県内でのクマの目撃件数が過去最多となり、今月6日には、けが人も出る中、県はホームページ上でクマが目撃された地点を示すマップを公開して、注意を呼びかけています。県のまとめによりますと、今年度の県内でのクマの目撃件数はすでに300件を超え、年間の件数が最多だった2019年度の210件の1.5倍にのぼっています。今月6日には、笛吹市の山中で20代の男性が襲われて太ももなどに軽いけがをしました。こうした状況を受けて、県は先月下旬からホームページにクマの目撃された地点を示すマップを公開して注意を呼びかけています。マップは、今年度の目撃地点をまとめたもののほか、過去5年度分についても公開されています。今年度のマップでは、目撃地点が黄色い三角形で表示されていて、直近1か月の目撃はより目立つ赤色の三角形で表示されています。三角形の部分をクリックすると具体的な日時や頭数などが確認できます。県によりますと、ことしは暖冬の影響でクマが冬眠に入る時期が遅れている可能性があるとして、山沿いなどで活動する際にはあらかじめマップで目撃された地点を確認して、警戒してほしいと呼びかけています。

(深刻な野生動物の農業被害、捕獲後の活用は:群馬)
群馬県では、野生動物による農業被害が深刻化していて、中でもシカによる被害は全体の4割を占め、県は駆除を強化しています。こうした中、捕獲した命をどう活用するかが新たな課題となっています。県内で始まった取り組みを取材しました。みどり市の米農家の星野邦夫さんの田んぼでは毎年収穫期になると、シカが稲を踏んだり、穂をかじったりするなどの被害が相次ぎます。その被害は田んぼ全体のおよそ4分の1に及び、年間の損失は数十万円になるといいます。深刻化する被害に対して、県が強化しているのが被害を加える野生動物の駆除です。狩猟の担い手を増やすなどした結果、昨年度のシカの捕獲数は5年前より40%増加し、その数は1万3000頭余りにのぼっています。しかし、捕獲した動物の活用という新たな課題も出てきています。野生動物の命をただ奪うだけとならない取り組みが必要となっているのです。こうした中、県はこの夏にシカをはじめとする野生動物の肉を活用するための研修会を初めて開きました。研修会には狩猟関係者などおよそ40人が参加し、食肉にするのに適した捕獲方法や食中毒を防ぐための衛生管理のしかたなどを学びました。県ではこうした研修会を継続的に開き、ジビエの活用を促していくことにしています。群馬県 蚕糸特産課 鳥獣害対策係 下平ひとみ 係長「有害鳥獣捕獲による一層の鳥獣被害の軽減が期待されることから、県では野生鳥獣肉、いわゆるジビエの利活用を進めています。正しい知識を持っていただいて、利活用が拡大していけばと考えています」。県内で始まったシカ肉の活用。中には、すでに商品化にこぎ着けたケースも出ています。みどり市で飲食店を経営する久保陽一さんが開発したのは、シカの肉を使ったレトルトカレーです。低カロリーで高タンパクなシカ肉ですが、商品化に向けて課題となったのは、独特のにおいでした。しょうがや香辛料の量などを工夫した結果、癖のない食べやすいカレーに仕上がりました。この日は、店で月に1回開いている子ども食堂を手伝ってくれた小学生などにカレーをふるまいました。久保さんの取り組みを後押しする動きも広がっています。みどり市では、シカ肉の食材利用を促すため、カレーをふるさと納税の返礼品にするなど販路の開拓を支援することにしています。また、久保さんらは、カレーの売り上げの一部を市内の障害者や子ども食堂の支援に充てることにしているということです。群馬県 蚕糸特産課 鳥獣害対策係 下平ひとみ 係長「ジビエを活用したいと考えている市町村・捕獲者もいます。新たな食肉加工処理施設の建設や事業者の販路拡大の支援など、群馬県産ジビエの利活用拡大に向けた取り組みを行っていきたいです」。東京電力福島第一原子力発電所の事故後に続いていた野生のシカ肉の出荷制限が、限定的に解除されたのが去年の夏。そこからおよそ1年がたち、ジビエとしての活用も始まっていますが、流通量の不安定さや人材育成など課題が残っています。捕獲した野生動物をどう役立てていくのか。今後のさらなる取り組みに注目していきたいと思います。

(クマ対応の「地域力」向上に必要なこと:横山真弓 兵庫県立大学教授)
日本のクマ類の生息状況は、この20年間で大きく変化した。そして今、もしかすると人がコントロール不能になる「増えすぎのフェーズ」に入っているかもしれない。この変化を読み解くために少し、時代を遡りつつ説明してみよう。日本の多くの野生動物が明治から昭和初期までの乱獲により、絶滅の危機に瀕し、ツキノワグマも数を減らした。森林環境も1950年代までには、はげ山となるほど日本人は木材資源を使い果たし、野生動物が生息できる環境も極めて少なくなっていた。その後、捕獲を規制したことで、東日本のツキノワグマは生息数が回復した。しかし、九州では絶滅、四国も20頭以下と今でも存続が危ぶまれている。近畿や中国地方では、90年代までに絶滅の危険性が深刻化したが、野生動物の保護管理による被害対策や地域個体群の安定的な存続などを目的とした「特定計画制度」が99年に発足して以降、保護を中心とした西日本の府県の挑戦が始まった。兵庫県では2003年以降、可能な限り捕殺を減らすため、集落に侵入した個体であっても一度麻酔で眠らせ、個体識別のためにマイクロチップを挿入して学習放獣(集落を忌避するよう人間の怖さを覚えさせてから山へ返す)を行い、クマの行動修正を試みる取り組みを開始した。行動が修正できず、再び被害を与えた場合にのみ捕殺し、シカやイノシシの罠に捕まった場合、錯誤捕獲として放獣する体制を整えた。こうすることで、年間の捕殺数を10頭以下に抑えることに成功した。現場での対応を日々行う中で、徐々にその個体数が回復していることを感じ取っていたが、明確に生息数が増加に転じていることが判明したのは、10年度の大量出没時のデータを分析した時であった。従来「クマ類は繁殖力が弱い」「増えにくい動物」といわれていたが、それらは海外のデータによるもので、日本のデータは得られていなかった。兵庫県のデータからは、シカと同等とまではいかないが、年によってはそれに匹敵するほどの増加力を持ち、寿命も長く、順調に個体数が回復していることが明らかとなった。このままでは増えすぎてしまう恐れがシミュレーション結果から読み取れたのである。そこで、推定生息数の中央値が800頭を上回った際には、政策転換、つまり増加する分を捕獲し、800頭前後で維持する管理へと舵を切った。また急激な増加を抑えるために、12年からは学習放獣を取りやめ、集落内に侵入する個体は、初めて捕まった場合でも殺処分する方針に転換した。ただし集落に誘引するものをなくす被害対策を行っていることが条件である。推定値が800頭を上回る事態は、すぐにやってきた。15年度にはその域に達し、16年から狩猟の部分解禁、17年からはゾーニング管理(集落周辺に配置されているシカ・イノシシ用の箱わなにクマの捕獲許可も出すことができる)を開始した。いわゆるアーバンベア(人慣れ問題個体)を減らす取り組みである。山の中に十分なクマが生息しているため可能となる対策でもある。これらの取り組みにより兵庫県では、19~20年度に100頭以上の個体を殺処分しなければならなかったが、22年度以降は、大胆な行動をするクマが激減し、生息数の増加も抑えることができた。23年度は兵庫県もドングリ類の凶作年だったが、秋の大量出没は起こらなかった。しかし、24年現在は、ドングリ類の大凶作に見舞われ、出没や捕獲数が過去最高の記録を更新中である。ただ、人の生活圏近くで捕獲される個体が多いものの、深刻な被害は抑えられている。もしかしたら我々の予想よりも多くのクマがいるのかもしれない。これらの判断はデータが出そろうのを待つ必要があるが、野生動物との共存には、こうした試行錯誤を日々行う人材が必要である。クマ類の対策は、これまで被害対策が重要とされてきた。西日本では、柿や栗の木が人家周辺や田畑周辺に植えられていることが多く、生息数が少なかった時代でもこれらの実が放置されているとツキノワグマが出没する要因となった。被害報告を分析すると被害の7割以上が柿の木であった。そこで、人が利用しない場合は実を早めに収穫したり伐採したりする被害対策に取り組んできたが、ツキノワグマが出没する集落には、その大きさにかかわらず総じて200本ほどの不要果樹が存在していた。それらを一掃するには費用と時間がかかる上、巨木化してしまうと地元では対応できない場合も多い。  さらに近年問題となっているのは、分布が拡大したことにより、クマが生息していなかった地域での被害が増えている点だ。こうした地域では、クマを集落に誘引しないようこれから対策を始めなければならない。範囲が広がってくると、誘引物管理や防護柵といった対策だけでは、もはや集落環境を守り切れなくなるという懸念が強まる。被害防除対策についても発想を転換し、新たな防除方法を開発していく必要性を強く感じている。個体数管理においても、全国的に増加が著しい状況にある今、捕獲目標や捕獲上限などを検討し、クマを適切に捕獲する技術が必要となる。現状では既存の狩猟者に有害捕獲を依頼する取り組みを行っているが、地域の狩猟者の高齢化はすさまじく、またクマ類の捕獲に慣れていない狩猟者も多い。趣味で狩猟を行う狩猟者に行政的な捕獲を任せるのではなく、専門性を兼ね備えた捕獲者が必要となり、後述するような鳥獣対策員という中山間地域の新たな職種を生み出す必要がある。いずれにしても、個体数管理だけ、被害防除だけという発想では、クマ対策は進まない。それらは対策の両輪であり、どちらも進めていく地域力が日本の中山間地域には必要である。加えて、人口減少社会においても生物多様性を保ちながら豊かな農山村を守り育てていく知恵が求められている。昨年度の深刻な人身事故などを受け、クマ類の指定管理鳥獣への追加による予算化や市街地に出没した際の対応に関する法律改正など、国レベルでの検討が進められている。大きな枠組みでは、転換期を迎えているといえるだろう。しかし法制度改正や交付金事業が効果のある対策として現場まで落とし込まれるためには、道のりは遠いと言わざるを得ない。それは、管理を担う自治体に野生動物管理の枠組みをプランニングし、運用する人材を配置するという考えが不足しているからである。農業・林業の普及員、土木系技術員、獣医師のような職種は法律で配置を義務付けられているが、鳥獣関係では、そのような法制度はない。つまり、どんなに制度が変わり予算が配分されても、何をすべきか、どこを対策優先地域とすべきかといった計画を考え、実行する人材がいなければ現場は動かないし、現状を変えることもできない。都道府県にはどのような職員が求められるのだろうか。まず重要な役割は、県域もしくは個体群ユニットという大きなエリアの生息と被害状況を把握し、データと解析結果を読み込んで、軋轢を低減するために何をすべきかという管理方針を定めることである。つまり科学的なデータを収集・蓄積し、適切な分析を行う科学行政官が必要だろう。また、市町村レベルで対応が困難なことへの支援も重要な役割である。市町村の場合は、速やかに住民の安心安全を確保する義務があるため、すぐに駆け付け、出没予防や出没時の具体的な対応力が求められる。このような現場対応が可能な鳥獣対策員がいる市町村も徐々に増え始めているが、クマ類に対応可能な人材は限られている。しかし、市町村に1人でもいれば住民の安心安全は飛躍的に保たれる。今後の地方はますます人口が減少し、集落環境を維持することが難しくなる。土地利用のグランドデザインを考え、どのように野生動物たちの力を押し戻していくか─。今まさにそのことを考えていくためにも現場対応の職員が出動し、現場で何が起きているのか情報を蓄積していくことから始めなければならない。鳥獣対策員をこれからの中山間地域での重要な職種とすることで、地域の魅力づくりにも一役買うのではないかと思う。理想としては、都道府県レベルに「科学行政官の配置」、市町村レベルに現場指導を行う「鳥獣対策員の配置」が必要と考える。これは本来、いわゆる鳥獣保護管理法に基づく特定計画を実現するために必須であるが、特定計画制度発足以降、実現している自治体は非常に少ない。必ずしも野生動物に関する専門知識を学んでいなくても、科学的思考ができる人材を配置し、業務を通じた訓練を充実させることで実現することは可能である。これまでの行政官はジェネラリストが求められてきたが、発想の転換と人材配置が喫緊の課題である。これを野生動物対策の現場から始めてみてはどうだろうか。

(県議の対応に支持多数「想像力を働かせろください」:秋田)
秋田県議会議員の宇佐見康人氏が2024年12月8日、秋田市内のスーパーマーケットで男性従業員を襲い、店内に立てこもったクマが捕獲・処分された件をめぐるクレームについてXで明かした。「激励や心配のお声を沢山頂いてますが私はとっても元気です!」。報道によると、クマは11月30日に秋田市内のスーパーマーケットで作業中だった従業員の男性を襲い、店内に立てこもった。12月2日に捕獲され、その後電気による殺処分が施された。宇佐見氏は2日にも「こんなアレなメールが来ましたが、スーパーに籠城していた熊は無事に捕獲されました」として、自身に寄せられた苦情のメールを公開していた。「熊を生かすことを考えず、殺すことしか考えない野蛮な議員だとは思いませんでした」「もう少し人間以外の山に生きる者たちの命を大切に考えてください」などと訴えるもので、同様の苦情は宇佐見氏のみならず、秋田市にも届いていたという。報道では、クマの殺処分をめぐる苦情の電話やメールが複数あったとしていた。宇佐見氏は8日、情報・ワイドショー番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)で本騒動が取り上げられたことを受け、改めて投稿を行った。「ワイドナショーでも熊クレーマーの件が取り上げられてたそうです。激励や心配のお声を沢山頂いてますが私はとっても元気です!」。「市街地熊でも一頭たりとも駆除反対の人からは『分断を煽るな』と電話を頂きましたが」と具体的なクレームについて明かした上で、「分断防止のためにあなたたちが想像力を働かせろください。現場からは以上です」とまとめた。宇佐見氏の訴えには、「仮に分断を煽ってるなら、マスコミですし、勝手に分断されてるのは熊保護派ですからねぇ」「秋田県の愛誤への対応の仕方が見事!」など、毅然(きぜん)とした対応を支持する声が多い。宇佐見氏は、自身に寄せられたリプライにも反応している。「スーパーに食糧が生えてくるとでも思ってるんやろ」とのツッコミには、「これギャグでもなんでも無くて、去年のクレーマーにいましたよ」「家の裏の山で栗拾い中に熊の事故があった高齢者がいたんですが、その時に関東圏の女性から『わざわざ山で熊の餌の栗を拾ってまで食べるなんて賤しい。お店で買えば良いでしょ!』って真面目に電話きました」と返答する。「県民上げて総反撃するしかない気がします」との声には、「そうですね。彼ら(クレーマー)は自らの(歪んだ)正義を盾に、今まで反論されない人を相手にするか、反論してきたら訳の分からない論理でもっと騒いで、妄想を事実化させてきました。そうさせないためにもしっかりと反論する事が大事ですね」と今後も厳しい対応をとっていきたいとしている。

(屋久島で鳥獣害対策学ぶ:鳥取)
湯梨浜町の湯梨浜学園は、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)プログラムの一環として森林保全プロジェクト研修を3日間の日程で行った。高校2年生が屋久島(鹿児島県)を訪れて国有林での公益的機能の維持や向上への取り組みを学んだり、サルやシカの足跡や食痕、わななどを調べたりして、鳥取県の鳥獣害対策との違いについて理解を深めた。世界自然遺産エリアでは野生生物の生態を衛星利用測位システム(GPS)で調査したほか、屋久島の地質や、気候の特性や植生、野生動物の特徴を学習。固有種のヤクシカやヤクシマザルの採食行動などを間近で観察し、個体数の増加によって希少植物への被害が深刻化している状況を把握した。映画「もののけ姫」の舞台とされる白谷雲水峡では、原生的な照葉樹林地表がシダやコケで覆われており、海岸と山頂で気温が変化することよって植生が変わる様子や、シカなど有害鳥獣の減衰を確認した。県内のシカを研究している中川大空さん(16)は「鳥獣害対策について、鳥取と屋久島のわなの大きさや仕掛ける場所の違いに納得した。食害があるから駆除するのではなく、適切な個体数に戻すことが大切だと学んだ。人間と動植物が共に暮らすために動植物のことも大切に考えたい」と話した。

(放任果樹の伐採増加、クマ出没で市民に危機意識:富山)
砺波市内で今年4~11月にクマ出没対策のため伐採された柿の木など放任果樹が約40本となり、2023年度の35本を上回っている。

(スギやヒノキ幼木、シカ食害が拡大:岡山)
岡山県内でシカによるスギやヒノキの幼木の食害が後を絶たない。県内の人工林(国有林を除く)は大半が伐採に適した樹齢50年を超え、25年以下の若齢林は5%といびつな樹齢構成。

(イノシシ捕獲、年間1673頭:鹿児島)
鹿児島市街地で近年、イノシシが頻繁に出没しており、箱わなによる捕獲頭数は2023年度、1673頭に達した。過去10年で最も多く、同年以降、住民がかまれるなどの被害が4件発生。市は警戒を呼びかけている。市生産流通課によると、現在、山に近い住宅地など市内45カ所に箱わなが設置されている。捕獲頭数は21年度1344頭、22年度1530頭と増加傾向。捕獲されたイノシシはほとんどが埋設処分される。目撃情報も21年度54件、22年度119件、23年度175件と増えている。24年度は11月末までに167件の通報があった。人的被害は23年11月以降に発生。原良や明和で、小学生を含む住民がかまれたり、後ろから激突されたりしてけがを負った。同課の新留直哉課長は「遭遇したら静かに距離を取り、安全を確保してほしい。刺激を与えると襲われかねないので、スマートフォンなどで写真を撮るのは絶対にやめて」と話した。

(鳥獣被害、増加傾向に:和歌山)
和歌山市は、今年度の市内のイノシシやアライグマなどの鳥獣被害の状況を発表した。被害の相談件数が増加傾向にある一方で、イノシシの捕獲頭数はすでに1千頭を超えており、過去最多に迫るペースとなっている。市街地や住宅地でも目撃情報が寄せられており、市民に注意を呼びかけている。市によると、今年4~11月に寄せられた目撃情報や農作物や農業用水路などへの鳥獣被害に関する相談の件数は、385件(イノシシ123件、アライグマ176件、タヌキなど86件)だった。すでに令和4年度(368件)や5年度(383件)を上回るペースだ。一方、イノシシの捕獲頭数は今年度11月末までに1059頭に上る。4年度(783頭)や5年度(636頭)を上回り、過去最多だった2年度の1220頭に迫っている。主に山間部で発見されているが、市内の中心部や住宅地で遭遇したというケースもあったといい、市民からは「危ないのではないか」などの意見も寄せられている。今年度に人がけがをしたという報告は、現時点で入っていない。市は平成25年から職員らによる「鳥獣被害対策実施隊」を立ち上げ、農家に防護柵の設置のしかたを指導したり、鳥獣が寄ってこないように出荷しない傷物の農作物の管理方法についてアドバイスをしたりしている。今年は被害相談などの連絡が多く寄せられ、実施隊の出動機会も増えているという。また市では、「刺激を与えない」「(イノシシの赤ちゃんの)ウリ坊にも注意」「エサを与えない」などと、イノシシに対して気を付ける行動などを示したチラシを作成するなどして注意を呼びかけている。

(シカなど鳥獣被害増加、対策連絡会議開く:北海道)
宗谷地域野生鳥獣対策連絡協議会が10日、宗谷合同庁舎とオンラインで開かれ、エゾシカやヒグマ対策の現状などについて報告があった。市町村、北海道猟友会などから出席した44人を前に、武田くらし・子育て担当部長は「野生鳥獣の農林被害は令和4年度、全道で約58億1000万円、管内は5600万円と前年より増加している。頻発するヒグマの市街地への出没が相次いでいるなど、野生動物との軋轢が地域の暮らしや産業に対し影響を与えており対策して行かなければならない」などと挨拶した。このあと、振興局(環境生活課)から、エゾシカによる農林被害が右肩上がりの状況にあり、管内では令和5年度の農林被害額が3000万円(前年2600万円)と増加傾向にあり、来年度は全道で18万5000頭を目標に捕獲したいとし「子を産むメス個体を主体に捕獲していく必要性がある」などと説明した。アライグマによる被害は令和5年度、稚内市で2150万円の農林業被害があり、捕獲数は448匹。ヒグマは管内では枝幸を中心に1393万円の被害があり、管内では今年度、これまでに326件の出没報告があり、過去5年で最多であることなど報告された。高橋洋孝北海道猟友会南宗谷支部長による「最新の野生鳥獣対策~無人航空機(ドローン)を駆使した浜頓別町の現状と対策」と題した講話もあった。

(モンスターウルフ、全国に250台:北海道)
全国的にクマの被害が拡大する中で、オオカミの外見に似た野生動物撃退装置「モンスターウルフ」が注目を集めている。赤外線センサーでクマなどの野生動物の接近を察知すると、発光ダイオード(LED)が激しく点滅。銃声や犬の鳴き声などを発して威嚇する。北海道の町工場が開発した撃退装置に、各地から問い合わせが寄せられているという。

(クマ襲来で甚大な被害の養蜂園、クラファンで再起へ:兵庫)
クマ襲来による被害から再起するために、兵庫県宍粟市の養蜂園が、今月1日からクラウドファンディングを立ち上げています。そのいきさつなどを、同園の代表に聞きました。たなか養蜂園(宍粟市一宮町)の代表、田中啓介さんが養蜂を始めたのは、約10年前。美しい景観と、自然の豊かさから、宍粟市がミツバチの飼育に適していると感じ、2つの巣箱から徐々に規模を拡大。「Shinobee Honey」ブランドとして、ミツバチの育成、はちみつの生産や販売などを行っています。そんな中で、以前から、同園の周辺では、クマの目撃情報が多発していたそう。「猟師さんからも、『今年は天候などの関係でどんぐりが不作状態になっているため、山から下りてきて農作物を荒らす被害が増加している』という話を聞いていました」と田中さんはいいます。転機が訪れたのは、今年の9月11日。養蜂園の見回りをしている際に、田中さんは、クマによって荒らされている巣箱を発見しました。春から翌年度にかけて、はちみつ搾りができるように育成してきた数十群のミツバチが全滅したり、電気柵が押し倒されたりするなど、甚大な被害を受けてしまいます。当時の心境について、田中さんは「クマの被害を受けたのは初めてだったということもあり、ショックで5日間ほどは何も手を付けられませんでした。事業をやめようかと思うこともありました」と振り返ります。それでも、再び立ち上がることができた理由は、周りからの“声”でした。「顧客の方からの『来年もはちみつを食べたい』という言葉や、友人・生産者仲間からの激励に押し上げてもらうような形で、前を向くことができました」(田中さん)。クラファンを開始するため、9月末にページを立ち上げ、2か月をかけて入念に準備を行い、12月1日から支援者の募集がスタートしています。返礼品の中には、新たに導入する巣箱に企業・個人名を刻印できるコースの他に、2025年度や被害前に採取したはちみつを受け取ることができるコースなどがあります。12月10日昼時点で、目標金額を上回る330万円以上が集まっており、支援者も130人を超えています。同園のはちみつのファンだけでなく、他業態で同じ“生産者”として活動している人も参加しているそうです。「今回のプロジェクトがきっかけで、たなか養蜂園のことを知ってくださった方々の期待に応えていきたい」という、田中さん。「ミツバチは自然環境の中において必要不可欠。森林・田畑・農園を守っていくためにも、はちみつを通じて自然環境に興味を持ってもらいたい」と、養蜂を守り続けるべく、前を向いていました。

(小学校近辺の空き工場内に成獣のクマ、出てきたオス1頭を駆除:福井)
12月9日午前7時50分ごろ、福井県大野市城町の民家敷地内にクマの足跡のようなものがあると住人から大野署に通報があった。猟友会などが追跡調査し北東に約100メートル離れた同市要町の空き工場敷地内で足跡を見つけ、約2時間半後に建物から出てきたクマを駆除した。けが人はいなかった。市によるとクマは体長1・3メートル、体重100キロの雄の成獣で推定年齢は7歳。同市街地でクマの出没が確認されたのは今年初。市によると、大野署から連絡を受けた市職員と猟友会会員が民家で足跡を確認し付近を捜索。午前8時35分ごろ、空き工場の敷地で足跡を見つけ、同署が周辺道路を封鎖した。工場内に潜んでいる可能性があるため爆竹を鳴らしながら捜索し、同10時15分ごろ、建物から出てきたクマを確認し、猟銃で駆除した。空き工場から北約400メートルには下庄小、南西約400メートルには有終西小がある。両校は保護者にメールで連絡したり、教員が付近を巡回したりした。

