<射撃ニュース4月>
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(野生イノシシから豚熱確認:岩手)
岩手県は11日、二戸市で捕獲された野生のイノシシ1頭から、豚熱(CSF)の感染を確認したと発表した。

(総合射撃場が6月オープンへ:兵庫)
県が三木市吉川町福井に整備する県立総合射撃場のオープンが当初予定していた2023年秋から大幅に遅れ、今年6月にずれ込む予定だ。県自然鳥獣共生課によると、現場内のため池に想定以上のヘドロがたまっており、地盤の改良工事に時間がかかったため。オープンすれば西日本最大規模の射撃練習場となり、全国大会レベルの射撃競技大会開催も期待される。

(「自作した空気銃でネコ虐待」河川敷で猫の前足に弾丸命中:奈良)
自作した銃のようなものに弾丸を装填して発射。ネコの前足にケガをさせた、などの罪に問われていた男に、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡されました。起訴状によりますと、奈良県北葛城郡の上南裕被告は、去年6月頃から11月頃までの間に、自宅で手作りの空気銃1丁を製造し、去年12月に北葛城郡内の河川敷で、猫の左前足に自作の弾丸を命中させて、愛護動物を傷つけたなどとして、武器製造法違反罪や、動物愛護法違反罪などに問われていました。奈良地裁葛城支部は、「身勝手な理由」などとして、上南被告に懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

(「住宅街での猟銃」「建物内での麻酔銃」法改正検討へ)
クマによる人身被害が全国で相次いでいることを受けて、国は住宅地でも猟銃の使用を認めるなどの法改正の検討を始めることを決めました。(環境省 中沢圭一野生生物課長)「東北地方を中心に市街地や集落など人の生活圏へのクマの出没が続きまして、人身被害が過去最多する状況。クマ類の被害対策に資する施策をまとめたパッケージを議論をしたい」。道内をはじめ全国で、市街地に出没するクマ「アーバンベア」が問題となっています。2023年度のクマによる人身被害は、全国で198件と過去最多になりました。きょう(2024年4月11日)に東京で開かれた有識者会議で国は、現在禁止されている「住宅地」での猟銃の使用や「建物内」での麻酔猟銃の使用に関する法改正の検討を始めることを明らかにしました。また、4月中にも捕獲事業などに国が交付金を出す「指定管理鳥獣」にクマ類が追加される見込みです。

(シカ保護団体の獣医師、保健所に要望書を提出:奈良)
奈良公園のシカを保護している団体が、けがをしたシカに十分な治療や適切な検査を受けさせていないとして、団体の獣医師が保健所に指導を求める要望書を提出しました。要望書を提出したのは、奈良公園のシカを保護している「奈良の鹿愛護会」の獣医師、丸子理恵さんです。要望書では、▼車にはねられ足を骨折したシカについて、治療効果が期待できる新たな固定用装具の導入を提案したところ、会のメンバーらに「県に判断を仰ぐ」といわれ導入が中断したと主張しているほか、▼衰弱したシカにこれまで実施していた一部の検査がことしから認められなくなったとしています。そのうえで、これらの対応は動物管理愛護法に違反しているとして団体を指導するよう求めています。丸子さんは「新たな固定用装具はメーカーから無償で提供してもらう予定なのに治療の必要がないというのはおかしい。保健所の指導に期待している」と話しています。一方、「奈良の鹿愛護会」は、治療方法などについて第三者に介入してもらうよう県などから指導されているとして、保護のあり方を検討する県の部会で検討中だとしています。「奈良の鹿愛護会」の山崎伸幸 事務局長は「けがや病気のシカへの対応はこれまでどおりのやり方でも支障はなく問題はないと考えている。新たな装具については効果がよくわからないため、導入するかどうか検討している段階だ。県と市からも第三者に介入してもらって本当に必要な事業を精査したうえで事業を進めてくださいと言われたこともあり、ワーキンググループで議論してもらっている」と話しています。獣医師が提出した要望書について、奈良市保健所は「中身を精査して必要であれば、『奈良の鹿愛護会』への調査を行うことも検討したい。」と話していました。

(北アルプスに増えるシカ、温暖化の影響は:長野)
信州大山岳科学研究拠点(上伊那郡南箕輪村)は本年度、気候変動が山岳域の生態系に与える影響について研究する態勢を強化する。信大が北アルプスなどで観測し、蓄積している気象データを活用した国内外の大学・研究機関との共同研究や、山地帯から高山帯にかけて広がる信大の演習林での生態系調査などを構想。組織を再編し、研究力の強化やネットワーク構築を進め、気候変動に伴う課題の解決策を探る。

(シカは餌植物からナトリウムを十分に得られず、特に雌ジカで強く欠乏する)
シカが餌植物からナトリウムをはじめとしたミネラルを十分に得ているのかを試算したところ、特に雌ジカでナトリウムが強く欠乏していることがわかりました。雌ジカを選択的に誘引・捕獲し、効果的にシカ個体群を減少させる技術(塩水による雌ジカ誘引等)の開発に繋がる発見です。全世界の植物の形質を登録したデータベースTRY(Kattge ら 2020)から、シカが餌として利用する植物を抽出し、それらの植物の葉のミネラル含有率とシカの1日の採食量(4パターン:乾燥重量0.5kg、1.5kg、3kg、4.5kg)を掛け合わせることによって餌植物を介した1日あたりのミネラル摂取量を植物種毎に計算しました。この値をシカの体重(4パターン:30kg、60kg、90kg、120kg)と1日の採食量から計算した1日あたりのミネラル必要量と比較するとともに、必要量を満たす(摂取量が必要量を上回る)植物種の数の比率を雌ジカと雄ジカで比較しました。ナトリウム必要量を満たす植物の割合は、シカの採食量や体重に関わらず低く、特に雌ジカではナトリウム欠乏が強いという試算結果になりました(図2A)。カルシウム必要量を満たす植物の割合は比較的高かったものの、餌植物の量が少ない場合には、特に雄ジカで不足する可能性が示されました。。また、マグネシウムは餌植物から十分に摂取されていました。

(クマ注意、対策話し合う会議:福井)
クマが冬眠から目覚めて活発になる時期を前に、県や自治体の担当者が対策を話し合う会議が、11日開かれ、登山や山菜採りで山に入る人などに注意を呼びかけることを確認しました。この会議は、クマの活動が活発になる時期を迎えることから、人や農作物への被害を防ごうと県が開いたもので、11日は、県庁に県や自治体の担当者など約60人が集まりました。はじめに、県の担当者が、昨年度は全国的な木の実の凶作などによって、県内では700件余りの出没が確認され、勝山市と越前市では、2人が襲われてけがをしたことを報告しました。その上で、春の登山や山菜採りで山に入る場合は特に注意することや、鈴やラジオなどで大きな音を出し、クマに人の存在を知らせることが重要だと説明し注意を呼びかけることを確認しました。また、今年度からエサとなる柿や栗などの木を伐採する際の補助金の割合を、一部の地域で引き上げたことなどを紹介し、住民に周知していくことも確認しました。県自然環境課西垣正男参事は「県内の里山には多くのクマが生息している。身近なところにクマがいるという意識を持って近づけないような対策をお願いしたい」と話していました。

(独自の「クマMAP」で出没傾向を分析:福島)
ことし3月末、会津若松市の温泉街でクマが出没し、3日間にわたって建物の中に居座りました。県はクマの目撃が相次いでいるとして、4月から県内全域にツキノワグマ出没注意報を出して注意を呼びかけています。会津若松支局で勤務する私も、1日に何回も発表される警察や自治体からの「クマ目撃情報」の通知に、身近にこんなにクマがいるんだ、と“森のくまさん”のイメージを改めています。そこで、このクマの出没地点を地図で可視化し、傾向を分析してみました。すると、冬に相次ぐ目撃事例や街なかへの出没など、具体的な特徴が見えてきました。クマの目撃情報を、地図で「見える化」する今回の試み。県から令和4年度と昨年度(令和5年度)の2年分の出没場所のデータをもらい、地図上に重ねて分析する「GIS=地理情報システム」という技術(高校で必修科目の地理総合でも学びます)で、私が独自にマッピングしてみました。今回は、その地図で、改めて見えてきたクマ出没の特徴をみていきます。こちらは福島県の地図。緑色の部分が山あい、白い部分が盆地や平地です。これに、令和4年度の目撃や被害があった場所、385件を青色で示しました。青色の四角、1つ1つが出没場所で、猪苗代湖西側、福島市西側などが多い印象です。次に、令和5年度を見てみます。今度は、赤色で出没場所を示しています。会津盆地は真っ赤になっています。これまで目撃例がほとんどなかったいわき市でも、去年の秋とことしの始めに確認されています。浜通りでの確認がここ数年確認されているとは言え、筆者もいわき市で立て続けにクマ?!と驚いた記憶があります。2つを比較してみます。クマは出没しやすい場所があるため2つの年で重なっている部分もありますが、昨年度は前の年の2倍近い709件が確認されています。この2年分を比べてみると、赤色で示している昨年度は、出没範囲が明らかに広範囲に広がっています。この中でも特に注目したいのが冬の間の出没。12月から3月にかけて、通常は冬眠している期間ですが、令和4年度の目撃数は4件。では昨年度はどうでしょうか。大きく増えています。4件から46件ということで、10倍以上。豪雪地帯の南会津でも確認があります。これについてクマの生態に詳しい、福島大学の望月准教授に聞きました。冬も目撃例が相次いでいるとは聞いていましたが、地図で見ると改めて多いことが分かりますね。また、クマは人里離れた場所にひょっこり現れるイメージが強いと思いますが、全国では、街なかへの出没も確認されています。ことし1月には、岩手県北上市のショッピングセンターに子グマが現れました。店の周辺には田畑はあるものの東北新幹線の北上駅から2キロほどのところで、山あいからは離れた場所でした。県内でもこうした街なかでの出没例はあるのか、数が多かった会津盆地を代表して見てみます。画面中央上から、喜多方市、湯川村、会津若松市、と広がっています。山からかなり離れた場所にも出ていますが、山沿いからは10キロ近く離れた場所にどうやって移動したのか。そこで、あるデータを重ねてみると…。河川を青い線で表示してみました。出没場所と川が、ほとんど重なっています。南会津から流れ込んできている阿賀川沿い、そして上の方、喜多方市では日橋川などの河川と重なっているようです。これについても、望月准教授に尋ねました。川沿いや河川敷の生い茂った草や木がクマにとっては隠れながら移動する経路になっているということです。こうしたクマにとっての“道”を通って活発に活動しているということですね。クマはエサ場と認識した場所を繰り返し訪れることもあることから、県が呼びかけている注意点をまとめました。過度に警戒する必要は無いとはいえ、山から離れているからといって油断はできません。また、これからのシーズンは、山菜とりやキャンプなどで山に入る機会も増えます。一方で、クマにとっては、冬眠明けで空腹状態の春先や、発情期の夏にかけては活発に活動する時期です。山に入る際の注意点もまとめました。今回の分析では、大きな特徴や傾向を見ていきましたが、目撃された時間やケースなどにあわせて分類し可視化することも可能です。クマ以外でも、生活情報や災害関連といったデータを用いた分析で“見える化”に取り組み、さまざまな情報を発信していきます。

(禁じ手「ヒグマの穴狩り」再開2年目:北海道)
ヒグマの人里への出没を抑制するため、冬眠中の個体を捕獲する「穴狩り」を含む「春期管理捕獲」が2~5月、北海道で実施されている。ヒグマの出没や人身被害の増加を受けて昨季解禁され、今季で2年目になる。今季は区域を拡大し、取り組みを強化するが、効果はあるのか。かつて「絶滅政策」と批判された手法に課題はないのか。「人里周辺に生息・繁殖するヒグマの低密度化」「人里への出没の抑制」「ヒグマ対策に必要な人材育成」。北海道が1月に公表した春期管理捕獲の実施要領では、大きくこの三つを目的に挙げる。昨季は人の生活圏から3~5キロ圏内で許可していたが、今季は地域の実情に応じて10キロまで可能になった。春の猟は残雪があって足跡が残るためクマを追いやすい。また、植物の葉も茂っておらず、雪上を歩くクマは視認しやすい。さらに、まだ冬眠中のクマを捕獲する「穴狩り」ができることも特徴だ。冬眠中、雌グマと子グマが一緒にいるケースがあり、穴狩りは他の猟と比べて捕獲率が高かった。このため一時、ヒグマが激減したのは穴狩りが原因だったと批判され、1990年に実質的に廃止された。政策を一転し、道が穴狩りの解禁に踏み切ったのは、近年、ヒグマによる被害が増えていることにある。2021年度、北海道のヒグマによる死傷者は14人で、記録がある中で過去最多。23年度も2番目に多い9人に上った。農業被害も18年度以降、毎年2億円を超え、増加傾向にある。推定生息数も1990年度に5200頭だったのが、20年度には1万1700頭となり、倍以上増えた。ただ、捕獲数を増やすという面では、春期管理捕獲は今のところ、それほど成果を上げていない。昨季、道内の19市町村が春期管理捕獲に参画したが、捕獲できたのは20頭。今季は4月12日現在で2頭のみ。ここ数年、年度ごとの捕獲頭数は1000頭前後で推移しており、ごく一部にとどまっている。特に、穴狩りで捕獲できた頭数は今のところゼロ頭だ。道の担当者は「確かに捕獲できた頭数は少ないが、人里に近づかないようにするといった、クマの行動を変えることも目的。クマの行動の変化を評価するのは難しいが、しばらく続けて様子を見たい」と話す。順調とはいえない背景として、ハンターの高齢化や不足のため、技術伝承がなされていない点を指摘するのは、NPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」前理事長の藤本靖氏。藤本氏は北海道で60頭以上の牛を襲い、昨年夏に捕獲されたヒグマ・OSO(オソ)18の特別対策班のリーダーを務めた経験がある。春期管理捕獲について、藤本氏は「射撃だけでなく、足跡や穴を見つける技術も必要。こればっかりは経験で、熟練者に習って初めて分かる。ただ、動ける熟練者もかなり減ってしまった。役所が考えているようにはいかないのではないか」とみる。仮に、春の猟が軌道に乗ったら、再び数が減りすぎる懸念はないのか。酪農学園大の佐藤喜和教授(野生動物生態学)は「近年、問題を起こした個体を中心に捕獲してきたが、個体数の抑制には追いついていない。まずは人里近くのクマを追うことで、人は怖い存在だと学習させる意味はある」と言う。一方で「減らすだけで問題は解決しない。(人とのすみ分けなど)未然防除も不可欠で、目的である被害の減少ができたのかを後で評価しなくてはいけない。捕獲数には上限があるが、減りすぎないことを担保するためにも個体数の動向には注意しておく必要がある」と話している。

(クマの生態調査費、CFで:北海道)
絶滅が危惧されているクマの保全やヒトとの共存に向け、北海道大学大学院獣医学研究院の坪田敏男教授(野生動物学)らが研究資金を募るクラウドファンディング(CF)を行っている。目標額を1000万円に設定し、達成できれば道内外のクマの生態調査費に充てる。受け付けは15日まで。12日時点で800万円ほどが集まっている。坪田教授によると、クマは世界に8種いて、ヒグマとアメリカクロクマを除く6種の絶滅が懸念されている。一方、2023年度は国内で200人以上が人身被害に遭い、安全確保のため、8000頭が捕殺された。

(クマ被害防止に注力、誘引木伐採へ補助金など:秋田)
鹿角市鳥獣被害防止対策協議会(会長、北方康博・市農地林務課長)は12日、市役所で総会を開き、本年度の事業計画を決めた。昨年度は人里でのツキノワグマ出没や人身被害などが多発する異常事態となったことを受け、クマを誘引する樹木の伐採事業費補助金を創設。十和田高原地区や仙北市境付近の入山規制を継続するなど、被害防止に向けた各種事業を展開する。

(鳥獣農作物被害156億円、シカ捕獲など対策急務:静岡)
野生鳥獣による2022年度の農作物の被害額は約156億円で、農林水産省による調査で比較可能な1999年度以降、過去最低だった前年度より約5千万円増加した。鳥獣による被害は営農意欲の減退や離農にもつながるため、被害防止対策の推進が課題だ。農水省は鳥獣の捕獲や農地への侵入防止、生息環境の管理に取り組んできた。被害額は減少傾向にあるものの依然として高い水準にあり、農業や生態系への影響は深刻だ。農水省は鳥獣捕獲などの強化に向けた支援を進めている。都道府県別では2022年度、北海道が約56億円と最も被害額が大きかった。福岡県と熊本県が約6億円と続いた。鳥獣別ではシカの被害が最も多く約65億円で、次いでイノシシの約36億円だった。シカの被害は近年増加しており、対策が急務だ。捕獲強化を図り生息頭数を11年度の310万頭から28年度に約155万頭とすることを目指している。

(普通列車がシカと衝突:福岡)
JR九州によると、12日午前6時5分ごろ、日田彦山線採銅所―香春で上り普通列車(田川後藤寺午前5時50分発小倉行き)がシカと衝突した。この影響で同6時50分現在、同線や日豊線でダイヤが乱れている。

(今年初のクマ出没情報:北海道)
13日午前8時半ごろ、札幌市豊平区西岡の自然歩道「西岡レクの森ルート」で、通りかかった住民がクマとみられる足跡を発見し、札幌市を通じて豊平署に届け出た。市によると、市内でのクマの出没情報は、今年に入って初めて。

(小学校近くにクマ、昼休み中の児童目撃:栃木)
12日午後1時20分ごろ、日光市萩垣面、日光小近くの河川敷にクマがいるのを昼休み中だった同校児童らが目撃し、教員が日光署に通報した。体長約60センチで子グマとみられる。同校から東に約200メートルの赤沢川河川敷付近を歩いていたという。同校は児童らに注意喚起し、同署員と日光市職員が周辺をパトロールした。

(山林でクマ2頭の目撃情報:新潟)
新潟県上越市環境政策課によると、4月12日11時40分頃、市内北方地内の山林で、体長100センチメートルと50センチメートルほどのクマ2頭の目撃情報があった。上越市環境政策課では、付近の住民などへ注意喚起するとともに、クマやイノシシを見かけた際は、環境政策課や警察署などへ連絡するよう呼びかけている。

(クマ1頭の目撃情報:宮城)
12日朝、宮城県加美町の町道で、クマ1頭が目撃されました。警察が注意を呼びかけています。12日午前7時45分頃、加美町漆沢の町道でクマ1頭を目撃したと、近くを通りかかった人から警察に通報がありました。警察によりますと、クマは体長およそ1メートルで、その後、どこへ行ったかはわかっていません。けがをした人は、いませんでした。現場近くには住宅が点在していて、警察が付近をパトロールして住民に注意を呼びかけています。

(「ジビエビュッフェ」という、好きモノにはたまらないレストランに出かける:千葉)
千葉県の大半を占める房総半島は、半島ならではの特性で、奥に入れば入るほどズブズブの沼だと思う。沼、というのはネガティブな意味ではなく、「まだ見ぬ強豪が潜んでいる」という意味だ。紀伊半島でも伊豆半島でもどの半島でもそうだが、人は半島の外周に沿って移動する。海沿いには温泉があったり、海鮮が美味い港町があったりするからだ。また、古くから海運が栄えていたりもする。一方、半島の真ん中あたりは、観光客があまり立ち入らず、魔境と化す。だからこそ、そんな内陸部を探していると、「おやっ」と目を見張る、楽しい施設や食事処が見つかることがある。まさに、穴場。今回、そんな穴場を一つ地図上で見つけたので、わわざわざそれだけを目的に房総半島に車で出撃した。名前はずばり「猟師工房ドライブイン」。場所は、まさに房総半島の奥地にある。全国的に有名な水族館、「鴨川シーワールド」に行く際は君津の高速道路インターチェンジから下道に下り、「房総スカイライン」という下道をずっと走って鴨川を目指す。その道中にある。このドライブインでは、ジビエ肉の販売を行っているほか、併設レストランでジビエ料理のビュッフェが連日提供されているという。ジビエのビュッフェ!なんて素晴らしい。ジビエというのは、とても希少な存在だ。そうやすやすと食べられるものではないので、ビュッフェという食べ放題スタイルには不向きな食材なはずだ。しかし、害獣駆除やレジャーハンティングが盛んなこの土地だからこそ、こんな試みができるのだろう。わざわざレンタカー代、高速代などを払ってでも家族でウッキウキでこの地を訪れる価値はある。メガロポリス東京でも、ジビエのビュッフェは見たことがないし、たぶん無理だからだ。房総半島は害獣としての鹿、イノシシにほとほと困らされている。年々この手の偶蹄類の猛攻に里山が陥落し、彼らの生息域は広がる一方だ。人はもはや食い止めることさえできず、途方にくれている状況が続いている。さらにはここ数年、小型のシカみたいな生き物、「キョン」が房総半島で猛威をふるい始めた。ますます房総半島の農家の皆さんは大変な状況下にある。以前、僕は足繁く房総半島の鋸南町に通い、わな作りや害獣防御のための柵作りのワークショップに参加した。そのときの学びや体験は大きな人生の糧になった。残念ながら、その後鋸南町に我が身をもってご恩返しをする、というところまで至っていないが、僕なりになにかできないだろうか、ということはいつも頭に引っかかっている。また、ALSOKのジビエをふるさと納税で取り寄せた、ということもこのサイトで記事にした。その文章の中で、なぜ今警備会社がジビエに関わるのか、ということを書いている。よかったら読んで欲しい。害獣なんだからどんどん駆除して流通させればいいのだが、物騒な猟銃やわなを扱える人が足りていないのと、山奥でイノシシなどを仕留めても、それを下界まで運び下ろすのが大変すぎる問題がある。特に後者は「そりゃそうだよな」と思う話で、100キロ近くあるイノシシやシカを、山からどうやって車道のところまで運び下ろすのか問題がつきまとう。しかも、食肉とする以上、雑に山の斜面から蹴落とすといった扱いはできないし、仕留めたら速やかに大動脈から血抜きをしなければならないし、公設の食肉加工場に1~2時間程度で運び込まないといけないし。少なくとも、害獣駆除が目的である地元の農家の方々にとっては、そこまで丁寧に扱ってジビエ肉を流通させる道理はない。なので、どうしても流通量が少ないままだ。日本ジビエ振興協会のページに、「解体処理の前に」というガイドラインPDFがある。それを読むと、「なるほどなぁ」と感心させられる内容で興味深い。ジビエ肉の流通がが十分にビジネスとして軌道に乗れば、ハンター志望者が増えて害獣が駆除され、好循環が生まれる・・・というのは机上の空論で、多分そうはならないだろう。今この空前の人手不足の時代、いったいどれだけの人がハンターを目指すだろうか?なので、せめてジビエ料理を食べたりして、ハンターやジビエに関わる人たちが少しでも潤うような支援は、都会住まいの僕らとしてはやっていきたい。狩猟工房ドライブインは、迫力ある展示だ。中に入ると、まずはイノシシの剥製がお出迎え。3歳になる弊息子タケ、びっくり。いかも、梁からたぬきの皮とかがぶら下がっているので、いちいちそれらを指さして、「これは何?」と親に聞いてきた。彼は剥製に馴染がないので、この人形のような本物の動物のような存在を、何がなんだかわけがわからなかったのだろう。そして猟師工房ドライブイン、ジビエビュッフェへ向かう。朝10時からビュッフェレストランがオープンしているので、僕らはあさイチに訪れた。のんきに昼頃の到着を目指していると、東京湾アクアラインが渋滞するかもしれないし、こんな唯一無二のビュッフェレストランだから混雑する可能性を危惧してのことだ。ビュッフェレストランは14時ラストオーダー。開店が早いが、閉店も早いので興味がある人は注意。ジビエというのは、秋から春までがシーズンだ。猟期が終わるのが3月上旬だからだ。とはいえ、レジャーとしての猟期は3月まででも、害獣駆除目的であれば地元の方は年中イノシシやシカを捕獲できる。また、冷凍で流通するのが一般的な肉なので、この施設に夏訪れたからといって季節外れでメニューが物足りない、味が落ちる、ということはないはずだ。とはいえ、やっぱりできるだけオンシーズンにジビエは食べたい。そんなわけで、猟期は終わってしまったものの、3月中にこの地を訪れることができた。ちょうどこの時、日にち限定でキョンの肉が振る舞われており、この日は「きょんカレー」「きょんちん知る」「きょんのトマト煮」が特別メニューとして用意されていた。レストランで食べる時間はないのだけどジビエ料理は食べたい、という人には、テイクアウトも可能だ。「猟師工房まかないカレー」1,000円と「鹿コロ」という名前の鹿クリームコロッケバーガー500円、鹿クリームコロッケ2個500円が売られていた。まかないカレーは、猪肉のダシで煮込んだカレーに、鹿コロッケをトッピングしたものだそうだ。カレーライスの弁当で1,000円というのはちょっと高いが、特殊な食べ物なのでご理解いただきたい。猟師工房ジビエビュッフェは60分食べ放題。10:00~15:00、ラストオーダーは14:00。1名様2,480円、小学生1,480円、未就園児無料。(税別ドリンク別)「未就学児無料」ではなく「未就園児無料」という記述になっているのが「おや?」と思うが、弊息子タケ3歳は無料だった。タケは0歳から保育園に通っているので、もう2年以上就園しているのだが・・・。おそらく、小学生料金の記載があるので、「未就園児」という記述は「未就学児」と読み替えてよさそうだ。

(シカ肉でドッグフード:北海道)
登別市の地域おこし協力隊員の須藤睦子さん(52)が、札幌の企業や研究機関の協力を得て登別産エゾシカ肉のドッグフード「エゾリッチ」を開発した。2月の販売開始と同時に市のふるさと納税返礼品にも選ばれた。3月に開催された日本最大の包装展では上位の賞を受賞し、注目を集めている。

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(ライフル銃の所持許可受けず借りたか、貸した男と2人逮捕:長野)
大鹿村で狩猟を行った際、県の公安委員会から所持の許可を受けていないのにライフル銃を借りた男と貸した男の2人が、銃刀法違反の疑いで逮捕されました。借りた男も実際に弾を撃っていたとみられ、警察が詳しい状況を調べています。逮捕されたのは、いずれも飯綱町に住む会社員の前田悦儀容疑者(59)とアルバイト従業員の原田住男容疑者(71)です。警察によりますと、ことし2月10日、2人で狩猟のため大鹿村へ行った際、県の公安委員会から所持の許可を受けていない前田容疑者が、許可を受けている原田容疑者からライフル銃を借りたとして銃刀法違反の疑いが持たれています。警察は、「公道から猟銃を撃っている人がいる」という通行人からの通報を受けて捜査を進めていました。目撃情報や供述などから、前田容疑者もライフル銃で実際に弾を撃ったとみられていますが、けが人などの被害は確認されていないということです。調べに対し2人は容疑を認めているということで、警察は当時の詳しい状況や動機について調べています。

