<射撃ニュース10月>
10/31
(クマ被害対策で初の閣僚会議開催へ)
各地で相次いでいるクマによる被害を受け、政府は関係する閣僚を集めた初めての会議を30日に開きます。木原官房長官:従来の対策パッケージでは想定し得なかった、より包括的かつ機動的な対応が求められていると認識している。政府は、クマ被害対策に関する省庁の連絡会議を30日に開く予定でしたが、木原官房長官は、これを関係閣僚による会議に格上げすると発表しました。木原官房長官は、クマによる被害が多様化・広域化していると指摘した上で、「まずは人里に侵入してきたクマを、迅速かつ的確に駆除することが重要だ」と述べ、人の日常生活圏であっても、クマに対して銃を使うことを可能とする緊急銃猟制度の確実な運用などに取り組む考えを示しました。

(警察がライフル銃使用検討、環境省はハンターを公務員に)
政府は30日、クマ対策に関する関係閣僚会議の初会合を開いた。議長の木原稔官房長官は同日の記者会見で、警察に対し「ライフル銃を使用したクマの駆除について、早急に対応してくれというお願いをした」と述べた。環境省は自治体がハンターを職員として雇うための交付金を2025年度内に新設する。農林水産省などと作成した対策パッケージに盛り込む施策も増やす。クマによる人身被害の対策をてこ入れする。

(警察、ライフル銃でクマ駆除)
政府は30日、クマ被害対策に関する関係閣僚会議の初会合を首相官邸で開いた。議長の木原稔官房長官は警察に対し、ライフル銃を使用した駆除を早急に検討するよう要請。緊急の施策パッケージを11月中旬までに取りまとめるよう関係省庁に指示した。木原氏は記者会見で「警察において、クマに関する知識を習得し訓練した警察官の確保、装備・資器材の整備なども含め、ライフル銃を使用したクマの駆除について早急に対応していく」と述べた。政府関係者によると、警察のライフル銃による駆除は現行法で可能だが、前例はないという。木原氏は会議でクマによる今年度の死者が過去最多の12人に上ると説明。「被害が多様化、広域化しており、国民の安全・安心を脅かす深刻な事態だ」と語った。小泉進次郎防衛相は、30日に陸上自衛隊秋田駐屯地(秋田市)で箱わな運搬などの訓練を実施したと報告。石原宏高環境相は狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」を含む捕獲者の確保に向け「(今年度の)補正予算を活用した対応を進める」と表明した。石原氏は、北海道に住むヒグマが約1万2000頭、本州・四国に生息するツキノワグマが約4万2000頭以上いると推定されると説明した。クマが学校敷地内に出没するケースがあったことから、文部科学省は全国の教育委員会に対し、危機管理マニュアルを改定し、安全対策を強化するよう通知した。政府は被害拡大を受け、従来の関係省庁連絡会議に総務省、文科省、防衛省も加え、閣僚会議に格上げした。

(「自衛隊法でクマの銃駆除は困難」と箱わな運搬など支援要請:秋田)
相次ぐクマによる人身被害を受け、秋田県の鈴木健太知事は27日、防衛省に自衛隊派遣を要請すると正式に表明した。28日に同省を訪れて小泉防衛相と面会する。クマを捕らえるための箱わなの運搬などを中心に依頼するという。県が自衛隊に支援を求めるのは、▽重さ70~300キロ・グラムある箱わなの運搬と設置▽仕掛けた箱わなの見回り▽駆除した個体の解体処理――など。銃でクマを駆除することは自衛隊法などの規定で難しいことから、武器使用は要望しない。鈴木知事は県庁で取材に応じ、「クマ被害は深刻だ。市町村の要請で現場に出動してくれる猟友会員は高齢化が進み、マンパワーも限界にきている」と話した。「県警のマンパワーも出し切っており、頼るのは自衛隊しかない」とも述べた。防衛省によると、陸上自衛隊は2010~14年度、北海道の依頼を受け、道東の 白糠しらぬか 町と遠軽町で地元ハンターによるエゾシカの捕獲に加わった。ヘリコプターで上空からシカの動きを地上に伝えたほか、雪原でハンターが駆除したシカを雪上車に載せて輸送した。白糠町での活動は「白糠の夜明け作戦」と呼ばれた。陸自は14~16年度にも高知県の要請でニホンジカ駆除のためにヘリを出動させた。北海道のケースを含め、これらの支援は「訓練」の一環として実施された。防衛省幹部は「関係機関と連携し、どんな協力ができるのか精査したい」と話す。一方、警察庁は24日付で、住民の安全確保を最優先に対応するよう都道府県警に通達した。警視庁も同日付で通知を出し、警察官が携帯する拳銃の使用には十分注意するよう全警察署に求めた。同庁幹部によると、クマの頭蓋骨の硬さや皮下脂肪の厚さなどから拳銃での駆除は不可能に近いという。通知では、クマに致命傷を与える威力はなく反撃を受ける恐れがあるとした。

(クマ自衛隊派遣、陸上自衛官が県庁を訪問:秋田)
秋田県の鈴木知事は28日、防衛省を訪れ、小泉防衛相にクマ捕獲の支援を求め、自衛隊の派遣を要請した。小泉防衛相は「深刻な状況と受け止めている」と発言し、陸上自衛隊の自衛官らを秋田県庁に向かわせた。同日夕、今後の支援内容を話し合う初めての協議が県庁で行われた。東京・市ヶ谷の同省では、鈴木知事が「クマが中心市街地にも出没し、県民の日常生活に大きな支障が出ている」と説明、箱わなの運搬や設置といった後方支援を自衛隊に求めた。小泉防衛相は「危機的な状況。秋田県と協力して早急に対応策を練る」と述べた。面会後、鈴木知事は報道陣の取材に、派遣については「災害派遣に限らず、幅広く検討いただいている。被害がどこまで続くか分からないが、市街地にクマが出る限り異常事態。派遣の期間は、防衛省と対話しながら決めることだろう」と語った。県庁で行われた協議には、青森、岩手を含む北東北3県を管轄する陸自第9師団(司令部・青森市)の三浦英彦副師団長と、県内での対応が想定されている秋田駐屯地(秋田市)の自衛官らが出席した。終了後、報道陣の取材に、県生活環境部の熊谷仁志次長は「今後、市町村とも情報を共有し、自衛隊の受け入れ態勢を整えていく」と話した。三浦副師団長は「隊員の安全確保は重要だと思っている。しっかり検討、準備し、できる限り早く支援できるようにしたい」と述べた。クマ対応では危険と隣り合わせの業務を担ってきた自治体からは自衛隊に期待する声が聞かれた。24日に男女4人が襲われ、1人が死亡した東成瀬村は、これまでも目撃情報が寄せられると、複数の職員で現場に出向いて爆竹で追い払ってきた。出没は突発的で対応する職員も少なく、日常業務を圧迫しているという。高橋憲一・産業振興課長は「週末も昼夜も関係なく職員はクマの対応に追われ、疲弊している。自衛隊員には見守りなどをお願いしたい」と話していた。JR湯沢駅近くで男性4人が襲われ、クマが6日にわたって民家に居座る被害があった湯沢市。「クマが居座っている」などの通報を受けての職員の出動が今月だけで7回ほどあり、既に昨年の出動総数を超えている。村上始・農林課長は「山間部の訓練を積んだ自衛隊員にクマの追い払いをしてもらえれば」と期待した。

(クマ駆除めぐり町議とのトラブルで猟友会出動拒否から1カ月)
北海道の積丹町で、町議とのトラブルをきっかけに猟友会が出動を拒否してから今日で1カ月。町が出動拒否の状況を町民や議会に伝えていなかったことが、HTBの取材で新たに分かりました。先月、積丹町で捕獲された体重284キロのクマ。このクマの駆除をめぐり、地元の猟友会と積丹町議会副議長の男性がトラブルになっています。1カ月経った今も、猟友会は町の出動要請を拒否する事態が続いており、町民は不安な日々を過ごしています。先月27日、副議長の自宅近くに設置された箱罠にクマがかかりました。関係者によりますと、副議長と面識のない猟友会のハンターが、現場にいた副議長に「誰ですか」と聞くと、副議長は「誰にモノを言ってるか」と応じ、ハンターが安全のため現場から離れるよう促したところトラブルに発展したといいます。積丹町議会副議長〈関係者の証言〉「こんなに人数が必要なのか。金貰えるからだろ。俺にそんなことするなら駆除もさせないようにするし、議会で予算も減らすからな。辞めさせてやる」。一方、HTBの取材に対し副議長はこのように話しています。積丹町議会副議長〈HTBの取材に対し〉「『何で急に撃つんだ』『こんなに人数いるのか』という話はしたが、『辞めさせてやる』とは言っていない。一町議がそんな力を持っているわけがない」。このトラブルをめぐり、一部のハンターから「駆除をやりたくない」という声があがったことから、猟友会は町の出動要請を拒否することを決めました。詳しい状況を報道で初めて知ったという別の町議は、町の対応を問題視しています。石田弘美 積丹町議)「情報提供がまずは大事。仮に今解決できてない状況であったとしても、こういう状況なのだと伝えることが行政としての役割」。また、今月9日の議会でクマ対策の補正予算が可決されましたが、町から猟友会の出動拒否について説明がなかったといいます。石田弘美 積丹町議)「クマ檻をクマが鍵を暴れて壊す。壊れているので、(町が)修繕費だとかの補正予算を出している。それにも関わらず、猟友会が出動しないという内容については一切報告がない」。町は議会に説明しなかったことについて、「事実関係の把握に時間がかかり、議会に報告すべきか判断に迷った」と話しています。いつ出没するか分からないクマ。町は緊急時には猟友会に出動を要請する方針ですが、「対応してもらえるか分からない」としていて、住民の不安な日々に終わりは見えません。

(「玄関開けたらクマがいて、夫がかじられた」:群馬)
29日夕方、群馬県沼田市の住宅の玄関前で男性がクマに襲われました。男性は右肩を引っかかれたほか、尻をかまれ軽傷です。29日午後5時ごろ、群馬県沼田市の住宅で「玄関を開けたらクマがいて、夫がかじられた」と男性(69)の妻から110番通報がありました。警察によりますと、男性が雨戸を閉めようと玄関の扉を開けて外に出たところ、体長およそ1メートルのクマに襲われたということです。男性は、すぐに扉を閉めて自宅に逃げ込みました。男性は右肩を引っかかれたほか、尻をかまれ、病院に搬送されましたが軽傷です。クマの行方は分かっていません。沼田市ではクマの目撃情報が相次いでいて、警察は「不要不急の外出を控えて、戸締まりを確実にしてください」と注意を呼びかけています。

(園児をホールに集め「発砲音が聞こえないように」読み聞かせ、親子クマを緊急銃猟で駆除:福井)
勝山市の市街地にあるこども園の近くに29日午前、クマ2頭が出没しました。正午過ぎには市の判断でハンターに発砲を命じる緊急銃猟が福井県内で初めて実施され、2頭が駆除されました。けが人など被害はありませんでした。勝山市によりますと、29日午前7時半頃、勝山市旭町一丁目にある「まつぶんこども園」から園の駐車場にクマのフンがあるとの報告がありました。園長は「市の方が見に来て、これはクマであろうとのことだった」と話します。そして、8時50分頃には―「警察にも来てもらって、茂みの中にいると心配だと伝えて一緒に見に行ったら、ウォーという感じでクマが出てきた」(園長)。園内の防犯カメラには、その時のクマの姿が映っていました。その後、こども園の隣の空き家には2頭の親子クマがいることが分かり、警察は、こども園の周辺半径100メートルへの立ち入りを制限しました。このこども園の約1キロ東には山が広がっています。クマがエサを求めて市街地まで下りてきたのでしょうか。周辺には、緊張感が張りつめていました。そのころ勝山市役所では、クマが周辺住民に危害を加える恐れがあるとして、午前10時15分に市が緊急銃猟を実施する判断を下し、警戒連絡室を立ち上げました。県内で唯一、10月6日に独自の緊急銃猟のマニュアルを策定した勝山市。そのマニュアルに基づき、避難範囲を設定して住民を避難させ、周辺の交通規制を実施。危機管理幹の下で情報を収集しました。そして、午後0時15分。パンパンパン。発砲音が響き、県内で初の緊急銃猟が行われました。市によりますと4人のハンターが合わせて12発を放ち、空き家の隅に潜んでいたクマ2頭を駆除しました。勝山市の職員は「緊急銃猟の判断は、市街地の中心部で、なおかつ保育園が隣接していることで非常に危険度が高く、一日留まることも考え、銃猟の対処しかできないと判断した」とします。緊急銃猟をするにあたっては、銃口の先が向く7軒の住民には市職員が付き添い、地区の集会所へ避難しました。現場に隣接するこども園では「ホールのすみっこに0歳から5歳児まで一堂に集まって絵本を読み聞かせしながらなるべく音が聞こえないようにした」といいます。市によりますと、駆除されたクマは体長が1メートル20センチの推定5歳の雌と体長が80センチの推定1歳のメスだということです。このクマや緊急銃猟による住民の被害はありませんでした。

(クマ対策強化へ、元自衛官らOBの駆除参加を検討:宮城)
全国的にクマの被害が相次ぐ中、村井知事は、会計年度職員としてイノシシ対策にあたっている元自衛官や警察官OBが、クマ駆除にもあたれるよう、態勢強化を進める考えを示しました。クマ対策をめぐり、秋田県の鈴木健太知事は、10月26日、自身のインスタグラムで「県と市町村のみで対応できる範囲を超えている」として、自衛隊派遣を要望するため、防衛省を訪問する意向を明らかにしました。一方、村井知事は27日の定例会見で、県のクマ対策としては猟友会の高齢化や人手不足の課題を解決したいと述べました。宮城県 村井知事「自衛官とか、警察官のOBの方に、会計年度職員になってもらって、県職員として給料払いながら、指導をしながら、ご自身も駆除していただくことを考えています。いまはイノシシにだけやってもらっているが、クマ対策もやっていただけるかも含めて検討してまいりたい」。県によりますと、イノシシ対策で元自衛官などを任用する取り組みは2017年度から行われていて、今年度は9人が任用されているということです。

(「私も狩猟免許とる」山本一太知事が新たなクマ対策:群馬)
クマによる被害が全国で続発する中、群馬県の山本一太知事は30日、荒廃した里山の整備支援などを盛り込んだ新たな「クマ対策」を発表した。県庁内に狩猟免許取得チーム設置も盛り込み、「私も狩猟免許を取る」と宣言、自身が銃を撃つイラストまで用意し先頭に立つ意欲を示した。群馬県内でも今年、人身被害が8件10人となり、29日には沼田市の住宅玄関先で男性が咬まれて負傷する事案が起きたばかり。対応は新たな次元に至ったとの認識で発表したクマ対策は5項目。里山整備支援のほか、河川の伐木による市街地と奥山との緩衝帯を重点整備するハード面2点と、住民向けの緊急研修会の開催や重点地区の設定・検証、そして県庁の体制強化のソフト面3点。知事自らが「狩猟免許をとる」と宣言したのは、最後の体制強化の一環。知事と職員による免許取得チームを設置し、「私が先頭に立って職員に取得を呼びかけたい」とし、令和8年度中の免許取得を目指す。クマのほかイノシシやシカなどの被害に対し捕獲・駆除の担い手となるハンターの高齢化は著しく、「減少の一途をたどっており、知事として非常な危機感を抱いている」。同様な危機感から免許取得に同調する複数の県議もいるという。「まずは散弾銃の免許をとって、いずれはライフルも。全国初の知事ハンターになって資格取得の機運も高められれば。(銃を構える際に使う)肩と胸の筋肉を鍛えたい」と語った。

(敷地内や通学路にクマ出没、教育現場混乱)
各地でクマによる人身被害が相次ぐなか、教育現場に影響が広がっている。クマが学校の敷地内や通学路に出没するケースも多く、児童生徒の安全確保のため、行事の中止や臨時休校を余儀なくされている。教育委員会は対応マニュアルの周知を図る。「クマが生活圏に近づいていて怖い。遭遇したら生死に関わる」。住宅にクマがとどまるなど周辺で目撃が相次ぐ秋田市立秋田東中は24日以降、通学路が重なる生徒の保護者に対し、送迎を要請している。車で息子を迎えに来た母親(36)は厳しい表情を見せた。岩手県滝沢市の県立盛岡農業高では25日、1500人ほどが訪れた文化祭の開催中に敷地内にクマが現れた。職員が安全な距離を保ちながら声を出して追い払ったものの、校内放送で「すぐに校舎、実習棟へ入ってください」と呼びかけ、夕方の生徒向けプログラムは延期した。保護者に生徒を車で迎えに来るよう依頼し、バスで帰宅する生徒は教員が誘導した。千葉章浩副校長は「生徒、来場者を守らなければならなかった」と振り返る。福島市立佐原小は28日、急きょオンライン授業に切り替えた。前日夕に校庭でクマが目撃され、全校児童14人の安全を確保するためだった。教員は別の学校へ出勤し、空き教室から授業を配信した。この先も同様の対応を取ることがあるといい、同校は「コロナ禍の経験が生きている。子どもたちを守りながら授業を進めたい」とする。山形県南陽市によると、29日早朝に市立赤湯小の来校者用玄関にクマが激突し、逃げ去る様子が防犯カメラに映っていた。この日、赤湯小と市立赤湯中は臨時休校とした。宮城県立仙台一高は900人ほどの生徒をはじめ、卒業生らも参加予定だった今月の「強歩大会」を取りやめた。35キロを踏破する60回目の記念大会だったが、コースでクマの目撃が相次いだため安全を考慮した。蘓武康明教頭は「思い出に残る行事なので生徒はショックだったろう」と言う。こうしたなか、秋田県は10月に入り、市町村や県立学校に登下校時のクマによる被害防止を求める文書を出した。保護者に付き添いを依頼したり、スクールバスは自宅前で乗降してもらったりすることの検討を求めている。撃退用スプレーを全小中学校などに計1550本配布した。クマよけの鈴は各地で在庫不足となっているが、栃木県矢板市は、登下校時につけてもらおうと、市内の全小学生約1200人に配布した。岩手県久慈市教育委員会は、関係機関と速やかな情報共有を図るため、対応マニュアルにクマが現れた日時、場所、体長などを連絡するよう示し、出没が多い時期、クマの習性もまとめた。学校教育課の糸坪伸宏主任指導主事は「緊急時に対応できるものが必要」と語る。秋田県男鹿市教委はマニュアルにクマの足跡の写真も掲載。「ゆっくり後ずさりして逃げる」といった遭遇時の対処法などについて、児童生徒への指導例も記載している。環境省によると、クマによる死者は30日現在、北海道と秋田、岩手、宮城、長野4県で計12人となり、過去最悪だった2023年度の2倍に上っている。岩手の5人が最も多く、秋田でも3人が亡くなった。12人のうち、半数以上は市街地や住宅敷地内などで襲われた。宮城県栗原市の山中でも10月3日に70歳代の女性が行方不明となり、同省はクマに襲われた可能性があるとしている。東北などでは今年クマの食料となるドングリなどが不作とみられている。今後も食べ物を求めて人里に出没する恐れがあり、同省が注意を呼びかけている。

(学校でクマの出没相次ぐ、文科省「対策マニュアル」通知へ)
29日、各地の学校でクマの出没が相次ぎました。高校の屋内練習場でもクマが出没。別の小学校でも目撃され、注意が呼びかけられています。野球部員が目の当たりにした驚きの光景。29日朝、山形市にある私立高校の野球部の室内練習場で撮影された映像です。数メートルの高さにクマがいる様子を捉えていました。ネットをつたい移動しているようにも見えます。午前11時すぎには、近くの小学校でもクマが目撃されていて、市は同一個体の可能性もあるとみて、注意を呼びかけています。29日は、各地の学校でクマの目撃が相次いだ1日となりました。山形県南陽市では日が昇る前の午前5時すぎ、小学校敷地内に1頭のクマが現れました。ガラスに近づくと、立ち上がる様子も確認できます。すると突如、クマが突進。この時、破片が散らばるのが確認できます。驚いたクマは、走り去っていきました。突進した先はガラスのドア。破片が広範囲に散らばり、その衝撃の大きさがうかがい知れます。赤湯小学校 須貝賢志教頭「校舎の中に潜んでいるのではと、非常に怖い思いをした」。この小学校は29日、臨時休校にしました。警察や猟友会などが周辺の警戒にあたっています。福井県勝山市では、道路が封鎖され、ハンターも出動しました。29日午前9時前、こども園近くに成獣のクマ2頭が出没したのです。こども園園長「フェンス1枚、2枚の間、低くなっているところから出てきてる」。こども園の園長は、敷地内でクマと“鉢合わせ”になったといいます。こども園園長「四つんばいで『ウオー』っていう感じ。飛びかかるような勢いで。柵があったので襲われはしなかった。うなり声をあげていたので、必死に逃げた。本当に怖かったです」。子供に被害が及ぶ恐れもありました。そこで、“ドローン部隊”が上空から捜索。「クマがいます。屋上から見えるっていう」。やぶの中にクマを見つけたようでした。そして正午すぎ、福井県では初めて緊急銃猟が実施されました。2頭のクマは駆除されたということです。なぜ学校にクマが頻繁に出没するのでしょうか。岩手大学の山内准教授は、学校は緑などが多く絶好の“隠れ場”と指摘しています。もし学校近くでクマを目撃した場合、現場を封鎖し、明るいうちに下校するのが大切だといいます。クマが目撃された西日本の山口市では、26日に小学校近くでクマが目撃されたことから、警察や地域の団体などが登下校の見守り活動を実施。外遊びが制限されるなど学校生活にも影響が出ています。良城小学校 宮崎康生校長「子供・保護者・地域の方々の不安はかなり大きいのでは。日常に早く戻りたい」。クマ被害が相次ぐなか、文部科学省は早ければ今月中にもクマへの対応策を『危機管理マニュアル』に盛り込むよう促す通知を出す方針を明らかにしました。クマが多く生息する地域で実践されている対策として、「学校のゴミ集積所に鍵をする」や「クマの足跡を見たらその場を離れる」といった事例とともに、対策や登下校時の留意点を示す予定です。

(クマ捕獲に報奨金、公務員ハンターも募集:秋田)
相次ぐクマ被害の防止に向け、秋田市は30日までに、クマを捕獲したハンターに1頭当たり1万円の報奨金を支給することなどを盛り込んだ緊急対策を発表した。現場に出動する猟友会員の報酬も現行の4千円から8千円に倍増させる。報奨金の支給は本年度限りで、狩猟期間の11月1日~来年2月15日までの捕獲が対象。個体数の減少を目的とし、全国のハンターにも協力を呼びかける。安定的な駆除のため、公務員としてハンターを募集・採用することも明らかにした。秋田市では市街地でクマの目撃が相次ぎ、今月27日には農作業中の女性(81)が襲われ、死亡する被害も出た。

(緊急銃猟マニュアル、県内6市町が作成済み:岩手)
クマによる人や物の被害が相次ぐ岩手県で、市街地に出没した際に自治体判断で発砲を可能とする緊急銃猟の実施体制が徐々に整ってきた。国が推奨する対応マニュアルは、岩手日報社の調べで6市町が作成済みで12市町が作成中とした。実施はゼロ。制度開始から間もなく2カ月を迎える中、各自治体は警察や猟友会との連携の在り方を模索し備えを急ぐ。 緊急銃猟制度は、改正鳥獣保護管理法に基づき9月1日に始まった。県内33市町村のうち、今月26日現在でマニュアル作成を終えたのは盛岡、釜石、二戸、八幡平、平泉、住田の6市町。作成中は大船渡、花巻、岩手、紫波など12市町。作成予定は滝沢、矢巾、田野畑など11市町村で、宮古、雫石など4市町村は検討中とした。国のガイドラインを参考に作った二戸市は9月1日に運用を開始。防護用の盾や撃退スプレーなどの備品整備を急ぎ、建物や人への損害に備えた保険加入は11月1日を予定しているが、緊急銃猟は可能な体制としている。市農林課の佐藤和貴鳥獣対策監は「状況を見ながら慎重に判断し、必要となった際はマニュアルに沿って円滑に運用できるよう猟友会や警察と連携したい」と万一に備える構えだ。

(猟友会への手当、クマ被害相次ぎ引き上げる動き)
クマによる人身被害が相次ぐ中、市町村がクマの捕獲にあたる猟友会に支払う手当の金額を引き上げる動きが広がっている。9月からは市街地での発砲を認める「緊急銃猟」制度も始まるなど、負担の増えるハンターの支援強化が狙いだが、自治体ごとに支給ルールや金額に差があり、ハンターからは一律化を求める声も上がっている。「捕獲できたのは本当に良かったと思う。ただ、今後も冬眠を前に体が大きくなったクマが人里に現れることも考えられるので、猟友会の負担も大きくなる」。今月、秋田県湯沢市で男性を襲った後に民家に6日間とどまったクマの捕獲にあたった雄勝猟友会事務局長の 鹿角かづの 良栄さん(75)は話す。猟友会に所属するハンターはクマによる人や農作物への被害が出た際に、猟銃やわなで捕獲を試みる。会員の大半は別に仕事を持ち、市町村の要請で出動する。活動に対する手当は、時給制や日当制、捕獲した頭数に応じて支払うなど、まちまちで金額も異なる。今年4月以降のクマによる人身被害は100人を超え、過去最悪ペースで発生。「緊急銃猟」も仙台市や富山市、札幌市などで計8件行われた。ただ、市街地での発砲には、高い射撃技術が求められる。危険も伴い、過去にはクマに反撃されたハンターが負傷する事故も起きている。こうした中、負担に見合った手当を支給すべきだとして金額を引き上げる動きが広がる。北海道美瑛町は国の交付金などを活用し、昨年度まで時給1500円、捕獲1頭につき報奨金2万円だった手当を、7月に時給4000円、1頭6万円とした。町の担当者は「ヒグマの駆除は危険を伴うが、エゾシカと6000円しか変わらず、見直しを議論してきた」と説明する。長野県飯山市でも市議会9月定例会に猟友会の出動時の日当を5700円から1万円に2倍近く引き上げる条例の改正案が提出され、可決された。市内でもクマによる人身被害が発生しており、活動時の危険性などを考慮したという。富山県射水市は今年度、1頭5万円の報奨金を新設。市内でのクマの捕獲実績はないが、市の担当者は「今やどこに出てもおかしくない。出没時に備えたかった」と話す。新潟県新発田市は緊急銃猟を行った場合、5000円の日当を8000円に増額することを決めた。緊急銃猟はより危険性が高いと判断したという。岩手県でも北上市や大船渡市など7市町で同様の対応を検討している。輸入品が多い銃弾や燃料費の高騰もハンターの負担になっており、長野県小布施町では年1回支給している1万6000円の弾丸代を、来年度以降、増額することを検討しているという。一方で、手当の引き上げに苦慮する自治体もある。市内4猟友会に有害鳥獣の駆除を委託している埼玉県秩父市。クマの出没増加に伴って委託料の値上げを求める声があるが、市の担当者は「増加するサル被害対策用の報奨金を廃止するなどしないと、財源確保は難しい」と打ち明ける。国は緊急銃猟制度では、猟友会に市町村域を超えて対応してもらうことを念頭に置いているが、同じ県内でも活動場所によって手当がバラバラなのが現状だ。報酬額が低すぎるとしてヒグマ駆除への協力要請を猟友会が辞退したことを受けて、昨年7月に金額を引き上げた北海道奈井江町のような例もある。大日本猟友会(東京)の佐々木洋平会長は「出動するハンターは等しく命を張っている。国の補助金などを活用し、せめて県単位では手当の金額を一律化してほしい」と話している。

(すでにクマ1000頭以上を駆除、猟友会の負担軽減へ:秋田)
秋田県内ではクマの人的被害が相次いでいて、28日までに2人が亡くなっているほか、53人がけがをしています。こうした中、負担が大きくなっているのが各市町村で駆除にあたる猟友会の会員です。鈴木知事は29日の県議会総括審査で、猟友会に対して捕獲した頭数に応じた慰労金の支給を検討していることを明らかにしました。県内ではクマの出没が相次ぐにつれ、駆除件数も増加しています。2025年度はすでに1000頭以上が駆除されていて、前年度の2.5倍に上っています。こうした中、負担が大きくなっているのが駆除に当たる猟友会の会員です。捕獲用のおりの設置や見回りに加え、捕獲したクマの運搬や解体などの作業が大幅に増えています。29日の県議会総括審査では、委員が猟友会の負担を減らすための施策についてただしました。自民・高橋豪委員:「2023年に秋田県でもクマ1頭当たり5000円の慰労金制度をつくって対応したケースがあったが、こうしたものも検討に値すると思うがどうか」。鈴木知事:「2023年に2000頭を超える駆除をして、そのときの猟友会の負担も大変だったということで慰労金の支給も行っている。今年度、それよりも楽だったということはありえないと思っている。同様のことを現時点で12月補正に向けて検討している」。鈴木知事はこのように述べ、猟友会への慰労金の支給を12月議会の補正予算案に盛り込む方針を示しました。また、国は狩猟免許や知識を持つ自治体職員「ガバメントハンター」などによる捕獲者の確保に取り組む方針を示していますが、鈴木知事は「現行の制度ではできない部分もある」とした上で、猟友会頼りになっていることについて言及しました。鈴木知事:「私人たる猟友会の方に、その立場において手伝ってもらって、あのような危険で責任の重い仕事をやってもらっている現状に無理があると認識している。国には本腰を入れた、今までと違う有害鳥獣に対する対応策を検討してもらいたい」。鈴木知事は28日、小泉防衛相に自衛隊の派遣を要望していて、協力してもらう期間や具体的な内容については「現在検討している」と述べるにとどめました。

(独自の『クマ出没緊急事態宣言』発令:宮城)
宮城・大崎市は、クマによる人的被害の危険性が高まっているとして、独自の『クマ出没緊急事態宣言』を発令しました。大崎市は、28日にクマ被害対策本部を設置し、『クマ出没緊急事態宣言』を発令しました。大崎市内では、2025年度合わせて50頭のクマが捕獲されています。10月4日には、鳴子温泉鬼首の民家敷地内で70代の女性がクマに襲われてけがをしたほか、25日には古川北宮沢の民家で飼い犬がクマに連れ去られました。大崎市 伊藤康志市長「みんなが身の安全を守る、被害の拡大を防ぐということを、地域全体で取り組んでいくことによって不測の事態を防いでいきたい」。大崎市は、市内のクマの目撃情報をSNSで発信し、紅葉の名所・鳴子峡周辺に多言語の標識を設置し、警備員を増員するということです。

(単独での屋外活動自粛、爆竹の配布検討:富山)
南砺市は28日、市役所でクマ被害防止を図る緊急対策会議を開いた。市側は女性がクマに襲われた周辺地域の住民を対象に、単独での屋外活動の自粛を呼び掛けることを提案した。クマが出没した場合、爆竹で追い払うことや、収穫されていない柿の木の伐採にも協力を求めた。26日に人身被害が発生した南砺市山本周辺の福光5地域の代表や南砺署、南砺消防署、猟友会関係者ら約30人が出席した。市側は地域づくり協議会長に「単独での屋外活動の自粛を考えてほしい」と求めた。地域への爆竹の配布を検討するとし、住民にクマ鈴やヘルメット、撃退スプレーの携行を周知するよう依頼した。市は11月3日まで、南砺署と消防団が連携してパトロールを強化し、被害現場付近にわなを設置する。福光中部小は31日まで、登校時は保護者が送り、下校時は保護者に渡す対応を取ることが報告された。福光中は出没情報がある地域の生徒は保護者が送り、下校時は保護者に引き渡す。市側はクマに腕や頭部をかまれた女性について「感染症の恐れから1週間程度入院し、様子を見る必要がある」と説明した。

(「ヒメリンゴ」の木にヒグマ、国道沿い40本伐採:北海道)
北海道が上ノ国町内全域に今年2回目の「ヒグマ注意報」を発出したことを受け、町や江差署が警戒を強めている。25、26の両日には勝山地区の国道沿いで街路樹のヒメリンゴを食べるクマの目撃が相次ぐなど、町内での10月のクマ目撃件数は30件を超える。町はヒメリンゴの木を伐採するなど対策に力を入れている。

(猟銃使わず電気でヒグマ駆除、自治体職員ら学ぶ:北海道)
箱わなで捕獲したヒグマを猟銃を使わずに電気で駆除するセミナーが新十津川町内で初めて開かれた。空知管内の自治体のほか、根室市や名寄市、後志管内赤井川村などの自治体職員ら約30人が参加し、電気による駆除の有効性を学んだ。

(「クマによる被害増加」 イギリス政府が日本渡航者に注意喚起)
日本各地でクマによる被害が相次いでいることを受け、イギリス政府は日本を訪れる人に対し、注意を呼びかけました。イギリス政府は、ホームページの日本に関する安全情報ページで「クマの目撃や被害が山岳地帯や森林地帯に加え、人口密集地の近くでも増加している」と指摘し、注意を呼びかけました。そのうえで、旅行をする場合は、クマが目撃されている地域では一人で出歩くことを避け、食べ残しを含むごみはすべて持ち帰るなど予防策を取ったうえで、地元の注意や警告に従うよう求めています。今年度、日本国内でクマに襲われて死亡した人は12人に上り、過去最多となっています。

(シカ衝突事故最多ペース:北海道)
室蘭署管内(室蘭市、登別市)で今年、車とエゾシカの衝突事故が過去6年間で最多のペースで発生している。1~9月は計78件で、昨年同時期の69件を上回り最多を更新した。シカが繁殖期を迎えて行動が活発になる9~11月は例年事故が多発するため、同署が注意を呼びかけている。

(クマの対策事業で専門家派遣:福島)
県内でもけが人の数は過去最悪、目撃件数も過去最多を更新し続けるクマ。被害を食い止めようと、県が市町村に野生動物の専門家を派遣する事業が始まりました。専門家が派遣された福島市の上志田地区では、2025年のクマの目撃件数が40件を超え、市内全体の1割以上を占めています。住民たちはクマを追い払う花火の打ち方を教わった他、集落にクマを引き寄せるカキやクリの木で伐採が必要かどうかを確認してもらいました。伐採が必要な木は所有者の許可が得られれば今後伐採されます。上志田地区の町内会長は「ここ伐採した方がいいよとか、あとごみ集積所とか。そういう対策をこれから町内会でも取り組んでいきたいなと思った。」と話していました。県はクマの目撃や被害が多い場所を優先して、専門家を派遣することにしています。

(ツキノワグマ出没時の対応訓練を実施、警察・猟友会・行政が連携:岐阜)
クマの目撃情報が相次いでいる岐阜県白川村ではクマが出没した時の対応訓練が、きのう夜行われました。訓練には、高山警察署や白川村の猟友会、役場職員計24人が参加し、「クマ1頭が家の周りを徘徊している」と住民から通報があったという想定で行われました。訓練では警察官が猟友会の会員に猟銃を使用しての駆除を命じる手順の確認や、住民を避難させてクマを駆除する緊急銃猟の訓練をしました。訓練後、猟友会からは夜間の発砲には、「明るさ」が必要などの意見が出ていました。白川村では今月5日スペインから訪れた観光客がクマに襲われけがをしていて、訓練は目撃情報が相次いでいることから初めて行われました。

(「緊急銃猟」、猟友会員から不安の声「何かあったとき保証は」:長野)
里へのクマの出没が相次ぐ中、長野県は緊急銃猟制度のマニュアルを作り、10月中に市町村に周知する方針です。人里に出没するクマにどう対応していくか。県庁では10月28日、自治体の職員やクマの生態に詳しい専門家などが集まり、2025年9月から始まった「緊急銃猟制度」について協議しました。緊急銃猟制度は、クマなどが住宅街などに出没し、条件を満たした場合、市町村の判断で銃を使用した捕獲が可能となるもので、これまでに宮城県や秋田県など全国7カ所で実施されました。県内ではまだありませんが、人里へのクマの出没は相次いでいて、実施できる態勢を整える必要があります。ただ、参加した猟友会員からは、実施への不安の声が聞かれました。県猟友会・佐藤繁さん:「猟友会の会員の立場ですとか、何かあったときに保証してもらえるのか。県として整理して市町村に周知していただきたい。そこが不安なままだと、猟友会もどこまでお手伝いしていいのかわからない」。県は、国のガイドラインをもとに対応基準や連絡体制、現場でのチェックリストなどを盛り込んだ「マニュアル」を作り10月中に市町村に周知する方針です。県森林づくり推進課・福沢豪さん:「現場に臨場した市町村の担当者の判断だけでは不安という意見が非常に多くあることから、市町村、警察、地域振興局の3者が協議して最も最適な手段を選択する」。

(「緊急銃猟」住宅地のクマに備え初訓練:宮城)
クマが住宅の近くに出没した場合に、猟銃の使用を認める「緊急銃猟」の訓練が宮城県大和町で行われました。宮城県「住宅が立ち並ぶエリアの中に、クマが出たという想定で訓練が行われています」。訓練には自治体や警察、猟友会などが参加し、住宅地にクマが現れた場合に備えて連携を確認しました。これまで毎年行われてきた訓練ですが、今年は初めて「緊急銃猟」の運用を想定して実施されました。「緊急銃猟」はクマによって住民に危険が及ぶ恐れが差し迫っている場合などに、市町村長の判断で発砲を許可する制度です。9月から運用が始まり、10月15日には全国で初めて太白区で適用され、住宅地にとどまっていたクマ1頭が駆除されました。県自然保護課 砂金義徳課長「実際に対応が必要になった場合には、適切にかつ迅速な対応を確認してほしい」。県は各市町村で、クマの出没を想定した訓練の実施を検討しています。

(市街地への“クマ出没”対応訓練、「緊急銃猟」手順を確認:福井)
全国的にクマによる人的被害が過去最多のペースで増え続けています。福井県内でも連日、市街地など人里でクマの出没が絶えない中、28日は市街地での対応訓練が行われました。28日、南越前町の日野川河川敷で行われたクマの出没対応訓練には、県や市町の担当者、警察署の職員に加え、猟友会のメンバーなど約90人が参加しました。県が企画したこの訓練は、9月末に続き2回目で、近くに小中学校や道の駅などがあるこのエリアで、道路で車と衝突したクマが河川敷の茂みに潜んでいるという想定で行われました。周辺住民の避難を終えていることを確認した想定で、町の職員が警察や猟友会に伝達し緊急銃猟の判断を下す一連の流れを確認しました。クマの駆除については、9月から鳥獣保護管理法の改正に伴い「緊急銃猟制度」が始まりました。これにより、市街地にクマが出没した場合には、緊急性や安全性を満たせば市町の判断でハンターに発砲を命じることが可能になりました。一方、猟友会のメンバーは市街地でのクマの駆除について「住民の安全が最優先だけど、危険と隣り合わせ」と、不安を口にします。市街地で増えるクマの出没。危険が伴うハンター業務や責任について運用に向けた課題の整理が求められています。

(クマ捕獲頭数が『42倍』、環境省に猟友会の委託や放置果樹の撤去費用などの支援求める:青森)
クマの目撃が過去最多を更新し続けているむつ市です。山本市長は猟友会の支援や、緊急銃猟の準備にかかる費用などの支援を国に要望しました。むつ市ではクマの目撃件数が今月14日現在で890件と、去年のおよそ11倍に増加。捕獲頭数については、去年は4頭でしたが、ことしは168頭と急増し、食害やけが人も出ています。こうしたなか、むつ市の山本市長は東京の環境省に堀上勝自然環境局長を訪ね、クマの対策にかかる費用への支援を要望しました。要望したのは、出動回数が増えた猟友会の委託にかかる費用や、クリやカキなど放置された果樹の撤去にかかる費用などの支援です。また緊急銃猟については、職員どうしの通信に必要な無線機の調達などに費用がかかるとして、支援を要望しました。むつ市 山本知也市長「法律が変わったことに対する備品の整備を自治体は担っていますので、そういったところにご支援いただければありがたい 経済対策をやっていただければありがたいなと」。堀上局長は「いますべき対策と中長期的な対策を一緒に考えていきましょう」と答えていたということです。

(なぜ今年はクマが多いのか、異常事態への対策は?:北海道)
札幌市内で相次ぐクマの出没。人とクマの距離が狭まるなか、地域の安全をどう守るのか。現場から見えてきた出没の原因と必要な対策は。2021年、札幌の街中にクマが出没しハンターにより駆除されました。「今クマが走り出しました。今銃を撃ちました」あれから4年。クマは息をひそめるどころかさらに出没を繰り返しています。公園に居座り何かを食べるクマ。車が行き交うなか、道路をいったりきたりするクマも。人の生活圏での出没が相次ぐ札幌市内。北海道猟友会札幌支部ヒグマ防除隊隊長・玉木康雄さん「異常だと思います」。先月には男性がクマに襲われる人身被害も発生しています。さらに。道内初となる緊急銃猟による駆除も。異常事態に揺れる札幌。なぜ出没が相次いでいるのか。今後求められる対策とは。今月24日、札幌市西区の住宅街に鳴り響いた銃声。西野西公園に子グマ2頭が出没し、道内初となる警察官ではなく市町村の判断で発砲を行う緊急銃猟による駆除が行われました。その前日、すぐ近くの西野すみれ公園に居座り何かを食べる子グマがいました。駆除されたクマと同一個体とみられています。およそ200万人が暮らす大都市札幌。しかし、札幌の面積の6割は豊かな森林です。その森林に暮らす多くのクマが人間の領域に迫ってきています。札幌市に寄せられているクマの出没情報は今月だけで120件を超えています。これは例年に比べるとおよそ5倍。記録が残る過去10年間の出没数では最多となっています。最前線でクマと向き合う札幌のハンターも出没が相次ぐ今の状況は「異常事態」だと話します。北海道猟友会札幌支部ヒグマ防除隊隊長・玉木康雄さん「こういった業務の最前線にいる私たちでさえここまでの状況は正直いって予想していなかったです。体感的にいえば(去年の)3倍ですね。山の中にいてこそヒグマとしての生態系を守ってくれていると思うが、山の中から人が住む領域に足を踏みこんでしまったら、生態系のバランスを自ら壊してしまっている状況」。公園や住宅街など人々の生活圏での出没が相次ぐ札幌市内。その要因として考えられているのが北海道猟友会札幌支部ヒグマ防除隊隊長・玉木康雄さん「たくさん増えてしまったクマたちが今年まったく山に木の実がないという状態に遭遇している」。クマの主要な食べ物であるドングリの凶作。豊作だった去年との落差が今回の事態を招いているといいます。さらに北海道猟友会札幌支部ヒグマ防除隊隊長・玉木康雄さん「一気にクマの個体数が増えてしまった。ハンターが減少してきていることもあって猟圧がかからなくなってきた」クマの数の増加にハンターの駆除が追いつかなくなっていることも影響しているといます。規制線が張られ立ち入ることができなくなっている西区の平和丘陵公園。ここでは先月26日、犬の散歩中だった43歳の男性がクマに襲われました。ヒグマの生態に詳しい研究者の間野勉さんはクマが食べ物を探して行動範囲を広げて活動した結果、今回の被害に至ったといいます。道総研フェロー・間野勉さん「昨年までのような通常に食べ物が得られる年には、人目につかずあまり人に気づかれずに暮らすことができていた。ただ何年かに一回、こういう食物不足の年が来るとそのときにどうしても食べ物を求めて活動範囲を広げてしまう」。クマの行動範囲はさらに広がっています。今月8日、札幌市西区の住宅の敷地内に残されていたクマの足跡。ここからおよそ50メートルの場所では、1メートルほどのクマが道路を横断するのが目撃されています。道総研フェロー・間野勉さん「これですね。市街地に進入した後さらに道路を渡ってさらにこの道路を渡って、北側に市街地が広がっていて、この奥の方まで侵入を試みたんだと思います。ここまで入ってきているということは、そこまでかけて食べ物を探している。それだけクマにとっては深刻な状況なんだなと想像できます」。食べ物を求め森林から市街地に侵入してくるクマ。必要なのは「クマを侵入させない対策」です。そのひとつが、侵入の多い部分を電気柵で塞ぐ対応。また、クマの侵入経路にならないように川沿いのしげみなどの一部を刈り取り見通しを良くすることも有効です。道総研フェロー・間野勉さん「最大の問題はゴミステーションにあります」。注目したのはゴミステーション。道南の知内町では連日、クマが住宅街のゴミステーションを荒らす被害が出ています。道総研フェロー・間野勉さん「人間の出す残飯はクマにとって大ごちそう。林縁の地域のゴミステーションをクマに壊されないような構造にしてゴミを管理する」。さらに、自治体の役割については計画的に駆除を行いクマの個体数をコントロールする必要があると指摘します。道総研フェロー・間野勉さん「あまりにも人間の生活圏に近いところに多数のクマが定着して暮らしているという状況。これを計画的に一定の範囲からはクマを減らしていくとできるだけ食物が不足したような年にもたくさんのクマが街に侵入してくるような条件をなくしていく。今年中にはできないが計画的に進めていく」。

(叫ぶ、戦う、背中を向けて逃げるは全部NG:群馬)
2025年の秋に入って、日本各地でクマに人が襲われる被害が相次いでいます。山間部だけでなく、人家の近くでの目撃情報も増えています。では、実際にクマと遭遇したらどうすればいいのでしょうか? 今回は、群馬県公式YouTubeチャンネル「tsulunos 群馬県公式 」で2024年5月23日に公開された動画を元に、市街地でクマと出くわしたときの対処法を紹介します。動画は、群馬県環境森林部自然環境課が製作したもので、市街地でツキノワグマに出会った際の対処法を紹介していました。最初に、人の生活圏でクマと出会ってしまったときに心がけとして・おだやかでいること、・立ち去ること、の2つが大切だと説明します。クマがいるはずない市街地での遭遇は誰しも慌ててしまうかもしれません。しかし、パニックになって大声を上げてしまうと、クマも興奮して襲いかかってくる危険性が高くなるとのことです。クマと遭遇した際は、まず気持ちを落ち着けて、次の行動に移ることが重要としています。動画では逃げる際の注意点も解説しています。クマから逃げる際は「背中を向けず後ずさり」で距離を離すのが正解とのことです。クマは逃げる者を追いかける習性があり、クマが見えない状態で離れるのも危険と説明しています。また、クマは突進してくる可能性もあるため、クマと自分の間に障害物がある状態を維持するのも大切とのことでした。市町村や警察への連絡は、建物などに逃げ込み、自身の安全が確保できてからでよいと、動画では呼びかけています。クマと遭遇した際の対処は「逃げ」の一択とのこと。クマの攻撃を防御するのは、クマが近づいてきた場合や至近距離で突然出会ってしまった場合の最終手段であると動画は説明しています。クマは一撃を加えたあとに逃げることもあるため、最初の一撃を防ぐことが重要だそうです。クマから身を守る体勢は「首の後ろに両手を回し、うつ伏せになる」こと。この姿勢は、首、顔、腹部などの体の柔らかい部分を守ることができ、リュックなどを背負っている場合はプロテクターにもなるとのことです。クマにひっくり返されても諦めずに体勢を維持することが大切と説明しています。東京2025年に入って、住宅地周辺での出没が相次ぐクマ。万が一遭遇した際は、決して慌てずに対処して命を守りましょう。

(「クマとの共存」は可能か:石田雅彦)
クマの被害が拡大・深刻化する中、ヒトを獲物として認識するクマの存在が脅威となっている。ヒトとクマの共存は可能なのか。欧米の研究から考える。ヒトも地球の生態系を構成する一部である以上、野生生物と関係せざるを得ない。ヒトの祖先は古くから野生生物と資源や生息環境をめぐって競合関係にあり、ヒトに脅威となる肉食獣などを駆除しつつ、有益な生物を家畜化してきた。つまり、ヒトと野生生物は衝突と共存という二面性のある関係にあり、ヒトの変化に応じて関係性も変わらざるを得ない。世界的に21世紀に入る頃からヒトの社会は大きく変化し、気候変動などの影響を受けつつ、日本でも人口減少、過疎化、農業の衰退などが起き、例えばヒトとクマの関係も変わっている。こうした変化によりクマの生態も影響を受け、ヒトとクマとの軋轢や衝突が増え、クマがヒトを餌として認識しているとしか思えない行動も増えてきた。こうした現象は日本だけでなく、世界的に共通で各国で多くの研究が行われている。米国のある研究者は、ヒトと野生生物との相互作用を避けがたい現象とし、その関係は進化学、生態学、心理学、社会経済学、政策学などの多面的な学問的要素を総合的にまとめた「アンソロセロジー(Anthrotherology)」としてとらえるべきと主張している(※1)。そして、ヒトと野生生物との衝突を契機とし、両者の関係性を再構築するチャンスとするべきではないかと述べている。現状の被害状況をみると、これは楽観的・理想的に過ぎるアカデミアからの意見として受け取られるかもしれない。だが、ヒトの影響でクマの生態が変化し、それによってヒトへの被害が増えているのだとすれば、クマの絶対数を減らすだけで問題が解決するわけでないことは自明だろう。例えば、クマがヒトの居住地域に入り込んでくる背景には、クマの生態的な進化が影響している可能性がある。過疎化したと言ってもクマの生息域には道路が通り車が通り、ヒトの影響が入り込んでくる。これらは一種の淘汰圧となって昼夜行動、学習能力、行動などに変化をおよぼし、従来からの生息域からヒトの居住地域へ選択を変えたり広げたりする。ヒトの存在がクマの生態的進化に対する圧力になっているというわけだ(※2)。前述したアンソロセロジーの視点からみれば、クマの側からすればヒトの居住地域での衝突は共存するための生態進化のプロセスととらえることができる。つまり、ヒトの居住地域は、すでにクマの生息域を含んだ共有地になってしまっている。こうした生態進化のプロセスは、過疎化という人間社会の変化とも連動する。一方、過疎化による人口減少や農村の荒廃といった環境変化も野生生物の生態に影響をおよぼす。例えば、南米のアンデス地域でも農村の人口減少が進んでおり、肉食獣のプーマが生息域を広げ、ヒトと衝突することが起きている。実際にプーマによって家畜への被害が出ているわけだが、それだけではなく人口減少による抑止力の減衰が、残されたヒトを心理的な恐怖に陥れ、リスクに対する認識が変化することがわかっている(※3)。農業資源を守るための労働力の減少、伝統的な林業や農業の知識の喪失、行政からの支援の不足と不信感などが連鎖的に影響し、ヒトと野生生物との衝突リスクを高めているというわけだ。クマによる被害が深刻になってきているのは、東ヨーロッパや北欧諸国などでも同じだ。ブルガリアの研究グループが発表した研究によれば、同国の山岳地域で特に農業人口減少と過疎化が進み、クマによる被害が増えており、ヒトが少なくなっているのにクマとの衝突が増えるジレンマについて分析している(※4)。背景として、EUによるクマの狩猟規制があり、クマの生息域が拡大したことがある。日本でもしばらくの間、ヒグマに対しては個体数回復を目的に保護が行われていた期間があった。過疎化が進めば自然と生態系が回復し、ヒトも減るので衝突のリスクも低くなるはずだ。しかし、そうはなっていない。ブルガリアの場合、実際はクマの個体数は減少傾向にあるが、過疎地域の住民はクマの脅威が増大したという印象を持ち、現実(個体数減少)と認知の間に乖離があったという。ブルガリアでもヒトを襲う習性を持った問題個体への対処として駆除・捕殺することが行われている。だが、EUの狩猟規制を背景に中央行政から特別な許可を受けなければならず、その過程が非常に煩雑で許可がおりるまで時間がかかり、地域の被害実態にそぐわない状態が続いているという。こうした事情から虚偽の捕殺申請が相次ぎ、行政と住民との間に不信感が醸成された。自然保護団体などとの間でも敵対的な意見が多くなり、実際の被害よりも過大な認知的不協和が生み出され、結果的に個体数保全などの実効性が失われることにつながると同研究グループは言う。日本のクマ問題でも、自治体の要請や地域住民の被害感情と中央政府の対応には乖離が生じている。EU圏の厳格な規制とは異なり、日本では狩猟規制が緩やかだが、狩猟人口の減少、自治体や警察のマンパワー不足などから迅速な対応がとりきれていないケースもある。過疎化が進めばヒトによる抑止力も減り、その地域に残された住民は行政の保護を受けにくくなり、不安をおぼえ、孤立する危険性が高まる。ブルガリアの研究グループは、中程度にヒトの活動が残る地域、例えば集落と耕作地、自然植生が混在するエリアでクマによる被害が集中しているとする。つまり、人口が減少すれば衝突リスクを下げるわけでない。むしろ、野生生物の再侵入で衝突が増える地域もある。こうした問題に対しては、野生生物との共存と衝突リスクの軽減、駆除・捕殺、啓発・周知・教育などに関し、自治体や地域が柔軟に対応したり裁量をもって判断できるような予算措置や体制整備が必要だろう。今すぐにでも可能なのは、誘因源(生ゴミ・果樹)の管理、被害検証の厳格化、番犬・電柵等の非致死的対策、必要時の法に基づく迅速な個体対応、そして特に地域の狩猟圧力を維持するための対策だ。冬眠しない個体も出る危険性があるが、冬眠の時期に入るとクマによる被害は少なくなる。そうなれば、ニュースに載ることもなくなり、油断しているとまた来年、同じことが繰り返されるだろう。今後も持続的な対策が不可欠なのは間違いない。

(柿の木がクマを呼ぶ?人里での被害を減らすために今できること:青髪のテツ)
秋になると、全国各地でクマの出没情報が増える季節を迎えます。特に近年は、人里や住宅地のすぐ近くでクマが目撃されるケースが相次ぎ、地域によっては農作物被害や人身事故も報告されています。その背景のひとつとして注目されているのが、「放置された柿の木」です。八百屋として、秋の味覚でもある柿が原因でクマ被害につながることはとても悲しいこと。だからこそ、正しい知識と行動をとることが大切です。秋はクマが冬眠に備えて栄養を蓄える「採食期」です。今年のようにブナやドングリなどの堅果類が不作の年には、クマは山から人里近くに下り、別の食料源を探すようになります。そのとき、住宅地や畑の片隅にある「柿の木」が目に留まります。熟した柿は糖度が高く、カロリーの高い果実。クマにとって効率のよいエネルギー源です。また、放置された柿の木は人目につきにくい場所にあることも多く、登りやすく、実を得やすいという特徴があります。一度そこで採食に成功したクマは「この場所に行けば食べ物がある」と学習し、何度も同じ場所に現れるケースが報告されています。このように、人里の柿の木は偶然のごちそうではなく、学習によって繰り返し訪れる「餌場」になってしまうのです。環境省や各自治体の報告によると、クマの出没要因は「ドングリの不作」「果樹や生ゴミの放置」「人里の過疎化」など、複数の要素が重なって発生します。その中でも、柿や栗などの果樹は、もっとも身近で対策しやすい誘引物として位置づけられています。山形県や兵庫県など、多くの自治体が「放置された柿の実を必ず収穫・処理するように」と呼びかけています。また、農林水産研究機関の調査では、住宅地近くの柿の木から実を取り除くと、翌年以降のクマ出没が減少したという報告もあります。① 収穫・処理の徹底①熟した実は落ちる前に必ず収穫を 手の届かない場所の実も、脚立や高枝切りばさみを使ってできる限り取り除きましょう。落ちた実をそのまま放置すると、夜間にクマがやってくる可能性が高まります。② 管理が難しい場合は伐採も選択肢 「もったいない」と残しておくことで、人や地域を危険にさらすこともあるため、早めの対策が必須となります。③ 生ゴミ・果樹残渣の管理 柿の皮やヘタ、生ゴミを屋外に放置するのも厳禁蓋付きのコンポストや集積所で適切に処理し、匂いが広がらないようにしましょう。④ 地域全体での協力個人の努力だけでは限界があります。 「うちの柿は取ったけど、隣の家が放置している」では効果が半減します。声かけをするなど、地域全体で柿の実回収を進めるのも有効です。柿は本来、人にとっても栄養豊富で、秋を代表する大切な果物です。だからこそ、「柿が悪い」のではなく、「管理されない柿がリスクになる」ことを知ってほしいと思います。人里にクマが降りてくる背景には、山の環境変化や人の暮らし方の変化があります。柿の木の管理は、私たちにできる最も身近なクマ対策のひとつ。収穫を徹底し、実を無駄にせず、美味しくいただくことが、結果的に人と自然の共存につながります。秋の熊被害を防ぐ鍵は、「誘引物を徹底的に減らすこと」。特に柿などの果樹の放置は、クマを人里に呼び寄せるリスクを高めます。地域全体で柿の木の管理を見直し、自然との距離を適切に保つこと。それが地域の安全につながります。

(「狂暴化しているわけではない」専門家がみるクマ被害:福井)
全国的では、過去最多のペースに上るクマによる被害。福井県内でも29日だけで、勝山市、大野市や福井市など各地で続々と目撃情報が寄せられています。どう警戒すべきか、今年の特徴や傾向について専門家に聞きました。県によりますと、今年4月からの福井県内のクマ出没件数は549件。(10月26日現在)例年に比べて特別に多くはないものの、10月に入り奥越で急増しています。県自然環境課の西垣正男さんは「去年と同じ時期と比べて、奥越は2倍くらいの出没件数」と話します。今年は、クマの餌となる山でのドングリの生育が悪く、エサを求めてマが人里へ下りてきていると話します。西垣さんは、クマが人里近く、集落に近接する山に住むようになっているとしたうえで「県内どこにでもクマがいる状況」だと分析。その原因は、平野部と山間部の間、中山間地の人口が減り、人の手が入らなくなっているためです。カキやクリの実が収穫されずにクマの餌となり、田畑は荒れて藪と化し、クマの隠れる場所が増えているのです。「山の奥にいたクマが、人の暮らしに近いところに生息域を拡大している。これからも市街地への出没は増えることを前提に対策が必要」(西垣さん)。全国的に、市街地での目撃や人が襲われる被害が増えています。岩手県では10月に、温泉旅館の従業員がクマに襲われ死亡。秋田県でも10月に入り1人が死亡、35人がけがをするなど、全国でクマによる人身被害が過去最多となっています。クマは凶暴化しているのでしょうか。クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹教授は、ある変化を指摘します。「クマが凶暴化していることはない。行動が変化している。ほとんどの事故は出会い頭や市街地に出没したクマがパニックに陥って生じた事故で、人慣れした個体が増えて被害が発生しやすくなっている」(大井教授)。ここ数年、人里に定着し人慣れしたクマが増加しているのです。福井県内でもクマが人を襲う可能性はあるのかについて大井教授は「東北で起きているクマの分布拡大は、福井でも起きている。東北で起きている事が北陸でも起きる可能性はある」とします。人が住む市街地に出てきたクマを駆除するため、9月に導入された緊急銃猟。南越前町では28日に訓練が実施され、ハンターからは様々な声が上がりました。「実際には起きてほしくない」「実際、至近距離でクマの対応をするのは怖い。捕獲する者も危険が大きくなると思うので、いろいろ考えていかなければ」「危険な動物だから…いい法律ができた。民家や学校など施設が多いところでは慎重に判断して進めなければ事故になる」。29日には勝山市で県内初の緊急銃猟が行われ、こども園近くの藪に潜んでいた親子クマ2頭が駆除されました。導入間もない緊急銃猟は、いま手探りの状況が続いています。大井教授は、被害を防ぐには長期的な施策が欠かせないとします。「行政、市民一体となって、クマと人間のすみわけとなる対策を進める必要がある」。県ではウェブサイトでクマの出没情報を提供しています。山に出かけるときには、どこにでもクマがいるという意識をもって鈴を携帯するなどの対応を取りましょう。

(「人を食べるクマ」を山から街に追い出している“意外な動物”の正体とは?:窪田順生)
秋田で自衛隊派遣も検討されるなど、過去最悪ペースで増加する「クマ被害」。人間を恐れず人里を襲う「アーバンベア」の恐怖が日本中を覆っています。なぜクマはこれほど凶暴化し、被害が増え続けるのか?「クマは全て駆除すべき」という議論が高まる中、「本当の原因は別にある」と筆者は指摘します。クマを人里に追いやっている“ある動物”の存在とは。犠牲者を減らす、驚きの解決策に迫ります。いよいよ「怪獣退治」のようなムードになってきた。秋田県内でのクマによる人身被害が50人を超えたことを受けて、鈴木健太県知事が自衛隊派遣を要請したところ、小泉進次郎防衛大臣が派遣の方向で調整をしているというのだ。要請内容としては、主にワナの設置や見回りなどの「後方支援」。「そりゃそうだろ、自衛隊の仕事はあくまで国防であって、クマの駆除なんてやらせたら気の毒だ」という人もいるだろうが、過去には自衛隊が実際にクマと「対決」した記録もある。1962年、北海道の標津町内の集落が深刻なクマ被害に見舞われた際、やはり派遣要請があり陸上自衛隊の第5師団27名の隊員が現地に向かった。パトロール中などでヒグマに遭遇した場合、発砲してよいという許可があったという。1971年、北海道芽室町で自衛隊の航空機が遭難して捜索をしていた際に、ヒグマと遭遇した自衛隊が小銃によって射殺している。ということは、今回も住民の警護やワナの設置をしている際に、陸上自衛隊とクマが「交戦」する可能性もゼロではないということだ。このような前例ができれば他自治体からの要請も増えるし、法整備も進んでいく。「人間vsクマ」の戦いは、ここにきて新たなステージに入ったのである。そう聞くと「だったら自衛隊の装備や組織力を使って、殺すのではなく捕獲して山に返してやればいいだろ」という心優しい方もいらっしゃるだろう。小さな子グマと母グマが連れ添っている映像とともに「猟友会によって駆除されました」というニュースが流れるのを聞いて、心が痛まない人はいないはずだ。しかし、犠牲者をこれ以上出さないためには「駆除」はやむを得ない。今、全国で人身被害をもたらしているクマというのは、本来の生息地である山から下りてきて市街地周辺に生息し、住宅街などに繰り返し出没する、いわゆる「アーバンベア」と呼ばれる新しい時代のクマだからだ。アーバンベアの特徴は人間を恐れることもなく、人間の気配を警戒することもなく、自ら人間と距離をつめて、襲いかかる点にある。わかりやすいのは今年7月、北海道福島町で新聞配達をしていた52歳の男性を襲ったヒグマだ。これは典型的なアーバンベアで、実は襲撃の4日前からこの男性の前に頻繁にあらわれていた。男性は母親に「ナイフを持っていった方がいいかな?」と不安を口にしていたという。町役場から700メートルのところで、発見された男性の遺体は全身に爪痕、腹部を中心に噛まれていた(7月21日 UHB)。つまり、人間を恐れて警戒するどころか、人間を「獲物」として狙いを定めていた可能性が高いのだ。なぜそのように推測されるのかというと、実はこのクマ、4年前にも人を殺しているからだ。2021年7月、福島町内で農作業中だった77歳の女性がクマに襲われて亡くなっているのだが、現場に残った体毛のDNA分析から同じクマだと判明したのである。これがアーバンベアの恐ろしさだ。市街地周辺で生息しながら、人間を恐れるどころか、「動きがのろくて、狩りやすい標的」と認識してしまっている。だから発見次第、「駆除」をしなくてはいけないのだ。「それは極端な例だろ」というクマ擁護派の方もいらっしゃるだろうが、被害数を見ると、アーバンベアが増えているというのは紛れもない事実のようだ。「朝日新聞」(10月26日)が集計したところ、今年4月から10月22日までにクマにより死傷した172人の中で、なんと66%に達する114人が市街地などの人里で被害にあっていた。全体の死傷者数も、過去最多ペースで増え続けているという。実際に、各地でアーバンベアによる凶行としか思えない凄惨な事件が続いている。宮城県大崎市では庭先でリードに繋がれていた体長50センチの柴犬がクマに襲われた。クマは柴犬をくわえて近くの森に消えた。岩手県一関市厳美町では、自宅の庭で67歳の男性が死んでいた。引っかかれ噛みつかれた跡があったのでクマに襲われたのではないかと見られている。すぐそばでは、飼い犬も殺されていた。秋田市雄和萱ヶ沢でもクマの目撃情報があった後、田んぼ近くの側溝でかなり損傷の激しい女性の遺体が見つかった。このような形で人間を恐れず、人間に自ら襲いかかるようなアーバンベアを捕獲して山に返したところで、しばらくしたら市街地に舞い戻り、また同じ凶行を繰り返すだけである。一度でも「人間の味」を知ってしまったクマが繰り返し人を襲うように、「人間密集地帯の味」を知ってしまったクマは、市街地から離れられず繰り返し犬や人間を襲い続けてしまうものなのだ。アーバンベア対策には残念ながら「駆除」という選択肢しかないということがわかっていただけたと思うが、これはあくまで「対症療法」に過ぎない。これ以上、被害を広げないためにも「原因療法」に取り組む必要がある。つまり、山の中に生息しているクマに人里に近づかせない、アーバンベア化しないような対策を講じていくのだ。では、どうするか。自治体によっては人里とクマの生息地に緩衝地帯をもうける「ゾーニング」を進めたり、オオカミ型のロボットが眼を赤く光らせて、鳴き声で威嚇をする「モンスターウルフ」の導入を進めたりしている。しかし、個人的には国をあげて「シカの駆除」に力を投じるべきだと思っている。なぜかというと、クマが人里に下りてくるようになった要因のひとつは、シカの「爆増」にあるからだ。よく言われるが、山で人間を襲ったり、人里まで下りたりしてくるクマはわりと小さい。あまりいいものを食べていないのだ。わかりやすいのは少し前、岩手県岩上市の温泉旅館の露天風呂を清掃していた60歳の男性を襲って殺害したツキノワグマだ。男性の遺体近くで駆除されたこの個体は、冬眠直前にもかかわらず、かなり痩せていたという。猟友会の会長がメディアに答えたところでは、この時期の一般的な成獣の場合、身体には5センチくらい脂肪がついているものだが、それが全くなかったという。では、なぜこんなに激痩せしているのかというと、冬眠前の栄養としてクマがたらふく食べる木の実が、シカによって日本の山から急速に消えているからだ。林野庁の「森林におけるシカ被害の現状と対策」によれば、ニホンジカは本州だけでも246万頭(令和4年末)もいる。北海道のエゾジカも急増して73万頭(令和5年度)となっているので、合わせると軽く300万頭を超える「シカ天国」となっている。「奈良のシカもかわいいし、たくさんいるのはいいことじゃん」と動物愛護の方は思うだろうが、実はこの300万頭が、日本の美しい自然を文字通り「侵食」している。《生鳥獣による森林被害面積は、近年、全国で約5000ha、このうちシカ被害が約7割前後で推移》(同上)。《植栽木への食害、樹皮剥ぎ、下層植生の衰退などがあり、被害が深刻な地域では裸地化し、表面浸食が発生》(同上)。わかりやすく言えば、300万頭のシカたちが樹木を枯らして背の低いササやシダを消滅させ、土壌を壊すことで、いたるところにハゲ山をつくっているというのだ。なぜあんな可愛らしい動物が、そんなエグい自然破壊をするのかというと、「なんでも食う」からだ。《イネ科草本からササ類、広葉草本、樹木の葉、堅果類(どんぐり)まで1000種類以上の植物を採食》(同上)。さて、ここまで言えばもうお分かりだろう。冬眠前のクマが痩せこけて、露天風呂にいた人間を襲うようになったのも、人里に下りてきてエサになりそうなものがないかと徘徊するようになったのも、つきつめていけば「山や森にある1000種類以上の植物を食べ尽くすシカが300万頭以上に激増した」ということが原因である。シカに山や森林を荒らされ、木の実を食い尽くされて、人里に下りざるを得なくなっているのだ。だから、まずはシカを徹底的に駆除する。環境省・農林水産省が2013年に策定した計画では、2028年までにシカは155万頭まで減らすということになっている。あと3年でこれが達成できるかは疑わしいが、猟友会を日給8000円とかでこき使うのではなく、政府が予算を確保して、しっかりと制度設計して、シカを少しでも減らすことを推進していくしかない。そうすると、山や森の環境が多少は改善される。クマが十分に木の実を食べることができるので、痩せ細って民家に出没したり、市街地まで下りていって、人間がゴミとして排出する食べ物などを漁る必要がない。アーバンベアへ身を堕とすクマが減っていくのだ。……という話をすると「シカを殺すなんてかわいそう」と言い出す人もいるだろう。確かに残酷に聞こえるかもしれないが、これは日本人がやらなくてはいけない「償い」でもある。シカの数を抑えて、環境破壊も食い止めていた存在を、自分勝手なエゴで絶滅させてしまったからだ。それは、ニホンオオカミ、エゾオオカミである。両方とも「害獣」として我々の祖先の手によってこの世から永久に消えた種だが、実はこれらのオオカミがいたことで、山や森のバランスが保たれていた。なぜかというと、シカを狩る捕食者だったからだ。先ほどの林野庁の資料にあるような自然破壊が防げていたのは、ニホンオオカミやエゾオオカミがシカを適度に減らしてくれていたからだ。オオカミがいた時代、山や森は豊かで木の実も豊富にあった。クマはそれを食べて冬眠に備えていればよかった。また、クマは時たまオオカミからエサを横取りするので、捕食されたシカの死骸を食べることもあった。生態系の中で腹がしっかり満たされているので、わざわざ市街地周辺まで下りる必要がなかった。しかし、日本ではオオカミは絶滅した。捕食者が消えてマタギのような職業ハンターも激減したことで、脅威がなくなってしまったシカは爆発的に繁殖することになる。「クマは脅威じゃないの?」と思う人もいるだろう。YouTubeなどでも、クマが子シカを追いつめて襲う映像や、ワナにかかったシカを生きたままクマが捕食する衝撃映像が流れているからだ。ただ、先ほど触れたように、クマがシカを食べるのはオオカミからの横取りスタイルだ。クマも走ると早いが、やはりシカの方が俊敏だし、警戒心も強いのでクマが近づくのも難しい。つまり、シカにとってクマはオオカミほどの脅威ではないのだ。このように我々が直面している「クマ被害」の根本的原因を辿っていくと、かつてオオカミを「駆除」の名で絶滅させたことに突き当たる。自分たちの身勝手な理屈で、ひとつの種を地球上から永遠に消したことのツケを払わされているのだ。動物愛護家の皆さんは「クマを殺すのはかわいそう」というが、実はすでに我々の手は血まみれで、これからも日本の自然を守るために何十万頭というシカを屠(ほふ)らないといけない。クマを殺すべきか、保護するのかという議論の前に、まずは「人間は他の種を大量虐殺して生きている」という厳しい現実と向き合うことが必要ではないか。