(イノシシ、駅近くで車と接触:石川)
冷たい雨が降るまだ暗い県都金沢の玄関口周辺をイノシシが迷走した。8日午前3時半ごろ、金沢市本町1丁目の県道で、体長約1メートルのイノシシ1頭が車と接触した。現場は金沢駅まで約400メートルで、明け方にかけて同じ個体とみられるイノシシの目撃情報が市中心部で相次いで寄せられた。専門家は餌を探して都市部に迷い込んだ個体とみられるとし、生ごみを外に放置しないなど刺激せずに対応するよう注意を促した。金沢東署によると、イノシシは本町1丁目の県道を走行中の車に接触、衝撃でバンパーは破損したという。その後、午前4時41分に彦三町2丁目、6時31分に下堤町、直後に上堤町交差点付近と市中心部でその姿が確認された。署員や市職員が周辺を巡回したものの、9日時点で見つかっていない。金沢駅近くで出没が目撃されるのは珍しく、本町に住む80代女性は「70年近く暮らしてきたが、イノシシが出たのは初めて」と驚いた。市農業水産振興課によると、成獣となったイノシシが単独行動していたとみられる。担当者は「近くに餌場となる山もなく、どこに行ったかは全然分からない」と困惑した様子だった。市中心部では10月19日、幸町の犀川・桜橋近くの河川敷で体長約1メートルのイノシシが目撃されている。8日未明には、野々市市中心部でもイノシシ1頭が目撃された。けが人はおらず、市が防災メールで注意を呼び掛けた。市によると、午前0時半ごろ、通行人が三納3丁目の三納交差点で目撃し、同1時ごろに1・5キロほど離れた本町1丁目でも目撃された。市は同じ個体とみている。県立大・大井徹特任教授 野生動物の生態に詳しい石川県立大の大井徹特任教授は金沢駅近くに出没した個体について「卯辰山方面から浅野川沿いを移動してきたか、小立野台地の緑地から金沢城公園に抜けて来た可能性がある」と指摘。森の周囲で餌を探していたところ、例えば車や散歩中の犬に驚き、森の外に出てきたことが想定されるとした。大井特任教授によると、イノシシの交尾期は11月中旬から2月ごろまでで「雄であれば雌を求めてウロウロしていたのかもしれない」とした。市街地にも畑でダイコンやネギが育てられており、柿の木などもイノシシを引き寄せるという。金沢のまちなかは飲食店が多く、生ごみなどをあさるうちに都市部に入り込んだケースも考えられ、「イノシシを近づけないためには生ごみを外に放置しないことが大事だ」と強調した。近年、イノシシは個体数が増加し、それに伴って生息域も拡大、市街地周辺の森に潜む個体も多くなっているという。大井特任教授は「驚かせると攻撃してくるかもしれない。見掛けても大声を出さず、建物の中に入って役場や警察に通報してほしい」とした。

(手負いのイノシシ処理のため、中国自動車道の一部区間で一時通行止め:広島)
広島県警高速道路交通警察隊によりますと、12日午前11時頃、中国自動車道で手負いのイノシシ1頭が見つかり、処理のため、東城IC~庄原ICの上下線が一時通行止めとなりました。通行止めは、1時間12分後の午後0時12分に解除されました。時折イノシシの出没が見られる区間ということで、警察では運転に注意して欲しいとしています。

(市街地にクマ出没、空き工場内から出てきたところを捕殺:福井)
9日午前10時20分ごろ、大野市要町の旧酒造会社の敷地でクマが見つかり、猟友会によって銃で捕殺されました。けが人はいませんでした。大野市によりますと、9日午前7時50分ごろ、近くの住民から「敷地内にクマの足跡のようなものがある」と警察に通報があったものです。その後、猟友会のメンバーと市の職員らが追跡を続け、午前8時半過ぎ、足跡が確認された場所から北東に100メートルほど離れた、かつて蔵元だった会社の敷地内で足跡を発見したということです。建物内に潜んでいる可能性があったことから、警察と猟友会のメンバーが爆竹を鳴らしながら、建物内に入ったところ、クマが驚いて出てきたもので、クマはその場で銃で捕殺されました。市によりますと、クマは大人のオスで、年齢は7歳ぐらいとみられています。一連の対応のため、周辺の道路は午前8時半過ぎから封鎖されました。

(高速道路を横切っていたクマ、車にはねられ死ぬ:秋田)
11日午前5時半頃、秋田県大仙市南外の秋田自動車道下り線で、同市の30歳代男性の乗用車が、道路を横切っていたクマをはねた。クマはその場で死に、約10分後、同市の20歳代男性のライトバンがクマに乗り上げた。いずれもバンパーが破損するなどしたが、けが人はなかった。県警高速隊の発表によると、クマは体長約1メートル。この事故の影響で、秋田道下り線の大曲インターチェンジ(IC)―協和IC間が約1時間半、通行止めとなった。

(JR千歳線で快速エアポートがシカと衝突:北海道)
JR北海道によりますと、JR千歳線の上野幌~北広島駅間で、新千歳空港行き快速エアポート146号がシカと衝突しました。この影響で午後5時30分現在、一部列車に遅れが出ています。快速エアポートは、千歳駅で発生した停電の影響で午後6時までに63本が運休し、札幌駅のバス乗り場には空港に向かう観光客らが長い列を作りました。午後4時すぎに運転再開されましたが、影響が続いていて、JRはホームページなどで運行状況を確認するよう呼び掛けています。

(「シカだと思った」死亡ひき逃げ事件で逮捕の男:山梨)
8日、山梨県北杜市で高齢の男性が車にはねられ死亡したひき逃げ事件で、警察は59歳の男を逮捕しました。男は「シカだと思った」などと供述し事故車両で出勤していました。日の出前の国道を走る1台の車…。この車はおよそ500m手前で死亡事故を起こしたとみられ、走り去る様子を防犯カメラが捉えていました。容疑者は8日午前4時過ぎ、北杜市高根町の国道141号で軽乗用車を運転中、81歳の男性をはね、そのまま走り去った疑いがもたれています。男性ははおよそ8m下の市道に転落したとみられ、死亡しました。警察は現場に残された車の破片や防犯カメラの映像などから容疑者の容疑が固まったとして、8日に逮捕しました。捜査関係者によりますと容疑者は事故を起こしたあとその車両で出勤し「人にけがをさせたとは思わなかった」と容疑を一部否認し、「シカだと思った」などとも供述しているということです。警察は勤務先から事故車両を押収し事故の原因などを調べています。

(住宅地にクマが出没、猟友会がいったん捕獲して山に放す:滋賀)
米原市南部の能登瀬(のとせ)地区で10日午前10時半ごろ、体長50~60センチの子グマ1頭が住宅の敷地内にいるのを住人の男性が見つけ、110番した。約4時間後、JR坂田駅から約1・5キロ南の飯(いい)地区の天野川沿いで、地元の猟友会メンバーらが捕まえて市北部の山に放した。けが人はなかった。市や米原署によると、子グマは山から迷い込んだとみられ、住宅地を含む地域を抜けて西に移動。川の土手沿いでうずくまっていたところを捕獲された。数日前から市内の杉沢、長岡地区などでも子グマの目撃情報があった。

(クマ駆除、連続出没の個体か:富山)
朝日町は11日、同町桜町の小川橋周辺の河川敷で成獣のクマ1頭を捕獲し、駆除したと発表した。職員が午前9時20分ごろ、仕掛けた捕獲用のおりに入っているのを確認した。周辺は住宅地が広がり、4~7日と9日にもクマが出没しており、同じ個体とみられる。駆除されたクマは体長70センチ25キロの雌だった。近くの河川敷ではカキの木に登っているクマが目撃され、町や入善署が警戒していた。現場は北陸自動車道朝日インターチェンジ(IC)の近くに位置する。

(小倉智昭さんは“クレー射撃”仲間、高木ブーが追悼)
フリーアナウンサーの小倉智昭さんが亡くなったことが10日、分かった。享年77歳。これを受け、生前に親交があったドリフターズ・高木ブーが自身のインスタグラムを更新し、追悼コメントを発表した。テレビ東京(旧東京12チャンネル)のアナウンサーとしてキャリアをスタートさせ、独立後はナレーター、そして1999年から2021年まで『とくダネ!』の司会としておなじみだった小倉さん。晩年はがんとの闘病生活に入り、自身の経験をメディアを通して発信していた。高木は「また一人、友達が逝ってしまった、小倉智昭さん」とさみしそうな書き出しで、小倉さんとの2ショットを公開。小倉さんとの仲について高木は「共通の趣味である『クレー射撃』を通じてのお付き合いでした」「『芸能文化人ガンクラブ』でも一緒に色々と活動しました」と説明。さらに「ある所でバッタリお会いしたのが、最後となってしまいました。その時、お互いに身体に気をつけて、頑張ろうとエールを送り合ったことを憶えています」と最後のやり取りを明かし、「心よりご冥福をお祈りします」と、故人を偲んでいる。

(ヒロミ「射撃の道具は大事にしています。本当に残念」)
タレントのヒロミ(59)が10日、日本テレビ系「DayDay.」(月~金曜午前9時)に出演。9日に77歳で亡くなったフリーアナウンサーの小倉智昭さんについて、思い出を語った。2人には「射撃」という共通の趣味があった。ある日、楽屋を訪れた小倉さんは「射撃をやらなくなったからこれ、使って」と道具などを渡したという。ヒロミは「大事にしています。本当に残念です」と語った。小倉さんは16年にぼうこうがんを公表。がんは肺や腎臓、骨盤、腰椎にまで及び、今月に入って髄膜への転移も確認されたという。闘病しながら、数々のテレビやラジオの番組にも出演し、時には自身の病状も明らかにしていた。

(全道で「エゾシカフェア」:北海道)
害獣を魅力ある食材に!全道で動きが進んでいます。その食材とは、市街地にも出没して社会問題にもなっているエゾシカです。飲食店だけではなく、スーパーでも売られるなど広がりを見せ始めています。レア気味に焼かれたエゾシカのロース肉にかかっているのは、ハスカップの酸味が効いたソース。2024年12月10日から全道で始まった「エゾシカフェア」。札幌市内のこちらのホテルでも、エゾシカ肉を使った料理が提供されました。ほかにも低温調理されたものやチーズをふんだんに使ったラザニアもーいずれもエゾシカ肉が使われています。このイベントは、エゾシカ肉の魅力を広く知ってもらおうと道が始めたもので、期間中は道内およそ100の飲食店でエゾシカ肉を使った料理が提供されます。(道 高杉聖エゾシカ担当課長)「将来的にはエゾシカという名前ですし、北海道を代表するブランドのひとつとして確立していきたい」。いま社会問題にまで発展しているエゾシカの市街地出没。推定生息数は年々増加し、2023年度は過去10年で最多の73万頭となりました。農業被害はおよそ48億円にのぼり「害獣」とも呼ばれることがあります。しかし、年間捕獲数はおよそ15万頭と駆除は追いついていません。食肉などの利活用率は3割に満たず、ほとんどが廃棄されています。やっかいモノのエゾシカをもっと身近な食材にーこんな取り組みも始まっています。札幌市東区のスーパーで売られていたのは、パック詰めされたエゾシカ肉。ばら肉や肩肉、もも肉など価格は100グラム200円から300円です。なかには3キロ近いブロック肉も。しかし、家庭食材としてはまだまだハードルが高いようです。あまり知られていませんが、実はエゾシカ肉は鉄分豊富で高タンパク、さらには低脂肪とヘルシーな食材です。家庭でもおいしく食べてもらおうと、こちらのスーパーではカレーやローストなどの調理方法も紹介していました。(アレスパ美香保店 瓜谷健一店長)「エゾシカが増えているので買って消費してもらうことが一番。社会問題として(生息数が)減るので。少しでも買ってもらえるようにPRしたい」害獣を魅力あるそして身近な食材にー全道をあげて有効活用する動きが広がっています。

(ジビエ消費を、スタンプラリー実施:岡山)
ジビエ(狩猟肉)を使ったメニューを提供する岡山県内の飲食店や加工品を扱う道の駅などを巡った人に抽選で賞品を贈る「おかやまジビエスタンプラリー」が開かれている。農作物に被害を及ぼすイノシシやシカの捕獲数が増加する一方、ジビエとしての利活用が進んでいない現状を踏まえ、消費拡大を図ろうと県が企画した。来年1月31日まで。岡山、倉敷、津山市など12市町村の計39店舗が対象。ぼたん鍋やシカ肉ソーセージといったジビエ料理を注文したり、ジャーキーなどの加工肉を購入したりした際、店に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取ってスタンプを集める。応募はがき付きのチラシにスタンプを押してもらうこともできる。スタンプを2~4個集めると、数に応じてジビエレザーのキーケース(1万1千円相当)、しゃぶしゃぶ用のシカ肉(3500円相当)などが当たる抽選に1人1回限り応募できる。県によると2023年のシカ、イノシシによる農林被害額は計1億1956万円。捕獲に対する助成制度の浸透もあり、22年度は計約4万6千頭(前年は計約4万1千頭)が捕獲された。ただ、施設で食肉用に加工されたのはそのうち8・3%にとどまる。県鳥獣害対策室は「ジビエに親しんでもらえるよう各店舗では多彩なメニューが用意されている。ぜひ多くの人に食べてもらいたい」としている。

(地元産の鹿肉で保存食作り:三重)
松阪市香肌小学校の5、6年生8人が、地元産の鹿肉を使った保存食作りに挑戦した。地元の食材を利用し、災害時には防災食としても活用できるものを作ることで、地域産業の掘り起こしにつなげたい考え。中西祐司教頭(50)は「子どもたちが、少しでも防災に意識を持って、何かを考えるきっかけになれば」と話す。授業は、夢に向かって努力や挑戦をする子どもに応援金を交付する松阪市の「羽ばたけ子どもたち!チャレンジ応援事業」の一環。6年生でつくる「香肌が変えるTKB」が応募し、採択されていた。

(ジビエ利用に解体技術学ぶ:鳥取)
有害鳥獣対策の一環として若手狩猟者を育成する「鳥取県ハンター養成スクール新人ハンターコース」の本年度最後の講習が8日、鳥取市鹿野町内であった。

(愛知産ジビエPRイベント・担い手育成研修:愛知)
「愛知産ジビエ」への関心を高めてもらうため、県内2か所の産地直売所へ出店し、「愛知産ジビエ」を使った商品の販売及びPRを実施します。 この機会に堪能してみては?愛知県内処理加工施設従事者向け研修会を実施します。愛知県は中山間地域を中心に問題視されている野生獣のジビエ利用を推進しています。処理加工施設従事者の技術向上のため、新たに処理加工に従事される方、現在従事されている方を対象に、県内施設及び県外施設にて処理加工、衛生管理の研修を行います。愛知県では、愛知産ジビエを中山間地域の地域資源の一つと位置付け、愛知産ジビエの販路拡大、また処理加工施設従事者研修会を行うことにより、野生獣被害防止対策、中山間地域の活性化に寄与し続けます。

(カラスが食べられる“ジビエ焼肉店”が登場:東京)
産地直送の炭火焼ジビエ「焼山」が中目黒にオープン。産地直送ジビエ肉を、シンプルに香味野菜とともに炭火焼きで楽しめる。渋谷カフェブームの火付け役「宇田川カフェ」をはじめ、さまざまな飲食業態を展開するLD&Kが手がける産地直送ジビエ焼肉専門店。ジビエとは、フランス語で“「狩猟」によって捕獲された野鳥やイノシシなどの野生鳥獣の食肉”のこと。大分県の湯布院にある自社工場「九州狩猟肉加工センター」より、産地直送で独自に仕入れるため、品質のよいジビエを手軽な価格で楽しめる。さらに、流通の関係で市場に出回ることの少ない鳥獣食肉の希少部位などもバラエティ豊富に取りそろえる。

(『猪骨ラーメン』高校生が考案し試食会:富山)
氷見高校の生徒がイノシシの肉を使ったラーメンとジャーキーを考案し、12日試食会が行われました。完成したのは氷見高校の農業科学科3年生が開発した豚骨ならぬ「猪骨ラーメン」と「イノシシ肉のジャーキー」です。ラーメンのチャーシューは肉を圧力鍋で柔らかく煮込んでその煮汁をスープに使用しています。また、ジャーキーは氷見産のキウイとみかんの果汁に漬け込むことで食感を柔らかくする工夫がされています。氷見高校の生徒たちは農作物に被害をもたらすイノシシの肉を活用しようと2015年からイノシシカレーのレシピ開発に取り組んでいて、今回は、猪骨を使用したメニューとして考えたということです。生徒たちは今後もレシピの改善に取り組んでいくとしています。

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12/10
(罠から外れた“体重150キロの”イノシシ、鋭い牙で猟友会の男性襲い逃げる:愛知)
6日、愛知県豊田市の公園で、猟友会の男性が野生のイノシシに襲われケガをしました。愛知県によりますと、6日午前11時ごろ、豊田市の「愛知県緑化センター・昭和の森」で、猟友会の男性3人が、罠にかかったイノシシを仕留めようとした際、イノシシの足が罠から外れ、このうち男性(73)1人が襲われて右の足首からヒザにかけてケガをしました。イノシシは推定で体長が150センチ、体重が150キロとみられ、そのまま公園内の森に逃げたということです。一夜明けた7日午前に、猟友会らが改めて公園内を捜索したところ、右の後ろ足に傷を負ったイノシシを見つけて捕獲し、殺処分しました。愛知県は、処分したイノシシは、逃げたイノシシと同じとみていますが、引き続き公園内での巡回と注意喚起を行うことにしています。

(公園で猟友会の男性襲ったイノシシか?捕獲・殺処分される:愛知)
愛知県豊田市の公園で6日に猟友会の男性を襲ったイノシシと同じとみられるイノシシが7日見つかり殺処分されました。愛知県によりますと6日、県が管理する豊田市西中山町の公園で、猟友会の男性3人が罠にかかったイノシシを仕留めようとした際に、イノシシの足が罠から外れ、このうち73歳の男性が襲われました。イノシシは牙で男性の右足を切りつけるなどし、そのまま公園内の森に逃げたということです。7日、猟友会らが改めて公園内を捜索したところ、後ろ足をケガしたイノシシを見つけて殺処分しました。県は、このイノシシは6日に逃げたイノシシと同じとみていますが、引き続き、公園内での巡回や注意喚起を行うことにしています。

(山で測量中にクマに襲われけが:山梨)
6日、山梨県笛吹市で20代の男性がクマに襲われ、太ももなどに軽いけがをしました。市は、周辺の住民に注意を呼びかけるとともにパトロールを強化しています。県によりますと、6日正午ごろ、笛吹市御坂町の御坂トンネル付近の山中で29歳の男性がクマに襲われ、太ももや足首に軽いけがをしました。男性は山の斜面の測量を行っていて、近くにあった巣穴とみられる穴からクマが出てきたということです。クマは捕獲されておらず、市は周辺の住民に注意を呼びかけるとともに、地元の猟友会とパトロールを強化することにしています。ことし、山梨県内でクマに人が襲われてけがをしたのは2件目です。県によりますと、今年度の県内でのクマの目撃件数は先月末までで305件に上り、過去最も多かった2019年度の210件を大きく上回っています。県は、ことし9月から旧ツイッターのXでクマの目撃情報を配信しているほか、先月からは出没した場所を示した地図をホームページで公開して注意を呼びかけています。

(石破首相、クマ対策強化に意欲)
石破茂首相は6日の参院予算委員会で、各地で相次ぐクマ被害を踏まえた対策強化に意欲を示した。出没時に対応するハンターに関し「数が足りなくなってきている。高齢化が進み、報酬も十分でない」と述べ、待遇改善の必要性に触れた。原因を巡り「山が荒れて食べ物がなくなり、人里に人がいなくなり、出没しやすくなった」と指摘。鳥獣が帰れる山をつくり、里山に人が戻るような環境を、長期的に整えることが抜本的な解決につながるとの見方を強調した。

(石破総理「クマ駆除に自衛隊の派遣を検討したことがある」「トラックを改造したジビエカーで下処理しては」)
6日、参議院予算委員会にて石破総理が深刻化しているクマ被害への対策を述べた。秋田のスーパーマーケットでのクマ立てこもりなど、近年は鳥獣被害が頻発、ハンターの不足も深刻化している。これらを受け、立憲民主党・徳永エリ氏は鳥獣被害対策予算の拡充・対策の強化を訴えた。石破総理は「私が防衛大臣だった時に『地形を知悉している自衛隊を出せないか』と提案され、災害派遣なのか訓練なのかなど、法制上の根拠も検討してみたが銃の管理など、難しいところがあった」と述べた。“ハンター不足”への対策については「トラックを改造したジビエカーが向かって、下処理を行い、“かなりいい状態”で売却するなど様々な方法を考えている」と述べた。さらに、背景について「山が荒れて食べ物がなくなり、人里から人がいなくなったことで熊や鹿が出没しやすくなったことが根底にある。やはり鳥獣が帰って行けるような山を作る、里山にも人が戻ってくるような。迂遠なようだが昭和30年代、40年代も鳥獣被害はあったが山はもっと豊かで里山はもっと賑やかだった」と話した。

(野生のイノシシ「豚熱」感染:青森)
県は田子町と新郷村でそれぞれ捕獲された野生のイノシシ2頭から「豚熱」の感染を確認したと発表しました。県内での感染確認は8例目となりました。県によりますと、感染が確認された田子町のイノシシは体長90センチ体重30キロのオスの成獣で、新郷村のイノシシは体長100センチ体重60キロのメスの成獣です。いずれも地域の猟友会がワナや銃で捕獲したもので、中央家畜保健衛生所の遺伝子検査できのう陽性が確認されました。それぞれの発見場所から半径10キロ圏内にある農場では、今のところ異常はないということです。

(クマ駆除巡り賛否200件、「殺すな」「銃で対処を」:秋田)
秋田市で11月、スーパーに入り込んで約2日間とどまったクマを巡り、市や秋田県、県警に「殺すな」「銃で対処を」など駆除の賛否に関する電話やメールが200件以上寄せられたことが9日、分かった。クマは駆除され、市や県は「人命優先の措置で、理解してほしい」としている。市には6日までの集計で電話が113件、メールが63件あった。9割方は駆除に反対する意見で「山に返して」「殺すという発想は極悪非道だ」などの内容だった。逆に「クマと人間は共生できない」と駆除を求める声も寄せられた。担当課は連絡への応対で通常業務に支障が出たとしている。

(秋田のスーパーにクマ出没騒動、猟友会が出動するも引き金を引かなかった理由)
12月2日、秋田市内のスーパーに立て籠っていた体長約1メートルのクマが捕獲された。「このクマは11月30日にスーパーに出没し、男性従業員にケガを負わせた後、2日間以上、店内に留まっていました。12月2日、設置した“わな”にかかっているのが確認され、無事捕獲されました。捕獲後に殺処分されましたが、秋田県や秋田市には“クマを殺さないで”と抗議の電話やメールが殺到したというニュースも話題になるほどでした」(全国紙社会部記者、以下同)。この抗議電話に対し、ネット上では、《かわいそうだけど、殺処分するしかないよね》《また人の生活圏に降りてきて、人的被害が出ちゃうこともあるだろうし、仕方ない》など、クマの処遇に納得する声が上がる一方で、《結局、殺処分するなら、もう少し早く対応できたんじゃないか? 時間かかりすぎでしょ》といった声も散見された。今回、クマやイノシシなどの駆除を行う猟友会も出動していたが、引き金を引くことはなかったという。いったいなぜなのか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生(けんしょう)代表弁護士によると、「今回のようにスーパーに留まっていたクマを駆除するような場合、『鳥獣保護管理法』の38条2項により、スーパーのような多数の者が集合する場所である住居集合地域では猟友会は銃の使用を原則行えません。警察官が『警察官職務執行法』に基づいて指示を出した場合に限り、例外的に銃の使用が可能になります」。害獣駆除業者でもアライグマやイタチなどの対応は可能だというが猟友会が対応できる動物の範囲に関しては、「動物によって対応の業者が異なるのは、猟友会があくまでボランティア団体であり、市など行政の要請に基づいて出動するにすぎず、営利を目的とする駆逐業者とは異なるという団体の性格によるものと思われます。法律上は猟友会が駆除できる動物はクマやイノシシなどの大型動物に限定されているわけではなく、アライグマやイタチを駆除することも可能です」(前出・正木弁護士、以下同)。過去、クマの対応に当たっていた猟友会をめぐって、事件が起こったことも。「'18年8月、北海道砂川市の要請に応じて出動した猟友会の男性に対し、“住宅の方向に向け発砲した”とし、道公安委員会から猟銃所持の許可を取り消されるという事案が起こりました。今回の秋田市の場合も、これに該当する可能性があり、警察は発砲を許可しなかったのかもしれません」(前出・全国紙社会部記者)。こうした問題が起きてしまった理由について、前出の正木弁護士はこう分析する。「背景には、行政が猟友会に駆除を丸投げしていたことや法律に明確な定めがないので、責任の所在が不明確になってしまっていることなどが考えられます。最近では猟友会が市などの要請を拒否する事態が問題となっていますが、現時点では慎重に行動して気を付けることくらいしか打開策がないと思われます。現在、『鳥獣保護管理法』の改正が叫ばれているように、法律を改正し責任の所在を明確にすることが緊喫の課題と考えられます」。人的被害が発生する前に、迅速な対応が取れるように体制を整えてもらいたい。

(市街地のクマ、人命守る対策の再構築を:京都)
市街地へのクマ出没が相次ぐ中、人命をどう守るのか。地域に応じた着実な対策が求められる。今秋も被害が続いている。9月に南丹市で男性が耳をかまれ、京都府内では5年連続で人が負傷している。京都市内でも商店街や小学校近くでも目撃され、滋賀県内での出没も大きく増えている。餌となるドングリなど木の実が不作で、冬眠前に町中へ下りてきているようだ。全国で昨年度のクマによる人身被害は、死者6人を含む219人で過去最悪だった。これを受けて環境省は深刻な被害を及ぼす「指定管理鳥獣」に、クマ(四国のツキノワグマを除く)を追加した。都道府県による捕獲や生息状況の調査が国の交付金の対象となり、モニタリングや実施計画に基づいた捕獲ができるようになった。本年度の捕獲数は、過去最多の約9200頭だった前年を上回るペースという。現状に合う法の整備が課題となっている。秋田市ではスーパーに侵入したクマが2日以上居続け、従業員にけがを負わせた。鳥獣保護管理法では市街地にクマが出没した場合、銃が使えない。警察官が職務執行法に基づきハンターに発砲を命じるが、現場に警官がいるとは限らない。同省は、市街地での猟銃使用を条件付きで認める法改正を目指す。高度な技能を求められる現場で、自治体職員や捕獲者の負担が増えないか。連携を密にし、責任が偏らない仕組みが重要だ。猟友会頼みの駆除体制も見直す時期である。北海道で、市街地近くのヒグマの駆除にあたっていたハンターが建物側に銃口を向けたとし、猟銃所持許可を取り消された。処分撤回を求める裁判で敗訴したことで、道猟友会は自治体の駆除要請に対し「拒否」できるか検討している。既に要請に応じない支部も出始めている。人手不足や高齢化が進み、少ない報酬に加え、出動時は仕事を休むこともあるなど負担が重いことも背景にある。学識者は、自治体が責任を持って駆除やモニタリング、猟友会との調整を行う野生動物管理の専門職を育てるべきと指摘する。それには国の財政支援も必要だろう。一方で、駆除する自治体には「クマがかわいそう」といった抗議が多数寄せられ、捕獲者の萎縮も懸念される。被害と生息環境の実態を共有し、理解を広げたい。

