<射撃ニュース2月>
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(狩猟で散弾銃を発砲、散弾の一部が仲間の男性に当たりケガ:福島)
2月12日午後3時30分頃、須賀川市吉美根字土橋付近の山林で狩猟をしていた男性(57)が散弾銃を発砲したところ、発砲した方向にいた男性(40代)に散弾の一部が当たった。警察によると散弾の一部が当たった男性は重傷と見られるが命に別状は無いとのこと。発砲した男性と散弾の一部が当たった男性は同じグループで、一緒に狩猟をしていた。発砲した男性は「誰もいないと思った」と話しているということ。警察が当時の状況や原因を調べている。

(狩猟者の高齢化、若手育成し適正な捕獲を:福井)
狩猟免許所持者の高齢化が進む中、狩猟に関心を示す若者が増えている。県や県猟友会がイベントなどを開き、狩りの魅力を伝えている。近年はシカやイノシシによる鳥獣害が社会問題化し、本年度は全国でクマが大量出没している。野生鳥獣の個体数の適正維持のためにも若手ハンターを育て増やしたい。県自然保護課によると、県内の狩猟免許所持者数は2019年度に1678人いたが新型コロナウイルス禍の影響もあり近年は減少傾向で、22年度は1552人。このうち、ライフル銃などの装薬銃や空気銃を扱う第1種銃猟免許の取得者は19年度の703人から22年度は678人となっている。一方で、環境省のまとめでは、23年4月~今年1月のクマによる人身被害は全国で218人(うち死者6人)で、同時期の記録が残る06年度以降で最多となっている。出没件数は2万3千件を超える。県内でも2人がけがをしており、1月末までの出没件数は761件で昨年度1年間の2・4倍。過去5年では大量出没した20年度の1223件、19年度の914件に次ぐ多さだ。そのような中、県猟友会大野支部の青年部は、「狩猟ナイト」と銘打ったイベントを22年11月から大野市内で定期的に開催している。気軽に立ち寄れる飲食店で開き、狩猟道具や獲物の毛皮、頭骨などを並べたり、模造銃で銃の扱い方を教えたりしており、入会希望者も出てきている。県は民間とコラボした初の狩猟イベントを今年1月に福井市内のアウトドア用品店で開き、銃による狩猟にかかる費用、獣害被害の状況、狩猟免許の取得方法、わなの仕掛け方の説明をするなど関心を集めた。ツキノワグマの狩猟の現状を学ぶ研修会も開いている。県猟友会も、鳥獣捕獲の知識や技術、ジビエ料理などを教える「福井狩猟アカデミー」を開催している。いずれも狩猟免許を持つ人の高齢化が進む中、獣害対策の担い手でもある狩猟者の確保につなげたいという狙いがある。これらの取り組みは実を結びつつある。県猟友会大野支部には昨年、新たに20~40代の4人が入会し、同会和泉支部でも40代2人が入った。若手の増加は頼もしい限りだ。クマによる人身被害は全国で深刻化しており、環境省の専門家検討会は、計画的に捕獲し頭数を管理する「指定管理鳥獣」の対象にツキノワグマ(絶滅の危険が高い四国を除く)とヒグマを追加する方針案を了承した。関係機関は今後も地道な活動などを続け、生活環境や農産物、生態系に被害を与える野生動物を適正に捕獲できる人材を育てていきたい。

(ジビエがビジネスにならない最大の原因は「美味しくない肉」が出るから:大分)
大分県宇佐市の山間部に、「日本ジビエアカデミー」という研修施設がある。野生のシカやイノシシを捕獲し、食肉とするジビエ(野生鳥獣肉)。政府は農作物の被害(獣害)対策の一環として利用を推進しているが、消費はそれほど伸びていない。その理由を、アカデミー代表の山末成司さん(50)はこう説明する。「ジビエ肉を商売として成り立たせるには、いくつもハードルがあるから」。そこで、狩猟や解体から肉の判別・熟成、おいしく食べる料理法、販路開拓といったビジネス展開まで一貫して学べるこの施設を、全国で初めて設立した。正しい知識を持った人が広めることで「牛、豚、鶏に次ぐ第4の肉として認められてほしい」と願う。きっかけは、獣害に悩まされた農家の切実な声だった。6年ほど前、ある農家が、食肉加工の工場を経営していた山末さんの元を訪れた。「相談がある」。聞けば、この農家は長年育ててきた果樹を動物に食べられ、猟友会に捕獲を依頼したという。猟友会はすぐに動いてくれた。最初のうちはうれしかった。ただ、捕獲された野生動物は殺されて尻尾だけを切り取られ、次々に廃棄されていく。尻尾は大分県への狩猟報告のために残すが、ほかは丸ごと捨てられる状況に心を痛め、「農家をやめようか」とまで考えるようになったという。相談を受けた山末さんは当初、ジビエの処理場を作ればいいのではと考えたが、すぐに思い直した。ビジネスとして成立させる道のりの遠さが想像できたためだ。まず、適切な処理方法が確立されていない。一般的な家畜は体重などを管理して出荷するため、サイズの個体差が小さい。だからこそ、☆(刈のメが緑の旧字体のツクリ)皮などの解体作業を自動化することが可能だ。しかし、ジビエはサイズの個体差が大きく、一体ずつ手作業で解体を行う必要がある。山末さんは処理方法を学ぶため、九州のみならず山口県や北海道まで足を運び、処理場を見学し、猟師から処理方法を学んだ。ただ、そこで衛生状態に疑問を感じた。野ざらしの中で処理をしている人、「自分が捕って処理した動物は全部おいしい」と豪語する人もいた。誰もが心配せずに食べられるようにするには、家畜と同様に衛生面でも確立された仕組みが必要だと感じた。そして最大の問題が「おいしくない個体」をどうするかだった。山末さんによると、ジビエには「おいしい個体」と「おいしくない個体」がある。家畜と違って去勢をしないため、繁殖期のオスは強いにおいが残りがちだ。加えて、年齢を重ねると加齢臭がする。去勢され、生後半年ほどで出荷される家畜と違い、個体によって当たり外れがあることが、ジビエを商業利用する上で大きな障壁になっていた。考え抜いた解決策は、山末さんの身近なところにあった。宇佐市にはサファリパーク「アフリカン・サファリ」がある。子どもが動物好きだったため、山末さんも毎週のように連れて行っていた。人間にとってはおいしくなくても、サファリの肉食動物たちは好んで食べる。サファリにとっては餌の費用を減らせるメリットもある。サファリ側に提案すると賛同を得られた。「おいしくない個体」は、サファリだけでなく、のちに犬や猫のペットフードにも利用するようになった。ようやく商業化への道が見え始めた。正しい知識を持ってジビエを扱えば、ビジネスとして成り立つ。そう考えた山末さんは、「ジビエ処理を教える学校を作りたい」と考えた。こうして2023年5月に開所したアカデミーは、鉄骨2階建ての延べ床面積約310平方メートル。1階には☆(刈のメが緑の旧字体のツクリ)皮室、内臓摘出室、カット室、加工室、梱包室、冷凍室があり、皮を☆(刈のメが緑の旧字体のツクリ)ぐところから商品にするまでの一連の流れを学ぶことができる。研修期間は最長1年間。数日程度の短期間の受講も可能だ。受講者のニーズに合わせて狩猟の方法や食肉処理場の経営などの座学も受講することができる。これまでに約50人が研修を受け、修了した。2024年は計80人程度を受け入れる予定。受講者は福岡県や群馬県など、県外からも多く参加している。食肉処理業に従事する経験者より、会社の経営者や脱サラを目指す人の方が多いという。福岡県で建設会社を経営する中島真二さん(49)は、地元で田畑が荒らされている状況を知り、「自分に何かできないか」と考えて受講を決めたという。これまでは、カモの解体をしたことがある程度。ジビエは大きさに個体差があり、処理は力任せではなく繊細な作業が必要で難しいという。いずれは地元に処理場を建設し、獣害を減らしたいと考えている。山末さんがジビエの処理場をつくった際、子どもの同級生からこんなことを聞かれたという。「どうしてかわいいシカを殺すの?」。この質問には「はっとさせられた」。農家から受けた相談を、改めて思い出したという。農作物の獣害を減らすためには捕獲する必要があり、その命を無駄にせず、ジビエとして食べることが大切。その循環を定着させるため「美味しいジビエを広めたい」と語った。

(イノシシ・シカの”皮”を無駄にしたくない:岡山)
有害獣として駆除された後、多くは捨てられてしまうシカやイノシシの皮を無駄にしたくないと、小物やアクセサリーに加工して販売している女性が岡山市北区建部町にいます。このほど、自分で小物づくりを楽しめるレザークラフトのキットが完成しました。粘土のように形が変わるという不思議な革です。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「こちらに入っている『かわねんど』というものなんですけれども」。その革は粘土のように柔らかく固まると可愛らしい小物に生まれ変わるのだといいます。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「触った感じが革なのでなめらかで、皮膚というか…命を感じていただけたらなと思います」。山々に囲まれ野生動物も多く棲む岡山市北区の建部町。2016年に京都府から家族とともに移住し、「建部獣皮有効活用研究所」の代表として制作活動を続ける頼本ちひろさんです。建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「肉のほうはだんだん消費されることが増えてきてはいるんですが、皮はどうしても使えないと廃棄処分されているところがとても多いです。使ったらすごく魅力的なものができるのに使われないで捨てちゃっているというのがすごくもったいないなと思います」。田畑を荒らす厄介者として人々を悩ませるイノシシやシカなどの獣。駆除は止むを得ないとしても命ある生き物。その皮も無駄にはしたくないという思いで頼本さんは「ジビエレザー」と向き合ってます。一つ一つ風合いが異なる、個性の強い皮をどう生かすか、手探りで試作を重ねました。研究所を立ち上げて6年。ユニークな商品が次々と生まれています。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「続けていくうちに、だんだん個性というか特徴がだんだんつかめてきたので、レザーの特徴を生かせるようなものづくりができてきたと思います」。ジビエレザーに触れて、知って、考えてもらいたい…。レザークラフトのキットとして新たに考案したのがこの「かわねんど」。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「シカ革でつくるとものすごく柔らかくて形が作りやすくて、特別な道具を使わなくても手だけで作れるので」。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「ここからがポイントです。一般的に革製品ってあまり濡らしちゃいけないんですけど、これは濡らすことで初めておもしろくなる」。細長い龍のひげもこの通り。もともとの風合いを残すタンニンでなめした革は、濡らすとまるで粘土のように形を変えることができ、乾くとそのまま安定します。お好みで革の内側に色を塗れば毛羽立ちが動物の毛のような風合いに。指や道具を使って顔や体の丸みなどを表現して仕上げます。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「ぎゅーっと引っ張って丸くしてあげます。思いっきりやって大丈夫です」。破れずにきちんと形になっていく。自由な発想で色を塗って自分だけの作品に。現在龍とパンダを販売中ですが今後、トラやウシ、恐竜なども加わる予定です。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「もともと命があるもので山を駆け巡っていた動物だということを考えながら大事にさわっていただけたらなと思います」。動物の皮は形を変えて別の生き物に…楽しく作品をつくりながら自然への感謝の気持ちも生まれてくるようなレザークラフトです。「かわねんど」は研究所のオンラインショップのほか、岡山市北区表町の「晴れの国おかやま館」でも購入できます。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、13日午後7時42分ごろ、富谷市富谷坂松田にクマが出没しました。

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(クマも“指定管理鳥獣”へ:北海道)
北海道内をはじめ全国で問題となっている、市街地に出没するクマ「アーバンベア」。人身被害は過去最多となり、道内でも幌加内町などで死亡事故が起きています。8日に大きな動きがー(伊藤信太郎環境相)「4月ごろから冬眠が終わって出没するので、4月中に指定の手続きを完了したいと考えている」。国は「指定管理鳥獣」にクマを追加する方針を明らかにしました。指定管理鳥獣にクマが追加されれば、ニホンジカとイノシシに続き3例目で、駆除や調査を行う都道府県が国から交付金を受けられるようになります。(鈴木知事)「きわめてスピード感をもって対応いただいたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います」。クマ対策が前進する一方、懸念される動きもークマの駆除にも使われる「ハーフライフル銃」です。“ライフル銃”は10年の狩猟経験がないと所持できませんが“ハーフライフル銃”は1年目の若手ハンターでも持つことができます。ハーフライフル銃は同じく1年目から持てる散弾銃よりも遠くの獲物を狙うことができます。(石狩銃砲火薬店 佐々木一哉さん)「散弾銃は50メートルほど、ハーフライフルは最大150メートル、それぞれ有効射程が違います。北海道は猟場が広いため最低ハーフライフルは使う。そういったところでは絶対に必要だと思います」。しかし、長野県で警察官を含む4人が殺害された事件をうけて、警察庁は凶器に使われたハーフライフル銃を、「10年の狩猟経験が必要」とする規制強化に乗り出したのです。猟友会や研究者は、若手ハンターの減少につながる可能性が高いとして反対声明を出していました。(北海道猟友会 奥田邦博札幌支部長)「ハンター側に指定管理鳥獣で積極的捕獲を示されても、ハンターが減っていく状況が続けばテーブルだけの数字になるのかなと」クマの管理に向け制度の整備が進む一方、対策を担う現場の声に耳を傾けた議論が求められています。

(捕獲許可証を勝手に交付、県の地方機関職員を懲戒処分:宮城)
イノシシやシカなどを捕獲する許可証を上司の決裁を経ずに交付した上、これを隠すために申請書などを破棄したとして県の地方機関に所属する20代の男性職員が減給の懲戒処分を受けました。県によりますと、県の地方機関に所属する20代の男性職員は、農作物への被害などを防ぐためイノシシやシカなどを捕獲するのに必要な許可証を去年7月から9月にかけて上司の決裁を経ずに作成し、のべ46人分を交付したということです。さらに、これを隠すため、申請書や返納された許可証などをシュレッダーにかけて破棄したということです。去年9月、この職員の上司が、自治体から「鳥獣を捕獲できた」と報告を受けたのをきっかけに発覚したということで、処分を受けた職員は県に対し、「許可の要件を満たしていることを上司にうまく説明できなかった。大変申し訳ない」などと話しているということです。県はこの職員を8日付けで減給10分の1、1か月の懲戒処分とし、上司3人を文書での厳重注意としました。県によりますと、交付された許可証はいずれも要件を満たしていて無効にしたケースはないということで、再発防止を徹底するとしています。

(3年以上開業遅れていた群馬県安中総合射撃場のライフル射撃場、4月15日に先行開場へ群馬)
安全対策の不備で開業が3年以上遅れていた群馬県安中総合射撃場(安中市)について、県は8日、ライフル射撃場を4月15日に先行開場すると発表した。約5億円に上る群馬県の野生鳥獣による農林業被害額の軽減に向け、狩猟者の育成拠点として有効活用する。県によると、ライフル射撃場は鉄筋コンクリート平屋建ての屋内施設。射台が5カ所あり、50メートル先と102メートル先に固定した的、52メートル先に動く的がある。

(冬眠期なのにクマ目撃が急増:宮城)
この冬、宮城県内で「冬クマ」の目撃情報が相次いでいる。県によると、冬眠期に入り始めた2023年11月~24年1月の3カ月間の目撃件数は424件。前年同期の19件の22倍を超える。県の「クマ出没注意報」を1月末の期限で解除したものの、2月も出没が続く可能性が高いとみて、警戒を呼びかけている。県自然保護課によると、東北では例年、冬眠前の10月を境に目撃情報が減っていく傾向があるという。だが、23年11月は336件。23年度の月別、過去10年間の月別でも最多だった。24年1月26日には仙台市泉区の市立福岡小学校の敷地内で目撃された。2月8日にも富谷市明石の県道で目撃されている。県は、要因について、今季はクマの主食である、ブナの実が凶作で餌が不足し、人里近くに下りてきていることに加え、暖冬で降雪量が少なく、冬眠期と認識していないクマもいる可能性があるとみている。気象庁の統計によると、出没が多発する仙台市内の1月の平均気温は4・2度で、前年同月より2度高い。降雪日数は6日少なく、日照時間は逆に約45時間も長かった。県は23年度に始めた「クマ出没シーズン予報」を24年度も継続するといい、3月下旬にも今年の春から秋までの出没の予報を出す。県の担当者は「暖冬の影響で冬でもクマは出没する。予報を活用するなどして注意をしてほしい」と話している。

(市街地で猟銃使えず、わな頼み:秋田)
秋田市御所野湯本の運送会社倉庫に入り込んだクマは、発見から4日目の9日に捕獲され事態は収束した。住宅が近く猟銃を使えなかったため、箱わなに頼らざるを得ず難航。市の担当者は「出没は想定外の出来事。最善を尽くしたが、もっと早く捕まえることができれば良かった」と疲労感をにじませた。クマは6日午前に倉庫で目撃され、市は出入り口を封鎖。7日午後1時20分ごろに箱わな周辺にいるクマがカメラに映って以降、1日半以上姿を確認できていなかった。

(管理獣にクマ指定、まずは生息調査が必要だ)
本州のツキノワグマと北海道のヒグマが今年4月にも「指定管理鳥獣」に追加されることになった。環境省の専門家検討会の対策方針案を受けて伊藤信太郎環境相が表明した。統計開始以来、最多となった人身被害を踏まえた措置である。ただし、クマの捕殺数の急増は避けたい。クマは種子の散布など奥山の森林生態系の持続にとって重要な役割を果たす大型獣である。指定管理鳥獣に定められると都道府県による捕獲などの費用が国からの交付金の対象になる。結果として捕殺圧が高まる方向に作用することは避けられないだろう。実施に当たっては慎重な制度設計が必要だ。その第1が生息数の調査である。環境省によってツキノワグマの数が調べられたのは約10年前で1万5千頭前後と推定しているが、あまりに古い。県ごとの調査もあるが、クマはナワバリを持たず、県境をまたいで移動するので総計と実生息数には差が生じる。集本州のツキノワグマと北海道のヒグマが今年4月にも「指定管理鳥獣」に追加されることになった。環境省の専門家検討会の対策方針案を受けて伊藤信太郎環境相が表明した。統計開始以来、最多となった人身被害を踏まえた措置である。ただし、クマの捕殺数の急増は避けたい。クマは種子の散布など奥山の森林生態系の持続にとって重要な役割を果たす大型獣である。指定管理鳥獣に定められると都道府県による捕獲などの費用が国からの交付金の対象になる。結果として捕殺圧が高まる方向に作用することは避けられないだろう。実施に当たっては慎重な制度設計が必要だ。その第1が生息数の調査である。環境省によってツキノワグマの数が調べられたのは約10年前で1万5千頭前後と推定しているが、あまりに古い。県ごとの調査もあるが、クマはナワバリを持たず、県境をまたいで移動するので総計と実生息数には差が生じる。環境省と生息都府県がまずなすべきことは、正確な生息数の把握である。専門家検討会もこの点を指摘しているようだが、調査方法と推計方式、時期などを統一して行わなければ精度が落ちる。環境省には、ただちにこの総合調整に本腰を入れてもらいたい。それなしに指定管理鳥獣としての駆除に走ればツキノワグマは絶滅に向かう。令和元年以降、昨年末までの5年間で捕殺された個体は、狩猟分を除いて約2万5千頭に上る。既に過剰捕殺が危惧されるレベルだ。クマはなぜ市街地にまで出没して「アーバンベア」と呼ばれるようになったのか。ドングリ類の不作もあろうが、根源的な原因は中山間地の人口減だろう。増えた耕作放棄地はクマの行動圏に化している。

(クマの指定管理鳥獣追加に歓迎の声:北海道)
全国で相次ぐクマの人身事故に対応するため、捕獲や生態調査に国の交付金が出る「指定管理鳥獣」にクマが追加される方針が8日に決まり、北海道内ではヒグマ対策の進展への期待が高まっている。一方で、支援の内容がまだ分からず、地域の実情に沿ったものになるか不安視する声も出ている。鈴木直道知事は昨年11月、他県と連携して指定管理鳥獣への追加を国に要望しており、「スピード感を持って対応をいただいたことに感謝を申し上げたい」と評価した。より精度の高い個体数調査や詳しいモニタリングへの財政支援が充実すれば、「絶滅を防ぎながら、地域で何頭捕獲すれば市街地出没を抑制できるか割り出し、人とクマのよりよい環境につながる」(道ヒグマ対策室)との期待も高まる。約197万人が暮らす大都市・札幌市でも、ヒグマの出没が相次ぎ、2021年には市街地に出没したクマに襲われた4人が負傷している。秋元克広市長はこの日の記者会見で、追加指定について「クマ対策への大きなひとつの転換点になるのでは」と言及。「今後、環境省から出される方針に沿って、北海道とも連携をしながら市民の安心安全を守っていきたい」と話した。ただ、支援の内容がまだ分からないことについて道の担当者も「白紙の状態」と表現。鈴木知事は「地域の実情を踏まえた取り組みになるように、東北各県とも連携をして、国に(支援を)求めていきたいと考えている」と述べた。

(クマを指定管理鳥獣に追加へ:岩手)
クマによる被害が過去最悪となる中、環境省が設置した専門家による検討会は、クマを「指定管理鳥獣」に追加し、生息状況を適切にモニタリングした上で捕獲することを国が支援すべきだとする対策方針を提言しました。環境省のまとめでは、今年度クマの被害を受けた人は先月までに全国で218人にのぼり、過去最悪だった2020年度の158人をすでに上回っています。北海道や東北の自治体は去年11月、国に対し、クマを指定管理鳥獣に追加し、捕獲や調査などにかかる費用を国が支援する対象にしてほしいと要望しました。こうした要望を受けて、環境省は去年12月から専門家による検討会で議論を進め、8日、検討会としての対策方針を提言しました。検討会が提言した方針では、クマの分布は本州などの広い地域で拡大傾向にあり、今後、人身被害がさらに増加するおそれがある一方で、四国では絶滅のおそれが高いとしています。そのため、四国を除く地域で、クマを指定管理鳥獣に追加して、国が捕獲や調査などの管理を支援する必要があるとしています。そして、すでに指定管理鳥獣であるニホンジカやイノシシは繁殖力が高いため、捕獲して半減することが目標とされているのに対し、クマは繁殖力が低いため分布や個体数などについてモニタリングを定期的に実施し、目的を明確にして過度な捕獲はせず限定的にする必要があるとしています。また、人とクマの空間的なすみ分けを図るため、これまで対策の基本とされた人の生活圏に侵入したクマなどを排除することに加え、人とクマの生息域の間に木を伐採するなどの環境整備や個体数管理を強化した「緩衝地帯」を作り、人の生活圏への侵入を防ぐことも必要だとしています。環境省は検討会の提言を受けて、伊藤環境大臣が近く、国としての方針を表明するとしています。【盛岡猟友会の稲葉順一事務局長の話】盛岡市のハンターでつくる盛岡猟友会の稲葉順一事務局長は「指定によりお金になるからとクマの捕獲が進むと、自然界のバランスを崩すのではないかと危惧しています。クマ被害の根本は人間が森林を伐採してクマのすみかを減らしてしまったことなので、猟友会だけに対策を任せるのではなく、木を植えて森林を元に戻すなどクマとの共存について行政が何か考えなければいけない」と話しています。

(クマを「指定管理鳥獣」に決定:秋田)
冬の間は冬眠しているはずのクマだが、秋田市では2月に町中に出没するという異常事態が起きている。2023年度のクマによる人身被害は、過去最多の218人(死者6人含む)。環境省は8日クマを「指定管理鳥獣」追加する方針案を決定したが、関係者に賛否の声が上がっている。6日、秋田市の物流倉庫で体長1mのクマ一頭が見つかり、倉庫内に留まったまま、既に50時間以上が経過している。クマが倉庫内に居座り始めて3日目。市は罠を仕掛けるなどしているが、捕獲には至っていない。このクマによる怪我人は確認されていないが、全国的に見ると2023年度のクマ被害は過去最悪の状況だ。環境省によると、2023年度のクマによる人身被害は、19道府県で死者6人含む218人に上り、過去最多となっている。こうしたことを受け、環境省の専門家検討会は8日、クマを「農産物や生活環境に被害を与える野生動物」とする指定管理鳥獣に追加する方針案を決定した。正式に指定管理鳥獣に追加された場合、クマの捕獲や捕獲従事者の育成などに対し国から交付金が支給されるこの決定について、人々の生活を守る立場の秋田県猟友会は必要な措置だと話す。秋田県猟友会・佐藤寿男会長:これだけ(クマの目撃情報が)増えているし、人身事故もあったことだし、やっぱり必要な処置だと思いますので、私自身は賛成ですしかし、クマとの共存を訴える日本熊森協会は、クマの捕獲強化そのものに異議を唱えている。日本熊森協会・室谷悠子会長:生息地と餌場の問題をどうするのか、突発的な人とクマとの遭遇を防ぐような草刈りであったり、誘引物の除去とかそういうことにこそ予算をかけるべき環境省は、クマの生息状況のモニタリングを強化しクマの保全にも対応するとしている。

(クマを「指定管理鳥獣」に追加へ、捕獲などで国から補助金:山形)
今年度、クマによる被害が過去最悪になっていることを受け、伊藤環境大臣は、4月中にもクマを「指定管理鳥獣」に追加することを明らかにしました。環境省と山形県によりますと、去年4月から先月末までにクマの被害に遭った人の数は、全国で過去最多の218人、山形県内では5人となっています。きょう専門家による検討会で、絶滅のおそれが高い四国以外の地域で、クマを「指定管理鳥獣」に追加する案が了承されました。追加されれば都道府県がクマの捕獲などをする際に、国から補助金などの支援を受けられるようになります。これを受け、伊藤環境大臣は、クマが冬眠からさめる4月中には指定したいとの考えを示しました。伊藤環境大臣「絶滅のおそれのある四国の個体群を除き、クマ類を指定管理鳥獣に指定します」一方で、環境省はクマの過度な捕獲が行われないよう、それぞれの自治体に生息エリアなどを継続的に把握するよう求めていく方針です。

(サルの食害対策急務、浜通り中心に:福島)
東京電力福島第1原発事故で避難指示などが出された12市町村で、ニホンザルによる農作物の食害が懸念されている。12市町村を含む浜通りのサルによる昨年度の食害は224万円で、前年度の40倍以上になっている。関係者は「営農再開が進むほど、被害は大きくなっていくのではないか」と、対策を講じる必要性を指摘する。浪江町の立野下(たつのしも)行政区での取り組みを取材した。「けっこう大きな音がするよ」。南相馬市に隣接した立野下行政区で農業を営む男性(73)は、サル追い払い用の花火に点火し、住宅から山林の方角に向かって放った。「パン」という猟銃を撃ったような音が連続で集落に響く。「前は40匹ぐらい出てきていたから、大人でも怖かったよ」と語る。原発事故前の浪江町では、サルの群れが生息していたのは町の常磐道よりも西の地区だった。しかし、全町避難で住民がいない間に生息域は拡大し、2017年に町の一部の避難指示が解除された時には、平野部でもサルの群れが見られるようになった。別の男性(74)は「動物の群れの中に人間が帰ってきたようだった」と振り返る。立野下行政区は「川房群」と呼ばれる100匹を超える群れの縄張りになっていた。町は、住民と協力して花火などを使ったサルの追い払いを始めた。同時に、群れの数を花火で追い払える規模にコントロールするため、罠によるサルの捕獲も進めた。現在は群れを30匹弱にまで減らしたこともあり、立野下行政区では住民の顔を見ただけでサルが逃げる状況まで持ち込むことができた。だが、川房群は追い払いの動きが弱い地区では人家に近づき、農作物に手を出しているという。浪江町では、このほか平野部だけでも「山麓線群」と「高瀬川群」というサルの群れが確認されている。その生息域は、昨年3月に避難指示が解除され、今後営農再開が進むことが見込まれる特定復興再生拠点区域(復興拠点)に近い。町の担当者は「住民がまだ少ない場所でどのようにして被害を防いでいくかが、被災地のサル対策の課題になっている」と指摘する。12市町村のサルの生息域は震災前、飯舘村や南相馬市、浪江町などの山間部にとどまっていた。しかし、復興庁の2023年1月の調査では、42の群れに2600匹が生息し、活動範囲は平野部にまで広がっている。住民避難で、サルの進出を抑えていた人的な圧力が弱まったことが影響している。

