<射撃ニュース12月>
12/27
(イノシシと衝突、車両炎上:)
12月23日、和歌山市の阪和自動車道上り線で、乗用車にイノシシが衝突する事故があり、はずみで車が側壁にぶつかり全焼しました。さらに、事故車に後続車がぶつかり、この車を運転していた71歳の男性が軽いけがをしました。これらの事故や火災で、阪和道は和歌山・海南間の上下線が通行止めとなりました。この日の午後9時すぎ、和歌山市の阪和道上り線で、御坊市の24歳の男性が運転する乗用車にイノシシが衝突しました。このはずみで、男性がハンドル操作を誤り、側壁に衝突して炎上しました。この車両に、後ろを走っていた湯浅町の71歳の男性が運転する乗用車が衝突し、男性は胸に軽いけがをしました。炎上した車は全焼しました。これらの事故や火災で、阪和道は和歌山・海南間の上下線が通行止めとなり、渋滞が出るなど影響しました。このあと下り線は、およそ2時間後の午後11時半ごろ通行止めが解除されましたが、上り線の通行止めは24日の午前1時すぎまで続きました。現場付近では、ほかにもイノシシが積荷か何かにぶつかったという4件の事故が発生していて、県警の高速道路交通警察隊では、高速道路に侵入したイノシシがぶつかった可能性があるとみて、事故の詳しい状況や出火原因などを調べています。現場は、阪和道の和歌山南スマートインターチェンジの南およそ1キロの上り車線です。
(ヒグマ捕獲、報酬アップ要請へ:北海道)
北海道の鈴木直道知事は24日、共同通信のインタビューに応じ、ヒグマを捕獲するハンターへの報酬について「危険度を考えれば、シカと同じ単価なのはおかしい」と述べ、国に対し引き上げを強く求める考えを示した。国は鳥獣による農作物被害を減らすため、クマやシカを捕獲した人に基本的に1頭当たり8千円を支給している。市街地に出没する「アーバンベア」と呼ばれる個体が増える中、2023年度に北海道で捕獲したヒグマは前年度比9割増の1804頭と過去最多を更新し「人とヒグマのあつれきが、かつてないほど高まっている」と危機感をあらわにした。一方、砂川市の要請でヒグマを駆除したハンターの猟銃所持許可取り消しを「妥当」とした10月の札幌高裁判決を受け、北海道の猟友会では発砲への慎重論が高まる。鈴木知事は「ハンターが安心して捕獲に参加できる環境にしてほしい」と述べ、鳥獣保護管理法を早期に改正して市街地での猟銃使用の条件を緩和するよう訴えた。
(クマ駆除をめぐって猟友会や自治体、警察が意見交換:北海道)
市街地でのクマの駆除をめぐり、自治体とハンターらの連携が課題になっていますが、12月23日、札幌に関係機関が集まり今後の体制を協議しました。意見交換をしたのは、北海道石狩地方の市町村と、猟友会の3つの支部、そして警察です。23日は、駆除の際の役割分担や、銃の所持や発砲に関する法令を確認しました。北海道猟友会 札幌支部防除隊 玉木康雄隊長:「法解釈があやふやでは、現場のハンターは戸惑う。解釈を全員が共有してほしい」クマの駆除をめぐっては2018年、砂川市の要請を受けて、ハンターの男性が駆除にあたった際、弾が住宅に届く恐れがあったとして、公安委員会に猟銃所持の許可を取り消されました。これを受けて北海道猟友会は、自治体からの駆除要請を拒否することも検討しましたが、2024年11月、自治体や警察との連携体制の整備状況を踏まえて、各支部の判断に委ねることを決めました。一部の猟友会支部では、出動要請の拒否や発砲を控える方針を示していて、道は「意見を踏まえて、ハンターが安心して活動できる環境の構築を図りたい」と話しています。
(ヒグマ駆除で意見交換「法的責任問われない仕組みを」:北海道)
ヒグマの駆除についてハンターや自治体などの連携が課題となるなか関係機関の担当者が意見を交換する会議が旭川市で開かれ、猟友会のハンターからは「ボランティアで駆除するので法的な責任を問われない仕組みをつくる必要がある」などの声が上がりました。ヒグマの駆除をめぐっては道猟友会が今後、自治体からの出動要請に応じるかの判断を支部にゆだねる方針を決定していて、ハンターと自治体との連携が課題となっています。こうしたなか、旭川市にある道の上川総合振興局では23日、自治体の職員や警察官などおよそ70人が集まり意見を交換する会議が開かれました。会議では振興局の担当者が鳥獣保護管理法について説明し、クマが出没した場合に警察官の命令がなくても特例的にハンターの発砲を可能とする法改正が検討されていることが紹介されました。このあと非公開で意見交換が行われ、出席者によりますと、猟友会のハンターからは法改正後は自治体の職員が発砲の判断を下すとされているが、専門知識のない職員が判断できるのかといった質問やどのような仕組みであれ発砲の最終的な責任をハンターに負わせないでほしいといった意見が出されたいうことです。北海道猟友会旭川支部の高梨秀二支部長は「猟友会として今後もできることは協力していくが、ハンターはボランティアで駆除するので、法的な責任を問われない仕組みをつくる必要がある」と話していました。
(駆除発砲責任どこに、猟友会と行政意見交換:北海道)
北海道猟友会(札幌)がヒグマ駆除を巡り自治体や警察との連携が不十分な場合は出動を拒否するよう支部に通知することを決めた問題で、十勝総合振興局は23日、十勝管内の同会各支部との情報・意見交換会を行った。
(「クマ駆除」めぐる問題、自治体と猟友会などが意見交換:北海道)
猟銃許可の取り消しなど、「クマの駆除」をめぐって揺れる空知管内。24日、自治体と猟友会などが意見交換を行いました。岩見沢市で開かれた、「クマ駆除」に関する意見交換会。空知管内の猟友会と自治体や警察が顔を合わせました。猟友会砂川支部から参加した池上治男さん。現在、猟銃を持つ許可を道から取り消されています。2018年、クマ駆除の際、建物側への発砲を理由に許可を取り消されたことを不服として道を相手取り裁判を起こした池上さん。一審では認められたものの札幌高裁では逆転敗訴となりました。池上治男さん)「一般のハンターの人たちは発砲することすらできなくなる」。これを受け、道猟友会は発砲の責任を警察や自治体が負わない場合、クマの駆除を支部の判断で拒否できることにしました。揺らぐ、自治体とハンターの連携。池上さんは24日の意見交換会で、安心して駆除にあたることができないハンターの現状を訴えたといいます。池上治男さん)「やっぱり警察の信頼関係だとかが損なっているのはどうか思う。要請されてるわけでしょ?要請されてるんだよ?誰も危ない目にあってまでやりたくない」。
(ヒグマ駆除、発砲の責任「明確に」:北海道)
日高振興局は23日、ヒグマの駆除について、北海道猟友会(札幌)の日高管内の支部と意見交換会を開いた。猟友会側からは発砲の判断を巡り、責任の所在を明らかにするよう求める意見が上がった。
(胆振の猟友会支部「地元と協力」:北海道)
北海道猟友会(札幌市)がヒグマの駆除を巡り、自治体や警察との連携が不十分な場合は出動拒否するよう支部に通知することを決めた問題で、胆振総合振興局は25日、管内の道猟友会支部との「情報・意見交換会」を室蘭市で開いた。同振興局によると、各支部からは「引き続き地元市町と協力して対応する」との方針が示されたという。
(ヒグマ発砲判断、責任明確化を要求:北海道)
根室振興局は25日、北海道猟友会(札幌市)の管内3支部と、ヒグマ駆除に関する情報・意見交換会を町生涯学習センターで開いた。猟友会側からは協力する意向は変わらないが、発砲の判断について責任の所在を明確にするよう求める意見などが出された。
(知事がぶちまけた「悪質抗議電話」への"怒りの60分":秋田)
クマの駆除をめぐり、自治体などに対する悪質な「クレーム電話」が問題になっている。こうした中、秋田県の佐竹敬久知事が「私なら『お前のところにクマを送るから住所を送れ』と言う」と発言し、物議を醸している。佐竹知事はこれまでも“攻めた”発言を繰り返してきた。その真意とは何か。クマ問題を取材するライターの伊藤秀倫さんが聞いた――。〈佐竹知事「お前にクマ送る」 悪質なクレーム電話対策で、県議会で発言〉。やってるなぁ――スマートフォンに流れてきたニュースを見て、思わずニヤリとした。秋田県の佐竹敬久知事(77)のこの発言が飛び出したのは、2024年12月17日の秋田県議会においてだったが、筆者はこの5日前、佐竹知事にインタビューしたばかりだった。クマ問題を取材している筆者にとって、“秋田県の佐竹知事”は、もともと気になる存在だった。秋田県は全国的に見てもクマの出没が多く、2023年度に起きた人身事故は62件/70人に達しており、これは2位の岩手県(46件/49人)と比べても突出した数字といえる。こうした現実を踏まえて佐竹知事は、クマ問題については、これまでも理想論にとどまらない“攻めた”発言を繰り返してきた。例えば2023年10月23日の知事会見では、狩猟期を迎えるにあたって「バンバンやれというわけではないが、(クマを)みつけたらすぐやる(撃つ)」という積極的な駆除方針を明言している。これは自治体のトップとしては極めて異例なスタンスだ。というのも、昨今では〈クマを駆除〉というニュースが流れるだけで、当該の自治体に「クマを殺すな」という抗議電話が殺到するのがお決まりパターンになっており、炎上を恐れて「駆除」とか「撃つ」という言葉自体を曖昧にボカす人のほうが多いからだ。さらに同じ会見で記者から、抗議電話への対応を問われた佐竹知事は、「相手が乱暴でなく、しっかり名乗って、どういう用件なのか伝えてもらえれば、話を聞きますよ。ですが最初から乱暴な態度でこられたら、これは『ガチャン』ですよ」と電話を切るポーズをしてみせた。人間の生活圏内に出没したクマ、あるいは人間に危害を及ぼしたクマに対してとるべき対応は「駆除一択」である。よく「麻酔銃で眠らせればいい」という意見を聞くが、麻酔銃一発でクマを眠らせるのは実際には至難の業であり、下手に撃てばかえってクマは暴れ回る。仮にうまく麻酔で眠らせることができて、山奥に運んで放獣したとしても、そうしたクマは再び戻ってくる可能性が高い。その意味でも佐竹知事の毅然としたスタンスにはクマ問題を取材する一人として個人的に共感を覚えていた。そうしたところ、2024年11月30日、秋田市内の土崎港で開店前のスーパーに現れた1頭のツキノワグマが開店準備をしていた男性店員を襲ったあと、そのままスーパーに立てこもる事件が起きた(*被害者は顔などをひっかかれる軽傷)。結局、事件発生から2日後、クマは出入り口付近に設置された箱ワナにかかり、駆除されるに至った。案の定、秋田市および秋田県庁などにはあわせて約200件(*抗議や応援などを含む)の電話が殺到したという。そこでこの事件を受けて、佐竹知事に改めて「ガチャン」発言の真意とクマ対策のあり方について話を聞いたのが以下のインタビューである(*このインタビューは2024年12月12日に秋田県庁で行われたものです)。「やぁ、どうもどうも」。予定時間より早く秋田県庁内の一室に、佐竹敬久知事(77)が入ってきた。旧華族の家柄である佐竹北家の21代目当主である佐竹氏は、東北大学工学部を卒業後、秋田県庁に入庁し、県職員として勤務。97年に退職後、秋田県知事選に立候補して敗れるが、2001年には秋田市長戦に出馬して当選。これを2期務めたあと、09年には再度知事選に挑み、リベンジを果たす。以降当選を重ね、今年で4期16年目となるが、来年4月に任期満了を迎えるにあたって、知事の座を退任することを表明している。「もう年だもん! 77歳。(日本人男性の)平均寿命まであと4年です」。インタビュー冒頭、そのことに話が及ぶと、佐竹知事はこう言って破顔した。インタビューというと「何を聞かれるのか」と身構える政治家がほとんどだが、この人にそういう気配は皆無だ。早速、今日の「本題」に入る。――11月30日に土崎港のスーパーに現れたクマが立てこもった事件について、最初に「土崎にクマが出た」と聞いた時はどう思われましたか。現場は市街地で、しかも港ですからクマとは無縁な場所に思えますが……。そのちょっと前から周辺で目撃情報が相次いでいたので、驚きはありませんでした。昨今の状況では県内のどこにクマが出てもおかしくはない。私の自宅から20メートルのところにも出たくらいで、今は朝と夕方の散歩も控えてます。子どもさんがいる家なんかは、家の周りで安心して遊ばせられないというので、かなり日常生活に影響が出てますね。土崎のクマについてはいろんな説があるけど、問題はあのクマがどこから来たのか。あの浜のあたりにも防風林とかクマが隠れられそうな茂みなんかも結構あるんですよね。ある専門家は「山から来たクマが、そういう茂みを利用して周辺にすみついたのでは」と言ってました。いわゆる「アーバンベア(市街地周辺で生活し、市街地に出没するクマ)」じゃないか、と。というのも捕獲してみたら、結構太ってたというんだな。栄養満点で、ドングリやなんかが不作でお腹を空かせて山から下りてきたわけじゃなさそうだぞ、と。スーパーにあった食品はまったく食べてないわけだ。だから食料を求めて迷い込んだというよりは、もともと近くの林までは来ていて、人を避けて移動していくうちにスーパーに入り込み、運悪く(被害者と)鉢合わせしてしまったという状況だったのかもしれません。――あのクマは結局、箱ワナで捕獲して駆除という形になりましたが、銃器での駆除はやはり市街地ということもあって難しかったのでしょうか。市街地でも、見通しがよくて、背後に山などがあるような場所であれば、撃てるケースもあると思いますが、今回の場合、やはり建物の中なので、クマが隠れる場所がいっぱいあるでしょ? そういう見通しが利かない場所に入っていって、急に棚の陰からクマが飛び出してきたら、これを撃てるかといえば、撃てないですよね。それに撃った弾がそれたり、跳ね返ったりして、ガス管とか配電盤とかに当たってしまう可能性もあったから。――今の法律では市街地での発砲は原則できないことになっていますが、現在、環境省などを中心に市街地での発砲が可能になるような法改正が検討されています。これについてはどうお考えでしょうか。被害防止の観点からは、一歩前進とは言えると思う。ただ、誰の判断で発砲するのかという責任の所在をはっきりさせることが大事。それをハンターの方たちに任せてしまってはダメだと思う。この責任の所在が曖昧だとハンターの方たち、撃てないですよ。もちろん事故はあってはならないが、万が一、事故が起きてしまった場合のことまで想定して、セットで(法整備を)進めてほしいと思います。従来の鳥獣被害対策実施隊(市町村の非常勤職員という位置づけで、主に地元のハンターが務めている)による駆除というのは、あくまで民間人がボランティアに近い形で協力しているので、そこに発砲の全責任を負わせるというのは単純におかしいですよね。責任の所在をはっきりさせるという意味では、警察に「クマ専門の対策部隊」を作ってもいいんじゃないか。――今回、土崎のクマが駆除されたことで抗議電話はどれくらいあったのでしょうか。(担当職員に確認しながら)秋田市と県とであわせて200件(*抗議や応援などを含む)ぐらいですね。抗議はほとんどが県外から。まぁ、わかるけどね。クマが身近に出没する場所じゃないところに住んでいる人がそういう反応になるのは。ただあんまり度がすぎると、こっちも仕事ができなくなっちゃうんでね。――中には悪質なものもあった?そうですね。実際に話せばわかってくれる人もいるけども、一方でいくら話してもわかってくれない人もやっぱりいる。ひどい人になると「税金泥棒」というところから始まって「クマを殺すなら、お前が死ね!」とかね。朝から晩まで、ずっと30分以上も怒鳴りまくっている人とかもいる。これはもうはっきり言って業務妨害です。――佐竹知事は、そういう悪質なクレーム電話に対しては「ガチャン」で対応すると発言されて、話題になりました。この発言の真意はどこにあったのでしょうか。まず相手が乱暴でなく、お名前も名乗られたうえで、ご意見を言いたいということであれば、これはちゃんと話を聞きます。問題は名前も名乗らず最初から乱暴な態度でずっと怒鳴りまくっているような人たち。これにずっと対応しているとまったく仕事になりません。私はこれは“公務員バッシング”だろうと思っているんです。やっぱり知事として職員を守るというか、理不尽なバッシングに晒されたままにしてはいけないという思いがある。私があえて強い表現をすることで、職員が毅然とした対応を取りやすくなる。それがまあ「ガチャン」という表現になったわけです。「でもね……」と、ここで少し佐竹知事のトーンが変わった。「30年前はね、こういう人たちはいなかった。この頃、増えたんだな」。そして佐竹知事は抗議電話をしてくる人たちの“背景”へと思いを馳せる。「私はこういうクレーム電話は、クマへの愛情というよりは、その人が日頃から抱える鬱憤とか、ストレスとか、そういうものから出ているような気がする。そのストレスのはけ口を求めていて、今回みたいなチャンスがあれば、それを公務員にぶつけてくる。ただね、彼らが完全に悪いとは言えないんだ。こういう方々も、今の世相のある意味、被害者だ。それだけ不満を抱えた人がたくさんいるわけで、今の世の中を表している象徴と言えるかもしれません」。何か痛ましいものをまるで眼前に見ているような知事の表情が印象的だった。
(「日本が"クマの惑星"になってからでは遅い」:秋田)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。とりわけ秋田県はクマの出没が多く、2023年度に起きた人身事故は62件/70人と、2位の岩手県(46件/49人)と比べても突出した数字だ。どうすれば被害を減らすことができるのか。クマ問題を取材するライターの伊藤秀倫さんが、秋田県の佐竹敬久知事に聞いた――。筆者のようにクマに興味がある人間が「秋田」と聞いて、すぐに思い浮かべる事件がある。それは2016年5月から6月にかけて青森県との県境に近い鹿角市で起きた「十和利山襲撃事件」である。この事件では「ネマガリダケ」と呼ばれる旬の山菜を採りに山に入った人々が連日、クマに襲われ、死者4人、重軽傷者4人という熊害としては戦後最悪の犠牲者を出した。犠牲者の遺体がいずれも複数のクマによって食害されていたことも、この事件の凄惨さを際立たせている。この現場近くの山林では、今年5月にもクマに襲われたと見られる男性の遺体が発見されており、さらにこの遺体を搬送しようとした警察官2人がクマに襲われ、大けがを負う事件も起きた。なぜ秋田県ではクマによる人身事故が多いのか。どうすれば、この被害を減らすことができるのか。佐竹敬久・秋田県知事が「秘策」を語った。――2016年に起きた十和利山の事件が象徴的ですが、全国的に見ても秋田県はクマによる人身事故が多い。秋田県ならではの特殊な背景などがあるのでしょうか。人身事故は春に起きることが多いのですが、やはりネマガリダケとかの山菜を採りに入った人が、クマと出くわして襲われるケースが多い。山菜はクマも好物ですから、どうしても鉢合わせする可能性が高くなるんですね。なぜ危険を冒してまで山に入るかというと、秋田の山菜が東京で高く売れるんです。山菜採りに入るのは中高年の方が多いんだけど、あるおばあちゃんに聞いたら山菜だけで年間200万とか300万円の儲けになる。ある意味では生活がかかっているわけで、それは入りますよね。県内の一部の地域では、この時期は山に入らないように、入山禁止の立て札をたてるんですが、それでも山ですから、どこかから入っちゃう人はでてくる。それから秋田は県土の7割が森林です。このうち約半分が人工林で、数十年前に植林した杉が多く、県内の林業の発展に寄与しました。残りの半分は天然林で、広葉樹も多いですが、自然界ではどうしても豊凶の波がありますので、凶作の年に山でエサが不足すると、どうしてもクマが人里に出てくることになる。――知事はおよそ50年にわたって、行政の立場から秋田県を見てこられたわけですが、クマを取り巻く環境について変化を感じる部分はありますか。やっぱりわれわれが子どもの頃から、マタギの方々を通じて、クマというのはそれなりに身近な存在でした。ただクマは基本的に山奥にいるもので、人間の生活圏である里山とかにはほとんど出なかった。けれど昨今、人口が減って里山の管理が行き届かなくなると、そこに残されたクワの実やクルミ、クリや柿の木なんかを目当てにクマが入り込むようになったわけです。そうやって人間の生活圏に近づいたクマは、農作物を食べたりして、人間の食べ物を口にする機会が増える。一度人間の食べ物の味を覚えたクマは、たとえ山に戻したとしても、また戻ってきちゃうんですよ。他県の事例ですが、最近のクマは、人間の家に入って器用に冷蔵庫を開けるんです。賢いですからね。知事のいう通り、人口減によって里山の管理が行き届かなくなった空白地にクマが入り込むことによって、人間とクマの生活圏が重なりつつある。さらにいえば、ハンターの高齢化によって狩猟人口が大幅に減少したことで、クマの数は増え続けている。その結果、クマの生活圏は、ますます人間側に浸食しており、近年では「アーバンベア」という言葉もよく知られるようになった。――こうした状況にどう対応すべきだとお考えですか。結局、人間の生活圏とクマの生息域をきっちり分けることを徹底することだと思います。具体的には人間の生活圏とクマの生息域の間のやぶを払って、見通しをよくすることで、クマが人間側の生活圏に入ってくるのを防ぐ。実際、アラスカなんかではかなり徹底してやってます。あそこもグリズリー(ハイイログマ)が生息していますが、ある地域では道路の両側15メートルから20メートルぐらいのやぶを綺麗に払ってます。