(クマ生息調査、交付金対象に)
昨年度に過去最多の人的被害をもたらしたクマについて、環境省は11日、警察庁や農林水産省などと連絡会議を開き、捕獲や調査を国が支援する「指定管理鳥獣」に今月中に追加することを報告した。都道府県による個体数調査や、市街地への出没対策支援などを、交付金の支給対象として検討していると説明した。連絡会議は、冬眠明けのクマが活動範囲を広げる春に合わせて開催。警察庁の担当者は、現行の鳥獣保護法が市街地での猟銃使用を禁じているため、人里にクマが出没した際に混乱した事例を報告した。環境省によると、昨年度はクマによる人的被害が198件、死者6人を含む219人。

(クマの被害が過去最悪、2023年度は219人が死傷しうち6人が死亡)
クマによる人への被害について、環境省は2023年度は過去最も多く最悪の状況だったとする統計をまとめました。全国で219人がけがをし、このうち6人が死亡しました。環境省によりますと、3月までの1年間でクマによってけがをしたのは219人で、このうち6人が死亡しました。いずれも統計の残る過去18年間で最悪の結果です。今月11日に政府内で開かれたクマ対策の会議では、まもなく冬眠から目覚める時期になることから、自治体や各省庁の取り組みを確認しました。また、国土交通省の河川を管理する担当者が初めて出席し、人里への侵入経路になっている川での対策も強化する姿勢が示されました。クマを巡っては、今月中にも「指定管理鳥獣」に正式追加されて保護や管理の在り方が変わることになります。環境省の担当者は極端にクマが減らないよう、まずは生息の実態を把握するのが重要だとして、「出没が多くなりやすい秋ごろまでには自治体の調査などに対する交付金などの制度を整えたい」と話しました。

(野生の死んでいるフクロウ、鳥インフルの陽性反応:栃木)
那須塩原市の森林で野生のフクロウ1羽が死んでいるのが見つかり、検査の結果、鳥インフルエンザの陽性反応が確認されました。県は、今後、詳しい検査を行い、毒性の強い「高病原性」のウイルスかどうか確認することにしています。県によりますと、8日午後2時ごろ、那須塩原市の森林で野生のフクロウ1羽が死んでいるのが見つかり、県が簡易検査を行ったところ、A型鳥インフルエンザの陽性反応が確認されたということです。県は、今後、茨城県つくば市にある国の研究機関でさらに詳しい検査を行い、毒性の強い「高病原性」のウイルスかどうか確認することにしています。フクロウが見つかった場所の消毒はすでに終えていて、今のところ、周辺にある養鶏場など鳥の飼育農場から異常の報告はないということです。県は、周辺の半径10キロ圏内で野鳥の調査を行うなど監視を強化することにしています。また、▽死んだ野鳥などを見つけた時は触らずに県に連絡し、▽感染症を拡大させるおそれがあるため野鳥への餌やりはやめるよう呼びかけています。

(北大敷地のカラス、高病原性確認:北海道)
道は8日、札幌市中央区の北大施設敷地内で3月28日に回収された野鳥のハシブトガラス1羽の死骸から、致死率の高い高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5亜型)が確認されたと発表した。今季(昨年9月以降)、道内での野鳥の感染確認は65例目。

(クマ・シカ対策強化、猟友会の年会費全額補助:北海道)
江差町は本年度、クマやシカの対策を強化する。これまでの登録ハンター向けの猟銃や保管用ロッカーなどの購入補助制度に加え、猟友会の年会費(1万6千円)も全額補助してハンターを支援。昨年は人里近くでクマの出没が相次いだことから、町民向けに電気柵の無料貸し出しを開始し、クマなどを近寄らせない対策にも取り組む。

(春グマ駆除、初の「管理捕獲」:北海道)
剣淵町は、冬眠明けなどのヒグマを残雪期に駆除する「春期管理捕獲」を西原地区の町有林周辺などで初めて実施した。近年、クマの捕獲頭数や目撃情報が増えており、人里へ近づくのを防ぐ狙い。3月28日と4月5日の2回実施し、駆除はできなかったが、地元猟友会は、データを集めて行動を分析し、対策強化に役立てたい考えだ。

(狩猟での使用禁止されているトラバサミか?:北海道)
北海道釧路市の路上で2024年4月1日、トラバサミのようなワナに足を挟まれたネコが見つかっていたことがわかりました。警察は、鳥獣保護法違反や動物愛護法違反の可能性もあるとみて情報提供を求めています。トラバサミのようなワナに挟まれたネコが見つかったのは、釧路市大楽毛西2丁目の路上です。1日午後5時半ごろ、ネコが左前足を挟まれた状態でけがをしているのが見つかりました。

(クレー射撃、中山氏が代表HCに)
日本クレー射撃協会は10日、女子で五輪に5度出場し、2022年に競技の第一線を退いた中山由起枝氏(45)が、1日付で日本代表のヘッドコーチ(HC)に就任したと発表した。中山氏は協会を通じ「選手のサポート体制を整え、みんなで志を一つにして盤石なものになるよう全身全霊で尽力します」とコメントした。栃木県出身の中山氏は、00年シドニー大会で五輪に初出場し、08年北京大会で4位。21年の東京大会は混合トラップで5位となった。引退後は、同協会のアスリート委員会副委員長を務めた経験もある。28年ロサンゼルス五輪を見据えた強化プランの構築、強化選手の選考規定の整備などに取り組む。

(冬眠明けの熊出没、早めの備えを)
暖冬傾向で、冬眠から目覚める熊の動きが今春は早まりそうだ。昨年はドングリなど餌となる木の実が凶作となり、熊の出没や、熊による人や農産物への被害が全国的に急増した。専門家は「熊が人里に慣れて定着しないよう早めの対策が大切だ」と呼びかける。岩手県宮古市の住宅街にあり、小学校に隣接するさくら公園。毎年春には花見客が多く訪れるが、昨春は熊とみられる出没情報が寄せられ、一時的に公園を閉鎖した。山林に近接し、周辺は熊の出没も多い。安心して利用できる公園にしようと、市の都市計画課は、熊など野生動物の生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授(野生動物管理学)に助言を仰ぎ、園の管理方法を見直した。まず、熊とみられる出没情報を受けて閉鎖していた公園の使用を、1カ月後に再開させた。熊の行動が活発になる早朝や夕方以降を除いて、昼間は人の出入りがあった方が抑止になるという。山内准教授は「公園の閉鎖は逆効果」とアドバイスする。次に熊の出没を未然に防ぐため、公園周囲の低木を切り、ささやぶを刈り取って見通しを良くした。住宅地や河川敷でも、草木を刈り取って見通しを良くするのは効果的だ。春を迎えてつるが伸び低木も芽吹いてくるが、その前に刈って様子が変わった、と熊に気付かせるのが大事だ。一方、音や光を発するだけでは、熊が慣れてしまい効果は薄いという。地域での熊の対策について、山内准教授は「熊の出没を行政機関に報告することが大事」と強調する。行政が出没情報を蓄積することで、対策すべき場所をつかむこともできる。「熊の出没が当たり前になって、報告しなくなるのが一番駄目。報告がなくて『出没ゼロ』と捉えられると、予算も付かない」と指摘する。

(サルの目撃情報18件、橋渡ったか:山口)
山口県周防大島町で今年、ニホンザルの出没が相次いでいる。1月に対岸の柳井市から大島大橋を渡って島に侵入するサルが目撃されて以降、今月8日現在で18件の目撃情報が町に寄せられている。町は「サルを見かけた場合は刺激せず、町に連絡を」と注意を呼びかけている。

(クマ出没の対処法を講じる十和田奥入瀬観光講座:青森)
4月に入り、北国では雪解けがどんどんと進んでいます。これからは観光シーズンのはじまりとともに、クマも活動をはじめます。近年、青森県内でもツキノワグマの出没件数が増えていて、その分布域は拡大傾向が見られます。国立公園エリアだけではなく、十和田市内全域で出没する可能性が高まっています。クマの正しい怖がり方を知り、しなやかな観光地域をつくることを目指して、十和田市及び一般社団法人十和田奥入瀬観光機構がこの度、観光関係者、農業関係者、地域住民向けに、クマ出没の対処法を内容とする「十和田奥入瀬観光講座」を開催いたします。4月19日(金)、講座は十和田市地域交流センター「とわふる」にて、NPO法人日本ツキノワグマ研究所代表者の米田一彦氏を迎え、「クマとどう向き合い、どう受け流すか」をテーマに開講いたします。なお、十和田湖畔休屋には中継会場を設けておりますので、十和田湖観光交流センター「ぷらっと」でもご聴講いただけます。

(シカが逃げ出す新商品が登場:北海道)
シカなどの野生動物による農作物への食害は生産者にとっては一大事です。そんな動物たちを畑に寄せ付けない商品が開発されました。最大の特徴は、そのにおいです。北海道内のあるシカの飼育牧場で撮影された実験の映像です。白いエサ箱に、ある液体をしみ込ませたスポンジの容器を入れます。シカが1頭エサを食べようとゆっくり顔を近づけます。 すると、次の瞬間、ピョーンと飛び上がり、その場を離れていきました。また、別のシカが近づいてきました。しかし、エサ箱に顔を近づけると、ピョーンと飛び上がり、エサを食べるのをあきらめました。シカたちが飛び上がるほど嫌うモノとは?実験を行った根室の水産加工会社を訪れました。あの白いエサ箱に入っていたのは、ここで作られた液体です。研究機関でも、「測定不能」の臭いと判定された、この液体。その正体は?吉田水産バイオ事業所 辻 宰課長 「これはヒトデ。ヒトデをミネラル水につけて発酵させている」。正体はなんと、ホタテなどを食べることで漁師たちから厄介者扱いされるヒトデです。商品開発のきっかけは厄介者のヒトデを何か活用できないか、そんな思いからでした。手始めに、漁師たちから集めたヒトデで畑の肥料を作り販売したところ、思わぬ声が届いたといいます。吉田水産バイオ事業所 辻 宰課長 「(液体肥料を)まいたあとに動物が嫌がって来なくなったという声が多かった。(忌避剤を)つくってはどうかと」。そこで、2023年8月から販売を始めたのが、ヒトデを長い間漬け込んで発酵させた液体、その名も「強臭力(きょうしゅうりき)」です。10倍から20倍に薄めて動物が入って欲しくない場所に置くだけで、半径3~4メートルに効果があるといいます。さらに、8日から新たな実験が始まりました。大手電気メーカーと開発したこちらの装置。野生動物役の記者が近づくと…。センサーが感知し、あの液体が対象物に向かって噴射されるのです。吉田水産バイオ事業所 辻 宰課長 「畑の外周とか道路の外側とか、線路の外側とか、近づいたり入れたくないところに噴霧してにおいで忌避させる」。かつては、海の厄介者だったヒトデが野生動物から森や畑を守るのにひと役買っています。

(イノシシ・シカなど野生鳥獣対策、全国初のプロ組織「テゴス」始動:広島)
野生の鳥獣による農作物の被害が後を絶たないことから、県は全県的に鳥獣被害対策に取り組む全国初のプロフェッショナル組織を立ち上げ、10日から本格的に稼働しています。鳥獣被害対策に取り組むプロフェッショナル組織「テゴス」は東広島市にある県の農業技術センターに設置されました。10日は開所式が開かれ、テゴスのスタッフのほか、開設段階で参画する県や尾道市、庄原市など5つの市町の副市長や町長などが出席しました。【鳥獣被害対策組織「テゴス」向谷敦志 代表理事】「これから会員の皆さまと鳥獣対策をと一緒になって取り組んで、ぜひとも広島県の被害額を半減するように尽力していきますので、ご協力よろしくお願いします」。テゴスは動物行動学など専門的な知識をもつスタッフで構成され、5つの市町それぞれに担当者を置き、農業者への技術指導や相談対応にあたります。県によりますと、イノシシやシカなどの野生鳥獣による農作物被害は2022年度でおよそ4億円に上り、県はテゴスの稼働などでまずは来年度の被害額を5千万円減らしたいとしています。【若木記者】広島県のシカやイノシシなど野生動物による農作物被害額の推移をみると、ピークの2010年度にはおよそ8億5千万円だったが、県は集落全体での総合的な対策に取り組み、2015年度には4億1千万円まで半分に減らした。ただ、その後はずっと4億円前後で推移し、2022年度は全国で8番目と高い数字で止まっているのが現状。Q:そこで今回稼働させるのが「テゴス」。一体、これまでと何が変わるんですか?【若木記者】これまでは県の支援を受けた各市町が国の交付金などを活用して生産者などに個別に鳥獣害対策を行っていた。ただ、鳥獣被害対策はノウハウの習得に時間がそれなりにかかる。にもかかわらず、市町の職員は3年ほどで定期異動があったりしてノウハウが蓄積しにくく、専門的な対策の実施が難しいといった課題があるのが現状だった。今回、テゴスを立ち上げたことで、県や市町はテゴスに委託して、テゴスの専門のアドバイザーが市町の選任の職員を指導、その職員が生産者に直接、個別対応を行う。市町の職員の業務が減る分、市町の職員はより俯瞰的に複数の集落を見渡したような計画的な実施に集中できるようになる。これにより、さらなる被害の抑制が期待できる。Q:より専門的になると思いますが、具体的にはどんな対策になりますか?【若木記者】それが今回の「ゲンバ推し」です。主な効果的な対策を取材してきました!若木記者】「イノシシやシカなどの侵入を防ぐ防護柵ですが、多くは間違った方法で設置されているということで、このように正しく設置することで被害を一気に防ぐことができるということです」こちらはすでに普及しているメッシュ柵と電気柵を組み合わせた侵入防護柵です。メッシュの間隔を10センチ四方にするとウリ坊の侵入も防げたり、一番下に鉄パイプを横に1本入れるだけで柵が強固になったりして被害が大幅に減るということです。また、夜間も撮影できるカメラを設置して、どんな動物が被害をもたらしているのかを知って、その動物にあった対策を実施することも欠かせません。【テゴス・向谷敦志代表理事】「各地域実情が違いますから、まずは2集落ピックアップして徹底的改善する。どんどんそれを広げていく」<スタジオ>Q:細かな工夫。ちょっとしたことだと思うが、ノウハウの継承が課題?【若木記者】職員たちにノウハウを引き継ぐのがひとつの課題だった。特に防護柵については、テゴスの代表はざっと9割くらいは間違った設置になっていて、非常に効果が少なくなってしまっていると指摘していた。また、防御するだけではなく、捕獲も大事だし、腐った野菜などをそのまま放置しない、などといった環境改善も必要だという。テゴスでは生産者や地域の住民に粘り強く説明していきたいと話していた。始まったばかりですが、どれだけ効果が出るのか期待したいですね。※「テゴス」の名前の由来…広島弁の「てごうする」=「手伝う」から命名された

(クレー射撃で急成長の新星)
競技者の年齢が比較的高いクレー射撃のスキート種目で、24歳の若者が日本勢史上初の五輪メダルを目標に歩んでいる。昨年の世界選手権やアジア大会に出場した戸口翔太郎(NKB)。4月後半にカタールで開催されるパリ五輪最終予選に向け、「あと1回チャンスがある」と出場権獲得へ奮闘中だ。陶器製のクレーが空中に放出された後、散弾銃を構えて狙い撃つスキート。麻生太郎元首相が1976年モントリオール五輪に出場した際の種目としても知られる。戸口は日本薬科大在学時、日本協会の選手発掘事業に参加したのが競技の道に入る契機になったという。子供の頃から「ガンマニア」で、親戚が狩猟に携わる環境もあった。「趣味でやろうと思ったけど、意外と頑張ればいけそうだなと」。競技を始めて2年半ほどで日本代表入り。銃を撃つ際の反動の大きさに耐えられるよう体を鍛え、数年で体重を約20キロも増やしたと笑う。「平均年齢は50歳くらい」(戸口)というクレー射撃の世界で、戸口の年齢での急成長は異例。強みは「練習と同じような点数が試合で出せる」という安定感だ。練習で1万発撃てば軽く100万円を超える経済的な負担がハードルだが、協会や所属企業の支援で充実した競技生活を送る。薬剤師の目標からは方向転換し、今春卒業した日本薬科大では「スポーツ薬学コース」で学んで専門知識を競技力向上に役立てた。クレー射撃の過去の日本人五輪メダリストは、92年バルセロナ五輪のトラップ種目で銀メダルの渡辺和三のみ。スキートで初となるメダル獲得について「不可能だと思っていない」と強調する戸口は、「銃社会ではない日本の選手が取るのも意味がある」。自身の活躍で、スポーツとしての射撃への理解や認知度を高めたいという思いを胸に秘めている。

(クマが里に下りた理由:北大とクマ)
坪田敏男(つぼた としお)教授 獣医学研究院。昨年は北海道や東北だけでなく、東京都でも目撃情報が多発するなど、全国的にクマへの関心が高まりました。環境省によると、2023年度(24年2月末暫定値)のクマによる被害者数は全国で218人で、過去16年で最多となり、深刻な問題となっています。こうした被害を受け、クマの捕獲数も9319頭と過去最多となりました。クマと人のかかわり方を、今一度考えるときが来ています。 そこで、北海道大学でクマの科学的な生態や、市街地に現れる「アーバンベア」の問題、アイヌ民族とクマの関わりなどを調べる研究者や学生を取材し、人とクマの関係を考える記事を連載します。クマへの正しい知識や理解を深めると同時に、人とクマが共存する道を模索します。昨年度は全国的に人里に下りてくるクマが多く、北海道内でも、農業被害や人的被害を防ぐために多くのヒグマが捕獲され、その数は23年度に1416頭と過去最多となりました(24年2月末暫定値、環境省HPより)。北海道のヒグマ管理の現状と課題について、獣医学研究院の坪田敏男教授に聞きました。坪田さんは、研究者や行政職員、ハンター、一般市民などが参加して人とヒグマの共存に向けて活動する「ヒグマの会」の会長も務めています。―昨年はどうして全国的にクマの被害が多かったのでしょうか。[坪田]被害が出るということは、それだけクマが人里に出ているということです。決してクマは人を襲おうと来ているわけではないのですが、クマが出没する数が増えると、人とばったり出会って襲われてしまうようなケースが確率的に増えます。人里への出没が増えた一番の要因は、クマのエサが足りなかった、ということです。特に10、11月はクマにとっては冬眠前に太らなければならない重要な時期ですが、昨年は植物の周期性で、一番大事な主食のドングリのなりが悪い年でした。本州のツキノワグマの方が、これまでは明確に、ドングリの豊作、凶作の周期性がクマの行動に影響をあたえてきました。 北海道の場合はドングリがなければ、ヤマブドウやサルナシといった果実があったり、クルミやクリがあったりしてしのげます。道内は食べ物が豊富なので、大量にヒグマが人里に出没することはこれまでありませんでしたが、昨年は異常なくらい、ヒグマが人里に出てきました。ヤマブドウや高山帯にあるハイマツの実が不作だったり、夏場に食料になるカラフトマス(サケ科魚類の一種)が川にあまり上らなかったりして、夏から秋にかけてずっとエサが足りなかったのです。そのため、これまで以上にヒグマがエサを求めて人里に出たと考えられます。それから、ヒグマの数が全体的に増えていることも一因としてあります。1990年の「春グマ駆除制度」の廃止まで、北海道は実質的にヒグマの根絶を目指す政策をとっていました。科学的な調査が行われていないので正確にはわかりませんが、道の推定で90年に5千頭くらいだったヒグマが、現在は約1万2千頭とされ、数は増加しています。―OSO18のような、家畜を襲うヒグマも話題になりました。クマに人が襲われ、犠牲者も出ています。個人や地域でできるクマ対策はどんなものがありますか。[坪田]決してヒグマが狂暴化したわけではなく、やはりクマは臆病で慎重な生き物ですので、人の存在を知らせてやれば向こうから避けてくれます。まずは出会わないために、森に入るときは声を出す、鈴を鳴らす、それで大概は防げます。人はクマの気配に気づかないですが、クマは人の存在がわかれば逃げてくれます。それから、クマは「薄明薄暮型」と言って、明け方と夕方に活動が活発になるので、その時間帯は1人で出歩かない方がいいでしょう。襲われるときは1人が圧倒的に多く、人身被害の9割は1人で行動しているときです。昨年福島町で3人が襲われたのは、非常に珍しいケースだと思います。 地域でできる活動としては、例えば、クマが出た場所を特定して、巡回して地域住民に注意する場所を知らせることでしょうか。それから、札幌市内でも行われていますが、「藪払い」といって木を伐採したり草を刈ったりして見通しをよくする方法もあります。クマは基本的に慎重な動物で、身を隠せる場所を伝って山から里へ出てくるので、開けた場所には出ません。クマが出てくるルートは札幌市内では決まっていて、豊平川とか、石狩川とか、水路を伝って出て来るので、そういった場所で藪払いをするとといいでしょう。―道内に生息するヒグマと本州のツキノワグマの違いは。[坪田]習性は基本的に同じで、臆病で慎重です。ただ、体格が圧倒的に違います。ヒグマはオスの体重が200~400キログラム、メスは100キログラムくらいです。ツキノワグマはオスが最大で100キログラム、メスは40~50キログラムくらい、俊敏性はツキノワグマのほうが高いです。あと、ツキノワグマの数はヒグマの3倍以上いると推定されます。シカ、イノシシ、サルの数はさらに多いと思います。―環境省は2月、ヒグマとツキノワグマを指定管理鳥獣にする方針を決めました。ニホンジカとイノシシに次ぐ3例目です。[坪田]指定管理鳥獣になると、捕獲を行う都道府県は国から財政的な支援を得られます。ヒグマを駆除するときにかかる経費が道の予算だけだと足りないと思うので、予算的な面でやむを得ない事情もあったかもしれません。クマは個体差や性格の違いがあって、被害を出すクマは特定の個体に限られることが多いです。数をただ減らすのではなく、危害を加えるようなクマの情報をいち早くとらえて、加害個体を駆除することが必要だと思います。一方で、シカやイノシシと同じように駆除していくとクマの数はあっという間に減ってしまい、なかなか回復することができません。―北海道はヒグマの保護管理を記した 「ヒグマ管理計画」 を策定していますが、内容についてどうお考えですか。[坪田]ヒグマ管理計画がきちんと実行されていれば多くのことは解決されていると思うのですが、それが絵に描いた餅になっていて実行性が足りていないと感じています。一番大きい問題は、地域ごとにクマなどの野生動物の専門対策員を配置していないことです。ヒグマ管理計画では、「将来、地域対策協議会等で活動する『専門対策員』等の配置を念頭においた保護管理を担う人材の育成を図る」とありますが、早急に実働部隊を地域で組織して、責任をもってクマの管理をする人を置くべきです。国内には、専門員を配置して野生生物への効果的な対策をしている地域があります。例えば、島根県や兵庫県は、ツキノワグマを含むイノシシ、シカ、サルなどの鳥獣対策を行う専門員の実働部隊があり、地域と密に連携して対策を行っています。道内でも、14か所ある地域振興局に野生動物の専門対策員を配置するなどして、地域住民と行政、狩猟者との橋渡し役となって現場の実務にあたる人が必要だと思います。農家や地域住民に対してヒグマの生態に関する正しい知識や、効果的な防除方法の普及を総合的に担えるような人が各所にいれば、できることはたくさんあると思います。―近年、クマへの注目度が高まっていますね。先生の研究活動の近況についても教えてください。[坪田]昨春、クマに関する研究のためにクラウドファンディングをして、目標500万円のところ894万円が集まりました。そこまでいくと予想しておらず、クマに関心を寄せる人の多さに驚きました。この事業では、カナダ・アルバータ大の調査チームに加えてもらい、ホッキョクグマに麻酔をかけて採血などのサンプル採取をしてGPSイヤタグを装着して放し、行動や生態の情報を収集する調査に参加しました。その内容は来年前半までに本にまとめる予定です。また、道北や道東でも同様の調査をし、ヒグマの科学的な情報を収集しました。世界的にクマの研究者は少なく、クマの生息数や生息状況、さらに生理・生態や行動圏など、わかっていることや社会に伝えられていることは多くありません。例えば、クマは冬眠中に出産します。大学院生の時にクマの繁殖生理について研究したのですが、クマの交尾期は5~6月で出産期は冬眠中の1月です。ところが、妊娠期の最初の5か月くらいは、「着床遅延」というメカニズムで胚(受精卵)の発育を完全に止めています。冬眠に入る段階で着床が起こって、出産するということを明らかにしたのが私の学位論文の内容でした。こうした冬眠や繁殖の生理についても詳細はわかっていませんし、エサが足りないとどのくらい行動圏を大きくするのかといった生態についても、まだわかっていません。 人とクマが共に生きられる未来のためには、長期的な継続した研究が必要です。今年3月からは 「人とクマが共に生きられる環境を未来へ」 というテーマで2回目のクラウドファンディングを実施しています(4月15日まで)。今回は、調査だけでなく普及啓発活動や若手研究者の育成にも力を入れる資金を得たいと思っています。―クマと人の共存を目指すうえで、伝えたいことは。[坪田]状況によっては、クマの捕殺は止むを得ないことがあります。クマを管理することは重要だと思いますが、一方で、クマを殺さなくても済むケースもあると思います。人間ができること(管理や対策)をまずやって、そのうえで、やむをえず捕殺するという手法が大事です。 アイヌ語では恵みをもたらす良いクマを「キムンカムイ」(山の神)、人を襲うクマを「ウエンカムイ」(悪い神)と呼び、クマの両面性をはっきり認識していたそうです。人間がクマの生態をよく理解することで、クマによる被害を減らしつつ、共存していくことが大事だと思います。

(クマの人的被害が過去最多に:青森)
去年1年間のクマによる人への被害が過去最多だったことを受けて、県は、被害防止に向けた対策を協議する会議を開き、注意喚起の徹底を図ることなどを確認しました。この会議は、クマに関する情報を共有し人や農作物への被害を防ごうと県が開いたもので、10日は県や警察の担当者など10人が出席しました。会議ではまず、県の担当者が去年1年間のクマの出没件数は1133件で人への被害も10件と、いずれも記録が残る中では過去最多であったことを報告しました。このほか、昨年度確認された農作物への被害は少なくともおよそ2130万円と、前の年度の4倍以上となったことから、県は、今年度も出没状況に応じてツキノワグマ出没注意報や警報を発表したり、警察と合同で被害防止に向けた訓練を実施したりすることなどを申し合わせました。そのうえで今後、山菜を採りに山に入る人が増加することが見込まれることや夏にかけてクマの活動がより活発になることから一層の注意喚起を図ることを確認しました。県自然保護課の吉田巧課長は、「県のホームページなどでクマの目撃情報などを確認してもらい、出没が確認された場所には近づかないようにしてほしい。山に入る時は1人ではなく複数で入るほか、大きな音を出せるように事前に準備をしてほしい」と話していました。