(「絶滅させようとしていない」保全への配慮も発信、クマ「指定管理鳥獣」へ)
各地で人的被害を出したクマが、捕獲のしやすい「指定管理鳥獣」に指定される方向が決まった。クマは全国的に生息域が拡大し、市街地への進出、農作物の害が問題となっていた。環境省の専門家会合では、クマの保全にも配慮し人とクマの棲み分けを打ち出しており、今後はこうした姿勢の情報発信や、クマの生態を観察する人材の育成・確保などが必要な取り組みとなる。環境省によると、クマの生息域は四国・九州を除き、全国的に拡大傾向。特に北海道のヒグマは平成15年度からの30年度までの間、分布域は1・3倍に拡大、令和2年度の推定個体数は1万1700頭となった。北海道では、冬眠から覚めた「春熊」の駆除の廃止したことに加え、林業従事者や狩猟者の減少で森林内での活動人口が減り、人への警戒心が薄れたことがクマ被害拡大の要因となった。また、農業の機械化、営農規模の拡大で農地に人が減る一方、電気柵などの防除が行き届かないなか、飼料用作物の「デントコーン」を中心に食害が広がる。ロシアのウクライナ侵略に伴う飼料価格の高騰を受け、国内生産が進んだことも拍車をかけた。8日に環境省で開かれた専門家会合「クマ類保護及び管理に関する検討会」では、委員から「人身被害が広がっており危機感がある」「従来の対策では不十分」との声があがった。「『捕獲』と言うことでハレーションが起きやすい。絶滅させようとしていないが、なかなか伝わっていない」という発言も。昨年秋に全国に被害が広がって以降も、環境省にはクマの指定に対する反対の声が寄せられていた。すでに指定管理鳥獣に指定されているニホンジカとイノシシは、平成25年に令和5年までの10年間で半減させる計画が立てられていることで、クマも同様の扱いになると混同したとみられる。今回の方針の目的が、クマとの軋轢の低減のため、人とクマのすみ分けを進めることを明示し、生息状況などのモニタリング(観察)に重点を置く。委員からは「適切な情報発信が必要」などの声があがった。また、モニタリングを行う人材の育成・確保も必要だ。委員の1人は「かなりの労力を割く必要がある。実施しようとするための態勢を担保しなくてはいけない」と指摘。交付金が人材育成などにも活用できるよう柔軟な運用を求めた。

(クマも“指定管理鳥獣”へ、一方で規制強化議論のハーフライフル銃:北海道)
北海道内をはじめ全国で問題となっている、市街地に出没するクマ「アーバンベア」。人身被害は過去最多となり、道内でも幌加内町などで死亡事故が起きています。8日に大きな動きがー(伊藤信太郎環境相)「4月ごろから冬眠が終わって出没するので、4月中に指定の手続きを完了したいと考えている」。国は「指定管理鳥獣」にクマを追加する方針を明らかにしました。指定管理鳥獣にクマが追加されれば、ニホンジカとイノシシに続き3例目で、駆除や調査を行う都道府県が国から交付金を受けられるようになります。(鈴木知事)「きわめてスピード感をもって対応いただいたことに、まずは感謝を申し上げたいと思います」。クマ対策が前進する一方、懸念される動きもークマの駆除にも使われる「ハーフライフル銃」です。“ライフル銃”は10年の狩猟経験がないと所持できませんが“ハーフライフル銃”は1年目の若手ハンターでも持つことができます。ハーフライフル銃は同じく1年目から持てる散弾銃よりも遠くの獲物を狙うことができます。(石狩銃砲火薬店 佐々木一哉さん)「散弾銃は50メートルほど、ハーフライフルは最大150メートル、それぞれ有効射程が違います。北海道は猟場が広いため最低ハーフライフルは使う。そういったところでは絶対に必要だと思います」。しかし、長野県で警察官を含む4人が殺害された事件をうけて、警察庁は凶器に使われたハーフライフル銃を「10年の狩猟経験が必要」とする規制強化に乗り出したのです。猟友会や研究者は、若手ハンターの減少につながる可能性が高いとして反対声明を出していました。(北海道猟友会 奥田邦博札幌支部長)「ハンター側に指定管理鳥獣で積極的捕獲を示されても、ハンターが減っていく状況が続けばテーブルだけの数字になるのかなと」。クマの管理に向け制度の整備が進む一方、対策を担う現場の声に耳を傾けた議論が求められています。

(イノシシと遭遇、対策は)
イノシシと遭遇した人が襲われてけがをする事故が、各地で後を絶たない。2023年度も多数のけが人が出ている。捕獲数も年々増加し、00年代以降はその傾向が加速したという。専門家は管理されていない土地が増えているためだと指摘し、注意を呼びかける。

(小学生ら計12人をかんだ四国犬、狂犬病の予防注射せず:群馬)
おととい、群馬県伊勢崎市の公園で小学生ら12人が犬にかまれた事件で、この犬が狂犬病の予防注射を打っていなかったことが分かりました。この事件はおととい夕方、伊勢崎市の公園で小学生9人を含むあわせて12人が犬にかまれ、けがをしたものです。かんだのは体長1メートル30センチほどの四国犬ですが、その後の伊勢崎市への取材で、この犬が法律で義務付けられている狂犬病の予防注射を打っていなかったことが新たに分かりました。伊勢崎市によりますと、「狂犬病予防法」は犬の飼い主に▼市町村への登録と、▼年1回の狂犬病の予防注射を義務付けていますが、けがをさせた犬はこの登録がなく、予防注射をした記録がないということです。犬の飼い主はあわせて7頭の四国犬を飼っていますが、市役所への登録は3頭だけで、この3頭の予防注射の記録はおよそ10年前が最後だということです。犬は県の動物愛護センターで保護されていて、警察が飼い主の男性から話を聴くなどして当時の状況を調べています。

(狂犬病は人が発症したら100%死亡、犬への予防接種は法令義務:群馬)
群馬県伊勢崎市で小学生らが犬にかまれた事案に関連し、X(ツイッター)などでは狂犬病への関心が高まり、「狂犬病の予防接種」「狂犬病ワクチン」のワードが一時トレンド入りした。厚生労働省によると、狂犬病に感染した動物に人がかまれたり、ひっかかれたりして、唾液に混ざったウイルスが傷口から体内に侵入すると狂犬病に感染し、発症するとほぼ100%死亡する。ただ、感染した後、ワクチンを連続して接種することで発症を防ぐことができるという。人に感染させる主な動物は犬だが、猫▽キツネ▽アライグマ▽スカンク▽コウモリ▽マングース――などからもうつる可能性があるという。一方、通常は人から人に感染することはない。狂犬病に感染した犬の症状には、極度に興奮し攻撃的な行動を示す「狂騒型」、下半身から上半身にまひが広がり、食べ物や水がのみ込めなくなる「まひ型」がある。人が感染した場合は、強い不安感▽一時的な錯乱▽水を見ると首の筋肉がけいれんする▽高熱▽まひ▽全身けいれん――などが起き、呼吸障害などの症状を示して死亡する。世界保健機関(WHO)の推計によると、狂犬病に感染して死亡する人は世界で年間約5万5000人。このうちアジア地域が3万人以上という。一方、日本は世界でも数少ない「狂犬病の発生がない国」とされる。海外で犬にかまれるなどして帰国後に発症する「輸入感染事例」を除けば、国内での発生報告は1956年の人、57年の猫を最後にない。50年に制定された狂犬病予防法は、犬の飼い主に対し、犬への年1回の予防接種を義務づけ、違反者には20万円以下の罰金を科している。また、飼い主の意思に反して、飼い犬が通行人らにかみつくなどしてけがをさせると、過失傷害や重過失傷害の罪に問われたり、損害賠償を請求されたりする可能性がある。

(「わな」のシェアリングサービス:長野)
鹿の害獣被害が深刻化する中、捕獲用のわなシェアリングサービス「罠ブラザーズ」が注目を集め始めている。わなの所有権を購入し、そのわなで鹿が捕れたら鹿肉として還元されるという斬新な仕組みだ。捕獲された鹿が大量廃棄されてしまう問題への対策にもなる。この画期的なサービスがどう生まれたのか、ビジネスモデルなどの秘密に迫った。近年、深刻さを増す害獣被害。特に農作物や森林への食害、車道への飛び出しで自動車事故も引き起こす鹿の被害は多い。野生の鹿の肉を食べ、害獣対策に貢献しようとの動きが活発化する中、注目される取り組みが、長野県上田市の山学ギルドが展開するわなシェアリングサービス「罠ブラザーズ」だ。ポイントは「肉」ではなく、「わなを買う」こと。30日間限定でわなの所有権(1人税込み2万2000円)を購入することで、わなの設置や捕獲など猟師の活動に関する動画を受け取れ、わなにかかった鹿の肉も得られる。都会にいながら、狩猟を疑似体験できる点も魅力だ。サービス誕生のきっかけは、同社代表で書籍デザイナーの川端俊弘氏が東京から上田市に移住し、狩猟の奥深さと鹿肉のおいしさに目覚めたこと。一方で直面した問題が、狩猟で手に入れた1頭の鹿からとれる平均7~9キログロムもの肉を食べきれずに余らせてしまうことだった。ジビエが食文化として根付く欧州と違い、日本では駆除された野生動物の9割は活用されずに捨てられるというデータもある。せっかくの命を生かしたいとの思いに加え、「狩猟について語り合い、おいしい鹿肉を誰かと共有して味わいたい気持ちが生まれた」(川端氏)。上田では、話しても聞き流されがちなのに対し、仕事相手など都会の人に「狩猟を始めた」と切り出すと、身を乗り出して聞いてくれる。そして川端氏は、単なるジビエ販売ではなく、「狩猟というプロセスをからめた都市生活者向けの企画」に可能性を感じた。山学ギルドを結成し、野生の鹿が増え、農作物の被害を受けている「里山」、猟では生計を立てづらい「猟師」、環境に貢献したいがどう行動すればいいのか分からない、肉を食べることに倫理的な疑問を感じるといった「都市生活者」、それぞれの課題解決に役立つ仕組みとして罠ブラザーズを考案。現在は、山学ギルドと食季cafe展、土とデジタルが共同で運営している。2020年2月のサービス開始後、これまでに罠ブラザーズの販売を8回実施し、延べ100人を集客。初回の参加者は友人や知人など数人だったが、評判が口コミで広がり、取材も相次いだことで、回を追うごとに参加者が増加。23年10月に実施した直近の回には、過去最高の30人以上が参加した。

(アライグマ捕獲等従事者について:埼玉)
埼玉県では、特定外来生物であるアライグマによる被害を防止するため、外来生物法に基づき「埼玉県アライグマ防除実施計画(県計画)」を策定し、市町村においてアライグマの防除対策を実施しています。アライグマの捕獲は、箱わなを使用するため、鳥獣保護管理法に基づき、原則として「わな猟免許」保持者でないとできません。しかし、県計画に基づき捕獲する場合に限り、県が開催する研修を受講し、捕獲を行う地域を所管する市町村での従事者登録により、わな猟免許非保持者であってもアライグマの捕獲に従事することができます。なお、この制度で捕獲することができるのはアライグマだけです。アライグマの他、ハクビシン等も含めた有害捕獲が目的の場合は、原則としてわな猟免許を取得の上、「有害鳥獣捕獲許可」を受ける必要があります。深谷市内を所管する埼玉県北部環境管理事務所管内において、例年秋ごろに「アライグマ捕獲等従事者研修会」が開催されます。日程が定まりましたら、県HPや市HPに掲載されます。受講を希望される際には日程をご確認の上、環境課までご連絡ください。

(イノシシ被害を防げ!理大狩猟部が二俣瀬の山林に箱わな設置:山口)
山口東京理科大狩猟部の部員らが9日、宇部市二俣瀬善和の山林にイノシシを捕獲する箱わなを仕掛けた。設置場所は農業を営む辻野正吾さん(69)が所有する山林にあるクリ園。辻野さんらが住む集落では田畑がイノシシに荒らされる被害が続いており、昨年末に新聞記事で同部の活動を知り、設置を依頼した。同部の義岡士門部長(工学部応用化学科2年)をはじめ部員5人と、外部講師の西日本ジビエファーム代表の仲村真哉さんが現地を訪れた。部員自らが大学の工作室で作った鉄製の箱わなを軽トラックに積み、辻野さんの先導で道幅が狭く起伏の激しい山道を進んだ。クリ園に到着すると、すぐにイノシシの足跡を見つけ、手分けして出没する経路を探った。イノシシが西側の斜面を下り、沢を渡って侵入していることを突き止めると、通り道の草むらを抜けた場所に箱わなを設置。わなの入り口と周辺に餌の米ぬかをまいた。仲村さんは「イノシシが安心して中に入って餌を食べるまで、入り口の扉は閉めない。定期的に巡回して米ぬかを補充しながら、徐々に奥の方にまいていってイノシシを中におびき寄せる」と説明した。全国でも珍しい狩猟部では、現在20人の部員のうち12人がくくりわな、箱わなを扱うわな猟の免許を取得。箱わなは西万倉と山陽小野田市西高泊にも設置している。イノシシの狩猟期は3月31日まで。辻野さんは「困っている地域の人や協力してくれた学生たちのためにも、1頭でも2頭でも捕獲できるとうれしい」と話した。

(深刻な“シカ”による事故や食害:北海道)
北海道内では増加するシカにより、交通事故や農作物などへの深刻な食害も相次いでいます。被害を食い止め、有効活用を模索する現場の最前線にカメラが入りました。2023年10月、札幌市の中心部に現れた大きなツノを生やしたシカ。道路の真ん中を悠々と歩き、警察官やパトカーが追いかけます。さらに…列車の前に飛び出すシカの群れ。北海道内ではいまシカの出没による事故や被害が相次いでいます。これは札幌市南区の果樹園で2023年4月に撮影された映像。100年以上の歴史を持つ「砥山ふれあい果樹園」は10年ほど前から食害に悩まされ、収穫量は4割近くも減りました。リンゴの木は皮が剥がれ、痛々しい姿に…これも全てシカが食べた跡です。果樹園の4代目、瀬戸修一さんです。シカの侵入を防ぐため、夏ごろから電気柵の作業をしてきましたが、冬のこの時期は、特に侵入されやすいといいます。800メートルにもなる電気柵の間から侵入を防ぐため、縦にもロープを入れて網の目のように補強しています。北海道内ではシカの食害が深刻です。2022年度は48億円を超え、過去5年で約10億円増えました。「とにかく安全に、市民は駆除を求めている」(北海道猟友会 奥田邦博 札幌支部長)。深刻な事態に札幌市も北海道猟友会などと連携し捕獲を進めています。1月14日、食害に苦しむあの果樹園にも近い札幌市南区で大規模な駆除が行われました。早朝にも関わらず、約90人のハンターが参加しました。シカをグループで駆除する時、役割が分かれています。声などで音を出しながら追い立てるのが「勢子(せこ)」という役です。反対に追い立てられたシカを待ち受けて駆除するのが「待ち」という役です。連携しながら駆除が進められます。一方、効率よく駆除するためにこんな方法もとられています。シカを追い立てる音が出る花火です。お互いの位置を確認しながら安全に駆除を進めます。さらに2023年からはドローンも活用されるようになりました。シカの居場所を特定し無線で指示を出し、追い込んでいきます。この日は4時間ほどで16頭のシカを駆除しました。「2023年13頭取っているが全部オスだった。2024年は16頭全部メス、ということは2025年の増加の抑止になる。(駆除したシカは)解体研修に使って、自家消費用に持って帰る。動物関係の学校の解剖に提供したり、犬のブリーダーの方にも犬のエサ用に差し上げる。使えるものは使う」(北海道猟友会 奥田邦博 札幌支部長)。シカの被害や有効活用策を学ぶ取り組みも行われています。北海道南部・知内町の知内中学校では1月26日、被害の実態やシカ肉になる過程を学ぶ食育の授業が。授業が終わると…この日は提供されたシカ肉で作ったドライカレーが給食メニューになりました。町によりますと給食用の肉は寒い冬に捕獲され、かつ2時間以内に加工場に運ばれるなど安全性の高いものを選んでいます。中にはドライカレーをメガ盛りにする生徒も。初めてのシカ肉給食は好評だったようです。協力したハンターは…「やってよかった。おいしいって言ってくれて。命ですからとったものなので、無駄なく使っていければ」(ハンター 一之谷駿さん)。シカの出没が急増し深刻な被害に悩む北海道内。被害を食い止めながら有効活用する模索が続いています。(なぜ反対?ハーフライフル銃規制、“北海道の事情”とは)銃刀法の改正案が議論を呼んでいます。改正案には猟銃の1つ「ハーフライフル銃」の規制を強化し、威力の強いライフル銃と同じように、猟銃を持ってから10年たたないと持てないようにする内容が盛り込まれています。これに対し、道はヒグマやエゾシカの駆除対策への影響が懸念されるとして、道内の事情に配慮するよう国に要望しました。さらに、道内の野生動物団体や猟友会、そして知床財団からも相次いで反対の声明が出ています。いったいなぜなのでしょうか?北海道の現場からリポートします。猟銃には、大きく分けて3つの種類があります。▽ライフル銃:銃身に「ライフリング」と呼ばれる溝がある▽散弾銃:粒状の弾が拡散して飛んでいくそして、今議論の対象となっている▽ハーフライフル銃です。ライフル銃は銃身の中で弾が溝に沿って回転するため、200メートル以上先まで正確に狙うことができるのが特徴です。威力が強いため、銃刀法ではライフル銃を所持するには散弾銃などを10年間継続して使用した実績がなければならないと定めています。散弾銃でも弾が飛び散らない「1発弾」を撃つこともできますが、射程は50メートルほどとなっています。そして、散弾銃とライフル銃の中間に位置する銃と言えるのが「ハーフライフル銃」です。ライフリングが銃身の半分以下までしか刻まれていない銃のことで、射程は散弾銃の3倍ほどの150メートルがあります。一方で、散弾銃同様、新人のうちから所有することができるのが特徴です。1月、地元猟友会が新人ハンター向けの研修会を行うと聞き、十勝の浦幌町を訪れました。帯広市など各地から集まったのは、20人あまりの若手ハンターたち。その多くは去年狩猟免許と猟銃の所持許可を受けた新人です。新人ハンター全員が手に持っていたのは、「ハーフライフル銃」。彼らにこの銃を選んだ理由を聞きました。北海道銃砲火薬商組合の沖慶一郎組合長によると、北海道ではエゾシカ猟やヒグマ猟を目的に銃を購入する人のほとんどがハーフライフル銃を選んでいるといいます。それは、北海道で猟を行うフィールド(猟場)が広いこと、そして雪で藪が覆われ、遠くまで見通しやすいことが影響しています。遠くにいるエゾシカやヒグマを狙うケースが多いため、新人のうちから射程の長いハーフライフル銃を選ぶ人が多いのです。浦幌町で行われた研修会でも、ハンターたちが狙ったのは100メートル以上離れた場所にいるシカでした。ハーフライフルの射程はおよそ150メートルですが、それでも走っているシカを仕留めるのは簡単ではありません。法改正によって新人や若手ハンターが散弾銃しか所持できなくなると、50メートルの距離まで近づかなければならず、仕留めるのは困難だという声が聞かれました。ベテランハンターも若手への影響を懸念しています。北海道猟友会帯広支部芽室部会 菅野薫さん「散弾銃ではダメです、当たらないです。50メートルなら当たります。だけどそれを越えて150メートルまでいくと当たる『かも』しれない。ハーフライフル銃がダメになったら、シカを撃つのがかなり難しくなりますね。新人がやる気をなくすというか、やろうという人が少なくなるのは間違いないと思いますね」。今回の規制強化の背景にあるのは、去年、長野県で警察官2人を含む4人が殺害された殺人事件です。この事件で凶器として使用されたのが、ハーフライフル銃でした。銃刀法の改正案では、ライフル銃同様、銃を所持してから10年たたないとハーフライフル銃を所持できなくする方針です。一方、道は規制が強化されれば、ヒグマやエゾシカの駆除への影響が懸念されるとして、国に配慮を求めています。仮に散弾銃でヒグマに立ち向かうとすると、50メートルの距離まで近づく必要があります。ヒグマは時速60キロで走ることができると言われていて、2秒から3秒程度で反撃されるおそれがあります。さらに、道内では、エゾシカなどによる農林水産業への被害が年間58億円あまりに達し、昨年度まで3年連続で増加しています。道内では狩猟と駆除を合わせて1年間に14万頭以上のシカが捕獲されていますが、それでもシカの推定生息数は72万頭と増え続けているのです。今回の改正案には、農業被害をもたらす野生動物の駆除に積極的に関わるハンターも、影響を懸念しています。音更町の農家の山下智洋さん(47)は5年前にハンターになり、やはりハーフライフル銃を使っています。山下さんは年を追うごとに、行政などから依頼されて行う「駆除」の負担が年々増しているといいます。1月、音更町内で山下さんの猟に同行しました。車で走行中、雪に覆われた畑に、ぽっかりとあいた大きな穴をいくつも見つけました。山下さんによると、シカがほじくって食べた秋まき小麦だといいます。団塊の世代のベテランハンターの引退が迫るなか、ハーフライフル銃の規制強化で駆除を担う若手がさらに減る事態に陥りかねないといいます。山下さんは、このままでは相次ぐ農業被害に対応できなくなることを懸念しています。野生動物管理が専門の東京農工大学の梶光一名誉教授は、規制ありきの議論ではなく、地域の現状をふまえた仕組みづくりが必要だと指摘しています。「何かあれば規制するというのがこれまでのやり方なのですが、ハーフライフル銃がどういう役割を持っているのか考える必要があります。北海道ではただでさえシカの個体数管理が厳しくなっていて、ハーフライフル銃を規制しなくても非常に危険な状況です。地域の特性もなく、この重大な問題が一体どういうものかという議論がないままに、色んなことが進んできてるという印象を持ちました。規制するにしても、短絡的なやり方ではなく、どうすれば銃が安全に使われるか考えつつ、公的な役割を果たす役割を持つ者に対しては、認証していく仕組みを持って銃を管理するというのがいいのかなと思います」。

(狩猟は午前に、在宅ワークは午後に)
IT(情報技術)エンジニアの山本暁子さん(42)の仕事場は鳥取市内の自宅リビング。6年前、夫婦でUターンし、在宅でソフトウエアのプログラミングなどの仕事を受けている。新型コロナウイルス禍で定着したリモートワーク。都心と比べ家賃や生活費を抑えられる地方の生活を選択する人も増えてきたが、山本さんにはこの場所に住み続けるもう一つの理由がある。2月初旬、トラクターを運転する農家の男性に呼びかけられ、軽トラックを山あいに走らせた。2日前に仕掛けたくくりわなに雌のシカの脚が絡みついていた。素早く道具を出して気絶させ、腰に下げたバッグからナイフを取り出し仕留める。「ごめんね、痛かったね」。声をかけながら、食用として味が落ちないよう血抜きをした。山本さんは地元猟友会に所属する猟師。シカやイノシシなど年間100頭前後を捕獲している。午前中はわなの設置、見回りなどにあて、午後は在宅ワーク。最近は猟に関する雑誌への執筆依頼なども増えてきた。最初から猟師を志していたわけではない。大学進学を機に地元を離れ大阪へ。卒業後は食品メーカーの研究職に就き、当時交際していた今の夫が東京のシステム開発会社に就職が決まると、その会社に転職した。仕事を続けるうちに、勤務時間と場所が決められている働き方に違和感を覚えた。「安定収入のために、自分の時間を売っているようだった」。もっと自由に働ける仕事はないか。在宅で受注が見込めるプログラミングの勉強を進め、夫と結婚した頃に会社を辞め独立した。当時在宅ワークは浸透しておらず、収入は不安定に。雑誌の編集や、塾講師などのアルバイトをすることもあった。転機は鳥取県への帰省だった。田舎と思っていた故郷に久しぶりに戻ると、インターネット通販は注文から間を置かずに届き、通信環境も整っていた。「これなら生活しやすい」。夫婦で2018年に移住した。数カ月過ぎたころ、集落の集まりに参加した。そこで振る舞われたイノシシ肉の味わいに驚くと「そんなにおいしいなら自分でとったらええ」と声をかけられた。勧められるまま、わなや銃の免許を取り、有害鳥獣捕獲の資格を得た。猟師になるつもりはなかったが獣害を目の当たりにし考えが変わった。移住後に手掛けたかぼちゃ畑がイノシシに食い荒らされ、呆然(ぼうぜん)として涙も出なかった。近所の高齢農家が大事に育てた作物を獣害で失う姿が思い出された。シカやイノシシなどによる農作物被害は全国的に深刻な課題だ。鳥取県だけでも被害額は22年度で5800万円超だ。「時間に融通が利く自分なら猟師もできるはず」。先輩猟師に技術を学び経験を積んでいった。捕獲すると鳥取市から補助金などが出るが、わなや猟銃の弾、ガソリン代などの経費でほぼ使い切ってしまう。猟師は在宅の仕事の副業と位置づけている。「生計の立て方を含め責任を負う部分は大きいが、自分のペースで計画を立て勇気があればとことん挑戦できる」のが今の働き方の魅力という。動物が大好きで猫とも暮らしているが、猟ではその気持ちに一線を引く。「共生できるのが一番。彼らに申し訳なさを感じることも、つらいときもある」。考え込んだときは夫と話をする。狩りをする自分を納得させる大切な時間だ。欧米で野生動物の個体数の管理や環境保護などを担う「レンジャー」のような専門職を、日本でも成立させることが夢だ。猟で生計を立てられるよう、地元の「道の駅」などとも協力してジビエの普及や販路拡大に取り組む。「自分で人生を決めている充実感がある」。ほほ笑む彼女を乗せた軽トラがきょうも山を駆けていく。

(畑マタギの姿、克明に:青森)
青森県むつ市川内町の畑(はた)集落に受け継がれているマタギ文化にスポットを当てた企画展が10日、市海と森ふれあい体験館で始まった。クマを仕留めた際の儀式「シオクリ」に使う道具、やりなどの狩猟用具、民具、写真など資料約60点を通じて、厳しい自然の中で命と向き合ってきた畑マタギの姿を詳しく紹介している。3月16日まで。畑マタギの起源については諸説あるが、天保12(1841)年に南部藩が鉄砲所持を認めた鑑札が残っており、この頃には職業として成り立っていたとみられる。かつて集落の男性は一度は銃を手にしていたといい、その中から選ばれた者だけがマタギとなり、しきたりを受け継いできた。ただマタギは年々少なくなり、現在、こうした儀式を務められるのは大澤専悦さん一人だけだという。同館スタッフで地域おこし協力隊の山田菜生子さんが畑マタギに興味を抱いて企画。昨年以来、全国的にクマの出没が増え、国が指定管理鳥獣に追加する方針を示していることから、山田さんは「人との共生が求められている。畑マタギが何かを考えるきっかけになれば」と話した。企画展は入場無料。最終日の3月16日午後1時半からは、大澤さん、畑マタギの血筋に当たる上山洋助さん、畑マタギに関する著書がある登山家・作家の根深誠さん(弘前市)による座談会を開く。

(倉庫にクマ3日目、わな設置も捕獲に至らず:秋田)
秋田市の倉庫にクマが入り込んでから3日目となりますが、いまだに捕獲には至っていません。6日の昼前、秋田市御所野の運送会社の倉庫にクマがいるようだと通報がありました。7日、捕獲に向け、酒かすとハチミツを入れた箱わなが設置されましたが、現在もクマは捕獲されていません。わなに入ったかどうかはカメラを置いて確認できるようにしていて、建物の周辺では警察や市の職員が警戒にあたっています。

(倉庫侵入クマ、わなで捕獲:秋田)
秋田市の運送会社倉庫に入り込んでいたクマが9日午前5時15分ごろ、箱わなに入り捕獲された。6日に倉庫内にいるのが確認されていた。クマは麻酔をかけられ、ブルーシートに覆われた状態で倉庫からトラックで運び出された。クマは6日午前11時20分ごろ、倉庫で作業中の男性が発見した。市などは、倉庫に閉じ込めた上で箱わなを設置するとともに、好物の米ぬかや蜂蜜で誘導しようとしたが、難航。8日には、麻酔の吹き矢を使った捕獲を試みていた。近所の無職男性(78)は「冬場にこの辺りでクマが出たとは聞いたことがない。ようやく捕まって本当によかった」と安心した様子だった。

