<射撃ニュース2月>
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(クマを追い払うシステムの成果報告会:福島)
設置した地区では、4割以上のクマを追い払うことができたと報告されました。県と会津大学が開発した、クマなどの野生動物を検出して、音や光で危険を知らせるシステム。2023年度、このシステムを設置した、会津美里町の八木沢地区では、約半年の間でツキノワグマを39件検出し、4割以上の17件でクマを追い払うことに成功したということです。報告会に参加した住民からは「地区に近づいて来ても、また山のほうに追い返すということで、地元の人にとっても非常に安心できる。」との声が聞かれました。また、会津大学の斎藤寛教授は「効果はありましたというところはありますけど、もちろん音慣れをしているという新たな課題もあったかなと思います。」と話していました。会津大学は、精度を上げるための研究を続けていくとしています。

(カワウ対策、テグスの張り方変更で効果:長野)
諏訪湖漁業協同組合(諏訪市)は、諏訪湖のワカサギなどを捕食する魚食性鳥類のカワウ対策として、カワウが羽を乾かしたり休めたりするために止まる沖合の消波堤に張り巡らせていたテグス(糸)の張り方を変えた。従来よりも低くしたところ、止まるカワウの数が減ったことを確認。カワウが過ごす場所を限ることでワカサギなどの漁業資源を守る試みで、一定の効果が出ているとみている。

(「アフリカ豚熱」に備え演習:島根)
致死率の高い豚やイノシシの伝染病「アフリカ豚熱」の発生に備え、島根県は猟友会などを対象とした防疫演習を行いました。27日、島根県が益田市で開いたアフリカ豚熱の防疫演習には、県の職員や猟友会のメンバーなど約80人が参加しました。「アフリカ豚熱」は、致死率の高い豚やイノシシの伝染病で、2018年にアジアでは、中国で初めて発生が確認されて以降、東アジアで急速に感染が拡大していて、日本国内でのリスクが高まっています。参加者は、現時点でワクチンや治療法がないことや、人に感染することはないことなど、基礎知識を学んだあと、感染した野生イノシシが県内で発見されたという想定で、イノシシの死骸を運ぶ時の処理方法や、死骸を埋める場合の消毒作業の実演を見学しました。島根県農林水産部畜産課 濱村圭一郎さん:「山とかで複数頭イノシシが死んでいるということがあれば、速やかに家畜保健所に連絡を。山から下りるときには、靴底の消毒等をするよう注意してもらえれば」。島根県では今後も、定期的に研修を行い万が一に備え、アフリカ豚熱の防疫に努めていくということです。

(狩猟免許取得法を解説:北海道)
旭川市と上川中部8町をエリアとする「北海道猟友会旭川支部」は、会員増に向けて狩猟免許取得方法などを解説するセミナー「狩猟を始めたい人へ」を、旭川市農業センター・花菜里ランドで開いた。

(指定鳥獣にクマ、生息状況の実態把握を急げ:福島)
クマとの共生に向け、保護と管理のバランスを的確に保っていくことが大切だ。クマによる被害が多発していることを受け、政府は4月にも本州のツキノワグマと北海道のヒグマを鳥獣保護法に基づく「指定管理鳥獣」に追加する方針を決めた。指定管理鳥獣は、深刻な被害を及ぼす鳥獣を集中的、広域的に管理するため、国が定める。現在はニホンジカとイノシシが対象になっており、都道府県などによる捕獲や生息状況調査などの事業に国から交付金が出ている。クマは国内の陸上野生動物で最も大きく、森林生態系の頂点に位置付けられているが、個体数は少なく、繁殖力も低い。今回の指定に伴い、捕獲が活発になる可能性は高く、環境省の専門家検討会の委員からは「個体群の保全に配慮しつつ、被害の軽減につなげる捕獲が実施されることが必要だ」などの意見が出されている。県内では本年度、目撃件数や人的被害が急増したことで、昨年の倍以上となる過去最多の886頭が捕獲されている。国、県などは生態系を保全する視点を重視し、捕獲に偏らない被害防止策を検討する必要がある。管理と保護の前提になるのは、生息状況の把握だ。県は会津と中通りで自動撮影カメラなどで個体識別を行い、県内の生息数を推計している。最新の調査では4千~7千頭前後とみられる。クマは移動距離が長く、生息実態の把握が難しい。最近は行動圏が広がっているとみられ、県内でも、これまで生息圏でないとされてきた浜通りで目撃情報が寄せられるようになった。隣接県と連携し、広い範囲で調査することが不可欠だ。国が中心となり調査方法や範囲、時期などを統一し、より正確な生息数や実態の把握につなげる必要がある。クマの本来の生息域である奥山と、人の生活圏との区分けが曖昧になり、双方の距離が接近してきたことが人的被害などの増加の要因の一つだ。過疎や高齢化で里山や畑の管理が行き届かず、緩衝地帯として機能しなくなっていることが背景にある。人里に果樹や野菜などの餌があることを学んだクマは警戒心が薄れ、最近は市街地にも近づいている。出没が多発している地域を中心に緩衝地帯を設けたり、移動ルートを断ったりするなどの対策に集中的に取り組むことが重要だ。保護や管理に取り組む人材確保も急務だ。国などは生息調査や捕獲、緩衝地帯の整備などの担い手育成に力を入れてほしい。

(「市民の森」閉鎖解除、クマの痕跡発見されず:北海道)
函館市は27日、クマの目撃情報があった市内上湯川町の総合公園「市民の森」南側エリアの閉鎖を解除した。

(住宅にクマが侵入、冬も目撃続く:秋田)
この冬、県内では各地でクマが目撃される異例の状況となっています。上小阿仁村の中心部では同じ住宅にこの1週間で2度にわたって、クマが侵入しました。住人の男性は「まさかここに入るとは予想もできなかった」と話しています。クマが侵入していたのは、上小阿仁村小沢田にある住宅です。北秋田警察署の調べなどによりますと、25日午後10時半ごろ、1階の寝室にいた住人の70代の女性が浴室の方から聞こえる「ガタガタ」という物音に気づました。70代の夫が確認したところ、脱衣所の洗濯機の上に、体長80センチほどのクマ1頭がいたということです。男性がドアをたたくと、クマは壊れた窓から立ち去り2人にけがはありませんでした。住民の男性は「ただびっくりした。こういうとこに入るとは思わなかった。何も食い物も何もないし。まさかここに入るとは全然予想もできないことだ」と話していました。この住宅では、先週木曜日=22日の夜にも体長50センチほどのクマが窓ガラスを割って脱衣所に侵入していました。クマはこの時も洗濯機の上にいましたが、すぐに立ち去り、2人にけがはありませんでした。県警察本部のまとめによりますと、県内では今年に入ってから26日までのおよそ2か月で34件の目撃情報がありました。去年の同じ時期は1件のみで、冬としては異例の数になっています。上小阿仁村の中心部では、先週火曜日=20日に、上小阿仁小中学校の駐車場やグラウンドに体長1メートルほどのクマ1頭がいるのが2度目撃されていて、周辺でも目撃が相次いでいます。いずれの現場も村役場から半径500メートルほどの場所で、警察が警戒に当たっています。上小阿仁村は、中心部の集落の周辺に、捕獲用のおりを2基、設置することにしています。

(神社にイノシシが…:山口)
下関市にある神社の境内にイノシシが出没しています。境内にある公園では、地元の人達がグランドゴルフを楽しんでいるほか近くには、小学校もあるため、下関市が現地確認を行うなどして対応を協議しました。26日の午前10時半頃にも、イノシシが地面を掘り返したりドングリを食べたりする姿がカメラで確認できます。場所は、下関市一の宮住吉にある住吉神社の境内。イノシシが姿を見せるようになったのは去年の12月中旬だといいます。「ずっとこの1週間このまわりを家の周りを掘って回りよった」「当初は迷って野に出てきたんだろうと山に追い返せばもう来ないだろうと思ってた」「年が明けてからほぼ毎日やってまいりますので」。27日は、市の担当者が神社の関係者とともに境内を回って箱罠の設置場所などを協議しました。この神社には、参拝客が多く、境内にある公園では、地元の人達がグランドゴルフを楽しんでいます。また、近くには、小学校もあります。襲われたりしてケガをした人はいないという事ですがイノシシが人を恐れず、追い払ってもあまり効果はないという事です。(住吉神社 鳴瀬道生宮司)「体の大きさが少しずつ大きくなっていくのが分かるんですよ、日々成長している訳ですから、大きくなって一般の方や参拝者に危害を加えないとも限りませんので、小さいうちに捕獲ができれば」。下関市では、地元の猟友会の協力を得て箱罠を設置し、様子を見ていきたいしています。

(首から上が白いシカ:三重)
三重県津市久居万町の前川幸介さん(82)が、同市榊原町の山中で首から上が白いシカに遭遇した。前川さんは約60年地元猟友会で活動した元猟師で「何百匹と捕ってきたが白いシカは初めて」と驚いている。白いシカとの遭遇は今月10日頃。前川さんは生家が榊原町にあり、農作業後に散策していた山中で見かけた。慌てて車を止めスマートフォンのカメラで撮影する間、シカはじっとこちらを見て静かに去ったという。県総合博物館の田村香里学芸員によると写真のシカは「全身白色ではなく茶色の毛色も確認できるので、白変種のメスのニホンジカ」。白変種はどんな動物にも見られ、タヌキ、アナグマ、カラスなどが話題になるが、「野生動物が人の目に触れる機会はそう多くないのでシカは珍しい」という。前川さんは一昨年に狩猟免許を返却し猟銃を手放しており、今回の遭遇に「長年猟をしてきて無事に過ごさせてもらったと改めて感じた。自分を守ってくれるような気がして写真を持ち歩いている」と話している。

(みどりの食料システムEXPO:東京)
一般社団法人日本能率協会(JMA、東京都港区・会長:中村正己)は、2024年3月5日(火)~8日(金)の4日間、東京ビッグサイト 東展示棟7ホールで「みどりの食料システムEXPO」と関連2展示会を同時開催します。「みどりの食料システムEXPO」で農林水産省・みどりの食料システム戦略に代表される、農作業の省力化・軽労化を可能にするスマート農業やフードロス対策の最新製品他が展示されます。また、「ジビエ利活用・鳥獣被害対策展」では農作物等の鳥獣害対策とジビエ利活用のための各種提案を、「草刈り・除草ワールド」では草刈機、除草剤などの雑草対策技術が展示されます。今回の「みどりの食料システムEXPO」では主催者企画として、「農業技術革新・連携フォーラム分科会J-PAOサミット」を同時開催いたします。九州エコファーマーズ 代表理事 木之内氏やヴィクサーレスポーツクラブ 理事長 加藤氏をお招きし、農業と食の未来について語る講演を開催します。このほかにも、出展者セミナーなど、全6本のセミナーを開催します。

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(海岸で"尻付近を欠損"したシカの死骸発見:北海道)
北海道南部の福島町の海岸で2月25日、漁師がシカの死骸を発見し警察に届け出ました。クマの様な動物がかじったと見られるあとがあり、警察が警戒しています。2月25日午後3時ごろ、福島町日の出の海岸で、地元の漁師がパトカーを止め「シカの死骸がある」と声をかけました。警察官が捜索したところ、道道532号線沿いの海岸の、波打ち際でシカの死骸を発見しました。シカは尻の付近をかじり取られていて、クマのような動物に襲われたとみられています。シカは波に流されて打ち上げられたものではないと見られていて、死後それほど時間が経っていなかったということです。警察によりますと、シカを襲うなど何らかのクマの痕跡が見つかるのはこの時期には珍しく、警察は町に情報を伝え、警戒しています。

(県内の今年度捕獲数は過去最多:福島)
福島県内では野生のクマの捕獲数は去年12月末の時点で886頭と、今年度は、記録が残る平成20年度以降で過去最多となっています。環境省によりますと今年度県内で捕獲されたクマは去年12月末時点で886頭と、すでに昨年度1年間の416頭の2倍以上となっています。記録が残る平成20年度以降、最も多かった捕獲頭数は令和2年度の858頭で、今年度はこれをすでに上回り、全国では、秋田県の2277頭、北海道の1002頭に次いで3番目に多くなっています。また、警察によりますと去年1年間の目撃件数はこれまでで最も多い687件で、けが人などの人的被害も最多となった10年前と同じ14人にのぼっています。この時期、クマは通常、冬眠に入っているため目撃情報は数件にとどまっていますが、ことしは今月19日時点で16件と異例の多さで、暖冬やエサ不足の影響で冬眠に入らなかった個体や、すでに冬眠から目覚めた個体がいると見られています。県自然保護課は、山にエサが少ないため、人里近くにおりてくるクマが増えているとみていて、「通常の年とは違う動きをするクマがいる。山ではなく人里近くにクマはいるという前提で注意しながら行動を」と呼びかけています。

(ハーフライフル規制強化、害獣捕獲継承に懸念も)
猟銃の一種「ハーフライフル銃」について、警察庁は規制を強化する方針だ。殺人事件の凶器とされたことが理由だが、ハーフライフル銃は北海道などではシカやクマの主要な捕獲手段の一つでもある。北海道や関係団体から懸念の声が上がり、警察庁は鳥獣被害対策への影響は抑えられるよう、特例を設けることで検討を進めている。ハーフライフル銃は銃身の半分に弾丸を回転させる溝があり、命中精度が高い。有効射程は通常の散弾銃の3倍の約150メートルで、平地や積雪で見通しがきき、獲物との距離が必要な北海道で特に重宝されている。

(凶悪犯罪抑止の銃規制強化は獣害対策の妨げか、懸念表明の自治体にハンター減少への危機感)
凶悪な銃犯罪が相次ぎ、警察庁が銃規制強化を掲げる中、クマなどの獣害に苦悩する自治体などが対策への影響を懸念している。猟に使うハーフライフルの所持基準が厳しくなれば、ハンターの減少や高齢化に歯止めがかからなくなる恐れがあるからだ。担当大臣から獣害対策への配慮を求める発言が出たことで、警察庁との足並みの乱れを不安視する声も上がった。森林大国・日本はシカやカモシカ、クマ、イノシシといった害獣が多く、農地の作物被害だけでなく、近年は地球温暖化でエサ不足のため里に下りたクマやイノシシに住宅地で襲われる人的被害が多発。昨年は秋田県を中心に東北や北海道で人がクマに攻撃される被害が激増し、岩手県や北海道では死者も出た。一方で昨年5月、長野県中野市で自宅に立てこもった男が猟銃を発砲するなどして警察官2人を含む4人を殺害する事件が発生。①所持許可期間をオーバーしていた猟銃を所持②猟銃は発射罪の適用対象外③犯行に使用された「ハーフライフル銃」は規制の厳しい「ライフル銃」ではなく「散弾銃」の一種としての扱い-といった問題点が浮上した。直後の6月には岐阜県で自衛隊員による3人死傷の銃乱射事件、一昨年には安倍晋三元首相が手製銃で射殺されるテロもあり、凶悪な銃犯罪が社会問題化している。このため警察庁は昨年12月、今国会で銃刀法を改正して銃規制を強化する意向を明らかにしていた。だが警察庁の意向が明かされると、害獣駆除への悪影響が懸念されるとして、北海道が真っ先に「地域事情に配慮してほしい」と声を上げた。さらに、全国各地の猟友会なども相次いで反対する意思を示した。狩猟で重宝されるハーフライフルは射程や命中精度に優れ、許可を得ればすぐに所持できる点が利点であり、犯行に悪用される結果となった欠点でもある。警察庁の改正案では、ハーフライフルは通常のライフルと同様に10年以上連続して散弾銃を所持している人しか持てなくなる。ハーフライフルの規制強化について、札幌市の秋元克広市長は1月30日の記者会見で、ヒグマやエゾシカ対策に当たる人材育成の面から「危惧をしている」と懸念を表明した。北海道が危機感を強めているのは、ハーフライフルの所持基準が厳しくなれば、ハンターの減少や一層の高齢化、農業被害の深刻化が確実視されるため。猟友会関係者も「鳥を撃つための散弾銃でハーフライフルを持つのに必要な実績を積むのは困難なので、即戦力のハンターはもう出てこない」と訴える。特にヒグマ対策では銃の種類がハンターの命に直結するが、有効射程がハーフライフルの150メートルに対し、50メートルの散弾銃では身の安全のために必要な距離が確保できない。北海道猟友会は声明で「問題の本質は銃を使った容疑者」と、規制強化による犯罪抑止効果に疑問を呈する。ヒグマが生息する北海道では、電車の線路や電気設備の保守点検にもハンターが同行するケースが多い。同猟友会は「散弾銃では山に入れない。シカも捕れない銃では(ヒグマ相手に危険過ぎて)お話にならない」と強調する。そもそもハンターの激減と高齢化は近年、鳥獣対策の現場で大きな課題となっていた。環境省は若手ハンターの育成強化を令和3年度から開始。経験豊富なベテランが指導役として狩りの現場に同行し〝ペーパーハンター〟に知識や技術を伝授する制度を導入した。環境省の鳥獣関係統計によると、昭和50年度に約52万人だった全国の狩猟免許所持者は、平成24年度には約18万人に減少。高齢化も進む。一方でアウトドア志向の高まりから近年、40代以下の新規免許取得者が増え、21万人前後で推移する。ただ、取得しても、狩りの現場で活動する若手の数は伸び悩んでいる。こうした中、警察庁を所管する松村祥史国家公安委員長が今月5日の衆院予算委員会で、「(銃規制)制度の見直しにあたっては獣類による被害の防止に支障が生じることがないよう十分に配慮する必要がある」と述べた。警察庁の露木康浩長官が銃規制に再三意欲を示していただけに、大臣発言により「すわ警察組織で政務のトップと事務方トップが不一致か」との誤解を招きかねない恐れもあった。「松村氏は参院熊本選挙区選出。熊本県は九州では福岡県に次いで、イノシシ被害額も多い。『規制強化の回避を求める支援者らの陳情も少なくないのでは』と勘ぐる見方も野党側にはあるようだ」。与党関係者は、こう指摘する。ただ、松村氏の発言は「関係団体などの意見を丁寧に聞き、必要性の高い方まで所持が困難となることがないよう検討を行いたい」と続いており、獣害も看過しないとの発言意図だった。イノシシの農作物被害額が関東管区警察局管内の10県中、2番目に多い静岡県で銃規制に携わった県警OBは、こう胸をなで下ろす。「大臣と警察庁の意思疎通ができていない〝内部不一致〟なのかと当初は驚いた。松村氏の発言の真意が分かり、そうではないんだと安堵(あんど)した」。法改正で、果たして鬼が出るか蛇が出るか。

(捕獲のシカを生体搬送、ALSOKなどが実証実験:神奈川)
綜合警備保障(ALSOK)グループのALSOK神奈川(横浜市西区)が小田原市などとの共同事業で、野生のシカやイノシシを捕獲、生きたまま加工場に搬送する実証実験に取り組んでいる。農作物被害を減らす対策の一環で、捕獲後の作業負担の軽減やジビエ利用拡大が期待されている。地域貢献につながる新規事業を模索していた同社は、県西部の野生鳥獣による農作物被害の増加に着目。2015年に県の認定鳥獣捕獲等事業者となり、専門チームを作って有害鳥獣の駆除に取り組んできた。

(イノシシ捕獲、メールで通知:茨城)
農作物を荒らすイノシシなど害獣捕獲を巡り、情報通信技術(ICT)を活用したわなの実証実験が茨城県高萩市で進められている。害獣がわなにかかるとメール通知される仕組みで、険しい山林を見回る作業の効率化を図るのが狙い。駆除を担う猟師は高齢化などで人手不足に陥っており、最新技術で負担軽減を目指す。実験は同市君田地区に処理場がある食肉加工業「K&K」が実施。三重県の企業が開発した捕獲システムを採用した。くくりわなに害獣がかかって暴れると、ワイヤでつないだ子機が反応し、親機を通して設置者のスマートフォンなどに通知される。電波が届かない山間部でも通信できる。同地区の山中や獣道に計15個のわなを設置した。茨城県は2018年、イノシシ対策条例を施行し、捕獲の強化や侵入防止柵の設置などを促進。近年は豚熱(CSF)の感染拡大で個体数が減少しているとみられ、22年度の農作物被害は県全体で前年から1千万円減少し約5200万円となっている。ただ、捕まえたイノシシの逃亡防止や非害獣の動物保護のため毎日わなを見回る必要があり、猟師の負担は少なくない。山の上り下りやガソリン代など身体的、金銭的な負担も重くのしかかる。県猟友会などによると、14年に2673人いた狩猟登録者数は、23年に1995人と10年間で約700人減った。平均年齢も65歳となり、担い手不足と高齢化が課題という。このため、ICTを活用した効果的な害獣駆除に注目が集まっており、茨城県内では笠間市や大子町、城里町などで、遠隔操作や監視ができたり、捕獲が確認できたりする機器が導入されている。高萩市で鳥獣被害対策実施隊員を務める近藤利裕さん(72)は最大30個のわなを仕掛ける。山中に設置したわなの見回りでは、1カ所確認するのに30分から1時間かかるという。ICT活用のわなについて「時間短縮になるし、体やガソリン代の負担が減るのは助かる」と歓迎する。同地区での実証実験は24年末まで続く予定。今後は必要に応じて機器のレンタルなども検討する。同社社長の加藤仁郎さん(55)は「担い手が減ればイノシシは増え、被害が拡大する。猟師が駆除を続けられるよう負担を減らせれば」と力を込める。

(シカとの向き合い新時代へ、ドローンで駆除:北海道)
毎月第4火曜日は「シカの日」です。シカによる農作物などへの被害に悩まされるなか、最新鋭の機器を使った狩りの現場を取材しました。山林へと飛び立つ「ドローン」。札幌市南区で行われた大規模なシカ猟。使われていたのはカメラを搭載した「ドローン」でした。雪に顔をうずめてエサを探しているのでしょうか。これは、2月17日の夕方に南区川沿の住民が撮影したシカの群れです。北海道によりますと、シカは道内全体で70万頭あまりいて、農作物などへの被害額はおよそ48億円に上るといいます。まだ雪の残る山林を動き回るシカを効率的に探すため、狩猟の現場に導入されたドローン。上空からの映像だけでなく、搭載された温度センサーで体温をたよりにシカを見つけることができます。この日はドローンではなく、ハンターが目視で見つけたシカを駆除。それでも、ドローンを使うことで、広大な山林を歩き回らなくてもシカがいないことが確認でき、高齢者も多いハンターの負担軽減につながりました。■北海道猟友会札幌支部・玉木康雄さん「無駄な時間をなるべく減らすことでハンターさんの時間を有効に使ってあげることができる」。ハンターが仕留めたシカを有効利用しようと、道が力を入れているのが料理です。26日、札幌の調理師専門学校で、食肉加工業者やジビエ料理のシェフによるシカ肉の特別授業が行われました。■アイコンズ・初田勝一さん「一流のハンターが撃って、ちゃんとした施設で解体、精肉するとすごくおいしくなる肉になるので」。授業で使われたのは体重およそ50キロのメス。プロが解体しながら、部位ごとの味やかたさなどの特徴を教えました。学生たちも挑戦しました。解体されたシカの肉を、その場でイタリアンのシェフが調理。ロースト、カツ、煮込みなど5品目をつくりました。この専門学校によりますと、シカ肉に関心を示す料理人も増えているといいます。そこで、シカ肉料理を学ぶための特別授業を、今回、初めて行ったということです。最新機器を使ったシカ猟、そして、シカ肉料理の普及へ。厄介者のシカとの向き合い方は新たな時代に入っています。

(野生イノシシをドローンで監視・捕獲補助:青森)
目撃情報が増えている野生のイノシシの対策として、県はドローンを使って上空から監視し捕獲の補助を行う取り組みを行っています。ドローンを使った野生イノシシの監視と捕獲は県が去年から進めていてことしは目撃があった十和田市と南部町で実施しています。この日は十和田市滝沢の四和ダム周辺でドローンを飛ばし赤外線カメラでイノシシを探しました。県内では去年4月から12月までの間で、昨年度の倍近くの159頭のイノシシが目撃されています。2月15日に撮影した画面に ドローンのカメラはイノシシの大きさや個体数なども判別でき、その後猟友会の人たちが追い込む巻き狩り猟をして捕獲します。この日はイノシシが見つかりませんでしたがこれまでに4回ドローンを飛ばし、2頭を捕獲したということです。県食の安全・安心推進課 成田悟 課長代理「人力で探すよりはかなり効率は上がっているかなと 近年急増、全体的には少ない状況ですけどかなり県としては被害は増えているという状況なので早めにたたいておかないとだめかなと思っております」。県は来月上旬にも実施する予定で、結果の報告会を開きます。

(クマが市街地に出没したことを想定した初の訓練を実施:三重)
全国的に急増するクマの被害。26日午後、三重県尾鷲市で行われたのは、クマなど大型の野生動物が市街地に出没したことを想定した、三重県や尾鷲市の合同訓練です。現れたのは、ツキノワグマ1頭。人を襲ったあと、倉庫に逃げ込んだという想定です。規制線を張り、罠を仕掛けますが、クマはかからず。やむを得ず猟友会が、隣接する建物の2階からクマに散弾銃を撃つことになり、クマは駆除されました。尾鷲市でクマの出没を想定した訓練が行われたのは今回が初めてです。背景には、全国でクマの被害が増加している現状が。環境省によると去年4月からことし1月までにクマの被害にあった人は、全国で過去最多の218人。尾鷲市では昨年度は目撃情報がありませんでしたが、今年度は7件ありました。また、去年7月には市内の山中で男性がツキノワグマに噛まれ軽いけがをしました。(尾鷲市水産農林課 芝山有朋課長)「課題としてはこまごました指示系統が県か市か警察か見合わせる場面があった。判断の遅さが実際の現場では、大きな被害につながるかもしれない。どうすべきだったかを関係者で共有したい」。これから暖かくなり、活発的になったクマが市街地に現れるかもしれません。尾鷲市では今後も同様の訓練を行っていきたいとしています。

(鳥獣被害対策実施隊員、マナー講習:兵庫)
有害鳥獣の捕獲活動をする「鳥獣被害対策実施隊員」を対象にしたマナーアップ講習会(丹波篠山市主催)が同市内であり、市猟友会(松浦俊明会長)の関係者ら約70人が参加した。市の担当者は、安全で確実な捕獲のため、法令やマナーの順守を呼び掛けた。

(ヒグマとの共存を考えるフォーラム:北海道)
住宅地へのヒグマの出没が年々増えていますが、ヒグマとの共存を考える地域フォーラムが札幌で開催されました。地域フォーラムはヒグマとどう共存すべきかをテーマに開催されました。会場となった東海大学札幌キャンパスでは、去年にキャンパス内にヒグマが出没し駆除されるなど全道的にヒグマの出没が増加しています。フォーラムではヒグマ対策の専門家や札幌市の担当者が最新のヒグマ出没状況と対策について講演をし参加者との質疑応答も行われていました。

(クマ対策の鍵は「潜む場所+食べ物」の解消:富山)
昨年秋に北陸などで被害が相次いだクマへの対応策を考える緊急シンポジウム「野生動物と生きる」が23日、富山市であった。「富山県自然博物園ねいの里」が主催し、自治体職員や専門家が登壇。平野部への進入を防ぎ、住宅の周りに寄せ付けない手だてや、課題を話し合った。富山県の森林研究所の中島春樹・副主幹研究員は、クマの餌となる木の実の豊凶に基づく出没予測について報告した。昨年はブナの実が凶作だった県東部での出没を予測したが、実際は県中央部の富山市南部で多発。前年、ブナが豊作だったため繁殖で個体数が増えた可能性があるとし、「豊凶のモニタリングを続け、検証しながら精度の高い予測を目指したい」と述べた。ねいの里の間宮寿頼・館長補佐は、人身被害が起きる場所の特徴を挙げた。屋敷林のやぶや納屋などクマが潜むところと、柿の実に代表される食べ物の両方があると説明し、この二つをセットで解消するための地域ぐるみの取り組みが重要だと述べた。クマが山から平野に移動する際の経路にあたる河岸段丘林や河川敷にも触れた。見通しを改善する伐採などが行われているが、電気柵など踏み込んだ対策が求められ、設置ルートや維持管理が課題だと述べた。高齢者宅で柿の木の伐採を進めた立山町、山際に電気柵を整備している入善町の担当者も、それぞれの経緯や成果を報告した。全体討論では、昨年、クマに襲われ1人が亡くなった富山市南部で、防犯団体の代表を務める男性が発言。出没への警戒を呼びかけても危機感が薄い住民もいるといい、「どうしたら怖さを皆さんに周知できるかが課題」と話した。

(「マタギ」がカプセルトイに:秋田)
北秋田市に伝わる「阿仁マタギ」をモデルにしたカプセルトイ「マタギ」が全国で販売されている。グッズの企画・製造などを手がけるブシロードクリエイティブ(本社・東京都)が、同市やマタギの里観光開発の協力を得て商品化。細部まで忠実に再現された造形や種類の豊富さがSNS(交流サイト)上で注目を集めている。若者の文化や流行を切り取り商品化を目指す同社のブランド「TAMA―KYU(タマキュー)」の4周年企画。おもちゃの開発事業などを展開する東京都の会社からマタギのカプセルトイ化を打診されたことをきっかけに、マタギ文化を後世に伝えようと開発に至った。「マタギ」のラインアップは、シロビレ(猟銃)やナガサ(山刀)を構えたものやマタギ犬と共に獲物の解体に臨むものなど全5種類。道具はマタギ資料館に展示されている実物を動画と写真で資料化した上で製作されており、細部まで精巧に再現されている。制作過程では原型師らが実際に阿仁地区に訪れ、根子集落や資料館、打当温泉マタギの湯などを見学した。同社の担当者は「マタギ発祥の地に訪れ、阿仁の自然環境などを直接体験したことでアイデアを膨らませることができた」と話す。また、市商工観光課や地元猟友会の会員も協力し、展示物の案内やマタギの歴史、道具の使い方などを紹介。担当者は「取材を通して得た深い理解と学びがマタギ文化へ敬意を込めた商品化につながり、プロジェクトを成功に導いた」と語った。1月から全国のカプセルトイコーナーで販売を開始したところ、愛好者などから高い評価を受け、SNS上では「道具がかなり作り込んである」「全種類集めてみたい」と反響があった。担当者によると、同社が扱うカプセルトイの中で最も売れ行きが良く、完売が続出。発売から1週間ほどで追加製造が決まったという。同社は「商品を通してマタギ文化に興味を持つ人が日本のみならず世界に増えてくれたら」と期待を込める。同商品は商業施設などのカプセルトイコーナーで販売中。1回500円。県内では秋田市のイオンモール秋田店などが取り扱っている。

