<射撃ニュース9月>
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(猟友会の男性が山中で紛失した猟銃を発見:滋賀)
滋賀県大津市で22日、男性がイノシシなどの駆除のため山に入った際、猟銃をなくしたことをめぐり、滋賀県警は23日朝、警察官らが猟銃を発見したと発表しました。悪用された形跡はないということです。警察によりますと、滋賀県大津市の84歳の男性は22日午前8時半ごろ、市の委託を受け猟友会のメンバー3人とともに、イノシシやシカなどの駆除を目的として袴腰山に入りました。ところが、男性は猟のポイントへ向かう途中で猟銃を紛失したことに気付き、4人で付近を捜しましたが見つからず、警察に届け出たということです。紛失した猟銃は全長約110センチの黒色の散弾銃で装弾はされておらず、緑色の布製カバーがついた状態でした。男性の届け出を受け、警察官や県の猟友会らで猟銃を捜索し23日午前10時ごろ、猟銃が見つかったということです。警察が確認したところ、猟銃は紛失時の布製のカバーがかかったままの状態で、悪用された形跡はないということです。
(クマに襲われ登山中の67歳男性けが:秋田)
秋田県北秋田市で登山をしていた67歳の男性がクマに襲われ頭などにけがをしました。警察や消防によりますと、23日午前8時半ごろ北秋田市の森吉山を登山で訪れていた男性が登山道でクマ1頭に顔を引っかかれたほか、左腕をかまれました。男性は青森・弘前市の67歳で、クマに襲われた後、麓にある森吉山野生鳥獣センターに駆け込み、助けを求めました。男性はドクターヘリで弘前市の病院に搬送され、搬送時は意識があり会話ができる状態でした。関係者によりますと男性がクマに襲われたのは日頃から利用者が少ない登山道だったということです。
(登山道でクマに襲われる:富山)
南砺市大門山登山道付近できょう午前8時40分ごろ、クマの成獣1頭に襲われる人身被害が発生しました。山中での単独の活動は大変危険です。クマ鈴やクマスプレー等の対策を徹底するなど、命を守る行動を心がけてください。
(日帰り登山でクマの親子と遭遇、30歳男性が軽いけが:長野)
長野県千曲市で26日、登山中の男性がクマの親子と遭遇し、親グマに覆いかぶさられ軽いけがをしました。けがをしたのは、千曲市の会社員の男性(30)です。警察によりますと午後2時頃、千曲市森の五里ケ峯に1人で登山中、山頂付近で子を連れたクマと遭遇しました。男性はクマよけスプレーを所持していたため、取り出して噴射しようとしましたが間に合わず、親グマに襲われ転倒しました。親グマは男性に覆いかぶさりましたが、男性がスプレーを噴射すると、子グマとともに逃げて行ったということです。親グマは体長約120センチとみられ、男性は、ひじや背中に擦り傷などのけがをしましたが、軽傷とみられます。男性は自力で下山し帰宅。午後7時頃、自ら警察に通報したということです。五里ケ峯は、標高1094メートルの日帰りで登れる中低山です。警察は、登山者や周辺の住民などに注意を呼びかけています。
(男性を襲ったクマ、山へ逃げたか:和歌山)
27日午後1時頃、和歌山県有田川町杉野原で、近くに住む60歳代の男性がクマに襲われた。県警有田湯浅署などによると、男性は病院に搬送され、頭と両腕に全治約10日間のけがを負った。同署などによると、男性は農作業のため、自宅に隣接するビニールハウスに入ろうとした際、体長約1・5メートルのクマに襲われた。クマは山に逃げたとみられる。同町は防災行政無線でクマの出没を知らせ、屋内への避難を呼びかけた。
(東北道下り線でシカと衝突し乗用車など5台絡む事故:宮城)
27日夜、宮城県栗原市の東北自動車道下り線で、シカと車が衝突するなどして計5台がからむ事故がありました。けがをした人はいませんでした。27日午後9時45分頃、宮城県栗原市築館の東北自動車道下り線で、「シカと衝突した」などと、車に乗っていた人から警察に通報がありました。警察によりますと、乗用車4台が道路上のシカと衝突し、そのうち1台は、衝突のはずみで近くを走っていたワゴン車にもぶつかったということです。この事故でけがをした人はいませんでした。現場は、築館ICから仙台方向に1.5キロほど離れた、片側2車線の直線道路です。警察が事故の原因を詳しく調べています。
(イノシシとバイクが接触、人的被害発生:福岡)
福岡県市町村・地域振興部生活安全課は30日、福岡市によると、同市西区飯盛付近で29日午前5時45分ごろ、イノシシとバイクが接触し人的被害が発生する事案があったとして、メールで注意喚起した。イノシシは同日中に捕獲された。市などは周辺地域に警戒を呼びかけるとともに、遭遇した際は「食べ物を与えない」「静かにその場を離れる」「威嚇しない」などの対応をとるよう注意を促している。
(初のクマの緊急銃猟、八王子の農地でわなにかかった1頭:東京)
東京都八王子市は28日、わなで捕獲されたツキノワグマ1頭に対し、緊急銃猟を実施したと発表した。都によると、都内で緊急銃猟が行われたのは初めて。市によると、28日午後3時半ごろ、警視庁から「小津町でクマの成獣がわなにかかっている」との連絡があった。同5時すぎ、初宿和夫市長が自治体の判断で発砲できる緊急銃猟を承認し、同5時半ごろに実施した。現場はJR・京王高尾駅から北に数キロ離れた山あいの農地。100メートルほど離れたところには住宅もあるという。クマは体長147センチ、体重65キロのメスだった。初宿市長は「捕獲されたツキノワグマによる人的被害を未然に防止するため、実施した」とコメント。市は今後、関係機関との情報共有や市民への周知を進めるとしている。
(ブドウ畑にクマ、緊急避難し猟銃で駆除:長野)
29日午前、長野県中野市の果樹園にクマが居座ったため、猟友会などが駆除しました。警察によりますと、中野市金井の果樹園で、29日午前9時前、「畑の中にクマが居座っている」と近くに作業に来た人から通報がありました。警察や市の職員などが駆けつけ、麻酔銃で撃とうとしたところクマが動き出し向かってきたため、現場の警察官の指示で猟友会の会員がライフル銃で駆除しました。クマは1メートル44センチの成獣とみられ、けが人はいませんでした。市によりますと、今月24日から周辺でクマの目撃が相次いでいて、同じ個体とみています。
(ツキノワグマ捕殺、おとといには男性が自宅近くで襲われケガ:和歌山)
和歌山県によりますと、29日午前9時ごろ、有田川町が町内に設置した檻を確認するため猟友会員が見回りを行ったところ、扉が閉まっているのを発見しました。その後、町役場の職員らが檻の中にツキノワグマが捕獲されていることを確認。午後2時ごろ、薬剤で捕殺したということです。捕殺されたのは全長135センチメートル、体重57キログラムのオスのツキノワグマだったということです。有田川町では27日に、自宅近くの農業用ハウスの様子を見にいった69歳の男性がクマに襲われ左腕を数針縫うケガをしました。そのため、町役場の職員と猟友会が付近に2つの檻を設置していましたが、男性を襲ったクマと捕獲されたクマは同じ個体とみられています。和歌山県内では29日現在、90件のクマの目撃情報が寄せられており、同日時点の件数としては2024年に次いで過去2番目の多さだということです。
(ネット購入の肥料から黒色火薬を製造か:東京)
自宅で黒色火薬を所持したとして、警視庁公安部は26日、火薬類取締法違反の疑いで、東京都杉並区宮前の自営業、中池祐章容疑者(42)を逮捕した。公安部によると、容疑について「話したくない」と供述している。公安部は容疑者がインターネットで購入した肥料を使って火薬を製造した可能性もあるとみて、動機を調べる。昨年秋、肥料のネット通販事業者から「不審な購入者がいる」と警視庁に情報提供があった。公安部は、届け先だった容疑者の交流サイト(SNS)に屋外で半径数メートルにわたって何かを燃やす動画が投稿されているのを確認した。逮捕容疑は1月26日、自宅で黒色火薬など計約250グラムを所持した疑い。警察当局は単独でテロを計画し実行するローンオフェンダー(LO)対策を強化。爆発物の原料となり得る化学物質を販売するネット事業者や薬局に、販売時の購入目的の確認や不審事案の通報を依頼している。
(クマの「緊急銃猟」地元ハンターらが訓練:滋賀)
各地でクマの出没が相次ぐ中、滋賀県大津市で地元ハンターらによる「緊急銃猟」の訓練が行われました。大津市では建物の敷地内にクマが立てこもった想定で「緊急銃猟」の訓練が行われました。「緊急銃猟」は生活圏にクマなどが出た場合、市町村の判断で銃器を使った捕獲を可能にした制度です。訓練には地元の猟友会のハンターら約30人が参加。ハンターらは住民の避難や銃を撃つ方向を確認した後、職員が扮したクマを撃ち捕獲しました。(大津市 鳥獣害対策係 榎本信係長)「こういった訓練を定期的に繰り返し行うことで、常に連携がとれるような体制にしたい」。
(大型商業施設にクマ侵入、緊急銃猟までを確認:富山)
大型商業施設にクマが侵入したと想定して、緊急銃猟で駆除するまでの手順を確認する訓練がきょう、富山市で行われました。富山市婦中町の大型商業施設で行われた訓練には、従業員や地元の猟友会から30人ほどが参加しました。施設の営業中に、クマ1頭が店舗内に侵入したと想定して、まずは従業員が買い物客を避難誘導しました。そのあと、自治体の判断により銃を使用する「緊急銃猟」までの手順を確認しました。県内ではきのう、南砺市で70代の男性がクマに襲われ、足をひっかかれるなどのけがをしました。県内でのクマによる人への被害は今年4件目で、施設では、例年出没が増える秋の時期に向けて特に警戒したいとしています。
(「緊急銃猟」訓練、県・警察・猟友会など参加:静岡)
クマやイノシシが人の生活圏に出没した際、自治体の判断で猟銃の使用を可能とする「緊急銃猟」を想定した訓練が25日、富士宮市内で行われた。環境省が主催する研修で、静岡県内での開催は初めて。県や市の職員、警察、地元猟友会などの関係団体に加え、県内他自治体の担当者ら約120人が参加した。
(クマ出没想定し実地訓練:秋田)
クマの出没を想定した緊急銃猟の実地訓練が28日、秋田県五城目町で初めて開かれた。町と県の担当者、五城目署員、地元猟友会員ら約40人が参加し、通報を受けてから駆除に当たるまでの流れを確認した。
(クマ等の出没に備えた緊急銃猟想定訓練:埼玉)
県では、クマやイノシシといった危険鳥獣が人の生活圏に侵入した場合を想定し、小鹿野町と合同して関係機関連携による緊急銃猟実施手順を確認するための実動訓練を実施します。県主催の訓練は、4月の飯能市での実施に続いて2回目の開催になります。
(中学校にクマ現れた想定で初訓練:宮城)
9月29日、岩沼市の中学校で、学校にクマが現れた想定で生徒たちが机でバリケードを作るなどの訓練が行われました。訓練は岩沼西中学校で授業中、学校の敷地内にクマが現れた想定で行われました。「教頭先生!テニスコート付近にクマらしきものがいます」との報告を受け、すぐさま教員が校舎の出入口に鍵をかけると、生徒たちは机でバリケードを作りました。その後、クマが長時間居座る事態を想定し、生徒たちは2階に避難しました。岩沼市の小中学校でクマの対応訓練が行われるのは今回が初めてです。その後、通報を受けて駆け付けた猟友会のハンターと市の職員が対応にあたりました。安全を考慮して猟銃での発砲は行わず、クマを麻酔銃で眠らせて電気やりで駆除するまでの手順を確認していました。岩沼西中学校の生徒は「実際にクマが出没した際の対応っていうのは今まで訓練したことがなかったので、貴重な経験になりました」と話し、岩沼西中学校の小山秀和教頭は「実際に起きたときには、生徒はどこにいるのか、休みは何人いるのか、というところまですべて把握したうえで、連携できるようにしないといけないなというのが実際行っていて気付いたところです」と振り返りました。今年度、岩沼市でも7件のクマの目撃情報があり、市では地域全体でクマ出没に備えたいとしています。
(銃猟など規制撤廃、シカ捕獲強化へ:千葉)
農作物に被害をもたらすシカの捕獲強化へ、千葉県は銃などによる狩猟の規制を撤廃する。県内に約1万2千頭いると推定されるシカの繁殖ペースに捕獲が追い付いていないためだ。
(来春は親子グマの出没が多くなるおそれ:長野)
冬眠前のツキノワグマのエサとなる、ドングリなどの木の実の生育について、長野県内では昨年よりも実が多い傾向だということです。実が多い年はクマの出産個体が増えるとされることから、来年の春にクマの出没が増えるおそれがあるということです。冬眠前のツキノワグマの主なエサとなる木の実。林野庁中部森林管理局が長野県内の国有林で行った調査では、木曽を除く中信地域ではブナが豊作、ミズナラが並作となりましたが、そのほかの地域ではブナ、ミズナラ、コナラは不作だということです。不作の地域では、冬眠前のクマが食べ物を求めて、人の生活圏に出没するおそれがあります。一方で、長野県が民有林で行った調査では、県内全域で実が多く、特に県北部ではブナやミズナラは多く実っているということです。国と県の調査でばらつきはあるものの、昨年よりも、木の実が多い傾向だということです。県によりますと、実が多い年はクマの出産個体が増えるとされることから、来年春には親子グマの出没が多くなるおそれがあり、注意が必要です。
(「緊急銃猟」開始1年、最多は山形19件)
クマが市街地に出没した際などに市町村の判断で発砲できる「緊急銃猟」の制度開始から1年が過ぎた。環境省によると、1年間の実施件数で市町村別の最多は山形県鶴岡市と仙台市だ。鶴岡市の担当者は、マニュアル策定や人員拡充で円滑な活用が進んでいるとする一方で、ハンターと職員の人材の育成を課題に挙げる。「クマが動かない膠着(こうちゃう)状態でも捕獲できるようになったことは大きい」。鶴岡市農山漁村振興課でクマ対策を担当する五十嵐崇さんはこの1年間を振り返る。
(緊急銃猟1年、専門人材の確保急務:福島)
ハンティングベストに身を包んだ猟師たちが射出された標的を狙い、引き金に手をかける。会津若松市で県猟友会若松支部が行った射撃訓練。山林での狩猟のみならず、住宅地などへの出没が目立つクマの脅威も見据えており、射撃場には緊張感が漂う。「会津は住宅地も観光客も多い。いつ緊急銃猟が起きてもおかしくない」と副支部長の小沼清一さん(77)。
(クマによる死傷者、昨年は10月が突出)
クマに一層注意が必要な季節に入った。観光やキノコ採りなどで山に入る人も含め、警戒を怠らないでほしい。秋は冬眠に備えてクマの食欲が増す季節で、食べ物を求めて活発に行動する。ドングリなどの堅果類が不作の年は人の生活圏への出没が増加する傾向があるという。クマによる被害者が全国で計238人(うち死者13人)にのぼり、過去最多となった2025年度は、10月の被害者が89人、うち死者7人と突出して多かった。今年は、ドングリが不作だった昨年に比べて山に食べ物があると見られているが、昨年、人里に現れてエサをあさったクマがエサの味を覚えて出没するリスクもあり、油断はできない。山に入る際の携行品としてクマ撃退スプレーが関心を集めている。製品によって性能に差があるのが実情で、環境省は8月、「噴射距離7.5メートル程度以上」「6秒程度以上、連続噴射ができること」などの推奨要件を公表した。選ぶ際の参考になるだろう。ただ、遭遇時、冷静に噴射するのは容易ではない。スプレーは最終手段と考え、そもそも遭遇しないよう努めることが大事だ。事前に目的地の出没情報を調べる▽山中ではクマが活発に動く早朝や夕方の行動を避け、クマ鈴やラジオで音を常時出しながら行動する▽複数人で話しながら歩く――などの対策が必要だ。市街地での出没についても備えを進めたい。6月、宇都宮市中心部に現れたことは記憶に新しい。クマは人口51万人の県庁所在地の広い範囲を素早く移動し、繁華街や部活動中の校庭にも出没。市立小中94校全てが3日間にわたって休校となり、延期・中止になる学校行事が相次ぐなど教育活動に大きな影響が出た。今後も「まさかこんな市街地に」という事態は起こりうる。休校の判断基準をあらかじめ作る、休校時に在宅学習用の課題をスムーズに出せるようにしておくなど、事前にクマ出没を織り込み、その影響をできるだけ小さくすることが必要だろう。クマ出没の背景には、保護の進展による個体数の回復、人口減少による行動範囲の拡大などが指摘されている。これまで正確な個体数が分かっていなかったが、環境省はまず東北地方から調査に乗り出した。今後、個体数管理を強化していく方針だ。電気柵増設や耕作放棄地の下草刈り、クマを人里に誘引する果樹の伐採などで、人とクマのすみ分けを着実に進めなければならない。手が回っていない自治体への国の目配りも欠かせない。
(山本一太知事「ハンター」へ一歩:群馬)
群馬県の山本一太知事が、県公安委員会が実施した猟銃等取扱初心者講習会の考査に合格した。考査は猟銃の所持許可を得るために必要な法令や取り扱いに関する知識を問うもので、今後は所持申請や実技教習などの段階へ進む。現職知事が「ハンター」を目指す試みは全国的にも珍しい。県内で相次ぐ熊被害への対策や、捕獲を担う自治体職員「ガバメントハンター」の確保・育成に向け、県は職員有志の「クマ撃退チーム」を結成。山本知事も加わり、わな講習や銃猟免許取得などに取り組んできた。知事を含むメンバーはわな猟免許を取得したほか、公務の合間を縫って勉強を重ね、8月には難関とされる第1種銃猟免許試験にも合格。山本知事は「資格を身に付け、猟友会の方々と現場へ出られるようにしたい」と意欲を示す。定例記者会見で考査合格を報告した山本知事は「熊対策をさらに前に進め、地域におけるガバメントハンターの確保と育成に取り組んでいく」と強調。鳥獣害対策の体制強化を進め、農林業被害の防止や地域住民の不安軽減につなげる方針だ。県によると、山本知事を含むメンバー8人が考査を受け、全員が合格した。
(クマ対策で「公務員ハンター」養成検討:長野)
県は25日、人里への出没が相次ぐ熊対策などの一環で、狩猟の専門性が高い公務員を養成する事業を検討していると明らかにした。猟友会員の高齢化や担い手不足が県内外で深刻化する中、行政と現場をつなぐ専門人材を育て、鳥獣被害の低減につなげる。
(クマ対策安全確保が最優先、緊急銃猟訓練:岡山)
市街地などに出没したクマやイノシシへの猟銃使用を市町村の判断で認める「緊急銃猟」が始まって1年。8月末までに東北や北陸などで86件実施されたが、県内ではまだ例がない。とはいえ、過去にクマによる人的被害が出ている地域もある。真庭市が8月に行った緊急銃猟の訓練を取材すると、参加者や住民の安全を守るため多くの手順や要件があり、緊迫感が伝わってきた。緊急銃猟は昨年9月、鳥獣保護法の改正で可能になった。以前は警察官が命じた場合などを除いて市街地での発砲は原則禁止で、民家近くにクマが現れても警察官の判断を待つうちに見失ったり、襲われたりするケースがあったという。市域の8割が山林という真庭市だが、クマの出没件数は少なく、今年度も8月末現在で2件。ただ、全国的にクマが人間の生活空間に現れる例が相次いでおり、市が真庭地区猟友会や真庭署、県などと真庭やまびこ公園で訓練を行った。
(とちぎ獣害対策支援隊を立ち上げ:栃木)
栃木県は7月、「とちぎ獣害対策支援隊」を新設した。野生鳥獣や獣害に関する専門的な知見を持つ県職員らで構成する。隊を立ち上げた県環境森林部の高嶋英機(たかしまひでき)自然環境課長(53)に、獣害を巡る本県の現状や支援の方針、支援隊の今後の展望などを聞いた。
(狩猟へ理解深める:長野)
飯田市大瀬木の飯田国際射撃場で13日、狩猟体験会があり、参加した約45人が、狩猟用語や猟のやり方を学んだり、実際に銃を撃つ様子を見学したりして、狩猟への理解を深めた。座学では獲物の寝床を探してまわる「寝屋まわり」といった狩猟用語や、猟のパートナーの猟犬が担う役割を解説。参加者は「猟犬は訓練してからどれくらいでデビューするのか」「違う銃でも使う弾の種類は同じなのか」などと質問していた。会員によるクレー射撃やシカの解体体験も実施した。.
(「けもの相談所」がクマ対策講座:埼玉)
ツキノワグマの生態や被害防止策を学ぶ「第1回けもの相談所セミナー」が10月1日、横瀬町町民会館(横瀬町横瀬)で開かれる。横瀬町と、同町の有害鳥獣対策専門チーム「けもの相談所」が主催し、横瀬町鳥獣害対策協議会が共催する。観光事業やイベント実施時の対応も伝える。同町は8月、けもの相談所を設置した。地域おこし協力隊員を中心に、データに基づいた対策や住民の相談対応を進めている。同相談所では住民の日常的な困り事に加え、イベント主催者や観光事業者からも事業実施時の安全対策について相談を受けている。関係者の不安や風評被害への懸念を解消し、クマへの正しい理解と事故防止に向けた備えを促そうと、同セミナーを企画した。当日は国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所の中下留美子さんを講師に招く。中下さんはツキノワグマの食性や行動、人里への出没など、人とクマとの関わりを研究している。セミナーではクマに出会わないための対策や、人里へ寄せ付けない工夫を解説する。一般住民の日常的な対策に加え、観光事業やイベントを実施する際の安全管理の考え方についても話す。富田能成町長は「中下さんが以前、秩父市内で林業関係者向けに行った講演を聞き、広く町民や事業者に知見を共有したいと感じた。周辺地域での目撃情報もあり、クマの出没による風評被害に悩む観光事業者や、対策を考える行政担当者にも聞いてほしい。過度に恐れるのではなく、正しく生態を知って対策に生かしてほしい」と参加を呼び掛ける。
(「ヒグマ基本計画」前倒し改定:北海道)
札幌市は25日、市内のヒグマ対策の指針「さっぽろヒグマ基本計画」を、2027年度末の計画期限を待たずに改定し、強化した対策の即日運用を始めた。昨年度確認された市内のクマ出没が363件と過去最多だったことを受けた措置。人の生活圏とクマの生息域をすみ分ける四つのゾーンのうち、人口密集地に近い農地や公園などの「市街地周辺」を「準市街地」に変更し、出没時は原則捕獲する方針に切り替えた。
(真正拳銃同等の「玩具銃」、国内いまだ1万丁)
警察庁が進める「玩具銃」の回収状況が、かんばしくない。通常の拳銃と同等の殺傷能力があり危険だが、ゲームの景品などとして国内に流通した背景もあり、知らずに自宅保管しているケースが多いとみられる。一方で、警視庁が事件捜査の過程で、インターネット上に玩具銃が出品され、それをガンマニアの男が購入したとみられる事案を確認。悪意を持った出品だったかは不明だが、銃愛好家らの新たな入手経路になる可能性もあるとみて、早期の回収完了を急ぐ。令和7年10月、警視庁の捜査員が、ネットオークションでエアガン「M29」の部品を落札した人物に目をつけた。兵庫県尼崎市に住む会社員の男だった。マグナム銃を模したM29の一部は、かつて市販されていたが、通常拳銃と同等の威力を有することが確認された。銃刀法上の「真正拳銃」の扱いとなり、昭和61年から所持が禁じられた。
(ライフル射撃場の整備に1億2400万円:群馬)
2029年に群馬県で開催する第83回国民スポーツ大会・第28回全国障害者スポーツ大会(湯けむり国スポ・全スポぐんま2029)に向け、県は、競技会場に指定されている県ライフル射撃場(榛東村上野原)の射場改修や屋根防水対策の工事費として約1億2400万円を2026年度一般会計9月補正予算案に計上した。
(鹿のふん500g以上で300円、買い取りイベント:大分)
大分県九重町の長者原一帯で26日に開催するイベント「秋のくじゅう・鹿と山の未来DAY」では、観光客らが長者原園地周辺で拾い集めた鹿のふんを買い取るイベントが開かれる。500グラム以上集めた人に300円が支払われる。軍手や火ばさみなどは同協会が用意する。鹿が増えるにつれ目立つようになったふんの買い取りは、地域の課題解決に観光客らの力を借りる試みだ。昨年9月の「やまなみ感謝祭」で初めて実施したところ、1日で約9.7キロが集まった。同協会は昨年買い取ったふんを炭化した上で、町内の農家に土壌改良材として畑にまいてもらった。育ったナスやキュウリなどを「鹿のめぐみ野菜」としてブランド化できないか、模索を続けている。
(農作物、鳥獣被害額減る:和歌山)
県は、2025年度の野生鳥獣による農作物被害額を、前年度比約2500万円減の約2億2300万円と発表した。主要4獣種全てで被害額が減少し、調査を始めた1998年度以降最少となった。種ごとの被害額は、全体の34・3%を占めたイノシシが7632万円(前年度比1506万円減)。次いでシカ5026万円(同33万円減)▽サル3788万円(同267万円減)▽アライグマ2120万円(同125万円減)――と続いた。県鳥獣害対策課によると、2019年度に1億5265万円の被害を出していたイノシシが、20年10月に県内で初めて確認された豚熱(CSF)の影響で生息数を減らしており、全体の被害額減につながっているという。それでも昨年度はすさみ町を除く全市町村でイノシシの獣害が確認され、最も多い有田川町で1445万円、次いで湯浅町で1162万円の被害があった。
(エゾシカ現況マップ(捕獲情報/年度別)について:北海道)
近年、エゾシカの分布拡大や個体数増加によって人とのあつれきが深刻化しています。対策を効果的・効率的に実行するためには、エゾシカに関する様々な情報を集約し、地図上で可視化することが重要です。道総研エネルギー・環境・地質研究所で、エゾシカの捕獲に関する情報を地図化し、時系列の変化を表示することが可能な「エゾシカ現況マップ(捕獲情報/年度別)」(現況マップ)を開発したので紹介します。
(鳥獣被害対策タスクフォース:北海道)
鳥獣による農作物被害が著しく、対策の高度化に意欲のある市町村を対象に、都道府県が、農林水産省の参画を得ながら、関係機関・団体と連携して重点的に支援する「鳥獣被害対策タスクフォース」の仕組みが新たに構築されました。北海道は、全国で初めて 「タスクフォース」を設置し、ICT技術の活用など鳥獣被害対策の高度化に意欲のある市町村の取組がモデルケースとなるよう必要な支援を行ってまいります。
(クマ被害防止へ連携強化:福井)
大野市のツキノワグマ出没対策連絡会が28日、市役所で開かれ、人身被害防止に向けて連携強化を申し合わせた=写真。昨年11月には、クマに襲われた市内の80代男性が頭にけがを負った。クマの餌となるブナ類の作柄調査を踏まえると、大量出没年の可能性は少ないが、市民への注意喚起や対策徹底、有事の迅速な対応を改めて確認した。県や市、県猟友会、大野署などの代表者計19人が出席。市クマ出没対策本部長を務める嶋田敏文副市長が「堅果類の豊凶によらず、全国的に里山に居着くクマとの遭遇が増えている。警戒を怠らず、市民の安全・安全の確保に万全を期してほしい」とあいさつした。
(クマ生態をGPSで調査、県内10か所で行動パターン把握:山梨)
県内各地でクマの目撃情報が相次ぐ中、県はGPSを使った生態調査に乗り出しました。県によりますと、今年度、県内でのクマの目撃件数は215件に上り、過去最多となった昨年度と同じペースで推移しています。こうした中、県が新たに始めたのがGPSによるクマの生態調査です。わなで捕獲したクマにGPSつきの首輪をつけ、生息密度が高い県内10か所のエリアで行動パターンや行動経路などを調べます。県自然共生推進課 土橋史さん「GPSを用いることによって定期的に情報が手に入り、長期間安定して(情報を得られるので)クマがどのように地域の中を活動しているのかがはっきりしてくるので、効果的な対策につながることを期待している」。一方、冬眠前でクマの食欲が旺盛になる秋を前に、身延町では持ち主が管理できないカキなどの木を伐採する取り組みをスタートしました。収穫しないカキの実がクマを引き寄せるのを防ぐのが目的で、費用の全額を町が負担します。身延町産業課 千頭和宏彰さん「町内には空き家も多くあるので、今空き家になっている所の果樹などは管理するのも難しいという状況がある。放置果樹を伐採することによって、クマをひきつける要因の一つをつぶして町民の安全を守っていければ」。放置された果樹の伐採事業は身延町以外にも小菅村や甲府市などが準備を進めています。
(エゾシカ食害対策でドローン調査:北海道)
足寄町は今年度、農作物の鳥獣被害対策として、熱赤外線カメラを搭載したドローンによるエゾシカの生息実態調査を進めている。事業費は999万円。
(クマの餌となるドングリ類、5年ぶりに3樹種すべてが「並作」:岐阜)
岐阜県は、秋季のクマの主な餌である堅果(ドングリ)類について、2026年度の豊凶予測調査結果を発表しました。判定基準は「大凶作」から「大豊作」までの5区分で、8月24日から9月4日にかけて県内26地点で実施した調査では、ブナ・ミズナラ・コナラの3樹種すべてが「並作」と判定されました。2021年度以来、5年ぶりに「凶作」から脱した結果となっています。県の担当者によると「数年に一度の豊作傾向にあり、今はまだ青い状態だが実は多く付いている」ということです。県の野生動物管理推進センターは、今回の結果を受けて「凶作を要因とするクマの出没増加の可能性は、凶作年と比べて低い」と分析。しかし、地域によって凶作から豊作までばらつきがあることや、人の生活圏周辺を行動圏とする個体もいることから、冬眠前の食欲が旺盛になる時期に向けて、引き続き警戒が必要としています。県内では8月31日時点で570件のクマの目撃情報があり、人身事故も2件発生していることから、現在「ツキノワグマ出没注意情報」が発令中です。クマの被害を防ぐため、野山では鈴やラジオを身につける、単独行動を避ける、生ゴミを田畑に捨てない、果樹の実などは残さず採取する、利用しない果樹は伐採するなどの対策を求めています。また、県のホームページではクマの目撃情報(クママップ)が確認できます。クマを目撃した場合は、近くの市町村、岐阜地域環境事務所、県事務所環境課へ連絡するよう呼びかけています。
(シカとの交通事故が増加する時期を前にドライバーに啓発:北海道)
シカが関係する交通事故が最も多くなる10月を前に、根室市で警察がドライバーにチラシなどを配って注意を呼びかけました。29日は根室警察署の警察官などあわせて7人が根室市内のコンビニエンスストアやガソリンスタンドを訪れたドライバーなどに注意を呼びかけるチラシや、ティッシュを配りスピードの出し過ぎに注意することやハイビームを使うことなどを呼びかけました。道警本部によりますと、道内で去年1年間に起きたシカが関係する交通事故は、過去最多の6700件余りに上っていて、このうち釧路・根室地方では1751件が起きています。中でも2割近くの362件が、シカが繁殖期に入って動きが活発になる10月に発生しているということです。愛媛県からバイクで訪れた60代の男性は「シカの事故が増える時期などを知らなかったのでありがたいです。シカの事故は怖いので気をつけようと思います」と話していました。根室警察署の遠藤祐吾地域・交通課長は「シカの数の増加によって事故が増え根室市ではすでに去年の同じ時期よりも件数が多くなっている。郊外や、スピードが出る直線道路は事故が多いので気をつけてほしい」と話していました。
(クマが出没する「危険な時間帯」とは?)