(過去最悪クマ被害、実態を把握するため5年ぶり個体数調査へ:青森)
去年過去最悪となったクマの出没や被害を受けた対策です。実態を把握するため県は5年ぶりにクマの個体数調査を行います。去年県内のツキノワグマの出没件数は1133件で、そのうち人への被害は10件とともに過去最悪でした。農作物の被害金額も2,100万円を超え過去10年で最も多くなりました。出没が増えた要因として県は餌となるブナの実が山に無く里に下りてきたと推測しています。県と警察による連絡会議では、被害拡大を防ぐため今年度センサーカメラを設置するなどして5年ぶりにクマの個体数調査を行うとともに、有識者による検討会を開いて対策に取り組みむことを申し合わせました。県自然保護課 吉田巧 課長「(クマに)近づいてしまった場合クマの動きに注意しながら決して背中を見せて走ったりして逃げるということではなくゆっくりと後退していただくということが大事だと思います」。秋田県仙北市の田沢湖畔では早くもクマが出没し捕獲される騒ぎがありました。きのう夕方店舗兼住宅の敷地で70歳代の女性が体長およそ1メートルのクマ1頭を見つけました。クマはおよそ13時間後のきょう午前6時すぎ、地元の猟友会が仕掛けたおりで捕獲されました。けが人はいませんでした。県内でもことし3月末までにクマ目撃情報がすでに11件寄せられていて、県は山に入る時は複数人で音を出すなど注意を呼びかけています。

(すみ分け対策進め共生を:青森)
ヒグマやツキノワグマによる2023年度の人的被害が過去最多を記録するなど、生息地域の拡大が問題を引き起こしている。政府はクマ類を鳥獣保護管理法に基づく「指定管理鳥獣」に今月中に追加し積極的な対応に乗り出す。この措置により都道府県による捕獲などの事業を国が補助できる。専門家との連携に加え、専門職員の確保も求められるだけに、環境省は豊富なメニューを用意し、予算や技術の面で自治体への支援を手厚くすべきだ。被害防止の基本は、人とクマの共生に向け「すみ分け」の推進である。クマは九州を除く都道府県に広く生息。指定管理鳥獣となる北海道のヒグマの頭数は30年間で倍以上となり、分布域も拡大。本州のツキノワグマも分布域が広がり、個体数は増加傾向にある。対策の前提として、地域ごとの生息頭数を正確に割り出すなど基礎的な調査をまず急ぎたい。被害増の要因として、クマの増加に加え、人口減少により中山間地域での人の活動が低下し、山林、里山の手入れが行き届かなくなったことが挙げられる。人家のすぐ近くまで見通しの利かない林になるなどクマに適した生息環境となり、人の生活圏に近づきやすくなったと分析できる。狩猟する人の減少により、「人間が怖い存在である」ことをクマが学ぶ機会も減った。この結果、木の実が凶作の年などは、人里で餌を求める「新世代クマ」「アーバンベア」たちの出没が目立つことになる。これをどう減らすかが被害をなくす鍵となる。対策としては、市街地や農地など「人の生活圏」に出没した個体の駆除・捕獲を進めることや、犬を使い追い払ったり麻酔銃で撃って捕獲したりして人への恐怖を学習させることが求められる。生活圏に近づかないよう、集落付近にある隠れ場所や移動ルートになりそうな辺りの草木を刈り払う。さらに餌となる手入れされない果樹の除去、電気柵の設置、食料ごみを屋外に置かないなどの予防策も重要である。次に、クマにとって良好な生息環境となる「保護優先地域」と、人の生活圏の間に「緩衝地帯」を設けてすみ分けを徹底する。緩衝地帯では木の伐採や捕獲などを通じてクマが出没しないように圧力をかけていく。一方、山菜採りや登山などで生息地域に入る場合は、不用意な遭遇を避けるため鈴を鳴らしたりラジオの音を大きくしたりして、できるだけ人の存在を知らせる自衛策の徹底が不可欠だ。クマ以外の指定管理鳥獣はニホンジカとイノシシで、地球温暖化から生息域が広がり、農業被害も続いている。貴重な高山植物を食べ荒らすなど影響も多様化し、これらを人が捕獲して生息数を管理するしかない。国はこの2種の個体数を23年度までに基準年(11年度)より半減させる目標を掲げていた。イノシシは豚熱という病気の流行もあり減少してきた。しかしニホンジカの目標の達成は難しく集中対策も必要だ。これを受け国は目標の達成を28年度に先送りした。このほか国内では海外から持ち込まれた動植物による被害も目立ち、生態系を守るため駆除や管理の必要に迫られている。戦略的に取り組むためには手遅れになる前、予防的な対策も併せて充実させなければならない。

(1~3月のクマ目撃件数、昨年より若干多い:青森)
県や県警などで構成するツキノワグマ被害防止連絡会議が10日、県庁で開かれ、1~3月は県内全域で11件の目撃情報があったことを報告した。冬眠から目覚めたツキノワグマの活動が本格化する時期を迎えることから、県は「山に入る時は複数人で入り、ふんや足跡を見つけたら引き返すこと」と呼び掛けている。1~3月の目撃件数11件は昨年に比べて若干多いが、冬眠明けのクマか定かではないという。昨秋はブナの結実が大凶作だったことから県は今冬の出産数は少ないのでは-と推測した。被害防止に向けた取り組みとして県は、生息状況をつかむために夏ごろに個体数推定調査を実施するほか、カメラトラップ法による個体数調査も行い、その結果を踏まえて有識者による検討会を開くこととしている。県自然保護課の吉田巧課長は「報道や目撃情報を確認して山に入るときは音の出るもの、撃退スプレーを携帯してほしい。冬眠明けのクマは刺激しないよう、子グマがいれば近くに親グマもいるので注意を」と呼び掛けた。県によると、昨年の出没件数は1133件で、記録が確認できる1992年以降で過去最多。出没件数のうち人身被害が発生したのは10件11人で、これも記録が確認できる2006年以降で過去最多だった。捕獲数も昨年は過去最多の600頭ほど。例年は200頭前後で推移しているという。昨年度の農作物被害は弘前市や大鰐町など16市町村でリンゴやブドウ、ニンジンなどが確認されており、被害面積(昨年4~12月の暫定値)は7・2ヘクタール(前年度2・2ヘクタール)、被害金額は2129万円(同496万円)と大幅に増加した。

(クマ目撃、例年にない異常ペース:秋田)
秋田県内では、冬眠しているはずの時期にクマの目撃情報が多数寄せられていて、2024年に入り過去に例を見ない異常なペースで増えている。県内の2019年以降5年間の1~3月のクマの目撃件数をみると、例年はいずれの月も数件にとどまっていたが、2024年は1月に15件、2月に20件、3月は25件と計60件に上っている。記録が残る2009年以降、最多だった2018年と2021年の計5件の10倍を超えている。2月には秋田市御所野湯本の物流倉庫でクマが3日間居座ったほか、3月下旬から秋田市手形や広面の住宅街や田んぼなどで連日クマが目撃された。県自然保護課は、2023年に人里近くで活動したクマがそのまま冬眠し、暖冬で早い時期に目を覚ましたのではないかと分析している。県は、クマの餌となる米ぬかや生ごみなどを屋外に放置しないことや、目撃した場合は速やかに自治体に連絡するなど注意を呼びかけている。

(「奈良のシカ」駆除可能エリア拡大へ、慎重な対応を要請)
国の天然記念物に指定されている「奈良のシカ」の保護計画を巡り、奈良県がシカの駆除が可能なエリアを広げる方向で検討していることが、9日の参院環境委員会で明らかになった。日本維新の会の串田誠一氏(全国比例)に伊藤信太郎環境相が答弁した。答弁などによると奈良県はシカ生息地を、奈良公園を中心とした「保護」、周辺の「緩衝」、その外側の「管理」の3地区に区分。農作物に被害を与えたシカが出た場合、管理地区では駆除を実施し、緩衝地区では特別柵エリア内での無期限飼育を行ってきた。奈良県は食害が深刻化し特別柵への収容数が限界に来ていると判断。有識者会議を立てて地区線引きの見直しなどを検討しているという。串田氏は野生ニホンジカである「奈良のシカ」の歴史を引き「駆除を進めることを良しとするような風潮が広がることは好ましくない」と慎重な対応を要請。伊藤環境相は「鳥獣の適切な個体数を守っていくという意味もある」などと理解を求めた。

(シカ食害の回復で南アルプスの植物への影響低減を:静岡)
リニア中央新幹線静岡工区(静岡市葵区)のトンネル工事を巡り、静岡市は9日夜、生態系への影響を議論する「市中央新幹線建設事業影響評価協議会」を開いた。市側は湧水減少による南アルプスの植物全体への影響を抑える策の一つとして、JR東海にシカによる食害の回復に取り組んでもらう代償案を示した。これまでJR東海は植物への影響の低減策として、移植や種まきを提示していた。難波喬司市長は会合で、シカの食害により近年、高山帯の希少種を含めた植物の減少が顕著だと説明。「シカの食害で失われた植生を回復することで、リニア事業で失われた以上の代償措置が可能」と述べた。

(ウミネコ被害に悩む住民:東京)
東京都内の東京湾や隅田川に近い地域で近年、ウミネコの鳴き声やフンの被害が住民を悩ませている。ビルやマンションに多くの巣が作られており、各自治体には連日苦情が寄せられている。法律で捕獲が禁じられるなど対応が困難だったが、自治体側は期間を限定してヒナや卵を撤去できる運用を始めたり、業者への撤去費用を負担したりするなど、徐々に対策を強化し始めた。「『ミャーミャー』とビルに反響するうるさい鳴き声と大量のフン。今年もまた来ると思うときつい」江東区で整骨院を営む男性(44)は、近くを流れる隅田川近くに集まるウミネコについて、うんざりした様子で語る。数年前から付近に飛来するようになり、昼夜を問わず鳴き声を上げ、住民を悩ませているという。「精神的にまいってしまった人もいる。生活環境への影響がとても大きい」と訴える。区によると、飛来が多く確認されるようになったのは2015年のことだ。調べてみると、10階程度の高さを持つ建造物の緑化された屋上を好み、多くの巣と卵が確認された。14年度に3件だった苦情は22年度には197件に激増。「フンで洗濯物が汚された」「一晩中、甲高い声が響いて夜眠れない」といった声が寄せられているという。野鳥研究者らでつくる「都心ウミネコ研究会」などによると、1990年代に上野動物園が保護した個体を放鳥して以降、近くの不忍池付近のマンション屋上で繁殖が確認された。2011年の東日本大震災の津波ですみかをなくした群れが、南下して繁殖したとの見方もある。隅田川周辺が好まれているのは、河川敷が広い荒川などと比べて高層建物が川に近く、好む環境に類似することにも関係があるとみられる。都環境局の担当者は「緑を増やした高層建物が巣作りの場所に狙われている。環境に配慮した結果の緑化なのに」とため息をつく。研究会の松丸一郎さん(65)は「前年に営巣した所は覚えているので、今は偵察に来る時期だ」と予測し、「急に人を襲うことはないが、ヒナが生まれる5、6月頃は威嚇してくることがあるので注意が必要」と指摘する。被害は墨田区、台東区、中央区、千代田区でも確認されている。都は自治体から情報を集め、21年度に専門家と対策について協議を始めた。巣は生物ではないため建物の管理者らが撤去できるが、鳥獣保護法により、ウミネコをむやみに捕獲したり、卵を採取したりすることは禁じられている。このため、都は22年4月、野生鳥獣の保護や管理を目的に策定する「鳥獣保護管理事業計画」を改定。繁殖する3月~8月、23区に限り、特定の業者らがウミネコの卵とヒナを撤去できるようにした。計画に基づき、22年度はヒナ約30羽、卵約600個が撤去された。ただ、過去に被害が出た場所では継続的な対策が必要で、担当者は「基本的には自衛の努力をしてもらうしかない」としている。過去9年間で苦情が3倍に増えた墨田区では、今年3月から撤去費用の補助を始めた。また、江東区は昨年度、ホームセンターで買えるテグス(釣り糸)を屋上の縁に張る方法や、防除網の作り方などを一部地域にチラシで周知した。江東区環境保全課の佐藤生男課長は「都心以外に誘導できればいいが、鳥の行動を変えるのは難しい。地域の方々に早めの対策をお願いしたい」と呼びかけている。

(サル頭数群れ単位で管理、県が新手法:長野)
県は今年度から5年間、県内のニホンザルの管理計画に、サルの群れの頭数を減らす「部分捕獲」の手法を新たに盛り込む。群れが30頭前後になるまで捕獲し、人里に来ないようにする追い払いの効果を上げる狙い。県が先月決定した。県内ではこれまで、農産物に被害を加えたサルを個別に捕獲するほか、人とサルの生活域を分けることを目的に、餌となる不要な柿の除去や電気柵設置、爆竹などによる追い払いなどを行ってきた。ただ、一つの群れの頭数が多いと、追い払いなどの効果が見込みにくいという。県の集計では、一つの群れが30頭以下なのは2割ほどで、100頭を超える群れもあった。部分捕獲は、人里で害を加えた群れが対象となり、餌付けした上で、大型の 檻おり を遠隔操作するなどして数十頭まとめて捕まえる。長期間の餌付けが必要で、その間に被害が生じる恐れがあることから、地域住民との合意が重要になるという。県は今年度、市町村向けに、部分捕獲の知識や技術などを学ぶ研修会の実施を予定する。県森林づくり推進課は「手法を広く知ってもらい、サル被害をなくしていきたい」としている。県内のニホンザルの推定生息数は2022年度末時点で、約1万1000~1万6000頭とみられ、約210~310群の群れがあるとされる。同年度のニホンザルによる農作物の被害額は約6800万円に達し、マツタケやシイタケなどの林業被害は約240万円だった。

(市街地でイノシシ目撃情報相次ぐ:宮城)
気仙沼市の住宅地などで4日以降、イノシシの目撃情報が相次いでいる。同一の個体とみられ、市には連日、10件ほど目撃情報が寄せられている。商業施設付近や民家敷地内に出没したケースもあり、気仙沼署とともに注意を呼びかけている。

(民家直近で体長約1mのクマ:新潟)
新潟県見附市杉澤町の県道で8日午後6時ごろ、体長約1mのクマ1頭が目撃されました。通行人が目撃し、通報しました。警察によりますと、目撃されたのは民家からは10mほどの場所で、警察が注意を呼び掛けています。新潟県内では、小千谷市岩沢地区(桂地内)でも8日午後1時半ごろ、体長約1mのクマが目撃されました。小千谷市は、これからの季節は、冬眠から目覚めたクマが餌を求めて活発に山中を動き回るとして、クマに遭遇しないように安全対策を心掛けるよう呼び掛けています。

(クマ目撃:北海道)
8日午後2時50分ごろ、豊頃町大津の国道336号で、車で走行中の男性が道路を横断するクマを目撃した。人や家畜への被害は確認されていない。

(クマ目撃:福島)
警察によりますと8日午後8時45分ごろ、福島県会津美里町勝原西勝で、町道を車で走行していた40代の女性が、道路を横断するクマ1頭(体長約80センチメートル)を目撃しました。クマはその後、水田に立ち去り、これまでに周辺でクマによる被害は確認されていないということです。警察は、会津美里町に情報提供するとともに、付近の警戒にあたっています。

(体長50cmのクマと取材班が遭遇:秋田)
クマの目撃が相次ぐ秋田市広面で8日、秋田朝日放送の取材班がクマと遭遇しました。すぐ近くには住宅街が広がっていて警察などが注意を呼び掛けています。8日午後0時40分ごろ取材班が秋田市広面堤敷の休耕田を訪れたところ、体長50cmほどのクマと遭遇しました。警察によりますとこの場所では先月29日から4日連続で、今月4日からは3日連続で同じ個体とみられるクマが目撃されています。休耕田の西側には住宅街が広がっていて、およそ200m先には病院や商業施設などもあり多くの人が行き交う場所です。午後1時すぎには周辺住民に注意を呼び掛けるため盾を持った警察官が到着しました。取材班の到着からおよそ30分ほど休耕田の中を行ったり来たりしていたクマですがこの後人の気配を感じたのか動き出します。クマは山の奥へ逃げていき、秋田市や秋田県の職員があたりを探しますが姿は見当たらず網での捕獲はできませんでした。秋田市ではこのクマを捕獲しようと5日に箱わなを設置しました。中には米ぬかとハチミツを混ぜたエサを入れていて毎朝中の様子を確認しているということです。秋田県警によりますと県内では今年に入ってから7日までに69件のクマの目撃情報が寄せられているということです。

(クマ、小屋に入り込む:秋田)
9日午後4時50分ごろ、秋田県仙北市西木町西明寺潟尻の住宅兼店舗で、住人が敷地にクマがいるのを目撃して爆竹を鳴らしたところ、クマは敷地内の小屋に入り込んだ。県警仙北署によると、中にとどまっており、猟友会が出入り口に捕獲用のおりを設置した。署によると、クマは体長約70センチ。けがをした人はいない。

(住宅軒下で子グマ見つかる:岩手)
9日正午すぎ、八幡平市の住宅の軒下に子どもとみられるクマ1頭がうずくまっているのが見つかり、およそ2時間半後、猟友会によって捕獲されました。クマは山に放したということです。9日午後0時15分ごろ、八幡平市亦戸川原の住宅で「クマがいる」と近くに住む人から警察に通報がありました。警察が確認したところ、住宅の勝手口の脇付近の軒下に子どもとみられるクマ1頭がいたということです。パトカーのサイレンで追い払おうとしたもののクマは弱っている様子で、丸まって動かなかったということです。そのあと、駆けつけた猟友会が爆竹を鳴らしましたがそれでも動かず、周囲を囲んだ上でおりを設置して様子を見ていたところ、午後2時40分ごろにおりに入ったということです。クマはその後、市内の山に放されたということです。警察によりますと、けがをした人はおらず、物を壊されるなどの被害もなかったということです。現場は、住宅が点在する山あいの地域で、警察はパトロールを行って付近住民に注意を呼びかけたということです。

(田沢湖「たつこ像」近くにクマ出没:秋田)
9日午後5時20分頃、秋田県仙北市の田沢湖西側で、小屋にクマが入ったと110番があった。周辺はブロンズ製の「たつこ像」や売店がある観光スポット。クマは午後9時現在、捕獲されておらず、県警が警戒している。けが人はいないという。県警によると、同日午後4時50分頃、クマを目撃した近くの70歳代女性が追い払おうと爆竹を鳴らしたところ、女性宅敷地内の小屋に逃げ込んだという。クマは体長約70センチ。市などが捕獲するため小屋の出口に箱わなを設置し、県警仙北署員が周囲を警戒している。女性によると、小屋では薪(まき)を保管しているといい、「近くに観光客がいなくてよかった」と話した。2月下旬にも周辺でクマの目撃情報があったという。

(ヒグマを"完全分解"してしまう装置が初完成:北海道)
駆除したシカやクマの死骸を微生物などを使って分解する北海道初となる処理施設が北海道南部の福島町に完成しました。福島町に完成した「有害鳥獣減容化施設」は、駆除したヒグマやエゾシカの死骸をタンクに入れたあと微生物を使って分解し、最終的に水と炭酸ガスにしてしまうものです。これまで死骸は可燃ごみとして扱っていましたが、施設の完成により解体処理の効率化が期待されます。4月11日、町で竣工式が行われたあと、実際にシカ1頭を装置に投入する様子が報道陣に公開されました。総事業費は約1億500万円で、1日120キロの処理を想定しています。地元福島町のハンターは基本的に持ち込み無料となっています。福島町では大学生がヒグマに襲われ死亡するなど、2021年から2023年にかけてヒグマによる人身事故が相次いでいます。

(臭み抑えたシカ肉が人気:北海道)
エゾシカ肉やクマ肉の加工、販売を手がける。酪農を営む傍らエゾシカの解体を行っていたが、2015年に離農し、加工業に一本化した。23年は約4千頭のエゾシカと約10頭のヒグマを解体した。

(駆除エゾシカの命を紡ぐライダースジャケットブランド:北海道)
Yuku Deer Leather Wearsは100%野生エゾ鹿レザー・100%植物タンニン国産鞣しレザー!・100%国内縫製!の高価格鹿革ジャケットで、駆除エゾ鹿の利活用を推進するブランドです。

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(被害額を650万→14万にした独自の対策:三重)
伊賀市の「比自岐地区獣害対策協議会」が独自の取り組みで、シカやイノシシなどの有害鳥獣による農業被害を大幅に減少させた。地域住民も協力する侵入防止柵などの維持管理と、三重県農業研究所(松阪市)の協力による情報通信技術(ICT)の活用が効果を上げ、農林水産省からも表彰された。3月下旬の朝8時ごろ、小雨の降る中で、比自岐地区の地元住民7人が集まった。7人は山林と田畑の境に設置された高さ約2メートルの侵入防止柵を点検し、補修作業を進めた。「シカがフェンスを跳び越えるときに脚や腹がひっかかり、柵が曲がってしまうんです」。協議会会長の森本寿一さん(73)は、繰り返される被害について語った。

(ヒグマ「穴狩り」の伝統をつなぐ:北海道)
全国でクマによる人身被害が急拡大する中、国内最大級の陸上動物・ヒグマが生息する北海道で雪が残る春先に捕獲し、人里への出没を抑える対策が本格化している。「絶滅政策」と批判された春グマ駆除が廃止されて30年余り。人里周辺に限って再開が認められた伝統的な「穴狩り」に記者が同行した。穴狩りとは、ヒグマが山で木の根元などに穴を掘り、その中で冬眠する習性を利用した狩猟法。江戸時代の資料によると、アイヌ民族が残雪期に山に分け入って冬眠中のヒグマを狩っていたことから、「穴熊猟」ともいわれる。3月10日午前8時、北海道南部の渡島(おしま)半島にあるベテランハンターの男性(70)宅に、40代のハンター4人が集まった。車に分乗して5分ほど。牧草地で降りるとスノーシューを履く。雪原を40分ほど歩くと、小雪の舞う山際に着いた。この日は男性が昨春までに見つけた四つの穴を巡る。ヒグマが中にいる場合の配置を男性が説明する。「俺が穴を棒でつつく。撃ち手は穴の上に2人、俺の後ろに2人。クマが出てきたら首を狙え」。若手の一人は「いきなり出てくるクマもいるんですか」と質問すると表情を引き締めた。穴狩りは1990年の春グマ駆除廃止とともに禁止された。経験者は少なく、男性は熊撃ちだった父からやり方を教わった。「穴からのそっと出てきた母グマを撃ったら、子グマが飛び出してきて逃がしたな」。かつての体験を若手に語った。ハンターたちはスノーシューを脱ぎ、道なき急斜面を背の低い木やササをつかみながら登っていく。冬眠明けのクマに出合えば捕獲する構えは崩さない。記者は安全対策のためクマ撃退スプレーを腰に携行した。スギの植林地を20分ほど登ると、穴がある場所の上に出た。「穴の下から近づかないのが鉄則」。男性が話す。全員が猟銃に弾倉を装着する。男性の指示で若手がその場で背の低い木をナタで切り、穴をつつくための2メートルほどの棒を作った。

(イノシシの「ある習性」がゴルフ場への被害を拡大!? )
野生のイノシシは、人間の目を盗んでゴルフ場に侵入し、様々な被害を与えるといわれています。イノシシがゴルフ場に及ぼす害とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。ゴルフ場は、かつて山林や丘陵が広がっていた場所に建設されていることが多いので、周囲には自然が広がっています。そのため野生動物が迷い込んでくることもありますが、なかにはゴルフ場に被害を与える「害獣」も含まれており、その代表例としてイノシシが挙げられます。では、イノシシを始めとする害獣はゴルフ場に対してどのような影響を及ぼすのでしょうか。全国でゴルフ場運営を行う株式会社東急リゾーツ&ステイの広報担当者は以下のように話します。「ゴルフ場の芝生の下の土には、ミミズや小さな虫が生息しています。イノシシはゴルフ場内に潜んでいるミミズや虫といったエサとなるものを食べるために侵入し、鼻を突っ込んで芝を土ごと掘り返してしまうので、特に厄介な害獣といわれています。一度忍び込まれると、周りの仲間にもエサが豊富にあることが伝わって集団で入られるので、何も処置していないとフェアウェイやラフが穴だらけになって、ラウンドどころではない状況と化してしまいます」。「イノシシが地面を掘り返すのにはエサを求める以外にも理由があります。全身に土をかける『土浴び(泥浴び)』をすることによって、体に付着した寄生虫を除去したり、体臭を消したりしているそうです。イノシシが土浴び(泥浴び)をする場所は『ヌタ場』と呼ばれ、実は一般的なイメージよりもきれい好きな動物です」。「ほかにも、イノシシと同じくらいシカによる被害も大きく、芝を食べてしまうだけでなくコロコロとした小さな糞が大量に転がっていることもあるので、ゴルフ場としては非常に困っています。さらに、カラスもゴルファーから敬遠されがちな存在で、お客様が持ち込んだお菓子などがカート内においてあるのを察知して物色したり、時として落ちてあったボールもくわえて持っていったりしてしまうこともあります」。では、ゴルフ場はイノシシなどの害獣が寄って来ないようにするために、どのような対策を練っているのでしょうか。広報担当者は以下のように話します。「基本的には、コース全体に電気が流れる柵を張り巡らせて、内部に入らないようにしています。少しでも体が電気柵に触れるとかなり強い刺激が走るので、動物はびっくりしてその場から立ち去ります。イノシシは特に学習能力が高いといわれているので、一度危険な場所だと覚えたらあまり戻ってこなくなるとされます」。「ところが知能の高さが裏目に出て、突破できる隙があったら飛び越えたり、トンネルを掘ったりして再び侵入してしまうこともあり、そのような場合は地元の猟友会に依頼をして駆除してもらっています。ほかには、ホームセンターでも売られている『オオカミのオシッコ』を通りやすい場所に染み込ませることによって、害獣に『オオカミの縄張りに誤って入ってしまった』と勘違いさせ、寄せ付けにくくしています」。「電気柵には5000~10000ボルトの電流が流れていて、人間が触ると簡単に感電してしまいます。昼間はゴルファーが通りかかることもあってオフにしているのが通常ですが、本来イノシシは昼行性であることから最近は営業時間中でも目撃される事例が増えています。そのため1日中電気を流しているゴルフ場も多く存在し、柵の近くに落ちたボールを打つ際は十分に注意が必要です」。イノシシを始めとする害獣たちは、決して悪気があってゴルフ場内に入り込んでいるわけではありません。しかし、ゴルファーの安全やコースを保護する観点からこのような策を施すのも、ゴルフ場を運営する企業の大切な仕事といえるでしょう。

