<射撃ニュース7月>
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(男性がクマに襲われる、顔や胸を負傷:島根)
10日午後2時45分頃、島根県益田市美都町山本の山中で、神奈川県在住の40歳代の男性が体長約1メートルのツキノワグマに襲われた。同市の発表によると、男性は顔や胸などを負傷したが、命に別条はないという。クマは山の方角へ逃げたとみられ、市が防災無線などで住民らに注意を呼びかけている。
(登山者の男性に向かってくるクマ、撃退スプレー噴射で逃亡:北海道)
去年、ヒグマによる登山者の死亡事故で閉鎖され今月5日に規制が解除されたばかりの北海道知床半島の羅臼岳(標高1661m)で9日、登山者に向かってくるクマが出没し、登山道が再び閉鎖されました。町などでつくる対策連絡会議によりますと、9日午前11時すぎ、羅臼岳の標高およそ560メートル付近でひとりで下山していた60代の男性に向かってクマが走ってきました。男性が撃退スプレーを噴射したところ、クマは逃げました。連絡会議はこの事態を受け、羅臼岳のすべての登山道を閉鎖しました。少なくとも5日間は閉鎖し、現地調査を踏まえ再開を検討するとしています。羅臼岳では去年8月、下山中の男性(当時26)がクマに襲われ死亡する事故が起きたためすべての登山道を閉鎖、今月5日に規制が解除されたばかりでした。
(イノシシに襲われ2人がけが:長野)
長野県安曇野市で12日朝、住民2人がイノシシに襲われ手をかまれるなどして軽いけがをしました。警察によりますと安曇野市穂高柏原で、12日午前7時すぎ、犬の散歩をしていた市内の77歳の男性がイノシシに襲われ左手の指をかまれ、転倒しました。男性は、手にけがをしたほか、転倒した際に頭などを打ち、市内の病院に搬送されましたが、軽傷とみられています。またこの5分ほど前にもおよそ600メートルほど離れた民家で庭先の掃除をしていた86歳の男性にイノシシが突進し男性が足に軽いけがをしました。2人を襲ったのはいずれも成獣とみられ同じ個体の可能性もあり、警察などが警戒にあたっていますが、発見には至っていません。
(近畿初「クマ緊急銃猟」:奈良)
11日、奈良県東吉野村の住宅の倉庫にクマ1頭がいるのが見つかり、緊急銃猟で駆除されました。近畿地方での緊急銃猟は初めてです。県によりますと、11日午前7時50分ごろ、東吉野村の住民から「自宅納屋でツキノワグマらしき動物を目撃した」と村役場に連絡がありました。連絡を受けた県と村の担当者らが現場でツキノワグマであることを確認。警察など関係機関が協議し、村が「緊急銃猟」の実施を決定。午後5時半ごろ、獣医師が麻酔銃を撃って、捕獲後、殺処分されました。人的被害はありませんでした。殺処分されたツキノワグマは全長135cm・体重41kgのオスで、10歳から15歳くらいと推定されています。環境省が公表しているデータによりますと、福井県より西の地域でのクマの「緊急銃猟」は初めてだということです。
(居間で寝ていて顔に息がかかり、目を開けると至近距離にクマ:岩手)
9日午前1時半頃、岩手県雫石町の畜産業男性(69)方に、成獣のクマ1頭が侵入した。男性が大声を上げると外に逃げたが、その後も勝手口の引き戸を前脚で開けて、入ろうとするなどした。けが人はなかったが、町が箱わなを設置して警戒にあたっている。次男(39)によると、男性は8日深夜に牛の出産に立ち会った後、自宅1階の居間で横になっていた。顔の近くに息がかかるのを感じて目を開けると、至近距離にクマがいた。疲労で引き戸の施錠を忘れていたという。男性の大声に驚いたクマは、一度屋外に出たが、再び引き戸を開けて中へ侵入。再び大声で追い払い、戸を施錠した後も姿を現した。隣の建物2階から次男がライトで照らすと、うなり声が聞こえたという。自宅敷地内では数日前から同じ個体とみられるクマが出没。小屋に置いてあった子牛の飼料に混ぜる粉ミルクや、飼料約15キロが食い荒らされた。通報を受けた町は8日、敷地内に箱わなを設置していた。次男は「大声を出しても怖がらないクマで、父の命に関わる状況だった。一刻も早く駆除してほしい」と訴えた。
(ガバメントハンター、採用は3自治体のみ:秋田)
秋田県内25市町村のうち狩猟免許や専門知識を持つ自治体職員「ガバメントハンター」を採用しているのは、3つの市と村にとどまっています。残りの22市町村のうち6割は、採用の意向がないことが分かりました。秋田テレビは6月、県内25市町村を対象にガバメントハンターの採用に関するアンケート調査を行いました。それによりますと、ハンターを職員として採用しているのは、秋田市、鹿角市、東成瀬村でした。加えて、秋田県が6月、ハンター1人を採用しています。一方、「採用していない」と答えた22市町村のうち、約6割は「採用の意向がない」と回答しました。現在、県内でハンターを採用している市町村は3つで、このうち東成瀬村は7月から村の職員としてハンターを採用しました。採用の背景と活動の様子を取材しました。7月1日に東成瀬村のガバメントハンターとして採用されたのは、埼玉県出身の浅見勇人さんです。村の元地域おこし協力隊で、4年前に村にやってきました。幼い頃から狩猟で生活することに関心があり、移住後に狩猟免許を取得し、地元の猟友会に所属しました。猟の経験はまだありませんが、村の人の力になりたいと考え、今回手を挙げました。また、村での生活のある変化も浅見さんの背中を押したようです。東成瀬村ガバメントハンター・浅見勇人さん:「いま住んでいる場所に実際クマが出てきてしまった。イノシシも出ていて、うちも農作物がやられた。人と野生動物が近くなりすぎたのかなと感じている」。2026年度の村内のクマやイノシシなどの有害鳥獣の目撃件数は、前年度の同じ時期の2倍以上に上っています。村では2025年10月、男女4人がクマに襲われ、30代の男性が亡くなりました。東成瀬村産業振興課・佐々木清志課長:「出没情報が増えたのも併せて人身被害があったこともあって、緊急に対策・対応しなければならないと今回採用に至った」。人身被害が発生してからクマの目撃などに関する情報が多く寄せられるようになり、村は住民の危機意識の変化を感じたといいます。住民の安全や人手の確保に向け、村は6月にハンターの募集を開始。万が一のとき、すぐ対応できるようにと、狩猟免許を持っていることを条件にしました。ただ、募集を始めても問い合わせはなく、応募の締め切り日に浅見さんから申し込みがあったということです。佐々木清志課長:「地理的なことも分かっていると思うので、そういう面では対応・対策をしていく上ではこちらとしても助かったという感じ。現在のほかの猟友会の方、先輩の方々と一緒に経験を積んでもらえたら」。浅見勇人さん:「経験が浅いので、動物の痕跡など、すぐにこれなんだと分からないので、先輩方の知識量は武器になるのでそこを早く習得して、自分に任せてもらえるガバメントハンターになっていきたい」。自治体にとって、ガバメントハンターの採用に課題があるのも事実です。秋田テレビが県内25市町村を対象としたアンケートでは、ハンターを採用していない22市町村のうち、5つの市と町が「採用の意向がある」と答えたものの、何らかの理由で採用できていないことが分かりました。挙げられた理由としては、「クマの出没がない時期など、年間を通しての業務の在り方」「人材の確保の難しさ」「ガンロッカーの設置」などがありました。ガンロッカーとは銃を保管するものです。庁舎内にガンロッカーを設置をするかどうかという点で、ハードルを抱えているところもあります。まず、原則として猟銃を目的もなく持ち歩くことはできません。例えば、猟銃を自宅で保管している場合、ハンターが庁舎内に出勤していて現場に出動しなければならなくなったとします。その場合、自宅に猟銃を取りに行く必要がありますが、自宅と庁舎がかなり離れていたら、現場への出動に遅れが出る可能性も考えられます。銃を保管するには、警察に申請する必要があります。保管するロッカーや場所については、法律に基づいた基準が設けられていて、「金属製であること」「施錠できること」などがあります。実際に警察が現地を訪れて設備を確認し、問題がなければその場所で銃を保管できます。さらに県内の猟友会関係者に話を聞くと、ロッカーの鍵は本人しか持てない状況か、猟銃を持っていることや場所が外部から分からないか、などについて特に確認されるといいます。このほかにも、ガバメントハンターの役割や定義があいまいであるとして、採用に踏み切れない自治体もあります。大館市は採用の意向を示していますが、石田健佑市長は「必ずしも撃てるハンターが必要というわけではない」と話します。大館市・石田健佑市長:「われわれの考えとしては、撃てるハンターというより、撃てる人たちとのコミュニケーションを取って関係性を構築して、他の自治体のクマ対策の事例を実証実験するなど、行政にしかできない、ありとあらゆる知見を生かした活動できるガバメントハンターの育成の必要性を感じている」。大館市は、2025年に市の中心部にクマが出没したほか、クマの捕獲頭数は381頭に上りました。石田市長は猟友会の会員を効果的に稼働させるため、市と猟友会の調整役を担うガバメントハンター、さらに本業を持つ若手の猟友会員が出動しやすくなるような周囲の理解・仕組みづくりが必要としています。また、財政面やクマの生態などを考えれば、県が広域で活動するハンターを採用してもらうのが望ましいと話します。大館市・石田健佑市長:「クマ自体、大館だけではなく北鹿全体を移動している状態。イノシシの被害も増えている。全体的な鳥獣被害対策の重要性はこれから増してくる。広域でやるのか、市などが単独でやっていくのか、早めに決めて対策を打つ必要がある」。こうした声を受け、県は次のような方針を示しています。県自然保護課・柏倉誠課長:「県南と県北に、鳥獣管理の専門の知識のある職員とハンターを、セットで配置するイメージで考えている」。県は、専門職員とハンターを、将来的にそれぞれ6人程度採用したいとしています。採用時期は未定で、いまは採用に関する課題の洗い出しや、ハンター採用を考えている市町村に対して国の交付金の案内をするなどのサポートを強化する考えです。人材確保の面では、市町村はもちろん県も難しさを感じていて、最初から専門知識や資格を持っている人材を採用するより、採用後に育成していく方向になるのではないか、と話していました。県や市町村による協議を早く進めてもらいたいところですが、県民もクマの被害に遭わないための心がけが必要です。これからの夏の時期は山に餌がなくなる時期に入るため、県も注意を呼びかけています。屋外に生ごみを置かないなどの対策はもちろん、県の情報マップシステム「クマダス」などでクマの出没情報を得てから行動するようにしてください。
(ダイヤ乱れは20年間で12倍、鉄道各社が対策も「いたちごっこ」)
鉄道各社がカラスやクマといった動物が原因となるダイヤの乱れに頭を悩ませている。トラブルは増加傾向で、20年間で約12倍に増加した。各社は先端技術の活用を検討するなど試行錯誤している。国土交通省によると、2024年度に「動物」が原因となった30分以上の遅れや運休は1293件に上った。05年度の107件に比べて約12倍に増えた。今年5月中旬、JR大宮駅の新幹線ホーム内で停電が発生し、東北・上越新幹線が約25分間運転を見合わせた。原因はホーム屋根付近の電車線がショートしたことで、巣を作ろうとしたカラスが材料として運んだワイヤなどが電車線に接触して停電が起きた可能性が高いという。カラスの繁殖期と重なる春から夏前にかけて、営巣が原因の停電が発生しやすい。新幹線では、カラスなどの鳥類が原因とみられる停電がJR東日本で毎年約10件、JR東海でも5件程度起きている。各社は対策として、電車線周辺に剣山やネットのほか、犬の鳴き声が出るスピーカーを設置して追い払おうとしてきた。ただ、学習能力の高いカラスがすぐに慣れてしまうことに加え、同じ場所に営巣する習性があるため効果は薄いという。結局、徒歩で巡回して巣を見つけては撤去する「いたちごっこ」(JR東日本の担当者)が繰り返されている。状況打開に向けて期待されるのが先端技術だ。新幹線「のぞみ」などに検査装置を取り付けた新型車両「ドクターS」の開発を進めるJR東海は、27年1月から日々の運行中に撮影した画像をAI(人工知能)で分析して巣を見つける取り組みを始める。徒歩巡回は10日に1回ほどのため、早期発見につながる可能性がある。JR東日本は今年3月に導入した木の伐採を行う高所作業用ロボットを、将来的に巣の撤去に活用することも検討中だ。列車の遅延を引き起こしているのはカラスだけではない。件数が一番多いのはシカとの衝突だが、近年課題となっているのがクマだ。JR各社によると、25年度は少なくとも157件の衝突事故があり、5年間で2倍近くに急増した。6月30日夜には北海道苫小牧市のJR北海道・千歳線で貨物列車がクマと衝突。ハンターの手配に時間がかかり、全線での運転再開まで10時間近くかかった。工学院大学の高木亮教授(電気鉄道工学)は「野生動物が相手のトラブルを完全に防ぐ方法はないので、トラブルは起こりうるものと考えた対応が必要だ。鉄道各社には、いかに早期復旧させるか、運転見合わせの区間を減らせるかなどさまざまな視点で対策を進めてもらいたい」と話した。
(四国のツキノワグマ、27頭確認)
四国のツキノワグマの生息状況について調査していた環境省などはこのほど、2025年度の調査で計27頭のツキノワグマを確認したと発表した。子グマを連れた親子も2組確認されたといい、限られた個体数の中で繁殖が続いている状況も裏付けられた。調査結果を公表したのは、林野庁四国森林管理局(高知市)と環境省中国四国環境局(岡山市)、認定NPO法人「四国自然史科学研究センター」(高知県須崎市)が共同で実施する「はしっこプロジェクト」。プロジェクトでは2014年度から毎年、四国のツキノワグマの生息状況の調査を行っている。これまでの調査結果によると、四国のツキノワグマの生息地域は徳島、高知両県にまたがる剣山周辺に限られており、環境省のレッドリスト「絶滅のおそれのある地域個体群」に分類されている。昨年度の調査ではクマの生息域の25カ所に無人のセンサーカメラを設置。このうち16カ所(徳島県10カ所、高知県6カ所)でツキノワグマが確認された。各調査地点にはクマをおびき寄せるために、ワインと蜂蜜を混ぜた餌を設置しており、クマが立ち上げって餌をなめようとした際に撮影できるように設計されている。立ち上がった状態のクマを撮影することで、ツキノワグマ特有の胸の三日月模様の違いから個体の識別ができるという。今回の調査では計25頭が識別され、このうち17頭は以前から識別されていた個体だった。新たに識別された個体は、子グマ4頭を含めた8頭だった。中国四国環境局の個別調査で別の2頭が見つかったことから少なくとも27頭のツキノワグマが生息していることが確認された。環境省などによると、はしっこプロジェクトによる四国のツキノワグマの生息調査は、今年度も継続して実施するという。
(豚熱、県内15例目:青森)
青森県は9日、五戸町の農地で死んでいた野生イノシシから家畜伝染病「豚熱」の感染を確認したと発表した。県内で野生イノシシの豚熱感染を確認したのは15例目。
(豚熱に感染した野生イノシシ:)
群馬県が令和元年10月1日から実施している野生イノシシの豚熱検査において、7月9日の遺伝子検査で2頭の陽性が確認されました。これにより、県内における野生イノシシでの豚熱感染確認事例は501~502頭目となりました。
(ツキノワグマの生態や対策を学ぶ研修会開かれる:岩手)
人里に出没するクマによる人や農作物の被害を防ぐために、生態や対策について学ぶ研修会が盛岡市で開かれました。この研修会はクマの生態を正しく理解して、その危険性を岩手県民に広く呼びかけてもらおうと、県が企画したものです。10日は市町村とそれぞれの教育委員会の職員、農業協同組合の関係者など、オンラインを含め合わせておよそ60人が参加しました。県の専門研究員を務める渡邉颯太さんらを講師に、夏は農地の周辺で出没が増えることや、クマがガソリンやペンキなどのにおいに引き寄せられ、車庫に入り込むケースがあることなどが紹介されました。(県農業普及技術課 小野寺理上席農業普及員)「餌になる農作物があり、侵入しやすい環境がある限りは、加害する個体をいくら捕獲しても次の個体が侵入して加害する悪循環が続きます」。そして、クマによる農作物の被害を防ぐためには、対策として電気柵の設置が効果的だと説明がありました。この研修会は7月、久慈市・釜石市・奥州市でも開催されます。
(町長が明かす「クマ被害」激増の背景:秋田)
クマといえば、ヒグマが出没する北海道のイメージが強かったが、今や日本屈指のクマの出没県になってしまったのが、ツキノワグマによる被害が相次ぐ秋田県である。昨年同様、今年もクマの目撃情報や人的被害が相次いでいる状況だ。地元メディア「秋田魁新報」では、連日のようにクマに関するニュースが報じられている。秋田県はもともとクマが多く生息し、矢口高雄氏が漫画にも描いた猟師“マタギ”の文化が発展してきた。とはいえ、これまではどんなに出没するといっても山中かその麓といった地域に限られ、また、出没時期も、冬眠から目覚める春と、冬眠に入る前の秋頃に警戒すればいいというのが地元民の感覚であった。ところが、今やシーズンを問わないどころか、人が住む市街地にまでクマが出るようになったのである。山菜採りなどで入山した人の被害も後を絶たない。5月28日、秋田県南に位置する羽後町の浦田山に山菜採りに入った80代の女性が、2頭のクマに遭遇。襲われて左手や背中などにケガを負った。クマは2頭で、襲撃後に立ち去ったため、女性は自力で下山できたという。とはいえ、一歩間違えば命を落としかねない出来事であった。羽後町には、8月の3日間で10万人もの観光客が訪れる「西馬音内盆踊り」などの伝統行事がある。対策に取り組む町長の佐々木康寛氏に、町内のクマ問題の現状について話を聞いた。――2024年に、秋田市では市街地にあるスーパーにクマが立てこもったというニュースがありました。その後もクマが市街地に出没する事例が相次ぎ、もはや秋田県はどこでクマに遭遇してもおかしくない状況といえます。佐々木:我々の想像以上に、短期間でクマの生息域が広がった印象です。県の発表によると、生息頭数は全県で約4400頭といわれていますが、これは氷山の一角でしょう。私は、実際の頭数はもっと多いのではないかと考えています。――羽後町のクマの出没状況は、どのようになっているのでしょうか。佐々木:目撃及び出没件数について、4月から6月末までの3ヶ月間の統計を昨年と今年で比較すると、昨年は32件でしたが、今年は55件となっています。単純計算で約1.7倍の増加です。さらに、7月5日までカウントすると70件で、たった5日間で15件もプラスになっているという計算になります。――異常事態ですね。羽後町は約7割が山林だそうですが、どのような地域で目撃情報が多く寄せられていますか。佐々木:やはり山際の元西地区、飯沢地区では目撃件数が多いですね。西馬音内地区は羽後町の中心部ですが、山際にある田沢と床舞という地域で目撃されています。そう聞くと、「山の近くなら、クマが出てもおかしくないのではないか」と思われるかもしれません。ところが、最近では山からかなり離れた、平地の三輪地区でも目撃されているのです。――三輪地区はクマが滅多に出ない地域だったのでしょうか。佐々木:私は三輪地区で生まれ、50年以上住んでいます。クマ問題がこれほど騒動になる前は、50年間でクマが目撃されたのは2~3回とか、その程度に過ぎませんでした。ところが、去年の秋以降は三輪地区でも頻繁に目撃情報が寄せられるようになっています。もはや、どこでクマに出くわしてもおかしくありません。このままでは安心して外出できないのではないかという不安が、町民の間にあります。――クマはどうやって、山から離れた三輪地区までやってくるのでしょうか。佐々木:町内を流れる雄物川や大戸川は、草が茂っている状態で、藪になってきています。その藪の中を移動し、クマが山から下りてきていると考えられます。――不安が募っている町民も多いと思いますが、羽後町ではどんなクマ対策をしているのでしょうか。佐々木:出没情報の多い場所に、クマを捕獲する箱罠を設置しています。そして、被害や出没の情報が寄せられたら、LINEや防災メールで町民に出没状況をお知らせしています。全県のクマの情報がわかる「クマダス」にも登録し、「テレビ回覧板」というクマの情報やデータを登録できるシステムにも載せています。――クマを寄せ付けないために、餌になる果樹が実る木を伐採している自治体もあります。佐々木:羽後町でも柿や栗などの誘因木の伐採や、電気柵の設置に対する補助金を出しており、クマを市街地に引き寄せないために町民の支援をしています。幸いにも、柿や栗の伐採は進んでいます。ただ、空き家にある木がまだ残っています。私有地ですし、個人の所有物ですから勝手に伐採ができません。羽後町では空き家も問題になっていますが、そこにある誘因木をどう扱うか、という点も今後の課題です。――空き家問題は日本全体で問題になっている課題です。とはいえ、羽後町ではクマ対策をしっかり行っているという印象を受けますが、課題もあるのでしょうか。佐々木:3年ほど前、羽後町では防災行政無線を廃止しました。当時は、クマの問題がここまで顕在化していませんでした。防災行政無線のデジタル化には3億円ほどかかるということで、予算の都合上廃止し、替わりとして、全世帯に防災ラジオを配布しました。防災ラジオは、災害レベル4以上の時は緊急ラジオ放送が自動的に入るようになっています。しかし、クマの出没に関しては、防災ラジオでは情報伝達ができません。スマートフォンを持っていない高齢者にはLINEや防災メールが届かない現状があり、いち早く適切な情報を伝えられるよう、試行錯誤している段階です。
(明らかにクマが賢くなっている」:秋田)
日本屈指のクマの出没件数になっているのが、ツキノワグマの被害が相次ぐ秋田県である。今年もクマの目撃情報や人身被害が相次いでいる状況にあり、地元メディア「秋田魁新報」では連日のようにクマに関するニュースが報じられている。さて、秋田県南部に位置する羽後町の町長・佐々木康寛氏によると、クマの出没件数が多くなってから、明らかに地域に異変が生じているのだという。それは、これまで見かけなかった野生動物の目撃報告が相次いでいることだ。最大の異変は、クマが明らかに“賢くなっている”ことなのだという。具体的には、箱罠の構造をクマが学習しており、罠にかからなくなっているというのだ。こうなると、捕獲そのものが難しくなってしまう。秋田県ではいったい何が起きているのだろうか。クマ対策に取り組む佐々木氏に、町内のクマ問題の現状について、引き続き話を聞いた。【取材・文=山内貴範】――秋田県ではクマの増加が急激に増えた印象を受けます。クマが暮らす山林などに、何か異変のようなものはみられますか。佐々木:ここ5年くらいでクマだけでなく、イノシシなど今まで見かけることがなかった動物の目撃情報が増えているのが気がかりです。イノシシは羽後にはほとんど生息していなかったのです。ところが、真冬に山間部の道路沿いを走っている様子が、目撃されるようになりました。イノシシが山の中で生息域を広げ、クマの食料になっていたものを食い荒らしているのではないか。そのせいで、クマが人里に下りてきているのではないかという指摘もあります。イノシシの被害もまた深刻です。昨年、収穫間近に田んぼが荒らされ、まったく収穫ができなかったという事例がありますから。秋田県ではいったい何が起きているのだろうか。クマ対策に取り組む佐々木氏に、町内のクマ問題の現状について、引き続き話を聞いた。――それは重大な問題ですね。佐々木:羽後町は農業が重要な産業であり、野生動物による農作物の被害は無視できません。対策が必要だと考えています。――子供たちの登下校も不安です。クマが多く出没する地域では、保護者が学校まで車で送迎する形に切り替えた例がみられます。佐々木:昨年、羽後町でも出没件数が多かった地域では、10月25日から冬休みの前まで保護者の方に送迎を行ってもらいました。先が見えない、いつまで続くかという状況で、かなり保護者の方には負担をかけてしまったと思っています。通勤と登校は同じ時間帯ですが、問題なのが下校の時間帯。小学校の低学年は学校が早く終わるので、会社などに勤めている保護者は迎えに行くのも大変だったと思います。町では、スクールバスへの補助などを、国会議員に向けて働きかけています。――学校の周りにクマが出没する事態は、起きていないのでしょうか。佐々木:羽後明成小学校の近くではクマが目撃されることが何度かあり、6月30日から7月6日まで保護者の方に送迎をお願いしていました。しかし、あまりに目撃が相次いでいるということで、7月13日まで延長することになりました。6月1日からは、県の事業で警備会社が巡回し、学校付近で爆竹を鳴らすなどの対策も行っています。当初は1か月間の予定でしたが、10月9日まで延長して取り組むことになりました。――町民からはクマ対策に関して、どんな要望が寄せられているのでしょうか。佐々木:捕獲駆除を進めてもらいたいということで、箱罠の設置依頼が多くなっています。ただ、今年に入って、羽後町では捕獲駆除頭数がゼロなのです。クマの警戒心が強くなっているだけでなく、どうやら箱罠の構造を理解したクマが出現し始めているんですよ。――それはどういうことですか。佐々木:罠にかからないということです。クマをおびき寄せるために箱罠の奥に置いてあるスイカだけが食べられているんですよ。クマはスイカを手前に引き寄せ、食べて逃げてしまうのです。――驚きです。クマはかなり賢いですね。佐々木:猟友会の方からこの話を聞いたのですが、私も心底びっくりしました。おそらく、親グマが箱罠にかかったことを知った小グマは、構造を理解して、奥まで入らなくなっているのではないかと。これから先、クマの捕獲はかなり難しくなりそうです。人間とクマの知恵の出しあいになるのではないかと思っています。観光への影響はほとんどないが……――秋田県は、夏休みにかけて観光シーズンに突入し、「竿灯」「大曲の花火」などの伝統行事が多数開催されます。羽後町は8月に日本三大盆踊りに数えられる「西馬音内盆通り」が行われますが、クマ問題による観光面への影響はみられますか。佐々木:今年の西馬音内盆踊りは8月16日から18日までの開催で、日、月、火曜と平日が多めです。そのため、西馬音内盆踊りの桟敷席(有料座席)の予約状況は、例年より若干少なめではありますが、極端に減少しているわけではないので、前年並みとみています。クマの影響はないといえるでしょう。ただ、観光客のみなさんを安全に会場へと誘導しなければいけません。会場周辺には駐車場が少ないため、観光客のみなさんは少し離れた公共施設などに車を停めて、市街地へ徒歩で向かう形になります。人通りの多いところなら過度な心配は不要ですが、薄暗くて人通りが少ない、緑の多い場所を通る場合は不安でしょう。クマが知らず知らずのうちに近寄ってきて、事件、事故に繋がったらたいへんです。クマ除けの音楽を流すなどの対策を検討しています。――何かとネガティブな話題ばかりが全国ニュースになってしまう秋田県ですが、魅力的な伝統芸能、そして優れた食文化の宝庫でもあります。最後に、羽後町の観光PRをお願いできればと思います。佐々木:「道の駅うご」が2016年7月にオープンしてから、今年で10周年を迎えました。先日、10周年を祝うイベントが行われ、多くの方にお越しいただきました。道の駅は名物の西馬音内そば、岩手県のジェラート屋さん「松ぼっくり」から伝授されたジェラートがウリになっています。館内では新鮮な野菜や加工食品なども提供していますし、県内でもトップクラスの人気を誇る、10年連続で右肩上がりの道の駅です。スイカのシーズンが到来しています。羽後町は県内でも有数のスイカの宝庫。そして、秋にはおいしいあきたこまちが収穫されるコメどころでもあります。ぜひ、多くの皆さんに羽後町へお越しいただけると嬉しいです。
(知事「計画的にハンター育成を」、被害対策に本腰:東京)
クマの出没や被害が社会問題化する中、東京都の小池百合子知事は10日、ツキノワグマの狩猟解禁に向けて狩猟を担うハンターを育成する考えを示した。小池氏はこの日の定例記者会見で「計画的にハンターを育成し、猟友会や警視庁と連携しながら捕獲態勢を強化する」と述べた。また、狩猟の担い手の裾野を拡大するため、狩猟免許試験の実施回数の増加▽初心者向けの講習会の開催▽実際の現場でクマの捕獲を想定したハンターによる講習会の実施-などを検討していると明らかにした。都環境局などによると、ツキノワグマは都内の山間部などに120~378頭が生息していると推定される。都は保護を目的に平成20年4月から狩猟によるクマ捕獲を禁じていたが、頭数が増加傾向で、住宅地近くでも出没が確認されていることから、来年度からの狩猟解禁を検討している。都は今後、鳥獣保護法に基づき新たな管理計画を策定する。管理計画で、狩猟できる個体数や場所などを決めた上で、住宅地など人の生活圏に出没した際の「緊急銃猟」以外でも山間部などで狩猟が可能となるようにする方針だ。
(クマ捕獲体制強化に向け麻酔銃購入へ:秋田)
クマの目撃が相次ぐなか、秋田市は、麻酔銃を使った対応を市単独で行えるよう、麻酔銃を購入することになりました。クマの出没が増える秋ごろまでに麻酔薬の取り扱いに必要な資格を取得するなど体制を整えることを目指しています。秋田市内では去年、市街地などでの猟銃の使用を自治体の判断で可能にする「緊急銃猟」を実施したケースが3件ありました。いずれの事案も、周辺にある建物に銃弾が跳ね返るおそれがあったため、秋田市は、麻酔銃を所持する県に応援を要請して、麻酔銃を使用したということです。ことしもクマの目撃が相次ぐなか、市は、麻酔銃を使った対応を市単独で行えるよう、今年度の予備費から麻酔銃や麻酔薬を購入するための費用として、381万円余りを支出することを決めました。クマの目撃が相次ぐなか、秋田市は、麻酔銃を使った対応を市単独で行えるよう、麻酔銃を購入することになりました。クマの出没が増える秋ごろまでに麻酔薬の取り扱いに必要な資格を取得するなど体制を整えることを目指しています。秋田市内では去年、市街地などでの猟銃の使用を自治体の判断で可能にする「緊急銃猟」を実施したケースが3件ありました。いずれの事案も、周辺にある建物に銃弾が跳ね返るおそれがあったため、秋田市は、麻酔銃を所持する県に応援を要請して、麻酔銃を使用したということです。ことしもクマの目撃が相次ぐなか、市は、麻酔銃を使った対応を市単独で行えるよう、今年度の予備費から麻酔銃や麻酔薬を購入するための費用として、381万円余りを支出することを決めました。市では、この春採用したガバメントハンターなどが猟銃に加えて麻酔銃を扱っていくことを想定して、市庁舎内に麻酔銃や麻酔薬を保管できる部屋を整備する予定だということです。秋田市は冬眠前のクマの活動が活発になる、ことしの秋ごろまでに許可の申請や資格の取得など体制を整えることを目指しているということで、市の担当者は「麻酔銃の取り扱いは複雑だが、使い方などの習熟を図り、いち早くクマに対応できるよう体制を整えていきたい」としています。
(猟友会・警察などがクマの緊急銃猟訓練:栃木)
先月、クマが出没した栃木県宇都宮市では猟友会や警察などが合同で緊急銃猟の訓練を行いました。宇都宮市では、先月、クマが市の中心部を動き回り、銃を発砲できる状況ではなかったため、緊急銃猟は実施されませんでした。10日の訓練は消防がドローンの熱感知カメラなど使ってクマを捜索、緊急性や市民の避難状況など緊急銃猟の判断に必要な情報が対策本部に伝えられ、佐藤栄一市長が緊急銃猟を許可しました。許可腕章を身につけた地元猟友会のメンバーらがライフルでクマを駆除し、死んだことを確認するまでの一連の手順や連携などを確認しました。市では今後、先月クマが出没した際の対応なども振り返り、必要に応じてマニュアルの見直しなども検討するということです。
(痛ましい事故「二度と起こさぬ」、緊急銃猟訓練:北海道)
福島町で2025年7月に男性がヒグマに襲われて死亡した事故から間もなく1年を迎えるのを前に、町は10日、市街地に出没したクマに市町村の判断で発砲できるようにする「緊急銃猟」の対応訓練を行った。制度を定めた鳥獣保護管理法改正後、福島町での緊急銃猟訓練は初めて。町の担当者は「市街地での事故を未然に防ぎたい」と話した。町や松前署、地元猟友会の関係者ら約50人が参加し、死亡事故の現場から1キロ弱離れた森林公園周辺で訓練した。ヒグマが市街地に出没したと想定し、町役場庁内の協議や関係機関への連絡、現地本部での情報収集と捕獲まで緊急銃猟の一連の流れを確認した。
(エゾシカなど野生鳥獣被害「対策拡充を」:北海道)
北海道議会環境生活委員会(田中英樹委員長)と釧路管内8市町の首長らとの意見交換会が、釧路市内のホテルで開かれた。野生鳥獣被害の現状報告や対策の拡充を求める声が多く上がった。
(クマ増加、最大378頭生息:東京)
東京都内にツキノワグマが378頭いることが明らかになりました。東京都はおよそ20年ぶりとなるツキノワグマの狩猟解禁を目指していますが、ハンターの育成に欠かせない射撃場が不足するなど、環境面で大きな課題が残されています。今週も人里に現れたクマ。11日は奈良県東吉野村にクマが出没し、近畿地方で初めてとなる緊急銃猟が実施されました。その脅威は東京都内でも…。東京・檜原村の都民の森では、入り口にロープが張ってあり、看板には「登山道閉鎖」の文字が書かれています。7日、登山していた男性がクマ3頭と遭遇し、追い払おうとした際に滑落して、顔と足をけがしました。被害を受け、都民の森では今月末まで登山道を閉鎖。初めて迎えた週末、影響が浮き彫りになっています。東京都とその周辺では今年に入り、クマの目撃や痕跡の情報が80件以上に上ります。都の調査では、都内にはツキノワグマが最大378頭生息していると推測され、増加傾向にあることが明らかになりました。さらに、生息範囲は東へ広がっているとみられ、山あいに限らず、住宅街でも目撃されるようにもなっています。こうした状況を踏まえ、都は来年度からツキノワグマの狩猟を解禁する方針を示しました。およそ20年ぶりの方針転換です。ただ、懸念されるのが、難易度の高いクマの狩猟に対応できるハンターの確保です。栃木県宇都宮市の射撃場では、猟友会の人が練習をしていました。100メートル離れた的を射る練習に勤しむハンターたち。殺傷能力の高い銃は撃った時に受ける反動が大きく、狙いを定める難易度も上がります。山で木々の間を動くクマを一発で安全にしとめるには、直径およそ3センチの的の中心部分に当てられるほどの技量が求められるといいます。栃木県猟友会 小堀大助事務局長「猟期は原則的に年間3カ月程度しかありませんから、それ以外の9カ月は射撃場に来て練習をして。欠かせないですね。射撃場は切っても切り離せない」。ハンター育成に欠かせない射撃場。ただ、東京都内には、ライフル銃を使える射撃場がなく、関東近郊の県にも1、2カ所ずつとその数が限られる課題があります。「有害鳥獣捕獲、緊急銃猟という制度をこれからも持続させていくための設備としての射撃場、足りないと思います。単純にハンターの頭数を増やせばいいというわけではなくて、受け入れる設備がないと、そういった総合的な対策というのが重要になってくるんじゃないかなと思いますね」。
(有害鳥獣対策で狩猟の知識解説、岡山県が女性向け研修会:岡山)
岡山県は有害鳥獣対策の担い手を増やそうと、狩猟の基礎知識を身に付ける女性向けの研修会を8月5日、吉備中央町吉川のきびプラザで開く。農林業などに従事する女性が対象で、昨年に続き2回目。野生鳥獣対策連携センター岡山支社(赤磐市)の阿部豪支社長らが講師を務め、イノシシ、シカの生態や動物の習性に合わせた狩猟の方法を解説。箱わなを使ったデモンストレーションに加え、銃より手軽に取得できる「わな猟免許」を含めた狩猟免許制度の説明もある。
(「新人ハンター」を対象に狩猟スクール開講:兵庫)
シカやイノシシなどによる農作物への被害が相次ぐ中、兵庫県豊岡市では、「狩猟スクール」が開かれました。豊岡市の山で開かれたフィールドワークに集まったのは狩猟免許取得から3年以内の新人ハンターです。豊岡市では、クマの目撃情報が増えている上、シカやイノシシなどによる農作物への被害が後を絶たず、およそ100人のハンターが活動していますが、高齢化などによる後継者の育成が課題となっています。
(クマに有効、威力高いスラッグ弾でハンター射撃訓練:宮城)
全国でクマ出没による被害が相次ぐ中、白石市のハンターが7月11日、緊急銃猟に備えた射撃訓練を実施しました。白石市鳥獣被害対策実施隊の30人が参加した訓練は、普段使用する「散弾」よりも威力が高く、体の大きいクマなどに有効とされる「スラッグ弾」で射撃が行われました。普段、訓練を行う「宮城県クレー射撃場」では、「スラッグ弾」を使用できないため、福島県の相馬市で訓練を実施。参加者は集中した表情で「スラッグ弾」を撃つ感触を確かめていました。
(「緊急銃猟」初の屋外訓練:北海道)
市街地にヒグマが出没した際に自治体の判断で発砲できる「緊急銃猟」について、黒松内町は初めての屋外訓練を行った。町営野球場でクマ1頭が目撃されたとの想定で、猟友会員や役場職員らが模造の銃や無線機を手に、発砲時の安全対策を確認した。
(町長も参加してヒグマの緊急銃猟を想定した訓練:北海道)
北海道の沼田町で7月9日、ヒグマの緊急銃猟訓練が行われました。この訓練は、北海道内で連日クマが目撃されていることを受けて、新たな駆除方法である緊急銃猟の手順などを確認するため行われました。訓練には警察や猟友会のほか、町長らも参加。クマが町内に出没したとの想定で、避難誘導や町民への広報、駆除するまでの細かい動きをなど確認しました。「手順をみんな常時確認できるものがあると、よりスムーズに進めると思う」(沼田町 横山茂 町長)。道内ではこれまで、札幌市、士別市、下川町で緊急銃猟によるヒグマの駆除が行われています。
(射撃場で狩猟体験会:兵庫)
農作物などに被害をもたらすイノシシなどを捕獲するハンターの担い手を増やそうと三木市で狩猟体験会が開かれました。この体験会は、イノシシなどの有害鳥獣を捕獲するハンターの担い手を増やそうと企画されたもので18歳以上の三木市民およそ40人が参加しました。参加者はクレー射撃の実演を見学。狩猟に必要な知識や銃の安全な取り扱いを学んだ後、模擬銃を使ったシミュレーターを体験しました。また弾が発射されないビームライフルの射撃では参加者が、銃の重さや体の使い方を体感していました。さらに捕獲で使用するわなの仕掛けの方法などをハンターが実演しました。三木市では、10年ほど前からイノシシやシカが農作物を食べ荒したり民家へ侵入するなど、被害が深刻化していて、2024年の被害額はおよそ4億6千万円に上っています。三木市では、有害鳥獣の捕獲を行うハンターの高齢化が進んでいることから、今後も体験会などを通じてPRなどを行っていきたいとしています。
(奥日光の大自然、クマなどのリアルな暮らしを知る:栃木)
人里への出没で話題となっているクマなどのリアルな暮らしを知ることができる企画展が11日から日光市の博物館で始まりました。日光市の日光自然博物館で開催されている企画展「ツキノワグマとニホンジカ」は人里に降りてくる怖い存在というイメージを違う角度から見つめなおしてもらおうと企画されたものです。ツキノワグマは1日におよそ8キロものドングリを食べると言われるほど冬眠のための大量の食べ物を必要としていますが、消化されずに残った種がフンに混ざるなどして植物の繁殖に役立っています。一方ニホンジカも1日に3キロから5キロの植物を食べるとされていてクマもシカも自然にとって欠かすことができない貴重な存在だということがわかります。最近はクマもシカも人里への出没が報道されていますが日光自然博物館ではこの展示をきっかけに自然との繋がりなど正しい情報を知ってほしいとしています。企画展ツキノワグマとニホンジカは日光自然博物館で9月6日まで開かれています。
(加藤浩次が日本クレー射撃協会の新理事に就任)
日本クレー射撃協会は11日、新会長に土居淳氏(62)を選出したと発表した。新理事には極楽とんぼの加藤浩次(57)らが就いた。6月30日の総会で、組織運営におけるガバナンス(統治)や透明性、公正性の欠如などを理由に2期目だった不老安正前会長(82)ら理事6人に対する解任動議が可決していた。
(「猟銃」を巡ってクマハンターと警察の間に横たわる埋め難い溝とは?)