クマとの遭遇を避けるには、鈴や撃退スプレーなどの装備だけに頼るのではなく、クマの行動を知り、出遭いにくい状況をつくることが重要です。特に注意したいのが、活動が活発になる朝夕の薄暗い時間帯や、ランニングなどでクマに急接近してしまうケースです。一方、ネット上などで紹介される「クマよけ」には、効果が十分に検証されていないものも少なくありません。東京農業大学名誉教授の山﨑晃司氏が、クマとの遭遇リスクを下げる行動と、最新の忌避対策を科学的な視点から解説します。本稿は、山﨑晃司・編著『クマに出遭ってしまったら? 』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。クマは通常、朝夕の薄暗い時間帯に活動が活発になる昼行性です。クマの出没が心配される地域や時期には、日の出前後や日没前後のウォーキングやジョギング、イヌの散歩などは控えたほうがよいでしょう。動画サイトで飼いイヌがクマを撃退するAI生成動画がやたらと増えた時期がありましたが、実際は特殊な訓練を受けたイヌでなければ、クマを追い払うことはできません。むしろ、興奮したクマを飼い主のところに引き連れて戻ってきてしまうこともあるので大変危険です。クマが出没する可能性がある地域では、薄暗い時間帯の外での活動を控える。一般的な飼いイヌがクマを追い払うことはできない。クマは基本的に人を避ける動物ですが、クマが逃げるための時間的な余裕を与えないスピードでの接近は、クマの防御的攻撃を誘発してしまいます。2025年の北海道の羅臼岳登山道ヒグマ人身事故や、本書では詳細を紹介していませんが、2008年8月に東京都の多摩山地で登山トレーニングのためにランニングをしている最中に、親子グマの間に入ってしまい襲われた登山家の人身事故などがこのパターンにあてはまります。野山を駆けるトレイルランや、マウンテンバイクで急斜面を下るダウンヒルなどでクマに出遭うようなことがあれば、クマには逃げる時間がありません。大人数でのレースであればクマは近づかないとも考えられますが、単独でのトレーニングなどの活動はクマとの遭遇リスクを増大させる危険があります。クマに人から逃げる時間的な余裕がないと、追い詰められて攻撃に転じる危険がある。ランニングや山中でのレースは、クマに逃げる時間を与える間もなく接近してしまう可能性があるので注意が必要。個人のアイデアとして、クマの優れた嗅覚を逆手にとって蚊取り線香などのにおいを発するものを身につけたり、空のペットボトルをぺこぺこ鳴らしたりする対策がネット情報などで報告されています。また、携帯用の高周波を発する音響装置なども市販されるようになりました。ただし、一定条件でくり返し効果を検証する、あるいは対照試験を並行して比較するなど、きちんとした実験を行なって統計的に評価した製品はまだないようです。クマがいやがるにおいや音については、まだ十分には解明されていません。クマは刺激物に興味を示す動物で、スギやヒノキといった針葉樹に含まれるテルペンなどの芳香性物質に引き寄せられたり、シュウ酸カルシウムを多量に含むマムシグサ科の植物の根や茎を好んで食べたりもします。ペンキなどの有機溶剤、クレオソートなどの防腐剤も大好きで、ペンキ缶をかじって体をこすりつけたり、道標や木道をかじり削ったりすることもあるほどです。したがって、刺激性のある物質は逆にクマを呼び寄せる可能性も高いといえるでしょう。クマ撃退スプレーも、予防的にテントの周りに撒く人がいるようですが、スプレーの効果はクマの粘膜部に直接噴霧した場合の“痛み”であり、単に撒いてしまうとかえってクマの好奇心を誘うかもしれません。音についても高い周波数を発するクマよけ製品が販売されていますが、どの程度の効果があるのかは不明です。子グマを除き、クマはほとんど音声を発しないので、音声がどのようにコミュニケーションに影響しているのかもよくわかっていません。アフリカゾウなどは、人が聞こえる範囲(約20Hz)よりも下の低周波域を使って長距離コミュニケーションをとっていることが知られています。もしも、クマにもそのような音声コミュニケーションがあり、個体同士で危険な存在を伝達するチャンネルが存在するのであれば、そうした音声を人工的に再現することでクマよけが可能になるかもしれません。クマの可聴域に関する研究はこれからの課題となっています。個人で利用できるクマ情報についても触れておきましょう。近年の深刻なクマ出没にともない、多くの自治体はクマの出没情報をウェブサイトで公開しています。たとえば東京都の「TOKYOくまっぷ」や、秋田県の「クマダス」などがあります。また、自然公園を管理するビジターセンターやインフォメーションセンターなどでは、管轄内のクマの出没情報をマッピングして掲示したりもしています。このような情報を事前に手に入れることにより、クマと出遭う可能性を低減することができるので、ぜひ利用しましょう。このほかにもクマを遠ざけるためのさまざまな試みがなされています。再現性のある効果が実証されれば、大きな商機にもなります。そのため、さまざまな企業が商品開発に取り組んでいるほか、鉄道各社やNEXCO各社などの交通機関の管理者も忌避剤の開発や、クマの存在を検出するためのシステムづくりに挑戦しています。クマ撃退スプレーを予防的に撒くのは意味がなく、かえってクマを引き寄せてしまう危険もある。自治体や自然公園の管理者などが発信しているクマの出没情報を事前にチェックする。
(なぜクマは人を怖がらなくなった?「アーバンベア」急増の背景)
近年、住宅地や市街地にまで姿を現すクマが相次ぎ、「アーバンベア」が深刻な社会問題となっています。なぜ本来、人を避けるはずの野生のクマが、人間を怖がらなくなったのでしょうか。その背景には、クマの保護政策や人間活動の変化、さらには人間の食物を覚えた「餌付けグマ」の存在など、複数の要因が考えられます。北海道大学大学院客員研究員の山中正実氏が、知床で現れた「新世代ベアーズ」から近年の市街地出没までをたどり、人慣れグマが生まれるメカニズムと、その危険性を解説します。本稿は、山﨑晃司・編著『クマに出遭ってしまったら? 』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。人や人の活動、人家や自動車などに慣れてしまったクマはしばしば「人慣れグマ」と呼ばれます。かつてそのようなクマは日本ではめずらしかったのですが、1990年代後半から北海道斜里町内の知床国立公園の西側で、道路沿いや遊歩道など公園利用者が多い場所でも人目を気にせずに歩き回るヒグマが目立つようになり、社会的に知られるようになりました。知床国立公園では1982年に国指定鳥獣保護区がほぼ園内全域に拡大したことをきっかけに、国立公園の西半分を占める斜里町の猟友会が「春グマ駆除」を自粛しはじめました。春グマ駆除とは、1966年に北海道庁が始めた制度で、被害発生の有無にかかわらず、もっともクマを捕獲しやすい残雪期に山に入って無制限にヒグマを捕獲するものでした。当時は国立公園内や鳥獣保護区でも普通に行なわれていたもので、効果は大きく、北海道各地でヒグマは数を減らしていきました。春グマ駆除は東北や北陸の雪の多い地域でも行なわれていました。春季以外でも、国立公園や保護区でさえ、クマがいればすぐに捕殺するというのが当時は全国的に普通だったのです。しかし、1980年代に入ると環境保護の考え方がしだいに世間に広まり、国立公園などの保護区では「目撃したら駆除」という風潮は衰えていきました。知床では、知床財団の前身の組織である「自然トピアしれとこ管理財団」が1988年に発足し、追い払いなど殺さない対策を中心にすえるようになりました。そして、1990年には北海道全体でも春グマ駆除制度が廃止されました。こうして知床では1980年代から特に国立公園内でヒグマを積極的に捕獲することが少なくなっていきました。それから十数年を経て、国立公園内で人目を気にしないヒグマが見られはじめたのです。十数年は野生のヒグマのほぼ1世代にあたる期間であり、人に追い回されていたクマたちから新しい世代へと入れ替わったと考えられます。これらのクマは「新世代ベアーズ」(写真)と呼ばれ、マスコミなどでも報道されるようになりました。1990年代後半には同じような現象が、本州の尾瀬国立公園の尾瀬ヶ原、上信越高原国立公園の軽井沢、北海道の大雪山国立公園などでも見られるようになりました。いずれも無差別にクマを捕殺していた時代が終わって十数年を経て現れたできごとでした。実は、このような現象は、北米などクマ類が生息する海外の国立公園では古くから知られていたことでした。保護されれば、人を怖がったり避けたりしなくなるのはクマに限らず野生動物に共通することです。豊富に生息する野生動物を観察できるのが海外の著名な国立公園では大きな魅力の一つです。保護制度が充実していくにつれ、国内の保護区でも同様の現象が見られはじめたのです。典型的な新世代ベアーズは人の存在自体に慣れてしまったクマですが、人慣れグマにはもう一つの典型があります。人間の食物に味をしめて人や人里に近づく「餌付けグマ」とも呼ばれるクマです。このタイプの人慣れグマは、積極的に人に近づき、あるいは攻撃して食物を得ようとするので極めて危険です。北米の国立公園ではかつてクマへの餌付けが公然と行なわれていましたが、1970年代以降は餌付けや食物・生ゴミの不適切な管理が厳格に規制されるようになりました。知床国立公園で見られはじめた新世代ベアーズは、人間の食物に関係なく単に人の存在に慣れたものでしたが、人間の食物に餌付いたクマの問題は国内でも各地で古くから知られていました。人や人の活動に慣れてしまった人慣れグマが存在する。餌付けグマは、攻撃して人間の食物を奪おうとするのでとても危険。2000年代に入ると本州でのツキノワグマの大量出没が報じられるようになり、集落やその周辺にたびたび出没することが問題になりはじめました。2010年の長野県松本市市街地や2012年の長野市のJR長野駅付近へのクマの侵入事件など、2010年代以降は人口の多い都市の市街地内でもクマが目撃されるようになります。北海道では2010年代中頃から、札幌市街地近郊でのヒグマ出没が目立ちはじめ、2010年代末から2020年代初頭には札幌市、旭川市、帯広市などの市街地への侵入が見られるようになりました。中でも2021年6月の札幌市東区市街地への侵入と4人の負傷事故は全国的に大きな話題となりました。ちょうどその頃、酪農学園大学教授の佐藤喜和氏が『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』(東京大学出版会、2021)を出版しました。そして、2023年、2025年には東北・北海道を中心にクマの出没が激増し、全国規模で社会問題化したのです。人里に侵入するクマへの社会的な注目はますます高まり、「アーバンベア」という言葉は2023年の第40回「『現代用語の基礎知識』選ユーキャン新語・流行語大賞」にて、トップ10入りするに至りました。2000年代以降のクマの人里への出没は、集落や都市周辺も含む個体数の増加や、里山での人間活動の減少、積極的な捕獲をあまりしなくなったことによる新世代型のクマの増加に加え、人間の食物を覚えて執着する「餌付けグマ」の問題が複雑に絡み合って作用したものと推察されます。人の生活圏に出没するクマが増えている。長野市や札幌市など人口の多い市街地でもクマが目撃されている。
(クマに襲われ大き過ぎる「傷」:秋田)
クマに襲われた「傷」はあまりにも大きかった。秋田県仙北市角館町の千葉清美さん(63)は昨秋、下顎を爪で引っかかれ、重傷を負った。食事や会話など日常生活に支障を来し、元の状態に戻る可能性はない。「悔しい」。被害者が少しでも減るよう対策の徹底を訴える。昨年9月26日早朝、千葉さんは愛犬の散歩に出かけた。自宅裏の空き地で何かと目が合った。「これがクマか」と気づいたときには、7~8メートル先から全速力で向かってきた。とっさに左足で蹴ったが、2本足で立ち上がり鋭い爪で攻撃された。体長は1メートル余り。手で頭を覆う防御姿勢を取ると、気配が消えた。顎に激痛が走り、周辺の皮膚が垂れ下がっているのが分かった。自力で自宅に戻り、家族が119番。喉に血が流れていく感覚は今も覚えている。これまで全身麻酔の手術を5回受け、12時間に及んだことも。人と会うときはマスクが欠かせなくなった。クマ被害のニュースで「命に別条はない」と報じられても、実際は千葉さんのように何度も手術が必要な大けがを負っているケースも多い。
(“シカ”原因の鉄道障害「年1000件超」、農作物被害は年間79億円:石川未紀)
シカは万葉集にも詠まれるように、古くから人間とかかわりを持つ動物だ。しかし、そのシカは今、農作物を荒らし、森林を破壊する厄介な動物として扱われている。そして、実際、シカによる被害は増え続けている。果たして、私たちはシカとどう対峙すればよいのだろうか。73万8700。この数字は、2024年度のニホンジカ(以下「シカ」)捕獲頭数である(速報値)。1日あたり、約2000頭が捕獲されていることになる。実は、シカによる被害は野生鳥獣の中で最も多い。農作物の被害額は79億円、森林の被害面積は年間約4000ヘクタールに上り、そのうち約6割をシカによる被害が占める(いずれも2024年度)。さらに、森林地帯の植物をシカが食いつくすことによる土砂災害の危険性も指摘されている。環境省と農林水産省は、2013年から「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を共同で取りまとめ、「ニホンジカ、イノシシの個体数を10年後(2023年)までに半減」することを目標としたが、いまだ達成には至っていない。これらの情報を並べても、都市部で暮らす人たちには、ピンとこないかもしれない。シカは、ほぼ画面越しで見る動物。奈良公園などで悠々と歩くシカを見れば、人間と共生できる愛らしい穏やかな草食動物に映る。時折、都市部にシカが迷い込めば、マスコミが大きく報道し、視聴者はその顛末(てんまつ)を固唾(かたず)を飲んで見守る。その一方で、全国では日々およそ2000頭のシカが捕獲されている。都市部で暮らす人たちには、にわかには実感しにくい数字かもしれない。シカによる被害は、農作物や森林破壊に限らない。国土交通省の資料によれば、動物による鉄道事故は、2003年には81件だったところ、2024年には1293件に増加している(なお、この数字にはシカ以外の動物も含まれる)。また、2025年度の兵庫県における、シカによる輸送障害件数は100件を超えていた(2026年3月時点)。これは本州以南の都道府県では最多の件数だ。また、首都圏の鉄道でも、シカによる「ロードキル(交通事故)」が発生しており、遅延も発生している。車によるロードキルもある。たとえば、2025年度、北海道のエゾシカのロードキル件数は過去最高を記録している。エゾシカは北海道に生息するニホンジカの亜種で、日本列島に生息するシカの中では最も大きいとされる。本州などに生息するニホンジカは、エゾシカに比べると小柄ではあるものの、大型哺乳類には変わりなく、ひとたび接触すれば大きな被害を受ける。人身事故もある。2024年には、京都府福知山市でオスジカの角に突かれたとみられる男性が死亡した。穏やかに見える奈良公園のシカでも、特にオスの発情期(秋)には、かまれる、角で突かれる、シカ同士のけんかに巻き込まれる、手荷物をとられるなどのケースも発生している。また、直接触れることで感染症のリスクもあるため、奈良市では注意喚起を行っている。このような状況のなか、農林水産省では鳥獣被害対策として、3つの柱を立てている。1.とる(捕獲・個体群管理):農地周辺等での鳥獣の捕獲(わな・銃器による捕獲)2.まもる(侵入防止対策):農地への進入を防ぐ侵入防止柵の設置・管理・追い払い3.よせつけない(生息環境管理):農作物残さ等の管理や放任果樹の伐採、緩衝地帯の整備。これらに加えて、農林水産省は、シカを捕獲する人材育成・確保に向けた取り組みも行っている。また、鉄道会社など民間企業においても、シカとの接触を避けるために、線路沿線への侵入防止ネットを設置したり、ライオンの糞からの抽出成分を含んだ液剤を線路沿線に散布したりするなど対策を進めている。対策は進んでいるものの、その成果は冒頭に記したように、まだ道半ばだ。ここまでシカの個体数が増加し、生息域を広げてきた背景には、温暖化により積雪が減り、越冬できる地域が広がったことや、農業放棄地の増加などによって人の手が入らなくなった場所が増えたこと、ハンターの減少・高齢化など、さまざまな要因があると考えられている。捕獲したシカの処理については、鳥獣保護管理法によって定められており、処分の現状は捕獲現場での埋没処理が最も多く、焼却処理、食肉利用と続く。ただし、自治体によって対応は異なり、捕獲数が多くなれば、その負担も大きくなる。抜本的解決には、国レベルの対策が必須だが、市民でもできることはある。一例をあげると、京都府の笠井大輝さんらは、大学の「地域の課題解決」に取り組むゼミで、捕獲されたシカの9割は廃棄されるという事実を知り、衝撃を受けたことから、「シカの命を無駄にしない」と決意した。そして、仲間と「株式会社RE-SOCIAL(本社:京都府笠置町)」を立ち上げ、シカの皮細工品の販売やジビエ(野生鳥獣肉)料理店の運営などに取り組んでいる。国としてもジビエの利用を推進している。捕獲された有害鳥獣のジビエ利用量は、2024年度には2016年度と比べて2.1倍に増加した。ジビエにも肉の安全性確保などの課題があり、処理施設や人材の不足も続いている。しかしながら、こうした取り組みが地域に広がれば、シカの命を無駄にせずに済み、埋没処理による森林環境への影響も抑えられる。都市部生活者としても、むやみにシカの数を増やさないために、山林と人間生活圏の境界線を侵さないようゴミの放置や安易な餌付けを避けるといった配慮が不可欠だ。今年4月、環境省による発表では、2023年度末におけるニホンジカ(本州以南)の推定個体数は、中央値で約230万頭だった。シカの数は依然として多く、人間のみならず、森の生態系まで壊しかねない。そして、森林破壊による地滑りなどの被害が発生すれば、被害を受けるのは人間だけではない。生態系をどう維持していくかは、極めて重要な課題なのである。シカとかかわりが薄い都市部の人たちは、「かわいそう」「害獣だから処分せよ」の二元論に陥りがちだが、シカは長期的には増減を繰り返してきた動物だ。私たちに求められているのは、単なる同情や排除ではなく、データに基づいた適切な「個体数管理(マネジメント)」とそれを維持するための地域社会・行政の継続的な取り組みへの理解を深めていくことではないだろうか。
(二ホンカモシカの報告例増、シカ急増で餌を奪われ:静岡)
乱獲で数が減り、かつて「幻の動物」と呼ばれた特別天然記念物のニホンカモシカ。主に山間部に生息するが、ここ数年、人里近くでの報告例が増えてきた。急増するシカに餌やすみかを奪われているためだ。
(ヒガンバナが“シカ被害”乗り越え真っ赤に咲き誇る:広島)
広島県三次市の群生地で、ヒガンバナが咲き始めました。三次市吉舎町の辻地区にあるヒガンバナの群生地です。およそ20アールの敷地で、真っ赤なヒガンバナを楽しむことができます。一時はシカの被害で花が激減しましたが、地元のグループが周辺に柵などを設置して、回復してきました。グループは定期的な草刈りなどで手入れを続けていて、いまでは4000人ほどが訪れる秋の人気スポットになりました。辻ハ組営農集団 竹尾英樹さん「もう一回全国に、この場所を知ってもらうのが目標。(詰める)1人でも多くの方にヒガンバナを見ていただけると力になります」。ヒガンバナは、9月30日前後が一番の見ごろになりそうだということです。
(新浜鴨場で床上浸水、台風25号の影響で:千葉)
台風25号の影響で、千葉県にある宮内庁の新浜鴨場も床上浸水の被害を受けました。宮内庁によりますと、台風25号の影響で、千葉県市川市にある新浜鴨場で床上浸水の被害があったということです。新浜鴨場は陛下が皇后さまにプロポーズをされた思い出深い場所でもあり、両陛下の長女・愛子さまも駐日大使らが日本伝統のカモ猟を体験する「外交団鴨場接遇」に去年、初めて参加されていました。
(クマ目線で移動ルートを把握:岩手)
秋の深まりとともに冬眠前のクマが餌を求めて活発に動き回るこれからの時期。人の生活圏への出没を防ぐにはどのような対策が必要なのか?人身、農作物被害を防ぐための環境整備について学ぶ研修会が16、17の両日、釜石市で開かれた。県沿岸広域振興局保健福祉環境部が主催。ツキノワグマの生息数が本県と同等ながら出没、人身被害件数ともに本県を大幅に下回る長野県から講師を招き、沿岸9市町村の地域リーダーを対象に実施。座学と実地研修を通して、地域の実情を踏まえた出没対策へのヒントを得た。16日、市民ホールTETTOで開かれた研修会には約50人が参加した。講師を務めたのは、長野県でツキノワグマの生態調査や被害防止対策などに携わるNPO法人信州ツキノワグマ研究会の濱口あかりさん(42)。全国的に大量出没した2023、25年度、長野県は出没、人身被害ともに大きな増加はなかった。25年度の出没件数は本県の6分の1、人身被害件数は19年度以降、本県の半分程度で推移している。長野ではどのような対策が取られているのか?濱口さんは前段で、クマが人里に近づくようになった理由について説明した。原因は大きく2つ。戦後復興の木材需要に対応するため人工林が増大したが、外国産材の輸入自由化で国産材は価格競争に負け需要が低迷。活用されない森林が里山に広がり、耕作放棄地も森林化したことで、クマが身を隠せる場所が多くなり、人とクマの生活域が非常に近くなってしまったことが一つ。もう一つは季節ごとのクマの食べ物の変化の影響。山に食べ物が少ない夏場は、力の弱い親子グマや若い個体が標高を下げ、人の生活域のすぐ近くで生活している傾向がある。サクラやクワの実などを食べてしのぐが、空腹で痩せたクマも多い。秋になると、冬眠に備え大量に食べる必要がある。ブナやミズナラ、クリなどの堅果類が主食だが、ブナ類の不作年は個体間で競争力が増し、何とか食べ物を得ようと人里に出てきてしまうケースが増えるという。食べ物を得ようとする行動にはクマの生態も関係する。ツキノワグマは縄張りがないため、食べ物がある場所には何頭でも集まる。また、親離れした若い雄の個体は新たな生活圏を求めて移動する中で、人里に迷い込んでしまうケースもあるという。「人里への出没はいろいろな要因が複合的に重なって起きている。捕獲だけで解決できる問題ではない」と濱口さん。こうした背景を踏まえ、出没を防ぐ対策で重要視するのが「クマ目線」で地域を見ること。「森から出てみようかな」と思わせないのがポイント。クマはやぶに隠れながら移動するため、隠れ場所がない、滞在しにくい環境(森から出づらい場所)をつくること(=緩衝帯の整備)が大切。濱口さんによると林縁から20メートル以上、草木を刈り払った状態にすると、クマだけでなく他の野生動物の滞在も大幅に減るという実験結果もあるそう。食べ物の気配をなくすこと(=誘引物の管理)は必須。農業残渣(ざんさ)、ごみ、放棄果樹などをなくし、クマが寄ってこないようにする。塗料やガソリンなどの臭いも誘引物になるため、きちんとした管理が必要。人里の味を覚えた母グマの行動は子グマにも受け継がれ、常に高栄養の状態でいると繁殖力が高まり、個体数増加にもつながる。「クマは一度食べ物だと認識したものは忘れない。最初の一口を食べさせないことが大事」と濱口さん。物理的に入りづらい場所にするには侵入防止柵(電気柵)の設置が有効。20センチ間隔でたるませない、漏電に注意するなどの管理を徹底すればかなり効果的だという。クマの鼻が電気柵に接触し、痛みを感じた経験が後の侵入を抑制する。濱口さんによると、長野県では2006年に最初のクマの大量出没があり、翌07年から野生鳥獣保護管理の体制構築に着手。10地域振興局に鳥獣対策専門員を置き、被害対策チームが3年かけて市町村にヒアリング。実態把握を行った。地域ぐるみの活動も開始。住民らが生態や対策についての学習会、必要な対策の検討、合意形成などを行いながら、各種取り組みを進めてきた。長野県内では広域防護柵の設置が進み、延長距離は3千キロ以上とされる。放棄果樹の伐採は市町村で補助金制度を整備し対応してきた。濱口さんが示したクマ(鳥獣害)対策のポイントは「できることから始め、続けられることを増やすこと」。基本は①地区内の状況の情報共有→②地図で可視化し確認→③地図を持って歩き点検→④課題の洗い出し→⑤可能なことを検討し対策へ―。濱口さんは「クマ(鳥獣害)対策は防災の考え方と同じ。何かあってからやるのではなく、予防対策から始めることで被害を最小限に抑えられる。野生動物と人間の生活域をしっかり分け安全安心な暮らしを守っていくことが大事」と話した。講演後は釜石、大槌両市町の鳥獣担当部署の職員、クマ対策に着手している地域の代表らが参加し、7人でパネルセッション。クマを寄せつけない地域づくりについて意見を交わした。両市町は人の居住地のすぐ背後に山林が広がるという地形特性があり、クマの目撃情報が絶えない。釜石市からは定期的にクマ対策の出前講座や地域の草刈りを行っている甲子町大畑町内会の取り組み、大槌町からは農業人材派遣会社と連携して実施するやぶの刈り払い、吉里吉里地区の事例について説明があった。課題として挙がったのが作業従事者の不足や高齢化。町内会単独で難しい事案は周辺組織と連携。地域と行政が一体となった取り組みに共通認識を得た。2日目17日は釜石市甲子町と平田、大槌町吉里吉里地区で実地研修が行われた。各地区住民が前日の座学の講師、濱口さんと一緒に地域を回り、誘引物の状況やクマの移動ルートと思われる場所を確認し、地図に落とし込んだ。甲子町では甲子地域会議を構成する14自治会の役員ら約30人が参加。大畑地区でフィールドワークを行った。濱口さんは「クマが山林から集落に侵入する場合、身を隠せるやぶを通って移動している可能性が高い。足の構造上、人間と同じように歩きやすい場所を通る」とし、山とやぶが接近している場所への注意を促した。成獣の体高は約60センチ。大人の腰ぐらいの高さの草丈があれば隠れられるので、自宅周辺で該当箇所があれば草刈りなどの対策を行うよう助言した。地区内には誘引物となる柿の木も点在。クマが登った爪痕がある木も見つかった。柿はこれから実が熟す時期に入る。「すでに被害や痕跡がある木は『食べられる場所』だとクマにばれてしまっている。集落のどこに木があり、痕跡があるかを地図で可視化し、皆さんで情報共有してもらうことが大切」と濱口さん。農地を囲う電気柵の設置についてもアドバイスした。地域点検を行った参加者は、やぶや柿の被害がある場所、目撃情報などを地図に書き込んだ。大畑町内会の田畑孝会長(68)=甲子地域会議議長=は「自分たちが危険かなと思っていた場所とは違うクマの通り道になりやすい箇所を教えてもらい、見る視点が変わった。まずは子どもたちの通学路を中心に茂みを少しずつ解消していけるよう具体的な対応を検討していきたい」と話した。甲子地区は特産品の甲子柿の生産地でもある。農業、人身被害を防止するため、さまざまな取り組みを行ってきたが、今回の学びを地域の対策強化につなげていきたい考え。研修会を主催した県沿岸広域振興局保健福祉環境部の髙橋秀彰環境衛生課長は「昨今、県内ではクマの出没が社会問題化している。市街地への侵入、人身被害を防止するには環境整備が必要だが、個人では限界がある。研修で知識を得たリーダーを中心に地域でどう取り組むか考えていってもらえれば」と期待した。
(地元ハンターが明かした「侵入経路と遭遇リスク」:東京)
「『そりゃいるだろうな』というのが率直な感想です。高尾山は、熊が出没していた陣馬山や秩父山地とつながっていますからね。公式の発表ではないですが、熊の目撃情報自体はすでにいくつか出ていました」(八王子市で活動するハンターの男性)。八王子市は9月16日、8月20日に高尾山の登山道付近でツキノワグマが確認されていたと発表した。観光客でにぎわう高尾山にもついに熊が現れたとあり、世間には驚きが広がったが、地元ハンターたちにとっては意外なことではなかったのだ。昨年は東京都青梅市の駐車場や奥多摩町の渓流などで熊の出没が相次ぎ、けが人も出た。背景には餌不足があったとされるが、その状況は今年も続いているのか。岩手大学農学部准教授の山内貴義氏が解説する。「今年は、餌となる木の実がよく実っています。山に実があれば、熊は本来、人里には降りてきません。ただ、昨年の大量出没で人慣れしてしまった個体が多い。冬眠前に餌を探してふらっと人のいる場所に出てきているのでしょう」。秋には果実を求めて人家のそばまで近づくこともあるという。奥多摩在住のベテランハンター清水光弘氏が言う。「今年はヤマグリが多いけれど、それがなくなればカシの実や柿の実を求めて移動します。街中まで出てくる可能性は低いですが、自宅に柿の木があれば注意が必要です」。紅葉の行楽シーズンに、熊と鉢合わせ、なんてことは避けたい。どう備えればいいのか。「人に慣れているとはいえ、大人数の相手には警戒して近づいてきません。山に入るなら、人の多い登山道から外れないことが大切です。
(宮島でなぜキツネが人を襲うのか:広島)
世界遺産・厳島神社で知られ、年間約500万人の観光客が訪れる宮島(広島県廿日市市)で今年に入り、街中に現れたキツネに人が襲われる被害が相次いでいる。市によると、宮島でキツネによる人的被害が確認されるのは今年が初めて。市は近づいたり、餌を与えたりしないよう呼びかけている。市によると、5月13日に住民の60代女性が家の中に入ってきたキツネにかまれたのを皮切りに、9月までに計4件の被害が確認された。うち3件は、島の北部の宮島桟橋から東に約1・5キロの民家が並ぶ杉之浦地区で発生し、1件は桟橋と厳島神社を結び、土産物店などが軒を連ねる商店街地区で起きた。8月に発生した2件は、いずれも救急搬送される事態となった。8月14日未明、杉之浦地区に住む70代男性が物音が聞こえたため自宅を出たところ、キツネと遭遇。追い払おうとして、かまれたという。29日深夜には、商店街地区の防波堤の上で横になって電話をしていた10代女性がかまれた。同じ個体による被害かはわかっていない。
(クマ・シカ問題、人的被害や食害に警戒を)
冬眠を控えたクマが活発に活動する季節を迎えた。昨年度は過去最多の13人の命がクマ被害で失われたが、そのうち8人の死亡事故は10~11月に発生。この2カ月だけで、全国では122人(死亡者含む)が被害に遭った。これは昨年度全被害者の約51%に相当する。警戒を強めていかなければならない。環境省によると、今年度のクマによる全国の人身被害者数は8月までに60人で、そのうち死者が6人。8月までの人身被害者数が69人で死者が5人だった昨年と似通ったペースとなっている。中には長野県や富山県などのように、堅果類(ドングリ)の豊凶調査の結果、秋以降は山林内に留(とど)まるクマが多いと予測し、平野部や人里への大量出没の可能性は低いと見込んでいる地域もある。だが、9月だけでツキノワグマへの緊急銃猟は全国で4件実施。3日には京都府舞鶴市、28日には東京都八王子市で行われた。都内では初めてだ。昨年の被害の多くは東北や北陸に集中していたが、それ以外の地域で相次ぐ可能性も想定しなければならない。もし対応に不慣れな地域に突然クマが出没した場合、警察や自治体、ハンターなどが的確な連携が取れるかも気掛かりだ。関係各所は特にこの時期、緊張感を持ってクマ出没に備えるべきだ。また、クマが人間の食べ物の味を覚えてしまった場合、学習能力が高く嗅覚にも優れたクマは、食べ物を求めて倉庫や建物内へ侵入したり、積極的に人間へ近づいたりするようになるなど行動が大胆化するため、死亡事故発生のリスクが高まる。対策不足や不適切な餌付けが人々の安全を脅かす危険なクマを生み出してしまっているとすれば、それは「人災」と言わざるを得ない。秋はクマだけでなく、繁殖期を迎えたシカによる農作物被害も深刻だ。被害状況は一時期減少したものの2020年度からは年々増加傾向で、24年度の被害金額は約78億5000万円に上った。さらに林野庁によると、野生鳥獣による森林被害面積(24年度)のうち、シカによる食害は全体の約6割。シカの生息密度が著しく高い地域の森林では、シカの口が届く高さの枝葉や下層植生がほとんど消失している場合もあるという。むき出しとなった土壌では土砂崩れが発生しやすくなるため、頻発する台風や豪雨での被害拡大につながる懸念もある。現在、クマやシカが「国難」レベルの課題となっているという認識を国民全体で共有していく必要があるだろう。クマやシカの駆除は国を挙げて積極的に進められているが、獣害の与える影響は今後も長引く可能性が高い。自治体ではドローンや人工知能(AI)などの最新技術を使った対策を導入する所も出てきた。人間の生活圏に入り込んだ動物の早期発見や追跡に役立てているという。機材を扱える人材の確保・育成といった課題もあるが、中長期的な視野で獣害という国難を乗り越えていくべきだ。
(クマ隠れる茂み伐採:富山)
黒部川河川敷のクマ対策として、国土交通省黒部河川事務所が進めてきた樹木の伐採が完了した。6月に入善町芦崎の海沿いに出没して駆除されたクマは、黒部川河川敷を通って河口まで下ってきたとみられ、同事務所は黒部市と入善町の中流域の計7カ所でクマの隠れ場所となる茂みを取り除いた。見通しが良くなったことでクマが出没しても見つけやすくなり、住民の迅速な屋内退避などに役立つ。全国的に相次いだ住宅地でのクマ出没では、山間部から河川敷の木立や草むらを通って住宅地まで下りてきたケースが多い。黒部河川事務所はクマによる人身被害を防ぐため、国が取りまとめた「対策パッケージ」に基づき、今年3月から6月にかけ、黒部市宇奈月町中ノ口、内山、音沢、入善町青野、墓ノ木で河川敷の木々を伐採。これとは別に、黒部川の堤防沿いや中州で伐採作業に当たっている。これらの伐採に加え、6月に入善町の海沿いでクマが駆除されて以降、職員や工事関係者らを対象としたクマ対策講習会を開催。県が「ツキノワグマ出没警報」を発令していた8月末までは、河川パトロールカーが巡視の際、河川利用者に注意を呼び掛けた。長尾彰河川管理課長は「クマがいつ住宅地に現れるか分からない。黒部川沿いの住民や河川利用者の安全を脅かすクマの出没を防ぎたい」と話した。
(シカの食害受けたコスモス花壇の手入れ:北海道)
室蘭市で地域の人たちが育てているコスモスの花がここ数年、シカの食害に悩まされていることから、29日、地域の人や近くの養護学校の生徒も参加して花壇の手入れが行われました。室蘭市八丁平にある道道ではおよそ2キロにわたって地域の人たちがコスモスを育てていて、そのようすから「コスモスロード」とも呼ばれています。コスモスは毎年、この時期に白やピンクの花が見頃を迎えますが、ここ数年は若い芽や花がシカに食い荒らされる被害が相次いでいることから、29日は近くにある北海道室蘭養護学校の生徒9人も参加して花壇の手入れが行われました。生徒たちは学校の教員や、花壇の手入れを行ってきた連合町会のメンバーから指導を受けながら、根元の周りを土でかためて倒れた茎を元に戻したり、用意された100本ほどのコスモスを新たに植えたりしていました。連合町会によりますと、ことしはおよそ6割のコスモスが被害を受けたということです。花壇の手入れに参加した養護学校の高等部3年の男子生徒は、「きれいなコスモスを手入れしてうれしい気持ちになりました」と話していました。「コスモスロード」の手入れを長年、行ってきた八丁平連合町会顧問の鈴木功一さんは、「シカの被害に負けないよう、多くの人の力を借りながらコスモスを守っていきたい」と話していました。
(罠の空振りゼロへ。料理人猟師と共同開発)
鳥獣被害対策用品の企画・販売を手がけるイノホイ(株式会社refactory)は、現役の有害鳥獣捕獲従事者であり料理人でもある猟師が開発した特許取得構造を持つ新しいくくり罠を発売することになりましたのでお知らせいたします。新型のくくり罠は、従来のくくり罠の弱点でもあった「空はじき」(作動はするが捕獲できない現象)を抑制するために罠が作動するエリアをセンターの踏板部分と十字アーム部分に限定、更に台座を一体化した構造とすることで小型化・軽量化を実現しました。空はじきを抑えることで対象獣の警戒感や再設置の負担がなくなり、持続可能な鳥獣被害対策に貢献できると考えます。新型くくり罠の商品名は「イノホイX(エックス)」と命名し、2026年9月30日より発売開始します。
(線路にハバネロ、鹿の進入防止します:埼玉)
終電列車が通り過ぎ、日付が変わる直前、小雨にぬれたレールの上を、小さなカートがゆっくりと進み始めた。暗闇に浮かぶのは、ヘルメットと反射ベスト姿の作業員たち。カートから線路脇の草むらへ、赤みを帯びた液体が霧状に吹き付けられていく。その正体は、何と激辛で知られる唐辛子の「ハバネロ」だ。鹿やイノシシとの衝突を防ごうと、JR八高線で続けられている獣害対策の現場を追った。八高線竹沢―折原間の第三木呂子踏切(埼玉県小川町)。3日午後11時50分、小雨がぱらつく空模様をにらんでいた一人が「大丈夫でしょう」と声を上げると、待機していたJR東日本の作業員6人が動き始めた。主に使用するのは、バッテリーでレール上を自走する「レールスター」と呼ばれるカート。タンクに積まれたのは、鹿などが嫌う忌避剤の「ハバネロシールド」。トマトジュースを濃くしたような、タバスコ色の液体だった。作業員が噴霧器を使い、線路脇の草むらへ吹き付けていく。闇ににじむミストの向こうから、ツンと鼻を突くにおいが漂ってきた。唐辛子とはまた別次元の刺激臭だった。この日、作業が行われたのは小川、寄居両町にまたがる約2キロの区間など。過去の出没状況を基に、鹿やイノシシが現れやすい場所を狙ってまかれる。今シーズンは3カ所で実施し、春にも同じ場所で作業するという。名前の通り、ハバネロの辛み成分カプサイシンを利用した薬剤だ。においや刺激を嫌う野生動物を線路から遠ざける仕組みで、JR東日本は2024年度から八高線に導入した。「辛さは味覚ではなく、刺激であり痛みなんです」。そう教えてくれたのは、ハバネロから忌避剤を開発した三大(兵庫県)の吉井忠大社長だ。「動物行動学の最新の研究によると、動物は薬剤に触れた時の痛みを覚えていて、その場所を二度と通らなくなる。でも、鹿の記憶の保持は半年が限界と言われています」。自信に満ちた声。ハバネロに携わって20年の成果だという。