それ以外の森林はグリズリーの生息域ですから、人間は原則立ち入り禁止にしている。人間とクマの生息域をきっちり「ゾーニング(すみ分け)」することで両者の接触機会を減らしているわけです。これは日本でもできるはずです。少なくとも道路の両脇のやぶを払うことはできる。あるいはクマが移動に利用する河川敷のやぶを払う。本県でもそういった対策は予算を倍にしてやっています。ただ、そこらじゅうにあるやぶを全部払うことは不可能です。だとすると、後はクマの生息数を管理することも必要だと思う。人間の人口が減ったら、それに合わせてクマの頭数も減らすべきなんです。――知事は「クマを見つけたらすぐ撃つ」とも発言されてますね。当然、絶滅するまで減らすのはダメだけど、ある程度、頭数を管理することは必要だと思います。秋田県ではクマの推定生息数と前年の捕獲頭数に基づいて捕獲頭数の上限を毎年決めています。ただし、昨年度は極端な大量出没が起こった結果、捕獲頭数が2300頭にのぼりました。今春、改めてコンピュータシミュレーションによるクマの個体数推定を行い、それに基づき上限を670頭に設定しています。狩猟に関して言えば、もっとも山に入ってクマを獲るっていうのは、そんなに簡単じゃないんです。クマ撃ちの経験がないと、クマを見つけるのも難しい。――秋田県では有害駆除の担い手であるハンターへの積極的なサポートをされているのが印象的です。今年度の補正予算でも、猟銃を購入する際の補助を拡充するなどの対策費として約6000万円を計上していますが、こういった施策はどういう経緯で出てきたのですか。どうもね、私は意外と(銃を構える恰好をして)銃器マニアだから。大学でも防衛技術関連の研究をしていたもんでね。それで猟友会の方と話をしたりして、いろいろな要望をうかがったりする機会もあるんです。例えば弾ひとつとっても今、円安の影響もあってかなり高くなっているんで、これは何とか補助しようと。満足とまではいかないけど、新規に狩猟免許を取得する若い方も結構増えてきたんですよ。やっぱりかつては猟友会といえば、比較的経済的に余裕のある自営業の方が多かったんですけど、今はそういう人たちが少ない。かつてそうだった人も一線をひいて、みんな70代を超えてますから、その技術継承という意味でも、ハンターの育成というのは急務だと思ってます。それからドローンのような新技術を利用した駆除とか捕獲も検討の余地はあると思います。ドローンを使えば、人間が危険に晒されることなく、クマに近づくことができるわけですから、そういう新しい発想も必要になってくるんじゃないでしょうか。インタビュー中、とりわけ印象的だったのは「クマの問題は、オールジャパンで取り組まないとダメ」という佐竹知事の言葉だった。「それぞれの自治体がバラバラで取り組んでも限界はある。クマを殺すなとクレーム電話を入れてくる人たちに、なぜ駆除が必要なのかを理解してもらうための啓蒙的な活動を国がもっとやってもいいんじゃないかと思います。やっぱりクマが身近に出没しない地域に住む人たちにとっては、われわれの直面している現実というのは、なかなか理解しづらい面がある。だからといって、両者が対立したり、分断したりするようなことがあってはならない。現実問題としてクマの数は増えているわけだから、今はクマが出ない地域にも近い将来、出るようになるかもしれない。実際に東京でも西部のほうで目撃情報がありますよね」そして、いかにもこの人らしい表現で、こう付け加えた。「(日本が)『クマの惑星』みたいになってからでは遅いからね」。
(市街地の危険鳥獣、安全最優先で抜本論議を)
政府は市街地に現れたクマやイノシシに対し、猟銃の使用を条件付きで認めるよう鳥獣保護管理法の改正準備を進めている。近年、市街地の近くで暮らす「アーバンベア」による人的被害は深刻化している。人に危害を与えかねない大型動物を、速やかに駆除する仕組みづくりに異論はない。ただ、最終的に駆除を担うのは地域の猟友会などに所属する民間のハンターだ。高齢化が進む上に、住宅街での発砲を巡る司法判断も揺れている。住民の安全を誰が、どのようにして守るべきか。猟友会頼みの現状を見直す議論も深めてもらいたい。現行法では市街地にクマやイノシシなどが出没しても、銃猟を使えない。人に危険が迫り、警察官が職務執行法に基づいてハンターに発砲を命じた場合などに限られている。麻酔銃を使うにも都道府県知事の許可が必要で、迅速な対応は難しいのが現状だ。改正案では市町村長が一定の条件の下で「緊急銃猟」と判断すれば、ハンターの発砲を容認する。建物に損害があった場合は自治体が補償し、けが人が出てもハンターの責任が問われない仕組みも検討中という。駆除のリスクや負担を考えれば当然だろう。とはいえ銃が住民を傷つける事態は起きてはならない。万全の状況判断が求められる。住民への注意や避難を促すのに警察の協力は不可欠だ。しかし、その警察や司法と、政府方針との足並みはそろっているとは言い難い。北海道砂川市では、住宅地に現れたヒグマを市の要請で駆除した猟友会の男性が、道公安委員会に「弾丸が建物に届く可能性があった」として猟銃所持許可を取り消された。当初、男性は子グマなので撃つ必要はないと判断したが、市職員の依頼で発砲。警察官も発砲を前提に周辺住民の避難誘導をしていたという。男性の不服申し立てに対し、札幌地裁は「取り消しは著しく妥当性を欠く」と全面的に主張を認めた。今年10月に札幌高裁が一転して取り消しを「妥当」とし、男性が上告する事態になっている。責任の重さから駆除を拒むハンターが増えても仕方あるまい。現場にいない市町村長が発砲の是非をどう判断するのか。責任の所在と連携の在り方を明確にした法整備やマニュアルが求められよう。そもそもハンターは全国で減少が続き、6割は60歳以上と高齢化も進む。駆除には高度な技術と集中力が必要とされる。住民の安全を民間ハンターに委ねる態勢は、いずれ行き詰まるのは明らかだ。少しずつでも行政主体の駆除へとかじを切る時だろう。狩猟免許を持つ人を自治体の職員や警察官に採用したり、現職員の免許取得を支援したりして対策を強めてもらいたい。地域を巻き込んだ協力体制づくりも欠かせない。むろん市街地に発砲音などが響かないに越したことはない。クマやイノシシなどが人里に下りてこないよう、放置された柿や栗の木、耕作放棄地などをなくす取り組みを官民で粘り強く続けたい。
(イノシシ1頭の豚熱感染確認、県内42例目:佐賀)
佐賀県は23日、唐津市神田で、野生のイノシシ1頭が豚熱(CSF)に感染していたと発表した。県内の感染確認は42例目。場所は経口ワクチンの散布エリア内。県生産者支援課によると、16日に猟友会の会員が捕獲。20日の検査で感染が分かった。
(野生イノシシ1頭が豚熱に感染:秋田)
秋田県鹿角市で捕獲された野生のイノシシ1頭が豚熱に感染していたことが分かりました。12月17日、鹿角市の林道の脇で、猟師がイノシシを見つけ獲獲しました。県立大学の遺伝子検査で16日、豚熱ウイルスの陽性であることが分かりました。捕獲された場所の周辺に養豚場が複数あるものの、これまで異常は確認されていません。また、県内全ての養豚場では、すでに豚熱ワクチンの接種を終えているため、ブタの移動や出荷の制限はありません。豚熱はブタやイノシシに感染する病気で、感染力の強さと致死率も高いことが特徴ですが、人に感染することはありません。県内では14例目です。
(野生イノシシでの豚熱感染確認:兵庫)
佐用町で発見された捕獲野生イノシシ2頭について、豚熱PCR検査を実施した結果、豚熱感染が確認されました。
(ツキノワグマ、年間の捕獲上限を1.6倍に:栃木)
栃木県内のツキノワグマの生息数が増加していることを受け、県は2025年度の捕獲数の上限を1.6倍に引き上げる方針を示しました。県の調査によりますと、2024年度のツキノワグマの生息数は推定で961頭で、5年前の調査と比べておよそ1.6倍に増加しています。このため県は、2025年度に更新されるツキノワグマの管理計画の中で、年度ごとの捕獲数の上限を90頭から145頭に引き上げる方針を示しました。これは捕獲数の上限を生息数の15%にするという環境省のガイドラインに基づいていて、人や農林業などへの被害を防ぐことを目的としています。上限を超えた場合に県が行う捕獲の自粛要請は狩猟に対するものであり、駆除を目的としたものについては制限を設けていません。クマの出没に注意するためのひとつの指標となる目撃情報は、2024年度に入ってから11月末までに248件寄せられていて、2023年度に寄せられた142件をすでに100件以上上回り、過去10年で最多となっています。そこで管理計画では、出没した場合に備えてクマに壊されない丈夫なゴミステーションの設置をすすめ、市街地での対応訓練も強化していくとしています。県は今回の管理計画案について、来年1月24日までパブリックコメントを行います。
(電気柵と緩衝帯、イノシシに有効:福島)
福島市のイノシシ対象を対象とした鳥獣対策モデル事業で、電気柵と緩衝帯の組み合わせが効果的であることを確認した。
(なぜクマは出没するのか?:福山大学)
なぜクマは出没するのか?昨今、全国で社会問題となっている「クマの出没」について理解するために、東京農工大学の小池伸介教授を講師としてお招きし、第50回のグリーンサイエンスセミナーを開催しました(12/18)。グリーンサイエンス研究センター長の佐藤(生物科学科)が報告します。素晴らしい講演でした。20年以上、森で調査を続け、ツキノワグマの基礎生態を明らかにして来られた小池伸介教授の言葉には説得力がありました。なぜ、クマは人の生活域に現れるようになったのか、という疑問に対し、ブナ科の植物の堅果(ドングリ)の豊凶がクマの行動を変化させ、堅果が少ない年に行動範囲が大きくなること、そして、最後には人家の周辺にあるカキの木やゴミなど、クマを誘因する餌の有無が、人とクマとの接触の原因になっていることがよくわかりました。クマとうまく共に生きていくためには、こうした基礎生態学的な知見が大変重要であることを改めて理解することができました。本セミナーには75名が参加し、本学の教員と学生をはじめ(全学部)、他大学、市役所、動物園、新聞社、民間企業と多方面からお集まりいただきました。質疑応答でもそれら多方面からのそれぞれの現状に合わせた質問があり、大変活発な議論が展開されました。やはり、ここ数年の社会問題であることもあり、質問も多く、小池教授には長い時間、質問にご対応いただきました。メディアでも引っ張りだこの小池教授。どの質問への回答も明瞭でわかりやすいものでした。私たちが交通事故にあわないように注意することと同じように、まずはクマに出会わないようにするために準備することが大切で、そのためにはクマの生態をよく知る必要があるとのことでした。また、もし、注意の末にクマに出会ってしまった場合、クマもパニックになっているはずなので、それ以上、パニックにさせないこと、そして、クマを見失わないように、背を向けないことなど「してはいけないこと」についてアドバイスがありました。一研究者としても第一線の研究者と触れることができ、大いに刺激を受けました。小池教授の素晴らしい講演と適切な質問へのご回答に感謝申し上げます。ありがとうございました。グリーンサイエンス研究センターは、グリーンサイエンストーク(2024年トーク①、トーク②、トーク③)や今回のようなグリーンサイエンスセミナー、そして研究プロジェクトの成果報告会等を開催することで、学内の研究力を向上させることを目的としてします。さらに、学外に向けては、本センターは、自然と共生する社会の形成を目指し、生物圏を総合的に科学する研究拠点としての機能を持ちます。今後も種々のイベントを開催予定ですので、楽しみにしていてください。次回、1/22(水)に開催される第51回グリーンサイエンスセミナーでお会いしましょう。
(増加するシカが日本の森を変えてゆく:九州大学大学院農学研究院 准教授 片山 歩美)
近年ニホンジカの生息数が増加し、日本各地で森林生態系に深刻な被害が及んでいます。九州の奥山で起こっている生態系への影響など、シカの問題について考えます。森林には様々な植物や動物などの生物が住んでおり、食べる・食べられる関係を通して互いに影響を与えながらバランスを維持しています。しかしながら近年、ニホンジカの生息数が増加し、バランスが崩れた状態となっており、森林生態系や農林水産業に深刻な被害を及ぼしています。シカの増加の原因は様々なことが考えられますが、農村の過疎化やハンターの減少・高齢化が大きな原因と考えられています。社会構造の変化がシカ問題の背景にひそんでおり、解決は簡単ではありません。今回は奥山で起こっている森林生態系の被害を紹介し、何が問題となっているのか、生態系を保全するためには何をしていかなければならないのかを考えていきたいと思います。環境省によるとシカの個体数は平成元年から平成25年までに、約9倍に増加したと言われています。こうした被害を軽減するため、国は、ニホンジカの個体数を令和5年度までに半減することを当面の目標としています。しかしながらシカの個体数は依然として高い状態を維持しており、目標の期限を令和10年度まで延長し、捕獲強化の取組が進められています。九州でもシカの個体数は高い状態を維持しており、これまで生息が確認されていなかった佐賀県でもシカの生息が確認され、生息エリアの拡大も進んでいます。こちらの写真は宮崎県椎葉村にある三方岳という山の山頂付近です。標高が1400mを超えるため冷涼な気候で、九州南部であるにもかかわらず、東北地方のような寒い地域でよく見られるブナ林が生育しています。近年、ブナ大木の枯死が多く確認されています。こちらの写真は、同じ三方岳で撮影した写真ですが、左側が1981年、右側が2014年に撮影した写真です。以前はこのようにササが生えていましたが、今はササが全くなくなってしまいました。一般的に森林生態系の地面には、下層植生と呼ばれる樹木の子供である稚樹や低木、ササなどが生えています。九州のブナ林ではスズタケという2mを超すササがよく生えていますが、多くの場所でササがシカによって食べられてしまいました。ササがなくなった森林は公園のように見通しがよく、とても歩きやすい状態です。でもそれは本来の姿ではありません。こちらの写真は真ん中に柵があり、右側がシカが入れない柵内、左側がシカのいる柵外です。右側の柵の内側には稚樹がたくさん生えています。森林では、大きな木が死ぬと、その樹木周辺が明るくなり、下に生えていた稚樹がたくさんの光をあびて成長することができます。これを更新といいます。森林では、更新が常に起こっています。シカのいる柵外では樹木の種が落ち、芽生えが起こっても、シカが全て食べてしまい、何も生えていない状態になってしまいます。土壌がむきだしになり、侵食がおこり、樹木の根が露出した状態になっています。こちらの写真は白髪岳という熊本県あさぎり町にある山ですが、シカの影響が長く続いており、更新ができず、裸地のような状態になってしまっています。シカの影響は更新を阻害することだけではありません。シカ採食によって下層植生がなくなってしまうと、森林生態系にとってよくないことが起こり始めます。そのひとつが土壌侵食です。こちらの写真の左側はササのある土壌、右側はササが消失した土壌です。雨粒が土壌表面に落ちることで土壌の粒が飛び跳ね、土壌侵食が起こりますが、一般的に森林では、落葉と下層植生によって雨粒が直接土壌に当たらないので、左の写真のように、侵食は起こりません。しかし下層植生がなくなると、風や雨によって落葉が持ち去られ、土壌が露出してしまいます。ここに雨粒があたり、土壌侵食が起こり、右の写真のように、土壌が流されて根が露出します。特に斜面が急で降水量の多い山岳地域では、土壌侵食が顕著に発生します。この土壌侵食が森林生態系に悪い影響を与えることが最近の研究から分かってきました。例えば、土壌侵食によりブナの根が土壌から空中に露出することで、ブナが水を吸えなくなり枯死に至ることが分かってきました。また、土壌侵食の激しく起こっている場所では、微生物自体が減少し、ブナと共生関係にあるような菌類が減り、病原菌などの樹木にとっては良くない菌類が増加していることが分かりました。稚樹がシカに食べられ、ブナも死んでしまうと、森ではなくなり裸地という状態になってしまい、さらに土壌侵食が加速する可能性があります。シカによる森林の変化は樹木更新の阻害、下層植生の消失だけにはとどまりません。シカが食べない植物、不嗜好性植物の拡大という問題があります。こちらの写真は冒頭の写真の三方岳を空から撮影したものです。写真中央に広く見えている黄緑色の樹木はアセビというツツジ科の低木で、葉に毒があるためシカが食べない樹木です。この写真のように、シカが増えるとシカの食べない植物だけが生き残り、拡大していきます。アセビのような不嗜好性植物の拡大が生態系に与える影響については、今後、注視していく必要があります。このようにシカの個体数増加は下層植生の消失、不嗜好性植物の拡大、そして時に森林の裸地化といった森林劣化を引き起こします。それではこのような森林劣化は私たちにどの様な影響を与えるのでしょうか。そもそも森林は、私たちに多くの恵みをもたらしてくれます。それを生態系サービス、あるいは森林の多面的機能と言い、洪水緩和機能や二酸化炭素貯留機能、土砂災害防止機能などがあります。これらの機能がシカによる森林劣化によって低下してしまう可能性があります。例えば最近の研究で、森林がアセビ林や裸地に変化することで、炭素蓄積量が半分程度にまで低下するということが分かりました。また、森林土壌はたくさんの雨が降ってもスポンジのように雨を吸収することができますが、土壌侵食の起こった土壌では雨が浸み込むことができなくなり、土壌の表面を水が流れ、さらなる侵食を引き起こすことが懸念されます。さらに最近ではシカにより植生が衰退した場所で土砂崩れが発生しているという報告もあります。まだ科学的には植生衰退と土砂崩れの関係性は明らかではありませんが、早急に取り組むべき課題であると考えられます。今日紹介したお話はおもに九州のブナ林での話ですが、全国の様々な地域の森林・草原・湿原・高山・河川生態系においてシカの影響が報告されています。シカの被害は多岐にわたり、場所によって被害の受け方も異なります。したがって、地域ごとに課題解決に取り組まなければならない点にシカ問題の難しさがあると思います。このシカによる問題をどのように解決に導けば良いのでしょうか?シカ防除柵の設置やシカ個体数管理の努力など、各地で、生態系を保全するための努力が行われています。しかしながら、まだ確かな解決策はありません。分かっていることは、今ある素晴らしい生態系を次の世代に引き継ぐためには、行政、市民、研究者が一体となって取り組む必要があるということです。ぜひみなさんひとりひとりが山に足を運んで頂き、森の様子を観察してみてください。ぱっと見ただけでシカの影響があるかを判断するのは難しいですが、少し勉強すれば分かるようになります。シカに関する様々な本を読んでみるのも良いと思います。どうやってシカ問題を解決に導いていくのか、今後もみなさんと一緒に考えていければと思います。
(クマの目撃、去年より大幅減少も引き続き注意を:岩手)
県内で先月、報告されたクマの目撃情報は79件で、過去最多となった去年に比べて大きく減っています。しかし、今月に入って小学校にクマが入り込む事案も起きていて、県は引き続き注意を呼びかけています。県によりますと、先月、報告されたクマの目撃情報は79件で、去年の同じ月と比べると500件以上減りました。ことし4月以降でみても、先月末までの目撃件数は2757件で、去年の同じ時期と比べて3000件近く減っています。ただ、今月に入って花巻市の小学校にクマが入り込み、校舎の窓ガラスを割る事案が発生したほか、周辺の住宅街や隣接する北上市などでクマの目撃情報が相次いで寄せられています。県内では今年度、クマに襲われて1人が死亡、8人がけがをしていて、県は引き続き▽家の外に餌になるようなものを置かないことや、▽クマに遭遇した場合は走って逃げることはせず、目を離さずにゆっくり後退することなどを呼びかけています。
(イノシシ出没、長岡市で過去最多:新潟)
新潟県長岡市で今シーズン、イノシシの出没件数が過去最多となっている。記録が残る2016年度以降の最多は20年度の119件で、24年度は12月19日現在で既に204件に達している。全県的に頭数が増える中、昨冬は雪が少なく、冬越えして生き残った個体が多かったとみられる。雪が少なければ冬の間も活動し続ける可能性があり、市は警戒を呼びかける。
(しっぽ残して食べられたコイ、犯人はアライグマ:愛知)
愛知・蒲郡市で11日、庭の池で飼育していたコイがアライグマに襲われる被害が発生。防犯カメラが犯行の瞬間を捉えていた。撮影者は約10年前から合計20匹以上被害に遭っていると話しており、現在は池の上の金網強化やレンガを置いて対策中だという。
(野生化したアライグマが久留米で急増:福岡)