(ヒグマ出没激増、警察官や市職員の目前でシカが食べられる:北海道)
「異常事態ですね」――。関係者らはそう口をそろえる。全国的にクマの食害や人身被害が相次ぐ中、その地は、過去に例を見ない事態に直面していた。否、今もなお、直面し続けている。北海道・砂川市。札幌から車で1時間あまり、空知地方の山地と石狩川に囲まれた人口約1万5000人の緑豊かな街だ。北海道は今年7月、同市全域にヒグマ注意報を発出した。当初1カ月の予定だった期間は、翌月、さらに翌々月、そして10月上旬と3度にわたって延長され、道内最長となる4カ月間に及んでいる。直近の延長時点で市が把握していた目撃情報(足跡などの目撃含む)は約150件。本稿をまとめている10月下旬には200件を超えた。とりわけ10月20日から22日の3日間での通報は、のべ22件。そのうち1件は市庁舎の真裏で市職員が目撃したものだった。「これまでとは明らかに違う」。そう語るのは、ヒグマ問題に10年前から取り組んできた同市の担当部長だ。「これまでの目撃情報といえば、山の際とか、平地であっても人通りの少ない道央道のあたり。人がいる所への出没といえば、墓地の供物を荒らしに来る程度でした。今年みたいに市街地で次々と、しかも日中の明るい時間帯に出てくることなんて、ほぼなかった。直近の日曜日に行った現場では、私や警察官たちが注視する中で体長1メートルぐらいの若グマが悠々とシカを食べ続けていました。市街地でそんな光景、ありえないですよ」。目撃現場に駆けつけるのは、市職員や警察官だけではない。彼らとともに臨場するのは、市の委嘱を受けた鳥獣被害対策実施隊員たちだ。長く同隊員を引き受け続けているメンバーの1人に「銃を持たないハンター」がいる。本サイトで報じてきたとおり、北海道では、自治体の依頼でヒグマを駆除したハンターが法令違反に問われ、銃を取り上げられた事件がある。この男性は、地元公安委員会の処分に異を唱え、北海道を相手に裁判を起こした。一審の札幌地裁(廣瀬孝裁判長=当時)は請求を認めて銃所持許可取り消し処分の撤回を道に命じたが、二審の札幌高裁(小河原寧裁判長、実質的な審理は佐久間健吉裁判長)が逆転判決を言い渡し、ハンター側の主張が退けられる結果に。これを不服とした男性が上告に踏み切ったのは、今からちょうど1年さかのぼる昨年10月下旬のことだった。この原告こそ、今まさに「異常事態」の砂川市で連日出動を続ける鳥獣対策隊員、北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(76)だ。ヒグマの目撃情報が届くたびに出動する熟練ハンターの感覚でも、やはり今年は「異常」だという。原因を問うと、ほぼ即答で「数が増え過ぎた」の一言が返ってきた。「専門家の中には『山に餌が不足しているので人里に出てくる』という人もいますが、私はそうは思いません。春グマ駆除の中止などで、絶対数が増え過ぎたんです。だから本質的な対策は、人間の手で個体数を適正な数に調整することしかない。しかも早急に手を打たないと、今後もどんどん人里に下りてきますよ。私はいつも『札幌中心部の大通公園に出てもおかしくない』と言っています」。「調整」とはつまり、増えすぎたクマを積極的に駆除することだ。「私はヒグマが嫌いではありません。どちらかというと好きと言っていい。しかし、人とヒグマが里で共存するのは不可能なんです。里に出てきてから駆除する対症療法ではなく、どこかの時点で山の個体数を減らす決断が必要です」。そう語る池上さんだが、彼自身はいま銃を所持していない。現場に向かうのも、丸腰のままだ。10月下旬のある日、筆者が、息をつく間もなく現場から現場へ車を走らせる池上さんに密着すると、異常事態の実相が見えてきた。この日、郊外の工場から「クマらしき動物が出た」との目撃情報が届いた。過去にもヒグマが出没したことがあるといい、敷地内には監視カメラが設置されている。駆けつけた池上さんは関係者の詰める事務所でカメラ映像を視聴、コマ送り再生される動画を繰り返し確認し、「おそらくシカだろう」との見立てを述べた。野生動物はそれぞれ走り方や体形に特徴があり、不鮮明な映像でも注意深く見れば特定できるという。念のため敷地内の別の場所に残されていたという糞も観察。改めて「シカ」と判断し、関係者らの謝辞を背に現場を後にした。スマートフォンが鳴ったのは、そのわずか数分後。国道の路肩に車を停めてスピーカー通話のボタンを押すと、小さなスマホから市職員の切迫した声が響いた。アクセルを踏み、5分ほどで市庁舎裏手の河川敷へ。パトカー2台が停まる現場に市職員と警察官、あわせて7~8人の姿があった。目撃されたヒグマは、前日に関係者らの前でシカを食べていた個体と同じクマと推測された。先に引いた担当部長のコメントに登場していた若グマだ。シカの食べ残しを土に埋めて「土饅頭」を作ったというそのクマは、市職員らの「追い払い」によりいったん山のほうへ去っていき、その隙にシカの残渣が取り除かれた。餌を失った若グマは市内を移動し、市庁舎付近に出没することになったらしい。「おいおい、パトカーそんなとこ走ったら駄目だ」。現場付近を見回っていた池上さんが慌てて助言する。パトカーはその時、クマが姿を隠しやすい水路を挟んで市庁舎と反対側にある土手の上を徐行していた。もしも水路の近くにクマがいた場合、パトカーが街のほうへクマを追い立てることになりかねない位置取り。裁判では警察・公安委と対立している池上さんだが、現場の警察官たちとは協力関係にあり、一方の警察官もベテランハンターの助言には真摯に耳を傾ける。この時はヒグマ発見に至らず、池上さんは対応時の注意事項などを伝えて現場を離れた。続いて向かったのは、目撃情報をもとに金属製の「箱罠」を設置した現場。繰り返しになるが、砂川のハンターは現在、銃を撃つことができない。そこで活用されるのが、市で5つほど稼働している箱罠だ。内部に仕掛けた餌でヒグマを誘い、クマが内部のトラップ(踏み板など)に触れるとシャッターが下りてクマを閉じ込める仕組み。今年はこの日までに13頭が捕獲されたといい、この数字はおそらく過去最高と思われる。10年間現場を見てきた担当部長が「2ケタ」を経験するのは初めてだ。複数箇所の見回りの結果、いずれの箱罠にもヒグマの姿はなかった(この翌日、14頭目が捕獲されることになる)。2カ所目を訪ねた際、同行した筆者に「裏へ回って檻の天井よく見てごらん」と池上さん。訝りながら眼を向けると、箱罠の上部に金属の柵が欠けている部分があった。金属棒が曲げられている箇所もある。「ヒグマが罠を壊して、上から餌だけ取っていったんだ。本当に賢いよ」。ヒグマが本気を出せば、丈夫な金属の檻も壊されてしまう──。捕獲後のクマを見回る活動の危険なことは言わずもがなだが、鳥獣対策隊員はほぼボランティアでその任務にあたっている。しかも池上さんらは砂川市だけに頼られているわけではない。隣接する歌志内市や上砂川町からも出動の打診があり、そちらへも可能な限り対応する。今年は上砂川町でも数年ぶりに箱罠の利用が決まり、この前日に町内の1カ所へ罠が設置されたばかりだった。案内されて現場へ向かうと、罠の正面に北海道の『許可証』が掲示されており、そのすぐ下にやはり北海道知事による罠猟の『従事者証』。従事者の氏名は「池上治男」とある。池上さんから銃を取り上げ、裁判でもその正当性を主張している北海道庁が、現場のヒグマ対応についてはその人の力を借りなくてはならないというわけだ。上砂川町内ではこの2日前、民家の庭に複数のヒグマが侵入する事態が起きていた。現場は町内の高台にある一軒家。出迎えてくれた住人の女性(87)によると、その地には3代前から短くとも100年以上居を構えているが、「クマが来たのは初めて」という。2日前の夕刻、居間の窓から庭に目をやると巨大な黒い塊が見えた。すぐにクマとわかり、室内から夫と一緒に大声を出して追い払おうとしたが、相手は驚く様子もなく、車を揺らしたり庭を荒らしたりし続けたという。幸い誰にもケガはなく、ヒグマは数分間ほどで山のほうへ立ち去ったが、翌日の午後には同じ庭に親子連れとみられる3頭が現われた。ここに及んで女性は町に通報。町の連絡で池上さんが臨場し、対応を助言することとなる。「ラジオつけてるね。これはいいよ。人がいるってわかるから」。女性は庭にラジカセを据え、大音量でラジオ放送を流すクマ対策をしていた。今回とくに大きな被害はなかったが、畑で育てるトウモロコシの収穫期と重なっていたら「いっぱい食われたかもしれない」。ほかに餌になる物がないことから3度目の訪問を受ける可能性は低いが、それにしてもなぜクマたちはこの100年あまりの慣行を破って人家へ顔を出すことになったのか。「山に餌がないんでしょうか」と筆者が問いを向けると、女性は言下に否定した。「そんなことない。今年はクルミずいぶん落ちてるよ」。そう、山に食べ物がないわけではない。それでも人里へ下りてくる個体がいるということは、やはり池上さんが言うように「絶対数が増え過ぎた」ためだろうか。もはやいうまでもなく、クマの被害は砂川だけで増えているわけではない。今夏は全国各地で目撃情報や被害報告が絶えず、連日テレビニュースや新聞紙面をにぎわせている。筆者が池上さんに密着した日も熟練ハンターのスマホには道内外のメディアからひっきりなしに電話が着信していた。今年9月、鳥獣保護法の一部が改正され、ヒグマなど有害鳥獣の駆除にあたって市街地での発砲が解禁された。それまで発砲の根拠としていた警察官職務執行法に拠らずとも、自治体の判断で「緊急銃猟」をおこなうことができるという。10月下旬には札幌市が北海道で初めて緊急銃猟に踏み切り、地元猟友会のハンターが2頭のヒグマを駆除したことが伝わった。とはいえ、多くの自治体ではまだ運用に慎重で、全国に目を広げてもこの時点までに実施に踏み切っていた市町村は2ケタに届かない。撃たないハンターが活動する砂川市も例外ではなく、担当部長は「ここでは現実的ではない」と話す。「まず地形。砂川の市街地は平地で、バックストップ(弾止め)になる斜面などがほとんどありません。地面をバックストップにした『撃ち下ろし』も難しい。それと、要件確認に時間がかかる。ヒグマはこちらが発砲の体制を整えるまで待ってはくれません。人の思いとは関係なく自由にあちこち歩き回る。要件を確認し終えるころにはクマがどこかへいなくなってしまいますよ。市民のみなさんは、やはり『撃ってほしい』とおっしゃいますが、当面は箱罠での捕獲を続けるしかない状況です」。クマなどが「人の生活圏に侵入し」「緊急性があり」「銃猟以外の対応が困難な状況で」「住民の安全が確保されている」──。この4要件をすべて満たさない限り、緊急銃猟による発砲はできないことになっている。いざヒグマが出た現場でこれらを一つ一つ確認していると、その間にクマがどこかへ立ち去ってしまう可能性があるわけだ。実際、道内初のケースとなった札幌の現場では、最初に銃猟を決断した日には関係者らがクマを見失っており、発砲に至ったのはその翌日だった。砂川で緊急銃猟が困難な事情は、もう1つある。ほかでもない、池上さんら地元のハンターたちが発砲を自粛し続けているためだ。猟銃所持許可裁判で池上さんの主張が認められる結果を得られない限り、ハンターとしては「撃てば処罰されるかも」という懸念を拭えないという。改正鳥獣法施行直前の8月下旬、会員約5700人を擁する北海道猟友会は道内全支部に通知を出し、各市町村から緊急銃猟の依頼があっても必ずしも応じる必要はないとの考えを示した。改正法では駆除の現場で事故が発生した際のハンターの責任の範囲が明確になっておらず、このままでは第二の池上さん事件を招くおそれがあるという。猟友会の堀江篤会長は通知時の取材に「簡単に『出動せよ』とは言えない」と訴えていた。「事故が起きたときの責任体制が明確でない限り、むやみに『撃ってくれ』とは言えません。国民の生命、財産を守るのが、猟を趣味としている民間のハンターでいいんですか、ということです。もちろん協力したい気持ちはありますが、本来国民の安全について責任を負うべきは、国であり市町村であり警察でしょう。彼らがすべて責任を持つと明言してくれない中、何かあったときにボランティアで引き金を引いた者が罰せられることになったらたまりません。ハンターには『断る勇気』も必要だと思います」。環境省の緊急銃猟ガイドラインは、銃猟時の留意事項を解説する箇所で繰り返し「跳弾」のおそれや「バックストップ」確保の必要性を説いている。いずれも池上さんの裁判で重要なポイントとなった要素で、とくに二審の札幌高裁は不自然といえるほどに跳弾の可能性を強調して、池上さんの発砲行為を否定的に評価していた。この判決がガイドラインに与えた影響が察せられるところだが、その後の状況を見る限りでは、逆のベクトルもありそうな趣きだ。全国各地でクマの被害に歯止めがかからない中、上述のようなハンターたちの不信感を払拭させるためには、今後の司法判断が重要な役割を担うことになるのではないか──。銃所持許可訴訟で池上さんの代理人をつとめる中村憲昭弁護士によると、池上さんの上告・上告受理申し立ては昨年10月下旬、上告理由書の提出は同12月下旬、裁判所から理由書受け取りの連絡があったのは年が明けた本年1月のことだった。それから10カ月経ってもなお、最高裁の判断は示されておらず、ここまで時間が費やされたうえで「理由がない」として上告が退けられる展開は考えにくい。中村弁護士は裁判所の真っ当な判断に期待を寄せる。「緊急銃猟のガイドラインには、池上さんの裁判を意識した部分があると思います。とくに、跳弾の可能性を過度に重視していますから。最高裁で改めて池上さんの主張が認められれば、今の緊急銃猟制度の見直しに繋げることもできるのでは」。池上さん自身、二審判決が最高裁で覆ることを望んでいるのは言うまでもない。ただすでに述べたように、長く現場を見てきたハンターにとって市街地での銃猟解禁はあくまで対症療法。人里へ下りてくるヒグマの数をゼロに近づけないことには、抜本的な解決には至らないという。「ヒグマを撃った経験を持つハンターは多くないんです。いくら制度を整えても、そう簡単に緊急銃猟なんてできるもんじゃない。そもそも市街地で対応している時点で『後手』でしょう。それよりもヒグマの絶対数を調整して、山全体を普通の状態に戻さないと。山で生きられずに里へ下りてきたヒグマは、人間が攻撃してこないとわかると安心して歩き回るようになり、多産になる。そうなると次のシーズンはもっとひどくなる。早く手を打たないと間に合わなくなりますよ」。この取材の翌週、札幌中心部でクマが目撃されたとの情報が伝わった。地元報道などによると、現場はJR札幌駅から直線でわずか4キロほどの河川敷。池上さんが言うように、公共機関や商業施設がひしめく都心の大通公園にヒグマが出没する未来も現実味を帯びてきたようだ。熟練ハンターが銃を手放さざるを得なくなってから、すでに7年あまり。異常事態の街では今も丸腰の対応が続く。例年であれば雪が積もり始める11月下旬には目撃情報が絶えるはずだが、今期がその例に漏れない年になるかどうかは定かでない。

(クマが衝突し小学校の窓ガラスを破る:山形)
29日の朝、山形県南陽市の赤湯小学校の入り口窓ガラスが破られているのが見つかり、防犯カメラの映像を市などが確認したところ、クマが体当たりしていたことがわかりました。クマは自分の姿に驚いたような様子をみせ、その後ガラスに衝突していました。ガラスの破損が見つかったあと、中にクマがいる可能性もあるとされていましたが、クマは校舎の中には入らず立ち去っていました。この影響で赤湯小学校と赤湯中学校もきょうは休校の措置をとりました。きょう午前5時15分ごろ、南陽市の赤湯小学校付近でクマ1頭が目撃されました。通報を受けて警察官が付近をパトロールしていたところ、赤湯小学校の職員用通用口のガラスが割られているのを発見しました。学校に設置された防犯カメラには、午前5時すぎにクマがガラスに突進する様子が映っていたということです。南陽市では、郡山の住宅街などできのうからクマの目撃情報が相次いでいます。県によりますと、今年県内でクマが目撃された件数は、今月26日時点で1906件に上りました。統計をはじめた2003年以降で最多の記録を更新し続けています。

(住宅街でクマ目撃相次ぎ小中学校が臨時休校:北海道)
小樽市ではクマの目撃が相次ぎ、28日、目撃場所近くにある小中学校2校が臨時休校となりました。27日午後2時ごろ、小樽市桂岡町の路上で、体長およそ1メートルのクマを住民が目撃しました。クマは山の方へ立ち去りましたが、およそ15分後に、100メートルほど離れた場所でも別の住民が同じ個体とみられるクマを目撃しました。クマの出没を受けて小樽市は28日、桂岡小学校と銭函中学校を臨時休校としました。29日の対応は検討中だということです。

(大学にクマ出没、構内にとどまる:岩手)
岩手県警によると、28日午前11時50分ごろ、盛岡市上田の岩手大学構内の国際交流会館近くで、同大学生が体長約1メートルのクマ1頭を目撃した。午後0時50分現在、構内にとどまっており、警察が警戒している。同大によると、午後から全学部が臨時休講となった。

(クマ連日市街地に出没し不安広がる:岩手)
岩手銀行本店や、学生が集う岩手大学の構内――。盛岡市で28日、再びクマが現れた。人的被害は確認されていないが、連日のようにクマが市街地に出没する危機的状況に、市や警察は対応に追われ、市民の間には不安や動揺が広がった。官庁街の一角に構える岩手銀行本店の地下駐車場で28日朝、子グマ(体長約1メートル)とみられる1頭が侵入した。朝の通勤者や通学者が行き交う中、現場では大勢の警察官や市職員らが対応にあたり、一帯に緊張が走った。近くのバス停にいた高齢女性は「最近はこのあたりにもクマがよく出るので、外を歩くのも怖い」と表情を曇らせた。盛岡東署によると、27日午後10時10分頃、中津川にかかる橋の近くで「親子のクマが歩いている」と通行人らから複数の110番があった。署員らが臨場し、川の遊歩道を南北に行き来する親子とみられる2頭のクマを確認。県庁にほど近い県民会館付近も 徘徊はいかい していたという。その後、2頭は本町通の民家の木に登って約1時間とどまり、別々に逃走。子グマは28日午前6時45分頃、銀行の地下駐車場に逃げ込んだという。親グマは北方へ逃げた。市などによると、約3時間半後の同10時15分頃、市動物公園の獣医師が吹き矢で麻酔をかけて子グマを捕獲。子グマはその後、駆除された。銀行を訪れた利用者は(77)は「こんな場所で人が襲われたら大変。捕獲されたと聞いて一安心だ」と胸をなで下ろした。銀行は通常営業し、けが人もなかった。広報室の駿河友晶室長(49)は「お客様や従業員にけががなくて良かった。まさか自分たちの職場で出るとは」と驚いた様子だった。市教育委員会によると、周辺の小中学校計9校では、保護者に児童生徒の登校に付き添うよう求めた。市は広報車での注意喚起やパトロールを強化し、SNSでもクマに関する情報を発信した。一方、28日正午前には、盛岡市上田の岩手大職員から「学生が体長1メートルくらいのクマを構内で目撃した」と、盛岡東署に通報があった。目撃があったのは、キャンパス西側に位置する「国際交流会館」付近で、雑木林が隣接している。同日午後5時現在でクマは発見されていないという。同大は同日午後から全学部で臨時休講とし、29日も終日全学部で休講にすることを決めた。大学の担当者は「クマが構内に出たというのは聞いたことがない。学生と近隣住民の安全を第一に、今後の対応を協議したい」と話した。同市では9月以降、中心部でクマの出没が相次ぐ。今月23日にも中津川の河川敷などでクマ1頭が約4時間にわたって走り回り、住宅街に逃げ込んだ後、姿が見えなくなっていた。市の担当者は「草刈りなどでクマが逃げ込みやすい環境を減らし、クマが街に入りにくい状況を作りたい」と語った。

(わなにかかったのはツキノワグマ:広島)
29日午前8時半ごろ、広島市安佐南区沼田町阿戸地区の民家の裏で、近くの住民から「クマがわなにかかっている」と110番があった。市によると、成獣のツキノワグマの雄で、体長約1・5メートル、体重約64キロ。午後0時半ごろ、地元の有害鳥獣駆除班が殺処分した。阿戸地区では26日以降、民家の裏の柿の木にクマとみられる爪痕が残り、ふんが確認されるなどしていた。市は28日、周辺の3カ所に箱わなを設置。安佐南署はパトロールを強化し、外出時などに細心の注意を払うよう呼びかけていた。現場は山裾に民家が点在し、田んぼが広がる集落。この日朝、箱わなにクマがいるのを見つけた近くの山田則行さん(75)は「わなの方からガタガタと物音が聞こえたので見に行った。クマは鼻息が荒く、暴れている様子だった」と振り返る。周辺では規制線が張られ、緊張が広がった。近所の内藤和之さん(73)は「こんなに近くで出るなんて。襲われる不安が大きくなってきた」と心配顔。夜間は出歩かないようにし、家の扉や窓の施錠を徹底すると話した。県によると、本年度の県内のクマの目撃や痕跡に関する情報(9月末時点)は、前年同期より166件少ない293件。捕獲はこの日の1頭を含め、計17頭でいずれも殺処分した。昨年度は計97頭を捕獲、殺処分したという。

(植樹ツアー、クマ対策のため中止に:埼玉)
埼玉県秩父市の里山で11月に予定されていた民間主催の植樹ツアーがクマ対策のため中止となった。ツアー事務局が29日発表した。会場付近でクマの目撃情報があり、参加者の安全を優先したという。中止となったのは一般社団法人日本ウッドデザイン協会と伊佐ホームズが共催する「サザエさん森へ行く 植樹ツアーin秩父2025」(林野庁・秩父市後援)。森林整備と木材活用の学習を目的に一昨年から始まり、秩父市で植林やワークショップ、講演などを行ってきた。昨年は親子連れを中心に約130人が参加。今年も11月16日開催のツアーに関東一円から数十人の申し込みがあった。しかし、クマによる人身被害が全国的に話題となり、秩父市でも今年度植樹会場の山田地区で2件の目撃情報が確認されていることから、開催中止を決めたという。参加費を支払った申込者には全額返金する。ツアー事務局は「安全確保のためだが、ツアーを楽しみにしている人には申し訳ない」としている。

(ゴルフ場で「グリーンの奥にクマ」、隣接の遊園地も臨時休園:山形)
30日午前9時45分頃、山形市蔵王上野のゴルフ場「蔵王カントリークラブ」でプレーしていた男性客から「グリーンの奥にクマがいる」との連絡があり、従業員が警察に通報した。他のホールでも目撃情報があったため、クラブは臨時休業した。隣接する遊園地「リナワールド」(山形県上山市)は、同クラブから連絡を受け、午前10時のオープンを前に臨時休園を決めた。担当者によると、駐車場には20台ほどの車が止められ、客が開園を待っていた。職員が休園を説明し、園内をパトロールしたが、クマは確認されていない。

(ゴルフ場コース内でクマ目撃、利用客80人が屋内避難:福島)
30日午後0時半頃、福島市黒岩のゴルフ場「福島ゴルフ倶楽部民報コース」の従業員から、クマ1頭がコース内を横切るのを、プレー中の利用客が目撃したと110番があった。同ゴルフ場によると、利用客は約80人いたが、屋内に避難させ、けが人はいなかった。同ゴルフ場は同日の営業を中止し、31日の営業も取りやめる。県警福島署が付近を警戒している。

(相次ぐクマの目撃情報、他の動物との見間違いも?:東京)
全国でクマによる人身被害が相次ぐ中、東京都内では9月以降、西多摩地域の山間部を中心にツキノワグマの目撃情報などが計45件に上っている。8月には奥多摩町で渓流釣りをしていた男性がクマに襲われる被害も発生。自治体が注意を呼びかけている。都がインターネット上で公開している「ツキノワグマ目撃等情報マップ」によると、八王子、青梅、あきる野、日の出、奥多摩、檜原の各市町村で今年は29日時点で計236件の目撃や痕跡などの情報がある。いずれも圏央道の西側に広がる山間部が中心だ。同様の情報は2023年には計195件、24年には計324件に上った。都の担当者によると、「クマが生息している首都」は世界的にも珍しい。秋はクマが行動を活発化させる時期で、12月ごろまでは特に注意が必要という。都内では今年、人身被害も1件発生している。8月23日に奥多摩町で渓流釣りをしていた男性がクマに襲われ、救急搬送された。命に別条はなかったという。町は、例年と比べて目撃情報が特段増えているわけではないとしているが、20年度以来となる人身被害に警戒を強める。奥多摩町は、生ゴミを家の外に放置しない▽野菜や果物を畑に取り残さない▽山に入る際はクマ鈴やラジオなど音の出るものを持つ――といった対策を呼びかけている。ただ、クマの目撃情報の中には、ニホンカモシカや鹿など他の動物との見間違いも多いとの指摘もある。青梅市では19日、JR東青梅駅近くで「クマを目撃した」と住民から110番通報があったが、市や青梅署はクマの出没を確認できなかった。青梅市の担当者は「市民から街を歩くのが怖いという声も届いている」と困惑する。「クマに対する警戒は必要だが、今のところ市街地への出没は確認されていない」としている。

(新たに重症熱性血小板減少症候群の感染が確認、マダニにかまれたか:静岡)
浜松市は新たに市内在住者がマダニが媒介する感染症にかかったと発表しました。浜松市では3例目です。浜松市によりますと、市内在住者で新たに重症熱性血小板減少症候群の感染が確認されたということです。浜松市在住者は29日、浜松市保健環境研究所のPCR検査で重症熱性血小板減少症候群のウイルス遺伝子が検出。その後、浜松市内の医療機関で重症熱性血小板減少症候群と診断され、30日「患者の発生届」が提出されました。行動履歴から屋外でマダニに咬まれて感染したと推察されていますが、マダニの刺し口が認められておらず、感染経路の特定には至っていないということです。浜松市内での重症熱性血小板減少症候群の感染者数は2025年に入ってから3例目です。市は野山や草むら、畑などに入る場合は長袖や長ズボンを着用するなど肌の露出を少なくするように、また野生動物の接触にも注意するよう呼びかけています。

(岩手銀行地下駐車場に居座っていたクマ捕獲:岩手)
盛岡市中央通の岩手銀行本店の地下駐車場に居座っていた子グマ1頭が、28日午前10時15分ごろ麻酔の吹き矢によって捕獲され、車で運び出された。被害は確認されていない。同行本店は通常通り営業している。子グマは同日午前6時45分ごろ、地下駐車場に入り込み、市と警察などが対応していた。

(クマに襲われ飼い犬死ぬ:岩手)
27日午後9時半ごろ、軽米町上舘の会社員男性(39)方で、飼い犬がクマに襲われ死んだ。横腹に傷を負っていた。クマは体長1メートルほどで、南方の畑方向に逃げた。二戸署によると、犬の鳴き声を聞いた男性が外を見ると、犬にクマが覆いかぶさっていた。現場は県立軽米病院から南に約1キロの民家が点在する農村地帯。付近を警察官が警戒し、住民に注意喚起した。

(富士山世界遺産の神社でイノシシ出没相次ぐ:山梨)
山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社の境内で、イノシシの出没が連日、相次いでいて、この時期は七五三参りで訪れる家族連れも多く、神社や警察が警戒を強めています。今月23日に北口本宮冨士浅間神社の境内で撮影された映像では、神社の本殿から南にわずか50m離れた駐車場で、体長60cm~80cmほどのイノシシが1時間近く、出たり入ったりを繰り返していました。神社によりますと、境内へのイノシシの出没は今月中旬から相次いでいて、多いときは6日間連続で姿を見せました。日中、参拝客がいても、恐れる様子はないということです。この時期は七五三参りに訪れる家族連れも多く、神社と警察が警戒を強めています。北口本宮冨士浅間神社 高阪雄次 権禰宜「イノシシが一番出てしまっているところが、第6、7駐車場なのですが、この時期ならではの七五三のご家族の方々などが、お祝いの写真を撮られたりなどされているすぐそばですので、もしもということを考えると、非常に恐ろしいです」。神社は参拝客に見つけても、決して近づいたりえさを与えたりしないよう、注意を呼びかけています。

(「ツキノワグマ」1頭を捕獲、シカやイノシシを捕らえる罠にかかる:愛知)
きょう、愛知県新城市池場の山林で、シカやイノシシを捕らえるわなに、ツキノワグマがかかりました。クマは成獣のオスで、全長1メートル10センチ、推定体重は65キロです。きょう午前8時ごろに確認され、わなが外れる危険があり、麻酔で眠らせるのも難しかったため、午後3時すぎに地元の猟友会が殺処分したということです。愛知県内でのツキノワグマの目撃情報は、今年度15件目です。

(「何か分かりますか?」鈴木憲和農相の投稿が大バズり!?)
高市早苗内閣で農林水産大臣に就任したばかりの自民党・鈴木憲和氏(43)のX投稿が、ネット上で大バズりしています。10月27日にアップされた「大臣気合い入れて頑張れと、強烈すぎる激励の差し入れが!! みなさま何か分かりますか!? みんなで英気を養い、頑張ります! ありがとうございます♪」という“クイズ形式”のツイートは、投稿からわずか1日で9万超えの「いいね」と4500リポストを記録(10月28日時点)。写真に写る鈴木農相が両手に抱える巨大な真空パックの“赤い肉塊”の正体が、瞬く間にネット民の推理合戦を呼び、熱狂的なコメントの嵐を生み出しました。その正体は、支援者からの「鹿肉一頭分」! 就任直後のコメ政策転換やテレビでの堂々とした受け答えで注目度が急上昇していた中、この親しみやすい投稿が鈴木氏の“人間力”を象徴し、拡散を後押し。その全貌と、最近の注目経緯を詳しく追います。

(ジビエレザーを用いたジャケットを20着限定発売)
ジュンが展開する「アダム エ ロぺ(ADAM ET ROPE)」が、日本発のレザー専門ブランド「エー レザー(A LEATHER)」に別注したジャケット「A LEATHER for ADAM ET ROPE ex TRUCKER JACKET」を10月31日に発売する。ADAM ET ROPE HOMME 六本木ヒルズ ヒルサイド2階 ヒルズ ボックス POP UP STOREで取り扱う。別注モデルは、エー レザーの人気アイテム「TRUCKER JACKET」をベースに、身幅やアームにゆとりを持たせたリラクシーなシルエットや、2フラップポケットとプリーツのデザインを採用。アダム エ ロぺ POP UP STORE限定アイテムとして、兵庫県たつの市のタンナー「タツノラボ」の協力を得て、ジビエの鹿革を使用した。アイテムは、20着限定で展開。首元には1~20までのシリアルナンバーを配し、特別感を演出したという。価格は25万3000円。

(「木更津ジビエフェス in ETOWA KISARAZU」:千葉)
会場となっている『ETOWA KISARAZU(エトワ木更津)を運営する株式会社コスモスイニシアと連携して開催するもので、農作物被害の原因ともなっている野生鳥獣(ジビエ)を、地域の貴重な食資源として見直し、持続可能な形で活用すると共に、命の大切さや自然との共生について幅広い世代に食と環境への理解を深めていただく機会になることを目的としています。会場では、様々なジビエ料理の試食や地元食材のマルシェ、ジビエに関わる方々によるトークセッション、自然体験ワークショップなどの子どもから大人まで楽しめるコンテンツが多数用意されています。地元のクラフトビールや地酒を堪能したり、謎解きゲームなどもあります。子どもから大人までジビエについて楽しく学べるイベントを体験してみませんか?

(中学校生徒がジビエバーガー:広島)
地域を盛り上げる特産をと、広島県庄原市比和町の比和中3年生5人が、市内産のイノシシ肉を使って「ジビエバーガー」を作り、同町内で地元住民たちに販売した。

(クマ出没:宮城)
利府町によると、30日午後9時ごろ、利府町青葉台1丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、31日午前3時40分ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、31日午前4時15分ごろ、栗原市金成片馬合佐野原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、30日午後4時50分ごろ、富谷市富谷根崎沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、30日午後1時ごろ、色麻町下高城地区にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、30日午前、色麻町大下新町北にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
大和町によると、30日午前8時20分ごろ、大和町もみじケ丘にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、29日午後5時30分ごろ、仙台市泉区西田中松下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、29日午後4時30分ごろ、仙台市泉区福岡森下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、29日午後4時20分ごろ、仙台市泉区朴沢岩下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、30日午前9時55分ごろ、富谷市西成田荒井向にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、30日午前10時30分ごろ、栗原市鶯沢北郷早坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、30日午前8時ごろ、富谷市富谷高屋敷にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、30日午前8時40分ごろ、栗原市鶯沢北郷菅原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
松島町によると、30日午前8時45分ごろ、松島町根廻蒜沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、29日午後5時20分ごろ、富谷市ひより台2丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、29日午後11時20分ごろ、富谷市明石宮前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
白石市によると、29日午前7時35分ごろ、白石市福岡深谷炭ノ平にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、29日午前5時50分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋石本にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、28日午後7時40分ごろ、仙台市太白区秋保町境野上戸にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、29日午前10時45分ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

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(クマに襲われ1人死亡3人けが、全国で今年度10人死亡し最多:秋田)
24日午前11時すぎ、秋田県東成瀬村で男女4人がクマに襲われた。秋田県警によると、男性3人、女性1人がドクターヘリや救急車で病院に搬送され、このうち男性1人の死亡が確認された。秋田市内でも同日、クマにより1人が負傷。全国でクマによる被害が相次ぐなか、特に秋田県で被害が多発している。消防によると、午前11時すぎ、東成瀬村田子内で「寺の近くでクマに襲われている人がいる」と目撃者から119番通報があった。男女4人が頭部や顔面にけがをしており、病院に搬送した。県警横手署によると、現場近くに住む佐々木喜行さん(38)が死亡。大工の佐々木秀雄さん(65)と、横手市の無職佐藤健一さん(76)、恵子さん(72)の3人が頭部に重傷を負った。県警によると、喜行さんは自宅にいて、悲鳴が聞こえたため家族とともに外に出たところ、人が出血して倒れており、クマがいたという。家族に通報を依頼したが、その後、喜行さんも襲われたとみられる。現場は役場から西に300メートルほどで、住宅や畑が点在している。村は防災無線で住民に注意を呼びかけた。地元猟友会のハンターが出動し、午後1時すぎ、現場近くで体長約1.2メートルのクマ1頭を駆除した。

(住宅の庭に男性の遺体、犬も死ぬ:岩手)
27日午前10時40分ごろ、岩手県一関市厳美町の無職、佐藤富雄さん(67)と「朝から連絡が取れない」と親族から一関署に通報があった。まもなく佐藤さんの自宅に駆けつけた警察官が、庭で男性の遺体を発見。佐藤さんと確認された。獣の爪で引っかかれたり、かみつかれたりしたような傷があり、署はクマに襲われたとみて死因を調べる。署によると佐藤さんは一人暮らしで、遺体の近くでは佐藤さんが飼っていた犬が死んでいた。現場は市中心部から北西に約20キロの山あい。一方、市によると、同日午後1時55分ごろ、佐藤さん方の近くで捕獲のために箱わなを設置する準備をしていたところ、犬の死骸がある場所にクマが現れたため、地元の猟友会が駆除した。クマは体長約1・5メートル、体重約70キロのオスで、推定4歳。佐藤さんを襲ったクマか今後調べる。市町村長の判断による「緊急銃猟」ではなく、県の許可を受けて駆除したという。一方、現場から約1キロ離れた住宅では22日夜、別の飼い犬がクマに襲われ、隣接する車庫に引きずり込まれるのを住民が目撃した。犬は車庫内で死んでいるのが見つかり、クマの姿はなかったという。

(80代の女性とみられる遺体、付近ではクマの目撃も:秋田)
27日、秋田市雄和で側溝に倒れている80代の女性とみられる遺体が発見されました。損傷が激しかったという遺体。付近ではクマが目撃されていました。女性の遺体が見つかったのは秋田市雄和萱ケ沢の側溝です。警察と消防によりますと27日午前11時ごろ、近くに住む人が側溝の中でうつ伏せで倒れている人を発見し110番通報しました。発見された遺体は80代の女性とみられていて、体の損傷が非常に激しいということです。現場は秋田空港から南に13キロほどの山林に囲まれた地域です。通報があった午前11時ごろ、付近では体長約1.5メートルのクマ1頭が目撃されていました。警察は遺体の身元の確認を進めるとともに、クマに襲われた可能性も視野に死因を詳しく調べています。

(民家で熊が住民襲う、女性1人けが:宮城)
25日午前6時10分ごろ、宮城県大衡村大衡萱刈場の民家で、この家に住む60代の女性が玄関から出たところを体長0・8メートルほどのクマに襲われ、左腕にけがをした。県警大和署によると、女性は近くの病院に搬送されたが、会話可能で命に別条はない。警察官が駆け付けた際、クマは既に現場を立ち去っていたという。署は、村や小学校などに注意を呼びかけている。けがをした女性の、70代の夫は「近くにイノシシはよくいるが、クマを見たことはなかった。命に関わることにならなかったのは幸いだった」と語った。近所に住む70代女性は「近くでけが人が出たと聞くと怖い。なるべく外に出ないようにする」と話した。

(クマに襲われ2人負傷、測量作業のため森林を歩行中:新潟)
新潟県上越市の山林で27日朝、測量をするため森林を歩いていた男性2人がクマに襲われケガをしました。警察などが周辺の住民に警戒を呼びかけています。27日午前9時前、上越市大島区棚岡の山林で測量作業をするため歩いていた男性2人が体長1メートルほどの子グマに襲われました。被害に遭った人は「歩いてる最中に右前の方でガサゴソって音がしてそれで見たらいたっていう感じ。こっちが気づいた瞬間にもう向かってきて襲われた」と話す。2人はいずれも軽傷で命に別条はありませんでしたが、「右腕を噛まれて、あとその時に一緒に右肩とかをひっかかれた」「左足を噛まれた」などと話す。普段は見かけてもクマが逃げていくことが多かったと語る2人。いきなり走って襲ってきたクマに恐怖を覚えたという。県や上越市はクマによる人身被害を防ぐために複数で行動し、音の鳴るものを携行することや早朝・夕方の外出はできるだけ避けることなどを呼びかけています。

(クマ被害、秋田と宮城で相次ぐ)
クマによる被害は25日も秋田県と宮城県で相次ぎ、50~80代の男女5人が負傷した。いずれも命に別条はないとみられる。秋田市内では3件の被害があった。秋田県警によると、25日午前6時過ぎ、県道でランニングをしていた男性(51)がクマに襲われ、顔などを引っかかれた。その約1時間後には同市内で散歩をしていた男性(66)が体長約1メートルのクマに襲われて背中にけが。午後4時ごろには同市の民家敷地内で女性(76)が親子とみられるクマ3頭に遭遇し、体長約1メートルのクマに襲われ、頭や右足などを負傷した。女性は重傷とみられるが搬送時には意識があったという。また、同県大仙市では同日午後3時半ごろ、畑に向かっていた女性(87)が背後から体長約60センチのクマに襲われ、腰に軽傷を負った。一方、宮城県警によると、同日午前6時15分ごろ、宮城県大衡村の民家から「玄関を出たらクマと鉢合わせになった」と60代女性から110番があった。女性は左腕を引っかかれ、軽傷という。

(イヌの散歩中にクマが向かってきて…逃げようとした30代女性が転倒:秋田)
28日午前、北秋田市で散歩中の女性がクマと遭遇しました。女性は、逃げようとした際に転倒し、腰の骨を折る大けがをしました。北秋田警察署の調べによりますと、28日午前、北秋田市脇神でイヌの散歩をしていた30代の女性が、10メートルほど先にいるクマを目撃しました。女性は、クマが自分の方に向かってきたため驚いて逃げようとして転倒し、その後受診した病院で腰の骨が折れていたことがわかったいうことです。

(クマによる人身被害、70代女性搬送:富山)
消防によりますと、24日午後0時50分ごろ立山町西大森で「クマによる人身事故があった」と通報がありました。被害に遭ったのは70代の女性で、県立中央病院に搬送されました。木の剪定中に被害に遭ったとみられています。近所の人によりますと、女性は顔から血が流れていたということです。また、付近ではきょう、クマの目撃情報が相次いでいました。

(クマに女性襲われ、けが:秋田)
秋田県鹿角市で、80代の女性が自宅の敷地内でクマに襲われけがをしました。秋田駅近くでもクマの目撃情報があり、警戒が続いています。警察によりますと、26日午前8時45分ごろ鹿角市で、85歳の女性が自宅の敷地内で背後からクマに襲われました。女性は頭にけがをして病院に運ばれました。意識はあり、会話はできる状態だったということです。また、秋田市では25日から秋田駅近くの千秋公園とその周辺で、クマの目撃が相次いでいます。警察は公園内にクマがいる可能性があるとみて警戒を続けていて、秋田市は箱わなの設置を検討しています。

(民家にクマ4日間居座り、「緊急銃猟」検討も不可能と判断:秋田)
秋田県湯沢市のJR湯沢駅近くで20日朝に男性を襲った後、民家に入り込んだクマは4日目に入った23日も家の中にとどまっている。市は玄関にハチミツなどを入れた箱わなを設置して捕獲を試みているが、クマが出てくる様子はなく、 膠着こうちゃく 状態が続いている。23日に開かれた市の対策会議では、22日の午前中に民家の中にいるクマの姿を警察官が目視で確認したことが報告され、箱わなで捕獲を続けることを決めた。市農林課によると、当初は市街地での猟銃使用を許可する「緊急銃猟」の実施も検討したが、現場は住宅街で、銃弾がそれた場合に弾を受け止める「バックストップ」になるものがないことから、実施は不可能と判断したという。県警によると、クマがとどまっている民家には男性(65)が一人で暮らしていた。20日午前6時20分頃、自宅前で右太ももをかまれた男性が近くを巡回中だった警察官に助けを求めている間に、クマが開いていた玄関から侵入したという。23日は、緊急銃猟の実施も相次いだ。同県仙北市では観光地の武家屋敷通りに近い、角館町川原町の畑に親子とみられるクマ2頭が出没。市は弾がそれても人に危害が及ばないと判断し、周辺の道路を封鎖した上で午後0時55分頃に猟友会員が2頭を駆除した。富山市 悪王寺あくおうじ でも午前9時50分頃、住吉神社の境内にクマ1頭がいるのを近隣住民が発見した。近くの住宅敷地内にクマが逃げ込んだことから、市が緊急銃猟の実施を許可。午後1時前に猟友会員が3発発砲し、成獣1頭を駆除した。現場はJR富山駅の南、約8キロの住宅や畑が広がる地域でけが人はいなかった。全国で行われた緊急銃猟は計6件となった。

(民家立てこもりの熊を市が捕獲、居座り5日ぶり解消:秋田)
秋田県湯沢市は25日、20日に市中心部の民家に侵入し、居座っていたクマ1頭を捕獲したと発表した。

(クマ2頭を緊急銃猟、住宅街至近で緊迫のなか銃声響く:北海道)
この時間もまだ規制線の黄色いテープが貼られていまして、警察車両の奥に白いバンがあるのが分かります。その周りにはハンター、札幌市の職員、警察官およそ15人ぐらいが集まっています。つい10分ほど前に白いバンの中にクマがどうやら搬入されたということで、その時の映像があります。こちらです。山の斜面をハンターと思われる、ベストを着た人がブルーシートにくるまれた何かを出してきているのが分かります。おそらくこのブルーシートの中に駆除されたクマがくるまれていると思われます。2頭でソリのようなものに乗っているのも分かります。先ほど10分ほど前の映像です。この西野西公園というところですが、午後2時37分頃に一発銃声がありまして、2分後くらいに2発目があったということです。ハンター2人が斜面に向かって銃を構えていたということです。右の方に住宅街が広がっているのが分かります。川一本隔てて住宅街の目と鼻の先の西野西公園で先ほど緊急銃猟が行われました。カメラがある方向から山の斜面の方向に向かってハンターは銃を構えて発砲したということです。24日、西野すみれ公園でクマは発見されましたが、その後西公園に移動して駆除されたということです。23日もこの西野すみれ公園、緊急銃猟の適用が決まっていましたが、クマが逃げたなどで行われませんでした。また、安全がしっかり確保できないという理由もあって、23日は規制線の中に人が入ったという情報もありましたので、24日はより避難を呼びかけながらの緊急銃猟となりました。現場周辺の通行禁止はすでに解除されましたが、別の個体が出没する恐れもあることから、札幌市は注意を呼びかけています。緊急銃猟が行われた西野西公園の中継の映像でした。

(住宅街で発砲3発、緊急銃猟:富山)
「バン、バン」。23日昼、静かな住宅街に物々しい銃声が響いた。「緊急銃猟」によってクマが駆除されたのは富山市吉岡の住宅密集地の間近で、200メートルほど離れた熊野小では、いつもはクラスメートと昼食を楽しむ憩いのひとときを不安が襲った。発砲は計3発。民家裏という危険も伴う中での「最後の切り札」によって喫緊の危険は取り除かれたが、この日も富山県内ではクマの出没が相次いでおり、注意が必要な日々は続く。「発砲に備え、北側の校舎の1階にいる人は避難してほしい」。警察官からこう告げられ、熊野小では児童らを安全な場所に移動させるなどの対応に追われた。数日前から近くでもクマの痕跡が相次ぎ、屋外の活動は自粛、登下校も保護者の付き添いや送迎を求める対応を続けていた。森田誠校長は「捕獲されたのは一安心だが、引き続き緊張感を持ちたい」と話す。クマが潜んでいたのは、民家裏の雑木が茂ったやぶだった。「もし出くわしたらと思うとどきっとした」。この民家で暮らす中田智重子さん(82)は普段から外出時はラジオを流すなどの対策をとっていた。「たくさん家がある所にもクマが出るなんて」と驚きを隠せず、駆除を受け「学校も近いし、安心した」と話した。緊急銃猟は、危険が迫り、他の対策が取れない場合の最後の手段とされる。銃弾が人を傷つけることがないよう安全を確保することが大前提であり、いかに素早く環境を整え、判断を下すかが問われる。富山市森林政策課の中島光輝課長は「人を傷つけないよう気を使った」とする一方、「途中で逃げられるんじゃないかという心配は常にあった」と難しさを指摘した。この日は市職員や市猟友会員、富山南署員ら40人規模で交通規制や、住民の避難などの対応に当たり、トラブルなく駆除を終えた。市猟友会の澤井宏洋副会長も「入念に打ち合わせを行って安全を確保し、決まってからは早かった」と語り、慎重さと迅速さが両立されていたとの認識を示した。

(クマ被害、自衛隊派遣は「総合的に決定」:秋田)
木原稔官房長官は27日の記者会見で、クマによる人的被害を巡り、秋田県の鈴木健太知事が自衛隊派遣の検討を要望する意向を示したことについて「防衛相が総合的に勘案し、部隊の派遣を決定する」と述べた。鳥獣対策に関し「過去にも自治体からの要請に基づき、任務遂行上支障のない範囲で協力したことがある」と説明。引き続き国民に警戒を呼びかけた。

(秋田県に自衛隊派遣へ、射撃駆除は行わずにわな設置など支援想定:秋田)
防衛省は28日、クマによる人身被害が深刻な秋田県に自衛隊を派遣する方向で調整を始めた。射撃による駆除は行わず、わな設置などの支援を想定している。一方、木原稔官房長官は同日の記者会見で、北海道など秋田以外でもクマ被害が相次いでいることを踏まえ、対策の見直しを環境省などに指示したと明らかにした。関係省庁連絡会議に防衛省を加え、30日に開催することも表明した。

(相次ぐクマ被害で、全国の警察に対処訓練の実施などを指示する通達:警察庁)
全国でクマによる被害が相次ぐなか、警察庁が全国の警察に対して、クマ被害を想定した対処訓練の実施などを指示する通達を取りまとめました。クマが出没した際には、警察は市町村などと連携して安全確保の呼び掛けや避難誘導、警戒などを行い、地域住民の安全確保を最優先に対応することとされています。通達では、警察本部や警察署において担当を決め、緊急銃猟の実施を含めたクマ被害を想定した対処訓練を実施するよう指示しています。また、クマ被害に対処するために必要な装備を整備するよう求めています。けが人や行方不明者がいる場合には、必要に応じて先にクマの排除を行うなど二次被害の可能性を考慮しつつ、消防やハンターとともに捜索・救助にあたることとしています。加えて、突然クマが暴れ出すなど特に急を要する場合には、警察官がハンターに対して猟銃の使用を命じて駆除を検討する必要があるとしています。

(クマによる人身被害、異常なペースで相次ぐ:秋田)
秋田県内でクマによる人身被害が異常なペースで相次いでいる。25日も秋田市や大仙市で4件の人身被害が発生し、計4人がけがを負った。10月の人身被害の発生日数は25日までに7日間連続を含む計16日で、死傷者数は34人。発生日数、死傷者数ともに人身被害が過去最多だった2023年度の同月のペースを上回る。東成瀬村では24日に4人が死傷。湯沢市では4人が襲われた現場近くでクマが民家にとどまった事案も発生し、住民に不安が広がっている。県の公表資料によると、記録が残る1979年度以降で人身被害が最多だったのは23年度の62件(70人、死者は0人)。最も被害が多かった10月には34人が負傷したが、今年はすでに同数に達した。秋田市では25日、男女3人がクマに襲われて負傷した。いずれも意識があり、会話ができる状態という。

(“拳銃ではクマ駆除できない可能性 避難誘導最優先に”:警視庁)
全国でクマによる被害が相次ぐ中、警視庁は警察官の拳銃ではクマを駆除できない可能性が高いとして、使用には十分注意するよう都内のすべての警察署に通知しました。人的被害のおそれがあるなど差し迫った状況では拳銃の使用も視野に入れつつ住民の避難誘導などを最優先に対応するということです。クマの生活圏への出没や人への被害が各地で相次ぐ中、東京都内でもことしに入ってから青梅市や奥多摩町などでツキノワグマの目撃情報が相次ぎ、都によりますと今月12日までにあわせて135件に上っています。警察官がクマに拳銃を発射することは法的には可能とされていますが、警視庁は警察官が所持する拳銃がクマの駆除に有効かどうか科学警察研究所の協力も得て検討しました。関係者によりますとその結果、クマの皮下脂肪の厚さや頭蓋骨の硬さなどから銃弾は貫通せず、駆除できない可能性が高いと判断したということです。駆除できなかった場合、クマは興奮状態になって逆に襲いかかってくる危険性があるということで、警視庁は24日、クマに対する拳銃の使用には十分注意するよう都内のすべての警察署に通知しました。一方で人的被害のおそれがあるなど差し迫った状況では使用も視野に入れる必要があるとしています。そのうえで、クマが生活圏に出没した際には、自治体などの関係機関やハンターとも連携しながら、避難誘導など住民の安全確保を最優先に対応するということです。

(ツキノワグマ緊急対策に補正予算約3,000万円を専決処分:福島)
福島県は10月23日付で、ツキノワグマの被害防止緊急対策事業を行う経費として、補正予算約3,000万円を専決処分した。県によると、通常は狩猟期間に狩猟者の安全監視を行う「鳥獣保護管理員」について、10月下旬から11月末まで緊急的にクマ被害防止のためのパトロールも実施。クマ出没リスクの高い場所を早期に特定・周知するとともに、必要に応じて花火による追い払いを行う。また、市町村の要望も踏まえながら、クマの生息数や動向を把握するための専門人材を各地に派遣する計画。市町村のサポートを行うという。さらに、クマ用の箱罠やクマ撃退スプレーなど、クマ対策に有効な物品を県が購入し、市町村へ配布や貸し出しを行うとしている。福島県は「今年度は県内でもツキノワグマの目撃件数が過去最多を記録し、人身被害も相次いで発生するなど“非常事態”といえる」と危機感を示し、「市町村や猟友会、警察など、関係機関と連携しながら被害防止に向け警戒を強化する」としている。

(クマ目撃件数が過去最多ペースで「出没警報」を再延長:宮城)
クマの目撃や被害が相次いでいることを受け、宮城県は10月23日、県内に出していた「クマ出没警報」の期間を11月30日まで延長すると発表した。警報期間は7月29日から10月31日までだったが、今回が3度目の延長となる。県によると、10月1日から22日までに寄せられた目撃情報は513件にのぼり、これまでで最多だった2023年11月の月間344件を大きく上回っている。今年度の累計は1401件で、過去最多だった2002年度の1642件に迫る勢いだ。県内では、人身事故や死亡事案も発生しており、警戒レベルが一段と高まっている。知事は同日、次のような緊急声明を発表した。「県内では依然としてクマに遭遇しやすい状況が続いており、今後も予断を許さない。クマが餌を求めて行動範囲を広げており、まさにかつてない緊急事態。人身被害防止に向けた集中的な情報発信を行う」県では住民に対し、以下の点に特に注意するよう呼びかけている。1. 目撃情報に注意2. 河川敷やヤブなど見通しの悪い場所に注意3. 入山や山菜採り時のリスクに注意4. クマの餌となる果樹やゴミの管理を徹底5. 鈴の携帯や単独行動の回避など基本的な対策の継続。

(ツキノワグマ被害防止対策、管理計画策定へ:三重)
全国各地でクマの市街地への出没が相次ぐ中、三重県は初めて「県ツキノワグマ管理計画」を策定する。現在、中間案を示して県民の意見を募っている。人とクマとのすみ分けを図り、クマの被害を未然に防ぐためのもので、募集期間は11月18日まで。計画書によると、県内のクマは、県南西部や奈良県南部、和歌山県北部にかけて生息する「紀伊半島地域個体群」に位置づけられているが、近年はその生息域を拡大している。1975(昭和50)年から84(同59)年にかけての県内のクマの出没は、松阪市の旧飯高町や、多気郡大台町の旧宮川村、度会郡大紀町の旧大内山村など、旧7市町村(現6市町)に限られていたが、2015(平成27)年から24(令和6)年までは松阪市や多気町、大台町など、旧37市町村(現19市町)で確認されており、県内全域に生息域が広がっている。目撃などの年間件数も22(令和4)年までは平均20件程度だったものが、23(同5)年に40件、24(同6)年には162件と急増、目撃された地域も23年は7市町だったが、24年には15市町に倍増している。直近の県内の人身被害は、23年に尾鷲市、24年に大紀町でそれぞれ1人。農林業では南勢地域で、24年に養蜂の箱が襲われる被害が10件発生している。1984年時点のクマの生息数は紀伊半島地域個体群で約180頭だったが、2024年の調査では、2.6倍の468頭に増加。県内ではそのうち110頭が生息しているとされている。計画書では・人身被害ゼロ・人の生活圏への出没防止──の二つを目標に掲げ、問題個体の駆除などの被害防止対策、人の生活圏と山の間に緩衝地帯を設けるなどの里地里山の管理、クマが木の実などを十分に確保できるよう森林を整備する自然環境の保全などに取り組む。特に、人とクマのすみ分けを図る対策では・被害防止ゾーン=人の生活圏・緩衝ゾーン=里山・生息・保護ゾーン=クマの生息地域──とゾーンを分け、個体群の管理をしていく。計画期間は2027(令和9)年3月31日までで、寄せられた意見を元に最終案をまとめる。

(クマ大量出没、年間の捕獲上限170頭に迫る勢い:富山)
28日も富山県内ではクマの出没情報が相次ぎました。県は緊急対策会議を開き「非常に危機的な状況」だとしてクマの捕獲上限数を緩和させる方針を確認しました。28日午前8時半ごろ、富山市山田中村で住民から「クマがカキの木に登った跡がある」と地区センターを通じて市に通報がありました。現場からは、クマが柿の実を食いあらした跡や木には爪痕、さらにクマの足跡のようなものも発見されました。クマの出没を受けてこの家の住民はクマの痕跡があった柿の木の伐採に踏み切りました。富山市では28日午後4時時点で山田中村のほかに栗山、婦中町の住宅街など8か所でクマの目撃情報が相次いでいて市や警察がパトロールなどを行い警戒を呼びかけています。1週間でクマによる人身被害が3件発生したことを受け、県は、緊急の対策会議を開きました。会議には、県自然保護課や各市町村の職員が参加し、ツキノワグマの出没件数は今月に入ってから27日までで、329件にのぼることが報告されました。これは被害が深刻だったおととしの同じ時期の257件を大幅に上回っていて、特にクマの生息域ではない、市街地に出没するケースが増えています。10月24日、クマの人身被害が発生した立山町は。立山町の担当者「本来、この緊急事態で富山県として捕獲頭数が上限があるっていうのはどうなのかなって思うんですけど」。県のクマの保護・管理計画では、年間の捕獲数の上限が設けられていて今年度は170頭と定められています。しかし、今月に入ってからきのうまでにすでに50頭を捕獲。今年度では134頭と上限に迫る勢いです。これについて県は。県自然保護課 朝山弘康課長「現在非常に危機的な状況ですし、クマが市街地にも出ているという状況ですので、現在130頭を超える頭数ですが、上限数が170ですので仮にこれを超えたとしても翌年度の頭数を含めての管理ですのでとくに超えても問題はございません」県は、各市町村の捕獲の条件を緩和させるなどクマの出没状況に合わせて柔軟に対応していきたいとしています。県自然保護課 朝山弘康課長「市町村も捕獲に取り組んで頂いているところであります。ただそれにも限界はありますので、(住民には)クマが出るかもしれないということを日頃から注意していただきたい」。

(箱わな・撃退スプレー貸し出し、専門家派遣も:福島)
福島県内でクマの目撃件数と人身被害が過去最多となるなか、県は約3千万円の補正予算を組んで緊急対策に乗り出す。内堀雅雄知事は27日の定例会見で「まさに非常事態。一人ひとりが意識を高め、自分ごととして捉えて欲しい」と注意を呼びかけた。県によると、補正予算は23日に専決処分した。箱わなや撃退スプレーを市町村に貸し出すほか、鳥獣保護管理員らによるパトロールを11月末まで強化したり、専門職員のいない市町村に専門家を派遣して捕獲指導したりする。また、クマの通り道となる河川敷の草むらの刈り払いや、エサとなる果実が収穫されずに放置されている樹木の伐採などもする。県内では今年度のクマの目撃件数が1038件(10月15日時点)で、記録が残る中で最多だった23年度の709件を大幅に上回る。人身被害も17人にのぼり、過去最多の23年度の15人を超えている。県によると、今年はブナなどのクマのエサが凶作で、今後も冬眠前のクマが人里に出没するケースが多発する恐れがある。内堀知事は会見で「クマの目撃情報がある場所では朝夕の行動を避けるなど、寄せつけず、出合わないよう十分に注意してほしい」と話した。県は被害を減らすためにリスクの高い場所や注意点などをまとめた「10箇条」を県ホームページで公表している。具体的には、「特に日の出前、日没後には徒歩による外出を控える」「犬の散歩時に人身事故が発生している」「住宅や敷地内で物音がしても不用意に外に出たり窓を開けたりしない」「畑や果樹園などの見回りには車両を使う」「キノコ狩りはリスクが非常に高い」などと指摘している。

(クマの出没続くも緊急銃猟実施せず、盛岡市担当者にその理由を尋ねる:岩手)
岩手県内でクマの出没が相次ぐなか、餌を求めてクマが現れるなど人々の生活圏である市街地での目撃も増加しています。盛岡市の中心部に出没したケースを踏まえて、自治体の判断で猟銃の使用が可能になる「緊急銃猟」の対応を取材しました。20日、盛岡市本宮の「原敬記念館」の敷地内に成獣のクマ1頭が侵入し居座りました。クマはおよそ4時間後に麻酔を打たれて捕獲、その後に駆除されました。23日には盛岡市役所の裏手にある中津川の河川敷にもクマが出没しました。クマは川沿いを移動して姿が見えなくなりましたが、通勤時間帯の官庁街は騒然としました。これは盛岡市がまとめたクマの目撃場所などが記された地図です。それを見ると、山間部のみならず市中心部でクマの出没が多いことが分かります。2025年度は盛岡市でのクマの目撃は24日時点で271件と、過去最多だった2023年度を80件も上回っているほか、2件の人身被害も発生しています。クマの対応を巡って9月に運用がスタートしたのが「緊急銃猟」です。市街地に出没したクマなどに対して、自治体の判断で猟銃が使える制度です。全国でみると既に宮城県仙台市や秋田県横手市などで「緊急銃猟」が実施されています。今回、盛岡の市街地に出没した2件のケースは「緊急銃猟」が実施されませんでした。その理由について市の担当者に聞いてみると…(盛岡市環境企画課・渡辺聡課長補佐)「壁などでそれ以上弾が外部に飛ばないようにする手立てが取れなかった」。「原敬記念館」の付近には保育園や住宅が立ち並んでいたほか、銃弾がそれた場合に弾を受け止める場所「バックストップ」がなかったと説明します。市役所近くにある中津川の河川敷に出没したケースについては…(渡辺聡課長補佐)「移動している個体を狙うのは難しい」「石が多い場所では貫通したライフルの弾が跳弾、他のところに飛んでしまう可能性が著しく高く、安全性の確保ができない」。また、市ではマニュアルを作成しているものの、損害保険の加入など実施体制を構築している途中だということです。相次ぐ市街地でのクマ出没を受けて、市民の日常生活の安全を確保するためにも早期の制度の運用が求められます。

(シカ習性利用、捕獲学ぶ:福井)
深刻さを増すシカの食害による森林被害を防止するため「くくりわな」の画期的な設置方法「小林式誘引捕獲法」の講習会が、池田町野尻の山林で開かれ、受講者から注目を集めた。シカの習性を利用するもので簡単に捕獲できることに加え、わな設置や見回りの手間も省力化が見込める。講習会は23日、県と福井森林管理署が実施した。県内の猟友会員や有害鳥獣捕獲隊員、森林組合員、県市町の担当者ら約40人が参加。

(秋田にクマは何頭いるのか、クマ大量出没の背景と求められる対策を深堀り:秋田)
県内ではクマによる人への被害が相次いでいます。これまで県内のクマの推定生息数が4,400頭とされる中、今年はすでに1,000頭を超えるクマが駆除されていますが、それでも出没が止まりません。専門家からは「県内にはもっと多くのクマが生息しているのではないか」と指摘する声も聞かれます。大量出没の背景、そして求められる対策を深堀りします。背後から突然人にとびかかるクマ。市街地を徘徊し建物に侵入してくるクマ。冬を前に、人里にエサを依存したクマが活発に動き回っています。クマの大量出没にこの先どう対応すればいいのか?対策の根拠となるクマの生息数について考えます。連日、県民がクマに襲われる緊急事態。この日の県議会で、議員たちは県の対応を厳しく追及しました。小棚木政之議員「ここ 1ヶ月くらいは会う人会う人からお叱りを受けます(県は)何やってんだと」「ブナの実が不作だとかっていいますけども、出てくるクマみんなコロコロ太ってますので、何を食べてるかはわかりませんけども、一刻も早く駆除する必要があると思います 」。工藤嘉範議員「クマってすごく賢い状況だって聞いてますし」「その子グマが、やっぱり人間界を恐れないような状況になっていくという、今これ止めないと大変なことになるなと思って、もうやばいなんてもんでないような状況なのかなと思ってますので」。県生活環境部 信田真弓部長「猛暑によりまして堅果類・山葡萄とかも全くございませんで、クマも食べ物を求めて必死で来ているというような状況であります。で、こちらもやっぱり必死で対応していかなければいけないというところは認識してございます。ただ、今できる対策というものが多くはございません」。さらに県議会の重鎮からはこんな言葉も・・・。鈴木洋一議員「災害なので自衛隊も対処しなければならないみたいな話まで(市民から)出ている」「このままいくと必ず子どもが、子どものそばに出たというのは、どこの町でもあることなんで、いずれ子どもが犠牲になったら大変。逆に『子どもでも犠牲にならなきゃ行政動かないのか』っていう話まで市民の間から出ているぐらいなんで、これはやっぱり県も市も、もう完全にもうフェーズ(局面)が変わっちゃったんだという認識を持って対処しないと」。クマの大量出没を受け鈴木知事は適正な数まで捕獲する「管理捕獲」の検討を明言しました。鈴木知事「これはもう管理捕獲を、要はこっちから頭数をしっかりと管理するための捕獲をやっていくための根拠となる(推定生息数)調査をしているところでありますので、いずれこの後、凶作、大凶作って出てくると思いますから、その時でもこうはならないようなための管理捕獲をこの後しっかりと考えていくということであります」。今年県内では親子グマの出没が数多く報告されています。一方でヒトの少子高齢化の波はクマと対峙するハンターの不足という危機的な状況を招いています。猟友会 稲垣さん「射殺してもいいんだけどもそのあとが大変だからね」「きょうも一頭射殺(有害駆除)したんだけれども、たまたま日曜日だから解体とか処分する人がいるのでやれたけれども、普通の日(平日)はやれない」。このため猟友会ではロケット花火などを使って朝夕の出没時間帯に追い払いをしていますが…。稲垣さん「慣れているやつは知らんふりしているよ」「2~3発やってしょうがなく逃げる感じ」「まぁ呆れるわ」。マタギ発祥の地として脈々と狩猟文化が受け継がれてきた秋田県。山肌の木々が芽吹く前に、冬眠から覚めたクマを追う春グマ猟を古くから行ってきました。追われたクマは、ヒトを怖い存在として学習し人里への出没が抑えられたともいわれています。また、いまから40年ほど前の1980年代、県は調査としてクマに発信機をつけて行動や生態のデータを集めていました。ただし当時は保護政策が主流で、クマの捕獲や駆除は長い間積極的に行われませんでした。018年に秋田市で開かれたクマの専門家らによる全国大会。人里での出没が相次ぐ秋田の現状について語った1人の研究者がいます。星崎教授「もう里グマというよりは街グマといったほうがいいものが現れはじめてたというのが秋田の現状」。秋田県立大学の星崎和彦教授。人の生活圏での相次ぐ出没や被害を予見していた一人です。星崎教授「人家が密集している地区にクマが出没するというのはかつて考えられなかったことなんですが、もう間違いないというくらいまで傾向が出た頃にはもう家の周りに野良猫のごとくクマがいる状況が実現してしまっていることになるので」。人里での出没について星崎教授は、エサの凶作だけでなくクマを山に押しとどめるヒトの圧力の低下が背景にあると考えています。星崎教授「人口減少とか少子高齢化とか社会的な背景がこの現象をもたらしています。ですので社会の状況がこのまま推移していく限りは必然の結果だと言わざるを得ないかなと思うので」。そのうえで星崎教授はクマの頭数、「いま秋田にどのくらいのクマがいるのか?」その数を把握できなければ正しい政策を決められないと指摘します。星崎教授「いま何頭いるかというのと(自然界での)死亡率が何%かっていうので(生息)数は劇的に変わります。死亡率がもし5%だったらいまの獲り方最近の獲り方では増えすぎなので」「全県にはもっとたくさん(クマが)いるんじゃないかというのが私の見立てです」「人口減少を考えるといま動かないと手遅れになる可能性のある問題です」「この問題は自然環境や動物の問題ではなくって社会の問題です根っこは人口減少や高齢化にありますで次の大量出没時にもっと大変になるのでオール秋田的に何かやらないといけないんじゃないでしょうかというふうに訴えたいと思います」。クマの出没と人への被害が止まりせん。私自身、毎日のように秋田市郊外でクマを目撃し、その姿をカメラに収めてきました。感覚としてはおととしの大量出没よりも多い、まさに人里にクマが押し寄せているという実感があります。映像は今月19日、秋田市河辺の集落で撮影した映像です。集落にあるカキの木に親子のクマが4頭寄ってきていました。駆け付けた警察官がロケット花火で追い払おうとしましたが、クマはそのまま木の周辺に留まり続けました。そしてこちらの映像は数十メートル離れた場所にある別のカキの木です。ここには大きなクマの成獣がやってきていました。日が暮れると別の個体もやってきて木の下で鉢合わせしました。集落にあるクリやカキそれに河川敷のクルミにはクマや枝を折った痕跡、クマ棚がほぼ残されていてクマから見れば集落全体がエサ場となっています。クマが至るところでエサを求め、集落だけでなく市街地にまで足を延ばし動き回っている状況の中、さらに今年はカキ以外の作物でも懸念の声が聞かれはじめています。24日朝、秋田市の郊外で撮影した映像です。刈り取られていない田んぼでクマがイネを食べています。今年は収穫シーズンの雨と気温の低下で土が乾かず、ぬかるんで収穫が後回し、もしくは放置された田んぼが散見されます。こうした田んぼが新たなエサ場となりクマを引き寄せています。また大館や鹿角など県の北部ではおととしに続いて人の生活圏にあるソバ畑に多くのクマが引き寄せられていています。県内では人がクマに襲われケガをする事故が相次いでいます。24日は東成瀬村で4人がクマに襲われたほか、秋田市中心部の住宅街でも目撃情報が相次ぎました。いずれの場所も近くを流れる川や水路が、クマにとって身を隠しながら移動できるルートになっていた可能性があります。こうした川の近くでの散歩や作業をするときは鈴やラジオを鳴らすなどして人の存在をクマに知らせ、鉢合わせによる偶発的な事故を防ぐことが必要です。もう一つがクマを誘因するカキについてです。県内にいるクマはおととしの大量出没を契機にカキの味を覚え、冬の時期も集落のカキを求めて集落を徘徊するようになりました。カキは集落の中に植えられているケースが多いため、玄関先や庭でクマと遭遇する恐れがあります。早めに実を収穫するか、クマが木に登らないようにトタンを撒く、管理できない場合は伐採するなどの対策を検討してください。被害を防ぐため県も各市町村もできる限りの対策を打ち出していますが、それを上回る多くのクマが押し寄せてきているため、対策の効果が及んでいないように見受けられます。対策の効果が出るよう、クマを適正な頭数まで減らす、管理捕獲の根拠となる新たな推定生息数のデータは来年公表される予定で、これをもとに頭数管理の議論と対策が前に進むものとみられます。