(「増え続けるシカ」を地域資源として活用する取り組み:広島)
増え続ける『シカ』についてです。農作物への被害が深刻化する一方で、地域資源として活用する動きも広がっています。中高生たちが現場で学び、この問題とどう向き合うべきか考えました。県内で深刻さを増す、シカやイノシシなどによる獣害。中でもシカは、近年、暖冬の影響などで生息域が拡大。その数は県内で6万頭を超え、 被害額は8200万円にのぼるといいます。駆除や捕獲が進められる一方、シカを地域の資源として活用する取り組みも広がっています。安芸高田市で、シカ肉のブランド化に力を入れる金沢大基さんです。【cica 金沢 大基 社長】「シカはシカなりのおいしさがあって、うまみが強いですし、四季折々で食べるものが変わるので、肉質も変化があって、春夏秋冬で変化を感じられるお肉だというのも、魅力的だと思いますね」。約3年前から講師を務めているのが、広島女学院中学・高校の探求学習『安芸高田鹿プロジェクト』【cica 金沢 大基 社長】「広島の子たちが、自分たちのまちの魅力に気づかないまま外に出てしまうのはもったいないと思うので、山で何が起きているのか、そこに何の魅力があるのか、地域の魅力や可能性を感じてもらって、次の未来を作ってほしい」。この日、金沢さんと約30人の生徒たちは安芸高田市を訪れ、農家の人たちから被害の実態を学びます。【農業生産法人 桑田の庄 清水 勝 社長】「田んぼと山の間に、2メートルの高さの金網が張ってあるんです。でも被害がなかなかなくならない。夜中に悪さをする。どうしてもシカとかイノシシには勝てないです。24時間ついておくわけにいかないので」。被害だけでなく、駆除に携わる猟師の思いにも触れました。【安芸高田市ジビエ振興協議会 秋田 ひろみ さん】「彼らは彼らで一生懸命生きている。それを途中で人間の都合で命を止めてしまう。真摯に一頭一頭に向き合って、ありがとうという言葉をかけて、いつも捕っています」。さらに生徒たちは、シカを食肉にする処理工場にも足を運びました。【安芸高田市ジビエ振興協議会 古門 正文 さん】「今さばいているのは、バラ肉。ロースと一緒にとります」。捕獲されたシカが、加工されるまでの過程を目の当たりにし、命を無駄にしないことの大切さを学びます。シカの問題を自分ごととして捉えた生徒たち。シカを通じた取り組みを続けてきた金沢さん。持続可能な地域づくりにつなげるため、活動をさらに広げていきたいと意気込みます。【cica 金沢 大基 社長】「もっともっといろんな学生にこの活動を知ってもらって、取り組んでくれる学校が増えればいいと思っています。違う県でも同じように取り組みをしているところもあるので、そういうところとの交流もしたい」。
(森林とマタギ文化を未来へつなぐ「モリタビ」が、第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」に入賞:山形)
株式会社グーニーズグループ(以下、当社)が山形県小国町で地域の皆さまと取り組む観光プログラム「モリタビ」が、第10回「ジャパン・ツーリズム・アワード」において、272件の応募の中から入賞56件の一つに選出されました。2026年9月24日(木)、東京ビッグサイトで開催された表彰式に出席しました。モリタビは、飯豊連峰の麓に広がる森林やマタギ文化、地域の食、宿泊、人との交流を一つの体験としてつなぎ、地域外の人が小国町を知り、繰り返し関わるきっかけをつくる取り組みです。山形県小国町に受け継がれるマタギ文化や発酵文化を軸に、自然と共生する価値観を未来へ継承する体験型サスティナブルツーリズムとして評価されました。参加費の一部を森林保全や文化継承に活用し、持続的な森づくりへ還元する仕組みや、地域ガイドの育成、マタギ文化の継承につながる点などから、10年先を見据えた持続可能な地域循環モデルとして期待されています。
(頼むぜ相棒!日本一の狩猟犬に密着:徳島)
2026年3月、狩りの技術を競う全国大会で、徳島の男性とその愛犬が見事、日本一の栄誉に輝きました。狩猟犬とは、一体どんな訓練をしているのか。そして訓練に密着して分かった、ワンちゃんの驚きの能力とは。河川敷を駆け抜ける、一頭の犬。獲物を見つけると、その場でピタリと動きを止めます。「狩猟犬」として活躍する、イングリッシュポインターのレベルくん4歳と、美馬市に住む飼い主の住友佑輔さん29歳です。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「もう、今では相棒ですかね」。2026年3月、富士山麗で開かれた狩猟犬日本一を決める「全日本猟野協議会」。獲物を探す能力やスピード、精度などを競い、頂点に立ったのがこのコンビです。85年の歴史を持つこの大会で、始めて徳島に栄冠をもたらしました。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「最初、優勝って聞いたとき全然実感がなかったが、みんなが『おめでとう』って言ってくれたりとか、時間が経つにつれてだんだん嬉しい(気持ちに)」。狩猟犬の第一の仕事は、人間の目では見つけにくい獲物を探し、その存在を猟師に知らせること。狩りにおいて欠かすことのできない、いわば猟師の「目」となる存在です。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「普通の家庭の犬って、食欲だったりあると思うが「それにプラスで、猟犬って猟に対する欲があるんですよ。そのバランスが一番難しい」。猟犬が生まれ持つ狩猟本能を、人間と行う狩りに適合させてゆく。訓練の最重要ポイントです。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「こっち来いよー、こっちこっち」。訓練には伝書鳩を使います。はじめに、遠隔操作で開閉できる箱へ、鳩をセッティングします。遠く離れた場所から、レベルくんをリリースします。広い河川敷を捜索すること10分。段々と臭いが近づいてきました。そして、獲物を発見。しかし不用意には近づきません。獲物の前で動きを止める、「ポイント」という動作です。自らの狩猟本能を抑えて、漁師に獲物の存在を知らせます。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「飛ばしますよ」。鳩が飛び立っても、追いかけたい気持ちをグッと抑えます。撃たれる危険があるためです。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「はい、おいで」「今のが大会で出来たらいいね、すごい評価やね。なかなかできないですけど、本番では」。住友さんが狩猟を始めたのは、約9年前。祖父から狩猟犬を譲り受けたことをきっかけに、狩りと狩猟犬の育成にのめりこむようになりました。狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「なかなか思う通りにいかないんです。なかなか言うこと聞いてくれないんですよ」「それを時間かけてちょっとずつ、成果が見えてきたきた時って、やってて良かったなって思いますね」。犬を育成する、「シーフィールド犬舎」の代表を務める住友さん。毎日、仕事が終わったあと、レベルくんと二人三脚で訓練を続けました。こうした地道な努力の積み重ねが、日本一という結果につながったのです。とはいえ、狩猟はまだまだ一部の人だけの限られた世界。住友さんは自身の活動を通して、多くの人に狩猟の魅力を伝えたいと言います。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「若い人がいない猟犬の業界、猟の業界全部なんですけど」「若い人に、この面白さをもっとわかってもらって、やってみようと思える人が増えたら良いと思う」。一見、どこにでもいる普通のワンちゃん。しかし、この体には狩猟犬として、最高の能力が宿っています。(狩猟犬全国大会優勝・住友佑輔さん)「とりあえずチャンピオン。日本でまたチャンピオンを獲りに、レベルとはいきたい」。一度きりで終わりじゃない。次の大会でも、頼むぜ相棒。狩猟犬の大会で見事、日本一に輝いた住友佑輔さんと、相棒のレベルくんをご紹介しました。
(“ツキノワグマ大暴れ”山梨県・朝神村事件とは)
クマ被害が社会問題になっている。2025年度のクマによる人的被害の被害者は238人、うち13人が死亡。これまで最も多かった23年度(被害219人、死亡6人)を大きく上回り、過去最高となった。民俗研究者・筒井功氏の最新刊『クマの民俗誌』は、長年の取材とフィールドワークを通して書き留めた、クマの生態についてやマタギの暮らし、絶滅地域の記録などを丹念にたどり、民俗学の視点から「人間と野生動物が共に生きる社会」のあり方を問いかける。本書より、とある村で起きたクマによる襲撃事件を一部抜粋してお届けする。ツキノワグマが人間を襲って、けがを負わせた事例は、ある時代(一つの画期として1980年代ごろを挙げうる)までは、かなりまれであった。そんなことが起きたとしても、ほとんどが被害者は1人か、せいぜいで2人であり、いちどきに数人が難に遭うことなど、まずなかったのではないか。そんな中で、昭和26年(1951)10月13日に、山梨県北巨摩(きたこま)郡朝神村浅尾新田(現北杜市明野(あけの)町浅尾新田)で、クマが次々と住民に襲いかかったできごとは、珍しい事件だったといえる。このときは、わずか3時間20分ほどのあいだに、10人が重軽傷を負ったからである。 現場は、とくに山深いところではない。茅(かや)ヶ岳(たけ)(1704メートル)の西麓に位置するとはいえ、同県韮崎(にらさき)市の中心部から北へ8キロばかりの農村地帯であった。 この事件は、死者が出なかったためでもあろう、先に取上げた北海道の三毛別ヒグマ事件や、福岡大学ワンダーフォーゲル部事件などと違って、すでに世間からは忘却されているように思われる。資料もとぼしいが、さいわい高橋喜平『ツキノワグマ物語』(1974年、筑摩書房)に詳しい記録が残されている著者の高橋喜平氏(1910―2006年)は、雪崩や野生動物の著名な研究者で、朝神村事件のことは現地で聞取りもしていた。細部では、当時の『山梨日日新聞』の報道とは、いくぶん異なった点もあるようだが、本書では同書からの引用によって、事件の経緯を記させていただくことにする。ツキノワグマが暴れまわった、ほぼ長方形の一画には、平賀進、平賀熊雄、鈴木梅吉、長田重次(関係者の敬称略)の農家が、逆時計まわりで、それぞれの角を占めて並んでいた。そのあいだには、竹林や畑があり、長方形の外側も水田や畑であった。午後4時ごろ、1頭のクマが平賀進宅へ現れ、庭先で仕事をしていた妻のアサジ(30歳)に襲いかかって、うしろから頭を爪でひっかいた。そのあと、玄関に移り、四男の辰男(3歳)の額を一撃してから、家の横の畑で、歩いていた鈴木ミチ(50歳)にぶつかった。クマは、いったんはす向かいの鈴木梅吉宅の方へ走っていったが、また平賀進宅へもどってきて、三男の正文(4歳)、進の母アサ(74歳)、たまたま居合わせた遠藤トモ子(5歳)の3人を踏み倒したり、ひっかいたりした。中でも、アサは何度も攻撃されて、肩の骨がばらばらになり、顔には36針も縫うけがを負う瀕死の重傷であった。これを見た進が、庭先の鍬で力まかせにクマを殴ると、クマは向かいの平賀熊雄宅へ向かって走り去った。このとき、騒ぎを聞いて駆けつけていた近所の窪田憲員(18歳)と鉢合わせをして、クマは窪田の額や胸をひっかいた。追ってきた平賀進が、鍬でクマの背中を殴ると、クマは熊雄宅へ乱入する。クマと顔を合わせた熊雄が屋根裏に逃げ込んだところ、鈴木梅吉宅へ移動した。クマは家を通り抜けて、裏の畑にいた遠藤義男(47歳)を襲い、頭や手、尻などに爪を立てた。遠藤は、頭を25針も縫う重傷であった。このころには、急報を受けたハンターの馬場義幸(40歳)がそばに来ており、馬場は、遠藤の「助けてくれ」という声で、慌てて3発を発砲した。うち一発だけが当たったが、クマは血を流しながら、馬場の太ももにかみついた。そこへ、やはりハンターの鈴木登(37歳)が駆けつけたものの、馬場はクマとからみ合っている状態で、なかなか銃を撃つ機会がない。馬場の「早く撃ってくれ」との叫びに、鈴木が3発を放ったが、いずれも急所をはずれたらしく、クマはいっそうたけりくるい、こんどは鈴木に向かってきた。鈴木が猟銃の台尻でクマを殴っても、クマは銃身にかじりつき、さらに鈴木の手にかみついた。そうして、間もなく鈴木梅吉宅に入っていった。これが午後5時40分ごろで、曇天のため、あたりはうす暗くなっていた。中からは、クマの暴れまわる音が聞こえてくる。しかし、取り巻いていた村の人びとは、なかなか中へ入っていこうとしなかった。クマに気おされていたのである。やがて、物音がしなくなったが、すでに暗くなった中を屋内に突入していくのは危険に思われた。「どうしたものか」と、あれこれ相談していた午後7時20分ごろ、突然、クマが縁側から外へ飛び出してきた。クマは、いったん包囲している人びとの方へ向かってきたが、相手側の大声にびっくりしたのか、すぐにくるりと向きを変え、暗闇の中をいずれかへ逃走したのだった。このクマは結局、捕獲はされなかった。立ち上がったときの背の高さは人間の大人と同じくらい、体重は90キロほどではなかったかといわれている。
(クマに露天風呂から連れ去られ…見落とされた“事故の予兆”とは:伊藤 秀倫)
2025年、日本におけるクマによる人身事故の被害者は238人、そのうち13人が死亡した。いずれも統計開始以来、最悪の数字である。特筆すべきは、自宅の居間や商業施設など、これまで考えられなかったような状況で人が襲われるケースが増えてきたことである。『羆を撃つ』(文藝春秋)より、岩手県北上市の温泉施設で従業員が襲われた事故を検証した「名物レフェリーはクマに連れ去られた」を紹介する。岩手県北上市は半導体や自動車関連工場などが立ち並ぶ東北有数の工業都市である。その街の中心部から西へ車で30分ほど走る。田園地帯を抜け、奥羽山脈へと向かう谷筋をたどっていくと、やがて夏油川(げとうがわ)の渓谷沿いに「瀬美(せみ)温泉」の看板が見えてくる。平安時代末期の開湯と伝わる秘湯である。2025年10月16日朝、その瀬美温泉の代表取締役、岩本和裕(53・当時、以下同)は車寄せで首を傾げていた。この日、岩本は東京に用事があり、北上駅から新幹線に乗る予定だった。そういうとき、岩本を駅まで車で送り届けるのは従業員のSさん(60)の役目だった。真面目な性格のSさんは、遅くとも出発時刻の30分前には車を準備するのが常だった。ところがその日、車寄せには車もSさんの姿もない。そんなことはこれまで一度もなかった。時計を見ると、すでに伝えていた出発時刻の11時を過ぎようとしている。するとフロントにいた支配人が「ちょっと露天風呂にいないか、見てきます」と言って走っていった。屋根のない露天風呂にはこの時期、落ち葉が溜まりやすい。しかもこの日は朝から雨が降っていた。支配人はSさんが溜まった落ち葉を取り除くのに手間取っているのでは、と考えたのだ。やがて露天風呂を見に行った支配人が息せき切って戻ってきた。「Sさんは……いませんでした。でも、なんか血みたいなものが……」。喘ぐようにそう告げる彼の顔面は蒼白だった。岩本が露天風呂に駆け付けると、そこにはSさんの眼鏡とサンダル、そして落ち葉を掬うための網が散乱していた。風呂の周りに敷かれた滑り止め用の人工芝マットがなぜか掻きむししられたようにグチャグチャになっていた。そして雨の中でもそれと分かる血だまりがあった。岩本がそのときのことを振り返る。「眼鏡とか血だまりとか目に見えているんですが、それが何を意味するのか、何にも結び付かなかったですね。何かトラブルに巻き込まれたとか、そういうこともまったく考えつかなかった。“いったい、これは何なんだ”という考えがグルグル回っていただけです」。岩本は「Sさぁーん! Sさぁーん!」と大声を出しながら、辺りを20分ほど探し続けたが、反応はない。防犯カメラを確認すると、9時17分に露天風呂へと向かうSさんの姿が映っていた。11時15分、警察に通報。「(110番の担当者は)不審者が入ってきて、トラブルになったんじゃないか、ということを最初は言ってました」。通報から20分ほどで到着した警察官は、現場検証の結果、岩本にこう告げた。「人間の仕業じゃないですね。おそらくクマにやられた可能性が高いです」。予想外の言葉に岩本は言葉を失った。ここで初めて、頭を過(よぎ)ったことがある。「実は3日前に露天風呂に入っていた女性客が『川の向こうにクマがいた』というので警察に通報していたんです。けれどまさか、というのが正直なところでした」。山深い場所である。過去には周辺でクマが目撃されたこともあったが、一方でシカやイノシシなど他の動物と見間違えるケースも多々あった。だが、後で振り返ると、この女性客の目撃証言は重要な意味を持っていた。実はこの目撃証言に先立つ10月8日には、温泉から2キロほど上流にある山林で、クマに襲われたと見られるキノコ採りの70代男性の遺体が見つかっていたからだ。「もちろん、そのことは知っていました。けれど、今思うと、やっぱりまだどこか他人事として受け止めていたんだと思います」。そう言って、岩本は唇をかみ締めた。北上市猟友会の会長を務めるハンター、鶴山博(76)が瀬美温泉に到着したのは10月16日昼過ぎのことだった。北上市の担当部署から〈温泉の従業員がクマに襲われて行方不明になった。捜索するのでハンターの人たちも来てほしい〉との依頼を受けて駆け付けたのである。あのクマじゃないか――第一報を聞いた鶴山の脳裏を過ったのは、やはり8日にキノコ採りの男性を襲ったクマである。この8日の事故現場には、鶴山も立ち会っていた。まだ現場の山林周辺にクマが潜んでいる可能性があったため、現場検証をする警察官の護衛役を担ったのである。現場は凄惨を極めていた。「(被害者の)ご遺体は、ほとんどバラバラな状態で、性別もわからなかったほどです。離れたところに首らしきものがあるのが目に入りました」(鶴山)。被害者の遺体は、激しく食害されていたのである。人を襲ったクマは即駆除が鉄則だが、現場は山深い場所である。山狩りをしてこのクマを追跡することは現実的とは言えなかった。「現場から上流はダムへと通じており、クマはそっちに向かったんじゃないかと思ってました。ただその後、13日に瀬美温泉で入浴客による目撃があった。だから『爆竹を鳴らして追い払ってください』と伝えていました。もし8日のクマが温泉の方に下ってきたんだとしたら、罠かけた方がいいな、と考えていたところで、16日の事故が起きてしまった」(同前)。瀬美温泉に着いてみると、規制線が張られる物々しい雰囲気の中、警察や消防の人間が行き交い、雨合羽を着込んだ報道陣も押し寄せていた。警察による現場検証が行われている傍らで、鶴山は仲間のハンターと現場を確認する。露天風呂は夏油川を見下ろす谷の縁にある。柵の先は5メートルほどの斜面となって川へ落ち込み、対岸には急な崖がそそり立つ。露天風呂への出入り口付近、柵のすぐそばに50センチほどの血だまりが広がっていた。そして柵の下へと何かが引きずられたような痕跡があった。クマの体毛や何らかの肉片らしきものも採取された。川に背を向けて露天風呂の清掃を行っていた被害者が、川から上ってきたクマに背後から突然襲われて、連れ去られた可能性が高かった。鶴山には露天風呂に入った瞬間から気になっていることがあった。「クマのね、臭いがするんですよ」。被害者がクマに襲われたのだとすれば、獣臭が残っていたとしてもおかしくはない。だがその臭いは、対岸からこちらに向かって風が吹いたときに漂ってくるようだった。仲間のハンターとそのことを確認しながら、鶴山は周囲の警戒を続けた。もしかするとクマはまだ付近にとどまっているのかもしれなかった。結局、この日は二次被害を避けるため時ごろに現場検証と捜索を打ち切り、翌朝から本格的な捜索に入ることになった。鶴山が現場を引き上げるとき、かすかにまた獣臭が漂ってきた。
(被害者を50メートルも引きずった“クマの執着心”の恐ろしさ:伊藤 秀倫)
10月17日午前8時。警察、消防、猟友会など100人規模の捜索隊による捜索が始まった。猟友会からは人のハンターが参加し、2班に分かれた。北上市猟友会の会長を務めるハンター、鶴山博は後方支援に回った。最初にまず警察がドローンを飛ばしたところ、露天風呂の崖下に熱反応があった。クマかと緊張が走ったが、慎重に近づいてみると、そこには温泉の排水菅が通っていて、湯気が立っていた。その湯気の熱が反応したのである。崖下のヤブに降りていく前には、花火業者で購入した轟音玉を鳴らして、何か逃げていくものがないかを確認した。ハンターが先頭に立ち、その後ろに警察や消防が続く。だが温泉の下、川の手前のヤブの捜索では、クマも被害者も見つからなかった。捜索隊のハンターの一人がふと見上げると、トンビが2羽、くるくると旋回しているのが見えた。上空には報道のヘリも飛び、騒然としているがその場を離れる様子はない。あの下に何かあるのか――。もしかすると、クマは被害者を咥えたまま川を渡り、対岸の崖を登ったのかもしれない。先行する班が川を渡り終えて、対岸の捜索を始めるのと、ほぼ同時だった。突然3発の銃声が響いた。先行する班のハンターによる発砲である。ハンターの間では事前にこんな合図を決めていた。「人が発見されたら手を挙げろ」「クマを獲ったら両腕でマルを作れ」。ほどなく先行する班の面々が手を挙げ、両手でマルを作った。時計は午前9時10分を指していた。クマを撃ったのは20代のハンターだった。以下は鶴山がこのハンターから聞き取った内容である。〈対岸に渡って雑木林に入ったところ、目の前のヤブが動いて、クマがガバッと立ち上がった。距離は10メートルないくらいでした。急いで銃を構えると、クマは斜面を5メートルほど駆け上がった。するとクマは立ち止まって、こちらを見たので、一瞬目があった。『あれ、来(く)んのかな』と思って、頭を狙って夢中で撃った。正直、やられるかと思った〉。ほかに2人のハンターも発砲したため、銃声は3発聞こえたのである。銃弾を受けたクマは斜面を転げ落ちて、崖の下で止まった。捜索隊はそこで初めて崖下に、変わり果てたSさんの姿を発見したのである。ズボンは着用していたが、肩から上ははだけ、斜面に足を向けた状態でうつ伏せに倒れていた。肩から背中にかけて爪でひっかいたような深い傷があった。クマはその遺体に折り重なるようにして絶命していた。撃ったハンターは「(クマは)ご遺体を自分のものとして囲い込んでいるような感じだった」と後に語っている。クマが駆除されたのは露天風呂からは北西に50メートルほど離れた場所だった。「ご遺体を露天風呂から川まで引きずり下ろし、そのまま川を渡り、さらに対岸の斜面の上まで運び上げたうえで、囲い込んでいた。これには驚きました」。鶴山は言葉を継いだ。「あんなクマは見たことない」。一般にクマは自分が食糧と看做(みな)したものには、強い執着を示す。だが、このクマの執着心は度を越している。同時に鶴山は、現場検証の際、露天風呂で獣臭を感じた理由に思い当たった。「あのとき、このクマは対岸の崖の上から、じっと我々を見ていたんだと思います」。クマは自分の“獲物”を誰からも横取りされない場所に運ぶために、被害者を50メートルも引きずっていった。そして露天風呂を行き来する人間たちの様子を対岸から「監視」していた――。駆除されたクマは体長140センチ、体重は80キロのオスだった。このクマの解剖には、鶴山も立ち会った。クマの胃の中からは人間の頭髪や顔の一部が見つかった。「草木類はほとんど口にしていなかったようです。そのせいか、クマの肉を裂いてみると脂肪がほとんどついてなかった。本来、冬眠前のこの時期であれば、5~10センチほどの脂肪がついているはずなんです。かといって、栄養不足という感じじゃない。むしろ毛並みなんかツヤツヤで、今まで見たことないぐらい見事に真っ黒でした」。驚いたことがもうひとつあった。「あのとき10メートル以内の至近距離から、計3発撃ってます。けれども解体して調べたら当たったのはたった1発、こめかみのあたりにポッと当たったぐらいでした。致命傷というほどの傷でもなかった。たまたま、当たり所がよかったんです。それだけの至近距離から撃っても、鉄砲なんてそう簡単に当たるもんじゃないんです」。鶴山は「間一髪でした」と呟いた。
(東出昌大が臨場感たっぷりに描く秋の鹿狩りの全て)
山に暮らし、遊び、思索する――。時に含蓄あるセリフを吐いたかと思いきや、時に斜め上の言動でファンを驚かせる東出昌大。今、何かと目が離せないこの男は文章でも人を惹きつける。9月に彼の山暮らしの日々を綴った24扁のエッセイ『誰が為にか書く~東京から離れた山暮らし日記』が刊行され、人間の生きる力とは何かを考えさせられる。そんな東出昌大のエッセイのなかから、同書籍未収録のエピソードを紹介しよう。東出昌大の山暮らしを語るうえで欠かせないのが、狩猟。鹿が繁殖期を迎える秋は猟師たちにとって、コール猟(笛を使った狩猟)と呼ばれる季節だ。東出昌大も新しく手に入れた銃を相棒に山へと入るがーー。「奥山に 紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」古今和歌集より。昔の歌は良い。ここまで古いと著作権云々なんて言われないし、綺麗な日本語の中に意味もギュッと凝縮されていて、なにより、読んだだけでちょっぴり賢くなった気になれる。鹿が繁殖期に入るこの季節、山ではそこかしこからビョォォオオと縄張り争いの声が聞こえる。歌人はそれを「寂しげな秋の季語」と設定したが、猟師の我々は「フフンッ!とうとうこの季節がやって来たか!」と、雄鹿と呼応するように鼻息を荒くする。コール猟が出来るようになるからだ。鹿はオスのみがツノを生やすが、これは毎年生え変わる。春先にポロッと落とした立派なツノのあとにはまた新しいツノが生えてくるのだが、夏のツノは発達途上のため袋状の皮に覆われており「今は喧嘩出来る状態じゃねぇから!」とオスジカは奥山に引っ込みがちになる。しかし、天高く馬肥ゆる秋になるといよいよ冬に向けてたっぷりとした栄養を摂り始め、ツノに被っていた袋は無くなり「どっかに良い女はいねぇーかぁー!! オレがこの山のヌシだぁー!!」と繁殖期特有の声でビョオビョオ鳴く(ラッティングコール)ようになるのである。そこでズルい人間は考えた。「この声に似た笛を使えば、イキリたったオスを寄せられるんじゃね」と。そして精巧な技術で作られた笛は今やAmazonで2000円ちょっとで買え、これを持って山に行って上手に吹き、挑発を受けイキリ立ったオスジカが寄って来たところを撃ち獲るのがコール猟である。今朝は6時に家を出た。通常の忍び猟ならもうとっくに猟場にいる時間だが、コール猟の場合は朝の暗い森もすっかり見渡せるほど太陽が地表を照らさなければ、近づいて来てくれる鹿に気付けない為、少し遅くに家を出る。6時42分猟場着。木を背にしてしゃがみ込む。笛を吹けば喧嘩する気満々の雄鹿がすっ飛んで来るため、万一にも背後からブスリとツノで刺されない為の備えだ。大きく息を吸い、雄鹿の雄大さと、しかしちょっとの情けなさを胸に抱きながら笛を吹く。この情けなさは「鳴いてますけど、喧嘩したいってほどじゃないんですけどね」と屁理屈コネ太郎のイメージ。自信満々に吹くよりちょっと弱そうくらいの方が、その山のヌシも親分風を吹かせたくなるのではないかと考えて。5分待って来なかったら、また吹く。これを3回繰り返し、一箇所で20分粘っても来なければ次のポイントに移る。今日も2回目の笛を吹こうかと時計を覗くと6時46分。まだ4分しか経っていない。と、後方の斜面、高いところから音がした。首だけをこっそり動かしそっちを見やると、60mほど先の木立の間に、ノッソリと歩く黒い影。「雄鹿だ!」。心の中で興奮と緊張が同時に爆ぜる。黒々とした冬毛になった雄鹿は、その巨体とは不釣り合いなほど慎重にゆっくりと歩みを進め、その度に木々の間から胴体が見え隠れする。銃を構えてスコープを覗き、レティクルの中心に上半身が載った!「あっ、安全装置外れてるよな!?」と、自身の銃を覗き込む。なんてったって今握っているこの銃は、まだ一度も狩りに使ったことが無い銃なのだ。狩猟を始める前に鉄砲を選ぶ際、何を基準に選んで良いのか分からなかった。幼少期の夏祭りの屋台で、クジを引いては「あそこに飾ってある、黒くて長いエアガンが欲しい」と思うくらいには元々銃器に興味があり、猟銃のカタログを開いた時も同じ感覚で見た目の好きなやつを欲しいと思った。しかし、実際に狩猟で使うには、鳥撃ちか、四足獣か、熊狙いか、その猟に合った銃を選ばねばならない。そうは言っても最初っから実猟の感覚が備わっている訳ではないので、渋谷にある銃砲店のガンケースの前でうんうん唸っていると、店主が「これなら何でも狙えるよ」とベレッタというバイオハザードで聞いたことのある銃器メーカーの、大きな弾(12番)を装填出来る自動銃を薦めてくれた。自動銃とはその名の通り、撃てば次弾が自動で装填されるため、連射が出来る。「弾がデカいなら致命傷になり易いし、3頭の群れに3発撃てば、全部獲れるって事ですよね?」。期待に胸膨らませた私の語気は、合戦前の若武者のように猛っていただろう。「まぁ……うん。まっ、そんな簡単じゃないけどね」と片頬で苦虫をかじりながら、もう片頬で笑みを浮かべていた店主の顔を覚えている。だとて、「私なら獲れる!!」という根拠のない絶対的な自信があった。だって、「弾なんて真っ直ぐ飛ぶんだから、獣に向けて引き金引けば良いだけじゃん!」と。最初の銃にスコープは載っけていなかった。まず射撃場に行って、50m先に的紙を貼り「よっしゃ! バンバン撃ってくぞーっ!」と意気込んで、鉄砲を構えて愕然とした。50m先の的は黒い円が描かれ、その中心は握り拳ほどの白い円があったはずなのに、鉄砲の先についた目印(照星)がそれを覆い隠し、狙えるどころか狙うべき対象が見えなくなっていた。しかし、折角だからと数十発は撃ち、大きな弾を撃ち出す銃の反動で肩には殴られたようなアザを作り、「でも猟師に成れたし!」と、獣のいると伝え聞く山に向かった。撃てるどころの騒ぎじゃなかった。歩き方が下手だからか、200m先を走る鹿のピィ!という警戒音が谷にこだまするだけで、鉄砲を構えてみようという気さえ起きなかった。そういや、銃砲店の親父が言っていたことを思い出した。「鉄砲持って山に行けば、そのうち欲しい銃が分かるよ」と。そして私は自動銃を手放し、次の銃の購入を考えた。弾がデカいと反動がキツく、跳ね上がった銃身を元の位置に振り戻した時には鹿の群れは逃げている。だから小さい弾(20番)で遠くまで狙え、一発必中の銃にしよう。候補は2種類あったが、しかし迷いはしなかった。片や木製、片や黒いプラスチック。幼少期からの好みの黒くて長いサベージという銃を選んだ。しかしこの銃にも、看過できない問題があったのだ。前ページではコール猟の続きを書くつもりが、司馬遼太郎先生の「余談だが」ばりに鉄砲の話に終始してしまいました。今回もちょっと続きますが、最後に鹿撃ちます。お付き合い下さいませ。初めて取得したベレッタは名銃だったが、私の猟のスタイル、獲りたい獲物、猟場の地形に合わず、何より私が下手くそだった為に2丁目のサベージという銃に期待することにした。この銃は、ニュースなんかで耳にしたことがあるかも知れないが「ハーフライフル」と呼ばれる銃で、特殊な弾丸を撃ち出す。故に飛距離が長い。ベレッタの狙える射程が50mなら、これだと100mは狙える。しかし、弾が一発430円する。「ヒェー!高い!」と最初は奇声を発するだけに止まったが、この数年、戦争、円安、アメリカの法改正などが影響し、1発700円になった。もうグゥの音も出ない。そしてよく弾詰まりを起こす。2発目は期待出来ない。私はこの秋に北海道の山中を10日間徒歩で旅し、ヒグマがいれば撃つつもりなので1発しか撃てない鉄砲じゃお話にならない。そんなことを考えていた折、先輩猟師が名銃を手放すと聞きつけ、定価よりお安く購入させて頂くことが出来た。それが今抱えているMSSー20。漫画『アイアムアヒーロー』で主人公の英雄くんが、物語終盤に「今、日本で手に入る一番精度の良い銃」として紹介する銃だ。弾は1発250円也。お安く感じる。やっとこさ、コール猟の話に戻る。手の中の銃は、安全装置も解除した。60m先の斜面を横に動く鹿を見ながら自分の体勢をツツッと大木に沿わせ、木に鉄砲を委託するように銃を構える。射撃は「寒夜に霜が降る如く」という静謐な精神で引き金を引くことが重要とされているが、普段使い慣れているサベージの引き金の感覚と、MSSの感覚では指先にかかる重みが数十グラム違うかも知れない。そう自分に言い聞かせながら、殊更慎重に引き金を絞る。ゴンッ!と弾が発射された。不思議なもんで、今まで使っていた強化プラスチックの銃は、ガカッ!と乾いた衝撃が骨を伝わるようだったのが、木製のこの銃の反動は骨太さと湿り気が混じったような衝撃だった。右を向いて歩いていた鹿が一瞬飛び上がり、少し斜面を下ってから反転し左に走って行った。弾が入った反応だが、やはり雄鹿は身体が強い。追い付けなければ逃すだろうと思い、私も立ち上がって鹿の方向に走り出すと、背中の方で何かが動く気配。振り返ると、私が撃った鹿とは別の鹿が、私の鹿笛に寄せられて近くまで来ていた。私も驚いたが、向こうも「ギャァッ!!」みたいなパニックな声を出していた。とにかく、弾が入った子を追う。追いながら、銃のボルトと呼ばれる装置を前後させ次弾を装填する。50m程走ったところで、私よりも40mほど下の谷に立ち尽くす鹿の姿を見つけた。撃たれた鹿は30m走り、痛みと内臓不全による倦怠感で立ち往生していたのだ。私も息は上がっているが、肺の中の息を無理矢理吐ききってから空気を大きく飲み込み、呼吸を止めた。銃を構えて背中を撃つ。鹿は崩れた。100kgは超える個体だった。立派な三段角の雄。血抜きのために首元を刺そうとナイフを突き立てるも、なかなか刃が入らない。雄同士で喧嘩をするこの時期は首の皮が分厚いが、それにしても堅かった。私に撃たれなければこの辺のヌシになったであろう。内臓を抜き出し、一人で山から下すか、人を呼ぶかを考え、後者の方が早いと判断し、一度下山して後輩に連絡した。肉は赤身の味が強く、最高の鹿カツになった。雑肉はひき肉にしてハンバーグや餃子に。背ロースはチーズとオリーブオイルでカルパッチョにして食べた。雄らしい鉄っぽい味がオイルと乳製品と混ざり合い強い旨味になる。頭骨は庭に埋め、いずれ誰かが欲しがったならばあげようと思う。そして皮は、綺麗に剥いで業者に出し、鞣されて我が家で敷物になっている。雌鹿とは違うかたーい毛を撫でる度に、あの深みどりの森の中に雄壮に佇んでいた姿を思い出す。この年はコール猟はこの一頭のみだった。一頭で終わらせた無意識を自身も考えたことは無かったが、改めて言葉にするのなら「生まれたての子鹿が喧嘩出来るほどのオスジカに成長するには、相当の苦労と年月がかかる。そんな鹿を俺如きが、他人が作った道具でおびき寄せ、騙し討ちするのは、あまりに卑怯ではないか」と、疑念が生まれたからなのだと思う。2026年の秋は北海道に行くため、鹿笛猟はやらない。2027年は自作の鹿笛で猟をしようと思う。私の住む山域には、全国的に珍しい、鹿笛の作り方が伝承されている。材料は立派な雄鹿の角と、鹿の胎児(腹子)の皮。この鹿笛は江戸時代後期に製法が伝えられたらしく、同じ形状のものがネイティブアメリカンの民具にもあり、「どうやらペリーが来航した際に通詞をしていたヤツが製法を学んで、故郷に帰って来て、この山域に伝えたらしい」と、製法を熟知する隣の猟友会の親方が仰っていた。いつかまたどこかで、鹿笛猟の続きを書くこともあるかも知れません。秋の山でビョォォォォという寂しげな声が聞こえたら、その山にはヌシになるような雄鹿がいる証です。人間以外の生き物の息吹も楽しんでみて下さい。
(養鶏場をクマが再び食い荒らす、今年で5回目:北海道)
28日午前6時半ごろ、岩見沢市毛陽町の養鶏場で、飼育していたカモ40羽が食い荒らされているのを養鶏場の作業員が発見しました。市によりますと、現場には壁が壊された跡や足跡なども発見されていて、クマによる被害とみているということです。この養鶏場でクマによるものとみられる被害は、今年だけで5回目。これまで養鶏場では電気柵を設置したり、近くでラジオを流すなどの対策をしてきましたが、被害を止めることができていません。市は箱わなを設置したり周辺のパトロールを強化するなど、警戒を続けるとしています。去年11月、開園以来はじめてクマ1頭が柵を乗り越えて侵入し、一時休園となった円山動物園。こうした被害を防ぐため、園内には29日に電気柵が設置されました。クマが匂いを嗅ぐように近づくと鼻先にあたり、電気が流れる仕組みです。札幌市環境局環境共生担当課・朝倉卓也さん「クマは電気柵の向こうに行くと嫌なことがあると覚え、その場所に行きづらくなることがあるので、覚えてもらうために設置した」。札幌市では10月中旬までに、動物園のほかに市内の小学校など7校の周りにも電気柵を設置する予定だということです。
(電線に“トロピカルな緑の鳥”がズラリ)
