<射撃ニュース11月>
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(登山道で男性死亡、クマ被害か:新潟)
新潟県警新発田署は25日、同県胎内市の飯豊連峰胎内口登山道付近で男性が倒れているのを同日午前に発見し、発表した。男性は県警のヘリコプターに救助されたが、死亡が確認されたという。近くにクマ1頭がいるのが目撃され、顔や首などにひっかき傷があったことから、署は男性がクマに襲われた可能性があるとみて捜査している。発表によると、24日午後5時40分ごろ、同登山口から日帰りの予定で入山した新潟市西区の男性(55)と連絡がとれなくなったと届け出があり、消防などと捜索していた。署は、倒れていたのはこの男性の可能性があるとみて身元の特定を進めている。
(市街地に居座るクマを緊急銃猟:岩手)
26日も市街地にクマが出没。26日朝、FNNのカメラは駅近くの木の上に居座る1頭のクマを捉えました。ゆっくりと木から下りたかと思えば、再び木に登るクマ。現場は岩手・釜石市のJR釜石駅近くの線路沿いで、多くの車や人が行き交う市の中心部です。クマは約1.2メートルの成獣で、木の下に罠を仕掛けましたが捕獲できず。5時間以上にわたって木の上に居座り、付近の道路は通行止めになりました。そして午後1時ごろ、市は緊急銃猟を実施しました。クマは木から落下。斜面の上から猟師などが確認する様子も見られました。その後、クマは駆除されました。11月下旬となり、まもなくクマは冬眠の季節。しかし、クマによる被害は止まることなく、“冬の味覚”にも及んでいます。岩手・盛岡市では20日、リンゴ倉庫に巨大なクマが侵入しました。ライトに照らされても一切、人を気にすることなくリンゴを食べ続ける巨大なクマ。リンゴ園は住宅街にあるため銃は使えず、巨大グマ捕獲のため吹き矢に使う麻酔が準備されました。そして、クマが顔を上げたその瞬間、獣医師が放った吹き矢の麻酔がクマに命中。数分後には、麻酔の効果でクマがガクッと体勢を崩しました。しばらくすると、クマは口を開けて眠りについていました。運び出すのは大人4人がかり。クマは体長1.5メートルほどのツキノワグマで、重さは100kg超えだといいます。現場に居合わせた岩手大学農学部の山内貴義准教授は、捕獲された巨大なツキノワグマについて、「ツキノワグマにしては最大くらいのサイズで、どちらかというと筋肉質で本当に体がでかい。本来であれば冬眠に入ってもいい時期だが、やっぱりエサを求めて街まで出ているのかな」と話します。
(住宅敷地内に居座りのクマ、麻酔銃による緊急銃猟で捕獲:秋田)
官庁街に近い秋田市の住宅の敷地内にクマが25日朝から3時間あまりとどまり続け、市が麻酔銃による緊急銃猟で捕獲しました。警察や県のツキノワグマ等情報マップシステム「クマダス」によりますと、25日は未明に秋田市山王で、その後25日朝にかけて隣接する八橋でクマの目撃情報が相次いで寄せられました。午前8時45分ごろには、秋田市八橋本町にある住宅の敷地内でクマ1頭が確認されました。秋田市は正午ごろに麻酔銃による緊急銃猟を行い、その後クマを捕獲しました。クマは体長1メートル30センチ、体重76キロのオスでした。秋田市内では、ほかにも複数の場所でクマが目撃されています。11月も残り1週間を切っていますが、人の生活圏への出没が続いています。
(クマが目撃された→AIフェイク画像と判明:宮城)
宮城県女川町は11月26日、クマ出没に関して誤った情報を告知していたとして謝罪した。女川町は同日午後0時15分、公式Xで市街地にクマがいるように見える画像を投稿。注意を促していたが、この画像が生成AIによるフェイク画像であると分かった。女川町の投稿したポストによると、25日午後7時ごろにある保育所付近でクマの目撃情報が上がったと伝えていた。併せて、市街地にクマがいるように見える画像も添付。しかし、クマの影などで不自然に見える点もあり、一部のXユーザーからは「フェイク画像ではないか」などの声も見られていた。その後、女川町は同日午後5時28分にこの画像は、生成AIによるフェイク画像だと判明したと発表。情報元については、外部から提供されたものだったという。声明ではフェイク画像だと判明した経緯について言及していないが、東北放送では「フェイク画像だったと作成者本人から申し出があった」と報じている。女川町は「町として、住民みなさまの危険回避を優先してお知らせしたところですが、不安や混乱を与えてしまったことに対しておわび申し上げます」と謝罪している。この件を受け、今後は外部から寄せられた情報については「慎重に精査の上、正しい情報をできるだけ迅速に知らせる」と説明。クマについても、引き続き細心の注意を払うよう、住民に訴えている。
(クマ被害、東北以北2倍に)
北海道と東北6県のクマによる人的被害が直近5年間で396件になり、2006~10年度から約2倍になったことが26日、分かった。環境省が持つ20年分のデータを共同通信が分析した。住宅街で餌を探す「アーバンベア」の脅威が深刻化し、人とのすみ分けに向けた環境整備が課題となっている。多くのクマが生息する東北では近年、主な餌となるブナの実の不作が重なった。専門家は「過疎化で増えた耕作放棄地などにクマが入り込み、生息域が広がっている」と指摘。中長期的にも出没増が続く恐れがあるとみる。全国の被害は、20年間の累計で1941件に達した。死者は59人で、このうち北海道が最多の19人だった。北海道に生息するヒグマは本州にいるツキノワグマと比べて体が大きいことが、被害を重くした可能性がある。被害は甲信越などの地域でも生じている。大阪と千葉、四国、九州・沖縄の14府県は20年間、被害が報告されていない。環境省が公表している被害件数と、同省への取材で得た情報を合わせて調べた。
(今年のクマ捕獲994頭で「危機的状況」:岩手)
岩手県は21日、クマ対策関係部局長会議を開き、狩猟免許を保有する職員「ガバメントハンター」を任用する方針を固めた。来春までに複数人の雇用を検討する。銃の使用経験がある警察・自衛隊OBなどには狩猟免許の取得を促進し、ハンターの拡大を目指す。政府がまとめたクマ対策パッケージでは、自治体がガバメントハンターを雇うための人件費支援が盛り込まれた。県はこれを受け、野生生物の知見や狩猟免許を保有する人材の確保に着手。捕獲だけでなく、野生生物の調査やハンターの周知活動などにも携わることを想定している。来春には県事業としてクマの「春季捕獲」を実施することも検討しており、それまでに任用する方向で調整する。また、県はクマ対策の基本方針を改定。早急に行う対策として、▽ガバメントハンターの確保・配置やハンターの育成▽緩衝帯の整備や電気柵設置など人の生活圏へのクマの出没防止に関する研修会▽警察によるライフル銃でのクマ駆除と必要な資機材の整備――などを追加した。中長期的な対策では、春季捕獲のほか、県教育委員会の危機管理マニュアルの見直しや、クマ出没時の対応を学ぶ教職員向けの研修などを盛り込んだ。会議では、クマの捕獲数が10月末現在で994頭に上り、今年度の捕獲上限の796頭と2023年度の年間捕獲数898頭を超えたことも報告された。11月からは環境省の捕獲事業で200頭を目安に追加で捕獲するため、過去最大規模の捕獲数になる。達増知事は「11月に入っても危機的状況が続いている。市町村や猟友会が中心となり、県も緊密に連携して対策を強化したい」と述べた。
(警察官によるライフル銃駆除などクマ対策、80%が肯定)
毎日新聞は22、23の両日、全国世論調査を実施した。各地で深刻化するクマ対策を巡り、警察官によるライフル銃を使った駆除を可能としたり、自衛隊が支援活動をしたりする取り組みについて、「妥当だ」が46%で最も高かった。「取り組みをより強化すべきだ」(34%)も含め、肯定的な意見は計80%に上る。「他の方法を検討すべきだ」は12%にとどまった。環境省によると、4~10月のクマ被害による死者数は過去最多の12人で2023年度の2倍に達する。市街地で襲われるケースも目立っている。クマによる人身被害が深刻化している秋田県には、自衛隊が派遣され、被害防止活動の支援を開始。また、警察官は人里に現れたクマをライフル銃を使って駆除する任務が可能となった。政府は関係閣僚会議で被害対策パッケージをとりまとめ、必要経費を臨時国会に提出する25年度補正予算案に盛り込む方針。調査は、スマートフォンを対象とした調査方式「dサーベイ」で実施した。NTTドコモのdポイントクラブ会員を対象としたアンケートサービスを使用し、全国の18歳以上約7700万人から調査対象者を無作為に抽出。1985人から有効回答を得た。
(警察がクマ対策の現状を説明、市町村と連携してクマに対応していく方針を示す:秋田)
県警察署協議会の会長会議が開かれ、警察からクマ対策の現状が説明されました。今後も市町村と連携して、いまだ出没が続くクマに対応していく方針です。県警察本部 地域課 金田弘巳次長「クマの被害が深刻な当県でもクマ駆除対応プロジェクトチームを発足させ、11月13日から警察官によるライフル銃を使用してのクマの駆除が可能となる体制を構築しております」。年に1度開かれる県警察署協議会の会長会議には、公安委員会のメンバーも含め44人が参加しました。警察業務の情報共有や意見交換を行うもので、27日は警察からクマ対策の現状などが説明されました。県警察本部 小林稔本部長「今後も自治体等と緊密に連携を図りながらその任務を適切に遂行することにより、クマによる人身被害を防止するための取り組みを進めてまいりますので警察署協議会の皆様方の理解とご協力を賜れば幸いでございます」。県内に2チーム配置されているライフル部隊の出動はまだありませんが、県警察本部は緊急銃猟の実施の際など今後も市町村と連携して、いまだ出没が続くクマに対応していく方針です。
(豚熱感染イノシシ県内3例目、県は27日に経口ワクチンを緊急散布:鹿児島)
鹿児島県は25日、霧島市霧島田口で死んで見つかった野生イノシシ1頭が豚熱(CSF)に感染していたと発表した。県内でのイノシシ感染は、同市内で19、20日に続き3例目。半径10キロ圏の「感染確認区域」内にある10農場の豚に異常は確認されていない。
(「クマ出没警報」及び「ツキノワグマ人身被害防止強化期間」の継続・延長について:宮城)
県では、現在、県内全域を対象に、11月30日(日曜日)までクマ出没警報を発令し、併せて「ツキノワグマ人身被害防止期間」を設定しているところですが、依然、多くの目撃等情報が寄せられ、クマと遭遇しやすい状況が続いていることから、警報及び強化期間を12月31日(水曜日)まで継続・延長します。なお、11月1日から11月21日までに県へ寄せられたツキノワグマ目撃等情報は695件となっており、10月1か月の目撃等件数1,181件と比較して減少傾向が見られるものの、近年で目撃等件数が多かった令和5年11月の月間件数344件を大幅に超える状態です。県内では、目撃等件数の急増に加え、9月、10月に死亡事故も含めて人身被害が発生しており、人身被害のリスクが依然として高い状況にあることから、県民の皆様におかれましては、引き続き、なお一層の注意と警戒をお願いします。県では、現在、「ツキノワグマ総合緊急対策」を取りまとめ、全庁あげて対策に取り組んでおります。引き続きクマ対策に取り組む市町村を支援するとともに、県民の皆様の安全確保に努めてまいります。
(県議会11月定例会開会「クマ対策費用」など19億円余りの補正予算案:宮城)
宮城県議会11月定例会が11月27日に開会し、県内で目撃や被害が相次ぐクマへの対策費用などを盛り込んだ19億円余りの一般会計補正予算案が提出されました。村井知事:「今議会においては、(クマの)緊急対策の裏付けとなる予算を追加計上し、県民の安全、安心の早期確保に万全を期していく」。6期目の任期に入り、初めての議会に臨んだ村井知事。19億3200万円余りの一般会計補正予算案など合わせて37の議案を提出しました。補正予算案には、宮城県内で目撃や被害が相次ぐクマへの対策費用として、電気柵の設置費用や、クマを引き寄せる要因となるカキの木の伐採などに2億2200万円が計上されています。また11月27日は、議長の在任期間を2年とする慣例に従い、高橋伸二氏が退任し佐々木幸士氏が新たな議長に選出されました。宮城県議会11月定例会は12月17日までの21日間です。
(緊急銃猟、課題浮かぶ:静岡)
富士宮市は18日、鳥獣保護管理法の改正で9月から市街地での「緊急銃猟」が可能になったのを受けて関係機関や団体と共同実施した訓練の結果を公表した。県内では緊急銃猟の実施例がなく、参加者からは「本当にできるのだろうか」と不安の声も出ていたが、市街地での射撃ならではのクマとの距離や角度の取り方、速やかな交通規制の実施など課題が明確になったとしている。緊急銃猟はクマとイノシシを対象とし、(1)人の日常生活圏に侵入またはその恐れがある(2)危害防止が緊急に必要(3)銃猟以外では的確かつ迅速な捕獲が困難(4)住民らに弾丸が当たる恐れがない――場合に可能で、自治体が実施の可否を判断する。
(緊急銃猟の机上訓練:京都)
主に東北地方でクマによる人身被害が相次いでいることを受け、京都府福知山市は21日、市役所庁舎内で緊急銃猟の机上訓練を実施した。市職員のほか、府職員や福知山署員、猟友会員ら計約45人が参加した。市によると府内で初の訓練という。緊急銃猟は9月の鳥獣保護管理法の改正で認められた。銃猟以外の方法による駆除が困難で、かつ銃猟によって人に危害を及ぼす恐れがない場合に認められる。実施の判断は市町村長が下す。この日の訓練では、平日の朝、市内の小学校校庭に体長1メートルほどのクマが現れ、居続けているという想定。市は児童と教員を2、3階の教室に避難させ、1階の通用口を封鎖。周囲を交通規制し安全を確認してから大橋一夫市長が緊急銃猟を指示した。射手は2階のベランダから、9メートルほど先のクマの頭部に1発の銃弾を発射し絶命させた。先行事例では十数発撃った例もあるが、市は「発射する弾が多くなると、跳弾の危険も増す。これぐらいの距離ならば1発で仕留められる技量が求められる」としている。猟友会などから13人の射手の推薦を受けており、今後、射撃場で技量を確認するという。机上訓練の前にはクマ対策連絡会議を開催。福知山市のドングリなど堅果類の生育状況やクマの目撃件数などを共有した。市の担当者によると、市内の山の堅果類の生育状況は「凶作寄りの並作」で、えさが不足してはいないという。今年度の目撃件数は11月20日現在72件で昨年度の半分にとどまっている。京都府内のクマの目撃情報や「足跡を見た」などの通報をまとめた出没件数は、今年4月から11月20日時点で計1093件。大量出没した昨年度の同時期を下回るが、平年よりやや多めで、これまで「生息地域外」とされていた木津川市や宇治市で初めて出没が確認されている。府は今月5日に初めてとなるツキノワグマ対策連絡会議を開催。鈴木一弥副知事は「これまで出没のなかった府南部でも目撃される事案が多数発生している。被害防止に向けて全庁的な連携協力をお願いしたい」と呼びかけ、市町村や警察、猟友会など関係機関との連携強化を確認した。府は9月から始まった緊急銃猟のマニュアル案を各市町村に配布。9月補正予算で、緊急銃猟の支援事業費として1200万円を計上し、ヘルメットなどの購入や訓練を実施した市町村を補助する。また、府内では21日までに、市町村や猟友会、警察との対策会議を全ての振興局で開催した。府は対策として、やぶの刈り払いや柿など放置された果樹の伐採などを呼びかけている。府農林水産部の担当者は「冬眠に入る12月中旬までは遭遇の可能性に注意し、出合った場合は慌てず、命を守る行動をとっていただきたい」と話す。京都府木津川市は21日、緊急銃猟などに備えクマ撃退用スプレーなど現場対応の用具を購入する、と発表した。28日開会の定例市議会に、購入費約81万円を含む一般会計補正予算案を提案する。撃退用スプレー、フルフェイスヘルメット、防護シェード、プロテクターを各5個購入する。市内では5月から11月20日までに58件の目撃情報があった。市は今月からクマの目撃が多い梅谷地区にカメラ2台を設置し、早朝の通学時間帯にパトロールしている。
(クマ対策で県が説明会、市町村からは"遅い"という声:山梨)
相次ぐクマの出没に対して山梨県は市町村が行う緊急銃猟への支援などを盛り込んだ対策をまとめ、説明会を行いました。一方、市町村からは県の対応に「遅い」という声が上がりました。今年県内では26日までに過去最多だった去年に迫る328頭のクマの目撃件数があり2人がけがをしています。県は11月21日にクマの緊急対策パッケージをまとめ、市街地でクマが出没した際に市町村の判断で銃を使用する緊急銃猟の経費やハンターの保険料への補助などを行うとしています。27日の会議で市町村の担当者からは、すでにハンターの保険に加入している場合は補助の対象外となっていることなどに質問が寄せられました。市町村の担当者:「じゃあ、この時期に起きたらどうするのだという話になるので、県が要綱を策定した後に補助がおりるという事ですと、それは県の対応としてどうなのか?」。また県は来年1月までに緊急銃猟に関する暫定的なマニュアルを策定するとしていますが、甲州市などではすでにマニュアル作りを進めていて、県の対応が遅いのではないかという指摘が上がりました。市町村の担当者:「クマの出没がある市町村もあるので、もうちょっと危機感持って取り組むべきかと思う」「緊急と言っておきながら年明けとかが多くて、緊急という重要性が理解されていないのでは」。なお県は12月に緊急銃猟に関する訓練やハンター向けの講習会を開き、今後生活圏への出没を防ぐため約40の河川で樹木の伐採も行うとしています。
(鹿沼市がクマ「緊急銃猟」マニュアル策定へ:栃木)
栃木県鹿沼市内で23日にクマに男性が襲われけがをしたことを受け、松井正一(まついしょういち)市長は27日の定例記者会見で、全庁的にクマ被害防止対策に取り組む方針を明らかにした。年内にも全部局で対策が必要な項目を洗い出し対応を徹底するほか、市街地などに出没した場合に市町村の判断で駆除できる「緊急銃猟」のマニュアルを県の手引き完成を待たずに年度内に策定する。
(「猟友会の中に消防団のような即対応できる組織を」「イノシシ対策と一体的に」:岩手)
クマを巡っては、『ガバメントハンター』や警察のライフルチームによる駆除など、国や県が対策を進めています。最前線で活動する花巻市の猟友会の会長にクマ対策のあり方などについて聞きました。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「もうまったく毎日毎日出て歩いた。天変地異みたいなもので、すごい異常な年でした」。こう語るのは、花巻市猟友会の藤沼弘文会長です。およそ60年、猟友会に所属し、ことしは日中だけでなく、夜中に出没したクマの対応にも追われました。11月13日から、クマが市街地に出没した時に警察官がライフル銃を使って駆除できるようになりました。こうした動きに対して藤沼会長は、県民に安心を与える点では良かったとしつつ、こう述べました。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「やはり地域によって条件が違うということと、クマがどういう風に逃げるか、どこに潜むかというのを考えたり想像したりするのは、やはり地元のハンターが常日頃、 地元のクマを追っている人たちじゃないとわからないことが多い。撃てるからイコール実行できるかというのと、私は違うと思う」。このように述べた上で、求めがあれば講習などを通して協力していく考えを示しました。そして、県が今年度中の採用を目指す自治体職員で専門知識や狩猟免許を持つ、ガバメントハンターです。藤沼会長はガバメントハンターに頼らず、猟友会の中に消防団のようなすぐに対応できる組織をつくっておくことが大切だと指摘します。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「地域地域にそれ(消防団)と同じ組織を各地区に作っておけばいい」「そういう消防団のような形にして、即動ける人間をピックアップして、その中で行こうと今やっていた」。一方、藤沼会長は今後のクマ対策について、生息数が増えているイノシシの対策と一体的に進めていくことが重要だと話します。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「今から20年前は、雪が深くて、イノシシはこっちでは越冬できないと言われていた。ところが今、雪が全然無くなった。 だから(イノシシが)来始めた。 クマが食べて生活するエサをイノシシが食べている。だからイノシシの駆除をしないと、私は大変なことが起きますよっていつも言っている」。
(クマ対策で質疑:青森)
きょうの県議会ではクマ対策を進める上で重要な存在となる狩猟免許所持者について取り上げられました。県によりますと狩猟免許所持者は1981年度をピークに減少が続いていました。2016年度以降は増加傾向にあり、昨年度には2114人にまで回復したということです。また、新規取得者も回復傾向にあり、昨年度は284人が新たに狩猟免許を取得しました。【県環境エネルギー部 豊島信幸部長】「狩猟の魅力発信イベントの開催や狩猟免許試験の回数を増加した結果」「令和6年度には約280人まで増加しています」。県は引き続き捕獲者の確保・育成を推進するとしています。※青森市の東部地区でクマの出没が相次いでいます。今回の場所は青森東高校のすぐ近くで郵便局などもある人の多い場所で、市ではいずれも同一のクマとみています。今のところ被害は確認されていませんが、住宅街ではクマにとっても逃げ場がないと想定され、人身被害が心配されます。
(市職員や猟師「クマ対策制度充実を」:北海道)
農林水産省の根本幸典副大臣が26日、三笠市と美唄市を訪れ、ヒグマ対策やジビエ(野生鳥獣肉)処理の現状を視察した。三笠では元地域おこし協力隊のハンターと市職員から現場の課題を聞き取り、美唄では衛生管理が徹底された食肉加工施設を見学した。現地での意見交換では、クマ対策に関する制度の充実を求める声が上がった。
(高齢化、なり手不足深刻に:鹿児島)
全国でクマなどの野生動物出没が多発する中、奄美群島でも毎年イノシシなどの動物によって数千万円単位の農作物被害が発生している。駆除にあたるハンターの重要性が高まる一方、高齢化や本業の兼ね合いもあって、自治体からの依頼に対して即座に対応できる人員が少ないという課題がある。現場からは理解を求める声が上がる。狩猟活動を行うハンターは狩猟免許を取得し、県で登録する。主な活動は指定された区域で原則11月15日~翌年2月15日の3カ月間行われる「狩猟」と、農作物を守るため市町村から委託される「有害駆除」がある。狩猟免許は使用できる猟具に応じて、網漁、わな猟、第一種(装薬銃)、第二種(空気銃)の4種類に分類される。県猟友会大島支部(泉正男支部長)によると、18日現在、奄美群島内の狩猟登録者は前年度比24人減の371人。うち、わな猟のみが最多の222人となっている。県大島支庁農政普及課によると、2019年度以降の鳥獣による農作物被害は、19年度9781万円、20年度7187万円、21年度3532万円、22年度3354万円、23年度4393万円。イノシシによる被害が半数以上で、サトウキビや果樹が全体の約8割を占める。奄美群島の自治体で駆除対象となっているのは、イノシシ、カラス、ヒヨドリなど。喜界町では個体数が増加傾向にあるシカも含まれる。近年はイノシシの餌となるシイの実が凶作で、人里周辺の個体発見例が増えており、狩猟者の役割は増している。有害駆除は駆除した個体の一部や写真を提出することで、自治体から報奨金が支払われる成果報酬型。報酬額は自治体によって異なり、イノシシ(成獣)は1万5千円前後、カラスは1千円前後など。ガソリン代など出動に必要な経費への補助はない。山中で活動するハンターは危険が伴う。仕留めた獲物を運ぶ際に転倒して骨折したり、わなにかかったイノシシに襲撃されてケガをしたりするケースも。今年は瀬戸内町での有害駆除中、ハブの咬傷(こうしょう)被害も発生した。泉支部長(84)は「危険度が高い一方、お金はさほど出ない。農家のためにボランティア精神でやっているところがある」と現状を語る。奄美支部に登録している狩猟者の平均年齢は62・8歳(4月1日現在)。高齢化に加えて、本業に従事している人が多く、自治体からの駆除要請に対応できないことも多い。同支部管内では奄美大島と徳之島で年間各1回、狩猟免許試験が行われているが、近年の支部会員数は横ばいだ。現在も現役ハンターとして活動する泉支部長は「以前は奄美大島に猟銃を扱う店舗やクレー射撃場があり、若い人が猟に興味を持つ環境があった。会員の高齢化が進めば、有害駆除もままならなくなる」と危惧する。資格試験の受験料や試験会場までの交通費など、若手のなり手育成に対する自治体の助成制度に期待を寄せる。また泉支部長は、全国の自治体で進みつつある狩猟免許を保有する職員「ガバメントハンター」の導入についても言及。農作物の被害情報は自治体に一元化されるとして、「市町村に専属の職員がいることで、円滑な駆除対応が可能になる」と指摘している。
(「クマ駆除に猟友会の経験を」大日本猟友会・佐々木会長に聞く)
我々の身近に迫るクマと向き合うハンターの多くが各地の猟友会に所属する。全国の会員を束ねる大日本猟友会の佐々木洋平会長(83)に、クマ対策の現状を聞いた。――今年のクマによる死者数は過去最多を更新しました。13日からは警察官がライフル銃で駆除できるようにもなりました。「被害状況を深刻に捉えている。5日には自民党のクマ被害緊急対策プロジェクトチームの会合に参加してきた。
(クマ対策費用など補正予算案:奈良)
奈良県内でクマの目撃情報が相次ぐ中、県は12月定例県議会にツキノワグマ対策費用などを盛り込んだ補正予算案を提出すると発表しました。県内では、2025年、ツキノワグマの目撃情報が25日時点で118件で、過去最多を記録した2024年と同じペースです。また、2025年は県北部でもクマが確認されるなど目撃情報が相次いでいます。県は26日、12月定例県議会に、ツキノワグマの対策強化事業費などを盛り込んだ補正予算案を提出すると発表しました。事業費には、市街地に出没したクマを銃を使って緊急に駆除する際の、ハンターの日当や交通費など負担する市町村への補助のほか、クマの殺処分を新たに可能にした保護管理計画について、ゾーンごとに区分する地図の作成費用など、あわせて470万円が盛り込まれています。
(自治体職員や警官らが緊急銃猟の研修:島根)
市街地にツキノワグマが出没したらどう対応するか――。島根県は20日、鳥獣保護管理法の改正で9月から可能になった緊急銃猟などについて学ぶ研修を雲南市で開いた。自治体の職員や警察官など約90人が参加し、緊急銃猟の手続きを確認した。緊急銃猟は人の日常生活圏にクマなどが出没した際、安全確保など一定の要件を満たせば、市町村長が委託した人による銃猟を可能とする制度。研修では、雲南市の三刀屋文化体育館アスパルにツキノワグマが現れたとの想定で、班に分かれて机上演習を実施。住民への周知の方法、現場本部の設置場所、捕獲者の位置、使用する銃器、通行禁止の範囲などをどうするか、地図も使いながら、それぞれの班で話し合った。その後、アスパルで実地演習。通行制限の措置は講じたか、クマを貫通した銃弾を遮る「バックストップ」はあるかなど、緊急銃猟の要件を丁寧に確認した。猟友会のハンター3人が模擬銃を「発砲」。倒れたクマの様子をドローンで確認し、ハンターらが近づいて死んだことを確認した。参加者の一人は「緊急銃猟は色々な確認を経て初めて実施できる制度。時間がかかるし、その間にクマが動いてしまうこともある。一連の手続きをスピーディーにできるようにしたい」。県によると、今年度のツキノワグマの目撃件数は10月末で676件、捕獲頭数は60頭。昨年度の目撃件数は1561件、捕獲頭数は346頭で、今年度は大幅に減っている。餌となるコナラなどが豊作だったことが一因とみられるという。県鳥獣対策室の安松崇徳室長は「本年度は島根県ではツキノワグマの出没は少ないが、県民の安全・安心を守っていくために訓練を実施した。安全確保の手順が緊急銃猟では一番大事。そこを丁寧にしていくことを改めて確認できたのではないか」と話した。
(人里へのクマの出没を防ぐ、放置された果樹を伐採:宮城)
宮城県気仙沼市では、クマが人里に現れるのを防ぐため放置された果樹を伐採する取り組みが始まりました。気仙沼市の市街地ではクマの出没が続いていて、管理されずに放置された民家の柿や栗などがクマを誘引する要因と考えられています。このため20日から伐採の申し出を受け付けていましたが26日までに196件、560本の希望が寄せられたということです。27日朝から始まった伐採作業では、市から委託された業者が松崎地区の住宅を訪れ、柿の木など4本を伐採しました。気仙沼市産業部農林課佐藤克美課長「伐採して欲しいという方々の声を聞いて、安心したという言葉を聞いただけでも私たちとしてはやった甲斐があったなと思います」気仙沼市によりますと、560本にも及ぶ伐採の申し込みは想定を大きく上回っているということですが、まずは年内の完了を目指して伐採を進めていくとしています。
(クマの通り道、河川敷の樹木を伐採:福島)
福島河川国道事務所は県内の管理河川で、クマの通り道となる川沿いの樹木の伐採や草刈りを進める。福島市のあづま公園橋付近の荒川河川敷で26日、作業が公開された。同事務所では、不法投棄の調査や堤防管理の支障となる河川敷の樹木伐採などを行っている。見通しを確保することでクマの早期発見や移動範囲を狭める効果が期待できるとし、7月ごろから各自治体と連携してクマの出没が多い場所を優先して作業していた。政府が今月発表した「クマ被害対策パッケージ」を受け、取り組みの継続を決めたという。同市の八木田橋付近や本宮市の阿武隈川河川敷など、年内に計約7ヘクタールの伐採を予定している。河川管理課の猪股格課長は「地域の方の安心安全につなげたい」と話した。作業に合わせて同日、現地で福島商工会議所によるドローンを活用したクマ対策も公開された。サーモグラフィーでクマの位置を把握するとともにスピーカーで注意のアナウンスや警告音を流すことができる。同商議所ではクマ対策への活用について福島市と協議を進めていくという。
(クマ対策で樹木を伐採:秋田)
国土交通省能代河川国道事務所(秋田県能代市)は26日、クマの居場所となり得る米代川河川敷の樹木の伐採作業を公開した。今年、出没が多い能代市の2カ所で24日までに計4・6ヘクタールを伐採した。同事務所がクマ対策として伐採作業をするのは今回が初めて。伐採を行っているのは同市吹越地区と同市二ツ井町地区の2カ所。いずれもヤナギやクルミ、ススキなどが自生し、クマが身を潜められる状態となっていた。
(クマ誘引樹木伐採補助金、出没多発で需要高く:秋田)
人里へのクマの出没が多発し、大館市が誘引樹木の伐採費用を支援する補助事業の利用が増えている。4月から毎月申請がある上、10月以降はさらに増加。19日現在で申請97件、伐採本数234本に上る。既に当初の予算額を使い切ったが、12月補正予算案に事業費を追加し、市議会に提案する。人身被害防止のため市民の需要に応えたい方針で、林政課は「有効に活用してほしい」と呼びかけている。
(「クマ、そこにも」AIが警告:栃木)
クマと遭遇する確率を人工知能(AI)で予測する手法を開発した上智大の深澤佑介(ふかざわゆうすけ)准教授(45)が21日、下野新聞社の取材に応じ「予測マップを活用して、今まで目撃されていなかった地域でも遭遇確率が高い場合は警戒してほしい」と注意を呼びかけた。全国的に人的被害や「アーバンベア」の出没が社会問題化する中、これまでの傾向を基に、市街地に出てくる前には山に近い場所や川沿いでの目撃情報が増えることなども指摘する。データサイエンスを専門とする深澤准教授らが作成した「栃木県クマ遭遇AI予測マップ」は、下野新聞社がまとめた「クマ目撃マップ」のデータの他、土地の利用状況や人口統計データなど多様な情報を統合して予測している。インターネット上で、深澤准教授の研究室のページから無料で見ることができる。
(害獣被害、「増えた」と感じる人は約7割)
クマが人に危害を加える事態が多発している。クマをはじめとする害獣について意識調査したところ、目撃情報や被害が「増えた」と感じる人は67.6%に上った。マーケティングリサーチ会社のクロス・マーケティング(東京)が2025年10~11月、全国20~69歳の男女を対象にインターネットを通じて調査した。有効回答は男女各550人の計1100人。害獣の目撃情報や被害についての質問では、「増えたと感じる」と答えた人の割合は世代が上がるにつれて高くなり、60代では80.9%だった。害獣だと思う動物を複数回答で問うと、クマが最も多く56.9%。イノシシ50.0%、ネズミ46.6%などが続いた。害獣対策として気を付けるべきこと(複数回答)では、「むやみに近づかない」44.3%、「ごみ捨て場をネットなどで覆う」38.3%、「生ごみを屋外に放置しない」35.9%、「野生動物に餌を与えない」35.7%などが挙げられた。
(“災害級”クマ被害スキー場に異変も)
3連休の最終日となった24日、秋田市にある千秋公園では、紅葉シーズンで多くの観光客でにぎわうはずでした。しかし24日もクマの目撃情報が入り、午後3時ごろの千秋公園には人はほとんどいませんでした。クマはいつになったら冬眠に入り、活動が落ち着くのでしょうか。待ちに待った冬山シーズン到来でにぎわうのは、創業47年になる群馬県のスキー場「鹿沢スノーエリア」。しかし、災害級となったクマ被害によって、過去に一度もクマが目撃されたことがないというこのスキー場でも、2025年はクマ対策を強化していました。鹿沢スノーエリア・スタッフ:スピーカーのサイレンを鳴らしたり。こういう音が鳴りますので、お客さんも“何かあったな”と急いでくだってくると思います。爆竹やクマ撃退スプレーなども用意しているといいます。スキー場を訪れた人は「スキーやる上で、安心して滑れるっていうのはありがたい」と話しました。こうした中、例年ならそろそろ冬眠シーズンを迎えるクマですが、2025年は餌不足などが原因で冬眠しない可能性が懸念されています。もしも雪の上で遭遇してしまったら…。雪上でのクマの特徴について、岩手大学・農学部の山内貴義准教授は「雪で我々(人間は)足をとられてしまう。雪が深くなってもクマは非常に脚力強いので、襲ってくるスピードが非常に速くて、普通に人間に突進してくるっていうのは、全く問題なくできてしまうと思います」と話します。クマは肉球や鋭い爪が滑り止めとなり、雪の上でも身体能力が落ちないといいます。それを物語る映像があります。ロシアで撮影された映像には、雪が積もった歩道をクマから全速力で逃げる男性の姿が映っています。雪で男性が足を取られる中、クマはバランスを崩すことなく男性を追いかけていました。また、ノルウェー領スバルバル諸島で撮影された映像では、巨大なシロクマが追いかける先に男性の姿が。急いでスノーモービルに飛び乗り、何とか逃げ切りました。さらに、ロシアの極東にある施設に侵入したクマ。クマが仕切りの網を自らの体重で踏み壊し、施設に侵入する様子が映っていました。何匹もの犬がほえても全く動じません。そして、人間を発見すると一目散に襲いかかっていきました。地元メディアによると、従業員2人が襲われ、重体だということです。岩手大学・農学部の山内貴義准教授は、遭遇した際の注意点を「(クマ)は人と接触するのは非常に嫌がるので、基本的にやっぱり逃げますし、場合によっては襲ってくる可能性があるので、なるべく距離をとって建物とか車の中に避難するっていうのが重要だと思う」と指摘しています。
(河川敷のシカ駆除へ:山梨)
今月はじめ、山梨県市川三郷町の河川敷で多数のシカが確認されたことを受け、町は駆除に向けて動き出しました。周辺では近年、車とシカの衝突事故も多発しているため、対応を急ぎます。今月5日、市川三郷町が笛吹川の河川敷で行ったドローンによる調査を行ったところ、赤外線カメラが上空から捉えた影の正体は多数のシカでした。調査を行ったのは、富士川町との境の富士川大橋から三郡橋までの約1.5kmのエリアです。約1時間の調査で、河川敷の広範囲に69頭ものシカの生息が確認されました。今年3月の夜、付近を走行中に突然、飛び出してきたシカと衝突した車の写真は、バンパーなどが大破し、衝撃の大きさを物語っています。鰍沢警察署によりますと、シカと車の物損事故は近年、管内の市川三郷町と富士川町で年間10件前後、発生しています。さらに、農業被害なども懸念される中、市川三郷町は河川敷のシカの駆除に動き出しています。町によりますと、対象となるエリアは鳥獣保護区にあたるため、原則としてシカを捕獲することはできません。このため、有害捕獲の許可に向けた国や県との協議を、年度内にも開始できるよう、現在、関係機関と調整を進めているということです。
(捕獲した鹿「処分やめて」抗議殺到:京都)
京都市北区の深泥池や左京区の宝ケ池で野生シカの捕獲を強化している市に対し、事業2年目の今秋、突然、シカの殺処分をやめるよう求める抗議の電話が相次いでいる。
(シカ防除柵(防鹿柵)の生態系保全効果を調べるクラウドファンディング:九州大学)
九州大学大学院農学研究院の阿部隼人助教、京都大学フィールド科学教育研究センターの松岡俊将講師、東京大学先端科学技術研究センターの西澤啓太助教らの研究グループは、『人とシカが共生できる社会へ!市民科学で防鹿柵の効果を見える化する』と題したクラウドファンディングを実施しますのでお知らせします。本クラウドファンディングは、全国に設置されたシカ防除柵(防鹿柵)の内外の生物多様性と生態系機能を比較する、市民参加型の研究プロジェクトを立ち上げるため実施するものです。募集期間は2025年11月25日~2026年1月19日で、目標金額は150万円です。これにより、最低でも50地点の生態系において、防鹿柵の内外で生物多様性(植生・昆虫・微生物)や土壌機能(炭素貯留など)の比較を目指します。ネクストゴール(目標金額以上のご寄付)達成の場合には、さらに複数の地点での調査や、より詳細な多様性や機能の分析が可能になります。研究プロジェクトが進展することで、シカの被害や対策効果の実態を全国的に見える化でき、限られた時間・予算の中でも効果的なシカの採食被害防除が可能になります。日本の生態系を守り、人とシカと自然の共生を目指すために、ぜひご支援をお願いいたします。
(深刻な「シカ問題」:島根)
松江市の八雲立つ風土記の丘に展示されている重要文化財の埴輪(はにわ)「見返りの鹿」は、愛らしい表情で人気の遺物だ。古来、シカは神獣といわれ、人間と共存してきたが、島根県内では一時期姿を消していた▼県中山間地域研究センター(飯南町)の調査書を読むと、安来市から吉賀町にかけての県内の中国山地では明治から昭和初期にニホンジカの生息は認められず、絶滅したとされた。2002年、狩猟で捕獲されたのを皮切りに年々姿を現し始めている▼この夏、県内のゴルフ場でシカがコースを横切るのを見た。タヌキやウサギとの遭遇はあったが、シカは初めて。のんきなことは言っていられない。中国山地のシカは大繁殖と言っていいほど増えた▼一足早く広島県北では異常事態の様相だ。県北部森林管理署管内では、今年6月時点の推計生息数が5万1399頭で、02年の4・4倍。隣接する島根県邑南町周辺でも増加が顕著となっている▼イノシシ、ウサギ、カモにクマなど、「山の幸」を使ったジビエ料理はいろいろ試してみたものの、正直なところ毎日食べたいとは思えない。畜産農家のおかげで牛肉や豚肉があまりにもおいしく改良されたためだろうか。古代から日本人がシカを食ベてきたことを思うと情けない。「(シカを)食うか、(農作物や植林を)食わせるか」の2択は厳しい選択だ。源流の「シカ問題」は下流の食生活にたどり着く。
(クマ対策支援ふるさと納税、鶴岡市に多くの申し込み:山形)
クマの出没や被害が相次ぐ中、県内ではクマ対策に「ふるさと納税の寄付」を活用しようという自治体が出てきた。いち早く募集を始めた鶴岡市には、すでに多くの申し込みが寄せられている。現在、ふるさと納税サイト「さとふる」でクマ対策に特化したふるさと納税の寄付を募集しているのは、鶴岡市・新庄市・酒田市・尾花沢市の4つの市。県内でいち早く11月19日から募集を開始したのが鶴岡市。11月23日時点のクマの目撃件数は373件と、県内の市町村で最も多くなっている。(鶴岡市・佐藤聡市長)「出没件数が大変多くなっている。それに対する見回りの経費や、希望が多くなっている果樹・柿の木などの伐採の対応も必要なので、想像以上に経費が多くなっている」。鶴岡市では、1口2000円から2025年度いっぱい寄付を受けつける。返礼品はなく、集まった寄付は猟友会の見回りや箱わな・電気柵の設置などの捕獲に係る経費、不要果樹の伐採費用などに充てる予定。(鶴岡市・佐藤聡市長)「鶴岡を離れた鶴岡出身者がかなりクマの出没を心配していて、『大丈夫か』という声もある。鶴岡を思うみなさんからの寄付をいただいて、それをしっかりとクマの被害防止対策につなげていきたい」。寄付の受付開始から1週間あまり。市によると、26日時点で131件・85万4000円の申し込みがあったという。(鶴岡市庶務課・前田哲佳主査)「非常に反響があると受け止めている。北は北海道、南は九州まで。出身者や縁がない人も応援したいという気持ちで連絡いただいている。住民の生活を守ることにみなさまの寄付を活用したい」。このほか、新庄市は37件で11万1100円、酒田市は19件で1万9000円。26日に受付を開始した尾花沢市には2件7000円の申し込みがこれまでに寄せられているという。いずれも返礼品はなく、尾花沢市は2025年度いっぱい、新庄市・酒田市は通年で受けつけている。ふるさと納税だけど返礼品がない。返礼品がないけれど寄付が集まっている。鶴岡市は特に目標金額は定めていないということだが、予想以上の反響。それだけクマに対する関心が高まっているのでは...ということだった。各自治体の寄付の受付が1口1000円または2000円からということで、何か行動したいという人にとって、手軽に申し込めることが広まっている要因なのではないか。
(クマ出没相次ぐ中、存在感増す“ガバメントハンター”:富山)
クマの出没が相次ぐ中、速やかな対応に向けて、狩猟免許を持つ自治体の職員いわゆる「ガバメントハンター」が注目されています。県内では現在、上市町でのみ活動しています。その仕事ぶりとは。上市町の財務課で働く木原 剛さん(45)。普段は町の道路や河川などの管理を行っていますが…上市町財務課 木原 剛さん「まずは、直属の上司に断りを入れて、出動します」。向かったのは木原さんのデスクから歩いて20秒ほどの町役場1階の部屋。身に着けるのはオレンジ色のベストと帽子です。木原 剛さん「これは鉄砲を入れる袋。パトロールや緊急捕獲、銃猟に向かう」。木原さんは、狩猟免許を持つ上市町の「ガバメントハンター」です。今年は上市町でもクマの出没が多発しています。この秋からスタートした緊急銃猟の許可が町で初めて出された今月19日、木原さんは役場で保管されている銃を手に、現場に駆け付けました。町の職員で狩猟免許を持つのは現在7人です。県内の自治体では唯一のガバメントハンターです。木原 剛さん「まずは先発隊として所管の部署が行き、そこから応援要請がくる。頻度は例年に比べて多い」。ガバメントハンターのメリットはクマの駆除までの流れがスムーズになったことです。これまではクマの出没や被害が報告されると猟友会のハンターが現場を確認。その後、行政が駆除が必要と判断した場合、改めて猟友会に依頼していました。一方、ガバメントハンターは自治体の職員なので現場で判断ができ、駆除を速やかに進めることができます。木原 剛さん「現地に到着できるスピードが格段に違う。ハンターが仕事で遠いところに行ったりするときに私たちが初動体制を確立できたら住民の安全確保が早くなるメリットがある」。突然の出動要請により、財務課の業務を別の人に頼む場合もありますが、木原さんの現在の上司はガバメントハンター経験者なので心強いと言います。上市町財務課 黒田 茂語課長「私も町役場のガバメントハンター立ち上げのメンバーにいた初代なので理解はある。(出動で)いない間は、木原くんのフォローをする」。黒田課長「あまり上下関係ないもんね。フラットやよね」。木原さん「( 微笑んで)はい」。2009年に狩猟免許を取得した木原さん、そのきっかけは。木原 剛さん「当時、イノシシや猿の被害が多くて、その時、農林行政事務に従事していたので何か支援ができないかと思い」。そして、狩猟の技術向上の努力も欠かしません。木原 剛さん「狩猟期間に狩猟するわけでないので、銃の技術は猟友会のハンターより劣っていると思う。年に2回以上、射撃訓練に行っている」。クマと向き合う危険と隣り合わせの業務に覚悟をもって臨んでいます。木原 剛さん「住民の安全を確保するのが私たち地方公務員、財産を守るために出動するしかないと思うので、これからも頑張る」。上市町は、職員が狩猟免許を取得する際、費用を町が負担する制度を2010年から取り入れ、支援しています。
(クマへの警戒感が高まる、人口減少や高齢化で放置の畑が増加:岐阜)
東海地方各地で紅葉の名所が見ごろを迎えていますが、山に近い場所ということもあり、心配なのはクマです。岐阜で活動する猟師もクマの「行動の変化」を感じているといいます。愛知県新城市の鳳来寺山。紅葉の見ごろを迎え、この3連休は多くの人が訪れました。そんな秋の山々に暗い影を落としているのがクマです。新城市では今年、クマの目撃情報が2件あったといいます。全国的にも出没が相次いでいることから、鳳来寺山では初めて、注意を呼び掛ける看板を設置しました。新城市は、紅葉を見に山に入る際は、鈴やラジオなど、音が出るものを携帯するほか、遊歩道から脇道にそれないよう注意をしながら紅葉を楽しんでほしいと話しています。多くの山々に囲まれる岐阜県中津川市でもクマへの警戒感が高まっています。9月には、帰宅途中だった高校1年の男子生徒(16)がクマに襲われ、けがをする被害が発生。それ以降もクマの目撃情報が相次いでいます。「今週は3件目撃情報があった。すべて住宅の近くで人の生活圏の中だ」(坂下猟友会会長 吉村俊廣会長)。この地域で50年以上狩猟を行う、坂下猟友会の会長・吉村さんは、その都度、見回りなどの対応に追われています。取材をした19日も、高校の近くで目撃情報があったといいます。「目撃情報は何回もあるが(人がいる)こういった場所が多い。街の中全体でどこに出てもおかしくない」(坂下猟友会 吉村会長)。吉村さんによりますと、坂下地区では5年ほど前から人里でのクマの目撃情報が増えていて、この5年間で11頭が捕獲・駆除されたといいます。去年8月にはこんなケースも…。坂下地区で農業を行う原さんは、自宅近くの倉庫に保管していた肥料用の「米ぬか」がクマに食べられる被害にあったと話します。その一部始終を防犯カメラが捉えていました。写っていたのは体長140センチを超える大きな「ツキノワグマ」。原さんは、1度被害にあった後、米ぬかを冷凍庫の中にしまいましたが、その後何度もクマは姿を現したといいます。冷凍庫には、今もくっきりとしたクマの爪痕が残っています。冷凍庫を空にしても、クマが現れ続けたため、猟友会が倉庫内に「わな」を設置しました。「一度人里に来て自分が危険に出会わない限りは必ずまた来る」(坂下猟友会 吉村会長)。わなを設置してから約1カ月。ようやくクマがわなにかかり、駆除したということです。吉村さんは、クマが人里に現れるようになった1番の原因として 「人とクマが住む場所の境目があいまいになったこと」を挙げます。「一番なのは耕作放棄地が原因かなと思う。草が生えて、動物の隠れ場になるとそれで街中に出てくるようになった」(坂下猟友会 吉村会長)。坂下地区は2つの山に挟まれていて、クマが暖かい時期に行動する山と、冬眠する山との間に位置しています。そのため「クマの通り道」と呼ばれる場所が近くにあります。「この上流1キロぐらいのところに、クマの通り道というのがあって、(冬眠場所に向かう)途中でこの川を渡るので川を渡るときに川に両方から隠れることができる。これに合わせて街の中に出てくるクマが時々目撃されている」(坂下猟友会 吉村会長)。以前は、人の生活エリアとクマの生息エリアが近い場所では畑などの手入れが行き届いていたため、それぞれの生活圏が明確に分かれていましたが、人口減少や地域の高齢化で、放置される畑などが増えたことで人とクマの「境界」があいまいに―。吉村さんは、根本的なクマの対策として、人の生活エリアにある茂みや不要な果樹を伐採し、「境界」をはっきりさせることが必要だとしています。人間とクマ。共存するための対策が急がれています。
(三毛別ヒグマ事件から110年、クマとの共生を模索する町の姿:北海道)
史上最悪のクマによる被害「三毛別ヒグマ事件」。北海道北部の苫前町で7人がヒグマに命を奪われました。今も巨大なクマが出没を繰り返すこの町で、同じ悲劇を繰り返さない…先人の思いを継ぐハンターを追いました。わなで吠える体重300キロの巨大なヒグマ。2025年、苫前町では6頭のクマが捕獲されました。更に、400キロ級のクマが箱わなのまわりをうろつく姿も。連日、出没するクマへの対応に追われているのが苫前町猟友会の会長、林豊行さんです。「だいぶもらった時から使うと切れなくなるので、研いで、研いだ分だけ細くなっている」(苫前町猟友会 林豊行会長)。林さんがお守りとして持ち続けてきたのが1本の刀。町内で110年前に発生したある悲劇の記憶とともに受け継がれてきたものです。「二度とああいうことはあってはならない」(林会長)。苫前町三渓地区。うっそうとした森の中にたたずむのが「三毛別ヒグマ事件」の復元地です。「ヒグマ事件としては過去最大の事件」(苫前町郷土史研究会 伊藤通康会長)。大正4年12月9日、開拓地の民家にいた女性と男の子が突然現れたクマに襲われ犠牲に。翌日、クマは2人の通夜にも乱入したうえ、別の民家をも標的にします。「臨月のお母さんが襲われたが、お母さんが子どもを守るために『腹破らんでくれ。喉食って殺してくれ』と」(伊藤会長)。2日間で母親と身籠っていた子どもを含む7人の命が奪われました。このヒグマは、体長2.7m、体重340キロのオスで、事件から5日後に駆除されました。「冬眠を逸した。穴を持たないクマ『穴持たず』。そういった熊がお腹を空かして最終的に人間を襲った」(伊藤会長)。「これが足跡。体重でいえば200キロ以上あるかな」(林会長)惨劇から110年経った今も、クマから町民を守るため活動を続ける林さん。「2025年はやっぱり出方が異常。クマを捕ってこなかったから、繁殖したクマが『ここが自分たちの居場所だ』と感じている」(林会長)。町を駆け回るクマに、心が休まる日はありません。「これはクマが入っているエサを食べようとして、この下を掘った」「なかなかやるもの」(ともに林会長)。雪が積もった2025年11月にも町に巨大なクマが現れ、いとも簡単に箱わなをなぎ倒しました。今も町のどこかに身を潜めています。「デントコーンを食ってダボダボになったやつかな。くだらないワナを仕掛けて俺を捕まえる気でいるなと言いながら、くるっと回って笑いながら去っていった、そんな感じ」(林会長)。ハンターになって約50年。林さんが猟に出る時に欠かさず持ち歩くのが、師匠から受け継いだこの狩猟用の刀です。「大川春義さんが亡くなって、息子高義さんが使っていた。形見ですよ」(林会長)。大川春義さんは、三毛別ヒグマ事件のクマを撃ち取ったハンターの弟子で、幼少期に三毛別で事件を目の当たりにしました。息子の高義さんと親子で町民を守るためにクマを捕り続けたといいます。高義さんのもとに嫁いだつゑ子さんは、当時クマを相手にする親子の姿に驚かされ続けたことを思い出します。「クマの子っこ。こんなのを連れてきて。親クマを打ったから子っこが残った。一晩中ガオーガオーと鳴くの。えらい目に遭った」(故・高義さんの妻 大川つゑ子さん)。特に春義さんは、ある言葉を胸に故郷を荒らしたクマへの執念を燃やし続けた人生を歩んだといいます。「父親が『春義や 敵討ちせい』と」(大川つゑ子さん)。町内の神社。春義さんが建てた事件の慰霊碑があります。慰霊碑に刻まれた誓いの言葉そこには町を守る自らの誓いも刻み込まれています。~ 一生を賭して、クマ退治に専念し、以て部落の安全を維持するは、己れに課せられたる責務なり~。「じいちゃん(春義さん)は4月になったら、猟に出てもういない」「必ず持ってくる。百何頭を捕った全部」「ろうそくを立ててクマの頭を祀っていた」(全て大川つゑ子さん)。その春義さんから幼少期にクマ撃ちに誘われハンターになった林さん。すべてを学び、共に故郷を守り続けてきました。「”沢底から上にいるクマを撃つな”。”少しでも高いところに上がって二の矢を撃つなど出来るようにして撃て”と」「(刀見つめて)ありがたいなと思う。世話になってるから。やっぱりもらったときは嬉しかった」「大先輩の気持ちが入っていると思う」(全て林会長)。「突然1頭のクマが壁を破って飛び込んできました」。辛い記憶を今だからこそ知ってもらいたい。町では「三毛別ヒグマ事件」を語り継ぐ取り組みが進んでいます。「クマ出ないようにしてほしい」「あれだけ悲惨なことはないと思うので、若い世代も理解して継いでいければいい」(いずれも苫前町民)。頭が獅子ではなくクマという「苫前くま獅子舞」も、町民らで50年以上紡いできた事件を後世に伝える表現の一つです。「こっちは牙は木。だからぶつかるとケガをする」(苫前町くま獅子舞保存会 花井秀昭会長)。くま獅子舞の保存会で会長を務める花井秀昭さん。子どもの頃に聞いた話が記憶から離れませんでした。「おばあちゃんから事件当時クマが襲ってきて、骨をかみ砕く音が聞こえたという話をうちのおふくろが聞いていた」(花井会長)。担い手不足で一時は活動が止まりましたが、町の子どもたちがメンバーに加わり復活。歴史を次の世代へと繋いでいます。「楽しい・嬉しい事件ではないので、引きずるのかとの話もあった。でも、こういう人がいたから今の苫前がある。そういったことを後世に伝えていかなければならない」(花井会長)。悲劇の地でクマと共に生きていかなければならないという現実。「共生というのはお互いに認識しあって認め合ってという意味。お互いに恐れて近づけないように、それしかしょうがない」(林会長)。先人たちの思いを胸に、林さんは、動き続けます。「撃ちたくて撃つというよりも、撃たなければならないから撃つ」「クマが増えて誰かが犠牲になることを防ぐためには、今できることをやらなければならない」(林会長)。
(猟師として生まれ育った地域を守りたい:京都)
真新しいオレンジのハンターベストに身を包んだ新人の姿が目を引いた。11月15日に狩猟が解禁され、京都府猟友会洛北支部員は猟犬を用いる集団猟を行った。緊張した面持ちで地図を確認する2年目の猟師に、今井亮太さん(40)が期待のまなざしを向ける。
(現役ハンターが指摘する意外な「熊害防止策」)
全国でクマによる被害が頻発している。今年に入りクマに襲われたことによる死者数は13人、けが人は207人(ともに11月5日時点)にのぼっており、すでに過去最悪の状況となっている。人以外にも、ペットや家畜、農作物への被害も相次いでいる。11月16日には、秋田県能代市中心部の商業施設内に体長約80センチのクマが侵入。従業員らがバリケードを築いて客を無事避難させたのち、クマは店内で駆除された。こうした事態を受け、2025年9月から人の日常生活圏に出没するクマを駆除するための法整備として「緊急銃猟制度」が導入された。各市町村の判断のもと、地元の猟友会などへの委託により、銃器を使ったより積極的な駆除が可能になった。また、11月には国家公安委員会規則が改正され、「危険鳥獣による人の生命、身体への危害防止」のために警察官がライフル銃を使用することができるようになった。しかし、「人里に降りてきたクマを撃っていたのでは手遅れになるし、キリがない」と指摘するのは、東北地方の猟友会に属する60代の現役ハンター、加藤慎太郎さん(仮名)だ。「『人里に降りたら酷い目に遭う』ということをクマに教えられればいいが、動物はしゃべれないから、自分が体験するか目の前で起きたことしか教訓にしない。クマは群れを成さないので、単独で人里に降りてきたクマを一頭ずつ撃っていても他の個体には教訓が共有されないのです」(加藤さん)。その一方で、加藤さんは、「それよりは、群れで行動するシカを撃ったほうが効率がいい」と主張する。「クマが人里に降りるようになったのは、山に食べ物がなくなったからとよく言われるが、私が見る限りではそうとも言い切れません。冬眠前に好んで食べる木の実類は、昔に比べると確かに減っているが、全くないわけではない。ツキノワグマの足跡や糞が残っているような場所でも、ドングリや椎の実が地面に豊富に残されていることも多い。代わりによく目にするようになったのが、クマに襲われたとみられるシカの死骸。栄養価の高い内臓だけがきれいに喰われていて、肉には手をつけていないことも多い。飢えているクマだとすれば、そんな食べ方はしないはずです。クマはもともと雑食だけど、シカの死骸や弱った個体を狙って食べることは知られている。それが最近は、以前よりもシカを積極的に食べるようになってきている印象もあります」(加藤さん)。そして、そんなシカを追う形で、クマが人里に近づくようになったというのが加藤さんの見立てだ。「シカの生息域の標高はクマよりはやや低いのですが、かつては集落までやって来ることは稀でした。しかしここ10年ほどで、群れを率いて傍若無人に集落付近に現れるようになった。一因として、人の生活圏付近では、銃猟やくくり罠猟が禁止される『特定猟具使用禁止区域』が拡大したり、狩猟に関する法律の運用が厳しくなったりしたことで、シカは『人里には危険はない』と認識していることがあげられるでしょう。群れが来るところには死骸も出て来る。ツキノワグマの嗅覚は何キロも離れている死骸の匂いを嗅ぎとることができるので、それを追ううちに人里に近づくようになったクマも少なくないはず。そうして偶然に立ち入った人里で農作物の味を覚え、さらに人間も恐れるに足らずという成功体験を得れば、繰り返し人里に出没するようになる」(加藤さん)。これが「クマを撃つよりシカを撃つべき」という加藤さんの主張の根拠だ。「現在も、山林や農地では、農作物への獣害対策でシカの駆除をやっていますが、人里周辺にも範囲を広げ、シカを人間の生活圏に寄せ付けないことが、クマ被害を減らす一つの手段になると私や狩猟仲間は考えています。クマと違って群れで生活するシカは、仲間が命を落とした場所を記憶し、避けるようになるので、クマを一匹ずつ撃つより効率もいい。ただ、くくり縄を使うとかかったシカをクマが狙う事例も報告されるので、銃猟でやるべきでしょう」(加藤さん)。あくまでひとりの現役ハンターの所感である。しかし、もはや災害レベルの問題となってきたクマ被害だけに、危険クマの駆除だけでない根本的な対策が求められていることは確かであろう。
(自然写真家が語る「冬もクマが出る」異常事態の悲しい原因:永幡嘉之)
朝の散歩や通勤の途中で「クマを見た」という声が増えている2025年。これまで山奥にいるはずだったクマが住宅地や通学路の付近に現れ、事故の報道も後を絶ちません。なぜここまでクマの人身事故が増えたのでしょうか。そして、こうした状況に私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。この問いのヒントとなるのが、自然写真家・永幡嘉之氏の著書『クマはなぜ人里に出てきたのか』(旬報社)に記された、クマの行動原理と事故増加のメカニズムです。本記事では、その重要な一節を抜粋して紹介します。秋田県でのツキノワグマによる人身事故は、例年は6件から12件ほどで推移していたものが、2023年には62件にものぼりました。以前から山形県で新聞報道など目にするなかで、ツキノワグマが住宅地に出てくる場所には共通性があることに気づいていました。水田の中に川に沿って樹林がある場所、なかでも河岸段丘もしくは幅広い河川敷がある場所の付近に集中しています。夜間に餌を食べるために川沿いの森伝いに下りてきて、夜明けまで餌を食べ続けた結果、早朝に人が行動を始めてしまい、森林に戻れずにパニック状態になる個体が、学校や人家に飛び込んだり、住宅地を走り抜けたりしていると考えられます。事故は、必然的に早朝に集中しています。また、藪に潜んで人が通り過ぎるのをやり過ごそうとしているときに人が接近してしまった場合や、子連れの母グマが仔グマを守ろうと襲いかかる場合など、詳細に調べれば、それぞれの例はツキノワグマの行動の面から説明できます。2023年の秋田県での人身事故の多発は、いずれもツキノワグマの通常の行動として説明が可能でしたし、事故は出会い頭に偶発的に起こるため、ツキノワグマの密度が高くなれば、発生件数は必然的に増えていきます。事故の報道が多くなるほど、恐怖を煽り立てる風潮がどうしても生まれてしまいますが、2016年に秋田県鹿角市の山中で見られたような、クマのほうから人を襲うようなことは起こっていないと考えられました。次に、ツキノワグマが人に慣れる傾向がみられるかどうかも気にかけていました。10月に秋田県で3度にわたって出会ったそれぞれ3個体・10個体・16個体は、2例を除けば強い警戒心を持っており、私の気配に気づくと同時に逃げました。例外的だった2例はといえば、29日に子連れのメスが100メートルほど離れたところで重機による畦の補修が始まってもイネを食べ続けていた例と、31日に、やはり子連れのメスに対して住民がロケット花火で追い払おうとしても、少し移動しただけで、そのままソバを食べ続けた例です。ロケット花火も重機もその場所で何度か使われていた可能性が高く、クマのほうがすでに花火や重機が音しか出さず、危害を加えてこないことを学習していた可能性が高いと受け止めました。11月1日には狩猟が解禁になりました。11月8日に一帯を走った際にはツキノワグマの姿は消えており、10月には重機の音でも親子が逃げなかった水田に行くと、前足に生々しい銃創を負った仔グマ1個体だけが、稲刈りの終わったなかで落ち穂を拾っていました。本来であれば越冬を控えて山に移動してゆく時期です。私が多くの個体を見たのは10月31日までで、その翌日から狩猟が始まったことになります。それまでロケット花火などで脅すだけで、危害を加えてこなかった人間が、ある日を境に銃を使用するようになったことで、秋の狩猟期間には、日中にも姿を隠さずに活動していた子連れのメスが捕獲されやすかったのではないかと思われました。12月になっても、あるいは1月に入っても、まだクマが出たという報道が続き、異常事態という言葉が繰り返されました。その多くは体長が50センチメートル程度の仔グマで、報道を見るたびに書きとめておいたのですが、具体的には以下のような例がありました。・山形県飯豊町でカキに上っていた例(2023年12月25日)・岩手県北上市で商業施設に仔グマが出現した例(2024年1月9日)・秋田県鹿角市で雪のなかでカキを食べていた例(2024年1月8日)・山形県尾花沢市でカキに上っていた例(2024年1月20日)。これらは親が駆除されてしまったためにすぐに冬眠に入ることができず、餌を食べ続けていた仔グマだと考えられました。山形県に寄せられた目撃情報のうち、体調が記されていたものを参照すると、12月の後半には3個体すべてが1メートル未満の仔グマで、1月では7個体のうち4個体が仔グマでした。つまり、「クマが越冬に入らない異常事態」ではなく、狩猟あるいは駆除の結果、親とはぐれた仔グマを人間が作りだしていたことで説明がつきます。なお、新聞報道では「穴持たず」というクマの話題が出ていたことにも、触れておきたいと思います。11月になれば、話題性のあるツキノワグマのニュースはメディアでさかんに取り上げられていましたが、取材に応じる専門家の数が少ないこともあって、記者はコメントをとるために専門家を探し回っている状態が続いていました。そのなかで、専門家から「マタギの伝説では“穴持たず”という冬眠しないクマがいるといわれ、空腹で気が立っているので凶暴」という話題が出たのです。記事を批判する意図はありませんので、具体的にはこれ以上書きませんが、これが上記の「12月になってもクマが冬眠に入らずに街に出続けている」という情報と重なってしまったことから、凶暴なクマに気をつけるべき、という論調が生まれていきました。実際には人里に出てきたのは親とはぐれた体長50センチ程度の仔グマであり、ほぼ「母親クマの駆除」で説明できたことは、直前に書いた通りです。ここでは事実と伝説を混同しないことと、いたずらに恐怖を煽り立てる報道に惑わされないことを教訓として書きとどめておきます。誰もが不安を抱えている非常時にこそ、「自分の眼で物を見ること」を意識せねばと、自戒とともに思います。
(漫画「クマ撃ちの女」作者にきく)
東北・北海道を中心に、市街地でクマの目撃が相次いでいる。Webマンガサイト「くらげバンチ」(新潮社)で「クマ撃ちの女」を連載している安島薮太(やぶた)さん(41)は「新章で市街地に現れるクマを考えていたが、現実の方が先だった」と驚きを隠さない。「5年後か10年後、徐々にくるかなぁ、と思っていました。すごい急だった」と安島さん。しかも同時多発的だ。「クマ撃ちの女」の主人公は、クマを狙うハンターで30歳代の小坂チアキ。密着取材するライターの伊藤カズキや、北海道犬「ワン」も狩りに同行する。6月発行の単行本15巻までで、紙と電子版をあわせた累計発行部数が80万部を超えた。12月に16巻が発売予定。チアキは、足跡やふんなどの痕跡からクマの行動や心理を読む能力にたけ、最新137話までに10頭ほどのヒグマを倒した。駆除にかり出された猟友会メンバーらも、その能力に目を丸くする。かつて姉とシカ撃ちに出かけた際、姉がクマに襲われ左足を失った。そのときに遭遇したクマ「牙欠け」を追うことに執念を燃やす。姉が襲われている時に手出しできなかった「敗北感」が原動力となり、同行する伊藤をおとりに使うなど、負けず嫌いで自分本位な行動をとることもある。しかし、「大切な人」ができて、自分以外の人のために猟をする成長した姿が描かれていく。
(クマ出没で注目"大規模ハンター養成所":兵庫)
連日クマの被害が相次ぐなか、対応するハンターの需要が高まっています。そうしたなか去年、全国に先駆けて兵庫県が“ハンター養成所”を開設しました。射撃やわな猟を学べる施設とは一体どんなものなのか。今年、猟銃免許を取り、施設で訓練を積み、自身が育てた農作物を守るためにハンターとなった新米ハンターの、初めての銃猟に密着しました。50m離れた的に次々と弾丸が撃ち込まれます。兵庫県三木市にある県立総合射撃場、通称「ハンターズフィールド三木」。山に入ってシカやイノシシなどを捕獲する“ハンターの養成施設”です。11月22日(土)にやってきたのは、福井県の各自治体で有害鳥獣の捕獲を担当する職員です。(福井県エネルギー環境部自然環境課・國永知裕主任)「福井県ではブナ、ミズナラといった樹木の実が不作でクマが大量出没している。技術の向上や後進の育成の観点から研修に来ました」。福井県勝山市では今年10月、こども園にクマが侵入、銃で駆除する「緊急銃猟」を、今年9月法の改正後初めて実施しました。その後もクマが出没していて、安全に駆除する技術を磨くためにきたのです。去年6月にオープンした「ハンターズフィールド三木」。総工費約35億円をかけて兵庫県が設置しました。甲子園球場20個分(約80ヘクタール)の広大な敷地で射撃訓練やわなの使い方などを専門家に学べるほか、駆除した動物を食肉として活用するための処理方法の講座もあります。さらに免許がなくてもできるビームライフルの射撃体験などもあり、狩猟が身近に感じられるようになっています。全国でも珍しいという自治体による大規模な”ハンター養成施設”、なぜ作られたのでしょうか?(兵庫県環境部自然鳥獣共生課・中川幸二鳥獣対策官)「(シカなど)農林業被害が直近では4億円。農業される方からすると作ったものが動物に食べられるというのは営農意欲を低減されることになります」。兵庫県内のシカやイノシシなど野生鳥獣による農林業の被害額は4億1500万円。2013年は7億9400万円だったため以前よりは減りましたが、近畿で最も大きく高い水準が続いています。一方で登録されているハンターの半数以上が60歳以上と高齢化が進んでいて、若いハンターを増やすことが急務となっているのです。朝来市で農業を営む鴨谷康隆さん(41)。父のあとを継いで専業農家になり、特産の岩津ねぎなどを栽培しています。自慢のネギですが、頭を悩ませているのが「シカによる食害」です。そこで考えたのが自らがハンターとなってシカを駆除することでした。去年、わな猟をはじめ、今年6月には猟銃の免許も取得しました。兵庫県のシカの狩猟解禁は11月15日。銃を使った初めての猟に向けて、命中精度を上げていきます。指導員から身振り手振りをアドバイスをしてもらい、その後、的の中心付近に撃てるようなりました。猟の前日の11月15日は、シカの食肉処理の研修です。指導の下、鴨谷さんは肉の処理を行っていきます。駆除するのは人間の都合。奪った命を決して無駄にしないよう真剣に耳を傾けます。日本海に面した兵庫県香美町。11月16日、鴨谷さんが初めて銃を使った猟に挑む日です。(兵庫県猟友会・上田剛平朝来支部長)「みなさんおはようございます。きょうはグループでの初出猟ということで、安全第一でやっていきたいと思います」。同じ猟友会に所属する11人で、「巻き狩り」という方法で猟を行います。メンバーは銃を撃つ射手(しゃしゅ)と、シカを追い詰める勢子(せこ)の二手に分かれます。勢子は犬と一緒にフンや植物を食べた痕跡などから、シカが潜む場所を見つけ、大声を出して射手が待ち伏せる場所へと追い詰めます。十分近づいたところで、射手が銃撃し、仕留めることができれば成功です。初陣の鴨谷さんは、待ち伏せをしてシカを撃つ射手を担当します。いよいよ山へ。けもの道をたどり奥へと進みます。道中にはシカやイノシシの足跡がいたるところに。その後も険しい山道を登り、鴨谷さんはポイントに到着。シカを待ち伏せる態勢に入ります。ほかの場所で待ち伏せるメンバーから、鴨谷さんの方にシカが向かっているという情報、緊張が高まります。近くで銃声が響き、鴨谷さんも猟銃を構えたそのとき…十数頭のシカの群れが走り抜けていきます。見つけてからわずか10秒ほど、引き金を引くのをためらっている間に射程圏外に去って行きました。その後もほかのポイントからは銃声が響きますが、鴨谷さんの近くにはシカは現れません。鴨谷さんは猟銃に装填していた弾を回収します。(鴨葱農園・鴨谷康隆さん)「撃てなかったです。1頭目が見えてそれに気をとられて、後ろ全然見えなくて…」。この日は、午前と午後で2つの山で猟を行い、先輩のハンターらが約5時間の猟で10頭のシカを駆除しましたが鴨谷さんはゼロ、少し悔しい結果になりました。(兵庫県猟友会・上田剛平朝来支部長)「そのうち発砲するチャンスは絶対あるし、そのときに失敗することもたぶんあると思うけど、なんで失敗したんやろうと考えることが大事やな」。来年1月には2度目の猟に出るという鴨谷さん。数少ない若手ハンターとして期待に応えられるよう技術を磨きます。
(狩猟者の功罪、有害駆除は「金のための殺し」)
全国各地でクマによる被害が相次ぐなか、狩猟免許を持ち猟師としても活動している俳優の東出昌大が週刊誌に寄稿した連載の再編集記事が、ネット上で物議を呼んでいる。記事は過熱するクマ報道に一石を投じた内容だが、実際に狩猟に携わる人々は現在のクマ問題をどう感じているのか。東出が「山の師匠」と仰ぐ登山家で作家の服部文祥氏に、過熱するクマ報道への見解を聞いた。物議を呼んでいる記事は、今月18日にYahoo!ニュース上に掲載。東出が一部週刊誌に寄稿している連載を再編集した形式で、内容は過熱するメディアのクマ報道への疑問を語ったものだが、見出しには「クマはそんな危ないもんじゃない」という東出の言葉が踊っており、ネット上では「クマ被害を軽視している」「被害地域への配慮を欠いている」といった批判の声が寄せられている。記事はすでに削除されている。そんな東出が「山の師匠」「狩猟の大先輩」と慕うのが、銃と最低限の装備のみで食料を現地調達するサバイバル登山家の服部文祥氏だ。東出が狩猟免許を取得した直後から度々猟を共にしており、公私ともに交友が深いことで知られる。狩猟歴20年の服部氏はクマを巡る現状をどう見ているのか。11月上旬に行われたアウトドアイベントの会場で同氏を直撃した。クマ問題についてのスタンスを問うと、服部氏は前提として「俺はクマ擁護派」ときっぱり。「クマが積極的に人間を襲うというのは今でもないと思ってる。今もほとんど99%以上の個体は人を恐れて生きています。一部の異常なクマのせいで、まるでクマ全体が人間の敵みたいになっている現状は残念だし、受け入れられない。実際に野生のクマを知りもしない人間が、目先の情報だけで『クマはモンスター』と決めつけるのは、クマに対して失礼ですよ」と私見を語った。現実問題として、実際にクマが人を襲う事故が起きているのも事実だ。今起こっている状況について、服部氏は「自分自身、混乱している部分もある。(服部氏が活動する関東とでは)地域的な隔たりもある。そこは分からない」としつつも、クマが人を襲うようになった理由の1つとして、狩猟者モラルの問題を指摘する。「我々狩猟者がシカを撃って、転がしたままにしてることにも責任はある。おいしい部位の肉しか取らない、後は運べないからそのまま山に捨てていく。今は殺して尻尾だけ持って帰ったら、有害駆除で1万円くらいもらえる自治体もある。食べるためじゃなく金のための殺しだから、俺は有害駆除はやらない。山にシカの死がいを放置して、肉食を覚えたクマがモンスター扱いされるのは、やっぱり『あれ?』と思いますよね」。狩猟の目的は単なる趣味から食用としての利用までさまざまだ。そのうち、農作物や生活環境に被害を与えるなどの理由から、集中的かつ広域的に管理を図る必要がある動物(指定管理鳥獣)を自治体からの許可を得て捕獲・駆除する狩猟は「有害鳥獣駆除」と呼ばれる。2015年にニホンジカとイノシシが指定され、24年には四国の個体群を除くクマ類が追加指定。駆除の確認が取れるとハンターには自治体から報奨金が支払われる。自治体からの要請で危険な駆除業務を担うハンターがいる一方で、趣味の延長で小銭稼ぎに有害駆除を行い、死がいを回収することもなくその場に遺棄していくようなモラルの低いハンターもいる、というのが服部氏の指摘だ。サバイバル登山家として「食べるために殺す」ことのみを実践する同氏は、現在山奥の廃村で自給自足の生活を送っている。丹精込めて育てた作物をクマに荒らされることもあるが、種として共存・共生していく姿勢は必要だと口にする。「もちろん、そういう時はぶち殺してやろうと思いますよ。クマは柿もハチミツもみんな食っちゃう。本当に頭に来ますよ。ただ、当たり前の話ですけど、人間は人間だけでは生きていけないんですよね。それなのに、我々は表面上、人間だけで生きていけるような社会を作っちゃってる。慣行農法で野菜を作って、工業畜産で家畜を作って、まったく生態系に関わらずに人間社会だけで生きていけるというイメージを持っちゃってますよね。それは正しい命の在り方じゃない」。人命最優先のもと過熱するクマ報道を受け、ネット上では「クマは絶滅させるべき」「動物園で種の保存管理だけすればいい」といった極端な言説も出始めている。“弟子”の東出が苦言を呈した、過熱するメディアの報道姿勢については、同じ意見を口にする。「人間が獣に殺されることに異様に反応しますよね。文明社会でそんなことがあってはならないというのも、簡単に言えば人間中心主義で、俺はその考えにはあまり共感しない。一緒に生きていくしかない。場合によっては何人か死んでもしょうがないと思うしかないんですよ。『じゃあお前の子どもが殺されたらどうなんだ』と言われるとちょっと揺らぐけど、究極的にはそれも仕方ないと思うべき。殺された瞬間はコノヤロー! と思うだろうけど、後々落ち着いて考えたら、それも生命の在り方だよなと。だいたい、交通事故の方がよっぽど理不尽ですよ。車が危険だとみんなが分かっているのに、乗るのをやめないのは危険性より経済効率を取ってるからですよね。俺は他人を信用してないから、山には登っても交差点の近くには絶対に立たない。車にひかれて死ぬよりクマにやられて死ぬ方が、よっぽど生き物として正しい姿な気がしますけどね」。飾らない言葉でクマ問題への率直な考えを語った服部氏。過熱する報道に流されることのない、冷静な議論が求められている。
(普通乗用車とイノシシが衝突する事故:新潟)
村上市で24日夜、普通乗用車とイノシシが衝突する事故がありました。事故があったのは、村上市若葉町の市道です。警察によりますと24日午後9時前、車の運転者から「午後8時15分頃、イノシシと衝突した」という旨の通報がありました。運転手が瀬波方面から塩町方面に向かって車を運転していたところ、道路を右から左に横断するイノシシ1頭と衝突したということです。イノシシは体長約1メートルで、衝突後、三面川の方へ逃げたということです。衝突した車は前方の部品がずれるなどの損傷はありましたが走行に支障はなく、運転者にケガはありません。警察が付近をパトロールするなど警戒活動を行っています。
(茂みから何かが飛び出し車と衝突:香川)
香川・東かがわ市で11日、走行中の車が茂みから突然飛び出したイノシシと衝突した。目撃者は去年も周辺でイノシシの群れと遭遇し、急ブレーキで回避した経験があるという。11日、香川・東かがわ市でカメラが捉えたのは、「ドシン」と衝撃音が響き渡り、何かが車に衝突する瞬間だ。薄暗い坂道を走行中、茂みから突然1頭のイノシシが現れた。突然の出来事に、目撃者はなにが起きたかすぐには分からなかったという。イノシシは1頭だけではなく、後方のカメラには衝突直後イノシシの群れが一目散に逃げていく様子が映っていた。こちらの目撃者は、去年12月にも同じような経験をしていた。真っ暗な道を車のライトが照らした先に、突然イノシシの群れが現れた。慌ててブレーキをかけ、衝突を回避した。子どもだろうか、2頭の小さいイノシシが追いかけていく様子も確認できる。
(第5回狩猟フェスタを開催しました:高知)
高知県中山間地域対策課鳥獣対策室では、第5回狩猟フェスタを令和7年10月26日に高知ぢばさんセンターで開催いたしました。当日は約2,700人の来場があり、家族連れなど多くの方で賑わいました。高知県の令和6年度の野生鳥獣による農林水産業の被害額は約1億8700万円となっており、前年度から約5千万円増加するなど、依然として高い水準となっています。こうした被害は生産者の耕作意欲を損なう精神的な被害にもつながります。また、山林でのシカによる食害は林業への被害のみならず、土砂崩れの発生リスクを高め、人命に関わる問題となります。このような野生鳥獣による被害を減少させるには、野生鳥獣を捕獲する狩猟者の存在が非常に重要です。しかし、高齢化に伴い狩猟者数も年々減少傾向にあります。こうした背景から、高知県では、狩猟者の確保と狩猟の社会的役割や魅力を県民の皆様に伝えることを目的とした狩猟フェスタを毎年開催しています。狩猟フェスタでは、狩猟で使用する道具や野生鳥獣の革などを利用した雑貨、ジビエ料理などを販売する団体や事業者の皆様に出展していただいています。今年は高知商業高等学校ジビエ商品開発・販売促進部や龍馬情報ビジネス&フード専門学校調理経営学科など、35の団体や事業者の皆様に出展していただきました。また、会場内ではハンティング模擬体験やなりきりハンター撮影会、クラフトワークショップなどの体験型イベントを開催し、多くの親子連れの皆様に狩猟を身近に感じていただき、楽しんでいただきました。さらに、シカによる食害で傷ついた三嶺の森や森林環境税に関するパネル展示を行い、多くの方に野生鳥獣による被害の現状や狩猟の重要性を知っていただきました。狩猟フェスタでは、来場者に楽しみながら狩猟やジビエ料理などについて知っていただきたいという思いから、県内外の狩猟者などを講師としてお呼びし、講演や実演をしていただくステージイベントを実施しています。今回は岐阜県で狩猟を行いながら、里山保全やジビエツアーの企画運営など、「半猟半Xな暮らし」を実践しておられる安田大介さんのスペシャルトークをはじめ、県内外で活躍している女性ハンターによるハンター女子会トーク、県内の人気シェフをお招きし家庭で作れるジビエ料理の実演を行いました。また、高知商業高等学校ジビエ商品開発・販売促進部によるジビエと狩猟の〇×クイズや狩猟の名人による猟具の実演も行い、熱心に耳を傾ける来場者の姿が目立ちました。高知県には多くのベテランハンターが活躍しています。狩猟フェスタでは、銃猟やくくりわな、箱わなで活躍している長年の狩猟歴を持つ狩猟者の皆様に講師として模擬実演を行っていただいております。箱わなの実演は、土佐東地区猟友会の会長の森田英二さんに講師として担当していただきました。森田さんは約50年以上の狩猟歴を持ち、年間300頭以上イノシシを捕獲している熟練の狩猟者です。講演の中で、森田さんは狩猟の難しさと技術の継承について触れていました。「最近はわな猟師が増えていますが、素人が簡単に捕獲できるものではなく、技術と知識が必要になります。新人猟師は最初、捕獲や止め刺しなど技術を要する作業がうまくいかず、多くの場合、熟練の猟師に教わりながらすることになります。ただ、熟練の狩猟者の技術をまねるだけではうまくいきません。熟練の技術を参考にしつつ、獲物に向き合い、自分自身で技術を研究して確実な方法を見つけることが非常に重要です。その過程が、必然的に捕獲数の増加にもつながります。」と来場者に伝えていました。高知県では、年々狩猟者数が減少傾向にあり、熟練狩猟者の捕獲や解体などの技術が新人の猟師に継承されにくい問題を抱えています。今後も高知県の農林水産業の被害を抑えるためには、技術を持った狩猟者の担い手確保が重要です。そのため、高知県では狩猟フェスタをはじめとした狩猟者の確保と担い手の育成の取り組みを継続して実施していきます。
(捕獲のクマやシカ「無駄にせず」、ジビエ利用1割の壁に挑む)
14日、都内の自民党本部で開かれた鳥獣食肉利活用推進議員連盟(ジビエ議連)。しょうゆベースでチャーシューのように調理されたツキノワグマの肉を前に、思わず「すごい。これはワインに合うねぇ」と漏らした前首相の石破茂(68)は、子どもの頃に初めてクマのすき焼きを食べて感動したエピソードを披露した。「ジビエ文化を日本に根付かせ、結果的に鳥獣害が減ればいい」。
(シカ肉バーガー、高校生が調理・販売も:北海道)
釧路・根室管内の味覚を集めた「うまいもん発見市場」(町商工会主催)が22日、富士3丁目プラザで開かれた。肉や海産品、スイーツの販売のほか、標茶高生による「鹿(しか)バーガー」の調理実演販売が行われた。
(百貨店で“農政局フェア”:岡山)
岡山県内で生産された農作物や加工品を販売するイベントが岡山市北区の百貨店で始まりました。岡山県北で獲れたイノシシの肉を詰めた鍋のセットや、辛みが少ない赤大根など、ユニークな品が並びます。きょう(27日)始まった「農政局フェア」です。岡山高島屋と中国四国農政局が県内の農作物や加工品の魅力を知ってもらおうと毎年、年に2回開催しているものです。今回は17の事業者が出した約100種類の商品が販売されています。(中国四国農政局 金田直樹さん)「岡山県内の農業や農村の様々な魅力を1番分かりやすく示すことができていると思います。みなさん是非、食べに来てください」。地域活性化に向けた事業者などの取り組みを紹介するパネルも展示されています。「農政局フェア」は来月(12月)1日までです。
(地方創生アイデアコン、返礼品にエゾシカ加工品提案:北海道)
地域活性化の政策アイデアを募る「地方創生☆政策アイデアコンテスト2025」(内閣府主催)の北海道経済産業局長賞に、「高校生以下の部」で釧路湖陵高の1年生チーム、「大学生以上一般の部」で同校の高橋翔教諭がそれぞれ選ばれた。北海道代表として12月6日に東京で開かれる全国最終審査会に進む。
(でジビエダムカレーを食べてきた!:徳島)
ここ、もみじ川温泉の横に流れているのは那賀川といい、川口ダムがあるとのこと。そのため「ジビエ・ダムカレー」がイチオシメニューなのだとか。カレーに使われているのはシカの肉。徳島の山奥はシカやイノシシの害も深刻ということもあり、獣肉の活用が模索されているのだそう。野菜がもみじの形になっているのもいいですね。肉の食感が良くて辛さもちょうど良く、美味しいカレーだったとABSsuperさん。臭みも無かったそうです。
(ジビエ料理の試食会:山口)
イノシシやシカの料理の試食会が26日、山口県長門市で開かれました。試食会は、イノシシやシカなどのおいしさを知ってもらい販路拡大につなげようと市や猟友会などで作る長門市有害鳥獣被害防止対策協議会が開きました。料理は、日本ジビエ振興協会の代表理事で長野県でジビエ料理を提供している藤木徳彦さんが手がけました。旅館や飲食店の料理人など約30人が6種類の料理を試食しました。藤木徳彦シェフ「左側がイノシシのロースの焼いた物、味付けは塩だけです」。2024年度、有害鳥獣による市の被害は約1600万円、シカが1100頭、イノシシが約900頭捕獲されています。協議会ではジビエ料理を特産品にするため今後も普及に取り組むということです。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、27日午前、仙台市青葉区折立2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、27日午後4時15分ごろ、名取市相互台東1丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午後2時30分ごろ、栗原市瀬峰坂ノ下浦にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、26日、仙台市青葉区折立2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午前10時20分ごろ、栗原市築館萩沢土橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午前7時15分ごろ、栗原市築館下宮野岡田にクマが出没しました。