福岡県久留米市内で「特定外来生物」のアライグマが急増し、農作物などに被害をもたらしている。今年度はすでに225匹(今月12日時点)が捕獲され、2019年度の捕獲数の5倍以上にのぼる。最近は市街地での目撃情報も増えており、市は貸し出した箱わなで捕獲して個体数を減らす防除への協力を呼びかけている。久留米市城島町でイチジクを栽培する男性(69)は長年、イチジクをアライグマに食い荒らされる被害に悩まされている。今年は9月以降、市から貸与された捕獲用の箱わなに6匹がかかった。例年、収穫されるイチジクの1割ほどが被害に遭うと言い、男性は「せっかく作ったイチジクがだめになり、悔しかった。市からの貸与は助かる」と話した。環境省によると、アライグマを主人公にしたアニメが1970年代に放送されて以降、かわいい動物というイメージが広がってペットとして国外からの輸入が増えた。しかし、成長すると粗暴になる個体が多く、飼育が困難になった飼い主が捨てるなどして野生化し、全国各地で定着が進んだという。久留米市環境保全課によると、市内で初めてアライグマが確認された2012年10月以降、目撃情報や農作物などへの被害が相次いでいる。市内での捕獲数は、18年度が13匹だったが、19年度は44匹、22年度は101匹と増え、今年度はすでに200匹を超えている。アライグマを含む鳥獣は原則捕獲が禁止されている。市では防除実施計画を策定し、環境省の認定を受けた防除を実施。16年度から捕獲従事者の登録をした市民に捕獲用の箱わなを貸し出している。登録を申請した市民は市役所窓口で講習を受講。受講後は自宅や畑などに箱わなを設置し、捕獲された個体を市が回収して殺処分する。貸出期間は原則1基が1か月間で料金は無料。状況によっては貸出期間の延長も可能となっている。箱わなの貸出数も増加し続けており、18年度は43基だったが、今年度は今月12日時点で226基にのぼっている。当初は農業地域や山間部でアライグマの確認情報が多かったが、現在では市街地でも生息が確認されていて、市内全域に定着しているとされる。猟犬などにも立ち向かうような気性の荒さで、国内に天敵が少ないことも個体数の増加の要因となっている。市内での人的被害の報告はないが、屋根裏などにすみ着き、飼っていた金魚やメダカが食い尽くされた家庭もあるという。久留米市の男性(76)は9月の朝方、天井裏を何かがドタバタ走り回る音を聞いた。音は4日ほど続き、カメラを設置したところ、アライグマと判明。市から借りた箱わなで3匹を捕獲した。男性は「外来生物がこんなところまですみかを広げているのかと驚いた」と振り返る。アライグマは冬眠しないとされる。暖かい時期と比べて、冬場は動きは鈍くなるが、出産を控えた2月末頃から気候が暖かくなると行動が活発になるという。市環境保全課は「感染症を持っている可能性があり、見つけても触ってはいけない。目撃した人はわなの設置などを相談してほしい」としている。
(街なかイノシシ急増中:和歌山)
和歌山市内でイノシシの捕獲頭数が急増している。4~11月は、前年同期比の約1・8倍となる1059頭だった。山間部の農作物被害だけでなく、住宅街をはじめとした生活圏での被害も確認されており、市は巡回を強化するなどの対策に追われている。市農林水産課によると、2023年度のイノシシの捕獲頭数は636頭で、例年を上回るペースで推移している。野生鳥獣全体の被害相談件数も、11月までに385件となっている。捕獲頭数が多いのは紀伊風土記の丘周辺(岩橋地区)や東山東地区で、今年は加太地区でも増加傾向となっている。ミカンなど果物や稲、野菜が荒らされたり、農業用水路が埋められたりする被害が確認されているという。市北部のふじと台の住宅地では、夜間に散歩中の飼い犬がイノシシに襲われけがをした事例もあった。
(児童生徒にクマよけの鈴配布:山口)
クマの目撃情報が増加している山口県長門市で児童生徒にクマよけの鈴が配布されました。鈴は市内の小中学校、すべての児童生徒1808人に配られました。このうち明倫小学校では、帰りのホームルームで配られ児童たちはさっそくランドセルに鈴を取り付けていました。鈴には消音機能が付いていて学校や通学するバスの中などでは音を消すことが出来ます。長門市では、クマの目撃情報が増えていて今年4月から12月18日までで36件が報告されています。市街地周辺でも目撃されていて保護者などから不安の声が上がっていました。明倫小学校 山村義弘 校長「クマの目撃情報があると子どもたちも登下校が不安になりますからクマ鈴が子どもたちの不安をやわらげる1つになりますので大変ありがたいと思っています」。放課後や休日など子どもたちだけで遊ぶときにも使用を呼びかけています。
(宮内庁新浜鴨場見学会の実施について:千葉)
市川市行徳地区にある宮内庁新浜鴨場は、内外の賓客の接遇の場として使用される皇室関連施設であり、宮内庁による公開の取り組みが行われています。県では宮内庁の協力のもと、以下のとおり、新浜鴨場見学会を開催いたしますので、参加者を募集します。
(若手ハンター研修会:北海道)
知内町は、狩猟免許取得から3年未満のハンターがわなの設置方法などを学ぶ研修会を町内で開いた。町が任命した町鳥獣被害対策実施隊の3人が受講。経験豊富なハンターから、シカなどを的確に狙うための射撃体勢などを教わった。
(イノシシの農作物被害深刻、対策隊に初の女性隊員が加入:宮城)
宮城県大衡村でイノシシなどによる農作物への被害防止のため活動する「鳥獣被害対策実施隊」に初めて女性が加わり、辞令交付式が行われました。大衡村の「鳥獣被害対策実施隊」に加入したのは、尚絅学院大学職員の佐野ひかるさん(25)で、小川ひろみ村長から辞令が手渡されました。「実施隊」はわなや猟銃を使って、農作物に被害を及ぼすイノシシなどの野生動物の駆除を目的に活動します。大衡村鳥獣被害対策実施隊に加入 佐野ひかるさん「村は自然豊かなので、他の人間以外の生き物もみんなが共存して過ごせるような村づくりができたらなと思っています」村によりますと、昨年度のイノシシの捕獲頭数は過去最も多い178頭で、前の年度に比べて2倍あまり増加しました。
(ベテランに習う狩猟の世界:長野)
狩猟免許を取ったばかりの新人猟師とベテラン猟師とをつないで、一緒に現場を踏んでもらう「ハンターデビュー講座」に長野県が取り組んでいる。新人の技術を高めてもらうだけではなく、ベテランと連携することで猟本来の楽しさを感じてもらい、「自立」へとスムーズに移行してもらう狙いがある。「イノシシのフンがある。新しいし、この辺りにいそうだね」「いま犬を放した。鹿は沢のほうに回ったよ」。今月中旬の早朝、長野市松代町の山の中であった「巻き狩り」実習。無線で講師から指示を受け、山を駆ける猟師たちの姿があった。巻き狩りとは、複数人のグループで獲物を囲んだり、犬で追い込んだりして、猟銃で仕留める猟法だ。「パーンッ」。3時間後、ふもとの方で待ち伏せていた猟師の鉄砲の音が静かな森に響いた。
(ふくしま狩猟ワールド:福島)
狩猟の魅力や楽しみ方を知ってもらおうというイベントが会津若松市で開かれました。「ふくしま狩猟ワールドinあいづ」は狩猟をするハンターが減って野生生物が増えすぎていることから開かれました。講演会では奥会津最後のマタギと言われる猪俣昭夫さんが自然との共生の視点から狩猟をすることの大切さを伝えました。会場には狩猟免許の相談コーナーが設けられたほか、シカやイノシシなどのジビエ料理が振舞われ参加者が山の恵みを味わいました。
(セミナー「農山村の持続的活性化と野生鳥獣管理の取り組み」:岡山)
近年、人口減少や高齢化の進展、さらには温暖化の進展なども相まって農山村では野生鳥獣による農林業等への被害が広がっています。一方、畜産業界では輸入飼料等、生産資材の高騰への対応として、自給飼料の生産に力を入れていますが、畜産経営も野生鳥獣被害の例外ではありません。本セミナーでは畜産経営の持続的な発展に向けた野生鳥獣の管理及び共存について考えます。
(茶の間に居座っていたクマ捕獲、吹き矢で麻酔打ち眠らせる:福島)
23日夜、福島県喜多方市の住宅に入り込み、居座っていたクマは、24日午後3時半前、捕獲されました。警察によりますと、クマは住宅から隣の小屋に移動したところを、吹き矢で麻酔を打って眠らせ、捕獲したということです。クマが居座っていたのは、喜多方市熱塩加納町の住宅で、23日午後6時すぎ、この家に住む60代の男性が帰宅したところ、体長およそ90センチのクマ1頭が、茶の間でコタツに頭を突っ込んでいるのを目撃しました。男性は、隣の家に避難してけがはありませんでした。その後、男性が午後8時ごろに再び確認に行ったところ、茶の間にはまだクマがいて、食べ物が散乱していたということです。一夜明けた24日午前11時すぎ、警察や猟友会が花火などを使ってクマを追い払う対応にあたりましたが、クマは動かず、その後、隣の小屋に移動しました。そして午後3時半前、吹き矢で麻酔を打ち、眠らせて捕獲したということです。今後の対応については協議中ということです。現場は喜多方市の中心部から北に10キロあまり離れた山あいの集落で、熱塩地区ではこのところクマの目撃が相次いでいました。
(クマの目撃相次ぐ横手市追廻で1頭を駆除:秋田)
連日、同じ場所でクマの目撃が続いていた秋田県横手市追廻の近くで22日、1頭が駆除されました。警察によりますと横手市追廻の空き地では19日以降土手にあるカキの木に登ったりその周辺をうろついたりするクマ1頭が目撃されていました。最も近い住宅までおよそ50mで箱わなを設置できる場所ではないため警察が24時間体制で警戒にあたっていました。クマは近くの林と土手を行ったり来たりしていたということですが22日午前9時半ごろに目撃されたのを最後に確認されていません。22日午前9時40分ごろにはおよそ300m離れた場所で猟友会がクマ1頭を駆除したということです。ただ目撃されたクマと同一個体であるかは特定できないため警察は近くの住民に対し引き続き注意を呼び掛けています。
(普通列車がイノシシと衝突:大分)
JR九州によると、22日午後7時40分ごろ、豊肥線犬飼~竹中間で上り普通列車(大分駅午後7時5分発豊後竹田行き)がイノシシと衝突した。この影響で同9時現在、同線(上下線)に遅れが発生している。同8時20分現在、通常運行に復旧している。
(倉庫内にクマ居座り:秋田)
26日午前、秋田市の国道沿いにある自動車整備工場にクマが入り込み、そのままとどまっています。周辺ではクマが相次いで目撃されていて、警察が警戒にあたっています。26日午前7時20分ごろ、秋田市仁井田の国道13号沿いにある自動車整備工場の倉庫内に「クマ1頭がとどまっている」と、防犯カメラを見た従業員から警察に通報がありました。すぐに倉庫のシャッターを閉めたため、クマはそのまま中にとどまっていて、市が箱わなを設置して捕獲を試みる計画です。これまでにけがをした人はいません。周辺では午前5時過ぎから近くの国道上や保育施設付近でクマの目撃情報が6件寄せられています。また、自動車整備工場から約100メートルの距離にある住宅の敷地では、クマの足跡のようなものが確認されています。近くの保育施設は入口の門を閉め、保護者にメールで状況を知らせるなど対応にあたっています。現場は、住宅のほか学校や飲食店などが立ち並ぶ地域です。
(ジビエ新工場、鹿の食肉を有効活用:埼玉)
秩父フードクリエイツ(秩父市中町)の「ちちぶジビエ市場」が12月25日、稼働を始めた。鹿を中心とした害獣駆除の課題解決と地域経済の活性化を目指し、ジビエの活用を推進する。同社社長の福島剛さんは秩父市出身。和風ダイニング「おだし料理と土鍋ごはんの店DAdA(ダダ)」(中町)や秩父郷土料理の店「食彩秩父じんじんばあ」(番場町)を経営し、現在も厨房に立って料理を振る舞っている。コロナ禍の影響で店の営業が制限されたことをきっかけに、2021年からは鹿肉やイノシシ肉を使ったペットフード「ワンコメシ」「ニャンコメシ」を開発し、販売している。福島さんはこの取り組みを通じて、地元猟師との関係を築いていった。秩父地域では毎年約2000頭の鹿が捕獲されているが、流通に乗らず廃棄される個体も多い。福島さんは「新工場を稼働することで、初年度は100頭以上の流通を目標とし、秩父のジビエを食肉として有効活用する。徐々に数を増やしていけたら」と話す。福島さんは解体処理施設を造るため、広島、岡山、大分、熊本、福岡、愛媛、山梨、長野などの施設や、ジビエの食品加工施設にも足を運んだ。西日本ではイノシシやアナグマの被害が多いことを知り、その肉を流通している会社との関係もできたという。福島さんは「西日本からイノシシやアナグマを仕入れて、当工場で加熱加工して製品として販売もできる。関東でもイノシシやアナグマの獣害活用にも貢献できれば」と期待を込める。同工場では秩父市猟友会と連携し、わなで捕獲した鹿のみを運び入れ、福島さんはもちろん、猟友会のメンバーも解体処理を担当する。持ち込んだ鹿は外の作業場で洗浄し、第1処理場でつるして皮をはぎ、第2処理場で内臓を取り出して精肉。その後、真空包装や急速冷凍による保存処理を行う。食肉処理業に加えて食肉製品製造業の資格を取得しており、加熱調理をした商品の流通も可能。ミートスライサー、ミンサー、レトルト釜、食品乾燥機などの設備を備え、ジャーキーや串焼き、レトルト製品などの加工食品も製造する。「ジビエについて、秩父地域以外からの講演依頼も増えている。次の世代に、地元のジビエの活用方法をもっと幅広く教えられたら。人が食べる部分とペットフードにする部分、無駄がないように活用していければ」と福島さんは話す。
(イノシシ革の野球グラブ開発:福岡)
スポーツ普及支援事業などに取り組む福岡市の会社が、ちょっと変わった素材で野球用グラブを製作し、販売を始めました。野球グラブは牛革製や合皮製が一般的ですが、農作物を食い荒らすイノシシの革を採用。ドイツの野球リーグで選手と監督を経験した福岡県出身の片山和総(かずさ)さん(31)が監修し、職人が手作りしています。海外では高級素材とされることもあるイノシシ革ですが、国内での評価は決して高くはありません。移動通信設備の設計業務を主力に、スポーツ普及支援事業も行う会社「ツカゼン」(福岡市中央区)は「唯一無二のグラブでイノシシ革に価値をつくる」を新たなミッションに掲げ、ブランド化を目指しています。同社と業務委託契約を結んでいる片山さんは「天然素材の有効活用や再利用といった視点ではなく、『希少で優れた天然素材』として広めていきたい」と語ります。片山さんは東福岡高の野球部を経て、帝京大で準硬式野球部に所属しました。卒業後の2016年にドイツへ渡って「野球ブンデスリーガ」でプレー。19年から4シーズンは選手兼任監督を務めましたが、21年はコロナ禍のためドイツへ渡れませんでした。そんな時、害獣として駆除対象になっているイノシシの肉や皮が活用されず、日本国内で大量に廃棄されている実情をSNSなどで目にしました。自分なりに解決策を考える中で「イノシシの革は野球のグラブに向いていそう」と思いつき、調べてみると、欧州や南米では高級手袋の素材に使われていることがわかったそうです。片山さんはすぐに、イノシシの革を業者から個人で購入。野球グラブの工房に頼み込んで、イノシシ革のグラブを試作しました。実際に使ってみると手に良くなじみ、革の表面に毛穴が多くてグラブの中が蒸れにくいなど、ほれこむような出来栄えでした。この第1号グラブは、今も自身で愛用しているそうです。現役を退いた22年から、商品化へ本格的に動き始めます。スポンサーとして、片山さんの現役時代を支えたツカゼン。イノシシ革の野球グラブを広める片山さんの思いに共感し、23年に業務委託契約を交わしました。革の加工業者やグラブ職人の協力を得ながら、試行錯誤が続きました。革にこしや粘りが出るように、なめしの過程でオイルをしっかり含ませるなど工夫を重ね、ついにイノシシ革製の野球グラブの商品化を実現。24年11月から販売を開始しました。この野球グラブには、オオカミの古名に由来する「MAGAMI」というブランド名をつけました。イノシシを捕食するオオカミから着想したそうです。革の色は5種類から選べ、税込み6万6000円。現在は専用サイトでのみ受注販売しています。片山さんは「唯一無二の野球グラブを通してイノシシ革の魅力を広めていきたい。靴やカバンなどの商品開発にも取り組みたい」と次の展開を見据えています。
(猟銃の空薬きょうでクマよけ鈴作り:長野)
「空になった猟銃の薬きょうを再利用し、鈴を作ります」-。木祖村で地域おこし協力隊員を務める平野らすかる(本名・佑典)さん(34)からの誘いを受け、村内で開かれた小中学生向けの体験講座を取材した。木曽猟友会が開催に協力。クマよけにもなる鈴作りをきっかけに、害獣駆除の新たな担い手を育てる狙いがあった。多様な学びを提供する村教委主催の講座「すくすく倶楽部」の一環。倶楽部の講師でもある平野さんが、猟友会から使用済み薬きょうの提供を受けて事前に準備した。身近な資材を足して鈴にしたいと考え、洋菓子のカヌレを作るアルミ製の枠と、薬きょうを組み合わせて音を鳴らす方法にたどり着いた。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後7時ごろ、仙台市青葉区高野原3丁目にクマが出没しました。
TOPへ
12/23
(市街地での緊急狩猟を拡大、クマの人的被害多発受け法改正案)
クマによる人的被害多発を受け、市街地での銃猟を拡大する鳥獣保護管理法改正案の内容が21日、分かった。人の日常生活圏に侵入したり、侵入の恐れが大きかったりするなどの要件を満たせば「緊急銃猟」として、自治体の判断によるハンターの発砲を容認。イノシシも対象に想定する。住民の安全確保のため通行制限や避難指示を可能にする。人に危険が迫ってから応急措置で警察が発砲を判断する従来の仕組みに比べ予防的に迅速な銃猟ができるとしている。建物に損害が出ても自治体が補償する規定も新設。ハンターが安心して活動できる環境を整える。次期通常国会に提出し、来年中の施行を目指す。市町村長が判断と責任を担うため、国は発砲に関するマニュアルを作成する予定だが、きめ細かい支援が課題となる。現行の鳥獣保護管理法は住宅が集まる地域や広場、駅などでの銃猟を原則禁止。警察官職務執行法に基づき、警察官がハンターらに命じることはできるが、実際に「人に危険を及ぼしている」場合などに限られる。
(住宅街にイノシシ、高齢女性2人がケガ:静岡)
21日午前、静岡県磐田市の住宅街に、体長1メートルほどのイノシシが出没し、2人がケガをしました。午前11時すぎ、磐田市中泉の住宅街にイノシシが出没、消防によりますと、高齢の女性2人がケガをして、救急搬送の要請がありました。1人は自宅の庭でイノシシにかまれ、もう1人は突然出てきたイノシシとぶつかり転倒して頭にケガをした、ということです。2人とも軽傷です。磐田市では18日にも体長1メートルほどのイノシシが出没し、警戒に当たっていた警察官が突進されてケガをしています。警察は「イノシシを見かけても近寄らず、刺激しないでほしい」と注意を呼びかけています。
(シカを避けようとして国道のガードレールに乗用車が衝突し全焼:山梨)
21日未明、山梨県甲州市の国道(大菩薩ライン)で乗用車がガードレールに衝突する事故があり、車両が全焼しました。けが人はなく、運転していた男性は「シカが飛び出してきて避けようとしたらガードレールに衝突してしまった」と話しているということです。きょう午前2時半過ぎ、甲州市塩山上萩原の国道411号(通称:大菩薩ライン)を東京方面に走行していた埼玉県に住む会社員(31)の男性が運転する乗用車が進路右側のガードレールに衝突しました。その後、車両前方から出火し、火はおよそ2時間40分後に消し止められましたが乗用車は全焼しました。乗用車には男性しか乗っておらず火に気づいて離れたためけがはなく、周辺の建物などに延焼もなかったということです。現場は見通しのいいほぼ直線の道路で男性は「シカが飛び出してきて避けようとしたらガードレールに衝突してしまった」と話しているということです。警察は事故により火災が発生した可能性が高いとみて詳しい出火原因を調べています。
(小学校にクマ、教諭が1階廊下を歩く後ろ姿を目撃:岩手)
19日午前7時10分頃、岩手県花巻市花城町の市立花巻小学校で「校舎内にクマが入り込んでいる」と教諭から110番があった。クマは校舎1階の窓を割って外に出たとみられ、けが人はなかった。
(野生イノシシにおける豚熱の確認:宮城)
豚熱ウイルスの侵入を監視するため、野生イノシシの豚熱検査を行っておりますが、県内で新たに6頭の陽性が確認されましたのでお知らせします。
(砂川猟銃訴訟、札幌高裁に上告理由書:北海道)
猟銃の所持許可を違法に取り消されたとして、北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(75)=砂川市=が北海道に処分の取り消しを求めた行政訴訟で、控訴審で逆転敗訴した池上さん側は19日、二審判決は「これまでの慣例を一方的に破るもので、憲法違反だ」とする上告理由書を札幌高裁に提出した。
(ヒグマ駆除で意見交換、“責任をハンターだけに負わせないで”:北海道)
ヒグマの駆除についてハンターや自治体などの連携が課題となる中、関係機関が集まって意見を交換する会議が19日、釧路市で開かれ、猟友会からは「発砲の責任をハンターだけに負わせないでほしい」という声が上がりました。ヒグマの駆除をめぐっては自治体の求めで出動したハンターが猟銃所持の許可を取り消されたことなどを受けて、道猟友会は出動要請に応じるかの判断を支部にゆだねる方針を決定しています。関係機関の連携が課題となる中で19日、道の釧路総合振興局と釧路地方の市町村、警察、猟友会の関係者が集まり意見を交換する会議が釧路市で開かれました。出席者ははじめに道と警察の担当者から鳥獣保護管理法や銃刀法などヒグマ駆除に関する法令について説明を受け、行政や猟友会などそれぞれが果たす役割を確認しました。このあと非公開で意見交換が行われ、出席者によりますと各地の猟友会から市街地での駆除の難しさについて多くの意見が出され「発砲の責任をハンターだけに負わせないでほしい」という声が上がったということです。北海道猟友会釧路支部の米山秀治支部長は「『ハンターの判断で撃ってくれ』と言われても、われわれはそこまでの責任はとれない。道にはハンターを守る法律の整備をするか、特例をつくってほしいとお願いをした」と話していました。