「近所にインコが大量発生している。東京では普通なんですか?」ーー。9月26日にX投稿された写真。トロピカルな「緑色のインコ」の集団が電線や木にズラリと止まっている様子が写っています。ハフポスト日本版の記者も数年前、東京都内の街中で写真と同じ鳥が木の枝に止まっているのを目撃したことがあります。SNSで目撃情報が相次いでいるこの鳥。いったい“何者”なのでしょうか。「飛びながら『キャアキャア、キキキー』などと、にぎやかに鳴く鮮やかな緑色の鳥をみかけたことがありませんか」。このように呼びかける三鷹市や東京都によると、緑色の鳥の正体は「ワカケホンセイインコ」。その名の通り、インコの仲間です。体の大きさは長い尾も含めて約40cm。下向きの大きく鋭いクチバシを持ち、木の実などの植物を食べます。もともとの生息地はインドやスリランカで、低地から標高2000mまでの森林やサバンナ、都市など幅広い環境で暮らしている鳥です。ではなぜ、そんな鳥が日本にいるのでしょうか。理由は、「ペットとして輸入されたものが逃げ出して野生化した」とみられています。東京で見かけるようになったのは1960年代頃から。都市部はタカなどの天敵が少ないことから、公園などで繁殖しているといいます。SNSでは目撃情報が相次いでおり、「東京や神奈川で見かける」「家のそばにも時々来ます」「神宮球場や上野恩賜公園でも見かけた」といった声が寄せられています。一方、国立環境研究所はワカケホンセイインコが及ぼす影響として、いくつかの点を挙げています。一つは、在来の鳥との競合です。ワカケホンセイインコは木の洞(うろ)に巣を作るため、同じように洞を使う在来の鳥と、巣の場所を競う可能性があるといいます。また、電柱に巣を作ると、漏電事故の原因になることもあります。農作物への被害も心配されており、原産地で被害が出ていることから、日本でも数が増えれば、同じような被害が出ることが懸念されています。さらに、肺炎などの呼吸器の感染症を起こす「オウム病」を媒介する可能性もあるとされています。
(無人島にクマ潜伏か、市や猟友会が船上パトロール:宮城)
宮城県塩釜市内で先週以降、目撃が続くクマについてです。9月24日も市内の無人島で目撃され、市と猟友会などは、島の周辺を船でパトロールしました。24日午後3時ごろ、塩釜湾の無人島「内裡島」で、近くでマリンレジャーをしていた人が、島の砂浜にいるクマ1頭を目撃し警察に通報しました。25日は市と警察、地元の猟友会が船で島の周辺をパトロールしましたが、クマは見つからなかったということです。塩釜市内で初めてクマが目撃されたのは、9月18日。その後も、市内で連日、クマの目撃が続き、23日は無人島の「内裡島」に泳いでいく姿が目撃されました。クマは体長1メートルほどで、同じ個体とみられています。現在も「内裡島」にいるとみられるクマ…。25日、警戒にあたった猟友会のメンバーによりますと、島にはクマが隠れやすい場所も確認できたということです。宮城県猟友会塩釜支部 鈴木一郎支部長「今のところ市街地には出ている情報はないがこれからどうなるか。今夜また渡ってくる可能性もあるし、特に人的被害がないようにしないといけない」。警察と市は警戒を強めています。
(回送列車がシカと接触、JR大船渡線運休:岩手)
25日午前5時15分ごろ、一関市のJR大船渡線岩ノ下―陸中松川駅間を走行中の下り回送列車がシカと接触した。上り1本が運休、下り1本が区間運休し、約50人に影響した。乗務員にけがはなかった。
(イノシシはねブレーキ故障、内房線で運休や遅れ:千葉)
鋸南町大六のJR内房線保田-安房勝山間を走行中の千葉発千倉行き下り電車(6両編成)が13日午後9時55分ごろ、線路内にいたイノシシをはねた。
(山陽線で走行中の列車がイノシシと接触:岡山)
27日、午後8時20分ごろ、JR山陽線の笠岡駅(岡山県)と大門駅(広島県)の間で、走行中の列車がイノシシに接触しました。JR西日本は車両の安全確認を行い、約25分後に運転を再開しました。乗客と乗務員にけがはありませんでした。
(道路の奥から迫るイノシシ親子、衝突で車のフロントバンパーが真っ二つに:広島)
深夜、広島市の道路を走る車。道路の奥に何かがいるのに気づき、スピードを落としますが、次の瞬間、正面から勢いよく突進してきたのはイノシシ。まさに猪突猛進な瞬間です。運転手によりますと、イノシシの突進によって車のフロントバンパーが真っ二つに割れたといいます。遭遇したのは、親1頭と子供3頭。イノシシは「すぐUターンして田んぼの中にダイブしていった」といい、運転手は「イノシシが元気でよかったです」と話しています。
(十和田湖畔・瞰湖台展望デッキの閉鎖解除へ:青森)
十和田市は29日、十和田湖畔休屋地区で8月22日に外国人男性観光客がクマに襲われた事案を受けて設置した箱わな2基を撤去した。
(ジビエで食品廃棄削減、22歳起業女性が最高賞:大分)
大分県中津市耶馬渓町でジビエを通じて食品廃棄の削減に取り組んでいる起業家の女性が、若者の挑戦を発掘するプロジェクトで最高賞を受賞しました。中津市役所を受賞の報告で訪れたのは「耶馬渓ジビエ麗鹿」の代表江渕麗葉さん22歳です。耶馬渓町出身の江渕さんは大学在学中に食料の流通に興味を持って狩猟を始めました。そして2025年起業し、地元でジビエの販売などを手掛けています。これまで捨てられてきたシカやイノシシの骨や内臓をペット用のエサに加工して販売することで、食品廃棄の削減に取り組んでいます。こうした取り組みが評価され、2026年、様々な分野で若者の挑戦を発掘する「ミライクリエイターズ」で、全国およそ1500人の中から10人しか選ばれない最高賞を受賞しました。「耶馬渓ジビエ麗鹿」江渕麗葉代表「ただただびっくりした。農業とか食料生産について学びたいと思った時に自然と(耶馬渓町に)帰ってきた」。江渕さんの快挙を中津市の奥塚市長は「アイデアも行動力も、挑戦する姿が素晴らしい」と称えていました。
(女性起業家コンテスト、ジビエ事業の森脇さん受賞:島根)
女性起業家がビジネスアイデアを競う「BWAピッチコンテスト」で、森脇香奈江さん(45)=松江市西川津町=が、審査員や視聴者の投票で選ぶ「オーディエンス・アワード」を受賞した。
(道東のエゾシカ肉、ペット防災食に活用:北海道)
別海高(斎藤譲一校長、227人)の自主学習サークル「別海防災スクール」の生徒たちが、道東のエゾシカ肉を活用した防災食のレトルトペットフード「ゆくえぷ」を試作した。保存期間は1年間で、日常食として与えることもできる。今後、11月の北海道高校生防災サミットでの報告を予定するほか、町内のイベントでPRし、将来的な販売も視野に入れている。
(給食にシカ肉キーマカレー:北海道)
函館市の旭岡小や銭亀沢小など5校の給食に、ジビエ加工施設「ソバージュ ド 函館」(銭亀町)で処理・加工されたエゾシカ肉を使ったカレーが登場した。
(ジビエ学び給食で味わう:北海道)
函館旭岡小学校で、エゾシカ肉などのジビエを題材にした食育授業があり、5、6年生19人がジビエや命の大切さについて学んだ。授業後には、道南産のシカ肉などを使った給食を味わい、食材や命について考えを深めた。同校には近隣の学校にも給食を供給する給食センターがあり、今回の授業は地域の食材について児童に知ってもらおうと企画。18日に実施した。講師にエゾシカ肉の食肉加工や販売などを手掛けるソーバージュ・ド函館の佐藤彰彦社長を招いた。きっかけは、銭亀沢小学校3年生が授業の一環でソーバージュ・ド函館を訪れ、ジビエを学んだことだった。訪問後、銭亀沢小の児童から旭岡小の栄養教諭宛てに「シカ肉やクマ肉を食べたくなった」とする手紙が届き「クマ肉のメンチカツ」「クマ肉のつくね」などの料理名も書いてあった。佐藤社長は、増え過ぎたエゾシカの農業被害などを説明。駆除したシカが捨てられていたことから、シカ肉のおいしさを知る料理人として「もったいない」と会社を設立した経緯を紹介した。肉だけでなく革や角、骨、内臓まで活用し「大切な命だからこそ、責任を持って最後まで、1グラムも無駄にしない」と話した。児童からは「残さず食べる」「食べたことがなくても挑戦してみる」「全ての命に感謝して食べる」などの考えが出た。授業後の給食は、道南産のシカ肉と函館産ニンジンを使った「ジビエキーマカレー」を、道産米や牛乳、ブロッコリー、七飯町産のリンゴとともに味わった。旭岡小6年の野口優陽さん(12)は「最初はおいしくないかもと思っていたけど、食べてみたらおいしかった」と笑顔を見せた。
(有害獣、無駄なくいかす:福井)
農作物を荒らすシカなどの有害獣を捕獲し、ペットフードや食品に加工して販売する事業に、ベビー用品輸入販売などの「ウェステックスジャパン」(永平寺町)が取り組んでいる。命を大切に扱う一石二鳥の試みで、同社のジャクリン恵美さん(48)は「有害獣も大切な資源。無駄なく使うことで、地域の役にも立てる」とアピールする。恵美さんの夫でカナダ出身の同社社長ジャクリン・ランディ・カールさん(56)が、多くが埋葬処分される有害獣を活用したいと考えたのがきっかけだった。地元猟友会のメンバーでもあり、5年ほど前に製造を開始。現在はカールさんを含む3人の社員が狩猟免許を持ち、町内の山でシカなどを捕獲、加工している。
(ジビエ食肉処理施設を開所:静岡)
浜松市浜名区三ケ日町で有害鳥獣の捕獲に取り組む特定NPO法人ルーツジャパン(岡本浩明代表)は26日、同町日比沢地区で古民家の倉庫を改装したジビエ食肉処理施設「オランジュ・ジビエ」を開所した。農作物に被害を与える鳥獣を駆除するだけでなく、ジビエ肉として販売する狙い。
(ジビエ人気沸騰も人手不足、担い手育成へ地域おこし協力隊を採用:広島)
広島県呉市の飲食店や学校でジビエ(野生鳥獣肉)の提供が広がっている。地域の特産品になりつつある一方、解体などの人手不足で需要に供給が追いつかない一面もある。市も、解体処理施設の管理や特産品の開発にあたる地域おこし協力隊員を採用するなど振興を図る。
(イノシシを“地域資源”に:千葉)
深刻な農作物被害を出す有害鳥獣を“地域資源”として活用しようと、市原市は捕獲したイノシシの肉を使ったジビエ料理の開発に乗り出した。市内の飲食店などと連携して来年2月の完成を目指す。
(教育普及講座「鹿角クラフト教室」の開催:山口)
県立山口博物館では、ニホンジカの角を使ったアクセサリーをつくる鹿角クラフト教室を開催します。シカの角は毎年生え変わり、形を変えながら大きくなります。アクセサリーづくりを通して、県の獣に指定されているシカの生態や人との関わりについて学びます。
(シカ肉キーマカレー、高校生が開発:三重)
獣害対策やジビエの利活用を啓発しようと、名張高校(名張市東町)の生徒が、シカ肉を使ったキーマカレーを開発した。商品化に向けて、28日からネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を開始した。名張高の地元ではシカによる農作物への被害が多発。個体数を減らす取り組みが展開されているものの、捕獲後の利活用はあまり進んでいないという。昨年度から地域課題の解決を考えている総合的な探究の時間を使い、当時の2年生20人が「もみじびえプロジェクト」を開始。シカ肉を使った商品の販売を通じた課題の啓発の模索を始めた。
(罠師・古田洋隆さん、臭みない肉は命がけ技を後世に伝えたい)
深刻な獣害に人々の生活が脅かされている。野生鳥獣による農作物被害額は2024年度で188億円に達した(農林水産省調べ)。ここ10~20年ほど、シカの被害が深刻化しています。三重県だけでなく、全国的だと思います。畑に苗を植えると、育つ前にすぐ食べられる。周囲の農家は畑に2メートルほどの柵を立てていますが、シカは簡単に飛び越えます。
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9/23
(クマの目撃相次いだ酒田市で緊急銃猟:山形)
山形県酒田市の市街地で目撃が相次いでいたクマが9月20も目撃され、市は緊急銃猟を行いました。酒田市によりますと、19日午前8時20分ごろ酒田市新橋1丁目の住宅の敷地内でクマ1頭が目撃されました。また、午前10時55分ごろには近くにある別の家の敷地内でクマが目撃されました。市は19日11時半ごろに緊急銃猟を行い、このクマを駆除しました。緊急銃猟によるけが人や建物への被害は確認されていません。今回駆除されたクマは体長およそ1.5メートルのオスの成獣で、17日から目撃が相次いだクマと同一個体の可能性があるということです。
(「車道に飛び出してきたイノシシと・・・」車と衝突:新潟)
長岡市と魚沼市でイノシシの目撃情報がありました。警察によりますと20日午後7時10分ごろ、車の運転手から「長岡市北荷頃を車で走行中、車道に飛び出してきたイノシシと衝突し、南東の茂みに逃げていった」と警察に通報がありました。イノシシが目撃されたのは、長岡市北荷頃の国道351号の道路上で、体長は約1.2mだということです。この衝突によるケガ人はいません。長岡警察署は、長岡市役所と連携して注意を呼びかけるとともに、パトロールを強化するなど警戒活動を実施しています。また、21日午前9時20分ごろ、魚沼市大沢で近くに住む住民から「体長約1mのイノシシ1頭が国道脇の畑をウロウロしている」と通報がありました。目撃されたのは、魚沼市立湯之谷中学校から東に約1km離れた国道脇の畑で、イノシシは中学校方面に向かいそのまま北西方向に逃げていったということです。小出警察署は、魚沼市役所に連絡し住民に注意を呼びかけています。
(クマと車が衝突する事故が相次ぐ:秋田)
19日、大館市と秋田市でクマと車が衝突する事故が相次ぎました。いずれも運転していた人にけがはありませんでした。大館警察署の調べによりますと19日の午前6時15分ごろ、大館市岩瀬字田茂の木の県道を大館市岩瀬字家下方向から大館市岩瀬字桂岱方向に走っていた軽乗用車が、左側から飛び出してきたクマ1頭と衝突しました。車を運転していた大館市に住む50代の女性にけがはありませんでした。
(女性3人が猟師の世界に、「若手ハンターを育成するムードが高まれば」:長野)
猟師を目指す女性たちについてです。長野県東御市で開かれたわな猟の講習会に、3人の女性が参加しました。高齢化や担い手不足に悩む狩猟の世界に、なぜ興味を抱いたのか?そのワケを取材しました。9月6日、東御市で開かれた「くくりわなの講習会」に3人の女性の姿がありました。その中で最年少は、東御市の小山裕紀子さん(26)です。9月に行われる試験で、わな猟の免許取得を目指しています。小山裕紀子さん:「自給力の高い生活をしたいっていうのがもともとあって、何かあったとしても自分の力で生きられるような環境に身を置きたいっていうので長野に来た。狩猟も、食べるものを自給するための力があった方がいいっていうので(狩猟に)至った」。残りの2人、野上珠美さん(47)と、矢代千波瑠さん(42)も東御市内に住んでいて、すでにわな猟の免許を取得しています。猟師 福島俊治さん:「ベテランのハンターから中堅、若手のハンターにわな猟の技を教える機会というのは、やっぱり少ないというのが現状だったと思う」。講習会を企画したのは、猟師の福島俊治さん(47)です。福島さんは、東御市のジビエ料理店「ふくふく亭」の店主で、東御市の猟友会に所属するハンターでもあります。捕獲したシカやイノシシを自ら処理し、ジビエ料理として提供しています。高齢化と担い手不足。狩猟の世界が抱える課題解決のため、福島さんは月1回のペースで講習会を開くなどして、猟師の育成に取り組んでいます。福島俊治さん:「お店を開いて、狩猟に興味があるという方が集まってきていただいたので、せっかくだったら私が普段教わっている師匠(先輩ハンター)の技を若手の後輩ハンターにも教える機会を持ちたいというふうに思って」。3人の女性のうちの1人、野上珠美さんは、2年前に県外から移住。2026年6月にわな猟の免許を取得し、講習会にも参加して狩猟の知識を学んでいます。野上珠美さん:「この地域に来て、東御市の方には移住してからとてもよくしていただいて、この地域に何か返していけることはないかということを模索している中で、自分でも参加できると思ったのが狩猟の世界だった」。矢代千波瑠さんは、2026年1月にNBS長野放送で放送した特集を観て、放送翌日に福島さんの店を訪ね、「弟子入り」を志願。矢代千波瑠さん:「興味があるだけで、実際に(猟師を)やっている方とお会いする機会がなかった。これはぜひ行かないと、と話をすぐに聞きたいという思いだった」。野上さんと同じく、6月にわな猟の免許を取得。この日の講習会では、くくりわな作りを学びました。矢代千波瑠さん:「すごく素晴らしい機会を設けていただいて、本当に自分はラッキーだと思う。ゼロからだったら何をしたらいいのか、何を揃えたらいいのか、どこに行ったらいいのか、そういうのもわからないので」。小山裕紀子さんは、2026年3月まで横浜市で生活していました。自然災害が相次ぐ中、「自給自足」の環境に身をおきたいと考え、4月に東御市に移住。市内のワイナリーで働きながら、わな猟の免許取得を目指しています。小山裕紀子さん:「免許を取って一通りわなをかけて、お肉にするところまで自分の手でできるように、技術として習得したい」講習会でも先輩猟師に積極的に質問―。小山裕紀子さん:「(わなは)何回くらい繰り返し使えるものなんですか」。先輩猟師:「ワイヤーの傷み具合にもよる。基本的には1回捕ったら、新しくした方が間違いない」。小山さんもくくりわな作りに挑戦。機械を動かせず―。小山裕紀子さん:「いかにちゃんと手抜きせず、安全で正確なわなを作れるかどうかが、自分の身を守ることにもつながるし、巡り巡って、捕まえた動物のためにもなると考えたら、わな作りは手を抜けない」。先輩猟師に教わりながら、作業すること40分。くくりわなが完成しました。このあと、店の外でわなを仕掛ける練習に。小山さんにとって、初めての経験です。先輩猟師:「頑張れ、もうちょい。よしよし、それでそこを締める」。先輩猟師からアドバイスをもらいながら、無事に設置することができました。小山裕紀子さん:「この体格なので、力がいるところはそれなりにある。要所要所、てこの原理とかをうまく使いながらやるとか、工夫が必要かなと思った」。この日、「わなにかかったシカがいる」という情報が入り、講習会の後、都合がついた小山さんだけ現場へ。先輩猟師が有害鳥獣駆除のために仕掛けたわなにかかったシカでした。駆除に立ち会います。小山裕紀子さん:「最初に命が消える瞬間を見たときは、考えるものがあった。阿部さんという先輩猟師が、命は皆同じだと。食べ物は野菜をとるにも、動物を殺すにも、生きることってこういうことだなと思って」。県内の狩猟免許の所持者は、2024年度で6769人。10年の間に、2300人近く減少しています。また年齢別で見ると、60歳以上が51.2%で、半分以上を占め、高齢化と担い手不足が課題となっています。東御市 猟友会東支部・阿部秀平さん(71):「若い方が入っていただいて猟友会を盛り上げていただかないと、年配者の集まりになってしまっているから。どんどん若い方を伸ばしていくことを考えていかないと、猟友会が先細りなんてものではなくて、消滅してしまえば困るから」。猟師(ハンター)は、有害鳥獣の捕獲を通じて住民の生活や農地、生態系を守る重要な役割を担っています。講習会を開き、猟師の育成に励む福島さんにとって、この取り組みがほかでも広がることを期待しています。福島俊治さん:「これだけ若い方、女性の方が集まってくれて、びっくりしているんですけど、非常にうれしい。猟友会が新しい方が入ってくると活動も活発になってくると思う。こういう取り組みが注目されることで、他のエリアでも若手のハンターを育てていくというムードが高まればいい」。
(拳銃自殺図ったか、10代巡査が重体:東京)
東京・八王子市の交番で拳銃とともに男性巡査が血を流して倒れているのが見つかりました。19日、八王子警察署大和田交番で10代の男性巡査が頭から血を流して倒れているのが見つかり、近くには拳銃も見つかりました。男性巡査は意識がなく重体で、警視庁は自殺を図ったとみて調べています。
(知床で「人慣れしたクマ」増加の恐れ:北海道)
川で餌をあさるヒグマに近づき、すぐそばで写真撮影する人々。野生のクマを見物しようとする観光客で、狭い林道では渋滞が起きることもあります。観光客の増加とともに、知床ではクマと人との距離が近くなっています。クマに近づいたり、クマが出没してもその場から離れずに写真を撮影したりする行為は、人身事故につながる危険があります。また、クマが人に慣れると、人を恐れなくなり、人里に出没するようになるなど、さまざまな弊害が生じるおそれがあります。こうした「人慣れしたクマ」を増やさないため、関係機関がクマの出没する川沿いの道路で対策に乗り出しました。ロープ柵を設置したのは、環境省や斜里町などで構成される「知床ヒグマ対策連絡会議」です。近年、斜里町のイワウベツ川沿いの道路周辺では、観光客がクマに接近したり、クマが出没してもその場を離れず写真を撮影したりするケースが相次いでいます。知床では2025年8月、羅臼岳で登山者の男性がクマに襲われ死亡する事故も起きていて、連絡会議では、こうした状況が続けば人身事故につながる危険性が高まると判断しました。今回、事故の再発防止策の一環として9月17日、イワウベツ川沿いの道路にある駐停車スペースにロープ柵を設置しました。あわせて、クマへの接近を控えるよう呼びかける看板も設置しました。連絡会議は今後もパトロールを行うとともに、観光客にクマとの適切な距離を保つよう呼びかけ、人身事故の防止に取り組むとしています。
(狩猟免許所持者、6年で564人増:山形)
県内の狩猟免許所持者数(延べ人数)が2025年度時点で3536人となり、19年度からの6年間で5664人増加した。
(北アルプス北部に忍び寄る危機、シカの食害懸念:)
北アルプス北部に位置する白馬乗鞍岳(2469メートル)近くの白馬大池山荘の男性スタッフ(49)が今夏、山荘近くでニホンジカを目撃し、動画で撮影した。周辺は国の特別天然記念物「白馬連山高山植物帯」でもある。北ア北部では近年、森林限界を超えた高山帯での鹿の目撃が相次いでおり、専門家は「希少な植物の食害が深刻な状況へ向かっている」としている。男性スタッフは6月末、約100メートル離れた場所で鹿が歩いているのに気付き、スマートフォンで撮影した。約40秒間に写ったのは1頭。稜線に近い雪の斜面に立っているところで男性スタッフの視線に気付き、近くのハイマツ帯へ走って逃げていった。男性スタッフは「ここ数年、小屋の近くで度々見かける」と話す。
(シカ食害から植物守れ:高知)
「三嶺の森をまもるみんなの会」などは、香美市物部町の三嶺山域「みやびの丘」そばのブナ林で、10月3日にシカ食害から植物を守る防護柵を設置するボランティアを募集している。
(防鹿柵撤去ボランティア募る:福島)
南会津尾瀬ニホンジカ対策協議会は30日まで、10月18日に実施する尾瀬国立公園大江湿原での防鹿柵撤去活動のボランティアを募集している。
(熊やイノシシ、ロボットで撃退:宮城)
加美農高(宮城県色麻町)の生徒たちが、クマやイノシシを撃退する犬に模したロボットを作った。クマに近づき、大音量で犬の鳴き声を発し、催涙スプレーを噴射する。農作物の被害に苦しむ地元の農家を助けようと、知恵を絞った。
(稚内・武重さん著書第2作 単独忍び猟記「羆山渉猟」:北海道)
市内でゲストハウスモシリパを経営し、狩猟や作家として活動する武重謙さん(44)が、単独忍び猟記として「羆山渉猟(くまやましょうりょう)」を執筆し、17日に山と溪谷社から出版販売。商業出版としては2作目で、武重さんが狩猟で入山した際の行動や心境、クマや山に対する信念などに迫った内容。「メディアでは発砲など派手な狩猟のシーンがあるが、それが全てでは無い。単独忍び猟はひたすら山の中を歩く静かなもの。作品を通じて伝えていきたい」と語った。狩猟のスタイル、考え方として武重さんが用いる単独忍び猟。静かな山中を歩く。その中で感じる変化からクマなどを追うためのヒントを得る。「例えば足跡を見つけるだけでも、いつのものかを考えたりする。追えば近くにいるかもしれない。静かで地味な行動だが、胸が熱くなりますね」と武重さん。世間の狩猟のイメージではクマに向けて発砲するシーンなど派手な様子が先行してしまう。全てがそうではなく、山に入るということは静かなこと―。猟記の出版を通じて伝えたいという。武重さんは「狩猟の話になると二言目には駆除の話。自分は決してそうではなく、個人的な活動として猟をしている。狩猟の本来の目的は食べることだったはず。生き物の生死はセンシティブ。有害鳥獣の駆除という社会貢献の一方で、動物を追う静かな面白さを含めて伝えたい」と信念を貫く。かつて神奈川県の箱根で民泊を経営し、周辺には野生のイノシシが多かった。父が鉄砲撃ちで主に鳥を追い、狩猟という存在が身近にあった。「自分も鉄砲を持てるだろう」。そんな思いから各種免許の取得へ手続き。2017年のシーズンから実際に猟に出向き、19年の北海道移住後はヒグマなどを狙い、山中を静かに歩く。今回出版の2作目は北海道が舞台。20~25年シーズンまでの出来事を1冊にまとめ、335ページに及ぶ。前作では道具に関するノウハウを取り入れたが、今作ではコラムが無く、全て物語で構成。内容としては前作の2倍ほどあるという。執筆、校正を含め半年以上かけて書き上げた。23歳の頃、趣味で小説を書いたことがきっかけ。狩猟に関する雑誌の「狩猟生活」で記事が掲載された経験も。武重さんは「今作は良いものを書きたいと自分なりに頑張った。1人でも多くの方に思いが伝われば」と期待する。本の価格は2千90円で、全国の書店やインターネット通販サイト(アマゾン)で販売される。
(「クマが飼い犬を襲っている」5歳のオス1頭を捕獲:長野)
長野県塩尻市で9月21日、クマ1頭が捕獲されました。飼い犬を襲ったクマとみられています。塩尻市は9月21日朝、洗馬地区でクマ1頭を捕獲したと発表しました。付近では、11日夜に、住宅の敷地で飼い犬がクマに襲われる被害があり、気付いた飼い主が金属バットで追い払ったということです。被害を受けて、市は、住宅の裏山などに2基の箱わなを設置し、21日朝、見回りをしていた市職員がクマがかかっているのを確認しました。クマは5歳のオスで、体長110センチ、体重70キロで、その場で駆除したということです。市は、捕獲した場所や大きさなどから、犬を襲ったクマの可能性が高いとしています。
(バンカー近くで立ち上がりじゃれあう2頭のクマを目撃、ゴルフ場は臨時休業の対応:)
9月22日午前11時40分ごろ、北海道後志の喜茂別町のゴルフ場にクマが出没したと通報がありました。ゴルフ場によりますと、利用客が14番ホールでティーショットを打とうとしたところ、クマ2頭を目撃したということです。その後、ゴルフ場関係者もクマの姿を確認。利用客に避難を呼びかけ、ケガをした人はいませんでした。目撃されたのは体長約1.5mのクマ2頭で、立ち上がり、じゃれあう様子だったということです。ゴルフ場では22日午前7時ごろに関係者が見回りをした際にも、14番ホールのバンカーで約20センチのクマの足跡が確認されていました。
(有害鳥獣を食資源に、ジビエハンター養成:京都)
捕獲したシカ、イノシシを食資源として活用しようと、京都府福知山市は17日、三和町上川合のかわい承学校(旧川合小学校)で、「ジビエハンター講習会」を開いた。有害鳥獣の駆除隊員ら23人が参加。ジビエの品質を高める止め刺しや放血といった専門技術を、座学と実技でみっちり学んだ。有害鳥獣による市内の農作物被害は、昨年度の1年間で約2800万円にのぼり、市では駆除隊員による捕獲を続けている。一方で7、8割ほどは大江町三河の処理施設で焼却処分され、ジビエとして活用されているのは1割ほどしかない。このため、ジビエ利活用の推進をめざし、有害鳥獣対策とジビエ利活用を両立させる担い手「ジビエハンター」を養成する講習を初めて実施。ジビエを加工、販売するアートキューブ(京丹波町)代表で、三和町大原在住の垣内規誠さんが講師を務めた。初めに座学があり、垣内さんは「シカ、イノシシの捕獲頭数は年々増えているが、ジビエとして有効活用されているのは、全国でも10%以下。趣味や有害駆除のための捕獲から、消費者に提供するための捕獲へと意識を変えないといけない」と切り出した。食肉利用に適した捕獲をするためには、ストレスを与えない処理技術が必要で、なるべく興奮や疲労を感じさせず、殺処分することの大切さを解説。わなにかかった獲物の動きを止める保定や止め刺し、体内の血を抜く放血の方法、注意点などを教わった。引き続き屋外に移動し、保定具、電殺器といった止め刺しの道具などを見せて説明。捕殺したシカを使い、ナイフを刺す位置といった放血のやり方も伝授した。参加者は食い入るように見つめ、熱心に耳を傾けていた。垣内さんが質問に答える時間もあり、「生け捕りにするのは新鮮で良いと聞いたが、実際はどうですか」との問いに対し、「それは間違い。獲物にストレスを与えるし、運搬も危険。絶対にやらない方が良いです」と強調していた。
(金融から転身、ジビエ起業:長野)
「くさみもなくおいしい」。長野県東御市のジビエ料理専門店「山肉料理 ふくふく亭」を訪れた客の男性は、クマ肉の竜田揚げに思わず笑顔を浮かべた。店で出す肉は、ハンターでもある店主の福島俊治さん(47)が自ら狩猟し、処理施設で加工したもの。1月に開店したばかりだがリピーターが増えつつあり、この男性も来店4回目だ。手際よく調理する姿からは想像できないが、約1年半前までは金融の世界に生きていた。
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9/21
(散弾銃3丁と実包125発など盗まれる:埼玉)
きのう(18日)午後、埼玉県羽生市の住宅で、散弾銃と実包などが盗まれました。きのう午後6時40分ごろ、羽生市の戸建て住宅から「空き巣に入られた」と、この家に住む女性から110番通報がありました。警察によりますと、女性が外出先から帰宅したところ、自宅で保管していたロッカーと金庫がまるごとなくなっていたということです。いずれも鍵付きのもので、ロッカーには散弾銃3丁が、金庫には未使用の実包125発が入っていたということです。散弾銃と実包は、女性の夫(38)が警察の許可を得て所有していて、ロッカーと金庫をそれぞれ別の場所で施錠し、保管していたということです。散弾銃の銃身を固定する部品は保管場所から盗まれていないということで、盗まれた散弾銃と実包はそのままの状態では正常な射撃ができないとみられています。室内は複数の部屋が荒らされていて、ほかにも現金およそ45万円と腕時計、ネックレスなどの貴金属も盗まれていました。警察は、住宅1階の窓ガラスが割られていたことから、何者かが1階から侵入し、散弾銃が入ったロッカーなどを盗んだとみて、窃盗の疑いで調べています。
(中学校校庭で“クマスプレー”噴射、3年の男子生徒を傷害容疑で現行犯逮捕:岩手)
17日午後1時35分頃、岩手県北上市の市立中学校の校庭で、「生徒がクマよけスプレーをかけられた」と校長から119番があった。県警北上署によると、少なくとも生徒11人が市内の病院に搬送された。いずれも軽傷とみられる。同署は、スプレーを噴射して生徒らにけがをさせたとして、現場にいた同校の男子生徒を傷害容疑で現行犯逮捕した。同署で動機などを調べている。
(クマやイノシシ被害対策で出動した際の手当、1日1700円から1回1700円へ:長野)
池田町は、猟友会員らが鳥獣害対策のためわなの設置や見回りなどで出動した際の手当を引き上げる。町内で熊やイノシシなどの出没が増え、危険を伴う作業の負担軽減が狙い。町は関連する条例改正案を提出し、17日の町議会9月定例会で可決された。
(クレー射撃場の移転検討、データセンター拡張巡り:富山)
南砺市の山間地で計画されているデータセンター建設を巡り、市が近隣にある市クレー射撃場の移転を検討していることが18日分かった。市によると、センター用地が拡張される可能性があることから、県猟友会に対して来年6月にも射撃場を休止する可能性があると通知した。市は射撃場の移転先を探している。南砺市才川七のクレー射撃場は、散弾銃を持つ猟友会員やクレー競技の選手が利用している。猟銃を使用するには3年に1度、技能講習を受ける必要があり、射撃場は県内唯一の散弾銃講習会場となっている。射撃場の敷地は現時点で、データセンター用地には含まれていない。市担当者は「移転は検討段階」とした上で「射撃場の利用ができなくなれば、猟友会員が県外で受講するなど影響があり、事前に連絡した」としている。休止時期は来年6月以降にずれ込む可能性があるという。クレー射撃場の周辺では、県猟友会の大口径ライフル射撃場と県福光射撃場も運営されている。市は両射撃場についても移転先を検討し、移転が固まれば休止する可能性があるとしている。データセンターの誘致を巡っては、開発会社「ギガストリーム富山」(南砺市)が市から山間地約13ヘクタールを取得し、関係企業と交渉を進めている。
(ツキノワグマが四国で繁殖、最低でも27頭識別:高知)
林野庁四国森林管理局(高知市)などは、2025年度の四国内におけるツキノワグマの生息調査結果を発表した。剣山山系から高知県香美市、安芸市、馬路村に至る地域で親子2組を含む最低25頭を識別。別の調査でも他に2頭が確認されており、最低でも計27頭が識別できた。同管理局は「個体数が少ない中で複数の親子がいて繁殖が行われていることが裏付けられた」としている。四国に生息するツキノワグマは2017年時点で16~24頭と推定され、環境省レッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定される。生息状況を把握するため、同管理局は「はしっこプロジェクト」として14年度から認定NPO法人四国自然史科学研究センター(高知県須崎市)と協力して調査を実施。15年度から環境省中国四国環境局(岡山市)も参画した。25年度は徳島、高知両県の25か所59地点に無人撮影装置(センサーカメラ)を設置。このうち16か所(徳島10か所、高知6か所)で25頭の個体が確認できた。幼獣は2組の計4頭で、成獣21頭のうち4頭が新たに確認され、17頭は以前から識別されていた個体だった。同環境局は別途、ツキノワグマを試験捕獲して全地球測位システム(GPS)機能付き首輪をつけて追跡する調査を剣山山系及びその周辺で行っており、25年度には5頭捕獲。うち2頭は、センサーカメラで捉えられていない個体だった。同プロジェクトで確認された最低識別頭数は、20年度20頭、21年度18頭、22年度15頭、23年度11頭、24年度26頭と推移。23年度を除き、親子も1~4組確認されており、絶滅の危険性が高い個体群では、繁殖が安定して行われているかということが重要な情報であるため、今回も親子が確認できた意義は大きいという。分布域は従来と変わらず、剣山山系及びその周辺の限定的な地域に限られると推測され、同管理局は「生息状況を適切に把握するため、引き続き各機関が連携して調査を行い、分布域の変化を注視していく」としている。
(緊急銃猟の流れ確認:青森)
環境省は18日、青森市内で緊急銃猟の運用に関する研修会を開き、県や市の担当者、猟友会のメンバーら約120人が訓練を通じ、市中心部にクマが出没した際の緊急銃猟の流れを確認した。
(県全域で餌のドングリ類「凶作」、一層の警戒呼びかけ:兵庫)
兵庫県は11日、ツキノワグマの餌となるドングリ類の今秋の実りについて、県全域で「凶作」との調査結果を公表した。クマは冬眠に備えて秋に食欲旺盛になるため、餌を探して山から集落周辺に下りてくる傾向が強まる。県は「豊作だった昨年度に比べ、クマの出没が多くなる可能性が高い」との予測を示し、一層の警戒を呼びかけた。ドングリ類の豊凶について毎年8月下旬~9月上旬に調査している県森林動物研究センター(丹波市)が、県のツキノワグマ対策連絡会議で結果を報告した。調査はコナラとミズナラ、ブナの3種について計252の観測地点を設けて実施している。各地点で調査木の実り具合を4段階で判定。その平均値から豊凶指数を出し、大豊作▽豊作▽並作上▽並作下▽凶作▽大凶作-に区分している。今秋は、主に県北部の高標高帯に多いブナは豊作だが、県全域の低標高帯に多いコナラ、ミズナラが大凶作のため、全体としては凶作となった。2025年度は豊作、24年度は大凶作だった。本年度、県内のクマの捕獲数は8月末時点で平年並みの41頭だが、目撃・痕跡件数は同時点の過去5年平均(299件)を上回る495件。6月に神戸市北区の山林で市内初の出没が確認され、同センターは「関心の高まりもあって6月に目撃情報が多かった」とする。別の動物と見間違える誤報も含まれた可能性があるといい、6月に目撃情報が相次いだ西宮市北部で見つかったふんは、その後の分析でクマの可能性は低いと判明している。とはいえ、ドングリ類の凶作を受け、斎藤元彦知事は対策連絡会議で「秋の行楽、登山シーズンに向かうのでご注意いただきたい」とし、撃退用スプレーや人の存在を知らせる鈴の携帯などを呼びかけた。クマの餌をめぐっては、同センターが最新の研究で、県東部の里山に生息するクマは秋にドングリ類よりも、アオハダなどの液果類を主に食べていると確認。県西部でも夏から秋前半にかけてはミズキなどの液果類が重要な餌になっている可能性があるという。今後、液果類の豊凶についても5年程度のデータを蓄積した上で、出没予測に反映させる考えという。
(クマ緊急銃猟開始から1年:山形)