(クマ被害防止のカギは“里山再生”:岩手)
山に関わる有志で構成する一関里山をつくる会(及川武芳会長)は、集落の近くに位置する里山を管理できる人材の育成に取り組んでいる。クマの人的被害が相次ぐ中、正しい知識と技術で森林を整備する重要性が高まっており、メンバーは山と共存する暮らしを守るノウハウを広めようと意気込んでいる。全5回の講座のうち3回目となった19日は、一関市厳美町で実地研修を行った。山の手入れをしている地元住民や一関高専の学生ら約10人がチェーンソーの使い方や整備の方法を確認。伐採した木を運びやすい長さに切り分ける玉切り整理に汗を流した。森林管理のスキル向上はクマやシカによる被害対策にも重要な役割を果たす。及川会長(72)は「里山は人里と山の間で緩衝帯の役割を果たしていたが、今は管理する人が減り荒れてしまった。動物は身を隠せる環境に居着くので、適度に木を切って見通しをよくしなければならない」と指摘。「山で過ごす面白さを共有し、環境の生かし方や管理するノウハウをみんなで身に付けていきたい」と展望する。

(クマ出没集中の長岡市栃尾地域で対策強化:新潟)
長岡市はクマ出没が集中する栃尾地域で対策を強化する。餌となる柿などの不要な果樹を切る経費の補助枠を拡大し、クマ用のわなを増強する。市民向けの注意喚起にも引き続き力を入れ、人身被害の防止に取り組む。市鳥獣被害対策課によると、本年度の市内のクマ出没件数は22日現在で219件。栃尾地域が162件を占め、3件の人身被害も栃尾地域で起きている。不要果樹を町内会が伐採する経費として、市は1団体当たり上限10万円を補助している。

(イノシシ獣害対策に関するシンポジウム:神奈川)
麻布大学は、大磯町及び神奈川県立大磯高等学校との「人と動物と環境の共生に向けた連携協力協定」に関するシンポジウムを2025年10月26日(日)、麻布大学祭の期間中に開催する。なお、本シンポジウムは、獣害対策、特にイノシシに焦点を当てた内容となっており、麻布大学教員のほか、実際に獣害被害対策を取り組んでいる大磯町の住民も登壇する。2025年1月24日、麻布大学は大磯町と神奈川県立大磯高等学校とともに「人と動物と環境の共生に向けた連携と協力に関する協定」を締結し、以降、教員による出張講義、学生と大磯高等学校の生徒が一緒に参加した野外学習、地域住民との交流会の開催など、初年度から様々な連携事業を取り組んできた。特に獣害対策については、麻布大学フィールドワークセンター(島根県美里町)を活用し、日本をリードする鳥獣害対策から単なる獣害対策で終わるのではなく、駆除した野生動物の利活用など、参加した学生・生徒にとって実践的かつ貴重な学びの場を提供してきた。シンポジウムでは、この三者による連携協力ならではの取り組みを広く社会に発信すべく、これまでの活動報告と今後の展望について講演する。

(クマは明確に「人間を食べるため」に住宅街に現れている…:中山茂大)
今年度クマに襲われて死亡した人が7人となり、過去最多を更新した。ノンフィクション作家の中山茂大さんは「約80年分の北海道の地元紙を通読し、人喰い熊出没の兆候を分析した。その結果、平成令和期のクマは、それまでとはまったく異なる傾向を見せ始めていることがわかった」という――。今年もクマによる被害が相次いでいる。10月4日付の「読売新聞」によれば、全国のクマによる死者数は「過去最悪だった2023年度の6人を上回る7人になった」という。環境省によると、けが人を含めた人身被害の件数は108人に上った(4~9月)。特に本州ではツキノワグマによる死亡事故が多発し、岩手県北上市では、7月4日、屋内に侵入したクマが81歳の老婆を殺害し、10月7日には同じ北上市で、キノコ狩りに出かけた男性が襲われ、遺体がバラバラになるほど食い荒らされるというショッキングな事件が起きた。さらに16日にも、同市内の瀬美温泉で従業員男性が行方不明となり、17日に遺体となって発見、付近にいたクマが駆除された。筆者が何度か既報した通り、ツキノワグマによる食害事件は、次の一文が示すように、長らく「あり得ない」と言われてきた。「それはよほど前のことだそうであるが、福井県下で、あるおばあさんが山菜とりに山に入ってクマにやられて死んだ事件があった。そこでその犯行の主とおぼしいクマを射殺して解剖したところ、被害者の片足が、胃の中から出たそうで、これが現在知られる限りの、わが国でツキノワグマが人を食った、唯一つの珍らしい事例だということである」(『くま』斉藤基夫 農林出版 昭和38年)。しかし1988年の「山形県戸沢村事件」(3人死亡)、2016年の「秋田県十和利山事件」(4人死亡)など、食害をともなったツキノワグマによる襲撃事件が相次いでいる。一方で北海道でも、7月に福島町で新聞配達の男性が喰い殺され、8月に知床の羅臼岳を下山中の男性が襲われ食害されるなどの重大事件が起きた。筆者は今夏、福島町を訪ねたが、事件現場は国道沿いのコンビニエンスストアから、わずか100メートルほどの空き地で、付近には民家が建ち並び、目の前は老人ホームという、どこにでも目にする、ごく普通の住宅街であった。事件は午前3時頃に発生し、加害熊は被害者の身体をくわえて、付近の草むらに引きずりこんでいったという。現場の雑草はすでに刈り取られていたが、襲撃当時は腰高以上に生い繁っており、捕らえた獲物を安全圏に引っ張り込むヒグマの習性にも合致する。しかも事件の4日前から、被害者男性がヒグマを何度も目撃していたという証言があり、以前からつけ狙っていたことがわかる。さらに4年前に同じ福島町で農作業中の女性が食い殺された事件の加害熊であることも判明した。これらの事実に、筆者は極めて異質なものを感じた。確かに本州でも、ツキノワグマがスーパーマーケットに入りこんだり(秋田県秋田市・群馬県沼田市)、立体駐車場にクマが居座ったり(福島県福島市)している。しかしこれらはエサを求めて人里に迷いこんだ結果であって、人間に危害を加えるために下りてきたわけではない。福島町の事件の加害熊は、これらとはまったく異なる。この個体は、明確に、人間を喰うために山を下りてきた。そして執拗に被害者を追い回し、ついに住宅街のど真ん中で凶行に及んだのである。ツキノワグマは人間を喰らうという新しい習性を体得し、ヒグマは人間を喰らうために平気で住宅街に出没しはじめている。人喰い熊事件は、新しいフェーズに入ったと言ってもいいかもしれない。それでは人喰い熊出没の兆候とは、どのようなものか。筆者は、明治11年以降、昭和36年までの約80年分の北海道の地元紙を通読し、また林業専門誌、市町村誌、部落開拓誌、個人自伝などにも目を通して、ヒグマに関する記事を抽出、データベース化した。さらにそれらをインターネットのカスタマイズ機能のついた地図上にマッピングした。これらのデータをもとに、北海道における明治以降の人喰い熊事件の変遷を俯瞰してみると、大ざっぱに言って、開拓の進展とともに、おおむね時計回りに、事件が推移していったことがわかる。明治時代には、江戸期以来、人口が集中していた渡島半島から増毛、留萠にかけての日本海沿岸と、開拓の嚆矢となった石狩平野から旭川にかけての一帯で事件が集中している。入植者の増加とともにヒグマとの接触が増えるのだから当然とも言える。大正期に入ると、その分布は石狩平野から北上し、枝幸、北見、網走に至るオホーツク海沿岸にまで達する。この時期、大正元年から4年にかけてが、開拓期を通して人喰い熊事件がもっとも多発した時代でもあった。昭和期になると、事件は北海道全域に広がり、とりわけ北見山地、石狩山地、大雪山系など、これまで人跡未踏であった山岳地帯に集中するようになる。その理由としては、昭和初期から紙パルプの需要が急増し、これを賄うために大規模な森林伐採が行われたことが考えられる。そして平成令和期に入ると、それまでとはまったく異なる傾向を見せ始める。これまで道央、道北に偏っていた事件が南、つまり太平洋沿岸に集中し始めるのである。この傾向は大きく以下の三つに分類できる。一つは渡島半島への回帰である。渡島半島では、明治大正期に事件が集中したが、昭和期には大幅に減少する。しかしそれが平成令和期になって再び増加し始める。特筆すべきは、食害をともなう凶悪事件が多発していることである。もう一つは道東の白糠町から厚岸町にかけての一帯である。この地域では、明治大正昭和と、断続的に人喰い熊事件が散発している。一昨年に話題となった「OSO(オソ)18」による一連の事件も、この地域で発生した。最後に、定山渓から千歳、苫小牧に至る勇払原野一帯である。この地域では昭和に入って、にわかに事件が続発し始めるが、渡島地方同様、食害をともなう襲撃が多いのが特徴である。もう一つの特徴は、これまで開拓の手が入っていない山岳地帯に隣接する地域で事件が多発していることである。具体的には知床半島、北見山地、日高山脈などで、定山渓や渡島半島も、行ってみるとわかるが非常に山深い。これらの地域で個体数が増加し、いわばヒグマの「人口圧力」によって押し出された個体が里山に下りてくると考えられる。深山幽谷の安全なエサ場は、大型の個体が独占し、体格的に劣る個体や若いオスグマが縄張りを作れずに里山に下りてくるのである。その証拠に、人を襲うクマには、比較的小型の個体が多い。福島町の加害熊こそ身長2メートル体重200キロとやや大型であったが、羅臼岳で登山客を襲ったクマは体長1.4メートル、体重117キロのメス。23年に朱鞠内湖で男性を食い殺した個体は体長1.5メートル。同じ年に道南の大千軒岳を登山中の北大生が襲われた事件の加害熊はオスで体長1.25メートル。1970年に日高山脈で起きた「福岡大学ワンダーフォーゲル部遭難事件」(3人死亡)の加害熊は「日高山脈山岳センター」(中札内村)に剥製となって展示してあるが、写真の通り驚くほど小柄だし、1976年に起きた「風不死岳事件」(2人死亡・3人重傷)の加害熊も体長1.6メートル、体重80キロのメスであった。北海道の猟師の間では「なりの小さいのに気をつけろ」と言われる。大型のクマはエサに満ち足りているせいか悠々としている個体が多いが、小型のクマは空腹を抱え、常に周囲を警戒している。知人のベテラン猟師も、小さいクマの方が「逃げるか、襲うか」の決断が早く、「やられる前にやる」となったら猛然と襲ってくるのだと語る。今年は北海道でも、ドングリなどヒグマの主食となる果実の不作が報じられている。生息地からはじき出された個体が人里に下りてくる確率は高まっていると言えよう。ヒグマが冬ごもりに入る11月末頃までは警戒が必要だろう。

(クマに9回襲われて生還した専門家が予測する「危険な2年周期」)
岩手県で温泉施設の従業員(元プロレスのレフェリー)が露天風呂の清掃中に死亡した。クマに連れ去られ、襲われたとみられている。「人食いクマ」の出没に、SNSでは戦々恐々とするコメントが相次ぐ。クマによる人身被害はいつまで、どこまで拡大するのか。クマに9回襲われて生還した識者に、今後の予測を尋ねた。クマが「冬眠せず凶暴化」する可能性はあるのか?26~27年の見立ても聞くと、衝撃の回答を得た。10月15日に環境省が「2025年度のクマ犠牲者が7人と過去最多を更新」と発表したわずか2日後――17日朝、岩手県北上市でクマ1頭が射殺され、近くで男性1人の遺体が見つかった。「人食いクマ」の可能性があることから、SNSでは戦々恐々とするコメントが相次ぐ。クマによる人身被害はいったい、いつまで・どこまで拡大するのか――。専門家からはクマが「冬眠しない」可能性すら指摘されている。エサが凶作だと栄養状態が悪いため体力を消耗しないように早く越冬に入り、逆に豊作年だと栄養状態が良くて寒さに耐えられるので冬でも歩き回ることがあるのだ。「クマに遭遇した時に絶対にやってはいけないのは、『クマに背を向けて逃げる』こと。クマは敏感に反応し、反射的に襲う」と語るのは、日本ツキノワグマ研究所所長の米田一彦氏だ。米田氏は調査などで遭遇・捕獲したクマに9回襲われ、そのたびに生還した稀有な経験を持つ。有効なクマ対策について身をもって知る、まさにスペシャリストだ。「クマの走る速さは時速50~60キロメートル。例えるならば、五輪金メダリストのウサイン・ボルト氏よりも速い。もし転ばなかったとしても、逃げ切るのは難しい」という米田氏。逃げ切れないとなると、クマが人里に出てくる「頻度」と「長期化」がいっそう気になるところだ。実は米田氏は23年時の取材で、「2年後(つまり25年)は今年以上に被害件数が増えるかもしれず、警戒が必要」と予言していた。まさに、その言葉は的中している。そこで、米田氏に10月末、11月、12月に向けた予測を尋ねた。クマ被害は日本で当たり前の光景になってしまうのか?26~27年の中期の見立てについても聞いてみたところ、衝撃の回答を得た。米田氏に、クマが冬眠せず凶暴化する可能性を尋ねたところ、「初冬に、集落の縁辺の神社、作業小屋の床下などで浅い越冬に入っても、気温が暖かければ姿を現す」という。「10月末~11月はまだ活動期で今の状況が続く。母グマが駆除されると、生後10カ月程度の子グマが、その場で母グマを待つ習性がある。そのため体長50センチ程度のクマが多数、目撃されるだろう。このクマが里グマ化、いわゆるアーバンベア(都会化したクマ)となる機序だ」と米田氏は指摘する。「クマは野生獣であり獰猛(どうもう)。それは当たり前というか、生き物として紛れもない事実。なので、人間側の表現である“凶暴”という言葉は、私は本来できるだけ使いたくないのが本音」と前置きしたうえで、「とはいえ、25年の死亡事故の多発を見ていると、『凶暴化が起きている』と言わざるを得ない」ここで里グマ化、アーバンベアについて解説しよう。米田氏はクマが人を襲うようになった要因のひとつに、「クマの生息域が広がった」のは見逃せないという。日本の森林は、集落や市街地に比較的近く人間が利活用してきた「里山」と、人里離れた「奥山」に大別される。しかし、少子高齢化で里山の管理が放棄されるようになった結果、「里山も奥山化」してしまい、クマが住める環境が広がって市街地まで降りてきているのだ。そして、クマの世界にも階級や力関係があり、奥山は体が大きく力の強いクマが牛耳っている。一方、それ以外のクマは強い個体を恐れて、居場所を探して里山付近に下りる。里山に下りるクマたちは、かつては「人との間合い」をよく知っていた。本来は人を避けて上手に動くことができたが、最近になって人と接触している理由は、大きく2つある。まず、未熟なまま子を持つ若いクマが増えていること。母グマの体長が1メートル程度の場合、大きさに鑑みると年齢は3歳くらい。つまり2歳で交尾をしている。この若さで母親になるクマは、昔の自然界ではあまり見られなかった。里山にいるクマの個体数が増え、繁殖期に交尾をしたいオスが多くなった結果、若いメスグマが「仕方なく妊娠して子を持つ」という選択を強いられているのかもしれない。クマとして未熟であるが故に、意図せずして人間の前に出てきている場合もあるのだ。もうひとつは、人間側の「クマを森に押し返す力」が弱まっていること。集落付近で暮らす都会化したアーバンベアは人との距離感を心得ているとはいえ、人間側の対策が不十分になると増長する。過疎と高齢化でハンターの数が減り、イヌが飼われなくなった。住民が市街地周辺の草を刈らなくなり、クマの食べ物になりそうな果実を定期的に収穫できなくなった。クルマが市街地を頻繁に走らなくなった――。そういった地域では、クマの警戒心が薄れているのだ。「森に押し返す力」が弱まった地域にクマが出て、その地域に住んでいる人間を襲っている可能性は高い。「25年はクマの被害が多く発生する、警戒が必要」との予測を見事的中させた米田氏。というのも23年はクマの出生数が多く、かつてないほど赤ちゃんグマが生まれたとみられている。その子グマが2歳になり、自立して自由に動き始めるのが25年だったからだ。つまり、「クマの2年周期」に着目すると理解しやすい。この法則も踏まえて、26~27年の中期の見立てを聞いた。クマ被害は日本で当たり前の光景になってしまうのか?「24年はドングリ類が豊作で、25年は子連れクマが多い。つまり今年と同じ事が27年にも起こると思う。ただし、各地の駆除意識が強ければ、今年と同等か、少しは減るだろう」「26年は春の早い時期から体長50センチほどのクマが人里や民家、城址のような広い緑地から現れるだろう。そして夏に進むと、クマは市街地にも出るはずだ。その翌年となる27年は、23年や25年と同じ状況になることを推測する」。最後に米田氏は、「マスコミがヒグマもツキノワグマも混在して報道していることには注意してほしい。これにより一般市民もやや誤解していて、ツキノワグマの凶暴性が底上げされている感がある。両種では生態が異なり、対処法も違う」と語った。解説してきたように、地球温暖化を背景とする暖冬や、地方の過疎化・少子高齢化によって人間側の「クマを森に押し返す力」が弱まっていることも、クマの“凶暴化”の一因になっていることを忘れないようにしたい。

(「お前のところにクマ送る」前県知事が明かす真意:秋田)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度のクマ被害による死者数は全国で10人(10月24日時点)と、統計を取り始めた2006年以降で過去最悪に。人を食べる目的で襲った食害のケースも複数報告されている。駆除への抗議電話に対し「お前のところにクマ送る」「ガチャン!」など強い発信を行ってきた佐竹敬久前秋田県知事に、過激な発言の真意と、クレーマーへの本音を聞いた。佐竹氏の名前を一躍全国区にしたのが、23年に秋田市の会議で四国の名産を酷評した「じゃこ天は貧乏くさい」発言。その後も、クマ駆除への抗議電話に対し「すぐ切ります。ガチャン!」「お前のところにクマ送る」など、過激な発言の数々で話題を呼んだ。佐竹氏は「じゃこ天のことは本当に申し訳なかった」と自戒を込めつつ、「クマに関しては、間違ったことは言ってないと思う」と振り返る。「クレームには2種類あった。本当にクマがかわいそうだという人は、一方的ではあっても乱暴な言い方はしなかった。人の命がかかっているという事情を話せば、分かってもらえることもありました。手に負えないのはもう一方で、あれは役所や公務員への単なる憂さ晴らし。中身は何でもよくて、ただ言い返せない職員をたたきたいだけのバッシングなんですよ。トップが毅然とした発信をすることで、下の職員もある程度は相手にする必要がないと思えるようになる」佐竹氏自身も、1997年に県知事選出馬のため退職するまでは、一介の県庁職員だった。当時はカスタマーハラスメントという言葉もなかった時代、クマ問題とは別のところで、ひどいクレーマーに悩まされたことがあったという。「本当に何を言っても聞かない。当時の上司が間に入って強く言ってくれたことで、クレーマーに付き合う必要はないんだと知りました。その後、市長になった後に、そのクレーマーがまた職員に絡んでるのを見かけてね。『コノヤロウ!』と怒鳴りつけてやった。『こちとら武家の血が流れてんだ、世が世ならたたっ斬るぞ!』とね。向こうも市長に怒鳴られるとは思ってなかったのか、『怖いこと言わないでくださいよ』と(笑)。結局、ああいうのは権威に弱いんです。でも、彼らにもかわいそうなところがある。だいたいが所得が低かったり、社会的な信用がなかったり、格差社会で取り残された人たち。つまりは政治の責任でもある。だからと言ってカスハラが許されるわけではないけどね」クマ問題への対応を巡っては、研究者や専門家の間でも考え方もさまざまだ。政府の専門家検討会が推進するクマ対策では、放置された里山や雑木林に手を入れたり、河川沿いなどの下草を刈ったりするなど、クマと人間の生息地をすみ分けるゾーニングを基本方針としており、捕殺による個体数調整は手段のひとつと位置づけている。だが、クマ問題の最前線を主導してきた佐竹氏は、「そんな悠長なことは言ってられない」と主張する。「学者や専門家は共生だなんだと言うけど、現場のことは意外と知らない。悪いけど自分が住んでみろと言いたいですよ。放置された里山の手入れや電気柵によるすみ分け、この広い日本で何十兆円かかると思います? 絶滅させる必要はないが、共生なんて言ってられる段階じゃない。クマ問題は災害みたいなもの。環境保護ではなく、危機管理、災害対策としてやっていかないと」。昨年11月~2月の猟期中、県内でハンターが山に入って捕ったクマは約150頭。一方、市街地周辺に出没し、危険と判断され有害駆除された数は2200頭以上にものぼる。かつてのように、個人の狩猟趣味で山に入るハンターはごくわずかで、市町村の依頼で有害駆除のため仕方なく駆り出さているのが現状だ。市街地周辺では警察の発砲許可が降りないことも多く、佐竹氏の強い働きかけもあり、今年9月には市町村長の判断で発砲ができる「緊急銃猟」制度が実現。それでも、実効性にはまだ課題も多く残るという。「私も猟友会の会長とは付き合いが長いけど、そもそも猟友会はあくまで趣味の団体。プロがアマチュアに駆除をお願いしているという構図がまずおかしいんですよ。自衛隊基地にクマが入って、自衛隊がわざわざ猟友会に駆除をお願いしたこともあったでしょう。警察や自衛隊でSAT(警察の特殊急襲部隊)のようなクマ専門の特殊部隊を作るべきなんですよ。なぜそれができないかって、万が一事故が起こった際に責任を取るのが嫌だから。もしそんなことになったら、法整備に関わった政治家は全員選挙に落ちますよ。だから国は動かない。結局、立場の弱い地方や猟友会に責任を押し付けてるだけ。でも、いずれは遠からず首都圏でも出るようになる。もはや地方だけの問題じゃないんです」。

(クマ被害対策における猟銃の扱いと専門職配置の議論)
クマ被害対策における猟銃の扱いや専門職の配置について、Yahoo!ニュースのコメント欄で話題になっています。ユーザーコメントでは、自衛隊や警察による対応の限界や、猟銃の扱いには専門的な知識と経験が必要であるという意見が見られます。また、自治体に公務員ハンターや専門職員を配置し、国の責任で害獣対策を強化すべきだという声や、現状の受動的な駆除から能動的な対策への転換を求める意見も寄せられています。自衛隊や警察の訓練だけでは十分でないため、ハンターの育成や専門チームの設置が必要だという指摘もあり、国や自治体の体制強化に注目が集まっています。- 猟銃の扱いは専門的な知識が必要なので、自治体に専門職員を配置してほしいです。- 自衛隊や警察だけでなく、ハンターの育成や専門チームの設置が重要だと思います。- 国の責任で害獣対策を強化し、現場の負担を減らしてほしいという気持ちです。

(「緊急銃猟制度」で『公務員ガバメントハンター』が注目:長野)
クマ被害への対策です。2025年度、全国で出没が相次ぎ死者は過去最悪の9人にのぼっています。猟友会員の減少や専門的な知識を持つ人材が不足する中、注目されているのが狩猟免許などを持ち野生鳥獣の捕獲や管理を行う自治体の職員「ガバメントハンター」。全国に先駆け活動している小諸市の「ハンター」を取材しました。10月17日、小諸市の山林。小諸市“ガバメントハンター”・桜井優祐さん:「これが獣道で、下っているのもあるんですが、この辺に(わなが)かけてある」。シカ用のわなの確認をするのは、小諸市農林課の桜井優祐さん(40)です。市の職員でありながら狩猟免許を持っている桜井さん。野生鳥獣の管理・捕獲も行う「ガバメントハンター」です。桜井さん:「(野生鳥獣が)出てきやすい環境がすぐそこにあるので、いかに鳥獣被害をもたらしてしまう個体を管理していくことが重要」。今、「ガバメントハンター」が注目されています。全国で相次ぐクマの出没。県内でも長野市の善光寺周辺に現れるなど里地での目撃も増えています。人を襲う被害も。秋田県では散歩をしていた女性が襲われけがをしました。2025年度、クマによる死者は全国で9人に上り、過去最悪となっています。被害急増の要因は、山の餌が少ない、山と里地の境界線がなくなってきていることなどがあげられています。さらに、捕獲・駆除を担う猟友会員の減少。対策を行う自治体に専門知識を持つ職員が不足していることも要因の一つで、喫緊の課題となっています。10月10日、県議会有志が阿部守一知事に要望したのが「ガバメントハンター」の導入。狩猟免許や専門的な知識を持つ職員を自治体に置くべきだと説明しました。阿部知事:「民間の人たちにやっていただいている状況だと、もし万が一のことがあったときに、行政として中途半端な責任の負い方にならざるを得ない。公務員化することが必要だとかねてから思っていた」。“ガバメントハンター”導入を要望・宮沢敏文県議:「ガバメントハンターは長野県の小諸市が全国で初めて活用した制度で、とても効果を生じまして、意識も高まった。野生鳥獣と共生していくためには個体調整も必要、その問題点を知識を持った人がやらないとまずい」。小諸市はクマ・イノシシ・シカなどによる農業被害を減らそうと全国に先駆けて2011年に専門の大学教授を「ガバメントハンター」に採用して始めました。冒頭で紹介した桜井さんは、もともと一般職員として採用されましたが、銃猟や罠猟などの免許があったことから、2023年から「ガバメントハンター」になりました。小諸市“ガバメントハンター”・桜井優祐さん:「どう対策を取れば、鳥獣被害が減るのか。ただ防ぐだけでは問題解決に至りませんので、有害鳥獣駆除という形で、駆除の方も積極的に進めていかなければいけない」。この日の業務は設置したわなの確認作業。小諸市“ガバメントハンター”・桜井優祐さん:「シカ、イノシシ、クマはもちろん、中型のキツネ、タヌキなど中型獣もいます」。この場所は「保護区」となっていて通常の狩猟は禁止されていますが、国との調整で個体数管理のため市がわなを設置しています。桜井さん:「山林からすぐ目の前から畑が広がっていたりと、野生動物が出てきやすい場所に農耕地が広がっているというのが特色かもしれない」。ガバメントハンターのメリット(1)「専門的知識」「ハンター目線」。ガバメントハンターが「専門的な知識」と「ハンター目線」でわなの設置などに当たるため野生鳥獣の捕獲数は劇的に増加。ニホンジカは設置前の2010年、年間44頭だったのに対し2016年には311頭と7倍以上に増えました。桜井さん:「狩猟者目線、ハンター目線でさまざまな調整とか業務のやり取り、捕獲に関わるやり取りを進めていくことができるというのが大きなメリット」。ガバメントハンターのメリット(2)「捕獲までの流れがスムーズに」。そして、もう一つ大きなメリットが、被害などが発生した場合に「捕獲」までの流れがスムーズになったこと。これまで、クマ被害などが起きるとまず猟友会が現場を確認し行政に報告。行政が捕獲可否を判断し、猟友会へ依頼、実行といった手続きが必要でした。「ガバメントハンター」が現場に行くことで「確認」から「捕獲依頼」をその場で行えるように。手続きが簡略化され、捕獲までの時間が格段に短くなりました。実際に真価を発揮した例があります。2024年、生ごみを一時保管する倉庫にクマが現れました。前日も来ていて生ごみの味を覚えてしまったとみられます。倉庫の横にわなを設置しましたが、わなには入りません。桜井さんはハンター目線で「わなのサイズが小さすぎるためクマが警戒している」と判断。通常、わなの交換は2日ほどかかりますが、すぐに猟友会などと相談・連携しその日のうちに大きなわなに変えました。すると13時間後、再び現れたクマはわなの中へ入り捕獲に至りました。体重10キロほどのオスの成獣でした。北佐久連合猟友会の市川誠副会長も行政との調整がスムーズになったと話します。北佐久連合猟友会・市川誠 副会長:「行政がまず行って、その場でもう捕獲だと言ったら、(猟友会に)依頼をすれば済むという簡単な話になったかなと」。桜井さん:「現場の判断とか調整については、ほぼ信頼をいただいていると自覚している。任せる、こちらの現場判断をもって実働するよと、その信頼関係の中で、スムーズにいろんな手続きを進められている」。その役割がさらに重要となりそうなのが、法改正で2025年9月から施行された「緊急銃猟制度」です。住宅街などに出没した場合、市町村の判断で銃を使用した捕獲ができるようになりました。小諸市“ガバメントハンター”・桜井優祐さん:「実際にこの場面で撃った時に大丈夫かどうか、撃つ方向性、周りの安全管理がこれでいいのか。実際に狩猟をやってる人、銃を取り扱ってる方であればより適切に(判断)できる」。また、民間ではなく「公務員」が現場で指揮することで責任の所在が明確になることもメリットの一つだということです。相次ぐクマ被害。行政と猟友会などの狩猟者をつなぐ「ガバメントハンター」が今、注目されています。小諸市“ガバメントハンター”・桜井優祐さん:「地域性とか、これまでの出没の背景を分析しながら、出没の機会をどう減らしていくか、行政側として考えていきたい。捕獲に従事している皆さんと行政側の橋渡しできるような調整役として、今後も担えれば」。

(「緊急銃猟」猟友会員から不安の声:長野)
人里へのクマの出没が相次ぐ中、長野県は緊急銃猟制度のマニュアルを作り、10月中に市町村に周知する方針です。人里に出没するクマにどう対応していくか。県庁では10月28日、自治体の職員やクマの生態に詳しい専門家などが集まり、2025年9月から始まった「緊急銃猟制度」について協議しました。緊急銃猟制度は、クマなどが住宅街などに出没し、条件を満たした場合、市町村の判断で銃を使用した捕獲が可能となるもので、これまでに宮城県や秋田県など全国7カ所で実施されました。県内ではまだありませんが、人里へのクマの出没は相次いでいて、実施できる態勢を整える必要があります。ただ、参加した猟友会員からは、実施への不安の声が聞かれました。県猟友会・佐藤繁さん:「猟友会の会員の立場ですとか、何かあったときに保証してもらえるのか。県として整理して市町村に周知していただきたい。そこが不安なままだと、猟友会もどこまでお手伝いしていいのかわからない」。県は、国のガイドラインをもとに対応基準や連絡体制、現場でのチェックリストなどを盛り込んだ「マニュアル」を作り10月中に市町村に周知する方針です。県森林づくり推進課・福沢豪さん:「現場に臨場した市町村の担当者の判断だけでは不安という意見が非常に多くあることから、市町村、警察、地域振興局の3者が協議して最も最適な手段を選択する」。

(山に囲まれた町で熊の目撃情報が半減・捕獲も激減、人間との暮らしの境界線を管理する「ゾーニング」の効果か:長野)
長野県箕輪町のツキノワグマの目撃が本年度、24日時点で9件にとどまり、昨年度の19件から半減している。シカなどの捕獲用わなにかかる錯誤捕獲も3頭で、昨年度の17頭から大きく減少。町は今年6月、熊の生息域と人の生活空間を分ける「ゾーニング」を導入し、目撃が多かった地区にやぶの刈り払いの補助金を出すなど対策を進めており、その成果ではないかとしている。同町の昨年度の目撃は6、7月が多く、9月が最後だった。本年度は8、9月に目立ったが、10月は1件。熊の目撃情報の大幅な減少について、白鳥政徳町長は「分析中」としつつ、ゾーニングの効果を指摘。「地域の皆さんに協力してもらい緩衝地帯を作ってきたことや(木の実などの)熊の誘引物を除去してきたこと、リンゴなどの農地に入らないようにしてきた効果ではないか」とする。県森林づくり推進課によると、県内では10市町村がゾーニングを行い、上伊那地域では伊那市と箕輪町が導入している。白鳥町長は熊に市町村境は関係ない―とし、県にも広域的な取り組みを進めるよう求めているとした。

(53年前に小田町で捕獲されたツキノワグマを最後に生息確認なし:愛媛)
全国各地で相次ぐクマの被害。今月に入っても秋田県湯沢市で男性4人が立て続けにクマに襲われ、岩手県奥州市では事務所の車庫に侵入した子グマを捕獲されるなど、全国各地でクマが人の生活圏にまで現れ、住民が被害にあうケースが相次いでいます。環境省によると、今年度のクマによる死者は10月22日時点ですでに9人。これは統計を取り始めて、過去最多です。全国で出没が相次ぐクマですが、愛媛県自然保護課などによると、1972年を最後に愛媛県内でクマの生息が確認できる証拠はないといいます。四国内のツキノワグマの態調査や保全活動を行っている、四国自然史科学研究センターの安藤さんに聞いてみると、四国自然史科学研究センター 主任研究員・安藤喬平さん:「愛媛県内については現在は生息が確認されていません。高知県と徳島県の境あたりに26頭程度の個体が生息をしているという状況です」。現在、愛媛には生息が確認されていないクマ。しかし、過去に愛媛にいたことを証明するものが石鎚山のふもとに残されていました。やってきたのは面河山岳博物館。こちらでは今、絶滅危惧動物たちの特別展が開かれています。面河山岳博物館学芸員:「これはですね、愛媛県で最後に捕獲されたツキノワグマの剥製になります」。テレビ愛媛には、このクマが捕獲された時のニュース映像が残っていました。53年前の1972年、体長1.5メートルのオスのツキノワグマが小田深山から内子の集落を抜けて、現在の伊予市中山町のクリ園に現れ、捕獲されました。この個体を最後に愛媛での生息は確認されていません。なぜクマは愛媛から姿を消したのでしょうか。四国自然史科学研究センター 主任研究員・安藤喬平さん:「江戸後期から森林利用が愛媛でもかなり強かったというのもありまして、森林が減っていった、奥に人が住んでいった、クマにとって野生動物にとって好適な生息環境がなくなっていったという背景が1つあります」。「それに合わせて林業の害獣としてかなり捕獲が推奨されました。それが明治とか昭和初期に愛媛の方ではかなり捕獲されていって1972年が最後になるんですけれど、それを機に愛媛県側、四国の西部のほうでは途絶えたというのが現在至っている現状です」。愛媛でクマに遭遇するリスクはほぼないものの、旅行や登山でクマがいる地域に行く場合、どんなことに気を付ければいいのか?四国自然史科学研究センターの安藤さんは、「現地の情報をしっかりと確認することが大事」だといいます。四国自然史科学研究センター 主任研究員・安藤喬平さん:「知ることで対策ができたりとか恐れるべきこと注意するべきことが分かる。登山される方だったら、見通しが悪いところや出合いがしらの遭遇を避けるということが一番大事なこと。それをするためのクマ鈴の携行や音をあえて鳴らす、複数人で行動するということが大事」。

(クマ緊急銃猟の交通規制、周知手順は:北海道)
北海道は23日、市街地に侵入したヒグマを市町村の判断で駆除できる「緊急銃猟」の訓練を稚内・富士見地区で行った。市、稚内署、猟友会などの関係団体が手順を確認した。

(狩猟解禁を前に、わな技術の講習会:静岡)
シカとイノシシの狩猟の解禁を前に静岡県河津町でわなを使った猟の講習会が開かれました。講習会は静岡県山林協会や静岡県が開き、新人の猟師など10人が参加しました。参加者はベテラン猟師からくくりわなの仕組みや動物の習性、仕留め方などを教わり、わな作りにも取り組みました。河津町では2023年にシカのわなにクマがかかった他、今年の秋は全国でクマの出没、被害が相次いでいます。猟師歴28年の岡部洋二さん「自分の身を守れるような道具を持って歩きなさいと(生徒に)教えています。いつ何があるかわからないですから」。獣害駆除として静岡県内では二ホンジカとイノシシについて11月1日から来年3月15日まで狩猟が解禁となります。

(悩むハンター、不意の遭遇で警察の命令待てるか:北海道)
ヒグマの駆除を巡り、ハンターが市街地などで不意に遭遇し、やむなく警察官の命令が無いまま発砲するケースが起きている。刑法が定める「緊急避難」と認められれば、刑事責任は問われないが、単独での発砲は周囲の安全確認が徹底できない恐れがある。市町村の判断で市街地で発砲できる「緊急銃猟」でも、避難誘導や交通整理に人手が割かれ、ハンターが単独で行動する時間が生じやすい。クマの大量出没が続く中、緊急時の対応が課題になっている。

(未曽有のクマ被害、対策グッズの品切れ続出:岩手)
盛岡市でクマの目撃が相次いでいる。特に9月以降、市役所や県庁が立ち並ぶ中心部、住宅街の近くで別の個体とみられるクマが次々と出没。23日もクマ1頭が約4時間にわたり、中津川の河川敷などを疾走し、周囲は緊迫した雰囲気に包まれた。これまでけが人や物的被害は確認されていないが、盛岡市は自治体が市街地での発砲を認める「緊急銃猟」の体制整備を急いでいる。盛岡東署によると、23日午前6時10分頃、中津川にかかる「下の橋」付近の河川敷で、「クマが歩いている」と通行人から110番があった。クマは目撃場所から近い盛岡城跡公園に向かった後、市役所裏手の河川敷のやぶに同7時頃からとどまった。朝の通勤ラッシュの中、現場では署員や市職員らが対応にあたり、クマと約2時間「にらみ合い」に。散歩中の70歳代女性は「こんな街中にクマが出るなんて恐ろしくてびっくり。被害が出ないといいが」と心配そうに状況を見つめた。クマが現れた現場近くの橋では、警察官や通行人が集まり、一時騒然とした(23日午前8時41分、盛岡市で)クマはその後、河川敷を走ったり川の中を泳いだりしながら上流方面へ移動。署員らが花火や爆竹を鳴らすなどして追いかけたが、山岸地区の住宅街に逃げ込み、同10時半頃を最後に姿が見えなくなったという。市中心部では9月以降、クマの出没が続発している。先月25日にはJR盛岡駅からほど近い住宅街の店舗に成獣とみられるクマが体当たりした。今月19、20日には、若園町の住宅街や県庁に近い内丸などでも2~3頭のクマの目撃情報が複数寄せられた。市の担当者は「どこにクマが出没するかわからない状況にある。家の外に生ゴミを放置しないなどの基本的な対策を徹底するなど、常に注意を払ってほしい」と呼びかけている。クマの出没が相次ぐ中、岩手県内のホームセンターではクマ対策グッズの売れ行きが好調だ。撃退スプレーや爆竹などの商品が例年の数倍売れており、品切れも続出。店舗の担当者は「万が一のために備えてほしい」と呼びかけている。盛岡市の「サンデー盛岡本宮店」は店頭に特設コーナーを設置した。9月頃から売れ行きが伸び始め、関連商品の売り上げは例年の約6倍に急増。店舗近くの原敬記念館では20日にクマが出没し、翌日には撃退スプレーが完売した。携帯用ブザーも品切れ状態が続いている。山田町の「ホームワンサトー」では、米国製の撃退スプレー(税込み1万6467円)の売り上げが昨年の約2倍のペースで推移している。店によると、役場関係者やマツタケ採りなどで山に入る客が買い求めているという。クマが嫌う大型犬の鳴き声を大音量で流す新商品「熊よけわんわんホーン」は、今月販売を始めたが、初回仕入れ分は完売し、現在は第2弾が並ぶ。同店の佐藤正基専務は「お客さんには命を守るために必要なグッズだと説明している。万全な対策をお願いしたい」と話している。

(”臆病だった”ツキノワグマが変わった:日野百草)
ゴミ捨てに行ったらクマに襲われた、幼稚園バスの前にクマの親子があらわれた、など日常生活のそばにクマの脅威がせまっていると連日、報じられている。かつて、クマは臆病なので人を見ると逃げ出す、と言われたが、近ごろ報じられているニュースからは、どうも違った様子が見えてくる。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、23日には盛岡市役所裏という市の中心部でクマが目撃されて騒然とした、岩手県でのクマ対策事情について住民の声をレポートする。名レフェリー、タイガー笹崎がクマに襲われて死んだ。あるいは、タイガー勝巳でもあった。敬意を込めて、本稿あえて敬称は略す。笹崎レフェリーでいいだろう。本名は笹崎勝巳と言った。近年では栃木プロレスでお会いした方も、あったかもしれない。笹崎レフェリーには筆者も多くのプロレス団体、とくに全日本女子プロレスのレフェリーとしての記憶がある。ずいぶん昔、少しだけ取材でお会いしたこともある。ガッチリした体格ながら柔らかい話し方で、暴れん坊ばかりのレスラーをさばくにふさわしい、穏やかな人という印象だった。笹崎レフェリーは移住先の岩手県北上市で露天風呂の清掃中、クマに襲われたとみられる。10月17日、北上市和賀町の夏油川に近い雑木林で彼の遺体が見つかった。笹崎レフェリーを襲ったとみられる体長1.5mのツキノワグマはその場で駆除された。北上市では2025年3人目の死者となった。クマに殺される――いまや、それは身近なものとなった。決して昔語りでない、令和の熊害(ゆうがい)だ。熊害の多発をうけて10月22日、木原稔官房長官は2025年のクマによる被害者数は108人(9月末時点)と発表して注意を呼びかけた。環境省もまた10月22日時点の死者数を9人とした。クマによる人への被害を熊害と呼ぶ。三毛別ヒグマ事件、石狩沼田幌新事件、福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件などはとくに知られる熊害だろう。いずれも20世紀の話かつ北海道のヒグマによるものだが、近年は本州および四国の山間部に生息するおなじみのクマ、ツキノワグマの被害が多発している。ツキノワグマが各地で人間を襲い、ときに殺す。臆病で、大人しくブナやらドングリ、ふきのとうやらを食べることが大半のツキノワグマとされるが、死者4人を出した2016年の十和利山熊襲撃事件など、後述するがその殺傷能力は侮れない。筆者は妹が岩手県南西部の山間に嫁いでいる。ツキノワグマの生息域だ。笹崎レフェリーが襲われた北上市も近い。聞けばこの地域の子どもたちは対人の防犯ブザーというより熊よけブザー、熊よけの鈴を持つとのことで、まあ彼女の嫁ぎ先は山の中なのでそれも当然かもしれないが、実のところ山の中がどうだ、登山がどうだは関係なくなりつつある。岩手県など東北地方だけの話でなく、関東地方でも群馬県沼田市のような住宅街はもちろん、東京都の八王子市や青梅市でもツキノワグマの目撃情報がある。ツキノワグマも人間を狩ることにかけてはヒグマに負けてはいない。時速40km以上で走り、雑食性で何でも食べる。もちろん、人も。岩手県で農業を営む男性(80代)は自身の経験からこう語る。「ツキノワ(グマ)は臆病でよっぽどのことがなければ人を襲ったり、ましてや人を食ったりはめったに無かった。畑を荒らしたり、いたずらしたりはあったが俺のことを見ればすぐ逃げた。タヌキとかシカと変わんねえ」。しかし近年は違うと語る。「おかしいんだ」とも。「あいつら、逃げねえんだ。人馴れしてるのかどうか。町(役場)には報告したが、こっちを食いたそうにみてたな、冗談じゃねえ、獲物って目で見んだ。こりゃやばいと距離のあるうちにその場を離れた。あれが特別なツキノワかどうかは知らんが、そういうおかしいのが出始めているんじゃないか」。彼の印象でしかないが実際、これまでの熊害とは数がまったく違う状態にある。毎日のようにツキノワグマに襲われた人々のニュースが報じられる。これまで北海道のヒグマの恐怖は語られても、ツキノワグマはそれほどでなかったように思う。当初は話題性があるから大げさに報じているのだろうとネット界隈でも語られていたが、いまや「クマやばい」「ツキノワやばい」が本気で語られ始めている。「あいつら(クマ)は秋になると冬ごもりの準備のために降りて来る。人間のいるところにも餌はあるからな」。これまでツキノワグマが人里に現れるのは冬ごもりのために畑の作物を拝借したり、ゴミを漁ったり、あとはうっかり住宅街に入ってしまったとかのレベルだった。実際、これまでそうしたニュースを目にしたことは多いと思う。山の中の餌が不足しているとか、開発で行動範囲が狭められたとか、長くツキノワグマの保護と共に報じられてきた。しかし男性によれば「それとは違う」と首を振る。「いよいよ人間の味を憶えたんじゃないか。ツキノワそのものが人間を食べるほうが美味しいし手っ取り早いと憶えた、じゃなきゃこんなに人間を狙って襲うなんて俺には考えられねえ」。重ねるがあくまで彼の意見、しかしそういう説をとなえる専門家は複数ある。決して煽りでなく「人食いグマ」に警鐘を鳴らす研究者も。「ツキノワは利口だ。人間が弱くて美味しいと知った親から子へ伝わるんじゃねえかな。その繰り返しでとんでもねえツキノワになった、そういうのがいっぱい出てくるようになった。しょせんクマに比べりゃ人間は弱いからな。餌が足りないとかより人間の肉のが美味しいってね。(ツキノワグマは)賢いから、自分にとって良いこともしつこく憶えてるんだ」。明らかに結果として、熊害の数が尋常でなく増え続けている。10月17日には福島県が「異常状態」と発表した。10月3日 宮城県栗原市でクマに襲われたとみられる女性の遺体を発見、一緒にいたとみられる別の女性も行方不明(10月24日現在)。10月8日  岩手県北上市でクマに襲われたとみられる男性の遺体を山林で発見。10月15日 岩手県西磐井郡平泉町で列車がクマと衝突、一時運転見合わせ。10月16日 福島県喜多方市山都町で男性がクマに襲われ顔面血まみれで重症。10月18日 群馬県利根郡みなかみ町で犬の散歩中の女性がクマに襲われ頭部から顔面を負傷。10月20日 秋田県湯沢市の住宅街でクマが暴れ男女4人が重軽傷。10月20日 岩手県盛岡市本宮の原敬記念館でクマが立てこもり、捕獲。10月22日 福島県大沼郡会津美里町で男女2人がクマに襲われ首や顔を負傷。10月24日 秋田県雄勝郡東成瀬村で男女4人がクマに襲われ重軽傷、のち1人死亡。すべてを書き出すわけにはいかないが、今月の熊害をちょっと調べるだけでもこれだけ出てくる。2025年度の被害者数は全国で108人、死者9人。本州なのですべてツキノワグマとされるが、自治体だけでなく政府が警戒を呼びかけるほどの事態となってしまった。それでも、現状の手立ては限られる。同じく岩手県、自治体関係者の男性がこう語る。「クマの保護の問題もあるし、地域差はありますが猟友会の方々と言ってもすぐに対応できるわけもない。駆除したら役所の電話がパンクするほど愛護の方々からそれこそ、全国から抗議の電話が来る。これが現実です」。実際、7月に北海道松前郡福島町で新聞配達員の男性がヒグマに襲われて殺された事件は、ヒグマを駆除したところ数百件の抗議電話が寄せられた。「凄いですよ。『人間なんか死んでも構わない』『クマに食べてもらってありがたく思え』って本当に来ます。それは極端な極少数ですけど『クマがかわいそう』『クマは悪くない』は多いですね。いろいろな人がいることは承知ですし言論は自由ですが、自治体として積極的に駆除という方向にはなりづらい」。これがすべてではないし特殊な例と言いたいところだが、現実にはクマ一頭の駆除で数百件の電話が殺到する。さすがにこれは極端過ぎるし、それこそ2024年12月、クマの駆除に対する抗議電話に怒った佐竹敬久前秋田県知事ではないが「お前(クマの駆除に反対する電話の主)のところに今(クマを)送るから住所を言え」「そんなにね、(クマが)心配だったらお宅に送ります」「こういう方は話してもわからない」「そういうくらい言わないと本当にひどい」と言われても仕方のない状況だ。「あのときと違い、自治体の判断で住宅街でも撃てるようになりましたが、現実は難しいですね」。これは改正鳥獣保護管理法で「緊急銃猟」と呼ばれ、9月1日から可能になっているが、熊害は増えるばかりなのに活用されているとは言い難い。「何かあったらと思うと自治体も猟友会の方々も及び腰ですね。それこそ人にでも(弾が)当たったらと思うとね、クマを撃ったら撃ったでさっき言った通り、全国からの苦情に襲われますから」。この「緊急銃猟」については冒頭の男性も悲観的だ。彼も80代だが狩猟免許(第一種)は持っている大ベテランである。「年齢や(銃の)腕がどうこうでなくいまクマを撃てるかはわからんね。さすがに猟友会は引退させてもらったが、ツキノワ倒して1頭数千円ではね、金額の問題じゃないと言われても、こっちだって命があるし、誰がやるかという意見ももっともだ」。岩手県では一頭あたり8,000円、北海道空知郡浦河町では一頭あたり1万円など各自治体によって金額が異なるが、いずれもクマを相手にするには驚くほど安い。北海道など相手はヒグマでこれである。2024年には北海道空知郡奈井江町(一頭あたり8,500円)に対して、危険なのに「安すぎる」として地元猟友会が出動を断る事態となった。全国に広がる熊害、クマの天敵でもあったニホンオオカミの絶滅から100年以上、日本の生態系の王として君臨するクマが一部専門家の指摘の通り、人を恐れるどころか人を簡単に食べられる肉と認識し始めたというのか。環境保護、動物保護と人間の保護、これから冬到来を前にますますクマは活発に餌を求め続ける。80代男性はこうも懸念する。「冬は冬で『穴持たず』と呼ばれる巣ごもりしない、できなかったおかしなクマがいる。そういうのは腹減ってるし頭が変になってるのか知らないが、本当に怖いんだ。大事なのはクマか人間か、俺からすればそんな選択はおかしいと思うよ」。胎児を含め7人を殺した三毛別のヒグマは「穴持たず」だった。ヒグマの恐怖はもちろん、ツキノワグマでも10月8日に発見された北上市の男性は頭と胴体が別々に転がっていた。2メートルを超えるヒグマに比べれば小型のツキノワグマであっても、とくにオスのパンチ力と鋭い爪、噛む力は人間など相手にもならない。臭覚も鋭く執着心も強く、そして賢い。学習能力が高く、人は強くて怖いと覚えることもあれば、人は弱くて美味しいと覚えることもできるとされる。連日報道される熊害、各社いずれも決して大げさに伝えているのでなく事実であり、多くの被害者を出している。私たち人間が食べられる側であることを思うと、「大事なのはクマか人間か」という、人生の大ベテランの言葉は重い。人間を襲い続けるクマ、山に入らなければいいという話でもなくなってしまったいま、共生の模索を続けるのは当然として、ひとまず高市早苗新首相による政府として一歩踏み込んだ、さらなる「人間保護」のための熊害対策に打って出るしかないように思う。

(ヒグマに100メートル引きずられて殺された…「クマは焼いて食べるか、捨てるしかない」:小倉健一)
今年もクマの出没が全国各地で相次いでいる。環境省のまとめでは、これまで一番人身被害が多かった2023年と同じようなペースでクマに襲われるなどの被害が発生。17日にも、栃木プロレスやマリーゴールドなどにレフェリーとして出場していたレフェリーの笹崎勝己さんが、勤務先の温泉旅館を清掃中にクマに襲われ、亡くなるという痛ましい事件があったばかりだ。なぜ被害は広がり、対策は後手に回るのか――経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が、クマ対策の現実から処方箋を示す。クマ被害は、人命の脅威にとどまらず、地域経済に深刻な打撃を与えている。農林水産省のデータによると、2023年度のクマによる農作物被害額は全国で約7.47億円に達し、前年度の約4.07億円から約1.8倍に増加した。 特に秋田県では1.66億円を超え、県史上最大の被害額となっている。 また、北海道では2021年度の農産物被害が2.6億円に上り、主にデントコーンやビートなどの作物が食い荒らされ、十勝地方や釧路地方を中心に1億6500万円の損害が発生している。 さらに、ヒグマと列車の衝突事故も増加しており、JR北海道では2015年の24件から2020年には56件に倍増し、運行停止による経済損失が拡大している。 これらの被害は、農業生産の低下やインフラの混乱を引き起こし、過疎化が進む地方自治体の財政をさらに圧迫。駆除対策のための電気柵設置やハンター報酬、補助金支出も増大しており、持続可能な経済活動を脅かしている。こうした経済的損失を最小限に抑えるためにも、早期のゾーニング強化や助成金の拡充が急務だ。この数字の背景には、クマの出没件数自体の急増がある。6月までの出没件数は全国で7248件に上り、前年同期の5691件から1.2倍以上に増加した。専門家は、気候変動による山の食料不足が、クマを人里へ向かわせる大きな要因だと分析する。春先の高温や短い梅雨は、クマの主食であるブナやミズナラ等の堅果類の生育に深刻な影響を与えた。飢えたクマが、より簡単に食料を得られる人間の生活圏へ侵入するのは、生存本能に基づく必然的な行動である。中でも、北海道福島町で発生した死亡事故は、ヒグマ問題の深刻さと、人間社会が直面する理不尽な現実を象徴している。7月12日、新聞配達中の52歳の男性が路上でヒグマに襲われ、命を落とした。男性の遺体は100メートルも引きずられ、草むらの中で発見された。遺体には笹の葉がかけられていた。これは、クマが獲物を隠し、後で食べるために執着する「食害痕」と呼ばれる行動であり、このヒグマが男性を明確に「食料」と認識していた動かぬ証拠である。捜査と駆除が進む中で、さらに衝撃的な事実が明らかになった。7月18日に駆除されたオスのヒグマは、DNA鑑定の結果、この男性を襲った個体であると断定された。それだけではない。4年前の2021年7月、同じ福島町で農作業中に行方不明となり、遺体で発見された77歳の女性を殺害したのも、このヒグマと同一の個体であったことが判明した。4年もの間、人々の記憶から薄れつつあった凶悪な捕食者が、潜伏期間を経て再び牙をむいたのである。この事実は、一度人の味を覚えたクマ、あるいは人間の生活圏で容易に食料を得られると学習したクマが、いかに執拗で危険な存在であるかを証明している。福島町の鳴海清春町長は「4年前からかなり凶暴なクマだという認識を持っていた」(NHK、7月19日)と語っている。4年前の被害後、町は警戒を強めていたが、個体を特定し駆除するには至らなかった。その結果が、今回の悲劇である。住民からは「やりようもあったと思う」「本来なら先手を打って対策を講じてほしかった」という、行政への不信と無念の声が上がる。これは当然の反応であろう。危険な個体を4年間も放置した結果、新たな犠牲者が生まれた。この重い事実を、社会は直視しなければならない。このような状況下で、信じがたい現象が起きている。福島町で人食いグマが駆除された後、北海道庁や町役場には200件を超える抗議の電話やメールが殺到した。「クマを殺すのはかわいそう」「山へ返すべきだ」という主張が、被害者の痛みや地域住民の恐怖を無視して、一方的に突きつけられた。中には「人間が駆除されるべき」という、人命を軽んじる常軌を逸した暴言もあった。北海道の鈴木直道知事は、これらの抗議の多くが、現地の事情を知らない北海道外から寄せられている事実を明かし、「職員が仕事にならない」と苦言を呈した。2時間以上にわたって電話口で持論を繰り返す者もおり、自治体職員は本来割くべき防災対策や住民サービス業務の時間を奪われ、精神的に疲弊している。これはもはや意見表明ではなく、業務を妨害するカスタマーハラスメントである。「動物たちは意味があって生きている。麻酔で眠らせて動物園に送り、その姿に癒やされるべき」という意見は、現実を無視した極めて無責任な空想論である。人を襲い、食料として執着する個体を、どの動物園が引き取るというのか。麻酔銃の使用は獣医師の立ち会いが必須であり、興奮した大型獣への使用は危険も伴う。即時対応が求められる現場において、非現実的な選択肢であることは明白だ。私たちを襲うクマは、ディズニー映画のキャラクターではない。生態系の頂点に立つ、時に人間を捕食対象と見なす獰猛な野生動物である。人間が生活の安全を確保するためには、時に非情な決断を下さなければならない。2025年9月には、市街地での猟銃使用を可能とする改正鳥獣保護法が施行される。これは、国がクマの脅威をそれだけ深刻に受け止めている証左である。にもかかわらず、ハンターの数は減少し、高齢化が進んでいる。彼らは地域住民を守るため、自らの危険を顧みず、過酷な任務にあたっている。そのハンターたちを、心ない言葉で傷つける権利は、誰にもない。クマの保護を訴える前に、まず守るべきは、今を生きる人間の命と平穏な暮らしである。この一点を、我々は決して見誤ってはならない。「動物愛護の問題と害獣駆除の問題を一緒にしてはならない」と城南中央法律事務所(東京都大田区)の野澤隆弁護士は指摘し、クマ問題に次の通り解決策を見出す。「クマの肉は一定の人気があるとはいえ、鹿などの他のジビエと比べ一般的な販売はほとんどありません。寄生虫や病気の問題などがあり、法令上の安全衛生面を確保した上での加工がしにくいことを考慮すると商業ベースに乗せるのは困難なようで、駆除したクマを地元スーパーやネット通販などでいくらか流通させる程度が実態で、かなりの量がそもそも廃棄処分等されています」「少子高齢化・人口減少が問題となっている日本ですが、世界レベルで見れば狭い国土に1億人を超える人が暮らす過密国家で、かつ国土の3分の2近くが森林である関係上、人間とクマの行動エリアは非常に近接しています。捕獲したクマを広大な保護区域などに戻すアメリカ等で採られている政策は、日本では実施困難で、せめて駆除したクマは余すところなく利用する政策を推進するあたりが限界です」「結局、一度人里の味を覚えたクマは山に返しても高確率で戻ってくる現状をふまえれば、クマが人里の味を覚えないよう里山やごみ集積場の管理を徹底し、人の生活圏とクマの生息域を明確に分ける『ゾーニング』を実施するのが妥当な落としどころなのですが、過疎化が進む地方での実施は近年ますます困難になっています」。上記をふまえ、野澤隆弁護士は続けてこう述べる。「クマ駆除後、自治体の一般事務を麻痺させるほどの抗議電話が殺到する事態は、カスタマーハラスメント(カスハラ)と同じような問題を引き起こしています。クマが出没しやすいのは財政力が弱い地方の自治体であることが多く、その場合、この問題はより一層深刻なものであり、結果、駆除をためらう方向で現場が動きかえって事態が悪化する一因にもなりかねません。クマ被害の増加傾向が全国的に見られていますので、国レベルで統一的な対応基準を設け、自動音声システムやAIチャットボットツールを導入し、人間の職員が直接対応する前に一次的なフィルターを設ける段階にあると思います」 「データに基づくリスク評価が不可欠です。例えば、日本におけるスズメバチ等による年間死亡者数は長年10~20人程度で推移しており、危険ではあるが共存せざるを得ないと考える人が多いと思われ、各種対策グッズが販売されているだけでなく、様々な業者が駆除サービスを提供し自治体からの補助金も出ています。ここ数年のクマ被害も同様の数に近くなってきており、各種対策グッズ販売に対する規制緩和や既存のハンター団体の方々の協力の下で駆除業者の本格育成といったスズメバチ等と同じような施策に加え、対応農家への助成金充実が図られるべきです。とはいえ、年間死亡者数・年間負傷者数それぞれ2千人以上・30万人以上の自動車事故における自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のような強制加入まではまだ必要なく、統計資料に基づく費用対効果を考慮した上での冷静な判断が求められます」。人命を奪い、生活圏を脅かすヒグマは保護の対象ではなく、明確な害獣である。現地の恐怖を知らない部外者からの「かわいそう」という無責任な感情論に、これ以上、社会が惑わされるべきではない。住民の安全と平穏な日常を守ることこそが最優先の責務である。人の領域を侵し、危険をもたらす個体に対しては、躊躇なく駆除を実行するべきだ。次なる犠牲者を出さないため、断固たる決断が今、求められている。

(クマ出没多発で重要性高まるハンター、「有害駆除」に批判寄せられ苦悩も:鳥取)
全国でクマなどの野生動物の出没が多発する中、鳥取県内でも動物による農作物の被害が目立っている。駆除にあたるハンターの重要性が高まる一方、活動への批判が寄せられることが少なくない。高齢化やなり手不足の課題もあり、現場からは理解を求める声が上がる。ハンターは狩猟免許を取得し、県で狩猟登録を行う。主に指定された区域で比較的自由に活動する「狩猟」と、農作物を守るために市町村が委託する「有害駆除」がある。昨年度の鳥獣による県内の農作物被害額は、前年度比約1・6倍の8100万円、有害駆除の件数も1000件増えて2万3000件となった。日吉津村と境港市を除くほぼ全域でみられ、シカ、イノシシの委託が特に多い。クマの出没も鳥取市や八頭町などの東部地域を中心に昨年度は272件(前年度比1・65倍)あった。駆除が増えている中、住民らから活動への否定的な意見が寄せられることもあるという。秋田市や北海道福島町ではクマの駆除を巡って市役所などに抗議の電話が相次いだ。県内で活動するハンターの約9割が所属する県猟友会の徳山幸一会長(74)は「ハンターの間で不安の声が広がっている」と嘆く。自身も23歳から活動しており、「ハンターはただ動物を殺すだけの集団と思われているのではないか。否定的な目で見られ続けると、何のためにやっているのか分からなくなる」と肩を落とす。ハンターを巡っては、取り巻く環境が厳しい現実もある。県鳥獣対策課によると、県内で狩猟登録をしているのは昨年度が1612人で、うち約8割が50歳以上と高齢化している。県は新たななり手の育成を目指し、捕獲技術の基礎などを無料で教える取り組みにも力を入れている。対価として支払われる費用は市町村により異なる。鳥取市でクマは2万1600円、イノシシは1000~1万4000円、八頭町でクマは8000円、イノシシは3000~1万3000円だ。「危険さに対してお金は大して出ない。ほとんどボランティア精神でやっているところがある」。クマの出没が増えている背景として、餌の不足など様々な要因が指摘されている。徳山会長は「仕留めるときにもいつも葛藤がある。日々悩みながら活動している」と明かし、ハンターへの理解が進むことを願っている。

(目撃情報だけではない…自治体に届く苦情や批判の声:新潟)
全国的にクマによる人身被害が相次ぐ中、新潟県内では今年度の出没件数がすでに過去最多を上回り、2000件を超え、人身被害も12件に上っている。連日のように目撃情報が寄せられる中、自治体にはクマの捕獲などについて苦情や批判の問い合わせがあるという。全国的に相次いでいるクマによる被害。新潟県内の出没件数は今年度2055件となっていて、すでに統計開始以降過去最多となっている。人身被害は12件に上っていて、10月27日にも上越市で測量作業のため歩いていた作業員2人がクマに襲われる被害にあった。被害にあった男性は「気づいた瞬間にもう向かってきて、襲われた。こっちを見た途端、いきなり走って襲ってきたのでだいぶ恐ろしかった」とその時の恐怖について語った。クマの出没が相次ぐ中、魚沼市では10月21日、クマ1頭が住宅地付近で目撃され、人の日常生活圏内であり、危険な状態であったことから、魚沼市は新潟県警と協力し、周辺の安全確保を行った後、午後1時12分に猟銃によりクマを駆除した。県内で初となる緊急銃猟による駆除となった。しかし、この緊急銃猟について、「子グマだったのになんで殺すんだ」「麻酔銃で眠らせて山に帰せたのではないか」といった内容の問い合わせや批判の電話が魚沼市に寄せられているという。県に対して緊急銃猟に関する批判や問い合わせはないものの、捕獲については今年度10件以上の問い合わせや批判があり、「クマを捕獲してかわいそう」「クマを殺すな」などの内容だったという。クマの生息域が人里に近づく中、新潟県は下記の注意を呼び掛けている。・入山時は、ラジオや鈴などの音の鳴るものを携行し、単独行動は避ける。・クマの活動が活発な早朝や夕方の入山は避ける・クマの餌となる生ゴミや不要となった果実や農作物等は適切に処分する。・子グマを見かけても、決して近づかない。近くには母グマがいると考えられ、大変危険。・集落周辺や河川敷などのクマが隠れそうな藪は刈り払う。クマによる人身被害をこれ以上出さないためにも十分な注意が必要だ。

(自宅に残された「クマの痕跡」に思わず目を疑う)
自宅にクマを引き寄せてしまった「あるもの」が、Xで話題になっています。投稿したのは、「@tadano_shasin」さんです。当ポストは執筆時点で34万7000件を超えて表示されており、「怖すぎるって」「これは覚えておきたい」といったコメントが寄せられています。記事の中では、クマによる農作物被害の状況についてもご紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてくださいね。「私も今年初の子連れ熊を目撃してしまいました。今年も注意喚起として‥ペンキは外に置くべからず」「熊はシンナーやガソリンなど揮発性のものの匂いが好きだと言う事を知らない人が多いので、周知してもらえてたら良いなと思います」そんなコメントとともに投稿されたのは3枚の写真。そこに収められていたのは、住宅の外壁に残された黒い手形のような跡でした。なんとこれ、投稿主さんの祖母の自宅に現れたクマが残していったものだというのです。この写真は2023年に秋田県上小阿仁村で撮影されたもの。自宅の外に置いていたペンキの缶がひっくり返され、流れ出たペンキの上を歩いた熊の手形が壁に残っていたのだそう。クマが出没したのは夜間で、当時祖母は自宅にいたものの、クマには気づかず。翌朝、通りかかった人が知らせにきてくれて驚いたといいます。そんなクマにまつわる注意喚起は、SNSで大きな反響を呼びました。この光景を見たときの心境を伺うと、「手形の他に鼻先を壁に付けた跡がありました。その高さが地面から約150cmです。私自身の身長も151cmなので、攻撃態勢になったクマは簡単に私の顔面や頭部を狙えるのだと怖くなりました」と投稿主さん。投稿の反響については、「2023年にも同じ投稿をしています。その時もかなり反響がありました。ですが、今回は前回よりも反響が大きく、熊への危険性がみなさんの中で身近に感じているのだと思いました。今回の投稿はいいねの数よりリツイートの数が上回るのは珍しく、より多くの人に見てもらえたのかなと感じています。今は熊だけでなくイノシシや鹿と車が衝突して廃車になった話も聞きます。秋田県内だけでなく日本各地でこの様な事が増えているので注意して過ごさなければならないなと思っています」と話してくれました。ここからは記事の話題にちなんでクマによる農作物被害状況についてご紹介します。農林水産省が公表している資料によると、全国の野生鳥獣による農作物被害額は163億6300万円(2023年度)。そのうち、クマによる被害は7億4700万円となっています。ちなみに、被害額が最も大きいのはシカ(69億5400万円)。次いでイノシシ(36億2700万円)、カラス(13億3900万円)の順に多くなっています。いかがでしたでしょうか。今回はXで話題になっている「クマが好きな意外な匂い」をご紹介しました。

(クマ外傷の9割は“顔面”を損傷、100例以上診た医師が語るクマ襲撃のリアル)
全国各地で相次いでいるクマによる人身被害。北海道内では7月、福島町で新聞配達員の男性(52)がクマに襲われて死亡しました。また9月には札幌市西区でも、犬の散歩をしていた男性(43)がクマに襲われけがをしました。こうしたクマによる負傷者の治療に、30年以上にわたり携わってきた医師がいます。秋田大学医学部附属病院の中永士師明(なかえ・はじめ)医師です。これまでに100例以上の処置にあたってきた中永医師によりますと、クマによる外傷には特徴があると言います。秋田大学医学部附属病院・中永士師明医師「傷をうけた場所でいくと、ほとんど90%が顔なんですね。顔面外傷といいまして、顔の目から鼻、口、この辺のあたりをケガされる方が多いですよね」。負傷者の9割が顔面に深い傷を負うというクマ外傷。あごや鼻の骨が折れたり、顔が引き裂かれたり。中には鼻を引きちぎられて、救助隊が現場に落ちていた鼻を拾って形成外科手術で修復したケースもあったといいます。クマに襲われた患者のCT画像では、顔の骨が激しく砕けているのが分かります。クマの攻撃で傷を負った部位のうち、顔面が90%、続いて腕70%、頭部60%、脚40%と上半身が圧倒的に多くなっています。秋田大学医学部附属病院・中永士師明医師「クマも自分の方が強いんだとか、相手を威嚇しようと思うので、少しでも体を大きく見せようとする。最終的に立ち上がるような感じで飛びかかってくるので、人間の顔に当たってしまう」。クマは相手にとびかかって倒すと、ひたすら噛んでくるケースが多く、急所として顔を狙ってくると、中永医師は説明します。「人間の顔を急所だと思って狙って、攻撃してくるイメージです。だから負傷部位として下半身は少ない。顔面や首、頸動脈や気管を負傷する人もいます」。クマに襲われた場合、衝撃による「鈍的外傷」に、鋭い爪や牙による「鋭的外傷」が加わるため、複雑で重篤な損傷を伴うと言います。秋田大学医学部附属病院・中永士師明医師「交通事故とか高いところから落とされているような傷だけではなく、ナイフとかでえぐられるような傷も交わるので、結構深い傷になってしまう。しかも骨まで折れてしまうので、やはり感染には注意しないといけない」。クマに襲われると精神的なダメージも深く、事故を思い出す“フラッシュバック”や夜眠れなくなる不眠、何もないのに涙が出てくるなど、トラウマに悩まされる人も多いと言います。そういった患者については、精神科の先生に入ってもらいながら、一緒に診るようにしているということです。秋田大学医学部附属病院・中永士師明医師「精神的な後遺症もかなりあります。傷もきれいに治ったはずなのに、いつまでもその傷が痛むとか、精神的なものが関わっているものもあります。やはり1人で抱え込まずに、病院を受診してもらうのがいいかなと思います」。また、中永医師は、北海道のヒグマは、本州のツキノワグマより体が大きく力も強いので、被害の大きさは比にならないとも話しています。中永医師「ツキノワグマよりもヒグマのほうが力も体も大きいですから、突進してくる力、振り回す力はツキノワグマよりもずっと強い。ぶつかってくる衝撃に加えて、刃物を持って飛びかかってくると思ってもらえれば…。時速50キロぐらいで突進してきます」。もしクマに襲われた場合、どう身を守るか。クマと距離がある場合は、ゆっくり後ずさりするのが前提で、もしクマが飛び掛かってきた場合は、両手を後ろにやって、うつぶせに小さくなり、とにかく首と顔を守ることに徹することだと中永医師は強調します。「クマは追跡本能があって走っていくものを追いかける習性があるので、我慢してゆっくり後ずさる。クマは相手が反撃してこないことがわかると去っていくため、それまでこの姿勢で我慢することが重要」。安藤伸一郎さん(47)は4年前、出勤途中に、札幌市東区の路上でクマに襲われました。安藤伸一郎さん「車にひかれたのかな…というぐらいの衝撃でしたね」。2021年6月、札幌市東区の住宅街で住民4人が出没したクマに襲われました。そのうちの1人、安藤さんは背後から襲われ重傷を負いました。安藤伸一郎さん「最初の一撃で肋骨が6本折れたのと、あと右の肺に『肺気胸』と言って、穴が開いたのと。あと背中を引っかかれたので、背中だけで80針縫うぐらいの傷を負った。またどこかから何か出てくるんじゃないかという恐怖心があるので、夜になると後ろから何か来るんじゃないかっていうのは今もずっと思っている」。安藤さんは、病院の集中治療室に10日間入り、入院とリハビリは半年に及びましたが、4年経った今でも、傷は完治していません。以前と同じように働くことはできず、あの日を境に人生が一変しました。安藤伸一郎さん「脇は、しゃべってるときも痛い状態。何もしなくても痛い。これ以上よくならないけど、ちょっと力を入れたら痛い状態。重いものを持つとかしんどい。寝てても痛みで目が覚める状態。膝はサポーターをしてないと、痛くて遠くへ歩けない。クマがのっかったときに、ここに爪が入って中でも炎症が起きている。その炎症が治らないと医者に言われていて…」。仕事も以前のように働けなくなり、収入が減ったままの暮らし。さらに治療にかかる費用が生活を圧迫していますが、公的な支援はほとんどなく、将来への不安を募らせます。「クマに対してを獣害ではなく災害というふうに考えてもらわないと厳しいと思う。これは一生モノで、あとはもう痛みと付き合っていくしかないね」。あの日以来、外出する際の恐怖心はぬぐえないという安藤さん。傷の痛みに耐えながら見る日常の風景は、4年たった今も暗くかすんだままです。