日本各地で目撃情報が相次ぐクマ。本来はおとなしい夏場にも、人里で暴れる恐れが生じている。となると、ハンターたちの活動に期待したいところだが......。彼らを悩ますのは害獣だけではない。銃を仕事道具とする猟師と銃所持を厳しく監督する警察、両者の知られざる"微妙な関係"について取材した!4月以降、冬眠明けのクマの出没が連日相次いだ。先月、栃木県宇都宮市では、県内最大の繁華街・オリオン通りのアーケード街をクマが疾走。真夜中の盛り場を黒い巨体が駆け抜ける防犯カメラの映像は周辺住民に衝撃を与えた。これから迎える猛暑の夏。毛皮をまとったクマは暑さに弱い動物と思われがちだが、クマの生態に詳しい茨城県自然博物館の館長、山﨑晃司氏がこう指摘する。「本州と四国に生息するツキノワグマは南方系の動物で、インドやタイ、パキスタンなどの山岳地帯まで幅広く分布しています。乾燥地や高温環境にも適応している種であり、猛暑は好みませんが、生理的には暑さに対応できる幅は広いと考えています」。山﨑氏がこう続ける。「夏は山に食べ物が少なく、動けば動くほどエネルギーを浪費するため、本来は代謝を落として活動を抑える季節です。しかし近年は、人の生活圏にある餌の味を学習した個体が増えました。農地や生ゴミ、放置された果樹など、山にはない魅力的な餌場がある。動けば餌にありつける理由ができたことで、夏でも人里に出没するようになったのです」。一方、北海道のヒグマを巡る状況はまた異なる。「ヒグマの場合、知床など真夏でも20℃前後の冷涼な地域が多いため、猛暑そのものはあまり関係ありません。ただ、ヒグマの主食であるサケやマスが、近年の海水温の上昇で岸に近づかなくなり、川も遡上しなくなっている。餌を失った個体が、生き延びるために町へ下りてくるケースが増加しているのです」。夏でもクマの進撃は止まらない。だが、いま現場のハンターたちが何より神経をとがらせているものは、別にあった。訪れたのは、甲信越地方の住宅街に立つ一軒家。ここで妻と3人の子供と暮らす現役ハンター・水元英雄氏(仮名)の自宅だ。2階寝室にあるクローゼットへ案内されると、衣類や日用品が並ぶ一角に、武骨な鉄製ロッカーが据えつけられていた。「これがガンロッカーです」。水元氏が扉を開けると、そこには3丁の散弾銃が整然と納められていた。もう1丁は別のロッカーに保管しているという。「分解すると、ロッカー1台には入りきらないんです」と苦笑しながら取り出した銃は、銃身と銃床が分離された状態だった。「分離保管は基本中の基本。盗まれても、すぐ撃てないようにするためです」。記者が「持ってみても?」と手を伸ばしかけた瞬間、「銃に触れると銃刀法違反です」と鋭い声が飛ぶ。猟銃に触れることができるのは所持許可を受けた本人だけだ。「散弾銃は1丁で約3.5kg。狩猟では弾薬や無線機、水、ナイフなども持つので、装備は全部で10kg近くになる」。もちろん、ロッカーならなんでもいいわけではない。壁や柱への固定方法から施錠構造まで、銃の保管設備には法律で細かな基準が定められている。扉は上下と中央の3点で施錠できる構造でなければならず、さらに近年はバールなどでこじ開けられにくい「閂式」が新たな基準として加わった。「すべて満たさなければ、銃の所持許可そのものが下りません」。説明を終えると、水元氏は1階の和室へ向かった。仏壇の前に腰を下ろし、小さな引き出しを開ける。ガンロッカーの鍵を静かにしまい、引き出しをパタンと閉めた。「本当は、鍵の保管場所は家族にも教えてはいけないのですが......」。猟銃は、許可を受けた本人だけに所持が認められたものであり、仮に家族が鍵のありかを知り、本人の留守中に銃を取り出せる状態であれば、不適切保管と判断され、許可取り消しの対象になりえる。そのため、3年に1度の免許更新時には警察官が自宅を訪れ、家族にこう尋ねるという。「ご主人の銃庫の鍵は、どこにあるか知っていますか?」。水元氏がこう打ち明ける。「実際は、一緒に暮らしていれば鍵のありかはなんとなくわかってしまいます。だから妻には、『聞かれたら絶対に「知らない」と答えてくれ』と伝えてあります」。年に1度の「銃砲一斉検査」や3年ごとの免許更新時に、警察官が目を光らせるのは猟銃の状態だけではない。むしろ「見られているのは銃を持つ人間のほう」なのだという。本人だけでなく家族や近隣住民にも聞き取りが行なわれ、「酒を飲むとどうなるか」「家庭内暴力はないか」「精神的に不安定な様子はないか」「自殺をほのめかしたことはないか」などと生活ぶりまで細かく確認される。「借金の状況や暴力団との付き合いまで聞かれる」という。今年の検査では、水元氏自身、思わぬ指摘に息をのんだ。「『息子さん、その後は大丈夫?』と言われたんです」。一昨年、高校生の長男が、喫煙していた友人グループと一緒にいたことで、補導には至らなかったものの警察から注意を受けた。本人はたばこを吸ってはいなかったが、その一件を担当の検査官は把握していた。非行に走る子供のそばに銃があることはリスク、というわけだ。「『家族に何かあると所持許可にも関わるからね』とくぎを刺されましたが、そこまで見ているのかと驚きました。息子には、『親の(猟銃所持の)許可が取り消されかねないから軽率なことは慎むように』と話しています」。水元氏には忘れられない言葉がある。かつて所持許可の件で面倒を見てくれた刑事から言われたひと言だ。「銃所持の許可を与えるか否かは人物次第。窓口での言動も含め、どういう人物かを常に見ている」。水元氏は言う。「本来、持ってはならない凶器を、国の特別な許可を得て預かっている感覚です。だからこそ、銃を持つ者として言動を常に律するという意識をずっと持っています」。その責任感は、多くのハンターに共通するものだ。だが、その前提を揺るがす〝事件〟が起きた。北海道猟友会・砂川支部長、池上治男氏(77歳)の裁判だ。池上氏の狩猟歴は40年。エゾシカやヒグマなど年間100頭近くを駆除してきたベテランで、地元からの信頼も厚い。だが彼は、今年3月まで約7年間にわたり、ライフル銃の所持許可を取り消されていた。発端は2018年8月21日、砂川市でのヒグマ駆除現場だ。池上氏は、市からヒグマ駆除の要請を受け、ライフル銃を携えて出動した。場所は住宅地に近い私道脇の草地。現場には市の職員や警察官と、別のハンターも同行していた。そこに現れたのは、体長約80cmの子グマだった。池上氏は、「追い払う対応でもいいのでは」と提案したという。しかし、3日連続で生活圏に出没していたことから、住民の不安を重く見た市職員は駆除を要請。池上氏が子グマを追い込む間、市職員と警察官は近隣住民を屋内へ退避させた。池上氏と子グマの距離は約18m。クマが草むらの中で立ち上がり、池上氏の方向へ向きを変えた。背後には高さ約8mの土手があり、その先には住宅が立っていたが、池上氏の位置から建物はほとんど見えなかったという。避難誘導の完了を確認し、弾道の先には人影も建物もない。池上氏は周囲へ声をかけ、引き金を引く。弾は子グマに命中し、一発で仕留めた。市職員も警察官も任務完了と受け止め、その場は問題なく終わった。ところが数ヵ月後、事態は一変する。砂川署(現滝川署)が、この発砲について銃刀法違反の疑いで捜査を開始したのだ。警察が争点としたのは、クマの背後にある土手が、弾丸を遮る「バックストップ」として有効に機能したか、という点だった。警察側は、跳弾や誤射によって土手の先にある建物に弾が到達する恐れがあったと主張。翌19年、北海道公安委員会は池上氏の銃所持許可を取り消す行政処分を下した。池上氏は、処分取り消しを求めて提訴。裁判は7年に及び、今年3月、最高裁は公安委員会の処分を違法と判断した。判決は、公安側の処分は〈社会観念上著しく妥当を欠く〉と厳しく指弾した。池上氏がこう語る。「7年は長かったが、当然の結果です。本来なら警察がやるべきクマの駆除を猟友会が代行し、ハンターは皆、危険を承知で『住民のため』と思って引き受けているんです。それを違法とされたら、誰も銃を持てなくなります」。最高裁での逆転勝訴によって、池上氏の銃所持許可は回復された。しかし、この一連の経緯が全国の猟友会関係者に与えた影響は大きい。あるベテランハンターは言う。「ハッキリしたのは、市から頼まれても、警察官がその場にいても、最後に責任を押しつけられるのはハンター個人だということ。お上は現場のギリギリの状況なんてお構いなしで、机上の論理で『ここが危なかった』と文句をつけてくる。現場で『大丈夫だ』と信じて撃ったのに、後から別の物差しで違法とされてしまう。そのズレが恐ろしい」。裁判の中で公安委員会側は、池上氏について〈危険をいとわず猟銃を発射する性癖がうかがえるのであって、再発の恐れも認められる〉とまで主張していた。「クマより怖いのは、撃った後にどう見られるかなんです」。だが、警察の厳しい監視に対して、猟友会と二人三脚で動く自治体側も認めざるをえない現実がある。ある町役場で害獣駆除を担当し、自らも狩猟免許を持つ職員は、重い口を開いた。「実は、猟友会の中にも『自分は周りから陥れられようとしている』などと被害妄想をぶつぶつ言っているような人がいるのも事実。役所の担当としても、同じハンターとしても、そういう危ない人に銃を持たせておいていいのか、という怖さは確かにあります。3年前、長野県中野市で、猟友会員がナイフとハーフライフルなどで警察官ら4人を殺害したあの痛ましい事件も、犯人は強い被害妄想を持っていたそうですから」。ひとたび銃の事件が起きれば、許可を出した警察や公安委員会が「なぜあんなやつに銃を持たせたんだ」と激しく叩かれるのは目に見えている。「高齢ドライバーの免許返納と同じですよ。一回でも何かあれば全部警察の責任にされてしまう。だから、『怪しきは銃を持たせない』という方向へ厳しくなっていくのも、行政の立場からすれば正直、理解できなくはないんです」。だが、その厳格さをそのまま現場に当てはめられると、ハンターたちは身動きが取れなくなる。そこには、どうしても〝法律の一線〟を踏み越えざるをえない、現場ならではの事情もあるからだ。前出のベテランハンターがこう打ち明ける。「メディアの取材は受けますが、実際の駆除現場には絶対に連れていけません。例えば、土地が狭く、山が急峻な地域だと、どうしても道路からクマを撃ったり、弾が道路を横切るように発砲したりせざるをえない瞬間がある。法律上は完全にアウトです。でも、そうしなければクマを取り逃がして住民に被害が出てしまう。地元の警察署もそこはわかっているから、地域の安全のために目をつぶる〝暗黙の了解〟が現場にはあるんです。でも、そこに事情を知らない刑事や公安委員会が乗り込んできて、書類上だけで『違法だ』とやられたら、こちらは言い訳ができない。現場では合理的な判断でも、後から見ればただの危険な行為と見なされる。それが一番怖い」。国は昨年、市街地に現れたクマを市町村の判断で迅速に駆除できる「緊急銃猟制度」をスタートさせた。だが、前出の池上氏の地元である砂川市は、その運用については「銃ではなく、まずは箱わなで対応する」と、今なお慎重な姿勢を崩していない。長引いた裁判の果てに、行政もハンターも街中での銃使用のリスクを背負いきれなくなっているのが実情だ。警察の「厳格なルール」と、住民の命を守るための「現場の判断」――その深い溝の中で、ハンターの間に引き金を引くことへのためらいが広がり始めている。
(クマに遭遇した際の対処法は?)
2026年も各地でクマによる被害が後を絶たない。野生動物との共存を目指すうぃるこの山本麻希代表は、2027年はクマのエサとなるブナが大豊作の年だとした上でブナの実がなる前の8月ごろまでは人里へのクマの出没に警鐘を鳴らしている。26年、新潟県内でも出没件数が過去最多を更新したクマ。「人間では逃げられないと思う」。こう話すのは、野生動物との共存を目指して活動するうぃるこの山本麻希代表だ。福島県では6月に入り男女4人がクマに襲われケガをしているが、クマと遭遇した際に慌てて逃げるのは危険だと山本代表は指摘する。「逃げるものを追ってくる性質があって、クマのほうが絶対速いので100%追いつかれる」。さらに高い場所や湖などへの避難も意味がないようだ。「木の上に登るというのもNG。木登りもとてもうまいので。水の中も泳ぐ。とても泳ぎ得意なので、残念ながら全くだめ」。クマを見ながらゆっくり後ずさりして距離を取ることが重要だという。それでも襲ってきたら防御姿勢を取ってほしいと話す。山本代表は、26年はクマのエサとなるブナの実が大豊作になる年だとした上で「今の時期は気をつけてほしい。ブナとかドングリが実ると豊作になるが、5~7月、8月ぐらいまでかな。エサがないのでこの時期は平常運転で出てくる」と警鐘を鳴らす。クマの被害を避けるためにも、山などに入る際には朝と夕方を避けて音の鳴るものを携行し、複数人で行動するなど基本的な対策を心がけることが重要だ。
(胆振・日高のシカ事故が増加:北海道)
胆振、日高管内でエゾシカの出没による交通事故が増えている。2025年の事故件数は1302件に上り、734件だった20年の1.8倍。中でも苫小牧市が突出して多く、道内市町村で最多の448件だった。夏のレジャーや観光シーズンを迎え、レンタカーやオートバイの増加も見込まれることから、専門家は警鐘を鳴らす。
(アライグマが運ぶ食中毒の原因菌:大阪公立大)
食中毒の原因となる細菌をアライグマが運び、河川を汚染している可能性があると、大阪公立大の研究チームが発表した。野生動物を宿主とする病原体が、どのようなルートで人に感染するかを解明する手がかりが得られたという。食中毒は人と動物の間でうつる人獣共通感染症。原因菌の一つで、2003年に新種として登録された「アルバーティ細菌」はアライグマなどの野生動物を宿主とする。腸管出血性大腸菌O(オー)157の原因と同じ毒素をつくる種類もあり、病原性が高い。日本では少なくとも11件の集団食中毒が確認され、いずれも水や野菜が原因と推定されている。大阪公立大の日根野谷淳准教授らは、府内の8水系64カ所で水を採取。49カ所(77%)でアルバーティ細菌が検出され、6水系で陽性だった。民家がなく人による汚染が考えにくい上流域で菌が検出された河川もあった。また、府内で捕獲された野生のアライグマ122頭を検査したところ、68頭(56%)の腸からアルバーティ細菌が検出された。河川由来の菌とアライグマ由来の菌について、すべての遺伝情報を解析すると、DNA配列の違いがほとんどない種類が多かった。また、同時期に近い場所で採取された両者の菌には、ほぼ同一のクローンと考えられるものもあった。
(致死率30%、マダニが媒介する感染症「SFTS」が全国で猛威)
2026年7月現在、全国で過去最多を上回るペースで拡大している、致死率約30%という恐ろしい感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」。宮崎県内では2026年に入りすでに死亡事例を含む感染報告が相次いでいる。山林だけでなく「庭先」や「ペット」からも感染するリスクがあり、日常生活に潜む脅威への対策が急務となっている。SFTSは、ウイルスを保有するマダニに噛まれることで感染する。人が感染すると、6日から2週間の潜伏期間を経て、発熱や激しい下痢などの症状が現れる。現在、有効なワクチンはなく、致死率は約30%に上る極めて危険な疾患だ。感染状況は、2026年7月時点で、全国的に過去最多を記録した2025年を上回るペースで推移しており、特に宮崎県では2013年の調査開始以降、累計127件と全国最多の報告数を記録。 宮崎県内では2026年に入り、畑仕事をしていた60代男性が発症後に死亡する事例も発生しており、予断を許さない状況が続いている。日常的に屋外作業を行う人々は強い危機感を抱いている。 林業に従事する末長征次さんは「ウイルスを持つマダニに噛まれて発症すると、熱が出たり死亡すると聞いた。スプレーなどを使って予防している」と話す。末長さんは作業時、長袖・長ズボンを着用し、靴とズボンの間にカバーを装着するなど対策を徹底している。林業 末長征次さん:服をはたいたり、スプレーして予防はしているが、家に帰って洗濯するとまだ服にダニがいたりして恐ろしいと感じたこともある。マダニは山間部や草むらだけでなく、手入れされた庭や道路脇の草の中にも潜んでおり、日常生活の圏内にリスクが存在する。宮崎県内で報告数が多い背景について専門家は、温暖な気候と豊かな自然環境という条件に加え、県内の医師がダニ媒介の感染症に対して高い意識を持ち、診断を見逃さない体制が整っていることを挙げた。また、マダニに噛まれているのを発見した場合、無理に引き抜こうとせず、速やかに皮膚科などの医療機関を受診することが重要と話す。宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹教授:ダニが皮膚に頭をめり込ませて吸血の段階に入っているのであれば、まずはその時点でダニを取ってもらうという目的で、医者に行くことをおすすめします。近年、猫や犬といったペットを介して人が感染するルートも指摘されている。宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹教授:猫からそして犬から人にもうつるというような事例が分かってきて、非常にリスクがあるというようなことが新たに分かってきた感染症になります。ペットを外出させた後は、ブラッシングなどでマダニの付着を確認することが大切だ。宮崎大学では医師会などと連携し、ペットの感染状況から人への流行期を予測する研究も開始された。自分自身や家族、大切なペットを守るため、草むらなどの生息場所に入る際は裾を靴下に入れる、タオルを襟元に巻くといった対策の徹底が重要だ。
(街の迷惑ムクドリ対策、鷹匠が一役:埼玉)
埼玉県加須市内でフンや大きな鳴き声など野生のムクドリによる被害が出ていることを受け、市は8日、 鷹匠たかじょう の協力でタカを使ったムクドリの追い払いを行った。同日夜、同市元町の病院屋上で、市に依頼された鷹匠の江頭千景さん(29)がタカを飛ばした。羽ばたくのとほぼ同時に、近くの竹林や電線に止まっていたムクドリは大きな鳴き声とともに一斉に逃げ出した。江頭さんによると、ムクドリは大きな鳥などを恐れて群れをなし、夜間は人通りの多い市街地の木で眠る。タカを飛ばせば「危険な場所だ」という意識をすり込むことにつながり、追い払えるという。市には鳴き声やフンに関する相談が毎年寄せられ、昨年からタカによる対策が始まった。江頭さんは「回数を重ねるごとにムクドリは減っている」と話した。ムクドリの被害には各地の自治体が対策に力を入れてきた。だが、抜本的な解決には至っていない。千葉県市川市は2022年から、駅周辺でLEDライトを使った追い払いを続けている。特殊な光を高速で点滅させる装置を業者からレンタルし、職員がねぐらの木に照射する。ムクドリは一斉に逃げ出すが、時間がたつとまた戻ってきてしまうという。神奈川県藤沢市は隠れ場所を減らそうと街路樹の葉や枝を切ったり、ムクドリが嫌う薬剤を塗ったりしている。こちらも効果は一時的で、道路維持課の担当者は「対策の決定打は見つかっていない」と話す。
(“イノシシ大群”畑襲う瞬間、コメ被害相次ぐ:栃木)
25頭以上のイノシシが畑を襲う瞬間です。相次ぐイノシシによる食害。なかでもこの時期は被害が拡大するということですが、一体なぜなのでしょうか。畑に仕掛けたカメラが捉えたのは、イノシシの群れです。25頭以上いるとみられます。イノシシは、何をしているのでしょうか?東北町 農林水産課 鎌本大輔主任主査「植え付け段階の種芋が食べられている。商品になる前なので、かなりダメージは大きい。農家に対しても。町の一番の名物である農産物なので」。イノシシが狙っているのは、青森県東北町の特産品「ナガイモ」です。今月5日午後5時すぎ、ナガイモ畑を埋め尽くすほどのイノシシが現れます。収穫するために植えてある種芋を、掘り起こして食べています。鎌本主任主査「去年くらいから、イノシシによるナガイモの種芋の被害が増えている。今の時期だと(去年の)2倍くらい」。茶色に白の縞模様があるのは、「ウリ坊」と呼ばれるイノシシの幼獣です。茶色が濃い個体は成獣とみられ、複数の親子が群れをなしているようです。翌日の夕方にも、同じナガイモ畑に、また現れます。午後7時ごろから、およそ1時間にわたり、畑を掘り起こしていました。鎌本主任主査 「『被害に遭ったので、わなを仕掛けてほしい』ですとか、駆除の依頼はきている」。今、全国各地でイノシシの出没が相次いでいます。兵庫県では、田んぼのあぜ道を、猛スピードで駆け抜ける親子の姿が。住宅が建ち並ぶ方へ移動していきます。介護タクシーの代表「こっちに来たら怖い。高齢者が多い地域なので、突進されたら骨折など、大きなけがになりかねない」。男性は10日朝にも、自宅のすぐ近くでイノシシを目撃します。「田んぼの中に5~6頭いた。他の4頭は逃げて、1頭だけのんびりと水路で穴を掘っていた」。複数のイノシシが稲が育つ田んぼに侵入していたといいます。 「今年はやたらと多い。ほぼ毎日のように、見るようになったのはここ1カ月」。7日、栃木県内の自動カメラが捉えた映像です。箱わなの近くに、親子のイノシシが現れます。大きな母イノシシのそばには、ウリ坊が…。数えてみると、全部で8匹もいます。この時期、親子のイノシシが人里に現れ、農作物の被害が相次いでいます。10日、番組の取材班は、イノシシの出没が急増している栃木県小山市へ。コメ農家で、地元の猟友会の会員でもある生井一正さん(78)です。日の出とともに、毎朝、イノシシの見回りをしています。生井さん「全部荒らされたあと」。生井さんが、コシヒカリなどを育てている田んぼには…。 「イノシシの足跡。ここに入っちゃう」。イノシシが田んぼに入り、土を掘り起こした形跡が至る所に…。「『ぬた場』という、体の大きさの穴を開ける」。「ぬた場」とは、イノシシなどの野生動物が体についたダニなどの寄生虫を落とすために、「泥浴び」をする場所のことです。その様子を捉えた映像です。水がたまった場所で、土を掘り返して、体をこすりつけるような動きをしています。こうした行為によって、イノシシの体臭が、こびりつくといいます。「結局(コメの)収穫量が減る。イノシシ被害で。全然刈り取りができない状態に。においが付いて。去年だけで120万円のマイナス」。収穫の目前に稲が実ると、その実も食べられてしまう被害が相次いでいます。小山市では、市内に50個以上の箱わなを設置しています。「一番小さい段階のウリ坊」。生後1カ月ほどのウリ坊を4匹捕獲しました。体は小さくても、突進されれば、けがをする恐れがあります。「この山を越えると住宅地。人間に被害が出る危険のある一番目のわな」。小山市では昨年度、322頭のイノシシを捕獲しています。これからの時期は、特に被害が増えるといいます。
(風そよぐニッコウキスゲ、シカの食害防ぎ中旬まで見ごろ:長野)
長野県諏訪市や茅野市にまたがる霧ケ峰高原で、ニッコウキスゲが見ごろを迎えた。主峰・車山(1925メートル)西側の車山肩周辺と南側の富士見台周辺に群生地があり、草原を鮮やかに染めている。山地に生える多年草で、別名ゼンテイカ。花は朝方に開いて夕方にしぼむ「一日花」だ。
(学校給食センターに子グマ迷い込む:岩手)
盛岡市ではクマの目撃が相次ぎ、学校給食センターの敷地内には一時、クマが迷い込みました。9日正午ごろ、盛岡市向中野にある盛岡市学校給食センターの敷地内にクマ1頭が迷い込みました。クマは敷地内をおよそ10分間逃げ回り、その後、給食センターの南側のフェンスを乗り越え立ち去ったということです。学校給食センターの業務に支障はありませんでした。また、およそ1.2キロ離れた盛岡市東仙北でも午前11時半ごろ国道4号を横断するクマ1頭が目撃されていました。市は同一の個体とみてクマの行方を追っていましたが、その後の行方は分かっていません。相次ぐクマの出没に市と警察が注意を呼びかけています。
(未明に浴室から出た女性、パンあさる成獣と遭遇:岩手)
10日夜から11日未明にかけ、岩手県雫石町の民家2棟に成獣のクマが相次ぎ侵入し、台所の食料品が食い荒らされる被害があった。いずれも住人にけがはなかった。県警盛岡西署の発表によると、10日午後9時頃、同町西根東篠崎の民家で、この家に住む男性(70)が帰宅したところ、1階でクマと鉢合わせした。クマは土間の玄関から外に出たが、調味料や菓子が食い荒らされていた。この家では5日もクマに漬物などを食べられる被害があったという。近くの同町長山篠川原の民家では11日午前1時15分頃、浴室から出た40歳代の女性がパンなどをあさっているクマを見つけ、夫(42)が大声を上げて勝手口から追い払った。網戸と格子が壊れており、クマは勝手口から侵入したとみられる。当時、1階の寝室で小中学生の子供3人が寝ていたという。
(鹿肉のジンギスカン商品化へ:北海道)
北海道の増毛町は本年度、地域資源を活用した町おこし「山の恵みプロジェクト」に乗り出した。その一環で秋に商品化を目指すのが「鹿肉ジンギスカン」。鹿肉をリンゴやハチミツ、地元酒造の酒と“オール増毛”の食材で味付けする。ハンターの細川英二さん(57)は「文字通り”山の恵み”のフル活用。農家を悩ませる獣害を減らし、価値ある資源として循環させていきたい」と話す。プロジェクトは農水省の山村振興対策事業を活用して、2028年度までの3年間で展開する。初年度は2300万円を充てる。柱の一つが商品・サービス開発。北海道は羊肉がジンギスカンとして広く親しまれるが、農業被害をもたらすエゾシカの肉を有効活用しようと、鹿肉版ジンギスカンを作ることにした。同町はリンゴの生産が盛ん。同町にある「日本最北の酒蔵」で知られる国稀酒造の酒や地ビールも、味付けに使う考えだ。町内の英二さん、智恵美さん(56)夫妻が、鹿の捕獲から解体、食肉加工・販売まで手がける。総務省や町の支援で整備した解体処理施設を4月に稼働させ、これまでに35頭を捕獲・解体した。町はプロジェクトで農業の担い手確保も柱に掲げ、大学との連携による学生の短期就労、お試し滞在なども進めていく。
(「ジビエ」を産業に、ブランド化目指す:福島)
西会津、喜多方、北塩原、猪苗代、磐梯の福島県5市町村は連携してジビエ(野生鳥獣肉)の活用に取り組む。西会津町が東京電力福島第1原発事故に伴うジビエの出荷制限解除に向け、町内に整備を進めている食肉処理施設へ、各市町村で取れたジビエを搬入して加工する。出荷制限解除に必要となる手続きを加速させるほか、将来的には広域連携ブランドとしてジビエを売り出したい考え。5市町村でつくる会津北部地域鳥獣害防止広域対策協議会の会議が9日、磐梯町で開かれ各首長が同意した。ジビエの活用事業で先行する西会津町が他自治体に協力を呼びかけた形だ。計画では、出荷制限の一部解除を目指す。施設でクマやイノシシ、シカなどの放射性物質に関する全頭検査を実施し、基準値を下回った個体のみを出荷する。施設には年間最大千頭を処理できる解体機能、精肉されたジビエをハムやソーセージに加工する機能を持たせる。施設整備費は西会津町が負担し、施設の運営開始後の解体・加工費用は搬入自治体が賄う方針だ。ただ、西会津町までの距離が長い自治体から新鮮な状態でジビエを運ぶ込むのは難しい。そのため、保冷運搬車の導入や中間保管施設の設置も検討する。野生動物の捕獲に当たるハンターへの適切な報酬の在り方についても協議を重ねる。薄友喜西会津町長は「5市町村の連携事業として進めることで、地域発展につなげたい」と意気込みを語った。
(高校生が鹿肉バーガーの開発に挑戦:鳥取)
鹿肉の食材利用を後押ししようと鳥取市湖山町北3丁目の鳥取湖陵高の3年生が燻製(くんせい)した鹿肉を使った特製ハンバーガーを開発している。飲食店での期間限定販売を目指して改良を重ねており、若者になじみのあるメニューでジビエ肉の県内消費拡大を目指す作戦だ。若桜町若桜の獣肉解体処理施設「わかさ29(にく)工房」では、年間約100トンの鹿肉を利活用している。このうちおよそ半分が料理用、残りがペットフードなどで消費されるが、料理用として県内で流通するのは全体の5%に満たない。食品システム科の生徒4人は、食べ慣れた料理に鹿肉を使うことでジビエ料理に関心を持つきっかけにしてもらおうと鹿肉バーガーの開発を企画。同施設の指定管理者「猪鹿(ジビエ)庵」が鹿肉を提供した。ハンバーガーには、1時間かけてじっくり低温調理し、桜チップで燻製した鹿のもも肉を使用。同校の農場で栽培したトマトなどを自家製バンズで挟み、淡泊な鹿肉に合わせたしょうゆベースのレモン風味ソースで爽やかに仕上げた。同校はジビエのコース料理を提供する「ペペネーロイタリア館」(同市弥生町)の期間限定メニューにしてもらおうと協力を依頼。10日には商品化に向けた改善検討会が同校で行われた。店主の木下陽平さん(49)はソースの印象が薄いと指摘。ソースの量を増やした上で「木の実を加えて甘みを加えると鹿肉の味も引き立つ」と助言した。今秋までに完成させ、12月に開かれる同校の学習成果発表会「湖陵フェスタ」でのお披露目を目指す。上村杏子さん(17)は「手軽に楽しめる料理にすることで鹿肉のおいしさを広めていければ」と意欲を燃やす。
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(クマ遭遇、登山者驚き滑落:東京)
7日午前10時ごろ、東京都檜原村数馬の鞘口峠(標高1142メートル)近くの登山道で、「滑落した人がいる」と119番があった。警視庁五日市署によると、峠から100メートルほどの場所で登山中だった会社員の男性(56)がクマと遭遇して約10メートル下に滑落した。男性は顔にけがをして病院に搬送されたが、命に別条はないという。現場は「檜原都民の森」の登山道。男性は「子グマに出くわした」と話している。驚いてバランスを崩し、横の斜面に落ちたとみられる。
(県内初イノシシの緊急銃猟:山形)
生活を脅かす野生動物について、県内では連日クマの目撃が相次いでいるが、酒田市では住宅街にイノシシが出没し、初めて緊急銃猟が行われた。7日午後0時半ごろ、酒田市小泉の住宅街でイノシシ1頭が目撃された。イノシシはその後も住宅街に留まったため、警察が道路を封鎖。午後2時ごろに荒瀬川添いの畑に逃げ込んだところを緊急銃猟で駆除された。これによるけが人はいなかった。駆除されたイノシシは体長約1メートルの成獣とみられている。県によると、イノシシの緊急銃猟は県内で初めて。県はイノシシ対策として、クマと同様「クマ鈴などを鳴らし、人の存在を知らせる」「出合った場合は、背を向けずにゆっくり後退しその場を離れる」などを呼びかけている。
(エゾシカの狩猟期間2か月延長、19市町村追加の案:北海道)
道内の農林業への被害が深刻化するエゾシカについて、狩猟期間などの管理方法を検討する会議が札幌市で開かれ、今年度は昨年度よりも多い道内132の市町村で2か月、期間を延長して捕獲していく案が示されました。この会議はエゾシカの狩猟期間や区域について議論するため、道が毎年、開いていて会議にはシカの生態に詳しい専門家や猟友会のメンバーなど9人が参加しました。道によりますとエゾシカの昨年度の捕獲数は17万頭を超えるなど過去最多となった一方、令和6年度の農業被害額は52億円を超えるなど年々、被害が深刻化しています。こうした現状を踏まえ、道はこれまで狩猟期間を延長するなどの対策で、エゾシカの捕獲を増やす試みを行っていましたが、会議では今年度はさらに広い範囲で期間を延長する案が示されました。具体的には本来は10月1日から翌年の1月31日までの期間で行う捕獲を、昨年度より19多い132の市町村で2か月延長し、3月31日まで狩猟期間を設定するとしています。これに対し、専門家からは「狩猟が制限されている国有林などでは期間を延長しても猟ができないおそれもあり、関係省庁との調整も必要だ」などの指摘が出ていました。道はことし8月をめどに今年度の捕獲期間などを決定することにしています。
(ブナの実、今年の秋は豊作になるとの予測を発表)
クマの行動と強い関係性が明らかになっているブナの実について、林野庁東北森林管理局は今年の秋は豊作になるとの予測を発表しました。東北森林管理局はブナの開花状況から、秋の実のなり具合を予測して毎年この時期に発表しています。今年の調査は県内50カ所の国有林で4月中旬以降に行われました。このうち樹木全体が開花していたのが27カ所。部分的に開花していたのが12カ所。一部が開花していたのが11カ所で、花がついていない調査地点はありませんでした。調査の結果、ブナの開花状況を示す指数は3.6で過去10年で2番目に高く、豊作と予測されました。東北地方の多くの地域では、クマの食料であるブナの実の豊作、凶作と人里への出没との関係性が明らかになっています。大凶作とされた2023年と去年は、県内各地でクマの出没と人への被害が相次ぎました。実のなり具合の調査は来月から10月下旬にかけて行われ、結果は11月に公表される見通しです。
(ブナの開花状況、県内は過去最高の「豊作」:宮城)
今年の宮城県内のブナの開花状況を示す豊作指数は、最大となる5.0となり、統計開始以来、最も高くなりました。調査は、県内5か所の国有林で、4月から6月にかけて、林野庁の職員が花の付き具合を現地で確認したものです。それによりますと、県内のブナの開花状況は「豊作」と判定され、豊作指数は、樹冠全体に多くの花が付いている状態を示す「5.0」で、統計開始の1989年以来、過去最も高くなりました。去年は、開花が大凶作で、秋には木の実の不足などからクマの出没が相次ぎました。一方、開花が豊作でも、実の付き具合まで豊作になるとは限らず、実の状況は、8月下旬から10月下旬にかけて調査され、11月に公表される予定です。
(ツキノワグマの狩猟、解禁へ:東京)
都内でのクマによる被害を受けて有識者でつくる東京都の審議会が開かれ、現在禁止されている都内でのツキノワグマの狩猟について、都はおよそ20年ぶりに解禁する方針を示しました。都内ではことし5月、奥多摩町の山林で登山中の男性がクマに襲われてけがをしたほか、今月7日も檜原村の登山道でクマに遭遇した50代の男性がおよそ10メートル下に滑落し、顔などにけがをしています。こうした状況を受けて7日に有識者でつくる審議会が開かれ、まず東京都は、現在禁止されている都内でのツキノワグマの狩猟についておよそ20年ぶりに限定的に解禁する方針を示しました。続いて有識者など審議会の委員が狩猟できるハンターの条件や捕獲数の上限、捕獲したクマの調査などについて議論しました。参加した委員からは、危険をともなうことからハンターには10年以上の経験が必要といった意見や、生態を把握するため捕獲したクマについても細かい調査を実施すべきなどの意見が出されました。東京都は審議会での議論を踏まえてあらたにツキノワグマの管理計画を策定し、来年度からの狩猟解禁を目指す方針です。5年ごとに策定する鳥獣の保護管理に関する事業計画の中で、東京都は都内のツキノワグマを安定的に維持する必要があるとして、2008年に狩猟の禁止を定めました。しかし近年被害や目撃情報が相次ぎ個体数が増加傾向にあるとして、東京都はおよそ20年ぶりに、狩猟を禁止した規定を見直し限定的に解禁する方針を示しました。また都はあらたにツキノワグマに特化した管理計画を策定する方針で、具体的な狩猟の範囲やハンターの基準を盛り込むということです。今回東京都がおよそ20年ぶりに狩猟の解禁の方針を示した背景のひとつには、クマの個体数が増加傾向にあることが挙げられます。昨年度、東京都がクマの毛を採取しDNA解析をすることにより個体を識別する「ヘアトラップ法」という手法を用いた調査の結果、都内のクマの個体数は120頭から378頭と推計されました。この個体数について東京都は「これまでの調査結果は手法や精度にばらつきがあり単純な比較はできないが、専門家などへの聞き取り結果を考慮すると増加傾向にあるとみられる」としています。東京都によりますと、都内の狩猟免許の所持件数は平成25年度が4053件、平成30年度が6355件、令和6年度が8525件と増加傾向にあります。一方で、狩猟免許を持ったうえで猟を行うための届け出を出している「狩猟者登録数」は、近年は400件前後で推移しています。都は、免許の所持件数は増加しているものの猟が出来る狩猟者の数は横ばいにとどまっていることから、講習会を開催するなどしてハンターの確保に努めていきたいとしています。東京都はクマによる被害の防止に向けて取り組みを進めています。都ではクマを人の生活圏に近づけないように、市町村が電気柵やセンサーカメラの設置など緩衝帯を創設した場合の財政支援や目撃情報の発信などの注意喚起、さらに市街地に近い場所に出没した場合を想定し、円滑な捕獲に向けた訓練などを実施しています。都は、市町村や警察、猟友会と連携してこれらの対策を進めているということです。東京都がツキノワグマの狩猟についておよそ20年ぶりに解禁する方針を示したことについて、クマの生態に詳しく、自身もハンターである東京農工大学野生動物管理教育研究センターの稲垣亜希乃特任助教は、ハンターの育成が課題だと指摘しています。稲垣特任助教によりますと、クマをしとめる際にはライフル銃や散弾銃といった火薬を使った殺傷能力の高い「装薬銃」が使われることが多いということです。ただ、より精度が高く威力も強いライフル銃を所持するには、原則10年以上散弾銃の所持許可を受けることなどが求められます。そのため経験の浅いハンターがクマなどの大型獣を撃つためには、散弾銃に「スラッグ弾」と呼ばれる単体の弾を使うケースが多いということです。ただ東京都内には装薬銃を使える射撃場がなく、関東でもその数が少ないことが、クマを撃てるハンターを育成するうえで課題だということです。稲垣特任助教は「狩猟だけではなく、個体数管理のためにクマの捕獲を広げていこうという動きが全国的に増えてきているが、昔と比べてクマを撃った経験がある人が減ってきているのが現状だ。クマを1発で安全にしとめることができる技術力の高いハンターを育成することが重要だが、射撃場が少ないなど訓練の場数を踏めないことが全国的な課題だ」と指摘しています。そのうえで今回の東京都の動きについては「人材育成には時間がかかるので、2、3年で急激に状況を変えることは難しい。東京の西部では昔からクマが生息し、近年は分布が拡大して初めて目撃される地域もあり、都内でも山に入る際にはクマ鈴などを身につける必要がある。人材育成とともに、クマのえさになるような誘引物を除去するなどの対策を進めていくべきだ」と話しています。クマをしとめる際には火薬を使った銃が使われ、十分な訓練が必要だとされていますが、東京都では火薬を使った銃を使用できる射撃場がないとされていて、都内のハンターはほかの地域で練習する必要があります。このうち火薬を使った銃の練習ができる宇都宮市の射撃場では、地元の猟友会を中心に年間のべ1800人あまりのハンターが訪れますが、都内から来る人はのべ100人程度だということです。栃木県ライフル射撃場の岩田友太管理者は「都内からこの射撃場に来る人は栃木県や群馬県などの山でシカやイノシシなどを撃っている人が多く、クマを撃つことを目的とした人が来たことはありません」と話しています。岩田さんによりますと、初心者が大型の野生動物を狙う際には散弾銃に威力の強い「スラッグ弾」と呼ばれる単体の弾を装てんして撃つことが多いということで、この射撃場では岩田さんをはじめ、栃木県の公安委員会から指定を受けた猟銃などの射撃指導員の指導のもと、屋外に設置されたおよそ50メートル先の的に向かってスラッグ弾の練習をすることができます。岩田さんによりますと、スラッグ弾は散弾よりも弾が大きく重い分、殺傷能力が高い一方で、撃った時の反動が散弾より大きいため狙いを定めるのが難しく、頭や胸などの急所を狙う必要があるクマを撃てるようになるには十分な訓練が必要だということです。岩田さんは「積み重ねられた狩猟の経験と射撃の技量がないとクマに対して発砲してはいけない。ハンターはクマの生態を学びながら、射撃訓練を行っていく必要があると思います」と話しています。
(石原環境大臣がクマの目撃情報相次ぐ八王子市を視察:東京)
石原環境大臣はクマの目撃情報があった東京・八王子の現場を視察し、クマ対策の説明を受けました。石原大臣は今年4月に防犯カメラにクマが映った住宅地を視察し、クマを捕まえる箱わなや周辺の状況などの説明を受けました。東京都内では今年の春以降、クマの目撃情報が相次いでいて、6月にも同じ八王子市内でツキノワグマが目撃されています。石原大臣は八王子市長との意見交換会の冒頭で「クマによる死亡者数は去年過去最多、今年に入ってもクマによる人身被害があり、八王子のように都市部でも被害が出るリスクは想定されていて、出没抑制策を進めていくことが重要」との考えを示しました。東京都は2027年度からツキノワグマの狩猟を約20年ぶりに解禁する方針を固めていて、国と地方自治体でクマ被害対策の体制を強化しています。
(緊急銃猟の訓練実施「市街地にクマ」で発砲想定:静岡)
静岡県内でクマの目撃情報や出没が増加していることを受け、沼津署は6日、自治体判断で市街地での発砲を可能とする「緊急銃猟」の実施を想定した訓練を沼津市の愛鷹広域公園で行った。同市や駿東猟友会沼津支部と協力し、出没を認知してから緊急銃猟を実施するまでの流れや、クマ撃退用のスプレーの効果的な使い方などを確認した。
(クマの緊急銃猟に備え連携:山形)
新庄市と新庄猟友会は5日、県猟友会射撃センター(舟形町)で緊急銃猟に対応する訓練を初めて行った。
(「川の中をクマが」、緊急銃猟訓練:青森)
青森市は8日、市街地でのツキノワグマ出没に備え、自治体の判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」の訓練を行った。場所は昨年度複数の目撃情報があった同市原別地区。銃猟の精度をさらに向上させようと、県や猟友会、警察、消防などの関係者約40人が参加し、一連の手順や安全確保の重要性をあらためて確認した。
(人里への熊出没を想定「緊急銃猟」初訓練:新潟)
クマが人里や住宅地周辺に現れた際、自治体の判断で猟銃を発砲できる「緊急銃猟」の訓練が、十日町市中条乙の笹山野球場で行われた。十日町市では初の訓練で、市役所や猟友会、警察などの約30人が、クマ目撃から住民の安全確保、発砲による駆除までの流れを確認した。
(イノシシわな猟体験を、若手猟師ツアー開始:高知)
四万十町の若手猟師らが、イノシシのわな猟の体験ツアーを行っている。参加者は農作物の被害について学び、猟師と一緒に山へ。わなを仕掛けて、結果をSNSで伝えられるというユニークな試みだ。企画した男性猟師は「獣害を防ぐためにも、応援してくれる人を増やしたい」と話している。
(ヒグマ市街地出没に備え、緊急銃猟訓練:北海道)
室蘭署と胆振総合振興局などは8日、ヒグマが市街地に出没した際に市町村の判断で発砲できる「緊急銃猟」を想定した訓練を登別市内で行った。クマの現認から駆除までの対応手順を確認した。
(クマ出没エリアに“異変”、猟友会の活動に密着:福井)