クマが市街地に出没した際などに市町村の判断で発砲できる「緊急銃猟」の制度開始から1年が過ぎた。環境省によると、1年間の実施件数で市町村別の最多は山形県鶴岡市と仙台市だ。鶴岡市の担当者は、マニュアル策定や人員拡充で円滑な活用が進んでいるとする一方で、ハンターと職員の人材の育成を課題に挙げる。「クマが動かない膠着(こうちゃく)状態でも捕獲できるようになったことは大きい」。鶴岡市農山漁村振興課でクマ対策を担当する五十嵐崇さんはこの1年間を振り返る。以前は、市街地でクマが出ても、原則、発砲はできなかった。このため、クマが建物や茂みにとどまると、見張っていても夜間に行方がわからなくなることがあったという。市街地への出没が増え続ける中、国は鳥獣保護管理法を改正。2025年9月から緊急銃猟制度をスタートし、流れ弾を受け止める場所の確保など厳格な条件を満たせば、市町村の判断で発砲をできるようにした。26年8月末までの1年間の実施件数は、都道府県別では山形県が最多の19件に上った。新潟県が14件、岩手県と富山県がそれぞれ8件と続く。25年度のクマ出没が過去最多の515件に上った鶴岡市では、3頭が同時間帯に出没するなどしたこともあった。担当職員は朝から晩まで対応に追われ、疲弊したという。緊急銃猟の実施可否を検討した現場は、住宅街の木の上や国道そばの小屋など、付近の住民に危険が及ぶ恐れがあり、難しい判断を迫られる場面ばかりだった。
(特産ナシのクマ被害、花火も効果なく:広島)
広島県三次市作木町でツキノワグマによる特産ナシの食害が相次ぎ、農園主たちが苦悩している。花火などでの追い払いは効果が上がらず、居着くような状態。外出するにも不安がつきまとい、人への被害も懸念される。早急な対策を求める声が上がる中、市や市議会も緊急課題として対応する事態となっている。
(ドローンでクマ監視、超音波・鳴き声で追い払いも:秋田)
目撃情報が相次ぐクマの被害を防ぐため、秋田県はドローンでクマを監視する実証事業を始めた。18日には通学路の安全確保を目的に、鹿角市の花輪小学校周辺で実施しているドローン飛行の様子を報道陣に公開した。実証期間は10日~10月6日。ドローンは午前5時~7時と午後5時~9時に、事前に設定した1周約2・5キロ(約30分間)のルートを地上約100メートルの高さで自動巡回する。午前7時~9時と午後1時~5時には、学校の屋上から約30メートルで旋回して学校周辺を監視する。搭載する赤外線カメラは対象の温度や距離を測定でき、AIを活用しながらクマらしきものを識別。遠隔で監視する担当者が手動操縦に切り替えて、クマかどうか確かめ、地元自治体に連絡する仕組み。クマの嫌がる超音波やオオカミの鳴き声などを出して追い払うこともできるという。実証事業は、IT関連企業「メル・デジタル」(秋田市)の提案を県が採択し、県ドローン協会が協力した。この日は発着拠点の花輪小学校屋上から飛び立ったり、降り立ったりする様子を公開した。県ドローン協会の金森昌亮代表理事は「トラブルなくスムーズにできている」と話した。県自然保護課によると、10~11月には北秋田市、11~12月には秋田市でも実施する予定。柏倉誠課長は「クマ対策にドローンが有効なのかを確認し、成果を市町村に提供して導入を促していきたい」と話した。秋を迎え、クマが食べ物を求めて人の生活圏に侵入する懸念があるとして、秋田県は15日から10月31日までを「秋のクマ事故防止強化期間」に設定し、注意を呼びかけている。県自然保護課によると、注意喚起のチラシを県内のコンビニやホームセンターなどに配布。「音を出して存在アピール」「実のなる木は管理する」「車庫や小屋はこまめに閉める」などの対策を紹介している。今年に入って県内で発生したクマによる人身被害は7件。6月には秋田市で草刈り中とみられる70代女性が襲われて死亡した。
(農作物の食害、「ウルフ」有効:山形)
山形市は本年度、オオカミを模した野生動物撃退装置「モンスターウルフ」を本格導入した。同市の釈迦堂河畔広場で18日、報道陣向けに装置のデモンストレーションを行った。昨年秋の実証実験で農作物被害防止につながることを確認。引き続き、高瀬地区の山あいの畑に設置した。装置は半径約20メートル以内に何者かが近づくと赤外線センサーで感知する。その場合、首を振って目が赤く点滅し、前後のライトが光る。併せて50種類以上の音がランダムで流れる。音量は最大約90デシベルで、「列車通過時の高架下」に匹敵する。騒音となるため、近くに住宅があれば設置できないという。市やJAなどでつくる市有害鳥獣被害防止対策協議会が約80万円で1台を購入し、先月末から高瀬地区に設置している。降雪期を除き、通年で活用する方針。昨年9月から約3カ月間、市内で実証実験を行った。四方を山林に囲まれた畑でサルやクマ、イノシシなどが出没する場所に設置。キャベツ、白菜などが例年被害を受けるが、モンスターウルフを配備して以降、食害はないという。市鳥獣被害対策課によると、野生鳥獣による昨年度の農業被害額は3751万円に上る。樋口潤士課長は「導入により猟友会員らが現地に出向く機会が減り、対応力を他の地域に振り向けることができる。野生鳥獣は学習能力が高いので、効果が持続するかどうかも検証したい」と語った。
(環境DNA分析によるツキノワグマ調査:福島)
株式会社フィッシュパス(本社:福井県坂井市、代表取締役:西村成弘、以下「当社」)は、福島県いわき市より受託した環境DNA調査業務の一環として、同市四倉・大久地区の河川5地点で採水・分析を実施しました。分析の結果、いずれの地点からもツキノワグマ(以下「クマ」)のDNAは検出されませんでした。いわき市では、市内各地でクマの目撃が相次いでいることを受け、市民の安全確保に向けたクマ対策を強化しています。その一環として、クマの生活圏への侵入状況を科学的に把握するため、河川水に含まれる環境DNAを活用した調査を導入しました。当社はこの環境DNA分析業務を受託しており、今回、四倉・大久地区における第1回目の分析結果がまとまったことから、その結果を報告します。
(宮島に人とシカ襲うキツネ:広島)
広島県廿日市市の宮島で今年に入り、人がキツネにかまれる被害が相次いでいる。市によると5月以降に4件発生し、救急搬送されたケースもあるという。広島県がまとめた島内の生息獣類リストにキツネは明記されておらず、市が島内でキツネによる人的被害を確認したのは初めて。市は「見かけても近寄らず、餌を与えないでほしい」と注意を呼びかけている。
(シカの生息拡大で被害額2.5倍:島根)
島根県内の野生鳥獣による2025年の農林作物被害額が1億1500万円となり、15年ぶりに1億円を超えたことが県のまとめで分かった。
(専門家が警告「今秋は街に出るクマが増える可能性)
本格的な秋の訪れを待たずして、各地でクマの出没が相次いでいる。9月3日、京都府舞鶴市の住宅地で、ツキノワグマの親子2頭が民家の軒下に居座る事態が発生。近隣に学校や病院があるため、市は府内初となる「緊急銃猟」に踏み切った。自治体の判断で市街地での発砲を認める制度だ。麻酔銃で眠らされた2頭は、そのまま殺処分された。11日には長野県塩尻市で、犬の"悲鳴"を聞いた飼い主が、庭先で愛犬に覆いかぶさる体長1m近い成獣を金属バットで撃退。さらに同日、秋田県羽後町では銀行近くに現れたクマが町立図書館の敷地内に約2時間留まり、猟友会員4人が10発発砲して駆除した。クマ出没のニュースを見聞きすると、昨年秋の惨状を思い返す人も多いだろう。環境省によれば、2025年度のクマによる人的被害者数は238人で、うち13人が死亡。これまで最多だった2023年度の被害者数219人、死亡6人を大きく上回った。被害は冬眠を前にしたクマが餌を求めて動き回る秋に集中する。今年度は7月末の時点ですでに6人が死亡しており、2023年度の年間死者数に、わずか4か月で並んだ。昨年はクマの主食となるドングリやブナの実の大凶作が、出没につながったと考えられている。今年は一転して豊作が予測される地域も多い。しかし、クマの生態に詳しい岩手大学農学部准教授の山内貴義さんは「山にある餌の有無に関係なく、今秋は街に出るクマが増える可能性がある」と警鐘を鳴らす。「"街では餌が手に入り、人間も怖くない"と学習した個体が増え、下山してくる懸念があります。子グマは母グマと1年ほど行動を共にするため、親子で"街の味"を覚えると、親離れ後も当然のように山を下りてきてしまう。こうして親から子へ引き継がれた結果、学習済みのクマが増加しているのです。近年の大量出没は餌不足によるものだけではなく、こうした継承も大きな要因とみています」(山内さん・以下同)クマ特有の繁殖生態も拍車をかける。授乳中のメスは発情しないため、オスはメスを発情させようと「子殺し」に走る習性がある。逃れた母子グマが、市街地に隣接する林で子育てをするケースもあるという。こうした要因が重なり、近年、市街地周辺を生活圏とする「アーバンベア」が急増している。それに伴い危惧されているのが、出没エリアのさらなる拡大だ。今年4月には宮城県仙台市の中心部にクマが出没し、マンションの敷地内に十数時間留まり緊急銃猟で駆除された。東京でもJR八王子駅からわずか5kmの住宅街で目撃され、6月には宇都宮市の繁華街にも現れた。「クマは私たちの生活圏へ確実に近づいています。今後、より市街地へ進出してくる可能性を視野に、充分に警戒してほしい」。最恐の秋は、すぐそこに迫っている。
(秋はクマの出没と被害が増加傾向:秋田)
秋が深まり、行楽シーズンの訪れとともに注意が必要なのがクマです。秋田県の情報マップシステム・クマダスのデータをもとに、過去3年間の8~10月のクマの目撃件数を見ていきます。2023年は、クマによる人身被害が70人と過去最悪を記録した年です。クマの目撃件数は9月に増加し、10月は1カ月で1400件を超えました。目撃に比例するように人身被害が増加。10月は34人がけがをするなど秋に被害が集中しています。2025年は、目撃件数が1万件を超え過去最多に。8月、9月と目撃が増え、10月は約5800件に達しました。1年間に4人が亡くなり、63人がけがをしましたが、半数に当たる37人が10月、つまり秋に被害に遭いました。この2年は、秋にクマの餌となるブナの実が凶作でした。一方、2024年はクマの餌となるブナの実が豊作でした。目撃件数は、ほかの2年に比べて少なく推移しています。2026年もブナの実が豊作と言われていますが、油断はできません。過去の傾向から、秋はクマが生活圏に出没しやすく、人身被害が多く発生しているのは事実です。本格的な秋を前に、五城目町の小学校で17日、クマに関する特別授業が開かれ、子供たちが命を守るためにどう行動すればよいかを学びました。五城目小学校で開かれた特別授業には、全校児童約200人が参加しました。講師は、ツキノワグマについて「想像するとすごく大きくてずんぐりしている動物と思われているが、実は秋田犬と同じぐらいの動物」と説明しました。クマは、春は山菜、秋は木の実など山の恵みを食料としていること。とても足が速く、100メートルを8秒台で駆け抜けられることなど、児童たちはクマの生態や特徴などを学びました。そして、万が一クマと鉢合わせてしまった場合を想定して「命を守るポーズ」を実践しながら、いざという時にどう行動するかを考えていました。参加した児童は「クマは怖い。人を襲う動物だと学んだ」「クマから命を守る方法を学んだ」「もし出合ったら、ゆっくり後ずさりする」などと話していました。五城目小学校は、敷地内に10台の防犯カメラを設置し、クマが出没していないか確認しています。またスクールバスは、バス停近くにクマが出没した際、自宅近くまで児童を送り届けます。本格的な秋に向け、クマといつ、どこで遭遇するか分からないということを忘れずに生活する必要があります。県自然保護課・柏倉誠課長:「今年は山の実が豊富なのではないかという予報もあるが、人里にも秋の実りの食物がたくさんなるので、そのような食べ物を求めてクマが人里に出てくる可能性も十分ある。夏ごろからクマの出没が数としては減ってきているが、秋はクマの活動が活発になる時期なので、安心せずに十分注意して様々な対策を取ってもらいたい」。すぐにできるクマ対策を3つを紹介します。県は、10月31日までを「秋のクマ事故防止強化期間」として呼びかけを強化しています。
(クマ緊急銃猟“目線映像”公開:福島)
クマ捕獲のための“緊急銃猟”。襲われる危険があるため、ハンターは車で工場内に入ります。手には銃が握られています。工場内には可燃物があるため、火薬を使う猟銃ではなく麻酔銃に。クラクションに反応し、物陰から出てきたクマ。そして麻酔が命中しましたが、興奮して襲ってくるクマ。その後も工場内を暴れ回っています。再びクラクションを鳴らすと。車の周りを動き回るクマ。このクマは6月に4人を襲い、工場内に立てこもっていたツキノワグマで、その“緊急猟銃”に立ち会っていた人は。緊急銃猟に立ち会った浜島大輝さん 「本当に怖かった。目の前にあるものはなぎ倒して、その後、車にぶつかってきた。窓ガラスはたたくし、車体は揺らすし」クマは40時間もの間、工場に居座ったのち、施錠されていた窓を自ら開けて逃走。現在も、その行方は分かっていません。
(イノシシ対策にヒガンバナ、球根の毒素忌避?:宮城)
宮城県加美町伯治の田んぼ脇に、約150メートルにわたって一列に並んだヒガンバナが咲く。こうべを垂れる稲穂を背景に、深い赤色が映えている。約2カ月前、近くで農業を営む古内健一さん(79)と町職員らが、国道沿いのあぜ道に350個のヒガンバナの球根を植えた。狙いはイノシシによる掘り返し被害の軽減だ。町によると、ヒガンバナは古くから害獣よけとして田畑のあぜに植えられてきた。球根に含まれる有毒な成分に忌避効果があるとみられる。付近は、ミミズや草木の根を好むとされるイノシシによって「まるで重機で掘り返したような有り様だった」(町の担当者)という。農道や配管が壊れるなど様々な支障が出ていたため、試験的に球根を植えた。古内さんは「いつもは荒らされるけど、今年はヒガンバナがある場所での被害はない。花はきれいだし、植える範囲を広げたい」と話した。町は来年度、周辺でさらに3千個を植える予定。担当者は「電気柵やわなを設置するより低コスト。効果が出たらうれしい」と期待を寄せた。通常、ヒガンバナの見ごろは9月下旬まで。県内では、羽黒山公園(大崎市)や船岡城址(じょうし)公園(柴田町)などが名所として知られている。
(人気温泉街にサルの大群、年6000件被害:神奈川)
人気の温泉街に現れたサルの大群。神奈川県湯河原町では17日、男性が10匹以上のサルに襲われ、けがをしました。去年の被害は6000件を超えていて、人を恐れないサルを前に住民や観光客は危機感を募らせています。住宅地を堂々と歩き回るサル。後ろに3匹を引き連れた4匹の群れです。住宅のベランダにも多数のサルが。中にはふてぶてしく仰向けになり、おなかをかきながらくつろいでいるものもいます。神奈川県の西南端に位置する温泉街、湯河原町。首都圏からのアクセスもよく、このシルバーウィークも多くの観光客が訪れるとみられていますが、ここ数年、サルの群れが街中に現れ、問題化しています。湯河原町 上田尚彦町議「神奈川県警のアプリがありまして、サル出没情報というのが、警察署に通報があった場合すぐに発表されるんですけれども、本当にひどい時は毎日発表されている状況でした」。町が行った調査によると、サルに追いかけられる、野菜や果物を取られるなどの被害が、去年1年間で6054件発生。これは1日平均16件の被害が出ている計算です。17日には救急車が出動する事態になりました。男性(40代)は集団のサルに複数箇所かまれ、病院に搬送されました。幸い、軽傷で済んだということです。温泉街や駅前、住宅地、あらゆる所に現れるサルの集団。去年10月には、空き家にサルが出入りしている映像が撮られていました。観光業への影響も懸念される中、町が取っている対策は?上田町議「追い払い隊という方が、ボランティアで一生懸命活躍されているんですけれども、どうしても通報を受けてから追い払う。主にロケット花火なんですけれども、最近はサルも慣れてきちゃいまして、それくらいではもうビクともしないというか」。町は神奈川県と協力し、群れのリーダーにGPS装置をつけることに成功しました。市街地に近づけば、すぐに追い払い隊が出動していますが、対応は後手に回っているのが現状です。湯河原だけでなく、山口や鳥取などでも相次ぐサルの目撃情報。なぜ全国各地で増えているのでしょうか。ニホンザルを保護・管理するサル対策所 三木清雅代表「全体的にサル自体も増えている地域もあるんですけれども、実際に爆発的に増えているわけではなくて、だんだん人に慣れてきている群れが増えてきたっていうことが原因じゃないかなと思います」。専門家は、人に慣れたサルが、山より人里のほうが栄養価の高い食べ物があると学習し、仲間を引き連れ、頻繁に人里に下りてくるようになった可能性があると話します。では、もしサルに遭遇してしまった場合、どうすればいいのでしょうか。「サル同士も目合わせて歯を出すっていうのが威嚇行動なので、見られているとメンチ切ったみたいな感じで、人だとけんかを売ってるみたいな形で捉えられてしまうことはあり得ます。なので、目を合わせないでください。できるだけ後ずさりしながら逃げるというのが大事です。自分の安全を守ることを一番考えてもらえればいいのかなと思います」。
(屈指の人気の高尾山にクマ出没、5連休前に警戒高まる:東京)
列島各地でクマの出没が相次いでいます。新たに出没が明らかになったのが、秋の行楽スポットとして知られる東京都内の人気観光地・高尾山です。週末からのシルバーウィークを前に、地元の自治体が登山客に注意を呼びかけるなど警戒が高まっています。東京・八王子市にある高尾山。訪れていた登山客から聞かれたのは「びっくりしました」「少し怖さはありますね」など不安の声。八王子市によりますと、8月20日の午後11時ごろ、高尾山の山中で、動物観察用に設置されていたカメラにツキノワグマの姿が捉えられていたということです。本州の広い範囲で生息するツキノワグマ。東京都の調査によると、都内でも生息が確認されています。今回クマが出たのは、高尾山で人気の登山道である「1号路」の中腹付近。城見台から北に70メートル離れた山中です。地図で見てみると、登山道は両脇を高い木々で囲われていて、舗装された道を歩く登山客の姿が確認できます。都心からのアクセスが良く、人気の高尾山。週末からのシルバーウィークや、この先、見ごろを迎える紅葉シーズンには多くの人が訪れます。そんななか飛び込んできたクマ出没の情報に、登山客からは「心配。だって(クマは)どこまでも歩けるっていうじゃない。怖いもん」「前々からこの山域でクマが出ることがあるっていうのは知った上で、高尾山の山道(付近)にっていうのは、さすがにびっくりしました。クマ鈴はさすがに持ちたいかな」などの声が聞かれました。八王子市は、今回クマが出没したのが夜間だったことをあげ、「早朝や日没後など周囲が暗い時間帯の入山をできる限りお控えください。最新の出没情報を確認するとともに、クマ鈴など音の出る物を携帯するなど適切な対策をお願いします」と呼びかけています。9月に入っても各地で目撃されているクマ。クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授は、高尾山でクマが撮影された時期はクマの行動が活発になっていたといいます。岩手大学農学部・山内貴義准教授:8月は実はクマのエサが少ない時期。クマ自体も行動を活発化する時期なので、ふらっと出てきてしまったという感じかな。実は、東京の西側・多摩地域の森林にはクマが生息しており、世界でも珍しい“クマが住む首都”といわれています。クマの出没情報などが分かる「TOKYOくまっぷ」で確認してみると、クマの痕跡や姿が撮影されたのは多摩地域に集中。2025年度に東京都が行った生息状況調査では、個体数は120~378頭と推定され、増加傾向にあるといいます。これからの時期は、人間側が山へ近づくことでクマに出くわす可能性が高まると専門家は指摘します。岩手大学農学部・山内貴義准教授:(9月は)おいしいエサ場にたどり着くと(クマは)居座ってずっと食べ続けたりする。どうしても人間側が山に行く、登山であったり、キノコ狩りとか。それで意図しない形で至近距離で遭遇するっていうことはあると思う。クマ対策グッズのほか、クマが出る可能性のある山に行った際、注意すべきことがあるといいます。岩手大学農学部・山内貴義准教授:揮発性の匂いとかは興味を示す個体がいるみたいなので、デオドラント系の匂いとか香水はあまりつけない方がいい。(クマは)意外と木の上でエサを食べることが多いので、山に入った際に複数人で入るというのが重要なんですけど、下ばかり見るのではなくて、木の上もよく見ながら(歩く)。そこは要注意かなと思う。9月20日に山形市で行われる秋の風物詩「日本一の芋煮会フェスティバル」では、隣の天童市などでクマが出没したことから、クマ対策として16日から19日にかけて、爆竹や手持ち花火など大きな音になるものを会場付近の山で鳴らすことでクマを近づけない対策を行っているということです。また、鳥獣撃退装置「モンスターウルフ」を設置。センサーで野生動物の接近を感知して50種類以上の音声で威嚇し、追い払う装置ですが、もともと山の中に設置していたものを18日に特別に下山させて、会場付近の公園に設置する予定ということです。シルバーウィークにクマが出没している地域に訪れる際には、対策グッズなど個人でもしっかりとした準備をしておくと安心につながります。
(この秋どこでクマ出没増?ドングリの実りに“ある傾向”)
クマの目撃情報が各地で相次ぎ、自治体などが警戒強化を呼びかけています。秋の行楽シーズンはまた被害が増えてしまうのか。餌となるドングリの実りを調べると、今年はある“傾向”が…。秋以降、クマの出没はどうなるのでしょうか。その手がかりとなるのがドングリの状況です。サタデーステーションが向かったのは兵庫県。兵庫県森林動物研究センター 藤木大介主任研究員「これがコナラというドングリがなる木です。去年の兵庫県は16年ぶりに大豊作だったんですが、その反動で今年は全く実が、ドングリがついていない状況になっている」。実りが良かった時と比べると、ドングリの実のようなものが見当たりません。兵庫県森林動物研究センター 藤木大介主任研究員「6段階で評価をしていまして、今年はそのうちの下から2番目の凶作という評価になります」。クマの食料となるドングリなどの状況は去年、大凶作だった東北地方などでは、軒並み豊作の予想。一方で、去年は豊作とされていた兵庫県など西日本では、凶作傾向と予想されています。神戸市では6月、市内で初めてクマの生息が確認されるなど今年は西日本で警戒感が高まりつつあります。再び出没が増えれば、緊急銃猟せざるを得ない場面も想定されます。今週、福島市が公開した、緊急銃猟の様子です。おびき出すために、クラクションを鳴らすと。奥から飛び出してきたクマ。とっさに銃を構えて麻酔を打ち込みます。当たったものの、興奮したクマが、目の前に。大きな危険を伴う緊急獣猟。こうした“捕まえる側”のリスクを軽減するため、最新技術の開発が進んでいます。これは災害現場での捜索などのために開発された四足歩行ロボット。クマの足あとや、床下など地面に近い所を詳細に探索できることが強みです。さらに力を発揮するのは見通しが悪い場所。建物の奥に隠れた番組スタッフを探してみます。暗い住宅内を進んでいくと通常のカメラだと暗闇で人の目には様子が見えませんが、搭載された熱を感知するカメラで見てみると浮かび上がった人の姿。暗闇ややぶのなかでも、動物の体温から居場所を感知することができました。クマスプレーや威嚇のための光、大きな音を出す装備も搭載できるようになるといいます。Highlanders CTO 上原昇馬さん「人が今パトロールしている、その最中にもやはりクマに襲われるケースはあると思います。そういったのをロボットで代替していくことによって、そのリスクをまずなくすことができると思っています」。
(マダニ感染に注意、SFTS患者増加:岐阜)
マダニにかまれて感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の患者が岐阜県内で増えており、県は注意を呼びかけている。致死率が10~30%あり、国内の死者も相次いでいる。4~10月に多く発症しており、やぶや草むらに入る時は肌の露出を少なくするといった対策が必要だ。SFTSの患者は県内では2025年、中津川市で初めて報告された。26年はすでに土岐、恵那、中津川各市の計3人の患者が確認されており、畑仕事や竹やぶでの草刈りの際にマダニにかまれて感染した可能性があるという。このほかに飼い猫の感染も1例報告されている。県によると、マダニの生息地は主に草地や森林だが、市街地にも潜んでいる。草むらなどに入る場合は、長袖・長ズボン・登山用スパッツなどを着用▽シャツの裾はズボンの中、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる▽サンダルなどは避け、足を完全に覆う靴を履く▽帽子や手袋を着ける▽首にタオルを巻く▽有効成分の入った虫よけ剤を使う▽帰宅したら上着や作業着は家の中に持ち込まず、すぐ入浴し、かまれていないか確かめる――といった対策を挙げる。かまれた場合は無理に引き抜こうとせず皮膚科などを受診することのほか、数週間は体調変化に気を配り、発熱などの症状が出た場合はすぐ医療機関に行くことを勧めている。マダニは野生生物の野ネズミやシカ、イノシシなどのほか、散歩中の犬や猫からも吸血する。厚生労働省によると、犬や猫から人間に感染したと考えられる症例も報告されている。県は、動物に触ったら手を洗い、口移しでエサをあげたり、布団で一緒に寝たりすることは控えるよう促している。県内のマダニによる感染症では、日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)の患者も目立っている。細菌の一種「リケッチア」を有するマダニにかまれて感染する。発熱や発疹といった症状があり、致死率は1~4%だが、治療が遅れると重症化する。25年の患者は計6人だったが、26年はすでに各務原、岐阜、大垣各市の計5人が発症。庭の草むしりや畑仕事で感染した可能性があるという。県の担当者は「マダニは春から秋にかけて活動が活発になる。かまれないようにし、予防薬の使用などペット対策も実施してほしい」と呼びかけている。
(クマを寄せ付けない集落づくりのボランティア募集:石川)
小松市ではクマの出没リスクが高い集落等において、地域住民とボランティアが協働し、クマが身を隠すヤブの刈払いなどの出没防止対策を実施します。
(相棒と山駆け70年、90歳猟師:香川)
ザッザッザッ。長靴の音を響かせて、軽トラックに乗り込む。車1台がギリギリ通れる山道を走りながら、周囲を見回し獲物を探す。助手席には黒光りするイタリア製の銃。「昨日庭にサルがおって。一発撃ってやった」。いつもは寡黙なその人が、にやりと笑った。井本一男さん(90)は、香川県の離島・小豆島で、5人兄弟の長男として生まれた。島内の高校を卒業後ミカン農家に。祖父も父も狩猟をしていたことから「鉄砲」を手にしたのは自然な流れだった。20歳を迎える頃、出会った最初の相棒は父のお下がりの「ボロ鉄砲」。すぐに夢中になった。軽トラックを走らせてシカやサルを探す。見つけたら、そっと降りて鉄砲を構える。簡単に狙わせてくれる相手ではない。慎重に狙いを定め、1発だけ撃つ。狩り場の自宅の裏山で「1日に5匹も、6匹もシカを撃っとった」。ハンターとしてのピークは還暦を迎えたころ。射撃の全国大会に香川代表として出場した。その後、年を重ねてピーク時のような安定感はなくなったが、傘寿になってもシカやサルを撃つ生活は変わらなかった。「鉄砲大好きやったからねえ。私とようケンカするくらいに」と、妻の協子さん(86)は懐かしそうに笑う。
(鳥獣被害対策を、実践形式で学ぶイベント「それは憎か、肉か。」:北海道)
合同会社DMM.com(本社:東京都港区、イノベーションカンパニーCEO:緒方悠、以下DMM)が展開するDMM 地方創生は、総務省が推進する「地域活性化起業人制度」を活用し、北海道共和町(町長:成田 慎一、以下「共和町」)に2026年4月より社員1名を派遣しています。地域活性化起業人は、DMMグループで展開する鳥獣被害対策事業「DMM Agri Innovation」の知見を活かしながら、共和町の鳥獣対策および地域活性化の推進を担当しています。このたび共和町が2026年11月12日(木)~15日(日)に開催する体験型プログラムにおいて、鳥獣対策について学ぶイベント「それは憎か、肉か」を開催します。農作物に被害をもたらす鳥獣は、農業者にとっては憎い存在ですが、食肉として生かすことができれば、地域に新たな価値をもたらす資源にもなります。2日間にわたって行われる本イベントでは、シカ肉を使った料理の試食をきっかけに、共和町で起きている農作物被害や捕獲後の課題を学びます。くくり罠や箱罠の設置、エゾシカの解体、わな猟免許、人獣共通感染症、食肉処理、商品開発や販路開拓などを扱い、捕獲から活用までの流れを2日間で伝えます。講師には、野生動物管理、ジビエの衛生管理、食肉加工、商品開発など、それぞれの分野で活動する専門家を招きます。また、11月14日(土)には、北海道で狩猟の現場やジビエの魅力を発信するインフルエンサー「ハンターちゃん」が登壇。SNSを通じて、若い世代や町外の人にも共和町の現状を発信します。
(”熊対策”の現場に、夜でも見える安心を)
全国各地で熊の出没が相次ぎ、地域住民や登山者、農業従事者の安全確保が喫緊の課題となっています。特に夜間や視界不良時の対応は難しく、従来のライトや音による対策では限界がありました。そこで注目されているのが、赤外線サーモグラフィカメラ「 FLIR Scout Pro 」です。FLIR Scout Pro は 、熱を感知して対象を映し出すことで、暗闇でも熊などの野生動物の存在をリアルタイムで把握することが可能です。フリアーシステムズジャパン株式会社は初の試みとして、FLIR Scout Pro 無償貸出キャンペーンを実施します。
(「エサが豊作ならクマは出ない」は半分外れる:いわもととしたつ)
今秋のブナは豊作という予測が、東北でも北陸でも出ています。「今年のクマは少ないらしい」と受け取った方もいるのではないでしょうか。ただ、その予報が何を予測していて、何を予測していないのかは、いったん分けて読んでおく必要があります。公的機関が出した予測を安全側に読むことは、防災の基本動作そのものです。防災士キャンパーとして、秋のキャンプ計画を立てる前に押さえておきたい3つの点を整理します。2026年7月7日、林野庁の東北森林管理局が令和8年度のブナの開花状況を公表しました。管内145か所のうち139か所で調べた結果、今秋の結実予測は青森県が並作、岩手県・宮城県・秋田県・山形県の4県が豊作です。豊凶の指数は、青森県3.4、岩手県3.5、宮城県5.0、秋田県3.6、山形県4.0で、3.5以上が豊作にあたります。秋田県林業研究研修センターも、2026年のブナ豊凶予報で県内5地点のうち4地点を豊作と予測しています。北陸では富山県が9月9日、ブナは全県で豊作、ミズナラとコナラは並作という調査結果を公表しました。ブナは調査した15か所のうち11か所で豊作でした。ここで注目したいのは、富山県の書き方です。この秋は「平野部へ大量出没する可能性は低い」と予測しながら、同じページで、春から夏(4~8月)の出没件数が261件と例年より多いこと、カキなどの放任果樹がある人家周辺では「特にクマの出没に警戒する必要があります」ということを併記しています。さらに、ドングリの作柄が比較的良い年でも秋(9~11月)の出没は確認されているとして、令和6年度の98件などの例を挙げています。環境省の資料は、秋のクマについて、堅果類が不作の年は人の生活圏へクリやカキなどを求めて出没が増加すると説明しています。つまり、豊凶が左右するのは「里に下りてくるかどうか」です。山の中でクマに会うかどうかは、この予報の外にあります。豊作と公表した行政自身が、同じ紙面で警戒を解いていません。東北森林管理局は、初夏にブナの開花を調べて秋を予測し、秋になってから実際の結実をもう一度調べて公表しています。同じ表に、予測と結果が並んでいるわけです。その表で、平成16年から2025年までの22年、5県分の110件を数えてみました。秋の結実の指数が開花時を下回ったのは、110件のうち96件(87.3%)です。開花時に「豊作」と予測された19件に絞ると、秋も豊作だったのは10件でした。残る9件は並作か凶作に下がっています。凶作まで落ちたのは4件で、いずれも宮城県でした。そして、令和8年の秋の結実はまだ公表されていません(2026年9月17日時点)。2025年は7月11日に開花状況が公表され、結実状況の公表は11月6日でした。夏に出た予報は、あくまで「今のところ」の数字です。環境省の生態資料は、10~11月を「飽食期」と呼び、「冬眠に備えて食欲が増す時期であり、多くの餌を求めて行動が活発になる」「一日の活動時間が長くなり、夜間の活動量も増加する」と説明しています。これは豊作の年にも起きることです。豊凶が効くのは、不作の年に行動圏が広がるほうの話で、活動そのものが増える時期であることは変わりません。環境省の出没情報(速報値)を年度ごとに並べると、2025年度は全国50,801件のうち、10月が15,998件、11月が10,338件で、この2か月だけで年間の約52%を占めました。一方、2024年度の同じ2か月は3,518件で、年間の約17%です。秋に出没が跳ねる年と、跳ねない年があります。ただ、跳ねない年でも10月と11月がゼロになるわけではありません。2026年度は、7月までの出没が17,362件で、2025年度の同じ4か月の12,716件を上回っています。人身被害は8月までで56件・60人、そのうち亡くなった方は6人です。予報ではなく実績を見る。行き先の自治体が出している出没情報を、出発前に開いておく・食べ物とにおいを外に出さない。環境省の資料はクマの嗅覚を「非常に優れ」と書いています。豊凶に関係なく効く対策です・夜の片づけを前倒しする。10~11月は夜間の活動量が増えます。炊事の片づけとゴミの始末は、日が落ちる前に終えておく。予報は判断の材料であって、判断そのものではありません。「豊作だから」を、備えを下げてよい理由に読み替えないこと。秋の山を楽しむための準備は、出かける前の数分で済みます。
(秋の夕方に増えるシカとの事故:いわもととしたつ)
秋の連休、キャンプ場からの帰りに山あいの道を走っていると、ヘッドライトの先で動物の目が光ることがあります。私自身も、シカやイノシシが道路に出てくる区間を走ることがあります。動物との事故は、ぶつかる瞬間だけで被害が決まるわけではありません。その前後にどう動くかで、結果が変わります。起きたときの順番を先に決めておくのは、防災の備えと同じ考え方です。防災士キャンパーの立場から、秋の夕方の道と、車を降りて出会ったときの注意を整理します。北海道は、エゾシカの交通事故防止のページで「10~11月はエゾシカの繁殖期で動きが活発になるほか、越冬地へ移動する時期にも重なります」と説明しています。活動のピークは日の出と日没の前後です。本州でも事情は似ています。京都府は「シカは本来、臆病でおとなしい性質を持っています」としたうえで、9月から12月は発情期で、オスは大変興奮しているため、突然出会った場合には注意が必要だと書いています。兵庫県はイノシシを「本来、用心深く臆病な動物」と説明しつつ、興奮しているときや発情期(晩秋~冬)、分娩後で攻撃的になっているとき、至近距離で突然出会ったときには注意が必要だとしています。どちらも、ふだんは人を避ける動物です。そのうえで秋は、シカにもイノシシにも動く理由が増える季節だと言えます。北海道警察の集計では、エゾシカが関係する交通事故は2025年に6,705件でした。前年より1,245件多く、9年連続で最多を更新しています。なおこの件数は、すべてが鹿との衝突ではありません。鹿を避けようとして起きた事故も含まれます。月別では10月が1,531件、11月が1,206件で、この2か月で全体の40.8%を占めます。時間帯では16~18時が1,506件、18~20時が1,932件で、この4時間に全体の51.3%が集まっています。キャンプ場から帰る時間と重なりやすい時間帯です。人身事故の中身も見ておきます。2025年の人身事故7件のうち4件は、鹿を見て減速した車や、鹿とぶつかって停止していた車など、前の車への追突でした。ほかに、飛び出してきた鹿に驚いて急ハンドルを切り、ガードレールに衝突した事故もあります。死亡事故はありませんでした。危ないのは、鹿にぶつかることだけではありません。自分の車が急に止まること、止まった車の後ろを走っていることも、事故の形として数字に出ています。これは北海道の集計です。全国については、国土交通省の資料がロードキルの発生件数を直轄国道で年間約7万件、高速道路で5.1万件(2022年度)と示しており、動物の内訳にはシカやイノシシも入っています。シカやイノシシと出会う場面は、車の中と、車を降りたときの2つです。車の中では「1頭だけとは思わない」 北海道は運転の注意として、早朝・夕方と秋~初冬の運転に気をつけること、夜間はライトが当たると目が光ること、車が近づいても逃げないことがあることを挙げています。そのうえで「1頭だけとは思わない」。エゾシカは群れで行動するため、2頭目以降が飛び出してくる可能性があり、1頭の横断を確認した後も警戒を続けるよう呼びかけています。事故で止まってしまったときの動き方は、高速道路についてNEXCO西日本が示しています。本線や路肩を歩き回らず、ハザードランプや発炎筒、停止表示器材で後続車に知らせたうえで、運転者も同乗者も全員、ガードレールの外など安全な場所へ避難してください。NEXCO西日本は「車内は安全地帯ではありません」と書いています。通報は110番、非常電話、道路緊急ダイヤル(#9910)のいずれかです。車の外では走らない・近づかない キャンプ場や林道でシカと出会ったとき、京都府は「静かにその場を離れるようにしましょう」としています。急に走り出すとシカを興奮させるため、背中を見せずにゆっくり後退し、棒を振り上げたり石を投げたりしないこと、とあります。兵庫県はイノシシについて、慌てずゆっくり後ずさりしてその場を離れること、接近が避けられない場合は建物や車の中など、イノシシから人が見えない場所に避難することを挙げています。呼び寄せない工夫もあります。環境省は国立公園の利用マナーとして、野生動物に餌を与えないこと、ごみの臭いで野生動物を誘わないようにごみを持ち帰ることを呼びかけています。撤収と出発を前倒しする。北海道警察の集計で事故が集まっていたのは16~20時でした 1頭見たら、2頭目がいる前提で走る。横断を見届けた後も、警戒をゆるめない 高速道路で止まったら、全員ガードレールの外へ。通報は避難してから。北海道の数字では、動物との事故は鹿を見て減速した後や、車が止まった後にも起きています。慌てたときの順番を平時に決めておくことは、災害への備えと変わりません。秋の山あいの道では、1頭目をよけたところで気をゆるめないことから始めてみてください。