(獣害を取り巻く「ビジネス最前線」)
市街地へと行動範囲を広げるクマに、田畑を荒らすイノシシなど、野生動物による人や農作物への被害が増えています。獣害をとりまくビジネスについて深掘りします。東海3県の農作物の年間被害額は、2010年度の15億6千万円をピークに減少傾向でした。しかし、2022年度に増加に転じ、2023年度は9億以上に。中でも愛知県は4億7262万円で、都道府県別で6番目に被害額が大きくなりました。獣害による農作物の被害を減らすためにいま注目されているのが、AIやITなどスマート技術を活用した対策です。像を見ると、おりの中にイノシシの群れが次々と入っていきます。全部で16頭のイノシシがおりの中に入ると、おりの扉が、自動で閉まりました。捕獲のために使ったのは、スマートフォンです。担当者はスマートフォンの画面上でおりの中の様子を確認。扉を閉めたい場合は、ボタンを押すだけです。開発したのは、三重県伊勢市の電子機器メーカー「アイエスイー」。センサーの技術に強みを持つ、ものづくり企業ならではの商品です。この会社の実証実験では、年間で50頭ほどのイノシシやシカの捕獲に成功しています。いまでは、このシステムは全47都道府県で導入が進んでいて、自治体からの受注が大半だということです。また、野生の鳥や獣の肉「ジビエ」のおかげで獣害対策が進んでいる地域もあります。その1つが、岐阜県揖斐川町です。シカの肉を使った料理を提供する店「シャルキュトリー・レストラン里山きさら」を取材しました。実は、「シャルキュトリー・レストラン里山きさら」が2016年にできたことで、地域に良い変化が生まれました。地域の猟師が3人から、16人に増えたんです。猟師が捕獲したシカを加工施設に運び込むと、害獣駆除の報奨金を受け取ることができるからなんです。さらに猟師が増えてシカの捕獲が進むことで、周囲の農家への被害も減少しました。ジビエとして消費される捕獲動物が全国では1割に留まるなか、揖斐川町では捕獲、解体、販売の流れを役割分担することで、毎年、5割を超えます。農作物の被害金額には表れない被害も目立っています。シカに何度も田畑を荒らされて農家を辞めてしまう人がいたり、クマによる人への被害が深刻化している地域もあります。地域の枠組みを越えた国全体での対策を急ぐ必要があります。

(クマの市街地出没、生ごみ・家庭菜園に注意を:愛知)
クマの出没が街に迫っている。秋田市や盛岡市では、通勤・通学の市民や観光客が行き交う中心市街地でも相次ぐ。餌不足が要因とみられ、専門家は生ごみの捨て方や家庭菜園の管理などに注意するよう呼びかける。24日、JR秋田駅の北西約1・2キロの住宅街で柿の木に登るクマ2頭が目撃され、近くの小学校は臨時休校になった。26日には商業施設も近い秋田市中心部の千秋公園で1頭の目撃情報が寄せられた。まだ捕獲されておらず、今も公園への立ち入りが規制されている。

(クマ対応で「自衛隊」派遣も?)
各地でクマによる被害が相次ぎ、現場での対応が限界を迎えつつある中、秋田県知事が自衛隊の派遣を要請することが分かりました。自衛隊には、具体的にどんな対応ができるのでしょうか? 狩猟免許を持つガバメントハンターや、新たな対策も注目されています。そこで今回の#みんなのギモンでは、「クマ被害対応 自衛隊も派遣?」をテーマに解説します。「秋田県は、クマ対策での自衛隊の派遣を防衛省に要望することを明らかにしました。26日午後、秋田県の鈴木健太知事が公式SNSに投稿しました。冒頭に『防衛省へ要望します』とあります」「そして『現在、不足している箱わなの追加調達や通学路安全確保等へのクマよけスプレー配備など行っております。しかし状況はもはや県と市町村のみで対応できる範囲を超えており、現場の疲弊も限界を迎えつつある』としています」「さらに『自衛隊派遣の検討を要望すべく調整しております』と記しています」「クマの駆除に関しては今、民間の猟友会の皆さんに頼っているというのが現状です。アメリカでは公務員のハンターはもちろんいるわけですが、日本も自衛隊の力を借りるというフェーズに来ているのかもしれませんよね」「現場の方たちはできることはもうやっているけど、数が多すぎて対応しきれないよ、ということですよね」「それぞれの現場で対応しているんですけれども、手が回らない、数が上回ってしまっているという状況ですね。27日、秋田県の鈴木知事が取材に応じました」。鈴木知事「箱わなは大きくて重いので、そういったものの運搬・設置をしたり、または大量に仕掛けていますから、それをかかっているかどうか見回ったり、駆除した個体の解体処理をしたりと、権限や資格の必要ない部分について自衛隊の力をお借りできないかと」。「鈴木知事は28日に、災害派遣の要請のため防衛省を訪れる予定です。複数の防衛省関係者によると、自衛隊は要請を受ける方向で調整しています。では、具体的にどういった内容なのでしょうか」「クマが人里に来ないための対策や、捕獲したクマや物資の支援や避難が必要になった時の住民の輸送、さらには情報収集などを中心に調整が進められているということです。クマへの銃撃については、法律や規則などの観点から含まれないとみられています」「自衛隊が対応できる範囲は一部に限られるかもしれないですが、これだけクマ被害が相次いでいて、もう災害級の対応になってきているということですね」「温度感としても上がってきているという状況です」「鈴木知事の言葉にもあるように、現場はもう限界を迎えつつあるといいます。クマを駆除できる免許を持っている人の数が減少傾向にあります」「環境省によると1980年度には約43万人いましたが、40年たった2020年度には約9万人と、激減しているんです。高齢化も深刻となっていて、免許を持っている方の大半が60歳以上となっています」「専門知識のある方が減る中で注目されているのが、ガバメントハンターです。狩猟免許を持って、鳥獣対策に携わる自治体の職員のことです」「長野・小諸市の山で、鹿やイノシシの捕獲用のわなを仕掛けている人たちの映像があります。そのうちの1人が、小諸市農林課の事務主任で、銃を使った狩猟の免許を持つガバメントハンターの櫻井優祐さんです」「行政とハンター両方の目線で鳥獣対策にあたり、地元のハンターとの橋渡し役も担っています。去年、市内のゴミ置き場に現れたクマの捕獲にも一役買いました」。櫻井さん「高齢化するハンターや自治体の担当者など、クマ対策に関わる人の負担の軽減の一助になれば。行政側に狩猟経験のある職員がいることで、よりハンター目線でも必要な調整・判断ができるのではないかなと」。「行政側に、こうして狩猟経験のある職員がいるというのは心強いですよね。今後地元のハンターと協力して、より良いクマ対策につながるといいなと思います」「ハンター側と行政側、両方の目線を持つ方が、こうした役も担っているということです。クマの生態や保全管理に詳しい、東京農業大学の山﨑晃司教授にも聞きました」「山﨑教授は『行政が自前で抱えるガバメントハンターを増やすべきで、緊急銃猟でハンターが公務員だと責任の所在が明確になる。捕獲した後にモニタリングをして、今後の管理にもつなげやすいといったメリットがある』としています」「また環境省は、自治体がハンターを直接雇用するための交付金の調整を進めているということです」「猟友会の皆さんも本業、他にお仕事をお持ちの方もいらっしゃいますから、交付金というのは重要です。今年はブナの不作でこれだけ増えていると言われてますが、来年以降、パタッと止まるかどうかも分からないので、持続可能なシステムが必要になりますよね」「この事態が今年だけとは限らないので、今後もこうした対策が求められていきます」「ハンターの確保以外の対策で、クマの目撃情報が半減した自治体もあります。クマの生息域と、人の生活圏を分けるゾーニングです。長野・箕輪町では今年5月に見回りを行い、6月からゾーニングを実施しました」「クマの生息域(山)、緩衝地域(里山や畑)、人の生活域つまりクマを排除した地域と、3つゾーンを分けました。緩衝地域の手入れができていないとクマが降りてきやすいということです」「やぶを刈るなどの手入れを行い、里山をつくって、人の生活圏にクマが来ないようにするというものです。そうした結果、昨年度と比べてクマの目撃情報は19件から9件に減り、人身被害は0件、農作物の被害金額は推定で去年の約10分の1と大きく減少しています」「まだ始めたばかりなので、効果については現在分析されているそうですが、今後ゾーニングエリアの拡大も進めていく考えだといいます。自治体が自衛隊の派遣を要請する、異例の事態となっています。改めて、クマを引き寄せないよう警戒が必要となってきます」

(功労者ハンターを襲った抗議の嵐「奥さんはノイローゼに…」)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度のクマ被害による死者数は全国で8人(22日時点)と、統計を取り始めた2006年以降で過去最悪に。人を食べる目的で襲った食害のケースも複数報告されている。さらに深刻な問題となっているのが、各地で進む猟友会の高齢化や、駆除に対する他地域からの苛烈なクレームだ。この先、クマ生息地域の人々の暮らしはどうなってしまうのか。全国で最も被害が多い秋田県で50年以上にわたりクマ猟に従事、これまでに500頭以上のクマを仕留めてきた百戦錬磨のベテランハンターが、「絶対匿名」を条件に重い口を開いた。「今まで取材は全部お断りしてきたんだ。絶対に顔も名前も出すなよ。もし出したりしたら本気で訴えるからな」。そうすごむのは、秋田県内のとある猟友会で会長を務める74歳の男性。祖父の代から親子4代にわたるハンター家系の3代目で、初めてクマを仕留めたのは22歳のとき。以来50年以上にわたり、県内でも特にクマの影が濃い山間部の集落で猟を続けてきた。「昨日も2つ、一昨日は1匹やってきた。今年は26~27頭はやったかな。今までに仕留めた数? いちいち覚えてられねえべ。500~1000の間くらいでねえが」。高齢となった今も各所に仕掛けた箱わな(クマを捕らえる金属製のおり)の見回りが大切な日課のひとつだという。男性が“絶対匿名”を取材条件に掲げるのには、ある苦い理由がある。鹿角市で2016年に発生し、4人の死者を出した戦後最悪の獣害事件「十和利山クマ襲撃事件」の記憶だ。重軽傷者多数、日を追うごとに犠牲者が増え、事件のあった山一帯は立ち入り禁止に。駆除作業にあたったのは、男性もよく知る盟友のハンターだった。「約1か月あまりにわたって相次いで人が襲われて、そこら中に食い荒らされた遺体が散乱して、それはもうひどいもんだった。マスコミの取材攻勢も過熱してね。当時の地元猟友会のハンターがようやく加害グマを仕留めたんだが、テレビ局が撃つ瞬間を望遠カメラ撮ってて、顔と名前が割れたその人の自宅に抗議の電話が殺到したんだ。かわいそうに、奥さんはノイローゼになっちゃって……。抗議する方もする方だけど、マスコミもマスコミだよ。あのときから俺は、絶対に取材は受けないと決めたんだ」。今回、重い口を開いた背景には、増え続けるクマとは裏腹に進む、深刻な後継者不足の問題がある。男性がハンターになった50年前、地元猟友会には120人を超えるハンターが在籍していた。今では自身と40代の息子を含め、わずか4人。猟友会の高齢化には、構造的な問題もあるという。「猟友会って言ってもただの趣味の集まりだから、専業のハンターっていうのはいねんだ。俺も昔は役場の仕事の傍らで山に入っていて、ようやく腕がついてきたのは定年して年金暮らしになってから。鉄砲は仕事の片手間で上達するほど簡単なもんじゃないんだよ。仕事を休んで駆除に出るわけにもいかないから、必然的に退職組のじいさん連中が中心になる。そんな組織にクマ問題を丸投げしてるんだから、はなからおかしな話なんだ」。駆除の報酬は市町村によりけりで、日当の他に1頭いくらというところもあれば、年間報酬がたったの2500円という自治体も。市町村ごとに予算は異なるため、過疎地域ではまともに報酬を支払えないケースも少なくない。それでなくとも、危険や負担に見合った額とは言えないのが実情だ。「箱わなは200キロ近いから、仕掛けるのにだって人手がいる。仕掛けたわなを見回りするにも、ガソリンからタイヤから全部自腹。見回りだけで年間走行2万キロだよ。ハンターが減るのも当たり前のこと。俺も家内から何度、もうやめてくれ、あんたがやる必要ないと言われたか。けれども、せがれや他のハンターじゃ、わなにかかったやつの止め差し(とどめを刺すこと)が精一杯。もう俺しかやれるやつはいねんだ」。興味深い証言もある。男性によると、1980年頃までは人里にクマが出ることは一切なかった。ところが、近年は年を追うごと、季節が移り変わるごとにクマの食性が目まぐるしく変わり、さまざまな作物や肉に興味を示すようになってきたという。「柿や栗は昔からだけど、ミカンやスイカ、トマト、そばの実まで食ってる。養鶏場が襲われて、ニワトリ4000羽が食われたこともあった。箱わなも、ハチミツがいい時期と、興味を示さなくなる時期がある。あまり使いたくはないんだけど、酒粕を使ったらてき面にかかったこともある。完全に人間の生活圏に興味を持って出てきている」。都市部の人にとって、クマの恐怖と隣り合わせの生活は実感を抱きにくいもの。駆除の報道に対し、「お腹を空かせて出てきただけなのに」「子グマまで殺さなくてもいいだろ」という疑問の声も尽きないが、男性は現実の厳しさを口にする。「俺も昔、情が湧いて子グマを逃がしてやったことがあった。でも、逆だったんだ。母グマがいなくなった子グマはどうしたって冬を越せない。どっちにしろエサが取れずに飢えて死ぬ。そっちの方がずっとかわいそうだろ。それなら、親と一緒に一思いにしてやった方がいいんだ」。取材後、去り際に右脚を引きずって階段を降りる姿が印象的だった。「……膝が悪いんだ。俺が動けるのも、せいぜいあと5年ちょっと。俺が銃を置いたら、この辺りの村はもうおしまいだ」。老兵の背中には、覚悟と諦念が満ちていた。

(“毎日出動”猟友会に密着:北海道)
クマによる被害が全国で相次ぐなか、紅葉がピークを迎え、多くの観光客が集まる北海道でも警戒が強まっています。色づいた木々の奥にそびえるのは雪に覆われた大雪山系。美しいコントラストが北海道に秋の深まりを告げています。美瑛町の「青い池」では、白く枯れた白樺と紅葉の競演に訪れた人もうっとり。ただ、この人気観光スポットで、影を落としているのがクマの出没です。「青い池」から5分ほどの場所で2週間ほど前、クマが目撃され、急きょ、注意喚起の看板が設置されました。クマは街中にも出没。札幌市の公園で目撃されたのは体長1メートルほどのクマ2頭です。北海道では、24日に初めてとなる緊急銃猟を行い、住民に被害が出る前に駆除しました。ヒグマの出没が相次ぐ北海道。番組は、最前線でヒグマに向き合う猟友会を密着取材しました。北海道猟友会 砂川支部 池上治男支部長「穴があいているでしょ。これヒグマが掘った。(箱わなから)出ようとして」。設置した箱わなにヒグマがかかっていないか確認するのは、北海道猟友会・砂川支部の池上支部長です。砂川市から依頼を受け、箱わなの設置やヒグマ目撃地点での調査などを行っています。「異常事態でしょ。先月は毎日呼び出しが来ていた。現場確認来てくれと、ほぼ毎日。1日2回も3回も何カ所も出ていた」。今年はこれまで18頭のクマを箱わなで捕獲。例年の2倍以上に増加しています。道路を横断するようにできた白い足跡。1週間前、近くの畑では、捕らえたシカを埋める様子が目撃されていました。ヒグマの痕跡を見逃さないように常に周囲に目を凝らす池上さん。時には、地元の農家を訪れることもあります。贈答用の高級なシャインマスカットなどを生産する果樹園。実は、数日前にクマに食い荒らされる被害が出ていました。地面には、ブドウの実に被せていた紙袋が散乱しています。倉庫に保管していたシャインマスカットも被害に遭いました。倉庫の扉には生々しい痕跡もありました。これは被害の翌日、近くに設置された箱わなにかかったヒグマの映像。体長はおよそ1.6メートルで、このヒグマがシャインマスカットを食べたとみられます。

(イノシシ被害防止対策セミナー:新潟)
加茂市鳥獣被害防止対策協議会では、イノシシの農作物被害を防止するため「市民勉強会」を開催します。近年出没が多発しているイノシシの基本的な生態や特性について勉強し、効果的な対策を一緒に考えてみませんか。

(クマとの戦争、被害は「もはや災害級」)
クマが人里や市街地に出没し、人間を襲うケースが後を絶ちません。環境省の速報値では、2025年度の死者は10月25日現在で10人に達し、史上最悪を更新しています。そんななか、市町村のゴーサインがあれば市街地でも発砲できる「緊急銃猟」制度が、この9月からスタートしました。「もう、戦争だよ」の声も飛び出す人間とクマの戦い。新制度はその決め手になるのでしょうか。やさしく解説します。クマによる人的被害は留まるところを知りません。環境省が公表している「クマ類による人身被害」(速報値)によると、2025年度は9月末までの半年間で99件の被害が発生。108人が被害を受け、このうち5人が亡くなっています。この時点で前年度の人的被害者85人(うち死者3人)を上回っていました。内訳を見ると、北海道のヒグマによるものが4人(死者2人)、本州でのツキノワグマによるものは104人(死者3人)。都道府県別では、岩手県の22人、秋田県の19人、長野県の15人が上位を占めています。被害は10月に入ってさらに増えてきました。最近のクマ被害は山里や山中だけではありません。学校や役場近く、住宅密集地など地元住民が「まさか、ここで?」と驚くような場所で起きているのも特徴です。秋田県では、湯沢市のJR湯沢駅近くの住宅街で10月20日、体長1.3メートルのツキノワグマが60代男性を自宅の玄関前で襲い、そのまま住宅に入り込んで6日間も居座るという異常事態が起きました。同じく10月の秋田県では、秋田市の県知事公舎近くの住宅街で、新築中の住宅にクマが入り込むケースも発生。さらに学校や幼稚園など子どもたちが通う施設の間近でも、再三にわたってクマの目撃情報が出ています。秋田県の「ツキノワグマ等情報マップシステム【クマダス】」によると、ことしに入ってからの目撃情報は5300件余りに達しています。しかも10月6日からの1週間で1000件を超え、まさに非常事態。秋田県で駆除されたクマは、ことしすでに1000頭以上を数えますが、それでも目撃情報は増え続け、住民の不安は募るばかりです。県議会では与野党を問わず、各議員から「子どもが犠牲にならなければ行政は動かないのか」「フェーズは変わった。もはや災害級。毎日のようにけが人が出ている」として、県に抜本対策を求める声が途切れません。そして、鈴木健太・秋田県知事は10月26日、自身のインスタグラムを更新し、「もはや県と市町村のみで対応できる範囲を超えており、現場の疲弊も限界を迎えつつある」として自衛隊派遣の要望を検討する姿勢を示しました。クマを駆除するための自衛隊出動を想定した法令は存在しませんが、そこまで事態は緊迫。鈴木知事は近く防衛省を訪問し、小泉進次郎防衛相に直接、窮状を訴える考えです。そんな深刻な状況下で「緊急銃猟」は始まったのです。緊急銃猟とは、市町村の権限と責任により住宅地などであってもクマなどへの発砲を認めるという制度です。ことし9月に施行された改正鳥獣保護法に盛り込まれました。それまでの旧法は住宅密集地での発砲を原則禁止しており、クマが市街地に現れてハンターが出動しても、発砲できるのは警察官の命令があった場合などに限られていました。そのため、クマの駆除に時間を要したり、適切な対応を取ることができなかったりして、クマを取り逃すケースなどが頻繁に生じていました。環境省によると、緊急銃猟を実施するためには以下の4条件を満たしている必要があります。(1)クマやイノシシが人の日常生活圏に侵入していること。その恐れが大きいことを含む(2)クマやイノシシによる人命または身体への危害を防止するため、緊急に対応が必要であること(3)銃猟以外の方法では的確かつ迅速な捕獲等が困難であること(4)住民や第三者に銃猟による危害を及ぼすおそれがないこと。これら4条件を全て満たした場合、市町村長は、市町村職員に指示または職員以外の者(猟友会のハンターなど)へ委託し、対象動物を銃器により捕獲・駆除することが可能になります。実施場所として想定されているのは、人の日常生活圏である住居や住宅街、広場、生活用道路、商業施設、農地など。発砲は人の安全が必ず確保されると判断された場合に実施されます。緊急銃猟に全国で初めてのゴーサインを出したのは、山形県鶴岡市でした。それは9月20日のこと。体長1.1メートルの雌のクマが住宅地に入り込み、民家の庭の木の下で1時間以上も動かなくなりました。このため、鶴岡市長は緊急銃猟を決断し、地元猟友会に実施を委託したのです。ただ、周囲の安全確認が終わる前に猟友会のハンターに向けてクマが突進してきたため、現場に臨場していた警察官が警察官職務執行法に基づいて発砲を指示。ハンターは1発でクマを仕留めましたが、緊急銃猟という仕組みの中での駆除とはなりませんでした。緊急銃猟によって発砲が行われた最初のケースは、仙台市です。10月14日の夕方、同市太白区の住宅街付近の山林にクマが現れ、その場所に留まりました。状況を確認した仙台市は、①クマは住宅から十数メートルという至近距離の茂みに居座っている、②放置すれば生活の場に侵入する恐れが大きい、③発砲しても人に危害が及ばない―などして緊急銃猟の4条件を満たしたと判断しました。そのうえで付近の道路では通行制限を実施。10月15日早朝、ハンターが猟銃を使用し、1発で駆除したのです。緊急銃猟による発砲の2例目は、群馬県昭和村。さらに新潟県魚沼市や秋田市、札幌市などでも緊急銃猟が実施されています。緊急銃猟の実施については、課題も指摘されています。その最たるものは、市町村が実施を委託するハンターの不足や高齢化です。環境省の鳥獣関係統計によると、2019年度(直近の最新データ)には全国で約21万5000人に狩猟免許が発行されていました。そのうち、60代は約5万8000人、70代は5万6000人、そして80歳以上は1万人超。1980年度にはたった9%だった60代以上の割合が、実に6割に達しているのです。一方、20代、30代は合計で2割ほどに留まっています。猟友会の全国組織である一般社団法人・大日本猟友会は「残念ながら、ハンター(猟銃所持者)の数は大きく減少してきています。これからも我が国の狩猟文化を持続し、後世に引き継いでいくためにも、狩猟や野生鳥獣管理を志す方は、是非猟友会に」(佐々木洋平会長)と呼び掛けていますが、狩猟は自然や動物、銃に関する専門知識に加え、訓練と経験を必要とします。猟銃の所持と保管にも一定の費用が必要で、そう簡単に乗り出せる分野ではありません。緊急銃猟に対しては、現役のハンターから懸念も出ています。最大の問題は、万が一、事故が起きた場合、発砲したハンターの責任はどうなるのかという点です。住宅街で実弾を発射すると、跳弾などにより人的・物的被害が出る可能性がゼロではありません。緊急銃猟の判断は行政が下すにしても、実際にどのタイミングでどう撃つかを決めるのはハンターです。それなのに、行政の要請に応じて出動したことで狩猟免許をはく奪されたり、業務上過失致死傷罪などに問われたりする恐れがあるのなら、おいそれと協力はできないというわけです。実際、各地の猟友会では、こうした声が続出しており、行政側との調整が進んでいないケースも多数あります。ヒグマ駆除の最前線に立つ北海道猟友会は、緊急銃猟制度のスタートを前に、万が一の事故の際にはハンターの免責を保証するよう、北海道に要望しました。さらに、1回の出動で数千円程度の手当しか出ないことへの不満も、非協力の背後に横たわっています。クマ被害は北海道や東北、北信越だけではありません。ことしの目撃情報は、東京都や神奈川県など関東一円(千葉県を除く)、静岡県や愛知県などの東海4県、京都府や滋賀県を中心とする近畿圏でも急増しています。それも住宅街やスーパー、学校や駅の周辺といった日常の生活圏にどんどん近づいているのです。緊急銃猟は対策の決め手になるのでしょうか。

(獣害を追うー迫りくる野生動物たち)
近年、野生動物による人や農作物への被害を報じるニュースが、日常的に流れるようになった。イノシシやシカが田畑や山林を荒らし、クマは市街地へと行動範囲を広げている。農林水産省によると、この数年、野生鳥獣による農作物の全国の年間被害額は160億円前後で推移している。国は毎年、約100億円を投じて対策に努めているが、被害の減少につながっていないのが現状だ。東海地方でも野生鳥獣の被害は増加傾向にある。東海3県の農作物の年間被害額は2010年度の15億6千万円をピークに減少傾向だったものの、22年度に増加に転じた。23年度は9億572万円(前年度比約7%増)にのぼる。中でも愛知県は4億7262万円で、都道府県別で5番目に被害額が大きかった。被害額だけが問題ではない。東海農政局農村環境課の今井幸彦・リスク対策調査官は「イノシシの被害によって離農する農家がいたり、シカの食害によって森林が荒れたりと、数字に表れない被害が出ている」と指摘する。製造業も無関係ではない。工場や物流倉庫への鳥類や小動物が侵入すると、衛生環境の悪化や商品の汚損が発生する。「人が増えない中、獣だけが増えている」(今井氏)。その言葉を裏付けるように、東海地方の中山間地を訪ねると、「前はシカなんて見なかった」と方々で聞いた。農家は田畑に侵入するイノシシやシカに頭を悩ませ、住民はクマの出没におののく。一方で、地域住民が一丸となって獣害対策に乗り出す地域もある。岐阜県揖斐川町には、シカの捕獲から解体、ジビエとして調理する工程を役割分担し、ビジネスとして成り立たせようと奮闘するレストランがある。IoTを活用し、遠隔で害獣を捕獲するシステムを手がける三重県伊勢市のものづくり企業には、全国から注目が集まっている。なぜ野生動物は人の生活圏へと行動範囲を広げているのか。山間部の人口減少や猟師の減少、温暖化、森林開発・・・要因について様々な言説が流布する中、野生動物や獣害に詳しい岐阜大の鈴木正嗣教授は「誤解もある」と指摘する。昨今の獣害につながる歴史を紐解くと、明治期まで遡る。乱獲や森林開発により生息域を追われていった野生動物たちは,急激に数を減らした。1982(明治25)年には、鳥獣保護の観点から狩猟規則が設けられた。以後、長らく国は保護政策を取ってきた。人の暮らしや産業構造の変化と、野生動物の個体数の増減は無縁ではない。鈴木教授は「獣害を社会経済学の問題として捉えるべきだ」と訴える。4回の連載で獣害の現場、最新の対策、課題に迫る。

(欧州で数が大幅に回復したオオカミ)
ほぼ絶滅していたと考えられていたオオカミが過去10年で激増。オオカミによる襲撃事件も起こる中、保護すべきか駆除すべきかという議論が起こっている。何百年もの間ヨーロッパでほぼ絶滅状態にあったオオカミが驚異的な復活を果たしている。この10年で個体数は60%近く増加。2022年に大陸各地で記録された数は合計2万1500頭を上回る。ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、ルーマニアにはそれぞれ1000頭以上生息しているとみられている。生態系の回復という意味では、これは稀有なサクセスストーリーだろう。筆者らが住むデンマークでは、個体数の回復は限定的だ。この国の森林からオオカミが完全に姿を消したのは1813年。2012年に1頭の雄がユトランド半島の根元のドイツ領から国境を越えてデンマークに侵入し、その後に仲間が続いて17年には繁殖可能な群れの存在が確認された。現在ではデンマークにも推定40頭強が生息し、繁殖に成功したことが確認されているつがいが少なくとも7組いる。生息数は少ないとはいえ、デンマークは国土面積に占める農地の割合でいえばヨーロッパでも有数の農業国だ。家畜と人に及ぼす被害が懸念され、既に激しい議論が巻き起こっている。そしてオオカミをめぐる議論にも、この国を揺さぶる政治的な分断が影を落としている。EUは最近、オオカミの保護基準を「厳重保護」から「保護」に引き下げた。これにより加盟国は地域の事情に応じて駆除を許可できることになった。デンマーク政府は今春、何度も市街地に出没するか、囲いに入っている家畜を襲った「問題オオカミ」の射殺を認めると発表。9月に家畜襲撃の「常習犯」とされる一頭の銃猟処分を初めて許可した。スウェーデンは既にハンターに対するクオータ(割り当て)制で一定数のオオカミの駆除を認めているが、デンマークもこの方式を採用するのではないかと、保護活動家は気をもんでいる。筆者らは今夏、この問題に対する世論の動向を探ろうと、英世論調査機関ユーガブの気候と環境に関する調査にオオカミについての質問を加えた。「繁殖可能なオオカミの群れはデンマークの自然にとって有益だ」という主張に賛同するか否かを問うものだ。回答者2172人中、反対が43%、賛成が30%、残りは「どちらでもない」と「分からない」だった。この結果を政治的立場と突き合わせると、明らかなパターンが浮かび上がった。オオカミの増加を最も歓迎しているのは左派や環境保護政党の支持者で、45%近くが主張に賛成した。右寄りの人ははるかに懐疑的で、新右派政党の支持者に至っては断固反対という回答が50%近くを占めた。中道左派とみられている社会民主党の支持者も反対に傾く人が多く、政治的な立場の違いが反映されていることを印象付けた。一方で居住地による違いはさほど明確ではなく、都市住民はオオカミに寛容で、農村部に住んでいる人たちは害獣扱いするといった傾向は認められなかった。半面、年齢による違いははっきり出た。18~34歳の若年層では主張に賛同する人が50%以上を占めたが、年齢が上がるにつれこの割合は減り、55歳以上では過半数、73歳以上では60%が断固反対だった。筆者らは過去10年余り、さまざまな政治的争点をめぐる世論の動向を調べてきたが、年齢による差異がこれほど明確に出たことはない。保護活動家はオオカミを「キーストーン種(個体数が生態系に及ぼす影響が大きい種)」と呼ぶ。シカなどの草食動物を捕食してくれるおかげで、森林や草原が守られるからだ。アメリカのイエローストーン国立公園では、オオカミが再導入されて、何十年かぶりにヤマナラシやヤナギの木々が息を吹き返した。だがデンマークはイエローストーンとは事情が異なる。この国の農村部は農場と住宅地、高速道路と小規模の自然保護区のパッチワークのようなもの。オオカミが「自然のバランス」を回復してくれるかは不確かで、その不確実性が世論にも反映されている。農家は家畜が襲われることを警戒しているが、一般の人も子供やペットが襲われると不安を抱いている。統計的にはオオカミが人を襲った事例は極めてまれだが、この手の問題では数字よりもイメージが独り歩きしがちだ。オランダでは今年に入って6歳の子供がオオカミに襲われた。デンマークでも今夏、2人の少年が近くをうろつくオオカミに怯えて木の上に逃れ、何時間も降りられなくなる「事件」がメディアを騒がせた。だがその後にオオカミの正体は大型のネコと判明。集団パニックの広がりの速さを痛感させた一件だった。筆者らの調査が示すように、オオカミに対する恐怖感の背景にあるのはただの民間伝承ではない。価値観や文化的アイデンティティーに深く根差した人々の政治的な姿勢がそこに反映されている。オオカミをめぐる議論は野生動物の保護に関する議論にとどまらない。社会的な視点も絡み、居住地よりも政治的信念や世代によって保護か駆除かの立場が変わってくる。野生動物の個体数を回復させつつ、安全な共生を保障し人々の理解を取り付けること。政策立案者や保護活動家がこの困難な課題に取り組むには、対立の根底にある認識の違いを知ることが不可欠だ。

(元メジャーリーガーがクレー射撃で“世界一”へ!?)
10月19日放送の『ABEMAスポーツタイム』で、元メジャーリーガーでプロ野球選手の川﨑宗則がクレー射撃に初挑戦。スポーツ選手人生をかけた“転身”への第一歩を番組内でお披露目した。以前、番組内で占い芸人のラブちゃんことLove Me Doに「クレー射撃で世界一になるかもしれない」と予言された川﨑は、その才能を確かめるべくクレー射撃に挑戦することに。番組MCの西澤由夏アナとともに、群馬県富岡市にあるぐんまジャイアント総合クレー・ライフル射撃場を訪れた。クレー射撃歴32年のベテラン中川和彦氏が2人を出迎えたが、「世界一を目指してるので…」と教えを請う川﨑に対し、中川氏は「まだ銃の所持許可は持っていないですよね? ですので(実物を)撃つことはできないです」と、厳しい現実を言い渡す。そこで川﨑は、リアルなシミュレーターでクレー射撃を体験することに。構えから基本ルールまでイチからレクチャーを受け、1ラウンド25枚のクレー(粘土製の皿)の割れた数で得点が決まるクレー射撃にさっそく挑戦した。川﨑は一発目から次々とクレーを割ってみせ、初めてとは思えない才能を披露。初回の5発を全てヒットしてみせ、「とりあえず日本一から始めようかなと。獲りいこうかなと…」と本気でクレー射撃への転身を考えているような表情を見せると、中川氏も「すごくいい。やっぱり動体視力が違う」と称賛した。今回の挑戦で、体力面でも集中力の持続という面でも不安定さを感じたという川﨑は、「まず体力を戻さないといけないことがわかった」と今後の課題も吐露。しかし、同行した西澤アナはなんと15発を全てヒットさせたそうで、その才能を目の当たりにしたことで「僕の世界一への道は西澤さんによって絶たれました!」と、転身はあっさり諦めたようだ。

(野生イノシシ豚熱感染:佐賀)
佐賀県は27日、嬉野市塩田町で死んでいた野生イノシシ1頭が豚熱(CSF)に感染していたと公表した。県内117例目で、嬉野市での確認は初めて。県生産者支援課によると、22日に同町大草野の住民が自宅の裏山で成獣の死がいを見つけて市に連絡。24日に陽性が判明した。

(地鶏のクマ食害相次ぐ、計約180羽襲われる:山形)
小国町でクマによる家禽(かきん)の食害が相次いでいることが23日、関係者への取材で分かった。同町の叶水と小玉川で、いずれも夜間に「やまがた地鶏」計約180羽が襲われており、鶏舎の金網を破壊して侵入された。叶水では鶏舎の中で捕食する成獣の姿が暗視カメラに捉えられていた他、小玉川の現場では足跡も確認されている。叶水では21日午前2時25分ごろ侵入され、農業男性(75)のビニールハウス内にあった鶏舎で育てていた、ひな鳥36羽のうち34羽が食べられた。暗視カメラの動画には、直径40センチほどの穴から、中に入り込む体長1.5メートルほどのクマの姿が収められている。体格は大きく肥えており、次々とひな鳥を襲って、食べ荒らしていた。15分ほど鶏舎の中を動き回った後、入ってきた穴から出て行くまでの様子が捉えられていた。自家消費用として飼っていた。同7時ごろ、男性の妻がひな鳥がいなくなっていることに気付き、動画を確認し、被害が分かった。男性方では、今年6月末にクマが敷地内に出没したが、農作物の食害はなかった。小玉川では22日深夜から23日午前8時ごろまでに、民宿で飼養していた親鶏150羽のうち145羽が被害に遭った。固定していた鶏舎の金網が剥がされ、付近ではクマのものとみられるふんや、15~20センチほどの足跡が見つかった。出荷間際だったという。ひな鳥から約4カ月間育ててきた男性(31)は「10年ほど前から飼っているが、クマの食害は初めて。対策を考えなければならない」と話した。町農林振興課によると、町内では卵・肉用として、養鶏場を含め10軒で鶏を計約5万4千羽飼養している。このうち、県が肉用鶏として開発した、やまがた地鶏を育てているのは、今回被害に遭った2軒を含む3軒だという。

(住宅の小屋にクマ、小屋に閉じ込めワナ設置:山形)
現場の住宅の前には規制線が張られ、警察が状況を確認しています。町や警察によりますときょう午後1時ごろ、住宅の近くにクマがいると警察に通報がありました。現場はJR最上駅の近くで住宅密集地です。その後クマは住宅街を移動し住宅敷地内の小屋に入りこんだということです。クマは体長が50センチほどで、駆け付けた警察や町の職員が、クマが外に出ないよう出入口をふさぐなどしました。現場には箱ワナが設置され、捕獲を試みています。

(警察官らが現場確認中に突然向かってくるクマ、猟友会が発砲し駆除:山形)
警察によりますと、26日昼ごろ、山形県鶴岡市清水新田で一般住宅の敷地内にクマが入っていったと警察に通報があったということです。クマ1頭で体長およそ60センチでした。猟友会や警察が現場を確認していたところ、敷地内のヤブの中からクマが突然、現場の関係者に向かってきたということです。そのため、現場で警察官職務執行法を適用し警察官が猟友会に発砲を命じ、猟友会が発砲してクマを駆除し、危険を回避しました。人や物への被害は確認されていないということです。

(ハチの巣狙ったクマ、神社の壁壊す:山形)
米沢市ではハチの巣を狙ったクマに神社の壁が壊される被害が確認されました。米沢市によりますと、今月24日未明、米沢市古志田町の櫻神社で、縦1.5m、横15cmほどの壁の板が剥がされました。また建物の状況から、市ではクマが建物の中にあるハチの巣を狙ったとみています。市はおととい箱ワナを設置し、捕獲を試みています。いっぽう天童市の干布地区では午前0時半ごろ、干布小学校から西に500m離れたT字路付近で、クマ1頭の目撃がありました。その後、小学校の敷地の西側ではクマの足跡と柿の実の食害が見つかっています。市は放置されている果樹がクマを呼び寄せる要因の一つになるとして、落ちている実の収穫や、伐採などを呼びかけています。

(子グマが買い物客のいる商業施設に居座る、木登り中に麻酔の吹き矢で眠らせて捕獲:長野)
10月27日、長野県山形村の商業施設に子グマが居座り、捕獲されました。けが人などはいませんでしたが、現場は、一時騒然としました。山形村の「アイシティ21」では、27日夕方、体長50センチほどの子グマが居座りました。午後5時40分ごろ、クマが木に登っているところを麻酔の吹き矢で眠らせて捕獲しました。客や従業員などにけがはありませんでした。27日は、3キロほど離れた松本市の梓川高校の校庭でも子グマが目撃されていて、同じ個体とみられています。今年はクマの餌となるブナの実などが不作で県や警察は出没が続く恐れもあるとして注意を呼びかけています。千曲市の東小学校では、27日、学校の近くで「クマらしき動物」が目撃され、28日朝は、教職員などが通学路のパトロールや見守りをしました。市によりますと、その後、付近でイノシシの足跡が見つかったことから、目撃されたのはイノシシの可能性が高いということです。学校は、引き続き、登下校時の注意を呼びかけていくとしています。

(神社の建物を壊したクマと同じ個体か、箱わなにかかった1頭を駆除:山形)
山形県米沢市内の神社で28日朝、近くに設置した箱ワナにクマ1頭がかかっているのが見つかり、クマはその後、駆除されました。駆除されたクマは今月24日にこの神社の建物を壊したクマと同じ個体とみられています。米沢市によりますと、28日午前7時ごろ、米沢市古志田町の神社近くに設置された箱ワナにクマ1頭がかかっていると付近の住民から通報がありました。クマはその後、地元の猟友会によって駆除されました。この神社では今月24日未明、建物内にあったハチの巣のハチミツを狙って出没したとみられるクマによって木製の外壁が剥がされる被害がありました。その後、付近に箱わなを設置したほか、27日はハチの駆除作業も行われていました。米沢市によりますと、今回駆除されたクマは神社の建物を壊したクマと同じ個体とみられるということです。周辺では、28日は建物などへの被害は確認されていないということです。

(クマの目撃が相次ぐ、自動車と衝突も:宮城)
クマの出没が続く宮城県ですが、22日夜から23日朝にかけても仙台市の住宅街で目撃が相次ぎました。警察によりますと23日午前5時20分ごろ、泉区加茂5丁目の県道で体長約1メートルのクマ1頭と自動車が衝突しました。クマは逃げ、運転していた人にけがはありませんでした。太白区八木山弥生町では22日午後9時半ごろ、路上を走り去るクマ1頭を車に乗った住民が見つけました。更に23日午前4時40分ごろには300メートルほど離れた路上で、歩いていた住民が走り去るクマ1頭を目撃しました。同じ個体かは不明です。相次ぐクマの出没と被害を受け、県は23日から人身被害の防止強化期間を設定して警戒を呼び掛けます。

(回送列車とシカが衝突:北海道)
24日午前5時25分ごろ、札幌市手稲区のJR函館線手稲ー稲穂駅間で、回送列車がシカと衝突した。乗務員にけがはなかった。

(「クマが飼っている柴犬をくわえて逃げた」:宮城)
宮城県大崎市で10月25日、住宅の庭にクマが現れ、庭にいた柴犬を襲いました。警察によりますと、25日午前9時半ごろ、大崎市古川北宮沢の住宅から「飼っている犬をクマがくわえて逃げた」と通報がありました。住人によると、うなり声のような音を聞いて外を見ると、クマが外で飼っていた体長50センチの柴犬をくわえていて、そのままいなくなったということです。柴犬は首輪とリードでつながれていましたが、首輪は抜けた状態で残されていました。クマは体長80センチほどとみられ、家の北側にある茂みの方へと逃げました。クマと柴犬は現在も見つかっていないということです。警察は周辺をパトロールして、クマと柴犬の行方を探すとともに、住民への注意を呼びかけています。

(中型トラックがイノシシと衝突する事故:新潟)
10月24日、村上市で中型トラックと体長約1メートルのイノシシが衝突する事故がありました。事故があったのは、村上市垣之内の国道7号です。警察によりますと、24日午前1時半ごろ、国道を走行していた中型トラック(約8トン)とイノシシが衝突する事故がありました。運転手から「イノシシを避けきれずに衝突した」と通報がありました。イノシシの体長は約1メートルで、衝突によってトラックの右フロントライトとバンパーが破損したということです。運転手にけがはありませんでした。トラックと衝突したイノシシは山の方向へ逃げていったということです。村上警察署は村上市にも通報し、現場付近の警戒活動を行っています。

(イノシシを麻酔銃使って捕獲:新潟)
24日午後、新潟市江南区でイノシシが捕獲されました。捕獲直後のイノシシをUXのカメラがとらえました。24日午後1時半すぎの新潟市江南区。記者が現場にかけつけると、草むらで倒れているイノシシの姿が-新潟市職員「(Q.麻酔で眠らせている?)はい。区役所と警察がずっと追っていた」。午前8時ごろ、新潟市江南区亀田工業団地で近くで働く人から「敷地内に体長1mのイノシシ1頭がいる」と警察に通報がありました。警察や区役所の職員・猟友会などが周辺をパトロール。午後2時ごろ、近くの『かわね公園』で体長1.2m・重さ63kgのイノシシを麻酔銃を使って捕獲しました。新潟市では、22日から中央区や江南区でイノシシの目撃情報が複数寄せられています。警察はイノシシと遭遇したときはゆっくり後退し、建物や車に避難するよう注意を呼びかけています。

(2頭のシカが目の前で車と衝突:静岡)
道路に動物が飛び出す危険な瞬間が相次いで捉えられた。伊豆の国市ではシカ2頭が連続して車に衝突。撮影者の目の前で事故が発生している。静岡・伊豆の国市で10日に撮影されたのは、動物の危険な飛び出しだった。遭遇した撮影者は、「最初は何?と思ったんですけど、シカかと思って」と話しており、当初は何が飛び出してきたのか分からなかったという。映像を確認すると、1頭のシカが歩道の茂みから飛び出し、前方を走る車に衝突していた。さらにもう1頭が対向車の前に飛び出し、2頭が次々と車にぶつかる様子が映っていた。撮影者はとっさにブレーキを踏み、なんとか衝突を回避したが、「全く声が出ずに、心の中でヤバイヤバイと思いながらブレーキ踏みました」と語っている。その後、シカ2頭は立ち上がり、走り去っていったという。

(“イノシシの群れ”畑食い荒らす:青森)
ことし6月、青森県のナガイモ畑に現れたのは・・・“イノシシの群れ”。その数、20頭以上とみられています。なかには子どものイノシシの“ウリ坊”も。イノシシがくわえているのは、秋の収穫にむけ植え付けた「種芋」。今年の秋、青森の特産であるナガイモ およそ60トンが食い荒らしにより収穫できない見込みとなっているのです。青森では、イノシシの出没と食害が急増。専門家によりますと、イノシシは哺乳類の中でも随一の繁殖力で、今年の被害拡大には「去年よりも個体数が増えていることが関係しているだろう」と話します。農協はワナを設置するなど対策をとっていますが、種芋となる小さい芋も食べられているため、来年の作付けにも影響が懸念されるということです。

(クマに襲われ引きずられたか、柴犬が首輪とリード残していなくなる:岩手)
26日朝、岩手県住田町の住宅で飼われていた犬がいなくなり、付近で倒れている草をたどると山へと続く方向にクマの足跡が見つかりました。警察や猟友会はクマが犬を襲って引きずったとみています。警察によりますと、26日午前8時42分ごろ、住田町上有住で「外で飼っている柴犬がいなくなっている」と飼い主から警察に通報がありました。柴犬は体長が70~80センチで、首輪とひも状のリードを残して、飼い主の住宅の敷地内にある飼育場所からいなくなっていたということです。リードはちぎれていて、敷地内の庭や付近の草地には柴犬が引きずられたような跡が見つかりました。駆けつけた猟友会が跡をたどると山へと続いていて、付近にクマの足跡が見つかったことから、柴犬がクマに引きずられたものとみています。飼い主は午前3時ごろに柴犬が通常とは違う鳴き方をしているのを聞いたと話しており、その時間に襲われたのではないかということです。警察は付近の住宅に警戒を呼びかけています。柴犬の捜索は行わないということです。

(JR山陽線でイノシシと接触、3700人に影響:広島)
26日午後6時40分ごろ、広島市西区のJR山陽線横川―西広島間を走行していた白市発岩国行き普通列車がイノシシと接触し、停車した。

(JR北海道の列車がクマとシカと相次ぎ衝突:北海道)
10月26日夕方、JR宗谷線の普通列車がクマとシカに相次いで衝突しました。乗客と乗務員にケガはありませんでしたが、終点の稚内駅で車両に水漏れの不具合が見つかり、折り返しの列車1本が運休となりました。JR北海道によりますと、26日午後5時2分ごろ、音威子府駅を出発した普通列車が約5分後、次の駅の筬島駅に着く前にクマと衝突しました。列車は一時停車して点検を行い、運行に支障がないことを確認して運転を再開しました。ところが午後6時ごろ、同じ列車が中川町の天塩中川駅と幌延町の問寒別駅の間で、今度はシカと衝突しました。再び停車して点検したところ、運行に支障がないことが確認されたため運転を再開し、列車は大きな遅れもなく終点の稚内駅に到着しました。しかし、稚内駅で車両を点検したところ、水漏れの不具合が見つかりました。このため、折り返し運転する予定だった、午後8時15分発の稚内発幌延行きの普通列車が運休となりました。

(壱岐島にいないはずのイノシシ?:長崎)
「壱岐島には生息していない」とされているイノシシの目撃や足跡情報が複数寄せられ、島で話題になっている。過去には海から上陸するイノシシの目撃情報があり、今回も海を渡ってきた可能性が指摘されるが、その繁殖力の強さを念頭に農家は戦々恐々。本州でクマによる被害が続く中、長崎県壱岐市などは市民に注意を呼びかけるとともに、わな設置の準備を進めている。壱岐市や農協、猟友会などでつくる壱岐地域鳥獣被害防止対策協議会によると、9月23日に市北部の勝本町片山触の市道で1頭の目撃情報があった。翌日には田んぼや茂みの中に足跡を確認。今月2日には約1・5キロ離れた同町本宮東触で稲を踏み倒した跡が見つかった。市などによると、島で初めてイノシシが目撃されたのは2010年、海から上陸する姿だったという。実際に14年と20年には1頭ずつ捕獲されたが、その後は「イノシシではないか」との問い合わせや、死骸の漂着などがあったものの、市内での生息は確認されていなかった。イノシシの繁殖力は強いとされ、メスは毎年4、5頭の子を産むという。対策協議会は「繁殖する前に駆除したい」と対策を急ぎ、センサーカメラを設置しイノシシが踏むとワイヤが足に巻き付く「くくりわな」の設置準備を進めている。一方、農業関係者には足跡や稲の踏み倒し跡などの写真を載せた通知を回覧し、警戒と情報提供を呼びかけた。市教育委員会も子どもたちの登下校や、山への立ち入りに注意するよう促している。島民の一人は「島は作物も豊富で、イノシシ防止の柵もない。爆発的に増えてイノシシ天国になってからでは遅い。賞金を懸けてでも駆除を急がなければ」と話した。壱岐南部から本土までは最短約20キロ。過去には島の沖合を泳いでいた1頭が駆除された例もあり、潮の流れに乗るなどしてたどりつく可能性はあるという。県埋蔵文化財センターによると、同市勝本町の弥生期の遺跡「カラカミ遺跡」では、イノシシ属の動物の骨が発見されている。ただ、その後は生存を示す文献史料はないという。

(クマ1頭駆除、襲われたとみられる遺体発見の現場周辺:岩手)
地元猟友会によると、一関市厳美町下り松でクマに襲われたとみられる男性の遺体が見つかった現場周辺で、27日午後にクマ1頭が駆除された。同日午後1時50分ごろに発砲音があった。クマは体長1・5メートルほどの雄とみられる。この地域ではクマの被害が相次いでいた。20日午前3時ごろ、駐車中の軽乗用車のバンパーが壊された。22日午後8時ごろ、男性方で飼い犬が襲われた。一関署員が、車庫内で死んでいる柴犬を発見した。

(岩手銀行本店地下駐車場のクマを麻酔で捕獲:岩手)
盛岡市内丸の岩手銀行本店地下駐車場内に入り込み居座っていたクマ1頭は、28日午前10時すぎ、麻酔が打たれ捕獲されました。盛岡市の担当者によりますと、クマは体長1メートルほどで、親とみられるクマの行方は分かっていないということです。人的物的被害は確認されていません。現場は岩手県庁や盛岡市役所などが立ち並ぶ官庁街で朝の通勤時間帯と重なり騒然としました。27日午後10時以降、現場から近い盛岡市本町通などで親子のクマの目撃情報が寄せられたほか、先週から市中心部でクマの目撃が相次いでいます。

(シカが急に飛び出したら:北海道)
クマの目撃が増える一方、この時期に多いのは、シカの事故です。26日夜、札幌市西区では普通乗用車とシカが衝突する事故がありました。飛び出してきたのは、角があるオスジカ。車には4人が乗っていてけがはありませんでしたが、車の右前方が破損しました。シカは飛び出してきた方向に逃げて行ったということです。市街地でのシカとの衝突事故。北海道開発局などによりますと、10月がシカの交尾の時期にあたり、夜間にかけて行動が活発になるため、日没後の運転は注意するよう呼びかけています。

(中学校のグラウンドに居座ったクマか、箱わなの中でも肉をむさぼる:北海道)
連日、北海道の各地で住民を悩ませている、クマ。27日朝も、新たな映像が撮影されました。道猟友会砂川支部長・池上治男さん「10月27日月曜日、上砂川町の箱わなです。クマ1頭捕獲しました。入っています」。27日午前6時ごろ、北海道空知の上砂川町で箱わなにかかっていたのは1頭のクマです。町から強い要望を受けた猟友会が数日前に箱わなを設置して捕獲。痕跡などから、10月11日に、上砂川中学校のグラウンドに約1時間居座ったクマと同じ個体と判明しました。道猟友会砂川支部長・池上治男さん「シカ肉の皮をはいで、皮をかじりきって食べようとしています」。周りの人間を気にすることなく、シカ肉をむさぼるクマ。道猟友会砂川支部長・池上治男さん「シカを隠しているのか、餌のシカをわらで隠している。箱わなに入ってもこういう行動するんですね」。これは、食べ物を土の中に隠す「土(ど)まんじゅう」と呼ばれる習性で、敵から食べ物を守ろうとしているということです。上砂川町では10月に入ってクマの目撃情報が多数寄せられていますが、猟友会の砂川支部ではハンターの池上さんの猟銃所持許可が取り消されていて、箱わなでの駆除を続けています。

(里山ビジネスに奔走するクマ博士:石川)
白山のふもとで里山ビジネスに取り組む合同会社「山立(やまだち)会」。ナメコ栽培にヒツジの放牧、ジビエ食堂……。地域で育まれた「恵み」を事業に据え、実績を伸ばしている。代表の有本勲さん(42)=石川県能美市=が奔走中だ。金沢市から車で南へ約1時間。山麓(さんろく)を抜ける石川県白山市木滑(きなめり)地区の白山街道沿いに「山立会食堂」の白い看板が現れた。緩やかな傾斜地に集落と工場、放牧地などが点在する。ここが山立会の活動場所だ。施設の一角で調理されたシカやイノシシのジビエがカレーやみそ煮込みなどのレトルトパックに加工されて食堂で販売されている(880~980円)。10月末からは「ONE GIBIER(ワン ジビエ)」のブランドで、応援購入サイト「Makuake(マクアケ)」に出品されることも決まった。2017年にイノシシのジビエ加工と野生動物調査で始まった会社は、次々と事業を拡大していった。18年には地区特産の「木滑なめこ」の生産と販売に、20年にはヒツジの放牧事業に乗り出した。

(神戸阪急で「文鹿祭(Bunkasai)」が10月29日(水)に開催:兵庫)
シカを利活用したジビエ料理や加工品、ペットフードなど有効活用を推進するためのPRイベントとして、11回目を迎える「文鹿祭」。今回は神戸阪急の本館南側道路および本館屋上を会場として、エンターテイメントと融合したイベントを開催します。ジビエのマインドシェアを高めるため、業界団体の交流だけでなく、市民の日常とクロスオーバーした空間を演出します。兵庫県産シカ肉、イノシシ肉を活用した各種ジビエグルメのフードブースをはじめ、ペットフードや県内の農産品・地域特産品の展示販売等、12団体が出店します。兵庫県猟友会による活動PR、自然環境に関わる団体によるワークショップなども開催されます。

(新「庄原ジビエ工房」完成:広島)
広島県庄原市が、同市是松町で新たに建設していたイノシシ、シカの市有害鳥獣処理加工施設「庄原ジビエ工房」が完成した。農作物への被害が深刻化する中、現施設の収容可能量を駆除頭数が上回ってきたためで、機能を移転して11月から稼働する。

(極上のシカ肉「高知ジビエ工房」:高知)
香美市物部町の「高知ジビエ工房」が手がけるシカ肉が、都会の高級料理店で常連客の肥えた舌をうならせている。このシカ肉にほれ込んだ大阪・北新地のイタリア料理店オーナーシェフ、比与森俊幸さん(43)=香美市出身=が監修した高級志向のレトルトカレーも登場。

(鳥獣被害増える今こそ「狩猟」の必要性知って:高知)
狩猟の必要性を考える「狩猟フェスタ」が26日、高知市の高知ぢばさんセンターで開かれた。わな猟の実演やジビエ加工品販売を通じて大勢の来場者が狩猟の魅力や技に触れた。

(県産ジビエ給食増:宮崎)
西米良村は小中学校で提供する県産ジビエ給食の回数を増やした。イノシシ肉やシカ肉を使い、9月以降はそれまでの3倍以上となる月7回の提供を予定。地元の食文化の理解を深めると同時に、子どもたちの健康増進を目的としている。

(広がるジビエ活用、観光や給食にも)
シカやイノシシといった野生鳥獣の肉(ジビエ)への注目が高まっている。2024年度の販売額は過去最多で今年度も好調に推移している。山梨県の観光施設では猟師の仕事を体験しながらジビエを味わうプランが人気を博し、埼玉県でも学校給食にジビエを取り入れる動きがある。地方で獣害が深刻化する中、自治体もインフラ整備や利用促進に力を入れる。農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査によると、24年度に全国の食肉処理施設が処理したジビエの販売額は前年度比0.2%増の54億1800万円となり2年連続で過去最多を更新した。食肉としての販売金額は同3.5%増え、中でもシカが7.3%増の27億5800万円と伸びている。自然の中で育ったイノシシやシカは牛肉や豚肉よりも脂肪が少なく栄養豊富とされる。従来はペットフードの原料としての利用が多かったジビエは近年、食肉としても注目され、飲食店や宿泊施設の需要が着実に伸びている。獣害対策の観点からもジビエの活用は重要だ。食肉として高く売れれば高齢化や人材不足に悩む猟師にとって貴重な収入源となる。経営安定の一助となり、農業被害の抑制や環境保全につながることが期待される。日本百名山に数えられる八ケ岳のふもとで24年に開業した宿泊施設アグリツーリズモユタカ(山梨県北杜市)。豊かな自然を生かし農業体験など様々な活動を楽しめるのが特徴だ。中でもオーナーで猟師の馬場優氏が自らの仕事について紹介し、獣の痕跡探しやわな猟に挑戦する「猟師に弟子入り体験」が人気プランという。25年秋からは馬場氏自ら腕をふるう「八ケ岳産鹿肉の炭火焼き」といった料理の提供も本格的に始めた。共同で運営する妻の有紀さんは「猟師だからこそジビエの一番おいしい部位や調理方法を熟知している。都内ではできない当施設ならではの体験を通じ、猟師の意義や獣害対策について広く知ってもらいたい」と話す。人を呼び込む地域資源として自治体も着目する。シカによる樹皮の食害などに悩む群馬県では23年、地元産ジビエのブランド化をめざす複数自治体と食肉会社が共同で「箕輪(きりん)ジビエコンソーシアム」を立ち上げた。専用の食肉加工施設を整備し、地元のホテルや飲食店などに出荷している。ホテルメトロポリタン高崎(同県高崎市)は同ブランドの鹿肉を使った料理を2月から直営レストランで提供開始した。6月に発売した「ニホンジカの赤ワイン煮」が売り上げ上位の人気メニューという。「わな猟でとれた良質な鹿肉は獣臭さもなく、淡泊ながらしっかりとしたうまみもある」(担当者)。10月からは宴会メニューにも鹿肉料理を取り入れた。神奈川県でも山間部の5自治体が共同出資して23年に専用処理施設、あしがらジビエ工房を設立した。地域の猟師が利用料を支払い、施設の設備を使ってシカやイノシシを処理、販売できるようにした。出資した同県大井町は町内の飲食店に対し、同施設で処理したジビエを購入する際に年間最大4万円を補助する制度を25年度から始めた。地元産食材として食育にジビエを取り入れる自治体もある。埼玉県皆野町は25年、県内初の取り組みとして地元産鹿肉を使ったキーマカレーやミートソーススパゲティを町立幼稚園や小中学校で提供した。児童からの抵抗もなく好評だったという。シカやイノシシ以外でもジビエを活用する動きがある。静岡県磐田市は9月、南米原産の特定外来生物で大型のネズミの仲間、ヌートリアの利活用に向けた協定を地域の猟友会や大学、農協と結んだ。元々は毛皮の利用を目的に持ち込まれたが海外では食用とされることもあるといい、市内で目撃情報が増えているのをきっかけに食材としての利用可能性を模索している。

(第4回 大山ジビエフェア:神奈川)
伊勢原市大山地区では、2025年11月1日(土)~2026年3月31日(火)の期間、第4回目の「大山猪鹿(ジビエ)フェア」が開催されます。大山では古くから猪鍋などが食べられており、豆腐料理に並ぶ名物として多くの宿坊や飲食店で提供されています。本イベントは、大山地区の特産品であるジビエを多くの方に知ってもらうことを目的としたイベントであり、期間中は、景品付きスタンプラリーを実施します。ぜひこの機会に大山のジビエ料理を堪能してください。

(「道南ハンターズフェスティバル2025」:北海道)
プロのハンターが大集結し、「食べて・見て・体験できる」ハンターイベント。ジビエ料理の販売や狩猟装備・剥製展示、射撃体験など、普段はなかなか触れられない“ハンターの世界”を体感できる。鹿のほか、イノシシや熊といった数量限定のジビエメニューも登場。

(ヌートリア捕獲、ジビエ活用へ:静岡)
磐田市や地元のJA、猟友会、大学が、農作物に被害を及ぼす特定外来生物ヌートリアを捕獲し、ジビエ(野生鳥獣肉)として活用を目指す連携協定を結んだ。ヌートリアは西日本で生息域を拡大し、県内では湖西市や浜松市などで被害が確認されている。磐田市では2023年以降、捕獲例はないが、官民連携で繁殖拡大に先手を打った形だ。

(クマ出没:宮城)
大和町によると、29日午後0時30分ごろ、大和町もみじケ丘1丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、29日午前11時50分ごろ、栗原市築館上宮野白坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、29日午前10時40分ごろ、栗原市鶯沢北郷峯にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、29日午前10時ごろ、富谷市今泉新坂ノ下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
大崎市によると、29日午前、大崎市古川西荒井にクマが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、29日早朝、登米市津山町横山宮田にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、29日午前6時ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、28日午後10時15分ごろ、富谷市鷹乃杜4丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、28日午後3時10分ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、28日午前5時ごろ、栗原市高清水影の沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、28日午前9時ごろ、色麻町大下新町北にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、28日午前10時50分ごろ、栗原市栗駒中野上野原南にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日午後2時20分ごろ、仙台市泉区西田中焼河原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日午後0時20分ごろ、仙台市泉区住吉台東1丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日午前6時50分ごろ、仙台市泉区朴沢中小屋にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日午前6時40分ごろ、仙台市泉区根白石学校前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、26日午後8時20分ごろ、仙台市泉区古内野合にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、26日午後5時ごろ、仙台市泉区福岡岳山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、27日午後7時30分ごろ、富谷市大亀滑理川一番にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、26日午後0時ごろ、仙台市泉区西田中下田中にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午前9時15分ごろ、栗原市栗駒稲屋敷森館にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午前7時30分ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、27日午前3時ごろ、富谷市とちの木1丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、27日午前9時50分ごろ、仙台市青葉区国見4丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午前5時50分ごろ、栗原市金成沢辺西大寺にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、26日午後0時30分ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、26日午後4時50分ごろ、富谷市西成田新千刈沖にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、26日午後4時35分ごろ、栗原市一迫真坂大門にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、26日午後4時ごろ、栗原市一迫萩生にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、26日午前9時10分ごろ、栗原市鶯沢北郷堀の内にクマが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、26日午前10時40分ごろ、登米市石越町北郷丸谷地にイノシシが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、26日午前11時45分ごろ、登米市石越町北郷遠澤にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、25日午後2時10分ごろ、栗原市鶯沢南郷洞泉寺にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、25日午後2時30分ごろ、栗原市一迫真坂清水ケ袋にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、25日午後1時30分ごろ、富谷市三ノ関馬場沢下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、25日午後1時10分ごろ、栗原市栗駒稲屋敷後原にクマが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、25日午後1時40分ごろ、登米市石越町北郷中澤にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
角田市によると、24日午前、角田市藤田仙石でイノシシが出没したような痕跡が見つかりました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、24日午後2時ごろ、栗原市一迫北沢十文字にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、24日午後0時30分ごろ、栗原市金成藤渡戸清水尻にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後4時50分ごろ、仙台市泉区住吉台東3丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後4時30分ごろ、仙台市泉区福岡二又にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後1時45分ごろ、仙台市青葉区台原森林公園にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後1時20分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋大原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日、仙台市太白区秋保町長袋上台にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、24日午前10時40分ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
登米市によると、24日午前10時15分ごろ、登米市中田町上沼新中ノ土手にクマが出没しました。

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10/24
(ごみ出し玄関先でクマに襲われる:福島)
22日午前7時半ごろ、福島県会津美里町沼田で、80代女性が家庭ごみを出しに自宅玄関を出たところ、クマ1頭に襲われ顔などを負傷した。女性の「クマだ」という叫び声を聞き外に出た80代の夫も首付近をひっかかれけがをした。会津若松署によると、いずれも重傷だが命に別条はないという。近所の住民が110番した。クマは体長約1メートルで、南の山林に逃げた。署が近隣住民に注意を呼びかけている。

(男性4人襲ったクマ、1日半たっても住宅に居座る:秋田)
20日湯沢市の中心部で男性を襲い、住宅の中に入り込み居座っているクマ。市や猟友会が箱わなを設置し捕獲を試みていますが、1日半経過した今もクマが入ったという確認はされていません。20日午前5時ごろから6時半ごろにかけて、湯沢市中心部で男性4人が相次いでクマに襲われけがをしました。4人目の男性を襲ったクマは住宅の中に入り込み、20日から居座っています。市や猟友会は住宅の玄関先に箱わなを設置し捕獲を試みています。クマをおびきよせるために、わなには米ぬかとハチミツを入れていますが、中に入ったという確認はされていません。クマが居座っている住宅からおよそ1.5キロ離れた小学校では、徒歩で通学している児童の保護者に車の送迎をお願いしていて、迎えに来た車に乗り込む児童の姿が見られました。市では居座っているクマを刺激しないようクマがどこにいるかは確認せずわなに入るのを待つ考えで、物音がすることからクマは今も留まっているとみています。

(環境省、自治体の「ハンター」雇用に交付金検討)
全国でクマによる被害が相次ぐなか、ハンターの確保を強化するため、自治体がハンターを職員として雇用するための交付金を環境省が検討していることが分かりました。各地でクマによる被害が相次ぐなか、今年度、クマに襲われて死亡した人は全国で9人と過去最多となっています。環境省によりますと、クマの捕獲などにあたるライフル銃や散弾銃を扱う免許を持つ人は1975年度はおよそ49万人だった一方、2020年度には9万人まで減少していて、「ハンター」のなり手不足が課題となっています。こうしたなか、自治体がハンターを雇用するための交付金を環境省が検討していることが分かりました。来年度予算の概算要求に盛り込んでいて、自治体がハンターを専門の職員として雇用することで、緊急の場合に素早く対応することが狙いだということです。

(自治体向け“クマ保険”、10月時点で約200の自治体が加入)
全国でクマ被害が相次ぎ、2025年度のクマによる死者数は統計開始以来で"最悪"を記録。各地で深刻な事態となっています。岩手県では露天風呂の清掃中に襲われたとみられるケースや、群馬県ではキノコ採りをしていた人が襲われけがをしたケースなどが報告されています。東海3県も例外ではありません。10月5日には世界遺産の白川郷で知られる岐阜県白川村で外国人観光客がクマに襲われけが、同12日には岐阜県高山市で70代の男性がツキノワグマに襲われ、左腕を骨折するなどの大けがをしました。愛知県でも、ドングリが凶作でツキノワグマが人里へ出没する可能性が高まっているとして、県が注意を呼びかけています。こうした状況を受け、9月1日に施行されたのが「緊急銃猟」制度です。ツキノワグマなどが人の生活圏に侵入した場合、これまでは市街地での発砲は県知事の許可が必要でしたが、市区村長の判断で銃器を使用した駆除が可能に。より迅速に対応できるようになりました。一方で、発砲に伴う損害などに対しては、自治体が補償する必要があるという新たな課題も生まれています。そんな中、東京海上日動は、自治体が安心して緊急銃猟を実施できるよう「緊急銃猟時補償費用保険」を新たに開発しました。この保険は、緊急銃猟の実施により損失を受けた人に対して自治体が支払う損失補償費用を、3000万円を限度に補償するもの。補償内容は、発射した弾丸により建物などが損壊された場合や、損壊がなければ得られていた利益の支払いなどが想定されています。保険料は地域によって異なりますが、年間10万円程度となる見込み。環境省の指定管理鳥獣対策事業交付金の活用も可能です。同社によると、7月から加入受付を開始したところ、8月時点で100を超える自治体から申込みがあり、10月21日現在では約200の自治体が加入しているということです。担当者は「地域住民の安全の確保と、自治体の経済的負担の軽減を図り、社会課題の解決に貢献していく」としています。寒さが厳しくなる季節まで、クマが活発な時期が続きます。今後も引き続きクマへの警戒が必要です。

