<射撃ニュース9月>
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(公園で40代男性が親子のヒグマに襲われ負傷:北海道)
警察などによりますと、札幌市西区の平和丘陵公園で26日午後8時ごろ、犬の散歩をしていた43歳の男性が、公園の南東側に設置されている滑り台の近くでヒグマに襲われ、けがをしました。男性は、近くの家に逃げ込み、家の住人から警察に「クマに襲われてけがをしたという男性が家に来ています、腕からかなりの出血があります」と通報がありました。警察によりますと、男性が犬の散歩中に前方から体長約2メートルの親グマと約1メートルの子グマの2頭が現われ、どちらかのヒグマの前脚で襲われたと話しているということです。消防によりますと、男性は右腕に深い傷を負い、病院に運ばれましたが、命に別状はありません。現場付近では、ヒグマのものとみられるフンも見つかっています。現場は、札幌市西部の山麓付近の住宅街にある公園で、約300m離れた場所に小学校があります。また、午後9時ごろには、現場から西へ約500メートル離れた場所でも、警察官が子グマを目撃していて、警察は、男性を襲ったヒグマと関連があるとみて、警戒を強めています。札幌市は、公園を封鎖し、住民に近づかないよう呼び掛けています。警察は、現場付近にパトカー7台を配備したほか、市職員やハンター2人が出動して警戒に当たっています。札幌市西区では、25日朝にキノコ採りをしていた男性が体長およそ1メートルのクマ1頭を目撃していたほか、付近では、20日と21日にも親子のヒグマの目撃情報がありました。北海道は、9月に入って札幌市内でヒグマの目撃が47件あったことから、26日、ヒグマ注意報を発表して注意を呼び掛けていましたが、今回の人身被害の発生を受け、警報に切り替えました。
(クマに自宅玄関前で襲われ負傷:岩手)
26日午前5時55分ごろ、葛巻町の女性(77)が自宅玄関前で、クマに背後から襲われた。頭や首に裂傷を負い、病院に搬送されたが命に別条はない。畑の様子を見に行き、自宅に戻る途中だった。
(クマに襲われ80代女性が頭や顔にけが:秋田)
26日夕方、北秋田市八幡岱新田で80代の女性がクマに襲われ、けがをしました。女性は病院に運ばれ、会話はできる状態だということです。消防によりますと、女性は自宅裏の畑で農作業中にクマに襲われて頭や顔にけがをしたということです。現場は秋田内陸線の合川駅から北西に約2キロで、7月に女性がクマに襲われその後死亡したグループホームからはおよそ3.5キロの集落の一角です。県内で今年クマに襲われたのは女性が16人目です。
(90代男性がクマに襲われ左頬負傷:長野)
26日(金)午前5時30分頃、妙高市上馬場で90歳代男性がクマに襲われ、病院に搬送されました。妙高警察署によりますと、26日(金)午前5時30分頃、妙高市上馬場在住の90歳男性が自宅近くを散歩していたところ、クマ1頭に襲われ、左の頬などを負傷しました。その後、クマは逃走。男性は自宅まで自力で戻り家族に助けを求め、家族が119番通報し、上越市内の病院に搬送されました。搬送当時、男性に意識はありました。男性の妻「『おーい』と呼ばれたので玄関に出てみたら『クマにやられた』と。いつも来てない道で帰ってきたら後ろからクマにやられたと言っていた。まさかクマに襲われるとは思っていなかった。若いころから毎日(周辺を)歩いていたが、去年の春、家のの近くでクマを見たと言っていた。その頃から山ではなく集落の中で散歩するようになった。傘をさして歩いているところをクマが後ろから襲ったようだ。傘が破れ、振り向いたら顔をひっかかれた。目も耳もなんともない。命には別状ない」。このところ、妙高市周辺ではクマの目撃が相次いでいましたが、妙高市内でのクマによる人身被害は今年初めてです。現場付近には住宅があることから、警察と妙高市役所と連携して、近隣住民に注意を呼び掛けています。
(犬と散歩をしていた男性、クマに襲われ大けが:秋田)
26日朝早く、秋田県仙北市で犬と散歩していた62歳の男性がクマに襲われ、あごの骨を折るなどの大けがをしました。警察によりますと、26日午前5時半ごろ、秋田県仙北市角館町で、62歳の男性がクマに襲われてけがをしたと男性の家族から消防に通報がありました。男性は犬と散歩中で、自宅から50メートルほど離れた空き地でクマに襲われて顔などをひっかかれて病院に搬送され、あごの骨を折るなどの大けがだということです。犬は逃げて、その後、家に戻ってきて無事だったということです。警察によりますと、クマの体長はおよそ1メートルで、捕獲されていないということです。現場は住宅や畑などが点在する地域で、警察はクマに襲われた当時の状況を詳しく調べるとともに、付近をパトロールして住民に注意を呼びかけています。秋田県ではクマによる被害が相次いでいて、県は全域に「ツキノワグマ出没警報」を出して警戒を呼びかけています。
(62歳男性クマに襲われけが:岩手)
26日正午ごろ滝沢市で、林の中に入った62歳の男性がクマに襲われ、顔や腕などにけがをしました。命に別状はないということです。警察によりますと26日正午ごろ、滝沢市柳沢の会社に勤める62歳の男性が、事務所近くで車を洗っていた際、休憩のため近くの林に入ったところ、2頭のクマと遭遇したということです。このうち親グマとみられるクマが男性に襲いかかり、男性は左耳の近くをかまれたほか、頭や右腕などをひっかかれたということです。クマは男性を襲った後、その場から立ち去ったということです。男性は会社の事務所に戻ったあと、同僚による消防への通報を通じて矢巾町の病院に搬送され手当てを受けていますが、命に別状はないということです。現場は東北自動車道の滝沢インターチェンジから北西に2キロほど離れた、林の中に建物が点在する場所です。滝沢市と警察が注意を呼びかけているほか、猟友会が現場付近にわなを設置するなどの対応を取っています。
(女性がクマに襲われ、顔や腕をひっかかれる:長野)
27日午前5時55分頃、長野市戸隠豊岡の畑で近くの農業女性(78)がクマに襲われたと、住民から119番があった。長野中央署や市消防局によると、女性は顔や腕などを引っかかれた。軽傷とみられ、命に別条はないという。同署によると、クマは成獣で子グマを連れていたとみられるという。署員や市職員、猟友会員が捜索している。現場は市立戸隠小学校から北に約1キロで、住宅や畑が点在している。
(釣りをしていた70代男性、クマに襲われ頭などけが:新潟)
27日午前、新潟県南魚沼市の川で釣りをしていた70代の男性がクマに襲われ、頭などにけがをして病院に搬送されました。警察によりますと、命に別状はないということです。新潟県は「クマ出没警戒警報」を発表していて、対策を徹底するよう呼びかけています。警察によりますと、27日午前9時半ごろ、新潟県南魚沼市宮の三国川の河原で兄と釣りにきていた埼玉県の70代の男性がクマに襲われました。警察によりますと、男性はクマに頭頂部をかまれたり、腕やあごをひっかかれたりしたということで、南魚沼市内の病院に運ばれました。男性は命に別状はないということです。クマは体長1メートルほどで、男性を襲ったあと、川の下流の方向に向かって逃げたということです。新潟県内ではクマの目撃などが相次いでいて、県が「クマ出没警戒警報」を発表しています。県は、山に入る場合は複数で行動し、ラジオや鈴など音の出るものやクマ撃退スプレーを携行することや、クマの活動が活発な早朝や夕方を避けるなど対策を徹底するよう呼びかけています。
(ワナにかかったクマに80代男性が頭や手首など引っかかれ重傷:岐阜)
9月27日、岐阜県飛騨市の山中で、ワナにかかっていたクマを殺そうとした80代男性が襲われ、頭などを引っかかれ重傷とみられます。飛騨市によりますと、27日午前11時ごろ飛騨市神岡町東漆山の山中で、シカやイノシシの見回りをしていた男性がワナにかかったツキノワグマを見つけました。その後、クマを駆除するため、市の非常勤職員の男性5人が駆けつけてクマに発砲し、とどめを刺すために80代の男性が近づいたところ足を滑らせて転倒し、まだ生きていたクマに襲われたということです。男性は頭や手首などを引っかかれて病院に運ばれましたが、重傷とみられています。
(背後からクマに襲われる、精米作業中の男性がけが:岩手)
9月27日朝、岩手県宮古市で、78歳の男性がクマに襲われけがをしました。27日午前7時半ごろ、宮古市蟇目の農家の男性(78)が、作業小屋で精米作業をしていたところ背後から体長1.2mの成獣のクマに襲われました。クマに襲われた男性は「窓からここから入ってきて、背中に被さった。まさかクマだとは思わないからね。びっくりです」と話します。男性は、左腕を引っかかれるなどのけがをし病院で手当てを受けましたが、命に別条はないということです。市や警察は、現場付近にわなを設置し警戒を呼びかけています。
(温泉の駐車場に居座るクマを駆除、「警察官職務執行法」に基づきハンターに発砲指示:北海道)
北海道南部の森町で9月26日、クマ1頭が駆除されました。現場は森町濁川にある温泉の駐車場です。26日午前9時50分ごろ、温泉客が駐車場にいるクマ1頭を目撃し、温泉の関係者が役場に通報しました。警察によりますと、クマは体長約1.4メートル。駆けつけたハンターや警察官ら計5人がいても逃げることなく、その場に居座っていました。警察官は状況から「危険」と判断し、警察官職務執行法に基づきハンターに発砲を指示。午前10時20分ごろにクマは駆除されました。駆除されたクマは体重57.5キロで、推定2歳のメスでした。当時、温泉には複数の客がいましたが、ケガをした人はいませんでした。北海道南部ではクマの出没が相次いでいて、7月には福島町で新聞配達員がクマに襲われて死亡しています。警察は、住民にクマへの注意を呼びかけています。
(「クマ出没警報」を延長:宮城)
宮城県は、県内でクマの目撃が相次ぎ、人身被害も発生していることを受けて、「クマ出没警報」を10月末まで延長することを決めた。もともと9月末までとしていた期間を1カ月延ばす対応である。県によると、9月1日から24日までに寄せられたクマの目撃情報は126件に上り、過去5年の9月平均と比べて4割多いという。特に人の生活圏での出没が目立っており、9月12日には富谷市の住宅街で歩道を歩いていた60代男性がクマに襲われ、顔などをひっかかれる被害が出ている。林野庁の予測では、今年はクマの餌となるブナの実が大凶作とされており、餌を求めて人里に現れるケースが増えるとみられている。県は、朝夕のクマの活動が活発な時間帯を避けることや、複数人での行動、クマよけの鈴やラジオを携行することなど、引き続き注意を呼びかけている。
(ジビエ販売額54億円超、右肩上がりで過去最高に)
農林水産省が26日発表した2024年度野生鳥獣資源利用実態調査結果によると、食肉処理施設が処理したジビエの販売額が0・2%増の54億1800万円と過去最高を更新したことが分かった。統計が始まった2016年以降、右肩上がりに増加している。利用量は前年度比1・9%減の2678トンで過去最大だった前年度に次いで過去2番目に多かった。野生鳥獣の販売金額は、食肉として販売されたシカが7・3%増の27億5800万円、イノシシが0・1%減の16億4200万円。ペットフードが10・8%減の7億9200万円だった。統計を開始した16年の30億3000万円から、右肩上がりとなっている。食肉として販売した数量は0・4%減の1724トン。鳥獣別では、シカが2・3%増の1211トン、イノシシ5・1%減の485トンだった。ペットフードとして4・2%減の830トンが利用された。解体頭数はシカが12万7513頭、イノシシが4万247頭。クマは453頭だった。環境省によると、24年度の捕獲頭数は速報値で、ニホンジカは73万8700頭、イノシシが64万3000頭。野生鳥獣は自動車や電車に衝突したり、趣味の狩猟で捕獲されたりするものを含め、大半がジビエとして利用されていないのが現状だ。廃棄されるものも多く、資源として有効利用する取り組みの拡大が求められている。
(自治体の判断で銃が使える「緊急銃猟」に対応した訓練:山形)
9月から市街地でも自治体の判断で銃が使える「緊急銃猟」が可能になったことを受けて25日、天童市で対応訓練が行われました。訓練には、県と天童市の職員のほか、警察や地元猟友会などおよそ100人が参加。河川敷でクマ1頭が徘徊していると通行人が目撃した想定で行われました。通報を受け現地で対策本部を設置し、関係機関への情報共有やドローンを活用した捜索、花火を使って追い払う動きを確かめました。その後、クマが住宅街の小屋へと逃げ込んだとして、自治体の判断で市街地でも銃が使える「緊急銃猟」を行うまでの手順を確認しました。警察や猟友会の担当者が、発砲しても住民に危険が及ばないよう安全確保の手順などを確認。市長の判断を受けて発砲に至るまでを行いました。天童市経済部長 川股元昭さん「緊急銃猟の許可を下すための条件を満たす判断が難しい。警察や猟友会などと連携を取り対応していきたい」県内のことしのクマ目撃件数は、9月21日現在で1132件に達し、過去最多を更新しています。県は、これから本格的にシーズンを迎えるキノコ採りや秋のレジャーに注意を呼びかけています。
(緊急銃猟判断迅速化へ、「現場職員にも権限委譲必要」:山形)
鶴岡市は今月20日に出没したクマに対し、市街地などで猟銃が使用できる「緊急銃猟」制度による発砲を許可したことについて、より迅速に判断すべきだったとして今後、現場で対応する職員にも判断できる権限の委譲を進めていく考えを示しました。鶴岡市では、今月20日、JR鶴岡駅近くの市街地にある住宅の庭の木の下でクマが寝ているのが見つかり、その後、市長が住民の安全確保など条件を満たしていると判断し、「緊急銃猟」制度に基づいて発砲を許可しました。全国で初めてとみられる許可でしたがクマが目を覚まして向かってきたため警察官の命令で発砲が行われました。今回の対応について、鶴岡市は「判断には一瞬のちゅうちょも許されず、住宅の庭でクマを発見した段階で判断すべきだった」と話し、クマが起きて向かってくる前に迅速に対応すべきだったという認識を示しました。その上で、今後、市長だけでなく現場で活動する職員にも発砲を判断する権限委譲を進めていきたいとしています。また、「災害時と同様にスピード感が求められる」として、警察や猟友会との連携を的確に行うため、体制の強化や研修の実施などに取り組む方針を示しています。
(クマの目撃などの件数4月から1127件、過去最多:新潟)
県が公表している「にいがたクマ出没マップ」によりますと、ことし4月から26日午前までにクマの目撃などの件数は1127件となっています。県によりますと4月から9月までの件数としては過去最多だということです。また、県によりますと今年度、クマに襲われるなどしてけがをした人は7人となっています。県鳥獣被害対策支援センターの担当者は、「ことしはクマのエサとなるブナの実が凶作であることからクマの出没が多発し、人身被害の拡大が懸念される」としています。その上で、「過去のデータを見るとクマの出没件数が最も多いのは10月と11月だ。人里周辺での人身被害や目撃が増えていてさらなる警戒が必要だ」としています。県は、「クマ出没警戒警報」を発表していて、クマへの警戒を一段と高めるよう呼びかけています。
(クマ被害にも対応、鳥獣害防止の支援サービス開始)
MS&ADホールディングス(HD)傘下のMS&ADインターリスク総研が、鳥獣被害対応を支援するサービスの提供を近く始めることが26日、分かった。クマに人が襲われるなど鳥獣害が深刻化する中、専門の知識や技術を生かして、現場で対応する自治体や企業を支援することで被害防止につなげる。鳥獣害に特化したコンサルティングサービスは全国でも珍しい。具体的には、担当者が現地で鳥獣の生態や被害状況を調査。必要に応じて、最適な被害防止の手法をアドバイスしたり、鳥獣の駆除を行ったりする。防護柵の設置・維持管理や鳥獣捕獲に関する人材育成も実施する。鳥獣害対策の専門業者うぃるこ(新潟県長岡市)と提携し、自治体や農作物の食害に悩む食品関連企業などを対象に、サービスを提供する。今後、MS&ADHDで鳥獣害を補償する保険商品を開発することも視野に入れるという。森林環境の変化などを背景に、鳥獣がエサを求めて市街地に出没するケースが増えている。特に深刻なのが、クマによる人身被害だ。環境省によると、今年4~8月にクマに襲われるなどの被害を受けた人は全国で69人に上り、年間を通じて過去最多だった2023年度の同時期とほぼ同水準で推移する。69人のうち5人は死亡した。クマを巡っては、駆除を行った自治体に「クマ殺し」といった苦情が殺到する問題も取り沙汰されている。新たなサービスでは、こうした苦情への対応についての支援も行うという。
(シカと列車の接触、5年で5倍超に:和歌山)
紀伊半島の海岸線を走るJRきのくに線で、列車とシカが衝突する事案が多発している。5年前の5倍に増えているが、その理由を探った。9月17日夜。JR西日本和歌山エリアの運行情報を知らせるX(旧ツイッター)にこんな投稿があった。「21時55分頃、きのくに線広川ビーチ駅~紀伊由良駅間で動物と接触し車両と線路を確認したため(中略)一部列車に15分の遅れがでています」。実は記者も今夏、夜間に乗車中の特急「くろしお」がシカと接触し、しばらく現場に停車した経験がある。紀南地域で複数の人に尋ねてみると「娘の通学列車がシカとぶつかった」など、経験者がすぐに見つかった。JR西によると、きのくに線(紀勢線)で列車がシカと接触し10分以上遅れたケースは、2024年度に280件、23年度に340件あった。一方、20年度は53件で、5年間で5倍以上増えた計算だ。JR西の管内全体でも、20年度の1674件から24年度の2005件と増加傾向にある。
(猟友会が新入会員に安全な狩猟への向き合い方を講習:北海道)
来月(10月)1日からエゾシカなどの狩猟期間が始まるのを前に、札幌市内の猟友会は26日夜、新入会員向けの講習会を開き、狩猟を安全に行うための注意点を説明しました。この講習会は、2018年に恵庭市の山中で国の森林事務所の職員が狩猟中の男性に誤って撃たれて死亡したことを受けて、道猟友会札幌支部と北海道森林管理局が毎年、猟期が始まる直前のこの時期に開いています。26日夜の講習会には、ことし猟友会に入会した会員およそ60人が参加し、まず、猟の際に着用するオレンジ色のベストや帽子を受け取りました。そして、道森林管理局の担当者が誤射によって職員が死亡した事故に触れたうえで、体調不良時や天候が悪い時などは猟を中止することが大切だなどと猟を行う際の注意点について説明しました。続いて猟友会の担当者は、猟銃を持ち運ぶ際には銃が見えないようにケースに必ず入れることなど、法律の順守を徹底するよう呼びかけていました。参加した20代の女性は、「楽しむだけではなく、事故などに気をつけて狩猟に向き合いたい」と話していました。また30代の男性は、「講習会を通じて改めて緊張感を持つことができた」と話していました。主催した道猟友会札幌支部の奥田邦博支部長は、「狩猟は安全が1番大事だ。猟銃の危険性をしっかりと学んだうえで狩猟に取り組んでほしい」と話していました。
(クマ被害受け『放置果樹』の伐採費用補助へ:青森)
クマによる人身被害が発生した青森県むつ市は26日、クマ対策として放置されている果樹の伐採費用を補助する方針を示しました。むつ市大畑町では、今月21日畑でクリ拾いをしていた80代の女性がクマに襲われ、顔にけがをしました。命に別条はありませんでした。市は実がなったクリなどの木に近づくクマに注意するよう市の公式LINEで呼びかけているほか、放置されている果樹の伐採費用補助を年内にも始める方針を示しました。★むつ市 山本知也市長「秋の実りにクマが集まってくるこの傾向は逃れられませんので、原因物を除去する費用がかかりますので、躊躇している方がいらっしゃれば市の方で補助させていただいて、伐採することでクマを近づけない」。市内では今月24日までに599件の目撃が寄せられ、去年の19倍以上となる77頭を捕獲しているということです。
(クマスプレー「誤使用」に警鐘、「テントに塗布」はむしろ逆効果)