(「一番出たときは100匹」サルの大群に住民悲鳴:長野)
長野・佐久市で、数年前から多くのサルが水田に出没し、住民が被害を訴えている。市はおりを設置し、57匹のサルを捕獲しているが、今後も対策を検討する方針だ。1月13日、長野県佐久市の山あい。水田にいくつもの黒い影が見えた。サルの群れだ。その数、50匹以上。撮影した人によると、数年前から頻繁に現れるという。取材班が現場を訪れると、民家の近くの空き地にもサルの群れ。草を食べたり、追いかけっこをしたりと、我が物顔で振る舞っている。住民は「毎日出る。夏も冬も。一番出たときは100匹くらい。もうすぐ収穫できるところをとられちゃう」と話している。なぜ、こんなに多くのサルが、水田に現れるようになったのだろうか。長野県環境保全研究所によると、サルは落ちた稲の穂を食べていたとみられ、エサがあることを知って出没している可能性が高いという。2020年に市は、2台のおりを設置し、これまでに57匹を捕獲した。今後も住民と協議しながら、対策を検討する方針だ。

(住宅地近くで体長約1メートルのクマ1頭目撃:新潟)
新潟県阿賀野市で11日午後、体長1mほどのクマ1頭が目撃されました。目撃された場所は住宅地に近いため、警察が注意を呼び掛けています。警察によりますと、11日午後1時ころ、阿賀野市で住民がクマを目撃したなどと警察に通報がありました。クマは体長1mほどだったということです。クマが目撃された場所は住宅地から50メートルほどであることから警察は阿賀野市役所と連携して住民に注意を呼び掛けています。

(ジビエ料理のキャンペーン始まる:徳島)
県内で捕獲されたシカやイノシシなどの肉を使ったジビエ料理に親しんでもらおうという県のキャンペーンが、徳島市などで始まりました。県内で捕獲されるシカやイノシシなどの野生動物は増加傾向にあり、年間2万7000頭以上にのぼりますが、ジビエ肉の利用は限られています。このため県は、県内と東京の29の飲食店などと連携して、客がジビエ料理をスマートフォンなどで撮影して応募すれば、抽せんでジビエ肉などがもらえるキャンペーンを9日から始めました。このうち、JR徳島駅近くの飲食店では、シカ肉を使ったステーキやハンバーグなど、7種類のジビエ料理を提供しています。シカ肉は、美馬市木屋平から年間300キロほど仕入れていて、さっぱりした味わいが特徴だということです。店の渡辺勇樹社長は「地元の野山を駆け巡った野生の独特のおいしさが魅力です。この機会に味わってみてほしい」と話していました。徳島のジビエ肉のキャンペーンは3月10日まで行われます。

(県産ジビエ、中華祭で好評:大分)
県内で捕獲、処理されたイノシシなど野生鳥獣の肉(ジビエ)の消費先を拡大しようと、県などで作る大分ジビエ振興協議会は、消費されずに廃棄される予定だったイノシシ肉約50キロを横浜中華街(横浜市中区)の4店舗に無償提供し、中華料理に活用してもらう取り組みを実施した。中華の職人技で調理されたイノシシ肉はおおむね好評で、同会は販路拡大の手応えをつかんだという。横浜中華街で1月下旬にあった「中華ジビエ祭2024」に合わせて提供した。老舗中華料理店の「東園」では、葉ニンニクとの甘辛みそ炒めに調理され、別の台湾料理「許厨房」では、台湾バジルの特製ソースで炒め、ランチのセットメニューとして提供された。イノシシ肉は臭みが出ないよう加工されており、「食べやすい」などの感想が多かったという。

(猟師とシェフのおいしい獣害対策:三重)
地元産の鹿肉を使ったコース料理が、津市大門のホテルセンターパレス内のレストラン「黒がね」で提供されている。鹿は、猟師の早志伸之さん(50)=津市白山町三ケ野=が狩猟する。早志さんは「高級レストランを通じて、ジビエのおいしさを知ってほしい。食べることが獣害対策にもつながる」と語る。期間限定で、2月末まで。ランチコースは全5品で、1品目は、鹿肉のコンソメスープ。鹿の骨とスジを焼いて煮出している。メイン料理は「熟成鹿肉背ロースのロースト」。骨付きの鹿肉に、1日半かけて発酵させた赤ワインのソースを添えた。料理長の山本卓也さん(45)によると、県産の鹿肉は温暖な気候の影響で脂身が少ないという。

(冬季限定のワイルドなお弁当:岡山)
岡山県鏡野町の鏡野やま弁友の会は、冬季限定の名物弁当「やま弁『マタギ』」の予約販売を10日から鏡野町内の3施設で開始した。県北産のシカ肉料理をメインにした2種で、期間は2月末まで。今回は食事処どんぐり=鏡野町上斎原=と玄米工房ななほしや=鏡野町小座=のオリジナル。どんぐりの「マタギ弁当」は、シカ肉のヒレカツをメインに、ミニハンバーグ、地場産根菜の煮物などのおかずと白飯。ななほしやの「玄米ジビエバーガー弁当」は、シカ肉ハンバーグと玄米飯バンズのバーガーをメインに、地場産ニンジンとキクラゲのサラダ、卵焼きを添え、すべて小麦アレルギーに配慮したグルテンフリーに仕上げている。片田八重美同会代表(70)=鏡野町上斎原=は「それぞれジビエ肉をおいしく味わえるよう趣向を凝らして調理している。ワイルドな弁当をぜひ賞味してほしい」とPR。

(花園経験の元ラガーマンがジビエの世界に足を踏み入れたワケ:長野)
かつての広告マンが挑むのは、まったく経験がなかった猟師の仕事です。アスリートも絶賛するシカ肉で、地域を盛り上げようと奮闘しています。クラフトビールを豊富に揃える上田市のビアバーで、1月29日から期間限定メニューの提供が始まりました。訪れた人がこぞって注文していたのはシカしゃぶです。菅平で獲れたシカのロースやモモ肉を、昆布だしで湯がき、ポン酢で食べるというもの。腕をふるうのは石畠吉一(いしはたよしかず)さん。普段は、シカ肉をラガーマンに提供する活動を行っています。石畠吉一さん:「きっかけは菅平のスポーツ合宿がちょっとでも盛り上がればいいなっていうお節介です」。もともとは外資系の広告マンだったという石畠さんが、なぜジビエの世界に足を踏み入れたのか。自ら行うという狩猟に同行し、シカ肉を通した挑戦に迫りました。11月に猟期が始まってからは、毎朝、罠を仕掛けた3つの山を見回っています。石畠吉一さん:「シカがこうきて、これをまたぐように木が置いてあって、で押すと・・・(罠が作動) ほとんどユーチューブで勉強したんですけどね」。東京で外資系の広告マンとして働いていた時には、腰痛が悩みの種だったと言いますが。石畠吉一さん:「本当にこの仕事始めてから元気になりました。体が軽いです。山を歩くって根源的にいいことなんだと思います」。10年前に社会の課題を解決するための会社を立ち上げたあと、子育ての環境を考え、7年前に上田市に移住。会社の事業の一環として2022年から始めたのがシカ肉事業です。石畠吉一さん:「すごいことだと思うんです、グラウンド100面あって全国からラガーマンが集まって、毎年普通に行われることがすごいことなのに、すごくかっこよく見えていないから、なんかちょっとかっこよくなるように手伝いたいなと思ったんですよね」。自身も、高校時代に花園への出場経験があるラガーマン。菅平には合宿で何度も訪れました。十分に活用されていないと感じていたシカ肉で、思い出の場所でもあるこの地域を盛り上げたいと考えたのです。石畠吉一さん:「これ3日前にとれたメスの3歳くらいの前の足です」。2022年に狩猟免許を取得し、菅平に処理場も作りました。まったく経験のない異分野への挑戦でしたが、知り合いの猟師のあとについて山に入り、基本を教わると、その後は動画サイトで学ぶなど、試行錯誤を重ねています。石畠吉一さん:「(広告代理店時代)お客さんがプレイステーションとかグーグルとかだったんですよ。自分一人の力でできることなんて0.01%くらいなんですよ。もうすごいたくさんの人が関わって、まあ0.01%は少ないけど、もうちょっと頑張ってましたけど、けど少なくて、今は全部自分の力で毎年毎年の経験とかも踏まえてこうすれば美味しくなる、こうすれば美味しくなるって」。低脂質で高たんぱくのシカ肉をラグビーの合宿で菅平を訪れる学生や実業団の選手に販売していて、「翌日も胃に残らない」と好評です。2023年から、7人制ラグビーの日本代表・林大成(はやしたいせい)選手への提供も始めました。林大成選手のYouTube:「きょうは菅平のシカ肉です」「すごいよ、もう色が」。アスリートを通じて菅平の魅力を広めていければと考えています。「一生のやつじゃん」「うまいなあーうまい」。今年に入ってから菅平のホテルの中で、石畠さんのシカ肉を仕入れたいと手を挙げた人がいます。多くのスポーツ選手が合宿で利用する「ホテルシュワルツ」の料理長、ジャンさんです。ジャンさん:「菅平は陸上(の客)が一番多いから、陸上のお客さんは油とか揚げ物とかまったく食べないから、これ(シカニク)がいいと思う。今まではこういう風に簡単に手に入らなかったんだけど、今は菅平で手に入るからすごいいいと思うよ」。石畠吉一さん:「ありがとうジャン。完璧だよコメント」。石畠吉一さん:「何人かはすごい応援してくれていて、解体見に来てくれたり、プロのチーム来てるからシカ肉15キロ持ってきてくださいとか、自ら買ってくれたり徐々に上がっていってる感覚はあるので、本当にたくさん獲って、たくさんの人に食べてほしい」。菅平の特性を生かそうと考えた、シカ肉とスポーツの組み合わせ。「お節介」が実を結ぶまで、石畠さんの挑戦が続きます。

(ジビエをペットフードにもっと使うには:長野)
信濃毎日新聞社と小諸市などは9日、野生鳥獣肉(ジビエ)を利用したペットフードの需要拡大に向けたシンポジウムを松本市の信毎メディアガーデンで開いた=写真。約150人が来場。鹿肉を使ったペットフード製造の課題や動物病院での利用事例などを講演やパネル討論で話し合った。東海大総合農学研究所(熊本市)の特定研究員、川原井晋平さん(46)は鹿肉の脂成分は犬の活動に適しており、鶏肉やコメ、エンドウ豆を原料とするペットフードへの「トッピングに使える」と話した。東京都と神奈川県で動物病院7店舗を営む「FOR(エフ・オー・アール)」(東京都)社長で獣医師の細川範子さん(42)は低脂肪で、手術後の犬のリカバリー食などで活用していると説明した。鹿肉のペットフードへの活用を推進している小諸市と、昆虫食の可能性を探る「昆虫みらいプロジェクト」を展開する信濃毎日新聞社は鹿肉と蚕を使ったペットフードを共同で試作している。河原井さんは犬7頭を対象に試験的に実施した結果が「概ね良好で、合わない犬もいた」とした。

(シカ肉ペットフード開発、反響に手応え:神奈川)
農作物を荒らす有害鳥獣として駆除した野生動物の命を有効活用しようと、大井町のエクステリア会社が畑違いともいえるシカ肉を利用したペットフードを開発し、販売を始めた。同社は「奪った命を簡単には捨てられない。もっと商品開発して活用率を上げたい」と話す。県西部で門扉や庭などの外構工事を手がける「キャドエル」は昨年7月、ペットフード製造・直売店「ディアワン」(同町山田)をオープンした。駆除されたシカを材料にしたジャーキーなど犬用のペットフードを販売している。同社の井上直哉代表取締役(47)が松田町でミカン栽培をしている友人からシカ害の相談を受けたことがきっかけだった。最初は「捕獲してはどうか」と軽い気持ちで提案していたが、“有言実行”しようと一昨年の秋にくくりわなの免許取得を決意。有害鳥獣の捕獲から解体までを行っているNPO法人「おだわらイノシカネット」と小田原市が共同で開いている「小田原くくり罠(わな)塾」に途中入塾した。同法人が同市久野地区を中心に設置するわなでの実施研修で、井上さんが驚いたのはかかるシカの数だった。夏場は7、8頭もかかっている時があった。肉は基本的に参加者の自家消費となるが、余って埋設せざるを得ないときもあるという。以前、シカの骨を飼い犬に与えたところ「野生に戻ったかと思うほどよく食べた」(井上さん)ため、ペットフードに活用できないかと考えるようになった。

(高知商業高ジビエ部が新商品をPR:高知)
高知商業高校のジビエ商品開発・販売促進部がシカ肉を使った中華まん「ジビエ☆まん」を開発した。12日まで香美市で販売し、生徒らは「寒い冬にぴったり。ジビエを食べたことがない人にも味わってほしい」とPRしている。同部はこれまでシカやイノシシの肉を使ったジャーキーやソーセージなどを開発、販売している。

(“ペットフード専用”ジビエ加工施設:愛媛)
捕獲されたイノシシやシカの肉を活用しようと、愛媛県鬼北町に全国でも珍しいペットフード向けのジビエ加工施設が作られました。鬼北町がおよそ3億8000万円をかけて整備したこちらの施設では、イノシシやシカの処理からドライフードやジャーキーなどペットフードの生産までを一環して行います。 野生動物による農業被害が深刻化する中、捕獲した野生動物の肉=ジビエを料理に活用する取り組みが全国で進められていますが、ペットフード専用のジビエ加工施設は珍しいということです。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、10日午後5時20分ごろ、富谷市石積猿田付近にクマが出没しました。

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(ハーフライフル銃規制、警察庁が大幅緩和の修正案:北海道)
猟銃「ハーフライフル銃」の所持規制強化について、警察庁は7日、散弾銃の10年以上所持継続を条件とする規制の厳格化を見直し、ハンターがクマやシカの狩猟や駆除を行うことなどを条件として、現行通り初心者でも所持できる修正案を決めた。道内の関係者から「エゾシカやヒグマの駆除・狩猟に悪影響を与える」と反発があり、大幅に内容を見直した。

(指定管理鳥獣にクマ追加へ、絶滅の恐れある四国除く)
捕獲に国の支援が受けられる指定管理鳥獣にクマを追加するかどうか検討する環境省の専門家会合は8日、個体数が少なく、絶滅の恐れのある四国4県を除いて追加指定する対策方針を決めた。九州は既に絶滅したとして対象から外した。過度の捕獲を防ぐため適切なモニタリングを求め、人的被害の低減と個体数の保全とのバランスが取れた支援の必要性を提唱した。対策方針は、クマの追加指定を求める理由に「本州の広い地域でクマの分布が拡大し、人の生活圏での出没、人身被害が増加している」ことを挙げた。「指定管理鳥獣とすることで都道府県などによる集中的、広域的な管理を支援する必要がある」と結論付けた。指定対象になると、捕獲・狩猟や担い手育成などの活動に国の交付金が出る。現在はニホンジカとイノシシが対象。クマの繁殖力や個体数、被害状況は従来と異なるため、対策方針は支援メニューの内容を検討する必要性にも言及した。鳥獣保護法で禁止された住宅地での猟銃使用については、警察官、ハンターらの役割分担と指揮系統の明確化を要請。迅速な現場対応が行われるよう、法改正を含め国が早急に対策方針を示して都道府県に周知するよう求めた。対策方針は人とクマのすみ分けの重要性も強調し、「人の生活圏」では果樹など誘因物の除去の徹底、里山など「緩衝地帯」では樹木の伐採や下草の刈り払いといった環境整備を行うゾーニング管理を促した。環境省によると、昨年4月~今年1月のクマによる人的被害は計197件、218人に上り、うち6人が死亡した。記録が残る2006年以降で最多となった。

(クマ被害70人で過去最悪、重傷患者の9割が顔にけが:秋田)
秋田県内では今年度、クマに襲われるなどしてけがをした人は1月末までで70人に上り、過去最悪となりました。このうち、秋田市の大学病院に搬送された重傷患者の9割は顔にけがを負っていたことが大学への取材で明らかになりました。秋田県内では今年度、クマに襲われるなどしてけがをした人は1月末までで70人に上り、これまでで最も多かった年の3倍以上となりました。このうち、重傷を負った20人の治療に当たった秋田市の秋田大学医学部附属病院によりますと、負傷の部位は▽顔が18人と全体の9割を占め次いで、▽上半身の腕や肩などの上肢が14人▽頭が11人▽下半身のひざやももなどの下肢が8人と傷は顔や頭が中心だったということです。顔にけがをした18人を詳しく見ると、▽3人が片目を失明したほか▽9人が骨折と診断されたということです。このほか、傷口に細菌が残り感染症を発症した人が4人となり、完治するまでに2か月近く入院した人もいたということです。また、襲われたときの記憶を思い出す「フラッシュバック」に苦しむなど急性ストレス障害を発症する人もいて、心のケアが必要な人もいたということです。治療にあたった土田英臣 医師は「クマによる被害は全身にわたり、複数の診療科で治療に当たる必要があるが、特に顔がねらわれやすく重傷となりやすいことが患者の傾向からもわかった。治療が長期化しやすく元の生活に戻るのが困難になる場合もあるため、クマと出会ったら顔と頭は必ず守ってほしい」と話していました。今年度、クマの被害にあった人は国のまとめでは1月末までで218人にのぼり、統計を取り始めて以来初めて200人を超える過去最悪の被害となっています。都道府県別にみると、死亡した人は▽北海道と岩手でそれぞれ2人▽富山と長野でそれぞれ1人で合わせて6人に上りました。また、けがをしたのは▽秋田で70人▽岩手で47人▽福島で15人▽青森と長野で11人となり東北地方での被害が7割を占めています。クマが冬眠するとされる12月以降も被害は出ていて▽石川で3人▽岩手で2人▽福島で1人の合わせて6人がけがをしました。クマによる被害が過去最悪となる中、去年11月、北海道や東北の自治体は国に対し、クマをニホンジカやイノシシと同様に「指定管理鳥獣」に追加し、捕獲や調査などにかかる費用を国が支援する対象にしてほしいと要望しました。こうした要望を受けて、環境省は去年12月に専門家による検討会を立ち上げ、8日、指定管理鳥獣に追加するかどうかについて、検討会としての対策方針を提示することにしています。

(クマとの遭遇回避、スクールバスの運行エリア拡大へ:秋田)
去年、クマの出没が相次いだ羽後町では、子どもたちが登下校中にクマの被害に遭わないよう、新年度からスクールバスの運行エリアを拡大することを決めました。羽後町では去年10月、町内のゴルフ練習場でボールの回収をしていた人がクマに襲われてけがをしたほか、去年8月にも中学生が、路上に飛び出してきたクマと遭遇するなど目撃情報が相次ぎました。こうしたなか、町では保護者から対策を求める声が上がったことを受けて、新年度から登下校中にクマの被害に遭わないよう、中学校のスクールバスの運行エリアを拡大することを決めました。拡大の対象となるのはクマの目撃情報が多い明治地区と床舞地区で、対象となる生徒は33人に上ります。この地区は積雪が多いため、冬の期間、スクールバスが運行されていますが、ことし4月以降も継続する形で、1日3便、運行するということで、町ではバス事業者への運行委託費用として、およそ1300万円を新年度の当初予算案に盛り込みました。羽後町では「スクールバスを活用してクマとの遭遇リスクを減らし、子どもたちの安全を守りたい」としています。このほか、横手市でも人の生活圏にクマを呼び寄せないよう、えさとなる柿やくりの木の伐採を促す支援策を新年度から導入する方向で検討しています。伐採費用の半分を、個人は3万円、町内会などの団体に対しては5万円を上限に補助するということで、関連費用を新年度予算案に盛り込むことにしています。

(倉庫に入り込んだクマ、わなが運び込まれ猟友会などによる捕獲対応が続く:秋田)
きのう、秋田市の倉庫に入り込んだクマは今も中にいて、市や警察、猟友会が捕獲を試みています。クマが出没したのは、秋田市御所野湯本にある運送会社が所有する倉庫です。警察によりますと、クマは体長およそ1メートルで、きのうの午前11時半ごろから倉庫の中にいます。きょうは午前9時過ぎにわなが運び込まれましたが捕獲には至っておらず、警戒が続けられています。

(有害鳥獣対策の助っ人、わな狩猟職人募集:新潟)
村上市山北地域(さんぽくちいき)は、新潟県の最北に位置し、その総面積の約93%は山林に占められ、河川沿いに集落と農地が点在している農山村と日本海の海岸線沿いに漁港を有している、海山川すべてがぎゅっとつまった自然豊かで素朴かつ、豊かな食に恵まれた地域です。中でも大毎集落は山北地域の山間部に位置し、周辺には棚田が広がるおいしいお米の採れる地域として評判です。平成の名水百選に選ばれた「吉祥清水(きちじょうしみず)」があり、市内外を問わず多くの方が訪れます。山北地域では農作物を中心に有害鳥獣被害が増加し、中でもイノシシによる被害は、近年急激に増えています。有害鳥獣被害は、ほ場の損壊や稲などの食害といった直接的な損害に加え、被害により耕作意欲が低下することで耕作放棄地の拡大につながるなど、中山間地域の農村社会の衰退が危惧されています。着任後は、活動エリアを大毎集落を含む黒川俣地区とし、有害鳥獣対策に従事していただきます。着任してから技術習得のための研修を受けることができるので、狩猟免許のない方でも応募可能です。将来的にはノウハウの蓄積や対策・技術の横展開を図ることで、地域全体での被害低減を目指します。これまでも地域住民と行政・猟友会が連携し対策にあたってきましたが、猟友会の担い手不足、負担増などが原因で、依然大きな課題として存在しています。有害鳥獣被害から美しい日本の原風景を守るため、地域と一体となって対策に取り組むため「地域おこし協力隊」を募集するものです。村上市はあなたのチャレンジをお待ちしています!

(「愛知産ジビエ」を使ったメニューを県内5店舗で無料で試食:愛知)
愛知県内の5店舗で、「愛知産ジビエ」を使ったメニューを試食できる取り組みが行われる。愛知県では、野生鳥獣による農作物被害軽減対策を推進する中で、愛知県内で捕獲され、県内の処理加工施設で処理されたイノシシとニホンジカの肉(ジビエ)を「愛知産ジビエ」として地域資源に位置付け、利活用を推進している。この度、「愛知産ジビエ」を使ったメニューを、「愛知産ジビエ」の消費拡大の趣旨に賛同した店舗において、数量・期間限定の「試食品」として無料で提供する。

(「イノシシの丸焼き」を提供:福岡)
2024年2月9日(金)、「イノシシの丸焼き」を提供する【焼肉・鍋 まるや】が糸島市二丈深江にオープンします。同店は、糸島市に加工所を置きジビエ関連事業を行う株式会社tracks(トラックス)が運営。同社が買い入れる処理頭数は、福岡県内ではトップクラスを誇ります。また、ジビエ普及活動として約10年前からイベント出店や狩猟体験ツアー、料理講習会、大学等で講演等を行い、「生き物の大切な命をいただく」という意味や、山を住処にする動物と共存することを伝える取り組みをしています。今回オープンする【焼肉・鍋 まるや】は、「ジビエをもっと身近に感じて欲しい」と、店内でイノシシの丸焼きができる設計になっています。イノシシの丸焼きは、イベント時では大人気で、子ども達が切り分け待ちの列を作るほど。また、ジビエの複合施設として楽しめるよう、ペット用ジビエジャーキーやお土産用のジビエなどの販売も行います。店舗は、JR九州・筑前深江駅から徒歩約1分というアクセス。築70年を超える古民家を改装した落ち着いた雰囲気の店内で楽しめるメニューには、ジビエだけでなく、牛・豚など日頃から馴染みがある肉もあります。ジビエの普及活動にも一躍を担う【焼肉・鍋 まるや】で、イノシシの丸焼きを体感してみませんか。

(クマ出没:宮城)
富谷市によると、8日午前6時30分ごろ、富谷市明石原川戸付近の路上にクマが出没しました。

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(「銃規制強化で駆除対策に支障ないように」松村国家公安委員長)
地でクマによる被害が相次ぐ中、松村国家公安委員長は警察庁が検討している銃の規制強化によって、駆除対策に支障が生じることがないようにしていく考えを示しました。銃を使った凶悪事件が相次いでいることを受けて、警察庁は、規制や罰則の強化を盛り込んだ銃刀法の改正案を今の国会に提出する予定です。改正案では、ヒグマやエゾシカの駆除に使う「ハーフライフル銃」も規制強化の対象とする方針ですが、駆除対策への影響が懸念されるとして、北海道は地域事情に配慮するよう求めているほか、猟友会が反対する声明を出しています。これについて松村国家公安委員長は、5日の衆議院予算委員会で「制度の見直しにあたっては獣類による被害の防止に支障が生じることがないよう十分に配慮する必要がある」と述べました。そのうえで「関係団体などの意見を丁寧に聞き、必要性の高い方まで所持が困難となることがないよう検討を行いたい」と述べ、駆除対策に支障が生じることがないようにしていく考えを示しました。

(クマ「捕殺」強化巡り議論大詰め)
昨年、過去最悪の人的被害を出したクマに関し、捕獲が国の支援対象になる「指定管理鳥獣」にするかどうかを検討する環境省の専門家会合が大詰めを迎えている。東日本の8道県の知事らが指定を求める一方、自然保護団体は反対署名を提出。クマの被害や生息状況は各地域で事情が異なるため、環境省は8日に開かれる専門家会合を踏まえ、慎重な検討を迫られている。昨年、過去最悪の人的被害を出したクマに関し、捕獲が国の支援対象になる「指定管理鳥獣」にするかどうかを検討する環境省の専門家会合が大詰めを迎えている。東日本の8道県の知事らが指定を求める一方、自然保護団体は反対署名を提出。クマの被害や生息状況は各地域で事情が異なるため、環境省は8日に開かれる専門家会合を踏まえ、慎重な検討を迫られている。環境省によると、昨年4~12月のクマによる人的被害は19道府県の計196件、死者6人を含む217人となり、いずれも同時期の記録がある平成18年以降で最多となった。餌となる木の実の不作や、人を怖がらない「アーバン・ベア(都市型のクマ)」の増加などから、人の生活圏への出没も目立つ。指定管理鳥獣は、農産物や生態系、生活環境に被害を与える野生動物で、現在はニホンジカとイノシシが対象。指定されれば、計画に基づく捕獲事業をする都道府県を交付金で支援。夜間の銃猟も可能となる。被害が深刻な北海道と東北6県、新潟県の知事でつくる「北海道東北地方知事会議」は昨年11月、「人命への危機が差し迫った状況にある」などとして指定管理鳥獣にクマを追加するよう環境相へ要望。環境省は翌12月から専門家会合「特定鳥獣保護管理検討会」を開いて検討を続けている。クマの指定については、東北地方などから指定を求める声が上がる一方、クマの生息数が少なく保護計画がある県もある。1月の検討会では公益財団法人「日本自然保護協会」の専門家から「四国のツキノワグマは20頭程度しか生息しておらず危機的な状況。増加地域では個体数を管理し、減っている地域では増やすというバランスが重要だ」との意見が出た。一方、自然保護団体の一般財団法人「日本熊森協会」(兵庫)は今月5日、クマの追加指定に反対する署名1万4749筆と要望書を環境相あてに提出した。要望書は「人身事故が過去最多だった一方、クマの捕殺数も過去最多だった。クマはシカやイノシシと異なり、生息数も少なく、繁殖力が弱い動物で、これ以上の捕殺強化は地域的な絶滅を招く恐れがある」と指摘。「クマを寄せつけない、クマと遭遇しない集落づくりをしなければ人身事故はなくならない。捕殺ではなく、クマと人がすみ分け、共存できるための対策支援にこそ環境省は予算をつけるべきだ」と訴えた。環境省によると、クマの出没がピークだった昨年10~11月の約1カ月間で同省にはクマ対策に関する電話が約200件寄せられ、7割程度が捕殺への反対意見、人的被害の多さから「捕殺すべきだ」との意見は1割程度だったという。検討会の次回会合は8日に開かれ、対策方針の取りまとめ案を議論。環境省は取りまとめを受けて、今年3月までに環境省としての方針を決める予定だ。

(イノシシを多く捕獲したようにみせかけ補助金2万6千円を不正に受給:福島)
県猟友会に所属する男性がイノシシを、多く捕獲したようにみせかけ補助金を不正に受給していたことがわかりました。野生イノシシの被害を減らすため、福島県は狩猟者がイノシシを捕獲した際、1頭につき1万3000円を補助しています。県によりますと、県猟友会川俣支部に所属する男性が2020年度から翌年にかけて、2回書類をねつ造し、補助金2万6千円を不正に受給していました。男性はイノシシを1頭しか捕獲していないのに、個体識別のマーキングを書き換え、証拠写真の撮影場所を変えて2頭ずつ捕獲したようにみせかけていました。県は、補助金の返還を求め、今後は現物確認を実施することにします。

