<射撃ニュース1月>
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(日本クレー射撃協会、内紛で理事の解任要求へ発展)
日本クレー射撃協会の理事たちが、加盟団体である地方協会から解任を迫られる異例の事態に陥っていることが、12日までに分かった。理事会の内紛に端を発した騒動で、19人いる理事全員についての信任投票を求められている。朝日新聞の取材に対し、複数の関係者が明らかにした。パリ五輪を夏に控え、予算編成や代表選手の選考などへの影響も懸念される。関係者によると、理事会内は、一昨年6月に就任した不老(ふろう)安正・会長を支持する派閥と、高橋義博・前会長派が対立している。昨年3月の理事会で、選手の強化方針を巡って不老会長の解任動議が提出された。4月には、寄付金の管理や強化選手の選考を前会長派の一部が不適切に行っている――という告発が、日本オリンピック委員会(JOC)に寄せられた。JOCは日本協会に対し、告発内容について調査報告書を作成するよう指示。不老会長の依頼で弁護士が10月に報告書をまとめたが、前会長派の理事が内容に納得せず、JOCも「団体の機関決定をして提出するように指示した。事態を注視している」と報告書を受理していない。これらの混乱を問題視した47都道府県協会の代表者のうち15人が、臨時総会の招集を日本協会に請求。代表者らは、全理事を対象に解任するかどうかの信任投票を実施するよう求めている。日本協会は今月17日に予定する理事会で、総会の開催について諮るという。日本協会は、不明朗会計や役員人事を巡る内紛が原因で、JOCからの補助金支給が2009年から4年間停止されるなど、これまでも問題がとりざたされてきた。現会長派の理事は「お粗末経営を改めるためにも理事会をリセットして、いちからやり直さないといけない」と、地方協会の動きを歓迎。前会長派の1人は「報告書は調査が不十分だ。(臨時総会の開催や信任投票の実施に関しては)考えがまとまっていない」などと話した。昨年末には、複数の日本協会関係者が、銃弾を不適切に取り扱ったとして強化担当の理事を火薬類取締法違反の疑いで刑事告発。神奈川県警が受理する事案が起きている。

(散弾銃で撃たれた国天然記念物オオワシを環境省が保護:北海道)
環境省北海道地方環境事務所は11日、名寄市内で散弾銃で撃たれたオオワシを保護した、と発表した。種の保存法違反(捕獲等の禁止)などの疑いもあり、環境省は名寄署に報告したという。オオワシは国の天然記念物や国内希少野生動植物種に指定されている。発表によると、昨年12月22日16時半ごろ、名寄市役所からの連絡を受けた環境省職員が同市の河川近くの林で衰弱したオオワシを確認して保護した。釧路湿原野生生物保護センターに搬送後に猛禽(もうきん)類医学研究所の獣医師が診察したところ、左右の翼に骨折が見られたほか、頭部から左半身にかけての体内に約20粒の散弾が確認されたという。ロシア方面から越冬のために道内に飛来するオオワシが被弾した場所などは不明だが被弾後に長距離移動は不可能とみられるため、環境省は狩猟者団体などへの注意喚起を行ったという。

(「真冬にクマ」次々出没)
真冬にもかかわらず、クマの出没が相次いでいます。9日、岩手県のショッピングセンターに迷い込んだのは、1匹の黒いクマ。クマは店のドアに阻まれると方向転換し、隅の方へ逃げていきます。侵入からおよそ2時間後、檻(おり)を持った猟友会が駆け付け、クマを捕獲しました。捕獲されたのは体長50センチほどの子グマで、その後、山に放されたといいます。ショッピングセンターでは客の出入り口を封鎖していたため、けが人はいませんでした。1月になっても各地でクマの出没は相次いでいて、8日には秋田県でも目撃されました。庭の柿の木に登っているところを女性が目撃しました。さらに、10日は福井県でも…。「天空の城」と呼ばれる越前大野城の城下町でクマの足跡が発見されました。住宅の敷地内でもクマの足跡が見つかっていて、成獣のものとみられています。本来、クマはこの時期に冬眠しているはずですが…。富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん「冬眠に入る境目が、クマ自身が分からなくなっていってしまう。このまま放置すればするほど、人に近い所で一年中、クマの存在に気を付けながら生活しなくてはならない」。

(「人里の味」覚えた熊はわずか、大半は森の植物に依存:長野)
伊那市の山際で2018~21年にイノシシ用のわななどで「錯誤捕獲」されたツキノワグマのべ58頭の食性を調べたところ、9割余が農作物など人里の食べ物に依存していなかったことが11日、森林総合研究所(茨城県)と信州大山岳科学研究拠点(上伊那郡南箕輪村)、県環境保全研究所(長野市)などの調査で分かった。体毛に含まれる炭素や窒素の安定同位体比を分析して突き止めた。森林総合研究所の中下留美子主任研究員は「山際にいる熊が必ずしも農作物に被害を与えているとは限らない」とし、熊との共存や管理を考える上で考慮すべき結果としている。

(養殖のり食害対策でドローン活用の実証実験:佐賀)
養殖のりに食害の被害をもたらしているカモなどの鳥をLEDライトが搭載されたドローンを使って移動させる実証実験が、鹿島市などの有明海で行われました。実証実験は、鹿島市と太良町がのり養殖の食害対策として、11日までの2日間に渡って行いました。実験に使われたのは静岡県のメーカーが開発したLEDライトが搭載されたドローンで、これまでのメーカーの実験ではムクドリを追い払う効果が確認されているということです。ドローンは有明海の漁場の上空を飛行し、高さ7メートルほどの地点からカモの群れにLEDライトを照らすと、ほかの場所に飛び立っていく様子が確認されました。鹿島市から太良町にかけての有明海では、多い時にはのり養殖の漁場の3割ほどで食害が確認され、被害が深刻になっているということです。実験に参加したのり漁業者の冨永幸市さんは「これまでもさまざまな対策を行ってきたが十分な効果がなかったので、新しい取り組みに期待したいと思います」と話していました。鹿島市ラムサール条約推進室の室井利允さんは「今回の実験では明らかにカモが逃げる様子が見られたので、可能性は大いにあると思います」と話していました。鹿島市と太良町では今回の実験結果を分析し、今後、実用化が可能かどうか検討することにしています。

(クマ出没、住民の安全守る訓練:北海道)
冬季もクマ出没が相次いでいることを受け、浦河署などは対応訓練を町スケートリンク(町緑町)敷地内で行った。クマが住宅地へ行かないよう追い込む手順を確認したほか、猟銃でクマを駆除する際の対応や安全性について意見交換を行った。

(有害鳥獣、地域一丸で対策を:熊本)
菊池市でイノシシやニホンジカ、カラスなどを駆除する市有害鳥獣捕獲協議会の会長を務めています。会員は52人で、農作物の被害を減らしたいと活動を続けています。イノシシは年間1千頭以上を捕獲しているので減っているとは思いますが、それでも捕っても捕っても追いつかないというのが実感ですね。近年はシカも増えています。捕獲は命がけですよ。くくりわな(バネ仕掛け)にかかったイノシシは自分の足を引きちぎってでも逃げようとしますから。人間が考えている以上に力が強く、やることもけた違い。100キロを超えるような大物もいて、さすがに心臓が縮みます。稲やトウモロコシが食い荒らされたり、植林した苗木が食べられたり…。真心を込めて育てた農作物や森林が被害に遭うのは悲しいことです。捕獲はもちろん、獣が潜んでいることも多い遊休農地を解消するなど地域一丸となった対策も講じる必要があるでしょうね。

(クマ捕獲用オリ北秋田市に寄贈:秋田)
北秋田市米内沢の「北日本鉄工」が11日、有害獣捕獲用オリ「入るベアー」1台を市に寄贈した。同社はボーリング用やぐらを製造する鉄工所で、その加工技術を応用して製作した。同市では昨年、女子高校生ら5人が市街地でクマに襲われるといった被害が相次ぎ、「入るベアー」は米作農家の小屋に出没するクマを捕獲するために開発を依頼された。ドラム缶2本を横につなげた形で、長さ約2メートル、円筒の間口約60センチ、重さ74キロ。1台19万8000円(税抜き)。商品名は方言の「はいるべー」をもじった。市役所で行われた贈呈式で、同社の鳥潟剛治社長が「地域の皆さんが困っており、オリを製作した」と述べ、津谷永光市長は「ユニークな名称のオリを製作、寄贈していただき、力添えありがたい」と感謝した。

(山林でクマ1頭を目撃:宮城)
12日午後4時15分頃、宮城県気仙沼市所沢の山林にクマ1頭がいるのを、自転車に乗って近くを走っていた人が目撃しました。 警察によりますとクマは体長1メートルほどでまもなく見えなくなったということです。けがをした人はいませんでした。

(クマ1頭目撃:山口)
11日午前7時半ごろ、山口市小郡上郷の市道で、自転車で通学していた男子高校生が体長約1メートルのクマ1頭を目撃した。山口南署によると、現場は市環境センター北約100メートルで、道路を横切って移動したという。一帯は伽藍(がらん)山の北側麓になる。

(雪にクマの“足跡”また出没:福井)
真冬にもかかわらず、福井県でクマの目撃情報が相次いでいます。雪の中にくっきりと残るクマの足跡。職員が対応に追われています。天空の城と呼ばれる「越前大野城」。その城下町でクマの足跡が発見されました。雪の上にくっきりと残っている足跡。10日午前10時ごろ、通報を受けた市の職員が確認しました。現場は福井県大野市の中心部からおよそ6キロの住宅地です。住宅の敷地内でもクマの足跡が…。福井県大野市 農業林業振興課 帰山康一朗課長「間違いなくクマの足跡であると確認した。広報車を出して住民に注意喚起をした。1月から3月(冬眠期間)にかけて出るのは、なかなか珍しい。今年は雪の量が少なくて、まだ冬眠に入れていないのかなと」。冬眠の時期にクマが住宅に侵入するケースも。壁に空いた隙間から床下に入っていった男性。すると、飛び出してきたのはなんと、巨大なクマ。住宅の床下で冬眠しようとする「アーバン・ベア」の実態が見えてきました。大きな母グマの隣でじゃれあう3頭の子グマ。アメリカ・カリフォルニア州では、市街地の周辺で暮らす「都市型クマ」が急増しているといいます。クマを20年研究 トゥジー・シルシュさん(63)「クマは家の床下で冬を越そうとする。母グマが床下で子グマを産んでいるという連絡も来る」。床下で冬を越そうとするアーバン・ベアが相次いでいて、地元住民から追い払いの依頼が絶えません。クマを20年研究 トゥジー・シルシュさん「家の床下でくつろぐ都市化したクマが発生している。床下はとても快適だから。被害が出る時もある。家を暖めるための暖房のダクトを壊し床下で自分に当たるようにしたり、床下のものを壊して自分のベッドを作ったりする」。年末には、インクが発射される銃を持って床下へ。ボランティアで年間およそ30頭のクマを追い払っているといいます。日本でも、クマの冬眠にかかわる生態が暖冬の影響などで変化してきていると専門家は警鐘を鳴らしています。富山県自然博物園ねいの里 赤座久明さん「雪が積もらない冬がどんどん続くと、冬眠に入る境目がクマ自身が分からなくなってきてしまう。人に近いところで1年中クマの存在に気を付けながら生活しなくてはいけない。動物と人の生活空間をメリハリのある境界を持たせる環境づくりが、これから必要」。

(住宅敷地内に、続くクマ出没:新潟)
新発田市で住宅の敷地内でクマが目撃され、警察と市が注意を呼び掛けています。警察によりますと、12日朝7時半すぎ、住宅の敷地内にいた体長50cmほどのクマ1頭を住民が目撃し、警察に通報しました。付近は住宅街で、市と警察が注意を注意を呼び掛けています。新発田市では11日夕方も市内蔵光の坂井川の土手付近で1.3mほどのクマ1頭を通りかかった人が目撃し警察に通報しています。県はクマ出没特別警報を出し、1月いっぱいをクマ出没警戒強化期間としています。

(数日間連続してイノシシ出没で箱わな設置:熊本)
熊本県警宇城署は14日、宇城市松橋町久具で数日間連続してイノシシの目撃通報が発生していることを受け、同地区に箱わななどのわなが同日、設置されことを防犯メールで告知した。同署は「わなを見かけても近づかず、イノシシが捕獲されていた場合は、市役所や警察に連絡してください」と呼びかけている。

(クマ出没:新潟)
新発田市によると、14日午後2時5分ごろ、新発田市岡田の路上にクマが出没しました。

(イノシシ肉、学校給食に:兵庫)
兵庫県淡路市で捕獲、加工したイノシシ肉を使ったショウガ焼きが、市内全小中学校の給食に登場した。同市興隆寺の「興隆寺ジビエ処理加工施設」を運営する合同会社興隆寺が初めて提供した。児童は「さっぱりしていておいしい」と満足そうに味わった。市は興隆寺、野田尾地区で新火葬場を建設中。両地区の活性化と鳥獣被害対策のため、2021年に同施設を整備した。地域住民が出資する同社が、市の指定管理者として施設を運営。猟師が捕獲したイノシシを食肉に加工後、地元飲食店に提供したり、同施設で販売したりしている。以前は捕獲後、廃棄していたイノシシを食肉として活用する-という取り組みを子どもに知ってもらおうと、市が同社へ依頼し、今回の提供が実現した。

(高校生考案!ジビエおにぎり:岐阜)
揖斐川町の揖斐高校生活デザイン科食物コースの3年生4人が考えた鹿肉を使った新メニューが13日から、同町坂内広瀬の道の駅「夜叉ケ池(やしゃがいけ)の里さかうち」で限定販売される。内もも肉とみそ、大葉、ショウガ、ニンニクを混ぜた肉みそが具材の「ジビエおにぎり」を、1月の土日に限定10個販売する。1個250円。おにぎり2個にみそ汁と漬物が付く500円のセットもある。

(BBQ・ジビエ店、2月開業:宮城)
牛タン加工・販売の陣中(宮城県名取市)は東日本大震災の津波で大きな被害を受けた同市沿岸部の閖上東地区に2月末、バーベキュー場を開く。仙台名物の牛タンに加え、ジビエの提供も広げていく。同地区のにぎわいを高める狙いという。バーベキュー場を含む一帯の施設の名称は「陣中閖上ファクトリーガーデン」。同社は2023年9月に本社工場を仙台市から同地区に移した。

(エゾシカ料理、ビュッフェ形式で:北海道)
北見市内で捕獲されたエゾシカの肉料理をビュッフェ形式で味わう「第9回北見エゾシカフェスタ」(実行委主催)が2月10日、オホーツクビアファクトリー(山下町2)で開かれる。

(「ジビエへそ丼」地元食材で新メニュー続々誕生:広島)
広島県東広島市内の飲食店で、地元食材を使った新メニューの開発が盛んだ。ジビエ(野生鳥獣肉)やネギ、タイなど山海の味覚を生かしたユニークな一品が続々と誕生。各店は、地産地消を促進するご当地グルメとして認知度アップを図る。福富町久芳の「くろぼや」は昨秋、ジビエへそ丼(1100円)を売り出した。豊栄町発祥のご当地グルメへそ丼がベース。定番トッピングの牛肉のしぐれ煮の代わりに、ブランドジビエを手がける同町の東広島ジビエセンターのシカ肉を使う。店主の森岡明美さん(64)は「質の高い解体処理で生産されたジビエが手に入る地域ならではの一品」とPRする。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午後3時15分ごろ、富谷市とちの木の国道にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、11日午後5時50分ごろ、仙台市泉区実沢桐ケ崎屋敷にクマが出没しました。

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(「個体数を管理し対策」環境省のクマの保護管理に関する検討会が2回目の会合)
市街地への出没が相次いだクマについて、対策を話し合う専門家を交えた国の検討会が9日、東京で開かれました。岩手県によりますと、今年度、県内で確認されたクマによる人身被害は46件49人で、記録が残る1993年以降最も多くなっています。去年は岩手をはじめ、東北地方を中心に全国でクマの出没が相次ぎ、環境省は12月から、専門家を交えたクマの保護や管理に関する検討会を開き、クマの指定管理鳥獣指定へ向けた議論を進めています。9日は2回目の会議が開かれ、出席者からは、クマを指定管理鳥獣にするのと同時に、目標の個体数を決めてクマ被害への対策を取ることが重要などの意見が出されました。そしてクマの個体数管理の強化や人の生活圏への出没への防止、さらに出没した際の対応について今後も検討を進めることを確認しました。次の会議は、2月8日に開かれます。

(クマの人的被害は217件で過去最悪、「指定管理鳥獣」指定を検討する会議開催)
全国でクマの出没と人への被害が相次ぐなか、環境省でクマの捕獲に関して「指定管理鳥獣」に指定するかどうかなどの検討会が開かれました。検討会は今後のクマの被害を防ぐ対策方針を取りまとめるもので、クマの捕獲に関して都道府県が金銭的に支援を受けられる「指定管理鳥獣」に指定するかどうかが大きなテーマになっています。2回目の9日は、これまでの「有害捕獲」という枠組みでも現場は十分対応できているとの指摘もあった一方、県が主体になる「指定管理鳥獣」になれば広範囲での出没に対応できるなどとして賛成する意見も出されました。また、猟師らの高齢化などにより、人材不足になっているとの情報も寄せられました。検討会は2月まで続き、環境省は対策について春ごろまでに決める方針です。また、環境省によりますと、クマによる人への被害は去年4月から12月までで全国で217人に上る過去最悪の状況となっていて、12月に入っても被害者が5人増えました。