(『マタギ文化』を紹介の展示会:青森)
青森県むつ市川内町の畑(はた)集落に、古くから受け継がれているマタギ文化を紹介する展示会が、むつ市で開かれていて、猟で使われた道具など貴重な資料の数々が展示されています。会場の「むつ市海と森ふれあい体験館」には、マタギ文化が代々受け継がれてきているむつ市川内町の畑集落の人たちが、猟で使っていた長さが2mを超える「やり」のほか、クマを仕留めた際に行う儀式で使われる紙で作られた飾りなど約60点が展示されています。なかには、藩政時代に南部藩が畑地区のマタギに銃の所持を認めた鑑札と呼ばれる許可証や当時、万病に効く高級品として南部藩へ献上していた「熊の胆」などといった貴重な資料も並んでいます。むつ市海と森ふれあい体験館 山田菜生子さん「門外不出と言われた南部藩からの鉄砲の許可証であったりとか貴重な資料をお貸しして頂いているので、そのあたりをぜひ見てもらえたらと思います」。この展示会は、3月16日まで開かれていて、最終日には畑集落で伝統的な狩猟方法を受け継ぐ最後のマタギを招いた座談会も開かれます。

(「クマ撃ちの女」舞台、市訪問「漫画、身近に感じて」:北海道)
旭川市を主な舞台とし、新潮社の漫画サイトで連載中の作品「クマ撃ちの女」の作者・安島薮太さん(40)=東京都在住=が26日、取材も兼ねて市役所を訪問した。友人が住んでいたことをきっかけに旭川のヒグマ猟師を題材にしたが、今は都会とクマの潜む大自然が近い旭川に魅力を感じてきたという安島さん。今津寛介市長に「漫画の内容は今後どんどん面白くなる。市民の方にも身近に感じてほしい」とPRした。

(脱衣場の洗濯機の上にクマ、窓ガラス割り侵入か:秋田)
秋田県警北秋田署は26日、上小阿仁村小沢田の民家に22日夜、クマ(体長約50センチ)が侵入したのを住人の70歳代女性が発見したと発表した。クマは間もなく外へ逃げ、けが人はいなかった。発表によると、女性が22日午後7時半頃、ガラスが割れる音を聞いて脱衣場を確認すると、窓が割れ、洗濯機の上にクマがいるのを見つけた。この民家では25日午後10時半頃にも、脱衣場に侵入したクマ1頭を女性が発見している。26日に地元猟友会を通じて同署が把握したという。

(もう冬眠からお目覚め?:北海道)
北海道浦河町で小学生2人がクマ2頭を目撃しました。26日午後4時30分ごろ、浦河町堺町西5丁目で小学生2人が100メートル先にいるクマ2頭を目撃しました。2人はすぐにその場から離れ知人女性に伝え、役場と警察に通報がありました。現場は、住宅地から100メートルほど離れていてクマの足跡が残されていました。クマは親子グマとみられ、体長は150メートルと体長70センチほどだったということです。警察で注意を呼びかけています。

(憧れのクマ撃ちへ鍛錬:北海道)
置戸町地域おこし協力隊員の吉田雅智さん(48)は昨秋、地元の猟友会に仲間入りした。クマ撃ちを目指して道外から移住し、狩猟免許を取得。今は農業被害の大きいエゾシカの駆除に取り組むが、奪った命は食肉として活用されない現状に心を痛める。「自分で狩猟から加工、販売まで行えるようになりたい」。10月末の隊員任期終了後も置戸で暮らす青写真を描いている。

(エゾシカ問題から「命をいただく」:北海道)
農作物への被害や交通事故など、深刻になっているエゾシカの問題。26日、調理師の卵たちがその問題を学んだのですが、やり方は独特なものでした。ここは、札幌市にある調理や製菓を学ぶ専門学校。学生およそ40人が学んでいるのが。エゾシカの問題です。道内では、エゾシカが関わる交通事故が、去年は5000件を超え7年連続で最多を更新、被害額は50億円近くに上るなど、私たちの生活にも影響が出ています。将来、北海道の食を担う者としてエゾシカの調理だけでなく、背景にある問題や活用方法も学んでもらおうと学校が企画しました。アイコンズ エゾシカ事業部 初田勝一さん「メスジカ、皮をはいで内臓を出して約30キロ」。猟の方法を学んだ後は、解体です。解体師と呼ばれる解体を専門に行う男性が、流れるような手さばきで部位ごとに分けていきます。学生たちも体験です。最後は、調理。イタリアンレストランのオーナーシェフが、ローストやカツレツなど部位ごとにあった調理法で最大限美味しく食べられるメニューを提案…その感想は。北海道調理師専門学校 笹岡親副学校長「北海道が抱える問題を理解して調理師として、社会に貢献できるかを大事にしてほしい」。私たちの生活と密接につながっているエゾシカ。学生たちはふだんできない体験から、「命をいただく大切さ」「食材を届ける大切さ」を身をもって学んでいました。

(巨大イノシシの毛「幸運のお守りに」:静岡)
静岡猟友会西奈支部は26日、1月下旬に竜爪山(静岡市葵区)の山麓で捕獲した全長約1・4メートル、体重100キロを超える巨大イノシシの供養祭を同区北沼上の良富院で執り行った。イノシシの毛から力強い生命力にあやかったお守りも作り、開運と無病息災を祈願した。同支部会員ら8人が参加し、水野有高住職(50)の読経に続いて焼香し霊を鎮めた。今回捕獲したイノシシは、大きく隆起した背中とつぶれた片目、ほおを突き破る牙が特徴。同会わな部会の坂田勝幸代表(51)が山の斜面に仕掛けたわなにかかった。坂田代表は「20年以上狩猟に携わってきたが、これほど大きなイノシシは見たことがない」と発見時の驚きを語った上で、「農作物への獣害は深刻。駆除が少しでも地域貢献につながれば」と話した。お守りには捕獲したイノシシのたてがみを7本使った。同会によると、イノシシの毛は毛先に向かうほど枝分かれし、丈夫で切れにくいことから「末広がり」で幸運が切れず、子孫繁栄や金運を呼び込む象徴として古来より縁起物とされている。4月4日から良富院で販売する。数量限定で価格は税込み千円。問い合わせは同院<電054(266)2234>へ。

(けもジョブ(2024 春)を開催します)
近年、野生動物管理や鳥獣被害対策への社会的需要が高まりを見せていますが、現時点では「獣害」に関する市場が未発達で担い手の雇用も安定していない状態です。また、求人情報は分散しているため、野生動物に関わる仕事に就きたい人が、企業や自治体の存在を知ることが難しいのがこの業界の現状です。つきましては、”けもの”に関わる仕事の「人が欲しい団体」と「仕事が欲しい人」のマッチングを行うイベントを開催します!

(アウトドアショップ、狩猟用品の取り扱い免許取得のサポートも:岩手)
アウトドアショップ「TRAP」(雫石)がオープンし、2月27日で1カ月がたった。店主の芦久保真人さんはスキーや釣り、登山、キャンプなどの野外活動を趣味で楽しみながら、公務員として林業関連の業務にも携わっていた。登山ガイドの訓練を受け、野外活動関係のインストラクターも経験した後、県内外のアウトドアショップで働いてきた。趣味と仕事の両方でアウトドアに長く接し、独立を考えている最中に狩猟に興味を持った。雫石に引っ越してきた芦久保さんは、有害鳥獣とされる野生動物が身近にいることや、子どもたちの通学路に姿を現すことに驚いたという。「有害鳥獣が増えると自然の生態系が崩れる。自分が役に立てることはないか」と、狩猟免許と猟銃所持許可証を取得。その過程で狩猟用品を扱う店の少なさや不便さを感じた。そうした経験を生かし、店ではアウトドア用品のほか射撃・狩猟用の装弾や狩猟用具など自分で使って良さを実感した商品を取り扱う。海外メーカーのアイテムを中心にハンター向けの商品も多くそろえるが、キャンプやブッシュクラフトといった一般的なアウトドア活動にも活用できるという。猟銃所持許可証の取得に向けたサポートにも取り組み、将来的には猟銃の販売を予定。自治体や銃砲店といった既存の相談窓口に加え、アウトドアショップという気軽さを生かし、「これからやってみたい」という人が気軽に足を運べる窓口になることを目指す。店名の「TRAP」は、狩猟のわなという意味に「何気なく入った店でついつい買い物してしまうわなのような場所」という思いを込めた。芦久保さんは「この店にしかない、といった個性的なセレクトをしたい。アイテムの使い心地や銃の打ち味、弾の命中率などについても話ができる。『興味はあるけど』の先に皆さんを案内できれば」と話す。

(農作業支援の学生へ米とジビエを贈呈:岡山)
2月27日JA晴れの国岡山、環太平洋大学は農作業を支援した学生への感謝を込め、米とジビエを贈呈した。JA晴れの国岡山は環太平洋大学と協力し、学生アルバイトによる農作業支援の取り組みを試行している。今年度は、岡山東統括本部ブドウ生産協議会瀬戸ぶどう部会、モモ部会山陽支部にそれぞれ所属する生産法人3者とのマッチングの場を設け、学生アルバイトが農繁期のチカラとなった。こうした経緯から、学生への感謝を込め、JAから大学に米とジビエ(イノシシ肉)を贈呈する。野生鳥獣による農作物被害の実情を広く知らしめるとともに、ジビエの利用拡大や理解促進を通じて農業が抱える鳥獣害問題にも一石を投じる。

(ジビエを今よりもっと身近に感じるジビエ専門料理店:兵庫)
株式会社ホロニック(本社:神戸市東灘区/代表取締役:長田 一郎)が運営するホテル「セトレならまち」に、料理人井田が奥深いジビエの世界について語りながら普段口にしたことのない珍しいジビエを提供する、カウンター6席のみのジビエ専門料理店「じびえ井田」を2024年4月1日(月)にグランドオープンいたします。ジビエ専門レストラン「じびえ井田」は、ジビエをもっと身近に感じてもらえるようジビエを取り巻く現状や地域の取り組み、ジビエの美味しさのみならずジビエを食べるメリットまで、「知ればもっと美味しくなる」をコンセプトに美味しくいただくことを通して学べるジビエ専門料理店です。“ジビエ=臭い”というイメージがありますが、適切に処理された安全なジビエを提供する仕組みが整っており、臭みのない美味しいジビエをお届けいたします。カウンター6席のみで、空間・器・ジビエ料理に合うお酒まで料理人井田のトークと共に演出いたします。ジビエの奥深き世界を知りながら、カラダに嬉しい栄養素を含んだジビエ料理とお酒をゆっくりと堪能ください。

(ジビエキャンプを開催:東京)
共体験から価値を共創する株式会社10(本社:中野区、代表取締役 佐藤 尊紀、以下10INC.)は、2024年3月16日(土)に「10と。ジビエキャンプ」を開催いたします。参加を希望される方は、お申込みください。

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(「クマを殺すならお前も死んでしまえ」、毅然とした対応の方針:秋田)
秋田県の佐竹知事は21日の県議会一般質問で、脅迫的な発言や長時間にわたって要求を繰り返す「カスタマーハラスメント」(カスハラ)にあたる行為に対し、顧問弁護士への相談や警察への通報を 躊躇ちゅうちょ なく行っていく方針を示した。今年度、クマの駆除に対する抗議電話が県庁に相次いだことを受けての対応。県広報広聴課によると、県庁内部の「県民からの意見・提案等対応ガイドライン」を今年度中に改定する。現在は電話で対応する時間の目安を30分程度としているが、改定後のガイドラインではより短時間で電話を切って良いケースや対応例を示す。例えば、 誹謗ひぼう 中傷を繰り返す相手には、行為がカスハラに該当することや、続ける場合は警察に通報すると伝えることなどを具体的に記載する。今年度は人里に出没したクマを駆除したことに対し、「クマがかわいそう」など一方的な主張を1時間繰り返したり、「クマを殺すならお前も死んでしまえ」など職員を中傷したりする電話が県庁に相次いだ。知事は「行政機関の対応として、県民から寄せられる意見や苦情は丁寧に聞き取ることが大前提」とした上で、「対策に組織的に取り組むとともに、場合によっては 毅然きぜん とした姿勢で対応する必要がある」と答弁した。

(ハーフライフル銃規制強化に懸念の声)
猟銃の一種「ハーフライフル銃」について、警察庁は規制を強化する方針だ。殺人事件の凶器とされたことが理由だが、ハーフライフル銃は北海道などではシカやクマの主要な捕獲手段の一つでもある。クマの人身被害が過去最悪になり、鳥獣被害対策が急がれる中、北海道や関係団体などから懸念の声が上がっている。ハーフライフル銃は銃身の半分に弾丸を回転させる溝があり、命中精度が高い。有効射程は通常の散弾銃の3倍の約150メートルで、平地や積雪で見通しがきき、獲物との距離が必要な北海道で特に重宝されている。現在は狩猟免許取得後すぐに所持できるが、2023年5月に長野県中野市で4人が殺害された事件で使用されたとされ、警察庁は許可対象を原則として「猟銃を10年以上継続所持する人」とする銃刀法改正案を今国会に提出する方針だ。現行法では、より射程が長く強力なライフル銃で既に同様の規制がある。道内のエゾシカ生息数(推定)は近年、増加傾向にあり、22年度は72万頭。農林業被害が22年度に48億4600万円に上った。道は24~26年を「エゾシカ緊急対策期間」とし、将来的に約39万頭まで減らしたい考えだ。22年度は過去最多の14万5000頭が捕獲され、うち約12万7000頭に猟銃が使われた。大半が自治体による「許可捕獲」だが、趣味として扱われる「狩猟」の役割も大きく、捕獲数のうち約3万3000頭が猟銃を使った狩猟によるものだ。道猟友会によると、エゾシカ猟は有効射程が短い散弾銃では難しく、大半のハンターがハーフライフル銃やライフル銃を使う。

(イノシシ集中捕獲へ:千葉)
千葉市は21日開会した市議会定例会に、有害鳥獣対策費3700万円を盛り込んだ新年度予算案を提出した。急増するイノシシによる農作物被害を防ぐため、新たに若葉区や緑区で集中捕獲を実施。昨年10月にイノシシが市中心部に出没した事態を受け、住宅地近くにもわなを増設し、人の被害を防ぐ対策も強化する。市農業経営支援課によると、2021年度に約139万円だったイノシシによる市内の農作物被害額は、22年度は約331万円と急増。市内で繁殖が進み、定着しているイノシシが多いことが原因とみられる。新年度は、若葉区や緑区でイノシシが出没している前線や生息場所などを調査。結果を基に秋頃からわなを集中設置する。両区では、次いで被害が多いアライグマなど中型獣の集中捕獲も行う。人身被害を減らすため、住宅や事業所近くで目撃情報があった場所に設置するわなも従来と比べ10基増やし、39基にする。市環境保全課の担当者は「昨年は中央区にまでイノシシが現れ、けが人も出た。さらに増える恐れがあるので対策を強化したい」と説明した。

(カワウやニホンジカ捕獲の報奨金を上乗せ:長野)
安曇野市が有害鳥獣の駆除対策に力を入れている。今冬から、市猟友会員が水鳥のカワウを捕獲した際に支払われる報奨金に1羽当たり6000円を上乗せしているほか、新年度からニホンジカの捕獲に1頭当たり新たに1万円の報奨金を支払う予定だ。猟友会員による捕獲の意欲を高めて個体数調整を進めることで、野生動物との共存につなげる。犀川漁業協同組合によると、犀川水系でカワウが増えており、ニジマスやイワナなどの放流魚が年間で400万円ほど被害に遭っている。「放流はカワウに餌をやっているようなものだ」と嘆く組合員もいるという。捕獲には、県漁業協同組合連合会を通じて1羽当たり2000円が支払われており、市が6000円を上乗せすることで計8000円になる。市町村が独自に報奨金を上乗せするのは中信地域で初めてという。今年は早くも55羽が捕獲されており、昨年1年間の43羽を超えて成果も出ている。犀川漁協の熊井正敏組合長は「市が積極的に動いてくれて感謝している。本当にうれしい」と喜ぶ。ニホンジカは明科地域や豊科地域に多く出没しており、市耕地林務課は「市内で増えている」と警戒する。林業で苗木の新芽や樹皮が食害に遭ったり、農業でブドウの新芽が食べられて生育に影響が出たりといった被害が報告されている。駆除したシカはその場で埋設されることも多いが、報奨金を受け取るには回収が必要なため、肉や毛皮、角の有効活用につながることも期待される。新年度一般会計補正予算案には、カワウで80羽分の48万円、ニホンジカで120頭分の120万円が計上されている。ハンターの担い手確保策として狩猟免許の新規取得に対して費用の全額補助も実施している。耕地林務課は「多くの人に関心を持ってもらい、対策に協力していただけたら」としている。

(“ドローン”を使った最新「巻狩り猟」:北海道)
シカによる農業被害を減らそうと、札幌市南区で大規模なシカ猟が行われました。林の中で動きまわるシカを探すのはハンターにとって大きな負担です。そこにひと役買ったのはドローンです。声を出しながら山道を歩くハンター。林に潜むシカを追い詰めていきます。札幌市南区で2024年2月23日朝に行われたシカ猟です。(北海道猟友会札幌支部 玉木康雄さん)「いるのは可能な限り全頭仕留めたいと思っています。賢くなってしまったシカが生き残ってしまうと、そのシカに率いられる群れは全部賢くなっちゃう」。道内で深刻化するシカの食害。農林業の被害額は40億円を超え、駆除が急がれています。(恩田記者)「札幌市南区の果樹園です。こちらリンゴの木なんですけども、白い部分はシカに食べられてしまった跡なんです。向こう側も木の幹はほとんど食べられてしまっています」。無残な姿に変わり果てたリンゴの木。こちらの果樹園では電気柵に加え、オオカミを模した撃退装置で対策していますが、知恵をつけたシカとはいたちごっこが続いています。こうした被害を減らそうと行われたのが、一度に多くのシカを駆除できる「巻狩り猟」です。山間部の地形を利用して獲物を追い込む巻狩り猟。「待ち」と呼ばれる射撃手と「勢子」と呼ばれる獲物を追い立てる役割に分かれ、集団で行われます。シカを探すため、試験的に導入されたのがドローン。上空からの映像はもちろん、温度センサーがついているため、シカの体温を頼りに探すことも可能だといいます。ドローンで特定したシカの位置を無線で現場のハンターに伝えます。息を合わせて少しずつシカを追い込むハンター。そしてー巻狩り猟は60人態勢で行われ、オス1頭を仕留めました。ドローンを使えば対象エリアにシカがいないことも確認できるため、ハンターの稼働時間短縮にも有効だということです。(北海道猟友会札幌支部 玉木康雄さん)「こうやって現場とハイテクを組み合わせていけば、どんどんいい精度の追求ができるので、それが楽しみだし有効ですね。南区のこの辺りは果樹だけじゃなくいろんな作物を栽培していて、札幌市民のための台所でもある。この地域は守り抜かなければならない」。ハンターの目となり上空からシカを追い込むドローン。狩猟の現場でも導入が期待されています。

(世界遺産宮島の原生林が大ピンチ、数千羽の「黒いギャング」:広島)
「黒いギャング」と呼ばれる鳥・カワウが世界遺産のある宮島に居座わり、貴重な原生林を枯らしている。広島県や廿日市市が対策を取っているが効果はなく、かえって被害が拡大してしまう悩ましい現状が続いている。一斉に飛び立った鳥の正体は「カワウ」。冬の時期、宮島は広島県内最大のカワウの寝床となっている。その数は推定で数千羽。カワウのフン尿には酸性の物質が含まれるため「神の島」の原生林は枯れ、復元できない状況に陥っている。1月、廿日市市と県は警戒心の強いカワウを追い払おうと、寝床となっていた杉の浦地区の木々に「テープ」を張りめぐらせた。テープ対策の効果はほぼなくなり、カワウの大群は何事もなかったかのように寝床を奪還していた。宮島漁協・丸本孝雄 組合長:もうテープに慣れとるんかもしれんね。以前はテープを張った時点でほとんどいなくなったんですよ。瀬戸内海は冬場でも餌となる魚が豊富なため、カワウは関西方面などから飛来してくるとみられている。宮島ではここ数年、個体数が急増。対策を取っても寝床を移動しながら同じ場所にとどまり、根本的な問題解決にはつながっていない。その理由を専門家はこう話す。水産研究 教育機構・坪井潤一 主任研究員:森林がすごく保全されている点があると思います。複雑な地形ですと、風の裏側に入れる「風裏」ができるんですよね。だからカワウは杉の浦地区のように「浦」のつく場所にたまる。テープをちょっと張られたくらいでは諦めてくれません。さらに、宮島漁協の丸本さんは「カワウの寝床の範囲が広くなっている」と指摘。1月のテープ対策で元の寝床を離れたカワウが、島の東側の包ヶ浦地区に居場所を見つけ、新たな原生林に被害をもたらしていた。宮島漁協・丸本孝雄 組合長:少しだからいいかなと思っていたが、今見るとどうにもならんわ。何年かのうちには全部枯れて岩肌が出るようになるでしょう。2月19日、丸本さんの姿は広島市内にあった。年に一度、県が開くカワウ対策協議会に出席するためだ。広島県 水産課・横内昭一 水産技術担当監:瀬戸内海全体の要望として国にあげてはいるのですが、国にもなかなか具体的な対策がないというところ。2023年12月の調査で、カワウは広島県全体に冬場で約7,000羽が生息。フンの被害以外にも、水に潜ってアユやメバルなどの魚を食べる「食害」が深刻だ。出席した自治体の担当者や漁業関係者らは「捕獲」を含めた対応を話し合った。日本野鳥の会 広島県支部・日比野政彦さん:持続的に対策を取らない限りは、相手は生き物ですからすぐに戻ってくる。たくさんいるから問題だという迎合的な話ではなく、正確なモニタリングデータに基づいた対策を。被害を減らそうと、県は空気銃などを使い、年間1,000羽程度の個体を捕獲している。それでも、カワウが飛来し続け、宮島の原生林が失われていく現状に専門家も警鐘を鳴らす。水産研究 教育機構・坪井潤一 主任研究員:テープを張ると景観が悪くなるとか、エアライフルで撃つと樹木が痛むとか言ってられない状況だと思います。このままいくと本当に枯れてしまうので。島全体が特別史跡と特別名勝に指定されている宮島は、自然保護に法的な制限があり、個人で対策を取ることはできない。廿日市市は3月、国などの許可を得て、カワウの捕獲作業に乗り出すことも検討している。宮島漁協・丸本孝雄 組合長:カワウがいなくなる対策がまだまとまらないので時間がかかるかもしれませんけど、諦めずに追い払い続けていくしか今は手がないですね。“豊かな自然”の裏返しではあるが、皮肉にもカワウに気に入られてしまった宮島。カワウは県をまたいで飛んでいくため、広島県や廿日市市だけで対策できる問題ではなさそうだ。繁殖地などの実態を解明して都道府県の連携が求められる。

(エゾシカ駆除過去10年で最多、加工施設建設求める声も:北海道)
2023年度の有害鳥獣の駆除期間中、置戸町内で駆除されたエゾシカは、記録が残る過去10年で最多の757頭に上った。ヒグマの駆除頭数は30頭に急増。一方、町内には加工処理施設がなく、遠方まで運ぶ負担が重くのしかかる。地元ハンターからは「町内に加工施設を設けて特産品にできないか」と町に支援を求める声が上がる。

(クマの対策事例報告:北海道)
空知地域野生鳥獣等対策連絡協議会が21日、空知総合振興局で開かれた。管内の自治体や農協、警察などから約60人が出席し、エゾシカやヒグマによる農林業被害や対策事例が報告された。

(カキの実の始末重要、クマ対策シンポ:富山)
今年度、県内の平野部でクマの出没や被害が相次いだことを受けて富山市で23日、地域住民が専門家とともに対策を考えるシンポジウムが開かれました。このシンポジウムは、県自然博物園ねいの里がクマが大量出没した年度に開いていて、2019年度以来2回目です。今年度、県内でのクマの出没は10月と11月あわせて433件で、前の年度の同じ時期と比べると15倍以上となりました。この10年では2019年度に次いで2番目に多くなっています。シンポジウムには、クマ対策に取り組もうとする自治会の関係者などおよそ80人が参加し、専門家から対策を学びました。ねいの里の赤座久明さんは、クマを平野部へ寄せ付けないためには庭のカキの実を放置しないことが特に有効だと話しました。赤座さん「28個体の胃の内容物を調べたらカキが65パーセント、3頭に2頭がカキ食いです。カキの実狙いが彼ら(クマ)の里へ出る動機の中心になっている」。また立山町が今年度から始めたクマ対策のクラウドファンディングも紹介されました。集まった寄付金はカキの木の伐採や里山の整備など人とクマの住み分けを目指す取り組みに使われます。

(クマとの共存を考える研修会:岩手)
ツキノワグマとの共存をテーマとした研修会が23日盛岡市で開かれ、参加者がボードゲームを通じて、森林の保全や電気柵の設置といった具体的な対応を学びました。この研修会は、ツキノワグマの正しい生態を理解し、人里での被害防止につなげようと、岩手県盛岡広域振興局と盛岡市動物公園ZOOMOが開催したものです。会場となった盛岡市のアイーナには、環境保全に取り組む鳥獣保護巡視員や、県の環境アドバイザーなどおよそ30人が参加しました。研修会ではクマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授がクマの生態を解説しました。「クマは一度食べ物の味を覚えると、執着して何回も来ます」。さらに山内准教授は、この冬は暖かい日が続き、冬眠明けのクマが例年よりも早く出てくる可能性があると指摘しました。その後、参加者はグループに分かれてボードゲームに挑戦しました。このゲームはクマが暮らしやすい森林環境をつくるとともに、クマが人里に出没しないための対策を考えるもので、参加者は、植林を進めたり、人里に電気柵を設置したりするなどして具体的なクマ対策をイメージしていました。(盛岡市動物公園ZOOMO 辻本恒徳園長)「ただ備えるだけではなくて、クマが森に帰るようなことをゲームを通して知ってもらって、自分ごととして対策を取ってもらう」。県やZOOMOは来年度もクマとの共存を考える市民向けの研修会を実施していく予定です。

(エゾシカ・ヒグマ対策連絡協議会:北海道)
釧路総合振興局は22日、釧路市内でエゾシカ・ヒグマ対策連絡協議会を開き、浜中町が3月から残雪期に特別に道の許可を得てヒグマを捕獲する「春期管理捕獲」を実施予定と報告した。エゾシカ対策では、釧路市が2024年度の捕獲計画数を23年度の約1.3倍の3580頭に引き上げる。管内8市町村の自治体や猟友会などの関係者52人が出席した。浜中町の春期管理捕獲は、ハンターの態勢や期間などの詳細は未定。釧路総合振興局は、今月上旬から実施している釧路市の捕獲数は現時点でゼロだが、「クマに警戒心を植え付けるためにも有効」とした。22年度の釧路管内のエゾシカによる農業被害額は、前年度比5700万円増の13億3500万円だった。JR北海道釧路支社は、23年度のシカと列車の衝突件数が2月上旬までに約1100件に上り、すでに22年度の1047件を上回ったと報告した。24年度のエゾシカの捕獲計画では、浜中町が2900頭から3千頭に増やし、1頭当たりの報奨金を千円を上乗せして6千円にする。捕獲計画数を大幅に増やした釧路市の農林課は「捕獲頭数が増え、現状の上限数では対応できなくなっていた」と説明した。

(クマによる被害相次ぎ、課題・対策考えるシンポ:富山)
去年、富山県内でクマによる人への被害が相次いだことを受け、課題や対策について考えるシンポジウムが富山市で行われました。23日、富山市の県民会館で開かれたシンポジウムには県や自治体の職員、県民など約80人が参加しました。はじめに県森林研究所の中島春樹副主幹が「クマの出没はエサとなるブナやミズナラの実り具合が関係している」と説明しました。また、県自然博物園ねいの里の間宮寿頼館長補佐が柿の木の伐採や、河川敷のやぶを整備することが被害を防ぐための有効な対策だと訴えました。そのうえで、「去年の大量出没をきっかけに柿の木を伐採する地域が増えたが、今後、どう広域的に進めていくかが課題だ。山際に電気柵を設置するなど公共的な対策も必要だ」と指摘しました。参加した富山市に住む30代の女性は「自宅は柿の木や屋敷林がありクマの潜みやすい環境となっていますが、何も対策をしていないので対策が必要だと感じました」と話していました。県自然保護課によりますと去年1年間の県内のクマによる人への被害は1人が死亡し、8人がケガをしています。このため県は山の中に約100台のカメラを設置してクマの生息状況を調査するほか、柿の木の伐採にかかる経費の補
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(「クマを殺すならお前も死んでしまえ」、毅然とした対応の方針:秋田)
秋田県の佐竹知事は21日の県議会一般質問で、脅迫的な発言や長時間にわたって要求を繰り返す「カスタマーハラスメント」(カスハラ)にあたる行為に対し、顧問弁護士への相談や警察への通報を 躊躇ちゅうちょ なく行っていく方針を示した。今年度、クマの駆除に対する抗議電話が県庁に相次いだことを受けての対応。県広報広聴課によると、県庁内部の「県民からの意見・提案等対応ガイドライン」を今年度中に改定する。現在は電話で対応する時間の目安を30分程度としているが、改定後のガイドラインではより短時間で電話を切って良いケースや対応例を示す。例えば、 誹謗ひぼう 中傷を繰り返す相手には、行為がカスハラに該当することや、続ける場合は警察に通報すると伝えることなどを具体的に記載する。今年度は人里に出没したクマを駆除したことに対し、「クマがかわいそう」など一方的な主張を1時間繰り返したり、「クマを殺すならお前も死んでしまえ」など職員を中傷したりする電話が県庁に相次いだ。知事は「行政機関の対応として、県民から寄せられる意見や苦情は丁寧に聞き取ることが大前提」とした上で、「対策に組織的に取り組むとともに、場合によっては 毅然きぜん とした姿勢で対応する必要がある」と答弁した。

(ハーフライフル銃規制強化に懸念の声)
猟銃の一種「ハーフライフル銃」について、警察庁は規制を強化する方針だ。殺人事件の凶器とされたことが理由だが、ハーフライフル銃は北海道などではシカやクマの主要な捕獲手段の一つでもある。クマの人身被害が過去最悪になり、鳥獣被害対策が急がれる中、北海道や関係団体などから懸念の声が上がっている。ハーフライフル銃は銃身の半分に弾丸を回転させる溝があり、命中精度が高い。有効射程は通常の散弾銃の3倍の約150メートルで、平地や積雪で見通しがきき、獲物との距離が必要な北海道で特に重宝されている。現在は狩猟免許取得後すぐに所持できるが、2023年5月に長野県中野市で4人が殺害された事件で使用されたとされ、警察庁は許可対象を原則として「猟銃を10年以上継続所持する人」とする銃刀法改正案を今国会に提出する方針だ。現行法では、より射程が長く強力なライフル銃で既に同様の規制がある。道内のエゾシカ生息数(推定)は近年、増加傾向にあり、22年度は72万頭。農林業被害が22年度に48億4600万円に上った。道は24~26年を「エゾシカ緊急対策期間」とし、将来的に約39万頭まで減らしたい考えだ。22年度は過去最多の14万5000頭が捕獲され、うち約12万7000頭に猟銃が使われた。大半が自治体による「許可捕獲」だが、趣味として扱われる「狩猟」の役割も大きく、捕獲数のうち約3万3000頭が猟銃を使った狩猟によるものだ。道猟友会によると、エゾシカ猟は有効射程が短い散弾銃では難しく、大半のハンターがハーフライフル銃やライフル銃を使う。