(イノシシなどの捕獲支援へ:愛媛)
イノシシなどによる農作物の被害が相次いでいることから愛媛県は、捕獲に必要な道具の購入費用の一部を補助することにしました。愛媛県によりますとイノシシなどによる県内の農作物の被害額は、昨年度、およそ3億6800万円にのぼっているということです。被害を防ぐための捕獲も進められていて、県内で捕獲されたイノシシなどの数は、昨年度、あわせておよそ5万7000頭と前の年と比べて1万頭余り増えたものの、食肉として利用されたのは1800頭余りで利用率は4%ほどにとどまっています。このため、県はイノシシなどによる農作物の被害防止を図るため捕獲数を増やそうと、わなの購入にかかる費用の一部を補助することにしました。また、捕獲したイノシシの肉などを使ったジビエ料理のフェアも開催し、消費を拡大し事業者の支援にもつなげたいとしています。県は、こうした取り組みによって食肉として利用されるイノシシなどの数を来年度は2700頭に増やしたい考えです。愛媛県農産園芸課は「イノシシなどの捕獲数を増やし、有効活用することは農作物の被害防止にもつながるので支援を強化していきたい」と話しています。

(“冬眠明け”前に「クマ対策」を:北海道)
クマが冬眠から目覚める前に対策を強化しようと冬の時期としては初めての合同訓練が旭川市で行われました。「爆竹での追い払いを実施。クマの動向を監視する、どうぞ」(警察官)。訓練は年々、クマの出没が増えていることを受け雪解け前のこの時期としては初めて行われました。北海道旭川市や警察、猟友会のメンバーら約20人が参加し、爆竹でクマを人気のないところに追い払ったあと、ハンターが銃口をふさいだライフルを使って駆除するまでの連携が確認されました。「こういう機会をもっと増やしてもらって。かわいそうだという人もいますが、私たちも殺したくて駆除するわけじゃない」(北海道猟友会旭川支部 広永賢一さん)「猟友会の協力も仰がなければいけない。皆がそろった訓練は必要」(旭川中央警察署 鈴木隆 地域課長)。警察によりますとクマの出没などの通報件数は、2022年が約2200件でしたが、2023年は約4000件と2倍近くに増えています。市や警察などは連携を強化し冬眠明けのクマの対策を徹底していく考えです。一方、こうした警察と猟友会によるクマ対策が進むなか、心配なこともあります。比較的初心者のハンターでも所持できる「ハーフライフル」が規制強化され、今後所持できなくなる可能性があるというのです。警察庁は、2023年に長野県で起きた殺人事件で使用されたことを理由に、初心者がハーフライフルを所持できなくなるよう規制の強化を目指しています。ハーフライフルは射程が約150メートル。一方、散弾銃だと射程は3分の1ほどの50メートルと短くなります。警察によりますとクマの出没などの通報件数は、2022年が約2200件でしたが、2023年は約4000件と2倍近くに増えています。市や警察などは連携を強化し冬眠明けのクマの対策を徹底していく考えです。一方、こうした警察と猟友会によるクマ対策が進むなか、心配なこともあります。比較的初心者のハンターでも所持できる「ハーフライフル」が規制強化され、今後所持できなくなる可能性があるというのです。警察庁は、2023年に長野県で起きた殺人事件で使用されたことを理由に、初心者がハーフライフルを所持できなくなるよう規制の強化を目指しています。ハーフライフルは射程が約150メートル。一方、散弾銃だと射程は3分の1ほどの50メートルと短くなります。

(狩猟活動本格化、勢子が追い込み:福島)
福島県猟友会南会津支部田島分会の塩生博文さんらでつくる狩猟チームは3日、南会津町藤生地区の里山で初めてシカ狩りに取り組んだ。同町では近年、シカによる食害が問題となっているほか、会津地域では本年度、有害鳥獣の目撃情報が多いことから、各地で対策が本格化している。シカ狩りには、山の下から大声を出して追い立てる「勢子(せこ)」の役割を設ける手法がある。同町で自然環境ボランティアに励む住民男性2人が勢子を引き受けることになり、チームとして初めての狩猟活動が実現した。この日は勢子3人、狩猟銃を持つ2人の計5人でチームを結成。シカの足跡や植物を食い荒らした痕跡などを把握し、実際に姿も確認できたが、捕獲には至らなかった。塩生さんは「藤生地区では昨夏、コメなどの農産物の被害が大きかったので、対策を強化していきたい」と話している。

(猫島に新たな松植樹、カワウふん害で伐採:鳥取)
鳥取市の湖山池で、カワウのふん害で松が枯れて伐採された猫島に、再び松が植樹された。地元の高住集落の住民有志など7人が昨年11月~今年1月、計8本の松を植えた。カワウ対策にステンレス製のワイヤを張り巡らせており、定期的に島へ渡って松を管理し、次代に引き継ぎたいとしている。植樹されたのは全てクロマツで、約2メートルが3本、約50センチが5本の計8本。重機を持ち込めないため、舟で土のう袋約130袋分の土を島に運び込み、手作業で土壌を整備し、松を植えた。猫島の松は、約25年前からカワウのふん害により枝枯れが深刻化し、枯死。昨年9月に伐採された。今回植えた松はカワウなど鳥が寄りつかないよう、ワイヤを放射線状に設置した。湖山池情報プラザの竹内房男会長によると、今後は月に1度は島に渡り、松に傾きがないか確認するほか、最低年1回は島の草刈りなどの維持管理を行うという。竹内会長は「植えて終わりではなく、育つには数十年かかる。1本でも多く根付いてもらうため、大切に育てたい」と話した。

(獣がいフォーラム:兵庫)
「獣がい」ってなに?野生動物による農作物などへの害は”獣害”と表記されることが一般的です。しかし本来、野生動物は豊かな里地里山の構成員。そして人口減少・高齢化社会の現在においては、「害」を軽減しながら地域も活性化していく新たな対策が必要です。このフォーラムでは、被害を受ける当事者だけでなく地域内外の多様な関係者が協力できる仕組みをつくり、野生動物を地域にとってプラスの存在に変えていく”獣がい”対策を考えます。2023年は全国各地でクマによる人身被害が相次ぎ、大きな社会問題となりました。一方で、北海道では、様々な市民や関係者が協働して対策を推進し、ヒグマと人間の共存を目指す取り組みが活発化しています。第6回獣がいフォーラムでは、北海道のヒグマ対策の事例を参考に、被害を受ける「住民」や都市部からの「関係人口」による取り組みに加え、新たに「市民」の力を獣がい対策に活かす方法を考えます。

(“オオカミ”で野生動物による被害防ぐ新たな取り組み:鹿児島)
シカやイノシシなど野生動物による農業などへの被害が深刻化している伊佐市で、オオカミの姿をした装置を設置して被害を防ごうというユニークな対策が始まりました。北薩森林管理署が伊佐市や地元の猟友会と協力して市内の国有林に共同で設置したのは「モンスターウルフ」と名付けられた大きさ1メートルほどのオオカミの姿をした特殊な装置です。「モンスターウルフ」には赤外線センサーが取り付けられていて、シカやイノシシなどの野生動物が半径20メートル以内に近づくとセンサーが感知し、首を左右に振って目の部分のLEDライトを点滅させながら大きな音を発します。音の種類はオオカミや犬の鳴き声、それに銃声など50種類以上あり、野生動物が装置に慣れないよう工夫もされています。「モンスターウルフ」は、北海道の会社が製造し、設置費用を含め1台およそ60万円で、すでに全国で200台以上が設置されているということです。伊佐市では、野生動物による農業や林業への被害が昨年度およそ5600万円と10年前に比べて2倍以上に増えていて、これまではネットを設置するなどの対策を行ってきましたが、1ヘクタールあたり100万円以上かかるほか、ネットの隙間から動物が侵入するなどして十分な効果が得られなかったということです。今回設置されるのは2基ですが、装置の周囲には捕獲用のわなを仕掛けたほか近くにはカメラも取り付け、市や森林管理署は効果を検証した上で今後、装置の増設も検討することにしています。北薩森林管理署の佐藤敏郎署長は「被害を与えるシカは捕獲して生息頭数を減らし、市民生活に影響の出ない程度の適正な頭数の野生動物の生息域を作っていきたい」と話していました。

(シカ被害対策で森林組合などと3者協定締結:島根)
木の皮や芽を食べることで森に被害を与えるシカの駆除を進め、その肉の利活用などを共同で進めようと、美郷町は地元の森林組合などと協定を結ぶことになり、締結式が行われました。美郷町役場で行われた協定の締結式には、嘉戸隆町長と邑智郡森林組合の植田淳組合長、それに防護柵などを手がける大阪のメーカーの尾田英登社長が出席し、それぞれ協定書に署名しました。美郷町周辺ではシカが木の皮や芽を食べることによる森への被害が増えてきていて、協定では3者が連携して対応にあたるとしています。具体的にはシカの捕獲と処理、それにシカの肉の利活用などについて共同で取り組むほか、3者が協力して林業と獣害対策の担い手を育成することも盛り込まれています。美郷町はすでに駆除したシカ肉の一部を広島県の動物園にえさとして提供しているほか、町内の飲食店ではシカ肉を使った料理の提供が始まっていて、今回の協定をきっかけに森林保護やシカの肉の有効活用を進めて地域振興につなげていきたい考えです。美郷町美郷バレー課の安田亮課長は、シカによる森林被害は今後も拡大するとしたうえで「今回の協定はまわりの自治体とも広く連携していく第一歩となると思っています」と話していました。

(イノシシに出合ったら、中学生が生態や対策学ぶ:広島)
広島県尾道市東則末町の栗原中で6日、イノシシの生態と獣害対策をオンラインで学ぶ授業があった。市街地の同校周辺でも昨年夏ごろからイノシシの目撃が増えたため、市農林水産課が企画した。

(Z世代」猟師じわり増える、狩猟のやり方はネットで学ぶ)
京都市近郊の山でシカやイノシシを追う20代の若手猟師が活躍している。高齢化が進む猟友会では珍しく、生まれた時からインターネットがあった「Z世代」らしく動画サイトで狩猟技術を独自に学びながら命の重みをかみしめている。京都産業大学4年の酒井歩夢さん(22)=左京区=はほぼ毎朝、大学近くの山に仕掛けたわなを見て回る。京都府猟友会上鴨支部(北区)に所属し、月4、5頭の獲物を仕留め、1人で解体して肉を運び出している。大学入学前、東京の実家で愛犬に鹿肉を与えていたことから狩猟に興味を持ち、2022年にわなの狩猟免許を取得した。仕掛け方や獲物の解体技術は、ユーチューブなどで独自に学んできた。初めてシカを捕らえた時は涙を流しながら絶命させ、解体した。「命を奪って食べることは重たいことだが、楽しいとも思うようになった」と話す。京都府猟友会の猟師計1700人のうち10~20代は計50人。上鴨支部では、免許を取得した京都府立大学大学院の岸大地さん(26)と木野朗斗さん(24)=いずれも北区=が西賀茂や鷹峯でわなを仕掛けている。下鴨支部(左京区)でも、京都大生ら数人がわな猟をするなど、ジビエ料理が注目された近年は若い猟師が増えているという。元新聞記者という異色の経歴を持つのはライター三味寛弥さん(29)=北区=だ。猟師の取材を機に21年に猟銃免許を取得し、退職した。週末に上鴨支部の仲間とシカやイノシシを追う。「自分の血肉となる生き物を捕らえて食べるまでの一部始終を実践できる。他の若者もそうした点に引かれているのでは」と推測する。上鴨支部の粟津進会長(74)は「高齢化が進む中、若者への期待は大きい。就職後も続けられるよう応援したい」と話す。

(県内の高校生以下競技者わずか6人「ビームライフル射撃」:長野)
「ビームライフル射撃」という種目をご存知でしょうか?4年後に長野県で開催される国民スポーツ大会の正式種目にもなっていて、競技者を増やそうと、このほど長野市で体験会が開かれました。「ビームライフル射撃」は、光線が出る銃を使って10メートル先の的を狙う競技種目です。実弾を使わないため銃の所持資格は不要で、誰でも安全に楽しむことができ、2028年に長野県で開催される国民スポーツ大会の正式種目に採用されています。しかし、ある問題が…県ライフル射撃協会・関川孝雄(せきがわたかお)副会長:「余りにもマイナーすぎるので、宣伝しているという状況。何とか希望者がいないかなと」。県内の高校生以下の競技者はわずか6人。そのうち小学生は1人だけと、認知度の低さが課題となっています。4年後の国民スポーツ大会を見据え、4日は、種目の普及や選手の発掘などを目的に長野市で体験会が開かれ、小学生など60人余りが参加。今回の参加者のうち2人は、さっそく競技を始めるということです。国民スポーツ大会には、中学3年生から出場が可能で、参加者の中から全国の舞台に挑む選手が誕生するかもしれません。

(倉庫に体長1メートルのクマ、捕獲できず:秋田)
秋田市の倉庫でクマ1頭が目撃され、6日午後5時15分現在も倉庫の中にとどまっている。午前11時20分ごろ、秋田市御所野湯本の物流倉庫で、作業をしていた人がクマを目撃し、警察に通報した。その後、市の職員が、倉庫内の駐車スペースに体長およそ1メートルのクマ1頭がいるのを確認。網での捕獲を試みたが捕獲には至らず、出入り口に板を積み重ねてクマを中に閉じ込めている。市は7日にわなを設置するほか、猟友会にも出動を要請し、あらためて捕獲を試みる方針。

(田んぼにげっそり痩せたイノシシが:沖縄)
沖縄県恩納村安富祖の田んぼ周辺で2日、イノシシ1頭が歩いていた。体長およそ70~80センチで、山から餌を探しにきたのか、痩せ衰えた様子だった。田んぼで餌のミミズを探していたが、諦めて農道へ上がり、また別の田んぼへ。安富祖川に架かる橋の上で休憩した後、山に戻った。近くに住む稲作農家の金城啓さん(75)は「この時期はイノシシがよく現れる。私の家の庭にも迷い込んできたこともある。山には餌がないのかも知れない」と話した。喜瀬武原で2頭のイノシシを飼っている60代の男性によると、山ではイノシシの皮膚の病気が広がっており、この日のイノシシも感染しているようだという。

(シーガイアが県産ジビエ料理:宮崎)
宮崎市の大型リゾート施設「シーガイア」で2月から、合宿プランに県産ジビエを活用したメニューが登場した。食品メーカー「味の素」(東京都中央区)の協力監修を受けて考案。地域資源活用による中山間地域の活性化も期待されている。プロ、アマのさまざまなスポーツ合宿を受け入れているシーガイアを運営するフェニックスリゾート(同市)が、アスリート向けなどに健康や栄養に配慮したメニューを提案するプロジェクト「勝ち飯」を進める味の素と連携して企画した。新たに提供するのは、同県西米良村産のジビエを使った「イノシシ肉の麻婆(マーボー)豆腐」と「シカ肉のそぼろ丼」。5日に県庁で二つのメニューを試食した河野俊嗣知事は「一石二鳥、三鳥で素晴らしい」と話した。県によると、イノシシ肉は鉄分が豚肉の約4倍、ビタミンB12が約3倍で、シカ肉はカロリーが牛肉の半分にもかかわらず、たんぱく質が約1・4倍という。西米良村には農林水産省の国産ジビエ認証を受けた処理加工施設がある。一方で県内で捕獲されるシカ、イノシシのうちジビエとして流通するのは1割未満にとどまり、有効活用が課題になっている。

(淡路島のジビエ「ゆづるは鹿」を堪能:兵庫)
食材の宝庫「淡路島」の鳴門海峡(大鳴門橋)を目前に臨む海辺のリゾートホテル、ホテルアナガ(所在地:兵庫県南あわじ市阿那賀1109 総支配人:鈴木大輔)にて、フランス料理レストラン「カドー・ドゥ・ラ・メール」~海からの贈り物~より、御食国 食材の宝庫「淡路島」の南部、自然豊かな諭鶴羽山系で育まれた島のジビエ「ゆづるは鹿」を体験いただきます。職人の技で迅速に処理されたジビエは驚くほどに癖がなく、美味しさにあふれています。素材との対話を大切にするホテルアナガのフレンチレストラン「カドー・ドゥ・ラ・メール」にて、淡路島リトリート「ゆづるは鹿のディナー」をご堪能ください。

(学校給食にジビエメニュー:岩手)
岩手県大槌町の学校給食にジビエメニューが初登場した。町内産のシカもも肉を使った「おおつちもみじカレー」。ご飯はサフランライスで、おしゃれなランチに仕上がった。

(ジビエ料理の全国コンテストで入賞:大分)
日本ジビエ振興協会(長野県)が主催する第8回ジビエ料理コンテストで、宇佐市末の本多鈴美さん(61)が考案した「鹿肉 猪(いのしし)と乾しいたけのおかず味噌(みそ)」が入賞した。

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(クレー射撃協会、理事9人解任)
日本クレー射撃協会は2日、都内で各都道府県の代表者(正会員)による臨時総会を開催。江野沢吉克副会長、畔蒜均専務理事、柏木孝則常務理事ら、理事9人の解任を決めた。先月17日の理事会で、不老安正会長の解任動議が出されるなど紛糾。組織運営の透明性担保や、理事会機能への不安から、正会員から総会開催請求が出ていた。この日は、不老会長を含む全20人の理事の信任を問う形で投票が行われ、江野沢副会長ら9人の不信任が過半数を超えて解任が決まった。クレー射撃で1988年ソウル五輪代表でもある不老会長は「いい選手を輩出する組織にならないといけない。もう一踏ん張りして、風通しの良い協会にしたい」などと述べた。協会は昨年来、強化目的で集めた支援金の目的外使用や、銃弾の不適切な取り扱いなどの問題が表面化していた。先月17日に都内で行われた理事会では、柏木常務理事が不老会長の解任動議を提出。出席した理事17人のうち、9人が賛成した。動議は保留扱いとなって今総会の開催が決まり、動議に賛成した9人全員が逆に理事の座を失った。正会員からは「(突然の解任動議は)だまし討ちのようなやり方で、スポーツマンシップと真逆の行為だ」「(理事への)不信感が募った」などの声が上がっており、大江直之・事務局アドバイザーも9人が解任に至ったことについて「(動議と)無関係ではないと思う」と言葉を選んだ。千葉県代表として投票に加わった江野沢副会長は、解任が決まる投票結果の判明前に辞表を提出して退席。「前と同じじゃ、だめ。選手のことを思って話をしないといけないのに」と述べた。パリ五輪イヤーの今季。選手強化への影響を最小限にすべく、協会側は欠員となった理事のうち、各地区から選出される枠(3人)については後任を早急に選定。残る11人に加え、定款で理事会成立条件となる14人以上を満たす体制作りを目指す。理事の役職については、新理事会の互選で決まる。

(猟友会が活動費横領の被害届、女性狩猟団体代表と連絡取れず:神奈川)
神奈川県猟友会南足柄支部(南足柄市)に所属していた女性が活動費約140万円を横領したとして、同支部が県警松田署に被害届を提出していたことが2日、関係者への取材で判明した。この女性は、南足柄市を拠点とする女性狩猟団体「Japan Hunter Girls」(JHG)の代表も務めていたが、市などによると、2023年9月以降連絡が取れていない。松田署は業務上横領容疑を視野に捜査している。関係者や松田署によると、被害届の提出は23年12月4日付。女性はこの年の5月から9月までの約4カ月間に、活動費計約140万円を横領した疑いがあるという。JHGの前身である「神奈川県県猟ガールズ」は、この女性が中心となって18年に発足。20年には一般社団法人JHGとなり、県の公式YouTubeチャンネル「かなチャンTV」やメディアにその活動が取り上げられ、話題になった。23年4月には「足柄森林公園丸太の森」内に、国の補助金を活用してジビエ処理加工施設を開設し、市などと協定を結び運営していた。だが市は9月中旬を最後に突如女性と連絡が取れなくなった。JHGも活動を休止している。

(韓国でアフリカ豚熱の感染拡大、農水省が危機感)
韓国でアフリカ豚熱の感染が拡大していることを受けて農林水産省が危機感を強めています。アフリカ豚熱は、豚やイノシシに感染する致死率の高いウイルス性の感染症です。人へは感染しません。普通の豚熱とは違い有効なワクチンがなく、豚の死体の中でもウイルスが長く残存します。アフリカ、ロシア、東ヨーロッパのほか、アジアでも19の国や地域で感染が確認されていて、韓国では2019年に初めて感染が確認されて以降、養豚場の豚や野生のイノシシに感染が拡大しています。去年12月からことし1月にかけても、日本の旅行者が利用することが多い釜山港近くで野生のイノシシの感染が立て続けに10例確認されています。日本ではまだ感染は確認されていませんが、もし日本国内の養豚場で感染が確認されると、その養豚場のすべての豚を殺処分しなければなりません。今後、日本へ感染が拡大するリスクは極めて高いとして、坂本農水大臣は「一度侵入を許すと、我が国の畜産業に壊滅的な被害を生じることとなる」と危機感を強めています。農水省は、海外からの旅行客や海外から帰国する日本人に肉類を持ち込まないことや靴を消毒するよう呼びかけるなど、水際対策を徹底する方針です。

(有害鳥獣駆除でも懲役?猟銃に「発射罪」適用:沖縄)
警察庁が今国会に提出予定の銃刀法改正案で、現行の「拳銃等」にのみ適用されている「発射罪」の対象を猟銃などにも拡大することが検討されていることを受け、外来種のインドクジャクなど有害鳥獣を駆除する県猟友会宮古地区(西原武則地区長)は「猟銃の使用を萎縮させ、生態系の保全が達成できない恐れがある」と法案に反対している。同地区では県猟友会に1月26日付で規制強化に反対する意見書を提出。竹富地区も反対を表明しているという。公共の場所などで発射した場合に最大で無期懲役を科す「発射罪」は、現行の銃刀法では「拳銃等」のみに適用されているため、法案では対象を拡大して現在罰則なしの猟銃やクロスボウ(洋弓銃)などにも適用する方針だ。宮古島では、絶滅が危惧される固有種のミヤコカナヘビなどを捕食するクジャクを、市と県の許可を得て主に散弾銃や空気銃を使い駆除している。同地区と他の団体や業者を合わせて、2007年から約5千羽を捕獲してきた。県猟友会宮古地区の事務局を務める市障がい福祉課の守武大課長は「狩猟者を育てて実績を上げてきたのに、改正されれば台無しになる」と話している。発射罪は1995年、暴力団抗争の激化を機に、拳銃や機関銃などの「拳銃等」を対象に新設。おととしの安倍晋三元首相銃撃事件を受け、警察庁が規制や罰則を強化する改正案を検討している。

(ハーフライフル銃規制、獣害対策に支障出すな)
警察庁が検討する「ハーフライフル銃」の所持規制の強化を巡り、農業現場から懸念の声が上がっている。若手ハンターが所持しにくくなり、狩猟者減につながる恐れがあるためだ。政府は現場の声に耳を傾け、農村の獣害対策に支障が出ないよう、万全の措置を講じるべきだ。ハーフライフル銃は、ライフル銃と共に鹿や熊などの大型獣が対象。ライフル銃の命中精度は非常に高く、射程距離が300メートル前後。一方、ハーフライフル銃も、それに次ぐ高い命中精度で150メートル前後の射程距離がある。ライフル銃を所持するには、狩猟免許を取得して10年かかるのに対し、ハーフライフル銃は初年度からすぐ所持できる。それだけにハーフライフル銃は、新人のハンターにとって獣害対策を始める上で欠かせない存在だ。だが、警察庁が今通常国会に提出予定の銃刀法改正案はハーフライフル銃もライフル銃と同様、所持までに10年かかるよう規制を強化する。散弾銃は引き続き初年度から持てるが、対象は鳥類や小型獣で大型獣には向かない。改正案に対し、獣害対策に取り組む現場の狩猟者からは懸念の声が上がる。エゾシカやヒグマによる農業被害に対応する北海道猟友会は「ハンターになろうとする人が激減する」と指摘する。散弾銃しか持てなければ、獣害対策に欠かせない大型獣への対応は難しい。農業現場では喫緊の課題だけに、銃の所持に10年もかけられないという。同猟友会で、猟銃を使える「第一種会員」は現在4688人(2022年)。だが、高齢による視力低下などで毎年約270人の退会者が出る。10年後には半数以下となり、人材不足は深刻さを増す。ウクライナ危機などを受けて銃弾や火薬が高騰・不足していることも、猟友会離れを加速させている。規制強化の影響を抑えようと、農水省は有害鳥獣駆除業務として市町村からハーフライフル銃の許可を得られる特例を検討する。だが、道内のJA関係者からは「大型獣は市町村を超えて移動する。エリア限定の許可では、獣害対策の実態に合わないのではないか」という声も上がる。23年は熊の出没が相次ぎ、深刻な人的被害が出た。道内では、ヒグマによる飼料用トウモロコシの食害や、乳牛を襲った「OSO18」が注目を浴びた。鹿も、樹皮を剥ぎ取って弱らせ、果樹や林業への影響が大きくなっている。ハンターの役割は年々重要になる一方、担い手確保には“赤信号”がともる。銃による事件や犯罪をなくすのは大前提だが、獣害対策の場面で迅速に銃を使える制度を強く求めたい。

(「ハーフライフル」ってどんな銃?規制強化の動きで狩猟の現場からは懸念の声:岩手)
銃刀法の改正で規制が強化される見込みの「ハーフライフル」を巡って、鳥獣による被害への対応を行う県内の狩猟の現場にも波紋が広がっています。ハーフライフルとはどのような銃なのでしょうか?岩手県大槌町のハンター兼沢幸男さんです。町からの委託でシカの有害駆除を行う兼沢さんは、1日も狩猟の現場に出ました。使っているのはハーフライフルと呼ばれる種類の猟銃です。いわゆる「猟銃」は「空気銃」、散弾銃を含む「その他の猟銃」、「ライフル銃」の3種類に分かれ、ライフル銃は威力が高く原則として散弾銃の継続所持10年以上という条件があり、初心者は所持できません。しかしハーフライフルは、「その他の猟銃」に当たるため狩猟免許をとったばかりの初心者でも所持できます。警察庁は去年長野県で4人が猟銃で殺害された事件などを受け、現在召集されている通常国会で銃刀法の改正を目指しています。これによりハーフライフルも通常のライフルと同様に散弾銃を10年所持した人しか持てなくなる見込みです。(ハンター 兼沢幸男さん)「散弾銃だと射程距離が50メートル、ハーフライフルだと150メートルになってくるので3倍の距離は大きい」。近年、県内ではシカによる農作物への被害が深刻で、有害駆除の役割が大きくなる中、兼沢さんは規制の強化によって新たなハンターの成り手がいなくなることを懸念しています。(ハンター 兼沢幸男さん)「散弾銃しか持てなくて捕獲できないために自分では力になれないと辞めてしまうのが想像できる」「10年経たないとライフルを所持できない人たちもしっかりと有害駆除できるような体制を考えていただ」。県内ではシカだけではなく、イノシシによる被害も増えていて、狩猟の現場では規制強化の行方を注視しています。