(クマの生息数を継続調査へ、国の検討委員会)
クマに人が襲われてけがをする被害が去年過去最多となったことを受けて、国はクマを「指定管理鳥獣」にして保護の対象から管理する対象に変える方向で検討を進めています。9日開かれた検討会で国は人の生活圏周辺に生息するクマを継続的に調査する考えを示しました。検討会は12月に続いて9日が2回目で、クマの研究者などの委員が来月とりまとめる対策の方針案について論点や課題を整理しました。国は人の安全を最優先する観点から市街地や住宅近くに出没するクマは捕獲する方針です。9日の検討会では科学的かつ計画的に管理するために人の生活圏周辺に生息するクマを継続的に調査する考えを示しました。これに対して委員からは「いまのように捕獲の上限を設けるのではなく、今後は捕獲する数の目標の設定も必要になってくるのではないか」という指摘も出ました。いま行われているクマの有害捕獲は市町村が実施の主体で、被害防止を目的に農地などに設置するのが原則です。指定管理鳥獣になると都道府県が主体となって期間や場所、クマを捕らえる方法などを決め、有効な計画を策定することになります。検討会の委員の一人で県自然保護課の近藤麻実さんは管理を強化するためには人材や装備、資金、情報が必要になると指摘します。3回目の検討会は2月8日に開かれることになっています。

(エゾシカの事故や農業被害が増加、24~26年を緊急対策期間に:北海道)
エゾシカの推定生息数が2022年度に約72万頭に増え、農業被害額や交通事故数が増加していることを受け、北海道は24~26年を「エゾシカ緊急対策期間」に設定した。来年度予算で捕獲費用の補助を手厚くすることなどを検討しており、将来の推定生息数をピーク時の半分にあたる約39万頭に抑えたい考えだ。道野生動物対策課によると、エゾシカとの接触による22年の交通事故は4480件、22年度の列車運行の支障は4273件で、いずれも過去最多だった。捕獲数も14万5000頭で過去最多だったが、目標の16万3000頭には届かなかった。農業被害額は48億円に上った。推定生息数が過去最多だったのは11年度の77万頭で、農業被害額は64億円だった。道はその前後の10~14年に緊急対策期間を設定し、捕獲費用の補助を強化しており、18年度には65万頭、39億円にまで減少していた。しかし、恵庭市の国有林で18年11月、北海道森林管理局の森林官がハンターの誤射で死亡する事件が発生。道内の森林の約6割に相当する国有林と道有林で、19年度まで狩猟の制限が掛かった。また、その後の新型コロナウイルスの流行で、道外から来るハンターが減少したこともあり、20年度から推定生息数、農業被害額、接触事故数が増加に転じている。道は23、24年度の捕獲目標数を18万5000頭に設定しており、メスジカの捕獲を強化して生息数を抑え込む方針。

(エゾシカ被害増加で3年間対策強化、メスジカ捕獲進める:北海道)
エゾシカによる農業被害や交通事故が増加していることから、道は再来年までの3年間、対策を強化しメスジカの捕獲などを集中的に進めることになりました。道によりますと令和4年度、道内のエゾシカの数は推定でおよそ72万頭と近年、増加傾向が続いています。そして、農作物などの被害額は48億円あまりにのぼっているほか、交通事故は4480件、列車の運行に影響が出た件数は4273件といずれもこれまでで最も多くなりました。このため道は令和6年から令和8年までの3年間を「緊急対策期間」として対策を強化し、メスジカの捕獲などを集中的に進めることになりました。前回、平成22年度に取り組みを強化した際にはエゾシカの数はピーク時からおよそ10万頭減少したということで、道は捕獲を進めることで農業被害や交通事故などの減少につなげたいとしています。

(過去最多のクマ被害、市街地出没の裏に「極端気象」の影)
「近年にないレベルで人身被害が各地で出ている。クマが冬眠から明ける頃までにはしっかり結論を出し、戦略的にこの問題に取り組んでいきたい」。伊藤信太郎環境相は2023年12月26日、閣議後の記者会見で、クマ対策に力を入れていく考えを示した。環境省は専門家らを集めた検討会を開き、24年度以降の被害を抑えるための対策づくりにつなげる。国が捕獲を支援する「指定管理鳥獣」に指定すべきかどうかも議論する。23年12月26日に開いた初会合では、クマ類の生息状況や被害状況などを共有した。国が対策を強化するほどの大ごとになったクマによる人身被害。環境省によると、23年度の被害人数は4月から12月末時点(暫定値)で217人と、既に過去最多を記録している。なぜ今、クマと人間が接触する場面が増えているのか。クマ被害の増加は、近年目立っている猛暑など異常な気象による生態系の異変が影響している可能性がある。こうした異常気象は今、「極端気象」と呼ばれている。環境省がまとめた堅果類(ドングリ)の着花結実情報では、23年10月末時点でブナやミズナラは凶作の地域数が大半となった。22年度はいずれも並作が凶作を上回っていた。東北地方では、青森・岩手・宮城・秋田・山形の5県ともブナの開花・結実ともに「大凶作」だった。気象庁は2023年12月22日、23年の年平均気温(速報値)は、過去126年で最も高くなる見込みと発表している。極端な温暖化がクマの食べ物である木の実の凶作をもたらし、クマがエサを求めて人が住むエリアへ進出した可能性がある。短期的な気温上昇に加え、中長期的な温暖化による生態系への影響も考えられる。環境省のクマ対策の検討会で構成員を務める酪農学園大学環境共生学類の佐藤喜和教授は、「温暖化による影響で近年、8月ごろにクマが草を食べられない地域が増えている」と指摘する。例えば北海道では降雪が少なかったり、融雪が早かったりして、草の芽吹きがゴールデンウイークごろから4月上中旬へと早まっている。それに伴い「クマが冬眠から出てくる時期も早くなったように感じる」(佐藤教授)。

(野生動物の農作物被害額、昨年度は11%増加:熊本)
いのししなど野生の動物による熊本県内の農作物への被害額は昨年度およそ6億円と、前の年度より11%増加しました。熊本県のまとめによりますと、野生の動物による県内の農作物への被害額は昨年度およそ5億9700万円で、前の年度より5900万円、率にして11%増加しました。内訳で見ますといのししが最も多く2億8500万円と全体の半数近くを占めていて、次いで、かも類が9800万円、鹿が6800万円などとなっています。昨年度と比べて、かも類の被害が46%減少した一方、ほかの野生動物ではすべて増加しています。地域別の被害額を見ると八代地域がおよそ9400万円と最多で、次いで、芦北地域が7900万円、宇城地域が6100万円でした。県むらづくり課は、「いのししや鹿の頭数が増えているほか、生息する範囲が人里まで広がったことで、被害額が増えたとみられる」と話しています。

(北上するシカ被害、緊急出動で駆除:岐阜)
獲物の増加は猟師の意欲を駆り立てるが、地域には憂いをもたらす。下呂市猟友会副会長の天野勝利さん(79)は「昔は獲物が少なかった。シカなんてほとんどいなかった。でも今は多くなったなあ」。昨年は特に「アーバンベア」が話題となったが、昔も今も、人の営みに最も獣害をもたらすのは別の動物だ。有史以来、主要な狩猟獣であるシカ。その数は人口が増えた江戸時代以降、全国的に減り、1990年代までは保護のため雌の捕獲を禁止したり、捕獲数に制限を設けたりしてきた。釧路市の蝦名大也市長は9日の定例記者会見で、ヒグマ出没を抑えるために残雪期に行う道の捕獲促進事業「春期管理捕獲」に初めて参加する意向を示した。クマの被害や目撃があった市内3地区で2月から実施する。

(絶滅危惧のツキノワグマの生息調査、保護の取り組みも:神奈川)
人を恐れず、市街地に出没する「アーバンベア(都市型クマ)」。2023年は東北地方や北海道を中心に被害が相次いだ。一方、神奈川県内ではツキノワグマは絶滅の恐れがあり、県は住民の安全を優先しながらも保護する活動にも乗り出している。県自然環境保全課によると、23年度のツキノワグマの目撃や痕跡が見つかったとの情報は、相模原市や伊勢原市、山北町などで、平年並みの計75件(10日時点)寄せられている。人身被害は16年を最後に発生していない。この時は、山北町の山深い林道で、ハイキング中の50代男性がクマの親子に遭遇。体長1・2メートルの親グマに襲われ、両手をひっかかれて軽傷を負った。県の担当者は「人里での人身被害はずっと以前から起きておらず、東北のようなアーバンベアの状況はない」と話す。県内のツキノワグマは主に県北西部に広がる丹沢山地に生息している。生息数は40頭前後と推定され、06年に発行された「県レッドデータブック」では、最も絶滅の危険度が高い「絶滅危惧種」に指定されている。このため住民の安全を最優先とする一方、狩猟者に捕獲自粛を呼びかけるなど可能な限り保護に努めている。保護の一環として、県は22~23年度に、丹沢山地で生息数モニタリング調査を実施中だ。体毛を採集してDNA鑑定で分析し、個体数を推定する調査で、クマが体を接触すると体毛が絡まる金属線を丹沢山地の50カ所に設置している。金属線の近くに餌を置いて近寄らせる仕組みだ。目撃情報がない場所にも金属線を設置し、採取数が不十分な場合は、24年度も引き続き採取する。県は「分析結果が分かるのは24年度以降になる。丹沢山地の推定生息数を調べ、増減傾向などをみていく」と話している。ただ、ツキノワグマがイノシシやシカ用にしかけたワナにかかってしまう「錯誤捕獲」が問題になっている。近年は、19年度4頭▽20年度1頭▽21年度1頭▽22年度3頭――だった。23年度は現状で9頭が捕獲され、解き放つ場所が確保できないなどの理由で7頭を捕殺した。県は錯誤捕獲を減らすため、24年度にも、クマがかかりにくい特殊なワナを試行的に設置し、効果を検証することにしている。

(ふるさと納税でクマ電気柵の維持補修を:北海道)
ヒグマの出没が過去最多に増えている羅臼町では、住宅地へのヒグマの侵入を防ぐための電気柵を維持・補修する費用をふるさと納税を活用したクラウドファンディングで募っています。羅臼町では10年余り前から住宅地などへのヒグマの侵入を防ぐ電気柵が設置されていて総延長は10キロにも及びます。電気柵の維持・管理には年間およそ200万円がかかるうえ、積雪や経年劣化で破損した電気柵の修理も課題となっています。町はそうした費用を賄おうとふるさと納税を活用したクラウドファンディングで寄付を募っています。目標額はおよそ5900万円で期間はことし3月14日まで、寄付の返礼品としてクマの爪やシカの角を使ったアクセサリーや肉の詰め合わせ、海産物などを選ぶことができます。羅臼町ではヒグマの目撃や痕跡の確認などのために職員らが出動した件数は、去年4月から12月末までで過去最多の552件にのぼっています。ハンターでもある羅臼町産業創生課の白柳正隆主任は「電気柵はクマと人がお互いに慣れず、距離感を持つために必要なツールだ。ご支援、ご協力をお願いしたい」と話しています。

(「いばらきアライグマ対策セミナー」:茨城)
2024年1月27日及び2月4日に開催される「”知る”からはじまる!いばらきアライグマ対策セミナー」(主催:茨城県)では受講者を募集しています。当社は県の委託により本セミナーの事務局を運営しています。近年、特定外来生物アライグマによる在来の生態系への影響や、農作物被害、住居や文化財への被害などが大きな問題となっています。茨城県でもすでに全域に分布が広がり、農作物や人家へ被害が出ています。セミナーでは、そのようなアライグマの生態と対策について学びます。アライグマのことを知り、アライグマから地域を守ることを一緒に考えてみませんか。茨城県内にお住まいの方はぜひご応募ください。Web配信も同時開催しますので、現地に足を運べない方や、県外の方もご参加いただけます。

(狩猟免許取得をめざす若者が増加:北海道)
2023年、北海道ではクマの目撃や捕獲件数が過去最多となった。人身事故は8件、あわせて10人が死傷した。またシカによる農作物の被害額も深刻で、約48億円(2022年度)にのぼっている。一方で獣害駆除にあたるハンターは、どんどん高齢化が進み、緊急時の出動にも支障が出る事態となっている。北海道猟友会によると、北海道内のハンター登録者数は年々減り続けていて、ピーク時の1978年に比べると、2023年は約4分の1にまで減少。ハンターの半数が60歳以上と、高齢化も深刻な問題となっている。しばらく、なり手不足が続いていたハンターだったが、実は北海道の狩猟免許試験の受験者数が3年ほど前から増加傾向に転じている。2019年は800人ほどだった受験者が、2023年は1276人に増えた。過去5年で最も多い人数となった。なぜ今、ハンターを目指す人が増えているのだろうか。受験会場をのぞいてみると、以前は多かった高齢者にかわり、今は20~40代の若い世代も目立つ。受験者にハンターを目指す理由を聞いてみた。普段はIT会社に勤務しているという男性(26)。もともと釣りやキャンプなどアウトドアが趣味だったが、大阪から札幌に転勤したことがきっかけで、北海道の獣害事情を知ったという。過度に増えすぎた動物を間引きすることで、生態系を維持したいと語る。札幌市在住の女性(35)は、狩猟免許を持つ父親(65)と一緒に猟をしたいと語る。測量や地質調査に従事する男性(59)は、仕事で山に入る際、護衛を頼むハンターが見つからず、自分で身を守るため狩猟免許の取得を目指したということだ。大学に通う女性(21)は知り合いの農家が自ら狩猟免許をとり獣害対策にあたっているのを見て、狩猟に興味を持ったということだ。ハンター歴5年の道上綾子さん(33)は、農業被害の対策として発足した「ボランティア駆除隊」に所属している。普段はテレビカメラマンの仕事をこなしながら、早朝から「駆除隊」の活動にも参加。足跡の見分け方や、わなを仕掛けるポイントなどについて、経験豊富な先輩ハンターからひとつひとつ地道に学んでいく。いずれは「札幌市ヒグマ防除隊」に入りたいという道上さん。自らシカ猟を経験したことで、命の大切さに気づき、いかに食べ物を無駄にしないかを日々考えるようになったという。北海道猟友会札幌支部の奥田邦博支部長は、ハンター志望者の増加を歓迎しつつも、実際にクマやシカを駆除するためには、かなりの“経験”が必要だと強調する。奥田支部長によると、ヒグマの場合、3発銃弾を撃ちこまれてもハンターに向かってくることもあるという。5年、10年の経験を積んで十分にスキルアップしないと命の危険があると警告する。またエゾシカも、オスの場合はツノで向かってくることもあり、刺されると大けがをする恐れがあるとのこと。試験を受けてすぐハンターになれるというわけではなく、一人前の狩猟者になるには、長い時間と経験が必要なのだ。そんななか、北海道釧路市でハンターの活動を後押しする新たな動きがあった。東京の食肉会社が北海道最大級となるシカ肉工場を建設。2024年12月に稼働予定で、年間5000頭を加工し販売する予定だ。2022年のエゾシカによる被害総額は、約48億4600万円。エゾシカの推定生息数は約72万頭で、そのうち約14万頭を捕獲している。北海道としては生息数を半分の35万頭まで減らすことを目標に、今後捕獲数を増やす方針だが、捕獲後のシカ肉処理が大きな課題となっていた。新たに衛生管理を強化した大きな工場が完成することで、首都圏などに高品質なジビエ肉が供給できることになり、シカ猟を後押しすることにもつながりそうだ。