(クマ駆除に抗議する人たちに「圧倒的に欠けているもの」の正体)
秋田県秋田市のスーパーにクマが侵入したのは11月30日。47歳の男性従業員が襲われて頭などを負傷し、クマは2日以上にわたって居座り続けましたが、わなにかかった後に麻酔で眠らされ、その後駆除されたそうです。これらが報じられると、市などに100件を超える抗議の声が寄せられたことが波紋を呼びました。「人間の都合で殺すな」「山に返すべき」「かわいそう」などと抗議する声に賛否があがっていますが、このような現象は今回だけではありません。クマの出没が各地で相次いで報じられ、そのたびに同じような命をめぐる論争が起きています。また、先月末には北海道猟友会が71の支部に「クマ駆除要請の拒否を認める通知を出した」ことが大きく報じられました。これは2018年に同道砂川市のハンターが発砲した際、危険性を理由に猟銃所持許可を取り消された札幌高裁判決を受けたものでしたが、このときにも「クマの駆除」に関する論争が起きました。はたしてクマ駆除の反対派による「命の重さ」「動物愛護」「自然との共生」などの主張は妥当なのか。度重なる論争の本質はどこにあるのか。そして何か悪影響を及ぼしているものはないのか。掘り下げていきます。まず今回のケースに関しては、クマ駆除の反対派による「命の重さ」「動物愛護」「自然との共生」などの主張は、1つの貴重な意見でこそあれ、妥当とは言いづらい感があります。クマがスーパーの商品を食べた可能性がゼロではないこと。少なくとも食べ物の存在を知ったことから、山に返しても再びスーパーを訪れるリスクがあり、住民や店員の不安が募ること。地元では今月数十件の目撃情報があったうえに、捕獲翌日に別のクマの目撃情報もあったなど、ゆったり対応している余裕がないこと。だから秋田県、秋田市、警察が連動して懸命に対応したこと。また、秋田に限った話ではない部分で、このところ市街地に出没したケースが続くなどクマの生息圏内に住む人々の危機感が増していること。山に食べるものがないからではなく、あるときでもおいしいものを大量に食べようと人里に降りてくるなどクマの学習能力が上がっていること。自分たちの命だけでなく、住宅や農作物などの財産も守りたいと思っていること。だから自治体には抗議ばかりではなく、感謝の声も多数寄せられていること。これらの理由から「命の重さ」「動物愛護」「自然との共生」という主張そのものは理解できても、当事者の安全や心境を踏まえると、抗議は行き過ぎのように見えます。そもそも「命の重さ」や「動物愛護」を考えるのであれば、クマの駆除だけをピックアップして当事者に抗議するのはフェアではないでしょう。他にもそれらを訴える案件はあるはずなのに、なぜクマの駆除にそれらの声が大きくなるのか。クマの出没がたびたびニュースになるから命をめぐる主張がしやすいのかもしれませんが、被害に苦しみ、現場で必死に対応している人々に不要な心的負担を強いている感は否めないのです。「自然との共生」に関しても、共生しているからこそクマが出没して被害が出ているのでしょう。本当に自然と共生している地域はわざわざそれを掲げないでしょうし、「もともとあまりクマがいなくて被害が少ない」地域の人ほど、「自然との共生を目指そう」などと掲げるのかもしれません。もしクマが人里に出没したら、「これからも自然と共生していくためにはクマの駆除が必要」と考えるのが自然に見えます。体長1.1メートル・体重69キロのメスで、それほど大きくないツキノワグマだったこと。襲われた男性が軽傷だったこと。本当に商品を食べたのか明らかではないこと。ツキノワグマは植物が主食であること。住宅地のため銃を使わなかったことで「生きて森に返すのだろう」と思わせたこと。クマの駆除反対派の中にはこれらの主張も見られましたが、いずれも論争の本質ではないでしょう。クマの駆除に関する論争が過剰になってしまう最大の理由は、他者への想像力と理解に個人差があること。これが論争をヒートアップさせる要因になっています。「『自分の生活エリアにクマが現れるかもしれない』という状況で安心して暮らせるのか」「もし自宅にクマが入ってきたら、スーパーでクマに遭遇したら、どう対応するのか本気で考えたことはあるか」「自分が大丈夫だとしても、家族、友人、仕事仲間などがクマの出没を不安視していないか」「クマ出没の不安があることでスーパーなどの客足が遠のき、もし出没したら店が閉鎖されて営業ができないなど困ると思わないのか」。これらを自分事として真剣に考えたとき、「命の重さ」という主張はさておき、クマの駆除に抗議できる人は多くないでしょう。意識的かどうかを問わずニュースを見たときの印象や感覚が優先されるほど、他者への想像力や理解が後回しにされていきます。さらにネットの普及で目にするニュースの量が増えたことが、「印象や感覚優先で、他者への想像力や理解が後回し」という風潮を加速しました。1つひとつのニュースを当事者の立場でじっくり考えるのではなく、自分の印象や感覚ですぐに判断を下す人が増え、中でも批判的なものほど瞬発的に発信されやすい傾向があります。そのニュースに関する情報をそれなりに得て、自分なりに学んだうえでの印象や感覚であればいいのですが、瞬発的に抗議の声をあげる人々がそれをしていないのは明白。特にネットニュースは「あまり考えずにコメントしてもいいもの」とみなされがちで、思い込みのような声が目立ちます。だから「他人の命を想像できずクマの命だけを考える」「生かして返せる方法は何かしらある」などと他人事になってしまうのでしょう。今回ネット上のコメントを見ていると、「ウシ、ブタ、ニワトリを食べている人が『クマを殺したらかわいそう』は矛盾している」という声が散見されました。さらに「『かわいそう』と言うなら人間に危害を与えないウシ、ブタ、ニワトリのほうだろう」「畜産にかかわる人々はさまざまな思いを抱えながら日々命と向き合っている」などの声もありました。これらの人々は「他者への想像力と理解がある」と言っていいのではないでしょうか。一方、もし犬や猫を飼ってかわいがっている人がクマに命の大切さを重ね合わせて抗議したのなら想像力が足りないように見えます。たとえば今では少なくなりましたが、野犬が現れて愛犬や自分が襲われたときも同じことが言えるのか。ペットや人を襲うかもしれない野犬を殺処分しなければ誰が世話をして、誰がお金を負担するのか。本当の意味で抗議できるのは「私がやります」と責任を負える人だけなのかもしれません。命をめぐる論争そのものはあってしかるべきものでしょうが、その前提として欠かせないのが、他者への想像力と理解。個人差があるのは当然だとしても、当事者や主張が異なる人のこともいかに考えられるか。自分の主張に偏るほど対立が激しくなり、論争の本質からは外れていくだけに、「抗議するとしてもどんな姿勢で向き合うのか」が重要なのです。クマの駆除に関する今回の論争で最後に1つふれておきたいのが、メディア報道の是非。クマの出没から捕獲、駆除されるまでの推移を報じることにもちろん問題はないでしょう。その一方で残念なのは、「なぜ殺した?」「殺すのは非道」「抗議の声が殺到」などと過激なフレーズを前面に出して対立をあおる記事が少なくないこと。自社の営業利益や記事のスピード感を優先させたこれらの記事がニュースの本質を遠ざけている感は否めません。クマの出没に関するデータ、秋田県の現状、現地住民の声、有識者の見解などが的確に報じられないため、「かわいそう」という抗議の声をあげている人もいるのでしょう。世間の人々がクマに関する情報や学びが足りないのは確かであり、これが前述した他者への想像力や理解の不足につながっているところもありそうです。当事者にとってクマの出没は深刻な問題だけに、「人々に有益な情報を提供する」という本来の目的を差し置いて論争をあおるメディアには怒りを感じているのではないでしょうか。また、ネット上には被害を受けて7日までの休業を余儀なくされた秋田のスーパーを応援する動きも起きているだけに、後方支援するような記事がもっとあってもいい気がします。そしてもう1つメディアが報じるべきは、各地の猟友会が抗議の声に悩まされていること。今回は市や警察が主導で対応したうえに、そもそも住宅地のため銃を使う可能性がなかったことも含め、もし猟友会へ抗議している人がいたらまったくのお門違いでした。その他でもクレーム、無言電話、誹謗中傷、活動妨害などに悩まされているというだけに、猟友会の立場や仕事などの理解が進むような記事も出してほしいところです。クマに対する情報と学びを提供し、猟友会などへの理解を促す……。「命の重さ」「動物愛護」「自然との共生」をめぐる論争が健全に行われるためにメディアの果たす役割は重要でしょう。

(過疎化が広げるクマの生息域、「保護」と「駆除」に苦しむ自治体)
「今年は実がついているのが全然見えないな」。広島と島根、山口の3県にまたがる西中国山地にあり、登山者が多く訪れる三瓶山(さんべさん)(島根県大田市、飯南(いいなん)町、美郷(みさと)町)。9月中旬、島根県中山間地域研究センターの担当者らが、近くの農道から望遠鏡を片手にクマノミズキの実のなり具合を調べていた。センターは毎年秋、ツキノワグマの餌になるクマノミズキの実などが豊作かどうか調査している。結果をもとに、クマの人里への出没を予想する。今年度の調査で、ブナやミズナラなど一部の木の実が凶作だったことが明らかになった。例年よりもクマが人里に出没する可能性が高まっているとして、注意を呼び掛けている。かつては絶滅の危機に直面して、環境省のレッドリストに登録され保護されてきた西中国山地のツキノワグマは近年、人里に相次いで現れるようになり、地元の自治体は対応に頭を悩ませる。その中で、広島と島根、山口の3県は「人命を第一に対策する必要があるが、保護と管理の両にらみでいく」(島根県鳥獣対策室)との立場だ。3県は生息数の調査結果を踏まえて、年間に駆除できる頭数の上限を決めている。2012~16年度が80頭、17~21年度が94頭、22年度以降は135頭。

(県と警察、猟友会らがクマの出没に対応する訓練:栃木)
県内でクマの目撃情報が増加している中、関係機関が適切な対応をしようと、那須塩原市で5日、小学校にクマが現れたことを想定した訓練が行われました。栃木県が初めて実施したクマ出没対応訓練には、県や自治体、警察や猟友会などからあわせておよそ80人が参加しました。小学校でクマを目撃したという、住民からの通報を受けた警察官が、那須塩原市や猟友会などに連絡を取るまでの流れを確認しました。その後、現場に駆け付けた警察官や猟友会のメンバーが、グループを作って捜索し、小学校の校庭のプール付近でクマを発見しました。クマが見つかると、猟友会などが爆竹を使って山へ追い払いました。また、付近が住宅地で追い払いも困難なケースを想定して、警察官の指導で猟友会が銃を使用し、クマを射殺する手順も確認しました。最後に参加者たちが、クマを捜索中に遭遇した時に使用する、クマ追い払い用のスプレーとロケット花火の練習も行いました。県によりますと県内では今年度11月末までに、クマの目撃情報が248件寄せられていて、昨年度1年間の142件を100件以上上回り、過去10年で最多となっています。人がけがをするなどの人身被害は、日光市で2件発生しています。

(ムクドリにお手上げ、追い払うと果樹に被害:福島)
街中から追い払っても果樹に被害が出る―。ムクドリの大群が福島市中心部に押し寄せている問題を巡り、市は対応に苦慮している。かつて追い払いを試みたが、果樹が食い荒らされた。気温の高さなどが影響し、市街地に居座る期間も延びている。ふんや鳴き声の騒音に悩む住民は解決を求めるが、関係者は抜本的な対策が見つからず「打つ手がない」と嘆く。市内のムクドリ被害は20年ほどに及ぶ。市によると、一時はJR福島駅東口でも確認されたが、最近は福島市太田町方面をねぐらに6月から秋ごろにかけて1日当たり約6千羽が飛来するという。市は2020(令和2)年9月、花火やスピーカーなどを使った大規模な追い払いを実施した。羽数が減るなど一定の効果はあったものの、その後、大笹生や瀬上町などの農家から梨やブドウの食害の報告が寄せられた。市は時期から考えて、市中心部から去ったムクドリが原因とみている。季節によっては、モモやリンゴなどに影響が出かねず、同様の対策には二の足を踏む。さらに、ムクドリの居座りが長期化している。市によると、昨年は10月上旬に姿を見せなくなったが、今年は12月に入った今も上空を飛び回っている。5日夕には、各方面から集まった50羽ほどのムクドリの小さな群れが太田町周辺の上空で合流した。空を覆うほどの大群に膨らみ、「ビャービャー」とけたたましい鳴き声を上げながら葉が残ったケヤキの木にひしめくように降り立った。市内の50代女性は「鳴き声に恐怖を感じる」と不安げに空を見上げ、近くに住む会社員岡崎由修さん(23)は「歩道にふんが多く落ちている」と不快感をあらわにした。同市でムクドリの追い払いを指導した信州大名誉教授の中村浩志さん(77)は「秋の気温が高かった影響でねぐらとなる木の落葉が遅れている。福島と同じことが全国でも起きている」と指摘。「ムクドリが集まる初期の数百羽の段階で徹底的に追い払い、市街地にねぐらをつくるのを諦めさせるなど習性を変えさせるしかない」と語った。太田町のケヤキの木は県県北建設事務所と市環境課が管理しており、地元町内会と協議して解決方法を考えたいとしている。ただ、市の担当者は「ムクドリはカメムシを食べる習性もある。追い払った結果、別の被害が起きる恐れもある」と対策の難しさを語る。野鳥の生態に詳しいNPO法人野鳥の会ふくしま副理事長の増渕翔太さん(33)によると、ムクドリは猛きん類などの外敵から身を守るため、秋から冬にかけて群れをつくる。日中は田畑で虫や植物の種子などの餌を探し、夕方に天敵の少ない市街地の街路樹に戻ってくる。対処法について「木を伐採する方法もあるが、群れが別の場所に移動するだけで根本的な解決は難しい」と語る。その上で「拍子木や花火など、さまざまな追い払いを組み合わせて地道に取り組むほかない」との考えを示す。ムクドリによる被害は福島市以外でも起きている。郡山市の開成山公園や会津若松市の会津若松駅前にある商店街などでは、騒音やふん害が確認されている。会津若松市では音や光を発する装置を使った追い払いを試みたが、目立った効果は得られなかったという。ただ、両市とも11月ごろには群れが姿を消しており、福島市ほど被害は長期化していない。

(イノシシ・アライグマなど 被害相談が急増:和歌山)
和歌山市では今年度、イノシシやアライグマなどによる被害相談件数が急増していて、市が警戒を強めています。これは、今日の定例会見で尾花正啓市長が発表したもので、今年度、市に寄せられたイノシシやアライグマなどの被害相談件数は先月末までで385件と、昨年度の383件を超えました。また、先月末までに捕獲されたイノシシは1059頭で、昨年度1年間の636頭を大きく上回っているほか、アライグマも388頭と昨年度1年間の341頭を上回り、特にイノシシの捕獲頭数は過去最多となった令和2年度の1220頭に迫っています。イノシシは、東山東地区や市北部の中山間地域での捕獲が多く、農作物への被害や農業用水路の一部破損などの報告も寄せられていて、市の農林水産課内で、狩猟免許を持つ職員や非常勤職員でつくる鳥獣被害対策実施隊が、農家に防護柵の設置に関する指導を行っているほか、パトロール回数を増やすなど警戒を強めて対応しています。これまで人的被害はないということですが、犬と散歩中の女性が住宅街周辺でイノシシに遭遇したとの情報も寄せられていて、市では、イノシシに出会った際は刺激を与えず後ずさりしながら静かに立ち去るなどの対応を呼びかけています。

(シカと車の衝突事故増加:兵庫)
兵庫県北部の但馬地域で今年、シカと車が衝突する物損事故の件数が、例年より増加している。但馬地域の3警察署に届け出があった1~10月の合計で、シカとの事故が416件発生した。2023年の通年実績(389件)をすでに上回っており、前年同期(308件)と比べて約1・3倍に増えている。このままのペースで推移すれば年間で500件に迫る勢いだ。日没が早まり、まもなく雪の季節となるが、警察署などは徐行や日暮れ前からのハイビーム利用などを呼びかけている。豊岡署によると、1~10月に管内で起きたシカとの事故は204件と、前年同期に比べて1・4倍に拡大した。23年は通年で181件だったが、このうち1件はシカと衝突したとみられる事故で、バイクに乗っていた男性が命を落とした。南但馬署管内では1~10月が91件(前年同期比1・2倍)、美方署管内も121件(同1・3倍)と多く、いずれも前年実績をすでに上回っている。警察署などによると、シカと車の接触は夕方から明け方にかけて頻発するという。このため、日が傾いて視界が悪くなり始める午後4時ごろからのライトの点灯を呼びかける。また、事故の届け出は最寄りの警察署よりも110番通報を推奨する。衛星利用測位システム(GPS)で事故の地点をいち早く確認できるからだ。シカとの接触が増えているのは、生息域の分散が考えられるという。豊岡市の有害鳥獣主任対策員、岡居宏顕さん(55)によると、わなや狩猟の脅威にさらされる山中から、安全に過ごせる河川敷や市街地の近くに移動しており、道路に飛び出しやすいという。豊岡市でも河川敷での捕獲などを進めている。特に発情期の9~11月は、雌を求める雄が見通しのいい道路などに立ち尽くすことがあり、車と接触するケースが考えられる。積雪シーズンでも、除雪で表出した草や融雪剤などを食べたりなめたりしに来るため、油断は禁物という。但馬獣医師会は、但馬地域で野生動物が車にひかれた「ロードキル」の件数を2013年から5年ごとに調査している。同会による昨年の調査(22年10月~23年9月)でも923件が発生し、うちシカが601件(65%)と全体の3分の2を占めていた。国道、県道、町道の管理者にロードキルの件数を尋ね、動物がひかれた場所を1件ずつ地図に落とした。シカが死んだ交通事故を市町別に見ると、豊岡市が230件で最も多く、香美町139件▽養父市119件▽新温泉町60件▽朝来市53件-と続く。13年の調査では、タヌキが350件(34%)で、シカが248件(24%)だったが、18年にはシカ547件(46%)、タヌキ189件(16%)と逆転。23年はシカがさらに増え、タヌキは107件(12%)に減少した。調査を担当した同会の大西英剛さん(77)=香美町村岡区日影=は「ロードキルの件数は動物の生息数と比例する。近年シカの増加は但馬北西部で著しく、調査結果からもその傾向がうかがえる」と話す。また、シカとの交通事故が増える一方で、在来種のキツネやテン、イタチ、ウサギの件数は減少。森の下層植生を食べ尽くすシカの急増がほかの動物の生態系にも影響を与えている可能性があるという。動物との衝突はほとんどが夜間に発生し、香美町村岡区長板や養父市関宮など、長い下り坂で起きやすいという。スピードを出した車と山際から飛び出したシカが衝突するケースが多いとみられる。

(林道入口のイノシシ・シカ用の罠にクマ:三重)
三重県は、依然として県内でツキノワグマの出没が相次いでいることから、一部の地域で、新たに「クマアラート」注意報を発表しました。これまで、熊野農林事務所管内では熊野市、御浜町、紀宝町に出していた「クマアラート」注意報を11月30日に一度は解除したものの、管内での目撃情報が基準値を超えたため、再び、注意報が発表されることになりました。3件の目撃情報はいずれも熊野市で、今月2日には、国道の道路脇でクマが目撃されたほか、今月4日と5日には、林道の入り口付近に設置されていたイノシシやシカを捕獲するための罠(わな)に、クマが入っているのが確認されました。三重県内では、今年4月から12月5日までにクマの目撃件数が153件あり、過去最多だった昨年度の40件の約4倍近くに増加しています。現在、県内で発表されているクマアラートの注意報は、伊賀市、松阪市、伊勢市を除く26市町に発表されています。

(クマ対策の日米の違い、学ぶべきことは?)
民間の「野生動物保護管理事務所」に所属する大西勝博さん(42)は米国に15年間滞在し、野生動物管理学の博士号を取得しました。大学の研究機関で経験を積んだ後に帰国し、いま、日本の大型哺乳類の獣害対策から施策立案まで携わっています。クマをめぐる米国の現状や日本との違いについて話を聞きました。――まずは米国で生息するクマをめぐる状況を教えてください。米国には、アメリカクロクマ、ハイイログマ(グリズリー)、ホッキョクグマの3種が生息しています。クロクマだけで約34万頭(2021年、アラスカ州を除く)がいます。米国でもクロクマの数が急速に増えて問題になっています。特に東海岸北部では生息域が拡大し、農業被害や住宅街への出没が急増しています。

(爆増する外来種「キョン」にダニのリスク?:千葉)
シカ科の外来生物「キョン」に寄生するダニが、人間に感染症を引き起こす病原体を保有している恐れがあるとして、千葉県御宿町が対策に乗り出す。近年、キョンは南房総で爆発的に増加。感染症のリスクはこれまで重視されていなかったが、先月の町議会で採択された住民らの請願をきっかけに、注意喚起や駆除の強化を検討している。「最近、キョンが民家のすぐ近くまで侵入するようになってきた。ダニ媒介感染症のリスクは高まっている」。請願を提出した中心メンバーの1人で同町の吉野哲朗さん(66)は、こう危ぶむ。キョンはもともと、中国や台湾に生息していた小型のシカ。県の資料などでは、1960年代以降、勝浦市のレジャー施設で飼育していた個体が逃げ出し野生化したとされる。生後半年程度で妊娠する繁殖力の高い動物で、現在は県内に7万頭以上が生息する。2000年代以降、農作物を荒らす被害が問題に。人への警戒心が薄く、御宿町では「自宅前のプランターの花が食べられた」といった侵入例も報告されている。

(シカの食害で荒廃、地元企業が3千万円を寄付:滋賀)
電子部品メーカー「湖北工業」(本社・滋賀県長浜市高月町)はこのほど、滋賀県米原市に3千万円を寄付した。市は、ニホンジカによる食害で斜面の荒廃が進んで土砂災害を招いている伊吹山での植生復元プロジェクトに役立てる。同社は、6月に市が選定を発表した米原駅東口周辺開発の事業者の一つで、寄付は市の「企業版ふるさと納税」を通じて11月14日付で行った。このほど市役所で贈呈式があり、同社の石井太社長が角田航也市長に寄付金の目録を手渡した。角田市長からは感謝状などが贈られた。石井社長は「伊吹山の危機的な状況を知って寄付を申し出ることにした。名峰の美しい景色や生態系の復元を願っている」、角田市長は「いただいた寄付を有効に活用してプロジェクトの取り組みを進めたい」と話した。

(車とシカの衝突多発場所、一目でわかるポスター登場:京都)
「鹿(シカ)でるで~」。こんな文字の羅列に四方を囲まれた京都府丹後半島の地図。車とシカの衝突が多発する場所にはシカをかたどったマークを重ね、注意を呼びかけるポスターがお目見えした。シカとの事故は、観光客が多く訪れる宮津市の天橋立や伊根町周辺でも相次ぎ、昨年より増加。約7割は国道176号や178号で起きているとか。ポスターは京都府警宮津署員がデザインし、発生の場所や多さが一目で分かるよう工夫した。同署「スピードを落とし、ライトの活用が事故防止につながる」と話している。

(諏訪信仰に迫るドキュメンタリー映画「鹿の国」完成:長野)
諏訪信仰をテーマにした映画「鹿の国」が完成し、年明けから県内外の映画館で順次公開される。農耕と狩猟が密接に関わる諏訪大社の四季の祭礼、神事を追ったドキュメンタリー作品。厳冬期に行われた中世までの「御室(みむろ)神事」を視覚的に再現し、信仰の根幹やいまも生きる祈りの姿に迫った。作品は諏訪地方観光連盟の「諏訪シネマズ」に認定。6日、認定式に出席した監督の弘(ひろ)理子さんは「諏訪の風土の力で映画ができた。他にはない諏訪の地の魅力が広がっていけば」と期待した。諏訪大社が全面協力し、諏訪信仰を研究する北村皆雄さん=伊那市出身=が代表を務める映像制作会社ヴィジュアルフォークロア(東京)が制作。スワニミズムや大昔調査会などの応援を得て、2021年秋から約3年かけて全編を県内で撮影した。元旦の蛙狩(かわずがり)神事や、鹿の頭の剥製をささげて豊穣を祈る春の御頭祭など四季の祭事を記録。自然風景や人の暮らしを交えながら諏訪信仰が根付く様子を伝える。「諏訪では鹿、贄(にえ)、狩猟と農耕の神事が密接に関わり四季を通して重なっていく」と弘さん。「大社が持つ四季の神事が、この土地の人々の心の核にあると強く感じた」と話す。中世上社の最重要神事とされた「御室神事」は、わずかに残っている儀式の記録から再現に挑んだ。茅野市泉野の農閑期の作業小屋「穴倉」を竪穴の「御室」に見立て、精霊ミシャグジを内部に降ろして豊作や豊穣を祈る芸能の場面を収録。県内の小学生が生き神の大祝(おおほうり)、神使(おこう)を演じた。諏訪シネマズの認定は8作目となる。諏訪市役所で行われた式には弘さん、北村さんらが出席。同連盟の金子ゆかり会長(諏訪市長)は「御室の神事を映像にしたのは初めてのこと。諏訪地域にとって特別で大事な映画」として認定証を贈った。岡谷スカラ座では来年1月3日から公開される。5日夜には同館で試写会があり、プロデューサーを務めた北村さんは「研究ができていなかったことを映画にした。諏訪の皆さんに作っていただいたと言っても過言ではない」と感謝していた。

(AIとドローンを組み合わせた鳥獣被害対策ソリューションの開発:長野)
明治3年の創業以来、信州で建設関連事業、燃料事業、食糧事業など地域密着型の事業を手掛けてきた株式会社ヤマサ(本社:長野県松本市、代表取締役社長/北爪寛孝)は、信州大学 工学部 設計工学研究室・長野県松本工業高等学校と協同で開発してきた次世代鳥獣被害対策ソリューション(いたずらネズミとお手伝いドローンプロジェクト)の実証実験を行い、鳥獣被害抑止のための一連の飛行動作に成功しました。