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(連日柿の木に登っていたクマ、緊急銃猟:山形)
雪が降っても冬眠する気配がない。県内では21日もクマの目撃が相次ぎ、米沢市ではクマ1頭が緊急銃猟により駆除された。米沢市によると、21日午前8時50分ごろ、芳泉町で「柿の木の上にクマがいる」と付近を見回っていた猟友会から市に通報があった。この場所では11月11日ごろから柿の木に登るクマが連日目撃されていて、箱ワナを設置して対応していた。市は、21日に目撃されたクマがこれまで目撃されていたクマと同じ個体とみて、午後1時すぎに緊急銃猟を判断。午後3時半すぎに、柿の木の近くに居座っていた体長75センチの成獣のクマ1頭を猟友会が駆除した。県内での緊急銃猟の実施は8例目。また、山形市では21日午前7時半前、切畑地内の住宅の敷地内で柿の木の上にいるクマが目撃された。クマはその後、山の方に向かって逃げたとみられるが、市は周辺の小学校の下校時間に合わせパトロールを行った。このほか、21日は飯豊町・鮭川村でもクマが目撃されていて、引き続き警戒が必要。
(イノシシの「豚熱」感染初確認、県庁で緊急対策会議:鹿児島)
鹿児島県霧島市で見つかった野生イノシシの死骸について県は19日夜、家畜伝染病「豚熱」に感染していたと発表した。県内での感染確認は、養豚場で発生した1985年以来で、イノシシでは初めて。これを受けて20日、県庁で緊急防疫対策会議を開いて感染対策の徹底を呼びかけた。会議では野生イノシシの感染2例目も報告された。1例目の発見場所から南に約3.5キロの地点でメスの死骸が18日に見つかり、20日に陽性と判定された。養豚場に対して野生動物に対する防護柵の点検・補修など病原体の侵入防止を徹底するよう呼びかけた。新たに経口ワクチンを緊急散布する方針で、実効性が高い散布地点を選定中という。
(県が豚熱対策でワクチン緊急散布:鹿児島)
霧島市で豚熱に感染した野生のイノシシが確認されたことを受け、県は、20日、霧島市と曽於市でワクチンの緊急散布を行いました。霧島市で豚熱に感染した野生のイノシシが確認されたことを受け、県は20日、ワクチンの緊急散布を行いました。霧島市の18地点に480個、曽於市の13地点に300個を散布し、20日午後4時15分に作業を終えたということです。県は豚熱ウイルスの拡散防止のため、散布した地点には近づかないよう呼び掛けています。
(豚熱に感染した野生のイノシシ、緊急の対策連絡会議を開き注意呼びかけ:鳥取)
鳥取県で豚熱に感染した野生のイノシシが確認されたことを受け、県は11月20日に緊急の対策連絡会議を開きました。鳥取県 平井伸治 知事「警戒レベルをまたいま一度、上げていかなければならない」。豚熱に感染していたのは、11月15日に鳥取県倉吉市で捕獲された野生のオスのイノシシ1頭です。県内ではこれまでイノシシの豚熱感染は84例確認されていて、今年に入って21例目。倉吉市では初めての感染確認となりました。鳥取県によりますと県内16の農場全てでこの豚熱による被害は確認されていないということです。鳥取県 平井伸治 知事「全県に広がっている可能性があるという風に考える事態となった。農場のみなさんには消毒や注意を徹底していただきたい。県民の皆様には山に入った時は泥を払って帰ってくる、あるいは農場に近づかない、こういうことを徹底してご協力いただきたい」。鳥取県ではこれまで東部、西部を中心に豚熱に感染したイノシシが確認されていましたが、中部でも確認されたことで県は全域で注意を呼びかけています。なお、鳥取県は豚肉やイノシシ肉を食べることにより豚熱が人に感染することはないとしています。
(クマ「緊急銃猟」の避難訓練:石川)
全国で後を絶たないクマによる人身事故。9月からは市街地でも自治体の判断で猟銃を使った「緊急銃猟」が可能になりましたが、安全を確保するには住民の速やかな避難が課題となります。石川県加賀市で25日、クマの出没を想定して住民を避難させる訓練が行われました。人里での目撃が相次ぐクマ。県内では2025年、19日時点で358件の目撃情報があり、10月30日には、白山市で住宅裏にクマが出没し、9月に制度が始まって以降初の緊急銃猟で駆除されました。猟銃を発砲するうえで大切になるのが周辺住民の安全の確保。加賀市黒崎町では、市の職員や警察が参加して、住民の避難誘導訓練が行われました。渡邉百音フィールドキャスター「訓練は、子ども会館の中にクマの成獣1頭が居座り、緊急銃猟で発砲する想定で行われました」。半径100メートル以内の住民に、戸別訪問で発砲することを知らせ、屋内に退避するよう呼びかけます。職員はおよそ30軒の住宅を回り、加賀市が独自に作成した避難マニュアルを配布しました。目標は30分以内の周知。今回は、半分未満の14分でエリア内のすべての住宅に避難を呼びかけることができました。加賀市鳥獣害対策室・田中慎一室長「想定していた通りの時間で避難誘導が完了できたのでその点はよかったと思う「住民の方の安全確保」これはクマに対する安全確保ではなくて「銃弾」に対しての安全確保が最も重要かなと思います」。札幌市では10月、住民が取り残され発砲ができなかったケースもあり、加賀市は住宅が多い市街地などでも訓練を重ね、安全な緊急銃猟につなげたいとしています。「緊急銃猟」は9月に始まった制度ということでやはり住民の方々は「その時にどう行動したらいいのかわからなかった」という方も居ました。訓練では、できる限り窓から離れることや、カーテンを閉めることなど具体的な過ごし方も住民に伝えられていました。
(野生鳥獣の農林作物被害額4億円超、5年ぶりに増加:宮崎)
東日本を中心にクマによる被害が深刻化する中、クマが絶滅したとされる宮崎県内でも、シカやイノシシなど他の野生鳥獣による被害が後を絶たない。狩猟者の減少など全国共通の課題も抱え、県などが対策を講じている。県が10月に公表した野生鳥獣による2024年度の県内農林作物被害額は約4億227万円(前年度比18・8%増)。部門別では農作物が3億3438万円(同22・3%増)、スギなどの人工林が約5581万円(同2・5%減)。シイタケなどの特用林産物は1207万円(同49・1%増)だった。一方、鳥獣別ではシカによる被害が1億4261万円(同4・1%増)で最も多かった。ほかはイノシシが1億3069万円(同28・1%増)、サルが3106万円(同28・3%減)などだった。県によると、有害鳥獣の駆除に力を入れるなど対策を講じ、農林作物被害額は15年度の6億2277万円から減少傾向にあったが、24年度は農作物の販売単価の増加などで5年ぶりに増加に転じた。さらに被害が最も大きいシカを中心に生息域が拡大して新たに被害が増加した地域もあり、対策が難しくなっている。市民の関心も高い。10月25日に県立図書館(宮崎市)で開かれた県文化講座では、NPO法人「宮崎野生動物研究会」会員の岩切康二さんが野生動物の県内の生息域や季節ごとの移動範囲などを解説し、学生ら約40人が聞き入った。岩切さんは収穫しなかった放棄果樹などに野生動物が集まる「無意識の餌付け」をなくすことが重要と訴えた。鳥獣被害の対策に欠かせない狩猟者の減少も課題となっている。わな猟や銃猟など種別ごとに登録する狩猟登録者数は、13年度の延べ4681人から22年度には延べ4062人に減少。高齢化も進んでおり、減少の加速化も懸念されている。狩猟への関心を高めて狩猟免許取得者の増加を目指す取り組みも行われている。29、30日に日南市の大藤河川公園多目的広場で開かれる「日南市きたごう産業まつり」では地元の猟友会の協力でブースを設置。ハンティングの模擬体験や相談会が開かれる。
(緊急銃猟訓練」、一発で仕留める手順を確認:宮城)
クマの出没が相次ぐなか、銃を使って駆除する「緊急銃猟」の訓練が11月21日、宮城県角田市で行われ、参加者が安全に実施するための手順を確認しました。ケースの中から取り出したのは、猟銃。訓練は、住宅地にクマ1頭が出没し追い払えないという想定で行われ、猟友会のメンバーが銃を組み立てていきました。緊急銃猟は、住宅地などに出没したクマやイノシシに対し、市町村の判断で猟銃を使って駆除するもので法改正に伴い2025年9月から可能となりました。訓練は、マニュアルに基づき初めて実施されました。宮城県猟友会 伊具支部・庄司 登・支部長:「クマのどこを狙ったら一発でしとめられるか、向かって来られたらどうするか、そういうのも課題として残ってます」。11月21日は、角田市や丸森町の職員、猟友会のメンバーら約40人が参加し、緊急銃猟を安全に実施するための手順を確認していました。今後も、年に1回から2回ほどのペースで続けていくということです。
(クマ対応の緊急銃猟訓練、県内で初実施:兵庫)
市街地に出没したクマに対し、市町村の判断で発砲が可能となる「緊急銃猟」の兵庫県内初の対応訓練が21日、豊岡市役所などで行われた。狩猟免許を保有する市の鳥獣害対策員(ガバメントハンター)らが通報から駆除までの手順を確認した。緊急銃猟は改正鳥獣保護法の施行を受け、9月から始まった。〈1〉人の日常生活圏に侵入〈2〉緊急な対応が必要〈3〉銃猟以外では迅速な捕獲が困難〈4〉住民らに危害が及ぶおそれがない――という四つの要件を満たした場合、市町村の委託を受けたハンターが発砲できる。豊岡市では、2022年度に日高町中心部でツキノワグマが民家の玄関先に居座り、警察官職務執行法に基づく命令でハンターが銃で駆除した事案があったが、時間を要したという。緊急銃猟はこうした事態に対処する新たな選択肢で、市は対応マニュアルを策定。この日の訓練実施となった。豊岡署や県豊岡農林水産振興事務所、猟友会の関係者を含め、約40人が参加。市役所本庁舎に近接する防災公園の倉庫にクマが立てこもっているとの想定で、通報から駆除までの流れを確かめた。周辺道路の交通規制や市民の避難誘導などを終えたとの判断の下、発砲に必要な要件を全てクリアしているかどうか、チェックリストを使って確認。門間雄司市長が緊急銃猟の実施を指示し、鳥獣害対策員ら3人が倉庫内に入り、棚の上からクマに見立てた標的に模擬銃を向けた。同市は14年度からガバメントハンターとして、鹿などの鳥獣害対策を担う鳥獣害対策員を雇用。緊急銃猟でも、対策員2人とサル対策などに携わる集落支援員1人の計3人で対応にあたるという。訓練終了後、門間市長は「人の生活圏にクマが出る危険性が高まっている。いざという時に市民の安心・安全を守るためにやらなければいけない」と総括した。岡居宏顕・鳥獣害主任対策員は、緊急銃猟の導入によって市街地での対応が従来より迅速化できるとの考えを示し、「市民の皆さんの安全はすごく図れると思う」と話した。
(「クマ捕獲だけでは解決にならない」被害防止の研修会:岩手)
クマによる被害を防ぐ対策を学ぶ研修会が25日、北上市の県農業研究センターで開かれた。オンラインと合わせて県内の市町村職員や教育委員会関係者など78人が参加し、電気柵の設置方法や活用事例、クマが身を潜めやすいやぶの刈り払いや放任果樹の伐採など、実践的な対策について理解を深めた。講師は県農業普及技術課の中森忠義さん。中森さんはまず「ガバメントハンター」(公務員ハンター)について触れつつ、「捕獲は必須だが、捕獲しても別の場所から別の個体が入ってくる。捕獲だけでは解決にはならない」と指摘した。そのうえで、市民が取り組める対策として、食料があり身を隠せる場所があるといった「野生動物にとって魅力のある環境」をなくすことが重要と強調。「狩るより刈ろう」として、やぶの刈り払いの徹底や、カキなど放任果樹の伐採、収穫残しを放置しないことなど具体的な行動を挙げた。「クマは柵をよじ登れるため、単なる囲いでは効果がない」とも述べ、音や光、においで威嚇するロボットなどの機器、オオカミやライオンのふんなどを使った忌避剤などについては「効いたとしても一時的。効果は期待できない」と説明した。実効性のある対策として、中森さんが紹介したのが電気柵だ。従来普及してきた簡易電気柵に加えて、積雪期も使え、支柱が丈夫で長距離設置が可能な「恒久電気柵」や、既存フェンスを活用したタイプも紹介。設置場所の選び方や適切な管理方法などを示した。
(猟銃操作と射撃技能向上へ講習会:島根)
全国でクマによる被害が相次ぐ中、駆除にあたるハンターの技能向上を図る講習会が11月12日、島根県浜田市で開かれました。この講習会は猟銃の操作や射撃技能の向上を図るため、島根県が県内各地で定期的に開いています。浜田市の射撃場で開かれたこの日の講習会には、経験の浅いハンター2人が参加しました。県猟友会所属のハンター歴50年のベテランが講師を務め、猟銃についての基本知識や散弾銃の安全な取り扱い方について確認しました。そして実技では、参加者が射撃のポイントを確認しながら目標のクレーを狙い、銃を撃ちました。島根県猟友会理事・下谷巧さん:報道を見ると、打つ手が遅いと思うんですね。全国で13人クマによる被害で死亡されているので、その前に手を打つものがなかったのかというのが率直な意見です。浜田市猟友会に登録している218人のハンターの平均年齢は67.8歳、50代以下は1割に満たない13人と高齢化が進み、全国でクマによる被害が相次ぐ中、次世代の人材をどのように確保するかが大きな課題となっています。
(猟師の仕事の奥深さ知って、体験ツアー:岐阜)
全国でクマ被害が拡大し、市街地での発見時に自治体の許可で発砲できる「緊急銃猟」の体制づくりが進む中、高山市で24日、市民に狩猟の魅力を体験してもらうツアーが開かれた。猟に関心のある市民11人が射撃の練習やジビエ(野生鳥獣肉)の解体などを見学し、猟師の仕事の奥深さに触れた。市や飛騨猟友会などでつくる市鳥獣被害防止対策協議会が主催。有害鳥獣の捕獲者育成を目的に4年前から毎年開いている。
(ヒグマ対策など追加、函館市が環境白書案まとめる:北海道)
函館市は、市環境基本条例に基づく年次報告として、市内の環境の現状や施策状況を集約した今年度版の市環境白書案をまとめた。鳥獣保護・管理の推進に、これまで掲載していたエゾシカの被害や対策に加え、市内でも出没が相次ぐヒグマを新たに掲載。また、水環境の保全に関し、人間の健康や動植物の生息、生育に影響を及ぼす可能性が指摘され注目を集めているPFAS(ピーファス)関連の記述を追加した。案は、地球環境の保全や循環型社会の形成などを基本目標に定める第3次市環境基本計画(2020~30年度)の進捗(しんちょく)状況を、市民や事業者が情報を共有するため毎年作成している。近年出没が各地で相次ぐヒグマに関しては、警察、ハンターと情報共有や連携を図り、猟銃や箱わなを使う捕獲を実施するなどの対策を示した。生息数は渡島半島だけで約2120頭(23年度)と推定、エゾシカは計画的な捕獲を実施しても増加傾向にあり、渡島、桧山、後志管内で最大18万頭(24年度)とした。PFASは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称。市が昨年度に市内を流れる河川3地点を調査した結果、基準値を超過した地点はなかったという。このほか、新たな記述や変更点は①市環境部の若手職員を中心に立ち上げたグループが作成した環境施策全般の統一ロゴマーク「はこだて環境ラボ gо with―ecо」を白書表紙にデザイン②昨今の気温上昇を踏まえ市内の夏の気温の傾向③市民アンケートの項目で「水辺の満足度」「快適なまち並みと感じる」「市環境基本計画を知っている」が目標値を20ポイント以上下回った―などを明記した。案は、20日に市役所本庁舎であった市環境審議会(三浦汀介会長、委員25人)で了承を得た。市は最終版を完成させ、12月中に市ホームページで公表する。
(全国ではクマ被害、鹿児島はイノシシに注意)
全国ではクマ出没のニュースが連日報道されていますが、今の時期、鹿児島ではイノシシに注意です。12月にかけてが繁殖期で、これから活動が活発になるとされ鹿児島市内では去年目撃情報が相次ぎけが人がでたケースもありました。今年も増加傾向にあるのか?取材しました。猛スピードで県道を走るイノシシまさに猪突猛進です。こちらは住宅街の道路を堂々と横断しています。イノシシは去年、鹿児島市の原良や明和地区などでたびたび目撃され、70代の女性が足をかまれ、けがをしたケースもありました。猟友会の福迫重光さん(88)です。イノシシの好物とされる米ぬかなどを車に積み、向かったのが・・・。住宅の空き地に設置されたわなです。縦横およそ2メートルの鉄製のおりの中には米ぬかと、イノシシをひっかけるためのワイヤーが設置されています。(福迫重光さん)「去年とおととしは5、6頭このわなで捕まえた」。こちらの現場では去年、100キロを超えるイノシシが捕獲されました。続いて、福迫さんが向かったのは、どんぐりがよく落ちているという民家の敷地です。わなのすぐ近くにはイノシシが通ったと思われる獣道のほかにも…。おととし、一度に3匹のイノシシが捕獲されたこちらの場所。この日もイノシシの足跡が確認されましたがその姿はありませんでした。鹿児島市で昨年度捕獲されたイノシシは、3478匹。前の年に比べおよそ2倍に増えました。(鹿児島市生産流通課 東龍太郎さん)「去年と比べて今年のほうがイノシシの件数は減ったのではないか。相談件数は2割減となっている」。イノシシの目撃情報の増加を受け鹿児島市が昨年度およそ3900万円をかけて始めたのが有害鳥獣対策事業です。イノシシを捕獲すると1匹あたり4400円。これまでは、3月中旬から10月までの間に駆除した場合に支払われていましたが、年間を通して適用されるようになりました。(鹿児島市生産流通課 東龍太郎さん)「捕獲数が前年の倍になったことで相談件数が減ったのでは」。捕獲数が増えた一方で課題なのが猟友会の高齢化です。猟友会のメンバーの平均年齢は66歳で、現在、市内で有害鳥獣に関わる人は226人。この5年で1割減りました。鹿児島市に寄せられた相談件数は今年度は58件です。イノシシは12月にかけてが繁殖期で、今後活動が活発になるとされていて注意が必要です。
(クマの「緊急銃猟」、市町村への助成など:山梨)
相次ぐクマの出没を受け、山梨県は緊急の対策パッケージをつくり、市町村の緊急銃猟や わなの購入費用を助成することが明らかになりました。今年度県内で確認されたクマの目撃情報は過去最多だった昨年度に迫る283件で、これまでに男女2人がけがをしています。このため県は緊急対策パッケージをつくり市街地でクマが出没した際に、市町村の判断で銃を使用する「緊急銃猟」への助成や箱わななどの必要備品の購入費を支援することにしました。さらにハンター確保に向けた研修会も初めて開催するなど人身被害の防止につなげる考えです。また12月補正予算案に、コメの生産確保に向け使われていない水田を活用して生産し、安定供給を図る事業費を盛り込むことも明らかになりました。県の12月補正予算案は一般会計で37億円規模となる見込みです。
(いくらが妥当?時給956円でクマ捕獲・駆除:山形)
11月に入り山形県内でのクマの目撃が“過去最多”を更新し続けていて、猟友会のハンターの負担が大きくなっている。FNNが行った調査によると、支払われる報酬は自治体によってそれぞれ異なり、その差が大きいことがわかった。山形県によると、2025年の県内のクマの目撃件数は2386件・捕獲件数は969件と、いずれも過去最多となっていて、猟友会のハンターへの負担はこれまでになく大きくなっている。FNNでは11月10日~20日にかけて、県内の全市町村に対し「ハンターへの報酬」についてアンケートを実施し、35市町村中31の市町村から回答を得た。猟友会・ハンターへの報酬の支払い方を具体的に見てみると…。ハンター1人あたりの時給が最も低いのは鶴岡市で956円。米沢市・舟形町・大蔵村が最も高く2000円で、米沢市は緊急対応時に時給を3000円に引き上げている。金額は1人あたりで、新庄市4000円、東根市8200円と倍の差がある。金山町は最大で1万円としている。具体的には、クマの捕獲1頭ごとの報酬や、箱わなの設置・見回り費などで「単価」を設定しているという。捕獲1頭あたりの報酬を見ると、戸沢村の5000円に対し南陽市は3万円と6倍の差がある。上山市は、1頭の捕獲でも3頭の捕獲でも“1件”として10万円を支払っている。また大江町は捕獲のほかに、「被害現場の確認費」や「箱わな設置後の見回り費」など細かく6つの項目を設定して支払っている。山形市・飯豊町など9つの市町村は「時給」「日当」の支給に加え、捕獲1頭あたりの報酬を支払っている。このように、自治体がさまざまな形で報酬を設定する中、2025年度、大幅に増額したのが舟形町だ。時給を1000円から2000円に倍増。さらに、これまでは捕獲報酬がなかったが、捕獲1頭あたり2万円の報酬を新たに設けた。舟形町農業振興課・斎藤雅博課長は、「猟友会のみなさんはクマ対策の先頭に立ち命がけで活動している。負担は非常に大きく、猟友会員は高齢化・人数が減少している。金額的な支援も、猟友会・ハンターの話を聞き、必要なものを講じ寄り添っていきたい」と話す。「クマ被害の急増を受けて報酬などを引き上げた」と回答したのは8つの市町村。また、「報酬の増額を検討している」と回答したのは20の市町村だった。2025年度に報酬を引き上げたばかりの舟形町も、日々増え続ける猟友会への負担を目の当たりにし、さらなる増額の検討を始めている。しかし、報酬の増額を実現するために不可欠なものとして「国からの交付金の増額」が挙げられる。舟形町農業振興課・斎藤雅博課長:少なくとも3万円、1頭あたり3万円は必要。国の対策で金額・単価が示されていないが、今の状態ではまったく足りない状況。たくさん予算をつけ、単価の引き上げをお願いしたい。FNNのアンケートで、「国からの交付金が不足している」または「将来的に不足するとみている」と回答したのは25の市町村。「国に増額を求めたい」と回答したのは31市町村のうち28の市町村にのぼった。2025年のクマの目撃件数が450件余りと、県全体の5分の1を占める鶴岡市もアンケートで「交付金の増額を求める」と回答している。鶴岡市・佐藤聡市長:猟友会は報酬が出るが、実質的にはボランティアという形で銃などを用意している。それがいつまで続くかわからない、回数が多いと負担感もある。命をかける厳しい現場に立ち会うということ。銃弾も今は報酬に含まれるという考え方のようだが、そこも何らかの形で負担するのが望ましい。鶴岡市は会見で、猟友会によるクマ対策などの事業に充てる目的で「ふるさと納税」を活用する方針も明らかにしている。各自治体とも、クマ対策の予算をどのように工面・確保するか、あの手この手で対応・苦慮している様子が伝わってきた。クマの出没は12月以降も続くとの見方が強まる中、手探りでの対応はまだ続きそうだ。
(リンゴ5000個食べるクマ)
リンゴ5000個を食い荒らす巨大なクマが現れました。21日、秋田県猟友会のトップを密着取材。「狩猟をしなければ、クマの問題は解決しない」と警鐘を鳴らしています。果樹園の監視カメラに映った大きなクマ。口を動かし、何かを食べています。13日午後9時40分ごろ、長野県上田市のリンゴ畑にクマが侵入。リンゴの木に近づくと、立ち上がり枝になっている実をくわえます。口で器用にリンゴをもぎとり、地面に落としてから食べているのが分かります。この果樹園では、リンゴが食べ尽くされる甚大な被害が出ていました。21日に番組の取材班は長野県へ。リンゴ園では今、収穫の繁忙期を迎えています。クマに食べられたのは、収穫目前だった「サンふじ」です。果樹園でリンゴを育てる、坂下浩さん(45)です。「これが『サンふじ』という品種。ちょうど今が収穫期。甘さもシャキシャキ感もあって蜜入りもして一番人気の品種。ちょうど一番おいしい時期になる品種でクマに食べられた」。畑には食い荒らされたリンゴが散乱していました。被害に遭った量は、なんと。「2トン程度。その畑にはほぼリンゴがない状態になってしまい驚いている」「これが約100ケースで2トン。このトラック4段積みで約2トンになる。5000個近い量を1週間で食べてしまった。その他の畑も食べられているので合計3トン。予約の注文でいっぱいになっていて、こういう害があるのはすごく痛手、本当に厳しい」。被害額は少なくとも200万円に及ぶといいます。クマは、リンゴ5000個を食べ尽くすことができるのでしょうか?翌日もクマはリンゴ畑に出没。最初の映像から5時間後の午前2時40分ごろ、リンゴの木にのぼり始めます。今月収穫する予定だったリンゴをクマが次々と食べてしまいます。クマはこの時、少なくとも1時間以上、リンゴの木の近くに居座ります。丸々と太ったクマは、さらにその翌日にも現れます。時刻は前日と同じ午前2時40分ごろです。地面に落ちているリンゴをくわえ食べています。専門家によりますと、クマは冬眠前のこの時期、脂肪を蓄えるため、一日に成人男性の3倍から4倍は摂取カロリーが必要だといいます。被害が確認された1週間ほどで、リンゴ5000個を食べた可能性はあるとみています。よく見ると、クマの耳にタグが付いているのが分かります。一度、捕獲されて、山にかえされたクマとみられます。果樹園では以前もクマの被害に遭っていたため、畑と林の境に鉄の柵を設置。ところが…。坂下さん「鉄柵は(クマが)山から下りてきて、その上にのぼって自分の体重でつぶしてしまって、そこから入ってくることが多い」。さらに、電気柵も張り巡らせて二重の対策を取っていましたが、学習能力が高いとされるクマは何度も侵入してきます。「電気柵は下に穴を掘って自分が入れるくらいの穴にして入ってきてしまう。どうしても入ろうとすると何としても入る習性があり毎年大変」。実際にクマが電気柵の下の土を掘る姿を捉えた映像です。電気柵の先には、リンゴを保管している倉庫があります。クマは土を掘った隙間から、強引に電気柵を突破していきます。収穫のピークを迎えているリンゴ農家は、クマの脅威におびえながら作業をしています。「本当に十分な予算をかけて対策しているにもかかわらず入ってきてしまうのは普段の作業もあるし本当にきつい。でももう少し対策をしないとやられてばかりではいけないので頑張って対策はしていこうと思う」。市街地でクマの出没が相次いでいる秋田県では、猟友会が設置した箱わなの見回りを行っています。毎日、クマ対策の最前線にあたるのは、秋田県猟友会の佐藤寿男会長(81)です。21日も住宅の近くに、今月設置した箱わなを確認します。クマは、かかっていません。ただ、すぐ近くにはクマが現れた痕跡が。佐藤会長「これ足跡」「(Q.かなり大きい)そうよ、足跡だよ」。畑には大きなクマの足跡がくっきりと残っています。この大きさだと重さは?「まだ新しい」「(Q.この大きさだと重さは?)100キロ、成獣。ずっと向こうの集落から(クマが)来ている。(クマ)見つかっていない。だから(箱わなを)置いている」。さらに、クマの恐ろしさが分かる痕跡も。柿の木には生々しいクマの爪跡が残っています。木の下にはクマが食べたと思われる柿が落ちています。「その柿の木に来て柿を全部落として食べて落として爪で。毎日のように(クマが)出ている。大変だ。大変でも住民の安全を守らないと」。秋田県猟友会の佐藤会長は、81歳になった今も連日、クマ対策に追われています。手帳にはクマの目撃情報などを受けて猟友会が出動した記録がびっしりと書き込まれています。「去年までは少なかった。月に1回あればいいほう」。市街地に度々、現れる「アーバンベア」。問題の解決に向け、今必要なことを佐藤会長に聞きました。「これだけ市街地に出てくれば、なんともかんともならない。今までの考えで『自然とクマの共生』そんなことではダメだということで、やっぱり(クマを)とらなければこの問題は解決しない」。
(ハンターが半減した猟友会の苦悩、対策は市町村をまたいだ連携も必要に:長野)
長野県は14日のツキノワグマ対策本部会議で、熊の年間捕獲上限の引き上げや、熊の生息域と人の生活空間を分ける「ゾーニング」管理の導入促進を打ち出した。ただ、捕獲の現場を担う各地の猟友会は高齢化などの課題に直面。ゾーニングの導入を巡っては、市町村から人手不足などを訴える声もある。対策を効果的に進めるには県と現場の緊密な連携が欠かせない。上水内郡信濃町では14日、熊の目撃情報を受け、町猟友会が付近に捕獲用のわなを設置した。町によると、本年度の目撃件数は前年度の2倍近い108件。熊の捕獲数も10頭と倍増しているが、かつて80人ほどいた会員は数年前から約30人で横ばいという。町猟友会長(76)は、熊1頭の捕獲で県や町から5万円が会に入るとしつつ「餌代などでマイナスになり、ボランティアみたいなもの」。自身も高齢となり、山深くまで入っていけなくなった。「次世代に技術を伝えたいが、なかなか若い人が入ってこない」と漏らした。県は狩猟期が始まる今月15日から1年間の捕獲上限を675頭に引き上げた。「猟期にたくさん獲ることが基本になる」。県猟友会長(81)=上伊那郡辰野町=はこう受け止める。ただ、熊は数日後には姿を見せなくなるといい「始まってみないと分からない」とする。県は担い手の確保や育成だけでなく、ハンターの偏在などを踏まえ広域連携体制の構築にも取り組む。県猟友会長は「市町村をまたがないと人材の偏りが起きている。1カ所に負担がかからないよう全体で対応したい」と話した。県内市町村で現在、ゾーニングを導入しているのは伊那市や上伊那郡箕輪町など10市町村のみ。昨年9月に導入した伊那市は「排除地域」、「緩衝地域」「主要生息地域」の3地域ごとに管理方針を設定。人の日常生活圏である「排除地域」で市の判断で捕獲おりが設置でき、担当者は「迅速な対応ができるようになった」と効果を実感する。導入準備を進める北安曇郡松川村の担当者は「すみ分けのエリアが可視化されることで、住民への熊意識の高まりも期待したい」。導入していない長野市は、中山間地の緩衝地帯の維持管理について「地域住民の高齢化もあり、地域への負担が重くなる」(森林いのしか対策課)と懸念。ゾーニングの範囲についても「市で管理する面積は広く、人手や予算の関係で苦しい部分もある」と明かした。
(カメラが捉えた…クマが冬眠する様子)
全国でクマの目撃情報が相次ぐ中、今年はクマの冬眠時期が遅れているという。上野動物園は、クマが冬眠する様子を公開。本来なら11月ごろから冬眠すると言われるが、今年はまさに異変続きだ。今年は柿が豊作と言われており、冬眠前に栄養を求めるクマが熟した柿を食べあさっている。クマが出没する原因の7割が「柿」というデータもある。そのため自治体では、「【緊急連絡】クマが来ます! 柿の実を落としてください!」(福島県喜多方市HPより)と呼びかけている。群馬・前橋市では、柿の木の伐採をすると1本につき1万円交付を決めた途端、予算の上限150万円に達し終了した。一体、クマはいつまで出没するのだろうか。岩手大学農学部の山内貴義准教授は、「通常11月になったらおとなしくなるはずだが、全くその気配がないので。12月に入っても、もしかしたら出没が続くと思う」と語った。
(クマ出没と人身被害で騒然とする日本社会:山本 麻希)
クマ出没の多発と、人身被害の続出で揺れる日本列島。筆者はその背景として、里山の荒廃や「ナラ枯れ」被害の拡大、クマの生息分布エリア管理や個体数管理の不備など、構造的要因が積み重なっていると指摘する。日本各地でクマの出没と人身被害が連日のように報じられている。私が暮らす新潟県でも、今年は毎日のように10件以上の目撃情報が寄せられ、すでに17人が被害に遭った。9月からは「緊急銃猟」が解禁され、市街地近くでも一定の条件下で発砲が認められている。「フェーズが変わった」「新世代グマが誕生した」といった言葉がメディアで飛び交っているが、なぜ今この問題がここまで深刻化しているのか、その背景を丁寧に見ていく必要がある。クマの大量出没は今年に限った現象ではない。私が調査を始めた新潟県では、2006年に最初の大規模出没が起きた。当時県は特定鳥獣保護管理計画を持たず、推定1000~1200頭のうち約520頭を捕殺した。4年後の2010年にも再び大量出没が発生し、06~10年の間だけで1000頭以上が捕殺された。ツキノワグマはIUCNレッドリストで「危急種」に分類される希少動物である。状況を危惧し、私は13年から所属NPOの自主財源を使い、県内のクマ個体数を推定するためのカメラトラップ調査を開始した。17年に推定された生息数は約1500頭。大量出没前と大きく変わらず、むしろ当初の推定より多く生息していた可能性が示された。その後19年、20年はブナの実が2年連続で大凶作となり、再び大規模な出没が発生した。20年には死者1人を含む20人以上が被害を受け、この2年間で1236頭が捕獲された。しかし、21年に県が再度実施した調査の結果、推定生息数は約1300頭。生息数が「急減していない」ことが明らかになった。ツキノワグマの増加率は年15~16%と比較的高く、大量出没時の捕獲圧でも個体数が急減しなかったことが改めて示された。クマが人里へ現れる最大の要因は、冬眠前に必要とするドングリ(堅果類)の凶作である。特に好むブナの実は5~7年に1度しか豊作にならず、これは捕食者の増加を防ぐための“生存戦略”とされる。一方、クマが秋に利用するミズナラやコナラは、新潟県で深刻な被害が出ている「ナラ枯れ」によって急減した。ナラ枯れは、カシノナガキクイムシが媒介する病原菌による感染症で、老齢化した里山のナラ類に壊滅的な打撃を与えた。新潟県ではミズナラの約70%、コナラの20~30%が枯れたと推定されている。病気に強いブナだけが残った結果、ブナが凶作の年には代替となるナラ類が不足し、クマは柿、栗、クルミなど“人里の餌”に依存せざるを得なくなった。さらに近年では「新世代グマ」と呼ばれる、人里近くに居つくクマが増えている。母グマは冬眠中に出産し、翌年も子グマを伴って冬眠する。1年以上の密着育児の中で、母グマは餌の取り方を子に教える。人里で育った幼獣は、集落の餌を利用する行動を学習し、奥山に戻らず里の近くで暮らすようになる。新潟のケースは全国各地で起きている現象の縮図でもある。クマ問題の背景には、次のような共通点が存在する。・科学的データの不足により、生息頭数が過小評価されているケースがあった・過小評価した個体数に基づく管理計画では、捕獲圧が不足し、個体数増加を抑えられないことがある・中山間地域の過疎・高齢化、木材利用の減少により、里山が放置され、ナラ枯れなどで餌資源が減少した・餌環境の変化を受けたクマが人里を利用し、集落周辺に定着する個体が増加したこと。日本の国土の66%は森林で、そのうち40%が人工林、60%が広葉樹林である。かつて薪炭林として管理されていた里山は「明るい森」のまま更新が続いていたが、戦後の拡大造林で広葉樹が切られ、さらに管理放棄によってその森林は暗く鬱蒼(うっそう)となった。その結果、奥山と集落を直接結ぶ“通り道”が形成され、野生動物が容易に人里へ下りてこられるようになった。江戸時代の日本では、鳥獣害対策は村の公共事業であり、「しし垣」や「しし番」(※1)の配置など、多くの人手が投入されていた。当時は薪として木を利用していたため植生は乏しく、動物の多くは奥山に分布が限られていたと考えられる。つまり現代の「豊かな森」と「管理放棄された里山」こそが、現在の野生動物問題を生み出したといえる。クマの生息数を維持しつつ被害を抑えるには、科学的根拠に基づく管理が不可欠である。具体的には・精度の高い調査による個体数動向の把握・増加傾向にある地域では計画的な捕獲による個体数調整・集落近くに定着したクマの捕獲や追い上げ(追い払い)・集落周辺の緩衝帯整備・ナラ類の再生による餌資源の回復、などの対策が挙げられる。特にナラ林の再生は極めて重要である。ナラ枯れで失われたミズナラ・コナラを回復させるには、伐採跡地での更新・育林など、継続的な人の働きかけが必要になる。日本の狩猟者は約20万人で、その多くが60歳以上。銃器所持者は約8万人にとどまる。環境省が掲げるシカ・イノシシの捕獲目標は年間68万頭。都市近郊までクマが出没する現在、「誰が野生動物を管理するのか」は国家的課題である。野生動物問題は、もはや「里山のローカルな課題」ではない。国全体の安全と生態系、地域社会の持続性に直結する問題であり、国民一人ひとりが自分事として認識し、個体数管理、森林再生、新しい担い手の育成を社会全体で支えていく必要がある。
(クマvs人間の「仁義なき戦い」)
クマのプーさん、くまモン、リラックマ…愛くるしいキャラクターとは真逆だ。野生のクマが市街地に現れて自宅にいた高齢者など10人以上が死亡、100人以上が負傷するというクマによる被害が多発している。緊急事態に対応するため、警察官のライフル使用が許可され、自衛隊も投入された。警察のライフル銃使用はハイジャックなどを想定したもので、極めて異例の物々しい措置だ。AIでクマを識別するシステムなどクマ対人間の仁義なき戦いは総力戦の様相を呈してきた――。7月4日朝、岩手県北上市の民家で住人の女性(81)が自宅の居間で血を流して死亡しているのが見つかった。女性の身体には多数の引っかき傷があり、室内にはクマの体毛や足跡が残されていた。自宅でクマに襲撃され死亡するという衝撃的なニュースは驚きをもって受け止められたが、これは序章に過ぎなかった。1週間後の7月12日未明、北海道福島町の住宅街で新聞配達員の男性(52)がヒグマに襲われて死亡。4年前に70代女性を死亡させたヒグマとDNA型が一致している。10月には、宮城県栗原市でキノコ狩りをしていた女性(75)や、岩手県北上市の温泉旅館で露天風呂を清掃していた従業員の男性(60)がクマに襲われ死亡。岩手県一関市でも、住人の男性(67)が自宅の庭で遺体となって発見されている。環境省のまとめによると、今年度のクマによる死者数は4月以降、過去最多となる13人(11月17日時点)に達した。岩手県が最も多く5人、次いで秋田県4人、北海道2人、宮城県1人、長野県1人となっている。死者を含む被害者(4~10月)は196人。秋田県56人、岩手県33人、福島県30人、長野県15人などだった。出没件数(4~9月)は2万792件で過去最多に達しており、最も多いのが岩手県で4499件と最も多く、秋田県4005件、青森1835件などと続き、東北6県で全体の6割超を占めたという。全国のクマの推計頭数はヒグマが約1万2000頭、ツキノワグマが約4万2000頭以上で、分布域が人の生活圏周辺にまで拡大し、個体数は増加傾向にある。エサとなる堅果類(どんぐり)の凶作などにより、クマが市街地に出没するケースが増加しているのだ。クマの出没により生活にも影響をきたしている。北海道や東北、新潟、長野などの小中高校では休校が相次ぎ、秋田大学や岩手大学ではキャンパス内や周辺でクマが目撃されたため、講演会中止や休講措置も。「長野県飯田市で1948年に始まった『風越山トレイルマラソン大会』や、富山県上市町の『つるぎリレーマラソン&健康ウオーク大会』が中止に追い込まれました。秋田市の東北高等学校駅伝競走大会は、近くの山でクマの目撃情報が相次いでいたことから路上で襷をつながずに、トラックを走ってタイムを合計する方式に変更したほどです」(スポーツ紙記者)近年のクマ被害増加に対応するため、ハンターが市街地で猟銃を使用しやすくできるよう鳥獣保護管理法が改正され、9月に施行されたばかり。しかし、地元の猟友会だけでは対処しきれない事態となっているため、ついに警察や自衛隊が出動することになったのだ。警察庁は、警察官がライフル銃でクマを駆除できるよう国家公安委員会規則を改正し、11月13日から運用をスタート。ライフル銃の使用はこれまで、「ハイジャックの対処等」「重要施設の警戒警備」「凶悪な犯罪の予防・鎮圧、容疑者の逮捕」に限られていた。「警察は秋田、岩手両県に他県警から機動隊の銃器対策部隊を特別派遣しました」(全国紙社会部記者)。自衛隊は、銃でクマを駆除することはできないが、罠の設置や駆除したクマの輸送などの後方支援を担う。自衛隊OB、警察OBにも協力を求め、狩猟免許取得を促進するなどの対策を取ることになった。「民間企業の『ほくつう』(石川県金沢市)や『北陸電力』(富山県富山市)などが開発した害獣の自動検出AIの“Bアラート”に注目が集まっています。カメラの画像からAIでクマなど特定の害獣を検出し、自治体や警察・消防などに通報するシステムです」(AI事情通)。また『エゾウィン』(北海道標津町)の野生鳥獣対策DXソリューション“クマハブ”は、ハンターや警察、自治体職員などの関係者が無線ではなく、リアルタイムに位置情報や状況を地図上で共有できる統合プラットフォーム。安全確保と危険回避に有効な手段とされる。政府はクマ被害への対応を関係省庁連絡会議から関係閣僚会議に格上げ。関係閣僚会議議長の木原稔官房長官は11月14日の会合で「まずは個体数の削減に取り組むことが重要」として、春季のクマ捕獲を強化し、生活圏周辺の個体数を削減するなどの「クマ被害対策パッケージ」を取りまとめた。11月16日、秋田県鹿角市では田んぼの中で倒れている高齢女性が見つかり、死亡が確認されている。女性の頭や顔などには引っかかれたような傷が多数あったという。また同日、秋田県能代市の中心街にある『イオン能代店』の店内にクマ(体長約80センチ)が入り込み駆除された。生活圏からクマを排除、削減し、人とクマの棲み分けという以前の姿に戻すことはできるのか。日本初の女性首相、高市早苗政権挙げての人間VSクマの戦いは緒に就いたばかりだ。
(“クマ情報”うけ痕跡調査、結論「シカの可能性高い」:北海道)
11月20日夜、札幌市南区の住宅街でクマの目撃情報が相次ぎましたが、市の調査の結果、クマの痕跡が確認されず、シカの可能性が高いことが分かりました。20日午後7時ごろ、札幌市南区石山1条3丁目の住宅街で、徒歩で帰宅中だった男子高校生が路上にいるクマ1頭を目撃したと通報しました。また、ここから200メートル離れた札幌市南区川沿18条1丁目の石山大橋でも20日午後10時半ごろ、男性が自転車で走行中に、茂みが揺れて黒い塊を見たため「クマみたいなのを見た」と警察に通報しました。これらの通報を受けて、周辺の小学校では21日朝の登校時間帯にあわせて、市の職員や警察がパトロールをして警戒しました。その後、札幌市が調査した結果、クマの痕跡は確認できず、シカであった可能性が高いということです。
(丹沢のクマどうなった?:神奈川)
関東で人気の紅葉スポット、大山(おおやま=標高1252m、神奈川県伊勢原市)が見ごろを迎え、21日からは夜間ライトアップが始まるが、私には気になっていることが…。あのクマはどうなったのだろう?今年8月、大山ケーブルカーの麓側の駅付近でクマの出没情報がニュースになっていた。しかも2度。この秋は東北を中心にクマの人的被害が続発している上に、11月は年間でもっともクマの目撃情報が増える時期でもある。毎年クマのことなど気にせずに大山で紅葉を楽しんできたが、今年はどうなんだろう? 大山を含む丹沢山地のクマ事情について、いろんな方に話を聞いてみました。20日午後、大山を訪れると、去年来た時にはなかった看板が目に入った。大山ケーブル駅の50メートルほど手前の橋の手前にネットが張ってあり、「クマ出没注意」そして「ハチに注意」の張り紙。去年まではなかったものだ。8月17日午後6時半頃、ケーブルカー運営会社の職員がクマ1頭を目撃し、警察などとともに観光客約100人を避難させたという。その10日後の27日にも、付近の監視カメラにクマの姿が映っていたと、報じられていた。8月17日、ケーブルカー駅付近にクマが出没したことを告知した、大山ケーブルカー公式ページのポスト(スクリーンショット)。今週末は、1年で大山がもっともにぎわう時期。クマのもやもやをクリアにしておきたいと思い、神奈川県の自然環境保全課に聞いてみた。クマはハチミツを狙っていたと思われ、付近にできていたミツバチの巣を撤去したところ、現れなくなったという。捕獲したわけではないので、その固体の追跡調査はしていないが、人の生活圏に出てこなくなればOKということらしい。ケーブルカー駅に向かう人の中に、ちりんちりんとクマ鈴を鳴らして歩いている男性がいた。クマ鈴をふだんから携帯している登山者は、この時間に山には向かわないし、ケーブルカーで紅葉や神社参拝を楽しむだけの観光客でクマ鈴を付けている人は、去年までほぼ見なかった。8月のクマ出没のニュースを気にしてクマ鈴を付けてきたという、ご夫婦で千葉から来たという70代男性。リュックの中程にクマ鈴がぶら下がっている。後ろのフェンスには「熊出没注意」の看板が=20日、神奈川県伊勢原市の大山ケーブルカー阿夫利神社駅で声をかけてみたら、千葉県から来た70代のご夫婦で「この山で2度、クマが出たときいていたので…」と、理由を明かしてくれた。やはり気になっている人はいた。もう一組、同様に鈴を鳴らしている40代女性2人組もいた。「あのクマはハチの巣を撤去したら出なくなったそうですよ」と言うと、ほっとしていた。そもそも神奈川県では、クマ(ツキノワグマ)は絶滅危惧種。数が少なく保護すべき動物だ。今年8月「主に県北西部の丹沢山地に推定80頭が生息」と発表された。丹沢は南北20km、東西40km。ディズニーランド87個分にもなる広大な山中に80頭となると、それほど密度は高くないだろう。県に寄せられた「クマ目撃等情報」は、2021年度の77件から、76件、80件、122件と推移。今年度は11月10日時点で61件となっている。これだけを見れば年々増えているように感じるが、県の担当者によれば、県内のクマの個体数の年間増加率は1.05%。国平均の1.15%を下回っており、増えているという認識ではないとのこと。
(イノシシが海辺にも…:沖縄)
沖縄県石垣市八島町で21日、野生のイノシシが目撃された。20日に市街地で通報が相次いだ体長約70センチのイノシシより小さく、別の個体の可能性がある。市街地では猟銃などによる駆除は原則禁止されており、市は職員を派遣して捜索しているが、捕獲は難航している。21日午前9時ごろ、八島小近くの八島養殖場周辺を歩くイノシシを同校の職員が発見し、市と八重山署に通報した。突進によるけがや、かまれて感染症になることを防ぐため、休み時間の運動場使用を禁止し、保護者に迎えに来るよう要請した。午後には八島町の東側に位置する真栄里のやどかり公園周辺などで目撃情報が相次いだ。市は20日から捕獲用ネットなどを持った職員を現場に派遣して捜索。地元の猟友会と協議しているが、目撃が広範囲で効果的に捕獲用のわなを仕掛けるのが難しいという。八島小近くに住む50代男性は「八島町は海に面している地域。イノシシが海側まで現れたことに驚いている。人や農作物に影響が出る前に早く捕獲されてほしい」と不安げに話した。石垣島のイノシシは主に森林地帯に生息し、市街地に出没するのは異例。八重山署もパトカーで注意を呼びかけている。
(小学校近くで目撃相次いでいた個体とみられる子グマ、猟友会が駆除:北海道)
先月下旬から小樽市の小学校近くで目撃が相次いでいた個体とみられる子グマが21日午前、猟友会によって駆除されました。小樽市桂岡町では先月下旬から複数回子グマが目撃されていて、小学校の校門前や敷地内に入る様子も確認されていました。21日午前11時ごろ、パトロール中の猟友会が桂岡町に隣接する春香町の山林で1頭のクマを見つけ猟銃で駆除しました。猟友会によりますと駆除されたのは体長70から80センチのオスの子グマです。大きさから目撃されていた個体と同一とみられていますが、市は「断定はできない」として引き続き警戒を呼びかけています。
(飛び出したクマをひいて愛車大破)
夜の山道を走っていたら、想像を絶する事態に見舞われた。いきなりクマが路上に飛び出してきたのだ。間に合わず、ひいてしまったのだが……。ネット騒然の出来事について、ドライバーに聞いた。フロントバンパーが激しく割れ、リアバンパーは外れている。大破した乗用車。クマと衝突した衝撃度を物語っている。「熊轢いた…」。Xで報告したのは、suga_k12(@uwagi1811)さん。愛車はIMPULのコンプリートカーで、19歳の自動車愛好家だ。事故は今月中旬に発生。当日の状況について、「岩手県八幡平市の岩手山パノラマラインを走ってたら飛び出してきました」と説明する。その後の展開に耳を疑う。「クマは生きてました。茂みの中に逃げていきました」。最終的にどうなったかは不明だが、強い生命力に驚きだ。体の痛みはあるが、無事に日常生活を過ごしている。「心と車がズタボロです。車は修理します」と、愛車の復活への思いを語る。全国的なクマ被害は最悪レベルに陥っており、東北地方の高速道路などでもクマの飛び出しや目撃情報が多発している。投稿は波紋を広げており、「こんな衝撃で熊が生き残っていたら、めっちゃ怖いです」「凄い衝撃…これでもまだ生きているのだからどれだけ強いことか」「熊に轢かれた感が満載っすね」「損傷がすごいですね」「スゲー破壊力」と驚がくする人が続出。また、「イノシシでも死なんよ。普通車なら。車が負ける」「東北あるあるですね クマを轢いたとしても、そこに止まって外に出たらダメだよ まだ近くに仲間(親子)でいるかもしれないし、ダメージがなければ敵とみなし襲ってくるかもしれない」など、獣に関する交通事故を巡るリアルな声が寄せられている。クマ出没地域の山道での運転には、いつも以上の注意が必要だ。sugaさんは「夜道を運転する時は気を付けたいと思いました」と心境を明かした。
(クマが襲ったか、ニワトリ約20羽食べられる:宮城)
警察によりますと、21日午後5時頃~22日午前7時頃、栗原市栗駒中野の民家敷地内で鳥小屋で飼っていたトリ複数羽が食べられる被害がありました。現場にはクマとみられる約10センチの足跡が見つかっていて、クマが襲ったとみられています。警察が付近住民に注意を呼び掛けています。
(猟友会メンバーにでわかおり香る感謝の新そば:山形)
緊急銃猟でクマを駆除するなど、クマ対策の現場の最前線で活動するのが猟友会のみなさん。天童市で、連日対応に追われる猟友会の労をねぎらおうと、新そばが振る舞われた。新そばを振る舞ったのは、天童市田麦野の天童高原を管理するNPO法人天童高原。2025年は、天童市でもクマの出没が相次いでいる。天童市の2024年1年間のクマの捕獲数は10頭だったが、2025年は11月21日現在で37頭と急増している。市の要請によって連日対応に追われる猟友会のメンバーは、日夜、市民の安全のために奔走している。こうした労をねぎらおうと開かれた新そばの振る舞い。猟友会天童支部の会員13人と、市の関係者が旬の味覚を堪能した。そば粉は天童高原で収穫された「でわかおり」。鼻から抜ける香りが強いのが特徴。(猟友会の人)「感謝の気持ちを受けて味もひとしお。味わっておいしくいただいている。すごく香りがして歯ごたえも良くて最高」「おいしいです。香りが本当のでわかおり。おかわりの3枚目は遠慮しようかな」。新そばの振る舞いは今回初めて企画され、猟友会のメンバーはひきたて・打ちたてのそばを堪能していた。(NPO法人天童高原・緑三郎理事長)「昨年の4倍のクマを捕まえたと、活躍しているんだなという思いがある。猟友会のみなさんにおいしく食べてもらえてよかった。今後とも頑張って活躍してもらいたい」。また、天童高原から猟友会に対し激励金が贈られ、今後、箱わな設置の講習会などに役立てるという。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、26日午後4時ごろ、石巻市東福田高須賀にクマとみられる動物が出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、26日午後5時30分ごろ、登米市中田町上沼籠壇にクマとみられる動物が出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、26日午後4時ごろ、栗原市築館下宮野岡田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
大河原町によると、26日、大河原町堤北岸でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、26日午前6時ごろ、仙台市泉区実沢広畑にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、26日午前0時ごろ、仙台市青葉区八幡5丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、25日午後7時30分ごろ、仙台市青葉区霊屋下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、25日午後4時40分ごろ、仙台市太白区御堂平にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、25日午後3時20分ごろ、仙台市青葉区国見1丁目にクマが出没しました。
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(庭仕事中クマに襲われ男性けが:栃木)
栃木県鹿沼市で、74歳の男性が自宅の庭先で作業中にクマに襲われ、けがをしました。23日午前11時半前、鹿沼市上永野で「男性がクマに襲われけがをした」と119番通報がありました。警察などによりますと、庭先で作業をしていた74歳の男性がクマに襲われ、左の顔や左上半身に出血を伴うけがをしました。搬送時に意識はあったということです。男性の妻が大声を出したところ、クマはその場から逃げ、およそ10分後に地元の猟友会が十数メートル離れた場所にいた同一個体とみられる体長1メートルほどのクマを駆除しました。
(県が「ガバメントハンター」採用へ、冬眠明けのクマ2026年春からの捕獲目指す:岩手)
岩手県内でクマの出没が相次いでいることを受け、県は狩猟免許を持つ自治体職員、いわゆる「ガバメントハンター」の採用に乗り出します。2026年春からの捕獲を目指す方針です。これは今後のクマ対策について協議する県の部局長会議で、11月21日に決定したものです。県内の2025年度のクマの出没は10月末時点で7608件、このうち10月は3084件で1ヵ月あたりとしては過去最多となっています。こうした現状を踏まえ21日の会議では、クマの捕獲に必要な人材を確保するため、狩猟免許を持つ自治体職員、いわゆる「ガバメントハンター」の採用に乗り出すことを決めました。採用するハンターは、猟友会の会員など狩猟免許を持つ人のほか、自衛隊・警察官のOBなどを想定しています。今後、県の職員として複数人を採用し、冬眠明けのクマを対象に2026年春からの捕獲を目指すということです。また達増知事は県民に被害の未然防止を改めて呼び掛けました。達増知事「県民の皆さんには市町村の出没情報に留意し、クマに遭遇しないよう努めていただくほか、放任果樹の処分などクマを引き寄せない対策をお願いします」。このほか県はクマ被害対策の基本方針を改定し、出没防止のための研修会の開催や市町村への「緊急銃猟」制度の理解促進などに取り組むとしています。
(飼育のクマが一時脱走、原因究明のため臨時休園へ:秋田)
秋田市の大森山動物園で21日午後、飼育されているツキノワグマ1頭が一時、おりから脱走した。約5時間半後に園内で捕獲され、来園者らにけがはなかった。園では22日から臨時休園にして、脱走の原因などを調べている。園によると、脱走したのはツキノワグマのルビー(雌、20歳)。21日午後1時半ごろ、クマの展示場から約400メートル離れたキリン舎の近くにクマがいるのを清掃員が見つけ、同園事務所に連絡した。その後、クマの展示場が空になっているのを確認し、ルビーが脱走したと判断。午後7時ごろ、入園ゲート近くのラクダ舎付近まで移動していたルビーを見つけ、園の獣医師が麻酔のうえ捕獲して展示場に戻した。当時は営業中で来園者が10人ほどいたが、職員の誘導で全員が退園し無事だった。他の飼育動物にも被害はなかった。クマの展示場は鉄筋コンクリートの塀に囲まれ、おりとつながっている。飼育員やメンテナンス業者らが出入りする鉄製の扉が3カ所あるが、いずれかが施錠されずに開いていた可能性が高いという。同園は原因を究明し再発防止策を講じるまで当面の間、休園する。本間弘生園長は「多くの人に心配をかけて申し訳ない。ハード、ソフトの両面から改善して、同様のことが二度と起きないよう対策を徹底する」と話した。
(自衛隊の活動続く、住民歓迎「心配和らいだ」:秋田)
マの出没や人身被害の続発を受け、秋田県から支援要請を受けた自衛隊の活動が続いている。県によると、鹿角市で5日から始まって以降、25日現在で県内8市2町1村で実施。自治体や猟友会の関係者と打ち合わせた後に現場に向かい、負担の重い作業を手伝う手順で、地元からは「少し心配が和らいだ」「助かる」といった声が上がる。鹿角市では主に箱わなの運搬作業や見回り、情報収集が続く。実際にクマが出没した地域で、数人がかりで重い箱わなを自衛隊の車両に積み下ろしする作業などをしている。自衛隊の協力はこれ以外に駆除後のクマの運搬や埋めるために土を掘る作業なども該当する。鈴木健太知事は18日の定例記者会見で、自衛隊の支援について「車両などはものものしいが、活動することで出没の抑止になっていると思う」と述べた。その上で「草刈りや通学路の見守りもしてくれるのでは、といった期待が地元からはあったが、そうではないのでそのギャップが課題になる」との認識を示した。地元住民からは歓迎の声が上がる。鹿角市内の70代の男性は、クマが出没するのではないかとの不安から、最近は庭での作業中でも数分おきに周囲を見回すような状態になったという。「栗の木は既に伐採したが、(クマが出たら)できるだけ屋内、車内に避難するよう市から呼びかけられており、さらに生活が制約されているような気がする。近所の人と話すと『怖くて家から出られない』という声を耳にする」と語る。そんな中、自衛隊の活動について「まだしばらくいてほしい」と訴えた。鹿角市によると、今年度のクマを含む有害鳥獣の被害額は過去最高の1143万円に達し、キュウリやモモ、リンゴなどの被害が目立つ。捕獲頭数は過去最多だという。
(自民の座長「猟友会の負担を下げていかなければならない」:北海道)
北海道内でヒグマの出没が相次いでいることなどを巡り、自民党クマ被害緊急対策プロジェクトチームで座長を務める笹川博義衆院議員は23日、函館市内で「(クマの駆除は)市街地では警察が責任を持ってやり、猟友会の負担を下げていかなければならない」と述べ、警察の活用を進める考えを明らかにした。笹川氏は、保守系地方議員でつくる「渡島地方議員連絡協議会」の会合に登壇。冬眠中のクマを狙う「春グマ駆除」などを盛り込んだ政府の対策パッケージについて説明した。会合後、笹川氏は報道陣の取材に「猟友会頼みから脱却しなければならない。(クマと)共生するためには、頭数の管理計画をしっかり立てていくことが必要だ」と強調した。協議会会長の冨原亮道議(函館市区)は「クマ被害は喫緊の課題だ。自治体の対応充実につなげたい」と話した。
(クマ緊急銃猟、住民胸なで下ろす:岩手)
洋野町種市の住宅地で県内初の緊急銃猟が行われた20日、住民は生活圏に侵入したクマの駆除に胸をなで下ろした。町鳥獣被害対策実施隊のハンターは「人や場所に慣れ始めた危険な個体だった」と指摘。町内の目撃は昨年度の倍以上で、町などは引き続き注意を呼びかける。同日午前から目撃情報があったクマは、住家に囲まれた雑草地のクリの木の下に居座った。町職員や久慈署員、同実施隊員ら15人が集まり、監視を続けながら対応を探った。周辺は午後3時ごろから約1時間通行止めとなり、住民は不安げな顔を浮かべ、遠巻きに様子を確認した。久慈署員が「危ないので家から出ないようにしてください」と警戒を呼びかけ、緊張感が高まる。同3時55分に発砲。人的、物的被害はなかった。
(柿の木を登ったり降りたりしていたクマ、緊急銃猟により駆除:山形)
24日午前11時ごろ、山形県飯豊町椿地内にある柿の木で目撃されたクマは、先ほど、緊急銃猟により駆除されたものとみられています。現場は、西置賜行政組合消防署飯豊分署から南西におよそ200mの場所です。クマは柿の木を降りたり登ったりを繰り返していました。
(市中心部の民家で緊急銃猟:秋田)
秋田市は25日、同市八橋本町3丁目の民家の敷地内に居座ったクマ1頭を緊急銃猟で駆除した。市役所の北西約600メートルの住宅が立ち並ぶエリアで、同日未明から目撃情報が相次いだ。市内での緊急銃猟は2例目で、県内では6例目。市農地森林整備課によると、市職員が同日午前9時40分ごろに敷地内を歩くクマ1頭を確認し、市が緊急銃猟を決定。周囲が住宅街のため跳弾リスクのある散弾銃の使用を避け、麻酔銃で眠らせた後に駆除した。クマは体長約1・3メートル、体重約76キロの雄の成獣だった。
(「ガバメントって言うなら、まずは自分たちでやってみろ」知事が苦言:島根)
クマによる人身被害が全国で深刻化する中、政府は、緊急・短期・中期の3段階に分けたクマ被害の対策パッケージを打ち出しました。その取り組みのひとつが、「ガバメントハンター」と呼ばれる狩猟免許を持つ自治体職員の人件費支援です。この「ガバメントハンター」について、島根県の丸山知事は。島根県・丸山達也知事「具体的に『こういうキャリアの人をこういう風に雇って、こういう風に育成してく』とかいう道筋を示さずに言葉で書いたって、絵空事で終わってしまう」。と政府の政策に苦言を述べました。『ガバメントハンター』とは、狩猟免許などを持ち、専門知識のある自治体職員のことです。丸山知事はさらに…島根県・丸山達也知事「私からすると、『ガバメント』って普通、政府だから。『国がやれ』と。なんで、地方公共団体なんだと。『ガバメントって言うなら、まずは自分たちでやってみろ』という感じはする」。丸山知事は、「ガバメントハンター」は、猟友会などにクマを駆除するという責任が向いていることに対する答えだとは思うが、地方公共団体として人材を確保するのは難しいとしました。その上で、今、クマ被害が深刻化し対策に取り組んでいる地域を参考にして、島根県の対策を検討していきたいと話しました。
(今後のクマ対策について知事と市町村長が話し合う政策会議開催:秋田)
鈴木知事が県と市町村で政策を議論する会合に出席しました。自衛隊の後方支援や緊急銃猟などこれまでのクマ対策を振り返り、公務員ハンターのあり方などを議論しました。「県・市町村協働政策会議」は県と市町村が互いに政策の提案をし、対等な立場で議論を行う場として設けられています。今回は相次ぐクマ被害の対策強化について話し合われました。自衛隊が最初に支援活動に入った鹿角市の市長は「捕獲用のおりの設置を自衛隊に任せることができ、猟友会の負担が軽減された」などと述べました。また、ガバメントハンター(公務員ハンター)のあり方についても意見が交わされました。【鈴木知事】「小規模な町村では相当難しいのではないかという印象を持っている。これまで有害鳥獣の対策実施は市町村が主体だったが、県の方でもそれなりの対応をしなければいけないのではないかと考えている」。さらに知事は「県と連携を取りながら、クマの出没が少ない時期も放置されている木の伐採を行うなど、継続して対策を行ってほしい。」と呼びかけました。
(クマ出没防止に支援要望:秋田)
クマの被害が相次ぐ中、秋田県の鈴木健太知事は20日、環境省の森下千里政務官と面会し、出没防止策や、自治体判断による「緊急銃猟」を行う担い手の確保などのため財政支援を要望した。県によると、4~10月の県内の人的被害は犠牲者3人を含む56人。鈴木知事は「被害の大半が人の生活圏で発生している。住民の生命や安全を脅かす異常事態だ」と訴えた。要望書では、緩衝帯の整備や春季の生息調査、市街地への移動ルートの一つである河川のやぶの刈り払いなどに支援を求めた。また、放置された果樹がクマを誘引しないよう伐採する際、所有者が不明な場合は伐採が速やかに行えるよう、手続きの簡素化が必要だとした。
(相次ぐクマ被害と緊急銃猟、法はどこまで整備されたのか)
秋田県のクマ被害が連日ニュースになっていますが、僕の地元・岩手県・盛岡でも街の中心部にクマが現れ、「盛岡=クマ」のイメージが定着し始めています。クマによる死者数が過去最多を大幅に更新し、国民の安全・安心を脅かす深刻な事態にまでなっています。法制面では、今年9月に改正鳥獣保護管理法が施行されています。この改正法では、人の生活圏に出没したクマやイノシシに対し、避難などによって地域住民の安全が確保されている一定の条件下であれば、特例的に市町村長の指示で委託を受けたハンターが猟銃で捕獲等ができるとする「緊急銃猟制度」が創設されており、環境省が運用ガイドラインを公表しています。それに伴い、警察の役割も整理されました。警察庁は、10月、「熊の出没による人身被害防止のための対応について」とする通達を発しました。クマの保護管理は本来、都道府県・市町村の所掌です。それを踏まえつつ、避難誘導や情報発信、関係機関との対処訓練を強化するとともに、市町村が緊急銃猟を行う際の連携や協力を明記しています。一方、住宅街で現実・具体的な危険が切迫した場合は、従前どおり警職法4条1項に基づく駆除(警察官がハンターに猟銃使用を命じることができる)を妨げないとしています。こういった仕組みが整備されつつありますが、実効性を左右するのは運用次第です。改正鳥獣保護管理法によれば、緊急銃猟を実施する主体はあくまで市町村長であり、民間のハンターへは緊急銃猟を委託できるとするにとどまります。実施の判断は市町村の職員が対応するため、職員にノウハウや経験がなければ、せっかく委託を受けたハンターがいても緊急銃猟が行われない可能性もあり得ます。なお、委託については応諾義務がないため、委託を断ることは可能です。クマの冬眠の時期が近づいています。これ以上の被害が出ないように、緊急銃猟を行うハンターの確保、緊急銃猟を実施する行政機関の判断基準の整理や周知が必要です。
(ヒグマ駆除数、2年連続で1000頭超えの可能性:北海道)
全国でクマによる人身被害が相次ぐ中、北海道では、ヒグマの駆除数が10月末までに963頭に達している。2024年度のヒグマ駆除数は、統計開始以来3番目となる1026頭だった。11月以降の駆除数や来年1月末までの狩猟期間の数値を加えれば、2年連続で1000頭を超える可能性が高い。東北地方でも異常事態が続き、岩手県では10月の目撃件数が、単月では過去最多の3084件を記録。同県では11月中旬までに死者を含む37人の人身被害が確認されている。環境省によると、全国の死者数は24日時点で13人。人身被害者数は196人で、過去最悪だった23年度の年間被害者数(219人)を上回るペースだ。エサ不足による飢餓状態のクマは、本格的な降雪・冬眠直前まで活発に動く恐れがある。各自治体はゴミ管理の徹底や早朝・夜間の外出自粛など、最大限の警戒を呼びかけている。
(「クマとの衝突事故」急増、高速道で前年比4倍超・JR在来線も2倍超:岩手)
岩手県内でクマの出没や人身被害が相次ぐ中、交通機関にも深刻な影響が出ている。高速道路では車とクマが衝突する事故が前年比で4倍、JRの在来線では列車との衝突が同2倍に急増。高速道路は通行止めを余儀なくされ、列車は運転を見合わせるケースが後を絶たず、県警や鉄道各社などが対応に追われている。「クマの出没が続いております。お気を付けて安全に運転してください」。八幡平市の東北自動車道西根インターチェンジ(IC)で19日、県警高速隊やネクスコ東日本の担当者ら約15人が、通行するドライバーに「熊事故多発!!」などと書かれたチラシを配り、事故防止を呼びかけた。この日は冬道の安全運転と合わせて呼びかけられ、クマの衝突事故防止を目的とした啓発活動は県警として初の試みという。同隊によると、県内の高速道路(自動車専用道路含む)で車両がクマと衝突する事故は、今年1月から10月末までに42件発生(速報値)。年間9件だった昨年の4倍以上となり、過去5年で最多だった2023年(46件)を上回るペースで推移している。路線別では、東北道が28件と全体の6割以上を占め、中でも東北道松尾八幡平IC―安代IC間が12件と最多。市町村別では八幡平市が21件と最も多く、時間別では午後6時台の事故が9件と目立った。事故後は二次被害防止のため、衝突したクマの確認を猟友会などに依頼しなければいけないケースもある。6月下旬には、滝沢市の東北道下り線滝沢IC―西根IC間でクマが横たわり、約2時間にわたって通行止めに。今月13日には、東北道下り線の岩手山サービスエリアでクマが目撃され、約2時間閉鎖された。同隊の浅野渉・西根分駐隊長は▽安全な速度で運転▽夜間はハイビーム走行を心がけて早期発見に努める――ことを対策に掲げ、「万が一衝突した場合はクマには近づかず、サービスエリアなど安全な場所に停車してから通報してほしい」と呼びかける。JR東日本盛岡支社管内の在来線では、今年4月~10月20日にクマとの衝突が39件発生。すでに前年の年間件数(16件)の2倍超となり、過去5年では23年度に次ぐ多さになった。特に10月は20件と、昨年同月の10倍に上る。今月4日には、東北線村崎野(北上市)―花巻駅間で、走行中の列車がクマ1頭と衝突。約3時間運転を見合わせ、乗客約3480人に影響が出た。同社は、野生動物の線路への侵入を防ぐネットを沿線に設置したり、動物の嫌がる臭いがする忌避剤を線路周辺に散布したりするなどの対策を講じる。一方で、クマと衝突した場合、車両点検や現場確認が必要となるため、遅延や運休など運行への影響も避けられないのが現状だ。担当者は「関係機関と連携しながら柔軟に対応し、(衝突しても)早期の解決に努めたい」としている。また、花巻市の花巻空港では今月12日午後、航空機の駐機場に子グマ1頭が侵入。滑走路が一時閉鎖され、2便に遅れが発生した。
(クマ事故再発防止へ課題まとめる:北海道)
福島町は21日、7月に起きたヒグマによる新聞配達員の町民男性(当時52)の死亡事故を踏まえ、課題と今後の取り組み(速報版)をまとめた。クマの駆除ができるハンターが1人に限られることや、クマの市街地への侵入を防止する電気柵の備えが十分でなかったことなどを課題として挙げ、再発防止に向けた対応策をまとめた。
(クマ出没抑制へ河川敷で草木の踏み倒し:岩手)
クマの通り道になりやすい河川敷の草木を踏み倒し、人里への出没を抑制しようという取り組みが11月20日、岩手県花巻市で行われました。花巻市高田の住宅街にほど近い北上川の河川敷です。20日は約7000平方メートルに渡り生い茂った草木を、ブルドーザーで踏み倒す作業が行われました。これはクマの通り道になり得る川沿いの草木を低く保ち、人里への出没の抑制やクマの早期発見につなげようと岩手河川国道事務所が実施したものです。花巻市では2025年度、クマの目撃件数が2024年度の同じ時期の3倍以上にあたる821件(前年同期比+553)に上っていて、記録が残る2020年度以降で最多となっています。岩手河川国道事務所では先週政府がクマ対策パッケージを決定したことも踏まえこの作業を実施したということです。岩手河川国道事務所 土田昭夫副所長「河川管理上(草木の踏み倒しが)必要な箇所は色々あるので、地元自治体のクマ対策との連携も視野に取り組んでいきたい」。20日の作業は一度、樹木の伐採をした河川敷に草木が再び生えないようにする実証実験も兼ねていて、岩手河川国道事務所では「効果が確認できれば作業範囲の拡大を検討する」としています
(花巻市が補助金新設と報酬増額を決定:岩手)
岩手県花巻市は、銃猟によるクマの捕獲業務に対する補助金を新設しました。また、一関市で10月クマに襲われ男性が死亡しましたが、市は駆除したクマが男性を襲ったクマとは別個体であると発表しました。花巻市 上田東一 市長「危険な業務をやってもらうことには本当に感謝している」。花巻市の上田東一市長は25日の定例会見で、銃猟にもとづくクマの捕獲業務に対する報酬として、出動1回につきひとり1万円、駆除した場合には1頭につきひとり3万円を支払うための補助金を新たに設けると話しました。また、箱ワナでの捕獲や警戒活動などに対する報酬についても、これまでの1時間あたり1000円から2000円に増額することとしています。このほか花巻市では緊急銃猟について、実施の判断や指示は市長ではなく、基本的に農林部長が行うこととするマニュアルを策定しました。花巻市 上田東一 市長「(緊急銃猟の場合には)1分でも2分でも早くやらないとダメ。であれば最終的には市長が責任を持つけれど、部長に任せて早く実施してもらうということにした」。
(30年で倍増の「ロードキル」、物損扱いで自賠責使えず車の修理費に影響も)
野生動物の交通事故死「ロードキル」の高速道路上での発生件数が30年前と比べて倍増するなど野生動物が車と衝突する事故が全国で相次いでいる。大半はタヌキや鳥類といった中型動物だが、東北地方では今年、生活圏に出没したクマとの衝突事故が続発、秋田県では前年の5倍以上となっており、関係者が注意を呼び掛けている。関西の観光地の1つで、国内外からの観光客が集まる奈良市の奈良公園。周辺に生息する「奈良のシカ」も野生動物の一種だ。シカが道路を横断することも日常で、シカの飛び出しを注意喚起する標識がいたるところに並ぶ。保護団体「奈良の鹿愛護会」によると、令和6年7月からの1年間で、奈良公園内で発生したシカとの交通事故は前年同期比8件増の72件。死亡頭数は同7頭増の36頭だった。愛護会は、事故にあったあとに逃走するシカもいるため、実際に発生している件数はさらに多いと指摘する。国交省によると、令和4年の高速道路でのロードキルの件数は約5万件でここ数年は横ばいだが、平成6年の2万件超と比べると30年で倍増。国交省の研究所の以前の調査では、高速道路が野生動物の数が多い地域を通過していることや、動物の生息環境の拡大などを理由に挙げている。一方で、野生動物と衝突した際、加入する保険内容次第で車の修理費が補償の対象にならないケースもあり、注意が必要だ。自動車保険には強制の「自賠責保険」と任意の「自動車保険」の2種類あるが、日本損害保険協会によると、野生動物との衝突は単独の物損事故として扱われ、人身事故の被害者救済を目的とした自賠責保険の対象外となる。動物を避けるために歩行者や対向車などと事故を起こした場合でも、任意の賠償保険を適用することとなる。車両保険をつけていない契約内容では、車の修理費は補償の対象外となることもあり、同協会の担当者は「野生動物との事故は、ドライバーに過失がない場合が多い。野生動物出没の情報などをきっかけに、保険の見直しも検討してほしい」と呼び掛けている。そもそもの運転時の注意も必要だ。国交省の担当者は「動物との事故は交通量が少なく、周囲が見えづらい、夜間や朝方の時間帯に発生しやすい。ロードキルを発見した時や、動物と衝突した時には、道路管理者などに適切に通報してほしい」としている。
(列車vsクマ衝突事故は過去最多56件発生:北海道)
JR北海道は、線路内での列車とクマの衝突事故が、2025年度は11月17日時点で56件に達したことを明らかにしました今の統計方法になった2015年度以降、過去最多となっています。JRによりますと、列車とクマの衝突は北部を走る宗谷線が最も多く19件でした。石勝線12件、石北線は7件などでした(10月31日時点)。事故後、安全確認の為ハンターが出動せざるを得ない場合もあり、1時間以上遅れたり運休したりしたケースは18件だ、これも過去最多となりました。綿貫泰之社長は19日の定例記者会見で「クマの個体数が増え、ドングリの凶作の影響があるだろう」と話しています。クマを処理する際は、手負いのクマが暴れたり、ほかのクマが現れる可能性を考慮し、社員が外に出ずに作業できる「熊キャッチャー」と呼ばれる独自開発したアームを保線用の車両のクレーンに取り付けて、線路外に運び出す対応をしているということです。列車とクマの衝突で、これまで最も多かったのは2023年度の52件でした。
(川の近くの木々を伐採、クマが身を隠しやすい場所を減らす試み:山形)
クマが街中に出没するルートのひとつになっているとみられているのが川です。きょう長井市では川の近くの木々を伐採し、クマが身を隠しやすい場所を減らす試みが行われました。今回、伐採作業が行われたのは、長井市の山間部と最上川の間にあるヤブや木々です。川の対岸には市街地があり、クマが市街地に出没するまでにはこういった場所を移動しているとみられています。山形河川国道事務所は通常、河川の管理のために伐採を行っていますが、今回、米沢市や長井市から伐採の要望が出たことや、先日政府が発表したクマ対策のひとつに河川のヤブの刈り払いなどが入っていたことから、今回、実施することになりました。東北地方整備局 山形河川国道事務所 置賜流域治水主張所 松田宏一 所長「クマは人間との接触を避ける習性があるので、河川敷は移動するのに格好の場所。クマの餌になる柿・栗・クルミ河川敷に非常に多い。クマを誘因するものをできるだけなくす」。刈り払いは、クマの早期発見やクマの生活圏を狭めることにつながりますが、河川敷には民有地も多くなかなか整備が進まない場所もあるということです。このため国土交通省では支援などを行い、整備を進めたいとしています。この場所での作業は、来週末までで、堤防付近のおよそ300メートルのヤブや木々が伐採される予定です。
(クマを人里に呼び寄せる「放置果樹」:鳥取)
クマを人里におびき寄せる一因にもなっているとされる放置された果樹「放置果樹」。伐採も呼び掛けられていますが、その撤去、簡単ではないようです。クマが冬ごもりを前に栄養を蓄えるこの時期、人里近くで甘みを増すのが柿。放置された柿がクマをおびき寄せる原因にもなっています。特産の富有柿の収穫がピークを迎えた鳥取県南部町。柿農家 赤井富雄さん「自分が植えた柿もあるんだけど、古くから受け継いだ柿もつくってきた経験上やっぱり地域の産物として富有柿というのがここにはあったんです」。代々受け継がれる柿ですが、高齢化と担い手不足により放置された柿の木「放置果樹」もあると言います。柿農家 赤井富雄さん「これは現在も栽培されている果樹園です。これは数年前からつくる方がいなくなって放任地になっている状況」。長年受け継がれてきた柿の木は、所有者が分からず行政も対応しにくいだけでなく、生産者が高齢化することで「放置果樹」の伐採もままなりません。柿農家 赤井富雄さん「自分ができなくなったからといってほったらかしにされているとやっぱりそういうことは考えていかないといけない時代なのかなと思う」。南部町 産業課 益田良介 課長補佐「年間を通じた栽培体験会を行っており、新しい農業者の参入の動機付けということで体験して頂く取り組みを進めています」。柿の木を新規就農者につなぐ対策も進められているものの、放置果樹を減らすのは簡単なことではないようです。
(カイニョ手入れ、クマ対策手助け:富山)
散居村の景観を守ろうと、高齢者世帯などのカイニョ(屋敷林)を剪定(せんてい)、間伐する砺波市のボランティアグループ「カイニョお手入れ支援隊」は20日、同市苗加の1人暮らしの女性(56)宅の屋敷林を手入れした。今年はクマの出没が相次いでおり、その対策も兼ねた。支援隊が2014年に活動開始して12年目。1年間に春と秋の計2回実施し、年金暮らしの高齢者宅や女性のみの世帯の屋敷林で、支援活動を続けている。女性宅の屋敷林は30年以上、本格的な剪定はされておらず、木々が密集し、風通しや日当たりが非常に悪い状態になっていた。
(河川敷で草木の伐採、クマの通り道や隠れ場所をなくす狙い:長野)
クマ対策です。国土交通省千曲川河川事務所は、11月21日から長野県飯山市の千曲川河川敷で、草木の伐採を始めました。クマの通り道や隠れ場所をなくし、人里に近づくのを防ぐ狙いです。千曲川河川事務所が21日から始めた河川敷の草木の伐採や踏み倒し。その狙いは―。千曲川河川事務所中野出張所・三上博武所長:「河川敷に立っている木ややぶはクマのすみか、出没の歩くルートになってしまう。伐採してクマの出没を抑える」。草木が生い茂る河川敷はクマの通り道や隠れ場所となりやすく、飯山市でも今年5月に千曲川の河川敷で1頭が捕獲されています。今年4月には、千曲川からも近い住宅街で、住民3人がクマに襲われて重軽傷を負う被害が発生しました。作業を通じて、人里へのクマの出没を抑えたいとしています。千曲川河川事務所中野出張所・三上博武所長:「見通しを良くして、クマの侵入ルートを遮断し、住民の不安を解消できればと思っております」。伐採は、千曲川の右岸と左岸合わせて2キロを予定しています。
(クマ好物「柿の木」伐採進む:群馬)
クマの被害が相次ぎ、各地で柿の木の伐採が進んでいます。群馬県前橋市では1本伐採すると1万円を交付する事業を開始しましたが、開始早々予算の上限に達し、申し込みを打ち切りました。連日、柿の実を求め、山から下りてくるクマ。19日も、77歳の女性が柿の木にいたクマに襲われ、顔や右腕、右足にケガをしました。国の資料によると、クマを呼び寄せる要因の7割が柿です。木に登って、大好物の柿の実を食べるクマの姿が相次いで目撃されています。番組は、前橋市に向かいました。前橋市では、今月7日から柿の木を伐採する人に1本あたり1万円を交付する事業がスタートしましたが、17日には予算の上限150万円に達し、受付を終了しました。父が70年前に植えた木を切った男性(70代)は「思い出もあるけれど、やっぱり危険なのが大きいので、思い出以上に。それで切ったということです」と話します。北秋田市の雑木林。よく見ると柿の木が揺れています。クマが熟した柿を食べているのでしょうか。クマの出没が相次いでいるエリアです。後日、箱わなを仕掛けると、1頭のクマが捕獲されました。東北では、木を切る人が増えています。かつて、家族繁栄を願って植えられた柿の木。一方で、葛藤している人もいます。庭に柿の木がある男性(70代)「女房の誕生日か何かで植えたやつをここまで引っ越して持ってきていますからね。(1本あたり)1万円(奨励金がでる)、それは分かっています。お金は欲しいけど、それより大事かなと思っている」。60年前に植えた思い出の柿の木。今は切るのをやめました。岩手大学 農学部 山内貴義准教授「基本的に熟してから食べます。熟すまでは食べずにそのまま素通りして、熟してから食べ始めている。通常11月になったらおとなしくなるはずですけど、全くその気配がないので。12月に入っても、もしかしたら出没が続くと思います」。
(クマとの「すみ分け」できている?栃木で比較的出没が少ないわけ)
東北地方を中心に各地でクマによる被害が相次ぐ中、山間部も多い栃木県では、目撃情報は絶えないものの、町中への出没は比較的少ないとされる。人間との「すみ分け」はうまくいっているのだろうか。実態と課題を探った。県内では、6月30日に那須塩原市の住宅街で70代男性が後頭部に大けがをしたほか、7月6日には同市内の住宅や山林で負傷する事案が2件あった。また11月23日には鹿沼市の男性が自宅の庭でクマに襲われ負傷した。それ以外にも目撃情報が多数寄せられているが、県の集計では今年度は9月までに185件。同時期に500件を超える情報があった隣の群馬県や東北各県より少ない。
(対策のポイントは「柿」にあり?:福井)
自治体の判断で危険鳥獣への発砲が可能になる「緊急銃猟」。9月に制度化され、福井県内で唯一、勝山市で10月29日と11月8日に実施された。市内での10月のクマ目撃・痕跡件数は75件で、県内全域(196件)の約4割を占める。市は、他の自治体に先駆けて緊急銃猟実施に向けた準備や、クマを市街地に寄せ付けないための対策に力を入れてきた。目撃が多発する中で、取り組みの成果が表れ始めている。市街地へのクマ出没は、餌のドングリがなるブナやミズナラの作柄状況が起因する。県自然保護センターの調査によると、本年度の県内の林地におけるドングリの着果割合は、ブナが0%、ミズナラが3・1%と不作だった。県自然環境課の西垣正男さんによると、両種より低い標高にあるコナラは豊作だというが、「奥越はブナとミズナラに依存しているクマが多いことから、餌を探して街に下りてくるクマが多くなっている」と分析する。
(ヒグマの鳴き声!と思ったら、大半はエゾシカや小動物:北海道)
ヒグマの出没が相次ぐ中、札幌市に届く市民からの情報に、キツネなど小動物の痕跡やエゾシカの鳴き声を間違ったと思われる通報が寄せられている。市は動物の痕跡などに関するハンドブックを公開しており、特徴の違いの周知に努めている。
(射撃技術の向上目的に研修会:岐阜)
クマによる人身被害が相次ぐ中、岐阜県高山市で猟銃免許を持つ人を対象にした研修会が行われました。研修会は射撃技術の向上と事故防止を目的に行われていて、猟銃を扱う免許を持つ約30人が参加しました。参加者は、クマなどの有害鳥獣の捕獲の現状を学んだ他、実際に射撃訓練を行い、銃を取り扱う際の注意点などを改めて確認していました。高山市では2025年4月から今月20日までに、クマの目撃情報が425件と、すでに2024年度の約2倍となっていて、研修会で指導した担当者は、緊急銃猟について「できる限り協力したいが撃った後の責任がどうなるのか不安が拭いきれず明確にしてほしい」などと話していました。
(ふるさと納税でクマ被害対策:山形)
山形県鶴岡市は市内での出没が増えているクマの被害対策を進めるため、ふるさと納税による寄付の受け付けを始めた。鶴岡出身者など市にゆかりのある人に協力してもらい、捕獲体制や被害防止対策の強化に充てたい考えだ。県内では新庄市も同様の取り組みを始めている。鶴岡市によると、今年度のクマの目撃情報(足跡などの痕跡含む)は10月末までに392件にのぼり、昨年度の約6倍に急増。10月末までの捕獲数は103頭を数え、11月17日には柿の木に登っていたクマ1頭を緊急銃猟で捕獲した。市は、クマを引き寄せてしまう柿の木などの果樹伐採や電気柵の設置、捕獲などの費用補助を鳥獣被害対策として予算計上している。だが、クマの出没が増えたことでより多くの対策費が必要となり、ふるさと納税の活用を決めたという。寄付は、ふるさと納税サイト「さとふる」で11月19日に開始。寄付金額は2千円からで、返礼品はない。来年3月末まで寄付を受け付け、箱わなの設置や緊急銃猟の体制整備、電気柵設置や不要な果樹伐採の補助などに充てる。佐藤聡市長は「(市出身者など)ふるさとのことを心配している方々に協力していただき、しっかりと対策に生かしたい」などと話している。