(相次いでクマの目撃情報:新潟)
4月7日、新潟県五泉市で体長約1mのクマ1頭が、小千谷市でも体長約1mのクマ1頭が目撃されました。人的被害はありませんでしたが、これから冬眠明けのクマの出没が増えることも予想されることから、警察は注意を呼びかけています。7日午前8時ごろ、五泉市一本杉の住民から「五泉市安出の滝谷川付近の能生津でクマ1頭を目撃した。クマは南東方向の山に移動していった」と警察に通報がありました。クマの体長は約1mだったということです。付近には畑や田んぼなどがあり、農作業をしている人もいたことから、警察が注意を呼びかけています。一方小千谷市岩沢では午前8時50分ごろ、通行人から「線路を挟んだ反対側の場所に体長約1mのクマが1頭いた。すぐに山林のほうに去って行った」と警察に目撃情報が寄せられました。目撃地点から60mほどの場所には住宅が複数あることから、警察は周辺住民に注意を呼びかけています。警察は冬眠から目覚めたクマが出歩いていた可能性もあるとして、早朝に出歩かないなど注意を呼びかけています。

(遊歩道で”クマを見た”と通報:北海道)
7日午後、登別市の鷲別岬につながる遊歩道でクマを見たという通報が寄せられ、警察などが注意を呼びかけています。7日午後1時半ごろ、登別市鷲別町の鷲別岬につながる遊歩道で「クマを見た」と登山をしていた20代の女性から警察に通報がありました。女性は市街地から徒歩で10分ほど山に入ったところで、体長1メートルから1.5メートルほどのクマ1頭を見たと話しているということです。足跡やフンなどクマがいた痕跡は確認されていませんが、現場が市街地に近いことなどから、警察や市はパトロールのほか看板を設置するなどして、注意を呼びかけています。

(川沿いでサル1匹目撃:栃木)
6日午前9時ごろ、塩谷町田所の川沿いにサル1匹がいるのを近隣住民男性が見つけ、矢板署に通報した。体長は不明だが成獣とみられる。矢板署によると、現場は田所下公民館から東に約360メートルで周辺は田園地域。

(「おうちでジビエ」レシピ集:京都)
京都府中丹広域振興局は、シカ肉やイノシシ肉などジビエ(野生鳥獣肉)料理のレシピを集めた冊子「おうちで楽しむジビエ」を発行した。家庭で使いやすいよう、以前作成した時より小型化した。掲載レシピは、これまで3回開催した家庭向けジビエ料理コンテストで入賞した11種類と、ジビエ販売店などから提供を受けた8種類の計19種類。「鹿肉だんごの黒酢あん」や「イノシシの柳川煮」といった主菜に加え、「鹿肉のサラダ」といった副菜も盛り込んだ。ジビエを調理する際のポイントや購入できる店舗も紹介している。同様の冊子は2020年にも作ったが、A4判と大きく扱いづらかったため、今回は半分のA5判にした。同振興局農商工連携・推進課は「ジビエ料理を楽しむ入り口になれば」と期待する。冊子は29ページで、4千部作成。福知山、舞鶴、綾部各市の府総合庁舎や市役所などで無料配布している。

(駆除したクマのソーセージを生産・販売:青森)
青森県津軽地方で駆除したクマをソーセージに加工して、狩猟文化の存続や農作物の食害防止につなげようと、弘前市のハンター盛英吾さん(40)が「津軽熊ソーセージ」の生産・販売を始めた。県内では昨年、クマ被害が急増した一方、ハンターの減少と高齢化が進む。盛さんは、「事業をハンターと農家の助けにつなげていきたい」と意気込む。津軽熊ソーセージは、弘前市を中心に人里に現れたり、農作物に被害を与えたりして駆除されたツキノワグマを原材料にしている。盛さんが昨年11月、ソーセージを生産・販売する会社「ジビエつがる」を起業し、同12月中旬から販売を始めた。ハンターとして、駆除したクマを地中に埋めたり、焼却したりして廃棄せざるを得ないという現実に直面したのがきっかけだ。「奪ってしまった大事な命を無駄にしたくない」との思いから、廃棄されるはずだったクマ肉をソーセージとして有効活用する仕組みを考えた。設備や技術が必要な加工は県内外の事業者に依頼し、ジビエつがるは、クマの引き取りや販売などを担当する。県自然保護課によると、県内では昨年、クマの出没件数が1133件、人身被害が10件となり、いずれも統計開始後、最多を記録した。捕獲数は前年に比べ4倍の598頭に上った。クマの食害も深刻だった。弘前市小沢地区のリンゴ農家(48)の畑では昨年、被害額が例年の2倍を超える、100万円以上に増加した。現在、同地区には猟師が一人もおらず、オリなどのワナをかけることもできない。ジビエつがるの取り組みを、「クマが地域資源になったら助かるし、食べてもらえるとわかれば、ハンターも増えるかもしれない」と期待する。盛さんは、「クマが駆除されることなく、人間と共生できる環境が理想」と話し、廃棄されるクマを減らし、農作物を守ることを目指している。そのため収益の一部は、農地をクマから守る電気柵の敷設にあてる方針だ。ハンターの後進の育成にも役立てようと考えている。現在、五戸町のキャンプ用品店「フェニックスライズ」の店頭やネットショップなどで販売している。同店の赤坂太樹代表は、「キャンプにぴったりで売れ行きは好調」と話す。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、8日早朝、仙台市青葉区作並にクマが出没しました。

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(野生イノシシから豚熱確認:岩手)
岩手県は4日、洋野町で死亡後に捕獲された野生のイノシシ1頭から、豚熱(CSF)の感染を確認したと発表した。

(道の対策遅さに専門家が抗議、オジロワシが鉛弾のみ込み死ぬ:北海道)
厚真町で昨年2月、猟銃で撃たれたエゾシカの肉を食べたオジロワシが鉛弾をのみ込んで中毒死した。この問題で道の対応が進んでいない。道条例は7ミリ以上の鉛弾の使用を禁止しているが、オジロワシの体内にあった鉛弾は規制対象外だった。道はハンターに実施した鉛弾の使用に関する調査結果を基に対策を検討する予定だが、専門家は対応の遅さに抗議の声を上げている。猛禽もうきん 類医学研究所によると、昨年2月11日、厚真町でオジロワシが衰弱状態で見つかり、翌12日に死んだ。胃から、水鳥猟用の3ミリ程度の鉛散弾5粒とエゾシカの体毛が確認されたが、水鳥の羽毛などはなかった。斉藤慶輔代表は、エゾシカの肉をついばんだ際に鉛弾をのみ込んだ可能性が高いと指摘する。オジロワシやオオワシなど希少な鳥が生息する道内では、鉛中毒を防ぐためエゾシカなど大型鳥獣の狩猟で鉛弾の使用が禁止されている。一方、斉藤代表が道猟友会釧路支部に聞いたところ、獲物を仕留めきれなかったりわなにかかったりした場合、至近距離からとどめを刺す「止め刺し」をする人がいると説明を受けた。この際、規制の対象外で安価な水鳥用の鉛弾を使うことがあるという。道野生動物対策課によると、調査は道内の狩猟免許所有者約2000人を対象に昨年6月から実施。エゾシカの捕獲で規制されていない鉛弾を使った経験の有無や時期、場所、頻度などを質問し、1900人弱から回答を得た。道は調査結果を基に、具体的な対応を考えるという。この事案については、昨年2月20日に釧路市で行われた環境省オジロワシ・オオワシ保護増殖検討会で、斉藤代表が報告。道自然環境課の担当者は「対応する」と述べ、検討会の座長も「道条例の規制には穴があることがわかった。対策を考えてほしい」と要望した。しかし、今年2月26日に開かれた検討会で、道自然環境課の担当者は対策について「考えたい」と回答。斉藤代表は「しっかり対策を講じてほしい」と強く抗議した。環境省は2025年度から全国の狩猟を対象に鉛弾の使用を規制する作業に入り、30年度までに野生鳥類の鉛中毒ゼロを目指す方針を表明している。

(エゾシカ関連事故年5000件超、「マップ」で防げ:北海道)
北海道は「交通安全度」が悪化傾向にある。特に人口10万人あたりの事故による死者数は他の都府県と比べて多い。エゾシカに関連する事故も年間で5000件を超え、道や北海道開発局などは対策を急いでいる。①自動車保有台数あたりの事故件数、②人口10万人あたりの死者数、③同負傷者数――をそれぞれ偏差値に換算し、3項目の平均値で作成した「交通安全度ランキング」によると、北海道は2023年に全都道府県で14位(53)だった。ただ10年間の改善度をみると、5ポイントの低下となり44位に沈む。特に人口10万人あたりの死者数の偏差値は23年に44となり、10年間で6ポイント下がった。北海道の人口10万人あたりの死者数は全国平均を上回っていることを指す。かつて北海道は都道府県の中で交通事故の死者数が最も多い時期が長かった。近年は高規格幹線道路の整備などを背景に減少し「ワースト」を返上できているものの、23年の道内死者数は全国で4番目に多い131人で依然高水準だ。北海道のドライバーを悩ませるのは冬場のスリップや単調な直線道路のみではない。近年街中でも出現する機会が増えたエゾシカもそうだ。23年、エゾシカと衝突したり、よけて対向車と接触したりといった事故は道内で5287件起き、7年連続で最多となった。10年前に比べて3倍近くに増えている。エゾシカが原因となる事故は死傷者が出るケースこそ少ないが、運転者の経済的な負担は重くなりがちだ。日本損害保険協会北海道支部によると、22年度のエゾシカとの衝突事故による車の修理費(車両保険金支払額)は平均55.8万円に上る。自動車保険の契約内容によっては、エゾシカのような野生動物との衝突事故が車両保険による補償の対象外となるケースがある。動物保護の観点でも事故防止は急務で、道や道開発局は対策を講じている。23年、北海道北広島市に誕生したプロ野球・日本ハムの球場を中核とする「北海道ボールパークFビレッジ」。札幌方面からのアクセス向上を図るため整備された道道きたひろしま総合運動公園線の南側には、シカが道路に侵入するのを防ぐ柵が設置されている。今後は北側でも整備を進める計画だ。「ロードキル」と呼ばれる野生動物の交通事故被害を防ぐ狙いがある。一方で防鹿柵は生態系の分断を招く可能性があるほか「設置によってシカが住居敷地内などに入り込みやすくなることも考えられ、整備には地元住民の理解が不可欠だ」(道開発局)という。防鹿柵だけに頼るのではなく、道路の舗装面に車両が通過すると特殊な音が鳴る溝を設けてシカよけを図るなどの取り組みが進む。一番取り組みやすい対策はドライバー自身が注意しながら運転することだ。道開発局は注意を促す看板や道路標示の整備とあわせ、エゾシカとの衝突事故が起こりやすい道路を示す「エゾシカ衝突事故マップ」を作成。ウェブサイトで閲覧できるようにするほか、道の駅などで配布している。道開発局は「衝突を避けるために大事なのはスピードダウンと視界の確保だ」と呼びかける。マップを参考にしながら、夜間などは適宜ハイビームも活用して運転する必要がある。

(クマ調査でCF、生態解明でクマと共生する未来を目指す:北海道)
世界のクマを研究している北海道大学大学院の研究室「野生動物学教室」が研究費用をクラウドファンディング(CF)で募っている。CFは2度目で、集まった資金は、国内のみならず世界のクマの生態解明に向けた調査や若手研究者との共同研究などに使う。人とのあつれきを防ぎ、クマの保全にもつなげたい考えだ。昨年度は全国でもクマによる人身被害が相次ぎ、北海道内では2人が亡くなった。同大学院の坪田敏男教授は「ヒグマの生態は科学的に解明されていないことも多い。生態を知ることで、被害を防ぐための対策にもつながる」と話す。一方、世界に8種いるうち、ホッキョクグマやナマケグマなど6種が絶滅の危機にあり、保全が課題になっているという。クマの研究者は世界的に少なく、若手研究者との共同研究も進めたい考えだ。昨年のCFでは、677人から894万3千円が集まった。カナダではホッキョクグマにGPSを装着して行動情報を収集。親子グマの観察や捕食されたアザラシの死体の捜索などを行ったという。調査結果をもとに、将来的に推定されるホッキョクグマの生息状況などを発表する予定だ。他にも、ネパールでは痕跡調査を実施。標高3834メートルでのヒグマの撮影に成功し、数十年ぶりに同地区での生息を確認できたという。CFは15日まで。第1目標の500万円は達成し、次の目標として1千万円を目指している。

(イノシシ、ドングリ凶作で人里に出現か:沖縄)
畑を食い荒らすイノシシやカラスなどから農作物を守ろうと、沖縄県国頭村が実施する有害鳥獣の買い取り事業で、2023年度のイノシシ買い取り数が過去最高の772頭に上ることが6日までに分かった。イノシシの餌となるドングリの凶作で、人里に降りて来ている可能性がある他、村がこれまでの銃猟に加え、わなを設置して捕獲数を伸ばしていることが主な要因だ。

(「キャンパスはクマの国の中だ」:秋田)
留学生にクマに対する知識を深めてもらおうと、国際教養大(秋田市雄和椿川)で4日、講演会が開かれた。秋田県ツキノワグマ被害対策支援センターの近藤麻実さんが講師を務め、クマの生態や出くわした際の注意事項などを英語で説明。4月入学の留学生約90人が真剣に聴き入った。秋田市郊外の丘陵地帯にある国際教養大は授業を英語で行い、学生に留学義務を課すなど特色あるカリキュラムで知られる。近藤さんはキャンパスの周辺環境について「クマの国の中にある」と指摘。クマに出合わないためには、話し声やラジオ、クマよけ鈴などの音で「人がいるということをクマに知らせることが大事だ」と強調した。近藤さんはまた、コンピューターシミュレーションの結果を参考に、クマは陸上競技の男子100メートル走の世界記録保持者、ウサイン・ボルトさんより速く走ると説明。「遭遇しても走って逃げずに、ゆっくり後退して離れること」と注意するとともに、襲われてしまう最悪のケースでは、手で首や頭を守るようアドバイスした。留学生が「子グマとなら戦って勝てるだろうか」と質問すると、近藤さんは「小さいクマでも爪は頑丈」と、子グマの手の剥製を示して、注意を促した。昨年度はクマの餌となるブナの実が凶作で、クマが人里に出没するケースが各地で相次いだ。秋田県内では全国のクマ被害の3割強に当たる70人が負傷。環境省は今月中にも四国を除く全国でクマを指定管理鳥獣に追加、捕獲を国が支援する方針だ。

(観光地にクマ出没!3つの要因)
観光地で、クマの出没が相次いでいます。今年の春は特に注意が必要だということですが、なぜでしょうか。動物研究家のパンク町田さんに話を聞きました。“飲食店の匂い”クマの出没に影響?(Q.パンク町田さんによると、今年の春は“3つの要因”が重なっているそうです。それが「匂い」「環境」「経験」です。まず「匂い」とは?)。パンク町田さん「匂いですが、クマはもともと鼻がものすごくいいんです。簡単に言うと、イヌと同じぐらいいいです。それに加えて、去年は不作で山の中の実りが悪かったわけです。その状態で冬眠していますので、お腹が空いた状態で街・人混みからいい匂いがすると、より敏感になるということかなと思います」。(Q.イヌと同じくらい嗅覚が鋭いということですが、どのぐらいの距離まで鼻が利くのでしょうか?)。パンク町田さん「匂いの種類にもよりますが、最大で3キロぐらい、普通でも1キロから2キロぐらいの範囲の匂いは感知することができます」。(Q.観光地というと、私たち人間にもいい匂いがたくさんあります。クマが好むのは人間と同じような匂いですか?)パンク町田さん「人間と全く同じではありません。クマは甘いものが好きなので、熟しすぎた果実の匂いや腐敗が進んだ食べ物の匂いなど、甘みが増した食べ物に敏感です」。(Q.観光地では、どういったところに注意が必要になるんでしょうか?)。パンク町田さん「人間がその場で食べているものよりも、捨てられているゴミ箱などに、残飯に興味を持つと思います」。(Q.例えば、観光地に設置されているゴミ箱など、ふたが開いているものもありますよね。捨てやすくするために)。パンク町田さん「対策としてふたをするというのは、良いアイデアかもしれません」。(Q.続いて「環境」とは?)パンク町田さん「特に山沿いの観光地は、緑や自然が売りです。ですから保全をしていくわけですね。山を保全すると環境が良くなりますので、そうなればクマたちも増えるということです」。(Q.ただ、観光地には多くの人が訪れます。本来は「臆病」と言われているはずのクマが、なぜ観光地に近付いてくるのでしょうか?)。パンク町田さん「去年、クマたちは食べ物が不足して困りました。そのために恐る恐る人のそばをうろつくようになったんですね。それで人慣れが進んでしまいました」「もう一つは、一緒に行動している子グマたちは母グマのまねをします。母グマと一緒に行動していると、子グマたちも『人間はそんなに怖くないんだな』と学習しやすくなりました。そういう環境です」。(Q.今おっしゃったことは、3つ目の要因「経験」になってくるということですか?)。パンク町田さん「そうですね。これがクマが経験したことですね。クマはものすごく学習能力が高いんです。頭が良いというとイヌやサルなどが有名ですが、実はクマも霊長類とイヌの中間ぐらいの知能を持っているのではないかと言われています。それほど頭がいい動物です」。(Q.今年は観光地の匂い、自然などの環境、そして去年の餌(えさ)不足による経験が重なっているということです。では、どういったことに注意すればいいのでしょうか?)。パンク町田さん「観光地には人が集まります。仮に子グマがいても、くれぐれも可愛いからといって餌付けをしたり、食べ物をそこら辺に捨てて行ったりすると、またクマが学習してしまいます。『人間を脅せば餌が出る』『街に行けば餌が簡単に手に入る』と覚えますので、そういうことにならないように、餌付けをしないことが大切です」。(Q.もし遭遇したとしても、落ち着いて行動することが大切でしょうか?)。パンク町田さん「急に後ろを向いて逃げるとか、急に騒ぐとクマはパニックを起こします。人を襲いやすくなりますので、そういうことがないように人間も冷静に対応することが重要かと思います」。

(ヒグマ「穴狩り」、伝統つなぐ:北海道)
全国でクマによる人身被害が急拡大する中、国内最大級の陸上動物・ヒグマが生息する北海道で雪が残る春先に捕獲し、人里への出没を抑える対策が本格化している。「絶滅政策」と批判された春グマ駆除が廃止されて30年余り。人里周辺に限って昨年再開が認められた伝統的な「穴狩り」に記者が同行した。

(個人情報を含んだファイルを誤って添付:静岡)
静岡県は、野生イノシシの豚熱検査の結果を市町の担当者にメールで送る際に、誤って個人情報を含んだファイルを添付していたと発表しました。誤って送付していたのは、野生イノシシの捕獲者4人分の氏名と電話番号です。県によりますと、県畜産振興課が定期的に行っている野生イノシシの豚熱の検査結果について、4日午後2時26分、職員が県内35市町の野生イノシシ担当課などに送ったところ、4人分の個人情報を含んだファイルを誤って添付したということです。送信した職員が9分後に気づいて発覚。捕獲者4人全員に電話で陳謝したほか、送信先の関係機関に削除依頼をして了承を得たということです。県畜産振興課は今後、個人情報が含まれていないことを複数の職員で確認して送信すること徹底し、再発防止に努めることにしています。

(飲まず食わずで春を待つか、計画貯蔵の餌でしのぐか)
大きいものだと数百キロにもなる巨体でありながら、冬の間は飲まず食わずで過ごし、そのうえ出産までしてしまう――。私たち人間には想像もつかない“大仕事”を、平然とやってのける動物は何でしょう。答えは、クマです。日本に生息するクマは、北海道のヒグマと本州・四国のツキノワグマの2種類。いずれも冬は大木の根の下や岩の隙間などに作った「冬眠穴」に入り込み、ほとんど動かずに、春の訪れを待ちます。眠りは浅いものの、食べ物を口にすることはなく、排せつすらしません。そして、雌は新たな命を産み落とします。東京農工大の小池伸介教授(生態学)は、これらを可能にしているのが、秋の食いだめだと説明します。冬眠直前にクマはドングリなどの餌を大量に食べ、皮下脂肪をたっぷりとつけます。冬は活動量を減らし、ため込んだ脂肪を少しずつ消費しながらしのぎます。ツキノワグマの場合、秋の3か月間のカロリー摂取量は年間の8割分に相当し、体重は夏より3~5割増えます。雌は十分に脂肪が蓄積された状態で妊娠期に入り、外敵の少ない冬に赤ちゃんを産むのです。昨年はクマの市街地への出没がたびたび話題になりました。「ドングリの凶作で冬支度ができず、餌を求めてやむなく人里に近付いてきた」。小池さんは推測します。互いの営みを守るため、私たちは庭先に果実を放置しないなどクマを引き寄せない工夫をしましょう。クマとは比較にならないほど小さなシマリスは、食いだめをしません。餌をせっせとかき集め、地中に掘った深さ1~2メートルの穴に貯蔵して、越冬中に食べるのです。ほお袋に木の実をめいっぱい詰め込む様子は、つい笑ってしまいますね。しかし、彼ら自身は冬を生き抜くため、いたって真剣です。シマリスは越冬中、体温を約6度まで下げて深い眠りにつく「 深冬眠しんとうみん 」を6日間続けた後、1日だけ体温を37度前後に戻し、餌を食べたり、排せつしたりする中途覚醒を繰り返します。この行動を取る理由はよく分かっていませんが、北里大の塚本大輔助教(分子生物学)は「体内時計を定期的に調整する狙いもあるのではないか」と教えてくれました。「シマリスの深冬眠を可能にする遺伝子を解明し、移植用臓器の長期保存など医療分野で役立てられないだろうか」。塚本さんは研究にまい進し続けます。小さなシマリスから、大きな成果が生まれることを期待したいですね。

(アライグマ」急増、対策に苦慮:東京)
特定外来生物に指定されている「アライグマ」が東京都で捕獲されるケースが急増し、10年で約5倍の水準になっている。農作物への被害や生態系への影響も懸念される中、都や地元自治体は捕獲などの対策を進める。ただ被害が減る兆しは見えず、対応に苦慮している。環境省によると、アライグマは北米原産で、ペットとして飼われていた個体が逃げたり、捨てられたりした結果、野生化した。雑食で環境適応能力や繁殖力が高く、東京都内では西部の丘陵地帯を中心に各地に広がっていったとみられる。農林水産省などによると、2022年度のアライグマによる農業被害額は全国で約4億5千万円にも及ぶ。果樹や野菜、飼育中の鶏などが被害に遭うケースが相次いでいるという。また、絶滅の恐れがあるトウキョウサンショウウオなどを捕食した事例も確認された。地元自治体の対策もさまざまだ。青梅市などは、アライグマの駆除を希望する住民らに捕獲器の設置事業を実施。府中市などは農業被害が出たり、住宅に侵入されたりした場合に相談するよう呼びかけている。

(イノシシ目撃:宮城)
6日午前8時ごろ、宮城県気仙沼市赤岩港の路上に体長約1メートルのイノシシが歩いていると110番があった。気仙沼署によると、同市内でのイノシシ目撃情報は珍しい。目撃されたのは、JRのBRT気仙沼線赤岩港駅から北西に約500メートルの住宅や工場がある地域。

(3本足のシカが住宅地に出没:北海道)
3日午後、北海道根室市内の住宅地にメスのシカが出没しました。シカは後ろ足1本を失っていました。3日午後、根室市内の住宅地に出没したメスのシカ。よく見ると、後ろ足1本を失っています。ハンターに撃たれたのか、わなにかかったのか、交通事故に遭ったのか不明ですが、前足2本を八の字に広げて踏ん張って、地面の枯れ草を食んでいました。3本足での長距離の移動は難しいと言われていますが、地元の人によりますと、この近くに出没するのは初めだということです。シカの出没には慣れている住民も、3本足のシカを目撃し「どうしたんだろう?」と驚きとともに、シカを案じる様子を見せていました。

(山上にイノシシ、年始から目撃相次ぐ:香川)
高松市の屋島山上の観光エリアで、年始からイノシシの目撃が相次いでいる。臆病な性格で通常は林の中などで生息しているが、餌を求めて侵入しているとみられる。

(「県道に体長70cmほどのクマが…」:新潟)
新潟県見附市で5日午前、体長70cmほどのクマ1頭が目撃されました。目撃されたのは民家からは100mほどの場所で、警察が注意を呼び掛けています。クマが目撃されたのは見附市田井町の県道上で、5日午前9時10分ごろ、車で通りかかった女性から「県道で体長 約70cmのクマ1頭を目撃した」などと警察に通報がありました。警察によりますと、クマが目撃された場所は民家から100mほど離れたところで、その後クマは山のほうに入っていったとみられています。警察はパトロールするなどして、付近の住民に注意を呼び掛けています。

(休耕田にクマ、目撃相次ぐ:秋田)
4日午前10時40分ごろ、秋田市広面字堤敷の休耕田に体長約50センチのクマがいるのを近隣住民が見つけた。けが人はいなかった。休耕田では3月29日から4日続けてクマが目撃されており、秋田東署が注意を呼びかけている。

(イノシシが出没、近隣住民や通行人への注意呼びかけ:新潟)
新潟県長岡市によると、4月5日15時00分頃、長岡市与板町山沢地内の山沢市営住宅裏付近で、イノシシの目撃情報があった。

(クマ目撃情報、体長約150センチ:山口)
5日、岩国市錦町でクマが目撃されました。岩国警察署によりますと5日午前7時55分頃、岩国市錦町の国道を走行中の人が、道路ののり面にクマがいるのを目撃しました。目撃されたのは錦清流小学校の北北東およそ3.6キロの場所で、クマの体長はおよそ150センチです。警察ではパトカーによる警戒や広報を実施しています。

(クマ出没、人や物への被害はなし:山口)
5日午前、南陽市で体長1メートルほどのクマ1頭が目撃され警察が注意を呼びかけています。警察によりますと5日午前10時半ごろ、南陽市上野の市道、ハイジアフルーツラインでクマ1頭が目撃されたということです。クマは体長およそ1メートルで人や物への被害はありませんでした。警察では付近に住む人や近くを通る人に注意を呼びかけています。

(住宅街でクマ2頭目撃:北海道)
4日午後9時半ごろ、えりも町本町の放課後児童クラブの近くにクマ2頭がいるのを近隣に住む男性が目撃し、110番した。...