(スキー場のイノシシ被害、捕獲増など対策検討:富山)
南砺市の田中幹夫市長は6日、市役所で会見し、市内のスキー場「イオックス・アローザ」のイノシシ被害について「暖冬で個体数が増え、餌を探しにゲレンデに入ったのではないか」と述べ、捕獲頭数を増やすなどの対策を検討していく考えを示した。ゲレンデやリフトは市施設で、指定管理者の「医王アローザ」が運営する。田中市長は今冬にイノシシが芝生を掘り起こす被害が拡大していることについて「おりなどで捕獲して調整しないと、どんどん増える一方だ」と述べた。市森林・農地整備課によると、イノシシの捕獲頭数は2021年度に250頭だったが、22年度は283頭、23年度は380頭と急増した。

(相次ぐ野生動物の目撃情報に注意呼びかけ:熊本)
最近、市街地で多く目撃される野生動物。白川を渡るシカや、立田山では初めてアライグマが確認されました。中でも被害が心配されるのがイノシシです。ことし9月には小学生がイノシシに噛まれる事案もあり、熊本市が注意を呼びかけています。成体になると体重は60~80キロになり、大きいものでは100キロを超すイノシシ。鋭利な牙を持つのが特徴です。熊本市によりますと市街地で目撃されたイノシシは2022年度は52件、昨年度は78件と増加。今年度も10月までに48件に上ります。庭や家庭菜園での食害に加えて、ことし9月には熊本市西区で小学生がイノシシに噛まれるケースも。今年、熊本市内でイノシシが目撃された場所です。金峰山や立田山の周辺の市街地を中心に点在しています。熊本市によりますと、住宅地に隣接する里山に人が入らなくなったためイノシシが行動範囲を広げ、エサを求めて市街地に出没するようになったといいます。熊本市も24時間体制で警戒にあたっています。熊本市農水局・金山武史局長「出没状況に応じて出動し、追い払いや緊急捕獲を行うなど市民の皆様の安全確保に努めています」。もし見かけたらどのように対応するべきか。スタジオで紹介します。もしイノシシを見かけたら…①興奮させないようにゆっくりと後ずさりする。②夜間に外出する際は、音を鳴らしたりライトを照らしたりして、人の存在を先に知らせる。③攻撃・威嚇はしない。逆上したイノシシが向かってきてしまいます。④子どものイノシシを見ても近づかない。親が近くにいる可能性が高く危険ですね。イノシシを寄せ付けないためには…生ごみやペットのエサ、家庭菜園の野菜などの放置をやめ住宅地周辺のやぶなど潜みやすい場所をなくしましょう。

(白神周辺でニホンジカ241頭目撃)
環境省東北地方環境事務所は6日、2023年度に秋田、青森両県の白神山地周辺地域で目撃されたニホンジカの頭数が11年度の統計開始以降、最多となる241頭だったと明らかにした。同日、八峰町文化交流センター・ファガスで開かれた「白神山地世界遺産地域巡視員会議」で説明した。ニホンジカに関する調査を取りまとめる同省西目屋自然保護官事務所によると、目撃頭数の増加は近年顕著になっている。22年度は21年度(70頭)の約3倍に当たる229頭だった。同事務所は「カメラの設置場所が年によって異なるため一概に判断できないが、個体数自体は確実に増えてきている」とみている。

(クマ侵入のスーパー営業再開、地域では捕獲後も目撃相次ぐ:秋田)
クマが侵入した影響で1週間にわたって休業していた秋田市のスーパーマーケットが7日営業を再開し、にぎわいが戻りました。一方、侵入したクマの捕獲後も地域ではクマとみられる動物の目撃が相次いでいて、警戒が続けられています。秋田市土崎港西のスーパーでは、11月30日の朝、体長およそ1メートルのメスの成獣のクマが店内に侵入し従業員の男性を襲って頭にけがをさせたあと、捕獲されるまで2日余りにわたり店内に居続けました。スーパーでは、クマに荒らされた加工肉の売り場などを含めて消毒や商品の入れ替えなどを行い7日、1週間ぶりに営業を再開しました。午前9時の開店とともに、待っていた近所の住民などが入店し、店ににぎわいが戻りました。客からは、「週4回ほど来ているスーパーなので再開してくれてありがたい」とか、「保育園からもクマに注意するよう言われているので状況が落ち着いてほしい」といった声が聞かれました。店のある土崎地区では、侵入したクマが捕獲されたあともクマとみられる動物の目撃が3件相次いでいて、警察などが警戒を続けています。店では、クマが侵入した裏口にクマが嫌がる臭いがついた液体を入れたペットボトルを置いたほかほかの直営店も含め、商品の搬入時以外は裏口のシャッターを閉めることを改めて徹底するということです。スーパーを運営する「伊徳」の工藤陽文 業務本部長は「営業を再開できてうれしく思っている。これまで以上にクマを含め防犯・防災に気をつけていきたい」と話していました。

(寝台特急、走行中にシカと接触:兵庫)
JR西日本によりますと、6日午前6時すぎ、走行中の下りの寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」がシカと接触し、当該列車含む下りの2本に最大約70分の遅れが出ているということです。シカと接触があったのは、兵庫県赤穂郡上郡町内の山陽線上郡駅~三石駅の間です。運転士はシカと接触し停車した旨を岡山指令所に連絡、車両点検や安全確認を行ったため、下りの2本に最大約70分の遅れが生じ、約280人に影響があったということです。乗客・乗員にけがはありませんでした。

(シカと接触、山陽線で遅れ:兵庫)
JR西日本によると6日午前6時2分ごろ、山陽線上郡駅―三石駅間で列車がシカと接触したため車両と線路を確認した。このため山陽線の一部列車が約60分遅れている。

(地域おこし協力隊インターン(ジビエ活用促進)を募集:熊本)
球磨村は、熊本県南部に位置し、村の中央を日本三大急流の球磨川が東西に流れています。球磨川の支流沿いには、小さな集落が点在しており、古くから豊富な水資源を利用して、棚田での米作りが行われてきました。また、村の88%が山林、山岳地帯となっており、林業は地域住民の生業の一つです。一方で、人口減少に伴う少子高齢化や農林業分野等の後継者不足、地域の担い手不足など、過疎地域には避けられない課題が山積しています。特に有害鳥獣による農林産物への被害は甚大であり、本村では有害鳥獣駆除隊をメンバーとした「ジビエの里活用協議会」により、捕獲したシカを精肉・ミンチとして加工し有害鳥獣の活用に取り組んでいるところです。しかしながら、活動メンバーの高齢化が重要な課題となっており、新たな担い手となる地域おこし協力隊等の多様な人材を積極的に育成し、連携・協働することで事業及び地域の活性化を図っております。新たに地域おこし協力隊インターンを募集し、地域おこし協力隊としての実際の活動や地域の状況、生活を具体的にイメージしてもらうことで、着任後のミスマッチを防ぎ、もって任期満了後の協力隊の定着率向上を目的とします。

(「東海ジビエフェア」東海農政局が21日開催:愛知)
東海農政局は21日、長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)の三日月休憩所前でジビエ料理を楽しめる「東海ジビエフェア」を開催する。東海3県のジビエ事業者が、焼き肉、フランク、おでん、ラーメン、カレー、すしなどのジビエ料理を提供する。シカの角や皮を使った小物作り体験も行う。

(証券の世界からジビエ猟師へ:京都)
証券の世界から猟師へ――。樋口晃司さん(40)は京都府綾部市で初めて、有害駆除されたシカやイノシシを扱う食肉処理施設を設立し、ジビエを販売している。転身のきっかけは「もったいない」との思いからだ。里山が迫る旧道沿いの集落に、樋口さんが設立したジビエ販売会社「いのしか」の食肉処理施設がある。室内には、一度に20頭をつるせる冷蔵庫や大型冷凍庫を備える。ステンレスの精肉台や床が隅々まで磨かれ、獣のにおいは皆無だ。ここで今年4月から10月、田畑をあらす害獣として駆除されたシカやイノシシ約200頭がジビエに加工された。シカの処理数では、9月末時点で市全体のシカの駆除分の約2割に当たる。

(菰野の「TANAKENサービス」がみえジビエ登録:三重)
有害鳥獣として捕獲した鹿やイノシシなどを食肉に加工する菰野町下村の施設「TANAKENサービス」が、厳しい品質管理を定める県の「みえジビエフードシステム登録制度」に登録された。代表で町猟友会長の棚瀬賢一郎さん(59)は「世に生まれた命を大事にし、食材としておいしく食べてもらえたら」と話す。昨年度、同町では農作物への被害対策などとして鹿568頭、イノシシ169頭が駆除された。これまで町内に解体処理施設はなく、ほとんどが活用できず破棄されていたという。

(クマ出没:宮城)
白石市によると、9日午前10時ごろ、白石市大鷹沢三沢福田にクマが出没しました。

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(わなが外れ、イノシシが男性襲う:香川)
警察によりますと、5日午前10時ごろ、高松市亀水町の山で70歳の男性がイノシシに左手の親指をかまれ、親指を切断するけがをしました。男性はわなにかかったイノシシを駆除しようと近付いたところ、わなが外れて襲われたということです。イノシシは体長1mほどでそのまま逃げたということです。

(環境大臣が市街地での猟銃使用へ法律改正案の提出急ぐ考え)
浅尾環境大臣が一定の条件で市街地での猟銃使用ができるよう法律の改正案の提出を急ぐ考えを示しました。秋田県の佐竹知事や猟友会の受けとめは様々です。浅尾環境大臣:「できるだけ早く皆様方が安心できるように法律の提出にむけて環境整備を進めて参ります。(Q.今回のケースであれば、改正後であれば猟銃の使用は可能か?)中に人がいないということであれば大丈夫だと考えております」。秋田市のスーパーにクマが入り込み、従業員を襲った事故ではクマの捕獲の際に猟友会に銃の使用許可は出ていませんでした。現在の法律では住宅密集地などで銃を使用し、クマを捕獲することは原則禁止されていて、市街地でクマを撃つには立ち合いの警察官の指示を受けるなどの必要があります。環境省の有識者会議では7月、クマが建物に入り込んだ場合などに銃による捕獲を可能とする方針を取りまとめていました。銃の使用について迅速な現場対応が行えるよう要望してきた佐竹知事は。秋田県 佐竹知事:「問題は誰が指示するか。責任を誰が持つのか。猟友会に責任を持てと言ってもこれはまず無理だ。貫通した場合、ガス管とか配電盤に当たった場合とか色々な知識が必要で建築物や構造を勉強した上で基礎知識を持った上で(警察官が)判断するというルールを作る。これはアリかな」。今回、スーパーに入り込んだクマの駆除対応にあたったみなと猟友会の伊川会長は。みなと猟友会 伊川武志会長:「銃を持ち撃つからには責任を持たないといけない。その覚悟で撃たなければいけない。責任は鉄砲を撃つ人の責任。仮に事故が起きたとしても自治体の臨時職員として行くのだから。自治体がバックアップはしてくれないといけないけれども撃つからには自分の責任」。伊川さんは法律が改正されれば出動の際に猟銃を携帯するよう要請されることが増えると話しました。みなと猟友会 伊川武志会長:「鉄砲はみんな撃てるけども1年生の人も撃てるかとなれば難しいと思うから(市街地では)経験何年以上とか(にすべき)。ライフルの許可は10年以上の経験がなければライフルの許可はもらえない」。

(多額の負債抱え、県猟友会支部の資金を横領:神奈川)
神奈川県猟友会支部の運営資金を横領したとして、業務上横領の罪に問われた静岡県沼津市、会社員の女の被告(40)の判決公判で、横浜地裁小田原支部(木山暢郎裁判官)は3日、懲役1年2月、執行猶予3年(求刑懲役1年2月)を言い渡した。

(捕獲の野生イノシシが豚熱:岡山)
岡山県は3日、井原市内で捕獲された野生イノシシ1頭が家畜伝染病「豚熱(CSF)」に感染していたと公表した。県内での感染確認は30例目。県によると11月25日に地元猟友会が捕獲し、県の検査で2日に陽性が確定した。県は捕獲地点から半径10キロ圏内を感染確認区域に指定し、狩猟者が捕獲したイノシシの流通自粛を求めた。

(「クマ出没」は平年並み、ブナの実豊作:宮城)
クマが今冬に宮城県内でどのくらい目撃されるかどうかについて、宮城県は「平年並み」と予測している。ブナなど餌となる木の実が豊作だったため、餌を求めて人の生活圏に出没する可能性は低いとみている。県は11月末に「クマ出没シーズン予報」冬季分(12~3月)を公表。木の実の豊凶調査は「豊作」で、餌を確保するため動き回り、冬ごもりできないクマは少なくなる。今冬のクマの出没件数は過去5年平均と同程度の40件前後とみる。2023年秋は木の実が凶作で、昨年12月~今年3月のクマの目撃件数は113件だった。23年度中の目撃は1357件に上り、16年度の1642件に次いで過去2番目に多かった。クマは、前年の冬ごもり前に餌を確保した場所を覚える傾向がある。置きっぱなしの生ごみや、収穫されず放置された果実は出没リスクを高めてしまう。県自然保護課の担当者は「特に朝夕の時間帯はクマに遭遇しやすいので、警戒を怠らないようにしてほしい」と話す。

(「なぜ殺した?」スーパー侵入のクマめぐり苦情約70件:秋田)
秋田市内のスーパーに居座ったツキノワグマは、警察も出動して2日がかりで捕獲され、殺処分された。このことについて、市の担当課には、「なぜ殺した?」といった苦情が殺到している。市では、また戻ってくる可能性があるため、山に返すのは難しいとして、理解を求めている。盾を手に持って「完全武装」した警察官らが、スーパー「いとく土崎みなと店」の建物前に並ぶ。刃物を持った凶悪犯が立てこもったような、物々しい光景だ。男性店員(47)を襲って顔や頭にケガをさせたクマは、2024年11月30日朝から、スーパーに居座り続けた。報道によると、肉売り場で食い漁った後、在庫品などを置くバックヤード付近に隠れたらしく、市と猟友会がその近くに箱わなを仕掛けた。そして、2日経った12月2日にわなにかかり、市や県が警察官の立ち合いでこのクマを駆除した。その状況について、市の農地森林整備課は3日、J-CASTニュースの取材に説明した。それによると、麻酔を使う場合は、獣医師の免許が必要なため、県に依頼して免許を持つ県職員に現場へ来てもらった。また、建物内の指揮権は警察にあるため、秋田県警の警察官がその都度、上司の指示を仰ぎながら駆除に協力した。県職員の獣医師が吹き矢でクマに麻酔をかけ、クマが眠ったところを確認したうえで、電極付きのさすまたを使って、クマを電気ショックで殺処分したという。死んだクマは、箱わなごとブルーシートをかけて軽トラックに積み、焼却したとしている。麻酔を使っているため、食用などにはできないという。「場所が市街地で建物の中でしたので、クマを駆除するのに銃は使えません。捕獲は、わなを仕掛けるしかありませんでした」。クマの出没が相次いでいることから、浅尾慶一郎環境相は11月3日の閣議後会見で、市街地で銃を使った狩猟ができるよう改正法案を早期に提出する意向を示したが、市の農地森林整備課では、それでもハードルが高いと明かした。「弾がクマの体を貫通しますので、バックストップがないところでは撃てません。猟友会員が市街地で発砲して猟銃所持の許可を取り消され、控訴審で敗訴した北海道の判例がありますので、警察もなかなか発砲を認めてくれないのではと思っています」。今回駆除したツキノワグマは、体長1.1メートル、体重69キロの成獣のメスだった。殺処分を巡っては、2日に箱わなにかかったと報道されてから、市に電話やメールが相次いでいると明かした。最初は、「殺さないで下さい」「山に返して」といった意見だったが、処分が報じられてからは、「なぜ殺した?」と問い詰める電話などに変わったという。2日は、電話が37件、メールが8件あり、その9割が苦情だった。自然保護団体を名乗る電話も、何回かかかってきたという。電話やメールで分かったもののうち、8割は県外からのものだった。3日も、朝から昼過ぎまで、電話が5、6件、メールが20件ほど寄せられているとした。これまでに、計約70件の苦情があった計算だ。秋田県の佐竹敬久知事は、23年10月23日の定例会見でクマ駆除への抗議電話はガチャ切りすると明かして話題になったが、市では、「かかってきた電話は、いきなり切れないです。貴重なご意見として受け止めます」とした。クマを生かしてという要望については、市では、実現するのは難しいと説明した。「クマに怖い思いをさせて、山の奥に放すという学習放獣は、今はしていません。クマは、学習能力が高いので、1回でも食べ物が楽に手に入ると、スーパーなどにまた戻ってくる恐れがあります」。

(スーパー居座りクマ“3日がかり捕獲”の一部始終:秋田)
3日がかりの捕獲騒動だった。田市のスーパー「いとく土崎みなと店」で先月30日午前6時20分ごろ、店にいた男性従業員が店内に侵入したクマに襲われ、顔などに軽傷を負った一件。2日の朝、ようやくスーパーに居座り続けたクマがわなにかかり、捕獲された。クマは体長約1メートルのツキノワグマだった。「クマが侵入した時、店内には襲われた男性従業員のほか20人がいましたが、店舗近くの秋田臨港署に避難。被害はありませんでした。警察は県及びクマの駆除にあたる秋田市農地森林整備課などと情報共有を行い、付近住民らへの安全確保やクマの捕獲について協議。農地森林整備課が警察、猟友会とともにスーパーの入り口付近に“箱わな”を仕掛けることとなりました」(地元記者)。クマ捕獲にあたった秋田市農地森林整備課担当者が捕獲の経緯について説明する。「わなを仕掛けるのにも狩猟免許が必要なため、課と猟友会が防護服に身を包んだ警察に守られながら、スーパーの入り口付近に2つ設置しました。設置した箱わなは1×1メートルの鉄製で、大きなネズミ捕りのようなものです。中にはクマが好んで食べる米ぬかとバナナとリンゴをパンの上にのせ、その上にハチミツを塗布しました」。しかし、わなを設置して以降もクマは一向に捕獲できず。そのため、店内にドローンを飛ばし、状況確認をしたという。「わなには動くものに反応するカメラが設置してあって、クマが捕獲されると画像を通じて分かるようになっています。ですが、画像ではクマが確認できず、ドローンの調査でも店内にクマの姿は確認できませんでした。そのため、入り口付近に仕掛けたわなをクマが潜んでいる可能性が高いバックヤードに移動させました」(同前)。通報から2日近く経過した2日午前4時15分ごろ、ようやくクマを捕獲。近隣住民らは安堵の声に包まれた。「県の管理計画で来年の3月31日までに捕獲したクマは森に返す“学習放獣”があります。しかし、今回捕獲したクマは再被害を防ぐためにも駆除の方針です(2日に殺処分済み)。今回も事前に目撃情報があったので市街地の外にわなを仕掛けたのですが、捕獲できませんでした。そうした事前の対策は講じていますが、市内をオリで囲むわけにもいかず、都度対応していくしかありません」(同前)。秋田県内では今年に入ってクマによる人身被害は今回を含めすでに10件11人となっている。県は出没や被害場所を地図に表示するオンラインシステム「クマダス」を運用し、被害防止を進めている。

(相次ぐ熊出没問題、猟友会も“出動拒否”の緊急事態:)
昨年夏に大きな注目を集めた、北海道の巨大ヒグマ『OSO18』。北海道の東部で牛を襲い続けたが、最終的には駆除され、その肉がジビエとして流通したことも話題になった。OSO18に限らず、ここ最近は熊に関するニュースが後を絶たない。今年11月30日には、秋田県のスーパーに熊が侵入。男性従業員を襲い、その後、店内に“立てこもり”続け肉売り場を荒らし、12月2日、罠によって捕獲駆除されている。熊の出没とそれに伴う“駆除”に関しては、SNSなどでさまざまな声が入り乱れている。《もちろん命は大事だけど、仕方ない面もある。危険なんだから駆除は当然でしょ》《熊に関しては危険すぎる。かわいそうなんて言ってられないよ》という意見も多い一方で、《駆除っていうのは殺処分ってことでしょ。さすがにかわいそう》《どうにかして共生する手立てはないのか。殺しちゃうのはちょっと……》《熊だって豊富な餌とか住処があれば人の住むところに来ない。人間のエゴな気がする》と、“熊擁護”の声も少なくない。「熊が多く出没する地域では、駆除否定派の意見に頭を抱えているようです。昨年10月23日におこなわれた秋田県知事の会見では、“人命最優先”の対策をとることを表明。熊の駆除に対しては抗議の電話もあるようですが、これについては“すぐ切ります。ガチャン”“(苦情に)つき合ってると仕事ができない。業務妨害です”など、きっぱりとした態度を示していました」(地方紙記者)。秋田県では、昨年10月にも熊の“立てこもり事件”が発生。作業小屋内に侵入していた熊3頭が捕獲・駆除されている。このときは地元猟友会の援助もあり駆除に成功したが、猟友会をめぐる環境も変化しつつあるという。「今年の11月14日には、北海道の猟友会が“自治体からのヒグマ駆除の要請に原則応じない”という方針を検討していることが明らかになりました。この方針の背景には、2018年に北海道砂川市の猟友会男性が猟銃所持の許可を取り消された問題があります。この男性は、市に依頼されてヒグマを駆除したにも関わらず、“銃弾が住宅に届く恐れがあった”として猟銃所持の許可が取り消しに。提訴したものの、今年10月18日の第二審で男性の訴えが退けられています」(同・地方紙記者)。この状況には、《依頼されて駆除したら免許取り消しって、そりゃあ猟友会も協力できないよね》《撃たないと駆除できないのに、撃ったら取り消しって、おかしな話だよ》と猟友会に共感する声が続出している。さらに今年5月には、北海道奈井江町の猟友会が“報酬が安すぎる”として出動を辞退したケースも。この時提示された日当は8500円で、発砲した場合は1万3000円に増額されるというが、《命を懸けて駆除してこの値段か》《こんなに危険な仕事でこの報酬は安すぎる》と、猟友会の扱いを嘆く意見も少なくない。地域によっては、どうしても避けて通れない熊の問題。人命がかかるだけに早急な対応が求められるが、今後もしばらく議論は続いていきそうだ。

(人身被害が拡大、背景にあった獣と共存してきた山間集落の消滅:秋田)
12月2日、秋田市のスーパーマーケットで足かけ3日間居座ったクマがついに捕獲された。現場のスーパーは秋田駅から約8キロの市街地にあり、同エリアには住宅が密集する。今年は山の実りが良いという指摘もあっただけに近隣住民からは「まさかこんなところに出るなんて」と驚きの声が広がっている。環境省の調査によると、秋田県は昨年度、クマに襲われてけがをした人が70人にのぼり、47都道府県で最も多かった。クマが捕獲された2日には市内の図書館でも別のクマが目撃されており、安心できる状況とは言いがたい。なぜ秋田県で人身被害が集中するのか。「人身被害が増えたのは、クマの生息エリアの拡大が一つの原因だと見ている。クマの生息エリアが拡大しているのは県内の人口が減った農村地区。いわゆる廃墟や廃村によるもので、かつて人間とクマの居住エリアの棲み分けが出来ていた場所が、集落の消滅などによってクマが出没するエリアが拡大したのです」。こう語るのは秋田県内の廃墟や廃村の現状を発信するウェブサイト「全自動さじなげ委員会」の主宰者だ。人口減や財源不足によって行政の手が回らない場所、いわゆる「さじがなげられた場所」という意味で、同サイトは名付けられた(以下、「」内は主宰者)。思い返してみれば今年5月には、秋田県鹿角市の山林でタケノコ採りに訪れていた60代男性が遭難し、その後遺体で発見された事件があった。捜索に向かった警官2名が男性の遺体そばでクマに襲われ、負傷。その後、搬送された遺体には大型動物によるかみ傷、爪で引っかかれたような傷があり、衣服には動物の黒い毛が付着していた(鑑定の結果、クマの毛と断定出来ず、人身被害件数には計上せず)。鹿角市といえば8年前にも「スーパーK」と名付けられたツキノワグマが、4人を襲って食べたとされる未曾有の人身被害があった場所でもある。「(5月に)遺体が発見された鹿角市の山林は、昔は近くに集落があって、遺体が発見された場所はその集落の畑だった場所です。集落から人が消えて畑が耕作放棄地となると、人の出入りが途絶えるのでクマやイノシシといった獣の生息区域となる。クマの餌がある生息区域に入ったので敵とみなして襲ったのではないでしょうか」。この地区は戦後、満州や朝鮮半島からの引き揚げ者らが開拓した集落だという。以前は人の出入りも頻繁だったようだ。山里の有無によって、クマの行動が異なると明かす。「集落の人たちはクマとの遭遇も当然のようにあるのですが、人身被害の例がほとんどないのです。先日お会いした方は『クマに歌を教えてあげたよ』と楽しく話していました。また、別の集落の方は『うちではクマが出るの、当たり前だから通報するのはよそから来た人たちなんだ』とも言います。秋田県のクマ目撃情報サイト『クマダス』を見ても山間部の集落の情報がほとんどないのは、クマを見たからといって通報をしないからです。日常的な光景なのです。山間にある集落では、人間が長い年月をかけてクマとの共存関係を作り上げてきたのでしょう」。だが、秋田県では消滅する集落が今も増え続けている。限界集落どころか、さらにその先の消滅集落の危機にさらされ、たった1世帯という集落も山間部に複数存在するという。「たとえば、1970年代に鉱山の閉鎖などで集団移転したことで廃村になった集落と、2010年以降に廃村となった集落では性質が異なります。前者は大きな開拓と造成をして、市街地に近く世帯数も多かった。そのため山と人間の住居の区分が明確でした。後者はより山間側に位置していて、集落は10世帯前後の小規模。わかりやすく言えば、村と山を繋ぐあいだに位置する集落で、もともとはクマの生息エリアでした。その集落が消滅したことで、クマが人里まで自由に行き来するようになった。見方によっては、山間部の集落が関所のような役割を果たしていたかもしれません」。ある調査によると、秋田県には4000頭以上のクマが生息すると推定されている。「クマの生息区域が広がっているのは、行政の消滅集落への対処がほとんど何もなされていないことが背景にあると思います。集落が廃墟化すると、草木は荒れ放題で道路に倒れた大木が放置されている場所も珍しくありません。山間部の集落が廃墟となって荒地となると、山間の管理者も同時にいなくなる。これまで集落に住む方々が山間の管理者として支えていましたが、その管理者がいなくなれば、クマの餌となる木の実などの森林資源も不足します。結果、クマはエリアを広げて餌を探し始めるのです」。この主宰者は秋田市内から車で片道数時間かかる農村を日頃から訪問、交流をライフワークとし、廃墟や廃村の情報を蓄えてきた。村民からの信頼も厚く、自治体よりも先に情報を得ている場合も多々あるという。クマによる人身被害は、おそらく複合的な要因があるだろうが、消滅集落の放置も一つの原因として挙げられるのではないだろうか。