(クマの嫌がる音を出して寄せ付けない「クマソニック」:岡山)
今年は全国で、市街地でのクマの目撃情報や人的被害が相次いでいます。そんな中、岡山理科大学の教授が、音が出る装置を使って各地で対策を進めています。果たしてその効果は。ソーラーパネルとスピーカーが一体となったこの機械。実は、クマが嫌がる特殊な音を出す、その名も「クマソニック」と呼ばれる装置です。(岡山理科大学 辻維周教授)「ここからクマの嫌がる音を出して、生徒たちが帰ったあと夜6時から朝の6時までこれを稼働させることによってクマがここに寄り付かなくする装置です」。この装置でクマ対策に取り組んでいるのは、長年にわたり鳥獣対策を研究している岡山理科大学の辻維周教授です。これまでに地元岡山でも実証実験を行ってきました。対象となったのはイノシシやシカです。今年6月、クマの目撃情報が相次いでいた富山県南砺市の人里に近い利賀村の学校周辺に「クマソニック」を設置しました。児童や生徒がいない午後6時から翌朝6時まで、スピーカーからクマの苦手な高周波音を出すことで効果を発揮。設置後は、周辺でのクマの目撃がゼロになったといいます。長年、クマ被害に悩まされる全国の自治体で鳥獣対策を行ってきた辻教授。これは、センサーがクマの動きを感知し音を出す「クマどん」。その実力は…。公園にいた子グマは音に反応し一目散に逃げて行きました。今回「クマどん」を開発したメーカーが、改良したのがこの「クマソニック」です。(岡山理科大学 辻維周教授)「クマどんは、低周波でクマを驚かせて立ち退かせるというやつですね。でも驚かせた場合にはどうしても音に慣れてしまって戻ってくる可能性があるんです。周波数を変更してかけてみたらうまくいったと。言ってみれば音でバリアを作ることになる」。辻教授はこの日、南砺市の職員と井波地区の林道にクマソニックを設置しました。井波地区では今月に入りクマの目撃情報が増加。住宅街など各地で痕跡が発見されています。(南砺市 森林農地整備課 平瀬大然さん)「山側の、ちょうど里との緩衝地帯というか、そういったところに置けば里の方まで下りて来ないかなという期待をしている」。クマが生息する山と人里の間に「クマソニック」を設置し、緩衝地帯をつくることで人里への出現を防ぐことが狙いです。これまでの「追い払う対策」から、「寄せ付けない対策」へと変化させたといいます。(岡山理科大学 辻維周教授)「やはりこれだけでは不十分なので、電柵とか爆竹とかその辺りと併用してもらえればより効果が期待できる。いずれにしてもクマは結構いろいろと知恵が働きますので、彼らとの戦いですね」。全国で相次ぐクマの目撃と人的被害。「音のバリア」は、人里を脅かすクマ対策の救世主となるのでしょうか。
(クマの侵入阻む柵、「防クマ適性」を無償で診断:福井)
全国でクマによる被害が深刻化していることを受け、獣害対策製品製造販売の子会社を持つ前田工繊(福井県坂井市)は、クマ対策の支援体制を強化している。クマ対策の柵などの相談窓口を設置したほか、対応に当たる人員を補強。グループを挙げて被害軽減に取り組む。同社子会社の未来のアグリは先月、5人体制のクマ対策支援チームを創設。クマ侵入防止に特化した柵の普及をサポートするため、既存の柵の防クマ適性を無償でリモート診断しているほか、現場に職員を派遣しての診断も行っている。クマ侵入防止フェンスの新設や、既存柵をクマ対応に更新する相談にも応じている。詳細は未来のアグリのホームページから。また、より迅速な対応を可能とするため、前田工繊にも相談窓口を設置。福井営業部=電話0776(51)9200=のほか、各地の支店、営業所でクマ対策の相談に応じる。開発技術部の3人をクマ担当とし、未来のアグリと共同で対策製品の開発、改良を急ぐ。
(相次ぐクマ被害、顔めがけ噴射するスプレーなど対策グッズ需要増:福島)
福島県内でクマの目撃件数や人身被害が過去最多となる中、ホームセンターやアウトドア用品店でクマよけスプレーなどの対策グッズの需要が高まっている。山林に立ち入る事業者はクマと遭遇しない対策を徹底するなど、例年にないクマへの警戒が続いている。郡山市のアウトドア用品店「WILD―1郡山店」を今月4日に訪れると、クマ対策のスプレーの在庫は1本のみで、この日のうちに売り切れた。クマの人的被害が全国的に増えた10月頃から急激に購入者が増えたといい、曳地弘成店長(52)は「今年ほど対策グッズが売れる年はない」と話した。県警によると、県内での今年(18日時点)のクマの目撃件数は1779件、人身被害は23人。それぞれ過去最多だった2023年の687件、14人を大幅に上回っている。このため、登山や釣りなどを目的にした客が多い同店でも、曳地店長は「今年は林業従事者や、クマが多く目撃される地域の住民が買い求めに来ることが増えた」と説明する。特に問い合わせが多いのが、クマよけスプレーだ。唐辛子の成分「カプサイシン」などが含まれ、数メートルほどの距離からクマの顔をめがけて噴射して追い払う。同店では、約5000~2万円の国内外産のクマよけスプレー6種類を取り扱っており、売れ行きは昨年の3倍以上だったが、売り切れ以降は入荷がない状態が続いている。クマ鈴も昨年の約2倍売れている。甲高い音を出してクマに自分の居場所を知らせる「ベアホーン」は、昨年まで認知度が低かったが、メーカーでも在庫がなくなるほどの人気だという。県内に11店舗を展開するホームセンター「カインズ」(埼玉県)によると、全国的にクマ対策グッズの供給が追いついていないという。県内店舗では、クマ対策グッズなどの防獣関連商品が直近の1~2か月で前年比約4倍で推移しており、クマの出没が多い会津地方での販売が顕著だ。同社の担当者は「防獣用品は今まで農作物を守ることが中心だったが、これからは『人を守る』ことにも焦点を当てた品ぞろえを強化したい」としている。山林などで活動する事業者は、クマと遭遇しないよう神経をとがらせる。林野庁福島森林管理署(福島市)では、森林整備に入山する作業員はクマ鈴やクマよけスプレーを必ず携帯する。複数人で入山したり、入山前に林野火災に気を付けた上で爆竹を鳴らしたりするなど対策を講じている。高木鉄哉署長は「クマの目撃情報が相次いでいるため、職員全体で人的被害が発生しないように注意を徹底したい」と話す。クマの生態に詳しい福島大食農学類の望月翔太准教授は、「クマよけスプレーはあくまで最終手段。まずは遭遇しないための工夫が大切だ」と指摘する。クマが走ってきた時などスプレーが間に合わない場合は、「その場にうずくまり、両手を首の後ろで組んで顔、頭、首を守る防御姿勢を取ることで致命傷を防ぎやすい。クマも人間を怖がっているので、数回ひっかいて立ち去ることが多い」と話している。
(クマから身を守るための特別授業:宮城)
宮城県は25日、クマの目撃が続いているなどとして、クマの出没警報を12月末まで延長することを決めました。加美町の小学校では、児童がクマから身を守るための特別授業が行われました。加美町の鹿原小学校で行われた特別授業では宮城県の職員が講師となり、児童11人に向けクマの習性や対応策などを説明しました。加美町ではクマの目撃件数が10月169件、11月87件と過去最多のペースとなっていることなどからクマ出没非常事態宣言を出して警戒を呼び掛けています。児童たちはクマと出合わないようにする注意点について説明を受けたほか、毛皮や爪に触れて、身をもってクマの恐ろしさを体感していました。県北部地方振興事務所林業振興部江刺ひろ子さん「正しく知ってほしいということが1つ、それで正しく怖がってほしいというのがあります。これからクマが冬眠に入る季節で、だんだんと姿が見えなくなる時期に入ると思うんですけど、それでもまだしばらく油断せずに気を付けて、登下校時など過ごしてもらえればいいなと」特別授業は、他の小学校でも行われます。宮城県丸森町特産のころ柿作りでは、収穫の時にはクマへの細心の注意が払われています。耕野地区の八島哲郎さんの40アールの畑には、ころ柿となる蜂屋柿など約200本が植えられています。ここ数年は実の変形による不作が続きましたが、日照時間が多かったこともあり、色も形もに良い柿がたくさん実りました。一方で懸念されるのがクマによる被害です。収穫の前には花火を使い収穫時はラジオやクマ鈴を鳴らす他、なるべく単独行動を取らないようにしているということです。八島さんの畑ではクマの被害はありませんが、地区では先週もクマが目撃されています。八島哲郎さん「対策を万全にして、私は遭っていないけども万が一遭わないようにという対策はしています。早く寒くなって冬眠してくれればいいなと思っていて、お互い遭わない方がいいので」。ころ柿は約3万個が出荷され、1月中旬から丸森町の道の駅やしまややJR仙台駅などで販売されます。
(「命と向き合う「猟師」のリアル」、『猪之噛』刊行記念対談)
歴史時代小説の書き手である矢野隆さん初の現代小説『猪之噛』(「噛」は旧字)。狩猟をテーマに、猟師たち、そして山と共に暮らす人々の生きざまを描いた作品です。猟師といえば、昨今お笑い芸人の間で狩猟免許を取られる方も増えているんです。今回はそんなブームの火付け役でもある、ガクテンソクのよじょうさんをお招きし、狩猟の今、そして『猪之噛』の魅力について語っていただきました。
(危険と隣り合わせの現場に立つ猟友会員:秋田)
命の危険と隣り合わせのクマの駆除。しかし秋田県内の猟友会員に支払われる報酬は年間数千円から数万円と幅があり、「重責に見合わない」との指摘もある。クマの出没増加を受け、秋田県は2年ぶりに奨励金や慰労金を支給する方針を固めたが、猟友会員の待遇や報酬の在り方が問われている。クマの駆除にあたり、秋田県内の各市町村は「鳥獣被害対策実施隊」を組織し、地元の猟友会員がその担い手となっている。彼らは本業の合間に、非常勤公務員として危険を伴う現場に立ち続けている。隊員の仕事は多岐にわたる。箱わなの設置や撤去、わなの見回り、クマの駆除、そして駆除した個体の解体や焼却まで。いずれも体力と経験が求められる作業だ。山奥にわなを仕掛けるには重い資材を運び、解体には仲間との連携が欠かせない。まさに「地域の安全を守る最後のとりで」といえる存在だ。クマの出没が多い鹿角市では、隊員に年間5000円の固定報酬が支払われる。出動1回につき2500円が加算され、さらに駆除した場合は1頭につきチームに1万円が支給される。ただし条件は「処分まで完了すること」。箱わなの設置も1回2万円がチームに渡る。ある隊員は2024年度、年間150日以上出動し、収入は30万円台に達したという。危険と隣り合わせの活動にしては、決して高い額とは言えない。秋田県内の自治体が支払う年間の固定報酬は2000円から2万7000円まで幅がある(2024年度の県まとめ)。日当制や時間給制を導入する自治体もあり、地域ごとに仕組みは異なる。全国的にも「命を懸ける活動にしては報酬が少ない」との声が強まり、待遇改善の動きが広がっている。フジニュースネットワーク(FNN)が東北6県の市町村を対象にした調査では、すでに2割が増額済み、約5割が検討中で、全体の7割が改善に向けて動いている。秋田県の鈴木健太知事は11月18日に開かれた記者会見で、クマの大量出没で大きな負担がかかっている猟友会について触れた。猟友会の活動について、鈴木知事は「出動回数や危険度、重量物を扱う負担など、非常に厳しいものがあると思っている。駆除だけでなく、その後も大変。解体処理というところまでいくと、非常に夜遅くまで頑張ってまた次の日に出動と。土曜も日曜もないという話を聞いている」との認識を語った。その上で「そもそも年に何回もあることではなく、基本は趣味でやっている狩猟免許を持っている人に特別にお願いをして、低廉で半分ボランティアのような待遇ではあるけれどもお願いしてきたという経緯がある。この制度自体を見直す時期に来ているのでは」と、報酬を含めた制度の見直しについて言及した。高齢化が進む猟友会にとって、後継者不足は深刻だ。報酬の見直しは、担い手を確保するための大きな鍵となる。危険を承知で山に入る人々の存在がなければ、地域の暮らしは守れない。秋田県の奨励金が、持続可能なクマ対策につながるのか――その行方が注目されている。
(高齢化による『ハンター減少』、若い世代の育成を里山再生の“チャンス”に)
クマによる被害が全国で相次いでいる。東海地方でもクマの目撃情報が急増する一方で、駆除にあたるハンターは減り続けている。過疎化や高齢化が進む中、解決の糸口を見つけようと、新たな試みも行われている。普段は人が通らない、急な山道を登っていく男性。岐阜県郡上市で林業を営む興膳健太(こうぜん・けんた)さん、43歳。彼のもう1つの仕事は、野生動物を狩る猟師だ。一目見ただけでは分からないが、地面には罠が仕掛けられている。興膳健太さん:「ちょっとテストしてみましょうか。こうやって捕獲されると、ここにくくられているんで、逃げれないという仕組みですね」。この日は2年前に植えたカエデやコナラの苗木の様子を見に来ていた。苗木を狙う野生動物の侵入を防ごうと、周囲をネットで囲み、罠も仕掛けている。さらに野生動物を感知して、自動で撮影する「トレイルカメラ」を設置していて、どんな生き物が、どんなルートでやってくるかが分かるという。現場で映像を見せてもらうと、タヌキやカモシカの姿が映っている。事務所に戻り、さらに映像を確認していくと、突然、画面に黒い大きな生き物が映し出された。正体は「クマ」。この場所でクマと出会うのは、初めてだという。興膳さん:「あそこに来たということです。僕らが登った場所に。あの場でこれ見てたら、めっちゃビビっていたかも」。全国でクマによる被害が相次いでいる。2025年度、クマに襲われて死亡した人は13人(11月14日時点)と、過去最悪のペースとなっている。そんな中、2025年9月から新たに「緊急銃猟」が始まった。「緊急銃猟」により、市街地にクマが出没した際、市町村の判断で銃の使用ができるようになった。一方で、実際に発砲するには、事前に住民を避難させ、交通規制を行うなど、安全を確保するための厳しい条件がつけられている。岐阜県中津川市では今年9月、下校中の高校生がクマに襲われケガをした。現場は、横を線路が通り、近くに住宅もある市街地。地元の猟友会に所属する古井忠義さん(77)に、ここで「緊急銃猟」を行うという想定で、話を聞いた。恵北猟友会 古井忠義さん:「原則からいったら公道から撃っちゃダメ。ルールとしては。鉄砲はそんなもの。それで家に向けちゃいかんというルールがある。(住宅地の方向は)もう撃てんね。ダメだ。地面に向かって撃てばいいとかいうんだけど、地面向けて撃っても跳ね返る。跳弾がある」。「緊急銃猟」が始まっても、発砲するには多くの制約がある。そして、リスクを判断して、引き金を引くのはハンターだ。古井さん:「市長がいくら命令したって、撃つのは自分だから、自分がよっぽど考えて、撃ったと。『市長が撃てと言ったから撃った』と言っても、撃った条件が悪ければいかんと」。ハンターたちが今、注目している裁判がある。北海道砂川市で2018年、ヒグマ駆除の要請を受けた猟友会の男性(75)が、市の職員や警察官らの立ち会いのもとライフルを発砲した。しかし、後になって、建物に向けて発砲したとの理由で銃の所持許可が取り消された。男性は処分の取り消しを求め上告し、最高裁で審理されている。古井さん:「撃った方はボランティアで撃ったのに、免許取り消し食らって可哀想な話。『その二の舞になっちゃいかんよ』って話はしている。『よくやった』と言ってくれることが1回もないわ。俺らは仕事じゃないで、趣味だで、いやだといえば済むことだけど。危ない話だし、命を落としたら、いくらの補償をしてくれるのと」。猟友会は、あくまで「ボランティア」。それでも彼らが活動を続ける理由がある。古井さん:「これは田んぼ。田んぼの稲が立ってたけど、もう何ともならん。こうなっちゃうと」。まだ稲に穂がついているが、踏み倒されて、収穫はできない。古井さん:「イノシシさんがくしゃくしゃにしてくれたのよ。こういうことしちゃうでイノシシさんはよ。去年はシカに全部ここ食べられて、今年はイノシシ」。山あいの過疎が進む地域で、シカやイノシシを駆除する猟友会は頼りになる存在だが、ハンターの数は減る一方だ。古井さんが所属する恵北猟友会には26人の会員がいるが、猟の解禁前に開かれた研修会に参加するメンバーの多くは高齢者だ。古井さん:「若い人は30歳。70以上は10人。3分の1くらい。平均すると60歳以上になるね」。深刻なハンターの高齢化。古井さんは、あと10年で半分ほどに減るのではと危惧している。郡上市で猟師として活動する興膳さんは、若い世代に猟の魅力を知ってもらおうと、様々なイベントを企画している。その一つが、野生動物を感知して自動で撮影するトレイルカメラを使って、わな猟を疑似体験する「クラウドハンター」だ。参加者は地元の猟師と一緒に、罠とカメラを設置し、自宅に戻ってからも映像を監視し、獲物がかかるのを待つ。これまでに10回ほど開催され、東京など都市部に住む人も参加しているという。興膳さん:「いろんな道具を使ったりすると、狩猟がより楽しく、魅力的に。都会の方たちでも親しみやすくなって。それをきっかけにもっとやりたいという人が増えてくれればいいなということで」。さらに狩猟に興味があるという地元の高校生2人が、インターンシップにやってきた。高校生:「シカについて知ってみたかったり、捌いたり、どうやって森でシカを仕留めたり。狩ったりするのかなっていう興味があったので」。別の高校生:「僕はシカをさばくというのは知っていたので、それだけで興味があって(Q猟師に興味が?)そうです」。3日間のインターン初日、2人は地元のベテラン猟師の元を訪れ、捕獲されたシカの肉をさばく体験をした。「動物の命をいただく」ということを、技だけでなく、心についても学んでいく。人と野生動物が共存する里山を未来にどうつなぐのか。興膳さんは2年前に植えたコナラの木が、将来どんぐりの実をつけて、野生動物が山の中で暮らせる環境を作りたいという。興膳さん:「鳥獣害をきっかけに、若い人たちが農村に来て定着する、ある種チャンスだと思っている。林業なども合わせてやってもらって、本来の共存できる人間のバランスと野生動物のバランスがいい具合に戻ってくるといいな。そこを目指してやっていきたい」。
(緊急銃猟の研修で猟友会が指摘した課題:島根)
島根県では20日雲南市で、クマの出没に備え「緊急銃猟」の研修が行われました。研修会には県内の市町村職員や警察などおよそ90人が参加しました。全国で過去最多ペースで出没するクマの駆除をめぐっては、市街地に出没したクマなどを市町村の判断で銃によって捕獲できる「緊急銃猟」が今年9月に始まりましたが、安全確保など複数の条件を満たす必要があり、市町村や警察、猟友会などによる体制作りが課題となっています。参加者は公共施設にツキノワグマが出没したケースを想定し、地図と照らしあわせて銃が使える場所などを確認した上で、雲南市の職員と猟友会のメンバーらがモデルとなって演習を披露し、銃を使ってクマを仕留めてドローンでクマの死を確認するまでの一連の動きを確かめました。研修に参加した川本町の職員「書類だけ見とったらなかなか(難しい)。実際動いてみて初めて分かることもあるので、こういった研修は大変参考になる」。研修に参加した地元猟友会のメンバー「矢先の安全確認、バックストップがないと発砲は無理だと思いますので、課題が残る」。島根県では今年度、クマのエサとなる「コナラ」などが豊作となっていて、目撃情報は昨年度と比べて半減していますが、全国的にクマ被害は過去最多ペースとなっているため、県は警戒感を強めています。島根県農山漁村振興課鳥獣対策室 安松崇徳 室長「それぞれがディスカッションしていく中で、課題を共有したことは大きいと思っている。こうした事を現場での対応の際に生かしていただいて、今後の対応に当たってほしい」。
(ただの土の塊?実はこれ、マジで“危険なサイン”)
ニュースなどで頻繁に目にするようになったクマと人との遭遇。人間の生活圏内での出没情報も聞かれるようになった今、自然と親しむ釣り人は、どのような対策ができるのか?今回はクマが残す、見逃しやすい痕跡を画像付きで解説。悲惨な事故を回避するためにも、ぜひ覚えておいてほしい内容だ。こんにちは。小川貴恵です。以前、「見逃しがちなヒグマのサイン」という内容で、「ヒグマの足跡とフン」のお話をさせていただきましたが、これはあくまで「誰でもわかりやすいサイン」としてお話させていただきました。今回、一歩踏み込んで「他のサイン」についてこれからお話しをしていきますが、足跡やフンと異なり、正確に判断することは難しいと思っています。というのも、その「サイン」そのものだけで、それがヒグマ由来のものなのか、判断することは専門家でも大変難しいことであり、その「サイン」を見つけた私たち釣り人が「ヒグマとの突然の遭遇を避けるために周囲の異変(通常時とは異なる状況)に気づき、自分の身をどう守っていくか」ということを考えることが重要だと私は思っています。私の経験談と“実際の画像”を交えながら、いくつかお話させていただくので、この記事を読んで自然を楽しむ上で、少しでもお役に立てたら幸いです。「ニオイ」は感じる人と感じない人がいるので少々難しいお話かもしれません。色々な人と釣行をする機会がありますが、同じニオイを嗅いでいる環境下において、「何かクサイような気がする」という人もいれば「全く感じない」という人もいます。またニオイについては風向きも関係する場合がありますし、その他の影響もあるかと思います。私が感じる獣臭とは、家畜の臭いとは大きく異なり、強烈な汗臭いニオイというか生乾きをため込んで発酵させたような、そしてどことなく甘い香りも含んでいるような… なんとも、文字や言葉では表しにくい、それが獣臭「ニオイ」です。この「ニオイ」について、人それぞれ感じ方が違うかと思いますが、私は「いつもと違うニオイ」を感じた時点でその場から立ち去るようにしています。「考えすぎ」「このくらい大丈夫でしょう」とは私は思わないようにしています。そもそも、感じた「ニオイ」が獣臭だとしても、その発生源がヒグマであるとは断定できません。もしかしたら、感じた「ニオイ」が腐敗臭で、近くに動物の亡骸があったり、埋まっている可能性もあるかも知れない。もしそのニオイが土饅頭(土饅頭とはヒグマが動物の死体などの大きな餌を土や木の枝、落ち葉などの周りにある物をかぶせて隠した場所のことで、しばらくこの場所に執着し居座る事があります)から漂うニオイだとしたら…大変危険な場所の近くにいるかもしれない…ということになるのです。※北海道の「石狩沼田幌新事件」と言われるヒグマ獣害事案を参考にされてもいいと思います。そのため、「いつもと違うニオイ」を感じる場所に来てしまったときは無理は一切せず、退避する選択をした方がいいと思います。これはよく話題になるサインの一つです。なぜ話題になるかというとエゾシカの角の研ぎ跡と見間違う方が多いですし、一度でも跡がついたら、その樹木がある限り、跡が残り続けるからです。実際、私も見間違った経験があります。私は道北に遠征をしていて、初めて入る地域の川で釣りの途中に突然、木に傷のような痕跡を見つけて驚きました。そしてその近くにはヒグマの足跡も多かったため「どの野生動物の痕跡か?」という事を考えるよりも、私はビビりなのでとにかく「ヒグマの爪痕かも知れない、どうしよう。怖い」という気持ちから、速やかにその場から退避しました。今でもこの時の対応は「釣り人として一番良い判断だったのではないか?」と私は思っています。なぜならば「何らかの異常、違和感を感じて身を守る判断をした」ということだからです。実際に、ヒグマがつけたと思われる爪痕も幾度と見ていますが、樹木に一度付けた跡はそのまま残ることから、その痕跡が「いつ、ついたものなのか」という判断はとても難しいのです。それこそ、ヒグマが目の前で木に登っているならば「新しい爪痕だ!」と判断できるでしょう。でも、そういう遭遇は絶対したくないですよね。私は何度か実際に木に登っているヒグマを遠目で見た事がありますが、見つけた時点でその場から離れることだけを考えました。そしてその後、見た場所を忘れないように携帯の地図機能がなかった時代は手持ちの地図に印をつけて、現在はマップにピンをおいてその場所へ近づかないように心がけています。以上のことから爪痕と思われる痕跡からわかることがあるとすれば「そこにヒグマや何らかの野生動物がいた。(いる可能性がある)」ということだと思うので、過信はせずに立ち去ったほうがいいと思います。渓流で私がよく見かけるのはフキや虫を食べたような痕跡です。草木の根本や土を掘り返していたり、大きな石がひっくり返っていたりするのはヒグマが虫を食べている可能性があります。また、フキの先端が不自然になくなっている状況を見かけることがあります。ただ、この場合もヒグマが食べたものか、エゾシカ等その他の野生動物が食べたものか、見分けがつかない場合が多々ありますが、問題はそこではありません。どの動物の食痕か?などの確認をするよりもそういう場所を見つけた時は、まだ近くに食痕を残した野生動物が隠れている可能性があると考えて、慌てずに脱渓ポイントを確認し速やかにその場から立ち去るようにしたほうがいいと思います。野生動物は本当にかくれんぼが得意です。木々や草木が生い茂る季節に、そういった動物たちを肉眼で見つけることはとても困難だと思います。そのほか、私が気を付けていることは、ヒグマの足跡などを見つけた時に見かける「獣道」です。藪の方に、不自然に倒れた草木で道のような、何かが通ったような跡を見かけることがあります。このような場所を見つけたらヒグマなどの野生動物が通った(再び、これから通る)可能性があると判断し、周囲の安全確認をしてから脱渓ルートを考えます。「自分の身を守る行動が先決。異常を感じたら深追いはせずにその場から立ち去ること」。釣りに夢中になっているときに、痕跡らしきものを見つけても自分の感覚で「このくらいなら大丈夫」と過信して自己判断で無理をしてしまうことが多々あるかもしれません。でも、そんな時にこの記事の内容を思い出して「ちょっと待てよ?」と立ち止まり、ヒグマとの不要な遭遇を回避する行動に繋がっていただければと願っています。北海道は自然豊かな大地ですが、ある意味、「ヒグマが資源を守っているのではないか?」と思う時もあります。私にも当然、「いい魚と出逢いたい。いい景色も見たい」という気持ちもありますが、その前に釣りをする上で釣果よりも命が大切なので絶対に無理はしないように心がけています。それではまた次の記事でお会いしましょう。
(専門家とハンター、立場の違いから見えるクマ出没対策の課題:富山)
富山県内でのクマ出没件数が971件に達し、過去10年で最も多くなっている。人身被害も発生するなど深刻な状況の中、クマの生態研究者とベテラン猟師が語る対策には明確な違いが見えてきた。「これまでの大量出没、今年の準大量出没の年でも、すべての引き金は秋のドングリ、ブナ、ミズナラ、コナラの豊作、凶作によって、(クマの)出没が繰りかえされている」。長年クマの生態を研究してきた県自然博物園ねいの里の赤座久明さんは、今年のクマ出没急増の最大の要因はエサとなるドングリなどの木の実の不作だと指摘する。一方で、富山市旧八尾町大長谷地区の猟師、石黒木太郎さんは違う見解を示す。「狩猟を始めた10年前に比べれば、明らかにクマが増えたと思う」。石黒さんは1年間に仕留める野生動物はクマを含め100頭にのぼるベテランだ。石黒さんの視点からは、猟師の減少など様々な要因が絡み合い、クマの個体数そのものが増加していることが問題だという。実際、県によると県内のクマの個体数は2009年の推定740頭から昨年は1450頭と、約2倍に増加している。同様にイノシシの個体数も10年前の倍近くになっているという。「イノシシはドングリが大好きで、クルミも食べる。クマもクルミが大好き」と石黒さんは説明する。「そのエサをすごく競争している意味もあるので木の実が不作、さらに食べる動物の数も増えている」。さらに石黒さんは、イノシシ対策として県が推進している箱ワナの設置が、意図せずクマを人里に引き寄せる要因になっていると指摘する。「餌付けしてしまったということになると思う」「クマは保護対象動物なので、イノシシの檻の中に入ってもクマだけ出られるように上に四角い穴が空いている。そこから出て行く」「クマたちが里に下りて、イノシシの檻の米ぬかを食べるということを覚えたと思う」。このように学習したクマが食料を求めて人里へ下りてくるようになり、庭先の柿の木に集まるクマが増えているという。こうした状況に対し、ねいの里の赤座さんは人身被害を防ぐため不要な柿の木の伐採を提案し、各地域で伐採を手伝ってきた。「2019年の秋には、78本の柿の木をみんなで協力して、村の中の食べない柿を全部処分した。それ以来、クマの気配が全然ない、つまり食べるものがない所にクマは出てこない」。一方、ハンターの石黒さんは柿の木伐採策に反対の立場を取る。「柿を切れという政策に反対」「お腹の空いたクマが下りてきて、里山の柿の実を食べようと、里の柿がなかったら、どこにいく?柿の木は海まである、切るなら海側から全部切らないといけないと思う」。さらに石黒さんは「柿がクマの趣向品で、柿を味わいに来ているなら柿をなくせば帰ってくれるかもしれないが、クマたちはお腹空いているので、柿がなくなれば他の物を食べる」と警鐘を鳴らす。赤座さん自身も、柿の伐採だけではクマの出没を防ぐ根本的な解決にはならないと認めている。その上で、人とクマとの住み分けを図る総合的な対策の必要性を訴える。「柿の木の伐採だけで解決するとは思っていない」「集落の周りの森の環境を利用していた森のような状況に近づける。河川敷の草原も動物の移動ルートを提供してしまっているから、きれいに片付ける方法を考えなければならない」。11月21日も富山市大沢野地域の柿の木にクマとみられる爪痕が見つかるなど、クマ出没の兆候は続いている。専門家とハンターという立場の違いから見える視点の相違はあるものの、人とクマが共存できる環境づくりという課題は共通している。県内のクマ出没が過去最多を記録する今、短期的対策と長期的な環境整備の両面から、より効果的な対策の検討が急がれている。
(猟友会に密着、有害鳥獣駆除の最前線:静岡)
全国各地で出没が相次ぎ、脅威となっているクマ。こうしたクマなどの駆除について最前線に立っているのが猟友会のメンバーです。静岡県内の猟師による狩猟の現場に同行させてもらいました。“災害級”とも称されるほど、いま全国で相次いでいるクマによる被害。環境省によると、2025年4月~9月に全国で確認されたツキノワグマの出没件数は2万件を超え、統計の残る2009年度以降で過去最多を更新する勢いに。死者も13人に上っています。近年、シカやイノシシに向けたわなにクマがかかるいわゆる錯誤捕獲が急増するなど、クマの脅威が増している富士宮市。富士宮市・須藤秀忠 市長(11月11日):もし(クマが)出てきたら駆除するしかないと思っている。人命が一番大事、人命優先。10月27日には住宅の近くに設置された箱わなに体重150kgものツキノワグマがかかり、猟友会によって駆除されました。猟友会に所属する猟師:今までこういう人里に(クマが)出た事例があまりない。富士宮は。どこも同じで山にエサがないというのがあると思う。猟友会に所属する猟師:クマも逃げなくなった感じ。元々はクマが先に気づけば先に逃げるが、下がってきている、里に下りてきているのは事実。もはや他人事とは言えず、身近に迫るクマ。11月1日からイノシシやニホンジカを対象に、わな・網・猟銃を使用した狩猟が解禁された静岡県内。この日、富士宮市では猟犬を使って獲物を追い込み銃で撃つ“巻き狩り”が行われました。富士宮猟友会の猟師:大きいのがいる。すごいでしょ?イノシシ・シカの足跡。猟友会の活動目的の1つが農地などの食害を防ぐこと。行政からの依頼を受けて有害鳥獣を駆除し、森林の保全に貢献しています。ただ、有害鳥獣の駆除に対しては報奨金が支払われるものの富士宮市の場合、動物の種類によって1頭につき1000円~1万円程度。わなを1つ仕掛けるためにもお金がかかり、他にも見回りに必要な交通費といった経費もあるため実質的にはボランティアに近い状態といっても過言ではありません。こうした中、拡大するクマによる被害を受けて新たに要請されたのが市街地での緊急銃猟への協力です。これまで警察官が命じた場合を除いて市街地での使用は原則禁じられていた猟銃。しかし、9月からは危険な鳥獣が生活圏に侵入したり侵入するおそれが大きかったりする場合や猟銃の使用以外に捕獲が難しい場合など、4つの条件をすべて満たした時に限って市町村の判断で銃猟が可能になりました。西富士山麓猟友会・藤浪庸一 会長:民家に立てこもっているところを撃ちなさいとなった時に、やっぱり人もいるし近隣に家がいっぱいあるとなると、弾が当たらなかった、撃った方向が運悪くとんでもない固いところへ当たって跳弾で飛んでいく危険性もあるので、簡単にすぐに山で撃つようなつもりで撃つわけにはいかない。銃の取り扱いに慣れ、50m先の標的にも命中させることができる正確な射撃能力を持つ猟師たち。これまでも幾度となく有害鳥獣を駆除してきましたが、一方でクマはシカやイノシシとは勝手が違うと考えています。富士宮猟友会・渡邊勝正さん:一発で仕留められればよいが、万が一外れた場合、相手(クマ)は動いてくる。人間を襲ってくるから、そういう時の緊張感はすごくある。危険度が高まる。西富士山麓猟友会・藤浪庸一 会長:例えばクマが反撃してきたら、ある意味でおおげさな話だけれど命懸け。危険を承知でやることになる。全国では11月17日までに30件の緊急銃猟が実施されているものの、県内ではこれまで実施に至ったケースはありません。とはいえ、富士宮でもいつかその日が来るだろうというのが猟友会の中での共通認識です。富士宮猟友会・渡邊勝正さん:みんなのために一生懸命やらなくてはならないので、要請されたら向き合って真剣に取り組んでいかないといけない。西富士山麓猟友会・藤浪庸一 会長:どういう状況であってもそれに対応できるように各方面から依頼があった時にはそれに応えられるように最善を尽くすつもり同じく山間部においてクマの脅威にさらされている浜松市では猟友会が捕獲した場合の報奨金を1人あたり1万円へと引き上げる考えを示していて、富士宮市では現在、クマを捕獲した際の報奨金に関する規定がないことから金額の設定も含めた検討を進めています。
(あふれるクマ「飛び火消しても火元めらめら」)
クマによる被害が相次いでいる。背景には個体数の増加や分布の拡大のほか、人とのすみ分けが課題として挙げられる。人口減が続く国で、大型の哺乳類とどのようにつきあっていったらいいのか。東京農工大学名誉教授、兵庫県森林動物研究センター所長の梶光一さん(野生動物管理学)に聞いた。――過去最多だった年度の倍以上の人が亡くなるなど、クマによる被害が深刻です。背景には人口減少があります。特に中山間地域で農林業が衰退し、耕作放棄地が増えてくると、そこが動物のすみか、隠れ家、エサ場にもなる。そして個体数が増え、分布が拡大し、いま都市にまで迫ってきています。――近年増えているという要因は。江戸時代には狩猟は殿様とか、特権的な立場の人のものでした。明治になり、市民に開放され、銃もよくなり、戦争で毛皮の需要も高く、薬として肝も高価、ということでいたら捕っていた。相当な狩猟圧がかかっていたでしょう。しかし、それで数が減ったために、ここ半世紀ほどはずっと保護政策をとってきました。その間にクマやその他の動物は増えた一方で人口は減りました。しかも増えることへの対処を想定した政策は(近年激増している)シカに対してでさえも、2000年ごろまで整備されてきませんでした。かつては多くの人身被害が、北海道での開拓時代など、人がクマの領域に入っていく中で起きていました。今は逆です。これほど人の力が弱かった時代はなかったのではないでしょうか。――クマはどれほど増えているのでしょうか。ヒグマはこの30年で倍増しています。ツキノワグマでは兵庫県で年に15%増というデータがあり、全国でもその程度だとみています。何もしなければ5年で倍増してしまう数字です。
(クレームに直面した高齢ベテランハンターの“嘆き”とは)
ある猟友会で見せてもらった動画に映っていたのは、鉄製の箱罠にかかった大きなツキノワグマ。唸り声をあげながら、なんとか逃げようと激しい力で檻に噛みついたり手を伸ばしたりしている。「こんな鋭い爪で顔を引っ掻かれようものなら、一瞬で終わりですよ。クマを目の前で見たことはありますか? 私は山を、クマをよく知っているからこそ、本当に怖い生き物だと思っています」そう語るのは秋田県内の猟友会歴50年という大ベテランハンター・門田孝雄さん(仮名)だ。門田さんが所属する猟友会は、自治体からの要請で連日のようにクマの駆除のために出動している。秋田県などを中心に、日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている。人里や市街地への侵入は連日のように発生し、環境省が11月17日に発表した今年4月以降にクマに襲われた被害者数は196人(速報値)と過去最多を更新した。死者数も13人と、かつてないペースで増えている。秋田県横手市に住む高齢女性はこう不安を口にする。「私達の生活は大きく変わりました。子供がいる家庭は車で送り迎えするようになってね。コンビニやらお店の自動扉も、クマが入ってこないように電源を切っています。電源を切った自動ドアって重いんですよ。私なんかはなかなか開けられなくて、その隙に後ろからクマがきたらどうしようなんて想像しちゃいます。どこに出るかわからないですからね」。前出の門田さんも「今年は例年とまったく違う。人間の生活区域に進出し、攻撃的な個体が多いですからね」と“異常事態”についてこう語るのだ。「うちの猟友会は30人弱で構成されていて70代が中心。銃所持者はその3分の2ほどで、罠だけを扱う人もいます。メンバーは本業を持っている人が多いですから、自治体からの要請があれば、仕事の合間に駆けつけてクマの駆除に当たっています。今年は自治体からの出動依頼が毎日のようにある。駆除数にしても、昨年は数頭だったのに今年はもう40頭を超えているんよ。さすがにおかしいですよね」とはいえ猟銃の発砲にはルールがある。公道や農道、駅、住宅が集まる集落などの場所では撃つことはできず、日の出から日没までの時間制限もあるという。「クマの目撃情報があったら、朝イチから昼頃まで見回ることはあるんです。ただクマって夜に活動するからね、夜に撃てるようになると駆除数ははるかに多くなると思いますよ」。出動回数は昨年と比べようもなく増えているというが、金銭的にはとても割に合う仕事ではないようだ。「日当が出たりとか1頭駆除するごとに報酬が支払われたりとか、その地域によってルールは違います。でもみなさん儲かるっていう概念はまったくないんじゃないですかね。だってガソリン代もかかるし、タマだって1発1500円するようなものもある。それらの経費は報酬のなかに含まれますから、手元に残るのは本当に微々たる額です。私たちもボランティア精神でやっていますよ」。そんななかで特に辛いのは、クマを駆除することへのクレームなど、一般市民からの“口撃”だという。「熊を駆除したら役場にクレームが殺到したなんていう報道もありますが、実は私達、猟友会の元にも来るんです。クマが立てこもった地域では延々と電話が鳴り続けますし、罠にかかった凶暴なクマが檻に噛みついているような映像が報じられると、『歯や爪がダメになったら自然に放してもその後生きていけない』『檻を使うのは止めろ』なんて電話がかかってくる。でもね、一度人里に現れてしまった個体は、山に返してもまた戻ってくる。人間に捕まっても大丈夫だと学習してしまいますから。だから、駆除するしかないんですよ」。70代以上の高齢ハンターが、精神的、肉体的、金銭的な負担をしてクマを駆除している現状。それでも彼らが駆除に向かうのはなぜなのか。そこには山や動物への深い敬愛の念があった──。
(ベテランハンターが漏らした“駆除への本音”と「駆除したクマの爪」を保管している深いワケ)
「正直、気分がいいものではありません」──そう語るのは秋田県内の猟友会歴50年という大ベテランハンター・門田孝雄さん(仮名)は、クマの駆除に対してそう本音を漏らした。門田さんは自治体からの要請でクマを駆除しているが、今年、所属する駆除したクマは約40頭。昨年は数頭だったという。「しかも今年は子グマの出没が多い。昨年は木の実が豊作だったから、その影響で母グマがたくさん子を産んだんでしょうね。しかも駆除といっても、すでに罠にかかっているクマを相手にすることが多いんです。逃げられない状況のクマを至近距離から発砲するんですよ。好きこのんでやっているわけではありません。 でも彼らは賢いので、逃すと『人間の生活圏では美味しいものがある』と学習してしまい、また人里に戻ってきてしまう。逃すという選択肢を取るわけにはいかないんです。ただね、そうした実態を知らない人たちから、猟友会へ毎日のようにクレームが入る。でも私らが駆除しないと、地域の人が不安で日常生活を送れない。ハンターの多くがボランティア精神でなんとかやっているんです」。門田さんがハンターになったのは50年以上前。山の動物たちに対して敬意を持ちながら狩猟を楽しんでいたという。「もともとこのあたりにもマタギみたいな人がいて、彼らに憧れて猟友免許を取りました。キジやシカを狩って、美味しく仲間内でいただくことが楽しみ、猟友会はそんな趣味を持った人間の集まりなんです。いまでも駆除したクマの肉は猟友会が解体し、仲間内で消費しています。肉だって、血抜きがしっかりしていれば臭みはなく、味噌とよく合うので鍋にしていただいています。命を奪った動物を無駄にしないことは、私たちハンターの務めでもある。ただ仲間内で消費するにも限度があります。販売には自治体の許可した加工施設が必要で、この地域にはまだ整備されていない。だからクマ肉を無駄にしてしまうこともあります。いま冬の猟が解禁されたばかりですが、すでに多くの仲間はクマへの対応で疲れ切っていますよ。警察や自衛隊の力を借りて駆除するのは大歓迎ですが、駆除の後についてもしっかりと話を進めてほしいですね」。府はさまざまな対策を講じているが、現場の門田さんとしては今後どのようなことが必要になってくると考えているのだろうか。「まずは、数を減らすこと。爆発的に増えてしまっているので、放置すればどんどん増えて手に負えなくなってしまう。そして長期的には山にクマが好きな栗やどんぐりの木をたくさん植える。クマが山で生活しやすい環境を作って、人間とクマがそれぞれの領域で生活できるようにすべきだと思います」。そう話し、門田さんが差し出したのは、大きくて鋭いクマの爪だ。「最近はね、狩猟文化や解体技術を学びに来る若者もいるんですよ。いい子が多いし、交流は楽しい。そういった人たちに見せるためにも、クマの爪を保管しています。これで引っかかれたら人間なんてひとたまりもないと、恐怖を伝えられるでしょ? それにこれは、彼らクマが生きてきた証でもありますから」。山と対峙してきたハンターらは、クマに対して人一倍思い入れがある。彼らは葛藤を抱え、駆除に向き合っているのだ。
(だからクマもシカもトドも溢れかえった…日本で害獣問題が繰り返される本当の理由と解決の切り札:舟津 昌平)
クマによる被害が多発しているが、なぜ一向に事態の収拾がつかないのだろうか。組織論を専門とする舟津昌平氏は「クマ問題には組織構造からくる厄介な問題が潜んでいる。その解決策はたったひとつしかない」という――。2025年の下半期になって「クマ問題」が顕在化している。過去にないペースで人里にクマが出現し、食害による農作物の被害が甚大なようだ。何より、人命が脅かされるような事件に発展することも度々起きている。今年度のクマ被害による死者は、11月3日時点で過去最多の12名にのぼったという。「人災」も発生している。北海道積丹町では、自宅近くの箱罠にヒグマがかかったことで、猟友会と町議が口論に。その際に町議が暴言を吐いたとして、猟友会は「謝罪がない限り出動しない」と応答し、出動をボイコットする事態に発展した。わかりやすい悪役が登場したことで案の定ネット等では個人攻撃に移行し、町内の小中学校に「児童生徒を誘拐する」といった脅迫メールや爆破予告が届くという二次災害も起きた(なお、トラブルから約1カ月半が経った11月11日に町議が謝罪文書を差し入れ、猟友会の出動は再開している)。冷静に考えてみると、いったい何がこれほど事態を混乱させているのだろうか。クマはたしかに危険だが、危険なことは皆知っていたはずである。COVID-19ほどには「不測の事態」というわけでもないだろう。クマが危険なことなど江戸や明治から知られていたはずで、知見の蓄積もあるはずだ。であるのに、現代社会はクマ問題に関して、クマがもつ脅威以上のエラーを起こしているようにもみえる。今われわれが注目し、問題解決のために気を払うべき焦点は何であろうか。まず、積丹町のケースから考えてみたい。「積丹町議会だより」には、渦中の町議が今年の3月に開催された予算審査特別委員会において発言した内容が掲載されている(注1)。クマ問題が顕在化する前に件の町議が公の場で発言していたわけで、注目に値する。予算委員会という性質を加味して、町議は「コストカッター」の立場から発言しているように読めた。予算をかけた敬老事業に想定されていたほどの人が集まっていない、5カ年計画の「高齢者福祉施設改修工事」の残額の状況、といったテーマに質問を投げかけており、町の事業にムダ遣いがないかを気にかけている様子がくみ取れる。そして、「積丹町の条例に定める鳥獣被害対策実施隊員」への出費に関しても言及している。興味深いのは、おととし令和5年にはクマに関する情報が53件寄せられ、これは非常に多かったとのこと。しかし去年には23件までに減っていたという。クマの出現は増え続けているわけではなく、波があるようなのだ。町議はまた、近隣の自治体に尋ねたところ、積丹町ではシカ1頭当たりの捕獲に他の自治体の2倍相当の2万円がかかっていると訴えている。隊員がもらいすぎていると短絡的にみなすでもなく、なぜ自分たちの地域だけヨソの2倍もかかっているのか、と提起するのは至極真っ当な意見であるようには思われる。なお昨年のクマの出没が比較的少なかったこともあってか、本議会では主にシカによる食害が焦点になっていた。シカは人命を脅かすほどの事故にはならないこともあってニュースではあまり取り上げられていないが、数の増加と食害の蔓延については長らく農家をはじめとする人々を悩ませている。シカ対策の政策では「一斉捕獲事業」と「緊急捕獲事業」で報酬額が違うなど、シカ問題もそれほど単純ではなさそうだ。以上、町議の声を敢えて代弁するなら、「獣害への対応は急務であり、にもかかわらず、他の自治体より高いコストをかけているようである」と言いたかったのだ。理解はできる。伝え方や時宜はおおいに誤っていただろうが、世に言われるほど無理筋の主張をしているわけでもなさそうだ。次に考えたいのは、「積丹町の条例に定める鳥獣被害対策実施隊員」すなわち「猟友会」という存在について、である。クマ問題に際してとかく名前の挙がる猟友会とは、いったい何の組織であるのか。猟友会は全国組織であり、かつ各都道府県に支部をもつ。おそらくは都道府県ごとの自治が認められており、ウェブサイトにおいても活動目的や理念には若干の差がある。たとえば、京都府猟友会のウェブサイトの冒頭には、次のような記述がある。猟友会とは、狩猟者のための公益団体です。野生鳥獣の生息環境をはじめ自然環境全体に強い関心を持ち、これを基本理念とし、「野生鳥獣の保護」「有害鳥獣の捕獲」及び「狩猟の適正化」を事業の基本政策としています。以下は徳島県の猟友会のメッセージだ。猟友会は、趣味としての狩猟を楽しみ、かつ「野生鳥獣の農林水産物」への被害防止や「自然環境への被害」を防止するため、増えすぎた鳥獣の捕獲を行っています。また、講習会やイベントの開催などを通じて、減少傾向にある狩猟者の新規確保にも取り組んでいます。出発点は「個人の趣味として狩猟を行う」ことであり、ただ、銃規制の厳しい日本において猟銃を所有し用いるという点から、公益性への貢献やルール順守への目は厳しい。参加会員の趣味としての狩猟を楽しみつつ、増えすぎた鳥獣の捕獲や、クマやシカをはじめとする獣害への対処など、社会と自然のあいだで公益に与することが組織のパーパスだといえるだろう。クマ問題については、猟友会は特に義務をもたず、ボランティア活動が中心の団体である。有志団体であるのだから当たり前ともいえる。猟友会への参加はむろん個人の意思に基づいており、入会することによって得られる金銭的利益はない。むしろ、さまざまな講習や道具にお金を払う立場だ。趣味でやっていることであるにもかかわらず、必要に応じて仕事に駆り出される。銃という強い武器を操ることのできる貴重な人々であるからだ。地域でみれば、東北や北海道は特にクマ問題が日常のものになりつつある。秋田県の鈴木健太知事は、次のように述べつつ自衛隊の助力を乞うた。「防衛省・自衛隊の力を借りなければ、国民の命が守れないという状況に今なっております」。今回秋田県が要請した支援は「武器の使用を伴わない罠の設置や捕獲・駆除したクマの輸送」などだそうで、「武器の使用を伴わない」が、強調されている。クマは武器が必要な程度には強い相手であるにもかかわらず、日本社会は武器の使用にかなりセンシティブなのである。これに対し小泉進次郎防衛大臣は、概ね肯定的に要請を捉えつつも、次のように釘を刺す。「自衛隊は『なんでも屋』ではありませんから、過度な負担が様々増えて、本来、最も大切にしなければいけないこと、(国防の)練度が下がったり、熟度が下がるようなことがあってはならない」。武器を用いることは、現代日本においてきわめて慎重に考えるべき問題である。警官は銃を所持するが、緊急時にしか使用することはできない。自衛隊もまた、自由に武器を用いることができようはずもない。次のようなエピソードがあるくらいである。1959年の北海道・新冠町では、自衛隊がトドに機銃掃射を行ったという例がある。漁業の町である新冠町で、トドが網を食いちぎるなどの被害が深刻化するなか、地元の漁業組合が駆除に失敗したため自衛隊に駆除を依頼する事態となった。むごくも射殺したわけではなく、耳の良いトドは銃声だけで逃げてしまったのだという。但し、当時の射撃の名目は「駆除でなく訓練だった」と地元の資料館には伝わるそうだ。これはあくまで訓練のために銃を撃っているのです、と「ルールの読み替え」をしていたわけである。コンプライアンスに厳しく、すぐに批判が各所から漏れ出る現代ではちょっとできなさそうな対応である。今年9月に「緊急銃猟」が改正法に明記され、住宅地でクマを撃つことが手続き上可能になったものの、人が密集する住宅地に来られてしまっては手の打ちようがないという間隙が存在したことを逆に示している。クマが人里に訪れるのは、危険がより身近になることだけが問題なのではない。対処する側が銃を使えなくなってしまうのだ(だから、法改正が行われた)。クマ問題の焦点は、専任で対応できる人員が各自治体に整備されておらず、有志団体に外注するしか有効な対処法がないということにある。少なくとも2025年までに、これほど全国的に「武器を以て獣害に対処する役割」の需要が高まったことはないのではないか。そういった部隊を公設で常置すればよいという意見も見受けられるものの、警察や自衛隊との役割分担や、公的機関にしてしまうがゆえのルールの制約や、コストの問題が浮上する。警察や自衛隊は、職務として活動すべき局面が多く、ときに「だからこそ」自由な活動が制限されがちである。小泉防衛相の言う通り、自衛隊はなんでも屋ではない。そして、有事となれば自由に武器を使える人々でもない。むしろ、常に武器を所持できるからこそ、その使用には厳重な制限がかかっている。だからこそ、自治体のクマ駆除係「ではない」猟友会のような組織が必要とされるのである。先述の積丹町は今年度、年額で約720万円をエゾシカとヒグマへの対策事業に計上している。町議がムダな出費だと言う理屈はわかるものの、現実的に年額約720万円で十分な数の常勤の隊員を雇用できるわけがない。猟友会の協力を得ることは、自治体にとってもきわめてコスパが良いのだ。降ってわいたように生じた役割のために、有志団体を含めた外部組織に「外注」するというのは、企業組織にとってごく普通の意思決定である。そして「誰がやるべきかわからないけど、とりあえず喫緊の課題なので引き受ける」ということも、企業組織では日々当たり前に生じる。サラリーマン用語で言うところの「三遊間のゴロを拾う」というやつだ。経営学では「バランス分化」という概念もある。分化とは組織の役割が分かれることを指し、バランス分化とは分業をしながらもフレキシブルに部署の垣根を超えて仕事をこなすような組織構造を意味する。日本企業は伝統的には、部署をはじめとして役割分担をしつつも、柔軟に行き来する調整者の存在によって仕事を最適化してきた。経営上のホットトピックとして似た話題に、「人的資本経営」がある。コーポレートガバナンスコードの定めで、上場企業による情報開示が義務化された人的資本経営。いま企業において悩ましいのは、「その情報開示は誰がやるのか?」という問題である。組織に情報を収集し、整理し、管理する機能は必ずしも備わっていない。少なくとも、開示が可能な程度に把握している企業ばかりではない。人事部が最もそれに近い仕事をしてきたものの、昨今の風潮からすれば採用にかなりの労力を割いており、入社した人々の情報やマネジメントは相対的に軽視されてきた。義務化してから、そういった機能がないことに気付いて、慌てている企業もどうやら少なくない。クマ問題の要諦は、人里に出現するクマがこのように急増している原因が定かでないことや、農作物の被害や人命の危機があるだけではない。組織論の観点からすれば、「誰がすべき問題か」決まっていないことが問題なのだ。クマ退治の専門家を各自治体が雇用しているわけでもないし、することが賢明であるともいえない。クマ問題は、人命の危機を伴うような危険性をはらむにもかかわらず、誰がどう処理すべきか定かでない空隙に生じた問題なのだ。とはいえ、法整備や、自衛隊や猟友会など既存の組織を活用して、社会として何とかしようという強い姿勢がみられることに疑いはない。今後の対策に向けて重要なことが二つある。まずは、変革が必要なことについてトップが毅然と指針を示すことである。これは現状、クマ問題についてはできているように思える。そして、組織間連携によってでしか対応できない問題であることを、ステークホルダーが認識することである。町議の最大の落ち度は、議会ではコストカットを主眼に置いていたとしても、その論理は猟友会には通じないことを認識すべきだったことにある。連携相手である取引先に「あなた達は高すぎる」と言ったところで、別にそれで生計を立てているわけでもない相手が、意見を呑むとは思えない。報酬が適正なのか、町の予算として持続可能かを考えることにはむろん意味があるが、今「三遊間に飛んだゴロ」を処理してくれるのは猟友会の他にないわけだ。「今、伝えるべきこと」ではなかっただろう。持ちつ持たれつ、お互い様、お世話になっている同士なのだから、リスペクトをもって接したらいい。既存の組織だけでは処理しきれない仕事が生じている場合は、そうやって連携して乗り切るほかには、有効な手段はないのである。ましてや、営利の論理が成立しづらい領域ならなおさらだ。誰がやるのかわからないが必要なことはたしかである、という「三遊間のゴロ」は、コロナ禍の頃にたくさん飛んできていたように思う。部分的には対処に失敗したし、うまくいったこともあったはずだ。少し前の教訓を思い出しながら、クマ問題には「総力戦」で取り組まなければならないだろう。
(男性襲ったクマと遺体そばに現れ駆除された1頭は別個体:岩手)
10月27日に岩手県一関市で60代の男性がクマに襲われ死亡した人身被害で、この男性を襲ったクマとその後現場に現れて駆除されたクマは、別の個体であることが分かりました。一関市によりますと、今回の被害が発生した後、人に危害を加えたクマを特定しようと、市は現場からクマのものとみられる体毛を採取して、県環境保健研究センターにDNA型鑑定を依頼していました。その結果、一関市厳美町の住宅の庭でクマに襲われ死亡した60代男性の衣類などから採取した体毛と、その後男性の遺体の近くで死んでいるのが見つかった飼い犬のそばに現れ、駆除されたクマの体毛から、それぞれが違う個体であることが判明したということです。さらに、発生5日前の22日にも現場近くで飼われていた犬がクマに襲われて死ぬ被害が発生した場所から体毛を採取して鑑定したところ、どちらのクマとも違う個体であることが分かりました。この地域では人が死ぬ被害が起きた後の11月5日もクマの目撃情報があり、市は亡くなった男性とその飼い犬を襲ったクマがまだ近くにいる可能性があるとして、わなを設置して捕獲を試みるとともに、住民に警戒を呼び掛けています。
(クマを捕獲、箱わなにかかった1頭を駆除:静岡)
全国的にクマの出没や被害が相次ぐ中、静岡県裾野市でも11月18日、クマ1頭が捕獲され駆除されました。周辺では目撃が相次いでいました。クマが発見されたのは裾野市須山の水が塚公園の近くで、18日午前7時頃、見回りをしていた猟友会のメンバーが設置されていた箱罠にクマがかかっているのを発見しました。上空からの映像では猟友会のメンバーなどが箱罠の中を確認する様子が見られます。周辺は遊園地の「ぐりんぱ」やスキー場「イエティ」に向かう道路沿いで、近くにはキャンプ場もあります。クマの目撃情報が相次いだことから、県は11日に駆除の許可を出していました。捕獲されたクマは体長130cm、体重70kgのメスで目撃が相次いでいた個体とみられ、その後、駆除されました。県によりますと2025年度、県内で人への被害防止のためにクマを捕獲したのは4件目ということです。
(爪痕など痕跡を初確認、人気イベント一部を変更:埼玉)
埼玉県日高市は20日、市内でクマの目撃情報や痕跡があったとして、22日から2日間開催する「第12回 日高かわせみの里ツーデーウオーク」のコースを一部変更すると発表した。同市内でクマの痕跡が確認されるのは初めてという。市によると、15日に同市横手の民家で、カキの実が食べられているのが発見された。また西武池袋線武蔵横手駅から南東約100メートル地点で郵便局職員がクマを目撃。19日、市職員と地元猟友会が現地を確認したところ、爪痕やふんなど、クマの可能性が高い痕跡が確認された。変更があったコースは23日に実施する20キロ、13キロ、10キロコースの3コース。クマが目撃された周辺を避け、約800メートル距離を短縮する。既に約900人の事前申し込み(当日受け付け可)があり、昨年は5397人が参加した人気イベント。今後もコースの変更などがある場合は、市ホームページに掲載する予定。
(親子グマが柿の木に連日居座り、県外所有者に了承得て緊急伐採:岩手)
岩手県岩泉町は20日、親子とみられるクマ2頭が連日出没していた柿の木1本を緊急的に伐採した。住民生活に危険が及ぶ恐れがあると判断し、県外在住の所有者に了承を得て実施した。柿の木は空き家の敷地内に立っており、17~18日に親子とみられる2頭のクマが連日、柿の木の上で実を食べるなどして、長時間居座った。県警などでつくる「クマ駆除対応チーム」が18日に出動したが、周囲の安全が確保できないとしてライフル銃による駆除を見送っていた。町によると、空き家の元の所有者は既に亡くなっており、相続した親族は県外在住で当初連絡がつかなかったが、町が19日夜に伐採の了承を得た。伐採作業は20日午前9時から職員4人で行い、高さ約13メートル、直径約90センチの木を切り倒した。数百個あったとみられる柿の実は10個ほどを残して食べ尽くされており、周囲には柿が入ったフンも多数残っていた。現場近くに住む主婦(67)は「洗濯物を干すのも怖かった。これでやっと普通の生活に戻れる」と安堵(あんど)した。クマを寄せ付けないため、町民が自主的に果樹の実を取る動きも広がっている。雑貨店「横屋手しごとや」店主の女性(78)は19日夕、近隣住民ら4人で隣家の柿の実を落とした。「柿が残っていればまた来てしまう」と危機感を語る。町農林水産課の佐々木忠明課長は「クマを引き寄せる主要因は取り除けたが、町内にはまだ多くの柿の木が残る。出没は続いており、引き続き注意が必要だ」と警戒を強めている。
(住宅街で銃使えず「最後の一手」:岩手)
毎日のように起きるクマ被害。これは今月初めから岩手県盛岡市中心部のリンゴ園に出没していた、巨体のツキノワグマです。5日に撮影した映像では、次々とリンゴをとっては食べる様子がみられました。クマが現れたのは、盛岡駅から北に3kmほどの地点。直接、山には接していない住宅街に位置し、周辺には学校や保育園もあります。実はこのクマ、隣接する藪に長期にわたって潜んでいた可能性が指摘されています。この翌日も、クマはリンゴ園に連続して出没。捕獲用に仕掛けた箱わなに近づきます。結局、入らず―。この後も、周辺ではクマの目撃が相次ぎました。20日の朝には、クマはリンゴ園の倉庫にまで侵入。収穫済みのリンゴにも手を付けました。その日のうちに、盛岡市と猟友会は、新たな箱わな2つを追加で設置。カメラには、このわなを破壊するクマの驚異的な力がとらえられていました。午後4時すぎ、車が駐車したわずか3分後、ゆっくりと近づいてくるクマの姿が。最初は画面左側の箱わなに向かい、中に仕掛けられたリンゴだけをとって食べます。その後、右側のわなのリンゴも食べようとして、今度は中へと入り…鉄格子の扉が落ちて、クマは閉じ込められました。別のカメラには、わなにかかって、驚くようなクマの様子も映っていました。しかし、その後、逃れようと暴れているのか、檻が揺れ…右の側面からクマが頭を出します。そして、ついにわなから抜け出してしまいました。ただ、クマはリンゴ園にとどまり、朝に入り込んだリンゴ倉庫に再び侵入。しばらくして、また収穫済みのリンゴを食べ始めたのです。この時、現場で対応した盛岡市の担当者は―。(現場で対応した市職員)「かなり緊迫している状況でした。あそこのリンゴ園のリンゴにすごく執着している個体なので、もう駆除するしかない状態です。こちら側の扉を破られる可能性もあったので、バリケードを作ったりして、獣医師には麻酔の準備をしていただきながら…」。リンゴ園は住宅街にあるため、銃での駆除は難しく、今回は吹き矢による麻酔で、クマを眠らせることに―。獣医師が放った吹き矢は、クマの左肩のあたりに命中。今回は、合わせて3発の吹き矢を発射しました。(現場で対応した市職員)「かなり大きい個体だったので、2発でも効くかどうかなっていうところが、話をしてたところでした。もう1発いこうというところで、(麻酔で)だんだんですね、顔が上げられない状況になってきて、突っ伏すような感じになって」。映像にはクマが眠り、態勢を崩す瞬間もとらえられていました。(現場で対応した市職員)「観察して、もう動かないなというのを確認した上で、近づいていって、棒か何かでこう突っついたりして、動かないというのを確認した上で、今度は部屋の中から運び出してという感じですね」。2時間に及んだ緊迫の捕獲作業。麻酔で眠ったクマは、ソリからはみ出す大きさです。現場には岩手大学の山内准教授も立ち会っていました。(岩手大学 農学部 山内貴義 准教授)「それ(クマの大きさ)に合わせた薬液の量を用意して、狙いを定めて確実に筋肉に打たなくちゃいけないので、危険な作業になりますので、誰にもできるかというと、そういうものではないなと思いました」。Q.そういうのできる人は少ない?「全国的にも少ない。体重計を超えてしまうような、かなりの巨体だったので120~130kgぐらい、(体長は)150cmぐらいなので、ツキノワグマのオスとしてはもうマックス状態という感じになります」。この巨体のクマが抜け出した箱わなはどうなったのか。Q.ここを壊されたんですか?(市の担当者)「そうですね。壊されて。(わなは)クマとイノシシ兼用という感じで。これはちょっと想定外ですね。正直」。鉄格子が2本外れていて、ほかも大きくねじ曲げられていました。(岩手大学 農学部 山内貴義 准教授)「彼ら(クマ)は引っ張るのが得意なので、溶接をパコーンと外して、グニャと曲げた。顔が通るくらいの大きさになったら、もう体もずっーと出てしまって、それで出てきたと」。リンゴに強い執着を見せていたクマ。潜んでいたとみられる住宅街の藪を調査した山内准教授は―「クマのフンがいたるところにあったので、かなり長い時間そこで身を隠して、おなか空いて出てきて食べて、またそういった茂みで休憩して、そういう繰り返し。周り住宅地なので、人をもしかして襲う、もしくは、どこかの住宅に入り込むこともあったかもしれない。そういった意味では紙一重でしたね」。
(料理人が挑む県内初のジビエ加工施設:福島)
郡山市に10月にオープンしたジビエ加工施設は、原発事故により出荷制限がかかる県内の野生鳥獣の現状を変えたいという、料理人の挑戦です。「野生動物による被害が多い中、自分で狩猟して捕っても店で使えないのが、ずっともやもやしていた」と話すのは、料理人の平山真吾さん。「ふくしまジビエファクトリー」は、すぐ隣でジビエ料理を提供する店を営む平山さんが開きました。施設の特徴は、個体差が大きい野生動物の肉を安全に加工できることで、皮を剥いだり内臓の処理をした後、すぐに冷蔵庫に入れられます。県内では原発事故発生後、クマやイノシシなど、ほぼ全ての野生鳥獣の肉が出荷できない状況でしたが、10月に全頭の放射線量を検査することを条件として、郡山市のシカのみ出荷制限が解除されました。平山さんは11月の狩猟解禁とともに自ら狩りもしていきたいといいます。「ただ殺すだけはなく、余すことなく食べられるように、というところが目標でここまで来た」(平山さん)。料理人の道からジビエの魅力に目覚めた、平山さん。これまでは県外から仕入れていましたが、郡山市のシカが店で提供する初めての県産のジビエに。今後はクマも加工をしていきたいと考えています。平山さんは、「シカと同じように全頭検査を条件で、クマの出荷制限も解除してもらえるようにお願いする予定。ただ捕って殺すだけではなく、本当に輪になるような、一連の流れになるようなジビエの良さを皆さんに伝えていきたい」と話していました。
(クマ肉料理のイベント:青森)
クマのジビエ料理を楽しめるイベント「白神ジビエフェアファイナル」が23日、青森県西目屋村の道の駅津軽白神で始まった。大勢の客で列が絶えず、特に人気の高かった「熊串」は主催者の想定を上回る約500本が売れた。24日までで、時間は午前10時~午後3時。同村のブナの里白神公社主催。10月に県内で行われたイベントに出店した際、熊串が大きな反響を呼んだことを受けて企画。料理には村内で捕獲されたクマの肉を使っている。用意されたジビエ料理は熊串(2本1セット)のほか、みそ仕立てで村内産の山菜を盛り付けた「熊鍋」と「熊焼肉丼」「白神熊そば」の3種類。熊串は「スタミナ源たれ」と塩こしょうの味付け。主催者によると約150セットの想定を上回り、約240セットが売れたという。食べた人たちからは「思ったよりも柔らかい。鶏肉よりおいしい」「弾力があるかと思ったらほろほろでかまなくても食べられるくらい」など好評で、公社の角田克彦事務局長は「想定外の売れ行きでありがたく、うれしい悲鳴を上げている。(最終日に向け)しっかりと仕込みを頑張りたい」と力を込めた。
(「ジビエポケット岡垣」が設立1周年:福岡)
狩猟・ジビエ普及団体「ジビエポケット岡垣」が11月26日、設立1周年を迎える。岡垣町で猟師として活動する高野誠さんが代表を務める同団体は、町内の有志10人で組織。有害鳥獣駆除に携わる猟師の現場を支え、地域の自然と暮らしを守ることを目的としている。高野さんによると、メンバーの多くは自ら山や畑を持ち、野生動物との距離が近いという。捕獲された個体の多くが流通の仕組みや処理体制の不足から廃棄されてしまう現状や、農作物被害の深刻さを背景に「自分たちの手で地域を守らなければならない」という思いが、設立の大きな理由になったという。メンバーの中には解体や調理に精通する者もおり、技術共有や研修を重ねることで「廃棄ゼロ」を目指した取り組みを進めている。処理技術を学ぶことで、下処理の難しさから敬遠されがちなジビエ料理の魅力を伝える場をつくり、地域内に知識とスキルを持つ人材を増やすことも活動の柱となっている。11月29日は1周年の節目を記念して、団体初の体験型イベント「獲る・食べる・学ぶ 狩猟体験ツアー」を「屋内多目的施設すぱーく岡垣」(岡垣町高倉)で開く。同ツアーでは参加者が、猟師とともに森へ入り痕跡を探すアニマルトラッキング、子ども向けのジビエクイズ、大人向けのイノシシ解体講座、ジビエバーベキューなどを通して「命の循環」を学ぶ。高野さんは「ジビエ料理は適切に処理すれば臭みはほとんどなく、驚くほどおいしい。命をいただいて食べることで、本当の意味での『いただきます』という感謝が生まれる。まずは活動を知ってもらい、命と自然のつながりを多くの人に感じてほしい」と話す。
(「秋のジビエ祭」開催:愛媛)
愛媛県内で駆除されるなどしたイノシシやシカの肉の味を楽しむ「秋のジビエ祭」が、松山市の城山公園で11月28日に夕方から開かれます。酒などのメニューも用意されています。このイベントは狩猟が本格化する秋を迎え愛媛県が主催。会場には10店のキッチンカーが並び、県内で駆除や捕獲されたイノシシやシカの肉を使ったジビエ料理のメニューが用意されます。また夕方からの開催で酒などと一緒に味わえます。愛媛県によりますと、速報値で県内で2023度に駆除されるなどしたイノシシは2万3816頭、シカは1万1541頭で増減を繰り返しながら増加傾向。鳥獣害の総被害額は3億4509万円で、昨年度は5億845万円に上っています。このため、ジビエの利用を進める取り組みを進めているということです。「秋のジビエ祭」は、城山公園で11月28日の午後4時から午後9時まで開かれます。
(イノシシを料理、高校でジビエ実習:富山)
県のジビエの調理実習は20日、雄峰高で行われ、専攻科調理師養成課程2年の生徒約20人がイノシシを使った料理に取り組んだ。富山電気ビルディング食堂部洋食料理長の堂田貴史さんの指導で、生徒はミンチにしたイノシシ肉をこね、形を整えてハンバーグを作った。
(エゾシカカレー、くさみなく仕上がった:北海道)
JR東日本の子会社JR東日本クロスステーションが開発を進めている、トムラウシ産のエゾシカ肉を使った「エゾシカキーマカレー」の試作品が完成し21日、新得駅前地域交流センターとくとくで試食会が開かれた。12月16日から、首都圏の駅構内にあるベックスコーヒーショップなど約50店舗で販売される。
(熊肉にイノシシ肉、山の恵みを味わう:富山)
富山市八尾町の山間部、国道472号を南砺市利賀村方面へ約30分走った先、正間トンネルを抜けると右手に山小屋風の建物が現れる。そこに立つ独特な手作りの看板が、多くの通行人の目を引く食堂「聚楽創(じゅらくそう)」。看板には「熊料理」「イノシシ」「シカ」の文字が並び、一見すると少し怪しげな印象すら与えるが、暖簾をくぐると驚きの体験が待っている。
(家庭科教員らが鹿肉料理:長野)
県家庭科教育研究会は22日、ジビエ(野生鳥獣肉)料理について学ぶ研修会を長野西高(長野市)で開いた。県内で野生鳥獣による農林業被害が広がり、有害駆除もされる中、ジビエを通じて動物の命について考えようと企画。猟師で飲食店シェフの児玉信子さん(62)=大町市=に、中高生も調理しやすい鹿肉料理を教わった。
(鳥獣被害対策に“食”で挑む:鹿児島)
イノシシやシカなどによる農作物への被害が深刻さを増す中、狩猟で手に入れた野生の鳥や動物の肉・ジビエの利活用を進める県の研修会が、鹿児島県さつま町で開かれました。安心で良質なジビエの普及を図ろうと、さつま町で開かれた研修会には、ジビエの処理業者や自治体の担当者など30人が参加しました。2024年度、野生の鳥や動物による農作物への県内の被害は、5億4000万円余りにのぼっています。そんな中、県内では17のジビエ処理施設が稼働し、2023年度には前の年度を12トン上回る約37トンのイノシシやシカがジビエとして処理されています。ジビエの普及は鳥獣被害対策にもつながることから、県はさらなる普及拡大を目指していて、研修会では大分県でジビエの普及に取り組む事業者を講師に招き、肉の品質を保つための処理方法を学びました。その後、参加者らはさつま町でジビエ料理を提供するレストランに移動。イノシシとシカの肉を使ったジビエハンバーグを試食しました。県農村振興課・前迫誠課長「ジビエを知ってもらい、消費を拡大させ、少しでも農作物の被害の軽減に努める形になれば」。
(シカ、イノシシ肉の消費拡大を:宮崎)
宮崎県内で捕獲した野生のシカ、イノシシの肉の有効活用を目指して、県や県内25カ所の飲食店は「みやざきジビエフェア」を開いている。食事券やジビエ加工品が当たるプレゼント企画もある。県農業普及技術課によると、シカやイノシシの狩猟期間にあたる11月~翌年3月ごろにかけて、県内のシカ肉やイノシシ肉の消費拡大を目指して毎年開いている。県内の居酒屋やイタリア料理店、ラーメン店など25店舗が、「いのししカレー」や「鹿ジビエのタコス」「特製猪(イノシシ)ラーメン」など趣向を凝らしたメニューを提供している。各店舗でジビエ料理を食べると、店側からQRコードを提示される。自分のスマートフォンに「タウンみやざき」のLINEアカウントを登録し、QRコードを読み込むと、プレゼント企画に応募できる。抽選で25人にフェア参加店の2千円分の食事券、10人にはジビエ加工品の詰め合わせセット(3千円相当)が当たる。同課の担当者は「野生鳥獣の肉を地域資源としてとらえて、ジビエのおいしさや栄養が豊富なことを知ってもらい、消費の拡大につなげたい」と話している。
(シカやイノシシの肉を多彩なメニューに:徳島)
徳島県は2026年1月31日まで、県内で捕獲されたシカやイノシシの肉を使った多彩なメニューを複数の飲食店で提供する「阿波地美栄まつり」を開催している。参加者は期間中に参加店舗を1店舗以上訪れ、店舗で配布される応募カードの二次元バーコードから応募フォームにアクセスしてアンケートに回答する。回答者の中から抽選で5人に「CAFE Boscobel特製 鹿肉とリンゴのカレー(レトルト)」、10人に「ソーセージやコロッケなどの阿波地美栄加工品&鹿革を使用した藍染レザーのキーホルダーが当たる。当選者への発送は2026年2月下旬頃を予定している。参加店舗などは特設サイトで確認できる。また、参加店を追加募集している。新規参加店には、試作用のシカ・イノシシ肉「阿波地美栄」を無償提供するほか、調理のポイントや留意点などを伝える。期間中の仕入れ経費は自己負担。県の認定を受けた12施設から仕入れる。参加する場合は専用フォームから申し込む。
(駆除された「クマ」の活用を高校生が学ぶ:長野)
長野県木島平村の高校では、駆除されたクマの肉を活用したジビエ料理の講習会が開かれました。ジビエを地域の資源として有効活用しようという狙いです。木島平村の下高井農林高校で行われた調理実習。生徒たちが手際よく作っていたのは、シュウマイです。このシューマイの具に使われているのは、「クマ肉」です。今年、全国で出没や被害が相次いでいるクマ。県内でも連日、人里での目撃が続いています。高校では、クマとの共存や農業被害対策についての学習を行っていて、毎年、クマの餌になりやすい放置された柿の実を収穫する活動も行っています。11月25日の調理実習は、クマについての学習の一環で、駆除されたクマ肉の活用法を学ぼうと、行われました。講師を務めたのは、野沢温泉村の中華料理店の料理人で、ジビエ料理を研究している富井千尋さんです。実習で作ったのは、富井さん考案の4品。生徒たちは全員、クマ肉の調理は初めてです。クマの肉は、処理施設が少ないことなどから、一般への流通はほとんどありません。講師・富井千尋さん:「臭いとか硬いとか警戒される方が多いんですが、皆さんに体験してもらってクマ肉の良さが伝われば」。調理開始から約3時間。シューマイや中華風の炊き込みご飯や、クマ肉のワンタンを入れたスープなどが完成しました。講師・富井千尋さん:「(将来)駆除したものを製品にして『農林ブランド』をつくって世に送り込んで、いろいろな人に今の現状・問題に向き合ってもらえるようになれば」。学校では、今後もジビエを地域の資源として有効活用を進めていきたいとしています。
(幅広い北海道産食材を堪能 化粧品メーカー「SHIRO」が新たな挑戦:北海道)
自然素材が人気の化粧品メーカー「SHIRO」が新たな挑戦です。北海道砂川にある工場の横に特別なレストランを21日、オープンさせます。こだわりは「森の香り」です。赤身が美しいシカ肉に・・新鮮なブリのカルパッチョ。札幌から車で1時間半。砂川市にあすオープンするレストラン「MORISHIRO(もりしろ)」です。レストランを手がけるのは、東京の化粧品メーカー「SHIRO」。SHIROは、酒造会社から出る酒かすを使った化粧水など、本来なら捨てられてしまう素材を生かした製品開発が人気のブランドです。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、25日午後8時ごろ、富谷市明石玉抜にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
利府町によると、25日午後8時ごろ、利府町菅谷女ケ沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、24日午後9時ごろ、白石市越河平明堂にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、25日午後0時40分ごろ、富谷市三ノ関三枚橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午後7時40分ごろ、仙台市太白区山田本町にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午後5時30分ごろ、仙台市泉区七北田大沢小松にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午前11時20分ごろ、仙台市泉区泉ケ丘2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午前7時20分ごろ、仙台市太白区坪沼砂田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午前5時10分ごろ、仙台市泉区松森中河原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、25日午前10時20分ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。
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(クマにクリニック駐車場で襲われる:宮城)
22日午前7時50分頃、宮城県栗原市一迫真坂のクリニック駐車場で、男性がクマに襲われたと119番があった。男性は顔と右腕を負傷し、同県大崎市内の病院に搬送された。男性はこのクリニックに勤める70歳代の事務員で、会話はできるという。県警によると、現場でクマ2頭が目撃され、男性は1人でいたところを襲われた。クマはその後いなくなったといい、県警が警戒を続けている。
(畑でクマに襲われ女性(77)がけが:山形)
山形県尾花沢市で19日夕方、70代の女性がクマに襲われ、顔と腕などを引っかかれるけがをしました。命に別条はないということです。警察や消防によりますと、19日午後5時10分ごろ、尾花沢市北郷の畑で地区内に住む77歳の女性がクマに襲われ、家族が110番通報しました。女性はクマに顔や右腕・右足を引っかかれ、病院に搬送されました。意識はあり命に別条はないものの、傷口からは骨が見える箇所もあったということです。女性は当時、自宅に隣接する畑で1人で作業をしていました。クマの体長はおよそ1メートルで、その後の行方はわかっていません。尾花沢市と警察は現場周辺をパトロールし、市民に外出を控えるよう呼びかけています。
(散歩中の男性がクマに襲われ頭にケガ:福井)
福井県警や福井県大野市によると、11月20日午前7時ごろ、同市で散歩中の高齢男性がクマに襲われ、頭から出血するけがを負った。搬送時に意識はあり、命に別条はないという。大野市は「クマの人身被害は、いつどこで発生しても起きてもおかしくありません。今すぐ対策を行ってください」と呼びかけている。
(柿の木にクマ、警察のライフル部隊が初出動:岩手)
岩手県警などによる「熊駆除対応プロジェクトチーム」が18日、岩手県岩泉町の中心部に出没したクマ2頭の駆除で現場に初めて出動した。人の生活圏にクマが侵入した際、警察官が13日からライフル銃を使用できるようになって以降、ライフル銃を使える部隊の現場への出動は全国で初めて。この日、銃は使わなかった。同日夜時点で捕獲されていない。現場は町中心部の民家。県警によると18日午前10時15分、岩泉町と調整の上、チームの1班4人が出動した。クマは木に登って柿を食べたり、木の下で寝たりしていたという。クマの行動を確認しながら射撃の機会をうかがったが、周囲に危険が及ぶ恐れがあると判断。日没後の同日午後4時半ごろ、射撃しないことを決めた。19日もクマの出没状況を見ながら、町などと調整し、必要があれば出動するという。
(クマ人身被害、過去最悪196人・176件)
環境省は17日、今年4月~10月末現在のクマによる人身被害件数が176件、被害者数が196人(いずれも速報値)と、記録が残る2006年度以降の同期比で、過去最悪となったと発表した。これまでは、23年度が被害件数165件、被害者数182人と最も多かったが、今年度は被害件数で11件、被害者数で14人、それぞれ上回った。10月の1か月間の被害で見ても、77件で88人と、過去最悪だった23年度をそれぞれ15件・15人以上、上回っている。人の生活圏でのクマの人身被害対策として、9月に改正鳥獣保護法が施行され、市街地での猟銃発砲を一定の条件下で認めた「緊急銃猟」制度も導入された。今月14日までの2か月余りで9道県で計24件行われている。今年度、クマに襲われて死亡した人の数(5日時点)も全国で13人と、23年度の6人の倍以上に増えている。11月に入っても市街地でのクマの出没や人身被害が後を絶たず、環境省は今後も被害が続く恐れがあるとして、注意を呼びかけている。
(クマ対策「実現に時間」:北海道)
北海道は17日、ヒグマ対策推進会議を開き、政府がまとめたクマ対策パッケージの実現について「時間がかかる」として、長期的な取り組みを求める意見が相次いだ。道猟友会は、狩猟免許を持つ公務員「ガバメントハンター」など駆除にかかわる人員の確保や養成の仕組みを整備する必要性を訴えた。道猟友会の堀江篤会長は、ヒグマ駆除には危険が伴うため一定の経験が必要だと指摘。パッケージで、警察官によるライフル銃での駆除を認めたことに「いきなりライフルを持たせて何ができるのか。順を追って進めなければならない」と述べた。駆除を主に猟友会が担う現状に「(将来的には)猟友会を外してほしい」と強調した。
(クマ対策でライフル銃訓練:山形)
山形県は17日、クマ被害の緊急対策会議を開き、県警の水庭誠一郎本部長が、市町村判断で発砲する「緊急銃猟」での駆除が困難な場合に警察官がライフル銃で対応できるよう、訓練や準備を進めていると明らかにした。今後機動隊などで構成するプロジェクトチームを設置する。県は2025年度一般会計を5300万円増額する補正予算を専決処分した。河川や地域のやぶの刈り払い支援、市町村や県警の装備品購入に充てる。県によると今年の人的被害は12人に上り、統計を取り始めた1977年以来過去最多となった。
(警察のライフル銃駆除や春期管理捕獲への対応確認:北海道)
第2回道ヒグマ対策推進会議が17日、道庁で開かれた。政府が「クマ被害対策パッケージ」をまとめたことを受けて実施し、警察によるライフル銃を使用したクマ駆除や春期管理捕獲などの今後の対応を確認した。
(クマ捕獲緊急対策に2465万円:秋田)
秋田県は18日、クマ対応に当たる猟友会の負担が増えていることを踏まえ、奨励金や慰労金を支給するための事業費2465万円を盛り込んだ2025年度一般会計補正予算案を発表した。これ以外を含めた予算案の総額は35億8189万円で、25日に始まる12月県議会に提出する。
(駆除したクマの焼却追いつかない、警報・注意報発令の17市町村で495頭駆除:北海道)
北海道が本年度にヒグマ警報・注意報を出した札幌市など17市町村のクマの駆除頭数が、10月末時点で計495頭に上り、昨年度1年間の4.2倍に増加した。特に多いのは人身事故や家庭菜園の食害が続いた道南で、檜山管内上ノ国町では過去最多だった2年前の2倍超となる87頭に達し、焼却処分が追いついていない。各地域で大量出没に備えた体制づくりが課題となっている。17市町村の駆除頭数は、各地でクマが大量出没した23年度全体の385頭を大幅に上回るペースで推移しており、夕張市を除く16市町村で前年度より増加していた。「駆除したクマが前年の4倍近く持ち込まれ、焼却が間に合わない。こんなことは初めてだ」。クマの焼却処分を担う南部桧山葬斎場(檜山管内江差町)の上戸等場長は異例の状況に驚く。同葬斎場はペット火葬用の焼却炉を備え、江差町や上ノ国町、渡島管内八雲町など5町から駆除されたクマが持ち込まれる。受け入れは昨年度の30頭に対し、本年度は今月11日時点で112頭に達した。このうち2割の約20頭について焼却が間に合わず、5町が運営する南部桧山衛生処理組合の最終処分場に埋め立て処分した。...