(単独忍び猟でヒグマを追い続けたトライアンドエラーの5年間:武重謙)
元システムエンジニアで、現在は北海道稚内市でゲストハウスを営むハンター、武重謙(たけしげ・けん)さん。5年の歳月をかけて単独忍び猟でヒグマを追い続けた記録『羆山渉猟 単独忍び猟記』(くまやましょうりょう たんどくしのびりょうき/山と溪谷社)が刊行され、アウトドア・ノンフィクション界で大きな話題を呼んでいます。今回は、9月17日発売の本書より一部を抜粋して紹介します。帰宅するなり、妻にヒグマの足跡のことを話した。「ヒグマの足跡があったんだよ。追ってたシカなんかどうでもよくなっちゃって、しばらくヒグマの足跡を眺めてた」「へー」「はっきりと、こう……爪の跡まで残ってて。ちょっとだけ足跡を追って歩いてみたけど、まぁ怖いし引き返してきたんだよ」。ちょっと内股になっている感じを伝えたくて、両手を広げてヒグマの足取りを再現したりもした。足の向き、歩幅、踏み込まれた足跡の深さ、爪の鋭さ……。すべてを伝えたくて「ほら、こんな感じで」としつこくしつこく話した。「楽しそうだね」「いや、楽しいとかじゃなくて怖いんだよ。だって、こっちの山って見渡す限り藪だらけでさ、ということはヒグマが隠れるところがいくらでもあるわけでしょ。これまで気がつかなかっただけで、もしかしたら自分が歩いているすぐ横にヒグマが潜んでいたかもしれないと思うと、恐ろしいよ」。いつまでもヒグマのことを語り続けた。足跡の大きさの持つ迫力を妻にも知ってほしかったし、その怖さを共有したかった。こんなに恐ろしいことをやっていたんだと共感してほしかった。そして、あの足跡から滲み出るオーラというものを伝えたかった。「ずっと嬉しそう」「そう? でも怖いのよ」。そういえばヒグマの足跡を見つけたのは良いニュースなんだっけ? はたまた悪いニュースなんだっけ?怖い怖いと騒いでみたものの、不快ではなかった。たしかに怖かった。しかし怖いと思う感情ばかりが心を満たしていて、その根底にあるもっと小さいが固く力のこもった感情に、自分でも気がつかずにいた。本音を言えば……もうたまらなく嬉しかった。大人になってから、こんなに嬉しいと思うことは多くない。猟銃を手にして、初めての獲物を授かったときと似た感覚かもしれない。今だって、あの山にはヒグマがいるんだ。今日見つけたあの足跡を辿れば、いまもあのヒグマに続いている。明日も、明後日も、明明後日も、足跡という一本の糸は、ヒグマにつながっている。ヒグマが生きた証とも言える一連の足跡と、わたしの足跡が交差したのだ。人も、ヒグマも一生につける足跡は一本しかない。それがたしかにあのとき交錯した。あんなデカい生き物が藪を掻き分け、沢に降り、尾根を登り、ゆらりゆらりと闊歩しているんだ。あの足跡はヒグマへと続く一本の糸だった。その糸の一端をたしかに掴んだ。でも、その手を放したのも自分だった。もう二度と同じ糸を掴むことは叶わないだろう。でもたしかに一瞬だけは掴んだ。その感触、その体温は確かにこの手の中にあったのだ。「もしあの足跡を追ったなら、その先に必ずヒグマがいる。いるんだから、もしかしたら獲れるかもしれない」「獲るの?」「―― 獲る」。この瞬間まで、自分がヒグマを獲るだなんて考えていなかった。山にあんな生き物がいるというだけで、もうそれだけで十分嬉しいというのに、ましてやそれを獲るだなんて考えられない。でも―― 。「ヒグマを獲る」「そっか」「ヒグマを獲りたい。もしかしたら獲れるかもしれないと思っちゃったんだよね」。獲りたいと思ってしまったその感情は、自然と決意となって心に根付いた。「そっか……謙ちゃんは山で死ぬのかもね」「え? いや、大袈裟だよ」「そう? わたしはそう思っておく」。わたしはヘラヘラと笑っていたが、妻の目は笑ってはいなかった。翌日、いても立ってもいられず、同じ山に行ってみた。昨日の場所に行くと、足跡はまだしっかり残っていた。昨日と同じように、足跡を辿って歩いた。しばらくして森に入っていくところまで見届けて、やはり怖くなって立ち止まってしまった。ヒグマが入ったことが明らかな森に―― しかも鬱蒼とした視界の悪い森に入るのは自殺行為だ。なにしろヒグマのことを何も知らなかった。日本では本州以南にはツキノワグマが、北海道にはヒグマがいる。ヒグマのほうがずっと大きく、最大で500キログラム程度にまでなると聞いたことがある。肉も草も木の実も食べる雑食性で、川のサケを捕って食べる木彫りのクマが有名だ。その程度の知識しかなかった。そしてわたしには狩猟の師匠と呼べる人がいなかった。数年の狩猟経験から、狩猟友達はいたが、いわゆる師匠がいたこともなく、そういう人と一緒に山を歩いて知見を教えてもらうような機会もなかった。狩猟のことは山が教えてくれる。そう信じて取り組んできた。足跡こそ最高の―― そして唯一の師匠である。エゾシカやイノシシを獲ってきた経験から、そう思っていた。追うのが怖いなら、逆に辿ればいい。押してダメなら引いてみろ、の精神である。足跡を逆に辿り続ければ、いつかはヒグマが生まれたその場所にまでつながっている。そこまでは無理でも、ヒグマの行動を学ぶことができるかもしれない。なにを食べ、どこで休み、寝るのか。そういうことがわかれば、いつか役に立つかもしれない。足跡は川沿いを辿り、そのうち針葉樹林に入った。地面が針葉樹の葉で絨毯のようになり、足跡はまったく見えない。なんとなくなにかが踏んだような気がする痕跡はあるが、確信がない。直前まで歩いていた感じから想像し、この辺りを歩きそうだな、と思う場所を勘を頼りに歩いた。急斜面の上に出た。降りると細くチョロチョロと流れる沢がある。斜面を見ると、はっきりと爪の跡がついていた。この場所に来るのは初めてではない。シカを追って歩いたことがある。何度もある。しかし一度だってヒグマの存在を感じたことはなかった。足跡にも気がつかなかった。よくあるビジネス系の自己啓発書に「今日一日で赤い車を何台見ましたか?」みたいな質問が出てくることがある。当然、そんなもの気にして生きていないので、一台たりとも思い出せない。人は探そうと思っていないと、気にもとめないものなのだ―― という教訓に続く。まさにそれだ。ヒグマの足跡を探そうと思っていなかったから、まったく目にとまらなかった。しかし足跡はいつもそこにあったのだ。シカの足跡ばかり見ていたし、そのシカの足跡だって、高い緊張感で向き合っていたわけではない。正直、わりと簡単に獲れるので、トラッキングという行為にも緊張感はなかった。わたしは何も見ていなかったのだ。時々シカを獲っているという程度のことで、狩猟に慣れたつもりでいた。山に慣れたつもりでいた。なにかを知ったつもりでいた。しかし何も知らず、何も見ていなかった。いつもヒグマの痕跡はそこにあったし、ヒグマはわたしのことを見ていただろう。何も知らずに歩いていたのは自分だけだった。それで山の営みに参加していると錯覚していた。馬鹿だった。沢に降りたところから、もう追うことはできなかった。岩盤ばかりで足跡など皆無で、どこまで沢を辿って歩いたのかもわからなかった。しばらく沢を歩いてみたが、そのうち厳しい藪となり、断念するしかなかった。あくまで自分が追える範囲ではあるが、一連のヒグマの足跡を辿って歩いたことになる。その間で、ヒグマが立ち止まった形跡はない。淡々と、歩幅を崩すことなく歩いていた。特徴と言えば川を覗き込むような仕草くらいのもので、ほかに読み取れる情報はなかった。帰宅し、今日の出来事を妻に話して聞かせた。また同じ足跡を追って、逆方向にも追ってみて、どんなところを歩いているか、ほんのちょっとだけど垣間見ることができたんだよ、とそんなことを話した。「ああ、もう取り憑かれているね」。妻がこぼした。「めっちゃ楽しそうだもん。ずっと嬉しそう。遺書は書いておいてね」。怒るでもなく、悲しむでもなく、ましてや冗談を言う目でもなかった。ただまっすぐわたしを見ていた。わたしを通り越して、ずっと遠くを見ているようだった。まだ2歳の娘は、嬉しそうにそんなわたしたちのことを見ていた。
(勉強会「犬と一緒に実践する野生鳥獣被害防除」:東京)
クマを始めとして深刻化する野生鳥獣被害に関する勉強会が開催されます。共生・棲み分けを目指す方法で、兵庫県豊岡市などの事例を元に座学と野外での実践例を学ぶとのこと。主催は日本熊森協会東京支部と縄文柴犬研究センター。今回の勉強会の目的について「近年、クマを始めとして深刻化する野生鳥獣被害や出没を防ぐ上で、罠による捕獲強化は被害低減の結果に結びついていない現状があります。事故や出没を防ぐためには発想を変えて、野生動物が来にくい集落づくりが必要です。そのために、私達は、『犬は重要なパートナーになり得る』と考えています。実際に犬を使った獣害対策の事例を学び、普及のために必要な制度についても考えます」と主催者。また、「犬による追い払いは、野生動物を傷つけるためではなく、『ここは人の暮らす場所だ』と知らせ、鳥獣との自然な棲み分けを促すための方法です」とも。主催の「一般財団法人日本熊森協会」(本部:兵庫県)は、水源の森の保存や野生動物の共存を目指して活動する実践自然保護団体で、近年は、クマが集落に出ないように、被害対策にも力を入れており、兵庫県豊岡市では市と連携して取り組んでいるとのこと。もう一つの「NPO法人縄文柴犬研究センター」は、在来犬「縄文柴犬」の保存・研究・普及を通じて、人と自然の持続可能な共生の実現、特に里山における生態系保存と地域社会を両立させる事を使命としている団体です。
(「イノシシが自宅近くの畑に」麻酔銃で捕獲試みるが:長野)
長野県千曲市で9月17日朝、住宅の敷地内にイノシシ1頭が出没しました。猟友会などが捕獲を試みましたが、途中で見失ったということです。イノシシが出没したのは、千曲市森の大宮神社近くの住宅の敷地です。警察によりますと17日朝8時前、「イノシシが自宅近くの畑にいる」と、住民から通報がありました。警察や猟友会が出て警戒していたところ、住宅の庭で成獣のイノシシ1頭を確認。その場にとどまっていたため麻酔銃での捕獲を検討していましたが、午前11時ごろ、イノシシが急に動き出し、姿を見失ったということです。その後、周辺をパトロールしましたが発見には至っていません。人や物への被害はないということです。
(JR山陽線、シカと接触し停車:広島)
18日午後7時10分ごろ、東広島市高屋町のJR山陽線白市―西高屋間で、糸崎発岩国行き普通列車がシカと接触し、停車した。
("マグロ漁船にクマ居座る":宮城)
警察と塩釜市によりますと、19日午後8時半ごろ、宮城県塩釜市新浜町1丁目の岸壁に体長約1メートルのクマがいるとの通報で駆けつけた警察官が、現場でクマを発見しました。その後、クマは近くの岸壁に停泊していたマグロはえ縄漁船に乗り込んだということです。クマが漁船に乗り込んだ当時、この漁船には、船員3人が乗っていましたが、船内の個室にいて、けがもなく、連絡もとれているということです。警察は、19日夜から周囲を規制し、市の職員などと一緒に30人体制で漁船内にいるクマの動向を見守っています。市は、夜明けを待って猟友会による麻酔銃での緊急銃猟を検討しているということです。この周辺では、18日からクマの目撃が相次いでいて、警察が注意を呼びかけていました。
(クマ目撃:宮城)
18日午後10時半ごろ、宮城県登米市東和町米谷相川の路上を歩いているクマ1頭を車で通りがかった男性が目撃し、通報した。登米署によると、クマは体長約1メートル。現場は三滝堂ふれあい公園付近で、目撃した場所から南側の竹やぶに走り去ったという。同署は現場周辺にパトカーを出し、警戒と注意を呼びかけた。
(学校給食でシカのミンチカツ提供:徳島)
害獣として捕獲したシカの肉を使ったミンチカツが、松茂町の学校給食で提供され、子どもたちがジビエ料理を味わいました。徳島県では、農作物などに被害を及ぼす害獣として捕獲した野生のシカやイノシシの肉を食用として有効活用し地域の活性化につなげようと、ジビエ料理の消費拡大に向けた取り組みが行われています。この一環で、子どもたちにジビエを身近に感じてもらおうと、17日は松茂町の幼稚園と小中学校、あわせて5校の給食でシカの肉を使ったミンチカツが提供されました。このうち松茂小学校では、はじめにジビエについての動画を視聴し、児童たちは、▽捕獲されたシカのうち食用となっているのは1割ほどにとどまることや、▽シカの肉は鉄分が多く低脂肪で、ヘルシーなことなどを学びました。そして、配膳されたミンチカツをさっそくパンに挟んでバーガーをつくり、口を大きく開けてほおばっていました。児童たちは、「はじめて食べたけど、柔らかくておいしかったです」とか、「シカの命のありがたみを感じました」などと話していました。松茂町では来年1月にもジビエの給食を予定していて、次回はシカのコロッケが提供されるということです。
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(足や尻など女性2人がかまれる、サル被害相次ぐ:山口)
山口県山陽小野田市で15日、女性がサルにかまれる被害が相次ぎました。付近では2026年5月にも女性2人が襲われていて、警察はパトカーで巡回して住民に注意を呼びかけています。午前6時20分ごろ、山陽小野田市山野井で、ごみを出しに歩いていた近くの70代の女性がサル1匹に襲われました。女性は左足のすねと右足の甲をかまれたほか、両手の甲を引っかかれ、軽いけがをしました。サルはその後、逃げたということです。午前11時40分ごろには、700メートルほど離れた田んぼで、70代の別の女性が尻をかまれるなど軽いけがをしました。付近では今年5月にも女性2人がサルに襲われけがをしていて、住民に不安が広がっています。警察は今回の2件は別の個体によるものとみていて、付近をパトカーで巡回し、住民に注意を呼びかけています。サルによる被害の発生を受け、現場近くの出合小学校では保護者に児童を迎えに来るよう連絡したほか、児童に集団下校を呼びかけたということです。山陽小野田市は地元の猟友会と協力し、サルがよく出没するという近くのクリの畑に、捕獲用のわなを設置しました。下校時間に合わせて職員を派遣し、周辺のパトロールにも当たったということです。
(プロも識者も「怖くて買えない」、ジビエのグレーな個人間売買)
健康志向などで、クマやシカなどの野生動物の肉は近年「ジビエ」として人気が高まっている。捕獲頭数の増加もあってかオンラインでの個人間取引(CtoC)も散見されるが、その肉は安全だろうか。「グレー」なジビエの安易な信頼と購入には注意が必要だ。「思った以上に自由に売買されており、公衆衛生上の課題です」。そう指摘するのは、国立環境研究所(国環研)主任研究員の久保雄広さん(生物多様性経済学)だ。ジビエにはE型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌、寄生虫による食中毒のリスクがあり、適切な食肉加工や調理が必須。久保さんらのチームは2025年、CtoC市場でのジビエの取引を調査した論文を発表した。久保さんらはまず、さまざまな商品を個人で取引できる「Yahoo!オークション(ヤフオク)」で13年1月~23年12月の販売データを調べた。その結果、ジビエの取引件数は計3万3033件あり、最多はイノシシの2万1563件で、最も少ないヒグマでも771件に上った。シカの取引は年を追うにつれ増加傾向で、ツキノワグマも上昇傾向がみられた。ヤフオクを記者が26年8月に確認すると、食用として「熊肉」「ヒグマ」「鹿肉」と表記された商品が並び、買い手もついていた。商品説明には「よく加熱して」「解体後に冷凍」「食品衛生法に基づく処理施設で取り扱い」などと記されているが、実態は不明だ。ヤフオクのガイドラインでは、食品衛生法や都道府県条例に反する食材の出品は禁止されているが、品質管理が徹底されている肉が並んでいるのかは判然としない。こうしたサイトは出品者の匿名性が確保されているため、肉の出所が不明なこともある。ジビエ販売を繰り返しているある出品者の商品は、捕獲方法や肉の処理施設、出荷までの詳しい保存方法などが分からず、サイトを通じて管理体制などを質問してみたが、出品者から返答はなかった。ヤフオクの運営会社・LINEヤフーは「出品者に対しては関係法令及びルールの順守を強く求めています。AI(人工知能)による自動検知や専任スタッフのパトロール、ユーザー様や関係機関からの違反申告に基づく確認、対処を日々実施し、不適切な取引の排除に努めています」とコメントした。個別の取引や商品への対応については、回答を控えるとした。久保さんらが論文でヤフオクを取り上げたのは一定期間の販売データを収集できたためで、他のフリマサイトでもジビエの取引は多数確認できた。久保さんは「不透明な説明の商品が多く、小売店と違って品質保証もしていないでしょう」と指摘し、「私は怖くて買えませんね」と率直だ。厚生労働省によると、継続的に不特定多数に販売する営業行為をする場合、食品衛生法に基づいた営業許可が必要だ。食肉処理業の許可がある施設での解体や、国際基準の食品衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理も求められる。
(“市街地出没のクマは原則捕獲”:岩手)
クマの個体数の管理について検討する県の会議が開かれ、市街地に出没したクマについては、原則、捕獲とする新たな方針の案が示されました。17日、盛岡市で開かれた会議には、市町村の担当者やクマの生態に詳しい専門家などおよそ30人が参加しました。会議では、まず、県の担当者が、昨年度末時点の県内のクマの推定生息数が5200頭に上ることなどを報告しました。このあとは非公開で行われましたが、県によりますと、来年度から5年間のクマの個体数の管理について県の方針の案を示したということです。具体的には、県内を▽人の生活圏と▽その周辺、▽クマの生息エリアと▽その周辺の4つのエリアに分け、このうち市街地を含む▽人の生活圏と▽その周辺では、まずは追い払うとしていたこれまでの対応を、原則、捕獲に改めるということです。また、捕獲したクマの駆除について、具体的な方法を明文化する方針だということです。会議の会長を務める東北地域環境計画研究会の由井正敏会長は、「人とクマが互いに問題なく活動できるようにすみ分けを行うことが必要だ」と話していました。
(クマが水田に居座る、緊急銃猟を検討:宮城)
宮城県涌谷町の水田にクマが居座っていて、警察や涌谷町が対応に当たっています。警察と町によりますと午後2時半ごろ、涌谷町中島乙の住宅街で「クマが畑を通って行った」と近くの住民から通報がありました。クマは体長1メートルほどで、移動してJR上涌谷駅周辺の水田に居座っているということです。クマは目立った動きが無く、警察と涌谷町の職員が警戒に当たっています。涌谷町は、緊急銃猟が必要か判断しています。7日午後2時過ぎからクマの目撃の情報が10件ほど寄せられていたということです。けがをした人や農産物への被害は確認されていません。
(県内で捕獲したクマはこれまでに335頭:秋田)
県は、今年度県内で捕獲したクマの頭数の速報値をホームページで公表しています。これまでに335頭が捕獲されています。速報値の公表は、クマの捕獲頭数を可視化して県民の安全確認に役立ててもらおうという目的で行われています。今年4月から9月15日までに市町村から報告があった捕獲頭数は、県全体で335頭です。市町村別では、鹿角市で62頭、小坂町で15頭、大館市で35頭、北秋田市で26頭、上小阿仁村で6頭、能代市で7頭、藤里町で4頭、八峰町で14頭、三種町で6頭、秋田市で33頭、男鹿市で2頭、潟上市で1頭、五城目町で9頭、井川町で1頭、由利本荘市で9頭、にかほ市で2頭、大仙市で16頭、仙北市で38頭、美郷町で10頭、横手市で14頭、湯沢市で14頭、羽後町で8頭、東成瀬村で3頭です。月別では、4月に20頭、5月に38頭、6月に93頭、7月は103頭、8月は72頭、9月は15日までに9頭が捕獲されています。県内で捕獲されたクマは全て駆除されています。県内では人の生活圏でのクマの目撃が相次いでいて、これまでに7人がクマによる被害を受けています。県ではツキノワグマ出没警報を出して、人身事故を防ぐための対策を心がけるよう呼びかけています。
(エゾシカ減容化施設「選択肢の一つとして調査研究」:北海道)
帯広市議会定例会は14日も一般質問を行った。エゾシカなどの有害鳥獣の処理に関し、市は微生物の分解作用を利用した減容化施設について、選択肢の一つとして調査する考えを示した。
(遭遇リスク高まる秋「クマ事故防止強化期間」スタート:秋田)
秋田県では例年、秋にクマによる人身被害が多く発生していることから、県は15日から「クマ事故防止強化期間」と定め、呼びかけを強化しています。東北森林管理局によりますと、今秋は山のブナの実の豊作が予想されています。一方で、人の生活圏には栗や柿などが豊富に実ることから、クマが人里に出没する恐れがあります。県は9月15日から10月31日までを「秋のクマ事故防止強化期間」と定め、呼びかけを強化しています。15日は、県庁と各地域振興局に注意を呼びかけるのぼりを設置しました。このほか道の駅やホームセンターでチラシを配布するなどして、クマによる人身被害を防止します。県内では2026年、5~7月にかけてクマに襲われて1人が亡くなり、6人がけがをしたほか、9月11日には羽後町の中心部にクマが出没し、緊急銃猟で駆除されました。県自然保護課・柏倉誠課長:「柿や栗などクマが好むような食べ物をしっかり管理してほしい。収穫しないのであれば木を伐採する、あるいは実だけでも落としてもらいたい。これからキノコ採りなどで山に入る人も多くなるが、音の出るものをしっかり鳴らし、複数人で行動してほしい」。出かける際は、県の情報マップシステム「クマダス」などでクマの出没状況を確認してください。
(「鳥獣保護区」をシカ・イノシシのみ狩猟可能に変更を:長野)
県環境審議会は14日、全ての鳥獣の狩猟を原則禁止する「鳥獣保護区」に指定されている大町市常盤の667ヘクタールについて、11月からニホンジカとイノシシに限定して狩猟を認める「狩猟鳥獣捕獲禁止区域」に変更するよう知事へ答申した。農業被害の低減につなげる。
(クマ警戒情報の発令見送り、「今秋はブナ大豊作」予測受け:石川)
県は14日、ツキノワグマの出没対応に関する連絡会議を県庁で開いた。クマの餌となるブナが「大豊作」と予測した調査結果を踏まえ、秋にクマが人里に大量出没する可能性は高くないと判断し、出没警戒情報の発令を5年ぶりに見送った。ただ、県の担当者は「冬眠前に餌を求めて行動を活発化させる可能性もある。引き続き被害防止対策の徹底を」と呼びかけている。
(ブナ大豊作、コナラ並作以下:鳥取)
鳥取県はクマの餌となる、県内のドングリなど堅果類の豊凶調査の中間報告(15日時点)を発表した。ブナが大豊作の一方、広く見られるコナラは並作以下の見込み。昨年に比べてクマの出没が多くなる可能性もあるとして注意を呼びかけている。
(イノシシのワクチン、豚熱感染予防へ散布:茨城)
茨城県は15日、豚熱(CSF)感染予防のため、城里町など県内22市町村で野生イノシシのワクチンを豚熱感染予防へ散布する。
(新たなクマ対策、猟友会ハンター派遣するチーム発足へ:三重)
全国的にクマによる人的被害が急増している中、三重県は、猟友会のハンターを派遣する新たなチームを発足させることを決めました。三重県によりますと、県内のツキノワグマの出没件数は令和5年度は40件だったものの今年度は14日の時点ですでに57件と増加傾向で、生息地域も広がっているとみられるということです。こうした中、三重県内の29の市と町のうち11にはハンターがいないことから、県は猟友会のハンターで構成する「みえのクマ緊急対応チーム=『MーBEST』」を新たに発足させることを決めました。クマが現れても市や町が対応できない場合や、ハンターがいない場合などに三重県が調整をしてハンターを派遣する仕組みで、チームはクマの出没が増え始める来月ごろに発足する予定です。三重県によりますと、こうしたチームができるのは愛知・岐阜・三重の3県では初めてだということで、県獣害対策課は「クマが出没した際に即座に対応できるようチームをつくり、県民の安心安全に努めていきたい」としています。
(クマ、保護と安全策の両立模索)
全国的にクマの目撃情報や被害が相次いでいる。人間への脅威が高まっていると感じる一方で、絶滅の危機にひんしている地域もある。環境省は生息数が特に少ない四国山地(徳島、高知)のツキノワグマをはじめ、複数の地域を示して警鐘を鳴らしている。専門家や地域住民は議論を重ね、保護と安全策の両立を模索する。環境省のレッドリストでは、国内全体の生息数ではなく、地域的に孤立した生き物を「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」に分類している。2020年の発表では四国山地のほか、石狩西部(北海道)のエゾヒグマ、下北半島(青森)や紀伊半島(三重、奈良、和歌山)のツキノワグマなどが入った。林野庁四国森林管理局の担当者は「ツキノワグマは果物を食べ、ふんの中に残った種を遠くに運んで、植物の分布を広げている可能性がある」と説明。「クマが絶滅して森の環境が変わると取り返しがつかない」と危ぶむ。同管理局によると、四国山地のツキノワグマは1920年代から80年代にかけて林業で扱う木の皮を剥ぐ害獣として駆除されて激減した。86年の捕獲を最後に高知県内では狩猟禁止措置を導入したが頭数は回復していない。同管理局などが公表した2025年度の調査結果によると、確認できたのは徳島県と高知県にまたがる剣山系に生息する27頭。数百頭が生息する他のLPに比べて状況は深刻だ。海に囲まれた四国は他の土地から流入するクマが少ないのが理由とみられる。NPO法人・四国自然史科学研究センター(高知県須崎市)の山田孝樹センター長は、絶滅回避には少なくとも60頭は必要と見積もり、保護の重要性を訴える。山田さん自身も山に入り、生態を調査しながら保護活動の普及、啓発に取り組む。地域住民からは「保護して本当に大丈夫なのか」と不安の声もあるが、本州に比べて頭数はかなり少なく、すぐに人身被害につながる可能性は低いという。専門家や地域住民、行政の担当者が議論し、26年1月には「しこくまアクションプラン」をまとめた。50年までに人間とクマが適切な距離を保ちながら存続できる地域づくりを目指す。クマの頭数や生息域の管理強化に加え、シカの増加によるクマの餌の減少を食い止めるため、シカの頭数管理も盛り込んだ。クマ対策の人材確保に向けた啓発活動や放置されている果樹の除去、電気柵の設置など被害防止策の強化も掲げた。山田さんは「防災と同じで準備が必要。人身被害に備えた対策があれば保護への理解も進む」と共存への思いを語った。
(巨大クマが目前に突進、緊急銃猟の瞬間:福島)
番組が入手したのは、工場に居座ったクマの緊急銃猟を捉えた映像。カメラは、緊迫したクマ捕獲作戦の舞台裏を捉えていました。2026年6月、福島市で突然、市街地に現れたクマが4人をけがさせ、工場に40時間以上も居座りました。緊急銃猟を実施するため、工場へ向かった市の職員とハンター。工場内は異常な緊張状態に包まれていました。安全を確保するため、職員とハンターは車に乗り、手には猟銃が握られているのが分かります。工場の機械の物陰に隠れるクマ。そして、車のクラクションを鳴らすと、音に興奮したクマが突然、ハンターたち目がけて突進。ハンターは、わずかに開けた窓の隙間から麻酔銃を発射。工場内では可燃物があるなど、火薬を使う猟銃が使えず、麻酔銃しかなかったといいます。麻酔銃はクマに命中しましたが、仕留めることができませんでした。そして、クマは再び姿を消してしまいました。工場内には暴れるクマの物音が響きます。物音の先には、廊下を横切るクマが。そして次の瞬間、目の前にクマが走ってきたのです。ハンターは暴れるクマにすぐに銃を向けますが、クマは再び物陰へと消えていきました。すると、今度は車の前からクマが。捕獲用のわなも設置しましたがクマは入らず、結局、緊急銃猟の開始した翌日の夜に、建物の窓から敷地の外へ逃げ出してしまいました。今回のクマの居座り現場でアドバイザーとして対応した福島大学の望月翔太准教授は、工場内の緊急銃猟の難しさを「工場の中で撃つ場所が確保されてない中での麻酔銃は初でしたし、ちょうどこの時期のクマはいわゆる毛が生え替わるタイミング。夏毛冬毛の生え替わりで、それによって針が奥まで入らなかった」と話します。
(山肌が茶色に、南アルプスに「シカの大群」:長野)
視聴者のみなさんからの情報や素朴なギモンなどをきっかけに現地を取材する「ききミミ!調査報道班」。南アルプスでおびただしい数のシカの大群が8月末に撮影され、ニュースになりました。ふもとの大鹿村には、どんな影響が出ているのでしょうか、現地を取材しました。人口およそ830人。南アルプスを望む大鹿村。映像は、8月1日、村と伊那市の境にある二児山(ふたごやま)で撮影されました。一瞬目を疑うような映像。山の斜面を覆う茶色は…、シカの群れでした。その数およそ500頭とも。ヘリコプターで上空から撮影されました。シカの影響はどんな形で現れているのか、ふもとに取材に入りました。村内全域がシカの生息地と言われる大鹿村。地元の猟友会長・丸山稔(まるやま・みのる)さんに、現場を案内してもらうと…飯伊猟友会 丸山稔会長:「この辺がシカが穂を食べちゃったもんで。シカがなめたところは黒くなっちゃう」。実りの時期を迎えた田んぼでは、シカに食べられた稲穂が。飯伊猟友会 丸山稔会長:「こういう風にシカがなめたりしたのは、ダメになっちゃう。稲に限らず春先につつじの葉っぱとかにシカは突っつくんだけど、シカの唾液がついたところは枯れちゃう(昔からですか?)稲の穂を食べるようになったのは、そんなに昔はなかったんだけど、やっぱりエサがないということだね。増えすぎちゃって」。村内では、柵が設置された水田や畑が目立ちます。丸山さんも今年、自身が管理する畑にシカやサルへの対策として、電気柵を設置しました。飯伊猟友会 丸山稔会長:「40万くらいかかるんだけど、村で8割補助してくれる。去年までは自分で設置した電気牧柵だったので、シカが簡単に切っていく、だいぶ食べられちゃったけど、今年ここの圃場は被害ゼロ」。猟友会のメンバーとして、およそ50年にわたり、シカと向き合ってきた丸山さん。シカが増えていることを実感しています。飯伊猟友会 丸山稔会長:「30年くらい前から手のつけようがないくらい増え始めて、いまは結局、草が豊富で、いままでにない繁殖率だと思う。テレビで放映されたのは500頭近くいたというけれど、あれだけの群れは初めて目にしたけれど、あれは完全に異常現象で。冬なんか越しちゃったら、また来年えらいことになる、ちょっとその辺が懸念される」。一方、有害鳥獣の捕獲や駆除を担う、猟友会のメンバーは年々減少傾向にあると言います。飯伊猟友会 丸山稔会長:「高齢化でやめられちゃう方が結構多いので、/銃を持った人たちが10年前の半分以下、大鹿の中で銃でやっている人たちが10数人という現状。その辺心配している」。シカ対策に頭を悩ませているのは役場の担当者も同じでした。大鹿村役場農林振興係長 池田洸一さん:「被害額というのは、数字上でみると横ばいなんですが、農家の減少や作付面積が最盛期と比べると減っているので、それでいて被害額が横ばいというのは、被害額は増大傾向にあるのでは」「農作物でいくと全般的。林業被害については、植栽した苗、カラマツとか、そういったものが食べられてダメになったり、ヒノキとかそういったもの木の皮をはいで、木材としての価値がなくなったりとか木が枯れたりそういった被害」。村内の野生鳥獣による農林業への被害額は年間およそ1000万円に上ります。柵の設置に対して補助金を出すなど、対策を取っていますが、シカの捕獲は追いついていません。大鹿村役場農林振興係長 池田洸一さん:「去年で言うと、600頭くらい捕獲しているが、最盛期は1000頭くらい獲っていた時期もあったりして、それに比べると半分くらいの量になっているので、シカが増えてきてしまっている部分もあると感じたりしている。ちょっと限界はあるのかなと思います。高齢化だったり、大鹿村の人口も850人切っているような状況なので、人海戦術という面では限界があるのかなと感じている」。大鹿村とシカ、その縁を感じる場所があります。村内の「鹿塩(かしお)」地区。その山あいに「塩壺(しおつぼ)」と呼ばれる場所があります。最後のテイク「こちら河川工事の際に湧き出たという、なめてみるとすごくしょっぱい」。「鹿塩」の地名は、その昔、ここでシカが塩水を舐めていたことが由来とされます。塩に含まれるナトリウムはシカにとって、大切なミネラルで、昔からこの地にシカが集まっていたことを物語っています。大群のシカが撮影された現場近くを15年ほど前に調査をした信州大学山岳科学研究所の泉山茂之(いずみやま・しげゆき)特任教授は。泉山茂之特任教授:「有害捕獲とかまわりでもやっているが、まだ状況変わっていないということがあれでわかったということ」。そのうえで、あの場所にシカが集まった理由として、「シカの天国」の存在を指摘します。泉山茂之特任教授:「いまはやめてしまった、公共牧場の1つのすぐそばです。人間が使わなくなって、シカがそこで繁殖するようになっている」。泉山教授によりますと県内の山間部には、かつて牧場だった場所が点在しています。泉山茂之特任教授:「(今後必要なことは?)シカがそういう場所を使えないようにするしかない。シカの天国をなくしていくということ」。県は南アルプス地域での年間捕獲目標を9000頭としていますが、2024年度は8000頭ほどで達成できていません。増加するシカに対して、捕獲が追いつかない現状。人口減少と高齢化が進む中、新たな対策が求められます。
(乗鞍岳のライチョウが激減:長野)