(猟友会所属ハンターが語る“麻酔銃”の難しさと被害激増の実態)
「役所から(害獣駆除の)要請を受けて出ているのに、現場に着くと動物愛護団体の人からは結構、厳しい言葉を投げつけられます。クマの駆除の場合、捕獲から処理までで1万円を少し超えた金額が貰えるだけ。危険度を考えれば割に合いません」とは、クマの駆除で出動経験のある猟友会会員だ。秋田県のスーパーで従業員を襲い怪我をさせたうえ、2日以上も店内に居続けたクマが12月2日、捕獲された。体長1mほどで、設置された箱罠にかかったという。取材した現地テレビ局の報道局記者が明かす。「居座ったというより、最初に発見した際、バックヤードに通じる出入口を封鎖したため閉じ込めた格好です。その後の措置に手間取ったというのが実情ですね。箱罠にはハチミツをかけた誘導用のエサを入れていたようですが、店内には販売していた肉や果物もあり、『罠にかかるかなあ』と、出動した猟友会関係者は心配していました。立てこもり事件等に対応する特殊事件捜査係(SIT)の隊員も対応していましたが、閃光弾や催涙弾を使った突入はまったく考慮されていませんでした。重装備とはいえ、弾薬で興奮した状態のクマに立ち向かうのは危険すぎるからです」。クマによる人身被害と発生件数は、昨年が統計のある2006年以降で最多を記録。今年上半期の出没件数も最多という。環境省はクマを今年4月に指定管理獣とする省令を改正し、駆除対策を強化した。3日の閣議後の会見で浅尾慶一郎環境相は、「住民が苦労していることは受け止めている。できるだけ早く、クマの被害に対応できるような法律を提出したい」と述べ、一定の条件下であれば市街地で猟銃の発砲ができるよう鳥獣保護管理法の改正を目指すことを明らかにした。「しかし一方で、主に動物愛護の観点から、駆除だけを目的とする対策強化に異論があることも確かです。今回のクマは殺処分する予定ですが、すでに抗議の電話が殺到しているとのことです。さらに、クマを殺すことなく捕獲できる麻酔銃を使用しないことへの疑問も上がっています」 (社会部記者)。だが、都道府県の猟友会が団体会員になる大日本猟友会は、「麻酔銃の取り扱いについては、当団体の管轄外と考えます」(広報担当者)とにべもない。狩猟免許は環境省の管掌事業で、猟法によって免許が分かれている。銃を使った猟法には第1種(散弾銃、ライフル銃)と第2種(空気銃)があり、麻酔銃が管轄外とはどのような事情なのか。先の猟友会関係者がこう続けた。「麻酔銃はケタミンなどの睡眠剤を使用します。これらは医師の処方がなければ使用ができないので、麻酔銃は医師か獣医師しか使えないのです。医師や獣医師で狩猟免許を持つ人はごくわずか。当然、人材が足りていません」。ここ数年、山のエサ不足のため、クマが市街地に下りることが多くなったとされているが、自治体の対策もあり今年は山のエサが豊作という。それでも市街地にクマが下りるのは、食品販売店や飲食店、家庭などから出る食品ゴミが目当てだという。「クマは縄張り意識が強い。1回、漁ったゴミ捨て場は自分のものだと考えるので、何度でもやってくる。実際、今回のクマも生息地と予想される山から5km近くも移動しています。夜間未明だったと思われますが、この間に出くわした人がいなかったことだけでも運がよかったということです。秋から冬にかけてがクマの出没のピークですが、エサが豊富なら冬眠しないクマも出ます。また、東北ではヒグマなみに巨大化したツキノワグマの出没報告が多数あります。クマと鉢合わせたら、襲われないことを願うしかない。場当たり的に駆除するだけでなく、より抜本的な対策を講じるべきです」(猟友会会員)。まだまだクマとの闘いは続く――。

(クマ被害の最も多い都道府県は?:吉田浩)
冬を前に、野生の熊が人里に現れ、農作物や人に対して被害を及ぼす事例が報道されている。秋田市では、11月30日にスーパーに侵入し、2日にわたって居座った。通常、熊は11月から翌年の4月にかけて冬眠するといわれているが、今年は暖冬が続いたためか、11月に入っても熊の出没が報告されている。秋田県の「ツキノワグマ等情報マップシステム(クマダス)」によれば、11月1日から30日までの1カ月間で、54件のツキノワグマ目撃情報が登録されている。秋田県では毎日どこかで2件弱の熊の出没が起きていることになる。12月からの冬眠をまえに、熊も食料調達の追い込みをかけているためであろうか。今回は、野生の熊の被害状況を検討するとともに、その背景にある野生の熊の生存状況、人口の少子・高齢化を踏まえての展望などを地域別に検討することとしたい。熊の生態やその被害については環境省が「クマ類による人身被害について [速報値]」として公表している。まず、08年以降の熊による人的な被害について示したものが図1である。この統計は環境省が都道府県ら聞き取った数値を取りまとめたものであり、24年は11月とりまとめ時点前までの速報値である。ただし、出没件数の集計方法は、都道府県ごとにそれぞれ異なる(警察への通報件数、市町村からの情報など)とされている。図1を見ると、被害者数は年によって変動はあるものの漸増傾向を見せており、被害者数に占める死亡者数の割合(折れ線)も近年増加傾向にあることが分かる。次に、熊による被害を都道府県別に比較してみることとする。環境省資料による23、24年(11月集計前まで)の足掛け2年の間での被害者の分布を示したものが図2である。図2を見てすぐにわかることは、東日本地方特に北海道・東北地方で被害者数が多いことである。また、逆に西日本地方では被害者数がゼロとなっている府県が多い。すなわち、熊による人への被害はかなり地域的な偏在が大きいことがわかる。各都道府県で人口が異なるため、被害者数を各都道府県の人口で除した比率を算出し、上位10位までを示したものが表1である。表1ではランキングが示されている10の県のうち、半分の5県が赤い字で示した東北地方で占められている。逆に言うと西日本の県で表1のランキングに含まれている県は島根県だけである。ここでランキングに含まれる山形県、石川県、島根県は被害者の数では10人を下回っている。しかし、北海道は12人とこれらの県よりも多いにも関わらず、10位までにランクされていない。北海道の被害者発生率は、12人を総人口(509万人)で除すと人口千人当りの被害者数は計算上は0.002となるためである。東北地方で熊による被害が多いことは、図3に示した23年の地域別内訳で一目瞭然である。環境省公表資料の円グラフを見てわかる通り23年のクマ類による人身被害の4分の3が東北地方で占められている。都道府県別の人口千人当りの被害者数は被害発生率とみなすことができる。ここで、この地域別の熊による人身被害の発生率を地理的な条件から考えてみよう。熊をはじめとした野性動物と遭遇する確率が高まるためには、人間の居住するエリアとそれら野性動物が生息するエリアがより多く接していることが考えられる。そこで、まず都道府県別に総面積から可住地面積を引き、人間の可住地以外のエリアの大きさ(野生動物等の生息の中心となる森林地域の面積に相当)を求め(km2)、それを人口で除し、「人口千人当りの非可住地面積」を算出した。これは、いわば人間一人当りどれほど野生生物の生息するエリアに囲まれているかという可能性を示す指標である。この人口千人当り非可住地面積(横軸)と表1に示した人口千人当りの被害者数(縦軸)の関係をプロットしたものが、図5である。図5を見ると人口当たりの森林等の非可住地面積が増えるにつれ、被害者発生率が増加傾向にあることが見てとれる。しかし、横軸の最右点である北海道はそれほど被害者発生率が高くない。被害者発生率の高い秋田県、岩手県と非可住地面積が近い水準にある島根県、高知県の発生率も小さい。さらに全国47都道府県中23県で被害者がゼロであるということは大きな疑問である。図5の両指標の相関を取ると相関係数r =0.529であり、無関係ではなく正の相関が見られるものの、強く決定的な指標といえるほどではない。図5において熊による被害者発生率がゼロとなっている地区は、図2の全国マップで見るとおり西日本、特に四国、九州・沖縄地方である。このうち、九州地方においては12年に環境省が発表した「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト」(いわゆるレッドリスト)の【哺乳類】環境省第4次レッドリスト(2012) 新旧対照表においては、九州地方のツキノワグマが「絶滅」と判定され、「絶滅のおそれのある」種のリストから削除されている。この理由として、「1987年に大分で捕獲された個体が、国内他地域から持ち込まれた個体であることが明らかとなり、この例を除くと九州では1950年代以降から確実な採集記録がなく、九州の集団は絶滅した可能性が高いと判断されたため」とされている。このほか現状では石狩西部、下北半島、紀伊半島、東中国地域、西中国地域、四国山地のツキノワグマが「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」と指定されている。なお、23年の熊の被害者数219人のうち、ツキノワグマによるものが210人であり圧倒的多数を占めている。(残りの9人はヒグマ)。てきたように熊の被害は熊の絶滅とも関連し、これは別途生物多様性の見地から検討されるべき問題といえる。このほかの視点として、東北地方の熊の被害の問題は東北地方の過疎化の問題とも大きく関連している。環境省の08年から24年11月公表時点までの16年分の熊の被害者率を東北6県に限定して線型回帰したところ、被害者率=0.336この傾向が続くとすると、今後、少子高齢化が進むことで地域の過疎化も進み、分母の地域人口が減少すると同時に、耕作放棄地や空き家の増加による分子の非可住地域の増加をもたらし、被害者率の増加が心配される。総務省の「令和元年度 過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査報告書」によれば、全国の市町村に対して集落において発生している問題点を調査している。その結果によれば、「空き家の増加」が 87.4%と最も多くの集落で発生しているほか、「耕作放棄地の増大」(71.7%)、「住宅の荒廃(老朽家屋の増加)」(69.2%)、「獣害・病虫害の発生」(65.6%)、「商店・スーパー等の閉鎖」(64.1%)、「働き口の減少」(60.9%)、が6割超の市町村から多くの集落でみられる問題として指摘されている。これらの多い順に挙げられた6つの問題のうち、「獣害・病虫害の発生」(65.6%)は直接に熊等の野生動物による被害にかかわるものである。また、空き家、耕作放棄地、住宅の荒廃はいずれも、可住地面積の減少へとつながる問題といえる。表2は先ごろ国立社会保障・人口問題研究所から公表された『日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)』による東北6県の将来人口の推計結果から作成した、今後の熊被害に関する予測値である。表中のA欄は20年の各県の人口を100とした場合に50年の人口の水準を示している。これによれば、将来の東北地方は現在の6割程度の人口にまで減少することとなる。原則として地域の可住地面積が減少しないという楽観的な仮定とした場合の非可住地面積/人口千人の変化を予測したものがB欄の数値である。この結果によれば、人を取り囲む非可住エリアの相対的な増加によって、熊による被害者率は約1.3倍から1.7倍程度まで増加するという計算結果となった。現在、熊による死亡被害に対して公的に填補される金額は数十万円である。これは、あくまでも「お見舞金」としての性格しか持ちえず、人命を償うには十分な金額とは言えない。命の価格を明確に表すことは困難を極めるが、生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(速報版)(24年11月発行)によれば、2人以上世帯における世帯普通死亡保険金額は平均1936万円であるとされている。一方、日本損害保険協会による「損害保険ファクトブック2024」によれば自賠責保険の支払限度額としてケガによる損害では120万円、重度の障害の場合3000万円から4000万円。死亡の場合は3000万円とされている。23年の熊による人的被害は219人、うち死亡6人である。最も軽いけが(120万円)を想定しても2億円以上、1000万円を仮定するならば20億円以上の金額となる。また死亡にあたって1人当り3000万円と仮定しても1億8000万円以上の損害となる。今後、人口減少が進めば、被害件数も増えていくことが予想される。対策については、市町村や県の熊駆除に対する猟友会への報酬金額が安すぎるといった問題も指摘されている。過疎地域の国民の生命を守るためにも、野生生物の人的被害防止のための予算措置とその効果的な使用、人と動物が共生するための政策が求められるといえる。

(この時期のクマの市街地への出没について専門家が分析:秋田)
県内で相次ぐクマの市街地出没についてクマの研究者から県の専門職員に転身した近藤麻実さんは「被害を防ぐために情報を共有することが大切だと」訴えています。秋田県自然保護課 近藤麻実さん「さすがに土崎のいとくまで去年は来なかったにしても、近くの防風林のところまで来ていたとすれば目と鼻の先っていう感じにはなります」。相次ぐ市街地へのクマの出没について県自然保護課の近藤麻実さんは去年の大量出没によってクマの行動範囲がさらに拡大している可能性を指摘します。近藤さん「大量出没の年に一気にワーッと出て、普段ここまでは出ないんだけれども、ここまで出れた、あそこで何か食えたっていう足がかりをつけさせてしまう」「いつもここまで出入りはしないんだけれども、何かの拍子に行ける範囲になっちゃったっていうのが去年で、(今年は)また一段と広がったのかなというふうには思ってます」。去年「ここまで行ける」ということを経験してしまったクマ。「クマが冬眠すれば出没が落ち着くのでは」という見方について近藤さんは・・・・近藤さん「やっぱり雪が降れば寝ると思っている方すごく多いんですけども、別に寒いから寝るとか雪が降ったから寝るっていうわけではないんですよね」。「食べるものがなければ早く寝て、エネルギー消費を押さえるという戦略をとります。食べるものがないから寝るというのが冬眠ですので、逆にどんぐりが豊富な年はある程度遅くまで起きていられる。食べるものがあるので」。「食べ物があれば冬眠しない」というクマの習性を踏まえて近藤さんは、目撃情報があった地域ではクマのエサとなり得る食べ物を外に放置しないことや、被害を防ぐため目撃情報を地域で共有して欲しいと訴えます。秋田県自然保護課 近藤麻実さん「今現にクマが出ているという現象を踏まえてできることをやるしかない」「家の周りの食べ物をきちんと管理するということと、扉はこまめに閉めるということ。もうひとつ付け足すとすれば痕跡を見たら必ず共有をするということですね。近所の人にも伝えてほしいですし、市町村には必ず伝えていただいて」。

(柵に奥行きシカ食害防げ、高さ1メートルでも跳躍困難と認識:岩手)
シカの食害対策には、ワイヤメッシュ(溶接金網)を使った立体柵が効果的――。県盛岡農業改良普及センターが盛岡市藪川の牧草地で行っている実証実験で、そんな結果が導き出された。柵に高さだけでなく奥行きを持たせることで、シカに「跳び越えるのは困難」と認識させるのが狙いで、専門家も「視覚的な効果を使った画期的なアイデアだ」と注目している。同センターが試作した立体柵は高さ、奥行きともに1メートル。L字型に折り曲げたワイヤメッシュを組み合わせて四角状にし、結束バンドでつなぎ合わせた。昨年11月、同市藪川にある牧草地の外周約500メートルに設置したところ、今年6月に刈り取った牧草の収穫量は昨年の2倍に。9月の刈り取りでは10倍に増えた。市内で酪農業を営む男性(38)は、この牧草地で刈り取ったイネ科の多年草「チモシー」などを、飼育する乳牛約40頭のエサとしてきた。しかし、近年は収穫量が半分になり、エサの量を減らしたり、輸入品に頼ったりしてしのいでいたという。男性は数年前に刈り取り作業を行った際、動物に食われて長さが短い牧草があることに気付いた。周囲に落ちているフンの形状から、「シカの仕業だ」と確信。県が立体柵を設置してからは、牧草の収穫量の増加だけでなく長さもかつての30~60センチから倍近くに伸び、「他の畜産農家にもおすすめしたい。ノウハウを持った行政の支援があるとありがたい」と語る。県によると、昨年度のシカによる農業被害額は前年度比約3090万円減の約2億4320万円だったが、そのうち飼料作物の被害額は約8240万円に上り、作物別では唯一増加した。立体柵の誕生は3年前。県農業普及技術課の中森忠義さん(58)が発案した。電気柵などの平面な柵による対策は知られていたが、跳躍力のあるシカに「跳び越えられない」と認識させるには、奥行きを確保することが重要だと考えたという。効果は目に見えて表れている。県が昨年10~11月の24日間にわたり男性の牧草地に監視用のセンサーカメラを設置したところ、シカの侵入は23回確認されたが、立体柵を設置した後の19日間はゼロに。映像には、シカが柵を跳び越えようとして諦める様子も記録されていた。ただ、その後に一部の柵で壊された形跡も確認されたことから、同センターは今年11月、藪川地区の別の牧草地に高さを1・2メートルに伸ばした立体柵を設置し、さらなる効果の検証を進めている。中森さんは「安価に設置でき、太陽光などの熱を吸収しやすいので、春の訪れと同時に周りの雪が解けやすいメリットもある」と語る。シカの食害に詳しい県立博物館の鈴木まほろ学芸員は「シカ対策の平面柵では、通常1・7メートル前後の高さが必要だが、1メートルの高さでも効果を発揮する今回の立体柵は画期的だ。牧草の食害を防ぐことはシカの増殖を抑えることにもつながる」と期待を寄せている。

(シカの被害、臭いで防止:北海道)
シカの被害、臭いで防げ――。北海道でエゾシカの食害や交通事故が問題になる中、北海道電力は臭いでシカを追い払う製品の開発を進めている。ライオンのふんをシカが恐れることに着想を得て、似た臭いになるようワサビ、ニンニク、蒸れた靴下の臭気成分を組み合わせた忌避剤を考案した。道路への侵入を防ぐための「ポールタイプ」は既に販売されており、手のひらサイズの「ケミカルライトタイプ」も早ければ年度内に商品化する。

(狩猟取り入れた暮らし体験、農業被害やわな猟など学ぶ:兵庫)
狩猟を取り入れた暮らしに関心がある人向けの体験会が、丹波篠山市味間地区で開かれた。県内外から31人が参加し、畑や山林の農業被害やわな猟の現場を見学。鹿肉料理の昼食でジビエ(野生鳥獣肉)の活用を体感し、同市の狩猟環境や有害鳥獣捕獲についても学んだ。

(空き家に再びクマ、追い払ったが戻ってきた?:福島)
4日午前9時40分、福島県喜多方市熱塩加納町山田字宇津野丙の空き家敷地内で、近隣住民が体長約1メートルのクマ1頭を目撃し、市を通じて喜多方署に通報した。この空き家には2日にもクマが入り込んでおり、同署や市は大きさなどから2日に追い払ったクマが再び戻ってきた可能性が高いとみている。けが人はいなかった。同署などによると、署員や市職員が敷地内を捜索したが、クマは見つからなかった。通報した近隣住民が山林に立ち去ったのを目撃したという。市は追い払い用の花火を放ったほか、空き家敷地内に動く物体を自動で撮影する「トレイルカメラ」を設置した。市はクマの習性としてこの空き家が安全で食べ物があると認識した場合、再び戻ってくる可能性があるとして近隣住民に注意を呼びかけている。

(イノシシが公民館に侵入、ガラス割れるもけが人なし:愛媛)
3日朝、愛媛県東温市南方の市川内公民館で、イノシシが建物1階のガラスを割って侵入する騒ぎがあった。発見から約1時間後に捕らえられ、けが人はなかった。市によると、表川沿いにある公民館にイノシシが現れたのは開館前の午前7時過ぎ。出勤した清掃員がガラスの割れる音を聞いて気づき、公民館関係者に連絡した。イノシシはガラス片でけがをしており、血を流しながら館内を駆け回った。松山南署員や猟友会員が駆けつけ、午前8時過ぎに網で取り押さえられた。近くに住む元市議の片山益男さん(87)は「イノシシを駆除する人が減っているため、畑の作物などの被害は増えているが、街中まで出てくるのは珍しい」と驚いていた。捕獲に携わった松山猟友会川内支部の渡部宏治支部長(70)は「公民館近くには保育園もある。子どもが無事でよかった」と胸をなで下ろした。ガラスに向かって「猪突(ちょとつ)猛進」した理由については「街中に迷い込み気が立っていたイノシシが、ガラスに映った自分を敵と勘違いしたのかも」と話した。

(JR外房線でイノシシと衝突か:千葉)
3日午前7時半ごろ、勝浦市のJR外房線上総興津-行川アイランド間で、安房鴨川発千葉行き上り電車(8両編成)が、イノシシとみられる動物と衝突した。電車は一時停止し、安全確認と車両点検を行った後、運転を再開した。JR千葉支社によると、同線の上下線の一部が最大16分遅れた。乗客にけがはなかった。

(イノシシ被害でゲレンデボコボコ:富山)
スキーシーズンを前に、南砺市のスキー場ではゲレンデをイノシシが掘り起こす被害が確認され、対応に追われています。南砺市のイオックスアローザでは先月から、ゲレンデの多くの場所で穴があいているのが見つかっていました。イノシシが夜中に、土の中の虫を食べるために掘り起こしているとみられ、きょうは雨の中、重機を入れて整地を行っていました。南砺市のイオックスアローザでは先月から、ゲレンデの多くの場所で穴があいているのが見つかっていました。イノシシが夜中に、土の中の虫を食べるために掘り起こしているとみられ、きょうは雨の中、重機を入れて整地を行っていました。

(エゾシカの肉と革のイベント:東京)
LEATHER TOWN SOKA Project team/埼玉皮革関連事業協同組合(所在地:埼玉県草加市、理事長:河合 一典)は、北海道北見市の革ブランド「LEATHERECTION」(代表:林 徹)との共催で、エゾシカの肉と革のイベント「狩ル鞣ス、食ベル纏ウ。vol.2」(カルナメス、タベルマトウ)を、代官山スペースRで2024年12月7日(土)に開催します。埼玉県草加市とその近郊は皮革の関連企業が集まる、100年近く続く皮革の産地です。自主プロジェクトの一つ、「U-TaaaN PROJECT by SOKA LEATHER」では、日本各地で駆除されたシカの皮を鞣してその地方に返し地域の資源として活用できる仕組みを作り、現在、北海道から本州、四国、九州まで数か所の産地からシカ及びエゾシカの原皮が送り込まれ、加工を請け負っています。そのうち北海道北見市の林 徹(ハヤシ トオル)氏は、エゾシカが大繁殖し、被害がとても大きくなっている現状を知って、エゾシカ狩猟と解体、熟成肉製造の作業所を2015年に北海道北見市内に自費で開設。「LEATHERECTION」(レザレクション)と名付けた革のブランドも創設。革を託されているLEATHERTOWN SOKA Project teamにてエゾシカの革づくりを行っています。

(イノシシ狩猟やみかん農園見学を通じて狩猟と農業の繋がりを学ぶ:和歌山)
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校・S高等学校(以下、N/S高)は、2024年12月11日(水)から12月13日(金)まで、和歌山県有田市にて、宿泊型体験学習プログラム「狩猟と農業は表裏一体!? イノシシ&みかん狩りで和歌山を深堀りする3日間!」を実施します。「有田みかん」の栽培地として有名な和歌山県有田市では、近年、みかん畑がイノシシやシカなどの野生動物に荒らされる被害が増加しています。これに対応するため、有田市ではみかん農家と猟友会が連携し、猟師が野生動物の防除や駆除を行い農家の被害を軽減することで、地域の農業を支えています。本プログラムは、農家と猟師の双方から話を聞き、農業と狩猟の協力関係について学ぶ2泊3日の宿泊型体験学習プログラムです。参加する生徒たちは、みかん収穫体験や農家の方々との交流、猟友会の猟の事前準備(見切り)などを通じて、みかん栽培とそれを支える狩猟という2つの産業について学びます。また、参加生徒たちは事前学習として、9月から11月にかけて箕島高校の生徒とともに、みかんの廃木材を活用する授業を受けました。その後、各学校ごとに、みかん製品のパッケージデザインや、みかんの廃木材から作るタンブラーのデザインを考案しました。考案したデザインは、後日販売に向けて商品化される予定です。

(犬も大喜び「やさしいジビエ」:愛媛)
愛媛県鬼北町が昨年に整備した鬼北町ジビエペットフード加工処理施設で製造された犬用のペットフードが注目を集めている。農作物などに被害をもたらす害獣として、町内で駆除されたシカの肉を有効活用した。オンライン販売をしている。「ジューシージャーキー」と「ミンチ生肉」(いずれもシカの肉、無添加)は7月中旬から、「鹿肉60%ドライフード」は11月から販売された。鹿肉60%ドライフードは鬼北町や岡山理科大学獣医学部、今治明徳短期大学、愛媛県産業技術研究所などが参画するプロジェクトで開発され、シカの肉と野菜に愛媛県特産のマダイの身も加えてある。値段は税込みでジューシージャーキー75グラム入りで1100円、ミンチ生肉300グラム入りで990円、鹿肉60%ドライフード1キロ入りで4510円など。加工処理施設の指定管理者「ありがとうサービス」(本社・愛媛県今治市)が駆除された害獣の受け入れ、加工品の製造販売を行い、オンラインショップ「えひめ鬼北やさしいジビエ」(https://kihokugibier.theshop.jp/)で販売している。鬼北町農林課によると、イノシシの肉でも商品化を目指している。2025年度は町内だけでなく、愛媛県宇和島市などで駆除されたシカやイノシシも受け入れ、計約2200頭をペットフードに加工することを計画している。