(バイクとシカが衝突する事故:鳥取)
11月11日午後9時ごろ、倉吉市の農道でバイクとシカが衝突する事故がありました。警察と消防によりますと、午後9時3分に、「足が痛い」という旨の119番通報がありました。倉吉市黒見の農道を原付バイクで走っていた57歳の男性が、シカと衝突したということです。男性はこの衝撃で道から3mほど転げ落ちて左足の大腿部を骨折し、市内の病院に搬送されました。意識はあり、命に別状はないということです。男性は衝突後、家族に電話をして助けを呼び、駆けつけた家族が消防に通報していました。シカの姿は現在確認されておらず、男性とシカは出会い頭に衝突した可能性もあるとして、警察が事故の原因を調べています。
(県内7例目、空砲を撃ち麻酔銃で捕獲・駆除:新潟)
16日、南魚沼市の住宅の敷地内で木の上にクマが居座り『緊急銃猟』が実施されました。クマは駆除され、ケガ人はいませんでした。柿の木に登っている体長約50cmのクマ。こちらは16日午前10時ごろ、南魚沼市大木六の住宅の敷地内で撮影された映像です。木から降りる様子も捉えられていました。クマは向かいの住宅の敷地に移動したため、市の職員や地元の猟友会などが周りを取り囲みましたが・・・その後、クマは約50m離れた住宅の敷地にある木に登り2時間ほど膠着(こうちゃく)状態が続きました。南魚沼市は住民に危害を加える恐れがあるとして、林茂男市長の指示で麻酔銃による『緊急銃猟』を実施。その後、地元の猟友会が捕獲し駆除しました。県内の『緊急銃猟』は7例目で、県は【クマ出没特別警報】を出して警戒を呼びかけています。
(親子とみられるクマ2頭を "緊急銃猟" で駆除:山形)
20日朝、山形県寒河江市白岩で親子とみられるクマ2頭が見つかりました。危険性から、市は緊急銃猟を判断し、2頭は駆除されました。市によりますと、きょう午前6時50分ごろ、寒河江市白岩で「猟友会が設置した箱ワナに子グマがかかっていて、その周辺に親グマがいる」と猟友会から市へ連絡がありました。現場は楯公民館から北に200メートルの地点で市や警察などが対応にあたりました。クマがいた場所の近くには住宅や小学校があり、人的被害が発生する可能性が高いことなどから市は緊急銃猟の判断をしたということです。これを受け、午前9時前に親子とみられるクマ2頭が駆除されました。クマの体長は、親グマとみられるクマがおよそ1.4メートル、子グマとみられるクマがおよそ0.9メートルでした。
(「豚熱の感染疑い」確認、死んだ野生イノシシから:鹿児島)
鹿児島県は、霧島市できのう18日に死んだ野生のイノシシが、豚熱の感染疑い事例が確認されたと発表しました。これを受け、きょう19日午前11時から県庁で塩田知事や関係部局が対策本部会議を開く予定です。豚熱かどうかは、きょう確定検査をするということです。確定検査で豚熱ウイルス野外株が検出されれば、県内の野生イノシシにおける豚熱感染の1例目となります。豚熱は豚やイノシシへの感染力が強く、豚やイノシシの致死率が高いのが特徴ですが、感染した豚肉を食べても人には感染しません。
(殺傷能力ある空気銃など違法エアガン所持の疑い、男10人を書類送検)
人を傷つける能力のある準空気銃などの違法なエアガンを所持したとして、警視庁は18日、宮城県気仙沼市の会社員(54)ら東京、大阪、兵庫など5都府県に住む39~74歳の男10人を銃刀法違反容疑で東京地検に書類送検した。発表によると、10人は1月18日~4月29日、それぞれの自宅で、準空気銃や本物の拳銃に似せた模造拳銃などを所持した疑い。10人は、インターネットオークションを通じて準空気銃を販売していた気仙沼市の男ら3人と、購入者の公務員ら7人。いずれも容疑を認め、気仙沼市の男は「コレクションなどの目的で保管するとともに、転売益を得るために販売していた」と供述している。空気銃などの出品が発覚。同庁が10人の自宅を捜索し、殺傷能力のある空気銃や準空気銃、模造拳銃といった違法なエアガン計191丁を押収した。同庁は、気仙沼市の男が海外サイトを通じて準空気銃などを輸入し、ほかの男2人とともに2019年8月~今年4月、計約320丁の違法エアガンをネットオークションを通じて販売して約630万円を売り上げたとみている。
(「クマ被害により経営に影響を受けた中小企業者の経営安定に向けた特別金融相談窓口」の設置:山形)
クマ被害に伴い、県内中小企業者の経営に対する影響が懸念されています。このことから、以下のプレスリリースのとおり「クマ被害により経営に影響を受けた中小企業者の経営安定に向けた特別金融相談窓口」を設置することとしましたので、報道についてよろしくお願いいたします。
(岩手・秋田で相次ぐクマ被害、隣の青森はなぜ少ない)
各地で深刻化するクマ被害。特に岩手、秋田では人身被害も相次ぎ、自衛隊や警察の協力を仰ぐ事態にまで発展している。しかし、両県と隣接する青森はいまのところは被害が大幅に少ない。同じ北東北地域なのに、どうしてなのか。まず、青森はもともとクマの生息数が少ないと言われてきて、県の資料では「津軽山地ではクマは絶滅した」と記載されたこともある。だが県自然保護課によると「ここ10年くらいで数が増えてきた」といい、近年はクマの目撃が増加。環境省によると、10月31日時点のクマの出没件数の速報値は①岩手②秋田③青森④山形⑤新潟と続く。一方で、10月6日に発表された人身被害の被害者数(速報値)は①岩手②秋田③長野④福島、新潟となっている。青森は被害者5人で死者はゼロ、出没件数に対して被害件数は少ない。特に象徴的なのは、岩手や秋田では県庁所在地の中心街でもクマ出没が相次いでいるのに対し、青森では中心街での出没はほとんどないことだ。青森県自然保護課の担当者は「一概には明確な理由を言えない」とした上で、いくつかの可能性に言及した。
(県内で今年のクマ目撃件数が半減・死傷者ゼロ:島根)
北海道や東北地方でクマによる人身被害が相次ぐ中、島根県内ではツキノワグマの目撃件数が昨年度の半数にとどまっていることが、県への取材で分かった。今年はドングリなどの堅果類が豊作と予想され、餌を求めて人里におりる個体が減ったためだと県は分析している。それでも県猟友会は気を緩めず、クマの出没を想定した訓練を実施して備えている。
(小豆島のイノシシ、四国本土から泳いで侵入:香川)
福山大学などの研究グループは、香川県小豆島に生息するイノシシが四国本土から侵入して定着したことを解明した。小豆島のイノシシと四国に生息するイノシシのDNAが複数の領域で一致していた一方、本州に生息するイノシシとは大きく異なっていた。四国本土から瀬戸内海を泳いで侵入してきたとみられる。獣害対策に役立つ可能性がある。海や湖に囲まれた島に外来生物が侵入することは、農林水産業への被害や感染症の媒介、島の生態系の破壊など様々な悪影響をもたらす。近年、イノシシが瀬戸内海を泳いで離島に入り込む事例が増えていたが、詳しい実態は分かっていなかった。小豆島のイノシシは一度絶滅したと考えられているが、2010年ごろからイノシシの目撃例や農作物被害が増えていた。そこで研究グループは小豆島、四国本土、本州の各イノシシのDNAを分析した。小豆島のイノシシの遺伝子と四国本土のイノシシは複数のDNA領域で一致する部分があった。一方で本州のイノシシのDNAとは大きく異なっていた。福山大の石塚真太郎講師は「四国本土からの侵入をどう阻止するかなどの対策などに役立つ」と話す。
(クマ捕獲で7000円慰労金2000円、県が予算案内示:秋田)
クマの被害が相次ぐ秋田県。県は負担が大きくなっている猟友会に対し、捕獲したクマ1頭あたり7000円を支払う他、猟友会を通して会員1人あたり2000円の慰労金を支払う方針を示しました。
(“緊急銃猟”の訓練、クマ出没特別警報は来年1月末まで延長:新潟)
市町村の判断で猟銃を使いクマを駆除する「緊急銃猟」。出没が相次ぐ柏崎市でも訓練が行われました。また、県は、市町村が行う捕獲などの取り組みについて、費用を全額補助する緊急対策を行うと発表しました。柏崎市の山沿いに位置する旧高柳町。〈市の担当者〉※訓練「旧高柳中学校にてクマ1頭を確認しました。これより関係課に協力を要請し、現場本部を立ち上げ対応を開始します」。クマの出没を想定した緊急銃猟の訓練です。市の職員や警察、猟友会など約50人が参加しました。市町村の判断で、市街地でも猟銃を使用してクマを駆除できる「緊急銃猟」。9月の解禁以降、県内でも7件行われています。今シーズン、19件の出没が確認されている柏崎市。訓練では周辺の通行止めなど緊急銃猟に向けた準備が進められます。〈柏崎市 西巻康之 副市長〉※訓練「要件を満たしていることを確認し、緊急銃猟を決定します。ただし関係者、そして住民の安全確保を第一に実施してください」。住民に危険が及ぶおそれがあることから副市長が緊急銃猟を行うと判断すると…周囲の安全を確認した上で猟友会がクマを駆除しました。〈県猟友会 柏崎支部 内山久 支部長〉「訓練しなくてはうまくいかない。いろんなことを想定してこれからも訓練を続けていってもらいたいと思います」。一方、県は19日、クマによる被害を減らすため、緊急支援を行うと発表しました。人の生活圏に出没するクマを冬眠前に集中的に捕獲するため市町村が行う取り組み、わなの購入費や設置などを対象に全額を補助します。市町村ごとに上限を設け、予算規模は約8000万円になるということです。〈花角知事〉「人の生活圏に出没するクマを集中的に捕獲をする、人とクマの共存、あるいはすみ分けという観点でこうしたクマについては捕獲を強化することが必要だと思っています」。また、クマ出没特別警報を来年1月いっぱいまで延長し、引き続き、最大級の警戒を呼びかけています。
(県は補正予算で緊急対策費約8000万円計上:新潟)
県は19日、クマの緊急対策を発表。市町村に対しクマの出没時の出動や見回り活動の日当のほか、わなの設置費用を補助するもので約8000万円を12月補正予算案に組み込みます。【新潟県鳥獣被害対策支援センター 小根沢元浩所長】「市町村からは予算が結構もう厳しいという話を伺っておりますそういったことを踏まえて、まだまだクマが市街地で騒いでいますので」。また、県は最も警戒レベルの高いクマ出没特別警報を26年1月末まで延長し、県民に最大限の警戒を呼びかけています。
(警察官によるライフル銃での駆除「検討」:青森)
青森県市長会と青森県町村会は、初めて合同でクマ対策にかかる財政支援などを国に要望しました。要望内容は、クマの移動ルートとなる河川の藪(やぶ)の刈り払いなどにかかる費用を交付金の対象にすることや、捕獲する人を公務員として採用する「ガバメントハンター」の人件費の補助などを求めています。★県市長会 会長 西 秀記 青森市長「支援のための交付金の制度などをさらに拡充してほしいということと、あと予算確保していただきたいというお願いをしましたが、そういうところは積極的に取り組んでいただけるということで、我々も安心したところであります」。要望を受けた 青山 環境副大臣 は「政府全体に働きかけたい」と答えていたということです。クマ対策は、県議会の常任委員会でも、警察官によるライフル銃での駆除について議論が交わされました。★県警生活安全部 部長 野里 和保「警察官によるライフル銃を使用した駆除については、今後のクマ等による人身被害の状況および地域のニーズなどを踏まえ、必要な人員・装備品について準備を進めながら検討していまいります」。県警は、今後、機動隊の銃器対策部隊がクマを撃つための訓練を積み重ねていきます。また、猟友会や専門家を招いた研修会や対策会議の開催も予定しています。
(クマ駆除・捕獲報酬、猟友会・ハンターの報酬は自治体により差大きい:山形)
クマの目撃が過去最多を更新し続ける中、猟友会のハンターの負担が大きくなっている。FNNが行った調査によると、支払われる報酬は自治体によってそれぞれ異なり差が大きいことがわかった。県によると、2025年の山形県内のクマの目撃件数は2386件・捕獲件数は969件と、いずれも過去最多となっていて、猟友会のハンターへの負担はこれまでになく大きくなっている。こうした中、FNNでは先週から今週にかけて県内の市町村に対し「ハンターへの報酬」についてアンケートを実施し、35市町村中31の市町村から回答を得た。それによると、支給の方法が「時給」「日当」「捕獲1頭あたりの報酬」など、自治体によって差があることがわかった。時給を採用》山形市や天童市など14の市町村。ハンター1人あたりの時給が最も低いのは鶴岡市で956円。米沢市・舟形町・大蔵村が最も高く2000円。さらに米沢市は、緊急対応時に時給を3000円に引き上げている。《日当として報酬を支給》新庄市や尾花沢市など5つの市町村。金額は1人あたりで、新庄市4000円、東根市8200円と差がある。金山町は最大で1万円としている。《単価を設定して支給》ハンター1人あたりの時給や日当ではなく、クマの捕獲1頭ごとの報酬や、箱わなの設置・見回り費など単価を設定しているのは12の市と町。捕獲1頭あたりの報酬を見てみると、戸沢村の5000円に対し南陽市は3万円と6倍。上山市は、1頭の捕獲でも3頭の捕獲でも"1件"として10万円を支払っている。また大江町は捕獲のほかに、「被害現場の確認費」や「箱わな設置後の見回り費」など細かく6つの項目を設定している。このほか、山形市・飯豊町など9つの市町村は「時給」「日当」の支給に加え、捕獲1頭あたりの報酬を支払っている。このように、自治体がさまざまな形で報酬を設定する中、2025年度、大幅に増額した自治体がある。舟形町では、時給を1000円から2000円に倍増、さらに捕獲1頭あたり2万円の報酬を新たに設けた。(舟形町農業振興課・斎藤雅博課長)「猟友会のみなさんはクマ対策の先頭に立ち命がけで活動している。負担は非常に大きく、猟友会員は高齢化・人数が減少している。金額的な支援も猟友会・ハンターの話を聞き、必要なものを講じ寄り添っていきたい」。「クマ被害の急増を受けて報酬などを引き上げた」と回答したのは8つの市町村。また、「報酬の増額を検討している」と回答したのは20の市町村だった。2025年度に報酬を引き上げたばかりの舟形町だが、日々増え続ける猟友会への負担を目の当たりにし、さらなる増額の検討も始めている。しかし、それを実現するために不可欠なものとして「国からの交付金の増額」を挙げている。(舟形町農業振興課・斎藤雅博課長)「少なくとも3万円、1頭あたり3万円は必要。国の対策で金額・単価が示されていないが、今の状態ではまったく足りない状況。たくさん予算をつけ、単価の引き上げを願いたい」。FNNのアンケートでは、「国からの交付金が不足している」または「将来的に不足するとみている」と回答したのは25の市町村で、「国に増額を求めたい」と回答したのは28の市町村にのぼった。2025年のクマの目撃件数が450件余りと、県全体の5分の1を占める鶴岡市もアンケートで「交付金の増額を求める」と回答している。佐藤聡市長は20日の会見で次のように語った。(鶴岡市・佐藤聡市長)「猟友会は報酬が出るが、実質的にはボランティアという形で銃などを用意している。それがいつまで続くかわからない、回数が多いと負担感もある。命をかける厳しい現場に立ち会うということ。銃弾も今は報酬に含まれるという考え方のようだが、そこも何らかの形で負担するのが望ましい」。クマの出没は12月以降も続くとの見方が強まる中、手探りでの対応はまだ続きそうだ。鶴岡市の会見の中で、猟友会によるクマ対策などの事業に充てる目的で「ふるさと納税」を活用する方針も明らかにしている。各自治体とも、クマ対策の予算をどのように工面・確保するか、あの手この手で対応・苦慮している様子が伝わってきた。
(「公務員ハンター」、財務課職員が猟銃を手に出動:富山)
クマによる被害が全国で相次ぐ中、富山県上市町では「公務員ハンター」が地域の安全を守る切り札として活躍している。通常業務の合間を縫って猟銃を手に現場へ駆けつけるというこの仕組みを取材した。「柿を食べた後のフンの痕跡を見て、どこに逃げていったのかクマの足跡を探す」。上市町役場で財務課管理班の係長として勤務する木原剛さん(45)は、庁舎の物品などを管理する通常業務の傍ら、クマ出没時には現場へ駆けつける「公務員ハンター」の一人である。普段は「役場が管理している車の高速料金の請求や電気料金の予算の執行をしている」という木原さんだが、クマの痕跡が見つかると現場確認や駆除を担う。上市町の公務員ハンターは現在7人。全員が病院の事務などそれぞれ別の業務を持ちながら、緊急時には本来の仕事を中断して現場対応にあたる。「大切な業務があるときは、相手にお断りを入れて現場に行かせてもらう。(ハンターに)切り替えられるときとできないときがある。服を着替えるときや鉄砲の準備をするときに気持ちを切り替えるしかない」と木原さんは語る。上市町で公務員ハンターが誕生したのは2010年。当時、県内ではイノシシによる農作物被害が相次ぎ、猟友会の負担が課題となっていた。そこで上市町は狩猟免許に必要な経費を負担し、職員に免許取得を促す独自の取り組みを始めた。当時、鳥獣被害対策を担当する部署に所属していた木原さんも自ら手を挙げ、公務員ハンターになった。「元々、農林整備班の事務に携わっていて、クマやイノシシが出た時にハンターに連絡してもすぐに駆けつけることができない時があった。初動だけでも何か支援できればと思った」と当時を振り返る。公務員ハンター導入の最大のメリットは、捕獲までの流れがスムーズになった点だ。従来はクマ被害などが発生すると、猟友会が現場確認し行政に報告、行政が捕獲可否を判断、猟友会へ依頼、実行という複雑な手続きが必要だった。公務員ハンターが現場に行くことで、確認から捕獲依頼をその場で行えるようになり、捕獲までの時間が大幅に短縮された。上市町産業課の碓井秀樹課長は「職員が狩猟免許を持っていてすぐに対応できる。住民の安心安全に役立っているのではないか」と評価する。木原さん自身も「普通は自宅に鉄砲があるので、自分たちは役場内で着替えて(銃を)持ってすぐ現地に着けるのがメリット」と説明する。猟友会からも「専門的な知識を持つ職員が現場にいるのは大きなメリット。捕獲の腕も確かで、安心して任せられる」との声があがっている。今年、全国でクマ被害が相次ぎ、市街地での銃の発砲を自治体の判断でできる「緊急銃猟制度」の導入を背景に、国も公務員ハンターの育成・確保策を強化している。多いときで月に2、3回出動するという木原さんは、今後も「やぶの中にいるのが分かったので一挙手一挙足見逃さないように集中。今まで以上に猟友会や警察と連携し、より住民の安全に導けるようにしたい」と意気込みを語った。
(クマ即応チーム、ハンター専門職採用へ:鳥取)
東北地方を中心にクマによる被害が深刻化する中、鳥取県は19日、銃猟免許を持つハンターを県の専門職員として採用する方針を示した。クマが人里に出没した際に即応できるチーム体制を整える。都道府県がハンターを雇用する例では、宮城県が警察官OBらを会計年度任用職員のハンターとして採用している。自治体に雇われたハンターは「ガバメントハンター」と呼ばれ、政府も人件費支援を検討している。県職員ハンターは、自治体判断で発砲できる「緊急銃猟」で市町村や地元のハンターが対応できない場合に、市町村から依頼を受けて出動。講習会や緊急銃猟の研修を通して若手ハンターらの育成に当たる。県には既に、ライフル銃で狩猟できる免許を持った職員が2人在籍。この2人を中心に専門職員のハンターを新たに採用し、チームを結成する。県警とも連携。警察官は緊急性が高い場合に緊急銃猟の手続きを経ずにハンターに発砲命令できるほか、規則改正で直接ライフル銃でクマを駆除できるようになったことから、合同での研修も視野に入れる。今年4~10月の県内のクマの目撃件数は72件で、前年同期(201件)から半減。ただ、クマの繁殖が活発化している可能性があり、県は来春、冬眠から目覚めた後に被害が出る恐れがあるとしている。平井伸治知事は19日の会見で、目撃件数の減少は計画的な捕獲による頭数管理の効果もあるとした上で、「冬眠明け以降、春以降が次の焦点になる」と警戒感を示した。
(クマ緊急銃猟の手順確認:北海道)
ヒグマ出没時に市町村長の判断で市街地で発砲できる「緊急銃猟」を想定した合同訓練が19日、当麻町総合グラウンドで行われた。旭川東署や町、上川総合振興局、猟友会の4機関から約20人が参加し、クマの認知から発砲まで一連の手順を確認した。
(拡大するシカ食害防止を、農業者や猟友会が意見交換:北海道)
江別市は17日、市内の農業者や猟友会のハンターを対象とした鳥獣対策に関する意見交換会を、市野幌農村環境改善センターで初めて開いた。参加者は市内で拡大するエゾシカなどの食害の防止策について意見を出し合った。
(猟銃適切使用で事故防止を、県警が指導・取り締まり:岡山)
全国で狩猟が解禁された15日、岡山県警は正しい猟銃の取り扱いや誤射などの事故防止を呼びかけようと、県内の猟場で一斉の指導・取り締まりを行った。来年3月15日まで続ける。
(狩猟解禁「一般の人も野生動物に注意」呼び掛け:岡山)
岡山県・香川県ともに15日から今シーズンの狩猟が解禁されました。岡山市東区下阿知では、日の出前から集まった猟友会のハンターに対し、岡山県警の警察官が猟銃を正しく取り扱い、周囲への安全を徹底するよう呼び掛けました。県警によりますと、2024年度に県内で狩猟期間中に確認した違反は3件で、誤射などによるけが人はいませんでした。岡山県猟友会岡山地区の伊豆井明則会長は「カモ猟で猟友会のメンバー3人で来た。安全・安心で行こうと思っている」と話しました。クマの人身被害が相次ぐ中、岡山東警察署生活安全課の北村真一課長は「動物がどういった行動をするのかは予測できない。自身の身を安全に守ることを第一に考えて行動してほしい」と話しています。ハンターに限らず一般の人も野生動物にしっかりと注意してほしいとしています。
(児童はランドセルにクマよけ鈴、先月末から目撃情報増え対策強化:京都)
各地でクマによる人身被害が多発する中、目撃情報が相次ぐ京都府木津川市で、小中学生がクマよけの鈴を携帯したり、市職員がセンサーカメラを設置したりする対策が進んでいる。同市では今年5月、記録に残る2007年以降で初めてクマが目撃され、今月14日までに目撃や足跡発見の情報が計54件寄せられた。府によると、府内の25年度のクマの出没件数は14日現在で1051件と平年よりやや多く、木津川市や城陽市など、従来なかった府南部で目撃されている。木津川市は7月、市内の公立小中学校に通う児童・生徒計約7600人にクマよけの鈴を配布。校区内でクマが目撃された市立梅美台小の児童はランドセルに取り付け、チリンチリンと音を響かせて登校している。磯谷薫校長(55)は「教員のパトロールなど日常的に出来ることを続けていく」と話す。クマが目撃された場所に設置されたセンサーカメラを調整する市職員(14日、京都府木津川市で)=浜井孝幸撮影10月末から目撃情報が増加し、市は今月上旬から対策を強化。捕獲を見据えて記録を収集するため、センサーカメラ2台を設置したほか、朝の通学時間帯に職員がクマの目撃があった地域を車で巡回している。
(相次ぐ“クマらしき”目撃情報、「弱ったシカや子鹿襲われる可能性」も:奈良)
全国で相次いでいるクマによる被害。その目撃情報は、多くの観光客が訪れる奈良公園の近くでも。紅葉の季節、多くの観光客でにぎわう奈良公園。シカにせんべいをあげたり写真を撮ったり、みなさん奈良を満喫しているようですが、実はこの近くで、ドライブウェイを走っていた人から「道路を横断しているクマを見た。ライトを照らすと逃げた」という目撃情報が。専門家によると、個体数が増えたことによりクマの生息域が拡大。さらに観光客が置いていったごみなどを食べて、人間の食べ物の味を覚えたことで、クマが平野部まで下りてきている可能性もあるということだ。クマへの警戒はいつまで続ければいいのだろうか。全国で連日伝えられるクマ出没のニュース。16日、秋田市の住宅街の道路で撮影されたクマ。また、秋田県能代市では、16日午前、商業施設にクマが侵入し家具売り場付近に居座りった。侵入からおよそ3時間後、県の担当者が麻酔吹き矢を使って捕獲しその後、駆除された。さらに仙台市では、15日、仕掛けたわなにクマがかかりました。すぐ近くでみつかった子グマとともに駆除された。東北だけでなく関西でもクマの目撃情報が相次いでいる。京都産業大学広報部 嶋田秀人課長:この辺りで目撃情報がありました。今月14日午後6時半ごろ、京都市北区にある京都産業大学のグラウンド入り口付近で「クマらしき動物を目撃した」と学生から情報があり、大学は施設の使用を停止する事態となった。京都産業大学広報部 嶋田秀人課長:本当にクマかどうかわからないと状況。ただ学生の課外活動や授業、大事な活動なのでできるだけ安全に配慮、警備強化しながら進めていく。方、今年度2件のクマによる人への被害が出ている奈良県。奈良市内でも昨年度、目撃情報はゼロだったが、今年度はすでに32件に。奈良公園から数キロ圏内での目撃情報も寄せられている。市の職員が確認したところ、イノシシの足跡があり、実際にクマは確認できていないが、警戒を強めている。記者リポート:こちら若草山の頂上付近なんですけど、あちらに『熊出没情報あり』とかかれた紙が貼られています。市は、案内版のほかSNSなどでも注意を呼び掛けている。東京からの観光客:来ないことを願うしかないですね。愛知からの観光客:まさかこんな人がいるところにすごいですね人もシカも襲われたらちょっと心配だね。茨城からの観光客:京都の方でもクマが出たと言ってたけど心配だったんですけどね。おっかないですね。なぜ、今年になって奈良市内でもクマとみられる動物の目撃情報が相次いでいるのか。森林総合研究所 大西尚樹さん:北の方の京都府北部、紀伊半島の南部、もしくは岐阜県の方の個体群で個体数が増えてきた。それでそこでは手狭になってしまってそこから出てきた何頭かが長距離で移動してきて目撃されるようになったということだと思います。専門家によると、個体数が増えたことによりクマの生息域が拡大。さらに観光客が置いていったごみなどを食べて、人間の食べ物の味を覚えたことで、クマが平野部まで降りてきている可能性もあるということだ。では奈良公園にクマが出没すると、シカにはどんな影響があるのか。森林総合研究所 大西尚樹さん:ツキノワグマは、それほど大きい体ではない。オスの大人のような体格の大きいシカを自分で積極的に襲って食べれるほどのハンティング能力ではないですただ、弱っているシカとか、子鹿とかがいれば襲う可能性はゼロではないです。関西の観光地でも相次ぐ“クマ”の目撃情報。奈良県は、近隣住民や旅行者に対し、ごみの管理の徹底や山への立ち入りなど注意を呼びかけている。奈良市などは、「クマ目撃情報マップ」を作成し、ネット上で公開している。オレンジ色が奈良市内で、目撃された日時やその時の状況などを詳しく見ることができます。ちなみに、16日も奈良公園近くで小グマらしき動物が目撃されたということだ共同通信社編集委員 太田昌克さん:もう完全にフェーズが変わってしまいましたよね。実家が富山ですが、平野部の実家からわずか3キロのところにクマが出現しちゃって、こんなこと初めてです。最悪の事態に備えて、事前情報もキャッチしながら守る術を取っていただきたいですね。クマへの警戒はいつまで必要なのか。森林総合研究所大西尚樹さんによると、「クマは来月中には冬眠に入るので、年内は警戒が必要」ということだ。これまで目撃されていなかったところでも、クマの目撃が確認されているところもあり、警戒が必要だ。
(猟師に県立大生新ビジネス提案:愛知)
県立大の1年生35人を対象にした獣害対策を学ぶ授業が、美浜町新庄の自然体験館鹿野苑(ろくやおん)周辺であった。学生たちは駆除したシカの解体を見学し、地元猟師らに害獣駆除の新たなビジネスモデルを提案した。
(地域おこし協力隊(獣害対策):佐賀)
「吉野ヶ里遺跡」で有名な、佐賀県吉野ヶ里町ではイノシシによる作物の被害が増えています。獣害の対策と猟師確保が急務です!この仕事は、イノシシから田畑を守る”里山まもり隊”として実行役を担います。イノシシ対策の勉強会、わななど狩猟免許の取得、イノシシの捕獲、ジビエの解体加工の手伝いなど、里山の暮らしを守る仕事です(地域おこし協力隊制度活用)。ペーパーハンターの方、この機会に狩猟資格を仕事にしてみませんか?もちろん、まったくの初心者の方も大歓迎!資格取得から支援します。※ちなみに、九州には熊がいないので、安心して山に入ってもらえると思います…。
(「狩猟について知ろう!」イベントを開催:宮崎)
狩猟は「趣味」としての楽しみとともに、「日本在来種の保護」、「自然資源の持続的な利用」、「野生生物による農林作物被害の防止」などの「人と野生鳥獣との共生」に大きく関わるもので、狩猟者の社会的な役割はますます大きくなっています。一方で、狩猟を行うために必要な狩猟免許取得者数はピーク時の約3分の1まで減少しており、新規狩猟者の確保が喫緊の課題となっております。狩猟に関する相談や狩猟の模擬体験等を通じて、狩猟への関心を高め、新規狩猟者の確保を目的として以下のとおりイベントを開催します。狩猟に興味のある方は、ふるってご参加ください。
(連日のクマ出没ニュースに活気づく「猟銃メーカー」)
連日のクマ出没のニュースの裏で、大躍進を遂げている会社があります。猟銃の製造販売を行なうミロクです。今期は2割もの増収を計画中。日本人にとってまだまだ馴染みのない猟銃ですが、クマ被害を軽減するものとして注目を集めるようになりました。一方で、猟銃は厳しい規制にさらされています。猛獣被害という住環境の変化で、強化一辺倒の風潮も変わるのでしょうか。ミロクは独自ブランドのほか、アメリカの有名な銃器メーカーであるブローニングやウィンチェスターのライセンス生産を手がけています。散弾銃からライフル銃までの製造販売を行なう珍しい日本の会社です。2025年10月期は21.4%の増収を計画中。前期は売上が1割近く減って109億円まで下がったものの、今期は132億円まで回復。5億円の営業赤字から1億円の営業黒字に転換する見込みです。原材料の高騰はあるものの、価格転嫁が進んで付加価値の高い製品の販売に成功。ミロクの高い技術力が評価されている様子がわかります。今期は2四半期連続で、ボルトアクションライフルの四半期の売上が10億円を上回りました。2023年10月期から振り返っても、四半期のボルトアクション売上が10億円を超えたことはありませんでした。底堅い需要を読み取ることができます。ボルトアクションライフルは散弾銃などと比べて火力が高く、クマやイノシシ、シカなどの大物猟で使用されます。日本ではライフル銃の所持は厳しく制限されており、散弾銃を10年以上所持していることが求められます。ミロクは海外でも銃を販売しているため、伸びているのはアメリカを中心とした海外市場でしょう。しかし、クマの出没が頻発したことを受け、一部地域では警察官がライフル銃をクマ駆除でも使えるようになりました。中長期的には国内需要が高まる可能性もあります。日本は重大な事件が起こるたびに猟銃の規制が強化されてきました。1971年の銃刀法改正でライフル銃の所持には散弾銃の所持経験が10年以上必要という要件が加わりましたが、これは1960年から1970年にかけて銃を使った凶悪事件が頻発したためです。2009年の銃刀法改正で破産者が所持できないことになり、精神科医による診断書も必要になりました。この法改正の背景にあったのが、2007年の佐世保のスポーツクラブでの乱射事件でした。そして2025年3月にはハーフライフル銃がライフル銃の一種に。所持には原則として10年以上の散弾銃所持歴が必要になりました。2023年に起こった長野県中野市4人殺害事件を受けたものです。ハーフライフルは、もともと散弾銃に分類されていました。散弾銃は通常、金属のバラ弾を空中で広げるようにして発射するものですが、専用の弾を使用することで一つの大きな弾丸を撃つことができます。通常のライフル銃は銃身にらせん状の溝(ライフリング)が刻まれ、弾道を安定させています。日本の銃刀法ではこのライフリングが散弾銃の銃身長の1/2にすると定められていたため、半分の状態にした特殊な銃を生み出しました。これがハーフライフルです。法の穴をかいくぐるようにして、10年縛りに左右されることなくライフルに近い銃を持つことができたのです。このハーフライフルはよく売れていました。2023年の猟銃の所持許可丁数は14万6530丁で、2013年比で24%減少しています。散弾銃は26%、ライフル銃は21%それぞれ減少しましたが、ハーフライフルは3倍以上も増加していたのです。今回の規制で販売に急ブレーキがかかるのは間違いなく、銃メーカーへの影響も大きいものとなるでしょう。高市総理は自治体へのクマ対策支援を強化する考えを示しました。猟友会への委託費、クマの捕獲に必要な費用の支援拡充を行なうとしています。共同通信社が11月15日、16日に行なった世論調査で、クマ被害を巡る政府対応が遅いと感じる割合は65%に上っています。クマ対策は自治体レベルを超え、政府として乗り出す必要に駆られているのです。クマの出没は社会問題に発展しており、ハンターの育成や有害鳥獣駆除がしやすい環境の整備が必要になるのは必至。依然として動物の保護を訴える人も多く、混乱を生じさせない啓蒙活動が必要なように見えます。特に今後はハンターの育成が重要になるでしょう。狩猟免許の取得者の数は増加傾向にありますが、実際に狩猟をするために必要な狩猟者登録をする人の割合は減っており、全体の6割程度に留まっているからです。銃の規制は強化されているうえ、周囲からの理解も得にくいために肩身の狭い思いをするハンターは少なくありません。クマ対策に警察や自衛隊を投入して緊急事態を回避するのも重要ですが、クマを取り巻く環境づくりも含め、住民に危害を加えるクマの数を減らす努力が必要になりそうです。
(鉄砲撃ちは「絶滅危惧種」猟友会員が語るクマ駆除の現状:新潟)
「向かってくるクマに鉄砲を撃つことは、心臓が爆発するくらい怖い。もしここで弾が出なかったらどうする、と思うこともある」。県猟友会南魚沼支部湯沢分会(湯沢町猟友会)に所属し、狩猟歴50年の山中誠治さん(77)は、正直に語る。「クマは他の動物と違う」と力説する。「襲われたら(人の)顔がなくなる。シカやウサギを取るのと訳が違ってクマは別格。命懸けだ」。そして言葉を加えた。「50年やっていても、そうなんだから」。山中さんが狩猟を始めた頃、町の猟友会員は約120人いたが、現在は18人にまで減った。「湯沢だけではなく、全国の課題だ。国には鉄砲撃ちの高齢化対策を早急に検討してもらい、第1種の免許を取得する人が増えるような方法を考えてほしい」と訴える。狩猟免許には、散弾銃など装薬銃と空気銃を扱える「第1種銃猟免許」や、空気銃のみ扱える「第2種銃猟免許」、わなを使って獣類を捕獲できる「わな猟免許」、網を使う「網猟免許」の4種類がある。免許を取っても一朝一夕で技術をものにはできない。同じく湯沢町猟友会で、狩猟歴46年の南雲博之さん(69)は「鉄砲の免許を取ったからといって、すぐにクマを撃てるわけではない。どこを狙って撃つのか、どこにわなを仕掛けてどう誘導するのかは、やっぱり経験が必要でなかなか難しい。先輩に教わらないと駄目だということだ」と語る。町猟友会が10月29日に仕掛け、31日に子グマを捕獲したわなも、クマが来そうなポイントを絞り込んで設置したという。長年培ってきた経験と感覚が頼りだ。政府は今月14日に関係閣僚会議を開き、「クマ被害対策パッケージ」を取りまとめた。既存の交付金の拡充や特別交付税措置で自治体への財政支援を強化。狩猟免許を持つ公務員「ガバメントハンター」の人件費支援や出没防止策、個体数の調査・削減などに充て、対策を進めるという。一人前になるには、ベテランの指導を受けても4、5年はかかるという。クマ対策のパッケージの効果が表れるのはまだ先だ。山中さんは「俺たちと一緒に鉄砲をやって、経験を積んでいけばいいのだけれど、成り手がいないの。その間に鉄砲撃ちは引退してしまう」さらに警鐘を鳴らす。「われわれは“絶滅危惧種”だ。クマとかシカより絶滅するのは鉄砲撃ち。あと5年もたてば、ほぼいなくなる。そういう時代が来ている」。タイムリミットは迫っている。
(八王子市長、狩猟免許の受験勉強を宣言:東京)
全国でクマ出没による被害が相次ぐ中、ツキノワグマの生息地で、目撃情報も寄せられている東京・八王子市の初宿(しやけ)和夫市長が「元海上自衛隊自衛官としての経験を生かしたい」として自ら狩猟免許を取得するための受験勉強を始めた。19日、産経新聞のインタビューに応じ「ハンター不足の現状や獣害対策への理解を促す」と、その狙いを語った。--狩猟免許取得を目指すきっかけは?「ハンターが不足し、政府が警察や自衛隊OBの活用を検討していることを知り、元自衛官の市長という立場でできることがあるのではと考えた」。--受験の前に講習を受けるというが?「さっそく東京都環境局のホームページで試験の日程を調べると、今年度は締め切られ、次回は来年4月以降だと分かった。そこで、それまでにできることは何かと考えた。来年2月に東京都狩猟会による免許取得に向けた事前講習会があることが分かり、すぐに受講を申し込んだ」。--自衛官だったのはいつごろか?「高校卒業後、昭和58年3月に防衛庁に入庁し、海上自衛隊舞鶴教育隊(京都府舞鶴市)に配属された。その後は第1術科学校(広島県江田島市)、大湊地区総監部(青森県むつ市)に在籍した。59年5月に退官した。その後、都職員などを経て、昨年1月から八王子市長を務めている」。--銃器を扱った経験は?「舞鶴教育隊と第一術科学校では射撃訓練があった。銃の分解、メンテナンスも学んだ」。--どんな種類の免許を取得する考えか?「害獣捕獲に網を使用する網猟免許、箱わななどを仕掛けるわな猟免許、ライフルなどの装薬銃を使うための第1種銃猟免許、空気銃を撃つための第2種銃猟免許。この4つを全て取得しようと考えている」。--試験にはどう臨む?「試験の合格率は100パーセントではなく、しっかり準備しなければならない。講習会までにテキストを読み込み、問題集を全て解いておきたい。もちろん費用は全て自費で臨む。勉強もプライベートの時間に行う」。--市民からはどんな声が?「『市長がわざわざ狩猟に出向くものではない』といった批判もいただいた。だが、私が自ら率先してクマ退治に向かうというイメージではない。一番の狙いは啓発と考えている。クマ対策について多角的に考えなければならず、獣害対策への関心と理解の促進を図りたい。ハンター不足の問題に目が向くきっかけになればいい」。--高尾山などで目撃情報が寄せられている 「八王子市の一部はもともとツキノワグマの生息地だ。市街地にも出てくるような状況も想定しなければならない。わなや空気銃での対策など、殺すだけではない方法も含め、自分のスキルを役立てられればいいとも思う」。--市民や観光客などに伝えたいことは?「出没情報のアナウンスなど、市では必要な対策を強化している。皆さまに安心してお越しいただけるよう、引き続き安全対策に万全を期したい」。
(クマ被害多発受け「緊急銃猟」訓練:島根)
全国でクマによる被害が相次ぐ中、市町村の判断で猟銃を使いクマを駆除する「緊急銃猟」の訓練が雲南市で行われました。11月20日、島根県が主催したこの訓練は、全国でクマによる被害が多発するなか、県としてのクマへの対応を確認するために行われたもので、県内の自治体関係者や警察など約90人が参加しました。訓練は市街地近くの河川敷にクマが出没し、銃による駆除が必要な状況になったという想定で行われ、まず自治体の職員が「緊急銃猟」を許可するまでの手順を確認。次に、発砲の許可を受けた猟友会のハンターたちが狙いを定めて発砲するまでの一連の動きを確かめました。雲南市猟友会・内田満会長:課題はこれから。撃って殺すのは簡単ではない。島根県鳥獣対策室・安松崇徳室長:安全を確保しつつリードタイムを確保していくかというところが大事になってくるかと思います。緊急銃猟を実施する市町ともよく話して県としても対策を進めてく。市町村の判断で、市街地でも猟銃を使用してクマを駆除できる「緊急銃猟」。9月の解禁以降、出没が相次ぐ北日本を中心に各地で発砲が許可されています。島根県は県内でもいつ起きてもおかしくないとして、こうした訓練を重ねて万が一の事態に備えたいとしています。
(クマ出没いつまで? 人里に出るクマは冬眠遅れる可能性も:宮城)
雪が降り始めた中、11月19日も宮城県内では、クマの目撃情報が相次ぎました。こちらは、19日午前11時20分ごろ、富谷市ひより台1丁目の住宅敷地内に出没したクマの映像です。けがをした人などはおらず、クマはその後駆除されました。こうした状況はいつまで続くのか、クマの生態に詳しい、専門家に聞きました。森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん「12月に入れば、だいたい冬眠を始めていくかなと。出没もあと2、3週すれば落ち着いてくるかなと思います」。多くのクマは、山に餌がなくなる11月下旬から12月上旬に冬眠に入るといいます。また、ブナの実が大凶作だった今年のように、餌が少ない年は早めに冬眠に入ることが多いといいます。しかし、今年は…。森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん「人里に出てくるクマは、その個体にとってはいい餌場を見つけている。そうすると、なかなか冬眠しないで餌場にあるものをずっと食べ続ける。そして12月下旬くらいまで出没が続くかもしれないということです」。人里に餌があると学習した個体は、なかなか冬眠しない場合があるといいます。18日、栗原市が柿の木の伐採を急ぐことを決めるなど、県内で対策が急がれています。相次ぐクマの出没は、県内の観光業に暗い影を落としています。「本日の工程表と、安全のためのクマスプレーです。本日も安全運転でよろしくお願いします」。太白区の貸し切りバス事業者です。仙南交通営業部業務課 木村圭吾主任「保有する全ての車両(26台)について、クマスプレーを配備している。使い方としてはお客さまの乗降時など、クマが現れた時に乗務員がスプレーで対応することを想定」。乗務員(Q.手元にあると安心感違う?)「いろんなところでクマが騒がれているので、あるだけで安心」。ただ、対策をとっていても、すでに影響が出ているといいます。仙南交通営業部業務課 木村圭吾主任「クマが不安という理由でキャンセルをいただいている運行が何件か入っている。また稼働している運行でもクマが出没したので、行程を一部変更することもしている」。また、来年秋以降の修学旅行の企画を旅行会社に提案する時期ですが、東北からの変更を検討する動きもあるといいます。仙南交通営業部業務課 木村圭吾主任「東北で観光したいという声が、これから冷え切っていくように感じているので、かなり打撃を受けるのではないかと」。
(シカが土石流被害を招いた「初事例」、登山道が断たれた百名山の教訓:滋賀)
シカによる食害が土砂災害に結びついた――。2024年、滋賀県北部の伊吹山のふもとで起きた土石流は、こう分析されている。草木が食べ尽くされると、地面が削られ、土砂災害が起きやすくなるとは言われてきたものの、はっきりするケースは珍しい。どんなメカニズムだったのか。日本百名山の一つ、伊吹山。滋賀・岐阜県境に位置し、東海道新幹線の車窓からも大きく見える。冬は日本海側からの風が吹き付け、石灰岩が広く分布する。1377メートルの高さながら、ルリトラノオなど独特の高山植物が咲き乱れる「お花畑」が人気を集める。その南側斜面(滋賀県米原市)で大きな変化が起きたのは、土石流の1年前、23年7月のことだ。ふもとから山頂に通じる登山道が、2度の大雨で崩れて寸断、通行止めになった。その復旧もままならないまま24年7月、3度にわたって土石流が発生し、ふもとの住宅が被災した。注目されるのが、このときの雨量だ。23年は1時間あたり25ミリ、24年は34ミリと、ありふれた大雨だった。20ミリは年5回ほど、30ミリでも年に1回ほどあるレベル。同様の雨量で過去に災害は起きておらず、周辺でも目立った被害はなかった。「特別に強い雨だったわけではない。シカによる植生の衰退が影響した可能性が高い」と、現地を調べてきた石川芳治・東京農工大名誉教授は言う。石川さんは、ニホンジカの食害が土石流被害につながった「全国でも初めて」の事例として、今年5月の砂防学会誌で伊吹山の調査結果を報告した。
(シカ衝突に備え実証実験:北海道)
日没時間が早く、エゾシカなど野生動物との衝突事故が増える時期に備え、美幌署は体験型の交通安全啓発を行った。車がシカと衝突した瞬間を記録したドライブレコーダーの映像を上映したほか、ヘッドライトの光が届く距離を検証した。
(高校生害獣駆除学ぶ:大分)
深刻化する農林業の鳥獣被害や害獣駆除への理解を深めてもらおうと、日田林工高(大分県日田市吹上町)でハンターの役割などを学ぶ特別授業があった。林業科の2年生が被害の実態を学び、狩猟シミュレーターを使ったイノシシ猟の模擬体験やワイヤとバネを利用したくくりわなの設置に挑んだ。特別授業は「フォレスターへの道~ハンターの使命」と題し、森林科学・森林経営の科目として6日に行われた。日田市猟友会の秋好純一会長(74)や県農林水産部「森との共生推進室」の職員らが講師を務めた。鳥獣被害としては、イノシシによる農作物の食害のほか、林業分野でもシカが杉の苗木を食べる造林地被害、サルによるシイタケ食害があることを県の担当職員が説明。県内の狩猟免許所持者約5千人のうち猟銃免許所持者は約200人にとどまり、高齢化が進んでいて人材育成が課題となっている現状も訴えた。ベテランハンターの秋好会長は野生動物の捕獲技術を伝授した。銃の構え方などを教えてもらった生徒たちは、モデルガンで画面上を移動するイノシシを狙い撃つ狩猟シミュレーターを使って害獣駆除を体験。くくりわなの設置にも挑戦し、動物が踏み板を踏むとバネの力でワイヤが作動して足をくくる仕組みや、獣道などに落ち葉をかぶせてセットする手法を学んだ。野生鳥獣肉を使ったイノシシカレーとシカカツも試食。坂本温琉(あたる)さん(16)は「林業にも被害が出ていて、ハンターの後継者が少ないことも分かった。被害を減らしたいので、ぜひ狩猟免許を取りたい」と意気込んでいた。
(狩猟担い手の高齢化、クマ対策に若手ハンターの確保と育成が急務:群馬)
人里や市街地でクマの人身被害が相次ぐ中、今季の狩猟が15日に解禁された。捕獲が進むことでクマをはじめとする野生動物の出没を抑える効果が期待されるが、ハンターの人手不足や高齢化といった課題が深刻となっている。昨年度の狩猟免許の所持者はピーク時から半減。さらに減れば、市街地などへの出没時の駆除にも支障が出かねない。群馬県は高校生への特別授業を行い、若者に狩猟への関心を高めてもらうよう取り組んでいる。今季の狩猟期間は15日に解禁し、来年2月15日(ニホンジカとイノシシは同28日)まで。県は農林業被害をもたらすニホンジカとイノシシについては積極的な捕獲を呼びかけている。今秋は全国的にクマの出没と人身被害が頻発し、県内でも住民らが襲われる被害が今月15日時点で9件発生した。狩猟期にハンターが山に入ることで、クマを山奥に追い払う効果が期待される。狩猟や有害鳥獣の捕獲には銃猟、わな猟、網猟の3種類のいずれかが必要となる。銃猟の免許は散弾銃やライフル銃を扱える第1種と、空気銃のみを扱える第2種に区分されている。有効期間は約3年。
(災害級クマ被害で政府対応、専門人材の育成急務)
全国各地でクマによる被害が急増している。警察官によるライフル銃使用が開始され、自衛隊も出動するなど、政府は異例の態勢で事態の対応に乗り出した。環境省によると、今年のクマの出没件数は全国で2万792件、9月末時点で被害者108人、11月5日時点で、13人が死亡した。被害は北日本を中心に西日本にも及び、近畿2府4県では1373件に達した。日本には北海道のヒグマと本州のツキノワグマの2種が生息するが、いずれも近年、山林の食糧不足などを背景に生活圏へ進出が確認されている。新潟県新発田市では、警戒中の猟友会員がクマに襲われ、顔などに重傷を負った。男性は負傷しながらも自ら駆除を行ったという。秋田県が運用するクマ情報マップ「クマダス」には、14日だけで53件の目撃情報が寄せられた。秋田駅からも近い千秋公園では、10月25日、クマの出没が相次ぎ、立ち入り規制と解除が繰り返された。11月13日になってようやく規制が解除された。防衛省は5日、秋田県の要請を受けて、陸上自衛隊を派遣。捕獲の支援にあたっている。12日の参院予算委員会で高市総理は「近く対策パッケージをまとめ、補正予算を活用して順次実行する。猟友会への委託費や捕獲費用の支援を拡充する」と述べ、2025年度補正予算案に関連経費を盛り込む考えを示した。13日には、警察官によるライフル銃の使用を正式に認める運用が開始された。これにあわせて秋田県などの警察で「クマ駆除対応プロジェクトチーム」が発足。狙撃手2人、現場指揮官、管轄警察責任者の4人体制で、緊急時に出動する仕組みを整備した。14日に取りまとめられた政府の「クマ被害対策パッケージ」は、緊急・短期・中長期の3段階で構成される。緊急対応では、自衛隊・警察OBに狩猟免許の取得を促し、即戦力として協力を要請。短期施策では、いわゆる「ガバメントハンター(自治体による専門駆除班)」の人件費や資機材支援、冬眠期や冬眠明けを狙った個体数削減の実施。中長期施策としては、生活圏からの排除に向けたガイドライン改定や、個体数管理の見直しが盛り込まれた。一方で、市街地での駆除活動には課題も多い。住宅が密集する市街地での銃使用については、「跳弾による二次被害」など、住民の安全面への懸念が根強い。また、警察官によるライフル銃の操作や運用の可否をめぐっても、不安の声が少なくない。冬眠に入るはずのクマにも注意が必要だ。福島県喜多方市では昨年12月、民家のこたつに侵入したクマが頭を突っ込む事例が確認された。2020年1月、山形県米沢市では住宅の軒下で衰弱したクマが発見されるなど、かつて想定されなかった事態が各地で起きている。クマ出没の情報に精通する森林総合研究所の大西尚樹氏は、「今冬は冬眠できない子グマが出てくる可能性がある」と指摘する。母グマだけが駆除されて、冬眠の仕方もわからない子グマが出てくるというのだ。クマの分布域は1990年代以降、急速に回復してきた。大西氏は「狩猟の自粛や駆除の禁止・制限など、保護政策が長く続いたことに加え、ハンターの減少により、個体数が増加し、駆除が追い付かない状況がある」と説明する。被害が広がる要因の一つとして注目されているのが「ドングリ」の不作。冬眠前のクマにとって、ドングリは重要な栄養源である。豊作の年は山中で十分に食料を確保できるため、人里への出没は減る。しかし、凶作の年にはエサを求めて行動範囲を広げ、住宅地や農地への出没が増加する。北海道猟友会札幌支部に所属する現役ハンターの玉木康雄氏は、「各地で進むクマ対策の中には、電気柵など技術的手段もあるが、今年は柵を潜り抜けるクマが増えるなど、根本的な解決には至っていない」と対策の困難さを指摘する。全国で深刻化するクマの出没と被害。大西氏と玉木氏によると、被害抑止に向けて「個体数の調整」「ガバメントハンター(自治体による専門駆除班)の常設」「ハンター技術の承継」を挙げた。大西氏は、単発的な駆除に頼る従来の対策では限界があると指摘したうえで、「人の生活圏に現れた個体をその都度排除するだけではなく、広域的に生息密度を下げ、個体群動態や遺伝的多様性を長期的にモニタリングし、科学的根拠に基づいた管理基準を構築することが重要だ」と強調する。現場の実働を担う「ガバメントハンター」の常設化も課題の一つ。大西氏は「同時に、地域の環境管理を担う人材の育成が求められる」と専門人材の育成を訴える。玉木氏も「捕獲技術を持つ人が減っており、次世代への承継には金銭的な支援が必要だ。現場の判断を尊重し、状況に応じて柔軟に対応できる法規制が必要」と語る。一方で、ハンターの待遇は厳しい。
(クマ出没で住民同士がまさかの対立)
東北地方を中心に深刻化するクマ被害。中でも、人々が恐れているのが市街地やその周辺に出没するクマ「アーバンベア」だ。その影に住民たちが特に不安を募らせているエリアを取材した。とりわけ宮城県仙台市の中心部からかなり近い"ゴリゴリの市街地"である青葉区に注目。そこに住む人たちのリアルな声をお届けしたい。0月29日朝、記者は東京駅から東北新幹線に乗り、岩手県盛岡市へ向かった。到着は午前11時頃。そこから車で10分、向かった先は岩手大学だ。その前日、盛岡市中心部で2頭のツキノワグマ(以下、クマ)が出没した。28日午前6時45分頃、岩手銀行本店から盛岡東署に緊急通報が入った。場所は行政庁舎や金融機関のビルが立ち並ぶオフィス街のど真ん中。まだ通勤客の姿もまばらな早朝、1頭のクマが銀行本店の地下駐車場に迷い込んでいた。銀行は即座にシャッターを閉めて駐車場を封鎖。警察官が周囲を警戒する中、通勤客が足早に行き交う歩道のすぐそばで、「クマが駐車場内をグルグルと歩き回っていた」と警備員は振り返る。午前10時過ぎ、市の要請で出動していた獣医師が吹き矢を放った。麻酔弾が命中すると、黒い巨体はコンクリートの床に横たえた。捕獲は成功――だが、安堵(あんど)はつかの間、現場にはもう1頭いたのだ。「北の方角へ逃げた」。そんな通報が相次ぐ。そして約1時間後の午前11時50分。岩手銀行から北へ徒歩20分ほどの所にある岩手大学構内で、そのもう1頭が再び姿を現した。周辺は住宅や商業施設が並ぶ、人の往来が絶えない地域である。各教室では2時限目の授業の終了直前だった。警察の指示を受け、大学の総務広報課が構内放送を流す。「建物内で待機してください」。午後からは全学休講となり、警察の警戒の下、学生は続々と帰宅を始めた。幸い、けが人はいなかったが、校内にはまだクマが潜んでいる可能性が残されたままだった。翌日、記者が大学を訪れた時点でも、クマは捕獲されていなかった。正門で、自転車にまたがった農学部2年の学生に声をかけた。休講を知らずに来てしまったらしい。「農学部の入り口が『立ち入り禁止』になってて変だなと思ったんですけど。昨日は2限の授業がなくて、普通にキャンパスを歩いてましたよ! まさか、すぐそばにクマがいたなんて......」。大学からは学内システムを通じて全学生に注意喚起と休講の措置を発信していたが、スマホ通知を見落とすと、こうした"うっかり登校"も起きる。別の学生はこう語った。「昨日、昼過ぎまで学食に待機して、帰宅指示が出てから帰りました。自宅アパートまで500mほどですけど、もし途中でクマに出くわしたら命に関わる。あんな恐怖を感じながら帰ったのは初めてです」。目撃が相次いだのは、構内西端にある国際交流会館前。外国人留学生が暮らす宿舎の脇にある草地で、体長1mほどのクマがうろついていたという。インドネシア出身の留学生が、当時の状況をこう語る。「そのクマが出た場所は、私の寮の部屋からすぐ近くなんです。同じ寮の友人からLINEでそのクマの写真が送られてきて、『絶対に外に出るな!』と。画像を開いた瞬間、ゾッとしました」。岩手大学によれば、「構内でクマが出没したのは記録上初めて」(総務広報課)とのこと。目撃は29日午前9時まで続いたが、その後は途絶えた。それでも「大学内にいないという確証が得られない」(同課)として、授業再開には踏み切れないという(10月29日17時時点。30日から再開)。盛岡市の環境企画課は、警察署・猟友会と連携し、大学内の監視を続けた。「28日昼前から29日朝9時まで構内にいたことは確実。つまりひと晩、大学にいたことになります」(同課職員)。だが、夜間監視をどうするかを巡っては意見が割れた。「学内にはクマの生態に詳しい先生もいて、大学側から『人が監視で周囲を巡回するとクマが警戒して動かなくなる』という意見が出たんです。協議の結果、夜間はあえて、監視網を解くことにしました。その代わり、広報車で市民に不要不急の外出を控えるように呼びかけました」。その後、クマは大学近くを流れる雫石(しずくいし)川沿いへと移動したとみられるが、同一個体かどうかは不明だ。地震や台風のように「終わり」が見えるものではないから、「危機が去ったという確証が持てず、いつまた現れるかわからない」(近隣住民)という見えない恐怖がつきまとう。それが、街に出没するアーバンベアの厄介なところだ。盛岡市から車で約2時間半の距離にある宮城県仙台市青葉区国見。仙台駅からわずか4㎞ほどの住宅街で、近くには東北福祉大学や国見小学校、国見台病院が並ぶ。約600人の児童が通う国見小の周囲には一戸建て住宅がびっしりと立ち並ぶ、典型的なベッドタウンだ。10月25日午前0時過ぎ。この地域の一角にある民家の庭に、突然クマが現れた。高校生の長女が「バキッ、ボキッ」と枝が折れる音に気づき、2階の窓から裏庭をのぞく。わずか2~3m先にある柿の木。その枝に黒い影がよじ登り、熟した柿をむさぼっていた。「この家を建てて50年になります。ハクビシンは何度も見たが、クマは初めて。恐怖で足がすくみました」。そう振り返るのは家主の50代の父親だ。あまりのことに、地域安全対策委員を務める町内の男性へ連絡。車で2~3分の場所に住むその男性はすぐに現場へ向かったが、道中で「2頭のクマとすれ違った」という。民家に着くと、裏庭の柿の木にはまだ1頭がいた。そのクマはむしり取った柿の実をボトボトと庭の外の草地に落としていたという。崖下の草地には、別のクマがいた痕跡も残されていた。つまり、この民家から半径わずか100mの範囲に、少なくとも3、4頭のクマがいたことになる。同日午前2時55分頃、この民家から車で5分ほど離れた市道で、今度は走行中のタクシーとクマが衝突する事故が発生した。現場は国見小の目と鼻の先。児童が多く通うスイミングスクールの目の前だ。タクシー運転手は乗務を終え、営業所に戻る途中だった。時速30キロ程度で走行していたところ突然、「ドン!」という激しい衝撃。人身事故の可能性もあると考えた運転手は、すぐに車を止めて外へ出た。暗闇の中、やぶのほうでガサガサと音を立て、黒い影が動くのが見えたという。助手席側のフロントフェンダーは、幅1mほどにわたり大きくへこんでいた。帰社後にドライブレコーダーを確認すると、左前方の竹やぶから飛び出す体長1m弱のクマの姿が、ヘッドライトに照らされていた。当時の状況を聞こうとタクシー会社を訪れたが、運転手は「精神的にショックが大きく、この件は話したくない」(平和交通・営業次長)という状態だった。衝突事故の約3時間前にクマが出没した民家のある住宅街と事故現場の間には、小さな山が横たわり、麓を細い川が流れている。「その川沿いが、クマの獣道になっているんじゃないか」と地元住民は不安そうに語る。その山は、国見地区の中心部に位置し、JR仙山線沿いから事故現場の市道まで南北に広がる。面積はおよそ東京ドーム3個分。複数の地主が共同所有する土地で、「クマ出没の前兆はあった」と地主のひとりは語る。「夏はクワガタ捕り、春や秋は山菜採りと、林地にはよく出入りしています。もともとカモシカの生息地でしたが、近年はイノシシも増え出していました。ところが今年に入ってから、カモシカの姿が消え、イノシシも箱わなにまったくかからなくなった。その代わり、見たことのない山盛りのフンを頻繁に目にするようになったんです。この異変は近隣の山でも同じで、夏以降は周辺の畑や庭でブドウが食い荒らされていたり、夜中に飼い犬がほえ続けたりといったことが続いていました」。別の住民も、不安げにこう証言する。「去年までは庭の芋を掘り返されるイノシシ被害ばかりでした。今年はそれがパッタリとなくなり、代わりにクマが出た。ここ国見4丁目では初めてです。これまでは山続きの隣町でたまに目撃される程度だったのに......。いよいよ街のほうまで下りてきたんだと思うと、本当に怖いです」。クマ出没以降、この町では小さな異変が続いている。「多数のカラスが集まり、ガーガーと騒ぐようになった」。と話すのは、衝突事故現場近くのマンション管理人だ。そのマンションには至る所に注意喚起のお知らせが張られ、正面玄関の扉には《クマ侵入の恐れあり ドアは確実に閉めてください!》とある。国見小学校ではクマ出没後から集団下校の措置が取られた。下校時刻になると2、3人の教諭が引率し、子供たちはさまざまな鈴音を鳴らしながら事故現場近くを下校していた。「うちは家族全員にクマ鈴を持たせています。鈴の音が人の存在を知らせ、クマを遠ざけてくれると聞きました」。そう話す保護者がいる一方で、別の母親は首を振る。「ネットで調べると、『鈴の音は逆にクマを呼び寄せる』って記事がたくさん出てきます。うちは持たせていません」。だが、わが子と一緒に登校する友達が鳴らしていたら意味がない。あるとき、子供の母親同士でこんな会話が繰り広げられていたという。「鈴は危ないから、〇〇ちゃんに持たせないでほしい」「何を言っているの? 学校も持たせろって言ってるじゃない!」。クマ鈴が、住民同士の対立を生む火種になっていた。さらに、地域ではこんな声も漏れる。「あそこのお宅、庭に柿がたくさんなったまま。この状況でほったらかしなんて、無神経すぎない?」。庭に立派な柿の木を持つ住人は、申し訳なさそうにこう話す。「『柿はクマのエサになるから切って!』っていう無言の圧力を感じますし、冷たい視線を向けられているのもわかっています。でも、うちのシンボルツリーで、子供の誕生木でもあるんです。そう簡単に切れるものじゃありません」。クマ出没が相次ぐ昨今、住民が求めているのは、鈴よりももっと強力なものだ。「街中でもいつ、どこでクマと出くわすかわからない。問題は"どう寄せつけないか"ではなく、いざというときに"どう撃退するか"という段階に来ています」(地元住民)。その具体策として、今最もニーズが高まっているのが「ベアスプレー」だ。現在、国内に流通するのはグリズリー用に開発された米国製の数アイテムで、強力なトウガラシ成分を含み、噴射距離は10m前後。噴射すればクマの視力を奪い、攻撃を回避できる可能性が格段に高まる。価格は1本1万~2万円と高価だが、護身用としての需要が急増している。しかし、仙台市内で同商品を取り扱うアウトドアグッズのショップでは、いずれも品薄の状態が続いているようだ。「現在は品切れで、次の入荷時期は未定です。入荷しても即日完売しますね」「他地域の在庫を融通してもらっていますが、入荷しても予約分で即完売、レンタルも在庫ゼロです。残念ながら年内の入荷の見込みはありません」(市内の登山用品店)。小学生の下校を見守る地域ボランティアはこう嘆く。「ベアスプレーは子供には持たせられないですが、私たち交通指導隊員には必須。でも今はどこに行っても手に入らず、停止棒しかない丸腰の状態です。もし下校中にクマが現れたらと思うと、背筋が凍ります」。仙台市や地元猟友会は、クマの捕獲や駆除を含む対応策の検討に追われている。だが、街中で猟銃は使えない。頼みの綱となるのは箱わなだ。監視カメラでクマの動きを追い、その通り道に設置して捕獲を図る。仙台市内で活動する猟友会の関係者によれば、「市内では10月中の1週間で10頭ほどが箱わなにかかった」という。国見地区でも猟友会に箱わなの設置を要請したが、「クマ用は残り1基しかない」との回答だった。仙台市内では国見地区がある青葉区に限らず、泉区や太白区などでも出没が相次ぐ今、わずかな箱わなをどこに回すか――その判断が地域の重い課題になっている。「箱わなを設置すれば、多くの場合、夜中にクマがかかります。中で暴れ回るクマが金属おりに巨体を打ちつける衝撃音が、静まり返った住宅街に響き渡る。同時に、耳をつんざくようなうなり声が200~300m先まで響き、強烈な獣臭が周辺一帯に漂う。これが、猟友会が駆けつける朝まで断続的に続く。箱わなの設置には、それを覚悟した上で捕獲に踏み切るかという、周辺住民や町内会の決断が求められます。ですが、そうした経験がない市街地では、その判断が大きな壁になります」(前出・猟友会関係者)。国もアーバンベアへの対応を強化している。今年9月、改正鳥獣保護管理法が施行され、市街地に出没したクマに対し、市町村の判断で猟銃を使用できる「緊急銃猟」が認められた。しかし、盛岡市環境企画課の担当者は、その運用の難しさについてこう語る。「緊急銃猟は、安全が確保された現場でなければ実施できません。しかし今回、複数のクマが出没した銀行周辺や大学構内といった市街地は、コンクリートの建物に囲まれ、路面も舗装されています。発砲すれば跳弾による人的被害や器物損壊の恐れがあり、実施は困難です。河川敷や公園でも、地面に小石があれば同様に危険。事実上、市街地での緊急銃猟は不可能に近いというのが実情です」。こうした制度上の限界もあり、各地で手の打ちようがないまま出没だけが増え続けている。今年4~9月までのクマによる死者はすでに10人を超え、過去最多を更新中だ。アーバンベアの急増について、クマの生態に詳しい森林総合研究所東北支所の大西尚樹・動物生態遺伝担当チーム長はこう指摘する。「今年は、ブナやコナラなどクマのエサとなる木の実が凶作だったことが、出没増の直接的な要因です。ただ根本的には、クマが繁殖するスピードに対して、駆除の圧力が追いついていない。その結果、個体数が増え、奥山から人里、そして市街地へとあふれ出すように、クマの分布域が広がっています。いったん人里に出てきたクマは、その周辺にとどまり、やがて繁殖もする。つまり、一度町側へ下りた分布域の最前線が後退することはありません。こうして人慣れしたアーバンベアが増え、その一部が人に危害を加えるという構図です。今年のような大量出没は、木の実の豊凶によって収まる年もあるでしょう。しかし、根本的な要因が解決されない限り、出没の連鎖は続きます」。では、どうすればいいのか。「現状では、人身被害や農作物被害が出てから対応する"受け身"の駆除が中心です。これを、個体数そのものを減らす"攻め"の駆除へと転換する。例えば、冬眠中のクマを狙う『穴狩り』や、冬眠明けを仕留める『春グマ駆除』は動物保護の観点から規制されていますが、その緩和や解禁も含め、検討すべき時期に来ていると考えます」。アーバンベアの進撃を食い止めることはできるのか。
(猟友会歴10年超えるハンターが口にした不安、「緊急銃猟」の難しさ:島根)
今年全国で過去最多を更新したクマの出没。島根県大田市の小学校近くでも目撃され、集団下校など、対応が続いています。住宅地でも銃でクマを駆除できる「緊急銃猟」が始まり、警察による駆除もできるようになりましたが、街中でクマを撃つこと、ベテラン猟師でも難しいようです。12日午後1時半ごろ、大田市の仁摩小学校で昼休みに校庭で遊んでいた児童が隣接する山に体長1.3メートルほどのクマとみられる動物が入っていくのを目撃しました。学校では当面、集団下校とするなど対策を講じていますが近くの住民は不安を露わにします。住民によるとイノシシなどに比べると少ないものの、付近でクマが見かけたという情報は確かにあるとのこと。市は小学校での目撃ということで、警戒を強めています。大田市役所 農林水産課 森山久利 課長「姿だったり足跡の痕跡は今回見受けられなかったが、現状を注視し見守っていきたい。センサーカメラの設置だったり、島根県と協力してクマ用の捕獲檻の設置も視野に考えているところ」。そして「緊急銃猟」については県などと相談し万が一に備えて、体制を整えているということです。人里に近づくクマ、決して遠いところでの話ではありません。「クマ対策のため出動します」。国家公安委員会規則の改正に伴い、警察官によるライフル銃を使ったクマの駆除が可能になり、秋田県警のプロジェクトチームが編成されました。今年のクマの出没件数は上半期だけで2万件を超え過去最多、死亡事故も13件と過去最多を更新、9月にはヒトの生活圏でも市町村長の判断で猟銃を使って捕獲できる「緊急銃猟」制度が始まりました。日野郡猟友会(鳥取県) 高野伸也 会長「イノシシとか大型のやつに使うのがこんなスラッグ弾と言われるものなので、これが一発玉で非常に殺傷能力が高いものになります」。猟友会歴11年の高野会長、動く動物を撃つのはかなり難しく、行動パターンや逃走ルートなど安全な射撃ポジションの把握も不可欠だということです。日野郡猟友会 高野伸也 会長「銃に慣れ親しむということができるかできないかというのは大きな差だと思う。本当に僕はたまたま幸運でそういった機会に多く恵まれたので問題なかったかなと思う」。山の中でなく、街中で行われる「緊急銃猟」。猟友会歴10年を超える高野会長ですら市街地で銃を扱うことと、クマ駆除の経験値・知識が足りないと不安をのぞかせます。さらに、クマは一撃必殺が鉄則で、急所を一発で仕留めないとクマがより狂暴化するリスクもあります。日野郡猟友会 高野伸也 会長「先駆者の事例が東北とかにいっぱいあるんでそういったのをきちんと学びながら対峙していけたらなと。いざやるとなったらきちんと対応できるようにしておきたいなと思う」。東北と違いクマのえさとなるコナラなどが豊作だった今年の山陰地方では、クマの人里への出没は限定的ですが、被害のない今のうちにクマをおびき寄せる放置果樹の撤去など、対策を進めることが大切です。
(クマ駆除に警察官、安全確保し練度向上を:秋田)
クマによる被害が相次いでいることを受け、警察庁は今月、警察官がライフル銃で駆除に当たれるよう、国家公安委員会規則を改正した。13日から施行されており、とりわけ被害が甚大な本県と岩手県に他の都道府県から銃器対策部隊が派遣され、地元警察官と共に活動している。自身の安全確保を万全にして活動し、住民の被害抑止につなげてほしい。県によると、本年度は15日までにクマによる人身被害が58件発生。4人が亡くなり、62人が負傷している。過去最多だった2023年度は62件起き、70人がけがを負った。死者はゼロだった。今年の被害のうち、約95%の55件が人の生活圏で発生している。散歩中や農作業中といった事例が目立つほか、今月に入ってからは自宅敷地で襲われたケースも増加。クマが人の生活圏に入り込んでいる実態が浮かび上がる。規則の改正は、国がクマ被害対策に本腰を入れ始めた姿勢の一つと言えよう。ライフル銃の使用は、従来はハイジャック事件のほか、凶悪犯罪の予防・鎮圧などに限定されていた。今月には本県の要請を受けて陸上自衛隊も派遣されている。それだけ出没や被害の状況が異常だということだ。政府は14日、昨年2月に策定した「クマ被害対策パッケージ」を改定。規則改正の内容のほか、狩猟免許を持つ人を公務員として任用する「ガバメントハンター」の確保や、適切な個体数とするための統一的な手法による個体数推定などを盛り込んだ。着実に進められることを期待する。規則改正の施行を前に、県内では任務に当たる警察官の対処能力向上を図る研修が実施された。皮切りとなった7日の北秋田署での座学では県猟友会から講師を招き、クマの時間帯ごとの行動パターンといった生態の理解に努めた。11日には先月緊急銃猟があった横手市の現場を視察し、市職員らから当時のプロセスなどを聞いた。ライフル銃を用いたクマの駆除は、恒久的な措置だ。相次ぐ被害が今年に限ったものだと今後を楽観視できる材料はない。県警には引き続き猟友会、自治体と連携を深めるとともに、警察官の練度向上を図る取り組みを進めるよう求めたい。警察官のライフル銃による駆除は、市町村が実施を判断する緊急銃猟ではなく、警察官職務執行法に基づく。駆除の新たな担い手は市町村や住民にとって心強い存在と言えるだろう。駆除の中心的な担い手として活動する猟友会員には仕事を持っている人も少なくない。特に平日は人員の確保が困難なケースもある。警察官が任務として駆除に臨む事例は、クマが冬眠に入るとされる本格的な降雪期まで続く可能性がある。住民の期待を糧に活動に当たってもらいたい。
(「耳の付け根から鼻柱までザックリ割れて…」ヒグマを追い詰めた勇敢な猟犬の「死闘の結末」)
戦前~戦後の北海道の奥地において、人々はヒグマの気配を身近に感じて暮らしていた。作家の今野保は、若き日に父とヤマドリ猟に出かけた先で熊と遭遇。父が銃を構え、勇敢な猟犬4頭が熊を追い詰めるも、事態は一変する――。※本稿は、作家の今野 保『羆吼ゆる山』(山と渓谷社)の一部を抜粋・編集したものです。この秋には、藤島の娘・松江が椎茸を採りに山に入って大きな熊に出くわし、恐ろしさのあまり木に上っていたところへ偶然私が通りかかって救けだす、という一幕があったほか、秋から冬の半ばにかけては、二号の窯から三号の窯の近辺に、しばしば大熊が姿を見せ、そのつど父や私が銃を持って駈けつけたが、熊は私たちの追跡をたくみに逃がれて、どこかで冬ごもりに入ってしまったものと思われた。山は雪をまとって眠りにつき、人もまた静謐な日々の営みに明け暮れ、こうして昭和11年の春を迎えようとしていた。私は20歳となり、山元の仕事は父の在否にかかわらずすべて1人で切り回し、父も安心して外交に出歩くようになっていた。雪どけの訪れとともに山々に日一日と春の息吹が満ち満ちて、猟期も終わりに近づいた4月のある日、朝から父と一緒にヤマドリ(蝦夷雷鳥)を撃ちに出かけた。久し振りに咲梅の沢を奥へ向かい、礦区の沢の真向かいに流れ込む枝沢(通称・小田切の沢)へと歩を進めた。小田切の沢という名は、この沢に小田切姓の一家が入山して木炭を焼いていたことに由るもので、山に関係のあった人たちにしか通用しない呼名であった。その小田切一家は6年前にそこから転出し、今ではこの小沢を訪れる人もなく、昔の径は雑草の中に埋もれていた。だが、その沢の流れはヤマベ(ヤマメ)の魚影が濃く、釣り好きの私はしばしばここへ足を運んでいた。今はちょうどヤマドリの繁殖期が始まったところ。いたるところに巣造りにとりかかった牡(おす)と牝(めす)の番がいて、呼び笛を吹きさえすれば、どこからともなくそれに応える鳴き声が上がり、ヤマドリのほうからこちらへ飛んでくるのである。父は、ヤマドリが一番でいるときは必ず牝から先に撃つことにしていた。それは、牝を先に撃ち落としても、牡はその近くの木に飛び移りはするものの、遠くには飛び去らないものだからである。反対に牡を先に撃つと、牝はそれこそ一直線に遠くへ飛んでいってしまう。私も何度かそんなことを経験していたので、この頃は、父のように牡牝を見分けて撃つようになっていた。こうして2人はヤマドリを求めて小田切の沢を上り詰め、咲梅川と鳧舞川本流の間の峰伝いに左へ進路をとった。〈大橋(編集部注/大橋清子。著者の父の知人の娘で、家族で転居した)が住んでいた沢の詰めを回り、最終的には、伊藤の叔父が住んでいた沢を下って咲梅川本流に出てから帰宅する〉というのが、この日父がたてた予定であった。私たちについてきた犬は、ノンコ、四郎、チョコ、そして伊藤の家(編集部注/著者の叔父一家)で飼われているアンコの4頭であった。犬たちは2人の先になり後になりして峰まではついてきたが、いつものように、どこかへ姿を消した。日当りの良いところでは雪がすっかり解けて、落葉でくすんだ山肌もところどころ芽吹きの淡い青味を帯び始めている。だが、北向きの斜面や日陰の多いところにはまだ残雪があり、昼近くまでなら固雪となっているので、その上を走って通れるほどである。昼少し前、2人は、かつて藤田の山(編集部注/北海道・五鹿山の一帯は藤田製炭所の持ち山)が盛んな折りに伊藤の叔父が木炭を焼いていた沢の源流に来ていた。「保、ここで飯にするか。ヤマドリも20羽くらいはあるべよ。飯がすんだら、この沢を下って、あとはどこにも寄らずに帰ることにするぞ」と父が言った。「はい」と返事をして、私はヤマドリの入った袋をその場におろし、腰に下げていたお握りの包みを開いた。乾いた寝木に腰かけて昼食をとり、それから、二等分したヤマドリを各々の袋に入れていると、沢の下の方で激しく吠える犬の声がした。なにか獲物を見つけた犬たちが、その取り合いでもしているのかと思ったが、すぐ、それが違うことに気づいた。もしかしてヤマウサギなどを捕ったとしても、一番先に口をつけるのはノンコで、次は四郎、チョコと決まっており、一番若いアンコは余ったところを片づける、という序列なのだから、獲物を中にしてあの犬たちが争いをするはずはない。「保よ、ひょっとすると、熊が穴から出たかもしれないぞ。早く袋を背負って鉄砲に実弾を込めろ」。そう言うが早いか、父は即座に支度をととのえて歩きだした。私も言われた通りに支度して父の後を追った。沢を下るにつれて雪は深くなり、しかもそれまで固雪であったものが解け始めたため、時おりズボリと泥濘ってしまい、たっぷりと水気を含んだ雪でコール天の乗馬ズボンが膝までずぶ濡れになってしまった。その雪の表面に、すでに残雪の失せた右側の斜面から下ってきた熊の足跡が点々と付いていた。熊は、固さを留めていた雪の上を歩いたのであろう、足跡には深く泥濘ったところは見出せなかった。そして雪の表面にはさらに、熊の足跡を辿って走っていった犬の足跡も、幾筋か付いていた。激しく吠える犬の声は、かしましいほどに聞こえてくるが、現場はもっと下のようだ。足の冷たさを堪えていた2人は、右に進路を変えて雪のない斜面に取り付き、急斜面に足をとられながらも走るようにして沢を下った。やがて、沢の中から雪が見えなくなり、山裾に、炭木を曳き出すためにつけた径の跡が現われた。急斜面からその径に降り、ところどころに穴ぼこのできた足下を選びながら、私たちはなおも下っていった。犬たちはすぐ間近で吠えていたが、それはどうやら右から入り込んでいる小沢の辺りと見受けられた。その小沢は、入口は狭いが、少し入ったところに広々とした湿地帯を形成しており、湿地帯はクマウバユリの自生地となっていた。入口から湿地帯に足を踏み入れると、犬の声は上手の、沢筋を左に曲がったカーブの辺りから聞こえてくるものと思われた。湿地の山裾に背負い袋を下ろして身軽になった2人は、一歩一歩、前方を確かめるようにして、そのカーブを回っていった。“いたっ”。曲がり角から20メートルほど先の左の山裾に、古いカツラの大木の切り株を背にして1頭の熊が坐り込み、前足を大きく振り上げて、激しく吠えかかる犬に対抗していた。熊としてはそれほど大きなものではなく、4、5歳の若熊と思われた。その辺りは沢が開けていて、犬が攻撃を仕掛けるのに充分の広さがあり、右から左から代わる代わる熊に攻めかかる犬たちの動きに、私たちはしばし目をみはっていた。一帯の山は炭木を切った跡で、熊が上れるような立ち木はない。追いつめられた熊は、やむなくカツラの切り株を背に坐り込んだものと見受けられた。だが、攻撃する犬にしてみれば、それはきわめて都合の悪いことであった。犬は、常に熊の背後から攻めかかり後足に噛みつくのを最も得意な戦法にしているが、このように後ろ楯を取って坐り込まれては、前か横から攻めるしか手立てはない。横から攻めては前へ回りつつ、4頭の犬は交互にめまぐるしく攻め立てていった。熊は、犬たちに気をとられているらしい、私たちが接近しているのに気づかぬまま、ひたすら前足を振って犬を追い払うのに躍起となっている。父が銃を持ってゆっくりと右の斜面に登ってゆき、私は左の斜面に上がった。そのとき、私たちの動きに気づいたアンコが一段と猛り立って攻撃に出た。左側から激しく攻める四郎に手こずっていた熊は、右の脇腹を攻めにかかったアンコには振り向くいとまもなく、ただ大きく右の前足を振った。その前足がさっと跳び退いたアンコの頭を引っ掻いた。その場をしりぞいたアンコは、くるくるとせわしなく回っていたが、突然、頭を激しく振り、声もたてずに飛び跳ねながら、狂ったように走りだし、後ろを振り返りもせず、一散に斜面を駈け上がって、山の奥へ消えてしまった。今度は正面からチョコが、左からは四郎が、そして右からはアンコに代わってノンコが攻めかかった。襲っては離れ、離れてはまた襲いかかる犬たちの攻勢をひとまず回避しようというのか、熊は急に身をひるがえし、一瞬後、背後の切り株に上った。こうなれば、弾が犬に当たるのを気遣って射撃を手控える必要はない。父は即座に銃を構え、引き金をひいた。倒れ臥した熊の四足を縄で縛り、棒を通して肩を入れてみると、それは2人でどうやら担げそうな重さであった。途中で何度も小休止をとりながら、一里あまりの道を松本さんの家(編集部注/地元の農家)まで運び、そこで馬車を仕立ててもらって家まで搬送した。すでに暗くなっていたので、解体は明朝から行なうことになった。その夜遅くまで、私たちはアンコの帰りを待っていた。だが、深夜になってもアンコは戻ってこなかった。次の日は朝早くから熊の解体とヤマドリの処理が始まったが、私はそれを皆にまかせて、アンコを捜しに昨日の沢へ出かけることにし、銃を背に家を出た。1人よりも2人のほうが広く捜せるであろうというわけで、従姉妹のフミが私についてきた。アンコは、フミがたいそう可愛がって育てた犬であった。捜しにいくならどうしても自分を連れていって、とフミは自ら申し出た。父も叔父もフミの心情を酌み、「1人よりも2人のほうが……」と言い添えて、同行を認めたのである。2人は峰からヒラ(編集部注/ヒラマエを略した言い方で、斜面の意)へと下り、別の小沢へも足を向け、辺り一帯をくまなく探索した。だが、アンコの行方は杳として知れなかった。昼食をすませたフミと私は、そこから小田切の沢へ下って沢沿いや左岸のヒラを捜した後、陽が落ちて薄暗くなった径をたどり、帰途についた。帰宅するとすぐ、私は妹の実子と敏子の2人に付き添って、川上まで出かけた。用事が済んで家の近くまで戻ってきたとき、暗い道の真ん中に、ぼんやりと何か白っぽいものがうずくまっているのが見えた。「兄ちゃん、何かいる、あっ動いた」と言って、2人の妹が左右から私にしがみついた。すると、その白っぽいものはこちらへ近づいてきて、私の足元に体をすりよせた。それが、今日一日あれほど捜し回っても見つからなかったアンコであることは、すぐに判った。「アンコ!お前、どこにいってたんだ、今日はフミと2人で一日中、捜したんだぞ」と声を掛けながら、軽く頭を叩いてやった。クーンと消え入りそうな声でアンコが鳴いた。アンコの頭に手が触れたとき、何か液状のものにさわったような気がした。すぐに家に連れ帰って灯の下で見ると、真っ赤な血が手にべっとりとついていた。そしてアンコの頭は、耳の付け根から鼻柱にかけてザックリと割れて肉がはじけたように盛り上がっており、そこから相当多量の出血があったものと見受けられた。思えばあのとき、父と私の姿を認めて一段と激しく攻めかかったアンコだったが、熊の振るった前足の鋭い爪を、もろに頭に受けてしまったのである。これほどの深手を負わされては、狂ったように走り去るのも無理からぬことであったろう。傷薬を塗って手当てをしてやり、それから私はアンコを背にしっかりとおんぶして、伊藤の、フミのところへ連れていった。庭の片隅に寝床を作り、そっと寝かせてから、叔母とフミがつくった餌を与えてみた。アンコはピチャピチャと舌で少し舐めただけであった。そして翌日、薬を持ってもう一度手当てをしてやるつもりで行った私の手や、叔母やフミの手を舐めていたアンコは、昼近くになって、キューンと一声、細い声で鳴きながら、ついに息を引きとってしまった。
(クマ目撃多発の湯沢町、駆除現場に記者が同行:新潟)
クマによる被害が多発している。湯沢町や南魚沼市では、クマのものとみられるふんや足跡を多く見かける。地元猟友会とわなの設置や捕獲現場に同行し、かかったクマを駆除する現場に立ち会った。住民の命を守ろうと危険な業務に立ち向かう猟友会の取り組みや、年々会員数が減っている現状を取材した。体が震えた。「パン」。鼓膜が破れそうな爆音が響いた。わなにかかったクマの駆除が終わったのだと悟った。体長約0・5メートルの子グマだった。動かなくなった姿を見て、「かわいそう」という気持ちも芽生えた。しかし、人の命が危険にさらされている待ったなしの状況にあることを、思い返した。わなが仕掛けられた現場に向かったのは、10月31日の午前7時前だった。「キャー、キャー」と甲高い鳴き声が聞こえた。初めて聞くクマの鳴き声は想像していた低く、うなる声とは全く違っていた。遠くからは、人間の声に似ているようにも感じた。「危ないから下がって」。わなから約20メートル。猟友会員がシャッターの前に立った。そして、散弾銃を構えた。
(クマと闘う「警察スナイパー」が覚えるべき狙撃術とは?)
急増する出没・人的被害。ライフル銃解禁は対策の切り札になるのか!?11月13日から解禁された、クマ駆除における警察官のライフル銃の使用。これを効率良く運用するには、どういった技術や装備が必要なのか? 元警察官で機動戦術部隊(通称・RATS)に所属していた田村忠嗣(たむら・ただし)さんにお聞きします!11月13日から、クマ駆除において警察官によるライフル銃の使用が可能になった。警察官がライフル銃を運用することは、国内のクマ対策の決定打となるのか? そこで、今回お話を聞いたのが、元埼玉県警機動戦術部隊(通称・RATS)の田村忠嗣さん。ゴリゴリの元特殊部隊員で現在は「田村装備開発」で警察・自衛隊などプロ向けの装備品開発を行ないつつ、YouTubeチャンネル『ガチタマTV』では最新の戦技や海外のハンター事情なども紹介。警察以上に見識の広い田村さんが考えるクマ対策を紹介します。――今回、ライフル銃を扱う警察官2人、そのサポートに2人というチーム構成が明らかになっています。この人員についてどう見ますか?田村 正直、厳しいでしょう。――でも、ライフル銃を扱うのは銃器対策部隊の隊員。それこそ、サミットでの対テロ警備、空港や原発警備も行なう特殊部隊員なのでは?田村 警察の特殊部隊は〝対人〟を想定した訓練を行なっています。これに関しては優秀ですが、対クマを想定した訓練はありません。現在、現場に派遣された隊員らが急ピッチで地元猟友会のハンターから指導を受けていますが、クマの駆除を想定した技術を習得するには時間がかかり、隊員数も足りないでしょう。――隊員数は何人ぐらいが理想ですか?田村 最低でも10人。例えば、ライフル銃の射手2人、彼らに射撃の指示を出す観測手が2人。そして数人に槍を持たせます。――槍って......。警察官なら拳銃を持っていますよね?田村 市街地に侵入したクマと対峙する場合は、初弾命中が極めて重要となります。もし、初弾でクマの脅威を排除できなかった場合、クマに対して追加の発砲を行なうと、射線の関係上、市民を危険にさらす可能性があります。クマが警察官に突進してくる場合は、最後の手段として槍などが必要なのです。――そもそも、クマ相手に接近戦なんて無謀なのでは?田村 クマ猟の経験のあるハンターに聞くと、「クマは銃声に対して逃げるのではなく、そこに向かってくるケースが多い」と言います。なので、そこを数人の隊員が槍で突くという戦術になります。そして、ライフルを持った隊員が森林でクマと接近戦を行なう場合は、照準は雑でもいいのでとにかく反射的に撃つ「インスティンクト射撃」の訓練が必要です。こういった訓練は警察の特殊部隊でもほとんど行ないませんが、近距離戦闘では素早く射撃できる技術が重要となります。田村さんが着用するのは襟が高く設定され、全身に対刃物性能を持った高性能防護服「AIGIS-CQC」。このような射撃技術やアイテムもクマ駆除に有効なはずだ。――では、警察に足りない装備とは?田村 弾薬です。警察や自衛隊が使用する弾薬の多くは人間の体を貫通しやすいタイプでクマへの効果は薄い。海外でクマのような大型の生物を狩猟する場合は、弾着時に体内で弾頭が変形して広範囲でダメージを与えるホローポイント弾を使用するのが常識です。しかし、ハンターはこの弾薬を使用できますが、警察や自衛隊は法的に使用が難しい。なので、行政がホローポイント弾を管理し、クマ駆除時に限定的に使用できるようにするといった法整備も必要でしょう。――弾薬以外にも必要な装備品はありますか?田村 夜間用の暗視装置、熱源を検知してそれを映像化するサーマル光学照準器などが有効に使える装備品となります。そして、ドローンです。サーマル光学機器を搭載したドローンで索敵することで、効率良くクマの発見・追跡が行なえます。ただし、これらは警察には十分に配備されておらず、ライフル銃と同じで扱える隊員も限られています。――では、警察の特殊部隊隊員をクマ駆除に大動員するというのは?田村 警察の特殊部隊が配置されるのは政府機関や空港などの超重要拠点のある地域になります。「◯◯県警の特殊部隊隊員◯人、クマ駆除に派遣」と報道されたら、国内のセキュリティ的には大問題なので難しいでしょう。――実は、クマ駆除は自衛隊に担当してもらうのが正解?田村 圧倒的に自衛隊です。一部の警察特殊部隊を除き、多くの警察官の射撃練度は低く、自衛隊員とは大きな差があります。そして、自衛隊には大口径ライフル、ドローンや各種光学機器もそろっています。ただ、現役の自衛官であっても狩猟経験のある人間は少ない。やはり、対人と対クマでは気配の感じ方や立ち回りがまったく異なるので、自衛官であってもハンターの指導が必要不可欠だと思います。――現在、ハンターの不足や高齢化も問題となっています。これに対する考えは?田村 現役の警察官や自衛官、そのOBなど射撃経験のある人間には「狩猟免許」や「銃砲所持許可」の取得を簡易化する制度が必要だと思っています。例えば、新米のハンターがクマ駆除で使用するライフル銃を所持するには、現状では特例を除き10年近くかかります。現在、弊社の自衛隊OBが狩猟免許を取得しようと講習に通っていますが、高齢の競技射手が不用意に銃口を人に向けるなど銃の取り扱いがあまりにもずさんだと嘆いていました。こういった問題点も、最新の銃火器に関する取り扱いに長けた自衛官が加わることで解消できるでしょう。――最後に狩猟と深い付き合いがある、田村装備開発取締役兼農家の田村憲道さんがクマ駆除の現状を語ってくれた。「昔はクマ狩りで食ってたハンターがいっぱいいたし、私のような農家は本当に感謝していました。ただ、近年は狩猟では生活できません。それこそ高い弾薬は1発1500円以上します。射撃練習も気軽に行なえず、若いハンターを育てる環境になっていません。また、昔は〝穴狩り〟と呼ばれる冬眠中のクマを撃つ猟も盛んでした。こういった狩猟方法も現代のナビゲーション技術と融合して進化させれば、より効率的な駆除ができると思っています」。クマ駆除には、警察や自衛隊の協力、そしてハンターの経験を生かした官民一体の新制度の導入が必要かと!