全国的にクマによる被害が相次ぐ中、国は去年、これまで保護の対象としていたクマを管理する野生鳥獣へと大きく方針を変えました。この方針に基づいて県内でもクマの捕獲事業が進められています。捕獲に向かう勝山市猟友会のメンバーに密着しました。6月下旬、県猟友会勝山支部メンバーから、クマがわなにかかったと連絡を受け捕獲作業に同行しました。車1台がやっと通れるような草木が生い茂る山道を走り向かうのは、クマの管理強化区域です。国は去年、クマを保護の対象から管理する野生鳥獣へと大きく転換し、積極的な捕獲に乗り出しました。県内でも計画的な捕獲事業が始まっていて、その一つが「管理強化区域での捕獲」です。人の生活圏への出没を未然に防ごうと、住宅地や耕作地から200mほど離れた山際のエリアを管理強化区域に設定し、勝山市、大野市、あわら市では春から秋にかけて捕獲に取り組んでいます。勝山市では6月半ばから市内に8カ所わなを仕掛けていて、猟友会のメンバーが毎日交代で見回りをしています。この日の朝も、勝山支部の上弥吉支部長が見回りに行くと「はこわな」が転がっていたといいます。現場には市職員も立ち合い、わなにある小さなのぞき穴からクマが中にいることを確認し、準備にとりかかります。クマが飛び出さないよう、わなの外に網を取り付け、銃を構えた猟友会のメンバーが周囲で待機します。わなの扉を上に引き上げた次の瞬間、網の中へと勢いよく飛び出してきたクマ。側に立っていた市職員の長靴にも手を掛け、逃げ出そうと必死に抵抗します。バンッ!上さんが発砲。捕獲されたのは体長130センチ50キロの雄でした。「雌でこの大きさなら十分子どもがいる」(上さん)。今年、勝山市でクマが捕獲されたのはこの日が初めてでした。猟友会のメンバー:「ひっで痩せてるな」「こんな痩せたやつがドラム缶ひっくり返したなんてな」「しかし…餌がない時期にしても、痩せてるな」。上さんによると「夏にになると草も硬くなって旨くないから山を下りてくるクマが増える」といいます。「桑の実もそんなにたくさんあるもんじゃないから腹が膨れるほどない。どこかにうまいものがないかとおろおろ歩くんや」。環境省は6月にクマの頭数を管理するために正確な個体数を把握しようと調査を始めたばかり。まだ、誰も正確な個体数を把握していない中で、クマの捕獲事業は進められています。今年の県内でのクマの捕獲目標数は210頭。去年より54頭増えています。長年、野生動物と向き合ってきた上さんは「クマも出てこんとさみしいんや。人家の近くにさえ来なかったら、山の奥にはクマがいっぱいおってくれればいいんや」と語ります。「あんまり捕り過ぎないように…捕ればいいというもんではないと思う」。勝山市は9月までに15頭の捕獲を目指していて、市街地への出没抑制を図ります。県内では5月のクマの出没件数が統計開始以来、最多となり、出没エリアに異変が起きています。エリア別でみると、これまで最も出没の多かった奥越が、今年は最も少なかったのです。勝山市農林課によると「個体数管理のための捕獲事業が実を結んでいるのではないか。2年越しで成果が出ているとしたら、喜ばしい」としています。
(ニホンジカ食害防げ、捕獲わな設置法学ぶ:富山)
ニホンジカの増加で食害への不安が高まる中、富山森林管理署は9日、富山市婦中町吉住の県自然博物園ねいの里で、捕獲わなの設置講習会を開いた。
(高齢化進む集落が竹わなづくりで立ち向かう問題とは:宮城)
宮城県内では、2026年もクマの目撃が多く報告されています。一方で、県北部の加美町にはクマではない別のある動物の被害に頭を悩ませている地区があります。被害の現状と住民の奮闘を取材しました。宮城県北西部に位置する加美町。薬莱山(やくらいさん)のふもとにある鹿原地区には田畑が一面に広がります。地区の住民は、この日伐採した竹を使い、あるものを作っていました。小山達也さんが今回の発起人です。地区が直面するある課題を解決できないかと小山さんは考えたのです。点在する集落に541人が暮らす鹿原地区。住人の約半数が65歳以上と県内の中でも高齢化が進む地域です。地区の住民を悩ますのは、イノシシによる獣害。イモや植物の根などを好むイノシシは地面を掘りおこす厄介者です。県によりますと、20年ほど前までイノシシの生息域は県南部の丸森町が北限とされてきました。しかし近年、温暖化などの要因で県全域に広がったと考えられています。荒らされた田畑の修繕は、基本自己負担。加美町では2025年、イノシシによる農作物被害が1200万円を超えています。地元猟友会のメンバーでもある小山さん。くくりわなを仕掛けてイノシシを駆除しています。しかし、鹿原地区で猟の資格を持つのは、小山さんを含め2人。猟師の高齢化も進み担い手不足を痛感しています。2025年、加美町では353頭のイノシシを駆除。前の年を140頭ほど上回りますが、被害は後をたちません。農作物被害を減らすために住民の力をあわせイノシシを捕獲できないかと小山さん。竹を使ったわなを作ろうと考えました。増えすぎた地区の竹を有効活用することで、イノシシ被害対策と竹林の整備、一石二鳥のアイデアです。1日かけて出来上がったのは縦4m、横2mで人の背丈よりも大きなイノシシ用の箱わなです。小山さんはこの箱わな作りをきっかけに、住民一丸となって課題に取り組める地域にしていきたいと考えています。イノシシ被害と向き合う加美町の鹿原地区。住民同士が力をあわせ解決の糸口を模索しています。
(銃を奪われた熊ハンターの7年戦争:伊藤 秀倫)
「主文、原判決を破棄する。同公安委員会の控訴を棄却する」。2026年3月27日午後3時、最高裁第三小法廷。林道晴裁判長がそう言い渡すと、法廷内に小さなどよめきがおこった。7年間に及ぶ「砂川猟銃返還訴訟」が完全決着した瞬間である。ことの発端は2018年8月、砂川市において、羆(ひぐま)の有害駆除中だったハンターの池上治男氏(北海道猟友会砂川支部長・69歳・年齢は当時)が放った一弾にある。これに対して北海道公安委員会は、「(池上氏が)弾丸が到達するおそれのある建物に向かって発砲した」として、その猟銃所持免許を取り消す処分を下したのである。池上氏は処分取り消しを求める行政訴訟を起こし、一審(札幌地裁)では勝訴するも、二審(札幌高裁)では一転、敗訴。三度目の正直で臨んだ最高裁で、逆転勝訴を勝ち取ったのである。昨今、全国でクマ被害が激増する一方で、これを駆除するハンターは減少の一途を辿っている。そんな背景もあって1人の老ハンターの闘いは全国的に注目を集めた。池上氏がすべてを語った。「(判決を聞いた瞬間)『勝った!』と思って横をみたら、なぜか弁護士の先生たちは、みんな黙りこくってるんだ。アレ、オレの勘違いかな、と一瞬不安になったよ」。しばしの沈黙。やがて弁護団の1人、平祐介弁護士が身体を沈み込ませながら「ふーっ」と溜息をつくと、右手を差し出してきた。「手汗でびちゃびちゃだったね」。経験豊富な弁護士にとっても最高裁の法廷とは、そういう場所なのだ。
(断トツで農業被害を出すイノシシ、鳥獣被害対策の中心になる人材を育てる研修会:山形)
山形市では、イノシシなど鳥獣被害対策で中心的な立場になる人材を育てる研修会が始まりました。この鳥獣被害対策の研修会は県が毎年行っているもので、きょうは自治体や猟友会関係者などおよそ50人が参加しました。講義は年に複数回行われ、参加者はそれぞれの地域で対策の中心的な役割を担える人材になることを目指します。動物による農作物の被害は毎年深刻なものとなっていますが、特に近年急増しているのがイノシシによる被害です。山形大学農学部 江成広斗 教授「本州最大の動物は何ですかと聞くと、ほとんどの人がクマと答えるが誤り。本州で最大の動物はイノシシ。イノシシは200キロ以上になる。断トツで農業被害を出しているのがイノシシ。(今後も)被害を出すことが予想される」。2024年に県内で確認された農作物被害3億5000万円のうち、イノシシによるものはおよそ8000万円にのぼり、10年前のおよそ4倍に増加しました。猟友会関係者「さくらんぼで、イノシシ(の被害)を電気柵で対応しても入られる。頑張っているところ」。県職員「農作物の被害はもちろん命の危険すら感じる方もいる。何とかしなくてはいけない」。会議では講師から、イノシシなどによる被害を減らすためには地域住民に動物の正しい知識を広め地域の結束力を高めていくことの重要性が説明されました。次回は来月6日に講習会が開かれ、クマ対策について講義が行われるということです。
(クマの生態とハンターの仕事紹介:青森)
青森県黒石市の津軽伝承工芸館で企画展「現代のマタギ ガバメントハンターの謎に迫る!」が開かれている。ツキノワグマによる被害や出没が相次ぐ中、クマの生態やハンターの仕事について紹介するパネルなどを展示し、自然との向き合い方を伝えている。26日まで。津軽こけしプロジェクト(山田拓郎代表)が主催。大鰐町の現役ハンター藤原淳子さんや、県が任用する「ガバメントハンター」(狩猟免許を持つ鳥獣対策専門公務員)の協力を受け開催した。クマをはじめとする野生鳥獣の生態を紹介するパネルや剥製を展示。クマと遭遇した時の対処法やハンターの役割、マタギ文化などについて、クイズを交えながら分かりやすく解説している。手ぬぐいの「防災拭い クマ対策編」、空薬きょうキーホルダー、木彫りのクマなど、クマやハンターに関するグッズも販売している。入場無料、水曜定休。毎週日曜は午前10時から午後3時ごろまで藤原さんが来場する予定。19日と26日にはハンター射的(1回300円)やハンタークイズなど子ども向けの企画も用意している。山田代表は「クマが出たらどうすればいいかなど、自然との付き合い方を楽しみながら知ってもらうきっかけになれば」と話した。
(旭山動物園統括園長がヒグマ、エゾシカとの向き合い方語る:北海道)
滝上町主催の野生生物セミナーが、町文化センターで開かれた。旭川市旭山動物園の坂東元・統括園長が講演し、ヒグマやエゾシカなど身近な生き物との向き合い方について語った。
(「森林再生支援」、JAバンクが林業会議所に寄付:静岡)
JAバンク静岡が森の再生に取り組む静岡県林業会議所へ寄付金を贈呈しました。贈呈式ではJAバンク静岡の吉田正吾理事長が県林業会議所の杉山嘉英会頭に寄付金50万円の目録が手渡されました。森林・林業の現場では過疎化や高齢化に加え、野生の鳥獣による被害が深刻化していて、経費の負担増につながり「森林の再生」が困難な状況が続いています。JAバンク静岡では、持続可能な社会の実現に向けた活動の一環として、森林の再生を支援しているということです。
(クマ出没相次ぎ、「緊急銃猟」できる人材増へ:大阪)
東北地方を中心にクマによる人身被害が相次ぐ中、大阪府内でも出没情報が増えている。今年度は6月末時点で、昨年同時期と比べて3倍の9件が確認されている(クマらしきものも含む)。他地域に比べれば少ないと油断は禁物。府も監視態勢の強化に本腰を入れ、府民に注意を呼び掛ける。危険は迫っているのか。府北部に位置する豊能町の牧地区。6月12日昼、地区にある公民館の近くでツキノワグマの子どもとみられる1頭(体長約60センチ)が目撃された。町によると、クマは公民館の西側の山に消えていった。職員や警察官、猟友会のメンバーが捜索したが分からぬまま。けが人はいなかったが、町は府や教育委員会、近隣のキャンプ場に出没情報を伝えて住民や観光客の安全確保に努めた。府によると、クマは主に府北部に出没している。2022年度は7件だったが、23年度11件▽24年度13件▽25年度25件――と年々増加。6月末時点でも22年度5件▽23年度1件▽24、25年度各3件で、今年度は突出して多い。25年9月には高槻市の山間部の集落に設置された養蜂箱が壊されるなど人里に迫ったケースもある。クマによる人身被害の報道が増えたことで警戒心が高まり、通報が増えたとの見方もある。ただ、府北部に近い京都府亀岡市や兵庫県川西市などでも出没していることなどから、府は一帯に生息するクマが府内にも頻繁に姿を現しているとみている。府は16年から北部地域にセンサーカメラ約50台を設置しているが、出没増加を受けて7月中をめどに約50台を新設。行動範囲や生息実態を詳しく調べることにした。
(クマの目撃相次ぐ、老舗温泉旅館が下した決断:宮城)
宮城県内では相次いでクマが目撃され、箱わなの設置などが進められています。クマによって環境が変わる中、大崎市の老舗旅館は、安心して旅行客に訪れてもらおうと、「ある決断」を下しました。山々に囲まれた大崎市鳴子温泉。多彩な源泉が人々の疲れを癒やし、秋には、美しい紅葉が訪れた人たちを魅了します。自然豊かな場所にあるからこそ直面しているのが、「クマ対策」です。大崎市によりますと、今年5月、6月の鳴子温泉地域でのクマの目撃件数は22件で、去年の同じ時期と比べておよそ3倍となっています(去年7件)。こちらの商店では、去年12月に販売を始めたクマよけの鈴が、想定を上回るペースで完売しました。江戸時代から続く老舗旅館、「東多賀の湯」です。旅館から車で5分ほどの場所にあり代々使われてきた作業小屋が、クマ被害に遭いました。クマは小屋に保管されていたコメを食べ、戸を破って小屋の機械を倒し、中を物色していたということです。小屋の近くにあるのは、40年ほど前から、大切にしてきたクリの木。この木から収穫された実を使って、秋の味覚・栗ご飯を客に提供してきました。しかし、餌を求めるクマが、引き付けられることからやむなく伐採する決断をしました。クマの出没増加を受け、伐採の依頼も増えているといいます。旅館の歴史とともにあったクリの木…自然豊かな観光地は、クマ対策を講じながら人を呼び込むための変化を迫られています。
(ニホンジカくくりワナ「小林式誘引捕獲法」現地講習会:石川)
令和8年6月29日(月曜日)、安宅林国有林(小松市)において、石川森林管理署では初開催となる「ニホンジカくくりワナ「小林式誘引捕獲法」現地講習会」を、石川県内の県、市、森林組合、猟友会等を対象に、林野庁・局・署職員も参加し開催しました。参加者数が50名もあり、開始前からシカや「小林式誘引捕獲法」への意識の高さを感じつつ講習会を開催しました。当署管内では白山を中心に国有林が分布しており、県境を越えて侵入したシカの生息数が数年前から増加傾向にあります。毎年、関係機関を交えての情報交換会においてもセンサーカメラに撮影されるシカ生息数の頭数増加が議論されているところです。今回開催した現地講習会では、「小林式誘引捕獲法」を開発した和歌山署の小林氏に講師を務めていただき、座学とワナ設置の実技講習を実施しました。座学では、小林氏の経験を踏まえたワナ設置での留意点や、シカ生息の現状の説明があり、参加者から餌についての質問などがあり、関心の高さを感じました。次にワナ設置の実技及び参加者による実技講習を行いました。「小林式誘引捕獲法」は設置の容易さが特徴の一つであり、講師の手慣れた設置により、あっという間に設置を終えました。その後、参加者による「小林式誘引捕獲法」を実際に設置し、シカに見立てた足をワナに踏み込ませ実際にシカがワナに捕獲される体験をしてもらいました。最後に参加者から、生息数の密度とワナ設置基準についての質疑があり、時期による餌の注意点や、シカの生息密度と捕獲効果の関係について講師から説明をされました。短時間ではありましたが、現地講習会の反響も感じており、石川森林管理署では、今回の現地講習会を活かしながら、関係機関からの要望をうけた様々な講習会を今後も行って参ります。
(“奈良のシカ”が街中に、植え込みパクリ:奈良)
奈良公園のシカが今、街に出て植え込みの草木を食べるなどの被害が相次いでいます。公園に連れ戻してもすぐ街に戻ってしまうということですが、一体何が起きているのでしょうか。国の天然記念物にも指定されている奈良のシカ。目撃された場所は、住宅街です。しかも、歩いているだけではありません。民家のすぐ外で、3頭のシカが草を食べています。さらに別の場所でも街路樹の一部を食べつくし、至る場所で葉をむしゃむしゃ。街はシカであふれていました。本来、奈良公園周辺に生息し、観光客にシカせんべいをおねだりする光景はおなじみですが、今、街中で目撃が相次いでいます。奈良公園からおよそ1キロ離れた住宅街では、住宅の庭に侵入し、草を食べ続けていました。近くに住む住民は被害を訴えます。住民は、もともとあったフェンスを自宅にあった竹刀などで補強し、高さを増したことでシカの侵入を防いでいるといいます。さらに奈良公園から2キロ以上離れた会社近くでは、先月から連日、シカを見るといいます。トラブルも発生しています。街にシカが多く出没することで、こんな事態も…。奈良の鹿愛護会 中西康博副会長「子どもが怖がる。通学路に出る。こういう話が多くなってきている。マンションの駐輪場で出産。団地の隅で出産している」。長年シカの保護活動をしている中西さん。去年からシカの頭数は増え続けているといいます。「去年7月に頭数調査をして、奈良公園にいるシカは1465頭。歴代でトップ」。奈良の鹿愛護会によると、およそ1300年前に神が白いシカとともに降り立ったとされ、古来から神の使いとして、シカを保護してきたといいます。しかし餌(えさ)不足などが原因で、明治時代には38頭まで減少。その後、保護活動を強化したことで頭数は回復しましたが、近年は奈良公園にとどまらず、街にもシカがあふれかえる事態となっています。「(奈良公園の)外で繁殖が始まっている兆候がみられるようになってきた。奈良公園は“元本家”であって、縁が切れていく」。増え続けるシカの頭数。原因は観光客にあるといいます。「観光客が増えてくると、シカせんべいもたくさん売れるが、シカがかわいいのでシカせんべい以外のものをあげる人が増えている。餌やりが原因と思う」。奈良のシカは冬になると草や葉が減少し、一部は春まで生きられず頭数が抑えられていましたが、近年は観光客が栄養価の高い食べ物を与えることで、シカの生存率が高まっているといいます。「観光客はやっぱり、お菓子をあげる。修学旅行生もけっこうあげる」。奈良の鹿愛護会は、街にいるシカを誘導し、奈良公園に戻す「追い上げ」を去年から行っています。しかし、再び街に戻ってきてしまう“いたちごっこ”が続いています。「奈良公園には1465頭いるが、外に200~300頭ぐらいが出ている。『ミニ奈良公園』を作ってしまう」。
(増えるエゾシカ、車との事故も増加:北海道)
道内でのエゾシカの生息数は過去最多のおよそ73万頭。市街地でもたびたび目撃されシカと車などがぶつかる事故も年々増加するなか、事故を防ごうと道内各地で対策が進められています。札幌市中央区では7日に引き続き8日も、市街地にエゾシカが迷い込んでいるのが見つかりました。市は夜間にシカが自然に立ち去るのを待つとしていて、見かけても近寄らず、付近を車などで通行する際は突然飛び出してこないか十分注意するよう呼びかけています。7日、札幌市中央区の民家で庭にエゾシカ1頭が迷い込んでいるのが見つかり、市と警察が日中に監視を続けて夜間に立ち去るのを待っていました。市によりますと、8日午前9時ごろ、同じ民家から「シカがまだとどまっている」と連絡を受け、市や警察が現場に駆けつけたところシカは移動し、昼ごろに札幌市中央区の道立近代美術館の庭に逃げ込んだということです。NHKが正午ごろに現場を取材したところ、シカは辺りを見回したり座ったりしながらその場にとどまっていました。市と警察は美術館の庭を立ち入り禁止にして、夜間にシカが自然に立ち去るのを待つとしています。札幌市環境共生担当課の長野広隆係長は「シカは15メートルくらいの距離でも近づくと興奮して道路などに飛び出すおそれがあります。見かけても近づかないようにしてください」と呼びかけています。道内でのエゾシカの生息数はおよそ73万頭と過去最も多くなる中、シカと車などがぶつかる事故も年々増加しています。警察によりますと、去年1年間に道内でエゾシカがバイクを含む車と衝突するなどした事故は6705件にのぼり、統計を取り始めた2004年と比べ6倍近くに増え、これまでで最も多くなっています。特に繁殖期を迎え動きが活発化する9月から11月の3か月間で全体の半数以上を占めています。地域別では、▽胆振地方がもっとも多く1029件、▽釧路地方が868件、▽石狩地方が846件などとなっています。道内でエゾシカと車などがぶつかる事故が増える中、札幌市内では車を運転するときはぶつからないように注意をしているという声が多く聞かれました。小樽市の30代の男性は「車を運転していたときにシカが目の前を横切ったことがあったので、運転するときは気をつけています」と話していました。また、東京から訪れた30代の男性は「レンタカーで室蘭から札幌へ向かっている途中で、道路脇にシカが50頭ほどいて前の車が道路を横断したシカにぶつかりそうになってびっくりしました」と話していました。エゾシカが多く生息し交通事故が多発している道東では、事故の発生を減らそうと、ことしからシカの横断が多い国道の道路脇などおよそ70か所に注意すべき具体的な区間を示した新たな看板を設置しています。北海道開発局は、エゾシカが道路を横断する可能性のある場所に、これまでシカのシルエットが入った黄色い看板を設置してドライバーに注意を呼びかけてきました。こうした中、エゾシカが多く生息し交通事故が多発している釧路・根室地方では、さらに注意を高めてもらおうと、ことし4月から国道の道路脇など合わせておよそ70か所に注意すべき具体的な区間を示した新たな看板を設置しています。このうち、釧路市中心部と阿寒湖を結ぶ交通量の多い国道240号に設置された看板には、シカのシルエットとともに「ここから28キロ事故多発」と距離を示して、ドライバーへの注意を促していました。北海道開発局によりますと、看板の設置は道内では初めてだということです。北海道開発局釧路開発建設部は「事故が多発する区間をはっきり示すことで、防止に役立てられると期待している。看板を見かけたらスピードを落とし、安全運転に努めてほしい」としています。高速道路の区域内に出没するエゾシカの件数も年々増加しています。NEXCO東日本北海道支社によりますと、去年、高速道路の区域内に出没したエゾシカの件数は534件と過去最多になっていて、ことし6月までの出没件数も去年の同じ時期と比べ81件多い265件と年々増加しているということです。こうした中、NEXCO東日本北海道支社ではシカが高速道路の区域内に侵入するのを防ぐため、道路脇の柵の高さを1.5メートルから2.5メートルに高くしたり侵入したシカが区域の外に逃げやすいようにしたりする対策を進めています。このうち、道内の高速道路の中でシカの出没件数が最も多い道央道の苫小牧西インターチェンジから苫小牧中央インターチェンジの間の4か所で3年前から、区域内の道路脇の土を盛って柵の高さを下げることでシカが柵を越えて区域の外に逃げやすくする「アウトジャンプ」と呼ばれる対策を実施しています。NEXCO東日本北海道支社は「限られた費用の中でシカが侵入しづらい環境を整備することが課題となっている。事故を防ぐためにも、今後はシカが苦手な高周波音を発生させる装置などの導入も含めて検討が必要だ」としています。エゾシカとの交通事故について調べている「北海道開発技術センター」の鹿野たか嶺上席研究員は、エゾシカの生息域は、かつては道東の釧路市や根室市周辺が多かったものの、道東での個体数の増加に伴って最近では雪が少ない道央の苫小牧市にも拡大しているため、交通事故の発生件数も増えているとしています。鹿野上席研究員は「最近は街中でもシカが出てくることがあり、どこにでもシカがいると思って運転するべきだ。特にシカは早朝や夕暮れ時などに出没することが多いので、運転する際は速度を落としたり遠くまで見通せるハイビームを活用することで事故を防いでほしい」と話していました。
(「ここで逃したら大変なことになる」、射撃した宇都宮動物園課長が語るクマ捕獲“緊迫の瞬間”)
栃木県宇都宮市の住民を震撼させた、1頭のクマが街の中心部を4日にわたって駆け巡った事件から、1カ月になる。6月9日の捕獲にあたった 磯哲雄・宇都宮動物園飼育課長 が、ライター・伊藤秀倫氏の取材に、当時、現場で何が起きていたかを明かした。最初に、麻酔銃による捕獲要請が磯氏に出されたのは6月7日の午後だった。だが、駆けつけたときには、クマの姿を捉えることができなかった。捕獲につながったのは、9日13時30分に出された3度目の捕獲要請だった。磯氏は、クマが立てこもっているという民家の庭に到着した。「『あそこの隅っこにいる』と言われた場所を見ると、たしかに真っ黒な耳だけが見えました。ただ庭のバラや茂み、柱などに遮られて、身体がどっちを向いているのかさえわからない状況でした」。狙いを定めた磯氏だったが、1発目は外れた。麻酔銃は連射ができない。麻酔銃の「弾丸」は、注射器(シリンジ)に羽根がついた構造で、獲物に命中すると、針から薬剤が注入される仕組みになっている。1発ごとに獣医に薬剤を調合してもらい、それを注射器に注入し、ガス圧を調整するという作業が必要になる。15分後に発射した2発目も外れた。「唯一見えているクマの耳の位置から推測して『このへんに身体があればいいな』と撃ったのですが、やっぱりダメでしたね」。磯氏は「撃ちやすい場所を自分で探してもいいですか」と申し出ると、しばらくの間現場周辺をくまなくチェックし、民家の裏に建つアパートの駐車場から、フェンス越しに狙うことにした。そこからも身体全体が見えたわけではない。だが、クマの胸にある「白い月の輪模様」は見えた。「ここで逃したら大変なことになるという重圧もあったし、とにかく必死でした。恐怖心? それは全然なかったですね。警察の方も盾で守ってくれてたので」。距離は約5メートル。フェンスに銃を突っ込み、狙いを定めて撃った3発目は、クマの月の輪に命中した。5分ほどでクマは眠りに落ち、猟友会が用意した檻に収容された。時刻は6月9日15時45分。駆除されたクマはオスの成獣で、体長は推定で約1.4メートル、体重は80キロを超えていた。このクマに揺れた4日間、宇都宮市で何が起きていたのか。撃つ瞬間、クマと目があった磯氏の胸に去来したもの、学校休校にまつわる行政の苦悩、駆除後に市役所や動物園にクレームが殺到したこと、そして、都市にクマが出没することがもはや異常事態ではなくなった理由など、伊藤氏による「 ドキュメント熊襲来――宇都宮で何が 」は、7月10日発売の「文藝春秋」8月号および、電子版「文藝春秋PLUS」(7月9日先行公開)に掲載されている。
(300kgの「怪物ヒグマ」に翻弄された羆撃ちチームの"日没間際まで続いた死闘":北海道)
人里に現れたクマに、猟師たちはどう向き合っているのか。2003年秋、北海道東部にある日本有数の酪農地帯、根釧台地の牧場で、ヒグマが体重200キロのジャージー牛を襲い、その遺骸を“土饅頭”に埋めて隠した。単独で200頭超のヒグマを仕留め“令和最強”の異名を持つ赤石正男さんを筆頭に、ハンターたちは「巻き狩り」と呼ばれる集団猟法でこの巨獣を追う。狩猟ノンフィクションから、夜明けから日没まで続いた死闘の顛末を紹介する。夜も明けきらぬ午前5時、支度をしていた赤石の携帯電話が鳴った。「アカか? ヒグマが忠類川沿いの森に入っていった新しい跡を見つけたぞ」。気の早い猟仲間、小野田廣利からの連絡だった。小野田とは何度もヒグマの巻き狩りで一緒に山に入っており、彼の「勢子」としての能力を赤石はよく知っていた。勢子にはまずクマザサの生い茂る山中を5キロ、10キロと歩き続ける体力、銃を持たずとも獣を追い詰めていく胆力が求められる。何よりも足跡ひとつからヒグマの進む方角、歩幅を推測し、とりわけ「止め足」を見破る眼力が不可欠である。「巻き狩り」とは、多人数で獲物を囲い込み、追い立て、出口で仕留める集団猟法で、獲物を追い立てる「勢子(せこ)」と、その獲物を待ち構えて撃つ「待ち(射手)」に分かれる。「止め足」とは追っ手の追跡に気づいたヒグマが、追跡を振り切るために自分の足跡にほどこす“偽装工作”のことだ。例えば自分の歩いてきた跡を崩さないようにそっと後戻りし、横跳びして待ち構え、追跡してきた人間の背後を取る。あるいは、あたり一帯に足跡をつけまくり、どれが一番新しい足跡かわからなくしたうえで、跳躍力を活かして足跡のつかない草の上などに跳び、足跡を“消す”こともやってのける。この「止め足」に引っかかると、追っ手は待ち伏せしていたヒグマに気づかずに反撃されて命を落とすこともある。つまり勢子にはそれだけのリスクがあるのだが、小野田はいつも勢子を自ら買って出る男だった。小柄で細身、山の木々の間を水のようにすり抜け、爆竹ひとつで巨獣を追い立てる。実際、ヒグマを追わせたら、彼の右に出る者はいなかった。今朝も誰よりも早く昨日の目撃現場に入り、周辺の下調べをしていたのだろう。小野田との電話を終えた赤石を助手席に乗せて、私はハイラックスのハンドルを握って、集合場所へと向かう。根室海峡の空は黒から濃紺へとわずかに色を変え、晩秋の薄明かりが、東の地平を微かに染め始めている。赤石は頭の中で今日の配置の算段をつけているのだろう。個々の射撃の腕前や経験値を考慮し、それぞれを最適な待ち場へ送る必要があるのだ。町道に差しかかると、遠くにヘッドライトが揺れていた。私はハイラックスを、道路脇でヘッドライトを点けている車のそばに滑り込ませた。やはり小野田の車だった。小野田と話しているうちに、今日の巻き狩りのメンバーが続々と集まってくる。仕切り役の斉藤がメンバーたちに次々と指示を出し、それぞれが散っていく。2人でペアを組み、ヒグマを逃さないよう広い輪で山を囲むような布陣を敷く。小野田が見つけた新しい足跡は、昨日とは反対側――すなわち忠類川沿いの木立へ向かっていた。ササの上に雪がかぶさり、白一色の世界の中で、ヒグマの通った筋だけがササの葉を押し分けて現れ、森の中へまっすぐ延びている。勢子に追われたヒグマは、必ず身を隠せる木立を選び、谷を抜け、崖を嫌い、わずかな陰を頼りに逃げる。だが、この一帯は赤石にとっては自宅の庭同然だ。ヒグマがどの斜面を通り、どの沢を渡るか、その答えはすでに頭の中に見えているようだった。巻き狩りは、忠類川北側の森からスタートした。周囲6キロほどの森からヒグマを追い立てていく。ヒグマは川を上流へたどるか、あるいは知床へ続く林帯へ抜けるか、ルートはその2通りだ。森をぐるりと囲むように、待ちの配置が決まっていく。忠類川沿い、カラマツ林とトドマツ林の境目――考えられるすべての「抜け道」で仲間たちが待ち構えている。勢子の小野田は、日の出を待って森へ入るタイミングを計っていた。赤石のもとには、各持ち場から続々と配置完了の連絡が入る。空が白み始めると同時に、小野田が一面真っ白になったササ原へ踏み込んだ。ヒグマの通った筋を追って、雪をかぶったクマザサを分けていく。待ちについた全員が、静寂を保ち、森の囁(ささや)きに耳を澄ませる。瞬きすら憚(はばか)られるような緊張感のもと、周囲を凝視してヒグマの気配を拾おうとしている。赤石のいる場所は、藪の中に、わずかに低くなった筋のような段差がある。前方からヒグマが来れば、すぐに動きがわかる。各配置の中でも自分が最も有利に撃てる位置を選んだのである。赤石から見て海側には、スラッグ銃(散弾銃で単発弾“スラッグ弾”を撃てる銃)を持った新人ハンターがいる。その奥にはヒグマを撃った経験の少ないハンター、さらに奥にはベテランハンターが陣取る。道路を横切ろうとするヒグマを絶対に逃さない「層」をつくるための布陣だった。「新しく通ったばかりの跡に乗ったぞ」。勢子の小野田から連絡が入る。「川沿いを上流に向かっている」。続けざまに位置情報が無線に乗る。ヒグマは忠類川を上流へたどっているようだ。しばらく進むと林は途切れ、牧草地になるはずだ。ヒグマは背後に小野田がついていることを感じ取っているのだろう。急に進路を90度変え、赤石の待ち構えている方向へ向かってきた。「羅臼方向に向かってまっすぐいっている」。小野田の声が続く。ヒグマが向かっているのは標津から羅臼へと抜ける方向だ。「どんどんいっている」。もう1人の勢子はライフルを持っているが、銃を持たない小野田にヒグマが向かってくる可能性も高い。それでも小野田は臆する様子もなく、ひたすらヒグマを追い詰めていく。いまヒグマが向かっている先にはカラマツ林が広がっている。「あそこに来なきゃいいけどな」。経験の少ないハンターの前にヒグマが出ることを赤石が危惧した矢先、赤石の横50メートルほど先のクマザサが「ガサッ、ガサッ」と揺れた。と思う間もなく、ヒグマが飛び出してきた。ちょうど新人ハンターの真正面だ。新人は、目の前の疾走していくヒグマを呆然と目で追うのが精いっぱいで、引き金に指をかける余裕などなかった。待ちについている誰もが狙いを定める間もなく、ヒグマは道路をひと跳びで飛び越えた。「デカい」。50メートルほどの距離で、真横からヒグマを見る格好になった赤石が思わずつぶやいた。道路幅と同じほどの巨躯が、宙を駆けるように一瞬で反対側のカラマツ林へ消えた。300キロは優にありそうな体が、驚くほど軽やかに走り抜けていった。「ヒグマに道路を渡られた」。赤石が仲間に連絡する。作戦変更だ。もう一度、ヒグマの進行方向に先回りしなければならない。いま横切られた町道は赤石が最初にヒグマを見つけた町道だ。この町道と並行するように、もう1本別の町道が走っている。ヒグマはそちらの方向へ向かっているはずだ。そこで、先ほどと同じように布陣して迎え撃つ。間もなく、勢子の小野田が道路に姿を見せた。一度、全員が集合し、再度、待ちの配置を考え直す。「疲れてないか」。赤石が小野田を気遣う。「これくらいで疲れるわけないさ」と小野田。先回りした待ちから、配置完了の合図が入る。赤石も、全員の位置を頭に描きながら、自分の待ち場であるトドマツ林沿いの薄暗い場所へと車で向かう。運転するのは私で、助手席に赤石といういつものフォーメーションだ。「止め足使ったぞ」「トドマツの林が、いったん切れているぞ」。小野田は再びヒグマの足跡に乗ったようだ。無線の報告を聞きながら、赤石の頭の中では、それぞれの位置がナビゲーション画面のように立体的に浮かび上がっていた。自分の位置をGPSで確認できる時代ではない。すべては自分の経験と勘に頼るしかなかった。「ヒグマの野郎、止め足使ったぞ」。小野田が慌てた声で連絡をよこす。ヒグマは皆が待ち構えている場所から約500メートル手前まで近づいていたが、そこで人間の気配を察知したようだ。「やっぱりな」。助手席の赤石が頷く。あれだけの巨体のヒグマである。それだけ年齢と経験を重ねたはずで、追っ手の追跡をかわす技には長けているはずだ。「おい、逆に先回りするぞ」。ヒグマは、歩いてきた方向へ戻ると踏んだのだ。そこには赤石だけが知っている、ヒグマが向かいそうな枝道がある。まだ間に合うはずだった。私は国道から枝道へとハンドルを切り、赤石の指示する場所に車を止め、ドアを開けて待ち受ける。音や気配を聞き逃さないためだ。すぐ横にはトドマツの林が迫っている。「ここにいれば、絶対に通る」。赤石の絶対の自信が伝わってくる。じりじりするような時間が過ぎ、突然、林の中から「ギャーッ」と鋭い鳴き声が上がり、思わず心臓が跳ね上がった。「カケスだ」と赤石。やがて無線に小野田の声が入ってきた。「今来た所を、戻っているぞ。誰か、最初の位置に戻れ」。小野田から無線が入る。1分、3分、5分……静かに時間が過ぎていく。「来ないな。ここじゃなかったか」。赤石の勘が外れたのか――いやな予感を抱きつつ枝道を引き返し、国道へ出る。再び元の町道へ入って走っていると、小野田から連絡が入った。「今、枝道に誰かいたのか? 車のタイヤ痕の上に、羆の足跡があるぞ」。ほんのわずかな差で、ヒグマは私たちが待っていた場所を後から通ったのである。やはり赤石の判断は正しかったわけだが、後の祭りだ。ヒグマは来た道を、どんどん引き返している。私は内心、朝の2、3時間で決着がつくだろうとタカをくくっていたが、そう簡単にはいかなかった。目の前の林を凝視しながら、車の中で黙々と握り飯を食べる。待ちの配置は、約30メートル間隔で5人。このどこかに、必ずヒグマが出てくるはずだ。「来たぞ!」。誰かの怒号と同時に、ヒグマがトドマツの陰から炸裂するように飛び出した。全身の体毛を逆立て、怒気をまとった巨体は、朝に見たときよりひと回り大きく感じられる。銃を構える暇もない。ヒグマは現れた方角とは逆側の藪へ、一閃する影となって消えた。まるで巨大なネコが跳ねるようなしなやかさだった。このまま直進すれば忠類川に突き当たる。下流へはいくまい。奴は必ず上流を選ぶ。「川沿いをいくぞ」。赤石は次の展開を読み続ける。やがて河原に構えた仲間から「羆、いたぞ」との報が入る。いずれ川幅が狭まり、逃げ道は限られてくるはずだった。だが、上流に布陣しているはずの「待ち」からの連絡は一向にない。無線は沈黙を保ったままだ。小さな違和感。赤石は悟る。ヒグマは待ちの死角――崖下の陰――をうまく抜けたに違いない。上流側の気配を察したのか、ヒグマは河原を離れ、切り立った崖を駆け上がる。そして牧草地の裂け目に沿って延びる細長い藪へ身を滑り込ませる。その先には、トドマツの深い林帯が広がっていた。ヒグマはそこを知っているかのようだった。「来たぞ!」。川沿いの藪を見張っていた待ちの目の前を、ヒグマが猛スピードで駆け抜けていく。車から約200メートルの位置だ。こんなときに限って、そこに赤石はいない。赤石は自分の直感で「ここだ」と読んだ別のポジションでヒグマを待ち伏せていたからだ。走るヒグマに向かって、待ちの誰かが一発撃つ。当たったか――しかしヒグマは止まらない。猛スピードのまま幅約200メートル、長さ600メートルほどのアカエゾマツ林の中へ飛び込んでいった。この林が最後の決戦の場になりそうだった。そこに関本知春がやってきた。関本は札幌からシカ撃ちに来ていたが、この「大捕物」の噂を聞きつけて、現場に駆けつけたのである。関本を含む全員で林を取り囲む。もはやヒグマに逃げ道はないはずだ。とはいえ追い詰められたヒグマが、どの方向に飛び出してくるかは誰にもわからない。これまでの動きを見れば、おそらくヒグマは来た方向――つまり、人間の背後――に戻ろうとするだろう。それを見越して全員が配置についた。ヒグマが入っていった付近には関本と、崖の上に待ちが2人。見通しのきく牧草地側には赤石と実弟の喜八郎、私を含めた5人が構え、ハンター総勢8人がヒグマの動向を凝視している。勢子の小野田が、ヒグマの向かった方向から林の中へ入っていく。ほどなくして、かつて誰も聞いたことのない咆哮があたり一面に響き渡った。「グウォーーーーーッ!」。ヒグマがついに逃げ場を失い、たまらず吠え立てたのだ。咆哮は5度、地を震わせるように続いた。「すげえ声だ……」。誰かが低くつぶやく。赤石でさえ、これほどの咆哮を耳にしたことはなかった。ヒグマと勢子の距離は10メートルもない。ヒグマは姿を見せぬまま、藪の中を勢子に向かって突進してはぶつかる直前で止まる威嚇行動――ブラフチャージを仕掛けてくる。そして再び咆哮。矢のような怒声が森を貫く。歴戦の勢子2人も、この迫力には抗しきれない。1人が木にしがみついて身をかわし、無線で救援を求めた。「おい、誰か中に入ってきてくれ」。小野田から悲痛な応援要請が来るが、見通しのきかないササ藪の中に入り込むのは、危険が大きすぎる。「犬を連れて入ってみる」。急報を受け、関本が猟犬を連れて森へ踏み込む。犬が先陣を切り、藪を裂くように突き進む。すると間もなく、猟犬が血走った目で駆け戻ってきた。その背後から、巨大なヒグマが迫っていた。ヒグマは関本に向かって一直線に突進し、直前で関本の1メートル横をかすめるように通過。旋回して再び元のササ藪へと戻っていった。関本に銃を構える暇などあるはずもない。手を伸ばせば毛に触れられるほどの距離でのすれ違いだった。赤石はその一部始終を横合いから見ていた。関本へ突進するヒグマの軌跡は、揺れるクマザサの波で読み取れる。ササ藪の隙間から巨影がわずかでものぞきさえすれば、一撃で止めるつもりで、赤石は引き金に指をかけていた。しかし、その瞬間は訪れなかった。ヒグマとハンターたちの攻防は、すでに1時間近く続いていた。時間は午後3時になろうとしている。猟が許されている日没まで、あと1時間ほどしかない。ヒグマとの闘いに「時間との闘い」の要素が加わってきた。ヒグマが逃げ込んだ森の中には、1本の古い作業道がある。その存在を知っているのは、ここにいるうちのほんの数人だけだ。そこへ車を無理やり押し込んでいけば、ヒグマはいやでもどこかの待ちの前へ飛び出してくるかもしれない。森の中では、勢子2人が孤立したままだ。私は作業道の入り口で「待ち」についていたヒグマ猟のベテラン、宮田実のランドクルーザー70に身を移した。ヒグマが潜む森に踏み込むのである。より重く、より頑丈な車でいくべきだと思ったからだ。ランドクルーザー70でギアをローにして作業道へと分け入る。作業道とは名ばかりで、実際には獣道に近い。ボンネットの高さまで迫るクマザサを、押し分け、踏み倒しながら進む。車体がクマザサを裂く乾いた音だけが、妙に大きく耳に残った。距離にして、200メートルほど進んだ時だった。突然、森の空気が、変わった。「ヒグマが動いたぞ!」。周囲を囲んでいた待ちから連絡が入る。「川のほうに向かっている」。読み通り、車の音に気づいたヒグマは、森に入ってきた方向――つまり入り口側――へ戻り始めた。その先で待ち構えていたのは、まだ一度もヒグマを撃ったことのない黒渕澄夫と小濱由紀雄だった。2人は息を殺し、ササ藪の暗がりをにらみ据えていた。そこへ、巨影――ヒグマが姿を現す。小濱がとっさにヒグマ目がけて338口径の弾を放った。銃身から飛び出した弾丸はヒグマに吸い込まれ、巨体はひれ伏すようにササ藪の中へ沈み込む。「近づくなよ、まだ終わっていない!」「トメを撃て!」。矢継ぎ早に赤石の指示が飛ぶ。小濱が慎重に距離を詰め、トメの一撃を叩き込んだ。夜明けから続いた追跡劇は、日没を目前にした午後3時すぎ、ようやく幕を閉じた。朝方にうっすら積もっていた雪はすでに消え、牧草地には再び緑が浮かび上がっていた。一日中、人に追われ続けたヒグマは、極限の緊張に張り詰めていたのだろう。銃弾が命を絶つ瞬間、体内を巡っていたアドレナリンが一気に放出され、全身の筋肉は岩のように硬直したまま斃れ伏していた。後に測ったところ、その巨体は実に360キロだった。獲物を仕留めた後は、私の役目は運転手からカメラマンへ変わる。黙々と巨大なヒグマとの写真を撮り続けた。自らの手で仕留めた獲物ではないにせよ、赤石の胸には確かな達成感が静かに積み重なっていた。この巨大な獣の弔いは、夜半までかかるだろう。酒を嗜む者にとって、今宵の酒は格別の味になるに違いない。酒は一滴も飲まない赤石には、コーラが待っている。
(ベテラン猟師が見た〈山の異変〉、クマが人里へ出てくる意外な理由とは?:伊藤博之)