(ヒグマ駆除巡り関係者が意見交換:北海道)
ヒグマの駆除をめぐってハンターや自治体などとの連携が課題となる中、函館市で関係機関が集まり、今後の駆除のあり方について意見を交わしました。6年前、砂川市からの要請に応じて出動したハンターが住宅がある方向に発砲したとして道の公安委員会が猟銃所持許可を取り消したことなどを受けて、道猟友会は出動要請に応じるかの判断を現場で対応する支部にゆだねる方針を決定しています。こうした中、函館市の渡島総合振興局で、管内の猟友会、自治体、警察、それに道からおよそ80人が出席し、ヒグマ駆除の連携について意見を交わしました。会合は一部非公開で行われ出席者によりますと、函館市内で銃を持たずに活動している道猟友会新函館支部は、あくまでも狩猟を楽しむ趣味の会で、これまで通り箱わなの設置や出没時のパトロールなど銃を持たない範囲で協力するという立場が示されたということです。渡島総合振興局環境生活課の大宮久俊課長は「出された意見をもとに、ヒグマを安心して捕獲できるよう対策を取りたい」と話していました。
(クマ発砲責任の所在「明らかに」:北海道)
北海道猟友会(札幌)がヒグマ駆除を巡り自治体や警察との連携が不十分な場合は出動を拒否するよう支部に通知することを決めた問題で、渡島総合振興局は20日、渡島管内の同会支部との情報・意見交換会を渡島合同庁舎で開いた。出席者によると、市街地での発砲の判断について責任の所在を明らかにするなどハンターが安心して駆除できる態勢整備を求める声が出た。
(クマ出没相次ぐ、県が被害緊急対策会議を開催:秋田)
秋田市の市街地でツキノワグマによる被害や出没が相次いでいることを受け、県は20日、今後の被害対策などを話し合う緊急対策会議を開きました。秋田市の市街地では先月以降、スーパーにクマが侵入するなど、クマの出没や被害が相次いでいます。これを受け、県は20日、緊急の対策会議を開き、県や市、それに警察の担当者など20人余りが、今後の情報伝達方法などについて意見を交わしました。会議は冒頭を除いて非公開で行われ、県によりますと、会議では情報伝達をよりスムーズにするため、「それぞれの機関が所有するトランシーバーなどの通信機器を共通化のものにできないか」などの意見が出たということです。また、箱わなについて、「冬期だと雪で凍り、落としぶたが閉まらなくなってしまう」といった意見や、「市街地では人の目にさらされ、子どもが誤ってけがをするおそれがある」などの声があがり、市街地での箱わなの設置方法を検討していくことになりました。県自然保護課の千葉崇課長は「実際に事案が生じているので、次回はより迅速に対応できるようにしたい」と話していました。
(スーパー居座りのクマ、対応は正しかったのか?:秋田)
先月30日、秋田市にあるスーパーの店内にクマが侵入し、捕獲・搬出まで55時間を要したことについて、関係機関が集まり、対応のあり方について意見を交わしました。秋田市があらかじめ作成していたクマの市街地出没の対応マニュアルには、秋田市と警察、それに猟友会の3者が連携して、クマの排除や捕獲を進めると記されてあります。しかし、スーパーにクマが侵入した際は、県警が秋田市と猟友会に情報を共有せず、一方的に対応していたことが、市や県への情報公開請求で明らかになりました。会議でも、参加者から県警に改善を求める意見が出されました。先月30日、秋田市土崎港西のスーパーにクマ1頭が侵入し、開店準備をしていた男性従業員が襲われ、頭などにけがをしました。クマはその後、店内に留まり、捕獲・搬出までに55時間を要しました。55時間のほどんどが、クマの居場所の確認や安全確保に割かれました。2日目は、県警がドローンなどの機材を投入しています。県警察本部 山本哲也 本部長「クマの居場所を確認しながら、広い範囲をいかに狭めて箱罠の設置、それに入るようにするのか、その効果をいかに上げるのかというオペレーションが必要なんだと、こういう判断で、県警察は私がやっておりました」。県警察本部の山本哲也本部長は、県議会でこのように述べて「意思決定は警察が行った」という趣旨の発言をしています。一方、クマが居座った現場では…。秋田市の報告書「市と県は警察の調査に立ちあうことができず待機」。秋田放送の取材に、秋田市は「バックヤードと売り場を仕切る扉の封鎖や、バリケードの設置は、県警から事前の説明はなく、事後報告だった」と話します。県と県警が2020年に策定したクマへの対応指針には、「関係機関と必要な情報共有を図る」と記されているほか、秋田市の対応マニュアルにも「連携して排除活動や捕獲活動する」とあります。冒頭以外非公開で行われた20日の会議では、スーパーでの対応と事前に作成したマニュアルとの乖離が指摘され、各機関から県警に対し、情報共有を求める意見が出されたということです。「関係機関が協力して事案に対処するはずが、今回の現場の対応では、指揮命令・連絡体制がマニュアルに基づいていないように見受けられる」。出動した実施隊(猟友会)「警察の方から情報が入ってこなくってですね」。県自然保護課 千葉 課長「スーパーの中ということで」「クマ、対象物も見えないという中でやっているということで、いままでと違う事案だということで、なかなかお互いの意思疎通をはっきりと分かり合えながら出来たかというと、そこら辺がもっとできる部分だったんじゃないかというところがそれぞれの立場で思うところがあったということで、その辺のすり合わせをきょう上手くできたのではないか」。会議を主催した県自然保護課は、今回の反省を踏まえ、クマが建物の中に侵入した際などの対応マニュアルについて、各市町村で見直しを進めて欲しいと話しています。
(県内のツキノワグマ推定961頭、5年で1.6倍:栃木)
来年度から実施予定の栃木県ツキノワグマ管理計画(5期)案が19日、県議会農林環境委員会に示された。今年4月、環境省がクマ類を指定管理鳥獣に指定したことや、県内のクマの生息数が増えていることを踏まえた。人身被害の未然防止を強く打ち出したのが特徴で、市町や関係機関の意見を踏まえ、来年3月に策定する。今年の推定生息数は961頭(中央値)で、5年前の2019年調査の606頭から約1・6倍に増加した。近年、里山などの緩衝地帯が減り、クマと人の生活圏が接近。今年11月までのクマの目撃件数は248件で過去10年で最多となったほか、スギ、ヒノキなど林業被害も増加傾向にあり、対策の強化が求められてきた。地域の個体群の適切な管理と捕獲、環境整備の強化が対策の柱。狩猟者への捕獲自粛要請基準を90頭から145頭(生息数の15%)に引き上げるほか、クマがイノシシなどのわなに間違ってかかった場合、これまでは基本的に「保護」の観点から放獣していたのを、一定の条件を満たせば捕獲を認める。指定管理鳥獣となったことで、国の交付金を活用し、捕獲や強固なゴミステーションの設置、放任果樹の除去などを進める。また人の生活圏にクマが出没するのに備え地域ぐるみで対応訓練なども実施する。計画期間は25年度から29年度までの5年間。計画区域はクマが生息する県内9市町となっている。
(イノシシ、マングースのわなを壊し餌あさる:沖縄)
沖縄本島北部で環境省と県が実施しているマングース防除事業に、リュウキュウイノシシが暗い影を落としている。マングースを捕獲するための餌を取ろうとわなを破壊。味を占めたのか、年々被害が増えているという。マングースの防除は効果を上げているだけに「このまま被害が続けば防除の効果が弱くなる」と関係者は気をもんでいる。
(駆除補助拡充が効果、ニホンジカ・カワウの捕獲数増加:長野)
安曇野市が有害鳥獣のニホンジカ、カワウを捕獲した猟友会員に支払う補助金が、駆除推進に一定の効果を上げている。市内の東山山麓を中心に農作物被害をもたらすニホンジカの捕獲数は令和5年度170頭だったのに対し、補助金を設けた本年度はすでに250頭を超えた。市は意欲を持って捕獲に当たる動機付けになっているとみて、イノシシを対象とした捕獲補助金の新設も検討している。シカは1頭につき1万円、犀川周辺で漁業被害をもたらすカワウは1羽につき6000円(犀川漁協から別途2000円)の補助金が、捕獲者個人や猟友会支部に交付される。カワウ向けは昨年12月に新設し、昨年度の捕獲数は61羽で前年度比11羽増となった。有害鳥獣駆除の業務委託を受ける市猟友会の藤原英夫会長(76)によると、補助金交付を機に今まで取り組まなかった人が捕獲や狩猟免許取得に乗り出すケースが出ている。加えてシカの場合、3年度に20万円だった農作物被害額が5年度に79万6000円と4倍近くに増加。生息数の増加と、捕獲者の意欲向上が相まって駆除数が増えたとみられる。市の佐藤明利・農林部長は今月の市議会12月定例会代表質問で「支援拡充の効果が出ていると推察される。猟友会員が張り合いを持って駆除できる体制づくりを引き続き進める」と述べた。耕地林務課は、イノシシを捕獲した場合の補助要綱を年度内につくる方向で検討を進める。市は猟友会員の高齢化を受け、新規加入を促すため昨年度から狩猟免許取得費の全額補助も行っており、会員数は160人前後を維持している。
(ウミガメ産卵減少傾向続く、イノシシ食害恒常化も懸念:鹿児島)
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は18日までに、鹿児島県奄美大島のウミガメ上陸・産卵に関する2024年の調査結果(速報)を発表した。産卵回数は計289回で過去最少だった昨年(260回)に次いで低く、特にアカウミガメは減少傾向が続いている。リュウキュウイノシシなどによる卵の食害は昨年比27件増の67件で、同会は採食が恒常化した浜での産卵個体群の減少に懸念を示した。24年の産卵回数の内訳はアオウミガメ206回(前年157回)、アカウミガメ47回(同46回)、種不明36回(同57回)。アカウミガメは13年の663回をピークに減少して低い水準で推移しており、今年は過去最少だった昨年とほぼ同数だった。一方アオウミガメは、過去13年間は増減を繰り返しながらほぼ同水準で安定的に推移しているという。アカウミガメの減少について同研究会は、東シナ海で活発化する漁業活動による混獲や餌資源の減少などを懸念。数年おきに産卵するウミガメ類の生息数の増減には中長期的な分析が必要として、アオウミガメと共に今後も継続した調査を行うとした。24年のウミガメの上陸は2~9月に計521回(アオウミガメ370回、アカウミガメ81回、種不明70回)あった。2月10日に瀬戸内町加計呂麻島でアオウミガメの産卵が確認されたが、季節外れの特異な上陸産卵で子ガメのふ化脱出は見られなかった。リュウキュウイノシシによる卵の食害は2町村の6浜で計67件発生し、瀬戸内町の請島西岸と与路島西岸で増加。大和村ヒエン浜でも1件あったほか、瀬戸内町の無人島須子茂離れの西岸で初めて被食産卵巣が確認された。
(狩猟の魅力を体感、マタギ講演:福島)
狩猟に関する情報を発信するイベント「ふくしま狩猟ワールドinあいづ」が21日、福島県会津若松市で開かれた。来場者が狩猟の魅力に触れた。県の主催。新規狩猟者の増加につなげようと初めて開催した。「奥会津最後のマタギ」として知られる猪俣昭夫さん(金山町)が「マタギの精神~狩猟の魅力と自然との共生~」と題して講演した。病気のため車いす生活となる中、現在も狩猟への熱い思いを抱く猪俣さんは「狩猟をしないと、山の環境が悪くなったり、里に下りるクマなどの動物が増える」と語った。猪俣さんは、下郷町地域おこし協力隊の高山兼輔さんらとトークセッションも行った。会場では、料理人をしていた経験がある高山さんがイノシシやシカの肉を使ったジビエ料理を振る舞ったり、レシピを紹介したりした。射撃シミュレーターによる狩猟体験、鹿革のキーホルダー作り体験などのブースも設けられた。イベントは来年1月18日に郡山市、2月9日に福島市でも開かれる。参加無料。事前申し込みが必要で、応募多数の場合は抽選となる。申し込み方法などは専用ウェブサイトで確認できる。
(総合射撃場新管理棟建築:愛知)
愛知県建設局は、「愛知県総合射撃場新管理棟(仮称)建築工事」の事業者を一般競争入札で選定した結果、太啓建設(豊田市)に決定した。落札額は16億7000万円。11月18日に開札し、事後審査を経て、12月20日に決定した。
(ほっかいどう狩猟フォーラム2025:北海道)
参加無料・申込不要のイベントです。各種講演や若手ハンターによるトークセッション、ジビエ試食・狩猟模擬体験・狩猟免許相談コーナー等のワークショップブースなど、盛りだくさんのメニューでお待ちしています。北海道における野生鳥獣対策の担い手確保及び育成のため、主に若い世代を対象に、狩猟免許取得への関心、意欲をもつきっかけを提供することを目的とするフォーラムを開催します。
(ベテランに習う狩猟の世界:長野)
狩猟免許を取ったばかりの新人猟師とベテラン猟師とをつないで、一緒に現場を踏んでもらう「ハンターデビュー講座」に長野県が取り組んでいる。新人の技術を高めてもらうだけではなく、ベテランと連携することで猟本来の楽しさを感じてもらい、「自立」へとスムーズに移行してもらう狙いがある。「イノシシのフンがある。新しいし、この辺りにいそうだね」「いま犬を放した。鹿は沢のほうに回ったよ」。今月中旬の早朝、長野市松代町の山の中であった「巻き狩り」実習。無線で講師から指示を受け、山を駆ける猟師たちの姿があった。巻き狩りとは、複数人のグループで獲物を囲んだり、犬で追い込んだりして、猟銃で仕留める猟法だ。「パーンッ」。3時間後、ふもとの方で待ち伏せていた猟師の鉄砲の音が静かな森に響いた。
(“越冬”クマが出没、約6.5km離れた小学校に侵入と同個体か:岩手)
12月20日朝、岩手県北上市の国道4号線の近くでクマが目撃されました。現場は19日クマが出没した花巻市の小学校から6キロ余りの場所で、警察は同じ個体とみて警戒にあたっています。20日午前7時ごろ北上市村崎野で成獣のクマが畑を走っているのを付近の住民が目撃し警察に通報しま、した。現場は国道4号線から西に30mほどの場所で付近には住宅や県立中部病院があります。北上市と隣の花巻市では今週クマの目撃が相次いでいます。20日朝目撃された場所から約6.5キロ北に位置する花巻小学校では、19日午前7時すぎ校舎内に出没、クマはガラスを破って外に出たとみられています。その4時間後、2つの市の境界付近に位置する県農業研究センターの防犯カメラに市道を歩くクマの姿が映っていました。成獣とみられるクマが南の方向に向かっているのが確認できます。花巻市には19日に付近での目撃情報が複数寄せられていて、警察はそれらが同じクマであるとみています。目撃された場所に近い北上市立飯豊小学校では20日、集団で下校するよう児童に呼びかけました。警察や市は付近の住民に注意を呼びかけています。野生動物の生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは、「クマは目撃された場所の近くでえさ場を見つけたため、冬眠せずにえさを探しているのでないか。(余裕あれば)木になったままの柿などは片付けてほしい」と話しています。
(住宅裏でカキを食べるクマ、20日も居座る:秋田)
19日、横手市にある住宅の裏に出没したクマは、20日も周辺にいるとみられています。雪が積もってもなお、人の生活圏での目撃が相次いでいるクマ。警察などが引き続き警戒にあたっています。現場は、横手市追廻の住宅の裏にある林です。横手市によりますと、19日昼前、近くに住む人から「黒いものが木の上にいる」と市に情報が寄せられました。クマの姿が確認されたのは、横手市役所から北に約2キロの、住宅が多くたち並ぶ場所です。住民に危険が及ばないよう、警察などが19日から警戒にあたる中、クマは、カキの実を食べたり周囲を歩き回ったりして居座り続けました。20日は未明と午後に、警戒にあたっていた警察官が、カキの木の下にいるクマを目撃しています。市は、クマがまだ周辺にいるとみて、警察と警戒を続けています。雪が積もってもなお、人の生活圏での目撃が相次いでいるクマ。20日は、大仙市や湯沢市でも、民家や小学校の近くで目撃情報が寄せられていて、引き続き注意が必要です。
(肉を切り分け争奪、君津で「御狩祭」開催:千葉)
豊作と、鳥獣から作物を守ることを祈願する祭り「しし切りまち(御狩祭(みかりまつり))」が今月、千葉県君津市清和市場の諏訪神社であった。市教育委員会によると、農作物に被害を与えるイノシシやシカなどの鳥獣を駆除するため、毎年11月26日から10日間にわたって地域住民総出で狩猟をしたのが起源とされる。獲物の肉を奉納し、神事後にそれを奪い合う全国的にも珍しい行事として伝えられ、1996年には「房総のミカリ習俗」として県記録選択文化財(無形の民俗)に登録された。
(鹿肉を活用した地域課題解決型の犬用ペットフードが店頭販売を開始:愛媛)
鬼北町ジビエペットフード加工処理施設(愛媛県北宇和郡鬼北町大字延川1164番地)が製造している、有害鳥獣として捕獲された鹿を活用した犬用のペットフードが本日12月20日(金)より鬼北町内の道の駅2施設で店頭販売を開始しました。商品が並ぶ施設は「道の駅 広見森の三角ぼうし(愛媛県北宇和郡鬼北町永野市138-6)」と「道の駅 日吉夢産地(愛媛県北宇和郡鬼北町下鍵山54)」で、価格は60%鹿肉ドライフード1㎏が4,510円、60%鹿肉ドライフード100gが550円、ジューシージャーキー75gが1,100円(すべて税込)。「鹿肉60%ドライフード」は岡山理科大学獣医学部、今治明徳短期大学、愛媛県産業技術研究所、鬼北町などが参画するジビエペットフードプロジェクトにおいて開発された商品で、先月よりオンライン販売を行なっています。実店舗で取り扱いを始めることで、鬼北町内でブランドの認知を高め、画期的な循環型の取り組みを近隣の皆さまにアピールします。そんな目的もあり、今回販売を開始した2施設には商品を陳列するために特注した木製什器を設置。町木に指定されている鬼北町産のヒノキを活用することで豊かな自然を表現しつつ、ジビエペットフードのブランドを象徴するパネルを大きく取り付け、目を引くデザインになっています。ジビエを加工したペットフードは栄養価が非常に高く、アレルギーリスクの低い自然食材を活用しているので、安心して愛犬に与えられる商品です。地域の問題を解決するべく誕生した犬用ペットフードが持続的に製造を続けられるように、今後も販路拡大を目指します。
(エゾ鹿革×墨染の新たなサステナブルプロダクト:大阪)
株式会社林吾は、北海道産エゾ鹿革と日本の伝統技法である墨染を組み合わせたサステナブルな新製品「かるフワ miniウォレット」を2024年12月2日に発表しました。この製品は廃棄される素材を活用し、環境に配慮した設計を施しています。現在クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて、先行販売プロジェクトを2025年1月6日まで実施しています。
(革のカシミヤ“鹿革”を使用した柔らかく軽量なレザーブーツ:大阪)
靴資材の販売を行う株式会社新井商店(所在地:大阪府大阪市生野区、代表取締役:新井 通敬)は、革のカシミヤ“鹿革”を使用した「履いたそばからなじむドライビングブーツ」の先行予約販売を、クラウドファンディングサイト「Creema SPRINGS」にて2025年1月16日(木)まで実施しています。
(ジビエ料理で地域課題を地域資源へ:島根)
このインターンシップは、日本の25年先をいく課題解決先進地"雲南"を舞台に、受け入れ先で働く体験をすると同時に、雲南での暮らしも体験する「雲南コミュニティキャンパス」プログラムの一つです。地域のお困りごとの一つでもある畑を荒らす猪や鹿は、有害獣として扱われ、罠にかけられ、処分される命でした。その捨てられる命に着目して立ち上がった一人の料理人。その命を【有効な資源】と捉え、美味しいお肉に変えるべく、処理所・加工場を設け、地域の猟師さん達と連携を取りながら猪や鹿を捕獲し、解体・精肉加工・加工品の製造を行う事業を立ち上げました。自社で一貫して管理することで、他にはないお肉の鮮度と美味しさを担保しています。また、新商品の開発やオンラインショップでの販売や飲食店への卸し、キッチンカーでのイベント出店など猪や鹿の本来の美味しさを届けています。イベント出店時には、東京、銀座、丸の内でシェフの経験を積んできたプロの料理人・鹿糠俊二として、美味しい料理をお客様に提供します。シェフの作るジビエの概念を変える美味しい料理によってお客様の笑顔がこぼれる・・・そんな瞬間に立ち会うこともできます。このように料理を学べることも魅力の一つですが、食が見直されている現代に、天然のジビエと家畜肉の違いも知ることでジビエの栄養価の高さを知ることができます。今回のインターン生には、KANUKA PARKの取り組みに参加していただきながら、若者の視点でたくさんのアイデアを出していただきたいと思っています。自然豊かな環境で、森林浴はもちろん季節の移ろいも体感し、地域の方々とのやりとりも楽しんでください!