(星のや富士で体験した狩猟体験ツアー:山﨑理恵)
丘陵のグランピングを楽しめる「星のや富士」で、ちょっとディープな“狩猟体験ツアー”に参加してきました。自然とともに生きる知恵を、まるごと肌で感じる旅。狩猟はわな猟スタイル。体験のあとは、猟師さんの手料理ジビエを堪能し、夜は星のや富士の森でコース仕立てのジビエディナー。翌日は、なんと部屋に印伝職人さんが出張してくれて、鹿革のクラフト体験まで!森と命にしっかり向き合ったツアーをリポートします。森を歩くと、落ち葉を踏む音がかすかに響き、風が木々の間を抜けていきました。案内してくれたのは、地元でわな猟を続ける猟師、古屋永輔さんと滝口雅博さん。森の途中で立ち止まり、湿った土を指先でなぞりながら「ここを昨夜、シカさんが通りましたね」「これはシカさんが座っていたあとです」と。ほんの小さな足跡や折れた枝から、動物の習性や風の流れを読み取っていきます。わな猟って、ただ罠を仕掛けて待つだけじゃないんですね。シカの行動を想像して、風向きや地形を読み、人の匂いをどう消すかまで考える、、、まさに、森とシカの“知恵比べ”。歩きながら、シカとイノシシとの違いや、肉をムダなく使う工夫などをいろいろ教えてくれました。子どものシカはわなにかかっていても逃がしてあげます。大きめのシカは脳しんとうさせ、できるだけ素早く血を抜きます。シカにナイフが入った瞬間、深紅の血とともに湯気がふわっと立ち上がり、森の冷たい空気の中に溶けていきました。まるで魂が抜けていくように。思わず息をのみました。けれど、その光景にはどこか静かな“正しさ”がありました。あっという間に虫たちが集まり、森が命を受け取っていく。奪うことではなく、巡っていくこと。その場に立っているだけで、自分もその循環の一部になったような気がしました。猟師さんの動きには無駄がなく、迷いもない。森を歩き、命を奪い、解体する。そのすべての所作に、自然と向き合う真摯な姿勢が宿っていました。見回りを終えると、猟師さんがその場でジビエランチを用意してくれました。「これは100キロクラスの雄鹿をさばいて冷凍しておいたものです。ドリップ、出てないでしょう?」。そう言って笑う猟師さんの表情は、ちょっと誇らしげ。仕留め方、血抜き、解体、温度管理──どれも肉のおいしさを決める大事な要素。ベテラン猟師さんのその手際の良さに、驚きました。鹿肉は、驚くほどやわらかく、噛むほどに森の香りが広がります。朝採れ舞茸の天ぷら、鹿肉と猪肉の燻製も並び、まるで森のフルコース。おいしいことはもちろんのこと、「命をいただく」って、こういうことなんだな。食べ終わったあと、体の中がじんわり温かくなり、力をもらった感じがしました。夜、星のや富士で、再びジビエ料理が登場。鹿革のカップに注がれたスープ、甲州ワインと合わせたロース肉、朴葉味噌とレバーの蒸し野菜……。目にも美しく、味わいも深いコースでした。全国に広がるシカやイノシシが増えてしまったことによる害獣被害。富士北麓も例外ではなく、県と猟師たちにより、個体数の調整を行っています。そして、捕獲されたシカやイノシシのうち、ジビエとして活用されるのは全体の1割ほど。残りは破棄されてしまうのが現状です。星のや富士では、この地域課題に向き合い、開業以来ジビエを積極的に活用。食を通して“森と人の共存”を伝え続けています。翌日は部屋で印伝体験です。(甲州)印伝とは鹿革に漆で模様をつける、山梨の伝統技法を職人の山本裕輔さんがていねいに教えてくれます。完成した作品は後日、自宅に届くので、帰ってからも余韻が続きます。星のや富士オリジナルの印伝柄には、森で出会ったシカがモチーフに。製品見本を見た瞬間、昨日の森の空気と足音がふっとよみがえりました。シカがいて、猟をする人がいて、肉を調理しておいしく食べる人がいて、革を工芸に生かす人がいる。そして、その循環を体験するわたしたちがいる。命を奪うことの重さではなく、「命をどう受け取り、つなぐか」。星のや富士は、ただのグランピングリゾートではなく、森と人の関係を“おいしく、たのしく”教えてくれる場所でした。
(三笠の26歳、道内最年少の猟友会支部長:北海道)
元三笠市地域おこし協力隊員の高崎梨徒(りと)さん(26)が北海道猟友会三笠支部の支部長に就任し、ヒグマの駆除で中心的な役割を果たしている。道猟友会によると、道内71支部で最年少の支部長だ。また、高崎さんは今春、クマの捕獲技術の講習や研修などを行う会社「GOE-MON(ゴエモン)」を設立。「地域実情に応じた人材の育成に力を入れたい」と話す。
(大型のクマ駆除、箱わな揺さぶる約400キロの巨大グマと同一の個体の可能性:北海道)
関係者によりますと、北海道北部の苫前町で、11月25日夜、大型のクマが箱わなにかかっているのが見つかり、先ほど駆除されました。同じ場所では11月11日から12日にかけて、約400キロのクマが目撃されていて、同一の個体の可能性があります。11月11日から12日にかけて、北海道北部の苫前町で撮影された映像には、雪が積もった草地に丸々と太った巨大なクマが映っていました。クマは体重400キロほどとみられています。クマは重さ約300キロの固定された“箱わな”を前足で揺さぶり、いとも簡単にひっくり返しました。わなの中にはシカの肉が入っていましたが、その後、わなにはかからず立ち去って行きました。11月に入っても苫前町では複数のクマの足跡が確認されていて、地元の猟友会は警戒を続けていました。
(民家敷地にとどまっていたクマを駆除:秋田)
秋田中央署によると、25日朝から秋田市八橋本町3丁目の民家敷地にとどまっていたクマは同日午後1時までに駆除された。署によると、体長約1メートルのクマ1頭が入り込んでいた。午前8時45分ごろ、住民から通報があった。
(浦安イノシシ騒動、10日で目撃情報20件弱:千葉)
浦安市内で「イノシシを見た」と情報が寄せられてから10日余り。今も毎日のように目撃情報が相次いでいる。有力な映像もあり、市は連日パトロールを続ける。浦安で生まれ育った内田悦嗣市長も「浦安にイノシシなんて聞いたことがない」と困惑。目撃された地区では子どもの保護者から不安が漏れる。目撃情報が目立つ海沿いの地区の公園には箱わなが設置され、市は「見つけたら静かにその場を立ち去って」と注意を呼びかける。イノシシは今もいるのか、いないのか…。
(クマ出没が相次ぐ、瑞鳳殿は一部エリアを閉鎖:宮城)
人の生活圏でもクマの出没が後を絶たちません。宮城県名取市では公園周辺に相次いで出没したため立ち入りを禁止して、箱わなを設置しました。人の生活圏で次々と目撃されるクマは、住宅の敷地内や学校など身近な場所での出没が相次いでいます。名取市の十三塚公園では2日、付近でクマの目撃があり翌日から公園内が立ち入り禁止となりました。13日までの間にクマの目撃が5件あり、市は14日から公園内に箱わなを設置することにしました。名取市農林水産課相澤雅彦次長兼課長「テグスのような黒い糸のような物がありますが、クマが引っ掛かるとストッパーが外れます。外れるとワイヤーが緩み、檻が落ちる」わなの中には、クマの餌として柿やハチの巣が置かれています。公園の近くには学校や病院もあり、少ない箱わなを優先順位をつけながら設置しているということです。名取市農林水産課相澤雅彦次長兼課長「捕獲器については3機ございまして、簡単に置けるというわけでもないですから、自治体の方でも数はあまり持っていないということがあると思う」。名取市では、クマの目撃が2024年は約20件だったのに対し、2025年は既に40件を超えているということです。公園に近い仙台高等専門学校名取キャンパスでは、敷地内で複数回クマが目撃されていて、12日から21日までリモート授業に切り替えて対応しています。相次ぐクマの出没で、観光名所にも影響が出ています。伊達政宗が眠る仙台市青葉区の瑞鳳殿では、15日から紅葉のライトアップが始まりましたが、13日夜に敷地内で木に登ろうとしている体長約1メートルのクマ1頭が目撃されたため、一部のエリアを閉鎖して警戒しています。管理する団体では、職員が爆竹を鳴らして警戒に当たっている他、観覧の料金を通常よりも割り引いて対応しています。瑞鳳殿中村良幸事務局長「我々でできうる限りの対策を講じながら、お客様には楽しんでいただきたいと思っております」。
(ホームセンター駐車場に3時間居座り、吹き矢で麻酔打ち捕獲:岩手)
18日朝、岩手県盛岡市ではクマの目撃が相次ぎ、ホームセンターの駐車場では、クマが3時間ほど居座りました。午前7時半ごろ、盛岡市向中野で撮影された映像には、クマが道路を渡り、公園の中に入っていく様子が捉えられました。また、近くを自転車で通る人の姿もありました。その後、およそ650メートル離れたホームセンターの屋上の駐車場で、クマが目撃され、市は駐車場の出口を塞いで、捕獲を試みました。市によりますと、午前11時前、吹き矢を使って麻酔を打ちクマを捕獲したということです。18日朝、盛岡市内では中心部でもクマの目撃が相次ぎ、警察などが注意を呼びかけています。
(東武東上線でシカと接触、一部列車に遅れ:埼玉)
東武鉄道によると、東武東上線は18日午後5時8分ごろ、男衾―鉢形間で発生したシカとの接触の影響により、午後6時23分現在、一部列車に遅れが出ている。
(住宅街でうろついていた子グマ、麻酔銃で捕獲される:宮城)
19日午前9時半頃、宮城県富谷市ひより台の住宅の敷地内で体長70㎝チほどの子グマが目撃されました。市によりますと、子グマは住宅の敷地にある塀をまたぎながら付近をうろついていましたが、麻酔銃で捕獲されました。現場は国道4号沿いで周辺には住宅や商業施設が多くあります。
(捕獲シカの命、余すことなく使い「アートとファッションに」:京都)
捕獲されたシカの命をアートやファッションに生かすプロジェクトの展示会が、京都市東山区で開かれている。活用が乏しい皮で仕上げたジャケットや靴、皮から得た膠(にかわ)で作った墨による書、骨を素材にした釉薬で覆った陶器もある。
(クマ出没:宮城)
柴田町によると、24日、柴田町入間田原でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、25日午前6時50分ごろ、栗原市築館萩沢土橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、24日午後1時55分ごろ、富谷市二ノ関原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、24日午前7時40分ごろ、色麻町四竃新向町にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、23日午後4時ごろ、富谷市富谷仏所にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、23日午後5時20分ごろ、登米市津山町横山黒沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、23日午後3時50分ごろ、登米市津山町横山竹の沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、23日午前10時5分ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、23日午前7時ごろ、色麻町大原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前8時30分ごろ、仙台市泉区七北田大沢小松にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後3時10分ごろ、栗原市鶯沢北郷峯にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午後2時5分ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午前11時35分ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午前10時25分ごろ、栗原市一迫沖にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午前10時15分ごろ、栗原市鶯沢北郷峯にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午前7時ごろ、栗原市栗駒中野愛宕下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、22日午前7時40分ごろ、栗原市金成末野要害前にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
宮城県警などによると、22日午前7時50分ごろ、栗原市一迫真坂清水山王前にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
利府町によると、21日午後8時ごろ、利府町春日寒風沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日午後5時50分ごろ、仙台市泉区高森2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市などによると、21日午後7時50分ごろ、登米市豊里町平林にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、21日午後1時40分ごろ、富谷市三ノ関三枚橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
大和町によると、21日午後3時20分ごろ、大和町吉田八合田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、21日午後4時30分ごろ、色麻町大原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、21日午後1時10分ごろ、仙台市泉区七北田大沢小松にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、21日午後2時40分ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
丸森町によると、21日午前10時ごろ、丸森町耕野松林にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午後5時30分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋大原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、21日午前8時15分ごろ、富谷市三ノ関三枚橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、21日午前4時40分ごろ、登米市中田町浅水浅部玉山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、20日午前5時10分ごろ、石巻市長面にクマとみられる動物が出没しました。
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(山形で男性負傷し、秋田では犬小屋を襲う)
11日午前3時ごろ、富山市が設置したカメラが捉えた映像。大きなツキノワグマが何かを食べる様子が映っています。秋田市では、鎖でつながれたペットの柴犬が体長1.5メートルのクマに引きずられるのを住民が目撃していました。山形県米沢市では11日、散歩中の75歳の男性が後ろからクマに襲われました。顔や肩をひっかかれましたが、意識はあり、会話はできる状態だということです。札幌市の動物園の園内では、3日連続で野生のクマが出没。金網を破り、飼育されている建物に入ろうとしている様子が映っていました。クマは金網を破り、窓から建物内に入ろうとします。この建物で飼育されていたシマフクロウは襲われませんでしたが、餌(えさ)のホッケなどが食べられたとみられています。
(クマ捕獲強化、個体数削減、狩猟人材増へ交付金)
クマ被害の深刻化を受け、政府は14日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、被害対策パッケージを取りまとめた。春季の捕獲を強化し、人の生活圏周辺で増えすぎたクマの個体数を削減することが柱。狩猟に従事する人材の確保・育成に向け、自治体向けの交付金などを大幅に拡充する。必要経費を臨時国会に提出する2025年度補正予算案に盛り込む方針も示した。石原宏高環境相は会合で「国民の安心・安全を脅かす深刻な事態となっている。人の生活圏からクマを排除し、捕獲を強化することで増えすぎたクマの個体数を削減していく。人とクマのすみ分けを実現していく」と強調した。
(クマ駆除の運用要領を警察庁がとりまとめ)
13日から警察官がライフル銃を使ってクマを駆除することが可能になるのを前に、警察庁が運用要領や留意事項などを定めた通達を取りまとめました。クマによる被害が相次ぐなか、被害が大きい岩手県警と秋田県警には他の都道府県の警察から機動隊の「銃器対策部隊」が派遣され、13日からは警察官がライフル銃を使用して人里に侵入してきたクマを駆除することが可能になります。これを前に警察庁は12日、全国の警察にクマ駆除に伴う運用要領や留意事項などについて定めた通達を発出しました。通達では、各都道府県警察において「熊駆除対応プロジェクトチーム」を立ち上げ、警察本部や警察署の担当が機動隊と一体となって駆除にあたる体制を確立することとしています。実際の現場では現場責任者1人のほか、現場指揮官1人、射撃担当2人の合わせて4人が現場対応ユニットとして対応にあたります。市街地などでクマの出没が確認された際には、緊急銃猟や箱わなでクマの駆除が行われるか不明な場合などにプロジェクトチームは現場対応ユニットを出動させます。そのうえで、警察官による駆除が必要であると認めた場合には安全確保を確認したうえで、ライフル銃を使用して駆除を行います。駆除したクマの死骸については市町村などと適切な処理について調整することとしています。また、安全に駆除を行うためにはクマの急所である頭部や胸部を確実に撃つといった高い射撃の技術が必要であることから、猟友会などと合同で実践的な訓練を行い、必要な射撃技術を習得する必要があるとしています。
(道警、ライフル銃でのクマ駆除に機動隊の「銃器対策部隊」投入を検討:北海道)
クマによる被害で、警察官によるライフル銃を使ったクマ駆除が13日に可能となったことを受け、道警は機動隊が駆除を行うことを検討していることがわかりました。13日に改正国家公安委員会規則が施行され、警察官がライフル銃でクマを駆除することが可能となりました。被害が深刻な秋田県と岩手県では運用が始まりました。こうした中、道警では機動隊の銃器対策部隊がクマ駆除にあたる運用を検討していることがわかりました。今後、クマの駆除に関する様々な訓練を実施していくということです。警察官によるライフル銃でのクマの駆除は、緊急銃猟の市町村長判断が間に合わない場合や、現場のハンターが足りない場合などを想定しています。
(「宮城県ツキノワグマ総合緊急対策」)
本年度は、ツキノワグマ目撃件数が過去最多であり、人身被害や死亡事故も発生している状況となっていることから、県では、クマ対策に取り組む市町村の支援や、農林水産事業者の安全確保のため、令和7年11月5日(水)に「宮城県ツキノワグマ緊急総合対策」を発表しました。令和7年11月5日(水)に「市町村担当課長会議」を開催し、総合緊急対策の概要について説明したほか、非常事態宣言を行っている大崎市、色麻町、加美町、大衡村から、クマによる被害状況や現在の取組、課題点など情報提供いただきました。クマ出没時に使用する資機材のうち喫緊に確保する必要がある爆竹、ロケット花火、クマ鈴、ホイッスルについて市町村に要望調査を実施したうえで、主に各施設における追い払い等に活用するため配付します。クマ被害防止資材(箱わな)について、県が確保し、市町村に要望調査を実施したうえで、出没状況等、市町村での保有状況や使用状況等を踏まえて、不足している市町村に無償で貸与します。
(注目される“ガバメントハンター”狩猟免許を持ったスペシャリスト自治体職員:北海道)
防犯カメラがとらえた、暗闇を歩く1頭のクマ。11日未明、札幌の円山動物園で撮影されました。中央区の円山西町10丁目付近では11日朝、散歩をしていた住民が足跡を発見。円山動物園や北海道神宮の周辺ではここ数日、クマの出没や目撃が相次いでいます。人里への出没が相次ぐクマ。市民の生活に、大きな影響を及ぼしています。そんな中、切り札として浮上しているのが…。石原宏高 環境大臣「ガバメントハンターなどの捕獲者の確保など…」。高市早苗 総理「いわゆるガバメントハンターの確保などを進めていくことを想定しております」。「ガバメントハンター」とは、狩猟免許などを持ち、専門知識のある自治体職員のことです。北海道東部の羅臼町。ここで30年ほど前から、ガバメントハンターとして働く男性がいます。産業創生課の田澤道広さん(66)です。普段は有害鳥獣対策や自然保護を担当。狩猟免許を持っていて、クマに関する通報があれば、出動します。羅臼町産業創生課 田澤道広さん「クマを駆除しなければいけないという状況になると、ハンターに頼んで撃ってもらう。ただ、みんな本業があるので、必ず来れるとは限らない。自分で銃を持って、追い払い含め対応できればそれに越したことはない」。2025年に入って羅臼町で駆除されたクマは23頭。2024年の約6倍で、半分ほどを田澤さんが駆除しました。羅臼町の湊屋稔町長は、市町村の判断によって発砲を可能にする「緊急銃猟」を運用するうえでも、田澤さんの存在は貴重だといいます。羅臼町・湊屋稔町長「町長の責任で判断をしなければいけない時に、専門的な知識を持った人がそばにいて、コミュニケーションを取りながら対応ができる。有効で対応も早い」。一方、ガバメントハンターを2011年に導入した長野県・小諸市。農林課の職員で、2023年から鳥獣対策にあたる櫻井優祐さんです。小諸市農林課・櫻井優祐さん「ハンター目線で(ハンターと)仕事の相談ができる。対応の迅速性や(対策の)専門性が高まる」。こちらは、2024年に市内の施設に現れたクマの成獣です。生ごみを一時保管する倉庫でその味を覚えたとみられ、連日姿をみせていました。捕獲のため、倉庫の横にわなを設置しましたが、入りません。小諸市農林課・櫻井優祐さん「檻よりクマの方が大きいという印象。ハンターとその場で相談をして『檻を大きくしたらどうか』と。その日のうちに大きい檻に変えて、翌朝、見事に捕獲にいたった」。通常、檻の交換には2日ほどかかるといいますが、許可を出す立場の櫻井さんが現場で猟師と相談できたことで、迅速な捕獲につなげられたということです。羅臼町の田澤さんは、クマの被害が全国的に拡大する中、自治体が「ガバメントハンター」を配置できるよう国の支援が重要だと指摘します。羅臼町産業創生課・田澤道広さん「ここまでクマの被害がひどいと、国や道のシステムで、各市町村がガバメントハンターを置きやすくしたり、警察が駆除できるようにしたりと、国民の安全・安心・生命を守るためのシステムが必要」。政府の説明によりますと、・狩猟免許を持つ自治体の職員・有害鳥獣の捕獲や警察・猟友会との連携などが役割・ハンターの育成や地域での対策を考案、することも期待されています。沼田町 クマだけでなく、シカやアライグマなどの有害鳥獣対策に関わる正職員が2人いて、くくりわなや猟銃の資格も持っています。森町 地域おこし協力隊として、2023年から1人が採用されました。主にクマやシカなどの食害対策を担い、草刈りや箱わなの設置に加え、ライフル銃も扱えるよう2025年度中の資格取得を目指しています。北海道猟友会札幌支部理事の玉木さんに聞きました。玉木さんはあくまで個人の見解とした上で、「ガバメントハンターの役割を明確化することが一番大事。クマを駆除する能力だけでなく、警察や猟友会との連携を進める力など、必要な能力や役割・存在意義の定義づけが大切」と話しています。また、「規模の小さい自治体だと、専門性の高い職員を単独で確保するのが難しいので、複数の自治体を広域的にカバーする形で雇うのも有効」だということです。市町村がガバメントハンターを雇用しやすくなるよう、北海道も国に対して財政支援などを要望していて、今後どのように普及を進めていくのか注目されます。
(クマ対策の「箱わな」「ガバメントハンター」などに財政支援求める)
自民党のクマ被害緊急対策プロジェクトチームが取りまとめた緊急提言案が11日、判明した。近く政府に提出する。提言案では、自治体による箱わなや電気柵などの購入費、捕獲したクマの処理費、自治体が職員として雇う「ガバメントハンター」の人件費などで国による財政支援の必要性を指摘。政府が今月中旬にまとめる対策パッケージに盛り込むよう求めている。
(「猟友会や担当職員は疲弊」、クマ対策で緊急要望:岩手)
岩手県市長会は11日、クマによる被害の続発を受け、県に対し、自衛隊を含む関係機関との連携強化などを求める緊急要望書を提出した。内舘茂会長(盛岡市長)は提出後、記者団に「猟友会や担当職員は疲弊している。県に速やかな支援を求めたい」と語った。要望書では、風評被害で経営が苦しくなっている観光施設が電気柵などを設置するための財政支援も訴えた。県では10月、北上市の温泉施設で従業員が襲われ死亡した経緯がある。この他に、クマの数や生息域の早急な調査、捕獲従事者の育成も要望。市町村の経費負担を軽くするため、国による補助の拡大が必要だとした。
(アフリカ豚熱、防疫訓練:沖縄)
沖縄県農林水産部は10日、高い致死率を特徴とする熱性伝染病アフリカ豚熱(ASF)の県内侵入を想定した防疫演習を恩納村の県民の森で開催した。国や市町村、関係機関など約60人が参加し、野生イノシシへの感染を想定した対応訓練を実施した。県は発生時の対応について、まず地形などの環境条件などから防疫区域を設定し、野生イノシシの死体処理と消毒を実施すると説明。さらに、感染イノシシの拡散阻止や陽性個体が確認された地域周辺の捕獲を進め、感染源になりうるイノシシの数を減らす手順も確認した。アフリカ豚熱は特定家畜伝染病に指定されており、現在、欧州やアジア地域で感染が拡大している。10月に台湾で確認されたことで、現時点で、東アジアの中で発生していないのは日本のみとなった。訪日外国人数が回復傾向にあることから、国内への侵入リスクは極めて高い状況にあると県が判断。今回の演習は、県内の野生イノシシ群にアフリカ豚熱が侵入した場合を想定し、関係機関との連携強化と、具体的な防疫措置の手順確認を目的として実施された。農研機構畜産研究部門の平田滋樹上級研究員が「イノシシにおけるアフリカ豚熱・豚熱対策の最新情報」を題目に講演もした。平田氏は、自身が実施するAIを活用したイノシシの捕獲技術を紹介した。また「沖縄での野生イノシシでは、まだ確認されていない豚熱に対しても、他地域の知見を活用して対応が可能だ」と述べた。
(高感度無人カメラがとらえたシカの食害:滋賀)
滋賀、岐阜の両県にまたがる伊吹山(1377メートル)でニホンジカが増え、問題になっている。食害で草木が減少して土や岩がむき出しになり、大雨で登山道が崩落したり、麓の集落に土石流が流れ込んだりする被害も出た。植生を回復する取り組みが進む現場を訪ねた。集中豪雨で2023年7月に登山道が崩落し、立ち入り禁止の続く南側斜面の5合目に9~10月、許可を取って9回、無人カメラを設置。土や岩の目立つ斜面で日没後に現れたシカが、餌を探すのか地面に口を付けたり走り回ったりする姿を捉えた。雨が降ると土砂が流れ、斜面には浸食された水の通り道が無数にある。規模の大きいものは「ガリ浸食」と呼ばれ、幅5メートル、深さ8メートルに及ぶ場所も(9月27日撮影、右上は琵琶湖)南側斜面では00年代に入るとシカの食害が見られるようになり、10年頃には山頂付近まで広がった。斜面は崩れやすくなり、23年の登山道崩落に続き、24年7月には3回、麓の集落に土石流が流れ込み住宅などに被害が出た。シカの増加は、地球温暖化による積雪の減少で冬も餌を得やすくなったことや、狩猟をする人の減少などが原因とみられる。自然植生に影響が出にくいシカの生息数は1平方キロ・メートルあたり3~5頭以下とされるが、岐阜県野生動物管理推進センターの調査で、伊吹山では22年に30・5~61・1頭にもなっていた。滋賀県米原市のNPO法人「霊峰伊吹山の会」の高橋滝治郎理事長(66)は23年7月、登山道を整備中に雷雨に遭い、石や土砂が急斜面を流れ下るのを目の当たりにした。「大雨が降れば、緑の失われた斜面は崩落する。植生を早く戻さないと、災害のリスクが高い」と懸念する。滋賀県や米原市はシカの侵入防止柵の設置、植生の再生事業、シカの駆除と並行し、斜面の土石流対策を進めている。シカを防ぐ柵で囲んだ山頂付近では、植生が回復するなど成果もあがってきた。急斜面が多く、範囲も広いため簡単ではないが、緑と野生動物の共存を目指す取り組みを見守りたい。
(シカの習性に着目した新捕獲法、考案者が講習会:福井)
深刻さを増すシカの食害による森林被害を食い止めようと、「くくりわな」による捕獲の精度を高める新たな設置法が注目を集めている。考案者にあやかった「小林式誘引捕獲法」。シカが餌を食べる際の習性などに着目し、わな設置や見回りの手間も省力化が見込めるという。くくりわなは、獣が踏み板に足を置くことで、ワイヤの輪が締まり足をくくり捕らえる仕組み。通常は、動物の通り道「獣道」に仕掛けるが、設置場所が難しく期待通りにシカがわなを踏まないことも多い。
(ドローンで確認、模擬銃で駆除:滋賀)
人の生活圏にクマが出没したときに、市町村長の権限で発砲を指示できる「緊急銃猟」が認められたことを受け、滋賀県米原市は12日、伊吹山のふもとで県内で初めてとなる訓練を行った。県、警察、県猟友会米原支部や15市町と岐阜県揖斐川町が参加。銃猟から捕獲までの手順を共有した。緊急銃猟は鳥獣保護管理法の改正で新設され、住民の安全を確保したうえで市町村長の指示でハンターが発砲できるようになった。訓練は、体長約1メートルのツキノワグマが集落に近づいた想定で行われた。ドローンを使い、米原市春照(すいじょう)の伊吹薬草の里文化センター近くにクマがいるのを確認。周辺には認定こども園や中学校などがあり、防災無線や広報車で周知し、周辺の道路を規制した。このまま夜を迎えると危険であることも考慮し、角田(すみだ)航也市長が緊急銃猟を指示した。猟友会員が模擬銃でクマの駆除をシミュレーション。周辺建築物に発砲による損傷がないかも確かめた。角田市長は「クマの被害は災害の一種といっても過言ではない。餌になる放任果樹の伐採を周知するのも大切だ。地域一体となって市民の安全を守りたい」と話した。課題として、市の担当課は、中心部や住宅地に出没した際の安全確保を挙げた。県鳥獣対策室の北村則彦室長は「命令系統もしっかりしていて、参考になった。県も猟友会や警察、市町と連携して態勢を築いていく」と述べた。同じく伊吹山を抱える揖斐川町の三輪哲司・農林振興課長によると、今年4月以降、町内で49件のクマの出没があるという。「訓練を生かし、緊急銃猟をできる態勢を町全体で整えたい」と話した。環境省によると、4~9月の全国のクマの出没件数は過去5年間で最多の2万792件(速報値、北海道は非公表)。11月12日現在で滋賀県は99件、岐阜県は924件だ。
(緊急銃猟で事業所1社に打診、複数のハンター所属:山梨)
今月は山梨県内の各地でクマの目撃情報が相次いでいます。このうち甲府市は市町村の判断で銃を使用する「緊急銃猟」の対応で民間にアプローチしていることを明らかにしました。甲府市内では今月城東と桜井町の市街地や昇仙峡でクマの目撃が相次ぎ、一部のイベントが中止となっています。14日の定例会見で甲府市は、生活圏にクマが出没した場合に市町村の判断で銃を使用して捕獲や駆除をする「緊急銃猟」の対応について、市内の事業所1社にアプローチしていると明らかにしました。この事業所には狩猟免許を持ち、山の中でクマを撃ったことがある経験豊富なハンターが複数所属し、「夜間以外は365日対応でき、街なかでも射撃できる」という回答を得ているということです。また甲府市は市の猟友会の会員にアンケートを実施して、クマの駆除や捕獲の体制づくりにつとめることにしています。
(ヒグマ出没対応訓練:北海道)
道内でクマの出没や人身事故が増加していることを受け、釧路署(香西伸彦署長)は13日、自治体などと連携した「ヒグマ出没対応訓練」を釧路市阿寒町の仁々志別パークゴルフ場で行った。この日は、同署警察官のほか、猟友会釧路支部や阿寒町行政センター職員など約20人が参加。訓練では、同パークゴルフ場内に、何度も目撃されているクマ1頭が出没したことを想定。通報を受けた警察が同センターへ概要を連絡し、ハンターの出動要請や教育機関への連絡手順を確認した。着ぐるみを着たクマ役を、警察官らがスプレーなどで追い払おうとしたが、襲撃する素振りを見せたため、猟友会が銃で駆除するという一連の流れを実演した。猟友会の米山秀治釧路支部長は「こういった訓練は何度やっても良い。連絡手順を確認できたことが良かった」。同署の杉山浩基地域官兼地域課長は「きょうの訓練の中で考えさせられる部分が多かった。市街地で出没した場合などの、訓練も実施していきたい」と述べた。
(海渡る?イノシシ離島で増殖か:宮崎)
宮崎県延岡市の離島で問題となっているイノシシによる被害についてお伝えします。今回、取材したのは、島野浦島です。延岡市の中心部からおよそ12キロ北東に位置する離島で、周囲はおよそ16キロ、現在、およそ620人が暮らしています。この島で現在問題となっているのがイノシシです。数年前までは島にいなかったとされるイノシシですが、最近は、農作物への被害や学校敷地内への侵入などが相次いで発生しています。なぜ、イノシシが島に生息するようになったのか、そこには驚きの理由がありました。取材班が向かったのは延岡市の離島・島野浦島。美しいリアス式海岸に囲まれた離島で、「いわしの舞う島」と呼ばれたほど、昔から網漁が盛んな地域だ。取材を進めると、島でイノシシを捉えた映像を入手した。目を光らせ画面中央に忍び寄って来たのがイノシシだ。これは、島の住民が自宅の裏に設置したカメラに映ったイノシシ。さらに、草原を走り抜けたり、口をもぐもぐしながら、カメラに視線を向けたりと、さまざまな場所にイノシシが出没しているという。そして、取材を進めるとイノシシによる被害も明らかになってきた。島で家庭菜園を行っている中島シマ枝さんは花や野菜を植えて育てていたが、イノシシが土を掘り上げるなどして、現在は、手入れが追いついていない状況だ。さらに、イノシシは18人の児童・生徒が通う島野浦学園にも出没しているという。学校は去年から敷地内に電気柵を設けているが、イノシシは、ほぼ毎日、柵を超えて侵入しているという。卒業生が植えた記念の桜の木も支柱から倒れかかっている。(島野浦学園 河野義和教頭)「子どもたちにも暗くなる前に帰宅するように声かけしているし、今後、子どもたちや地域の方に被害が出ないといいなと」。さらに…津波の避難経路もイノシシが山から蹴り落した石などで、半分ほどふさがっている。島浦町区によると、島で初めてイノシシが確認されたのは、9年前の2016年。その後、数を増やし、3年ほど前から被害が、目立つようになったという。延岡市の島野浦島で相次いでいるイノシシによる被害。なぜ、島にイノシシが現れるようになったのか?島の住民から驚くべき情報が得られた。島と本土との距離は2キロ以上。イノシシが海を渡ってくることなんてありえるのだろうか。取材を進めると、海を泳ぐイノシシを捉えた映像を入手した。このイノシシは島から本土へ向かっていたが、複数の住民から本土から島へイノシシが泳いで渡って来たとの証言が得られた。イノシシは、なぜ海を泳いで島にやってきたのだろうか?狩猟文化研究所の田口洋美代表は、次のように推測する。(狩猟文化研究所 田口洋美代表)「延岡市内の生息環境が(イノシシの)密度が上がっている。密度が上がっていると、ストレスが個体個体にたまっていく。(イノシシにとって)安心・安全な場所に身を置いて繁殖をするのが理想。その欲求が海を越えたり川を渡ったりする」。猟友会や区の役員は、これまで50頭ほどのイノシシをわなで捕獲しているが、イノシシの繁殖力には、追いついていない状況だ。海を渡って島に定着したイノシシ。野生動物とどう共生していくかが課題となっている。野生動物といいますと、全国的にクマの被害が相次いでいます。九州では絶滅したとされるクマですが、イノシシが泳ぐという例があると「本州から九州にクマが泳いでやってくるのでは?」と考えてしまいますが、いかがでしょうか?九州の隣、山口県では、クマの目撃情報が相次いでいます。山口県と福岡県の間にある関門海峡の距離は、600メートルから700メートルですがここをクマが泳いで渡ってくることはないのか専門家に聞きました。狩猟文化研究所の田口洋美代表は、「関門海峡は海流が早い。また、山口県でクマが生息しているのは中山間地域で、関門海峡がある平野部に生息域が拡大しない限りは、九州に渡ってくる確率は低い」と話しています。環境の変化に伴って野生動物の生息域に変化が出ています。今回の島野浦島のイノシシの例もそのひとつと考えることができます。ヒトと野生生物がどのように折り合いをつけて共生していくのか、課題が突きつけられていると感じました。
(猟友会会長が語るクマの異常出没、平野部への侵入拡大と深刻なエサ不足:富山)
今年の富山県内におけるクマの出没状況について、立山町猟友会の栃山正雄会長は「普通だと思わない。今年は特に猟友会のみんなもびっくりしている」と異例の事態であることを語った。富山県内でのクマの出没件数は10日までに843件を記録している。これは過去10年で最多だった2019年の919件に迫るペースだ。猟師歴42年という豊富な経験をもつ栃山会長は、今年の大量出没を「異常」と表現し、背景には深刻な"エサ不足"があると指摘する。「クマの胃袋まで見ていないが、カワラグミの種、カキの種が出てきたことがあると聞いた。あまり食べ物が入っていない。完全にエサがない。山に食べ物がないと思う」と栃山会長は分析している。立山カルデラ砂防博物館の白石俊明学芸員は今年の特徴について「かつてないほど平野の中心まで熊が侵入している。これが今年の特徴。これまで大量出没が何度も生じていて、その度に熊の侵入してくる前線が拡大している」と説明する。クマの目撃情報を示した地図クマっぷによると、今年は特に富山市の平野部で目撃や痕跡が多くなっていることが確認できる。去年と比較しても、平野部への侵入が進んでいることが明らかだ。白石学芸員はクマのエサとなるドングリが凶作・不作であることに加え、「人馴れ」したクマが増えているという懸念を示す。「市街地に出没した個体は、人を見ても自分が死ぬことがなかった、怪我をしなかったということで、また人馴れが加速するという悪い循環が進んでいる。今年、市街地出没に成功したクマは、数年以内に起きる不作の年に出没を重ね、より市街地の深いところまで進出し、軋轢を起こす個体になってしまう」。一般的にクマの出没は11月末までがピークで、12月に入ると冬眠するとされているが、白石学芸員は注意が必要な期間についてこう述べている。「12月の上旬ないし中旬ぐらいまでは警戒を維持してほしい。クマの冬眠は食べ物を取りづらくなることが引き金になる。集落内に柿が大量に残ると、少しぐらい雪が降ってもまだ食べることが簡単にできる。クマの冬眠が遅れてしまう可能性がある。人里に侵入しやすい状況が続いているということは意識し続けほしい」。白石学芸員は住民には12月中旬まで引き続きクマを寄せ付けない対策を続けることが重要だと呼びかけている。
(家庭ゴミの不法投棄は“人間の生活圏の味を知るきっかけになる”と猟友会の怒り:北海道)
収まる気配が全く見えない、列島各地を襲うクマ被害。この週末も北海道・札幌市の円山動物園にはクマの足跡が。そして、青森・三戸町では、煮干しスープが人気のラーメン店にもクマが出没しました。10日も長野・大町市では、近くに人間がいてもお構いなし、木の上で大きなあくびをするクマを目撃。人の生活圏にちゅうちょなく入り込むクマが相次いでいます。こうした中、番組が向かったのは北海道。北海道・砂川地区の猟友会が撮影した映像に映っていたのは、檻の中で激しく威嚇するヒグマ。この周辺では別の日にもクマが捕獲され、檻の中で暴れたあと、うなり声を上げながら突進するクマの様子が撮影されていました。砂川市では10月以降、連日のように果樹園や畑の周辺などにクマが出没していて、地元の猟友会が各所に檻などを設置。農作物に深刻な食害が起きている中、さらなる被害が広がらないよう猟友会が毎日行っているのが朝の見回りです。最低気温は氷点下3.5度、すでに路面がうっすら雪で覆われ始めたこの日、クマへの警戒を続ける猟友会の池上治男さん(76)。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:(Q.クマが冬眠するにはまだ早い?)(冬眠用の)穴はもう持っているかもしれないが、まだしっかり冬眠するという時期にはならない。すると見回り中に、ある異変が。突然、視界に飛び込んできた大きな生物。クマかと思いきや、こちらの様子をうかがっていたのはエゾシカでした。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:シカがいたということは、ヒグマはここにはいない。エゾシカにとってヒグマは天敵。“シカが落ち着いているということは周辺にクマはいない”と安堵したのもつかの間、少し車を走らせた場所で発見したのはクマの痕跡。そこにあったのは空の檻です。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:あら?エサ入ってないな…どうしたんだ?クマをおびき寄せるため中に仕込んでいたはずの餌がないというのです。すると…。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:あ、来てるな!これ、ヒグマ…。足跡あるもの。ヒグマの足跡だ…。積もったばかりの雪の上にはヒグマの足跡が。この場所にクマが足を踏み入れてから、まだそれほど時間がたっていない様子がうかがえます。体の大きな個体の場合、仕掛けが作動しない状態でヒグマが檻の中の餌を奪って逃げることがまれにあるといいます。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:ヒグマは知能や学習能力が高いと思う。年々変化というか、進化している。そして翌日、同じルートを見回っていると池上さんが何かを発見し、怒りをあらわにしました。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:こうやってゴミを捨てて…。平気で家庭ゴミを…。恥ずかしいことだよ。路上に放置されていたのは白菜などの生ごみ。前日見回った時、この場所にはありませんでした。こうしたごみが、クマにとって人間の生活圏の味を知るきっかけになってしまうと指摘します。北海道猟友会 砂川支部・池上治男さん:こういうもの(家庭ゴミ)がヒグマを誘引する。マナーの悪さを通り越して、一種の犯罪的行為と思う。見回りに同行した週末、取材班がヒグマの姿を見ることはありませんでしたが、同じ市内では、この日もヒグマの食害が発生。まもなく冬本番ですが、猟友会では新たにクマ捕獲用のおりを設置するといいます。池上さんは、人間のコミュニティーに侵入したクマは駆除するしかないと話す一方、「もちろん山にいるクマを駆除する必要はないから、わなをかけられる場所は限られている。住民のいるところ、接点の近いところに(設置する)。箱わなに入らない状態で、ヒグマが山に戻ってくれればそれでいい」と語りました。
(サルやイノシシが畑を荒らすようになった意外過ぎる理由とは…:養老孟司)
このところ日本の田舎めぐりをしている。べつに好んで田舎に行くのではない。虫の季節になったが、虫は都会では捕れない。だから田舎に行く。6月は福井と高知と山口に行った。福井では、古家の囲炉裏端(いろりばた)で、地元の人たちと話をした。有機農業をやっている人たち、ダイオキシンが出るから焚き火をするなという法律などとんでもないという運動をしている材木屋さん、田園都市を作りたいという森林組合長、その他である。そういえば、町長さんも参加していた。そのうち畑にサルが出る、イノシシが出るという話になった。そうしたら、役所を定年になって、いまは有機農業をやっているというオジサンが言い出した。「ここ10年、役所がやらなくなったことがある、あれだな」。答えはなにか。野犬狩りである。野犬がいなくなったから、役所は野犬狩りをしない。同様にして、野犬がいなくなったから、サルだのイノシシだのの天下になった。まさに納得。野犬というのは、里の近所をウロウロしているもので、そんなものがいたら、私がサルなら人里近くには出ない。なにしろ犬猿の仲、私がかつて飼っていたサルはイヌに尻尾を噛み切られたことがあった。田畑にサルやイノシシが出るのは山が荒れたからだ。そういう意見もあった。人里のほうが食料になるものが多い。しかも美味である。だから里に出るという意見もあった。でも真相はおそらくイヌ、正確にはイヌの不在であろう。すべてのイヌを紐でつないで、自由には動けなくした。それでいちばん喜んだのは、サルであり、イノシシであり、シカだったらしい。日本にもはやオオカミはいない。細川元首相が湯河原で陶芸と畑をやっている。知人にそう聞いた。その知人があるとき細川宅を訪問したら、細川さんが檻に入って畑仕事をしている。なぜ人間が檻に入るのかというと、サルが出るからである。それならイヌを飼えばいい。というより、だから人はかつてイヌを飼うようになったのであろう。番犬とはそういう意味である。なにも泥棒の番をするだけがイヌの役目ではなかった。サルだってイノシシだって、農家から見れば泥棒の一種である。それがわからなくなったのが都会人であろう。どうすればいいか。イヌを参勤交代させればいい。1年のうち適当な期間は、飼い主ともども田舎に行き、山野を走り回ればいい。それが本来のイヌの姿ではないか。それをこれっきり愛玩動物にして、恬(てん)として恥じないのはだれか。イヌを虐待すると、動物愛護の人たちが怒る。それなら紐で一生つないで飼っているのは、虐待ではないのか。わが家のネコは、紐でつないでない。勝手に家を出入りしている。1年前に飼ったネコだが、おかげで当方の手から餌をとるまでに慣れていたタイワンリスが来なくなった。そのくらい、野生動物は捕食者に敏感である。それで当然で、それでなけりゃ生きていけない。野犬の問題は、いわゆる環境問題の象徴である。イヌを管理せよと主張した側は、まさかその結果、サルとイノシシとシカが農作物を荒らすようになるとは考えなかったであろう。一方の秩序は、他方の無秩序を引き起こす。これをエントロピーの増大といって、熱力学を学んだ人はだれでも知っているはずである。われわれはかならず寝る。寝ないで済ませようと思っても、それは続かない。なぜか。起きている状態とは、意識がある状態である。意識とは秩序正しい活動である。無秩序な意識などというものはない。意識が秩序的活動であるなら、それはどこかに無秩序を生み出しているはずである。イヌを管理すれば、サルが出てくるはずなのである。意識という秩序活動が生み出した無秩序は、脳自体に蓄積する。脳に溜(た)まった無秩序を、脳はエネルギーを遣って片付ける。その作業の間、当然のことだが意識はない。それを人々は「眠る」という。眠るのは休んでいるのだ。それが通常の了解であろう。休むというのはエネルギーを遣わない。ところが寝ていようが起きていようが、脳はエネルギーを消費するのである。ということは、寝ている時間は「休んでいる」つまり「エネルギーを遣わない」時間ではない、ということである。それは「無秩序を減らして、元の状況に戻す」ということなのである。だから覚醒剤の使用は、脳を傷害する。長期に使用すれば、統合失調症に似た状況が出現して、回復が困難な障害を生じる。もちろん眠らないで暮らすことも不可能である。意識があるということは、同時に眠りが存在することなのである。都会人の問題は、意識的活動こそがまともな活動だと思い込んでいることである。寝ているのは、ただ休むためだ、と。そうではない。意識が存在することに、眠りは必然として伴っているのである。それが自然の法則である。秩序的な活動は、それだけで存在することはできないのである。そこが納得されていないと、意識的活動のみが「正しい」という錯覚が生じる。現代社会の根本的な問題がそれだということは、わかる人にはわかっているはずである。起きている間、つまり「意識がある」間は「自分は絶対に正しい」などと思ってしまう。だから車に爆弾を積んで自爆したりする。そういう人は、寝ている間は自分はどう考えているんだと、たまには反省すべきなのである。起きている間は、これっきり「正しい」と思っていることでも、寝ている間にどう思っているか、知れたものではない。
(100mを7.2秒で走り、パンチ力は「2t」)
相次ぐ人的被害によって身近な存在になってしまったクマ。もしも出会った時にどう対応するべきか。そこで取材班は、北海道にあるヒグマの生態を学べる施設「ベア・マウンテン」を取材しました。約15haもの広大な自然の中で生活するクマの生態から、命を守るヒントを探ることに。安全を確保のもと、飼育員とともにクマが暮らす獣舎に向かいました。十勝サホロリゾート ベア・マウンテン 坂出勝園長:クマの部屋に入る扉も2重。南京錠も2重。必ず2人以上の人間で獣舎に入る。安全策ですね。厳重に管理された扉を抜け奥に進んでいくと、日光浴をしている巨大なクマの姿が。十勝サホロリゾート ベア・マウンテン 坂出勝園長:(Q.何kgくらいある?)これで380kgはあると思う。冬毛になっているので、かなり体は大きく見える。立ち上がって両手上げたら3メートルぐらいは。施設では11頭もの成獣のクマが飼育されていて、現在は冬眠シーズンに入るための準備をしているといいます。一見、穏やかそうに見えるクマですが、その姿を観察してみると、すごく鋭い爪を持っているのが分かります。さらにクマには、人間では到底太刀打ちできない驚異的な身体能力があるといいます。十勝サホロリゾート ベア・マウンテン 坂出勝園長:(Q.野生とかではどれくらいの速さで走る?)全速力で時速50kmくらい。300kg超えるような動物が、それだけ機敏に動ける筋肉を持ってる。まず人間ではどうにもならない。クマが走る速度は時速50kmにもなり、100メートルを約7.2秒で走ることになります。人類が持つ世界記録より2秒以上も速いスピードです。北海道で撮影された映像では、走行中の車と同じスピードでクマが並走しています。十勝サホロリゾート ベア・マウンテン 坂出勝園長:持久力もあるし、体の大きさの割には柔軟性があるというか、体も柔らかい。また、泳ぎも得意なので広い範囲を移動もできるといいます。さらに、2024年に撮影された映像に映っていたのは、猛スピードで車へ体当たりするクマ。フロントガラスをいとも簡単に破壊してしまうクマの驚異的なパワーについては…。十勝サホロリゾート ベア・マウンテン 坂出勝園長:パンチ力は2トンと言われています。例えばお相撲さんが「はっけよいのこった」ってあたります。あの衝撃が1トンと言われているので、その倍のパンチ力。襲われるようなことがあったら、もう覚悟しないといけないぐらい、日本最強。パワーとスピードを併せ持ち、最強とうたわれるクマ。度々カメラに撮影されるクマの鳴き声は、危険なサインだと担当者は指摘します。十勝サホロリゾート ベア・マウンテン 坂出勝園長:普段、鳴き声っていうのはほとんど発しません。緊張状態でその時に威嚇として鳴き声を聞くことがある。声が聞こえる範囲に自分がいるんだと思えば、すぐにでもその場を離れるというのが一番いいと思う。もしも出会ってしまったら、クマを興奮させないようにゆっくりと顔を背けずにその場を離れることが重要です。
(「クマ対策」関連株に照準、過去最大級の被害で政府は緊急対策策定へ)
観光需要や郵便配達など影響拡大に懸念、ドローンやICT技術などの活躍に期待。クマによる国内での死者数が過去最多となり、被害が深刻化している。紅葉のシーズンに差し掛かるなか、宿泊予約のキャンセルに頭を悩ます観光地もあり、経済活動への悪影響が懸念されている。社会問題化するクマ被害を抑えようと、政府は新たな対策パッケージを11月中旬にも策定する方針だ。株式市場においても「クマ関連株」に対する注目度が高まった状況となっている。環境省によると、クマに襲われて死亡した人の数は2025年度に入り5日時点で13人となった。06年度の統計開始以降で最多だった23年度の6人に比べ、すでに2倍以上となっている。上半期(4~9月)の出没件数は2万792件と、昨年度1年間の2万513件を上回っている。東北地方ではツキノワグマの主食となるブナの実が大凶作となり、冬眠の時期が迫るなかで同地方では市街地でもクマが目撃されるようになった。岩手銀行 <8345> [東証P]の本店にはクマが立てこもったほか、山形新幹線の新庄駅にある車庫にもクマが侵入し、一部区間で運転を見合わせる事態を引き起こした。日本郵便は近隣にクマが出没している一部地域で夕方以降の二輪車による配達業務を見合わせると5日に発表。イギリス政府は日本への渡航者に対し、クマによる襲撃が増加しているなどとして注意を呼び掛けている。日本政府は10月30日、クマ被害への対策に向けて関係閣僚会議を開催した。昨年4月にクマ被害対策施策パッケージを策定し、更に今年4月には人間の日常生活圏で緊急銃猟を可能にする改正鳥獣保護管理法を成立、同年9月に施行させたものの、とどまることのないクマ被害を受けて新たな対策パッケージを早急に取りまとめる方針だ。自治体がハンターを公務員として雇うための仕組みを整備するとともに、 ドローンやICT技術の活用による出没防止対策が強化される見通しとなっている。このうちハンターに関して言えば、クマの銃猟を適切に行うには経験が不可欠であり、人材の育成・確保には相応の時間が必要となる。地方での社会生活基盤の脅威であり続けている以上、中長期的な視点での対策が求められており、その意味では株式市場において「クマ対策」は息の長いテーマとなる素地を備えていると言えるかもしれない。猟銃製造のミロク <7983> [東証S]は国内でのクマによる人的被害が相次ぐなか、いち早く物色人気化した銘柄だ。米銃器メーカーのブローニング・アームズ・カンパニーと1966年に販売・技術提携を行い、同社へのOEM生産を展開。工作機械や自動車用ハンドルも手掛ける。24年10月期は、猟銃事業での生産トラブルによる収益性の悪化を受け営業赤字に転落。黒字転換を見込む25年10月期は第3四半期累計(24年11月~25年7月)の各利益がすでに通期計画を超過している。ブローニンググループからの受注は堅調に推移しているという。同じく脚光を浴びたのがティムコ <7501> [東証S]である。ヤマメやイワナなどをターゲットとする渓流釣りを楽しむには、クマ対策が必須となる。釣り具メーカーの同社が国産のクマ撃退用スプレー「熊一目散」を取り扱っていたことが投資家に注目され、株価は動意づいた。動物医薬品メーカーのバイオ科学(徳島県阿南市)が酪農学園大学教授の監修のもと、得意とするトウガラシ成分を生かして開発した製品で、国内メディアにも相次いで取り上げられている。トウガラシは家庭菜園で手軽に育てられる植物でもある。動画共有サイトではクマ防御用スプレーの自作方法を知らせる動画が数多くアップされており、木酢液と組み合わせて忌避剤とする方法もあるようだ。市販のクマ撃退用スプレーを含め、いずれもホームセンターで購入が可能な商品であり、DCMホールディングス <3050> [東証P]やコメリ <8218> [東証P]など各社の業績にどう影響するか注視される。防衛関連株でもある豊和工業 <6203> [東証S]は防衛省向けの小銃とともに、民間向けの猟用ライフルも展開。命中精度の高さを誇る「Howa Model 1500 Rifle」は世界のハンターから支持を集めているという。日本国内でのハンター育成の取り組みは、中期的な観点で需要拡大に寄与する可能性がある。名証単独上場で株式の流動性は乏しいが、プレス機械や加工品の旭精機工業 <6111> [名証M]は小口径銃弾を製造する国内唯一のメーカーだ。なお、前期の有価証券報告書によると、小口径銃弾の納入先はほぼ100%防衛省。クマ対策での需要は未知数ではあるが、防衛力強化の潮流自体は同社の事業には追い風となる構図と言える。Terra Drone <278A> [東証G]は7日、クマよけスプレーを搭載したドローンの販売開始を発表した。クマとオペレーターが安全な距離を保ったまま、トウガラシ由来のカプサイシンを主成分とするクマよけスプレーを遠隔操作で噴射する仕組みだ。クマ被害への対策が急務となっている自治体からの引き合いが期待される。土木・産業資材大手の前田工繊 <7821> [東証P]の子会社、未来のアグリはクマ対策用電気柵線「ブルーキングワイヤー」を販売する。極太ステンレス線で大型動物に対応。人間の生活圏へのクマの侵入を防ぐ。同社は10月31日に「クマ対策支援チーム」を創設したとも公表。現場の状況にあわせた具体的な対策を提案し、社会課題の解決を図る。古野電気 <6814> [東証P]の子会社フルノシステムズは8月、クマを検知できる遠隔監視システムに関する秋田県立大学による実証実験において、新たなIoT向けのWi-Fi規格に対応したアクセスポイント「ACERA 331」が活用されたと公表している。鳥獣被害対策として行われるゾーニング管理の領域では、積水樹脂 <4212> [東証P]が農業資材・園芸用品として獣害柵を取り扱う。漁網から陸上用ネット・宇宙ゴミ対策品に展開する日東製網 <3524> [東証S]は獣害防止ネットを製品群に持ち、製造能力は国内最大級。日亜鋼業 <5658> [東証S]は獣害対策用フェンスとともに、有刺鉄線も供給。有刺鉄線はクマの行動範囲を被毛採取を通じて把握する「ヘア・トラップ」で使用される線材もある。トーアミ <5973> [東証S]はゴルフ場や田畑向けにイノシシの侵入を防ぐ溶接金網を展開。京三製作所 <6742> [東証P]は獣道に対して超音波を発信し鉄道への動物侵入を防ぐシステムを手掛けている。害獣をわなで捕獲した際にメールで通知するシステムも、社会実装が進むと期待されており、ALSOK <2331> [東証P]やマクセル <6810> [東証P]子会社のマクセルフロンティア、ソラコム <147A> [東証G]などがこうしたシステムを展開する。
(「クマ凶悪化」専門家が指摘)
温泉旅館やJR駅構内など人が多いところにもクマが出没、街に住む人たちも安穏としていられない。2025年11月10日放送の情報番組「ゴゴスマ」(TBS系)は東北地方を中心に相次ぐクマ被害を取り上げ、経済学者の成田悠輔さんが「こんなにクマが出てくるようになった理由というのはわかっているのか」と疑問を投げかけた。番組では今年の青森、秋田、岩手、山形、宮城の東北5県のブナ結実状況が「大凶作」であることを林野庁発表のフリップを示し、クマの主食となるブナの実の不作が大量出没の原因になっているのではないかと説明した。スタジオがざわついたのは、ニュース解説担当で元CBC特別解説委員の石塚元章さんが「(クマが)凶暴化している気がする。家の中まで入ってきたり何もしてない人にいきなり襲いかかったりと以前のクマの常識とちょっと違っているような気がする」と話したときだ。クマの生態に詳しい岩手大学農学部准教授の山内貴義さんは「かなり人慣れした個体が増えていて2年前ぐらいから顕著になってきたけど、最近はそれに拍車をかけて凶暴化というより凶悪化している」と話した。MCの石井亮次さんも思わず「凶悪化」に反応し「おわ~」と声をあげた。石井さんが「クマって頭いいんですか」とたずねると、山内さんは「非常に学習能力が高くて餌に対する執着心が高い。お腹すかせている状態で里におりて死に物狂いでエサを探しているわけですから、人間もそれなりの対処をしないとこういう事故はなかなか減らない」と一層の注意を促す。石塚さんが「言い方を変えると昔より人間は(クマに)なめられているというところがあるのでしょうか」と聞く。山内准教授は「まさにその通りで、クマだけでなくいろんな野生動物が人間のことをなめてかかっていると言った方がわかりやすい」と話した。クマに出会った時の対処法ついて、コメンテーターの信州大学特任教授の山口真由さんは「(知人から)ヒグマは難しいけどツキノワグマには戦ってくださいと言われたけど、私は無理だろうなと思った」と話した。山内さんは、それはダメ、無謀な行動に出ないようにと念をおした。「絶対に戦わないでください。生身の人間が接触したら絶対にかなわない。戦えると思っても戦わないでください」。万一、クマに襲われたらどうするか。「うつ伏せになって顔と腹部を守り首の後ろに手を回して保護する」といった対処法も紹介された。生命の危険にさらされる危機が、都市部にも迫っている。
(クマは急増でもハンターは減少…“ハンター育成”の最前線)
急増するクマ、一方でハンターの数は年々減少しています。その人手をどう確保するのか。ハンター育成の最前線を取材しました。各地の市街地でクマの出没が止まりません。福井県にある福祉施設の駐車場に走って現れたクマ。体長1メートルほどの成獣とみられます。近くには小学校や商業施設もあり、警察などが警戒を続けています。13日から、警察官がライフル銃を使ってクマを駆除できるようになることを受け、岩手県では、11日、警察官らが先月クマが出没した場所を視察しました。盛岡市役所の近くの河川敷に、先月23日、クマが出没。草むらを走り抜けたり、川を泳いだり。クマは神出鬼没の動きを見せます。警察や市の職員が警戒を続けるなか、クマは住宅街のほうへ移動し、姿を消しました。岩手県では、県外の警察から機動隊銃器対策部隊の4人が派遣されています。11日は、この隊員らに、猟友会のメンバーが市街地でライフルを使う際の注意点などを説明しました。猟友会「市内で銃を撃つ場合は“跳弾”が一番危険。街中の場合は1発で仕留めないといけない。1発撃って外してその辺で(クマが)暴れると大変なことになる」。クマ対策の最前線にいる猟友会は、11日も対応に追われています。岩手県の花巻市猟友会の会長を務める、藤沼弘文さん(79)です。「今向うのは、クマが柿の木に登って柿を食べているといつも報告がある場所」。パトロールに向かう矢先、市役所の担当者から電話が。猟友会「どこ?」市の担当者「午前中の案件と似ているが、花巻南高校の近くで、高速道路側の所で子グマが1頭、水路の方に下りていったと」猟友会「さっきのだな。分かりました」市の担当者「よろしくお願いします」猟友会「向かいます」「そっちに向わないと」クマの目撃情報があった現場へ向かいます。藤沼会長「きょうの朝出たクマ。子グマ。いつもこんなだ。次から次へと」。高校の近くで子グマが徘徊(はいかい)する、緊急事態です。「子グマがいると親グマは必死になって守ろうとする。子グマの行く先に人がいれば猛烈に襲ってくる」。子グマが目撃された場所の周辺では、警察が警戒しています。付近を捜索したものの、結局クマの姿は見当たりませんでした。花巻市猟友会に所属する、菅実さん(74)。ハンター歴50年のベテランは、クマの出没が今年は異常に多いと驚いています。菅さん「いつもの倍じゃない。3倍、4倍。一般の人たちもクマを見ているし、それだけ危険も迫っている」。実際、クマの個体は年々増えてきています。環境省の調査では、岩手県で、クマの推定個体数が2013年度には1100頭だったのが、7年後の2020年度には3700頭と3倍以上になっています。一方で、ハンターの数は足りていません。全国組織の「大日本猟友会」によりますと、クマに有効な散弾銃やライフルを扱える会員は、1974年度に37万人だったのが、2024年度には5万6577人まで減少しています。さらに、会員の高齢化が課題で、およそ10万人のうち60歳代以上が6割を超えるといいます。重たい箱わなの運搬や設置は重労働。さらに、クマがわなにかかった時の対応は危険も伴います。クマを駆除した後の処理も猟友会が行っています。「『1時間1000円の手当が出ます』と言われて。こういう山に来て危険をおかして、自腹切ってまで駆除したって1時間1000円。危険を帯びて危険手当が1000円。ちょっと成り立たない」。自治体から手当は出るものの、危険と隣り合わせの任務と見合っていないと訴えます。ごみの集積所にクマが侵入。盾を構えた警察官と、猟友会のメンバーが対応しています。猟友会が小屋の扉を開けた瞬間。ごみ袋の脇からクマが飛び出てきます。警察官が盾で防ぐと、クマは小屋の中へ。しばらくすると…再び、クマが突進してきます。一歩間違えれば、クマに襲われ、大事に至る危険が常につきまとうのです。「クマ1頭で5万円10万円出すなら考え方が変わるかもしれないが、結局クマが出たから『猟友会退治せよ』ってだけ。クマ退治のための猟友会じゃない。でも今は結局猟友会に頼らないといけない状態。猟銃を持っているのは猟友会しかいないから」。住宅から近い林に仕掛けられたたシカのわなにクマがかかった時の映像です。中央の木の裏にクマが潜んでいます。連絡を受けた猟友会が状況を確認。猟友会「大きい。大きい」。すると、次の瞬間。突然、クマが威嚇してきます。幸い、くくりわなにかかっていたため、襲われずに済みました。菅さん「クマだって生きている。自分たちだって生きている。人間が怖いから、クマからみれば。だから刃向かってくる。いざ(クマが)立ち向かって『なんだ人間って弱いな』と思うと、次からどんどん攻めてくるようになる」。クマと対峙するハンターの需要が高まるなか、11日、兵庫県にある“ハンターの育成施設”では、狩猟やクマ対策に備えて、射撃訓練をする人たちの姿が。ハンター歴60年の男性(83)は。「今緊急銃猟があるでしょう。町内でライフル銃持っているのは私一人。実費で出動要請があった場合、練習して失敗しないようにきょう来た。人命に関わることだから、我々はやっぱり行く」。課題は、ハンターの高齢化です。兵庫県立総合射撃場 藤本恵一朗場長「クマの緊急銃猟を市町村から委託を受けて撃つハンターは、それなりの技術が求められるので、若く高い狩猟技術持つ人の育成は急務と感じる」。岩手県で、ベテランハンター・菅さんがクマ対策の見回りをしていると…。菅さん「すごく立派なシカだね。最近のシカじゃないか」「これがオスね」「(Q.太っている?)だってエサを食える。草食うから」。近年、増加しているシカが、エサを求めて人里の近くまでやってくることも、クマの出没に関係しているといいます。「結局こういうシカはここを縄張りにしている」。わなにかかったシカを狙うクマ。近年、人里の近くまで、シカが出没していることで、獲物を追うクマが、市街地まで行動範囲を広げている可能性が指摘されています。「俺らも民間人の安全を確保してやらなければならない。ところが実際はそういう義務は俺らにはない。だけど、一般の人たちを危険な目にあわせたくないと猟友会はみんな思っている」。
(東出昌大と山の暮らし。)
関東近郊の山の中に暮らして、今年で4年目になる東出昌大さん。野菜を育て、獣を撃ち、自ら解体して食べる半自給自足の生活を送る。その生活から見えてきたのは、どこまでもシンプルな命との向き合い方。「今日は天気がいいから、サンドイッチを持っていって、山で食べましょう」。そう言いつつ、手際よく薪で火をおこす。ナイフで切るのは少し前に自ら山で仕留めたシカの肉だ。東出昌大さんが関東近郊にある山の家に暮らし始めたのは3年ほど前のこと。俳優としての仕事がある時は東京へ出るが、それ以外の日々は近くの山に入って狩猟をしたり、畑で野菜を育てたりして、できる限り自分で食べ物を調達する生活を続けている。埼玉県の自然豊かな場所で生まれ育ち、小さな頃から昆虫や動物が好きだった。20代で俳優デビューした後も、いつかは自然や生きものに近い場所で生きたいと思ってきた。「いい服を着せてもらって、仕事先へは車で送り迎えしてもらう生活。物質的には豊かだったかもしれませんが、どこか生きている心地がしないというか。俳優の仕事にはやりがいも感じていましたが、35歳くらいまでには東京を離れたいと思っていました」。仕事が軌道に乗っても、いつも拭いきれない焦燥感があった。少しでも自然や動物に近づきたい。東京に暮らしながら狩猟免許を取得したのには、そんな思いがあった。「芝居はアウトプットの連続なので、その分インプットも必要。映画や舞台をたくさん観るようにはしていましたが、それ以外に何ができるだろう、と。名優と呼ばれる方々の本や言葉に触れると、みなさん芝居以外の色々な人生経験を積まれている。東京で何不自由ない暮らしをしているのではなくて、自分も何か違うことをやってみたい。狩猟を通して動物に肉薄した生活を送ることで、芝居の面でも新しい刺激をもらえるのではないかと思ったことも、狩猟を始めたきっかけでした」。狩猟の下見で今暮らす家の近くに来た際、偶然家主に出会い、住むことに。電気もガスも通っていない、小屋に近い家。そこでの生活を通して、多くのことを学んできた。「野菜を育てるために、僕は牛糞を買っているんです。でも、かつてはこのあたりでも牛や馬を飼っていて、その糞や、人間の排泄物も畑に入れて土を作っていた。生活の中に自然と循環があったわけです。でも今は牛や馬も飼っていないし、トイレは水洗。いっぽう山に目を向けると、あらゆる動物の排泄物は森の栄養になるし、死んだ後もなお誰かの命になる。すべてがつながって、支え合っていることを知ると、人間だけが自然の循環、命の輪から外れているんだなと感じます」。自然の中にある循環に気がつくと、世界の見え方に大きな変化が生まれた。「たとえば東京に行って渋谷を歩いている時。渋谷川の近くを通ったら、真っ黒な川の浅瀬でカモが休んでいたんです。生活排水が流れ込む川には化学物質も含まれているでしょう。それらが彼らに悪影響を及ぼさないとも言いきれませんし、実際に鳥の数は年々減っています。スーパーに並ぶ綺麗な野菜も、それを作るための農薬で、どれほど多くの虫が命を落としているか。生物が減ることは自然の循環が絶たれてしまうということ。便利で安心、安全な生活と引き換えに、ほかの命が失われているのだとしたら、経済的合理性だけを求めて生きていくのには限界があるのではないかと感じるようになりました」。名前を知らない鳥や虫。それらが地球上から姿を消したところで、誰が困るのか。そんな問いに、東出さんはシンプルに答える。「まずもって動物はかわいいでしょ(笑)。虫も美しいし、形も生態も興味深い。いなくなったらイヤですよ。今日みたいな晴れた日に山を歩いていると昼寝でもしたいなと思うんですけど、南側のよく陽の当たる斜面に行くと、シカが気持ちよさそうに日向ぼっこしているんです。やっぱ、そうだよな~って。動物って、知れば知るほど面白いんですよ」。そして、こうも付け加えた。「自然の中に多様な命があって循環しているからこそ、私たちは色々な食べ物を得られているわけですよね。でもスーパーで買い物をしていると、そのことを忘れがちです。山の中での暮らしでは、春になったら山菜が出て、夏には渓流にイワナが泳いで、秋にはキノコが生える。育つ野菜も季節ごとに違います。それらをとって、すぐ食べる。それ以上においしいものってないんです。山から木をもらって、その薪で炊いたご飯もそうです。その本当のうまさを知ったら、自然や生きものをないがしろにしていいなんて思えないです」。自然から教わった味や、それらを心底おいしいと感じる体験を、東出さんは「嘘じゃないものだから」と表現する。「僕は環境問題についてあれこれ発信したいわけではないので、自分の生活から得た感覚しかお話しできませんが……。たとえば僕は、これからやりたいことがたくさんあるんです。鶏を飼うとか、養蜂をしてハチミツをとるとか。それらを通して自然の循環の中に入りたいという気持ちは少しありますが、大きな動機は、うまい卵やハチミツを食べたいから。ただ、それだけなんです。自然の中で獲ったり育てたりしたものは、本当のうまさを教えてくれる。だから、やりたいんです」。おいしいものを食べたいから自然の中に入り、学び、あらゆる命を尊重する。それは生物としての当然の欲求から生まれる行動だ。「でも動物を撃って殺すのは、何度やってもキツイです」と東出さん。今も食べるのに必要な分の狩猟しかしない。車で20分行けばスーパーがあるが、それでも狩猟をするのには、おいしさの魅力以外にも理由がある。「環境や生物多様性、今考えて行動しないといけない問題はたくさんありますが、わかったつもりになって語ることはしたくない。こう生きるべきだ、みたいなことも本当はなくて、人それぞれ考えがあっていい。ただ僕は、スーパーで肉を買って食べるといった、誰かの手によって作られた安心や安全を享受するだけの生活が、しんどいと感じていた。だから自ら不便の中に身をおいて、本当の豊かさがどういうものなのか向き合ってみたかった。そうやって生活しているうち、自分が生物として持つ本来の自力を出せば、無駄なものを買ったり、余計な命を奪ったりしなくても生きていけるとわかってきました。足るを知って生きていく。それってすごく気持ちがいいし、面白い。そして何より、生きやすい。だからこの暮らしを続けています」。山の上にある見晴らしのいい場所で、東出さんが作ってくれたシカ肉サンドを食べる。「先日、この辺の山を歩いていた時、いきなり一頭のメスジカが飛び出してきたんです。向こうもすごく驚いて、『なんでこんなところにいるんですかっ!?』って顔をしていたんですけど(笑)。鉄砲を持っていたから一瞬撃とうかなと思って、やっぱりやめました。家には肉が十分あるし、何よりその子、すごく美人だったんですよね。彼女が森の中に逃げて姿を消すまで、ずっと銃のスコープを覗きながら、その姿を見ていました」。ほかの命を食べて、生きていく。それは生物本来のあり方だ。けれど、それが実際にはどういうことなのか、私たちの多くは知らないし、知ろうともしない。生きものと対峙し、自分の命とそれ以外の命について考えを巡らせる時、何か見えてくるものがあるだろうか。東出さんもまた日々それを探して、ひとり山を歩いているのかもしれない。
(コメ農家が語る、忘れられない恐怖:秋田)
クマの出没が相次ぐ中、農作業中に襲われる被害も後をたたない。過去にクマに襲われ、右目を負傷した秋田のコメ農家が当時の恐怖を語った。農林業がさかんな秋田県中部の五城目町。山あいでコメ作りを営む沢田石俊行さん(76)は8年前の経験がトラウマとして残る。数日前から予兆はあった。自宅近くのコメのモミを保管する倉庫付近には20センチほどの穴が掘られ、中に侵入しようとした跡があった。穴の大きさからクマと思われたが、姿を確認することは出来なかった。しかし、11月3日の朝は違った。入り口のシャッターを開けると、最初に目に入ったのは、中から飛び出してきた1メートルほどの大きな黒い塊だった。一瞬の動きで、クマだと気がついた時は、組み合うような状況だった。もみ合いの中で右肩に爪が刺さり、力に押され、近くの側溝に落ちた。さらに追いかけてきたクマに再び襲われ、右目を負傷。頭が真っ白になり、「うわー」と大声をあげると、クマは逃げた。救急搬送されて入院した。命は助かったが、1カ月半ほどの重傷を負った。今も当時のことが夢に出て、冷や汗をかき、目覚めてしまうこともある。「今もあの恐怖は忘れられない」と語る。クマにひっかかれた右目は光を感じるが、不調が残る。外出する際には右目だけレンズが入ったサングラスをつける。「昔は地域でクマが出るという話はなかったが、高齢化で農家や林業者が減り、山の手入れが行き届いていないためではないか」。治療のために、いまも約30キロ離れた秋田市内に通院する生活が続く。
(「猟友会の一員になりました」40代男性に配られたもの)
「猟友会の一員となった男性が受け取ったもの」が、X上で話題になっています。投稿したのは、Xユーザーの「@shimopake」さんです。当ポストは執筆時点で11万件を超えて表示されるなど大きな話題となっています。記事の中では、クマによる農作物被害額についてもご紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてくださいね。※今回ご紹介するポストは、投稿者様の掲載許可を頂いております。※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。「猟友会の一員になりました」そんなコメントとともに投稿されたのは、1枚の写真でした。投稿したのは、八甲田の土地を購入して年間140日ほど山暮らしをしているという、40代前半の男性の@shimopakeさん。猟友会の一員に加わったという報告に添えられた写真には「JAPANHUNTER」のロゴが記載された、ベストとキャップと思われる衣類が写っています。イエローとオレンジ、そして黒でデザインされたベストを見ると、狩猟者としての実感が湧いてきそうですね。@shimopakeさんに話を聞くと「正直初めは猟友会に所属せず、独学で頑張ろうと思っていました」と明かします。猟友会に入った経緯を尋ねると「狩猟をするには狩猟免許に合格した後に狩猟者登録をしなければならないのですが、その狩猟者登録にはハンター保険が必須です。数年前までは個人でハンター保険に加入できたのですが、現在は猟友会等の団体を通さなければハンター保険に加入できません」と説明。「そこで迷っていたところ、別支部ではありますが猟友会所属の先輩方からとても参考になるお話を聞かせていただき入会を決めました」と、詳しく教えてくれました。猟友会への加入について聞いてみると「昨年狩猟免許試験で知り合った友人が先に猟友会に所属していたため、その友人にお願いをして紹介していただきました」と@shimopakeさん。「猟友会は厳しい印象があり緊張しながら電話をしたのですが、とても親切に案内をしていただきました。こちらの帽子とベストを受け取る際、副支部長様より色々とアドバイスをいただきました。お土産にエゾ鹿肉までいただいてしまいました(笑)」とエピソードを語ります。ポストには多数のいいねに加え、激励の声などがたくさん寄せられています。こうした反響について@shimopakeさんは「今年は熊が多いためか、反響の多さに驚きました」と、予想外の反響だったことを明かしました。続けて「私は年の約3分の1を山で暮らしているため、野生動物との遭遇は多い方だと思います。山の環境は以前と変わってきているかと思いますが、人も動物も互いに良い環境で暮らせるように願っています」と今後の展望も話してくれましたよ。ここからは記事の話題にちなんでクマによる農作物被害状況についてご紹介します。農林水産省が公表している資料によると、全国の野生鳥獣による農作物被害額は163億6300万円(2023年度)。そのうち、クマによる被害は7億4700万円となっています。ちなみに、被害額が最も大きいのはシカ(69億5400万円)。次いでイノシシ(36億2700万円)、カラス(13億3900万円)の順に多くなっています。いかがでしょうか。今回はXで話題になっている「猟友会の一員となった男性に配られたもの」をご紹介しました。
(クマにラ・フランス2トン食べられる:山形)
山形県上山市の果樹園で撮影されたのは、1頭のツキノワグマです。長沼果樹園では今月に入り、「ラ・フランス」およそ2トンがクマに食べられる被害がありました。産直通販サイト「食べチョク」の調査で、今月、クマやイノシシなどの被害に遭ったと回答した生産者が8割近くに上ったことが分かりました。クマの被害が深刻な東北地方では、7割以上の生産者が「例年より被害が増えている」と回答しました。加工用のブドウがクマに食べられたほか、果物の柿がクマに食べられる被害があったということです。
(バイクとシカが衝突する事故:鳥取)
11月11日午後9時ごろ、倉吉市の農道でバイクとシカが衝突する事故がありました。警察と消防によりますと、午後9時3分に、「足が痛い」という旨の119番通報がありました。倉吉市黒見の農道を原付バイクで走っていた57歳の男性が、シカと衝突したということです。男性はこの衝撃で道から3mほど転げ落ちて左足の大腿部を骨折し、市内の病院に搬送されました。意識はあり、命に別状はないということです。男性は衝突後、家族に電話をして助けを呼び、駆けつけた家族が消防に通報していました。シカの姿は現在確認されておらず、男性とシカは出会い頭に衝突した可能性もあるとして、警察が事故の原因を調べています。
(イノシシやシカ用も問い合わせ増加:宮崎)
北海道や東北を中心にクマ被害が相次ぐ中、宮崎市の企業「イノホイ」では、本来イノシシやシカ用に使われる捕獲用の檻の問い合わせが例年の1.2倍に増加しています。クマ用としては高額な檻が、同社では半額以下の約7万円で購入できるためと見られています。また、クマ撃退スプレーの売れ行きも昨年比1.5倍と好調で、欠品状態が続いています。同社は、人への被害軽減に貢献したいと考えています。
(増えるクマ・シカ、食品利用拡大の課題は?)
クマ被害が連日報じられる。駆除が抜本的解決とは思えないが、駆除を進め被害を抑えながら、効果的な策を練るべきではないだろうか。クマだけではない。北海道ではエゾシカによる農作物被害が再び右肩上がりに。道庁によるとエゾシカの推定生息数は14年に70万頭を割ったが、21年には増加に転じた。捕獲数は増えているのに生息数が減らない。19年からの捕獲数は計画を下回り続ける。ハンターの高齢化に加え、コロナの流行やウクライナ戦争とも関係がありそうだ。エゾシカ肉などの利活用提案をする縁和の亦部章弘社長は「コロナ禍や戦争で世界的に銃弾が不足し、弾の価格が以前の3倍に跳ね上がった。四輪駆動車を使うハンターにとって、ガソリン価格の上昇も重荷」と指摘する。獣肉の用途拡大も急ピッチに進めなければならない。亦部氏は「ヒグマもエゾシカも適切に下処理した3歳までの肉はおいしい。ヒグマの肉はくさみなどなく、焼くだけで楽しめる。加工食品については、道内に2次加工業が少ない。道内で完結したいが、道外の企業にお願いするしかない」と課題を口にする。インフラ整備には民だけでなく官のさらなる支援が必要だ。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、20日午後7時35分ごろ、登米市津山町横山竹の沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午後3時ごろ、仙台市泉区泉ケ丘2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、19日午後7時ごろ、仙台市泉区野村石保にクマが出没しました。
(イノシシ出没:宮城)
登米市によると、20日午後5時ごろ、登米市東和町米谷森合にイノシシが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日午後2時40分ごろ、富谷市志戸田野田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、20日午後2時50分ごろ、白石市福岡八宮玉貫にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、20日午後3時55分ごろ、栗原市鶯沢北郷峯にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、20日午前10時ごろ、栗原市金成小迫中沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日午前10時10分ごろ、富谷市一ノ関川又山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、20日午前9時20分ごろ、登米市中田町浅水浅部玉山にクマが出没しました。
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(80代男性がクマに襲われる:福島)
16日午前8時過ぎ、福島県磐梯町磐梯の農道で、近くに住む80代男性が体長約1メートルのクマに襲われ頭などを負傷した。命に別条はないとみられる。クマは山林に逃げ、県が箱わなの設置を検討している。猪苗代署によると、男性は他の地域住民約10人とともに農道と山林の境に設置していた電気柵を、積雪に備えて撤去する作業中にクマに襲われたという。他に負傷者はいなかった。
(千曲川に落とした散弾銃発見・使われた形跡なし:長野)
飯山市で15日、下高井郡に住む男性が狩猟中にボートで転覆して、散弾銃1丁を川に落として紛失しましたが、16日の捜索で発見されました。散弾銃は午前11時過ぎ、飯山市の千曲川にかかる大関橋(おおぜきばし)近くで、朝から捜索していた県警の機動隊員が水深およそ2.5メートルの川底で発見しました。15日は狩猟の解禁日で、転覆したボートに乗っていた下高井郡の73歳の男性と知人の女性の2人にけがはありませんでした。銃に入っていた弾もそのままだったということです。男性は15日午後0時半過ぎ、この付近でボートが転覆した際に銃を川に落としていて以降、これまでの捜索では見つかっていませんでした。警察が当時の状況や法令違反がなかったかなど詳しく調べています。
(小屋で飼育のラブラドールレトリバーが死んでいるのが見つかる:秋田)
17日朝、五城目町の民家敷地内で飼いイヌが死んでいるのが見つかりました。クマによる被害とみられています。五城目警察署の調べによりますと、17日朝、五城目町小池字森山下の70代の男性が、自宅敷地内の小屋で飼っていたイヌが死んでいるのを見つけました。飼っていたのは体長約70センチのメスのラブラドールレトリバー8歳で、クマにかまれたとみられるあとがあり、現場近くではクマのフンが見つかっています。イヌは小屋につながれていたということです。16日午後11時ごろから17日午前6時ごろまでの間にクマに襲われたとみられ、夜には飼い主がイヌの鳴き声を聞いたということです。
(クマの死骸、ハンター襲った個体か:群馬)
群馬県藤岡市三波川の山林で15日に狩猟中の男性(60)がクマに襲われ重傷を負った事故で、有害鳥獣対策にあたる市鳥獣被害対策実施隊が18日、現場付近でクマ1頭の死骸を発見した。市森林課によると、クマにはライフル銃で撃たれた痕があることから、男性を襲った個体とみられるという。クマは雄の成獣で、体長約1メートル、体重約100キロ。男性が襲われた現場から数十メートル離れた沢で発見された。死骸の背中から腹部にかけ、銃弾が貫通した痕があった。
(野生イノシシが豚熱感染か、確定すれば県内初:鹿児島)
確定すれば鹿児島県内初の事例です。鹿児島県霧島市の山中で死んでいた野生のイノシシが豚熱に感染した疑いがあることが分かり、国による確定検査の結果は、このあと午後8時以降に判明する見込みです。鹿児島県・塩田知事「陽性と判定されれば本県初となる。野生イノシシの豚熱感染。養豚場への侵入をなんとしても防ぐ必要がある」。19日午前、緊急で開かれた対策会議で危機感をあらわにした塩田知事。県によりますと、17日午後2時に、霧島市霧島田口で住民が死んでいる野生のイノシシを見つけました。その後、県が豚熱ウイルスの遺伝子検査を行った結果、陽性が判明し、現在は国による確定検査が行われているということです。結果はこのあと午後8時以降に判明する見込みで、陽性が確定すれば野生のイノシシでは県内で初めての豚熱の感染事例です。豚やイノシシの伝染病で強い伝染力と高い致死率が特徴の豚熱。県内では1985年に旧大口市の農場の豚から発生した以降は確認されていません。今回、イノシシの死骸が見つかったのは宮崎県との県境で、宮崎側では2025年、野生のイノシシの感染例が相次いでいました。これまでにイノシシが見つかった地点から半径10キロ圏内にある県内の10農場で異常は見つかっていないということです。また、会議では県内の養豚場に防護柵の再点検など衛生管理の徹底を呼びかけたことなどが報告されました。県家畜防疫対策課・藏薗光輝課長「強い危機感を持って受け止めている。(養豚は)重要な基幹産業。引き続き徹底した防疫対策を行っていく必要がある」。宮崎県での確認を受け、霧島市や曽於市ではイノシシが通る獣道などにワクチン散布などの対策をする中、疑い事例が確認された今回。親豚と子豚あわせて3300頭近くを飼育している鹿児島県鹿屋市の養豚場の関係者は不安を口にしました。ふくどめ小牧場・福留俊明代表「農場に広がらないか心配。農場内に入る車両の消毒やワクチンを打ったりして対策している」「今まで以上に対策をしていかないと。気を引き締めたい」。県は豚熱は人には感染せず検査が行われているので、豚熱に感染した豚肉が市場に出回ることはないとして冷静な対応を呼びかけています。
(クマ出没対策「国から相談は全くなかった」と大日本猟友会・佐々木洋平会長)
クマの被害が深刻化し、捕獲にあたる各地のハンターの負担が大きくなっている。東京でも西多摩で目撃が相次ぐなど、人の生活圏へのクマの接近はもはや山間地だけの問題ではない。求められる対策は何か。都道府県の猟友会で組織する「大日本猟友会」の佐々木洋平会長(83)や識者に聞いた。「国はクマに対し、さまざまな緊急対策を進めているが、相談は全くなかった。果たしてうまくいくのかという疑念がある」。7日、一般社団法人「大日本猟友会」(東京都千代田区)の一室で東京新聞「こちら特報部」の取材に、佐々木会長はこう語った。大日本猟友会は、銃猟やわな猟の狩猟免許を持つ約10万人で構成する。趣味の団体である一方、農業被害や市街地で出没があると対応にあたる。クマについて本年度は9月末までに昨年度1年間を上回る約6000頭を駆除したほか、イノシシ・シカも年間計100万頭以上捕獲してきた。佐々木氏は、自民党のクマ被害緊急対策プロジェクトチームの5日の会合に出席し、クマ対策での自衛隊派遣に私見として「反対」を表明した。改めて理由を尋ねると、「彼らは銃器を持たず、撃退用スプレーを携行するぐらいでクマ出没の可能性がある現場に近づく。危険だ」と指摘した。自衛隊法に基づき、隊員の任務が箱わなの運搬や設置といった「後方支援」に限られることにも触れて、「中国やロシア、北朝鮮と日本を巡る国際情勢が緊迫している中、国防を担う自衛隊がすることなのか。大災害なら理解できるが、反対だ」と繰り返した。13日からは警察官がライフル銃を使ってクマを駆除できるようになり、秋田、岩手両県で実施に臨む。これについても「反対ではない」と前置きしつつ、首をひねる。「クマは時速60キロで向かってくる。撃つのは、コンマ何秒の世界。猟友会は日ごろからシカやイノシシを撃ち、緊迫した状況の場数を踏んでいる。警察官が少しの訓練で対応できるのだろうか」。とりわけ今、猟友会のハンターたちの懸念が高まっているのが、9月から始まった「緊急銃猟」制度だという。改正鳥獣保護管理法が施行され、市町村の判断で市街地での発砲が認められるようになった。従来は現場の警察官の命令がなければ原則発砲できなかったが、クマ出没の増加などを受け、予防的かつ迅速に対応するために新設。今月11日現在で発砲に至ったのは東北地方を中心に21件に上る。佐々木氏は、ハンターが撃って跳弾や流れ弾による人的被害が出た場合の責任の所在が「明確ではない」と主張する。改正法は、物損の場合は委託した市町村が賠償責任を負うと定めるが、人的被害が出た場合に刑事責任を誰が負うかは捜査・司法当局が判断する。環境省の担当者は「緊急銃猟に限らず、刑事責任は最終的に裁判所が判断する。もっとも緊急銃猟で発砲できる条件として安全確保措置があり、通常は刑事責任を問われることはないのではないか」と話す。一方、佐々木氏は「現場レベルで警察に尋ねれば『きちんと事件処理する』と答える。銃刀法違反で免許が剥奪されるリスクもある。ハンターたちからは『とても緊急銃猟なんてできない』との声が多く上がっている」と強調した。緊急銃猟は「対症療法に過ぎない」とする佐々木氏。国は狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」の確保支援も打ち出しているが、「猟友会は高齢者が多く、若い人たちは兼業している。担い手になれる人は少ないのではないか」とみる。クマをはじめ鳥獣の出没が頻発し、ハンターの担う負担は増している。それでも「社会貢献しよう、市民の暮らしを守ろうとの思いで、命を張って活動している」とその思いを代弁し、「自治体ごとに差がある手当の金額を『専門家待遇』として一律化し、練習する射撃場の整備などハンターの育成環境も整備してほしい」と訴える。
(クマ対策専門「BTS」、狩猟のベテラン職員を配置:群馬)
出没が相次いでいるクマへの新たな対策として、群馬県は14日、狩猟免許と長年の狩猟経験を持つ職員を捕獲対策専門職員に配置した。山本一太知事は「職名の呼び名は考えた。BTSにします。Bear Tackling Squad」と述べ、「群馬県のBTS」としての活躍を期待した。捕獲対策専門職員への兼務を発令されたのは、富岡森林事務所林業政策係長の中山寛之さん(48)。2003年に狩猟免許を取得し、20年以上にわたり、クマやイノシシ、シカなどの狩猟経験を重ねてきた。猟友会に所属し、県射撃指導員なども務めている。県庁では農林畑を歩み、鳥獣被害対策支援センターでクマの頭数管理に携わるなどしてきた。今後は捕獲対策専門職員として市町村への助言や指導を行い、年内に発足予定の知事や職員らによる狩猟免許取得チームの企画運営をする。狩猟免許試験の制度設計や、狩猟免許を持つ人を公務員として任用する「ガバメントハンター」育成のサポートも行う。中山さんは「狩猟は趣味で始めた。そこで得た経験や知識を県政推進に生かせる機会をいただいた。力を尽くさせていただきたい」と抱負を述べた。山本知事も狩猟免許の取得を目指しており、「(中山さんは)BTSのリーダーだから。頼もしい。冷静沈着だし、ご指導ください」と激励した。
(公務員ハンター確保へ急ぎ足:岩手)
岩手県の達増拓也知事は17日の定例記者会見で、クマ被害対策として狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」の確保に向けて、早急に取り組む考えを明らかにした。これまでの同県の基本方針として、「ガバメントハンター」は中長期な取り組みの一つとしていた。一方で、政府が14日にとりまとめた被害対策パッケージでは、人材確保のため、自治体への交付金など必要経費を臨時国会に提出する補正予算案に盛り込む方針が示されていた。達増知事は「国の対策がかなり具体的になってきた。週内に開く県の関係部局長会議で基本方針を見直し、前倒しを進める」とした。また、捕獲とともに有識者の間で拡充が求められているクマの生態調査について、達増知事は「野生動物の保護の観点からどこに生息しどのように生活しているのか、より深く知り理解する必要がある。奥羽山脈を共有している秋田県とも協力して進めていきたい」と話した。
(警察官がライフル銃でクマ駆除、北海道でも検討:)
札幌市中央区の円山地区で住民を不安に陥れたクマは、11月12日に駆除されたとみられる。ほっとしたのも、つかの間。今度は南区で出没が相次いでいる。11月13日、札幌市南区藤野3条2丁目で体長1メートルほどのクマの目撃情報があった。付近の藤の沢小学校周辺では足跡も見つかり、14日は臨時休校となった。2024年度の札幌市内のクマの出没情報は99件。2025年度は11月13日時点で354件を数え、3.6倍近く増えている。そんな中、北海道警では凶悪犯に対応する機動隊の銃器対策部隊が、ライフル銃を使ってクマの駆除にあたることを検討していることがわかった。ハンターが対応できない場合の出動を想定していて、専門家などによる訓練を行う方針。全国的なクマ被害の深刻化を受け、13日から警察官がライフル銃で駆除することが可能となった。被害が大きい秋田県と岩手県では、機動隊などによる駆除チームの出動式が行われた。北海道警ではまだ出動には及んでいないが、今後実際に駆除に当たる場合にどのような銃を使うのか、札幌市内の銃砲店を訪ねた。「こちらがライフル銃です」(石狩銃砲火薬店 元陸上自衛官 佐々木 一哉社長)。一般的なライフル銃。普段、警察官が携帯している拳銃と何が違うのか?「拳銃とライフル銃では威力が違う。拳銃は命中しても威力が圧倒的にライフル銃とは違うので、弾丸が当たってもクマは死なないと思う」(佐々木社長)。ライフル銃を使えばクマの駆除は可能なのか?「可能か否かで言えば、可能だと思う。弾丸の当たりどころが悪いと致命傷にならないので、クマに襲われる可能性がある。クマの生態について学ぶ必要が十分にあると思う」(佐々木社長)。
(町村会、クマ対策訓練は国主体で)
全国町村会は19日、東京都内で大会を開いた。クマの出没時に自治体判断で市街地での発砲を可能とする「緊急銃猟」に備え、国主体で講習や訓練を行うよう求める要望書をまとめた。学校給食費の無償化を制度化する場合は全額国費で負担することも盛り込んだ。全国町村会長の棚野孝夫北海道白糠町長は冒頭のあいさつで「市街地に出没するクマにさまざまな対策を講じているが、個々の自治体での対応は限界に来ている」と強調。国が抜本的な対策を講じるよう訴えた。大会には高市早苗首相も出席。「経済対策で重点支援地方交付金を拡充する。それぞれの地域で必要な事業に使ってほしい」と呼びかけた。
(警官のクマ駆除「技能持つ人材確保進める」)
10月に就任した赤間二郎国家公安委員長が18日、報道各社のインタビューに応じ、警察官によるライフル銃を使用したクマの駆除が可能になったことに関し「技能を持つ人材の確保を進める」と述べた。装備資機材の整備などと合わせ、被害防止に向けた取り組みを推進する考えを示した。
(クマの個体数の調査を全国的に実施する考え)
各地でクマによる人身被害が相次いでいることを受け、国会の衆議院内閣委員会で木原官房長官はクマの個体数の調査を全国的に実施する考えを示しました。木原官房長官 「このクマ被害対策を徹底するためには、個体数推定を速やかに実施する必要がある。統一的な手法によってクマの生息状況の調査を全国的に実施します」政府がとりまとめた対策パッケージでは、クマの個体数推定は中長期的に取り組むことに分類されていて、立憲民主党の川内議員は「緊急に取り組むべきだ」と求めました。木原長官は、当面は古いデータを活用しながら対策を進め、新たな調査結果を踏まえて対策をアップグレードする方針を説明しました。また、狩猟免許の所持が必要な箱わなの設置を自衛隊や警察官ができないのか問われ「法令を守ったうえで、杓子定規ではなく対応することが必要だ」と述べました。
(住宅の敷地内の木の上にクマ居座る、緊急銃猟で捕獲・駆除:新潟)
南魚沼市の住宅の敷地でクマが木の上に居座り、市が緊急銃猟を実施して捕獲し駆除しました。市や警察によりますと、16日午前10時30分ごろ、南魚沼市大木六で「クマ1頭が柿の木に登って柿を食べているのを見た」と通報がありました。警察が現場に駆けつけたところ、体長50cmほどのクマ1頭が住宅の敷地にある柿の木の上にいることが確認され、周辺の住民に警戒を呼びかけました。その後、クマは50mほど離れた別の住宅の敷地にある木に登ったため、市が人の生活圏内で危険と判断し【緊急銃猟】を許可。午後2時40分ごろ、猟友会が麻酔銃で捕獲しクマを駆除しました。このクマによるケガ人はいませんでした。
(喜多方市で県内初となるクマの緊急銃猟を実施:福島)
福島県や警察などによりますと、クマが駆除されたのは喜多方市松山町で、住宅街の周辺でクマの目撃が相次いだことから、市が15日夕方に箱わなを仕掛けていました。地区の住民は、「家から出て歩かないでくださいって言われてました。クマが増えたのか、それとも人間を恐れなくなったのか」と、話していました。クマは16日朝までに箱わなにかかり、緊急銃猟の必要があると判断されて午前8時ごろ、その場で駆除されたということです。県内で緊急銃猟によりクマが駆除されたのは初めてです。16日は磐梯町でも午前中、電気柵の撤去作業中だった80代の男性がクマに襲われ頭や足にけがをしていて、警察や町が警戒しています。
(早朝の住宅地にクマ、緊急猟銃で駆除:山形)
山形県鶴岡市は17日、同市稲生1丁目の住宅地で目撃されたクマ1頭を、自治体の判断で銃が使える緊急銃猟で駆除した。市によると、16日午後2時半ごろ、稲生1丁目の民家付近の柿の木にクマがいるのを住民が目撃し、警察に通報。クマはその後逃げたが、17日朝に同じ場所に戻っていたため、午前6時45分ごろ緊急銃猟で駆除した。体長70センチの雄だった。県によると、緊急銃猟による駆除の成功は、7日の米沢市、10日の酒田市、13日の長井市、16日の白鷹町に続き県内5例目。白鷹町では16日午後4時過ぎ、住宅付近の柿の木にとどまっていたクマ1頭を緊急銃猟で駆除した。また、庄内町では15日に緊急銃猟による発砲が行われたが、逃げられたという。
(クマ捕獲従事者への支援などおよそ36億円の補正予算案を議会に内示:秋田)
秋田県は18日、クマの捕獲に携わる人たちへの支援などを盛り込んだ一般会計の総額でおよそ36億円の補正予算案の概要を議会に示しました。秋田県が12月議会に提出する補正予算案は、一般会計の総額で35億8千万円あまりです。このうち、クマ関連では捕獲に携わる人の継続的な活動支援などのため奨励金と慰労金を支給する事業に2400万円あまりを充てています。鈴木知事は地域によってクマによる被害状況に差があるとした上で、地域の状況に応じたクマの頭数管理に取り組んでいく考えを示しました。補正予算案などを審議する秋田県の12月議会は11月25日から始まります。