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(男性がイノシシにかまれけが:静岡)
29日午前、静岡県下田市で農作業に向かっていた男性がイノシシにかまれけがをしました。静岡県や消防によりますと、29日午前9時ごろ下田市田牛の畑で農作業に向かっていた70代男性が、イノシシに足をかまれました。男性は病院に運ばれましたが、命に別状はないということです。イノシシは設置されていたくくりわなにかかっていましたが、男性に発見されるとわなのワイヤーを引きちぎり、襲ったということです。イノシシはそのまま逃げ、まだ捕まっていません。静岡県はイノシシと遭遇したら慌てて走り出さず、落ち着いて速やかにその場から立ち去るよう呼びかけています。

(スーパーに居続けたクマ、店の外に運び出される:秋田)
30日、秋田市のスーパーマーケットで、従業員の男性を襲ったあと、そのまま店内に居続けていたクマは2日余りたった2日の昼すぎに店の外へ運び出されました。30日の朝、秋田市土崎港西のスーパーマーケット、「いとく土崎みなと店」で、47歳の従業員の男性が店に入り込んだクマに襲われ、頭にけがをしました。クマはそのまま店内に2日間にわたり居続け、警察などがバックヤードと売り場をつなぐ扉の付近に、ハチミツやりんごなどを入れた箱のわなを設置していました。そして2日、午前4時すぎにわなのセンサーが作動したと県から警察に連絡が入り、警察官が午前8時すぎにわなに入っているのを確認したということです。その後、クマは吹き矢で麻酔を打たれて眠らされたあと、午後1時半前に軽トラックにわなごと載せられて店の外に運び出されました。秋田市などによりますと捕獲されたクマは体長およそ1メートルのメスの成獣だということです。現場は秋田港に近い海側にあり、住宅や商業施設などが集まった地域で里山から離れたところにありますが、秋田市によりますと先月下旬から現場付近で今回のクマによく似たクマが相次いで目撃されていて市と猟友会は目撃のあった近辺の林でわなをしかけていたということです。クマが、従業員を襲ったのは先月30日の午前6時20分ごろでした。秋田市土崎港西のスーパーマーケット、「いとく土崎みなと店」で、開店の準備を進めていた男性従業員が店内でクマに襲われました。頭に軽いけがをした男性従業員は仲間に助けられ、その場を離れましたがクマはそのまま店内に居続けます。店内では店の奥にある肉売り場が荒らされたり、棚が壊されたりしたということで秋田市などが店内の売り場にドローンを飛ばしますが、クマをなかなか見つけられません。事態が動いたのは1日の午後でした。店舗のバックヤードでクマが動いているのを売り場で警戒していた警察官が確認。警察などは売り場とバックヤードをつなぐ2か所にわなを設置して捕獲を試みていました。そして、2日午前4時ごろ、わなのセンサーが作動したとの連絡を県から受けた警察が午前8時すぎにわなにクマが入っているのを確認。クマが従業員を襲ってからおよそ55時間が経過した2日午後1時半前、捕獲されたクマは軽トラックにわなごと載せられて店の外へ運び出されました。秋田市によりますとスーパーマーケットにクマが出没したのは過去にないケースだったということで、想定外の事態に非常に難しい対応を迫られたといいます。対応は、けが人を出さずに行うため、慎重に進められたということで、まずはスーパーマーケットのどこにクマがいるかを特定するのに時間を要したほか、現場で対応にあたる関係者の安全を確保したうえで、どこにわなをしかけるのがよいかなど、協議事項が多く、時間も要したといいます。また、鳥獣保護管理法では、市街地での猟銃の使用を禁止していて、発砲するには、警察官が警察官職務執行法に基づいて発砲を命じる必要があります。しかし、発砲を命じるにあたっては銃弾が貫通して後方などに飛んでいくのを避ける「バックストップ」を確保するなど、安全面のさまざまな条件をクリアする必要があります。市などによりますと今回の現場はスーパーマーケットの中という異例のケースで発砲した銃弾が別の建物やガス管などにあたってしまうリスクなどもあり猟銃を使用する可能性は非常に低かったといいます。クマが入り込んだ秋田市のスーパーマーケットでわなを設置した猟友会の男性が当時の状況を語りました。秋田市の猟友会のメンバーたちは警察などと連携して30日、店の入り口付近でクマを捕獲するためのわなを設置しました。店内には多くの食べ物があったためわなにはりんごやバナナ、食パンなどを入れたほかクマをおびき寄せるためにハチミツを普段より多くかけたということです。また当時の店内の状況について花の売り場スペースが荒らされていて鉢がひっくり返ったり割れたりしていたほか窓ガラスには血とみられるものもついていたということです。秋田市みなと猟友会の伊川武志会長は「小屋だと出入り口がひとつだが今回はそれがたくさんありクマの姿も見えないなか、難しい状況だった。そのようななかでも捕獲できて良かった」と話していました。

(クマ駆除に「お前が死ね!」と抗議:秋田)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。先月30日、秋田市内のスーパーで体長約1メートルのクマが従業員の男性を襲ってけがを負わせる事故が発生。クマはその後3日間にわたってスーパーの店内に立てこもり、今月2日になって箱わなで捕獲、駆除された。地方では住民の高齢化や過疎化によりクマの生息域拡大が懸念されているが、クマの駆除と保護とはどう折り合いをつけていくべきなのか。公益財団法人「知床財団」の職員として長年知床でヒグマの捕獲や防除対策などに従事、現在は独立し鳥獣対策コンサルタントとしてクマ問題の解決に尽力しているハンターで獣医師の石名坂豪氏に、クマと人の共存の在り方を聞いた。知床財団は、北海道の斜里町の出資により1988年に設立(2006年に羅臼町も共同設立者として参画)。世界遺産知床の自然を守り、よりよい形で次世代に引き継いでいくためのさまざまな活動をしており、その一方で認定鳥獣捕獲等事業者として、国内で唯一銃によるヒグマ駆除を認められてきた事業者でもある(24年9月末時点)。石名坂氏は、そんな知床財団の職員として、道内でも特にヒグマ被害の多い知床地域で長年捕殺を含む総合的なヒグマ対策活動に従事。獣医師の資格も持ち、ハンター歴は26年、ヒグマの捕獲実績は30頭を超えるというベテランだ。昨年、独立して「野生動物被害対策クリニック北海道」を設立。現在は鳥獣対策コンサルタントとしてクマスプレー使用法の講習や市街地でのヒグマ対策などの研修講師を行う傍ら、北海道庁のヒグマ専門人材バンク登録者やNPO法人「エンヴィジョン環境保全事務所」の臨時スタッフとして、道内各地のヒグマやエゾシカの問題にも関わっている。住宅地周辺だけでも羅臼町で年間100回、斜里町で年間800回もの出没がある一方、世界遺産・知床の貴重な観光資源でもあるヒグマ。知床の自然を守る財団の職員として、石名坂氏もこれまでに電気柵による防除やゴム弾などによる追い払い、麻酔銃を使っての捕獲後の移動放獣など、さまざまな非致死的手段も試みてきた。しかし、結局のところ問題行動が進んだ個体は、駆除をしなければ解決に至ることはないという。「散々追い払いも試しましたが、結局獲らなきゃ終わらないんです。100回以上同じ個体を追い払ったこともありますが、DNAで個体識別して経過を追うと、大半の問題個体が結局2~3年後には駆除されています。人間のことも識別していて、住民や観光客のことは意にも介さず、追い払いを行う人間が来たときだけ逃げたりする。しまいにはゴム弾の有効射程距離も覚えてしまって、『どうせまたいつものちょっと痛いやつだろ? この距離なら撃たないだろ?』という様子でいるので、『悪いけど、今回は違うんだよ』と思いながらライフル銃で実弾を撃つんです」。現在、北海道内で完全な野生のヒグマやシカなどに対し麻酔銃を撃った経験のある獣医師は、石名坂氏を含めてわずか3人。麻酔で眠らせて山奥に逃がす奥山放獣などの措置はできないのだろうか。「ヒグマ相手の場合、通常麻酔薬は劇薬指定の薬剤と麻薬指定の薬剤の2種類を混ぜる必要があり、基本的には獣医師や薬剤師、研究者でないと入手できません。麻酔銃の有効射程は30メートル。時速40キロ以上で走るクマにすれば、2~3秒で到達する距離です。また、必要量の麻酔薬を撃ち込んでも最低10分は動き続け、捕獲時に興奮していればそれだけ時間は伸びる。さらに山へ逃がすとなると、寝ているクマに目隠しをして手足を縛り、おりなどの運搬容器の中に運ぶわけですが、その作業を行う作業員のリスクが非常に大きい。また、奥山放獣といっても、何百キロも森だけが広がっているような場所ならともかく、北海道ですらどこでも、20~30キロも移動すれば民家に出れてしまうのが現実です。麻酔銃を使うべき場面とは、猟銃が使えない住宅街のど真ん中などで、クマを寝かしたり動きを鈍らせてから安全に駆除するようなときであって、最終的には殺すべきだと私は考えています。これが絶滅危機に瀕している動物園から逃げたトラであればまた事情は違いますが、残念ながら種の保存という観点では、クマの命はトラより軽い。クマが増え続けているような現状で、それだけの人身死傷リスクをかけてまで1頭のクマを助けたいかというと、少なくとも私はやりたくありません。助けたいという方が、自ら率先してやる分には否定はしませんが……」。昨年の被害状況を受け、今年4月に鳥獣保護管理法が改正。絶滅の恐れのある四国の個体群を除き、新たにクマ類(ヒグマ及びツキノワグマ)が指定管理鳥獣に追加された。指定管理鳥獣とは、集中的かつ広域的に管理を図る必要があるとして、国や都道府県による事業の対象となる動物のこと。今後は調査や捕獲などに国から交付金が支給され、問題個体だけでなく、個体数調整のための広域的な駆除も可能になる。増え続けるクマ被害に対抗するためには、妥当な措置ではないかと石名坂氏はいう。「クマの自然増加率は10%程度とされており、1.1の8乗で2.14、何もしなければおよそ8年で倍増する計算です。シカの増加率はさらに倍の20%、およそ4年で2倍に増える。東京都だってもう危ない。うかうかしていると、10年後には手がつけられなくなります。一時はクマを絶滅寸前まで追い込んだと言われる春グマ猟は、極めて効率のいい猟法。やりすぎは禁物ですが、当時の猟を知る高齢ハンターが生きているうちに、ノウハウの継承だけでもしておかないと手遅れになる可能性があります」。近年では、動物愛護団体による駆除への抗議活動も度々問題となっている。2010年に斜里町中心街に出たヒグマの駆除では、丸3日間、町役場への抗議の電話が鳴りやまなかったという。「『お前が死ね!』とまで言われた職員もいたそうです。また、一般猟友会員でなく知床財団職員がヒグマを駆除した場合、『結局は食べたいから殺すのか』と批判が寄せられる可能性があるため、大型のオスの成獣350キロの肉をすべて廃棄したこともあります。命を無駄にしないことは大切なはずで、自分でもこの対応はどうかしていると思う。愛護の方たちの行動原理は理屈じゃなく感情。気持ちは分かりますが、究極的には分かり合えない」。自然界には、生態系のバランスを保つ仕組みが最初から備わっているとみる考え方もあり、適正な個体数を維持するために人間が介入すべきという考えには賛否両論があるのも事実だ。答えのない問いについて、どのように考えていくべきなのか。「人間が自然に関わるべきでないというのは、それ自体が傲慢(ごうまん)な考えではないでしょうか。高度経済成長で一気に環境破壊が進んだことで、人間の影響力の大きさから自然に手を加えてはいけないという考え方が広まりましたが、化石燃料を使い始める前から燃料として大量の木を切り、野生動物を狩って食糧にしていた。さかのぼれば石器時代から、生態系のバランスは人間による一定の圧力があるなかで保たれていたはずです。過度な獲り過ぎは禁物ですが、人間も自然の一部として、自分たちの生活を守るために他の野生動物を狩ることは、生き物としてのあるべき姿だとはいえないでしょうか」。クマは犬なみに知能が高いといわれ、愛嬌のある仕草から童話の題材にも選ばれるなど、人にとっても身近な存在だ。一方で鋭い牙と爪を持ち、人を簡単にあやめてしまう猛獣でもある。2つの側面を持つ隣人とどう付き合っていくのか。感情論ではなく、冷静な議論が求められている。

(ツキノワグマ出没注意報を12月末まで延長:秋田)
秋田県は、30日までとしていた「ツキノワグマ出没注意報」について、学校周辺や市街地などで出没が相次いでいることから12月末まで延長することを決めました。県内では、10月のクマの目撃件数は前の月から減少していましたが、11月下旬に入って、学校周辺や市街地など人身被害の危険が高い場所での出没が相次いでいます。そのため、県は30日までとしていた「ツキノワグマ出没注意報」を12月末まで延長することを決めました。県は、雪が降る日も出てきたもののクマは薄く雪が積もった程度では冬眠しないため、冬眠しているだろうと油断せず、引き続き、警戒してほしいと呼びかけています。また、県は、食べ物があればクマは冬眠せず起きていることができるため、米ぬかや生ごみなどを屋外に放置しないことや、車庫や倉庫にクマが入り込むおそれがあるため扉は開け放しにしないよう呼びかけています。

(ヒグマ捕獲1804頭、前年度の2倍で過去最多:北海道)
北海道は3日、2023年度のヒグマ捕獲数が1804頭だったと発表した。統計を取り始めた1962年度以降で最多で、前年度比の約1・9倍となった。秋の主要食物のドングリなどが不作で、農業被害を中心に「問題個体」の出没が多発したとみられている。道では、人や農業への被害を防ぐために計画を定め、各自治体がマニュアルに基づいて問題個体の判断をする。問題個体は、年中捕獲が可能だ。道庁によると、1804頭のうち、メスが746頭。有害捕獲が1684頭で、狩猟が120頭だった。22年度は有害捕獲が897頭、狩猟が43頭で、いずれも倍増している。道庁の担当者は生息数の増加や生息域拡大が背景にあるとして上で、「食べ物が手に入らず行動範囲が広がり、人の目につきやすくなったのだろう。出没が多くなり、捕獲機会も増加した」と話した。

(ヒグマの駆除、ハンターと信頼構築を:北海道)
北海道猟友会がヒグマの駆除を巡り、各支部に対して、自治体や警察との連携が不十分な場合、出動の要請に応じぬよう通知することを決めた。砂川市の要請による駆除で発砲した同会支部長が、弾丸到達のおそれがある建物に向かって撃ったとして猟銃の所持許可を取り消され、札幌高裁が処分を妥当だとしたことを受けた。猟友会は出動の条件として、支部と自治体、警察の3者で十分協議し、発砲の基準などを事前に明確化することを挙げる。猟銃は安全第一に厳格に使用されるべきなのは当然だ。しかし行政の出動要請に応じ、有害鳥獣駆除という公共の利益のために発砲した責任を負わされては、安心して活動できまい。一部の支部では既に出動要請に協力しない動きが出ている。このままでは増加するヒグマに対処できなくなる恐れがある。ヒグマ出没の緊急時には自治体と警察、ハンターの円滑な連携が欠かせない。関係機関は信頼構築に努めてほしい。札幌高裁判決は撃った弾丸がはね返り、周辺の人物や建物に到達する危険性を指摘した。安全を重視した判断だと言える。一方、クマによる被害が全国で増えている現実を前に、環境省はヒグマを含むクマ類を指定管理鳥獣に追加した。保護から管理への政策転換である。市街地での発砲も、警察官の命令がなくても行えるよう法改正を検討している。だが、高裁判決が確定すれば、発砲には一層慎重にならざるを得ないだろう。市街地であればなおさらだ。発砲判断の責任を行政側が負う仕組みが求められる。猟友会はハンターの身分を保障するよう求めている。国は法整備を進めるべきだ。そもそも猟友会は狩猟免許を所持するハンターによる民間団体だ。会員は減少し高齢化が進む。猟友会ばかりを頼みにするのは限界に近いと言える。駆除の体制を見直す必要がある。道などに科学的知識がある鳥獣行政の専門職員を増やし、市町村には自ら駆除を担う野生鳥獣専門員を置くなどして、猟友会と協力してヒグマ管理にあたる体制を構築すべきだ。狩猟に興味を持つ若者を「地域おこし協力隊」に任命することも考えられる。将来的には責任ある公的団体を設立し、駆除にあたることを検討したい。留意すべきは、ヒグマが貴重な野生生物であることだ。かつての「春グマ駆除」では数が激減した。同じ轍(てつ)を踏まぬよう、捕獲は生息数を正確に把握しながら進めることが肝要である。

(クマへの発砲許可は?環境大臣が襲撃現場視察:秋田)
鹿角市で猟友会のメンバー2人がクマに襲われてケガをした事案。浅尾環境大臣が現場を視察し、市街地にクマが現れた場合の発砲許可の法改正について「課題があれば出来るだけ早く国会に提出したい」との考えを示しました。

(作物荒らし捕獲した「奈良のシカ」、「終生飼養」を見直しへ:奈良)
奈良公園の鹿苑(ろくえん)内での「奈良のシカ」の保護を巡り、奈良県は2日、奈良市内で3回目となる「鹿苑のあり方等検討部会」を開いた。特別柵での終生飼養を、一時的な収容に変更することを確認した。国天然記念物「奈良のシカ」は公園周辺で保護している。緩衝地区では、農作物を荒らすなどした鹿を捕獲し「奈良の鹿愛護会」が特別柵に終生収容してきた。しかし、特別柵内の収容数が過剰で、飼育環境の改善が課題となり、昨年12月から検討部会で対策を議論している。年度内に鹿苑のあり方についてガイドライン(運用指針)の骨子案をまとめ、来年度中に策定する予定。この日の検討部会では、緩衝地区にあたる奈良市川上町で8月に現地調査した結果を基に、緩衝地区で鹿の農地侵入を防止する柵を設置し、カメラで侵入経路を特定するなどして農業被害を防ぐ方向性が了承された。

(出没相次ぐツキノワグマ、一部地域の「クマアラート」注意報をさらに延長:三重)
三重県は27日、依然として県内でツキノワグマの出没が相次いでいることから、一部の地域で「クマアラート」注意報の期間をさらに延長すると発表しました。尾鷲農林水産事務所管内では、11月の目撃件数が5件となり注意報の基準を超えたため、紀北町に出している30日までの「クマアラート」注意報を12月末まで延長。また津農林水産事務所管内でも、11月の目撃件数が2件となり注意報の基準を超えたため、津市に出している12月7日までの「クマアラート」注意報を12月末まで延長します。三重県内では、今年4月から11月27日までにクマの目撃件数が148件あり、過去最多だった昨年度の40件の約3倍強となっています。現在、クマアラートの注意報は松阪市、明和町、伊賀市、名張市、多気町、大台町を除く23市町に発表されています。

(ヒグマ捕獲、協力継続を確認:北海道)
岩見沢市は29日、ヒグマの駆除について、北海道猟友会(札幌)岩見沢支部などの関係機関を集めた意見交換会を初めて開いた。道猟友会が、自治体や警察との連携が不十分な場合、各支部の判断で出動要請を拒否するよう通知するとしたことを受けての開催。今後も協力体制の強化に努めることを確認した。

(シカに餌与えないで、阿寒湖温泉街に大量出没:北海道)
釧路市阿寒湖温泉の市街地で、人慣れしたエゾシカの出没が相次ぎ、関係機関が対応に苦慮している。観光客に餌付けされ、警戒心のないシカが増えているとみられる。シカの持つダニによる健康被害や交通事故が起こる危険もある。市の行政センターは安易にエサを与えないよう注意を呼びかけている。「かわいいからと餌付けする観光客が後を絶たない」。市阿寒町行政センターの外崎慎一市民課長は頭を悩ませている。阿寒湖温泉では8月からシカの出没が特に目立ち始めた。「シカが大量に出没している」との情報が市民から寄せられ、出動した同センター職員が十数頭の群れを確認。「子ジカを抱きかかえ写真を撮っている人がいた」「観光客がパンを与えていた」などの目撃情報も相次ぐ。...

(「秋田のクマ出没マップ」を公開:秋田)
秋田魁新報は県内のクマ出没地点を一覧できる「秋田のクマ出没マップ」を作成し、ウェブ上で公開しました。2022年4月~24年12月2日に確認された人身被害、目撃、痕跡の計約6550件(イノシシ、ニホンジカ含む)を反映しています。出没マップには県のオープンデータカタログサイトや、ツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」のデータを活用。フィルター機能を使い、年度や季節、時間帯別に表示内容を絞り込むことができます。異例の大量出没となった23年度は、数は少ないものの12月以降も目撃情報がありました。いま一度、身近なクマのリスク把握にお役立てください。

(熊の捕獲や駆除までの手続きはこんなに大変だった!:山形)
秋田県秋田市のスーパーにクマが侵入し、男性従業員にケガを負わせ、たてこもった・・・。先月30日、衝撃のニュースが全国を駆け巡りました。そのまま丸2日以上スーパーにとどまったクマは、きょう箱罠に入り、電気を使って駆除されたあと店の外へ運び出されました。クマによる被害は秋田県だけではなく日本中で起きています。山道でクマに出会いケガをするような事案が多発するだけではなく、時には市街地に出没し騒ぎになります。今回もそうですが・・・すぐに解決できないことを不思議に思いませんでしたか?実は、鳥獣保護法で保護されているクマはすぐに捕獲や駆除をすることはできません。ではどうすればいいのでしょうか。去年の秋、山形市では、住宅地付近にクマが出没したと想定した対応訓練が行われました。この訓練をふり返りながら、安全にクマを捕獲、もしくは駆除するためにはどんな問題や手続きがあるか、見ていきましょう。山形市環境課・豊後真課長「いつ人的被害が発生するかわからないという危機感を抱いている」。山形市は、2020年に住宅地にクマが出没した際の対応マニュアルを策定していています。この日は(昨年11月17日)、全国的なクマの出没増加を受けて、山形市滑川の住宅地のそばにクマが出没しケガ人が出たとの想定で、マニュアルに沿った対応訓練が行われました。クマの目撃情報が寄せられると警察などが現場に向かい花火などで追い払いますが、鳥獣保護法で保護されているクマにはすぐに手が出せません。複雑な手続きが必要です。山形市役所に集まったのは県、市、警察、消防の関係者。クマの扱いには関係機関の同意が必要なのです。山形市環境部・板垣裕子 部長「速やかに危険の除去を行うには銃器による捕獲を行うべきと考える」。しかし、ツキノワグマの捕獲の権限を持っているのは県。市が捕獲するには市への権限の委譲が必要です。県の担当者「捕獲許可権限が山形市に移譲されることに異存はない」。市の担当者「自治体による銃器でのツキノワグマ一頭の捕獲許可をこの場で口頭で申請する」。この会議の結果を現場に連絡です。市の担当者「対策会議で銃器による捕獲が発出された」。これで終わりではありません。住宅地での発砲ということで、警察が周囲の安全を確認し、許可を出します。こうして、猟友会がようやく発砲することに。クマを仕留めました。マニュアルに沿った訓練で、かつスムーズに進行しましたが、発砲まで2時間半以上がかかりました。こうした手続きについて、市は。山形市環境課・豊後真課長「複雑なところはあるが法なりで定められたものなので手続きに従って対応していきたい」。きょうの訓練では改善点も見つかりました。山形市環境課・豊後真課長「(現場などと)電話でやりとりしているが今は様々な情報機器があるのでリアルタイムでわかるような仕組みがないかと感じた」。2023年度、山形市で確認されているクマの出没件数は、2022年度を33件上回る76件。また、山形市内ではないものの、県内では小国町や白鷹町などで合わせて5件の人的被害も出ています。県と山形市は、山の近くではいつクマに遭遇してもおかしくないとして注意を呼びかけています。

(スーパー侵入のクマ「食べ物目当てではない」:秋田)
秋田市内のスーパーに侵入し、3日間にわたり立てこもったクマの報道が波紋を呼んでいる。クマは侵入から2日後の今月2日に捕獲・駆除されたが、現場は周囲に身を隠す場所のない海沿いの市街地で、侵入経路の謎は深まるばかり。また、捕獲まで3日もの時間を要した一連の対応にも疑問の声が上がっている。現場では一体何が起こっていたのか。県の職員として長年秋田のクマ対策に従事、以来50年余りにわたってツキノワグマの調査を続ける日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長に、一連の騒動の見解を聞いた。一連の報道によると、先月30日の午前6時過ぎ、秋田市土崎港近くのスーパー「いとく土崎みなと店」の店舗内に体長約1メートルのツキノワグマが侵入。従業員の男性が頭や顔をかまれたり、ひっかかれるなどして軽傷を負った。クマはその後、3日間にわたって店内に立てこもり、今月2日になって箱わなで捕獲・駆除された。現場となったスーパー「いとく土崎みなと店」は、秋田駅から約8キロの距離に位置し、道の駅やランドマークの「ポートタワー セリオン」がある土崎港からは徒歩5分ほどの場所。店舗のすぐ近隣には秋田県警臨港警察署があり、周辺はJR土崎駅やフェリーの発着所、飲食店やホテルなどが立ち並ぶ市街地だ。クマが身を隠せそうな林などはなく、スーパーまでの侵入経路に関する疑問の声も上がっている。また、捕獲から一夜明けた3日になって、現場周辺では別のクマの目撃情報も。近隣住民の不安は今も解消されていない。一体クマはどこから来たのか。秋田県立鳥獣保護センターや秋田県生活環境部自然保護課で長年県内のクマ対策に従事、その後NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」を設立し東北から西日本まで全国各地でツキノワグマの生態調査を続けている米田一彦所長は、今回のクマが半年以上も前から現場周辺に居ついていた可能性を指摘する。「昨年はドングリの大凶作でクマの被害が続出しましたが、今回の問題は全くの別物。今年は全国的にドングリが豊作で、捕獲されたクマもかなり太っていた。お腹を空かせて出てきたわけではなく、おそらく昨年の晩秋から人里に定着し、そのまま越冬した個体でしょう。クマの冬眠は必ずしも山奥で行われるわけではありません。現場から6キロほどのところにある県立公園には、もう常時クマが居ついてしまっています。今回のクマは、昨年から今夏にかけて県立公園や海岸沿いの防砂林を転々とし、ここ数日目撃情報が寄せられるなかで、人に追われる形でスーパーに逃げ込んだ。最初から食べ物が目当てで侵入したわけではないというのが私の見立てです」。今回、捕獲や駆除までになぜこれだけの時間がかかってしまったのか。「クマに慣れていない警察の主導となったことが、対応が遅れた一番の要因でしょう。はちみつを塗った箱わなを設置したようですが、クマの一番の好物はドングリやはちみつよりも肉。自然界で手に入りやすく栄養が豊富なのはドングリですが、並べて与えれば必ず肉から口にします。周りに肉がある環境でははちみつで捕らえることは難しいでしょう。暗いところに潜り込む習性があるので、例えば夜間に電気系統を操作し、捕獲場所に誘導して吹き矢で麻酔をかけるなどの方法が有効だった。あくまで箱わなにこだわったことで、捕獲まで時間がかかってしまった」。一方、米田所長は根本的な解決策として、市街地での発砲要件緩和の必要性も口にする。「クマの有害駆除は鳥獣保護法の範ちゅうですが、そもそも今回のように市街地、ましてや屋内では銃の発砲はできません。鳥獣保護法より優先される警職法のもと、警察から緊急事態として発砲命令が出されなければライフルも麻酔銃も使えませんが、今回のようなケースは想定外で、今のマニュアルでは対応しきれない。国は早ければ来年にも、鳥獣保護法を改正し、住宅地での猟銃使用を条件つきで緩和する環境整備を進めています。私は来年、昨年以上の大出没が起こると予想している。一刻も早い法整備が急務です」。年々深刻化するクマ被害。市街地へのクマの出没が当たり前となる前に、然るべき対策が求められている。