(北海道猟友会、ヒグマ駆除要請の拒否を容認:北海道)
北海道猟友会は25日、自治体からのヒグマの駆除要請を拒否する支部が出た場合、その判断を「尊重する」方針を決定した。ハンターだけが発砲の責任を負わされることへの懸念を踏まえた対応。駆除が滞る地域が出る可能性がある。

(緊急銃猟でクマ駆除、全国2例目:群馬)
群馬県昭和村は、自治体の判断で市街地での銃猟を可能とする「緊急銃猟」を17日に実施し、ツキノワグマ1頭を駆除したことを明らかにした。太ったクマがオリにかかって暴れ、住民に危害を加えるおそれがあった。緊急銃猟は、鳥獣保護管理法の改正で9月に始まった制度。環境省によると、緊急銃猟によるクマの駆除は、15日の仙台市に続き全国2例目。村によると、17日午後1時5分ごろ、同村川額(かわはけ)の畑に設置されたイノシシ用のオリに、クマが入っていると住民から連絡があった。オリは、イノシシでなくクマがかかった場合は上部から逃げられる構造だったが、クマが太っていたのでオリを抜けられなかった。現場は畑や住宅が混在する地域。クマは暴れており、オリを破壊して住民に被害を与えるおそれがあった。麻酔銃を使って対処しようとしたが、発砲が行える日没までに準備するのは困難だった。高橋幸一郎村長が緊急銃猟を許可。同省の指針に基づき、住民への注意喚起や交通規制を行った上で、午後4時50分ごろ、地元猟友会のメンバーが発砲した。駆除されたクマは雌で、体長は約1・5メートルだったという。同省によると、2025年度のクマによる死者数は9人(22日現在)。統計がある06年度以降、過去最多になった。

(居座りクマに緊急銃猟実施、全国で4例目:秋田)
横手市で、県内では初めての緊急銃猟が行われました。市街地に居座るクマの捕獲が目的で、緊急銃猟の実施は全国で4例目です。横手市は、髙橋大市長の許可のもと、市の中心部を流れる横手川の河川敷に“居座る”クマを捕獲するために緊急銃猟を行いました。横手市によりますと午後2時45分ごろ、猟友会の銃手が合計4発を発砲しました。現場では、クマ2頭が確認されていましたが、発砲後目視での確認はできていません。警察と横手市によりますと、21日午後6時ごろ、横手市本町にある寺の敷地に3頭のクマがいるのを通りかかった人が見つけ、警察に通報しました。親グマと2頭の子グマとみられています。その後、クマは横手川にかかる蛇の崎橋の近くにとどまっているのが確認されていました。横手市役所から北に600メートルの市街地です。クマの出没を受け、近くにある横手南小学校は22日、臨時休校の措置をとっています。緊急銃猟が行われるのは県内で初めて、全国では4例目です。

(県内初、メスのクマ1頭を緊急銃猟で駆除:富山)
富山市は23日、市郊外の住宅街に出没したメスの成獣クマ1頭を「緊急銃猟」で駆除した。緊急銃猟による駆除は富山県内で初めて。住民に被害はなかった。市によると、同日午前9時50分ごろ、「住民が富山市悪王寺の神社でクマを見た」と近くの市熊野地区センターから連絡があった。市職員や富山南署員らが現地に向かったところ、神社付近の草むらでクマを確認した。市は、住宅街で危害防止が緊急に必要で、弾丸が人に当たる恐れがないなどの条件を満たすと判断し、午後0時23分ごろ緊急銃猟を決断した。猟友会メンバーが計3発を発射し、同56分ごろ駆除を完了した。現場は富山駅から約8キロ南。住宅地や田畑が混在しており、近くには小学校もある。

(横手市が河川敷に居座っていたクマに対し、緊急銃猟を実施したことについて理解を求める:秋田)
横手市において、数日前より横手川河川敷に居座っていたツキノワグマに対し、10月22日、緊急銃猟を実施いたしました。今回クマが居座っていたのは、幼児施設や小学校、病院などが目の前にある場所で、市民への危害も懸念されることから実施したものです。対応にあたった猟友会や警察、及び市職員も、市民の安全のために命がけで実施しております。こうした状況をご理解いただくようお願いいたします。なお、誹謗・中傷と思われる電話などに対しては、横手市職員カスタマーハラスメント対策基本方針に基づき、毅然とした対応をさせてただきますので、ご理解ください。横手市ツキノワグマ対策会議 本部長 村田清和 横手市副市長。

(初めて駆除、緊急銃猟を振り返る:富山)
県内では2回目の緊急銃猟でクマの駆除は初めてでした。発砲の直前は規制線がはられ、市の職員が避難を呼びかけるなど、かなりの緊迫感がありました。あらためて「緊急銃猟」とはどんな対応なのでしょうか。「緊急銃猟」は、先月から始まったもので、自治体の判断で銃器によるクマなどの駆除が可能になる仕組みです。以前は市街地での猟銃の使用は原則として禁止されていて、クマが市街地に出没した時は自治体ではなく警察官が猟友会などに発砲を命じていました。法改正後は市町村の判断で猟銃を発砲できるようになりました。緊急銃猟には満たすべき条件があります。4つの条件がこちらです。・住宅など人の生活圏に侵入した場合・危害を防ぐ措置が緊急に必要な場合・速やかに捕獲できる手段が他にない場合・住民に弾丸が到達する恐れがない場合。これらを全て満たす必要があります。きょうはどのような流れで行われたのでしょうか。付近で「クマを見た」と住民から警察へ通報があったのが午前10時ごろです。猟友会や市の職員らが警戒にあたり、午後0時23分クマが住宅の敷地周辺の茂みに潜んでいるとみて現場にいた市の森林政策課長が市長に緊急銃猟の許可を求めました。市長はすぐに発砲の許可を出し、現場で猟友会に共有されました。そして午後0時47分、体長およそ80センチの成獣のクマ1頭が駆除されました。付近の安全はどのように確保されたのでしょうか。まず、クマがいるエリアを囲うように道路を封鎖し、周辺の住民には家の中ににとどまるか、公民館に避難するよう呼びかけました。そして、茂みに隠れていたクマを見つけた猟友会が3メートル以上離れた場所から流れ弾が出ないよう、クマより高い位置から下に向けて発砲しました。この緊急銃猟によるけが人はいませんでした。きょうの駆除を振り返って市の職員は次のように話しました。富山市森林政策課 中島光輝 課長「北側が人の住んでいるところ、封鎖ができるか頭にあった。上から下の方向に間違いなく向けて撃ったと聞いている。安全にできるように努めたところで捕獲に至り、少しでも安全につながったところはよかったと思っています」。富山市でのきょうの分も含め、緊急銃猟の許可が出されたのは全国で11件で、このうちクマが駆除されたのは6件です。クマの出没のピークは例年11月まで続くので引き続き警戒が必要です。

(道内初の緊急銃猟の準備も「見学者」で中止:北海道)
札幌・西区の公園に今朝、ヒグマ2頭が出没しました。札幌市は道内で初めての「緊急銃猟」を検討しましたが、その後解除しました。子熊と見られるヒグマ2頭は今日午前8時20分ごろ、札幌・西区の西野すみれ公園に出没し、エサを探すなど1時間以上、居座りました。道警、ハンターらが警戒を続けていましたが、札幌市は市街地に現れたヒグマを行政の判断で猟銃を使い駆除できる「緊急銃猟」に向けた措置をとることをきめました。そしてすぐに近隣住民の避難誘導や通行制限を進めました。しかし午前9時35分ごろ、現場近くに人が近づいたことから危険防止のため発砲の準備を中断。その間に2頭が山林へ立ち去ったため、午前10時15分ごろ「緊急銃猟」に向けた措置は解除されました。札幌市環境局環境都市推進部環境共生担当・坂田一人課長「一部の人がちょっとのぞきに来た。そういうことで緊急銃猟がストップしてしまうこともありうる。罰則の適用にもなりうる」。国のガイドラインでは通行禁止や制限措置に違反した場合、3カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が課されることも明記されています。札幌市は今回の事案をきっかけに市民への理解を求めたい考えです。

(後志・積丹町で猟友会が“出動拒否”、町議とのトラブルで先月から:北海道)
先月、積丹町で捕獲された体重284kgのクマ。この時、地元の猟友会とある町議がトラブルとなり大きな問題となっています。問題が起きたのは先月27日。関係者などによりますと、町内に住む町議会議員の自宅裏にクマが出没した際、駆除の安全面について猟友会が町議に対し注意をしたところ、町議がハンターに「やめさせてやる」と発言したといいます。それに激怒した地元の猟友会。翌日町に対し出動拒否を伝えたということです。現在も、クマが出没してもハンターが出動しない事態となっていて町民からは不安の声が聞かれました。副町長町も今回の問題に対応を悩ませています。積丹町・十河昌寛副町長「本当に今年はクマの出没が大変多くてですね、捕獲頭数も昨年よりはずっと多い状況ですので、また引き続きがクマが出没して出動するような対応が必要になったら、その時に出動できないという風になったら大変困ったなと」。21日、地元の猟友会は今回の問題について協議を行いましたが、一部の参加者から「出動拒否は解除するべきではない。」などと意見が出て、積丹町への出動再開はできなかったということです。HTBの取材に対し町議は「『やめさせてやる』とは言っていない。一町議がそんな力を持っているわけがない。」とコメントしています。今後、町は猟友会と協議を続け出動が再開できるよう求めていくとしています。積丹町・十河昌寛副町長:「猟友会の役員の方々にも引き続き(出動の)対応していただけるように、話をまた引き続きしていきたいという風に思っております」。

(専門チーム「緊急銃猟タスクフォース」派遣開始:山形)
山形県内で市街地へのクマの出没が相次いでいることを受け、県などが立ち上げた専門チームが21日、河北町に派遣され、市街地での猟銃使用の判断基準などについて意見交換を行いました。「緊急銃猟」制度は、市街地などへのクマの出没が増える中、人身被害を未然に防ぐため、市町村長の権限で市街地で猟銃を使っての駆除を可能とする制度です。県内でもことし、市街地でクマの出没が相次いでいることや「緊急銃猟」の制度について各自治体から実施判断などについて不安の声が挙がっていることなどを受け、県は専門チーム「緊急銃猟タスクフォース」を立ち上げました。この専門チームは、県と県警の担当者が「緊急銃猟」実施に関して各自治体にアドバイスなどを行うもので、自治体からの要請を受けて派遣されます。チーム立ち上げ後初めてとなる自治体との意見交換が河北町で行われました。河北町では、ことしに入り16件のクマの目撃情報があり、そのうち4件は市街地での目撃だということです。森谷俊雄河北町長「ふんがあるとか足跡があるとか毎週のように市街地の人家がある中でのクマの出没が続いている状況。なかなか対応に苦慮している」。意見交換は非公開で行われ、これまでの事例を基に市街地で住民の安全を確保した上での猟銃使用の判断やクマが市街地に出没したことを想定した訓練の実施などについて話し合われました。森谷俊雄河北町長「他の市の例や実地に即した対応を確認することができてよかった。関係者の方々と訓練を共にして様々な課題が見えてくると思う。この会議を訓練という次のステップに行く一つの契機にしたい」。意見交換では、このほか麻酔銃を扱うことができる人材の確保などについても話し合われました。町は「今後も継続的に専門チームと連携していきたい」としています。

(県内で相次いだ衝撃的な“熊害”は同じツキノワグマによるものか?:岩手)
10月17日に岩手県北上市で温泉旅館の男性従業員を襲ったツキノワグマは、翌18日に駆除された。このツキノワグマは10月8日に山林で男性を襲ったクマと同一の個体なのか調査が行われている。作家で、日本ツキノワグマ研究所の所長を務める米田一彦氏は、「私が注目したいのは、同じ北上市内で7月4日に高齢女性が自宅でツキノワグマに殺害された事件です」と言う。「高齢女性を襲ったクマは、7月11日に駆除されています。このクマと温泉旅館の男性従業員を襲って10月18日に駆除されたクマとの関係も調査してほしいのです。なぜなら、この2頭は血縁関係を持つ可能性が疑われるからです。なぜ血縁関係があると考えるのかを説明するためには、そもそも10月18日に駆除されたツキノワグマほど凶暴な個体は例がない、とお伝えする必要があるでしょう」。まず米田氏が10月18日に駆除されたクマで注目するのは、【1】温泉旅館で勤務していた男性の遺体は損傷が非常に激しく、一部がなくなっていた、【2】50メートルも遺体が引きずられていた──の2点だ。さらに同一個体か調べられている10月8日の事件では、【3】遺体の頭と胴体が離れていた──点も注目すべきだという。「今まで約130年間、ツキノワグマに襲われた遺体の頭部と胴体が離れていた事例はありません。それは人間の骨格は意外と丈夫で頭と胴が離れにくいからでしょう。また7月4日のケースのように民家に侵入して家人を殺害した例もありません」(同・米田氏)。北上市だけでなく、宮城県栗原市でも凶暴なクマが確認された。10月3日、キノコ狩りをしていた女性がクマに襲われて死亡し、もう1人の女性も行方不明になったのだ。「栗原市のクマは『一撃多殺』を行ったことが推定されるわけですが、このような例もなかったのです。なぜ東北のツキノワグマがこれほど凶暴化したのか調査が必要であり、もし北上市で人間を襲っていたクマが兄弟だったとしたら分析の糸口になるはずです」(同・米田氏)。単独のツキノワグマは慎重な行動が目立ち、臆病な個体も珍しくない。だが兄弟という仲間がいると行動が大胆になる傾向があるという。「本来、ツキノワグマは2歳ごろから単独で生活するようになります。ところが最近になって3歳や4歳になっても兄弟で行動を共にする観察例が増えているのです。そして1頭のクマより、複数のクマのほうが攻撃性は強くなることが観察で明らかになっています。複数のクマは互いの攻撃性に触発され、単独のクマでは考えられない残虐性を発揮することがあるのです」(同・米田氏)。温泉旅館で勤務している男性をツキノワグマが“連れ去った”ことも大きな注目を集めた。米田氏によると、この行動は非常に珍しいという。「ツキノワグマと人間が出くわしてしまい、結果的に人間が死亡したとします。その瞬間、クマが遺体を“エサ”として認識してしまうのは仕方ありません。ツキノワグマはヒグマほど力がありませんが、それでも他のクマにエサを取られないよう、遺体を川のほとりなどに引きずっていくことは習性と言っていいでしょう。一方、明治初年まで遡るとツキノワグマによる死亡例は68人(狩猟事故を除く)あって、そのうち23人が食害されています(註:2024年現在)。死亡事故は非常に少なく、食害など無視してもいいのですが、近年の増加傾向をみると次の次元へと踏み込んできているようです」(同・米田氏)。北上市のケースが専門家にとっても非常に珍しいというわけだ。“人食いツキノワグマ”が誕生したのか、今後も増えていくのか、我々が不安になるのも当然であり、徹底した調査が求められている。

(クマ人身被害「食べるためにねらう・意外と簡単に人間は倒せる」:山形)
2025年、全国でクマに襲われて亡くなった人は9人と過去最多となり、人身被害の深刻さはこれまでにない事態となっている。専門家は「完全にフェーズが変わった」として警戒を呼びかけている。10月17日、岩手・北上市の山林で男性の遺体が見つかり、そばにいた約1.5メートルのクマが猟友会に駆除された。遺体で見つかった男性は近くにある温泉の従業員で、前の日に露天風呂の清掃をしていた。遺体や現場の状況から、男性はクマに襲われ死亡したと断定されていて、クマに山林まで連れ去られたとみられている。クマの生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは、この人身被害の発生を受け危機感を示している。(森林総合研究所・大西尚樹さん)「完全にフェーズが変わったという印象。普通ではない、まれなケース。クマが食べるために人を襲ったことが確定したわけではないが、『今まで大きくて怖いと思っていたけど、意外と簡単に人間は倒せる』と覚える。そうすると『食べるためにねらう』という発想を持ってしまう」。17日に駆除されたクマを調べた結果、脂肪が少なかったことが判明。これについて大西さんは1つの見解を示している。(森林総合研究所・大西尚樹さん)「駆除された個体の脂の乗りが悪いということは、山の中のえさが少ないということがわかる。完全にクマの生息圏が人間の生息圏に重なり入り込んでいる。山の方がかなり高密度になっている。クマに出合ってしまう確率は、10年前に比べると格段に上がっている」。山形県内の2025年のクマの目撃件数は10月19日時点で1673件と、すでに2024年1年間の5倍に迫る勢い。2024年まではあまり確認されなかった住宅地や商業地への出没も、ことしは珍しくない。(森林総合研究所・大西尚樹さん)「異常ではなく、これが普通になると思う。11月も出没は相次ぐと思うので、少なくとも12月までは警戒したままでいてほしい」。大西さんは「地域にクマを寄せつけないことが大切」だとして●カキの木から早めに実を取ること●ごみを前の日に出さず、朝に出すことを徹底する...など、対策をとるよう呼びかけている。

(全国でクマ被害が過去最悪、九州上陸の可能性は?)
全国各地でクマが出没し、人が襲われる被害が相次いでいます。実は福岡の隣、山口県でもことし200件近い目撃情報があります。九州でクマと遭遇する危険はないのでしょうか。野生のクマによる被害は拡大しています。秋田県では10月だけで25人がクマに襲われ、21日朝も大仙市で、50代の男性が顔をひっかかれるなどして病院に搬送されました。環境省によりますと、今年度、クマによる死者は21日までに7人に上っていて、過去最多だった2年前を上回り、2006年の統計開始以来、過去最悪となっています。被害は東北地方にとどまりません。広島県北広島町ではことし7月、70代の男性がクマに襲われました。福岡県と海を隔てて隣り合う山口県でも、ことし200件近いツキノワグマの目撃情報が警察に寄せられています。2012年に絶滅したとされる九州のツキノワグマ。ただ、ことし13件の目撃情報がある山口県下関市と、福岡県北九州市は最も近いところで650メートルほどしか離れていません。クマが海を泳いで渡り、九州に上陸する可能性はあるのでしょうか。福岡市動物園・廣田淳一飼育第1係長「海を渡るというのは私もあまり聞いたことがない。簡単に渡ってくるという可能性は低いと思っています」。九州で野生のクマに遭遇する可能性は、極めて低いということです。では、本州でキャンプや登山などをする場合は、どうやってクマに気をつければいいのでしょうか。廣田飼育第1係長「まず、そこの状況をしっかりと確認する。クマが出没していることが報告されているか。鈴を付けていく、撃退するスプレーを持参しておく。まずはしっかり準備をする」。生活圏があいまいになりつつある、ヒトとクマ。環境省は万が一、クマに至近距離で遭遇したら両腕で顔面や頭部を覆い、すぐにうつ伏せになるなどして致命的なダメージを最小限にとどめるよう呼びかけています。

(緊急銃猟へ訓練、「体育館にクマ」空気銃構え:富山)
立山町ツキノワグマ緊急銃猟訓練は22日、同町谷口体育館で行われ、町職員や町鳥獣被害対策実施隊員ら15人が緊急銃猟が発令された際の対応を確認した。体育館にクマが侵入し、居座っているとの想定で行われた。参加者は、職員の配置場所や封鎖区間などの緊急銃猟実施計画を策定。LINEなどで緊急銃猟の実施を広報した。町職員は役場にいる舟橋貴之町長と電話でやりとりし、町長から緊急銃猟の発砲が許可されたことを実施隊員に伝えた。隊員は空気銃を構え、発砲の手順を確かめた。改正鳥獣保護管理法が9月に施行され、市街地に出没したクマを駆除するため、自治体判断で発砲を可能にする緊急銃猟制度が始まったことを受けて実施した。実施隊の栃山正雄副隊長は「実際に訓練をすることはいいことだ。今後も気を引き締めて一生懸命に取り組みたい」と話した。町内では20日、三ツ塚新公民館付近のごみ捨て場で、近くに住む80代女性がクマに襲われ、軽傷を負った。

(クマ引き寄せる「71%」は…身近な果物)
全国各地でクマによる被害が後を絶ちません。北海道ではゴミステーションが川に落ち、富山市や秋田市では木の上までクマが登って実を食べていました。クマを引き寄せるモノのうち、71%と圧倒的に多かった果物は何でしょうか? 有効な対策を考えます。ゴミの他にも、クマを呼び寄せるものがあります。一体何にクマが呼び寄せられて、人里に降りてきているのかが分かるグラフ(令和7年度第1回クマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議より、兵庫県立大・横山真弓教授の資料をもとに作成)があります。1位は圧倒的で71%が柿でした。そして栗(7%)、梨(3%)、ブドウ(2%)など秋に収穫される果物が続きます。ゴミ(コンポスト等、2%)など他のモノも含まれている中での数字です。9月、環境省でクマ被害対策の会議が開かれて示されたものです。最近も、クマが柿を食べるために人里に降りてきている姿が各地で目撃されています。環境省や専門家などは、住宅の庭などにはえている柿の木や、過疎地や山の近くで管理されていない柿の木が、クマを人里に引き寄せている要因になっているケースもあると指摘しています。クマの保護管理に詳しい兵庫県立大学の横山教授は『管理ができていない柿の木は、切ったほうがいいと』と話しています。庭にある柿なら管理が行き届いていますが、例えば人がいなくなった山間部や人口減でできた空き家近くにある柿の木など、誰も管理をしていないとそのまま実がなり、あるいは実が落ちて、腐って臭いを発するということもあるかもしれませんね。こういった管理ができていない柿の木は、クマを呼び寄せる原因になるということです。伐採には費用もかかり、柿の木を伐採する費用を支援している自治体もあります。栃木・佐野市では、柿などの果樹を伐採するための補助金制度を今年度から導入。上限額は5万円で、業者に依頼した費用の3分の2が補助され、すでに3件の申請がありました。佐野市によると、管理されていない木だと、収穫されていない柿の実を求めてクマが出てきます。その集落に食べ物があるとクマが食べに来て、木の部分だけではなく集落全体がエサ場だと認識されてしまうので、まずは呼び寄せないということが非常に重要です。自分たちが食べるために柿の木を持っていらっしゃる方がいると思います。食用としている木には、クマが登らないように幹にトタンを巻くなど適切に管理して、人が管理をしていない木に関しては伐採するというのが今後必要になってくるのかもしれません。クマの被害は非常に多くなっています。そのクマを呼び寄せるのが柿ということまで分かっていますので、ぜひ対策をしていただきたいと思います。

(“50m先 命中率8割”で合格、『緊急銃猟』に備え:新潟)
新潟県内でもクマの出没が相次ぐ中、新潟県猟友会などが独自の試験を設けて、市街地での『緊急銃猟』に対応できるハンターの育成に力を入れています。新潟市西蒲区の射撃場では23日、県猟友会に所属するハンターたちが射撃の練習をしていました。鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の改正によって市街地での発砲が条件付きで認められるようになり、新潟県内でも10月21日に緊急銃猟が初めて行われました。緊急銃猟では、弾が飛び散る散弾銃よりも“威力の強い”ライフルなどが用いられますが、新潟県などと協力して県猟友会では、緊急銃猟ができるハンターを育成する独自の試験を行っています。【新潟県猟友会 池田富夫 会長】「緊急銃猟の場合は外しては困る。いわゆる百発百中の技量を持っていないとだめですよと」。求められるのは一発でしとめる腕前で、試験では50m先に置かれた直径23cmほどの的を狙い、10発中8発を的の黒い部分に当てると合格です。9月の法改正を受けて今秋から始めた試験は、今回が3回目。これまで80人ほどのハンターが合格しているそうですが、かなり厳しい試験です。【新潟県猟友会 池田富夫 会長】「できるだけ協力してもらうようにして、検証を通してやっていきたい」。

(「もう戦争だよ」クマ被害急増に前秋田県知事が怒り)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度のクマ被害による死者数は全国で9人(10月22日時点)と、統計を取り始めた2006年以降で過去最悪に。人を食べる目的で襲った食害のケースも複数報告されている。特に被害が深刻な秋田県で、長年クマ問題について強い発信を行ってきたのが、今年4月に知事職を勇退した佐竹敬久前秋田県知事だ。駆除への抗議電話に対し「お前のところにクマ送る」「(受話器を)ガチャン!」など、過激な発言でも話題を集めた佐竹氏に、クマ問題を巡る秋田の現状と今後を聞いた。10月中旬、秋田市内の自宅を訪ねると、普段着姿の佐竹氏が出迎えてくれた。江戸時代から当地を治める秋田藩主・佐竹北家の21代目当主。立派な武家屋敷か、はたまた大豪邸かと覚悟していたが、閑静な住宅街によくなじんだごく普通の邸宅だった。秋田駅からは徒歩50分ほどの距離で、歩いてきたことを伝えると「(クマは)出なかったか? すぐそこの、うちの目の前でも1人やられたんだ。両目をやられて……むごいもんだよ。一番近い20メートル先のコンビニの前に出たこともあった。すぐ近所に5歳と2歳の孫もいる。(生家の)仙北の方なんか裏の山に10頭も20頭も出てる。本当に切実な問題」と、前知事としてよりもまず、地域住民としての本音を口にした。なぜ今、クマ被害が急増しているのか。本題に入ると、佐竹氏は、度々ささやかれている「人間が山を開発したから」という俗説に対して真正面から異を唱えた。「メガソーラーのせいだなんだ言われてるけど、まったく逆。人口減少で人が住むところがどんどん山から遠ざかって、里山が原生林化している。森が豊かになって増えたクマが、人間の生活の場に近づいてるんです。人口1000人の村周辺に、2000頭のクマがいるようなところもある。県で作った目撃情報の一覧マップもあるけど、実際はあれの3~5倍は出てますよ。だって届け出するたびに警察の調書に付き合わされるんだから。毎日出るようなところはいちいち報告してられない」。秋田県では増えすぎたクマに対処するため、直接人に危害を加えた個体以外にも、個体数調整として人里近くでわなにかかったクマの駆除を進めている。人を襲ったことのないクマまで駆除することや、登山や山菜取りなどで人が自ら山に入って襲われたケースなどでは、他県から抗議の声が寄せられることも少なくない。クマ問題に他する考え方は地域によってもさまざまで、中には「危険なクマは絶滅させるべき」「クマが出るところに人は住むな」など、両極端な声も存在する。「都市部の人には分からないかもしれないけど、山に入るのも生活のうちなんです。山菜取りで年に200~300万円稼いで生計を立てているおばあちゃんもたくさんいる。クマが出るから今年は舞茸の出回る量が少ない。(岩手の)北上の方では祭りが中止になった。そうやって名産や活気がなくなって、ますます人が減っていく悪循環が起こります。年寄りは散歩ができない。子どもたちは外で遊べない。クマのせいで健康や成長、生活のすべてに影響が出る。こうなるともう戦争だよ、戦争。普段の日常生活を送れないんだから、戦時下と変わらない」。戦争と変わらない。そう強い表現を使うのも、佐竹氏が実際にその目でクマに襲われた被害者を見てきたからだ。「顔面をやられるでしょ。仮に助かっても本当に人生が変わっちゃう。目をやられることも多いし、仕事もできなくなる。今の医療技術でも原形には戻らない。女性なんかもう外にも出られなくなっちゃう。本当にむごいもんですよ。食われた遺体なんか、人間の形をしてないんだから。見れたもんじゃないし、葬る方だって惨めですよ。生きたまま食われるなんて、こんなに怖くて惨めなことはない。あらゆる事故の中でも最も悲惨な亡くなり方をする。国には本当に、そういう想像力を持ってもらいたい」。切なる言葉で被害地域の実情を語った佐竹氏。

(獣害予防へ、わなの扱い指導:静岡)
静岡県山林協会賀茂支部と県賀茂農林事務所は22日、くくりわなの取り扱い技術の向上を目指した講習会を河津町役場で開いた。獣害予防につなげる狙い。NPO法人ホールアース自然学校理事の浅子智昭さん(50)を講師に招いた。浅子さんはシカの模型を活用し、実際にわなの設置方法や捕らえた後の対処法を指導した。

(「クマを殺すな」の抗議殺到も、「あの凶暴性はやられないとわからない」)
日本各地でクマ被害の情報が相次いでいる。10月17日、岩手県の瀬美温泉で露天風呂を清掃していた笹崎勝巳さん(60)がクマに襲われ、山中で遺体で発見された。20日には岩手県盛岡市の原敬記念館の敷地内に成獣のクマが4時間居座り、麻酔を打って捕獲、市内の山林で駆除された。また人的被害はなくても連日、クマの目撃情報は全国で報じられている。このような報道が流れると自治体には「クマの命を奪うな」といった意見が多数来る。人がクマに殺される事案が起きても、だ。自治体や被害者たちは、このような“害獣駆除にご意見したがる人々 ”をどう思っているのだろうか。思いを聞いた。20日に岩手県盛岡市の原敬記念館の敷地内に侵入した10歳くらいとみられるクマの成獣は、市民からの通報により、まず警察が現地に駆けつけた。そして警察から連絡が入ったのが、盛岡市役所の農政課である。12時頃、農政課が現地に駆けつけ、捕獲のための麻酔の吹き矢を打つ、盛岡市動物公園の獣医師を呼んだ。駆除には県の許可が必要なため、岩手県庁関係者も集まった。4者とクマが睨み合う中で、約4時間後の午後15時30分にクマは捕獲され、山で駆除された。農政課の担当者が言う。「麻酔の吹き矢により昏睡したクマを農政課の車に乗せ、盛岡市内の山林に運ぶとともに、現地には鳥獣被害対策実施隊にご所属いただいている猟友会のかたを呼び、鉄砲で殺処分しました。21日朝の時点で市のメールに『なぜ駆除するのか。かわいそうじゃないか』といったご意見と、『なんでもっと早く駆除しないのか』といったメールが来ていました」。この時点では数件のメールだったが、今年に入り、駆除の報道が出るたびにこの2つのご意見が電話で寄せられるそうで、長い時では30分以上に及ぶこともあるという。「ご意見は『駆除するな』と『早く駆除しろ』のふたつのご意見ですが、駆除するなというかたのほうがヒートアップしたり、長くなる印象です。すべての駆除の決定は私ども市役所だけで行っているわけではありません。捕獲には県、発砲には警察の許可が必要ですし、さらに発砲は猟銃免許を持つかたなどが行います。すべてはここに住まう市民の安心安全を守るもので、それを覆すことはできません。ですので、ただご意見をいただくことしかできないのが現状です」。今年9月1日に改正鳥獣保護管理法が施行された。これにより、一定の条件をクリアすれば、日常生活圏においても、特例的に市町村長の判断・指示で委託を受けたハンターが緊急に銃猟を使用することが可能になった。かつて警察の判断の遅れで発砲のタイミングが遅れた事例があったことから法律が改正された経緯がある。だが、このような世の動きとは別に「クマを殺すな」「山に帰せ」といった意見が100件以上も届く役場もある。今年7月12日、北海道南部の福島町で新聞配達員の男性が早朝の市街地でクマに襲われ命を落とす事故が起きた。クマの殺処分は18日で、その一連の様子が報道されると、翌日から1週間ほど福島町役場に100件ものご意見が届いたという。そのほとんどが「なぜ殺した?」というもの。福島町役場の総務課の担当者はこう嘆く。「もう1日中、電話が鳴り響いている状態でした。愛護の気持ちが強いかたは『もともとクマが住んでいるところに人間が住んだだけだ、クマに罪はない』と平然とおっしゃいます。すでに人が亡くなっている事故が起きてのことと説明した上で、『ご家族が被害に遭われたら、それでもそういうご意見を持たれますか』と言いましたところ『それでも人間が悪い』と。噛み合わないんです。とにかくご意見をくださるかたが納得するまで聞くしかない状態です」。100件の電話は100人がかけているわけではなく、同一人物が連続してかけてくることもあった。「業務に差し支えるので非通知の電話は受けないようにしようとなったら、別部署に非通知で電話して繋がれたこともありました」と嘆く。しかも「そのようなご意見をいただくかたのほとんどが道民ではなく他県の方だった」そうだ。ただ、役場が対応に苦慮したのはご意見をくださる人たちだけではない。「報道陣による取材活動」にも苦しんだと、前出の役場の担当者は続ける。「10月12日に事故が起き、我々は一刻も早い駆除のために24時間体制でパトロールしました。しかし、テレビ局も24時間体制で我々が仕掛けた箱穴付近に張り付いている。これではクマを捕獲できない。また、報道陣の中には私有地にカメラを仕込んでいる方もいました。そのスクープ映像が9月頃にも流れたら、またご意見のお電話が鳴りまして。もうその映像は使い回さないでいただきたい…と思いましたね」。こういった「クマを殺すな」という意見に断固として反対するのは秋田市内で菓子店を経営する湊屋啓二さん(68)だ。湊屋さんは2年前にツキノワグマの襲撃に遭った。頭部に頭蓋骨がむき出しになる裂傷と右耳の一部の破損、顔にも複数の深い掻き傷を負った。「クマを捜し出して殺せって言ってるんじゃなくて、市民の安全を脅かすクマは殺さないとダメだって言ってるんですよ。『クマを殺すな』なんて言うかたは、クマの凶暴性と攻撃力の高さと恐ろしさを知らない。一度やられなければわからないと思いますよ」。湊屋さんが被害に遭ったのは2023年10月19日の午前中、車庫のシャッターを開けた瞬間だ。目の前に「頭部が茶色のツキノワグマ」がいた。ツキノワグマは全身が黒で胸に月のような形の白い柄があることからその名がついているが、湊屋さんは瞬間、「茶色なんて珍しいな」と思ったそうだ。2、3秒もの間ほど見つめ合い、後ろを向いて全速力で自宅に向かい走った。「グワオウッ」。ツキノワグマは叫びながら湊屋さんを追いかけた。そして腕と爪を使って左側からものすごい力で地面に倒してきたのである。「とっさに頭を隠しました。しかしクマはなぜか執拗に顔を狙ってくるんです。背中を何度も引っかかれ、顔を隠してる腕の隙間から耳をかじろうと何度も牙をむきました。耳元で『ぶぉっ! ぶぉうっ!』ってすごい興奮した唸り声がして『俺はクマに殺されるんだ』と覚悟しました。顔を隠しながら観念していると、なぜか攻撃が止み、その瞬間に走り出して作業所に入り鍵をかけました。痛みは感じないけど左目が見えないので『左目をやられたな』と思いながら鏡を見ると、頭皮がはがされていて頭蓋骨が見えた。顔中血だらけですよ。その姿を見た妻は『ギャッ』と叫んだほどです」。湊屋さんは頭部を30針も縫う重傷で、左目近くの外傷はあと5㎜深ければ失明していたほどだった。「三苫の1㎜、湊屋の5㎜って言ったら周りにウケましたよ」。そんな冗談を言う湊屋さんだが、精神的な後遺症などはないのか。「それはない! 私はあの頭部が茶色のツキノワグマを忘れない。また見かけたら獲って食ってやる!」と笑う。「ニューヨークタイムズのリチャードって記者からも取材受けてさ、『あなたはそのクマをどうやって食べるんだ』と聞かれたので『みそ鍋だな!』って言ったらそれがタイトルになっちゃって大爆笑ですよ。なんてね、笑ってる場合じゃなくて、私を襲ったクマは私含めて5人も襲っているそうです。しかもそのクマはその後、消息を絶っているんですよ」。湊屋さんは現在も頭部に頭皮が突っ張られるような痛みや、右耳の損傷した部分に痛みを覚えるという。そんな時は自身でマッサージして気を紛らわすのだという。「こういったクマ外傷の後遺症に苦しむ人も多い。ご意見をくださる方は、ぜひそういう外傷で苦しむ方々が相談できる場をどう作ったら良いかについて考えていただきたいですね」。北秋田市役所の担当者は、湊屋さんを襲ったクマの行方を把握しているのだろうか。「その時のクマの個体はDNA鑑定などできておらず、行方はわかっておりません。もしかしたら他県で捕獲駆除されているかもしれないし、未だ山で生きているかもわかりません。今年4月から9月末時点で、370件のクマの目撃情報があります。私たちは人身人命を大事に、今後もクマだけでなくあらゆる害獣対策に取り組んでいきたいと思います」(農林課の担当者)。湊屋さんを襲った、頭部が茶色の珍しいツキノワグマの行方はわかっていない。クマ駆除の報道を目にして動物愛護的な視点からご意見を市町村に向けたくなるかたは、いま一度、湊屋さんの「やられてみなければわからない」という言葉を思い出してほしい。

(「クマ遭遇リスクマップ」開発者に聞いた:大阪)
「連日報道されるクマ被害の防止に役立つ情報を提供したい」――気象予報サービスなどを手掛ける日本気象(大阪市)の末田晃太氏(ICTソリューション部コンテンツ課)は、「クマ遭遇リスクマップ」を開発した理由をこう語る。クマ遭遇リスクマップは、同社が8月に発表したサービス。AI技術を活用し、ツキノワグマに出遭いやすい場所を地図にした。ツキノワグマの生息地である本州全体が対象で、1辺250mのメッシュごとに、遭遇リスクを段階的に色分けして表示する。なぜ、気象予報サービスを提供する会社が、このようなマップを作ったのか。その経緯や開発方法、同マップを通じて見えてきたクマと遭遇しやすい場所の特徴などを末田氏に聞いた。クマ遭遇リスクマップの開発の背景にあるのは、ツキノワグマによる人身被害だ。環境省によると、ツキノワグマの出没件数は増加傾向にあり、2025年度は10月6日時点で95件の人身被害を記録している。また東北森林管理局によると、25年は東北各県でツキノワグマの秋の主食となるブナが大凶作の見通しで、人里でのクマの大量出没が懸念されるという。末田氏は、こうした状況を踏まえ「連日クマ被害が報道されるなか、住民や観光客、自治体に向け、クマ被害の防止や軽減に役立つ情報を提供したいと思った」と語る。一見、気象予報とクマ被害は縁遠いように思われるが、日本気象では、路面温度をもとにペットの散歩に適した時間を予測する「犬のおさんぽ予報」を提供。競合との差別化のため、気象予測の知見を生物に応用するサービスに着目している。また、末田氏は25年の新入社員で、大学では気象と生物の関係を研究しており、今回の開発につながった。クマ遭遇リスクマップの開発では、過去のツキノワグマの出没データと、地形や植生、気候など環境データを組み合わせた。クマの出没データは、自治体による過去7年分ほどの発表をもとに、出没日時や出没地点の緯度・経度を取得。環境データは国土交通省や環境省の情報を参照した。これら全てのデータのフォーマットを整え、コンピュータが大量のデータからパターンやルールを学習し、それに基づいた予測をする機械学習を活用した。これにより、クマの出没地点の環境的な共通性を抽出。250mメッシュの精度で本州各地の遭遇リスクを予測し、地図上に表示した。同マップの特徴は、ツキノワグマの出没データを公表していない自治体の遭遇リスクも予測していることだ。末田氏によると、3割強の地域がクマの出没データを出していなかったという。一方、環境データは全国分そろえられるため、機械学習で見つけたクマの出没地点の特徴を掛け合わせてリスクを評価した。クマ遭遇リスクマップの作成を通じ、ツキノワグマと遭遇しやすい場所の特徴が明らかになった。末田氏によると、山林と人の生活しているエリアが接している場所では、共通して遭遇リスクが高かったという。末田氏は、クマと遭遇しやすい場所の一つとして「河川沿いの林」を挙げる。こうした場所は、クマが身を隠しながら移動する通路として利用されることがある。また、笹やススキなどが生える見通しの悪い草地も、鉢合わせのリスクが高いと指摘。水辺もクマが水分補給などで利用し、水の音が人とクマ互いの存在をかき消すため危険という。他にも、同マップの作成に際し、一年を通じた月ごとの相対的な遭遇リスクも分析した。結果、10月に人里に近い平野部や谷筋での遭遇リスクが高くなったという。「例えば、山でドングリが不作の年は、ツキノワグマが栗や柿などを求めて人里に降りてくる。そうした影響を反映した結果と考えている」(末田氏)。ただし、同マップはツキノワグマの「生息地そのもの」ではなく「人とクマとの遭遇が発生するリスク」に焦点を当てている。特性上、普段人が立ち入らない山林内などは相対的にリスクが低く評価されるが、山林内はクマ本来の生息域で遭遇リスクがある。登山やキノコ狩りなどで山へ立ち入る際は利用できない。また同マップは、リスクが低く評価されている地域でも、クマと遭遇しないことを保証するものではない。末田氏は「自分が住んでいる地域を調べたり、旅行で土地勘のない場所に行く際、事前に確認してリスクが高そうであれば準備したりするなどの対策に役立てほしい」としている。末田氏は、クマ遭遇リスクマップの今後の展望について「山でのクマとの遭遇リスクにも積極的に取り組んでいきたい」と語る。マップの作成後、自治体に活用方法についてヒアリングしたところ「登山客も多いため、山のリスクも正しく評価したマップがあれば使いやすい」といった要望を受けたという。他にも、自治体からは「実際にあった直近の出没情報を反映したマップの方が、住民に注意喚起しやすい」との意見も出た。こうしたヒアリングの結果をもとに、マップの改善を目指す。「(データを)時系列で追いかけ、近年の状況をより反映したマップを作りたい。また、ツキノワグマの活動時間帯も朝夕が活発と言われているので、1日の中でも時間帯の変化に応じたリスクマップも作成できるのではないか」(末田氏)。日本気象に4月に入社後、5月にクマ遭遇リスクマップの開発に着手し、8月末にリリースした末田氏。「のびのびした開発環境を与えてもらい、スピード感を持って開発できた」と述べる。クマ被害が相次ぐなか、AI技術を活用した対策の一つとして、今後のマップのアップデートにも注目だ。

(シカに負けない、防御強化で実りの秋:広島)
広島市北部の土砂災害の被災地で、若者たちのグループがコメを作り、復興支援の酒を造っています。その最大の敵はシカ。去年は食害でイネができず酒造りを断念しました。ことしはリベンジを果たせたのでしょうか?広島市安佐北区大林町の桧山地区。11年前の広島土砂災害の被災地です。この一角が先日、家族連れなどで賑わいました。グループ「ふるさと楽舎」は、7年前から休耕地を再生しながら20アールの田んぼでコメを作っています。ただし、グループにとって楽しいだけのイベントではないようです。馬場田 真一代表「去年のこと考えると、シカにメチャメチャ食べられたっていうのがあったので防御を強くして、シカに食べられず、しっかり収量とるぞ!まさにリベンジ」。活動の柱が、「大林千年」という地域の酒造りです。自分たちが作ったコメを地元の酒蔵で酒にして、収益の一部を活動費にあてています。ところが、去年は田植え直後の田んぼにシカが侵入苗を食べ荒らしたのです。最初は防護ネットの隙間からの侵入でしたが、一度、味をしめたシカは体当たりでネットを倒すようになったそうです。そこで、ことしはネットの支柱を強化。シカの隠れ家になっていたすぐ裏手の山の木を切るなど防御を固めました。ところが…田植えから半月ほどたった頃田んぼにシカが侵入苗を食べていたのです。そのシカを一早く見つけたのは近所の西本さんでした。馬場田さんは早速センサーカメラを設置してシカの動きをチェック。西本さんも隣接する自分の畑のネットを高くするなどしました。すると、それ以降、シカの侵入がなくなったそうです。被害は、苗を40株程度食べられただけでした。今月初めには防護ネットを破られましたがすでにイネが大きくなっていたため食害はなかったそうです。さて、稲刈りの方は農機具メーカーの協力でコンバインも登場。早速、学生ボランティアが体験するなど和気あいあいと行われました。コメの出来はどうだったのでしょうか?馬場田さんが収穫したもみをチェックします。馬場田代表「もしかしたら喜んでもいいかもしれないという量でありつつ、いやーまだまだ何とも」。夏の猛暑で高温障害を受けたコメがかなりあって、精米してみないと収量が分からないそうです。シカとの戦いではリベンジを果たしたグループですが果たして2年ぶりの「復興の酒」づくりとなるのでしょうか?

(サルのごはん、山で育てよう:岐阜)
野生のサルが里に来なくても山で暮らせる環境を整えようと揖斐郡森林組合(揖斐川町)は20、21の両日、地元の小学生とともに揖斐川町東津汲の山林で広葉樹の苗木を植えた。県が6月に政策オリンピックで選んだ「安心と共生のニホンザル対策事業」の一環。サルの食べ物を山の中に増やすことを目指す。町鳥獣被害対策協議会の調査によると、植樹した付近の地域には約80頭のサルが群れで行動している。山沿いの集落では「庭にサルがいるのが日常」「作物をつくる意欲がなくなる」という声もあるという。

(市街地へのクマ出没止まらず:秋田)
秋田県内で市街地へのクマの出没が止まらない。人の生活圏にとどまるケースも相次ぎ、22日は横手市中心部で、自治体の判断で猟銃を発砲できる「緊急銃猟」が、県内で初めて実施された。21日午後6時過ぎ、横手市本町にある観音寺の敷地に3頭のクマがいるのを通りかかった人が見つけ、警察に通報した。母グマと子グマ2頭とみられ、クマは22日になって近くを流れる横手川にかかる蛇の崎橋の近くにとどまっているのが確認された。現場は横手市役所から600メートルほどの市街地だ。横手市は22日午後、警察などと協議し「市街地にいて危険」と判断。午後2時15分ごろに緊急銃猟の実施を決め、周辺住民に自宅待機を呼びかけ、橋の歩道の通行を規制した。そして午後2時45分ごろ、高橋大市長の許可のもと、河川敷にいた2頭の子グマに対し、猟友会のメンバーが4発発砲した。その後、母グマとみられるクマ1頭も現われ、猟友会が10発を発砲。クマ3頭は駆除された。けがをした人はいなかった。緊急銃猟は、9月に施行された改正鳥獣保護管理法に基づいて始まった制度で、周囲の安全など条件を満たしていれば自治体の判断で猟銃が発砲できる。県内で緊急銃猟が実施されたのは今回が初めてだ。北秋田市阿仁打当では22日午前7時ごろ、70代の男性から「物音がして確認したら、クマが自宅の地下に入り込んでいる」と猟友会を通じて市に連絡が入った。クマは1頭で、体長1メートルほどの成獣とみられる。クマは地下の物置にとどまっていたが、市が午前10時10分ごろに物置の入り口に箱わなを設置したところ、5分ほどでわなに入り捕獲された。住民は「地下で物音がすごかった。ガタンガタンと音が鳴って。シャッターを開けたら6~7メートルくらいのところにぴたっと座っていた。目の前で見ればやっぱり怖い。びっくりした。ドキドキして朝飯が食えなかった」とクマを発見した当時の恐怖を語った。現場は秋田内陸線の阿仁マタギ駅から東に約1キロ離れた住宅で、クマは開いていた物置の入り口から入ったとみられている。20日朝に湯沢市の住宅に侵入したクマは、丸2日以上が経過した22日午後6時現在もとどまり続け、捕獲には至っていない。20日午前5時から午前6時半の間に、湯沢市のJR湯沢駅周辺で50~70代の男性4人が立て続けにクマに襲われた。このうち、65歳の男性は自宅の玄関を出てすぐクマに襲われ、クマはそのまま男性の住宅に入り込んだ。市は、住宅の玄関前に米ぬかとはちみつを入れた箱わなを設置している。クマがとどまり続けて3日目の22日、市は午前8時40分ごろから今後の対応について協議したが、引き続きクマが箱わなに入るのを待つことを決めた。周辺住民は「街の中にクマがいるのがびっくり。早く落ち着いてほしい」「怖い。早く捕まえてほしい」「孫が学校に行く時、いつも送り迎えをしている。どこに行くにしてもクマがあちこちに出るから大変」と不安を募らせている。湯沢市駅通り商店街協同組合の男性は「歩いている人も少し不安を抱いているような感じがする。元々人通りは少ないが、もっと少なくなっている気がする」と話していた。警察は、周辺の飲食店に警戒を呼びかけている。市教育委員会は、周辺にクマが複数いる可能性もあることから、クマがとどまっている住宅から3キロ圏内にある4つの小中学校に、24日まで保護者の送迎で登下校し、屋外での活動を制限するよう呼びかけている。

(不明女性の捜索続く現場付近で新たにクマ1頭捕獲:宮城)
10月3日、キノコ採りの女性がクマに襲われて死亡し、一緒にいた女性が行方不明となっている栗駒山の現場近くできょう、クマがわなにかかっていたことが分かりました。現場付近で捕獲・駆除されたクマは5頭目です。宮城県栗原市の栗駒山では、10月3日、キノコ採り中の70代の女性がクマに襲われて死亡し、一緒にいた別の70代の女性もクマに襲われたとみられ行方不明になっています。栗原市によりますと、21日午前7時20分頃、現場近くに仕掛けていた箱わなに体長1.2mのオスのクマ1頭がかかっているのが見つかったということです。クマは、その場で駆除されました。現場近くでクマが捕獲、駆除されたのは5頭目です。10月15日には、成獣のクマがわなにかかっていて、市では女性を襲った個体かどうか調べるため、21日に岩手大学にDNA鑑定を依頼したということです。市は、21日駆除した個体についてもDNA型を調べる方針です。

(「車とクマがぶつかった。車が動かない」:北海道)
北海道夕張市沼ノ沢付近で、10月22日夕方、50代の男性が乗用車で帰宅途中にクマと衝突しました。22日午後5時20分ごろ、男性から「車とクマがぶつかった。車が動かない」と警察に通報がありました。警察によりますと、男性が車が運転しカーブに差し掛かった際、左側から出てきたクマと衝突したということです。クマは体長約1メートルとみられています。この事故で車の前方が大破し、自走できなくなりましたが、男性にケガはありませんでした。クマはその後、どこかへ立ち去ったとみられています。現場は住宅から約200メートル離れた場所で、近くには夕張川が流れています。警察は警戒を強めています。

(地下の物置から音、シャッターを開けたらクマ:秋田)
22日午前6時半ごろ、秋田県北秋田市阿仁打当字下タ岱の住宅地下部分の作業小屋に、体長約1メートルのクマ1頭が入り込んだ。北秋田署と市、猟友会がおりを仕掛けて対応に当たり、クマは約4時間後に捕獲された。けが人はいなかった。署などによると、住宅は斜面に建ち、地下の作業小屋から外と出入りできるシャッター付きの扉が2カ所ある。午前10時ごろ、猟友会員が片方の出入り口におりを設置、もう一方のシャッターを閉めたまま音を鳴らして追い込んだところ、クマがおりに入った。

(暗闇に20頭以上のイノシシの群れが、特産ナガイモの種芋食い荒らす:青森)
上北地域ではイノシシによる種芋の食害で特産のナガイモへの被害が発生していて、来年の収穫にも影響がでないか懸念されています。暗闇を歩き回るイノシシの群れ。その数、20頭以上。ことし6月、東北町のナガイモ畑に設置されたカメラの映像には、ことし秋に収穫するため植え付けたナガイモの種芋を、イノシシがくわえる姿がありました。ゆうき青森農協によりますと、この畑では映像が撮影された日の日中に種芋が食い荒らされているのが確認されたため、カメラを設置しましたが、その日の夜にまた被害にあったということです。次の日もイノシシの姿が。畑の被害面積はおよそ20アール、成長していれば、およそ5トンのナガイモの被害です。7月には六ヶ所村でも畑を荒らす複数のイノシシが。ここでは3回合わせておよそ20アールが被害にあいました。県内ではイノシシの食害が相次いでいて、農協によりますと管内の被害はおよそ250アール、この秋に収穫できないナガイモは、およそ60トンになるということです。また種芋となる小さい実「ムカゴ」も食べられていて、来年の作付けにも影響が懸念されます。農協は畑の周辺に有刺鉄線など、また自治体や猟友会が捕獲に向けたワナをそれぞれ設置するなどしていますが、農家の不安は続いています。

(温泉街付近で熊と軽乗用車が衝突:宮城)
23日午前9時15分ごろ、仙台市太白区秋保町湯元の県道で、「軽乗用車とクマがぶつかった」と運転していた女性が110番した。けが人はいない。仙台南署によると、クマは1頭で体長約1メートル。女性が青葉区錦ケ丘方面から太白区秋保町方面に向かう途中、道路を横断しようと飛び出してきたクマとぶつかった。クマは現場西側の山林に逃げたとみられる。現場は秋保温泉街から北に約100メートル。

(熊と車が衝突、けが人なし:宮城)
23日午前5時20分ごろ、仙台市泉区加茂5丁目の県道で、乗用車とクマ1頭が衝突した。運転していた男性にけがはなかった。宮城県警泉署によると、クマは体長約1メートル。車にぶつかった後、飛び出してきた東側の林に逃げた。署が周囲の警戒に当たっている。

(クマを猟友会が駆除、「ほかにもいる可能性」警戒続く:長野)
クマの出没が相次いでいる長野県飯田市で、10月17日に1頭を駆除していたことが分かった。クマは体長105センチ、体重41キロのメスで親離れしたばかりの2歳と推定される。市内ではその後も別の個体が目撃されていて、市は注意を呼びかけている。「捕獲おりに入ったクマ1頭を猟友会により駆除しました。上郷黒田地区で複数回目撃されていた個体の可能性は高いものの、断定はできない」。飯田市の佐藤健市長は10月21日の定例会見で、クマ1頭を駆除したと明らかにした。飯田市上郷黒田では10月6日以降、住宅の敷地などでクマが相次いで目撃され、市や猟友会が一帯におりを設置するなど警戒を続けてきた。市によると、10月17日の午前7時ごろ、設置したおりに1頭がかかっているのが見つかり、午後、山の中で駆除したという。クマは体長105センチ、体重41キロのメスで親離れしたばかりの2歳と推定されるという。目撃情報のあったクマと同一の個体かどうかはわかっていない。上郷黒田地区に住む男性の住宅の庭では、10月6日以降、2回クマが出没した。住民は「とりあえずは一安心。ほかにもいる可能性がある。朝はクマがいないかどうか見てから外に新聞取りに行ったりしている」と話し、今も警戒しているという。飯田市街地では、10月18日の未明にも住宅などが立ち並ぶ高羽町の文化会館の前の路上でクマ1頭が目撃されている。市は、引き続きクマへの注意を呼びかけている。佐藤健市長は「まだ目撃情報が駆除後もあるので、施設や付近の住民に対しては警戒続けるようにお願いしている。山に1人で行かない、山すそにお住まいの方には外にごみや食べ物を置かないという注意を続けてほしい」と市民に呼びかけた。

(「やばいと思いながら急ブレーキ」2頭のシカが車に衝突:静岡)
静岡・伊豆の国市でカメラが捉えたのは、動物の危険な飛び出しです。映像をよく見ると、1頭のシカが歩道の茂みから飛び出し、前を走る車に衝突。さらに、もう1頭が対向車の目の前に飛び出し、合わせて2頭が次々と衝突したのです。目撃者はとっさにブレーキを踏み、何とか衝突を回避しましたが「全く声が出ずに、心の中でヤバイヤバイと思いながらブレーキ踏みました」と話します。その後、シカ2頭は立ち上がり、走り去っていったということです。ところかわって、宮城・蔵王町の道路で温泉帰りのドライバーが目撃したのは、突然何かが目の前を横切る瞬間です。何だったのでしょうか。映像を改めて確認すると、映っていたのは猛スピードで横切る大きなイノシシ。とっさにブレーキを踏み、何とか衝突を回避しました。目撃者によりますと、温泉に向かう途中にもイノシシの群れを見かけていたということです。目撃者は「山道を運転する時は気をつけないといけないと思いました」と語りました。

(クマに荒らされたか、養蜂箱の被害が相次ぐ:長野)
長野県高森町の養蜂場で、養蜂箱が壊される被害が相次ぎ、町はクマによるものとみて注意を呼びかけています。高森町山吹田沢では、10月20日の午前7時ごろ、10設置された養蜂箱のうち3つが壊されているのが見つかりました。養蜂箱は中身が食べられ、クマのものとみられる爪の痕もありました。町によりますと、今回も含め町内で養蜂箱が荒らされる被害が、先月から今月にかけて、5件確認されていて、このうち3件は同一個体のクマによるものと見られています。いずれも人の被害は確認されていません。猟友会が周辺に、おりを設置したほか町が住民に注意を呼びかけています。

(走行中の列車のガラス割れ乗客けが:埼玉)
22日午後5時ごろ、埼玉県川越市の東武東上線霞ケ関―川越市駅間で、走行中の列車の窓ガラスが割れ、乗客数人が軽傷を負った。埼玉県警川越署や消防によると、上り列車が下り列車とすれ違う際に、両車両の窓ガラス計4カ所が割れた。上り線の車内でこぶし大の石が二つ見つかったといい、県警は、何らかの原因で車両外から入ってきた石により、窓ガラスが割れたとみている。この事故で東武鉄道からは当初、「電車とシカが接触した」との119番通報があった。付近でシカが目撃されたとの情報もあるが、事故後の現場にシカの姿はないという。シカの目撃情報と、列車の窓ガラスが割れたこととの関係はわかっていない。列車に乗り合わせたという男性は、「石が飛んできて窓ガラス割れた」「ケガ人も数人」とX(旧ツイッター)に書き込み、車内の写真を投稿した。写真では、車内の窓ガラスが大きく割れ、破片が青色の座席上に飛び散っていた。この男性は取材に対し、窓ガラスが割れた車両の隣の車両に乗っていたと説明。「ものすごい音がし、電車がゆっくり止まった。けが人が出ていたようだった」という。

(4時間居座ったクマ、麻酔吹き矢で捕獲:岩手)
20日午前11時半ごろ、盛岡市本宮の原敬記念館敷地内で、クマの目撃情報があったと盛岡市に連絡が入った。岩手県警や市によると、クマ1頭が4時間ほど敷地内に居座り、午後3時過ぎに吹き矢で麻酔が打たれ、捕獲された。クマは体長1・3メートルほどの成獣とみられる。捕獲後、駆除された。出没に伴い、周辺道路が規制され、広報車が注意喚起した。原敬記念館は休館日だった。市教委は周辺小中学校に情報提供。本宮小は4~6年生の授業を短縮し下校を早めた。大宮中は出没エリア近くに住む生徒の保護者に迎えを依頼した。

(来月1日から「おかやまジビエフェア」:岡山)
岡山県は捕獲されたシカ、イノシシの活用を促進しようと、11月1日からジビエ(狩猟肉)の料理を提供する県内飲食店の利用者にプレゼントを贈る「おかやまジビエフェア」を展開する。来年2月15日まで。岡山、倉敷、井原、新見、真庭、美作、西粟倉の7市村の計20店舗が対象。イノシシ肉のすき焼き、シカ肉カレーといったジビエメニューを注文し、店の2次元コード(QRコード)をスマートフォンで読み取って参加する。1人何回でも応募でき、シカの焼き肉セットや県産米5キロが抽選で当たる。県によると、2023年度に県内で捕獲されたシカ、イノシシのうち、食肉用に加工されたのは7・6%にとどまる。県はおいしさをPRして需要を喚起しようと昨年度からフェアを実施。今年は期間を1カ月延長するなど中身を拡充させる。

(10月29日は「獣肉(ジビエ)の日」:大分)
10月27日から29日にかけて、県内の4施設で「獣肉(ジビエ)の日」キャンペーンが開催される。10月29日の語呂合わせから「じゅう(10)にく(29)」の日として今後、広めていきたいとのこと。背景には、シカやイノシシなどの命を無駄にせず、正しい処理加工で美味しいジビエにするサスティナブルな取り組みを広めたいという思いがある。シカやイノシシが里山や山間部、農村地域で増加し、農林業に大きな被害を及ぼしていると言われて久しい。人口減少が続く日本において、野生鳥獣による被害は深刻な社会問題となっている。そこで駆除される害獣に適切な処理加工を施すことで、栄養価が高く美味しい「ジビエ」として生まれ変わらせることができるのだ。今回のキャンペーンに参加するのは、宇佐市と大分市の4施設。それぞれ特色あるキャンペーンを展開する。ジビエは高たんぱく・低カロリーで、鉄分やビタミンB群が豊富な食材として注目されている。臭みの少ない適切な処理を施したジビエは、その美味しさで多くの人を魅了している。このキャンペーンを通じて、「獣肉(ジビエ)」への関心を高めるとともに、命のバトンをつなぐサスティナブルな取り組みに参加してみてはいかがだろうか。

(特定外来種ヌートリアを駆除して食材に:静岡)
特定外来生物「ヌートリア」が各地で急激に増加しています。コメや野菜などの農作物が食い荒らされる被害が増えるなか、驚きの方法で対策に乗り出した自治体を取材しました。かごの中で、じっと動かない茶色い生き物。特定外来生物のヌートリアです。南米原産の大型のネズミの仲間で、明治時代に毛皮の採取に利用するため日本に持ち込まれました。その後、野生化し、西日本を中心に生息域が広がっていましたが、近年は静岡県浜松市内でも確認されるようになったといいます。去年、浜松市で確認されたヌートリアの目撃情報は619件で、年々増加。被害通報件数は18件ありました。番組は目撃情報をもとに、ヌートリア捕獲に取り組んでいる岡本さんに密着しました。ニンジンを入れたわなの中には、捕らえられたヌートリアがいました。この日は次から次へ捕まえることができました。大きいもので体長70センチほどにまで成長し、オレンジ色の前歯や長いしっぽが特徴のヌートリア。基本的には草食で、水辺近くの植物を食べます。驚くべきは、その繁殖力です。「栄養状態が良ければ年に2、3回産む。(一回の出産で子が)5匹とか6匹。増える一方かなと思う」。田んぼの真ん中付近には、ぽっかりと稲がない部分がありました。柔らかい葉の部分だけを食べるのがヌートリアの特徴です。被害は稲だけではありません。農作業中、ヌートリアにかまれてしまいました。幸い軽傷で済んだといいます。岡本さん「水路伝いで移動しているから(人の)生活圏内に普通に入り込んじゃう。攻撃的な面も多少はある。近付かない方がいい」。泳ぎが得意で潜水もこなすヌートリア。この日は川の中でも捕獲しました。7カ所に仕掛けられたわなのうち、4匹のヌートリアが捕獲されました。捕獲したヌートリアは様々な方法で活用されています。静岡県菊川市にある店のメニュー表には、なんと「ヌートリア」の文字が。西欧料理サヴァカ 山口祐之シェフ「おいしいと噂を聞いていた。実際にすごくおいしかったので(使用している)」。ジビエ料理の食材の一つとして数年前からヌートリアを扱っています。食用以外にも、ペットフードや、毛皮を使った座布団、教材用のはく製など、再利用する取り組みが広がっています。岡本さん「今後は恐らく浜松市も越えて、さらに東(関東)に向かうことは明らか。スピード感を持って早急に捕獲するのが一番。早めの対策・対応が必要だと思う」。

(ぎふジビエのシカ肉をアピール:岐阜)
シカ肉の料理とお酒を味わうイベントがJR岐阜駅前の広場で開催され、「ぎふジビエ」の消費拡大をアピールしました。3月に開催した「ぎふジビエ」のイベントが好評だったことから、10月の3連休に第2弾として開催されました。会場となったJR岐阜駅北口の信長ゆめ広場には、ジビエ料理を手がける県内11の団体が出展し、それぞれ シカの肉を使ったメニューを販売しました。シカ肉のチーズバーガーをはじめ、サイコロステーキやフランクフルト、シカの肉が入った焼きそばなどがその場で調理され、来場者は日本酒やワインなどのお酒と合わせてシカ肉を味わっていました。岐阜県では、県内で捕獲・解体処理された野生のシカやイノシシの肉のうち、衛生管理のガイドラインに基づいて解体処理された安全・安心な食肉を「ぎふジビエ」として消費の拡大を進めています。会場には、ぎふジビエに関するブースも設けられ、登録事業者の店舗情報なども紹介されていました。

(ジビエ料理の可能性を探る、「西会津町ジビエ利活用検討会」:福島)
野生鳥獣肉(ジビエ)を活用した地域振興策を考える「西会津町ジビエ利活用検討会」の初会合は17日、福島県西会津町公民館で開かれた。今後、定期的に会合を開催するとともに、町のイベントなどでジビエを提供し、町民らへの理解を深める。町は現在、ツキノワグマやイノシシなどの有害鳥獣を捕獲後、焼却、埋設処分している。県外では、捕獲後の個体を食肉として利活用している事例がみられることから、町での実施の可否を含め検討する。ただ、東京電力福島第1原発事故の影響で、県内では全域で出荷制限となっていることから、解除後を見据えた取り組みとなる。検討会は町内の狩猟団体や飲食店、商工団体などで構成し、日本ジビエ振興協会がアドバイザー、農水省東北農政局などがオブザーバーとして参加している。ジビエ料理の提供で地域の魅力向上や町内への誘客を図ることや、町内飲食店や加工事業者との連携で新たな産業創出などを考える。初会合には約30人が参加した。薄友喜町長があいさつし、振興協会の藤木徳彦代表理事が取り組みを紹介した。試食会が開かれ、熊本産イノシシのスープや長野産のシカ肉を使ったおにぎりなどを食べ、ジビエ料理の可能性を探った。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、23日午後6時20分ごろ、栗原市高清水明官にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、24日午前6時45分ごろ、富谷市三ノ関馬場沢下にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
石巻市によると、23日午前8時45分ごろ、石巻市成田小塚裏畑にクマとみられる動物が出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、23日午後3時ごろ、栗原市金成小迫宿にクマが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、23日午前9時50分ごろ、登米市石越町東郷黒山にイノシシが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、23日午前10時15分ごろ、登米市豊里町山根にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、23日午前8時ごろ、栗原市栗駒稲屋敷後原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、22日午後9時30分ごろ、富谷市富谷清水沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、23日午前1時25分ごろ、富谷市ひより台にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後3時30分ごろ、栗原市栗駒稲屋敷森にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
白石市によると、22日午後3時ごろ、白石市斎川西明堂山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後4時10分ごろ、栗原市栗駒文字上荒屋敷前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後0時30分ごろ、栗原市鶯沢南郷宿川原にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後1時ごろ、栗原市鶯沢南郷辻前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後1時10分ごろ、栗原市鶯沢北郷照井にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、22日午前11時ごろ、色麻町南大村地区にクマが出没しました。

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10/22
(市街地にクマ、男性4人が襲われけが:秋田)
秋田県湯沢市のJR湯沢駅周辺の市街地で20日朝、男性4人が相次いでクマに襲われ、けがを負った。1人が重傷、3人が軽傷とみられる。クマは近くの建物にとどまっているといい、警察官や猟友会関係者が周辺を取り囲み、市が注意を呼びかけている。住民らは「こんな市街地にクマが出るなんて信じられない」と驚きの表情を浮かべた。湯沢署によると、午前5時5分頃、60歳代男性が同市元清水の市道で背中を引っかかれ、同署に通報した。男性が振り返ったところクマの姿はなかったが、服に爪で引っかかれたような傷があったという。同40分頃には東に約600メートル離れた同市表町の国道13号で、犬の散歩をしていた男性がクマに右腕をかまれた。約5分後には同駅近くのホテル駐車場で警備員の70歳代男性がクマに襲われて背中を負傷した。さらに午前6時25分頃、同市表町の市道で60歳代男性が自宅を出た際、右脚を引っかかれた。クマは男性の自宅に逃げ込んだとみられ、市などが箱わなを仕掛けるなど対応している。現場は同駅から約200メートル離れた市街地で、飲食店や住宅が軒を連ねる一角。封鎖された現場を心配そうに見ていた近所の女性(66)は「駅にも近く、こんなに車も行き交う国道の近くにクマが出るなんて……。最初に聞いた時はウソでしょと思うほど驚いた」と心配そうな表情を浮かべた。近くで食堂を経営する黒沢更一さん(66)は「知り合いがクマにけがを負わされたと聞いて心配している。店を安心して営業できるように早くクマを捕まえてほしい」と話していた。市教育委員会は、現場周辺の小学校2校と中学校2校にクマ出没を伝え、各校は保護者に対して児童・生徒の安全を確保して登校させるよう一斉メールで呼び掛けたという。秋田県内では同日、横手市と由利本荘市でもクマによる被害が相次ぎ、横手市では庭木の 剪定せんてい をしていた80歳代女性が頭を引っかかれた。背後から突然襲われたという。由利本荘市では川に仕掛けた網を確認しに行った80歳代男性が襲われ、顔などにけがを負った。ツキノワグマは本州と四国に生息するクマ科の動物で、胸に白い三日月状の模様がある。オスは体長120~150センチ、体重40~100キロほどになる。嗅覚や聴覚が優れ、足も速い。11月下旬頃の冬眠を前に食欲が旺盛になり、人がいる場所でも餌を求めて動き回ったり、攻撃的になったりする。環境省は厳重な警戒を呼びかけている。クマによる人身被害も相次いでおり、浅尾環境相は17日に緊急談話を発表。〈1〉クマの生息地にむやみに入らない〈2〉人の生活圏では、クマの誘因物となるものを適切に管理する〈3〉遭遇したら落ち着いて距離をとる――ことの徹底を呼びかけた。クマは広域的に個体数や分布域の減少を図る必要があるとして、昨年4月に「指定管理鳥獣」に指定された。人の生活圏への出没を防ぐため、環境省は今後、科学的データに基づき、捕獲を含めた個体数管理を強化する。

(キノコ採り中の男性がクマに襲われる:山形)
庄内町で19日午前、キノコ採り中の男性がクマに襲われました。男性は会話ができる状態で命の別条はないということです。県内でクマに人が襲われる被害はこれで8人目です。クマに襲われ、けがをしたのは鶴岡市の自営業の男性(41)です。警察や庄内町などによりますと、男性は19日午前9時50分ごろ、庄内町立谷沢の山中でキノコ採りをしていた際にクマに襲われ、右腕や右の太ももを噛まれたということです。男性はその後、離れた場所にいた同行者の男性に助けを求め、2人で鶴岡市消防本部羽黒分署に駆け込み、鶴岡市内の病院に搬送されました。男性の命に別条はないものの、左目付近を切るけがをしたほか、骨折などの大けがをした可能性があるということです。現場は北月山荘から北西に1.5キロメートルほど離れた山林で、警察や猟友会などがクマの捜索にあたりましたが、発見には至りませんでした。庄内町立川総合支所の職員「クマは元々いる場所だが人が襲われたのは初めてなのかな。最低でも3日間くらいは様子見なければいけない」ことし県内で発生したクマの人への被害は、 今回も含めて8人目です。