(イノシシ集中捕獲へ:千葉)
千葉市は21日開会した市議会定例会に、有害鳥獣対策費3700万円を盛り込んだ新年度予算案を提出した。急増するイノシシによる農作物被害を防ぐため、新たに若葉区や緑区で集中捕獲を実施。昨年10月にイノシシが市中心部に出没した事態を受け、住宅地近くにもわなを増設し、人の被害を防ぐ対策も強化する。市農業経営支援課によると、2021年度に約139万円だったイノシシによる市内の農作物被害額は、22年度は約331万円と急増。市内で繁殖が進み、定着しているイノシシが多いことが原因とみられる。新年度は、若葉区や緑区でイノシシが出没している前線や生息場所などを調査。結果を基に秋頃からわなを集中設置する。両区では、次いで被害が多いアライグマなど中型獣の集中捕獲も行う。人身被害を減らすため、住宅や事業所近くで目撃情報があった場所に設置するわなも従来と比べ10基増やし、39基にする。市環境保全課の担当者は「昨年は中央区にまでイノシシが現れ、けが人も出た。さらに増える恐れがあるので対策を強化したい」と説明した。

(カワウやニホンジカ捕獲の報奨金を上乗せ:長野)
安曇野市が有害鳥獣の駆除対策に力を入れている。今冬から、市猟友会員が水鳥のカワウを捕獲した際に支払われる報奨金に1羽当たり6000円を上乗せしているほか、新年度からニホンジカの捕獲に1頭当たり新たに1万円の報奨金を支払う予定だ。猟友会員による捕獲の意欲を高めて個体数調整を進めることで、野生動物との共存につなげる。犀川漁業協同組合によると、犀川水系でカワウが増えており、ニジマスやイワナなどの放流魚が年間で400万円ほど被害に遭っている。「放流はカワウに餌をやっているようなものだ」と嘆く組合員もいるという。捕獲には、県漁業協同組合連合会を通じて1羽当たり2000円が支払われており、市が6000円を上乗せすることで計8000円になる。市町村が独自に報奨金を上乗せするのは中信地域で初めてという。今年は早くも55羽が捕獲されており、昨年1年間の43羽を超えて成果も出ている。犀川漁協の熊井正敏組合長は「市が積極的に動いてくれて感謝している。本当にうれしい」と喜ぶ。ニホンジカは明科地域や豊科地域に多く出没しており、市耕地林務課は「市内で増えている」と警戒する。林業で苗木の新芽や樹皮が食害に遭ったり、農業でブドウの新芽が食べられて生育に影響が出たりといった被害が報告されている。駆除したシカはその場で埋設されることも多いが、報奨金を受け取るには回収が必要なため、肉や毛皮、角の有効活用につながることも期待される。新年度一般会計補正予算案には、カワウで80羽分の48万円、ニホンジカで120頭分の120万円が計上されている。ハンターの担い手確保策として狩猟免許の新規取得に対して費用の全額補助も実施している。耕地林務課は「多くの人に関心を持ってもらい、対策に協力していただけたら」としている。

(“ドローン”を使った最新「巻狩り猟」:北海道)
シカによる農業被害を減らそうと、札幌市南区で大規模なシカ猟が行われました。林の中で動きまわるシカを探すのはハンターにとって大きな負担です。そこにひと役買ったのはドローンです。声を出しながら山道を歩くハンター。林に潜むシカを追い詰めていきます。札幌市南区で2024年2月23日朝に行われたシカ猟です。(北海道猟友会札幌支部 玉木康雄さん)「いるのは可能な限り全頭仕留めたいと思っています。賢くなってしまったシカが生き残ってしまうと、そのシカに率いられる群れは全部賢くなっちゃう」。道内で深刻化するシカの食害。農林業の被害額は40億円を超え、駆除が急がれています。(恩田記者)「札幌市南区の果樹園です。こちらリンゴの木なんですけども、白い部分はシカに食べられてしまった跡なんです。向こう側も木の幹はほとんど食べられてしまっています」。無残な姿に変わり果てたリンゴの木。こちらの果樹園では電気柵に加え、オオカミを模した撃退装置で対策していますが、知恵をつけたシカとはいたちごっこが続いています。こうした被害を減らそうと行われたのが、一度に多くのシカを駆除できる「巻狩り猟」です。山間部の地形を利用して獲物を追い込む巻狩り猟。「待ち」と呼ばれる射撃手と「勢子」と呼ばれる獲物を追い立てる役割に分かれ、集団で行われます。シカを探すため、試験的に導入されたのがドローン。上空からの映像はもちろん、温度センサーがついているため、シカの体温を頼りに探すことも可能だといいます。ドローンで特定したシカの位置を無線で現場のハンターに伝えます。息を合わせて少しずつシカを追い込むハンター。そしてー巻狩り猟は60人態勢で行われ、オス1頭を仕留めました。ドローンを使えば対象エリアにシカがいないことも確認できるため、ハンターの稼働時間短縮にも有効だということです。(北海道猟友会札幌支部 玉木康雄さん)「こうやって現場とハイテクを組み合わせていけば、どんどんいい精度の追求ができるので、それが楽しみだし有効ですね。南区のこの辺りは果樹だけじゃなくいろんな作物を栽培していて、札幌市民のための台所でもある。この地域は守り抜かなければならない」。ハンターの目となり上空からシカを追い込むドローン。狩猟の現場でも導入が期待されています。

(世界遺産宮島の原生林が大ピンチ、数千羽の「黒いギャング」:広島)
「黒いギャング」と呼ばれる鳥・カワウが世界遺産のある宮島に居座わり、貴重な原生林を枯らしている。広島県や廿日市市が対策を取っているが効果はなく、かえって被害が拡大してしまう悩ましい現状が続いている。一斉に飛び立った鳥の正体は「カワウ」。冬の時期、宮島は広島県内最大のカワウの寝床となっている。その数は推定で数千羽。カワウのフン尿には酸性の物質が含まれるため「神の島」の原生林は枯れ、復元できない状況に陥っている。1月、廿日市市と県は警戒心の強いカワウを追い払おうと、寝床となっていた杉の浦地区の木々に「テープ」を張りめぐらせた。テープ対策の効果はほぼなくなり、カワウの大群は何事もなかったかのように寝床を奪還していた。宮島漁協・丸本孝雄 組合長:もうテープに慣れとるんかもしれんね。以前はテープを張った時点でほとんどいなくなったんですよ。瀬戸内海は冬場でも餌となる魚が豊富なため、カワウは関西方面などから飛来してくるとみられている。宮島ではここ数年、個体数が急増。対策を取っても寝床を移動しながら同じ場所にとどまり、根本的な問題解決にはつながっていない。その理由を専門家はこう話す。水産研究 教育機構・坪井潤一 主任研究員:森林がすごく保全されている点があると思います。複雑な地形ですと、風の裏側に入れる「風裏」ができるんですよね。だからカワウは杉の浦地区のように「浦」のつく場所にたまる。テープをちょっと張られたくらいでは諦めてくれません。さらに、宮島漁協の丸本さんは「カワウの寝床の範囲が広くなっている」と指摘。1月のテープ対策で元の寝床を離れたカワウが、島の東側の包ヶ浦地区に居場所を見つけ、新たな原生林に被害をもたらしていた。宮島漁協・丸本孝雄 組合長:少しだからいいかなと思っていたが、今見るとどうにもならんわ。何年かのうちには全部枯れて岩肌が出るようになるでしょう。2月19日、丸本さんの姿は広島市内にあった。年に一度、県が開くカワウ対策協議会に出席するためだ。広島県 水産課・横内昭一 水産技術担当監:瀬戸内海全体の要望として国にあげてはいるのですが、国にもなかなか具体的な対策がないというところ。2023年12月の調査で、カワウは広島県全体に冬場で約7,000羽が生息。フンの被害以外にも、水に潜ってアユやメバルなどの魚を食べる「食害」が深刻だ。出席した自治体の担当者や漁業関係者らは「捕獲」を含めた対応を話し合った。日本野鳥の会 広島県支部・日比野政彦さん:持続的に対策を取らない限りは、相手は生き物ですからすぐに戻ってくる。たくさんいるから問題だという迎合的な話ではなく、正確なモニタリングデータに基づいた対策を。被害を減らそうと、県は空気銃などを使い、年間1,000羽程度の個体を捕獲している。それでも、カワウが飛来し続け、宮島の原生林が失われていく現状に専門家も警鐘を鳴らす。水産研究 教育機構・坪井潤一 主任研究員:テープを張ると景観が悪くなるとか、エアライフルで撃つと樹木が痛むとか言ってられない状況だと思います。このままいくと本当に枯れてしまうので。島全体が特別史跡と特別名勝に指定されている宮島は、自然保護に法的な制限があり、個人で対策を取ることはできない。廿日市市は3月、国などの許可を得て、カワウの捕獲作業に乗り出すことも検討している。宮島漁協・丸本孝雄 組合長:カワウがいなくなる対策がまだまとまらないので時間がかかるかもしれませんけど、諦めずに追い払い続けていくしか今は手がないですね。“豊かな自然”の裏返しではあるが、皮肉にもカワウに気に入られてしまった宮島。カワウは県をまたいで飛んでいくため、広島県や廿日市市だけで対策できる問題ではなさそうだ。繁殖地などの実態を解明して都道府県の連携が求められる。

(エゾシカ駆除過去10年で最多、加工施設建設求める声も:北海道)
2023年度の有害鳥獣の駆除期間中、置戸町内で駆除されたエゾシカは、記録が残る過去10年で最多の757頭に上った。ヒグマの駆除頭数は30頭に急増。一方、町内には加工処理施設がなく、遠方まで運ぶ負担が重くのしかかる。地元ハンターからは「町内に加工施設を設けて特産品にできないか」と町に支援を求める声が上がる。

(クマの対策事例報告:北海道)
空知地域野生鳥獣等対策連絡協議会が21日、空知総合振興局で開かれた。管内の自治体や農協、警察などから約60人が出席し、エゾシカやヒグマによる農林業被害や対策事例が報告された。

(カキの実の始末重要、クマ対策シンポ:富山)
今年度、県内の平野部でクマの出没や被害が相次いだことを受けて富山市で23日、地域住民が専門家とともに対策を考えるシンポジウムが開かれました。このシンポジウムは、県自然博物園ねいの里がクマが大量出没した年度に開いていて、2019年度以来2回目です。今年度、県内でのクマの出没は10月と11月あわせて433件で、前の年度の同じ時期と比べると15倍以上となりました。この10年では2019年度に次いで2番目に多くなっています。シンポジウムには、クマ対策に取り組もうとする自治会の関係者などおよそ80人が参加し、専門家から対策を学びました。ねいの里の赤座久明さんは、クマを平野部へ寄せ付けないためには庭のカキの実を放置しないことが特に有効だと話しました。赤座さん「28個体の胃の内容物を調べたらカキが65パーセント、3頭に2頭がカキ食いです。カキの実狙いが彼ら(クマ)の里へ出る動機の中心になっている」。また立山町が今年度から始めたクマ対策のクラウドファンディングも紹介されました。集まった寄付金はカキの木の伐採や里山の整備など人とクマの住み分けを目指す取り組みに使われます。

(クマとの共存を考える研修会:岩手)
ツキノワグマとの共存をテーマとした研修会が23日盛岡市で開かれ、参加者がボードゲームを通じて、森林の保全や電気柵の設置といった具体的な対応を学びました。この研修会は、ツキノワグマの正しい生態を理解し、人里での被害防止につなげようと、岩手県盛岡広域振興局と盛岡市動物公園ZOOMOが開催したものです。会場となった盛岡市のアイーナには、環境保全に取り組む鳥獣保護巡視員や、県の環境アドバイザーなどおよそ30人が参加しました。研修会ではクマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授がクマの生態を解説しました。「クマは一度食べ物の味を覚えると、執着して何回も来ます」。さらに山内准教授は、この冬は暖かい日が続き、冬眠明けのクマが例年よりも早く出てくる可能性があると指摘しました。その後、参加者はグループに分かれてボードゲームに挑戦しました。このゲームはクマが暮らしやすい森林環境をつくるとともに、クマが人里に出没しないための対策を考えるもので、参加者は、植林を進めたり、人里に電気柵を設置したりするなどして具体的なクマ対策をイメージしていました。(盛岡市動物公園ZOOMO 辻本恒徳園長)「ただ備えるだけではなくて、クマが森に帰るようなことをゲームを通して知ってもらって、自分ごととして対策を取ってもらう」。県やZOOMOは来年度もクマとの共存を考える市民向けの研修会を実施していく予定です。

(エゾシカ・ヒグマ対策連絡協議会:北海道)
釧路総合振興局は22日、釧路市内でエゾシカ・ヒグマ対策連絡協議会を開き、浜中町が3月から残雪期に特別に道の許可を得てヒグマを捕獲する「春期管理捕獲」を実施予定と報告した。エゾシカ対策では、釧路市が2024年度の捕獲計画数を23年度の約1.3倍の3580頭に引き上げる。管内8市町村の自治体や猟友会などの関係者52人が出席した。浜中町の春期管理捕獲は、ハンターの態勢や期間などの詳細は未定。釧路総合振興局は、今月上旬から実施している釧路市の捕獲数は現時点でゼロだが、「クマに警戒心を植え付けるためにも有効」とした。22年度の釧路管内のエゾシカによる農業被害額は、前年度比5700万円増の13億3500万円だった。JR北海道釧路支社は、23年度のシカと列車の衝突件数が2月上旬までに約1100件に上り、すでに22年度の1047件を上回ったと報告した。24年度のエゾシカの捕獲計画では、浜中町が2900頭から3千頭に増やし、1頭当たりの報奨金を千円を上乗せして6千円にする。捕獲計画数を大幅に増やした釧路市の農林課は「捕獲頭数が増え、現状の上限数では対応できなくなっていた」と説明した。

(クマによる被害相次ぎ、課題・対策考えるシンポ:富山)
去年、富山県内でクマによる人への被害が相次いだことを受け、課題や対策について考えるシンポジウムが富山市で行われました。23日、富山市の県民会館で開かれたシンポジウムには県や自治体の職員、県民など約80人が参加しました。はじめに県森林研究所の中島春樹副主幹が「クマの出没はエサとなるブナやミズナラの実り具合が関係している」と説明しました。また、県自然博物園ねいの里の間宮寿頼館長補佐が柿の木の伐採や、河川敷のやぶを整備することが被害を防ぐための有効な対策だと訴えました。そのうえで、「去年の大量出没をきっかけに柿の木を伐採する地域が増えたが、今後、どう広域的に進めていくかが課題だ。山際に電気柵を設置するなど公共的な対策も必要だ」と指摘しました。参加した富山市に住む30代の女性は「自宅は柿の木や屋敷林がありクマの潜みやすい環境となっていますが、何も対策をしていないので対策が必要だと感じました」と話していました。県自然保護課によりますと去年1年間の県内のクマによる人への被害は1人が死亡し、8人がケガをしています。このため県は山の中に約100台のカメラを設置してクマの生息状況を調査するほか、柿の木の伐採にかかる経費の補助金を拡充するなどといった対策を強化することにしています。

(「マタギイズム」継承へ、ツアー開始:秋田)
マタギの文化と精神を学ぶ「マタギイズムの継承ツアー」が23日、北秋田市阿仁で2泊3日の日程で始まった。初日は東京都から参加した20、30代の男性4人が、打当温泉マタギの湯に併設されたマタギ資料館のホールで、ベテランと若手のマタギ3人による語りに耳を傾けた。若手の益田光さん(29)を進行役に、かつて比立内マタギのシカリ(頭領)だった松橋吉太郎さん(90)と、打当マタギのシカリ鈴木英雄さん(76)が経験談を披露。集団でクマを追い詰める「巻き狩り」を記録した映像を見ながら、逃げていくクマが必ず途中で立ち止まって振り返るという生態や、1日で3頭のクマを撃って授かったエピソードなどを語った。

(動物の線路進入、ドローンで観測:静岡)
伊東市と下田市を結ぶ伊豆急行(本社・伊東市)は今年度、ドローンを使って、線路内に進入して運行の妨げとなるシカやイノシシなどの鳥獣被害を防止する実証実験を始めた。暗視カメラを搭載したドローンを夜間に飛ばし、野生動物の生息数や行動範囲を観測し、効果的な対策や駆除促進につなげる狙いだ。伊東市内の線路周辺上空で今月14日夜、赤外線を使った暗視カメラを搭載したドローンが飛行した。約100メートル上空から撮影した映像にはイノシシ2頭が映り、尾を振る様子も確認できるほどの鮮明さだった。実験では、上空から動物を見つけ、生息数や移動経路を把握し、地図に落とし込んでいくという。伊豆急行の鉄道路線距離は45・7キロ・メートル。伊豆半島の東海岸を走るが山間部も多く、野生動物が線路に出没して列車に接触する事故が多発している。同社によると、特に出没頻度が高いシカとイノシシの目撃情報は2018年から22年までの5年間で計1776件だった。接触事故も年間20~30件程度発生し、列車の遅延や故障につながっており、同社は防護柵の設置や、夜間の徐行運転などの対策をとっているが、効果は十分とは言えなかった。より効果的な対策を検討しようと、同社は今年度、県の「次世代エアモビリティ実証事業」を活用して、伊東市やIT企業「ウインディーネットワーク」(下田市)と共同でドローンを使った実証実験に乗り出した。ドローンで把握し蓄積したデータをもとに、防護柵や動物が嫌がる音を出す装置などの効果的な設置場所を探り出す。データは地元猟友会に提供し、ワナを使った駆除などにも活用してもらう。有効性が確認できれば、鳥獣被害に悩む鉄道事業者や道路関係機関、自治体などにも提供することを想定している。伊豆急ホールディングス経営企画部の川口良さんは「動物の進入、列車との衝突は、安全運行の妨げや運転士の大きなストレスになっている。実態を把握して、より効果的な対策を実施し、自然と共存できる運行を目指したい」と話している。

(工事現場でクマ目撃:福島)
23日午前10時ごろ、福島県相馬市玉野字スゲカリの工事現場で、作業員3人がクマ1頭を目撃したとして、相馬署に通報があった。同署によると、クマは体長約80センチ。

(民宿開業2カ月で全壊、志は砕かれない:石川)
女性狩猟者でつくる「狩女の会」を主宰する福岡富士子さん(53)=石川県穴水町=が、能登半島地震で開業わずか2カ月で全壊した自身の複合施設「富士SUN(サン)」(同町大町)を更地にし、奥能登の復旧・復興拠点に再生しようと動き出した。専用の寄付サイトで資金を募っている福岡さんは「住宅などの復旧作業に当たる工事関係者に宿泊場所として提供したい」と協力を呼びかけている。富士SUNは町中心部で空き家だった築50年ほどの木造2階建て古民家を改修。昨年11月に農家民宿を開業した。ジビエ(野生鳥獣肉)料理や特産のカキの飲食店、シェアスペースの営業をこれから始めようとする矢先、地震が襲った。猟師の福岡さんは2018年、急増したイノシシ被害に悩む奥能登地方でジビエ活用を進めようと穴水町に移住。ジビエを広めるとともに、にぎわいづくりにも積極的に取り組んできた。富士SUNは増える空き家の活用のモデルになればと、クラウドファンディングも使って資金を集め、開業にこぎ着けた。被災直後は、全壊した富士SUNを直視できなかった。念願かなった実店舗は1階部分がつぶれ、ほとんどの仕事道具が埋まった。「どーんと落ち込んだ。どうにもできないと立ち尽くした」と振り返る。地震の影響で体調を崩した小学生の息子のことを考え、現在は南加賀地方の公営住宅に避難している。今度は地震でも壊れず、移動できる宿「アクティブ富士SUN」を造ろうと準備を進めている。以前から宿泊施設の不足が課題だった穴水町。更地にした場所にトレーラーハウスやユニットハウス、キッチンカー、キャンピングカーを置き、復旧などに当たる工事関係者に貸し出す計画だ。穴水を離れ「逆に冷静になれた」という。水害を想定し、建物が使えなくなったら更地にしてグランピング場にすることも以前から考えていた。「災害復旧支援で自分がやるべきこと」を思い描くうちに「体が自然に動いていた」という。「富士SUNは宿泊施設が足りない穴水のためになればと造った。やり直しになるけどようやく支援する側に回れるようになった」と前を向く。今後は穴水町と避難先を拠点に復旧復興を後押しする。集めた資金は設備の購入代などに充てる。

(県産ジビエで筋肉づくり:宮崎)
県産ジビエの普及を図ろうと、県は23日、宮崎市・アミノバイタルトレーニングセンター宮崎で開かれた、なでしこリーグ1部「ヴィアマテラス宮崎」のサッカー教室でセミナーや試食会を開いた。参加した児童や保護者、選手ら約110人に「アスリート食」としても活用できるジビエの魅力を紹介した。

(ジビエと温泉と神秘の湖で、穏やかな3連休を:山口)
2024年の2月2回目の連休は、いよいよ、一の俣温泉グランドホテルと一の俣温泉観光ホテルの両宿泊施設でジビエフェアが開催されます。

(シカの角でアクセサリー:山口)
林業の重要性を知ってもらおうと下関市豊田町の豊田町育林研究会が豊田下小学校で20日、森林体験学習を実施した。参加した4、5年生計15人は講話を聴いたほか、シカの角を使ったアクセサリー作りなども体験し、林業について学んだ。

(「ももんじファクトリー」国産ジビエ認証取得:長崎)
長崎県島原市上折橋町のイノシシ肉処理施設「ももんじファクトリー」(谷口秀平施設長、従業員3人)が14日、国が適切な衛生管理や流通規格に従って野生鳥獣肉(ジビエ)を扱っていると認めた「国産ジビエ認証」を受けた。認証を受けるのは県内で初めて。国内では36番目。同制度は、消費者に安心して国産ジビエを味わってもらおうと農林水産省が2018年に創設。厚生労働省のガイドラインに基づく徹底した衛生管理のほか、捕獲日や解体日を消費者が確認できる表示ラベルの添付などが条件。同ファクトリーは15年9月、大分県由布市のジビエ卸業「椿説屋(ちんぜいや)」が島原市の補助金を活用して開設。22年度は島原半島で捕獲されたイノシシ(全5858頭)のうち、328頭を食肉処理している。谷口施設長は農水省が登録する「ジビエ利活用コーディネーター」でもあり、捕獲者に適切な血抜きなどの指導もしている。仕留めたイノシシは1時間以内に同ファクトリーまで搬送され、その日のうちに解体・枝肉化される。約50平方メートルの施設内には▽解体室▽精肉室▽包装室-が区画されており、金属片が混入していないかチェックする金属探知機や、鮮度を保ったまま保存できる急速冷凍庫などを備えている。谷口施設長は「島原のイノシシ肉はおいしいと、東京のフランス料理店や県内の大手スーパーなどから高い評価を受け、取引が続いている。農産物の食害防止にも役立つので、認証を機にさらに体制を拡充して現在の2倍ほどまで処理能力を高めていきたい」と話している。

(ジビエの概念が変わる!:新潟)
皆さん、こんにちは。取材ライターのエムコネです。突然ですが、ジビエ料理ってお好きですか?「好きだよ」「一度食べたことがあるけど、苦手な味だった」「食べたことがないけど、おいしいのかな…」という3パターンに分かれると思います。私はというと、「食べたことはあるけど、苦手な味だった」という経験が。そのため、ジビエ料理と聞くとあまりいいイメージを持っていなかったのですが、その私の概念を変える食体験をしてきたのです。今回は、「日本料理 福楽」さんをご紹介します。場所は、新潟市江南区大渕1196-2。新潟バイパス「一日市IC」から江南区方面へ向かい、阿賀野川沿い「県道17号村松三川線」を進み、細い路地に入った住宅街の中にあります。大きな看板はなく、小さな表札があるのみ。駐車場からお店まではアプローチになっており、立派な日本庭園が広がります。店内は、カウンターとテーブル席の個室があり、ビジネスシーンや家族の祝い事など、様々なシーンで使うことができます。同店は、2022年の春に開業。店主の媚山さんは、釣りと狩猟を二十年以上の趣味とする料理人で、魚のほとんどが自ら釣り上げたものを、そして狩猟で養った目利きで仕入れたジビエ料理を提供されています。昨今、ジビエブームがあり、様々なお店で気軽に味わえるようになりましたが、ジビエというものは、個体差が激しく取り扱いが難しいのだとか。きちんと勉強をして目利きができないと、本当においしいジビエは扱えないそうです。だからこそ、狩猟を趣味として経験も知識もある同店は、取り扱うジビエの質が違います!

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(日本クレー射撃協会新理事選出、定足数満たす)
組織運営で混乱している日本クレー射撃協会は21日、東京都内で臨時総会を開き、新たに理事3人を選出した。2日の総会で20人の理事のうち9人を解任し、定足数の14人を下回っていたが、正常化した。3月5日に新体制による理事会を開き、解任された理事が務めていた副会長や専務理事、強化委員長などの担務を決める。不老安正会長は「何とか一歩前進した」と述べた。6月の役員改選に向け、透明性を高めるため、役員候補者選考委員会に外部の人材を加える方針も明らかにした。これまでは協会役員のみで構成していた。協会を巡っては、不適切経理の疑いや銃弾の取り扱いに関して役員が刑事告発されるなど、不祥事が続いた。不透明な組織運営を理由に、各都道府県の代表者(正会員)の一部が全理事の解任を請求。2日の総会で不信任が過半数となった9人の理事が解任された。

(車から散弾銃で禁止区域のカモ射撃、容疑で会社役員逮捕:茨城)
狩猟してはいけない区域で散弾銃を撃ってカモを捕獲しようとしたとして、茨城県警稲敷署は20日、東京都足立区の会社役員(76)を銃刀法違反と鳥獣保護法違反などの疑いで逮捕した。容疑を否認しているという。逮捕容疑は1月12日午前10時半ごろ、鳥獣保護法で狩猟可能区域と定められていない稲敷市浮島の市道で、自身で運転する乗用車から霞ケ浦湖畔にいたカモに向けて散弾銃を1発撃って捕獲しようとしたとしている。同署によると、1羽に命中したが、そのまま流されたか沈んだとみられる。釣り人の男性が目撃し、署に通報した。同署が動機などを調べる。

(クマ被害防止のため「緩衝帯」整備を強化へ:秋田)
ツキノワグマの被害防止対策として秋田県は2023年度の約1.8倍となる8500万円余りをかけ、クマの生息地と人の生活圏を隔てる緩衝帯を整備する方針です。秋田県は2024年度の当初予算案にツキノワグマの被害防止対策費として約2億2千万円を盛り込んでいます。このうち、人とクマの生息域を区別するために必要な緩衝帯の整備費には約8570万円が充てられています。2023年度の約1.8倍で、整備される広さは230ヘクタールに広がります。クマ類は4月にも捕獲などに国の支援が受けられる指定管理鳥獣に追加される見通しですが、専門家の検討会は住み分けを図るよう対策方針に盛り込んでいました。県はクマ類が指定管理鳥獣に指定された場合緩衝帯整備に対する支援も国に要望するとしています。この他にも、目撃情報を発信するための新たな地図システムの運用や生息状況を把握するための調査などを行い科学的、計画的な管理で人とクマの共生を実現させたい方針です。

(クマの生息数を調査へ、定点カメラ120台を設置:秋田)
クマによる被害が過去最悪となるなか、秋田県は県内の広い地域に定点カメラ120台を設置してことし夏ごろから2年間かけて生息数を調査することにしています。秋田県内では去年、クマに襲われるなどしてけがをした人が70人で過去最多となりました。これを受けて秋田県は、県内の生息数を把握して今後の対策にいかしていこうと、県内の広い地域に定点カメラ120台を設置してことし夏ごろから2年間かけて調査し、生息数の推計を行います。調査は、「カメラトラップ」という手法で行われ、カメラの近くに蜂蜜などのエサを用意してクマをおびき寄せ、センサーのついたカメラが近づいたクマに反応して自動で撮影します。過去にも平成29年度から3年かけて同じ手法で調査が行われていて、生息数は4400頭と推計されました。一方、捕獲されたクマは、去年1年間だけで2200頭あまりにのぼっています。県は最新の推計をもとに年間の捕獲上限数を見直す必要があるとしています。秋田県自然保護課は、「最新の生息状況を把握して、クマとの共生に向けた対策を強化していきたい」と話しています。

(野生鳥獣対策に新システム整備へ:新潟)
クマなどによる人や農作物への被害を防ぐため、県はデジタル機器を活用して生息域などを調査するほか、出没の情報などを共有できる新たなシステムを整備する方針です。県によりますと、県内では今年度クマに襲われて10人がけがをしたほか、昨年度のクマやイノシシなどによる農作物への被害はおよそ2億4000万円に上りました。こうしたなか県は、クマなどの野生鳥獣による被害を防ぐため、デジタル技術を活用して個体数を把握し、生息域や人里など場所に応じた対策を始める方針です。具体的にはこれまで蓄積したデータを元に個体数を推定する精度の向上を図るほか、出没や捕獲の情報について行政や県民が共有できる新たなシステムを整備する方針です。また、30台ほどのカメラを使ってクマなどの移動経路を特定し、効率的にやぶを刈り払うことで生息域と人里との緩衝地帯を維持するということで、具体的な場所を検討しています。このほか効率的な捕獲につなげるため、ドローンの免許取得にかかる費用についても市町村が補助する場合の一部を負担することにしていて、県は必要な費用を新年度予算案に計上しました。