2025年度はクマによる人身被害が過去最多となった。狩猟管理学を専門とする酪農学園大学の伊吾田宏正教授は「26年度は落ち着きを取り戻すのではないかと考えていた。しかし、もはや予断が許されるような状況ではない」と言う。なぜクマは人里へ下りてくるのか。山で長年クマと向き合ってきたベテラン猟師が語る、食糧不足だけでは説明ができない「生態系の異変」とは?6月2日の朝、福島県福島市内で4人がクマに襲われて負傷し、同じ日に秋田県秋田市ではクマに襲われた可能性のある女性の遺体が見つかった。秋田市では地元の猟友会が現場近くにいた体長約1mのクマを駆除。一方、福島市ではクマが工場の敷地内に居座り、緊急銃猟体制が敷かれたものの、警戒の目をくぐり抜け、工場の門を乗り越えて逃走したと見られる。環境省が発表したクマ類による人身被害(速報値)は、2026年4月には全国で6件起きて6人が被害を受け、そのうちの1人である岩手県紫波町の女性が死亡。5月には全国で13件起きて14人が被害を受け、そのうちの3人が死亡している。25年度は全国で238人が被害を受け、そのうちの13人が死亡し、国内における史上最悪の事態となったわけだが、今年度に入ってからも冬眠明けのクマによる被害が後を絶たない。「2025年度が史上最悪の事態だっただけに、26年度は落ち着きを取り戻して、25年度ほどにはならないのではないかと考えていました。しかし、4月以降の被害状況を見ると、もはや予断が許されるような状況にはありません」と、狩猟管理学を専門とする酪農学園大学の伊吾田宏正教授は言う。なぜ、冬眠明けのクマが山から人里や市街地に下りてきて、人身被害を及ぼすようになったのか。その理由を探るヒントになるのが、北海道紋別郡西興部村のベテラン猟師の中原慎一さんの次の話だ。「冬眠明けのクマは、当然のことながらおなかが減っているでしょ。でも、入っていた穴の周りにはまだ雪が積もっていて寒いし、餌となる植物の新葉や新芽があまりないんだよね。そこでどうするかっていうと、雪を掘り返すんだわ」「ミズナラの木の下のくぼ地になったところには、前の年の秋に落ちたドングリの実がたまって雪に埋もれているんだよね。クマはその場所をちゃんと知っていて、それをほじくり返して空腹を満たすわけさ」。しかし、2025年秋の山の実なり調査の結果を見ると、西興部村をはじめ北海道の大半のエリアで、ミズナラは凶作だった。また、人身被害が相次いだ青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の東北5県におけるブナの結実調査の結果は、軒並み大凶作であった。つまり、クマたちはアテにしていた雪の下の餌にありつけず、餌を求めて山を下りてきたことが考えられるわけで、伊吾田教授も「その可能性はありえるでしょう」と言う。そして、この6月から7月にかけて伊吾田教授が特に注意すべき点として挙げるのが、クマが交尾期(5~7月)に入っていること。オスグマは自分の子孫を残そうとする本能に駆られ、交尾をする相手のメスグマを探しに山中のあちこちを移動して回る。一方、1年のうちでもっとも餌が少ない時期で、アリやハチなどの昆虫も食べる。頭の中はメスグマと餌のことで一杯になり、次第に気性が荒くなっていく。そうした最中、子グマをつれた母グマを見つけたオスグマがどういった行動を取るかというと、子グマを殺してしまうのだ。そして、子グマを失った母グマと交尾をする。それを避けようと、子連れの母グマは人里近くに下りてくる場合がある。また、山中ではオスグマ同士によるメスグマの争奪戦が行われ、その争いに敗れたオスグマが押し出されるような形で山を下りてくることがある。そうなれば、人とクマが遭遇する可能性が必然的に高まる。そうしたクマから人身被害を受けないためにすべきなのは、まずクマにこちら側の存在を気づかせることである。もともとクマは臆病な性格で、人間に対して強い警戒心を持っている。そこに人間がいるとわかれば、クマは自ら遠ざかっていく。そうしたクマが周囲を警戒する際に用いるのが嗅覚(きゅうかく)であり、移動中も時折頭を上下に振ってにおいを嗅ぐことで警戒を怠らない。ベテラン猟師の中原さんは、山中で渓流釣りをする際に蚊取り線香を焚(た)いて、クマが近寄らないようにしている。蚊取り線香を入れて服やベルトに装着できるホルダーがあるので、山に入ったり農作業をしたりする際には、それを利用するといいだろう。また、クマは聴覚が発達していて、小さな物音でも聞き取る。そこで「クマ鈴」が普及するようになったわけだが、「鈴の音色にクマが慣れてしまい、異音として警戒心を高めなくなった恐れがある」という指摘が出始めており、過信は禁物だ。アイヌ民族最後の狩人だった柿崎等さんは対談本の中で、クマが聞き慣れていない音として、ペットボトルを押して「ペコペコ」と鳴らしながら歩くことを勧めている。それでも万が一、クマと遭遇した場合はどうするか。セオリーとして大勢の関係者が繰り返し紹介しているように、もっとも大切なのは背を向けて走って逃げないこと。クマは逃げるものを追いかける。その場に立ち止まって、クマの目をじっと見据える。そして、クマの動きが止まったら、様子を確認しつつ、ゆっくりと後ずさりしながらクマとの距離を空けていく。子連れの母グマと遭遇した場合に注意しなくてはいけないのが、子グマと目を合わせないことである。子グマに目を合わせると、大切な自分の子どもに関心があるのだと思った母グマが、人に襲いかかってくる可能性を高めてしまう。立ち止まった人間の側にクマが近づくそぶりを見せたら、「ウォー」と腹の底から大声を出す。呼応して「グォー」とクマが威嚇の鳴き声をあげても、怯(ひる)まずに大声を出し続ける。中原さんが仲間の猟師と一緒にヒグマ猟に出たとき、一人の猟師にヒグマが向かってきた。その猟師は猟銃を発砲したものの、命中せずに持っていた弾を全て撃ち尽くしてしまった。数メートル先まで来たヒグマに対し、窮余の策で猟師が大声を上げたら山中に逃げていった。大声は危機を回避する有効手段の一つになるだろう。実はベテラン猟師の中原さんも、3m近くまでヒグマに近づいてこられたことがある。「やられるな」と半ば諦めかけたとき、咄嗟(とっさ)に持っていたロープを「ビューン、ビューン」と音を立てながら振り回した。するとヒグマが来た道を戻っていき、命拾いをした。前出の柿崎さんは、ベルトなどを振り回すことは効果があると指摘している。長いひも状のものを振り回すことも、最後の手段として覚えておこう。「なぜだか理由はわからないが、300kgを超える成獣のヒグマを山中で見ることがめっきり減ったんだわ。広い縄張りを持った力のある成獣のヒグマが減ったことで、山中では若いヒグマが増えているのかもしれないね」「その若いヒグマ同士が縄張り争いをした結果、負けたヒグマが押し出されるようにして山を下りてくるようになったことも考えられると思うよ」。中原さんの話からは、山中における生態系の変化が読み取れる。その結果、クマの生活圏が次第に人里や市街地へ近づいたことで、恐れる対象だった人間に対する警戒心が薄らいだクマが増えてきたのかもしれない。中原さんによれば、今春のドングリが成る木々の開花状況は悪くはないものの、初夏の天候次第で実を結ばない恐れもあるそうだ。あらためてクマへの警戒心を高め、万が一に備えておきたい。
(ボランティアで害獣駆除、ベテラン保育士が動物の命と向き合う:埼玉)
アライグマやハクビシン、タヌキなどの野生動物が農作物を食い荒らしたり、家屋へ侵入したりする被害が各地で報告されている中、無償で捕獲に取り組む男性がいる。埼玉県上尾市立愛宕保育園の保育士野村徹也さん(56)だ。個人で狩猟免許を取得し、捕獲許可を受けて、トウモロコシ畑やブドウ畑などを荒らす「害獣」を駆除している。「誰かがやらないと」と語る野村さんの思いとは…。6月19日早朝、上尾市須ケ谷のトウモロコシ畑。1匹のアライグマが箱わなにかかっていた。設置した野村さんは手を合わせて、目を閉じる。ほんの少しの静かな祈りの時間。そして一呼吸ついて電気ショックをかける。一瞬の衝撃の後、徐々にアライグマは動かなくなった。野村さんは勤続36年の保育士。20年ほど前に、当時勤務していた保育所の天井裏にアライグマが居ついたことがあった。大量のフンで子どもたちの健康への害も心配だった。しかし、自分では駆除することができず「歯がゆい思いをした」。それがきっかけとなり「いつか役に立てるようになろう」と心に決めた。実現したのは昨年7月。狩猟免許を取得し、猟友会にも入会。念願だった活動を開始した。捕獲にはさまざまな手続きが必要だ。被害に遭っている農家から依頼を受けた後、「鳥獣捕獲依頼書」と「許可申請書」を市役所に提出。その際、狩猟免状の写し、捕獲場所の地図(狩猟者マップの区分と詳細位置)、被害状況の写真、使用する駆除器具の資料などをそろえなければならない。捕獲後も、どこで何を何匹捕ったか、雄か雌かを報告書に記して提出する。捕獲にかかる費用は全て自己負担。箱わなは1基約1万3千円で、現在8基を稼働。駆除器具(電気式)も約3万3千円。エサ代も月2千~3千円ほどかかる。年間の支出は概算で約20万円に上り、猟友会の会費や保険、狩猟税も別途かかる。捕獲した個体の処分は環境センターに持ち込み、有料(1匹700円)で焼却してもらう。捕獲者への行政の補助はない。民間業者の場合、箱わなの設置だけで約10万円。捕獲するごとに料金が発生する上、侵入口の封鎖などでさらに費用がかさむ。「頼みたくても頼めない」という声を耳にしてきた野村さんは「地域の人の役に立てれば」と活動を続ける。毎朝5時、仕事の前に設置場所を見回る。わなに害獣がかかっていればその場で駆除し、袋に入れて持ち帰る。昨年の捕獲数は、アライグマが18匹、ハクビシンが8匹、タヌキが10匹。タヌキは在来種だが、捕獲される個体の多くは疥癬(かいせん)にかかり、毛が抜け落ちて皮膚がただれた末期の状態で、「人にうつる危険もあるので放っておけない」と言う。一方、殺生への葛藤も抱える。自宅に動物供養のお札も安置し、線香をあげている。「ただ殺されるために生まれてきたわけではないので、せめて供養になれば」と可能な部分を少量食用にする。命への痛みを抱えながらも、全部を無駄にしないことで折り合いをつけている。「時間がかかるかもしれないけれど、いずれ社会的な循環ができればと思う。こういう現実があることを知って、理解してもらいたい」。野村さんは、こんな思いを胸に今日も見回りを続ける。
(クマが住宅に2度侵入、玄関の鍵壊す:岩手)
7月5日、岩手県雫石町の住宅にクマが2度侵入し、玄関の鍵が壊されるなどの被害がありました。住人にけがはありませんでした。警察などによりますと、7月5日午前4時ごろに雫石町西根の住宅で、鍵のかかっていない玄関ドアからクマが侵入し、付近にあったキャットフードや漬物を食べられる被害がありました。クマはそのまま立ち去り、その後住人は玄関に鍵をかけ家で過ごしていましたが、午後7時半ごろ玄関の方から物音がしたため様子を見に行くと、再びクマが侵入しキャットフードを食べているのを目撃しました。大声を出してクマを追い払いましたが、玄関の鍵が壊されていたということです。侵入したクマは成獣で、1度目と2度目どちらも同じ個体とみられています。この家には70代から90代の3人が暮らしていますが、けがはありませんでした。現場は葛根田川沿いの住宅が点在する地域で、町では今後わなを設置する予定です。
(車でクマと衝突、ドラレコが捉えたその瞬間:新潟)
車が衝突したのはクマでした。魚沼市の国道を走っていた車の前に飛び出してきたのは、大きなクマ。衝突の瞬間をドライブレコーダーがとらえていました。7月3日、魚沼市大白川の国道252号。「うわっ、びっくりした!クマだ、クマに当たった」。三条市の男性会社員が車を走らせていたところ、草むらから突然クマが現れ衝突しました。車はパンパ―付近が壊れましたが、運転していた男性にケガはありませんでした。現場は、福島県境に近い山沿いを通る道路です。7日は、村上市の国道でも乗用車とクマが衝突する事故があり、警察などが注意を呼びかけています。
(シカ出没、丸1日たっても札幌中心部:北海道)
7月7日に札幌中心部に現れたメスのシカです。まる1日以上たちましたが8日も同じエリアにいます。のシカは木の下に、じっと座っています。少なくとも5時間以上ここにいるということで、午後4時くらいには一瞬立ち上がったんですが、今もこの状況が続いています。現場の場所ですけれども、中央区です。北1条西17丁目、道立近代美術館の敷地の中になります。こちら建物ですけれどもその前にある庭、警察の規制線が張られていまして、その中の庭にいるということになります。奥には大きな道路もありまして、飛び出さないか警戒が続いています。このシカですが、8日朝早く、近くの住宅の庭にいるのが確認された後、こちらに移動しました。これまでのところ、けが人や交通への影響は確認されていません。このあたりでは7日もメスのシカが目撃されていて、札幌市によりますと同じ個体とみられます。札幌市は7日、そのシカについて吹き矢での捕獲を試みましたが逃げられてしまっていまして。8日は近くに道路があることなどから、吹き矢を使った捕獲はいまのところ予定していないということです。では、今後どうするかですが、日が暮れて交通量が少なくなるのを待った上で、見守りつつ山の方に誘導を試みるということです。そして一方で、先ほど入った情報なんですが、白石区にある川下公園でも同じくシカが見つかっていて、札幌市の職員がそちらの対応にも追われているということです。
(エゾシカ肉まん「えぞしかのしっぽ」:北海道)
釧路短期大の「エゾシカBase(ベース)ゼミナール」(高橋未佳専任講師)は11、12の両日、釧路市内のイベントでエゾシカの肉まん「えぞしかのしっぽ」を各日100個販売する。北海道の認証施設で処理した「認証エゾシカ肉」を使い、調味料製造のベル食品(札幌)のジンギスカンのタレで味付けした商品で、ゼミの卒業生がレシピ考案や改良に協力した。
(ジビエ料理も人気の古民家レストランが目指す森づくり:京都)
“うまいもんは、捨てるところがない”。畑でも、山でも、蔵でも、厨房でも、何度も耳にした言葉だ。きっと、食材と真摯に向き合っているからこそ自然と出てくるのだろう。森の恵みをいただくということは、自然の影響をシビアに受けるということでもある。天候や気温によっても、食材の状態は日々変わるもの。その変化に対応し続けてきた人びとの知恵と工夫が、京の食をかたちづくっている。京都府中部に広がる南丹市は、森林率約9割を誇る、森の京都の中心地。由良川や桂川が流れ、里山の風景がいまも色濃く残る。その一角、美山町には日本の原風景ともいわれる〈美山かやぶきの里〉があり、かやぶき屋根の集落が並ぶ。林業や畜産も盛んで、野生の動物も身近に存在する土地だ。曲がりくねった山道を抜けると、かやぶき屋根の古民家レストラン〈ゆるり〉が見えてくる。囲炉裏を囲んで、ジビエ料理や季節の野菜が味わえるこの店には、近くに大きな観光施設があるわけでもないのに、多くの人びとがわざわざ訪れる。そのすぐ隣に、ゆるりのオーナー梅棹さんが代表を務める、食肉加工施設〈一網打尽〉がある。梅棹レオさん 南丹市美山町生まれ。京都の老舗フランス料理店で修業をしたのち、美山で〈ゆるり〉をオープン。猟師でもあり、地域のシカやイノシシを適正に流通させるため、自ら解体施設〈一網打尽〉を立ち上げる。捕獲から解体、販売、料理までを一貫して手がけ、森の命を食卓へとつなぐ。「そもそもジビエって、猟師が獲ったもんを直で飲食店が買うのは違法なんです。食肉処理業の許可を受けた解体場を通す必要がある」。梅棹さんはそう説明する。許可が必要なのは“人”ではなく“建物”だ。「ここ南丹市でのシカとイノシシの猟期は11月15日~3月15日。この期間内やったら、狩猟免許と狩猟者登録持って、ハントができる。けど、獲っても売れへんのやったら、誰も獲らんようになる。そうすると、シカやイノシシは増える一方で、獣害も増え続けます。だから、まず解体場をつくって、“よければ、ここで買い取らせてください”と、地元の猟師にお願いしました」。巨大な冷凍庫の中は、部位ごとに分けられたシカ肉でパンパンだ。パックには捕獲日、猟師の名前、シカの性別、仕留め方まで記されている。「銃で獲ったんか、罠なんか。トドメ刺しはどうやったのか。それが味に出るんです。ジビエの臭みって、山の匂いじゃなくて、処理の差なんですよ。一番大事なのは、体に血を残さんことです。心臓が動いているうちに、きちんと血を抜く。あとは、できるだけ早く内臓を取り出す。そこで味や匂いに差がつくので、僕らはそこを一番大事にしてます」。延べ3000頭以上を解体してきた経験が、その言葉に重みを与える。シカの角やアキレス腱など、人間の食用にならない部位は、犬用のジャーキーやおもちゃとして販売する。「昔は、獲った獣の一頭のうち3割しかつかえへんっていわれてたんです。けど、いまは7割くらいはイケてる(利用できている)と思います。せっかくいただいた命なんで、できるだけ捨てたくない」。山で仕留められた命はここで処理され、ゆるりや全国の厨房、食卓へ渡る。解体から食するまでを、自分たちの手でつなぐために、ゆるりと一網打尽は隣り合っているのだ。「僕が子どものころは、こんなにシカはいなかったですよ」。梅棹さんはそう振り返る。雪が減ったこと。野焼きがなくなったこと。狼や放し飼いの猟犬がいなくなったこと。人の暮らし方も変わるなかで、シカやイノシシはずいぶん生き延びやすくなった。「里山の専門家・小林(正秀)先生に、シカは“食べる、交尾する、逃げる”の3つしかせんって聞いたんです。山の中に柵をつくって逃げ場をなくしたら、もう食べて増えるしかない。だから爆発的に増える」。シカは、田畑だけでなく森そのものにも影響を与える。シカは樹皮を剥はがして食べる。すると、その木は育たなくなる場合がある。もちろん山菜や下草も食べ尽くされる。「つまり、野菜や稲だけでなく、林業にも被害が出るわけです。狩猟されるシカがかわいそうっていう気持ちもわかるんですけど、そんな感情論だけではすまへん話なんです」。狩猟は、単なる駆除ではない。森のバランスを整える営みでもある。「僕らは命をいただく側。けど同時に、森を守る側でもあると思ってます。森づくりって、木を植えるだけちゃうと思うんです。増えすぎた命を正常に戻して、いのちの循環をさせることも、その一部やと考えてます」。そうした営みの終点が、ゆるりの料理だ。ぼたん鍋のイノシシ肉は、脂が透明になって、食べると甘さすら感じる。くどさはまったくない。ローストされたシカ肉はロゼ色の赤身が引き締まり、噛みしめると獣肉の旨みが広がる。そして驚くほど臭みも雑味もない。「ちゃんと処理されたシカは臭くないんです。まずは、それをみなさんに知ってほしいですね」。増えすぎた命と向き合うため、梅棹さんは今日も森に出かける。
(48歳がジビエに見いだす活路:長野)
東御市で農場を営む宮野雄介さん(48)が、ジビエ(野生鳥獣肉)を味わう催しを通じて農作物への野生鳥獣被害の現状を伝え、狩猟への関心を高めようとの取り組みを始めた。自衛のためにわな猟をしているが、地元猟友会の高齢化に直面。人を恐れない動物が増えているともされる中、狩猟者の裾野を広げようと活動している。
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(わなにかかったクマを駆除しようと発砲、誤って男性に当たる:長野)
4日午前7時半頃、長野市小鍋の山林内で、クマの駆除をしようとしていた同市の会社役員男性(55)が猟銃を発砲したところ、誤って近くにいた同市の農業男性(81)の左肩に当たった。消防によると、農業男性は搬送時に意識があり、命に別条はないという。長野中央署の発表によると、2人は地元の猟友会員で、ほかの会員2人と計4人で同日朝、くくりわなにかかったクマを駆除するため現場にいたといい、同署が当時の状況を調べている。クマは駆除された。
(山菜取りにやぶに入った83歳男性、クマに襲われる:秋田)
5日午前8時40分頃、秋田県由利本荘市鳥海町猿倉のやぶで、同市の無職男性(83)が、クマに襲われて頭から出血していると、70歳代の妻から110番があった。男性は秋田市内の病院に搬送時、会話はできる状態だったといい、命に別条はないとみられる。県警由利本荘署の発表によると、男性は妻と車で山菜採りに出かけ、一人で車を降りていたところ、クマに襲われたという。自力で付近に止めていた車まで戻り、妻は車内にいて無事だった。現場は鳥海山猿倉入山口から北東に約3キロ・メートル。
(畑で20代男性がクマに襲われる:秋田)
警察と消防によりますと、3日午後5時すぎ、仙北市角館町の畑で20代の男性がクマに襲われてけがをしました。顔や手足をかまれて大仙市内の病院に運ばれましたが、意識はあるということです。詳しい情報が入り次第、お伝えします。
(イノシシ3頭が茂みから突然、驚いた女性2人転倒で軽いけが:宮城)
4日午後、宮城県栗原市内でイノシシ3頭が目撃されました。イノシシが突然、茂みから飛び出してきたため、目撃した女性5人のうち2人が転んで軽いけがをしました。警察によりますと、4日午後1時頃、栗原市築館青野の舗装されていない道で、近くに住む10代から20代の女性5人が歩いていたところ、突然、茂みの中から体長1mほどのイノシシ3頭が飛び出してきたということです。これに驚いた10代の女性と20代の女性2人が転倒し、膝を擦りむいたり、肩を打つなどの軽いけがをしました。飛び出してきたイノシシは、そのまま西の方向に逃げていったということで、警察が付近をパトロールするなど警戒していますが、その後の目撃情報はなく、付近の住民に注意を呼びかけています。
(登下校時に熊不安なら「欠席」にせず)
相次ぐクマの出没を受け、登下校に不安や危険を感じる児童生徒が学校を休んでも、欠席扱いにしない特例的な対応を一部自治体が取り始めた。学びに遅れが出ないよう補習を実施するなど工夫を凝らす。ただ地域ごとにクマを巡る状況は異なり、出没が増えている自治体から「どのようにルールを作るべきか…」と当惑の声も漏れる。文部科学省は統一的な指針を示す予定はなく、地域ごとの対応を求めている。仙台市は5月、児童生徒や保護者がクマへの不安を訴え通学しなかった場合、校長判断で、欠席扱いにならない「出席停止」にできると市立の小中高や幼稚園に通知した。授業だけでなく校外学習にも適用し、必要に応じて補習を実施する。
(猟銃所持許可申請でうその書類作成か、警察官を書類送検:秋田)
県央部の警察署の巡査長が、猟銃所持の許可の申請などの審査を行うのに必要な手続きをせずに、うその書類を作成したなどとして書類送検されました。巡査長は停職1か月の懲戒処分を受け、依願退職したということです。書類送検されたのは、県央部の警察署に所属していた30代の男性巡査長です。県警察本部監察課によりますと、巡査長は2021年3月から去年11月までの間に、猟銃所持の許可の申請などの審査を行うのに、別の部署への確認が必要にもかかわらず、しないまま確認したと記入し、うその書類を21通作成した疑いなどがもたれています。巡査長は「業務が面倒くさく、楽をしたかった。照会業務をしなくても、ばれないと思った」などと話しているということです。別の担当者が書類の点検を行った際、確認を受けた覚えがない書類に自分の名前が書かれていたことから不審に思い、発覚したということで、県警察本部は3日、この巡査長を停職1か月の懲戒処分としました。巡査長は3日付けで依願退職したということです。県警察本部監察課は「不誠実な行為により、県民のみなさまの信頼を損なう結果になり深くおわび申し上げる。指導・教養を徹底し、再発防止に努める」とコメントしています。
(豚熱に感染した野生イノシシの確認について:群馬)
7月2日、野生イノシシの豚熱検査において、豚熱に感染した野生イノシシ5頭確認されました。
(四国で「ツキノワグマ」絶滅危機、最新調査で25頭を確認)
全国的に人がクマに襲われる被害が相次いでいる。四国に生息するクマの実態はどうなっているのだろうか。林野庁などが実施した生息調査の結果が公表された。林野庁四国森林管理局によると「ツキノワグマ」は四国では徳島県にある剣山の山系とその周辺地域にのみ生息していると推測されている。2020年に公表された環境省のレッドリストでは「絶滅のおそれのある地域個体群」となっている。四国森林管理局は環境省や認定NPO法人と連携し、約10年前からツキノワグマの生息調査を続けている。この調査は「はしっこプロジェクト」と銘打って実施されている。ツキノワグマの生息域の外縁、つまり人との接触が起きてしまわないよう生息域の一番外側、“はしっこ”を把握するのが目的である。今回公表された2025年度の調査では、高知県の香美市と安芸市、そして徳島県内の計25カ所、59地点にセンサーカメラを設置。その結果、25カ所中16カ所でツキノワグマの存在が確認された。ツキノワグマは胸に白い三日月模様があり、この模様が個体ごとに異なる。カメラが捉えた映像を精査した結果、少なくとも25頭がいたと判明した。高知県内では香美市の6カ所で計9頭が確認されたが、そのほとんどが徳島県へ移動していることもわかっている。全体の調査で2026年に生まれたとみられる子グマ2頭を連れた親子2組も確認。さらに、子グマを除いた21頭のうち4頭はこれまで確認されていなかった「新たな個体」であることも判明した。全国的にクマの目撃や被害が相次ぐ中、四国でも生活圏への接近が懸念されるが、生息エリアはこれまでと同様、限定的だそう。四国森林管理局計画課の見市課長は「人と軋轢が生まれるとどうしても『駆除』とかそういう話になりかねない。外縁を調べて、できる限りツキノワグマと人間が軋轢を生まないようにすみ分けができたらなと考えている」と語る。四国森林管理局では、さらに調査の精度を高めるため、カメラの設置地点を適度に変えながら2026年度も引き続き調査を行うことにしている。
(石原環境相が八戸でクマ緊急銃猟現場を視察:青森)
石原宏高環境相は5日、5月6日にツキノワグマの緊急銃猟が青森県内で初めて行われた八戸市下水道事務所(同市江陽)内の現場を視察した。熊谷雄一市長と市鳥獣被害対策実施隊の吉田功一郎隊長が、緊急銃猟実施時の対応や課題を説明。石原氏は「あらためてクマ出没対応の難しさを認識した。知見を蓄積し、財政的支援や研修、全国自治体への実施事例の共有などにより緊急銃猟を円滑に実施、国民の安心・安全な暮らしを取り戻していきたい」と述べた。
(小田急がハンター派遣事業に取り組むワケ)
全国的にクマやシカ、イノシシなどの獣害が問題となるなか、小田急電鉄が始めたハンターと猟場のマッチングサービス「ハンターバンク」が注目を集めている。小田急が2018年から始めた事業アイデア公募制度で、いち早く事業化が実現したという同サービス。いったいなぜ、鉄道会社が獣害対策に取り組むのか。企画の発案者に一連の経緯を聞いた。ハンターバンクは、狩猟に興味はありつつも機会や場所に巡り合えていない人と、獣害に困っている地域や事業者をマッチングするサービス。狩猟に必要な道具は小田急が用意し、会員は活動エリアとなる地域で現地運営パートナーと協力して箱わなを設置、会員同士でチームを構成して協力しながら管理を行う。わなの管理にはICT(情報通信)技術を活用。トレイルカメラで日々わなの様子を確認できるほか、チームで相談して決めたエサのまき方や量を現地運営パートナーに伝え、エサまきや見回りを委託することも可能で、現場に行けなくても狩猟の魅力を体験できるという。獲物がかかった際には、現地運営パートナーのレクチャーを受けながら解体作業を行い、解体後の肉は持ち帰ることができる。「狩猟に興味を持っているけどなかなか一歩が踏み出せない人や、狩猟免許を取ったは良いものの実際に猟はしたことがないというペーパーハンターと、獣害に困っている地域をつなげるというサービスです。特に、都心にお住まいの方は狩猟免許を取得しても近くになかなか猟場がない。狩猟を始める入口の仕組みづくりができればと思っています」そう説明するのは、小田急電鉄株式会社のデジタル事業創造部で、ハンターバンク事業を主導する有田一貴さん。大学時代はワンダーフォーゲル部に所属、当時から神奈川・丹沢山地でシカの増加に伴う食害やヒルの増加といった問題に関心を抱いており、入社後、社内で事業アイデア公募制度が開始された際、真っ先に企画を提案した。「なぜ鉄道会社が獣害対策を? と思われるかもしれませんが、弊社のような私鉄は沿線の地域と共に発展してきた歴史があります。単なる運賃収入だけでなく、不動産や生活インフラの提供など、沿線の街づくりを地域と一緒に担ってきた部分も大きい。人口減少が進むこれからの時代、沿線の魅力や価値を発信し、いかに維持・発展させていくかも鉄道会社の課題の一つです。地域の社会課題を解決するという意味で、小田急沿線の獣害は無視できない問題ですし、列車との衝突事故やそれに伴うダイヤ乱れや車両の破損など、直接的な影響もある。我々小田急グループも獣害を受けている当事者として、向き合う必要があると考えました」現在は沿線の小田原エリアに留まらず、埼玉、千葉、山梨といった関東近郊や、遠く離れた京都にも事業を拡大。獣害に悩む各地域の事業者などからの切実な思いに応えているという。2022年の事業開始から4年で累計参加者は1000人を超え、小田原エリアでは昨年度イノシシ64頭を捕獲。中にはハンターバンクをきっかけに地元猟友会に所属したハンターもおり、地域のハンター不足解消にも貢献している。「我々が行っているのは狩猟の裾野を広げる事業。全国各地でハンターの高齢化が進むなか、新規参入者を増やすきっかけの一つになれば」と有田さん。鉄道会社が仕掛ける前例のない取り組みは、地方を悩ませる獣害問題解決の糸口となるか。
(シカ食害「対策あと5年が勝負」:高知)
四国の最後の聖域―。原生に近い針葉樹林やブナ林、希少な高山植物が群生する石鎚山系を、植物の専門家らはそう評する。6月、山に入ると、その聖域にニホンジカの生々しい痕跡があった。空へ伸びるような稜線(りょうせん)が続く、いの町のUFOライン(町道瓶ケ森・瓶ケ森西線)から20分余り。自念子ノ頭の山頂から少し下ったササ原に、わだちのような線が縦横無尽に走っていた。
(北アルプス上高地でニホンジカ捕獲へ:長野)
中信森林管理署(松本市)は本年度、北アルプス上高地の国有林でニホンジカの捕獲を初めて実施する。上高地はもともとニホンジカが分布していなかったが、2014年以降生息が確認されている。さらなる増加で高山植物の食害や踏み荒らしの問題が広がる前に、個体数を減らして自然環境の保全を図る。
(シカ食害拡大、捕獲数10年で3倍超:愛媛)
希少な植生が残る高知、愛媛県境の石鎚山系で、ニホンジカの食害が広がりつつある。四国では高知、徳島県境の剣山系で1990年代後半から急速に食害が深刻化した一方、石鎚山系での生息は限定的だった。ところが高知、愛媛両県などの調査では、周辺市町村の捕獲数がこの10年で3倍超に急増。植生への影響が大きい雌の定住も確認された。
(緊急銃猟で100人規模の初訓練:神奈川)
クマの活動が最も盛んになる夏場を前に、県は人里での被害防止へ地域ぐるみで対策を強化する。昨年9月に法制化され、自治体の判断で市街地での発砲を認める「緊急銃猟」の訓練を7月3日、伊勢原市内で実施する。県や市町村、県警、県猟友会の約100人規模で実施するのは初めて。県内ではこれまで人里での人的被害は確認されていないが、関係機関が具体的な手順や体制を確認し、万が一の事態に備える考えだ。県によると、県内には丹沢山地を中心に推定80頭のツキノワグマが生息しているとされる。クマの人里への出没防止対策として、餌となる放棄された果樹の除去、隠れ場となりやすいやぶの刈り払い、電気柵の設置などを実施。市町村向けにクマ撃退スプレーの購入費、訓練費用の一部補助も行っている。
(クマが隠れやすい草やぶを無償で草刈り:北海道)
福島町内の建築業者でつくる福島町建設協会は3日、町中心部の草やぶを無償で刈り取る活動を行った。昨年7月に町中心部で起きたヒグマによる人身事故で、クマが隠れやすい草やぶの伐採の必要性が高まり、町に協力を申し出た。
(海産物も食べる宮島のシカたち:広島)
シカといえば、森や草地で植物を食べているイメージが強い動物です。しかし、広島県の宮島では、シカが海辺で海産物を食べているようすが観察されました。アマモなどの海藻類だけでなく、牡蠣殻に残った身や、打ち上げられたエイなど、動物由来のものも食べていたというのだから驚きです。宮島のシカはなぜ、本来の食べ物とは大きく異なる海産物を利用するようになったのでしょうか。この行動について生態学の国際学術誌「Ecology」に報告した、森林総合研究所の鈴木圭さんにお話を伺いました。鈴木さんはもともとシカの塩水摂取についての研究を行っていて、シカが海水を利用しているのではないかと思い、宮島の海辺を訪れました。しかし、その調査中、思いもよらぬ光景に出くわしました。ある牡蠣の養殖業者が牡蠣殻を集めている場所にシカが群がっていたのです。「シカたちは牡蠣殻の山に頭を突っ込み、舌やあごを動かしながら、牡蠣殻をなめているように見えました。さらに時折前脚でガサガサと山を崩して、新しい牡蠣殻が出てくるようにしていたのです」。養殖業者の方に話を聞くと、牡蠣殻は、すでに中身を取り除いたあとではあるものの、貝柱などの身がわずかに残っていることがあるとのことでした。シカたちの行動を見る限り、殻そのものを食べるのではなく、残った身や水分などを利用していたとみられます。さらに驚くべきことに、3kmほど離れた別の沿岸では、うちあげられたエイにシカがかじった跡が観察されました。「最初は遠目にシカが下を向いて何か食べているような様子が見えて『何だろう?』と近づいてみたんです。シカは逃げてしまいましたが、シカがいたところにはエイがうちあげられていて、シカがかじったような跡がありました」。さらに翌日には、別のシカがアマモの仲間を食べている様子も観察されました。アマモは、海中に生える「海草」の一種です。このシカは黒っぽく変色した藻類は避け、緑色のアマモの仲間を選ぶように食べていました。海辺にあるものを手当たり次第に口にしていたというより、利用するものをある程度選んでいた可能性があります。つまり、宮島のシカは、牡蠣殻に残った身やエイのような動物性のものも、アマモのような植物性のものも含めて、海の資源を幅広く利用していたことになります。言うまでもなく、シカが普段食べるのは山や森の植物です。宮島のシカたちは、なぜ海辺で海産物を食べるようになったのでしょうか。鈴木さんはその背景には宮島のシカの過密さがあると話してくれました。「宮島は今、シカが増えていて、特に観光客が多い海辺は過密な状態が続いています。さらに、シカたちが海産物を利用しているようすが見られたのは冬でした。シカが過密な上、食べ物が少ない季節であったことが海産物の利用へとつながったのかもしれません」。シカは草食動物ですが、だからといって動物性のものをまったく利用できないわけではありません。シカ類を含む大型草食動物が、動物由来のものを利用した例はこれまでも報告されています。つまり今回観察されたシカの行動は「宮島のシカだけが特殊な食性になっている」というより、海岸にある利用可能な資源をシカが柔軟に取り入れていた事例と見るほうがよさそうです。「宮島のシカたちにとって、海産物は効率よく摂取できる栄養だった可能性があります。本来、動物性の食べ物はとるのが大変ですが、たとえば牡蠣殻などは待っていれば定期的に人間が持ってきてくれるわけです。うちあげられたエイもアマモも、冬に植物を探し回るより『手間なく手に入る』から利用しているのではないでしょうか」。宮島のシカたちが海産物を利用していたことは、単に「珍しい行動」というわけではなく、その場所の環境に応じた食べ物の選び方だったと見ることができます。このように考えると、宮島以外でも、海の近くにすむシカが同じように海の資源を利用している可能性は十分に考えられるでしょう。ここまで読んで、「シカが海産物を食べていることはわかったけれど、それが何につながるのだろう」と感じた方もいるかもしれません。しかし「陸の生き物が海のものを食べる」行動は、生態系の栄養の流れを考えるうえで重要な意味をもちます。陸上の栄養分は、雨や川の流れによって少しずつ海へ運ばれていきます。一方で、海へ出た栄養が陸へ戻る流れもあります。こうした海から陸への栄養の移動は「マリンサブシディ」と呼ばれています。「海から陸へ栄養が戻るしくみは、生態系を考えるうえで注目されている研究テーマです。ただ、それを誰が担っているのかは、まだ十分にはわかっていません。今回、陸上の哺乳類であるシカも関わっている可能性が見えてきたことは大きいと思います」。これまで、海の栄養を陸へ運ぶ存在としては、海鳥やサケなどが知られていました。海で餌を食べた海鳥が陸でフンをしたり、海で育ったサケが川をのぼって陸上の動物に食べられたりすることで、海の栄養が陸へ戻っていきます。今回の観察は、そこにシカのような陸上の哺乳類も関わっている可能性を示すものです。宮島のシカは、海辺にある牡蠣殻やエイ、アマモを利用することで、海の資源を体の中に取り込んでいました。もちろん、宮島のシカがどのくらい海の資源を利用しているのか、その影響がどの程度あるのかは、まだわかっていません。今後は、宮島でこの行動がどのくらい繰り返されているのかを調べるとともに、ほかの地域でも似た行動が見られるのかを確かめていく必要があります。鈴木さんは、今回の論文をきっかけに、各地から情報が寄せられることにも期待しているといいます。「まだ知られていないだけで、宮島以外でもニホンジカが海産物を利用している可能性は十分に考えられます。シカが海のものを食べている様子を見かけたら、ぜひ教えてほしいです」。もしかすると、あなたが見かけた海辺のシカの行動が、海と陸のつながりをひも解くヒントになるかもしれません。
(ノネコ管理、おおむね計画通り:鹿児島)
環境省は4日までに「奄美大島における生態系保全のためのノネコ(野生化した猫)管理計画」ロードマップの推進評価を発表した。2025年度までの各機関の取り組み状況に関して、「森林域からの排除」および「ノネコの発生源対策」は、ともにおおむね計画通りに進んでいると評価。一方で、森林域で確認される繁殖やトラップシャイ(わなを忌避(きひ)する個体)の対応、捕獲困難な未手術ノラネコへの対応など、新たな課題の対策についても今後検討を重ねる。同計画は同省、鹿児島県、奄美大島5市町村が共同で策定し、計画を実現するためのロードマップを作成した。計画期間は18~27年度。評価項目は①希少種生息域(森林内)からのノネコの捕獲排除②ノネコの発生源対策③ノネコ管理計画全体の評価の見直し―の三つで、25年度奄美大島のノイヌ・ノネコ検討会で計画の推進状況を評価した。①の捕獲排除では、18~25年度末までの間に783匹を捕獲。25年度においては55匹を捕獲し、毎月のノネコ識別個体数は40~70匹で推移している。ノネコの生息が確認されていないエリアでの捕獲を省力化することで全島での捕獲体制を確保した。捕獲後の譲渡は、実施要領の点検、見直しも実施したことから「目標はおおむね達成できた」とした。捕獲事業開始から現在まで、すべての捕獲個体(収容中の死亡個体を除く)を譲渡している。②の発生源対策について、26年3月末時点で集落地区全体のノラネコの生息数は1168匹、そのうち不妊去勢済み個体は1100匹(94・2%)。飼い猫で外飼い猫の不妊去勢率は96・8%、マイクロチップ装着率は77・5%。「おおむね条例の順守が図られている」と評価したものの、飼い猫の完全室内飼いは60・5%であることから、「飼い猫条例への理解に課題が残る」とした。市街地地区における適正飼養の推進は、奄美市市街地(名瀬、赤木名)では、確認されているノラネコ401匹のうち、不妊去勢済みは379匹(94・5%)。外飼い猫の不妊去勢率は97・6%で、飼い猫におけるマイクロチップ装着率は85・7%だった。瀬戸内町市街地(古仁屋)では43頭が確認され、不妊去勢済み28匹(65・1%)。外飼い猫の不妊去勢率は85・7%、飼い猫のマイクロチップ装着率は66・6%で、奄美市と共に「おおむね条例が順守されている」と評価した。一方、「飼い猫条例の周知、啓発を引き続き行う方針を示し、捕獲困難な未手術ノラネコへの対応も課題」とした。③の管理計画評価見直しについては、トラップシャイへの対策、検討を進めるとしている。
(熊出没増加の秋田で狩猟の重要性を体感するフォーラム:秋田)
秋田県と県猟友会はハンター確保に向け、体験や実演を通して狩猟の現状を知ってもらうフォーラムを由利本荘市の県立総合射撃場で開いた。市街地へのクマ出没増加を受けて関心が高まる中、県内在住の約100人が八つのコーナーを回って理解を深めた。くくりわなの実演では、ばねを巻き付けた約20センチの木の板を動物が踏むと、ワイヤが締まる仕組みを猟友会員が披露した。銃弾の代わりに光を発するビームライフルで的を狙う体験や、重さ3~4キロの模擬銃の展示、猟友会員による射撃練習の見学もあった。
(生態系脅かすアライグマ、減らぬのはなぜ:埼玉)
日本の生態系を脅かす北米原産のアライグマの繁殖がとまらない。特定外来生物に指定されて20年超。防除の効果は薄く、生息地は沖縄県を除く46都道府県に広がった。この「厄介な隣人」と10年にわたり、闘い続ける獣医師夫婦が埼玉県にいる。生物多様性を守る闘いのゆくえは――。東京・池袋から電車で1時間。埼玉県東松山市で高坂どうぶつ病院を営む小山正人さん(56)、和美さん(60)。2人の活動は日の出とともに始まる。隣接する鳩山町の里山へ車で向かう。約100ヘクタールに、県の絶滅危惧種の渡り鳥など多様な生物が暮らす森だ。この森の水辺や沢の出口にしかけた複数の箱わなにアライグマがいないかを確認する。えさは、スナック菓子とあんドーナツ。「甘くて油っぽいものが好きなんです」と正人さん。えさは上からつり下げる。鼻先が上に向けば、おしりが箱の中に入りやすくなるからだ。
(南アルプス、シカの農業被害か:山梨)
南アルプス市で、シカによるとみられる農業への被害が相次いで確認され、市はシカの侵入を防ぐためネットを設置する対策を試験的に始めています。南アルプス市などによりますと、市内の畑では、桃の実やさくらんぼの苗木の皮が食べられたり、畑が荒らされたりする被害が相次いで報告され、目撃情報や痕跡などから、いずれもシカによるものとみられています。市は、具体的な個体数は把握できていないものの、市内を流れる釜無川の河川敷に生息するシカがエサを求めて市街地近くに現れていると分析しています。こうした状況を受けて、市は河川敷からのシカの侵入を防ぐため、先月・6月下旬からネットを新たに設置する対策を試験的に導入しました。ネットは高さおよそ2メートルで、開国橋の南側の土手沿いに350メートルほどにわたって設置されました。市によりますと、市内での今年度のシカの目撃件数は、先月末までで前の年度の4倍にあたる35件に上るということで、今後、ネットが設置された場所付近でのシカの目撃件数の推移や、被害の状況などを注視した上で、効果を検証したいとしています。
(イノシシ等鳥獣被害防止研修会の開催について:埼玉)
加須市北部地域ではイノシシによる水路や畦畔の掘り返しなどの被害が増えています。今後の農作物被害を防ぐために、イノシシの生態を理解し、効果的な対策を行うことが重要です。この研修会では、専門家が実践的な被害防止に向けたポイントをわかりやすく解説します。
(隠れた才能を発見?ライフル射撃など13競技を体験:福井)
福井市のセーレン・ドリームアリーナで、5日、ライフル射撃など、普段触れる機会の少ないスポーツの体験会が開かれ、子どもたちが、新たな才能を見つけるきっかけにしていました。この体験会は、子どもたちに、学校の部活動にはないスポーツの魅力に触れてもらい、自分の新たな才能や可能性を見つけてもらおうと、県スポーツ協会が企画したものです。小学3年生から中学3年生まで、約150人が参加し、カヌーやライフル射撃、それにアイスホッケーなど13競技を体験しました。子どもたちは、少し戸惑いながらも、一生懸命体を動かし、楽しんでいました。
(クマの緊急銃猟に備え連携:山形)
新庄市と新庄猟友会は5日、県猟友会射撃センター(舟形町)で緊急銃猟に対応する訓練を初めて行った。
(致死率27%“マダニ感染症”、クマがウイルス“運び役”に?)