クマによる人身事故の増加から、クマを撃退する「クマスプレー」を所持する登山者が増えている。だが、使い方を誤ると、かえって危険を招きかねないという。クマを撃退する「クマスプレー」。クマを見かけて、警告の意味で噴射した。そんな人もいるかもしれない。だが、その使い方は完全に「間違っており、むしろ危険」だという。今年7月、登山者がヒグマに向かってクマスプレーを噴射しながら通りすぎる様子が撮影された。北海道・大雪山系白雲岳の山頂付近だ。HTB北海道ニュースによると、撮影者は数百メートル前方で登山道わきを歩くヒグマを見つけた。ヒグマが登山道から立ち去るのを他の登山者と一緒に待っていると、その登山道を進んでいく男性の姿が目に入った。「何事もなければいいんだけれど」と、つぶやく撮影者。ところが、男性はヒグマに20~30メートルまで近づいたところで、ヒグマに向かって右手を突き出し、手にしていたクマスプレーをシュッと短く噴射したのだ。「おい、おい、おい!」と撮影者は声を上げた。クマを刺激しかねない行為だからだ。クマスプレーは、クマから5メートルほどの距離からの使用が推奨されており、これほど離れていては撃退効果はない。だが、クマは鼻が利く。嗅覚は犬の6倍ともいわれる。映像に映ったクマは、スプレーを噴射した男性をじっと見ていた。男性はさらに数回、スプレーを噴射しながら、何事もなく現場を通り過ぎた。他の登山者は、クマがこの場所から離れず危険だと判断し、登山を中止したという。なぜクマはこの場所から離れなかったのか。ヒグマ学習センター代表の前田菜穂子さんによると、現場に残留したクマスプレーの刺激臭が、「クマの興味をひいた可能性がある」と言う。クマはにおいに対して好奇心が強い動物だからだ。「クマは知らないにおいをかぐと、それが何であるか、確かめにやってくる習性があります。そのにおいが強烈であるほど、引きつけられるのです」(前田さん)。前田さんは、学芸員として「のぼりべつクマ牧場」の博物館(北海道登別市)に勤めていた際、ヒグマの忌避剤について研究を重ねた経験がある。前田さんによると、世の中に流布するクマに関する言説には、実態とかけ離れたものもあるという。たとえば、たばこ(ニコチン)、ヘビ、オオカミの糞や尿などは、クマが嫌がるにおいを発するといわれてきたが、どれもクマを近づけない効果は確認されていない。「たばこには興味を示して、食べてしまった個体もいたくらいです」(同)。強いにおいがクマを遠ざけるどころか、かえって引き寄せることすらある――。極めつきはクマ用として販売されていたある忌避剤だ。クリーム状の油性製品で、このクリームを対象物に塗りつければ、クマを遠ざけることができるとうたわれていた。「ヒグマに試してみると、嫌がるどころか、むしろ忌避剤に寄ってきた。クリームを体中に塗りたくって、陶酔しているような状態になったんです」(同)。現在、においでクマを追い払う効果が確認されているのは林業用途の「カラジンS」(サンケイ化学・鹿児島市)など、ごく限られた製品しかない。硫黄臭のする薬剤を樹木の根元に塗布して、クマが木の皮をはぐ「クマハギ」の被害を軽減するもので、人身被害を防ぐ製品ではない。前田さんが特に懸念するのは、トウガラシ成分(カプサイシン)を用いた「忌避剤」と称する商品がいくつも出回っていることだ。「カプサイシンの強力な刺激臭でクマを寄せ付けません」などと記されている商品もある。クマ忌避剤のメーカーは、クマが強いにおいに興味を示すという習性を把握したうえで、開発と検証を行っているのだろうか。カプサイシンはクマを撃退するクマスプレーの成分でもあり、クマよけ効果は実証済みと考える人も多いだろうが、効果を発揮する仕組みが違う。クマスプレーで霧状に噴射されたカプサイシンは、目や鼻、のどの粘膜、皮膚に付着して感覚神経に作用し、強烈な痛みを感じさせてクマを追い払う。世界初のクマスプレー「カウンターアソールト」もその仕組みで、前田さんは開発に協力、北海道のヒグマでも試作品を試した経験がある。だが、カプサイシンの刺激臭自体にクマ忌避剤としての効果は、「ない」のだという。「カプサイシンの強烈なにおいがしたところで、クマには痛くもかゆくもないのです」(同)。興味深い海外の検証データがある。米国とカナダの大学の研究者は、1985年から2006年にかけてアラスカ州でクマスプレーをヒグマとクロクマに対して使用した事例81件を検証した。そのうち、11件は誤用例で、クマから守りたい対象物にスプレーを散布していた。この11件はクマを遠ざけるのにすべて失敗したという。うち2件は散布によって、むしろクマが強く引き寄せられたと報告されている。アラスカ州政府はキャンパーらにこう警告する。「テントなどに、クマを寄せつけないためにクマスプレーをあらかじめ吹きかけておくのは逆効果。刺激臭に興味を持って、かえって近づいてくる」。日本ツキノワグマ研究所の米田一彦代表も、こう語る。「においでクマを追い払う実験はこれまで多く行われてきましたが、すべて失敗に終わっています。したがって、においでクマを追い払うという触れ込みで、科学的根拠のある商品はないと考えています」。ただし、北海道・知床財団に15年間勤めた後、現在も道内でヒグマ対策の実務に従事する石名坂豪さんは、こう指摘する。「臭気と関連づけて、クマが命の危険を感じるような強烈な経験を付加できるのであれば、結果は違ってくる可能性があります。『特定のにおい=危険』と、クマに学習させる(忌避学習づけ)ことです」。実際、北海道・知床では、人に接近するヒグマに対して非致死性の「ゴム弾」を銃で発射する追い払い・忌避学習づけが行われていた。被弾したヒグマは痛みとともに、火薬のにおいを記憶し、人に近づかなくなることが期待されている。だが、ことはそう簡単ではないという。「クマは学習能力が高い。銃を所持した対策員だけを忌避し、観光客らには無警戒なクマもいる。ゴム弾の有効射程(25~30メートル以下)を学習したのか、対策員が接近しても射程外の距離(約50メートル)をキープして、それ以上逃げない事態も経験しています」(石名坂さん)。つまり、「命の危険」や「痛み」の記憶を人間の望む形でクマに学習させることは簡単ではないということだ。クマスプレーを誤って使えば、臭気でクマを呼び寄せてしまうことすらある。また、臭気でクマを追い払うという触れ込みのクマ忌避剤は、かえってクマを引き寄せてしまう恐れすらあることも知っておきたい。
(有害鳥獣対策やジビエ活用紹介:岡山)
農林水産業の技術研究などに取り組む産学官連携組織・NPO法人中四国アグリテック(事務局・岡山大農学部内)は来年1月10日、農山村の有害鳥獣対策を考えるセミナーを岡山市北区駅元町の岡山コンベンションセンターで開く。広島大の西堀正英教授は鳥獣のDNAから生態や行動パターンをモニタリングする手法を解説し、同大の細野賢治教授はジビエ(狩猟肉)を使った商品をブランド化する広島県内の事例を紹介する。ジビエを生かしたまちづくりに長年取り組む島根県美郷町の職員も登壇する。
(マダニ媒介「SFTS」と「日本紅斑熱」、いずれもすでに過去最多:静岡)
静岡県は9月25日、県内で「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」と「日本紅斑熱」の患者が確認されたと発表しました。いずれも年間発生数が過去最多となっていて、県は野外でのマダニ対策を十分にするよう注意を呼びかけています。県によりますと、今回確認されたSFTS患者は、賀茂保健所管内に住む80歳代の女性です。9月10日に発熱し、9月13日に意識がもうろうとして賀茂保健所管内の医療機関に救急搬送されました。マダニにかまれた自覚はなく、刺し口も不明でしたが、検査の結果、9月18日にSFTSと診断されました。日本紅斑熱の患者は、神奈川県内に住む80歳代の女性です。9月10日に発熱し、9月13日に熱海保健所管内の医療機関を受診して入院。翌日に発疹が出現し、検査の結果、9月19日に日本紅斑熱と診断されました。女性は農作業をしていたことから、日本紅斑熱の病原体を保有するマダニにかまれて感染したと推定されます。9月25日現在も入院中ですが、快方に向かっているということです。静岡県内では、SFTSが2021年に初めて確認されて以降、年間4~8人の患者が報告されています。2025年は現時点で8人(うち死亡3人)と、過去最多となっています。日本紅斑熱については、2020年以降、年間5~20人の感染が確認されており、2025年は現時点で20人(うち死亡1人)と、こちらも過去最多となっています。静岡県では、まだ暑い日が続き、秋から冬にかけてもマダニの活動が活発と予想されるため、野山や草むら、畑に入る際は、帽子やタオル、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくし、マダニ対策を十分するよう注意を呼びかけています。「SFTS」は、SFTSウイルスを保有するマダニにかまれることで感染します。マダニにかまれてから6~14日の潜伏期間の後、発熱や消化器症状などが現れ、重症化すると死に至ることもあります。また、マダニにかまれSFTSウイルスに感染した犬や猫の体液からも感染する可能性があります。「日本紅斑熱」は、日本紅斑熱リケッチアという病原体を保有するマダニにかまれることで感染します。潜伏期間は2~8日で、高熱や発疹が現れます。こちらも重症化すると死亡することがあります。
(タイワンリス捕獲のコツ、鎌倉市が紹介:神奈川)
農作物などに被害を与える特定外来生物「タイワンリス(クリハラリス)」の駆除を進める神奈川県鎌倉市は今夏、捕獲に関する情報を紹介する「鎌倉市タイワンリスニュース」を発刊した。捕獲従事者らに、タイワンリスの生態や上手な捕獲法などの情報を提供し、被害拡大防止を図る。不定期だが年2回程度の発行を目指すという。タイワンリスは、台湾や東南アジア原産の外来種で体長は尾を含めて40センチほど。神奈川県内では三浦半島で野生化がはじまり、現在は横浜市や川崎市でも生息が確認されている。農作物被害のほか、樹皮を剥いで樹木の枯死につながったり、電話線をかじったりする事例もあるという。鎌倉市は2000年度から、農作物や果樹などにタイワンリスの被害を受けた市民に捕獲 檻おり を貸し出している。05年に外来生物法の特定外来生物に指定されて以降は、市の防除実施計画に基づき、捕獲従事者証を発行し、檻による捕獲と駆除を行ってきた。市内の捕獲数は徐々に増えていたが、23年度から急増。前年度から倍増の2861匹に上り、24年度も2202匹に。今年度も前年度を上回るペースで捕獲が続く。捕獲したリスは委託業者が回収するが、処理費は過去2年度とも当初予算では足りず、補正予算で増額した。市環境保全課は「山の果樹の実りに合わせて、捕獲数は隔年で増減を繰り返すと言われていたが、その傾向が崩れてきた」と警戒する。このため、上手に捕獲するための情報などを発信しようと、ニュースの発刊を決めた。7月に出た第1号はA4判4ページ。年間捕獲数の推移や地区別の捕獲数のほか、有効な餌などを紹介。落花生を使うことが多かったが、市ではオリーブオイルを数滴垂らした食パンを薦めており、市有地に設置した檻にはかりんとうを使っているという。また、捕獲歴の長い市民のインタビューも載せた。ニュースは捕獲従事者252人に郵送したほか、市の公式サイトにも掲載。同課は「25年間、捕獲用の檻を貸し出してきた中で得られた、うまく捕るための情報をお伝えしていきたい。捕獲数を増やすための参考にしてもらえれば」と話している。ニュースの第1号では、捕獲歴10年以上で、昨年度は96匹ものリスを捕まえた市民に 秘訣ひけつ を聞いている。檻は、リスの動線を観察した上で、庭の木2か所とブロック塀の上の計3か所に設置。毎月の捕獲数などを記録に残して自分なりに分析しており、数が減ってきたら檻の場所を適宜変えているという。餌として使っているのは殻付きのピーナツ。ポケットに入れて持ち歩き、毎日数回の見回りの際に交換することも。ブロック塀上の檻の周辺には、 撒ま き餌としてすり潰したバターピーナツも散らばせている。「匂いにひかれてリスが入りやすくなる」という。
(2人が死亡、3人が負傷した「風不死岳事件」とは:北海道)
風邪不死岳(ふっぷしだけ)は、北海道千歳市に位地する、標高1,102mの成層火山である。「ふっぷし」とは、アイヌの言葉で「トドマツのあるところ」という意味で、かつてはトドマツの林があった。登山者もそれなりにいる山だ。この山では全域でヒグマの出没が確認されており、人身被害も起きている。昭和51年(1976)に起きた「風不死岳事件」が有名だ。同年の6月4日午後、青森県の男性Aが、仲間5人と共に9合目付近でチシマザサ(ネマガリダケ)の伐採作業に従事していた。すると、作業中に突然背後からヒグマに襲われたのである。Aは咄嗟に持っていたナタで反撃。仲間も駆けつけて道具を振り回し、ヒグマがひるんだ隙にAを救出した。その後、Aは病院に搬送され、治療を受けている。翌5日の午前、今度は風不死岳の麓の山林で山菜採りをしていた男性Bが、ヒグマに遭遇した(前述のヒグマと推定されている)。Bは逃げようとしたがつまずいて転倒し、ヒグマに噛みつかれてしまった。一緒にいた親戚の男Cが木を激しくゆするなどしてヒグマを追い払おうと試み、Bを救う。Bも全治2ヶ月という大けがを負ったが、命に別条はなかった。この日は前日の事件もあって、早朝から猟師らが山に入り、パトロールをしていたという。連日の人身被害をうけて、風不死岳にはヒグマ出没警報が出され、入山しないよう呼びかけることになった。ところが同月9日、道内在住の4家族、計11人がタケノコなどを採るために入山。それぞれが散らばって作業をした。その後、昼過ぎに決めてあった通り集合したものの、58歳の男性D、54歳の男性E、そして26歳の男性Fが姿を現さなかった。心配した家族は、3人を探すために山に戻る。まず発見されたのはFで、血塗れの状態だったという。重傷だったが迅速に搬送されたこともあって一命をとりとめた。家族からの通報を受けて、県警や猟師らがDとEの捜索を開始。その結果、EはFが倒れていた地点から約15m離れた場所で発見された。急いで救出に向かおうとした面々の前に、突然ヒグマが現れた。居合わせた猟師が即座に一斉射撃を行い、ヒグマは射殺された。しかし、Eは後頭部と両足を噛まれて既に死亡していたという。さらに、そこから50mほど離れた場所でDも発見されたが、こちらも既に亡くなっていた。体は損傷が激しく、凄惨な現場だったという。射殺されたヒグマは体長約1.7m、体重約200kgの雌で、「牙の間に人間の髪の毛が挟まっていた」と北海道新聞に報じられた。その翌日から国道に検問所が設けられ、山菜やタケノコ採りなどを目的とする入山を禁止する措置がとられたが、結果的に2人が死亡、3人が負傷するという事件になってしまった。
(玩具銃52丁押収、買い取り販売店から:愛知)
名古屋・緑署が、玩具銃として販売されているものの、実弾が発射でき、殺傷能力もあると認定された52丁を、名古屋市内の買い取り販売店から押収していたことが、捜査関係者への取材で分かった。警察庁が規制対象と認定した17種類に含まれる。インターネットやゲームセンターなどに出回っており、全国の警察が回収を進めている。署は銃刀法違反(所持)の疑いで、買い取り販売店の店長を書類送検した。悪質性はなく、起訴を求めない意見を付けたとみられる。捜査関係者などによると、押収された52丁は同じ種類。銃身がプラスチック製で折り畳みもできる。銃身と弾倉が貫通しているほか、弾を打つ「撃針」もあり、本物の銃と似た構造だった。本来はプラスチック製の弾を撃つが、愛知県警の鑑定では、改造すれば実弾も発射できる能力があることが確認された。
(イノシシ・ニホンジカ狩猟カレンダーについて:福島)
現在、イノシシやニホンジカによる農林業や生活環境への被害が全国で問題になっています。福島県においても個体数の増加や生息域の拡大により被害が発生しております。そこで福島県では、狩猟期間中にイノシシとニホンジカの狩猟を行った狩猟者からの情報を集めています。集まったデータを元に、地域ごとの捕獲頭数や目撃頭数、狩猟活動日数、雌雄の割合などを調べることで、生息状況や個体数増減の傾向分析に活用します。今年度の「わな猟」「銃猟」の狩猟者登録証の発行を受けた方のうち、イノシシ、ニホンジカ猟に出掛けた皆さんにおかれましては、「狩猟者登録証」裏面の報告事項とともに、「イノシシ・ニホンジカ狩猟カレンダー」への目撃情報、捕獲情報の記入に御協力ください。登録証裏面の報告事項は捕獲実績のある全鳥獣が対象ですが、狩猟カレンダーではイノシシ、ニホンジカに絞り、捕獲の成否にかかわらず出猟結果を記入願います。イノシシやニホンジカがどこに、どれくらい生息しているのかを把握し、農林業や生活環境への被害対策のため適切に管理していくための計画の策定や各種施策に反映するための基礎資料として活用します。狩猟者登録証の裏面の報告で、「捕獲数」は把握できますが、より精度の高い生息状況の推計を行うためには、「何回猟に出て、何頭のイノシシやニホンジカに出会ったか」という情報が必要になります。目撃する確率(目撃効率)が高い地域では、生息数も多いことになります。そのため、「出猟したが、イノシシやニホンジカに1頭も出会わなかった」という情報も大切な情報になります。
(年間164億円の被害「獣害」が深刻化、対策の最前線を追う)
今回のテーマは、「緊迫!獣害と闘う」。近年、人間と野生動物との関係に大きな変化が起きている。人が住む地域にクマが出没し、イノシシやシカが田畑を荒らす。なぜ、野生動物による被害が増えているのか? 地球温暖化による動物の食料不足が起きるなか、過疎化による里山の荒廃や耕作放置地の増加、さらに猟師の高齢化による人手不足など、様々な要因が事態を深刻化させている。国や自治体が主導する対策に限界があるなか、従来にない手法で害獣駆除とビジネスを両立させ、人間と野生動物の関係を新たに築いていこうとする企業が現れた。それは一体、どんな仕組みなのか? 獣害対策の最前線を追いかける。栃木県の南端から埼玉県、茨城県、群馬県に広がる渡良瀬遊水地。山から遠く離れたこの観光スポットに、10年前まではほとんど見かけなかったイノシシが急増。今では1000頭以上に。農家の小堀貞雄さんは、収入源だったサツマイモをイノシシに掘り起こされ、わずか数日で食べ尽くされた。「全滅。被害額としては300万円ぐらい」(小堀さん)。渡良瀬遊水地の周辺は、清らかな水を使った米づくりも盛ん。米農家の石川義夫さんは、150万円をかけて田んぼを守る柵を設置したが、それでもイノシシの侵入を防げないという。畦が壊されると田んぼに水を引けず、コメを育てられない。イノシシは体についたダニなどを取るために転がり回る「ぬた打ち」という行動を繰り返し、稲をなぎ倒す。たとえ収穫できたとしても大きな問題が。「(イノシシの)臭いが(コメに)残る。嫌がられて、普通なら一等、二等だが、等外になって安くなってしまう」(石川さん)。暗視カメラを設置すると、その夜もイノシシが現れ、柵の切れ目を見つけて田んぼに侵入。3頭のイノシシが稲穂を食べており、さらに巨大な1頭が柵を悠々と乗り越えていた。カメラが捉えた映像を見た石川さんは、「最悪。このままでは、来年(コメを)作れなくなる」と嘆く。栃木市役所には、連日イノシシ被害の相談が寄せられている。獣害対策係の栗原 靖さんは、「ここ数年で一気に問題が大きくなっている。捕獲に関しては、地元の猟友会に頑張ってもらっているが、ハンターの数が減っているので、駆除の担い手の確保が喫緊の課題」と実情を話す。野生鳥獣による農作物の被害額は、全国で164億円(2023年度)。一方、ハンターの数はかつての半分以下で20万人ほどに減少し、60歳以上が約6割を占め、高齢化が進んでいた。栃木県猟友会の関口 淨さん(75)は、栃木市役所からの依頼でイノシシの駆除を請け負っている。有害鳥獣に指定された野生動物は自治体が認めれば捕獲でき、関口さんが所属する猟友会は、去年1年間で30頭を捕獲した。現状、被害を減らす手立ては他になく、1頭捕獲すると自治体から1万6000円の報奨金が出るが、人手は足りていない。関口さんは「若い人は仕事を持っているから、見回りができない。(イノシシが罠に)入ったから今来てくれと言っても、仕事に行っていたら来られない。俺たち、あと何年持つか…」と、将来を案じていた。神奈川・小田原市。この街でも、境界線を越え、人間の生活を脅かすシカやイノシシが急増しているが、駆除を担うハンターは慢性的に不足している。そこで始まったユニークな取り組みが「ハンターバンク」だ。狩猟に関心がある人を募り、指定された有害鳥獣の駆除に力を借りるというもので、狩猟免許の有無は問わない。「ハンターバンク」を運営するのは「小田急電鉄」。小田急線沿線には田畑や山間部があり、野生動物との接触事故で電車が止まるなどの経済的な損失が出ている。小田急電鉄ハンターバンクプロジェクトの有田一貴さんは、狩猟体験をビジネスにすることで持続可能な仕組みを作ろうと考えていた。ハンターバンクでは、参加者が小田急に月額1万5000円の会費を支払う。その代わり、小田急は罠や監視カメラなどの狩猟道具を貸し出し、行政手続きのサポートなどを行う。参加者は、3カ月にわたって捕獲や解体を体験。ハンターにお金を払って駆除するのではなく、狩猟の参加者からお金を貰い、駆除を手伝ってもらうという逆転の発想だ。有田さんが発案し、3年前に始まったハンターバンクは、これまで約700人が参加。現場には狩猟免許を持つ現地パートナーが同行し、この日は高校生の姿も。参加者は当初の予想以上に増え続け、現状は赤字だが、来年度の黒字化を見据えているという。「我々が予想していなかった趣向の人、例えば、家庭菜園をやっていて獣害問題に興味を持った人、自分で捕獲して食べることに興味を持つ人、狩猟がいろいろな角度から魅力を持ってもらえるコンテンツであることが見えてきてた。実はマーケットも大きいのではないか」(有田さん)。8月下旬、ハンターバンクに「イノシシが罠にかかった」と連絡が入った。現場に行くと、大量のイノシシが。危険が伴う作業だが、どのように駆除するのか。さらに有田さん、ハンターバンク事業拡大のため、“ある行動”を起こしていた――。札幌・すすきの。ジンギスカンの激戦区に、連日満員の繁盛店「山小屋」がある。人気の理由はエゾシカ肉で、臭みのない上質な赤身は、栄養価が高く低カロリー。うまみもたっぷり感じられる。女性ハンターの高野沙月さんは、ジビエとしての評価が高まっているエゾシカに着目して起業。以前は、東京のデザイン会社に勤めていた。「友達と行った店が、ジビエを扱う居酒屋さんだった。ジビエを食べたら、すごくおいしかった。自然にあるもの、山で育っているものがこんなにおいしんだとびっくりした」。北海道出身の高野さんは、そんな経験から地元・十勝にUターン。狩猟免許を取得し、地域おこし協力隊として働きながら、北海道猟友会に所属した。意外なことに、北海道猟友会には若いハンターが多く、全国のデータを見ても、20~30代の狩猟免許取得者は増加傾向にある。高野さんは、若手ハンターを活用すれば、駆除がビジネスになると考えた。北海道では、近年、エゾシカの個体数が増え過ぎており、農作物被害や交通事故が深刻化。有害鳥獣に指定され、多くの地域で駆除が続いているが、食用として施設に持ち込まれるのは3割未満だ。そこで高野さんは、2019年にハンターと飲食店をつなぐ会社「Fant」を設立。駆除したエゾシカの肉を飲食店に卸している。繁盛している「山小屋」も、Fantからエゾシカのモモ肉を毎月120キロ仕入れている。「お客様は、獣害対策のために買うわけではない。おいしいから買う、おいしくなければ買わない。魅力あるものが広まることによって、ハンターの活躍の機会が増えていくことが重要」(高野さん)。高野さんが始めたのは、誰でも簡単にジビエ肉を購入できるネット販売サービスで、注文した肉は、宅配便で到着する。飲食店に限らず、個人でも購入可能だ。注文があると、Fantから登録しているハンターに連絡が入り、対応できる場合はスマホを通じて返答。今回の注文は「シカのモモ肉3キロ」で、登録ハンターの鈴木克弥さん(33)が引き受けたが、この後、害獣駆除の知られざる苦労を目の当たりにする――。