(60代男性が左脚ふくらはぎかまれるけが、現場近くで2頭を駆除:岩手)
19日午前、岩手県北上市で草刈り作業のため市道を歩いていた60代の男性がクマにに襲われ、けがをしました。警察によりますと、19日午前8時ごろ、北上市和賀町横川目で男性(61)が草刈り作業のため市道を歩いていたところ、道路脇から出てきたクマ2頭と出くわしました。クマは親子で、男性はこのうち成獣とみられる1頭に襲われ、左脚のふくらはぎをかまれるけがをしました。男性はその後、自力で花巻市内の病院に向かい治療を受けました。会話は可能で命に別状はないということです。現場はJR北上線の立川目駅から約3キロ北にある住宅が点在する農村地帯です。その後午後1時すぎ、現場に近い場所で親子のクマ2頭が猟友会に駆除されました。市は、男性を襲った同一個体の可能性が高いとしています。

(散歩中の女性、クマに襲われけが:秋田)
19日午前6時ごろ、秋田県能代市二ツ井町仁鮒字川原田の農道で、散歩をしていた同市二ツ井町小掛の女性(78)がクマに襲われ、背中に軽傷を負った。命に別条はない。今年の県内での人身被害の発生は2日連続で36件目。被害者は37人になった。能代署によると、女性は体長約1メートル1頭と約50センチ2頭の計3頭のクマに遭遇。約1メートルのクマに背中を引っかかれた。3頭とも西側の田んぼに立ち去った。女性は徒歩で帰宅し、親族を通じて署に通報。親族が車で市内の病院に送り届けた。現場は白神森林組合二ツ井支所から南西に約300メートルの田園地帯。署が近隣住民に注意を呼びかけている。

(ごみ出し中の80代女性、クマに襲われ:富山)
富山県立山町で20日朝、80代の女性がごみステーションにごみを出していた際にクマに突き飛ばされて軽傷を負った。富山県内での今秋初めてのクマによる人身被害となった。女性がクマに襲われたのは20日午前6時半ごろ。立山町三ツ塚新の公民館前にあるごみステーションで起きた。被害に遭った80代女性は「ごみをごみステーションの箱の中に出してふたをしてから襲われた。突き飛ばされた。一瞬何が起こったかわからなかった。すごい力だった」と当時の状況を語った。女性によると、一輪車に載せたごみをごみ箱に捨てていた最中にクマに飛びかかられたという。「一輪車が倒れる音がしてすごい音がした。その音にびっくりして逃げたのでは。下に転んだ。振り返ったら北の方に逃げていった」と説明した。クマの大きさについては「大きくは見えなかった。想像では中ぐらいかな」と話している。女性は肩などに傷を負い、近所の住人に救助されて病院で手当を受けた。ケガの程度は軽いとのことである。事故現場は常願寺川の河川敷から約200メートルの場所で、警察や立山町が猟友会と共に周辺をパトロールしている。ごみステーション近くの畑にクマと見られる足跡や、近所の家の玄関先でクマの糞が発見されたが、クマの姿は見つかっておらず、防災無線で注意を呼びかけている状況だ。近くの小学校では、児童の登下校時に保護者による送迎に変更するなどの対応が取られている。同日、富山市でも多くのクマの目撃情報があり、富山市東福沢ではAIカメラが成獣とみられるクマを捉えた。福沢小学校では今週いっぱい保護者が児童の送り迎えする対策が取られている。

(クマが路上で52歳男性襲う:秋田)
21日午前8時15分頃、秋田県大仙市豊岡の田園地帯の路上で、近くの無職男性(52)が体長約1・5メートルのクマに襲われた。顔や右手をひっかかれて軽傷を負ったが、命に別条はないという。大仙署の発表によると、男性は自宅から外に出ていて、クマと鉢合わせになった。付近には、このクマのほかに体長約50センチのクマが2頭いたという。

(「緊急銃猟」クマ駆除、県内初:新潟)
魚沼市は21日、魚沼市古新田の住宅地付近でクマ1頭が出没したことを受け、市の判断で銃猟を可能とする「緊急銃猟」を実施し、駆除した。県によると、緊急銃猟による駆除は全国で3例目、県内では初めて。魚沼市や小出署によると21日午前9時過ぎ、住民が自宅近くの林にいるクマ1頭を目撃し、通報した。付近で目撃情報が相次いだことから、警察や消防、市、猟友会員ら約40人が林の周囲を警戒。「人の日常圏内であり危険な状態である」と判断し、警察による交通規制などで安全を確保した上で行った。

(クマの被害相次ぐ:宮城)
連日のようにクマの被害が続く宮城県では、19日夜遅くから20日朝にかけてもクマの出没と被害が相次ぎました。仙台市青葉区では自転車の男性がクマと衝突してけがをし、栗原市では住宅の飼い犬がけがをしました。警察によりますと20日午前4時25分ごろ、仙台市青葉区芋沢の県道で自転車で通勤途中の60代男性が道路上で何かを食べていたクマと衝突しました。男性は命に別状はありませんが、転倒した際に左足を複雑骨折しました。クマは母熊と子熊の3頭とみられ、通過しようとした自転車に向かってきたということです。衝突した後、3頭のクマは道路脇の広瀬川の方向に逃げていきました。更に警察などによりますと19日午後11時50分ごろ、栗原市若柳の住宅で庭で飼っている秋田犬が吠えたことからこの家に住む40代男性が玄関を開けたところ、クマが飛び掛かってきたため一旦ドアを閉めました。 男性は再び外に出て、玄関先にあった車の工具を振り回して応戦。金属製の棒がクマの首付近に当たり、クマは逃げていったということです。クマと格闘していた秋田犬は、首の近くなどにけがをしました。宮城県ではクマの出没警報が発令中で、警察では近隣の住民に注意を呼び掛けています。

(東北で出没多数、重傷者も)
東北では20日、クマの被害が相次いだ。各県警によると計7人の男女がけがを負い、骨折などの重傷者も出た。盛岡市と秋田県湯沢市の市街地にはクマが現れ、長時間その場にとどまった。盛岡市では午前11時ごろに通報があり、駆け付けた警察官が施設「原敬記念館」の敷地内にいるクマを見つけた。市職員や警察官が警戒する中、約4時間15分後、麻酔の吹き矢が命中して捕獲された。現場はJR盛岡駅から約1.5キロで保育園が隣接する。また午前6時20分ごろ、秋田県湯沢市のJR湯沢駅に近い市街地で、男性(65)が右足をかまれた。このクマは男性宅に玄関から入り込み、市などが箱わなで捕獲を試みている。湯沢市ではホテル駐車場で男性(70)が襲われ、鎖骨を折るなどの重傷。コンビニから帰宅中の男性(63)は背後から襲われて転倒し、けがをした。近くでは別の男性も遭遇して左腕にけがを負った。宮城県では午前4時25分ごろ、仙台市青葉区の山あいの県道で、自転車で通勤中の60代男性がクマと接触した。転倒した弾みで左足首を骨折した。

(クマ捕獲担う猟友会、県内で報酬増額の動き:新潟)
クマの人里への出没が増える中、捕獲を担う猟友会員の報酬を引き上げる動きが新潟県内で広がっている。会員らは待遇改善を歓迎する一方で、9月から市街地での「緊急銃猟」が認められたことを受け、危険性が高まるとの不安の声も出ている。県などによると、クマ捕獲の報酬額は、各市町村が地元の猟友会などと協議して決めている。読売新聞の取材では、今年クマの出没が確認された県内24市町村のうち、長岡、柏崎、新発田、阿賀野、魚沼、胎内の6市で報酬の引き上げを今年度行ったか検討中であることがわかった。新発田市は今年度、出動した猟友会員の日当を3000円から5000円に増額し、緊急銃猟を行った場合は追加で8000円を支払う制度を新設した。同市によると、昨年に地元の猟友会から「緊急銃猟で危険性が高まるから報酬を上げてほしい」との要望があり、責任が増した分、報酬を増額したという。ほかの自治体も待遇改善を進めている。長岡市は今年度から、通常の時給1500円に加え、クマを1頭捕獲するごとに2万円を支給し始めた。魚沼市も今年度、時給を300円増の1500円に引き上げた。胎内市は、緊急銃猟を実施した際の時給を2500円とする方針。開会中の10月定例会で関連議案が可決されれば、今年度中にも実施する。通常の出動時の時給1000円も来年度に増額する方向という。阿賀野市は、来年度から日当の額を引き上げる方向で検討している。同市の担当者は現在の日当3000円を「さすがに安い」と認める。柏崎市も増額を検討しているという。猟友会員はこうした動きを歓迎する。下越地方で約50年間クマの捕獲に携わってきた県猟友会北蒲原支部長の石川恒夫さん(76)は「待遇を改善しようという動きが出るのはありがたい」と語る。石川さんは今年6月、阿賀野市の住宅街や田んぼにクマが出没した際、市や警察と連携しながらクマを人がいない場所まで移動させて捕獲した。活動は約10時間に及んだが、報酬は日当の3000円のみ。「危険に見合った待遇になるよう改善が進んでほしい」と訴える。だが、待遇が見直されても、担い手不足は深刻な状況のままだ。県猟友会によると、今年3月時点の会員数は2201人。2022年3月時点では2256人だったが、毎年数十人のペースで減少が続いている。多くが60~70歳代で、銃撃でクマを捕獲できる技術を持った会員は限られるという。クマの捕獲に必要な狩猟免許を取得するには、県などが開催する講習会に参加して試験に合格することが必要で、1年程度を要するとされる。市街地での捕獲は、建物に銃弾が当たらないよう気を配る必要もあり、より高度な技術が求められる。県猟友会は、クマの捕獲に対応できる人材を確保するため、研修に力を入れている。先月下旬から今月上旬にかけては、緊急銃猟に備えた研修を新潟市西蒲区の射撃場で2回開き、約80人が参加した。同会の池田富夫会長(76)は、「活動はボランティアではない」と強調し、適切な額の報酬が必要との考えを示している。

(紅葉シーズンの観光地、クマ被害相次ぎイベント中止も:岩手)
岩手県北上市和賀町岩崎新田の旅館「瀬美温泉」で従業員男性(60)が行方不明となって一夜明けた17日、現場近くの山中でクマに襲われたとみられる成人男性の遺体が見つかった。遺体近くにいたクマは駆除されたが、市は危機感を強め、対策を強化。紅葉シーズンを迎える中、市内では催しが中止されるなど影響が広がっている。市は17日、危機対策本部会議を開催した。八重樫浩文市長は会議後の記者会見で、「クマから襲ってくる深刻な事態だ。戸締まりの徹底など注意喚起を強化し、駆除を進めなければならない」と気を引き締めた。市は対策として、周囲の温泉施設に露天風呂の営業を中止するよう協力を呼びかけたほか、観光客らが安心して訪れることができるよう、クマに反応するセンサーやサイレンの設置に補助金の活用を検討する考えも示した。今月8日にはクマとみられる体毛が付着した男性の遺体が近くの山林で見つかった。市は露天風呂に残っていた体毛や今回駆除したクマの体毛と合わせて、県環境保健研究センターにDNA型鑑定を依頼。同一の個体かどうかを調べる方針だ。クマによる被害や出没が相次ぎ、市内のイベントにも暗い影を落としている。夏油高原スキー場で開催される夏油高原紅葉まつりでは、19日に予定していた「うさぎ森紅葉トレッキング」を中止した。場内のゴンドラ遊覧では、山頂から紅葉の眺めを楽しむ人らに「単独行動しない」「森の中には入らない」と看板で注意を呼びかける。北上観光コンベンション協会も、25日と11月1日に予定していた「きたかみスイーツトレッキング」の中止を決めた。八重樫信治事務局長は「紅葉シーズンの観光に足が向かなくなるのはつらいが、安全が第一だ」と語った。

(クマ目撃253件、「緊急銃猟」訓練:石川)
全国でクマによる人身事故が後を絶たない中、金沢市では20日、2025年から始まった「緊急銃猟」制度に対応するための訓練が行われました。石川県はこの秋、クマのえさが大凶作になるとして9月、出没警戒情報を発表していて、10月15日までの目撃情報は253件に上っています。市街地での出没が相次ぐ中、国は9月から自治体の判断で猟銃を使用できる緊急銃猟の制度を開始し、金沢市では20日、市の職員や猟友会などおよそ50人が参加して訓練が行われました。訓練では住民に危害が及ぶ恐れがないかなど、入念に確認を進めていきました。石川県猟友会金沢支部・羽場年久支部長「猟と違って個体数調整で緊急なので地域住民の安全・安心のために引き金を引く。安全じゃなかったら撃たない。誰が何を言おうと猟友会は行政に言われても安全じゃなかったら撃たない」。金沢市森林再生課・青山雅幸課長「どんな課題があるか、はっきりとさせながら他の自治体で実際に(緊急銃猟が)行われている事例を把握した上で金沢市としての取り組みをしていきたい。」訓練では、猟友会と市職員の判断に時間がかかる場面もみられ、市は今後も万が一に備えて連携を強化したいとしています。

(市街地クマ出没で「緊急対策会議」:長野)
善光寺周辺など長野市街地でクマの目撃情報が相次いでいることを受け、長野市内で21日、緊急の対策会議が開かれました。10月11日の未明、善光寺周辺の通りで防犯カメラが捉えた体長1メートルほどのクマの映像。情報提供を受けてパトロールしていた長野市の職員もこの付近で座っているクマの姿を目撃していました。21日、県や周辺の市町村の担当者それにクマ対策員が参加して開かれた緊急の対策会議。県クマ対策員 岸元良輔さん「まず知っておいてもらいたいことは長野市街地の周りの山のすそというのはもうほぼクマの生息地になっている」。長野市などによりますと善光寺周辺を含む市北部では今月10日から11日にかけてクマの目撃情報が小学校や中学校の近くなど少なくとも「9件」寄せられていました。県クマ対策員の岸元さんは一連のクマ出没の原因について、若い個体が住処を探す“分散”の過程で住宅街に迷い込んだと推測されるとしました。今後、目撃情報がなければ出没は一時的と考えられることなどが共有されました。長野市内では今月に入って20日までにクマの目撃・出没の情報が「34件」報告。去年の「6倍近い数字」となっています。会議ではまた、若い個体は積極的に人を襲うことはないため、クマを刺激することなく冷静に対応する必要があると伝えられました。

(イノシシ北上、農家対策も「限界」)
野生イノシシによる農産物被害が、北東北(青森、秋田、岩手)で広がっている。全国では被害が縮小する一方、北東北では降雪量の減少に伴って野生イノシシの生息域が広がり、農産物被害額は過去最大規模になった。高齢化などによる狩猟者の減少も被害拡大に拍車をかけている。温暖化とともにイノシシの生息域は北上を続けてきた。岩手では10年度、秋田が16年度、青森が19年度にそれぞれ初めて被害が確認された。農水省によると、全国のイノシシによる農産物被害額は36億2669万円(2023年度)で、5年前に比べて11億円強(23%)減少した。一方、北東北の被害額は7709万円(同)で同じ期間で4・4倍に膨らんだ。ナガイモがイノシシの被害を受けた青森県内の農家は、畑に有刺鉄線を張るなどしてきたが「農家だけの対策では限界だ」と話す。イノシシの生態に詳しい岩手大学農学部の出口善隆教授は、降雪量の少なさを要因に上げる。気象庁によると、25年までの10年間で東北の降雪量が平年を上回った年は2年しかない。積もった雪も暖冬であまり残らなくなり、「北東北でもイノシシが生息しやすい状況になった」と話す。青森県の担当者は「特に太平洋側の雪が減っている。岩手県側からイノシシが北上し、青森で繁殖が進んでいる」と語る。狩猟者も減少している。青森県の23年度の狩猟免許所持件数は1888人。ピーク時の1981年度から5000人以上減った。高齢化で猟友会が解散した地域もある。秋田県でも23年度までの20年間で狩猟者登録数が1528人減少した。これまでイノシシが生息していなかったため、捕獲の知識や技術に精通している狩猟者が少ないことも課題だ。青森県は、狩猟者の技能向上を図るため、西日本での実地研修の受講に要する費用を補助する。県内JAも、職員によるわな猟免許の取得を目指すなど対策に乗り出している。

(佐竹前知事「本当にクマが好きな人はそうしつこくなかった」:秋田)
秋田県知事を4期16年にわたり務め、4月に退任した佐竹敬久さん(77)が、読売新聞のインタビューに応じた。――知事時代、クマ対応への苦情電話に「お前のところにクマを送る」などと過激な発言が注目された。「クレームは無駄だ、ということを示したかった。『死んじゃえ』とかひどいことを言う人は、ただうっぷんを晴らしたいだけで、本当にクマが好きな人はそうしつこくなかった。間違ったことは言ってない」。

(シカ衝突し廃車、オホーツクで事故急増:北海道)
エゾシカが関係する交通事故が今年、オホーツク管内でも急増している。北海道警察北見方面本部(道警北本)管内の認知件数は9月末現在、前年同期比49件増の266件。けが人はなく、すべて物損事故だが、車道を横切るエゾシカと衝突し、車が走行不能になるケースもある。今年9月、美幌町瑞治の国道39号でエゾシカと衝突した大空町の50代女性は北海道新聞の取材に「あっという間に目の前にシカがいた」と当時の状況を語った。

(全国各地で相次ぐクマ出没、ドローン使い野生動物の被害防ぐ取り組み始まる)
全国各地でクマの出没が相次ぐ中、山梨のキャンプ場ではドローンを使って野生動物を近づけないようにする取り組みが始まっています。今月オープンした山中湖近くのキャンプ場。Wi-Fiの電波が行き渡っていて、晴れた日には富士山を望むことができます。敷地内にはトレーラーハウスのトイレ、シャワー、そしてグランピング用のスペースがあります。そのねらいは…NTTLandscape 木下健二郎社長「非常時に避難していただく拠点としてご活用いただくことも十分ある」「独立したインフラを持つような、平時でも非常時でも使えるような場を目指して設計、運営をしてまいりたい」。後、トレーラーハウスを増やしグランピングに使ってもらいながら、災害時は必要な所に移動して仮設住宅にするということです。さらにこのキャンプ場のまわりにはドローンが飛んでいます。NTT Landscape 木下社長「(キャンプ場に)シカやイノシシが出る」「ドローンを実証として飛ばして、寄ってこないような対策を取る」。ドローンは人体には無害なレーザーで動物の目を刺激し、追い払います。野生動物に悩む農家などからの声を受け開発。レーザーはクマにも効果があるということです。活躍の場は養鶏場でも。鳥インフルエンザの感染源とされる渡り鳥やカラスなどを駆逐します。NTTe-Drone Technology 和田哲大さん「ある養鶏農家さんは、90羽近くカラスがいたが、最終的には1か月程度でゼロ羽になった」。鳥インフルエンザが農場でおきると、その農場のニワトリはすべて処分。周辺の農場も出荷停止となります。昨シーズン、国内最多の16例が発生した千葉県では、このドローンの導入が予定されていて、その他の自治体でも導入が検討されているということです。

(クマ被害の死者“過去最多”、「人命最優先で駆除」なのに抗議)
全国で相次ぐクマ被害。死者数は統計開始以来で“最悪”となり、岩手県では露天風呂の清掃中に襲われたとみられるケースや、18日には、群馬県でキノコ採りをしていた人が襲われケガをしたケースも。そうした中、新たな対策として注目なのが、市町村の判断で発砲できる「緊急銃猟」。しかし、制度を巡って現場のハンターには不安も...。酪農学園大学 伊吾田宏正准教授:ヒグマの個体数はこの30年間で2倍に増加したほか、ツキノワグマも分布域が拡大し、個体数が増加している可能性があります。同時に、人をおそれないようになっているクマが増えているとみられ、「個体数の増加」と「クマの行動の変化」の両方が、出没や被害の増加につながっているとみられます。秋はクマにとって、冬眠前、大量の食料を必要とする時期。ドングリなどの堅果類が不作となると、農作物に被害を出したり、人の生活圏に侵入したりしてしまうことがあるんです。社会部環境省担当 安藤翔記者: クマが市街地に出てくる理由。先月行われた、国の対策会議でも話題にあがったのが“柿”です。兵庫県立大・横山真弓教授の資料によると、クマ出没時、柿が誘引物になっているケースが71%(栗7%、ハチの巣4%など)あるといいます。森圭介アナウンサー:“柿の木”に対して、何か対策を講じることも必要ですか?栃木県猟友会 小堀大助事務局長:講習会でも言っていますが、人の住んでいない空き家の柿の木をどんどん切った方がいいと思います。実が落ちて腐っていくと、遠くまでにおいを発するようになる。クマの嗅覚はすごいので、どんどん人里の奥へと入っていくことになってしまいます。森:クマに出会ったとき、“音を出した方がいい”とか、“少し下がった方がいい”とか、色んな対策を聞きます。実際にはどうするのが良いですか?小堀:私はクマと何度も出くわしたというような経験はないんですが、基本的に皆さんおっしゃるのは“目をそらさない”、“走らない”、そして“じりじりと間合いを遠ざけていく”ということ。ただ、注意しなければいけないのは、クマには“個性”があるということ。シカやイノシシは大体みんな同じだが、クマは好奇心がある個体もいれば、臆病なものもいる。遭遇したクマによって対策も変わるのが難しいと思います。森:近年、出会いたくなくてもクマが生活圏に出没してしまうことが問題になっています。そんな中、新たなクマ対策として注目されているのが「緊急銃猟」です。安藤:9月1日に改正鳥獣保護法が施行されたことによるもので、これまで県知事の許可が必要だった発砲を、市区村長レベルに下げ、よりスムーズに駆除できるようにするという対策です。①クマなどの危険鳥獣が、住宅や公園など、人の日常的な生活圏に侵入してしまった場合②人の生命・身体に対する危害を防止する措置が緊急に必要③銃猟以外の方法では、的確かつ迅速に捕獲することが困難④避難などによって地域住民などに弾丸が到達するおそれがない場合。この4つの条件を満たせば、危険鳥獣の銃猟をハンターに委託して、実施させることができるというものです。法改正で想定されているのは、「膠着(こうちゃく)状態」を巡る対応。去年、秋田市のスーパーにクマが55時間にわたって居座るというケースがありましたが、居座ったままだと生活に危害が及ぶ恐れがあった。そうした状況を打破するため、この緊急銃猟という制度ができたんです。小堀:この制度が出来たことはとても大きい。銃を撃てる場所はとても細かく決められていました。夜間禁止だったり、半径200メートル以内に10件以上建物があると住宅密集地とされ、発砲できないという判例があったり。林道やサイクリングロードとかでもダメでした。ほとんどの場合、人の生活圏で銃を撃つというのは難しかったが、それが(市区町村の判断があれば)できるようになった。この意味は大きいと思います。森:伊吾田さんは、この法改正の審議にも加わったそうですね。伊吾田:人身被害や出没が相次ぐ中、これまでは、警察官職務執行法に基づき、警察官の命令でハンターが発砲を行っていました。しかし、「まさに今、人を襲おうとしている」という差し迫った状態でないと指示が出せない。発砲判断が難しいという課題がありました。それが法改正で、市町村の判断で、人の生活圏に出没したクマに発砲することができるようになりました。森:小堀さんの所属する栃木県猟友会では、訓練が行われたということですが。小堀:行政の担当者・警察官・ハンターが集まりました。小学校の校庭にクマがいて動かないという想定だったんですが、通報人役の人が「クマを発見した」と110番した後、警察から市町(行政)に連絡が行き、行政からハンターに連絡が行って、ハンターが発砲する人たちを集め、現場には対策本部ができる…。訓練では省略しながら行いましたが、最初に発見して通報から発砲するまでに30分以上かかりました。ただ、訓練としては非常にいい訓練だったと思います。今後、どうしたら時間の短縮につなげられるか課題を洗い出すためには、いい機会だと思いました。伊吾田:クマの捕獲には、反撃などの大きなリスクがあって、捕獲する人には高度なスキルが求められます。多くの場合、地域のハンターが捕獲を担うと想定されていますが、一般の狩猟者は“趣味”で捕獲を行うので、必ずしも特別な訓練を受けていない人もいます。専門的なハンターや職員をしっかり育成して、各地に配置していく仕組みが必要だと思いますね。小堀:栃木県猟友会にも2000人以上会員がいますが、全員がクマに対するスキルを持っているわけではない。カモやハトを専門に撃つという人もいる。私の肌感覚で言うと、クマを撃つことができるのは100人いるか、数十人くらいかもしれません。森:素朴な疑問なんですが、市町村が駆除をハンターにお願いしているということなんですか。とすると、市町村からの依頼がないとハンターは動けないということ?小堀:市町村(の職員)が、直接駆除してもいいんです。ただ、市町村にはやる人がいない。だから外部、民間の猟友会のようなところに委託するしかないのが現状です。伊吾田:緊急銃猟は、駆除のために「市街地で発砲できる」という制度で、「発砲しなければいけない」という制度ではない。民間のハンターたちが担えない地域では、行政の専門職員が捕獲も含めた対応ができるようにしないといけない。民間ハンターに依存している現状は、ハンターにもリスクが伴うので、健全ではないと思います。森:市町村からお願いされているのに、ハンター側にリスクがあるということですか?小堀:例えば発砲して物損事故を起こしてしまった場合は、市町村が賠償するということになっていますし、本当に万が一人身事故が起こってしまった場合は、国家賠償責任法で賠償されると聞いているので、制度上に問題はないはず。ただ、一抹の不安がぬぐいきれない。その一方で、ハンターの矜持(きょうじ)として、地域が困っているのにやらない、金銭が十分でないとやらない、というようなことしたくないと全ハンターが思っています。緊急銃猟でクマを撃つというのは「最終手段」。話が元に戻ってしまうが、まずは出没させないための努力を徹底する。その上で、たまに人里に出てきてしまったら、駆除する、というように整える方が現実的な手段だと私は思います。伊吾田:クマが通ったり潜んだりする茂みを刈り払うとか、出没情報を速やかに共有する仕組みを作るとか、総合的な取り組みが必要。そして、クマの個体数が多すぎる地域であれば、数を減らす「個体数管理」も検討すべきだと考えます。安藤:農林水産省は、遠隔監視システムやドローンでの追い払い、電子柵を設置して耕作地を守るなど“スマート鳥獣害対策”を打ち出しています。国土交通省も河川の樹木を伐採するなどの対策を行っていて、国が省庁横断的に対応しているところです。森:クマの駆除について報じられると、非難や苦情など、様々な意見が出てしまいます。この状況をどう受け止めていますか。伊吾田:人の生活圏に頻繁に出没したり、人を襲ってしまったりしたクマは、同じ行動を繰り返すおそれがあります。その個体にはかわいそうですが、速やかに捕獲すべき。住民の安全が最優先にされるべきだと思います。安藤:今年7月、北海道で新聞配達中の男性がクマに襲われ死亡、その後、そのクマを駆除したという対応をとったのですが、道庁など計200件以上の抗議の電話が来たそうです。それを受け、浅尾環境相は会見で「時にはクマを捕殺しなければいけないことを、ご理解いただきたい」と発信しました。安藤:過度な苦情は職員数が限られている自治体の活動を制限してしまう、ハンターの活動を萎縮させることにもつながってしまうので、節度ある行動をお願いしたいということです。伊吾田:抗議が殺到すると、役場の通常業務に支障をきたすおそれもあります。それによって適切な対応が遅れ、二次災害が起きたら誰が責任をとるのか、という問題もあります。小堀:これによって猟友会員に非難が向いてしまうことだけは、何としても避けたい。(狩猟のほかに)仕事や色んな事情を抱える中、「いざという時、クマを駆除できるのは猟友会」という矜持を持っています。ボランティアに近い形でクマと対峙(たいじ)しなければならないのに、非難が集中するというのは、なんとも言えないものがあります。浅尾環境相のように影響力のある人が発信することで、少しでも安心して駆除に協力できる環境になればいいなと思います。森:温暖化も含め、クマや人間の生活環境が変わっています。更に人口が減っていくなかで、どこまで管理していけるのか。私たちがこの国で生活していく上で、どうしなければいけないのかを全員で考えなければいけない、そんなフェーズになっているのかもしれないですね。

(ツキノワグマ襲撃による死亡事件「攻撃性の高さ」に専門家も驚愕、「人食いグマ」の連鎖を止めるには)
クマに襲われて死亡した人が、今年度は過去最悪の8人となった(10月17日時点)。専門家が指摘するのは、被害の「連鎖」だ。人間の味を覚えたクマを放置すれば、重大な人身被害が続く可能性がある、と指摘する。クマのあまりに攻撃的な襲撃が相次いでいる。今年7月から10月かけて岩手県北上市和賀町では3人がクマに襲われて亡くなった。クマを研究して半世紀になる日本ツキノワグマ研究所代表の米田一彦さんでさえも、「これほどの事例は見たことがない」というほど、攻撃性が高いクマだという。7月4日、和賀町の住宅で、この家に住む高齢の女性が居間で血を流し倒れているのを、訪れた息子が見つけた。遺体の全身には多数の傷痕があった。室内にはクマと見られる足跡が残されていた。屋内にいたにもかかわらず、侵入したクマに襲われたとみられる。クマが家の中まで押し入り人を死にいたらしめたケースは、史上最悪のクマ被害として知られる1915年の「三毛別ヒグマ事件」(現・北海道苫前町、死者7人、負傷者3人)くらいで、ほとんど例がないという。7月11日、同町内でクマが駆除され、DNA解析の結果、高齢女性に加害したクマと同一個体であることが判明した。住民は安どした。だが、「攻撃的なクマ」による被害はこれで終わりではなかった。10月8日、被害女性の自宅から南へ約7キロ離れた山林で、損傷の激しい性別不明の遺体が見つかったのだ。前日からキノコ採りに出かけて行方不明になっていた高齢男性だった。報道によると、「胴体からやや離れた位置に頭部が転がっていた」という。腹部には多くの爪痕があり、四肢も一部欠損していた。「大きなオスグマの一撃を受けて、頭蓋骨に穴が開いてしまうことはあります。だが、頭が胴体からとれるケースを聞いたのは初めて。遺体がバラバラになるほどの損傷は、複数のクマが関与した可能性があります」(米田さん)。10月16日には、高齢男性の発見現場から東へ約2キロ離れた瀬美温泉で、60代の男性従業員が行方不明になった。翌朝、近くの山林で遺体が発見された。そばにいたクマはその場で駆除された。遺体はひどく損傷し、一部がなくなっていたという。「クマは遺体を『エサ』とみなすと、それに執着する習性があります。だから捜索隊が近づいても遺体から離れなかったのでしょう」(同)。今後、駆除されたクマのDNA解析が行われ、10日前に高齢男性を襲ったクマと同一個体なのか、調べられる。米田さんは、こう話す。「7月4日に高齢女性を襲ったクマとの関係も明らかにしてほしい。同様の性質を受け継いだ血縁関係のあるクマである可能性があります」。10月の3連休、宮城、秋田、岩手の3県にまたがる栗駒山の木々は赤やオレンジ色に染まった。「神のじゅうたん」と称される山頂から中腹にかけての鮮やかな紅葉を一目見ようと、大勢の登山者が訪れた。そんなにぎわいとは裏腹に、中腹(宮城県北部の栗原市)では10月3日、キノコ採りをしていた女性がクマに襲われて死亡し、一緒にいた別の女性が行方不明になった。2週間がたつが、女性は現在も行方不明のままだ。捜索は、二次被害の恐れに加え、急峻な地形に阻まれて難航し、いまだに手がかりも見つかっていない。栗原警察署の担当者は「現場にはまだクマが居座っている可能性があります。崖のような場所に草木が生い茂っている。クマが隠れていてもわからない」と話す。となりの秋田県では、24年5月、鹿角市でクマに襲われた可能性のある遺体を収容しようとした警察官2人がクマに襲撃された。これを契機に、秋田県警は対クマ用の防護服を配備した。だが、宮城県警に対クマ用の防護服は導入されていない。米田さんが指摘するのは、「被害者の収容が長引くほど、別の危険性が上がる」ということだ。「放置された被害者を複数のクマが食べることによって、人間の味を覚えたクマが増えます。そうしたクマは、人間を『獲物』と見なすようになる。クマは通常経験のないことに対しては慎重な行動をとる習性がありますが、人間を『獲物』と学習してしまえば、新たな事件を引き起こす可能性があります」(同)。遺体が収容されず、複数のクマが食害することによって、人食いクマが増えてしまう――。米田さんには苦い思い出がある。16年に秋田県鹿角市で発生した「十和利山クマ襲撃事件」だ。死者4人、負傷者4人という日本史上ワースト2の獣害事件だ。ある男性は、タケノコ採りに山に入って被害にあったが、収容されるまで時間がかかった。「切れ込んだ谷の急斜面にササが密生し、見通しがきかない場所でした。クマと遭遇すれば、二次被害が発生する可能性が高かった。遺体は収容されるまでの5日間、何頭ものクマに食べられた」(同)。男性の遺族によると、包帯に包まれた遺体は「手足を触ったが、肉のようなものはなかった。内臓もなかった」という状態だった。米田さんはこの事件発生直後から現地入りし、関係者の証言を集めた。3年ほど前までは、現場でクマの個体識別調査を続けてきた。「事件の直接の加害グマは駆除されましたが、食害に関与したクマはいまも残存している疑いが強い」(同)。事件発生時、警察や消防はヘリを投入し、現場付近をなめるように飛行してクマを捜索した。ヘリの爆音に驚いたクマが逃げる様子も目撃された。それはつまり、食害に関わった可能性のあるクマが移動した、ということではなかったか。「また人身被害が発生するのでは、と心配していたが、その通りになった」(同)。昨年5月、現場近くでタケノコ採りをしていた男性の遺体に近づいた警官らは、ササやぶから飛び出してきたクマに襲われて、顔や両腕をえぐられた。体中にかみ傷のある遺体が収容されたのは、行方不明になってから1週間後だった。米田さんは「人を襲ったクマは、また人を襲う恐れがある」と警鐘を鳴らしてきた。昔からハンターや地域住民の間で言われてきたことだ。だが、エビデンスに乏しいとされ、クマ襲撃による死亡事故は個別のクマによる人身被害とみなされることが多く、積極的な「再発防止策」はとられてこなかった。そのエビデンスも得られつつある。今年7月、北海道福島町で新聞配達員の男性がクマに襲われて死亡した事件。現場に残されたクマの体毛を採取してDNA解析した結果、21年に同町で農作業中の女性を襲い、死亡させたクマと同一個体であると判明した。死亡事故の連続性が明らかになったといえる。米田さんはこうも話す。「何頭ものクマが出没し人身被害が多発しているように見える地域がある。けれども、現地を調査すると、血縁関係のある複数のクマが人身被害を起こしているのではないかと推察される地域が長野県から東北地方にかけて、複数あります」。血縁関係のあるクマとは、親子、あるいはきょうだいなどで、人間を獲物であると学習してしまったクマではないかと、米田さんは言う。「食害」をともなう死亡事故が発生したら、どうすればいいのか。米田さんは、「自治体や警察、消防、猟友会など関係者が情報を共有し、ただちに加害グマを駆除して、『人食い』の連鎖を止めるべきだ」と話す。悩ましいのが周知の問題だ。住民感情や観光産業に配慮してか、自治体の通知や報道で「食害」と言及されることはめったにない。大抵は「全身に多数の爪痕」などと表現される。「風評被害は防ぎながらも、クマに襲われる危険性が高まっていることを伝える努力が必要だと考えています」(同)。クマによる人身被害を連鎖させず、食い止めるための対策が求められている。

(クマ外傷のむごさ、9割が顔に傷)
人がクマに襲われる被害が各地で相次いでいる。けがをしても助かった場合は「命に別条はない」と報道されて終わることも多いが、クマは人の顔を狙って攻撃してくる。そのため、けがの多くは深刻で、生涯、身体や心に傷痕が残る人も少なくない。「クマ外傷」の実態や防ぐ方法について、当事者や専門家に取材した。秋田県北秋田市で菓子屋を営む湊屋啓二さん(68)がクマに襲われたのは、2年前の10月19日のことだった。その日の朝7時過ぎ、自宅の敷地内にある作業所で菓子をつくっていると、「キャー」という叫び声が聞こえた。通学途中の女子高校生が、道路の向かい側にあるバス停でクマに襲われたという。後でわかったが、このクマはその前後に3人の女性を襲っていた。湊屋さんは念のため、開けっ放しだった車庫のシャッターを閉めた。その2時間半後、外出のために車庫を開けた瞬間だった。目の前に、大きなツキノワグマがいた。あまりのことに驚き、2、3秒ほど見つめ合った。「やられる」。そう思った瞬間、後ろを向いて全速力で自宅に向かって走り出した。だがクマは時速50キロとも言われるほどの俊足で、いつの間にか追い越されていた。左前から倒されて地面に転がり、気づいたときには上から覆いかぶさられていた。反射的に腕で顔を守ったが、クマは「ブォー」とうなり声をあげながら、顔や背中をひっかき、腕のすき間から執拗(しつよう)に耳をかじろうとした。「ああ、俺はクマのせいで死ぬんだな」。そう思いながら、ひたすら攻撃に耐えた。2、3分ほど経ったころだろうか。突然、クマの動きがパタッと止まった。「今だ」と逃げ出し、作業所に入って鍵をかけた。「救急車、救急車!」と向かいの自宅にいた妻に叫んだ。鏡を見ると、頭の皮膚がぱっくりあき、頭蓋骨(ずがいこつ)がむき出しになっていた。ドクドクと血が流れ出し、タオルで止血してもすぐ真っ赤に染まった。

(冬眠準備のクマ、市街地出没のリスク継続)
クマの被害は過去最悪のペースとなっている。これから冬眠に備えて本格的に栄養を蓄える季節を迎えるため、市街地での出没が今以上に増える可能性がある。刺激の多い人里では、冬場でもいつ目覚めてもおかしくはなく「アーバンベア(都会のクマ)」のリスクは長引きそうだ。環境省によると、4~9月にクマに襲われた人は108人。過去最多の219人となった令和5年度とほぼ同じペースで推移している。5年度の死者は年間6人だったが、今年度は9月までにすでに5人となった。NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」理事長の米田一彦氏によると、東北地方は11月下旬ごろまで、関東・中部地方などは12月ごろまで、冬眠前のクマが餌を求めて活発に活動するという。市街地で子連れの母グマが駆除されると子グマは放置され、そのまま民家の床下や公園の茂みで冬眠に入る可能性がある。市街地近くで冬を越した子グマは集落依存型となり、アーバンベアとして、その後も人里に戻ってくるようになる。山に比べて暖かい市街地では、冬眠が浅くなったり、人が越冬穴の近くを通って刺激したりして冬眠から目覚める可能性もある。米田氏は「目覚めたクマは寒くても活動を始めるので、冬だといって安心することはできない」と話した。

(「緊急銃猟」判断も腕章着ける前にクマが起き警官対応、アスファルトで跳弾の恐れ)
市街地にクマが出没した際に、市町村の判断でハンターに発砲を命じることができる「緊急銃猟」の制度が先月始まった。山形県内では既に、鶴岡、米沢両市で市長が緊急銃猟を実施する判断をした。いずれも緊急銃猟による駆除には至らなかったが、住民やハンターらの安全をどう確保し、市町村の人材をどう育成するかなど、運用に向けた課題が見えてきた。全国初の緊急銃猟判断は、9月20日に鶴岡市で行われた。同市で午前10時頃から、市街地でクマを目撃したという通報が相次いだ。同11時10分頃に住宅の庭にいると通報が寄せられ、警察官のほか猟友会員や市職員も現場に駆けつけた。クマは木の下で後ろ向きに寝ている状態だったという。警察官職務執行法(警職法)では、クマへの発砲を警察官が許可できるのは「特に急を要する場合」とされ、クマが動かない状態では判断が難しい。現場は膠着(こうちゃく)状態となった。市職員らは住宅内からクマの様子をうかがい、交通規制や住民への周知が行われている状況を市幹部に共有した。それを受け、市長が午後0時20分頃、緊急銃猟の実施を判断し、現場に伝えた。だが、緊急銃猟の際に着用する腕章を準備している間にクマが起きてしまい、床下に入ろうとする動きを繰り返した。住宅内の猟友会員らに向かって来たことから、警職法に基づく発砲が可能となり、午後0時25分頃、警察官の指示を受けた猟友会員が、住宅の窓の隙間から発砲、捕獲した。緊急銃猟の実施には〈1〉日常生活の場に侵入するか侵入の恐れが大きい〈2〉緊急性がある〈3〉銃猟以外で捕獲が困難である〈4〉発砲で人に危害が及ばない――ことが条件となる。4要件はそろったが、市農山漁村振興課の五十嵐崇・水産振興主幹は「特に〈4〉が難しかった」という。住民の安全確保には、弾丸がクマを貫通しても周囲に飛ばない環境が必要だ。地面がアスファルトだと弾が跳ね返る危険性がある。環境省は芝生や畑などを想定している。今回は地面が土だったため、緊急銃猟を判断できた。市は弾が跳ね返らないように、威力が比較的弱い散弾銃を選択した。さらに、他の住宅に被害がないよう、水平方向ではなく斜め上から角度をつけて撃つ必要があり、クマとの距離を詰めてから下向きに撃つこととした。今回は、クマが後ろ向きで寝ていたため、このような判断となった。猟友会員らの安全確保が優先されるので、最適な距離や撃ち方は状況によって変わる。クマと正対した場合はまた別の判断をすることになる。鶴岡市は今月、緊急銃猟実施の権限を現場の職員に委任した。五十嵐さんは「責任の重い判断だ。法律に明るく、クマの生態も分かっていて、かつ警察官や猟友会員とも対等に話せる人でないとできない。人材育成が課題だ」と話す。発砲前の交通規制や住民への周知などは、市職員だけでは手が回らないことも分かった。今回は警察官が既に行ってくれていたため緊急銃猟にスムーズに移行できたという。「改めて警察官などと連携し、事前に役割を決めておく必要があると感じた」。事例を検証し、今後に生かしていく。緊急銃猟の判断が行われた2例目は、今月6日の米沢市だった。午前中からクマ1頭が住宅街のやぶに居座り、箱わな2基を設置したが、やぶに隠れたまま膠着状態となった。猟友会員らは現場近くの建物2階に待機。撃ち下ろす形で発砲できることから、目撃から約8時間半後、緊急銃猟の判断が行われた。だが、直後にクマが箱わなに入り捕獲されたため、発砲には至らなかった。

(緊急銃猟とは?誰がどう判断する?:富山)
きょう県内で初めて富山市長が許可をした「緊急銃猟」とは、どんな対応なのでしょうか。「緊急銃猟」は、自治体の判断で銃器によるクマなどの駆除が可能になる仕組みです。先月、施行された改正鳥獣保護管理法に基づき始まりました。これまでは市街地での猟銃の使用は原則として禁止されていて、クマが市街地に出没した時は、自治体ではなく警察官が猟友会などに発砲を命じていました。しかし、先月からは条件を満たしていれば、市町村の判断で猟銃を発砲することができるようになりました。クマの緊急銃猟ができる条件はこちらの4つです。・住宅など人の生活圏に侵入した場合・危害を防ぐ措置が緊急に必要な場合・速やかに捕獲できる手段が他にない場合・住民に弾丸が到達する恐れがない場合。これらの条件をすべて満たしている必要があります。緊急銃猟の許可に至ったきょうの富山市の対応の流れです。富山市小杉で「クマを見た」と住民から警察に通報があったのが、午前7時30分ごろです。猟友会や市の職員らが警戒にあたり、午前10時5分、クマが木に囲まれた住宅の敷地周辺に潜んでいるとみて、現場にいた市の森林政策課長が市長に緊急銃猟の許可を求めました。市長は、4つの条件が揃っていることを確認したうえで、午前10時10分発砲の許可を出しました。現場では猟友会に対し必要に応じて随時発砲できることが共有されましたが、きょうはクマを確認できず発砲に至りませんでした。市はスムーズに対応できたとした一方、猟友会からは懸念の声もあがりました。富山市森林政策課 中島課長「条件をひとつひとつ満たしていって、ここでの銃猟は可能じゃないかということで。周りの方の避難であるとか、交通規制であるとか、そういったところは全て行ったうえで、今回準備をさせていただいております」。富山市猟友会 中川稔 会長「指示する者が素人やろ? 役所の。だから私らは果たして、『撃て』言われても撃っていいのかどうか。私らの方が詳しいんだから、そのへんがちょっとね。だから事務局が森林政策課に置いてると、そこにしっかりした者を、猟の経験ある者とか銃を持ってる人に置いてもらえば、もっと安心できると思いますね」。先月から始まった緊急銃猟制度で、国は「各自治体ごとに対応マニュアルを作成するのが望ましい」としていますが、県内の自治体では対応が追いついていません。KNBのまとめでは、県内15市町村のうち、対応マニュアルを完成させたのは南砺市と砺波市だけです。富山市は暫定的に簡易版のマニュアルを作っていて、ほかの市町村は全て作成途中です。マニュアルが未完成の理由は、対応の遅れです。国のガイドライン発表が7月、県が作るマニュアル作成の手引きの配布は制度が既に始まっていた先月末で、各市町村の担当者は「マニュアル作成までの期間が短かった」としています。またきょうの富山市のケースでは発砲の許可を出したのは市長でしたが、既にマニュアルを作った南砺市では、現場が速やかに対応するために担当部署の部長や課長、係長が市長から委任を受けて判断することを想定しています。しかし、ほかの市町村は現場の職員に判断を委任するかどうか、まだ決まっていません。この秋、県内ではクマの出没が多発しています。市街地に出没した際速やかに対応するためには課題がまだ多く残されています。

(露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”:岩手)
人間の味を覚え、再び男性を襲った可能性がある。岩手県北上市和賀町の温泉旅館「 瀬美温泉」で17日、露天風呂を清掃中に行方不明になった従業員の笹崎勝巳さん(60)とみられる遺体が見つかった。遺体はかなり損傷が激しい状態だった。同日午前8時から、猟友会のメンバーと岩手県警が約40人態勢で現場周辺の捜索を再開。午前9時過ぎ、露天風呂の北西50メートルの雑木林で男性の遺体を発見した。遺体のすぐ近くにクマがおり、捜索隊に気づいて逃げようとしたところをハンターが撃ち、駆除した。クマは体長1.5メートルの雄だった。笹崎さんは16日朝、クマに襲われ、露天風呂から引きずられていった。現場周辺には眼鏡や片方だけのサンダル、清掃道具が散乱し、入り口付近の岩や周囲の柵の下には血痕が残されていた。現場周辺の山林では7日にも、山菜採りに出かけた男性(73)がクマに襲われ、翌8日、遺体が発見された。17日は地元のハンター16人が捜索にあたった。同行した「和賀猟友会」の鶴山博会長がこう話す。「男性を露天風呂から引きずり、川の向かいの急な斜面を登ったところまで連れて行った。男性はクマに食べられていました。このクマは7日にも、山菜採りに来た男性を襲って食べています。襲撃現場から瀬美温泉までは約2キロほど。13日にもクマの目撃情報があり、人を食べたクマに間違いないと思い、警戒していた。人間の味を覚えたのか? そうだと思います。餌だと思って運んで行った」。笹崎さんが露天風呂の清掃を始めたのは、午前9時過ぎ。温泉施設からの通報は午前11時15分だった。その間に笹崎さんは被害に遭ったことから、宿泊客が入浴中に襲われてもおかしくなかった。「怖いなと思いましたよ。周りにクマがいてもおかしくないところですけど、露天風呂は川に面しているので、まさか川を越えて来るとは思わなかった。人を食べるために餌のない露天風呂まで来た可能性もある? そうですね。人を食べるっていうのは初めてです」(鶴山さん)。今年度のクマによる死者数は先月末時点で5人。それが今月だけで行方不明者や未特定を含めると、宮城県栗原市で2人、長野県大鹿村で1人、岩手県北上市で2人、同県雫石町で1人の計6人が犠牲になっている(認定は2人)。すでに計11人が亡くなったとみられ、過去最多の6人だった2023年度を大きく上回っている。農作業中や自宅周辺、スーパーといった生活圏で襲われるケースが相次ぎ、休校や公園閉鎖、イベント中止に追い込まれるなど、日常生活にも影響が広がっている。いつどこでクマに襲われ、食われるか分からない「災害級」の緊急事態だ。

(クマから子どもどう守る、園庭の樹木全て伐採:秋田)
北鹿地方でクマによる人身被害が相次ぐ中、子どもを預かる学校や保育施設などが対策に追われている。遭遇時の対策などが浸透しにくい幼児が通う施設はどのような対応を進めているのか。大館市の向陽こども園(日景陽司園長)は、クマのエサとなる柿の木などを全て伐採するなど対策を強化している。

(なぜ?市街地の公園でマダニ大量発見:福岡)
「シカが出没する福岡県内の公園でマダニが多く見つかった」。西日本新聞「あなたの特命取材班」に、ボランティアの男性から声が届いた。県内ではシカやアライグマなどマダニが寄生する野生動物が増加。動物に運ばれる形で都市部にも脅威が迫っているという。マダニが媒介するウイルス感染症は今年、過去最多を更新しており、識者は注意を呼びかけている。投稿を寄せたのは、害獣の調査や啓発に取り組む団体「アライグマ防除研究会」の代表、菊水研二さん(64)=福岡市。森林総合研究所(茨城県つくば市)の「シカが多い地域の森林ほどマダニの数が多い」という調査結果を知り、福岡都市圏でシカが生息する山の周辺を7~9月に調査した。シカのふんが見つかったのは古賀市の薬王寺水辺公園や福津市の本木川自然公園「ほたるの里」、久山町の町総合運動公園など。いずれも周囲の草むらから、計20匹以上のマダニを捕獲したという。県が2020年度に実施した調査によると、シカは福岡都市圏東部に隣接する犬鳴山などに約2万7400頭が生息すると推定。アライグマは繁殖力が高く、昨年度の発見件数は5825頭と10年前の16倍に急増した。生息域は福岡市などにも広がっており、菊水さんは「シカやアライグマが増えることで、マダニが山間部から市街地へ運ばれる」と懸念する。ダニの生態に詳しい山口大の早坂大輔教授(ウイルス学)によると、マダニは山林や草むらで葉の裏に潜み、通りがかった動物や人間に移って数日から10日ほどかけて吸血する。ウイルスを保有する場合は感染症を媒介することもある。感染症の中で近年増加が目立つのが「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」。発熱や嘔吐(おうと)などの症状がみられ、死に至ることもある。国立健康危機管理研究機構は9月、今年の患者数が過去最多の161人に上ったと発表。県内では9月21日までに5人が発症し、過去には死亡例もある。SFTSはこれまで発症者がいなかった地域でも確認されるようになったといい、早坂教授は「宿主となる野生動物の行動範囲が変化するのに伴い、マダニの出没地域も広がっている」とみる。マダニの対策としては、肌の露出を避けることや、山林や草むらで活動した際に付着していないか確認すること、ペットの状態もチェックすること-などが挙げられる。「身近な場所にマダニがいるかもと思って行動してほしい」。早坂教授は警鐘を鳴らす。

(ランナーが森でクマと格闘、「一かみで腕をやられた」:長野)
ニュージーランド・オークランド出身のビリー・ハロランさん(32)にとって、日本の妙高の森はよく知る場所だ。普段から散歩やランニングに訪れ、荒々しい自然の中でウルトラマラソンを走ったこともある。しかし2週間前、ハロランさんはその同じ森で命からがら逃げる羽目になった。クマに襲われたのだ。10月初旬、ハロランさんはいつものランニング中に今まで遭遇したことのないものを目にした。2頭のツキノワグマだ。まずいことになったと、すぐに悟った。クマによる襲撃は日本各地で増加傾向にあり、今年はこれまでに100人以上が負傷、少なくとも7人が死亡している。これは2006年に記録を取り始めて以来、最多の数字だ。最近ではハロランさんの自宅から数キロの場所でもクマの襲撃で死者が出ていた。今、ハロランさんは野道に一人きり。車を止めた場所はここから数キロ離れている。2頭のクマは、30メートルも離れていない茂みからこちらをじっと見つめている。どうやって逃げたものか、考えた。ゆっくり後ずさりしようとした時、1頭のクマが近づいてきたと、ハロランさんは振り返る。「クマは私と同じくらいの大きさで、成獣だった。少なくとも60~70キロはあった」。ハロランさんは逃げるのをやめることにした。クマに追いかけられ、後ろから飛びかかられるのではないかと恐れたからだ。代わりに、叫んでクマを追い払おうとした。するとクマがこちらに飛びかかってきたという。顔の前に腕をかざしたところ、「クマにつかまれ、地面に押し倒された」とハロランさん。「そして、一かみで腕をやられてしまった」。クマは続いてハロランさんの脚を襲い、爪痕と引っかき傷を残して後退した。アドレナリンに駆られたハロランさんはなんとか立ち上がり、クマと短い「にらみ合い」を繰り広げた。その後、クマは再び茂みの中に姿を消した。また戻ってくるかもしれないという恐怖を覚えたハロランさんは妻に電話をかけ、迎えに来てくれるよう頼んだ。腕を骨折し、脚もひどく負傷したにもかかわらず、ハロランさんは1キロを移動して妻のもとへ行き、救急車を待った。この2週間、ハロランさんは病院で療養している。負傷した腕への金属プレート挿入を含む3度の手術を受けた後、CNNの取材に応じた。身体のリハビリを含め、回復への道のりはまだ遠い。より大きな課題は、襲撃によるトラウマ(心的外傷)と向き合うことかもしれない。ハロランさんはそれを「サメに襲われた人がサーフィンに戻ろうとするような感覚」に例えた。それでもハロランさんは、療養中を通じて自分を支えてくれた地元のランナー仲間に感謝し、再び森の中を走ることを決意している。また、自分はまだ運が良かったとも感じている。これまで多くの襲撃があり、もっと不幸な結果に見舞われた人もいるからだ。ここ数カ月の間には、スーパーマーケットでクマが暴れ回ったり、保育園の外をうろついたり、露天風呂を掃除していた男性の遺体が激しく損傷した状態で見つかるなど、クマによる事案が相次いでいる。専門家によると、気候変動によりクマが本来餌とする植物の一部で開花や受粉が妨げられているため、クマが食料を求めて従来の生息地を離れ、都市部に進出するケースが増えているという。

(ネズミやイノシシの尿から感染するレプトスピラ症:沖縄)
石垣市に住む10代の男性5人が、石垣島の河川で遊泳した後にレプトスピラ症に感染し、結膜充血や筋肉痛、蛋白尿などの症状が出たため全員が入院治療を受けていたことが分かった。沖縄県の感染症対策班によるとこの5人は、先月13日から23日の期間中に共に石垣島内の河川で遊泳していたため、同一河川での感染による集団発生事例と判断された。県は「どの河川でも感染リスクはある」として遊泳していた河川を公表していない。県内では2022年の10月、八重山保健所管内に住む70代の男性が発熱や腎不全の症状を訴え入院した3日後に死亡し、のちにレプトスピラ症感染が判明したケースもある。レプトスピラ症は人獣共通の感染症で、「病原性レプトスピラ」という細菌の感染によって引き起こされる。ネズミやイノシシなどの野生動物の腎臓に潜み、尿中に排せつされる細菌によって汚染された土壌や水と接触することで、皮膚の傷や鼻、目の粘膜を通じてヒトに感染する。重症になると腎機能障害や黄疸などの症状が現れ、治療を受けない場合には死に至ることもあるが、抗生物質の投与での治療を受ければ有効に作用する。ヒトからヒトへの感染はない。沖縄県内では過去10年間で毎年平均約20件のレプトスピラ症が報告されていて、全国の患者数の約半数を占めている。今年は10月5日時点で、全国で35件のうち22件が沖縄で報告されている。県によると感染を防ぐには、皮膚に傷がある場合は河川や滝での遊泳を控えることや、河川の生水はそのまま飲まないこと、遊泳する際はラッシュガード・ゴーグルなどで肌と目を保護することが重要になる。特に雨天後の河川では汚染された土壌が流れ込むため注意が必要だ。また、農作業など野外活動をする際は長靴や手袋を使用し、野生動物との素手での接触は避けるよう推奨されている。

(県内の林業関係団体、クマによる森林被害対策も求める:山形)
森林整備を充実させようと県内の林業関係団体が、県に対し要望活動を行いました。県内の森林ではクマによる木々の被害もでていて要望では支援や対策も求められます。県に要望書を提出したのは、県内3つの林業関係団体です。要望では、県民が県に納めている「やまがた緑環境税」の使い方について、近年の新たな課題に対応できるよう見直すことを求めています。特に、花粉症などに影響があるスギへの対策の他、クマによる森林被害への対策も求められました。ツキノワグマが樹液を求めてスギの木の樹皮を剥がす「クマ剥ぎ」により、米沢市など置賜地方を中心に木が枯れるなどの被害が出ているということです。やまがた森林と緑の推進機構 今井敏 理事長「理解の醸成につとめながら少しずつ前進していこうと(県から)お言葉をいただいた。人間が安心して山で作業できるような環境整備も重要だが、あわせてクマ剥ぎの対策も森林整備関係予算の中で対応していただけるとありがたい」。要望を受け、県は今後、国や市町村の事業を組み合わせながら予算を確保できるよう努めていきたいとしています。

(野生イノシシへの豚熱経口ワクチンの緊急散布及び定期散布の終了:宮崎)
10月15日から開始した豚熱経口ワクチンの第2回緊急散布及び、10月16日から開始した定期散布(秋期1回目)については、本日17時に作業が終了しました。(定期散布(秋期2回目)の散布は約1か月後に実施予定)

(豚熱(CSF)の発生を防ぐため、経口ワクチンを散布(埋設)します:栃木)
豚熱とは、豚とイノシシのみが感染する家畜の伝染病で、発生農場の飼育されている豚は全頭殺処分の対象となります。野生イノシシによるウイルスの拡散を防ぐため、経口ワクチンの散布を実施します。散布する経口ワクチンは、国の食品安全委員会で安全と評価された成分でできています。

(獣害防止へ週3回巡回:長野)
塩尻市は本年度、熊の目撃情報があった時に現場で対応したり、イノシシやニホンザルなど有害鳥獣の出没地点を1日おきに巡回したりする「鳥獣パトロール員」を独自に配置している。市の会計年度任用職員として採用された市猟友会員が務めており、人里と山林の境をこまめに監視することで、人と熊の接触や、農産物被害の防止を目指している。市猟友会の7人が5月に活動を開始し、月、水、金の週3回、交代で熊の目撃や有害鳥獣被害が多い市内各所をパトロールしている。熊の目撃情報が寄せられると、現場を確認して必要があればわなの設置などを行う。15日は青木俊樹さん(74)と金井暁さん(45)の2人が下小曽部、上小曽部、日出塩、本山などを回り、熊やニホンザル用や、イノシシが掘り返した土手の近くに設置したわなを見回った。けもの道に新しい踏み跡がないか、餌になる農産物の有無も大切な確認事項だ。道中で地元の人に会うと、情報を交換しながら注意も呼び掛けた。市はこれまで、熊の目撃情報があった場合は、市猟友会に要請して現場確認、対策の必要性の判断などに協力してもらっていた。市内では昨年度、目撃が急増し、対応が追いつかないこともあった。本年度は1日おきにパトロール員が回っていることで迅速に対応できているという。山に入る人が増える狩猟期間を迎えることから、本年度のパトロール活動は今月末で終了する。ただ、人里ではリンゴやカキが熟す時期を迎えることから、市耕地林務課は「鳥獣被害対策としてまとまった量の果実を残さないようにお願いしたい」と呼び掛けている。

(シカ食害でチューリップ植え込み中止:北海道)
釧路市内の公園で来春開花するチューリップの植え込みが始まった。昨年まで五つの公園で行われていたが、近年増加するシカの食害被害で、今年は幣舞と鳥取10号の両公園での植え込みが中止になった。食害を防ぐネット柵などの購入費用をまかなえないためで、植え込みを担う団体の中には募金を始める動きも出てきた。

(不明女性の捜索続く現場付近で新たにクマ1頭捕獲、襲った個体かクマのDNA鑑定進め特定急ぐ:宮城)
10月3日、キノコ採りの女性がクマに襲われて死亡し、一緒にいた女性が行方不明となっている栗駒山の現場近くできょう、クマがわなにかかっていたことが分かりました。現場付近で捕獲・駆除されたクマは5頭目です。宮城県栗原市の栗駒山では、10月3日、キノコ採り中の70代の女性がクマに襲われて死亡し、一緒にいた別の70代の女性もクマに襲われたとみられ行方不明になっています。栗原市によりますと、21日午前7時20分頃、現場近くに仕掛けていた箱わなに体長1.2mのオスのクマ1頭がかかっているのが見つかったということです。クマは、その場で駆除されました。現場近くでクマが捕獲、駆除されたのは5頭目です。10月15日には、成獣のクマがわなにかかっていて、市では女性を襲った個体かどうか調べるため、21日に岩手大学にDNA鑑定を依頼したということです。市は、21日駆除した個体についてもDNA型を調べる方針です。

(高齢者施設付近に出没のクマ1頭をハンターが駆除:北海道)
クマの出没が相次いでいる札幌市では、18日高齢者施設の近くに居座り続けていたメスのクマ1頭が駆除されました。18日午前8時過ぎ、札幌市手稲区手稲金山にある高齢者施設の関係者から隣接する林にクマがいると警察に通報がありました。市の職員や猟友会のハンターらが現場でクマ1頭を確認、その場に居座り続けたためハンターが発砲して駆除しました。駆除されたクマは体長1.1メートルのメスだということです。札幌市の担当者「きのう出ていた個体とは特徴が一致、おそらく一緒のクマだと思う」。周辺では、17日もクマが3時間近く居座り続けました。市は、今後、別のクマが出没するおそれもあるとして、電気柵を設置して注意を呼び掛けています。

(トラックがクマと衝突、後続車も次々と:宮城)
17日午後8時10分頃、宮城県大衡村大衡の国道4号で、走行中の2トントラックが路上にいたクマ1頭(体長約1・2メートル)と衝突した。宮城県警大和署によると、クマはその場で絶命し、後続の普通乗用車2台もクマに衝突。バンパーが壊れるなど自走できなくなった。その後も後続車がクマとぶつかり、計6台が絡む事故となった。けが人はなかったという。

(猟友会メンバーが身元不明遺体見つける:石川)
19日午前、能美市の山間部でクマを探していた猟友会のメンバーが身元不明の遺体を発見しました。警察では事件と自殺の両面で調べを進めています。19日午前9時すぎ能美市徳山町でクマの目撃情報を受け付近を捜索していた猟友会のメンバーから「車が停まっていて近くに遺体がある」と警察に通報がありました。警察によりますと遺体は腐敗が進み、一部が白骨化していたということです。現場はいしかわ動物園から東に約1キロほどの山間の集落で警察によりますと遺体が見つかった林道は人があまり立ち入らない場所だということです。警察は遺体の身元の確認を進めるとともに事件と自殺の両面で調べています。

(わなに子グマかかるも放して追い払う:宮城)
宮城県加美町で19日朝、子グマがわなにかかりました。近くを親グマが離れない状況が続き、子グマを放して追い払ったということです。警察によりますと19日午前7時頃、宮城県加美町のやぶに設置されていたわなに子グマ1頭がかかり、体長およそ1メートルの親グマが近くから離れない状況が続いたということです。警察や地元の猟友会が警戒にあたり、午前8時半頃、親グマがワナの近くから去ったことを確認。このあとも親グマが戻り被害が及ぶ可能性があることから、子グマをわなから放し、花火などで追い払ったということです。この場所では栗の木が荒らされる被害などが確認されていました。町や警察が引き続き警戒にあたっています。

(サケのふ化施設荒らされる、クマによる建物損壊:北海道)
石狩市でサケのふ化施設として使われいてたプレハブ小屋が荒らされました。壊されたドアには、クマの足跡がついていました。17日午前11時半ごろ、石狩市厚田区厚田で「サケの稚魚ふ化施設のプレハブ小屋が壊された」と、小屋の管理業者から石狩市役所へ通報がありました。警察などが現場を調べたところアルミ製の小屋の扉の下半分が壊され、袋に入ったサケの稚魚用のエサが食べられていたということです。扉にはクマの足跡が残されていました。警察によりますと現場は厚田キャンプ場に続く道から少し入った場所にあり小屋は、今年6月以降、人の出入りはなかったということです。警察は、付近をパトカーで見回るなどして、警戒を強めています。

(イノシシに高校生が追いかけられる場面がドライブレコーダーに:秋田)
5日夜は、JR羽後本荘駅前にイノシシが出没しました。車のドライブレコーダーが、高校生3人をイノシシが追いかける場面を捉えていました。15日午後8時前のJR羽後本荘駅の西口です。歩いていた3人の高校生が後ろからイノシシに追いかけられ、走って逃げる様子を車のドライブレコーダーが捉えていました。車の持ち主は「ロータリーで家族の帰りを待っていた際に叫び声が聞こえた。見てみると、黒い物体がものすごい勢いで走り去った」と話しています。また、けがはないかたずねたところ、高校生は、「大丈夫です、びっくりした」と話していたということです。現場は由利本荘警察署本荘駅前交番の目の前で、すぐに交番にも連絡したということです。

(磐越西線、2日続けてクマと衝突:福島)
19日午後7時25分ごろ、福島県磐梯町大谷字家ノ前のJR磐越西線で、下り列車がクマと衝突した。乗客と乗務員にけがはなかった。猪苗代署によると、クマは体長約1メートルで、衝突後にいずれかに逃げたという。衝突した列車が31分遅れたほか、上り線のダイヤで26分の遅れが出た。また、JR東日本によると、20日午後6時10分ごろにも翁島―磐梯町間で下り列車がクマと衝突した。乗客や乗務員にけがはなかった。この影響で猪苗代―会津若松間を最終列車まで運休し、21日も始発から昼頃まで運転を見合わせる。

(クマとバッタリ遭遇、エコバッグを胸に構えクマを"威嚇"し追い払う:北海道)
10月20日夜、札幌市西区の住宅街で、散歩中の男性がクマと至近距離で出くわしましたが、持っていたバッグでクマを威嚇するなどして難を逃れました。クマが目撃されたのは、札幌市西区宮の沢4条3丁目の住宅街にある川にかかる「沢見橋」付近です。20日午後8時40分ごろ、近所に住む50代の男性が散歩をしていたところ、川の土手から1頭のクマが上ってきて、道路の中央付近まで出てきました。クマは男性と目が合ったあと、わずか2メートルの距離まで接近。男性がとっさにエコバッグを胸の前に構えて威嚇したところ、クマは土手を降りて川の方に引き返していったということです。男性にけがはありませんでした。現場は宮丘公園近くの住宅街で、警察は注意を呼び掛けています。

(線路に“シカ侵入”で新幹線が約5時間半運転見合わせ:青森)
北海道新幹線は、けさ「シカが侵入している」という情報を受けて、新青森駅から新函館北斗駅の間で一部の列車に運休が発生しました。JRによりますと、きょう午前5時半まえ、北海道新幹線の湯の里知内信号場から木古内駅間で、JR貨物の貨物列車から「シカが侵入している」と司令センターに連絡がありました。貨物列車は鹿と衝突していませんが、安全確認の影響で始発より新青森から新函館北斗駅間で6本が運休となり、およそ780人に影響が出ました。JRによりますと、およそ5時間半後の10時50分ころに安全が確認されたため運転を再開しました。

(普通列車とシカ衝突:北海道)
18日午前6時45分ごろ、後志管内仁木町のJR函館線銀山ー然別駅間で、倶知安発小樽行きの普通列車がシカと衝突し、緊急停車した。乗客乗員にけがはなかった。

(最終の普通列車がクマと衝突:北海道)
JR北海道によりますと、10月18日午後10時半ごろ、函館線・二股~長万部駅間で普通列車がクマと衝突する事故があったということです。この事故によるけが人はおらず、点検ののち約15分後に運転を再開しました。翌日午前6時すぎになって、同じ場所を通過しようとした始発列車の運転士が、クマの死がいが列車の通行に支障のある場所に残されていることに気づき、除去作業が始まりました。午前8時半すぎに作業は終わりましたが、函館線の普通列車6本が運休し、約30人に影響が出たということです。

(川辺にクマ2頭居座る、そばにはシカの死骸:岩手)
岩手県大槌町では10月19日から町内の川辺に親子とみられるクマ2頭が居座っていて、町や警察が警戒に当たっています。木の陰で眠っている子グマとその近くであたりを見回している成獣。20日午後1時ごろ、大槌町末広町の大槌川沿いで撮影した映像です。この場所では19日の午後2時ごろ、通りかかった人が2頭のクマがいるのを確認し、町に通報していました。2頭は親子とみられていて、そばには餌となるシカの死骸があり、町によると19日の通報以降その場を離れたり戻ったりを繰り返しているということです。川の対岸には小中学校や高校がありますが、町では餌があるためわなを仕掛けてもかからないとみられることから、このまま立ち去るのを見守る方針だとしています。これまでに人や物への被害は確認されておらず、町や警察が住民に注意を呼びかけています。

(畑でシカを襲い約4時間居座り、ハンターが花火で追い払う:北海道)
北海道内では住民の生活圏でクマの出没が続いています。18日、北海道砂川市の畑に現われた体長約1メートルのクマ。周囲の枯れ草を集め、シカの死がいを覆い隠すような行動も見せています。4時間ほど居座っていたため、砂川市の職員と猟友会が花火で追い払いました。一方、北海道南部の知内町では、19日、ごみステーションが壊され、生ごみの魚が荒らされているのが見つかりました。地中に埋めて固定していたごみステーションが掘り起こされていたことから、警察はクマの仕業と見て警戒を呼びかけています。