(クマ捕獲の謝礼5000円…、実はイノシシより安かった:宮城)
クマの出没が宮城県内で過去最多となる中、栗原市で18日、クマ被害を防ぐ緊急対策会議が開かれ、柿の木伐採への費用補助やクマ捕獲の謝礼を引き上げる緊急対策を決定しました。栗原市内では10月3日、キノコ採りをしていた75歳の女性がクマに襲われ死亡し、別の70代の女性が今も行方不明になっています。市内の今年度の出没件数は17日現在で397件に上っています。緊急対策では、クマが好むとされる柿や栗の木など伐採を個人負担なしで市が実施します。対象はおよそ550本で2000万円の費用を見込んでいます。また、猟友会のクマ捕獲時の謝礼を1頭5000円から2万円に増額します。緊急対策の総事業費は7270万円に上るということです。これまでのクマ捕獲に対する謝礼は1頭あたり5000円。これに対しイノシシは2万円とクマより高額でした。捕獲は、クマを駆除し埋設など処分するまでの作業が含まれます。クマの方が危険が伴うように感じられますが、市の担当者は「これまではクマの捕獲頭数が少なく、イノシシより安くなっていた」と説明し、来年度以降もクマ1頭2万円の謝礼を維持するということです。県内では今年度のクマの目撃情報などが2500件以上寄せられ過去最多となっていて、県では「クマ出没警報」を11月30日まで延長しています。
(不要果樹伐採などを支援、クマ被害対策:山形)
政府がまとめたクマ被害対策パッケージを受け、山形県は17日、クマ緊急対策会議を開き、県独自のクマ被害対策パッケージを発表した。山形県内の今年10月のクマの目撃情報は766件と、昨年同月の5件と比較すると激増。このうち市街地では昨年同月はゼロ件だったのに対し、今年は72件となった。クマの捕獲数も昨年10月は15頭だったが、今年10月は359頭と20倍以上となった。具体的な対策として、河川のやぶの刈り払いや不要果樹の伐採に3100万円、専門家の派遣や研修会の開催に416万円、鳥獣被害対策実施隊の装備品(ヘルメットなど)に675万円、警察職員の装備品(クマ用防護衣)に1189万円などを専決処分で予算化する。県では今後、山形大と連携し、クマの生息状況や被害の実態をモニタリングして効果的な対策を模索するという。また、ドローンによる探索力の向上や、若手ハンター育成のために春季捕獲を強化する。吉村美栄子知事は記者団に、「ビジネスや観光にまで影響が広がっており、風評被害も懸念される。正確な情報発信や対策を講じていきたい」と話している。
(川のやぶ刈り払い、残る部分を11月中に実施へ:山形)
クマの出没が山形県内各地で続発する“異常事態”を受け、2回目となる県の緊急対策会議が17日開かれ、11月末までの県の緊急対策として、やぶの刈り払いなどが実施されることが示されました。会議では、11月9日までに県内で2257件のクマの目撃情報があり、そのうち人身被害件数は12件とともに記録が残る1977年以降最多となることが報告されました。そして、11月14日に政府が公表したクマ被害対策パッケージを参考にした県版のパッケージが示されました。パッケージでは、11月末までに実施する緊急対策として、県が管理する川のうちクマの出没が多く、やぶが残っている場所での刈り払いのほか、不要なカキの木の伐採などを実施する方針です。さらに警察や市町村職員がパトロールの際に使用するヘルメットや防護服が購入されるなどの対策が行われるということです。吉村知事「正確な情報を発信してしっかりと対策を取っていく。県民に少しでも安全安心を持ってもらいたい。注意をしていただけるようにこれからも取り組んでいきたい」県版のクマ被害対策パッケージは、今後予算などの詳細が決定し、様々な対策が実施されるということです。
(由利本荘市がクマ対策事業を実施:秋田)
由利本荘市は市街地や住宅地でクマの目撃が多発していることから、クマを引き寄せる果樹の伐採や運搬、処分にかかる費用の補助や免除を行います。由利本荘市によりますと、クマの出没の多くはエサを求める行動によるもので、放置されたカキやクリなどの”放任果樹”が格好のターゲットになっています。このような”放任果樹”を伐採することで、安全な集落環境を確保していきたい考えです。”放任果樹”の伐採・運搬・処分にかかる費用の補助は、個人や自治会などが対象です。カキやクリなど実をつける木の伐採、運搬、処分費用の2分の1以内、上限5万円で補助します。伐採した樹木を本荘清掃センターなどに持ち込む場合、ゴミ処理手数料を免除するということです。費用の補助や免除には条件があり申し込みが必要なので、由利本荘市に確認してください。また、クマの出没により外で運動ができず健康維持に不安を感じている方に向けて、体育施設が無料開放されます。無料開放される曜日と時間は確認が必要です。
(ヒグマとすみわけ、ゾーニング人材育成:北海道)
エゾシカやヒグマの農業被害が深刻化する中、後志の共和町が人とのすみ分けを進める「ゾーニング」の手法を取り入れた鳥獣対策を始め、人材育成に力を入れています。農業が盛んな共和町ではエゾシカの被害が3年連続で900万円を超え、昨年度はヒグマの被害が200万円に上り、増加傾向にあります。山と人里の間に緩衝地帯を設けて鳥獣とのすみ分けを図る「ゾーニング」。共和町の新しい鳥獣対策は3か年計画で、札幌のNPO法人ファーミングサポート北海道と連携して人材を育成します。その最初の勉強会には地元猟友会や学生などおよそ30人が参加しました。成田慎一町長「一歩を踏み出せたのはいいこと。鳥獣対策は農業を守るためにも住民を守るためにも必要」。参加者は2日間にわたり、わなをゾーニングに活用する原田勝男さん(ファーミングサポート北海道理事)や北大の研究者から指導を受けました。北海道猟友会岩宇支部・木藤貴輝支部長「新たな発見、知らないことがたくさんある。こういう機会を通じ自分もスキルアップを図らなければ」。次回は来年2月を予定しています。
(クマの人身被害、埼玉でも起こり得る:埼玉)
県内で15日、鳥獣の狩猟が解禁された。秩父市吉田地域には、西秩父猟友会の吉田支部の猟師ら20人以上が集まり、解禁式で安全狩猟を誓った後、午前8時にニホンジカやイノシシを狩りに山林へ出発した。今年は全国各地でクマ被害が相次ぎ、県内でも目撃情報が多数寄せられている。猟友会の黒沢春男会長(53)は「クマの増加で生態系が崩れていくと、全国で多発している人身被害が今後、県内でも起こり得る。狩猟解禁は、駆除や緊急銃猟での緊張感とは違うが、人命や農作物を守るわれわれの使命を、仲間としっかり共有したい」と気を引き締めた。県は11月15日から来年2月15日まで、鳥獣保護管理法施行規則によって選定された鳥獣46種類の狩猟を捕獲禁止区域外で解禁している。ニホンジカやイノシシの狩猟は、秩父市など指定された市町村でわな猟に限り来年2月16日以降も1カ月間行える。この日の吉田地域での狩猟は、地元猟師のほか、川口、熊谷市などの会員も参加した。吉田地域や小鹿野町内を狩猟エリアとする西秩父猟友会の現在の会員数は計7支部で140人。黒沢会長は「若者が多数所属している支部もあるが、高齢化に伴う狩猟者数減少は年々深刻化していて、今は地域外の猟師の協力は不可欠」と語る。秩父地域では、野生鳥獣による農作物被害が毎年後を絶たない。猟友会吉田支部は昨年、山林のニホンジカを、わな猟を含めて200頭以上捕獲した。同支部会員の黒沢彰さん(49)は「家庭菜園が多い地域なので、シカ、イノシシ、サルによる被害が目立っている」と説明。過疎化の進行によって、空き家や手つかずの畑が年々増えており、「今後はクマも餌を求めて住宅地に現れるケースが増えてくるのではないか」と不安視する。狩猟が認められる鳥獣の中には、ツキノワグマも対象に含まれているが、県では安定的な個体数維持の観点から、山奥でクマを目撃した場合は狩猟者に狩猟自粛を要請している。県みどり自然課によると、県内のツキノワグマの生息数は2020年の調査で推定150~170頭で、県レッドデータブックで準絶滅危惧に分類されている。本年度の県内クマ出没情報は13日時点で128件と、前年度の108件を上回っている。改正鳥獣保護管理法が9月に施行され、市町村の判断で猟師に市街地での発砲を認める「緊急銃猟」が制度化されたことを受けて、秩父地域の猟友会役員と自治体は現在、手順を確認するマニュアル制作の準備を進めている。黒沢会長は「クマへの発砲は、一発で仕留めなければ自分の命を落とす危険性があるため、相当の覚悟と腕が必要。全会員が務まる任務ではないので、自治体と慎重に話し合っていきたい」と話した。
(専門家指摘「冬眠に入る時期遅れる可能性」:宮城)
15日、仙台市内の住宅の敷地にクマ2頭が出没し、麻酔銃で眠らせた後、駆除されました。専門家は、市街地に出没するクマは、山の中にいる個体と比べ、冬眠の時期が遅くなる可能性があると指摘しています。15日午前6時半頃、仙台市青葉区郷六の住宅の敷地で「カキの木にクマが登っている」と住民から警察に通報がありました。出没したのは、親子とみられるクマ2頭。このうち親グマの手にはイノシシ用のわなのワイヤーが絡まっていて、木から降りることができない状態でした。そして、およそ6時間後、クマに麻酔銃が放たれました。親グマは眠ったところで木からおろされ、その後、駆除されました。また、近くにいた子グマも麻酔銃で眠らせた後、駆除されました。仙台市宮城総合支所 大須賀淳まちづくり推進課長:「市としては緊急銃猟ではなく、緊急捕獲という形の対応をした。クマが実際に動き回っている状態ではなかったので、緊急捕獲で対応できるのではないかということで対応した」。現場は仙台市西部の住宅地。付近では、11月13日にも箱わなに子グマがかかり駆除されています。専門家は、市街地に出没しているクマは、山の中にいる個体と比べ、冬眠する時期が遅くなる可能性があると指摘します。森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん:「街に出没している個体は、いい餌場を見つけているということで、むしろ遅くまで冬眠しないで出没が続く可能性がある」。そのうえで、年内いっぱいは警戒する必要があると話します。森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん:「今でも市内各地で、実が残っているカキの木を見ることがある。是非、それらの実は早く収穫してほしい」。宮城県によりますと、県内でのクマの目撃情報は今年度に入り11月14日までに2552件と昨年度の800件を大きく上回り過去最多を更新しています。
(狩猟担い手の高齢化、クマ対策に若手ハンターの確保と育成が急務)
人里や市街地でクマの人身被害が相次ぐ中、今季の狩猟が15日に解禁された。捕獲が進むことでクマをはじめとする野生動物の出没を抑える効果が期待されるが、ハンターの人手不足や高齢化といった課題が深刻となっている。昨年度の狩猟免許の所持者はピーク時から半減。さらに減れば、市街地などへの出没時の駆除にも支障が出かねない。群馬県は高校生への特別授業を行い、若者に狩猟への関心を高めてもらうよう取り組んでいる。今季の狩猟期間は15日に解禁し、来年2月15日(ニホンジカとイノシシは同28日)まで。県は農林業被害をもたらすニホンジカとイノシシについては積極的な捕獲を呼びかけている。今秋は全国的にクマの出没と人身被害が頻発し、県内でも住民らが襲われる被害が今月15日時点で9件発生した。狩猟期にハンターが山に入ることで、クマを山奥に追い払う効果が期待される。狩猟や有害鳥獣の捕獲には銃猟、わな猟、網猟の3種類のいずれかが必要となる。銃猟の免許は散弾銃やライフル銃を扱える第1種と、空気銃のみを扱える第2種に区分されている。有効期間は約3年。
(猟友会の会長「クマ駆除から猟友会外してほしい」:北海道)
ヒグマの駆除を担う北海道猟友会の堀江篤会長は17日、道庁で行われた「ヒグマ対策推進会議」に初めて出席し、国主導で警察や自衛隊、市町村が駆除を担う新たな体制作りを強く求めた。準備が整うまで全面協力するが「クマの駆除から猟友会を外してほしい。いろいろなケガなどがあり、一人も会員をなくしたくない」と本音を吐露した。道猟友会は同会議のメンバーだが幹部自体の参加も初めて。国がまとめたクマ被害対策パッケージを議論する際、考えを述べた。道によると、1962~2024年3月末にクマにより死傷した177人を状況別にみると、狩猟や駆除の際にクマに反撃された例が66人と最も多いという。堀江会長は、市町村が雇う「ガバメントハンター」を国が整備することには賛成の立場を示した。一方で、警察・自衛隊OBに協力を求めることには「年配だと足腰が弱い」として、年齢などの条件を質問。メンバーの環境省の担当者が「細かな制限はない。順次整理する」と答えると「もう少し突っ込んだ考え方をお願いする」と指摘した。
(クマの冬眠明けに対策チーム結成:鳥取)
鳥取県は19日、クマの出没に関して、クマが冬眠から覚める2026年春に狩猟免許を持つ県職員で対策チームを結成させると発表した。同免許を持つ人を「ガバメントハンター」という県の専門職員として若干名採用することも検討する。免許を持つ県職員2人と専門職員で「クマ対策チーム」を立ち上げる。同チームは緊急対応への備えとして、①市町村判断で発砲を可能とする緊急銃猟への協力②若手ハンターの育成③弾丸など必要な資機材の整備や射撃訓練の実施――なども進める。県は現在、緊急銃猟時の人員確保に向け「クマ人材データバンク」の登録を進めており、市町村に登録者の情報を提供する。26年春からはこれに加えて対策チームのハンターも市町村から依頼があれば出動させる。県内はドングリの大豊作を受け4~10月の出没頭数が72と24年同期に比べて3分の1ほどで推移する。2021年から人身被害は発生していない。
(クマ警戒にドローン活用:群馬)
管内でクマの目撃が相次いでいることを受け、群馬県警吾妻署は17日、関東管区警察局群馬県情報通信部と連携し、群馬県中之条町の近藤公園胡桃沢近くの空き地でドローンによる警戒を行った。署員ら約10人がクマ対策におけるドローンの活用方法を確認した。
(わなの掛け方など学ぶ、新規狩猟者向け技術研修会:長野)
県南信州地域振興局は16日、狩猟免許取得後3年以内の新規狩猟者を対象に技術向上研修会を松川町で初めて開いた。午前、午後の部で計19人が参加し、安全管理や狩猟時の禁止事項、くくりわなの掛け方を学んだ。
(熊寄せぬ環境づくりを、柿など「誘引木」伐採へ:福島)
熊を引き寄せない環境づくりが大事―。熊が頻出している地域に県が専門家を派遣する「ツキノワグマ被害防止緊急対策事業」は13日、福島県会津若松市の慶山、天寧寺の両地区で行われた。熊対策を専門とするNPO法人「おーでらす」の今野万里子代表理事が地域住民らとともに地区内を巡り、熊を寄せ付けないための対策を呼びかけた。県や市、同地区からら約20人が参加し、目撃や痕跡のあった場所を中心に巡回した。今野代表理事は熊を引き寄せる柿や栗などの「誘引木」を見て回り、早急に伐採すべき木に目印のテープを巻き付けた。今後、所有者から承諾を得た後、順次伐採を進める。柿の実の早期収穫や木の背丈を低くするなどの手入れ、熊が潜みやすいササやぶの伐採なども推奨した。地区内では引っかき跡やふん、熊が餌を食べる際、折った枝などを木の上に集める「熊棚」が確認された。今野代表理事は人里に近い場所に柿の木がある限り、熊を引き寄せてしまうと説明し「熊が執着している餌をできる限りない状態にするため、早急な伐採が必要」と訴えた。参加した慶山町内会長の斎藤昭平さんは「地域単独では熊への対策が限られる。専門家に助言や対応をしてもらえたのは何より」と語った。市によると、4月から11月12日時点での目撃件数は既に昨年度の101件を上回る、155件が確認されているという。
(クマ被害のリンゴ農園「続けるの難しい」:秋田)
「ほとんど壊滅状態です」。秋田市内のリンゴ畑。収穫期にもかかわらずほとんど実がついていない主力品種「ふじ」の木の下で、渡辺農園の渡辺良雄さん(82)は深いため息をついた。足元には、ツキノワグマに食い荒らされたリンゴが無数に落ちていた。茶色く見える畑はこの時期、本来なら実ったリンゴで赤々と染まるはずだった。地面には、あちこちに大量のフンが散らばる。木によじ登ったとみられる痕跡もあり、枝も折れていた。枝の再生には時間がかかるため、来年以降にも影響する。渡辺さんは「(リンゴ栽培を)続けていくのが難しいかもしれない」と頭を抱える。約2ヘクタールの農園に、今夏からクマの侵入が相次いだ。収穫直前の早生(わせ)種の品種「つがる」がクマに食われ始めると、連日のようにクマが園内を荒らすようになった。それ以降もリンゴが赤く実ればクマに食べられる日々が続いた。熟したリンゴをクマに食べられないよう、追われるように収穫したものの、10月末までに園内の約7割のリンゴがクマにやられた。損失は1箱20キロ入るカゴで換算すると50箱以上で、50万円以上だという。できる限りの対策はした。地元の猟友会に頼み、「箱わな」を2カ所設置。ハチミツやバナナをえさにした。今春から11月初旬までに8頭が捕獲、駆除された。だが、リンゴの木への被害をとめることはできなかった。地区では最近、子グマの目撃情報が相次いでいるという。「今年のクマは冬眠せずに、人里の食料を狙いにくるかもしれない」。冬を越えた子グマが、来年以降も園内や町に出没する可能性もある。地区の振興会長を務める渡辺さんは、自衛隊や警察、行政のクマ対策に期待する一方、「農作物だけでなく、安全対策をして住民を守っていかなきゃならない。小さな地区にも支援が届くのか、不安なところはある」と話した。
(希少植物をシカ食害から守る、防鹿ネット設置:愛媛)
県と関係市町でつくる県ニホンジカ対策植生保全協議会は15日、鬼北町奈良の成川渓谷で、シカによる食害から希少植物を守るため防鹿ネットを2基設置した。植生の回復状況を確認しながら効果を検証し、今後の対策に生かす。15日は生物多様性保全に取り組む「ドコモCS四国愛媛支店」(松山市)から、烏谷健支店長ら10人がボランティアで参加し、遊歩道や山道を約20分歩き目的地に到着。滑りやすい斜面や地中の硬い岩に苦労しながら金属製のくいを打ち込み、支柱を立ててステンレス線が入ったネットを取り付けた。
([熊迫る脅威]「人影消えた」緊迫の村:秋田)
熊による人身事故が深刻になっている。今年度に入り50件超と、突出した被害が出ている秋田県では、畑や病院に行けない高齢者や、食害で園地が全滅した農家もいる。誰もが怯えながらの暮らしを余儀なくされ、地域からは人影が消えた。最前線で住民や農地を守る狩猟者に同行した。男鹿市の山際にある民家の庭。11月半ば、気温は3度。冷たい大雨が降り続ける中で、狩猟者たち10人が200キロもの箱わなを運び、設置していた。早朝からの作業を終え、狩猟者で米農家の佐藤寿男さん(81)が疲れ切った表情でうつむいた。「おらだっておっかねえよ。猟友会はみんな、土日も出ずっぱり。まいった」県猟友会会長を務める佐藤さん。県内全域で熊が連日出没し、高齢の狩猟者らが休みなく熊対応に追われる。善意による限界寸前の対応が続く。出没や事故があった最前線に出向く猟友会。熊には慣れているはずのベテラン狩猟者でも「今年は異常」と口をそろえ、玄関の開閉すら緊張するほどだ。熊の対応には終わりが見えない。佐藤さんは今月捕獲した熊について「いつもの熊と全然違う。冬眠前に蓄えるべき脂肪が全くない。今年の熊は冬眠せんかもしれん」と危機感を募らす。玄関前で熊を見た同市の小野仁厚さん(73)は「家族4人、極力家から出ていない」と明かす。外出時は1メートル超の木の棒、熊スプレーを持ち、ラジオを流すという。農家の佐藤恵美子さん(83)は、しばらく畑に行っていない。ピーマンやハクサイなどの収穫は諦め、インフルエンザの予防接種も断念。「コロナ禍よりひどい。畑どころか、昼でも誰も外を歩かなくなった。村が一変した」と嘆く。県内で最も被害が多い秋田市の河辺地区。保育園などに熊がうろつき、襲われた住民もいる。静まり返った地区は、緊迫感が漂う。狩猟者で2・5ヘクタールでリンゴを栽培する島田雄一郎さん(53)は毎日、熊を見る。地区の猟友会では60頭超を捕獲し、島田さんは20頭の止め刺しをした。食害も深刻だ。地区内には全滅したリンゴ園地もある。熊は枝も折るため、来年以降の営農にも影を落とす。電気柵の設置が推奨されるが、急傾斜のある園地を柵で囲う農作業は複数人必要な上、重労働だ。経費の負担も重くのしかかる。島田さんは「熊が毎日のように出る園地に1人では行けなくなった。今年の熊被害で、営農継続できるかを判断する高齢農家は、間違いなくいる」と語る。東京都出身で、移住して新規就農した島田さん。地域を守る一念で、捕獲や追い払いに当たる。
(クマに顔引き裂かれ、神経・筋肉失い手術5回:富山)
2年前、クマに顔を切り裂かれて重傷を負った富山市の農業岡上隆さん(74)は、傷の後遺症に今も苦しんでいる。手術を繰り返し、今月上旬にも退院したばかりだ。左目は使えなくなった。「クマの動きは素早く、とても対抗できなかった。人里に出てきたクマは駆除するしかない」と警鐘を鳴らしている。「大きな口を目の前で見て、ここで死ぬんだと思った」。クマに押し倒された日のことを岡上さんは、そう振り返る。岡上さんが襲われたのは2023年11月16日午前9時頃のことだった。この日は、岡上さん夫妻と近所の親戚ら5人で、同市上今町の親戚宅の庭の柿を収穫していた。クマを寄せ付けないためだった。親戚宅は、田んぼに囲まれた見通しのよい場所。明るい時間帯の複数人での作業で、「まさかクマは出ないだろう」と思っていた。軽トラックの荷台に柿を積み込んでいると、いつの間にか体長1メートルほどのクマが目の前にいた。岡上さんはとっさに「逃げろ」と、妻の美智子さん(71)に声をかけ、高枝切りバサミを手に身構えたが、飛びかかってきたクマの速さに、なすすべがなかった。頭から顔の左側にかけて前脚でひっかかれ、あおむけに倒された。倒れた岡上さんにクマは馬乗りになり、鋭い牙で顔にかみつこうとした。近くにいた親戚の男性が「コラッ」と大声を出して、注意を引くと、クマはその男性の左足にかみついた後、走って逃げた。岡上さんは「クマは素早い。気づいたら吹っ飛ばされていた。出会ってしまったら対策をとるのはとても難しい」と振り返る。眼鏡で眼球は守られたが、顔面を骨折し、額や左まぶたを引き裂かれ、神経や筋肉を失った。当時は全治2か月と発表されたが、手術で20日間入院し、その後も病院通いは2年続いた。顔の機能を取り戻すため計5回の手術を繰り返したが、今も左のまぶたが開かず、右目だけでの生活を強いられている。先月も、太ももの筋膜を顔に移植する手術をうけ、今月上旬に退院した。医師からはさらなる治療を勧められるが、迷っている。「ここまでひどくなるとは思わなかった。クマを甘く見てはいけない」と力を込める。クマを警戒しながらの農作業は難しく、今年の収穫をもって、親から引き継いだ田んぼを手放した。趣味のゴルフは続けるが、人数分のクマ撃退スプレーの携帯など対策は怠らない。岡上さんは「人里に出たクマは駆除しないと。かわいそうとは思わないよ」とかみしめるように話した。クマの生態に詳しい立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)の白石俊明主任学芸員に、クマに遭遇した際の注意点について聞いた。誰もがクマ被害に遭う危険性があり、当事者意識をもってほしい。クマが冬眠する12月中旬頃まで警戒が必要だ。意識してほしいのは〈1〉クマに背を向けて逃げない〈2〉ヘルメット、リュックなどを身につける〈3〉大声や車のクラクションで刺激しない――の3点だ。〈1〉では、クマは時速40~50キロほどで走れるため、陸上の短距離選手でも逃げ切れない。ただ、クマは目があまり良くない。クマに背を向けずに後退し、電柱や木の陰に隠れ、車や建物に入ることが有効だ。〈2〉では、身につけたリュックやヘルメットでクマの攻撃から体を守ることが大切だ。また、傘があれば、広げて大きな動物だと思わせ、襲われる危険性を減らすことができる。襲われたら、うつぶせに地面に伏せて両手で首を守ることで、致命傷となる腹部や首のケガを防げる。〈3〉では、クマを音で脅してはいけない。車に乗っているからといって、クラクションを鳴らしたり、建物の中から大声で追い払おうとしたりすると、クマが興奮し、逃げた先で人を襲う可能性があるからだ。被害を広げないよう、むやみにクマを刺激してはいけない。
(小豆島のイノシシ、四国本土から泳いで侵入:香川)
福山大学などの研究グループは、香川県小豆島に生息するイノシシが四国本土から侵入して定着したことを解明した。小豆島のイノシシと四国に生息するイノシシのDNAが複数の領域で一致していた一方、本州に生息するイノシシとは大きく異なっていた。四国本土から瀬戸内海を泳いで侵入してきたとみられる。獣害対策に役立つ可能性がある。海や湖に囲まれた島に外来生物が侵入することは、農林水産業への被害や感染症の媒介、島の生態系の破壊など様々な悪影響をもたらす。近年、イノシシが瀬戸内海を泳いで離島に入り込む事例が増えていたが、詳しい実態は分かっていなかった。小豆島のイノシシは一度絶滅したと考えられているが、2010年ごろからイノシシの目撃例や農作物被害が増えていた。そこで研究グループは小豆島、四国本土、本州の各イノシシのDNAを分析した。小豆島のイノシシの遺伝子と四国本土のイノシシは複数のDNA領域で一致する部分があった。一方で本州のイノシシのDNAとは大きく異なっていた。福山大の石塚真太郎講師は「四国本土からの侵入をどう阻止するかなどの対策などに役立つ」と話す。
(ボコボコにしてクマを返り討ち“レジェンド”と賞賛された男性はまぶたが腫れあがり骨折:青森)
子グマとの死闘を繰り広げた青森県三戸町内のラーメン店で働くAさん(50代・男性)は右目付近を10針も縫う大ケガをしたものの、子グマを見事に追い払うことに成功した。男性を襲った子グマはいま、警戒されている「はぐれ子グマ」の可能性があり、危険性が高いという。また、子グマ襲来によって、店も思わぬ“被害”を受けていた。11月9日、青森県三戸町内のラーメン店に勤務するAさんがクマに襲われたものの、反撃しボコボコに殴り、最後には投げ飛ばしたことを集英社オンラインは報じた。男性によると、襲ってきたクマは体長1メートルほどで、子グマだったという。男性は右目付近に裂傷を負ったものの、子グマは男性を襲うのを止め、近くの山へ逃げていった。このことは全国的なニュースとして取り上げられ、男性を“レジェンド”と持ち上げる記事まで出たが、Aさんの内心は異なる。「ケンカなんて若い頃はしたことがあるけれど、もうクマが一番強かった。勇敢だ!すごい!とかいわれているけれど、本音は死ぬかと思って必死だった。笑えないですよ。本当に。『ダメだこりゃ』と思って。『逃げようが隠れようがどうしようもねえ』と思って、向かって戦った」。状況を整理しよう。男性は9日午前5時、朝ラーメンの仕込みをするために「麺工房てんや三戸店」に出勤した。当時の気温は0.9度と低く、雨は降らなかったものの寒さが肌に沁みる日だった。店裏に出てガス栓を開けようとすると、黒くて大きい物体が動いており、男性は当時「大きい犬かと思った」と語る。ところが正体は子グマで、急に襲いかかってきたという。「俺の顔を目掛けて、バーンと爪のある手で襲ってきた。避けきれなくて、爪で右目付近を引っ掻かれてしまった。逃げたら殺される。死ぬなと思って抵抗した。左手で子グマの顔面を殴ったが全然効かない。何度も殴ってもさ、全然びくともしない。とにかく手が痛かった。クマの体は硬い筋肉というか、鉄板みたいな毛皮に覆われている感じ。戦い方を変えて、クマの懐に入る感じで脚を引っかけたら、ゴロンと後ろに転がった。それで助かった感じですね。柔道でいう大外刈りでした。後ろに倒れたクマは国道の方にある店と反対側の山へ逃げていった」。男性はその後、救急車で搬送され、右目付近を10針縫う大ケガをした。また、右脇腹を骨折していた。Aさんを襲ったのは子グマだったが、子グマといえど爪や牙が鋭く、力も強いため危険とされている。特に母グマから離れてしまった子グマは「はぐれ子グマ」と称され、パニックになって攻撃的になり人を襲う可能性があるとされている。そんなはぐれ子グマは現在、秋田県や北海道から岐阜県まで全国各地で出没している。直近では12日、いわて花巻空港の駐車場で子グマ1頭が滑走路を横断したことで、発着便に遅れが出たことは記憶に新しい。ラーメン店に勤務するほかの女性従業員がこう不安を吐露した。「Aさんが襲われたところはいつも従業員が出入りしているところです。女性従業員のなかで、もし私たちが襲われていたらどうしよう、死んでいたのではと不安の声が上がっています。今回は(被害に遭ったのが)男性で相手が子グマだったらか何とか生きれたものの、もし私たちが襲われていたらと考えると、ゾワっとします」。Aさんが襲われたことにより、店はその日に臨時休業の選択肢を取った。現在ものれんは店内にしまったままだ。オーナーの佐々木さんは語る。「(お店で提供しているのは)自家製麺なので、店の裏に麺を仕込む小屋があるんです。営業前は従業員がみんな通るところでもある。そこで子グマに襲われた。もしかしたら他の従業員が襲われていたかもしれない。小柄な女性が襲われていたらどうなっていたことか。このあたりはクマを見ることがあっても、いままで人が襲われることは一度もなかったんだ。現在、クマ対策用の柵を設置しようとしており、数十万円のお金がかかる。店を休業したことにより、売り上げも入ってこない。商工会に聞いたら補助金はないって。従業員を守るために必要なことで、仕方ないと割り切っているが、クマ被害が全国では多発しているんだから、なにか制度があってもいいんじゃねえか」(オーナー・佐々木さん)。Aさんもいち早くの社会復帰を望んでいるという。佐々木さんが続ける。「(Aさんは)透析の専門病院に長年勤めていたが、どうしても好きなラーメンの仕事をしたかったと聞いている。もともと中学校時代からのお互いを知っていて、同じ学年で他校同士だったものの野球仲間ということで顔なじみだった。ある日、急に電話がかかってきて、『働かせてほしい』と頼みこまれた。医療系とは畑違いの仕事でもあるから、向いていないかもと思って断っていたけど、熱量に負けて去年7月頃から働いてもらっていた。仕事は真面目だし、責任感があるまじめな男だよ。仕込みも覚えて、“やれてるな”って思ってたところでこの事故だった」。Aさんはいまも周囲に「自分が休んでしまったことで、迷惑をかけてしまっている」「早く仕事に戻りたい」と漏らしているという。クマは間も無く冬眠期に入るが、冬眠が遅れることも懸念されており、今年いっぱい警戒が続く。
(クマ撃退のラーメン店従業員、生死を分けた“大外刈り”:青森)
青森県・三戸町のラーメン店で従業員がクマに襲われる事態が発生。「麺工房てんや」の男性従業員(57)が壮絶な体験を語った。「死ぬと思った。あと数ミリ違ったら眼球をえぐられていた」(男性従業員、以下同)。事件は11月9日の午前5時に起きた。男性がラーメンの仕込みをするため、ガス栓を開けに店の外に出たところ、体長約1メートルほどのクマと遭遇。男性は「初めは分からなかった。何かモコモコってきたから見たら……『あ!!』と。一発目、顔をやられて、その後あばらをやられて。折れてるみたいで……」と明かした。男性はすぐさま応戦した。「がんがんがんって殴ったけど、セメントか何かを殴っている感じ。人じゃない。大外刈りのように足を引っ掛けてガンっと倒すようにして。クマがゴロンと転がって、そのまま逃げていった」。男性はクマを撃退後、血を流しながらもスープの仕込みを続行。それを見たオーナーが救急車を呼んだという。「あと数ミリ違ったら(目を)えぐられていた。医師からやられたところを流水で洗ったのは正解だと言われた。痛いけど、もう痛いとか我慢してでもがちゃがちゃ洗ってやらないとダメ」。男性は医療従事者として働いた経験があったため、このような処置を行ったという。また、男性には格闘技経験は無いそうだ。
(「家に入ってくる異常なクマ」鉢合わせしたら、真っ先にすべきこと)
家の中や学校、スーパー、銀行など、“日常の場”にクマが入り込んでくるという、かつてない事例が相次いで報じられている。人の存在を知りながらも堂々と建物に侵入し、屋内で人間と鉢合わせても逃げない――かつてなら考えられなかったような大胆なクマが、今年は各地で相次いでいる。もし家の中でクマと鉢合わせしたら、どうすればいいのか。岩手大学農学部でクマを研究する山内貴義准教授と、群馬県奥利根で40年にわたりクマを追ってきたベテラン猟師の高柳盛芳さんに聞いた。家の中や学校、スーパー、銀行など、“日常の場”にクマが入り込むという、かつてない事例が相次いで報じられている。岩手県北上市和賀町では自宅で殺害された女性の遺体が見つかり、山形県南陽市の小学校そして福島県南会津町の老人ホームでは、ガラスを割って突入。岩手県花巻市では保育園の入り口で昼寝中の園児らが影響を受け、岩手県花巻市のスーパーではバックヤードへの侵入も起きている。「今年のクマは異常。こそ泥から凶悪犯に進化している」――岩手大学農学部でクマを研究する山内貴義准教授の言葉が、現実の変貌(へんぼう)を端的に表している。近年のクマ出没の特徴を語るうえで、避けて通れないのが「アーバンベア」という存在だ。もはや山中の動物ではなく、人間社会のすぐ隣、というよりはすでに“内部”に入り込み始めている。山内准教授はこう分析する。「ツキノワグマの個体数自体は、全国的に見れば一様に増えているわけではありません。しかし最近は、“出てくる数”が圧倒的に多い。例年なら、山に餌のない夏に見られるクマの出没が、今年は春先から始まっていました。これが非常に特徴的ですね」。そもそも、里にクマが出ること自体は珍しいことではなかった。昔から畑の作物を荒らしたり、納屋に忍び込んだりといった被害は各地で報告されている。だが近年のクマは、明らかに性質が異なる。人の生活圏に現れる頻度が増えただけでなく、滞在時間も長くなり、時には住宅地や街中を堂々と歩き回る。その背景には、いくつかの要因が重なっている。例えば、山に十分な餌がないこと。ブナの実が凶作になると、クマは生きるために人里に下りてきて餌を探す。農作物や生ごみをあさり、「人のそばには餌がある」「人間社会は危険ではない」と学習してしまうのだ。加えて、過疎化や耕作放棄による「里山の崩壊」にも目を向けたい。かつて人とクマの生息域を隔てていた「緩衝地帯」としての里山は、いまやその機能を失いつつある。人口減少と高齢化で手入れが行き届かず、ヤブ化した土地が山と地続きになり、クマが人里まで容易に下りてこられるようになっているのだ。「地方では人間の活力そのものが弱まり、野生動物がどんどん出やすい環境になっています。そうした長期的な人口減少の影響が、クマの行動をより大胆に変えているのでしょう。地域によっては、人とクマのパワーバランスが完全に逆転してしまっているところもあります」(山内准教授)。前脚で扉をそっと開けて入り、冷蔵庫の米を食い荒らす――。以前は、開け放たれた納屋や家屋に偶然入り込む程度だったが、今は人の存在を知りながらも食料を求めて堂々と侵入してくる。屋内で人間と鉢合わせても逃げなかったりと、かつてなら考えられなかったような“大胆なクマ”が、今年は各地で相次いでいる。さらに驚くのは、その知能の高さだ。「ある農家の倉庫では、ドアを壊すのではなく、そっと開けて静かに入った。それで冷蔵庫まで一目散です。中に食料があることをすでに学習しているんですね。人間の手のにおいをたどっているのでしょうが、冷蔵庫の取っ手の位置もわかっていたようです」「同じ家に1日2回侵入した例もあり、2回目には、冷蔵庫の扉にかけた鍵を壊してまで中の米を食べたそうです。もはや人を恐れていない。まるで、単なる盗み食いをするような“こそ泥”から、人がいても堂々と犯罪を犯してしまう“凶悪犯”になった。そんなイメージですね」(山内准教授)。クマが家に入ってくる――そんな状況を想像するだけでも恐ろしいが、実際にはどう行動すべきなのだろうか。「クマが家に入ってきたら? 腰抜かすしかねぇよ。どうにもできねぇ」。そう話すのは、群馬県奥利根で40年にわたりクマを追ってきた猟師・高柳盛芳さん(通称モリさん)だ。長年、山の中で数々のクマと対峙(たいじ)してきたモリさんでさえ、家に入ってくるクマにはお手上げだ。「家に入ってくるクマ、あれは異常だよな。超異常。ありえねえよ、普通は。今まで聞いたことない。ほうきや掃除機で叩こうなんて考えちゃダメだよ。やられる方が早い。……あ、一つだけ勝てる方法があるな。じゃんけんだよ。ヤツらはパーしか出せねぇから、チョキ出せば勝てるんだ(笑)」。モリさんの冗談が、かえって“どうにもならない現実”を浮き彫りにしているようで余計に怖い。もし家の中でクマと鉢合わせたら、モリさんの言葉通り、人間にできることはおそらくほとんどないだろう。そんな中で、唯一といっていいほど重要なのが「興奮させないこと」だ。「大声を出したり、慌てて動いたりするのは絶対に避けてください。クマは非常に臆病で警戒心の強い動物がゆえ、刺激を与えたりすると、パニック状態になって襲ってくる可能性が高い。慌てず、声を出さず、静かに、ゆっくり後ずさりする――。それがもっとも安全な行動です」と山内准教授は強調する。距離をとりながら別の部屋に移動し、クマの視界から外れるのが望ましい。実際、岩手県内では、1階にクマが侵入した際、2階に避難してやり過ごした事例もある。さらに、外に出られる状況であれば、静かに屋外へ避難するのがベストだ。なるべくクマに気配をさとられないように。「クマの対策は、人間社会での防犯と同じです。狙われやすい家と、そうでない家がある。草ぼうぼうで何も管理していない家は、やっぱり入りやすいんです」(山内准教授)。外で犬を飼っている家庭では、「番犬」としての安心感をもつ人も多い。しかし、実際には過信は禁物だ。「昔のマタギ犬のようにクマに立ち向かう犬なら効果がありますが、今の飼い犬はおとなしい。レトリバーなんかは、泥棒が来ても尻尾を振って遊ぼうとするくらいです。訓練された犬でなければ、逆に襲われる危険もあります」(山内准教授)。ここ最近も、飼い犬がクマに連れ去られた事例も複数起こっており、「犬は室内に入れるべき」との警告も耳にする。クマ侵入への防犯対策として重要なのは、草刈りをして見通しを良くすること。クマは身を隠しながら接近するため、草木が茂る環境では容易に人家の近くまで近づけてしまう。見通しを確保して“身を隠せない環境”をつくるのが、地味だが一番効果的な方法だという。長野県箕輪町では、町をあげて草刈りを徹底したことで、目撃件数が顕著に減っている。また、基本的な戸締まりの徹底と食料の保管場所の工夫も欠かせない。「クマは、食べ物に対して非常に執着心が強く、家の中に餌があると学習されれば、何度でも入ってきます」と山内准教授は警鐘を鳴らす。ちなみに臭いや音、光などを使った市販の忌避グッズは一時的な効果はあっても、クマはすぐに慣れてしまうという。「本当は、電気柵のように“罰を与える”仕組みが一番効果的ですが、住宅地では現実的に難しい。だからこそ、草刈りと戸締まり、この2つがもっとも確実です」(山内准教授)。家のまわりにクマを寄せつけないこと、そのためにできることは、意外にもシンプルだ。
(元ラガーマン猟師が語る“初めてヒグマを撃った日”)
2025年、日本ではクマによる深刻な被害が急増し、関係省庁が対策に乗り出している。一方で、“熊害の実態”は意外なほどに知られていない。書籍『ドキュメント クマから逃げのびた人々』(三才ブックス)より、2022年に北海道滝上町滝西で発生した事例を抜粋して紹介する。元ラガーマンのベテラン猟師・山田文夫さん(当時69歳)はなぜヒグマに襲われ、どう立ち向かったのか。山田さんがヒグマに襲われたのは、2022(令和4)年7月。ヒグマを初めて撃ったのが40代前半だったので、それから20数年が経っていた。遡って、初めてヒグマを撃ったときから振り返ってみる。牧場内のはずれにあった畑で、母親が作業をしている50~ 60 m先にヒグマが現れた。体重70~80kgくらいの大きくはない個体だった。「一発で仕留めないとおふくろが襲われるかも」と、ものすごい緊張で脂汗が出た。幸い一発で、ヒグマはバタリと倒れた。以来、約100頭のヒグマを駆除してきたが、その半分近くは箱罠による捕獲と駆除だ。罠猟免許も取得した山田さんは、箱罠の名人でもあった。「箱罠は置けばいいってもんじゃない。クマっていうのは本当に賢くてね。知恵くらべさ。シカ肉で仕掛けても食いつかなくてね。ハチミツで試してみたけれど、ハチに食べられたり、雨で流れたりして何回も補給しなくちゃいけないの。それで紋別の魚屋まで行って、投げる(捨てる)ようなシャケのアラをもらってきて仕掛けてみたら、一週間も経たずに300kgのクマがかかったね」。以来、もっぱらシャケのアラを使うようになり、面白いようにクマが獲れたという。箱罠は、なるべく鉄の部分が見えないように草を敷き詰めたり、茎がしっかりした草を入口に立てかけてカモフラージュするなど、細かな工夫も欠かさなかった。山田さんが有害鳥獣駆除の活動を本格的に取り組むようになったのは、家業を息子に引き継ぐことが決まった頃から。62~63歳まではいっしょに酪農をやっていたが、息子が一人立ちしてくれたのを機に、銃を持って歩く時間が増えた。駆除で獲ったクマは処分場で処理する決まりになっているので、自身ではクマ肉を食べたことはない。一方、爪や内臓につく脂だけは処分する前に譲ってもらっている。秋口に獲ったクマは、内臓のまわりにたっぷりと網状の「網脂(あみあぶら)」がついていて、これがとくに良質なもの。鍋で煮て、浮いてきて固まった脂分を水で洗って瓶に入れて保存している。ケガや火傷によく効き、保湿クリームにもなる。自身がクマに襲われた傷も、クマの網脂を傷に塗って治したという。 猟友会に所属し、狩猟指導員として後進の指導にも当たっている山田さん。有害鳥獣駆除の活動では報酬金が出るが、ヒグマは一頭につき2万円(※注)。しかし、必ず二人以上でクマを撃ちにいかなければならないので、実質は一人1万円の報酬金となり、滝上町でもそれが問題となっている。弾一発も安くはない金額がかかり、時間もとられる。何より、命がけの活動であることに対しての報酬が少なすぎるとして、滝上町でも見直し・検討は進められている。北海道の夏は湿度が低く、暑い日があっても総じて爽やかで過ごしやすい。山田さんがヒグマに襲われた7月。盆地の滝上町もそれなりに気温は上がるが、天候は曇りで暑くはなかった。そして、一年の中でも昼間がもっとも長い時期だった。その頃山田さんは、夏季に牧草を刈り取るアルバイトをするくらいで、酪農の仕事はほとんど行っておらず、要請があれば駆除活動を行っていた。その日の夕方、牧草を刈る作業がちょうど休みだったので、トラックに乗って見回りに出た。いつも走る道で仲間のトラックに会い、すれ違いざまに「またあそこにクマ出とるわ」「なら、やっつけなきゃいかんな」と会話を交わした。午後5時30分ごろに役場に連絡が入り、30代の猟師Sさんと待ち合わせをして2人で駆除を行うことになった。Sさんのシカ撃ちの腕は山田さんも認める実力だったが、クマ撃ちは経験が浅かった。
(「いたと思ったらダッと来たんです。猛スピードですよ」新聞配達中に襲われた男性語る“クマの脅威”)
秋田県では連日、クマ被害が続いています。特に10月24日には東成瀬村で1人が死亡、3人が重傷を負うという痛ましい事故も発生しました。関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」では、番組の青木源太キャスターが現地に赴き、その実態を取材しました。【クマに襲われた人】「いたと思ったらダッと来たんです。もう猛スピードですよ。鼻息が聞こえるんですよ。『あ、いるな』と思ってました」秋田県では連日、クマ被害が続いています。特に10月24日には東成瀬村で1人が死亡、3人が重傷を負うという痛ましい事故も発生しました。関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」では、番組の青木源太キャスターが現地に赴き、その実態を取材しました。■新聞配達中にクマに襲われた男性 「クマを認識したと同時に襲われた」11月4日には、秋田市内で新聞配達をしていた男性がクマに襲われました。男性が襲われた場所は、耕作放棄地や河川敷の緑があるエリアでありながら、住宅街も近くにあり、人間が住んでいる場所と自然が隣り合わせになっているような地域です。クマに襲われた新聞配達員が当時の状況を語りました。【クマに襲われた人】「車に乗って、1軒、1軒配達。玄関前のところで止まって、ドアを開けて、ポストの位置まで15メートルぐらいある。ちょっと上り坂みたいになっていて、敷地内。家のすぐ後ろが藪なもんですから、藪からバッと来た」。「クマを認識したと同時に襲われた」と言います。【クマに襲われた人】「いたと思ったらダッと来たんです。猛スピードですよ。だから、最初は『何だ!?』って感じ。そして(襲って)きたから、ブロック、また来たから、また防ぐ。相撲のぶつかり合いみたいな感じ」。立ちながら、クマともみ合いになったというのです。クマの大きさは「たぶん1メートルないくらい、ほぼ1メートルくらい。そんなにでかくもないし、小さくもない。中くらいかなと思う」ということですが…。【クマに襲われた人】「1回来て、もう1回きて、3回くらいやって、そのうちに引っかかれたりする。3回くらいあったら、ひと呼吸あって、『まずいな』と思って、防御の姿勢とりました」クマから身を守る際に有効とされる「防御姿勢」。うずくまって、頭を隠すこの動作が生死を分けました。男性は防御の姿勢を取りますが…。【クマに襲われた人】「(近くに)いる。鼻息が聞こえる。鼻息が聞こえるから『ああ、いるな』と思っていた。1分か、2分くらいしたら、鼻息が聞こえなくなった。それで『ああ、行ったな』と思った。そろそろいいかなと思って、少しずつ起き上がった。ここ(頭をさげていた近く)に新聞がある。血がべっとりついている」現場から自力で逃げ出しましたが、頭の傷に加え、手首も負傷。肋骨は折れていました。かろうじて失明こそ免れましたが、目は真っ赤に充血していました。(Q.看護師・医師は傷を見て何か言った?)【クマに襲われた人】「看護師さんたちは『頑張ってね』と励ましてくれた。先生の反応としては、『よかったですね』という感じで。『軽くてよかったですね』って」。一命はとりとめたものの、新聞配達の仕事はすぐに辞めたといいます。【クマに襲われた人】「これは辞めた方がいいなと思って、(勤務先に)言ったんです。いま現在は、家の前暗いとちょっと怖いなと思いますね。(外に)出たくないというか、そんな気持ち。前はそんな気持ちになったことない。しかしこうなるとね…命とられたら終わりだから」。としのクマによる被害は過去最悪の状況です。日本全国で死亡者は13人、負傷者は200人以上に上っています。特に秋田県では目撃件数が過去最多の1万2000件を超え、市街地での出没も相次いでいます。青木キャスターが取材した秋田市内の千秋公園は、JR秋田駅から直線距離でわずか500メートルの市街地にあります。11月初めにこの公園内で体長1メートルを超える成獣のクマ2頭が捕獲されましたが、その後も目撃情報があり閉鎖されていました。さらに取材の6日後には、2キロ離れた秋田市役所前でも、歩行者のすぐ近くを歩くクマの姿が確認されています。市民の生活も一変しています。取材に応じた住民の方は「この市街地でクマを見るのはもう驚かなくなっています」と話し、「子どもだけで外出させることを控えている」といいます。県外からの来た人も「レンタカーを借りる予定でしたが、クマが出没したら怖いのでタクシーで移動しました」と不安を漏らします。【東成瀬村猟友会ハンター(70代)】「私はね、もう76歳になりました。そろそろ(引退)だと思う…。うちの猟友会は、いま18人しかいない。私が入った当時は50年前、80人以上いた。どんどん少なくなって18人体制になった。私と同じ(年齢)は、猟友会では4、5人かな」。東成瀬村の猟友会に所属する76歳のハンターは、早朝からクマがいないかパトロールを続けています。柿の木が折られた跡や、クマのフンを発見しながら、青木キャスターに現状を説明してくれました。しかし、猟友会のメンバーの高齢化と人員不足は深刻です。「我々が退けばどうなるか…心配はある」と語る猟友会のメンバー。彼らはクマ駆除のために日々活動していますが、全員が本職を持つ「兼業ハンター」であり、その活動は"ほぼボランティア"です。取材中に見せてもらった箱わなは、100キロ以上のクマでも入る大きさで、運ぶには4~5人の人手が必要とのこと。実際に捕獲されたクマの動画を見せてくれました。捕獲されたクマはおりに噛みつき、歯がボロボロになることから、「放獣したとしてもそのクマは生きていけない」という厳しい現実がありました。猟友会の活動には様々な課題があります。まず、人手の確保です。「日中に緊急出動要請があっても、メンバーが仕事中のため人数を集めるのが大変だ」と40代のハンターは言います。有害駆除を行うには5人以上集める必要がある一方、本業の仕事を持つ、東成瀬村の猟友会メンバーにとって、それは容易ではありません。また、発砲許可の問題も深刻です。「見つけてから発砲の許可が出るまで30~40分(たっていた)」と猟友会のメンバーは語ります。今回のクマによる死傷事故でも、「たまたまクマが移動しないで、あそこで居座ったから、何とかなった」と状況を説明しています。こうした課題があるからこそ、猟友会のメンバーたちは、規則改正によって警察官がライフルを使って、クマを駆除できるようになることに期待を寄せています。「すごいいいことだよな。やれるんだったらやった方がいいと思う」と賛同の意を示しました。また専門的な訓練を受けた警察官のスナイパー能力にも期待しています。「動いているものに関しては、猟友会のいつものメンバーの考えが必要だけど、止まっているものに関しては、訓練されたスナイパーの方が、上手いかもしれない」と現実的な見方をしています。なぜ今年はこれほどまでに人の多い市街地にまでクマが出没しているのでしょうか。岩手大学の山内貴義准教授は「山にクマのエサになるような、ドングリやブナの実がほとんどなっていない状況で、クマが非常にお腹を空かせている」と説明します。山内准教授は「人を恐れない個体が多くなっている」と指摘し、「今の状況自体は、かなり異常な状態」と警鐘を鳴らしています。「“クマの凶暴化”が深刻な被害につながっている」というのです。地域住民の生活は一変し、農作業も子どもの登下校も恐怖を伴うものになっています。クマとの共存を模索する中で、高齢化する猟友会の未来や、法整備の在り方など、多くの課題が浮き彫りになりました。私たちはこの問題にどう向き合っていけばよいのでしょうか。
(東出昌大「そんな危ないもんじゃないですよ」に批判続出)
今年4月~10月、環境省が発表したクマによる被害件数は176件、被害者数は196人に上り、過去最悪のペースで推移している。各地で連日のクマの目撃や被害報告が報じられ、日常生活に不安が広がるなか、週刊誌週刊SPA!に連載を持つ俳優・猟師の東出昌大氏が「そんな危ないもんじゃないですよ」という実感を投げかける寄稿を発表した。しかし、その言葉はYahoo!ニュースのコメント欄で批判を浴び、波紋を広げている。東出氏の現在の活動状況も踏まえながら、寄稿の内容、反響、そして背景にある狩猟・野生動物対策の実情を報じる。1988年2月1日生まれ(37歳)の東出昌大氏は、モデルとして活動を始め、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優として注目を集めた。その後も『GONIN サーガ』『デスノート Light up the NEW world』『コンフィデンスマンJP』シリーズなど話題作に出演し、若手俳優の中でも確固たる地位を築いてきた。しかし、俳優人生は決して平坦ではなかった。2020年1月、映画で共演した俳優との不倫が報じられ、大きな社会的批判を受けた。当時、妻だった女優の杏との離婚は同年8月に成立し、三児の父である東出氏のイメージと仕事には深刻な影響が及んだ。CM出演はすべて終了し、映画やドラマの公開時にも批判が寄せられるなど、芸能活動は一時停滞した。その後、東出氏は都心から距離を置く選択をした。2022年頃から山間部に移住し、山小屋での自給自足生活を公開。猟師免許を取得し、山に入って狩猟を行う生活に軸足を移したことで、「芸能界から距離を置いた生き方」「社会的スキャンダルからの再出発」といった文脈で注目されるようになる。一方で俳優業を完全に手放したわけではない。2023年には映画『Winny』や『雪女と蟹を食う』などに出演し、演技力は一定の評価を維持している。2024年以降はメディア露出こそ抑制しているが、週刊SPA!連載など、自身の暮らし方や自然観に基づいた文章活動が増加。自給自足生活を取材したドキュメンタリー企画、トークイベントなども継続的に行っている。また、地方のイベント出演や講演では「自然と生きる」「自分で獲って食べる」という生活哲学を語る機会が多く、近年は“俳優兼猟師”として独自のポジションを築きつつある。芸能界の華やかな場よりも、山を歩き、獲物と向き合う日々を通じて得た実感を語ることに価値を感じているようだ。スキャンダル後の復帰劇というより、「山での生活に根ざす表現者としての再出発」と捉える方が適切かもしれない。寄稿の文面からも、表層的な発言や炎上狙いではなく、山の現場で見てきた現実から“言うべきことだけを言う”という姿勢がうかがえる。寄稿の中で東出氏は、次のように述べている。まず、テレビを持たない生活であっても、連日のようにクマ報道が飛び込んでくることに言及。「週刊誌などからも今年だけで8件もの取材依頼を受けた」と述べ、クマをめぐる言葉が“数字が取れる”題材としてメディアに扱われていると分析している。「日常的に山に出入りしている身からすれば、クマには滅多に出合わない」と実感を語り、環境省の死者数を挙げながら「一昨年6人、今年5人(令和7年8月末時点)」「以前からお亡くなりになる方は一定数いた」と冷静な視点を提示している。東出氏は「メディアは『危ない』『死のリスク!』などの言葉を拾い歩きたい」という前提があると述べ、「そんな危ないもんじゃないですよ」という自身の実感は、編集部にとって快く思われないことも分かるから、取材を断ると明かしている。さらに、出没の背景として、・山の木の実の不作・猟師の高齢化、という二つの要因を指摘。特に狩猟免許所持者の約70%が60代以上という環境省の統計に触れ、「60代はまだ若手です、70代80代の猟師が多い」と現場の状況を記述。車で道路脇に止まり鹿を撃つ「流し猟」、道路沿いに罠を掛ける手法が主流になっているとし、獲物を一人で運べず道路に遺棄されるケースも示唆している。東出氏は最後に、「クマがこれ以上迫害されない為に、捨てられる鹿の生命を減らす為に、ちゃんと獲物を持って帰れる若い猟師が増えてほしい」と願いを記し、「私は殺してばっかの日々だが、この寄稿で一人でも多くの猟師が増えて、その方の人生と山の生き物の生命が良い方向に向いてくれたらなぁ、と。誰が為にか書く」と締めている。この寄稿がYahoo!ニュースで配信されると、コメント欄には批判が殺到した。主な声は以下の通りである。「被害件数が増えているのに“そんな危ないもんじゃない”と言われても、住民の恐怖が伝わらない」「クマ被害で亡くなった人もいる以上、軽視とも受け取れる言い回しは不快だ」「猟師視点だけで語るのではなく、地域住民・被害者視点が薄い」「若い猟師を増やせという提案は、駆除・狩猟を肯定する方向に見える」。メディアが恐怖を煽る構図と、現場で山に入る者の感覚とのズレが浮き彫りになった。特に、クマ出没で実際に日常生活に支障をきたしている地域住民からは「報道以上に現実が怖い」という切実な声が多数寄せられていた。同時に、寄稿の中にある「メディアは数字が取れる題材を喜ぶ」「報道が過熱している」という批判には、「確かにニュース映えしやすい素材ではある」という支持の声もあった。だが、全体としては批判的な反響が目立った。東出氏の寄稿と、その後に寄せられた読者の反応は、私たちが今どの地点に立っているのかを静かに映し出している。被害の増加で緊張が高まる地域社会、恐怖を可視化しやすいメディア構造、そして高齢化が進む狩猟現場の疲弊。この三つの現実が折り重なるなかで、クマ問題は単なる“出没情報”や“駆除の是非”だけでは語りきれない複雑さを帯びている。寄稿で示された東出氏の言葉は、山で生きるひとりの猟師としての実感に根ざす。しかし、生活圏にクマが現れる地域住民にとっては、その言葉が現実との距離を感じさせる場合もある。互いの立場の差が、そのまま受け止め方の差となって表れているのだろう。いま求められているのは、恐怖を増幅させるのでも、危険を矮小化するのでもなく、事実に基づいて「どこで何が起きているのか」を丁寧に共有する姿勢である。山林管理、生態系の変化、狩猟体制の再構築、報道の在り方。いずれも一朝一夕では解決しないが、視点を積み重ねることでしか前に進めない問題だ。東出氏の寄稿は、そうした議論の入口を改めて提示したといえる。今回の反響が、地域の不安や現場の声をくみ取る議論へとつながっていくことが望まれる。
(農水省職員がクマと対面!?多摩森林科学園で学ぶ山の「リアル」が5万回再生を突破!)
農林水産省の若手職員が出張の様子を紹介する動画が話題です。投稿された動画は執筆時点で5回再生されるなど話題となっています。農林水産省の職員はどのようなところに出張へ行くのでしょうか? また記事中では、人事院が公表している国家公務員の給与についてもご紹介していきます。霞ヶ関の本省を出て約1時間。竹内さんが到着したのは、緑豊かな高尾駅です。ここから徒歩10分ほどの場所にある「とある施設」へ向かうようです。到着したのは、多摩森林科学園の「森の科学館」。竹内さんの来訪時、同所ではクマに関する企画展が開催されていました。展示室で実物大のクマの模型と背比べをする竹内さん。「意外と口は小さいですね」と、クマの迫力と可愛らしさのギャップに驚いた様子を見せます。続いて手の模型を顔の前に掲げてみると、顔がすっぽり隠れてしまうほどの大きさに思わずびっくり。さらに、クマやキツネの本物の毛に触れられる展示もあり、普段はなかなか間近で見ることのない野生動物の「リアルな一面」を知ることが出来ます。動画の中には本物のクマの足の骨と長さ比べをする竹内さんの姿も。「足短いですね」と笑顔で話す竹内さんに、職員の方からは「四つ足ですから」とすかさずツッコミが入ります。そんなお茶目なやり取りの中にも、クマの体のつくりや生態をリアルに感じられる学びが詰まっています。竹内さんの出張を通して、「知ること」の大切さが伝わってきますね。
(25年前襲われ左目の視力失った狩猟歴55年のハンター:北海道)
雪が降り続く岩手・岩泉町では18日、住宅街にある柿の木の上に2頭のクマが居座っていました。現場にはライフル銃で駆除を担う警察のプロジェクトチームが初めて出動していました。柿の木にいた2頭のクマは、17日も半日以上にわたって同じ場所に居座っていて、一度は姿を消したものの、18日になり再び戻ってきたのです。現場の近くに学校や住宅があるため緊急銃猟ができず膠着状態が続いていましたが、18日、ついに警察のライフル部隊が出動。13日に人の生活圏にクマが侵入した際、警察官がライフル銃を使用できるようになって以降、出動は初めてです。日没のためライフル銃による駆除は行われませんでした。クマの出没が相次ぎ、人的被害も過去最悪となる中、番組は、20年近くクマによる人的被害が出ていない北海道・岩見沢市を取材しました。そこでクマの捕獲にあたるのは、狩猟歴55年の大ベテラン・原田勝男さん(85)です。狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:(Q.これは何の骨?)クマ。俺をかじった犯人。原田さんは25年前、シカ猟の最中にクマに襲われ、左目の視力を失いました。原田さんを襲ったのは、銃で仕留めきれなかった手負いのクマでした。そんなクマの恐ろしさを知る原田さんですが、パトロールではライフル銃を持っておらず、「箱わな」を使って地域の安全を守ろうとしていました。原田さんがわなを置くのは、人里と森の境界。狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:年間の捕獲数が一番多いおりはこれです。これは特殊なおりです。デカいものを作った。大きなヒグマが捕まりやすくするため、高さと幅はそれぞれ1.2メートルというビッグサイズの箱わなを設置していました。さらに、奥行きは3メートル。餌に誘われて檻に入ったクマが、扉が閉まる間に逃げられないようにするためです。狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:やはり(箱わなを)大きくしないとダメ。クマが大きくなってきている。なは非常に安全性が高く、捕獲率も高い。原田さんが仕掛けた箱わなでクマが捕獲される瞬間が映像に残されていました。箱わなに近づく3頭の親子グマ。すると親グマが、檻の中に仕掛けられたシカ肉に誘われるように入り口のほうへ。次の瞬間、親グマが大きな箱わなに捕獲されたのです。しかし、最近はクマが“箱わなは危険”と学習してか、檻の中に入らなくなってきたといいます。そこで最終手段として使われるのが…。狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:ハチミツを使います。人間の食べるハチミツ、上等なハチミツを使う。最近のクマは高級になってきている。原田さんは2025年、すでに19頭のクマを捕獲。こうしたハンターの活動もあり、岩見沢市では17年間、人的被害が出ていないといいます。高い学習能力を持った“スマートベア”も出没しているといわれる中、原田さんは今後の対策について次のように話します。狩猟歴55年 NPO法人ファーミングサポート北海道・原田勝男さん:(クマとの)知恵比べ。これでいいということはない。クマの方が先に進む、人間より先に…。我々はその先にいかないといけない。
(「人を襲ったクマ」を解剖してわかった、胃に「大量に詰まっていたもの」:岩手)
2025年7月、岩手県北上市和賀町の住宅で、居間にいた81歳の女性がクマに襲われて命を落とした。なぜ、クマは人家にまで侵入して命を奪ったのか。この加害クマを解剖した、岩手大学農学部でクマを研究する山内貴義准教授に話を聞いた。2025年7月、岩手県北上市和賀町の住宅で、居間にいた女性がクマに襲われ、命を落とした。なぜ、人家にまで侵入して命を奪うケースが発生したのか。ヒグマもツキノワグマも、基本的には植物質を中心とした雑食性の動物だ。ヒグマは、フキやセリ科などの草本やヤマブドウ、サルナシなどの果実を、ツキノワグマはブナやコナラ、ミズナラなどの実を好んで食べる。「本来クマは草や実を中心に食べる動物です。シカやイノシシなど死んだ動物の肉を食べることはありますが、人を食べようとして襲うケースは極めてまれです」(山内准教授)。世間では、「ヒグマ=凶暴で肉食」「ツキノワグマ=温厚で草食」としばしば語られるが、実際にはどちらも当てはまらない。日本では北海道のみに生息するヒグマは、体長2.2m~2.3m、体重150kg~250kg。本州と四国に生息するツキノワグマは、体長1.1m~1.5m、体重80kg~120kg。どちらも植物質を中心とした雑食性であり、基本的に性格は臆病で人間を避ける。体格差こそ大きいものの、行動の危険度は両者ともに状況次第だ。重要なのは「種の違い」ではなく、「環境と状況」だ。空腹やストレス、刺激、子を守る本能など、引き金さえあれば、どちらの種でも人を襲うリスクは十分にある。北上市和賀町の住宅で起きた死亡事故では、その後、加害クマは駆除されるが、この加害クマを解剖した、岩手大学農学部でクマを研究する山内貴義准教授に話を聞いた。山内准教授によると、この個体の胃の中から見つかったのは、大量の米だったという。「胃の内容物の3分の2が米で、残りの3分の1が草でした。脂肪もたっぷりついていて、栄養状態は悪くない個体でしたが、それでも人家に侵入していたんです」。食料を求めて入ったのか。それとも、人間そのものを“エサ”と認識していたのか。なぜ、クマは人の生活空間へ踏み込み、命を奪うほどの行動に出るのだろうか。山内准教授は、こう分析する。「このクマは人を襲うために家へ入ったのではなく、あくまで食料を探していたと考えられます。胃の中から大量の米が見つかっており、すでに人家周辺で食べ物を得ることを学習していた個体でしょう。この事件の数日前にも、別の人家に入り、廊下の米を食べていたことが確認されています。人間を標的にしたというより、結果的に鉢合わせてしまいパニックになって襲ってしまった可能性が高いです」(山内准教授)。だが一方で、過去には学習的に人を襲うようになった個体が存在する。2016年5~6月にかけて、秋田県鹿角市と青森県新郷村にまたがる十和利山の山麓(さんろく)で、タケノコを採りに来ていた男女が次々クマに襲われた事件を覚えているだろうか。この、通称「十和利山熊襲撃事件」は、4人が死亡、4人が重軽傷を負った、本州史上最悪、国内でも史上3番目の被害を出した獣害事件といわれている。「加害クマの胃の中には、人肉と頭髪が詰まっていました。最初の襲撃は偶発的だったとしても、後の被害者に関しては、『クマがまっすぐ人間に向かっていった』という証言もあります。非常に珍しい例ですが、学習的に人を襲う“異常な個体”が生まれた可能性があるのです」(山内准教授)。そして、2025年10月8日に岩手県北上市の入畑(いりはた)ダム付近で起きた死亡事故でも、遺体の一部に食害が確認された。さらに、入畑ダム付近での死亡事故からわずか数日後の10月16日、衝撃的な出来事が起きた。2kmほど離れた同市和賀町の瀬美温泉で、清掃作業をしていた男性従業員がクマに襲われ死亡したのだ。駆除されたクマの胃の内容物からは、人間の肉片が確認された。一方で、ドングリなどの植物性のものはほとんど見つからず、体には脂肪もほとんど蓄えられていなかったという。なお、入畑ダム付近で死亡事故を起こしたクマとの同一性については、サンプルが少なく、特定には至っていない。「死後に食害した可能性もありますが、いずれにしても2016年の十和利山のケースと似た構図です。再び『人が襲われ、食べられた』事例が起きたことは、重く受け止める必要があります」(山内准教授)。繰り返すが、クマが捕食目的で人を襲うケースは極めて稀(まれ)だ。しかし山内准教授はこう警鐘を鳴らす。「一度、人の肉を食べた個体は、『人を襲えば肉を食べられる』と学習し、再び人を襲う可能性があります。これは否定できません」。その一言が、確実に、重くのしかかる。人口減少と過疎化が進む日本の地方では、農地が放置され、かつて人と野生動物を隔てていた「緩衝帯」としての里山の機能が失われつつある。結果として、野生動物の生活圏が拡大し、「人とクマのパワーバランスが完全に逆転してしまった地域もある」(山内准教授)という。加えてハンターの減少も同時進行だ。「現状、クマの問題は、被害が出てから罠(わな)をかける、駆除する――そんな“後手の連続”が常態化しています。現状が改善される兆候はなく、“人を襲うクマ”も急には減らないでしょう」(山内准教授)。だが、希望もある。地域差が大きく、個体数の増減も場所により異なるため、データに基づいた局所的な対策はどうだろう。山内准教授が花巻市と共同で取り組んでいる試みはその好例で、AIカメラで出没を監視し、生息数がとくに多い場所に先んじて罠を配置して捕獲するという、先手必勝型の管理だ。さらに北海道では「個体数管理」に舵(かじ)を切っている。これまでは「実害のある個体を特定して駆除する」という対応が中心だったが、出没や被害が減らないため、人との共生に向けて必要な、「具体的な捕獲目標数」を設定した。人とヒグマの空間的なすみ分けを目指す「ゾーニング管理」も強化している。人の手が薄れ、山と里の境界が曖昧(あいまい)になりつつある今、“学習するクマ”が人間社会に入り込み始めている。これ以上人的被害を出さないために、クマが再び安心して山で暮らせる環境を取り戻すために、少しずつでも先手の対策を進めることが大切だ。
(人を怖がらないクマ、異変はなぜ起きたのか)
クマによる被害が相次いでいる2025年。何がこれまでと違うのか。2025年9月に日本クマネットワーク代表で東京農工大教授の小池伸介さんへのインタビューを掲載しましたが、その後、クマの被害が急増したことを受け、改めてお話をうかがいました。――クマの被害による死者が過去最多になっています。いったいクマに何が起きているのでしょうか?本来であれば、クマは警戒心が非常に強い動物で、市街地に出てしまうとパニックになって隠れようとするものなのですが、2025年に市街地に出没しているクマは非常に落ち着いているのが特徴だと思います。クマは警戒心が強いのですが、一方で非常に好奇心が旺盛で探索能力が非常に優れています。これまでは人への警戒心が行動を制限していたのですが、警戒心が低下して、別に人間は怖くないから出てみようかというような行動に移ったのではないか、といった指摘もあります。いずれにしても、今までの常識が通用しないような状況で、何が起きているのか、もう少し分析しないとわからないというのが正直なところです。――秋になってなぜ被害が急拡大しているのでしょうか?今、多数のクマが人里に出没している直接の原因は、どんぐりの凶作です。まだいくつかの県で発表してないのでわからないのですが、おそらく2023年に秋田県で起きたような複数種のどんぐりの凶作が起きて、クマの行動が変容した。特に岩手県と秋田県です。ただ、盛岡市の街中とか、市街地に出てくるクマが非常に多く、その様子が落ち着いているところが、今までにはなかった気がします。海外では、人間が住む場所の周辺には親子のクマが多いという報告もあります。親子のクマにとっての天敵はオスのクマです。そして、オスの方が警戒心が強いので人前にあまり出てこない。それで親子のクマたちは、オスが寄りつかないように、あえて人の近くで子育てをするという構造です。そこで育ったクマは母親からどんぐりがないときは集落に行って柿を食べればいいんだよと教わったりするかもしれない。それが何代も何代も続くと、人間への警戒心が低下したクマが徐々に増えていくことは十分に考えられます。これが日本でも起きていて、今年のどんぐりの凶作で表面化したのかもしれません。今後、検証していく必要がありますが、可能性としてはあると考えています。――どうしたら良いのでしょうか?もともとクマは人への警戒心が強く、積極的に危害を加えるのは一部の問題個体だけだとされていました。けれども、人への警戒心が低下したクマが多数いるとなると、失いかけた人間とクマとの緊張関係を再構築していかなければなりません。具体的には、今までのような特定の問題個体を排除するという管理ではなく、集落周辺にいるクマの密度を一気に抑えるぐらい捕っていく必要があります。ただし、将来的には今までのように罠を置いて捕るんじゃなくて、追いかけ回して捕るような捕り方をして、以前はあったような緊張関係を構築していくことが大事です。――クマの出没件数は例年、12月から翌年3月までは激減しています。例えば出没の多かった2023年をみると、全国の出没件数が10月に5983件だったのが、12月は805件、翌年1月は190件、2月127件、3月152件でした。クマは冬には冬眠すると思っていたのですが、冬眠しないクマもいるのでしょうか?クマは寒いから冬眠するのではなくて食べ物がないから冬眠するのです。だから動物園のクマは冬眠しません。けれども、現状で、日本にいるクマはヒグマもツキノワグマも北海道から中国四国地方までどこにいても冬眠します。個体や地域によって短い長いはあるけども冬眠はするんですね。集落内に柿がまだいっぱいあるなど、食べ物が残っている場合は、冬眠の開始が遅れる可能性はあります。冬眠中に穴を替えるクマもいます。私たちが山の中のクマを追跡していても、一定の割合で穴を替えています。寝心地が悪いとか、近くが騒がしいといった理由なのでしょう。その途中で目撃されることがしばしばあります。あと、冬眠の仕方がわからなくてふらふらしていた子グマが過去に1例見つかっています。結局冬に死んでしまい、遺伝情報を調べたところ、母グマが秋に駆除されていました。――母グマが駆除されたことと、冬眠しないことに関係があるのでしょうか?クマは冬眠中に生まれ、翌年にもう1回、母グマと冬眠して、その年の夏に親と子が別れます。冬眠する場所の見つけ方や冬眠の仕方を母グマから教わる前にはぐれてしまうと、冬眠の仕方を学んでいないクマが出てくるという可能性は考えられます。――クマが出没する地域の人はどうしたら良いのでしょうか?今までの常識では通用しないような事態が起きているので、注意深く見ていく必要はありますが、やはりクマの出没は秋がピークになると思います。あと1か月か1か月半、人の住むところにクマが出没している地域の方は、ヘルメットにクマ撃退スプレー、鈴をつけるなどして、車で外出するなど、大変ですがしばらくはクマの遭遇に警戒しながら生活していただくしかないと思います。――警察官がライフル銃で駆除ができるようになり、秋田、岩手県警に他県警などの機動隊員が特別派遣されました。秋田では自衛隊が箱わなの運搬などクマの捕獲作業に協力しています。クマの正確な生息数はわかりませんが、毎年数千頭も捕獲しているのに出没件数が減っていないことから考えても、右肩上がりでずっと増えてきているのだと推測できます。まずはクマの数を減らし、クマの分布を山側に押し戻さなければなりません。その意味で、警察や自衛隊の協力は良いことだと思います。ただ、この後、クマが冬眠して事故が減ると一気に世の中の関心が遠のき、もう終わったかのようになってしまうことは避けなければなりません。どんぐりの不作はまた何年後かにどこかで起きますし、何もしなければ今後も同じようにクマの被害が多発するでしょう。今のうちにクマ出没に対する中長期的な対策をしっかりと立てておくことがとても重要です。――中長期的な対策とは?クマが多数出没する背景には、中山間地の人口が減少して、人がいなくなった場所にクマやイノシシ、シカ、サルなどが住み着いて、人口と反比例して野生動物が増えている状況があります。被害を根本的に減らすには、クマの住む場所と人の住む場所を分離し、間にバッファー(緩衝地帯)を作ります。そして、バッファーにはクマが定着しないように、ヤブを刈り払って見通しのいい状態にする、あるいはスギやヒノキの人工林にしてクマの食べ物が無い状態にするなどして、バッファーをクマの生息に適さない環境に整備し、その状態を維持していく必要があります。さらに、バッファーにクマが来たら、捕獲したり、犬を使って追い立てたりして、バッファーは居心地が悪い場所であることをクマに学ばせることも重要です。特にメスのクマは、一生の間であまり移動をしませんので、人間は嫌な存在であることを学習した賢いクマを、クマの住む場所の最前線に配置するイメージです。ベアドッグというクマの匂いや気配を察知する訓練を受けた犬もいますが、昔から狩猟で犬を使っていますので、ベアドッグ以外の狩猟に使うような犬でも役割を果たすことができるでしょう。市街地に出没した時だけでなく、恒常的に人とクマの住む場所を分離するため、バッファーでクマの捕獲や監視にあたる、専門知識を有した人材も必要です。集落側も耕作放棄地をなくし、人間の活動する領域と森林との境界線を明確にしていくことも大切ですね。――自治体が職員として雇う「ガバメントハンター」の確保に向けた議論も始まっています。ガバメントハンターの議論はようやく始まったという感じです。今年9月に市町村の判断で特例的に市街地での猟銃の使用が認められる「緊急銃猟」制度が導入されましたが、捕るのは主に猟友会の人たちで、ほぼボランティアベースですし、高齢化も進んでいます。行政の仕事として捕獲に従事する人を組み入れていかないといけないということは以前から言われていました。捕獲従事者の育成にはそれなりの時間がかかります。――クマの被害も深刻ですが、シカやイノシシ、サルなどの野生動物による農作物の被害もあります。人と野生動物の住む場所を分離していくのは、農作物の被害対策にも役立ちそうですね。かつて集落に住んでいた方々がされていたような里山の管理はもはや望めません。そうなると、人とクマの住む場所を分離できるように公共事業として森林の管理をしていくのは一つの形だと思います。この対策はクマだけでなく、シカやイノシシ、サルなどの他の野生動物の対策にもつながります。野生動物の管理は環境省、森林の管理は林野庁、農作物の被害対策は農水省の所管です。また、野生動物は河川敷を伝って市街地に移動していくことが多いのですが、河川の管轄は国土交通省です。10年後、20年後の国土デザインの中に野生動物の問題を位置づけ、どのように獣害を防ぐか、政府が省庁の垣根を越えて総合的に対策を考えていただければと思います。
(イオンに「クマが入ってきた」、県職員が吹き矢で駆除:秋田)
16日午前11時20分頃、秋田県能代市柳町の商業施設「イオン能代店」で、従業員から「クマが店内に入ってきた」と110番があった。その後、県職員がクマに吹き矢で麻酔をかけ、駆除した。従業員や買い物客は避難し、けが人はなかった。能代署の発表によると、クマは体長約80センチで、従業員が近くにあったものでバリケードを築き、1階の家具売り場に閉じ込めた。現場はJR能代駅から北西に約750メートルで、市役所や学校などが集まる市街地。
(自動車専用道路を走るクマに都市間バスが後ろから衝突:北海道)
北海道北部の豊富町で、都市間バスが道路を走るクマと衝突しました。その瞬間をバスのドライブレコーダーが捉えていました。15日午後10時ごろ豊富町の自動車専用道路で、札幌発・稚内行きの都市間バスが、前を走っていたクマと衝突しました。60歳の運転手と乗客14人にけがはありません。この事故でバスはおよそ1時間遅れて稚内に到着しました。宗谷バス早坂泰伸運輸部次長「(バスの衝突カ所を指さしながら)いまは直っている状態だが、きのうはこの辺も割れて、この辺も押されて損傷していた。クマとの衝突はまれ」。クマはバスと衝突した後、森の中に走り去りました。すでに修理が行われ、16日の運行に影響は出ていません。
(イノシシ用わなにかかったツキノワグマ、「錯誤捕獲」理由に集落から離れた山中に放す:和歌山)
和歌山県田辺市中辺路町でツキノワグマ1頭がイノシシ捕獲用の箱わなにかかっているのを地元の猟師が見つけ、16日正午頃、市中辺路行政局に連絡した。県などによると、クマの捕獲は今年2件目。中辺路町では近年、捕らえられていないという。県などによると、体長約1メートルで、推定1歳のメス。狙った獲物ではない動物がわなにかかる「錯誤捕獲」で、クマの生息域だったため、県職員と専門業者らが17日、個体識別用のマイクロチップを体内に埋め込み、集落から離れた山中に放した。県は10月、紀伊半島に生息するクマが増えているとして殺処分を含む対応を可能とする計画を策定した。
(商業施設の駐車場にクマ、3時間以上居座る:岩手)
盛岡市にある商業施設の駐車場にクマが侵入しました。クマは3時間以上居座り、18日午前、捕獲されました。午前7時半ごろ、盛岡市の商業施設の屋上駐車場にクマが侵入しました。警察は駐車場を封鎖し捕獲を試みますが、クマは3時間以上にわたり居座りました。午前11時ごろ、獣医師が吹き矢で麻酔を打ち、動かなくなったところを捕獲しました。けが人などは確認されておらず、商業施設は午前11時半から営業しています。現場はJR盛岡駅から南におよそ3キロで、周辺には商業施設や住宅が立ち並んでいます。
(住宅街にクマがとどまる 麻酔銃で捕獲され駆除:宮城)
19日午前、宮城県富谷市の住宅地にクマ1頭が2時間近く居座りました。周囲が住宅に囲まれていたことから、市は麻酔銃を使って捕獲して駆除しました。富谷市の職員が撮影した映像では、クマが住宅の塀の上から顔を出し周囲を気にするような素振りを見せています。富谷市などによりますと19日午前9時すぎ、富谷市ひより台1丁目で道路から階段を上って住宅地へと進むクマ1頭が目撃されました。クマはその後住宅の庭にとどまり人に危害が及ぶ可能性が高まったことから、市は目撃から2時間近く経った午前11時半ごろに麻酔銃を使って捕獲しました。捕獲されたクマは体長70センチほどの成獣とみられ、その後駆除されました。富谷市では4月から11月19日までにクマの目撃情報が119件寄せられていて、市ではホームページにクマ出没マップを掲載して注意を呼び掛けています。
(クマ捕獲用の箱わな「入るベアー2」開発:秋田)
ボーリング用のやぐらや特殊機械を製造する「北日本鉄工」(北秋田市)がクマを捕獲する箱わな「入るベアー2」を開発し、自治体関係者などからの注文が相次いでいる。重さが約70キロと従来の箱わなより大幅に軽く、大人2人で運ぶことができる。同社は「今後もニーズに応じて改良していきたい」と話す。「入るベアー2」はドラム缶を二つつなげた形状で長さ約1・8メートル、直径約60センチ。中に置いた蜂蜜やリンゴなどの餌をクマが引っ張ると上の扉が落ちる仕組みだ。北日本鉄工によると、従来の箱わなは長さ2メートルを超え、高さは1メートル以上で、重さは数百キロに達するものも多い。いったん解体しなければ運ぶのが難しかったため、新たな箱わなの開発に当たっては取っ手をつかんで少人数で運べる重さを意識した。同社はクマの出没や人身被害が相次いだ2023年、市民からの要望を受けて最初の「入るベアー」を製造した。しかし山林で実際に設置したところ、クマが横に揺らして倒れることもあったためその後改良を重ねた。地面側に長さ約1・4メートルの鉄棒を差し込むことでより安定させた。同社の萩野進・工場長(63)は「軽トラックにも2台積めるほどにコンパクトにした」とアピールする。今後の開発については「クマはいったんわなに入ると歯を折ったり、爪がはげたりするほどの強い力でわなを傷つけることもあるため、状況に応じてさまざまな形で改良していきたい。例えばクマが入ったらスマホに通知されるような高性能の箱わなもコストを考慮しながらイメージしている」と話す。果樹園や農地、ゴルフ場、山里などでの利用を想定しており、価格は19万8000円(税抜き)。
(『第6回松江ジビエールフェス』開催:島根)
ジビエを食べるだけで終わらせない。鳥獣被害対策を“知り、いのちを伝える”きっかけづくり。おかげさまで第6回!松江からジビエを応援する県内最大級のジビエイベント。松江市鳥獣被害対策協議会(主催)、合同会社弐百円(企画・運営)は、今年も『第6回 松江ジビエールフェス』を開催します。松江市内外から24店舗が集まり、地元産ジビエを使った多彩な料理を提供する県内最大規模のジビエイベントです。この日ここでしか食べられない猪肉・鹿肉の限定メニューがずらり!猪革製品の販売やクラフトワークショップ、狩猟体験・鳥獣対策コーナーなども設置し、ご家族でお楽しみいただけます。本イベントは、楽しみながら鳥獣被害対策を学べる体験型イベントとして、参加者が“味わうだけでなく、知って帰る”きっかけづくりを目指しています。近年はクマなど野生動物との関わりが注目されていますが、動物たちの生態や地域で行われている対策を知ることで、少し見方が変わるかもしれません。「ただ怖い」ではなく、正しく理解することが、共生への第一歩だと私たちは考えています。
(「とっとりジビエレストランフェア2025」:鳥取)
料理王国(発行:株式会社JFLAホールディングス)は鳥取県より委託を受け、11月17日(月)~30日(日)の期間、東京・大阪の名店10店舗で「とっとりジビエレストランフェア2025」を開催いたします!自然豊かな鳥取の山々に生息する野生のシカは、豊富な木の実などの餌ときれいな雪解け水で育つことによる雑味のないクリアな味わいと高低差のある急斜面を駆けることにより、運動量が多く、肉が締まってしなやかで上品でクセのない風味が特徴です。さらに鳥取県は、恵まれた自然の中で育ったシカの捕獲してからの処理に力を入れており、「鳥取県HACCP適合施設認定制度」に基づいて、仕留めてから解体されるまでのすべてのプロセスが速やかに衛生的に行われることで、臭みのないジビエを提供できるようになっています。
(クマ肉出すジビエ店に客殺到:埼玉)
全国でクマの出没が相次ぐなか、猟師が営むジビエ店が連日満員です。駆除したクマ肉を消費することで、増えすぎたクマを適正な数に戻す動きが始まっています。モミジが真っ赤に色づいた埼玉県・奥秩父。山間にひっそりと建つ店「きのこの里 鈴加園」では、山や川で採れた食材を使った郷土料理を紅葉とともに楽しむことができます。クマの剥製(はくせい)が出迎える店内は満席。客の目当ては…。神奈川から来た客(20代)「なかなかクマを食べられないので、食べてみようかみたいな。クマのニュースがあったからこそ目についた」。中国から来た女性は、3回も訪れているリピーターです。この日90歳を迎えた女性もクマ肉が好物だといいます。男性はクマ肉を目当てに東京から3時間かけて来店。そうまでして味わいたいその味は…。東京から来た客(30代)「全く臭みがなくて、すごく食べやすい。肉の味がしっかりしているので、新鮮な食べ応えと味でした。おいしいです。クマの命をなくさなければいけない状況で、それをただただそれで終わらせるだけではなくて、口に入ることによってありがたみを感じる」。連日、日本各地を騒がせているクマ。秩父市でも目撃情報が相次いでいて、昨年度は37件でしたが、今年度はすでに57件目撃されています。2日前に店の付近の箱わなにかかっていた成獣のオスのクマの前脚の肉。店でクマの解体を担当する鈴加園の鈴木公士専務が処理をした後、客に提供されます。鈴木専務「夏の脂がのっていない時は、もう少しピンク。脂がのると赤い良い肉になる」。クマ肉に加え、イノシシやシカの肉が盛り合わせられた石器焼料理。川魚の塩焼きと新鮮な野菜も付いた大満足のメニューです。現役の猟師でもある鈴木専務は、こう話します。「猟をする人が年々減っているから獣も増えてしまう。山を手入れする人がいない。その関係もあって(クマが)里に下りてくる。ある程度のクマやイノシシも消費していかないと、なかなか適正な数に戻らない」。14日、石破茂前総理大臣も自ら会長を務める自民党の「ジビエ議連」の会合でクマのチャーシューを試食。食べて適正な数に戻すことを訴えました。しかし、クマを食用にするのは簡単ではないため、駆除した後は食べられず、廃棄処分されてしまうことも多いのが現状です。鈴木専務「もったいない。うちの場合は、骨はだしを取れる。きばとか爪はアクセサリーに加工できる。ほとんど捨てるところがない。(クマ肉は)血抜きがうまくできれば生臭くなくおいしく食べられる。一度ご賞味いただければ」。
(ジビエのグルメイベントを初開催:神奈川)
秦野市の地図秦野市鶴巻地区を「ジビエの食べられる街」としてアピールするイベント「鶴巻温泉ジビエマルシェ」が22日、市営温浴施設「弘法(こうぼう)の里湯」(同市鶴巻北)の第1駐車場で初めて開催される。同実行委員会(川上拓郎委員長)主催。同地区は温泉街でイノシシ肉を使用したぼたん鍋が提供されるなど、元々ジビエとは縁のある地域。今回は温浴施設利用者や登山客らを対象に、行楽シーズン最盛期にジビエ食文化の発信を図る。料理はイノシシ肉の串カツやフランク、鹿汁やヒグマ肉の串焼きなどジビエに関連する商品に限定し、6店が個性豊かな料理を提供する。フランス料理風のキーマカレーやソーセージを物品販売する川上さんは「鶴巻地区をジビエの本場にして誘客促進につなげたい。いずれは近隣自治体と連携した大型イベントへと発展できたら」と話している。
(ジビエ「鹿焼き肉」と大槌川育ちの「炙りサーモン丼」:秋田)
岩手県大槌町――三陸の海の幸はもちろん、緑豊かな山や清らかな川が育む食材の宝庫です。そんな大槌の魅力を“まるごと”楽しめるのが、商店街に店を構える 「食処居酒屋おおとら」。地元食材にこだわった料理と、店主の熱い想いがあります。店自慢の一品は「炙りサーモン丼」、丼に盛られたサーモンは、海ではなく大槌川の上流、淡水育ちのサーモンです。店主・菊池忠彦さんは「サケの天然物がダメということで大槌で養殖サーモンに力を入れている。PRしながら街づくりに関わっていきたい」と語ります。身はきれいなピンク色。軽く炙ることで香ばしさが加わり、澄んだ甘みが際立ちます。清流が育てたサーモンは大槌ならではの新しい名物は贅沢な味わいです。ランチでサーモン丼に負けず人気なのが「磯ラーメン」です。シュウリ・ホタテやエビ、イカなどの海鮮具材の旨みが染み出したスープに、必須の海藻類(ワカメ・メカブ・フノリ)が加わり、磯の香りがふわりと広がります。「昭和40年代に磯ラーメンが大槌発祥ということで、そこにこだわっていきたい」と話す菊池さん。三陸の旨みが凝縮された滋味深い一杯。海藻の食感と豊かな風味が楽しめるラーメンです。夜の居酒屋メニューも充実しています。おすすめは、今話題のジビエ「鹿焼き肉」。ジビエ加工販売会社・MOMIJIが手掛ける鹿肉ブランド「大槌ジビエ」を使用しています。店主 菊池忠彦さん「仕留めた後の血抜きや作業を短時間で行っているので肉もやわらかい」。上質なロース肉は寒い時期に仕込んで熟成させた「こうじ」に漬け込み柔らかく仕上がっています。合わせるお酒は、大槌の清流と米で仕込んだ地酒「源水」。まさに“大槌の大地”を感じることができる芳醇な逸品です。「食処居酒屋おおとら」の創業は約2年半前。閉店が続く商店街を元気にしたい一心で、会社員から未経験の飲食業に転身した菊池さん。その原動力は、ふるさとへの熱い想いです。店主 菊池忠彦さん「空き店舗が出て街が活気がなくなっていくのが、街づくりを考えたときに少し寂しいのかなっていうのもあって。大槌愛してますんで」。地元食材をふんだんに使い、町外からも人を呼び込む――その挑戦は、料理を通じて大槌の魅力を発信することにつながっています。
(“鹿肉バーガー”の新店:北海道)
小樽といえば海鮮や半身揚げ、あんかけ焼きそばなどが定番ですが、新定番のグルメも登場しています。小樽都通り商店街近くにある鹿肉バーガーの専門店では、ボリューミー過ぎるハンバーガーが話題です。さっそく食べに行ってきましたよ。北海道・余市町に本店を構え、今年小樽に2号店を出した注目の新店、鹿肉バーガーの専門店「EBIJIN」は、狩猟から加工・販売までを一貫して行う珍しいお店です。EBIJINで見つけた新定番グルメが、ボリューミー過ぎる鹿肉バーガー。「プレミアムステージ2」という名前がついたハンバーガーは、鹿肉の煮込み、鹿肉パテ、鹿肉ミートソースをサンド。なんと鹿肉を約500gも使っているんですって。ちなみに、鹿肉のパテ+ミートソースが入った「オリジナルバーガー」は、1300円。ホロホロに煮込んだ鹿肉の煮込みとミートソースを合わせたハンバーガーが「プレミアムステージ1」で1600円。パテと煮込み両方が入っているのが「プレミアムステージ2」で1850円です。ボリューム満点のバーガーにかぶりつくと、口いっぱいに入れたはずなのにすっと無くなってしまいます。角煮のような食感で臭みは全くなく、味は牛肉をさっぱりさせた感じ。ミートソースの甘みがよく引き立ちます。ミートソースにも鹿肉がたっぷり入っています。オーナーの明念大雄さんは、「近隣でとれたシカ肉を使っているが、鹿は害獣とされていて、地域によっては税金を使って処分している。できればいろいろな人に食べてもらえる機会を増やしたいと、食べやすいハンバーガー店を小樽で始めた」と話してくれました。
(県産ジビエ、給食で使おう:宮崎)
県産野生鳥獣の肉(ジビエ)の学校給食での利活用を目指した調理研修が18日、宮崎市のマナビヤ宮崎アカデミーであった。栄養教諭や同校の学生ら約20人が参加。給食用に開発されたレシピを用いた調理を通し、素材の魅力に触れた。
(「天然ジビエ3種のぼたん鍋お食事コース」:兵庫)
GLIONグループ(ジーライオングループ 所在地:兵庫県神戸市)は、同グループが運営する丹波篠山近又にて2026年3月31日(火)までの期間限定で天然ジビエ3種のぼたん鍋お食事コースが登場致します。丹波篠山「近又」では、天然ジビエ3種を堪能できるぼたん鍋コースをご用意いたしました。季節の前菜三種から始まり、天然熊肉を使用した濃厚な「沢煮」、香ばしく炭火で焼き上げた天然雉肉、そしてメインの「ロース猪肉と丹波篠山産野菜のぼたん鍋」へと続きます。鍋の後は、旨味が凝縮された「〆のぼたん丼」で満足感をさらに高め、香の物と甘味で優雅に締めくくります。厳選した天然ジビエと地元食材をふんだんに使用したこのコースは、丹波篠山ならではの四季折々の味覚を心ゆくまでお楽しみいただける特別なひとときを提供いたします。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、20日午前7時10分ごろ、仙台市青葉区折立2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、20日午前1時40分ごろ、富谷市あけの平2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、20日午前6時ごろ、登米市中田町浅水新沼尻にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、19日午後5時30分ごろ、富谷市富ケ丘3丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午後4時30分ごろ、栗原市瀬峰坂ノ下浦にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午後3時20分ごろ、栗原市鶯沢南郷下新反田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午前10時40分ごろ、栗原市築館下宮野館にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午前9時50分ごろ、栗原市鶯沢南郷坂下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
柴田町によると、19日、柴田町入間田四柄内でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、19日午前8時10分ごろ、栗原市一迫柳目持くれ沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、19日午前5時ごろ、白石市小原新湯にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、18日午後0時40分ごろ、仙台市泉区松陵4丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、19日午前9時15分ごろ、富谷市ひより台1丁目にクマが出没しました。
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(猟銃を紛失「散弾銃を川に落とした」、狩猟のため乗っていたボート転覆:長野)
15日、長野県飯山市で狩猟のため2人が乗っていたボートが転覆し、猟銃1丁が川に落ち、警察が探しましたが、見つからず、16日朝から再び捜索を行う予定です。警察によりますと、15日午後0時40分ごろ、猟銃の所有者の73歳男性から「狩猟のため千曲川を下っていたら、ボートが転覆して、散弾銃を川に落とした」と警察に通報がありました。ボートには73歳男性と女性の2人が乗っていて、飯山市の千曲川大関橋付近で転覆し、猟銃1丁が川に落ちたということです。2人が乗ったボートは千曲川中央橋付近から柏尾橋に向かっていたということです。2人にけがはありません。警察が12人態勢で午後6時過ぎまで、猟銃を探しましたが、見つからず、16日午前9時から同じく12人態勢で捜索する予定です。
(仲間5人と狩猟中の男性、クマに襲われけが:群馬)
15日午前9時25分頃、群馬県藤岡市三波川の山林で、「クマに襲われた」と119番があった。救急隊員らが現場に駆け付けたところ、狩猟をしていた同市東平井町の男性(60)が頭と左腕にけがを負った。搬送時に意識はなかったという。県警藤岡署の発表によると、男性は地元猟友会に所属。この日は県が狩猟を解禁した日で、男性は仲間5人と狩猟中だった。クマ1頭を見つけたメンバーが猟銃で発砲。動かなくなったクマに男性が近づいたところを襲われたという。クマは山奥に逃げた。
(「春グマ駆除」を北海道以外でも実施へ)
政府は14日、2回目となるクマ対策の関係閣僚会議を開いた。11月中にまとめることにしていた施策パッケージとして、春季のクマの捕獲などが了承された。木原稔官房長官はすみやかな実施を求めるとともに、年度内をめどに対策ロードマップ(工程表)の作成を指示した。春季のクマ捕獲は、北海道での「春グマ駆除」などが知られる。他の地域でもこうした個体数管理が有効だと判断した。対象地域など、詳細は今後検討する。春季のクマ捕獲に加えて、施策パッケージでは、短期的に実施することとして集落周辺の捕獲強化も挙げた。そのための人件費や手当を確保するとした。
(クマ被害対策等に関する関係閣僚会議)
令和7年11月14日、木原内閣官房長官は、総理大臣官邸で第2回クマ被害対策等に関する関係閣僚会議を開催しました。会議では、クマ被害対策パッケージ(案)について議論が行われました。木原官房長官は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。「本日、新たな『クマ被害対策パッケージ』を取りまとめました。まずは、石原環境大臣を始め、関係閣僚の迅速な対応に対し、敬意を表します。昨日には、特殊銃に関する国家公安委員会規則が施行され、警察によるクマの駆除の任務が開始されたところでありまして、また、緊急銃猟のための研修会の開催、農作業や学校の安全確保に関する周知など、既に緊急的な対応に着手しております。関係閣僚におかれては、今後、クマの通常の冬眠期間に入った後も、なお、クマの人里への出没が懸念される状況を鑑み、地域の安全確保に万全を期すべく、引き続き、強い緊張感を持って対策に取り組んでください。その上で、短期的対応として、まずは、春期の捕獲により個体数の削減に取り組むこと、これが重要です。既に北海道を始め、一部の地域において、実施されているところですが、その実施地域を拡大して取り組んでいく必要があります。環境大臣を中心に関係閣僚が連携して、ガバメントハンターの人件費や資機材等の確保の支援の拡充など、交付金等による支援や特別交付税措置を通じて、地域の体制整備を推進するとともに、年度内を目途に、春期の捕獲を実施する地域を始め、クマ出没の可能性がある全ての地域における体制整備の進捗状況を確認するなど、計画的かつ確実な対応を進めてください。こうした取組の実効性を高めるため、個体数推定に基づき、地域ごとのクマの捕獲目標頭数というものを設定し、当該目標を達成するためのガバメントハンター等の配置や、はこわな、あるいは、クマスプレー等の資機材の必要量の見込み等を明記した『クマ対策ロードマップ』を、年度内を目途に策定してください。さらに、中期的対応に取り組む中で、ロードマップを更に精緻化するなど、増えすぎたクマの個体数を削減するための取組を進めてください。政府としては、国民の皆様の安心・安全の確保に万全を期すべく、必要な施策を進め、経験を積み重ね、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)することなく機動的に見直しながら、クマ被害対策を戦略的に実行してまいります」。
(クマ対策、保護から駆除へ転換加速)
クマによる人的被害の深刻化を受け、政府は14日、改定版の「被害対策パッケージ」を公表した。個体数の削減や管理の徹底により、さらなる被害の抑止を急ぐ。かつて保護に軸足を置いてきたクマを駆除対象と明確に位置づけることで、体制の整備を加速させる。パッケージは、狩猟免許を持つ人を公務員として任用する「ガバメントハンター」の確保や育成、元警察官や元自衛官への狩猟免許の取得促進といった施策が盛り込まれた。
(警察官によるクマ駆除任務開始―秋田、岩手で出動式)
深刻なクマ被害に対応するため、警察の機動隊員らによるライフル銃を使ったクマ駆除任務が13日、始まった。任務を行う秋田、岩手両県警では対策チームの出動式が開かれた。秋田県警は午前10時から県警本部で出動式を実施。小林稔本部長は「クマ駆除対応に当たる最前線として、県民の安全安心は自分たちが守り抜くという強い信念を持ち、市民生活の安全確保を最優先とした活動をお願いしたい」と訓示した。その後、機動隊員ら10人が県警車両3台に乗り込んで出発した。岩手県警も滝沢市で出動式を行い、岡田憲一生活安全企画課次長は「クマに対する不安の払拭や県民の安全の確保に期待したい」と語った。クマの出没が相次ぎ、ハンターが不足していることなどを受け、警察は保有するライフル銃をクマの駆除に使用できるよう国家公安委員会規則を改正。市街地に出没し、ハンターによる「緊急銃猟」などの対応が難しい場合、警察官職務執行法にのっとって駆除する。指揮官と連絡調整役、射手2人の4人1組の対策チームを両県に2チームずつ編成。担当エリアを分け、警察施設を拠点に出没地域で対処する。射手は機動隊の銃器対策部隊の隊員で、2週間交代で他県からも応援を得る。
(警察官がライフル銃で“クマ駆除”、対応するプロジェクトチームとは?)