(イノシシ丸焼き提供の本意:福岡)
「イノシシのまる焼き」(4万4000円~)。こう書かれた看板メニューが目を引く。猟師でありジビエ(野生鳥獣肉)の加工・販売業を営む男性が2月、念願の飲食店を出店した。屋内でイノシシの丸焼き料理を提供する店は珍しい。調理の過程は少しグロテスクに見えるかもしれない。でも、食べる人を幸せにしてくれるのはなぜだろう。「おー、いい色に焼けてきたねー」。火を入れて約4時間、イノシシがこんがりとした色になるまで見守ってきた客は声を弾ませた。福岡県糸島市にオープンした焼き肉と鍋の店「まるや」。2月上旬の開店前イベントは、野性味あふれるもてなしでにぎわった。用意されたのは、近くで捕獲された体長約80センチ、重さ10キロの生後約1年の子どものイノシシだ。毛をむしったイノシシを店長の江口政継さん(44)はいろり前の調理台に運び込み、客の目の前で長い串に刺して炭火の上にセットする。火加減は、まきを組み合わせて調節する。丸焼き用のいろりは、地元の工務店や鉄工所などと相談してあつらえた。中まで火が通るように最初はじっくりと。最後は皮目にこんがりと焼き色が付くように火勢を強くする。招待客の中には普段から親しく付き合うトマト農家、西正剛(せいごう)さん(40)一家の姿もあった。長男、泰生(たいせい)君(5)が喜ぶ姿を見ながら西さんは「スーパーで目にするのは加工された肉。元々の肉を見るのは食育になる」。焼き上がった肉を口に運ぶと「かめばかむほど風味が出てきておいしい」とほおを緩めた。江口さんが鳥獣肉に関心を持つきっかけとなったのは15年ほど前だ。生まれ育った糸島市で、子ども向けの絵画造形教室の手伝いをしていた。ある時、知り合いの年配男性に「卵を産まなくなったから」と生きた鶏を食肉用にもらった。鶏を絞め、さばいた経験はなく戸惑った。しかし悪戦苦闘するうち「五感を通して入ってくる命」の存在に心を動かされた。「鶏に宿る命と自分に宿る命の価値は等しい」――。ふと、教室の子どもたちと接するなかで気になっていたこととつながった。自然豊かな土地なのに、どこか伸び伸びとしておらず、遊びも内向き。「命というものに触れ合う場所があれば、何かを感じ取ってくれるのではないか」。そんな考えが頭に浮かんだ。近くの猟師に教えを請い、猟師免許を取得したのは2012年。教室に通う子どもたちには“課外授業”で仕留めたイノシシを見せ、バーベキューで「口にするものにはすべて命が宿っているんだよ」と伝えた。猟で山に入ると、イノシシに畑を荒らされて困っている農家の声を聞いた。ある高齢女性のことは今も忘れられない。収穫直前の畑を荒らされ涙ながらに訴えた。「被害がひどすぎる。畑をもうやめる」。その涙が、江口さんに「猟師としてできることは何か」を考えさせ、趣味ではなく職業とするきっかけとなった。野生鳥獣による農作物被害は近年、各地で深刻な課題となっている。農林水産省によると、22年度の被害額は156億円。被害を防ぐ柵の設置や捕獲などの対策が進み、ピークだった10年度(239億円)からは減少したものの、ここ数年は横ばい状態が続く。同世代の猟師仲間と、猟師の仕事や獣被害について社会に発信する活動を「tracks(トラックス)」の名で続け、20年には法人化し、ジビエ処理・販売業をスタートさせた。害獣駆除に携わる一方で、奪った命をどうすれば生かせるかについても模索。食肉だけでなく、皮や内臓、骨を地域で有効利用する仕組みを作り出した。例えば、皮は剥いだ後に東京の専門業者に送り、なめし加工をした後に地元の革製品のクラフト工房2軒に届けている。工房を営む井手英史(えいし)さん(38)は地元産にこだわり数年前から江口さんに依頼し、イノシシの皮でがま口を製作している。「皮を剥ぐのは手間がかかるので、多くが捨てられ各地で課題になっている。命を無駄にしないという思いがないと続けられない」と江口さんの取り組みを評価する。内臓や骨の一部は、地元農家に堆肥(たいひ)の原料として、江口さんが個人として提供。堆肥の原料の9割は牛や豚、鶏のフンで、内臓類を使うのは全体の1割に満たないが、骨に含まれるリン酸は肥料の重要な成分だ。年間1300トンの堆肥となり土地を豊かにする。江口さんがずっと心残りに思っていたのが、ジビエを食べる文化が根付かない現状だった。22年にイノシシとシカは全国で計130万頭捕獲されたが、ジビエに利用されたのは1割程度にとどまる。現状を少しでも変えられないか。そんな思いで店を始め、日々店に立つ。「『姿形があるものが口に入っているんだよ』ということを次の世代に見せていきたい」。食べることこそ、命をつなぐことだから。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、4日午後7時ごろ、仙台市泉区福岡堰添にクマが出没しました。

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(人間とクマは棲み分けできる?:岩手)
岩手県は令和5年のクマによる人身被害が死者2人を含む過去最悪の46件49人を記録した。里山の荒廃や耕作放棄地の増加でクマが人の生活空間に入り込むようになったのが最大の要因で、人里近くで生まれ育った「アーバンベア」の存在も報告されている。人とクマの棲み分けをどう図るかが喫緊の課題とされ、その対応に一役買っている大学サークルが通称「クマ研」こと岩手大ツキノワグマ研究会だ。3月16日から岩手県八幡平市の安比高原スキー場近くのペンション、安比ロッキーインで「クマ展in安比」が始まった。主催はクマ研、共催が会場の安比ロッキーイン。安比高原のペンション経営者向けのイベントとして開催された。八幡平市も令和5年はクマによる人身被害が死者1人を含む過去最悪の9件11人を記録した。ペンションが点在する安比高原でもクマの目撃例が増えており、その生態を正しく知ることでクマとの遭遇や人身被害を未然に防止しようという狙いだ。クマ研は平成18年に岩手大の公認のサークルになった。野生動物の専門家でクマによるリンゴの食害に悩まされていた盛岡市猪去地区の要望を受けて予防対策に取り組んでいた青井俊樹農学部名誉教授(当時は教授)のもとで、実践的な指導を受けた学生らが参加した。現在、メンバーは70人でこのうち実動は30人。農学部森林科学科2年の山口祥太さん(20)が代表を務めている。クマが藪の中に潜むことができないよう猪去地区で年3回の草刈りに参加、クマの侵入防止用に3キロにわたって張り巡らせている電気柵の設置作業にも協力してきた。センサーカメラをリンゴ園内向きに8台、山向きに2台設置してクマの動きを監視。毎週4~5人のグループで猪去地区周辺の山を踏査する。8月から11月にかけては、ブナ・ミズナラ・ミズキ・コナラの各20本に設置したシードトラップ(落下してきた種子などを採取する仕掛け)に落ちてきた木の実の量で餌の状況を調べ、採取した糞(ふん)でクマどんなを餌を食べているかも分析している。これまでの糞の解析から、クマが冬眠の準備を本格化させる10月に最も多く食べていた餌は、平成30年がクリ96・2%▽令和元年がドングリ57%▽2年がクリ35・5%▽3年がサルナシ79・3%▽4年がサルナシ77・5%-と分かり、現在分析中の5年はリンゴだという。同年はシードトラップにほとんど木の実がなく、餌を求めてクマが人里に下りてくる懸念を深めていた。「シードトラップでブナの実は皆無、ほかも極端に少なかった。糞の分析からもクマが手っ取り早く採取できるものを食べていることが分かった」と山口代表。猪去地区の自治会長を8年間務めたリンゴ農家の山口弘さん(68)は、センサーカメラや電気柵の設置など農家側の対策も進んできたとし、「クマ研のおかげでリンゴの被害が減って非常に助かっている。センサーカメラの映像などいろんな情報も得られ、予防にもつながっている」と話す。クマ展in安比はこうしたクマ研の活動実績などに注目した安比ロッキーイン代表、大滝克美さんの「クマ研の活動を将来、安比高原まで広げてもらおう」との思いで、共催にこぎつけた。昨年10月に「クマ展」を共催した県自然保護課はクマ研を「実際に現地で活動し、クマについて学んでいる学生さんの説明は丁寧で説得力があった」と高く評価する。生みの親でもある青井名誉教授も「独自に動けるようにもなり、よく頑張っている」と目を細める。今後の活動が注目される。

(クマお目覚め、遭遇防いで:北海道)
ヒグマが冬眠から目覚める時期を迎え、北海道が毎年実施している「春のヒグマ注意特別期間」が1日から始まった。十勝地方では今年に入って各地でクマの目撃情報が相次いでいる。

(クマによるけが人の治療にあたった医師が命を守る行動について語る:秋田)
秋田県内でクマによる被害が相次いだ2023年けが人の治療にあたった医師が命を守る行動を伝えました。県獣医師会と県医師会が初めて開催した公開講座には約60人が参加しクマとの共存や被害の実態について学びました。クマの生態に詳しい秋田県立大学の星崎教授は捕獲や駆除をすることが問題の根本的な解決にはならず杉の木の間伐や草刈りを行うことでクマの嫌がる環境を作り人間とクマの居住区を分けることが大切だと話しました。2023年県内ではクマに襲われるなどしけがをした人が過去最多となる70人にのぼりました。襲われた人の治療にあたった秋田大学附属病院の中永医師は20人の症例をもとにクマによる壮絶な被害な状況を語りました。首から上の部分に大けがをする人が相次ぎ顔面の骨折や気管切開に至った人もいたということです。また、2023年被害にあい病院に運び込まれてきた人は市街地で突然おそわれたケースが多かったとしました。その上でたとえ小さなクマであっても不用意に近づかないことやもし遭遇した際は顔の部分を守ることが大切だと話しました。

(カラスの巣を見つけて写真を送ったら300円相当の謝礼:愛知)
停電の原因となる、電柱に作られたカラスの巣の撤去作業が、愛知県清須市で行われました。カラスが巣作りに使った枝や針金などは電線に接触すると停電になる恐れがあり、巣作りは毎年2月から6月ごろにかけて多くなります。清須市で行われた撤去作業では、中部電力パワーグリッドの作業員が、高所作業車に乗って電柱の上に作られた巣を取り除きました。尾張地区では去年、巣が原因とみられる停電が27件あったということです。中部電力パワーグリッドでは、尾張地区限定で「鳥の巣みまわりキャンペーン」を行っています。鳥の巣を見つけて専用のサイトに写真を投稿した人に、300円相当の謝礼を進呈しています。

(クマ被害は先週からなんと3回目:岩手)
2日朝、岩手県花巻市の温泉旅館でごみ集積所の扉の一部がクマに壊されました。先週から続く3回目の被害で、周辺では連日クマが目撃されています。午前5時半すぎ、花巻市湯口の大沢温泉で駐車場にあるごみ集積所の木製扉が壊されていると従業員が警察に通報しました。駆け付けた警察と猟友会が近くで爆竹を鳴らしたところ集積所の中から音がし、その後成獣と見られるクマ1頭が出てきて近くの山の方へ逃げていったということです。扉は先月26日と31日にもクマに壊されていて3度目の被害です。けが人はいません。先月27日には近くの住宅敷地内にある農作業小屋にクマが侵入しわなが設置されましたが捕獲されず、3日後、小屋からいなくなったのが確認されています。きょう出没したクマと同じ個体かは分かっておらず、警察は引き続き周辺に警戒を呼びかけています。

(登山道近くで“うろつくクマ”:福井)
春休み中も相次ぐクマの出没。今度は登山道の近くです。映っていたのは成獣のツキノワグマです。捕獲用のおりの周りをうろつく姿を近くのセンサーカメラが捉えました。各地で例年になくクマの出没が相次いでいますが、福井県内では去年386件の目撃、人身被害も2件起きています。今回のクマは人里には下りていないとみられます。

(またクマ2頭、2日連続で目撃:北海道)
3日午後2時20分ごろ、村渋井の住宅の裏山の斜面にクマ2頭がいるのを近隣に住む女性が目撃し、村を通じて岩内署泊駐在所に届け出た。

(移住した若者3人はマタギになった)
日本有数の豪雪地帯、長野県と新潟県にまたがる秋山郷には、マタギと呼ばれる伝統的な狩猟法を受け継ぐ猟師たちが暮らす。しかし、高齢化と過疎化の波にはあらがえず、マタギはその数を徐々に減らしてきた。そんな村に移住してきた3人の若者がマタギになった。伝統的な猟の教えを受け継ぎたいと、マタギの文化を少しずつ学んでいる。長野県栄村では春になるとマタギたちの声が森にこだまする。「ホーイ、ホイホイッ!」。マタギがクマを追い立てるかけ声だ。雪が残る沢筋を山の頂に向かって一斉に登っていくマタギたち。クマを追いかける「勢子(せこ)」を村に移住して4~5年の若いマタギらが担い、その先で逃げてきたクマを仕留める「矢場」をベテランのマタギが務める。マタギならではの伝統的な狩猟法で、許可を得て行われる「春グマ猟」は、地形の起伏ややぶが雪で埋まってクマを追いやすい4月はじめに本格化する。冬眠明けのクマをねらう春グマ猟は、雪が残ったこの季節が足跡も追いやすい。秋山郷の長野県側にあたる栄村では、11月15日から翌年2月15日までが通常の狩猟期間。ただ、冬に冬眠中のクマをねらう「穴グマ猟」はクマの保護のため行っていないので、村では春にクマ猟の季節を迎える。

(女性ハンター、シカ骨のアクセサリー展:岩手)
盛岡市にUターンした女性が自ら狩猟でとらえたシカの骨でアクセサリーを作り、好評だ。6日からは岩手県一関市の古民家カフェ「縁日」で作品展が始まる。女性は野生動物による被害や、猟に携わる人たちの高齢化問題を知って猟を始め、狩猟の魅力を伝える活動にも力を入れる。女性ハンターは「深山けもの」というアーティスト名で活動する。盛岡市で生まれ、大学進学を機に県外に出て、首都圏でIT関連の職を得た。もともと釣りや山歩きが好きだった深山さん。同郷の友人に獣害の現状や猟友会の高齢化の問題を教えてもらい、狩猟に関心を持った。2020年に神奈川県で狩猟免許を取得。地元の猟友会に所属し、集団で獲物を追い込む「巻き狩り」に参加した。「動物の足跡やフンを観察して、地形をみて、みんなで力をあわせて獲物をとる。狩猟の奥深さにひかれた」。狩猟を始めて、ふるさと・岩手への見方も変わった。「地方は何もない、とよく言われる。でも様々な野生動物がいる自然の宝庫だと気づかされた」。日常的に自然に関わりたい――。そう思って県外出身の夫、小学生の子供2人と、23年春に盛岡市にUターンした。師と仰ぐベテラン猟師とも出会えた。今では主にワナ猟をする。シカ肉はミンチにしてハンバーグにしたり、カツにしたり。「捕獲した動物はありがたく、余すところなく、いただいています」。シカ骨を彫ってアクセサリーを作ったところ周囲から好評で、アトリエ「けもの舎」を立ち上げ、オンライン販売をするようになった。「縁日」では、ネックレスやイヤリングなど約60点が展示・販売される。7日には深山さんや、「縁日」のクリエーティブディレクターで猟師の蜂谷淳平さんが、狩猟の魅力などを語るセミナーが開催される。

(エゾシカ対策に尽力34年:北海道)
道のエゾシカ対策功労者に栗山町内の元自営業、石井一男さん(84)が選ばれた。34年間にわたり駆除活動に従事し、後継者の育成に積極的に取り組んでいることなどが評価された。

(シカ肉料理、家庭でおいしく:北海道)
空知総合振興局は、管内でのエゾシカ肉利用促進に向け、三笠高調理部の生徒が作った「家庭で作れるエゾシカ肉料理」のレシピを同振興局ホームページで公開している。ミンチ肉を使ったキーマカレーや食べ応えのある丼など、エゾシカ肉をおいしく食べる工夫が盛り込まれた料理が紹介されている。

(ジビエを提供する「ジビエフェア」:長野)
南信州産のジビエ(野生鳥獣肉)を使った料理を販売する「ジビエフェア」が現在、阿智村の観光施設「ACHI BASE(アチベース)」(阿智村智里)で行われている。主催は阿智昼神観光局。ジビエは野生の狩猟肉を指すフランス語で、日本では一般的に「山肉」と呼ばれている。メニューは、鹿肉では鹿ハツのステーキ(1,000円)、鹿肉のボロネーゼパスタ(1,200円)、鹿肉のボロネーゼピザ(1,400円)、鹿肉のロースト(1,500円)、鹿肉のキーマカレー(1,200円)の5種類。イノシシはイノシシ焼き肉丼(1,300円)、イノシシうどん・そば(1,400円)の3種類。そのほかウサギの唐揚げ(1,500円)、イナゴ・蜂の子・野沢菜の信州珍味盛り合わせ(500円)など合計10種類を提供する。村内で運営する別の飲食店でジビエメニューが好評だったことから、村内で加工された鹿肉や遠山郷(飯田市南信濃)産のイノシシやウサギなどを使ったメニューを考案し、村内のハナモモが見頃になる時期に合わせて企画した。花見に訪れるシニア層らを主なターゲットに、南信州のジビエをアピールするのが狙い。同観光局の関創太さんは「阿智村の鹿肉をはじめ、南信州の山の幸をそろえた。鹿肉のハツ(心臓)やウサギなど希少な肉もある。ジビエのおいしさを一人でも多くの方に知っていただければ」と呼びかける。

(卸売市場にジビエ登場:高知)
空きスペースの増加が深刻な高知市弘化台の卸売市場の活性化に、高知商業高校の生徒が一役買うことになった。市場の現状を知った同校「ジビエ部」が4月から月1~4回、場内でシカ肉を使ったハンバーガーや犬用ペットフードなどを販売する。部員は「高校生なりのアイデアで役に立ちたい」と意気込み、運営する同市も「新たな魅力につながってほしい」と期待している。

(クマ出没:宮城)
松島町によると、3日午後4時40分ごろ、松島町松島石田沢付近にクマが出没しました。

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(カモ射撃男性ら、2人不起訴処分:茨城)
鳥獣保護法で狩猟可能区域と定められていない稲敷市道から散弾銃を撃ち霞ケ浦湖畔のカモを捕獲しようとしたとして2月に銃刀法違反と鳥獣保護法違反などの疑いで逮捕された東京都足立区の男性(76)について、水戸地検土浦支部は29日、不起訴処分とした。

(4月1日から春のヒグマ注意特別期間:北海道)
クマが冬眠から目を覚ます時期を迎え、道は4月1日から2か月間「春のヒグマ注意特別期間」として山菜採りなどで山に入るときは十分に警戒するよう呼びかけています。道内では去年、クマによる被害が相次ぎ2人が亡くなったほか、目撃などの通報は4055件と前の年から2倍近く増加しました。こうした中、道は4月1日から5月末までの2か月間を「春のヒグマ注意特別期間」と定めています。この期間はクマが冬眠から目を覚ます一方で山菜採りのシーズンが始まり山に入る人が増えることから道内全域で十分に警戒するよう呼びかけています。具体的には山に入る際は事前にホームページなどで出没情報を確認することやクマよけの鈴や笛など音の出るものを鳴らして2人以上で行動すること、ふんや足跡を見つけたらすぐに引き返すことや食べ物は必ず持ち帰ることが大切だとしています。鈴木知事は3月28日の記者会見で「冬眠から目覚めたヒグマがエサを求めて活発に活動するため、不意に遭遇する事故が発生しやすい季節だ。出没情報などを確認してあらかじめ危険な場所を避けるようにしてほしい」としています。

(クマ研究若手育成費を:北海道)
クマの若手研究者を育成しようと、北海道大大学院の野生動物学教室が、インターネットで資金を集める「クラウドファンディング(CF)」を行っている。目標額は500万円で「森の象徴であるクマの生息環境の保全を進めたい」と協力を求めている。同教室によると、世界にはクマが8種おり、詳しい生態は分かっていない部分が多い。国内では人との 軋轢あつれき が表面化し、生態の研究を急ぐ必要があるが、短期間で研究成果が上げられず、予算面で苦慮しているという。CFで得られた資金は、絶滅が心配されるホッキョクグマやナマケグマなどの調査研究、国内のヒグマとツキノワグマの行動追跡調査、若手研究者との共同研究への支援に使われる。同教室の坪田敏男教授は「野生動物の研究は、長期的かつ大規模に行う必要がある。人とクマがともに生きられる環境を未来に残したい」と協力を呼びかけている。活動報告のリポートなどが返礼品で、募集期間は4月15日午後11時まで。専門サイトの「READYFOR」で受け付けている。

(県内全域に「クマ注意報」:福島)
県は1日、ツキノワグマの目撃情報が相次いでいることを受け、県内全域を対象に「ツキノワグマ出没注意報」を発令した。発令期間は7月31日まで。県によると、今年は1~3月に25件の目撃情報があった。通常の年はクマが冬眠中のためほとんど目撃されず、昨年は3件だった。県は今後、冬眠から目覚めたクマの出没が増えるとみている。2~3月の平均気温が例年より高く推移したことで、活動の活発化が早まる恐れもあるという。注意報の発令は4年連続となる。

(猟友会が解体処理施設など要望:秋田)
クマによる被害が発生した際最前線で対応にあたるのが地元の猟友会ですがいま、会員の高齢化や不足など多くの課題を抱えています。こうした中、秋田県猟友会は大館市に対し、捕獲したクマなど野生鳥獣の解体処理施設の設置、それに老朽化した射撃場の改修費用の支援を要望しました。大館市は前向きな姿勢を示しています。2日は秋田県猟友会の佐藤寿男会長などが大館市役所を訪れ、福原淳嗣市長に要望を伝えました。県内では去年、クマの異常な出没が続き襲われるなどしてけがをした人はこれまでで最も多い70人に達しました。昨年度、県内で捕獲されたクマは2326頭とこちらも異常な数となりました。捕獲したクマの多くは地元の猟友会が自ら解体などにあたっていて大きな負担になっています。こうした中、秋田県猟友会は大館市に対しクマをはじめ野生鳥獣の解体処理施設の設置を要望しました。2日は地元の猟友会で管理し老朽化している大館大子内射撃場の改修にかかる費用の支援もあわせて求めました。担い手の確保のため改修の必要性を訴えました。福原市長は「いずれも前向きに進めたい」と応じ、県や周辺の市町村とも協議を進め、今後具体的に検討する考えを示しました。

(都内のクマ痕跡や目撃情報を網羅:東京)
クマに遭遇して被害に遭うのを防ぐため、東京都は、クマが目撃された日時や場所などを確認できる新たなマップをホームページ=QRコード=で公開した。都はこれまで、ホームページでクマの目撃地点や痕跡が確認された場所に赤い印を付けた地図を載せていた。ただ、日時や詳細な目撃場所などはわからず、改善すべきだとの意見が内部で出たため、新たなマップを作成して2月に公開を始めた。新マップは、クマの情報が寄せられた時期のほか、「痕跡」「目撃」といった情報の種類に応じて色分けされた印が地図上に表示される。それぞれの印を選択すると、詳細な場所や日時、確認された頭数を見ることができる。クマの目撃情報などをまとめた新しいマップ(都ホームページより)スマートフォンなどに対応した「モバイル版」も用意した。奥多摩ビジターセンター(奥多摩町)や高尾山の登山口にQRコードを掲示し、登山客らに利用を呼びかける。多摩地域では、昨年10月頃からクマの目撃などが相次いだ。今年に入ってからも、青梅市やあきる野市などで計13件(2日現在)の情報が寄せられている。

(クマの不思議な生態、人の生活に応用できれば:北海道)
全国各地でクマが目撃され、死傷事故も相次いでいる近年、野生動物学教室の下鶴倫人准教授(44)は「出没のメカニズムを解明して対策を講じる必要がある」とヒグマの生態を研究している。クマが人里に出没する要因は一つとは限らず地域によっても異なるが、代表的なのはエサ不足だ。2012~18年、知床半島のルシャ地区で、ヒグマのフン2000サンプル超を集めて分析した。8月に食べた食物の35%をハイマツが、9月の44%をサケ科魚類が占めていた。さらに、ヒグマを写真に収めて栄養状態を評価したところ、十分に食べられなかった年は人里に多く出没することが判明した。「ハイマツの豊作、凶作のサイクルなどにより、出没を予測できる可能性がある」と話す。高校1年の時、初めて飼った犬がかわいくて、獣医師を志した。東京大では動物行動学を学んだ。スナネズミをモデルに、生育環境が社会性の獲得に影響を与えることを明らかにし、博士号を取得した。北大が助教を募集していることを知り、野生動物は専門外だったが運良く採用され、北の大地に飛び込んだ。クマの生態には驚かされることばかり。広島大などとの共同研究では、冬眠したツキノワグマは長期間絶食してじっとしていたのに、筋肉がまったく衰えていないことがわかった。ヒグマも同様だという。人間の場合、寝たきりになると、筋たんぱく質量は1日0・5~1%減るとされる。クマのように、筋肉をつくるたんぱく質の合成や分解が抑制される詳しい仕組みがわかれば、人の寝たきり防止や効果的なリハビリ手法の開発につながるかもしれない。「彼らの独特な生き方に着目して、その不思議な生態を人間で再現することができれば、人の健康や生活の豊かさに応用できるかも」と語る。ヒグマの血液中の遺伝情報(DNA)に結合する化学物質に注目し、その度合いから年齢を推定する方法も確立した。これまでは、麻酔で眠らせて抜いた歯を用いて年齢を推定していたが、精度に課題があり、個体にも負担がかかっていた。今後は、体毛の毛根から採取したDNAで同様の計測ができないか挑戦する。年齢の推定が進めば、高齢化していくのかといった今後の見通しがわかる。「個体数の動向をより正確に評価することが可能になる」と意義を説明している。