致死率が27%にも上る、マダニが媒介する感染症「SFTS」の患者数が過去最多ペースとなっています。その背景として指摘されているのが「クマ」です。なぜなのでしょうか。致死率20%超えの“マダニ感染症”。ウイルスを運んでくるのは、意外な存在でした。ダニ学者 国立環境研究所 五箇公一特命研究員「『SFTS』という感染症は、2013年に日本で初めて感染例が出て、毎年感染者数が増え続けている」。「SFTS」=重症熱性血小板減少症候群。これは、ウイルスを持つマダニにかまれて起きる感染症です。感染すると、6日~2週間程度の潜伏期間を経て、発熱や倦怠(けんたい)感、吐き気や腹痛などの症状が出るといいます。気になるのは、その致死率。国立健康危機管理研究機構によると、感染者の約4人に1人、27%が亡くなっているそうです。五箇公一特命研究員「年齢別で見ると、高齢者。体力がなくて(感染して)高熱で亡くなるケースが増えている」。感染者数は増加傾向にあり、今年は先月21日時点で83人。過去最多となった去年を上回るペースです。なぜ増えているのでしょうか。五箇公一特命研究員「マダニ増加の背景には野生動物。シカ、イノシシ、クマなどの動物が山林から平野部に下りてきている」。社会問題化している、野生動物の市街地出没。全国各地でクマによる被害が相次いでいるほか…。6月、京都府内の寺に現れ、アジサイを食べていたのは「シカ」。野生のシカも各地で目撃されています。さらに近年、イノシシによる被害も後を絶ちません。こうした野生動物の出没が増えることと、SFTSの感染者が増加することに、どのような関係があるのでしょうか。専門家が指摘するのは、野生動物が“運び役”になっている可能性です。五箇公一特命研究員「(マダニは)普通は山の中で野生動物の血を吸って生きている。リレー方式で山の中から動物がマダニを連れてくる」。ウイルスを持ったマダニは本来、山や林の中にいるそうですが、野生動物がマダニを連れて人里に下りてきている恐れがあるといいます。さらにそのマダニを、市街地での目撃や被害が急増している、アライグマ、ハクビシン、タイワンリスなどの外来生物が、私たちの身近にまで広げているそうです。五箇公一特命研究員「野生動物が頻繁に人里に出没するようになっているので、恐らく今後マダニの“持ち込み頻度”は上がっていく。(今後)感染者数も増えるだろう」。では、私たちにできる対策は…。五箇公一特命研究員「予防としては、これから暑くなって肌の露出が多くなるので、虫よけスプレーを使ってマダニを近付けないようにする」。
(熊の緊急銃猟訓練、立ち入り規制など流れを確認:福島)
南会津町は2日、緊急銃猟に対応するための訓練を行った。町内では熊の目撃が続いており、万が一の事態に備えて関係者が迅速な動きや流れを確認した。
(「クマ出没」緊急銃猟訓練:神奈川)
山に餌が少なくなり、クマが人里に出没する可能性の高い夏を前に、神奈川県は3日、伊勢原市西富岡の市総合運動公園で緊急銃猟訓練を実施した。県警、県猟友会伊勢原支部、同市や周辺市町村のメンバーを合わせ、約100人が参加した。昨年9月から始まった緊急銃猟制度では、クマやイノシシが人の生活圏に侵入▽人命への危害を防止する緊急性がある▽銃猟以外での捕獲が困難▽人に弾丸が到達する恐れがない-といった条件を満たす場合、市町村長の判断で銃器を使用した捕獲ができる。この日はまず、訓練の運営を担当する民間の野生動物保護管理事務所のスタッフが制度概要などを説明。他県での緊急銃猟の事例も紹介された。訓練では、近くで目撃されたクマが興奮して体育館方向へ逃走し、近くのやぶで動かなくなったと想定。対応の手順を確認する机上訓練に続き、屋外で実地訓練が行われた。通報や関係機関による情報共有、住民への注意喚起などの流れも確認した。
(熊の「緊急銃猟」を訓練:長野)
市街地に出没した熊を「緊急銃猟」で捕獲することを想定した合同対応訓練が3日、飯田市内で行われた。県や飯田下伊那地域の市町村、猟友会などから約100人が出席。机上や実地訓練で、銃猟の対応手順や住民の安全確保の方法、役割分担などを確認した。緊急銃猟は昨年9月の法改正で始まった。熊が人の生活圏に出没した場合、市町村長の判断で発砲できる。県によると、6月29日時点で12道県78件の実績があるが、県内では実施されていない。手順や注意点、実際に行動するメンバーの構成、役割分担などについて具体的なイメージを持って備えてほしいと、県南信州地域振興局、飯田市、飯伊連合猟友会が合同企画。県が2~3月に県内5カ所で行った訓練の南信州版として開いた。座学では、熊が人の日常生活圏に侵入または侵入の恐れが大きい▽人命への危険を防ぐため、緊急対応が必要▽住民に弾丸が到達する恐れがない、などの法的要件を確認。着弾地点がバックストップ(安土)になるかや、反撃から身を守れるかなどについて慎重な判断が必要になることを確認した。訓練は市街地で出没が確認されたケースなど3パターンを想定し、銃猟を判断するまでの流れや必要な準備、安全確保の方法についてグループ討議をした。熊と狩猟者、本部を配置した実地訓練もした。緊急銃猟を巡っては、法改正にあわせて県や市町村が対応マニュアルを作成し、生息地と人の生活空間を分けるゾーニング管理の計画策定を進めている。飯田市の佐藤健市長は冒頭であいさつし、「マニュアル作成などの準備を整えてきたが、猟友会との具体的な訓練が課題だった。手順や連携を確認し、備えてほしい」と話した。振興局は住民に対し、朝夕の山中での行動の回避▽鈴、ラジオなどの携帯▽周囲の確認の徹底▽熊の通り道になるやぶをつくらない、などの対策を呼び掛けている。
(鳥獣被害対策総合アドバイザー養成研修:静岡)
県では、各地域において総合的な被害防止対策を組み立て、指導ができる人材「鳥獣被害対策総合アドバイザー」の養成を行っています。本県における野生鳥獣による農業被害は、これまでの対策により平成21年度をピークに減少してたが、近年は増加傾向にあり、その要因は、生息環境の変化や生息域の拡大、狩猟者の減少・高齢化などが複合的に関連していると考えられ、被害の軽減には地域ぐるみの取組が不可欠です。そこで、各地域において総合的な被害防止対策を組み立て、指導ができる人材を養成するため、野生鳥獣の生態や被害防止対策等の知識・技術を習得する研修を実施します。
(クマ撃退スプレーの正しい使い方は:山形)
マの出没が相次ぐ中、身を守る手段の一つとして注目されている「クマ撃退スプレー」。万が一に備えた正しい使用方法を聞きました。新庄市で猟銃や狩猟用品を販売し、猟友会に所属する小野護さん(48)は、事前の確認が重要だと話します。【小野銃砲火薬店 小野護さん】「噴射までの流れを事前に練習しておくことが大事。どうしたらコックが外れるのかはやってみないとクマが出たときに外すことが出来ないと1秒が命取りになるので練習が大事」。6月、鶴岡市で発生したクマによる人的被害では、襲われた人がスプレーを噴射したところ、クマが逃げたケースがありました。一方、鶴岡市の別のケースではスプレーを持っていたものの、取り出せずに襲われる事例もありました。【小野銃砲火薬店 小野護さん】「買ったはいいものの持ってれば安心という人が大半。リュックやバックに入れたまま、すぐには取り出せないというケースが多い」。また、クマスプレーには消費期限があり、効き目が弱くなったり、飛距離が短くなったりする恐れがあるということです。「万が一クマに出くわしたときに飛ばない・効かないがあると大変ですので(消費期限について)注意する必要がある」。実際にクマスプレーの噴射を体験してみました。「まずコックを外して構えます。それでは行きます。噴射」。スプレーは、風向きによっては自分の方に流れてくる恐れもあり、使う向きにも注意が必要です。【小野銃砲火薬店 小野護さん】「クマスプレーはクマを倒すものではないので、自分がいかに退避出来るかその時間を作るための道具なので操作を十分に熟知したうえで携行することが大事」。
(「免許取得後3年以内」新人ハンターへ実地指導:兵庫)
兵庫県豊岡市で有害鳥獣の捕獲や駆除の仕方を教える講習会が開かれ、狩猟免許を取得したばかりの新人たちが参加しました。豊岡市の山林に集まったのは狩猟免許を取得してまだ3年以内の新人10人です。豊岡市は農作物被害を防ごうと、猟友会などと連携しシカやイノシシなどの捕獲や駆除を行っていますが、メンバーの高齢化が問題となっていました。そこで今年5月、新人育成を目的に「豊岡狩猟スクール」を開校。5日に開かれた初めての野外講習会では、捕獲用のワナの仕掛け方が実地で指導されました。(狩猟免許取得2年)「かなり密に教えてもらえたので贅沢な時間でした。早速実践させてもらおうと思う」。講習会は来年2月まで行われ、「新人ハンター」への技術継承が進められます。
(クマを駆除した猟師に「弾数が多すぎる」と非難の声も:福井)
「猟師たちは、いつでも撃ちたいわけでなく、さまざまな葛藤を抱えながら猟銃に弾を込めている姿を見ました」――第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『命追う者たち~クマ撃ちの老猟師~』(福井テレビ制作)が、フジテレビで4日(26:30~ ※関東ローカル)に放送される。全国的にクマの出没が過去最多を記録し、人身被害も相次いでいる。福井県内でも昨年、クマが市街地に出没し、緊急銃猟が3回実施された。里に出没したクマを猟友会が駆除する――日々のニュースで伝えられるのは、駆除された頭数や発砲数、けがの有無が中心だ。しかし、現場で銃を構える猟師たちの思いが語られることは少ない。同作では、長らく山で命と向き合ってきた老猟師たちに密着。クマの出没増加を猟師たちはどう見ているのか。銃弾に込められた矛盾や葛藤、そして信念を追いながら、ニュース報道のあり方を見つめる。福井県内でクマの出没が最も多い勝山市では昨年、市街地にクマが出没し、緊急銃猟が3回行われた。最初に実施されたのは、白昼のこども園。親子のクマ2頭が出没し、地元猟友会のメンバーが合計12発の弾を撃って駆除した。その際、使用した弾数が多すぎるのではないかと、猟師を非難する声もあった。番組では、緊急銃猟で指揮をとった猟師・上弥吉さん(76)を訪ね、当時の状況を取材。単なる発砲数だけでは計れない、現場の緊迫感と強い覚悟に迫っていく。一方、坂井市丸岡町竹田地区には、名人と呼ばれる猟師・竹内作左エ門さん(78)がいる。竹田地区では、地区を取り囲むように箱罠を設置しているが、エサとなる米ぬかを使うと、クマもやってくるという。本来、野生動物を近づけないための箱罠が、クマを引き寄せる要因になっているのではないか。竹内さんは、そんな葛藤を抱えながら作業を続けている。急増するクマの人身被害に対応するため、国は2年前、クマを保護の対象から管理へと方針転換し、捕獲強化に乗り出した。さらに昨年、緊急銃猟制度が整備され、猟友会の出動回数も増加。猟師の負担は増すばかりだ。番組では、昨年11月から今年3月にかけての狩猟期間中、2人のベテラン猟師に同行し、猟の日常にカメラを向けた。しかし、半年間におよぶ取材の中で、猟師に同行して山に入っても、クマに遭遇することはなかった。日々のニュースでは、駆除された頭数や発砲数、けがの程度が伝えられる。その一方で、猟師がどんな思いで駆除しているのかは、なかなか伝えられていない。番組は、猟師が弾に込める矛盾と秘められた覚悟を通して、命を追う人々の現実に迫る。急増するクマの人身被害に対応するため、国は2年前、クマを保護の対象から管理へと方針転換し、捕獲強化に乗り出した。さらに昨年、緊急銃猟制度が整備され、猟友会の出動回数も増加。猟師の負担は増すばかりだ。番組では、昨年11月から今年3月にかけての狩猟期間中、2人のベテラン猟師に同行し、猟の日常にカメラを向けた。しかし、半年間におよぶ取材の中で、猟師に同行して山に入っても、クマに遭遇することはなかった。日々のニュースでは、駆除された頭数や発砲数、けがの程度が伝えられる。その一方で、猟師がどんな思いで駆除しているのかは、なかなか伝えられていない。番組は、猟師が弾に込める矛盾と秘められた覚悟を通して、命を追う人々の現実に迫る。
(襲撃クマをスプレーで撃退、被害男性が語る恐怖と緊迫の一部始終:山形)
山菜採りをしている、まさにその時だった。突然現れたクマがあっという間にこちらに迫り、左腕にかみついてきた。一瞬離れても、今度はリュックを引っ張り、背中を爪でひっかいてくる。死を覚悟するほどの窮地を救ってくれたのは、「クマスプレー」。山形県鶴岡市の自営業男性(39)が、恐怖と緊迫感に包まれた襲撃から撃退までの一部始終を語った。山菜の販売も手がける男性は5年ほど前から、修験道の聖地として知られる鶴岡市の湯殿山(1500メートル)のふもとにあるササやぶに通っている。目的はネマガリタケのタケノコ「月山筍(がっさんだけ)」。根元が赤いことから「月山の赤いダイヤ」ともいわれる。周辺ではクマがタケノコを食べた跡や、フンを何度も見たことがあった。そのため山に入る際には、ヘルメットをかぶり、携帯ラジオを最大音量で流す。リュックの中にはクマ撃退用のスプレーも入れている。6月15日もいつもと同じように、午前5時半ごろ、ササやぶに入った。ササは高さ2メートルにも達し、やぶの中は薄暗く、見通しがきかない。斜面を上りながら、足元を夢中になってかきわけてタケノコを探し、体勢を変えようとした。
(クマ被害者、ふさがらない心の傷:岩手)
人の生活圏にクマの出没が絶えない。県内は2026年度も目撃が相次ぎ、身近に迫る危険に、住民は不安を募らせる。岩手日報社が25年度の人身被害39件40人のうち、生活圏(里)での被害者に実施した聞き取り調査では日常生活の延長線上、至近距離で不意に遭遇するケースが大半を占め、身を守ることの難しさが見えてきた。被害をいかに防ぐか。証言を通し、具体的な対策を考える。「顔と頭の傷痕は今もひりひり、ピリピリとする。もう徒歩では出歩かない」。水田に住居が散在する奥州市胆沢小山一ノ台の佐々木英子さん(65)は自宅から約400メートル北に離れた現場を訪れ、こう語った。雪の積もった2025年12月4日早朝、飼い犬がいなくなったことに気付き、雪の上の足跡を追いかけた。「まさかあんな所に」。道路から50メートルほど奥の柿の木に成獣1頭と子グマ2頭がいた。一直線に向かってくる親グマに「いつの間にかやられていた」。
(“クマ駆除”担い手不足、「ハンターが“感謝される”仕組みを」)
クマの出没による被害が過去最悪を更新し続けるなか、2025年9月から、鳥獣保護管理法に基づく「緊急銃猟制度」の運用が開始された。人の日常生活空間に出没した危険鳥獣を、市町村長の権限・責任により、安全が確保された状況の下で銃器を使用して緊急に捕獲できる、という制度だ。しかし、実際には以下の厳しい4つの条件を満たす必要があり、運用には課題も見える。・危険鳥獣(ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシ)が人の日常生活圏に侵入している・危険鳥獣による人の生命・身体への危害防止が緊急に必要であること・銃猟以外の方法では的確かつ迅速な捕獲等が困難であること・避難等により地域住民等に弾丸が到達するおそれがないこと。北海道・砂川市のハンターによるクマの駆除をめぐる訴訟では、最高裁判決にてハンター側が逆転勝訴となったものの、全国各地で本年もクマが出没しており課題は山積みだ。2018年8月、北海道猟友会砂川支部長だった池上治男さんは、砂川市の要請を受け、市職員や警察官が立ち会うなかでヒグマの駆除にあたった。池上さんはライフル銃で発砲しヒグマを仕留めたが、その後、北海道公安委員会は「周辺の建物や人に危険が及ぶ可能性があった」として、2019年に猟銃所持許可を取り消した。これに対し池上さんは、「行政の要請に基づく駆除活動だったにもかかわらず、処分は重すぎる」として、2020年に処分取消を求めて提訴。一審の札幌地裁は2021年、「ヒグマの背後には土手があり、建物に弾丸が到達する具体的な危険性は認められない」として、公安委員会の処分を違法と判断した。しかし2024年、二審の札幌高裁は、現場の地形や跳弾の可能性などから人や建物に危険が及ぶおそれがあったとして、一転して処分を適法と判断し、池上さんの請求を棄却。この判決は「自治体の要請によるクマ駆除に携わるハンターらに萎縮効果をもたらす」として、大きな議論を呼んだ。これに対し最高裁は2026年3月27日、二審判決を破棄し、池上さんの逆転勝訴を言い渡した。最高裁は、発砲に一定の危険性があったことは認めつつも、市の要請を受けて住民の生命や財産を守るために行われた活動であり、実際に死傷者も出ていない点を重視。そのうえで、猟銃所持許可の取り消しは「重きに失する」として、北海道公安委員会の裁量権の逸脱・濫用に当たり違法だと判断。行政による猟銃所持許可の取り消しを最高裁が違法と判断した初の事例であり、近年深刻化するクマ被害への対応と、駆除を担うハンターの法的保護のあり方をめぐり、その成り行きは大きな注目を集めた。もっとも、最高裁判決によって問題がすべて解決したわけではない。クマの出没が全国で相次ぐなか、駆除を担う人材の確保や法制度の整備など、なお多くの課題が残されている。市街地でのクマ駆除(捕獲を含む)をめぐる法制度のあり方や、担い手の確保などについて、環境法・行政法の専門家である富山大学の神山智美教授に聞いた。-「砂川猟銃訴訟」はハンター側の勝訴となりましたが、判決をどう受け止めていますか。神山教授:率直に申し上げて、「妥当な判決が出て良かったな」と思っています。一審の判決では、猟銃所持許可取消の要件を明確に判断できていない部分が見受けられましたが、二審はその部分を修正したものの、現場の担い手にとって受け入れがたい内容となりました。最高裁はその点について差し戻すことなく、自らの判断をしっかりと示しました。特に、民間人がクマなどの危険鳥獣の駆除にあたる際、その「公益性」を勘案することの必要性に踏み込んでいる点が非常に良いと思います。民間人が公益に携わったにもかかわらず、自身の銃の所持許可が取り消されてしまうというのは、あまりにもバランスを欠いています。今回の最高裁の判断によって、公益性と個人の利益への配慮とのバランスが適切に保たれたと言えるでしょう。-市街地での相次ぐクマ被害で緊急銃猟の制度がスタートしましたが、現状どのような課題がありますか。神山教授:一定の条件があり、事実上、銃猟に熟達した捕獲技術を有する者でなければ対応は困難です。現在の制度では、高度な捕獲技術を持つ人材を確保すること自体が容易ではないため、実際には、地方猟友会に所属するハンターや自治体から委嘱を受けて有害鳥獣の捕獲に従事している人たちがその役割を担っています。また、緊急で発砲する前には安全確保のための手順も必要とされています(避難誘導など)。しかし、厳格な運用はやむを得ないと思います。一度でも不測の事態を招いてしまうと、本制度自体が閉ざされてしまうおそれがあるためです。緊急銃猟制度は大変チャレンジングな試みですから、慎重に運用されるのは仕方ありません。高齢化が進む日本で、ハンターの確保も課題です。警察は駆除できないのかという声もあります。今後ハンターの人材育成にはどのような法整備が必要でしょうか。神山教授:長期的には、野生動物全般や獣害に対応できる地域づくりを含めたマネジメントを担える人の教育・養成が必要です。短期~中期的には、スキルを有する専門的な「捕獲者」の養成と確保が重要でしょう。現在すでに活躍しているハンターへの啓発や協力の要請、技術的な支援や研修なども含めて、協力下さる人たちが安心してクマの捕獲に携われる補償の仕組みを構築していくことが大切です。そもそも、日本の警察官が持っている銃は、クマを安全かつ確実に制圧することを目的とした装備ではありません。あくまでも犯罪者のさらなる行為を抑止するためのものであって、人を殺す・傷つけるということは、本来の目的とされていません。まして、クマの捕獲能力はありません。刺激して怒らせてしまうことになっては逆効果であり、警察官にその任務を負わせることは現実的とはいえません。法整備としては、狩猟免許を中心とした仕組みを変えていく必要があるでしょう。例として、国内には「愛玩動物看護師」という資格があります。愛玩動物看護師法を2019年6月に制定、2022年に全面施行されました。民間資格等を統合し、日本初となる動物看護の国家資格へと整備され、獣医師との医療体制の法的な整備や業務の適正化が図られました。このような方法を用いて、捕獲者についてもスキルを有する人とマネジメントまで担える人を養成できる段階別の全国的な資格制度が必要でしょう。クマの捕獲について、ボランティアではなく職業として携われるように底上げするための仕組みを作ることで、捕獲者が私たちの生活を守ってくれるという点で尊敬されて感謝される職業として認知されるべきだと思っています。-ハンターがクマを駆除するにあたっては「かわいそう」という声が寄せられてしまうこともあります。このような状況についてはどうお考えですか。神山教授:クマについては愛くるしい映像だけが一人歩きしているところがあります。また、クマは希少種や地域固有種として大切にされてきた歴史もありますし、場所によって山の守り神とされている事例もあります。しかし、愛くるしい映像に映るクマの姿は実際の生態とは違うというところは踏まえないといけません。さらに、報道によれば、かわいそうとの意見や抗議の多くは、実際に駆除を行っている地域以外から寄せられる例も少なくないとされています。クマの個体数が増えているという実態もふまえて、現在は今後どのように対応していくかを真剣に検討する段階に来ています。例えば、スウェーデンやルーマニアも個体数の回復を受けて保護政策を見直し、一定の管理捕獲を実施している国々であり、参考にしながら検討すべきでしょう。-最後に、法律以外で、私たちが日頃から注意できることはありますか。神山教授:クマは「人間が食べ物を持っている」と学習しています。野生動物は高カロリー食や塩分のある食べ物を求める傾向があるのです。キャンプ場や日々のゴミ、コンビニのお弁当の投棄など、これまで気軽に放置してきたゴミが、結果として「クマに人里に行けば食べ物がある」と教えてしまっています。今後はこのようなゴミ問題をどうするかなど、議論を深めることが大切です。人間社会の食べ物を、安易にクマが入手できるようにしてはいけません。また、手入れがされなくなった「空き家」や「耕作放棄地」の存在も、クマを人里に呼び寄せる原因です。敷地内にある果樹が収穫されずに放置されていると、それがそのままクマの餌場になってしまう。「収穫しないのであれば果樹を作らない、放置しない」という徹底した管理意識を持たなければ、今後も都市近郊へのクマの出没は防げないでしょう。クマ問題の解決に向けて私たちが日頃からできることは、案外たくさんあります。まずは身近なゴミ問題から目を向けてみてはいかがでしょうか。
(「駆除しないと秋に人を襲ったクマが拡散する」専門家が警鐘:青森)
3日午後2時過ぎに、青森市合子沢で撮影された写真。撮影者は、車で走行中にクマに遭遇。クマは茂みに逃げ去ったということです。このように出没が相次ぐなかで、八甲田山系では死亡事故が発生。専門家は「駆除しないと秋に人を襲ったクマが拡散する」と警鐘を鳴らしています。八甲田山系では6月28日にタケノコ採りに入った男性が死亡する事故が起きました。今回の事故の前には、女性がクマに襲われけがをしていたことから、県は「ツキノワグマ特別警報」を発表。八甲田山系への入山の自粛も求めらています。半世紀以上クマの生態を調べる米田一彦さんは、一度人を襲ったクマは複数の死亡事故を起こすと警鐘を鳴らします。日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん「クマは単一食を行って、5月・6月はタケノコだけを食べる。非常に興奮度が高いし、食べる生態によっては高揚状態なわけですね。そこに交尾期がかかっているわけで、興奮している。その食べる意欲が強い時に人間が入るので、襲われる」。日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん「襲われると(クマが)密集しているところで死亡する。ですから、多数のクマにくわれるという非常に難しい問題に…。それら(人を襲ったクマ)を駆除しないと、それらが秋になると拡散するわけですね」。駆除のために現場周辺には4つの「箱わな」が設置されたほか、登山道の一部が閉鎖される対応がとられています。米田さんは、八甲田での対策の難しさに理解を示しつつも、課題を指摘しています。日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん「八甲田は広くて規制がかけにくい。さらに、観光客や登山客が入り乱れているので、警察がそれを誘導・把握するのは非常に難しいわけです。だから今、事故が続いているかと思われる…」。日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん「…事故が起きた時点で早急にクマを捕まえる体制がなければ。一個や二個の檻を置いて『捕獲しましょう』なんて考えているようでは、とても取り逃してしまう。死亡事故が起きた場合は、大量に檻を投入して大量に捕獲して、クマを特定するのが重要です。その態勢が今、青森県ではできていない」。県内でのクマの出没情報は、3日正午までに707件あり、過去最多だった2025年を上回っています。米田さんによりますと、八甲田山系では明治以降、ほとんどクマがいなくなった時期があるものの、もともとは生息に適した場所であり、近年は徐々に生息域を広げていると指摘しています。日本ツキノワグマ研究所 米田一彦さん「北日本3県は非常に数が増えていますので、そのクマたちは、若いクマが押し出されるような形で、青森県でいえば津軽半島への進出や、今まで生息が非常に少なかった三八上北への進出というように。若いクマがどんどんどんどん移動して、そこで繁殖するようになって、もう生息域になってきているわけです」。米田さんは、人を襲ったクマへの対応としては「加害したクマを駆除すること」そして、それができなければ「その地域の全てのクマを捕獲・駆除することが原則」と指摘していて、特定できなければ2027年の5月、6月も入山者への強い指導が必要だと話しています。今回、八甲田で行われる入山自粛などの発表は、基本的には該当する地域の市町村と土地を管理する国の出先機関などが行います。今回は「入山禁止」ではなく、自粛を促すものとなっています。ただ、一方で隣の秋田県を見てみると、現在も入山を「禁止」している所があります。秋田県鹿角市の八幡平地区と、仙北市の田沢湖玉川地区です。この地域は、2025年に引き続き、春の雪解けから秋の降雪の時期まで国有林へ立ち入ることを禁止しています。2つの自治体と秋田森林管理署が連名で発表し、秋田県も「ツキノワグマ出没警報」を出して、注意を呼びかけている状況です。では、「入山自粛」と「入山禁止」はどのように違うのでしょうか?「入山自粛」と「入山禁止」の違い。秋田県の担当者よりますと、それは「人身事故の性質による」ということです。通常は、クマによる人への被害(人身事故)が発生した場合は、「現地調査」と「被害関係者などへの聞き取り」が行われます。この時に「偶然クマと鉢合わせして襲われた」のか「人に寄って来るようなクマだったのか」という点を注目するとしています。また、死亡事故となってしまった場合には、クマが「人を獲物として見ていたのか」あるいは「人が持っている食べ物を食べていたか」という点にも注目するとしています。明らかに遺体に食べられた痕跡がある場合には「最も危険なクマ」ということになり、このようなクマは、必ずまた人を襲う可能性があるため、絶対に山林には入らないよう秋田県では「入山禁止」として規制を強化しているという事です。青森県の八甲田山系では「入山自粛」が呼びかけられていますが、他の山に入る際にも『2人以上で行動すること』や『ラジオなど音の出るものを携帯すること』などが求められています。そして、危険な地域(入山自粛エリア)には絶対に入らないようにしてください。
(時速50kmで突進してくるヒグマを撃つとき、ベテラン猟師が銃弾を“1発”しか込めない理由:北海道)
2025年に全国でクマによる人身被害が相次ぎ、政府は対策強化の切り札として「ガバメントハンター」の創設を打ち出した。しかし、2026年も各地でクマの出没や人身被害が続いている。クマ対策の担い手は本当に育つのか。シカやイノシシとは比較にならない危険が伴うクマ猟の現場を、2024年から挑戦を続ける女性猟師の歩みから追った。2024年5月、渡部志乃さんは有害鳥獣捕獲でエゾシカを探そうと、西興部(にしおこっぺ)村の未舗装の村道を車で走っていた。それまでに村内で獲(と)ったエゾシカは120頭ほどを数える。オホーツク海から押し寄せる流氷で有名な紋別市から車で小1時間ほど山間に入った西興部村は、真冬だと最低気温が零下10度を下回り、最深積雪は1メートルを超える。でも5月になれば白銀から新緑の世界に変わり、村道の脇には青々とした牧草地が広がっていた。すると山の斜面を背にした100メートル先の牧草地の縁で、何か動いている黒い塊が見えた。車を止め、ドアを開けたまま外に出る。黒い塊はヒグマで、芽吹いて間もない草花をむさぼり食べていた。一瞬、ヒグマがこちらへ振り向いた。しかし、食べるのに夢中なのか、逃げるそぶりを見せない。「ヒグマはそうそう撃てるもんじゃないぞ。撃てるときは撃て」。狩猟の師匠である中原慎一さんの教えを思い出す。牧草の上に腰をおろし、もっとも得意とする座り撃ちの姿勢で相棒のハーフライフル銃を構えた。スコープの十字線の中心を、ヒグマの前脚の付け根に合わせる。「あばら3枚」といって、心臓や肺があるバイタルゾーンだ。息を静かに吐きながら、絞るように引き金を引く。「ダーン」という音が響いてヒグマが倒れる。撃てた高揚感は微塵(みじん)もない。逆に先々の不安感に襲われる。死んだのかを確かめ、回収するのに近づかなくてはならない。撃ち終わった弾を抜き、弾を込め直す。慎重に一歩一歩近づく。「もしも反撃してきたら……」。心臓の鼓動が響き渡る。エゾシカの場合、撃った後に襲ってくることはまずないが、ヒグマは反撃してくる可能性が十分にある。一撃をくらっただけで致命傷になる。ベテラン猟師でも、それで死傷事故に至ることがあるのだ。「倒したヒグマの手のひらが裏返っていたらまず大丈夫。逆に地面をついていたら、起き上がってくる可能性がある。しっかり見ろ」。その師匠の教えを実践する前に、ヒグマは這(は)いずりながら山の笹藪(ささやぶ)に入り込んだ。すぐそこにいるはず。「でも、これ以上は私には無理」と判断した渡部さんは、電話で中原さんに連絡してきてもらい、ヒグマを初めて27歳で捕獲したことを確認してもらう。狩猟鳥獣の生態と管理を学んだ酪農学園大学を2019年3月に卒業した渡部さんは、農協に就職。そこで鳥獣被害に悩む農家から相談され、大学時代に取得した狩猟免許と知識を活かしながら、エゾシカの罠(わな)猟を始めた。次第に狩猟の世界の奥深さに目覚め、猟銃所持の許可を取得する。「そんな最中、西興部村にあるエゾシカ猟区の運営支援担当の地域おこし協力隊員として働いていた大学の先輩が任期終了になることを知り、応募しました」と渡部さんは言う。購入したハーフライフル銃を携えた渡部さんが、西興部村に移住してきたのは2020年4月。猟区管理協会の会長を務めていたのが、1951年に西興部村で生を受けて50年以上の猟師歴を積んだ中原さんだった。また、74年に横浜市で生まれ、2006年に西興部村に移住してきた伊吾田順平さんが事務局長を務めていた。猟区でのメーンの仕事は、9月~翌年4月の猟期の間に訪れた村外のハンターのガイドをサポートすること。ガイド役は先輩猟師でもある中原さんと伊吾田さんが別々に担い、渡部さんは中原さんにつくことになった。どんな場所に獲物のエゾシカがいるのか。どう獲物に近づいたらいいのか。中原さんのハンターへの具体的な助言は、渡部さんの学びになった。次第に回収したエゾシカの皮剥ぎ、解体を任せてもらえるようになる。休日の中原さんの猟について回ることも多くなり、それら一つひとつが渡部さんにとって、猟師の道を歩む貴重なOJTの場になっていく。「たいしたもんだよ。いまではエゾシカを1発で倒すんだから。狩猟への興味が深く、周囲が教えたことを真綿が水を吸うように自分のものにしてきたんだろうね」と、中原さんは渡部さんを評価する。エゾシカ猟で実績をあげてきた渡部さんの頭の中で次第に浮かんできたのがヒグマだった。しかし、中原さんですら獲ったヒグマが年に3頭、ゼロのときもあるほど、撃つ機会が少ないのだ。「もっともいい経験になったのは、2025年4月の捕獲です。中原さんと一緒にエゾシカを探して車で山中を走っていると、柔らかい泥のついたヒグマの足跡が道路に残っていました。脇の川を上がってきたばかりのはず。まだ雪深い山の木々の間に目をやると、山を登っていくヒグマの姿が見えました。スノーシューを履き、おのおの銃を担いで後を追うことにしたのです」。雪上の足跡を確認しながら、中原さんが先を歩く。渡部さんは中原さんのスノーシューの跡をなぞるようについていく。ヒグマに気づかれないよう無言で。息が上がって音を立てないよう注意する。ふと中原さんが歩みを止め、ここでヒグマが立ち止まり、振り向いて後ろを確認したことを、身ぶり手ぶりで教えてくれた。足跡の形の微妙な変化から読み取ったのだ。「ヒグマが何も警戒していないときは、『並足』といって歩幅が一定の間隔で空いた足跡がトコトコとついている。それが危険を察知すると、足幅が短くなる『早足』や『疾走』の足跡に変わるんだよ」。「怖いのは『止め足』で、ヒグマは猫のようにくるりと首だけを後ろに向け、その姿勢のまま自分がつけた足跡をなぞるように戻る。それから、ふいに脇の笹藪に飛び込んだり、倒木に飛び移って立ち木の後ろに回りこんだりして、自分の足跡を消した上で追っ手が行き過ぎるのを待ち構えるんだわ」。そんな止め足を見落としたら、後ろや脇からヒグマに襲われるのは必然。中原さんと渡部さんは、周囲への警戒感をさらに高める。慎重の上にも慎重を期して進める距離は、30分でわずか100メートルほど。静まりかえった雪山の中で時が過ぎるのを忘れて進み、確実に撃てる距離まで追い付いた中原さんはヒグマを倒した。「この間の1分・1秒におけるヒグマとの駆け引きは、かけがえのない体験として身体に刻み込まれたのです」と渡部さんは話す。まさにヒグマ猟は命懸け。バイタルゾーンを外した「半矢」のヒグマが、怒り狂って反撃してくることがある。そんなとき、中原さんはヒグマが5メートルほど先まで来るのを待って、腰だめにしたライフル銃を撃つ。「時速50キロメートルで向かってくるヒグマを狙ったって当たるもんじゃない」と言う中原さんが、銃に込める弾は常に1発。複数の弾を入れて弾詰まりを起こしたら、まさに命取り。その教えを渡部さんは守っている。「いざとなったら、ヒグマの口に突っ込んで撃て」。22歳で猟銃を手にした中原さんに、師匠だった叔父さんが授けたヒグマ猟に向き合う覚悟だ。「そうならないように気をつけています」と言うものの、その覚悟も渡部さんはしっかり受け継いでいる。そんな渡部さんは協力隊の任期が終了した後、2025年4月から役場のヒグマをはじめとする鳥獣・観光担当として、西興部村での第2の人生を歩み始めた。2025年度には全国でクマによる人的被害者は238人で、うち13人が命を落とすという深刻な状況となった。こうした事態を受け、11月14日に政府は「クマ被害対策パッケージ」を閣議決定した。その柱の一つとして打ち出されたのが、「ガバメントハンター」の創設である。もっとも、ガバメントハンターは新たに作られた呼称であり、その定義は必ずしも明確ではない。政府が示したクマ被害対策支援メニューでは、指定管理鳥獣対策事業交付金の対象者について、「狩猟免許を所持しているまたは所持する見込みがあるとして、都道府県知事もしくは市町村長が認める者」と規定するにとどまっている。だが狩猟免許を所持していても、クマ猟に対応できるわけではない。鹿の狩猟と比べても、クマへの対応にはまったく異なる知識や経験が求められる。渡部さんも、酪農学園大学で狩猟鳥獣の生態と管理を学び、農協に勤めるかたわらで罠(わな)猟の経験を積んだ後に西興部村へ移住した。その後も地元猟師から指導を受けながら、7年かけて技術を磨いてきた。このような丁寧な育成を経ないまま、ガバメントハンターとしてクマと対峙することは容易ではないだろう。
(経験の浅い〈ガバメントハンター〉が手負いのクマを生む危険:北海道)