(“冬眠前のクマ”がエサを求め活発に、被害防止には「柿の木の管理が重要」:広島)
冬眠前のこの時期、広島県内で動きを活発化させる野生のツキノワグマ。エサ場となった広島市安佐南区の柿の木に定点カメラを設置し、その姿を捉えた。専門家は「1本の柿の木」がもたらすリスクについて指摘する。11月21日、広島市安佐南区の山あいで車道を横切ったのは、親子とみられる3頭のツキノワグマ。危うく走行中のバイクに接触するところだった。目撃者は「黒い物体が3体あって、え!クマ!みたいな感じでびっくり」と当時を振り返る。クマが目撃された場所から西へ車で30分ほどの安佐南区吉山地区。住宅が多く建ち並ぶ地域にクマのエサとなる柿の木があり、クマが頻繁に目撃されている。11月20日には体長1メートル40センチのオスの成獣とみられるクマがイノシシ用のわなにかかり、その後、殺処分された。この吉山地区を含む戸山地区では10月1日~11月22日の間に少なくとも16件のクマの目撃情報が寄せられている。周辺の民家の柿の木には、クマが複数回にわたってよじ登ったとみられる爪痕が残されていた。鋭い爪でえぐられた幹を見て、住民は「これは最近の爪痕ですね。怖いのひと言です」と話す。相次ぐ目撃情報を受け、テレビ新広島は10月から柿の木の近くに固定のセンサーカメラを設置。回収したカメラにはクマの姿がくっきりと映っていた。11月3日未明、暗がりの中をのそのそとやってきた3頭の親子。あっという間に柿の木をよじ登っていく。さらに10月28日夜7時すぎ、大きな個体がやってきて後ろ足で立ったあと、軽々と上がっていった。カメラは1カ月間にのべ15回、クマの姿を捉えた。クマのエサ場となった柿の木は、見上げるような高さでほぼ垂直に伸びている。木の下には折られて間もない枝が落ちていて、実をかじった跡も…。日中に姿を見せることはなかったが、日常的に少なくとも3頭の親子、2頭の親子、成獣1頭が民家のすぐそばに出没する実態が浮かび上がった。クマの生態に詳しい広島修道大学人間環境学部・奥田圭教授は「冬眠に入る12月まではエサを求めて活発に動き、そのまま眠らない可能性もある。クマの親子が集落周辺にいるというのは非常に危険だ」と注意を呼びかける。さらに、奥田教授は「1本の柿の木があるだけで、いろいろな個体が集まってくる恐れがあります。民家や住宅地に出てきてしまうリスクはかなり高まると思いますので、柿の木の管理が非常に重要になってきます」と警鐘を鳴らす。

(「クマ出没」は平年並み、ブナの実豊作:宮城)
クマが今冬に宮城県内でどのくらい目撃されるかどうかについて、宮城県は「平年並み」と予測している。ブナなど餌となる木の実が豊作だったため、餌を求めて人の生活圏に出没する可能性は低いとみている。県は11月末に「クマ出没シーズン予報」冬季分(12~3月)を公表。木の実の豊凶調査は「豊作」で、餌を確保するため動き回り、冬ごもりできないクマは少なくなる。今冬のクマの出没件数は過去5年平均と同程度の40件前後とみる。2023年秋は木の実が凶作で、昨年12月~今年3月のクマの目撃件数は113件だった。23年度中の目撃は1357件に上り、16年度の1642件に次いで過去2番目に多かった。クマは、前年の冬ごもり前に餌を確保した場所を覚える傾向がある。置きっぱなしの生ごみや、収穫されず放置された果実は出没リスクを高めてしまう。県自然保護課の担当者は「特に朝夕の時間帯はクマに遭遇しやすいので、警戒を怠らないようにしてほしい」と話す。

(車とイノシシの衝突事故多発:熊本)
熊本県天草市の県警牛深署管内で10月以降、車とイノシシの衝突事故が増えている。動物との衝突は自損事故扱いで、保険適用には条件も多い。同署は2022年以降に衝突事故が多発した場所をまとめた地図を作成し、注意を呼びかけている。「すごい衝撃だった。突然のことで対応できなかった」。10月中旬、車を運転中にイノシシと衝突した男性は語った。下島を縦断する国道266号を午後7時頃に走行中、左から体長1メートルを超えるイノシシが飛び出してきた。けがはなかったが、フロント部分が激しく壊れ、車は走行できなくなった。同署によると、管内では今年、イノシシと車の衝突事故が6件起きているが、このうち4件が10月以降の発生だ。多くは午後7~10時頃に発生している。路上でイノシシの死骸のみ見つかった事例などもあり、警察に届けられなかった事故もあるとみられる。主な発生現場は国道266号で、牛深火葬場入口(天草市久玉町)など山中のほか、集落を通る道路でも起きている。熊本市鳥獣対策室は「野生で予想できないことも多いが、餌を求めて人里に下りてきたか、秋の繁殖期を迎えてオスがメスを探し求めて動き回っている可能性がある」という。日本損害保険協会によると、イノシシとの衝突事故は自損事故扱いとなる。車両保険に入っていても補償の対象となるかは契約内容次第のため、担当者は「補償内容を確認してほしい」としている。同署の妻道正樹地域交通課長は「事故の多発場所を地図で見える化し、注意するエリアをわかりやすくした。走行する際は普段以上に速度を落とし、ハイビームで前方に注意してほしい」と呼びかけている。

(野生動物の農地侵入を防ぐ対策を学ぶ研修会:鹿児島)
イノシシなど野生動物による農作物の被害を防ごうと、南さつま市で、29日、専門家を講師に招いて野生動物の農地への侵入を防ぐ対策を学ぶ研修会が開かれました。キンカンや温州みかんの生産が盛んな南さつま市加世田の津貫地区で行われた研修会には、農家など25人が参加しました。参加者は、イノシシの被害にあっているキンカンの農園を訪れ、講師の島根県美郷町の獣害研究家、井上雅央さんが、「被害にあっても、周囲の土地の所有者が違う場合、協力がなければ対策はできない。やぶの刈り取りなどみんなで協力して、イノシシが住みにくい地域にしていくことが大切だ」と説明しました。また、イノシシの侵入を防ぐ電気柵について、イノシシはひづめがあるので、コンクリートの上だと柵に触れても効果がなく、イノシシが土の上にいる場所に設置すること、電気柵の効果があるイノシシの鼻に柵があたるようにするには、下を向いているときの20センチと、まっすぐ向いたときの40センチの高さに設置することをアドバイスしていました。参加した人は、「大変勉強になりました。1人では対策ができないので集落で協力しないといけないことがわかりました」と話していました。

(ブナ枯死防止に「鹿よけネット」有効:熊本)
九州山地の貴重なブナ林の枯死を防ぐのに、鹿よけネットが有効だとする研究結果を、九州大や宮崎大のグループが発表した。九州山地では鹿が急増する一方、広い範囲でブナの枯死が問題になっている。鹿がブナの樹皮などをかじるわけではないが、周囲のササなどの背が低い下層植物を食べ尽くすため、土壌が侵食されてブナの成長を妨げるという。熊本県あさぎり町の白髪岳(1417メートル)で調査を進め、鹿の進入を防ぐネットの内側と外側で、ブナの成長量や土壌の違いを比べた。その結果、ネットの外側では鹿によってササなどが減少し、2004年ごろからブナの成長低下がはっきりした。ブナの根が地表に露出し、水分が吸収されづらくなったほか、地中の微生物の状態も変化したためだ。鹿よけネットの内側では、ブナや下層の植物の成長が守られていたという。九州大の片山歩美准教授は、こうした変化は森林の生態系全体の衰退へ波及する恐れがあると警告する。「土砂災害や水源涵養(かんよう)機能などについても、シカによる森林劣化と関連があるか早急に調べなければならない。地元の方々を交えて、貴重な生態系保全のあり方を考えていきたい」としている。白髪岳は焼酎「白岳」の名の由来になるなど、地域に愛されている山。鹿よけのネットは国と自治体、地元住民が連携して、設置・管理しているという。研究グループは、この地元の取り組みが研究成果につながったとして謝意を表している。

(「無課金おじさん」が日本ライフル射撃協会の招待で来日)
パリ五輪の射撃で「無課金おじさん」として注目を浴びたユスフ・ディケチ(トルコ)が3日、日本ライフル射撃協会に招待されて来日した。羽田空港で取材に応じ、「兄弟国の日本に来ることができてうれしい。これを機会に若い人が射撃スポーツに親しみを持ってもらいたい」と語り、「ロス五輪を区切りとして選手生活を続けたい」と、4年後に引退する意向であることも明かした。同種目の大会ではサングラスや、破裂音から耳を守るイヤーマフなどの専門的な装備を着用することが一般的だが、ユスフはTシャツだけのシンプルな姿でパリ五輪に出場し、混合エアピストルで銀メダルを獲得した。他選手との服装のギャップが話題となり、オンラインゲームで装備に課金しないことに例え、日本では「無課金おじさん」の愛称で親しまれた。来日は2度目。1度目はコロナ禍で行動が制限された東京五輪時だったため、日本を満喫できなかった。今回は8日まで滞在し、強化指定選手への特別講習会や、栃木県で開催される親善試合に出場予定だ。「みなさまと交流できること、町を見ることができるのを感謝している」と笑顔。パリ五輪ではエアライフル女子に出場した野畑美咲の12位が最高成績だった日本。“無課金の極意”を教わり、ロス五輪のメダル獲得で無課金おじさんの引退に花を添える。

(県が「ハンターデビュー」を後押し:長野)
長野県林務部が、新規狩猟者の確保を目的に「ハンターデビュー講座 初心者コース」の受講者募集を行っています。狩猟に関心があり、将来狩猟免許の取得を考えている方であればだれでも受講可能。受講費用も無料となっています(交通費は受講者負担)。

(狩猟の役割、魅力を知って:山形)
野生動物の目撃や農作物被害が相次ぐ中、捕獲の担い手となる狩猟免許所持者を増やそうと、県は1日、ハンターの役割や自然と関わる魅力を知ってもらうイベントを山形市のイオンモール山形南で初めて開いた。専門家の講話や動物の骨の展示、狩猟の疑似体験など軟らかい内容で買い物客に発信した。県内の野生動物の調査研究と環境教育に取り組む「やまがたヤマネ研究会」(山形市)の中村夢奈代表がトークイベントに出演した。協力関係にある県内のハンターの特長について▽自然の音や匂いなどに魅力を感じている▽ジビエを好んで食べ、料理上手▽プラモデル作りが好きで銃やわなの解体、掃除、組み直しが得意―などと紹介。「植物や動物、土地を知るプロだ。ぜひ免許取得にチャレンジして」と促した。続いてクイズを交えながら野生動物の生態を解説した。クマについては山林で遭遇した際の対処法に触れ「静かに後ずさりすること。至近距離ならダンゴムシのように体を丸めて手で頭を守る」と助言した。イノシシの記憶力の良さや牙の危険性も指摘した。会場には、本物のクマの毛皮やシカの骨に触ることができるコーナーを設けたほか、モデルガンでモニターの動物を撃つ疑似体験、ジビエ加工品の販売、狩猟免許取得の相談対応などもあり、多くの家族連れが足を止めていた。

(大学に「狩猟サークル」!?:三重)
学生たちが野生のイノシシやシカを捕獲する全国でも珍しい「狩猟サークル」が三重大(津市)にある。農業への獣害が全国各地で問題となる中、本格的な活動を展開し、2024年は10月までに12頭を捕らえた。津市から報酬金も得て、被害の減少に貢献している。

(鳥獣被害対策実施隊、捕獲イノシシを弔い:神奈川)
葉山町鳥獣被害対策実施隊(臼井康之隊長)は捕獲したイノシを弔うため11月15日、新善光寺(葉山町上山口)で「イノシシ供養」を行った。同隊のメンバーと葉山町環境課職員の20人が参加した。同寺の住職は読経の後、「イノシシと人の共存は難しい。誰も好んでイノシシを屠(ほふ)っているわけではないが、お互いの場所を守るためにやらなければならない。そうした中でこうした法事を行うことが大切だ」と講話した。臼井隊長は「最近は二子山山系を出て一般住宅での目撃情報も増えている。捕っても捕っても増えている。我々がやらないとイノシシで溢れてしまう。自分たちの時間を割いての活動は大変だが、しっかり取り組んでいく」と意気込んだ。同隊の三井修さんによれば、今年度、同隊で捕獲したイノシシは45頭。他に神奈川県の鳥獣被害対策センターの委託業者が15頭を捕獲している。過去11年半の活動では582頭が捕獲されている(11月26日時点)。

(怒りの老ハンターが語る、猟友会が“駆除辞退”した町で起きていること:北海道)
11月14日朝、何気なく開いた北海道新聞の1面トップを見て、私は思わず目を剥いた。〈道猟友会 クマ駆除拒否へ 全71支部に通知検討〉。記事のリードはこう続く。〈北海道猟友会(札幌)が、自治体からのヒグマの駆除要請に原則応じないよう、全71支部に通知する方向で最終調整していることが13日、分かった。砂川市の要請による駆除で発砲した弾が、建物に当たる危険性があったとして、猟銃所持の許可を取り消されたハンターが処分の取り消しを求めた控訴審で、10月に敗訴したことを受けた対応で、民間任せの駆除のあり方に一石を投じる狙いもある〉。10月の控訴審判決については、私の知り合いのハンターからも「ありえない判決」「こんなんじゃ、今後、駆除なんてできない」という怒りの声が届いていたが、猟友会による駆除拒否という動きに発展するとは思いもよらなかった。同時に北海道猟友会砂川支部奈井江部会で部会長を務めるハンターの山岸辰人(72)のことを思い出した。今年5月、山岸が率いる奈井江部会は、奈井江町からのヒグマなどの鳥獣被害に対応するための実施隊への参加要請を辞退し、全国的に大きな話題となった。山岸らがヒグマ駆除を辞退した理由は、以下の3点に要約できる。(1)下手をすると命を落とすリスクもあるヒグマ駆除の日当が8500円(発砲した場合1800円を加給)では安すぎる。(2)奈井江町側がヒグマ駆除の実態をまったく把握しないまま一方的に猟友会に下請けさせようとするのは疑問。(3)奈井江町側にこうした現状を抜本的に見直そうとする姿勢が見られない。当時のインタビューでは「下世話な表現ですが、ジジイを舐めているな、と思います」と話し、この人がこういう強い言葉を使うのか、と驚いたものだった。その山岸からは10月の控訴審判決が出た時点でこんなLINEが送られてきていた。〈面白くなりそうです。道内(の猟友会)で怒りの渦が巻いてます〉〈あまりにも理不尽な判決には、猟師として意思表示をすべきと思います〉。山岸らが5月に起こした〈駆除辞退〉というアクションが、今回の北海道猟友会による〈駆除拒否〉という選択に影響を及ぼした可能性もありそうだ。その山岸は、今回の騒動をどう見ているのか。「一言でいえば、当然の帰結だったんじゃないかな、と思います」。今回の騒動についての受け止めを尋ねると、山岸は開口一番、そう口にした。「そもそも猟友会というのは、狩猟を趣味とする人たちの民間のサークルにすぎません。自治体の下請けではないし、ヒグマの駆除をすることを条件に狩猟許可をもらっているわけでもない。我々としては駆除はあくまでボランティアであり、報酬は度外視して、いわば善意でやってきたことなんです。ところが自治体の担当者の中には、猟友会がヒグマを駆除するのは当然ぐらいに考えている人も少なくない。このギャップを埋めなければ、いずれクマを撃つ人なんて誰もいなくなる。この状況に一石を投じるために我々は駆除辞退という行動に踏み切ったんです」。山岸らの決断がニュースで報じられると、山岸のもとには全国の猟友会関係者から「よくぞ言ってくれた」という声が多く寄せられた。「“断るという選択肢もあるんだ”ということにみんなが気付いたんだと思います」。ただ、山岸らは何も役場を困らせるつもりで辞退したわけではない。彼らの主張は、これまで猟友会に丸投げ状態だったヒグマ駆除を、持続可能な体制に再構築することにあったのだが、奈井江町側にその思いは伝わらなかったという。「例えば、駆除時の連携を密にするために携帯電話を活用したいと提案したら、役場の担当者は“個人の携帯は使えない”“新たな携帯を確保する予算はない”“条例を変えないと対応できない”。生命の危険のある仕事をする以上、そのリスクをミニマライズするためにある程度の予算がかかるのは当然のことだと思うのですが、二言目には『予算がない』と言われて、話がまったく進まなかった」。山岸らが駆除を辞退した後、奈井江町側は報酬を増額した上で、猟友会に所属していない町内在住の80代のハンター1人と町外のハンター10人にヒグマ対策を委託する“新体制”を発表した。それから半年あまりが経った。その間、奈井江町では8月上旬、町内にある犬の繁殖施設の犬舎がヒグマに襲われ、3頭の犬が殺される事件が起きている。問題のヒグマは事件発生の翌日、“新体制”のハンターらによって駆除されたが、住民の不安は消えない。町外に住むハンターが奈井江町に駆け付けるには、最も近い人でも1時間はかかるからだ。山岸はこう語る。「幸い今年は夏以降、ヒグマの出没はそれほど多くありませんでした。けれどもし町のど真ん中でヒグマが暴れるような緊急事態が生じた場合、この体制で対応するのは正直難しいと思う。奈井江町側もそのことはわかっているはずなのに、それ以上の対策をとっていないのは、町民の生命と財産を守る自治体としての役割を果たしていると言えるのか」。駆除の対象となるのはヒグマばかりではない。北海道においては、田畑の農作物を食い荒らすエゾシカによる食害も深刻だが、山岸らが抜けたことで、奈井江町における今年の駆除実績は低調だという。「役場の方からウチのメンバーに非公式に『シカの数が獲れてない。ちょっと協力してくれんか』という要請がありました。ノルマがあるわけではないのですが、シカ駆除に割り当てられた予算があるので、その予算分は駆除数を確保したいということでしょう。とにかくすべてが予算ありきで動いていて、それでいいのか、という気はします」。問題は、奈井江町は決してレアケースではないということだ。ヒグマの生息数が右肩上がりに増える一方で、道の猟友会に所属するハンターは全盛期のほぼ半数まで低下し、しかも高齢化が著しい。猟友会が駆除を拒否する以前に、そもそも猟友会自体が存在しない自治体も今後増えていくはずだ。「そういう意味では、ヒグマを撃つ技術のあるハンターは今や“絶滅危惧種”です。その技術をどう継承していくかも含めて、今、ここで本気で対策しないと本当に手遅れになる。それなのにどうしてこういう判決が出るのか、理解に苦しみます」。山岸が言う「判決」とは、今回、北海道猟友会がヒグマ駆除の原則拒否方針を打ち出す直接のきっかけとなった「砂川事件」の控訴審判決を指す。ハンターたちはいったい何に怒っているのだろうか。

(ハンターたちは何を思うのか)
張り詰めた雰囲気の中、耳をつんざく銃声が響き渡る。耳栓がなければ耐えられないほどの轟音だ。11月4日、長野県佐久市にある佐久平国際射撃場を訪れた。取材で知り合った小諸市農林課に勤務する櫻井優祐さん(39歳)は「Hunting Team狩顛童子」と呼ばれる狩猟グループのサブリーダーだ。同グループの結成は2020年。メンバーは地元の20~40代の猟友会員が主体で、所属する会や地域の垣根を越えた10人。仕事も自治体職員や農業、金融業、会社員など様々で、女性も1人所属している。この日は櫻井さんをはじめ、4人のハンターが真剣な表情でクレー射撃に打ち込んでいた。4人が持つ散弾銃は1発目、2発目と連続して発射できるタイプだ。丸い円盤の「クレー」が15メートル先から放出され、飛翔時間は5秒前後。1ラウンドで放出されるクレーは1人あたり25枚で異なる射台を時計回りに5周撃つ。「クレーが粉々になったら芯を撃っている証拠です。当たった時の爽快感はたまりませんね。でも、最初は全然当たらなかったですよ」。笑顔でこう話すのは、チームのリーダーで狩猟免許を取得して15年目の田中直樹さん(41歳)である。「11月15日の猟の解禁が待ち遠しいです。シカ、イノシシ、クマを狙う大物猟です。自分一人でクマを捕った経験はありません。狩猟中の緊張感は何年たっても変わりませんね」。ハンターの高齢化が進む中、櫻井さんは「僕たちのような若手・中堅主体のグループがあることを知ってもらい、狩猟を始めるきっかけや、どこで誰と狩猟をするのか選択肢の一つになれば嬉しい」と話す。狩猟で重要なことは何かと聞くと、櫻井さんはこう言った。「山の中は、まさに道なき道です。けがや事故がないよう、猟場では、お互いが背中を預けられる存在でなければならないので、チーム内融和と信頼関係が最も大事ですね」。射撃中は真剣そのものだったが、終わった途端、温厚な表情になったことが印象に残った。「私の村の人はわながあまり好きではなくて……。特に、シカの捕獲にくくりわなはほとんど使っていません。シカを捕った後いかに美味しくいただくか、ということに強い意識が向く、そんな地域性があります」。北海道占冠村の農林課林業振興室で働く浦田剛さん(47歳)は、村が雇用する野生鳥獣専門員だ。元々は地域おこし協力隊の一員としてこの村にやってきた。その穏やかな口調からは想像しづらかったが、自身で購入した猟銃でクマの駆除にあたるハンターだ。「市町村の役割は、『問題個体に適切に対応する』ということ。しかし、目撃したクマが危険な兆候にあるかどうかは、その時だけでなく継続的に見ていなければ判断できません。例えば、ごみに餌付いたクマであれば言わずもがな危険ですが、山中にある植物が市街地周辺にも生えており、それを食べに来たら市街地に出てしまった、という場合もあります。自分たちの地域に棲むクマのことをより深く知ることが大切です」。村の職員として、猟友会をはじめとしたハンターが活動しやすいよう手続きの調整なども図る浦田さんだが、「必要な時にはハンターの方が出動するのを待たずして『自分自身が現場で対応できる』ということも大きな役割だと考えています」。同時に、「村として、ただ『ハンターの数を増やせばよい』というわけではありません」と話す浦田さん。「たとえ狩猟者の人数がそろっていたとしても、彼らの行動の動機が『獲物の獲得』『捕獲機会の拡大』に限られてしまっていたら、地域の対策は進みません。ハンターとして彼らの思いにも寄り添いながら、『どういう目的のために、いかに町を強くするのか』という、村のその先を共有することを大切にしています。ハンターの方も、その地域で暮らす、その地域の生活を良くしていきたいと願う仲間であることに変わりありません。ハンターも、そうでない方も含めて、『私たち』のあるべき姿を考えて、狩猟者を内包する地域社会の姿を描いていくことが何より大切です」。

(イノシシ4頭に驚いて、夜の磐越道で事故:福島)
11月29日午後10時過ぎ、磐越自動車道の下り線で、倒れていたイノシシを避けようとした乗用車がガードレールに衝突する事故があった。事故があったのは福島県の磐越自動車道・小野ICから船引三春IC間の下り線。警察によると、路上に倒れていたイノシシ4頭を避けようとした乗用車がガードレールに衝突し、その後中央分離帯近くで停止した。運転手にケガはなかった。この事故で、小野IC~船引三春ICは11月30日午前1時頃まで、約2時間半にわたって通行止めとなった。

(空き家にクマ、猟友会が花火で追い出す:福島)
2日午前9時50分頃、福島県喜多方市熱塩加納町山田で「空き家にクマが入り込んでいる」と近くの住民から県警喜多方署などに通報があった。クマは空き家内に居続けたが、午後2時頃、地元猟友会が花火で追い出した。クマは裏の山林に逃げたという。けが人はいなかった。喜多方市や同署によると、クマは体長1メートルほど。空き家にはクマのふんが散乱しており、数日間、空き家をねぐらにして周辺の柿などを食べていたとみられる。市などは周辺の柿をもぎ、朝晩に花火を打ち上げるなどして、クマが再び近づかないようにする。現場はJR喜多方駅から約9キロ北の山間部にある集落。空き家周辺には民家があり、同署や市が一時、住民に自宅から出ないよう呼びかけた。