(変わったのはクマか人か…「ヒグマの人慣れ」)
全国で相次ぐクマの被害。北海道・知床ではヒグマの“人慣れ”が深刻化しています。「人とクマの共生」で知られる世界遺産の地でいま、何が起きているのでしょうか。各地で相次ぐクマ被害。26日夜、札幌市では犬の散歩中だった40代の男性がヒグマに襲われ、右腕を負傷しました。2025年4月~8月末までにクマの被害に遭ったのは全国で69人。そのうち、死亡した人は5人と、過去最多の水準で推移しています。長年クマとの共生を掲げてきた町でも、その足元が揺らいでいます。雄大な自然に囲まれた世界遺産、北海道・知床。その自然を象徴するのが野生動物「ヒグマ」です。知床半島全体に400頭~500頭、世界屈指の高密度で生息しているとされます。地元の漁師 古坂彰彦さん「昔から普通にクマがいる。本当に共存って感じだった」。ヒグマと共に生きるため、町をあげて対策に取り組んできた知床。市街地には生ごみなどでヒグマを引き寄せないよう、頑丈なごみステーションが設置され、海沿いには街へのヒグマの侵入を防ぐために電気柵が張り巡らされています。こうした対策を担うのが、野生動物の管理などを行う「知床財団」です。知床財団 玉置創司 事務局長「人を大事にするのか、クマを大事にするのか、どっちかじゃなくて両方だと我々は思う。両方生きる道を模索しなきゃならない」。しかし、エサが不作だった2年前の2023年にはヒグマが市街地に数多く出没。地元住民の生活は脅かされました。地元の漁師 古坂彰彦さん「コンビニの前とかホテルの前とかにいた。家の前出てすぐ獣臭がして『絶対クマいる』って」。2023年度、知床では過去最多となる128頭が駆除されることになりました。そして、2025年の夏、恐れていた事態に発展しました。「担架に乗せられた人でしょうか。いま道警のヘリに吊り上げられています」。この地に、衝撃が走ったのは8月のこと。羅臼岳に友人と登山に来ていた東京に住む26歳の男性が、下山中にヒグマに襲われ死亡しました。2005年の世界遺産登録後、初めてとなるヒグマによる死亡事故。事故が起きた登山道の入口は、9月末現在も閉鎖されたままです。事故当日も登山客を見送っていた山小屋の管理人。一つ後悔していることがあります。羅臼岳の山小屋管理人 四井弘さん「問題行動、『逃げないクマがいる』という情報はあったから、そういう情報はそれぞれ朝登っていった人たちには伝えていたんだけど、たまたまクマスプレーのレンタルの仕方を(他の客に)説明していて、肝心要の彼ら(被害者)には伝えられなかった」。現場付近では母グマと子グマ2頭がハンターによって駆除され、DNA検査の結果、母グマが男性を襲ったことが分かりました。男性を襲った11歳の母グマは、人に出会っても逃げない個体で、知床財団はこれまでに追い払いを度々行ってきました。知床財団 玉置創司 事務局長「今年だけで30回くらい目撃されている個体。人を恐れない個体であるというのは間違いない。昔のクマだと人を恐れて、人になるべく姿を見せないというのもあるが、このクマは特にそういう状況が見えなかった」。財団からは「SH」という識別コードで呼ばれていたこの母グマ。出没していた地名から、いつしか「岩尾別の母さん」という愛称で知られるようになりました。知床のヒグマの生態に詳しい専門家は“人間とクマの距離感が失われつつある”と感じています。南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖 主任研究員「愛玩動物じゃないですから。日本で一番強い野生動物なわけですから。それを勘違いすると駄目だと思う。(子グマは)お母さんに連れられて人の前に出てくると、『人が何もしないんだ』というのを覚えちゃう。人慣れした状態がどんどん変わって変わって変わって受け継がれて、何頭増えましたかという話。それが現状」。今の知床では、人を恐れないヒグマに遭遇するのは珍しいことではありません。動画の撮影者「登山できないよ、これ。子グマ2頭もいるし」。事故4日前の8月10日、羅臼岳で撮影された映像には、3頭のクマの姿が。撮影者によると、このヒグマはこの後、登山道に入り「人を怖がる様子もなく近づいてきた」といいます。9月2日には、知床横断道路で車を恐れることなくゆっくりと近づいていくヒグマの姿も目撃されました。私たちも財団との同行取材中にヒグマに遭遇しました。道路のすぐそばに現れた親子のヒグマ。一瞬こちらに目をやり、15秒ほど経つと、藪の中に消えていきました。知床財団 玉置創司 事務局長「いまのクマも我々見ていたので、人との距離をあまり分からなくなってるクマだろうなって。逃げなかったですよね。目も合わせていたし」。知床財団職員「こらー!ダメだ、エサやったら」。知床のヒグマを人慣れさせたのは、“人間側”だと指摘する声もあります。ポイ捨てされたゴミ袋をくわえるヒグマ。一度、人の食べ物の味を覚えたクマは、食べ物を奪おうとしたり、車などに侵入したりするようになるといいます。地元住民「(Q.今と昔の変化は)クマよりも人なんじゃないですか、きっと。食べ物が美味しかったら、そりゃ出てくるんだから、食べ物与えないとか、そういうことを住民は知ってるけど。結局、観光客は動物園感覚で来るから。人間が変わったんじゃないですか」。山小屋の管理人も、“人慣れを加速させる人間”の存在を指摘します。羅臼岳の山小屋管理人 四井弘さん「河口の方にいる(エサの)カラフトマスを捕まえるクマの写真を撮る人が、めちゃくちゃ多い」。知床国立公園内の、ヒグマが多く出没するイワウベツ川。人々の視線の先にいるのは、エサを獲りに来たヒグマです。羅臼岳の山小屋管理人 四井弘さん「本当に多い時は100人以上のアマチュアカメラマンが集まって、クマが出てきたってなったら、みんなで一斉にクマに近寄って写真撮るわけ。人間にバーッて囲まれたら『人間ってあんまり怖くないんだよね』というのは(クマが)必ず学習していると思う」。現在、自然公園法では、ヒグマなどの野生動物への付きまといや過度な接近が禁止されています。9月、この場所には“クマ待ち”を防ぐ目的で監視カメラが設置されました。知床財団 玉置創司 事務局長「『できる限り距離を取ってくれ』というのは広報はしていますし、いろんな看板を立てていますけど、なかなか守られないのが現状」。人間の無自覚な行動がクマの人慣れを招く。その結果、本来必要なかったはずの駆除が発生しているのが現実だといいます。知床財団 玉置創司 事務局長「人を恐れなくなった個体というのは、やっぱり距離感が失われていて、そこを適切な距離に戻せる個体はおそらくいないと思います。近づく行為というのは、エサやりとあまり変わらないと認識していただいた方がいいのかもしれない。その後、皆さんはもしかしたら知ることはないかもしれませんが、知床ではその個体が駆除されているという現実もあります」。
(クマが店に体当たりして立ち去る:岩手)
9月25日午後、岩手県盛岡市内の中心部でクマが目撃されています。クマはマンションに併設された店に体当たりして、その場を立ち去りました。けが人や店舗への被害は確認されていません。25日の午後2時半ごろ、盛岡市大沢川原にあるマンション併設の店舗の出入り口に、「クマ1頭が体当たりした」と、店の人から警察に通報がありました。警察によりますと、クマは体長1mほどで、けが人や店舗への被害は確認されていません。現場は盛岡駅から東に約300mの場所で、マンションが立ち並び、近くには北上川が流れています。この河川敷では、午後3時以降にクマを目撃したという通報が相次ぎ、付近は一時騒然としました。警察は、目撃されたのは全て同じ個体とみて、周辺のパトロールを行い、住民に警戒を呼びかけています。
(山陽線に遅れ、イノシシと接触:岡山)
JR西日本によると、山陽線は26日午後9時4分ごろ、福山―備後赤坂間で列車がイノシシと接触したため、車両と線路を確認した。この影響で岡山―糸崎間の一部列車に最大44分の遅れが出ている。
(カメラが捉えた「クリを食べる親子グマ」、校舎から50mの林で最大4頭目撃:岩手)
岩手県八幡平市の安代中学校からわずか50m離れた場所でクマの親子4頭が目撃され、地域に緊張が走っている。クリを食べる様子がテレビカメラに捉えられ、猟友会が出動する事態となった。安全確保のため学校側はクリの木の伐採を決定し、警察も周辺の警戒を強化している。専門家は「子連れの母グマは特に危険」と警戒を呼びかけている。「いるいる、何かを食べているようです。クリを食べていると思われます」と内記和人記者が緊張した様子で伝えた。9月25日午後2時ごろ、八幡平市清水の安代中学校から北にわずか50mほどの林で、クリの木の下にとどまる3頭のクマの姿を岩手めんこいテレビのカメラが捉えた。カメラに気付いているようだが クマは全く逃げるような素振りはない。警察によると、同日午前8時ごろ、安代中学校の校舎内にいた生徒が外の林で2頭のクマを目撃した。さらに約3時間後には、ほぼ同じ場所で成獣と子グマとみられるクマを2頭ずつ、合計4頭を用務員の男性が目撃している。現場には午後3時頃、猟友会のメンバーが到着。その直後、カメラに捉えられていたクマたちは林の奥へと姿を消した。クマを目撃した安代中学校の用務員は「毎年のように周辺に足跡があったので大変危ないと思う。生徒はみんなクマ鈴を付けている」と話し、日常的なクマの出没に対する警戒感を示した。現場は東北自動車道安代インターチェンジから南西にわずか400mほどの距離にあり、近くには住宅が建ち並ぶ地域だ。安代中学校は25日、もともと午前授業だったため昼ごろに生徒たちを保護者に迎えてもらったり集団下校させたりする措置を取った。翌26日朝には、校門付近や昇降口まで保護者に車で送迎される生徒の姿が見られた。これまでに人への被害は確認されていないが、学校はクマが来るおそれがあるとして、敷地内にあるクリの木の伐採を決定した。佐藤公一校長は「地域の人たち・行政・警察が(クマの対応に)動いてくれるので、そういう人たちの協力を得ながら、生徒の安全を第一に図っていきたい」と語った。警察は現場周辺の通学路を中心に警戒を続けているが、26日朝の通学時間には、クマの姿は確認されなかった。クマの生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんは今回の目撃について「雄は子どもを殺す可能性があるので4頭のうち成獣は母親と子どもの雌、もしくは姉妹と思われる」と分析。さらに「子連れの母グマは危険なので近づかないでほしい」と強く注意を呼びかけている。
(山はジビエ、海はサーモン:岩手)
東日本大震災とコロナ禍を経た町にもう一度、光を――。そんな思いで、岩手県大槌町で明治時代から続く割烹(かっぽう)「岩戸」の店主・佐藤剛さん(56)が9月から、地元産の食材をふんだんに詰め込んだランチ「大槌之(の)極 松花堂御膳 土鍋飯仕立(じたて)」を始めた。大槌町の市街地で「迎賓館」的な存在だった岩戸は2011年3月の津波と火事でなくなったが、翌年7月、町郊外の住宅地の一角で再建した。被災者の食事を5カ月間作り続けた佐藤さんは、再建後に先代の父・四郎さん(震災後死去)を継いだ。老舗の味を守り、被災地視察に来た故・安倍晋三元首相ら多くの要人をもてなした。リアス海岸にある大槌は、海と山が近く、両方の幸が豊富にある。ただ、その特産品は震災前と後とでかなり変わった。狩猟後すぐ処理した若い鹿の肉は高級食材として知られるようになった。天然のサケが取れなくなった一方で「大槌サーモン」と呼ばれる銀鮭(ぎんざけ)やニジマスの養殖が盛んになった。佐藤さんはその2品を主役に、地元産の食材で新しい松花堂弁当(升形に仕切られた弁当)を作ろうと考えた。その日に仕入れた食材を生かした調理をするので、メニューは毎日変わる。例えば今月13日は、鹿肉をローストしてワラの香りをつけ、大槌サーモンは皮をパリパリにした塩焼きに。海産物は大槌でもとれるようになったメジマグロのゴマたたき、マダコの梅ソース仕立てなど。野菜はナガイモのそうめんやクルミ豆腐など。弁当箱の外には土鍋のご飯、生のりの自家製みそ汁、デザートのメロン大福を添え、計17品。食材は基本、大槌産で、手に入らないときも隣接する釜石市や山田町産の食材を使う。「いわゆる高級食材でなくても、地元の新鮮な素材こそ『高級』。夜のコースよりは気軽に、昼ごはんを少しぜいたくしてもらえれば」と佐藤さん。人口減が進み、震災直後ほどは人が来なくなった大槌町ににぎわいを戻す一助になればと、仕込みに余念がない。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、27日午前5時30分ごろ、栗原市花山本沢天神にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、25日午後5時50分ごろ、仙台市青葉区作並川崎にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、25日午後3時50分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋山崎にクマが出没しました。
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(クマに襲われる、登山者が林道で遭遇:長野)
登山者がクマに襲われました。9月25日午前10時過ぎ、長野県飯田市南信濃の林道で、1人で登山をしていた30代の男性が、前から来たクマと遭遇しました。男性が背負っていたリュックサックを持ちかえ、構えていたところ、クマはリュックサックをひっかき、山の方に戻っていったということです。クマは1頭で、体長は1メートルほどだということです。警察は近くの登山口などで登山者に注意を呼びかけています。
(行方不明から一転、無事確認のハンター逮捕:北海道)
2025年7月、北海道函館市恵山で行方不明になったあと、9月9日になって無事が確認されたハンターの男が、恵山の山林にライフル銃を放置したとして逮捕されました。銃刀法違反の疑いで逮捕されたのは、北斗市に住む52歳の男です。男は2025年7月、函館市高岱町の山林にライフル銃1丁を放置した疑いがもたれています。男は当時、「山に行く」と家族に告げたあと自宅に戻らず行方不明となっていましたが、9月9日になって函館中央署を訪れ、「遭難者として捜索されていたので来ました」などと話し、無事が確認されていました。警察によりますと、ライフル銃は男の車の近くで見つかり、銃には実弾一発が装填されていたということです。男は「私が銃を放置して適切な保管をしなかったことに間違いありません」と容疑を認めています。
(キノコ採り中のクマとの遭遇や遭難に注意を:岩手)
本格的な秋のシーズンが始まる中、警察はキノコ採りの際のクマとの遭遇や遭難に注意するよう呼びかけています。警察によりますと、去年までの5年間に県内ではキノコ採りの際の遭難などの事故が合わせて50件発生し、遭難者は55人に上っていて、ほぼ全員が60歳以上です。原因別に見ますと、「道に迷った」が22件、「滑落した」が16件、「クマに襲われた」が8件などとなっています。死亡したのは10人で、原因別では「滑落した」が6人で最も多く、「クマに襲われた」、「病気」、「転落した」、原因不明がそれぞれ1人となっています。県警察本部地域課は、「ことしはクマの目撃が多く報告されている」とした上で、キノコ採りの際はクマとの遭遇を避けるため鈴やラジオを鳴らす、夜間や夕方の時間帯には山に入らないようにする、クマよけスプレーといった道具を携帯するなどして対策を取るよう呼びかけています。また遭難を避けるため、山に入る際は家族や友人などに行き先や帰宅時間を知らせる、2人以上で山に入る、万が一に備え食料や雨具、懐中電灯や笛を携帯し、特に連絡手段となる携帯電話を携帯するなどの対策を取るよう呼びかけています。
(市町の判断で発砲する「緊急猟銃」の訓練実施へ:福井)
この秋は、クマのエサとなるブナなどの実が不作なため、クマの大量出没が予想される中、大野市が対策会議を開きました。クマの駆除を巡っては、9月から新たに市や町の権限で市街地で猟銃を使用できる「緊急猟銃」が始まったことから、大野市で28日に対応訓練が行われます。市が開いた会議には、県や市の担当者、地元の猟友会などが出席しました。会議では、県内のクマの出没は今年4月から9月21日までに394件確認され、大野市の件数は県内の市町で2番目に多いことが報告されましたまたクマの駆除について、9月から市町の権限で市街地での猟銃の使用が出来るようになったことから、県と市は適切に実施できるよう対応訓練を行うとしました。訓練は、28日に大野市の旧尚徳中学校付近で実施。駆除まで一連の流れを確認するとともに、手続きのマニュアルを整えることにしています。
(AI搭載の防犯カメラで「クマ検知」、三井住友海上がスマホアプリで通知)
三井住友海上火災保険は、AI(人工知能)機能を搭載した防犯カメラで民家に近づくクマを検知し、スマートフォンのアプリを通じて利用者に知らせるサービスを10月1日から始める。クマ以外の野生動物などの検知も可能という。同社が2023年11月から販売している防犯カメラに、クマなどの検知機能を追加する。事前に設定すれば強い光を出してクマなどを撃退する機能を搭載した製品もあり、住宅向けの屋外カメラの本体価格は税込み6万9700~9万1000円。また、AI分析機能や通知サービスを利用するには、月額1980~2980円が必要となる。昨年10月に東武動物公園(埼玉県宮代町)で実証実験を行ったところ、高い確率で検知できたという。同社は山間部の道路や学校への設置も想定しており、自治体や教育機関などにも販売したい考えだ。
(ドローンで害獣駆除、深刻化するシカによる農業被害の解決につながるか:広島)
深刻化するシカの農業被害の課題解決になるのでしょうか?広島市で、特殊なドローンを使ったシカの追い込み猟が行われました。ドローンから大音量で響き渡るのは、猟犬が激しくほえる声です。狙うのは、山林に潜むシカの群れ。声でシカを追い立てます。20日、広島市安佐北区大林町の山林には市の委託を受けた業者と地元の猟友会のメンバー、あわせて70人が集まりました。シカの駆除で行われる「巻き狩り」は、猟犬がシカを追い込み、待ち構えた猟師が捕獲する伝統的な猟ですが、今回はその猟犬の役割をドローンが担います。アイロジャパン 志村伊織 代表取締役「北は北海道から南は鹿児島までいろんなところでドローン使ってもらってます。今までの知識と現代の新しい技術を融合して、新しい猟の形ってことで」。全長1.2メートルのこのドローンは、犬の鳴き声のほか、煙火を打ち上げて銃声を再現することもできます。広島市のシカの捕獲数は年々増加傾向にあり、おととしは2千頭以上と、2006年と比べて5倍近く増えています。特に安佐北区では、広島市内のシカ捕獲数のおよそ7割を占めています。しかし、駆除の担い手である猟友会はメンバーの高齢化が進み、猟犬の育成も大きな負担となっているのが現状です。広島市のドローンを使ったシカの駆除を試みは、9月7日に続き2回目。前回は3頭捕獲しましたが、この日はシカを捕獲することができませんでした。しかし、一定の成果が見られたようです。猟友会メンバー「犬の声は結構リアル。(シカが)いれば出てくるのかなと思う」。広島県猟友会 國武訓扶衛 会長「特に夏場がいいんじゃないですか。人間も暑い時期だし、犬も嫌がりますよ。双方の良いとこをとりながらやっていけばいいんじゃないですか」。広島市は今後も、成果を見ながら導入を検討したいとしています。
(ツキノワグマ対策連絡会議:兵庫)
集落など人の生活圏へのツキノワグマの出没が社会問題化している現状を踏まえ、関係機関が連携してツキノワグマによる人身被害等の発生防止を図るため設置しました。第1回連絡会議には、会長の齋藤知事を始め、副会長の服部副知事、構成員の関係部長らが出席しました。会議では、森林動物研究センターからツキノワグマの出没情報等が報告され、短期的及び中長期的な被害防止対策の実施に関することの確認、知事からクマによる被害発生を防止するための注意喚起を行いました。
(イノシシなどの農地侵入防ぐ対策学ぶ:鹿児島)
イノシシなど野生動物による農作物への被害を防ごうと、垂水市で野生動物の農地への侵入を防ぐ対策を学ぶ研修がスタートしました。垂水市で24日から始まった研修会は、全4回の行程で野生動物から農作物を守る対策を学び、侵入防止用のさくの設置を自分たちでできるようになるのが目的です。24日は地元の公民館に農家などおよそ30人が集まり、イノシシやサルといった野生動物による被害の現状や自分たちでできる対策などについて専門家から学びました。それによりますとイノシシは実りの秋の10月に最も活発になることから畑の周りにえさになる野菜などをそのままにしないことや収穫しなかった果実の管理、草刈りなどが対策として重要だということです。参加した80代の農家の男性は「鳥獣被害でみんなが難儀しているのでとても参考になった」と話していました。別の60代のびわ農家の男性は「知らないことが結構あり、また参加したい。集落のみんなで対策しようという機運が農地を守っていくし、この地域の特産のびわがサルやイノシシの被害に悩まされているので、研修が対策のいい機会になる」と話していました。主催した垂水市農林課の森秀和課長は「人口減少にともない、中山間地域に荒れた土地が多くなって、有害鳥獣の被害も多くなっている。農家は今まで懸命に農地を守ってこられたので、少しでも維持できるよう手助けしていきたい」と話していました。