(ヒグマ対策やシカ捕獲減に危機感、ハーフライフル規制に相次ぐ反対)
警察庁がめざす銃刀法の改正が、野生動物の保護管理の現場に波紋を広げている。エゾシカやヒグマの捕獲に有効な猟銃「ハーフライフル」を、散弾銃の所持歴が10年以上ないと持てないよう基準を厳しくするといった内容だからだ。特に北海道内の鳥獣対策への影響は必至で、関係団体は規制強化を伴う法改正への反対を表明した。ハーフライフル銃は銃身の半分以下までらせん状の溝が彫られた銃。ライフル銃には及ばないが、単弾の専用スラッグ弾なら回転して直進性が増すため、100~150メートル先のエゾシカを仕留めることも可能だ。一方、溝のない「平筒銃」と呼ばれる散弾銃は単弾を火薬の爆発力だけで撃ち出すため、有効射程が40~50メートルと短く命中精度も低い。散弾銃は小粒が詰まった散弾を使うカモ猟などに適している。現行の銃刀法ではライフル銃を持つには10年以上の経験が条件だが、ハーフライフル銃は散弾銃に分類され、初心者でも所持できる。所持1年目からエゾシカの狩猟や駆除に参加でき、道内の捕獲数を底上げしている。経験を積めばヒグマを仕留めることもできる。だが、規制が強化されれば基準を満たすまで平筒銃しか使えなくなる。早々に共同で反対声明を出したのは一般社団法人「エゾシカ協会」(事務局・江別市)とヒグマとの共存をめざす市民団体「ヒグマの会」(同)だ。ともに平筒銃の命中精度の低さを指摘し、「ハーフライフル銃はエゾシカ管理に大きく貢献している。規制されれば捕獲数の激減は明白だ」と主張。ヒグマ対策については「許可捕獲(駆除)の約半数が銃捕獲。逆襲されないためには急所を確実に射撃しなければならず、安全のためにもハーフライフル銃は必須」としている。世界自然遺産の知床でヒグマの管理対策を担う公益財団法人「知床財団」も、「反撃の危険を伴う駆除現場で捕獲従事者、地域住民、観光客の安全確保を確実に行うには命中度の高いライフル銃やハーフライフル銃が欠かせない」と強く反対している。命の危険を伴うヒグマ対策だが、担っているのはほとんどが猟友会に所属する民間人のハンターだ。国有林内での伐採や送電線の点検などの際、作業員の安全のため同行を求められることもある。昨春に朱鞠内湖(幌加内町)で釣り人が襲われた時も、問題のヒグマを仕留めたのは猟友会のハンターだった。北海道銃砲火薬商組合は反対声明の中で、ヒグマ対策の難しさを強調する。「ヒグマの走る速さは秒速約16メートル」とし、単弾を用いた平筒銃で50メートル先のヒグマを撃って外した場合は3秒以内、30メートル先だと2秒以内で反撃されると試算。「自身の身を守るためにも新人ハンターにハーフライフルは必要」と訴えている。規制による影響は、野生動物の保護管理を担う次世代ハンターの育成にも及ぶ。猟銃を所持しても思うようにエゾシカが捕獲できなければ経験も積めず、魅力も薄れ、数年で猟銃を手放すケースも考えられる。有害駆除なら10年未満でもハーフライフル銃を所持できる特例を設けたとしても運用面などで課題が多く、結局一般のハンターは狩猟用と駆除用の猟銃2丁を持つことになりかねない。今回の銃刀法改正は昨年5月に長野県で起きた4人殺害事件がきっかけとされる。事件に使われた猟銃がハーフライフル銃だったことから所持許可基準の厳格化の動きになった。これに対し、エゾシカ協会とヒグマの会は共同声明で、「事件は『人』側の要因に起因する。『ツール』(猟銃)に対する規制を強めても抜本的な防止にならない」とした。さらに野生動物の保護管理の現場からは「問題は猟銃ではなく撃った個人」「エゾシカやヒグマの捕獲増をめざす道庁にとってはアクセルとブレーキを同時に踏むようなもの。知事は毅然(きぜん)とした態度をとるべきだ」「道内での駆除に関われない道外ハンターの減少も心配だ」といった声もあがっている。

(真冬もクマ出没、「親おらず冬眠できない:秋田)
今年に入り、北鹿地方でクマの出没が早くも相次いでいる。北秋田、鹿角両署によると、1月8日に鹿角市八幡平の民家敷地で目撃があって以降、両署管内の住民から計4件の情報が寄せられた。いずれも被害はなかったものの、県自然保護課は「餌を探し歩いている個体とみられ、今後動きが活発化する恐れもある」と分析しており、注意が必要だ。環境省の統計調査(速報値)によると、昨年4月~12月末までに本県では3663件の出没があった。例年1桁で推移する12月中も80件を記録するなど、年間を通して山林や人里周辺での目撃が相次いでいる。昨年、1月の目撃はなかった。先月28日朝には鹿角市八幡平字上苗代の民家車庫内で、ゴミ袋をあさる1頭のクマを住民の60代男性が目撃した。男性によると、軽トラックを動かそうとしたところ、ガサガサと車庫の奥で動く影を発見。目をこらすと、体長約50㌢のクマが飲料の空き缶が入った袋をあさっており、しばらくその場にとどまっていたため警察へ通報したという。署員が駆けつけたが、クマは車庫1階の梁(はり)に登ったまま1時間半ほど居座った。棒などを使って追いやると、裏口から近くの山林へ逃げ去った。男性は自宅の中から状況を見守ったといい、「小さくても実際に近くで見ると危ないと感じた」と漏らした。県自然保護課は今冬の出没傾向について「県内で目撃されているクマはほとんどが体長の小さな個体で、親と一緒に行動していない」と指摘。昨年末にかけて例年を大きく上回る2200頭余りのクマが捕獲され、「親グマがいなくなったことで冬眠できず、餌を探し求めて歩き回っている」との見解を示す。生ごみやカキの実など餌となる物が人里周辺にあることをクマは覚えているとし、「誘引物の管理を徹底しないと招き入れることになってしまう。冬場だからと安心せず、注意を続けてほしい」と呼びかけた。

(ヒグマ春期捕獲に40超自治体が参加:北海道)
北海道の鈴木直道知事は2日の定例記者会見で、ヒグマを人里から遠ざける春期管理捕獲に40超の市町村が参加する意向を示していると明らかにした。2023年の19自治体から倍増する見込み。道は対象期間とエリアを拡大し、効果の向上を目指す。春期管理捕獲は残雪期に人里への出没を抑え、狩猟者を育成する目的で23年に始まった。雪解けが早まって追跡できなくなる事態などを想定し、道は1月、人里から3~5キロ以内だった対象エリアを、「約5キロを目安に地域の実情に応じて最大10キロ以内」に変更。期間も2月9日~5月20日を2月1日~5月31日に拡大する。鈴木知事は「安全管理を徹底し、意義も発信していきたい」と話した。JR北海道が地元負担を前提に存続を目指す赤字8線区(通称・黄線区)について、国が求めた「抜本的な改善方策」の検討を3年先送りする考えを示したことを巡っては、「(国には)3年にわたりというところは受け止めていただいた。その上で今後の支援を検討していただきたい」と述べた。

(春期管理捕獲について:北海道)
近年、警戒心の薄いヒグマが人里に出没している状況を踏まえ、人里周辺に生息・繁殖するヒグマの低密度化及び人への警戒心の植え付けにより、ヒグマの人里への出没抑制を図るとともに、ヒグマ出没時に出動する熟練した捕獲者の減少・高齢化に対処するための人材育成を目的とした「人里出没抑制等のための春期管理捕獲」を実施します。春期管理捕獲は、北海道ヒグマ管理計画(第2期)(表5)に定める地域個体群別の捕獲上限頭数を基にした管理の下で実施する捕獲であり、実施期間や許可基準等を「人里出没抑制等のための春期管理捕獲実施要領」で具体に定めています。令和6年人里出没抑制等のための春期管理捕獲を実施する市町村を対象に、捕獲事業の実施に要する費用の一部を支援します。

(ドローンで生息地調査し狩猟:兵庫)
赤外線カメラを搭載したドローンを活用した狩猟が、佐用町の大撫山周辺であった。同町でドローン操縦士の養成学校を運営する「T&T」(赤穂市)と佐用郡猟友会の会員らが、無線で連絡を取り合いながら獲物を追い、イノシシとシカを1匹ずつ仕留めた。

(ヒグマvsドローン、深刻な鳥獣被害とその駆除方法とは:北海道)
ドローンの技術革新が進むなか、政府は研究機関や企業、自治体によるさまざまな分野でのドローン活用を支援している。2022年には新たな運用ルールが制定され、観光、防災、インフラ、農業、鳥獣被害など、あらゆる分野でドローンの活用が進んでいる。鳥獣被害といえば、2023年最も話題になったのはクマだろう。日本各地の市街地にクマが出没し、被害をもたらしたことは記憶に新しい。さてそんなクマの調査にもドローンが活用されていることをご存じだろうか。2023年12月6日、ヒグマの目撃情報が相次ぐ「対策重点エリア」の札幌で、ドローンによる追跡調査が行われた。調査の目的は、ヒグマの行動を追跡し、市街地付近に生息する個体の有無を確認することと、人を恐れず市街地に出没する「アーバンベア(都会のクマ)」への対策を練ることだった。調査中の映像を確認すると、調査に使用した産業用ドローンはDJI社(中国)の「マトリス300RTK」のようだ。筆者(もりあやこ、調査測量系ライター)は同シリーズのマトリス600を扱ったことがあり、DJIの大型ドローンのカスタマイズのしやすさ、操作性のよさに感心した。特にマトリス300RTKは、動作環境温度がマイナス20~50℃と他のドローンに比べて比較的高低差があり、北海道のような過酷な環境でも故障しにくいというメリットがある。また、このドローンには数種類の対応カメラが用意されている。レーザー測量が可能なものもあれば、フルフレームセンサーによる空中写真測量が可能なものもある。野生動物の調査の場合、夜間撮影モードや赤外線カメラを使うことで、森に潜む生き物を見つけやすくなる。札幌の調査の場合、操作しながらリアルタイムで映像を確認して調査を行った。木陰に動く物体を発見すると、その方向にカメラを向け、動物の種類を特定した。その結果、ヒグマは発見されなかったが、シカは森林地帯で発見され、野生動物の調査にドローンが有効であることが実証されたようだ。ドローン調査の特徴のひとつは、調査時の安全性が高まり、人が立ち入れない場所や時間帯でも調査ができることだ。また、これまで人海戦術で行っていたフィールド調査を、短時間で効率的に行える。こうしたことから、農林水産省では、被害防止計画の立案や精度の高い鳥獣分布図の作成に役立つツールとして、ドローン調査も推進している。札幌市では、2022年に住宅地からわずか数百メートルほど離れた西区の三角山でヒグマが冬眠していることが確認されたほか、豊平区の札幌ドームの敷地内でもヒグマが目撃されている。市はこれまでにも対策委員会を設置し、ヒグマ対策に追われてきた。札幌市でヒグマの出没や人身事故が増えているのは、この地が約195万人の人々が暮らす大都市でありながら、豊かな自然にも恵まれていることが原因のひとつ。実際、札幌市の航空写真を確認すると、市街地は北東部分のみ。総面積の約6割を森林が占めているのだ。また、この50年で市内の農地面積が減少しており、森林と住宅地の間で人と野生動物を隔てる緩衝帯の役割を果たしていた農地が宅地へ置き換わっているのも理由に挙げられる。この現象は今後も続くとされ、人とヒグマの距離はますます近くなっていくことが懸念されている。同市は、「札幌市のように多くの人口を抱えながら市街地のすぐそばにある豊かな自然環境のなかでヒグマが生息しているような都市は、世界的にもあまり例がありません」として、「人とヒグマがどのように共生していくべきかを考え、その実現に向けて先進的な取組を進めていく」方針で、2023年には、「さっぽろヒグマ基本計画2023」が策定された。この計画では、人間の安全を最優先とする「市街地ゾーン」と、ヒグマの生息を担保する「森林ゾーン」の間に、森林に接した農地や公園などヒグマの侵入を抑制し定着を防止する「市街地周辺ゾーン」と、ヒグマの侵入は許容するが定着を抑制し市街地ゾーンとの緩衝帯とする「都市近郊林ゾーン」を設置し、人とヒグマのすみ分けを進める。このうち、森林ゾーン以外の三つの地域でヒグマを寄せ付けない対策を進めるために有効とされているのがドローンや人工知能(AI)をはじめとするICT技術。市は今後も、これらの技術をヒグマの侵入経路の監視や見回り・探索に活用し、一歩進んだヒグマ対策に役立てるとしている。北海道に生息するヒグマは、古くからアイヌ民族たちによって森のなかで最も位の高い「キムンカムイ = 山の神」としてあがめられてきた。捕らえたヒグマや育てた子グマを殺すことで、その魂を神々の国へ送り届けるという狩猟信仰に基づくものだった。「イオマンテ」と呼ばれる霊送りの儀式を行うことで、神々との良好な関係を保ち、魂がこの世に戻ってくることを願ったのである。一方、人里まで下りて来て危害を加える凶暴なヒグマは、「神から見放された不幸なクマ」として、処分しても儀式を行うことはなかった。人とよい関係が築けるかどうかで扱いを変えるアイヌ文化では、同じヒグマのなかにも明確な線引きがあったようだ。世間を騒がすクマ問題。冬に入り少しずつ落ち着いてきたものの、夏場は連日「市街地へのクマ出没」が取り沙汰され、すっかり「クマ = 怖いもの」という意識が根付いてしまったように思える。一方で、7月に札幌市が親子グマを駆除する方針を示した際、「残酷だ」「子グマまで殺すなんて悪魔か」などのクレーム電話が殺到したという。が、こういった声はまったく無関係な市外の人から寄せられていたという話もあり、何ともいえない気持ちになる。クマは私たちの身近に生息しているかもしれないが、怖い、いとおしい、かわいそう、とひとくくりにするのは「間違った」見方かもしれない。人間にもいろいろいるように、クマにも害をなすクマとそうでないクマがいる。その背景には、田畑や山を利用する人の減少など、人間の生活様式の変化もある。さまざまな原因や現状を踏まえながら、人とクマがどう共存していくかを考え続ける必要がある。

(クマ撃退へ、AI駆使:福島)
暗闇の中を4本足で動き回る黒い影。地面に顔を近づけ、何かを探しているかのような仕草だ。次の瞬間、光が明滅し、耳をつんざく電子音が鳴り響いた。ツキノワグマは慌てた様子で走り去った。これは会津大(福島県会津若松市)の斎藤寛教授(情報学)が、画像認識人工知能(AI)とカメラを搭載した装置で研究している「野生動物検出システム」の実証実験の様子だ。2023年度は福島県内の畑や通学路など16カ所に屋外カメラを設置。AIは事前にクマの動画などを読み込んで学習しており、クマを感知するとランプが点灯し、犬の鳴き声やサイレンなど14種類の音がランダムに鳴る。登録者にはメールでも出現を知らせる仕組みだ。

(出没するクマ抑制を、釧路市で取り組み始まる:北海道)
増えるクマの被害を防ごうと、去年に続き、人里に出没するクマを抑制する取り組みが3日から北海道・釧路市を皮切りに始まりました。この取り組みは、人里へのクマの出没が激増したことから道の支援のもと去年から始まり、釧路市は今年初めて実施しました。クマが冬眠から目覚める春を前に、当面は、人間のにおいを残して警戒感を植え付ける狙いですが、最近は冬眠しないクマも確認されていて、危険があれば捕獲する方針です。北海道猟友会釧路支部 米山秀治支部長「クマは臆病ですから、少しずつ圧をかけて、出没回数を減らしたい」。実施期間は5月末までとなっていますが、道はクマ対策で市町村への支援を強化していて、今年実施する市町村は去年の19より増えると見込んでいます。

(どんぐり生産量の予測モデルの開発に成功:北海道)
北海道大学大学院農学研究院のヴェグ レア学術研究員(現:国立環境研究所生物多様性領域 特別研究員)と同研究院の加藤知道准教授は、どんぐり(ブナ科樹木の堅果)の生産量を予測するシミュレーションモデルを開発しました。この研究では、森林炭素循環モデルに対し、どんぐりに必要となる炭水化物の蓄積量計算を新たに追加し、また、それを利用してどんぐりが作られるための条件(花芽形成・種子成熟・花粉生産・気象等)の探索を行いました。それにより、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター雨龍研究林において、約40年間に渡って実測されたミズナラのどんぐり生産量の年々変化を再現することに成功しました。今回開発したシミュレーションモデルは、数年おきに豊作になるどんぐり生産量を正確に予測する第一歩となり、将来的にはどんぐりに食料を依存しているクマ・イノシシ・ネズミなどの動物の個体数の予測にも応用できると考えられます。

(鳥獣対策×ふるさと納税:千葉)
野生鳥獣による農業への被害を減らすため、千葉県が捕獲作業の担い手確保に力を入れている。着目したのは、「ふるさと納税」と「ペーパーハンター」と呼ばれる人たち。年明けから山林で実践的な活動も始まった。どういう組み合わせなのだろうか。全国各地のふるさと納税の取り組みを集めたウェブサイト「ふるさとチョイス」に、昨年末まで期間限定で並んだ返礼品がある。キョンの精肉や加工食品、スマホケースなどの革製品。「千葉県有害鳥獣捕獲協力隊 成果品」で寄付額1万円、5万円、10万円、30万円の4種類があった。寄付先は千葉県。県はふるさと納税制度が始まって以来、豪華な返礼品競争とは一線を画し、寄付への返礼品を設けていなかった。それを「解禁」した背景には、深刻な鳥獣被害があった。過疎化で里山が荒れ、耕作放棄地が増える中、野生動物の活動範囲が広がっている。県内では絶滅したとみられたイノシシが、2000年代に房総半島南部で捕獲されるようになり、北部でも見つかるようになった。国内では県内と伊豆大島にのみ生息する中国原産の特定外来生物キョンの分布域は、04年度の5市町から20年度は17市町に広がった。生息数は22年度末時点で約7万1500頭と推定される。農作物の被害に加え、人が襲われる事故も発生。県などは捕獲に取り組むが、狩猟者の高齢化による担い手不足が立ちはだかる。捕獲活動の裾野を広げるため、23年度に県が始めたのが協力隊だった。鳥獣被害や対策に関心を持ってもらおうと、ふるさと納税の活用を検討。鳥獣被害対策に関わる返礼品は「地域課題の解決や事業の推進に資する」(税務課)として、庁内でゴーサインが出た。捕獲されたキョンの活用について、自然保護課の市原岳人副課長は「命を無駄にしないとの思いもある」と話す。昨年7~12月末の応募期間に93人から計約128万円の寄付が寄せられた。東京都江東区の会社員、大炭みゆきさん(63)もその一人。「動物を捕獲するだけではなく、有効利用する趣旨に共感した」と話す。協力隊は、寄付をした「支援隊員」と、県の捕獲事業に同行して実践的な技術や知識の取得を図る「参加隊員」からなる。参加隊員として県が想定したのは、狩猟免許を持っていても猟に出る機会の少ないペーパーハンターだ。昨年7月に募集を始めると、県内外から応募があり、30人の枠は2週間で埋まった。今後、捕獲活動の実戦力になることが期待される。このほか、免許を持っていない人向けに動画などで狩猟を疑似体験するコースも、定員を上回る20人から応募があった。きっかけは様々だ。参加隊員の一人、ゼネコン社員の田村明久さん(51)=千葉県鎌ケ谷市=は、職場の忘年会で約20年ぶりに食べたイノシシ肉がきっかけで狩猟に興味を持った。「自分で捕まえたイノシシの肉を振る舞いたいと思った」。銃とわなの2種類の狩猟免許を取り、猟友会の古参から散弾銃を譲り受けた。だが、いつどこで猟をしたらよいかわからなかった。そんな折、県の広報紙で隊員募集を知った。隊員になり、鳥獣被害の現状を詳しく知った。「都会で暮らしていて農家の方の悩みを知らなかった。狩猟者として独り立ちし、捕獲のお手伝いをしたい」参加隊員は1月から、県委託の業者による捕獲に同行。君津市の県立清和県民の森で、山中の約30カ所に仕掛けたわなを見回る。1月27日に参加した船橋市の望月和子さん(56)は、夫婦で営農している。ペーパーハンターだったが、昨春、畑でイノシシのような足跡を見つけたこともあり、隊員になった。捕獲活動に同行し、フンによる動物の見分け方や獣道の見極め方、安全で効果的なわなの設置方法などを学んだ。「現場で見るものと、読んで得た知識とに違いもあった。大変有意義で、刺激になった」。千葉県によると、2018~22年度のイノシシの捕獲数は約2万~3万頭で高止まり。シカは6773頭から8144頭に、キョンは4118頭から倍以上の8864頭に増えた。3動物による農作物被害は18年度が4億1711万円だったが、22年度は2億6959万円に減った。一方、県内の狩猟免許保持者は約5千人。60歳以上の割合が年々増えているという

(ツキノワグマの研究成果を紹介:兵庫)
兵庫県内のツキノワグマに関するオンラインシンポジウムが17日に開かれる。丹波市青垣町の県森林動物研究センター主催(県立大学共催)。全国でクマの被害が社会問題となる中、センターなどが進める個体数の管理などについて紹介する。タイトルは「兵庫県におけるツキノワグマの保護管理の成果と広域管理」。センターではクマの個体数を推定しており、東中国(兵庫、鳥取、岡山)の推定生息数は615~1243頭、近畿北部西側(兵庫、京都)は489~1194頭とみている。2016年度以降は横ばいの状況だという。シンポでは、18年度から始めた隣府県と情報を共有する取り組みを報告。推定個体数の12~15%を上限として捕獲し、安定した個体数の管理を進める重要性を紹介する。集落で放任されている柿を伐採することで、クマの出没を減らすことができた実践の報告もある。カメラをつけたクマの山の中での生態なども紹介する。センターは「クマの生態から被害対策まで研究しています。シンポを通じて多くの人に成果を知ってもらいたい」としている。

(ハンター目指す人向けに狩猟セミナー:北海道)
北海道猟友会旭川支部は2月8日(木)午後6時30分から旭川市農業センター(旭川市神居町雨紛、花菜里ランド)で「冬の狩猟セミナー」を開きます。これからハンターになりたい人向けに、狩猟免許取得の流れや、狩猟免許でできることを説明します。後半は、ワナ猟について、猟具の扱い方と楽しみ方、ジビエや皮の活用法、クマの対応法などをテーマに、現役ハンターが語ります。狩猟の世界の面白さと、命をいただく繊細な感情にふれる機会になりそうです。入場無料。定員40人。

(山林歩き回る猟友会「年寄りには酷」:山梨)
シカやイノシシによる農業への被害が深刻化する中、生息数を調整する管理捕獲を担う山梨県猟友会が、メンバーの高齢化に悩んでいる。獲物を求めて山林を長時間歩き回るのは体力的にも厳しい。若手も参加できるよう狩猟と仕事や家庭を両立するための配慮もしているが、思うように集まらない。昨年12月下旬午前8時半頃、山梨県富士吉田市の山中に、県猟友会の富士五湖猟友会のメンバーら13人が管理捕獲のため入った。動物を追い立てる「勢子せこ」が4人、待ち伏せして銃で仕留める「立間たつま」が9人という体制。メンバーのうち9人が70歳以上で、リーダーを務めた県猟友会の佐藤若夫会長(76)は「年寄りが崖や山道をたくさん歩くのは酷なんだよ」と話した。勢子を務めた34歳の男性は、この日の最年少。4年前に猟友会に入り、ハンターの高齢化が進んでいることを実感したという。「自分の行動が仲間の力になったり、畑を動物に荒らされる人々の助けになればうれしい」と話した。開けた場所で待っていると、勢子が獲物を追い立てる声が聞こえ、立間たちが銃を構えた。声がどんどん近くなり、シカが姿を現した。「ドン」。銃声が響くとシカが倒れた。この日は午前中に1頭のシカを捕獲した。佐藤会長は、動物により農業や林業に大きな被害が出ているのを見ることが増えたといい、「困っている人がたくさんいる。大変だけど自分たちがやらないと被害に遭う人が増えるだけ」と話す。猟友会の高齢化は大きな課題だ。仕事や家庭と猟を両立しやすくするため、参加は本人の都合に任せているが、20~30代の若手は年に15人ほどしか加入しないのが現状だという。金銭的にも環境は厳しい。県が管理捕獲の対象と定めているニホンジカやイノシシなどを仕留めた際に支払われる補助は1頭あたり1万5000円で、1人当たりにすると1000円程度にしかならない。円安などで1回の猟で10発ほど使う弾の値段も上がっており、赤字になることが多いという。佐藤会長は「環境は厳しくなるばかり。高齢のハンターは徐々にやめていくし、補助を充実させなければ若者は入ってこず、今以上に苦しむ農家などが増える」と危機感を覚えている。

(オホーツク管内でアライグマ捕獲増:北海道)
農業に悪影響をもたらす特定外来生物のアライグマの捕獲頭数が、オホーツク管内でじわりと増えている。道内には天敵がいない上、繁殖力が強く爆発的に増えるため、駆除が追いつかず農業被害が深刻な地域も少なくない。管内の関係者は「手遅れになる前に対策することが重要」と警戒を強めている。...

(緩衝帯で熊の出没防止へ:長野)
安曇野市で里山整備に取り組んでいるボランティア団体・あづみの樹楽会が今年、穂高牧と穂高柏原にかかる烏川で、熊が人里に出没するのを防ぐ緩衝帯の整備を始めた。熊が侵入する際は河川を利用することが多いと言われており、荒れた雑木林を伐採して見通しを良くすることで熊の警戒心を高める。人と熊の共存を目指す活動で、洪水対策や景観美化にもつなげる。国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区内の渓流連絡橋から山麓線・烏川橋までの両岸約400メートル区間が対象。令和7年度まで3年間かけ、20~40メートル幅の緩衝帯を複数箇所設ける。作業は1~3月の渇水期に行う。全国各地で熊の出没と被害が昨年相次いだことを受け、自分たちにできることはないかと独自に企画した。国土交通省や県安曇野建設事務所、市が協力している。樹楽会事務局の別府弘祥さんは「見通しが良くなって熊が警戒し、人と熊が出合うことが減ってくれれば」と期待する。樹楽会によると、三郷・堀金地域の西山山麓には野生動物が人里に出没するのを防ぐ電気柵があるが、穂高地域にはなく、烏川周辺が分岐点になっているという。令和2年9月には穂高牧の山麓線に近い場所で、散歩中の女性が熊に頭や肩をかまれてけがを負う事故も発生している。県の地域発元気づくり支援金を活用し、切った木の枝をチップ化するチッパーや伐採作業を安全で効率的に行うためのロープウインチの購入を考えている。チェーンソーのガソリン代や作業員の保険代で市の補助金も受けている。切った木は会員がまきとして使う。樹楽会には、サポーターを含めて29人が参加している。渡辺晃会長は「樹楽会の活動の新しいステージ。人と熊がお互いに一定の距離を保って共存していけたら」と願う。

(崩れたクマとマタギの関係:秋田)
かつて人と動物のすみかを分け隔てていた里山が衰退し、野生動物が急速に人間の生活圏に近づいている。クマによる人身被害の急増は、人と野生動物は共生できるのかという根本的な問いを、私たちに突き付けている。「山が押してきた」。伝統的な方法で狩猟をする「マタギ」の発祥地とされる北秋田市阿仁(あに)地区。9代目マタギとして家業を受け継ぐ鈴木英雄さん(76)は、クマが人里に下りてくるようになった現状をそう嘆いた。2023年11月初旬。民家近くの空き地で鈴木さんが空を指さした。「あれ、なんだかわかる?」栗の木に巨大な鳥の巣のようなものがある。木に登ったクマが、実を食べるために枝を折った際にできる「クマ棚」だ。地面には根元から引き裂かれた枝や、栗の殻が散らばっていた。「きれいに食べている。クマは本当に賢くて器用だ」。鈴木さんは目を細めた。秋田県では同年4~12月、クマによる人的被害が62件と過去最多を記録した。阿仁地区でも人里に出没するクマが増えた。鈴木さんは10月、民家のそばや線路沿いで何頭ものクマを目撃した。車や人が近くを通っても逃げるそぶりを見せず、一心不乱に食べ物を探していた。バス停に座り込んでいた場面にも出くわした。「クマがバスを待っとる」。住民とそんな軽口を交わしたが、胸中は複雑だった。「子どもの頃は何キロも山道を歩いて小学校に通ったけれど、クマに遭遇したことは一度もなかった。父親やじいさんからも、里にクマが出たなんて聞いたことはなかった」。鈴木さんは「巻き狩り」と呼ばれる集団での狩猟で、リーダーの「シカリ」を務めてきた。雪に残った足跡を追い、クマを見つけると「勢子(せこ)」が猟犬を使って谷から尾根へとクマを追い上げる。仕留めるのは鉄砲撃ちの役割だ。クマは、マタギが使う爆竹のにおいや猟犬の声などで「人間は怖い」と学習する。それは母グマから子グマへ受け継がれ、奥山にこもって人里には来ない。だからマタギは山に入り、クマを追う。長く保たれてきたこの関係が、今は崩れてしまった。北秋田市によると、阿仁地区(旧阿仁町)の人口は23年11月末時点で2245人。65歳以上の高齢化率は59%に上り、若者の多くは進学と同時に町を出てしまう。鈴木さんによると、1996年に地区で100人以上いたマタギも今は約40人まで減った。地区はかつて、山あいに広がる棚田の美しい光景で知られたが、農業の担い手が減り、棚田の多くは草地に変わった。「耕作放棄地はクマの格好の隠れ場所になる。空き家も増え、敷地に残された栗や柿の木を狙ってクマが寄ってくる」と鈴木さんは言う。ただ、草を刈ったり、放置果樹を撤去したりする人手がない。鈴木さんは近所の手入れも手伝っているが、「これ以上年を取ったらできるか分からない」と将来を危ぶむ。