(住宅街でクマが網戸壊す、近くの小学校は集団下校に:盛岡)
29日未明、盛岡市の住宅街でクマが住宅の網戸を壊す被害がありました。現場近くでは28日夜もクマが目撃されていて、警察や市が注意を呼びかけています。29日午前8時半ごろ、盛岡市西見前の住宅で、「網戸が外れて穴が空いている」と住民から警察に通報がありました。通報を受けて駆けつけた警察や市の担当者が確認し、周辺にクマとみられる足跡があったことなどから、クマによる被害と確認したということです。網戸は左上の部分がめくれるように外れていて、はっきりとわかる穴が少なくとも4か所、空いていました。住民によりますと、午前3時半ごろ、住宅の外から「バタン」と大きな音がしたため家の中を確認しましたが、異常がなかったことから再び就寝し、朝になって被害に気づいたということです。住民の30代の女性は「外れた網戸を見たときは強盗や嫌がらせかと思った。小さな子どもがいるので日中でなくてよかったが、またクマが出る可能性があると思うとすごく怖い」と話していました。現場はJR東北本線の岩手飯岡駅から南東におよそ1キロの住宅街で、近くには見前小学校もあります。小学校では児童や保護者に注意を呼びかけるとともに、29日は集団下校を行ったということです。現場周辺では28日夜もクマが目撃されていて、警察や市は、近くの住民に対し、クマのエサになるような野菜や生ゴミを屋外に置かないようにするなどクマへの注意を呼びかけています。

(木に登りクマが柿をムシャムシャ、住宅街で目撃情報相次ぎ猟友会が駆除:富山)
富山・朝日町の住宅地で、柿をむさぼるクマの姿をFNNのカメラが捉えた。同町では度々クマの姿が確認されており、住宅地には緊張が走っていた。その後、警戒が続けられていたが、ついに猟友会によりクマは駆除された。

(特定外来生物「アライグマ」が初確認:熊本)
可愛らしい見た目とは裏腹に、生態系や人間に悪影響を及ぼすおそれがある動物「アライグマ」。そのアライグマが、熊本市内の立田山で初めて生息が確認されました。イノシシ用のわなを監視するカメラの映像。そこに現れたのは…ぽてっとした見た目が可愛らしいアライグマ。何かエサを探しているのかあたりを嗅ぎまわっています。映像が撮影されたのは、11月3日午後11時ごろ。場所は、住宅地に囲まれた熊本市中央区と北区にまたがる立田山でした。アライグマは、テレビアニメの影響もあり一時ペットとして人気が出て、40年ほど前に日本に輸入されました。しかしその後、捨てられたり、逃げ出したりしたことから野生化して繁殖。2005年『特定外来生物』に指定されました。特定外来生物への指定はなにを意味するのか。森林や林業を研究する専門家は。森林総合研究所九州支所 安田雅俊さん「生態系への被害がとても大きいとか農林業への被害が大きい。あるいは人の生命や健康に大きな被害を及ぼすおそれがある」日本にはアライグマの天敵となるオオカミなどがいないことから生息数は増え続け、在来種や農作物に被害が出ていて、全国における農作物の被害額は、調査し始めた2000年以降、2022年までに約61億円に上っています。そのため、今回アライグマが見つかったことで、自然豊かな立田山の生態系が乱されることが懸念されています。安田さん「鳥の巣を襲って卵やヒナを食べるとか、在来種のカエルが食べられてしまって局地的に絶滅することが考えられる」。立田山に設置されたわなの近くには、アライグマのものとみられる爪痕も木に残されていました。熊本県によりますと、県内では、初めてアライグマが見つかった2010年以降、175匹が捕獲されました。ただ、立田山で確認された個体はまだ捕まっていません。約9年前にアライグマが初めて確認された熊本市は、捕獲に力を注いでいます。熊本市 環境政策課 時松秀太さん「今年の8月から10月の期間には熊本市で合計12か所のわなを設置していました」。月に10回以上、市と契約した猟友会のメンバーなどがわなの点検や確認を行っていて、今年はすでに、去年の捕獲数を上回る17匹を捕獲しました。熊本市 環境政策課 時松秀太さん「威嚇をする個体もいて、吠えたり人に向かってきたりするような動作をする個体もいる。非常に危険だなという認識がある」。一方で、隣の福岡県や大分県では、年間1000匹ほどの捕獲実績があることから、熊本市は今年、これらの県で使われているわなを熊本工業高校の生徒たちに作ってもらうことにしました。完成した「巣箱型わな」は、アライグマが穴に入る習性を利用したわなです。熊本工業高校の生徒「アライグマがわなの中に入ると中に踏み台があって、そこを踏むと(ガシャン)出られなくなります」。研究機関や行政は、生態の研究や新しいわなを駆使して増え続けるアライグマの駆除を進めています。見た目こそ可愛らしいアライグマ。しかし専門家は見つけても近付かず、自治体に連絡してほしいと呼びかけています。安田さん「相手は野生動物なのでどういう病気を持っているか分かりませんしペットではないので、むやみに触ったりエサを与えたりしないようにしてください」。特定外来生物には、動物や魚、虫などさまざまありますが、現在指定されている「ほ乳類」は25種類です。例えば、中国地方などで多く見られるヌートリアや、千葉県で問題となっているキョンなどがそれにあたります。このうち熊本県内で確認されているのは、アライグマと “タイワンリス” とも呼ばれるクリハラリスです。タイワンリスは2008年に宇土半島で初めて確認され、これまでに約6200匹が捕獲されました。その結果…去年の確認数は1匹と、ほぼ根絶したとみられています。熊本県の場合、まずは生態系への被害を防ぐことを目標にしていて、その上で長期的には根絶を目指しているということです。そのため県などは、アライグマを見かけた場合は、情報を提供してほしいとしています。

(列車がイノシシと衝突:福岡)
JR九州によると、2日午前6時21分ごろ、筑肥線福吉~鹿家間で上り普通列車(西唐津午前5時58分発福岡空港行き)がイノシシと衝突した。この影響で同7時半減材、同線姪浜~西唐津間で遅れが発生している。同9時現在、通常ダイヤに復旧した。

(ジビエ、山の命を余すところなく:長野)
農作物被害防止のため捕獲された鳥獣を食用に活用しようと、国や全国の自治体がジビエ振興を図っています。食品として安全に流通する仕組みも整ってきました。どのように肉を生み出しているのか、長野県の食肉処理施設を訪ねました。長野県の南東、山梨との県境にある富士見町。標高千メートル前後に位置する高原の町に、ジビエの食肉処理施設「信州富士見高原ファーム」がある。2014年から稼働を開始、年間にシカ約600頭を扱う。ジビエ処理加工施設としては全国でも大きい方だ。代表の戸井口裕貴さん(44)に食肉処理のデモンストレーションを見せてもらった。すべて手作業で進める。

(食害対策から生まれた「ジビエ餃子」:静岡)
大井川が流れる静岡県川根本町に店を構える「和彩食堂あけぼの」です。今回の「しずおか産」は、川根本町で獲れたジビエの肉がたっぷり詰まった「川根ジビエ餃子」です。榊原さんがジビエ料理を始めたのは5年前。誰もが気軽に食べられる餃子を思いつき、店ではシカ、イノシシ、ゆず、豚の4種類を提供しています。川根本町の鳥獣被害を防ぐために猟師が獲ったシカ肉です。餡にはロースとももを使い、白菜、キャベツなどの野菜を1対1で合わせています。シカ肉餃子の皮は、紅ショウガの漬け汁で、ほのかなピンク色と香りをつけています。餃子の味を色で分けた方が見た目にも楽しい。そう考えた榊原さんは、イノシシ肉の餃子の皮に川根茶を練り込みました。人気が高まるジビエ料理。川根本町でも、シカやイノシシによる農作物への被害があります。猟師歴56年の殿岡邦吉さん。「川根ジビエ餃子」に使うシカやイノシシを獲っています。近年、川根本町の鳥獣被害は、減少傾向にあります。殿岡さんは数年前から弟子を取り、若い猟師を育てています。子どもたちの食育のためにも、ジビエ料理を食べてほしいと言います。

(給食にシカ肉のみそ汁、ジビエへの理解深める:岐阜)
関市の小中学校全26校で、学校給食の「ジビエ(野生鳥獣肉)献立」として、市内で捕獲されたニホンジカの肉を使ったみそ汁が提供され、子どもたちが舌鼓を打ちながら、ジビエへの理解を深めた。

(ジビエ直売所オープン:広島)
イノシシやシカなどジビエ(野生鳥獣肉)の直売所が広島県三次市下川立町にオープンした。三次ジビエ工房(三和町)代表で猟師の片岡誠さん(57)が「ジビエを身近に感じてほしい」と設けた。生息数が増えているアライグマやアナグマの肉もあり、犬用ジビエも多彩だ。田畑を荒らす「厄介者」をおいしくいただく料理の紹介にも力を入れている。

(自ら狩猟の鹿肉パワー、ボディービル選手:三重)
名張市の森本功太さん(32)はボディービル選手。「筋肉は年輪のよう」が持論だ。日々の筋力トレーニングをこなすには、エネルギー源となる食事が欠かせない。自ら狩猟してさばいた鹿肉づくしのランチに同席した。この日のメイン料理は、目玉焼きをのせた鹿肉のドライカレー。鹿肉ミンチをハーブやトマト缶、玉ネギと炒め、カロリーオフのカレー粉で味付けした。鹿肉は、筋トレで使うエネルギーを生み出すカルニチンや鉄分、ビタミンが豊富に含まれる。一方、脂質が少なく、健康に気を使う人には最適という。森本さんは「気分でコンソメ味にすることもあるが、カレーが一番臭みがなくなっておいしい」と頬張った。

(ぼたん鍋の季節到来、イノシシ肉が旅館や料亭に入荷:福井)
11月にイノシシのわな猟、銃猟が解禁され、福井県おおい町名田庄地区の料理旅館、料亭などで冬の風物詩「ぼたん鍋」に使われるイノシシの入荷が始まっている。脂の乗ったイノシシ肉が大皿に花のように盛り付けられ、提供する旅館では「イノシシ肉を鍋で味わい温まってほしい」とアピールしている。ぼたん鍋はイノシシ肉を野菜やキノコと、みそで一緒に煮込んだ鍋料理。薄切りにした肉をボタンの花のように盛り付けることが名の由来とされる。同町名田庄久坂の料理旅館「新佐」では、11月28日までに地元猟師が捕獲したイノシシ10頭を入荷した。冬を乗り切るために脂を蓄えるこの時期が旬。体長は1・2メートル前後、体重60~70キロほどが多いといい、同旅館は「ほどよい大きさの個体で、肉が柔らかい」と太鼓判を押す。あっさりとしながらも甘みのある味わいが特徴。数ミリほどに薄く切った肉を大皿に並べ、野菜や自家製みそと一緒に提供している。今年は気温の高い日が続いたためイノシシの肉質が心配されたものの、「ようやく寒くなってきて、脂の乗りはここからさらによくなりそう」と期待を寄せる。同旅館では4月中旬ごろまで提供する。同地区では新佐のほか、料亭やホテルなど3カ所でもぼたん鍋を提供している。問い合わせは若狭おおい観光案内所=電話0770(77)0025。県内のイノシシ猟は、銃猟が来年2月15日、わな猟は3月末まで。

(イノシシ料理最盛期:兵庫)
狩猟が11月中旬に解禁され、兵庫県丹波篠山市周辺ではイノシシ肉を使った料理の本格的なシーズンを迎えた。市内の料理店などで味わうことができる。イノシシ肉の料理としては「ぼたん鍋」が人気があり、市内の約40店舗で提供されている。各店舗によってだしやみそ、食べ方の違いがあるという。また市内ではソーセージ、ピザ、カレーパンなども食べられる。豚熱の影響で今年も丹波篠山産のイノシシ肉は市場には出回らないが、西日本各地から市内に集まるという。市中心部にある山里料理「まえ川」では11月30日、市内の日本酒「秀月」の蔵元「狩場一酒造」のファンが集まるイベントがあり、イノシシ肉の角煮や吸い物が供された。狩場一酒造の岡村寛治さんは「吸い物にはまろやかでやさしい味のお酒を合わせるのがいいと思う。料理によって合うお酒を楽しんでもらえれば」と話した。イノシシ料理が食べられる飲食店や、肉を買える店の情報は市観光協会(079・506・1535)が発行する冊子「たんばささやまジビエ ぼたんに会ひに」に掲載されている。市公式観光サイト「ぐるり!丹波篠山」からも見られる。

(エゾシカフェアの開催:北海道)
ジビエの本格的な時期である冬に向けて、エゾシカ肉の魅力を広くアピールするため、多くの販売店や飲食店でエゾシカ肉やエゾシカ料理を提供いただく「エゾシカフェア」を開催します。フェア期間中、多くの飲食店や販売店が参加し、エゾシカ肉やエゾシカ 料理が提供されます。参加店でエゾシカ料理を食べたり、エゾシカ肉を買うとエゾシカ肉商品等のプレゼントに応募できます。

(「キョンタンメン」で食育授業:千葉)
千葉県勝浦市の市立総野(ふさの)小学校で29日、房総半島で増え続ける特定外来生物「キョン」の肉を使って名物の勝浦タンタンメンを作る、食育教育の授業があった。レシピには「キョンタンメン」と記し、5、6年生の計19人が調理に挑戦して、出来上がったタンタンメンを保護者らと一緒においしそうに食べていた。食育の推進と命を考える目的の授業で、狩猟のあり方や生命を無駄にしない行動などを学んだ。猟師の原田祐介さん(51)から、有害鳥獣をあやめるだけでなく、利活用することの大切さを聞いた上で、調理実習に臨んだ。2.5キロの肉は原田さんが提供した。ボランティア団体「市食生活改善会」の人たちの指導を受けながら、キョン肉とタマネギを炒め、ニラやラー油を加えてスープにし、それをゆでた麺にかけて完成。「思っていたよりおいしかった」「みんなと協力してできてよかった」などと児童たちは満足していた。

(ライフルの薬きょうで万華“莢”:北海道)
銃弾がおもちゃに変身-。芽室町の上野麻里子さん(33)は使用済みライフル弾の薬きょうを知人から譲り受け、長さ5センチほどのポケットサイズの万華鏡を制作している。作品は愛読する漫画「ゴールデンカムイ」の一場面から着想し、銃弾ときらびやかさを複合させた上野さんのオリジナル。薬きょうから1文字採用し「万華莢(きょう)」と名付けた。作り方は薬きょう底面(直径約1.5センチ)を金属のこぎりと歯科用やすりで切断し、内部に3面の鏡を入れた後、ガラス玉で封をする。これまで40個ほどを作成し、札幌などのイベントで販売した。「特に女性に人気で売り切れることもある」と好評だ。価格は1200円。他にも薬きょうのカード立てやピンバッジを作っている。帯広市のとかちプラザで15日に開かれる十勝サブカルチャー振興推進サークル「白黒夢(モノクローム)」のイベントでも販売される。

(マタギ修行する31歳、秋田で送る「最高の移住生活」:秋田)
コロナ禍の2022年6月、岡本健太郎さん(31歳)はマタギの後継者になるために、秋田県北秋田市の最南部に位置する大阿仁地区に移住した。都会に住む若者がなぜ移住し、マタギをめざしたのか。詳しくは前編に記した通りだ。大阿仁地区は山間に9つの集落が点在し、人口700人余り。高齢化率が約60%という限界集落だ。小さな集落を囲むブナの森、山の奥深くにクマが棲むマタギの猟場がある。移住の初日、岡本さんの心は高揚する。だが、数日を過ぎた頃、岡本さんは自分の誤算に気がついた。「マタギになるために必要な狩猟免許取得、猟銃所持許可の認可、猟友会入会という3つの条件を、年内にクリアできそうにないことを知ったんです」移住体験のとき、マタギになるためには、狩猟免許と猟銃所持許可を取得して、猟友会に入会する必要があると教えてもらっていた。だから岡本さんは移住後、すぐに猟友会の事務局に行き、免許の取得や入会について尋ねる。狩猟免許には、わな猟免許と銃猟免許がある。その内容は、筆記試験と適性試験、組み立てから解体までの実技を審査する技能試験だ。どちらも猟友会が事前講習会を開催してサポートしてくれるという。猟銃所持許可のほうは銃刀法に基づいて公安委員会に認可申請をする必要があり、認可が非常に厳しいらしい。「銃による危害を防ぐために、不認可になる欠落者の要件が定められていて、申請者の身辺調査のほかに犯罪歴や借金、近隣トラブルがないかなど、揉め事の火種を持っていないか徹底的に調べるそうなんです」また、狩猟免許と猟銃所持許可の両方を取得したとしても、猟友会に入会できるのは、最短で猟期前の10月にある総会の時だという。岡本さんは、ぎりぎりで今年の猟期には間に合うと思っていた。しかし、猟銃所持許可は認可がおりるまで半年くらいはかかると言われ、あえなく撃沈した。「年内は何も活動できないと知り、どうやってマタギの輪に入っていけばいいのかイメージできず、落ち込みました」。狩猟免許は事前講習会を受けて、翌月には取得できた。しかし、次はどうしたらいい? テレワークで仕事を順調にこなし、生活のペースは整っていくのに、マタギにはなれない。思えば、「マタギの後継者になる」というのは自分が勝手に決めただけ。移住したての素性もよくわからない人間に、「マタギをやってみないか?」と声がかかることなど、ありえないのだ。ちょっと考えればわかることに、岡本さんは自分の無知さをかみしめながら、もどかしい日々を過ごした。そんな中、岡本さんは自分が住む集落に「伝説のマタギ」と呼ばれる松橋吉太郎という人がいるという話を耳にする。その人に直接、会いに行こう! と思った。104で電話番号を調べてアポを取るとか、紹介者を探して段取りしてもらうとか、外側から固めていくのはもどかしすぎる。松橋さんの自宅を探して、懐に飛び込むのだ。そして志願しよう。マタギになりたい、と。住所も顔も知らない松橋さんの自宅を探して、自転車で集落を回った。そして、移住して3カ月経った9月。残暑が厳しいとある日、自宅からコワーキングスペースに向かう途中に、廃業した個人商店の前を通ると、ご老人の一団がコーヒーを飲んでいた。その中の1人を見て、直感的にこの人だ! と岡本さんは確信する。「こんにちは。吉太郎さんですか?」。思い切って挨拶をすると、「んだよ(そうだよ)」。松橋さんは初対面の若者をいぶかしがることもなく、穏やかにうなずいた。「マタギになりたくて移住した岡本健太郎という者です!」「ああ、んだが(そうか)」。松橋さんはにっこりと笑った。この日をきっかけに、岡本さんは松橋さんを親方と呼ばせてもらい、自宅を日常的に訪ねていくようになった。ようやくマタギ後継者の扉が開き、修業の日々が始まるのである(修業の日々も前編にて)。ここで岡本さんの“マタギマインド”な日常を紹介しよう。結婚6年目、岡本さんは秋田、妻は東京で暮らす2拠点生活。生計を立てるのは本業のデータエンジニアの仕事である。移住を機に独立してフリーランスになった。月曜日から金曜日の週5日間、Wi-Fiが入る無人の比立内駅直結のコワーキングスペース「がっこステーション」に通って、10時から19時まで仕事をする。「借りた自宅にWi-Fiが入らないことに焦りましたが、この限界集落にコワーキングスペースがあることに、もっと驚きました(笑)」。自宅は、空き家だった一軒家を借りている。当然のごとく集落にアパートはなく、借りて住むならば一軒家になる。以前は高齢女性が1人暮らししていたというこの一軒家は、なんと1階コンクリート造の木造2階建て。居宅部分の木造2階部分は4LDK、1階は倉庫のように広い。敷地内の駐車スペースも「がんばれば8台は駐車できる」という。フローリングのLDKは20畳以上。田舎住まいの要確認事項であるトイレは、きちんと水栓トイレ。1階のスペースは岡本さんの山に行くときの道具や釣り道具、バーベキュー用品などの置き場に。冬に備えて除雪機もスタンバイしている。「除雪機は元から家についていたんです(笑)。これはめちゃくちゃ便利。この地域は雪の量はハンパじゃなくてスコップで雪かきしていたら、いつ終わるんだって感じですが、除雪機だったら、慣れれば5~6分で除雪完了です」。ちなみに除雪機だけでなく、家具もそのまま残っていて、好きに使っていいとか。1人暮らしには、十分すぎる物件である。これで家賃は5万円だというから驚きだ。「これでも相場より高いんですが、この内容ですし、おそらく築年数的にはこの地域の中で一番新しいと思います。古い空き家かこの家かという2択(笑)。妻の移住を許可する最低条件は“新しい家”でしたので、契約しました」。ちなみに東京の住まいは1LDKで家賃15万円。最寄り駅まで徒歩3分。だが、エキチカというなら、こちらも負けない。比立内駅まで徒歩3分、車で1分。集落随一の中心地で、どこに行くにも車で5分圏内だ。家賃込みで毎月の生活費は10万円ほど。コワーキングスペースは月額3000円なので、主な支出は光熱費や食費だ。そのうち食費に2万円以上使っているという。「外食が多いので」と苦笑いするが、マタギ修業に精進する日々、しかもこの地で外食とは?「飲み代じゃなく、お昼ご飯代です。がっこステーションから車で2分の『道の駅あに』に食堂があるので、お昼はそこに食べに行くことが多いです。飲むときは友だちの家で“宅飲み”しています」。気持ち的には自炊したいのだが、能力的にできないそう。夕食は阿仁の“贈与経済的な風土”に助けられている。釣った魚を、お世話になっている猟友会の会長さんにおすそ分けに行くと、お返しに「これ、食べるが?」と手作りのおかずを持たせてくれる。マタギの修業は狩猟だけではない。川釣り、山菜やきのこの採集も大事な修業である。先輩たちに何度も言われるのは、「とにかく山を歩き、山を知れ」ということ。釣りも山菜やきのこの採集も、山を知ることにつながっているという。猟期以外のシーズンはクマがどこを歩き、どこを餌場や寝床にしているか、そういう痕跡を観察しながら山を歩けと教えられた。「師匠たちに言われるのは、釣りをするにしても考えて釣れということです。魚の習性や居場所。釣れるときと釣れないときは何が違うかとか。獲物のことを熟知したうえで、いかに工夫して授かるかを考えろ、と。これがクマを狩るときに生きてくると教えてくれました」。岡本さんの1年は山の恵みとともに過ぎていく。春は川釣りが解禁になると、仕事の前や終わったあとに釣りに行き、イワナやヤマメを釣る。山菜は「ばっけ」と呼ぶフキノトウやこごみ。夏はほぼ釣り。秋はきのこ採り。まいたけ、なめこ、サワモダシ、ブナハリタケ、ホウキタケなど種類も豊富。松茸も採れる。「阿仁の天然なめこは市販のものの倍以上の大きさで、味が濃くて本当においしいです。きのこ採りは夜に行くことが多いかな。通だから? いえ、阿仁では普通のことです。なぜなら昼間は仕事があるから。非常にシンプルな理由です」。なめこを缶詰工場に持ち込んで、自家用の缶詰にして保管する。これも阿仁暮らしのスタンダードだ。冬は待ちに待った猟期。新雪にくっきり残ったクマの足跡を見つけると、心が躍る。クマ以外では山鳥やウサギを狙う。岡本さんが得意とするのは鴨だ。阿仁ではマタギに限らず普通の家庭でも、畑で収穫する感覚で山に行き、採ってきた山菜やキノコや川魚がその日のうちに食卓に並ぶ。日常的な自炊はできないという岡本さんだが、採れたてのきのこは友人宅に持っていき、きのこ鍋にする。鴨はさばいて香草焼きというしゃれたメニューを作る。イワナは釣ったその場でくし焼き。秋猟で授かるクマは冬眠用に脂肪をたっぷり蓄えているので、熊鍋にすると脂肪が溶けて甘みがじわっと広がって、抜群にうまいという。岡本さんが憧れた「山で、暮らしの糧を得て生きている」という生活。この“糧”は文字通り食料のこと。「初めて釣りに行って、自分の釣った魚を食べたとき、糧を得るとはこういうことだ! と腹落ちしました。こういう暮らしは昔も今も阿仁では変わらずに続いている営みなので、僕の日常もそうなりました」。もちろん“マタギマインド”を離れて、仲間とレジャーを満喫することもある。8台駐められる大きな駐車場ではバーベキュー。家から歩いて5分の川辺にサウナテントを立てて薪ストーブを炊き、がんがん汗をかいたら川にダイブ。移住仲間や地元の友人との飲み会。「僕は物欲もないですし、日が落ちると真っ暗になる阿仁の暮らしは、東京にいるより楽しい」。さて、令和の今、マタギの後継者として岡本さんは何をめざすのか? こう問うと「時代の流れとはいえ、食糧を得る以上のことができていないという忸怩たる思いはあります」という答えが返ってきた。その一方で、リスペクトする親方こと松橋さんも林業で生計を立てていたように、専業の狩猟者であることが、マタギの必須要件ではないようにも思う。親方が大切にしているものは、マタギの技術と信仰、マタギであるプライドだ。この3点こそがマタギをマタギたらしめるものではないか。「今の僕としては、純粋に山の神様への信仰を大事にしながら、狩猟や山を知るスキルを高めていくことに邁進します。そして、親方はじめ先輩たちの頭の中にあることや教えてくれたことを引き継いで、次の世代に継承させることが、僕の役目だと思っています」。あ、それから、と付け足して「自炊の腕も上げたいです」と笑った。岡本さんがマタギ修行する大阿仁地区では、「マタギ文化や狩猟技術を一緒に継承する仲間を募集している」という(公式HP「阿仁マタギの伝統を継ぐ」)。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、1日午後7時ごろ、仙台市青葉区芋沢本郷にクマが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、1日午前10時50分ごろ、登米市南方町山成前にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
丸森町によると、29日午前8時25分ごろ、丸森町金ケ作にクマが出没しました。

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