(獣害に立ち向かう、「市民の力で変わる」新しいアプローチで対策を:兵庫)
地域活性化につなげる住民主体の獣害対策を推進する「第6回獣がいフォーラム」(同実行委員会主催)が、兵庫県丹波篠山市で開かれ、約100人が来場した。「市民の力で変わる 獣がい対策への新しいアプローチ」がテーマ。北海道や、丹波篠山市で行われている事例を参考に、被害者である市民、里山に関心を寄せる都市部の住民(関係人口)の力をどのように生かし、また、取り組みをどう発信していくかなどを考えた。基調講演で、酪農学園大学(北海道江別市)教授の佐藤喜和さんが、人とヒグマの共存を目指す北海道の事例を報告。クマが身を隠すくさむらを解消するため、学生らが地域の人たちを巻き込み、草刈りと併せて茶話会やクマ鈴を手作りするワークショップを展開したり、市民団体が離農した果樹園にクマが来ないように木を切るボランティアを募集したり、リゾートホテルが草刈りをツアーに組み込んだ例などを紹介した。学生らの取り組みは、退職した人たちが地域活動に参加するきっかけになっているとし、果樹園の木を切る取り組みは、切った木を持ち帰れるので、まきストーブユーザーに受けているとした。リゾートホテルの企画には「お金を払って草刈りに来る人が一定数いるということ」とした。続くパネルディスカッションでは、佐藤さんに加え、住民で獣がい対策に取り組む地元の丹波篠山市矢代自治会の中井悦夫さん、同市川阪で獣害柵点検ツアーを実施した田渕幹敏さん、放置柿を使ったジャムなどの商品開発に取り組んだ篠山東雲高校の生徒たち、NPO法人・里地里山問題研究所(さともん)の鈴木克哉さんが意見交換し、兵庫県立大学の山端直人さんが進行した。山端さんは、「そもそも獣がい対策は、持続的に皆が暮らしやすい社会にするためのものであり、いろんな人が関われる地域政策だ」と前置き。住民の立場から、中井さんは「畑が荒らされたら、おばちゃんたちの仕事がなくなり、元気もなくなるのが心配。高齢化で人も不足しており、外部から人が来てくれるのはうれしいし、刺激になる」と歓迎した。獣害柵点検ツアーを企画した田渕さんは、「アウトドア愛好者はもともと自然が好きで、フィールドを守ることに喜びや価値を感じている」とし、佐藤さんも草刈りツアーを例に「自分のスキルや経験を地域のために残したいという人はいる」と、多様な人が呼べる可能性を示唆した。篠山東雲高校の長澤莉子さん、西村綾音さんは、柿ジャムがふるさと納税の返礼品になったことで、遠くの地域の人たちが買ってくれたことに驚きとやりがいを感じたことを笑顔で振り返った。さともんの鈴木さんは、食や健康に感心のある人たちに向けて、丹波篠山産の米や野菜をセット販売する計画を紹介。「地域の中に獣がい対策をコーディネートし、発信する人材が必要。売上を雇用する資金にできないか」と、会場の反応をうかがっていた。「獣がいフォーラム」のパネルディスカッションで、篠山東雲高校の生徒が、放置柿で作るジャムの利益が「約15―23億円を見込める」と発表し、会場を沸かせる一幕があった。生徒は放置柿を使った商品開発の経緯を説明する中で、ジャムの販売価格を決める際に行った原価計算をもとに「畑地区で取れる全ての柿をジャムにして全部売れたとすると、約15億8000万―23億7000万円の利益が見込める」と発表した。柿という地域資源の価値を数字で表そうと試みたという。

(人とクマ、棲み分ける森づくりを:秋田)
昨年クマが大量に出没したことを受け、人との共生を考える講演会「人とクマが棲(す)み分けるための森づくり」が、秋田県大仙市の南外ふるさと館であった。森林生態系に詳しい東北大名誉教授の清和研二さん(69)が講師となり、県内外約80人に森づくりの重要性を説いた。

(また!温泉街にクマ出没:岩手)
2日もクマが出没しました。冬眠から目覚めたとみられるクマが温泉街で目撃されるケースが相次いでいます。なぜ、温泉街に出没するのでしょうか。2日午前6時40分ごろの映像。温泉街の駐車場に隣接するごみの集積所。警察官が2人、猟友会のメンバーが3人、小屋に近付いて中の様子をうかがっています。警察官は盾を構えて厳戒態勢です。小屋の扉を開けた瞬間、ごみ袋の脇からクマが飛び出てきました。警察官が盾で防ぐと、クマは小屋の中へ。一度、扉を閉めた後、安全を確保するため十分に距離を取ります。再び扉を開けて様子をうかがいます。クマは警戒しているのか姿を見せませんが、さらに距離を取った、その時。飛び出してきて、駐車場の奥へ。パトカーが追跡を始めます。猟友会の会長も急いで車へ。岩手県花巻市にある大沢温泉。通りには温泉宿や住宅が立ち並んでいます。クマは駐車場を抜けて建物がある方へ。クマの対応にあたっていたのは花巻市猟友会の藤沼会長です。2日、小屋の前にわなを仕掛けました。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「これ(クマが)壊しちゃったから従業員の方が直した。けさ、これを壊して中に入っていった」。わなを仕掛ける前の映像では木の扉が壊れているのが分かります。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「これ爪痕、クマの爪痕。爪でガリガリやっているから開けようとして。これなんかガリガリ歯でかんだりして。この間もこの中に入ったから同じ所を壊した」。このごみ集積所には先月26日と31日にもクマが現れ、扉が壊される被害が起きていました。その時も体長1メートルほどの成獣とみられるクマが集積所の中のごみを荒らしていたといいます。8日間で3度も同じ場所に出没。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「大体、同じ個体だね。2頭いる。それが行ったり来たり。匂いがするからつられて来る。クマは学習している。ここに物があると」。花巻市と猟友会は周辺に複数のわなを設置。取り付けたカメラがクマの姿を捉えていました。先月29日夜、住宅の小屋に侵入するクマが映っていました。その2日前には物音に気付いた住民がクマを発見。体長1.3メートルほどの成獣で、小屋の隙間に居座っていました。花巻市猟友会 藤沼弘文会長「もうやられますよ。私は上から飛び掛かられた。いないと思ったら天井から飛び降りてきた。大変だった。びっくりした。やられたと思った。ここに擦り傷。結構、血が出た」。なぜ温泉街にクマが何度も出没しているのでしょうか。福島県でも先日、温泉街にクマが現れて捕獲されたばかり。専門家が指摘するのはクマのルートになっている川です。岩手大学農学部 山内貴義准教授「温泉街は町中よりも山に近い方に建物がある。そのそばには大体、川が流れていて、山からクマが里に下りる通路にそれらの原因が合わさって(温泉街に)クマが出やすい」。さらに、今年ならではの事情が…。岩手大学農学部 山内貴義准教授「通常の年であれば、この早い時期に人里に出てくるのはほとんどない。恐らく去年からの流れでかなり餌(えさ)に困って特に若い個体が里に依存して、ウロウロしていた。どこかで冬眠して、また里に依存。生息環境のシフトが影響している可能性」。

(商業施設近くで3日連続クマ目撃:秋田)
秋田市広面の商業施設に近い休耕田でクマ1頭が目撃されました。この場所では29日と30日もクマが目撃されています。クマが目撃されたのは秋田市広面字堤敷の休耕田です。秋田東警察署の調べによりますと、31日午後2時半ごろ、近くを歩いていた人が体長約50センチのクマ1頭を目撃しました。この場所では29日と30日も午後に体長約50センチのクマが目撃されていました。現場は商業施設の北側で、秋田大学医学部附属病院までは約200メートルです。警察が周辺をパトロールして警戒にあたっています。

(クマ目撃、体長約1メートル:福島)
30日午後3時15分ごろ、国見町石母田字国見山中の畑で、農作業中の男性が畑付近にいるクマ1頭を目撃した。福島北署桑折分庁舎によると、クマは体長約1メートルで、近くの雑木林に逃げたという。目撃した男性から話を聞いた近所の男性が同分庁舎に通報した。

(山林で体長およそ1mのクマの目撃情報:宮城)
30日午後、宮城県加美町の山林でクマ1頭が目撃されました。警察が周辺をパトロールするとともに注意を呼びかけています。30日午後2時半頃、加美町漆沢森下の山林で「子グマ1頭が近くにいた」と付近の住民から警察に通報がありました。警察によりますと、クマは体長およそ1メートルの子グマと見られ、通報を受けて警察が駆け付けたときには逃げていたということです。現場は漆沢ダムから北東にある住宅近くの山林で、警察が目撃された周辺をパトロールするとともに、見かけても近づかないよう注意を呼びかけています。

(クマ1頭目撃:栃木)
2日午後4時50分ごろ、日光市匠町の大谷川河川敷で、通行人がクマ1頭を目撃した。

(「ジビエ生食はNG」誰でもなり得る「肝炎」の恐怖)
「肝炎」という病名を聞くことがありますが、どのような病気なのか分かりにくいと感じたことはありませんか。ネット上では、「血液を通じて、他人に感染する」「感染しても無症状の場合もある」「ジビエの生肉を食べてはいけない」という内容の情報があります。そもそも、肝炎を発症するのはなぜなのでしょうか。一度かかると、完治は難しいのでしょうか。肝炎の主な症状や治療法などについて、四谷内科・内視鏡クリニック(東京都新宿区)院長で、消化器病専門医の高木謙太郎さんに聞きました。高木さん「肝炎とは、肝臓の細胞に何らかの原因で炎症が起こり、肝細胞が破壊されていく病気です。主な原因としてはウイルスやアルコール、自己免疫の異常、脂肪肝がありますが、日本では、ウイルスの感染によって肝臓が炎症を起こす『ウイルス性肝炎』が肝臓病全体の約80%を占めています。肝炎の原因となるウイルスで現在知られている主なものは、A型、B型、C型、D型、E型の5種類がありますが、最近、特に問題になっているのは、血液や体液から感染し、慢性化しやすいB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)です。ジビエの生肉を食べたことが原因でE型肝炎を発症するケースは、衛生状態の悪い東南アジアやアフリカで多いです。日本でもまれですが、ジビエの生肉の摂取による発症の報告はあります」。

(生徒たちがシカ駆除の箱わなを製作:熊本)
高校生たちが地域課題解決のため、アイデアを結集させました。県立八代工業高校の生徒たちがシカ捕獲用の箱型のわなを製作し、林業関係者などでつくる地元の協議会に贈りました。八代市では、シカがスギやヒノキの苗を食べたり皮をはぐなどの被害が2022年度だけでも約106ヘクタールで確認されていて、林業への被害額も1340万円に上っています。シカ捕獲用の箱わなを制作したのは、県立八代工業高校機械科の生徒たちで、4年前から取り組む地域課題研究の一環で行いました。この日は林業や狩猟関係者などでつくる『やつしろの山づくり推進協議会』に、去年4月から制作した高さ1.2メートル、奥行2メートルの箱わな1基を贈呈しました。生徒たちは関係者と一緒に組み立て、わなの効果を確かめていました。生徒たちは材料から購入。山の中に運びやすいように既存の物よりも軽く、分解して持ち運びしやすいようにしました。機械科の生徒だけでなく、電気科や情報技術科などもセンサーやシステムづくりでアイデアを出しています。県立八代工業高校は、今後も改良を加えるなどして、地域産業のために活動したいとしています。

(「クマ対策」で癒される!?:愛知)
クマを遠ざける熊鈴はアウトドアやキャンプ、登山では必携品です。そんな熊鈴に、音の心地よさを追求した新機軸のアイテムが加わりました。それは、ダイキ精工の「DaiFeel(ダイフィール)」です。ダイキ精工は、創業50年を超える航空機などの精密部品を開発する老舗金型メーカー。その技術をクマ対策に活かせないかと考え、「ダイフィール」を開発しました。ダイキ精工のアルミ製品ブランド「ダイキネクスト」から生まれた「ダイフィール」は、音色が特徴です。クマに対しては遠ざける効果を発揮し、一方で人間が聞くと心地よさを感じさせてくれる、「2WAY熊鈴」。付属の短冊を付ければ、風情を感じる風鈴としても使えるのです。

(イノシシ対策で食肉加工施設:大崎)
鳥獣被害対策で捕らえたイノシシを「大崎ジビエ」として売り出そうと、宮城県大崎市が、廃校になった小学校の校舎を食肉処理加工施設に改修した。4月下旬のジビエ販売開始を目指し、加工が進められている。山あいに田んぼが広がる大崎市岩出山の真山地区には、993人(3月1日現在)が暮らす。周辺4地区と合わせた岩出山地域全体での高齢化率は、昨年10月1日時点で45%。旧市立真山小学校は2018年、他の4地区の小学校と統合され、廃校となった。残った校舎が昨夏、食肉処理加工施設に生まれ変わった。市は総事業費約2億2600万円をかけ、2階建て校舎を改修し、関連施設も整備。うち約1億1570万円は国の鳥獣対策交付金を充てた。東北初のイノシシ専用の加工施設だ。校舎1階の1、2年生の教室が「剥皮(はくひ)室」「体内洗浄室」「加工室」「包装室」に区切られている。イノシシをつるすクレーンや冷蔵庫と冷凍庫、スライスやミンチに使う機械を備え、加工から保存まで完結できる。合同会社「ジビエの郷おおさき」(同市)が指定管理者となり、1月から稼働している。背景には、イノシシによる深刻な農作物被害がある。市によると、22年度のイノシシによる被害額はコメを中心に396万円。鳥獣被害計542万円の7割超を占める。18年度から5年間のイノシシ被害は計2221万円で、例年、被害額の6~9割がイノシシによってもたらされている。イノシシの生息域はかつて、宮城と福島の県境付近が北限とされていた。県自然保護課によると、12~16年度の大崎市での捕獲頭数は年間0~4頭で推移していたが、17年度に59頭と激増。20年度には749頭を記録した。22年度は470頭だった。市によると、23年度は市が把握する分で1月末時点で717頭を捕獲した。市農村環境整備課の担当者は「温暖化で生息域が北上しているのでは」とみる。被害が深刻な真山地区で、市が旧真山小の活用を住民に打診し、受け入れられた。豚熱対策や衛生管理の研修を受けた「ジビエハンター」だけが施設にイノシシを搬入できる仕組みで、52人が市からハンターに認定されている。4月下旬から、市内3カ所の道の駅での販売を目指す。市内の飲食店や宿泊施設での提供も視野に入れる。同課の担当者は「大崎市のジビエブランドを確立したい」と意気込む。ただし、課題もある。年間500頭を処理できれば黒字化する見通しで、市は27年度までの達成を目標に掲げる。ただ、1月から4月1日までに持ち込まれたイノシシは20頭。事業は始まったばかりとはいえ、ペースは遠く及ばない。市は肉の鮮度を保つため、日本ジビエ振興協会(長野県)の指導や先行自治体の事例を踏まえ、とどめをさす「止め刺し」から1時間以内の搬入を求めている。豚熱の検査のために採血なども必要で、「ジビエの郷おおさき」の今野淳さん(61)は「ハンターにとっては手間がかかる。いかに施設に持って来てもらうかが課題だ」と話す。

(イノシシ肉の給食好評:千葉)
南房総市の大房岬自然の家で、地元の館山ジビエセンターのイノシシ肉を使った給食が好評だ。都市部などから訪れる子どもたちが、ジビエに触れる機会となっている。同自然の家は、青少年教育施設として、学校や一般などの団体を受け入れ、宿泊体験や野外活動の場を提供。今年度は、約1万4000人の施設利用者を数えている。昨年4月から、同センターのイノシシの細切れ肉を仕入れて、メニューの一つ「茄子の味噌炒め」として、提供を開始。今年度の年間消費量は約120キロに達した。24日は、明治大学付属明治高等学校・明治中学校の部活、応援指導班の40人が宿泊し実食した。松森琴音さん(同高校1年)は「初めてイノシシを食べたが、とてもおいしくて驚いている」と感想。松田光央料理長は「1年を通して、思った以上に好評をもらった。ジビエを受け入れてもらえていると感じている」と手応えを話す。同センターを運営する合同会社アルコの沖浩志代表によると、同社は今年度、初めて黒字化を達成する見込みで、同自然の家との取引量が最も多かった。細切れは、肉質が劣らないにもかかわらず、見た目が悪い、サイズが小さいなどの理由で部位取りできない肉も、商品として卸すことができる。このため、安定して細切れを購入する同自然の家との取引は、黒字化の一因になったという。沖代表は「安定して購入してくれることはもちろん、何よりも、子どもたちがジビエを食べる機会をつくってもらっていることがありがたい」と話している。

(ジビエの活用で町に新たな魅力を:愛媛)
鹿やイノシシによる農作物への被害は、愛媛県で3億6,000万円あまり(2022年度)。さまざまな対策が施されていますが、その額は減っていません。そんな中、2024年に入って、伊方町に初めての処理加工施設が稼働を開始しました。海の幸とかんきつのイメージが強い伊方町で何が起きているのか、施設を運営する男性を訪ねました。施設を運営する伊勢典昭さん(36)の姿は、西予市のイベント会場にありました。「ジビエ」と書かれたのぼりが立ったブースで、鹿やイノシシの肉を使った料理をふるまっていました。北海道出身の伊勢さんは3年前の2021年に地域おこし協力隊で伊方町に移住。役場の委託を受け、獣害に悩む農家のために防護柵を設置するなど、被害の防止を担当しました。そもそも、細長い半島にある伊方町で、どの程度獣害被害があるのでしょうか。町に聞くと、野生動物による農作物への被害額は年間3,600万円ほど。とくに多いのが、イノシシによるかんきつへの被害です。かんきつ農家の矢野吉男さんによると、イノシシにおよそ100kg食べられる年もあったそうです。取材した日も、矢野さんが設置したわなに2頭のイノシシがかかっていました。矢野さんの畑では年間20頭捕獲されるそうです。ただ、これまでは伊方町に処理加工施設がありませんでした。他の自治体の施設も、他の地域の分までは処理しきれないため、農家は自分で埋めるしかありませんでした。農家の矢野さんの場合、臭いが出るのを気にして1m以上の深さの穴を掘って埋めていました。「自分で食べればいい」と思うかもしれませんが、慣れていないと加工するのに4時間もかかるそうです。年間20頭捕獲されるわけですから、大きな負担になっていました。「イノシシが捕獲されるたび、埋める場所もだんだん限られてきます。処分に時間もかかるし、重労働なので大変です」。こうした農家の悩みを協力隊員の時から聞いてきた伊勢さん。町が新たな処理加工施設を建設し、運営の委託先を探していることを知り、名乗り出ました。「だんだん捕獲者も高齢化しているし農家は本業があるので、捕獲・対策に時間をかけるのがすごい大変というのを聞いていまして。そこをなんとかサポートできればなと思いました」。施設は1月から稼働を開始し、2月から伊方町のジビエも販売し始めました。伊勢さんはコロナ禍で増えたアウトドア需要を受けて、若者やファミリー層がキャンプなどで楽しめる商品を開発していこうと考えています。これまで開発した商品は22種類。中でも自慢はこちら。マンガに出てくるような、長さは25cmもある大きな骨付き肉です。伊勢典昭さん「ジビエには“ワイルドさ”や“自然のもの”というイメージがあると思うので、それを生かして自然の中で食べることによってよりジビエの魅力が伝わるんじゃないかと思いました」。伊勢さんはジビエを伊方町の新たな魅力として売り出せないか、町の人たちに働きかけています。試しに町内の宿泊施設でジビエを楽しむバーベキュープランを企画しました。さっそく大学生のグループの予約が入り、反応を確かめるため伊勢さんもかけつけました。そして自ら自慢の骨付き肉を紹介しました。クーラーボックスから取り出すと、歓声が上がりました。骨付き肉はあらかじめ火を通して加工してあるので、バーベキューでは焼き目をつけて温めるだけ。生焼けになる不安がないよう工夫されています。豪快にかぶりついた大学生たちの反応は上々。伊勢さんは大きな手ごたえを感じました。伊勢さんに協力した宿泊施設も可能性を感じています。「(伊方町では)漁業が確立されている中で、これまでなかったジビエを一つの要素として新しく作っていくのは、非常に良い取り組みだと考えています」

(鹿肉ジビエ活用の近道は料理人育成から:北海道)
農業被害などをもたらす指定管理鳥獣のニホンジカの食材活用に向けた学びの場が教育機関で導入され始めている。ジビエ(野生鳥獣肉)の活用は品質管理や需給、流通、コストなどの課題が山積。普及には時間がかかるといわれているが、調理側の人材を教育することで「料理を提供する機会が増える可能性が期待できる」と注目されている。札幌市の北海道調理師専門学校。その調理実習室に集まった約50人の学生が食い入るようにテレビモニターを見ながら、ささやき合っていた。画面に映っていたのはエゾシカの狩猟シーン。ハンターに撃たれ、雪の上に倒れたエゾシカが運ばれ、手際よくさばかれていく様子が映っていた。狩猟映像は教務課の志賀佳一さんが初めて行う授業の前日、ハンターに同行して撮影したもの。「捕獲してすぐ解体処理場に運んで皮をはがし、内臓を取り出した。1時間もかからず処理されたので肉が軟らかい」と説明する。映像を見た後は鹿肉をつるし上げて部位ごとの解体が行われた。参加した学生は「魚を切っているよう」と軟らかさを表現する。部位ごとに切り分け、ローストやロースカツレツ、煮込み料理などに調理。試食した学生たちは口々に「おいしい」と感想を語った。志賀さんは「動画を見てショックに思った学生もいたと思う」としながらも、素材との向き合い方や、どのように質の高い食材ができるかなど「調理師として多くを学ぶ機会になったのでは」と振り返る。北海道によると、令和4年度のエゾシカ生息頭数は推計で約72万頭。過去5年間は増加傾向にあり、農産物被害額は48億5千万円と過去最悪を更新。電車、車との衝突事故など、道民生活にも大きな影響が出ている。被害抑制に向けて4年度は年間16万4千頭を捕獲する計画だったが、実績は14万5千頭。5年度と6年度はさらに増やしてそれぞれ18万5千頭を目標にしているが達成の可否は微妙だ。捕獲されたエゾシカはどう処理されるのか。道環境生活部によると、捕獲頭数全体の2割強はジビエを含めた自家消費とペットフード原料に活用し、約7割は焼却処分されている。食肉利用できる割合が体重の2~3割と少なく、解体後の保管場所、不安定な需給バランスなどから「一般的な食肉のように計画的に市場に出回るのは難しい」という課題があるからだ。道は生息頭数の増加を受けて「食肉向けの割合も拡大したい」という。北海道調理師専門学校のような独自の取り組みを歓迎。「鹿肉をおいしく調理してもらえればイメージも変わっていくのでは」と話す。長野県の松本大学は平成21年から、栄養士を目指す学生を対象にニホンジカの解体と鹿肉の調理実習を行う講義を取り入れている。開講頻度は年1回。指導に当たる健康栄養学科の石原三妃准教授によると、受講学生は70~80人。皮をはがした鹿2頭を用意して部位ごとの解体技術を学習。別に用意された鹿のミンチ肉を使った調理実習も行う。同県では北海道と同様に鹿による環境問題があるといい、「くせのある鹿肉をどうおいしく調理できるか。学生には単なる栄養計算ではなく、ジビエとしての食材活用や命をいただいているということを肌で感じてもらいたい」と話す。2年前から教育機関の指導者向けに鹿の枝肉調理実習を行う日本ジビエ振興協会(長野県)は、「豚肉などと比べて価格が高く、食べ方もあまりよく知られていない。上手に調理できないともったいないという心理から、手を出しにくい状況がある」と指摘する。学びの機会について「学校などが単独で学ぶ機会をつくるのは珍しい」とし、調理師や栄養士らが正しく学ぶことで「ジビエ利用などの可能性が広がる」と歓迎している。

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(豚熱感染を確認、県内で40例目:広島)
広島県は29日、同県尾道市御調町で22日に捕獲された野生のイノシシ1頭から豚熱(CSF)の感染を確認したと発表した。同市内での確認は初めて。県内では40例目になる。

(約1メートルのイノシシ捕獲の瞬間、通行人1人が軽いけが:茨城)
28日茨城県古河市の駐車場に姿を現したのは、イノシシです。体長は1メートルほどあるでしょうか。警察官らが集まり、イノシシの捕獲作業にあたると。午後2時半ごろ、イノシシをかごの中に誘導し、捕獲に成功。暴れた影響なのか、顔から血が出ているようにみえます。警察によりますと、近くに住む76歳の女性がイノシシと接触して、両膝と左手に軽いけがをしたということです。

(「クマとの共生」人任せにせず:秋田)
人とクマとの共生を考えてもらおうというセミナーが28日に秋田市で開かれ、専門家が、人口減少が進む中でクマの被害を防ぐために「オール秋田で対処すべき」と訴えた。講座は医療関係者などを対象に毎年開かれているが、今回は「クマ被害を考える」をテーマに、初めて一般にも公開された。2023年、秋田県内では過去最悪の70人がクマに襲われるなどしてけがをした。症状が重い20人を治療した秋田大学医学部付属病院の医師が、クマは立ち上がって攻撃するため顔にけがをするケースが多く、「爪や牙で骨や筋肉などを一挙に傷つけられる」などと悲惨さを訴えた。秋大医学部付属病院高度救命救急センター・中永士師明センター長:「クマから逃げたら、後ろから襲われて尻をかじられるぐらいと思っている人もいると思うが、とんでもない。特に顔面外傷中心の非常に重症度の高い疾患になっている。傷は治っても、ずっと痛みが残る場合もある。PTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマにもなる」。最近は、医師や看護師が襲われた現場に出向いて治療にあたる体制が整えられたため、すぐに救急車を呼ぶよう呼びかけた。“なぜ被害が相次ぐのか”。秋田県立大学でクマの生態を研究する星崎和彦教授は、県内で進む「人口減少」を理由に挙げる。草刈りや間伐などを担える人が減り、山林と集落の境目がなくなったエリアにクマが出没すると主張する。星崎教授は、2023年は“異常”としながらも「今後も大量出没は起きるし、対処が難しくなる」と警鐘を鳴らした。秋田県立大学生物資源科学部・星崎和彦教授:「地域それぞれで困っていることを利害関係者で共有する場をつくり、議論することが必要。人任せにしないで、自分たちで何をすべきか考える社会をつくっていかなければいけない。次の大量出没時にはもっと大変になるので、オール秋田的に何かをやらなければいけない」。人口減少が進む中、誰が対策を担うべきか。課題は山積している。