高山の良好な自然環境を象徴するライチョウは、国の特別天然記念物に指定されている貴重な鳥です。代表的な生息地として知られる北アルプス南端の乗鞍岳(3026メートル)で、異変が起きています。ここ数年、生息数が激減。だが、その原因がよくわからないのです。ライチョウは、本州中部の高山帯にのみ生息し、「氷河期の生き残り」とされる絶滅危惧種です。1980年代には約3000羽と推定された国内の生息数が、2000年代になると2000羽弱と急激に生息数を減らしました。環境省は、2014年からライチョウの保護増殖事業をスタートさせて生息数の回復に努めています。この事業で、乗鞍岳は大きな役割を果たしています。ライチョウの保全活動は、生息地で守る「生息域内保全」と動物園で繁殖・生態研究をする「生息域外保全」の二段構えで取り組んでいます。2015年と2016年、乗鞍岳からライチョウの卵を複数の動物園に移送し、人工孵化させて人工飼育を実施しています。目的は、人工繁殖させた個体を生息地に戻す野生復帰です。2025年、動物園で繁殖させたライチョウを中央アルプスに移送して目標は達成されました。現在、上野動物園(東京都)や那須どうぶつ王国(栃木県)、大町山岳博物館(長野県)など8施設で飼育しています。野生の個体が絶滅の危機を迎えた際に野生復帰させる「保険集団」として飼育を続けています。2019年、環境省は半世紀前にライチョウが絶滅した中央アルプスで、ライチョウを復活させるプロジェクトを始めました。きっかけは前年の夏に木曽駒ケ岳(2956メートル)で見つかった1羽のメスです。この個体は飛来メスと名付けられました。乗鞍岳から峰伝いに中央アルプスまでやってきたと考えられます。2020年、乗鞍岳から3家族計19羽(母鳥3羽、ヒナ16羽)を移送し、飛来メスと合わせて計20羽の繁殖集団「創始個体群」をつくりました。このライチョウたちを現地で様々な方法を使って守り育て、今春の中央アルプスの生息数が300羽を超えるまでになりました。ところが、中央アルプスのライチョウが急増したのとは対照的に、彼らの故郷ともいえる乗鞍岳のライチョウは急激に生息数を減らしています。ライチョウの生息地は、北アルプス、南アルプス、乗鞍岳、御嶽山、火打山を含む頸城山塊の5カ所です。中央アルプスは、まだ正式な生息地と認定されていません。乗鞍岳の生息数は、これまで130~150羽と推測され、安定した個体群とされていました。しかし、乗鞍岳のライチョウ生息調査では2023年が130羽、2024年が105羽、2025年が83羽、今春は65羽まで生息数(推計値)を減らしています。いったい、乗鞍岳では何が起きているのでしょうか。そもそも、ライチョウが生息数を減らした主な原因は何でしょうか。最も大きいのが、天敵の増加だと考えられます。本来、ライチョウの天敵は高山帯に生息するイタチ科のオコジョや、イヌワシなどの猛禽類です。寒冷地に生息するライチョウは3~2万年前に大陸から日本列島にやってきました。温暖化で大陸に戻れなくなり、気温の低い高山に逃れて特殊な進化を遂げたのです。2万年かけて、オコジョやイヌワシなどの天敵と共存する生存戦略を獲得しました。ところが、近年、キツネやテンなどの里山の動物が過疎化によって増加し、高山帯にまで侵入してライチョウを捕食しています。新たな天敵との共存は難しいのです。また、シカやイノシシなど里山の動物が高山帯に上がり、南アルプスではライチョウの餌の高山植物を食べ尽くす被害が問題となっています。もう一つは、温暖化などによる高山帯の環境変化です。ライチョウの北限の生息地の火打山は、温暖化の影響で植生が変化してライチョウの営巣場所や高山植物が減少したのです。乗鞍岳の標高2702メートルの畳平は、バスターミナルがあり、岐阜県側と長野県側から県道が通じています。夏山シーズン中は大勢の登山者でにぎわう登山基地となっています。畳平にある山小屋「乗鞍白雲荘」の支配人の小林正直(まさなお)さんは、30年以上、乗鞍岳で山小屋の仕事をするかたわら、ライチョウの保護活動も積極的に取り組んでいます。小林さんがライチョウの生息数減少の原因として、まず挙げたのが積雪量の減少です。「私は冬も毎月1回以上乗鞍岳に登るのですが、この2、3年、本当に積雪量が減っています。例年だったら10メートル前後は雪が積もる場所で、2~3メートルしかないケースが目立ちます」積雪量の減少は、ライチョウの餌の高山植物の生育に影響します。積雪量が減ると、雪渓の縮小が早まります。雪渓の消失で乾燥化が進みます。また、畳平に近い大黒岳の尾根の平坦地では雪の減少で、高山植生が春の紫外線にさらされて焼けたように赤茶けた植生になり、近年、緑の芽吹きがない現象が発生しています。積雪量の減少は、ライチョウの食糧不足につながるわけです。天敵の増加について聞いてみると、キツネについては、「単純に里山の過疎化が原因ではないと思います」と話します。乗鞍岳の高山帯にキツネが侵入するのは、高山帯を代表する樹木でライチョウの営巣地でもあるハイマツの状況に大きく依存していると考えられます。ハイマツの実が豊作の年は、ホシガラスなどが食べた実が落ち、それを食べるネズミが大繁殖。ネズミを捕食するため、キツネが高山帯に上がってくるとみています。「この現象は、ライチョウの保護増殖事業に関わっている研究者も、ほとんど知りません。ただ、高山帯でキツネが増えれば、キツネはネズミだけでなくライチョウを捕食する可能性はありますね」。いずれにしても、小林さんは乗鞍岳のライチョウが減った原因は複合的な要素がからんでいると考えています。それが短期的な現象なのか、長期的に続く現象なのか、総合的な観点で環境省に調べて対策を講じてほしいと話しています。ライチョウの保護増殖事業を担当する環境省信越自然環境事務所の福田真専門官は「早急に乗鞍岳でライチョウが減った原因を究明し、対策を講じなければなりません」と危機感を募らせています。対策としては、7月に畳平周辺に監視カメラ10台を設置してキツネなどの天敵の調査を始めました。また、専門家による積雪量、植生の変化の多面的な調査の実施などに取り組みます。乗鞍岳は、路線バスに乗って畳平まで行けば、観光客がライチョウに出合える数少ない場所です。人を恐れないライチョウに出合っても、不用意に近づいたり、取り囲んで写真撮影をしたりすることは慎んでください。観察や写真撮影のマナーが悪いと、人を警戒するようになってしまいます。豊かな高山帯の自然を象徴するライチョウが、今後も安心して生息できるよう見守っていきたいと思います。
(シカ食害でコスモス30万株全滅:長野)
長野県佐久市内山の「大コスモス園」で、シカの食害により約30万株のコスモスがほぼ全滅したことが16日、分かった。園の関係者は「手間暇かけて育ててきたのでがっかりだ。お客さんに説明するのが心苦しい」と肩を落としている。同園は市振興公社が運営する荒船パノラマキャンプフィールドに併設されている。標高約1200メートルに位置する約3ヘクタールの畑は観光客に人気で、色とりどりのコスモスを目当てに毎年約5000人が訪れる。夜間には頻繁にシカが目撃され、少なくとも約10年前から食害は起きていたが、これまで大きな被害はなく、特に対策をしていなかった。今年は、8月頃にコスモスの芽が食い荒らされていることに気づいたが、手遅れだったという。例年通りなら今月中旬には高さ1~2メートルになり、見頃を迎えるはずだった。15日に長野市から訪れた会社員の女性(27)は、「開けた場所で、もし咲いていたらきれいだろうと思った。非常に残念だ」と話した。支配人の鈴木悟さん(57)は「また同じような状況が起きてしまうと考えるとつらい。来年以降のことについて市と協議する」としている。
(クマ目撃2.5倍増、公園にクマよけの「電気柵」設置へ:山形)
クマの出没が相次ぐ南陽市は、市中心部にある中央花公園にクマよけの電気柵を設置する方針。南陽市内の2026年のクマの目撃件数は8月末までで34件と、2025年の同じ時期と比べ2.5倍以上に増えている。市は、市民が運動できる場の確保を目的に、中央花公園の周囲約1.5キロを高さ90センチの電気柵で囲む計画。設置費用700万円を盛り込んだ補正予算案を市議会に提出し、可決されれば10月中旬ごろの設置を目指すとしている。
(クマ対策、カメラ異例の500台:兵庫)
神戸市では今年6月に初めてクマの生息が確認され、7月にもクマが出没しています。市は、クマが市街地に近づく前に行動を把握しようと、山中におよそ300台のセンサーカメラを設置していますが、今年度末までにさらに200台増やし合わせておよそ500台とします。今年、環境省がクマの個体数調査のために東北6県と新潟県に設置するカメラはおよそ800台。神戸だけで500台というのは異例の数だといいます。野生動物などがカメラに映るとAIが判別し、クマなどの場合にはアラートが鳴り、職員が確認する仕組みです。神戸市 経済観光局 農政計画課 川口雅也係長「山の中で事前に市街地に出てくる姿を確認できれば、先回りして地域の方に注意喚起したり捕獲の体制を整えたり、先回りの対応ができる」。
(令和8年度「ニホンジカ狩猟奨励事業」:滋賀)
狩猟期に県内で3頭以上捕獲した場合、成獣4,000円、幼獣3,000円、狩猟奨励推進費500円/頭を交付します。応募期間は令和8年9月18日~10月2日です。ニホンジカの狩猟捕獲を推進するため、当事業を活用する狩猟者団体を募集します。
(クマが活発になる秋に向け「緊急銃猟」対応訓練:群馬)
クマの活動が活発になる秋に向けて、人身被害を未然に防ごうと群馬県中之条町で14日、自治体の判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」の対応訓練が行われた。県が主催し、町や警察のほか、狩猟免許を持つ町民で組織する鳥獣被害対策実施隊員計50人が参加。市街地にクマが出没したことを想定し、机上と実地で各機関の連携や手順などを確認した。町によると、今年度は町内で64件(7月末時点)のツキノワグマの目撃があり、前年度の2倍のペースとなっている。7月に温泉街に出没した際、初めて緊急銃猟の態勢を取った。しかし、防具や記録用カメラの準備不足、制度の理解不足などで現場が混乱。無線機の用意もなく、町と警察の連携もスムーズにできなかった。跳弾のリスクもあり結局発砲には至らず、大きな爆発音が出る花火などでクマを追い払った。今回の訓練は、その時の対応を振り返って改善につなげることも目指している。訓練を終えて同町の唐沢敏之・農林課長は、「訓練で気づいたことを町の対応マニュアルに反映し、住民が安全安心な暮らしを送れるようにしていきたい」と話した。
(狩猟者確保へ体験会、50人がクレー射撃や解体見学:長野)
有害鳥獣の駆除や個体調整を担う狩猟者の確保を狙いにした体験会が13日、飯田市大瀬木の飯田国際射撃場であった。
(猟の魅力や免許活用学ぶ:愛知)
愛知県は、狩猟の魅力や狩猟免許の活用方法を学ぶ「狩猟普及セミナー」を10月25日、岡崎市で開催する。参加者を募集している。 県内では、野生鳥獣による農作物の被害が深刻化しており、県が有害鳥獣駆除の担い手となる狩猟者を育成するために開催する。
(わな猟学ぶ体験会、設置法の解説:兵庫)
丹波篠山市は、狩猟に関心がある市民や市への移住希望者らを対象にした「狩猟体験会」を12月5日に同市西紀北地区で開く。当日は、わな猟などについて猟師から学ぶことができる。
(クマ対策の果樹伐採費補助:秋田)
秋田市は14日、クマ対策の強化のため、カキやクリなどクマを呼び寄せる果樹の伐採費を補助する対象地域を市内全域に広げる方針を示した。冬眠前に餌を求めて活動が活発化する秋に合わせ、箱わなに取り付ける自動撮影カメラの台数も増やし、出没状況の把握や捕獲の取り組みを強化する。市議会8月定例会の予算決算委員会で説明した。
(射撃の講習会、獣害対策の担い手育成:群馬)
全国で被害が相次いでいるクマなどを捕獲する担い手を育成しようと、安中市の射撃場で射撃の技術を磨く講習会が開かれました。この射撃技術の講習会は、農林業に深刻な被害をもたらすニホンジカやイノシシのほか、社会問題になっているツキノワグマの対策として、捕獲の担い手の育成を目的に県がおととしから開いているものです。13日は、狩猟経験が5年未満の7人が参加しました。射撃の実習で、参加者たちは52メートル先にある、半径約50センチの的を狙います。座った状態や立った状態から合わせて15発の銃弾を放ち、猟友会のメンバーらが参加者の撃つ様子を見ながら、基本的な構え方や的を射るコツなどを指導しました。参加した人たちは、アドバイスを受けながら射撃の技術を磨いていました。
(「イノシシ捕獲技術講習会」を開催します!:香川)
県では、捕獲の担い手となる新規狩猟者を増やすため、狩猟の魅力を体感できる「狩猟フィールド体験入門講座」の受講者を募集します。
(くくりわなによるイノシシ捕獲の講習会:香川)
香川県が2026年10月と11月、わな猟免許を持っている人を対象に、イノシシの捕獲技術を学ぶ無料講習会を開催します。くくりわなによる捕獲の基本手順を学び、実際にくくりわなを設置する実習を行う他、安全な捕獲作業のためのポイント、捕獲に関する法令などを学びます。
(「えひめ狩猟フェスティバル」開催:愛媛)
野生鳥獣の被害が深刻化する中、狩猟について理解を深めようというイベントが新居浜市で12日開かれました。「えひめ狩猟フェスティバル」はシカやイノシシといった野生動物の増加に伴う食害などの被害を認識してもらうと共に狩猟やジビエへの関心を高めてもらおうと県が毎年開いています。人口減少や高齢化が進む中で狩猟の担い手の育成や確保は大きな課題となっています。イベントでは、実際に狩猟に用いられる様々な罠の仕組みが実演された他、参加者は罠の仕掛け方などを学んでいました。また会場にはイノシシ肉の加工品などいわゆるジビエ料理の試食コーナーもあり参加者は、様々な角度から狩猟について、理解を深めていました。
(猟友会による“通行止めの看板”に「ついに」「健闘を祈りたい」:栃木)
ラムサール条約の登録湿地として知られ、四季折々の自然を求めて多くの人が訪れる渡良瀬遊水地。その草地で地面を掘り返すなどの被害をもたらすイノシシが、対策の対象となっていました。この問題に対し、一般社団法人栃木県猟友会のX(旧Twitter)公式アカウントが9月14日、「渡良瀬遊水地のイノシシ問題にいよいよメスが入ります」と投稿。銃器による捕獲実証事業の実施に伴う通行止めを知らせる看板の画像を公開し、注目を集めています。実施内容として看板に記されているのは、「餌で誘引したイノシシを銃により捕獲」するというもの。わなではなく、あらかじめ餌で誘引したイノシシに対して銃器を用いる方式が示されており、問い合わせ先には栃木県自然環境課 野生生物・鳥獣対策班の名前と電話番号が記載されています。看板には通行止め区間の地図と、猟銃の射撃方向を示す図も添えられ、利用者への注意喚起が行われています。県側の動きも本格化しています。渡良瀬遊水地に隣接する茨城、栃木、埼玉、群馬の4県は、イノシシ及びニホンジカ対策を目的に令和4年4月に「渡良瀬遊水地連携捕獲協議会」(事務局:栃木県自然環境課)を設立。生息範囲や生息密度の調査と、それを踏まえた効果的な捕獲を進めてきました。この協議会は9月11日に、令和8(2026)年度の「渡良瀬遊水地イノシシ捕獲業務委託」の入札公告を行っています。その背景にあるのが、急増したイノシシの存在です。栃木県が5月13日に公表した「渡良瀬遊水地イノシシ対策プロジェクト会議」の結果によると、令和7年度の捕獲数は638頭で、令和7年度末の推定生息数は940頭。目標の520頭を上回る捕獲数となり、増加傾向から減少への転換につながったとしています。それでも令和8年度は750頭、推定生息数の約8割にあたる高い捕獲目標を掲げ、さらなる捕獲強化を打ち出していました。今回の実証事業は、この一連の取り組みの中に位置づけられます。
(クマ被害防止の観点も踏まえ伐木を実施:新潟)
十日町では、河道内の樹木が繁茂した箇所において、河道管理のための伐木を進めています。この取組により、治水安全度の維持・向上を図るとともに、クマの早期発見や出没抑制に一定の効果が期待されます。
(若手ハンターの育成目指す「狩猟スクール」:兵庫)
多くのクマが目撃されている兵庫県豊岡市で、若手ハンターの育成を目指す「狩猟スクール」が開かれています。「豊岡狩猟スクール」は、高齢化して少なくなるベテランハンターの知識と技術を若手ハンターらに伝えるため、今年5月に開校しました。13日は、若手ハンターら11人が参加して、ベテランに銃を使った狩猟技術などを学びました。兵庫県は、この秋から約3年ぶりにツキノワグマの狩猟を解禁する予定です。豊岡市では狩猟技術の継承を続けていきたいとしています。
(イノシシ対策について話し合うワークショップ:青森)
イノシシ被害が多発している新郷村で対策について話し合う県のワークショップが開かれました。ワークショップはナガイモやトウモロコシなどが被害に遭っている新郷村の川代地区を対象に開かれました。鳥獣被害の調査・対策を請け負う民間業者が進行役となり地元生産者5人から被害箇所や電気柵をどこに設置しているのかを聞き対策を検討します。その中で、畑の脇にある廃棄せざるを得ない作物がイノシシに狙われている可能性があるとして適切な処分方法を検討していくことになりました。ワークショップは被害対策について地域ぐるみで考え課題解決を図ろうと県が開きました。
(ハンター塾、わな猟・解体・ジビエ試食など:神奈川)
松田町鳥獣被害防止対策推進協議会では、10月17日(土)、24日(土)に開催する「まつだハンター塾」の参加者を募集している。対象は狩猟免許の取得に興味がある人や、免許取得後の狩猟経験が少ない人。塾ではわな猟体験やジビエ肉の試食などを行う。
(「第14次東京都鳥獣保護管理事業計画及び管理計画(シカ・ツキノワグマ)の策定について(中間のまとめ)」:東京)
令和8年9月1日に行われた第160回東京都自然環境保全審議会(会長:石井信夫 東京女子大学名誉教授)において、「第14次東京都鳥獣保護管理事業計画及び管理計画(シカ・ツキノワグマ)の策定について(中間のまとめ)」の取りまとめが行われましたので、この内容について公表し、都民、事業者の皆様から広く御意見を募集します。寄せられた御意見は、都から自然環境保全審議会に報告し、自然環境保全審議会は、この御意見を踏まえてさらに審議を進めていきます。
(四足歩行ロボ編隊でクマ追い払え:東京)
全国各地でクマによる人的被害が深刻化するなか、東京農業大学地域環境科学部のバイオロボティクス研究室が、四足歩行するロボットなどを使った対策システムの開発に取り組んでいる。クマが嫌がる音や臭い、レーザー光線などをロボットが発し、クマにすみかの山へ戻ってもらおうという発想だ。実用化に向け、熊野市でも実証実験をしたいという。開発に取り組んでいるのは、建設や水力発電のコンサルタントなどを経て、1年半前に東京農業大に転籍した左村公准教授(47)=農業工学=のグループ。左村さんを大学院生と学部生の計21人が支えている。果物など甘い物が好きなクマは、人里に近い農地に出没し、作物を食い荒らすことが多い。農村部は人口減少が進み、ハンターの確保さえ難しい。そうした状況を考慮した左村さんは、機動力に秀でる四足歩行ロボットの活用を思いついた。イメージする仕組みは、こうだ。まず、夜間でもクマを識別できる赤外線センサーを搭載したロボットの背中に、クマが嫌がる音や臭い、レーザー光線などを発する器具を装着する。クマを発見するとクマを威嚇し、ひるませて本来の住まいでもある山に追い払おうというものだ。
(大音量で“クマに自分の存在を知らせる”7パターンの音源:大阪)
生活関連用品の企画・開発・販売を行う株式会社ドウシシャ(大阪本社:大阪市中央区、代表取締役社長:野村 正幸、以下「ドウシシャ」)は、クマに自分の存在を知らせるためのBluetooth(R)搭載スピーカー「くまようじん」を、2026年10月上旬よりドウシシャの公式オンラインストア「ドウシシャマルシェ」や全国のホームセンター、家電量販店などを通じて発売します。本製品は、クマに自分の存在を知らせるための音源を内蔵した、極めてうるさい音の再生が可能なポータブルスピーカーです。Bluetooth(R)機能を搭載し、内蔵音源だけでなくスマートフォンからも音源を再生することができます。登山やハイキング、山菜採りなどで山に入る際の、クマとの不意の遭遇に備えるアイテムです。※本製品は、音によってクマに自分の存在を知らせることを目的とした商品であり、クマを撃退したり、クマとの遭遇を防止したりすることを保証するものではありません。クマが出没する可能性のある場所での行動は十分にご注意ください。
(鳥獣被害の通報を一つの窓口へ:福井)
鳥獣被害の通報を一つの窓口へ。クマ・シカ・イノシシ・サルなど。「まちまもり」9月から実証に取り組んでいただける自治体を募集。実証中の利用料は無料、年度途中からでも始められます農作物の被害は年188億円、クマによる死者は過去最多13人。被害の一件一件の情報は埋もれてしまうのが現状です。写真1枚と地図で担当課に届く窓口を、福井県あわら市の合同会社まちまもりが開発しました。「まちまもり」は、実証に参加する自治体を、2026年9月から先着5件程度募集します。実証期間中の利用料は無料です。
(現役ハンターが熊対策を語る:宮城)
栗原市が2026年9月19日、東京「OFF TOKYO」で東京くりはらオフィス夜カフェを開催ゲストは栗原市鳥獣被害対策実施隊隊員の現役ハンター千葉智子さんテーマは熊対策で狩猟や安全対策、地域の暮らしを紹介。
(地雷系ファッションの“ハンターちゃん”それでも狩猟現場を発信し続ける理由:北海道)
「シカ肉を食べるようになったらダイエットにもなって、8キロも痩せたんです! それでシカ肉にどんどんハマって、ジビエのお店にもよく行くようになりました。そして、あるとき、猟師の方に『そんなにシカ肉を食べるんだったら、自分で獲ってみればいいじゃん』と言われたんです」。メイドをイメージしたフリフリの衣装に、クマの耳を思わせるカチューシャ。自身が経営するコンセプトカフェではそんな姿を見せる一方、別の動画ではオレンジのキャップと安全ベストを身に付け、猟銃を構えている……。北海道でネイルサロンやエステサロン、パーソナルトレーニングジムなど、美容や健康に関わる事業を手がける経営者として活動する「ハンターちゃん」は、InstagramやTikTokで狩猟の現場を発信している。「狩猟や猟師について調べていくうちに、害獣問題についても知りました。そこから、『好きなお肉を食べるだけではなく、社会問題にも向き合いたい』と思うようになり、猟師になることを決意しました」。ハンターちゃんの見た目は、いわゆる「猟師」のイメージとはかなりかけ離れている。むしろ「かわいい」という言葉が似合う。その姿から猟師を想像する人は少ないだろう。そんな彼女が狩猟を始めた理由は、単なる「シカ肉好き」ではなかった。「ジビエブームと言われていますが、実は捕獲されたシカのうち、食肉処理施設などで利活用されるのは2~3割程度にとどまります。多くは活用されないまま、廃棄されているんです」。その背景には、駆除される頭数に対して、食肉などとして活用するための処理体制が十分に整っていないことがある。北海道では、捕獲したシカが食肉などに利用されず、自治体のごみ処理施設などに持ち込まれ、一般廃棄物として焼却処分されるケースも少なくない。「駆除しても、多くのシカに行き場がないというのが現状です。それに、猟師さんたちもシカ肉を持て余しています。近所に配っても消費しきれず、結局は仕留めたシカを捨てるしかないこともあるんです」。そんな問題意識を持つ彼女が狩猟免許の取得に動き始めたのは約1年前。そして、猟銃の所持許可を取得し、実際に猟師としてデビューしたのは今年の2月。初めて自分でシカを撃ったときのことは忘れることができない。「当たりどころが悪くて、シカをすぐには仕留められず、もがかせてしまったんです。そのときの鳴き声が、いまでも耳に残っています。それ以来、『なるべく苦しませないようにしよう』と強く思うようになりました。狩猟は遊びではないので、『失敗したら次のシカを獲ればいい』ではなくて、目の前の一頭をなるべく苦しませずに仕留める。そのことは常に意識しながらやっています」。狩猟を続けていても、動物を殺すことに慣れるわけではない。罪悪感が消えることもない。「それでも、私たちは毎日、お肉や魚を食べることで、何かしらの命を奪っている。私の場合、それがすごく身近にあるだけ。本質的に変わらないと思っています。でも、身近に感じているからこそ、普段から感謝の気持ちを持って、食べ物を無駄にしないという意識がより強くなったんだと思います」。猟師というと、何時間も山を歩き回り、ようやく一頭の獲物を見つけるような光景を想像しがちだ。しかし、ハンターちゃんが活動する北海道の一部では、そんなイメージとはかなり異なる。「かつてはシカを保護するため、メスジカの狩猟が制限されていた時期もありました。その後は個体数が増えたことで規制が緩和されてきたんです。実際、山に入ると、シカが至るところにいるんです。1日に7~8頭獲れることもある。それほど多いんです」。こうしたシカが数多く生息する風景や、仕留めたシカの血抜きをする様子などをSNSで発信している。そこには好意的な反応だけでなく、批判の声も寄せられる。「『野蛮人だ』『四つ足の動物を殺す奴は、いい死に方しない』といったコメントが届くこともあります。ただ、私は『この人たちは現状を知らないだけだな』と思っています。だって、シカをそのまま放置することは絶対にできないんですよ。数が増えすぎて、農作物などへの被害も深刻になっている。だから、個体数を減らしていくしかないんです」。もちろん、野生動物が「悪い」わけではない。だからこそ彼女は、「殺すのはかわいそう」という感情だけでは解決できない問題があると話す。「すべてのシカを保護できるだけの施設も土地も人手もありません。人間と動物が共存していくためには、ある程度の間引きは必要なんだと感じています。だからこそ、私が発信することで、こうした現状をもうちょっと深く知ってもらって、少しでも理解が深まればいいなと思っています」。そんな発信の大きな入り口になっているのが、彼女自身の見た目やキャラクターだ。地雷系のファッションと狩猟という、一見すると結びつかない組み合わせは目を引く。さらに、自身が経営するコンセプトカフェではジビエ肉も提供している。「シカたちがただの『害獣』として見られなくなるためには、まず現状を知ってもらうことが大切だと思います。そのためにも、私はSNSで被害の状況や、捕獲されたシカの廃棄問題について発信しています。そういった背景を知らなければ、積極的にジビエを食べようとも思いませんよね」。ただし、「狩猟の現実を伝える」ことと、現場をそのまま見せることは同じではない。投稿する写真や映像には気を配る。「血やナイフ、銃口などは、なるべく映さないようにしています。撃つ瞬間なども、見せないように工夫しています。シカが撃たれたり、解体されたりすることを想像するだけでもショッキングに感じる人はいると思うので、刺激の強い場面はできるだけ避けています。それでも、私は都会の人にこそ見てほしい。そのためにも、狩猟になじみのない人に伝わりやすいように意識して発信しています」。SNSの画面に映るのは、銃を構える若い女性という、一見すると珍しい光景だ。しかし、その先にあるのは、増え続ける野生動物による被害や、捕獲した動物をどう処理し、どう生かしていくのかという問題なのだ。「かわいそう」だけでは見えてこない現実を伝えるため、今日もハンターちゃんは銃を手に山へ向かう。
("ヒグマの冬支度"を初めて記録:北海道)
岩手大学名誉教授の青井俊樹さんは、日本におけるヒグマの発信機(テレメトリー)調査の先駆者だ。1970年代、青井さんは外気温マイナス30℃、視界ゼロの地吹雪が吹きすさぶ過酷な環境でヒグマを追い続けた。10日間の追跡で、青井さんはついに日本で初めてヒグマの冬眠準備行動をとらえる。クマに魅せられた人たちの証言を集めたノンフィクションから、その執念の記録を紹介する――。本稿は黒田未来雄『羆追人たち』(山と溪谷社)の一部を再編集したものです。「十六線小屋にはね、幽霊が出るっていわれてるんですよ。誰もいないはずなのに、2階から『ミシッ、ミシッ』って足音が聞こえてくるんです……」。十六線小屋とは、北海道大学天塩演習林(現在は研究林と名称が変わっている)に建てられたプレハブ小屋のことだ。研究調査に使われ、職員や学生が寝泊まりもしていた。外気温がマイナス30℃を下回る中、部屋の中では灯油ストーブが焚かれる。すると、寒暖の差により建物が軋む。科学者なので、超常現象であるはずはないことは頭では分かっている。しかし、寒風吹きすさぶ長く暗い冬の夜の間には、心細くもなる。いつしかその音が、幽霊の足音に聞こえてくることもあるのだそうだ。天塩山地は、北緯45度付近に広がる日本最北の森林地帯だ。日本海からの海風を遮るものはなく、風速20メートルを超える風が直に山塊を襲う。極寒の地に降る雪はサラサラで、そっと息を吹きかけただけで舞い上がる。低気圧が近づくと、その軽い雪が突風で飛ばされるのだからたまらない。猛烈な地吹雪が吹き荒れ、目の前は白一色となってしまう。1メートル先も見えない、いわゆる「ホワイトアウト」という状態だ。車で走っていると、前の車のテールランプが見えなくなり、いつ追突するか分からない。徐々にどこが道路かも分からなくなってくるが、車を停めてしまうと、今度は後続車が追突してくる危険性がある。進むことも止まることもできない中、祈るような気持ちでノロノロと車を走らせるしかない。歩くのも困難を極める。まっすぐに立っていることなど到底できない。視界がゼロの中、姿勢を低くし、這うようにして進む。100メートルほど先の演習林事務所まで、毎日通い慣れた道を歩いているだけで「あやうく遭難しかけたこともあります」と青井は笑う。北海道大学に通う学生だった青井が、天塩演習林に初めて足を踏み入れたのは1974年のことだった。きっかけはあまり褒められたものではなかった。「大学生活はクマ研一色でね。あまりに楽しすぎたんで、5年かけて卒業しました。その後大学院に進もうとしたら、試験に落ちてしまったんです。かといって就職するあてもなく、どうしようかとオロオロしていたところ、天塩演習林に勤めていた先輩が『こっちに来てヒグマの調査でもしないか?』って誘ってくれたんです」。その4年前に発足したクマ研は、主に北海道の中央部に位置する大雪山を拠点として、ヒグマの観察や調査を行っていた。しかし、より多角的な研究をするために、新たなフィールドを探していた。当時、クマ研の代表をしていた青井は、同僚と共に天塩演習林でのヒグマの足跡やフンを探す調査を開始した。生涯をかけてクマの研究をしたいと思っていた青井に好機が訪れたのは、2年後の11月17日のことだった。降ったばかりの雪の上に、真新しいヒグマの足跡を見つけたのだ。そんなに大きくはないので、親から離れたばかりの若い個体だろうと推測できた。足跡の主は山を越え、谷を渡り、たまに雪の下のドングリなどを掘り起こすとき以外は、どこかを目指すように直線的に移動していた。四本足で長く鋭い爪を持つヒグマは、急斜面をものともしない。青井は必死に後を追った。息せき切って険しい上り坂をよじ登り、やっとのことで稜線に辿り着いた途端、ヒグマの足跡は谷底深くへと降りている。「足跡を追って谷を下った途端に、また急斜面を登る羽目になることが目に見えているので、気分がゲンナリするんですが、もうやるしかないな、と」。 今のように、防水・防寒性能に優れた装備があるわけではない。毛糸のセーターの上に化繊のヤッケを羽織り、米軍や自衛隊から払い下げの作業ズボンの上からオーバーパンツを履く。足元は雪が入ってこないように上部が紐で縛れるようになっている長靴だ。それでも深い雪の中をラッセルしていると、下半身はびしょ濡れになってしまう。足の指の感覚がすぐに失われるが、そのまま何時間でも歩き続けた。暗くなると宿舎に戻り、冷えた体を温める。ストーブの周りに濡れた服をかけて乾かす。長靴の中には、まずは丸めた古新聞紙を詰めて水を吸わせる。しばらくしたら新聞紙を取り出し、残った湿気を蒸発させる。しかし、疲れ果ててそのまま寝てしまうこともしばしばだ。翌朝、まだ乾いていない長靴に足を入れるのは気が進まない。それでも「エイヤッ!」と気合を入れて足を突っ込み、氷点下の山へ出掛けてゆく。毎日の弁当は、通称「ビニ弁」。弁当箱の代わりに、ビニール袋(ポリ袋)にご飯やおかずを詰めたものだ。「できあがったら最後に袋の口を縛って、ポイってザックに入れて持っていきます」。ビニ弁の始まりは、あるときクマ研の一員が弁当箱を忘れてきたことがきっかけだった。そのメンバーは、分析用のサンプルとしてヒグマのフンを回収するための厚手のポリ袋に、米とおかずを詰めた。ポリ袋は軽いし、食べ終わったらクシャクシャに丸めるだけなのでかさばらない。袋に口をつけてそのまま食べれば、箸も必要ない。少しでも荷物を減らしたい山歩きには最適だった。ビニ弁の利便性と合理性に目覚めたクマ研メンバーは、次々と弁当箱をやめてポリ袋を使うようになっていった。青井は当初、「その袋は調査用品だぞ」と渋い顔をしていたが、自分自身もビニ弁に鞍替えするまで、そう時間はかからなかった。その後ビニ弁はクマ研の伝統食となり、令和の時代となった現在の北大生にも受け継がれている。「朝飯用に炊いたご飯の残り、続いて余ったカマボコやハンペンなどのおかずを入れます。その上からカツオ節を散らし、ゴマ油を一周かけ、最後に醤油で味を調えるんです。アレも入れてみよう、コレも入れてみるか、とみんなで試しているうちに、自然発生的にできあがったレシピなんですが、これがメチャクチャ美味しいんですよね。特に腹が減っているときは、涙が出るくらいに旨い。毎日変わり映えのしない弁当なのに、不思議と飽きない。秘訣はゴマ油ですね。これがあるのとないのでは、味わいに雲泥の差が出るんです」。レシピとしては完成されている究極の携行食だが、唯一の難点は、ポリ袋には保温性がないことだった。毛皮や予備衣料で包んでも、昼になるころにはザックの中でジャリジャリに凍っていることが多い。寒風吹き荒ぶ中、凍える手でビニ弁を揉んだり、お湯をかけたりして、なんとか溶かしながら食べていたという。そんな思いをしてまで足跡を追いかけていたのには理由があった。どうしても、冬眠穴を探り当てたかったのだ。青井はそれまで、ヒグマの冬眠穴を見たことがなかった。それを自分で見つけたとしたら大手柄だし、冬眠前後の詳細な行動観察はまだ行われたことがない。そして、最大の理由がテレメトリー調査だった。動物に無線発信機を装着して行動範囲や経路を調べる手法は、現在では野生動物の研究に欠かせない。当時も、既にキツネやネズミなどで成果を上げていた。しかしヒグマは、何といっても生け捕りにする難易度と危険性が並外れて高い。また移動も広範囲にわたるので、追跡も困難を極める。当時はまだ、日本国内でヒグマのテレメトリー調査が行われたことはなかった。このヒグマの冬眠場所を突き止めれば、起き出すタイミングで発信機を装着できるかもしれない。ヒグマのテレメトリー調査はクマ研の悲願であり、その年の秋には、既にメンバーが発信機の試作を始めていた。もっとも初号機の電波は10メートルしか飛ばず、小型哺乳類の研究者に「ネズミ用の発信機よりも性能が悪い」と笑われたという。やがて、2日に1度くらいの割合で吹雪が襲い、足跡をかき消してしまうようになった。わずかに窪みが残っていればまだいいが、なんの手がかりもない場合は、勘を働かせてまた一から探し直す。苦行ではあるが、必ず終わりは来るはずだ。「ヒグマが寝ないわけがない」と自分に言い聞かせて粘る。寒さは日に日に厳しくなり、もういつ冬眠穴に入ってもおかしくない。兎にも角にも、目の前の足跡を絶対に見失ってはならない。体力の限界を迎えている青井を、執念だけが支えていた。追跡を始めて10日ほどが経つと、クマの歩き方に変化が現れた。「移動する距離が短くなり、1キロメートル四方くらいの範囲をグルグル回るようになってきたんです。冬眠穴が、すぐそばにあるはずだと確信しました。それまでの疲れが吹っ飛び、ますます追跡に熱が入りました」。後ろから追いかけているつもりなのに、自分たちの足跡の上をヒグマが踏んでいることもあった。いつヒグマとパッタリ遭遇してもおかしくない非常に危険な状態だ。いやが応でも緊張感が高まる。そして、運命の12月2日を迎えた。青井はその日、大学2年生だった後輩の山本牧と山に入った。天塩演習林内の施設に住み込んで毎日ヒグマを追う青井をサポートするため、クマ研メンバーが札幌から順番に応援に来ていたのだ。前夜に荒れ狂った吹雪のおかげで、足跡は埋もれて見つからない。しかしヒグマがいるであろうエリアは見当がついている。青井は山本と手分けをし、隣り合った稜線を登りながらそれぞれでヒグマを探すことにした。かなりの時間歩いてみたが痕跡はなく、諦めて引き返してきたとき。たった2分前につけた自分の足跡を、ヒグマが踏んでいるのを見つけた。「しまった、近づきすぎた……」。冷や汗が出た。まずは一旦、山本と合流したほうがいい。青井は山本がいるはずの方向に向かった。そのとき、山本は山本で真新しいヒグマの足跡を見つけていた。そして2人が合流した途端、遂にヒグマと出くわしてしまった。足跡から想像していた通りの、小さなヒグマだった。しかし小ぶりとはいえ、人間の命を奪う力は十分にある。当時、クマに唐辛子成分を吹き付けて撃退するスプレーは、まだ存在しなかった。ハンターではないので銃を持つこともできない。棒の先端を削って鋭く尖らせた長い杖と、腰にぶら下げたナタだけが頼りだ。青井はとっさにナタの柄を握りしめたが、鞘から抜く前にヒグマは走って姿を消した。さらなる追跡か、安全優先の撤退か。青井は山本と小声で話し合った。その結果、逃げたクマを追いかけるのはあまりに危険だが、どこから来たのか足跡を逆に辿りなおすのは大丈夫だろう、という結論に至った。2人はあたりの気配に神経を尖らせながら、ゆっくりと歩き出した。アップダウンを繰り返しながら歩くこと20分。40度もあるような傾斜の下に出た。足跡は急斜面を下ってきている。両手も使って必死に体を支えながら登る。数十メートルをさかのぼり、小さな段差から顔を出した瞬間。目の前に太い枯れ木の株があった。上部は失われていて、根元にポッカリと穴が開いている。内部にはササが敷き詰められ、青々とした葉が入り口から外に溢れていた。「ひと目見て冬眠穴だと分かりました。そんなに深くなくて一番奥まで見えたんですが、中は空でした。もしあの瞬間、ヒグマがいたら殺されていてもおかしくなかったな、と……」。たまたまヒグマが外出中だったとはいえ、すぐに戻ってこないとも限らない。慌てて必要な計測を行い、記録写真を撮る。急斜面での作業中、山本が思わず足を滑らせた。山本はそのとき、青井に大目玉を喰らったことを今でも覚えている。「汗臭いヤッケの匂いを思い切り雪につけてしまったんです。クマはとっても嗅覚の鋭い動物ですからね。『せっかく見つけた冬眠穴を、放棄されたらどうするんだ!』って、いつもは温厚な青井さんなんですが、あのときは本気で怒られました」。やっとのことで念願の冬眠穴を見つけた喜びに浸る間もなく、2人は逃げるように斜面を下った。翌日。気温マイナス14℃の中、青井と山本はまだ真っ暗なうちから行動を開始した。冬眠穴は、車が普通に通行している舗装路から300メートルほどのところにあった。たまたま冬眠穴を覗くことができるポイントがあったため、2人はそこに車を停め、息を潜めて車内から見守った。しばらくして、枯れ木が見えるくらいの明るさになってきた。双眼鏡で覗くが、ヒグマの姿はない。「やっぱり放棄されてしまったんだろうか……」。不安に押しつぶされそうになる。ようやく稜線から太陽が顔を出しても、まだクマは現れない。ただ待つことしかできない青井は、絶望感さえ覚え始めた。藁にもすがる気持ちで祈ること数分。突然、穴の奥から黒い影がのそりと現れた。「いたんだ! 戻ってきてくれたんだ! って。あのときの嬉しさは一生忘れることができません」。青井は山本と顔を見合わせ、深く頷き合った。続いて2人は、冬眠穴の向かいの稜線をこっそりと登った。穴を見ることができる場所を探し出し、中腹にそっと身を隠す。姿を現したヒグマは、大きなあくびをすると斜面をゆっくりと登り、尾根に向かった。人間の存在には気がついていないようだ。尾根に出たクマは青井に尻を向け、何かゴソゴソとやっている。一面真っ白な山の中で、緑色の葉が揺れる。稜線上は風当たりが強くて雪が飛ばされるため、たくさんのササが頭を出していたのだ。よく見ると、ヒグマはそのササの葉を食いちぎっては下に落としている。40枚ほど溜まると前足でかき集め、後ずさりしながら来た道を戻ってゆく。そして冬眠穴まで戻ると、ササの葉を引っ張り込んだ。長い冬を暖かく過ごせるように、寝床を作っていたのだ。尾根から冬眠穴まで後ずさりしながら戻る間に、せっかくとったササの葉が前足の隙間からこぼれ落ち、量が半分くらいになってしまう。それでも懸命に葉を集め続ける小さなクマの姿が健気に思えた。野生下で、冬眠のための準備行動がきちんと観察されたのは、日本で初めてとなる快挙だった。ヒグマがササを集める行動は翌日まで見られたが、その後は穴から完全に体を出すことはなくなった。テントを張ることもできずに青井たちは観察を継続した。風が容赦なく体温を奪い、雪が体に積もって全身真っ白になりながら、じっと動かずに冬眠穴を見つめ続けた。ヒグマはたまに入り口付近に出てきて雪を舐めるくらいだったが、青井たちが弁当を食べ始めた途端に顔を出したことが2度あった。鋭い嗅覚で食べものの匂いを嗅ぎつけたのかもしれない。折しもそのころは選挙の前で、田舎道とはいえ選挙カーが通ることもあった。大音量で候補者の名前を連呼する声が聞こえてくると、起き出したクマは不思議そうな表情で耳を傾けていたという。12月10日を過ぎると、ヒグマは穴から顔も出さなくなった。12月15日、完全に冬眠に入ったと判断し、青井は観察を終了した。