(『クマ撃ちの女』アドバイザーが語る自然界の実情:埼玉)
2023年、日本国内での熊による人身被害が11月までに200件を超えるなど、過去最悪の数字となっている。エサを求めて街中などで行動する「アーバンベア」の存在がクローズアップされるなど、日本列島に生息する熊たちの環境に変化が起きているようだ。そこでニュースクランチでは、埼玉県加須市で猟銃専門店「有限会社豊和精機製作所」を営み、漫画『クマ撃ちの女』(安島薮太/新潮社)のアドバイザーでもある佐藤一博氏に、熊被害が増え続けている現状や対策などをインタビューした。――熊による被害の拡大が続いている原因として、メディアなどでは熊のエサとなるドングリの生育が悪いことが挙げられています。年々、山にあるエサが減ってきているということでしょうか?佐藤一博(以下、佐藤):実際に正確な調査などを行なったわけではなく、僕が確認した山での話になりますが、ドングリはたくさんありましたよ。僕も拾いたくなるくらい、地面にもいっぱい落ちていました。――それでは、他の原因としてどんなことが考えられますか?佐藤:単純に熊が増えているんだと思います。今は人里と山のあいだ、山間部が過疎化しているじゃないですか。皆さんにわかっていただきたいんですけど、野生動物って、なんで多くが山に住んでいるか知っていますか? これ、平らな場所には人がいるからなんですよ。平らな場所は人が住んでいるから、熊は山に住む。それがちょっと数が多くなって、仲間の縄張りもあるから端っこ(山間部)に行ってみたら、おじいちゃんおばあちゃん(人間)が少しいるくらい。周囲にはおいしそうなものがなっている。撃たれることもないから、柿やトウモロコシなどを食べて味を覚え、それを子どもにも教える。それを経験した熊は、また来ると思うんですよね。熊だって平らなところのほうが行動は楽ですし。――山間部、いわゆる里山と呼ばれるような場所においしそうなものがある。佐藤:ある動物研究家の人は「間接餌付け」と呼んでいました。野菜や果実とかを植えていることによって、知らないうちに熊を誘引している。これは熊に限らず、猿などもそうです。食料が豊富にあれば、数は増えますよね。そして、昔より山に入る人は少ない。そういうこともあって、僕は山の環境は昔よりすごく良くなっていると思うんですよ。現在、メガソーラーの設置なども森林破壊の原因の一つと言われていますが、まだまだ一部じゃないですか。そう考えると、山の環境はすごく良くなっていると思うし、あとは林野庁とか環境省とかも、水源地確保として治山事業に力を入れ、保水できる雑木を植えています。植林事業とかをやっていると、必然的に森は良くなっていると思うんです。そうするとドングリも問題なく実り続ける。――熊をはじめ、他の野生動物も増えてきているんですか?佐藤:鹿が増えているということは20年以上前から言われています。鹿が増えたら、それを食べる動物が増えるのも当然のこと。また、イノシシが何年か前に、豚熱(イノシシの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴※農林水産省HPより)の影響でガクンと数が減ったんですよね。何かが減ったら、何かが増えるのは当然ですよね。――鹿などの野生動物も熊のエサとなるわけですね。佐藤:そうですね。例えば、自動車との接触で事故死したり、そういう死体も多いわけです。熊はスカベンジャー(動物の死骸を食べる動物たちを指す英語)なので、「死体処理係」だったりするんです。そうすれば、ドングリが減ろうが増えようが、熊の数が増える、そうするとこれまでの生息域からはみ出す。ドングリが無くなったから、熊が里へ出てきたという人が多いけど、僕はちょっと違うんじゃないかなと思います。――熊が増える場合、どんなペースでの増え方になるんですか? 例えば母親となる熊は1年でどれだけ子どもを産むのでしょうか?佐藤:1年に最高でも2頭。冬眠時に穴の中で出産するんですが、1頭の場合が多いです。春になって穴から一緒に出てくるんです。生まれてから1年、最初の冬を越える前くらいまでは親と一緒に活動しているのかな。当然、お母さんは秋には新たなオスと出会います。そのときに、オスにとって子どもは邪魔なので殺されてしまいます。それまでには親離れ、子離れします。――それほど急激な増え方はしないということですね。佐藤:ただ、店のお客さんで毎日、山に入っている現役ハンターがいるんですが、その人の話では子離れが遅くなっていると感じているそうなんです。林道に熊がいて獲ろうとしたら、じつはその熊は子どもで、近くに親がいたんです。体が大きくなっているのに、母親と活動しているんです。母親は子どもがちょっかいを出されたら人間を襲ってきます。親の子離れ、子どもの親離れが遅くなっている、そのようなことを話していました。――お話を聞いていると、熊が徐々に賢くなったというか、アップデートされてきているというのが、昨今の熊の被害増加につながっているということでしょうか?佐藤:そうですね。友人とも15年くらい前からそういう話をしていました。「ニュータイプ」と呼んでいて、今までの行動についての傾向から逸脱する、熊やイノシシ、鹿が出始めていると感じています。最初の話のように、親が子どもを連れて畑の柿を取って食べていれば、その子どもだって同じ行動をしますよね。その場所に行って柿がなかったら、同じような木を探しますよね。そのように、新しい行動パターンをする熊が出てきているように思います。――北海道にいるのがヒグマ、本州にいるのがツキノワグマですよね。佐藤:鹿などもそうなんですが、北になると大きくなる傾向にあります。アメリカではグリズリーやブラウンベアというのがヒグマに相当して、クロクマというのがツキノワグマにあたります。九州は絶滅してしまい、熊はいないと言われていますが、四国はまだいるみたいです。――今年は暖冬と言われていますが、熊の冬眠にも影響はあるのでしょうか?佐藤:昔は、どんな熊でも12月8日には冬眠すると言われていたんですよ。ところが、最近ではお正月を過ぎても、雪の上に熊の足跡があったりするんですよ。柿はしおれちゃうのですが、ミカンはなったままですよね。あとは農家の作物なども冬にハウスで作っているものもあります。なので、エサがあったら眠る必要もないわけです。――冬眠しない、親離れ・子離れしないといった、ニュータイプが増えてきているんですね。佐藤:里に行っても人もいない、おじいちゃんやおばあちゃんだけの場所も多い。たまに通報されて、猟友会が駆けつけることもありますけど、猟友会が駆けつけないところで柿を貪り食っている熊のほうが多いと思うんですよ。人的被害が無いために報道されない。ほとんど人がいない村もありますし。行動する範囲、期間は変わっていってると思います。現在、地方都市などでは、どこでも出会う可能性は高いと言えるのではないでしょうか。――実際に熊に遭遇した場合、どのような対応をすべきでしょうか?佐藤:家の近くだったら家に入る、建物があったら建物に入るがいいと思います。山などで会ったら、目を離さずに後ずさりするというのがいいでしょう。昔から言われている「死んだふり」はあまり意味がないので、やらないほうがいいですね。熊から目を離さずに、背負っているものがあれば投げ捨て逃げる。荷物を投げ捨てることで、熊がそちらに意識を向ける可能性もゼロではないので。追いかけられた場合、逃げ切れることは難しいですが、自分も身軽になりますし、少しでも生きる確率を高めるには、荷物も捨てることも手段のひとつです。また、万が一襲い掛かられた場合、諦めずに最低限の抵抗することが重要です。棒切れや石ころ、または自分のげんこつで反撃(熊の頭や体を叩くなど)して、熊があきらめて逃げて行ったというニュースもありました。もちろん、これだけ騒がれているので、山に入るときはそれなりの対策をするべきだと思っています。熊スプレー、ベアホーン(大きい音を鳴らす道具、3000円程度)などです。仲間の銃砲店の人でも、山に入り林道で熊に遭遇して、熊スプレーで撃退したという人もいます。ただ、熊スプレーはカプサイシンエキスが凝縮されたものが何メートルも飛ぶんですけど、風向きによって方向が変わり、自分にかかってしまう場合があります。ベアホーンは、音を鳴らせば風向きも関係なく、自分が遭難したときにも知らせられる、という利点もあります。――音といえば、昔から使用されている、登山などで鈴やラジオを身に付ける効果はあるんでしょうか?佐藤:どちらもお勧めできません。ラジオや鈴の音が鳴っていると、逆に「ガサッ」みたいな音、周囲の動物の気配が感じられなくなっちゃうんですよ。それに、ラジオや鈴が鳴っていても、お腹がすいていたら寄ってくると思います。――今後も熊による被害は増えていくのでしょうか?佐藤:波がありながらも増えていくと思います。子どもは親のマネをしますが、それらの熊が全部、大人になるまで生きるわけでもない。なので、熊が増えるスピードは遅いと思います。地球全体の温暖化なんかもそうなんですけど、冬でも暖かかったり、すごく寒かったりと、その年によって違いがありますが、全体的には暖かくなっている。熊に関しても被害が多い年ばかりではないですが、よほどのことがない限り、今後も増え続けていくんじゃないかなと思います。

(大型イノシシに襲われ「九死に一生」双子の猟師:千葉)
今冬、かかったわなを壊したイノシシに襲われ、重傷を負った75歳の猟師の男性がいる。「油断があった」――。一歩間違えれば、同じく猟師である双子の兄ともども命を落としかねなかったというその時、何が起きたのか。緊迫の一部始終を男性が振り返った。「家の前でイノシシがわなにかかっている」。昨年12月12日午前7時ごろ、館山市の土田恒司さん(75)に近所の住民から電話があった。土田さんは10年ほど前からわなや銃で狩りを始め、現在は食肉加工業を営む。この住民からイノシシに家庭菜園が荒らされて困っていると相談されて昨年8月、庭先に3基のわなを仕掛けていた。電話の後、自宅に来ていた双子の兄章司さん(75)と駆けつけると、茂みの陰で大きなイノシシが暴れていた。わなのワイヤ―がイノシシの体のどこかに掛かっているのが分かった。ともに現役の猟師。これまでにも、兄弟の連係プレーでイノシシを捕まえたことがあった。言葉は交わさずとも、「あ・うん」の呼吸で、恒司さんがおとり役になることにした。

(日本クマネットワークシンポジウム)
2023年は、クマ類大量出没と人身被害の多発が全国的に大きな話題となりました。また出没や被害対策のための駆除に対する批判の声が上がり、それに対して駆除の必要性に理解を求める学会声明なども表明されて話題となりました。環境省では、クマ類の管理を効果的に進めるための指定管理鳥獣への追加指定に向けた検討が始まっています。クマ類の管理は、1990年前後から始まった主に過剰な駆除や狩猟など人由来の死亡数抑制による共存政策の時代から、2020年代にはその成果としてのクマ類の個体数増加と分布拡大、それに伴う人の生活圏周辺での人慣れ個体の増加の時代を迎えました。またそれは同時に人の減少と高齢化に直面する時代でもあり、さらに地球規模の人由来の環境変動への対策として生物多様性保全を国家戦略として実現しようとする時代でもあります。このような時代に人の安心安全な生活を守り、一方でクマ個体群の将来的な存続を目標とする積極的なすみ分けの実現を目指す必要があると考えます。クマたちが冬の眠りについている間に、改めて2023年の各地の出来事を背景と共に振り返り、これまでの対策の効果やその不足について整理し、今後の管理のあるべき姿について話し合いたいと思います。広い地域の方々に届けるため、オンライン形式で開催します。多くの方々にご参加頂き、共に考え、各地の施策に反映されることを期待します。

(越冬のカワウ大群で飛来:沖縄)
名護市では渡り鳥のカワウが越冬のため大群で飛来しているのが確認されました。名護市呉我に面する羽地内海で羽を休めるのはカワウの大群です。カワウは北半球に広く分布する渡り鳥で、繁殖地の本州や朝鮮半島、ロシアなどから飛来したと見られます。羽地内海に飛来するカワウは年々増えていて、去年は250羽程でしたが今年はそれを大きく上回るおよそ800羽が冬を越すためやってきました。専門家は「沖縄の海やダムにカワウの餌となる魚が豊富にあることが、飛来数が増えている要因ではないか」と分析しています。暖かな沖縄で冬を過ごしたカワウは春になれば再び繁殖地に向かいます。

(クマが商業施設に2時間“居座る”:岩手)
商業施設に侵入した1頭の子グマ。来店客が行き交う入り口に居座りました。年を越しても止まらないクマの目撃情報。専門家は、クマが出没する3つ条件が整っていると指摘しています。岩手県北上市。昼下がりのショッピングセンターで最初に異変を感じたのは女性客。出口で足を止めると次の瞬間、黒い影が侵入したのです。正体は子グマ。店のドアにはばまれると方向転換。隅に逃げ込みます。すると、クマに気付いた男性客が接近。ショッピングカートで追い込もうとしているようです。この後に始まる大捕物、その一部始終をカメラが捉えていました。現場となったのは80の専門店が軒を連ねる江釣子ショッピングセンター「パル」。北上市の中心街のすぐ近くに位置しています。クマの通り道になることも多い川からは1キロほど。そこから一番近い山の距離は約3キロと、長距離を移動してきた可能性があります。クマはどのようにして捕獲されたのでしょうか。捕獲劇はクマを追うようにして店に戻ってきた男性客から始まります。ショッピングカートでクマを囲い込もうとすると、周りの客も異変を察知して参加します。さらに看板や植木、長椅子。次々と囲いを強化。店の一角に即席のバリケードが出現しました。江釣子ショッピングセンター パル 平藤明さん「ここは閉鎖してパトカーが来てものものしい雰囲気だったが、お客様は別の出入り口から入ってもらう対応をした」店は騒然。クマをガラス越しに一目見ようと客が殺到しました。そして、クマ侵入から約2時間後…。おりを持った猟友会が到着。クマが逃げないよう網も広げます。そして…。捕獲されたクマは体長約50センチ。北上市によりますと、その後、山に放したといいます。1月に入ってからも相次ぐクマの出没。8日、秋田県でもその姿が捉えられています。雪が積もった柿の木。枝の上の方にクマが…。帰省中にクマを目撃した女性(60代)「木に登ってなければいいなと思ったけど、やっぱり登っている。ツキノワグマだ。もう子グマじゃないよ。ツキノワグマの月の輪が見えるもの」。8日、秋田県鹿角市の住宅で撮影された映像です。帰省中にクマを目撃した女性(60代)「結構高い木だったので、ここまで登るのかと。かなりてっぺんの細い枝の方に登っていたので、びっくりした」。現場は秋田県の北東部、鹿角市の住宅地。体長およそ50センチのクマが庭の柿の木に登っているのを実家に帰省していた60代の女性が目撃しました。帰省中にクマを目撃した女性(60代)「実際、本当に目の当たりにするとは思わなかったのでかなり驚いた。(クマは)山でも寝られないのかな。その前も出ていたと聞いていたので、まだ安心はできない」。暖冬の今シーズン。例えば鹿角市の今月上旬の平均最高気温は3.3℃。平年よりも2℃以上高い状況です。近隣住民「何十年ここにいるけど、クマも食べるものがなくて出てくるのか、雪が少ないから出てくるのか。今まではなかった」。2022年12月の映像です。雪が積もる道路を走るツキノワグマ。さらに雪深い山の斜面を雪をかき分けて登っていきます。クマと遭遇した男性は今年の異変を口にします。近隣住民「ここら辺(市街地)もクマ出すぎ。よく言われている境界線がなくなっている。里の味を覚えた」。秋田県はツキノワグマ出没警報を1月末まで延長。クマの出没は1月に入ってからすでに5件に及びます。年が明けても冬眠しないクマが相次ぐ理由について、専門家は3つのポイントを指摘します。石川県立大学 大井徹特任教授「冬眠がかなり遅れているクマがいるが、冬眠の条件としては、クマの生理状態。秋、十分に餌(えさ)が食べられたか。現在もクマが利用できる餌があるか。気象条件、この3つが関係しています。山の中にはほとんど餌がない状態だが、人里にはまだ取り残しの柿があったり、利用できる餌があることが冬眠を遅らせていると考えられる。人家の周りにクマが出てくると人身被害が起こるので、人家の周りにクマの餌となるものがないか、今一度点検をして、あったらそれを除去することが必要」。

(車走行中に、イノシシと衝突:東京)
東京・八王子市を走る車のドライブレコーダーの映像です。イノシシが飛び出してきました。撮影者「フェンスを突き破って何かが山から下りてきたなって思った時には、私の車の前にいて急ブレーキを踏んだが衝突してしまった。衝突した時は、岩とぶつかるようなドカーンというような音で、あれは衝撃でしたね」。イノシシは車にぶつかった後、起き上がり、道路脇のフェンスを突き破って山へと帰っていきました。衝突後の車には牙が刺さったのか、2カ所に大きな穴が開いてしまっています。車の修理代は15万円ほどかかるということです。

(第6回房総ジビエコンテスト:千葉)
県では、県内で捕獲されたイノシシやシカの肉を「房総ジビエ」と銘打ち、その消費拡大を図っており、令和6年1月16日(火曜日)に「第6回房総ジビエコンテスト スペシャリテ部門」の実食審査及び表彰式を開催します。今回は、「お店で食べるワンランク上の食事」をコンセプトとして開催し、飲食店から32作品の応募があり、5作品が実食審査に選出されました。実食審査で最優秀賞に選ばれた作品の料理人には、審査後の表彰式にて、知事から千葉県知事賞が授与される予定です。

(イノシシ肉、ケーキに変身:島根)
農作物を食い荒らし、農家を悩ませるイノシシの肉を活用した「甘くないパウンドケーキ」を、松江市の総菜会社が発案した。畑違いのスイーツづくりへ挑んだ原動力とは――。会社は、米飯中心の総菜製造・卸を本業とする「エス・ビーフーズ」(松江市嫁島町)。1991年7月に設立された従業員約40人の中小企業だ。「ここ数年、県内にも大手の企業が入ってきて、うちのような小さな会社では価格競争で太刀打ちできない状況だった」と、業務課長の松浦孝則さん(54)は言う。「何か新しいチャレンジはできないか」。打開策に思いを巡らせる中で、「いつかかなえたい」と胸に秘めてきた夢と向き合うことになる。それが、菓子製造だった。「総菜は朝昼晩の食卓にしか上がらない。お菓子やスイーツには時間の制限がなく、ハロウィーンでもクリスマスでも、バレンタインでも、お菓子が出てくるとみんな笑顔になり、そこに幸せな空間が生まれる」。きっかけは、ネットゲームで知り合った東京・西麻布にあるイタリアンレストランのシェフとの会話だった。「お菓子作りの基本が詰まっているパウンドケーキを作れるようになれば、クッキーやタルトも出来るようになる」と助言を受け、2022年春にレストランと監修契約を結んだ。菓子作りに興味を持つ調理室長の小原迅人はやとさん(32)を派遣し、自身も週1回、オンラインでレクチャーを受けた。目指したのは、フランス語で「塩味のケーキ」を意味する「ケークサレ」。現地では、フルコースの前菜や酒のおつまみとして親しまれるスイーツの一つだ。商品開発は、まつえ農水商工連携事業を活用した。八雲猪肉生産組合の三島商店から取り寄せたイノシシ肉を角煮にし、ネギやブロッコリー、バター、チーズを入れて焼き上げた。松浦さんは「スイーツは何かの配分がちょっと違っても、別のものになってしまうので、温度調整や焼き方が難しくて苦戦した。シェフのGOサインが出るまでに1年かかった」と振り返る。総菜販売の傍ら、パウンドケーキ専門のネットショップ「Pino(ピーノ)」を設立し、23年8月から「イノシシ肉のケークサレ」として1本2160円(税込み)で販売する。松浦さんは「シェフとの出会いがなければ商品として形にできなかった。人との縁を大切に、これからも山陰の魅力を全国に発信できるような商品開発を続けていきたい」と意気込む。

(世界に誇る味「ぎふジビエ」の可能性:岐阜)
タマネギと少量のトマトに赤ワインを加えて煮込んだ一口大のシカ肉に、トウモロコシの粉を炊いたポレンタを添える。パプリカやクミンのスパイスで深みを増したほろほろの肉に、お粥(かゆ)のような水っぽさと雑穀風味が良く合う。イタリア・チロル地方風のシチュー。高山市吹屋町のイタリアンレストラン「オステリア・ラ・フォルケッタ」の冬の定番メニューだ。「軟らかくし過ぎても肉感がなくなる」と店主の土井正行さん(56)。煮込み具合は絶妙に。シチューは肉の脂身が多いと味がくどくなることから、癖と脂分が少ない地元のシカを使い、飛騨のように冷え込む欧州の山岳地帯の料理に仕上げた。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、9日午後8時15分ごろ、仙台市青葉区荒巻青葉にクマが出没しました。

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(山林で狩猟中クマに襲われる:福島)
福島県南会津町で狩猟をしていた男性がクマに襲われケガをした。警察などによると、1月5日午後1時50分ごろ南会津町静川の山林で狩猟をしていた61歳の男性がクマに両腕や足などを咬まれた。一緒に狩猟をしていた仲間が消防に通報し、男性は南会津町の病院に運ばれた。救助に向かった地元猟友会のメンバーは「狩猟に行って仕留めることができないクマに襲われたような話です。クマがそれだけ多くなっているなと、今年の場合は暖冬だということですよね」と話していた。クマの人的被害は2024年に入り初めてで、警察が周辺をパトロールするなど警戒している。