(ほかの地域のシカが進出:奈良)
奈良市の山間部に、京都府や三重県などほかの地域のシカが進出していることがわかりました。調査した研究チームは「地球温暖化などで冬を越す個体が増え、生存や繁殖のために行動範囲が広がったことが原因だと考えられる」と話しています。観光資源になっているニホンジカについて、奈良県は国の天然記念物となっているシカが生息する奈良公園周辺などを「保護地区」、その周囲に広がる奈良市の山間部を「管理地区」などに定めて保護や管理を行っています。近年、頭数が増えている「管理地区」のシカがどこから来たのか分析しようと、福島大学や奈良教育大学などからなる研究チームは、双方のエリアのおよそ170頭分の体の一部やふんなどを集めて、遺伝子の配列を調べました。その結果、「管理地区」には京都府や三重県などほかの地域のシカが進出し、もともと生息していた奈良のシカとの繁殖が進んでいることも遺伝子の配列からわかったということです。研究チームは「地球温暖化などで冬を越す個体が増え、生存や繁殖のために行動範囲が広がったことが原因だと考えられる」と話しています。研究チームは去年1月、奈良公園周辺など「保護地区」に住むシカは、1000年以上、ほかの地域と交流せず繁殖してきたとする研究結果をまとめていて、今後、ほかの地域のシカが増え続ければ、奈良のシカ特有の遺伝子型が変化する可能性もあると指摘しています。福島大学共生システム理工学類の兼子伸吾准教授は「ほかの地域のシカが保護地区などへも進出するようになれば、過去1000年にわたって遺伝的独自性を保ってきた奈良公園のシカの特徴が変化する可能性がある」と話しています。

(奈良のシカ、遺伝的独自性が変化)
国の天然記念物「奈良のシカ」に登録された、奈良市内のニホンジカの血縁関係をDNA解析によって調べ、管理地区のシカの由来や交配の状況を調査した福島大、奈良教育大、山形大の共同研究グループが研究結果を20日、発表した。現在、同市内では「保護地区」「緩衡地区」「管理地区」に分けてシカの保護管理を実施。発表によると、管理地区は市外から来た個体とその子孫が大半を占め、緩衡地区に近い管理地区では市外由来の個体と保護地区由来の個体が混在して交配していることが分かった。千年以上、独自の遺伝的特徴を残してきた奈良のシカは、同市内外のシカの増加と分布拡大により、長期間の孤立や遺伝的独自性などが変化しつつあるという。

(クマ情報をラインで:北海道)
道内各地でヒグマによる人身被害が相次ぐ中、士幌町は3月1日から、無料通信アプリLINE(ライン)の公式アカウントで、ヒグマの目撃情報を伝える機能を導入する。町はLINEで手軽にヒグマに関する出没日時と場所を確認できるようにすることで、町民への周知など迅速な対応につなげる考え。システムの導入は管内では珍しい。

(クマ対策強化、電気柵や予測マップ:北海道)
檜山振興局は新年度から、ヒグマ対策を強化する。江差、せたな両町内でクマの出没経路とみられる箇所に電気柵を設置して効果を検証するほか、出没しやすい場所を予想して図示する「ヒグマ出没環境抽出マップ」を作成。また、市街地にヒグマが出没したことを想定した対応訓練も行う方針だ。

(クマ生息地“レッドリスト”除外の可能性:北海道)
2023年クマに9人が襲われ2人が死亡した北海道内。こうしたなか、環境省が絶滅の恐れがあるとしてレッドリストに載せていたクマの2つの生息地を外す動きがあることが分かりました。一体、どんな影響があるのでしょうか。北海道警によりますと、2023年のクマの目撃件数は2022年にくらべ約2倍に増加しました。クマによる被害が相次ぐ中、新たな動きが。「(Q:レッドリストとは?)捕獲数が制限され、数のコントロールで大きな役割を果たしている」(ヒグマの会 金川弘司さん)。絶滅の危機がある野生生物を掲載する環境省のレッドリスト。石狩西部と天塩・増毛が絶滅の恐れのある地域として載っていましたが外される可能性が出てきました。「(Q:レッドリストから外される可能性は?)仕方がないというか当然だと思う。人に及ぼす害の方が多いので」(金川さん)。掲載された約30年前、この2つの地域はクマの行き来がないとされ、クマの孤立地帯とされていました。しかし、いまは全道的にクマの個体数が増え行き来が活発に。札幌市東区で人を襲ったクマは増毛山地から移動したとみられています。なぜ個体数が回復したのでしょうか。北海道は60年ほど前、ヒグマ根絶を目的とした「春グマ駆除制度」を実施。個体数が激減し1990年に廃止されました。廃止から30年以上経過し今度は個体数が激増。2023年は9人がクマに襲われ、このうち2人が死亡しました。さらに相次ぐ人身事故を受け政府はクマを「指定管理鳥獣」に指定する方針です。駆除やハンター育成に国の交付金が受けられます。「(クマを)獲ることが本当の意味での自然と共生という考え方もできる」(札幌市ヒグマ防除隊 玉木康雄さん)。クマの保護から抑制へと流れは変わりつつあります。

(道が一般会計総額で3兆円余の新年度予算案を定例道議会に提出:北海道)
道議会が開会し、道は被害が相次ぐクマの駆除対策などを盛り込んだ一般会計の総額で3兆円あまりとなる新年度予算案を提出しました。ことし初めてとなる定例の道議会が21日に開会し、道は一般会計の総額で3兆215億円の新年度予算案を提出しました。鈴木知事は「ヒグマやエゾシカによる被害を防止するため、個体数の適正管理やハンターの育成・確保に向けた取り組みなど、地域の実情を踏まえて対策を進める」と述べました。予算案にはクマの駆除を強化しようと、新人ハンターを対象とした射撃研修や狩猟体験ツアーなどの開催費用に1600万円、ヒグマの生息数調査やAIを活用した個体の識別などの費用に6981万円を盛り込んでいます。

(クマ「学習放獣」の取り組み:長野)
昨今、社会問題化しているクマによる人身被害。クマが出没する地域の自治体が対策に取り組むなか、注目を集めているのが長野県による「学習放獣」だ。2月13日、長野県はクマが大量出没した際には「警報」を発令し、捕獲・駆除を優先する方針を示した。こうした警報を発令する方針を示したのには、同県では原則として、クマを捕獲した場合は殺処分せず、クマに人間の怖さなどを学ばせてから山に返す「学習放獣」を採用しているという背景がある。しかし、昨年から今年にかけて県内のクマ被害が増加。クマの目撃件数は1401件と前年より約2倍に増え、人身被害も11件発生。昨年10月には死亡事故も起きた。そこで、出没数が増加した際に警報を発令することで、学習放獣を一旦ストップし、クマの捕獲・駆除を優先することで、被害を食い止める狙いがあるという。あまり聞きなじみのない学習放獣という取り組みだが、具体的にはどのようにクマに対して恐怖を“学習”させているのだろうか。同県の鳥獣対策室に話を聞くと、軽井沢にあるNPO法人「ピッキオ」が行なっている取り組みを例に挙げ、その方法を教えてくれた。「一般的に長野県で学習放獣と言っているものですと、ベアドッグという犬を使って、罠にかかったその熊に吠えかかったり、あとは猟友会なり人間が大勢囲んで大声を出すといった方法ですね。熊に、人とかに里に近づくことに対する恐怖心と言いますか、警戒する記憶を植えつけて放獣をする、そうした取り組みのことを学習放獣と呼んでいます」。檻にかかったクマに犬が吠えかかったり、人間が取り囲んで大声を出したりすることで「恐怖」を与えているという。人間や犬の何倍も力があるというクマに対して“お仕置き”は果たして効果があるのだろうか。「檻にかかったこと自体がクマにとってはストレスになるので、そのことだけでも嫌な記憶という風に残る。それだけでも学習放獣の効果はあるんじゃないかと言われています」また、過去には催眠スプレーのようなものを使って刺激を与えていたという例もあったとが、「最近はあまりそこまではしていないという風に聞いてます」という。学習放獣の研究は同県の信州大学が行なっているといい、その成果については「体感とすれば成果はあるという風には聞いている」とはしつつも「明確な研究成果、具体的に数字とか何パーセントこう変わりましたっていうようなものはまだないようです」という。まだまだ未知数な部分も多いようだ。学習放獣はとりわけ長野県が推し進めているもので、その件数も全国最多。それには信州大学が始めた取り組みを県が引き継いできたという背景があるようで、クマの殺処分についてはこう考えているという。「長野県では、農作物を食べるとか害を与える個体は殺処分はするのは仕方ないとしても、例えば子供のような熊ですとか、たまたま迷い込んで罠にかかってしまったような個体については、ちょっと里に出てきたことをま、こらしめて、山に返してあげて奥山の方で生息してもらえばいいっていう、そういう区分けをしていますね」。この方針については、地元住民はどのように受け止めているのだろうか。担当者は「殺さないで対応するっていうことが良いことだっておっしゃる声もある」と語る一方で、実際には反対する声も多く寄せられているという。「やっぱり地域住民の方からすると『せっかく捕まえたのになんで放すの』っていうご意見は多いという風には聞いてます。『また出てきたらどうするの』っていうようなことへの不安の方が大きいようには聞きますね」。今回、県が警報の発令を検討するに至ったのには、そのような地元住民の不安の声も大きいのだろう。クマ被害が増加した理由には、やはり個体数が増えているという現状があるようだ。「生息頭数自体は県の推計値にはなるんですけれども、増えてはいるという風には考えてます。あとはよく言われるように、中山間の高齢化や遊休荒廃地が増えてきたことによって、人の生活圏とクマが暮らす山の境界線がだんだん曖昧になってきたとか、距離が近づいてきたっていうことは、言われている通りかなと思います」。

(クマ被害対策、共存進め捕殺に理解も)
捕獲や調査に国や自治体が計画的に取り組む「指定管理鳥獣」にクマが追加される。人身被害を減らすためにも、人とクマのすみ分けによる共存を図りつつ、対策を強化しなければならない。指定管理鳥獣は、ニホンジカとイノシシが既に対象になっている。これにクマを加える必要があるとの見解を環境省の専門家会議が今月、まとめた。絶滅した九州やその恐れがある四国を除き、4月にも実施する。都道府県が管理計画をつくり、捕獲や生息調査に国から交付金が出る。今年度、北海道のヒグマと本州のツキノワグマを合わせた出没件数、人身被害が過去最多となった。標高が低い地域や市街地への侵入など、問題は深刻化している。過疎化・高齢化で里山の利用が減り、耕作放棄地や放置された果樹が増加。クマに適した環境になった。北海道と本州ではクマの生息域が広がり人間と接触しやすくなっている。人や農作物への直接被害だけでなく、生活圏に出没される恐怖や、危険を避けるための日常生活の抑制など、精神的苦痛も増えかねない。環境省は、人の生活圏とクマの生息圏との間に緩衝地帯を設けてすみ分けるゾーニング管理の計画を策定するためのガイドラインづくり、生息状況調査や個体数推定の方法などを検討する。被害を踏まえれば、指定管理鳥獣への追加は当然だ。ただ、国が半減目標を立てているニホンジカやイノシシに比べ、生息数は格段に少なく、紀伊半島などでは管理に必要な情報が不足している。個体数の適切なモニタリング方法を確立する必要がある。自治体の計画づくりや捕獲する人材の育成のためにも、財政的な支援を急ぐべきだ。出没の恐れがある地域では、餌となる生ごみや農作物の管理や、収穫しない果樹の伐採、隠れる場を減らす下草刈りなど、人里に寄せ付けない対策の徹底も必要だ。人手や予算が減りゆく地域でも対策を取れるように国や自治体は丁寧に支援してほしい。捕殺するハンターや自治体への過剰な批判も問題化してきた。深刻な被害に直面する地元の事情を、まずは考えるべきだろう。行政などが必要性を示す情報発信を強めて理解を深めることは、従事者の確保のためにも欠かせない。この問題も人口減、過疎・高齢化、小規模農業の衰退に起因する。都市への一極集中・過密化は、生活環境や防災の面でも様々な問題がある。大局的に国土利用を構想する中で野生動物との共存も考えていかなければならない。

(小中の駐車場に体長1メートルのクマ:秋田)
20日午前9時25分ごろ、秋田県上小阿仁村小沢田の上小阿仁小中学校の駐車場内に、体長約1メートルのクマがいるのを、学校を訪れた60代女性が見つけた。けが人はいなかった。

(鳥獣被害対策で捕獲の野生動物を食肉に:宮城)
鳥獣被害対策で捕獲した野生動物を食肉とするジビエのブランド化を目指し、宮城県大崎市がイノシシ肉の試食会を開きました。イノシシ肉を使ったジビエの消費拡大を図ろうと大崎市が開いた試食会には、60人余りが参加しました。日本ジビエ振興協会の藤木徳彦代表らが1月に大崎市の施設で加工したイノシシ肉を使って、もも肉の串揚げやロース肉の包み揚げなど9品を作り参加者が試食しました。大崎市では、イノシシによる農作物などへの被害が年間400万円以上と深刻で2023年度は前の年度の倍以上となる716頭を捕獲していて、ジビエの食材として有効活用を目指しています。参加者「味わいがあってすごくおいしいお肉だなと思いました。生肉も扱っているので冷凍か冷蔵で肉の販売を考えております」加工したイノシシの肉を大崎産ジビエとして、3つの道の駅で販売することにしています。

(鳥獣対策担当職員が考案したレシピが「ジビエ料理コンテスト」で入賞:岐阜)
高山市職員が考案したレシピが、一般社団法人日本ジビエ振興協会主催の第8回ジビエ料理コンテスト「おうちで食べたいジビエ料理部門」で、第3位にあたる「日本ジビエ振興協会代表理事賞」を受賞しました。免許所持者として自ら有害鳥獣捕獲活動も行なう中での捕獲動物への思いから生まれた、飛騨の食材を使った家庭でも調理できるレシピが高く評価されました。令和6年1月31日(水)、第8回ジビエ料理コンテストの授賞式が東京で行なわれ、高山市役所久々野支所で鳥獣被害対策の担当をしている市職員の田中恵美(たなかめぐみ)さんが提案したレシピ「ジビエと飛騨産トマトのチーズ焼き~キャンプdeジビエ飯~」が、「おうちで食べたいジビエ料理部門」で3位にあたる日本ジビエ振興協会代表理事賞を受賞しました。田中さんは「レシピに込めた思いが評価されてうれしく思います。今後も捕獲動物の命に感謝して、最後まで大切にいただけるようなレシピを考案したいです。」と喜びを語りました。農村地域で深刻な被害をもたらす有害鳥獣の捕獲数が増加傾向にある中で、これを地域資源としてとらえ、野生鳥獣肉(ジビエ)として有効に活用する前向きな取組が広がっています。このような中、農林水産省では、平成28年度からジビエの普及啓発や調査実証に取り組む「鳥獣利活用推進支援事業」において、ジビエの全国的な需要拡大を推進しています。本コンテストは、同事業の一環として事業実施主体である「一般社団法人日本ジビエ振興協会」が実施し、選定・表彰された料理レシピを広く紹介・提供することで、消費者等への普及啓発とジビエの需要拡大や鳥獣利活用の推進を図ることを目的としています。第8回となる今回は、「お店で食べたいジビエ料理部門」「おうちで食べたいジビエ料理部門」の2部門で合計162点の応募があり、田中さんはシカ肉と飛騨の特産品であるトマトやリンゴを使ったレシピを考案し、全国からの2部門(事業者・個人)計162点の応募の中から、見事入賞を果たしました。田中さんは市職員として鳥獣被害防止業務を担当する傍ら、免許所持者として有害鳥獣捕獲活動を行っています。今回、同コンテストに応募した動機は、捕獲されても活用されずに埋められていく捕獲動物にやりきれない思いを抱えており、少しでも活用される動物を増やしたいという思いと、飛騨産の美味しい農産品をもっと知ってもらいたいという思いから応募しました。「おうち」=「家族」の単位で考え、親と子が一緒に調理し食事をすることで、使われているジビエの命をいただくこと、農家の方の努力の結晶である農産品に思いをはせ「家庭で食育教育のできるメニュー」をキッチンだけでなくキャンプ場でも作れるよう、なるべく調理器具が少なくなるような調理工程とすることで「キャンプ」という家族イベントでもジビエを利用できる料理としました。下処理に塩こうじとすりおろしリンゴを使うことで、肉を柔らかくすることができ、小さなお子様でも食べやすくしました。トマトに含まれるリコピンは抗酸化作用があるとされ、油と共に摂取すると吸収が良くなると言われており、加熱調理することでさらに効率よく摂取することができます。飾りつけの生トマトのビタミンCによってチーズに含まれるカルシウムや、鹿肉に含まれる鉄分の吸収を助けてくれると言われています。また鹿肉に含まれるビタミンB2、B6などは体内の代謝活動を高める作用があるとされますが、夏は汗と共に失われるため鹿肉を食べることで夏バテ防止に役立つと考えます。

(駆除したシカやクマの肉を活用:岩手)
農作物を荒らさないよう駆除したシカやクマの肉を地域の産業として生かそうと、岩泉町でジビエ料理の講習会が開かれました。岩泉町の大川地区では、農作物を荒らすシカやクマ、それにイノシシの駆除に取り組む一方、野生動物の肉を使ったジビエ料理の普及に取り組んでいます。講習会は地域の公民館で行われ、住民など15人が参加しました。岩泉町の元地域おこし協力隊で、現在も町に残って猟師として活動している高田孝治さんが講師を務め、▽シカの肉は塩とこしょうをかけてローストしました。▽またクマの肉はミンチにし、炒めてからトマトソースと煮込んでミートソースに、▽イノシシの肉はキャベツやジャガイモなどと煮込んで「ポテ」というフランスの家庭料理にしました。野生動物の肉は、▽血液が酸化して肉が黒くなるので、そうした肉はそぎ落として臭みを減らし、▽スジも食感が悪くなるので丁寧に切り落とすことがポイントだということです。参加した人たちは「イノシシの肉を初めて食べましたが、臭みもなくおいしいです」と話していました。駆除した動物は今は猟師が知り合いに分けていますが、地区では今後、販売など産業化も考えたいとしています。地元の地域振興協議会の佐々木久任会長は「駆除した動物を捨てるのではなく、付加価値をつけて地区の産業として活用していきたいです」と話していました。

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(イノシシ現れ2人けが:茨城栃木)
18日午前、茨城県古河市と隣り合っている栃木県野木町に相次いでイノシシが現れ2人が軽いけがをしました。警察は、地元の猟友会と協力して付近のパトロールを強化し見つけた場合は、近づかないよう呼びかけています。18日午前9時すぎ、茨城県古河市の中心部で「イノシシが現れた」という通報が複数、警察にありました。警察によりますと、駆けつけた警察官が通報から30分ほどあとにJR古河駅の近くでイノシシを見つけましたが、自転車に乗っていた70代の女性に正面からぶつかり逃げていったということです。その際女性は転倒し右足に打撲などの軽いけがをしました。その後、午前9時50分ごろ、古河市の北隣にあたる栃木県野木町の町道で通行人から「イノシシの近くで倒れている人がいる」と警察に通報がありました。警察によりますと、散歩していた70代の男性が後ろからきたイノシシに手や足をかまれたということです。けがの程度は軽いということです。イノシシは、体長が1.5メートルほどで、その後、近くの畑の方へと逃げたということで警察は、地元の猟友会と協力して付近のパトロールを強化しています。イノシシが現れた茨城県古河市と栃木県野木町の現場の間は、直線距離で2キロほどです。警察は、イノシシを見つけた場合は近づかないよう呼びかけています。

(イノシシに襲われ男性けが:鹿児島)
鹿児島市の山沿い近くにある住宅街の路上で、20代男性がイノシシに足などをかまれ、軽傷を負っていたことが20日、市への取材で分かった。男性は救急搬送された。現場付近では昨年11月にも小学生がイノシシに襲われ、負傷していた。市によると、男性は17日午後5時15分ごろ、鹿児島市明和1丁目の路上で襲われた。現場はJR鹿児島中央駅から北西に約3キロにあり、付近では昨年11月以降、イノシシの目撃情報が相次いでいた。

(ヒグマ生息数、抑制加速:北海道)
絶滅の危機に直面している野生生物を掲載する環境省のレッドリストから、2025年度にも削除される見通しとなったヒグマは、かつて道が奨励した「春グマ駆除」によって生息数が著しく減少した。最初のリスト掲載から30年余り。増殖したクマによる人身事故や農作物被害が後を絶たない中、生息数を抑制する流れは一層強まりそうだ。「現状を踏まえると、ヒグマはほぼ確実にレッドリストから外れることになる」。環境省の担当者は同省版リストに「絶滅の恐れがある地域個体群(LP)」として掲載されている石狩西部と、天塩・増毛に生息するクマについてそう説明する。環境省内で両地域のクマのリスト除外が確実視されるのは、生息地が単一の都道府県内に収まる動植物はLPに含めないとする新たな掲載基準ができたことに加え、両地域で個体数の回復が顕著なことも影響しているとみられる。道が66~90年にかけて奨励した春グマ駆除制度で、両地域のクマは絶滅の危機にひんした。降雪量が多く、クマの足跡をたどりやすい両地域は冬眠明けの個体などを狙いやすく、春グマ駆除の適地だったためだ。環境省は91年から石狩西部、07年から天塩・増毛をLPに掲載している。ただ道立総合研究機構(道総研)は両地域の生息数について、1990年にそれぞれ200頭前後だったものの、2020年には石狩西部で最大1378頭、天塩・増毛で同1519頭まで回復したと推計する。環境省版リストの見直し作業を担う「絶滅のおそれのある野生生物の選定・評価検討会」のメンバー、東京女子大の石井信夫名誉教授(哺乳類生態学)は「個体数が増えていれば、LP掲載基準の変更にかかわらず、(リストから)外れる可能性が高い」と指摘。両地域のクマが隣接地域と行き来していない「孤立個体群」でなければ、そもそもLPとしての評価対象にはなり得ないとも説明する。道総研は「天塩・増毛の個体群の分布は現在、道東や宗谷とつながっている」と分析する。石狩西部の個体群の中に、千歳市の支笏湖畔と日高方面を行き来した個体が含まれていたのが確認されたこともある。21年に札幌市東区の住宅街に出没したクマも留萌管内増毛町などにまたがる増毛山地から移ってきたとみられており、選定・評価検討会が今後、石狩西部と天塩・増毛に生息するクマを孤立個体群ではないと結論付ける可能性は否定できない。両地域を含む全道各地でクマの生息数が増加の一途をたどる中、クマによる人身事故や農業被害は後を絶たない。東北や北陸も同様で、23年度の全国の死傷者数は今年1月末現在で過去最多の218人に上る。政府はこうした状況を踏まえ、4月中にもヒグマとツキノワグマのクマ類を「指定管理鳥獣」に指定する方針だ。指定されると、駆除や狩猟者育成に取り組む都道府県は国から交付金を受けられるようになる。指定管理鳥獣の指定に加え、レッドリストからの削除も決まれば、生息数の抑制が進むのは確実。被害の抑止効果が期待されるが、自然保護団体は「大量捕殺が助長される」と訴える。専門家もヒグマの繁殖力が弱いことを踏まえ、過剰な捕獲を懸念している。酪農学園大の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は科学的根拠に基づき、ヒグマの頭数管理を進めるため「広大な北海道で個体群をしっかりモニタリングしていく必要がある」と訴えている。

(ハーフライフル所持条件の厳格化、狩猟学者が指摘する複数の問題点:北海道)
エゾシカやヒグマの保護管理に有効な猟銃「ハーフライフル」の所持条件を厳格化する銃刀法改正案が、開会中の通常国会に提出される予定だ。北海道内の行政や関係団体の強い反発を受け、特例措置が検討されている。だが、まだ課題は多いようだ。この問題点について、一般社団法人エゾシカ協会(江別市)の副会長で、ハンターでもある伊吾田宏正・酪農学園大学准教授(狩猟管理学)に語ってもらった。全国でシカ、クマ、イノシシによる農林業被害や交通事故、人身事故などが多発し、生態系への悪影響が懸念されている。被害の軽減には大型獣の安全かつ効率的な捕獲が必要だが、その際、性能の良い猟銃の使用が重要となる。察庁は昨年、長野県で起きたハーフライフル銃による殺害事件を受け、当初、ハーフライフル銃をライフル銃並みに規制強化する銃刀法改正案を今国会に提出する構えをみせた。ハーフライフル銃は散弾銃の一種だが、小粒の弾が詰まった散弾ではなく、「サボットスラッグ弾」という単弾を使う。銃身の内側に半分まで刻まれたらせん状の溝を通ることで弾丸は回転して発射される。これによって弾丸は直進性を増し、弾道が安定して命中精度が高まる。ハーフライフル銃は銃身全体にらせん溝があるサボット銃が起源で、日本の法律に合わせてわざわざ半分に溝が削られる。一方、らせん溝のない「平筒」と呼ばれる散弾銃で大型獣を捕獲する場合、6粒または9粒の弾が入った散弾や、単弾の「スラッグ弾」を使う。大型獣の捕獲にはスラッグ弾を用いるのが一般的だが、火薬の爆発力だけで発射されるため、弾の回転が不安定で命中精度も劣る。平筒銃と比べ、命中精度はハーフライフル銃が約2倍、ライフル銃では5倍以上高い。有効射程は平筒銃の50メートルに対し、ハーフライフル銃は150メートル、ライフル銃は300メートル以上とされる。北海道のように遠くの大型獣を狙う機会が多い地域ではライフル銃が有効だが、散弾銃の所持を10年以上継続しないと所持できない。このため、初年度から所持できるハーフライフル銃は有用で、全国で許可されている約3500丁の半数が北海道にある。警察庁は当初、このハーフライフル銃にも「10年縛り」を適用しようとしていた。北海道の銃猟は車でシカを探し、見つけたら撃つ「流し猟」が主流だが、本州以南では雑木林など狭隘(きょうあい)な地形で勢子(せこ)が追い出したシカやイノシシを射手が近距離で撃ちとる「巻き狩り」や、わなによる捕獲が多い。この猟法の違いがハーフライフル銃の普及率に影響しているのかもしれない。しかし、近距離でもより命中精度の高い銃の使用が捕獲の安全性と効率性を高めることは自明である。急所を的確に狙えれば対象個体を無駄に苦しめず、アニマルウェルフェアにも合致するうえ、衛生的な処理ができ、食肉利用率の向上にもつながる。英国では同様の観点から、シカの捕獲には通常ライフル銃が用いられ、散弾銃の使用は原則禁止されている。安全かつ優れた捕獲技術の習得にはハーフライフル銃を初年度から所持することが必須。でなければ次世代の育成に支障をきたす。こうした懸念から北海道のエゾシカ協会やヒグマの会、猟友会など各団体が規制へ反対の声をあげた。警察庁は大型獣の被害防止が必要な地域に限り、初年度からハーフライフル銃を使える特例措置を設ける姿勢も見せているが、通達では困る。国会を通すことなく行政判断で改廃できるからだ。銃犯罪は撲滅すべきだが、規制が将来にわたる大型獣対策や管理の足かせになってはならない。

(暖かさ以外で、クマが一時的に起きてしまった可能性を専門家が指摘:島根)
19日の山陰地方は、季節外れの暖かさが続いています。この暖かさの影響か、17日、クマの目撃情報もありました。ただ、専門家は、クマが目撃された要因は、「イヌ」も関係しているのではと指摘します。どういうことなのでしょうか。17日午前10時15分頃、島根県松江市東出雲町上意東にある下組集会所の近くで、小グマの目撃情報がありました。近くを歩いていた住民がクマを目撃し、警察と市役所に通報。その後、警察が駆け付け、目撃箇所付近のパトロールをおこないましたが、クマの姿は確認できなかったということです。発見された足跡から、体長1メートル未満の可能性が高いとされています。2月は本来、クマの冬眠の時期。鳥獣に詳しい専門家は、「暖冬」による影響も示唆しつつ、こんな可能性を指摘します。島根県中山間地域研究センター鳥獣対策科 坂倉健太 主任研究員「冬の時期、12月・1月は雪も降っていますし寒い時期もありますし、クマの生態として冬眠することは基本的にありますので、しっかり冬眠はしています。イノシシやシカの狩猟に関して、イヌを使ったりしますが、そういう外的な要因でたまたま一時的に起きてしまったという可能性が一番高いかなと思います」。島根県のイノシシとシカの狩猟時期は、2月いっぱいです。冬眠していたクマが、狩猟で吠えるイヌに反応して一時的に目覚め、徘徊しているところを目撃された可能性もあるということです。島根県中山間地域研究センター鳥獣対策科 坂倉健太 主任研究員「クマをまず刺激しないことが一番ですので、距離が離れている場合は目を離さずに、背中を向けずに後ずさりしていただいて、車や建物の中に入っていただく」松江市は、住民に注意を呼びかけていて、クマを目撃した場合は、警察や市まで連絡してほしいとしています。