(ワイルドな「2大ジビエ」食べ比べて:兵庫)
兵庫県丹波篠山の名物「ぼたん鍋」発祥の宿ともされる老舗料理旅館「近又(きんまた)」(丹波篠山市二階町)が、山の幸ともいえるジビエ(野生鳥獣肉)を堪能できる冬季限定のコース料理を提供している。「2大ジビエ! 天然熊肉料理と最上級猪ロース肉ぼたん鍋コース」で、期間は来年3月31日まで。ワイルドなイメージの2種類の獣の肉を食べ比べできる。
TOPへ
12/20
(新東名高速道路でイノシシと衝突した車が炎上:静岡)
12月17日夜、静岡県藤枝市の新東名高速道路下り線で乗用車がイノシシに衝突し、炎上しました。車に乗っていた6人は全員脱出して無事を確認したということです。事故があったのは、藤枝市岡部町の新東名高速道路下り線135キロポスト付近です。現場付近を通りがかった人が撮影した動画からは、赤い炎を上げて1BOXタイプの車が燃えているのが分かります。警察によりますと事故が起きたのは、17日午後7時10分ごろで、川崎高速道路管理室から警察に通報がありました。イノシシは車の横から突然飛び出してきたということです。運転手によると避けるのは困難だったとみられます。車はミニバンタイプでした。他の車への延焼はなく、火は午後8時40分に鎮火しました。現場付近は片側3車線の道路で、第2車線と第3車線が規制されました。
(体長1メートルのイノシシが出没、警察官が突進されけが:静岡)
静岡県磐田市で、体長1メートルのイノシシが出没し、警戒に当たっていた警察官が突進されけがしました。18日正午ごろ、磐田市立野で近隣住民から「イノシシがウロウロしている」と通報がありました。警察によりますと出没したイノシシは体長1メートルほどで、警戒にあたっていた警察官が住宅街でじっとしているイノシシを発見し、近づいたところ突進されて足に軽いけがしました。午後0時45分以降、イノシシの目撃情報はありませんが、警察はイノシシを見かけても近寄らず、刺激しないでほしい」と注意を呼びかけています。
(エゾシカ捕獲数、過去最多:北海道)
北海道は19日、2023年度のエゾシカ捕獲数が前年度から約1万2千頭増え約15万7千頭で、過去最多になったと公表した。道南地域を除く推定生息数は約1万頭増え約73万頭。道の担当者は「増加傾向に歯止めがかかっていない」としている。北海道は今年から26年までの3年間を「エゾシカ緊急対策期間」とし、生息数をピーク時の半分の約39万頭になるよう、捕獲を強化している。北海道によると、エゾシカが原因の交通事故は23年1~12月に5287件、列車の運行に支障が出るケースは23年4月~24年3月に4450件あり、いずれも過去最多となった。
(出没ヒグマの駆除「未定」9支部:北海道)
人里に出没するヒグマの駆除を巡り、北海道猟友会の71支部のうち9支部で、自治体の駆除要請への対応方針が未定であることが19日、共同通信の調査で分かった。銃を持っての出動を見合わせる支部も複数あった。砂川市の要請で駆除したハンターの猟銃所持許可取り消しを妥当とした札幌高裁判決を受け、発砲への慎重論が高まっているのを裏付けた形だ。10月の判決を踏まえ、道猟友会は11月、要請への対応は支部の判断を尊重すると決定した。調査には48支部が回答し、留萌や江別など9支部が「対応を検討中」と答えた。残る39支部は今後も「協力する」と回答したが「引き金を引いた者が責任を問われるのでは慎重になる」(滝上)との不安の声が多く、新函館支部は「箱わなの設置には応じるが(発砲の可能性がある)出動要請には応じない」と、発砲を回避することを決めた。砂川市のケースでは、警察官や市職員も駆除に臨場していたが、猟友会砂川支部のハンターの発砲が問題視され、銃を取り上げられた。
(知事、クマ駆除への苦情に「お付き合いする必要ない」:秋田)
秋田県の佐竹敬久知事は17日の県議会予算特別委員会総括審査で、クマを駆除した後に寄せられる苦情の電話について、「話して分からない人にはあまりお付き合いする必要はない」と述べた。苦情が寄せられた場合の対応を委員から問われた知事は、「私にもし(苦情の電話が)きたら、完全に相手を威嚇する。お前のところにクマを送るから住所を送ってくれと。こうすると相手が電話を切ります」と述べた。県によると、秋田市のスーパーに侵入したクマが駆除されたことについて、県には12日までに56件の電話があり、うち24件が殺処分に反対する意見だったという。また知事は、銃器による駆除が難しい市街地や建物内では新たなクマ用の武器が必要だとして、「ドローンに物をぶら下げて上から落とし、小さい爆発物を食べてもらってリモートで(クマの)腹の中で起爆させるとか、こういう方法もあるのではないか」と語った。
(野生イノシシ1頭が豚熱感染、県内41例目:佐賀)
佐賀県は16日、唐津市肥前町大浦で、野生のイノシシ1頭が豚熱(CSF)に感染していたと発表した。県内の感染確認は41例目。場所は経口ワクチンの散布エリア内。県生産者支援課によると、10日に道路で死んでいたのを住民が発見。13日の検査で感染が分かった。
(野生イノシシが豚熱 岡山県公表感染31例目:岡山)
岡山県は17日、新見市内で捕獲された野生イノシシ1頭が家畜伝染病「豚熱(CSF)」に感染していたと公表した。県内での感染確認は31例目。県によると11日に地元猟友会が捕獲し、県の検査で16日に陽性が確定した。県は捕獲地点から半径10キロ圏内を感染確認区域に指定し、狩猟者が捕獲したイノシシの流通自粛を求めた。県内の全23養豚場への注意喚起も行った。
(スーパーのクマ侵入受け、警察や猟友会などが緊急訓練:秋田)
先月、秋田市のスーパーマーケットの店内にクマが侵入し従業員の男性が襲われてけがをしたことを受け、秋田県仙北市で警察や猟友会などが同じようなケースが起きた際の対応を確認する緊急訓練が行われました。先月30日、秋田市のスーパーで体長およそ1メートルのクマが店内に侵入し、従業員の男性を襲って頭にけがをさせたあと店内に居続け2日後に捕獲されました。これを受け仙北市では17日、警察と市、それに地元の猟友会など30人が警察署に集まり、スーパーの倉庫にクマが侵入したという想定で、緊急訓練が行われました。秋田市のケースではクマの位置を把握するのにドローンが使われたことから、17日の訓練でもカメラを搭載した小型のドローンを飛ばして、クマがいる場所を確認していました。そして猟友会の人たちが箱型のわなを設置して、わなにかかったクマを運び出すまでの手順を確認していました。訓練を呼びかけた仙北警察署地域課の遠田一彦課長は「万が一の際、関係各所がどのように連絡を取っていくのかがわかった。今後も訓練を重ねて備えたい」と話していました。
(東北のクマ・シカ害深刻に)
東北地方で鳥獣被害が深刻になっている。都市部でもクマによる人身被害が発生し、シカやイノシシを中心に単位面積あたりの農作物被害額は増えている。山間部の人口減少や、温暖化による降雪量の減少で動物が暮らしやすいエリアが広がっていることが背景にあるとされる。11月30日。秋田市のスーパーに侵入した1頭のクマに開店準備中の従業員が襲われ、けがを負うなどの被害にあった。店内に居続けたクマは12月2日に捕獲され、運び出された。現場は住宅や商業施設などが集まる市街地だ。里山から離れているが、近隣ではクマの目撃情報が相次いでいたという。クマによる人身被害は東北で多く発生し、秋田県と岩手県で特に多い。2023年度は全国で219人が被害にあい、うち東北6県でその7割を占めた。24年度は23年度ほどのペースではないが、11月時点の被害人数は全国で81人だ。そうしたなか、秋田県は県内のクマやイノシシなどの目撃情報や人身被害情報をマップにして公開・メール配信するシステムの運用を7月に始めた。岩手県も野生動物管理に関する特命課長を配置し、被害を最小限に抑えるよう工夫している。森林総合研究所東北支所(盛岡市)の大西尚樹チーム長(動物生態遺伝担当)は「温暖化によりクマの食料となるドングリなどの凶作の年が減っている。クマの出産間隔が短くなり、個体数が増加傾向にある可能性もある」と説明する。里山が使われなくなり、クマと人の生活圏の境目が曖昧になってきていることもクマ被害が増える要因の一つになっているという。農林水産省が都道府県からの報告を基にまとめた野生鳥獣による農作物被害状況(22年度)によると、被害面積1ヘクタールあたりの被害額は18年度比で東北は5割増となっている。22年度は岩手県や山形県の被害額が大きかった。岩手県ではシカによる被害が6割近くを占め、イネや牧草、リンゴが特に狙われている。県の担当者は「県南部などで降雪・積雪が少なくなり、シカの行動が活発になっている」とみる。国の交付金などを活用し、鳥獣の侵入を防止する柵を設置するなどして対策している。東北農政局によると、サクランボなどの果樹栽培が盛んな山形県ではカラスによる被害が散見され、コメの主要産地の一つである宮城県ではイノシシによる被害が目立つという。クマやシカなどの鳥獣被害を巡り、国も対策を強化する。従来の追い払いだけでなく、捕獲対策や侵入防止柵の整備を支援する。農水省は24年度補正予算に54億円を計上する。国は猟銃の使用要件緩和に向けた法改正の準備も進めている。現行の鳥獣保護管理法は人に危険が及ぶ恐れがあるとして住宅地での猟銃による駆除を原則禁止している。ところが山を下りて住宅地で餌を探す「アーバンベア」の出没が相次いでおり、人に被害が生じている恐れがある場合などは警察官の命令がなくても発砲を可能にする。鳥獣被害は離農や耕作放棄の増加にもつながり、数字に表れる以上の影響を及ぼす。東北は農業や林業が活発だが、同時に自然の脅威も存在する。持続可能な発展には鳥獣への対応策に加え、共生への道を探っていくことも欠かせなくなりそうだ。
(新潟市内でイノシシ捕獲数が激増:新潟)
新潟市内で2024年度、イノシシの捕獲数が急増している。11月末時点で既に2023年度全体の捕獲数を上回っており、出没数も増えている。イノシシの捕獲数は、12月12日に開かれた新潟市議会12月定例会本会議の一般質問の中で、市が明らかにした。中原八一市長は、23年度は27頭だったが、24年度は11月末で89頭と大きく増加している状況を報告。出没数も11月末時点で147件となり、特に西蒲区で目立つとした。新潟市は新潟県猟友会に対する捕獲依頼や、地域への電気柵の貸し出しなどを行っているが、木山浩環境部長は「結果として(出没数の)減少には至っていない」との見解を示した。今後について「人里に出た個体はできる限り捕獲に努めたい」とした上で「やぶ刈りによる緩衝帯の整備など、人里や農地への出没を防ぐ対策を講じながら、人と野生鳥獣とのすみ分けを図りたい」と述べた。
(野犬は愛護動物か害獣か、人へのかみつきも年数十件:北海道)
都会では、目にする機会がめっきり減った「野犬」。だが近年、北海道の畜産農家で牛が襲われる被害が相次ぐなど、地方都市では野犬による問題が深刻化している場所が複数あり、各自治体で対策を強化している。専門家は、一般の人のエサやりが繁殖を促す一因になっていると指摘する。北海道別海町の共同牧場で10月、生後12カ月の牛2頭が野犬に襲われた。1頭は衰弱死し、もう1頭もけががひどく安楽死させた。JA道東あさひ上春別支所などによると、春先にも同様の襲撃事件が起きた。被害に遭った前嶋牧場の前嶋敏浩さん(63)は、酪農家になって以来初めての経験だと話す。「牛には牧草を食べさせてあげたかったが、放牧はできなくなった」同町の別の酪農家の男性は、以前から野犬をたまに見かけることはあったが、「12~13年前から野犬が増えてきた印象がある」。多くが中型犬で、同じ一族に見えるという。チームワークも高い。群れでシカを柵沿いに追い込んで狩りをする様子も確認されている。畜産農家も多い道東地区では、こうした被害が相次いでいる。町は特定の群れによるものとみて、箱わなを仕掛けるなどしているが、警戒心が強く、捕獲に至っていない。
(国頭村で発見されたシカ、本土由来か:沖縄)
世界自然遺産に登録されているやんばるの森周辺で、雄のシカ1頭が相次いで目撃されている件で、国頭村内で「本土由来のニホンジカ」のふんが見つかっていたことが17日までに分かった。森林総合研究所(茨城県)の永田純子・野生動物研究領域長と亘(わたり)悠哉・主任研究員がふんを分析した。本土から持ち込まれて飼育されていたシカが逃げた可能性が高い。最初の目撃場所に近い国頭村佐手の森林内で10月23日、南西環境研究所(西原町)の中田勝士さんがふんを見つけ、永田領域長らに提供した。
(シカとの衝突・接触事故増加:北海道)
富良野地域で車とエゾシカの衝突・接触事故が増加している。富良野署によると、今年1~11月の同署管内(富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村)の事故件数は138件で、物損事故全体の約1割に当たる。同署は事故を避けるために「慎重な運転を」と呼び掛けている。
(シカ出没場所や日時、マップで一目:北海道)
室蘭市は、市内でのエゾシカの目撃場所や日時などを地図上に示した「エゾシカ目撃情報集約マップ」を作成し、市ホームページ(HP)で公開している。市内では自動車との衝突などシカが絡んだ交通事故が11月末時点で52件発生しており、市地域生活課は「交通事故防止などに役立ててほしい」と呼び掛けている。
(県開設の「ハンタースクール」に密着:福島)
近年、クマなどの野生動物による人的被害や農作物への被害が増えていますが、駆除するハンターの数は全国的に減少し、高齢化や担い手不足が深刻化しています。こうした中、県は狩猟を基礎から学べる「ハンタースクール」を開設し、人材の育成と確保に取り組んでいます。
(本島にいないはずのシカ、捕獲するべきか県を悩ます判断基準:沖縄)
沖縄本島に生息しないはずの雄ジカの目撃情報が国頭村内で相次いでいる。雌の情報はないが、万が一繁殖した場合、下草が食い尽くされ、希少生物の生息地や営巣場所がなくなり、世界自然遺産「やんばるの森」の生態系に影響が出ることが懸念される。専門家は早急に捕獲するべきだと指摘する。
(クマ対策が「夢物語」である理由)
広島と島根、山口の3県にまたがる西中国山地のツキノワグマはかつて絶滅の危機に直面しながら、今は人里にたびたび現れて民家に侵入するなど、人間と衝突している。その背景にあるものは何なのか。クマの被害に直面する地域を訪れると、対策が決して簡単ではない現実が見えてくる。瀬戸内海に臨む山口県周南市の中心部から、車で北に約30分。周南市大向(おおむかい)地区は山に囲まれた土地に約270人が暮らす。民家が点在するが、日中でもほとんど人の姿は見えない。この地区で農業を営む石村敏昭さん(75)は、栽培しているクリの木がクマの被害に遭った。「朝起きて見に行ったら、根元からばっさりやられていた。収穫前だっただけに、ショックでした」。コメ農家の石村さんは経営の多角化のため、2014年ごろからクリの栽培を始めた。今年の10月中旬、15本ある木の半数で幹や枝が折られているのに気付いた。辺りには大量の食べ残したクリが散乱し、近くにはクマのふんもあった。「地面を掘るイノシシだとこうはならない。クマは枝そのものを折ってしまうので、木がだめになる」。大向地区は人口減少が止まらない。石村さんが子どもの頃、地区の小学校の児童は約200人いた。しかし、今は数人で小学校は09年に休校となった。周囲は耕作放棄地や空き家だらけだ。石村さんによると、20年ほど前からクマの目撃情報が寄せられるようになった。徐々に頻度が増え、ここ数年は毎年のように農作物が被害を受ける。
(奈良公園で人とシカが共生できるこれだけの理由:奈良)
昨今世間を騒がすのは、頻発する人里へのクマ出没だ。最近では、秋田市都心部のスーパーマーケットに侵入し丸2日間居すわったケースも起きている。人里に出たクマは駆除せざるを得ない。だが、そんな時に必ず噴き出すのが「かわいそう」という声であり、「クマを殺すな」という抗議が該当自治体に殺到する現実だ。そこまで行かずとも「人とクマが共生する社会を」と理想論が声高に唱えられる。獣害を引き起こすのはクマだけでなく、シカやイノシシなど多くの動物がいるが、果たして安易に語られる「人と野生動物の共生」は可能なのだろうか。この命題を考える際に参考になる事例がある。「奈良のシカ」だ。奈良公園周辺に生息するシカは1000年以上もの間、神鹿扱いだった。戦後は天然記念物に指定され保護が進み、人と交わって生息している。おかげでシカは人を怖がらず市街地を闊歩し、その姿を喜ぶ人も多い。しかし同時にさまざまな被害を引き起こしている。そこから獣害対策と野生動物保護の両立を考え、真の「人と野生動物との共生」をめざすヒントを得たい。まず奈良のシカの実態を知ってもらいたい。筆者は奈良県在住で、奈良公園も近いため、奈良のシカは子供の頃から馴染みがあって常に観察してきた。生息数は、ここ数十年は1000頭以上をキープしている。2024年は1325頭に達した。奈良公園は約510ヘクタールあるが、もしすべて森林だったら、生息できるのはせいぜい300頭程度だと言われている。なぜ、4倍以上も生息できるのか。公園内には神社仏閣の境内も含めて草地が多く広がり餌場となっている。その背景にある春日山原始林は夜のねぐらになる。この森と草地の絶妙な配置がシカの生息に適しているのだ。ちなみに奈良のシカは野生であり、飼っているわけではない。観光客の与える鹿せんべいは、彼らに必要な餌の量の数%にすぎず、大半を芝などの草で賄っている。もちろん人がシカを保護していることも大きい。奈良のシカは春日大社の神の使いとされ、古来より傷つけることは厳禁だった。中世にはシカを殺せば獄門とされた。逆に明治維新時は、当時の県令(知事)が「迷信」だとシカを柵内に閉じ込め、ろくに餌も与えなかったため、38頭まで減ったという。幸い県令が交代して解放された。その後は神鹿信仰がもどり、奈良観光に欠かせない要素としても保護が進む。結果、シカも人を怖がらなくなった。鹿せんべい欲しさに観光客におじぎをし、車道は横断歩道を渡り、赤信号なら立ち止まる。これは日常的に見られる光景だ。そうした人とシカの交わる光景をほのぼのとした気持ちで眺めていると、見事に両者が共生しているように見える。だが、裏では問題が多発しているのだ。たとえば観光客が鹿せんべいを与えずからかうと、角で突かれたり噛みつかれたりすることがある。子シカに不用意に触ろうとしたら母シカは激怒し突進する。本気で体当たりされたら人でも吹っ飛び怪我をするだろう。またシカが街路樹や個人宅の庭木を食べてしまったり、公園外に出て田畑の農作物を荒らしたりもする。近年では特別天然記念物指定の春日山原始林の樹木の劣化も問題となっている。ドングリや若木を食べてしまうから次世代の木々が育たず、希少植物や昆虫も姿を消しつつある報告も出た。逆にシカが交通事故にあったり、野犬に襲われたりする事件も少なくない。また人がシカにスナック菓子を食べさせたり、シカが街中のプラチックゴミを食べてしまったりして健康を害するケースもある。死んだシカを解剖すると、胃袋にプラスチックがぎっしり詰まっていたこともあったという。一般財団法人奈良の鹿愛護会という団体が、奈良のシカの保護に取り組んでいる。交通事故などでの怪我や病気のシカが発見されると、24時間対応で駆けつける「鹿救助隊」が設けられているほか、妊娠したシカを鹿苑と呼ぶ施設に収容して出産まで見守る。さらに秋になると、伸びた角で人を傷つけないよう角切りも行う。そして重要な仕事が、農作物を荒らしたシカ対策だ。罠で捕らえても天然記念物のため駆除できないため、愛護会が引き取り鹿苑に収容するのだ。一度農地を荒らしたシカは、何度も繰り返すため放すことができない。そのため死ぬまで収容を続けるが、その数は常時300頭前後にもなる。それが餌代も含めて大変な負担となっている。また被害を受けた農家には見舞金を(農家組合を通して)支払っている。NPO法人鹿サポーターズクラブと、奈良公園のシカ相談室も設けられた。こちらはシカに何らかの被害を与えられた人への対応を担う。怪我をした人には病院を紹介するか付き添うほか、シカを怒らす行為、あるいはシカに害をおよぼす行為をしている人に注意することもある。そのため公園中をパトロールしている。ほかにもシカと人間の間に立って共生に尽力する多くの個人や団体があるのだ。なぜ、ここまでシカを大事にするのかと言えば、第一に1000年以上神鹿として守ってきた信仰であることは言うまでもない。奈良の歴史と文化に欠かせない存在なのだ。ただ同時に重要な観光資源であることも間違いない。奈良公園を訪れる観光客は年間1300万人以上とされているが、多くがシカを目にして楽しんでいる。とくに最近は外国人観光客が激増した。彼らを観察していると、奈良訪問の目的は大仏や神社仏閣よりも、街中を闊歩するシカだと感じる。奈良のシカと戯れ、一緒に写真を撮ることに夢中になっているからだ。当然ながら彼らの落とす金も莫大だろう。それでも周辺農家からは不満も出るし、観光客も怪我をしたら奈良のイメージを悪くする。それらの不満を抑えるため、被害を受けた人々をなだめつつ、シカを保護する。同時に被害を出さない手立ても取る。また庭木を食べられた市民も、ぶつぶつ文句を言いつつも、神鹿だからと我慢する。両者が共生するために尽力しているのだ。そんな実態を知ると、人と動物が共生することがいかに大変か想像できるだろう。シカはまだしも、クマとなると人身に危険を及ぼす心配も大きい。イノシシも危険だ。保護は簡単ではない。しかも生息数が激増している。野生鳥獣による農業被害額は22年で約156億円とされるが、人身や森林生態への悪影響も甚大だ。ちなみに23年の全国の有害駆除数はシカが約72万頭。イノシシは52万頭、クマも9000頭を超えた。奈良県も、奈良公園周辺以外ではシカの駆除を続けている。とはいえ、駆除一辺倒でも獣害は収まらない。有害だからと動物を絶滅させるのは不可能であり、やるべきでもない。また世界的にアニマルウェルフェアの考え方が広がっており、駆除するにしても動物に苦痛を与えないなど指針は厳しくなってきた。まず必要なのは、人間が野生動物の生態に関する知識を正しく持つことだ。そのうえで防護柵の設置などやるべきことが多くある。そうして可能な限り被害を減らしつつ、一定量の被害は受容する覚悟も求められる。ただし人身被害など一線を超えた場合は、容赦なく駆除も含めて対応しなければならない。生物学的な観点から言えば、「共生」とは「共に仲良く生きる」ことではなく、両者が緊張感を持って向かい合った結果の棲み分けだ。仮に人間側が気を緩めて対策をなおざりにすれば、シカもイノシシもクマも人間社会にズカズカと押し入ってくるだろう。奈良のシカも、人が角を切ったり樹林や農地の周辺に柵を築いたりと被害を減らすための努力を行っている。一方で農作物を荒らす個体を捕獲しても施設に収容することで一律に駆除しない。そのために行政だけでなく民間も多大な手間とコストを強いられている。もし奈良公園を訪ねることがあったら、そんな裏方の苦労も想像しつつシカに鹿せんべいを与えてやってほしい。