(バイクが動物と衝突して転倒か:広島)
広島市安佐北区で5日夜、バイクが転倒する事故がありました。運転していた男性が意識不明の重体です。事故があったのは、広島市安佐北区三入4丁目の市道です。警察によりますと、5日午後9時半ごろ、近くに住む会社員の男性(53)が運転するバイクが転倒しました。男性は救急車で病院に運ばれましたが、頭などを強く打っていて、意識不明の重体です。現場は片側1車線で、見通しの良い直線道路ですが、事故当時は暗かったということです。また、バイクの車体には、動物の毛のようなものが付着していたということです。現場周辺は、シカやイノシシの出没が相次ぐエリアで、警察は、バイクが動物と衝突して転倒した可能性があるとみて、事故の原因を調べています。

(環境省、冬眠明けのクマ対策強化へ)
環境省は、クマによる今年度の人身被害が過去最悪となっていることを受け、冬眠が明ける春に向け、人の生活圏への出没防止対策を講じる。3月末までに生息状況を調べ、駆除に向けた準備や出没時の連絡体制を強化。冬眠明けに急増する被害を抑える。同省は今年度の補正予算で事業費7300万円を確保した。環境省は、県や捕獲事業者に委託して出没対策を実施。1県当たり300万~500万円を振り向ける。既に被害に悩む20道府県から要望を受けており、今月中に実施地域を詰める。具体的には、ハンターからの聞き取りやドローンを使い、足跡やふんなどを基にクマの生息状況を調査。その上で、地域特性に応じた駆除方法や、果樹の伐採などを盛り込んだ出没防止計画を策定してもらう。出没に備え、自治体や警察、狩猟団体などの連絡体制を構築するほか、研修会や訓練も開く。今年度、クマによるけがや死亡などの人身被害は昨年12月末時点で217人に上り、統計を始めた06年度以降で最悪を更新している。クマは餌を求め人の生活圏に出没する傾向があり、今年度は東北地方を中心にドングリが不作だったため、秋田県で70人、岩手県で49人と被害が多発している。環境省は冬眠前のクマ被害に対しては、自治体に専門家を派遣して原因の分析や講習を行う事業を昨年11月から行っている。一方、クマは12月ごろから翌年3~5月まで冬眠し、目覚める春に人身被害が多発する傾向があるため、今回の対策を通じて新たな被害を抑える。

(クマに襲われけが去年過去最多:秋田)
去年クマに襲われるなどしてけがをした人の数が、過去最多となったことなどを受け、秋田県は、野生動物の被害対策に従事する職員の募集を新たに始めました。県内では去年、クマに襲われるなどしてけがをした人の数がこれまでの過去最多を大幅に更新しました。こうした状況を受け、秋田県は新たに野生動物による被害対策に従事する職員の採用を行うことを決めました。具体的には、野生動物の個体数を管理したり人の生活圏内などへの侵入防止の対策をしたりする職員を2人募集します。受験資格は、昭和59年4月2日以降に生まれ、大学や専修学校の専門課程で、野生動物管理に関する科目の単位を取得していることが条件です。応募の受け付けは今月25日までで、採用されればことし4月から勤務にあたる予定だということです。県は「クマに限らず、今後、シカやイノシシなど野生動物による被害が増加することが予測されるので専門の知識を持った職員を採用し対応していきたい」としています。

(クマの被害、専門家「去年以上に被害のリスク高まるおそれ」:福島)
福島県では去年、クマの目撃や被害が相次ぎましたが、ことしについて、専門家は、おととし以降、生まれたクマが成長して去年以上に被害のリスクが高まるおそれがあると注意を呼びかけています。警察によりますと県内での去年のクマの目撃件数は、先月17日時点でこれまでで最も多い684件で、けがなどの人的被害も最多となった10年前と同じ14人です。クマの生態に詳しい福島大学の望月翔太准教授は「被害や目撃は多かったが、秋田県などのように極端に多いわけでなく、急激に増えてもいないので、ある程度、想定の範囲だ」としています。一方、これまであまり報告のなかった浜通りで目撃が相次ぐなど県内でもクマが増えている可能性があり、今後もクマへの注意は必要だとしています。特に、おととしはエサとなるブナが豊作で、おととしから去年にかけて子グマが多く生まれた可能性が高く、成長して自立すると単独でエサを探すため活発に活動するようになり、被害のリスクが去年以上に高まるおそれがあると指摘しています。望月准教授は、「7月から8月にかけて親から離れたばかりで経験の浅いクマが興味本位で人里に現れ、リスクが高まるおそれは十分ある。行政も注意を呼びかけつつ、会津や中通りなど目撃情報がある地域に住む人は事前に目撃地点を確認し注意の意識を持ち続けてほしい」と話しています。

(積極的にクマ駆除へ、保護重視の姿勢から方針を転換:北海道)
クマの被害にあった人が過去最悪となる中、道は市街地への出没を減らそうと、保護を重視する姿勢から積極的に駆除する方針に転換し冬眠しているメスのクマなどの駆除を進めることにしています。今年度、全国でクマの被害にあった人は過去最悪となっていて、道内でも釣りや登山をしていた人がクマに襲われて死亡したり学校や住宅の近くで目撃情報が相次いだりして不安が広がっています。道内のヒグマの数は2020年度の推定で1万1700頭と、この30年で倍増していて、道は保護を重視してきたこれまでの姿勢を転換し今後は積極的に駆除する方針です。具体的には市街地に出没するクマを減らすため2月から5月にかけて人里の近くで冬眠しているメスのクマなどを駆除する「春期管理捕獲」を拡大し、2024年からハンターの出動経費や報奨金などを支援することで道内の40市町村での実施を目指しています。また昨年度から運用されている「ヒグマ管理計画」を見直すことにしていて、駆除の数値目標を地域ごとに設定することや、市街地との距離などで対策を強化するエリアを分けることなどを検討しています。

(猟犬かみ女性大けが、飼い主業務上過失傷害罰金50万円略式命令:三重)
去年4月、度会町で猟犬が女性にかみつき大けがをさせた事件で、飼い主は業務上過失傷害の罪で罰金50万円の略式命令を受けました。略式命令を受けたのは、度会町の飼い主です。飼い主は去年4月、度会町の林道でイノシシなどの駆除をするため、猟犬5頭を放したところ、4頭が散歩中の女性を襲い、全治約半年の大けがを負わせたとして、業務上過失傷害と鳥獣保護法違反の疑いで書類送検されました。飼い主は12月27日付けで業務上過失傷害の罪で罰金の略式命令を受けました。一方、検察は鳥獣保護法違反の容疑については不起訴としました。不起訴の理由について、検察は「事実は認められるものの、関係各証拠および諸般の事情を総合的に考慮して判断した」としています。

(「ヒグマ対策、重要な年」:北海道)
北海道の鈴木直道知事は毎日新聞の取材に応じ、2024年は「ヒグマ対策の抜本的な強化を行う非常に重要な年になる」と述べた。道は捕獲目標数設定の検討を進めており、導入すれば1990年の春グマ駆除禁止以来の政策転換となる。基盤となる推定生息数について「ある程度の精度で把握しなければいけない」と指摘。国によるクマの指定管理鳥獣への追加にも期待を寄せた。環境省によると、23年度のクマによる人身被害は12月末時点で196件217人(うち死亡6人)で、負傷者数は1980年以降で最悪となった。道内でも6件9人の死傷事故が発生し、うち2人が亡くなった。道内では春グマ駆除廃止以降、ヒグマへの捕獲圧が弱まって生息数が増加し、人を恐れない個体が増えたと考えられている。道は人を恐れさせて市街地から遠ざける「春期管理捕獲」を今年強化する一方、各地域の生息数を把握し、捕獲目標数を設定して個体数抑制を図っていくことも視野に入れている。鈴木知事は「捕獲とともに(個体数を)しっかり守らなければいけない部分もある。専門家の意見を聞き、客観的で冷静な視点で検証しなければいけない。『怖い』『危ない』という声が高まっているが、昔はクマを捕りすぎたこともあった。推定数をしっかりと把握し、冷静に議論する」と語った。また、国と道、市町村の連携を進めるため、クマを指定管理鳥獣に追加するべきだと主張した。現在はシカとイノシシが対象で、環境省が昨年12月、クマを加えるかの検討を始めている。認められれば生息状況調査や捕獲事業に国の交付金が支払われることになる。鈴木知事は道単独でもヒグマ対策を進めると強調する一方で、「クマは(本州の)一部地域では保護対象として増やさなければいけないが、国全体では数が増え、あつれきが増している。指定管理鳥獣にする方向で答えを出し、位置付けを明確にしてほしい」と訴えた。

(カラス被害がなくなる?その秘策は鳴き声に:福島)
「鳴き声がうるさくて眠れない」「大量にフンをして困る」。各地で「やっかいもの」とされているカラス、皆さんは困っていませんか?カラスをなんとか遠ざけることができないか。ある研究者が目を付けたのが…「カーカー」。あの鳴き声でした。11月下旬の福島市。午後5時ごろにはすでに暗闇に包まれました。街路樹の一角に光を当ててみると…大量の羽音とともに現れたのは「ミヤマガラス」です。全身真っ黒で、夜の闇に紛れていました。福島市が11月下旬に行った調査では、市街地を中心におよそ500羽を確認。11月ごろに大陸から飛来して増え始め、2月ごろまで越冬するといいます。地元の住民に聞いてみると…本町親交会 会長 草野和実さん「カラスのフンが一番ひどいです。見た目も汚いですし、においも。フンを掃除して次の日見るとまた前の日と同じような状態になっているんで、心がちょっと折れてしまうような。イタチごっこというか、人間とカラスの知恵比べというんでしょうかね」。万世町 古関勝利さん「カラスが大量に来ているので、朝がものすごくけたたましいんです。大体5時ごろかな、結局飛び立つ前に大騒ぎしてそれから飛び立っていくんで」。カラスの被害はさまざまな形で及んでいました。福島市も対応に苦慮しています。福島市環境課 二瓶芳信さん「市街地、商店街のイメージがダウンしてしまうと市民から相談を受けています。ロケット花火だったり、フクロウの置物をちょっと置いて試してみたり、いろいろしたのですが、一時的にはちょっと飛び立っても、危なくないと認識したらまた戻ってきてしまう」。困った福島市が相談したのが、カラスの研究を20年以上続けている宇都宮大学の塚原直樹 特任助教です。強調したのは「すみ分け」の重要性。塚原さんによると、カラスは日常的に鳴き声でコミュニケーションをとっていると言います。例えば、警戒すべきことを仲間に知らせる場合でも、▽自分の縄張りに別のカラスが侵入した時、▽天敵が来たことを知らせる時など、さまざまな鳴き声をその場その場で使い分けています。これを逆手にとることで、居場所をコントロールしようというのです。塚原さんは、録音したカラスの鳴き声を再生する“秘密兵器”を開発。例えば、ねぐらにしている場所で“警戒すべきことを仲間に知らせる”音声を流すと、カラスは今いる場所が危険だと誤って認識し、その場所から飛び去ります。とはいえ、人間が望む場所に行ってくれなければ意味がありません。このため鳴き声を流す装置を効果的に配置し、カラスが1日の活動を終えてねぐらに戻るときに出す音声を流して、森林など地域の人の暮らしを妨げない場所へ誘導します。それでも、カラスは賢く、すぐに慣れてしまうといいます。このため、音声の組み合わせも定期的に変更しているということです。気になる効果ですが、これまで30を超える自治体で実証実験を行い、少しずつ成果をあげているといいます。山形市では、300羽の群れを市街地から200mほど離れた場所に誘導できた実績もあるそうです。塚原さんはさらに効果をあげるために新たな技術開発を進めています。宇都宮大学 塚原直樹 特任助教「カラスの剥製で作ったロボットを開発していて、誘導するような鳴き声を出して、ここは別のカラスがいるからねぐらとしていい場所なのかなと思わせて、そっちに連れていく。そういった技術を開発しています」。一方で、課題もあります。幼鳥や若いカラスに対して効果が出にくいことです。こうした若い個体は、音声によるコミュニケーションをそれほど学習できていないのではないかと塚原さんは指摘しています。塚原 特任助教「同じような状況でも、うまくいってるところもあれば、そうじゃないところもあったりとか、去年までうまくいってなかったのに今年はうまくいくとか。いろいろな事例を重ねていって、より精度の高いものに仕上げていく必要があると思っています。昔から人とほとんど同じ場所に住んでいる動物なので、うまく折り合いをつけていくことが必要だと思います」。福島市では2021年から実証実験を始め、今年度は装置を10台に増やして対策を進めているということです。一方、集中的な対策によって、カラスが激減したところがあります。東京の都心です。東京都環境局の報告によると、2001年に、都内におよそ3万6000羽いた、主にハシブトガラス・ハシボソガラスが現在はおよそ9000羽。実に4分の1になっています。なぜここまで減っているのか。東京大学総合研究博物館の松原始 特任准教授は、2001年に当時の石原慎太郎都知事が始めた3つのカラス対策を理由としてあげています。1つ目が駆除、つまり捕まえて処分することです。2つ目が巣の撤去、日本では野鳥の卵とヒナは完全に保護されるため、暮らしに悪影響があっても基本的に、巣に手を出すことはできません。しかし、東京都は条例で、苦情申請があった場合はカラスの巣の撤去を可能にしました。そして、3つ目がカラスのエサとなるごみの適切な処理です。カラスが直接触れられないよう、バケツなどに入れてごみを出すことを推奨したのです。東京大学総合研究博物館 松原始 特任准教授「バケツが用意できないなら、ごみをガードできるようなものを普及させようと補助金を出すこともしています。集合住宅の前にダストボックスを置くところも増えています。カラスが餌をあさりにくい状況がどんどん続いていると思います」。一方、松原さんはカラスが減りすぎてしまうことも懸念しています。松原さんによると、カラスの生息数はエサの多い少ないに大きく影響されるため、ゴミ対策を緩めなければ、本来、今ぐらいの数で横ばいになると言います。ただ、都は、駆除や巣の撤去を続けています。個体数があまりに減ってしまうと、自然の生態系にも影響が出るおそれがあると指摘します。東京大学総合研究博物館 松原始 特任准教授「カラスは、果実の種を運ぶことに明らかに役に立っています。彼らはものすごい数の種を運んで、時にはカラスにしか運べないような種もその辺に蒔いている、森を作る仕事もしています。あとカラスは、動物の死体や他の動物が倒した獲物の食べ残しをあさる行動がもともとあり、カラスが食べて陸上にフンを落とし、栄養を陸に戻しています。そういうかなり広範囲な物質の循環というものに、すごく役割を持っています」。例えば、今までカラスが食べてくれていた毛虫も生き残ることになります。これからは桜並木の下などで、もそもそしている毛虫が少し増えるかもしれません。真っ黒い不気味な姿、けたたましい鳴き声、ゴミ袋を突き破ってあさる…カラスに対して負のイメージを持っている人も少なくないかもしれません。ただ、童謡「夕焼け小焼け」で、「カラスと一緒に帰りましょう」と歌われているように、カラスは昔から人々の暮らしにとけ込んできました。人間のまねをしたり、人の顔を覚えたりすることもできるなど知能も高く、人間の6~8歳程度だという研究結果もあります。何よりカラス自身、必死に生きて仲間を守り、子育てをしているだけで、人間の感情や都合だけでその数をコントロールしようとするのは、自然界のバランスを壊してしまうことにつながります。カラスの生態をもう少し知って、共生の道を探ることも重要なのではないか。今回の取材を通じて思いました。