(警察庁の説明を受けて:エゾシカ協会・ヒグマの会)
銃刀法改正法案におけるハーフライフル銃をライフル銃とみなす件について、これまでエゾシカ協会、ヒグマの会ともに法案に反対する声明と要望を提出してきました。北海道猟友会などの団体も同様の声明を発表してきました。これに対し警察庁は、関係団体の意見や質問を聴取しながら、北海道のようにニホンジカやクマ類の管理についてハーフライフル銃の果たす役割が大きい都道府県にとって不利益がないように、法改正後に現行のライフル銃の所持許可基準の取り扱いの解釈を基に修正した警察庁通達による運用案、特に狩猟・有害鳥獣駆除の用途の解釈について、具体的な事例を挙げて説明を行ってきました。1月26日(ヒグマの会@警察庁)、1月31日(エゾシカ協会@web)、2月2日(エゾシカ協会・ヒグマの会@酪農学園大学)、2月6日(エゾシカ協会@web、他に北海道、北海道猟友会、北海道銃砲火薬商組合、北海道町村会、北海道農業協同組合中央会、占冠村猟区、西興部猟区など)、2月9日(エゾシカ協会、ヒグマの会@web、他に北海道、知床財団)と繰り返し説明が行われました。その中で警察庁の示す資料にも修正が繰り返され、2月9日の衆議院予算委員会で配付された資料が公開扱いとなりました。警察庁が繰り返し説明しているハーフライフル銃の運用に関する警察庁通達は法改正後に行われ、国会等での審議事項ではありません。エゾシカ協会ならびにヒグマの会は、あくまでハーフライフル銃に新規に規制を加える法改正について反対の立場にあります。やむを得ず法改正となった際にも、北海道のエゾシカ・ヒグマの適正管理に影響を及ぼさない運用を確実に実行してもらうため、通達による運用に伴い予想される具体的懸念事項を整理して掲載します。現行のライフル銃の所持許可の基準(警察庁資料1枚目参照)では、狩猟・有害鳥獣駆除の用途として3要件を上げており、10年未満でライフル銃を所持するには、2点目「事業被害防止のため獣類の捕獲を必要とする者」に該当するか否かが判断の根拠となる。これが何を示すのかという解釈に懸念があった。これまでの実績では、(ア)鳥獣害特措法による被害防止計画に基づく対象鳥獣の捕獲従事者(警察庁通達、令和2年12月22日、警察庁丁保発第209号1(1)ア)、及び(イ)指定管理鳥獣捕獲等事業の委託を受けた認定鳥獣捕獲等事業者の捕獲従事者(同イに該当)であった。この場合、(ウ)ヒグマの市街地出没や公共事業・公益的事業・森林内作業等の従事者の護衛など被害防止計画によらない市町村の鳥獣被害対策実施隊員、(エ)狩猟によりエゾシカ・ヒグマの捕獲を行おうとするもの、が該当しない。さらに、前述の(ア)及び(イ)でライフル銃を所持した場合、ウ)やエ)の用途には使用できないため、別な銃を所持しなければならないとされた事例があった。さらに、(ア)と(イ)でも同様に別々に銃を所持するよう指示された事例も実際に存在している。法改正に伴い、ハーフライフル銃をライフル銃として扱う場合、所持許可についてライフル銃とは異なる運用を行う。前述の(ア)及び(イ)に加えて(ウ)の場合においても、銃所持希望者が業務に従事する市町村に依頼し、市町村が従事することを確認できれば推薦書を発行し、銃所持希望者(ハンター)がこれをもって警察に申請することで所持が許可される。さらに、市町村がこの情報を都道府県に情報共有することで、都道府県は確認書を発行することができる。この確認書をあわせて警察に申請することで、(ア)(イ)(ウ)で許可された範囲を越えて、同一の銃を用いて当該都道府県の区域での特定の獣類(北海道の場合、エゾシカ及びヒグマ)の捕獲(狩猟および許可捕獲)を行うことができる。これによりライフル特例では当該市町村・当該事業区域内に限定されていた使用が、当該都道府県全域で、狩猟と許可捕獲の区別なく使用できるようになる。ただしこの特例だけでは、市町村の許可捕獲や指定管理鳥獣捕獲等事業の従事者だけが該当し、一般狩猟者が対象外となる。そこで以下の運用案が追加されている。一般狩猟を行う銃所持希望者(ハンター)は居住する都道府県警察に銃所持許可申請を行う。これに先立ち、都道府県が狩猟は当該都道府県における「事業被害防止に資する」、というハーフライフル銃の必要性に関する通知を環境省・農林水産省に対し行う。環境省・農林水産省はこれを警察庁に通知し、警察庁は全国の都道府県警察にこの通知を周知する。この通知が、(*)に該当する根拠となり、銃所持許可者が申請にあわせて、通知を発している都道府県で、狩猟、許可捕獲、指定管理鳥獣捕獲等事業により特定の獣類(北海道の場合はエゾシカやヒグマ)を捕獲する意思を伝えることで、審査の後、所持を許可する、というものである。これにより、初めて銃所持を希望する者でも、ハーフライフル銃を所持し、狩猟と許可捕獲の区別なく、同一の銃を使用することができる。ただし、当該都道府県における特定の獣類の捕獲活動実績(捕獲実績ではない)が確認される。捕獲活動実績が確認できない場合には、通達の規定により所持許可が取り消される可能性がある。現行のライフル特例においては、通達がありながらも申請を行いにくい、市町村の推薦書が得にくい、申請しても許可までに時間がかかるなど、十分に機能していなかった現状があった。現場レベルで確実な運用を可能とするため、どのような取り組みを考えているか?実際のところ、ライフル特例での所持数は全国で100丁に満たない。この通達の存在について、環境省や農林水産省は全国の都道府県及び市町村に対し、また警察庁から都道府県警察に対し十分な周知を行うつもりである。現在ライフル特例により10年未満でライフル銃を所持している人は特定市町村や特定事業以外で活用することができていない。この特例をライフル銃に関しても拡大摘要できるよう検討してほしい。今回の通達はあくまで激変緩和措置である。以下の2)ですべての場合を満たすとも考えられるが、1)を残すことでライフル銃への拡大の検討余地を残すことにもなる。通知を出さない都府県居住者が、北海道での狩猟を希望してハーフライフル銃を所持した場合、居住地での許可捕獲及び狩猟には当該ハーフライフルは使用できないのか? そうであれば、居住地用の銃がもう1丁必要となり無駄な銃が増える。どうすべきかについては検討するとの回答。→多くの都道府県が対象となることにより解消できるので、都道府県からの通知手続きを簡略化する。(例えば、第二種特定鳥獣管理計画を作成している都道府県は、そもそも被害防止を必要としている地域であることから、自動的に対象とする等)。捕獲実績の有無は何年間で、またどのような方法で判断するのか? 毎年県外に狩猟に行くことは時間的また金銭的にも余裕がないとできないため、複数年で判断してほしい。警察庁からは、捕獲活動実績は銃所持許可者が毎年受検する銃検査により確認する予定だが、具体的な確認事項は検討中である。通常の眠り銃になっていないかどうかに加えて、当該都道府県での毎年の捕獲活動の根拠を示す必要がある(捕獲実績や発砲実績がなくても、当該都道府県にて捕獲活動を行った事を示せればよい)。警察庁からは、眠り銃同様、やむを得ない事情(病気療養等)があれば考慮されるとの回答。→道内猟区の入猟実績から、毎年連続して入猟する狩猟者の割合は、A猟区では約2割、B猟区では約7割であった。北海道の場合、猟期にあたる冬期は天候不順により予定通りの行動が困難となることも多く、毎年来道して狩猟を行うことはハードルが高い。そこで、狩猟者登録を実績として扱うことを提案する。狩猟者登録は年ごと、都道府県ごとに狩猟税(16,500円)を支払ってするものなので実績確認が可能である。なおこれまでの事例から、病気等やむを得ない事情について考慮される可能性は低いと考えている。北海道のようにハーフライフル銃の狩猟・許可捕獲・指定管理鳥獣捕獲等事業による捕獲がエゾシカおよびヒグマの管理に重要な役割を果たしている都道府県では、今回の法改正がその管理計画に影響を及ぼさないよう、通達による運用を確実に行っていただきたい。たとえ法改正するにしても、北海道における銃猟の狩猟登録者数や許可捕獲従事者数が減少せず、銃によるエゾシカやヒグマの捕獲数も減少しないような運用を期待する。

(冬に飛来のカワウが増加、県外からか?:広島)
海や川に放流された稚魚を食べるなど、漁業被害をもたらしているカワウの状況が広島県の対策会議で報告され、冬に飛来するカワウが年々、増えている実態が明らかになりました。広島市で開かれたカワウ対策会議には約70人が出席しました。会議では去年12月に行われた生息状況調査の結果が報告され、県内で7185羽のカワウを確認。9年前の2014年と比べると倍以上に増加しています。 理由としては、冬を越すために県外から飛来しているとみられるということです。また、冬に飛来するカワウが最も多いのは廿日市市などの県南部で、特に宮島の北側が目立っているということです。 フンで木や草が枯れている場所もあり、近づかないよう音がするテープや花火を使って対策をしていますが、一時的に移動しても再び戻ってくるなど、難しい状況だとしています。宮島漁業協同組合 丸本孝雄 組合長「今の現状はもう悲惨なもので、どんどん稚魚のうちからカワウに取られていくので漁業者にすれば本当に死活問題」。広島県 水産課 木村淳 課長「他県から入ってくるのが多いということで、隣の県、中国四国あたりの広域的な対策を国にも相談しながら取り組んでいく必要がある」。県は、来年度以降も継続して対策をする方針です。

(クマと共存できる社会とは)
2023年はクマが多く出没した年でした。クマに襲われた人が、統計開始後最多となる217人。うち死者も最多の6人となりました。「駆除を」という声の一方で、共存をめざす取り組みもあります。立命館大政策科学部の桜井良准教授は、クマではなく、人間社会に働きかける方法で、クマと人間とのあつれきを改善する方法を提案しています。日本にすむクマは、本州以南のツキノワグマと北海道のヒグマです。ツキノワグマは、全国で1万~2万頭が生息しているようです。アジア諸国では乱獲などで減少し、絶滅の危険性が高い危急種として国際自然保護連合のレッドリストに掲載されています。ヒグマは北海道内に数千~1万頭生息。北米やロシアにも分布し、絶滅危惧種ではありません。昨年は森のドングリなどの堅果類が不作で、柿や栗の木がクマを人里に引き寄せました。大量出没を受けて「野生生物と社会」学会は昨年11月に緊急声明を発表しました。「短期的には、市街地周辺での捕獲と、不要果樹の伐採などが必要。中長期的には人とのあつれきの減少を図りながら個体群を維持する」と考え方を示しています。桜井准教授は、こうした考えに基づきながら「あつれきは、住民参加型の施策を組み合わせることで改善できる」とします。実例として挙げたのは、兵庫県北部の山間地。クマの被害対策が進んでいない集落もあり、県がクマのことを学び理解する地域学習会を13回開き、計500人以上が参加しました。学習会後に調査したところ、クマの目撃通報をする人が大きく増え、木の伐採やトタン巻きなど、手のかかるクマ対策に取り組む人も増えました。「コミュニケーションの場を持ち、集落全体で協力しあって対策を練ることが大事」と述べます。北海道・知床も社会的対策が功を奏した例として挙げています。ヒグマ500頭ほどが生息し「クマ密度」の高さは世界的。それでも人身被害はこれまで発生していません。その理由は「徹底した管理と環境教育にある」とみます。小中学生の各学年ごとに行われる「ヒグマ授業」によって、野生動物への理解と思いやりが養われることが示されているといいます。「メディアの報道は『心配』『こわい』という結論になりがち。それによって(読者、視聴者は)実際よりリスクを高く見積もってしまう。時間も労力もかかるが、きめこまかいコミュニケーションによって、人々の野生動物受容度を高めていくことが必要です」と話しています。

(熊被害、広域管理で抑制:兵庫)
全国で熊の人身被害が多発する中、兵庫県森林動物研究センターは17日、熊の出没傾向や対策を探るシンポジウムをオンラインで開いた。熊の生息域拡大に伴い、4府県をまたいだ広域管理の実践例などを報告。被害を抑制するには、自治体間の連携で個体数の管理を強化していくことが重要だとした。環境省によると本年度の1月末までの人身被害者数は死亡6人を含む218人で、過去最多となっている。センターの梶光一所長は「熊は潜在的に高い繁殖ポテンシャル(可能性)がある」と説明。被害の抑制と適切な個体数管理に向けて「絶滅しない水準」と「地域社会が受け入れられる水準」を擦り合わせていく必要があると指摘した。京都、兵庫、岡山、鳥取の4府県による広域管理協議会の活動内容を報告。二つの大きな地域個体群が4府県にまたがって生息する中、府県で独自に実施していた個体数推定を統一。広域での管理方針も定めた。同センターの担当者は、広域の協議会設立後、捕獲などの強化によって各群の個体数増加は抑えられているとし「出没時の対応なども広域で展開する必要がある」との考えを示した。熊が人の生活圏に出没する頻度は、熊の食料となるブナやコナラなど堅果類の豊凶も影響を与える。近年、兵庫県内の一部の地域で熊が食べた物を調べたところ、堅果類はわずかで、アオハダなどの液果類が多かったことを担当者が報告。「堅果類だけでは予測しにくい場合もある」と今後の予測の課題に挙げた。年明け以降の熊の出没情報は例年、3月にかけて増えていく傾向にある。昨季は各地で人身被害が相次いだだけに、今季も屋外での農作業時などは警戒が求められる。都府県からの聞き取りに基づく環境省の公表データによると、2022年度の出没情報は1月が42件、2月が50件。3月になると98件に増えた。都府県別だと3月は岩手16件、長野8件、兵庫7件、島根9件など、東北から中国地方まで本州各地で報告されている。

(消えた無人島のクジャク、原因は海を渡ったイノシシ?:広島)
約40年前に広島県福山市が市内の無人島、宇治島に放したクジャクが激減している。近年の生態調査では1羽の確認にとどまり、直近ではゼロだった。島の環境美化に取り組む団体は「上陸したイノシシが卵を食べているため繁殖できていないのでは」とみている。島を管理する市公園緑地課によると、調査は市から委託を受けた福山観光コンベンション協会が月1回程度実施。浜辺に餌を置いて約1時間、クジャクやシカが現れるかを確認する。2023年度は5月と12月に1羽を確認し、直近の今年1月はゼロだった。毎年7月の海の日に島の海岸で清掃イベントを企画する「瀬戸内海宇治島クラブ」の大土井誉人さん(50)は「10年近く通っているが、ここ1、2年でクジャクの姿を見かけなくなった」と話す。「自然の中で淘汰(とうた)された結果で仕方ないのかもしれないがさみしい」と話す。島内ではイノシシの姿やふんも確認されている。会員たちは「泳いで島に来たイノシシがクジャクの卵を食べて数が減ったのでは」とみる。市や過去の中国新聞の記事によると、クジャクは福山城の公園で飼育していた。1976年には約450羽に増え、野犬に狙われたり「鳴き声が授業の妨げになる」などと近くの学校から抗議が寄せられたりしたため、同市熊野町の福山ファミリーパークに移した。市は85年、自然に返すため50羽を公園にいたシカ5頭と一緒に島に放ったという。クジャクの減少について同課は「原因は不明」としており、月1回の餌やりと生息調査を続ける。過去には上陸した男性がシカに蹴られてけがをしたこともあり、「上陸は推奨していない。けがや感染症の防止のため動物には近づかないでほしい」と呼びかけている。

(「熊を駆除するだけじゃ意味がない」スゴ腕ハンターが解説:山梨)
熊による人的被害が過去最悪を記録している2023年度、今年も十分に警戒する必要がありそうだ。熊の行動に影響大なのが、生息域を広げるあの愛らしき動物の存在。猛獣との遭遇が常態化しつつある日本の現状を、ジビエにも通じるプロの現役猟師が解説する。ツキノワグマやヒグマによってケガを負うなどした人は2023年度、12月までの時点ですでに過去最多の217人に達した。22年度の実に約3倍だ。冬眠時期の12月半ばになってからも、石川県白山市の市街地で男女3人が襲われ重軽傷を負っている。さらには“冬眠しない熊”の存在も取り沙汰されるなど、熊は日々ますますわれわれを悩ませる。なぜ熊はこうも人里に近づき、人に危害を加えるようになったのか。これまでさまざまに理屈が語られてきたが、山をよく知る望月秀樹さん(56)なら誰よりも実際のところを語ってくれると考えた。山梨県南西部、南アルプスの山々に囲まれた――面積約370平方キロの96%を森林が占めるという――自然豊かな町、南巨摩郡早川町。望月さんはこの町の猟師の家に4代目として生まれた。幼い頃から父親と一緒に山に入って狩猟を目と体で覚え、21歳で狩猟免許を取得し、猟師歴は35年に及ぶ。かつて駆除と狩猟とで年間400頭を捕獲したことがあり、その腕を見込んだ環境省からの依頼を受け、他県でも害獣駆除に取り組んできた。秋になると北海道に遠征しての熊猟も行っている。つまりは山を知り、鹿や猪、熊など捕獲対象となる動物のクセや動きにも通じた“スゴ腕”ハンターだ。現在は早川町のジビエ処理施設も運営。捕獲した鹿などを自分の手で解体し、肉を瞬間冷凍した上でジビエレストランや個人に販売してもいる。そんな望月さんに昨今の異常な規模の熊被害について尋ねると「地域によって事情がいろいろと違うから、一概にはいえない」としつつ、「北海道でいうと1990年から春熊の駆除を禁止したことが大きいと思う」と話してくれた。「春先、熊の動きが良くない時期に撃っていたんだけど、やめてからの30年ほどのうちに頭数が大きく増えたんだ」。北海道ではヒグマによる被害を減らすために66年以降、冬眠から目覚めたばかりの熊を春先に駆除する策が取られていた。ところが熊の頭数が減りすぎて、89年を最後に取りやめた。その成果か、道内のヒグマの個体数は90年度の推定5200頭から2020年度には推定1万1700頭と倍増。しかし熊が増えるのに合わせて農作物への被害も増え、北海道庁のデータによれば01年からは毎年のように1億円以上の、18年からは毎年2億円以上の被害が出ている。ここで考えなければならないのは、個体数が増えれば山の限られた食料は取り合いになること。食事にありつけない熊が食べ物を探し、人里へと出てくるのは自明の理だ。「あと、林業が衰退したのが理由という地域もあるんじゃないかな」。どういうことか。「働いている人たちは山に入りっぱなしだったから、肉を食うためにワナを仕掛けて熊を捕って、みんなで食べていた地域もあったんだよ。それが、外材が安く入って林業が成り立たなくなって、結果的に熊を捕る人たちがいなくなったんだね」。林野庁のデータによれば、林業従事者数は1980年には14万6000人いたが、2020年には4万4000人にまで減った。高齢化も進んでいる。さらにこう続けた。「昨年の東北については、熊がよく食べるブナの実が大凶作だったというのが、熊が里に来る大きな原因になっているみたい。岩手にいる(猟師の)仲間に聞いたら、『家の近くの柿の木に4匹も5匹も熊が群がっているから、山の中に入らなくても簡単に捕れるよ』と言っていたよ」。2023年の大凶作は、データが公開されている1989年以降で最悪の記録だ。林野庁の東北森林管理局が発表している「ブナ開花・結実調査」によれば、2023年の東北5県はすべて「大凶作」。中でも岩手県と宮城県は豊凶指数が0.0。計30の調査地点のうち一つを除いてすべて「非結実=まったく種子がならない」状態だった。残りの青森、秋田、山形3県は豊凶指数0.1だ。豊凶指数1にあたる「一部=ごくわずかな種子がつく」状態の地点がいくつかあっただけで、昨秋は東北5県から熊の主食の一つがほぼ消え去ったことがわかる。とはいえ、大凶作の年は過去に何度もあった。2016年も昨年に近い豊凶指数を記録しており、岩手、宮城が0.0。秋田、山形が0.1、青森は0.5だった。ではその年、2016年の人的被害はどうだったのだろうか?ここで興味深いことが明らかになる。環境省が発表する「クマ類による人身被害について[速報値]」というデータによれば、2016年度の被害人数は青森0、岩手19、宮城6、秋田19、山形2、全国で計105人。死亡者は全国で秋田の4人のみだった。これが2023年度は12月末時点で青森11、岩手49、宮城3、秋田70、山形5、全国で計217人の被害。死亡者数は岩手が2で東北の残り4県は0。全国で計6人となっている。16年と23年を比べると、ともに東北でブナの実は大凶作、豊凶指数も近い数字だったのに、後者では人の被害が3倍、全国でもほぼ倍に増えているのである。16年と23年で何が違うのか?いったい何が熊を山から人の住む場所へと向かわせているのか?望月さんは「鹿がどんどん生息域を広げている。それが問題だよ」と自身の体験を交えて語った。「たとえば、俺が小さい頃は、早川町には鹿はいなかったよ。当時、この辺の猪は脂がこんなにあった」。そう言って親指と人差し指を広げた。その間隔は6、7センチくらいだ。「本当にうまくてさ。で、小学校6年生の時、1979年だね、親父が初めて鹿を捕ってきた。俺が猟を始めた1988年ごろはまだ鹿を見ることはほとんどなかったけど、1990年代後半には普通にこの辺でも鹿が捕れるようになった。そこから鹿が急激に増えたよ。そしたらさ、猪の脂が昔の半分以下になったんだ。鹿は食欲旺盛だから、そこら中の草や芽や木の実を、猪のぶんまで食い尽くしてしまう」。望月さんは「ちょっとこれ見て」と言い、3枚の写真を私に示した。「これ、俺が解体した時に撮った熊、鹿、猪の胃袋の写真ね。比較のために置いたナイフは刃渡り16センチほど。熊は体重120キロある大きい個体だったな。鹿は70キロで大きめ、猪は65キロでやや小ぶり。並べると一目瞭然だけど、鹿は胃袋がこんなに大きいの」。写真を見比べると、猪の胃袋が意外に小さい一方で、鹿の胃袋の大きさが際立つ。熊と鹿を比較しても、鹿のほうがやや大きく見えるほどだ。鹿は山のものだけでなく、人間が育てた農作物も食い荒らす。農林水産省が発表している「全国の野生鳥獣による農作物被害状況」というデータを見ると、2022年度の被害額約156億円のうち、鹿による被害が65億円と最も多く、次に被害額が多い猪の36億円に倍近い大差をつけている。ちなみに熊は4億円ほどだ。鹿は食欲のみならず、繁殖力も強い。「熊って雑食でさ、木の実だけでなく草や葉っぱも食べるんだけど、そういうのまで鹿が食べ尽くすんだよ。鹿は繁殖力もあって、早ければ2歳のメスでも妊娠してどんどん子が増える。だからそれまで労せずエサにありつけていた他の動物がよそへ追いやられてしまうんだ」。望月さんは「それにさ」と言葉を継ぎ、東北で熊を山から追いやった“ブナ大凶作”の原因とも考えられる鹿の問題行動を指摘するのだった。「落ち葉や、木の根元に生えた草や芽も全部食っちまうんだ。これが木に悪い。本来なら落ち葉や草が水分を含んで根や土壌を守っていたのに、こいつが無くなることで土が流れやすくなり、根っこがどんどん露出し、乾燥して、木が弱っていく。土と一緒に土壌の栄養分も流れていくから山がダメになる」。森を守っている「下層植生」を鹿が食い尽くし、森が衰退する問題は、じつは全国で起こっており、林野庁も対策に取り組んでいる。2023年10月には、九州大学と岡山大学の共同研究グループが「椎葉(筆者注・宮崎県椎葉村)の奥山では、シカ増加に伴う土壌侵食により、ブナが衰退している」と、鹿こそがブナを弱らせている“犯人”だとする研究結果を発表した。そのプレスリリースにはこうある。〈山岳ブナ林が広がる九州大学宮崎演習林(椎葉村)において、土壌侵食の指標である根の露出程度とブナの成長量との関係を調べたところ、根の露出程度が大きいブナほど成長が低いことが明らかになりました〉。そして、こう記す。〈本研究成果は日本の森林で深刻化するシカの下層植生採食が樹木衰退を招く一因となることを初めて示し、今後のシカの食害対策を考えるうえで役立つことが期待されます〉。つまり、東北のブナ大凶作も増えすぎた鹿が原因である可能性が高いのだ。環境省の発表による「全国のニホンジカ及びイノシシの生息分布調査」の結果を見ると、東北が鹿に“侵略”されていく様子が驚くほどよく分かる。2003年の東北地方、鹿は岩手の太平洋側南半分に生息しているが、青森と秋田は空白。宮城と山形はポツポツといる程度。これが2014年になると、岩手で生息域は全県に広がり、青森、秋田でも生息確認地点が現れ、宮城、山形でも増加している。そして2020年、岩手、青森、秋田のほとんどの地域で生息が確認されるようになり、宮城、山形でも着実に増えている。東北のブナは凶作の年が元々多かったが、鹿が増えてブナを取り巻く環境が悪化することで、これからますます凶作の年が増えていくことが予想される。鹿が増え過ぎて起こる問題について、望月さんはさらに別の角度から次のような話をしてくれた。「鹿が熊のエサになるんだよ。北海道の仲間に聞いた話だけど、鉄砲の音がしたら熊が出てくるっていうんだ」。熊が鉄砲の音に反応して姿を現す!? 鉄砲を恐れていないのか。いったいどういうことだろう。「鹿を駆除すると、地域によって金額に差はあるけど報奨金がもらえる。鹿を撃ったら、自治体に提出する証拠写真などを撮り、あとは穴を掘って埋めるといった処理をする必要がある。けれど、大変だから処理をやらない人もいる。その時に遺棄された鹿を見つけて食べた熊が、鉄砲の音がすると鹿にありつけると学習して、近寄ってくるようになったんだ。もちろんその仲間は熊も撃ったそうだけど」。似たような話では、ワナにかかった鹿も熊の捕食対象になっているという。こうして冬場でも楽にごちそうにありつけると分かると、冬眠しない熊が出てくる可能性がある。増え過ぎた鹿は、熊を山から追い出す要因になる一方で、食料として熊が増えたり、熊が活動する時期を延ばしたりする要因にもなっているわけだ。「熊の被害が増えたからといって熊を駆除するだけじゃ意味がない。鹿も含め、自然のバランスを良くする対応をしていかなければ、熊被害の問題は解決しないですよ」(望月さん)。こうした事情を考えずに熊や鹿の駆除に対し“動物がかわいそうだ”と抗議する人もおり、望月さんによると、「最近はそういうのに嫌気が差して、駆除しても役場に申告しない人がいるみたい」。駆除、狩猟を巡っては、弾薬の値上がり、自治体による支払額が上限に達すると報奨金が打ち切られるなどの問題もまた、ハンターの活動にネガティブな影響を与えている。望月さんは言う。「狩猟を趣味でやっていると思って抗議している人もいるかもしれないけど、生態系のバランスが崩れた状態を放置すると山も畑も大変なことになってしまう。それに俺らは常に“人を撃ってしまったら大変なものを背負う”という思いを持ちながら山に入っている。後輩にも『慌てて撃つな。本当に鹿か、熊か、人じゃないか、周りに跳弾するものはないか、確認してから引き金を引け』と常に言っている」。その緊張感はわれわれの想像を超えたものに違いない。熊被害は残念ながら、今年も発生するだろう。これを減らすためには総合的な知見にもとづく多方面からの取り組み以外に、情緒や感傷に流されない人間の側の意識変革も必要なのかもしれない。

(熊と戦い続けた20代のマタギが語る「異常」:秋田)
気温マイナス4度。一面の雪の中、猟銃を肩に掛けた益田光さん(29)が足元を指さした。「これはタヌキの足跡。こっちはテンですね」益田さんはマタギだ。ここ秋田県北秋田市阿仁地区は映画「マタギ」(1982年、後藤俊夫監督)などの舞台にもなった、日本を代表するマタギの里。周囲を山に囲まれ、クマの数が多く、かつては200人ものマタギがいたと言われる。山の見回りに同行させてもらったが、簡単ではない。カメラを持つ手は震え、ブーツが雪に埋まる。先導する益田さんは「まだまだ全然、暖かいですよ」と笑い、スギの木に囲まれた斜面を軽々と登っていく。数百メートル歩いたところで、スギとブナの林が交わる地点に差しかかった。益田さんが振り向き、口元に人さし指を当てる。「念のためここは静かに。クマがいるかもしれないから」ブナの実はクマの好物で、くぼみなど身を隠してえさが食べられる場所にいることがあるという。山中を約1時間パトロールしたが、この日は姿や痕跡が見つからなかった。益田さんの出身は秋田ではなく、広島県。この地区には5年前に移住し、マタギになった。20代の若者が、クマと戦う過酷な生き方をなぜ選んだのか。きっかけは、東京農大で林業を学んでいた2014年だった。益田さんが父と一緒に秋田県を旅した際、現地で会った父の知人が「林学をしているなら阿仁マタギに会ってみないか」と紹介してくれた。翌日さっそく会い、2人きりで2時間話し込んだ。最初は怖い印象で、言葉もなまりが強くてよく分からなかったが、最後は笑顔で送り出してくれたのが印象的だった。元々、森と隣り合わせの環境で暮らしたいと考えていた。そんな中での阿仁マタギとの対面。「この瞬間にぴんときた」。5年後の2019年、秋田県に移住してマタギへの一歩を踏み出した。昔のマタギは狩った獲物を売ることで生計を立てていた。クマの肉や毛皮、内臓は余すところなく生かし、中でも「くまのい」と呼ばれる胆のうは貴重な薬品として高額で取引されていた。かつて阿仁地区では、マタギでなければ生計を立てられなかったという。ただ、時代とともにクマの肉や内臓の需要は減少。現代のマタギは猟友会の一員として行政と連携し、人里の人身被害や食害を未然に防ぐ役割も大きい。自治体から日当は出るものの生計を立てられるほどではなく、公務員や会社員の傍らで活動する「兼業マタギ」がほとんどだ。益田さんは「駆除はあくまで最終手段」だと話す。人里にさえ出て来なければ駆除する必要はないからだ。平時なら巡回でクマを見つけると、まずは車のクラクションなど大きな音で追い払って山から下りてこないようにしている。いざ駆除するとなっても、動いている個体を鉄砲で狙い撃つことはほとんどなく、大半はわなを仕掛けて捕獲し、人間が安全な状態で鉄砲を使う。ただし猟期と定められた冬には、山で「巻き狩り」と呼ばれる昔ながらの集団狩猟も続けている。益田さんはこう強調する。「時代が変わっても『クマと戦える人間』というマタギの役割は変わらない」住民からの信頼は大きな誇りになっている。阿仁地区は現在、マタギが40人弱まで減った。益田さんが住む打当集落はたった5人だ。平均年齢も高く、1人当たりの負担は大きい。特に去年は全国でクマの出没が相次ぎ、人里に現れる「アーバンベア」も多かった。秋田県では全国最悪となる70件の人身被害が発生。県は有害駆除を推進し、去年だけで推定生息数の半分に当たる約2200頭が駆除された。益田さんは「本当に大変な1年だった」と振り返る。早朝と夕方にえさ場や目撃された場所を巡回し、クマを見たらおりを設置して捕らえ、駆除した数時間後に別の個体を駆除した日もあった。本来クマは臆病で、人間がいると分かれば逃げる。だが去年は何度追い払っても出てきた。益田さんが考える原因の一つがエサ不足だ。豊作だったおととしから一転し、昨年はブナの実が大凶作で山にエサがなかったため「クマも人里に出ざるを得なかったのだろう」。クマの警戒心が緩んでいる可能性も考えられるという。以前は山で行われていた炭焼きや牛馬放牧がなくなり、今は「人間がエリアを明け渡した状態」。クマの生息域は広がる一方で、あまり人間と接することはないため恐怖を感じず人里に降りてコメやカキを食べるというわけだ。益田さんは、人里に慣れたクマが来年以降も出没し続ける可能性を危惧している。それを防ぐためにも、本来ならマタギは毎日でも山を歩き、木の実の付き具合など山中の状況を把握しておくべきだという。ベテランから学んで一人前になるのにも時間がかかる。ただ公務員や会社員との兼業では難しく、益田さん自身も秋田に来た当初は林業の事業体で働いていたが、マタギの活動を重視して個人事業主になった。現在は「もりごもり」の屋号でクロモジという植物からお茶を作っている。「山のめぐみから収入を得て、また山に行く」というマタギらしいライフスタイルを実践することで「本業マタギ」の復活を夢見る。そしてマタギに限らず、人と自然の関わりを取り戻すのが大事だと強調する。よく使われる「自然との共生」という言葉は、益田さんに言わせれば当たり前のこと。「それが価値を持ってしまうほど人が自然から遠のいてしまった」。昨年、クマのニュースが大きく扱われたのも「クマは元からいるのに見えていないだけ。僕らにとっては日常です。共生はもうしているんですよ」と言い切る。移住希望者のコーディネーターも務める益田さんは、最後にこう言って笑った。「悩める若者は阿仁に来ればいい。天気が良ければ釣りに行き、雨の日は家で酒を飲みながら本を読む。自分の中の何かが大きく変わると思いますよ」。