人の生活圏へのクマの出没が相次ぐ中、警察官がライフル銃でクマを駆除する運用が、13日から始まりました。市街地での猟銃の発砲を、自治体の判断で可能にする「緊急銃猟」。環境省などによると、今年9月の制度開始以降、23件実施されています。各地で対応に追われる中、秋田県と岩手県では緊急銃猟ではない新たな対策が、13日から始まりました。秋田県警本部では…。「ただいまから熊駆除対応プロジェクトチーム出動式を行います」。秋田県警察本部 小林稔本部長「警察官がライフル銃を使用しクマを駆除する体制を構築するため熊駆除対応プロジェクトチームを発足させ対応していく」。前例のないクマ駆除任務に、警察官があたります。13日から可能になったのは、警察官によるライフル銃でのクマ駆除。ハンターが間に合わない時などに対応するといいます。警察庁によると、クマ駆除にあたるのは4人編成のチーム。本来はテロ対策などを任務とする銃器対策部隊の機動隊員2人がライフルを所持し、そこに指揮官と市町村との調整役がつく形です。こうしたチームが秋田と岩手に、2チームずつ設置されるといいます。駆除には、「クマ撃ち用の弾」を準備。一般的に「クマ撃ち用の弾」は、周辺への二次被害を防ぐために貫通しにくく、殺傷力が高いということです。「ハンター不足」と「クマの出没急増」が同時に訪れているいま。被害収束の光明となるのでしょうか。13日は、環境省でも動きがありました。北海道と東北6県、新潟県の知事からなる「北海道東北地方知事会」が、環境省にクマ対策の緊急の要望書を提出。要望書を受け取った堀上局長は、「予算をつけて対応・支援できるよう頑張っていく」と述べました。総力戦となったクマによる“非常事態”。在日アメリカ大使館も、注意を呼びかけています。単独行動を避けて周囲を警戒し、クマを目撃したら自治体に報告するよう促しています。
(駆除後のクマ6頭運搬、被害対策支援:秋田)
陸上自衛隊トップの荒井正芳陸上幕僚長は13日の記者会見で、秋田県でのクマ被害対策の支援活動について、これまでに猟友会により駆除されたクマ6頭や捕獲用の箱わな33個の運搬などを実施したことを明らかにした。荒井氏は「自衛隊の本来任務は国防であり、無制限な支援を実施することはできないが、政府全体の取り組みを踏まえ必要な協力を行いたい」と述べた。
(クマ捕獲「報酬低すぎる」自治体は「十分な予算ない」)
FNNは11月12日までに東北6県の全227市町村に対し、クマを捕獲する猟友会のハンターへの「報奨金」や手当などに関する実態調査を行い、国に対して交付金の増額を求める市町村が75%に上ったことが明らかになった。約6割にあたる136市町村が回答した。政府は農作物や生活に影響を与える鳥獣被害を防ぐために、わなの設置やクマの捕獲を支援するための交付金制度「鳥獣被害防止総合対策交付金」(農水省)を設けている。このなかでは、「捕獲活動」への支援として、クマ1頭あたり8,000円の支援額が定められている。また、人の生活圏周辺での捕獲に対する支援などを定める「指定管理鳥獣対策事業」(環境省)でも、1頭あたりの支援額は定めていないものの、生態系の保全や絶滅防止の観点から「個体数管理」を行う主眼としての捕獲への交付金制度が存在する。しかし、危険度にくらべた報酬の低さが課題となっていて、ハンター不足の一因にもなっている。政府が近くとりまとめる予定の経済対策では、この支援額が引き上げられる見通しとなっていて、鈴木農水相は4日に出演したBSフジ「プライムニュース」で、「(同交付金が)イノシシもクマもシカも一緒。いまのクマの状況をみれば、ハンターの危険度が違うので、お支払い金額を大幅にアップする」と明言していた。クマを捕獲するハンターへの報酬を巡っては、自治体によって金額に大きな差がある。まず、「時給」や「日当」として手当する市町村と、クマを捕獲した場合に主に猟友会に対し「報奨金」を支払う市町村、その両方を支払う市町村に分かれた。時給平均は1,350円で、日当平均は4,400円だった。時給のみを支給する市町村の最低金額は、岩手県のある市町村で952円(最低賃金)、最高金額は山形県のある市町村で2,000円となった。日当のみを支給する市町村は、金額にばらつきがあり、最低金額は1,500円、最高金額は8,200円。時給もしくは日当にくわえて、捕獲1頭あたりの「報奨金」を設けていると回答したのは、22市町村だった。「報奨金」の分配の仕組みも様々だ。例えば、福島・西郷村は日当1万5,000円にくわえて2万3,500円の「報奨金」をメンバーで分け、岩手・一戸町は時給1,500円にくわえ5万円の「報奨金」を猟友会に支給すると回答した。また、「報奨金」のみを個人に支給する市町村(山形・西川町、1万円)もあれば、1チーム単位で支給する市町村(秋田・鹿角市、1万円)もあった。ハンターの報酬について尋ねたところ、回答があった136の市町村のうち、「既に報酬を増額した」のは約2割(19.1%)で、「今後増額を検討している」と回答したのは、約5割(49.2%)で、合わせると全体の約7割(68.3%)に上った。「今後増額を検討している」と回答した67市町村のうちの大半は、具体的な引き上げ金額については「未定」と回答。一方、福島・南会津町は、現在の日当9,000円を1,000円アップし、捕獲「報奨金」について、1万8,000円から1万2,000円引き上げ、3万円とすることを検討していると回答した。ハンターへの報酬の元となる国からの交付金について「不足している」または、「今後不足するとみられる」と答えた市町村は、6割(59.5%)に上った。2024年に時給898円(最低賃金、当時)から1,500円に引き上げた青森・黒石市では、2022年以前は年間を通じてクマの目撃情報が10件前後だったため、低い報酬に設定していたという。しかし、2023年にクマの目撃情報が増えたことで、ハンターへの負担が増え、ハンターなどから「あまりに報酬が低すぎる。燃料費や弾薬費の面で赤字が膨らんでいる」との窮状を聞き、引き上げに踏み切った。担当者は「時給1,500円でもハンターの方にとっては、労力からみて(待遇が)不十分だ」。さらなる引き上げも検討しているものの、「小さな自治体となると、十分に予算があるわけではない」と苦悩を打ち明ける。また、現在の国の交付金制度では、「時給もしくは日当、もしくは1頭あたりの報奨金のどちらかにしか交付金の補助がつかない」として、「両方に助成してほしい」と強調した。アンケートでは、「国に交付金の増額を求める」と回答した自治体は、102で全体の75%に上った。国の交付金制度で示されている基準額(8,000円)以上の報酬を設定する市町村が多く、そうした自治体は個々の単独予算で、ハンターに支払っている実情も明らかになった。「報奨金」などの交付金の基準額の大幅な引き上げの他、9市町村が「緊急銃猟を試みて発砲し、捕獲に至らなかったケースでも交付金の対象としてみなしてほしい」などと、見回りや出動した場合のみでも「報奨金」を支払えるよう要件の緩和を求める声が多かった。このほか、「地域差のないように報酬金額について一律の基準を示してほしい」「自治体で対応が異なることから金額設定に苦慮している」「せめて上限~下限の目安は示してほしい」との要望の声が多かった。
(緊急銃猟を中止した後、同じ場所にクマ現る:山形)
15日午後、庄内町狩川の囲町で、民家近くの柿の木に登っているクマ1頭が発見され、環境防災課課長補佐の判断で緊急銃猟の発砲が行われました。しかし、弾が外れてクマが逃げ、緊急銃猟は中止となりました。その後、クマ1頭が同じ場所に現れたため、町で警戒しています。
(民家の柿の木にクマ、犬は家の中になかなか戻らず:山形)
山形県酒田市は10日、同市米島の民家で柿の木に登って実を食べていた親子とみられるクマ3頭を緊急銃猟で駆除した。同県内では7日の米沢市に続いて2例目。住民の女性(45)が日課の犬の散歩を終えて帰宅した午前7時頃、犬がなかなか家の中に戻らず、木の上を見ていた。女性が確認したところ、木の上にクマ2頭がいたため、慌てて110番した。酒田市職員が現場に駆けつけ、市はクマ出没対応対策本部を設置。酒田署員が、地域住民の安全確保や交通規制を行うなど、緊急銃猟に向けて準備を始めた。同市は矢口明子市長から権限を委任されていた佐藤傑・環境衛生課長が、午前9時34分に条件を満たしたと判断し、緊急銃猟の実施を決めた。爆竹を鳴らしてクマを木から降ろして、3頭いることが判明。猟友会所属の市鳥獣被害対策実施隊員がいずれも猟銃で駆除した。けが人はいなかった。市の発表によると、駆除されたのはメスの成獣1頭とメスの幼獣2頭。成獣は体長1メートル45、体重70キロ。幼獣は体長80センチ前後、体重20キロ前後だった。市役所で記者会見した佐藤課長は、「危険のない形で撃つことができた」とほっとした表情を見せた。矢口市長は「訓練を行っていたことで、実践でも比較的スムーズに運用できた。誘因物となる不要果樹や残飯などをきちんと処分し、クマを引き付けない取り組みについて啓発を行っていきたい」とコメントした。女性の母親(74)は、「45年以上住んで、クマを間近に見たのは初めて。怖いというよりもびっくりした」と話していた。
(ドローンでクマを追い払う:岐阜)
岐阜県は14日、同県飛騨市古川町黒内で、ドローンを使ってクマを人の生活圏から追い払う取り組みを始めた。ドローンにはスピーカーや花火が搭載され、クマが嫌う猟犬の鳴き声を流したり、花火を発射したりして奥山に追い払う。取り組みは、クマのフンや果実の食べ残しなどが確認された果樹園周辺で実施。ドローン2機が、果樹園を中心に約1キロ・メートル四方の範囲を計6回飛行した。農事組合法人「黒内果樹園」の天木政彦組合長(62)は「クマ被害が大きいので、近づいて来なくなればありがたい」と期待を寄せていた。県は今後、他地域でもドローンを飛ばし、クマの痕跡などから効果を検証する。
(県内で「緊急銃猟」の訓練を初実施:鳥取)
各地で人がクマに襲われる被害が相次いでいることを受け、鳥取県は11日、市町村の責任で市街地での発砲を認める「緊急銃猟」の手順を確認する初めての訓練を智頭町で行った。県内自治体の担当者や県警、猟友会メンバーら見学者を含めて約160人が参加。クマに対峙した際にどういった判断、行動が必要になるかを確かめた。「緊急銃猟の条件を満たす、と判断した」。智頭町の旧那岐小体育館で、「対策本部」の町の担当者が宣告した。訓練は、7日以降、同小から近いJR那岐駅周辺や柿の木にクマが複数回現れ、当日も、同小近くの土師川河川敷に姿を見せた、とする想定で実施された。緊急銃猟は、〈1〉危険鳥獣が日常生活圏に侵入するか、侵入の恐れが大きい〈2〉緊急性がある〈3〉銃猟以外で的確・迅速な捕獲が困難〈4〉発砲で人に危害が及ばない――の4条件を満たせば、市町村長の判断で撃つことができる。今回は、近くに住民が生活で利用する那岐駅などがある(〈1〉)▽箱わなを設置したが、捕獲には至っていない(〈3〉)――などの理由から、緊急銃猟は可能との判断に至った。訓練は体育館での机上訓練と、屋外での訓練に分けて実施し、町や智頭署、猟友会が参加。対策本部は7人、現場で対応に当たる「現地拠点」には11人が配置された。住民の安全の観点から、クマがいる場所から半径200メートルを通行禁止とする措置を設定。町職員が、ハンターを務める現地拠点の猟友会員2人に腕章を渡し、発砲を委託した。同会員が散弾銃を模したモデルガンを、県職員が扮するクマに向かって「発砲」した。智頭署員は県警のドローンで撮影した映像からクマが動かないことを確かめるなどした。町山村再生課の北村直也課長は、現地拠点で現場指揮者を担当。「訓練は日中に河川敷で行ったが、実際は住宅街や夜間に出没することもある。対策本部と現場間でのリアルタイムの情報共有も課題だ。色々なケースの訓練を重ねていくしかない」と述べた。地元の猟友会員の助言役を務めた藤森悟さんは「委託を受ける側として、普段から町と手順を共有しておきたい」と語った。緊急銃猟とは、改正鳥獣保護法施行で9月から始まった。対象はヒグマとツキノワグマ、イノシシ(イノシシは基本的に成獣のみ)。環境省によると、発砲に至ったのは12日午前時点で宮城、群馬、富山などで21件。緊急銃猟に備え、県はクマなどが出た際の対応マニュアルの作成を進めている。緊急時の連絡態勢のほか、訓練実施や備品確保といった準備、交通規制やハンターへの指示などをまとめ、12月の策定を目指す。今回の訓練の課題を踏まえ、修正も検討する。県内自治体が、ひな型として活用することを念頭に置く。県鳥獣対策課の近藤寿代課長は「状況に応じた態勢作りに役立ててほしい」と話す。今年度の県内のクマの出没件数は10月末時点で72件。昨年度同時期の202件と比べて3分の1にとどまる。クマの餌となるドングリ類の実りが良いことが理由とみられ、人的被害はないが、近藤課長は「他地域のように人とクマが近距離で遭遇する事例がいつあってもおかしくない」と警戒する。県は、緊急銃猟に協力する各地域のハンターをリスト化した「県版クマ人材データバンク」を構築。現在は約20人を登録している。来年2月にはハンターの育成講習会を開く計画を立てており、人材の掘り起こしを図る。
(3500万円規模の「クマ緊急対策」実施へ:宮城)
若生裕俊 富谷市長「すでに昨年の倍以上、目撃が報告されている」。富谷市は2025年11月14日、クマ対策本部会議を開き、若生裕俊市長がクマ被害から市民の安全を確保する緊急対策の実施を発表した。緊急対策ではクマを誘因するカキや栗の木などを「個人負担なし」で市が伐採するほか、箱ワナの設置数を増加、市内の小中学校や保育所などに 爆竹やクマ用のホイッスルを配布するとしていて、総事業費は3570万円、11月に補正予算を計上する。富谷市では2025年9月、歩いていた60代の男性がクマに襲われ顔などにけがをする被害が発生し、クマの目撃情報は11月14日までに110件(前年同期+47件)と過去最多のペースとなっている。
(シカの習性に着目、新捕獲法に注目集まる:福井)
深刻さを増すシカの食害による森林被害を食い止めようと、「くくりわな」による捕獲の精度を高める新たな設置法が注目を集めている。考案者にあやかった「小林式誘引捕獲法」。シカが餌を食べる際の習性などに着目し、わな設置や見回りの手間も省力化が見込めるという。
(クマ対策、マイクロチップを付けて全体数を推測:兵庫)
全国各地でクマの目撃や被害が相次ぎ、今年のクマによる死者数は過去最多になっている。23年のクマによる死亡件数は6件、24年は3件だったが、今年は10月31日時点ですでに12件となっている。全国のクマの出没件数も今年度上半期(4~9月)は2万792件で、昨年度同時期の1万5832件を大幅に上回っている。13日からは警察官が、ライフル銃を使ってのクマ駆除が可能になった。同日からクマ駆除任務を行う秋田、岩手の両県では、警察のクマ駆除対応プロジェクトチームが始動。出動式後に、早速ライフル銃を使っての駆除が始まった。地元の猟友会だけでは対応できず警察までも動き出す緊急事態となっている。一方、関西地方の兵庫県は以前からクマと向き合い、クマによる被害が23年度ゼロ件、24年度2件、今年度(9月末まで)1件と比較的低く抑えられている。兵庫県はクマに対して、①20年以上前から捕獲したクマにマイクロチップを付けて放つ②次の捕獲期間で捕まえたクマのチップの有無を確認③チップ付きのクマの比率により年ごとの個体数を推定する――という流れでクマの頭数を把握し、設定した目安の数で管理している。具体的には800頭を目安としており、狩猟捕獲(ハンターが狩猟期間に猟をする)は推定生息数400頭未満、400~800頭のときは禁止。800頭以上の場合は可能。有害捕獲(農作物、家畜、人に被害があるとき)は400頭未満のときは可能な限り殺処分せず、400~800頭、800頭以上のときは原則殺処分と決まっている。また兵庫県のクマ専門職員は16人と全国最多で、クマに関するデータの分析と蓄積があるため、クマ被害が少なく抑えられているといえそうだ。一方で東日本では、頭数把握は5年に1度というところが多く、個体数の推定をしておらず、増減を把握してない。さらに予算、人材、体制などが不十分という問題も指摘されている。2020年の調査では、岩手県は約3700頭、秋田県が約4400頭と、もともとクマの頭数が多いため、単純に兵庫県がモデルケースになるとは言い切れないが、今後は国の支援のもと、クマ管理のための実態把握と体制整備が急務になる。
(クマ目撃が前年の「20分の1」に激減の県も:岡山)
冬眠に備え、餌を求めて人里に下りてきたクマによる人的被害が東日本を中心に続発している。ただ、岡山県内では今季、クマの目撃情報が例年に比べて激減。餌となる木の実が山に豊富にあることが要因とみられるが、県は「誘引物があればクマは人里に寄ってくる」とし、放置果樹の伐採など対策の徹底を呼びかけている。県によると、県内に生息するクマ(ツキノワグマ)は兵庫、鳥取両県内の個体とともに「東中国地域個体群」と呼ばれるグループを形成しており、現在3県で計763頭いると推定される。クマは冬眠前と冬眠明けに餌を求めて行動を活発化させるため、例年、春と10、11月に目撃情報が増える傾向にある。ところが、県内の今年10月の目撃情報は2件しかなく、前年同月の38件に比べて激減。2019年以降、21~45件で推移していただけに、目立って減少している。県の堅果類豊凶調査(8月時点)によると、今年はクマの餌となる木の実のうち、ブナは「凶作」だったものの、ミズナラとコナラは「豊作」。このデータから、県自然環境課の今井竜吾総括副参事は「山に餌が豊富にあるため、今季はクマが人里に姿を現していない可能性がある」と推測する。一方で、「豊作だから絶対に安心というわけではない」とも念を押す。というのも、20年調査ではブナが「凶作」でコナラが「並作」、ミズナラは「豊作」と今年と似た傾向だったが、同年の目撃情報は10月29件、11月も37件あったからだ。さらに、クマは過去に人里で食べた果樹などの味を覚え、同じ味を求めて再び姿を見せるケースもあるという。誘引物になるのは、果樹や生ゴミ、ペットフードなど。クマを寄せ付けないためにも、放置している果樹は伐採し、果実も残らず収穫、そのほかの誘引物は家の外には置かないといった対策を呼びかける。山に入る際には、クマと遭遇しないために鈴やラジオ、スマートフォンなどで音を出し、人がいることを知らせることも有効という。クマによる被害を防ぐため、13日からは警察官によるライフル銃でのクマの駆除が可能となったが、今井総括副参事は「目撃情報は少ないが、県内の山にも一定数のクマがいる。遭遇してしまうと命の危険に直結するので、『出会わない』『引き寄せない』対策を徹底してほしい」と話している。
(「昔はいなかった」被害続出:宮崎)
宮崎県延岡市の離島で問題となっているイノシシによる被害についてお伝えします。今回、取材したのは、島野浦島です。延岡市の中心部からおよそ12キロ北東に位置する離島で、周囲はおよそ16キロ、現在、およそ620人が暮らしています。この島で現在問題となっているのがイノシシです。数年前までは島にいなかったとされるイノシシですが、最近は、農作物への被害や学校敷地内への侵入などが相次いで発生しています。なぜ、イノシシが島に生息するようになったのか、そこには驚きの理由がありました。取材班が向かったのは延岡市の離島・島野浦島。美しいリアス式海岸に囲まれた離島で、「いわしの舞う島」と呼ばれたほど、昔から網漁が盛んな地域だ。取材を進めると、島でイノシシを捉えた映像を入手した。目を光らせ画面中央に忍び寄って来たのがイノシシだ。これは、島の住民が自宅の裏に設置したカメラに映ったイノシシ。さらに、草原を走り抜けたり、口をもぐもぐしながら、カメラに視線を向けたりと、さまざまな場所にイノシシが出没しているという。そして、取材を進めるとイノシシによる被害も明らかになってきた。島で家庭菜園を行っている中島シマ枝さんは花や野菜を植えて育てていたが、イノシシが土を掘り上げるなどして、現在は、手入れが追いついていない状況だ。また、トマトやナスなどを育てている清本友一郎さんの畑もイノシシに荒らされる被害にあっている。さらに、イノシシは18人の児童・生徒が通う島野浦学園にも出没しているという。学校は去年から敷地内に電気柵を設けているが、イノシシは、ほぼ毎日、柵を超えて侵入しているという。卒業生が植えた記念の桜の木も支柱から倒れかかっている。さらに…津波の避難経路もイノシシが山から蹴り落した石などで、半分ほどふさがっている。島浦町区によると、島で初めてイノシシが確認されたのは、9年前の2016年。その後、数を増やし、3年ほど前から被害が、目立つようになったという。延岡市の島野浦島で相次いでいるイノシシによる被害。なぜ、島にイノシシが現れるようになったのか?島の住民から驚くべき情報が得られた。島と本土との距離は2キロ以上。イノシシが海を渡ってくることなんてありえるのだろうか。取材を進めると、海を泳ぐイノシシを捉えた映像を入手した。このイノシシは島から本土へ向かっていたが、複数の住民から本土から島へイノシシが泳いで渡って来たとの証言が得られた。イノシシは、なぜ海を泳いで島にやってきたのだろうか?狩猟文化研究所の田口洋美代表は、次のように推測する。(狩猟文化研究所 田口洋美代表)「延岡市内の生息環境が(イノシシの)密度が上がっている。密度が上がっていると、ストレスが個体個体にたまっていく。(イノシシにとって)安心・安全な場所に身を置いて繁殖をするのが理想。その欲求が海を越えたり川を渡ったりする」。猟友会や区の役員は、これまで50頭ほどのイノシシをわなで捕獲しているが、イノシシの繁殖力には、追いついていない状況だ。海を渡って島に定着したイノシシ。野生動物とどう共生していくかが課題となっている。野生動物といいますと、全国的にクマの被害が相次いでいます。九州では絶滅したとされるクマですが、イノシシが泳ぐという例があると「本州から九州にクマが泳いでやってくるのでは?」と考えてしまいますが、いかがでしょうか?九州の隣、山口県では、クマの目撃情報が相次いでいます。山口県と福岡県の間にある関門海峡の距離は、600メートルから700メートルですがここをクマが泳いで渡ってくることはないのか専門家に聞きました。狩猟文化研究所の田口洋美代表は、「関門海峡は海流が早い。また、山口県でクマが生息しているのは中山間地域で、関門海峡がある平野部に生息域が拡大しない限りは、九州に渡ってくる確率は低い」と話しています。環境の変化に伴って野生動物の生息域に変化が出ています。今回の島野浦島のイノシシの例もそのひとつと考えることができます。ヒトと野生生物がどのように折り合いをつけて共生していくのか、課題が突きつけられていると感じました。
(農作物の鳥獣被害が減少、ピーク時の半分以下に:静岡)
伊豆半島南部の賀茂地域で、イノシシなどの鳥獣による農作物被害が減少している。近年の防止策や地域での講習会が功を奏し、年間の被害額はピーク時の約15年前と比較して半分以下に。一方、急速に進む高齢化で狩猟の担い手は今後も減り続ける可能性が高く、関係者は将来を見据えて「今できる対策強化」の必要性を訴える。
(クマ出没対策に河川敷の林伐採、県が予算3億800万円:群馬)
クマの市街地出没対策として、県は14日、河川敷の雑木林を4か所で伐採する費用3億800万円を盛り込んだ2025年度一般会計補正予算案を県議会議会運営委員会で内示した。補正予算案の総額は68億8854万円。クマは川沿いの林を移動経路にしやすいとされる。伐採は緊急対策として、冬眠明けの活動が活発化する来年5月頃までに実施する計画だ。場所は山沿いの市街地で、人身被害の発生や複数回の目撃を基準に選んだ。利根川沿いは沼田市2か所、みなかみ町1か所で、10月7日にクマが侵入したスーパー「フレッセイ沼田恩田店」の付近も含む。碓氷川沿いは、安中市の1か所で実施する。補正予算案の大半は、人事委員会の勧告通りの職員給与の引き上げに充てる。月給の2・98%引き上げなどのため60億3850万円を計上。第3回後期定例会が始まる21日に提出する。
(駆除に警察官、ライフル銃使用を開始)
雪が降る北海道に現れた巨大ヒグマ。カメラにはクマの驚異的なパワーが分かる「異様な行動」が映っていました。雪が積もる北海道に現れたのは、体から蒸気が立ち上る巨大なヒグマです。苫前町猟友会 林豊行会長(76)「推測するには400キロくらいあっても『それは違うよ』と言えない大きさ」。カメラは400キロ級ヒグマの驚きの行動を捉えていました。一方、秋田でも…。立ち止まってカメラを見つめます。秋田県仙北市、再びクマが美術館に現れました。大村美術館副館長「前回に続き2回目。もしも同一個体なら餌(えさ)探しのルートになったかと危惧」。クマの生活圏と人の生活圏が重なり、危機感が高まっています。13日、秋田県では出動式が行われ、新たな対策が始動します。秋田県警 小林稔本部長「警察官がライフル銃を使用してクマを駆除する体制を構築するため、本日『クマ駆除対応プロジェクトチーム』を発足し、対応していく」。被害が大きい岩手県警と秋田県警には、他の都道府県の警察から機動隊の「銃器対策部隊」が派遣され、13日から警察官がライフル銃を使用してクマを駆除することが可能になります。警察がクマの駆除へ。ハンターは何を思うのでしょうか?12日もクマが現れた岩手県花巻市。13日も地元のハンターが箱わなの確認に行くと、子グマとみられます。終わらないクマとの格闘、猟友会の疲労も日に日に色濃くなっています。ハンター歴50年以上の菅実さん(74)。13日から始まる「警察官によるクマの駆除」について聞くと…。花巻市猟友会 菅実さん「体制的には悪くはないと思う」。ただ、菅さんは技術とメンタル、“2つの壁”が立ちはだかると話します。「ライフル銃の場合は殺傷能力あるし長距離に有効。その代わり弾が小さいから命中率が低い。だから本当に急所に当てるのが難しい。致命傷になる所を撃たないとクマは駆除できない。クマ撃ちに慣れている人は外すと危ないから、いくらでも(近くまで)寄せて撃つ。クマ撃ちに慣れていない人は、クマを近づける前に怖いから先に撃ってしまう」。極限の状態で、冷静に技術を発揮できるかが問われています。13日も朝一番で箱わなの確認。日々、ヒグマと対峙(たいじ)する、この人にも聞きました。北海道猟友会砂川支部の池上治男さん(76)です。池上支部長「最初はみんなやったことないんだから。でも、だんだん機会が増えることによって、ちゃんと経験を積んでいけるから、そういうことを心配することは私はないと思う」。「警察によるライフル銃での駆除」に期待を寄せる池上さんですが、池上さん自身は現在、銃を持たずにクマ出没の対応に奔走しています。実は、池上さん、2018年にクマを駆除した際、建物の方向に発砲したとして、北海道の公安委員会に猟銃所持の許可を取り消されました。池上さんは許可取り消しは不当だとして裁判を起こし、1審では勝訴しましたが、2審で敗訴。最高裁で争っている最中で、今も猟銃所持は認められていません。だからこそ、9月から始まった「緊急銃猟」については…。「猟友会がやるよりは警察がやったほうが色々な法令の問題は最初からクリアできている」。池上さんは命中しなかった弾が跳ね返る「跳弾」よりも、仕留めきれず、クマが手負いとなって暴れることを懸念。「一発で仕留める」という気概が大事だと話します。「跳弾のことを気にしたら誰も撃てない。私の事案の時もそうだが、クマに当たった弾が突き抜けて、それがさらにあっち行ったりこっち行ったりするって、そんなことを言っていたら警官たちでもできなくなってしまう。一発で仕留める技術を持つような、そういう自信を持てるようなメンタルを持って醸成していかなければならない」。なにしろクマは、丸腰では到底敵わない相手です。箱わなの中、向きを変えるのも一苦労なほどの巨体。300キロのヒグマも捕獲されている北海道の日本海側に位置する苫前町。「三毛別羆事件」で知られるクマとの因縁が深い町で生まれたハンターは12日、驚きの光景を目にしました。積もった雪の上に設置された箱わなです。よく見ると、横に倒れています。林会長「これはヒグマ。住宅のすぐ裏を徘徊(はいかい)していた話があり、役場と協議して箱わなをかけた」。監視カメラには、その異常事態の一部始終が映っていました。11日午後6時すぎ、粉雪に覆われた体からは白く蒸気が上がっています。現れたのは、まるまると太ったヒグマです。画角に収まりきらないほどのお尻には、たっぷりと脂肪が蓄えられているのが分かります。そして時刻は進み、日付が変わったころ、雪がしんしんと降り積もる中で、ヒグマは異様な行動に出ます。体重を乗せ、右へ、左へ…。両脇に打ち込まれた杭もなんのその…押し倒してしまいました。さらに、倒した後も滑る雪の上で押し出すように重さ300キロ以上の箱わなに執着するヒグマ。中に仕掛けられたシカ肉を狙っていたとみられます。普段から体を鍛えている自衛隊の隊員が6人がかり。やっとの思いで運ぶような箱わなを、いとも簡単に倒してしまうほどの圧倒的なパワー。この巨大なヒグマを見て、ハンター林さんの脳裏には、あるヒグマの存在がよぎったといいます。「推定で400キロぐらいにはなると思う」。9月に撮影された推定400キロ級のヒグマです。おなかの肉の揺れ…。同じ個体かは定かではありませんが、脂肪の付き方が10キロ近く離れた場所に現れた400キロ級ヒグマと似たような体型です。「(前は)お尻に傷があるような感じだったが枯れ草かも…。もし傷でなければ、だいたい同じ程度の大きさだと思う」。雪が積もっても現れる400キロ級のヒグマ。映像を見ただけでも、その驚異的なパワーや頭の良さがうかがえます。もはや、いつ冬眠するのかも分からないヒグマたちと格闘の日々を送る林さんは、警察がクマの駆除に乗り出す状況に…。「鉄砲を持ったきっかけがクマに対処するためのものではない。クマに襲われるような危険な所で(狩猟を)やりたいとは普通思わない。だから警察が対処してくれるのが一番良いことだと思う」。
(「クマの駆除を自衛隊がやる必要はない」と専門家が指摘する理由)
クマと人間の関係は戦争状態に入ったと言っても過言ではない。過去最悪の死者数を記録して「クマ対策」は待ったなし。大慌ての政府は閣僚会議を開き本気度をアピールするが、駆除現場では人間同士の縄張り争いが見え隠れ。先行きに危うさを感じてしまうのだ。北海道の日本海側に位置する積丹(しゃこたん)町では、クマの駆除でハンターが不当な扱いを受けたとして、猟友会が1カ月強も役場からの出動要請を拒否し続けている問題。前編【「会社をクビになるほど忙しない」 クマハンターが嘆く実情 「出番が多くて疲れ果てている」】では、積丹町議会の副議長による、ハンターへのひど過ぎる暴言などについて報じた。この騒動が浮き彫りにしたのは、わが国の「クマ対策」が地元ハンターたちの“善意”で辛うじて成り立っている現実ではなかろうか。調べてみると、全国の各自治体が、クマ駆除を要請するハンターたちに支払う手当は雀の涙に等しい。例えば北海道では1頭捕獲すると1人あたり5~6万円支払う町もあれば、秋田市では1頭1万円、日当だけなら8000円など、自治体でバラつきがあった。狩猟の現場では、かかる手当は経費の足しにもならないのが現実だと訴えるのは、岩手県の北上市猟友会・鶴山博会長(76)である。「あんまり猟師がこうした話をするのもはばかられますが、狩猟はお金がかかります。ライフル銃の弾丸は1発750円前後、散弾銃などに使われるスラッグ弾なら1発800円から1000円前後するので、射撃練習で10発撃てば8000円くらいかかる。自治体から有害駆除の認定を受ければ免除されますが、ハンターは毎年秋に狩猟税を合計3万円前後払ってもいます。また3年に1回ある技能講習で岩手の場合は2万円前後。銃本体もゴルフのパターと一緒でピンキリだけど、1丁で20万~40万円します。山道を車で走るからガソリン代もバカになりません」そうはいっても、あくまで趣味である以上は「お金の問題ではない」として、「北上市の出動手当は1回4000円だけど、ハッキリ言わせてもらえば微々たるお金ならもらわない方がましです。われわれは狩りを楽しむ目的で始めている。お金がもらえるとなれば、不正をするやからも出て問題が起きるかもしれない。ならば、緊急予算で猟友会や自治体職員に特殊ヘルメットやジュラルミン製の盾など、クマから身を守る道具を配ってほしい。もはや害獣駆除の範囲を超えて殺人犯を捕まえるのと一緒なのに、行政は現場の実態が把握できていません。これが戦争ならどうするのかと思います」(同)。国民の命を脅かすクマに対抗すべく、秋田県は自衛隊の出動を要請。さっそく小泉進次郎防衛相(44)は陸上自衛隊の部隊を秋田に派遣するとしているが、現行法上クマなど害獣を射撃するには制約が多い。当面は箱わなの移送や設置など「後方支援」をするのが精いっぱいという。「今月中旬までに国はクマ対策パッケージをまとめると言っていますが、さすがに遅過ぎると思います」と指摘するのは、クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授。「その頃はちょうど多くのクマが冬眠を始める時期にあたります。今からガバメントハンターなどを増やす訓練を始めても、現場に着く頃にはクマは冬眠してしまっている。即効性は期待できないでしょう。まだ来年に向けた事前策というなら話は分かります。しかし、来年は木の実が今年ほどは凶作にならないと予想されるので、この事態が続く見込みも薄い。このままでは自衛隊の後方支援も、単なる政治的なパフォーマンスに過ぎないのではないか。そう訝しんでしまいます」。小泉大臣が口にした「箱わな設置」も、専門家の立場からすれば効果に疑問があると言うのだ。「箱わなは置く場所を決めるにも土地勘やコツが必要で、ベテラン猟師でないと効果的に仕掛けることは難しい。自衛隊の後方支援といえば聞こえは良いですが、はたして彼らがやる必然性があるのでしょうか。箱わなの運搬なら臨時職員を増やせばいい話。その分の予算を、ハンターへの出動手当拡充や若手育成、わなの捕獲状況などをリアルタイムで知らせるIT機器などに振り向けた方が現実的だと思います」(同)。根本的なクマ対策は、地元を知る熟練ハンターが増えることに尽きるという。「いつ何時起こるか分からない事態に対しては、地元のハンターが一番動きやすい。彼らの充実なしに現状が変わることはありません。例えばクマの出没現場では、周辺住民を避難させ、安全を確保した上で発砲します。銃を撃てば済む簡単な話ではなく、現場で自治体の職員や地元警察、他のハンターと綿密にやりとりをしてタイミングを図る。そうした人間関係は一朝一夕に築けません。なんだかんだ最後まで面倒くさいのは、人間なんです。だからクマ対策パッケージで自治体職員や警察などから新米ハンターを養成するにしても、3~5年はベテランの猟友会ハンターと行動を共にして経験を積まないと、害獣駆除は難しいのです」。首相就任会見でトップ自ら「国家国民のため果敢に働く」と見得を切った高市政権。その真価がさっそく試されているといえよう。
(20年の「ウンコ拾い」で判明!秋に1年の80%を食い溜めするクマの生態とドングリ凶作のヤバさ)
「クマは、秋の3カ月間で1年間に摂取するカロリーの80%を食べる」。ツキノワグマ研究の第一人者である小池伸介氏は、20年以上にわたる地道なウンコ拾いに加え、GPSやビデオカメラといった最先端のテクノロジーを駆使した集大成の研究から、この驚くべき事実を解き明かしました。クマ被害が過去最多となっている2025年、「ブナの実の大凶作」も報じられています。つまり、クマにとって最も重要な時期に食糧が不足するという悪循環が生じているのです。本記事では、小池氏の著書『ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったらーツキノワグマ研究者ウンコ採集フン闘記』(辰巳出版)から一部抜粋し、このドングリの凶作がいかに“ヤバい事態か”を深掘りするとともに、まだ謎の多いオスグマの一生を追う最新研究を紹介します。私が山に入り、クマのウンコを拾い続けて20年以上が経った。これまで拾ったウンコの総数は論文になったものだけで2580個。論文にならなかったものや、ほかの動物のウンコを含めるとゆうに3000個を超える。そんなウンコ拾いの集大成ともいえる研究を紹介しよう。これは2003年から足尾に入り、私だけでなく学生も総動員して7~8年かけて拾った多くのウンコからわかったことである。GPS首輪が登場したことでクマの移動距離はかなり正確にわかるようになった。首輪を付けるときには体重も測っているので、消費カロリーも計算できることになる。さらに、禿山になった足尾はほかのフィールドよりもずっとクマを観察しやすい。食事をしているところをビデオカメラで撮影すれば、例えば植物の葉を1分間に何枚食べたかということもわかる。これで1分間の摂取カロリーが推定できるのだ。私たちは113時間クマの食事を録画して分析し、さらにこれまでに拾ったウンコ1247個からクマがそれぞれの時期に何をどれだけ食べたのかを割り出して、1日あたりの摂取カロリーを割り出した。クマは春や夏にはアリやキイチゴを食べるものの、効率よく手に入れることができないので、消費カロリーが摂取カロリーを上回ってしまう。しかし秋になってドングリが実りだすと、摂取カロリーが消費カロリーを大きく上回るようになる。トータルで収支を計算してみたところ、9月から11月にかけての3カ月間に、1年の80%のカロリー摂取量を食い溜めしていることがわかった。ものすごい偏り方だし、1年をかけてつじつまを合わせられる体というのもすごいものである。そして、クマにとってのドングリの凶作がいかにヤバい事態かを再認識させられる結果である。ところで、私たちはスマホのヘルスケア・アプリに自分の体重を入力し、位置情報と連動させることで消費カロリーを計算できる。中には食事のたびに摂取カロリーを入力してカロリー収支を客観的に把握している人もいるだろう。まさにそれと同じことが野生のクマにもできるようになったのである。最先端のテクノロジーと地道な作業の積み重ねによって。四半世紀まじめにウンコを拾い続けてきてよかった。つくづくそう思う。今、私の興味があるテーマは、オスの一生である。これまでの20年で、メスが1回に子どもを何頭産むのかや、おおよそ何年間隔で産むのかなどはわかった。つまりメスの一生についてはわかりつつあるのだ。しかし、オスの一生はまだ明らかになってはいない。一般に、母グマから生まれた子グマは、1歳半ごろまでは母グマとともに暮らしている。メスの子グマはその後も母グマと同じ場所で暮らすのだが、オスグマは母グマの元を離れ、遠く離れた場所へと移動する。これをオスの分散という。おそらく、分散するのは近親交配を避けるためなのだろう。これまでは、奥多摩で捕まえた若いオスグマが何年かあとに埼玉県の秩父の宿泊施設の厨房に入り込んで駆除されたなどの断片的な情報があり、一生で何kmぐらい移動するのかは何となく見当がついていた。オスの分散については、現在(※2023年時点)2つのアプローチで調べようとしている。1つはGPS首輪をオスに付けて、どこまで遠くに行くのかを見るという調査である。しかし、この調査は今のところ難航している。オスの分散の様子を見るためには、亜成獣に首輪を付けなければいけないのだが、これが実はハードルが高い。というのも、亜成獣は成長途中なので、首輪を付けているとだんだんときつくなってしまうからである。そこでドイツのメーカー製の首輪部分が蛇腹状になっていて、成長にともなって伸びる首輪を亜成獣に装着して調査を行ってみたのだが、うまく追跡することはできなかった。クマが首輪をつかんで引き伸ばして外してしまったのか、それともバッテリー切れか。とにかく、GPS首輪での追跡は今のところ意外にうまくいっていない。ただ、もう1つの方法である遺伝子検査ではオスの分散度合いがわかるようになってきた。足尾で20年間調査を行ってきて、そこで生まれたクマの遺伝情報はある程度蓄積されてきた。そして隣の群馬県では、農業や林業への被害を防ぐため駆除した500頭あまりのクマの遺伝情報をデータベース化している。それを足尾で集めた遺伝情報と比較するのだ。すると、足尾で生まれて群馬に渡ったオスグマが特定でき、駆除された場所からおおよその移動距離を推定できるようになった。
(クマ遭遇で“うつ伏せ防御”は危険:北海道)
クマと遭遇した際に身を守る姿勢として、よく聞くのが“うつ伏せ防御”。しかし、北海道猟友会 砂川支部長の池上治男氏は、この姿勢に対して注意喚起する。池上氏は、クマについて「(人間を)食べ物として襲ってくること。やっぱり人間を見たら襲ってくる」と語る。人間をエサと思っているというヒグマと遭遇した時、よく言われるのは“うつ伏せ防御”の姿勢。この姿勢は環境省の対応マニュアルにも記載され、ポイントは頭部や腹部を守ることだとしている。しかし池上氏は、この姿勢は「あくまで最終手段で最初からこの姿勢と覚えるのはかえって危険だ」という。「その防御姿勢が何かいいなみたいなことを、これは当たり前のような感じになっていたら、これちょっと大変。頚動脈がパッと切られて終わり。結局そういう体勢をした時に、ツキノワグマも同じだけどヒグマだと簡単に引き起こされる。生きたままかじられる。爪で引っ掛けられたり。腹や内臓に手が入って引っ張り出されたら内臓ごと出る。生きたまま食われる」(池上氏)。まずはゆっくり後ずさりして逃げる。それでも襲われた場合、この姿勢をとるべきだと主張する。「戦うって気持ちを忘れないで。なんでも武器になる。木の棒を持つことで、自分のところで振り回して守るということ。鉛筆だって武器になるんだから。目を狙う、やっぱり(クマも)嫌がりますから」(池上氏)。
(クマ捕獲対策で専門職員1人を配置、狩猟歴20年超の県職員:群馬)
相次ぐクマ被害を受け、山本一太知事は14日、狩猟歴20年超の群馬県職員1人を捕獲対策専門職員として自然環境課に配置した。クマ対策事業の検討・実施、捕獲に関する市町村への指導助言などに当たる。同日内示した本年度一般会計11月補正予算案にも、緊急対策として河川伐木による緩衝帯整備費3億800万円を盛り込んだ。
(全国で相次ぐ”災害級”クマ被害、報奨金の増額も:静岡)
全国でクマによる被害が相次ぎ災害級とも言われる中、浜松市は対策費として100万円を11月補正予算案に計上しました。浜松市によると今年度に入ってからの市内におけるクマの目撃情報はすでに20件を超え、昨年度を大きく上回るペースとなっています。このため市は対策費として100万円を補正予算案に計上し、クマ用の撃退スプレーや箱わなの購入費などに充てる方針です。また、猟友会がクマを捕獲した場合の報奨金を1人あたり1万円にする考えも示しています。クマの対策費も含む補正予算案は11月20日に開会する市議会定例会に提出されます。
(初心者ハンターが、今まさに痛感している苦悩)
狩猟免状、猟銃所持許可、猟友会への入会、猟期前練習、そして初めて狩猟に出かけたnanakiです。先日グループに同行させていただきました。そこでみた光景は、全く知らない世界が広がっていました。なにせ、実銃を構えて今まさに大物を捕獲するハンターの隣に、自分が立っているのです。私が狩猟をしようと思った動機は、単純に鹿肉を日常生活の食肉として取り入れたい。それだけです。代々狩猟をしてきた家系とか、身近にベテランのハンターと繋がりがあるとか、銃が好きとか、そういうのは一切ありません。この先に待つ数々の試練は想像もできません。鹿を獲るには、第一種銃猟の狩猟免状が必要です。その勉強をしました。都道府県猟友会に連絡して、試験前の講習会への申し込みと、テキストの購入をしました。送付されてきたのは、狩猟読本と、問題集。この問題集をひたすら解きまくりました。わからないことは読本を読み、マーカーを引き、動物の姿と名前を覚えました。仕事の昼休み、平日の夜、早朝、とにかく時間を作って勉強しました。法律って難しいんだなって思いました。講習会では、実技試験で、猟銃の安全な取り扱い方と、点検、組み立てと分解などを教えていただきました。この時点で、はっきり実感したのは、「猟銃ってこんなに重いんだ」って思いました。でも実際は5kgもないんです。そしてこのとき初めて知ったのは、「猟銃って、狩猟免許を取得しただけでは、所持できないんだ!!」ということです。本当にココなんです。私の第一歩が。次に待ち受けていたのは、猟銃を所持するための手続きでした。これは緊張しました。なぜなら、地元を所管する県警署に電話して、猟銃の所持をしたい旨を連絡しなければならないんです。銃を取り締まっている組織に、「銃を所持したいんですけど」って連絡するんです。 そしてこれまた、なかなか電話が繋がらないんです(笑)。電話番号間違えたかなと思いました。(泣)担当の方と日時を決めたら、初心者講習会の申し込みに伺います。もちろん平日です。サラリーマンの私は、時間休を取って調整しました。相手は警察です。いつでも対応できるとは限りません。予約していても事件が発生したら対応してもらえません。でも我慢しました。「私はあくまで趣味で警察のお世話になるのです」。そして、伺った当日は、面接が始まります。まず、猟銃を所持する動機。これが大事です。「狩猟のためです。」「なぜ狩猟したいのですか?」「鹿を獲って、鹿肉を食肉として生活に取り入れたいんです」「なるほど」。この後は、ねほりはほり。生い立ちから、学歴、家族構成など、気軽な世間話のようにテンポよく会話をします。 その上で、初心者講習会の申し込みが受理されました。私が話している間、担当の方は、私の目の動き、表情、しぐさ、矛盾のある言動がないか、いろいろ観察しているのがわかりました。私は今まさにすごい手続きをしようとしているんだと思いました。このとき実感したのは、嘘やごまかしが通用しないんだなということです。前提条件として、医師による診断書も必要です。銃を所持しても大丈夫かどうか、医師による判定が必要なのです。私は幸いにも近所の内科の先生に記憶力など、いくつか定められた判定をしていただき、診断書を発行していただけました。申し込みが済むと、決められた日時で講習会に参加します。そこでは、ほぼ1日講習会を聴講します。ここで大事なのは、最後の夕方に考査と呼ばれるテストがあることです。この考査に合格しなければ、次の教習射撃と呼ばれる実技に進めません。この考査のためにも、常日頃にメチャクチャ勉強しないといけません。狩猟免許の試験とは比べ物にならないくらい難しいです。私の受けた時の合格率はざっと、35%でした。試験中「うあぁ分からないーーー!」って雄叫びを上げる声も聞こえたほどです。日がすっかり沈んだ後の合格発表では、無事に一発で合格してました。他の人は黙って帰る方、手を合わせて喜びを拝んだ方がいらっしゃいました。初心者講習会を通過すると、教習射撃が待っています。決められた基準を命中させなければ合格しません。合格しなければ猟銃の所持許可はありえません。任意の射撃場に連絡して申し込みしました。事前に警察で、教習射撃を受けられる通知と、最大100発を購入できる許可証が交付されました。「当たりますかね?」と言ったら、「50発でちゃんと合格しますよ、できなければセンスがないと思ってください。」「・・・・・。」めちゃ不安でした。射撃場へ伺うと、まずは50発購入。スキート射撃を行いました。飛んでくる「クレー」と呼ばれる素焼きのお皿?を狙って撃ちます。撃ち方や、どうやって狙うか、体重をどこにかけるかなどを教えていただけます。「私・・はじめてなんです・・合格できますか?」って射撃場の方に聞いたら、「私の知る限り、合格しない人はいなかった」「・・・・・。」もはや、コミュニケーション力がなくなりました。めちゃ不安でした。 結果、無事合格。弾薬の許可証を速やかに警察に返納することも大事です。これを経て大事なのは、実際に持つ猟銃を何にするか、決めないといけないことです。決めて、銃を譲渡してもらうための書類を銃砲店などで交付してもらう必要があります。この後で訪れる所持許可申請は、具体的にこの銃を所持します。という手続きなのです。ここまできてやっと所持許可の申請ができる状態になります。友人・知人・近所の方など、警察が聞き込みしても良い方のリストを作ります。決められた人数を書かなければなりませんでした。事前に了承を得て作成しました。申請受理後は、交番から訪問調査があり、配偶者、家族への聞き取りがあります。その後身辺調査が始まります。そして、警察から再度連絡があるまで、じっと待ちます。 そして後日、警察本部での最終面談です。はるばる電車に乗って、伺いました。所轄の署で受けた面談と同様の質問の嵐です。かなり観察されます。当然です。銃を所持させて良いかどうか、最後の最後。この面談後、組織内で決裁を受けるため、許可を下すべきかの回議が始まります。気づけば、ここまできました。所轄の警察署で、所持許可証の交付を受けます。銃砲店に所持許可証を持って行き、購入した銃を引き取ります。銃を受け取ったら、住所地を管轄する警察署に行き、許可証の記載事項に間違いがないかの確認を決められた期間内に受ける必要があります。私は仕事を休み、同日に警察で所持許可証の交付→銃砲店での猟銃の受取り→再度警察に行っての確認。 をしました。全て警察署との調整が必要です。 ここまで色々書き綴りましたが、全て表現しきれませんでした。この時点ですでにものすごい情報量なんです。 この続きは、またの機会がありましたら。
(“果樹の処分”過疎高齢化地域では対応難しく)
全国でクマの出没、そして人身被害が相次ぐ中、北海道・東北地方知事会はクマに関する国への緊急提言を取りまとめた。この中で、新潟県の花角知事は過疎高齢化の進む地域での対応の難しさを指摘している。11月7日に青森県で開かれた北海道・東北地方知事会。この場で議題に上がったのが、出没や人身被害の相次ぐクマへの対応だ。福島県の内堀雅雄知事は「クマの人慣れもあるが、実は人のクマ慣れもある。あまりにもクマの出没のニュースが多すぎて危機感が薄れる」と話し、山形県の吉村美栄子知事は「クマを見かけても通報しないというときがたくさんある」と全国でクマの出没が過去最多を上回るペースで続いていることで、逆にクマへの危機感が薄れていると各県の知事が警鐘を鳴らしていた。さらに、新潟県の花角知事が指摘したのは、過疎高齢化の進む地域での対応の難しさだ。「過疎化が進む中で、なかなか手入れができていない柿の木や雑木林とかがある。そこに、どう、これから手を入れていけばいいのかというのは本当に悩み」。クマのエサとなるブナが凶作となり、クマの出没や人身被害が相次いだことを受け、県はクマ出没特別警報を発表。不要となった果樹の処分などを呼びかけているが、人身被害が発生した場所の周辺には、処分されずに柿などが残されたままとなっているケースが多く見られる。10月31日、クマが5時間にわたり居座った阿賀野市の会社の倉庫の周辺にもミカンや柿の木といった果樹が成っている木が生えていた。こうした状況を受け、知事会ではクマの出没防止対策や緊急銃猟の体制整備などへの財源の確保。そして、所有者の分からない土地にある放置された果樹の伐採を可能にする制度の検討などを盛り込んだ緊急提言を取りまとめた。青森県の宮下宗一郎知事は「国民・県民に対する急迫不正の侵害であって、これは都道府県だけではなくて、国も含めて対応しなければいけないということは改めて認識を共有できたと思う」とまとめた。人身被害も相次ぐ中、クマへの対策は待ったなしだ。
(クマ被害、過疎進む地方の切実な声)
「災害級」とも言われるクマ被害が深刻さを増している。防衛省はクマ捕獲の支援に向けて自衛隊を出動。警察庁も13日から機動隊員がライフル銃で駆除できる運用を始めた。冬眠前の11月はクマが生活圏に出没し、人的被害のリスクが最も高まる。ただ、過疎が進む地方では緊急的な対応だけではなく、人とクマの「境界線」を守る中長期的な対策を求める切実な声も聞こえてくる。「11月はクマ目撃のピーク。予備費を活用し、前倒しして対策を行う」。5日、宮城県の村井嘉浩知事は冬眠前のクマ対策の緊急性を重視し、今月の補正予算で市町村の箱わな設置費用などの財政支援に数億円規模を充てる意向を表明した。県によると、今年度のクマ目撃情報は5日時点で2056件。過去最多だった平成28年度の1642件を大きく上回り、死亡事案を含む人身被害も4件あった。県は11月末までを「人身被害防止強化期間」とする注意喚起を初めて発出し、対策を急ぐ。ただ、実際にクマ駆除を担う市町村からは捕獲の資機材だけでなく、ハンターや見回り強化のマンパワーを求める声が上がる。クマの目撃情報が相次ぐ同県加美町の担当者は「情報が寄せられるたびに職員とハンターが現場を巡回している。疲弊も著しく、小さな自治体では限界がある」と打ち明けた。近年、クマが頻出する原因として、クマの個体数が増加する一方、人口減や人間の活動範囲の縮小が重なったことが指摘されている。縮小によって耕作放棄地や森林の管理放棄が増え、これまで保たれてきた人とクマの「すみ分け」が崩れつつあるという。しかも、今年はクマの餌となるドングリが東北地方で大凶作となった。例年よりクマの行動範囲が広がり、人が生活しなくなった中山間地域や放置された里山にまで入り込むようになったことが被害拡大につながったとみられる。人身被害が突出する秋田、岩手両県でも、人の管理が行き届かないエリアが広がり、クマとの距離は確実に縮まりつつある。岩手県の達増拓也知事は10月31日の記者会見で「過去の経験が通用しなくなった」と述べ、今年度796頭としていた捕獲の上限を1千頭規模に拡大する考えを示した。一方、秋田県では陸上自衛隊による箱わな設置などの後方支援が11月5日から始まった。東北地方の自治体担当者は「自衛隊や警察出動による緊急支援はありがたいが、今回は対症療法に過ぎない面もある。中長期的な視野で対策を急ぐ時期に来たとも思う」と本音を漏らした。人間社会とクマを隔ててきた「緩衝地帯」が失われ、過疎化が進む地方は異常事態への対応に苦慮する。地域の特性や課題に配慮した「根本治療」を目指し、国を挙げての取り組みが求められる。
(オオバナノエンレイソウ、食害原因はエゾシカ:北海道)
石狩市内での道路建設に伴い、道路用地にあったオオバナノエンレイソウの移植に取り組んだ自然保護団体「石狩浜夢の木プロジェクト」が、移植株に関する報告会を開いた。移植先での食害がエゾシカによるものだったことや、大規模なササ刈りが保全に向けて効果があると実証されたことが共有された。空知総合振興局札幌建設管理部の担当者と大原雅・北海道大名誉教授(植物生態学)が報告。札幌建管は2019年度から道道「花川通」の延伸(新設の長さ1020メートル、幅25メートル)を実施、12月13日に開通の予定だ。同プロジェクトは22年、道路用地にあった大群落(約1ヘクタール)から449株を選抜し隣の林地に植えた。定着は順調だったが、開花個体は激減。札幌建管が3月下旬から自動撮影カメラで監視した結果、エゾシカが食べていることが確認された。
(降水量が減少するごとに「野生動物によるトラブルが増える」と判明)
今、日本ではクマが人里に降りてくるという深刻な問題が続いています。では、世界ではどのような状況が起きているのでしょうか。アメリカのカリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の研究チームは、気候変動が野生動物と人間の関係にどのように影響しているのかを、大規模データを使用して詳しく調べました。その結果、降水量が減少するごとに、野生動物とのトラブルが増加するという傾向が明らかになりました。この研究成果は、2025年11月12日付の科学誌『Science Advances』 に掲載されました。
(クマ被害や目撃なぜ多い?冬眠しないクマ増える?)
クマによる被害が全国で相次ぐ中、静岡県でも多くの目撃情報が寄せられています。2025年度に入り、県内各地で合わせて101件のクマとみられる目撃情報が寄せられています(10月31日時点、暫定値、県調べ)。そこで今回、環境省の特定鳥獣(クマ類)保護管理検討会や静岡県のツキノワグマ管理検討会で委員を務める東京農工大学大学院の小池伸介教授にクマの生態やクマに遭遇しないための対策などを聞きました。Q.静岡県内にいるクマの生態は?静岡県内に生息しているのは「ツキノワグマ」で、東北地方で話題になっているクマと同じ種類になります。県内の分布域は、南アルプスを中心とする地域と富士山を中心にした地域の森林地帯に広く分布しています。目撃地域=生息範囲ではない。移動する能力は非常に高いです。数十km四方は移動することができます。ただ、食べ物があれば数kmの範囲で生活できますが、食べ物がないと数十kmの距離を移動できます。Q.クマは何を食べる?ツキノワグマは、基本的には植物を中心にした食生活をしていて、春は芽吹いた直後の葉や花、夏からは野生の果実だったりハチとかアリといった昆虫、秋になるとドングリやクリ、果実を食べるというように、ほぼ9割、植物を食べる食生活をしています。クマは食肉目で、祖先はライオンやトラと同じ仲間ですので、内臓は肉食に適応した形をしています。そのため、森の中で動物性の食物が手に入るのなら食べたいというのが彼らの率直なところだと思います。ただ、日本の森の中で、簡単に動物性の食べ物を入手することはできませんし、ツキノワグマだと生きているシカを捕まえることがほとんどできないので、自然状態では動物性のものはほとんど食べる機会がないというのが実際のところですね。Q.2025年出没が多い要因は?この時期のクマはすぐ冬眠をするんですけど、冬眠中、飲まず食わずで過ごすのですが、冬眠にはそれなりのエネルギーは必要ですので、その分のエネルギーを秋の間にたくさん食べ蓄えて脂肪として体に蓄え冬眠に向かいます。秋のクマの主食はドングリなのですが、ドングリは凶作と豊作を毎年交互に繰り返すのですが、恐らく今年は全国的に、森の中に何種類かのドングリが軒並み凶作になっていると考えられます。そうするとクマは、普段行動している範囲では食べ物が十分に確保できないので、行動する範囲を広げていると思われます。あともうひとつ、40年ぐらいの長いスパンで見た時、クマの生息域が拡大しているんですね。大体、この40年で2倍ぐらいに分布域が拡大しています。昔は山奥にクマがいて、平地には人が住んでいて、里山では人は耕作をすることで、里山がクマと人を隔てる緩衝地帯の役割を果たしていたんですけれども、今どんどん人が里山から撤退して都市へみんな移動していますね。そうすると徐々に里山や平地へおりてくるようになります。そこに、2025年のようなドングリの実の生りが非常に悪いという条件が重なって、その変化がダイレクトに目に見えるようになってきたっていうのが2025年なんだと思います。Q.なぜクマは人を攻撃する?従来、クマが人間を攻撃するっていうのは、基本的に防御を目的にした攻撃なんですね。例えば、母クマが子グマを守ろうとして攻撃するとか、人間と鉢合わせしてパニックになって攻撃するとか。まだその検証が十分できてないですが、多くの事例が、やはり防御を目的にした攻撃っていうのが多いと考えられます。通常の状態であれば襲ってくることはないです。ただ、人がおいしいものを持っているとか、そういった特殊な経験が積み重なっていき、人への警戒心が極度に下がって、何かのきっかけで人を食べることを学んでしまうと、クマの方の意識も変わってくる。クマは賢い動物で過去の経験を元に行動が決まってきます。ただ、集落の近くの裏山で生まれ育ったクマは、山奥にいるクマに比べると人への警戒心が下がってきてる可能性はあります。今年の東北地方の状況を見ていると、街中で平然と行動しているクマなんかはもう人への警戒心が下がり切ってる可能性はあります。集落に残されたカキとかクリっていうのも、本来であればクマと接点がないが、人が集落からいなくなることによって、カキの味を覚え、街中にカキ食べに出てくる可能性もあります。放棄果樹っていうのもクマと人との距離を縮めクマの警戒心を下げる要因にはなっていると思います。昔は狩猟をする人が山に入ってクマを追いかけ回すとか山の管理も盛んに行われていたので、やはりクマはそういうのを見ると、これ以上近付くのは嫌だなっていうのが、緊張関係を築く上ではあったと思うんですね。だから、逆に人間がクマを恐れて山に入らなくなることで、緊張関係が緩むことにつながるので、過度に恐れて山に入らないっていうのは逆に良くないと思います。実際、今年街中では多くの事故が起きていますが、山菜採りの人や林業をされている人の事故の件数は例年通りなんですよ。Q.目撃件数が増えたってことは、個体数も増えた?実はまだ日本でクマの正確な数は出ていないんですけれども、ここ50年とかで見た時に、山奥の環境が劇的に変わってるかっていうと、最近はゴルフ場やスキー場の開発がたくさん起きてる訳ではない。そう考えると、長期的に徐々に右肩上がりでクマの数は増えていると考えるのが自然だと思います。Q.静岡県内でもクマに襲われることはあるのか?確かに2025年は目立ちますし、昨年は近畿地方でも同じこと起きているということで、遠い所で起きているように感じるんですが、静岡でもこの40年で分布は広がってきているんですね。さらに単発的ですが、伊豆半島にクマが入ってきている。そう考えると、現時点では静岡の街中に来ていないんだけれども、いつ起きてもおかしくないですね。ただ、クマは冬眠するので、あと1か月~1か月半ぐらいすると、このクマの問題はだんだん終息していくと思います。一方、長期的に考えると、静岡でもやはり里山や集落からの人の撤退は起きていて、カキとかクリの放置も起きているっていうことを考えると、東北ほどではないかもしれないが、「まさかこんな所にクマが…」っていうようなことが起きる可能性はあります。Q.静岡のクマも冬眠する?はい。日本にいるクマは全国どこでも冬眠します。各地域の気候や個体によって期間の差はあるが、静岡にいるクマも冬眠します。ただ、冬眠は寒いからするのではなくて、エサがない時期をどうやってやり過ごすかという中で編み出された戦略なんですね。そのため、集落の中にカキがたくさんあったりすると、いつまでもクマからすると食べられるんですよね。動物園のクマが冬眠しないのがその理由です。このクマが人里に来てエサを食べる現在の状況が続けば、冬眠が遅れたりしなくなったりするクマが出る可能性はありますね。もちろん、静岡のクマも例外ではありません。Q.クマに遭遇しないためには?クマは聴覚も嗅覚も非常に良いので、やっぱり山に入る場合は、鈴やラジオを持ったり声を出して手を叩いたりしてこちらの存在をアピールしていくことが大事。そうすれば、クマの方が先に人間の存在に気付いて立ち去ってくれますので、常にこちらの存在をアピールし続けるということが大事ですね。もう一つは、やはり人間の活動域にクマを出さないように気を付けるということが大事。よく言われるのが、集落の中にあるもう今は人がいなくて食べないようなカキとかクリとかは、動物からすると非常に魅力的な存在ですので、早く収穫しちゃうかもう食べないのであれば木を切ってしまうことも必要です。Q.静岡は山と里の境目に果樹園が多いですが?静岡ではミカン畑だったりとかも、以前は何も対策していなくても良かったかもしれないが、やはりもう熊が来るかもしれない。ちゃんと電気柵を張るなどの対策をして動物を近づけない食べさせないようにしていくことが必要ですね。Q.静岡のクマは減らすべきか?保護すべきか?まず、生物学的に出る理想の個体数、人間社会が許容できる限界の個体数があります。現状、静岡では、人間とクマの間の軋轢が大きくないことを考えると、現状は問題ない。しかし、この先、被害がさらに出て社会として許容できなくなってくると、「数が多いよね、広がり過ぎだよね」っていう議論になってくる訳です。現在、静岡県ではクマの個体数や生態を調査していて、クマの個体数の管理についての議論がやっと始まるかなというところです。保護すべき場所、駆除してもいい場所、要はゾーニング、棲み分けをこれから考えていく必要がある。人間にとってもクマにとっても生活しやすい環境に変えていくことが重要だと思う。Q.一般の県民はこの問題にどう対応すればよい?まず、現状、静岡のどこで目撃されているのか、どこにいるのかを知ることが大切。「ここにクマはいないから大丈夫。俺のところは大丈夫」という認識を持っている人も多いと思うが、もうその状況は変わってきています。住民の方が自分事として知ることが大事ですね。自治体任せにすることが一番良くないですね。Q.では、自治体には何を求めるべきか?静岡に関しては、これまで県がクマに関してはやってきたことは、狩猟自粛ぐらい。その状況の中で、県はいま、管理計画を立てこの先5年間でクマの状態をどうしていくか、クマに関する被害をどう低減していくかを考えている最中です。今までやっていなかったことを始めようとしている。今まで生息していないと考えられてきた伊豆でも目撃情報が出てきているなか、非常に大きな一歩だと思います。一方で、これは静岡だけの問題ではないが、東北も含め全国でこれほど大きな問題になっているのに、なかなか解決法を見出せない理由の一つとして、行政に専門的な知識を持った職員がほとんどいないっていうのが大きな問題なんですね。多くのところは、例えば林業職とかで採用された人がクマの担当になると、当然野生動物の知識はないので、頑張っていただくんですけども、3年ぐらいで異動してしまい、また知識のない職員が担当になる。県庁に専門的な人がいないってことは当然市町村にもいないんですよ。現場で問題が起きても適切な対応が分からないんですよね。そのため、各地で対策が後手に回ってしまっていると思います。そういう意味では、ぜひ各地に野生動物管理の専門職員を配置して、もう少しきめ細かな対応をしていくべきです。また、研究機関や地元の大学を巻き込んで科学的な管理を行うとかも大切で、やはり今までと同じように管理計画を立てるだけじゃなくて、もう一歩踏み込んだ体制や対応をとることを考えてもいいのかなとは思います。本来なら毎回事故が起きるたびにじっくり検証する必要があるのですが、やはりこれだけ事故が多くなってしまうと、その検証を行っている余裕がないというのが、現場の方々の率直なところだと思いますね。Q.クマと遭遇した時のことを考えることも大切?多くのメディアは最初から「遭遇したらどうすればよいですか?」と聞いてくるけど、正直こっちはうんざりする。大前提として、遭わないように対策をすることが大切。鈴をつけたり気になる果実を早めに収穫しておくこととか。ただそれでも、やっぱり遭遇してしまうことはあるんですよね。例えば、鈴を持っていても、雨の日とかは音が伝わりにくくて、どうしても鉢合わせしてしまうことがあるので、その時のために遭遇した時にどうするかってことを事前にイメージトレーニングできてるかどうかは大きいと思います。
(「クマを絶滅させろ」過激派からの電話に役所困惑)
クマによる人的被害が多発するなか、県庁や役所には「クマを殺すな」という擁護派の意見が届く。そのいっぽうで、昨今目立っているのは「クマを絶滅させろ」といった過激派からの問い合わせだという。時にはそのような電話で役所の業務に支障をきたすことも……。13日から緊急時に警察官がライフル銃でクマを駆除することが可能になった。全国でクマによる目撃情報や被害数が多い秋田県では、警察の特別部隊である「熊駆除対応プロジェクトチーム」も同日発足し、クマの駆除に取り掛かる。人里でのクマによる被害が深刻化するなか、県庁や一部の役場では県外から“思わぬ苦情”の問い合わせがあるという。「テレビなどマスコミの報道があるたびに、全国から1日10件ほど『クマを殺すな』とご意見をいただきます。我々も好き好んでクマを殺そうとしているわけではなくて、県民の生活を守るためにやむを得ず活動しているわけです。こうお伝えしても、何度も同じ話を繰り返される方も多いので、その場合は電話を切らせてもらっています。また、『クマを殺すな』より数は少ないのですが、『クマを早く絶滅させろ』との問い合わせも一定数、いただいております」(秋田県庁・担当者)。陸上自衛隊がクマ駆除の支援を行なうため、秋田県の北部に位置する鹿角市でも同様に、『クマを早く殺せ』と問い合わせがあるという。「特に県外の方から、『クマを早く殺せ』『さっさと絶滅させろ』と一定数の問い合わせがあります。なかには、『早くやってしまえ。やるにはトラバサミを使用したらいいんだよ(法律上原則禁止)』といった電話が来ていますね。市内の人からはこんな電話はほとんど来ません」(鹿角市役所・担当者)。さらに鹿角市役所の担当者によると、具体的な件数は非公表なものの、「クマを絶滅させろ」などと訴える過激派からの問い合わせは、「クマを殺すな」などと訴えるクマ擁護派の件数と変わらないという。また、そういった無理難題を言う問い合わせは「業務に支障をきたすこともある」とし、「市民の方からのご要望であれば、お話をお伺いする時間は取ります。ただ、県外から一般的なご意見というのであれば『話を短く区切って、電話を失礼させていただいています』と伝えたうえで、『お電話ありがとうございます』と電話をお切りします」。と対応するという。また、秋田県の北に位置する青森県でも同様に過激派からの問い合わせがある。「今年に限っていう話ではないですけど、『クマは危ないのでみんな捕獲や駆除してしまったほうがいい』『行政の対応が手ぬるい』などとご意見をいただきます。県としても、山の中に入って、殺すことはしません。鳥獣法では、人間の住んでいるエリアに出てきて、脅威を与えてくる可能性が高い場合に、捕獲や駆除が認められる建て付けになっていますから」(青森県庁・担当者)。担当者によれば、「クマを殺すな」などの擁護派による問い合わせは全体の4割程度で、残りの6割は「クマをいっぱい殺せ」などの過激派によるものだという。クマによる人的被害が多発し、それに比例するかのようにSNS上でも、<クマを絶滅させろ>などの意見も散見される。なかでも日本維新の会の国立市市議会議員・中川貴大氏(32)は10月28日に次のように自身のXに投稿した。<今すぐクマを絶滅させるべきです。私もそのための行動を始めています>。さらに30日には、<私の発言を失言とする者も多少はいますが、私は失言ではなく名言だったと思っています>。と言及している。これらの投稿の背景について中川市議は、集英社オンラインの取材にこう答えた。「投稿の通り、人里付近に生息するクマはすべて駆除したほうがいいと考えています。人を襲うようになったクマが市街地に出たら手遅れなわけです。箱罠を設置したからといってクマが必ず捕獲されるわけではありませんから。もっと積極的に近くの山に入って、管理や飼育ができていないクマを銃などで駆除すべきです。管理はクマの生息数の把握ができていることであって、飼育は動物園などで飼われているクマのことです」。投稿の背景には中川市議が北海道で生まれ育ったことが色濃く関係しているという。「クマについての興味関心は、もともとありました。現在は東京都国立市で市議をしており、近くの多摩エリアでも出没するようになりましたから。全国的にクマによる被害数も増加しており、対応は早急に進めていかなければと思い、こういった投稿をしました」。とはいえ、駆除や絶滅となると、その地域の生態系を壊す可能性があるほか、現行法ではそもそも実行できず法改正が必要となってくる。「全国のその種のクマを絶滅させるわけではありませんから。人里の近隣区域の熊を絶滅させたからといって、他の地域では生息してるわけですし、国外にもいるわけです。そのため、(生態系を)バックアップできるはずです。法改正については、党内を越えて議論をしていく必要があり、この投稿をしてから他党の議員さんだったり、秘書さんだったりから多くのご連絡をいただいている次第であります」秋田県庁は「クマを絶滅させろ」といった“過激な声”に対して、「クマと私たちはずっと身近にいました。どこの県もそうですが、秋田県も共生を目指すといった大きな柱があります。人間とクマの住むところと、人間の生活の場をきちんと分けていこう。クマの駆除について、まずそこが大前提なんです。そのうえで、時代の変化でクマが市街地に出てきてしまったときには、やっぱりやむを得ず、県民の命を守るために駆除をする。この二本立てなんですよね。中長期的には“共生”を目指していく。でも短期的・中期的には“守るための行動”を取らなきゃいけない。そういう話はずっとしてるんですけど、なかなかね、一方的に自分の考えだけをもっている方々も多くて、いくら説明しても聞き入れてもらえないんですよね」と肩を落とす。最後に、「私たちのほかにも動物はこの地球上に生きているわけで、クマもその一つ。クマがいることで、その地域の生態系が守られてもいる。ただ、人にも影響を及ぼしかねないから、影響の出ない範囲で個体数が定められていて、その上限分を駆除しているわけです」と解説した。「クマを殺すな」と「クマを絶滅させろ」、その間にある適切な「共生」を人類は探っていくべきだろう。
(クマのエサを山に、10年越しの挑戦)
過去最悪となっているクマの被害。市街地でも出没が相次いでいて、これまで出没しなかった地域でもクマが目撃されています。一体何が起きていて、どんな対策がとれるのか。現場を取材しました。11月4日、青森県・西目屋村の村役場で、自動ドアにぶつかりながら走り回る子グマ。秋田・仙北市では、住宅街にある美術館の敷地にクマがあらわれた。2025年は市街地でクマの出没が相次いでいる。被害が深刻な秋田県には、クマ対策としては異例の自衛隊派遣が行われた。これまでクマに襲われてけがをした人は、21の都道府県であわせて200人。死者は13人にのぼり、過去最多となっている。鋭い爪を檻にかけ唸り声を上げて暴れるヒグマは、2025年9月に北海道で捕獲された。このクマを捕獲したのが、北海道・岩見沢市に住む猟師歴55年の原田勝男さん(85)だ。原田さんは25年前、鹿狩りで山に入った時、昼食を取っていると、突然クマに襲われた。猟師歴55年 原田勝男さん(85)「後ろ振り向くと同時に4、5メートルしかない(距離で)撃った。急所に当たればよかったんだけれども、急所外れたんですね。転んだら、クマが俺の胸に手を乗せてハーハーって来やがった」。原田さんを襲ったクマの頭蓋骨。体重約160キロ、体長約1.5メートル、推定5歳のメス熊だった。原田勝男さん「(頭を)ガリガリガリガリかじってた。よくこれで俺生きてるもんだと、未だに思うんだけども」。放った弾が太ももに当たり、苦しがっていたクマはしばらくすると逃げていった。原田さんは九死に一生を得たが、この時、左目を失った。なぜクマは原田さんを襲ったのか。原田勝男さん「後でわかったが、何日か前に地元のハンターが有害駆除で半矢(命中したが逃げられた状態)にしていた。だから俺を襲ってきた」。クマの恐ろしさを誰よりも知っている原田さんは2007年、鳥獣被害対策を行うNPOを設立。クマが人里へ出てこないよう、環境を整える活動を始めた。原田勝男さん「自分が動かないと地域が大変な目に遭うと思っております。今年はクマが非常に多いもんで」。ーーどうして増えた?「山の気候が良かった。去年、おととしあたりが天気の日が続いたから、気候が良かったから、子供をたくさん産んだんじゃないでしょうかね」。北海道警察によると、クマの通報件数は2024年、2600件あまり。だが2025年は10月末時点で約4800件と、倍に迫る勢いだ。この日、原田さんが向かったのは自宅から数キロ先にある山。周囲には民家があるが、そのすぐ先にあったのはクマ用の箱わなだ。原田勝男さん「4、5日前、クマが家のところを通って山に上がっていった」。ーー何を入れている?「鹿を入れている。畑のふちで捕獲した」。ーーこの箱わなにはこれまで何頭ぐらい?「何十頭も獲ってます」。岩見沢市では、現在7か所に箱わなを設置している。原田さんのNPOは毎日その見回りを行っているが、活動には常に危険が伴う。原田勝男さん「(箱わなの)蓋が落ちていた時に子グマが入って、親が周りにいることが多々ある。それが一番危険」。2025年9月、原田さんのNPOで捕獲したヒグマ。よく見るとすぐ近くの森に子グマの姿が映っている。原田勝男さん「親が入って、子グマが(外に)いるのはいい。逆になった場合に親は襲ってくる。絶対、親がそばにいるから」。原田さんが次に向かったのは、食用の鶏などを飼育する市内の養鶏場。10月下旬、鶏小屋をクマが襲い十数羽が被害に遭った。原田勝男さん「ぶっ壊して中の鶏を食ってる。(扉に)肉球のあとが残ってる。相当でかいということだ」。ーー体長はどれぐらい?「2メートル50ぐらいある」。襲われたその日に、原田さんのNPOでは養鶏場に箱わなを設置。2日目の夜、その回りをうろつく体長2メートルほどのヒグマがカメラに写っていた。原田勝男さん「ここは一番危ない。いつまたやられるかと思って」。ーーここに餌があると分かったら?「何度も来ます。何もしないと昼間から堂々と出る、慣れます」。原田さんは、被害を減らすためにはクマが人の住む場所に出てくる前に、捕獲することが重要だと考えている。その発想から生まれたのが「ゾーニング」だ。かつて、市街地などでクマの目撃情報が出ると、その場所に箱わなを仕掛けていた。だが、被害が出てからでは遅いということから、クマと人間の生活エリアの境目に緩衝地帯を設け、そこに箱わなや電気柵を仕掛けた。これが「原田式ゾーニング」だ。棲み分けをはっきりさせたことで、岩見沢市では20年以上、人的被害が出ていないという。原田勝男さん「特にクマはこれにすごく警戒します。クマにプレッシャーになるから出てこなくなる。(ゾーニングが)全国的に広がることによって、クマの被害は減らすことができる」。それでもクマの学習能力が高まっているため、捕獲は年々難しくなっているという。原田勝男さん「昔みたいに檻を置けば簡単に入るものではなくなってきた。クマは来ているわけですから、それが入らないということは昔はなかった。クマの性質が変わってきた感じもする」。紅葉シーズンをむかえた京都の人気観光地の近くでも、クマの目撃情報が相次いでいる。村瀬健介キャスター「京都・嵐山の観光地には、たくさんの観光客が歩いていますが、すぐ近くには山が迫っています。ここから車で10分ほどの場所では、クマの目撃情報もあるということで、地元の商店街では、クマに対する警戒感が広がっています」。嵐山商店街の石川会長は…嵐山商店街 石川恵介 会長「クマは移動します。山は繋がっていますので嵐山でも実際起こりうる、クマが出る可能性あります。怖いですよね」。商店街ではゴミの出し方を工夫するなど、クマ対策を呼び掛けているところだという。嵐山商店街 石川会長「(ごみ袋を)二重にするとか囲いをするとか。回収業者と調整は難しいかもしれないけれど、なるべく出す時間を短くする。出勤前と閉店後、気を付けましょう、警戒しましょうと」。嵐山のある京都市右京区では、映画村で有名な太秦周辺で10月、あわせて6頭のクマが目撃されている。ーーすぐそこにクマが出没した?近隣住民「車の後ろに(山が)あるでしょ。そこを山づたいに下りてきた」。京都市全体では10月、平年の2倍以上にあたる30件の目撃情報が寄せられたという。こうした事態を受けて5日、京都市は初めてとなる対策会議を開いた。京都市 担当者「フェーズが変わった。そういう意識をもって今回の会議の開催に至った」。市は今後、外国人観光客に注意を呼びかける看板の設置などを進めるとしている。これまでクマはいないとされていた京都府南部の木津川市でも、5月に初めて目撃された。2024年までゼロだった目撃情報は、11月8日朝までに47件も寄せられている。しかし、木津川市ではクマに対応した経験のあるハンターがおらず、簡単には駆除できない。捕獲した場合、人の怖さを教えてから山奥に返すことになったというが…木津川市役所農政課 木下勝史さん「元々いないところのクマ。また群れに返すというのは話はわかるが、木津川市内で放獣しないといけないとなると、地域の皆さんからは当然ながら了承いただけなかったのが事実」。市はクマの行動を把握するため、センサーカメラを設置した。人的被害を防ぐために、今後、駆除を前提とした捕獲の許可を京都府に求めていくことも考えているという。木津川市役所農政課 木下さん「クマがこれまでも出ている地域とは、若干異なるので難しいところ」。クマの出没が相次いでいる背景には、生息圏の拡大と個体数の増加がある。東京農工大学のレポートによると、クマの分布域は1978年に確認されていたエリアから、2003年にはやや拡大。2017年にはさらに広がった。40年で北海道のヒグマの分布域は1.9倍に。本州のツキノワグマは2倍になっている。クマの生態に詳しい東京農業大学の山﨑晃司教授は…東京農業大学 山﨑晃司 教授「(現在)一部については、もうちょっと広がってると思う。でもほぼ森の分布に飽和してるような感じ。先進国の中では、これだけクマが広く分布している国はない」。市街地への出没が相次ぐ理由については…山﨑晃司 教授「それまで畑や水田だったところが、また森に戻ってきたりして、しかも、そこに人がいない。集落周辺には柿や栗があったりして、そこでずっと暮らしているクマたちが増えてきているので、何かちょっとしたきっかけがあると、そこから市街地にクマが飛び出てきちゃう。特に北東北。クマの目撃件数がいっぱいあるようなら、もう出歩かない方がいいと思う。近くにクマがいるという前提で、この緊急事態を何とか乗り越えてもらいたい」。クマが生息しやすい環境を山につくることで、人とのすみ分けを試みる場所がある。神奈川県西部にある山北町。山北町では4日、クマが走行中の電車とぶつかる事故が起きている。この町で生まれ育った猟師の杉本一さん(87)。クマが人里に降りるようになった背景をこう語る。猟師 杉本一さん(87)「山のどこを歩いても(クマの)食べ物が見つからない。人間がそういう山にしちゃった」。地元の猟師の豊田さんとともに山を見渡してみると…猟師 豊田里己さん「黒いモスグリーンのところが全部スギ、ヒノキ。全部です。昔は植えておけば、建材、家を建てるときの材木や柱、そういうのに使えるという夢があって植えたと思うけど、今まであった動物が食べる実のなる木、おそらく実がならない」。猟師 杉本さん「これじゃあ動物はどこでエサを食べて、住めばいいんだということになっちゃう」。県の自然環境保全センターによると、高度経済成長期にスギやヒノキを植え、人工林を作るためにどんぐりのなる広葉樹を伐採したことでクマのエサが減少。さらに、人工林によって光の入らないところでは、新たに広葉樹は育ちづらい。温暖化なども重なり、山北町ではここ10年ほど、どんぐりの不作が続いているという。猟師 豊田さん「動物がとどまれる環境を作らないと、里山へ出てるクマは(山へ)戻ってこない」。そこで、杉本さんは山に木の実を増やそうと、10年前にどんぐりを拾い集め、家の庭などで育てた苗木を山奥に植える活動を始めた。できるだけ長い期間、クマのエサが確保できるよう、実のなる時期が異なるクルミも植えた。ボランティアの手も借りながら、これまでに植えた数は4万本以上に及ぶ。そして、10年前に植えた木には、2025年に初めてどんぐりが実っていた。猟師 杉本さん「10年経つと実がなる。動物も食べられる。この山で動物と共生する我々にとっては大切な木。エサが必要な時期にエサがないと、今年の秋田県や東北のような動きを動物はする」。杉本さんの庭には、ブナのどんぐりからつくった2000本もの苗木が育っている。全国のクマで困っている地域に配りたいと話す。猟師 杉本さん「駆除も仕方ないと思う。だけどそれだけじゃ解決しない。ずっと続けていかなきゃならない。時間はかかりますよ。今日蒔いたからって明日、実がなるわけじゃない。結果的に長い時間かかっても、やっぱりこれをやらないと、本当の意味の解決にはならない」。山本恵里伽キャスター:クマ被害が相次いでいますけれども、各自治体は非常に奮闘していると思います。専門家の山﨑教授は、すぐにできる取り組みとして、人里でクマを誘引している柿の木を伐採することや、畑で間引きした作物を放置しないことなどを徹底することが有効だとおっしゃっていました。ただ、地域によっては外に出ること自体が既に危険という場合もありますので、お住まいのエリアのクマ情報を確認した上で、安全第一で過ごしていただきたいと思います。日下部正樹キャスター:クマというのは人間とは違ったやり方で学習するそうです。特に嗅覚と記憶力に優れていて、こうした能力を生かす形で学習して、環境の変化にも適用することがあるといいます。クマが街の中にまで出没する原因の一つに、クマが人間のそばにはいつも多くの食物があることを学んだからではないかということがあるんです。クマはこれまでの習性を変え得るんだということを、一つ頭の中に入れておいた方がいいのかもしれません。村瀬健介キャスター:実は嵐山の商店街の石川さんも、街の近くの山に人の手が入らなくなったということも、野生動物が市街地に出てくる要因になっているのではないかと話していました。かつては薪を取るために山の木を切るなど、野生動物と人との間に緩衝地帯があったそうなんですけれども、そういうことがなくなってしまったとおっしゃっていましたね。人の暮らし方が変わったことで、徐々に山の環境が変わりましたから、その対策も時間がかかるものになるのはある程度覚悟しないといけないのかもしれません。
(野辺地沖に泳ぐクマ、猟友会が海上で駆除:青森)
13日午前9時半ごろ、青森県野辺地町沖の陸奥湾で、海での作業を終えて帰港中の地元漁師が、海面を泳いでいるクマを発見した。町と野辺地町漁協によると、場所は同漁協から数百メートル沖合。人的被害はなかった。町内では午前8時40分ごろ、漁協から西へ約2キロ離れた旧馬門小学校付近でクマ1頭が目撃されており、県猟友会横浜支部のハンターらが警戒に当たっていた。無線で「海にクマ」の連絡を受けた漁協職員が町に通報。町から要請を受けた同支部のハンターらが漁船に乗り込み、現場の海上へ急行、駆除した。クマは雄の成獣で体長約1.5メートル、体重約140キロ。町はクマについて、旧馬門小で目撃されたクマと同一個体の可能性もあるとみている。町によると、自治体判断で銃猟を可能とする「緊急銃猟」ではなく、県が「特定鳥獣管理計画」で定める狩猟期間(11月1日~翌3月31日)に基づき駆除した。また町はこの日、川目地区に仕掛けた箱わなで雄の子グマ1頭を捕獲、駆除したと明らかにした。町内でクマが駆除されるのは、少なくとも過去十数年で今回が初めてという。
(柿の木にクマ、イノシシのわなに掛かる:宮城)
15日朝早く、仙台市青葉区の住宅の敷地内で熊2頭が目撃され、約7時間後に駆除されました。15日午前6時半ごろ、青葉区郷六の住宅敷地内の林で、体長約1メートルの親グマと体長約70センチの子グマがいるのを住民が発見しました。親グマはイノシシのわなに掛かった状態で、柿の木の上にとどまっていました。警察などが警戒に当たり、麻酔銃を撃って眠らせ、午後1時半ごろに2頭を駆除しました。この住宅では、13日も箱わなに子グマ1頭が掛かり、駆除されています。
(新型わなでイノシシ捕獲、製造業者に感謝状:千葉)
市街地に出没したイノシシの捕獲に効果を発揮したとして、茂原市産業まつり実行委員会(会長・市原淳茂原市長)は15日、新型の箱わなを製造した房総プラント(本社・同市)に感謝状を贈った。入り口の左右に羽のように広がるパーツを取り付け、追い込みやすくした形状で、10月に2頭の捕獲に成功した。市によると、市内では昨年、市街地でイノシシの目撃情報が多く寄せられたが、街中では子どもらが箱わなに触ってけがをする恐れがあるため、常にわなを置くことが難しかった。目撃情報があった際は、捕獲従事者らが箱わなを設置してイノシシを追い込んでいたが、入り口の脇から逃げてしまうことがあった。そこで市は、箱わなを製造している同社に新型の開発を依頼。同社は7月ごろ、完成した1個を市に寄付した。アルミニウム製の組み立て式で、軽トラックなどで運搬できる製品という。10月6日、市街地にあり、交通公園として親子連れに親しまれている萩原公園(同市上林)にイノシシ2頭が出没。市職員や捕獲従事者がこの新型を置き、周囲を板で囲うなどして追い込んだところ、約10分で2頭を捕らえることができたという。市農政課は「公園で見通しがよく、関係機関の協力もあったが、効果を実証することができた」としている。市内で行われた同市産業まつりの開会式典で感謝状の贈呈があり、市原市長は「寄贈されて数カ月で成果が出たのでびっくり。茂原はジビエの利用を進めているので、(新型箱わなの)効果がこれからもっと発揮されると思う」と期待。同社は「捕まって開発陣ともに安心している」とした。市内では今年2月、散歩中の住民がイノシシに襲われけがをしている。
(エゾシカの活用考えよう:北海道)
農作物被害を防ぐため駆除されるエゾシカの活用を考える「中標津えぞ鹿フェスティバル」が15、16の両日午前10時~午後4時、中標津町総合文化会館で開かれる。
(「ジビエ議連」総会でツキノワグマ試食)
全国でクマによる被害が相次ぐなか、自民党本部で鳥獣食肉利活用推進議員連盟=通称「ジビエ議連」の総会が14日、開かれた。会長を務める石破前首相は、ジビエ議連について、「食育の観点からもジビエ(=野生鳥獣の肉)文化というものを日本に根付かせて、結果として鳥獣害が減るといいなということでスタートしたもの」と振り返った。そして、「十数年経ち、シカ・イノシシどころか、クマどうしましょうかみたいな話になった」と、最近のクマによる被害の急増に触れ、「山が荒れて食べ物がなくなって人里へ降りてきている。やはり基本的には山をもう1回、クマやシカやイノシシが戻れるような山にしていかなきゃいかん」と述べ、「ジビエから日本を考えるということにしていきたい」と強調した。石破氏は、60年ほど前にクマ肉のすき焼きを初めて食べたといい、「こんなに感動的に美味しいのかと思った」と思い出を語る一幕もあったが、クマ被害対策については「罠を仕掛けるのを容易にできないか」「広葉樹がだんだん少なくなって、山に動物が住みにくくなっている。針葉樹ばかり植えるのをやめた方がいいのでは」などと提案した。総会では、ジビエの振興について意見交換が行われるとともに、出席議員に鹿肉と猪肉をベーコン風にした料理や、ツキノワグマの肉をチャーシュー風に調理した料理が振る舞われた。
(やまなしジビエフェア2025」を開催:山梨)
11月15日に始まる全国的な狩猟解禁を皮切りに、全国各地で冬の「ジビエ」の本格的なシーズンが到来します。山梨県では、有害鳥獣の有効活用の観点で、県内で捕獲された鹿肉を安全・安心な形で県内外に供給できる体制を整備しています(令和6年度11~2月実績で1,049kgを供給)。また、「やまなしジビエフェア2025」を通じて、本格的な需要期となる冬のジビエのシーズンに様々な取り組みを展開してまいります。山梨県内で捕獲された鹿は、県内5カ所の生産拠点(やまなしジビエ認定施設)に集められ、県内外でジビエメニューを提供する飲食店や宿泊施設に供給されます。現在も2施設が認定のための手続きを進めています。冬はジビエの本格的な需要期となり、ニーズが高まることから、これからも安全・安心な鹿肉の供給に努めていきます。
(ジビエ料理の1日限定レストラン、時々営業:広島)
イノシシやシカのジビエ料理を、肩ひじ張らないスタイルで味わってほしい――。JR西広島駅に近い厨房(ちゅうぼう)付きのシェアスペースで10月23日の昼と夜、1日限りのレストランが営まれた。そこには、シェフら関係者の様々な思いが込められていた。この日のランチに訪れると、シェフの内田頌大(しょうだい)さん(39)がジビエ肉を生かして、多様なメニューに仕立てていった。「今日は基本的にパンのおかず、ですね。広島県産の食材を使って」ランチプレートのコンセプトは、パンに合うイタリア風の家庭料理だ。イノシシの骨のスープ、シカとイノシシのハツのあえもの、シカの胃袋の煮込み、シカ肉のロースト、イノシシの頭と脚の煮こごり、血を使ったコロッケ、レバーパテ、テリーヌ……。陶芸家の妻が焼き上げた食器を使い、広島県東広島市で有機農業を営む「自然農園すま」の季節の野菜が彩りを添えた。内田さんはホテルや米ナッシュビルの総領事館、割烹(かっぽう)の料理人などを経て、2021年に広島市西区の創作料理店「SAI」を開いた。県産の無農薬野菜やジビエの料理を中心に提供。25年2月に店を閉めるまで、多くの食通に愛されてきた。ジビエ肉は、広島修道大時代から仲間だった浜村亮治さん(41)が同県北広島町の食肉加工の工房「自美恵(じびえ)」でさばいたシカやイノシシ肉を愛用してきた。1日限りのレストランは、「SAI×自美恵 From芸北」。内田さんは今住んでいる北広島町で店を再開させる準備中で、浜村さんは「今回、2日で予約は埋まりました。みんなSAIを待っていたんです」と言う。浜村さんのもとには、全国の知り合いのシェフから連絡が来る。駆除用のわなにかかったイノシシやシカなどを、1千頭ほどさばいてきた。「肉屋になったのは、人々を感動させたいから」と語る。そこにあるのは、有害鳥獣として殺処分される動物の命への畏敬(いけい)の念だ。「動物は人間より下に見られるけれど、それをひっくり返したい。害獣扱いするのは恥ずかしいこと。肉のおいしさを通して、感動、興奮、感謝を届けたい」今回の会場は、広島市西区己斐本町1丁目のビル2階にあるシェアスペース「くるみ」。臨時のダイニングや喫茶、料理教室などに使われる、こぢんまりとした空間だ。この「くるみ」を運営する野菜ソムリエの吉野裕子さん(53)が、厨房に立ちたいシェフと、ジビエを知ってほしい肉職人の思いをつなげた。吉野さんは「小さな事業者さんはみな、一生懸命に活路を見いだそうとされている。それを応援していきたい」と話す。
(第9回 森の京都ジビエフェア)
京都の秋冬の風物詩であり、2025年11月15日(土)~2026年2月15日(日)の3か月に渡って開催される「森の京都ジビエフェア」。フランス語で“狩猟で捕獲した天然の野生鳥獣の食肉”を意味する“ジビエ”は、近年、高タンパク&低カロリーな食材としても注目を集めています。そんなジビエをさまざまなお店が独自の料理メニューとして提供。この機会にぜひ森の京都エリアへ行ってみませんか?
(地元の鹿肉をおいしく調理:岐阜)
揖斐川町の揖斐高校生活デザイン科3年生が、地元企業や生産者と共同して地元食材を活用したレシピを考案した。町ジビエ解体処理施設(同町坂内坂本)の管理などをする久保田工務店(同町)とコラボした「ジビエ班」の同校でのお披露目では、開発したブリトーやつけ麺を関係者が味わった。同科の食物コース14人は6月から、ジビエ班とトウガラシ「徳山なんば」を活用した班、ヨモギやタマネギを使うJA班に分かれて開発を進めてきた。
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(猟友会会員、クマに襲われ負傷しその場で駆除:新潟)
12日午前9時半頃、新潟県新発田市二本木の農道で、クマの出没情報を受けて見回りをしていた地元猟友会員の80歳代男性がクマ(体長約1・5メートル)に襲われ、顔と右脚にけがを負った。クマはその場で男性が駆除した。県警新発田署によると、同市押廻で「クマのフンや柿の木をひっかいたような跡がある」との通報があり、市から依頼を受けた男性が出動していたという。
(犬と散歩中にクマに襲われる:岩手)
12日朝、八幡平市で自宅の近くを飼い犬と散歩中の53歳の男性がクマに襲われ、けがをしました。警察によりますと、12日午前6時15分ごろ、八幡平市野駄の自宅近くを飼い犬と散歩していた会社員の50代の男性が、クマ2頭と遭遇しそのうちの1頭に頭を引っかかれました。腕や足からも出血があったということです。
(改正規則で警官ライフル使用、岩手と秋田に銃器部隊)
クマによる被害が相次いでいることを踏まえ、警察官によるライフル銃でのクマの駆除が13日から可能になった。改正国家公安委員会規則が同日施行。ライフル銃の使用は、これまで規則でハイジャック事件などに限定していた。被害が大きい岩手、秋田両県に他の都道府県警から銃器対策部隊が派遣されており、市街地に出没した場合に地元警察と任務に当たる。警察庁は6日に規則を改正し、ライフル銃の使用対象に鳥獣保護管理法が定めるクマなどの「危険鳥獣」の捕獲や駆除を追加した。部隊はクマの習性や急所を把握するなど訓練。自治体の判断による「緊急銃猟」の対応が間に合わない場合、警察官職務執行法に基づき警察官が駆除する。岩手、秋田両県にはスナイパー2人を含む計4人のチームを2組ずつ配置。人里にクマが現れたとの連絡があれば、現場に駆けつける。銃器対策部隊は各都道府県警の機動隊に所属し、計約2100人体制。警察当局はこれまで、クマの出没現場で、地域住民の避難誘導や周辺の安全確保、通学路での警戒を実施してきた。
(クマ対策、自治体に有識者を派遣へ)
クマによる人身被害の続発を受け、石原環境相は11日の閣議後記者会見で、要望のあった自治体に対し、クマ対策に詳しい有識者を月内にも派遣する方針を明らかにした。有識者の派遣はクマ被害が多発した2023年度以来、2年ぶり。有識者は学識経験者や、野生動物に関わる企業や民間団体などの関係者を想定。人の生活圏に出没した際の対応のほか、不要な果樹の伐採や草の刈り払いによる緩衝帯の整備など、出没防止対策についても指導や助言を行う。
(積丹町クマ問題が解決、副議長謝罪と新マニュアルで猟友会が活動再開を決定:北海道)
北海道の積丹町で、猟友会がクマ出没の際の出動を拒否していた問題が、町議会副議長による謝罪文書の受け渡しなどにより、ようやく解決しました。積丹町長の松井秀紀氏は「11月13日から猟友会の活動を再開していただけるという風に決定いたしました」と会見で述べました。この問題は、9月に体重284キロのクマが捕獲された際の駆除をめぐり、町議会の海田一時副議長が猟友会のハンターらに「辞めさせてやる」などと発言したことに、猟友会が反発し、町からの出動要請に応じない事態になっていたものです。以前、海田副議長はHTBの取材に対し、謝罪しない意向を示していました。その後も町内では小学校の近くなどでクマの出没が相次ぎましたが、ハンターによる駆除ができず、町民の不安が高まっていました。12日、和解に向け町と猟友会との間で話し合いが行われました。駆除現場に現れた海田副議長とのトラブルを受け、駆除の際に第三者を入れないことなどが明記されたクマ捕獲の対応マニュアルがまとめられました。また、猟友会の支部長は、海田副議長が11日、深々と頭を下げて謝罪文を手渡しにきたことを明らかにしました。この話し合いを経て活動再開を決めた猟友会について、北海道猟友会余市支部の本間松喜支部長は、「このマニュアルができたということで安心安全に対応できる」「ホッとしています」と述べました。松井町長は「今日このような形で解決できましたことあらためて猟友会の皆様には感謝申し上げたい」と感謝を述べました。トラブル後、初めて報道陣の前に姿を現した松井町長は、町民への説明がなかったことを問われると、事態の把握に時間がかかったと説明し、「関係者の方々が複数おられるわけで、少なくともそういった方々に私は第三者から誤解を招いたり、そういったことについては十分配慮しなければならないんじゃないかと」「こういう事実関係があったということを私は町民にもし伝えるとすれば正確を期してお伝えする必要があるとそういう風な考え方でおりました」と話しました。町民の安全を守ってほしいという多くの声が寄せられていたという猟友会。積丹町にようやく日常が戻ってきました。
(空港にクマ出没で一時滑走路を閉鎖:岩手)
警察によりますと、12日午後1時5分ごろ、岩手県花巻市東宮野目のいわて花巻空港の東側調整池付近に子グマ1頭が出没しました。このため、滑走路が閉鎖され発着停止の措置がとられたということです。滑走路の閉鎖は午後1時10分から約1時間続き、侵入したクマが空港敷地外に移動したことから午後2時半に解除されました。この影響で花巻発大阪伊丹空港行き及び福岡空港行きの2便に遅れが生じました。このクマによる物的被害や人身被害はありませんでした。
(「クマ1頭がわなにかかっている」わな壊し住宅地へ向かう恐れから駆除:新潟)
11日午前9時30分ごろ、糸魚川市歌で「クマ1頭がわなにかかっている」と通報がありました。猟友会や市の職員が現場に駆けつけたところ、体長145cmのツキノワグマが暴れていて、わなを壊して住宅地に向かう恐れが出てきたことから、午後2時に緊急銃猟を実施したということです。
(緊急銃猟クマ1頭を駆除、県内2例目:群馬)
群馬県川場村は10日までに、自治体判断で発砲可能とする「緊急銃猟」によりクマ1頭を駆除した。けが人はいない。県によると、緊急銃猟での駆除は県内2例目。
(柿の木にクマが居座る、緊急銃猟で駆除:新潟)
11月13日、五泉市の住宅裏にある柿の木にクマ1頭が登っているのが確認され、緊急銃猟により駆除されました。県内で相次ぐクマの出没…小千谷市では特産のニシキゴイがクマに捕食される被害も発生し生産者は頭を抱えています。ところどころで道路をふさぐ警察官や市の職員。五泉市小搦でクマが目撃されたとして通行止めが行われていました。クマが現れたのは住宅の裏手にある柿の木。13日午前10時半過ぎ、体長約60センチのクマ1頭が柿の木に登っているのをパトロール中の警察官が発見しました。近所の人によると、この地域では数日前からクマの目撃が相次いでいたといいます。市は当初、クマを駆除せずに追い払おうと対応を進めていたといいます。しかし、クマが木から降りず約2時間にわたってこう着状態。午後1時前に市長の判断で銃器を使用する「緊急銃猟」を実施しクマを駆除しました。けが人はいませんでした。緊急銃猟の実施は新潟県内で5例目となります。一方、小千谷市南荷頃では…訪ねたのはニシキゴイを育てるための養鯉池。網が破られ、付近には魚の鱗や死骸が散乱していました。小千谷市で養鯉業を営む平沢誠太郎さんです。11月11日、ニシキゴイの被害に気付きました。12日午後には、網を直しに来た平沢さんの家族がニシキゴイを食べるクマを目撃したといいます。体長は約1メートル。その後、クマの行方は分かっていません。ニシキゴイを育ててこの道70年…平沢さんはこれまでニシキゴイの餌を入れた給餌器がクマに狙われたことはありましたがニシキゴイが食べられる被害は初めてだといいます。「泳ぐ宝石」とも呼ばれるニシキゴイもクマの被害に…県は今シーズン、クマの出没が相次いでいるとして警戒を呼びかけています。
(クマ衝突事故が5倍超、年間最多118件:秋田)
クマの被害が深刻な秋田県で今年1~10月に、クマと車が衝突した事故が118件に上り、昨年1年間に記録した23件から5倍超になったことが11日、県警への取材で分かった。統計が残る2020年以降、年間件数で最多を更新した。9月には美郷町の県道で、救急搬送を終えた救急車が親子とみられるクマ2頭に遭遇。体長約50センチの1頭と衝突した。けが人は確認されていないが、約8割が生活に身近な一般道で発生。県警は事故防止に苦慮している。
(ライフル銃駆除スタート、猟友会が警察庁派遣チームらに実演:岩手)
人里近くに現れたクマを警察官がライフル銃で駆除できる運用が13日に始まるのを前に、岩手県警機動隊や警察庁が派遣している駆除チームが12日、滝沢市の県滝沢森林公園で猟友会員からクマの特性や駆除の方法を学んだ。講習会は県警が企画。県警や他県から特別派遣されている機動隊員など、13日から実際に駆除にあたる約20人が参加し、県猟友会員が講師を務めた。猟友会員は冒頭、「クマは茂みなど見えないところに身を隠す」などと特徴を説明。駆除するにあたっては、「自分は風上、クマは風下に位置していると行方を見定めやすい」「胸にある三日月模様を狙うと心臓にあたりやすい」などと具体的な仕留め方をアドバイスした。その後、猟友会員はレプリカの銃を使用し、発砲する際のクマとの適切な距離感覚などを実演した。県警警備課の湯沢優治次長は「一刻も早く市民の安全を守るため、猟友会や市町村と協力しながら活動を行っていきたい」と意気込みを語った。13日は駆除チームの「出動式」が行われるほか、クマ対応に関する新たな運用方法を県警本部長が県側へ説明する予定。盛岡市中心部で12日朝、クマの目撃が相次いだ。けが人や物的被害は確認されていないが、県警や市が警戒にあたった。盛岡東署によると、同日午前5時20分頃、県庁から西に約600メートルの中央通で「クマ1頭がいる」と近隣住民から複数の110番があった。署員らが駆けつけ、体長1メートル以上の成獣とみられる1頭を発見。パトカーで追跡して警戒にあたったが、クマは愛宕町方面に移動し、同7時頃に姿が見えなくなったという。山岸や中野地区などでも同日未明から朝にかけて、目撃情報が寄せられた。市教育委員会によると、愛宕町の市立下小路中学校は臨時休校となり、目撃情報があった学区では保護者に登下校の付き添いを呼びかけるなどして対応した。
(警察官がライフル銃で駆除可能に…仕留めきれず“手負いグマ”の危険も)
13日、秋田県と岩手県に集まったのは18人の警察官です。13日から警察官によるライフル銃でのクマの駆除が可能となり、人的被害が深刻な地域での活動が開始されました。その岩手県では、13日もクマが出没。現場は高速道路のサービスエリアでした。防犯カメラの映像では、猛ダッシュで逃げるクマの後ろをパトロールカーが追っているのが分かります。付近にはガソリンスタンドもあり、緊張が走りました。ガソリンスタンドの店員は「びっくりしました。本当に出るんだな。まだ冬眠しないんだなと思った」と話しました。この影響で、サービスエリアが一時閉鎖される事態となりました。また、13日も各地で緊急銃猟が相次いでいます。新潟・五泉市では住宅裏にある柿の木の上でクマを発見。警察官がクマ撃退スプレーを手に、厳戒態勢がとられました。そして午後1時ごろ、緊急銃猟による発砲で駆除されました。さらに、山形・長井市でも緊急銃猟による駆除を実施。12日から目撃されていたクマが柿の木にとどまり、緊急銃猟による発砲で駆除されました。子供たちが通う学校にも、またクマが出没しました。12日午前、宮城県にある仙台白百合学園中学・高校で、敷地内を徘徊するクマが目撃されました。辺りをうかがうようにのそのそと歩くクマ。すぐ目の前の道路には、車も走っていました。隣町にある大学などでもクマの目撃情報が相次いでおり、警察は同じ個体の可能性があるとみて警戒を強めています。危険と隣り合わせのクマの捕獲と駆除。青森・黒石市で活動する猟友会がツキノワグマを捕獲した際の映像では、クマが箱わなのおりにかみつき、激しく暴れている様子が確認できます。捕獲されたクマは、体長約1m30cm、体重120kgでした。別の日には、捕獲したクマは暴れ、鉄でできたおりを破壊。そのまま逃げてしまいました。その後、猟友会はクマが逃げることがないようにおりの改修を行ったといいます。山形・飯豊町で50年にわたってクマを駆除してきた猟友会の伊藤安雄さん(74)は、ハンター不足も指摘される中で、警察官がライフル銃でクマの駆除が可能になったことを「銃を持つ技術は(警察官が)上だと思うが、動いている(クマ)のはどうかなという感じ。猟友会だとまわりの判断は警察より上だと思う」と話します。「イット!」が取材した岩手・花巻市で活動する猟友会事務局長の梅原大介さんも、クマをライフル銃で撃つことの難しさについて「ライフル射撃は1カ月や2カ月で習得できるものではない。クマを銃で撃つことは、いろんなパターンがある。どこにクマが出て、どういう状態かによって本来は銃を使い分ける」と語りました。梅原さんによるとクマの一番の急所は心臓。しかし、狙うのが難しいため、首より上を目がけて銃を撃つといいます。さらに注意する必要があるのは、肩や腹、足を撃っただけでは仕留めきれず、手負いとなったクマ。逆上し、見境なく誰にでも襲いかかってくるといいます。ロシアのハンターが山でクマと遭遇した際に撮影したとみられる動画では、手負いグマの危険な様子を捉えていました。ライフル銃を何発も撃ったにもかかわらず、クマはひるむことなくハンター目がけて襲いかかってきたのです。2024年6月にロシア・サハリン州で撮影された動画では、故障した車を路肩に止めていると、突然、目の前にクマが現れました。ドライバーはクラクションを鳴らしてクマを追い払おうとしますが、これに逆上したのか、クマがボンネットに乗ってきたのです。さらに、運転席のほうへと近づくと、いとも簡単にワイパーを破壊。すさまじいパワーに、ドライバーもなすすべがありませんでした。こうしたクマを駆除するには、逆上させず、一発で仕留めることが大事だといいます。花巻市猟友会事務局長・梅原大介さん(狩猟歴25年):5メートルぐらいの位置だと考えると、ライフルでは対処しきれなくなる。クマはすごく怖いもの。外したら本当に命がけ。クマが横たわって動かなくなったとしても危険。まだ生きている可能性があるので。本当に死んだことを確認してからでないと、銃はしまえない。深刻なクマ被害を巡っては、捕獲などを行うハンターが不足しています。そして、その要因の1つとして「危険度に比べた報酬の低さ」があります。FNNは、人身被害の6割を占める東北6県の全ての市町村に、ハンターの報酬についてアンケート調査を行いました。回答があった136の自治体のうち、すでに報酬を増額したのは約2割でした。一方で、ハンターへの報酬のもととなる国からの交付金について「不足している」、または「今後不足するとみられる」と答えた自治体は6割に上りました。また「ハンターの苦労に見合う増額を望む」など、国に対し交付金を増やすように求める自治体が75%に上り、政府による報酬制度の設計を求めている実態が明らかになりました。
(「警察」「自衛隊」は果たしてクマに勝てるのか?)