(「ビームライフル射撃」体験会:長野)
4年後に長野県で開催される国民スポーツ大会の正式種目にもなっている「ビームライフル射撃」の体験会が長野市で開かれました。「ビームライフル射撃」は光線が出る銃を使って10メートル先の的を狙う種目で、2028年に県内で開催される国民スポーツ大会の正式種目に採用されています。実弾を使わないため銃の所持資格は不要で、誰でも安全に楽しむことができますが、県内では高校生以下の競技者がわずか6人と、認知度の低さが課題となっています。種目の普及や選手の発掘などを目的に、4日に長野市で体験会が開かれ、小学生など60人余りが参加しました。県ライフル射撃協会では、「体験会の参加者から国民スポーツ大会の選手を輩出したい」と期待していました。

(キャンプブーム、ジビエブームの影響か)
最近、狩猟免許を持つ若い人が増えているという。2017年の全国の狩猟免許交付数は20万141人で、19年は21万5417人だった。この3年間で約1万5000人増加しているが、その中で10代から40代の交付数が、約7000人と半数近くを占めているのだ(環境省による)。未経験者の狩猟活動をサポートする「ハンターバンク」の有田一貴(ありた・かずき)氏が、その背景を解説する。「われわれの会員に話を聞くと、キャンプブームの延長として狩猟に興味を持った人。あるいは、おいしいジビエ(野生鳥獣)の肉を食べてみたいと思った人。また、命をいただくということを子供に教育として教えたいと思った人など、さまざまです」。いろいろな理由で狩猟免許を持つ人は増えているが、一方で問題もある。「首都圏の1都3県では、19年の時点で約2万人の狩猟免許を持っている人がいますが、われわれの調査だとおよそ47%がペーパーハンターです。狩猟免許を取る人は増えているけれども、実際に狩猟をしている人は半数しかいません。その理由は『狩猟する場所がない』『仕事との両立が困難』『技術を教えてくれる人がいない』『初期費用が高い』など。自動車運転免許を取る場合、教習所で技能教習があるので『免許取得者=運転技術を持っている』といえるのですが、狩猟免許試験は法律的な内容が多く、狩猟技術はほとんど含まれていません。そのため、技術を習得するためには、地域の猟友会などに入って先輩ハンターから教えてもらわなければいけないのです。しかし、首都圏に住んでいる人は会社員の方も多く、週末だけ狩猟をしたいと思っていることが多いので、あまり時間が取れません。そこでハンターバンクでは、『狩猟する場所が見つからない』という人と、鳥獣被害に困っている農家さんを結びつけます。そして『仕事との両立が困難』な場合でも、ネットワークカメラを使って平日でも罠の監視ができるようにしています。もし、罠の餌がなくなっていたら、地元の農家さんやスタッフが補充の代行もします。また、『技術を教えてくれる人がいない』という人には、現地でスタッフがきちんと狩猟の方法をアドバイスしますし、獲物が獲とれたときの解体方法も教えています。『初期費用が高い』ことには月額利用料に狩猟道具の貸出料が含まれています」。ハンターバンクは入会後最初の3ヵ月間は狩猟講習を受けながら狩猟を行ない(月額1万5000円)その後はチームで箱罠を管理(月額8000円)するシステムを取っている。こうしたサポートによって、首都圏からやって来る週末ハンターは増加した。これまでのハンターバンクへの入会者は300人超だという。「ハンターバンクが目指しているゴールは、狩猟を始める第一歩を踏み出しやすい環境を整え、狩猟人口が少しでも増えていくことです」。ハンターバンクは箱罠を使って週末ハンターをサポートしているが、銃の場合はどうだろう?ちなみに、狩猟免許には猟法によって4種に分かれている。箱罠など罠を使う「わな猟免許」、網を使う「網猟免許」、装薬銃などを使う「第一種銃猟免許」、空気銃を使う「第二種銃猟免許」だ。また、銃で狩猟をする場合には「狩猟免許」と「鉄砲所持許可」が必要になる。銃と罠の狩猟者育成プログラムを行なっている株式会社TSJの仲村篤志(なかむら・あつし)氏にも聞いた。「『狩猟免許を取ったけれども、狩猟をするにはどうしたらいいんでしょうか?』という相談がすごく多いんです。そこで、私たちは狩猟免許を取って猟師になりたいという人向けに、狩猟者を求める行政と連携した1年間の講習を行なっています。獣の生態などの座学から、捕獲した後の解体の方法などの実技まで教えますが、やはり一番重要なのは、実際に鳥獣被害に困っている人々とのコミュニケーションです。地元の農家さんとお話をして、どういうところに獣が出てきて、どんな被害があるのか。その状況によって狩猟の方法も変わってきますから。狩猟は趣味として扱われますが、実際狩猟のフィールドである中山間地域で求められる狩猟者は、鳥獣害対策の担い手である期待が大きい(22年度の野生鳥獣による農作物の被害額は約156億円/農林水産省)。猟友会なども会員の高齢化が進んでいるので、5年後、10年後には鳥獣被害対策をするハンターが激減してしまいます。ですから、週末だけでも駆除してもらうと地元の農家さんは助かるんです。そのためには、ちゃんとした技術を教える狩猟者育成プログラムのようなものが必要だと思っています」。こうした組織的なサポートによって、週末ハンターは少しずつ増加しているが、一方で自身も週末ハンターでありながら、週末ハンターを支援している人もいる。埼玉県で会社経営をする谷島一夫(やじま・かずお)さんだ。「うちにはサラリーマンの週末ハンターもよくやって来ますよ。銃の免許を取って射撃クラブに通っていると待ち時間があるんです。そのときに『鹿を撃ちたいなら、あの人に聞いてみな』とか『あの人は猟隊をやっているよ』とかいう話になる。それで『誰々の紹介です』とやって来るんです。やはり、狩猟をするにはその土地の山をよく知っている人と一緒のほうがいい。例えば、犬に追われて獲物が出てくるから、ここの場所で待っていてと連れていってくれる。そして、『この角度だけは撃っていいけど、こっちは人がいるから撃つな』などと教えられる。そういう経験を積んで、だんだんその土地の狩猟知識が増えていくんです。だから、猟をしたい土地にある程度通ったほうがいい。それに、週末ハンターなんだから、鹿が獲れなかったら、獲れなかったなりに楽しめばいい。キャンプやジビエブームの延長として、鉄砲を担いで山を歩くだけでも楽しいですよ。ああ、ここには鹿の好きなアオキの葉っぱがたくさんあるなとか発見したり、疲れたら持ってきたコンロでお湯を沸かしてコーヒーを飲んだり。それくらいの気持ちでいれば、鹿が獲れたときにはもっと楽しいはずです。ただ、私は『狩猟は面白いからやったほうがいい』とは決して勧めません。やはり、命を奪うということになるので、興味を持ってやりたいと思っている人なら『じゃあ、一緒にやりましょうよ』と声をかけるだけです」。そんな谷島さんの週末ハンター活動に同行してみた。場所は山梨県のある村。その日は、前日に雪が降り、当日は雨だった。朝8時に谷島さんの山小屋に到着すると、すでに3名の週末ハンターがいた。自動車販売のMさんと建築業のKさん、そして谷島さんの息子さん。今回は、V字の谷間の一方に撃ち手を3人配置して、その谷間に猟犬が鹿を追い込む巻き狩りだ。谷島さんと猟犬は、撃ち手と違う方向から雪が残る山に入っていく。少し歩くと木の下で雪が積もっていない場所を指さした。「ここは鹿が寝ていた所。ほら、フンも落ちている」と教えてくれた。その後、猟犬を放すと、全速力で鹿のニオイを追いかけていく。しばらくすると、谷島さんが無線で撃ち手に「犬が鹿を見つけた。出るぞ! いた! 大きなメス鹿だ」と伝えた。一気に緊張が高まる。しかし、そのすぐ後「あー、ダメだ」と谷島さんの声。鹿を追いかけていた猟犬が、雪と雨で滑る急斜面を登れないのだ。その瞬間に鹿は犬から逃げきり、谷間ではない方向で消えていった。もし、天気が良かったら鹿は獲れていたかもしれない。でも、獲れなかったら、獲れなかったなりに楽しめばいいのだ――。今、狩猟を始める若者は増えている。そして、週末ハンターをサポートする組織や個人も増えている。その背景には、鳥獣被害をできるだけ少なくしたいという思いがあるからだ。週末ハンターを目指す人は、ぜひ、それを忘れないでほしい。

(サラリーマンから料理人まで、3カ月で狩猟の基本を学ぶ「ハンターバンク」)
近年、アウトドアへの関心の高まりなどから、狩猟免許所持者数(特に10代から40代)が増加しているという。しかし、免許所持者は増えているものの、狩猟者登録をしている人は免許所持者全体の6割程度にとどまり、実際には狩猟をしていない「ペーパーハンター」が増加傾向にある。また、ハンターの多くは高齢化しており、近い将来、ハンター不足に陥ることは避けられないのが現状だ。鳥獣被害が増える地域と、免許は取得したもののハンターの経験や技術を習得できず次第に意欲を失う若手ハンター。この双方をつなぐことで鳥獣被害対策に結びつけたいと考えた有田さん。小田急沿線には山間地もあることから、「社会課題の解決」を目的とした社内事業アイデア公募制度で採択され、2022年に事業化された。限られた人だけのものだった「狩猟」を、もっと身近な、日常に取り入れられるものにすること。それこそが、ハンター育成の裾野を広げることになり、鳥獣被害の解決につながると同社では考えている。これまでハンターバンクへの入会者は、300人超。しかも、会員のうち、狩猟免許を持っているのは2割ほどで、大多数は免許を持っていないという。「ハンターバンクの会員さんの多くは、普段は都心で働くサラリーマンです。新鮮なジビエ肉を自分で手に入れて食べてみたいという方、アウトドアの延長で狩猟に興味を持った方から、鳥獣被害の対策をしたいという方まで、参加動機もそれぞれに異なります」(有田さん)。有田さんによると、狩猟免許をいつか取ってみたいという人が、お試し的に参加するというケースも多いようだ。他にも、フレンチやイタリアンなどの料理人や、バルの経営者、ジビエ食材に関心のある人、食育として子どもを連れて参加する人もいるという。ハンターバンクではレクチャー期間と、独り立ち期間(レクチャー終了後)に分けて講習・サポートを行っている。最初の3カ月のレクチャー期間で、実際にわなを仕掛けながら、捕獲から解体までの技術を学ぶ。4カ月目以降には、自立して狩猟を続けていけるようサポートを行うレクチャー期間は3カ月間。実際にわなを仕掛け、捕獲・解体までを一連の流れとして学ぶことができる。狩猟道具やわなを監視するトレイルカメラのレンタル料は会費に含まれている。また、わな周辺へのエサまきや、普段の見回りは現地スタッフや協力農家がサポートする。週末にはイノシシ解体体験やジビエBBQなどのイベントを通して、知識や技術を身につけることができる。4カ月目以降は、講習形式の技術指導やイベント等はなくなるが、チーム単位でのハントや、わなの見回り管理サポートなどは引き続き受けることができる。「個人で狩猟を始めようとすると、そもそもどんな道具が必要なのかや、わなの設置方法・設置場所の交渉などを自分で学び、行わなくてはなりません。ハンターバンクでは、道具や場所の問題を解決した状態から始められ、実地で学びながら、わな猟のノウハウを身につけることができるような仕組みを用意しています」(有田さん)。

(白いイノシシ:宮崎)
神様の使い?美郷町西郷の中田自動車(中田真吾代表)工場の裏庭で、白いイノシシが捕まった=写真。鼻と耳、背にうっすらと茶色の毛が見えるが、全身をほぼ白い毛が覆う。体長は約40センチで子どもと見られる。2、3週間前から、工場の裏山を駆け回っているのを従業員らが目撃。中田代表(42)の友人の猟師がわなを仕掛け、1月31日に捕獲した。宮崎市フェニックス自然動物園によると白い毛の個体は珍しいという。神話では神聖とされる白いイノシシ。飼育するつもりで、「店の守り神になってほしい」と中田代表。

(「熊鍋会」観光客らに無料で提供:秋田)
マタギの本場、秋田県北秋田市阿仁でクマ肉を味わう「振る舞い熊鍋会」が3日、秋田内陸線比立内駅の「がっこステーション」で開かれた。地元の女性たちが前日から大鍋で煮込んでおいたクマ肉入りの一杯を、訪れた地域住民や観光客に無料で振る舞った。

(「エゾシカ伝道師」高橋さんに道表彰:北海道)
釧路短大生活科学科専任講師の高橋未佳さん(50)=釧路市=が、本年度の「道食育推進優良活動表彰」を受けた。「エゾシカ伝道師」として、エゾシカの生態やエゾシカ肉の調理方法などを伝えてきたことが評価された。...

(「第8回ジビエ料理コンテスト」の結果)
ジビエの普及啓発等に取り組む農林水産省の「鳥獣利活用推進支援事業」の一環として開催した「第8回ジビエ料理コンテスト」において、農林水産大臣賞等の受賞者が決定されたのでお知らせします。農村地域で深刻な被害をもたらす有害鳥獣の捕獲数が増加傾向にある中で、これを地域資源としてとらえ、野生鳥獣肉(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっています。このような状況の中で、農林水産省では、平成28年度からジビエの普及啓発や調査実証に取り組む「鳥獣利活用推進支援事業」において、ジビエの全国的な需要拡大を推進しています。本コンテストは、同事業の一環として事業実施主体である「一般社団法人日本ジビエ振興協会」が実施したもので、選定・表彰された料理レシピを広く紹介・提供することで、消費者等への普及啓発を図り、ジビエの全国的な需要拡大や鳥獣利活用の推進を図るものです。第8回となる今回は「お店で食べたいジビエ料理部門」「おうちで食べたいジビエ料理部門」の2部門で合計162点の応募があり、書類審査及び実食審査の結果、農林水産大臣賞2賞含む合計12賞の受賞者が決定しました。

(ジビエ料理普及を、プロ指導のセミナー:長野)
「ジビエ」と呼ばれるシカやイノシシの肉の魅力を広く消費者に伝え、調理や食べる機会を増やしていこうと、一般社団法人日本ジビエ振興協会(茅野市)は1日、「ジビエセミナー」を伊那市の伊那公民館で開いた。JA上伊那生活部会や農村女性ネットワークいなの約40人が参加。同協会代表理事でフランス料理店オーナーシェフの藤木徳彦さん(52)が講師を務め、ジビエを使った料理2品を調理し、味わった。農林水産省の今年度鳥獣利活用推進支援事業を受けて全国5カ所で実施しているセミナーの一つで、県内では唯一の開催となった。藤木さんによると、日本で捕獲される野生鳥獣は年間約130万頭。うちジビエとして利活用されるのはわずか1割にとどまり、残り9割はペットフードに使われるか廃棄されているという。良質なタンパク質を含むジビエを利活用し、無駄なく「命をいただく」ためには一般家庭への普及が不可欠として、調理・試食を伴う実践的なセミナーを企画した。初めに国産ジビエを取り巻く状況について学んだ後、「猪とキャベツのテリーヌ仕立て」と「鹿肉だんごのトマトシチュー」の2品を6班に分かれて調理。ともに一般家庭でも使いやすいミンチを使用し、藤木さんの指導で作った。主催者側で用意した「鹿肉のからあげ」とデザートの「鹿スネ肉とバナナのタルト」も試食に並んだ。参加者は「おいしい」「思ったより柔らかい」と予想以上のおいしさに感嘆。JA生活部会飯島地区部会長の早稲田恵美子さん(73)=飯島町=は「シカやイノシシの肉とは思えず、臭みもなくおいしい。ジビエが今以上に手に入りやすくなれば家庭でも作ってみたい」と話した。藤木さんは「ジビエを身近に買える場所を増やしたい。いかに一般消費を増やすかが今後の課題」と指摘していた。

(ジビエのおいしさ知って:岐阜)
ジビエ料理の魅力を知ってもらおうと、関市桜ケ丘の関高校の生徒が企画した「ジビエグルメフェスタ」が3日、同市平和通のせきてらすで開かれる。関高2年生の探求グループ「鹿っ子プロジェクト」が駆除されたシカ肉のフードロス問題を解決しようと企画した。プロジェクトは昨年、同市と郡上市で店を構える中華料理「しょうりゅう」と協力し、郡上市産シカ肉の「鹿っ子ミンチ」を開発。現在はミンチの活用に向け取り組んでいる。

(スパイスが利いたやさしい味わいのジビエカレー:兵庫)
2024年1月、土山駅から徒歩4分ほどの場所に、明石市の小さなスパイスカレー店「ハハカリー」が、昨年12月のプレオープン期間を経てグランドオープンしました。ジビエに合うスパイスを使った、初めての人でも食べやすいジビエカレーを提供しています。ジビエとスパイスカレーの魅力をたくさんの方に知ってもらいたいと開業した同店。昨年末に2日間限定で提供した、ジビエの角煮をのせたカレーそば「年越しスパイスカレー蕎麦」も大好評でした。看板メニューの「名物ジビエカレー」1,300円は、兵庫県産ジビエと独自に配合したスパイスを組み合わせたスパイスカレー。ジビエ特有の臭みはほとんどなく、どんな方にも食べやすいようにスパイス選びにもこだわっています。また、ジビエには鉄分やビタミンなどの栄養価が豊富に含まれているので、スパイスの持つ消化促進や血行促進との相乗効果も期待できます。

(手と水で簡単、鹿皮細工:岡山)
岡山市北区建部町の山中で、頼本ちひろさん(41)が獣害を防ぐため狩られたシカやイノシシの皮の活用を考える「建部獣皮有効活用研究所」を立ち上げて5年。鹿皮を自由に整形して工作ができるレザークラフト製品「かわねんど」を考案した。「皮を扱う上でやっちゃいけないことを全部やっています」と笑う。豊かな自然に触れられる東京・東久留米市で育ち、生き物が大好き。小学生のころは「昆虫ハカセ」と呼ばれ、中学では自然科学クラブの部長を務め、大学は「北海道に住みたい」と東京農業大学の網走キャンパスを選択した。獣皮と関わるきっかけになったのは、出産と東日本大震災だった。脳性まひの子どもの治療も兼ねて、京都府福知山市に移住。地元の猟師から害獣駆除でとれた皮をもらい、初めて獣皮加工に取り組んだ。夜中のベランダで、皮から肉や脂をこそぎ落として血まみれに。「夫は『見た目がやばいよ、通報されるよ』と心配してました」。最初のころに手がけて失敗し、スルメのようにぱりぱりになった皮は今も手元においてある。夫が地域おこし協力隊員になったのを機に、2016年に建部に移住した。食肉に加工されたシカやイノシシの皮を年間数十頭処理し、クラフト素材や革小物にして売っている。ワークショップの依頼が増えたことから、一般の人でも作れる皮細工を考え、鹿皮の特性に思い至った。水を吸うと自由に整形できるが、乾くと固まる。うっかり油性ペンを付けたら絶対落ちない。でも、逆用すれば道具無しで形が作れ、簡単に彩色できるのでは?動物の型取りをした鹿皮に色を塗り、水に濡(ぬ)らして曲げ、乾かしたら完成。手のひらサイズで手触りの良い犬やパンダが簡単にできあがる。イベントでも好評で、昨年11月から市販を始めた。年末には新年の干支(えと)に合わせて「竜」を開発した。「毎年、干支を増やしていこうと思ってます。『鹿皮のシカはないの?』とよく聞かれるので、それも作ろうかな」

(3児のママが毎朝手作りするジビエ肉を使った餃子:兵庫)
出産後に心に不調をきたし、家族と一緒に淡路島へと移住した大阪出身の森田悠香さん。大好きな海をめぐるうちに、たどり着いたのが淡路島の海でした。淡路島で過ごすうちに少しずつ前を向けるようになり、夫や友人たちと一緒に、地元野菜やジビエ肉を使った餃子の無人販売所「島ぎょうざ はるちゃん」をオープン。今では現地の人からも愛される人気店になっています。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。後編では、「島ぎょうざ はるちゃん」の立ち上げの経緯や今後の夢について話を伺いました。

(「愛知産ジビエ」を使ったメニューが県内5店舗で試食:愛知)
愛知県では、野生鳥獣による農作物被害軽減対策を推進する中で、愛知県内で捕獲され、県内の処理加工施設で処理されたイノシシとニホンジカの肉(ジビエ)を「愛知産ジビエ」として地域資源に位置付け、利活用を推進しています。この度、「愛知産ジビエ」を使ったメニューを、「愛知産ジビエ」の消費拡大の趣旨に御賛同いただいた店舗において、数量・期間限定の「試食品」として無料で提供しますのでお知らせします。ジビエに興味・関心がある方は、是非この機会に以下の店舗にて「愛知産ジビエ」をお楽しみください。

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(キジ狩り中に猟銃誤射、男性負傷:栃木)
31日午前7時25分ごろ、宇都宮市石那田町の農道に止まっていた自動車内で、キジ狩りに来ていた横浜市の飲食店経営の男性(50)が、狩猟用の空気銃を置こうとした際に誤って1発発射し、助手席にいた横浜市の飲食店従業員の男性(40)の左足に当たった。栃木県警によると、弾は土踏まずから足の外側に向けて貫通し、男性は約2週間のけが。命に別条はない。県警は業務上過失傷害容疑の可能性があるとみて詳しい状況を調べる。キジを探しに車の外に出て、戻って銃を置こうとしたところだった。

(足寄町で死んだオオワシ見つかる、鉛中毒と確認:北海道)
1月、十勝の足寄町で国の天然記念物に指定されているオオワシ1羽が死んでいるのが見つかり、その後、鉛中毒だったことが確認されました。エゾシカなどの猟で使用が禁止されている鉛の弾を飲み込んだとみられ、環境省は使用禁止を徹底するよう呼びかけています。環境省北海道地方環境事務所によりますと1月18日、足寄町で若いオオワシ1羽が死んでいるのが見つかりました。釧路市の猛禽類医学研究所で詳しく調べた結果、胃の中から鉛のライフル弾とみられる破片が見つかったことなどから、オオワシは鉛中毒が原因で死んだことが確認されました。オオワシは銃で撃たれたエゾシカなどの肉を食べた際に鉛の弾を飲み込んで鉛中毒になったとみられるということです。道内では国の天然記念物に指定されているオオワシなど猛きん類の鉛中毒を防ぐため、エゾシカなどの猟で鉛の弾を使用することが禁止されています。環境省は猟友会などに対し、鉛の弾の使用禁止を徹底するとともに、狩猟を行った際にはエゾシカなどを適切に処理するよう注意を呼びかけています。

(クマによる人身被害、今年度は11月末までに193件212人。うち死亡6人)
環境省によると、2023年4月から10月までのツキノワグマの出没件数は、09年度以降で最多。ヒグマを含むクマ類の人身被害は11月末までに193件、212人と非常に多かった。同省が2024年1月の専門家検討会に示した資料によると、23年4月から10月末の7カ月間の全国のツキノワグマ出没件数は1万9192件。20年(1万8000件)を上回り、過去最多となった。例年は6月をピークにいったん減少し、10月に再び増加する年が多かったが、今年度は9月に早くも上向きに転じ、10月だけで6000件近くの出没件数を記録した。件数を地方別でみると、東北が約6割(1万1163件)を占め、特に岩手県(5158件)、秋田県(3000件)の2件だけで全体の4割を占めた。東北では岩手、秋田、宮城、山形県で8月以降に出没件数が増加。環境省はこの理由について、「ブナ科の木の実の凶作の影響が考えられる」としている。クマ類による人身被害は、今年度4月から11月末までに193件発生。被害人数は212人(うち死亡6人)で、月別の統計がある2006年度以降で発生件数は最多となった。近年で100件以上の被害があった2019年度、20年度、23年度の状況を見ると、いずれも10月が被害のピークとなっている。地域別でみると、今年度は東北が138件と被害が突出。この15年間で最も多かった2017年度(58件)の2倍以上となった。人身被害の発生場所を見ると、4月から6月の春にかけては森林や農地での発生が8割以上。しかし、9月、10月には全体の約4割が人家周辺で起きていた。特に秋田県ではこの傾向が顕著で、9月から11月の3カ月間で、山林以外の「人の生活圏」で起きた人身被害は40件以上に及んだ。

(春クマ捕獲、雌の上限廃止:北海道)
ヒグマの市街地への出没抑制を目的に、北海道が昨年から導入している「春期管理捕獲」(2月1日~5月)について、上限約150頭としていた雌の捕獲数を今年は廃止することが分かった。市町村に積極的な捕獲を促すためで、ヒグマの管理計画の上限(5年間で約2300頭)に達しない範囲で捕獲できる。春期管理捕獲は、残雪で足跡が追いやすい春に人里周辺でヒグマを減らす取り組みで、市町村が主体となって実施する。昨年は生息数の増減に及ぼす影響が大きいとして、雌については上限を設定した。参加した19市町村の捕獲実績は、雄を中心に20頭だった。道は昨年の実績から、参加市町村が最多となってもクマが絶滅するほどの捕獲数には達しないと判断し、上限を廃止。捕獲のたびに道への報告を求め、管理計画上の上限に近づいた場合は、雌の捕獲を中止する。道内のヒグマの推定頭数は約1万頭。道によると、2022年度の雌の捕獲数は300頭前後とみられ、集計中の23年度分を考慮しても、絶滅防止に向けて管理計画で定めた上限には余裕があるという。

(ヒグマ春駆除、40超市町村が実施意向:北海道)
ヒグマの人里への出没抑制を目的とし、冬眠中や冬眠明けの個体を狙う「春期管理捕獲」が1日、道内全域を対象に始まった。今年で2年目で、市町村や狩猟関連団体が道の許可を得て実施する。ハンターへの報酬や弾代などの経費を半額補助する制度を道が新設したこともあり、昨季の2倍の40市町村を超える参画を見込む。頭数制限も緩和し捕獲活動の活発化を図る。期間は5月末まで。現時点で道が許可したのは釧路市の1件で、今後も申請に基づき随時許可する。昨年は19市町村・団体が許可を得て、うち6市町村が20頭を駆除した。道によると、事前調査では40超の市町村が前向きな意向を示した。昨年、ヒグマによる人身事故が相次ぎ死者も2人出たことや、道が補助制度を新設したことが影響したとみられる。道は残雪期の「春グマ駆除」を野生動物保護の観点から1990年に廃止したが、出没数の増加に対応し、昨年から春期管理捕獲として人里周辺での親子グマ駆除や穴狩りを解禁した。今季は許可区域を人里から「約5キロ以内を目安に地域の実情に応じて最大10キロ以内」とし、昨季の「約3~5キロ以内」から拡大。捕獲数は許可1件につき原則20頭までとし、全道12の生息区域ごとに雌雄別で2~数十頭と細かく定めた昨季から簡素化。12区域で計154頭だった雌の捕獲上限はなくなる。ただし雌の捕獲数はヒグマ管理計画で定めた「5年間で最大約2300頭」を超えないようにする。

(ハーフライフル、規制と駆除の両立必要:北海道)
警察庁は猟銃「ハーフライフル銃」の規制を強化する銃刀法改正案を今国会に提出する方針だ。昨年長野県で男女4人が殺害された事件で、2人の警察官が撃たれた凶器となったことが理由だ。ハーフライフルは現在、狩猟免許取得後すぐに所持できるが、改正案ではライフル銃と同様、免許取得後10年を経過した人に限って認めるとしている。犯罪防止のため、銃の規制やその運用を厳格化する必要はある。一方、大型獣の捕獲に向くハーフライフルは道内で広く使用されている。道は国に対し鳥獣対策に影響が出ぬよう配慮を要請した。規制と駆除の両立が図られるよう法案を練り上げてもらいたい。ハーフライフルは通常の散弾銃よりも射程が約150メートルと長く、「スラッグ弾」という殺傷能力が高い単発弾を撃つことができる。長野の銃撃では、この弾が使われたとみられる。狩猟や鳥獣駆除、スポーツ射撃に限って使用が許可されている銃を、人に向けることは決してあってはならない。欧米などと比べ、日本で銃犯罪が少ないのは、厳格な規制のためだと言える。安倍晋三元首相銃撃事件では、ネット情報を基に自作された銃が犯行に使用されるなど新たな問題も発生している。不断の見直しは理解できる。不適格者に銃を持たせぬよう、所持許可や更新の際、審査と調査に万全を期すことも肝要となる。一方、道内ではライフルを所持できないハンターにとって、遠くから正確に狙えるハーフライフルは欠かせないという。散弾銃の射程は50メートル程度。エゾシカにそこまで近づくのは難しい。ヒグマは100メートル程度の距離を取って撃つのが定石とされる。有害鳥獣駆除の従事者らを対象にライフル銃の所持条件を緩和する規定はあるが、認められる人は少ないのが実情だ。規制が強化されればハンターが一層不足するとして、猟友会をはじめ、ヒグマの研究者団体などからも法改正に反対意見が相次ぐ。本州ではツキノワグマの出没が増えている。国はクマ類を指定管理鳥獣に指定し、管理を強化する方向だ。ハーフライフルが必要となるケースは道外でも増えよう。人による銃犯罪と野生動物による被害という二つのリスクを、どちらとも低減させなければならない。最適解を導き出す議論を国会で深めてほしい。