(「運転席からライフルのスコープをのぞき…」OSO18を射殺したハンターが語る“闘い”:北海道)
昨年は日本全国各地でクマによる人身被害が発生し、一年を代表する言葉を選ぶ「『現代用語の基礎知識』選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」では「OSO18/アーバンベア」がトップ10にランクイン。クマによる被害は人間にとって脅威である一方、巨大ヒグマ・OSO18が射殺された際にはハンターに対して批判の声が起こっており、今後も人間とクマの関わり方は議論されるべきだろう。そこで、今回はOSO18を射殺したハンターが語った“闘い”の詳細について改めて振り返りたい。道民の恐怖を駆り立ててきた最凶ヒグマは、2019年7月に目撃されて以来、もっぱら乳牛を獲物として30頭以上の命を奪ってきた。釧路湿原を擁する標茶(しべちゃ)町やカキの産地で知られる厚岸(あっけし)町など、道東地区の酪農に甚大な被害を及ぼしてきたのである。OSO18の由来は、最初に目撃された標茶町の地名「オソツベツ」と、18センチという前足の幅にちなむ。捕獲しようにも日中は姿を見せず、夜間の発砲を禁じる鳥獣保護法をあざ笑うかのように深夜の“犯行”を繰り返してきた。痕跡を残すまいと河原や道路を避け、川の中を歩くかと思えば橋の下を迂回(うかい)するなど「知性」も人間顔負け。地元のハンターたちは散々手を焼いてきたのだった。そんな怪物は、思わぬ場所に現われていた。ことは7月30日に遡る。早朝5時ごろ、標茶町から40キロほど南に位置する釧路町の放牧地で1頭のヒグマが駆除された。体長210センチ、体重は300キロ余り。これが道立総合研究機構のDNA調査により、8月18日にOSO18だと判明する。ちなみに前足の幅は20センチだったという。長く“忍者”を追い続けてきた北海道猟友会標茶支部の後藤勲・支部長(79)は、「なぜ標茶から南下したのかは分かりませんが、これで肩の荷が下りました。最期はあっけなかったですね」。そう漏らす。今回、大殊勲を立てたのは、釧路町役場農林水産課に勤務する40代の男性職員。有害鳥獣駆除の許可を受けたハンターでもあり、後藤支部長もよく知る人物だという。「実は彼は標茶町の出身で、子どもの頃から知っています。数年前に狩猟免許を取得し、主に鹿の駆除にあたっていました。熊を撃ったのは今回が初めてだったと聞いています」が、この男性はこれまで一切の取材に応じてこなかった。というのも、「役場には『なぜ殺したんだ』といった非難めいた電話が多くあり、辛い思いをしているのです。山にいるならともかく、町へ出てきて乳牛を襲うなど、農家を苦しめる熊は駆除しなければなりません。内地の人たちが口にする“共存共栄”という綺麗事では済まされない、切実な問題です。筋違いの批判を受け、彼も堂々と『自分が撃った』とは言えずに悩んでいました」。そのさなか、「私のところに相談にやって来たので、『大きな実害をもたらした熊を駆除して中傷されるなんておかしな話。ハンターとしての立場を世にきちんと伝えるべきだ』と諭したのです。それでも彼は、しばらく考えこんでいましたね」。そうした逡巡を経て男性は、本誌(「週刊新潮」)に初めて駆除の一部始終を明かした。以下は本人の弁である。「職場では普段から『鹿が出た』という農家の通報を受けてパトロールを行っています。OSOを撃った前日の29日も『熊がいる』との連絡を受け、駆け付けると牧草畑に親子の熊がいて、すぐに逃げてしまいました。それで翌朝も一人で見回っていたら、現場に黒い物体が見えました。近寄ると1匹の熊が伏せており、私が近づいても起き上がろうとしなかったのです」。車中からの射撃は路上では禁じられているが、牧草地では法律上も問題なく、「熊の頭を撃っても弾かれることがあると聞いていたので、運転席からレミントン(ライフル)のスコープをのぞき込み、まず首に1発撃ちました。距離はおよそ80メートルでしたが、相手は逃げもせずに首を横に振っていた。そこで20メートルくらいまで近づき、頭に照準を合わせて2発目、そしてトメ(とどめ)で3発目を撃ったのです。いずれも命中し、死んだのを確かめると、頬に真新しい爪痕が4本ほどあり、片方の耳がちぎれていた。きっと前日の親子熊と出くわして、メスグマとけんかしたのだろうと思いました」。いざ仕留めたものの、300キロ超の巨体ゆえ運搬は困難を極めたという。「一人ではとても車に積めず、友人のハンターを呼んで私の軽四駆の後部に積んだものの、重みで車の前部が浮き上がってしまった。最終的にもう1人呼んで、3人がかりでトラックに積んで白糠(しらぬか)町にある知り合いの加工業者『馬木葉』まで持って行きました。友人には『もう二度とこんな大物は獲れないべ』と言われ、私も記念に牙をとっておきたかったのですが、『そんなの持って帰らないで』と家族に反対され、一頭ごと業者に渡したのです」。解体にも立ち会ったという男性は、この時点でOSOとは知る由もなく、「役場では定期的に『熊を1頭捕獲』などと報告するきまりになっていて、今回も通常業務の一環と考えていました。けれど日がたつにつれ、周囲から『もしかしたらOSOじゃないのかい』と言われ始め、剥製専門店に保管されていた頭部の毛を採取して、うちの職員と一緒に標茶町の役場まで持っていったのです。それが10日ほど後でした」。鑑定の結果、DNAはOSOと一致。18日の夕刻には男性にも一報がもたらされ、土日を挟んで22日には釧路総合振興局が会見を開き、正式発表されたのだが、ここから苦悩が始まったという。「さんざん農家を苦しめてきたOSOを仕留めてうれしい気持ちはありますが、それは表に出せませんでした。OSOが捕まったことで、私や役場にはさまざまなリアクションが届きました。普段、鹿を撃つ時にも農家から連絡を受けて現場に出向きます。ところが、そもそも釧路町のハンターの中には、私のような役場の人間が先回りするのを面白く思わない人もいるのです」。加えて今回は、前述のように愛護団体や一般市民からの抗議も相次いだという。「一番ひどかったのは道外からの電話で、こちらの話を全く聞かないでテープレコーダーのように一方的にまくし立てる。気が済んだら切って、また同じ人が掛けてくるというのが7、8回ありました。また、乳牛被害の当事者とはいえない釧路町の私が撃ったことで、ずっと追い続けていた標茶や厚岸のハンターには申し訳ないという気持ちもある。決して手放しでは喜べないのが、正直な心境です」。地域を救ったハンターをかくも苛(さいな)むとは、実にOSOは罪深い。一方、馬木葉からモモ肉を仕入れてステーキなどを提供している東京・日本橋人形町のジビエ料理店「あまからくまから」の店主いわく、「お客様には『食べやすくておいしい』と言っていただいています。OSOの肉だと分かってからの反響はすさまじく、9月の予約も埋まっている状態です」。“罪”を重ねた最凶ヒグマのせめてもの“功”というべきか。昨年11月には登山中にヒグマに襲われたとみられる男性の遺体が見つかる事故が起きたほか、市街地でのクマの目撃情報も増加している。果たして人間とクマはいかにすれば共存できるのだろうか――。

(相手は大自然、猟師たちの作戦会議:岐阜)
飛騨の各地で雪がちらついた、昨年12月のとある日曜日。朝8時過ぎ、下呂市萩原町の山麓にある小屋のまきストーブに火がともった。囲うように集まってきたのは、オレンジ色のベストを着た12人。下呂市猟友会のメンバーだ。「今日は視界が悪くなるなあ」「夜のうちに積もってくれたらよかったなあ」。40~70代の面々が口々に言う。雪が積もっていれば、林道を巡って足跡を拾うことで獲物の居場所がわかる。しかし、この日の雪は朝方から。逆に夜行性の動物の痕跡を消してしまう。全員そろうと作戦会議が始まった。まずは場所。集まった人数で囲える山の規模を考える。木の実のなる落葉樹が多く、えさの多い山。

(獣害を防ぐ:三重)
田畑の周りに張り巡らされた柵や網には、所々獣に破られた跡がある。中山間地にある三重県度会町で、ニホンジカやイノシシに農作物を食い荒らされる獣害と農家が闘っている。獣を畑に近づけないために必要なのが、草刈りなど地域ぐるみの作業。長く伸びた雑草は獣の隠れ場所になるだけでなく、柵の下方から地面を掘り、侵入するイノシシを防ぐために敷いたシートを持ち上げてしまう。しかし、人口流出や農家の高齢化により、作業の担い手は年々減っている。町内の農家の1人は「農家を継がなかった人が、修理を渋ることもある。集落全体で田んぼづくりができなくなる」と不安を募らせる。

(OSO18を射殺したハンターが語る“闘い”:北海道)
昨年は日本全国各地でクマによる人身被害が発生し、一年を代表する言葉を選ぶ「『現代用語の基礎知識』選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」では「OSO18/アーバンベア」がトップ10にランクイン。クマによる被害は人間にとって脅威である一方、巨大ヒグマ・OSO18が射殺された際にはハンターに対して批判の声が起こっており、今後も人間とクマの関わり方は議論されるべきだろう。そこで、今回はOSO18を射殺したハンターが語った“闘い”の詳細について改めて振り返りたい。道民の恐怖を駆り立ててきた最凶ヒグマは、2019年7月に目撃されて以来、もっぱら乳牛を獲物として30頭以上の命を奪ってきた。釧路湿原を擁する標茶(しべちゃ)町やカキの産地で知られる厚岸(あっけし)町など、道東地区の酪農に甚大な被害を及ぼしてきたのである。OSO18の由来は、最初に目撃された標茶町の地名「オソツベツ」と、18センチという前足の幅にちなむ。捕獲しようにも日中は姿を見せず、夜間の発砲を禁じる鳥獣保護法をあざ笑うかのように深夜の“犯行”を繰り返してきた。痕跡を残すまいと河原や道路を避け、川の中を歩くかと思えば橋の下を迂回(うかい)するなど「知性」も人間顔負け。地元のハンターたちは散々手を焼いてきたのだった。そんな怪物は、思わぬ場所に現われていた。ことは7月30日に遡る。早朝5時ごろ、標茶町から40キロほど南に位置する釧路町の放牧地で1頭のヒグマが駆除された。体長210センチ、体重は300キロ余り。これが道立総合研究機構のDNA調査により、8月18日にOSO18だと判明する。ちなみに前足の幅は20センチだったという。長く“忍者”を追い続けてきた北海道猟友会標茶支部の後藤勲・支部長(79)は、「なぜ標茶から南下したのかは分かりませんが、これで肩の荷が下りました。最期はあっけなかったですね」。そう漏らす。今回、大殊勲を立てたのは、釧路町役場農林水産課に勤務する40代の男性職員。有害鳥獣駆除の許可を受けたハンターでもあり、後藤支部長もよく知る人物だという。「実は彼は標茶町の出身で、子どもの頃から知っています。数年前に狩猟免許を取得し、主に鹿の駆除にあたっていました。熊を撃ったのは今回が初めてだったと聞いています」。が、この男性はこれまで一切の取材に応じてこなかった。というのも、「役場には『なぜ殺したんだ』といった非難めいた電話が多くあり、辛い思いをしているのです。山にいるならともかく、町へ出てきて乳牛を襲うなど、農家を苦しめる熊は駆除しなければなりません。内地の人たちが口にする“共存共栄”という綺麗事では済まされない、切実な問題です。筋違いの批判を受け、彼も堂々と『自分が撃った』とは言えずに悩んでいました」。そのさなか、「私のところに相談にやって来たので、『大きな実害をもたらした熊を駆除して中傷されるなんておかしな話。ハンターとしての立場を世にきちんと伝えるべきだ』と諭したのです。それでも彼は、しばらく考えこんでいましたね」。そうした逡巡を経て男性は、本誌(「週刊新潮」)に初めて駆除の一部始終を明かした。以下は本人の弁である。「職場では普段から『鹿が出た』という農家の通報を受けてパトロールを行っています。OSOを撃った前日の29日も『熊がいる』との連絡を受け、駆け付けると牧草畑に親子の熊がいて、すぐに逃げてしまいました。それで翌朝も一人で見回っていたら、現場に黒い物体が見えました。近寄ると1匹の熊が伏せており、私が近づいても起き上がろうとしなかったのです」。車中からの射撃は路上では禁じられているが、牧草地では法律上も問題なく、「熊の頭を撃っても弾かれることがあると聞いていたので、運転席からレミントン(ライフル)のスコープをのぞき込み、まず首に1発撃ちました。距離はおよそ80メートルでしたが、相手は逃げもせずに首を横に振っていた。そこで20メートルくらいまで近づき、頭に照準を合わせて2発目、そしてトメ(とどめ)で3発目を撃ったのです。いずれも命中し、死んだのを確かめると、頬に真新しい爪痕が4本ほどあり、片方の耳がちぎれていた。きっと前日の親子熊と出くわして、メスグマとけんかしたのだろうと思いました」。いざ仕留めたものの、300キロ超の巨体ゆえ運搬は困難を極めたという。「一人ではとても車に積めず、友人のハンターを呼んで私の軽四駆の後部に積んだものの、重みで車の前部が浮き上がってしまった。最終的にもう1人呼んで、3人がかりでトラックに積んで白糠(しらぬか)町にある知り合いの加工業者『馬木葉』まで持って行きました。友人には『もう二度とこんな大物は獲れないべ』と言われ、私も記念に牙をとっておきたかったのですが、『そんなの持って帰らないで』と家族に反対され、一頭ごと業者に渡したのです」。解体にも立ち会ったという男性は、この時点でOSOとは知る由もなく、「役場では定期的に『熊を1頭捕獲』などと報告するきまりになっていて、今回も通常業務の一環と考えていました。けれど日がたつにつれ、周囲から『もしかしたらOSOじゃないのかい』と言われ始め、剥製専門店に保管されていた頭部の毛を採取して、うちの職員と一緒に標茶町の役場まで持っていったのです。それが10日ほど後でした」。鑑定の結果、DNAはOSOと一致。18日の夕刻には男性にも一報がもたらされ、土日を挟んで22日には釧路総合振興局が会見を開き、正式発表されたのだが、ここから苦悩が始まったというさんざん農家を苦しめてきたOSOを仕留めてうれしい気持ちはありますが、それは表に出せませんでした。OSOが捕まったことで、私や役場にはさまざまなリアクションが届きました。普段、鹿を撃つ時にも農家から連絡を受けて現場に出向きます。ところが、そもそも釧路町のハンターの中には、私のような役場の人間が先回りするのを面白く思わない人もいるのです」。加えて今回は、前述のように愛護団体や一般市民からの抗議も相次いだという一番ひどかったのは道外からの電話で、こちらの話を全く聞かないでテープレコーダーのように一方的にまくし立てる。気が済んだら切って、また同じ人が掛けてくるというのが7、8回ありました。また、乳牛被害の当事者とはいえない釧路町の私が撃ったことで、ずっと追い続けていた標茶や厚岸のハンターには申し訳ないという気持ちもある。決して手放しでは喜べないのが、正直な心境です」。地域を救ったハンターをかくも苛(さいな)むとは、実にOSOは罪深い。一方、馬木葉からモモ肉を仕入れてステーキなどを提供している東京・日本橋人形町のジビエ料理店「あまからくまから」の店主いわく、「お客様には『食べやすくておいしい』と言っていただいています。OSOの肉だと分かってからの反響はすさまじく、9月の予約も埋まっている状態です」。“罪”を重ねた最凶ヒグマのせめてもの“功”というべきか。昨年11月には登山中にヒグマに襲われたとみられる男性の遺体が見つかる事故が起きたほか、市街地でのクマの目撃情報も増加している。果たして人間とクマはいかにすれば共存できるのだろうか――。

(クマ追い返す「ベアドッグ」、飼育・訓練にCF募る:長野)
クマと人の共生をめざした取り組みを続ける長野県軽井沢町のNPO法人ピッキオが、人里に近づくクマを山に追い返す「ベアドッグ」の繁殖などに必要な費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。昨年12月11日に始めたCFでは第1目標額の300万円を24日に達成。次の目標額を600万円に設定し、繁殖小屋のインフラ整備などにあてる支援金を1月31日まで受け付けている。ベアドッグは、クマのにおいや気配を察知する特別な訓練を受けた犬で、大きな声でほえ立て、クマを森の奥に追い払う役割を担う。ピッキオが2004年に導入し、現在は欧州で古くからヒグマ猟に使われてきたカレリアン・ベアドッグ4匹を飼育、訓練する。ただ、後継の犬やハンドラー(飼育士兼訓練士)の育成が課題になっていた。今回のCFで集まった資金は、繁殖小屋のインフラ整備やベアドッグ育成のためのドッグランの修繕のほか、米国のベアドッグ育成機関のスタッフや犬に来日してもらう費用などに使われる。返礼品は子犬の画像データやオリジナルのクマよけの鈴の提供、オンライン交流会への参加など。