(“春期管理捕獲”ヒグマ対策の行方は:北海道)
今、北海道では、ヒグマとの向き合い方が大きな転換点を迎えています。道はこれまで、30年以上にわたって、ヒグマの「保護重視」の政策を進めてきました。しかし、個体数の増加とともに相次ぐ市街地への出没などを受けて、去年、春先の残雪期にヒグマを駆除する「春期管理捕獲」と呼ばれる制度を新たに導入し、2年目となる今季は、去年の3倍以上となる60余りの自治体が参加する意向です。実効性のある対策となるのか。北海道十勝地方の自治体を取材しました。これは、ことし3月25日に北海道庁の会議で報告された、最新のヒグマの生息数(2022年末、推計)です。この30年余りで2.3倍に増えました。この余波は、ヒグマと人間との間であつれきを生じさせ、時には死傷者が出る事態にも発展しています。春間近の去年3月、北海道十勝地方の浦幌町に一頭のヒグマが出没しました。若いオスのヒグマ。場所は交通量の多い道路近くの畑です。役場からの要請を受けて出動した地元のハンター、池田亮一さんは驚きを隠せませんでした。浦幌町の猟友会 池田亮一副会長「私もハンターを21年やっていますが、3月の出没は経験ないですね。圧倒的にヒグマの数が増えていると思います。全く人を恐れていない様子でした」。しかしこの時、出動した池田さんは猟銃を持つことができませんでした。ヒグマの駆除には道の許可が必要です。ただ、浦幌町内で駆除が許可された期間は、4月1日から10月31日まで。3月は対象外だったのです。ヒグマの捕獲ルールを定めた鳥獣保護管理法では、“駆除は畑の農作物を守るために行うもの”となっています。このため、畑が雪で覆われた時期は駆除の対象外。逃げる気配もなく周囲を歩き回るヒグマを前に、池田さんは車のクラクションを鳴らして威嚇するだけで、なすすべがありませんでした。近年相次ぐ、ヒグマの市街地出没。死者も出ていることなどを受け、道が去年新たに導入したのが、新制度「春期管理捕獲」です。ヒグマが冬眠明けする春先に山に入り、雪の上に残る足跡などを追って、積極的に駆除を進めようというのが狙いです。春の時期にヒグマの駆除を行うのは、実に30年ぶりです。北海道のヒグマ対策はこれまで、「駆除」と「保護」の間で大きく揺れ動いてきました。道は1966年から、冬眠明けのヒグマを狙う「春グマ駆除」を推進してきました。積極的にクマを追い、捕獲を進めた結果、生息数が急激に減少。絶滅の恐れも出てきました。そこで、道は春グマ駆除を1990年に廃止し、一転して保護重視の政策を進めたのです。すると、今度は生息数がこの30年余りで倍増。市街地への出没が相次ぎ、再び対策の必要に迫られたのです。この制度は、道内の各自治体が希望すれば参加することができ、2年目となる今季は去年の3倍以上となる60余りの自治体が参加の意向を示しました。浦幌町もその1つです。制度に参加することで、去年と同じ状況下でも、今季は猟銃を持ち出すことができるようになります。ハンターの池田さんもこうした動きを歓迎しています。浦幌町の猟友会 池田亮一副会長「もう人間がクマが人里に近づけないようコントロールをしないと、行動もさらにエスカレートしてくる状況になっていると思いますので、制度への参加は大賛成です」。ただ、制度を導入したからといって、すぐに効果をあげられるかは、見通せないのも実情です。ヒグマの捕獲には危険も伴う上、春の時期の捕獲には、ほかの季節とは違う技術や体力も求められるからです。制度に参加する自治体も今は準備に余念がありません。ことし3月、現場の実情を見ようと、帯広市の春期管理捕獲に同行取材しました。集まった地元の猟友会の会員4人は、市職員とともに2台の車に分かれて、帯広市郊外の山沿いを車で走行。雪上にヒグマの足跡などがないか、周囲を確認します。しかし、猟銃を持って山中に分け入る様子はありません。今回は積極的な捕獲にまで踏み込まず、ヒグマの活動状況の「調査」にとどめています。この時期にヒグマを捕獲するには、雪山に立ち入って足跡を追い、ヒグマを見つけ出さなければなりません。雪上は不安定で、足が深く沈み込むため、スキーやスノーシューを使って歩く必要があります。ヒグマの保護を重視したこの30年で、捕獲技術の伝承が途絶え、すぐに駆除を実施したくても、難しいのが現状とも言えます。帯広市は今季、ヒグマの活動状況のデータを収集に徹し、来季以降の準備期間に充てることにしたのです。帯広市農村振興課 岡拳太郎主任補「むやみやたらに雪山に入っていくのも危険性を伴うので、まずはハンターさんが安全を確保できた状態で、痕跡を調査して情報を集めていくというのがメインになると思います」。今回同行取材したメンバーの1人は、去年、夏場に畑などで7頭のヒグマを捕獲した、地元でも腕利きのハンターです。しかし、雪の残る時期にヒグマを捕獲した経験はなく、手探りの状態だといいます。道によりますと、「春期管理捕獲」制度に参加の意向を示した自治体の中でも、帯広市のように積極的な捕獲には慎重な姿勢を示している自治体が多いということで、現段階では、慎重な動きを見せています。帯広市農村振興課 岡拳太郎主任補「制度自体が復活しても、なかなかそれに適応できる人は少ない。言ってもすぐにできるものではないので。ハンターさんが色々経験をしていきながら、帯広市としてもこの時期のヒグマの生態とか情報を把握していきながら進めていきたいと思います」。専門家は、春期管理捕獲を実効性のある制度にしていくには、目先の捕獲数などにとらわれず、長い目で事業を継続していく必要があると指摘しています。酪農学園大学 佐藤喜和 教授「帯広市のように、自治体や地元のハンターが調査のような形で山に入り、自分たちで考えながら歩いて熊の痕跡探すというだけでも十分いい経験になり、最初の入り口としてはすごくいいことだと思います。実際に捕獲まで至らなくても、人に追われる経験をすることで、“人の生活圏の近くは住み心地のいい場所ではない”とクマが学習することにも意味があります。単純に捕獲数だけで評価するのではなく、春期管理捕獲に取り組むことで、出没数が減少するかどうかも見ていく必要があります。“息の長い対策”として春期管理捕獲が続いていくことで、徐々に途切れてしまった技術の伝承や経験を積む場所としての機能も長く維持することができるんじゃないかと思います」。取材の中で、ハンターの安全確保の面からも積極的な捕獲には慎重にならざるを得ないという自治体担当者やハンターの思いが、ことばの端々からにじみ出ていたのを感じました。かつては、ヒグマ1頭を仕留めると、胆のうや毛皮を販売することで、数ヶ月分の生活費になったとも言われていて、相応のリスクをとってでも捕獲に向かうハンターがいたという時代背景もあったようですが、時代は様変わりしています。残雪期に捕獲が禁止された30年間が、捕獲環境だけでなく、技術の伝承にも大きな影を落としているのだと実感しました。人間もヒグマも安心して生活できる環境を取り戻すための取り組みは、まだ始まったばかり。試行錯誤はまだ続きそうです。

(シカと車の事故急増:北海道)
今年に入り、留萌署管内(留萌南部3市町)でエゾシカと車の交通事故が急増している。1月から3月25日の3カ月弱で25件発生し、昨年1年間の31件に迫る勢い。夜間に国道上で多く発生しており、同署は留萌開建などと事故防止を訴えている。

(「鳥獣被害の対策強化に」新たに「協議会」設立:青森)
青森県内でも2023年、クマの目撃件数が過去最多となるなか、東北町も鳥獣被害の対策強化に乗り出しました。新たに協議会を設立し猟友会が出動した場合、国に対して補助金を申請することができるようになります。東北町鳥獣被害対策協議会は、町や猟友会の関係者などが参加して設立され、長久保耕治町長から上北町猟友会の和田登悦会長に任命書が手渡されました。東北町では、2023年6月に牧場ちかくのスギ林でクマが走り回っているのを目撃されるなど、今年度の目撃情報は2月末まででクマが19件、猿が20件で、いずれも前の年度の倍以上にのぼっています。町は対策協議会を設立したことで猟友会が出動した場合、国に対して補助金を申請することができるようになることから、より猟友会が活動しやすくなり捕獲体制の強化につながるとしています。東北町 長久保耕治町長「鳥獣被害が顕著になっておりましたので、しっかり対応すべく早急に今回整えたところです」。上北町猟友会 和田登悦会長「関連機関と連携を取りながら、地域住民の人身被害、農作物等の被害防止に努めて参りたいと思います」。鳥獣被害対策協議会は4月1日から活動を始め、町民の暮らしを守ることになります。

(「自然共生サイト」に認定 ツキノワグマ移動経路に:高知)
多様な生物が守られている区域として国が認定する「自然共生サイト」に、ツキノワグマなどの移動経路となっている安芸市別役地区の森が認定され、認定証の授与式が行われました。環境省は希少な動植物が生息していたり、動物の越冬や繁殖の場になったりしている企業や団体、個人などの土地を「自然共生サイト」として認定する制度を今年度から始めています。授与式は、安芸市役所で行われ、環境省四国事務所の大林圭司所長から横山幾夫市長に認定証が手渡されました。新たに「自然共生サイト」に認定されたのは、安芸市と企業が所有する別役地区の森の一部で、広さは212ヘクタールにのぼります。この森にはニホンジカやカモシカとともに絶滅のおそれがある四国のツキノワグマなどの野生動物が生息していて、今回認定された場所は、動物たちの移動経路になっていることなどが評価されたということです。この場所は安芸市と大手商社の三菱商事、それに高知東部森林組合などが協定を結んで整備にあたり、野生動物が食べる実が育つ広葉樹を、徐々に増やす活動を行ってきたということです。安芸市の横山市長は「安芸市にこのような大変自慢ができる森があり、喜ばしい。今後も守っていく取り組みを進めていきたい」と話しています。

(獣害対策、ハンター養成:鳥取)
狩猟で捕獲された野生の鳥獣「ジビエ」を食材に生かす取り組みが、鳥取は盛んだ。野山からテーブルへと届くまでには、多くの人の努力を経ている。鳥取のジビエの現状を追った。「イノシシよけのネットを張っていても、隙間をこじ開けて入ってくる」。八頭町の約120ヘクタールの農場で米やネギなどを栽培する田中里志さん(45)はため息をつく。20年ほど前から毎年イノシシによる被害が出るようになった。田畑をネットで囲うなどの自衛はしているが、完全には防ぎ切れず、毎年数十万円単位の被害が出る。農作物を食べられるだけではない。好物のミミズを食べるために田んぼのあぜを掘り返してしまい、崩れた土が水路をふさいでしまうなどの被害も多い。今のところシカの被害はないが「最近は近くでシカの鳴き声が聞こえることもある。これにシカの被害が加わるとどうなるのか……」と不安を口にした。ジビエが近年注目を集める背景には、増えすぎたイノシシやシカによる農作物被害が深刻化していることがある。県によると、県内の農林業の鳥獣被害額は2022年度、5800万円に上った。電気柵設置など農家の自衛が進んだためか、10年の2億円よりは減少したが、シカやイノシシの数は増えている。鳥獣被害は金額に現れなくても、農業を続ける意欲を奪い、離農に拍車をかける。県東部を中心に増えているシカは樹皮や枝葉を食べるため、林業への影響も大きい。希少植物を食べてしまう事態も起きている。国や自治体は有害鳥獣の捕獲に力を入れており、ジビエの活用はその延長線上にある。田中さんも「ジビエがもっと評価されて、とりたいという人が増えればいい」と期待する。しかし現実には、県内のハンターは高齢化などで大幅に減少している。1980年度に4024人いた狩猟の免許所持者は、2012年度に半分以下の1712人にまで落ち込んだ。昨年10月、倉吉市で開かれた「ハンター養成スクール」。12月までの全8回で狩猟に必要な基礎知識や道具の扱い方、銃猟実習などを学ぶ内容で、会場には狩猟免許を取得した10~80歳代の男女が集まった。初日は野生動物の生態や鳥獣被害の現状に関する座学があり、講師の県職員が「捕獲活動は重要かつ必要不可欠な被害対策。皆さんの活躍を期待しています」と呼びかけると、うなずきながら聞いていた。県は15年度から免許取得のための費用の一部を助成。さらに「どうやって猟を始めたらよいかわからない」という免許取得者も多く、16年度からハンター養成スクールを開催している。こうした取り組みもあり、ハンター数はわずかながら回復している。高齢化は依然として顕著だが、一時は3割にまで落ち込んだ59歳以下の割合も、20年度には4割に持ち直した。ただ、11年度に2万7000頭だったシカの推定個体数は21年度には5万1000頭に増加。イノシシも11年度の1万8000頭から20年度には2万3000頭に増えた。「28年度までに11年度と比べて半減」という国の掲げる目標達成は容易ではない。県は、山奥のわなにシカなどがかかると通知が届くシステム導入費を補助するなどICT(情報通信技術)の活用も進める。県の担当者は「人と野生動物が共生できるよう個体数の適正管理を強化したい」と話す。

(サルとの戦い「怒りだけでは続かない」:京都)
かつてニホンザルは遠い存在だった。それが25年ほど前から目に付くようになり、鍵のかかっていない窓を開けて家に入りこみ、仏壇の供物を取るようになった。農作物もやられた。子どもや高齢者が威嚇された。「これはいかん」。住民が立ち上がり、10年超にわたってサル対策を続けている。長続きのひけつは「楽しみながらやる」ことだという。京都府福知山市三和町の川合地区。市の南東部にある中山間地域で川合川沿いに集落が点在する。川合ふれあいセンター(同市三和町上川合)には、かわいいサルの看板があった。サルの下には「かわいサルアラート さるの接近をお知らせします!」とある。サルの足の部分には「京丹波町大簾、和知」と書かれた小さな札があった。「サルはいま、川合にはいないのです。きょうは京丹波町にいます」。サル対策の中心人物で、川合地域農場づくり協議会代表の土佐祐司さん(70)が解説してくれた。続けて見せてもらったのがスマホの通信アプリ「LINE」(ライン)の画面。地図に赤い点があるが、これは発信器を付けたサルの位置。通信技術を利用してサルの位置を伝えるシステム「サルイチ」を利用し、ライングループで共有している。

(クマ被害防止へ「AIカメラ」設置:岩手)
人里に現れるクマへの対策として、岩手県花巻市は3月28日からクマを判別できるAI機能を活用した自動撮影カメラを市内に設置し、クマによる被害を未然に防ぐ試みです。花巻市はツキノワグマ対策を強化するため、28日からAIカメラの設置を始めました。設置されるのは熱感知センサーにより動くものを自動で撮影するカメラで、AIの画像解析によってクマを判別します。そして撮影日時とクマの画像が市の担当者にメールで送られます。花巻市農村林務課 佐藤要課長補佐「(カメラの設置場所は)市街地から離れている所であることから、早期にクマを発見することで追い払い活動をすると、市街地への侵入が大幅に少なくなると期待」。花巻市ではクマの出没が急増していて、2023年4月から2024年2月末までの人身被害は4人、目撃情報は504件で前の年の同じ時期に比べ300件あまり増えています。28日は市街地から離れた豊沢川とその支流に5台のAIカメラが設置され、市では今後さらに25台設置する予定です。花巻市によりますとAIカメラの設置は県内では初めてとみられ、その効果に期待が寄せられています。

(クマの目撃、すでに50件:秋田)
2023年は1年間のクマによる人身被害が過去最悪の70人に及ぶなど、“異常”といえる事態だった秋田県。2024年に入ってからは、例年よりも早い時期からクマの目撃情報が多く寄せられている。目撃現場の多くは私たちの「生活圏」だ。2024年の秋田県内でのクマの目撃情報は、3月24日までの約3カ月間で「50件」寄せられている。2023年の同じ時期と比べると、実に47件も増えている。本来であればクマが冬眠している時期のため、例年はほとんど目撃情報がない。しかし、2024年は「生活圏」での目撃が相次いでいる。2月、秋田市御所野湯本の物流倉庫でクマ1頭が目撃され、約3日間にわたり倉庫の中にとどまった。このクマは体長90cmの雌で、体重は約16kgと痩せていて「冬眠から目覚めたクマの可能性が高い」とされた。また、2月から相次いで目撃情報が寄せられているのは、秋田市手形地区。すぐそばには秋田大学があり、学生など人が行き交う場所だ。「だいたい30分くらい行ったり来たり、ここら辺をウロウロしていた」と話すのは、秋田市の手形大沢町内会の松渕孝会長。2月19日に自宅から撮影した写真には、体長約50cmのクマの姿が捉えられていた。クマは約30分とどまった後、やぶの中に入っていったという。また3月10日には、別の住民が自宅の玄関先でクマを目撃した。松渕会長は「周辺に出没しているのは同じ個体の可能性がある」と指摘する。秋田市は近くに「箱わな」を設置したが、個体の特定や捕獲には至っていない。過去5年間では、この時期に市内に「箱わな」を設置したことはないという。人の生活圏でクマが多く目撃されていることに加え、2023年は過去最悪の人身被害が発生しているため、不安を感じている人は多いだろう。2024年も同じように被害が起こる可能性はあるのだろうか。県内では2023年に、これまでで最も多い約2300頭のクマが捕獲された。これにより「生息頭数」は減っていると考えられている。一方で、クマの生態などに詳しい東京農業大学の山崎晃司教授は「クマの分布域が広がり、集落周辺に近づいている」と指摘する。東京農業大学・山崎晃司教授:雪がなければ地面に落ちている餌を探すことができる。クマの冬眠は食べ物がないからするので、食べ物を見つけられるチャンスがあればクマが出てきてもおかしくない。山崎教授は「2023年に約2300頭捕獲していて、秋田の個体数は半減しているとみられる。プラス狩猟期間もあったので約2500頭は捕獲していると思う。いま出没しているクマは、2023年の捕獲の影響を受けて、栄養状態が悪いクマの可能性が高い」とみている。「栄養状態の悪いクマ」は、食べるものがある人里にすみ着く恐れがあるという。クマがすみ着く前に、寄せ付けない対策をする必要がある。東京農業大学・山崎教授:集落周辺にクマの分布域が広がっていることは事実。これ以上集落周辺にクマを執着させないためには、この季節だったら、コンポストや裏庭にごみ捨て山などがあるとすれば、きちんと管理する。これから農作物が実ってくるときには、収穫をきちんとする。2024年も私たちの生活圏で、クマに遭遇する可能性は十分にある。「いつでも、どこでも、誰にでも」危険性があることをしっかりと認識し、クマの餌となるものを置いたままにしないなど、クマを人里に寄せ付けないように一人一人が心掛ける必要がある。

(猟銃の更新手数料など過徴収:沖縄)
沖縄県警は29日、猟銃などの更新許可手続きの一部で手数料を多く徴収していたと発表した。すでに所持している猟銃などの更新許可と新たな猟銃を所持するための許可を併せて申請したケースで、2019年1月からの5年間で46件、合計2万5400円を過徴収した。県警生活安全企画課によると、担当者が手数料の算出方法を定めた県警察関係手数料条例の条文を読み間違えていた。今年1月、資料の精査をする中で発覚したという。県警は対象者に返金手続きを進めている。

(奈良のシカ、周辺で交配進む)
奈良市内に生息するニホンジカのDNA型を福島大、奈良教育大などの研究チームが調べたところ、奈良公園を中心とした保護地区の外側では、市外から来たシカとの交配が進んでいることが新たに分かった。山間部では市外由来が大半を占めた。論文は2月、米学術誌に掲載された。同公園周辺のシカは国の天然記念物に指定されている。研究チームは昨年、DNA型分析により、1000年以上にわたって外部と交流がなく、独自の遺伝子型を維持してきたことを突き止めていた。近年、シカによる食害が深刻化しており、奈良県は生息域を奈良公園を中心とした保護地区と周辺の緩衝地区、外側の管理地区の三つに区分した上で、2017年から管理地区で捕獲を実施。緩衝地区では農作物を食い荒らしたシカを無期限で「特別柵」に収容している。研究チームの兼子伸吾・福島大准教授(分子生態学)は「『奈良のシカ』を生物学的に再定義することが可能となった。今後、どのように保護していくか考える土台にしてほしい」と話している。研究チームは17~19年に管理地区で捕獲されたシカ137頭の筋肉と、保護地区で採集したふん30頭分のDNA型を2種類の方法で分析した。その結果、保護地区では独自の遺伝子型が維持されていた。一方、管理地区のうち山間部に近い地域では、紀伊半島各地で確認されている系統が大半を占め、緩衝地区の近くでは双方の交配が進んでいたという。

(2024年度にクマ対策強化:富山)
2023年、県内で相次いだクマの出没や人身被害の対策として、県は2024年度、クマの生息状況の調査や森林整備などを行います。県は被害防止に向け、出没が多い地域で2024年度から3年間で、集中的にクマとのすみ分けを図る森林整備を行う方針です。各自治体が取り組む里山の草刈りや、電気柵の設置などの費用を補助します。また、5年ぶりに生息状況を調査し管理計画の改定に活用します。前回・2019年の調査では県内に推定で1460頭のクマがいるとの結果でした。県内では2023年、クマによる人身被害が9件、出没が600件あまり発生していて2004年の統計開始以来4番目に多い数字でした。

(タヌキ、アナグマ、ハクビシンなど中型獣による農被害が急増:岐阜)
タヌキやアナグマ、ハクビシンなどの中型獣による農作物被害の相談が近年、高山市で増えている。イチゴやミニトマトなど、実が熟す前から食べられることもあるといい、市の担当者は「味を覚えたら、近くにある空き家の屋根裏や床下などにすみ着いてしまう」と注意喚起。特に、雪が解けて畑を耕し始める春の対策が重要としている。市が農家に実施したアンケートによると、タヌキ、アナグマ、ハクビシンの3種による被害の額と面積は2018年度から5年間で倍近くに増加。22年度は1015万円に上った。

(銃猟初登録に2万円補助:栃木)
狩猟者数の増加に向け栃木県は2024年度、「第1種銃猟(ライフル、散弾銃)」の初登録を行った県民に、2万円を補助する制度を開始する。野生動物の出没による林業などへの被害が増える中、狩猟者の経済的負担を減らすことで登録者を増やし、捕獲増につなげたい考えだ。県自然環境課によると、県内狩猟者登録数は1976年度の1万7659人をピークに減少傾向にあり、2022年度は3273人とピーク時の2割以下になっている。免許所持者は、都道府県に登録しなければ野生動物を捕獲できない。第1種銃猟免許の登録は毎年2万円近くかかり、狩猟を初めて行うには猟銃購入費や保険料などを含め25万円以上が必要という。経済的負担から免許を取っても登録しないケースが多く、第1種銃猟免許を所持する県民が1903人(22年度)いるのに対し、登録数は1386人と7割にとどまっている。一方、22年度のシカによる林業被害額は1億200万円と7年ぶりに1億円を超えた。県はニホンジカ管理計画(24~29年度)で、年間捕獲目標をこれまでの8千頭から1・4倍の1万1500頭に引き上げ、捕獲対策を強化する。新設の補助制度は県内在住者が対象で、24年度当初予算に60人分の助成費用として120万円を計上した。補助金は市町の助成制度とは別に受け取れる。同課の担当者は「補助金を通して多くの狩猟者の参入を促したい」と話している。また県は24年度、狩猟者登録を行った銃猟とわな猟の経験が浅いハンターを対象に新たに技術向上研修を行う。猟友会の協力を得て秋以降に複数回実施する予定で、ベテランが射撃や狩猟のノウハウを実践形式で教える。

(「人間の味を覚えた熊」の超キケン:北海道)
なぜ男子大学生は「ヒグマの保存食」にされてしまったのか…ここでは2023年10月に起きた、ヒグマが消防士を襲撃した北海道の事件を紹介。宝島社による新刊『アーバン熊の脅威』より一部抜粋してお届けする。2023年10月31日の午前10時半頃、北海道松前郡福島町の大千軒岳(標高1072メートル)を登っていた消防士3人のグループがヒグマに襲われ、2人が首などにケガを負った。登山道を一列に並んで歩いていた時に最後尾の男性が襲撃され、先頭の男性が刃渡り5センチのナイフで熊の目元と喉元を狙って応戦し、熊は首にナイフが刺さったまま逃げていった。襲われた2人は運よく軽傷で済んだが、この時にすでに犠牲者が出ていた。登山道の入り口に車が置き去りになっており、持ち主の携帯電話の位置情報などを頼りに警察が捜索したところ、やぶの中で土や枝が被せられた男性の遺体を発見した。30メートルほど近くに消防士グループを襲った熊の死骸があり、熊は負傷後に「保存食」として隠していた遺体の近くへ向かい、そのまま力尽きたとみられる。男性の遺体は激しく損傷しており、死因は多発損傷による出血性ショックだった。DNA鑑定によって、遺体は10月29日から「登山に行く」と友人らに連絡してから行方がわからなくなっていた北海道大学の22歳の男子学生であることが判明。男性はカヌー部に所属するなど自然が好きで登山が趣味だったといい、翌春には大学院に進学する予定だった。あまりの遺体の損傷ぶりによって死因の特定は困難となったが、熊の胃の中から見つかった遺体の一部のDNA型が男性と一致。司法解剖によって生前に深い傷を負っていたとわかったことで、警察は「熊に襲われて死亡した」と断定した。恐ろしいのは、このヒグマが完全に「人間は食べ物」であると認識していたことだ。先述の消防士グループは、熊除けの鈴を装備し、笛を吹いたり、火薬で音が鳴るピストルを撃ったりしながら登山していたが、それでも熊のほうから近づいて襲ってきた。ヒグマと遭遇した消防士たちは大声を出したり、ピストルを発砲したりしたが、まったく熊は怯まなかったという。本来、ヒグマは臆病で用心深い生き物であるが、食べ物への執着心は非常に強い。つまり、人間を「獲物」だと認識しているからこそ、あえて自ら消防士たちに近づいてきたのだ。「人食い熊」と化していたという点で狂暴性が極めて高く、もし運よく消防士のナイフで殺すことができなかったら、さらなる被害が起きていたのは間違いないだろう。前年には、福島町に隣接する渡島管内松前町で高齢夫婦がヒグマに頭部や腕をかじられて重傷を負う事件が起きており、人間の味を覚えた同じ個体ではないかという推測もある。「熊は人間を捕食する」「人間の味を一度覚えると積極的に人を襲うようになる」という事実を再認識させられた事件でもあり、衝撃度においては2023年のワースト1といえるだろう。