(野生鳥獣による農作物被害が深刻、狩猟者高齢化で対策追いつかず)
全国各地で野生鳥獣による農作物被害が深刻化している。農林水産省によると、令和4年度の被害額は156億円。ピークを記録した平成22年度の239億円から減ってきてはいるものの、この数年は下げ止まりの傾向がみられる。耕作放棄地の増加に伴い、野生鳥獣の生息地が拡大する一方、狩猟登録者は高齢化が進んでおり、対策が追いつかない状況となっている。鳥獣の種別で最も深刻な農作物被害をもたらしているのは、行動範囲の広いシカ(65億円)で、被害額全体の4割を占める。大半は北海道での被害で、飼料作物や野菜、イネが食べられたり荒らされたりするケースが多い。続いて、イノシシによる被害額は36億円。半分をイネが占める。北海道を除く広い地域で被害が確認されているが、特に西日本から南日本にかけての被害が目立つ。こうした中、農水省は①捕獲による鳥獣の個体群管理②柵の設置や追い払いによる侵入防止対策③緩衝帯の整備や放任果樹の伐採など生息環境管理―の3本柱で鳥獣被害対策に取り組んでいる。これらの活動を地域ぐるみで徹底することが、対策の効果を大きく左右するという。続いて、イノシシによる被害額は36億円。半分をイネが占める。北海道を除く広い地域で被害が確認されているが、特に西日本から南日本にかけての被害が目立つ。目標の着実な実行に向け、農水省や環境省は令和6年度の概算要求で、関連対策事業の経費を計上。県境や市町村をまたぐ広域での捕獲に力を入れるほか、センサーカメラなどを使った効率的な捕獲の支援、狩猟者の育成、ジビエ(野生鳥獣肉)の利用拡大に向けた取り組みも支援する。

(各地域にクマ対策の専門職員配置を:岩手)
クマによる被害が過去最悪となる中、県の環境審議会が開かれ、県庁や各地域にクマ対策の専門職員を配置すべきだとした意見が出されました。県の環境審議会は、県の環境政策について専門家の意見を聞くため、1年に2回、開かれています。31日の会議には大学の研究者や国、それに自治体の関係者など委員およそ30人が出席し、去年、相次いだクマの被害対策が議題の1つとなりました。この中では県の担当者が去年、行った対策として国に対し、クマをイノシシなどと同様に「指定管理鳥獣」として、捕獲などにかかる費用を支援する対象にするよう求めたことなどを報告しました。この要望については国が検討を始めていて、来月末めどに方針をとりまとめる予定です。参加した委員からは来年度以降の対策として「クマの生態などについて高度な知識を持つ専門の職員を県に配置すべきだ」とした意見や「管轄を細かくしてそれぞれの現場にクマ対策に当たる専門の職員を配置する必要がある」とした指摘が出されました。県自然保護課の酒井淳統括課長は「寄せられた意見を踏まえ、専門家の配置などが可能かどうか検討していきたい。また、市町村とも連携しながらクマを捕獲できる人材の育成に取り組んでいきたい」と話していました。

(厚真猟銃死13年、見つからぬ犯人:北海道)
厚真町内の民有林で2011年、安平町の林業作業員の新渡戸勝彦さん=当時(45)=が銃弾に当たり死亡した事件から、まもなく13年がたつ。3年前に業務上過失致死罪の公訴時効は成立したが、遺族は今も犯人が名乗り出て真実を語ることを願っている。新渡戸さんの事件後も猟銃による事故は絶えず、「(新渡戸さんの)死を無駄にしてほしくない」と再発防止も訴える。

(クマ出没特別警報、県が1月末で解除:新潟)
クマが人里に出没し、危害を加える事例が相次いだことを受けて発令中の「クマ出没特別警報」について、新潟県は30日、今月末で解除すると発表した。ただ、1月としては例年を上回るペースで出没が続いているため、一部地域では引き続き警戒が必要だとしている。今年度は餌となるブナの実の凶作などが原因でクマの出没が相次いでいる。県内での出没・目撃情報は29日時点で1433件に上り、10人が襲われてけがをした。県は昨年9月、「出没警戒警報」を発令し、同10月に同特別警報に引き上げていた。冬眠期を迎えて県内での出没・目撃情報は減少傾向で、同12月以降はけが人も出ていないため、警報を解除すると決めた。ただ、今月も出没・目撃情報が新発田市で7件、南魚沼市で5件など計20件寄せられ、過去に餌が凶作だった年度と比較しても多いという。

(AI搭載の監視カメラ設置へ:岩手)
人里に現れるクマ対策として、花巻市は新年度、市内30か所にAI=人工知能を搭載した監視カメラを配置し、クマが出たらすぐに通知を受けとって撃退する取り組みを始めることにしています。花巻市によりますと配置されるのはAIを搭載した赤外線カメラです。夜間でも撮影できるうえ、映像にクマが映っていないかリアルタイムで解析します。そして、クマを識別するとすぐに市の担当職員に画像や動画を通知するということです。市はこの監視カメラの導入で初動体制が格段に早まり、クマが人里に達する前に爆竹などで脅して山に追い返せるようになるなどとしています。この監視カメラはおよそ440万円をかけてクマの出やすい河川敷など市内30か所に設置される予定で、市はクマが冬眠から目覚める4月にも運用を始めたいとしています。県内では去年、クマに人が襲われる被害が過去最悪の46件に上り、2人が死亡するなど49人が被害を受けました。このうち花巻市では10月、畑で作業していた80代の男性が重傷を負うなど4人がけがをし、目撃情報は495件に上りました。市は「クマの出没をいち早く把握し、住民の安心・安全につなげたい」としていて、関連費用を盛り込んだ補正予算案を2月の臨時の市議会に提出することにしています。

(箱ワナ設置延長、期限の朝に足跡:北海道)
ヒグマの捕獲へ向け、北海道小平町は31日、達布地区に設置した箱ワナを2月末まで期間延長することを決めた。1月11~31日が設置期間だったが、31日朝に箱ワナの周りや集落近くの道路で複数の足跡が見つかり、延長を決めた。町が箱ワナを設置しているのはヒグマの「通り道」になっていると思われる熊ノ沢の林道入り口付近。1月下旬に入って目撃や痕跡情報はなく、31日の撤去を予定していた。町の担当者は「山奥へ戻ったと思っていた。もう冬眠しないかもしれない」と話していた。

(農作物荒らすアライグマ、県が捕獲強化:福岡)
福岡県は2024年度から、県内で増加傾向のアライグマの防除(捕獲)を強化する。捕獲者を狩猟免許を持たない人にも広げる。県は今後、毎年400人の捕獲の担い手をつくりたい考え。外来生物法は、生態系、人の生命や身体、農林水産業への被害を及ぼす海外由来の159種(2023年9月時点)を「特定外来生物」と定める。そのうち、27種が県内では確認されている。鳥獣保護管理法では、狩猟免許の取得者や農林水産業の被害防止のために都道府県などに許可を得なければ、鳥獣や哺乳類の捕獲を禁じている。一方、23年4月に施行された改正外来生物法は都道府県に対し、特定外来生物の被害防止策を講じるよう定めた。県が根絶を目指す特定外来生物を国に届け出れば、狩猟免許を持たなくても講習会などを受けた人は捕獲できる。県は23年度、優先防除対象にアライグマを選んだ。近年、アライグマの生息数が増加していると推定され、被害も増加。22年度の発見頭数は3470頭(17年度比で約4倍)、農作物の被害は約2549万円(同1・8倍)に上る。アライグマは繁殖力が強く、病気を媒介する可能性もある。県内では既に有害鳥獣として防除に注力する市町村もあるが、県は効果的に生息数を減らすため全県で統一的に取り組む必要があると判断。2月にも防除実施計画を策定し、参加する市町村を募っている。今後は地権者らの了解を得れば、山林や農地以外の市街地、河川などでも捕獲のため箱わなを設置できる。福岡市内で18日、初めて開かれた防除講習会には約70人が参加した。アライグマの外見の特徴、食べるもの、箱わなの設置方法、餌の種類などについて説明があった。参加した糸島市の農業、中園義弘さん(77)は、約3年前から栽培するミカンやクリなどが被害を受けた。「全部やられて頭にきた。狩猟組合にも捕獲を依頼してきたが、自分でも捕獲できたら」と参加理由を語った。そのうえで「自分のところでもこれだけの被害があるのだから、県内には何十倍もいるんだろう」と防除の重要性を指摘した。

(高校生が動物から農作物守る方法を学ぶ:岡山)
自分たちが育てる野菜や果物を守ろうと、井原市の高校生たちが、野生動物の生態やわなの設置方法について学びました。井原市上出部町にある井原高校の農場で行われた特別授業には、高校で農業を学ぶ2年生18人が参加し、野生動物の対策に詳しい専門家が講師を務めました。農場では、イノシシに畑を荒らされたり、アナグマにぶどうや桃を食べられたりする被害が出ています。そこで、イノシシの足跡や体をこすりつけた跡をもとに、農場に出没した時期を確認する方法や、野生動物の通り道の見分け方などを教わりました。この高校では、地元の猟友会や笠岡工業高校の協力で、去年秋に箱の形をしたわなを設置していますが、この日は、どこに餌を置けばより効果が上がるかについても学びました。生徒たちは、この春から果樹の栽培を学ぶ予定です。生徒の一人は「農作物を守るためには、わなだけでなく動物について学ぶことも大切だと思いました」と話していました。井原高校の伏見拓也教諭は「農業は生産だけでなく、生産したものを守ることも必要。有害鳥獣への対策もより深く学ばせたい」と話していました。

(農作物を守れ!新人ハンターたちの実践訓練:愛媛)
野生動物による農作物などへの被害を防ぐため、活動するハンター。今回、技術の向上を目指し、狩猟免許を取って間もない“新人ハンター”を対象に2日間の実戦訓練が行われました。山の中に分け入り…イノシシやシカを捕獲のため“わな”を仕掛ける。彼らは、「わな猟」の免許を持つハンターです。愛媛県西条市で、県主催の新人ハンターを対象にした研修会が初めて開かれました。県内各地から参加したのは30代から70代までのおよそ30人。全員、わな猟の免許を取得して5年以内のハンター、“若葉マーク”ハンターです。野生鳥獣対策連携センター中村幸子さん:「一番大事なことのひとつは、行動の予測です。彼らは大体夜間行動しているので、それを実際に見て確認するのは非常に難しい」。県内の昨年度の野生動物による農作物の被害額は3億6791万円。また、シカに木の皮などが食べられる森林被害額は9605万円にのぼります。一方で、県内で狩猟免許を持つ人は5594人、ピーク時の半分にまで減少しているのが現状です。県自然保護課 秋川裕一郎課長:「若い方に捕獲の技術あるいは知識を伝えて、それを継承していただくことで狩猟者のレベルアップにつながって捕獲効率も上がってくる」。野生鳥獣対策連携センター 中村幸子さん:「赤丸の所にわなが埋めてあってけもの道がある。ここを歩いてくるシカやイノシシを獲ろうということで埋めているが、この時はわなの一部が露出していてそれになんか気づいちゃう」。今回、参加者が作るのは、「くくりわな」。動物が足で仕掛けを踏むと、ばねの力でワイヤーが跳ね上がり足をくくって捕まえます。仕掛けが完成すると、早速、山に入ってセッティングです。道路に近い場所にイノシシやシカが泥浴びをする「ぬた場」が2か所あり、年々目撃が増えているポイントです。さきほど作ったわなを実際に仕掛け、獲物を捕まえます。野生鳥獣対策連携センター 橋口海斗さん:「今これ皆さん、けもの道って分かりますか?なんとなく、落ち葉がよけてて、地面が露出してて、目で見ると何か土が見えてて道になってるなという」。まずは講師が、けもの道やフンなどの動物の痕跡の見つけ方、そして、わなの仕掛け方をレクチャーします。特に、動物にわなを見抜かれないための「偽装」は、新人たちにとって貴重なテクニックです。新人ハンター、山の中へと散らばり自由にわなを仕掛けます。穴を掘り、慎重にわなを埋めて枯草などで隠しながら偽装していきます。少し穴が浅かったか?仕掛けが見えてしまっています。掘り返してもっと深い位置に埋め直し、準備完了です。研修2日目。前日に仕掛けたわなを確認します。結局、仕掛けた30個のわなにかかった獲物はゼロ。なぜ、失敗したのか…新人同士それぞれに批評し合いながら、問題点を洗い出します。研修を終えた新人ハンター、得た知識と技術で野生動物との知恵比べに挑みます。