(県が9月補正68億円、イノシシ100頭追加駆除の費用も:新潟)
新潟県は25日、日本酒の原料となる酒米の価格高騰に苦しむ県内の酒蔵を支援するための経費などを盛り込んだ、約68億円の令和7年度9月補正予算案を発表した。30日から始まる県議会9月定例会に上程する。当初予算と合わせた予算総額は約1兆2723億円。イノシシ約100頭を追加で駆除するための経費として、360万円を計上。県農林水産部によると、6年度のイノシシによる農作物被害は前年度から倍増の約1億4千万円に上り、被害を抑えるためさらなる駆除が必要になった。
(長野4人殺害事件、青木政憲被告(34)に「死刑」を求刑:長野)
2023年5月、長野県中野市で住民の女性2人と警察官2人を殺害した罪に問われている青木政憲被告(34)の裁判員裁判で、9月24日、検察は被告に死刑を求刑しました。判決は10月14日に言い渡される予定です。長野地方裁判所で開かれている公判では、9月22日までの8日間で、被告の両親や検察側、弁護側の依頼で精神鑑定を行った精神科医など8人の証人が出廷しました。被告人質問も3日間に渡って行われましたが、青木被告は「すべての質問に黙秘します」などと述べ、黙秘を続けています。このため、被告の捜査段階の供述調書が証拠として請求され、これを裁判所が認めて、法廷でその内容が読み上げられました。女性2人を殺害した時の状況はー。被告の供述調書より:「2人の(被害)女性は、事件の1、2年前から、散歩中に毎回、私に対し『ぼっち』と悪口を言いました。自分たちでまいた種で、殺害されても仕方がないと思い、殺意をもって攻撃しました。怒りの積み重ねが我慢の限界になり、逮捕されても仕方がないと思いました」。警察官2人の殺害についてはー。被告の供述調書より:「警察から射殺されるのは嫌なので、射殺される前に撃とうと思い、引き金を引きました。この時、(警察官2人が)死ぬかもしれないと思いましたが、それでも構わないと思いました」。青木被告の両親も証人として出廷。2013年に大学生だった被告が1人で暮らすアパートを訪れたとき、「学校で『ぼっち』や『きもい』と言われるいじめにあっている」「アパートに隠しカメラや盗聴器があるので気をつけて」などと訴えていたと証言しました。事件を起こした直後、被告と家で一緒だったという母親は被告の様子について「興奮状態で、手に銃を持ち、銃撃戦に備えている様子だった」と明かし、「『自首するように』とすすめたが『警察に捕まっても長い裁判の末に絞首刑になる。長く辛く苦しいのでそんな死に方は嫌だ』と言っていた」などと証言しました。また、父親は事件の約9カ月前、家族が経営していた市内のジェラート店で被告がアルバイトの男性に突然殴りかかったトラブルがあったと明かし、その時の被告の様子について「『ぼっちぼっちとバカにしただろ』『ぶっ殺すぞ』と、初めて聞く大声を出していた」などと証言しました。裁判の争点は被告の「責任能力」と「量刑」。被告の過去の言動などを踏まえ、被告は被害女性2人から「ぼっち」などという悪口を言われたという妄想を抱いていたことは、検察側、弁護側とも共通しています。検察側、弁護側の精神科医は「妄想が犯行に与えた影響」について、それぞれ異なる見解を示しました。検察側の依頼で精神鑑定を行った医師は「被告は重度の『妄想症』があった」と証言。女性2人に対する「動機の形成には妄想が影響したが、殺害の実行には影響していない」「警察官2人に対しては逮捕などを逃れる行為で、動機の形成にすら妄想は影響していない」と説明しました。一方、弁護側の依頼で精神鑑定を行った医師は犯行時の被告は「未治療のまま経過した統合失調症が再燃した状態で、正気と異常な状態を本人が認識できない状況だった」とし、4人の殺害に及んだ行動は「妄想に支配された行動だった」と説明しました。9月24日の公判では、被害者参加人として裁判に参加している遺族の意見陳述が行われ、被害者の思い出や現在の心情を語りました。その中で遺族は「どれだけ攻撃されて傷ついたか、どんな恐怖だったか想像もできない」「4人の命を奪っておきながら、この先も生き延びるなんてあり得ない」「(被告人に)死刑しか望みません」などと訴えました。そして、24日午後、検察は「いずれの犯行も確定的な殺意に基づく冷酷なもの。被告の生命軽視は顕著」「4人を殺害した結果は誠に重大、ほかに類をみない悪質、刑事責任は極めて重大。妄想症を考慮しても死刑を回避すべき事情がない、死刑を選択することはやむを得ない」などと指摘し、被告に死刑を求刑しました。裁判は、9月26日に弁護側の弁論が行われて結審します。判決は10月14日に言い渡される予定です。
(市民から「税金のムダ使い」「迷惑施設」といわれる射撃場の信じられない営業実態:群馬)
「税金のムダ使い」といわれる公共施設は多々あれど、とびきりお粗末なものが群馬県にあった。「群馬県安中総合射撃場」である。現在はライフル射撃場のみの片肺営業で、隣にあるクレー射撃場は開店休業状態。いったい、どういうことなのか? 光がまばゆいほど、できる影は濃くなる。光と影はいつも背中合わせだ。前回の記事で紹介したアジア初の国際的IT教育機関「TUMO」の導入を自治体プロジェクトの「まばゆい光」と形容するなら、「群馬県安中総合射撃場」はまぎれもなく「暗い影」と言えるだろう。「TUMO Gunma」がある高崎市中心部から碓氷川に並走する国道18号を車で走ること30分ほど、安中市に「群馬県安中総合射撃場」はある。国体選手強化を目的に、1972年に県がクレー専用射撃場としてオープンさせた公営施設だ。西側に西毛総合運動公園、南側の碓氷川対岸には民家が立ち並ぶ。その距離はわずか250メートルほどだろうか。安全面や発砲音に配慮し、射撃場はたいてい人影まばらな郊外に立地するものだが…。安中市民のひとりが苦笑いする。「でも、ここは別。これだけ市街地に近い射撃場は全国でも珍しいのではないか。地元の市民もみんな『迷惑施設』『税金のムダ使い』と話してますよ」。正面ゲートを入ると、まず目に飛び込んでくるのは施設をぐるりと取り囲む鈍色に輝く鉄製のカベだ。高さ8メートル、全長450メートル。耳をつんざくような銃の発砲音を軽減するための防音壁だという。まるで自動車を解体・保管するヤードのような佇まいだ。分厚い鉄製ドアをこじあけて場内に入る。左手に最長射程102メートル、射台5つを備えるライフル射撃場、右手にトラップ2つ、スキート2つの計4射台のクレー射撃場。切り立った正面の崖を弾受けとして利用した扇形の地形で、この規模の射撃場としてはかなり手狭な印象を受ける。もうひとつ感じたことがある。ひっそりとまるで人の気配がない。とくにクレー射撃場は草刈りなど一応、きれいに整備されているものの、利用された痕跡が見られない。4つの射台への通路もなだらかで、歩行者の足で踏み固められた様子もない。ただただ、閑散としてものさびしい。それもそのはず、安中射撃場は現在、ライフル射撃場のみの片肺営業で、敷地の大部分を占めるクレー射撃場は休眠状態となっている。営業中のライフル射撃場も利用客は多いときでも1か月に5~10件ほどで、禁猟シーズンになると1件の利用もない月もあるという。当然、射撃場の売上も少なく、年間2000万円の運営コストに対して、250万円ほどにとどまっているという。単純計算で年間1750万円の赤字だ。ただ、安中射撃場は利用客が少ないためにライフル射撃場のみの片肺営業をしているわけではない。その経緯を説明しよう。群馬県では鳥獣被害(年間約5億円・2022年度)が拡大する一方で、シカやイノシシなどを仕留める銃の撃ち手は高齢化などにより減り続けている。ピーク時に9022人もいた第1種銃猟免許取得者は今では1500人ほどにすぎない。そこで危機感を抱いた群馬県猟友会は2012年2月、県に新たなライフル射撃場を整備してほしいとの請願をした。同年10月、県議会で請願採択。それを受け、県はライフル射撃場整備検討委員会を設置、およそ1年半にわたる検討の末、安中射撃場内に既存のクレー射撃場に加え、本格的なライフル射撃場を併設する方針が決まった。2015年のことだった。当初の県の計画では、安中市との防音対策協議を経て2016年中に基本構想をまとめて2017年に着工、2年後の19年にも華々しくオープンさせる予定だった。実際、ライフル射撃場は同年3月に竣工している。だが、その後がいけなかった。安全対策の不備により、これまで半世紀近くにわたって営業を続けてきたクレー射撃場の開場ができなくなってしまったのだ。射撃場を管轄する群馬県環境森林部の関係者が片肺営業になった顛末をこう説明する。「ライフル射撃場が完成した後になって、重大な欠陥が発覚したんです。クレー射撃の弾は広角に広がる。その弾が新設したライフル射撃場の建屋の一部に当たってしまうことがわかったんです。これではクレー射撃場は公安委員会の指定認可が受けられない。そこで安全の見込みが立つまでクレー射撃場は休場とし、まずはライフル射撃場を2024年4月に先行して開場したというわけです」。請願スタートからライフル射撃場オープンまで、じつに13年もかかった計算だ。それだけではない。約半世紀にわたる稼働実績を持つクレー射撃場が休場に追いこまれてしまった。「あれこれと試行錯誤しているが、どう工夫しても安全基準を満たせそうにない。クレー射撃場の開場は見通せない状況にある」(前出・環境森林部関係者)という始末だ。これだけプロジェクトが長期にわたると、投入された血税も雪だるま式に膨らむ。当初、県の見込みは5億円ほどだった。ところが、今では17.2億円(ライフル射撃場関連5.9億円、クレー射撃場関連7.2億円、今後の安全対策予定費用4.1億円)にもなっている。ある地元住民は「作っておいて安全基準が満たせないって…こんなバカな話はない」と嘆く。民間企業では考えられない、典型的なお役所仕事といえるだろう。
(17億円超の税金投入もクレー射撃場は開店休業状態、「最初から無理筋の公共事業」が進行してしまったお粗末すぎる裏事情:群馬)
17億円超の税金を投入も、竣工以降ライフル射撃場のみの片肺営業で、今もクレー射撃場は開店休業状態が続く、群馬県安中総合射撃場。地元市民からも「迷惑施設」「税金のムダ使い」と散々だが、いったいなぜこんなお粗末なことになってしまったのか?安中総合射撃場は既存のクレー射撃場に、最長射程102メートル、5射台のライフル射撃場を追加し、北関東有数の公営射撃場として華々しくリニューアルオープンするはずだった。ところが、実際には13年の歳月と17億円超の税金を投入しながらも、安全対策の不備という初歩的ミスから、2024年にライフル射撃場のみ先行開場し、現在も片肺営業が続いている。「もともと手狭だったクレー射撃場にライフル射撃場をむりやりに造ってしまったことがすべての元凶。クレー射撃の銃弾がライフル棟の一部に当たる可能性があることが発覚し、内閣府令で定める安全基準を満たせなくなってしまった。最初から無理筋の公共事業だったんです」。射撃場整備に関わった県庁OBのひとりがそうつぶやく。なぜ、こんなことになってしまったのか?集英社オンライン編集部取材班の手元に、A4版で13ページほどの報告書がある。タイトルは「安中総合射撃場の整備に係る調査報告(案)」。2019年に知事に就任し、初めて射撃場の開場遅延を知らされた山本一太知事が原因究明すべきと、外部弁護士3名に調査を依頼して2020年12月に作成されたものだ。その報告書から浮かび上がることがある。それは「安中射撃場の片肺営業」という事態は(1)事業を担当した県だけでなく、(2)法令審査の窓口となった県警、(3)ライフル場新設を請願した猟友会、そして(4)陳情を受けた猟政議員連盟などの政治家、この4者によるミスが複合的に重なり、起きてしまったのではないかという疑念だ。まずは(1)の群馬県のミスについて。報告書はずばり、こう指摘している。「2014年から2018年まで、内閣府令の適合性に関して、包括的な検討を行わなかったことが施設の開場が遅れた一因」。当時の県環境森林部の業務報告書を見ると、群馬県警は「クレー射台からライフル棟までの距離が近すぎ、感覚として危険に感じる」(2017年6月19日付の県警相談報告)、「(クレー弾が)ライフル射撃場の東側の壁に着弾する恐れがあるのではないか」(2017年10月4日付の県警相談報告)などと、ライフル棟新設への懸念を県側に表明している。にもかかわらず、県がライフル射撃場整備へと突き進んでしまった原因を前出の県庁OBはこう説明する。「ライフル棟の東側に防弾壁や盛土を設ければ、法令に適合するだろうという思い込みが県側にあり、その認識が歴代の担当者に引き継がれるうちに既定路線化してしまった。そのため、内閣府令適合のための包括的な検討が5年近くもなされないまま、着工へと突き進んでしまったんです」。別の県庁OBもこう語る。「じつは防護壁にしろ、盛土にしろ、荷重が重すぎて地盤がもたないことが後になってわかったんです。予算も大幅オーバーでした。もう完全に手詰まりです。ただ、県警には事あるごとに相談している。そのため、これだけ相談してきたのだから大丈夫、そのうちに県警から法令適合のためのよい知恵が示されるだろうと、甘く考えてしまったんです」。こうした県の希望的観測は無残に打ち砕かれる。県警側から「内閣府令に適合していない部分が多すぎる。公安委員会の裁量による判断個所だけでも6か所もある。(安中を)指定射撃場に指定するのは難しい」と正式宣告されたのだ。県が開場を予定する2020年7月のわずか9か月前、2019年10月のことだった。以降、法令適合のために射撃場内の設計変更を泥縄式に5度も繰り返すなど、県の迷走が続いた。法令適合のための事前アドバイスを期待していた県に対する県警の対応にも首を傾げてしまう。県の示す工事設計図を見て、やんわりと安全性への懸念は伝えるものの、肝心要の射撃場が内閣府令に適合するかどうかについてはついぞ口にすることはなかった。その理由は以下のようなものだった。「(認可の)申請を受けて、公安委員会が可否を判断するという制度であるので、申請を受け付けないかぎり、本来(県警は)何も発言するものではない」(2020年5月7日付の県警相談報告)。事前相談には応じない。完成した射撃場を見てから法令適合の可否を判断する――。それが警察側の言い分のすべてだった。こうした警察の頑なな姿勢に、現役県庁マンのひとりがこう不満をぶつける。「審査機関という立場から一歩踏み出して、同じ行政マンとしてどうしたら安中射撃場が法令に適合できるか、警察が県に協力してくれる様子はありませんでした。というのも、図面を見て事前に法令適合のお墨付きを与えておいて、後になって不備が見つかったら警察の責任になってしまう。そのことを何よりも警戒しているようでした」。前出の業務報告書には、県警に協力を求める県側のこんな記述も見える。「予算を投入して建設して、それでダメでしたではすまない。(ライフル射撃場整備の)過去の検討過程では警察も関わっていた。今さらの話でなく、開場に向けた検討について協力してほしい」(2020年4月6日付の県警相談報告)。さながら、県警に協力を求める県環境森林部の悲鳴のようだ。しかし、警察が県側の要請に応じることはついになかった。「警察の対応が遅いせいで開場が遅れたと対外的に説明され、県警の責任となってしまうのではと気にしている」(2020年5月7日付県警相談報告)。「(県が作成した)資料にある『警察の指摘を踏まえ』という文言は、警察の指摘がもっと早ければよかったと受けとめられかねないので、この表現は遠慮してほしい」(前同)と、どこまでもつれない。こうした責任回避、保身主義がなければ、安中射撃場はもう少しスムーズに開場にこぎつけることができたのではないか。猟友会、猟政議連の強硬な対応も県の迷走に拍車をかけた。もともと県はすでに民間のライフル射撃場が県内にあることや利用者が減少傾向にあることから、費用対効果に乏しく、新たなライフル射撃場整備は困難と猟友会、猟政議連に伝えていた。だが、両者からの執拗な要請がやむことはなかった。手狭な安中射撃場にライフル棟を新設することの安全上のリスクに薄々気づきながら、県議会の環境農林常任委員会、鳥獣害対策特別委員会、県自民党政調会など、あらゆるルートを通じて、県に早期のライフル射撃施設開場を促したのだ。その圧の強さについて、山本知事も定例会見でこう表現している。「(強い要望を受け)一刻も早くライフル射撃施設を完成させようとするあまり、具体的な適合策がないまま、整備を急いでしまったというのが(安中射撃場開場遅延の)背景だと考えています」。前出の県庁OBもこう振り返る。「県は猟友会に有害鳥獣の駆除をお願いする立場。また、猟政議連の県議は県民の代表。その両者の声を無視するのは難しかった」。このOBはとくに県に影響を与えたきっかけとして、2013年から14年にかけて起きた2つの出来事をあげる。「ひとつは2013年12月に県議会の鳥獣害対策特別委員会が当時の大沢正明知事に出した提言。安中射撃場内にライフル棟を新設することを明記しており、『県議会の提言は無視できない。困ったことになった』と、同僚たちとぼやき合ったことを記憶しています。もうひとつは提言を受け、翌14年1月にライフル射撃場新設に向けて調査費100万円が計上されたこと。しかも、大沢知事からは『この100万円、生きたカネにしないとダメ』と念押しまでされた。調査をしてライフル射撃場整備はしないという結論になれば、100万円は死に金になってしまう。これはもう新設に向けて動くしかないと受けとめました」。県猟友会の会員は約1500人。その家族、知人を合わせれば、それなりの票田となる。猟友会はまた、2015年に3期目の改選期を迎える大沢知事に出馬要請をしていた。「その猟友会の要望を聞くことで、政治家たちがその票田を期待していたのはまちがいないでしょう」(同前)。調査報告書はもともと無理筋だった安中射撃場内へのライフル棟整備について、「県庁職員の個々の判断に影響を及ぼすほどの、外部からの不当な働きかけを認めるに足る資料・発言は得られなかった」と結論づけている。しかし、ある県庁関係者は「たしかにハラスメントまがいの恫喝はなかった。でも、猟友会や政治家からの圧がなかったと言えば、それはウソになる」と証言する。興味深いのはライフル射撃場整備をしきりに県側に要請してきた県議に、自民党の小渕派議員が多いことだ。自民党の元ベテラン県議がそのわけをこう説明する。「群馬県議会は自民党王国で、小渕、福田、中曽根の3派が覇を競っている。福田、中曽根派は前橋、高崎などの市部に強く、小渕派は吾妻、渋川、安中、甘楽など、郡部が拠点。鳥獣害が発生するのは主に郡部。だから、自然と小渕派議員がライフル射撃場整備要求の中心勢力になっているのでしょう」。だが、執拗な県への働きかけがなければ、ライフル射撃場整備のプロジェクトがここまで歪になることもなかったのではないか。現在、県と県警はクレー弾の飛散を制限する遮へいボックスの設置など、「特別の安全措置」を検討しているが、いずれの安全策も決め手に欠けており、クレー、ライフルの同時開場は見通せない状況にある。にっちもさっちもいかない安中総合射撃場の現状を前に、県猟友会の大矢力会長がこう語る。「ライフル射撃場整備には、鳥獣害駆除の担い手育成という公益があることだけは理解してほしい。ただ、そのための予算投入が17億円以上もかかっていると聞かされ、びっくりしている。それを知った以上、猟友会としてもむやみに税を投入して安中射撃場のクレー、ライフル同時開場を目指せとは言えない。どうしても開場の見込みがつかないというのなら、ライフル棟のみの片肺営業を受け入れる用意はできています」。群馬県はライフル射撃場を得た代わりにクレー射撃場を失ってしまった。地方創生プロジェクト失敗の代償はあまりに大きい。
(熊よけ対策の実効性を巡る議論)
熊よけ対策としての熊鈴や音の効果について、Yahoo!ニュースのコメント欄で話題になっています。林業従事者や登山者などから、熊鈴や機械音が熊に対して必ずしも効果的ではないという意見が寄せられています。実際に下刈り機や重機の大きな音でも熊が逃げなかったという体験談や、熊鈴が無意味だと感じているという声がありました。一方で、熊鈴や金属音が熊に警戒心を与える場合もあるとされるものの、個体によっては逆に人間の存在や食べ物を連想して寄ってくることもあると指摘されています。また、ラジオやチアホーンなど他の音を使った対策や、熊撃退スプレーの携帯を勧める意見も見られますが、決定的な熊よけ方法はなく、熊の生息域に近づかないことが最も有効だという意見もありました。- 熊鈴や機械音でも熊が逃げないことがあり、対策の難しさを感じます。- 熊よけの音は個体差や環境によって効果が違うので、過信しない方が良いと思います。- 熊対策は決定打がなく、やはり熊の生息域に近づかないのが一番だと感じます。※時間経過によりキーワードに関連するコメントが表示されない可能性があります。※この記事は関連記事についたコメント情報をもとにAIによって作成されています。本機能は試験的な導入です。内容に関しては関連記事やコメント内容と併せてご確認ください。
(止まらない抗議電話と"クマ大量出没"のヤバすぎる相関関係:中野 タツヤ)