(クマを殺すな!と何十件も抗議電話を自治体にかける女性)
各地で人的被害を出したクマが、捕獲を推進するため、「指定管理鳥獣」に指定される方向が決まった。環境省によると、クマの生息域は四国・九州を除き、全国的に拡大傾向にあり、特に問題となっているのが北海道のヒグマだ。2003年度から2018年度までの間に、ヒグマの分布域は1.3倍に拡大、2020年度の推定個体数は1万1700頭となったという。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏は「クマとの共生をはかるには、クマと人が適切な距離をおく必要がある」というーー。<鈴木直道知事は昨年11月、他県と連携して指定管理鳥獣への追加を国に要望しており、「スピード感を持って対応をいただいたことに感謝を申し上げたい」と評価した。より精度の高い個体数調査や詳しいモニタリングへの財政支援が充実すれば、「絶滅を防ぎながら、地域で何頭捕獲すれば市街地出没を抑制できるか割り出し、人とクマのよりよい環境につながる」(道ヒグマ対策室)との期待も高まる>(朝日新聞、2月8日)というから、行政は歓迎をしているようだ。一方で、「クマを殺すな」という強い意見も多く存在している。報道によれば、クマの生息域ではない地域を中心に、動物愛護の理念を念頭に、抗議がよせられている。ANNニュース(2023年11月9日)の取材によれば、自治体に抗議した女性は、<「当たり前のように馬鹿みたいに(クマが)来たら殺す。それしかできないのっておかしい。みんな野生の生き物って、癒やしてるわけじゃない。クマは怖い汚い恐ろしいというイメージを植え付けられている。悪者じゃないよ、そう思わない?」「もともと人の責任でしょ。高速道路造ってゴルフ場やリゾートで山を削ったので、とにかく自然を破壊して今に至っているわけですよね。結局、人が手を加えてそういうことをしているから、野生の生き物の生きる場所がなくなっているんですよ」>といった意見を主張して、何十件という抗議電話を自治体にかけているという。クマに自分や自分の家族を殺されるのではないかという切実な人たちがいるのだから、そうした抗議はナンセンスなのではないかと私は受け止めていたが、よくよく考えてみれば、クマの生息域へ、人間が近づいていった経緯もあり、その上で、「クマが怖いから殺そう」というのは、人間の身勝手な理屈であることも事実だろう。やはり、できる限りの共存を目指すほかないが、人間のエゴという側面はきちんと念頭においておく必要があるだろう。例えば、人間とクマとの共存を目指すために、クマの観察(モニタリング)を行政は積極的に行っていくことになる。しかし、『人間が改変した場所で生きるヒグマ』(Large carnivores living alongside humans: Brown bears in human-modified landscapes、2020年)によれば、「ヒグマの観察活動は、繁殖、子育て、食事などのヒグマが集まる敏感な場所で頻繁に行われるため、ヒグマの行動、生理、生態に関連する潜在的な負の効果があります。ヒグマは、昼間の活動を減らしたり、彼らにとって重要な地域を離れたりすることがあります。さらに、人間の乱れがヒグマの探食パターン、繁殖行動、空間利用、活動に影響を与え、結果としてヒグマの生存と適応に影響を与える可能性があります」と懸念が表明されている。行政は状況把握のために、すぐに観察、観察というが、それすらもヒグマにとっては迷惑なものなのである。同研究によれば、「ヒグマが人間の居住地を避ける行動は、年齢と性別に依存します。未成年の個体や子連れのメスは、成熟したオスや独身の成熟したメスよりも人々や居住地の近くに出現することがよくあります。これは、それぞれ成熟したオスによる捕食や幼児殺しを避けるためです」という。殺される危険もある人間の生息地に好んで、生きたいクマなどいない。安住の地は強いオスがいて、危険なために、人間の生息地に近づいてきてしまったということだ。私たちが、恐怖を感じ、殺せと叫んでいるのは、弱い立場のクマだということだ。保存生物学という分野がある。動物の種や生態系にとっての大きな脅威を見つけ、取り除く方法を探るというものだ。それらの研究に照らし合わせるとわかっていることがいくつかあるので同研究をもとに紹介したい。1、ヒグマなどの大型肉食動物は、人間の活動やインフラが近い地域で死亡率が高い。2、ヒグマの生息地周辺での廃棄物管理やヒグマを避ける方法についての教育を強化することで、ヒグマの人間への慣れや食べ物への依存を減らし、人間とヒグマの衝突やヒグマの死亡率を下げることができる。3、ヒグマの生息地の連結性を保護・復元し、遺伝子の多様性と流動性を支えることが、将来の管理努力の目標となるべき。4、経済への負の影響を減らすためには、アクセス制限や不要な道路を無くしてしまうなどの対策が有効だ。特に、<2>は大事なものではないだろうか。人間のゴミなどをあさったり、食料をクマがはいれるところにおいてしまっていることで、クマに人間の近くには食料があると認識させてしまうということだ。特に人間に慣れやすいとされる子どものクマには注意が必要だろう。結局のところ、クマとの共生とは、クマのプーさんと親友クリストファー・ロビンのような関係性では決してないということである。人間とクマは完全に隔絶して、お互いに関心を持たなくて済むような「共生」を目指すということだ。クマの住環境を悪化させ続けている人間は、せめてもの環境整備を続けていく必要があろう。スウェーデン(瑞典)の日刊紙『Aftonbladet』(2023年8月30日)において、クマに襲われた親子についてこんな報道があった。ペール・サンドストレム(42歳)と14歳の息子エバートは、クマ狩りの初日の午後4時半から任務に就いていた。午前10時少し前、彼らは中断せざるを得なかったという。森の中の道で突然、熊が自分たちに向かってきたのだ。銃を打つチャンスはあったのだが、一緒に連れてきた犬がいて打てなかったという。メス熊はペールに狙いを定めて全速力で走ってきた。後ろに下がって距離をとり、熊の頭を撃とうとしたが、クマの方が速かった。クマはペールの頬をつかみ、ペールはクマが体の上に襲いかかっているときに撃つことを余儀なくされた。銃弾はクマの体を貫通したが、攻撃を止めることはできなかった。息子のエバートは、父をなんとか助けようと父に襲いかかるクマの頭に空手チョップをお見舞いしたという。クマはエバートの空手チョップを受けると、エバートの腕をつかんで引っ張り回した。父・ペールは、クマに噛まれ、顔面の半分を損傷し、足もクマの爪によって痛めつけられ動けなくなっていた。なんとかエバートに当たらないように銃の照準を定め、近距離からクマを撃ち抜いた。そこでやっとクマは絶命し、親子は助かったのである。ペールは13時間、クマに食いちぎられた顔の一部をくっつける手術を受けた。この報道の後日談を、今度は英紙「mail」が報じている。「仲間の猟師たちは森に残って、親子を襲ったクマを捌き、冷凍庫に入れた。その後、何か月にもわたって、ケバブやタコス、グーラッシュを作るのに十分な量の材料となった。ペールは、『私の顔を噛んだクマの肉をタコスに詰めるのは、私にとっての究極の復讐だった』と嬉しそうに語った」スウェーデンには約3000頭のヒグマが生息していると推定されており、ヨーロッパで最もクマの生息密度が高い国のひとつである。クマは人間にはほとんど近づかないが、スウェーデンでは、主に子グマの安全を心配したメスグマが人を襲う事件が何度か起きている。スウェーデンのような北欧諸国では、クマ狩りは民間伝承や文化的慣習に深く根ざした人気のある伝統であり、クマの個体数を管理することは生態系を保護する上で重要な役割を担っている。日本においても、クマとの共存がシステムとして確立してくれることを願ってやまない。

(特別企画展「進め!けものみち探検隊」:和歌山)
アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)にて、和歌山県立自然博物館(和歌山県海南市)の特別企画展「進め!けものみち探検隊」を開催します。私たちにとって身近な、和歌山県に暮らす野生動物たちの企画展を開催します。ニホンカモシカの剥製やニホンジカの全身骨格標本、野生動物たちが山の中で過ごす様子を撮影した映像など、貴重な資料を展示します。和歌山県の豊かな自然環境と多様ないのちがあることをこの展示を通して実感していただき、身近ないのちとの関わりに目を向ける機会にしていただけることを願っています。

(とちぎ野生動物研究交流会:栃木)
栃木県では、県内の野生動物について研究している方たちの発表の場や県内の鳥獣被害対策に役立つ情報共有の場を設けることにより、得られた知見を今後の鳥獣行政に活用するとともに、栃木県内での研究を活性化させ、さらには関係者の普及啓発と資質の向上を図ることを目的として、研究交流会を開催します。

(ポイ捨て、クマ引き寄せる危険性:北海道)
浜中町の酪農家兼ハンターの岩松邦英さん(56)が1月上旬、釧路市内で講演し、ヒグマの狩猟や駆除の現場での経験から、クマの特徴や対策の課題について語った。父が別海町から移住したのが1961年。昼は仕事で両親がいないので、祖父が散弾銃で撃ったスズメを焼いたものがおやつ代わりでした。当時は周りの人々も銃を持っていたので、クマが出たり食害があるため、自衛として銃を持つのは必然という感覚でした。自宅周りには獣が移動ルートとする川があり、昔からクマやシカが出没します。私もハンターとして、クマの習性を知りたくて銃を持って歩きますが、なかなかクマには出会わない。基本はクマの方からよけていきます。ただ、建設会社の作業現場に出没したクマを駆除した際、そばにあったクマの寝床に、道路脇に捨てられているようなコンビニの袋、ファストフードの箱などが山積みになっていたことがありました。何げなくポイ捨てしたごみが、クマを誘ってしまうという意識を持たないと、被害はいつまでもなくなりません。また、今は酪農で牛の餌にするデントコーンのクマによる農業被害が深刻です。コーンを食べるようになったクマは巨大化し、400キロを超える個体が捕獲されたこともあります。甘みに対する執着は強く、丈の高いコーン畑の中は安全地帯。親子で入った場合は子も味を覚えるので、今後も被害は増えると思っています。エゾシカが増え、行政は補助金を出して駆除を促していますが、一部に駆除したシカの死骸を処理しないハンターもいます。たとえば、浜中町では有害駆除で捕獲したシカは自分で処理しますが、ごみ処理場まで持ち込むのが大変。駆除現場に置いたままにする人もいて、クマがそうした死骸を食べて肉食化が進む危険性があります。市町村によって処理方法は違いますが、最終処分の方法を確立しなければ、(乳牛を襲った)第二、第三のオソも出てきてしまうでしょう。クマは頭が良く、箱わなを木にくくりつけて固定しても、ひっくり返されて中の餌だけ食べられることもあります。親子でわなに近づき、入り口から入らずに親が底を掘り、下から餌をとろうとしていたこともありました。様子を見た子はその後もわなに入らないでしょう。木登りもうまく、片手でコクワのツルをつかみ、かじりながら登るのを見たことがあります。クマに出会った際は、ゆっくり後ずさりをすることが対処の基本とされていますが、人間に個性があるように、効果があるかどうかはクマによります。子や母を撃たれたり、手負いにされたりしたクマは、関係ない登山者などにも恨みを持って復讐(ふくしゅう)することがあります。ただ、背中を向けて逃げてはいけないというのは本当。クマに出くわしたことは何回もありますが、黙って向き合うと何度か、数メートルまで近づいて、襲いかかるふりをして戻ることを繰り返します。人間がどういう行動をするか試しているのです。その場合、何もしなければ、向こうから去って行きます。冬眠に向けたクマは脂肪を厚さ10センチ以上蓄え、弾が効きません。昔、浜中で人が襲われた事故で駆除したクマは、最後の1発以外の8発全てが脂肪で止まり、体内に入りませんでした。穴から出てきたばかりで痩せたクマを撃つ春グマ駆除は、その点で有効だと思っています。習性などについてまだまだ勉強中ですが、それでも身の回りにクマは出て、被害にもあうので駆除しなければならない。一方で、自分にとってもクマは特別。仕留めたクマはすべて、鎮魂祭をあげてもらっています。

(「学習放獣」全国最多、大量出没時は捕獲・駆除優先へ:長野)
クマの出没や人身被害が全国で増える中、長野県は大量出没した際に新たに「警報」を発令する方針を示した。県は原則、人や農作物に被害を与えたクマ以外は、捕獲しても駆除せずに人の怖さなどを学ばせて山に返す「学習放獣」を行っているが、「警報」が出たときは捕獲・駆除を優先させるとしている。2023年度、全国で相次いだクマの目撃や人的被害。長野県内でも1月末までに前の年の倍近い1401件の目撃があった。人身被害は11件12人に上り、2023年10月には飯山市でわなにかかったクマに襲われ、男性が死亡する事故も起きた。こうした状況を受け、県は専門家などとクマ対策を検討している。2月13日の会合で県が示したのが、大量出没した際、新たに「警報」を発令すること。発令した場合、捕獲・駆除を優先させる。県は原則として、人や農作物に被害を与えたクマ以外は、捕獲しても駆除せずに人の怖さなどを学ばせて山に返す「学習放獣」を行っていて、その数は全国最多となっている。ただ、県が「警報」を発令した場合は「学習放獣」をいったんやめ、捕獲・駆除を進める。また、イノシシやシカなどのわなにかかる、いわゆる「錯誤捕獲」されたクマは放獣することになっているが、警報発令の際は駆除の対象にするとしている。県鳥獣対策室長は、「餌付いてしまって再出没を繰り返し、人身被害の恐れが高まってしまうんだろうと。学習放獣は戻る山に餌があって初めて成り立つもの。山に餌がない大量出没時は学習放獣を一時休止するというのはやむを得ない部分がある」と話した。「警報」を発令する基準はこれから検討するとしているが、出没数や山に木の実がどれだけなっているかなどを総合的に判断するという。なお、これまで通り、人とクマとのすみ分けの徹底や「学習放獣」は行っていく方針で、2023年度中に対策をまとめる予定だ。

(秋田大近くの神社にクマ:秋田)
19日午前10時半ごろ、秋田市手形字大沢の太子神社境内に体長約30センチのクマがいるのを近隣住民が見つけた。秋田東署によると、けが人はいない。現場は秋田大学手形キャンパスから約100メートル。

(小グマ目撃、猟友会と市職員が調査:島根)
17日午前10時15分頃、島根県松江市東出雲町上意東の下組集会所付近で、近くを歩いていた住民が小グマを目撃し、警察と松江市役所に通報しました。その後、警察が駆け付け、目撃箇所付近のパトロールを行いましたが、小グマの姿は確認できませんでした。午前11時50分頃、猟友会員と市役所職員が調査を実施したところ、足跡が発見され、その足跡から体長1メートル未満の小グマの可能性が高いと判断しました。松江市役所は、松江市内全域に整備されている屋内告知端末で、付近住民に注意喚起を図るとともに、教育委員会をはじめ関係各所に情報提供を行いました。

(親子グマか、足跡を下校途中の小学生が河川敷で発見:北海道)
北海道・上川の上富良野町栄町3丁目で、親子グマのものとみられる足跡が発見されました。2024年2月19日午後3時ごろ、下校途中の小学生が河川敷でクマの足跡を発見し、近くの児童会館職員から上富良野町役場へ連絡がありました。上富良野町役場から連絡を受けた警察官が現場を確認したところ、大きいもので幅15センチほどのクマの足跡とみられるものを確認しました。警察によりますと、足跡は雪の上に残っていて、輪郭が溶けかかっていたことから新しいものではないとみられています。足跡は大小あったため親子グマとみられていて、警察は周辺をパトロールするなど警戒しています。

(高校生が「箱わな」製作:栃木)
足利大付属高機械科の3年生12人が本年度、同校の課題研究で初めて製作に取り組んだイノシシなどの野生動物を捕獲する「箱わな」が完成した。8日には県猟友会の会員が同校を訪問し、出来栄えを確認した。同科の山田睦郎(やまだむつろう)非常勤講師の発案で製作した。佐野市内で獣害駆除に取り組む県猟友会阿蘇支部新合分会の会員から「市から借りるだけでは数が足りない」と聞き、課題研究のテーマにすることを持ちかけた。地域貢献を目的とした研究内容を設定したのは、今回が初めてという。生徒たちは昨年4月から今年1月まで、作業に計約60時間を費やしてきた。完成した箱わなは高さと幅がともに103センチ、奥行き210センチ。同市から借りた箱わなをもとに書き起こした図面に沿って、素材や部品を加工し組み立てた。完成品を見た同分会の会員は「よくできている」と評価し、利便性向上のために軽量化を要望した。今春に卒業を控える生徒に代わり、教員が手直した後、同分会に寄贈する。下田(しもだ)フェルナンドさん(18)は「みんなで協力して一つの物を作る快感を覚えた」、山藤冬麒(さんどうとき)さん(18)は「軽量化は自分たちでは気付けなかった視点。改善し使ってもらえるなら大満足」と話した。

(廃棄エアバッグでシカの食害から守れ:静岡)
車に乗る人を事故の衝撃などから守ってくれるエアバッグですが、開発段階で使われた多くがゴミとして捨てられているのが現状です。人を守る「エアバッグ」がシカの食害から森を守るために生まれ変わりました。<日本プラスト サスティナビリティ推進室 前嶋秀旭さん>「エアバッグを再利用して作った、ヒノキを鹿などの獣害から守るためのネットです」。交通事故の瞬間、乗っている人を衝撃から守る「エアバッグ」。これが生まれ変わって、木の皮を食べてしまうシカの「食害」から山を守るというのです。シカは植物が生えない冬になると、食べ物を求めて、ヒノキなどの樹皮を次々に剥がして食べてしまうそうです。<富士宮市農業政策課 上原己智也さん>「鹿は、1番根元から90センチぐらいのところを歯でくわえて持ち上げるっていうような形で、1メートル50センチぐらいまでを保護してあげれば、鹿の被害は防げます」。シカの食害から山を守るSDGsに取り組んでいるのは、静岡県富士宮市のエアバッグメーカーです。<日本プラスト サスティナビリティ推進室 前嶋秀旭さん>「『カーテンエアバッグ』と言って、自動車の横から出てくるエアバッグになりますね」。「車1台分のエアバッグができるのに、大体200から300枚ぐらい、1車種につき、エアバックの試験をしないといけないです。実は、1車種だけじゃなくて、年間3台、4台という風に開発していきますので、トータルで1,000枚、2,000枚みたいな数の『試験済みエアバッグ』っていうものが、どうしても発生してしまう」。テストで一度膨らませたエアバッグは、畳み直してまた使うということはなく、1年間で1,000枚以上がごみになっていました。これまでも、ナイロン繊維を生かした手提げバッグや袋を作るなど有効活用の道を模索していました。<日本プラスト サスティナビリティ推進室 前嶋秀旭さん>「ちょっと、うまく、それを何か使えないか、っていうところで人の命を守るだけでなく、森の樹木も守るっていうことに使えないか」。前嶋さんたち、日本プラストのサスティナビリティチームは、2022年から廃棄エアバッグの活用方法を富士宮市に相談しました。ヒノキを守るには、どんな保護ネットがいいのか、市が所有する林で試行錯誤を繰り返した末、切り込みを細かく入れて網状にした試作品が完成。2023年11月からヒノキの木で実用テストを続けています。<富士宮市農業政策課 上原己智也さん>「木は肥大成長、だんだん太ってきます。そうすると、これがだんだんきつくなってきてしまいますので10年に1度ぐらいはこれを緩めてあげるという、そういう作業が必要かと思います」。<日本プラスト サスティナビリティ推進室 前嶋秀旭さん>「課題はまだまだありますので、今後そういったところを改良しながら継続的に使っていただけるような物にしていく必要があると思っています」。富士山麓の豊かな自然を守るため、エアバッグメーカーは、人の命を守る製品の丈夫さを役立てようとしています。

(遠野にジビエ加工施設:岩手)
岩手県遠野市綾織町の毘沙門商会(及川知也代表)はジビエ加工施設の建設を進めている。5月上旬ごろの開業を見込み、地元で捕獲したニホンジカの加工商品を販売していく。市内の年間捕獲数は5千頭台で推移し、農作物被害は1億円を超える深刻な状況。農家を守るだけでなく、資源の有効活用によるビジネス創出が期待される。JR釜石線岩手二日町駅から南東に約100メートル。住宅や製材所が立つ一角が建設地となる。加工施設「遠野ジビエの里」は木造平屋117平方メートルで、処理設備や冷蔵庫、冷凍庫などを備える。4月中旬の完成を予定している。肉の品質によって規格を設け、最高の「グルメ」は3歳以下の雄または4歳以下の雌で、捕獲した現場で血抜きをし、1時間以内に施設搬入するなどの基準を定める。市などによると、東京電力福島第1原発事故の影響で遠野のジビエは出荷制限を受けているが、一部解除を国が協議しており、加工施設の開業段階では出荷ができる見通し。

(県内ジビエ利用量70トン:岡山)
中国四国農政局(岡山市北区下石井)は、2022年度の野生鳥獣資源利用実態調査の結果をまとめた。岡山県内の食肉処理施設が処理したジビエ(野生鳥獣肉)の利用量は70トン(前年度比18・6%増)。

(ジビエのビジネス化が難しいのは「美味しくない肉」があるから:大分)
大分県宇佐市の山間部に、「日本ジビエアカデミー」という研修施設がある。野生のシカやイノシシを捕獲し、食肉とするジビエ(野生鳥獣肉)。政府は農作物の被害(獣害)対策の一環として利用を推進しているが、消費はそれほど伸びていない。その理由を、アカデミー代表の山末成司さん(50)はこう説明する。「ジビエ肉を商売として成り立たせるには、いくつもハードルがあるから」そこで、狩猟や解体から肉の判別・熟成、おいしく食べる料理法、販路開拓といったビジネス展開まで一貫して学べるこの施設を、全国で初めて設立した。正しい知識を持った人が広めることで「牛、豚、鶏に次ぐ第4の肉として認められてほしい」と願う。きっかけは、獣害に悩まされた農家の切実な声だった。6年ほど前、ある農家が、食肉加工の工場を経営していた山末さんの元を訪れた。「相談がある」。聞けば、この農家は長年育ててきた果樹を動物に食べられ、猟友会に捕獲を依頼したという。猟友会はすぐに動いてくれた。最初のうちはうれしかった。ただ、捕獲された野生動物は殺されて尻尾だけを切り取られ、次々に廃棄されていく。尻尾は大分県への狩猟報告のために残すが、ほかは丸ごと捨てられる状況に心を痛め、「農家をやめようか」とまで考えるようになったという。相談を受けた山末さんは当初、ジビエの処理場を作ればいいのではと考えたが、すぐに思い直した。ビジネスとして成立させる道のりの遠さが想像できたためだ。まず、適切な処理方法が確立されていない。一般的な家畜は体重などを管理して出荷するため、サイズの個体差が小さい。だからこそ、剥皮などの解体作業を自動化することが可能だ。しかし、ジビエはサイズの個体差が大きく、一体ずつ手作業で解体を行う必要がある。山末さんは処理方法を学ぶため、九州のみならず山口県や北海道まで足を運び、処理場を見学し、猟師から処理方法を学んだ。ただ、そこで衛生状態に疑問を感じた。野ざらしの中で処理をしている人、「自分が捕って処理した動物は全部おいしい」と豪語する人もいた。誰もが心配せずに食べられるようにするには、家畜と同様に衛生面でも確立された仕組みが必要だと感じた。そして最大の問題が「おいしくない個体」をどうするかだった。山末さんによると、ジビエには「おいしい個体」と「おいしくない個体」がある。家畜と違って去勢をしないため、繁殖期のオスは強いにおいが残りがちだ。加えて、年齢を重ねると加齢臭がする。去勢され、生後半年ほどで出荷される家畜と違い、個体によって当たり外れがあることが、ジビエを商業利用する上で大きな障壁になっていた。考え抜いた解決策は、山末さんの身近なところにあった。宇佐市にはサファリパーク「アフリカン・サファリ」がある。子どもが動物好きだったため、山末さんも毎週のように連れて行っていた。人間にとってはおいしくなくても、サファリの肉食動物たちは好んで食べる。サファリにとっては餌の費用を減らせるメリットもある。サファリ側に提案すると賛同を得られた。「おいしくない個体」は、サファリだけでなく、のちに犬や猫のペットフードにも利用するようになった。ようやく商業化への道が見え始めた。正しい知識を持ってジビエを扱えば、ビジネスとして成り立つ。そう考えた山末さんは、「ジビエ処理を教える学校を作りたい」と考えた。こうして2023年5月に開所したアカデミーは、鉄骨2階建ての延べ床面積約310平方㍍。1階には剥皮室、内臓摘出室、カット室、加工室、梱包室、冷凍室があり、皮を剥ぐところから商品にするまでの一連の流れを学ぶことができる。研修期間は最長1年間。数日程度の短期間の受講も可能だ。受講者のニーズに合わせて狩猟の方法や食肉処理場の経営などの座学も受講することができる。これまでに約50人が研修を受け、修了した。2024年は計80人程度を受け入れる予定。受講者は福岡県や群馬県など、県外からも多く参加している。食肉処理業に従事する経験者より、会社の経営者や脱サラを目指す人の方が多いという。福岡県で建設会社を経営する中島真二さん(49)は、地元で田畑が荒らされている状況を知り、「自分に何かできないか」と考えて受講を決めたという。これまでは、カモの解体をしたことはある程度。ジビエは大きさに個体差があり、処理は力任せではなく繊細な作業が必要で難しいという。いずれは地元に処理場を建設し、獣害を減らしたいと考えている。山末さんがジビエの処理場をつくった際、子どもの同級生からこんなことを聞かれたという。「どうしてかわいいシカを殺すの?」。この質問には「はっとさせられた」。農家から受けた相談を、改めて思い出したという。農作物の獣害を減らすためには捕獲する必要があり、その命を無駄にせず、ジビエとして食べることが大切。その循環を定着させるため「美味しいジビエを広めたい」と語った。

(「阿波地美栄(あわじびえ)×狩猟フェスタ」開催:徳島)
徳島県徳島市の両国橋西公園にて、「阿波地美栄×狩猟フェスタ」を開催します。阿波地美栄料理・加工品の販売や、狩猟者との談話コーナーなど、阿波地美栄と狩猟についての様々なブースがあります。徳島県では、捕獲されたシカやイノシシを地域資源として有効活用することにより「地域が美しく栄えてほしい」との思いを込め、県内ジビエ処理加工施設で衛生的に処理されたジビエを「阿波地美栄」と名付けてブランド化に取り組んでいます。この度、阿波地美栄や狩猟のことをさらに知っていただくため、「阿波地美栄×狩猟フェスタ」を開催します。阿波地美栄の料理や加工品を販売するブースや、狩猟者との交流、ワナの実演講習など、様々なブースをご用意しております。「とくしまマルシェ」と同時開催ですので、お気軽にお立ち寄りください。

(捕獲から調理、販売まで手がけるイノシシ料理店店長:広島)
「ししかつ」「ししころ」「しし竜田」――。店先の棚にイノシシ肉を使ったメンチカツ(350円)やコロッケ(250円)、竜田揚げ(520円)などの総菜が並ぶ。昨年8月、広島県福山市郊外にオープンしたテイクアウト(持ち帰り)専門のイノシシ料理店。店名の「ジビ家(エ)」は、狩猟肉を意味するフランス語の「ジビエ」をもじって名付けられた。食材は、店長を務める三島香織さん(28)が父親の議信(のりのぶ)さん(53)とともに捕獲罠(わな)や猟銃を使って仕留めたイノシシ肉だ。商品名も店名も、やわらかな印象があるだけに、初めて来店した客の多くは、本人が調理も狩猟もしていると聞いて驚く。父親の趣味だった狩猟に同行するようになったのは中学生のころ。「最初は恐る恐るだったけど、いつか好奇心に変わった」。父親が仕留めたカモを回収して、羽根をむしる作業も現場で学んだ。高校を卒業して調理師免許を取得し、焼き肉店で働いてきた。いつか店を開きたいという思いと、子どものころの経験がつながり、自身も狩猟の免許などを取得。冬場になると父親と共に山に通った。イノシシが頻繁に市街地に出没し、捕獲後の活用が課題になっている。だが、イノシシ肉は「臭い」と敬遠する人が少なくない。消費が進まない現状を、もどかしく感じてきた。「血抜きなど適切な処理をして、決められた手順でさばいたイノシシ肉のおいしさを知ってほしい」。メニュー開発のために、スパイスの配合や調理法など試行錯誤を重ねた。オススメは130グラムの大きなパティをはさんだ「ししバーガー」(700円)。大粒のひき肉をかむと肉のうまみがしみ出る。店内で着るユニホームの背中には、「すべての生命に感謝を」という筆書きの文字が刷られている。捕獲から調理、販売まで手がけるからこそ、この気持ちを忘れずにいたい。

(捕獲イノシシ、解体費CF:島根)
野生のイノシシや鹿などのジビエ肉を専門に販売している益田市の「タケダ 猪いのしし 精肉店」(竹田尚則代表)が、地域で捕獲されたイノシシなどを買い取り、解体に必要な人件費に充てるため、クラウドファンディング(CF)を行っている。猟師の減少などで、野生動物による農作物被害が後を絶たないためだ。県や市によると、イノシシは、2005年度までは狩猟による捕獲数が有害駆除数を上回っていたが、06年度以降は逆転。22年度は狩猟による捕獲4154頭に対して有害駆除数は1万3683頭となり、捕獲全体の77%を占めた。益田、津和野、吉賀の3市町では有害駆除数は82%にあたる1571頭だった。一方で、3市町の狩猟免許者数は19年度に512人いたが、21年度は468人に減少している。イノシシや鹿、猿など有害鳥獣による米、野菜、果樹といった農作物の被害額(22年)は、県全体で約7000万円に上り、うち87%がイノシシ被害だとしている。同店は、鳥獣被害に加え、県内でも発生している豚熱による感染拡大防止と流通の安全を確保するため、捕獲されたイノシシの感染の有無を調べる検査費用などのコスト負担が増加し、経営への影響が大きいとしている。このため、CFサイト「ForGood」(フォーグッド)」で、買い取り費用などの寄付を募ることにした。期限を3月24日までとし、当初目標の50万円は既に超えており、寄付額が100万円に達すれば、ジビエ肉を利用したペットフードの新商品開発に向けて、設備の拡大費用などに充てるとしている。寄付は一口3000円~5万円で、返礼品のない組み合わせも含めて現在12コースある。鍋用のイノシシ肉(250グラム)やイノシシ、鹿肉のしぐれ煮、ペット用の鹿ジャーキーなどがある。販売担当の竹内知江子さんは「地域の自然や農家を守り、年間を通して安全でおいしいジビエ肉を提供するため、協力してほしい」と寄付を呼びかけている。