5月1日、渡部さんは2丁目の銃を手に入れた。同じ支部の猟友会に所属しているベテラン猟師から譲り受けたライフル銃だ。通常、猟銃の所持許可を取得してから10年経たないと、強力な威力のあるライフル銃の所持は認められない。ただし、渡部さんのように有害鳥獣捕獲で使用する場合、地元自治体の推薦を受けることで、所持が認められる特例措置がある。西興部村役場で推薦するのは初めてのことで、推薦に当たってのルールづくりに急遽(きゅうきょ)取り組んだ。そのことを取ってみても、渡部さんに対する期待が村役場にあったことが窺(うかが)える。また、地元の猟友会には狩猟の技能だけでなく、愛用した銃を引き継いでもらうことで、若手の猟師の育成につなげていくよき伝統が連綿として受け継がれているのだ。ところで、北海道紋別郡西興部村の渡部志乃さんのような鳥獣対策の専門員の話を聞いていて想起されるのが、先のクマ被害対策パッケージの中で示された「ガバメントハンター」であり、その育成や配置がパッケージに盛り込まれていた。しかし、狩猟関係者や野生動物管理の研究者の間では、ガバメントハンターという言葉に対する違和感を示す声が相次いで上がっている。確かに語呂合わせはいいかもしれない。でも、本来のハンターは獲物の資源活用を前提にした趣味で猟を行う猟師のこと。あくまでも個人的な趣味の世界にいるハンターに、行政という異世界のことを意味するガバメントを接合した造語に対して、どうしても矛盾を感じてしまうのだ。持続的な狩猟の発展や狩猟鳥獣の生態と管理をテーマにした狩猟管理学を専門とする酪農学園大学の伊吾田宏正教授は、「ある冒険小説の中で使われているだけで、欧米の野生動物管理の現場でガバメントハンターという言葉は聞いたことがありません。米国ではワイルドライフ・マネジャーが野生動物の管理を担い、クマ対策の専門公務員としてベア・スペシャリストが存在しています」と言う。ちなみに伊吾田教授は、前出の伊吾田順平さんの兄で、渡部さんの大学時代の指導教員だった。ガバメントハンターは造語だけに定義が曖昧(あいまい)で、政府のクマ被害対策支援メニューで示された指定管理鳥獣対策事業交付金の交付の対象者も、「狩猟免許を所持しているまたは所持する見込みがあるとして、都道府県知事もしくは市町村長が認める者」という規定にとどまる。単に狩猟免許を所持しているだけでは、捕獲を含めた鳥獣対策は到底担えない。「野生動物管理教育をしっかり受け、狩猟の経験を積んだ人間であるべきでしょう。また捕獲にとどまらず、事前の被害予防措置の取り組みや被害防止計画の立案なども、専門員の役目になってきます」と伊吾田教授は指摘する。そうした中で気になるのが、地域おこし協力隊のスキームを使ってガバメントハンターを募る動きが市町村の中で出てきていること。「狩猟免許を持っていても、まだ経験の浅いガバメントハンターが手負いのクマにしてしまい、その後始末に猟友会の猟師が駆り出され、クマの反撃に遭って人身被害を受けたら、いったい誰が責任を取るのか」という懸念の声が上がっている。そもそも任期が3年以内の隊員に、優秀な人材がどれだけ応募するのかという疑問も投げかけられている。ここで注目したい先例が福島県猪苗代町の取り組みで、町役場は2010年に鳥獣被害対策専門員として臨時職員を1人採用。翌11年に嘱託員に変え、16年からは正職員に登用した。そして専門員は、有害鳥獣の捕獲のほかに、町民を集めた被害対策の研修会開催や有害鳥獣のモニタリング調査の実施などの牽引(けんいん)役として関わり、被害低減の実績を上げてきた。成功のポイントの一つは、定期的な異動から外し、専門員として途切れること無く携われるようにしていることである。それに倣うかのように、北海道標津町は正職員としての自然保護専門員の採用を2026年度から実施。35歳以下で高卒以上の最終学歴を前提にした応募資格に、狩猟免許と猟銃所持許可の保有を明記。望ましい人物像として、野生鳥獣管理学や環境学の履修、1年以上の狩猟の経験、町民をはじめとする様々な関係者との良好な関係を構築できる能力を持ち合わせていることなどを盛り込んでいる。翻ってみると渡部さんは、酪農学園大学で狩猟鳥獣の生態と管理を学び、農協に勤めるかたわらで罠(わな)猟の経験を積んだ後に西興部村へ移住してきた。そして、持ち前のコミュニケーション能力を発揮しながら、猟区の仕事のかたわらで中原さんをはじめとする地元の猟師たちの教えを受け、狩猟の腕前を磨き、任期終了後は村役場に入った。村ぐるみで理想的な鳥獣対策専門員を育ててきたわけである。「西興部村に来てから7年目ですが、皆様に大変お世話になって深く感謝しています。これからも知見を深め、事前の予防策や研修会を含めた鳥獣対策全般で、地域のために働いていけたらと思っています」と渡部さんは言う。それを実現するためにも正職員への転換が望ましいわけだが、「引き続き対策してほしいし、ベテラン猟師から技術承継した後は地元の若手猟師への技術継承役も期待しています」という菊池村長のコメントや、「ゆくゆくは3年度ごとに見直す西興部村鳥獣被害防止計画の立案にも携わってもらえたらと考えています」といった内田課長の話からは、長期的な視点に立って渡部さんを村役場の中で登用していこうとする姿勢が窺える。クマだけでなく鹿やイノシシなどを含めた鳥獣による被害が全国各地で拡大している。その対策の一端を担う専門員の育成や配置は、当然のことながら長期に渡る取り組みとなる。増えすぎた鳥獣による被害は、2年や3年で解決できる問題ではないからだ。それだけに「地域おこし協力隊で体裁だけ整えて、一時お茶を濁すようなことであってはならない」という厳しい声もあがる。鳥獣対策専門員は猟師でもあるわけだが、一人前の猟師になるには、師匠について10年、そこからさらに10年の経験が必要とされる。野生動物管理に関する知識を持った若手の人材を採用し、ベテラン猟師をはじめとする関係者を巻き込みながら地元ぐるみで育成していくことが、地元で息の長い活動をしてくれる鳥獣対策専門員づくりにつながるはず。地域おこし協力隊のスキームを活用するのなら、その任期を「試用期間」に位置付けて熱意や素質を見極め、任期終了後から専門員として採用する道を設けるのも一手だろう。西興部村におけるこれまでの取り組み、そして今後の歩みから学ぶことが数多くあるのではないだろうか。
(箱わなも電気柵も学習?賢いヒグマ出没)
賢いクマ、その実態が映し出されていました。電気柵を巧みに下からすり抜ける様子も。その賢さの理由を地元の猟友会に聞きました。2日、番組の取材班は、北海道北部に位置する西興部村へ。ベテランハンターの見回りに、密着させてもらいました。今、ハンターを悩ませているのが、賢いクマの存在です。猟友会西興部部会 中原慎一部会長(75)「危ないのは(クマが)分かっているから。入り口で(扉が)落ちるのは何となく分かっているみたい」。そのクマの姿を、カメラが記録していました。去年の夏の終わりごろに撮影された映像です。箱わなのフレームを前脚で触れて、後ずさり。警戒しているのでしょうか。3日後にも現れたヒグマは、わなの外から手を伸ばし、上を向いて扉を気にしているように見えます。そして、明らかに「中に入ると危険」と、察知しているような動きです。「そこに餌(えさ)を置いたりして…(クマは)食べたいが入れない」。このヒグマは恐らくオスの成獣で、ハンターは体重が200~250キロあるとみています。1週間ほどの間、クマは繰り返し現れるも、結局捕獲には至りませんでした。中原さんは、その理由をこう推測します。「親が捕られて子が生き延びたら覚えているから。箱わなには入らない」。クマは学習する賢い生き物として知られています。クマによる人身被害や、行方不明者が相次ぐ青森市の八甲田地区では、「ツキノワグマ出没特別警報」が発表され、警戒が続いています。青森県警「クマが人間を恐れないばかりか、獲物と認識している可能性。出没している地域への入山は自粛して下さい」。クマは人間を“獲物”と学習してしまったのか。賢いクマといえば、先月に福島市で4人を襲ったツキノワグマも…。福島市の担当者「蛇口に前脚を当てながらクマが水を飲んでいた」。横一列に並んだ蛇口に前脚を当て、水を飲む姿を市の職員が目撃しました。さらにクマは、窓から抜け出した時、水道の蛇口をひねり、窓のカギを開けてスライド。「鍵をおろして。引き戸なので。クマが自ら窓を開けた」。そんな賢いクマは、何頭もいるのでしょうか。2日取材した西興部村では、別の場所でも。中原会長「ここを掘って。通り道でここを掘ってここをくぐって。だからここの畑は全滅。毎日来て食べるから」。電気柵の手前で、クマは恐る恐るといった様子で土を掘り起こし、次の瞬間!電気柵の先にあるのは、デントコーンの畑です。そして、畑に入ってから2時間半後、電気柵をすり抜けて、姿を消しました。「ここらへん(鼻)に触れれば、抜けていかないで下がると思う。50センチ以上穴掘ってくぐっていくから。すごいですよ」。映像をよく見ると、後ろには、子グマ2頭の姿も見えます。「親が通るのを見ているから。くぐり抜けていくのは子グマに伝わっていると思う」。母グマからの学習も、賢いクマになる理由の一つなのでしょうか。「箱わなに入らないクマ」と「電気柵を避けるクマ」は、別のクマだとみられます。近くの農道では、今年の5月にも、ヒグマの姿が確認されていますが…。「道路、国道がある所では撃てない。跳弾とかがある」。頼りは「箱わな」です。ただ、賢いクマは警戒心がとても強く、簡単にはわなに入ってくれません。今季は、目撃情報が増えているものの、いまだ箱わなによる捕獲は0件です。「わなを置くと毎日見回りをしないといけない。何個もだったら毎日見回りが大変」。賢いクマとハンターの格闘は、消耗戦と言える状況となっています。
(味を覚えたら“クマの執着”が始まる、食べ物を求める習性を防ぐ絶対的対策:小池伸介)
常に効率よく食料を探すクマは、ゴミの放置などで一度味を覚えたら何度もその場所に訪れます。それは地方の集落や山奥に限った話ではありません。「まさか東京の庭で」という油断が命取りになる場合も。クマの生態を研究している小池伸介さんの著書、『クマは都心に現れるのか?』では最新のクマ情報を詳しく解説しています。今回は本書より一部を抜粋し、最悪の危険を回避するための必須の防衛策を明かします。クマは学習能力が高く、簡単に(効率よく)食べ物が得られる場所を憶えると、そこに繰り返し来る。人里の生ゴミ/果樹(カキ、クリ)/防除対策をしていない農作物/収穫残渣/家畜飼料/コンポストなどが報酬となり、人間の生活圏への侵入の常習化を招く。以前からクマの誘因物として生ゴミが注目されてきたが、2025年の多くのニュースでクマがカキの木に登っている映像が頻繁に放送されたことからも、カキやクリなどの果樹も誘因物として広く認知されただろう。これらの管理も重要だ。つまり、人間の食べ物はクマにとっても食べ物になり得る。生ゴミ・残飯を屋外に放置しない、回収日までの保管をしっかりと行い、臭い漏れを減らすことが重要で、保管するとしてもクマが破壊できないような容器や建物の中で保管することが重要である。また、果樹(カキ、クリなど)は、収穫し尽くし、落果を除去することが大切である。また、もう果実を利用しないのであれば、伐採することが大事で、特に2025年の北東北のように森のドングリが凶作の場合には、集落内にカキの実がある限りは、低温でもクマが活動し続ける点も注意が必要である。最近、私が驚いたのが、東京で庭のビワの果実を食べに来るクマがいたことだ。ビワを食べるクマというのは初めて見聞きした。ビワは本来のクマの生息地には存在しないが、何かのきっかけで集落に現れたそのクマは、嗅覚などを頼りにビワという存在を知り、試しに食べたところビワの味を憶えてしまい、ビワの木に執着するようになってしまった。このように私たちがすぐできること、そして日々やらなければいけないこととしては、やはりゴミや果樹といったクマの食べ物となり得るものをきちんと管理し、クマがアプローチできないように放置などをしないことである。私たち人間が食べられるものはクマも食べる。そうした食べ物をクマが簡単に手に入れられないように注意し、それらの味を一度たりともクマに憶えさせないことが重要だ。クマは日々生きていく中でいかに効率的に食べ物を得られるか、常に考えながら行動する。人間が出す生ゴミのように高栄養で高カロリーの食べ物を容易に得られることを学習すれば、山のドングリが豊作であってもそれが誘引物になって人里へ出没するようになってしまう水田に実る稲(コメ)も、以前はクマが食害する事例は数えるほどしかなかったが、2025年の東北地方では水田の稲だけでなく、収穫され、精米されたコメがクマに食害されるといった事例があった。味を憶えてしまえば、誘引物になってしまう典型的な事例であろう。なぜ、クマは水田の中の稲を食べたのであろうか。最初のきっかけはわからないが、こういった状況に至る背景には、東北地方にまだシカやイノシシが少ないことも影響の1つだろう。シカやイノシシによる農業被害が少ない地域では、電気柵で水田への侵入を防ぐという意識が低いのだと思われる。2025年の東北地方のある事例では、わなにかかったシカをクマが食べるために持ち去る様子が撮影された。そのシカを捕獲するためのわなは、水田でのシカによる被害対策として設置されたものであった。この農家は水田の近くでシカを獲れば稲の被害が防げると思っていたのかもしれないが、もっとシカによる農作物被害が多い関東以西では、わなでシカを獲る程度では農作物の被害はなくならないことを、どの農家もよく知っている。シカによる農作物被害をなくすためには、電気柵で畑を囲わなければならない。つまり、もし水田に電気柵が張ってあったら、クマは稲(コメ)の味を知ることはなかった可能性がある。人間が栽培する農作物は、クマにとっては1カ所で大量に高栄養を摂取できる魅力的な食べ物である。
(クマ100頭超を仕留めた「伝説のハンター」は命を落とした)
知床の山で100頭を超えるクマを仕留めた「伝説のハンター」が、猟に出たまま戻らなかった。なぜ名人は命を落としたのか。最強のクマ撃ちと呼ばれる赤石正男さんの足跡を追ったノンフィクションから、赤石さんが仰いだ名人の最期と、命を奪った母グマの恐ろしい習性を紹介する。「羅臼(らうす)の高嶋喜作」といえば、根室地方の羆撃ちで知らぬ者はいないほどの名人であった。特にヒグマとの接近戦を得意とし、背丈以上もあるクマザサの中に危険を承知で入っていく。ライフルにスコープを装着せず照星(銃身の先端に付いた小さな照準器)で照準を合わせる射撃方法で、当時すでに100頭以上のヒグマを仕留めていた。その高嶋が羆撃ちに出たまま、戻らない――そんな話を赤石が聞いたのは、1985年4月22日夜のことだった。赤石は高嶋よりも30歳以上年下ではあったが、ハンターとしての確かな技量には高嶋も一目置いていた。ほんの数日前には中標津(なかしべつ)の銃砲店で、羅臼町を流れるポンシュカリ川の沢筋に生息する複数のヒグマについて、こんな会話を交わしたばかりだった。「高嶋さん、俺、大きいほうを追ってみるから、ほかの羆は任せていいかい」「おお、そうか。わかったぞ」「ここには、親子連れもいるんだよなぁ」「おぉ、知ってるぞ。去年の秋に足跡があったからな」「親子は、そんな奥までいかないはずだから、後で、俺が見とくわ」「デカい羆は、必ず下に降りてきた後に、上に上がってるようだから、こっちは俺が見にいってくるわ」。2人で猟に出ることはないが、互いに同じ山に入りヒグマを追う間柄だった。ヒグマの追い方や、撃ち方について赤石が高嶋に教えを乞うことも多々あった。「あの高嶋さんのことだからじきに戻るだろう」。そう思いながらも赤石の脳裏には、5年前のある事故のことがよぎった。その頃、高嶋が経営するミンク養殖施設には、親子連れのヒグマが出没を繰り返していた。高嶋は息子とともにこれを駆除すべく、親子グマを待ち構え、首尾よく親グマに一発撃ち込んだ。ところが親グマはこれにひるむことなく、高嶋に向かって一直線に向かってきたかと思うと、たちまち高嶋を押し倒し、その腕に噛みついたのである。慌てて助けに入った高嶋の息子はヒグマに飛びかかると、馬乗りになりながらヒグマを押さえつけ、その間にヒグマの下から這い出した高嶋がヒグマの頭を目がけて銃弾を撃ち込み、九死に一生を得たのである。名人・高嶋にしては珍しい失態だった。もしかして、またヒグマにやられたか――赤石の胸に微かな不安が兆した。翌23日、羅臼町のハンターを中心に30人近い捜索隊が組織され、高嶋が入ったというマルクラの沢の捜索が行われた。だが標津町のハンターである赤石は、この捜索には加わらず、ポンシュカリ川の沢筋で数日前に高嶋との会話で出た大グマを追っていた。数年前から赤石は、春グマ猟の時にいつも同じ場所で休息している大きなヒグマの痕跡を見つけていた。トドマツの下に残された寝床の跡や足跡のサイズから、知床では最大級のヒグマと推測された。だが、このヒグマは、赤石の前に姿を見せることがなかった。たまたまタイミングが合わないのか、人の気配に敏感なのかわからないが、ほんの数十分程度の差で、いつもかわされてしまっていたのだ。その巨躯の痕跡がある場所は、毎年変わらない。ヒグマにしてみれば、安心できる場所のひとつなのであろう。いつも通り、羅臼町の入り口にあるシュンカリコタン川の林道から山に入っていく。このあたりは知床半島の先端部と違い、3キロほど山に分け入ると意外と平坦になっている。そこから羅臼町先端部に向かって進み、沢をひとつ越えるとちょうど高嶋の家の裏を流れている沢に出る。そこから1時間ちょっとスキーで歩いていく。4月とはいえ、道東の春は遅く、沢筋は積雪している。高嶋の家から約1キロ上流で赤石は、探していたものを見つけた。爪の跡も肉球の跡も真新しい大きな足跡である。今年もまた同じ場所に来ていたのだ。「よし、今日こそ仕留めてやる」。いつもの居場所から足跡が向かった方向を推測し、沢から一気に稜線へと上がる。ヒグマが向かう方向を目がけて一気に進んでいく。この日、赤石には同行者がいた。銃を持って間もない渡部光博(みつひろ)である。中標津警察署に勤務しながら猟銃の所持許可を取り、この春が初めての春グマ猟だった。春グマ猟では、羆撃ちの技術もさることながら、登山の技術が不可欠だ。それも険しさでは本州の3000メートル級の山に匹敵するといわれている知床連山を踏破していかねばならない。生い茂るハイマツをかき分けて、ようやく、尾根筋に抜け出した所で小休止した。背負ってきたリュックから水筒を取り出し、一気に飲み干す。その時だった。いま上ってきたハイマツのほうから「フーッ、フーッ」という音が聞こえた。赤石たちのいる背後、20メートルほどの所だ。慌てて後ろを振り返るとヒグマの背中がハイマツの中に見えた。いつの間にか、追っていたヒグマを追い越してしまっていたのである。急いでウェザビー300を構えた赤石は、ヒグマのバイタルポイントである前胸部を狙って第一射を放つ。といっても、ヒグマはハイマツに隠れていたので、はっきり見えたわけではない。見えていたヒグマの体の一部から、その体勢を予測して、撃ったのである。確かに手ごたえはあったが、ヒグマは、ハイマツの中を上ってくる。が、さすがにその動きはやや鈍い。さらに5発の弾倉が空になるまで撃ったが、ヒグマはまだ動いている。弾倉に弾を入れ、ヒグマの頭がハイマツの中から出たところで6射目を首に撃ち込んだ。ヒグマはようやく動きを止めた。軽く見積もっても、体重は300キロを超えているだろう。近くの山に入っていた仲間と無線で連絡を取り合い7人掛かりでようやくヒグマを“山出し”(山中で仕留めた大きな獲物を運搬可能な状態にし、山から麓へ搬出する作業)することができた。“山出し”を終えたところで、中標津の猟友会から赤石に連絡があった。「高嶋さんを見つけたけど、亡くなっていた。鉄砲は2発撃っている。たぶん半矢(手負いの状態)になっていると思うが、明日、羆の捜索を手伝ってほしい」。「わかったぞ」と応じた赤石の胸の中で、先日高嶋と交わした会話が反芻されていた。翌朝の新聞は、高嶋の死の状況をこう伝えていた。クマに襲われハンター死ぬ クマ撃ちに行くと出掛けたまま(*昭和六十年四月)二十二日夜から行方不明となっていた羅臼町のハンターが二十三日早朝、羅臼町海岸町ハシコイ川八百メートル上流、通称“マルクラ”の沢で死体となって発見された。死亡していたのは羅臼町(*住所略)、ミンク養殖業、高嶋喜作さん(六二)。死体の頭部や顔にはクマのツメでひっかかれたようなキズがあり、死体から六十メートル離れた地点にライフル銃が放置されていた(「釧路新聞」1985年4月24日付)。4月24日の早朝5時、赤石は3人のハンターと、高嶋が撃ち逃したヒグマを見つけ出すために山に入った。言うなれば「弔い合戦」である。高嶋の遺体が見つかったマルクラの沢は、漁家が連なる羅臼町市街地から半島の先端に4キロほどいった所にある小さなせせらぎの川である(正式な河川名はハシコイ川)。川の手前には羅臼灯台を建設するための道路がつくられている。道路を上りきった所から沢の稜線に出ることにした。灯台を後にして、歩き始める。灯台の位置から右側に、高嶋が殺された沢がある。左側には、オジロワシの営巣場所があるチトライ川が流れている。高嶋は、この2つの沢近辺で、ヒグマが出ているという話を近隣住民から聞き、羆撃ちに出かけたという。いま歩いている稜線を高嶋も歩いたはずだ。高嶋の遺体を見つけた前日の捜索隊からは、現場付近に大小のヒグマの足跡と、それよりもさらに大きいヒグマの足跡があったとの情報が入っていた。高嶋が撃ったのは、親子グマなのか、それとも単独の大グマなのか、現時点ではわからない。捜索メンバーの1人、関本知春はアイヌ犬を連れてきている。関本の本職は、電力会社の職員で、まだ銃を持って間もないが、登山に精通しており、山歩きはお手の物だ。春グマの時は、時間さえあれば赤石と行動をともにしている。赤石にとっては、羆撃ちの一番弟子的な存在であり、猟仲間でもある。「こっちに靴の跡があるぞ」。もう1人の捜索メンバー、羅臼の須藤公男が、右の沢に降りていった靴の跡を見つけた。この跡は、高嶋だろう。足跡をたどり、沢に降りていく。足跡は、沢の下流へと向かっている。沢底に着いた所で手分けしてヒグマの足跡を探す。「あった」。大きい足跡が、雪渓の上を上流に向かって進んでいる。下へと下っていく足跡もある。とりあえず大きい足跡をたどることにして、左右にふた手に分かれ、慎重に沢を上っていく。斜面は南側に面しており、暖気により雪の中からササが伸びている。ヒグマの足跡の歩幅が狭い。急いではいないということだ。1キロほど上流へ向かった所で、ヒグマが雪を掘り返し、餌を探した跡を見つけた。「この羆(くま)、餌探しているから撃たれた羆でないな」。赤石は、その跡を見て一瞬でヒグマを見分けた。高嶋に撃たれて傷を負っているならば、餌など見向きもしないで逃げるのが普通だからだ。「とすると、もう一個のほうか。下に下がるぞ」。赤石は、皆に声をかけ、一気に沢を下流に向かい降り始めた。マルクラの沢は、沢の両岸が切り立っている所が多い。本来なら、いま歩いている場所は、川の中なのだが、雪が残る今の時期は雪渓となっている。「もうじき、高嶋さんの現場のはずだ」。沢は、もう少し上流で二股となる。皆にそう伝えながら、歩くスピードを緩め、慎重に近づいていく。人を殺したヒグマが現場周辺にしばらく居座っていることは珍しくない。これまでに見つけた足跡は、上流に向かった成獣1頭と、下流に向かった親子グマと思われる2頭だ。高嶋が撃ったのは親子グマだったのか――?「ここだ」。“現場”はすぐにわかった。あたり一面、鮮血が雪渓の上に、飛び散っていたからだ。高嶋のものか、ヒグマのものか判然としないが、雪でやや薄まった赤色はかえって凄惨な印象を与えた。ここで人間とヒグマの死を賭した格闘があったことは明白だった。現場周辺を昨日の捜索隊が歩き回ったのであろう。その足跡でヒグマの足跡は、見事なくらい、すべてかき消されていた。高嶋の遺体が発見されたのは、ヒグマと格闘したと思しき場所のさらに下のほう、雪渓がぽっかりと空いた穴の中だった。ヒグマに振り回されたのか、自分で逃げようとしたのかはわからない。後の死因検証で、高嶋の死因は「外傷性ショック死」とされた。「周りに気をつけれよ」。赤石が声をかけ、4人で手分けしてあたりを探索する。昨日の捜索隊によると「親子グマは斜面を上って逃げた」とのことだったが、赤石は首を捻った。「なんか変だ。どこにも逃げた足跡がない」。やがて赤石は、遺体発見現場のすぐ近く、雪渓とササがむき出しになった所に、足跡とも呼べないほどの痕跡を見つけた。よく見ると微かに血痕もにじんでいる。もしかすると、ヒグマはまだこの辺にいるのかもしれない。沢の反対側にいた関本が、連れてきた犬を放した。犬は、 何かの匂いを嗅ぎつけたのか元気よく斜面を駆けていく。その時だった。犬が突然吠え始めると、藪の中からヒグマが頭を出した。ヒグマは犬に向かって吠え、威嚇する。だが赤石の場所からは、曲がり角にそびえる岩場が邪魔して、ヒグマの姿を捉えることができない。沢の下にいた須藤が、ヒグマに向かって20番スラッグ弾を放った。距離20メートルから放たれた2発の銃弾でヒグマはササの中に崩れ落ちた。赤石は斜面を駆け上がり回り込みながら慎重に近づく。ヒグマは最後の力を振り絞り動こうとしていた。とっさに赤石は、ヒグマの耳をつかむと、斜面の下に投げ落とした。斜面を転がり落ちたヒグマは、20メートルほど転がり沢の雪渓の上に落ちて動きを止めた。体重80キロほどのメスのヒグマである。それを素手で持ち上げて投げ落とす赤石の膂力(りょりょく)は尋常ではない。ヒグマが絶命していることを確認してから腹ばいにして、銃痕の確認をする。いま、須藤が撃ったのは散弾銃に鉛でできた弾頭が一発詰められたスラッグと呼ばれる弾だが、高嶋が撃ったのはライフル弾であるから、これを識別するのは簡単だ。高嶋の弾は胸から入り、横隔膜をかすめて背骨の横から抜けていた。おそらくヒグマよりも下の位置から撃ったのだろう。ヒグマの特性として自分よりも高い場所にいるものに対しては、攻撃を躊躇する。逆に低い場所にいるものに対しては、一気に攻撃を仕掛けてくることが多い。高嶋がヒグマを撃った状況を推測すると、こうだ。おそらく高嶋は最初、沢のカーブを曲がった所でヒグマを発見し、発砲したのだろう。出合い頭に近かったのかもしれない。母グマは、子グマを伴って沢の上流へ逃げた。高嶋は、それを追っていったが、途中で見失ってしまう。一方で母グマは、追われることを嫌い、上流の二股となった左の斜面を登り、追ってくる高嶋を上で待ち伏せしていたはずだ。そこへやってきた高嶋は、斜面の上手にいる母グマには気づかない。そして、母グマは斜面を駆け降り高嶋に向かった――これが、現場の状況から赤石が見通した事故の状況である。後にヒグマを解体してわかったことであるが、高嶋の弾は、不運なことに肺や脊髄など致命傷となりうる場所を避けるように貫通したため、ヒグマは絶命せずに移動し、なおかつ反撃することが可能だったのである。ちなみに高嶋の銃の弾倉には、もう一発撃った形跡があった。突然の反撃にとっさに発砲したものの、ヒグマには当たらなかったのだろう。それにしても、このヒグマは高嶋を殺した翌日も、30人もの捜索隊が現場周辺を捜索している間、藪の中で息をこらし、じっと身を潜めていたことになる。もし捜索隊が単独もしくは少数であれば、高嶋と同じ運命をたどった可能性もある。だが、なぜヒグマは現場にとどまり続けたのだろうか。「コッコ(子グマ)を待っていたんだろう」。おそらく高嶋と争っている間に子グマが離れてしまったのだ。そういうとき、母グマは現場に1週間でも2週間でもとどまり続け、子グマが戻ってくるのを待つ。「高嶋さん、仇はとったぞ」。1人の羆撃ちが命を落とした谷で、赤石は誰にともなくつぶやいた。
(専門家は「ほぼゼロ」、市町村で深刻化する人材不足:小池伸介)
なぜクマ被害が止まらないのか。そこには、各市町村における野生動物問題の専門家不足が影響しています。クマの生態を研究している小池伸介さんの著書、『クマは都心に現れるのか?』では最新のクマ情報を詳しく解説。今回は本書より一部を抜粋し、行政の人材不足による被害深刻化の実態に迫ります。クマ問題をはじめとする野生動物問題が解決できない根本的な理由の一つが、行政に野生動物管理の専門知識を有した人材がいないことである。環境省が公表している統計によれば、都道府県の野生動物担当職員のうち、大学時代に野生動物管理を学んだ、あるいは専門的に勉強したという人は、わずか6%しかいない(環境省資料:専門人材について)。つまり94%の職員は、専門的な教育を受けていないのである。ほとんどの担当職員は、林業職や造園職、あるいは一般行政職として採用された人で、人事異動でたまたま野生動物担当に配置されただけである。特に深刻なのは市町村レベルの人材状況である。市町村では専門知識を持つ職員の割合はさらに低く、ほぼゼロに近いであろう。また、市町村の担当者は、鳥獣対策だけでなく、農業、林業、観光など複数の業務を兼務している場合が多い。しかし、どこかで聞いた台詞だが、問題は現場で起きる。ある集落でクマがゴミを漁(あさ)ったという通報があったとき、最初に対応に来るのは市町村の職員である。ところが、その職員には専門知識がない。どう対処すればよいかわからないため、都道府県の担当者に問い合わせる。しかし、都道府県の担当者も専門知識がないため、明確な指示を出せない。こうしているうちに、どんどん被害が大きくなっていく。これが現在の状況である。もし都道府県の担当職員が、野生動物管理の専門的な知識を持ち、人事異動のないパーマネント(恒久配置)の専門職員であればどうだろうか。市町村の職員は、何か問題が起きたときに「あの人に聞けば教えてくれる」という信頼できる相談相手を持つことができる。また、その専門職員が現場を一目見て「これは誘引物が原因だから、ここに電気柵を設置しなさい」「カキの木を伐採しなさい」「ゴミ捨て場をこう改善しなさい」など即座に的確な指示を出すことができれば、被害が出る前に予防的な対策に時間と労力を割くことができ、被害が出始めても初期段階で鎮火できる。実は、1999年に鳥獣法が改正された際、付帯決議として「都道府県に専門的人材を配置することや研究機関の設置などに国が支援する」と書かれた。しかし、四半世紀の間、野生動物管理の基礎となる懸案事項は先送りされ続けた。その結果、いまだに21世紀型の野生動物管理に変わることができていないのである。都道府県には公務員として獣医師を採用することが法律で定められている。これは鳥インフルエンザなどが発生した際に、専門知識を持った獣医師でなくては対応できないためである。同様に、少なくとも都道府県には、法律で「野生動物職」のような職種を設けることを規定し、パーマネントのポストを確保し、専門知識を持った職員がきちんと配置される体制を作るべきだ。そうすることで、市町村の職員との信頼関係が構築され、市町村のクマ対策力も底上げされていく。専門職員の配置は、単なる人員増ではなく、地域全体の対応能力を向上させる鍵なのである。
(鈴の効果ゼロ、人間から「リターンがある」と学習し襲うクマも:小池伸介)
クマの人間に対する認識は大きく4つのタイプに分類されるのをご存じでしょうか。人を恐れるか恐れないか、人間からのリターンが有るか無いかによってクマの行動パターンは変わってきます。クマの生態を研究している小池伸介さんの著書、『クマは都心に現れるのか?』では最新のクマ情報を詳しく解説。今回は本書より一部を抜粋し、警戒心なく人を恐れないクマの出現に至る背景に迫ります。ここでは4象限モデル図を使い、人間とクマの関係をクマから見たリスクとリターンで示してみたい。この図は一見してわかる通り、人が怖いか怖くないか、リスクが高いか低いか、人に遭ってもいいことがあるかないかによって分類される4つの象限を表している。概念的に整理すると、日本の多くのクマは左上に位置付けられるクマであると考えられる。人は怖いし、人に遭ってもいいことがないという意識を常に持っている。そのため、今までの事故というのは出会い頭に、防衛を目的に襲うという行動が多かった。そして、意図せぬ遭遇事故があっても、その後、クマはどこかに去ってしまっていた。こうしたクマに対しては、鈴で音を出し、人間の存在を知らせることが有効であろう。ところが、2025年によく出てきた街の中を平然と歩くようなクマは、左下のクマであり、そうしたクマが少しずつ増えてきているのではないかと考えられる。人が怖くなく、リスクも感じていないのだろう。ただし、人と遭うことに対してのメリットは学習していないのなら、単に人間が怖くないので山の中と同じように人里で悠々と行動しているだけであり、リターンである食べ物を期待しているわけでも積極的に人間を襲ってくるわけでもない。また、人と遭遇して攻撃に至ったとしても、すぐにその場から立ち去る。問題なのは、右側のクマだ。人は怖いけれども、何かいいことがあると学習したクマ。右上のクマは、容易に右下のクマになり得る。最初は怖いけど人間の近くに食べ物があって美味しかったと学習し、人間とリターンが結びついてしまう。クマは賢いので、右上で止まることはなく、さらに学習することによって右下のクマになることがある。左上のクマがいきなり右下のクマになるわけではない。もちろん、いろいろな偶然が重なり、左上から右下に行動変容するケースもあるかもしれない。だが、おそらくそうしたクマはほとんどいないと私は考えている。つまり、クマによる被害を減らしていくためには、最も多いと考えられる左上のクマを、いかに左下や右上のクマにさせないかが重要なのである。ここで改めて「鈴」の話に戻ると、この図を理解しやすい。笑い話ではあるが、私がノルウェーで友人と話す中で、「日本ではクマ避けのために鈴をつけて山中に入る」という話をしたところ、現地の人から「命知らずだ」と笑われた経験がある。ノルウェーではヒグマが林内放牧中のヒツジを食害することがある。ヒツジの飼い主はヒツジの居場所がわかるように家畜に鈴をつけて放牧するのだが、「鈴の音=食べ物」と学習したクマが近付いてくる恐れがあり、山では鈴を持ち歩かないのが常識だという。つまり、クマが「鈴の音=会いたくない人間」と学習して警戒している状況なら鈴は有効だが、「鈴の音=食べ物」と学習したクマと遭遇した場合は、逆効果になる可能性があるということだ。そして、特定の個体が「鈴の音=食べ物」と学習する状況は、日本でも当然起こり得る。特にクマは記憶力がよく、人が持っていた食料の味を知れば、人への怖さよりも食への欲求が勝り、同じ行動を繰り返すことも考えられる。当然、子グマが母親の行動様式を学ぶことで、鈴の音の効果が薄いクマが広がる恐れもあるだろう。日本の大部分のクマは依然として人に会いたくない左上のクマの状態と考えられるため、現時点では鈴に一定の効果があるが、このまま左下のようなクマが増えてきた際には、鈴を持っていてもクマに出遭う確率は高くなるかもしれない。
(200頭を仕留めたクマ撃ち名人が「殺られる」と覚悟した瞬間)