(「日本ジビエ振興協会」、「安全」とおいしさの向上に尽力:長野)
ジビエ(野生鳥獣肉)で地域を元気に―。長野県候補となった一般社団法人「日本ジビエ振興協会」(茅野市)は、農作物に深刻な被害をもたらすイノシシや鹿などのジビエの活用、普及に向けた加工や流通の仕組み作りに取り組んできた。料理講習会や付加価値のある商品化を通じ、地域貢献につなげている。農林水産省のまとめによると、2023年度の野生鳥獣による農作物被害額は全国で164億円、長野県は5億3400万円に上る。一方で、国の統計では23年度の鹿などの捕獲頭数に対し、食肉処理施設での解体率は12・9%にとどまる。被害の削減やジビエの活用は全国的な課題だ。

(森林資源を"食"で活用:北海道)
北広島町は、株式会社JTB(広島支店)と料理マスターズ倶楽部と協働し、10月27日・28日に、森林環境譲与税を食と料理の分野に活用する取組を実施する。森林環境譲与税を活用して、料理マスターズ受賞シェフと協働し、森林資源を料理の分野に活用する試みは「全国初」となる。

(「ヒグマレザープロジェクト」:北海道)
全国各地で、クマの出没や被害が相次いでいます。それに伴って、人の暮らしや命を守るため、多くのクマが駆除されています。「駆除された命を無駄にしない、循環型の仕組みを作りたい」。北海道・札幌で、ヒグマの革を有効活用するための、クラウドファンディングが始まっています。札幌市中央区円山西町で、皮革製品の製造や販売を行っている「KEETS」。店内には、ペンケースや名刺入れ、バッグやランドセルなど、多彩な革製品が並びます。主に牛革を使っていますが、エゾシカの革を使った製品づくりにも取り組んできました。「やむを得ず捕獲・駆除された野生鳥獣の尊い命を、一頭でも、一部でも無駄にしたくない」という思いからです。代表の後藤晃さんは、「革って副産物なんです。革をとるために命をとっているのではなくて、人は肉を食べるために動物の命をいただいていますよね。そうしたら、皮が余ってしまう。この世に命のあった生きものですから、捨てるくらいなら、有効活用したい。やむを得ず駆除されたエゾシカやヒグマの命も、無駄にしたくない」と話します。

(モデルを構築し仕事に、ジビエ加工施設:福井)
美浜町の山あい、新庄地区にたたずむジビエ(野生鳥獣肉)加工施設「BON1029」。害獣駆除を請け負う町の「鳥獣被害対策実施隊」に任命された猟師の上尾(うわお)航司さん(46)が、駆除したシカやイノシシを加工し東京や大阪のフランス料理店や居酒屋に販売している。「頂いた命を無駄にすることなく、おいしく味わってもらいたい」と熱を込める。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、21日午後9時5分ごろ、富谷市杜乃橋2丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
松島町によると、21日午後3時45分ごろ、松島町桜渡戸蒲ケ沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、21日午後3時45分ごろ、栗原市鶯沢南郷柳沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、21日午後1時ごろ、仙台市青葉区台原森林公園にクマとみられる動物が出没しました。

(クマ出没:宮城)
登米市によると、21日午後1時30分ごろ、登米市石越町北郷九輪堂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
丸森町によると、21日午前11時30分ごろ、丸森町泉にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
丸森町によると、20日午後9時30分ごろ、丸森町耕野鍋堀にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、21日午前8時ごろ、栗原市鶯沢南郷四ツ岩にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、21日午前9時25分ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、21日午前9時25分ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
利府町によると、21日午前6時40分ごろ、利府町森郷名古曽にクマが出没しました。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、20日午後5時5分ごろ、登米市津山町横山上の山にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日夕方、富谷市明石上向田にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、20日午後4時50分ごろ、色麻町平沢新早坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午前7時ごろ、仙台市泉区館7丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午前6時40分ごろ、仙台市泉区西田中伊梨沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、20日午後4時40分ごろ、色麻町小栗山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午前6時30分ごろ、仙台市泉区西田中萱場中にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、19日午後4時40分ごろ、仙台市泉区住吉台東5丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、19日午後4時ごろ、仙台市太白区茂ケ崎3丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日午後1時45分ごろ、富谷市富谷熊谷上にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、20日午後3時ごろ、色麻町平沢新早坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、20日午前7時40分ごろ、仙台市青葉区高野原2丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、20日午前10時ごろ、栗原市築館上高森にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午後11時50分ごろ、栗原市若柳川南二又にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午前4時30分ごろ、仙台市青葉区芋沢平形にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午後4時37分ごろ、栗原市一迫荒町にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
松島町によると、19日午後2時40分ごろ、松島町幡谷八幡にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、19日午前10時45分ごろ、富谷市今泉寺前にクマが出没しました。

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10/19
(会津で3件のクマ被害相次ぐ:福島)
警察などによりますと、16日午前2時半ごろ、福島県喜多方市山都町で60代の男性がクマに襲われ、けがをしました。男性は、山都駅方面に向かって歩いていたところ、畑から突然出てきたクマに襲われたということです。通りかかった新聞配達員が、路上でうずくまっている男性を見つけ、近所に住む人が消防に通報しました。男性は病院に運ばれ、顔や手にけがをしていますが、意識はあるということです。喜多方市山都町では、9月以降、クマに人が襲われる被害が3件、犬が襲われる被害が1件ありました。また、県内では、16日午前5時半すぎ、昭和村で50代の男性がクマに襲われけが、会津若松市でも午前6時半前に40代の男性がクマに襲われけがをしていて、クマによる被害が相次いでいます。

(クマによる人身被害が相次ぐ、男女2人けが:秋田)
県内では、18日クマによる人身被害が相次ぎました。大仙市と仙北市で男女2人がクマに襲われけがをしました。警察などによりますと午前9時半ごろ、大仙市太田町国見で自宅敷地内の庭木の手入れをしていた73歳の女性がクマに襲われ、顔や頭にけがをしました。女性は隣の家に駆け込み、その後大仙市内の病院に搬送されました。意識があり会話ができる状態です。また、仙北市角館町下延では山林の中にある墓地を散歩していた40歳の男性がクマに襲われ、頭や腕、足などにケガをしました。消防によりますと、男性は「親子のクマに遭遇し親グマに襲われた」と話しているということです。男性は秋田市内の病院に搬送され、命に別状はないということです。県内ではクマによる人身被害が相次いでいて、今年に入って36人となりました。

(森林内でクマに襲われ男性1人が重傷:群馬)
18日午後1時半ごろ、群馬県みなかみ町羽場の森林内で、近くに住む会社員の男性(64)がクマに襲われた。県警沼田署と利根沼田広域消防本部によると、男性は頭や顔を引っかかれるなどの重傷を負い、高崎市内の病院に搬送された。同署などによると、男性は自宅西側の森林内に1人でキノコ採りに入り、成獣とみられるクマに襲われたという。男性の叫び声に気づいた妻が119番した。搬送時に意識はあったという。

(温泉施設で行方不明の男性の遺体発見か、クマは射殺:岩手)
16日、岩手県北上市の温泉施設で従業員が行方不明になり、警察や猟友会が17日朝、捜索を再開した結果、現場近くでクマ1頭が射殺され、身元不明の1人の遺体が見つかりました。16日から行方が分からなくなっているのは、温泉従業員笹﨑勝巳さん(60)です。現場の状況から笹﨑さんは露天風呂の清掃中クマに襲われ連れ去られたとみられていて、警察や猟友会は午前8時からおよそ40人体制で捜索を再開しました。和賀猟友会の会長によると、午前9時すぎ、瀬美温泉からおよそ100m離れた山の中でクマ1頭が射殺されました。その近くで遺体が見つかったということです。

(元プロレス団体社長が露天風呂でクマに襲われ死亡、近くの雑木林内で遺体を発見:岩手)
17日、笹崎勝己さん(60)が仕事中にクマに襲われて亡くなった。笹崎さんは1989年に全日本女子プロレスに入社し、その後同団体でレフェリーデビュー。全女解散後には様々な団体でレフェリーを行い、2015年にZERO1を運営する株式会社ファーストオンステージの副社長に就任。その後ZERO1の運営を継承した株式会社ドリームオンステージの社長に2018年に就任し、レフェリーを継続しながら団体運営を行っていた。2022年には第二児が誕生し、現在は岩手県の温泉旅館にて働きながら栃木プロレスやマリーゴールドなどにレフェリーとして出場していた。16日午前中に温泉旅館の露天風呂を清掃中であった笹崎さんが姿を消し、露天風呂の柵に続く血痕とクマとみられる毛が残されていたことから温泉旅館スタッフが通報。17日午前9時ごろに行方不明になっていた露天風呂の北西約50メートルの雑木林内で遺体が発見された。近くにいたツキノワグマは猟友会のメンバーにより駆除された。全日本女子プロレス時代から親交があるマリーゴールド代表のロッシー小川氏は「岩手県北上市の温泉施設で熊に襲われ行方不明だった笹崎勝巳の遺体が発見されたという痛ましいニュースが入ってきた。笹崎の最後のレフェリーはマリーゴールドのリングだった。全女の後輩であり寡黙だが仕事熱心であり、まだ幼い女の子が二人いる。新木場大会に来るはずが欠場となり、何の言葉も交わすことなく別れとなってしまった。こんな最期はありえないし残念無念としか言えない。ご冥福をお祈りします」と追悼した。名レフェリーとして業界を支えてくださった笹崎レフェリーの御冥福をお祈りいたします。

(クマに襲われたか、飼い犬が被害:岩手)
奥州市内で17日、クマが民家の敷地内に侵入したとみられる事案が相次いだ。胆沢小山の自営業男性(50)方では、飼い犬1匹が死んでいたのが見つかり、午前5時25分ごろ110番した。前脚や腹部に傷痕があり、周辺にクマとみられる足跡があった。江刺梁川の農家では午前7時ごろ、鶏小屋を囲む網が破られ、小屋がひっくり返された。近くにクマの足跡があった。

(安中市のクレー射撃場、2024年度の予算執行率は22.6%:群馬)
銃刀法上の安全基準を満たさないことから完成が遅れている安中総合射撃場(群馬県安中市中宿)内のクレー射撃施設を巡り、県は16日、2024年度に計上していた整備のための予算の執行率が約22.6%にとどまったと明かした。本年度中の設計完了を目指すが、開業時期は未定という。県自然環境課によると、24年度は整備費用として1550万円を計上していた。

(警察庁、クマ対応の研修会)
各地でクマによる人身被害が相次いでいることを受け、警察庁は16日、37都道府県警の地域部門幹部らを集めてクマの習性などを学ぶ研修会を東京都内で開いた。実例を踏まえて対応経験が少ない地域の警察と教訓を共有し、安全を確保する狙い。警察は自治体などと連携して住民の避難誘導や、クマに襲われた可能性がある行方不明者の捜索などに携わる。研修会では北海道警と秋田県警の担当者が過去の対応事例を紹介して注意点を示した。

(全国初の『緊急銃猟』、実際に発砲した男性が緊迫した状況を証言:宮城)
『緊急銃猟』で実際に発砲した仙台市の鳥獣被害対策実施隊の男性が、当時の緊迫した状況を証言しました。仙台市鳥獣被害対策実施隊の男性「朝の5時45分頃かな、クマにライト照らさせたら目が光った。一瞬を狙わないといけない、外したら大変なことになるという危機感というか責任感」。性は、15日午前6時頃 住宅から10数メートル先にクマが動かないでいたところを、狙いました。麻酔銃では仕留めるのは難しいとの判断だったと、言います。仙台市鳥獣被害対策実施隊の男性「麻酔は無理だと判断した。藪だし、吹き矢で射程距離は15mではきかないから(飛ばないから)。ただ外したら動かれたら大変なこと。外したら90%襲ってくる。(Q緊張感は?)それはあったよ」。男性は、けが人などがいなかったことに、胸をなでおろしていました。

(県内初クマ緊急銃猟、発砲なく解除:富山)
16日午前8時10分ごろ、富山市小杉の民家敷地内でクマを目撃したと住民から富山南署に通報があった。周辺では15日夜から目撃情報が多数寄せられており、富山市の藤井裕久市長は自治体判断で駆除が可能となる「緊急銃猟」を富山県内で初めて許可した。警察や猟友会、市職員が捜索したもののクマは見つからず、緊急銃猟体制は解除された。市は引き続き、住民に警戒を呼び掛けている。環境省によると、緊急銃猟体制の実施は、発砲による駆除が行われた15日の仙台市に続き、全国4例目。クマは成獣とみられ、目撃情報を受け、民家周辺では市有害鳥獣対策実施隊員らが警戒した。市は住民の命に関わる危険性が高いとして緊急銃猟の実施を決定。警察と連携して周辺の住宅を1軒1軒訪ね「クマが近くに潜んでいるので、不要不急の外出を控えてください」と自宅待機を要請するとともに、クマが目撃された民家周辺に規制線を張って通行を規制した。午前10時10分、職員から連絡を受けた藤井裕久市長が緊急銃猟の発砲を許可した。猟銃を携えた隊員らが民家を取り囲む茂みに分け入って調べたが、見つからなかった。既にクマが移動した可能性もあるとみて周辺も捜索したものの、姿はなかった。このため約40分後、緊急銃猟に伴う安全確保措置を解除し、周辺の規制を解いた。パトロールに切り替え、警戒を促した。近くに住む男性(85)は「最近は目撃情報が多く、戸締まりをしっかりするよう心掛けている。まだ捕まっていないと聞き、不安だ」と話し、別の男性(56)は「パトカーや警察官の姿もあり、物々しい様子だった」と不安そうに話した。近隣の富山南高では、下校時間を2時間20分前倒しし、車で迎えに来るよう保護者に連絡した。3年の男子生徒は「普段は自転車通学をしているが、クマに追いかけられたらと思うと怖い」と述べた。現場は富山市南部の住宅街で南側に北陸自動車道が走る。

(「緊急銃猟」マニュアル作成報告:北海道)
釧路総合振興局は15日、エゾシカ・ヒグマ対策連絡協議会を市生涯学習センターまなぼっと幣舞で開いた。今年9月に施行された「緊急銃猟」では、市街地に侵入したヒグマを市町村の判断で猟銃駆除できるようになり、厚岸町が同制度対応のマニュアルを作成したと報告した。

(市街地にクマ、そのとき自治体は)
クマに襲われる人が後を絶たない。対策の一つとして、市街地での発砲を可能にする「緊急銃猟」がスタートした。厳格な要件と迅速な対応のはざまで、現場には戸惑いも。クマ駆除の有効な「手段」となるのか。手探りが続く。庭にクマがいる――。山形県鶴岡市錦町の住宅から通報があったのは、9月20日の午前11時12分。JR鶴岡駅から約300メートルの市街地だ。クマは木の下で眠っていた。午後0時15分、警察官やハンター、市職員ら計約10人が集まって対応を協議。市の判断で発砲できる緊急銃猟の方針が決まった。同18分、市役所に控えていた市の担当部長が、皆川治市長に電話で連絡。2分後、市長の許可が現場に伝えられた。環境省によると、これが全国初の緊急銃猟の判断だったとみられる。そのときだ。クマが起き上がり、近づいてきた。ハンターに渡す決まりになっている腕章の準備をしている最中だった。

(襲い来るクマに“ピッケル一閃”、山中で遭遇した男性が語った“生死を分けた瞬間”)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度クマの被害により死亡した人は、15日時点で計7人となり、統計がある2006年度以降で過去最多を更新した。16日には、岩手・北上市和賀町にある温泉施設から「清掃従業員の姿が見えない」という内容の通報があり、警察が現場を調べたところ、露天風呂の入り口付近に血痕があるのを確認。現場の状況から、クマによる被害の可能性も浮上している。連日のようにクマ関連の報道が続くなか、ネット上では、山中でクマの襲撃を受けたという男性の投稿が話題に。男性はクマを撃退、幸いけがなどを負うことはなかったと報告している。投稿者の男性に、緊迫の一部始終を聞いた。今月11日、SNS上に投稿された写真には、ヘルメットやクマスプレーなど、クマ撃退直後の男性の所持品が生々しく収められている。今回、クマ撃退に役立ったのは「バイル」や「アイスアックス」と呼ばれる氷壁登攀(とうはん)用の道具。雪山登山に用いるピッケルから派生した道具で、凍った壁をよじ登れるよう、鋭くとがった先端部や「ハーケン」と呼ばれる金属製のくさびを打ち込むためのハンマーなどが備えられている。男性は一連の投稿で、「熊は崖に近い急斜面をものともせず、斜め上から猛スピードで突進してきました。熊スプレーを取り出す時間もなかったので、咄嗟にバイルを向けました。熊の顔面にカウンターであたり、そのままの勢いで崖に落ちてゆきました。急いでスプレーを取り出しストッパーを外して周囲を見渡すと小熊がいました」「落ちていった母グマを心配そうに、木に少し登ってみていました。小さいのが2匹、母熊と同じくらいのが一匹。大声で威嚇しながら母熊が戻る前に、滑落しないように注意しながら尾根を下りきった次第です」と当時の状況を説明。襲われたのは夜間だったといい、「グルルっと聞こえて、なんだ? と思いヘッデンを向けたら、こちらへ突進してくる熊 高輝度LEDの眩しさも崖も、ものともせず突進する気迫…恐怖です」と心境をつづっている。投稿は2000件を超えるリポスト、1.7万件の“いいね”が寄せられるなど話題に。「ご無事で良かったです」「今はどんな山も油断できませんね」「熊スプレーを買いに行ったら、欠品でした」「やはり長柄の武器は正義ですね」「こんな小さなもので…!」「トラウマでもう山登れなくなりそう」「想像しただけでも恐怖です」など、さまざまな反応が寄せられている。50代の会社員という投稿者。キノコ採りや鉱石採集が趣味で、休みの日はよく山に入っており、キノコ採り歴は25年になるという。今回襲われたのは本州に生息するツキノワグマで、「(北海道の)ヒグマだったら死んでました」と振り返る。「当日は松茸を取りに山に入っておりました。ただただリアルタイムの現象と心境を投稿しただけで、いわゆるバズるという現象になるとは全く思っていませんでした」。その後の対応については「松茸の場所は一子相伝。しかるべき時まで家族にも伝えません。ですので、体に被害がない以上、どこに届け出ることもありません」としつつ、「バイルに助けられました。山に入るということは、それなりの覚悟と準備(装備)が必要です」と話している。

(実った米、鹿に狙われ根こそぎ:兵庫)
「収穫前の田んぼに鹿が来て、稲が根こそぎ消えるほどの被害が出た。今までこんなことはなかった」。兵庫県太子町の男性から日本農業新聞「農家の特報班」に悲痛な声が寄せられた。一体どれほどの被害なのか。記者が現場に入ると異様な光景が広がっていた。男性に案内された田は山際にあった。頭を垂れた稲穂が揺れる中、20アールほどの田の半分近くの稲が根元から消えていて、土がむき出しになっていた。田に入ると、生臭い獣のような臭いが鼻を突いた。無数のくぼみを見つけると、男性は「鹿の足跡だよ」と説明した。周辺には男性自作の鹿よけの網が張られている。被害に気付いた日、雄鹿1頭が網に絡まっていたといい、男性は「かいくぐろうとしたのだろう」とみる。町に連絡し、鹿は回収してもらった。「ここ数年、稲穂を丸ごと食われるようになったが、根こそぎ稲がなくなるほどの被害はなかった」と男性。「これが続けば米作りは難しくなる。どうしてこんなことが起きるのか」と頭を抱える。記者は鹿の生態に詳しい静岡県立農林環境専門職大学の小林信一名誉教授に取材した。現場の写真を見てもらうと「株ごとないことから、稲穂を食べた後に網に絡まり、暴れて踏み荒らした可能性が考えられる」とした。「鹿は一説には1000種類以上の植物を食べるといい、もちろん稲も好んで食べる」と話す。戦後の木材が不足した際、杉やヒノキが植えられ、鹿が好むドングリがなる広葉樹が減ったことや、間伐されず下草が少なくなったことなどから「集落周辺に出てきて、田畑を餌場と認識する個体が増えている。人との距離が近くなっている」と指摘する。過疎高齢化で人の気配が少なくなり、耕作放棄地が広がる環境では、鹿などの野生動物が集落に出やすくなっていて、「全国どこでも発生する可能性がある」と小林氏はみている。

(「線路内に鹿侵入」で一時運転見合わせた新幹線が運転再開:北海道)
JRによりますと17日午前5時23分ごろ、北海道新幹線の湯の里知内信号場~木古内駅間で、JR貨物の貨物列車から「鹿が侵入している」と司令センターに連絡があったということです。貨物列車は鹿と衝突していませんが、安全確認を行っている影響で、始発より新青森~新函館北斗駅間っで運転を見合わせました。その後、運航に支障がないことが確認されたため、午前10時51分に運転を再開しました。この影響で北海道・東北新幹線は以下の列車に運休または区間運休が発生しています。

(クマの目撃が相次ぐ、警察が警戒を呼び掛け:宮城)
17日朝早く、仙台市太白区向山で2度にわたりクマが目撃され、警察が住民に注意を呼び掛けています。鈴木暁人記者「向山にある鹿落坂で、道路を横切るクマが目撃されました」。警察などによりますと17日午前4時50分ごろ、太白区向山1丁目の鹿落坂で新聞配達をしていた男性が道路を横切る体長約1.5メートルのクマを目撃しました。鈴木暁人記者「愛宕神社に続く参道でクマが目撃されたということです」。更に午前6時ごろには向山4丁目の愛宕神社の境内で、参拝者が鳥居付近から広瀬川方面に移動するクマを目撃しました。子グマとみられるということです。住民「びっくりしました。特にクマが餌が無いので大変だということは聞いていましたけども、身近に出てくると本当に遭わないようにしたいと思いますね」「どうしようもないよね。出くわしちゃったらね。この辺の住宅地には出ないことを願ってます」。

(屋敷林・カキの木、クマの「絶好の隠れ家」:富山)
富山県自然博物園ねいの里の野生鳥獣共生管理員、赤座久明氏は17日、富山市の大久保ふれあいセンターで講演した。16日に緊急銃猟が発令された同市南部でクマが潜んだとみられる民家について「周囲に屋敷林が生い茂り、敷地内にはカキの木があって絶好の隠れ家になった可能性がある」と指摘した。赤座氏は「集落で取り組むツキノワグマの被害対策」と題して講演。今年と同じくブナが凶作だった2023年秋は富山市で人身被害が6件あり、全て今回、緊急銃猟が発令された市南部で発生したと説明した。市南部を流れる常願寺川や熊野川の河川敷がクマの移動ルートとなり、平野部の屋敷林に身を隠しながら住宅街に侵入するとし「街に降りたクマは空腹で興奮し、山にいる時と比べ凶暴で危険だ」と語った。対策として、不要となったカキの木の伐採や屋敷林整備を挙げた。赤座氏は木の伐採について「一人暮らしの高齢者らが負担にならないよう補助金制度もある」とし「地域全体の課題としてアクションを起こしてほしい」と訴えた。講演会は富山南署の防犯セミナーの一環で開かれ、市南部地域の防犯協会長らが聴講した。

(ニホンジカの食害被害と共生がテーマ:神奈川)
箱根町内のシカの食害被害を説明し、共生の方法を探る特別展「シカと箱根の自然」が町立森のふれあい館(同町箱根)で開かれている。来年3月8日まで。同館によると、1970年代まで町内では見られなかったニホンジカが、80年ごろから出現し、近年急激に増加している。背景には狩猟者の減少、温暖化による降雪量の減少で、シカが一年を通じて餌を得られる環境になったことがあるとみられる。シカの増加により、箱根に自生する貴重な植物の減少や景観の荒廃、水源涵養機能の低下などが進行。土砂崩れのリスクも高まっているほか、交通事故や農林業への被害など、影響は広範囲に及んでいる。特別展では、こうした被害の実態を伝えるパネルや実物のシカの角などの展示をはじめ、シカの魅力にも触れられる内容となっている。

(「おかやまジビエフェア2025」:岡山)
岡山県は鳥獣被害防止の一環として、捕獲したシカやイノシシの利活用を推進するため、「おかやまジビエフェア2025」を開催します。 フェアに参加している20の飲食店でジビエメニューを注文し、店舗掲載のQRコードからアンケートに回答すると、抽選でプレゼントが当たります。期間は2025年11月1日~2026年2月15日です。県は、ジビエのおいしさを知ってもらうことで消費拡大を図り、駆除につなげていきたいとしています。

(うどんに新名物ジビエ:山梨)
山梨県内に22か所ある道の駅の魅力を探るプラっと道の駅。今回は道の駅 富士吉田で新たな名物グルメと富士山頂の体験をしてきました。県内でトップクラスの集客力を誇る道の駅富士吉田。去年7月にオープンした富士山ジビエセンターDEAR DEER。この場所でジビエの解体から加工まで行っているほか、ハンバーガーやホットドッグといった商品をテイクアウトできます。一番人気は鹿肉のハンバーガー。また土産用としてハムやソーセージなども販売されています。DEAR DEER 古屋明広センター長:「鹿肉やイノシシの肉がおいしいということをお年寄りから子どもまで普通に食べていただけることが一番なので、ぜひ一度来て食べていただきたいです」。

(「福島のジビエ広めたい」:福島)
東日本大震災に伴う原子力発電所事故から14年以上ジビエ(野生鳥獣肉)の出荷制限が続く福島県西会津町で17日、行政や商工会、猟友会などが連携した「ジビエ利活用検討会」の第1回検討会を開いた。

(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、19日午前6時50分ごろ、登米市中田町石森西細谷にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午後9時10分ごろ、栗原市高清水影の沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午前7時ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午前8時45分ごろ、栗原市一迫荒町にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午前11時35分ごろ、栗原市一迫川口火の沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午前9時10分ごろ、栗原市栗駒嶺崎風越にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、17日午後1時31分ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、17日午前11時50分ごろ、富谷市明石下寺前にクマが出没しました。

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10/17
(全国初の緊急銃猟、住宅街に出没したクマを猟銃で駆除:宮城)
仙台市太白区の住宅街に出没したクマを、15日朝に仙台市が全国で初めて緊急銃猟により駆除しました。14日午後4時ごろ、太白区鈎取の雑木林で「クマが顔を出している」と住民から警察に通報がありました。現場は、国道286号線近くの周りに山がない住宅密集地で、雑木林の中にクマは潜んでいました。仙台市は、住民に危険が及ぶ可能性があるとして、9月改正された鳥獣保護法に基づき市街地での緊急の猟銃使用を許可しました。夜明け後に川沿いの法面にいるクマを確認して15日午前6時前、安全を確保したうえで猟銃でクマを駆除しました。駆除されたクマは体長1.4メートルのオスの成獣で、雑木林のそばを流れる川を伝って迷い込んだとみられています。緊急銃猟によるクマの駆除は、全国で初めてです。今回、仙台市が行ったのは9月に始まった新たな制度、緊急銃猟に基づく判断です。緊急猟銃制度が始まる前は、市街地ではクマが襲いかかってきたなどの緊急時のみ、警察官の命令などで猟銃が使用されていましたが、この制度によりこう着状態の場合でも市町村長の判断で発砲が可能になりました。発砲には、4つの条件があります。1.クマが人の生活圏に侵入している2.人への危害を防ぐため緊急対応が必要3.発砲以外の方法では捕獲が困難4.住民に発砲による危険が及ばない。今回、1.と2.については「周囲が住宅街で危険回避が急務」と判断しました。3.については「追い払い」では住宅街に逃げ込む恐れがあり、わなも設置が難しいとされました。4.についても半径約100メートルで住民の立ち入りを制限し、流れ弾などによる危険が無いことが確認されたため、発砲が判断されたということです。

(露天風呂に血痕、クマの被害か:岩手)
またもクマに襲われたとみられています。10月16日午前、岩手県北上市和賀町の温泉旅館で、露天風呂を清掃していた60歳の男性従業員が行方不明となり、付近に血痕が見つかりました。警察がクマによる被害の可能性があるとみて捜索にあたっています。16日午前11時15分ごろ、北上市和賀町岩崎新田の瀬美温泉で、露天風呂を清掃していた男性の姿が見えず、付近に血痕があると、支配人が警察に通報しました。警察によると、清掃は従業員の笹崎勝巳さん(60)が1人で行っていましたが、露天風呂では清掃道具が散乱し、血痕は柵の外へと続いていたということです。また動物の毛も落ちていたことから、警察はクマに襲われた可能性が高いとみて、笹崎さんの捜索にあたっています。北上駅から車で約25分の瀬美温泉。露天風呂は建物の西側に位置し川に面しています。瀬美温泉は当面、営業を休止するということです。瀬美温泉から西に1.8kmの場所では、10月8日、キノコ採りに出かけてクマに襲われたとみられる男性の遺体が見つかっていて、警察は同一個体の可能性もあるとみて調べることにしています。瀬美温泉によると、この事案を受けて正午ごろから営業を停止していて、宿泊客は全員帰っているということです。

(シカに襲われ女性負傷、餌場主張の行為?:兵庫)
兵庫県丹波篠山市今田町でこのほど、70歳代の女性が、自宅の庭先に現れた子連れの雌のニホンジカに襲われ、ろっ骨にひびが入るなどのけがを負った。以前からシカがコメを食害していたため、追い払おうと接近したために起こった事故。草食性でおとなしいイメージのシカだが、県森林動物研究センターによると、女性への攻撃は、シカ同士の餌場争いの行動に似ているという。「この餌(コメ)は自分のものだ、と主張したいがために取った行為だった可能性がある」と推測。さらに、シカは現在、繁殖期。気が立ち、子を守るため警戒心も高まっていて危険という。不用意に近づいて、不測の事態にならないよう注意が必要だ。事案が発生したのは9月26日午後1時半ごろ。現場は山裾の一軒家の庭先で、目の前には収穫を控えた田んぼが広がっている。この辺りでは4年前からシカの群れがひんぱんに出没するようになった。人を恐れず、日中、目の前で悠々と草を食べる姿が日常的に見られるほか、人家の軒先で授乳する様子も確認されている。今夏は5頭からなるシカの群れが目撃されている。この秋、コメをひどく食害しているため、女性は庭先に現れた親子2頭のシカを追い払おうと近づいた。「いつもなら、あっさりと逃げていくのですが」。しかし、この日は違った―。4㍍ほど近づいたところで子ジカは逃げたが、母ジカは身じろぎせず、にらみつけてきた。身の危険を感じた女性は逃げようと、体を反転させ、駆け出したその瞬間、母ジカから左脇腹に頭突きをくらわされたという。女性はその弾みで、高さ1㍍ほどの土手から転げ落ちた。四つん這いになって逃げたが、母ジカがなおも迫ってきたため、とっさに地面にうずくまり、両手で後頭部付近を覆って体を守る姿勢を取った。母ジカはその上から何度も激しく踏みつけてきたという。女性の悲鳴を聞いた夫が家の中から飛び出し、「こらー」と大声を上げると逃げ去った。夫は運転免許証を返納していたため、女性は自力で車を運転して市内の病院へ。検査の結果、体の左側を中心に、頭部から太ももにかけて複数の打撲と、左側のろっ骨にひびが入っていたことが分かった。女性は「殺されるかと思った。まさか雌ジカが襲ってくるなんて」と振り返り、「食害に憤りを感じているが、それでもこれまではかわいいなあと思える一面もあった。でもいまはもう、ただただ怖い。この先、どうやって田畑から追い払ったらよいのやら」と表情を曇らせた。同センターは、「今田町は現在、シカの生息が拡大している先端地域。農業被害も増えている。昼間から人家周辺で見られるとなれば、相当シカになめられている状態。『ここに来ても何も食べられない』と認識させることが重要で、爆竹やロケット花火などで追い払い、合わせて電気柵や金網といった防護柵を設置していくことが対策の要になる」と話している。県によると、県内におけるシカの推定生息数は2023年度時点で約15万1000頭。それに対する同年度の捕獲数は4万3029頭(丹波篠山市1421頭、丹波市2564頭)。

(林道に親子とみられる2頭のクマ、散歩中の夫婦襲われ軽傷:群馬)
13日午前5時50分頃、群馬県みなかみ町下津の林道で、散歩中の夫婦がクマに襲われ、男性(76)は左手に、女性(69)は左腕と左脚にけがをした。2人は沼田市内の病院に搬送されたが、いずれも軽傷とみられ、命に別条はないという。県警沼田署によると、現場には親子とみられる2頭のクマがおり、いずれも捕獲されていない。現場はJR上越線後閑駅から南西に約1キロ離れた田畑に住宅が点在する地域。現場周辺ではクマに襲われる被害が相次いでおり、7日には南東約3キロのスーパーにクマ1頭が侵入し、買い物客2人が軽傷を負った。先月22日には、東に約1・5キロ離れた休耕地で男性が背後からクマに尻をひっかかれて軽傷を負った。

(7日連続のクマによる人身被害、40歳の男性がクマに襲われ腕などをけが:秋田)
10月12日の夕方、秋田県美郷町で農作業をしていた40歳の男性がクマに襲われ、けがをしました。県内のクマによる人身被害の発生は7日連続です。警察によりますと10月12日午後5時30分ごろ、美郷町浪花田ノ沢の農作業小屋で40歳の男性がコメの乾燥作業をしていて、外に出たところ2頭のクマと遭遇しました。1頭は立ち去ったものの、もう1頭のクマが襲いかかり、男性は頭や腕などを噛まれ、けがをしました。男性は自力で自宅まで戻り、大仙市内の病院に搬送されましたが、意識はあり会話もできる状態だということです。現場は「美郷町ラベンダー園」から南東に700メートルほど離れた、田んぼや畑が広がる地域で付近には住宅が点在しています。クマが去った方向は分かっておらず、周辺では警察がパトロールを続けています。県内のクマによる人身被害の発生は7日連続でこれまでに1人が死亡、31人がケガをしています。

(ドラム缶型のわなから飛び出したクマ、81歳男性の右腕かむ:岩手)
15日午前10時35分頃、岩手県雫石町御明神の山林で、わなにかかったクマを確認していた同町の農業男性(81)が、ドラム缶型のわな(全長約2メートル)から飛び出したクマに襲われ、右腕をかまれた。男性は病院に搬送されたが、命に別条はないという。県警盛岡西署や同町役場によると、男性らが鉄板の扉を持ち上げて、わなの中にいたクマの様子を確認しようとしたところ、クマが突然飛びかかってきた。体長1メートル以上の成獣とみられ、山林内に立ち去った。男性はわなを使ったクマの捕獲や個体の確認を担う町の「鳥獣被害対策実施隊員」として活動している。町内には町が民家に設置したわながあり、この日はわなにかかったクマの体長などを確認するため、3人の同僚と現場に出向いていた。

(クマか、散歩中の男性襲われけが:秋田)
秋田市手形で15日夜、散歩中の60代男性がクマとみられる動物に襲われ、救急搬送された。県警と市消防本部によると、男性は同市手形字大沢を散歩中、動物に顔や首をかまれ、市内の病院に搬送された。搬送時に意識はあり、会話は可能だった。現場は秋田大学野球場近くの住宅街の一角。

(64歳男性がクマに襲われた直後、業博物館敷地内にとどまるクマ:秋田)
64歳の男性がクマに襲われた直後の15日午後9時50分ごろ、秋田大学鉱業博物館敷地内にとどまるクマを撮影しました。秋田大学鉱業博物館は、秋田大学の手形キャンパスに隣接しています。男性を襲ったクマは体長約1メートルで、手形地区では16日朝までに、あわせて3頭のクマの目撃情報が相次いでいます。警察が住民に警戒を呼び掛けています。

(クマに襲われ70代男性骨折:岐阜)
12日午後4時半ごろ、岐阜県高山市上宝町吉野の山林付近で、同市上宝町の70代男性がクマに襲われた。市によると、男性は頭から出血し左腕を骨折しているが、会話はできる状態だという。男性が1人で栗拾いをしていたところを襲われ、現場にはクマの親子2頭がいた。周辺に住宅はなく、猟友会がパトロールを実施し、市は住民らに注意を呼びかけた。

(クマに襲われ72歳男性けが:岩手)
12日午後4時ごろ、盛岡市乙部の男性(72)が自宅敷地内の庭でクマに襲われた。頭を1カ所引っかかれ、矢巾町の県高度救命救急センターに搬送された。命に別条はない。盛岡東署によると、敷地内で幼獣とみられる2頭が目撃され、そのうちの1頭に襲われた。2頭はその後立ち去った。男性が自ら110番通報した。現場は乙部児童センターや都南東小から南西に約300メートルで、民家が点在している。

(クマによる人身被害、役場から北におよそ480メートルの地点:山形)
警察によりますと、13日の午前5時45分ごろ、飯豊町椿地内の一般住宅の敷地内で、住人が体長およそ1メートルのクマ1頭に襲われる人身被害が発生したということです。ケガの程度はまだわかっていません。場所は、飯豊町役場から北におよそ480メートルの地点だということです。警察は「まだクマが同所付近にとどまっている可能性があります。付近にお住まいの方や、付近を通行される方は十分にご注意ください」としたほか、「新たにクマを目撃するなどした場合は、自治体や警察に通報をお願いします」と呼びかけています。

(クマに背後から押され男性転倒:岩手)
12日午前5時50分ごろ、花巻市太田で、犬の散歩中の男性が背後からクマに押されて転倒した。男性にけがはない。花巻署によると、男性は突然後ろから押されて転倒。走り去るクマ1頭を目撃した。近隣住民が花巻署に通報した。

(ランニング中、クマに襲われ負傷:岩手)
13日午後8時ごろ、宮古市の津軽石川水門付近で、ランニングをしていた同市の会社員男性(23)がクマに襲われ負傷した。自力で帰宅し、家族が119番通報した。

(クマ犠牲者7人、最多更新)
2025年度のクマによる犠牲者数が7人となり、過去最多だった23年度の6人を上回ったことが15日、環境省への取材で分かった。岩手県北上市の山林で8日に遺体で見つかった男性が認定された。環境省などによると、男性は7日にキノコ採りに出かけて行方不明となった。引っかかれた傷があり、岩手県から司法解剖の結果、クマによる被害と認定したと環境省に報告があった。25年度のクマによる犠牲者は、北海道と岩手で各2人、宮城、秋田、長野で各1人。この他、10日には岩手県雫石町の林でキノコ採りに出かけていた男性の遺体が見つかり、傷などからクマに襲われた可能性がある。

(クマの有害駆除、既に千頭超える:秋田)
クマの市街地への大量出没を巡り、秋田県の鈴木健太知事は14日の記者会見で「県民の日常生活に支障を来しており、危機的な緊急事態だ」との認識を示した。現在進めている来年度当初予算編成の考えにも触れ「適正な頭数となるよう県として主導的に動く。(クマ対策では)当然予算規模も大きくなる」と述べた。

(中野4人殺害事件、34歳の被告に死刑判決:長野)
長野県中野市で2023年5月、住民や警察官計4人を殺害したとして、殺人罪などに問われた同市、農業青木政憲被告(34)の裁判員裁判で、長野地裁は14日、求刑通り死刑判決を言い渡した。弁護側が心神耗弱だったと主張し、争点は被告の刑事責任能力の程度だったが、坂田正史裁判長は「善悪を判断し、行動をコントロールする能力を保っていた」として完全責任能力を認定。「強固な殺意に基づく残虐極まりない犯行だ。死刑をもって臨む以外にない」と述べた。弁護側は閉廷後、控訴する方針を明らかにした。判決によると、青木被告は23年5月25日、自宅前を通りかかった市内の竹内靖子さん(当時70歳)と村上幸枝さん(同66歳)をナイフで殺害。駆けつけた中野署の池内卓夫警部(同61歳)と玉井良樹警視(同46歳)(ともに2階級特進)を猟銃やナイフで殺害した。判決では、女性2人から「ぼっち」(独りぼっち)と悪口を言われたと妄想を抱き、怒りを募らせたと指摘。警察官に射殺されると考え、猟銃を発砲したと認定した。弁護側は動機や犯行に統合失調症が影響しており、無期懲役が相当だと主張。これに対し、坂田裁判長は「妄想は殺害を思い立たせる内容ではなく、凶行は被告の意思・判断によるものだ」と結論づけた。

(詳細スケールでのエゾシカ捕獲の効果をはじめて解明:北海道大学)
エゾシカの生息密度条件によって個体数削減効果が異なることを解明。生息密度の高いエリアに重点的な捕獲対策を施すことによって全域の数の効率的な削減が可能。捕獲努力の配分が最適化され、効率的なエゾシカ対策に貢献できる。北海道大学大学院文学研究院の上野真由美准教授は、北海道立総合研究機構、森林総合研究所及び東京農工大学と共同で、捕獲の強化策によるエゾシカの減少効果が地域内で異なり、高密度エリアでその効果が高いことを明らかにしました。このことは、地域全体の個体数管理を効率的に進めるためには、捕獲努力の配分を最適化することが望ましいという結論を導きます。有蹄類の過剰増加を防ぐため、捕獲(狩猟や有害駆除など)による個体数管理は、世界各地で実施されてきましたが、捕獲対策の強化が個体群内の動態に及ぼす影響については定量的な知見が限られています。本研究では、北海道釧路地域における23 k㎡メッシュエリア単位ごとのニホンジカCervus nippon(以下、エゾシカ)の個体数を推定し、捕獲の効果を検証しました。1994年から2020年までの27年間に行われた捕獲強化策(狩猟規制緩和と許可捕獲に対する奨励金)によりエゾシカ個体数は2度減少しましたが、その減少幅は直近のピーク個体数の約14%にとどまりました。より小さな空間スケールに着目すると、密度が高いエリアほど捕獲率が高まる関係性が確認されました。これは、密度の高いエリアほど捕獲による個体数減少が生じやすいことを意味します。さらに、高密度エリア(>=50頭/k㎡)では一貫した減少傾向がみられた一方、中密度エリア(25~50頭/k㎡)では緩やかな増減が2回観察され、低密度エリア(<25頭/k㎡)では顕著な変動は確認されませんでした。したがって、捕獲による個体数削減効果は地域内部で一様ではなく、高密度エリアにおいてより顕著であることが明らかになりました。なお、本研究成果は、2025年7月22日(火)公開のJournal of Wildlife Management誌にオンライン掲載されました。

(温泉街にクマ出没、なぜ「緊急銃猟」は行われなかったか:福島)
13日夜、福島市の飯坂温泉にあるホテルの立体駐車場にクマが侵入し、市が捕獲を試みましたが、14日朝早く、クマは近くの川へ逃げました。共同浴場もあり、多くの人が利用するこの場所。人の日常生活圏で、銃の使用を特例的に可能にする「緊急銃猟」は、今回なぜ行われなかったのでしょうか。クマが発見されたのは、13日午後6時すぎ。飯坂温泉のホテルの道路を挟んで南側にある、5階建ての立体駐車場にクマがいるのを従業員が発見し、警察に通報しました。その後、警察などが周辺を囲い込み、クマが逃げないよう閉じ込めました。クマはその後、駐車場と隣の高齢者施設のベランダを行き来し、最終的には、北側の摺上川の方へ逃げていったということです。今回クマが出没した現場は、住宅や店舗が密集している場所ですが、今回なぜ「緊急銃猟」は行われなかったのでしょうか。「緊急銃猟」は、住宅密集地など「人の日常生活圏」での銃の使用を特例的に市町村長の判断で可能にする制度ですが、この緊急銃猟を行うには、4つの条件を全て満たす必要があります。(1)人の日常生活圏に侵入しているか、その恐れが大きい(2)緊急に対応が必要(3)猟銃以外に迅速に捕獲する方法がない(4)地域住民などに危害が及ぶ恐れがない。福島市によりますと、今回は、この条件のうち2つを全て満たしていなかったということです。特に、3つ目の「銃猟以外の方法では、的確かつ迅速な捕獲が困難であること」については、当時クマは動いていたため銃弾を的中させるのが難しく、むしろ、わなで捕獲したほうが良い状況だったということです。また、4つ目の条件「安全性の確保」については、今回クマが逃げ込んだ立体駐車場のような密閉された空間で銃を使うと弾丸が床を貫通したり、壁に当たって跳ね返ったりして、付近の住民や建物に被害を及ぼすリスクを排除しきれなかったということです。以上のことから、現場での銃の使用が難しく、結果的にクマは捕獲できませんでした。今回人身被害はありませんでしたが、日常生活圏でのクマの目撃は増えています。今後同じようなケースが発生した場合どう対応するのか、対策が求められます。

(銃猟規制緩和も「駆除のハードル下がっていない」、猟銃許可取り消しの判決も影響か)
市街地に出没したクマを駆除するため、自治体の判断で発砲できる「緊急銃猟制度」の実効性に疑問の声が上がっている。法改正によって9月に施行されたものの、いまだ発砲に至った例はない。「駆除のハードルが下がったとは感じない」。自治体が銃使用の安全性を確保したまま、制度実施を広げていくのは難しく、被害は止まらない。「撃ちやすくなったわけではない」。今年に入り30人以上が襲われている秋田県内の自治体関係者は現状をこう話す。以前は市街地での猟銃使用は原則禁止だった。危険が迫った場合に限って警察官が猟友会などに発砲を命じる仕組みだったが、緊急銃猟制度の導入で、迅速な対応が期待されるようになった。ただ、発砲が認められるのは、それ以外での捕獲が困難な場合に限られ、住民らに弾丸が当たる恐れがないなどの条件も必須だ。この関係者によると、銃が使えるのは高所から土の地面に撃ち下ろせる場合くらい。「街にはバックストップ(銃弾が止まる斜面など)は少なく、(銃弾が石などに当たって軌道が変わる)跳弾の恐れはなかなか排除できない。万が一の場合に賠償責任を負うのは自治体。市町村の負担が大きくなった」と明かす。群馬県沼田市では、スーパーの店内にクマが出没した。緊急銃猟制度に該当する状況のため、警察と市が連絡を取り合ったが、クマは店外に逃げ去った。状況が刻々と変化するなか、柔軟に対応できるかも疑問符が付く。北海道砂川市では平成30年、市の要請を受け、発砲したハンターが「弾丸が建物に届く恐れがあった」として道公安委員会から猟銃所持許可を取り消される事態になった。札幌高裁は跳弾の危険があったと認定。以降、市は箱わなで捕獲したクマ以外、発砲での駆除を行っていない。今年も10頭捕獲しているが、担当者は「跳弾は裁判の争点にもなっていて非常に慎重になるところだ」と話す。日本大危機管理学部の福田充教授は「クマからの安全と銃猟の危険性。これらは二律背反の関係ともいえ、それぞれがどこまで効果を求めるか、議論を深める必要がある」と話した。クマの目撃や捕獲は東京都内でも相次いでいる。8月には、奥多摩町で渓流釣りの50代男性が襲われて負傷しており、町では6年ぶりに人身被害が出た。都は目撃情報をインターネット上で公開し、遭遇した際の対処法などを発信している。都がネット上で運営するのは、クマの出没地点を地図上に示した「TOKYOくまっぷ」。それによると、10月以降、八王子市や檜原村などで6件の目撃情報があり、1頭が捕獲されている。都によると、多摩地域に生息するツキノワグマは約160頭と推定される。都は住民や登山客らに注意喚起を強める一方、住民に生ごみを外に置かないなど対策の徹底を要請。今年度からは、地域で人身被害を防ぐための講習や、人手不足が指摘されているハンターの育成にも乗り出した。東京農業大の山崎晃司教授(動物生態学)は「クマの行動範囲は広い。都内でGPS受信機をつけて放ったクマが長野や埼玉まで移動した例もある。都や県ごとに生息数をみるのではなく、広域管理にすべきだ」と指摘した。

(刺激与えれば冬でも活動の恐れ、市街地出没のリスク継続)
クマの被害は過去最悪のペースとなっている。これから冬眠に備えて本格的に栄養を蓄える季節を迎えるため、市街地での出没が今以上に増える可能性がある。刺激の多い人里では、冬場でもいつ目覚めてもおかしくはなく「アーバンベア(都会のクマ)」のリスクは長引きそうだ。環境省によると、4~9月にクマに襲われた人は108人。過去最多の219人となった令和5年度とほぼ同じペースで推移している。5年度の死者は年間6人だったが、今年度は9月までにすでに5人となった。NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」理事長の米田一彦氏によると、東北地方は11月下旬ごろまで、関東・中部地方などは12月ごろまで、冬眠前のクマが餌を求めて活発に活動するという。市街地で子連れの母グマが駆除されると子グマは放置され、そのまま民家の床下や公園の茂みで冬眠に入る可能性がある。市街地近くで冬を越した子グマは集落依存型となり、アーバンベアとして、その後も人里に戻ってくるようになる。山に比べて暖かい市街地では、冬眠が浅くなったり、人が越冬穴の近くを通って刺激したりして冬眠から目覚める可能性もある。米田氏は「目覚めたクマは寒くても活動を始めるので、冬だといって安心することはできない」と話した。

(改正鳥獣保護法施行で緊急猟銃が可能になるも安全性への懸念などから「要請があっても応じられない」:栃木)
9月に改正鳥獣保護法が施行され、クマなどが市街地に出没した際に、市町村の判断で猟銃の使用を認める「緊急銃猟」が可能になった。全国ではすでに実施例があるが、県内ではこれまで許可を市町が出した例はない。現場のハンターの間では「要請があっても応じられない」という声が根強く、今後の運用には課題が残る。県によると、県内では今年度に入ってから3件、クマによる人身被害が発生している。いずれも発生したのは那須塩原市内。同市は県内で最初に緊急銃猟が行われる可能性が最も高い自治体の一つと言える。市内には主に猟友会のメンバーが担う鳥獣被害対策実施隊が8班ある。同市ネイチャーポジティブ課によると、このうち三つの班の班長は「緊急銃猟には協力しない」と明言し、残る五つの班の班長も態度を明らかにしていないという。同課の担当者は「こちらとしてはどうしようもない状況。マニュアルや連絡体制づくりなど、できる準備を進めるしかない」と嘆く。ただ、ハンターたちにも言い分がある。同市内在住でハンター経験約40年の男性は、「これまでに比べて使い勝手が良くなったのは行政だけ。自分たちは何も守られていない」と訴える。住宅が立ち並ぶ市街地では、発砲した銃弾が壁や地面に当たって跳弾する危険も高いという。念頭にあるのは北海道砂川市の事例だ。2018年に同市の要請でヒグマを駆除した男性が、道公安委員会に猟銃所持の許可を取り消された。「北海道の事例は、ここのハンターにも相当影響を与えているだろう」と男性は語る。さらに、「万が一事故が起これば、銃を取り上げられたり、業務上過失致死など刑事罰に問われたりする。結局責任を負うのは猟師本人で、守ってくれる仕組みが明確でない以上、撃つことはできない」と話す。報酬にも不満があるという。那須塩原市ではクマを1頭駆除した場合、2万7500円が猟友会に支払われる。わなを仕掛けたときも数万円が支払われる。県内他市町と比較すると高水準だが、クマの出没情報を受けて、現地調査や追い払いに出向いても、日当2500円しか支払われないという。「一日が潰れてこの額では出るだけ損。結局はハンターの善意に頼ったボランティア事業ではないか」と憤る。ただ、地元のハンターたちはこれまでもクマの駆除にあたってきた。「自分たちが普段暮らす地元でクマが出れば、結局『自分が行くしかない』と思うのではないか」と複雑な胸中を打ち明けた。法改正を受け、県は先月末、那須町の旧大沢小学校で県内初となる緊急銃猟版のクマ対応訓練を行った。約60人が参加し、成獣のクマの出没を想定して警察や自治体、猟友会のハンターが連携を確認した。参加した県猟友会那須北支部の益子軍寿副支部長は「いつも通り、問題なく流れを確認できた」と訓練を評価。続けて、「住宅地では跳弾の方向など、より丁寧に確認しなければいけないだろう」と話した。

(北東北でイノシシ被害が過去最大、降雪減少で生息域北上)
野生イノシシによる農産物被害が、北東北(青森、秋田、岩手)で広がっている。全国では被害が縮小する一方、北東北では降雪量の減少に伴って野生イノシシの生息域が広がり、農産物被害額は過去最大規模になった。高齢化などによる狩猟者の減少も被害拡大に拍車をかけている。温暖化とともにイノシシの生息域は北上を続けてきた。岩手では10年度、秋田が16年度、青森が19年度にそれぞれ初めて被害が確認された。農水省によると、全国のイノシシによる農産物被害額は36億2669万円(2023年度)で、5年前に比べて11億円強(23%)減少した。一方、北東北の被害額は7709万円(同)で同じ期間で4・4倍に膨らんだ。イノシシの生態に詳しい岩手大学農学部の出口善隆教授は、降雪量の少なさを要因に上げる。気象庁によると、25年までの10年間で東北の降雪量が平年を上回った年は2年しかない。積もった雪も暖冬であまり残らなくなり、「北東北でもイノシシが生息しやすい状況になった」と話す。青森県の担当者は「特に太平洋側の雪が減っている。岩手県側からイノシシが北上し、青森で繁殖が進んでいる」と語る。狩猟者も減少している。青森県の23年度の狩猟免許所持件数は1888人。ピーク時の1981年度から5000人以上減った。高齢化で猟友会が解散した地域もある。秋田県でも23年度までの20年間で狩猟者登録数が1528人減少した。これまでイノシシが生息していなかったため、捕獲の知識や技術に精通している狩猟者が少ないことも課題だ。青森県は、狩猟者の技能向上を図るため、西日本での実地研修の受講に要する費用を補助する。県内JAも、職員によるわな猟免許の取得を目指すなど対策に乗り出している。

(野生イノシシの豚熱感染防止へ豚熱経口ワクチンの緊急散布:鹿児島)
野生のイノシシが豚熱に感染しているエリアが拡がっています。宮崎県は2回目となる経口ワクチンの緊急散布を15日と16日行っています。経口ワクチンの緊急散布は、野生のイノシシで今年4月から続く豚熱感染の拡大を防止するため、県が都城市と高原町の半径約10キロ内の51カ所で15日と16日行います。県がワクチン散布を済ませていた範囲外で、今年8月に野生のイノシシが2例確認された事に伴う対応で、9月に続き2回目の緊急散布となります。また県は、宮崎市と綾町まで範囲を広げ、1例目の確認以降初めてとなる経口ワクチンの定期散布も16日以降、2回実施します。

(進まない「緊急銃猟体制」、猟友会との調整難航:岐阜)
飛騨市と白川村に続き、高山市でもクマによる人身被害が発生した。9月1日の鳥獣保護管理法改正に伴い自治体の判断で銃の使用を認める「緊急銃猟制度」が新設され、各自治体で体制整備が進むが、市域の広い高山市では猟友会との調整が難航。今のところ住宅地で危険な事案は起こっていないものの、実際に運用できるかは不透明な状況だ。これまでは市街地に出没したクマへの発砲について、危険が迫った際に限って警察の指示で行うことが認められていた。新制度では、人的被害が想定される場合に「住民に危害を及ぼすおそれがない」「銃猟以外の捕獲が困難」などの条件を満たすと、市町村長の判断で予防的に銃を使うことができる。

(相次ぐクマの出没対策、農業高生が放置されたままのカキの実を収穫:宮城)
クマの人里への出没が相次ぐ中、宮城県加美町では農業高校の生徒がクマを引き寄せる要因とされている放置された柿の実を収穫しました。加美町では10月、13日までに29件のクマの目撃情報が寄せられています。13日には住宅の敷地に侵入し、庭でクルミの実を食べる親子グマの様子が撮影されました。人里にクマが現れる原因の1つが、住宅の庭などに植えられ放置された果樹の実とされています。14日、加美農業高校農業機械科の生徒9人と町の職員が、クマを寄せ付けないよう剪定ばさみを使って集落内の木になった柿の実を収穫していきました。地域と連携したクマやイノシシの対策を展開していて、14日に収穫した柿は加工して商品化するなど活用法を探るということです。加美町は今後も高校と連携した獣害対策を続けて、要望があれば各家庭の庭の木の伐採などにも対応したいということです。

(“クマハンター”育成強化へ、「狩猟のノウハウ」学ぶ講習会開催:東京)
全国各地で相次ぐ「クマ」による被害。課題となっているのは、クマの捕獲を担う「ハンター」のなり手不足です。こうした状況を打開するため、東京都がハンターの育成強化に乗り出しました。全国各地に出没するクマ。人間の生活圏でクマと出くわすことがめずらしくなくなりつつあります。こうした事態は東京都でも。今年7月の東京・日の出町。民家の隣に突然、クマが現れました。都内では今年に入り、クマの目撃情報などが129件寄せられていますが、この3か月では住宅地の近くで目撃されることも増えてきました。こうした事態に対応するため、国は法律を改正。クマが市街地に現れたときに一定の条件を満たせば、市町村の判断で猟銃が使用できるようになりましたが…。こちらは全国の狩猟免許所持者の数を表したグラフ。1975年度にはおよそ51.8万人だったのが、高齢化などの影響で2020年度には21.8万人ほどに減少しているのです。ハンターの育成が急務となるなか、きのう開催されたのが…東京都が主催する「初心者狩猟講習会」です。集まったのは、大学生を含む20代から50代までの男女19人。猟友会のハンターの動きを見学し、狩猟のノウハウを学びます。複数のグループに分かれて山に入ると…銃を構え、警戒するハンター。現場に緊張感が走るなか、次の瞬間。猟友会のガイド「シカ、シカ、シカ!こっち、こっち、こっち」。猟犬に追いかけられたシカが近くに出没しましたが、カメラも間に合わないほどの速さで駆け抜けていきました。今回は、猟友会のハンターが3頭のシカを捕獲しました。東京都は、クマの被害を減らすためにハンターの数を増やすとともに、人とクマがであわない環境をつくることが重要だと考えています。東京都環境局 上中章雄 課長「いかに(クマに)であわないような環境をつくるか、であった場合にどう防除対策を行うか。捕獲技術者がすぐに駆けつけられるような体制を今後、どう構築していくかが課題」。「クマとの共存」に向けて、自治体の模索は続きます。

(市街地に居座るクマ、「緊急銃猟」の実効性は)
市町村長の判断で、市街地で猟銃を使ってクマやイノシシを捕獲できる「緊急銃猟」が9月1日に始まって1カ月余り。人の生活圏で増える被害に対応するためにできた制度だが、安全性も問われるだけに自治体には戸惑いも広がる。有効な手立てになるのか、取り組みは始まったばかりだ。市街地にクマの出没が増えていることを踏まえ、鳥獣保護管理法を改正して導入された。県によると、県内では2023年度にクマの目撃件数が令和に入って最多となる709件に上った。今年度は8月末までで661件と、すでに23年度に迫る勢いだ。人的被害も10月7日までに9件11人となっている。従来、市街地に出没したクマに銃を使うことは原則禁じられ、緊急に危険が迫るときに限って警察官の指示で行えた。緊急銃猟の仕組みはクマが建物や人家に入り込んで居座ったり、農地や河川敷に長時間とどまったりするなどしてその後に人的被害が想定される場合に予防措置として市町村長の判断で行えるというもの。実施には「安全性の確保」や「銃猟でしか対応できない」など4条件を満たす必要がある。9日には福島市で、環境省と市、県、猟友会や警察、消防が参加した訓練があった。クマが河川敷に出没したと想定し、周辺に民家がないかを確認。150メートル離れた建物の上階に2人のハンターを配置し、うち下ろした際に銃弾がクマを貫通しても地面が受け止めることを確認した。現場の半径200メートルの立ち入りを規制して安全確保するなどの段取りを全て終え、市長が緊急銃猟を決定した。一発目で命中し死んだことを確認するなどして訓練を終えた。

(「日本は全世界でも緊迫した状況」クマ被害相次ぐ背景に“2つの不足”)
クマによる人身被害が、日本各地で止まりません。長年、クマと共生してきた北海道の世界遺産・知床でも、危険な事例が増え、「緊急声明」が出される見通しです。“異常”ともいえる状況の裏に、何があるのでしょうか。打開への糸口を求め、現場を取材しました。サタデーステーションが向かったのは、世界自然遺産の知床半島。車で移動中に遭遇したのは、体長1.5メートルはあろうかというヒグマです。私達の車を認識した後も、すぐに逃げ出すようなそぶりもなく、ゆっくりと藪の中に消えていきました。世界屈指の高密度でヒグマが生息し、人とクマとの共生を掲げてきた知床。しかし、8月、羅臼岳を下山中の男性がクマに襲われ死亡。世界自然遺産に登録された2005年以降、クマによる死亡事故は初めてです。登山道はいまだに閉鎖されたまま。全国でも死亡事故が相次ぎ、今年の死者数は過去最悪に。今週は、クマの習性が顕著に現れた被害も相次ぎました。7日に群馬県内のスーパーに侵入し、2人を負傷させたクマ。最初にあさっていたのは、店の外にあるゴミ箱だったといいます。ゴミに執着するクマは海外でも問題になっていて、中国のチベット自治区では、山奥に設けられたゴミ捨て場に連日、野生のクマが大量出没。クマを見るために多くの人が詰め掛ける事態まで起きていますが、クマ側は人間そっちのけでゴミをあさっていました。8日、秋田では、散歩中の女性にクマが飛びかかる瞬間が記録されていました。クマは顔をよく狙う、ということが改めて示された形です。取材班が向かったのは知床半島の沖合。ヒグマ観光ツアーも行われる場所で見つけたのは親子とみられる2頭のヒグマ。仲良く海岸沿いを歩いている母グマはエサを探している様子がありました。よく見てみてると、通常のクマと比べても、首回りが細く、肩のあたりもくぼんで見えました。専門家によると、痩せた個体であることがわかりました。他にも痩せたクマの目撃が相次いでいて、2年前にはガリガリに痩せ細ったクマも目撃されるほどでした。山岳ガイドの資格を持ち、知床周辺の川の調査を行う東京農業大の笠井氏と知床の川を見に行くと…東京農業大 笠井文考非常勤講師「カラフトマスは全然いないですね」。本来ならば、カラフトマスの群れで、川があふれかえるはずの場所にカメラを投入してみる水中を見てみると、川底をただよう小魚の先に数匹のサケとみられる姿が見られる程度でした。知床のヒグマは夏から秋にかけての時期、エサのすくない山ではなく、遡上するサケやマスを捕らえて命を繋いでいるのですが、頼みの綱の魚がいなくなっていたのです。特にカラフトマスの減少が顕著で、ここ数年は過去最低レベルが続いている状態です。東京農業大 笠井文考非常勤講師「下手すれば100分の1くらいしかいない」。専門家も言葉を失うほどの激減。その理由は、地球温暖化による環境の変化だといいます。環境の変化で、貴重な食料がより少なくなっている状況が明らかになりました。知床にほど近い標津町で、クマの捕獲・調査を行う南知床・ヒグマ情報センターの藤本さんとヒグマの好む食べ物として見せてくれたのは、町内に自生するヤマブドウとコクワ。南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖 主任研究員「結構成りが悪い。暑すぎて」。北海道は秋の木の実の調査結果を発表。ヤマブドウやコクワも例年並みか不作、ドングリにいたっては広範囲で凶作としています。今年は全国的に見てみても、木の実が不作で、生活圏へのクマ出没の要因になっています。同じ標津町内のトウモロコシ畑を見に行くと、畑には荒らされた跡が。南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖 主任研究員「これはクマの跡。クマが食べて倒していった」。デントコーンという飼料用のトウモロコシ畑にクマが侵入。食い荒らされていたのです。一旦クマが覚えてしまうと、どんどん入り込んでいくといいます。人間が作る栄養価の高い農作物によってクマの数が増えていると指摘する声もあります。今月3日。宮城県栗原市でキノコ狩り中に女性が襲われ死亡した事故では。一緒にいた男性がこれまで通りにならないことを悔やんでいます。一緒に入山していた男性「爆竹を3発鳴らして入った。普段なら爆竹鳴らせばみんな逃げるはず」。8月に羅臼岳で起きた死亡事故の現場でも、男性を襲ったヒグマは人を恐れないことで知られたクマだったとみられています。羅臼岳の山小屋の管理人「ここで青年が亡くなったと思ったら、いる間くらいは花を飾りたい」。羅臼岳登山口にある山小屋の管理人は、閉鎖中の登山口に一人残り、花を手向け続けていました。長年羅臼岳を間近で見てきた管理人は、事故が起こる前から変化を感じていました。羅臼岳の山小屋の管理人「クマ自体は“人なれ”してきていると思っている」。近年、知床半島では人の側からクマに近づいていく行為が問題となったことから、クマのエサやりや、過度の接近は法律で禁止されることに。管理人はその理由をこう見ていました。羅臼岳の山小屋の管理人「クマを撮るカメラマンがいっぱいいてクマを取り囲んで写真を撮る。そのことでなんとなく距離が近づいてしまって、逃げなくてもいいと思うクマが増えてきたのかなと」。外ではどんなクマ対策をしているのでしょうか?アメリカ北西部に位置し、3つの州にまたがる「イエローストーン国立公園」。世界自然遺産であり、人とクマとの共生を図っている点は、知床と同じです。50年続いている調査がありました。一部のクマを捕獲して、麻酔をした上で、GPS付きの首輪を装着。最大2年間、行動を追跡することで、生存率や繁殖状況だけではなく、人間との衝突が起きやすい場所や時期も把握できるといいます。さらに、ほとんどのキャンプ場に、「ベアボックス」と呼ばれる、食料をクマから守るための箱を設置。しかし、年間400万人以上の観光客が訪れるため、クマ被害を完全に防ぐことは難しいのが現状です。9月には、ハイキング中の男性がクマに襲われ重傷となり、4年ぶりの人身被害が出てしまいました。クマ対策をしたゴミ箱を何度も破壊するクマも現れ、5月に駆除されています。こうした中、日本で現在進んでいるのが、AIを使ったクマ対策です。石川県小松市では、設置したカメラ映像からAIがクマの出没を察知する、「Bアラート」と呼ばれるシステムを導入。富山市でも15台のカメラ映像をAIで解析。クマが出没したと判断した場合は、防災無線などで周辺住民へ即座に注意喚起を行うシステムを、10月からスタートさせています。一方で…日米のクマ対策に詳しい 野生動物保護管理事務所 大西勝博 主幹研究員「(日本は)全世界でみても非常に緊迫した状況ではないかなと思います。高齢化が進んでいる国なので、山に追い返すマンパワーが足りていない地域が非常に多いのが特徴。この直近5年10年で出没件数が非常に多くなって、人身被害も増えているのが日本の特徴」。アメリカで野生動物管理学の博士号を取得し、日本では複数の自治体でクマ対策に携わっている、大西さん。日米のクマ対策には、決定的な違いがあると言います。日米のクマ対策に詳しい 野生動物保護管理事務所 大西勝博 主幹研究員「日本とアメリカで一番大きい違いは、野生動物管理専門員の配備が足りていない、ここは非常に大きくて、アメリカの場合だと、(クマの)出没対応ができるような人材を長期にわたって育成して、州の各地域に配備している」。クマの生息、出没、被害状況などは地域によって異なるにもかかわらず、日本では長期間、同じ地域でクマ対策に携わる専門職員が少ないと指摘します。日本では、鳥獣行政に携わる職員が全国に3600人ほどいます。この職員たちは、9月から始まった、市町村の判断でクマに発砲できる制度、「緊急銃猟」にも携わるような人たちですが、公務員のため、数年で異動するケースが多いと言います。さらに、この中でも、クマの専門的な知識を持つ職員は、全国でわずか57人。クマの人身被害が出ている地域と照らし合わせてみると、クマ対策は必要なのに専門職員が1人もいない、という地域がいくつもあることがわかります。日米のクマ対策に詳しい 野生動物保護管理事務所 大西勝博 主幹研究員「人材は全然足りていない。ニューヨーク州だったりマサチューセッツ州は、クマの専門家だけで10人以上いる。ただ、(日本で)そういった方々が行政に配備となると、異動せずに長期で配備できるかというと、ハードルが高いのは事実なので、何か仕組みを作っていくしかないのではないか」。クマの対策に関しては、他にも課題がありそうですね。そうですね、兵庫県でクマの管理に携わる兵庫県立大学・横山真弓教授にお話をうかがいました。横山教授の現状認識としては、「特に北海道・東日本で激増している」ということで「山の中にクマがパンパンにいる状態で、ドングリなどのエサが凶作になって山からあふれ出ている状態」だといいます。また「東北地方では増加率20%、地域によってはもう少し高い場所もあるのではないか」ということで、「仮に増加率20%としても、今4000頭いる地域では1年でさらに800頭も増えてしまう」ということなんです。クマの数はますます増えていく一方ということですよね。そうなるとまた対策が必要になってきますが、横山教授によりますと、「個体数が少ない時というのは、人里に出てくるような問題個体だけを駆除することだけで済んでいたが、今は増えすぎていているので、人里に近い場所に生息するクマを捕殺して、個体数管理をする必要がある」ということなんです。ただ、課題もあるということで、横山教授は「捕殺数を増やすにも人手が足りていない」と指摘されています。個体数の管理に関しては、一部否定的な意見というのもあるわけですが、柳澤さんはどうご覧になってますか?クマを取り巻く自然環境の変化というのは、気候変動はありますけれども、人間の側にも責任がある部分あると思うんですよね。ですから、クマの生態を専門家の力も借りて的確に把握したうえで、クマの生息域と人間の生活圏をどう折り合わせるか、地域全体の問題として、クマ対策ということを考えていく、そういう時期にきてると思うんですよ。餌付けなど、人間が原因を作ったという面もありますから、“駆除か共存か”の二択だけではなくて、同じ土地を分け合って生きるための“地域ごとの知恵”というのが、いま求められているのかもしれません。