(実習農場のイノシシ被害防げ、2高校連携し箱わな:岡山)
協力してイノシシ被害対策をと、井原高(井原市井原町)と笠岡工業高(笠岡市横島)の生徒たちが25日、井原の生徒が野菜などを育てる実習農場・精研農場(井原市上出部町)に、笠岡工の生徒が製作した捕獲用の箱わなを設置した。
(地域を守るため野を駆ける、ハンターたちは何を思うのか)
高齢化も進み、その数を急激に減らしてきた日本のハンター。誰よりも野生動物と対峙してきた彼らの実態と思いを取材した。「バーン、パーン」。張り詰めた雰囲気の中、耳をつんざく銃声が響き渡る。耳栓がなければ耐えられないほどの轟音だ。11月4日、長野県佐久市にある佐久平国際射撃場を訪れた。取材で知り合った小諸市農林課に勤務する櫻井優祐さん(39歳)は「Hunting Team狩顛童子」と呼ばれる狩猟グループのサブリーダーだ。同グループの結成は2020年。メンバーは地元の20~40代の猟友会員が主体で、所属する会や地域の垣根を越えた10人。仕事も自治体職員や農業、金融業、会社員など様々で、女性も1人所属している。この日は櫻井さんをはじめ、4人のハンターが真剣な表情でクレー射撃に打ち込んでいた。4人が持つ散弾銃は1発目、2発目と連続して発射できるタイプだ。丸い円盤の「クレー」が15メートル先から放出され、飛翔時間は5秒前後。1ラウンドで放出されるクレーは1人あたり25枚で異なる射台を時計回りに5周撃つ。「クレーが粉々になったら芯を撃っている証拠です。当たった時の爽快感はたまりませんね。でも、最初は全然当たらなかったですよ」。笑顔でこう話すのは、チームのリーダーで狩猟免許を取得して15年目の田中直樹さん(41歳)である。「11月15日の猟の解禁が待ち遠しいです。シカ、イノシシ、クマを狙う大物猟です。自分一人でクマを捕った経験はありません。狩猟中の緊張感は何年たっても変わりませんね」。ハンターの高齢化が進む中、櫻井さんは「僕たちのような若手・中堅主体のグループがあることを知ってもらい、狩猟を始めるきっかけや、どこで誰と狩猟をするのか選択肢の一つになれば嬉しい」と話す。狩猟で重要なことは何かと聞くと、櫻井さんはこう言った。「山の中は、まさに道なき道です。けがや事故がないよう、猟場では、お互いが背中を預けられる存在でなければならないので、チーム内融和と信頼関係が最も大事ですね」。射撃中は真剣そのものだったが、終わった途端、温厚な表情になったことが印象に残った。「私の村の人はわながあまり好きではなくて……。特に、シカの捕獲にくくりわなはほとんど使っていません。シカを捕った後いかに美味しくいただくか、ということに強い意識が向く、そんな地域性があります」。北海道占冠村の農林課林業振興室で働く浦田剛さん(47歳)は、村が雇用する野生鳥獣専門員だ。元々は地域おこし協力隊の一員としてこの村にやってきた。その穏やかな口調からは想像しづらかったが、自身で購入した猟銃でクマの駆除にあたるハンターだ。「市町村の役割は、『問題個体に適切に対応する』ということ。しかし、目撃したクマが危険な兆候にあるかどうかは、その時だけでなく継続的に見ていなければ判断できません。例えば、ごみに餌付いたクマであれば言わずもがな危険ですが、山中にある植物が市街地周辺にも生えており、それを食べに来たら市街地に出てしまった、という場合もあります。自分たちの地域に棲むクマのことをより深く知ることが大切です」。村の職員として、猟友会をはじめとしたハンターが活動しやすいよう手続きの調整なども図る浦田さんだが、「必要な時にはハンターの方が出動するのを待たずして『自分自身が現場で対応できる』ということも大きな役割だと考えています」。同時に、「村として、ただ『ハンターの数を増やせばよい』というわけではありません」と話す浦田さん。「たとえ狩猟者の人数がそろっていたとしても、彼らの行動の動機が『獲物の獲得』『捕獲機会の拡大』に限られてしまっていたら、地域の対策は進みません。ハンターとして彼らの思いにも寄り添いながら、『どういう目的のために、いかに町を強くするのか』という、村のその先を共有することを大切にしています。ハンターの方も、その地域で暮らす、その地域の生活を良くしていきたいと願う仲間であることに変わりありません。ハンターも、そうでない方も含めて、『私たち』のあるべき姿を考えて、狩猟者を内包する地域社会の姿を描いていくことが何より大切です」。
(400頭以上のヒグマを捕った「レジェンドハンター」たちが語る日本とクマの現在地)
「赤石さんは、『沢越えの射撃』をする人です。今までで一番遠かったのは800メートル先です。沢の向こうにいるヒグマを一撃で仕留めました」。圧倒的な〝クマ撃ち〟のエピソードを教えてくれたのは、NPO法人南知床・ヒグマ情報センターの藤本靖さん(63歳)。センターに所属する赤石正男さん(72歳)は、これまで400頭以上のヒグマを捕った「レジェンドハンター」だ。「撃った弾はまっすぐには飛ばないんです。山なりに弧を描くようにして飛ぶ。300メートル先で大体60センチくらい上に逸れて、そこからまた下に軌道が戻っていく。そこも含めて計算できないと、一流ではありません」。山の中でいかに、クマを追うのか。「ひたすらクマの足跡を追って、いくつも山を越えていく、そんなハンターもいましたが、赤石さんはその年の木の実のなり方を沢ごとに細かくチェックしています。木の実が豊作な沢筋のどこかに、冬眠間近までクマが居残るはずですから」。このままではハンターがいなくなる、という危機感から2009年にセンターを立ち上げた藤本さん。クマ撃ちの技術を後世に継承することは簡単ではない。「必要な技術は3つです。クマの行動を見極める力、山を歩く力、正確な射撃です。射撃の練習は必須ですが、ゴルフと同様に、〝練習場名人〟では実地で役に立ちません。重い銃を担いで、どう山の中を歩くか、追跡している動物の足跡を見極められるか、身をもって知るほかないんです。簡単に『継承』と言いますが、それは実地でしかあり得ません。実経験をどれだけ積めるか。名人もそうして生まれてきたんです」。「数年前、クマが居るはずのない礼文島に泳いで渡ったクマがいたように、『ある日突然』が全国の至る所で起きる可能性もゼロではありません。私自身は、国民の安全と生活を守るという意味でも、クマに対応できるチームを警察内に早急に組成すべきだと思っています。各地の名人たちがまだ現存している間に、実地で実習を積ませた方がいい。あと5年もしたらそれはできなくなります。名人たちがいなくなるという〝終点〟はもう見えているのですから」。「ウクライナとロシアの戦争で、猟銃に使用する弾丸の価格も1.5倍になりました。クマ(ヒグマ)を撃つには、市販の弾丸では精度が不十分なことが多いのです。ですので、弾頭、薬莢、そして火薬量を自分で調整する必要があります。そうして弾丸をつくった後は、射撃場に行って試射して、これで大丈夫というものを実際の現場で使用するのです」。そう話してくれたのは羅臼町産業創生課の田澤道広さん(65歳)だ。田澤さんは、行政職員だが、個人として猟銃免許を持っている。「羅臼は山、家並み、海が細長く3列に並んでいて、他の地域に比べて緩衝帯が少ないという特徴があります。ですので、住宅地域や、海岸にクマが出てくることが珍しくありません。特に海岸は、羅臼にとって重要な場所です。名産品の『羅臼昆布』は、夏の間、一家総出で漁業番屋に居住場所を移し、23にも上る工程を経てつくられます。そんな昆布小屋にもクマが出てくるのです」。昨年、羅臼町が捕獲したクマの頭数は73頭にもおよぶ。うち3分の1強は田澤さんが捕獲したものだ。「これだけの数は、初めてです。猟友会のハンターに頼まなくても可能な状況では、私が直接対応にあたることも少なくありません。市街地にクマが出て発砲する場合、警察官職務執行法によって、警察官の許可が必要です。しかし、緊急性を要するときは、時間がかかってしまうので、警察官の許可がなくても、猟銃を使用することができるように法改正が議論されています」。ただし、市街地で発砲して人身や建物に被害が出たときの責任は誰が負うかなど、残された課題は多い。ハンターの数が減っていく中で、田澤さんのような「ガバメントハンター」を養成していくことも必要だが、それだけの予算の余裕が自治体にあるかといえば簡単ではない。現状の田澤さんは、猟銃、弾丸の費用は自らの持ち出しでガバメントハンターとしての役割を担っている。もちろん公務員なので、報奨金をもらうこともできない。「私が教えていた大学のクラスでは、3歳の時にはじめてシカを撃ったという女性がいました。5歳以下でシカを撃った経験があるという人が30人の中で5人ほどいました。銃による事件が絶えない中で、そのマイナス面が大きいことは確かですが、一方で、日本に比べてアメリカには狩猟文化が根付いています」。そう教えてくれた野生動物保護管理事務所の大西勝博さん(42歳)は、米テキサス州サル・ロス州立大学とテキサスA&M大学キングズビル校で学び、ワイルドライフマネジメント(野生動物管理)の博士号を持つ。狩猟免許の資格も持つ大西さんは、狩猟歴12年で、狩猟のインストラクターもしていたという。「テキサス州だけでも、ワイルドライフマネジメントを学ぶことができる大学は10以上ありました。そこで学んだ専門家は、州政府や連邦政府が専門官として雇用してくれます。日本でワイルドライフマネジメントを学ぶことができる大学が少ないのは、出口の問題が大きく影響していると思います」。狩猟文化が根付いているからこそ、野生動物という資源を持続的に活用するための管理が必要であり、そのための税金投入についても国民の理解が得られているのだろう。それだけではない。例えば、全米の公立大学100校が連携して子ども・若者たち約600万人に教育プログラムを提供する「4-H」という組織がある。これに所属するウィスコンシン大学マディソン校では狩猟教育のプログラムを提供している。「野生動物の保護や狩猟についてもっと知りたいなら、このプロジェクトはあなたにぴったりです。このプロジェクトでは、狩猟鳥類や動物を識別、追跡、特徴づける方法、安全で合法的な狩猟者になる方法、生息地を保護し改善する方法、剥製術の基本概念を学ぶことができます」とのことだ。「州にもよりますが、アメリカでは狩猟圧が強い状況にあり、それが一部の鳥獣害を防ぐことにもつながっていると思います。日本の場合、ハンターも減る中で、野生動物の管理について子どもの授業に取り入れることで、野生動物の需要度も高まると思います」。
(森林動物研究センターシンポジウム「野生動物の保全と管理の最前線」:兵庫)
兵庫県では、2007年の森林動物研究センター設立以来、野生動物管理の3つの概念「個体数管理」「生息地管理」「被害管理」を科学的な研究結果に基づいて実践しており、その取組を関係者や一般向けに知っていただく機会として毎年テーマを定めたシンポジウムを開催してまいりました。本年度のシンポジウムでは、クマ・シカ・アライグマなどの近年分布拡大・密度増加している野生動物の問題点を紹介し、様々な課題解決に向けた今後の挑戦を提示することとしています。
(町の森林整備、企業と協定締結:熊本)
湯前町の森林を福岡県の企業が整備する協定が16日、結ばれました。企業などと協働で森づくりを行う「みらいの森 ゆのまえ」の協定を締結したのは、福岡県久留米市の建設業・未来工房です。16日は熊本県の仲介のもと、湯前町の長谷和人町長と未来工房の金原望代表取締役が協定書に署名しました。協定では来年4月からの5年間、未来工房が、湯前町が所有する1.54ヘクタールの森林で、植栽や獣害対策の防護柵設置、草刈りなどを通して森林の保護を行います。未来工房は、人吉・球磨地域で生産された球磨杉を使って住宅を建設していて、今年7月には湯前木材事業協同組合に加盟しています。
(ウミガメ産卵減少傾向続く、イノシシ食害恒常化も懸念:鹿児島)
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は18日までに、鹿児島県奄美大島のウミガメ上陸・産卵に関する2024年の調査結果(速報)を発表した。産卵回数は計289回で過去最少だった昨年(260回)に次いで低く、特にアカウミガメは減少傾向が続いている。リュウキュウイノシシなどによる卵の食害は昨年比27件増の67件で、同会は採食が恒常化した浜での産卵個体群の減少に懸念を示した。24年の産卵回数の内訳はアオウミガメ206回(前年157回)、アカウミガメ47回(同46回)、種不明36回(同57回)。アカウミガメは13年の663回をピークに減少して低い水準で推移しており、今年は過去最少だった昨年とほぼ同数だった。一方アオウミガメは、過去13年間は増減を繰り返しながらほぼ同水準で安定的に推移しているという。アカウミガメの減少について同研究会は、東シナ海で活発化する漁業活動による混獲や餌資源の減少などを懸念。数年おきに産卵するウミガメ類の生息数の増減には中長期的な分析が必要として、アオウミガメと共に今後も継続した調査を行うとした。24年のウミガメの上陸は2~9月に計521回(アオウミガメ370回、アカウミガメ81回、種不明70回)あった。2月10日に瀬戸内町加計呂麻島でアオウミガメの産卵が確認されたが、季節外れの特異な上陸産卵で子ガメのふ化脱出は見られなかった。リュウキュウイノシシによる卵の食害は2町村の6浜で計67件発生し、瀬戸内町の請島西岸と与路島西岸で増加。大和村ヒエン浜でも1件あったほか、瀬戸内町の無人島須子茂離れの西岸で初めて被食産卵巣が確認された。
(宗谷管内のクマ出没件数、過去最多ペース:北海道)
宗谷管内の本年度のヒグマ出没件数は11月末時点で326件となり、2008年度の統計開始以来、過去最多ペースになっている。宗谷総合振興局が10日に開かれた会議で発表した。
(住宅の庭に“クマの足跡”がクッキリ、銃で捕殺:福井)
庭に積もった雪にクマの足跡。その後、クマが現れました。クマの足跡が見つかったのは福井県大野市の住宅で9日午前7時50分ごろ。猟友会などが出動し、その40分後、100メートルほど離れた会社の敷地でも足跡を発見したということです。周辺は封鎖され、クマはその場で銃で捕殺されました。クマは雄で、7歳ぐらいです。
(クマ目撃で小学校がバスで集団下校:岩手)
16日午前、花巻市の中心部でクマ1頭が目撃され、近くの小学校では一部の児童がバスを使って集団で下校しました。警察によりますと、午後5時現在で人や物への被害は報告されておらず、警察などがパトロールを続けています。16日午前11時40分ごろ、花巻市愛宕町の花巻神社の鳥居の近くで、大人と見られるクマ1頭が目撃されました。クマが目撃された花巻神社は、JR花巻駅から北に400メートルほど離れていて、周辺は住宅街です。神社から北に300メートルほど離れた桜台小学校では、クマの目撃を受けて、午後3時ごろ、市が用意したバス2台で、児童およそ100人が下校し、保護者が車で迎えに来て、下校する児童も見られました。警察によりますと、花巻神社で目撃されて以降クマの目撃情報はないほか、けが人や物への被害は報告されておらず、警察と市、地元の猟友会が周辺のパトロールを続けています。近くの高校に通う3年生の女子生徒は「通学路付近で目撃されたので、怖い。クマを見かけても騒がず、走らないようにしたい」と話していました。市によりますと、市内では15日夜にも中心部でクマの目撃が相次いでいて、警察などは、17日朝もパトロールをする予定です。また、市教育委員会によりますと桜台小学校では17日も登下校時にバスで送迎するほか、そのほかの近くの2つの小学校と2つの中学校でも保護者の送迎を依頼することにしています。
(小学校の校舎にクマ侵入、窓ガラスを割って逃げる:岩手)
19日朝、花巻市の小学校の校舎にクマが侵入しました。けが人は確認されていません。19日午前7時過ぎ、花巻市花城町の花巻市立花巻小学校で、女性教諭が職員用玄関の扉に何かが「ドーン」とぶつかる音を聞き、確認したところ、校舎内にクマが入っているのを目撃し、警察に通報しました。警察などによりますと、クマは1階の廊下の窓ガラスを割り、逃げたとみられ、その後、学校の南側の地区などで十数件の目撃情報があったということです。けが人はいませんが、花巻小学校と近くの幼稚園が休校・休園になりました。花巻市では、16日以降、クマの目撃が相次いでいて、警察や市がパトロールをしていました。
(ジビエ利用が過去最大、外食好調で3割増)
2023年度のジビエ(野生鳥獣の肉)の利用量が前年度から31%(644トン)増え、過去最大の2729トンだったことが農水省の調べで分かった。そのうち6割が食肉、3割がペットフードとして販売された。同省は、新型コロナウイルス感染症の流行が収束し、外食産業向けに「在庫が放出された」(鳥獣対策・農村環境課)と増加の要因を分析する。全国772の食肉処理施設が、食肉として1731トン(前年度比30%増)、ペットフードとして866トン(同30%増)を販売した。その他、自家消費向けの食肉と解体処理のみの請負が合わせて132トンに上る。鳥獣種別の利用量は、鹿が2088トン(同36%増)、イノシシが602トン(同13%増)だった。一方、解体頭数は鹿が12万1117頭(同11%増)、イノシシが3万9918頭(同11%増)で、鹿肉の利用量の伸び率は解体頭数の伸び率の3倍超を記録した。鹿肉はイノシシ肉に比べて脂質が少なく、ペットフードへの加工に向いているため、同省は「ペットフードの需要増加が影響したのではないか」(同)とみる。野生鳥獣全体の解体頭・羽数は18万2627頭・羽(同16%増)で過去最多となった。販売価格は、鹿肉が1キロ当たり2171円、イノシシ肉が同3214円だった。農水省は、25年度までにジビエの利用量を19年度(2008トン)の2倍に相当する4000トンに増やす目標を掲げている。23年度は19年度比で1・4倍。
(ジビエ拡大へ、クマ鍋づくり体験:秋田)
秋田市でクマ鍋づくりが体験できるワークショップが開かれ、県外からの観光客なども参加しました。秋田市文化創造館でイベントの一環としてクマ鍋づくりを体験できるワークショップが開かれ、県外からの観光客などおよそ10人が参加しました。講師は北秋田市阿仁出身でマタギの家系の16代目にあたる松橋翔さんです。鍋に使われたのは今年7月に松橋さんが仕留めたクマです。松橋さん「クマ肉は煮込んだほうが正直おいしいです。脂を極力余すことなく使ってあげた方がおいしくなる」。およそ1時間かけて完成した味噌ベースのクマ鍋。埼玉県からの参加者「やっぱり感謝して命を頂くっていうのが大事なんだな」クマを有害捕獲した後の利活用が課題となる中県内でも今後、ジビエとしての普及拡大に期待が寄せられています。
(猪肉サブスク開始:島根)
島根県松江市でジビエ商品の開発・販売などを手掛ける合同会社弐百円(にひゃくえん)。同市の地域おこし協力隊として移住した森脇香奈江氏と佐藤朋也氏の二人が、有害鳥獣として駆除・埋設されるイノシシを食肉に活用したいと2018年に起業した。鉄分を多く含む猪肉をサブスクリプションで届ける「FeMEETS(フェミーツ)」は、貧血に悩む女性を主なターゲットにして今年7月にスタート。「イノシシを1頭でも埋めずに、その命を活かしたい」との思いはビジネスプランコンテスト「SOERU(ソエル)」(中小機構中国本部など主催)で共感を呼び、優秀賞を受賞した。
(シカ肉ハンティング:東京)
意外と知られていない奥多摩の特産品であるシカ肉。渓谷や湖、山並みなど変化に富んだ景色が見られるコース「大多摩ウォーキングトレイル」で山の散策を楽しんだら、シカ肉を味わって胃袋を満たそう!奥多摩町観光案内所近くの天益(東京・奥多摩町)は、餃子の店だが、ジューシーな「鹿肉の竜田揚げ」(700円)も味わえるのでおすすめ。カリッと香ばしい肉厚な竜田揚げは、わさびを添えて食べると、さらにおいしさがアップ!奥多摩町観光案内所では、「奥多摩 山の恵みカレー」(420円)を入手しよう。たっぷりのシカ肉にワサビの茎を加えた、オリジナルの贅沢カレーとなっている。そして、昔ながらのまたぎ風シカ焼肉が楽しめる丹下堂(東京・奥多摩町)へも足をのばしたい。「鹿肉定食」(1500円)は、柔らかく、食べやすいシカ肉を存分に堪能できるメニュー。季節の野菜を使った煮物とけんちん汁もセットになっている。ハイキングでたっぷり歩いた後は、ぜひ、シカで乾杯してみては?