(頭蓋骨をかみ砕かれた男性がそれでも「クマは悪くない」と明言するワケ:北海道)
86歳の現役罠猟師・原田勝男さんは2000年、シカを狩猟している最中に羆に襲われた。一命はとりとめたものの、頭部が原型をとどめていないほどのけがを負い、後遺症で左目を失明してしまう。だが、不思議とクマのことは恨んでいないという。クマに魅せられた人たちの証言を集めたノンフィクションから、原田さんとクマとの遭遇の顛末を紹介する――。本稿は黒田未来雄『羆追人たち』(山と溪谷社)の一部を再編集したものです。「あのクマのことはね、決して恨んじゃいないよ」。ヒグマに襲撃されたときのことを聞くなり、老猟師は残された右目で遠くを見つめた。左側のまぶたは怪我の後遺症で垂れ下がり、完全に眼球を覆い隠している。彼の左目が開くことは、もうない。2000年11月1日。当時の猟期解禁日、原田勝男は狩猟仲間3名と共にエゾシカを狙って出猟した。場所は北海道東部、白糠町の国有林。自宅から車で6時間以上かかる。原田が暮らす道央の岩見沢市は、今よりシカの数が格段に少なかった。わざわざ道東まで遠征することに決めたのは、確実に獲物を仕留めたかったからだ。午前6時過ぎ。日の出と同時にハンターたちは山に入った。歩きやすく、シカが多い尾根筋を他のメンバーに譲り、原田は1人で別の稜線を歩いていた。シカの狩猟経験や捕獲頭数は原田が抜きん出ており、この日は自分よりも友人たちにシカを獲ってほしいと思ったからだ。天候は晴れ。太陽の光はさしているが、風は冷たい。霜の降りた落ち葉を踏みしめながら、原田はゆっくりと歩を進めた。日が完全に昇っても仲間からの無線連絡はなく、銃声が聞こえてくることもなかった。まだ誰もシカを見つけられていないのだろうか。「しっかりな、頑張ってくれよ」と心の中でつぶやく。原田自身もシカの姿を見ないまま、やがて時間は昼近くになってしまった。「そろそろ飯にするわ」。原田は無線で仲間と連絡を取り合った。シカの目撃はあるものの、誰も発砲には至っていないようだ。なかなか一筋縄ではいかない。眺めの良い高台で背負っていたリュックサックを下ろす。冷めたおにぎりをゆっくりと噛み締めながら、午後から獲物をどう追うか、頭の中で作戦を練った。食事を終え、立ち上がった原田の目に、木々の間にうごめく黒い影が映った。向かいの斜面を、1頭の大きなオスジカがゆっくりと登っていたのだ。「おっと、こんなところにいたんかい」。距離は100メートルを切っている。射撃の腕前には自信があった。確実に仕留められる獲物だ。愛用のライフルに弾を込め、銃床にしっかりと頬付けをする。シカの姿をスコープの中心に捉えた。なぜか、シカの動きは妙に緩慢だった。「なんかおかしな動きだなあ、なんでだろう」。引き金に指をかけたまま観察していると、不意に背後で「ガサガサッ」という物音がした。その音に原田は妙な違和感を覚えた。「キツネでもなく、シカでもないような……」。まさかと思って振り返ってみると、そこにいたのはヒグマだった。原田は目を疑った。そのエリアには何年も通ってきたが、一度もクマを見たことがない。だからヒグマがいない山だと思い込んでいたのだ。しかし、確かにヒグマは目の前にいた。距離はたったの5メートルほどしかなかった。目が合った瞬間、クマは耳をつんざくような咆哮と共に襲いかかってきた。銃をきちんと構える間もなく引き金を引く。既に弾を込めていたのが不幸中の幸いだった。原田のライフルは、発砲と同時に次弾が装填される自動銃だったため、何発かを連続で撃った。どこかには当たったようだが、相手の勢いは止まらない。飛びかかられ、銃を弾き飛ばされた。たまらず、地面に仰向けに倒れ込む。目の前にクマの顔があった。とっさに両手を頭の後ろに回し、四つん這いになって防御姿勢をとる。しかしヒグマの攻撃がやむ気配はない。「起きれ、起きれって、俺のこと転がして。そんで目を狙ってくるのさ。きっとアイツら、人間の目がおっかなくてイヤなんだろうね」。ヒグマはうつ伏せになった原田を前足で簡単にひっくり返すと、今度は口を大きく開けて頭に噛みついてきた。思いもかけない非常事態に、大量のアドレナリンが分泌されていたのだろうか。不思議なことに、痛みは全く感じなかったという。今もはっきりと覚えているのは、その時の音だ。「ボリボリ、ガリガリ、大根を齧るような音だったね」。頭皮がむしり取られ、頭蓋骨が割れた。頭部を負傷すると、大量に出血する。原田もあっという間に血まみれになっていった。溢れ出る血が目に流れ込む。視界が奪われ、すぐに何も見えなくなる。「まずい、これじゃ脳みそまで齧られちまう」。必死に抵抗するが、ヒグマは攻撃の手を緩めてくれない。揉み合いに疲れ果てた原田は、一旦全身の力を抜いてクマに抗うのをやめてみた。無抵抗になれば勘弁してくれるのではないか、と考えたのだ。しかしその作戦は全く役に立たなかった。ヒグマは執拗に頭を噛んでくる。このままでは死を待つだけだ。やはり戦うしか手はない。しかも、何かもっと有効な一撃を加える必要がある。そのとき頭をよぎったのは、子どものころに近所の猟師から教えられたクマの撃退方法だった。「口に手を突っ込んで、息の根を止めろ」。捨て身の作戦。まさに最終手段だ。原田は意を決した。目が見えないながらも、毛むくじゃらのヒグマの頭部をまさぐる。熱い息を吐き出す口を探し当てるやいなや、右手を思い切り差し込んだ。硬く握り締めた拳骨が、クマの口の中に収まった。同時に嫌な音がした。「パリッ」。手の甲の骨をへし折られたのだ。それでも痛みは感じない。「このまま窒息させてやる」。奥へ奥へ、腕をグイグイとこじ入れる。まずは指先の感覚がなくなった。続いて手のひらが痺れ、上腕から肩、さらには首へと麻痺が広がってゆく。その辺りで、さすがに体力も気力も尽き果てた。原田は意識を失った。「グフォッ、グフォッ」。どれだけ時間が経ったのかは分からない。多分1分も経っていなかったのではないかと原田は言う。口に手を突き立てられたままのヒグマが、苦しそうに喘ぐ息遣いで我に返った。音が聞こえるということは、自分は生きていることを意味する。これだけ攻撃されても、まだ死んでいないことが驚きだった。クマも相当に参ってきているようだが、自分の出血もひどい。命はまさに、風前の灯火だ。何か次の手はないのか、必死に考える。すると、下半身はまだ動かせることに気がついた。つま先でクマの腹を探る。一番柔らかそうなところをめがけ、渾身の力で蹴り上げた。すると、「バクンって音がして、クマの口から手が抜けたのを感じたんだ」。急に体が軽くなる。ヒグマはようやく原田の体を離してくれたのだ。そして荒い息をしながら遠ざかり、気配を消した。もしかしたら助かるかもしれない。折しも、胸元につけた無線機から仲間の声が聞こえてきた。「大丈夫?」手探りでトークボタンを押して応答する。「クマにやられた」「なんだと! 場所は?」。歩き慣れた山で、ポイントの通称も仲間と共有していた。「馬の背の稜線の2本目、7つある涸れ沢の1番目だ」「分かった、すぐに行くから待ってろ!」。無線の音が途絶えた。立ち去ったヒグマは、今どこにいるのだろうか。実はすぐそばに身を潜め、また襲ってくるのではないだろうか。相変わらず目は見えていないし、鼻も効かない。頼りになるのは聴覚だけだ。必死に耳をそばだてる。木の葉やササが少しでも音を立てるだけで、ついさっき頭に齧りついてきたヒグマの姿が蘇る。体が震え始めた。原因は恐怖心だけではない。大量の血液を失った結果、体温が低下してきたのだ。異常に寒い。時間が経つにつれ、震えは増すばかりだ。「死ぬときってこんな感じなのかもな」と考える。自分はいつまで意識を保っていられるのだろうか。1分が1時間にも感じる……。原田より9歳下の藤部博は、原田を狩猟の師匠として慕っており、この日も一緒に白糠の山に入っていた。原田がヒグマに襲撃されているとき、藤部は1キロほど離れた地点にいた。他の2人の仲間は別々でシカを探していて、藤部は1人だった。突然、ライフルの発砲音が連続で響いた。「まるで、昔の西部劇に出てくる早撃ちガンマンのような連射でした」。藤部は、原田がシカを撃ったのだと思った。すぐに藤部は銃を抱え、物陰に身を隠した。原田に発砲されたシカ、あるいは銃声に驚いた別のシカが、自分のいる方向に逃げてくるかもしれない。それを仕留めようと思ったのだ。案の定、しばらくして遠くからガサガサという音が近づいてきた。息を殺して、獲物が現れるのを待つ。すると、1頭のヒグマがササ藪の上を飛ぶようにして走ってきた。一見して子どもと分かる、小さなクマだった。「さっきの銃声は、原田さんがコイツの母親を撃ったんじゃないだろうか。何発も連射したということは、母グマに襲われた可能性もあるな……」。藤部の心に不安が芽生えた。全速力で疾走する子グマが、不意に目の前で止まった。藤部の存在に気づいたのだ。完全に撃てる状況だった。しかし、もし原田がクマに襲撃されていたとしたら、真っ先に救援に向かう必要がある。銃を構えたまま睨み合っていると、子グマはすぐに身を翻して逃げていった。藤部は無線で原田や仲間に呼びかけた。しかし誰も応えてくれない。このとき、仲間の2人は藤部の電波が届かない場所にいた。そして、原田はヒグマと格闘の真っ最中だったのだ。「無線には、即座に応答せよ」というのは、常々原田自身が仲間に指示していたことだった。普段であれば、すぐに応えてくれるはずだ。「頼む、なんとか無線に出てくれ……」。祈るような気持ちで呼び続ける。すると数分後、ようやく原田の声が聞こえてきた。藤部は、嫌な予感が的中していたことを知った。アップダウンが激しい山中をひた走る。20分ほどして、ようやく原田の言っていたポイントにやってきた。ブルドーザーが切り拓いた狭い作業道を進んでいると、太いハケで塗ったような血痕が、斜面の下に続いているのに気づいた。覗き込むと、クマのうなり声が聞こえた。ヒグマはまだ生きていたのだ。20メートルほど下の藪に身を隠しているようで、姿は見えなかった。手負いのクマほど危険なものはいない。背筋が凍りつく。しかし、動揺している場合ではない。一刻も早く原田を助けなくては。あたりを見回すと、斜面の上方に倒れている原田を見つけた。一目散に坂を駆け登る。ようやく探し当てた原田の姿を見て、藤部は絶句した。「顔の皮が散々に剥がされていて、とにかくズタズタのボロボロ。頬や顎の骨も折れていた。眼球はなんとか頭蓋骨の中にとどまっていたけど、右も左も完全にひっくり返って白目をむいていました。耳は両方ともギリギリちぎれずに、頭からダランとぶら下がってて。鼻も切り裂かれていて、全く原型をとどめていませんでした。後にも先にも、あんなひどい怪我は見たことがないね」。ヒグマの攻撃は、頭部に集中していた。首から下は無事に見える。原田は右手も噛まれたと言っていたが、手袋をしていたので詳しい負傷の状況は分からなかった。「驚いたのが、ものすごい顔のままでちゃんと喋っていること。そして、既に出血がほとんど止まっていたこと。とんでもない生命力だな、と信じられない思いでした」。「大丈夫かっ! しっかりしろ!」。聞き慣れた藤部の声に安堵感が押し寄せるとともに、原田の張り詰めていた気も緩んだ。「俺はもうダメだ……」「ナニ言ってんだ! 絶対に助けるからなっ」「本当にお世話になったな、ありがとな……」。弱々しくつぶやく原田を、「そんなこと言うな、もう喋らんで!」と藤部が一喝する。藤部は自分の上着を脱ぎ、ガタガタと震えている原田に被せた。原田は、そのとき感じたほんのりとした温かさを、今でも鮮明に覚えているという。当時、原田たちは携帯電話を持っていなかった。たとえ持っていたとしても、山奥では電波は繋がらなかっただろう。藤部は必死に無線で仲間を呼び続けた。30分ほどして、ようやく1人がつかまった。状況を伝えると、彼はすぐに車で山を降り、固定電話がある家まで走って救援を要請した。《ピーポーピーポー》。生死の境をさまよう原田の意識を、救急車のサイレンが覚醒させた。仲間が林道の入り口で救急車を待ち受け、それに乗り込んで山を上がってきたのだ。「諦めてなるものか」。原田は気持ちを奮い立たせた。脳裏に浮かんだのは妻の顔だった。普段からよく尽くしてくれ、狩猟にも快く送り出してくれる。「アイツのためにも、まだ死ぬわけにはいかない」。直線距離にして300メートルほどの位置で、救急車は止まった。原田が倒れている斜面には入れなかったが、谷を挟んだ向かいの稜線まで、林道伝いに走ってきたのだ。即座に担架を準備する隊員たち。しかし、なかなか車から離れようとしない。原因はヒグマの存在だった。救急隊員と原田との間には、手負いのヒグマが潜んでいる。さらに、少なくとも1頭の子グマが近くにいる可能性がある。原田を助けようとする救急隊員がクマに襲われるという二次被害を防ぐため、地元猟友会のハンターの出動が要請されていた。だが、そのハンターがなかなか来てくれない。もどかしい時間がジリジリと過ぎてゆく。今度は、ヘリコプターの音が近づいてきた。救急車が現場に入れない事態を想定して手配されたものだ。機体は原田の頭上に達したが、降下してくれない。木々が生い茂り、着陸できないのだ。右往左往する爆音から、パイロットが降りられるポイントを懸命に探していることが感じられる。「頼む、なんとか頑張ってくれ」。しかし残念ながら、十分に開けた場所はどこにもなかった。原田の必死の祈りも虚しく、ヘリの音は遠ざかっていった。程なくして山中にハンターが到着した。ようやく救急隊員が動き出したものの、今度は見通しの悪い藪の中で迷ってしまうトラブルが発生。結局、原田のもとに担架が到着した時点で、救援要請をしてから2時間以上が経過していた。「もう大丈夫ですからね!」。遂にやって来た隊員の呼び掛けに、原田は思わず涙した。しかし顔面の損傷があまりにひどく、実際に涙が流れたかは定かではない。体が持ち上げられ、担架に乗せられたのを感じた。谷を渡るのに、まずは慎重に坂を下り始める。隊員たちは、原田ができるだけ衝撃を受けないように気を遣ってくれてはいるが、体はどうしても大きく揺さぶられてしまう。徐々に気分が悪くなってきて、嘔吐した。「吐いていいですよ、どんどん出してくださいね」という隊員の優しい声音に感謝しながら、原田は激しく吐き続けた。胃袋が空になるとともに、不思議と気持ちも軽くなり、なんだかとてもスッキリした気分になった。谷を下り切った担架が、再び斜面を登り始める。救急車に近づいたところで、隊員の「ブンヤが来てるぞ」という声が聞こえた。驚いたことに、山奥であるにもかかわらず既に新聞社やテレビ局などの報道陣が駆けつけていたのだ。機転を利かせた救急隊員が頭に布を被せてくれ、見る影もない顔を撮影されずに済んだ。救急車は一路、緊急時の医療体制が整っている釧路労災病院を目指した。所要時間は1時間強だ。しかし怪我があまりにひどく、短時間であっても命が持たない可能性が高いと判断され、急遽、白糠の小さな診療所に立ち寄ることになった。原田の足首に点滴の針が刺され、体内に冷たい液体が流れ込むのを感じた。再び走り出した救急車の中で、隊員が繰り返し口にしていた「チアノーゼ」という言葉が耳に残っている。それが、血中の酸素不足によって皮膚や粘膜が青紫色になる症状を指すことは、後日知った。ようやく釧路労災病院に辿り着いた原田は、まだなんとか意識を保っていた。医師に名前を聞かれて答える。すると、「おお、名前が言えた。これは助かるかもしれないぞ」という周囲の声が聞こえた。続いて、自宅の住所や電話番号、妻の名前なども伝える。勢いづいてさらにいろいろ話そうとすると、「もうあまり喋らないでください」と制された。その後、麻酔を打たれた原田は深い眠りについた。当初、仲間たちが「想定では5時間程度」と説明を受けた手術は、実に16時間にも及んだ。そして遂に、原田は一命を取り止めたのだった。その超人的な生命力には、医師も驚きを隠せなかった。「あんな傷を負いながら生き延びるなんて。あなたは正真正銘の化けものです」。麻酔から覚めた原田に、医師は敬意を込めてそう言った。原田を襲ったヒグマは、事故の翌日に、息絶えた状態で発見された。体長1.5メートル、体重160キロの大きなメスだった。このクマが原田を襲った理由も判明した。体内には、横腹から入った銃弾が残っていた。原田が使用していた弾ではない。実は前日、このクマは別のハンターによって重傷を負わされていた。ハンターは犬を連れていたにもかかわらず、きちんとクマの匂いを追わせてとどめを刺すことをしなかった。原田は、他人のずさんな狩猟のとばっちりを受けたのだった。通常、弾が貫通すればクマは出血多量で命を落とす。しかしそうではなかったため、撃たれた翌日になってもまだ死にきれない。「苦しかっただろうなあ」。原田はヒグマの気持ちに寄り添う。さらに、そのメスは子連れだった。原田が気づかないままに子グマに接近してしまい、母グマの防衛本能にスイッチを入れてしまった可能性もある。「運悪く、ちょうどそこに現れたのが俺だった。自分を撃った人間に反撃するため、そして我が子を守ろうとする一心で攻撃してきたんだろうな。悪いのは前日にそいつを撃ったハンター。決してクマが悪いわけではないさ」。
(タヌキや鹿をクルマで轢く「ロードキル」が増加している理由と予防策)
ロードキル。初めて聞いたという人でも(筆者もそのひとり)、じつは誰もが遭遇している身近な問題だ。道路上で車両が関係して発生する野生動物の死亡事故のことである。ハンドルを握って年数の浅くないドライバーなら、路上で動物の轢死体を目撃することが昔より増えたと感じている人が少なくないだろう。ネクスコ3社など高速道路各社の統計によると、高速道路でのロードキル発生件数は、2002年の約3万6000件から、2018年には約4万7000件に増加。理由は高速道路の供用距離の延長が大きいようだが、直近の2020~22年は毎年およそ5万件と高止まりが続いている。国が維持・管理を行う直轄国道では、同じく2020~22年で毎年約7万件とやはり多い。また、例えば「人と動物の共生センター」が実施している「全国ロードキル調査」によれば、猫の遺体回収数は確実に減少しているものの、それ以外の動物については増加傾向にある。一般道でも発生件数は高い水準で推移しているのだ。ロードキルは、犠牲になった動物たちはもちろん気の毒だが、ドライバーや同乗者も多かれ少なかれ心に傷を負うことになる。また、高速走行での衝突や、相手が大型動物である場合には、クルマのダメージも免れない。動物にとっても人間にとっても不幸な社会問題と言っていいのだ。人と動物の共生という面からも、ロードキルの発生を減らすことはできないものか。その取り組みが全国に少しずつ広まっている。ロードキルは地域によって発生状況が異なる点もある。ここでは長年にわたって調査や対策が行われている北海道の例を見てみたい。取材したのは、ウェブサイト「野生動物と交通」を運営する一般社団法人 北海道開発技術センターだ。まず、北海道におけるロードキル発生件数の推移について。北海道開発局の統計によると、北海道内のロードキル件数は、年々右肩上がりで増加している。「2023年にはタヌキが急増し、その影響で件数が大きく増えました。それでも北海道で一番多いのはエゾシカです。本州ではタヌキ、犬・猫の件数が多くなります」(同センター 鹿野たか嶺さん)。北海道ではエゾシカも年々増えており、ロードキル発生地点は近年、北海道のほぼ全域に広がっている。「昔は山間部での事故が多かったと思います。近年はエゾシカの個体数が増えていまして、市街地でも事故が発生している状況です。エゾシカは雪が苦手なので、こうした雪が比較的少ない地域で生息数が増加していると思われます」(鹿野さん)。「全国的だと思いますが、アーバンアニマルなどと呼ばれています。たぶん近年、野生動物も都市部に生息域を広げている傾向があると思います。エゾシカの場合、ハンターが減ったことも個体数の増加につながっていると推測できます。増えた個体が人の暮らす人里に出てきて、狩猟の危険はないことを学習したのかもしれません」(同センター 佐藤真人さん)。「全国的だと思いますが、アーバンアニマルなどと呼ばれています。たぶん近年、野生動物も都市部に生息域を広げている傾向があると思います。エゾシカの場合、ハンターが減ったことも個体数の増加につながっていると推測できます。増えた個体が人の暮らす人里に出てきて、狩猟の危険はないことを学習したのかもしれません」(同センター 佐藤真人さん)。ロードキルが発生しやすい季節は全般的に春と秋。シカの場合は越冬地から夏場の棲息地への移動や繁殖期の時期にあたる。時間帯については、明け方や夕暮れが多い。エゾシカは夜行性で薄暗い時間に行動する「薄明薄暮型」。そのため、季節によっては人間が通勤・帰宅する時間帯に重なってしまうのだ。ロードキルには、件数は少ないが鳥類も含まれる。鳥類は巣立ちの季節である夏が多い。巣立ちに失敗したカラスなどが道で轢かれてしまうケースがあるとか。動物は種類によって行動特性が違う点にも注意したい。全国的にタヌキがもっとも多いのには、この点も関係している。「タヌキは危険を察知すると立ち止まってしまう習性があります。また、つがいで行動することが多く、1頭が事故に遭うともう1頭がその場を離れず、2頭で事故に遭ってしまうことがあります」(鹿野さん)。一方、シカの場合は群れで行動することが多い。「群れのリーダー格に当たる1頭目の個体は比較的クルマを認識して、注意している印象を受けます。しかし、1頭目が道路を渡りはじめると、後ろの個体はクルマを見ずに1頭目を追いかける行動を取りますので、そういった個体が事故に遭いやすいと思います。また、蹄のある動物は舗装路で滑りやすく、路上で転んでしまったり。イノシシなどもそうですね」(佐藤さん)。ロードキルが発生しやすい地形などはあるのだろうか。「北海道では、道路の左右で森林がつながっているような場所、移動経路になっているような場所は事故が多いです」(鹿野さん)。「意外と平坦で見通しのいい直線で事故が多い傾向があります。おそらくドライバーがスピードを出しやすいからでしょう。見通しが悪いカーブなどではそれほど多くありません」(佐藤さん)。ロードキルのリスクを減らすのにもっとも効果的なのは、やはりスピードダウン。北海道の道路はついスピードが出てしまいがちだが、ブレーキが間に合わず事故になることが多いとか。また、シカに対して気構えをしておくことも大切。山間部でも市街地でもシカが飛び出してくる可能性があると思っていれば、おのずと運転の仕方も変わってくるはずだ。道路上の情報にも注意したい。シカなどが描かれた黄色い標識は、動物との事故件数が多い箇所や大きな事故があった場所に設置されている。また、北海道内では道路の維持・管理者が独自に設置している、「シカ注意!」といった仮設の看板も増えているようだ。そして、もしもロードキルに遭遇してしまったら……。自分が事故を起こしたら、やはり警察に連絡だ。任意保険でクルマを修理する際も、警察への連絡が必要になる。さらに、もし希少種を轢いてしまった場合には環境省にも申告が必要だ。一方、事故や交通の支障がなく、道路上に死骸を発見したという場合は、全国共通の道路緊急ダイヤル「♯9910」に連絡すると、死骸の迅速な回収につながる。動物の死骸は感染症などのおそれがあるため、絶対に触らないこと。自分には関係ない北海道ローカルのハナシ、と思うなかれ。2020年には東京・足立区でシカが捕獲され、昨年も都心などで複数回目撃されている。ロードキルに関するちょっとした知識や心がけで人間と動物のお互いの不幸を減らせるなら、それに越したことはない。
(猪鹿の深刻な被害を食い止める:長崎)
私たち一般社団法人daidaiは、2013年より長崎県対馬をフィールドに、「獣害から獣財へ」というキーワードを掲げ、イノシシやシカによる被害対策、捕獲活動を行い、捕獲された命を活かし、少しでも被害対策がすすむようにと、ジビエやレザーを通じた普及啓発・教育活動に取り組んでおります。
(石川県からシカ1頭が名古屋城・内堀に引っ越し:愛知)
石川県森林公園(津幡町)内の森林動物園で展示されているシカのうち1頭が来春にも名古屋城(名古屋市)の内堀に引っ越す。内堀で暮らし、観光客らに人気のシカ2頭のうち、1頭が8月に死んだため、現在は1頭だけになっている。森林公園の松本聖史所長は「名古屋城のシカは市民にも観光客にも身近な存在。かわいがってもらえれば」と話している。
(登山時に知るべき「正しい恐れ方」とは?)
ここ数年で急増しているクマ報道。山に入る以上、クマに対する正しい知識と万全の対策が欠かせません。山頂到達にこだわらず、美しい山道を気持ち良く歩くことを楽しむ「フラット登山」を提唱する作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏が、大自然の魅力を心から楽しむために知っておきたい「クマ増加の本当の背景」と、クマを「正しく恐れる」ための適切な対策を解説します。本稿は『フラット登山 日本を歩く旅60』から一部抜粋・再構成したものです。ここ数年、クマの害が増えていると報道されている。2025年に北海道・知床の羅臼岳で26歳の若い登山者がヒグマに襲われ、亡くなった事故に震え上がった人は多かっただろう。この年には、秋田や岩手などでも中心市街地にまでツキノワグマが出没し、買い物のために外出することさえままならない事態になった。クマ害が深刻になっている背景にあるのは、1990年代に入ってから自然環境への意識の高まりとともに、野生動物が保護対象になってきたことだろう。それまでの乱獲が規制され、クマだけでなくイノシシやシカも日本列島全体で急増するようになった。くわえて昭和のころはリゾートなどの乱開発などで自然が破壊されていたのが、いまは逆回転している。山に緑の森が戻ってきているだけでなく、山里の限界集落などがだんだん消滅に向かっていくなかで、森の刈払いをする人もいなくなり、里山は放置されるがままになっている。さらに温暖化が進んでいることもあって、アレチウリなどのツル草が異常なまでに繁茂するようになった。この結果、里山や集落は緑に呑み込まれて、外部からは見えにくくなり、野生動物がウロつきやすくなったのだ。おまけに山あいの集落にはカキやクリの果樹が生え、畑には野菜がある。それまでドングリを食べていたクマも、栄養価が豊富で食べやすいこれらのエサに釣られて、山から降りてきてしまう。こういう流れの中で、クマが人里に近いところまで大挙してやってきているのである。「人間が自然破壊するから行き場をうしなったクマが山を下りてきた」などという解説がテレビなどでは大手を振っているが、まったく正しくない。逆に人間の住むエリアが縮小し、自然が猛烈に拡大しているからクマもそれに沿って人間の領域にまで侵入してきているのだ。もうひとつ注意しなければならない点がある。それは「新聞やテレビのクマ報道は騒ぎすぎ」という点である。これも山岳にかかわる仕事に就く多くの人が指摘している。以前ならクマによる人身事故だけがニュースになっていたのが、クマ害が目立ち始めると「クマが目撃された」というだけで報じられるようになった。目撃だけのケースまでニュースにしていれば、多く見えてしまうのは当然だ。北海道や東北でツキノワグマが市街地にまで降りてきているのは事実だが、関東以西ではそれほどクマ害は増えていないという指摘もある。過剰にクマを恐れる必要はない。クマ対策をきちんととっておくことで「正しく恐れる」という姿勢を大事にしたい。 正しく恐れるというのは、「科学的な知識や正しい情報に基づき、適切な対策を講じること」である。適切なクマ対策とは、どのようにすればいいのだろうか。ほとんどの事故は、クマと人が出会ってしまったことによる衝動的なものだ。だから人の存在をあらかじめ知らせておくことがとても大事で、そのためには山道を歩くときはクマ鈴をバックパックにぶら下げておきたい。ただ、近年はクマの生息域と人間のエリアが近づきすぎたことで、クマ鈴に慣れてしまったクマも増えているという指摘もある。だからクマ鈴に加えて、先の見通しの悪いポイントなどではより刺激的な音を発するものがあったほうが良い。口で吹ける軽いホイッスルが一般的だが、陸上競技のスタートで使うようなスターターピストルを携行する人もいる。爆竹を使う簡易なものもアマゾンなどで売っている。こちらのほうが音が断然大きく、クマだけでなくたいていの動物は逃げていくという。なお、クマ鈴は常に音が鳴っているため、クマがたてる物音に気づきにくくなるというデメリットもある。だからベテラン登山者によっては、クマ鈴は携行せず、ホイッスルやスターターピストルだけという人もいる。それでも運悪くクマに遭遇してしまった場合はどうするか。走って逃げたりせず、少しずつ後ずさりしながら立ち去るのが良いと言われているが、それでも威嚇して近づいてきたときには、最終的に頼れるのはクマ撃退スプレーしかない。1万円前後もするかなり高価な製品だが、山に入るときは欠かさず携行しよう。できるだけ片手で取り出せるようなかたちでバックパックに装着しておく。そして安全ピンの抜き方や、どのようにしてクマに向けるかを、あらかじめイメージトレーニングしておくのも大事だ。
(乗用車のボンネットにクマ:長野)
13日午後9時半ごろ、長野県松本市奈川の県道上で通りかかった乗用車のボンネットにクマが乗りかかった。運転していた男性にけがはなかった。松本署によると、現場は保平公会堂から西に約850メートルで、クマは体長約1・5メートル。男性が前方にクマを見つけ車を止めたところ、クマが車に覆いかぶさってきたという。左の前照灯付近に引っかき傷が残った。
(イノシシ、ガラス戸やフェンス破壊:秋田)
12日夕、大仙市大曲地域の市街地でイノシシに店舗のガラス戸や民家のフェンスが壊される被害があった。けが人はいない。午後10時現在、イノシシは捕獲されていない。大仙署によると午後6時45分ごろ、「センサーが作動した」との警備会社からの110番を受けて署員が同市大曲田町の店舗に向かうと、出入り口のガラス戸が割れていた。店舗の防犯カメラに体長約1メートルのイノシシがガラス戸を壊して店内に入り、出て行く姿が映っていた。店舗は市役所の東約500メートル。当時は営業時間外で無人だった。6時50分ごろには、同市大曲上大町の60代男性から「イノシシがフェンスを壊して逃げていった」と110番があった。イノシシが民家敷地と道路を隔てる金属製のフェンスを壊すのを、家の中から目撃したという。民家は市役所の北東約400メートル。市や署が付近の住民に注意を呼びかけている。
(クマ連日出没、1軒の農園だけでナシ5000個以上被害か:広島)
三次市のナシ農園に連日クマが出没し、深刻な被害が出ている事を受け、14日の市議会で、対策の強化を求める緊急決議がまとまりました。三次市作木町森山西地区のナシ農園では、この夏、野生のクマが収穫前のナシを食い荒らし、深刻な被害が出ました。【三次市議会 宍戸稔 議員】「生産者に甚大な経済的損失を与えるだけでなく、営農継続の意欲を著しく低下させ、果樹産地の維持・存続を揺るがす事態である」。14日の市議会で、「クマの迅速な捕獲に向け、制度上の課題を解消していくことや、クマレンジャーと生産者の支援を強化すること」などを盛り込んだ緊急の決議案が出され、全会一致で可決しました。一方、生産者はクマの相次ぐ出没を受け、ナシの収穫を例年より一週間ほど早めました。【三上観光農園 三上恵美子さん】「何か対策を早めにしていただきたいと思います」。今年の夏、この農園だけで5000個以上のナシがクマに食べられたのではないかということです。
(山林でワナにかかったクマ、猟友会などが駆除:福島)
13日午前11時頃、檜枝岐村字黒岩山地内の山林で、ツーリング中の男性が、足がワナにかかった状態のクマ1頭(体長約1メートル)を目撃しました。警察と猟友会で付近を探してクマを発見し駆除したということです。人的・物的被害はありません。
(シカの角でアクセサリー作り:岐阜)
郡上市明宝中学校の生徒が地元で捕獲されたシカの角を加工してアクセサリーを作る体験学習が9日、校内であった。地元猟師の元満真道さんを講師に迎え、全校生徒31人がのこぎりややすりで角を好みの大きさや形、質感に加工。ドリルで開けた穴にひもを通し、キーホルダーやストラップなどとして完成させ
(山荒らすシカ、肉のお味は?:高知)
石鎚山系で拡大しているニホンジカの食害について学び、シカ肉を味わうワークショップが13日、いの町の本川地区であった。愛媛県西条市のNPO法人「西条自然学校」理事長の山本貴仁さん(54)が山の環境変化などを解説しつつ、捕獲したシカを使った簡単なジビエ料理を紹介した。本川地域など高知・愛媛県境に連なる石鎚山系ではここ数年、シカの食害が目立って増加。現状を知ってもらうため、同町本川総合支所が2年前から学習会を開いている。山本さんは、江戸後期からの銅山開発で木が伐採され、シカは減少していたが、戦後の森林回復や温暖化に伴って増えていると指摘。「昔と違って今の山は人工林が大半で、餌となる植物が育ちにくい」とし、希少植物が生息する高標高域にシカが進出している背景を説明した。
(女性猟師がジビエ処理場を立ち上げへ:大分)
大分県佐伯市で活動する女性猟師が、捕獲したシカやイノシシをジビエとしていかすための食肉加工場の開設を目指している。「命の重みを思い、残さず食べるのが大切」という先輩猟師の教えが原動力だという。佐伯市は、民家周辺の耕作放棄地にすみ着いたイノシシによる水稲被害や、シカによる針葉樹の被害などに悩む。市の調べによると、2024年度の被害はイノシシが964万円、シカが109万円にのぼる。市の猟友会は2025年度、イノシシ2640匹、シカ4109匹などを捕獲した。加工場の開設を目指しているのは、その捕獲にあたっている一人で市内に住む西田朱乃(あやの)さん(36)。市の広報紙でわな猟の無料講習を見つけて興味を持ち、2019年にわな猟の免許を取得した。2023年には銃の免許も取った。平日は保険会社の外交員として働き、週末に数人のグループで山に入って散弾銃を撃っている。主な獲物はイノシシとシカで、アナグマやサルを追うこともある。「さいきジビエANOchannel」と題して、ユーチューブで猟師生活を発信中だ。西田さんの最初の獲物は5年前。山中のけもの道に仕掛けたわなで捕らえた大きな雄ジカだった。シカの角の迫力に「向かってきたら刺されるな」と恐怖を覚えた。肉が生臭くならないように、生きたまま血抜きし、70代の先輩猟師と一緒に解体した。「かわいそう」とショックを受ける西田さんに、先輩猟師は「かわいそうと思っているなら、きれいに食べてやるのが一番の供養だ」と言った。シカは丁寧に処理し、コショウ炒めなどで食べた。クセのない味で、やわらかだった。「命をいただいて自分たちは生きている。『いただきます』という言葉は重い意味がある」。加工場の開設を目指すのは、この時の思いからだ。今は近隣に食肉処理施設がなく、捕獲した動物たちの肉は猟師仲間や友人たちで分け合って食べている。「少しも無駄にしないように」とは思うがどうしても食べきれず、猟犬に手伝ってもらうこともある。「ジビエとして販路を確保すれば、すべての命を大切に味わうことができる」と動き始めた。木造平屋建ての施設を新設し、精肉に加工する設備も含めて費用は1600万~2千万円を見込み、クラウドファンディングで資金を募っている。加工したジビエは福岡のかっぽうや地元の料理店などに出荷する予定だ。フィットネスの愛好家向けに良質のたんぱく源として販売する計画も立てている。「命をいただいて、生きている」という猟師の思いを食育として保育園などで伝えたいとも思い、アニメ風の動画の制作も考えている。猟師に関心がある人に狩猟現場を体験してもらうツアーも予定している。「猟師は女性もできる仕事だと発信し、後継者の裾野を広げたい。高齢化しているので、若い世代が猟師として活躍して故郷の農業や山を守らなければ」と話している。
(県産シカ肉に舌鼓:三重)
三重県桑名市参宮通の イタリア料理店「デパール参宮店」で15日夜、恒例の ワイン会があった。いなべ市や菰野町で捕れたシカの肉を使った料理が提供され、参加者13人がイタリア産ワインとともに舌鼓を打った。店主の水谷慶郎(よしお)さん(69)が腕を振るった。有害鳥獣として駆除したシカなどを食肉に加工し、飲食店に卸すいなべ市の「ジビエたかぎ」が扱うシカ肉を使用。炭火焼きやロティといったジビエ料理にして、このほかにも桑名産ハマグリを使ったスープやパスタなども提供した。
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