(吉村昭「羆嵐」が今も読み継がれる理由)
《音がした。それは、なにか固い物を強い力でへし折るようなひどく乾いた音であった。それにつづいて、物をこまかく砕く音がきこえてきた。/(略)それは、あきらかに羆が骨をかみくだいている音であった。/呻き声はきこえなかった。家の内部が静まりかえっているのは、人がすでに死亡し、羆が遺体を意のままに食いつづけていることをしめしていた。》ホラー小説ではない。これは“ドキュメント”、つまり実際に起きた出来事を、そのまま書いているだけなのだ。ヒグマが人家を襲い、住民を“食べて”いるところである。つづいて、この村で何が起きるのか――これ以上、引用する勇気は、とてもない。これは、吉村昭(1927~2006)の名作『羆嵐〔くまあらし〕』(新潮文庫)の一節である。吉村作品は、息の長いロングセラーが多いが、この『羆嵐』は別格だ。1982年に文庫化されて以来、現在、累計46万4000部。特に最近は増刷がつづき、2023年だけで1万部近くが売れているという。最近、全国で「熊害(ゆうがい)」が相次いでいるが、その影響で本書もあらためて注目を浴びているようだ。熊害事件を調べている社会部記者に解説してもらった。「環境省のデータによると、2023年に入ってから11月末までに、19道府県で200人以上の人身被害が出ています。いままでの最悪が2020年度の158人でしたから、それを上回る被害となっています。しかも、例年とは熊害の事情がちがうようです」。最近の熊害の特徴のひとつは、人間の生活圏である市街地に、平然と出現していることだという。「9月に福島県の住宅地で、深夜に窓の外で物音がするのでカーテンをあけたら、体長1メートルほどのクマがいた。窓ガラスを割って入ってくる気配を見せたものの、幸い、すぐに山林の方へ逃げていったといいます。しかし、新潟県の住宅では、男性が庭木に水をやっていたらクマが入ってきて、噛まれている。富山県の住宅でも、クマがガラス戸をやぶって家内に侵入し、室内の女性に襲いかかっています」。さらに、12月に入っても熊害がつづいたことも異常だという。「通常、クマは12月ころから冬眠に入るので、その直前に腹を満たしておこうとします。ですから、秋になって熊害が増えるのは自然なのですが、その後はなくなるはずなんです。しかし2023年は、12月に入っても被害がつづいていました。冬眠しないクマ――通称“穴持たず”が増えているとしか思えません」。いったいなぜ、こんなことになっているのだろうか。「専門家によれば、ひとことで説明するのは難しいそうです。一つには、近年の異常気象があります。2023年は11月に入っても半袖で過ごせるような夏日がありました。クマにしてみれば冬眠する気になれないようです。また、近年、クマのエサであるドングリやクルミなどの木の実が“凶作”で、そのため、食べ物を求めて市街地に下りてくる。一度、人間界に残飯や農作物、家畜などのエサがあることを学習したクマは、通称“アーバンベア”と呼ばれ、何度でも下りてきます。2023年7月にようやく釧路管内で駆除(射殺)された、コードネーム“OSO18”と呼ばれたヒグマに至っては、ここ数年、何度となく牧場に侵入し、累計66頭もの乳牛を襲い、半分を食い殺しています」。だが問題は、冒頭の『羆嵐』の引用にあるように、人間を食べるクマがいることだ。「2023年10月末に、北海道南部の大千軒岳で、3人の登山者が体長2メートル近いヒグマに襲われています。たまたま彼らは消防隊員で心得があったため、ナイフで目やノドを刺して応戦したら、さすがにヒグマは逃げ出した。ところがその直後、おなじ山系に大学生の登山者が入って、連絡がとれなくなったのです。捜索の結果、大学生は性別も判別できないほど損傷した遺体となって発見されました。そして近くでヒグマの死骸も見つかった。数日前に消防隊員を襲ったヒグマで、ナイフの傷が致命傷だったようです。ところがその体内から人骨などが発見された。DNA鑑定の結果、大学生の遺体だとわかった。要するにヒグマは刺されて弱った体にもかかわらず、登山中の大学生を襲って食い、満腹になって息を引き取ったらしいのです」。もともとクマは雑食動物だが、どちらかといえば木の実などを好んで食べる生き物だと思われてきた。だから人々はクマに「可愛らしい」「おとなしい」「従順」といったイメージを勝手に植えつけてきた。童話『くまのプーさん』や、ぬいぐるみのテディベアなどが典型だろう。「むかしからクマといえば、絵本の人気キャラクターでした。宮沢賢治『なめとこ山の熊』は、クマ撃ち名人とクマの感動的な“交流”の話。手塚治虫『ブラック・ジャック』の〈一ぴきだけの丘〉は、山中でケガをしたBJを助けてくれたクマとの美しい“友情”の話。かように、かつてクマは“いいやつ”だったのです。ところが、1本の映画が、そんなクマのイメージを一変させます。1976年に公開された映画『グリズリー』です」。と、映画ジャーナリスト氏が解説する。「グリズリー」とは、ハイイログマの英名で、ヒグマの亜種。体重400~500㎏にも達する地上最大の哺乳類である。「1975年の映画『ジョーズ』の大ヒットで、雨後の筍のごとく、動物パニックの便乗映画がつくられました。そのほとんどは低予算B級作品で、ヒットしていません。ところが1作だけ、日本で断トツの成績をおさめた映画があって、それが『グリズリー』(ウィリアム・ガードラー監督)なのです。森林公園でキャンプ客の惨殺死体が発見され、グリズリーの仕業だとする動物学者と、否定する公園管理者との争いが物語の主軸です。要するに『ジョーズ』の舞台を海から山に、サメをクマに替えただけなのですが、なぜか日本で大ヒットとなり、この年の外国映画配収でベスト10内に食い込んでいます。それまで日本人がクマに抱いていたイメージを一転させたところがヒットの要因だともいわれました」。この映画が日本でヒットした翌年、1冊の本が刊行された。それが、吉村昭『羆嵐』である。ここからは、ベテランの元文芸編集者に解説してもらおう。「『羆嵐』は、1977(昭和52)年に書き下ろしで刊行されました。中身が“実録ドキュメント”だと聞いて、寒気を覚えながら読んだ記憶があります」。これは1915(大正4)年に、北海道苫前村の三毛別〔さんけべつ〕(現・苫前町三渓)、天塩〔てしお〕山地の開拓民の村で発生した熊害事件の記録である。数日の間に、胎児1人を含む7人が殺害され(食べられ)、3人が重軽傷を負った、日本の害獣事件史上、最大被害となった悲劇だ。「場所は、北海道北西部、日本海側の山間部です。地図でいうと、南から海沿いに増毛~留萌を経て稚内へ向かう手前です。映画『駅 STATION』で、大雪で船が欠航して足止めを食らった高倉健が、倍賞千恵子と居酒屋で過ごす名場面があります。あれが増毛ですが、あそこから車で1時間ちょっと北上したあたりです。焼尻島や天売島を臨む美しい夕焼けが有名で、いまでは日本有数の観光スポットです。事件は、その背後の山奥で起きました」。だが情報手段の乏しい時代だけに、道内の新聞では報じられたものの、全国的なニュースにまではならなかった。「それが本格的に知られたのは、戦後間もない1947(昭和22)年、北海道大学の動物学者、犬飼哲夫教授が著した『熊に斃れた人々――痛ましき開拓の犠牲』(札幌・鶴文庫)によってでした」。この30頁余の小冊子には、大正時代に北海道で発生した3件の熊害事件が記録されていた。その最終章「苫前の惨事、十人殺傷の凶熊」が、問題の三毛別事件だった。《頭部には特に金色の毛が密生してゐた。身丈は十尺餘に及び稀に見る大きい雄熊》が、開拓民を次々と襲って食い、射殺されるまでの過程が記されていた。「この事件に最初に興味を持ったのが、動物文学で知られる作家の戸川幸夫です。犬飼教授の資料をもとに、掌編小説『領主』にまとめ、『オール讀物』1964年5月号に発表します」。領主は嗔〔いか〕っていた。/それは彼がながい一生を平和に、これまでただの一度も侵されることなく楽しく暮してきた彼の王国を、新参者たちによって割りこまれてきた不愉快さに対しての憤りであった。》「この一節でわかるように、この掌編は、ヒグマを天塩山地の“領主”にたとえ、人間に生活圏を侵された“被害者”として描いています。所々に、ヒグマの一人称を思わせるような怒りの文章も登場する、いかにも戸川幸夫らしい作品です」。ちょうどそのころ、苫前地区担当になった北海道庁林務官の木村盛武氏が、本格的な現地調査に乗り出し、さらに正確な記録『獣害史上最大の惨劇 苫前羆事件』を営林局の冊子に発表した。戸川は、その木村論文を参考資料に、『領主』を拡大改訂した短編小説『羆風』〔くまかぜ〕を、『小説新潮』1965年8月号に発表する。「今度は、さすがにヒグマ寄りの視点は控えめですが、“領主”の表現は残っています。ラストに《年歴たる熊一疋殺すもその山かならず荒るることあり、山家の人これを熊荒れという。》と、『北越雪譜』が引用され、『領主』よりも深みのある小説になっています。しかしやはり、人間は自然界を侵す存在として描かれています」。その数年後、作家・吉村昭は、月に1回、北海道へ取材に通うことになる。「『戦艦武蔵』(1966年刊)で注目を浴び、大忙しとなっていた吉村さんは、1970年から、『月刊ペン』誌上で、熊撃ち猟師を主人公にした短編の連載を開始します。現在、ちくま文庫『熊撃ち』としてまとめられている短編シリーズです。その取材で、北海道通いをしていたのですが――」。《それらの猟師の話をきいているうちに、大正四年に苫前の山間部の村を羆が襲い、妊婦をふくむ六人を殺害した事件があったことを耳にした。/私は、苫前に行って少年時代、危うく難をまぬがれた二人の方から話をきいた。ストーブのたかれた部屋で話をメモしながらも、窓からみえる雪におおわれた現場に時折り視線を走らせ、落着かなかった。/この事件を調査し、「羆嵐」という小説を書いた。》(新潮文庫『わたしの流儀』より)「この事件を、ここまで予断を排して書いたひとは、吉村さんが初めてでした。戸川幸夫作品との大きなちがいは、ヒグマと人間、どちらにもまったく感情移入していない点です。聞いた話を、たんたんと綴っているだけなのです。それでいて、作家ならではの冷静で細かい視点も忘れていないところが見事です」。ヒグマは、食い殺された被害者の通夜の席に再びあらわれたあと、さらに十数人が避難していた近隣の家に、壁を突き破って乱入、次々と人間を食い殺す。その場面。《(略)十歳の少年は、土間に二段積みにされた雑穀俵のかげにひそんで奇蹟的にも難をのがれたが、かれは、羆の荒々しい呼吸音にまじって骨をかみくだく音もきいた。/かれの耳に、/「腹、破らんでくれ」/と、羆に懇願するような叫び声がきこえた。それは、臨月の斎田の妻が発する声だったという。彼女は、羆に食われながらも母性本能で胎児の生命を守ろうとしていたのだ。》「ここは最大の凄惨場面で、ほかの本や記録では、もっと激しい直接描写で書かれています。しかし吉村さんは、すでに老人となっていたこの“少年”に会って話を聞いているんです。少年は俵の陰に隠れていたので“目撃”していない。骨を噛み砕く音や、妊婦の『腹、破らんでくれ』との声を“聞いた”だけなのです。いくらでも直接描写で書けるのに、吉村さんはやらない。一切“脚色”せず、聞いたままを綴っている。それが、作品全体の信用度を高めています。実はクマは火を恐れない、最初に女性を食って味を知ると、以後も女性を襲う――などの科学的な視点も新鮮でした。『羆嵐』がこれほど長く読まれている理由は、ここにあると思います」。吉村昭『羆嵐』によって、三毛別ヒグマ事件は、さらに広く知られるようになった。近年話題の漫画『鬼滅の刃』や『ゴールデンカムイ』にも、この事件をモデルにしたと思われるエピソードが登場する。「また、2023年11月には、新しいタイプの動物文学で知られる川﨑秋子さんの新作『ともぐい』(新潮社)が刊行されました。明治時代、北海道の山奥で孤高の生き方を貫く熊撃ち猟師が主人公で、まさに21世紀の『羆嵐』とでも呼びたくなるような、凄まじいクマ文学です」。川﨑秋子は、2014年に『颶風の王』(角川文庫)が三浦綾子文学賞などを受賞したことで全国的に知られた。「この作品名に、暴風を意味する“颶風”〔ぐふう〕という珍しいコトバが使われていましたが、実は吉村さんも『羆嵐』のなかで使っているのです。冒頭部分、追い詰められたヒグマが反転してこちらに向かってくる、ゾッとする場面です」。《かれらは、雪煙が下降してくるような予感におびえ、視線を傾斜に走らせていた。それは、野獣のまき上げるものというよりは、颶風に似たものが雪を吹き散らして走り下ってきたような速度とたけだけしさを感じさせた。》「この颶風のイメージが、終盤の《クマを仕とめた後には強い風が吹き荒れるという》激しい吹雪“羆嵐”を予告しているわけです。吉村さんならではの表現です」。ヒグマは、約600人の討伐隊に追い詰められ、死闘の末、6日目についに仕留められる。「颶風」ともいうべき羆嵐のなかを、男たちは死骸を橇に乗せて運び、分教場の校庭に引きずり出す。村人たちが死骸を取り囲む。ある老婆が近づいて、涙を流しながら杖でヒグマの死骸をたたきはじめた。「このあとは、とても冷静には読めません。吉村さんの数多くの記録文学のなかでも、屈指の名場面だと思います」。《区長の胸に、熱いものがつき上げてきた。人の環がくずれ、女、子供、老人たちが橇に近寄ってゆく。たちまち橇の周囲に、泣き声がみちた。嬰児を背にくくりつけた女が、泣きわめきながら挙〔こぶし〕で羆の体をたたく。藁靴をつけた足で蹴る老人もいた。(略)それを取り巻く男たちの間からも、嗚咽が起った。》そして猟師が、蛮刀でヒグマの腹を割き、巨大な胃の中に手を突っ込む。そこからつかみ出されたものは……。2023年4月~12月末までで、熊害の死者は全国で6人。三毛別ヒグマ事件の死者7人(胎児含む)に並びつつある。

(日本山岳遺産サミットが開催:東京)
日本山岳遺産基金では、未来に残したい日本の豊かな自然環境や、人と自然の関わりを有する山岳地域を「日本山岳遺産」として認定し、その地域で山岳環境保全・安全登山啓発・次世代育成などの活動を続けている団体に対して助成を行なっている。2024年2月3日(土)に開催する「日本山岳遺産サミット」では、当基金の一年間の活動を報告するとともに、2023年度の日本山岳遺産認定地および認定団体を紹介。各団体の代表者が活動内容や課題などについて発表する。また本年は、『ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら』(辰巳出版刊)の著者である東京農工大学大学院教授・小池伸介さんを招き、「山の環境とクマの活動の変化」と題した特別講演を行なう。

(過去最悪のクマ被害、現役猟師が語る“山の異変”)
全国各地でクマによる被害が相次いだ2023年。被害に遭った人は19道府県で200人以上に及び、6人が犠牲となった(同年11月末時点)。しかし、元NHK自然番組ディレクターで、昨年早期退職して猟師になった黒田未来雄氏によれば、本来クマは臆病で、“無益な戦いは絶対にしない”生き物だという。話題の狩猟ノンフィクション『獲る 食べる 生きる 狩猟と先住民から学ぶ“いのち”の巡り』の著者でもある黒田氏が解説する“ヒグマのリアル”とは?昨年10月、北海道南部の大千軒岳(だいせんげんだけ)で3歳の雄グマが登山中の大学生と消防署員3名に襲いかかった事件は、今まで私が培ってきたヒグマの概念からは、想像できない“事件”だった。大千軒岳のヒグマだけでなく、2023年はクマが世間を大いに騒がせた。被害者は環境省の速報によると11月末時点で212人(内、死亡6名)となっており、過去最悪の数値で推移している。街中に現れるヒグマが増え、「アーバンベア」という言葉が流行語大賞のトップテン入りを果たし、街中に現れるヒグマが急増した。その大きな原因として指摘されているのが、ドングリなど、クマの主要な食べものである果実が不作だったことだ。私は学術的な調査を行なっているわけではなく、猟師として、自分が猟場としている山を歩いた実感でしか語ることはできないが、確かに2023年の山の果実の実り具合は非常に悪いと感じている。私が住んでいる地域はミズナラの林が多いのだが、地面に落ちているドングリは本当に少ない。集落の生き字引である、御年90歳ながらも現役で山に入って木を伐採されているご老人にお話を伺ったが、「こんなにナンもなってねぇ年は、90年生きてきて初めてだ」とおっしゃっていた。ドングリだけではない。ヤマブドウも木はたくさんあるのだが、実がなっているものは一握りだけだった。そして何と言っても、ヒグマが最も好むのはサルナシ(北海道ではコクワと呼ばれる)だ。ヒグマを撃つにあたって、私はまずその山のどこにサルナシが実っているかを詳細に把握するようにしている。それくらい、ヒグマにとって大切な果実だ。実際、以前私が撃ったヒグマの胃を開けたところ、中身はほぼ100%サルナシだった。ムッとした甘い香りが周囲に立ち込め、よくここまでサルナシばかりを食べ歩いたものだと驚いた。サルナシはキウイの近縁種で、大きさは3センチほど。緑色の果肉の中に黒い種の粒々が入っている様子から爽やかな風味まで、キウイにそっくりだ。北海道に自生する果実の中では最も甘いだろう。冬眠を前にして脂肪をたっぷりと蓄えなくてはならないヒグマにとって、またとない食べものだ。そのサルナシが、実っていない。私が普段歩いている範囲には数百本のサルナシがあるが、2023年に実がなっているのを確認できたのは、たったの3本だけだった。もちろん、私の知らない場所もあるだろうし、実がなっていても気付かなかった可能性もある。それにしても、3本だけというのはあまりに少ない。山の果実の不作について、原因は明確ではない。ただ、2023年の夏は異常に暑かったことは確かだ。エアコン無しで過ごすのが当たり前の北海道に於いて、気温が下がる夜中に扇風機を回し続けてもまだ寝苦しかった。この異常気象により、森の木々が影響を受けた可能性は高いだろう。昨夏の高気温は、ヒグマにも大いに堪えたと思われる。ヒグマは暑さが大の苦手。猛暑の折には山を登り、万年雪をたたえた雪渓付近で暮らすものもいる。2000メートル級の山が連なる大雪山系で私が見たヒグマは、気持ちよさそうに雪の上を転げ回り、雪をムシャムシャと頬張っていた。意外に思えるかもしれないが、ヒグマにとって最も厳しい季節が夏だ。春に柔らかい新芽を出していた植物も夏には硬くなってしまい、果実が実ったりサケが遡上したりする秋はまだ先だ。見る影も無く痩せ細り、餓死する個体も出る程だ。食料が欠乏している上に、容赦なく襲いかかる酷暑。未曾有の夏をなんとか生き延び、心待ちにしていた秋を迎えたにもかかわらず、例年ならたわわに実るはずの果実は山にない。ヒグマにとっては手痛いダブルパンチだ。彼らの受難は、夏から既に始まっていたと、私は考えている。そうして極限にまで追い詰められたヒグマが、都市部まで出てくるようになったり、時に人を襲うようになったりした可能性は否めない。その根本的な原因は、地球温暖化を超え、「地球沸騰化」と称されるに至った異常気象にあるのではないか。クマが人間を襲う事例が増えてしまった現在の不幸な状況の、本当の責任は誰にあるのだろう。世間を騒がせたヒグマといえば、次々と牛を殺し、駆除に尽力するベテランハンターの裏をかき続けた挙句、昨年7月に釧路町役場の職員によって駆除されたOSO18も記憶に新しい。食べものの殆どが植物性のものだと考えられていたヒグマが、自ら牛を襲うのは異例の事態とされ、昨今はヒグマの肉食化が懸念されるようになってきた。手塩にかけて育てた牛が襲われるのは酪農家にとって大打撃であろうが、肉の味を覚えたヒグマが牛以外の哺乳類、つまりは人間をターゲットにし始めたら、と考えると更に恐ろしい。大千軒岳で登山者を襲ったヒグマも、そうした肉食化が進んだ結果と考えられないこともない。ヒグマが肉の味を覚えるきっかけとして指摘されているのが、ハンターが山に放置するエゾシカの残滓だ。捕獲した獲物は全て持ち帰るのが原則であり、やむを得ない場合は、適切に埋設することが義務付けられている。にもかかわらず、2022年には国有林内で100頭を超えるエゾシカの不法投棄が発見されるという事態も発生した。この場所はOSO18の出没地域とも重なっていたという。本来は人に危害を加えるヒグマを駆除する立場にありながら、一部の心無きハンターが逆に危険なヒグマを生む環境を作り出しているのは、由々しき事態で、決して許されない。私を含むハンターの全てが襟を正し、法律の遵守やモラルの向上に努める必要性を強く感じている。

(猟師と動物の知恵比べ、経験と体力で勝負する「巻き狩り」:岐阜)
「ゴー、ゴー、ゴー!」。下呂市萩原町と馬瀬を隔てる山中に、「勢子(せこ)」の橋戸応仁(まさひと)さん(53)の大声が響く。勢いよく放たれた猟犬のチャチャは、雪が地面にわずかに残った山頂から、尾根を伝って中腹の林道に向かう。「今、行ったで」。追い立てられた獲物を狙う「マチ」の猟師たちに無線機で伝達。「巻き狩り」が始まった。頂上付近は緩やかな傾斜に広葉樹林が広がる。「シカがいるなら、この辺に遊びに来てるはずや」。しかし、辺りに足跡はない。「そしたら、もう1個向こうの山にいるかもしれん」。この場所での猟は初めての橋戸さんに、持ち場に向かう途中の日下部賢司(たかし)さん(75)が助言した。