200頭を超えるクマを仕留めた名人が、思わず「殺られる」と覚悟した瞬間があった。目の前にいたのは、子グマを撃たれて殺気立つ母グマだった。赤石正男さんの狩猟人生を追ったノンフィクションから、クマ撃ちの現場に潜む危険を紹介する。今年も狩猟期が巡ってきた。周囲の木々は紅葉を終え、夏の間は鬱蒼としていた森も葉を落とし、所々に隙間が生まれている。世界中の多くの狩猟地が10月からシーズンを始めるのは、まさにこの“見通し”がきくからだ。葉が落ちれば、獲物を見誤る危険も減り、誤射のリスクも下がる。林道沿いの草木も、すでに晩秋の装いである。「アカ、明日はどこに入る」。昨晩、“電気屋さん”こと斉藤泰和から携帯に電話があった。赤石の古くからの猟仲間で、家業が電気工事店であったことから、仲間内ではそう呼ばれていた。「いつも通り、山際の林道を見てくるわ」「わかった。仕事が終わり次第、俺もいってみるわ」。彼らは狩猟時期になるとお互い、常に連絡を取り合い情報を取り交わす。単独猟では、不意の事故などで動けなくなった場合、基本は誰も助けてはくれない。前夜の情報交換は、ハンターにとって、いわば保険のようなものだ。赤石は、いつものようにエゾシカ猟で使い続けている愛用の7ミリ口径ライフルを手にハイラックスに乗り込んだ。10分ほど走ると林道へ入る。枝先に残るコクワやヤマブドウをひょいひょいと目で拾いながら進んでいく。「今年は実の生りがいい。ヒグマも、だいぶ脂を溜めているかもしれん」。山沿いの林道は海岸よりも秋が深まるのが早く、木々の枝はすでに裸で、空が透けて見える。赤石は一本一本の林道を丹念に走破していく。誰も踏み入れていない道は草が道幅を覆い、まるで藪だ。しかし赤石は、ここがかつての作業道だったころから熟知しているため、迷わず奥へ進む。山奥へと深く入り込む道は、この時期、ヒグマが潜んでいる可能性が高い。川に沿って延びる道を進むと、葉を落とした枝が車体をかすめ、「キィー」と耳障りな音を立てる。そのたびにボディが軋(きし)んだ。やがて道は二股となり、一方は河原へと降りていた。赤石は迷わず河原のほうを選ぶ。川の水量は少ない。ハイラックスで、ゴロ石を踏みしめながら川へ入っていく。水深は浅いが、対岸はわずかに切り立ち、登り切れるかどうか一瞬の判断を要する。前輪が水に入ると、ガタガタと川底の起伏が車体に伝わった。川を横切り、最後の登りに差しかかる。四輪駆動はしっかり川底をグリップし、ボンネットが跳ね上がったかと思うほどの勢いで川べりをよじ登る。登り切ったところからは泥道が続く。普通の車では到底進めないが、悪路走破用に仕上げた赤石のハイラックスは、悠々と泥を割りながら前進していく。大雨のときに川が溢れたのだろう。荒道の窪地にはあちこちに水が溜まっている。泥を漕ぎ、水溜まりを割り、ようやく先ほどの林道へと戻りついた。両脇にはカラマツ林が広がり、トドマツが隣生するこの山域は、ヒグマが好んで棲みつく場所でもある。赤石は速度を落とし、林道を慎重に進んだ。カラマツ林が終わりかけ、90度のカーブを回り込むと、景色はトドマツ林へと移り変わる。その瞬間、前方のトドマツの先端近くに、枝とは違う黒い塊が見えた。赤石は車を止め、双眼鏡を取り出す。双眼鏡の中には、揺れる枝の上に小さなヒグマがいた。距離は150メートルほど。サイズも距離も射撃には申し分ない。赤石は静かに車を降り、後部座席からライフルを取り出した。ヒグマは先端から5メートルほど下の枝にいて、こちらには気づいていない。マツボックリをむしっているようだった。スコープを覗き、呼吸を整え、引き金を絞る。乾いた銃声とともに、ヒグマは木から転げ落ち、「ドサッ」と音を立ててクマザサの中に消えた。トドマツの下には、2メートルを超えるクマザサが密生している。その中へ銃を担いで分け入る。ヒグマがいた木は遠くないが、ササの密度が高く、思うように足が進まない。赤石は銃を構えたまま、一歩一歩、慎重にササをかき分けていく。何度も足を取られながら進むこと5分、ようやく落下地点付近にたどり着いた――その刹那である。「ウォーーッ!!」。突如、目の前、5メートルほどの所で、ヒグマの吠え声が炸裂した。まずい。殺られる――さすがの赤石も総毛立った。反射的に銃のボルトを引き、弾倉から薬室に弾を送り込む。――親子連れだったか。すぐに冷静さを取り戻した赤石は、さきほど撃ったのは子グマで、いま吠えているのは母グマだと瞬時に悟った。頭の中で、とっさに状況を整理する。「バサッ、バサッ!」。ササを割って、何かがすごい勢いで突進してきた。その距離、2メートルまで迫った所で、それはピタリと止まった。生い茂る藪に視界を阻まれて、その姿は見えない。だがその濃厚な気配から、赤石にはそれが母グマであることがわかった。母グマはそれ以上、距離を詰めてくることはしない。――ブラフチャージ。多くのヒグマは、脅威を感じた相手に対して、いきなり攻撃を仕掛けることはしない。その前段階として、「実際には接触しないが、攻撃するかのように急接近して威嚇する行動」を行う。こうした行動をブラフチャージと呼び、ヒグマとしては「戦う」ことよりも、相手を「退かせる」ことを目的としている。とはいえ、ブラフチャージは「最後通告」である。いつ本気の攻撃へと移行しても、まったく不思議ではない。そもそもブラフチャージで2メートルまで接近するというのは、異例のことであり、予断は許されない。ササ藪の向こうからは、ヒグマの荒い呼吸だけが明確に聞こえる。かなり興奮しているようだ。ここまで興奮してアドレナリンが全開状態になっていると、この至近距離で撃っても急所に当てない限り止まらない。むしろ逆上させるだけだ。狩猟中、ヒグマに襲われる事故の多くは、ハンターが発砲したものの仕留めきれずに“手負い”にし、逆襲されるケースだ。興奮したヒグマは最後の力まで振り絞り、執念深く襲ってくる。姿の見えないヒグマとにらみ合いを続けながら、頭の中で必死に策を練る。来た道を戻ろうにも深いササ藪の中を戻ることになる。足元を取られたり、よろめいただけでも、すっ飛んできたヒグマに押え込まれるであろうことは目に見えている。こうなったらヒグマと人間の「我慢比べ」である。周囲は、不自然なほど静まりかえっていた。風もなく、ササ一本揺れない。聞こえるのは、母グマが歯を鳴らす「カチカチ」という音と、前足で地面を叩く「ドン、ドン」という低い衝撃音だけだ。弾倉には3発入れていたが、先ほど一発撃ったので、残りは2発しかない。腰のベルトには15発あるが、弾倉を撃ち切り、再装填する5、6秒の間に2メートル先から突進されれば終わりだ。その猶予はない。その時、耳元のイヤホンから無線が入った。「無線、入っているか」。昨晩、電話で話した仲間の斉藤だった。「入ってる。今、目の前に羆いるけど、動けない」。運良く、斉藤は近くにいるようだ。赤石はヒグマに悟られぬようマイクを手で覆い、小声で斉藤に今いる場所を伝える。「林道に車がある。そこから(藪に)入った跡がついてるはずだ」。場所を伝えることはできたが、斉藤がたどり着けるかは分からない。来られたとしても、かなり時間はかかるだろう。ササ藪の向こうではヒグマが相変わらず荒い呼吸を続け、「カチカチ」と歯を鳴らしている。こちらは一歩も動けず、時間だけが過ぎていく。どれくらい時間が経っただろうか。遠くから車のエンジン音が聞こえてきた。「来たか」。すると、ヒグマの気配が、ふっと薄くなった。木から落ちた子グマの様子を見にいったのかもしれない。その木は、そこから10メートルほどの所にあった。赤石はようやく時計に目を落とした。にらみ合いを始めてから、1時間以上が経過していた。春グマ猟で数々の修羅場を経験してきた赤石でも、2メートルの至近距離で2時間以上もヒグマと対峙したのは初めてだった。ヒグマの興奮は少し収まっているように思えたが、気を抜くわけにはいかない。唸り声や歯を鳴らす音は聞こえなくなっていたが、藪の中にヒグマの気配は依然として濃厚だった。背後で車のエンジン音が止まった。「どこにいる」。斉藤から無線が入る。「車の助手席側に藪へ入った跡がある。そこを進んでくれ。羆がまだいるから気をつけろ」「わかった」。短いやり取りで十分だった。藪をかき分ける音が背後から近づいてくる。赤石の前方はほぼ見えないが、後方はかろうじて藪が薄くなっている。ようやく斉藤が姿を現した。赤石は自分の左側につくよう手で合図を送る。斉藤は、赤石の左側10メートルの位置についた。にらみ合いを始めてから、間もなく2時間になろうとしていた。撃った子グマを回収する作業が残っているが、母グマが諦めてこの場を去らなければ、それもできない。だが、今は1人ではない。ほんの気持ちだが、先ほどよりは対峙しやすい。赤石は手を上げて、斉藤に前進の合図を送る。視界のきかないササを銃身でかき分け、一歩ずつ進む。いつヒグマが飛び出してくるかわからない緊張に喉が渇く。ヒグマがいたと思われる場所まで進んだ。あたりは獣臭でむせ返るようだった。母グマが通った跡は、ササ藪がトンネル状になっている。そこを慎重に進んでいく。時折、斉藤の姿がササ藪に隠れてしまうが、足音でお互いの位置を把握する。ようやく2人は、斃れた子グマの場所にたどり着いた。体重は100キロには満たないだろう。ロープを取り出し、ヒグマの首へかけ、さらに鼻先に結んで一直線にする。こうしておけば、ササ藪の中を引きずっても外れない。100キロなら2人で引けば何とかなる。問題は、母グマが戻る可能性だ。あたりに母グマの気配はない。子グマが絶命しているのを確認して、その場を去ったのか、それともまだ未練断ち切り難く、こちらをうかがっているのか。五感を総動員し、周囲の気配を探りながら慎重にロープを引く。ササ藪は帯のように濃淡があり、歩行そのものが重労働だ。時折休んでは音を聞き、ようやくササの薄い場所へ子グマを引き出した。視界は開けたが、まだ油断はできない。母グマが完全に諦めたかどうかはわからない。斉藤は長いロープを取りに車へ戻る。赤石は周囲の気配に集中しながら待った。赤石のハイラックスの荷台には、漁船で使うキャプスタンローラーが据え付けられている。これでロープを巻き取り、ヒグマを回収するのだ。斉藤が戻り、長いロープを結び合わせ、準備が整う。車まではおよそ100メートル。赤石の合図でキャプスタンが回り、子グマが少しずつ動き始めた。2人は周囲を警戒しながら、ヒグマに寄り添うように林道へ向かう。林道へ出た瞬間、赤石はようやく大きく息を吐いた。極度の緊張に満たされた時間の重さが、急に肩へ戻ってきた。夕闇が迫る中、ハイラックスの荷台へ子グマを引き上げ、この日の猟はようやく終わった。
(味を覚えたら“クマの執着”が始まる:小池伸介)
常に効率よく食料を探すクマは、ゴミの放置などで一度味を覚えたら何度もその場所に訪れます。それは地方の集落や山奥に限った話ではありません。「まさか東京の庭で」という油断が命取りになる場合も。クマの生態を研究している小池伸介さんの著書、『クマは都心に現れるのか?』では最新のクマ情報を詳しく解説しています。今回は本書より一部を抜粋し、最悪の危険を回避するための必須の防衛策を明かします。クマは学習能力が高く、簡単に(効率よく)食べ物が得られる場所を憶えると、そこに繰り返し来る。人里の生ゴミ/果樹(カキ、クリ)/防除対策をしていない農作物/収穫残渣/家畜飼料/コンポストなどが報酬となり、人間の生活圏への侵入の常習化を招く。以前からクマの誘因物として生ゴミが注目されてきたが、2025年の多くのニュースでクマがカキの木に登っている映像が頻繁に放送されたことからも、カキやクリなどの果樹も誘因物として広く認知されただろう。これらの管理も重要だ。つまり、人間の食べ物はクマにとっても食べ物になり得る。生ゴミ・残飯を屋外に放置しない、回収日までの保管をしっかりと行い、臭い漏れを減らすことが重要で、保管するとしてもクマが破壊できないような容器や建物の中で保管することが重要である。また、果樹(カキ、クリなど)は、収穫し尽くし、落果を除去することが大切である。また、もう果実を利用しないのであれば、伐採することが大事で、特に2025年の北東北のように森のドングリが凶作の場合には、集落内にカキの実がある限りは、低温でもクマが活動し続ける点も注意が必要である。最近、私が驚いたのが、東京で庭のビワの果実を食べに来るクマがいたことだ。ビワを食べるクマというのは初めて見聞きした。ビワは本来のクマの生息地には存在しないが、何かのきっかけで集落に現れたそのクマは、嗅覚などを頼りにビワという存在を知り、試しに食べたところビワの味を憶えてしまい、ビワの木に執着するようになってしまった。このように私たちがすぐできること、そして日々やらなければいけないこととしては、やはりゴミや果樹といったクマの食べ物となり得るものをきちんと管理し、クマがアプローチできないように放置などをしないことである。私たち人間が食べられるものはクマも食べる。そうした食べ物をクマが簡単に手に入れられないように注意し、それらの味を一度たりともクマに憶えさせないことが重要だ。クマは日々生きていく中でいかに効率的に食べ物を得られるか、常に考えながら行動する。人間が出す生ゴミのように高栄養で高カロリーの食べ物を容易に得られることを学習すれば、山のドングリが豊作であってもそれが誘引物になって人里へ出没するようになってしまう水田に実る稲(コメ)も、以前はクマが食害する事例は数えるほどしかなかったが、2025年の東北地方では水田の稲だけでなく、収穫され、精米されたコメがクマに食害されるといった事例があった。味を憶えてしまえば、誘引物になってしまう典型的な事例であろう。なぜ、クマは水田の中の稲を食べたのであろうか。最初のきっかけはわからないが、こういった状況に至る背景には、東北地方にまだシカやイノシシが少ないことも影響の1つだろう。シカやイノシシによる農業被害が少ない地域では、電気柵で水田への侵入を防ぐという意識が低いのだと思われる。2025年の東北地方のある事例では、わなにかかったシカをクマが食べるために持ち去る様子が撮影された。そのシカを捕獲するためのわなは、水田でのシカによる被害対策として設置されたものであった。この農家は水田の近くでシカを獲れば稲の被害が防げると思っていたのかもしれないが、もっとシカによる農作物被害が多い関東以西では、わなでシカを獲る程度では農作物の被害はなくならないことを、どの農家もよく知っている。シカによる農作物被害をなくすためには、電気柵で畑を囲わなければならない。つまり、もし水田に電気柵が張ってあったら、クマは稲(コメ)の味を知ることはなかった可能性がある。人間が栽培する農作物は、クマにとっては1カ所で大量に高栄養を摂取できる魅力的な食べ物である。
(クマに襲われた14人の証言、気づいた時は目の前に:岩手)
人の生活圏にクマの出没が絶えない。県内は2026年度も目撃が相次ぎ、身近に迫る危険に、住民は不安を募らせる。岩手日報社が25年度の人身被害39件40人のうち、生活圏(里)での被害者に実施した聞き取り調査では日常生活の延長線上、至近距離で不意に遭遇するケースが大半を占め、身を守ることの難しさが見えてきた。被害をいかに防ぐか。証言を通し、具体的な対策を考える。 敷地内に走って侵入する黒い影。「犯行時間」は、わずか30秒余りだった。農地に住家が点在する遠野市青笹町の勤務先で被害に遭った畠山四郎さん(69)=同市宮守町=は「後ずさりも何もする間もなく倒された」と振り返る。
(熊捕獲器に注文殺到!:新潟)
クマによる人身被害が全国で相次ぐ中、捕獲器を製造する栄工業(燕市)に、各地の自治体から注文が殺到している。ツキノワグマ用の捕獲器メーカーは珍しく、昨秋からフル生産が続いている。栄工業が手がける捕獲器はイノシシなど約40種類で、アライグマによる農作物被害に悩む自治体と専用の捕獲器を共同開発した実績もある。栄工業は40年前に創業し、当初はネズミやモグラの小動物向けを作っていたが、徐々に大型の捕獲器も製造するようになった。
(野外体験で鹿猟、畑、漁まで)
スーパーに並ぶ切り身の魚、パック詰めのお肉。都市部で暮らす子どもたちにとって、それが「食べ物」の当たり前の姿かもしれません。しかし、その背景には、自然と向き合い、命を育む生産者たちの営みがあります。この夏、そんな「食の裏側」にあるリアルな1次産業の現場に、親子で飛び込んでみませんか?今回は、全国の生産者と消費者をつなぐプラットフォーム「ポケットマルシェ」を運営する株式会社雨風太陽が手がける「ポケマルおやこ地方留学」について、企画推進を担当する木勢さんにお話を伺いました。6泊7日のユニークな体験の魅力、そして子どもたちに訪れる驚きの変化とは。
(「亡きがらをツノに絡ませたシカ」で日本人初の快挙:北海道)
北海道に移住し、高校教員として働く傍ら、野生動物の写真を撮り続けている柳楽航平さん。世界的な写真コンテストに入賞を果たすも、「写真はあくまで趣味」だと言う。彼を突き動かしているものは何なのか、“趣味の写真”を通じて何を訴えたいのか。高校を訪ねた。雄大な自然が残る北海道の東部で、本業は高校教員でありながら野生動物の姿を写真に収める柳楽航平さん。彼が撮ったエゾシカの写真は、今年3月、世界最高峰ともいわれる野生動物写真コンテスト「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の一般投票部門で、6万点超の応募の中から上位5作品に入賞。日本人初の快挙となった。そんな柳楽さんの写真に引かれ、個展にも足を運んでいるのが作家(※3)こだまさん。北海道と縁もゆかりもなかった柳楽さんを突き動かしているものは何か。こだまさんがその素顔に迫る。――このたびは入賞おめでとうございます。一報を受けた時の率直な心境を聞かせてください。柳楽:あまり実感が湧かなかったです。部活の大会と重なって、授賞式に出られなかったこともあり、余計に。――入賞した「亡きがらをツノに絡ませたエゾシカ」の写真はどこで撮られたんですか?柳楽:野付(のつけ)半島で出合いました。当時はその近くに住んでいたので、計4~5か月ぐらいかけて撮影しました。地元の方の間ではちょっと話題になってましたね。「なんかヤバイのいる」って。――こんな重い頭部を担ぐような状態でも、シカは生きていけるんですか?柳楽:シカは毎年4月ぐらいにツノが抜け落ちるんですが、その頃に見た時も丸々太っていたので無事だったんでしょう。受賞作のシカは苦しそうでもなくて、普通に明るい何げない表情。僕らはこういう生き物を見ると「かわいそう、助けてあげたい」とか衝撃的なドラマを想像しちゃうんですけど、彼らにとっては別になんてことないのかもしれない。普通に生きてますよ、みたいなあっけらかんとしてるところを撮りたかったんです。――タイトル「Never-ending Struggle(終わらぬ戦い)」に込めた思いはなんですか?柳楽:5年前にネットでバズった際には「勝者だ」とか書かれていたんですけど、僕には孤独に見えました。群れから追い出され、草木も食べにくそうで、勝者とは言い難い。まだまだ戦っていて、ツノに相手の亡霊がいるような感じ。戦いは終わってないんだな、と。――昨年10月には、「ツノが光り輝くエゾシカの写真」がアメリカの自然写真コンテストで上位入賞を果たしましたね。柳楽:カメラを始めた頃、露出の設定をミスって、逆光の状態で撮ってしまったんです。顔は暗いけど、バックの光が当たって、ツノが浮かび上がりました。いろいろ調べたら、夏のツノには産毛が生えていて、それが光をキャッチしているそうです。――’17年に愛媛の大学を卒業後、北海道に移住したそうですね。もともと教員志望でしたか?柳楽:教員免許を取れるコースだったので選択肢にはありましたが、普通に就活してました。出身地の島根の企業などを受けていて、会社員として働く予定でいたんですけど。――ガラッと変わりましたね。柳楽:大学3年生の終わりに旅した屋久島で、日本一周した2人と同じ宿になりまして。2人とも北海道の東側がめっちゃ良かったって言うんです。いろいろ調べたら、ネット掲示板に「北海道の先生になったら東のほうの海沿いとか島に飛ばされて最悪」みたいなスレを見まして。教員免許あるし、これ、応募したら喜んで採用してもらえるんじゃないかって(笑)。――で、本当にかなっちゃったんだ。そんなことあるんですね。柳楽:面接試験で「赴任地は選べないですけど希望とかありますか?」って聞かれて、「東の海沿いとか島がいいですね」って言ったら、面接官3人がめちゃくちゃ笑ってて。――その一言で決まりましたね。柳楽:嬉しそうな顔でしたね。――カメラを本格的に始めたのは移住後ですか?柳楽:そうですね。引っ越してすぐ野付半島に行ったんです。エゾシカがたくさんいて感動して、もう単純に「撮りたい!」と思いました。――初めからエゾシカが撮影の中心だったんですか?柳楽:最初は摩周湖とか屈斜路湖、知床、美瑛のお花畑、青い池などの自然を撮りに行きました。きっかけはコロナで、いろんなところへ行きづらくなったこと。近くにめちゃくちゃ素晴らしい自然があるし、シカもいる。それを撮ればいいって。あと、反骨精神もありました。地元のカメラマンに「あんなのどこにでもいて、誰でも撮れる」みたいに言われたので、エゾシカで誰にも撮れないような、誰もがかっこいいねって言うような作品を撮ってみよう、と。――実は私もシカが多い土地で育ったので「なんでエゾシカ?」と思ったひとりです。でも、柳楽さんの作品は頭の中のシカ像を見事に覆してくれました。柳楽:ありがとうございます。シマエナガやヒグマは対象物としての強さがあり、撮れただけですごい。でも、価値がないように見えるエゾシカも、いざ目の前に出てきたら、みんな写真を撮るでしょう。北海道では害獣で、嫌われ者ですけど、革に使われるし、肉もおいしい。飲食店に行くとツノが置いてあったり。なんだかんだみんな、嫌いだけどちょっと好きみたいな。僕の好きな写真家さんに井上浩輝さんという、キタキツネを撮る方がいらっしゃるんですけど、キタキツネもエゾシカと同じようにちょっと嫌われてるんです。どこにでもいて、誰でも出合える。だからこそいろんな景色と一緒に撮れてバリエーションが豊富になる。そういうのをエゾシカでやりたいなと思いました。――撮影中に大変な思いをされたことってありますか? 柳楽:あまりないんですよね。湿地にハマって抜け出せなくなったとか、それくらい。ズブズブズブッと腰の下くらいまで埋まりました。這い上がれなくなって、泥だらけになりながらカメラを投げました。――さらっと怖いことを。釧路湿原には深い穴があって、沈んじゃうんですよね。柳楽:「谷地眼」ですね。――それです。湿原の落とし穴。柳楽:あと、めちゃくちゃ近くにヒグマが来たこともあるんですけど、何もしなければ別に襲われることもないです。それよりも森の中で人に会った時のほうがびっくりする。怖いですね。――現在の高校では何を教えていらっしゃるんですか?柳楽:社会科ですね。地理と歴史総合、政治・経済、あと公共っていう科目をやってます。――教員しながら撮影時間を捻出するの大変じゃないですか?柳楽:今は釧路市に住んでいて、高校まで車で50分ぐらいかかるんですけど、釧路湿原をバーッてかすめながら走るので、途中でタンチョウとかがいるんです。天気のいい日はちょっと車を止めて30分くらい撮って、帰りも同じように30分ブラブラする。昔は日の出前に家を出て、始業前まで撮影していたけど、今はそこまでしていません。日常生活を犠牲にしてまでやることじゃないっていうか、世間一般の感覚を失ったら良くないと思って。視野が狭くなりそうなので、教員を辞めて写真だけをやるっていう考えにはならないです。――写真を通して生徒や地域の人に何を伝えたいですか?柳楽:こんなに素晴らしいものの価値に気づいてないのはもったいないなという気持ちになります。田舎はどこもそうかもしれませんが、「うちには何もない」ってよく言うんです。外に出て初めて気づくみたいに言われるんですけど、やっぱり一番多感な時期に地域の魅力に気づいてほしいですね。生徒が札幌や東京に出る進路選択をしても、その先で「うちの街最高だよ」って言ってもらいたいし、どこかで繋がりは持っておいてほしい。その子たちが外から地域を応援してくれたりUターンで戻ってきてくれたりしたら嬉しいです。――地元の方からはどんな写真が人気ですか?柳楽:釧路の方には市内の繁華街で撮ったキタキツネの写真がすごく反応いいです。――幻想的な作品ですよね。偶然居合わせたんですか?柳楽:何回か飲みに行ってる時に見かけました。ゴミとか漁っちゃうんですよね。ロードキルや餌づけの問題って北海道で結構叫ばれていて、そういう作品を撮りたいなとは思っていました。でも、暗い話題になると写真を見てもらえない。街中のキラキラしたところにキタキツネがいる写真だったら自然に興味のない人も見てくれるかも、と。――他校から依頼を受けて出張授業をすることもあると聞きました。この写真も使ったり?柳楽:そうですね。「CGみたい、めっちゃきれい」という感想から、問題を考え、だんだん静かになっていきますね。写真を通して地域の問題を発信するようになったのは、世界遺産・知床にある「知床自然センター」の存在が大きいです。ヒグマと人間の距離の問題を積極的に発信しているんです。ヒグマを見る人たちの車で渋滞が発生したり、餌づけされて人間に近づきすぎて最終的に駆除されるヒグマがいる現実を伝えています。なので僕も、ただきれい、かっこいいだけで終わらせない写真を撮っていきたいです。
(瀬戸内海を泳ぐ1頭のイノシシ:香川)
高松海上保安部は7月3日、小豆島沖の瀬戸内海を泳ぐイノシシ1頭の映像を公開しました。こちらが瀬戸内海を泳ぐイノシシの動画です。3日午前11時ごろ、香川県小豆島町の大角鼻の南、約7.4キロの海上で撮影されました。付近をパトロールしていた高松海上保安部の巡視船・いぶきの乗組員が撮影したもので、イノシシは南に向かって泳いでいたということです。イノシシの大きさは分かっていません。高松海上保安部によりますと、瀬戸内海では2022年11月にも、高松市沖の女木島の西で、イノシシ1頭が泳いでいるのが確認されているということです。
(京都大キャンパス、フェンス越しの雑木林にクマ:京都)
京都大桂キャンパス(京都市西京区)に隣接する雑木林で6月末、クマの目撃情報があり、京大が学生や教職員に注意を呼びかけている。京大によると、目撃されたのは、キャンパス中央部の京都大学桂図書館の近くにある丘陵の雑木林。林との境界に沿って道路があり、6月30日午後11時頃、海外から滞在中の共同研究者が道路脇のフェンス越しの林側にいるクマを見たという。付近は学生や教職員の通行は少なく、主に出入り業者の車両や教職員向けの駐車場への通路となっている。北側の嵐山方面に向かって山林が広がっている。京大は7月2日午前までに学生や教職員向けに目撃情報や注意喚起を電子掲示板などを通じて行った。工学研究科修士1年の大学院生の男性(22)は「京都市内の目撃情報が多いのは気になっていて、怖いけど実感はなかった。誰かと一緒に声を出しながら歩くなどして、気をつけていきたい」と話していた。
(グラウンド付近にイノシシ「クマかと思い、猟友会が出動」:石川)
4日午前、石川県津幡町の小学校のグラウンド付近で、イノシシ1頭の目撃情報があり、当初、「クマかと思い」、警察や猟友会が出動して、周辺で警戒する騒ぎとなりました。津幡町によりますと、4日午前9時20分ごろ、石川県津幡町七野の萩野台小学校のグラウンド付近で、東側の茂みに逃げるクマのような動物が目撃されました。学校は休みで、けが人はいませんでいた。萩野台小学校が撮影した画像を、かけつけた猟友会が確認したところ、クマではなく、イノシシでした。津幡町では地域の住民に注意を呼びかけています。
(「クマを目撃して立往生している」と通報、警察ヘリコプターに救助され全員無事:北海道)
4日、北海道新得町のトムラウシ山(標高2141m)で登山者がクマと遭遇して下山できなくなり、4人が道警のヘリコプターに救助されました。警察によりますと、4日午後2時半ごろ、トムラウシ山の標高1724m「前トム平」付近で、下山中の60代男性が50メートルから60メートル前方にクマ1頭を目撃しました。その後、後ろから来た別のグループ3人と合流し、午後4時ごろ、警察に「クマを目撃して立往生している」と通報。午後6時ごろ、道警のヘリに全員救助されました。4人にけがはありません。クマは体長1.5メートルほどで、しばらくして姿が見えなくなったということです。
(自動車道にクマ入り込み一時通行止め:秋田)
4日朝、岩手県と秋田県を結ぶ秋田自動車道にクマ1頭が入り込み、一部の区間で3時間半にわたって通行止めになりました。クマはしばらく道路上にとどまっていましたが、その後姿が確認されなくなり、通行止めは午後1時に解除されました。4日午前7時ごろ、岩手県内の秋田自動車道で「道路上でクマが動いている」と警察に通報がありました。警察官が駆けつけたところ、クマ1頭が道路上にいるのが確認されたため、秋田自動車道は、岩手県の北上西インターチェンジと湯田インターチェンジの間の上下線で、午前9時半から通行止めとなりました。警察によりますと、クマはしばらく道路上にとどまっていましたが、その後、道路脇のやぶに入り、爆竹を鳴らすなどしても姿が確認されなかったため、通行止めは午後1時に解除されました。
(キャットフードとカブの漬物を…:岩手)
警察によりますと、7日午前4時ごろ、岩手県雫石町西根東篠崎の民家で保管していたキャットフードとカブの漬物を成獣のクマ1頭に食べられる被害がありました。家の人が大声を出すとクマは逃げていきましたが、午後7時20分ごろ、再びクマにキャットフードを食べられました。クマはすでに立ち去っています。
(新交流拠点「マタギの台所」:秋田)
「マタギ発祥の地」とされる秋田県北秋田市阿仁の根子集落で、ジビエ(野生鳥獣肉)の解体処理と山菜などの食材加工、飲食・宿泊体験ができる交流拠点「マタギの台所 ウヘエ」が3日、グランドオープンした。4日は一般向けに施設を開放、音楽ライブなどのイベントを予定している。ウヘエは集落西側の高台に立つ築130年超の古民家を改装。名前は古民家の屋号に由来する。20年以上前から空き家になっていたが、集落の有志6人が2024年3月、合同会社「根子商店」を設立。市外に住む所有者の同意を得て清掃から始め、DIYを中心に建物内外を整備した。
(シカ肉カレーにキーマとバターチキンが仲間入り:北海道)
野生肉専門店「やせいのおにくや」(足寄町)は、エゾシカ肉を使った「キーマカレー」(缶詰)と「バターチキン風カレー」(レトルト)を発売した。2022年に発売した「エゾシカ肉のグリーンカレー」に続くシリーズ。辛さや味わいの異なる商品を加え、より幅広い層が親しめる味でジビエの裾野拡大を目指す。
(南房総地域で”獣”に関する調査を行いました:城西国際大学)
2026年6月21日(日)、鴨川市のジビエ料理専門店「狩人料理またぎ」と、君津市のジビエ肉販売店「猟師工房ドライブイン」を訪問し、学生によるインタビュー調査を行いました。本調査は、10月に予定しているイベントに向けた事前学習の一環として行なったもので、ジビエの活用、鳥獣駆除の現状、獣害の課題、さらにはジビエの流通・販売の実態などについて、現場の方々から直接お話を伺いました。学生たちは、地域における具体的な課題と、それに対する取り組みやビジネスの可能性について理解を深めるとともに、新たな視点や気づきを得る機会となりました。今回の学びを、今後の企画・実践へとつなげていきます。
(大食いクリエイター・りっかちゃんがジビエに衝撃を受け、狩猟免許を考えるまで)
TikTokやYouTubeで注目を集める大食いクリエイター、りっかちゃん。驚異的な胃袋を持つ彼女の活動は、今や単なるエンターテインメントの枠を越えつつある。地元の活性化を目指したインターン経験や、ジビエを通じた社会課題へのアプローチ。食への純粋な愛を原動力に、自らの影響力を使って社会に貢献しようと奮闘する彼女の、真摯な情熱と現在地に迫る。「もともと、食べることが大好きだったので、『食に関わる仕事がしたい』と思って就職活動を始めたんです」。そう語るのは、TikTok、YouTube、Instagramで人気を集める大食いクリエイター・食いしん坊女子りっかちゃん。大食い大会では、寿司を30分で150貫、普段でも40~50皿ほど平らげる、驚異の胃袋の持ち主だ。「ただ、食品メーカーでも仕事でご飯を食べられるわけではない。そこで、『食べること』と『作ること』は違うなと思ったんです。そんな時に、まちおこしや地域活性化、地方創生にも興味があったので、地元である茨城県ひたちなか市の市役所の長期インターンに参加しました」。地元の駅前商店街は、本人の目にはシャッターが目立つほど人通りが少なくなっているように映ったという。そんななか、近所で大規模なイベントが開催されることになり、「商店街に人を呼べるようなコンテンツを作る」というのが、インターンで与えられたミッションだった。「インターンのみんなで『何をしようか』と話し合っている時に、『地元の人たちがおすすめする飲食店を紹介しよう』という結論に至りました」。実際に行動へ移すと、大きなやりがいと達成感を得た。「食を通じて人や地域の魅力を発信するのはとても楽しいなと思ったんです。そして、『観光大使になればもっとこの仕事ができるかもしれない』と思いました。そのためには、わたし自身が有名にならないといけない……。そこで、大食い番組や大会に出た経験もあったので、『だったら大食いをSNSで発信しよう』と決めました」。ただ、その道を選ぶには大きな壁があった。インフルエンサーとして活動するということは、新卒で企業に就職する道とは異なる選択でもある。両親、特に父親は、娘に安定した仕事に就いてほしいと考えていた。「とにかく、両親を説得することが大事でした。家族仲も良かったので、反対されているうちはやりたくなかったし、親不孝なこともしたくなかったんです。そこで、自分の活動をその都度報告するようにしました。再生回数やフォロワーの増減、収益はどのくらいあったかなど、細かく定期的に伝えていました。そうしたら、親もだんだん理解してくれて、今は応援してくれています」。そんな彼女は今でも、ひとりで数字を分析し、試行錯誤を積み重ねている。「表示回数や視聴回数、エンゲージメント数、クリック数などのインサイトを見るのが好きなんです。2年活動しているので、『何曜日の何時に上げるとどれくらい表示される』といったことが分かるようになりました。それに、その特性はTikTok、YouTube、Instagramでそれぞれ違います。それらを考えて投稿し、予想通りに再生回数などが伸びた瞬間が、一番モチベーションになります」。その一方で、人気ジャンルとなった大食い動画だからこそ、向けられる視線も厳しい。華奢な体に5キロもの食事が入ることを信じてもらえず、いわゆる「チューイング(食べ物を噛んで吐き出す行為)」を疑われることも少なくない。過去には、「吐き捨ててると思われるのが嫌で、食べ終わった後のお腹を映すことをSNSを始めた当初からずっと続けている」というXへの投稿が大きな反響を呼んだ。「そのときは、『どうしてこんな懐疑的な声と戦わないといけないのか』と思ってしまったんです。というのも、わたしはフードファイターとして大会にも出場しています。負けたら悔しがるほどの『ファイター魂』もあります。動画にはしていませんが、『食トレ(食事トレーニング)』をしたり、デカ盛りのお店へ通って胃袋を広げる訓練をしたり、実は努力をしていて。だから、『食べてないでしょ』と言われることがとても悔しくて、一切編集を加えていない動画を反論のために投稿するようになりました。ただ、今では『そう思う人がいても仕方がないかな』と考えが丸くなりました」。そんな彼女が最近、興味を抱いているのがジビエ料理だ。「友人がジビエを広める活動をしていて、バーベキューに呼んでもらったんです。正直、食べる前はジビエに対して『おいしくない』『獣臭い』というイメージがありました。ただ、会場に行くと、サプライズでエゾシカの肉を4キロも用意してくれていたんです。好意を無下にできないと思い、意を決して食べてみたら、新鮮な赤身だったこともあって、めちゃくちゃおいしくて……。本当に骨だけ残るくらいまで食べました」。その会にはハンターや料理人も集まっていた。そこで、ジビエのおいしさだけではなく、社会に根強く残る偏見など、その背景にある課題も知った。「ジビエ肉は低カロリー・高タンパクで、ヘルシーな食材として注目されています。ただ、そもそもの消費量が少ないため、ハンターさんが鹿やイノシシを獲っても、食肉として利用されず、処分されてしまうケースもあるそうです。それは、命がもったいないですよね」。ただ、鹿やイノシシを放置すると、農作物への被害が増えてしまう。そのため、ハンターは有害鳥獣を駆除している。「そのお肉をわたしたちがおいしく食べることができれば、土に埋めることなく、命をムダにせずに済みます。その命のやりとりの大切さを広めていきたいと思い、狩猟免許や猟銃の所持許可について調べるようになりました。これからは食を通して、地域などにいい影響を与えられるようになりたいです」。地域や社会課題への思いを語る一方で、その原点にあるのは、やはり「食べることが好き」というシンプルな気持ちだ。その食欲は、取材中も変わらなかった。撮影のために用意されたバインミーは、気づけば3つとも完食。このあとも、何か食べる予定はあるのだろうか。「お寿司かお肉を食べたいですね。でも、この辺り(取材場所の神保町)ってカレーが有名なんですよね? カレーも気になります!」。目の前にある食事を全力で楽しみ、その命の尊さを社会に伝えていく。彼女の底知れぬ胃袋には、食を通じた社会貢献という大きな夢が詰まっている。
(最高賞のジビエ堪能、「うりぼうのコンフィ」:富山)
日本フードアナリスト協会のジャパン・フード・セレクションの食品・飲料部門で最高賞のグランプリに輝いたジビエ商品を手掛ける「mutty’s(ムッティーズ)」(黒部市)の受賞レセプションは5日、富山市本町のオステリア佐藤で開かれ、約60人がトリュフとイノシシの幼獣の肉を組み合わせた商品をコース料理で味わった。受賞した商品「トリュフ香るうりぼうのコンフィ」は、イノシシの幼獣(うりぼう)の肉に黒トリュフを合わせ、低温のオリーブオイルでじっくり煮込んだ。オステリア佐藤の佐藤靖浩シェフが商品のレシピを考案した。レセプションでは、来店客はペアリングワインとともに料理を堪能した。氷見市の川嶋康栄さん(53)は「トリュフの香りがきき、あっさりしておいしかった」と話した。
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(クマに襲われ男性重傷:栃木)
30日午前5時15分ごろ、那須塩原市中塩原で、住民が「男性がクマに襲われた」と119番した。近くの畑にいた同所、農業男性(73)が顔などに重傷を負った。男性を襲ったクマは発見されておらず、那須塩原署や市は警戒を呼びかけている。
(猟友会の男性がクマに噛まれる:京都)
29日午後、京都市右京区で猟友会に所属する男性1人がクマに腕を噛まれ、7針を縫うけがをしました。京都府によりますと、けがをしたのは府の猟友会に所属する捕獲員の40代男性です。29日午後1時半ごろ、京都市右京区京北の山中でシカやイノシシの捕獲作業中、体長約1メートルで成獣のツキノワグマ1頭と遭遇し、右腕を噛まれました。その後、クマは逃げたということです。京都府内で確認されたクマによる人身被害は今年初めてで、府は注意を呼びかけています。
(イノシシにかまれ男性大けが:宮城)
6月29日午後5時半ごろ、宮城県山元町浅生原箱根の農業男性(77)が自宅近くの畑でイノシシにかまれたり、引っかかれたりして、腕や足に大けがをした。
(クマにかまれたとみられる遺体の身元判明、「人間を獲物と認識している可能性」:青森)
青森県警青森署は1日、6月29日に八甲田山中で見つかったクマにかまれたとみられる傷のある身元遺体について、同28日から行方不明になっていた黒石市の会社員男性(63)と判明したと発表した。同署は「クマが人間を恐れないばかりか、獲物と認識している可能性がある」とし、クマ出没地域への入山を控えるよう強く呼び掛けた。県は八甲田地区(八甲田山系)に危険度が最高レベルの「ツキノワグマ出没特別警報」を発表中、青森市も入山自粛の呼び掛けを強化している。
(箱罠にかかったツキノワグマを許可なく捕獲か、84歳と64歳の男2人を逮捕:奈良)
奈良県の山中で箱罠に誤ってかかったツキノワグマ1頭を許可なく捕獲したとして大阪府内に住む男2人が逮捕されました。鳥獣保護法違反の疑いで逮捕されたのは、韓国籍で大阪府柏原市の金属加工業、金安雄(きん・やすお)容疑者(84)と松原市の不動産業、森川学容疑者(64)です。警察によりますと2人は今年1月4日の午前7時54分ごろから午前10時ごろまでの間、奈良県川上村の山中で箱罠に誤ってかかったツキノワグマ1頭を県の許可なく捕獲した疑いが持たれています。村の職員が「ツキノワグマが何者かに持ち去られた可能性がある」と通報し、発覚したということです。2人はクマを猟銃で殺し持ち去ったとみられますが、取り調べに対しいずれも容疑を否認していて警察が当時の状況を詳しく調べています。
(クレー射撃協会、会長ら理事6人の解任動議を可決)
日本クレー射撃協会は30日、東京都内で総会を開き、組織運営におけるガバナンス(統治)や透明性、公正性の欠如などを理由に、2期目だった不老安正会長(82)ら理事6人に対する解任動議を可決した。その後に役員を改選し、新理事を選出。近く臨時理事会を開き、新理事による互選で新会長を決める。