(“怪物ヒグマ”OSO18の対策班に密着したNスペ取材班が最も“恐怖”を感じた瞬間)
「OSO18」の骨は熱かった、という。「たい肥の山の奥に埋もれて、骨から湯気が出ていました。最初に見つけたのは腰椎の骨だったんですけど、こうやって持ち上げると持っていられなくなるくらい熱いんです。生命力が残っている感じがして……OSO18の存在を最も感じた瞬間でした」そう語るのは、NHK札幌放送局のディレクターの有元優喜である。有元が同僚ディレクターの山森英輔とともに制作した『OSO18 “怪物ヒグマ”最期の謎』(NHKスペシャル、2023年10月15日放送)は、大きな反響を呼んだ。とりわけ既に処分されてこの世にはないと思われていたOSO18の骨を、有元が解体所にあった「たい肥」の山の中から4時間かけて見つけ出した場面は、近年のノンフィクション番組の白眉と言っていい。何が彼らをそこまで突き動かしたのか。初めて明かされるNHK「OSO18取材班」1年半の舞台裏。――そもそもどういう経緯から、2人で「OSO18」を追いかけることになったんですか?有元 僕は2021年に起きた丘珠(おかだま)の事件(2021年6月18日、札幌市東区の市街地に現れたヒグマが4人に重軽傷を負わせた)を「クローズアップ現代」で担当したのがきっかけで、ヒグマに興味を持つようになったんです。その年の11月に「NHKスペシャル」の企画募集があったので、ちょうどその頃全国的に有名になりつつあったOSOで企画を出そうと思ったら、山森さんもOSOで出そうとしていると偶然知って、「じゃあ一緒にやりましょう」ということになりました。山森 僕の方は「OSO18」という名前のヒグマが道東にいて、なぜかわからないけど牛を襲っていて、全然捕まらないこと自体に興味を持ったんです。圧倒的にわからないものを調べてみたくなった、というのがきっかけですね。山森と有元は、ともに2020年夏に転勤でNHK札幌放送局にやってきた。山森はいかにもテレビディレクターらしい快活さと精気に溢れたタイプに見えるが、毎月、文芸誌を買って読むのが楽しみという一面を持つ。有元は大学在学中から旧ユーゴスラビア諸国やインドなどを訪れ、雑誌や映像制作を手掛けていたという。年齢は山森の方が10歳以上先輩だが、傍から見ていても「この2人はウマが合うのだな」というのが感じ取れる。――以前に2人で仕事をしたことは?山森 なかったですね。よく飲みにいって、好きなドキュメンタリーとか映画とか小説とか……青臭い話をすることはありましたが(笑)。有元 それで明日が「Nスペ」の企画書の提出締め切りという前の晩に2人で会議室に閉じこもって、A4で1枚の企画書を深夜2時くらいまでかけて書きましたよね。山森 有元は若いんですけど、僕が書いた文章もガンガン直すんですよ。遠慮してくれないのがよかったです。何が面白いか、そのときから最後まで忌憚なく議論を続けられた気がします。たとえば「人間が自然をコントロールしてきた時代の終焉を告げる存在」なのか、「奪われた土地に再び侵入する無数の獣たちの象徴」なのか。企画書に書く言葉のちょっとした表現の違いで、番組の方向性自体が変わってくるような気がしたという。ようやく書き上げられた企画書の最後の1行には、こう書かれていた。〈見えない怪物に、人間は何を見るのか〉「NHKスペシャル」としては異例の早さで、2人が出した企画は通った。企画が通る前から現地で猟友会関係者に当たるなどの予備取材はしていたが、2人が本格的に取材に入ったのは2022年の年が明けてからだった。その時点でOSOに襲われた牛は57頭に達し、うち26頭が死亡、襲撃現場も当初の標茶町から隣の厚岸町にまで拡大しつつあった。襲撃が始まってから2年半が経っていたが、OSOの目撃証言は、2019年の最初の襲撃時の1件に留まっていた。――まずはどこから取材を始めたんでしょうか。山森 調べてみると冬眠から目覚めて活動を始めたクマの足跡が追える春先が捕獲の最大のチャンスということが何となくわかってきたので、その追跡に密着できないかと考えました。その頃には「南知床・ヒグマ情報センター」の藤本靖さんが「OSO18特別対策班」のリーダーを引き受けるらしいというのもわかってきたので、まずは藤本さんのところに行きました。藤本が“現役最強のヒグマハンター”赤石正男らと立ち上げたNPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」は、ヒグマの生態調査と有害駆除を手掛け、これまで250頭近いヒグマを捕獲している。その実績を買われた藤本が、北海道の委託を受けてOSOの捕獲を目指す「OSO18特別対策班」のリーダーに就任したのは2021年11月のことだった。有元 2022年の1月に標津町の事務所にお邪魔して、藤本さんと赤石さんに4時間くらいお話をうかがって。クマも猟も全然知らない世界なので、話が尽きなかったです。それで藤本さんたちのグループがエゾシカの「巻き狩り」をやるというので、その様子を撮らせてもらって、ニュースリポートとして放送したりもしていました。山森 そういう流れもあったので「OSO18を追いかけるところに密着させてほしい」とお願いしたんですが、「それは無理に決まっている」と言われてしまいまして……。有元 今、考えると当然なんです。シカとクマではやっぱり危険度が全然違う。後で藤本さんから「信頼できない人は絶対に連れていけないよ。ヒグマが相手の場合、現場でそいつが下手な真似をすると、本当に誰かが命を落とすことになる。だから最初は断ったんだ」と聞かされました。山森 そんなわけで正直、最初のうちは藤本さんのチームには密着どころか、なかなか撮影すらさせてもらえないという状況でした。藤本らのチームへの取材がなかなか進まない中で、「とにかく今できる取材をやろう」と切り替えた2人は、これまでOSOによる被害を受けてきたすべての酪農家に話を聞いて回ることにした。――酪農家の方々との話の中で印象に残っている言葉はありますか?山森 僕が一番驚いたのは、皆さん、「OSOをどうにかしてほしい」とは仰るんですけど、「早く殺してほしい」という人はほぼいなかったことなんです。もともとヒグマがいた領域に自分たちが後から入ってきた感覚をお持ちだからなんだと思います。有元 僕もそれは印象的でした。「もうこうなったら殺すしかないんだろうけど、元いた場所に戻ってくれれば、お互いがそれぞれの領域で生きられるのに」と。あるいは「本当は可哀想なクマなんじゃないか」とか「弱いクマなんじゃないか」とOSOの境遇に思いを馳せる方もいらっしゃいました。山森 あの辺りは夏の気温が低いために稲作も畑作も難しくて、酪農でようやく産業が成り立ってきた地域なんですね。そういう厳しい自然環境の中で生きている者同士という部分で、OSOに対しても生き物としての共感みたいなものがあるのかもしれません。自然が相手の仕事ですから、自分たちの力ではどうしようもないもの、ままならないことがある。そのことを深く理解している人たちの言葉だと感じました。一方で藤本ら「特別対策班」への取材は相変わらず進んでいなかった。山森 やっぱり、その焦りはありました。それで藤本さんたちに委託している北海道の釧路総合振興局のルートからも取材しようとしたら、ちょっとした行き違いがあって、一時は藤本さんのほうから「そんな風にやるならもう来なくていい」と言われてしまいました。有元 2人して、お詫びと改めて自分たちが藤本さんに取材したい理由を書いた手紙を持って行って……結局、藤本さんはお渡しした“詫び状”の中身を読んでいなかったそうで、この間お目にかかったときに「ほれ、これ返すわ」と返してくれました(苦笑)。山森 「来なくていい」と言われてしまった以上、正面から取材に同行させてもらうことは難しくなってしまいました。冬眠明けのクマが動き回る残雪期でしたから、僕たちが取材できていない間も、藤本さんたちのチームはOSOの姿を求めて動き回っていることは間違いないわけです。それで今思うと、どうかしてるんですけど、僕らは藤本さんの車を探して、闇雲にドライブしてたんです。有元 夕方、藤本さんの事務所をのぞいて、もし赤いハイラックス(藤本の愛車)がなければ、どこかへ出動しているわけなんで。山森 「じゃあ、ちょっとグルグルしてみる?」って(笑)。藤本さんはOSOを探して、我々はOSOを探している藤本さんを探していました。有元 事務所のある標津町と襲撃現場の標茶町方面を結ぶ道路は1本しかないので、出かけているなら、どこかですれ違うんじゃないか、と。山森 見つかったところで当時の関係性では、何も教えてくれないだろうし、取材も受けてもらえないのはわかっていたんですけど、何かせずにいられなかったというか。有元は若いからいいんですけど、僕はいい年して、そんな取材してるのは恥ずかしいんですが……。有元 でも、いい話ですよね。山森 よくないよ!(笑)――その状態から、どうやって藤本さんや赤石さんとの信頼関係を築いていったんですか?山森 それはもう「ちょっとずつ」ですね。有元 とにかく僕らは「撮りたい」わけですけど、あえて「撮らない」ことを大事にしました。例えばOSOの被害現場を撮るにしても、そこには藤本さんたちだけじゃなくて、役場の方や酪農家の方、猟友会の方も集まるわけです。そこにカメラが入ると、話せないことも出てきてしまう。だから、ここは撮ってもいいのか、撮らないほうがいいのか、藤本さんの助言に従いながら、とにかく無理強いしないことを心がけていました。山森 あとは、ありがたいことに取材で話を聞いた酪農家の方たちが「ここで被害が出たぞ」と教えてくれたり、役場の職員の方が「こういう調査をするから、来る?」と声をかけてくれて現場に行ってみたら、そこに藤本さんたちもいて……というパターンもありました。それで思い出したけど、あの3月9日の足跡のときもそうだよな?有元 そうです。山森 釧路総合振興局の方が「OSOの足跡探しにいくから、ついてきていいよ」と言ってくれて、有元が小さなデジカメ持って現場に行ったら、藤本さんたちも来ていて、その場で大きなクマの足跡を見つける場面をやっと撮れた。ところが……。有元 デジカメが壊れて、データが全部飛んじゃうという(苦笑)。慌てて修理に出して、何とかデータ復旧できたからよかったんですけど。山森 あれが2022年の1月から3月で唯一撮れた映像だったもんね。有元 本当に死ぬかと思いました。結局、2022年の残雪期には捕獲に至らなかったが、藤本らはOSOの冬眠場所を厚岸町西部の森ではないかと推定。そのうえでOSOの過去の襲撃パターンを分析し、この夏、襲撃がある可能性がある場所を、推定冬眠場所から東へと向かう「厚岸ルート」か、北へと向かう「阿歴内ルート」の2つに絞った。すると7月1日、この年、最初のOSOによる被害が出る。まさに藤本が予測した通りの東阿歴内牧野(標茶町)で3頭の牛が襲われ、2頭が死んだのである。山森 この2022年の夏までは「OSO18の実像」という部分でいえば、何もわかっていませんでした。有元 藤本さんも赤石さんも「何とも言えん」が口癖でしたね。何を聞いても、自分たちで調べて確信が持てない限りは「何とも言えん」と言われ続けた記憶があります。こちらは推測でいいから聞きたいんですけど、そこはすごく緊張感がありました。山森 2022年の夏になって藤本さんたちが現場を自分の足で調査することができて、ようやく「実はそれほど大きな個体じゃなさそうだ」とか「食べるために牛を襲っているんじゃないか」ということがわかってきたんです。有元 爪で傷つけられただけで食べられてはいない牛が結構いたので、最初のころは「ハンティングを楽しんでいる猟奇的なクマなんじゃないか」という人もいたんです。あるいは、「牛を引き裂く巨大な怪物グマ」や「賢く、人間に目撃されずに移動する忍者グマ」など、人間の側が作ったいろんなイメージがあったんですけど、藤本さんたちの調査でひとつひとつ覆していった感じです。別に猟奇的ではないし、特別賢いわけでもないと。山森 傷つけられただけの牛がたくさんいるのも、OSOは食べるために襲ったけど牛のほうが大きかったために、仕留めきれなかっただけなんじゃないか……と次第に「OSO18の実像」が見えてきた感じはありました。――取材を通じてOSOの存在を肌で実感した場面というのはありましたか。有元 あ、最初にそれを感じたのは2022年7月11日の2件目の被害現場ですね。知り合いの酪農家の方から「またやられたぞ」と連絡を受けて、血まみれで横たわっている牛の死骸を初めて見たんですが、それがものすごく巨大なんですよ。こんなに大きいものを斃して食うというのは、いったいどういうクマなんだと初めてOSOの存在を実感しました。山森 ただこのときは、「現場に人間の匂いをなるべく残さずに死骸を放置すれば、またOSOが戻ってくるんじゃないか」という藤本さんの作戦もあって、僕らは現場をあまり撮っていないんです。それで有元が赤石さんに「まだ近くにOSOがいる可能性あるんですか?」と聞いたら、あっさりと「いるんでないかい。そばに」と仰って(笑)。有元 実際、翌日また酪農家の方から電話がかかってきて「死骸が消えた」っていうんですね。現場に行ったら、牧場関係者の方が「こっちに引きずられていった跡があるんだよ」と言いながら、血の跡が続いている沢の方に案内してくれようとするんですけど、僕はものすごく怖いんですよ。思わず「クマ、大丈夫ですか?」と映像の中で言っちゃっているんですけど、あれが一番近くでOSOの存在を感じた瞬間だったと思います。――山森さんはどうですか? OSOの存在を感じた瞬間というのは?山森 川沿いに残された骨だけになった牛の死骸を撮りに行ったことがあったんです。それでその牛の持ち主の酪農家の方に現場まで案内していただいたんですが「日が暮れると、このあたりは歩きたくない」って仰るんですね。家のわりと近くなんですけど。そのときの本当に怯えた表情を見て、初めて僕もOSOの存在を感じたような気がしました。「たい肥の山の奥に埋もれて、骨から湯気が出ていました。最初に見つけたのは腰椎の骨だったんですけど、こうやって持ち上げると持っていられなくなるくらい熱いんです。生命力が残っている感じがして……OSO18の存在を最も感じた瞬間でした」そう語るのは、NHK札幌放送局のディレクターの有元優喜である。同僚ディレクターの山森英輔とともに制作した『OSO18 “怪物ヒグマ”最期の謎』(NHKスペシャル、2023年10月15日放送)は、大きな反響を呼んだ。既に処分されてこの世にはないと思われていたOSO18の骨を、有元が解体所にあった「たい肥」の山の中から4時間かけて見つけ出した。2023年8月21日夜、OSO18が駆除されていたと北海道新聞が速報したとき、NHK「OSO18取材班」の2人は一体何を思ったのか。有元と山森が密着取材を続けた「OSO18特別対策班」が、OSOを捕獲するチャンスは1年の中で大きく分けて3回あった。最初は冬眠明けのクマの足跡が追える残雪期、次にOSOが牛を襲い始める夏場、そしてデントコーン(飼料用トウモロコシ)を食べにくる秋である。デントコーンはクマの大好物だが、OSOも例外ではなく、秋になるとデントコーン畑に通ってきていた。そこで藤本らは特別な許可を得て周辺に「くくり罠」を仕掛け、一度はOSOに罠の中に踏み込ませることに成功したものの、罠の不具合で逃げられてしまう。こうしてNHK取材班がOSOを追いかけて1年目となる2022年が終わった。――デントコーン畑への道に「くくり罠」を仕掛けるところまでを、2022年の11月にNHKスペシャル『OSO18~ある“怪物ヒグマ”の記録~』として放送しています。山森 夏ごろの時点で、OSOが捕獲されたらもちろん番組の形にするとして、最後のチャンスである秋、デントコーンの時期まで獲れなくても、一度番組にしようという話はしていました。――この頃には、「OSO18特別対策班」リーダーの藤本さんたちとの信頼関係というのは、かなりできてきたんですか?有元 そうですね。ただ1年目はやっぱりほとんど密着はできてなくて、少しできるようになってきたのは、年が明けて2023年になってからですね。山森 残雪期のスノーモービルなどを使ったOSOの探索の様子を撮影しながら、有元が標津町の春期管理捕獲(北海道が2023年に改訂した制度。市街地近くでのクマの出没を抑えることを目的として、冬眠中の「穴狩り」や親子グマの駆除を解禁した)に行くハンターの赤石正男さんにくっついていったり。――それで「NHK、なかなか根性ある」という話になったと聞きました(笑)。有元 必死でした(笑)。ここで根性見せないと、いつまでも信頼してもらえないだろうな、と思って。危険だということも事前に言われていたので、「絶対に足手まといにならないぞ」と。赤石さんに置いていかれたら終わりだと思って、死ぬ気でついていきました。この残雪期でもOSO捕獲には至らずに、2人は標津と札幌を行ったりきたりしている状態だった。そして2023年6月24日、この年、最初のOSOによる襲撃が起きる。現場は上茶安別の牧場で、生後14カ月の乳牛1頭が殺された。腹を傷つけられ内臓が見える状態で、右前足が通常とは反対側に曲がっていたという。結果的にこれがOSOによって殺された最後の牛になった。有元 実はこの前日、札幌で藤本さんと飲んでたんです。山森 例年、OSOが牛を襲い始めるのは6月下旬から7月頭にかけてなんです。それで今年もそろそろ現地に向かうか、というタイミングでちょうど藤本さんが札幌に来られたんで、作戦会議をしてたんですが、ちょっと予想より早く被害が……。――常に人間の裏をかいてくるOSOらしいですね。有元 そうですね。それで藤本さんたちが襲撃現場付近に再び「くくり罠」を仕掛けるというので、我々もまた現地に行って。――この場面は後に番組になっていますが、OSOは「くくり罠」のわずか30センチ横を通っているんですよね。あれだけ広大なエリアでOSOの移動ルートを最終的にそこまで絞り込んだのは、さすがだと思いました。山森 そうなんですよ。その場の状況に応じて常に最善の手段を選んで、確実にOSOに迫っている。藤本さんと赤石さんのチームだからできることだと改めて感じました。だがOSO捕獲まであと一歩に迫った直後、藤本に悪性リンパ腫が見つかり、入院を余儀なくされる。必然的に「OSO18特別対策班」の活動も停滞し、NHK取材班としても動きようがない状態になってしまった。山森 そうなってくると、NHKの中で「いつまでクマやってるの?」という空気もちょっとは出てくるわけです(笑)。はっきりとそう言われたわけではないですが、そろそろ違うことをやったら、という。だからこの時期は「ゴールの見えない撮影をどこまで続けるのか」という悩みはありました。有元 何より藤本さんの体調も心配でした。「これは、OSOどころではないのでは」と思ったり。〈「オソ18」駆除か 牛66頭襲う雄ヒグマ 7月に釧路町で〉膠着状態に陥ったまま、迎えた2023年8月21日夜、北海道新聞の速報により、事態は急変する。記事は7月に釧路町でOSO18と知られぬまま駆除されたヒグマが実はOSO18であったことが3週間後のDNA検査により判明したことを伝えていた。――OSO駆除の一報はどういう状態で知ったのですか。有元 今思い出したんですけど、そのとき自宅でちょうど『怪物』(Netflixで配信された韓国ドラマ)を観ていたんです。そうしたら入院中の藤本さんから〈OSO捕獲されました〉〈獲ったのは我々じゃありません〉とLINEで連絡が来たんですよね。すぐに電話すると、藤本さんも「よくわからない」と。「明日記者会見があるから、ニュース出すのは待って」と言われて。すぐ山森さんに電話しました。山森 僕の方は、バスの運転手が不足しているというテーマで北見に取材にいった帰りで、最終の特急列車で札幌に帰っているところでした。で、有元から駆除されたらしいと聞いて、被害に遭われた農家さんや、対策に追われてきた役場の人たちのことを思うと「よかったな」と思うと同時にやっぱり呆然としましたね。1年半追いかけてきて、結末はどうなるのか、ほぼ毎日想像してきたんですけど……実は3週間前に駆除されていた。「もうOSOがこの世にいない時間を僕は何も知らずに3週間生きてきたんだな」と。そのことにすごく呆然としちゃって。有元 僕もその日は寝れなかったです。ベッドに入っても、いろいろ考えちゃって。どんな形であれ、OSOが駆除された以上、番組はやらないといけないんだけど、既にお話しした通り、夏の間、ほぼ何も撮れてないわけです。罠を仕掛けた、ダメだった、というところしか撮れてない。「これ、番組になるのかな」というのはすごく思ってました。山森 有元のいう通り、番組になるか全然見えないんですが、僕は「とにかく明日現場に行かないと後悔するな」と思いました。取材させてもらってきた人たちがこのことをどう受け止めているのか、その瞬間しか撮れないものがあるはずですし、何があったのかわからないからこそ、行かなきゃいけないと。それで翌日のアポを調整して、朝イチの便をとって、ハンディカムの準備をして、とにかく行こうと。有元 3週間も経ってるし、死体もないらしいし、誰が獲ったかわからない。でも山森さんに、「そうは言っても、藤本さんや赤石さんがその現実をどう受け止めているかを撮れば、何かにはなるんじゃないか」と言われて、「じゃあとにかく赤石さんのところに行こう」という気になれたんですよね。――自宅で「ニュース7」を見ている赤石さんが、OSO駆除を伝える短いニュースに「それで終わり? 何じゃい、全然分かんねえじゃん」と呟くシーンが印象的でした。有元 とにかく赤石さんのところに行って、「OSO(の死体)はどうなったんですかね」と聞いたら、「缶詰にでもなったんじゃねえ?」と言ったんです。これだけ赤石さんも藤本さんも時間をかけて追いかけてきて、我々もその姿を追いかけてきた結果、知らぬ間に缶詰になってました、とすればある意味、現代的なオチとして、かえって面白いように思えてきたんです。山森 その日のうちに2023年の10月を目指して番組にしようという話になり、夜に中標津で落ち合って居酒屋で有元と飲みながら、どんなロケをしていこうかと話していたら、「東京のレストランでOSOの肉を食べた」みたいな話がツイートで流れてきて。予期せぬ展開が起きているけれど、10月までまだ時間があるので、もう少し頑張って取材してみようと。有元 OSOが持ち込まれた食肉の解体業者の方なら確実にOSOの死体を見ているはずなので、まず解体業者に当たることにしました。それで道東の解体業者に1軒1軒電話をかけていくと3軒目で見つかり、すぐ会いに行きました。代表の松野穣さんから「体毛が薄かった」「胃の中が空っぽだった」と興味深い話が聞けたので、後日改めてカメラクルーを連れて撮影に伺うことにしたんです。山森 その翌日が藤本さんの退院の日だったんだよね。有元 そうです。その場面を撮影させていただいたら、藤本さんが「大腿骨でも残ってればOSOが何食ってたか、わかる。本当はそれを調べるのがオレの役目だったんだけどな」とちょっと無念そうに仰っていたんですね。で、翌週また松野さんのところへ行ったときに、この藤本さんの言葉が頭に残っていて、「ちなみに何かOSOの骨や毛皮など、残っているものはないんですか?」と聞いたら、「あるといえばあるけど見る?」と言われて、連れて行ってもらったのが裏の「たい肥場」でした。――いよいよですね。匂いとかは、かなり強烈でしょうね。有元 嗅いだことのない匂いですよね。いわゆる「たい肥」の匂いは皆さん想像がつくと思うんですが、そこに糞尿、腐った肉や内臓の匂いが混ざって、酸っぱい感じもあるんです。夏のことでもあり、間違いなく人生で嗅いだなかで一番強烈でした。ハエとカラスもすごくて……ダンプカー3台分というたい肥の山を掘り起こして骨を探すのは「無理だな」と一度は諦めたんです。翌日は何も撮影の予定が入っていなかったので、町の景色でも撮ろうかなと思ってたら、山森さんから連絡が入って。山森 僕のほうは専門家や道庁の担当者の話を聞いていたんですが、専門家の方も臼歯と肝臓と大腿骨を調べたら食性が分かると仰っていた。それを改めて有元に伝えたところ、「明日もう一回解体所に行こうかな」と言い出して。厳しい環境だろうから大丈夫なのか? と思って、プロデューサーもまじえて「どうしましょうか」とチャットで相談したんです。有元 「こういう状態でたい肥の山からOSOの骨を掘り出せたら、何を食べていたかわかると思うんですけど、安全管理上行かないほうがいいですかね?」という聞き方をしたら、プロデューサーから「テリー伊藤なら掘ると思います」って不思議な返事が返ってきた(笑)。山森 いい返しだな、と思いました(笑)。「行け」とも「行くな」とも言ってない。でも、背中を押してくれてる。有元 僕も見事だな、とちょっと笑っちゃったんですけど。翌日、有元は釧路のホームセンター「ホーマック」が開くのを待って店内に飛び込むと、スコップ、防護服、マスク、ゴーグル、帽子、Tシャツなど一式買い揃えた。強烈な匂いなのでTシャツなどは作業後にそのまま捨てるつもりだった。有元 その格好で解体所に行き、松野さんに「掘らせてください」と言ったら、「そんなので掘れるわけないじゃん」と大笑いされました。「どういうことですか?」と聞いたら、「やってみ」と。で、スコップで山を突き崩そうとしたら、表面がカチカチに固まっていて、まったく歯が立たないんですね。主にエゾシカの残滓や糞に、土や草が入り交じり、高温で発酵している状態でした。すると松野さんが「じゃあ、ユンボ貸してあげるよ」と言ってくださったんですけど、当然僕は免許も持っていませんし、困っていたら、ロケ車のドライバーが「オレ、ユンボ動かせます」って。重機の免許を持っていたんです。それで彼がユンボでたい肥の山を持ち上げて散らばして、僕がスコップで選り分けることになったんです。――たしかそのたい肥の山の中には、シカの骨もあったんですよね。有元 大量にありました。――クマの骨と見分けはつくんですか?有元 これも偶然なんですが前日に来たときに、ちょうどクマが持ち込まれて解体されているところだったんで、社長さんが「ほれ、子グマでもこんなに太い」と見せてくれたんです。素人でもシカの骨とのサイズの違いは一目瞭然でした。有元は無心でスコップでたい肥の固まりを崩して骨を探し続けた。マスクの中に熱気がこもり、汗がとめどなく流れ込む。たまらずマスクを外すと、今度は猛烈な臭気が襲ってくる。仕方なくまたマスクをつける――その繰り返しだった。その様子を最初は近くで撮影していたカメラマンもいつしか、遠くから「引いた絵」を撮るだけになっていた。そうして4時間が経過した頃、何かを掘り当てた有元が「デカッ!」と叫んだ。有元 それまで何百とシカの骨を見てきたので、明らかに異なる異様な大きさの骨を見た瞬間、「間違いない」と思いました。松野さんに見てもらったところ、「間違いなくクマの骨だ」と。その時点で、たい肥の中にはOSO以外のクマの骨は入っていないとのことだったので、OSOの骨(後に腰椎と判明)だと分かりました。――4時間のあいだ、「もうやめようかな」と思った瞬間はありましたか?有元 いや、僕としてはあっさり、という印象だったんです。陽が落ちるまでやろうと思っていたので。――OSOの骨を手に持った感触というのは?有元 覚えているのは、「熱さ」です。たい肥の山の奥に埋もれて、骨から湯気が出ていました。最初に見つけたのは腰椎の骨だったんですけど、こうやって持ち上げると持っていられなくなるくらい熱いんです。生命力が残っている感じがして……OSO18の存在を最も感じた瞬間でした。それで社長さんの了解をとって、その骨をいただいて帰ったんですが、その骨自体も内臓と皮がついている状態で、強烈な匂いだったんです。分析に回すつもりだったので、なるべく洗わないでそのままにしようと袋に入れてたんですが、ロケ車もものすごい匂いになっちゃって……あれは申し訳なかったです(苦笑)。山森 有元が根性でOSOの骨を見つけた一方、僕は研究者や専門家の方を取材していた流れで、その骨を分析してくれるところを探すことになったんですけど、10月放送までのスケジュールがタイトだったこともあって、難航しまして……一度、編集室で有元に「分析、ちょっと難しい可能性あるわ」と言ったら、顔も上げずに「そうですか」と。「僕が見つけたあの骨は意味なかったんですか」と言わんばかりの強烈なプレッシャーを感じました。有元 それは“心の声”ですよね。プレッシャーではないです。山森 心の声が聞こえてきまして(笑)、これは何とかせねばと。紆余曲折あって福井県立大学の松林順准教授に「学術的な価値はないかもしれないんですが……」と分析をお願いしたところ、純粋に面白がってくださり、すぐに分析のための時間をとってもらえることになりました。冷凍していた骨を袋で何重にも覆って、絶対に匂いが洩れないことを確認してから、クール便で送って、分析していただきました。――番組では、骨に含まれる炭素や窒素の同位体比を調べることで、何を食べていたのかわかり、さらに骨の層を薄切りにすることで、年齢ごとのデータまで得られるということでしたが、分析の結果、どういうことがわかったんでしょうか?山森 普通のクマが主に食べている草木や木の実などをほとんど食べておらず、かなり肉食に傾いていました。OSOは死んだとき9歳6カ月でしたが、初めて牛を襲ったのは、5歳5カ月。その前から、日常的に肉を食べていた可能性が高いという分析結果でした。専門家の方に聞くと、いったん肉食を学習してしまったクマは、肉に執着して、そこから抜け出せなくなり、自然本来の行動を失った可能性が考えられるのではないか、ということでした。牛の乳量を増やすために改良された牧草を食べて道東で爆発的に増えたエゾシカ。その死体の肉をどこかで口にして、OSOは肉の味を覚えたと考えられる。デントコーンに引き寄せられてやってきた牧場で牛を襲うことを覚え、人間の追跡を逃れ続けた末に、誰にも知られぬまま、その生涯を終えた。1年半もの間、その影を追いかけてきた山森と有元にとって、OSO18とは、何だったのだろうか。山森は「難しいな」と顔をしかめながらも、こう答えた。「OSO18は何者だったのか。やっぱりどこまで行っても分からないという感覚が今も僕にはあります。でも、その理解できない残余みたいなものの手触りが番組にあったらいいなと思います。確かなのは、OSOの食性も含めて、人間という集団というか種が持つ圧倒的な影響力が、1頭のヒグマに映し出されていることでしょうか。……僕らは企画書の最後に〈見えない怪物に、人間は何を見るのか〉と書きましたが、僕ら自身も含めた人間自身を見たんじゃないかな、と思っています」一方の有元は「OSO18という『名前を本来持たなかったはず』の生き物」のことを考えたという。「人間の場合、名前を持たないことは不幸じゃないですか。番号で呼ばれる受刑者とか、人権をはく奪されることの象徴が名前を奪われることですが、野生動物の場合、逆ですよね。名前を与えられるというのは、野生から切り離されることなので、不幸でしかない。9年6カ月前に名前もなく生まれた1頭のオスのヒグマが『OSO18』として死んでいくというのは、いったいどういう意味があるんだろうと。人間が勝手に名付けてイメージを作りだして、そのあげくに駆除して、食べちゃったという物語でもあったわけで。やっぱりこれはクマの話ではなくて、人間側の話だったんだなと思います」2人の話を聞いて、腑に落ちたことがある。なぜ私も含めて、人々が「OSO18」の物語に夢中になるのか――。それはOSOを通して、自分たち人間の姿を見ていたからだったのかもしれない。

(道路横断する子グマ、新聞配達中に目撃:福島)
31日朝、福島県郡山市で道路を横断するクマが目撃されました。郡山市よりますと、31日午前5時すぎ、福島県郡山市喜久田町原一丁目で新聞配達をしていた人が、道路を横断するクマ1頭(体長約50センチメートル)を目撃しました。このクマによる被害は確認されていません。福島県内では、積雪の時期に入ってもクマの目撃情報が相次いでいて、注意が必要です。

(”クマ”目撃情報、盛岡駅からわずか350メートルの地点:岩手)
2月1日未明、岩手県盛岡駅近くの路上でクマを目撃したとの情報が警察に寄せられました。これまでに人や物への被害は確認されていません。2月1日午前1時前、盛岡駅前北通で「クマを見た」と通りかかった人から警察に通報がありました。警察によりますと、目撃された動物は体長が1メートルほどで盛岡駅方面に走り去ったということです。通報はこの1件で、これまでに人や物への被害は確認されていないということです。警察は目撃された動物がクマと断定できるか分からないとしながらも「クマがいたら近づかないでほしい」と注意を呼びかけています。

(阿波地美栄(あわじびえ)まつり2024:徳島)
徳島県及び東京都の飲食店にて、徳島県のジビエブランド「阿波地美栄(あわじびえ)」の多彩なメニューが提供される「阿波地美栄まつり2024」を開催します。期間中に参加店を利用すると、ジビエの加工品やお肉が抽選で当たります(令和6年2月9日(金)~令和6年3月10日(日)まで)。徳島県では、捕獲されたシカやイノシシを地域資源として有効活用することにより「地域が美しく栄えてほしい」との思いを込め、県内ジビエ処理加工施設で衛生的に処理されたジビエを「阿波地美栄」と名付けてブランド化に取り組んでいます。この度、徳島県及び東京都のキャンペーン参加店にて、「阿波地美栄」の多彩なメニューが提供される「阿波地美栄まつり2024」を開催します。期間中に参加店を利用し、特設フォームにて食事の写真や感想を送ると、抽選でジビエの加工品やジビエのお肉が当たります。この機会にぜひ「阿波地美栄」を、味わってみてください。

(森のごちそう隠れ家ジビエレストラン【zoi】オープン1周年:愛知)
森のごちそう隠れ家ジビエレストラン【zoi(ゾイ)】は2024年2月1日(木)~2月29日(木)の1か月間 1周年イベントを開催いたします。昨年の2月愛知郡東郷町にオープンした障がい者就労支援B型事業所として運営する森のごちそう隠れ家ジビエレストラン【zoi(ゾイ)】 皆様にご愛顧いただき1周年を迎えることができました。感謝の気持ちを込めまして1周年祭を開催いたします。お近くにお越しの際にはぜひ足をお運びいただけたら幸いです。

(くらしの中から考える>ジビエ(みんなの声):愛知)
シカやイノシシなどの野生動物の肉「ジビエ」。活用の広まりや、背景にある獣害の現状を紹介した昨年12月6日の記事には、小中学生の皆さんからさまざまな意見が寄せられました。一部を紹介します。捕獲した動物をジビエとして活用することには、賛成の意見が多かった。愛知県蒲郡市の中部中1年、末本悠花さん(13)は今年の正月、祖父母の家でイノシシ肉を食べたといい、「いつも食べているお肉と同じくらいおいしかった」と感想を寄せた。「料理教室などジビエについて知る機会を増やせば、ジビエの良さを知って命を大切にできる社会になるのでは」と提案する。愛知県豊田市の藤岡南中1年、本多いろ葉さん(13)は「(動物を)殺してしまったのなら、その肉は無駄なく使うというのが命に対する正当な行動なのでは」と思いをつづった。獣害が各地で深刻になる中、実際に野生動物を身近に感じるという声も。同学年の杉山紗帆さん(13)は、イノシシなどの動物について「夜中、車で出かけるといきなり道路に飛び出してきてとても怖い」という。「各家庭で庭に植えてある野菜や果物をとられないようにネットを張るなどして、対策することが大切だと思う」と考える。一方、野生動物が「害獣」として捕獲される現状に、疑問を持つ声も多く寄せられた。三重県菰野町の菰野中3年、水谷伊織さん(15)は「人間が勝手に領域を広げて、動物がすんでいた場所を奪ったことでいろいろな問題が起きている。一方的に悪者にしたくない」と考える。一方、自宅ではペットの犬のおやつとしてシカ肉のジャーキーを利用していて、「(ジビエを)犬などの動物にも活用して、命をありがたく無駄なくいただける仕組みができるといい」と願った。藤岡南中1年、鈴川掌大さん(13)も「もともと野生動物がすんでいた場所を勝手に破壊して人間が住んでいるんだから、僕たちが文句を言うのは違うと思う」と主張した。岐阜県土岐市の泉西小4年、加藤喜一郎さん(10)は「無駄に追い払おうとするんじゃなくて、(獣害の)原因をなくしたほうがいいと思う。記事を読んで、もう一度自分たちの行いを見直したいと思った」とつづった。三重県松阪市の久保中2年、川端結太さん(14)は「動物たちは目の前にある食べ物が、どれが自然にあるもので、どれが人間が作ったものであるかを判断できない。目の前に食べるものがあるから食べているだけなので、非があると言えるのか」と指摘する。一方、ジビエを食べたことがないという同市の第五小5年、川端陽介さん(11)は「どんな味がするんだろう。家の近くで食べられるところはあるのかな。一度食べてみたいです」と関心を寄せた。ジビエを使った料理を飲食店のメニューで見る機会は増えています。学校給食で提供する自治体もあります。動物の命を無駄にしないためにも、さまざまな場面で活用が進むのは望ましいことです。ただ、大切なのは、なぜこんなにも獣害が増えてしまったのか、知ることではないでしょうか。動物と人間との共生に思いをはせながら、味わいたいと思います。

(神奈川県産鹿肉を使って横浜の名店が新ジビエメニューを開発:神奈川)
株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:福田一平)が運営する「ジビエト」は、特定地域(神奈川県横浜市)の飲食店とジビエメニューの開発、提供を行うキャンペーンを実施します。私たちは、ジビエの需要拡大には、気軽に訪れることのできる飲食店でジビエ料理が提供されることが重要と考えております。この度、主旨に賛同頂いた「重慶飯店」「TSUBAKI食堂」「チャコールグリル グリーン」に、神奈川県産(秦野、小田原)のジビエ(鹿肉)を使った新メニューを開発頂き、期間限定で提供頂きます。料理のジャンルも様々で、かつ、地産地消を意識したキャンペーンですので、ぜひ多くの方に気軽に楽しんで頂きたいと考えております。なお、期間は2024年2月1日(木)から2週間程度を予定しており、「ジビエト」でも、特集を組んで情報発信を行います。

(遠刈田温泉をジビエで元気に:宮城)
蔵王町遠刈田温泉で狩猟と革製品作りを手がける前沢裕之さん(41)と妻歩さん(36)が、温泉街でジビエとカフェの店「ZAZAO(ざざお)」を始めた。丁寧に処理されたイノシシ肉と鹿肉を使ったカレーなどをお手頃価格で楽しめると人気だ。

(クマ被害拡大で大注目!「放置柿」でビジネス確立を目指す男性:秋田)
2023年、秋田県ではクマによる人身被害が相次いだ。その中で、ある人物の活動に注目が集まっている。“放置された柿”の活用に取り組み、ビジネスとしての確立を目指している男性を取材した。柿の形をした帽子と、柿色のつなぎがトレードマークの柿木崇誌さん。広島市出身で、2018年に結婚を機に能代市に移住した柿木さんは、放置されている柿の木に関心を持ち、代行して収穫と管理に当たっている。収穫した柿は、ドライフルーツなどに加工して販売している。2022年に活動を始めた柿木さん。2年目となった2023年の秋は、想像を超えるほどの忙しさだったそうで、柿木さんは「2023年は、本当にひたすら走り回っていた。忙しかったというイメージしかない」と話した。2023年はクマの出没が相次ぎ、「異常」と言える事態だったからだ。柿木さん:電話で話されるのは「クマがいるから」とか、結構緊急性を要するような話し方だった。依頼数は前年の倍以上で、収穫も倍。2トン以上で、収穫も30件以上。一方で、柿の木を伐採してしまったという話もよく聞いたという。「クマの被害防止」という差し迫った対応だったため、致し方なかったとはいえ、柿木さんにとって柿の木は、貴重な資源だ。複雑な思いを抱えながら、忙しい日々を過ごした。そして多くの依頼に対応する中で、柿木さんは、移動時間の増加によるガソリン代、加工する際の電気代など高騰するコスト面が課題になっていると話す。依頼を無料で請け負う代わりに不要な柿を引き取っているが、時にはコストの方が上回ってしまうことがあるという。また、収穫から加工までをすべて1人で行うには限界を感じていた。そこで始めたのが、収穫体験のイベントだ。参加費を募って開催したところ、予想以上の反響があった。柿木さん:今まで収穫体験をしたことがないし、もちろん高枝切りばさみを使ったこともない人がいて、非日常みたいな感じで楽しんでもらえた。僕も1人で黙々とやってきたので、とても楽しく、収穫量も増加できて非常に良かった。このほか、高齢者施設や福祉施設などに声を掛け、柿の皮むきなど作業の一部を委託。自身の負担を軽減できるほか、施設の関係者の新たなやりがいを生み出したい考えだ。柿木さんは「僕だけでは解決できない問題なので、みなさんに力添えしてもらって、みんなで解決していくことが大事になってくると思う」と語った。キッチンカーなど、販売場所の開拓も進めてきた柿木さん。2024年は新たな目標がある。柿木さん:キッチンカーを拡大してバスとかにして、お好み焼きの提供はもちろんだが、それと一緒に柿の加工品を販売する。そして、収穫体験でもバスを使って、みんなで行動できるようなことを今年は実現したい。もう一つできるのであれば、加工場を新設したいと思っていて、みんなで作ったり、新しいことを生み出したりできる場所を設けたい。ほかにも、加工品の品数を増やしたり、飲食店や菓子店に柿を提供して新たな料理やスイーツを開発してもらったりと、柿木さんは常に、柿の活用の幅を広げる方法を考え続けている。柿木さん:2023年は赤字にならないくらいのところまで、収穫から販売までもっていけたが、プラスマイナスゼロだと稼働していた分が赤字になるので、やはり利益を出さないと継続は不可能。今年は働いた以上の利益を出して、それをみなさんに還元というか、恩返しできるように稼がないといけない。活動費が捻出できるくらいの利益は上げたい。着実に活動の幅を広げてきた一方で、ビジネスモデルの確立は道半ば。“地域の資源を活用して利益を生み出し、地域に還元する”、この循環の実現に向けて柿木さんの挑戦は続く。

(エゾシカ専門キッチンカー:北海道)
エッグワッフルのキッチンカー「カムイの恵みAlice」を運営する大堂和貴さんと絵津子さん夫妻が、この1月、新たにエゾシカ肉のメニューを提供する2号車「エゾシカセブン」をオープンしました。2人は共通の趣味であるバイクの旅で訪れた北海道に魅かれ、2017年に兵庫県から旭川に移住。知人のハンターに分けてもらったエゾシカ肉を食べたことがきっかけで、その味わいの虜になりました。そこで鹿肉のキッチンカーを始めようと思い立ちましたが、飲食業のノウハウがなかったために、まずはスイーツ店として経験を積むことに。Aliceでも鹿肉シチューやバラ肉を挟むデリワッフルを販売するなど、魅力を広めてきました。そしてこの1月、いよいよ念願の鹿肉専門キッチンカーをオープン。正月に遠軽町の道の駅に出店した際は、初めて食べた、と話す人も多くいたそう。冬期間は鹿肉解体施設でアルバイトをし、鹿肉の処理技術について学びを深める絵津子さんは、「道内どこに行ってもいるエゾシカ。北海道の人がなぜ鹿肉を食べないのか不思議で…しっかり下処理された肉のおいしさを気軽に味わえる場所になれたら」と思いを語ります。メニューは現在のところ、旨みをたっぷり感じられるモモ肉の串カツ(大500円、小300円)と、ジューシーなコロッケ(300円)の2種ですが、今後徐々に増やしていく予定です。

(駆除シカ革のジャケット:北海道)
蘭越町の地域おこし協力隊員、森脇大さん(53)が道内で駆除されたエゾシカの革を使ったジャケットの開発を手がけ、ニセコ町内のセレクトショップで販売を始めた。駆除後に多くが廃棄されるシカの皮の利活用が狙いで、今後も販路拡大を進める。

(イノシシ出没:宮城)
松島町によると、31日午後、松島町根廻付近にイノシシが出没しました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、30日午後4時ごろ、仙台市青葉区八幡6丁目にクマが出没しました。

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