(仕留められたクマを解体してわかった「ガリガリに痩せている」現実)
「(山の果実が)こんなにナンもなってねぇ年は、90年生きてきて初めてだ」──北海道に住む90歳の古老の一人は、「猟師」として移住してきた元NHK自然番組ディレクターの黒田未来雄氏にそう語ったのだという。実際、黒田氏が森の中を歩いていても山の果実の不作ぶりは明白で、記録的な酷暑とともに、昨年はクマにとっても受難の年だった。食を失ったクマと人間の共存は可能なのか──そのためのヒントを探る。ヒグマは何を食べて暮らしているのか。それを端的に示してくれるのがフンだ。生物学でも狩猟でも、フンの観察は欠かせない。私は狩猟を始めて7年で、決してキャリアが長いとは言えないが、それでもいくつものヒグマのフンを見てきた。結果、エゾシカの毛が混入していることは、全く珍しいことではないと感じている。クマはそもそも「食肉目」に分類される。長い進化の歴史を見れば、肉食がメインだった動物が、植物も食べるように変わっていった動物だ。サケが多く遡上する知床などの地域では、普通に川に入ってサケを捕る。状況に応じて、最も入手しやすく、栄養価の高い食べものを食べる。それが食に柔軟なヒグマの戦略だ。ヒグマは今までもエゾシカを食べてきただろうし、果実が不作であれば、そうした個体が増えるのは当然のことと思える。仮に、ヒグマがエゾシカを食べることが常態化していると仮定すると、もう一歩踏み込んだ考察が必要だと考える。私が気がかりなのは、ヒグマがどのようにエゾシカを食べているかだ。死んだエゾシカを食べているのか、或いは生きたエゾシカを襲って食べているのか。同じエゾシカの肉を食べるにしても、その差は大きい。非常にレアケースではあるが、ヒグマがエゾシカに襲いかかる様子が、テレビカメラで撮影された事例もある。ハンターが放置した残滓や、怪我や病気で倒れたシカを食べるのは、食べているのは肉であっても行動的には草食に近いと言えよう。広範囲に山を歩き回り、優れた嗅覚で食べもののありかを探り当てる。狩猟採集活動で言えば、採集だ。しかし生きたエゾシカを捕獲するのは純粋な狩猟。そこには戦略が必要だ。シカの行動を観察し、どうやったら獲れるかを考える。いつも通る道筋で待ち伏せをするのか、寝込みを襲うのか。徐々にシカの裏をかくスキルを身につける。思考能力が向上し、性格は攻撃性を増すかもしれない。無論、死んでいるシカを食べる方が、狩りをして食べるよりは楽だ。特に大きな雄ジカの角は侮れない。思い切り突き立てられたら、ヒグマであっても致命傷を負う可能性もある。だから、ヒグマが無闇にエゾシカを襲うとは思えない。しかし果実がなく、シカの死体も見当たらない場合、自らの生命を維持するためにリスクを負うヒグマが出てこないとも限らない。特に私が懸念するのはメスのクマだ。ヒグマの子供は少なくとも1歳半、長いものでは2歳半まで母親と過ごし、その間に自然の中で生き抜く術を学習する。もし母グマがエゾシカを襲って食べる個体なら、子供もそうなる可能性が高いだろう。北海道のヒグマが産む子供の数は通常2頭程度。徐々に肉食性のヒグマが増えてゆく未来を想像すると、背筋が凍る思いだ。そういう意味では、OSO18が雄グマだったことは不幸中の幸いにも思える。さて、このクマをめぐるは、一体いつまで続くのだろう。「熊蟄穴」(くまあなにこもる)とは、1年を4・5日ごとに分割した暦である七十二候の中の一つで、12月12日~15日の4日間を指す。日本に生息するのは、本州以南にツキノワグマ、北海道にヒグマ。両種とも、寒くなると穴にこもって冬眠する。元はと言えば中国で作られた暦なので(ちなみに中国でおなじみのジャイアントパンダは冬眠しない)、日本の風土に合致しているのかは分からないが、北海道に生息するヒグマで言えば、概ね私の感覚に合致する。2021年に、私が1ヶ月にわたって追い続けた大きな雄グマは、12月19日を最後に足跡を消した。だとすると、もうヒグマたちは穴に入っていて、2024年の春まで私たちは安心することができるのだろうか。私には、そうは思えない。2月2日、私の友人がヒグマを仕留めた。解体中の写真を見せてもらって驚いた。全くと言っていいほど脂肪がついていないのだ。ガリガリに痩せている。消化器の中にも、何も入っていなかったそうだ。脂肪を蓄えられない状態で冬眠に入れば、無事に春を迎えることはできないだろう。自分の体が冬眠に耐えられないことは、彼ら自身が最もよく分かっているはずだ。そうしたヒグマは眠ることをしない。腹を減らしたまま、食べものを求め、冬山を徘徊する。当然のことながら、果実などの植物性の食べものはあてにできない。山でありつけるとしたら、エゾシカなどの動物だ。人里近くにまで徘徊してきたヒグマの中には、人間が出す生ゴミの匂いに惹かれるものもいるかもしれない。ヒグマも人間も受難は続くのではないだろうか。私は不安を抱えたまま、この冬も猟師として山を歩く。

(札幌クマ出没10年で最多227件:北海道)
2023年度の札幌市内のクマの出没件数(昨年12月25日時点)が227件に上り、過去10年と比べ最多となったことが、市のまとめで分かった。昨年末に開かれた専門家らによる「さっぽろヒグマ基本計画推進協議会」で、人や車を恐れない「アーバンベア(都市型クマ)」の増加が背景にあると指摘された。協議会では、クマやフンの目撃などを合計した出没件数が、昨年6月に61件に上り、突出していたと報告された。例年は件数が減少する10、11月も30件に迫る高い水準で、過去10年で最多だった19年度の196件を12月時点ですでに上回った。市は、ドングリ類の不作で、人が住む場所にえさを求めて出没するクマが多かったと見ている。エリア別では、森林以外の市街地やその周辺への出没が120件で、全体の過半数を占めた。南区北ノ沢周辺では5~8月に、同じ個体とみられるクマの目撃情報が24件に上るなど、繰り返し出没するケースも目立った。市では昨年3月に改定した「さっぽろヒグマ基本計画」で、クマの出没が多い中央区円山や南区藻岩山などを含む一帯を「対策重点エリア」に指定し、23年度はドローンによる生息状況の調査などを行った。また協議会の中に、猟友会や有識者による専門部会を新たに発足させ、山からの侵入抑制や捕獲などの対策を検討する。協議会に出席した酪農学園大の佐藤喜和教授は、特定の個体が繰り返し出没することについて、「札幌では人慣れしたクマが増えており、重点エリアでの対策が重要だ」と話している。

(「クマを殺すな」という全国のクレーマーに「猛獣クマは殺すしかない」決定的証言)
2023年も全国各地でクマの被害が話題になった。しかし、「クマを殺すな」という一部の国民の声も聞こえてくる。作家の小倉健一氏は「海外では『クマを殺すな』とクレームを入れる人は少ないようだ」とレポートするーー。日本を悩ませる「クマ」被害の増大は、海外メディアでも報じられるようになっている。米大手メディア「CNN」では、2023年12月8日「日本における熊の襲撃は過去最高を記録している。気候変動と高齢化が問題を悪化」として、9月に岩手県岩泉町でクマに襲われた事件を詳細に報じている。この事件は、キノコ採取やペット用品販売などを営む佐藤誠志氏が、キノコを採集中にクマに襲われ、大声を出し棒を振り回して退散させた模様を自身が運営するYouTubeチャンネル「原生林の熊」で配信したことで有名になった。他にもシンガポール最大の新聞「ザ・ストレーツ・タイムズ」(2023年11月28日)が、「日本では冬眠しないクマもいる可能性、相次ぐ襲撃事件で野生動物専門家が指摘」と題して、こちらも詳細に報じられている。こうした日本のメディアではない、独自取材によって世界中の様々なメディアが日本のクマ被害を報じているのを考えると、いかに今年のクマ被害が世界的な関心事項になっているかがわかる。世界中がクマ被害を報じる中、日本のメディアの関心は、どうやってクマと共生していくかに焦点が置かれつつある。さまざまなバックボーンの有識者たちにクマ被害を防ぎ、共生する方法を取材し、掲載しているのだ。いくつか紹介してみよう。「世界的にもヒグマの高密度な生息地である北海道・知床では、早くからクマと人間の『境界線』を引く努力をしてきました」「市街地や水産加工場を電気柵で囲う。何度も市街地に侵入したり、人間の食料を食べるようになったりした問題個体のクマは、被害が大きくなる前に捕殺する――といったことです。1985年を最後に知床で死亡事故は起きていません」「追い払いは人間にとってリスクの高い作業でもあります。ゴム弾は30メートル以内に近づかないと当たらず従事者の命を危険にさらします」「北海道では90年に春グマ駆除の奨励制度が廃止されましたが、それ以降、警戒心の薄いクマが増えた印象があります。殺気のこもる銃によってでなく、追い払いで警戒心を持たせるのは難しいことを感じます」(野生動物被害対策クリニック北海道」代表の石名坂豪氏・朝日新聞・12月23日)。「人が襲われた悲惨な現場では、住民や地域に及ぼす恐怖を実感します。農作業で外出するのも怖い、犬の散歩もできなくなったなど、日常生活が制約され、数字に表れない精神的被害の大きさを感じます」「クマの捕獲には、全国から『殺すな』という声も寄せられました。私たちも『棲(す)み分け』を目指し、個体数調査などのデータを基に捕獲上限を設ける保護管理を進めています。しかし、それでも人里にやって来た危険なクマは、有害駆除せざるを得ません」(秋田県自然保護課主任の近藤麻実氏・朝日新聞・12月22日)。これら識者のオピニオンの背景には、クマを殺すことがあっても必要最小限にしようという考えが通底している。クマが人の生命にも危害を及ぼすのなら、絶滅させてもいいだろうという考えがあってもおかしくはないと思うのだが、酪農学園大教授の佐藤喜和氏が毎日新聞(12月22日)でクマと人間との共存について歴史的な経緯を伝えている。「ヒグマは明治時代以降『開拓の敵』と見なされて捕獲が奨励された。人の生活圏に頻繁に出没してきた1960年代、『春グマ駆除』制度が導入された。猟師が春先に雪の上の足跡を追いかけて、冬眠中や冬眠明け直後のクマを効率よく捕まえた。とりわけ雪が深い日本海側では有効で、捕獲し続けた結果、90年ごろには絶滅のおそれがある地域も出てきた。/この間、野生動物や自然保護の機運が高まり、北海道はヒグマを「豊かな自然の象徴」と位置づけ直した。90年には春グマ駆除制度を廃止し、クマとの共存にかじを切った。人里に出てきて農作物や人に被害をもたらすクマは駆除し、山奥にいるクマは害獣ではないという認識に変わっていった」。この歴史的経緯を踏まえれば、猟師に許可さえ与えれば、「効率的」にクマの排除をすることも可能なようだ。クマが可哀想、クマと共存を目指すということに、私たちは困難さえ抱えている。人間の言葉を理解しないクマに、人間がクマとの共存を目指していることなどわからないだろう。犬で追い払ってみたり、麻酔薬を打ち込んでみたりと、試行錯誤がつづく。しかし、そもそも海外の事例をチェックしていくと、たしかに野生動物について必要以上に殺したりすることがないのは日本と同じだが、人間に危害を加えたクマに対して容赦せず、「公共の安全を確保するため」として、即、殺している。「クマを殺さないで」という声が紹介されることも日本と比べて少ない。CNN(10月2日)が報じた最近の事件ではこのようなものがある。「カナディアン・ロッキー山脈にあるバンフ国立公園のレッド・ディア・リバー・バレー地区で、グリズリーによる悲しい事件が発生しました。バンフ国立公園によると、警報が鳴るとすぐに特別訓練を受けた野生動物人間襲撃対応チームを現場に派遣されました。悪天候のためにヘリコプターの使用ができず、チームは一晩中地上を移動しました。対策チームが現場に到着したのは土曜日の午前1時ごろで、2人の死亡とグリズリーの攻撃的な行動を発見しました。パークス・カナダの職員が『公共の安全のため』にクマを安楽死させ、王立カナダ騎馬警察が現場に到着し、アルバータ州サンドレへの被害者搬送を支援しました」。クマを殺したことに関して、他の人からの「クマを殺すな」という声は紹介されていない。日本よりも、クマを殺すことに大きな反対は上がっていないようだ。AIやドローンを活用したウクライナ軍の戦術をホワイトハッカー「量産型カスタム氏」らと共同研究している現代戦研究会代表の部谷直亮氏は、クマ害の防止についてこう見通しを話す。「猟師の数も限られている中で、人間とクマの共生を図る上で、新しいテクノロジーの導入は不可欠です。ドローン、そして、これまで防犯のため人間を監視していた街頭のカメラを森や林と住宅街の境目に設置し、クマ(およびクマらしきもの)をAIが探知した場合に警報を鳴らすようにすべきです。そして猟師や場合によってはドローンによってクマを駆除もしくは追い返すことができるようにしておく。ウクライナ戦争で実証された新技術に基づく戦術を従来の発想に囚われずに投入するのです」。しかし、やはり共存する以上、クマの怖さについては改めて知っておく必要があるのではないか。最後に、米フォックスニュースが報じた痛ましい事件を紹介し、今後の糧となるように祈りたい。「モンタナ州でグリズリーベアに襲われたルディ・ヌーランダーさんは、大がかりな顎と歯の再建手術から回復しているが、その出来事について後悔はしていない」「ヌーランダー(61歳)は9月8日、カスター・ギャラティン国有林で撃たれた鹿を見つけた親子を助けているときに、身長1.5メートルの熊と遭遇し、彼が『人生で最もいやらしいフレンチキス』を交わした。クマは彼の目の前に姿を現し、あっという間に彼を追い越した。彼は両手で巨大なクマに突進しようとしたが、それに対してクマは彼の顔の下半分をつかんで離さなかった」「クマの息は『今まで嗅いだ中で最も腐った臭い』だったと語った。動物がさらに強く噛みついたとき、彼は握力から落ちたとヌーランダーは言った。ある時点で、クマは彼の胸にひっかき傷を残し、腕と脚に噛み跡を残したと、後に医師から聞かされた」「ノールランダーは、大好きな大自然から引き離されることを拒否し、アウトドアに戻りたがっているという」。自然と共生することの難しさ、そしてそのことに挑戦することの楽しさをヌーランダー氏の証言から学ぶことができるのかもしれない。

(自宅に拳銃や銃弾を隠し持っていた疑い:広島)
去年、自宅などに拳銃や銃弾を隠し持っていた疑いで広島市に住む無職の82歳の男性が書類送検されました。銃刀法違反などの疑いで書類送検された広島市安佐北区口田南の無職の男性(82)は、去年4月、自宅などにアメリカ製やベルギー製の拳銃3丁のほか、拳銃の部品4個、銃弾46発などを隠し持っていた疑いが持たれています。警察の調べに対して男性は、容疑を認めていて、「コレクションとして集めていた」といった供述をしているということです。警察は別の事件で男性の自宅などを調べていたところ、拳銃などが見つかったため、9日、書類送検したものです。警察は拳銃の入手先などを調べることにしています。

(市街地にイノシシ、車両と衝突事故2件発生:宮崎)
都城市の市街地で元日からイノシシ1頭の目撃情報が相次いでいる。2日には一般車両とぶつかる事故が2件発生。3日も目撃が続き、同日午後6時現在で人的被害は確認されていないが、同市森林保全課は「見つけても決して近づかないで」と呼びかけている。

(「クマ」らしき動物の目撃情報:鳥取)
鳥取県鳥取市の鳥取砂丘近くの道路で3日、ツキノワグマらしき動物が目撃され、市が注意を呼び掛けています。市によりますと、3日午後3時25分ごろ、「鳥取砂丘フィールドハウス」付近の道路を、ツキノワグマらしき動物が横断しているのを見かけた」との目撃情報をフィールドハウス職員が受け、鳥取警察署に通報しました。そして翌日の午前9時ごろ、市の職員が現地確認を行いましたが、目撃場所付近でクマの姿や足跡、フンなどは確認されなかったということです。目撃場所の近くには、「鳥取砂丘こどもの国」もあります。山陰のツキノワグマは例年11月頃~3月頃にかけてが冬眠時期とのことですが、鳥取県では12月~2月にもクマの目撃情報が確認されていて、鳥取県によりますと、2022年度は2件、2021年度は3件ですが、2020年度は14件、2019年度は9件確認されています。今回の目撃情報を受け市は、鳥取砂丘周辺の見回り、目撃場所周辺の施設などへの注意喚起、鳥取砂丘フィールドハウス前への看板設置、目撃場所周辺への監視カメラ設置などの対応をとるとしています。

(クマ、2日連続で目撃:島根)
7日午前10時ごろ、島根県江津市川平町の旧川平公民館跡地近くの山林で、体長1メートルの成獣クマ1頭が目撃された。周辺では6日にも目撃情報があり、市が注意を呼びかけている。市農林水産課によると、近くの男性が発見し通報。市は6日午後4時ごろに目撃されたクマと同一個体とみている。この時期は通常なら冬眠するため、目撃情報が例年少ない。市農林水産課の国沢精一課長は「理由ははっきりしないが冬眠しないクマもいる。外出時には注意してほしい」と話した。

(キッチンカー、石川に支援へ:岩手)
大槌町のジビエ食肉加工業MOMIJI(兼沢幸男代表取締役)のキッチンカーが5日、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市に支援物資を届けるため町を出発した。町民や町が水や米などを持ち寄り、東日本大震災の経験を生かして寒さに耐える避難者に温かい料理を届ける。同社取締役の藤原朋さん(39)が「支援が届きにくい在宅避難者や小規模避難所に向かいたい」とハンドルを握る。同日午前、同町安渡の事務所に米や甘酒、おむつなど多くの善意が集まった。MOMIJIは1日の地震発生後、交流サイト(SNS)で物資の提供を呼びかけたり、現地の情報収集に努めたりと即座に支援準備を開始。役員の友人が輪島市にいる縁で、支援先を決めた。町は備蓄する飲料水480リットル、湯や水を加えるだけでご飯ができるアルファ米500人分を託した。平野公三町長は「災害からの復旧、復興は自衛隊などによる救助が終わってからの方が長い。長期戦で自治体職員が疲れないよう、県や町村会などから要請があれば職員派遣も検討したい」と見据える。