日本全国でクマによる被害が相次いでいる。クマ問題を取材するライターの中野タツヤさんは「1990年代からクマの保護を優先し、駆除を控える動きが広まった。その結果、生息数が急増したことが原因のひとつではないか」という――。クマ対策をめぐって対立が激化している。北海道福島町では7月12日、新聞配達中の男性がヒグマに襲われ死亡する事故が発生したが、その直後から北海道庁と福島町には200件以上の抗議電話が寄せられたという。「行政はもっと積極的にクマを駆除すべき」という意見もあった一方、「熊殺し。人間が駆除されるべき」「クマの命も大切だ。人を襲ったクマだとか、いい加減なことを言うな」という過激な抗議もあったという。野生動物であるクマを保護すべきか、それとも駆除すべきかについては、昔から多くの議論がある。一般財団法人日本熊森協会は、自然保護の観点からクマの駆除に反対の立場を取っている。「バランスが崩れた自然を元に戻すには、自然の力に任せるのが最良かつ唯一の方法であり、いわゆる『保護』『管理』は、自然保護ではなく自然に敵対する行為だ」と主張し、1994年に兵庫県でクマ狩猟が禁止されたのは同団体の請願活動の結果だという。また、著名なヒグマ研究家の門崎允昭氏が主宰する「北海道熊研究会」も、クマの駆除に反対の立場を取っている。同研究会のHPによると「人と熊が棲み分けた状態で共存を図り、狩猟以外では熊を殺さない社会の形成を図るための提言と啓蒙活動を行う」としている。駆除反対派による自治体への抗議が活発化している一方で、これら駆除に反対する団体への攻撃も過激化している。8月11日に日本熊森協会のHPがサイバー攻撃を受け、アカウントを乗っ取られて偽のメールが配信されるなど深刻な被害が出ているという。ちなみに、日本熊森協会、北海道熊研究会ともに、長年にわたってクマと向き合い活動を続けてきた信頼できる団体であり、自治体への抗議電話を呼びかける等の活動は行っていないと明言もしている。両団体を自治体に対する抗議電話の「黒幕」と考えるのは適切ではない。活発な議論は結構だが、くれぐれも冷静な対応をお願いしたい。「駆除反対派」の主張をもう少し詳しく見ていこう。日本熊森協会の森山まりこ代表と、北海道熊研究会の門崎允昭氏が連名で北海道知事宛てに提出した要望書が、北海道熊研究会のHPに掲載されている。それによると「平成23年度は825頭、平成24年度は609頭(狩猟期101頭、他は駆除)もの熊を殺している」と、そもそも駆除の頭数が多すぎる点を指摘している。北海道のヒグマ生息数は2023年末時点で約1万1600頭とされるが、600~800頭となると、全生息数の数%にあたる。これだけの数を毎年駆除していれば、ヒグマの個体数はどんどん減っていくだろう。野生動物の保護の立場から、駆除への慎重論や懸念が出ることはうなずける。このほか、山に入る際は「ホイッスルと鉈を持参」し、「出没箇所とその両側を、200m程一時的に電気柵を臨時に張」るなどの対策で、被害を食い止められると主張している。できる限り実害を回避し、クマと共存できるなら、それこそ目指すべき理想である点に異論は少ないだろう。同団体の主張はクマ専門家による貴重な意見として傾聴に値するものだ。だが一方、全国各地でクマが大量出没し、人身被害も相次ぐ状況下で、行政が駆除を行わずに事故を防止するのは現実問題として極めて難しいだろう。日本ではかつて、野生動物の保護を目的に駆除数を減らしたことがある。1960年ごろ北海道ではヒグマによる被害が多発。そのため1963年に「ヒグマ捕獲奨励事業」を開始して捕獲を推進、1966年には冬眠明けのヒグマを駆除する「春グマ駆除」を始めるなど、70年代にかけてクマの駆除数はかなり多かった。ピーク時にはヒグマ約800頭、ツキノワグマ約2500頭が捕獲されている。駆除の増加にともない、ヒグマの個体数が減少したことで、逆に1990年ごろから野生のクマの保護が優先されるようになり、駆除の中止を求める動きが活発化する。北海道の「春グマ駆除」が1989年に中止されたほか、日本各地で駆除の中止が相次ぎ、捕獲数は一時、ヒグマ約200頭、ツキノワグマ約1500頭にまで減少している。駆除中止によって、クマの生息数は急速に回復する。環境省の資料「令和5年度クマ類保護及び管理に関する検討会 北海道のヒグマ対策の現状について」によると、北海道のヒグマの生息数は1990年時点で推定5000頭だったが、2012年ごろには倍増して1万頭を越え、その後も順調に増加していることが分かる。クマの生息数が急増したことが、現在の大量出没につながったと考えられる。環境省の資料「クマ類の生息状況、被害状況等について」によると、「クマの出没件数(本州以南、ツキノワグマ)」、「クマによる人身被害件数(全国)」ともにはっきりした増加傾向が見てとれる。クマの駆除をやめたことで、クマの個体数が増え、被害が拡大したと考えられるケースは海外にも見られる。ルーマニアはヨーロッパ最大のヒグマ生息地として知られるが、2016年に遊興目的でのヒグマの狩猟を禁止して以降、被害が拡大。結果、2023年には殺処分を認めるクマの年間上限頭数を大幅に引き上げるなど、駆除数の増加を迫られている。同様の問題はスロバキアでも起きているという。アメリカ・コロラド州では1992年11月、住民投票によってクマの春季狩猟や犬を使った狩猟などを禁止したが、その結果、コロラド州のクマ個体数が増加、それに伴いクマによる被害も増加したという。アメリカのニューハンプシャー州グラフトンは2004年以降、リバタリアン(自由至上主義)系住民が集まり、可能な限り政府を廃止する「フリータウンプロジェクト」を推進したことで知られる。彼らが町の予算の30%をカットしたことで、行政によるクマ対策がおろそかになった。ゴミ捨てルールの不徹底によって、クマがゴミを漁ったり、住民による餌付けも行われていた。その結果、町にはクマが頻繁に出没するようになり、住民が家に立てこもるまでになって、およそ100年ぶりに人身事故も起きたという。(この経緯についてはマシュー・ホンゴルツ・ヘトリング著、上京恵訳『リバタリアンが社会実験してみた町の話』原書房にまとめられている)。クマの個体数の増加とともに、被害急増の理由として指摘されるのが「異常気象によるエサ不足」だ。猛暑や長雨等でクマの主なエサであるブナやナラの実が不作になると、エサ不足に陥ったクマが人里に出没するというわけだ。東北森林管理局のHPに掲載されている「ブナの開花・結実調査」を見ると、平成元年以降、不作の年がかなり多いことが分かる。同HPの「これまでの豊凶割合」によれば、「大凶作」が39%、「凶作」が31%と、実に70%の年で並以下の作況となっている。これは東北に限ったデータだが、全国の作況も似たような傾向だと想定していいだろう。ちなみに、林野庁東北森林管理局によると、2025年のブナは「大凶作」となっている。例年、クマによる被害は10月がピークとされる。冬眠前にできるだけ多くのエサを集めようとクマの活動が活発化する時期であり、かつ、秋の行楽シーズンで多くの一般客が登山やキャンプなどに出かけるからだ。現在のブナの作況を考えると、クマによる被害が今後多発することは想像に難くない。それを裏付けるかのように、クマの出没が相次いでいる。富山県の立山・室堂平周辺では9月8、9日の2日間にわたって1日3件のクマ目撃情報があり、立山への登山ルートを一部閉鎖したという。富山県では8月19日にも有峰のキャンプ場でクマが出没し、キャンプ客のテントや食料を持ち去っている。北海道恵庭市では9月10日、国道453号線の脇に設置された柵の上を悠然と歩くヒグマの姿が撮影され、住民にショックを与えた。福島県南会津町では9日、国道289号を走行中の救急車がクマと衝突する事故が発生している。幸い救急搬送中でなく怪我人もなかったが、一歩間違えれば大事故につながっていただろう。8月14日に発生した羅臼岳の事故以来、死亡事故こそ発生していないものの、人身被害は継続的に起きている。東京都奥多摩町では8月23日に釣り客がクマに襲われ顔に怪我をしたほか、岐阜県中津川市では9月2日、帰宅途中の高校生がクマに襲われ怪我を負い、現地では集団登下校などの措置をとっているという。野生動物の保護も重要だが、こういった状況下において、現実問題として行政主導での駆除作戦は必要だろう。9月1日より鳥獣保護管理法が改正され、市町村の判断で市街地でも特例として猟銃の使用が可能になり、警察官だけでなく、ハンターも猟銃を発砲できるようになった。クマが市街地に出没した場合の対策が強化された訳だが、実際に市街地でハンターが発砲した場合、世論の反発も予想される。冒頭に挙げたよりもさらに過激な抗議が殺到することが予想される。自治体の悩みは今後も続くだろう。ある意味、クマより人間のほうが厄介かもしれない。
(紙芝居でエゾシカ知って:北海道)
釧路短期大学の幼児教育学科の特別支援教育ゼミと保育者養成体験ゼミの生徒が、エゾシカの被害やエゾシカの活用法、人との共生などを盛り込んだ幼児向けの紙芝居を制作した。生徒はいずれも2年生で、同短大を巣立った後も子供たちにエゾシカへの理解を深めてもらうため活用していきたいと意欲を見せている。この取り組みは、釧路市動物園50周年の事業として行ったエゾシカについてのイベントでの読み聞かせのために、身近なエゾシカと人との共生、エゾシカの利活用、そして、命の大切さについて理解してもらおうと、生徒が自発的に行ったもので、エゾシカを題材とした紙芝居は初めて。約1カ月かけて出来上がったオリジナル紙芝居は特別支援教育ゼミ(8人)が「ぼくらってわるいこなの?」、保育者養成体験ゼミ(10人)が「エゾシカさんってわるいコなの?」。いずれの紙芝居も人里に現れ花などを食べるエゾシカによる被害、駆除されるエゾシカ、エゾシカの命を利活用することの大切さ、人とエゾシカとの共生を訴えている。和田純奈さんは「物語にお母さんが撃たれる場面があって、その表現方法が難しかった」と話し、武長未尋さんは「エゾシカの被害を防ぐため撃つだけではなく、人間も被害防止のために柵を作るなどの取り組みをしていることも伝わってほしい」と話している。22日には和田さん、武長さん、小山くるみさん、小林菜々美さんの4人が、釧路短大附属幼稚園を訪れ、園児13人を前に紙芝居2作品の読み聞かせを行った。園児たちは真剣に紙芝居を見入っていて、終了後には「楽しかった」と話していた。和田さんは「講義でエゾシカと人間との共生やエゾシカの命とその利用などを学んだ。そのことを園児に伝えていきたい」と今後への抱負を語る。また、指導に当たった幼児教育学科講師の小林麻如さんは「紙芝居を自主的に制作したことが、今後の教育現場での新たな発想、想像力を生かした幼児教育に役立ててほしい。また、現在問題となっているエゾシカについて子供たちに伝え、理解につなげてほしい」と期待している。
(イノシシに遭遇したら?小学校で出前授業:広島)
イノシシに出会ったらどうしますか? 広島県福山市の小学校で、イノシシに遭遇した際の対処法などを学ぶ出前授業がありました。こちらの映像は2025年7月に福山市西部で目撃されたイノシシの映像です。市内ではイノシシによる噛みつきや追突でけがを負った件数が2025年度はまだゼロですが、2年前の2023年度には4件も確認されています。こちらの市立宜山小学校で、県鳥獣対策等地域支援機構=通称、tegosから講師を招いてイノシシの生態などを知る出前授業が行なわれました。この市立宜山小学校の周辺では、8月中旬から、通学路で親1頭、子ども3頭のイノシシが目撃されています。周囲には切れたワイヤや、根まで掘られた箇所が確認されています。さらには、イノシシの好物である栗の木がありました。こちらは2023年に市内で撮影された映像です。栗をもぐもぐ食べています。出前授業ではクイズ形式で特徴を考えました。また授業では、イノシシに背中を向けずに後ろ向きでゆっくり離れるといった遭遇した時の対処法も学びました。児童たちは牙や剥製を触って危険性を肌身で感じました。イノシシは臆病な性格で威嚇をしなければ、人を襲うことはないといいます。今後も市は、要望があればtegosと連携した出前授業を行なっていく方針です。
(課長は鹿のハンター、勤務前後にコンビで100キロ巡回:北海道)
JA職員でありながら、ハンターとして活躍する異色のコンビが、北海道のJAようていにいる。毎日の勤務前後に地域を巡回し、狩猟活動を続ける。年間約80頭のエゾシカを駆除し、農家が手塩にかけて育てた農産物を獣害から守っている。JA管内の喜茂別町でハンターとして活躍するのは、真狩営農センターの大西秀樹課長と京極営農センターの齊藤隆之課長。大西課長は地域で獣害が増える一方、地元のハンターが少ない現状を目の当たりにし、狩猟免許の取得を決意。当時同じ部署にいた齊藤課長を誘い、喜茂別町の補助を活用して2018年に狩猟免許と銃砲所持許可を取った。大西課長は「講習や試験の手続きは手探りで、根気が要った。2人で挑戦したから取得までたどり着けた」と振り返る。「ここ15年くらいの間に、エゾシカが畑に出没する姿を普通に見かけるようになった」(齊藤課長)。テンサイ、ジャガイモ、小豆、大豆などでの鹿の被害に加え、最近は熊によるトウモロコシの食害が見られる。2人は地元の猟友会のメンバーとして、平日も含め朝晩で地区内の計100キロほどをそれぞれ車で巡回。年間で80頭ほどを駆除する。地域の農家からは「見回りをしてくれてありがたい」「去年より家の周りでエゾシカを見なくなった」と感謝の声をかけられるという。活動には燃料代がかかり、銃弾の価格も上がっている。大西課長は「巡回しても1頭も出合わない日だってある。申請した報酬だけでは赤字かもしれない」と語る。「でも、せっかく取った資格を使わないでおくのはもったいない。作物の被害を少しでも減らして、地域に貢献できれば」と語る。
(地域リーダー(森林)及び鳥獣被害対策コーディネーター育成研修受講者募集)
農林水産省令和7年度鳥獣被害対策基盤支援事業として、地域リーダー(森林)及び鳥獣被害対策コーディネーター育成研修を開催いたします。本研修では造林や森林経営のためのニホンジカの被害対策についての知識や技術を実践的に学んで頂き、受講者の皆様が現場の被害状況に応じて適切な調査や事業計画、評価に取り組めるようになることを目指します。
(自宅を出たらクマ、数秒間見つめあう:岩手)
23日午前5時半頃、岩手県遠野市青笹町青笹で、農業の男性(75)が自宅敷地内でクマと鉢合わせになった。クマは逃走し、男性にけがはなかったが、保管していたニワトリと犬のエサ袋が破られた。岩手県警遠野署の発表によると、男性は自宅を出たところ、自宅と牛舎の間の通路で成獣のクマ1頭(体長約1メートル)と鉢合わせした。数秒間目が合ったが、クマはそのまま北方に逃走した。男性は、その場でニワトリと犬のエサ袋が破られ、中身が散乱しているのを確認。飼育する牛やニワトリ、飼い犬に被害はなかった。周辺にはクマの足跡が複数あったという。同署などは、現場付近を警戒し、防災無線で注意を呼びかけた。
(民家の納屋にクマが侵入、保管していたコメ食べられる被害:宮城)
23日夜、泉区の民家の納屋にクマが侵入し保管していたコメが食べられる被害があった。警察によると、23日午後7時20分頃、泉区福岡の70代の男性から「納屋に保管していた古米をクマが食べている」と通報があった。クマは体長1.5メートルほどで自宅敷地内にある納屋に侵入し、保管していたコメを食べていたという。納屋には扉はなく30キロの古米2袋が荒らされたという。クマはその後、北側の山林へ逃げて行った。駆け付けた警察が周辺を捜索しその後、クマの目撃はないが住民に警戒を呼び掛けている。
(”廃業牛舎”にクマ侵入「箱わなの地面の下をほじくっていた」:北海道)
9月24日、北海道積丹町の廃業した牛舎の敷地内でクマが目撃されました。敷地内には箱わなが設置されていて、クマは地面を掘ってエサを取り、立ち去ったとみられます。クマが目撃されたのは、積丹町美国町の道道568号線沿いにある廃業した牛舎の敷地内です。24日午後2時30分ごろ「箱わなの地面の下をほじくっていた」と目撃した走行中のドライバーから連絡を受けた役場から警察に通報がありました。エサの一部がなくなっていたことから、クマが地面を掘って食い荒らし、立ち去ったとみられます。クマの体長は約1.5メートル。現場から民家までの距離はわずか約50メートルでした。警察は付近をパトロールし注意を呼び掛けています。
(走行中の軽乗用車とクマが衝突:新潟)
24日午後7時半前、阿賀町白崎の国道で、走行中の軽乗用車がクマと衝突した。運転していた40代女性にけがはなかった。津川署によると、体長約1メートルのクマとみられる。車の進行方向の左側から路上を横切ろうとし、衝突後は道路脇の茂みに逃げた。現場は民家まで約150メートル。
(特定外来生物のヌートリアをジビエ料理に:静岡)
南米に生息する大型のネズミのヌートリア。農作物の被害も懸念されることから静岡県磐田市ではジビエとして利活用するための協定を締結しました。南米に生息するヌートリア。体長40センチから60センチほどの大型のネズミで、体重は10キロ近くにもなるといいます。戦時中に毛皮として利用するために輸入されていましたが、それが野生化し繁殖。今では、静岡県内でも県西部を中心に農作物に被害を及ぼしていて、特定外来生物に指定されています。国内には天敵はいないといい、磐田市でも目撃情報が出始めていることから24日、市やJA、猟友会などは捕獲やジビエ利活用を目指す協定を締結しました。会場で用意されたのはヌートリアのジビエ料理。そのお味は…。草地博昭市長試食「とてもヌートリアかどうか分からないぐらい」。磐田市 草地博昭市長「コストとか、売れるものになっていくのかとか、課題が色々出てくるでしょうから、乗り越えていけばジビエとしては可能性あるんじゃないかなと」。協定は2025年度いっぱいまでです。
(ジビエの味わいをペットフードに:兵庫)
市街地のスーパーや肉屋さんで普通に扱ってはいない、鹿肉やイノシシ肉。
愛犬や愛猫が本当に食べてくれるのか心配ですよね。しそうの森の贈物では本当に体にいいペットフードを食べてもらえるように、たっぷり試食フードを用意しています。「試食をしてもらいながら、ワンちゃんやネコちゃんの食い付き、そして体型や性格を観察し、飼い主さんのお悩みをヒアリングできるのもアンテナショップを運営することの楽しみのひとつ」とオーナーの前田さんは話します。特におすすめの鹿肉は、同じ重さの牛肉と比べれば、3分の1と低カロリーなのに、高たんぱくでヘム鉄、亜鉛、セレン、カリウム、鉄分といったミネラルがふんだんに含まれています。自然の中を走り回って育つイノシシは、余分な脂肪が少なく、運動量の多い子やダイエットにもおすすめ。そして意外と人気なのが熊肉。旨味たっぷりで、疲労回復や美肌に良いビタミンB群、鉄分、コラーゲン、免疫力向上に繋がるセレンが豊富です。多彩なジビエが愛犬や愛猫の健康な暮らしの一助となりそう。ぜひ一度、アンテナショップしそうの森の贈物を訪ねてみてください。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、24日午後9時ごろ、石巻市中島新石湊にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、25日午後5時20分ごろ、登米市米山町桜岡峯前子にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、25日午後5時ごろ、富谷市西成田追分にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、25日午前11時15分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋谷地にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午後8時ごろ、仙台市青葉区栗生2丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、24日午前0時ごろ、仙台市青葉区上愛子道半にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、25日午前8時30分ごろ、栗原市花山草木沢坂下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後7時20分ごろ、仙台市泉区福岡酒屋前にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午前7時30分ごろ、仙台市泉区福岡岳山にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午前5時50分ごろ、仙台市泉区寺岡3丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、24日、白石市小原西にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、23日午後9時10分ごろ、仙台市青葉区郷六龍沢にクマが出没しました。
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(クマに襲われ70代女性が重傷:福島)
20日夕方、福島県喜多方市で墓地で除草作業を行っていた70代の女性がクマに襲われ、大けがをしました。警察によりますと20午後4時半ごろ喜多方市山都町小舟寺の墓地で70代の女性が除草作業を行っていたところ、体長不明のクマに襲われました。女性は、左腕を骨折するなどの疑いで病院に搬送されましたが命に別状はないということです。喜多方市山都町では、今月5日に河川敷で除草作業中の男性2人がクマに襲われけがをしたほか、今月14日には、民家の敷地内に現れたクマに飼い犬が襲われ、死ぬ被害がありました。警察は、パトロールを行うなどして注意を呼びかけています。