(捕獲したイノシシやシカの有効活用を考えるフォーラム:岡山)
農作物の被害対策でイノシシやシカの捕獲頭数は全国的に増えていますが、多くは駆除されたあと山などに廃棄されています。こうした中、その肉や皮を地域資源として有効活用する方法を考える「ジビエ連携フォーラム」が岡山市北区で開かれました。フォーラムは中国四国農政局が昨年(2023年)から行っているもので、獣害対策に取り組む自治体の職員ら、約60人が参加しました。はじめに捕獲されるイノシシやシカが全国で年々増えていて、直近の調査では130万頭に上ることやこのうちの9割が駆除されたのち廃棄されている現状が示されました。このあと、イノシシやシカの活用策のヒントにしてもらおうと皮で雑貨を作る岡山市の事業者が講演。商品の製造工程や魅力を伝えました。(建部獣皮有効活用研究所 頼本ちひろ代表)「シカの革は、柔らかくて触り心地が良くてレザーのカシミアといわれるほどに手触りがいいんですよ。イノシシの革は、ワイルドなイメージで、見た目が自分的には格好いいと思う。男性の方からも格好いいと言われる」また、和歌山県の食肉加工業者は販路拡大の一環で行った狩猟体験ツアーなどを紹介。参加者はそれぞれの地域で実践できないか考えを巡らせながら聞いてました。(中国四国農政局農村環境課 原善通課長)「(参加した自治体職員らに)得られた情報を活用していただいて、今後参加者の方が各地で取り組みを進めていただければ」。中国四国農政局では今後先進事例を伝えるパネル展も計画しているということです。

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(「ハーフライフル規制強化」警察庁が"見直し":北海道)
猟銃「ハーフライフル」の所持の規制強化について、警察庁は現行通りに初心者でも所持できるようにする方針を固めました。ハーフライフルは射程が約150メートルで、初心者でも所持が可能ですが、警察庁は2023年に長野県で起きた殺人事件で使用されたことを受け、初心者が所持できなくなるよう規制の強化を目指していました。ライフルと同様に10年以上の経験がないと所持できないようにする内容です。規制強化されると初心者は、射程距離が約50メートルと比較的短く命中率や威力ともハーフライフルに劣る散弾銃しか持てなくなることが想定されます。ヒグマは時速60キロで走ることが可能でハンターがヒグマに反撃される恐れも出てきます。北海道内で住宅地などにヒグマの出没が相次いでいる中、北海道や猟友会は深刻化しているヒグマやシカ駆除の担い手不足に拍車がかる恐れがあるなどとして、警察庁などに規制強化による影響が出ないよう要請していました。こうした各界からの反発を受け警察庁は、クマやシカの狩猟や駆除を行うことなどを条件として、現行通り初心者でもハーフライフルを所持できるようにする方針を固めました。都道府県がハーフライフルでの駆除や狩猟が必要という通知を都道府県警に出せば、ハンターが申告することで、ハンター1年目からも所持できるということです。2月7日、自民党内閣第1部会でこうした案が示されました。北海道の担当者も「要望が反映された」と喜んだほか、道内のハンターも「安心した」などと話しているということです。

(ヒグマ対策に7千万円、AI使い個体識別:北海道)
北海道は15日、24年度当初予算案を発表し、人工知能を活用した個体識別や春の駆除強化などのヒグマ対策に約7千万円を盛り込んだ。農林業や人的被害の増加を受けて鳥獣対策を強化する方針で、野生動物対策担当局長を新設するなど人員も拡充。鈴木直道知事は同日の記者会見で「抜本的な対策を講じる節目の年になる」と強調した。北海道によると、予算案にはヒグマ対策のほか、ハンター育成・確保事業に充てる1600万円も計上。射撃技術研修やエゾシカ解体を含む狩猟体験ツアー、首都圏でのPRイベント開催などを検討している。鈴木知事は「専門家の意見も踏まえ、安心・安全に向けて対策を強化する」としている。

(道東の野生鳥獣被害額、3年連続で増加:北海道)
2022年度、道東地方でのエゾシカなどの野生鳥獣による農林水産業の被害額は、計25億円余りにのぼり、3年連続で増加傾向にあることが道のまとめで分かりました。道によりますと、道東地方で昨年度、エゾシカやヒグマなどの野生鳥獣による農林水産業の被害額は、前年度よりも1億円多い25億8200万円と、3年連続の増加となりました。地域別では、釧路地方で14億3100万円と最も多く次いで、十勝地方で6億9200万円、根室地方で4億5900万円となっています。エゾシカ対策をめぐっては、道は2010年度から5年間、緊急対策として駆除を進め、被害額も年々減少していましたが、2018年に恵庭市で起きた猟銃の誤射事故をきっかけに国有林などの入林規制が行われたためエゾシカの生息数の増加に伴い、被害額も増加に転じました。道では、1月から道のエゾシカ対策推進条例に基づいて「緊急対策期間」を設定し、エゾシカの捕獲を推進することにしていますが、高齢化によるハンターの減少など、課題も残されていて、今後、どこまで対策に実効性を持たせることができるかが焦点となりそうです。十勝総合振興局環境生活課の廣橋直子課長は「農林業被害の現状は、非常に厳しいなので、2月と3月は、一斉捕獲推進期間として効率的に個体数の削減に努めていきたい」と話していました。

(十勝地方でアライグマの農業被害増:北海道)
生態系に影響を及ぼすおそれがある「特定外来生物」に指定されているアライグマの農業被害が十勝地方で増えていることを受けて、生態や被害の現状を学ぶ講習会が帯広市で開かれました。十勝総合振興局が開いた15日の講習会には、自治体や猟友会の担当者など約30人が出席しました。道内では、40年余り前にペットとして飼われていたアライグマが逃げ出したのをきっかけに生息域が拡大していて、十勝地方ではアライグマによる農業被害額が2022年度は380万円余りと、2010年度の6倍以上に増加しています。講習会では、道の担当者が道内のアライグマの生息数についてはいまだ分かっていないものの、現在、捕獲のための有効な対策を道が検討していることを説明しました。その上で、今後も被害が急激に増えるおそれがあるとして「出産期や授乳期にあたる春にわなを集中的に仕掛けて捕獲することで、個体数を減らすことができる」とアドバイスしました。道野生動物対策課の車田利夫課長補佐は「アライグマによる被害は十勝地方でもこれから甚大化していく可能性が極めて高い。各自治体には捕獲目標をたててもらい、効率的な捕獲を進めてほしい」と話していました。

(イノシシ被害が急増:沖縄)
県営バンナ公園内で昨年4月以降、芝生が掘り起こされるなどのイノシシ被害が急増している。恒例のドッグランが中止に追い込まれるなど公園利用に影響が出ている。県都市公園課によると、これまで同公園内ではイノシシ被害の報告はなかった。ドングリの不作や周辺ほ場のイノシシ対策強化が影響しているとみられている。バンナ公園管理事務所によると、7カ所で特に被害が大きく、このうちBMXサイクル広場では広範囲に芝生が掘り返されており、予定されていた恒例行事のドッグランが開催できない状況となった。12日にBMXサイクル広場を家族で訪れた男性は「BMXのコースが使えないので、大きな子から小さな子まで、隣りの舗装されたコースで遊んでいる。ぶつかったりしないか心配だ」と話した。イノシシの被害を巡っては、同公園周辺や開南地区の農家からも市などへ報告が上がっており、昨年度は149件と例年の倍以上に。農家や猟友会などからは、石垣駐屯地の工事や干ばつの影響が指摘されているが、原因は分かっておらず、市農政経済課も「特定できない」としている。県都市公園課の担当者は「これまでバンナ公園内でのイノシシ被害の話はほとんど出ていないが、今年度から報告を聞くようになった。可能なところから埋め戻すなどしていく。今後は情報収集などをしながら対策を検討していきたい」と話している。一方、園内では、イノシシ出没に起因するものかどうか不明だが、ダニの被害も増えており、同事務所では「皮膚に付いたダニを無理やり取ると皮下に頭が残ることがある。必ず病院で処置してほしい」と注意を呼びかけている。

(大型鳥獣の捕猟体験ツアー企画:北海道)
北海道は、エゾシカをはじめとした野生鳥獣を捕獲する担い手の確保へ、2024年度当初予算案で道外の狩猟者を呼び込むための体験ツアーの実施を盛り込んだ新事業を始めると発表した。道内の猟区で道特有の大型鳥獣を捕獲するまでの流れを体験してもらい、狩猟愛好家を増やして鳥獣被害防止につなげる。鈴木直道知事が同日の記者会見で予算案を発表した。農水省の鳥獣被害防止総合対策交付金との合計で1600万円を計上した「狩猟者育成・確保推進事業」の中で実施する。道によると、エゾシカでは、捕獲実績のある狩猟者の2割は道外在住で「捕獲数の維持には、道外のハンターが貢献する部分が大きい」(自然環境局)。狩猟者の高齢化も進む中、裾野を広げるため道外の担い手を呼び込むことを狙う。ツアーは、道外の狩猟免許の所持者や取得希望者が対象。占冠村と西興部村の猟区を会場に、捕獲したエゾシカの解体を指導するなどで実際に狩猟の現場を体感してもらうことを想定する。併せて、首都圏で狩猟の魅力をPRするイベントの実施も計画している。同事業ではこの他、免許取得後3年程度の道内在住の狩猟初心者を対象に、射撃場で行う射撃技術の向上に向けた研修費用の支援なども行う。エゾシカやヒグマは道内の推定生息数や農業被害が増加傾向で推移。道は24~26年の3年間を、エゾシカの捕獲強化に取り組む「緊急対策期間」に設定するなどしている。

(サルやイノシシから農作物被害防ごう:山口)
動物による農作物被害を防ぐ研修会が山口県岩国市南部の保津地区であった。同地区では近年、サルが目撃され、田畑でイノシシによる被害も常態化しているため、住民11人が対策を学んだ。

(おかやま山陽高がイノシシ捕獲檻を市に寄贈:岡山)
イノシシによる被害を防ぐため、高校生が製作したイノシシ捕獲用の檻がきのう(16日)浅口市に寄贈されました。イノシシ捕獲用の檻は、農作物などへの被害を防ごうと浅口市が、おかやま山陽高校に製作を依頼したもので、昨年までに8基が贈られています。大きさは縦と横が1メートルで奥行きが2メートルあります。今年も機械科の生徒が2基を製作し、そのうちの1基は6人の女子生徒が、高い安全性と軽量化をめざして作り上げました。寄贈された檻は、希望する地域に浅口市が貸し出し、イノシシ捕獲に役立てられるということです。

(雑木林でクマ3頭目撃:宮城)
警察によりますと、2月16日午後7時50分ごろ、宮城県仙台市青葉区郷六の雑木林で通行人から「クマが歩いている。親グマと子グマ2頭だと思う」などと警察に通報がありました。目撃されたクマは約1.5メートルのクマ1頭と約50センチのクマ2頭だったということです。警察が周囲を警戒しています。

(「カモシカがいる」現れたのは駅近くの住宅街:静岡)
2月15日朝、静岡県島田市の市街地にニホンカモシカが出没し、警察など約40人が「保護作戦」に乗り出しました。島田市の住宅街にある駐車場で走り回る黒い動物。体長1メートルほどのニホンカモシカです。15日午前7時頃、JR島田駅から約1.5km離れた島田市祇園町で「カモシカがいる」と住民から警察に通報がありました。ニホンカモシカは国の特別天然記念物。原則として、捕獲や駆除が禁止されていますが、警察などはけが人などが懸念される緊急事態と判断。猟友会のメンバーや静岡県の職員なども加わり、約40人体制の「保護作戦」が展開されました。成獣の雄とみられるニホンカモシカは、通報から約3時間後に無事、保護され、島田市内の山に帰されました。けが人や建物への被害は確認されていないということです。

(あいわなクラウドの認識獣種にクマが追加:福島)
株式会社日本遮蔽技研ではこれまでタヌキ、イノシシ、サル、シカに対して警戒情報を提供していた『あいわなクラウド』サーバーに、クマの認識も追加されました。昨年8月、弊社獣害セキュリティサービス『あいわなクラウド』が、郡山市チャレンジ新製品認定事業に採択されました。現在6自治体様でご利用いただいております。その後AIの追加学習を続け、このほどクマに対応しました。ご利用いただいているお客様や、導入検討いただいている皆さまからも、重大事故につながる「クマ」認識の要望を多く寄せられておりました。お待たせしましたこと、この場をお借りしてお詫び申しあげます。もちろん画像認識AIの認識率は、100%ではありません。しかし、早期警戒に寄与するとともに、現場にメモリを取りに行く手間を、大幅に短縮するのに寄与します。センサーカメラは乾電池で稼働するので、電源の心配もいりません。また赤外線にて夜間もクリアな映像を得ることが出来ます。動物の生態調査、獣害の早期警戒などに是非ご検討ください。なお、近日中に発表する無人警戒システム「VIGILAーヴィジラー」との選択や併用もスムーズに行える様、鋭意準備を進めております。より良いサービスをご提供出来る様、いっそうの努力をして参る所存です。今後とも日本遮蔽技研を何卒よろしくお願い申し上げます。

(イノシシのジビエ料理レシピ完成:岡山)
新見市内で捕獲された野生のイノシシの肉を「ジビエ料理」として活用することを目指したレシピが完成し、試食会が開かれました。試食会は新見市内のレストランで開かれ、市や食品関係者などおよそ10人が、市内で捕獲されたイノシシの肉を使ったローストハムと、煮込み料理を味わいました。ローストハムは、肉を低温でしっとりと焼き上げたもので、固くならずジューシーなのが特徴です。「カチャトーラ」と呼ばれるイタリアの煮込み料理は、トマトや香味野菜と一緒にじっくり煮込んだものです。新見市内では、野生のイノシシによる農業被害が深刻化していて、毎年2000頭以上が捕獲されていますが、その活用が課題となっていて、今回、市がレシピを作成しました。レシピづくりにあたったレストランのオーナーシェフ・舩本将寛さんは「地元のイノシシの価値が見直され、有効活用できるようになってほしい」と話していました。新見市の野間哲人副市長は「イノシシの捕獲頭数が高止まりする中、料理として活用することで、捕獲に携わる人も加工した人も潤う好循環をつくりたい」と話していました。

(エゾシカ肉も!旭川で買えるインスタントカレー:北海道)
最近は手軽に食べることができるインスタントカレーも様々な種類が販売されていますよね。それぞれこだわりがあって店頭に並んでいるのを見ると悩んでしまいます。今回は旭川で購入できるおすすめのインスタントカレーをご紹介します。旭川市旭山動物園内(北海道旭川市東旭川町倉沼)や旭山動物園くらぶオンラインショップ、ハートフィールド(北海道旭川市3条通6丁目)などで購入できる旭山動物園カレー(税込650円)。鹿肉を使用した珍しいカレーで、鹿がデザインされたお洒落なパッケージです。裏面には鹿と生態系の関係について紹介されています。このカレー自体が生態系を守る工夫になっているってすごいですよね。中身はエゾシカ肉のひき肉がしっかり入ったキーマカレー。スパイスも相まってお肉の臭みがなく食べやすいのが特徴で、鹿肉を食べたことがない人でも挑戦しやすい商品になっています。トマトケチャップが使われていて、少し酸味があり濃いめの味わい。レトルトなのにしっかりコクがあり、食材のうまみを感じられます。味も美味しく、環境の事を考えるきっかけにもなるのでぜひ!

(シカ肉「臭みなく美味」:北海道)
北見で捕獲されたエゾシカを使った料理を楽しむ「第9回北見エゾシカフェスタ」(実行委主催)が10日、山下町のオホーツクビアファクトリーで開かれ、訪れた人たちがランチとディナーで多彩なエゾシカ料理を堪能した。

(ジビエ料理教室の参加者を募集:北海道)
広尾町商工会女性部(神野梢部長)は27日、町健康管理センターで「ジビエ料理教室」を開く。22日まで参加者を募集している。

(被害防止で捕獲、シカ肉料理を無料でふるまう:埼玉)
農作物などの被害を防ぐため捕獲したシカの肉を食材として知ってもらおうと、シカ肉料理を無料でふるまう催しが埼玉県横瀬町で開かれました。秩父地域ではシカやイノシシを農作物や植樹した山林を荒らす害獣として、地元の猟友会が年間を通して捕獲しています。17日は横瀬町の西武秩父線芦ヶ久保駅前で20キロのシカ肉が用意され、猟友会のメンバー15人が食材として知ってもらおうと手作りのシカ肉料理をふるまいました。メンバーが作ったのはシカ肉を地元でとれたネギやダイコン、サトイモなどと煮込んだ「もみじ鍋」と「シカ肉のバーベキュー」です。訪れた人たちは列を作って料理を受け取るとさっそく味わっていました。東京・練馬区から来た小学6年の女の子は、「いつもの肉より弾力があっておいしいです」と話していました。埼玉県吉見町から来た30代の男性は、「臭みもなく、柔らかいですね」と話していました。奥秩父猟友会の青木博志会長は、「こうして食べていただければ食料として使えるんだと思ってもらえます。これからも農家や林業関係者の被害を防げるように活動を続けていきたい」と話していました。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午後7時ごろ、仙台市青葉区荒巻青葉にクマが出没しました。

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(ハンター育成・確保推進、新年度予算案に1500万円:北海道)
道は、編成中の2024年度一般会計予算案に、ヒグマやエゾシカの捕獲に従事するハンターの育成や確保を推進する事業費約1500万円を盛り込む方針を固めた。道内市町村のハンターへの技術研修に加え、道外の人に狩猟に興味を持ってもらうための体験ツアーの開催などを検討する。

(クマ対策、生息エリアを人の生活圏と分け捕獲体制整備へ:長野)
クマによる被害が全国で増えるなか、長野県の検討会は、クマの生息エリアを人の生活圏と分ける取り組みを進めつつ、緊急時に迅速に捕獲できる体制を整えていく方針を示しました。これは、13日、県庁で開かれた専門家などでつくるクマ対策の検討会で、県の鳥獣対策室から示されました。県内のクマの生息密度は、今年度、全国で最もけが人が多い秋田県に次ぐレベルと推定されるほか、クマの生息域が人里に向けて拡大する傾向にあると指摘されています。13日示された今後の対策の方向性では、クマの生息数やエサとなる木の実を適切にモニタリングしたうえで、エサとなる物ややぶを取り除くなどしてクマの生息エリアを人の生活圏と分ける取り組みを進めるとしています。さらに、クマが多く出没する時期には、地域や期間を限定して警報を出すほか、緊急時には市町村の許可で迅速に捕獲できる体制を整えていくとしています。これについて参加者からは「市町村では被害防止が喫緊の課題で体制整備を急いでほしい」といった意見や、「対策は県の担当部局に限らず横断的にあたってほしい」といった意見が出ていました。検討会では、13日の意見も踏まえて今年度中に今後の対策の方向性をまとめ、県の対応方針に盛り込むことにしています。一方、環境省がことし4月にもクマを「指定管理鳥獣」に追加し、捕獲などにかかる費用を支援する方針を表明したことについて、県鳥獣対策室は「県としてはふだんから捕獲を強化する考えはないが、今後、国が示す支援の内容を確認し、必要に応じて県の対応を見直したい」としています。

(国立公園のエゾシカ食害:北海道)
阿寒摩周国立公園でエゾシカによる食害が問題となっていることを受けて環境省などでつくる協議会の会合が行われ、エゾシカの効果的な捕獲に向けて関係機関が連携して取り組むことを確認しました。13日、釧路市阿寒町で開かれた会合には、環境省や地元自治体、それに自然保護活動に取り組む団体などの担当者が出席しました。この中で環境省の職員は、去年行った調査の結果、エゾシカが国立公園内のイワブクロやコメツツジなどの高山植物を食い荒らしていることがわかったと報告しました。また、GPSをつけたエゾシカの動きを追跡したところ、夏にオホーツク海側で食害を起こすエゾシカの多くは冬には柵の切れ目を通って弟子屈町の川湯に移動することが分かったということです。そのうえで、会合では来年度以降も情報を広く共有し、効果的な捕獲に向けて関係機関が連携して取り組むことを確認しました。国立公園を管理する環境省釧路自然環境事務所の柳川智巳課長は「特にシカが国立公園内の高山植物に影響を与えていることがわかり問題だと感じた。シカの季節ごとの行動を一元的に情報共有することでシカをうまく捕獲することにつなげたい」と話していました。

(ヒグマ、殺さずに被害どう防ぐ:北海道)
ヒグマの「指定管理鳥獣」への追加が決まり、クマとの共存を考えるシンポジウム「クマと人間の棲(す)み分けをめざして」が、札幌市中央区の道立道民活動センター(かでる2・7)で開かれた。4月中にも積極的な捕獲が可能になり、自然保護活動家やハンターが殺さずに被害を防ぐ方法を探った。

(ライフル射撃場を4月開場、狩猟の担い手育成:群馬)
群馬県は、整備を進めてきた安中総合射撃場(安中市)のライフル射撃場が4月15日に開場すると発表した。3月25日に完成記念式典を開く。群馬県ではシカやイノシシなど野生鳥獣による農林業被害が年間約5億円に達しており、射撃場を狩猟の担い手の確保・育成に役立てる。ライフル射撃場は鉄筋コンクリートの平屋建てで、5億9千万円を投じて整備した。5つの射台があり、50メートル先と102メートル先に静止した標的、52メートル先に動く標的がある。狩猟免許を取得したばかりの人でも所持できる散弾銃のほか、ライフル銃、ハーフライフル銃、空気銃にも対応する。利用時間は午前9時~午後5時で、年末年始と毎週水・木曜日は休場する。この射撃場は2018年度に着工し、当初は19年度の開場を予定していた。ただ工事完了後に安全対策に不備が見つかったため、開場を延期して追加工事を進めていた。23年12月に県公安委員会から銃刀法の基準への適合が確認され、開場のメドが立ったという。安中総合射撃場にはクレー射撃施設もあるが、現在は休業中で、施設を銃刀法に適合させるための検討を進めている。

(クマ対策、2024年度も入山禁止継続:秋田)
秋田森林管理署と秋田県仙北市は14日、市役所角館庁舎でツキノワグマ対策連絡会議を開き、クマの出没期に合わせて2018年度から継続している同市田沢湖玉川の国有林への入山禁止措置を24年度も続けると決めた。雪解け後の5月上旬から国道341号沿いの林道などを封鎖し、雪が降る11月中旬まで続ける予定。

(冬眠時期にクマの目撃多数、注意呼びかけ:島根)
クマによる被害が全国で過去最悪になるなか、島根県では、通常クマの冬眠期間とされている去年(2023年)12月以降も目撃件数が50件にのぼり、前の年(2022年)の同じ時期の2倍以上になっていて、県が注意を呼びかけています。環境省のまとめでは、今年度、クマの被害を受けた人は、先月(1月)までに全国で218人で、過去最悪だった2020年度の158人をすでに上回っています。通常、クマは、11月下旬から12月ごろに冬眠に入るとされていますが、島根県では、去年12月に40件、先月・1月に10件と、クマの目撃件数は合わせて50件にのぼり、前の年の同じ時期より28件増え、2倍以上になっています。クマの生態に詳しい県中山間地域研究センターは、暖冬の影響で活動しやすい環境が続いていることから、クマの冬眠期間が短くなり、エサを求めてはいかいする個体がいる可能性があるとしています。また、県内のクマの個体数が増加傾向にあることも背景のひとつとしていて、島根県は、引き続きクマを人里に寄せつけないため、生ゴミを野外に放置せず、ゴミ出しは収集の直前に行うようにするなど注意を呼びかけています。急がれるクマへの対策。検討を進めてきた環境省の検討会は、先週、方針をまとめました。その1つが「指定管理鳥獣」への追加です。「指定管理鳥獣」は、全国的に生息数が著しく増加している、または、生息地の範囲が拡大している野生動物が対象です。指定されると適正な個体数を管理するための捕獲などにかかる費用を国が交付金で支援します。そして、クマの分布など生息状況のモニタリングを定期的に実施し、過度な捕獲はせず限定的にする必要があるとしています。また、人とクマの生息域の間に、木を伐採するなどの環境整備や個体数管理を強化した「緩衝地帯」を作り、人の生活圏への侵入を防ぐことも必要だとしています。環境省は、クマが冬眠から目覚めるとされる4月中には、四国地方を除いて「指定管理鳥獣」に追加する方針です。伊藤環境相は、「環境省としては方針をしっかり受け止め、関係省庁や都道府県等とも連携し、必要な対策を速やかに実行して参ります。クマ類による被害防止策を推進し、国民の皆さまの安全安心を確保して参ります」と話しています。クマの生態に詳しい専門家は、「クマの数を減らすことが目標だと思われがちだが、人とクマとのあつれき、出没、人身被害を減らすことが究極の目標。十分調査できなかったクマの個体数や被害の状況を国の補助を得てしっかりと調査できることが大きなメリット」だと話しています。この「指定管理鳥獣」、現在はニホンジカとイノシシが指定されていますが、そこにクマも入るということです。島根県と同様、この時期に目撃が相次いでいる秋田県では、「母グマとはぐれた子グマが冬眠の方法がわからずさまよっている状況も考えられる」という専門家の見立てもあります。いずれにしても、クマへの注意は引き続き怠らないようにしたほうがよさそうです。

(クマ被害で対策、共存へ生息調査を急げ:京都)
クマによる人身被害の多発を受け、環境省は4月にも捕獲を国が支援する「指定管理鳥獣」に追加する方針だ。住民の安全安心を優先した対策強化策とはいえ、過度な捕獲につながらないように保護への目配りも欠かせない。指定管理鳥獣は深刻な被害を及ぼす鳥獣を集中的、広域的に管理するため、環境相が定める。現在はニホンジカとイノシシが対象で、都道府県などが行う捕獲や生息状況調査といった事業が国の交付金の対象になる。環境省によると、ヒグマやツキノワグマが34都道府県に生息。近年は活動エリアが人里近くまで広がり、北海道のヒグマは30年間で2倍以上に増えたという。クマが出没する背景には、餌のドングリなどの不作に加え、過疎化に伴い里山が荒廃し、クマが人の生活圏に近づきやすくなったことが指摘される。人への警戒心が薄れ、市街地にも出没する「アーバンベア」も問題化している。2023年4月~24年1月のクマによる人身被害は、東北や北海道など19道府県の計197件、死者6人を含む218人に上った。記録がある06年度以降で最悪の事態だ。京都でも昨年8月、京都市左京区の比叡山で女性が襲われるなど4年連続で被害が報告されている。絶滅の危険性が高い四国のツキノワグマを除き、クマ類を指定管理鳥獣に追加し、被害防止対策を講じるが、指定種の中ではクマは個体数が少なく繁殖力も低い。九州のツキノワグマの絶滅は過度な捕獲が一因とされ、北海道でも急速な減少を招いた時期もある。対策を議論した環境省の専門家検討会が、生息環境の改善などクマの「保全」にも注文を付けたことに留意したい。ただ、捕獲と保護の両立は容易ではない。まずはクマの正確な生息調査が前提となる。県ごとの調査で個体数は数万頭と推定されているが、クマは県境を越えて移動し、実態ははっきりしない。検討会は「分布や個体数などのモニタリングを基に適度な捕獲を行う」と提言しており、環境省は調査方法や時期などを統一すべきであろう。人の生活圏に侵入させない「ゾーニング」といったクマの生態に合わせた被害防止も重要となる。都道府県ごとでは対応は難しく、隣接府県とも連携した保護管理策が必要となる。一朝一夕には難しいものの、クマとの共生に向けて里山の保全再生など長期的視点に立った対策も欠かせない。

(ツキノワグマの人への加害を防ぐには:兵庫)
ツキノワグマは日本の本州と四国に生息するクマだ。胸に三日月のような白い模様があり、その名の由来となっている。北海道に生息するヒグマに比べれば小さいものの、大きい個体では体重が100キロを超えることもあり、力も強い。日本では高度経済成長期に森林伐採が進んだことでツキノワグマの生息域が狭まり、数を急速に減らしたため絶滅危惧種とされ、捕獲が禁止されていた。四国山地では現在も個体数が少なく、保護活動が行われている。しかし近年、ツキノワグマによる農作物や人への加害が増えている。農作物を食害する例は多数報告されているが、中には家屋や倉庫に侵入した例もある。背景には2023年に森林でクマがエサとしているドングリなどの堅果類の不作があったとされるが、理由はそれだけではない。クマが生息するエリアと人里の距離は近くなっていて、しかも高齢化や過疎でクマなどの害獣の対策をする人手がないところも多い。その上、人が暮らす地域には果樹や野菜など多くのエサがある。その魅力に取りつかれれば、何度もやってきて食べようとし、いずれ人とも遭遇する。そんな中でさまざまな事故が起こっていると考えられている。このような被害が数多く発生した秋田県や北海道などが2023年11月、クマを指定管理鳥獣に指定してほしいと要望。このほど専門家による特定鳥獣保護管理検討会が「クマを指定管理鳥獣に追加して国が捕獲や調査などの管理を支援する必要がある」という提言をした。兵庫県では1992年に県内に生息するツキノワグマの推定生息数が100頭未満となり、猟友会が狩猟を自粛。1996年には県が狩猟禁止を告示し、保護施策を行うようになった。2011年からは、シカ・イノシシ用のわなに誤ってかかった錯誤捕獲のクマにマイクロチップを装着して放獣しモニタリングをすることで、クマの生息個体数を推定できるようになった。この推定は、安定的な生息数を維持しながら適切なクマの管理を行うことに役立っている。保護施策が功を奏すと数が増え、クマの目撃や人身への被害も発生するようになった。2016年、県内での推定生息数が800頭を超えたため、ツキノワグマの狩猟を再開した。翌2017年、兵庫県では絶滅危機の状態は解消したと判断し、これまでの保護施策から管理施策へ転換。クマの生息域である「森林ゾーン」、里山などの「集落周辺ゾーン」、農地や住宅など人の活動が盛んな「集落ゾーン」の3つにゾーニングして管理を始めた。森林ゾーンでは突発的に人とクマが遭遇してしまう可能性があるため、森林に入る人に十分な注意喚起や情報提供を行う。集落周辺ゾーンでは森林との境にあたるバッファーゾーンとなる場所をきれいに整備してクマの隠れ場所をなくしたりして、クマが人里に近づきにくい環境を作った。集落ゾーンでは、クマを誘引する放置果樹などの除去が有効だ。さらに電気柵の設置や爆竹などによる追い払いなど、地域でできることを徹底した。さらに、市町村主催の住民に対するクマ対策についての学習会を通じて、「有害個体の駆除と被害対策は、クマ対策の両輪である」という意識付けを行っている。それまでも、主に集落ゾーンにクマが出没していて人身被害の発生の危険性がある場合のみ、「クマ用ドラム缶オリ」と誘引用のエサを使って有害個体を捕獲していた。2017年からは集落に出没する可能性のある集落周辺ゾーンでの有害個体の捕獲を強化している。こうした対策を通じて、兵庫県での人身への被害はここ5年間で6件にとどまり、被害が起こっていない年もある。全国で被害が頻発した2023年は、兵庫県内でもブナやミズナラの実などの堅果類が不作だったが、一件も人身被害が起こっていない。こうした兵庫県の取り組みは各地の注目を集めている。これまでの取り組みについて、2024年2月17日にはツキノワグマに関するシンポジウムが行われ、具体的な事例が紹介される予定だ。クマと人間が適切な距離を保って共存するためのヒントがあるかもしれない。2023年度森林動物研究センターシンポジウムを令和6年2月17日(土)13:00~16:10 オンラインにて開催いたします。