(地元のイノシシ、高校生がラーメンに:岡山)
方谷学舎高校(旧高梁日新高、岡山県高梁市)の生徒が地元のイノシシを使った「いのししラーメン」を開発した。5日には、お披露目をかね、岡山市北区の「奉還町ユースセンター」で関係者に振る舞った。2月には同センターで一般向けにも販売する予定だ。地域貢献を目指す高校生と、中高生の居場所づくりを進める民間団体が手を組んだ。いのししラーメンを開発したのは、同校の地域探究部の12人。5日は部長の上野(かみの)陸さん(2年)がエプロン姿で奉還町商店街にあるセンターのキッチンに立ち、イノシシの骨からだしをとったスープが自慢の一杯を提供。「これはうまい」「どこか懐かしい味」といった声が上がった。起業サークルとして昨春発足した同部はラーメンを開発テーマに据えた。「有害鳥獣として駆除されたイノシシを使うことで地産地消にもなるし、高梁名物にもできる」。そう考えた上野さんは、ラーメン店主のもとに放課後、1カ月通って修業した。同校は2023年6月1日に校名が変わった。部員たちは、旧校名の最後を飾る意味で昨年5月末、一般向けに1日限定で販売。ところが、「イノシシらしさがない」と不評だった。煮込み過ぎて豚骨スープに近い甘さが出たという。その後も試行錯誤を繰り返し、弱火でじっくり6時間煮出し、骨の髄まで抽出すると、「イノシシの臭みを生かしながら、女性受けもいい味」(上野さん)に仕上がった。使うニンニクやネギも高梁産にこだわった。麺は、部員のつてで笠岡ラーメンの人気店の細麺を採用した。この活動を知って声をかけたのが、中高生が放課後や休日に訪れて自由に過ごせる第3の居場所づくりを進める一般社団法人SGSG(野村泰介理事長)。5日のお披露目をした奉還町ユースセンターはSGSGが運営する。一般向けの限定販売は2月3日午前11時から。場所は同センターで、イノシシ肉のチャーシューが載った80杯が1杯800円(税込み)で提供される。上野さんは「イノシシの骨を安定的に仕入れるのが今後の課題」としつつ、高梁での本格販売を視野に部員と準備を進めている。

(ジビエ料理、気軽に)
農作物に被害をもたらす厄介者とされるシカやイノシシ。こうした野生鳥獣の食肉「ジビエ」を使った料理を提供する飲食店が増えている。農林水産省は、鳥獣被害の多い農山村地域の所得向上につなげようと、ジビエ利用を後押ししてきた。気軽に食べられるハンバーガーを紹介するなど、若年層へのPRを強化している。農水省によると、ジビエ利用量は2022年度で2085トンで、16年度の1.6倍に増加。ただ、同省は25年度までに4000トンを目標にしており、達成は容易ではない。同省は消費を広げようと、例年秋から冬にかけて、ジビエメニューを提供する飲食店をホームページなどで紹介する「全国ジビエフェア」を実施。6回目となる今季は、23年12月時点で飲食店や小売店など約1500店舗が参加している。今季はフェアの実施主体で、飲食店情報サイトを運営する「ぐるなび」(東京)が会員アンケートを基に、今後流行しそうなジビエ料理を特集。ハンバーガーやタコスなど片手で食べられる「ワンハンドジビエ」のほか、キムチチゲやプルコギといった「韓流ジビエ」、ポトフや鍋など体を温める「温活ジビエ」を紹介している。欧州では貴族の伝統料理として発展してきたジビエ。同省の担当者は「少し敷居が高いイメージがあるが、若者でも気軽に食べられる。和食や中華などにも広げていければ」と話している。

(クマ出没の可能性:宮城)
角田市によると、6日午後5時ごろ、角田市小田大原付近にクマとみられる動物が出没しました。

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(クマ目撃などの通報、4000件超え過去最多:北海道)
令和5年に警察に寄せられたクマに関する通報は4000件を超えて統計が残る中で最も多くなったことがわかりました。北海道警察本部によりますと、クマやクマの足跡などを目撃したという通報は、令和5年に入って12月24日までに4014件でした。これは令和4年1年間の2240件を大幅に上回り統計が残る中で最も多くなっています。道内では令和5年、札幌市内の住宅街などでもクマが出没し学校が臨時休校や集団下校の措置をとるなど対応に追われました。またクマによる人身事故も増加し12月24日の時点で亡くなった人が2人、けがをした人が8人でした。5月には幌加内町の朱鞠内湖で釣りに訪れていた50代の男性がクマに襲われ死亡したほか、11月には道南の大千軒岳で登山中の大学生が襲われて死亡しています。道警では今の時期になっても冬眠しない個体もいることから、山に入る際は複数人で音を鳴らしながら行動し目撃しても絶対に近づかず警察に通報するよう呼びかけています。

(増えるヒグマ、減るハンター:北海道)
ヒグマによる市街地侵入や人身事故が道内各地で相次いでいる。人里近くに現れた個体の捕殺は、市町村から要請を受けた地元の民間ハンターが主に担っているが、高い技術を持つ熟練者は高齢化などで年々減少している。クマの生息数が増加の一途をたどる中、民間頼みの駆除態勢は近い将来、立ち行かなくなる可能性が高い。北海道のクマ対策はいま岐路に立たされている。 道内でクマの生息数が増えたのは、残雪期の捕獲を奨励する「春グマ駆除」を道が1990年に廃止したことが大きな要因だ。道の調査によると、道内の推定生息数は90年度に5200頭だったが、30年後の2020年度は2倍超の1万1700頭まで増加した。

(年841匹捕獲、「野犬のまち」:山口)
野良犬対策に今も悩まされている山口県周南市。20年ほど前から、飼い主が捨てた犬が大繁殖してのことだが、市特有の背景もある。目撃情報を通報するアプリや遠隔操作の檻(おり)などで捕獲に努めるが、解決には「道半ば」だ。記者が周南市に初めて赴任したのは2016年春。野放しになっている犬の多さにショックを受けた。住宅街の道路や店舗のそばをうろうろしている。日が暮れると裏山のあちこちで遠ぼえが響いた。餌やりが後を絶たず、市民がかまれる被害も起きていた。昭和40年代、野犬はごく身近な存在で子どもの遊び相手にもなっていたけれど、現代ではありえないと思っていた。やがてテレビ番組が取り上げるようになり、「野犬のまち」として全国に知れ渡った。昨年12月中旬の朝、周南緑地公園を2時間ほど歩いた。スポーツセンターの裏手を回る道を北へ。突然、けたたましい鳴き声とともに7、8匹が茂みから飛び出してきた。けんかしているのか、じゃれているのか、互いに激しくほえ合ったり、グラウンドを勢いよく駆け回ったり。カメラを向けても襲って来ることはない。別の場所で見つけた白い犬は、記者と目が合うなり、きびすを返して逃げていった。

(シカやイノシシの線路進入どう防ぐ?:京都)
JR西日本の社員が獣害対策を学ぶ講座がこのほど、京都府福知山市駅前町の同社管理部であった。福知山保線区の約25人がシカによる線路進入の理由や防除法などについて専門家から助言を受けた。

(元NHK自然番組ディレクターがレンジャーから教わった「クマと遭遇した時に助かる方法」)
2023年は全国各地でクマによる被害が相次いだ。人間の生活圏に出没する「アーバンベア」も問題となり、捕獲・駆除の強化が叫ばれている。その一方で、駆除を担う自治体への抗議電話が殺到しているという。果たして、クマと人間はどう共存していくべきなのか──。NHK自然番組ディレクターから「猟師」に転身し、著書『獲る 食べる 生きる 狩猟と先住民から学ぶ“いのち”の巡り』が話題の黒田未来雄氏が、実際にヒグマと対峙した体験をもとにレポートする。ここ数年、ひたむきにヒグマを追いかけてきた。研究の対象ではなく、観光でもない。狩猟者の私にとって、ヒグマは獲物。その肉はとてつもなく旨い。熊撃ちの常とも言えようか、私は四六時中、ヒグマのことを考えている。今頃、どこにいるのか。何を食べているのか。どうやったら獲れるのだろうか。猟期以外であっても、山を歩けば心は無意識にクマに向き、両の目は常にあの毛むくじゃらで真っ黒な姿を探し求めてしまう。もはやヒグマに取り憑かれていると言っても過言ではない。ヒグマは用心深く、とても臆病な生きものだと思ってきた。実は、銃を持って山を歩くと、彼らの痕跡を至る所に見かける。彼らは人間が思っている以上に、我々のそばにいる。点々と続く足跡。一目でヒグマのものと分かる太いフン。中には湯気が出ていそうなものに出くわすこともある。しかし狩猟を始めて5年目まで、いくら山を歩いても、猟場でヒグマそのものに出会ったことはなかった。北海道のヒグマの推定生息数は1万頭ほど。対してエゾシカは70万頭と言われる。エゾシカは毎日のように、時に1日100頭以上を目撃することもある。生息数の比率だけを見れば、エゾシカを100頭見れば、ヒグマを1頭くらい見てもいいはずだ。しかしそうした数字だけの計算と、現実の遭遇率は全く異なる。それだけヒグマは人目を避ける生きものということだ。人間の存在を察知する鋭敏な嗅覚。藪に身を潜めて何時間でも動かない忍耐力。ガサガサと大きな音を立てながら落ち葉を踏む二足歩行の不器用な私たちを、すぐ近くに隠れてじっと観察し、足音を立てずに消えてゆく。不気味な獣という見方もあろうが、私にとっては、人間を簡単に殺傷する能力を持ちながら、無益な戦いは絶対にしないという賢者。アイヌの人々が「キムンカムイ」(山の神)と呼び、畏れ敬ってきた存在そのものだ。かと言って、ヒグマが全く人間を襲わないわけではない。身を守るためには、彼らは敵を排除する。例えば山菜採りなどで山に入った人間と、あまりに近くで鉢合わせした時など、驚いてパニックになったヒグマが、人間を強大な前脚ではたいても不思議ではない。特に子供を守ろうとする母グマは危険だ。かく言う私も、生命の危機に晒されたことがある。およそ20年前、場所はアラスカのコディアック島。そこに生息するヒグマは「コディアック・ベア」と呼ばれ、体のサイズが世界最大級になることで知られている。当時私は、ディレクターとしてNHKに入局して6年目で、自然番組を制作する部署への配属を希望しながら、「ためしてガッテン」などのサイエンス番組を制作していた。その一方で、アラスカを中心に活躍していた写真家の星野道夫氏に憧れ、プライベートでアラスカを旅することもあった。そんな私が最も関心を寄せていたのが、コディアック・ベアだった。その伝説的なクマが見たくてコディアック島に入った私は、ベニザケがたくさん遡上する水系を一人で辿った。藪の中を進むのがあまりに怖かったため、見晴らしの良い湖水の中を膝まで水に浸かって歩きながら、ヒグマを観察していた。不意に、そばの土手から小さなクマが顔を出した。興味深そうに私を見ている。カメラを構えて写真を撮っていると、後ろから大きなクマが立ち上がった。小さなクマの母親だ。私を警戒しているのは明らかだった。非常に危険な状況だが、必死に自分を落ち着かせる。こうした時、一目散に逃げるのが最もやってはならないことだ。逃げる者を追いかけ、とどめを刺そうとする彼らの本能にスイッチを入れてしまうことになる。入山届を出しに行った国立公園のレンジャーからは、こんな指示を受けていた。「クマに至近距離で遭遇した場合、まずは目を見て謝れ。落ち着いたトーンで、あなたに危害を加えるつもりはありません、ごめんなさい、と言いながら、背中を見せずに後退りしろ。十分に距離が離れたら、もう振り返っても大丈夫なので、ゆっくりとその場から立ち去れ」──。体内の血液が全て凍りつくような恐怖に慄きながらも、私はその通りに行動した結果、事なきを得た。このように、ヒグマが人間を殺傷するのは自分たちを守るためであり、積極的に襲うような生きものではない──というのが、クマの観察や熊猟を通じて私が培ってきた肌感覚だ。ところが2023年、今まで私が培ってきたヒグマの概念からは、想像できない行動をとるものが出てきた。10月31日、北海道南部の大千軒岳(だいせんげんだけ)で3歳の雄グマが登山中の消防署員3名に襲いかかったのだ。そのクマは、勇敢な署員が首に突き立てたナイフの傷が元で命を落としたが、胃の中からは10月29日に同山に登ったまま行方不明となっていた大学生のDNAが検出された。専門家による調査の結果、クマはまず大学生を襲って食べ、その後、消防署員を襲ったと考えられるという。つまりは、積極的に人間を襲うヒグマだった可能性が高い。やむを得ない事態が発生しない限り、ヒグマが人間を襲うことはないと信じてきた私は大きな衝撃を受けた。一体ヒグマに何が起きているのか。ヒグマの性格が変わってしまったのか。或いは別の要因により、追い詰められているのだろうか。

(一人親家庭に食料支援:神奈川)
伊勢原市ひとり親福祉協会(田中綾子会長)が1月28日(日)、伊勢原射撃場(上粕屋2380)で食料品の無料配布会を行う。午前11時から正午。市内在住のひとり親家庭の人が対象で、定員は80世帯(申し込み多数の場合は抽選)。申し込みは1月7日(日)正午から。約5千円分の食料品セットのほか、県射撃協会から5kgのお米も併せて提供される。また当日は射撃場でビームライフル体験もできる。

(県道で「クマ」目撃:福島)
1日午前6時45分ごろ、郡山市逢瀬町河内の県道で、車で通りかかった女性が道路を横切るクマ1頭を目撃した。郡山北署によると、クマは体長約1メートル。

(年越しもクマ出没に注意:新潟)
31日午後2時ごろ、新発田市本田でクマの目撃情報がありました。警察によりますと、民家の裏から山の方向にクマが歩いているのを付近の住民が目撃しました。クマは1頭で、体長50cmほどだったということです。新発田署は住民に注意を呼び掛けています。

(イノシシ目撃:山梨)
3日午前、山梨県富士吉田市にある県営団地近くで体長1メートルほどのイノシシ1頭が目撃されました。市内では前日にも市街地でイノシシが目撃されています。警察によりますと3日午前9時ごろ富士吉田市上吉田東の住宅の敷地で、イノシシを1頭を目撃したと通報がありました。イノシシは体長1メートルほどで住宅から西の方角に逃げて行ったということです。現場は県営住宅新屋団地から約30メートル南西で、警察がパトカーで見回るなど警戒をしました。富士吉田市内では前日の2日にも市街地の国道交差点で体長1メートルほどのイノシシ1頭が目撃されています。

(エゾシカ肉の料理作ろう:北海道)
根室振興局は13、14日、町総合文化会館で根室管内産のエゾシカ肉「根室ディア」を使った料理教室を開く。札幌の料理研究家、青山則靖さんの実演と、参加者による調理と実食を通じておいしさを知ってもらい、消費拡大を目指す。

(クマ肉人気じわり:秋田)
秋田県仙北市のJR田沢湖駅前の物産館「田沢湖市(いち)」にある自動販売機の冷凍クマ肉の人気が、じわじわと高まっている。市内で有害駆除されたツキノワグマの肉を使っており、1週間の販売数は昨シーズンのほぼ2倍に上る。今年、何かと世間を騒がせたクマだが、関係者は「秋田の新たな土産に」と期待する。自販機は市内で温泉宿とそば店を営む佐藤大志さん(50)が設置し、250グラム2200円で販売する。宿などで試験的に提供してきたクマ汁が好評だったため、昨年11月に県の補助金を活用して自販機を導入し、本格販売に乗り出した。クマ肉は独特の脂があり、食感は硬い牛肉に似ている。そのため煮込みや汁物にするとおいしく、焼き肉にする場合は薄く切るのがポイントという。地元の猟友会が捕獲後に処理した肉を会のメンバーから仕入れている。購入後、3時間程度は室温でも凍った状態を保つことが可能で、首都圏まで秋田新幹線を利用する観光客らの需要に応える。購入者の7、8割は田沢湖駅を利用する観光客という。昨シーズンの販売数は多い週で7~8パック、シーズン全体では約40パックだったが、今シーズンはこれまでに多い週で15パック程度が売れた。最終的には100パックを超えそうな勢いという。今季、秋田県内ではツキノワグマの出没件数が多く、クマ関連の話題がニュースなどで流れる機会が増えた。自販機は地元マスコミで取り上げられたほか、動画投稿サイト・ユーチューブでも紹介され、人気が高まったとみられる。自販機は市内で温泉宿とそば店を営む佐藤大志さん(50)が設置し、250グラム2200円で販売する。宿などで試験的に提供してきたクマ汁が好評だったため、昨年11月に県の補助金を活用して自販機を導入し、本格販売に乗り出した。クマ肉は独特の脂があり、食感は硬い牛肉に似ている。そのため煮込みや汁物にするとおいしく、焼き肉にする場合は薄く切るのがポイントという。地元の猟友会が捕獲後に処理した肉を会のメンバーから仕入れている。購入後、3時間程度は室温でも凍った状態を保つことが可能で、首都圏まで秋田新幹線を利用する観光客らの需要に応える。購入者の7、8割は田沢湖駅を利用する観光客という。昨シーズンの販売数は多い週で7~8パック、シーズン全体では約40パックだったが、今シーズンはこれまでに多い週で15パック程度が売れた。最終的には100パックを超えそうな勢いという。今季、秋田県内ではツキノワグマの出没件数が多く、クマ関連の話題がニュースなどで流れる機会が増えた。自販機は地元マスコミで取り上げられたほか、動画投稿サイト・ユーチューブでも紹介され、人気が高まったとみられる。

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