(「ヒグマとの共存は無理」銃なしハンターの葛藤:北海道)
ヒグマの出没が相次ぐ、北海道砂川市。現地の人間はどのような思いでクマと向き合っているのか、ABEMA的ニュースショーは北海道猟友会砂川支部長の池上治男氏を密着取材した。池上氏は銃を持っていない。2018年にクマ駆除のため警察官立ち合いのもと発砲し、1発で仕留めたものの「建物に向けて発砲した」とみなされ、没収されたまま。ハンターといえども丸腰状態で、常に危険と隣り合わせだ。そんな池上氏の捕獲方法は「箱わな」。えさはシカの脚とリンゴで、池上氏が撮影した映像では箱わなにかかったクマが唸り声をあげながら激しく暴れていた。「今年はヒグマの目撃情報、捕獲は多い?」と問いかけると「今年は異常。こんなことない。注意報どころではない、緊急事態。これだけいたら。」と明かした。車を運転しながら「これクマの足跡」と、道路上を横断する白い痕跡はクマの足跡だと説明。いつしか人間の生活圏はヒグマの生活圏にもなっている。池上氏は「絶対数が多すぎる。ヒグマの数が多いから、山の縄張りを押し出される。巨大な300キロ、400キロの本当に強いクマは山にいる」と説明した。北海道鳥獣保護員として活動する池上氏は、ヒグマの目撃情報が入れば現場に赴き、行政職員とともに実地調査を行っている。ヒグマが出たという情報がよせられ、場所は中学校だった。現場に赴くと、その中学校はコンビニの隣にあり、敷地にはシカの姿が。「ああいうシカをクマは追う。シカは共存している状態。ヒグマがあそこで何か食べていたら、人は襲われる。間違いない。ヒグマと共存というけど、それは言葉が独り歩きしてる。無理だ」と断言した。この日最後に訪れたのはリンゴ農園だった。関尾農園の関尾守人氏は「もうクマに振り回されて、みるみる(リンゴが)無くなってしまう」と被害を明かす。池上氏は、今朝のものであろうヒグマのフンや木に登る際についた爪の痕を指した。「もう箱わなには入らない。危険だとわかって。親子のヒグマがいま、農園に来ている」と語った池上氏は「電気柵が効果ない。下を潜ってくるから」と説明。関尾氏は「今年ぐらい痛みつけられたことは初めて」と嘆いた。10月11日あさ5時30分、日の出前の北海道は底冷えする寒さだが、池上氏は日課を欠かさない。まず目撃したのはシカの群れで「ヒグマはいないということ」と説明。クマを警戒するシカが自由に駆け回る、つまり「いまは安心」という印だという。しかし車を進めると、箱わなの中にはクマの姿が。おととい捕獲されたというヒグマはこちらの存在に気づくと威嚇行動を開始。推定5~6歳、体長約2メートル、体重200キロを優にこえるオスのヒグマだったが、池上氏は「まだまだ大きくなる。あんなのまだ小さいほう」と語った。このヒグマは殺処分が決まっているという。次の箱わなに向かおうとした池上氏だったが、リンゴ農園の関尾氏から「(ヒグマが)わなにかかっている」と連絡があり、予定を変更して農園に急行した。リンゴ農園に行くとクマの姿が。箱わなではなく小動物用のわなにかかっていたのは子どものヒグマで、池上氏は「車から降りられない、危ない。母グマが近くにいる」と警戒。園の外にいた関尾氏に「危ないよ!そばに母グマいるから。来たら襲われるよ!気をつけないとダメだよ」と警告した。箱わなにかかった場合、駆除に要する段取りを組む時間の余裕があるというが、今回は通常のわなのため、いつまでもそのままにしておくわけにもいかない。そこで池上氏は市の職員に電話で相談。どうすべきか指示を仰ぐことに。池上氏が「関尾さんはすぐ駆除してほしいって言っている。自治体と振興局の関係で、きちっと対応できれば問題ないと思う」と伝えると、振興局職員は「問題ないですよ。僕の責任で大丈夫です」と返答。市からの指示は「危険なのでいますぐ駆除してください」というものだった。「現場が困ってることを優先しなければならない。プライオリティーを十分考えてやらなきゃいけない。だけど法律に照らし合わせて適正に処理しないと。だから難しい」(池上氏)。「池上さんはヒグマが好き?」という質問には「そりゃそう。だから殺したくないよ」と胸中を吐露。池上氏はかつて1匹の子どものヒグマを保護。「砂助」と名付けられたヒグマは現在も旭山動物園で元気に暮らしている。動物園でクマを飼育すると、年間数百万円から1千万円ほどの費用がかかる。「ヒグマを殺したいという人は誰もいないと思う」(池上氏)。池上氏は「人間のコミュニティとヒグマのコミュニティが交錯することがないようにやるべき。人間の境界に何かあればいいとか、そんなことよりも山全体をどう捉えるかだ」と述べた。2025年の砂川市のヒグマ駆除件数は10件にのぼっている。

(栗拾い中に顔上げたら2m先にクマ2頭、テレビで見たポーズをとると:青森)
「クマは最初に顔を狙ってきた」。今月1日、青森県むつ市川内町の農道付近で栗拾いをしていた最中に子グマ2頭に遭遇し、けがを負った市内の男性(82)が、読売新聞の取材に体験を語った。「自分の経験が誰かの参考になれば」との思いからだ。冬眠前のクマが活発に活動するこの時期、山には極力入らないなどの注意が必要だ。午前10時20分頃、男性が農道付近の空き地に車を止め、地面に落ちた栗を探しながら近くを歩いていた時だった。ふと顔を上げると、体長約1メートルの子グマ2頭が2メートル先にいた。「あっ」と思った瞬間、1頭が立ち上がり、顔面に向けて正面から飛びかかってきた。「かなり大きく見えた。逃げる暇なんてないくらい速かった」。鼻をひっかかれ、とっさに体を右にひねってかわそうとすると、さらに左胸や首をひっかかれ、左腕にも爪が食い込んだ。「伏せるしかない」と、テレビや新聞で紹介されていた姿勢を思い出し、両手で頭を覆いながらうつぶせになった。背中もひっかかれたが、しばらくして「もう大丈夫だろう」とおそるおそる顔を上げると、攻撃してくる気配はやんでいた。興奮のためか、「痛みを感じなかった」という男性は、クマを避けるため夢中で茂みを迂回(うかい)して車に戻った。約1キロ・メートル運転してホテルに助けを求め、従業員に鏡を借りて見ると、「顔中血だらけで驚いた」。病院で受診した結果は幸い軽傷だった。体にひっかき傷は残るが、「クマに襲われて亡くなる人もいる。この程度のけがで済んで本当に幸運だった」。男性は10年ほど前から現場付近で栗拾いをしていたが、一度もクマに遭遇したことはなかった。「農道にも近いので、ここには出ないと思っていた」という。当面、現場には近づかないといい「本当にクマはどこに出るかわからない。油断大敵だ」と語った。今年はクマの出没が急増し、県内各地で人身被害も相次いでいる。県自然保護課によると、県内の今年の出没件数(9月28日時点)は前年同期比約2・7倍の1773件だ。人身被害は今月7日時点で前年同期から2倍の8件に上る。この季節、冬眠に向け、クマは餌を求めて行動範囲を広げており、遭遇した場合の対応として県は、慌てず静かにすることや、背中を見せて走ったり、大声を上げたりしないことを呼びかけている。至近距離で遭遇した場合はクマ撃退スプレーを使うか、両腕で頭を覆い、うつぶせになって大けがを避けるべきだという。

(クマに襲われた理容師の男性が、血まみれで抗った20分の死闘:秋田)
クマはどのように人に襲いかかるのか。襲撃から生きのびた人々の証言を集めた書籍『クマから逃げのびた人々』(三才ブックス)から、秋田県の山中でツキノワグマに遭遇した男性の事例を紹介する――。クマとの壮絶な死闘の末、生きて帰ってきた越中谷永一さん(当時31歳)は、しみじみと、「クマにとってみれば、自分の棲み処に勝手に入ってきた人間を快くは思わないでしょう」と言う。市街地の出没事例も増える近年のクマ事情に対しても、複雑な思いを抱いているという。秋田県秋田市内で理髪店を営む越中谷さんがクマと遭遇したのは、1992(平成4)年の10月7日のことだ。学生時代を東京で過ごし、そのまま都内や神奈川県で働いていたが、実家の理髪店を継ぐために故郷へと帰ってきていた。県庁所在地の秋田市だが、海側の市街地を除けば大部分は山地。越中谷さんも仕事の傍ら、山菜やキノコの採集、趣味の渓流釣りを楽しむために山に入ることが多かった。山に入るときの定番装飾は、動きやすさ重視の服装に、刃渡り20センチメートルほどのナタと山刀。ナタは木枝をなぐのに役立ち、山刀は山菜取りから魚の捌きまで多用途に重宝する。刃物2本セットで収納できる鞘は、越中谷さんの自作だ。もちろんクマ避けの鈴も忘れない。事件が起きた10月7日は、午前5時頃から秋田市最北部に位置する立石沢近辺に出掛けた。立石沢は、住所こそ秋田市だが、かなりの山奥だ。新城川を遡り、上新城白山の集落までで約20~30分。さらにその先、白山林道を経て畑の沢林道へ。いずれも未舗装の道を30分以上進み、ようやく北ノ沢と立石沢の分岐点までたどりつく。実は越中谷さんはこの立石沢周辺で、他の人には知られていない渓流釣りのポイントをもっている。立石沢と北ノ沢の合流点から東にしばらく上った右手に、藪に隠れた沢があるのだ。かつて越中谷さんが、彼の父親と見つけた、地図には載っていない沢だ。駒頭ノ森方面から流れてくるその沢は、イワナが潜むのにうってつけの甌穴(おうけつ)が多数あり、渓流釣りの解禁時期となれば、越中谷さんは頻繁に釣りに出かけていた。この日も、時期的に禁漁期間だったが、70代の叔父を連れ、その沢を見てみようと訪れたのである。林道を進み、立石沢と北ノ沢の合流地点に愛車パジェロを停め、沢沿いに歩くこと1時間半。“秘密の沢”は途中に滝が3つあり、アルミのはしごをかけて上る。その沢の両脇は切り立った岩場で、道中の大部分は見通しがよくない。越中谷さんはクマと遭遇しないようときどき、爆竹を鳴らしてゆっくりと進んでいた。高齢の叔父にはマイペースでついて来るよう伝えてあり、30メートルほど後方を歩いている。3つ目の滝を越え、見通しのいい地点までやって来た。そのときだ。50メートルほど前方の岩場に、何かがいる。その何かは岩の上を跳び、明らかに越中谷さんめがけて走ってきていた。「素早いので、最初にみたときはイヌかなと思ったんです。だけど、こんなところにイヌがいるわけがない。カモシカにしては色が黒い。と、黒い体の胸のところに、白いマークが見えるわけです」。白いマークとは、あの三日月形。クマだと分かった越中谷さんは、気づかず後ろから歩いてくる叔父に、叫んでクマの存在を伝えた。躊躇なく一直線に迫るクマへの対応を考えている暇はなかった。クマは見るからに、越中谷さんを襲撃しようとやる気満々で2~3メートル先まで近づいてくると、飛びかかってきたのだ。越中谷さんが咄嗟に繰り出した前蹴りが当たり、クマは尻餅をついた。だが一向に怯まない。体勢を立て直しながら越中谷さんの右腕に噛みつき、力任せに引き千切ろうと首を振った。噛まれたのは手首と肘の間。クマの凄まじい力では千切られるのは時間の問題だ。越中谷さんは無我夢中で左のパンチを見舞った。ちなみに、越中谷さんにはクマと遭遇時の対策心得はない。格闘技の経験ももっていない。ただ、趣味の一環でボクシングジムに入門した際に、そのパンチ力の強さから「いずれ拳を壊す」とトレーナーに言われ、商売道具のはさみが握れなくなっては困ると、辞めた経験がある。このとき、越中谷さんの妻は長女を身ごもっていた。生きるためには戦うしかない。降りぬいた左腕の拳が、クマの鼻にクリーンヒットしたのは運が良かった。鼻は見るからに異様な方向へと曲がり、大量の鼻血を流したクマは、噛んでいた腕を離した。ここから、越中谷さんとクマの命がけの戦いが始まる。「クマは立ち上がって、すごい量の鼻血を流しながら唸り声を上げるんです。私の腕からも出血があったと思いますが、確認する余裕はなかった。とにかくクマに近寄られないよう蹴る。近寄られるのは嫌でした」。だがクマの動きが速い。再び右腕をかまれ、またもや引き千切られそうになってしまった。何とかクマを引き離したい一心の越中谷さんは、自由な左手をクマの顔に伸ばす。指がかかったのが、クマの左目だった。なりふり構わず眼球をえぐるように親指を押し込んだ。親指がズンと目の奥に入る感覚があった。この攻撃が効果的で、左目はえぐれ、眼球が飛び出した。噛みつきから二度目の回避に成功したのだが、なおもクマは執拗に越中谷さんを襲ってくる。今度は、股関節のあたりに馬乗りになってきた。脚の爪が食い込んでいる状態だ。のしかかられた越中谷さんの脳裏に「横から爪がバシッとくるんだろうな」と次なる攻撃のイメージが浮かぶ。だがどんな攻撃かが明確な分、やるべきことも明確だった。クマの左前脚を、左腕でがっしりと掴んだのだ。両者の左腕がクマと越中谷さんの間で交差するようにつながる。「これでクマは右からしか攻撃ができない。どこから攻撃が来るのかだけは分かるようになった。クマパンチと言えばいいんでしょうかね。襲われたらだいたいソレで、顎や顔を裂かれるのでしょうけれど、来る方向が読めるから、案の定、一発目を右手で受け止められました」。その後、クマは越中谷さんの腕を振り払い、馬乗り状態からの前脚の一撃を見舞ってくるのだが、なんと越中谷さんはその攻撃を避けている。クマの鼻血がぽたぽたと落ちてくる中、奇跡的に致命傷を受けず、かすり傷程度でやり過ごしたのだ。しかし、このままクマに馬乗りになられたままでは、じり貧は見えている。越中谷さんはクマの脇の下に手を差し入れ、「えいっ」とひっくり返してマウントを取り返した。そして左手でクマの顎をつかんで動きを封じ、右のパンチを幾度となく見舞う。クマの左目は眼球がぶら下がっている状態で視力は失われているのか、右のパンチはことごとく命中した。クマは馬乗りを振りほどき、沢の脇の崖へと逃れた。これで逃げてくれる。越中谷さんはそう安堵しかけたそうだ。ところが立ち上がろうとしたその瞬間、予想外の展開が待っていた。クマは逃げたのではなく、なおも襲い掛かってきたのだ。今度は上から飛びかかるように。クマの右前足の爪が、額にめり込む。後に5針を縫うことになる額への一撃は、硬いブロックで殴られたようなとてつもなく重たい衝撃だった。さらに左前脚の爪が背中を襲う。だが幸いにも、背負っていたリュックとその中の水筒が防御壁となってくれた。「クマは、もうどうやっても逃げないと覚悟を決めました。やらないと、こっちがやられる」そこから先、越中谷さんは自らクマに戦いを挑んでいった。腰にはナタや山刀を携えていたが、それらを握ると手がふさがるため、素手での攻撃を選んだ。血だらけの肉弾戦。そのときの状況を越中谷さんは今でも臨場感たっぷりに述懐する。「お互いに殴り合うような戦いです。ときどき、ボクシングのクリンチみたいにがっつりと組む。お互い組み合っているときは相手の攻撃を停められるから、唯一、休める瞬間でした。私の顔の横にクマの顔がある。耳元にかかるシュッシュッシュッというクマの息遣いは今も忘れられない。どちらも息が上がっていて。ちらっと横を見れば、クマの左目がぷらぷらと垂れ下がっているわけです。お互いに、血まみれでした」。殴り合いと組合を繰り返すうちに、「自分が上になって殴らねばこの状況は打開できない」と悟る。何とかクマを倒してその上に乗ると、右肘をクマの喉元に押し当て、グッと力の限り圧迫した。幾度かその攻撃を続けているうちに、呼吸の自由を奪われたクマは泡を吹いて痙攣を始めた。この時点で越中谷さんは死闘の終わりが近いことを感じた。初めて、腰のナタを意識する。とどめはナタで――。だが、そのナタが鞘から抜かれることはなかった。苦闘するクマがばたつかせた脚の爪がリュックに引っかかり、越中谷さんの体勢が崩れたのだ。隙を突いて逃れたクマは、今度こそ背を向け、沢の脇の藪の方へと姿をくらましたのである。時間にして、およそ20分にも及ぶクマとの戦いだった。また戻ってくるかもしれないとの緊張感から、越中谷さんはナタを握って身構えたが、ついにクマが現れることはなかった。

(クマが逃げ出す「最強アイテム」 とは?“猟師歴40年のベテラン”が毎回10個持ち歩く)
高柳盛芳さんは、関東最後の秘境といわれる奥利根がホームグランドのクマ撃ち猟師。その経験は40年以上にもなる大ベテランで、体重190㎏の巨大グマを仕留めたこともあるスゴ腕だ。長年の経験をもとにした、クマと自然の付き合い方、実践に即した森での危険の回避方法をお聞きした。「俺たち猟師はさ、それこそ小枝一本踏まず、物音ひとつ立てずに山を歩くよ。それはつまり、クマと同じ歩き方なんさ」。猟師歴40年超の高柳盛芳さんは語る。クマは元々、臆病な生き物。だからこそ、クマを追う猟師はこちらの存在を悟られないよう、こっそり行動する。しかし、クマを狙って神経を研ぎ澄ませている猟師はともかく、クマの知識を持たない人間が登山などで彼らの生活圏に入る場合、適度にこちらの存在を知らせた方がいいという。「クマに遭いたくなければ、猟師と反対のことをすればいいわけだ」。一番避けたいのは、クマと鉢合わせすること。基本的に臆病な彼らを驚かせると、恐怖に駆られ、不安要素を排除しようと夢中になって攻撃してくる。子どもを連れている母グマはよけい過敏になっている。なので、クマの棲息域に立ち入るときは、クマがいることを前提に、畏れをもって行動してほしいという。となると、クマにこちらの存在を知らせる「クマ鈴」は必携なのだろうか。そう尋ねると、あんなもんはねえ方がマシだと笑う。「若え衆と一緒に山菜採りに行ったとき、1人が鈴を鳴らしていたから、外せと言ったのさ。それでも『怖ええ』なんて言うから、ようしわかったと、クマのいるところへ連れていったんだ」。季節は春。雪が残り、葉の茂らない時期だから見通しがよい。若者が鈴を鳴らすと、クマは逃げずにじっとしながら、周囲に視線を走らせ、こちらの存在にすぐに気づいた。「お互いの姿はよく見えるけど、距離があるから襲ってはこねえ。ただただ、鈴を鳴らすこちらの様子をじーっと見てるのさ。で、見てろよと、爆竹に火をつけて投げると、その音に驚いて、ガッサガッサと逃げていったよ」。クマ除けのための道具ならば、爆竹に勝るものはないと高柳さんは言う。春の山菜採りや秋のキノコ狩りなど、鉄砲を持たず入山するときは10個ほど用意し、ターボライター(編集部注/燃料に合成ガスを使用し、瞬間的に完全燃焼させてバーナーから炎を発生させるライター)と併せ持つ。見通しの悪いところなど、嫌な感じのするところでは、躊躇せずに爆竹を鳴らすという(編集部注/爆竹の使用の際には火災に気を付けること)。人間の1億倍の嗅覚を持つ犬よりもはるかに鼻が効くというクマは、こちらの存在を容易に察知するだろう。そのため、猟期に入ると、高柳さんは石けんや洗剤の類を使わない。私たちが山に入る場合、鉢合わせの可能性がある以上、鈴や笛も「こちらの存在を知らせる」という意味では有効なのかもしれない。とはいえ、手負いのクマや、人間を食べたことのあるクマがそばにいる場合、こちらの存在を知らせることは、致命的な状況に追い込まれかねない。そんな高柳さんも、鉄砲を持たずに至近距離でクマに出遭ったことが二度あるという。「一度は秋のマイタケ採りで、ミズナラの木に近づこうとしたんだよ。そのとき、沢で変な声がしたから、なんだべなあと覗いたら、親子グマがいたんだよ!」。高柳さんの姿を認めた母グマは、わっとこちらに駆け寄る。高柳さんは斜面を駆け登りながら、長い棒を探す。腰に愛用の剣鉈を下げていたが、そのことは頭になかったという。「そしたら、でっけえ岩があって、ぶつけてくれるべえと持ち上げて待っていたら、目の前まで来て止まり、威嚇するように立ち上がった。にらみ合っていると、沢から子どもの呼ぶ声がするんだ。野郎め、一瞬困ったような顔をした後、谷に下りていったんだよ」。それでも、しばらくは振り返り、ことあるごとに向かって来ようとする。そのたびに、沢にいた子グマが母を呼び、その声に導かれるように、クマは離れていったという。「もう一度は春の山菜採り。そのときは、クマ犬として仕込んだ賢い紀州犬と一緒だったんだけど、あれも怖かったよ」。雪の残る山でフキを刈っていたところ、うなり声が聞こえた。「やべえ、クマだと思ったら岩の上にいる。そうしたら、パルが『ウワワワワン』と吠えながら飛んできたんだよ」。愛犬はクマを追う猟犬として、幼いころからクマ肉を与えて育ててきた。高柳さんがクマを撃つことで、新鮮なクマ肉にありつける……愛犬はそんな期待に目を輝かせる。「だからやっこさん、クマの匂いを嗅ぐなり、猛烈に吠えながら、適度な距離を保ちつつおびき寄せ、こっちをチラチラ見ながら『早く撃て!』って言うんだよ。だけど、こっちには鉄砲がねーんだよ」。仕方がないので、大きな石をクマの足下に投げつける。すると、その音に驚いたクマは藪へと逃げた。「そうしたら、パルのやつが矢のように飛んでいって、またクマを連れて来て『早く撃て』って。あれは、ほんとにまいったよなぁ。それっきり、鉄砲を持たないときは犬は連れていかなかったよ」。

(クマが人を襲う時の「意外な初動」、遭遇したら「絶対にしてはいけないこと」)
列島各地でクマによる被害が相次いでいる。クマに突然遭遇した時、どうすればいいのか。猟師歴50年のベテランに、クマが人を襲う時の「意外な初動」と「生死を分ける行動」について教えてもらった。北海道紋別郡西興部村の山中の沢沿いで、エゾシカ猟のガイドをしていた中原慎一さんは、ハンターが急所を外して逃げた手負いのエゾシカを捜していた。初冬に入り、吐いた息が白くなる。うっすら積もった雪を踏みしめながら300メートルほど沢沿いを上ると、近くの上側の斜面を捜していたエゾシカが血を流しながら駆け抜けていった。そして、なんとその後を冬眠前のヒグマが追っていたのである。すると、中原さんの姿に気づいたヒグマはエゾシカを追うのをやめ、中原さんのほうへ歩みを転じた。逃げたら、獲物の後を追うヒグマの習性を刺激するだけ。たとえ逃げても、100メートルを6秒台の猛スピードで走るヒグマにすぐ追い付かれる。中原さんは、その場に立ち続けた。ベテランの猟師でもある中原さんだったが、その時は愛用のライフル銃を持ち合わせていない。とうとうヒグマの鼻息を聞き取れる距離になってしまった。「3メートルほどまで近づいてきて、『ああ、やられるな』と思いました。でも、手に獲物のエゾシカを運ぶためのロープを握っていたんですね。そのロープを『ビューン、ビューン』と音を立てながら回しました。するとヒグマの足がピタッと止まったんです。それから数秒ほど同じ状況が続いたあと、私から目をそらしたヒグマは後ろに向き直り、自分が来た道筋を戻っていきました」。現在74歳の中原さんは20代の時に、クマ撃ちの名人であった叔父さんに誘われ、猟銃の所持許可を取って猟師の仲間入りをした。すでに猟師歴は50年に及ぶ。生まれ育った西興部村は、総面積308.08平方キロメートルのうち森林が89%を占める。そうした大自然のなかで、昔から狩猟は村民にとって身近な存在であり続けてきた。翌朝、村の猟区の管理者も務める中原さんは、仲間の猟師10人と一緒にヒグマと遭遇した現場に戻り、そこに残されたヒグマと自分の足跡を見て、奇跡的に命拾いできたのだと実感した。そうした中原さんだからこそ、クマと遭遇した際のアドバイスには重みがある。「ヒグマでも、ツキノワグマでも、クマが近くにいることがわかったら、絶対に大声を出してはダメ。クマを刺激するだけだから。クマの姿が目に入って恐怖心にかられても、背を向けて走って逃げてはいけません。犬と同じように、クマは走る獲物を追いかけてきます。その場を動かず、クマを目でしっかりとらえましょう。そして、クマの様子を確認しつつ、ゆっくりと後ずさりしながらクマとの距離をあけていきます」。本来、クマは人間を恐れ、人間との距離をとりながら暮らしてきた。たまたま遭遇したクマは、自分の身を守ろうとしているだけなのかもしれない。であるならば、人間の側から余計な刺激を与え、攻撃本能を呼び起こすようなことは是が非でも避けたい。そして、中原さんのアドバイスのように距離をとっていくことで、クマの危機感を和らげて山中に戻ってもらうようにすることが、自らの生命を守る重要なポイントになる。クマと遭遇した時の窮余の策として、「木に登って難を避ける」という方法を勧める声があるようだ。しかし、その有効性について中原さんは否定的である。「体重が100キログラムに満たない若いヒグマは木登りがとても上手で、猫と同じようにするすると木を登ります。だから木の上は、逃げ場にはなりません。5メートルくらいの高さから、ヒグマが横っ飛びで木から下りてきたのを見たことがあります。ヒョウのような、ヒグマの俊敏な動きに驚くばかりでした」と中原さんは言う。また、「クマが人間を襲う時は、まず利き手の左手で攻撃する」という説が、一部の人たちの間でまことしやかにささやかれている。これについて中原さんは「わからない」と話す。動物学者はクマの利き手の存在を否定する。そうしたなか、興味深い調査資料がある。2021年に山梨県立中央病院が報告した「当院におけるクマ外傷9例の検討」がそれで、06年11月から19年10月までに同病院へ搬送されてきたクマ外傷患者9例を対象にしたものである。9例の全てで顔面の受傷が認められているが、そのうち3例で右側の眼、2例で左側の眼の受傷が確認されている。互いに向き合っていた場合、クマが左手で攻撃してきたら、人間は右目を襲われる。逆に右手で攻撃してきたら、左目を襲われることになる。つまり、クマは右手と左手を特段使い分けることなく、両方で攻撃してくることが、この調査資料からは読み取れるのだ。実は、「熊掌(ゆうしょう)」は中国で昔から貴重な珍味とされ、中国全土の珍味を集めた宮廷料理である「満漢全席」のメニューの一つとして、その煮込み料理が入っていた。また、中国戦国時代の儒教の思想家である孟子が著した「告子章句上」のなかには、魚料理も熊掌も好きで、両方を得られないのなら、魚料理を諦めて熊掌を選ぶとしたくだりがある。それほどまでに熊掌が珍重されてきた長い歴史のなかで、「クマは右手でハチミツをなめるので、甘みがしみこんだ右手のほうが美味しい」だとか、「クマは主に左手で敵と戦う。だから、引き締まった肉がついた左手のほうが高級品だ」といった俗説がまかり通るようになる。それらが日本にも伝わり、「クマの利き手は左」という説につながったものと推測される。もっとも「クマは覆い被さるように襲ってくる」と中原さんは指摘する。万が一そうやって襲われ、右手か左手か関係なくクマから一撃をくらったらひとたまりもない。そうした場合の対抗手段とされるのが、両腕や顔面や頭部を覆い、直ちにうつ伏せになり、重大な障害や致命的なダメージを最小限にとどめ、生きのびる確率を少しでも高めること。ツキノワグマの場合は、一撃を与えた後に逃走することが多いとされている。クマと遭遇した際に「死んだふり」をすることを勧める声もある。確かに、クマに対して人間の側から危害を加えないことを示す手段にはなるのかもしれない。しかし、それがクマに有効に伝わるかどうかは、時と場合によって大きく変わってくる。環境省がまとめた「クマ類に遭遇した際にとるべき行動」にも、この死んだふりは盛り込まれていない。近くにクマがいることに気づいたら、先に紹介した中原さんのアドバイスを真っ先に思い起こそう。

(クマに背後から襲われた女性 ”その瞬間”の出来事を記者に語る:山形)
けさ6時前、山形県飯豊町で女性がクマに襲われました。自分の家で、いつも通りの作業をしていて突然背後からクマに襲われた女性が、TUYの取材に答えました。キズが痛々しい背中。「命を失わなくてよかった」女性が最初に口にしました。全国的にクマによる人的被害が相次ぐ中、それは素直な、心からの言葉だったように感じました。きょう午前5時45分ごろ、飯豊町椿の住宅敷地内で、この家に住む83歳の女性がクマに襲われました。女性は牛の飼料を準備していたところ、近付いてきたクマに背後から覆いかぶさるように襲われたといいます。「ブルーシートをたくし上げていたら、左側から突然クマがきた」「クマだ、と思ったから身体を丸めた」そう言うと、当時したという姿勢を再現してくれました。「背中からガーッと押し付けられて、蹴られたようになって、そのあと後ろに尻もちをついた」「人がいたから、たまげた(びっくりした)ようだった」「顔をやられると大変だと思ったから、身をかがめた」。女性は右腕と背中を引っかかれましたが軽傷で、自ら家族に助けを求めたということです。クマは西に立ち去りました。あっという間の出来事でした。女性によると、近くの栗の木にここ数日クマが来ていた形跡があったということです。しかし「まさかウチに来るとは」と話しました。山形県内では各地でクマの出没が相次いでいて、警察や自治体がその都度注意を呼びかけています。9月に鳥獣保護管理法が改正され、市町村の判断でクマなどを駆除できる緊急銃猟制度も始まりましたが、日本各地で毎日のように人的被害が出ているにもかかわらず国や県がクマ出没に有効な対応策を出せないまま・・・。住民の不安は募ります。

(野生鳥獣(イノシシ、クマ)の被害防止対策について:茨城)
野生鳥獣による被害防止対策の中から、主にイノシシとクマについてお知らせします。イノシシは本来、臆病でおとなしい性質であり、普通は人に出会ってもイノシシの方から逃げるので慌てる必要はありません。しかし、興奮していたり、発情期(晩秋~冬)や分娩後で攻撃的になっていたり、至近距離で突然出会った場合には注意が必要です。令和5年度の県内のイノシシによる農作物被害は、約5千9百万円で被害全体の18.5%を占めています。被害の内訳は、水稲が最も多く、次いでいも類、野菜、果樹の被害となっています。また、被害は県北地域から県央地域の中山間地域と筑波山周辺の地域を中心に拡大しています。資料を参考に、被害防止に努めましょう。例年以上に、クマの出没や人身被害等が報道されています。当管内(日立市、高萩市、北茨城市)では、幸いにこれらの発生情報はありません。しかし、県内では今年の6月に大子町でツキノワグマの出没が確認されたり、複数の目撃情報が報告されたりしています。また、平成28年には、常陸太田市(旧里見地区)でクマによる養蜂場の被害や目撃情報がありました。農作業中などで、万が一の時に適切な対応がとれるように、農林水産省の資料をご覧いただき参考にしてください。

(キノコ採りの女性がクマに襲われ死亡、別の女性も行方不明に:宮城)
10月3日午後1時半ごろ、栗原市の栗駒山でキノコ狩りをしていた人から、「仲間の女性がクマに襲われた」と、警察に通報があった。キノコ狩りをしていたのは70代の4人グループで、このうち、志水春江さん(75)が血を流して倒れた状態で発見され、病院に搬送されたが、死亡が確認された。また、別の女性は現在も行方不明となっている。4人は別々に行動していて、2人はクマに襲われたとみられている。栗原市は通報を受けて、現場周辺に地元猟友会のメンバー3人を向かわせたが、女性を襲ったとみられるクマの発見には至っていない。関係者によると、亡くなった志水さんは、飲食店を営み、自ら採ったキノコを、店で提供していたという。志水さんを知る男性は、「志水さんを悪くかたる人はいない」という。男性自身もかつてはキノコ採りや山菜採りに現場付近を訪れたことがあり、山岳救助のボランティアにも参加したことがあるという。2人と一緒に、キノコ採りに来ていた男性は、対策を講じていたと話す。一緒に山に入った男性:いつも入っている山で、よく分かっている。爆竹3発、クマよけに鳴らした。かえって爆竹がクマを呼んだのか。警察などは、2次被害防止のため山の中には入らず、パトカーとドローンで女性の捜索を続けたが、手がかりは見つかっていない。また、ドローンの稼働も発生から1週間ほどで打ち切られ、パトカーによる定期的な巡回へと捜索態勢が変わった。栗原市の佐藤市長も、思うように捜索が進まない悔しさをにじませる。栗原市 佐藤智市長:非常に残念でならない。早く発見してあげたかったが、現場のやぶが非常に深い。人海戦術で捜索できれば一番いいが、なかなかそれもできない悔しさがある。そのうえで、今年は山に行楽へ行くことを自粛するように呼び掛けた。栗原市 佐藤智市長:キノコは毎年採れるが、命はひとつ。ここは我慢していただき、クマなどへの対策を講じてもらう他ない。事故の発生後、現場近くには箱わなが2基設置され、1週間で子グマ2頭が捕獲された。体長などから、2人を襲った個体とは別のクマとみられるため、わなの設置を継続している。ツキノワグマの生態に詳しい、東京農工大学の小池伸介教授によると、クマが冬眠に入る前のこの時期、最も活動が活発になるという。東京農工大学 小池伸介教授:この時期がクマにとって非常に大事な時期。冬眠中のクマは飲まず食わずで過ごす。冬眠は寒いからするわけではなく、食べるものがないからするもの。餌を求めて、秋は最も活動時間が長くなり、行動範囲も広がる。秋の時期のクマの主食はドングリ。山には数種類のドングリがあり、どれかのドングリが豊富になればいいというが、どのドングリもならないという巡り合わせの年もある宮城県は、クマの餌となるブナの実が”大凶作”と予測されることから、クマ出没警報を10月末まで延長した。今年は、ブナ以外のクマの餌の不作も重なっている可能性があるという。東京農工大学 小池伸介教授:通常はクマが行かないようなところまで、食べ物を探しに行動範囲を広げる。集落の近くに行ったとき、収穫していない柿や栗、民家の倉庫に置かれた漬物など、クマにとって魅力的なものがある。そういったものに誘引されて森から出る、目撃が増える、出没が増える。自治体などはクマに狙われるとして、柿の実などを回収するよう呼びかけているが、社会環境の変化で、難しい世帯があるのも実情だ。仙台市宮城野区の住宅では、樹齢50年を超える柿の木の剪定が行われた。剪定を依頼した宮本強さんが植えた柿の木。多い時では1年に1300個もの実が取れ、家族で食べたり、近所におすそ分けしたりしていたという。こうした依頼は、年配の人だけでなく、実家から離れて暮らす、比較的若い世代からも増えているという。クマから自分や周りの人たちを守るため、管理が難しければ、業者に依頼するのも講じられる対策のひとつだ。アウトドア用品店では、クマ対策グッズの需要が高まっている。モンベル仙台店 甚野清英店長:クマの目撃例や被害が増えている影響で、対策グッズの売り上げも伸びている。店にある対策グッズは、最大12メートル先まで届く「クマ撃退スプレー」や、車のクラクションよりも大きな音を出してクマが近寄るのを防ぐ「ベアホーン」など。なかでも撃退スプレーは、10月の紅葉シーズンを前に、入荷からわずか数日で売り切れたという。モンベル仙台店 甚野清英店長:一番はクマに遭わないこと。対策品として、人間が登山していることをクマに分かってもらうためには、音を鳴らすことが重要。万が一出くわしてしまった場合、クマも驚いて向かってくる可能性があるため、そいうったときにクマ撃退スプレーで追い払うという備えが必要。対策グッズのレンタルも行っているが、10月の予約はほとんど埋まっているという。9月から始まった「緊急銃猟」制度は、市街地に出没したクマに対し、これまでは警察の判断で許可されていた「発砲」を、一定の条件を満たした上で、市町村長の判断で可能とするものだ。この緊急銃猟制度について、仙台市太白区では10月15日、住宅街に出没したクマがクルミの木に登るなど、約13時間にわたってその場にとどまったため、特に危険な状態だと市が判断。全国で初めて、緊急銃猟制度にもとづいてクマが駆除された。山形県の鶴岡市と米沢市でも2件、許可が出されたケースがあった。小池教授はこのような制度改定について、捕獲に時間を要する箱わなの設置よりも、被害拡大を防ぐために有効だとする一方で、各市町村の態勢を見直す必要があると指摘する。東北農工大学 小池伸介教授:専門知識を持った専門的な職員を配置する。かつ、市町村、行政で捕獲に従事する人を雇用していくようなことをしていかなければ。猟友会も高齢化が進んでくる。長期的には人材をどうやって育成して配置していくかということを考えていかないと、市街地出没には対応できない。これ以上、クマによる人的被害を増やさないために。抜本的な対策を急ぐ必要がある。

(「エゾシカ対策に力を」、新計画策定で意見交換:北海道)
釧路、根室流域における国有林の森林管理計画策定に向け、林野庁北海道森林管理局根釧西部森林管理署と同東部森林管理署による地元意見交換会が14日、釧路キャッスルホテルで開かれた。

(急増するマダニ感染、全国的にリスク高める3つの理由:静岡)
静岡県内で、マダニが媒介する感染症「日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)」の患者が新たに3人確認された。これで今年の県内感染者は23人となり、過去最多を更新した。全国的にも感染のリスクが高まっている。日本紅斑熱は、マダニが保有する「日本紅斑熱リケッチア」という病原体に感染することで発症する。人から人には感染しないが、高熱や発疹を伴って重症化すると死亡する例もある。潜伏期間は2~8日とされ、発熱やだるさ、食欲不振、発疹などの症状が出た場合は早めに医療機関を受診することが重要だ。抗生物質が有効とされており、早期治療で回復が見込める。静岡県内で今回新たに確認されたのは、熱海保健所管内の70代女性、中部保健所管内の80代男性、そして氏名・年齢など非公表の1人と計3人。発症前に草取り作業など屋外で活動しており、マダニに咬まれたことが原因とみられる。70代女性は退院して快方に向かっており、80代男性も入院中だが症状は回復傾向という。県内では2020年以降、毎年感染者が確認されている。今年の感染者は死者1人を含む23人に上り、これまで最多だった昨年の14人を大きく上回っている。全国の感染者も今年は506人で、昨年の523人に迫る勢いで増えている。マダニは春から秋にかけて活動が活発になり、山や草むら、畑などに潜んでいる。県は「耳を覆う帽子や長袖、長ズボン、靴下を着用し、肌の露出を避ける」「裾をズボンや靴下の中に入れる」などの予防策を推奨している。マダニ用の忌避剤を使っても、完全には防げないため、複数の対策を組み合わせることが望ましい。感染者の拡大には、主に3つの原因が挙げられている。1つ目はアウトドアや畑仕事など、屋外での活動が増えたことにある。マダニは山や公園、草むらや畑など自然が豊かな場所に潜んでいる。2つ目はクマやシカなどの野生動物だ。里山がなくなり人間の生活エリアに野生動物が現れ、マダニを運んできているという。3つ目はペット。犬や猫にマダニが付着して家庭内に持ち込まれるケースがあるため、駆除剤の使用や体調観察が大切だ。県は、体調不良のペットに顔や傷口などをなめられた際は動物病院を受診するよう求めている。マダニによる感染症は誰にでも起こり得る。県は「秋の行楽シーズンを安全に楽しむためにも、野外活動後は必ず全身を確認して体調変化に注意してほしい」と呼びかけている。

(クマ初確認で被害防止プラン、自治体の判断で銃使用へ:福島)
いわき市で今夏に初めてツキノワグマが画像で確認されたことを受け、市は被害防止プランをまとめた。自治体の判断で市街地に出没したクマを駆除できる「緊急銃猟」の態勢を構築、来年1月にも訓練を行う。クマを市街地に近づけさせないための対策の徹底も市民に呼びかけていく。同市川前地区でのクマの目撃をはじめ、本年度の同市でのクマの目撃情報は9月末現在、15件に上る。過去最多だった2023年度に並んでいるという。同市ではクマの定着の可能性は低いとされるが、近隣から餌を求めて往来する可能性はある。このため、クマによる被害の未然防止を図る目的でプランを策定した。被害防止に向け、やぶの刈り払いやごみを放置しないことなどを呼びかける。市が公表している目撃マップの活用や山などに入る際には音が出るものを携行することなども求めている。被害防止プランは市のホームページで確認できる。

(クマ"緊急銃猟"想定した訓練:福島)
緊急銃猟制度の利用を想定した訓練が相馬市で実施された。10月3日に相馬市で実施された訓練は「クマが民家に侵入し家の中に居座っている」状況を仮定。現場での猟銃の使用を市から許可されたという想定で実施された。9月から始まった「緊急銃猟制度」は、人の日常生活圏にクマやイノシシが出没した際に安全確保などの条件のもとで自治体が許可することで猟銃が使用できる。訓練では、警察や市、猟友会などが、住民の安全確認の方法や対応の手順などを確認した。相馬市の伊東充幸産業部長は「様々な連携と連絡とそれから意思疎通、そういったものが揃わないとなかなか難しいということを感じられたということが一番の成果だった」と話した。クマが少ないと言われてきた相馬市だが、2025年度のクマの目撃件数がすでに前の1年間の数を超え、警戒が強まっている。

(「緊急銃猟」想定した訓練、自治体や猟友会など必要な手続き確認:秋田)
9月から、市街地にクマが出没した場合に自治体の判断で猟銃を使用できる緊急銃猟の実施が可能になりました。これを受けて15日、秋田県大仙市で市街地にクマが現れた場合を想定した訓練が行われました。9月に施行された改正鳥獣保護管理法では、人の生活圏にクマが現れた場合、市町村の判断でハンターが猟銃を使用できる緊急銃猟が可能になりました。これを受けて、大仙市で15日、緊急銃猟の実施を想定した訓練が初めて行われ、市の職員や猟友会など約40人が参加しました。訓練は、クマが物置小屋に侵入し、とどまり続けている想定で行われました。緊急銃猟の実施には、クマなどの危険な鳥獣による被害の防止措置を素早く取る必要があるか、銃の使用によって人に危害が及ぶ恐れがないかなど、複数の条件を満たす必要があります。大仙市農林整備課・佐々木直樹課長:「マニュアルはあるが、実際に訓練をしてみるといろいろな手続きがあり、30分以上確認をした。今後、市街地にクマが出た場合の実務につながるように、課題として検討していきたい」。参加者はチェックリストを一つ一つ見ながら、銃を使用する際の対応方法を確認していました。

(各地でクマ被害が相次ぐなか「緊急銃猟」の訓練:三重)
各地でクマが人を襲う被害が相次ぐ中、自治体の判断で銃による狩猟が可能になる「緊急銃猟」の円滑な実施に向けた訓練が、三重県松阪市で行われました。訓練は三重県松阪庁舎で行われ、松阪市の職員ら26人が参加しました。「緊急銃猟」は市街地などにクマが出没した際、安全確保などの条件を満たした上で、自治体の判断で銃による狩猟が可能になる制度で、9月から始まりました。訓練の前には「緊急銃猟」を実施する際の留意点が説明されました。その後、市内の河川敷や、多気町にある商業リゾート施設にクマが出没したことを想定した訓練が行われました。「緊急銃猟」を実施する際の役割分担を確認したほか、クマへの発砲をシミュレーションしました。

(「住宅地にクマ」で訓練、緊急銃猟の手順確認:島根)
 市街地にクマが出没した際に自治体判断で銃猟を可能とする「緊急銃猟」について、環境省は16日、島根県益田市で行政担当者らを対象に研修会を開いた。同省担当者が制度を説明。

(緊急銃猟マニュアル作成、市長が権限委任し現場職員が発砲指示へ:福井)
全国でも相次ぐクマによる人身被害。勝山市は、市街地にクマが出没した際に自治体の判断で銃を使って駆除する「緊急銃猟」の対応マニュアルをまとめました。昨夜。勝山市内の住宅の玄関先をうろつく黒い影。その正体は…、クマです。2分ほど庭や畑のまわりをうろつき、山の方へと姿を消しました。山際にあるこの住宅には、70代の女性が1人で暮らしていて、離れて住む女性の娘が遠隔で防犯カメラの映像に気づいたそうです。全国各地でクマが出没し人身被害も相次ぐ中、市街地にクマが出没した際に自治体の判断で駆除できる「緊急銃猟」の制度が9月からスタートしました。こうした中、勝山市は県内の自治体に先駆けて、緊急銃猟のマニュアルをまとめました。それによりますと、市長が権限を委任した職員が現場周辺の住民避難や道路の通行規制などの安全確認をした上で、発砲の指示を出します。その際には、銃を使用する猟友会のメンバーにビブスを渡し、最後にとどめを刺す「止め刺し」までを想定して、発砲場所を決めることにしています。これに対し、まちなかでの発砲の可能性がある猟友会のメンバーからは不安の声も聞かれました。県猟友会勝山支部 上弥吉支部長「山でクマやイノシシが歩いているのを撃つよりも、何十倍という神経を使う。跳弾によって、人がけがをしたり死んだりしたら、そんなことを考えたらできるだけ撃ちたくない」。なお、県内の他の自治体ではまだマニュアルができておらず、ハンターの確保なども課題となっています。

(緊急銃猟、対応追いつかず:石川)
全国各地でクマ出没が続き、住民らの死亡、負傷が相次ぐ。市街地などにクマが出没し人に危険が迫った場合に迅速な対応ができるよう、自治体判断でハンターが駆除できる「緊急銃猟」制度が9月から始まった。しかし、国のガイドライン公表から2カ月足らずの開始。マニュアル(手順書)を作成したのは石川県で5市町、富山県で3市にとどまるなど自治体側の対応が追いついていない。市街地での出没はいつあってもおかしくなく、早期の態勢整備が課題だ。

(安全狩猟射撃全国大会で快挙の県勢狩猟者が知事に報告:新潟)
クマやシカといった野生鳥獣の狩猟者が射撃の腕を競う全国大会で、新潟県勢が快挙です。県勢として初めての団体優勝に加え、個人部門でも優勝・準優勝となり、15日、知事に快挙を報告しました。花角知事を表敬訪問したのは、安全狩猟射撃全国大会で団体優勝した、大関光男さん(阿賀町)、江口里江子(上越市)さん、澤野崇さん(十日町市)の3人のメンバーです。大会は、全国各地の狩猟者が出場して9月に岩手県で開催。クレー射撃のように射出された円盤を撃って得点を競うもので、3人は合計156点を取り、2位(東京・148点)に大差をつけて優勝しました。県勢の団体優勝は初めてということです。さらに、大関さんは61歳以上のBクラスで優勝、江口さんは女性の部であるCクラスで準優勝に輝きました。前日に会場入りして練習したという大関さんは「好天に恵まれて実力を十分に発揮できた。今回は確実に優勝できるなという自信があった」と話しました。江口さんは、9年前に東京から移住して林業に従事しています。江口さんは「林業を通して鳥獣被害を見てきた。射撃を通して銃の腕前を磨いて、準優勝できて光栄」と話しました。花角知事は「『緊急銃猟』が始まり、確実な射撃ができる技量を持ったハンターが必要。今回の成績は県の猟友会のレベルがいかに高いかということの証。県民も心強く思っていると思う」と活躍をたたえました。懇談では、県内でも出没が相次ぐクマに関する話題も…。これについて、新潟県猟友会の池田富夫会長は「今年は異常。クマが増え、人慣れしたクマが多い。猟友会では “新世代クマ”と言っている。人里の近くで生まれて育ったので体格が大きい。100キロクラス」と実情を訴えました。新潟県内のクマの出没件数は2025年度、9月末までで1232件と過去最多となっています。澤野さんは「猟友会のメンバーの高齢化が進んでいて、世代交代をしていかなければいけない。団体優勝をきっかけに仲間が増えて、今後の有害鳥獣駆除に尽力できるメンバーが増えたらいい」と話し、全国的にも懸念されているハンター不足の解消に期待を寄せていました。

(改正銃刀法で規制、電磁石銃を14丁回収)
今年3月から改正銃刀法で規制されることになった電磁石銃について、8月末までの回収期間に国内で計14丁が回収されていたことが、警察庁への取材でわかった。多くは手作りだったといい、同庁は「所持すれば違法になるので注意してほしい」と呼びかけている。電磁石銃は磁力によって金属製の弾を発射するもので、一定の威力があるものについて、改正銃刀法で所持が禁じられた。海外のサイトで販売されていたり、インターネット上で作り方が掲載されていたりしていることが、規制の背景にある。同庁によると、14丁は東京や大阪など7都道府県警で回収された。ネット上の情報をもとに手作りされたもののほか、海外のサイトで購入されたものもあった。これまでに不法所持での摘発はないが、同法に違反すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。銃をめぐっては、ネット上で販売されるなどしていた「おもちゃ」の拳銃が、同法で規制される拳銃と同程度の発射能力があることが判明し、警察が回収を進めている。確認された17種類は8月末までに計約4400丁回収されたという。

(猟友会、キジ20羽放鳥:三重)
菰野町猟友会は14日、町役場そばを流れる三滝川の河川敷でキジ20羽を放鳥した。県猟友会は毎年、生息数を増やそうと放鳥を続けており、今年も菰野など県内10カ所で計200羽を放つという。岐阜県山県市で育てられたオス、メス各10羽が段ボール箱5箱に入れられて河川敷に到着。町猟友会の役員6人が順番に蓋を外した。

(殺傷能力ある玩具銃所持容疑で書類送検のリサイクルショップ店長を不起訴:愛知)
名古屋地検は14日、殺傷能力があると認定された玩具銃を所持したとして、銃刀法違反(所持)の疑いで書類送検された名古屋市内のリサイクルショップの男性店長(49)を不起訴とした。6日付。理由は明らかにしていない。捜査関係者などによると、玩具銃はプラスチック製で、改造すれば実弾を発射する能力があると愛知県警の鑑定で確認された。県警が店にあった52丁を押収し、店長を書類送検していた。

(実弾装てんなら殺傷能力ある玩具銃所持で書類送検の男性、不起訴処分に:静岡)
実弾を込めれば殺傷能力のあるおもちゃの拳銃を自宅で所持したとして書類送検されていた静岡・藤枝市の54歳の男性について、静岡地検は16日付で不起訴処分としました。藤枝市に住む男性(54)は、6月、自宅で殺傷能力のあるおもちゃの拳銃1丁を所持した疑いで、9月19日に書類送検されていました。この男性について、静岡地検は16日付で不起訴処分としました。理由については、「諸般の事情を鑑み不起訴にした」とコメントしています。男性は逮捕当時「持ってはいけない拳銃だとは思ったが、プラスチック製だから大丈夫だろうと思っていた」と容疑を認めていました。

(野生イノシシが陽性、県内では114例目:佐賀)
野生イノシシの豚熱(CSF)について、佐賀県は14日、基山町で初めて確認されたと発表した。県によると6日、同町小倉で、地元住民が死んでいる野生イノシシ1頭を発見。10日に陽性が確認された。県内のCSFは、昨年6月に唐津市で初めて確認され、今回で114例目となった。

(クマ2頭を捕獲、栗拾いの男性が襲われた現場近く:岐阜)
高山市上宝町吉野で12日夕に70代男性がクマの親子2頭に遭遇、襲われて大けがを負った人身事故で、市は14日、現場付近に設置したわなで成獣のクマ1頭と子グマ1頭を捕獲したことを明らかにした。同日開いた熊被害対策本部会議で報告した。男性を襲った親子のクマかどうかは不明。会議では相次ぐクマ出没に対して市の対応を確認した。市によると、捕獲した成獣のクマは雌で体長約1メートル30センチ、子グマは雌で体長約60センチ。

(ミニトマト"600個"も食い荒らされる:北海道)
北海道夕張市で10月12日昼ごろ、農業用ハウス内で無数のクマの足跡とフンが発見され、栽培されていたミニトマトが食い荒らされているのが見つかりました。クマの痕跡と食害が見つかったのは夕張市沼ノ沢付近の農業用ハウスです。12日午後1時ごろ、この場所を借りて農業をしている30代の男性が無数のクマの足跡とフンを見つけ、約2時間後に「ビニールが破られ、中にフンと足跡がある」と110番通報しました。警察とハンターが駆けつけたところ、ハウス内で育てていた販売予定のミニトマト約600個が食い荒らされているのが確認されました。被害額は5万円ほどだということです。警察によりますと、足跡の幅は12センチほど。ハンターは、2歳ぐらいの若いクマの仕業とみています。警察が警戒を強めるとともに、付近の住民に注意を呼びかけています。

(ツキノワグマがくくりわなにかかる:徳島)
12日午前9時半ごろ、美馬市木屋平川上の山林で、有害鳥獣のイノシシとシカを駆除するための「くくりわな」に、雌のツキノワグマがかかっているのを、地元猟友会の会員が見つけた。徳島県が県外の専門業者に依頼し、約9時間後に眠らせた状態で近くの山林に放った。県によると、剣山山系のツキノワグマは個体数が限られており、県内でわなにかかった事例は初めてとみられる。県や市によると、ツキノワグマは体長約60センチ、体重約30キロ。発見時、左前足がわなにかかり、斜面で身動きができなくなっていた。

(建物の壁がはがされる被害、中にはミツバチの巣:福島)
会津美里町で建物の壁がはがされる被害がありました。熊によるものとみられています。熊によるものと思われる物的被害があったのは会津美里町八木沢字福泉寺地内にある建物です。13日午前2時16分に110番通報がありました。建物の木製の板張りの壁がはがされていて、中にはミツバチの巣があったということで、熊が襲ったとみられています。警察が周辺の住民などに警戒を呼びかけています。

(イネを食べるクマの姿をカメラが捉えた、目撃はここ2週間で1,600件超:秋田)
県内では連日クマの目撃が相次いでいます。特に今月は急増していて身近な場所に迫りくるクマの脅威を感じる人も多いのではないでしょうか。秋田放送のカメラは、秋田市河辺の田んぼでイネを食べるクマの姿を捉えました。クマの姿を捉えたのは秋田市河辺の田んぼです。カメラからクマまでの距離は約150メートル。クマは時折こちらの様子を伺いつつも、その場にとどまり続けました。車に乗った取材班が約20メートルの場所まで近づいても、こちらの存在に気付かないほど警戒心が薄い子グマ。県のツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」によりますと、県内では今年、約5,500件のクマの目撃情報が寄せられていています。特に今月に入ってから急増していてここ2週間で1,600件を超えています。県自然保護課は「人の生活圏にあるクリやカキそれにコメやソバなどの農地に多くのクマが引き寄せられている」「例年以上に親子グマが集まっている場所があるのでより一層の注意を」と呼びかけています。

(クマが温泉街の建物から建物へ:福島)
温泉街に現れたのは1頭のクマ。建物から建物へと移動するクマが目撃されたのは、福島市の飯坂温泉の中心部。13日午後6時過ぎ、「駐車場の奥の方にクマがいるのを従業員が見つけた」との110番通報がありました。隣の施設にいたとみられるクマは、ホテルの立体駐車場へと飛び移ると壁から滑り落ちそうになりますが踏みとどまり、駐車場の隙間からひょいと顔をのぞかせたかと思うと壁沿いを器用に歩き回り、再び隣の建物へと飛び移りました。クマはその後、地上に降りると温泉街を歩き回り約10時間後、近くの川へと逃げていったということです。現場周辺は多くの宿泊施設などが密集する繁華街ですが、けが人はいませんでした。冬眠前のこの時期、餌を求めて徘徊する秋のクマが各地に出没しています。13日午前3時ごろ、宮城・加美町では、静まり返った闇夜に響く不気味な音。住宅の裏庭に現れたのは、体長約1.5メートルのクマ。クマは殻ごとガリガリと音を立ててクルミを食べ続け、そばには子グマの姿もありました。住人によりますと、裏庭のベンチの上にクルミの実を置き、リスが来るかもしれないと定点カメラを設置。しかし、映っていたのはまさかのクマでした。さらに北海道・遠軽町では、帰省中の女性が母親とのドライブ中に2頭のクマに遭遇。秋田市でも3連休初日の11日土曜日、医療センターの入り口めがけて突進するクマの姿が。群馬・みなかみ町では13日、散歩中の70代夫と60代妻の夫婦が2頭のクマに襲われ、けがをしました。この秋、各地で人との遭遇が相次ぐクマ。その要因として専門家は、2025年は冬眠前に食べるブナの木の実が大凶作で、クマの餌不足が続いているとしています。岩手大学 農学部・山内貴義准教授:2年前の(ブナの実が)凶作の時に親子熊が大量に里にやってきた。人里の近くに行けばおいしいものがあると学習してしまい、今焦ってクマは餌を探しているところ。クマと遭遇し、人身事故が起きる可能性は非常に高くなると危惧している。

(民家の敷地内にクマ、住民が爆竹を鳴らし追い払う:長野)
15日夕方、飯田市上郷黒田でクマが出没しました。飯田市では10月に入り目撃情報が少なくとも15件寄せられていて、市が注意を呼び掛けています。15日午後5時前、飯田市上郷黒田の野底山森林公園近くの民家敷地内で、住民から「クマが庭に出たので、爆竹を鳴らして追い払った」と通報がありました。クマは体長1メートルほどと見られています。上郷黒田周辺では今月6日からきのうまでに、少なくとも15件の目撃情報が寄せられています。市では警察の許可がなくても自治体の判断で発砲を認める「緊急銃猟」で駆除することを視野に警戒を続けています。

(突然イノシシが…緊急走行中の救急車と衝突:福島)
15日午後7時半ごろ、喜多方市山都町小舟寺字二ノ坂山乙の県道で、緊急走行中の喜多方消防署山都分署の救急車がイノシシと衝突した。乗っていた救急隊員3人にけがはなかった。傷病者は乗せていなかった。その後の救急活動に影響はなかった。喜多方署によると、救急車は右側から道路を横切るイノシシと衝突したという。

(「鶏小屋のアヒルいなくなった」3羽は消え1羽の死骸:宮城)
宮城県内では9~10日にクマの目撃情報が相次ぎ、家畜や車への被害も出た。10日午前10時頃、仙台市泉区根白石の女性から「鶏小屋で飼っていたアヒルがいなくなった」と区に連絡があった。泉署によると、4羽が飼育されていた民家敷地内の鶏小屋が壊され、1羽の死骸が残されていた。周辺の目撃情報や足跡からクマによる被害とみられる。9日午後8時40分頃には、宮城県大和町宮床の国道を走行していた軽乗用車が道路脇から飛び出してきたクマ1頭(体長約1メートル)と衝突した。大和署によると、車を運転していた30歳代男性にけがはなかったが、左前部のバンパーが壊れた。クマは森に逃げていったという。

(クマが民家に侵入「コメを食べていた」:宮城)
警察によると12日午前0時頃、仙台市泉区福岡にある民家の納屋に体長約1メートルのクマが侵入し、冷蔵庫に保管していた米を食べていたということ。住民が物音に気がつき照明を照らしたところ立ち去ったという。11日は泉区南中山の聖和学園短期大学付近の路上や、富谷市の民家敷地内の畑など、県内でクマの目撃が相次いでいて、警察は注意を呼びかけている。

(回送列車がシカと接触:岡山)
けさ(12日)午前5時40分ごろ、岡山県備前市日生町寒河のJR赤穂線・日生~寒河間で、日生発(5:41)播州赤穂行き(5:54着)の上り回送列車(6両編成)の運転士から「線路内でシカと思われる動物と接触し、行き過ぎて停車した」と指令所に連絡がありました。運転士が確認したところ、シカが線路内にいて、運転に支障があることが判明したことから、JR赤穂線は播州赤穂~日生間で始発から上り・下りともに運転を見合わせました。その後、シカの撤去が完了したため、午前7時52分に運転を再開しています。JR赤穂線は播州赤穂~日生間、西大寺~岡山間で6本の列車を運休、また3本の列車に最大約70分の遅れが出て、約600人に影響が出ています。

(「わなにかかった子グマから離れない親グマ」、親グマを駆除:宮城)
宮城県色麻町の雑木林で、15日夕方から子グマがわなにかかり親グマが近くにいる状況が続いていましたが、警察によりますと、16日午前8時40分ごろ地元猟友会が親グマを駆除したということです。子グマも駆除する方針ということです。

(国道で救急車がシカと衝突:長野)
15日夕方、長野県南牧村の国道で救急車が現場に向かっている途中で、シカに衝突する事故がありました。このため、現場への到着が18分遅れましたが、患者への影響はありませんでした。佐久広域消防本部によりますと、15日午後4時ごろ、南牧村海尻の国道141号線で、現場に向かっていた南部消防署の救急車がシカと衝突する事故がありました。現場へは別の救急車が向かい、到着が18分遅れましたが、患者への影響はなかったということです。救急隊員にけがはありませんでした。この事故で救急車のフロント部分が大破したということです。

(サンライズ出雲、シカと接触:岡山)
15日午前6時10分ごろ、岡山県赤磐市のJR山陽線熊山-万富駅間で、東京発出雲市駅行きのサンライズ出雲がシカと接触し停車した。乗客乗員にけが人はいなかった。安全を確認し、約2時間20分後に運転を再開した。JR西日本中国統括本部によると、6本が運休し、伯備線7本を含む23本が最大2時間20分遅れ、計約8500人に影響した。

(温泉街に出没した子グマ・体長50センチ、麻酔銃使えずライフル発砲し駆除:山形)
15日朝、天童市の温泉街などで子グマとみられるクマ1頭の目撃が相次いだ。その後、警察などが市内の山元地区に追い込み、午後2時ごろ猟友会がライフルを使って駆除した。15日午前8時40分ごろ。天童温泉街のホテルの従業員が、駐車場で子グマ1頭を目撃。その後も倉津川周辺で同じ子グマとみられる目撃が相次いだ。午後、警察と市職員が山元地区の倉津川沿いの茂みにクマを追い込んだ。全国初の緊急銃猟を行うのか、市の判断が注目されたが現場を見た新関市長は…。(天童市・新関茂市長)「難しい。緊急銃猟の場合、さまざまな実施条件があるので、『それを満たしていない』というのが今の担当の判断。麻酔の方、有害鳥獣捕獲の適用でやりたいということで対応している」。緊急銃猟の判断には、「緊急性がある」「住民に弾丸が当たるおそれがない」など4つの条件を満たす必要があるが、今回のクマが子グマとみられることから、市は「緊急性がそこまで高くはない」と判断した。緊急銃猟ではなく、麻酔銃での捕獲を試みることにした。そして午後1時すぎ。獣医師と猟友会がクマと対じする。(リポート)「クマが現れた現場ですが、3度ほど銃の発砲音が現場に響き渡りました。奥の方で少し煙が上がっているように見えます。現場で発砲が行われたようです」「檻が運ばれてから5分ほどが経過しました。現場には白いトラックが到着し、ブルーシートを下に敷くような動作が見られました」「いまブルーシートに包まれた何かが白いトラックの荷台に運ばれました。おそらくクマとみられますが、捕獲が完了したのでしょうか」。(猟友会)「一応捕獲はした。やぶの中で麻酔は打てないということで。急きょ、有害鳥獣捕獲でライフルを発砲する形になった」。市によると、駆除されたクマは体長約50センチだったという。15日は山形市内でも、山形駅周辺の市街地などで4件のクマ目撃が相次いでいる。

(クマが飛び出し車に衝突、常磐線は相次いでイノシシ衝突:福島)
福島県内では10月11日の夜のはじめ頃から翌12日の明け方にかけて、クマやイノシシによる事故が相次いだ。JR東日本によると、10月11日の午後7時半頃、南相馬市内を走っていた常磐線の下り列車が異音で停車。乗務員が確認したところ、イノシシと衝突したことが判明し、イノシシを撤去したうえで約1時間後に運転を再開した。さらに午後9時40分頃には浪江町を走っていた下り列車がイノシシと衝突し停車。約40分後に運転を再開した。2本の列車には合わせて約40人が乗車していたが、けが人はいなかったという。また、警察によると、10月12日の午前4時半頃、只見町の国道289号線を走っていた乗用車が体長約1mのクマと衝突。クマは山へ立ち去ったという。車両の損傷があったが、運転手にけがはなかった。警察が付近の警戒を実施している。

(シカと接触、東武東上線で遅れ:埼玉)
東武鉄道によると、13日午前7時46分ごろ、東武東上線の武蔵嵐山―小川町間でシカと接触する事故が発生した。この影響で、午前8時32分現在、一部列車に遅れが出ている。

(ツキノワグマがくくりわなにかかる:徳島)
12日午前9時半ごろ、美馬市木屋平川上の山林で、有害鳥獣のイノシシとシカを駆除するための「くくりわな」に、雌のツキノワグマがかかっているのを、地元猟友会の会員が見つけた。徳島県が県外の専門業者に依頼し、約9時間後に眠らせた状態で近くの山林に放った。県によると、剣山山系のツキノワグマは個体数が限られており、県内でわなにかかった事例は初めてとみられる。県や市によると、ツキノワグマは体長約60センチ、体重約30キロ。発見時、左前足がわなにかかり、斜面で身動きができなくなっていた。

(クマ1頭駆除、出没繰り返す母グマか:北海道)
札幌市西区で10月13日朝、メスのクマ1頭が駆除されました。西野地区での駆除は3頭目になります。クマが駆除されたのは札幌市西区の西野地区です。12日午後6時ごろ、設置していた箱わなに体長およそ1.5メートルのメスのクマがかかり、13日午前6時半ごろ、ハンターが駆除しました。西野地区でのクマの駆除は10月で3頭目です。西野8条10丁目付近では、10月に入り親子グマの目撃や出没が相次いでいて、札幌市によると、今回駆除されたのは出没を繰り返していた母グマの可能性が高いということです。一方、札幌市中央区にある荒井山ジャンプ台付近でも12日にクマの目撃があったことから、市は当面の間、荒井山緑地の閉鎖を決めました。クマが出没していることを受け、市内の旭山記念公園ではヒグマへの注意を促すチラシが配布されました。市街地へのクマの出没は札幌だけではありません。木古内町二乃岱にある空き家の防犯カメラには、10月10日と12日に2回の合わせて3回、親子グマの姿をとらえていました。警察によりますと、クリが食い荒らされたようなあとが見つかっていて、クリの木を目当てに出没を繰り返している可能性があるといいます。また、上ノ国町の国道でも12日午後8時ごろ、道路をふさぐように居座るクマが目撃されています。全道的にクマの市街地への出没が相次いでいることから、道はヒグマ注意特別期間を11月30日まで延長して警戒を呼び掛けています。

(ネルソンズの和田まんじゅう狩猟会からスカウト?!:愛媛)
まじめなえひめ研究所で展開中の「まじめなえひめ研究所」YouTubeチャンネルの新作映像『【ネルソンズ・和田まんじゅうの愛媛狩猟体験#1】”まじめ”に学ぶ狩猟講座』を2025年10月16日(木)20:00より公開いたします。愛媛県では「若者が“まじめ”に活躍する愛媛県」のイメージ定着を目指し、県内の若者が中心となった情報発信チーム「MEラボ」が愛媛の魅力発信を行うため、著名人を起用したプロモーションを展開しています。「頑張りまんじゅう!」のあいさつが、愛媛の山に響く!?お笑いトリオ・ネルソンズの和田まんじゅうさんが、愛媛県伊方町を訪問。狩猟体験を通じて、狩猟の奥深い魅力と地域の豊かな恵みを伝えました。

(狩猟やジビエの魅力を実感できる「第5回 狩猟フェスタ」:高知)
テレビやSNSでも話題の「ジビエ料理」や「狩猟体験」。自然の恵みを無駄なく活かす“命の循環”の考え方が注目される一方で、森林被害や農作物被害など、野生動物との共存は高知でも身近な課題です。そんな中、狩猟は地域の自然を守る大切な役割を担っていることをご存知でしょうか?でも、「狩猟って危なそう」、「免許が必要なんでしょ?」、「ジビエってどんな味?」と、興味はあってもなかなか踏み出せないという方も多いはず。そんな方にぴったりのイベント「第5回 狩猟フェスタ」が、高知市布師田の高知ぢばさんセンターで開催されます!入場無料で、小さなお子さんから大人まで楽しめる内容が盛りだくさんですよ♪

(福岡猟師サミット:福岡)
狩猟に興味がある人や、狩猟免許を持つ人のための集い。2025年のテーマは「CONNECT」。福岡で活動する現役猟師3人によるパネルディスカッションや交流会がある。狩猟活動の経験談などを聞き、参加者が次のステップに進むためのきっかけを作る。

(エゾシカ角アップサイクル素材を提供開始:北海道)
モノライフ合同会社(所在地:北海道)は、害獣として駆除されたエゾシカの角を廃棄せず再利用し、ハンドメイド作家向けの天然アクセサリーパーツとして販売を開始しました。天然素材ならではの“一点物の美しさ”に加え、オゾン殺菌による衛生面の安全性、そしてSDGsにつながる資源の有効活用を実現。社会課題の解決とクリエイティブの両立を目指す、新たな取り組みです。

(クマ出没:宮城)
白石市によると、17日午後1時30分ごろ、白石市越河平石神にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、17日午前7時16分ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、17日午前7時50分ごろ、栗原市若柳有賀太子にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、16日午後2時30分ごろ、色麻町黒沢北條にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、16日午前8時50分ごろ、栗原市築館照越盲壇にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、16日午前8時20分ごろ、栗原市一迫柳目石沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、15日早朝、富谷市西成田郷田一番にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、15日午前11時30分ごろ、色麻町宿地区にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、15日、色麻町小栗山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、14日午後4時40分ごろ、仙台市泉区小角白山にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、14日午後7時20分ごろ、色麻町四竃道命にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、14日午後4時ごろ、仙台市太白区鈎取1丁目にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、14日午前9時50分ごろ、栗原市栗駒文字細越にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、14日午後0時9分ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、14日午前10時30分ごろ、栗原市栗駒里谷神田東西にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午後10時20分ごろ、富谷市石積刈又前にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、14日午前9時30分ごろ、色麻町四かま向町にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、13日午後5時5分ごろ、栗原市一迫北沢王沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、13日午後4時46分ごろ、栗原市栗駒稲屋敷滝沢にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、13日午後2時40分ごろ、栗原市一迫狐崎妙円にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、13日午後2時30分ごろ、栗原市栗駒沼倉古館にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
登米市によると、13日午後1時10分ごろ、登米市豊里町石坂にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、12日、色麻町黒沢北條にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午後2時25分ごろ、栗原市一迫中小僧にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午前10時30分ごろ、栗原市花山草木沢芦ノ口にクマが出没しました。

(クマ出没:宮城)
色麻町によると、12日、色麻町四竃向町にクマが出没しました。

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