(住宅密集地に隣接する森にカメラ設置、50種余動物確認:京都)
住宅密集地のすぐ脇にある京都市の森にカメラを設置し、野生動物の調査を行ったところ、3年にわたって50種余りの動物が撮影され、専門家は、多様な動物が私たちのすぐそばで生息していることに改めて気づかされる結果だとしています。京都市動物園と環境保護などに取り組んでいる団体は、京都市東部の住宅密集地に隣接する森に3年間、カメラを設置して、どのような野生動物が暮らしているのか調査を行いました。その結果、シカやイノシシなどの哺乳類14種、ヒヨドリなどの鳥類が40種、合わせて54種が確認されたということです。このうち、京都府のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている「クロジ」という鳥が撮影され、京都府内で観察されることは珍しいということです。また、イノシシの親子やニホンジカなどの大型の哺乳類のほか、ニホンリスやテンの仲間のホンドテンなど小型の哺乳類も映っていて、住宅密集地のすぐそばで多様な動物が生息していることに改めて気づかされる結果だとしています。京都市動物園の金原弘武さんは「こうした動物たちとどのように共存していくのか考えるきっかけにしてほしい」と話していました。

(庭の果実食い尽くすリス、洗濯物も汚す:神奈川)
神奈川県内で特定外来生物のタイワンリスによる被害が深刻化し、今年度、鎌倉市では過去最多のペースで捕獲されている。生息域も広がるなか、県は4月からの運用を目指して防除実施計画の策定を進める。家屋、農作物、生態系などへの影響もあり、専門家は早急な対策の必要性を訴える。「見ない日はないほど。たくさんいますね」。2月上旬の夕、鎌倉市の山あいにある住宅街で暮らす男性(83)は語った。庭の果実は食い尽くされて皮だけが残っている。道路に散らかった食べかすの掃除も余儀なくされ「見た目はかわいいけど。通行にも支障が出る」と嘆く。タイワンリスは、国内では動物園から逃げ出して定着したとみられる。洗濯物が汚されたり、電話線がかじられたりするほか、樹木や野鳥への影響もみられるという。鎌倉市は2009年から捕獲に乗り出し、今年度は11月末時点で1553匹を捕獲。市や県によると、過去最多ペースで推移している。神奈川県内では三浦半島や藤沢、横浜、川崎市でも生息が確認されているという。生息域拡大を防ぐため、県は防除実施計画の策定を進めている。タイワンリスの定着状況について「高密度区域」「分布拡大区域」「侵入警戒区域」に3分類し、それぞれの区域で具体的な捕獲の目標や啓発活動などを定める。箱わなの設置を届け出れば、捕獲の許可は不要とする。4月にも運用を開始する予定で、県自然環境保全課の小川登史子グループリーダーは「市町村と連携し、広域的な対策を講じていく」と話している。環境省によると、タイワンリスは静岡、岐阜、長崎県などにも定着。今年度からはタイワンリスを含む特定外来生物への自治体の対策事業に交付金も創設し、9自治体がタイワンリス対策として交付金を申請したという。熊本県中部の宇土半島では10年頃に最大5000匹程度いたが、行政や地元猟友会などの連携で22年には「根絶した」という。取り組みに参加した森林総合研究所九州支所(熊本市)の安田雅俊・森林動物研究グループ長(55)は「一定の水準までは徹底した駆除で封じ込めは可能」と指摘。温暖化によって生息域が北上する可能性もあるとして、「分布がまだ限られている今の時点での対策が重要」と呼びかける。

(JR駅構内で電車と鹿が衝突し遅れ:千葉)
富津市金谷のJR内房線浜金谷駅構内で11日午後9時20分ごろ、安房鴨川発木更津行き上り普通電車(2両編成)が鹿と衝突し、運転を一時見合わせた。運転士や乗客約20人にけがはなかった。JR千葉支社によると、同駅に進入した際、運転士が鹿を見つけてブレーキをかけたが、間に合わなかった。鹿が車輪に引っかかったため、浜金谷―君津間で一時運転を見合わせ、午後10時15分ごろ運転を再開した。上下2本が最大53分遅れ、乗客の計約60人に影響した。

(アライグマがペットのカメ襲撃の瞬間:岐阜)
岐阜市の住宅の防犯カメラが、ペットの亀がアライグマに襲われる瞬間を捉えていた。1月26日午前1時ごろ、防犯カメラに映っていたのは、門をよじ登る生き物の姿。黒い目元に、しましまのしっぽをもつアライグマだ。狙っているのは、玄関先にある水槽で、中には、15年ともに暮らす、家族ともいえる、カメのぴーちゃんがいた。アライグマは水槽に近づくと、ふたを押しのけ、顔を突っ込み、前足と口を使ってぴーちゃんを水槽の外へ引きずり出した。ぴーちゃんは甲羅に隠れ身を守るなか、両者一歩も引かず、約3分の攻防が続くと、アライグマは、とうとう諦めたのか、その場をあとにした。次の日の朝、ぴーちゃんは草むらに隠れていて、左の後ろ足にかまれた跡があったという。ぴーちゃんはショックからか、しばらくエサを食べなかったが、2~3日前から、ようやく食べられるようになったという

(「イノシシガードシリーズ」開発ストーリー:鹿児島)
アムザス株式会社は、2012年 「長島から、働き方の常識を変える」をテーマに、鹿児島県出水郡長島町で創業、じゃがいも生産事業、ベビー用品事業を展開。2014年にはベビー用品ブランド「アップリカ」の専門代理店となる。さらに10年以上にわたる自身のじゃがいも農家の自衛策として取り組んできたイノシシ被害対策を、事業として本格展開。イノシシの被害実績がある自社のじゃがいも畑で長年にわたる実証研究の末、2021年に「非完全固定」タイプの侵入防止柵(イノシシガードシリーズ)を考案し、特許を取得。その後、さらに研究開発を進め2年後の2023年12月に製品化・量産化に成功する。自社新開発のイノシシ柵の製造・販売に取り組み、イノシシ被害対策という全国的課題の解決に挑戦する取り組みをご紹介します。創業は2012年9月であるが、その経緯は、1995年までさかのぼる。創業者である大戸宏章が1992年大学進学でふるさとである鹿児島県長島町から東京へ移住。大学時代に切磋琢磨した友人たちとの議論の中で、「将来、ふるさとである長島町は消滅するかもしれない。でも、どうやったら止められる?やはり、雇用だ。しかも『若者が選べる雇用』の創出とその継続性(安定性)が必要で、その雇用を生み出すビジネスの競争力が、『東京』と対抗できる(知的財産)ほどに高くなくてはならない」という結論にたどり着く。大学卒業後、東京で社会人の作法を学びつつ、2001年にご縁を頂き知的財産権を重要視する企業に転職。メーカーの営業職としてビジネス全般を学ぶこととなる。その後、結婚。親となり、2012年家族4人で東京からふるさとへの帰還移住を果たす。その際、転職先として準備したのがこのアムザス株式会社である。やることは決まっていた。「知的財産を活用して、長島町の若者のために『選べる雇用』を創出することである。とは言っても、経験したのは「営業職」であり自分自身に何か専門的な知識や技術があるわけではなかった。帰還移住後、直ぐに始めた事業は前職から引き続きベビー用品関連の受託業務、そして長島町が鹿児島県ブランドとして登録されているじゃがいも栽培であった。もちろん両事業とも、家族が生きていくために必須の事業。そして事件は、帰還移住後数年経過した2015年2月に起こったのだ。そう、イノシシ被害である。収穫目前のじゃがいも畑の9割をやられたのだ。近隣の畑の所有者から被害の連絡を受け駆け付けた私は、茫然自失。後に気づくのだが、日本の中山間地農業における獣害は、単なる農作物被害ではない。農家の「この地で農業を継続しよう」という心を挫くのだ。実際、私も挫かれた。でも、生活していかねばならない。家族も一人増えた。泣き寝入りするわけにはいかないと、被害に遭った翌年2016年7月には狩猟免許を取得した。その後始まったのが、小さな社内事業部(現:獣害対策事業)「イノシシ被害対策研究所」だった。2016年10月17日のこと。そこから、自社農場でのイノシシ被害対策の試行錯誤が始まる。しかし、この時点ではまだ自社のじゃがいも栽培事業を何とか守らなければならない、そんな気持ちで取り組んでいたのだった。開発にあたって、先ず必要なのは情報収集。近隣農家からこれまでの被害状況やその防御方法について学んでいった。ワイヤーメッシュの柵、電気柵など。捕獲駆除ではなく防御という意味では柵が一般的で、電気柵のように電気基盤を必要とする製品は素人では作れないと思ったのでワイヤーメッシュ柵に何か工夫をこらせないかと考え始めたのだった。もちろん、何かすぐ思いつくわけもなく作付けした畑の周囲に市販の防獣用ネットを設置したり、収穫用のコンテナを並べてみたりして、「何かいいアイデアが生まれるまでは、侵入されませんように…」と祈るばかりの日々が続き、もちろん防獣用ネットは弦が絡まり垂れ下がりイノシシの侵入を許し、収穫用コンテナを並べただけでは駄目で、断続的に被害に遭い続けたのだった。しかしながら被害に遭っていく中で、既存のワイヤーメッシュ柵の弱点や改良すべき点も明確になり、理想の柵の姿が見えてきたのも事実だ。自社農場は、中山間地の小規模農地。しかも、過疎の進む令和日本の鹿児島県長島町。農業従事者は、60歳以上が圧倒的に多い。そんな環境のもとでは、①75歳以上の高齢者でも一人で設置可能、②軽トラでの運搬が可能、③容易に設置・撤去可能、あとは④手の届く価格であることが理想の柵の条件で、さらに既存のワイヤーメッシュ柵の決定的な弱点である⑤「地際からの潜り抜け」(破壊)対策や⑥柵の設置後農家の畑への出入りを可能にすることなどが必要になる。①~⑥全てを実現する必要があり、それを実現しているイノシシ侵入防止柵はこの世に存在しないということが分かってきた。「イノシシ被害対策研究所」の初めての研究成果だ。そんな中、あることに気づいた。2019年頃だ。そのころは畑の周りに並べていた収穫用コンテナを1本の紐で連結して設置し始めていた。相変わらずイノシシの侵入被害に遭ったのだが、猟師免許取得時の知識や周囲の農家の方の協力を得てイノシシの侵入経路を特定したところ、連結された収穫用コンテナの端、地形的にコンテナの設置が難しく設置を諦めたところから侵入しているではないか!しかも侵入された2箇所とも同じ状況。一人で簡単に設置した「連結された収穫用コンテナ」柵を、イノシシは避けたのだ。このコンテナは、収穫したじゃがいもなどの運搬用で縦約35cm×横約51cm×高さ約30cmの直方体で、空っぽであれば一人で6個持つことが可能だ。この時、ぼんやりと「単ユニットの連結体」というイメージが浮かんだ。ここから、前述の①~⑥の条件と「単ユニットの連結体」を、既存の柵でも使用されている比較的手ごろな市販のワイヤーメッシュ(縦1m×横2m、φ4mm)という素材を利用して開発する試みがスタートしたのだ。そこから自社のじゃがいも畑やさつま芋畑での検証が始まった。本当にこの置いているだけの「コンテナ柵」で防げるのか?30cmしかない高さで大丈夫なのか?地面に固定しなくて大丈夫なのか?もし大丈夫なら、単ユニットはどんな形が理想で、高さは何cmが妥当なのか?「単ユニットの連結体」という方向性は決まっても、商品化はもちろん簡単ではない。ユニットサイズは、素材とするワイヤーメッシュの大きさから長さ2mのままが加工効率が高い。この長さなら軽トラでの運搬が可能だ。コンテナは直方体で自立する。この頃には、コンテナの奥行きが侵入防止効果の一役を担っていることを感じ始めていた。ユニット自体の剛性を考慮すると四角より三角の方がいい。つまり、三角柱を横に寝かせた長さ2mのユニット。ここまでは見えてきた。ユニット断面の三角形は、生産効率を考慮して正三角形(3面とも同じサイズ)とした。さて、ではそのユニットの高さは何cmが妥当なのか?既存のイノシシ柵の高さは1m。そこまで高い必要があるのか?高いほうがいいのは自明だが、高さ30cmのコンテナでも侵入を防げたではないか?30cm以上1m以下…。そんな悩みを抱えている時、購読していた日本農業新聞2021年12月10日号の「STOP鳥獣害」のコーナーに、鳥獣被害対策の専門家としてご活躍の麻布大学フィールドワークセンター教授(当時)江口祐輔先生の記事を見つけた。その記事には、こうある。「猪も鹿も優れた跳躍能力を有するが、跳躍は着地時にけがを負うリスクもあり、ほとんど行わない。したがって、農地への侵入の多くは柵の隙間を通過したり、くぐり抜けたりしている。」と。「これだ!だから、高さ30cmでもいけたんだ!」。その時の興奮は、今も忘れない。結果、ユニットの形状は、2m×85cmのワイヤーメッシュ3枚を組み合わせた三角柱となり、1枚の面を底面にして横に寝かせると、その断面は1辺が85cmの正三角形となるので、その高さは42.5√3cmとなる。高さ問題は、いったんここで終焉を迎えた。しかし、これを並べて置くだけで侵入を本当に防げるのか?跳躍はしないにしてもイノシシの鼻による持ち上げる力は既存のワイヤーメッシュ柵の破壊で目の当たりにしてきた。鼻で跳ね上げられたら、押し込まれたら?でも、地面に固定すると③⑤⑥がクリアできない。ここでまた「コンテナ柵」に立ち返る。コンテナは、その手持ち穴を利用して1本の紐で連結されていた。もちろん、置いておくだけではイノシシがコンテナを押して容易に畑に侵入することは目に見えていたので、単にコンテナ同士を連結するために数個のコンテナの手持ち穴を一気通貫するように1本の紐が通っていた。そのコンテナ柵を何度も設置・撤去していると、その運搬作業の中で紐を回転軸として単コンテナが回転することに気づく。イノシシが鼻で押し上げる、柵は破壊されずに持ち上がる、さらにイノシシが持ち上げると回転する。「非完全固定タイプ」のイノシシ柵「クルっと!イノシシガード」が産声を上げた瞬間である。そして、このワイヤーメッシュ3面体のユニットの試作段階で、イノシシが鼻で押し上げる力を利用して、イノシシの足を絡め取るという新たな侵入防止効果が期待できるワイヤーメッシュ2面の構造体を発見することとなる。「非完全固定タイプ」という、固定概念を払拭した思考が生み出した2つ目の柵「スポッと!イノシシガード」は、「クルっと!イノシシガード」が産声を上げた後、直ぐにその原型を現したのであった。そして、2021年11月16日、別事業で過去に特許取得経験のあった私は、友人の弁理士の助言も受けながらこの2つのイノシシ柵の特許を取得した。時はコロナ禍の最中である。売上の柱であるベビー用品関連事業は「赤ちゃんとのお出かけ」が需要の大前提。それなのに、国内全体が3蜜回避のためお出かけの抑制を受け、会社の売上は2020年V.S.2021年の1月~6月の売上前年対比が50%以下にまで落ち込んだ。特許は取得しても多額の特許料、そして続くコロナ禍。量産モデルの最終仕様未定、生産工場あてもなく…。順風は何もない。でもコロナ禍の終焉が見えない中で、会社が瀕死の状況から抜け出すには、どうしても「赤ちゃんとのお出かけ」需要が大前提のベビー用品関連事業以外の事業を、しかもコロナ禍の影響を受けにくい獣害対策事業を創出する必要があり、これまで何の知見もないワイヤーメッシュ製造業界の中に飛び込むしか選択肢はなかったのである。まず、生産拠点となる工場探し。これはインターネットで調べての飛び込み営業。幸運にも早い段階で「作ってもらえませんか?」のお願いを聞いてもらえる工場が見つかった。しかし、製品化には乗り越えなければならない大きな課題がもう一つあることを、開発者である私は理解していた。そう、「2つの連結問題」である。「クルっと!イノシシガード」は、ユニットの褄面の正三角形の重心同士を隣のユニットと紐で連結する必要がある。だが、現状この「重心」は試作品に露出していない。この重心の露出は、ワイヤーメッシュ3面の固定とその露出を、90度ねじれたフックを両端に持つ部品で同時に解決することができた。私のアイデアを協力工場の社長に相談したところ「その形状のフックなら、自社の設備で生産可能です。」とのことで一気に量産化への道が開けたのである。残るは最後の連結問題。「スポッと!イノシシガード」の平面部と斜面部を連結する部品である。この部品には、2面のワイヤーメッシュを前後上下に乖離させず、かつユニットの上下運動による平面部と斜面部の接続部の回転運動を可能とし、さらにはユニットへのイノシシの接触時にユニット自体が破損しないことが求められる。この部品は、ばね状の部品やリング状の市販部品で実現可能であることはこれまでの試作品で分かっていたのだが、それと同時にそれらの方法ではコストが高く、またそのような形状の部品は協力工場の設備では作れないことも判明していた。この部品だけを他工場で製造してもらう選択肢はあったが、協力工場の社長の知見では「かなり困難」とのことで、事態は暗礁に乗り上げ、深く長い思考の時間へ突入したのだった。この部品に機能面以外で課した条件、それは「同じ協力工場での生産が可能なこと」だった。ヒントは、協力工場で生産可能な「クルっと!イノシシガード」の連結フック、ただそれだけ。特許取得後、2022年の3月には、「クルっと!イノシシガード」の量産モデルはほぼ完成し、その後両製品は、同年9月に令和4年(2022年)度鹿児島県トライアル発注制度で採択されると同時に、同年11月に鹿児島県農業開発総合センターへ納品しなければならないことが決まった。採択された時点では、最後の連結問題は未だクリアされていなかった。るは最後の連結問題。「スポッと!イノシシガード」の平面部と斜面部を連結する部品である。この部品には、2面のワイヤーメッシュを前後上下に乖離させず、かつユニットの上下運動による平面部と斜面部の接続部の回転運動を可能とし、さらにはユニットへのイノシシの接触時にユニット自体が破損しないことが求められる。この部品は、ばね状の部品やリング状の市販部品で実現可能であることはこれまでの試作品で分かっていたのだが、それと同時にそれらの方法ではコストが高く、またそのような形状の部品は協力工場の設備では作れないことも判明していた。この部品だけを他工場で製造してもらう選択肢はあったが、協力工場の社長の知見では「かなり困難」とのことで、事態は暗礁に乗り上げ、深く長い思考の時間へ突入したのだった。この部品に機能面以外で課した条件、それは「同じ協力工場での生産が可能なこと」だった。ヒントは、協力工場で生産可能な「クルっと!イノシシガード」の連結フック、ただそれだけ。特許取得後、2022年の3月には、「クルっと!イノシシガード」の量産モデルはほぼ完成し、その後両製品は、同年9月に令和4年(2022年)度鹿児島県トライアル発注制度で採択されると同時に、同年11月に鹿児島県農業開発総合センターへ納品しなければならないことが決まった。採択された時点では、最後の連結問題は未だクリアされていなかった。かくして、2022年11月初期量産モデルは鹿児島県農業開発総合センターのミカン畑へ設置されたのち、2023年9月に鹿児島市の建築資材会社様の敷地内ののり面を掘り起こす迷惑イノシシの侵入防止柵として設置され、両現場でのこれまでの侵入阻止率は100%を誇る。そして弊社は、最新モデルの量産タイプを昨年末12月26日に発売・プレスリリースして、30社以上のメディアで紹介され、そして農家様から注目を浴びつつ、「知的財産を活用して、長島町の若者のために『選べる雇用』を創出すること」をひたむきに目指し続け、現在に至るのである。

(狩猟人口増へ奮闘する若手ハンター:北海道)
医療系の仕事の傍ら、旭川近郊の山林に月1、2回入る若手ハンター。所属する北海道猟友会旭川支部では「狩猟人口を少しでも増やしたい」と、免許取得セミナーなどの催しで他の会員と積極的な声かけを行う。「入り口を気軽なものにしたい」と語る。

(元NHK自然番組ディレクターが明かす「僕が猟師になったワケ」:北海道)
「ダーウィンが来た!」などNHKの自然番組を制作していたディレクターが昨年、NHKを辞めて「猟師」になる道を選んだ。狩猟には、「銃猟」「罠猟」「網猟」などがあるが、元ディレクターが選んだのは「銃猟」。その中でも、一人で山に入り、一人で仕留め、一人で解体・運搬までを行う「単独忍び猟」をやっているという。何が彼を突き動かしたのか?元ディレクターの黒田未来雄氏がその経緯を明かすシリーズの第3回。単行本『獲る 食べる 生きる 狩猟と先住民から学ぶ“いのち”の巡り』より抜粋・再構成。鹿を撃つ経験を少しずつ重ね、心に余裕が出てくると共に、当初は頭数ばかり気になっていたのが、徐々に獲り方が重要になってゆく。銃猟の中にも、様々なスタイルがある。獲物を追い立てる勢子(せこ)と、それを待ち構える射手(しゃしゅ)が力を合わせて行うグループ猟もあれば、犬を使う人もいるし、一人だけで山に入る単独猟もある。車で広範囲を走り回って獲物を探す方法は流し猟、自分の足で山を歩くのは忍び猟という。そしてそれを一人で行うのが「単独忍び猟」。自然と近しく触れ合うことができるという点では、最も優れていると感じている。僕にとって、徐々にこの単独忍び猟にのめり込むようになるのは、自然なことだった。何をするにも自分一人。解体に手を貸してくれる人はいないし、肉の運搬は本当に骨が折れる。その代わり、他人に気を遣う必要はない。獲れても獲れなくても、全部が自己責任。喜びも悔しさも、一切合切を独り占めだ。一人で歩くことが増え、大きく変わったのがスピードだ。ゆっくり歩くべきだと感じた場所では、とことんゆっくり歩く。移動速度、通信速度、処理速度と、何でもスピードアップが求められる現代社会。ところが忍び猟で求められるのはスピードダウンだ。猛烈な勢いで文字を打ち込んでいた右手の指をスマートフォンから解放し、木肌や地面を丹念に触る。高速でスクロールされる文字列から顔を上げ、木々が作り出す微妙な陰影にひたすら目を凝らす。するとその中に、今までは見えていなかった、じっと身を潜める鹿のシルエットが浮かび上がってくる。究極のスピードダウンとは静止することだ。きちんと、止まる。これがどれだけ難しいか。元々せっかちな僕にとっては、1時間歩き続けるより、1分間完璧に身動きをしないほうが困難だ。しかし、ハンターの気配を察知した鹿は、5分でも10分でも微動だにしない。忍耐力をはじめ、体力や感覚の鋭さなど、あらゆる面で全く敵わない鹿をどうやって仕留めるのか──。いくらお金を積んでも無理だ。学歴や社会的地位も一切関係ない。問われるのは、体力、観察力と想像力、そして最後は気力だ。人間力が根底から試される真剣勝負だからこそ、ますますのめり込む自分がいる。鹿の足跡を自身の足で辿ってゆく。足跡が立ち止まっていれば僕も立ち止まる。なぜそこで止まったのかを考える。そこから何が見え、聞こえ、嗅ぎとることができるのか。鹿になったつもりで、気が済むまで時間をかける。すると、真新しい食痕(しょくこん)や、前の週にはなかった、雄鹿が角の先を研いだ跡を木の幹に発見し、欣喜(きんき)する。問いを突き詰めても、明確な答えが出ない場合も多い。仮に扉が開いたとしても、そこには常に、また新しい問いがあるだけだ。それでも多種多様なフィールドサインからひたむきに鹿の気持ちを推し量る。人間の唯一のアドバンテージである想像力を徹底的に駆使する。その結果、自分が思い描いていた通りの場所に彼らを見つけた時の喜ばしさといったらない。たとえ撃てなかったとしても、偶然に現れた鹿を獲るよりよほど嬉しい。銃を手に入れれば、まずは撃ちたい。狩猟免許を取れば、まずは獲りたい。それが徐々にできるようになってくると、その先にあるのは、純粋に彼らを知り、彼らと同化してゆく喜びだ。目の前に残された、一筋の足跡。それは、分厚い本の中から千切り取られ、舞い落ちてきた1ページに過ぎない。時には単語にさえなっていないこともあり、判読は困難を極める。しかしそこに記されている言葉の断片は、今、主人公が歩いている章の結末を探り出すための拠り所となる。彼らが残してゆく些細な痕跡の全てが、新しい物語が誕生する予兆であり、それが僕を虜(とりこ)にして離さない。単独忍び猟については、色々な懸念もある。まずは、何といっても危険性だ。確かに滑落した場合などの死亡率は、複数で山を歩くのに比べれば圧倒的に高いだろう。山奥で険しい稜線を歩いていたりすると、自分の哀れな末期が思い浮かぶことがある。でも誰もが何らかの形で人生の終焉を迎える。そして幕引きの筋書きは、大概に於いて本人の力ではどうにもならない。敢えて危険に身を晒したり、自ら死に近付いたりするような真似は決してしないことは、言を俟(ま)たない。人様に迷惑をかけないよう、最大限の努力も怠らない。その上で、万が一のことがあったら、それはそれで仕方がないかと思っている。畢竟(ひっきょう)、最も大切なのは、どう死んだかではなく、最期の瞬間までどう生き切るか、なのだ。また、よく聞かれるのが、一人で心細くないのか、孤独ではないのか、ということだ。確かに、山の中にいるのは僕だけで、一日中誰とも会わないのが普通だ。寂しさを感じることもよくあった。今まで入ったこともない場所まで来てしまい、あまつさえ天候が荒れてきた時などには不安も増大する。でも今は知っている。木立の奥には、同じく吹雪を耐え忍んでいる動物たちがいることを。白銀の大地の下には、春を待つ草花の種が眠っていることを。そして、分厚い雪雲を突き抜けた上には、全ての生命エネルギーの淵源である太陽が常に輝いていることを。ヒトは“1匹”しかいなくても、周りは命に満ち溢れている。そもそも孤独とは何だ。「孤独」という単語を見つめてみる。すると、その意味合いとは裏腹に、二つの漢字が寄り添うことで成り立っているのに気付く。更に解きほぐしていくと、子と瓜、獣偏(けものへん)に虫──。いずれも命の要素で組み上げられているではないか。一人になることで初めて深く実感できる、それらとの繋がり。山で味わう本物の孤独とは、寂しさや不安の先にこそ存在する、無窮の喜びと安寧に浴することではないかと、僕は思っている。

(学生によるジビエ利活用のプロモーション:東京)
株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:福田一平、以下、TXCOM)が運営する「ジビエト」は、2024年2月14日~18日に、羽田空港第1ターミナル2階「羽田産直館」にブースを出店し、横浜国立大学 経営学部 真鍋ゼミナールの学生が開発した鹿革製品の販売と、ジビエ料理のメニュー開発に取り組んだ模様をパネルで展示します。学生たちは2月17日に実際に店頭に立ち、各々の開発した商品を自分たちで説明し、販売します。また、この一連の取組を記録した動画を2月下旬より、「ジビエト」にて公開します。この取組は、学生たちが自ら学び、試行錯誤しながら商品を開発・販売する一連のプロセスを体験することで、捕獲された野生鳥獣のジビエ利活用の意義や食材としての魅力等の理解を深めてもらい、ジビエの普及推進を図るものです。学生たちは北海道のジビエ処理施設や皮革工房への現地見学を通じて学びを深め、商品開発・販売まで至りました。

(イノシシの骨で芳醇スープ:福井)
福井市西部の山あいに位置する殿下地区で、この時期限定のイノシシの骨を使ったラーメンが人気を集めています。2日間煮込んだ芳醇なスープが特徴で、ほのかな甘さがあり、里山ならではの味わいが観光客の心を温めています。しょうゆベースの白濁スープに、歯ごたえのある太麺が使われていて、これまでの4シーズンでおよそ3000食が提供されました。廃棄されるイノシシの骨を有効活用できないかと、6年前に地元の有志が考案したもので、去年は豚熱の影響でイノシシが激減し、提供を断念しましたが、農作物を荒らすイノシシが増えたため、2年ぶりに復活しました。「殿下福亥のししラーメン」は3月上旬までの土日、祝日に提供され、売り上げの一部は能登半島地震の被災地に寄付されるということです。

(ジビエ料理を多久の名物に:佐賀)
多久市観光協会は、農作物を荒らす害獣として駆除したイノシシの肉を活用した「ジビエカレーを味わう会」を、24日午前11時半から同市の西多久公民館で開く。イノシシ肉の商品化を進める取り組みと連携し、多久の新たな名物にしようと初めて企画した。同市西多久町にはイノシシ肉の有効活用を目指す食肉加工場があり、メニュー開発を進めている。今回はカレーのほか「しし汁」「ジビエコロッケ」のセットを700円(税込み)で用意。市観光協会は「イノシシ肉は豚肉よりも鉄分やビタミンが豊富で栄養価も高く、美肌にも効果がある。多久の名産品になってほしい」と意気込む。

(農業高校の生徒、イノシシの肉を使ったソーセージ作りに挑戦:佐賀)
害獣について学び、地域農業への関心を高めてもらおうと佐賀市の農業高校の生徒がイノシシの肉を使ったソーセージ作りに取り組みました。この取り組みは、佐賀市の高志館高校が行っているもので14日は食品流通科の2年生24人が参加しました。生徒たちは、県内の農作物の被害状況や、駆除された害獣を有効活用するための方法としてジビエ加工があることを佐賀大学農学部の江原准教授から学んできました。14日は佐賀大学の施設でイノシシの肉のたねをビニールに詰め込んだあと糸で縛り、ソーセージを作っていきました。きょう作ったソーセージは後日生徒が食べるということです。また、生徒たちはソーセージのパンを開発中で来年度中の販売を目指しています。

(国産ジビエ認証施設に認証:長崎)
農林水産省は2月14日、国産ジビエ認証制度にかかる認証機関により、国産ジビエ認証施設(第36号)として、食肉処理施設「ももんじファクトリー」(長崎県島原市)が認証されたことを発表した。国産ジビエ認証委員会が登録した認証機関(一社)日本ジビエ振興協会で、認証申請のあった食肉処理施設「ももんじファクトリー」の審査を実施。同施設は、制度に規定する全ての要件を満たすと認められ、「国産ジビエ認証施設(第36号)」の食肉処理施設に認証された。

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