(イノシシ肉で甘~いコロッケ:新潟)
食肉処理業のじび栄(え)(新潟県南魚沼市黒土新田)と総菜製造業のまきば(南魚沼市山崎新田)は共同で、イノシシ肉を使ったコロッケを製品化した。電子レンジで温めるだけで食べられる。普段食べる機会が少ないジビエ(野生鳥獣肉)を、手軽なコロッケにすることで身近に感じてもらい、ジビエの消費増加につなげたい考えだ。商品名は「魚沼猪(いのしし)肉じゃがコロッケ」。まきばは豚肉を使った「肉じゃがコロッケ」を製造しており、じび栄の駒形栄一社長(49)ら地元狩猟会が県内で捕ったイノシシ肉を、豚肉の代わりにミンチにして入れた。駒形さんは「私たちは(動物たちの)命を奪っており、ジビエは売れなければ廃棄になってしまう。販売できれば猟師にも還元できる」と思いを語る。
(年末年始は“ジビエ料理×長期熟成酒”:滋賀)
ただならぬ“気品”を放つ1本だ。渋く輝くゴールドのラベルに描かれているのは、花札の“猪鹿蝶”ならぬ、“猪鹿鳥”。グラスに注げば、その深みのある黄金色に、だれもが思わずうっとりと見惚れてしまう。立ち上る香りは、クルミやナッツを思わせる複雑な芳しさ。味わえば豊かな酸味が広がり、すっとシャープに切れるがごとく儚くドライ。美しく枯れた表情には、高貴ささえ漂う。その名のとおり、ジビエ料理に合わせれば野生肉の力強いうまみがぐっと引き立ち、きれいに流してくれる。「旭日(きょくじつ)」といえば、滋賀県愛荘町の藤居本家のメインブランド。創業は、天保2(1831)年。全国の神社の御神酒の醸造元としても知られ、その年の豊穣を祝う祭祀、「新嘗祭(にいなめさい)」においては、特別な御神酒である白酒(しろき)を全国の神社へ奉献し、宮中へも献上する。
(廃棄されるシカの骨や野菜などをペットフードに:大分)
大分県九重町の宿泊施設や飲食店などでつくる「ここのえペットツーリズム協会」(野田諭香代表、24施設)は、廃棄されるシカの骨や野菜、川魚などを活用したペットフードを開発した。年明けからの販売を目指しており、「鳥獣による農業被害を減らし、フードロス削減にもなる。町の新たな特産品に」と意気込んでいる。ペット連れに優しい観光地をPRしようと、県からの補助を受け、2年近くかけて開発した。町内で捕獲されたシカの骨と規格外のため廃棄されるトマトを煮込んだ「トマトのボーンブロス」はイヌ科向けで、100グラム入り800円。災害などへの備えにもなるよう長期保存が利くレトルトパウチにした。同じく廃棄される産卵後のヤマメを使ったジャーキーは主にネコ科用。25グラム入り900円で販売する予定という。今月上旬に野田代表(40)らが町役場を訪れ、日野康志町長に完成を報告。日野町長は「新しい発想で素晴らしい品ができた。ペットとの共生に資する事業分野は今後ますます重要になってくる。行政としてできる限りのバックアップをしたい」と述べた。新商品のPRを兼ね、17日にはアフリカンサファリ(宇佐市)の動物たちに「ちょっと早めのクリスマスプレゼント」(野田代表)として試食してもらった。野田代表は「町内産にこだわり、細部にまで思いを込めた。都市部にも売り込みたいが、まずは地元で広く知ってもらいたい」と話している。
(鹿肉料理で父母をもてなし:広島)
広島県安芸高田市産の鹿肉料理で父母をもてなす「こどもの森のレストラン」が同市向原町の古民家であった。地元の鹿肉をブランド化して飲食店に卸す情報メディアiD(東京)が、食育の視点に加え、生息数増で地域課題にもなるシカについて考えてもらおうと企画した。
(親子が良質シカ肉でペットフード:福岡)
福岡県飯塚、嘉麻市産の良質なシカを使った、人間も食べられるペットフードの人気がじわり広がっている。飯塚市弁分の波多真由美さんと花織さんだ。
(里山が抱える「竹林問題」と「獣害問題」を資源に変える方法とは?:愛知)
“紅葉の名所”として知られる、豊田市足助町にある「香嵐渓」。紅葉はもちろん、ジビエや竹、蜂蜜など多彩な資源にも恵まれています。今月8日、そんな“紅葉以外”の香嵐渓の魅力を広めるべく、体験型親子イベント「里山のクリスマス by―の谷×こだわりん」が足助町で行われました。イベントには、子ども連れの家族を中心に約2,000人が参加。足助町産の竹を使用した竹灯籠に子どもたちが絵を描いたり、ジビエ肉のソーセージ作り体験が行われるなど、さまざまな企画が実施されました。夜には子どもたちが絵を描いた、280個の竹灯籠がライトアップ。里山の夜を幻想的に彩りました。本イベントを手掛けたのは、愛知県内でさまざまな食育イベントを実施してきた「こだわりん」。これまで、県内の住宅展示場などを中心に、竹を切るところから挑戦する「ちくわ作り」や「栗きんとん作り」、石臼で挽くきなこの「わらび餅作り」など、“食の背景”を学ぶ多彩なイベント開催に取り組んできました。今年11月には、陶芸体験などを通して“手仕事”を学ぶ、「リノベーションEXPO~こだわりん手仕事マーケット~」を開催。他、育てたトウモロコシでポップコーンを作ったり、弥富市の養魚場スタッフと一緒に金魚すくいを開催するなど、愛知県内の農業活性化を目指す食農イベントを開催してきました。そんな「こだわりん」が関心を寄せたのが、里山の課題となっている「竹林問題」と「獣害問題」。「こだわりん」担当者によると、日本における竹林面積は、1980年代には約10万ヘクタールと推定されていましたが、2012年には約16万ヘクタールに達し、わずか30年間で約60%増加。その背景には、竹林の管理不足や放置が影響しており、竹林は周囲の森林や農地に侵入。竹林の急増によって、“竹だけが繁殖する”環境への変化、野生動物の生息地拡大による農作物への被害、地盤の保水力低下による土砂災害リスクの増加など、深刻な問題を引き起こしているといいます。シカやイノシシによる「獣害被害」も大きな課題。農林水産省のデータによると、2020年度の野生鳥獣による農作物被害額は約161億円にのぼり、そのうちシカによる被害は約73%。獣害対策として、ジビエの活用が注目されているといいます。そんな里山の課題に理解を深め、解決策を探ることを目的に行われたのが、体験型親子イベント「里山のクリスマス by―の谷×こだわりん」。同担当者によると、竹灯籠に絵を描く体験は、竹林整備の重要性を知るキッカケに。ジビエ肉のソーセージ作り体験は、足助町内で捕獲されたイノシシの肉を使用することで、獣害対策としてのジビエ活用を学ぶ機会につながっているといいます。同担当者曰く、「“楽しかったね!”と満足げに帰る、家族の姿が多くあった」という本イベント。夢中で絵を描く子どもたちの姿が印象的だったという「竹灯籠づくり」では、完成した大きな三角灯籠を吊るし、親子で写真撮影を楽しむ賑やかなシーンも。また、「ジビエ肉のソーセージ作り」では、自分たちで作ったソーセージをダッチオーブンで茹で、焚き火で焼いて食べた瞬間、「おいしい!」と、親子で大喜びする笑顔が溢れていたといいます。「里山の自然資源を通じて学ぶ体験イベントは、地域資源を未来へ繋げる取り組みとして大きな意義がある」と話す担当者。続けて、「『里山のクリスマス』をきっかけに、紅葉以外の足助の魅力が広く知られるよう、さらなる発展を目指します」と今後の展望について語りました。
(児童が考案したジビエ料理、小学校の給食に:新潟)
イノシシやシカ、クマなど駆除された動物の利活用について学んでいる上越教育大学附属小学校の児童が17日(火)、自分たちで考えたジビエ料理を給食で味わいました。給食で提供されたのは、イノシシのソーセージが入った春巻きです。ソーセージには今月上旬、糸魚川市内で捕獲されたイノシシの肉が使われています。メニューを考えたのは上越教育大学附属小学校5年1組の児童です。児童は上越地域でイノシシなどの野生動物による農作物被害が増えていることや、イノシシやシカなどを食べる文化がないため、駆除された動物の多くが廃棄されている現状を学んできました。今年10月には糸魚川市で駆除された動物の肉を加工販売している青田徹さん、葉子さん夫婦から話を聞き、実際にイノシシの肉を味わいました。そのおいしさを知った児童は、ジビエ料理を広めようと、給食のメニューにできないかと考えました。これまでにイノシシ肉を使ったポトフやラーメンなど8つのメニューを考案し、試食した結果、春巻きが給食で提供されることになりました。メニューを考えた児童「みんなが食べやすいように調べて作った」「ほかのクラスの人にも食べてもらえるのがうれしい」。青田葉子さん「子どもたちがおいしいと言って食べてくれるのは幸せ。取るだけはなく、消費するまでが当たり前になったらいい」。
(「ジビエフェスタ」83施設が参加:和歌山)
和歌山県内で捕獲したイノシシやシカの肉ジビエ料理を提供する「わかやまジビエフェスタ」が現在、和歌山県内83の飲食店や宿泊施設で開催されている。主催は和歌山県。捕獲したイノシシやシカを地域の食資源として活用し、地域振興につなげる「わかやまジビエ需要拡大事業」の一環。2011(平成23)年に始まり、今年で14回目。和歌山県によると、県内の2023年度の野生鳥獣による農作物被害額は2億4,800万円。県では現在、安全で安心なジビエの提供を目的に「わかやまジビエ処理施設衛生管理認証制度」を推進している。県内のジビエ肉解体処理施設は25施設で、うち認証取得施設は5施設。肉質等級制度に取り組み、品質に見合った格付けと価格設定で、市場での信頼性確保を目指しているという。参加店は飲食店をはじめ、ホテル・民宿、温浴施設など。各店がカレーや鍋料理、ハンバーガー、パスタ、丼物、ランチメニューやコース料理の一品としてジビエ料理を提供する。県畜産課の南安寿香さんは「和食、洋食、中華などさまざまな飲食店でジビエ料理を提供する。ジビエに興味を持ってくれる経営者は多く、毎年さまざまなメニューが生み出されるので楽しんでほしい」と話す。参加店の一つ、食料品店「フードセンターイワセ」(和歌山市岩橋)では「和歌山の旬を楽しむわっぱ弁当」(1,280円)のメニューにジビエを取り入れる。店主の石井佳奈さんは「イノシシとシカの肉と旬の野菜を入れて黒酢肉団子に仕立てた。肉を処理が良いため、臭みが全くない。和歌山由来の食材をたくさんの人に伝えて、食べてもらいたい」と呼びかける。
TOPへ
12/16
(捕獲報奨金の見直し訴え:岐阜)
関市猟友会は13日、職員が専属で有害鳥獣駆除に当たる部署の設置、捕獲報奨金の見直し、捕獲したジビエの活用を市に要望した。
(人里への警戒心薄い〝アーバンベア〟)
日ごと寒さが強まり、北海道や東北を中心に出没したクマは冬眠の時期を迎えた。人里への警戒心が薄いアーバンベアの出没は今年も目立ち、住民らに脅威をもたらした。一方で環境省の統計では、本年度の人身被害は78件81人(11月末時点)で、過去最悪だった昨年度の193件212人(同)から大幅に減少。山に餌が多かったことなどが原因とみられる。被害の多い秋田県によると、昨年度はクマが主食とするブナの実などが不作で、餌を求めて人里に頻繁に現れたことから人身被害が多発。特に冬眠前に食料を確保するため秋に集中した。逆に今年は木の実が豊富だった。さらに秋田では昨年度、例年を大幅に上回る2300頭余りを捕獲して個体が減少。県は検証には数年かかるとしながらも、今シーズンの出没や被害が減った一因を「昨年の駆除が影響した」と分析した。被害を減らす対策も進んだ。秋田では山から人里に近づく要因になる放置果樹や境界地域のやぶを積極的に伐採。出没情報をスマートフォンで確認、投稿できる「クマダス」の運用も始めた。それでもアーバンベアは冬眠前に相次いで現れた。秋田市では11月末、海に近いスーパーに入り込んで従業員にけがを負わせた後、約2日間店内にとどまった。市や県には駆除の賛否に関する多数の意見が寄せられた。この時に捕獲されたクマは体長約1メートル、体重約70キロの雌。生態に詳しい東京農業大の山崎晃司教授は「雌としては大きい。秋にたくさん食べることができた個体ではないか」として、飢えて人里に降りて来たわけではないとの見方を示す。県によると、今年は例年と比べて市街地周辺での目撃情報が多かったという。担当者は「昨年以前に人里周辺に降りてきたクマが山奥まで戻っていないのでは」と話し、行動範囲が広がった可能性を指摘した。環境省は、一定の条件下で市街地での銃猟ができるよう鳥獣保護管理法の改正を目指している。スーパーの一件も踏まえて改正を急ぐ方針だ。
(「ハンター任せ」責任どこに:北海道)
ヒグマ駆除を巡り、北海道猟友会(札幌)が全71支部に対し、自治体や北海道警察と連携が不十分な場合は出動要請を拒否するよう通知する方針を決めた中、釧路、根室管内の全8支部は要請に原則応じる方針を示している。ただ、駆除が「ハンター任せ」になっている状況は変わらず、慎重な姿勢を強める支部もある。ハンターからは「発砲判断の責任の所在を明らかにしてほしい」など態勢の見直しを求める声が広がっている。
(ヒグマ出没時の体制、猟友会などと議論へ:北海道)
定例函館市議会は12日、5人が一般質問した。北海道猟友会新函館支部が市内での猟銃によるヒグマ駆除を行っていないことを巡り、市の鹿礒純志農林水産部長は、20日に同支部や北海道、北海道警察などと意見交換すると明らかにした。また市と同支部、道警の3者でも市街地などでの駆除の体制について協議すると説明した。
(冬もクマに要注意、12月も住宅街などで目撃情報相次ぐ:岩手)
日に日に寒さが厳しくなる岩手県内で、クマの目撃が12月に入っても続いている。本来は冬眠(冬ごもり)に入る時季。専門家は山の実りが不作だった昨年、人里へ下りた個体の行動域が街中へシフトし、餌場を覚えた可能性も指摘する。隣県の秋田では先月末、スーパーに侵入し従業員がけがをした被害も発生。関係者は不意の遭遇への警戒と対策を促す。北上市では12、13日にそれぞれ1頭を目撃したとの通報があり、市がメールで注意を呼びかけた。大船渡市など沿岸部でも今月、出没が確認されている。奥州市水沢では8日午後11時10分ごろ、住宅街の交差点付近で、体長1メートル弱のクマ1頭が歩いているのを通行人が目撃。現場から500メートルほど先には小中学校があり、翌日は市が通学時間帯にパトロールした。盛岡市西見前の住宅街では11月末、深夜に民家の網戸が破られる被害が発生。近所の70代男性は「50年ほど暮らしているが、クマが出るのは初めて。生ごみの扱い方など地域で気を付ける必要がある」と考えを巡らせる。
(迫るクマの脅威、街中に出没する「都市型」増加)
クマの生息域が人間の生活空間に近づきつつある。人里周辺で暮らし、街中に出没するクマはアーバンベア(都市型クマ)と呼ばれ、近年増えている。環境省の統計では、令和6年度の人身被害は全国で78件81人(11月末時点)。過去最悪だった昨年度の193件212人(同)からは大幅に減ったが、先月には秋田市のスーパーにとどまるなど住民らの脅威となっている。近畿でも被害が出ており、対策が急がれる。「クマが入ってきた」。京都府福知山市のレストラン従業員から110番があったのは、今年4月18日午後1時半ごろのこと。体長約1メートルのクマが隣接する倉庫に入り、駆けつけた警察官らが机などで入り口をふさいで閉じ込めた。倉庫の出入り口に赤外線カメラを設置して夜間も監視が続いた。翌日、中を確認するとクマの姿はなく、換気口から逃げ出したとみられる。京都府によると、令和5年度の府内でのクマの目撃件数は約900件。近年は毎年1千件弱で推移し、年間1~2件の人身被害がある。クマの目撃情報が多い同市では、今年度からクマによる被害防止のための補助金事業を開始。クマのエサとなる柿の木の伐採や、木登りができないように巻くトタンの設置などの費用の半分を市が負担する。市の担当者は「クマが出没しないような対策も進めているが、万が一遭遇したら背中を見せないように。市や警察に連絡してほしい」と話す。先月30日には秋田市の海沿いのスーパーにクマが侵入。男性従業員を襲い、捕獲されるまで2日間ほど店内にとどまった。「これまでクマが出没したことはなかったが、最近は自宅のそばや通勤路で目撃が相次いでいる。出くわしたらと思うと、恐ろしい」。同市内の50代女性は不安げに話し、「高齢者など車での移動ができない人は買い出しに行くのにも困っている」とため息をつく。環境省によると、秋田県での令和5年度のクマの目撃件数は3723件で、10年前の10倍以上に増加。今年7月には70代男性が自宅近くの広場で襲われ、顔などを負傷した。県は出没情報を配信するシステム「クマダス」を提供。電気柵を設置し、家の周りの草を刈って見通しをよくするなどのクマを近づかせない環境整備を促す。令和2年には「ツキノワグマ被害対策支援センター」を開設。専門知識のある職員が休日でも電話相談を受け付け、クマ対策の出前講座も開催している。人里への警戒心が薄いアーバンベア。環境省によると、令和5年度のクマの出没情報は2万4345件で4年度の倍以上に増加、過去15年間で最多の219人がクマに襲われ負傷し、うち6人が命を奪われた。今年度も出没情報は10月までに1万7988件(速報値)に上り、前年度の7割に達している。人が生活圏でクマに襲われるケースも多発。令和5年度のツキノワグマによる人身被害の発生場所は4月はすべて森林だったが、冬眠直前の11月は約6割、12月も約3割が民家周辺だった。酪農学園大学(北海道)の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は、周期的に発生する木の実の凶作が各地で重なったことが要因だと指摘。人口減少による耕作放棄地の増加でクマの生息分布が拡大しているとみている。元来クマは臆病で、人間には近づきたくない性質がある。手入れされた田畑はクマにとって居住空間の森林とは異なる景観で警戒心があり、距離が保たれてきた。しかし、高齢化や後継者不足などにより農家の数が減少。放置された田畑がクマの生息する藪(やぶ)や林となり、生息しやすい環境に変化した。実際、荒廃農地は平成25年は9530ヘクタールだったのに対し令和5年は1万4400ヘクタールまでに広がっている。 国は手つかずとなった農地の再生を進めているが、山間の農地ほど再生されないまま放置されている場合が多いという。佐藤さんは「人間の居住環境が狭まることは野生動物の生息域が広がることと同義」とクマの行動範囲が広がっている可能性を指摘。「生活圏周辺に定着するクマを減らし、クマの居住エリアを森林側に戻す対策をとることが求められる」と話した。
(相次ぐクマによる人身被害、自治体が対策拡充)
クマによる人身被害が相次ぐなか、各自治体がクマの市街地出没や被害を減らそうと、対策を拡充させている。警察官の防護装備の導入、果樹の伐採、ハンター用のライフル射撃場の整備など、地域の事情に応じた取り組みに力を入れる。国も新たな交付金を設けて支援に乗り出している。先月末に従業員を襲ったクマが2日間にわたって居座りを続けた秋田市のスーパーで、警戒や突入にあたった警察官は、専用の装備を身につけていた。ヘルメットはフルフェース型で、上半身や前腕部を覆う防護衣と手袋は、クマに引っかかれたり、かみつかれたりした場合に備えて頑丈な素材が使われている。5月に秋田県鹿角市で警察官2人がクマに襲われた被害を契機に、県警が配備した。山本哲也本部長は「下半身を守る装備の導入も検討する」と語る。秋田県では昨年度、全国最多の70人が人身被害を受け、被害の9割近くが生活圏で発生した。県は今年7月以降、16市町村の計29か所でクマが好む果樹の伐採や、やぶの刈り払いを実施。クマに襲われた住民に10万~30万円の見舞金を給付する制度も新設した。県自然保護課の千葉崇課長は「注意しても遭遇してしまう場合がある。見舞金は改めてクマの怖さを認識してもらう意図もある」と説明する。新潟県は今年、新潟市内に猟銃用のライフル射撃場を初めて整備した。ライフル銃は射程が長く、大型の害獣を捕獲するのに安全面から有効といい、ハンターの技術向上を急ぐ。インターネット上に公開している「クマ出没マップ」も充実させ、県内全域に120台設置した自動撮影カメラの情報や捕獲情報などを追加。県の担当者は「住民への注意喚起や自治体によるやぶの刈り払いなどに役立ててほしい」と訴える。人身被害の深刻化で、国はクマを計画的に捕獲し、頭数を管理する「指定管理鳥獣」に追加した。環境省は都道府県向けの交付金を新設し、23道府県(12月13日現在)が活用している。長野県は交付金を使って、住民に対策を助言する専門家の派遣を進めている。クマの出没多発地域で自治体職員や猟友会員らが巡回や捕獲を担う対策チームも結成した。環境省の担当者は交付金について「クマの生息や被害の状況は地域ごとに異なる。それぞれの課題に有効活用してほしい」と呼びかけている。
(ヒグマ防除隊の隊長「ヒグマ駆除は一枚岩でなければできない」:北海道)