(エゾシカ捕獲数初の17万頭超、4年連続で過去最高の見込み:北海道)
道内で増え続け、深刻な農業被害を及ぼしているエゾシカについて、昨年度の捕獲数が初めて17万頭を超え、目標値には届かなかったものの4年連続で過去最高となる見込みであることが分かりました。道によりますと、エゾシカは2024年度の時点で道内におよそ73万頭生息するとみられていて、野生動物による農業被害の8割を占め、被害額は50億円余りに上るなど深刻な状況となっています。道はエゾシカの個体数を減らそうと、毎年、捕獲数の目標を決めた上で、捕獲に取り組んできました。こうした中、昨年度の捕獲数が初めて17万頭を超え、4年連続で過去最高となる見込みであることが、1日、開かれた道議会で報告されました。ただ、目標としていた18万5000頭には達しておらず、道は、おととし定めたエゾシカの「緊急対策期間」がことし最終年を迎えたことから、より多くの地域で捕獲する期間の延長などを検討していて、効果的な対策を講じていきたい考えです。
(野生イノシシの豚熱感染:佐賀)
佐賀県は1日、神埼市で捕獲した野生イノシシ1頭と、みやき町で死んでいた2頭が豚熱(CSF)に感染していたと公表した。両市町での確認は初めて。生産者支援課によると、6月16日に神埼市神埼町尾崎で猟友会会員がわなにかかった成獣を捕まえ、中部家畜保健衛生所に届けた。29日にはみやき町原古賀で住民が死んでいる成獣2頭を見つけ、町に連絡した。神埼市のイノシシは23日に、みやき町は30日に陽性が判明した。
(クマ頭数、統一調査で正確把握へ)
全国的にクマによる被害が増加する中、環境省は6月30日、全国統一の方法での個体数推定に向けた調査を始めた。これまで各地で異なる時期や手法で行われていたものを統一することで、より正確な頭数を把握して適正な捕獲目標数を定める。2026年度は特に被害の多い東北6県と新潟県で調査を進め、生息地や県ごとに推定個体数を示す予定だ。30日は同省の委託業者が仙台市内の国有林に入り、調査用のカメラやクマをおびき寄せる蜂蜜と赤ワインを混ぜた誘引物などを設置した。調査は、個体識別を行う局所的だが高精度な手法と、個体識別をせず頭数のみを広範囲で数える二つの手法を組み合わせる。これにより、個体数推定の精度が上がるという。この調査のため、東北と新潟県で計800台以上のカメラを設置。通過したり、誘引物におびき寄せられたりしたクマを撮影。ツキノワグマの特徴である胸にある半月状の模様の違いで識別する。26年度は7月中にカメラの設置を終え、約3カ月撮影した後にデータを回収。27年3月の推定個体数公表に向け、分析を進める。政府が3月に示したクマ被害対策ロードマップでの推定個体数は、東北で1万9237頭などとなっている。より実態に近い推定個体数を調査を基に導き出し、関係者と協議の上、都道府県ごとの捕獲目標数を設定する見通しだ。環境省鳥獣保護管理室の高橋優室長補佐は「地域ごとにこれぐらいの個体数であれば人とのあつれきが減る、というのを見極めて個体数を減らしたうえで、人間側も柿の木を切ったり、ごみを適切に処分したり誘引物を除去することなどでクマによる人身事故が減っていけば」と話した。
(クマ出没警報を来月31日まで延長:富山)
先週、富山県南砺市でクマによる人身被害が発生したことを受け県は、緊急の対策会議を開き、ツキノワグマ出没警報を来月31日まで延長することにしました。今年県内はクマの出没件数が28日までに162件と大量出没した去年より66件多くなっています。県や各市町村の担当者が出席した緊急対策会議では先週、南砺市城端地域で男性がクマに襲われけがをした人身被害について報告され、現場が、やぶの茂った場所だったことを踏まえ、雑木林の伐採を進める必要性が述べられていました。また、この時期はクマが餌を求めて人里近くまで出没するおそれがあるとして「目撃情報を速やかに共有し、住民が適切に避難できるようにすることが重要」と説明されていました。
(上高地で鹿の捕獲を初実施へ:長野)
林野庁中信森林管理署(長野県松本市島立)は本年度、松本市安曇の山岳景勝地・上高地の国有林内で、ニホンジカの捕獲を初めて実施する。奥上高地の徳沢周辺と、梓川の対岸に位置する下又白谷の2エリアに、わなを仕掛ける。徳沢を代表する植物・ニリンソウを食べる鹿が目撃されており、捕獲を進めて上高地の自然環境を守る。牧草を固めた餌で鹿をおびき寄せ、餌場と認識させてから、くくりわなを仕掛ける。観光客や登山者の目に付かない場所に設置し、計10カ所を予定する。周囲に餌がなくなる10~12月に実施する予定。北アルプスにはもともとニホンジカは生息していなかった。平成26(2014)年に上高地で目撃されて以降、個体数の増加と生息域の拡大が確認され、同署がこの2エリアに設置した自動撮影カメラには、鹿が何回も撮影されている。環境省は令和4年度から焼岳登山道―大正池周辺で試験捕獲を実施、毎年1~3頭を捕獲している。同署の高塚慎司署長は、北アルプス以外の山岳地域で、鹿の侵入を確認してから約10年で植物が壊滅状態になった事例があるとし、「鹿の生息密度は低いが、壊滅状態にならないためにも今のうちから捕獲を進め、高山帯の自然環境を保全したい」と話している。徳沢の宿泊施設「徳澤園」会長の上條敏昭さん(77)は、捕獲を歓迎し「徳沢はニリンソウの宝庫だが、みんな食べられてしまう恐れもある。早め早めの対策をしてほしい」と話している。
(熊被害が相次ぐ八甲田への入山自粛を呼びかけ:青森)
青森市荒川の八甲田山系の山中でクマによる人的被害が相次いでいることを受け、市は30日、現場周辺の半径3キロの入山自粛を呼びかけると発表した。周辺では6月24日に70代女性が襲われ負傷し、29日には身元不明の男性の遺体を発見。タケノコ採りで入山した60代男性2人が行方不明となっている。入山自粛の要請は人身事故があった地獄沼周辺を起点とした範囲。期間は7月31日まで。登山道入り口も対象とするかどうか県と協議する。市は30日、国や県、警察などと関係者会議を市役所で開いた。現場周辺は十和田八幡平国立公園の特別保護地区で、タケノコを含む山菜採りが禁止されており、チラシなどで周知することを確認。クマの駆除に向けた箱わな増設や現地パトロール強化も決めた。
(洞爺湖中島のシカ根絶「最終章」、最大450頭から半世紀経て29年度ゼロへ:北海道)
胆振管内の洞爺湖町と壮瞥町にまたがる洞爺湖の中島(大島)で、環境省などが半世紀近く取り組むエゾシカの駆除作業が大詰めを迎えている。シカの食害が森林植生荒廃の原因となったため、猟銃やわなによる捕獲を行った結果、最大450頭いたシカは数十頭に減少。「2029年度までにゼロ」を目標に異例の夜間銃猟などにも取り組むが、「島まるごと」の野生鳥獣の根絶は国内でほぼ事例はなく、成否が注目される。
(まるでバリカン刈り、湿原で見た「異様」:栃木)
シカがわがもの顔で振る舞っている。貴重な植物ばかりか若い木々を食い荒らし、山の生態系を変えてしまうおそれがある。こうした状況が続くと、クマの人里への出没につながる可能性もあるという。記者が現場を見て回った。「ここにもシカが入ってきていますね」。6月中旬、栃木県日光市にある「日本一標高の高い高層湿原」とされる鬼怒沼(2020メートル前後)の、人が入らないような一角。環境省日光国立公園管理事務所長の有山義昭さんが悔しそうな表情を見せた。
(ハンター養成講座は受講希望者が増加:宮城)
市街地へ出没が相次ぐクマの捕獲を担うハンターの需要が高まる中、希望者が増えています。どのような人が何を思い、危険と隣り合わせのハンターを目指すのでしょうか。4月、仙台市青葉区の中心市街地に体長約1.5メートルのクマが居座り、住民に不安が広がりました。宮城県によりますと、6月のクマの目撃件数は300件を超え過去最多を更新しました。宮城県が4月から出しているクマ出没警報は2度延長され、解除されていません。宮城県クマ対策会議「4月からクマの出没が相次ぐ中、一刻も早い捕獲が必要と判断しまして、早ければ7月中にも捕獲を開始できる見通しとなっております」。出没増加を受けて、宮城県は2026年度から方針を転換します。被害が出てから捕獲する有害捕獲とは別に、クマの個体数を計画的に減らしていく捕獲事業について2025年度は4頭でしたが、2026年度は大幅に増やし390頭を目標としました。そこで、捕獲の最前線に立つハンターの育成がますます重要となります。6月に始まった2026年度新人ハンター養成講座の開講式は、宮城県猟友会が運営を担う県営のクレー射撃場で行われました。宮城県猟友会遠藤哲朗副会長「クマです、朝から晩までクマ、これが現在の状況です。テレビの画面に映っている方々をパッと見ますと、若い方はおりません。若い人の力がやっぱり絶対必要だと思います」。クマの捕獲や駆除は猟友会に所属するハンターが担いますが、2025年度の宮城県の会員数は1853人とピークだった1978年度の8755人から大幅に減少しています。高齢化も進んでいて、若い世代のハンターを増やすことが宮城県と猟友会共通の願いです。養成講座は、ハンターになりたいという人を対象に宮城県が2013年度から毎年開催しています。宮城県の担当者「注目度が高いこともあってか100名近い応募がございまして、その中から総勢40名の皆様に受講をいただくこととなりました」。応募は例年40人前後だったところが、今回は何と約100人から希望が寄せられました。講座は11月まで6回開催される予定で、ハンターになるために必要な狩猟免許の取得方法などを主に猟友会のメンバーが解説します。狩猟免許の中でも、クマの捕獲に使うライフル銃や散弾銃を扱うためには第1種銃猟免許の取得が必要です。この日は講習用の模造銃を使って、初心者が銃を選ぶ際の注意点が解説されました。宮城県猟友会の講師「皆さんが買うのであれば上下二連。上下に2本筒があります。こういうオーソドックスな銃。射撃でも狩猟でもどっちでも使える」。ハンターは、銃を携え時にはクマと対峙する危険な仕事でもあります。全員がクマの捕獲に携わるわけではないとはいえ、なぜ参加を希望したのでしょうか。会社員「クマのこととかニュースでやっていますし、ハンターの方々が高齢ということもあったので、本当にその通りであれば地域貢献で少しでもやれたらなと思って」。公務員「職場の周りや祖父母の家でも出ていると聞いて自分も目撃、遭遇したことがありますので、自分も役に立てたらなと思って来ています」。この春に就職で仙台市に移ってきた新社会人の海老澤明歩さんは、今回の受講者で最年少の22歳です。海老澤明歩さん「狩猟の仲間というか全然知らない人ばかりで、まずは人脈作りということから来ました。猟師さんを見てきて、かっこいいなと思ったことが一番大きかったと思います」。茨城県出身の海老澤さんは大学時代、自然環境を調査する会社のアルバイトでハンターの仕事を手伝いました。主な役割は、毎朝山に入りシカやイノシシがわなに掛かっていないかの見回りでした。既にわな猟の狩猟免許は持っていて、8月の試験に合格して銃を扱えるようになりたいと話します。海老澤明歩さん「実際ニュースを見て大変なんだろうなと。猟師さんたちも頑張っているので、自分もちょっとでも力になれたらいいなとは思っています」。実家が酪農を営む海老澤さんは、自身も将来何らかの第1次産業の経営に携わることが目標でハンターの経験も生かしたいといいます。海老澤明歩さん「将来的には第1次産業系に行きたいので、農業被害から守っていきたいなと」。
(狩猟に関心持つ人へ、フォーラムでハンターの世代交代後押し:秋田)
クマやイノシシなどの捕獲や駆除の手伝いや、趣味で鳥や獣を狩猟できるハンターについて広く知ってもらうための「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」が6月28日、秋田県由利本荘市の県立総合射撃場で開かれた。昨年のクマの大量出没や人身被害の続発を受け、狩猟に興味を持つ人は微増傾向にある。主催した県や県猟友会は狩猟免許試験の定員を増やすなどして、ハンターの世代交代を後押ししている。フォーラムでは、狩猟者の社会的な役割がさらに大きくなっていることを背景に、ハンターに必要なものが紹介された。模擬銃やわなの展示、くくりわなの実演のほか、イノシシやシカの肉のカレーの提供もあった。また、狩猟免許試験に合格して猟友会に加わると、ハンター用の帽子やベストが無料で配布され、狩猟者の登録や書類手続きの代行、先輩から猟銃を譲り受けられるようになるなどのメリットを紹介する資料も置かれた。秋田県猟友会の佐藤寿男会長によると、猟友会メンバーは近年1400人ほど。「銃を持つ場合でも県や市町村の補助などでそれほど大きな金銭的負担はかからない」と話す。県によると、今年度の狩猟免許試験は6月から始まり、昨年度より定員や試験の回数を増やすとしている。問い合わせには県の各地の出先機関が応じている。
(イノシシとシカ狩猟強化へ:岡山)
岡山市は16日、市内での2025年度の有害鳥獣捕獲頭数について、イノシシは3340頭、ニホンジカは508頭だったと明らかにした。いずれも前年度から減少したものの、北西部や東部で農作物被害が増える傾向だ。
(獣害対策に関する実証研究開発事業の連携協定を締結:大阪経済大学)
2026年6月22日(月)、大阪経済大学は福井県南越前町と「獣害対策に関する実証研究開発事業」の連携協定を締結しました。近年、野生動物による被害は農作物にとどまらず、人命や地域住民の安全にも関わる社会課題となっています。南越前町でもツキノワグマやニホンジカなどによる被害への対応が重要課題となっており、本協定は、同町が有する地域での実践的な知見と、本学情報社会学部のAI・ロボット・衛星通信などの先端技術を融合し、より効果的で持続可能な獣害対策の実現を目指すものです。協定式では、南越前町の仲倉典克町長と本学の山本俊一郎学長が協定書に署名し、今後の連携に向けた期待を述べました。仲倉町長は、「獣害対策は農業を守るための取り組みから、人命を守るための取り組みへと重要性が高まっています。今回の協定を契機として、獣害対策だけでなく、学生の皆さんにも南越前町を訪れていただき、地域との交流や新たなつながりへと発展することを期待しています」と述べました。山本学長は、「本学では情報技術やデータ活用を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。大学、自治体、地域、企業、学生が連携する『共創』によって、地域課題の解決と学生の実践的な学び、新たな価値の創出につなげていきたいと考えています」と挨拶しました。続いて、本学情報社会学部の安彦智史准教授が、実証研究開発事業について説明しました。近年は高齢化や耕作放棄地の増加、狩猟者不足などを背景に、人と野生動物の生活圏の境界が曖昧になり、獣害問題は農作物被害だけでなく地域住民の安全を脅かす課題へと変化しています。本事業では、これまで実施してきた音や光などによる忌避実験で明らかになった「動物の慣れ」「効果範囲の限界」「管理にかかる人手」といった課題を踏まえ、固定型・人力中心の対策から、AIやロボットを活用した自律型の獣害対策へ発展させる研究を進めます。令和8年度は、主に次の3つの研究開発に取り組みます。・AIにより対象動物を判別し、安全性に配慮した「AIくくり罠」の研究開発・移動型ロボット「ウルフムーバー」を活用した広域での獣害抑制に関する実証実験・四足歩行ロボットを活用した山間部や不整地での自律パトロールの実証実験さらに、カメラ映像のAI解析やクラウドでのデータ蓄積・管理を組み合わせ、将来的には動物の出現情報を可視化するマップの運用なども視野に入れ、地域全体で獣害対策に取り組む仕組みづくりを目指します。本学は今後も南越前町との連携を通じて、先端技術を活用した地域課題の解決に取り組むとともに、学生の実践的な学びの機会を創出し、産官学連携による新たな価値の創出を推進してまいります。
(クマうなり声、緊迫の救助:富山)
6月26日に南砺市立野原東でクマに襲われた男性作業員1人を救助した南砺消防署の隊員が、現場でクマが威嚇するうなり声を聞きながら救助活動を行い、クマ撃退スプレーも使っていたことが1日、同署への取材で分かった。同消防署は人命救助に当たる救急隊員に加え、クマを警戒する「支援隊」も派遣して救助に当たった。専門家からは、クマ対応に向かった人が襲われる「二次被害」の可能性を指摘する声もあり、安全対策に万全を期すことが求められる。男性作業員が襲われたのは、一日の工事を終えて帰ろうとした26日午後4時ごろ。助けを求める男性の大声を聞いた同僚が119番通報した。男性は額と左前腕、背中を爪で引っかかれる重傷を負いながら、親子とみられる成獣1頭と幼獣2頭を目撃。大声を出した後、クマはいずれも、やぶの中に姿を消した。南砺消防署によると、人命救助に当たる救急隊員3人と、クマを警戒する支援隊員4人が現場に到着した際、クマの姿は見えなかった。隊員たちは救助活動中、やぶの中からクマとみられるうなり声を聞き、近くにクマが潜んでいることに気付いたという。現場は草木が生い茂っており、支援隊員は撃退スプレーを構えて姿の見えないクマを警戒。被害男性と救急隊員を守るため、スプレー2本を発射した。隊員は猟銃を持つ捕獲実施隊員や南砺署員、市職員が到着する前に救助活動を行っており、消防隊員のみでクマと対峙(たいじ)する状況となっていた。山間地を抱える市域でクマの出没が相次ぐ中、南砺消防署は隊員がクマに遭遇する可能性を考慮し、撃退スプレーを常備していた。消防署員の一人は「クマが潜むそばでの救助活動は過去に聞いたことがない」と話す。南砺市のクマ対策を担当する森林・農地整備課の荒井清志課長はクマによる男性の襲撃について「親グマが子どもを連れていたので気が立っているのではないか」と推測する。現場では市発注の下水道工事が行われていたが、男性が襲われた翌日の27日から工事を休止している。市は1日、現場付近にクマを捕獲する箱わな1基を追加し、計2基とした。仮にクマ1頭が箱わなに入った場合、他の2頭が周囲にいる可能性があり、荒井課長は「わなの付近は大変危険。絶対に近づかないでほしい」としている。
(熊対策「誘引木伐採」完了時期は8月中に:宮城)
宮城県栗原市は1日、クマ対策として住宅敷地内や周辺の柿を切る誘引木伐採事業について、本年度分の作業完了が当初目標の7月中から1カ月遅く8月中になると明らかにした。佐藤智市長が定例記者会見で述べた。市によると、伐採木の仮置き場確保など、入札までの準備に時間を要した。本年度の対象は柿4486本で、市内を約300本ごとに14区域へ分けて発注し、うち6区域は着手済み。
(山開きの富士山麓でクマ出没相次ぐ)
富士山麓でクマの出没が相次ぎ、河口湖近くの山林では成獣とみられる個体が目撃された。以前から住み着いていた可能性もあり、観光客などに不安の声が広がっている。専門家はクマの生息域の拡大が背景にあるとして、富士登山の際にも注意を促している。河口湖が見えます。周囲には民家もあって、この場所から山の方向へ20メートルほど進んだ先、その奥はすっかり山になるんですが、その場所できのう午後1時頃にクマが発見されたということです30日、山梨県・富士河口湖町の山林でシカ用のわなの確認に向かっていた猟友会の男性がクマを目撃。体長約1メートルで成獣とみられている。クマが目撃された山林はこの男性の住宅から約100メートル離れた場所だった。地元の猟友会に話を聞くと目撃されたのは、このあたりの山林に居着いたクマではないかという。地元猟友会のメンバー:もしかしたら去年ぐらいからいついているクマが1頭いて、その個体と同じではないかと感じている。今のところは人に対して警戒心がある個体だと思う。やはり何度か人に馴れてしまったら もしかしたらということはあるなと・・・。富士山と湖の眺望を求めて、日頃から多くの人が訪れる富士河口湖町。クマの目撃に観光客からは不安の声が上がった。さらに富士河口湖町以外でも富士山の周辺ではクマの目撃が相次いでいる。富士山の麓に広がる静岡県・裾野市では5月、クマが7日連続で目撃された。この地域に現れるクマは富士山周辺に生息する“富士地域個体群”と呼ばれている。ほかの地域から道路などで分断されて生息域が狭くなっていることから、静岡県レッドデータブックでは「絶滅のおそれのある地域個体群」に区分されている。絶滅の恐れがあるとされる中でなぜ出没が相次いでいるのだろうか?専門家はクマに変化が生まれている可能性を指摘する。岩手大学・山内貴義准教授:もともと奥山にはたくさん生息している。なので富士山周辺でも(クマが)出てくる事例は前もあったが 今年はかなり多いという印象がある。クマの生息域自体がかなり広くなって、自分の生活圏の一部にしてしまっているような個体が増えているのが原因だと思う。さらに専門家は、富士山に登る際にもクマに遭遇する可能性があり注意が必要だという。岩手大学・山内貴義准教授:富士山の山の上の方に行けば森林がないのでクマは出ないが、途中のアクセスするところで見通しが悪いところだとクマが出る可能性は十分考えられる。音の鳴るようなものを持って行ったり、クマスプレーをきちんと携帯して入山した方がいいと思う。
(シカ食害や外来種、保全ままならぬ大学の森)
学生が学ぶ演習林やキャンパスにある森林の保全がままならない国立大学がある。森の適切な管理やシカの食害、外来種への対応を迫られているが、予算が乏しく、外部からの寄付や企業などの支援を求めている。九州大学伊都キャンパス(福岡市西区)から東に約30キロ。九大福岡演習林(福岡県久山町、篠栗町、計463ヘクタール)は、学生の実習や研究に活用されている都市近郊の森だ。スギやヒノキの人工林が67%を占め、ほかにカシやクスノキ、コナラといった広葉樹が茂る。国の「自然共生サイト」の取得もめざしている。これは民間などの取り組みによって生物多様性が保全されているエリアを国が認定する制度だ。九大農学研究院の古賀信也教授に車で案内してもらった。標高500メートル近い尾根筋に向かう途中、路上からニホンジカが走り去った。ヒノキの根元には樹皮がはがれた跡がある。「シカの角こすりの跡です。10年、20年後、樹皮がはがれたところから次第に腐ってしまう」と古賀さんは説明した。食害で、地面にシカが好きでない植物以外、ほとんど生えていない場所もある。すぐ近くに、電気柵で囲ったエリアがあった。太陽光発電の電気を流している。伐採跡地に再び植林したヒノキの苗が育っている。「費用の面から一部だけ囲っている。一部でも破れたり、土砂が崩れたりしたらシカが侵入してくるので、常に管理しないといけない」。
(アジサイが激減、その元凶は“真夜中に光る眼”:兵庫)
梅雨の季節に見ごろを迎える「アジサイ」の名所にある異変が起きています。闇夜に現れた光の正体とは…。兵庫県姫路市にある安志加茂神社(あんじかもじんじゃ)の境内には咲くのは、色彩豊かな約300株の「アジサイ」です。すっきりとしない日が続く「梅雨」に人気を集める神社です。多くのアジサイが順調に見ごろを迎えたように見えますが、宮司が語ったのは“ある危機”でした。茎を見てみると、たしかに切られたような跡が… 実は、ここのアジサイは“ある理由”で急激にその数を減らしています。これは2015年に撮影された写真。現在の25倍以上にあたる約8000株のアジサイが咲き誇っています。それが一体、なぜ激減してしまったのか。闇夜に浮かびあがる複数の光…。その正体はシカです。この神社では、10年ほど前から夜にシカが境内に忍び込みアジサイを食べるようになったというのです。真田宮司によると、ひどいときは50株ほどにまで減ったということです。シカがアジサイを好んで食べるわけについて専門家は…【兵庫県立大学自然・環境科学研究所 藤木大介准教授】「ものすごく鹿は(アジサイ)が大好きで、真っ先に食べられてしまう植物ですね。一応毒性はあるんですけど、鹿はそういうことは気にせずにものすごく食べます」。さらに、シカの生息域が拡大していて、この神社にたどり着いた可能性があると指摘します。神社では防獣ネットなどの対策に乗り出しましたが、効果は薄く、今でも夜になると数十頭のシカが境内に出没するそうです。この危機に立ち上がったのが地元の子どもたちです。姫路市の安富中学校で行われているのは、アジサイを育てて復活させる「あじさいプロジェクト」。およそ15人が苗を町内に植えて育て、その後、神社に植え替えるというものです。シカの食害で消滅の危機にあった神社のアジサイ。 元の状態に戻ることはできるのでしょうか。
(湿原にシカ食害対策の電気柵:北海道)
観光資源である植物がシカに食べられてしまう「シカ食害」が課題となっているラムサール条約登録湿地・雨竜沼湿原で、新たな植生保護策が始まった。NPO法人エンヴィジョン環境保全事務所(札幌)などが、湿原内の木道沿い3カ所に電気柵を設置。9月下旬まで通電し、エゾシカの侵入を防いで植物の保護を目指す。
(マダニが媒介する感染症SFTS、過去最多のペースで急増:宮崎)
マダニが媒介する感染症「SFTS」の全国の感染者数が過去最多だった去年を上回るペースで推移しています。宮崎県の感染者数が全国最多となっているこのSFTS、その感染予防と対策についてお伝えします。SFTS=重症熱性血小板減少症候群は、ウイルスを持つマダニに刺されることで感染します。県内では調査が始まった2013年以降、全国最多の127件の報告があり、今年もすでに3件の感染が確認されています。このうち1件は60代男性の死亡事例で、男性は発症前に畑で作業をしていたということです。人が感染すると、6日から2週間の潜伏期間を経て、発熱や激しい下痢などの症状が出るSFTS。現在有効なワクチンはなく致死率は30%にのぼります。日常的に屋外で作業をする人たちは、危機感を抱いています。マダニは山の中や草むらだけでなく、手入れされた庭、道路脇の草の中にも潜んでいます。県内で報告数が多い理由について専門家は・・。(宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹教授)「これは非常に環境的にも暖かいということと、あと自然豊かであるというようなこと、そういったバックグラウンドもあります」。また、県内ではダニを媒介した感染症が多く確認されてきたため、医師の意識が高く、見逃さずに診断してきたことが、全国最多の報告数になっていると考えられます。もしマダニに噛まれているのを見つけた場合は、無理に触らず、すぐに皮膚科などの医療機関を受診することが大切です。(宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹教授)「吸血してるダニが皮膚に頭をめり込ませて吸血の段階に入っているんであれば、まずはその時点でダニを取ってもらうという目的でお医者さんに行くことをおすすめします」。さらに近年は、ペットを介しての感染ルートも指摘されています。(宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 岡林環樹教授)「猫から、そして犬から人にもうつるというような事例がわかってきて、非常にリスクがあるというようなことが新たにわかってきた感染症になります」。ペットを外に出した場合は、ブラッシングなどでマダニが付着していないかチェックすることが大切です。宮崎大学では医師会などと連携しペットの感染状況をもとに人への流行期を探る研究も始まっています。発症すると命を落とす危険性の高いSFTS感染症、正しい知識を持って予防・対策をすることが重要です。
(山間部から市街地への侵入を24時間みまもるクマ検知サービス)
クラウド録画サービスシェアNo.1のセーフィーとセーフィーセキュリティは2026年7月1日、クラウドカメラの映像AIによるクマの自動検知「AI-App クマ検知」とセーフィーセキュリティの遠隔目視確認を組み合わせたクマ対策ソリューションを今夏より提供開始すると発表した。全国の地方自治体や野生動物の侵入リスクを抱える事業者を対象にレンタルで提供する。本サービスは「AIと人の二段構え」だ。クラウドカメラの画角内に映ったクマをAIが自動検知し、セーフィーセキュリティが即座に映像を目視確認する。AIのみでは誤検知のリスクがある一方、人のみでは24時間の監視体制が難しいことから、AIの検知スピードと人の判断精度を組み合わせてファクトに基づく確度の高い情報を契約者に迅速に通知する。政府が令和7年11月に策定した「クマ被害対策施策パッケージ」に基づき、ICT活用の出没情報収集・提供に対する指定管理鳥獣対策事業交付金の対象経費として活用できる可能性もあり、自治体の導入コスト負担を軽減できる。
(特担教授が農水省の鳥獣被害対策アドバイザーに:岡山)
岡山理科大学研究・社会連携機構の辻維周特担教授が6月29日付で、農林水産省の農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーに登録されました。同省によると、6月30日時点で全国の299人が登録され、クマ、イノシシ、シカなどによる農作物被害対策で活躍しています。任期は2029年までの3年間。農水省によると、業務内容は自治体などの研修で講師を務めたり、被害現場に出向いて効果的な対策をアドバイスしたりするそうです。登録について辻特担教授は「地道に続けてきた活動が公的機関に評価されたのだと思う。今後とも(装置を開発した)T.M.WORKSとタッグを組んで鳥獣害対策により一層力を注いで、安心・安全な社会のために貢献していきたい」と話しています。辻特担教授が手掛け、高周波を出して野生鳥獣を遠ざける「熊ソニック」「鹿ソニック」「バードソニック」などは成田、関西国際両空港をはじめ全国約100カ所の空港、鉄道、パトロールカー、農地などに設置されて効果を上げています。
(東北の人里を震撼させたクマの「執拗な執着心」)
クマの脅威は、もはや山奥の出来事ではありません。2025年、クマ被害の規模は統計開始以来最悪の年となりました。クマの生態を研究している小池伸介さんの著書、『クマは都心に現れるのか?』では最新のクマ情報を詳しく解説しています。今回は本書より一部を抜粋し、東北地方のある集落で起きた凄惨なクマ実害の真実に迫ります。2025年7月4日、午前7時30分頃。岩手県北上市和賀町山口26地割の住宅で、80代の女性が血を流して倒れているのが発見された。クマによる人身被害である。女性は死亡していたという。この地域では、実は事故の前から異変が続いていたようだが、対応は後手に回った。6月30日、小屋に侵入。7月1日、倉庫に侵入し米2袋を食べる。7月2日、再び小屋に侵入。7月3日には同じ家に2回侵入し、米を食害。事故当日の7月4日を挟んで、7月7日には倉庫の外壁が壊され、7月8日には同じ家に2回侵入して米を食べ、7月10日と11日も小屋への侵入が続いた。1週間以上にわたる執拗(しつよう)な行動が続いていたのである。北上市は危機対策本部を設置し、わな設置と巡回を実施した。そして、7月11日、1頭のクマが駆除された。岩手大学が遺伝子解析を行った結果、7月4日に人身被害が発生した家屋から採取したクマの体毛と、7月11日に駆除したクマの筋肉サンプルから抽出したDNAの型が一致した。加害個体と特定されたという。しかし、それで終わりではなかった。同じ7月、秋田県北秋田市で70代の女性が障害者施設の敷地内でゴミ出し中にクマに襲われた。頭や顔に重傷を負い、後日、死亡した。10月8日には、秋田県大館市の米代川河川敷で、ウォーキング中の50代男性がクマに顔を噛まれひっかかれるという被害が起きる。そして、10月16日、再び岩手県の北上市。和賀町の瀬美温泉で、清掃作業中の男性従業員が行方不明になったと警察が発表した。翌17日、岩崎新田地区で遺体が発見され、その付近にいたツキノワグマ1頭が駆除された。遺伝子解析の結果、このクマが加害個体と特定されたという。瀬美温泉は、東北本線や秋田新幹線の路線から10㎞ほど西へ入った山間にある。2㎞ほど東へ出ると集落が点在し、田園が広がっている。決して秘境というような環境ではない。人が普通に暮らし、働き、散歩する場所である。北上市和賀町での7月と10月、2度の死亡事故。その間、執拗に続く家屋への侵入。米を食べるクマ。そして、人を襲うクマ。これまで、クマが人を襲うのは防御目的の攻撃と説明されてきた。だが、これらのクマの行動は、もはやその枠では説明できなくなっているように見える。北上市だけの話ではない。2025年には、東北地方を中心に日本各地で経験したことのない規模と質のクマ被害が発生した。統計開始以来、最悪の年といえる。いったい何が起きているのだろうか。クマが変わったのか、人間社会が変わったのか、それとも両方なのか。2025年の被害は、全国的にどのような規模だったのか。詳しくは、本書にて解説している。
(オスのツキノワグマがイノシシやシカ用の罠に、麻酔で眠らせ山へ:愛知)
愛知県豊根村で7月1日の朝、体長約1.4メートルのクマの成獣が罠にかかり捕獲されました。捕獲されたのは、体長約1.4メートルでオスのツキノワグマです。豊根村などによりますと、1日午前6時半前に豊根村三沢の県道426号線沿いの山林に仕掛けられたイノシシやシカ用の罠にクマがかかっているのを、地元の猟師が見回りの際に発見しました。クマは獣医1人と地元の猟友会のメンバー3人によって麻酔で眠らされた後、山に放されたということです。今のところ人的被害などは確認されていません。今年に入り、豊根村でのクマの目撃情報は今回の発見現場の近所を含め2件あったということです。村内でクマが捕獲されたのは2024年7月以来で、愛知県内でのクマの捕獲は今年に入って初めてです。
(防カメに“パイナップル泥棒”の姿、生き物の正体はイノシシ:沖縄)
沖縄県のパイナップル無人販売所でかごいっぱいに並んだパイナップルがかごごとなくなりました。約4時間のうちに何があったのか…。犯行の瞬間が映っていました。右奥から2つの光る目が中に入って来て、口元を動かしながらパイナップルへ近付いて行くと…。丸ごと1個くわえ立ち去ったと思いきや1個では満足が行かなかったのか、次々に持ち去っていきました。パイナップルを盗んだ生き物は…。イノシシは1日も姿を現しました。これまでに約10個のパイナップルが盗まれたということです。
(シカ出没、千歳署管内で慢性化:北海道)
千歳、恵庭両市を管轄する千歳署管内で道路へのエゾシカ出没が慢性化し、同署が事故発生への警戒を強めている。千歳市は2025年、シカに絡む事故発生件数が自治体別で北海道内3位、石狩管内1位となった。恵庭市内では6月30日、シカの飛び出しが原因となった車両火災も発生。夏の観光期を迎え、同署はインバウンド(訪日客)のドライバーやオートバイの増加もにらみ、注意を呼びかけている。
(星のや富士、「狩猟体験ツアー」開催:山梨)
各施設が独創的なテーマで、圧倒的非日常を提供する「星のや」。日本初のグランピングリゾート「星のや富士」では、2026年10月1日~2027年1月7日の全8回、「狩猟体験ツアー」を今年も開催します。狩猟の見学・体験や、命が食材や伝統工芸品に昇華される一連の流れを巡ることで、命のつながりを見つめなおす大人の食育プログラムです。10年目を迎える今年は、林業家とともに富士の森を歩き、自然の営みを肌で感じる「自然を学ぶ森歩き」が新たに加わりました。
(農村での学びをリーダー育成に:兵庫)
兵庫県丹波篠山市の暮らしや文化、技術、人、モノなどの資源に新しい価値を生み出し、村と都市をつなぐ事業を手がける株式会社「創造農村」がこのほど、市内でリーダー育成プログラムを開いた。横浜や大阪、福岡、丹波篠山から5人が参加。2泊3日で丹波焼や農業、狩猟などの現場を視察し、知見を深めた。「たんばささやまアカデメイア」と銘打ったプログラム。主に都市部で暮らす人を対象に、市内の人やモノを学びの場にすることで1次情報に触れ、社会課題解決のために行動できる人材を輩出するのが目的。参加者はそれぞれ会社員や自営業者、学生などで、丹波焼窯元や農家を巡り、それぞれの現状や課題を聞いた。ジビエ専門店「山大」(丹波篠山市住山)では、猟師の西村大二郎さん(43)が狩猟や獣害の現場を紹介。「30年前、鹿はこんなにいなかった。農業被害もあり、市民も困っている。以前は教員をしながらの狩猟で、捕った鹿を有効活用できずにほとんど捨てていた」と言い、「ジビエブームが始まる中、鹿肉を流通できるなら、と考えて起業し11年目になる」と説明した。また、「血抜きや腹抜きなどがきちんとできていれば本当においしい肉。以前は食べる文化がないため、売り物にならない状態が多かった。今はきちんとした処理を伝えたことで、良い肉が入るようになった」とした。参加者から販路開拓について問われた西村さんは、「買ってくださいという営業は一度もしたことがない。『おいしい』となると、シェフのつながりや同業者間で口コミ、SNS(交流サイト)で広がった。正直、販路には困らなかった」と回答。今後については、「人間が植林の山にしたことで、食べ物がないから、里へ出てきて野菜を食べる。結局、人間がしたことが返ってきている。里と山の間に緩衝地帯の里山があれば人と動物がすみ分けられると思うが、この時代ではなかなか難しい」と苦悩を明かした。希望者は鹿の解体も見学した。横浜市から参加した女性(48)は、「1次産業はなじみがなかったが、皆さん、時代に順応しつつ、伝統を次世代につなぐ取り組みをされておられた。新しい発見が多く、参加してとても良かった」と笑顔で話していた。同社は、順次、プログラムを開催する。予定や参加申込などは同社のホームページから。
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