(ヒグマの胃から見つかったのは“9キロの人肉と骨”:北海道)
犯行現場の近くには「性別がわからない」人間の頭部が……なぜベテラン釣り人は損傷の激しい状態で見つかったのか? ここではヒグマの恐るべき習性を、宝島社による新刊『アーバン熊の脅威』より一部抜粋してお届けする。幻の魚と呼ばれる「イトウ」釣りの聖地として知られる北海道幌加内町の朱鞠内湖で、凄惨な事件が起こった。イトウ釣りで同所を訪れていた50代の男性がヒグマに襲われて死亡したのだ。遺体の損壊があまりにも激しく、ヒグマの残虐性を改め世に知らしめる事件となった。2023年5月14日の午前5時半頃、被害者の男性はガイドの渡し船で朱鞠内湖北東の水辺に到着。男性はイトウ釣りでよく朱鞠内湖を訪れていたベテラン釣り人で、その水辺は男性のお気に入りの釣り場だったという。しかし、午前9時頃に渡し船の船員が迎えに行ったところ、男性の姿は消えており、釣り人が使う胴長靴をくわえたヒグマが目撃された。翌日に警察や地元のハンターらが捜索を行うと、水辺に大量の血痕が残っていることが判明。続けて、男性のものとみられる釣り竿や救命胴衣などが発見され、さらに周辺で人間の頭部が見つかった。頭部は顔面の損傷が非常に激しく、男女の区別すらつかない状態だったという。頭部の発見からほどなく、体長1.5メートルほどのオスのヒグマが出現し、ハンターによって射殺された。17日の捜索では、頭部が見つかった現場から50メートルほど離れた場所で「頭のない人間の胴体」が見つかり、草木を被せてあったことからヒグマの習性で「保存食」とし隠したものとみられた。やはり頭部と同じく、胴体の損傷も非常に激しかったという。駆除されたヒグマの胃からは、肉片や骨片など約9キロの内容物が見つかり、警察はそれらから男性のDNAを検出。さらに、遺体に動物に咬まれたり、爪で傷つけられたりしたような痕があったことなどから、男性は14日早朝にヒグマに襲われて死亡したと断定された。熊は人間を攻撃する際に顔面を集中的に狙うことが多いが、捕食対象と認識した時はそれだけに留まらず、遺体を引き裂くことが珍しくない。2021年7月には、北海道福島町で畑仕事に出かけた七十代の女性がヒグマに襲われ、外傷性ショックで死亡する事件があった。この時は警察やマスコミの「配慮」によって詳しい被害状況があまり明かされなかったが、遺体には上半身がなく、性別すらわからないほど激しく損傷していたことがわかっている。先述したようにヒグマは食べ物を隠す習性があることから、手頃なサイズにするために遺体をバラバラに引き裂くのではないかとみられている。朱鞠内湖の事件は被害者数だけ見れば1名だが、あまりにもひどい遺体の損壊ぶりによって、ヒグマの残虐性とすさまじいパワーを思い知らされた。その意味でも、世間に大きな衝撃を与えたといえるだろう。

(奈良のシカ「保護管理区域はB地区まで」)
国の天然記念物「奈良のシカ」を巡り、県が駆除できるエリアの拡大を検討する方針を示したことについて、地元・奈良市の仲川元庸市長は27日の会見で、「なかなか百点満点の答えはないが、個人的にはD地区まで含めて保護管理区域にしているのはエリアが大きすぎると思っている。奈良のシカという価値を現実的に表すのはA地区だと思っているし、せめてB地区の範囲までと思う」と私見を述べた。さらに「今回色んな議論があった中で、法と管理のバランス、本来は野生の前提で自由移動ができるという前提の中でどこまで人が手を出し、手を放すのか。問題提起として重要な議論だった」と評価した上で、「今回の打つ手がどんな効果、影響があるかしっかりデータを取り、経年評価をするしかない」とも述べた。

(秋田犬「大馬」と小高散歩:福島)
南相馬市社会福祉協議会は27日、イノシシなどの有害獣対策として秋田県から寄贈された秋田犬の大馬(だいま)を小高区福祉サービスセンター一日所長に任命した。大馬は住民らと共に同市小高区の中心部で見回りなどを行い、参加者の心を癒やした。「大馬一日所長とおだかのまち散歩」と銘打ったイベントで、昨年に引き続き2回目。グレートピレニーズの純も「秘書」として参加し、住民らと小高川沿いなどを巡った。参加者はごみ拾いをしながら交流したほか、防災マップ作成に向け、危険箇所や避難経路などを確認した。春の陽気に大馬は横になったり、純とじゃれ合ったりしていたが、愛らしい表情で愛嬌(あいきょう)を振りまき、同センターの青田敏所長は「素晴らしい働きぶりだ」と目を細めた。

(長岡市が猟銃の購入費を補助へ:新潟)
クマをはじめとした野生動物への対策を強化するため、長岡市は一定の条件を満たした人が初めて猟銃を購入する場合、最大で半額まで費用を補助することになりました。長岡市が補助するのは、市の任命を受けて駆除にあたる「長岡市鳥獣被害対策実施隊」に入るなど一定の条件を満たした人で、初めて猟銃を購入する場合、15万円を上限に最大で半額まで費用を補助します。こうした支援の背景には、クマによる人的被害などが相次ぐ一方、野生動物の駆除にあたる市の任命チームに所属して猟銃を所持する人は、6割が60歳以上で、将来の担い手不足が懸念されていることがあるということです。長岡市の鳥獣被害対策課は「クマなどの被害が深刻化する一方で駆除をする人が不足し、このままでは市街地にクマが現れかねない。猟銃の購入費用を補助することで、新たな担い手を呼び込むきっかけにしたい」と話しています。

(鳥獣被害防止へ、猟師10人決意新た:静岡)
富士宮市鳥獣被害対策実施隊の2024年度委嘱状交付式が1日、市役所で開かれ、地元猟友会の10人が農作物の食害防止に向けて決意を新たにした。隊員は3月末までの1年間、くくりわなを使った捕獲活動を実施する。23年度はシカ163頭とイノシシ40頭を捕獲した。クマの目撃情報が相次ぎ、巡視にも協力した。隊長に選ばれた風岡正則さんは「農耕地に出てくる個体への対応を強化する」とあいさつした。

(クマの目撃情報をLINEで入力、情報共有始める:岩手)
クマの被害が増える中、目撃情報を市の公式LINEで入力してもらい、登録している人全員で情報を共有して被害に備えようという新しいサービスが八幡平市で始まりました。八幡平市によりますと、このサービスは「Bears(ベアーズ)」と名付けられ、市の公式LINEでクマの目撃情報を入力すると、登録者全員が情報を閲覧できるようになります。入力する情報は▽クマを目撃した日付と時間、▽地図上での場所、▽何頭いたかなどで、登録した情報はリアルタイムでアプリの地図上に表示されます。市内の企業がシステムを開発し、市は1日から運用を始めました。企業に対して年間で53万円の使用料を支払うということです。八幡平市では、去年1年間にクマの目撃情報や被害情報が前の年の5倍以上にあたる478件寄せられ、10月にはクマに襲われて1人が死亡しました。市はこのサービスで市民に広く情報を共有してもらい、被害の予防に役立ててもらいたいとしています。一方で、市の公式LINEの登録者数は先月末で2300人余りと市民全体のおよそ1割にとどまっていて、市は今月中にも同じ情報を市のホームページでも見られるようにする方針です。

(イノシシ侵入防止柵「イノシシガードシリーズ」:鹿児島)
アムザス株式会社は、2012年 「長島から、働き方の常識を変える」をテーマに、鹿児島県出水郡長島町で創業、じゃがいも生産事業、ベビー用品事業を展開。2014年にはベビー用品ブランド「アップリカ」の専門代理店となる。さらに10年以上にわたる自身のじゃがいも農家の自衛策として取り組んできたイノシシ被害対策を、事業として本格展開。イノシシの被害実績がある自社のじゃがいも畑で長年にわたる実証研究の末、2021年に「非完全固定」タイプの侵入防止柵(イノシシガードシリーズ)を考案し、特許を取得。その後、さらに研究開発を進め2年後の2023年12月に製品化・量産化に成功今後も全国の中山間地域農業者の農作物被害対策に貢献すべく商品を開発してまいります。当社は、4月1日を夢を発信する日にしようとするApril Dreamに賛同しています。 このプレスリリースは「アムザス株式会社」の夢です。「イノシシガードシリーズ」はイノシシの習性を研究しつくした新開発の侵入防止柵です。既存の侵入防止柵では破壊や潜り抜けに改善の余地がありました。     イノシシの被害実績がある自社のじゃがいも農地で長年にわたる実証研究の末、「非完全固定」タイプの侵入防止柵(イノシシガードシリーズ)の製品化に成功。さらに特許も取得。もうイノシシのやりたい放題にはさせない。これからは、頭を悩ますのはイノシシの番だ!

(シカ駆除で道知事感謝状:北海道)
道猟友会広尾支部の志村國昭支部長(73)=広尾町議=が26日、長年にわたるエゾシカ駆除の功績をたたえられ、道知事感謝状を受けた。志村さんは「最前線で活動するメンバーを代表して受賞したもの。

(和菓子店に居座り続ける一頭のクマ、捕獲に向け警戒続く:福島)
福島県会津若松市の東山温泉では和菓子店に入り込んだクマの捕獲に向けて猟友会などが警戒を続けている。会津若松市の東山温泉にある和菓子店では、27日午後4時すぎ「クマが店の中にいる」などと従業員から110番通報があった。従業員などは避難してケガはなかった。近くの人は「こわいよね。うちのところにも開けて入ってきたらどうしようなんてね」と話す。会津若松市と警察ではパトロールを行い、住民や旅館の宿泊客などの安全を確保するとともに店舗前で警戒を続けている。また、28日午前11時からは、店舗の中に小型のカメラを入れてクマがいる場所を特定した上で、麻酔銃での捕獲か、煙などで店舗の外に追い出し山へ逃がすことなどを検討している。

(温泉の駐車場にクマ、ごみ集積所の扉壊す:岩手)
26日午後10時50分ごろ、花巻市湯口の大沢温泉(高田貞一社長)駐車場で、クマがごみ集積所の木製扉を壊した。けが人はいなかった。花巻署によると、従業員が集積所で体長約1メートルのクマ1頭を目撃し110番通報した。駆け付けた地元猟友会員が追い払い、同11時半ごろに東側の山林に逃げた。クマは木製扉の一部を破壊し、内部のごみを荒らした。別の扉にも引っかいたような跡があった。

(「風呂場にクマが…」冬眠明け温泉街にも出没:福島)
「風呂場にクマが出た」。クマの姿をカメラがとらえました。温泉街を流れる川。姿を現したのは、ツキノワグマでした…!人目につかないようにしているのでしょうか。茂みに隠れるように壁に沿って歩く姿が確認できます。さらに、温泉を宿まで運ぶ黒いパイプの上を…器用に登り、細い道幅をのそのそと渡っていきます。渡り終えると、そのまま崖を登り姿を消しました。朝から地元猟友会などが捕獲用のワナを設置し、捜索はドローンも使い厳戒態勢です。クマが現れたのは、福島県会津若松市にある東山温泉街。辺りは山に囲まれ、自然豊かな温泉街です。27日夕方、建物内の風呂場でクマが見つかり、警察や地元猟友会が警戒にあたるも捕獲には至らず、翌日に持ち越すことに…。実は、27日現れたクマが翌日朝に川で見つかり、また居座っていた建物に入り込んだのでした。再びクマが27日と同じ建物に居座り、事態は振り出しに…同一の固体かは分かっていませんが、再びクマが同じ場所に戻ってくることはあるのでしょうか?動物研究家 パンク町田氏「風呂場が落ち着く場所だったんだと思う。落ち着く場所だったので一周して、また元に戻ったと思う。休憩する場所にちょうどいい」。28日昼前、建物内に居座るクマを捕獲すべく作戦会議が行われます。猟友会「焚くしかない」。くん煙剤を使って、クマを外に追い出す“いぶり出し作戦”が決行されました。しかし、クマはなかなか外に出てきません。膠着状態が続きます。結局、28日も確保には至りませんでした。2日も居座ったクマ。29日以降、出てくる可能性は?動物研究家 パンク町田氏「冬眠から明けたばかりで、まだ寝ぼけまなこの可能性。しっかりと目が覚めれば、人間がこわいと認識し、頭が働けば、徐々に離れると思う」。

(3日目でついに捕獲、東山温泉に居座ったクマ:福島)
温泉街に平穏が戻った。福島県会津若松市の東山温泉で、3月27日から建物の中に入り込んでいたクマを捕獲した。29日午後2時45分、一頭のクマが建物から飛び出してきた。27日に会津若松市の東山温泉にある和菓子店に入り込んだクマだ。会津若松市と捕獲隊は、28日からクマが和菓子店に隣接する空き家にいるとみて捜索を続けてきた。爆竹を鳴らすなどした結果、クマが地下1階部分にいることを突き止めた。午後2時すぎ。捕獲隊などは建物の穴から顔をのぞかせていたクマに麻酔銃を撃った。その後、建物の外へ飛び出したクマ。麻酔がきいたところを捕獲した。体長は約1メートル、重さ50キロのほどの成獣に満たないクマだった。捕獲隊は「やっとひと段落これでゆっくり休めますね」と話した。クマに入られた和菓子店の関係者は「建物はつながっているんですけど、つながっている所をバリケードというか、こっちにこないように安全対策をしてもらったので、それを含めて行政と相談して営業再開した。あすからも普通に来てくださいと大手を振って言えるのかなと思います」とほっと胸をなでおろしていた。建物の隙間からこれまでも出入りしていたとみられるクマ。山の奥に帰された。

(小屋内のクマ、自力で外へ:岩手)
岩手県花巻市の住宅敷地内の小屋に入り込んでいたクマは30日午前6時50分ごろ、小屋からいなくなっているのが確認された。花巻署によると、開けていた扉の隙間から、自力で外に出たとみられる。人的被害はなかった。市によると、クマは成獣で体長約1メートルとみられ、27日夜に小屋に入り込んでいるのを住民が確認し、とどまっていた。

(2階ベランダにシカ迷い込む:北海道)
3日朝、北海道小樽市の一軒家の2階ベランダに、オスのシカ1頭が、迷い込みました。シカは2時間ほどベランダに居座ったのち、隣接する車庫の屋根に降りて山の方へ逃げて行きました。3日午前6時20分ごろ、小樽市潮見台1丁目にある2階建ての家に住む女性から「角のある大きなシカが、ベランダに入ってきた」と警察に通報がありました。住人が撮影した画像には、大きな角があるシカ1頭がベランダでたたずんでいる様子が記録されています。警察によりますと、午前6時ごろ、女性が飼い犬の鳴き声を聞いた後、「ドン」という音がして、ベランダを見たところ、シカが2階のベランダに入り込んでいたということです。警察が現場に到着し、シカの動きを見守りながら、追い払う方法を検討していたところ、午前8時すぎ、シカはベランダから、隣接する車庫の屋根に飛び移り、山の方へ逃げて行ったということです。住人の女性は、HBCの取材に対し「大きくて、角もあって、突っ込まれたら死にそうだなと思いました。怖かったです」と語り、「朝の6時くらいからいたような気がする。シカは犬に追いかけられていたみたいです」と話しました。このシカによる被害は、確認されていません。

(飲食店が猟師とタッグ:新潟)
新潟県南魚沼市六日町の飲食店「食ing(いーてぃんぐ) Bar(ばー) くう」が3月に入り、ジビエのメニューを本格的に提供し始めた。ジビエはフランス語で野生鳥獣の肉のこと。店は、市内で捕れたイノシシ肉を使い、ご飯と合わせたり、ステーキにしたりして肉のうまみを味わえる品に仕上げている。地元の猟師らとタッグを組み、鳥獣被害の対策にもつながるとしてPRしている。

(クマが旅館のごみ集積所の木製扉壊す:岩手)
岩手県花巻市の旅館で31日、ごみ集積所の木製扉の一部がクマに壊される被害が確認されました。被害があったのは、花巻市湯口の大沢温泉駐車場にあるごみ集積所です。花巻警察署によりますと、31日午前5時15分ごろ、大沢温泉の従業員から「ごみ集積所の扉が壊されている」と110番通報がありました。このごみ集積所は今月26日の夜にクマに引き戸の木製扉の一部を壊されて修理したばかりでした。今回も同じ所を壊され、扉にはクマの爪痕があったということです。周辺では住宅の敷地内の小屋にクマが入り込むなどクマの目撃情報があることから、警察では周囲をパトロールし警戒を呼びかけています。

(クマによる3度目の被害:岩手)
岩手県花巻市の旅館で2日、ごみ集積所の木製扉の一部がクマに壊される被害が確認されました。
警察によりますと、2日午前5時30分ごろ、花巻市湯口の大沢温泉の従業員が、ごみ集積所の木製扉が壊されているのを発見し110番通報しました。警察や猟友会がごみ集積所の近くで爆竹を鳴らしたところ、成獣のクマ1頭がごみ集積所から山林に逃げていったということです。このごみ集積所は3月26日と31日にも木製扉の一部を壊される被害に遭ったばかりでした。ごみ集積所が複数回被害に遭っていることや周辺でクマの目撃情報があることなどから、警察では改めて周囲に警戒を呼びかけています。

(ジビエに特化、小型の処理施設開発:熊本)
人吉市や宮崎県西都市をはじめ、企業やNPOなど計9者でつくる「DMMジビエBOXコンソーシアム」は、ジビエ(野生鳥獣肉)に特化した小型の処理施設を開発した。42立方メートルのコンテナ2台をつなぎ合わせた造り。床面積約30平方メートル。

(「しし肉」駅弁完成:石川)
16日の北陸新幹線小松駅開業に向け、小松市が駅弁製造の高野商店(加賀市)と共同開発を進めてきた駅弁「小松しし肉弁当」が完成した。小松産イノシシ肉を素材に生かし、包装紙には歌舞伎「勧進帳」の弁慶が描かれた。同日から小松駅と金沢駅で販売される。南加賀広域圏事務組合が市内に整備した獣肉処理加工施設「ジビエアトリエ加賀の國」のイノシシ肉を使用。甘辛く煮付けたスライス肉とそぼろを小松産の大麦入りご飯に載せている。1個1280円。市は、イノシシ肉の販路拡大を図るとともに、小松駅の名物となるような駅弁作りを目指してきた。市の担当者は「試食した女性たちの意見を取り入れた自信作。臭みがなくて軟らかく、ご飯が進む味に仕上がった」と話した。

(ジビエレザーを個性的製品に:岡山)
岡山市の「建部獣皮(たけべじゅうひ)有効活用研究所」が、シカやイノシシの革(ジビエレザー)の魅力を広めようと、触って楽しむことに特化した個性的な製品を開発している。田畑を荒らす害獣として駆除され、通常は廃棄されてしまう皮を活用する。代表の頼本ちひろさん(41)は「なじみのない素材だからこそ、多くの人に実際に手に取ってもらい身近に感じてほしい」と語る。シカ革を使った「かわねんど」は、水でぬらすと自由に成形できる紙粘土のような特徴を生かしたクラフト製品だ。パンダや竜などが作れるキットにした。ワークショップを開催すると「革は乾くと形状記憶するんだ!」などと驚きや発見の声が上がるといい、子どもから大人まで幅広い世代で人気を集めている。シカとイノシシそれぞれの質感を楽しめる、手のひらサイズのキーホルダー「にぎにぎ」も開発した。しっとりと柔らかいシカ革にはスポンジを詰め、ふわふわ感を演出。頑丈で野性味にあふれるイノシシ革にはプラスチックの粒を入れ、ざくざくな触感に仕上げた。頼本さんは「リラックスやストレス解消グッズとして使ってほしい」と話す。頼本さんは、夫が岡山市の地域おこし協力隊に任命された2016年、京都府福知山市から移住した。その頃、駆除されたシカやイノシシの約9割が全く活用されずに捨てられ、食用肉などに利用されても皮の部分は処分されていることを知った。「大切な命を無駄にせず価値ある資源として有効活用したい」。そんな思いで2018年に研究所を設立。地元の猟師らから皮を譲り受けて名刺入れやアクセサリー作りを始めると、次第にジビエレザーならではの魅力を前面に押し出した製品のアイデアが生まれていった。開発製品の一部は研究所のオンラインショップ「TALABO(タラボ)」などで販売中。今後、取り扱いを増やしていく計画だ。

(業種の枠超え流通に力:鳥取)
鳥取市の鹿野町総合支所2階の小さな一室。ドアには「いなばのジビエ推進協議会」と書かれた紙が貼られている。専従のスタッフはジビエコーディネーターの米村晴己さん(64)だけだが、この小部屋こそが、鳥取のジビエが広く流通する原動力になってきた。協議会は2012年度、県東部のジビエ振興を図るため、ジビエに関わる事業者や行政が連携して設立した。狩猟者の「川上」、解体処理施設の「川中」、飲食・小売店などの「川下」が、業種の枠を超えて連携する組織は全国でも珍しい。食肉処理施設が処理した「ジビエ利用量」は22年度、県は全国5位の82トンだった。北海道や長野県のような広い山林を持つわけではない鳥取が全国上位を誇るのは、協議会の貢献が大きい。「ジビエに関わる事業者は小さなところも多い。協議会が率先して研修などを開き、安全性や品質の向上につなげてきた」。米村さんはそう説明する。協議会はこれまで、県外から優れた解体技術を持つ人を招いた解体処理施設向けの研修会を開いたり、ハンター向けにジビエ利用に適した狩猟方法を学ぶ講座を開催したりして、地域全体で安全性や品質の向上に努めてきた。小規模の処理施設は独自で販路開拓する余裕がないところも多く、協議会が「県産ジビエの営業担当」として奔走してきた。首都圏の高級レストランのシェフたちを招き、施設の徹底した衛生管理などを見てもらったこともある。米村さんは「いち早く安全性で他地域と差別化できたのがよかった。首都圏のシェフとは今も縁が続いている」と語る。17年度には県中西部にも「ほうきのジビエ推進協議会」ができた。しかし、都市部のレストランへの売り込みは全国各地が同様に力を入れ、競争は激しい。そこで県内のジビエ関係者が新たな市場として目を付けるのが、アウトドア分野だ。昨年9月下旬、米子市でアウトドア市場でのジビエの可能性を学ぶ勉強会が開かれた。「キャンプとジビエは『自然』というキーワードでつながり、相性がいい。ジビエに親しみがない人も、キャンプという非日常なシチュエーションだと挑戦しやすい」。講師を務めたアウトドアイベント事業などを手がける会社「Engi」(横浜市)社長の羽田野裕義さんは強調する。羽田野さんによると、キャンプ用品関連の市場だけで1000億円規模とも言われ、全国でキャンプ場の新設が相次ぐ。ジビエメニューを扱うカフェを併設したり、バーベキュー用のジビエを販売したりしているところもある。勉強会に参加した飲食店経営の男性は「ジビエは在庫を抱えがち。輸送コストの問題はあるが、キャンプ市場にもうまく参入したい」と話した。旅行と組み合わせた市場開拓の試みもある。読売旅行(東京)は22年に、ハンターの案内で山林を歩いたり、ジビエ料理を体験したりするツアーを不定期で始めた。昨年10月には鹿の脚の解体に挑戦する本格的な内容で開催し、「自給自足の暮らしを学びたい」という若者らが参加した。県食パラダイス推進課の担当者は「ジビエを目当てに鳥取に来てもらえれば、地域への波及効果も大きい。ジビエを通して鳥取のファンが増えれば」と期待する。

(おいしい出会い、日常に:鳥取)
鳥取市のスーパー「サンマート湖山店」の精肉売り場には、冷凍の鶏もも肉などの横にシカ肉のスライスやミンチが並ぶ。売り場を通り過ぎた女性会社員(44)は「ジビエ肉は以前、知人からもらって食べたことがあるけれど、口に合わなくて……。買ってまでは食べないかな」と苦笑いした。県東部で9店舗を展開するサンマート(鳥取市)は消費者への普及に貢献しようと2017年からジビエを取り扱っている。道の駅や産直市場などを除いて、常に扱うスーパーは全国的にも珍しい。ただ、普及は道半ばだ。解体処理施設が普及していなかった時代に、質にばらつきが出やすい個人が捕獲・解体した肉を食べて「臭い」「硬い」という印象を持った人も少なくないという。県食パラダイス推進課の福山豊さんは「専門の施設で処理された今のジビエはかつてに比べて格段に質が向上し、おいしい」と強調。そのうえで「ジビエへの先入観の 払拭ふっしょく は大きな課題だ」と話す。サンマートでは「食べたことがない人に食べてもらう」「食べ方を広める」の2点に注力し、シカ肉のカレーコロッケを商品化したり、ジビエ料理教室を開催したりしてきた。大量に仕入れられないため大々的な販売促進はしていないが、年間3000パック以上を安定して売り上げ、その量は少しずつだが増加している。岩崎宗一常務は「ほしいと思った人がいつでも買えるようにしておくことが、地元スーパーとしてできる地域貢献」と話す。ジビエ関係者が消費拡大の担い手として期待するのが若年層だ。ジビエへの先入観が少ないことに加え、環境問題への関心が高く、資源の有効活用や地産地消として受け入れられやすいとみる。食育の一環として学校現場での活用も進む。昨年10月、智頭町立智頭小学校の給食に登場したのは、シカ肉とゴボウのみそいため。町内で捕獲されたシカ肉が使われた。子どもが好む甘辛い味付けで、おかわりをする姿も。3年の女子児童(9)は「お肉が軟らかくておいしい」と笑顔だ。県内では21年度、全19市町村のうち14町でジビエを使った給食が提供された。一方、国の22年4月時点の調査では、全国では53市町村にとどまり、県内の実施率の高さが際立つ。「いなばのジビエ推進協議会」(鳥取市)が学校給食関係者に調理講習会を開いて働きかけてきたことや、家庭向けにちらしを配布して保護者の理解を深めたことなどが、スムーズな導入につながったとみられる。子どもが家庭でジビエ給食を話題にすることで、大人の関心が高まることも期待される。ジビエの流通に詳しい亜細亜大の伊藤匡美教授は「鳥取のジビエの品質、特に安全性は全国でもトップクラス。首都圏の高級レストランで採用されてきた実績もある」と評価する一方、従来の方法では今後伸び悩むと指摘する。「珍しさや鳥獣対策という理屈で食べてもらえるのは一度きり。ジビエ関係者が連携して幅広い人にジビエとの『おいしい出会い』を提供し、継続して食べてもらう努力をすることが必要だ」と話す。

(ペットフード製造所「ちゃろっく」1周年:和歌山)
ジビエペットフード製造所「ちゃろっく」(紀美野町蓑津呂)が4月1日、事業開始から1周年を迎えた。店名は「猪鹿(ちょろく)」を親しみやすくアレンジ。いずれも紀美野町出身の、森谷一斗さんが狩猟・解体を、中谷三幸さんが精肉・加工を、それぞれ担当する。ペットフードは卸売するほか、イベントやインターネットでも販売する。森谷さんは「ジビエは以前から近隣の猟師から分けてもらうなど身近だった。農作物への食害など獣害が増える中、その対策として捕獲されたイノシシやシカのジビエが活用されないこともあると知り、ペットフードに活用した。最初の商品はジャーキーで、顧客のリクエストに応え、商品のラインアップを増やしてきた。製造から販売まで一貫して手がけている点を評価するリピーターも多い」と話す。ラインアップは、シカ肉・イノシシ肉ジャーキー、シカ肉・イノシシ肉クッキー、肉付きあばら骨3本セット(以上600円)、げんこつ骨、スネ骨、肩甲骨(以上1,600円)、シカ肉ステーキ(780円)、ブロック肉(1,500円)、ミンチ肉(1,860円)など。中谷さんは「今後は処理施設を増やし、リクエストが多い食肉も手がけられるようにしたい」と意気込む。

(クマ出没:宮城)
仙台市によると、28日午後2時ごろ、仙台市青葉区南吉成7丁目にクマが出没しました。

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