(リンゴ畑にクマ、50代男性「近くに娘がいたので鼻を殴った」:青森)
21日午前10時頃、青森県藤崎町水沼のリンゴ畑で50歳代の農業の男性がクマに襲われた。男性は右脚太ももを引っかかれたが命に別条はないという。町によるとクマは体長約80センチ。当時、畑では複数人が作業していた。男性は「近くに娘がいたので追い払うためにクマの鼻のあたりを殴った」と話しており、クマはその後逃げたという。現場は町立藤崎中央小から約600メートル。町内では約40分前にクマの目撃情報が寄せられ、町や警察が見回りをしていた。午後1時頃にも目撃情報があったという。同日午後3時50分頃には、むつ市大畑町で「母親がクマに襲われた」と男性から110番があり、80歳代の女性が顔面にけがを負った。女性は、ドクターヘリで病院に搬送された当時、意識があったという。市や消防によると、女性は、畑で栗拾いをしていたという。現場は市立正津川小から約600メートル。
(伐採準備中にクマに襲われ68歳男性が右足を負傷:長野)
大桑村の山林で、伐採の準備作業をしていた60代の男性がクマに襲われけがをしました。意識はあり、命に別状は無いということです。警察や消防によりますと22日午前11時前、大桑村野尻の国道19号近くの山林で、68歳の男性から「クマに襲われた」と119番通報がありました。男性は木曽郡に住む会社員で、同じ作業をしていた5人と伐採の準備のための写真撮影をしていたということです。男性は、右足などを負傷しドクターヘリで飯田市内の病院に搬送されました。意識はあり命に別状は無いということです。男性を襲ったクマは体長約1mの成獣とみられ、警察や猟友会などが付近を捜索しましたが、発見には至りませんでした。警察が近隣の住民に注意を呼び掛けています。
(40代男性がクマに襲われけが:青森)
青森県田子町の農場で男性がクマに襲われけがをしました。青森県ではこの3日間で3件目の人的被害です。23日午前8時ごろ、青森県田子町の農場で40代の男性がクマに襲われました。男性は顔や腕などを爪で引っかかれてけがをしましたが、自ら車を運転して避難し、その後、病院で手当てを受けています。現場は岩手県との境にある人里離れた農場で、男性は水質調査のために訪れ、別の作業員を待つ間、1人で準備作業をしていたところ襲われたということです。猟友会の人「ハチの巣があって、掘った形跡がある。ハチの巣をクマが食べていた。そこに人が降りてきて、びっくりして鉢合わせになったと思う」。青森県内ではおととい、クマに襲われる被害が2件相次ぐなどしていて、今年の出没件数はすでに1580件と去年1年間の倍以上で、過去最多となっています。
(秋田、青森でクマに襲われ負傷)
秋田県と青森県で23日、それぞれ1人がクマに襲われて負傷した。午前5時半ごろ、秋田県大館市川口の市道で、散歩中の女性(80)がやぶから出てきた1頭に襲われ、鼻の骨を折るなどのけがをした。大館署によると、女性は自力で帰宅し、病院に搬送されたが命に別条はない。クマは体長約50センチで現場から立ち去った。青森県田子町遠瀬の山中では午前7時50分ごろ、仕事で水質調査をしていた40代の男性が顔や背中を引っかかれた。町と地元消防によると、持っていた機材などで抵抗し、同僚が119番。男性はドクターヘリで搬送され意識はあるという。
(栗拾い中の70代男性がクマに襲われけが:群馬)
22日朝、群馬県みなかみ町で栗拾いをしていた70代の男性がクマに襲われ、軽いけがをしました。22日午前5時45分ごろ、群馬県みなかみ町真庭で近くに住む77歳の男性がクマに襲われたと家族から警察に通報がありました。警察によりますと、男性は自宅近くで栗拾いを1人でしていたところ、突然、後ろからクマにひっかかれ尻に軽いけがをしたということです。クマは体長がおよそ1メートルで、そのまま走り去ったということです。通報からおよそ15分後には現場から北に1.6キロほど離れたJR上越線の後閑駅付近でクマが目撃されていて、警察が付近をパトロールをしたほか、現場近くの古馬牧小学校では教員が引率して一斉に集団下校が行われたということです。現場は田んぼや畑の中に住宅が点在する地域です。
(クマ緊急銃猟可能な自治体は5%:北海道)
市街地に出没したクマを自治体判断で駆除する「緊急銃猟」について、北海道の179市町村を対象にした共同通信の調査で「態勢が整っている」としたのが9自治体で、回答した自治体の5.4%にとどまることが21日、分かった。環境省のガイドライン公表から2カ月足らずでの制度開始に、自治体の態勢が追いついていない現状が明らかになった。ハンターが発砲に伴う刑事、行政責任を問われるとの懸念を踏まえ、北海道猟友会は現場のハンターが自治体の発砲要請に応じないことを容認。141自治体はこうした場合の対応が「決まっていない」と答えた。「決まっている」とした22自治体でもクマを追い払うなどの対応で、緊急銃猟は実施できないという内容が大部分を占め、猟友会頼みの制度の実態が浮かんだ。調査は9月上旬に実施し、166自治体が回答した。154自治体は「態勢が整っていない」とした。理由(複数回答)を尋ねると、警察や猟友会など関係機関との協議やマニュアル作成が終わっていないとの回答が70件以上に上った。
(住宅街付近に出没したクマへの「発砲手順」を確認:秋田)
自治体判断で「緊急銃猟」を可能とする改正鳥獣保護管理法が施行されたことを受け、環境省は22日、秋田県横手市で行政担当者や地元猟友会などを対象に、住宅街付近に出没したクマへの銃の使用手順を確認する研修を実施した。山形県では20日、鶴岡市の住宅の庭にクマがとどまり、皆川治市長が同法に基づき発砲許可を出す事案があった。この時は指示が行き渡る前にクマが人に向かってきたため、危険が迫った際に警察官が発砲を命じる警察官職務執行法に基づき猟友会員が駆除した。22日の研修は、住宅街近くの河原にクマが出没したとの想定で、環境省の担当者は緊急銃猟のガイドラインに沿って、住民の避難誘導や交通規制の手順を確認。その上で発砲する際は、クマに当たらなかった銃弾や、銃弾が石などに当たって軌道が変わる跳弾による周辺への被害を防止するため、発砲方向に弾丸の飛散を防ぐ壁や斜面などがあることを確認するよう求めた。
(市街地にクマ出没想定、「緊急猟銃」初の対応訓練:岩手)
岩手県は22日、市街地でクマを駆除する際に市町村の判断で猟銃を使うことができるようになったことを受けて、釜石市で初めて対応訓練を実施した。机上や実働で、手順などを確認した。市職員や地元猟友会、釜石署員ら約80人が参加。野生動物保護管理事務所(東京)の担当者が進行役となり、交通規制や避難呼びかけのエリア、緊急銃猟までの段取りなどを確認した。実働訓練は、同市嬉石町の市民交流センターの体育館倉庫にクマ1頭が立てこもったという想定で実施。猟銃使用の必要性や安全確保など4要件を確認し、首長の判断、発砲に至るまで一連の動きを実践した。
(野生イノシシが豚熱、県内23例目:岡山)
岡山県は18日、高梁市で発見された野生イノシシ1頭が家畜伝染病「豚熱(CSF)」に感染していたと発表した。県内での感染確認は23例目。県によると12日、畑で死んでいる個体を地元の猟師が見つけ、県の検査で17日に陽性が確定した。県は発見場所から半径10キロ圏内を感染確認区域に指定し、狩猟者に対して捕獲した野生イノシシの流通自粛を求めた。
(イノシシ捕獲数、過去最多水準に:千葉)
館山市内での8月のイノシシの捕獲頭数が389頭にのぼり、前年同月の2倍を超える大幅な増加となったことが、一般社団法人地域共同獣害対策推進協会のまとめで分かった。捕獲数の増加は2025年度初めから続いており、関係者は「このままでは生息数の増加に捕獲が追いつかなくなる恐れがある」と危機感を強めている。8月の捕獲内訳は、成獣214頭(前年同月96頭)、幼獣175頭(同80頭)で、いずれも2倍を超えた。8月としては、統計がある2015年度以降で過去最多だった。特に幼獣の捕獲数は6月以降に急増しており、今後、個体数がさらに増加する可能性が指摘されている。今年度の捕獲頭数の累計は、成獣、幼獣合わせてすでに1029頭に達しており、過去最多となった20年度の年間捕獲数(2357頭)を上回るペースで推移している。一方で、ハンターなど捕獲を担う従事者の稼働状況は危機的な状況にある。8月時点の登録従事者は244人だが、実際に捕獲実績があったのは90人にとどまり、稼働率は37%。前月から11人減少しており、捕獲の担い手不足の深刻化が懸念されている。同協会は「このままでは、個体の増加に対して捕獲が追い付かず、農作物への被害やイノシシの生息域が住宅地にまで拡大する可能性がある」と指摘。「捕獲体制の維持には担い手の確保が急務で、地域全体での対策強化や若年層への参加促進など、総合的な対応が必要だ」としている。
(襲われると“死亡率24%”、熊被害が過去最悪ペースで急増)
各地でクマの被害が増えている背景には一体なにがあるのか、そしてできる対策はあるのでしょうか。秋は、冬眠前のクマが大量の餌を求めて活発に活動するため、最も注意が必要な季節です。日本には、2種類のクマが存在します。北海道にいる「ヒグマ」と、本州・四国にいる「ツキノワグマ」です。ヒグマは大きい個体で、立ち上がると3m近く、一撃で馬の首を折るほどの怪力を持っています。また足の早い個体だと100mを6秒で走ることができます。また、ツキノワグマも100mを8秒で走ります。襲われた場合の人の死亡率は、ヒグマの場合は24%、ツキノワグマでは2.3%となっています。2025年4月~8月末にかけての死傷者は69人。ドングリの凶作で過去最悪だった2年前と同じペースで増えています。では、今なぜクマの被害が急増しているのでしょうか。一番の理由は、クマの数が増えているからです。2018年度の環境省の調査では、地図の赤色の地点で、新たにクマが生息していることが確認されました。四国を除き、多くの地点で増えていることがわかっています。ヒグマは30年間で倍以上に、ツキノワグマも分布域が1.4倍になりました。現在、本州で唯一クマがいないのは、千葉県だけです。一方で、九州では既に絶滅しています。では、なぜこれほどまでにクマが増えてしまったのでしょうか。ツキノワグマの場合は、大正~昭和初期にかけて、毛皮や漢方薬に使われる熊の胆などを目的に捕獲が進み、絶滅が危惧された地域もありました。ところが1999年、クマの新たな保護管理制度が始まったことに加えて、人口減少、高齢化によって耕作放棄地も増え、餌が豊富になったことなどから、急激にクマの数が増えてしまったんです。こうして、人の生活圏の近くに生息域が広がったことで、人への警戒心が薄れ、これまでの生態とは異なる“アーバンベア”として、住宅街などにも出没するようになりました。もしクマに遭遇してしまった場合、私達はどうすればいいのでしょうか?まず、クマが近くにいる場合は、クマを見ながらゆっくりと後退してください。このとき、背中を見せて走って逃げてはいけません。そして、至近距離で突発的に遭遇してしまった場合は、うつ伏せになって、両腕で顔や頭を覆い、できるだけ致命傷を防ぐことが重要です。では、そもそものクマ被害を防ぐためにはどのようなことが求められるのか。兵庫県立大学の横山真弓教授は、二つ挙げています。一つは、個体数の管理です。街に出てきたクマだけではなく、民家周辺に住む個体を捕獲して、数を減らす必要があると指摘しています。そしてもう一つは、出没させない取り組みです。クマの好物である柿や、餌となるごみを適切に管理したり、農地に電気柵を設置したりすることが必要で、こうした二つの対策を同時に進めることが重要だといいます。被害が相次ぐ中、国は2024年、クマを保護の対象から外して、指定管理鳥獣に加えました。シカやイノシシと同様に集中的に捕獲をして、数を管理していくという方針に変更したのです。また9月からは市町村の判断で、市街地などでも猟銃を使用することができるようになりました。昔話では、金太郎とクマが相撲を取るなど、日本人にとってはなじみが深い存在ですが、人とクマが共存できる知恵が今、求められています。
(遭遇回避の対策は?クマよけグッズも紹介:兵庫)
≪豊岡市の担当者≫「今年クマがもう来ている木ですね。もう何十年も掻いたような爪痕がある。結構、最近来たような痕があるんですけど、 爪痕が多すぎてわかりにくくなっている」。クマの大好物とされる柿や栗。食料を求めてクマが人里におりてくるのを防ぐために、柿の木5本が伐採されました。≪豊岡市東中地区 木村 芳洋区長≫「一週間ほど前にも『クマが柿の木に上がている』という話を聞きました。(伐採は)一言でありがたいと思う。クマが民家に出てくる確率がかなり下がるから、そうなると区の皆さんも安心されると思います」。近年、相次いでいる民家などでのクマとの遭遇事例。去年、兵庫県養父市で撮影されたクマは、撮影者に気づいた瞬間、“仁王立ち”に。≪クマに遭遇した長島 敏行さん≫「立ち上がると1mぐらいになるので、そのままこっちに来たらさすがに怖いなと」。また先月、京都府京丹後市でも道路を車と並走するクマの姿が撮影されました。奈良県五條市では、80代の女性が自宅でツキノワグマに襲われる被害が。 女性は顔にけがをしましたが、命に別状はありませんでした。18日、北海道砂川市で捕獲された1頭のヒグマ。踏切などで出没を繰り返していたとみられます。全国的に相次ぐクマによる被害。北海道江差町の畑には体長1.5メートルほどのクマが現れ、スイカを見つけると、口にくわえて持ち去っていきました。宮城県加美町の民家では、4~5日前からクマが出没。住民への被害はなかったものの、七面鳥13羽が被害に遭ったたということです。今年度、全国で確認されているクマによる死傷者は先月までで69人にのぼり、過去最多の被害が出た2年前とほぼ同じ水準となっています。19日、ツキノワグマの対策連絡会議を実施した兵庫県。今年はクマのエサとなるドングリが豊作の見込みであるものの、5月に豊岡市で男性が手足をかまれ、ケガをしていることなどから、今後、クマの出没を想定した実地訓練の実施を広げていきたいとしています。クマの被害に遭わないためには、どうすればいいのでしょうか。関西でも出没が相次いでいるツキノワグマですが、体重が100キロを超えていて、鋭い爪もあって、最速で時速40キロで走るということで、これは世界記録保持者のウサイン・ボルト氏並みの速さだということです。関西でも目撃情報が相次いでいまして、4月から7月の間に、多くの目撃情報、出没件数が報告されています。中でも京都、兵庫が多く、それに次いで奈良、滋賀となっています。街中でクマの出没も相次いでいて、クマを引き寄せるものが色々あるということなんです。クマが引き寄せる要因となるのはこちらです。クマの大好物、柿の木。そして家庭菜園ももちろんなんですが、その横の生ゴミです。油性のペンキや灯油などは、クマが興奮する匂いを発するということで、注意が必要です。家の近くの雑草は、背が高くなればなるほど、クマの隠れ場所になるということで、この辺りを整理することで被害を防げるということになります。兵庫県が、出没したクマが何を食べていたのかというのを調べたところ、8割が柿ということです。クマと言いますと、蜂蜜のイメージもありますが、その他の果樹や蜂の巣箱、野菜という順番になっています。私たちにできることとしては、こういったグッズ持っていると効果的です。熊よけのベル『トレッキングベル』、『アルミホイッスル』。また『ベアホーン』は聞かれたことありますか?これは鳴らすことで、クマに『私たち人間がここにいますよ』と知らせるものです。結構大きな音が出ます。一回鳴らしてみます。かなり広い範囲に『人間がいるよ』と知らせることができるということで、クマを寄せないためにも、こういったものを携帯する。他にもクマと遭ってしまった場合に、クマの撃退スプレー『ベアスプレー』があります。これは13,200円で、12メートルの長距離噴射ができます。モンベルの店舗では、3日間で2,500円からレンタルもしています。これから行楽シーズンを迎えるので、山に出かける際は備えも意識の片隅に置いておいて下さい。
(鹿角ブランド「北限の桃」、クマ食害が収穫量の2割に:秋田)
秋田県鹿角市の「北限の桃」が今年、クマに食べられる被害が相次いでいる。収穫時期が遅く、市場評価の高いブランド果実だが、JAかづのによると、昨年の収穫量の約2割がクマによる食害に遭い、その他の農産物にも被害が出ている。同市の男性(88)の果樹園では、約3600個のモモがこれまでに被害に遭った。クマは電気柵の下の地面を掘って入り込み、木に登るなどして実を食べる。ヤブに囲まれた北側の一角は大きな被害を受けた。隣接する畑が約8年前に耕作放棄地となり、ヤブが広がってからクマが主力の「川中島白桃」を食い荒らすようになった。電気柵を3重にして備えているが、男性は「日中は一人で作業することもある。近くにクマがいると思うと気が気でない」と話し、被害が大きい畑では栽培をやめる予定だ。リンゴにも被害が出ている。同市の男性(72)の果樹園では9月上旬、600個が食害に遭った。約2ヘクタールの畑でモモの木は電気柵で囲んでいたが、リンゴの木には設置していなかった。甘みの強い「シナノスイート」が狙われ、男性は「森に餌がないのか、出没時期が早くなった。侵入経路が同じで、同じクマにやられているようだ」と肩を落とす。同市農地林務課によると、クマによるモモの食害は今年8月末までに30件・被害額は864万3000円で、昨年の約10倍に上る。食害はキュウリやスイカ、栗などにも及ぶ。同市は電気柵での対策が有効だとして費用の3分の1を補助(上限20万円)している。同課の青山真主幹は「撃退するには電圧7000ボルト以上を推奨している。電気柵は細かな点検、補修作業が必要となる」と話す。果樹農家は高齢化が著しく、収穫と合わせ、電気柵の作業負担も重くのしかかる。JAかづの営農経済部によると、天候不順や大雨被害の影響もあり、今季、ほぼ収穫を終えた川中島白桃の集荷は前年の68%にとどまっている。クマとのすみ分けを進める緩衝帯を設け、箱わなを設置して見回り、廃棄農作物の処理や誘引樹木の伐採などの対策を講じるが、食害は後を絶たない。担当者は「畑近くでクマのうなり声を聞いた人もいる。人的被害を出さないよう細心の注意が必要だ」と呼びかけている。
(クマ撃退スプレーの販売数倍増:北海道)
ヒグマによる人身事故が相次ぐ中、オホーツク管内でヒグマ撃退スプレーを備える動きが広がっている。渡島管内福島町で今年7月、新聞配達員の男性がヒグマに襲われ死亡した事故などを契機に、ホームセンターでは売れ行きが倍増。アウトドアだけでなく、土木建設や農業、林業などの現場でもスプレーが自衛に欠かせなくなっているためで、ヒグマと遭遇した場合に的確に噴射できるよう、「訓練の機会」を求める声もある。
(放置されたシカの死骸、クマが捕食か:栃木)
クマが人の生活圏に出没するケースが全国的に増える中、わなにかけたシカの死骸を放置するとクマをおびき寄せるおそれがあるとして、市は22日までに市内の有害鳥獣捕獲従事者に毎日わなを見回るよう通知した。草久(くさぎゅう)で8月にわなにかかって数日放置されたシカの死骸が、クマに捕食されたとみられる状態で発見されたことを受けての対応。数十メートル先には民家があり「肉の味を覚えたクマがまた現れるかもしれない」と、地域住民から不安の声が上がっていた。
(シカと接触、半島部で多発:宮城)
野生動物が交通事故で死ぬ「ロードキル」。半島部や山間部を中心に多くの鳥獣が息づく石巻では身近な事故の一つといえる。中でもシカとの接触事故は車を大きく損壊させる恐れがある。2020年から継続調査に取り組む石巻専修大生物科学科の辻大和教授(47)は「秋はシカの交尾期に当たり、移動が活発になるので注意が必要」と呼びかける。辻教授は同大動物生態学研究室の学生と共に国や県、市のデータを集計。20~24年に市内で確認された野生動物との接触事故は7101件で、そのうちシカは489件だった。辻教授はシカとの接触事故の頻度について、分布や道路環境との関連性を指摘する。市内では、シカが多く生息する半島部の県道石巻鮎川線での発生が目立った。さらに直線で道幅が広く、スピードを出しやすい道路での衝突が多かった。ガードレールといったシカの侵入を防ぐ構造物は少なかったという。24年までの5年間に市内で確認されたシカとの接触事故を月別に集計した結果はグラフの通り。辻教授は、これからの時期はシカの行動が活発になることに加え、夜行性の習性にも着目。「シカは夜明け前と日没前後に出没しやすい。夕方から夜8時ごろにかけて半島部を通る際は注意して運転してほしい」と話した。
(豚熱まん延防止へワクチン散布:福岡)
野生のイノシシが家畜伝染病の豚熱に感染していることが確認された福岡県糸島市で、県は24日、豚熱のまん延を防ぐためワクチンの散布を始めました。県によりますと11日、糸島市で見つかった野生イノシシの死骸が豚熱に感染していることがわかりました。県はまん延を防ぐため24日、発見場所から半径10キロ以内の30地点で経口ワクチンの散布を始めました。ワクチンはビスケット状のエサに入れたもので、合わせて600個が散布されます。県内では今年8月以降、久留米市やうきは市でも豚熱に感染した野生イノシシの死骸が見つかっていて、これまでに10例に上ります。県はこれまでに久留米市やうきは市でもワクチンを散布しています。県は豚熱が人に感染することはないとした上で、経口ワクチンを見かけても触らずに、死んでいるイノシシを見つけたらすぐに市町村へ通報するよう呼びかけています。
(マダニ感染症が増加中:北海道)