クマによる人身被害が相次ぐなか、駆除を担ってきた猟友会が揺れている。先月、北海道猟友会は、自治体などと連携が不十分な場合、出動を拒否するよう全支部に通知する方針を決めた。最前線でヒグマに立ち向かうハンターは、どう感じているのか。自治体からのヒグマの駆除要請はいつも突然だ。「たくさんのお客様の前で電話がかかってきて、『すみません、出動になっちゃいました。ごめんなさい』『えー』っていう感じで駆除に出ることが何度もありました」。札幌市で90年の歴史を持つ日本茶専門店「玉翠園(ぎょくすいえん)」。笑顔で接客する代表取締役の玉木康雄さん(62)にはもう一つの顔がある。北海道猟友会・札幌支部の「ヒグマ防除隊」の隊長だ。2022年3月下旬に出動要請があったときは、東京出張中だった。会議が終わり、羽田空港で札幌行きの飛行機に乗ろうとしていたとき、玉木さんはスマホを見てぎょっとした。20件ちかい着信履歴があった。猟友会のメンバーからだった。折り返すと、「クマが出たから、明日はよろしくね」。集合場所と時間が告げられ、電話は切れた。緊急性の高い事案だった。遊歩道もある市民の憩いの場、三角山(標高311メートル)で、男性2人がヒグマに襲われて負傷したという。「クタクタの体で自宅に帰って、ライフル銃を用意したのを覚えています」。昨年度、北海道では9人がヒグマに襲われ、うち2人が死亡している。札幌市のヒグマの出没件数は227件で、過去最多だった。ヒグマ防除隊は12回、のべ65人のハンターが出動した。クマ駆除にハンターの協力は不可欠だ。だが、11月25日、北海道猟友会は、自治体などと連携が不十分な場合、出動を拒否するよう全支部に通知する方針を決めた。背景には、北海道猟友会・砂川支部長であるハンター男性の、控訴審での逆転敗訴がある。砂川市の要請に応じて出動した男性は、住宅の方向に発砲したとして猟銃所持の許可を取り消された。男性は処分の取り消しを求めたが、2審の札幌高裁が男性の訴えを退けたのだ。玉木さんは「詳細はわからない」としながらも、「関係者の間で、さまざまなボタンの掛け違いがあったのでは」と推察する。市街地でのクマの駆除にはいくつもの困難がともなう。鳥獣保護管理法は市街地での猟銃の使用を禁止している。ハンターはみずからの判断で発砲することはできないため、警察官が警察官職務執行法に基づく発砲を命じる。その際、銃弾が後方に飛んでいくのを避ける「バックストップ」と呼ばれる地面が必要とされるし、跳ね返った弾が住宅や車に当たらないよう、軌道を計算しなければならない。「市街地で発砲する場合、その違法性を阻却(そきゃく)できる証拠が揃わないと、私たちに手錠がかかってしまいます」。玉木さんらは、発砲にいたる全ての記録が残るように準備を整えてから、任務を遂行する。22年9月、札幌ドームの敷地内でヒグマが目撃され、防除隊が出動した。札幌ドームは幹線道路に囲まれている。どこへ撃っても、「市街地のど真ん中で発砲、という状況」だった。玉木さんは「今回のミッションは、警察官職務執行法に基づく発砲になると思います。それでよろしいですか」と関係者に切り出し、了承を得た。3人のハンターの背後には警察官のほか、札幌市や調査会社の職員が張り付いたという。玉木さんは言う。「クマの駆除は、行政、警察、猟友会が一枚岩でなければできないのです」。玉木さんは、ヒグマを駆除できるのは、「猟友会のメンバーだけ」と話す。警察の特殊部隊(SAT)や自衛隊の隊員は銃器の取り扱いに慣れてはいるが、発砲の目的は犯人の確保や効率よく兵力を削減することで、相手を殺す訓練は受けていない。さらにヒグマを駆除する場合、その動きを熟知し、「バイタルポイント」と呼ばれる急所を確実に撃ち抜く必要がある。バイタルポイントとは、脳(脳幹)や心臓、肺などだ。「もし、弾がバイタルポイントを外れれば、惨劇になりかねない。クマに反撃されるだけでなく、手負いになったヒグマが市街地に放たれるということですから」。クマの頭を射撃して脳幹神経を破壊すれば、確実に動きを止められる。だが、頭蓋骨は分厚く、狙いが少しでも外れれば、弾ははじかれてしまう。急所を狙うといっても、部位によってはリスクもあるということだ。「クマがこちらに向かってくるとき、頭部の解剖図が頭に浮かんで、『この角度から撃てば脳幹神経に到達するな』と冷静に判断して射撃できる人でないと、頭は撃たせられません」。そのため、ハンターは心臓や肺などを狙って撃つことが多いが、仕留めるのは容易ではないという。「興奮して、口から泡を吹きながら向かってくるような場合、バイタルポイントに命中しても、1発だけではとても動きを止められない。弾を5発ほど放ってようやく静止したヒグマもいました」。
(クマから市民を守りたい」若いハンターが増加、命をかけたミッションに出動費「格差」の課題)
北海道でヒグマ駆除を担ってきた猟友会が揺れている。11月、北海道猟友会は、自治体などと連携が不十分な場合、出動を拒否するよう全支部に通知する方針を決めた。ヒグマ駆除は、クマの出没が相次ぐ北海道で道民の命に直結する。何が課題なのか。現役のヒグマ防除隊の隊長に話を聞いた。北海道猟友会・札幌支部の「ヒグマ防除隊」の隊長、玉木康雄さん(62)は、クマ駆除におけるハンターの重要性と、求められる確かな腕について取材に応じてくれた。クマ駆除の必要性は、クマが出没する地域に暮らす人こそが実感しているようだ。本来猟友会は狩猟を趣味とする人たちの集まりだが、最近は「ヒグマから市民を守りたい」という20~40代の若い世代が増えた。現在、札幌支部に所属するハンターは667人。3年前と比べて100人ほど増加した。ヒグマ防除隊に所属するメンバーは35人。100%志願制で、毎年、札幌支部の会員全員にエントリーシートが配布される。申し込みには家族の同意が必要で、書類選考、面接と射撃試験を経て、十分なクマ猟の経験と、極めて高い射撃技術を持つ者だけが入隊を許される。玉木さんの射撃の腕前はここ数年トップだという。「ミッションには、何度も死線をくぐらないと見えてこない大きなリスクがある。そのため、選考は慎重に行っています」。ハンターたちの命をかけたミッションに対して、対価は十分なのだろうか。取材を進めると、自治体間に格差があることも見えてきた。札幌市は北海道猟友会・札幌支部と業務委託契約を結び、それに基づいて防除隊が出動する。昨年度の委託料は銃弾代や保険料などで193万7100円。出動したハンターには出動費が支払われる。「出動費の額面は明かせませんが、他の地域と比べて多い金額をいただいていると思います」(玉木さん)。人口約200万人の札幌市は他の道内の自治体に比べて財力がある。さらにクマの駆除に対するリスク評価を行ったうえで出動費の金額を決めている。しかし、そのような自治体は少ないのが現状だ。北海道空知地方の奈井江町が猟友会(砂川支部奈井江部会)に提示したクマ駆除の出動の日当は1万円に満たない(発砲の場合は約1万円)。札幌支部では、出動費の約半分は同支部の会計に入り、後進の育成に使われる。ヒグマを駆除できるハンターは一朝一夕には育たない。実践での射撃能力だけでなく、さまざまな条件下での作戦立案能力や関係者との調整能力が求められる。全国的にクマの駆除は猟友会に依存してきたが、それを見直すべきだという声も上がっている。「自治体による『職員ハンター』構想も聞いています。そうした組織がきちんとできれば、役割を引き継いでもらえばいい。けれどもいま、ヒグマの防除に穴を開けるわけにはいきません。コアとなる人材育成が切実な課題です」。
(奈良公園のシカ「狂暴化の謎」:奈良)
奈良公園といえばシカ。日本だけでなく、世界にも認知され、インバウンド客が押し寄せているそんな関西有数の″名物″に異変が起きているという。「シカにツノで刺される、体当たりされる、噛まれるなどの被害が増えています。この9月は実に43件も報告されている。これは昨年同月の2.5倍です」(奈良県庁まちづくり推進局の担当者)。あの愛らしい、そして哀しげな瞳を持つシカが狂暴化しているとは――彼らは一体、何に怒り、何を訴えているのか。FRIDAYアニマルミステリー班は真相を確かめるべく、奈良公園へ向かった。公園へ入りまず目に入ってきたのは、丸々と肥えた雄ジカたち。1頭が「キューン」と甲高い鳴き声を上げ、突如、近くにいたシカと小競り合いを始めた。記者の横にいた女性は一目散に逃げだした。「9月下旬から11月ごろまで、シカは発情期なんです。キューンと鳴くのは、雄の求愛行動。この時期は鹿せんべいをあげようとしただけで、体当たりされてしまう人が多いんです」(鹿せんべいの売り子女性)。だが、シカに発情期があるのは毎年のこと。今年に入って被害が急増しているのはなぜなのか。「奈良の鹿愛護会」担当者の分析を聞こう。「インバウンド需要が回復し、今年は海外から団体旅行で来られる方が非常に多くなっていました。しかし海外のツアーガイドは、秋のシカがいかに危険か参加者に伝えられていない。だから不用意に近づき、シカに襲われているのです」。スマホ時代ならではの要因もあるという。前出の県庁の担当者が呆れる。「シカにこんなに近づけた! と接写した動画や写真を投稿するのが流行しているんです」。投稿を見て、シカに簡単に近づけると勘違いした面々が、荒ぶるシカの餌食となっているのだ。神の使いとして親しまれてきた奈良公園のシカだが、野生動物であることを忘れてはいけない。全日本鹿協会事務局長の小林信一氏が警鐘を鳴らす。「秋の雄ジカはツノも硬く、死亡事故につながる危険性もある。発情期には不用意に近づかないのが賢明です」。共生について、今一度考える時機が来ているのかもしれない。
(根室管内シカ事故最多、11月末まで124件:北海道)
根室署管内でエゾシカの飛び出しなどによる交通事故が多発している。同署がまとめた11月末までの発生件数は124件と、過去10年の最多件数を更新中だ。すでに昨年一年間の総数109件を大幅に上回っている。
(狩猟しながら暮らす夫婦が考える「自然を守る」ということ:北海道)
森との健全な関係について考える上で避けて通れないのが野生動物といかに折り合いをつけて生きていくかということ。保護か管理か-絶対的な正解は存在しないからこそ、難しい。知床で狩猟しながら自然と命に向き合う夫婦に聞いてみた。「ヒグマがいるかもしれないから、離れないでください」。そう言って、ふたりは静かに歩く。霧が立ち込める森は視界が悪く、小さな物音でもビクビクしてしまう。川村喜一さん、芽惟さんが北海道の知床に移住したのは7年ほど前。ともに東京の芸術大学で学び、喜一さんは写真、芽惟さんはテキスタイルなど様々な素材を用いて造形物を作る。移住後に狩猟免許を取得し、農地に出没するシカの有害獣捕獲は概ね通年、秋冬の可猟期間には農地以外での狩猟を行っている。「初めてシカを撃った時、泣きたくなかったんですが、ダメでした」と芽惟さん。「命あるものを殺してしまったって、なんともいえない気持ちになって。でも狩猟を続けていく中で考えが変化してきました。命は尊い。どの命が重くて、どれが軽いかなんてことはない。野生においてはみんな平等に獲って獲られて、その中で生きている。私だって森の中でヒグマにやられてしまうかもしれない。でもそれが野生の世界に参加するということなんだって。私は銃という武器を持っているので、完全にフェアとはいえないんですけど」。もちろん喜一さんにも葛藤はある。「今でも引き金を引く前後には複雑な気持ちになります。でも常に葛藤があることが一番“確からしい”ことだと僕は思っています。有害鳥獣捕獲に関して『かわいそう』という声もありますが、農業や林業被害を受ける人にとっては切実な問題ですし、野生動物は決してひ弱な存在ではありません。どちらが正しくて、どちらが間違っているとは言えませんし、その多面性を受け止めようとする心の揺らぎこそが大切だと感じています」。そう考えるきっかけになったのは、国立公園近くの畑に囲まれた家に住み始めたことだ。「知床国立公園では保護された自然の中で野生動物の感動的な姿を見ることができる一方、そのすぐ傍らには人間の生活もあります。公園内ではかつての離農跡地を森に戻すナショナルトラスト運動が行われていますが、急増したエゾシカの食害が問題となっています。また公園内で人に慣れたヒグマが近づくようになったり、農地や市街地に出没することも。野生動物の生命の尊さに心を打たれる一方、地域の産業や住民の安全がおびやかされる現実が同時に起こっています。野生動物には鳥獣保護区と人間の居住区の線引きは通用しません。そのような環境で生活者となった今、彼らは手放しで眺めるだけの存在ではなく、時に捕獲対象にせざるを得ないこともあります。守ることと管理することを同軸で考えなくてはいけない。矛盾や葛藤を抱えながらも、それらを相反するものとしてではなく、適切なバランスの中で見極めようとする努力が必要です」。人間が自然や動物を管理する。その表現への違和感を拭いきれないが……と続ける。「人間と野生動物の生息域の陣取り合戦のような感じで、人口や捕獲圧が減れば野生動物の数が増えて色々な問題が出てくる。どちらにも偏りすぎないよう緊張関係を保っていく役割の一端を担うのがハンターです。ただ僕たちは農地を守るためにとか、一方的な正義感に燃えているわけではありません。自然の中で連綿と続いている命の輪の中で、ものごとを考えたい。その輪の中に入るためのひとつの手段が狩猟であり、獲って食べることであり、森を大切にすることでもあります」。狩猟を通して、見えてきたものがある。「野生下では、あらゆるものが様々な要因で繋がっている。例えば捕食者の減少や気候の変化など何らかの要因でシカが増えると、シカの好物とする樹木が食べ尽くされて、それで困る生き物が出てくる。そうした連続性を知るにつれて、森全体のバランスが保たれることの重要性がわかってきました。人間もその中の生き物のひとつなのだと感じることができたら、保護か管理かの二元論ではなく、その時々の状況に合わせて適切に行動していけるのではないかと感じています」。
(「獲物の無念背負い生きる」、狩猟家・黒田さん講演:北海道)
苫小牧在住の狩猟家で作家の黒田未来雄(みきお)さん(52)が14日、苫小牧市民活動センターで「食べるとは 生きるとは」と題し講演した。「いつも食べているお肉のことを、どれだけ知っていますか」と問いかけ、狩猟と食の心構えを語った。
(「ジビエ」人気拡大の理由は?)
寒い季節にぴったりの鍋。入っているのは、イノシシやシカなどの「ジビエ」。いま高齢者の介護食として注目されるほど、人気が高まっているそのワケは?寒い冬に大人気の鍋。今旬を迎えているのが「ジビエ鍋」です。「ジビエ」とは「野生鳥獣の肉」を意味するフランス語で、イノシシの肉を使った「ぼたん鍋」が有名です。東京・新宿のジビエ料理専門店では、進化したジビエ鍋が。4種類のジビエが入ったぜいたくな寄せ鍋。「シカ」「黒豚」「アイガモ」「ウサギ」です。野生動物による農作物被害が深刻化する中、捕獲された動物の肉などをジビエ料理として活用しています。農林水産省の統計では、ジビエの販売額は右肩上がりで、去年度は54億円に到達。ジビエの魅力は高タンパクだけど低カロリー。シカ肉は牛肉と比較して脂質が6分の1。カロリーは半分以下で、鉄分はおよそ2倍です。ヘルシーなので高齢者の介護食としても注目されています。鍋のシメは、ご飯を入れて雑炊に。4種類のジビエと野菜のだしをたっぷりと吸い込んだご飯は絶品と評判です。
(“ご当地ジビエフェア”各地のイベントを紹介)
株式会社ぐるなび(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:杉原章郎 以下、ぐるなび)は、農林水産省の「令和6年度全国ジビエプロモーション事業(ジビエフェア開催事業)」の事業実施主体となり、国産の野生鳥獣肉(以下、ジビエ)等の消費拡大を目指して、4年連続で「全国ジビエフェア」を2024年11月1 日(金)から2025年2月28日(金)まで開催しています。「全国ジビエフェア」の特設サイト内では、幅広いジャンルの飲食店をはじめ、ホテル・宿泊所で提供しているジビエ料理について紹介しているほか、様々な自治体等と連携し、“ご当地ジビエ”の楽しみ方の情報発信をしています。各地域ごとのフェアでは、ジビエを楽しみながら賞品獲得のチャンスがあるスタンプラリーやフォトコンテスト等を行なっているイベントもありますので、足を延ばして“ご当地ジビエ”を楽しんでみてはいかがでしょうか。さらに、「全国ジビエフェア」では、ジビエを自宅でも楽しんでいただけるよう、ジビエ製品(精肉、加工品、ペットフードや皮革製品を含む)を販売する小売店やECサイトを特設サイトで紹介しています。これにより、国産ジビエの魅力を消費者に広く知ってもらい、「ジビエを食べよう!ジビエを買おう!」という行動を推進します。なお、本年はより多くの方に「ジビエを食べる機会」や「ジビエを購入する機会」を提供するため、SNSを活用した情報発信も強化しているほか、「宴会で楽しむジビエ」や「気軽に楽しむジビエ」などのテーマ別特集を設けることで、消費者がニーズに合った店舗を見つけやすくなっています。
(「かごしまジビエーる丼フェア」プレイベント:鹿児島)
イノシシやシカといった狩猟によって捕獲された野生動物の肉=ジビエをPRするイベントが鹿児島市で開かれました。イベントでは、ジビエの処理加工の関係者らによるトークショーが行われたほか、精肉・加工商品を販売するブースが並びました。会場では、ジビエのおいしさや栄養価の高さなどをPRしたほか、試食コーナーでは、シカ肉を使った八宝菜丼を振舞っていました。
(有害鳥獣の処理加工施設が稼働:千葉)
鴨川市在住の猟師たちが、有害鳥獣の解体やジビエ肉の販売を行う「LA SELVAGGINA KAMOGAWA(ラ・セルバジーナ・カモガワ)合同会社」を立ち上げ、同市金束につくった処理加工施設の稼働を始めた。大山地区などで捕獲した有害鳥獣をできるだけ速く持ち込んで新鮮なうちに食肉に加工し、ジビエ肉として販売する施設で、同社は「ジビエのおいしさを見直し、食べたいと思える“大山ジビエ”として売っていきたい」としている。会社の代表は、10年ほど前から獣害対策に取り組む苅込太郎さん(40)。2022年度の「ビジネスプラン・コンペティション」(県主催)で、房総半島で増え続けるキョンの問題解決について発表し、最高賞の「ちば起業家大賞」を受賞している。市によると、昨年度はイノシシやキョン、シカなど6700頭以上の有害鳥獣の捕獲が報告されている。苅込さんは、捕獲された有害鳥獣を有効活用し、猟師の手助けになればと、猟師仲間2人と共に会社を立ち上げた。施設は、120平方メートルの倉庫を借り、改装した。地元の猟友会の会員らがわな猟でイノシシやキョンなどを捕獲すると、生きた状態で同社に連絡。社員が現場に駆け付け、血抜きしてから施設に運び、速やかに処理と加工を行う。会社の副代表を務める仲村沙織さんは「適切な処理をすることでジビエは格段においしくなる。ぜひ地元の人にその味を知ってもらいたい」と話す。「地産地消」がメインで、一般客や市内のホテル、レストラン向けに販売しており、今後は東京からの需要にも対応していきたいとしている。苅込さんは「今後も地元の猟友会と緊密な関係を保ちながら獣害対策に取り組み、駆除した有害鳥獣から頂いた命を最後まで無駄なく活用して、地域に貢献できれば」と話している。
(農家ハンターが切り拓く未来:熊本)
野生動物による農作物への被害が深刻な問題となっています。令和4年度の被害額は約156億円に達し、農家の収入に直接影響を与えているだけでなく、営農意欲の低下や農地の放棄、さらには農業からの撤退など、農村地域全体に大きな影響を及ぼしています。そんな中、近年注目されているのは「イノシシ被害による離農ゼロ」を目指し活動している農家ハンターの取り組みです。獣害対策を行う株式会社イノP CEOの宮川 将人氏は、「ICTを取り入れた効率的&好循環なイノシシ対策」への取り組みや、品質の安定したお肉やペットフードへ展開した「ジビエ肉」を開発。本講座では、宮川氏の新しい獣害対策と未来に向けた取り組みについてお話しいただきます。
(ジビエ肉を味わって、加工場が本稼働:岐阜)
高山市朝日町に今春できたジビエ肉販売会社「飛騨高山 舞地美恵」の加工場が本稼働し、今週から市内スーパーでの販売が始まった。廃棄されがちな害獣の肉を新たな特産品に生まれ変わらせ、地元住民らに「山の命」を味わう機会を提供する。同社は地元猟師らが設立。猟師から買い取ったシカやイノシシなどの肉を、高い鮮度と衛生基準を保ちながら精肉し、小売店や飲食店に向けて販売する。
(ペット用ジビエ専門店リニューアルオープン:京都)
京都府相楽郡和束町のキザキ食品株式会社(京都府相楽郡和束町中平田46 代表取締役 木﨑 裕太)は、2024年11月21日木曜より、ペット用ジビエ専門オンラインショップ「WAJICA」のウェブサイトをリニューアルオープンしました。背景として近年、ペットの健康に対する飼い主の意識が高まる中、自然由来の栄養価の高い食品への需要が増加しており、同時に、日本各地で深刻化する獣害問題への対策が求められています。WAJICAは、これらの社会ニーズに応えるべく、ペット用ジビエ製品の提供を通じて、ペットの健康と地域の課題解決を両立させる取り組みを強化しています。
(クマ出没:宮城)
松島町によると、14日午後4時ごろ、松島町幡谷後沢にクマが出没しました。
TOPへ