環境省によると、今年度のクマによる死者数は13人(11月5日現在)にのぼり、過去最多を更新。クマの捕殺は9月末までに5983頭を数え、昨年度の5136頭を遥かに超えた。というのに、クマによる被害は増加する一方だ。秋田県はとうとう自衛隊に派遣を要請したのだが……。自衛隊は「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを使命とし、国民の生命・財産とわが国の領土、領海、領空を守り抜く」(防衛庁ホームページより)ために設けられた組織だ。有事は無論、たび重なる災害においても日本人を救ってきた。だが、今回は勝手が違うらしい。秋田県の要請を受けた自衛隊は11月5日より鹿角市で支援活動をスタートさせたが、現地での活動は地元ハンターの後方支援ばかりと報じられている。翌日には早速、小泉進次郎防衛相がTBSの情報番組「ひるおび」にリモート出演してこう説明した。小泉防衛相:秋田県の知事からも「駆除」の要請は来ていないんです。特に秋田県の鈴木知事は元自衛官ということもありまして、自衛隊が本来、クマや鳥獣に対して「撃つ」訓練はやっていないこともよくご存知なんですよね。自衛隊はクマの駆除はしないというのだ。その上でこう語った。小泉防衛相:万が一を考えたときに、銃もしくはナイフを携行してクマを仕留めることができたらいいんですけど、そうじゃなかった場合に手負いのクマほど危険なものはない。やはりクマスプレーなどで、いかに距離を取りながら対応するかが、自衛隊としてやるべきことではないかというのが猟友会の皆さんと相談をした結果です。自衛隊としてやるべきことがクマスプレーなのだろうか。クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授は言う。「政治的パフォーマンスにすぎないのではないかと訝しんでしまいます。クマが政治利用されなければいいなと思いますね」(山内准教授)。銃を持たない自衛隊は箱罠の運搬や設置といった後方支援を担当する。だが「それすら役に立たない可能性がある」と山内准教授は指摘する。「後方支援と言えば聞こえはいい。しかし、自衛隊に現場で指示を出すことができるのはハンターのおじいちゃんたちだけ。罠を運搬するだけなら何も自衛隊である必要はないのではないかと思ってしまいます。しかも、罠でクマを捕まえるのはとても難しいんです」銃が使えないなら罠しかないが……。「7月4日に岩手県北上市でクマに襲われた人が亡くなりました。集落にはクマの行動予測に基づいて10基ほどの罠が設置され、罠のエサにも蜂蜜や穀物など様々なものを試みました。結局、11日に民家の倉庫の中で米を食べているところをハンターに駆除されたのですが、それまでの8日間、クマは全く罠にかかりませんでした」(山内准教授)。「10月8日、北上市でキノコ狩りをしていた男性を殺害したクマと16日に温泉旅館で男性従業員を襲ったクマは、同一個体である可能性が高いことがわかっています。そのクマは17日に銃で仕留められましたが、最初に被害者を出した日から10日間にわたり罠にはかからず歩き回っていたことになります。北海道で家畜を襲撃し続けたヒグマのOSO18も罠にかかることはなく、最後はハンターによって駆除されました」(山内准教授)。なぜクマは罠になかなかかからないのだろう。「クマは人工物である罠を警戒します。若い個体やオスは罠にかかりやすいのですが、メスは非常に警戒心が強い。親子連れのクマでも罠に無邪気に入るのは大半が子グマです。その捕らえられた子グマを助けようと、母グマが罠を壊してしまうなんてこともある。ヒグマ同様、ツキノワグマも怪力なので、箱罠など外側からなら簡単に壊せます。私の調査事例では、子グマが捕らえられた罠を壊すため、母グマが崖の上から罠を落として破壊したこともありました」(山内准教授)だからこそ、罠の設置には技術が要るという。「闇雲に罠を設置すればいいわけではありません。ハンターは長年の経験で培った知恵を駆使して、罠の置き場所からエサの種類、エサの撒き方、罠への誘因の仕方などを、その足跡からクマの行動や性格を推測して設置するのです。それは短期間の訓練でできるものではありません。ハンターが罠の運搬場所を自衛隊に指示しても、結局、罠の置き方はハンターが現場に行かないとわからない。たしかにハンターの肉体的な負担は減るでしょうが、その代わりを自衛隊にしてもらうのは申し訳ないような気がします」(山内准教授)。一方、国家公安委員会は6日、警察官がライフルでクマを駆除できるよう「警察官等特殊銃使用及び取扱い規範」の一部を改正した。施行日となる13日から、岩手県警と秋田県警に他の都道府県警察から銃器対策部隊が派遣されるという。ようやく銃器の使用が可能になる。これに賛同するのは南知床・ヒグマ情報センターの元理事長・藤本靖氏だ。「銃の訓練を受けている警察官がライフル銃で駆除ができるのは理想的です。彼らの中には狩猟免許を持っている人もいますから、特殊急襲部隊の『SAT』のように『クマット』みたいな特殊部隊を作ってもいい」(藤本氏)。ただし、こちらも経験が物を言う。「クマは俊敏で見慣れていないとすぐに見失ってしまうものです。市街地で見失って山に逃げられた場合、足跡や草の倒れ方、排泄物の跡などありとあらゆる痕跡を頼りに、長年の経験に基づいて捜索します。警察官もクマの生態を熟知するハンターと行動を共にし、山に入ったり射撃の訓練をしたりして徹底的にクマを理解しないと駆除は難しいかもしれません」(藤本氏)。だが、それほど時間はない。結局のところ罠に頼るしかないのだろうか。だが、前出の岩手大の山内准教授は「罠にかからない賢いクマだけが残る」と言う。「一度でも罠にかかったり他のクマが罠にかかっているのを見たりすると、クマは罠の危険を学習します。罠にかかる浅はかなクマは次々と淘汰されるので、森には次第に罠に対して用心深いクマだけが残る。実際、罠によるクマ捕獲の費用対効果は昔に比べかなり落ちていると実感します。今年のクマも十分に用心深いのですが、来年以降はさらに用心深い賢いクマが森に残ることになります。これまでの捕獲をクマが学習していることを考えると、より一層、罠による捕獲は難しくなります。政府はその辺の現状をわかっているのか疑問です」。
(北海道・東北の知事会、国へクマ対策の強化求める緊急の要望)
連日のクマ被害を受け、その大部分を占める北海道・東北の知事会がきょう国に対し、クマ対策の強化を求める緊急の要望を行いました。クマ捕獲に関わる担い手の確保や有害駆除に関する正しい知識の普及を求めています。秋田県 神部秀行 副知事「本日は北海道東北地方知事会からクマ対策にかかる緊急要望をいたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。北海道と東北6県、新潟県の知事で作る北海道東北地方知事会はきょう、環境省を訪れクマ被害に対する緊急の対策強化を求めました。JNNのまとめでは、今年、きのうまでに全国でクマによって209人がけがをし、過去最多の13人が亡くなっています。亡くなった13人のうち12人が北海道と東北で被害にあい、けがをした人の8割近くが北海道・東北・新潟で被害にあっています。山形県でも今年クマの目撃件数は今月9日までで2257件となっており、けが人も12人といずれも過去最多となっています。県からは、折原英人副知事が出席しました。要望書にはクマ捕獲に関わる担い手確保に向けた十分な予算を捻出すること。捕獲に関連し担当者への誹謗中傷が相次いでいることを受け国民に対し有害駆除に関する正しい知識を普及させること。クマが人の生活圏に侵入することを防ぐため所有者がわからない果樹を伐採できるようにすることなどが記載され、意見が交わされました。環境省 堀上勝 自然環境局長「命がけで活動されている。頭が下がる思い。しっかり対応し支援できるようにがんばっていきたい」。また、山形県単独での要望も行われました。緊急銃猟の際、捕獲者の法的責任や安全管理への不安を取り除くためガイドラインをつくることや、国が管理する河川敷の藪の刈払いなどを求めています。国は、クマ被害についてこれからも続く可能性があるとして、中長期的な対策を検討したいとしています。
(エゾシカ事故多発地域を可視化:北海道)
美幌署は、同署管内(美幌、津別両町)の国道や道道でエゾシカとの衝突事故が特に懸念されるルートを詳しく紹介した「美幌・津別エゾシカ事故マップ」を作成した。このうち最も危険な「最警戒区域」としているのは、美幌町昭野―北見市端野を結ぶ道道北見端野美幌線(通称・豊岡線)。同署は「日没の早まるこの季節は特に注意してほしい」と呼びかけている。
(狩猟免許取得者、2年連続で200人超す勢い:青森)
クマなどの有害捕獲を担うハンターの狩猟免許を新しく取得する人が青森県内で増えている。県の資料によると、記録が残る1981年度以降、40人台と低水準だった2011、12年度を境に増加に転じ、24年度は285人と約6倍にまで増加した。背景には趣味としての狩猟やジビエ(野生鳥獣肉)への関心の高まりに加え、近年のクマの出没件数(目撃や食害、人身被害)の激増が取得者の心理に影響しているとみられる。8日、青森市の青森公立大学で開かれた狩猟免許取得者らを対象とした県の大型獣捕獲講習会。狩猟免許を取ったばかりの人からハンター歴50年以上のベテランまで20~70代の約30人が参加した。担当者がクマと遭遇した時は「大声を上げクマを興奮させない」「うつぶせになり両腕で首、顔、頭を守る」などの対処法や、わなの種類や使い方を解説。参加者は真剣な表情で聞いていた。9日には東北町で猟銃の射撃実習も行われた。八戸市の男性会社員(32)は、職場近くでクマが出没するなど生活に影響が出ていることから9月に狩猟免許を取得したばかり。「少しでも捕獲に貢献したい。(自分で捕って)ジビエも楽しみたい」と語った。県自然保護課のまとめによると、県内の狩猟免許新規取得者は12年度以降増え続け、16年度に159人と100人台に到達。その後も100人台で推移し、24年度は200人を超えた。県は本年度から狩猟免許の試験回数を3回から4回に増やし、さらに試験前の講習会の費用や銃などの装備品の購入費用の助成も始めた。こうした取り組みも功を奏し、25年度の新規取得者も200人を超える見通しとなっている。ただ、ハンターは免許だけでは狩猟はできない。都道府県ごとに狩猟者登録をして狩猟税を納めたり、損害賠償能力を証明したりする条件が課せられている。県によると24年度、狩猟免許を取得している人は2100人程度だが、登録して実際にハンターとして活動しているのはおよそ1300人。60歳以上の割合が多く、後継者不足の懸念もある。今後は免許の新規取得者を増やすとともに、狩猟能力の向上のために知識や技術の継承が重要になってくる。同課の近藤毅総括主幹は「若い人が免許を取得してくれて心強い。有害捕獲に従事してくれる人の声を聞き、今後も(ハンターの確保に向けた)取り組みを考えたい」と話した。
(高感度無人カメラがとらえたシカの食害:滋賀)
滋賀、岐阜の両県にまたがる伊吹山(1377メートル)でニホンジカが増え、問題になっている。食害で草木が減少して土や岩がむき出しになり、大雨で登山道が崩落したり、麓の集落に土石流が流れ込んだりする被害も出た。植生を回復する取り組みが進む現場を訪ねた。集中豪雨で2023年7月に登山道が崩落し、立ち入り禁止の続く南側斜面の5合目に9~10月、許可を取って9回、無人カメラを設置。土や岩の目立つ斜面で日没後に現れたシカが、餌を探すのか地面に口を付けたり走り回ったりする姿を捉えた。南側斜面では00年代に入るとシカの食害が見られるようになり、10年頃には山頂付近まで広がった。斜面は崩れやすくなり、23年の登山道崩落に続き、24年7月には3回、麓の集落に土石流が流れ込み住宅などに被害が出た。シカの増加は、地球温暖化による積雪の減少で冬も餌を得やすくなったことや、狩猟をする人の減少などが原因とみられる。自然植生に影響が出にくいシカの生息数は1平方キロ・メートルあたり3~5頭以下とされるが、岐阜県野生動物管理推進センターの調査で、伊吹山では22年に30・5~61・1頭にもなっていた。滋賀県米原市のNPO法人「霊峰伊吹山の会」の高橋滝治郎理事長(66)は23年7月、登山道を整備中に雷雨に遭い、石や土砂が急斜面を流れ下るのを目の当たりにした。「大雨が降れば、緑の失われた斜面は崩落する。植生を早く戻さないと、災害のリスクが高い」と懸念する。滋賀県や米原市はシカの侵入防止柵の設置、植生の再生事業、シカの駆除と並行し、斜面の土石流対策を進めている。シカを防ぐ柵で囲んだ山頂付近では、植生が回復するなど成果もあがってきた。急斜面が多く、範囲も広いため簡単ではないが、緑と野生動物の共存を目指す取り組みを見守りたい。
(相次ぐクマ被害、専門家が対策指導:福島)
福島県喜多方市の新宮熊野神社「長床」の大イチョウ。11月15日から予定されていた恒例のライトアップはことし近くでクマが目撃されたため中止に。各地で影響を広げるクマ。被害防止に向けた取り組みが進められている。福島県会津若松市の山あいに位置する慶山地区。「あの柿、あそこも(クマが)登ってます」3年前にはクマによる人的被害が発生し、今年は目撃が多く寄せられているポイントの1つだ。そうしたなか、11月13日行われたのは、クマの専門家による地域の環境診断。餌場となっている痕跡も見つかった。特定非営利活動法人おーでらす・今野万里子代表は「木の枝が積み重なって鳥の巣みたいな感じになるんですが、それを熊棚という風に言っていて、ここは熊棚ができるくらい滞在して食べてたっていうのが」と話す。「そこですか?」「はいそうです」。クマの出没につながる可能性がある柿の木などを見て回り、被害防止に向けた対策をアドバイスしていた。「1頭がかなりうろうろしているのか、複数頭でいるのか、抑えた方がいいところかなと思っているので」と話す。伐採した方がいい木には印が付けられ、今後持ち主とも相談したうえで、県の予算で伐採していく方針だ。今野代表は「上の方だけちょんぎってもらって、背丈を低くしてもらって管理しやすいように仕立てていただくだけでも違うと思いますので、そういうことも視野に入れながら伐採検討して頂ければいいかなって思います」と話した。福島県は10月にツキノワグマ緊急対策として約3000万円の経費を専決処分。今後も県内各地で専門家による環境診断を行っていく予定だ。
(獣害対策を体験!中学生が現地で学ぶシカの生態と森林保全:長野)
実践的な学びの場です。大町市の中学生がシカが捕獲される現場を見学し、獣害による森林への被害や対策について学びました。生徒たちが注目しているのはシカなどを捕獲するわなです。大町市の美麻小中学校8年生が鳥獣被害とその対策を学ぶ授業で、シカの捕獲現場を見学しました。この山では、植物がシカに食べられてしまう被害が出ています。その痕跡やシカの足跡も見つけました。食害を防ぐため、新しく植えた木には薬剤をまき、臭いでシカを寄せ付けません!周りにはカメラも設置。動物が現れると反応して自動撮影できます。実際にシカの姿を捉えた画像も。県全体で見ると近年、シカによる林業被害額は年間約1億円前後で減少傾向ですが、美麻地区では被害が増えているといいます。■県林業総合センター育林部 柳沢賢一主任研究員「(シカは)普段生活の中で見ることがあんまりないかと思うんですけど、実はかなりいて、それも増えている状況にあると。それを実際見ていただけたらと思いまして」。生徒たちはこれまでにもシカの生態や被害について学んできましたが、現場は初めてです。「実際、なかなか現場に立ち入ることってあんまりないので、実際にその現場を知るのは大切だと思いました」生徒たちはシカの革を使った製品を作るなどの活動を続け、獣害について学んだことの発信もしていきます。
(クマ駆除「ハンターの勘と経験頼り」から脱却、GPSで現在地や出没ポイント共有可能に:北海道)
市街地に現れたクマ対策として、北海道標津町のスタートアップ(新興企業)が開発した位置情報共有システムが注目を集めている。猟友会と自治体、警察の連携を支援する仕組みで、これまでのハンター依存からの脱却を目指す。市街地での発砲を首長の判断で認める「緊急銃猟」の開始を機に導入を検討する自治体も出ている。標津町の農業支援システム会社「エゾウィン」が開発した「クマハブ」は、全地球測位システム(GPS)端末をハンターらが携行し、それぞれの現在地やクマの出没ポイントが示された地図をスマートフォンなどで確認できる。クマの駆除は、自治体の要請で出動するハンターが主体となって判断するケースが多い。警察官や自治体職員も関わるが、3者が異なった周波数の無線を使うなど連携が十分でない場面もあるという。クマハブは、緊急銃猟を検討する際、司令塔となる対策本部が速やかに状況を把握し、クマが移動した時も臨機応変に対応できる。住民の避難誘導や交通規制の範囲も指示しやすい。8月の訓練で実際に使った札幌市の担当者は、「(春に人里周辺でヒグマの頭数を減らす)管理捕獲で活用できるかもしれない」と評価する。試験的に取り入れた標津町は今春以降、2頭のヒグマを駆除した。町農林課係長でハンターでもある長田雅裕さん(45)は「これまではハンターの勘と経験に頼って駆除を行ってきた。今後(クマハブで得た情報は)自治体が緊急銃猟をするかの判断材料になるし、安全確保にもつながる」と期待する。町は来年度、国の補助金を活用して正式に導入する予定だ。エゾウィンの大野宏社長(43)は「高齢ハンターから自治体や若手への技術継承にもなる。情報共有を進めることでクマへ対抗する自治体を後押ししたい」と話している。
(熊〝わなセンサー〟を紹介:長野)
長野県上田市近隣の地域を中心に約150の企業・学校・団体が出展した体験型展示会「産業ミライフェスin UEDA2025」(主催・産業ミライフェスin UEDA運営委員会)が10月31日(金)、11月1日(土)にサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター・上田市立美術館)で開催。ガリレオ(長野県上田市常磐城5-3-29、合原亮一代表取締役)は、猟友会員の見回り負担を軽減する〝わなセンサー〟を出展。今年は上田市内でもクマの出没が目立つという。この筐体はわなのオリの一部などに取り付ける。仕組みは、筐体の下部にとりはずしできるセンサー部がくっついており、紐づけされている。クマがオリに接触するなどして紐が引っ張られるとセンサー部が取れて、LPWAで通知が行くというもの。ガリレオと上田ケーブルビジョンは、長野県や上田市の助成金の補助を受けて、共同で上田市内のLoRaWANプラットフォーム構築と、その上で動作するセンサデバイスの開発を行ってきた。令和2年度より、上田市スマートシティ化推進パートナーとして、鳥獣害対策用罠センサーの実証実験を上田市森林整備課を中心に実施していた。
(新クマ対策はドローン、効果は?:北海道)
警察官のライフル銃を使ったクマ駆除が可能となるなか、クマ対策にドローンを投入。その効果は。市民の不安を払拭するために13日から可能となる警察のライフル銃によるクマの駆除。秋田県警本部ではクマ駆除対応プロジェクトチームの出動式が行われました。警察官によるライフル銃を使ったクマの駆除は、緊急猟銃の市町村判断が間に合わない場合や現場のハンターが足りない場合などが想定されています。警察のライフル銃によるクマの駆除を現場ハンターはどう感じているのでしょうか。花巻市猟友会 菅実さん(74)「正直、体制的には悪くはない。猟友会猟友会ってなんでもかんでも丸投げにされるより、こういう機関が出ればいいが、ただ実践向きではないと思う。的撃ちと実際にクマを駆除するのは違う。現場慣れしている人、狩猟経験のある人がそういうのに就いてほしい」。目指すはクマへの対応の加速。そのために最新技術の導入も進められています。箱わなを勢いよく倒すほど巨大なヒグマ。倒した後も重さ300キロの箱わなをものともせず押す驚異的な力。雪が降るなかでも、出没が絶えない北海道では最新技術を使ったクマ捜索が導入されています。上空からドローンで撮影した映像。草が生い茂った場所でモゾモゾと動くのが「ヒグマ」です。ドローンを不思議そうに見上げる様子も…。ヒグマは1頭しか居ないように見えますが、実はこの時、もう1頭ヒグマが茂みに潜んでいたのです。人間の目ではもう1頭がどこに隠れているのか分かりませんが、熱を感知する赤外線センサーで見てみると…。画面中央で動くのが先ほど確認できていたヒグマ。その左側で赤く映っているのがもう1頭のクマです。改めて先ほどの映像を見てみると、クマの左側の草むらにもう1頭のヒグマが潜んでいたことになります。ドローンでクマを撮影 興北建設 原田欣典社長「賢い、クマは。人の気配も感じたりドローンの気配も感じたのか、動かないで茂みに隠れていた」。この映像を撮影したのは「建設会社」です。建設現場で使うドローン撮影のノウハウを生かし、警察や猟友会と連携してクマを上空から撮影。この日は近くで目撃情報があったものの、クマの行方は分からなくなっていました。そこでドローンを使ってクマの居場所を把握。その後、箱わなを仕掛け捕獲することができたといいます。ドローンでクマを撮影 興北建設 原田欣典社長「ある種、時間との勝負になってくるかもしれない。(捜索が)広範囲にわたるので、時間が経つと」。活動範囲を広げたクマとの遭遇を避けるためにも早急な発見は被害減少に期待できるといいます。ドローンでクマを撮影 興北建設 原田欣典社長「開始して30分ほどでクマを発見できた。警察や役場の職員が危険な場所に入らなくて済むのが一番大きい」。さらに、クマとの人身被害を減らすためAI(人工知能)技術の活用も進んでいます。富山市が設置したカメラが捉えたのは11日、暗闇のなかで茂みを歩くクマの映像。草むらから顔を出すと、暗闇で光るクマの眼が確認できます。これまで数々のクマの映像を捉えたのは「Bアラート」と呼ばれるAI技術を用いたカメラです。富山市森林政策課 杉林広和副主幹「今年度は今のところ人身被害はない状況」。最大の特徴はクマかどうかを判別する「精度」です。クマやサル、イノシシなど6万枚の獣の写真をAIに学習させることで、最大99.9%の精密な判別が可能となりました。富山市森林政策課 杉林広和副主幹「(クマが)映るごとに地域住民に知らせて、周辺には近付かないようにと」。80%以上クマと判別すると、瞬時に自治体に自動で転送。その後、防災無線での周知や小学校の登下校時の保護者への送迎依頼など、迅速な注意喚起が可能となりました。富山市森林政策課 杉林広和副主幹「AIカメラであれば瞬時にメールで担当者にも届くので、時間的には30分以上の短縮になる」。
(人身被害出ても「クマを殺すな」と長電話、自治体職員への“過度な苦情”って罪に問われないの?)
北海道や東北地方などでは、クマによる人身被害が深刻化しています。秋田県内で人身被害が相次いでいる件を受け、同県と陸上自衛隊第9師団が11月5日、クマの捕獲に向けて連携する協定を結び、同日午後から自衛隊員が県内でクマ捕獲用の箱わなの輸送など、クマ対策の活動を始めました。また、警察庁が11月6日、警察官がライフル銃を使用してクマの駆除ができるよう国家公安委員会規則を改正。この改正規則は同月13日に施行され、この日から警察官がライフル銃を使ってクマを駆除できるようになります。ところで、近年、クマの駆除を巡り、自治体に対して「なぜクマを殺した」「クマを殺すのはかわいそう」という内容の苦情が多く寄せられ、職員の業務に支障が出るケースが問題となっています。新聞やテレビなどの報道によると、クマによる人身被害が深刻化している今年も、自治体への苦情が相次いでいるといいます。中には電話で長時間苦情を言い続ける人がいるようですが、この場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の弁護士・佐藤みのりさんが解説します。住民サービスを提供する自治体職員に対してであっても、電話や窓口で長時間苦情を言い続けたり、苦情を言うときに罵倒したりするなど、過度な苦情を繰り返せば、法的責任を問われる可能性があります。例えば、長年にわたり電話や窓口で長時間苦情を言い続けたり、罵声を浴びせたりしたことで、自治体から訴えられ、面談の強要禁止や損害賠償を求められたケースがあります。損害賠償では、加害者は苦情の対応にかかった人件費などを損害として請求されることになるでしょう。自治体が面談の強要禁止や損害賠償を求め提訴した場合、自治体側の請求に理由があるとされ、加害者は損害賠償金や和解金を支払わなければならなくなることがほとんどです。こうした民事上の責任のほか、事案によっては罪に問われることもあり得ます。例えば、窓口に行き、「お前らは愚能」などと大声で罵声を浴びせ続けるようなケースでは、侮辱罪(刑法231条)が成立します。また、「お前を殺してやる」など、危害を加える旨の脅しがあれば脅迫罪(刑法222条)が成立するでしょう。実際に、被害届が出され、刑事事件化するケースは多くありませんが、犯罪に当たる言動であることを意識することは必要だと思います。一方。住民からの批判的な意見と、過度な苦情との線引きは難しく、自治体側が毅然(きぜん)とした対応を取りにくい現状があります。自治体における過度な苦情とは、一般的に、「公共サービスの利用者による、必要かつ相当な範囲を超える言動によって、労働者の就業環境が害されること」と考えられています。実際の言動が違法かどうかは、社会通念(常識)に基づき判断されるため、常識的に行き過ぎた内容、方法による苦情は避けることが大切です。近年、クマを駆除した自治体に対して、「クマがかわいそう」「なぜクマを殺した」などの苦情が多く寄せられているという内容の報道がありますが、先述のように、クマの駆除に関する意見についても、「必要かつ相当な範囲を超える言動」であれば、法的責任を追及される可能性があります。ただ、一人一人の苦情は、頻度や態様に照らし適切な範囲であったけれども、同様の苦情が数多く寄せられたことで、結果的に職員の業務に支障が出てしまった場合、個人が法的責任を問われることはないでしょう。自治体が不当な苦情への処理に追われることは、本当に必要な人への住民サービスの提供が困難になることにつながります。住民として自治体に意見を伝えることは大切ですが、伝える内容や頻度、伝え方などに配慮し、適切に伝えるようにしましょう。
(クマサバイバーたちの驚きの共通行動)
連日、クマが日本人を襲っている。先日11月9日も青森県でラーメン店の従業員が襲われた。人間はクマとどう対峙していくべきなのか。『人喰いヒグマの残酷事件簿 』(みんかぶマガジン新書)の著者である作家の小倉健一氏が解説する。近年、クマによる被害の報告が急増している。山菜採り中の事故という牧歌的なイメージは、もはや過去のものだ。市街地に出没し、家屋に侵入し、人を明確な「食料」として認識し始めている。クマは背中を向けて逃げるものを追う習性があるとされる。しかし、最近の事件は、逃げることすら許されない、より絶望的な状況を示唆している。「人喰い」と化したヒグマに遭遇した時、人間はどう対峙すべきなのか。本稿では、常識的な「クマ対策」が通用しない極限状況で、生還を果たした記録を検証していきたい。2025年11月9日早朝、青森県三戸町。ラーメン店の従業員である57歳の男性が、開店前の仕込み作業中に体長約1メートルのクマに襲われた。午前4時、国道沿いの店舗敷地内での出来事である。青森テレビ(11月9日)によれば、男性は一人だった。クマは男性に襲いかかり、眉間のあたりを引っ掻いた。致命傷には至らなかったが、顔面からの流血は避けられない。常人であればパニックに陥り、背中を見せて逃げようとしたかもしれない。だが、男性の対応は異なっていた。店の関係者が後から事情を聴いたところ、男性はメディアに対して「やられて、投げ返した」と淡々と語ったという。襲い来るクマに対し、男性は反撃し、文字通り「投げ返し」て撃退したのである。驚くべきことに、男性はクマを追い払った後、負傷した顔のまま作業を続けた。後から出勤した関係者が男性のけがに気づき、ようやく通報に至った。この「日常」の強靭さは、クマという非日常的な脅威に直面した際の、一つの特異な回答である。この男性の行動は、不意の襲撃に対する人間の潜在的な力を示している。2024年4月25日、北海道名寄市。愛知県から観光に来ていた50歳の男性が、林道で2頭のクマに遭遇した。体長は1.5メートルと1.3メートル。青森のラーメン店員が対峙した個体よりもはるかに大きい。HTB北海道ニュースによると、大きい方のクマが、男性に向かってきたと言う。絶体絶命の状況である。男性は「やられると思ったのでやられる前に蹴りを一発入れました」と報道に証言している。男性は空手の経験者だった。クマの顔面を目掛け、右足で蹴りを放った。クマは2頭とも立ち去った。男性自身も、蹴った際の衝撃で足の甲を痛めた。「人間と違って、当たった感触はありますが硬すぎて、自分が攻撃しているのに攻撃している自分がダメージくらった感じでした」。クマの頭蓋骨の硬さを実感しながらも、彼は生還した。恐ろしいのは、男性がクマを撃退した後、自ら車を運転して目的地であった「比翼の滝」を見学し、その後に警察へ通報している点だ。空手という個人の「スキル」が、絶望的な状況を覆した稀有な例である。この冷静さと鍛錬された技術は、ささやかな称賛に値する。日本国内だけでなく、海外に目を向ければ、さらに信じがたい生還劇が存在する。それらの事例は、我々日本人がクマという脅威に対してどのような心構えを持つべきか、痛烈な教訓を与えてくれる。例えば、少し古いが2013年、ロシアでは80歳の羊飼いの老人が、ラズベリー畑で飢えたヒグマに遭遇した。高齢者が巨大な肉食獣と対峙する。結末は誰の目にも明らかに見える。しかし、老人は諦めなかった。彼は年齢をものともせず、クマに対してキックと、なんと「頭突き」を浴びせたのだ。そのときの模様をガーディアン紙が報じている。この予期せぬ老人の激しい抵抗に、クマは体勢を崩した。激怒したクマは、老人を崖から突き落とし、その場を去った。老人は肋骨4本を折るなどの重傷を負ったが、食い殺されるという最悪の事態は免れた。彼は後に「怖気づいていたら、私は殺されていただろう」と語っている。また、アメリカ・ワイオミング州では、二人の若いレスラーがグリズリー(ハイイログマ)に襲われた(ESPN、2023年)。一人がまず襲われ、約27メートルも吹き飛ばされた。致命的な状況である。それを見たもう一人は、逃げなかった。彼は助けを呼ぶでもなく、あろうことか、友人を救うためにクマの背中に飛び乗った。クマは当然、ターゲットを背中の人物に変更した。彼はクマに地面に叩きつけられ、顔面を何度も噛まれた。頭部に60針を縫う重傷を負いながらも、彼は友人の命を救い、二人とも生還を果たした。彼は「友人が殺されるのを見て逃げるよりは、死んだ方がましだった」と証言している。これらの海外事例から日本人が学ぶべきは何か。それは、体格や年齢、あるいは武器の有無といった物理的な条件を超えた、人間の「精神力」の重要性である。80歳の老人が示したのは、死を前にしても「怖気づかない」という意志の力だ。友人を助けた人物が示したのは、友人を救うために自らの死を顧みない「勇気」である。青森のラーメン店員も、北海道の空手家も、共通しているのは「やられる前にやる」「やられたらやり返す」という、極めて原始的で、しかし強力な闘争本能である。日本では、クマとの遭遇は「不幸な事故」として処理されがちだ。しかし、海外の事例は、それを「戦闘」として捉え直し、生き残るために能動的に戦った人間の記録でもある。我々は、自然の脅威を前にした時、ただ受動的に「遭難」するのではなく、最後まで「抵抗」する存在であるという自覚を持つべきではないか。ここで、日本で一般的に語られる「クマ対策」の常識を振り返ってみよう。「大声を出さない」 「背中を向けて走らない」 「目を離さないで後ずさりする」 「自分から攻撃しない」これらは、ヒグマが襲いかかってこないという前提に立っている。“襲いかかって来たら”という前提がないことは、いかに日本の報道が「常識」で埋め尽くされているかがわかるだろう。もちろん、襲われないに越したことはない。後退りして逃がしてくれるならそれは嬉しい。しかし、ヒグマが何かに勘違いして、自分に対して本気で襲いかかってきたら・・・。青森のラーメン店の男性は「投げ返し」、空手家は「顔面を蹴り」、ロシアの老人は「頭突き」を浴びせ、アメリカのレスラーは「背中に飛び乗った」。彼らは全員、「自分から攻撃した」のだ。「常識」は、人間を「獲物」として認識していない、通りすがりのクマを刺激しないためのマナーに過ぎない。ひとたびクマが「捕食モード」に入った瞬間、これらの受動的な対処法は、自らの死を早めるだけの、無慈悲なマニュアルへと変貌する。「大声を出すな」「攻撃するな」という教えは、個人の生存本能を奪い、パニックを恐れるあまりに思考停止を誘発する。ロシアの老人が言うように、「怖気づいたら殺される」。彼らが生還できたのは、システム化された無意味な常識を捨て、個人の持つ「生きる意志」と「闘争本能」を爆発させたからに他ならない。は、どうすべきか。クマに遭遇したら、まずクマ撃退スプレーを噴射する準備をしながら、冷静に相手を観察することだ。距離が遠く、クマがこちらに気づいていないなら静かに立ち去る。気づかれても、攻撃の意思がないなら後ずさりする。だが、相手に明確な殺意と捕食の意思が見えたなら、話は別だ。あらゆるものを武器とし、大声を上げ、決して諦めないこと。目、鼻、顔面といった急所を狙い、相手が怯むまで反撃する。生還者たちが示したのは、死の恐怖を前にして「戦う」という、生物としての最後の選択肢である。生還者たちの奇跡は、常識的なクマ対策の限界と、「生きる意志」と「闘争本能」の重要性を私たちに教えている。クマが人を「食料」と認識した時、受動的なマニュアルは命取りとなる。我々は、死を前にした時、臆することなく「抵抗」し、「戦う」という生物としての最後の選択肢を爆発させるべきです。それは、自然の脅威に対する人間性の復権に他ならない。
("趣味任せ"ではもう限界?頼みの「猟友会」とは)
全国各地で深刻化するクマ被害。関西でもとうとう、京都の嵐山や木津川市などで目撃情報が相次ぐようになりました。被害が増えている理由はさまざま考えられますが、根本的にはクマの数が増えていることが原因だといいます。対策としては数を減らす必要があると指摘されていますが、現在、駆除の中心は猟友会などの狩猟免許保有者。そもそも猟友会とはどんな組織なのか、そして4種類あるという狩猟免許とはどんな資格なのか?専門家によると日本の野生動物管理は遅れていて猟友会頼みでは限界だそうです。ではどうしたらいいのか?酪農学園大学・伊吾田宏正准教授の話を交えお伝えします。環境省によると、ことし4月から9月までのクマの出没件数は2万792件で、人身被害は108人にのぼっています。また、死亡者数は4月から11月3日までで13人となっています。京都市では先月のクマの目撃が30件と、前年の倍以上になっています。また、クマが「いないはず」とされてきた木津川市でも、今年は目撃情報が相次いでいます。木津川市は奈良県と山がつながっていることから、かつては奈良の方にいたであろうクマの行動範囲が広がってきていることや、個体数が増加していることも推測されます。減るのが心配される動物がいる一方で、農業被害なども含めて増えるのが心配される動物もいます。この観点でクマはどうなのか?兵庫県の調査によると、クマは1年で15%ずつ増え、シカは1年で20%増える(酪農学園大学・伊吾田宏正准教授)ということです。クマが増えているといわれていますが、そもそも鳥獣の“減らし方”には2種類の方法があります。■狩猟・狩猟期間中に、趣味や食肉・販売などを目的に行う・鳥類26種(カワウ、マガモ、ハシブトガラスなど)、獣類20種(タヌキ、キツネ、ヒグマ、ツキノワグマなど)が対象※都道府県によっては捕獲が禁止・制限されている鳥獣も。■許可捕獲・都道府県の許可のもと、生活や農林の被害防止、個体数調整などが目的・市町村が猟師に報奨金も。酪農学園大学・伊吾田宏正准教授によると、近年は時代の流れで狩猟が減り、大半が許可捕獲になっているということです。2024年度のそれぞれの捕獲頭数は以下の通りです。【狩猟】ニホンジカ・イノシシ…22万6400頭、クマ…少数で未集計。【許可捕獲】ニホンジカ・イノシシ…115万5300頭、クマ…5345頭。狩猟のために必要な免許。実は4種類存在しています。・網猟免許・わな猟免許・第一種銃猟免許(ライフル銃・散弾銃)・第二種銃猟免許(空気銃)。各都道府県が年数回、「知識」「視力・聴力・運動能力」「猟具の取り扱い」「目測」などによる試験を行っていて、銃の所持には「銃砲所持許可」の取得が必要です。これらの狩猟免許は全て3年で更新ごとに必要となります。猟銃を持つためにはかなり高いハードルがあり、身辺調査がされるほか、精神科医の診断書が必要となります。また、年に1度、その猟銃を警察署に持参し検査を受ける必要があります。また銃と弾を別々に保管する専用のロッカーが必要です(仮にどちらかが盗まれても、まとめて使われないようにするため)。狩猟免許の交付数のデータを見ると、1980年は46万771件だったのに対し、2021年は21万3376件と半分に減っています。また、1980年は9.2%だった60歳以上の割合が、2021年は55.8%となっています(大日本猟友会HP・環境省資料より)。21万の中で、先ほど紹介した4種類の免許を複数とっている人もいると考えられることから、実際の人数は15万人前後ではないかということです。では、狩猟免許を所持する人が所属する組織として最近よくその名を聞くようになった「猟友会」とはどのような組織なのでしょうか。猟友会は戦前の1939年に社団法人になった民間の狩猟団体で、狩猟免許をもつ約10万人が会員となっています。全国組織の大日本猟友会の下に、都道府県ごと、さらに支部などがあり、個人個人が入っているという組織です。猟友会には、▽狩猟免許取得の事前講習会、▽初心者研修会、▽共済保険事業、▽政党や省庁へ各種要請、▽鳥獣保護増殖(狩猟鳥の養殖や放鳥事業)などさまざまな役割があります。自治体などは、駆除するときにいきなり個人に依頼するのではなく、猟友会に委託し、許可捕獲をするという流れになります。伊吾田准教授は「いま、猟師の多くは専業ではなく趣味」と指摘します。公共の仕事である駆除を、民間組織、それも趣味で行っている人たちにお願いをしている状況だと言えます。“趣味任せ”では限界がきているクマ対策。最近では自衛隊が「わなの運搬・設置」など、クマ駆除の後方支援を行っているほか、11月13日からは、警察官がライフル銃でクマの駆除をすることが可能となります。伊吾田准教授は「日本の仕組みは遅れている」とした上で、「公的機関に捕獲専門員を置くべき」と指摘します。前述のとおり、猟師の多くは専業ではなく“趣味”で狩猟に携わっている人たち。「公共の仕事」である駆除を「趣味の人」にお願いしているような状況が起こっているなか、“趣味任せ”では限界があるのではないか、ということです。ただし、クマ対策の人員なども含めて「公務員の仕事」となるのであれば、それ相応の市民の負担が必要になる、という意見もあり得ます。クマの被害が増えるなか、その対策の担い手について、より広く深い議論が必要な状況になっているのかもしれません。
(「もはや災害級。個体数の削減に全力を」)
クマの大量出没に伴う人的被害の多発が日本社会を揺るがしている。特に北東北3県の被害はパニックを起こすほど深刻だ。国立研究開発法人・森林総合研究所東北支所(盛岡市)で動物生態遺伝チーム長を務める大西尚樹さんは「この秋の状況は災害級」と指摘する。─連日、クマの被害が相次いでいます。今年の特徴を教えてください。クマと人間が出会う場所は、従来の里山から郊外の住宅地、さらに県庁所在地の市街地といった人間の生活圏の真ん中へと変化しています。この傾向は2023年に顕在化していましたが、今年はさらに生活圏に突っ込んできています。盛岡市では岩手銀行本店の駐車場や岩手大学構内へ侵入し、秋田県内でもスーパーや高校の周辺などで出没が報告されています。今年はクマによる人的被害も深刻です。これは津波や大雨などの災害と同レベルの被害と言ってよいと思います。─クマの出没エリアが一線を越え、秋田県では自衛隊も出動しました。原因は何でしょうか。原因の1つが「アーバンベア」の増加です。私はアーバンベアを「人間の生活圏のそばで生まれ育ち、人間の存在を当然のように受け入れている個体」と定義しています。彼らが人間の生活圏の周辺だけでなく、生活圏の中心部に日常的に出入りする段階に至ったのです。人間の生活圏の近くで生まれ育ったクマは、人間の存在を幼いころから知り、ある程度受け入れています。クマにとっても人間は大型の動物なので出会いたくない存在なのですが、おそらく「夜間なら住宅地でも大丈夫」とか「昼間は木の上に登っていれば見つかりにくい」といった経験則を身に付けながら、徐々に生活圏の内側に入り込んだのだと思います。─山の木の実の豊凶と出没の関係を教えてください。秋になるとクマは冬眠に備えて栄養を蓄えるため、餌を大量に食べるようになります。この行動は満腹中枢が機能しないことによるもので、空腹になってというものとは異なります。このため、山でブナ・コナラなどの実が凶作の年は、クマは秋に餌を探し回りながら移動範囲を広げ、人間の生活圏のさらに奥深くまで入り込みます。2021、22年は比較的出没が少なかったのですが、23年は木の実が大凶作に見舞われて出没が増えました。柿やクリ、家屋の近くにある生ごみやペットフードがクマを呼び寄せています。そのため、距離が狭まった人間との遭遇も増え、事故リスクが高まっています。─クマが人間の肉を食べたという報道もあります。確かにクマが遺体を食べたという例が報告されています。しかしクマが最初から人を食べる目的で襲うことはほとんどありません。多くは自己防衛的に出会った人間を攻撃し、その後、逃げていきます。ごくまれに倒れた人の肉を口にし、「食べられる」と学習してしまったのでしょう。今まで襲おうと思ったことすらない人間を意外と簡単に倒せることを学んだ個体が、再び人を襲うようになるのだと考えられます。─人間の側の変化は、どのような影響を及ぼしているでしょうか。クマが人間の生活圏に近づく背景には、人間側の生活環境の変化もあります。人口減少や高齢化により、里山を見回る人や日常の警戒の目が減りました。空き地や空き家などに茂る草木はクマに隠れ場所と餌を提供し、放置された柿やクリの木がクマを引き寄せる要因になっています。クマの被害の増加は、単に木の実の凶作だけが引き起こしているわけではありません。根本的にはクマの絶対数が増えているのが原因です。秋田県は2023年度に2000頭以上を駆除しましたが、依然としてクマが多数出没するのは、山の中に個体が増え、あふれ出しているからです。【環境省の最新の集計(中央値)によると、北海道にはヒグマが約1万2000頭、本州以南にはツキノワグマが約4万2000頭以上生息している。全体として増加傾向で、 宮城県では08年度の633頭が16年後の24年度には2783頭に増加した。全国の駆除数は23年度に9099頭、24年度に5136頭に上っている】。増加理由の1つは、長い期間にわたりクマが保護されてきた点にあります。ハンターは狩猟を自粛し、わななどでの捕獲も抑制し、捕まえても殺さず奥山に返すことさえありました。こうした保護の取り組みが、クマの数を増やしてきたと言えます。コップを山に見立ててみましょう。中の水の量がクマの数だとします。水が満杯に近いところまで溜まった状態でコップを揺らすと、水はあふれ出てしまいますね。この揺れは「山の実の凶作」です。東北は既に水が満杯近くになり、北関東もこのままでは東北のような水準に近付いていくでしょう。─どんなクマ対策が必要でしょうか。今年のクマの被害は災害級と指摘しました。短期的な対策として現場の市町村や猟友会の対応に自衛隊の活動を組み合わせることには賛成です。警察がライフル銃を使うことや、自治体が「ガバメントハンター」を雇うことも必要でしょう。ただし、山からあふれ出したものを処理するだけでは解決しません。中長期的には山に入って捕獲することで、クマの個体数を減らさなければなりません。2014年に改正された鳥獣保護管理法では、従来の保護だけでなく頭数管理が項目として加わり、24年に四国以外のクマが指定管理鳥獣に追加されました。都道府県には交付金も出ていますから、活用して頭数管理に役立てるのが良いと思います。地域ではクマが出没しにくい環境づくりも大切です。空き家の敷地が雑草だらけで柿やクリなどが実った木があれば、クマにとっては魅力的な場所になってしまいます。住宅地と森林の間にある、クマと人間の生活が近い場所では、やぶや下草を払って隠れ場所を減らし、柿やクリは早めに収穫するか木を伐採してクマが近づきやすい要素を意識的に減らす必要があります。自治体や地域の自治組織で仕組みを構築するのが良いでしょう。生ごみもクマの餌になりますから、「夜出さずに朝出す」「臭いが出ない密閉した場所で管理する」といった原則を徹底すべきです。クマを引き寄せてしまうペットフードや灯油も屋内でしっかり密閉して管理する必要があります。小さな努力の積み重ねが大切です。─政府もクマ被害に関する閣僚会議を立ち上げました(10月30日)。行政への注文は何ですか。大きな問題は、担い手不足です。狩りをするハンターやマタギが高齢化し、減っています。若いハンターの育成や、自治体が公務員としてガバメントハンターを雇うといった対応が必要です。ただ、ライフルを使える人材を育てるには10年はかかり、簡単には人材不足を解消できないでしょう。猟友会の人たちは民間人で、仕事を持っている人も多いので、地域の安全を委ねるのはおかしい。市街地での駆除は、人の安全確保が必要なので、ライフルを扱える警察官が対応すべきでしょう。一方、山中の頭数を減らす捕獲など中長期的な対策は、猟友会の方々にお願いした方が良いでしょう。適切な役割分担で、クマに対応すべきです。政府には、クマ対策を短期的なものとせず、システムとして定着するようにしていただきたい。仮にガバメントハンターを雇った場合は、他の公務員のように定期異動するわけにはいかないからです。─クマと出会ってしまったら、どうしたらよいでしょうか。一人一人が身を守るためにはまず「出会わないこと」が大事です。クマに出会いそうな山や里山を歩く時は、鈴やラジオを鳴らして、自分の存在をクマに知らせるという「鉄則」を守ってほしい。クマは本来、人と出会いたくないのですから、登山でも山菜採りでも、単独行動は避け、声を出しながら歩く必要があります。音を立てればほとんどの場合クマの方から避けてくれます。それでも出会ってしまったら、慌てて走らないこと。クマは背中を見せると追って来ることもあります。また、後ろを向いて逃げると、背後のクマの様子が分からなくなってしまいます。ゆっくり後退して距離を取る。クマスプレーを持っていれば、正面から冷静に使う。もし襲われそうになったら、地面に伏せて首の後ろを両手で守る姿勢を取ることです。クマと人が、近接した場所で生きている時代です。だからこそ、人間が気をつけて生活するしかない。数を減らす、クマを寄せ付けない環境を整える、人が注意する──この3つの対策を地道にやっていくしかないと思います。
(クマの駆除急増で、焼却炉の処理能力超え)
13日から警察官によるライフルを使ったクマの駆除が可能となります。これを前に11日、秋田県と岩手県では『銃器対策部隊』らの研修が行われました。一方で、駆除したクマをどう処理するのか。現場では急増に対処しきれない新たな問題も浮上しています。13日から始まる警察官のクマ駆除を前に、県内では各地から派遣された機動隊『銃器対策部隊』らの視察が行われていました。今年4月からすでに30件以上、人身被害が報告されている岩手県では、先月23日にクマが出没した河川敷で、課題を説明。盛岡市は緊急銃猟の準備ができておらず“追い払い”に徹しました。岩手県警(先月23日)「猟銃を所持した方も配置できないかという依頼もあったが、その時は準備ができず、麻酔と追い払いで対応する方針でした」。実務を前に現場では具体的な質問も。岩手県警「今回の事例だと最初は草むら。ただ動き始めるとずっと行動しますよね。動いている時は」。猟友会「なかなかむずかしい。街中の場合は1発で仕留めないといけない。1発撃って外して、その辺で暴れると大変なことになる。跳弾が一番危険です。クマを射殺する場合は親の方から仕留めてください。子を先にやると親が向かってきます」。今年度、本州に生息するクマのうち5366頭が、北海道では617頭が駆除されています。円山動物園 経営管理課 木田竜介課長「朝から作業したかったものが少し遅れたりしてきているので、なんとか間に合わせるように頑張りたいが影響は出ている」。札幌の中心部にある円山動物園。休園期間中の園内に11日もまたクマが忍び込みました。建物に入ろうとしているのか、窓枠にしがみつくような姿。周辺では積もった雪に足跡がくっきり残されていました。クマの出没により、円山公園全域で24日まで閉鎖せざるを得ない状況になっています。仮に緊急銃猟で対応したとしても、ヒグマを処理する現場では新たな問題が持ち上がっていました。北海道の上ノ国町役場で職員が冷凍庫から運び出していたのは、ハンターによって解体されたヒグマです。上ノ国町 農林課 杉野匡課長(Q.どれほどの大きさの個体)「大体90キロぐらい。主には骨や内臓、頭部や毛皮の部分」。今年はヒグマの数が多く、冷凍庫に入りきらないこともあるといいます。トラックで向かったのは隣の江差町にある、ごみ処理施設。ペットなど小動物を火葬するための焼却炉があります。上ノ国町など5つの周辺自治体で駆除されたヒグマの焼却を行っています。駆除したヒグマをその後どうするのかは、それぞれの自治体判断です。この施設で焼却するヒグマの数を聞くと。南部桧山衛生処理組合 上戸等場長「もう異常、今年は。去年は30頭くらいだった。今年はすでに110頭弱、来ている。4倍近く来ている」。処理能力を超える数が持ち込まれるのは初めてで、埋立地にそのまま埋めざるを得ないケースも出ています。さらに。南部桧山衛生処理組合 上戸等場長(Q.1度の焼却にどれくらいの灯油を)「クマだと100リットル近く」(Q.燃料の消費は)「去年で年間3000リットルくらいだった。もう現時点で6000リットル。倍くらいになっている」。去年の灯油代は40万円ほどでしたが、今年はすでに80万円を超えています。ヒグマは大きく、それだけ燃料費もかさみます。これまで上ノ国町で駆除されたヒグマは昨年度の16倍となる96頭。過去最多となっている事態に、町役場の職員は。上ノ国町 農林課 杉野匡課長「やはりクマばかりが仕事じゃない。農業・林業・畜産とあるなかで、普段の仕事が回らないという事態。やはり異常としか捉えようがない」。クマの駆除数が増えるにつれて、どう処理するかという問題も出ています。駆除したクマを食肉にするという選択肢はないのでしょうか。東北地方のジビエ処理加工施設A「駆除するクマはエサを求めて人里に下りてくる。脂がのっておらず、肉質が良くない」。東北地方のジビエ処理加工施設B「仕留めてから、すぐに処理をする必要があるので、他の市町村からの持ち込みは難しい」。厚生労働省「仕留めてから1時間以内に処理施設に持ち込むことが望ましい」。農林水産省「食肉にするためには、菌の増殖などが進む前に速やかに処理施設に持ち込む必要がある。腹が撃たれているものは衛生的なリスクがあり、血抜きが適切に行われていないものは肉質が低下する」。つまり、駆除したクマを食肉にするのは簡単ではないといいます。飲食店で食べられるクマ肉とはどう違うのでしょうか。実際にクマ肉を提供している飲食店に、どこから仕入れているのか聞いてみました。ジビエ料理専門店『あまからくまから』「店で扱うクマ肉は、北海道や長野などの処理加工施設から仕入れている。できるだけ質の高い肉を確保するために、ハンターがどのエリアで獲ったクマなのかも把握していて、お互い信頼関係でやっている」。さらに、処理や加工も非常に厳しく管理されています。国や自治体などによると、クマやシカ、イノシシなどはジビエ処理加工施設で処理しなくてはいけません。全国に約820のジビエ処理加工施設がありますが、保健所で食肉処理業の許可を取る必要があります。加工する場合は食肉製品製造業などの許可も必要ということです。また、クマを処理する場合には、天井が高くて広いなど、クマの大きさに対応することが必要です。また、銃で捕獲するため、弾を検出する金属探知機などの機械が必要になることもあり、全ての施設でクマの処理ができるわけではありません。食肉としての活用を考えていくとしても、こうした施設や、クマをさばいて食肉にする技術を持った人材の確保が難しく、課題が多いようです。
(クマ事故遺族に「自業自得」、動物愛護の暴走はなぜ起こる?)
全国各地でクマによる被害が相次いでいる。今年度のクマ被害による死者数は全国で13人と、統計を取り始めた2006年以降で過去最悪に。人を食べる目的で襲った食害のケースも複数報告されている。人身被害とともに深刻な問題となっているのが、動物愛護のもとに行われる駆除への抗議活動だ。過度な動物愛護思想はなぜ生まれるのか。「イヌネコにしか心を開けない人たち」などの著書がある精神科医の香山リカ氏に、その心理を聞いた。「クマの住処と食べ物を奪ったのは人間」「母熊と幼い子熊は空腹のまま鬼に惨殺された」「猟友会は犯罪者集団」「一番絶滅すべきは人間」「熊殺しは神殺し」。これらは実際にネット上に書き込まれた、クマ擁護派のものと思われる投稿の数々だ。中にはクマ被害が深刻な一部地域を名指しして「どうせ消滅する地域」「県民の民度も残念」などと地域差別をあおったり、不買運動を呼び掛けたりする声や、クマに襲われ亡くなった人やその遺族に対する「自業自得」といった誹謗(ひぼう)中傷の言葉もある。なぜ襲われた人間よりも、クマの方に感情移入してしまうのか。香山氏は「動物愛護の本質は人間憎悪」と、その思考回路について解説する。「行き過ぎた動物愛護の根底には、動物への愛だけではなく、人間不信や人間憎悪があります。人間は利己的で、金儲けのために環境破壊したり動物を殺したりしていると思い込む反面、動物はピュアで神聖な存在として理想化・神格化する。人間不信が動物愛護に至る理由は、動物たちが言葉を持たないから。人間社会で批判されたり、誰も自分のことを理解してくれないという環境でも、動物だけは自分のことを分かってくれて、否定せず寄り添ってくれるはずだというファンタジーに走ってしまうんです。実際には動物が何を考えているかなんて分からないし、餌がもらえるから懐くという本能に根ざした行動かもしれません。しかし、猫は甘えん坊、クマは優しいなど、まるでおとぎ話ように人間と同じような感情や喜怒哀楽があるものだと擬人化して、そこに感情移入してしまう。実生活でうまくいっていない、心に何らかの傷を抱えている人ほど、過度な動物愛護に陥りやすい側面はあると思います」。動物愛護が魚や昆虫の命に比較的関心を持たないのは、擬人化により感情移入ができる要素が少ないため。その点、クマは哺乳類の中でもことさら感情移入しやすい動物にあたるという。「一言でいうと、かわいいからです。モフモフした手触り、ずんぐりとした体型、子育ての習慣や、立ち上がった際のユーモラスな姿も擬人化されやすい。現実のヒグマやツキノワグマは恐ろしいものですが、テディベアやプーさんなど、古今東西、多くの国でデフォルメされたキャラクターがいます。この『かわいい』という価値が、とりわけ日本では大きな意味を持ちます。議論によるコミュニケーションよりも同調圧力を重視する日本文化の中では、成熟したものは怖い、未成熟なものほどかわいい、優れているという価値観が強い。環境問題に根差した欧米のアニマルライツ活動とは少し異なり、日本の動物愛護ではかわいいことがすごく重要。理屈よりも『あんなかわいいものが殺されるなんて』という感情が先に来るわけです」。動物への感情移入自体は、ペットを飼っていたり、ある程度動物が好きな人なら誰でも起こりうるものだが、問題はそれが自分と全く無関係な野生動物や、実害をもたらす害獣にまで向いてしまうことだ。かくいう香山氏も幼い頃から動物が好きで、犬や猫、小鳥などこれまでさまざまなペットを飼育。過去には動物愛護に傾倒しそうになった時期もあると振り返る。「今は北海道にいて、猟銃免許の取得・更新に必要な診断書を書くこともあるんです。私自身、以前ハンターの方に『なぜ犬を大事に飼っているのに、クマやタヌキは殺すのですか?』と聞いてしまい、『先生、何言ってんの? 同じ動物でもペットと害獣は全然違うよ』と言われてハッとしたことがあります。人は感情に流されやすく、かわいそうとか、撃たれたクマにも家族がいたとか、勝手なストーリーを作りがちですが、なぜ見ず知らずのクマには感情移入するのに、目の前の住民の生活には目が向かないのかと。それからは意識的に理性を働かせ、自分で自分に言い聞かせるようにしています」。被害が相次ぐ状況の中、被害者の心情を逆なでするような動物愛護の言説に対し、ネット上では「クマは絶滅させるべき」「擁護派がクマに食われればいい」などの極端な反論もあり、分断が深刻化している。両者が分かり合うためには何が必要なのか。「今はセンセーショナルな報道が続いていますが、あまりにもクマへの恐怖心をあおるのは逆効果。動物愛護の人たちは人間不信が根底にあるので、『マスコミがクマを悪者にして利用している』と裏を読んで反発してしまう。感情や情緒を刺激しすぎない、客観的な報道が必要です」。動物愛護の暴走は日本に限ったことではなく、欧米ではより過激な抗議活動が破壊行為や暗殺などのテロ事件に発展してしまった事例もある。人と人のいさかいがクマ以上の脅威となることのないよう、冷静な議論が求められている。
(現代の猟師とジビエ流通をめぐる意見が集まる)
ジビエ肉の流通や処理施設の課題について、Yahoo!ニュースのコメント欄で話題になっています。ユーザーコメントでは、かつてマタギ猟師が熊肉を振る舞っていた経験や、現在のジビエ肉の処理・流通の仕組みについて意見が寄せられています。保健所の指導により、食肉加工場を通さない野生鳥獣肉の提供が厳しく制限されている現状や、ジビエ料理の普及には制度改革が必要だという声もあります。また、猟師が減少する中で、捕獲した獣の有効活用や、ジビエ肉の安全な流通体制の整備を求める意見が見られます。- 熊肉や鹿肉など、適切に処理されたジビエは本当に美味しいと感じました。- 保健所の規制が厳しく、ジビエ料理の提供が難しい現状を何とかしてほしいです。- 猟師が減ると獣害対策も難しくなるので、ジビエ流通の仕組みを整えてほしいと思います。
(コメ農家が語る、忘れられない恐怖:秋田)
クマの出没が相次ぐ中、農作業中に襲われる被害も後をたたない。過去にクマに襲われ、右目を負傷した秋田のコメ農家が当時の恐怖を語った。数日前から予兆はあった。自宅近くのコメのモミを保管する倉庫付近には20センチほどの穴が掘られ、中に侵入しようとした跡があった。穴の大きさからクマと思われたが、姿を確認することは出来なかった。しかし、11月3日の朝は違った。入り口のシャッターを開けると、最初に目に入ったのは、中から飛び出してきた1メートルほどの大きな黒い塊だった。一瞬の動きで、クマだと気がついた時は、組み合うような状況だった。もみ合いの中で右肩に爪が刺さり、力に押され、近くの側溝に落ちた。さらに追いかけてきたクマに再び襲われ、右目を負傷。頭が真っ白になり、「うわー」と大声をあげると、クマは逃げた。救急搬送されて入院した。命は助かったが、1カ月半ほどの重傷を負った。今も当時のことが夢に出て、冷や汗をかき、目覚めてしまうこともある。「今もあの恐怖は忘れられない」と語る。クマにひっかかれた右目は光を感じるが、不調が残る。外出する際には右目だけレンズが入ったサングラスをつける。「昔は地域でクマが出るという話はなかったが、高齢化で農家や林業者が減り、山の手入れが行き届いていないためではないか」。治療のために、いまも約30キロ離れた秋田市内に通院する生活が続く。
(愛犬“ダイくん”をクマに殺された飼い主の慟哭:秋田)
秋田県で飼い犬がクマに襲われる事態までが起きている。今年10月30日秋田県大館市で、クマに襲われ変わり果てた姿になった愛犬を、飼い主の男性が自宅敷地内で発見した。すでに死んでおり、内臓がすべて食べられていたという。飼い主はクマに対しての憤りを隠せないいっぽうで、「こんなことが起きるなんて前代未聞。次は自分かもしれない」という恐怖心もあると明かす。 10月30日午前6時半ごろ、秋田県大館市の北部にある民家で飼い犬がクマに襲われた。変わり果てた姿で見つかったのは、17歳でオスの柴犬・ダイくんだった。飼い主の60代男性Aさんは、「突然、日常がなくなりました。なぜうちの犬が……」と肩を落とす。「敷地内にある農機具小屋の中に犬小屋を設置していて、ダイが夜は外でトイレするので開けたままにしていたんです。いつも朝5時半に30分くらい散歩へ連れて行んですけど、その日は私の仕事が休みだったもので午前6時半に散歩へ連れて行こうとしたんです。小屋の前には小さな畑があって、ダイがそこに横たわっていた。いつも小屋の中にいるはずなのに、変だなと思った。お腹に落ち葉がかぶさっていて、落ち葉をどかしてみると腹がへこんでいた。内臓が全部食べられていたんです」。ダイくんの首輪につけられたリードはのび切っており、犬小屋の前にはダイくんのものと思われる血がついていた。ダイくんが横たわっていた畑には、クマのものとみられる足跡やフンがあった。「ダイが横たわっているのを発見したとき、何が起きたんだってびっくりして言葉も出なくなった。実家の秋田に戻ってきて10年経つ。クマがここら辺に出ることはよくあったが、犬が襲われたりなんて一度も聞いたことがなかった。でもフンとか足跡を見て『クマがきたんだ』と理解した」。Aさんと同居する母親は午前2時ごろ、動物の悲鳴を聞いたという。だが、それが飼い犬のものとは思わなかったと話す。Aさんは、ダイくんの遺体を発見後、すぐ近くの大館警察署に電話し、警察官2人が駆けつけてきた。その後、警察から連絡を受け、市の職員が1人遅れて来た。そして10人ほどの市の職員やハンターが集まり、Aさん宅の付近に箱罠を仕掛けたという。市の職員らが何度も自宅を訪問し、署が付近の住民に注意を呼びかけるなど、「その日はバタバタした」とAさんは振り返る。そして落ち着いたとき、ふと頬に涙が流れ始めたという。「なんでこんな死に方してしまうんだよ」と愛犬がいなくなった実感が湧き始めた瞬間だった。ダイくんは、Aさんの父親が知人から引き取ってきた。Aさんは当時東京で勤務しており、帰省するたびにダイくんを可愛がっていたと言う。「10年前にこっちに戻ってきて、そこから365日、毎日ダイの散歩をしていた。ハチャメチャな性格で、17歳なのに庭を駆け回って一人でも元気に遊んでいた。とにかく動き回ることが大好きで、近くに行くと『遊ぼうよ』『いつ散歩行くの』と甘えてきていた。朝散歩に行ったばかりなのにですよ。もう歳だし、いつポックリいってもおかしくないけど、そんな衰えを感じさせないほど元気な犬でした。トイレは小屋を自分で出てちゃんと外でするし、賢い子でもありました」ダイくんを襲ったクマの行方はいまだ不明だ。Aさんは、「相手は動物ですけど、やっぱり許せない気持ちはある。ダイを返せ。クマが憎いです」と憤りを隠せない。そのいっぽうで恐怖心もあると明かす。「次に襲われるのは自分かもしれないし、恐怖でいっぱいです。外に出るときがとにかく怖く、熊鈴や爆竹などを持っていますが、それも効果がない場合もあると聞く。ここまでクマが人里に来るのは初めてですよ。もともとここら辺ではクマ除けのために犬を飼っている家も多い。クマはもうそろそろ冬眠間近ですが、よっぽどお腹を空かしていたのではないでしょうか。数年前から、チワワも1匹飼っていますが、チワワはまだダイがいなくなったことを認識していない。寂しいですよね本当に……。相棒だったのに……」。ダイくんは数日後、火葬され、骨は骨壺に入れられて家の仏壇に置かれているという。秋田県でクマが犬を襲ったのは、今年度でダイくんが初めての事例だ。ただ、11日の午前11時ごろ、秋田市内では70代女性が飼っていた柴犬(4歳・メス)がクマに連れ去られたと110番通報があった。秋田東署の発表では、70代女性が飼い犬の鳴き声を聞いて外を見ると、体長約1.2メートルのクマが犬小屋を引きずっていたという。人だけでなく、大切なペットも襲うクマ。さらなる対策が必要だ。
(クマと秋田の森を見続けてきた研究者の提言)
連日、中心市街地にまで出没しているクマ。7年前からこの状況を予見していた研究者がいます。どうすればクマとの境界線を山側に押し戻せるのか?長年に渡りクマと秋田の森を見続けてきた研究者の提言です。星崎和彦教授「いつかこういうことが来るというふうに発言していたと記憶していますが、いよいよこの段階に来たかという、そういう気もちょっといたしております」「 一番変わった点としては、海岸沿いのエリアまで出没が頻発するようになったり、街の中に出てきたりというところは、今まで以上に当たり前になったり(大量出没したおととしよりも)さらに進んだところかなというふうに感じています」「クマの行動パターンの変化・エスカレートの仕方が早いなという印象です」。森林生態学が専門で県立大学で教鞭をとる星崎和彦教授は、クマの管理計画を検討する県の委員会で委員長を勤めています。いまから7年前の2018年に秋田市で開かれたクマに関する討論会。星崎教授はこの時から市街地に現れるクマに警鐘を鳴らしていました。星崎和彦教授(2018年)「もう里グマというよりは街グマと言った方がいいものが現れ始めたというのが、秋田の現状になっているかもしれないです」「人家が密集している地区にクマが出没するっていうのはかつて考えられなかったことなんですが、もう間違いないっていうぐらいまで傾向がはっきり出た頃には、もう家の周りに野良ネコのごとくクマがいる状況が実現してしまっているっていうことになるので」。それから5年後のおととし、県内では過去最多となる70人がクマに襲われるなどしてけがをし、大きな社会問題となりました。星崎和彦教授(2023年)「徐々に里グマ、アーバンベアと言われるものが増えてきているというのは、すでに2010年すぎからはじまっていたことですので、人口減少とか少子高齢化とかそういう社会的背景がこの現象をもたらしています。ですのでそういう社会の状況がこのまま推移していく限りは必然の結果だと言わざるを得ないかなと思うので」。そして今年はさらなる異常事態に。クマが中心市街地にまで出没。小中学校では臨時休校や保護者の送迎による渋滞が日常となってきました。星崎和彦教授「現状の社会が取っている短期的対策は過剰反応です」「連日学校を休校にしてしまうとか、そういう対策を自分の学校の生徒さんを守ろうとしたり、安全を守ろう、教員を守ろうとしたりっていうことをして、みんながやると、そこはクマにとっては自由に入っていいですよって言ってるようなもんですから。 それを続けるっていうのは得策じゃないんですね」。星崎教授は、県民一人ひとりがクマに関する正しい知識を身に着け、日常生活をできるだけ犠牲にしない対策が必要だと訴えます。星崎和彦教授「現在起きていることは(クマとの)境界線が街中のほうにきて、街中の人は正しく恐れることが今できてないんじゃないかなって思うんです。 過剰に恐れてしまっているのかなと思うので」「もう少しどこがクマの隠れ場所になりやすいとか、どういう時間帯に動くんだとかいうことを、私たち市民はクマのことをもっと知識を得なきゃいけないのかなという気がします」「市民の皆さんにも、このクマに対する知識を積極的に収集していただいてなるべく普段通りできるギリギリのところを自分事として各自が対策するっていうことはそろそろ考えなきゃいけないと思いますね」。森林の成り立ちや気候変動による影響などをメインに研究を続けている星崎教授。一つの仮説としながらも、県内で被害が広がりつつあるナラ枯れとクマの出没との関連についても語りました。星崎和彦教授「特にナラ枯れに弱いミズナラっていう種類があるんですけども、ミズナラのどんぐり大きくて、クマにとっても食べがいのあるエサだし奥山に多いので、もともとクマの生息地にたくさん生えているドングリの木なんですが、それが枯れてしまうというのは、たまに来る並作豊作の時の結実量がゼロになるってことですから」「ミズナラが枯れてしまうと、ドングリがなくなっていよいよまともに食べられる主食のような食べ物がもう一つなくなってしまったので、もうブナがなくなると山を下りざるを得ないという状況は起きてるっていうふうに考えるのは妥当な推理だと思います。ただそういう証拠が取れないんですよね」。人口減少にエサ不足など様々な要因が重なったことで人里に押し寄せているクマ。星崎教授は、市街地に近づいたクマとの境界線を山側へ押し戻すために、人の気配を意図的に作り出す必要があると強調します。星崎和彦教授「クマ問題は捕まえるっていう行為が少々必要なわけですけど、それは狩猟免許がないとできないことなので、免許を取るとすぐにわなをかけられるかっていうと、そういうわけでもないので、なかなか進まないんですよ」「それで、(県民・市民が)自分ができることでっていうと、その押し戻す作業の方がよっぽどできるんです」「誰かがいる、来るっていうふうに仕向けると、クマからすると面倒くさい地域やなっていうふうにきっとなるんです。 そういうアイディアを出し合う場っていま必要だと思います 」「人の気配が大事なんですよ。それが社会が変わったことによって、こういう問題が起きた一番の原因で、人口も減ったし、仕事場も全部田舎から街中になりましたよね。これはクマからすると、人のいない場所でいる人は腰の曲がった人ばっかりみたいな。 そういう状況を作り始めたのがやっぱり 30年前ですよね。 クマからするとだんだんだんだん行っても大丈夫だなっていうふうに思う機会が増えているっていうのがこの問題の背景ですから、戻そうとすると長期的には昔のような人気を取り戻すっていう何かが必要なんですよ」「きょうあすの安全を守るっていうことと、2年後、5年後に同じ思いをしなくてするようにするために自分ができることっていうのを何か考えていく時代に入ったのかなと。 それが知事の言う新しいフェーズなんだと思うんです。 被害が新しいフェーズに入っただけではなくて、社会を変えるようなこともちょっと変えないといけないのかなって思いますね」。クマを山に押し戻すために「人の気配が重要だ」と強調する星崎教授。一方で、人口減少を背景に過疎地を中心市街地に集約するコンパクトシティを掲げている市町村が数多く存在します。星崎教授は、街づくりにクマを寄せ付けないという視点や工夫を取り入れる必要があると訴えています。
(路上で女性を襲うクマに遭遇「丸腰のベテラン猟師」が真っ先にしたこととは?)
2025年、住宅街や商業地でのクマの出没が相次いでいる。山のドングリなどのエサが不作となり、食料を求めて人里へ下りてくるケースが増加しているためだ。街中でクマと遭遇したら、どう身を守ればいいのか。群馬県奥利根を中心に猟師歴40年を超えるベテランの高柳盛芳さんと、岩手県岩泉町で山菜採りを生業とし、クマに襲われた経験を持つ佐藤誠志さんに聞いた。10月18日午後4時すぎ、群馬県みなかみ町高日向(たかひなた)で犬の散歩をしていた女性(76)がクマに襲われ、頭や肩、尻などに大けがを負った。その現場近くにいたのが、群馬県奥利根を中心に活動するクマ撃ち歴40年を超えるベテラン猟師の高柳盛芳さん。通称モリさんだ。「急にクマが飛び出してきて、まず犬がやられた。その後飼い主にも飛びかかったから、俺がすぐ飛んでいって、歯を見せながら『ワァー!』って大声を出したんだよ」モリさんの登場にクマは一瞬たじろぎ、逃げていったという。クマとの遭遇は、いまや山の中だけの話ではない。散歩中、ゴミ捨て場、スーパーの中、そして自宅の敷地で――。近頃は、こうした“日常のそば”での襲撃が相次いでいる。では、もし自分の目の前にクマが現れたら、どうすればいいのだろうか。「すぐに動かない」「目をそらさない」。モリさんが真っ先に口にしたのはこの二つだ。「クマと遭遇したら、もうその瞬間が勝負。絶対に目をそらさないことだ。目をそらしたら、向こうは『勝った』と思って襲ってくる。喧嘩(けんか)と同じなんだよ」。まずはクマの目を見る。クマの目をしっかり見据えたまま、ゆっくり、静かに後ずさりすることが大事だという。また、傘をバサバサと開閉しながら頭の上で振り回すのも効果的だ。要は、自分をできるだけ大きく見せ、「容易に近づけない存在」と印象づけることで、攻撃を防げる可能性が高まるというのだ。やがて、少しずつ距離が取れてくると、クマのほうが先に視線を逸らすことがある。それは、クマが自分の逃げ道を探しているサインだ。安全な方向を見つけたと判断すれば、クマの方から逃げていく。それでは前述のように声を出して威嚇したほうがいいのだろうか。先述の犬の散歩中の襲撃例のように10m以上距離があれば、歯を見せて声を張り上げるとひるむ場合もあるという。ただし、これまでは、ある程度の距離があったときの対処法。およそ10mより近い距離で鉢合わせた場合は、決して大声を出してはいけない。「至近距離で大声なんて出したらすぐ追っかけてくるよ」。至近距離で出会ってしまったら、「人間にできることはほとんどない」とモリさんは断言する。走って逃げたところで、ツキノワグマは時速40㎞、ヒグマは時速60㎞で走るため、あっという間に追いつかれてしまうだろう。攻撃されるのか、されるとしてどの程度なのか――それはクマ撃ち猟師にもわからない。「遭遇時のクマの気分や状態次第だから、どうなるかはわからない。学者だってわからねぇと思うよ」。岩手県岩泉町で山菜採りを生業とする佐藤誠志さんが、山中で親子連れのクマに襲われたのは2024年のこと。日々山に分け入り、常にクマの存在を意識していた佐藤さんだが、いざ実際に鉢合わせた瞬間は、冷静ではいられなかったという。「ぱっと見た瞬間、子連れだとわかったんです。その時点で、もう今日は襲われると覚悟しました」。目の前で子グマが木に登った。つまり母グマは逃げずに戦闘態勢に入ったということだ。母グマは、子を守る本能が極めて強く、子グマに近づくものはすべて敵とみなし、猛烈に攻撃してくるおそれがある。次の瞬間、佐藤さんは反射的に「コラー!」と大声を上げてしまった。「結果的に、私の方から威嚇してクマを刺激したんじゃないかと言う人もいます。でもあの距離で子連れとわかった時点で、もう冷静ではいられなかった。でも、よく考えたら子連れグマですからね。黙っていても、どのみち襲われていたでしょう」。手にしていた杖をたたきつけ、戦うしかないと思った。その直後、母グマは木の陰から回り込み、まっすぐこちらに向かってきた。「お互いテンパってました。静かに後ずさりなんて、とてもできなかった」。クマは何度も突進してきた。一般的にクマは、最初の一撃は前脚で、続いて牙で噛みついてくることが多い。佐藤さんも棒を振り上げた瞬間、間合いに入られ、左腕に噛みつかれた。「あぁ終わりだ」と観念しかけた瞬間、クマはぱっと身を離し、去り際に左足の腿(もも)を爪で引っかいた後、森の奥へと走り去っていったという。なぜ逃げていったのか、その理由はわからない。山をよく知る人ですら、こうした親子グマの状況では冷静な判断を保つことは難しい。その一瞬の判断が、生と死を分けることもある。そのためには「絶対にしてはいけないこと」を知り、備えておくことが大切だ。クマは本来、臆病で人を避ける生き物だ。だが、その臆病さゆえに、人間との遭遇など想定外の出来事に出くわすとパニックを起こし、攻撃に転じることがある。だからこそ、こちらが興奮させないことが肝要だ。「クマに限らず動物は人の心の状態に敏感です。『この人は慌てている』『落ち着いている』といった人間の気配を、クマも感じ取っているんです。人間が取り乱せば、その不安がクマにも伝わり、事態を悪化させてしまうことがある」(佐藤さん)。距離があるうちは、目を見ながら静かに後ずさりしてその場を離れるか、クマの方に去ってもらうこと。決して挑発せず、互いに逃げ道を確保することが生き残る最善策だろう。クマに勝つ方法はない。だが、襲われない方法はある。では子連れのクマに遭遇した佐藤さんも冷静さを保てば、攻撃を免れたのだろうか。「子連れに接近してしまったら、ほぼ無条件でやられる」と、モリさんと佐藤さんは口をそろえて話す。佐藤さんは山菜採りの際、ベストの胸ポケットにクマよけスプレーを入れておくというが、あくまで「保険」だという。「スプレーには暴発しないよう、ストッパーがついています。とっさにそれを外し、風向きを読んでからクマに噴射するなんて至難の業ですよ」(佐藤さん)そのため、地面に伏せて両手で首を守る防御姿勢をとりながら最小限の怪我(けが)でしのぐしか選択肢はない。佐藤さんは親子連れのクマに遭遇したとき、ヘルメットをかぶっていた。今はこの出来事を教訓に、クマ対策の意味でもヘルメットは欠かせないという。
(イノシシ被害に対応、ドローンで自動殺処理して搬送:中国)
陝西省の一部で、農業被害をもたらす野生のイノシシの対策用にドローンが導入された。ドローンはイノシシを探知して投下式の矢でイノシシを自動で殺処理する。また大型ドローンを使ってイノシシの死体を搬送する。陝西省の一部地域では、農業被害をもたらす野生のイノシシの対策用にドローンが導入された。ドローンはイノシシを探知し、投下式の矢によってイノシシを自動で殺処理する。また大型ドローンを使ってイノシシの死体を搬送する。中国メディアの極目新聞が伝えた。陝西省宝鶏市林業局は5月の時点で、同市渭浜区を対象に、野生のイノシシの対策用にドローンを導入すると発表した。背景には、生態環境の改善によりイノシシが増えて、農業被害が増加し、人身に危害が及ぶ恐れが高まっていることがあった。渭浜区内に住む楊さんによると、近年になりイノシシが急増して、農作物を頻繁に荒らすようになった。また、山中でイノシシの群れを見ることが多くなった。これまで見た中で最大のイノシシは狩猟された個体で、体重は200キログラム程度あったという。地元当局関係者は極目新聞による10月末の取材に対して、専門の会社と連携してドローンによるイノシシ駆除と搬送を実施していると説明した。実施にあたっては、関連部門に審査を受け許可を得たという。宝鶏市林業局の説明によると、従来型の「イノシシを地上で囲い込む」方法では、効率が悪くて危険も伴った。そこで同市渭浜区林業局は最新技術を持つ企業と提携して、ドローンによる落下式矢発射駆除システムを開発した。高精度の位置測定能力とナビゲーションシステムを統合し、ドローンは衛星測位と慣性航法の融合技術を用いて、自らの位置と飛行方向をリアルタイムで精密に測定する。熱感知や赤外線など複数のセンサーでイノシシの痕跡を捉えると、飛行制御システムが目標の位置などに基づいて、矢の最適な投下タイミングを迅速に計算する。投下の際の高度は40メートルで、矢は落下によって得られたエネルギーでイノシシを仕留める。イノシシを狩るチームには、小型ドローンを使ってイノシシを仕留める者もいれば、大型ドローンを使って仕留められたイノシシを搬送する者もいる。一晩で10-20頭のイノシシを駆除できるという。中国では2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、野生動物を食用にすることが禁止された。渭浜林業局の関係者は、殺処理したイノシシは一括して無害化処理を行い、市場に流通する可能性を完全に排除していると説明した。同区の試行計画によれば、25年にはイノシシ200頭の調整を予定しており、1頭ごとの作業に対して、財政が基準に基づいて補助を行い、作業の規範的な推進を確保するという。
(クマが犬小屋引きずり、飼い犬いなくなる:秋田)
11日午前11時15分ごろ、秋田市下北手寒川字新山地の民家で、クマ(体長約1.2メートル)が犬小屋を引きずっているのを、自宅にいた70代女性が目撃した。秋田東署によると、女性が飼い犬の鳴き声を聞いて外を見たところ、クマが犬小屋を引きずり、山林側へ移動した。その後に犬小屋を発見したが、犬はいなくなっていた。同署が関係機関に連絡し、パトカーで警戒して住民に注意を呼びかけた。
(「海を泳ぐ鹿」を海保の巡視艇が発見!:愛媛)
鹿が海を泳いでいるーー。瀬戸内の海を守る「第六管区海上保安本部」は11月11日、公式X(@JCG_6th_RCGH)を更新し、その瞬間を捉えた映像を公開しました。第六管区海上保安本部はXに、「えっ?鹿って泳ぐの? 10/10、愛媛県佐田岬沖合をパトロール中の巡視艇が島に向かって海を泳ぐ鹿を発見しました」と投稿。添付された映像(53秒)を見ると、穏やかな波の中を2本の角が生えた鹿が一生懸命泳いでいる姿が映っています。前足と後ろ足で上手に水をかき、島の岩場に無事到着。上陸すると、泳いだばかりにもかかわらず、ピョンピョンと元気よく跳ねて走り去っていきました。この投稿には、「おおー鹿が泳いでいるのを初めて見た!」「犬掻きじゃなく鹿掻き泳法」「しかも上手に泳いでいる」といった声が寄せられています。
(県庁の1km圏内でクマ目撃情報相次ぐ:岩手)
12日朝、岩手・盛岡市の中心部付近でクマが相次いで目撃されました。また八幡平市では、散歩をしていた男性がクマに襲われ軽いけがをしました。12日午前5時半ごろ、岩手県庁などにほど近い盛岡市中央通で、クマ1頭を目撃したとの通報が警察に3件寄せられました。クマは体長1メートル以上の成獣とみられていて、その後、午前7時ごろには盛岡市愛宕町にある下小路中学校の付近でも目撃されました。これらの現場は岩手県庁から約1km圏内の場所ですが、その後、クマは県庁から2kmほど離れた川の河川敷などでも目撃されているということです。これまでに人や物への被害は確認されていませんが、警察は付近をパトロールするとともに、学校や住民に対し注意を呼びかけています。また、12日午前6時15分ごろ、八幡平市の路上で、イヌの散歩をしていた47歳の男性が、突然、田んぼから駆け寄ってきた親子とみられるクマ2頭と遭遇しました。警察によりますと、男性は親グマとみられる1頭に頭などをひっかかれて軽傷を負いました。現場は田畑が広がる山あいの地域で、警察が警戒を強めています。
(円山動物園で続くクマ侵入:北海道)
11月11日未明、札幌市の円山動物園の人気のない一角に、再びヒグマが姿を見せた。暗闇の中で自動撮影カメラが捉えたのは、破壊された窓枠の金網にしがみつく一頭のクマ。鋭い爪を食い込ませるようにして、窓の向こうをうかがうその姿は、まるで“狙いを定めた捕食者”のようだ。クマが現れたのは11月11日午前0時24分ごろ。エゾシカ・オオカミ舎から東へ約50メートル離れた「野生復帰施設」に設置された自動撮影カメラが、その瞬間を記録していた。この施設では、2日前の9日にも異変が起きていた。窓枠の金網が突き破られ、シマフクロウのエサとして置かれていたヒヨコやホッケが消失。クマに食べられた可能性があるとみられている。クマは一度味を覚えたエサを強く記憶し、同じ場所に何度も現れることがあるという。今回も、高さ3メートルを超える柵を乗り越え侵入を試みたとみられており、その執念深さがうかがえる。今回、シマフクロウは安全な場所へ避難しており、無事だった。動物園周辺では、10日夜から11日朝にかけて、クマの目撃情報や足跡が相次いでいて、札幌市は、円山公園の全域閉鎖を決定。冬眠を前に、食料を求めて札幌中心部近くまで迫るクマに警戒が続いている。
(阿波地美栄まつり、33店のジビエ楽しんで:徳島)
徳島県内で捕獲した野生のシカやイノシシの肉の有効活用を目指し、県は「阿波地美栄(じびえ)まつり」を開いている。抽選で15人にシカ肉の加工品や限定グッズが当たるプレゼント企画もある。シカやイノシシの狩猟期間にあたる秋から冬にかけ、県内のシカ肉、イノシシ肉の消費拡大キャンペーンとして2020年度から実施している。県内のシカ肉、イノシシ肉を使った料理を提供している県内外の33店舗でジビエメニューを注文すると、店側からプレゼントの応募カードがもらえる。カードのQRコードから応募フォームにアクセスし、質問に答えると、シカ肉とリンゴのレトルトカレーが5人に、シカ肉のソーセージ、コロッケ、シカの革を使った藍染(あいぞめ)レザーのキーホルダーセットが10人にそれぞれ抽選で当たる。締め切りは来年1月31日。県鳥獣対策・里山振興課の担当者は「普段はシカやイノシシの肉を食べない方にも、まつりをきっかけに食べてもらい、消費の拡大につなげたい」と話している。
(命をつなぐジビエ事業:岩手)
挑戦を続ける人や取り組みをシリーズで紹介しています。2回目は、岩泉町で「命を繋ぐ」ジビエ事業に取り組む男性です。将来は、ジビエを教育に生かそうと考えています。福島県出身の、谷田川 雅基さん。2年半前、岩泉町の「地域おこし協力隊」に就任。ハンターとしても、活動しています。東京の大学を卒業後、異世代間交流を通じたキャリア支援といった教育分野で、活動を続けていました。谷田川さん「教育と言いながら、自分が何を持っているんだっていうのがなかったんですよ。なので、別のツールというかチャンネルから教育にアプローチしないと、永遠にこのままだなと思ったので、私は狩猟とかジビエとかっていうのをツールにすることにしました」。岩泉町に来てから狩猟免許を取得した谷田川さん。地元の「猟友会」の皆さんと一緒に、シカを獲るわなを仕掛けに行きます。狩猟のイロハを、教えてもらう谷田川さん。先輩猟師は頼れる先生です。佐々木さん「命を大事にしてジビエというそのシカの肉を流通に乗せたいっていうので、来たときすぐ会ってですね、してまあ俺が分かっている事だったら教えてあげっかって一緒にわなやったり、何かで始めましたね」。谷田川さんが目指す「ジビエ事業」には、佐々木さんも期待を寄せています。佐々木さん「現在岩泉はですね、シカは有害駆除・有害捕獲ということでシカを獲ったのを、そのままですね宮古に運んで、まあ大事な命をゴミ扱いにするんですね。でも、捨てられているシカを精肉にするというのは、私は大賛成なんでですね、私もできるぶんは協力したいなと思ってますし、素晴らしいなと思ってますよね」。シカの通り道に、わなを仕掛け終わりました。わなを踏んだ足に、ワイヤーが絡む仕組みです。谷田川さんは、ジビエ事業を本格化するために、岩泉町で初となる「ジビエ加工施設」を建設中です。この日、完成間近の加工施設を、訪ねました。建設を担当しているのは、岩泉出身の 同年代、上野さんです。上野さん「最初は何か、へーみたいな感じで聞いていたんですけど、話していく中で、その熱い気持ちとか、その具体的な内容を聞いて、何か応援できたらいいなという風に思いましたね」。同じ猟友会に所属する上野さん。谷田川さんの狩猟仲間でもあります。谷田川さん「シカだね。かけるとしたらもっと上だろうね」「あえて今、足跡を消したんですけど、これいつ通っているかわかんなくて、かけるときにならして、明日見に来て、これにまた付いているのかそれとも1週間後なのかっていうのを毎日見て、かけてくんで。こういった痕跡を探すのが大変です」。年間およそ 2,000頭のシカが、捕獲されている岩泉町。谷田川さん「どのぐらいまずいるのか、っていう所に対して、どのぐらい獲ったらいいのかもわかってない。だからいれば獲る。果たしてそれが、本当にいいのかそこは探っていかなきゃいけないんだろうなっていうのは率直な。ただ一方で、作物やられたとか、なんかワサビが踏まれちゃった食べられちゃったってなると死活問題なので、そこは同時並行で進めていかなきゃいけなんだろうなという思いですね」。谷田川さんは、シカ肉を使った愛犬用の「ジャーキー」も、試作しています。谷田川さん「やっぱり脂が無いので、そういう意味では凄く、ジャーキー本来の美味しさというか、シカ肉のおいしさも出てくるかなという風に思いますね。やっぱりその駆除する理由っていうのはもちろん人間の都合でありますけど、彼らも生きたかったとか、やっぱり生きてる命なので、そこを私としては繋いで、でそれが人の力になっていく、そんな循環を作っていきたいと思っています」。地域の仲間たちと共に挑戦する、「命を繋ぐ」ジビエ事業。加工施設は来年1月に本格稼働の予定です。人とシカが共存する未来へ向けた取り組みは始まったばかりです。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、18日午前6時10分ごろ、仙台市泉区実沢鼻毛にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
松島町によると、18日午後3時ごろ、松島町松島大沢平にクマとみられる動物が出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、18日未明、仙台市青葉区折立2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、18日午後2時20分ごろ、名取市愛島塩手野田山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、18日午後1時30分ごろ、大和町小野明通にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、18日午後5時20分ごろ、富谷市富谷落合にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午前11時40分ごろ、栗原市金成末野三嶽堂にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
角田市によると、18日午前、角田市藤田峯でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午後5時30分ごろ、仙台市泉区山の寺3丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午後5時10分ごろ、仙台市泉区実沢玉手にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午後3時45分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午後6時30分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋大原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午前8時20分ごろ、仙台市泉区住吉台東4丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、18日午前7時40分ごろ、栗原市金成小迫後山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、17日午後4時50分ごろ、白石市小原鹿込にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
丸森町によると、17日午後7時ごろ、丸森町大内空久保上にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
柴田町によると、17日、柴田町入間田樋口でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
利府町によると、17日、利府町春日黒森でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、17日午前6時45分ごろ、栗原市高清水堤下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、16日午後3時30分ごろ、富谷市富ケ丘3丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
大河原町によると、15日午後4時30分ごろ、大河原町大谷原前でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、16日午前11時10分ごろ、富谷市富谷一枚沖にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午前7時20分ごろ、仙台市泉区実沢熊野山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午前5時ごろ、仙台市泉区南中山1丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、15日午後6時45分ごろ、富谷市富谷熊野にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、15日午後0時ごろ、栗原市鶯沢南郷日向にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、15日午後0時30分ごろ、栗原市金成小迫高見山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、15日午前10時55分ごろ、富谷市富谷一枚沖にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、15日午前8時30分ごろ、富谷市志戸田北田子沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
大河原町によると、14日午前3時ごろ、大河原町大谷原前でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、14日午後4時35分ごろ、栗原市金成上町西裏にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、14日午後0時ごろ、石巻市鹿又穴口前にクマとみられる動物が出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、14日午前9時ごろ、仙台市太白区大野田橋本にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、14日午後7時ごろ、富谷市富谷平沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、13日午後5時30分ごろ、白石市斎川上久保向にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、14日午後2時35分ごろ、栗原市金成小迫高見山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、14日午後1時20分ごろ、栗原市栗駒桜田下有賀にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、14日午前5時10分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋清水久保にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日午後10時45分ごろ、仙台市青葉区霊屋下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日午後8時ごろ、仙台市太白区秋保町長袋諏訪北にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日午前7時15分ごろ、仙台市泉区西田中上道下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日午前6時50分ごろ、仙台市泉区上谷刈舞台にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、14日午前6時15分ごろ、富谷市一ノ関カナエ田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、13日午前10時30分ごろ、石巻市相野谷旧屋敷にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、13日午後3時ごろ、石巻市小船越舟形にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
利府町によると、13日午前0時6分ごろ、利府町菅谷孝行松下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
利府町によると、13日午前11時40分ごろ、利府町神谷沢北沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、13日午後0時40分ごろ、石巻市小船越山畑にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、13日午前6時10分ごろ、仙台市泉区市名坂天神沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午後3時20分ごろ、富谷市富谷日渡にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午後4時ごろ、富谷市穀田要害にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午後6時30分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋宿にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午後4時45分ごろ、仙台市太白区秋保町湯元橋本にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、13日午後2時15分ごろ、栗原市栗駒桜田古戸にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午後0時55分ごろ、富谷市大清水2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
利府町によると、13日午前6時58分ごろ、利府町森郷名古曽にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、13日午前4時ごろ、白石市大平中目桂坂にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
角田市によると、13日午前4時30分ごろ、角田市毛萱堂ノ入にクマとみられる動物が出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午後7時10分ごろ、仙台市泉区福岡北泉にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午後4時45分ごろ、仙台市泉区住吉台東4丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午後4時45分ごろ、仙台市泉区住吉台東4丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午前9時15分ごろ、富谷市富谷高屋敷にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、12日午前8時10分ごろ、石巻市北村高寺にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、13日午前7時50分ごろ、栗原市花山本沢中村にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、13日午前8時ごろ、色麻町一の関にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午前6時50分ごろ、富谷市大亀和合田二番にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日、仙台市青葉区折立2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午後4時40分ごろ、仙台市太白区富田八幡東にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、12日午前6時50分ごろ、石巻市山下町1丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午後7時50分ごろ、栗原市築館上宮野寺前にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午後3時50分ごろ、栗原市栗駒片子沢新田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、12日午後6時50分ごろ、富谷市富谷狸屋敷にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、12日午後7時30分ごろ、色麻町大原地区にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午前、仙台市太白区秋保町長袋水上南にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
宮城県警によると、12日午後4時10分ごろ、仙台市青葉区荒巻本沢1丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、12日午後5時30分ごろ、白石市小原塩ノ倉前にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、12日午後5時40分ごろ、色麻町大原地区にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午後3時50分ごろ、栗原市築館萩沢土橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、11日、色麻町四竃道命にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、12日午前5時45分ごろ、仙台市泉区北中山4丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午後0時45分ごろ、栗原市栗駒桜田蛇壇にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午前8時ごろ、栗原市花山本沢鯨ケ森でクマが出没したような痕跡が見つかりました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午前9時30分ごろ、栗原市瀬峰八幡前にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、11日午後1時20分ごろ、仙台市泉区鶴が丘4丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午前11時22分ごろ、栗原市築館上宮野台にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、12日午前6時20分ごろ、栗原市築館萩沢土橋にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
松島町によると、12日午前7時40分ごろ、松島町根廻人筈にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、12日午前6時40分ごろ、富谷市二ノ関南田子沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、11日午前3時50分ごろ、石巻市門脇元浦屋敷にクマが出没しました。
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