北海道内でマダニが媒介する感染症の患者が増えている。8月には致死率が最大30%に上る「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)の感染が道内で初めて確認されたほか、ウイルス脳炎など各種感染症の患者数も増加傾向。マダニの生息域が山林だけでなく住宅の庭や公園などに拡大していることが背景にあり、秋の行楽シーズンを迎える中、専門家らは注意を呼びかけている。SFTSに感染した道央の60代男性は7月下旬、草刈りをした後にマダニに肩をかまれていることに気づいた。自分で除去したものの、発熱や頭痛などの症状が出たため、3日後に病院を受診、感染が判明した。2013年に国内で初めて感染が確認されたSFTSは主にウイルスを持ったマダニにかまれることで感染し、6日~2週間程度の潜伏期間の後、発熱や嘔吐(おうと)などを発症。重症化すると血液中の血小板が減って出血が止まらなくなったり、多臓器不全に陥る。致死率は10~30%に上る。
(どうする難敵ヌートリア、高い繁殖力に対応苦慮:静岡)
鹿やイノシシなどと同様に、農作物を食害するヌートリアに対し、独自の対策を講じる動きが出てきた。日本農業新聞「農家の特報班」は各地の試みを取材。生態に分からない部分がある半面、繁殖力が高く、対応に苦慮している実態が見えてきた。愛知県立稲沢緑風館高校(稲沢市)のボランティア部は今年度、校内や地域の畑で食害や目撃例が相次ぐヌートリアに対し、衛星利用測位システム(GPS)発信機を使った行動調査を始めた。同市では水稲や野菜の被害が多発している。被害が深刻な場合、市は依頼があった場所に猟友会を派遣。無償で捕獲・駆除している。被害防止のために、同部はヌートリアの移動経路や活動時間の把握に乗り出した。同部顧問で、生徒と調査に携わる水野桃子教諭は「移動距離や活動時間など、ヌートリアの習性にはまだ分からないことも多い」と話す。現在は、箱わなで捕獲した個体の背中に、GPS発信機を取り付けた後、再び放している状態。発信機から得た情報などを活用し、出没場所や時間帯を分析する。水野教諭は「巣穴やよく通る場所の傾向を捉え、地域の生産者に共有したい」と構想する。ヌートリアは主に中国・近畿地方などに生息する。農業被害の抑制に向けて、独自の対策を講じる地域もあるが課題も多い。岡山市は国の交付金も活用しながら、1頭2000円の捕獲奨励金を設ける。捕獲したヌートリアの写真と尻尾、報告書を持参すれば、奨励金を交付する。ただ、繁殖力が高いため「個体数の減少までには至らず、被害を抑えるので精いっぱい」(農林水産課)という。23年度は捕獲数600頭で、計画目標の800頭を下回る。農業被害額は49万円に上る。地元猟友会のメンバーなどが捕獲に携わるが「高齢化が進んでいて、捕獲頭数を大幅に増やすのは難しい」(同課)のが実態だ。農水省によると、全国のヌートリアの農業被害額は23年度で5000万円。19年度の4000万円以降、増加が続く。同省は「1年に2、3回繁殖し、一度に10頭弱の子を生むこともある。繁殖力が極めて高い」(鳥獣対策・農村環境課)と説明する。用水路周辺の田畑に出没し、用水路やため池堤体の破壊、田植え後の苗の食害などの被害が確認されている。現時点で大きな被害は確認されていないものの近隣での被害を踏まえ、対策に乗り出す自治体も出てきた。静岡県磐田市は、JA遠州中央と静岡県西部猟友会磐田分会、県立農林環境専門職大学と連携協定を締結。ジビエ(野生鳥獣の肉)活用も視野に入れる。生息域の把握と、捕獲数を増やすため、今後はJAが生産者から寄せられた目撃・被害情報などを集約し、市を通じて猟友会に提供。免許を持つ地元猟友会のメンバーが箱わなや空気銃で捕獲する。同専門職大学はジビエ活用の研究を担い、ヌートリアの肉の栄養素や肉質などを分析。ジビエとしての調理方法などを県内外に提案していく方針だ。同専門職大学はヌートリアの肉を使ったウインナーを試作。市は「たんぱくでくせのない味わい。ジビエ需要を開拓し、捕獲後の活用も後押ししたい」(環境課)と展望する。前歯をむき出し、野太い声で威嚇する姿は、想像していた愛らしい姿とは懸け離れていた。実りの秋はヌートリアにとってもごちそうの季節。専門家によると、ヌートリアは学習能力は高いが、面倒くさがり屋な性格だという。柵の設置や、農作物まで迂回しなければならないように障害物を置くと、諦める傾向がある。実に人間くさい“ズボラ気質”を逆手に取り、効率的に対策しよう。
(山小屋で遭遇した“100kgイノシシ”の恐怖:長野)
25年8月、北海道・羅臼岳で登山者が熊に襲われ死亡した事件は全国を震撼させた。これから行楽シーズンを迎えるだけに、誰もが危険な野生動物と遭遇する可能性はある。九死に一生を得た人々から、緊迫の体験談を聞いた。2年前に長野県に移住した友人を訪ね、諏訪湖の近くの山間を訪れていた本田由美子さん。10月、紅葉に彩られた山々は、空気は澄み、夜空に星が輝いていた。夕食後、友人が家事をしている間、本田さんは山小屋風の平屋のウッドデッキに腰を下ろし、広い庭と畑を眺めながら酒を楽しんでいた。そんな静けさを破ったのは、小さな影だった。うさぎか、たぬきか。近づいてみると、それは縞模様が残る「うり坊」(猪の子)だった。愛らしい姿に心を奪われた本田さんは、スマホを片手にしゃがみ、つまみのピーナッツを持ったまま、少しずつ距離を縮めてしまった。「恥ずかしながら当時、野外で食べ物を持っていると猪に襲われる危険があるという知識がなかったんです」次の瞬間、不意に鼻を突く強烈な獣臭……。最初はうり坊の臭いかと思ったが、目を凝らすと、巨大な影が浮かび上がった。うり坊の親と思しき推定体重100㎏近いニホンイノシシだった。特にオスは下顎の犬歯が鋭く、突進と同時に切り裂くのが特徴で死亡事故は稀だが重傷事例も少なくない。「殺される!」。反射的に立ち上がろうとしたが、焦って転倒し、尻もちをついてしまう。その瞬間、絶望が全身を支配した。「ああ、もうダメだ……」。迫りくる巨体。牙、咆哮、地響き。だが猪が1m先まで迫り、死を覚悟したとき奇跡が起きた。母猪はひっくり返った本田さんの真横をかすめ、そのまま猛スピードで走り抜けていったのだ。親子で森の中へ消えていく姿を呆然と見送り、震えながら立ち上がると、自分が失禁していたことに気づいた。「急いで家に戻り、友人に話すと『ああ、出ると言ってなかったっけ? でも一時期よりは減ったからさ』と軽くあしらわれて怒りを覚えました」。そして翌日、隣家の老夫婦にも話すと、こう諭された。「転んだのが幸いしたね。猪は目がすごく悪いから、倒れたことで敵が突然消えたように見えたのかもしれないよ」。本田さんはそれ以来、うり坊が出たらすぐに退避することを心に決めたという。
(野生鳥獣問題について考える「えひめ狩猟フェスティバル」:愛媛)
深刻化する野生鳥獣の問題について考えるイベントが松前町で開かれました。「えひめ狩猟フェスティバル」は、イノシシやシカなどの野生鳥獣の増加に伴う自然環境への影響を知ってもらい、狩猟やジビエへの関心を高めてもらおうと県が毎年開いています。ワークショップでは、岡山理科大学獣医学部の小野文子教授が、野生鳥獣による感染症のリスクと予防の大切さなどについて説明し、参加者は、狩猟からジビエまでの課題や解決策について紙にまとめながら野生鳥獣とどう付き合うべきか考えていました。このほか、会場では狩猟免許の相談ブースやジビエ料理の販売が行われました。■愛媛県自然保護課 山内重宣課長「被害を減らすために重要な、捕獲の担い手である狩猟者を増やしていくことが必要です」。県によりますと、昨年度の野生鳥獣による農作物などの被害額は、県内で5億円以上と、高止まり傾向にあるということです。
(出回る「おもちゃ」の拳銃、36人摘発)
銃刀法で所持が規制されている拳銃と同様の発射能力を持つ「おもちゃ」の拳銃が、通販サイトなどで出回っている。これらの拳銃を所持したなどとして、全国で少なくとも36人が銃刀法違反容疑で摘発されていたことが、警察庁への取材でわかった。こうした拳銃は17種類あり、計約1万6800丁ほどが出回っていたとみられるといい、全国の警察が、このうち2割超の約3600丁を7月末までに回収したという。規制対象となる「おもちゃ」の拳銃が国内で最初に確認されたのは2022年。ネット上で販売されているものについて、警察が調査したところ、一部の「おもちゃ」は弾を込める弾倉と銃身が貫通しており、弾を打つ撃針があるなど、実弾を発射できる構造だった。規制対象になると判断したという。
(激減した名古屋城のシカ、京都から受け入れ案が浮上:愛知)
名古屋市の広沢市長は、京都市で殺処分が予定されている野生のシカの受け入れを検討することを明らかにしました。名古屋城のお堀では2頭のシカが暮らしていますが、“絶滅の危機”に瀕しています。秋分の日の23日、多くの人で賑わう名古屋城。そこに姿を見せたのが、お堀に住むシカ「やまむらちゃん」、母親の「もみじちゃん」と2頭で暮らしています。しかし、母親のもみじちゃんは人間でいうと60歳。あと5年ほどでシカの平均寿命に達するといいます。名古屋城のシカは絶滅してしまうのか。そんな中、22日の市議会であるプランが浮上しました。浅井正仁名古屋市議:「京都『宝が池公園』のシカを助け、名古屋城で引き取ってあげてはどうでしょうか」。京都からシカを名古屋城へ連れてこようというのです。京都市左京区の宝が池公園とその周辺では、10年ほど前から野生のシカが急増しています。京都府猟友会洛北支部の担当者(2022年):「シカ!逃げる雰囲気もないもんね。(人がいても)平気ですわ」。カメラを向けても、シカは平然と草を食べ続けています。公園から飛び出してきたシカと衝突する交通事故などを受け、猟友会は市と連携して捕獲檻を設けましたが…。京都府猟友会洛北支部の担当者(2022年):「設置してから1カ月で6頭くらい餌を食べに来とったんやけど、5頭捕獲、それから後は来ない。1頭逃がしたやつが仲間うちでしゃべっているのか知らんけども」。京都市は2024年、2年間かけて宝が池公園のシカを全頭殺処分する方針を発表しました。およそ80頭のうち、すでに40頭あまりのシカが捕獲されていて、年内には残り全ての捕獲が完了する見込みです。浅井正仁名古屋市議:「京都のシカは、このままだったら殺されるんですよ。このシカさんもね、『助けて』って言ってるんですよ」。京都の殺処分寸前のシカたちを、絶滅が危ぶまれる名古屋城で受け入れることで、どうにか救えないか。広沢市長は前向きな答弁をしました。広沢名古屋市長:「11月には保護できるように調整し、12月をめどにできるだけ早く名古屋城に迎え入れることができるよう、課題解決に向けて最大限努力してまいります」。広沢市長は、京都市による殺処分より前、12月をめどにした受け入れの検討を明言しました。お堀のシカは、今や知る人ぞ知る名古屋城の楽しみ方の1つです。京都からシカを迎え入れるビッグプロジェクト、課題は多くあります。名古屋城総合事務所の担当者:「野生のシカということですと、まず捕獲をどうするのか、捕獲する時に麻酔を使うのか、ケガのない状態で捕獲できるのか、輸送はどうしたらいいのか、そういったような課題があります。名古屋城側でも受け入れ態勢をしっかり整えないといけない」。果たして、ビックプロジェクトの行方は…。京都のシカたちに残された時間は、あと3カ月しかありません。現在は2頭まで減ってしまった名古屋城のシカですが、その歴史は江戸時代・尾張徳川家までさかのぼります。戦前には12~13頭いたそうなんですが、戦争で全頭死んでしまいました。しかし、1952年に地元・名古屋の東山動物園からヤクシカが3頭やってきて、その後は大繁殖して、1978年ごろには56頭まで増えピークを迎えました。その後は野犬に襲われるなど激減し、平成の初めには11頭にまで減りましたが、1991年、絶滅のピンチを受け和歌山城からシカ3頭がやってきました。当時の新聞記事などによりますと、徳川御三家の縁で紀州徳川家の城から3頭がやってきたそうです。そして、名古屋城のシカはまたも2頭まで減り、絶滅の危機を迎えています。果たして年内に京都からシカがやってくるのでしょうか。
(カモシカ療養所、19年ぶり三重:三重)
三重県多気町の「ごかつら池どうぶつパーク」に、国特別天然記念物のカモシカ用の野生傷病動物保護施設が完成した。県内に保護施設ができたのは、菰野町の御在所岳山頂近くにあった「日本カモシカセンター」が2006年11月に閉園して以来。将来はカモシカの生態や繁殖の研究拠点にも期待されている。保護施設は、「どうぶつパーク」前身の「花と動物ふれあい広場」で、ニホンザルなどを展示していた直径約15メートル、深さ約3・5メートルの区画。「どうぶつパーク」は昨年6月にリニューアルオープンしたが、未整備の非公開区域があり、その一角を保護施設として使い、新たに2室の飼育小屋を建てた。衰弱したカモシカがいれば、野生に戻すことをめざし、獣医師の指示で治癒にあたる。三重、滋賀の両県教育委員会の調査では、両県にまたがる鈴鹿山地カモシカ保護地域で、1平方キロメートルあたり、1990年度に2・40匹のカモシカがいたが、2022~23年度には0・05匹に激減した。
(体長1m36センチ体重約120キロのクマ捕獲、付近では男性がクマに襲われる被害:宮城)
今月12日、富谷市で男性がクマに襲われる被害があった現場近くでクマ1頭が捕獲され21日、駆除されました。今月12日、富谷市富谷新町の市道で、歩いていた60代の男性がクマに襲われ、顔や頭などに切り傷を負いました。クマは男性を襲った後に現場から逃げていて、市は、クマを捕獲するための箱わなを現場付近に設置していました。市によりますと20日午後6時半頃職員がわなにかかったクマ1頭を見つけました。クマは体長1メートル36センチ体重およそ120キロのメスで21日、警察の立ち合いのもと猟友会に駆除されました。富谷市は捕獲されたクマが男性を襲ったクマと同じ個体かは不明だとしていて、引き続き付近の住民に注意を呼び掛けています。
(走行中の軽乗用車とクマが衝突:新潟)
22日午前0時前、関川村大内渕の国道で、走行中の軽乗用車とクマが衝突した。運転していた50代女性にけがはなかった。村上署によると、体長約0・6メートルの子グマとみられる。車の進行方向の右側から路上に飛び出し、衝突後動かなくなった。付近に民家はない。
(クマ3頭を捕獲、箱わな近くのデントコーン畑に痕跡:北海道)
22日朝、道東の白糠町でクマ3頭が捕獲されました。付近ではクマの痕跡が確認されていて、箱わなを設置するなど警戒が続いていました。午前8時ごろ、白糠町新縫別で体長2メートルほどのクマ1頭が捕獲されました。箱わな近くのデントコーン畑では、これまでにクマの糞などが見つかっており、警戒が続いていました。午前6時ごろには、5.5キロほど離れた白糠町茶路基線の畑でも1.5メートルほどの子グマ2頭が捕獲されていて、町内では出没が相次いでいます。
(クマが養鶏場の金網フェンス壊す:宮城)
23日午前、七ヶ宿町の養鶏場でクマが金網フェンスなどを壊す被害があった。発見した従業員が棒で追い払い、クマは森林に逃げたという。警察は現場付近のパトロールを強化し、住民へクマに近づかないよう注意を呼びかけている。警察によると、23日午前8時20分ごろ、七ヶ宿町板木の養鶏場で、体長1メートルほどのクマが金網フェンスを突き破り、鶏舎に頭を突っ込んで入ろうとしているのを従業員が目撃した。従業員3人で棒で叩いて追い払ったところ、クマは養鶏場西側の森林に逃げていったという。防鳥ネットやビニールシート、金網フェンスなどが壊されたが、けが人はなく、養鶏場の中のひな鳥への被害もなかったという。警察は現場のパトロールを強化し、周辺住民には「クマに近づかないように」と注意を呼びかけている。クマに遭遇したときは、急な動作をするとクマを刺激し、襲われる可能性が高いので、落ち着いて、静かに、背中を見せないようにして離れましょう。もし、クマに襲われたら、地面に腹ばいになり、両手で首の後ろをガードして首や頭を守りましょう。朝夕の行動を避ける、クマ鈴やラジオを鳴らす、多人数で行動するなど、基本的な遭遇防止対策をとり、注意して行動しましょう。
(爆竹を投げると3頭は走り去る、自宅敷地内に3頭の熊:福島)
自宅近くの柿の木の上と下に3頭の熊が目撃され、警察が警戒を呼びかけています。熊が目撃されたのは喜多方市山都町字小松地内にある民家の北側敷地内です。23日午後3時頃、女性が在宅中に屋外から音がしたことから外を見たところ、自宅北側の柿の木の上に体長およそ40センチの子熊2頭、そして柿の木の下には体長およそ1メートルの親熊1頭を目撃したということです。女性が爆竹を投げると、3頭は西側に走り去っていったということです。人的被害などは確認されていませんが、警察が周辺の住民などに警戒を呼びかけています。
(「ドアを開けたら…」自宅敷地内で男性がクマと鉢合わせ:岩手)
23日朝、岩手県遠野市で男性がクマと鉢合わせになりました。男性にけがはありませんでしたが、ニワトリなどのエサが荒らされる被害が出ています。クマが出没したのは遠野市青笹町の農業・奥寺栄一さん75歳の自宅敷地内にある牛舎付近です。23日午前5時半ごろ、農作業に向かおうと外に出た奥寺さんが、敷地内にいた体長およそ1メートルの成獣と鉢合わせになりました。数秒にらみ合った後、奥寺さんが声を出すと、クマは家の裏の竹やぶの方へ逃げていったということです。奥寺さんにけがはありませんでしたが、家と牛舎の間の通路に保管していたニワトリのえさ2袋と犬のえさ1袋が破られ、中身が散乱しました。産直に出す予定だった栗も荒らされ、周辺には足跡も残っていました。クマは22日から出没していて、市によりますと、9月に入って青笹町でエサが食べられる被害はこれで3件目です。付近に捕獲用のわなを設置したほか、警察が付近の住民に外出時の注意やクマのエサとなる物を屋外に置かないなどの対策を呼びかけています。
(子グマ1頭駆除、猟友会などが親グマの行方を追う:北海道)
子グマ1頭が駆除され親グマの行方が分かっていません。北海道・滝川市の河川敷で親子とみられるクマ2頭が出没しました。猟友会などが残った1頭を探しています。20日午後1時半ごろに滝川インターチェンジ付近でクマの目撃情報があり現地調査に向かっていた市の職員が滝川市東町の空知川の河川敷でクマ2頭を目撃しました。2頭は親子とみられていて警察によりますと市の依頼で駆けつけた猟友会が子グマ1頭を駆除したということです。親グマとみられるもう1頭は見つかっていないということです。現場は住宅街も近く空知川の河川敷はジョギングなどで利用する人も多いことから、市は河川敷の一部立ち入りを規制しています。21日午前5時ごろから市や猟友会などがもう1頭の行方を捜索するとしています。
(畑の”メロン約200個”が食い荒らされる:北海道)
北海道南部の厚沢部町でメロン約200個が食い荒らされました。クマによるものとみられています。9月21日午前11時すぎ、厚沢部町美和の畑で畑の所有者がメロンが食い荒らされているのを発見し警察に通報しました。被害に遭ったメロンは約200個で、近くにはクマの足跡がありました。周辺では8月からメロンやスイカなどの食害が相次いでいて、9月10日にはトウモロコシ約400本が食い荒らされていました。町はクマによるものとみて警戒しています。
(クマの足跡くっきり、ブドウが食い荒らされる被害:北海道)
北海道内では連日クマの出没が相次いでいます。札幌市西区の住宅街のそばでは2日続けて親子とみられるクマが目撃されたほか、道南の知内町でもブドウが食い荒らされる被害がありました。これは9月21日に撮影された2頭のクマとみられる写真です。21日午前8時すぎ、札幌市西区西野10条9丁目で、住人が自宅の窓越しに親子とみられるクマ2頭を目撃し、警察に通報しました。また、500メートルほど離れた市道でも20日、道路を横断する2頭のクマが目撃されています。いずれの場所も住宅街のすぐそばで、警察は近くにある中学校の登下校時間などにあわせてパトロールして警戒するということです。一方、道南・知内町重内でも午前6時半ごろ、住宅横の家庭菜園でブドウが食い荒らされる被害が見つかりました。警察によりますと、ハウスにかかっていた網がめくられた状態で見つかり、近くに足跡が残っていたということです。警察はクマによる被害とみて注意を呼び掛けています。
(千葉県だけ「クマがいない」驚きの情報に“安心と自虐”)
《千葉県だけクマがいないなんてずるい》《千葉県は本州で唯一クマがいないって本当?》《へえ千葉県て熊いないんだ いいなあ》《千葉県熊いないの!?遅れてるぅ》。毎日のように報じられるクマ被害や出没騒ぎ。そんなさなかの9月21日、TBSの報道番組『サンデーモーニング』で“本州で野生のクマが生息していないのは千葉県だけ”ということが報じられると、SNSには千葉県とクマを巡るコメントが集まった。《千葉県、熊いないのか 確かに茨城、埼玉、東京との県境は住宅地や商業地、河川だもんなー》《キョンはいるけどクマはいない、それが千葉県です》《やっぱり千葉って良いよね、良いものたくさんあるよね。旅行もすぐ千葉県行っちゃうもん。海も山もあるし熊いないからキャンプも出来るし牧場も遊び場もたくさんあって子連れに最高だし》。クマがいないことで安心する声だけではなく、《本州で千葉県だけ熊がいない。橋はかかっているが千葉県て橋がなければ島だからね》《千葉県って利根川と利根川から分岐した江戸川に囲まれた大きな島って知ってた? 関東平野とは川を挟んで地続きじゃないんだよ、マンハッタン島みたいに》《千葉県は大雨ふらないし、大雪もふらないし、熊もいないし最高ですよ 渋滞すごいけど》。などの自虐的なコメントや、《千葉県は「熊無県」 本州で唯一、野生のクマがいないのは千葉県らしい。 浦安には黄色い熊がいるけどね(笑)》《千葉県にクマいるじゃん。 黄色い体で赤い服着たハチミツが好きなクマ》。と県民の大好きな“夢の国”に結び付けたい人々も。なかには、《苦情殺到 クマ害の野郎、苦情が殺到してるもんで自らポストするのは自重し、千葉県広報のRPばっかだね、このとこ》。と、“クマ”繋がりで熊谷俊人千葉県知事を揶揄するようなコメントまでも。「野生のツキノワグマは九州では絶滅しています。四国でも数えるほどになっていますが、本州では逆にここ3年で被害や目撃が増えています。以前は茨城県と千葉県にはクマはいないと思われていたのですが、福島などの隣接県から生息範囲を広げているのか茨城では昨年、目撃例が出ています」(全国紙社会部記者、以下同)では、なぜ千葉県には野生のクマがいないのだろうか?「千葉県には南部に房総丘陵が広がり自然が豊かです。ただ、かつて海で本州と切り離されていたうえに、房総の山々は最高でも愛宕山の408mと低く、クマの生息に適した土地が少ない。他県の生息地との間には人間が住む関東平野が広がり、利根川や江戸川といった大きな川も障壁になったようです」。かくして、本州唯一の“クマなし県”となった千葉県だが、こんな心配の声も。《千葉県には野生の熊はいないから、将来的に熊の侵略を恐れた他の都道府県の居住者が流れ込んできたりとか》。「房総にはクマはいませんがイノシシはいます。クマ同様に命の危険もある猛獣です。また、近年はキョンが激増して自然の植物や作物への食害が深刻です」。怖いのはクマだけではないようで……。
(クマからあなたの身を守るために)
住宅街や家の中でもクマに襲われる。そんな異常事態がことし、全国で多発しています。実はさらに心配なのがこれからの秋だと、専門家たちは警告しています。あなたの身の回りでも起きるかも知れない、クマによる人身被害。もし出会ってしまったら?そもそも出会わないためにはどうしたらいい?クマに襲われた患者を100人以上診てきた医師、そしてクマの生態に詳しい専門家に聞きました。先月、私たちはクマに襲われた患者の治療の様子を取材することが許されました。被害者は秋田県の69歳の男性。日課のランニング中に路上でクマに襲われ、顔面から血を流して倒れているところを通行人に発見されたのです。全身にはおよそ40か所の傷。25か所を縫合する手術は、およそ4時間にも及びました。主治医の秋田大学医学部附属病院高度救命救急センターの中永士師明(なかえ・はじめ)医師は、これまで100人以上のクマ外傷患者を治療してきたスペシャリストです。中永医師は「報道で“命に別状なし”や“意識あり”という言葉を聞くと、軽く済んだという印象がついてしまう。でも実際はあごや鼻の骨が砕けていたり、顔が引き裂かれて眼球が飛び出した状態だったり、クマに襲われ運ばれてくる患者は想像を超える、凄惨な状況だ」と言います。中永医師「今回の方も『意識あり』というような報道でしたが、実際は鼻も顔面も肉がそげているような状態で運ばれてきました。中には高所からの転落や車両にひかれた事故と同じような状態のケースもあります。さらに傷が治ったあとも、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神的な後遺症に悩まされることもあり、クマに襲われた人の治療はケガが治って終わりではないんです」。秋田県では2023年、クマが原因で全国最多の70人のケガ人が出ました。同センターでは、重傷の患者20人の治療にあたりましたが、このうちおよそ8割が「当時を思い出して眠れない」「突然涙が出る」などの症状がみられ、PTSDを発症している可能性があるといいます。また、視力やそしゃく機能に不調が生じるといった後遺症も多くの患者で確認されました。秋田県では、ことし1月~7月の人身被害は4件でしたが、8月にさらに4件発生。同センターでも3人の治療にあたってきました。この増え方が2023年を想起させると中永医師は言います。中永医師「2023年もこの頃からちょこちょこクマが出てケガする人が出てきていたんです。ことしもこれから秋にかけて増えてくるんじゃないかと、嫌な予感がしています」。さらに中永医師は、ことし8月までの人身被害8件のうち7件が、畑仕事やゴミ出しなど、日常生活の中で被害を受けていることに警鐘を鳴らしています。「ゴミ出しぐらい行きますよね。畑仕事もするし、当たり前の日常の中で襲われているんです。『こんなところにクマが…』という場所で被害が起きているんです」。いまクマは本来の生息地、山の中だけでなく、住宅街を含む人の生活圏にも恒常的に現れるようになってきています。都会をはじめ、クマが生息していない地域に住む人も、旅行先や帰省先でクマに遭遇する可能性があり、誰もが「わが事」として考える必要があります。ではクマによる人身被害を防ぐにはどうしたらいいか。クマの生態や対策に詳しい森林総合研究所東北支所の大西尚樹博士に話を聞きました。「何よりもまず大事なのは、クマに出会わないことだ」と大西博士は言います。クマに出会ってしまったとき、できることは多くはないからです。ではクマに出会わないためにはどうすればよいのでしょうか。クマの目撃情報をまとめた地図の公開が全国各地で進んでいます。たとえば秋田県では「クマダス」と呼ばれる県の情報マップシステムが公開されていて、最新の出没状況が一目で分かります。ほかの都道府県でも、こうした情報システムが公開されています。自分が住んでいる地域の情報収集はもちろん、旅行などで出かけるときにも最新の状況を確認して、対策につなげてください。クマの出没情報がある地域では、地面の痕跡に注意してください。特にクマの新しいフンや足跡がある場合は要注意です。安全な場所に退避してください。またこうした情報を周りと共有することも大切です。クマの痕跡の見分け方。大きさは人の握りこぶしよりも大きいものが多いです。食べたものにより色や質感が異なり、ドングリを食べれば黄土色、コメを食べれば殻がそのまま出てきます。まだ温かいものや、ツヤがあるものは新しいフンなので、近くにクマがいる可能性があります。すぐにその場を離れましょう。クマの足跡。前足と後ろ足で形が異なります。ツキノワグマの成獣の場合、幅はおよそ10センチ。指は5本ずつです。新しい足跡を見つけたら、フンと同様、その場から離れてください。クマの人身被害で最も多いのは「鉢合わせ」です。秋田県での調査では、2020年~2022年の人身被害のうち8割がこの「鉢合わせ」が原因でした。驚いたクマが身を守ろうと、とっさに襲ってくるのです。「鉢合わせを避けるために最も有効な手段は、音を出すこと」と森林総研の大西博士は言います。大西博士「クマ鈴は必ず装着しましょう。人の声も有効です。農作業や山菜採りなど、しゃがみ込んで鈴が鳴らない場合は、携帯ラジオやスマホアプリで常に音を流しておくのが効果的です。また、複数人で行動することで会話も生まれますし、いざという時に対応手段の幅が広がります」。最近、SNSなどで「音を出すと、かえってクマを引き寄せるのでは?」という意見を目にします。これについて大西さんは…大西博士「仮にそうした個体がいたとしても、全国に数万頭いるクマの中のほんの数頭程度だと考えます。車に乗るとき、シートベルトを装着していても死亡事故は起きてしまいますが、装着しなければ死亡事故はもっと増えるでしょう。それと同じで、クマ鈴やラジオはクマを寄せつけないための必須アイテムだと思います」。対策をしていても、万が一クマに出会ってしまったら。「慌てず、落ち着くことが何よりも大事だ」と大西博士は言います。人と遭遇してクマもパニックになっているかもしれません。クマをよけいに興奮させないことが大切です。以下、注意点をまとめました。注意点・慌てず落ち着いて、ゆっくりと後ずさり。大声を出したり、背中を向けて走って逃げたりすると、追いかけられることがあります。絶対に避けてください。・クマと自分の間に木などの障害物を挟むようにしながら、少しずつ距離をとります。・逃げ込める建物や車があれば、そこに向かってゆっくり落ち着いて避難しましょう。クマのほうから近づいてくるなど「危ない」と感じたら、クマ撃退スプレーが有効です。強力なとうがらしスプレー。ホームセンターやアウトドアショップなどで購入可能ですが、模造品も出回っているので注意が必要です。有効成分のカプサイシンが1.6%~2%含まれているものなど、成分表を確認して選んでください。大西さんは米国環境保護庁(EPA)の認証を取得しているものを推奨しています。スプレーのラベルを確認し、登録番号(EPA Reg. No.)と製造施設番号(EPA Est. No.)の記載を確認してください。クマスプレーは正しい使い方をしないと効果はありません。以下の注意点を意識し、いざというときに慌てないため、前もって予習しておくことが大切です。注意点・ベルトや肩ひもに装着するなどして、すぐに発射できるようにしましょう。カバンやリュックの中に入れているといざという時に間に合いません。・クマの鼻や目に有効成分が直撃しなければ効果はありません。射程距離などを事前に確認しておくことが重要です。それでもクマが向かってきたときの最終手段を秋田大学医学部附属病院高度救命救急センターの中永医師に聞きました。中永医師「2023年の症例では、およそ9割が顔面に外傷を負っています。クマは頭部や顔面を狙ってくることが多いので、ここを守ることが重要です」そこで中永医師がすすめるのが、こちらの“防御姿勢”です。「両手を首の後ろに組んだ状態でうつぶせになり、足を少し広げた状態でふんばります。顔面や首の動脈、おなかなど弱い部分への攻撃を避けるためです」。同大学病院の調査では、襲われたときこの姿勢をとれた人は全員、重傷を負わずに済んだということも明らかになっています。ただし、中永医師は「この姿勢はあくまでも最終手段。ケガを防ぐものではなく、最小限にとどめるものだ」と言います。クマが出没する可能性がある場所へ行くときはヘルメットを着用するようにしましょう。また、リュックサックも背中を守るのに役立つと言われています。被害を生まない、広げないために、私たちがやらなければならないこと。それはクマと人間の間に適切な「距離」を作り、保つことです。多くの場合、人里に出てくる理由は、私たち人間の食べ物。クマは学習能力が高い動物です。特に一度“おいしい思い”をした場所には何度もやってきてしまいます。まずは、クマに人の食べ物の味を覚えさせないこと。そしてクマが出てきにくい環境を作ることが大切です。▼キャンプや登山など山の中で…・クマ本来の生活エリアであることを強く意識し、食べ物やゴミを放置せず、必ず持ち帰ってください。・テントで就寝する際は、食べ物やゴミは匂いが出ないように密封したケースに入れ、必ずテントの外、できれば10m以上離れた場所で保管してください。・食料コンテナが設置されているキャンプ場もありますが、無い場合は自動車の中で保管するのが良いでしょう。▼身の回りの生活の中で…・家庭ゴミは必ず収集日の朝に出しましょう。前日から出すと匂いでクマを引き寄せてしまいます。・匂いがする物(例:灯油、ガソリン、ペンキ、ペットフード、漬物など)や食料は密閉した容器に入れ、屋内で保管する。出入り口や窓は鍵をかけるなどして、クマが開けられないようにしましょう。・集落周辺や庭などにある果樹は、クマが近づけないように対策しましょう。収穫していないなど、放置されている果樹は伐採を検討してください。伐採できない場合は、木を電気柵で囲う、クマが登れないよう幹にトタンを巻く、などの対策をしてください。・畑や田んぼを電気柵で囲いましょう。・家の周りや通学路などのヤブは刈り払いましょう。ヤブはクマが人目を避けて歩きやすく、絶好の通り道になってしまいます。▼それでも出没してしまったら…・クマが何を目的に現れたかを調べ、“クマを誘引する物”を迅速に取り除くことが何より大切です。クマは学習し、やがて行動をエスカレートさせます。そうなる前に原因を取り除くことで、次の被害が防げるはずです。「人とクマの距離が近づきすぎている今の状況は、何十年もかけて進行してきたことの結果。状況を改善して行くには、同じくらいの時が必要だ」と言う専門家もいます。国はクマを指定管理鳥獣にするなど対策を進めつつありますが、出没や被害の増加に十分追いついていないのもまた現実です。私たちがクマに出会ってしまったら、できることはほとんどありません。「何よりもまず、出会わない」ために、ひとりひとりができることを重ねていくしかないのです。
(クマに背後から頭部を切り裂かれた72才釣り人が語る恐怖の瞬間)
全国各地で相次ぐクマ被害。人里まで出没する例も増えており、いつクマと遭遇してもおかしくはない。では、実際に襲われた人たちはいったいどのような状況だったのか。極限状態を生きのびた人の生の声を紹介する。関東平野の北端に位置する群馬県沼田市佐山町。南方には群馬のシンボルである上毛三山の一つ、標高1828mの赤城山がそびえ、北東には標高2144mの皇海山や、標高1878mの袈裟丸山など関東山地の山並みが連なる。古くから水と緑に恵まれた静かな里山だ。そんな土地に、かつて人知れず暮らしていたものがいた。ツキノワグマ――本州を中心に生息するこのクマは、昔は人里に積極的に姿を現すことはなかった。だが近年、そんな常識が揺らぎはじめている。それは、2022(令和4)年9月上旬の、まだ夏の名残を引きずる陽気の午後だった。「天気もよくて暑かったよ。午後2時くらいだったかな。釣りに行ったんだ、いつも行ってるあの渓流。イワナがよく釣れるお気に入りのポイントがあるんだ。もう年中通ってた」。そう語るのは、沼田市に生まれ育ち、渓流釣りを長年の趣味とする金井誠一さん(当時72歳)。この日も、利根川の支流である四釜川のすぐ脇を走る農道に車を停めて道具を取り出し、静かに準備を始めた。釣り場までの距離はわずか5mほど。見通しは悪く、藪や雑木林が密集する。かつては気軽に入れたこの渓流も、今では産業廃棄物処理場が造成され、立ち入りが制限されている。そのときだった。視界の端で何かが動いた。低く、黒い影が一瞬だけ走ったようだ。動物だ。だがそれが何かまでは、すぐには判別できなかった。「最初はイノシシかなって思ったんですよ。1m50cmくらいあって、結構でっけぇなとは思ったけど」。その影は、藪の中へと姿を消し、斜面を上がっていった。普通ならそこで警戒心が働いてもおかしくない。しかし、日常の延長にあった“いつもの釣り場”という安心感が、わずかでも判断を鈍らせたのかもしれない。金井さんは、気にせずそのまま釣りを始めた。しかしこの日は釣果がなく10分ほどで竿を納めた。「いつも、釣れなかったらすぐ引き上げる」とこの日も車へ戻り、トランクを開けたその瞬間だった。「真後ろからガバッとやられたんだ。声なんか聞こえなかったよ。音もにおいもない。本当にいきなりだった。でもやられた瞬間に『クマだ!』と思ったな」。それは、本当に突然だった。直前に目撃していた“黒い影”が再び姿を現し、襲いかかってきたのだ。クマを目撃または接触した人の中には、「鼻を突くような、強烈な獣のにおいが漂っていた」と証言する人もいる。鼻腔の奥にまとわりつくような異臭だ。しかし、金井さんは「変わったにおいはしなかったと思う」と話す。また、クマは体重100kg前後の巨体でありながら、森林の中では驚くほど静かに移動することができる。脚の裏に脂肪が多く、接地音が少ないためだ。そのため音を立てることなく金井さんとの距離を縮めてきたのだろう。背後から突然、鋭い爪が振り下ろされ、右側の頭部と眉上が切り裂かれた。一瞬にして、大量の血が噴き出した。キャップをかぶっていたことが衝撃を少し和らげたのかもしれないが、あと数㎝ずれていれば、目を直撃していた可能性もあった。一撃を受けたあと、金井さんは反射的に振り返ったが、そこにはもう姿はなかったという。それでも金井さんは、「クマだった」と確信している。「でけぇ爪だよ、皮膚があんな裂け方するのは。爪の痕も角度も位置も、手でやられたって感じだったな。あれはクマしかいねぇべ」。確かに、クマが立ち上がれば身長165㎝の金井さんの頭部を攻撃できるくらいの高さにはなる。イノシシには無理だろう。そして、何より彼をそう断言させるのは、地元での長年の感覚だった。「昔からこのあたりは“クマの本場”みたいなところで、クマは身近な存在ともいえる。遠目に見たことは何回もあるよ。だけど実際に接触したのは今回が初めてだ。興奮してたんだべな。自分がどれだけ出血してるかも分かんなかった」。襲撃された後、意識はしっかりしていたが、痛みはさほど感じなかったという。その場に倒れることもなく、金井さんはタオルで傷口を押さえながら車に乗り込み、自らハンドルを握ってその場を離れた。沼田市薄根町の自宅にたどりついたのは、襲撃からおよそ30分後。血まみれの金井さんを見て駆け寄ってきた近所の“おっかあ”が声をかけた。「それ、なにしたん!」「クマにやられたみてぇだ」。その言葉に彼女は驚愕した顔をして、「いいよ、車で行くべ!」とすぐさま病院へと連れていってくれた。金井さんは自分で運転をしていたが、そのまま病院へ行くことまでは考えていなかったという。「たぶん、話しかけられていなかったらすぐに病院へ行ってなかったかもしれない。タオルが絞れるほど血が出ていたけど、興奮状態だったのか、大怪我だという自覚はそこまでなかったと思うなぁ」。病院に着くと、すぐに診察や傷の処置、レントゲン撮影等が施された。眉上の骨の一部が陥没し、皮膚の裂傷は複数。眉上は2針、頭部は5針を縫う深手だ。医師からは2週間ほどの入院を告げられた。その後は、感染症なども起こさず順調に回復。眉上の骨が少し陥没したままだが、幸い後遺症はなかった。金井さんが襲われた佐山町の現場は、彼の生まれた家のすぐそばだ。山も川も、彼にとっては幼い頃からの遊び場だった。「昔からクマはいた」と金井さんが語るように、クマという存在は決して他人事ではなかった。直接的な被害こそ少なかったが、「いる」という意識は、代々この地に暮らす人々の中に根付いていた。ただ、この出来事の数年ほど前から、地域では明らかな変化が起きていた。現在、金井さんが暮らすのは佐山町から車で20分ほど南下した薄根町だ。金井さんの仕事上のボスであり、ここで古くから農業を生業としてきた石井均さんも「近年、この地域では変化が起きている」と話す。「ここは200年くらい野菜を作っている土地なんだけど、ここ5年くらいで、クマが出るようになったんです。それまでは、見たって話すら聞かなかった。最初は信じられなかったよ。加えて、イノシシやサルといった他の野生動物も同様に出没するようになったんだ」(石井さん)。それは、この土地の長い歴史の中でも異例のことだった。今回の襲撃は、「クマが人里に下りてきている」という新たな局面の中で起きた事故といえるだろう。食糧の減少や気候・環境の変化、人の営みの変容──あらゆる要因が折り重なり、野生動物が人里へと姿を現すようになってきている。「クマは人を襲うとき、必ず立ち上がる。それから前脚を振り下ろすんだ。犬みたいに走ってきてそのまま噛みつくってことはしない。ぜってぇ立ってからやるんだよ」。そう語るのは、群馬県奥利根を中心に活動するベテランのクマ撃ち猟師・高柳盛芳さんだ。クマは元来、臆病でおとなしい動物だ。通常、人には積極的に寄ってこず、出会い頭で驚いて襲ってくることが多いという。また、敵意を示す際に立ち上がる習性があり、正面対峙のパターンが多い。だが金井さんのケースは、出会い頭でも正面でもなく、狙われるような食料も持っていなかった。さらにクマは、聴覚がとても優れており、音に敏感だ。そのため「山に入るときはクマ鈴など音の鳴るものを身に着け、人が近くにいることをクマに教えること」といった教えもある。でもあのときは、クマ鈴こそ持っていなかったものの、車のドアやトランクを開け閉めしていたうえ、ガサガサと荷物を取り出したりしていたのに、なぜ──。「クマってのは、人が思うよりずっと利口で慎重だよ。簡単には姿を見せない。でも、いざってときは、ためらいなく来る。もし森の中でクマに遭遇したら、すぐに動いちゃダメだ。クマと目を合わせ続けるんだ。すっげぇ怖いけど、絶対に目を離さないこと。そのうちにクマがチラッと目を逸らしたら、それがチャンス。ソイツは逃げ道を探してるってことだ。そしたら、そ~っと後ろに下がる。距離ができたら、クマの方から逃げて行くから」(高柳さん)。しかし、今回のように背後から不意を突かれるケースでは、このような対処法を試す間もない。事実、金井さんはその姿を目撃すらできなかった。「見てねぇんだよなぁ、本当に。後ろから一発やられて、終わりだ」という言葉に嘘偽りはないだろう。クマが先に金井さんを視認していて、藪に身を隠していた可能性も考えられる。釣り道具を納めに車へ戻った瞬間を狙って、背後から奇襲したのか。今回の襲撃パターンは、よくある出会い頭とは違い、まるで「狙っていた」かのようだった。クマが人間への警戒心を失い、あえて接近してくる背景には、餌不足や人里への慣れがあるとの指摘もある。金井さんは、退院からわずか一週間後に再び竿を手にし、“いつもの釣り場”に足を運んだ。「釣れなかったけどな。まぁ、それでも行くもんだよ」。野生動物との接触リスクが現実のものとなった今、自然との共生をどう実現するかは、地方の喫緊の課題である。人と自然、そして野生動物。その境界線は今、再び引き直されつつある。
(「撃ってくれ!」クマに顎を食いつかれた69歳猟師の必死の叫びに同僚は「弾ないんだわ!」)
国内では北海道のみに生息するヒグマ。日本にいる陸上生物では最大の体長・体重を有する。そんなヒグマに襲われ、奇跡的に助かった猟師が語る生還の瞬間とは…。北海道の夏は湿度が低く、暑い日があっても総じて爽やかで過ごしやすい。山田さんがヒグマに襲われた7月。盆地の滝上町もそれなりに気温は上がるが、天候は曇りで暑くはなかった。そして、一年の中でも昼間がもっとも長い時期だった。その頃山田さんは、夏季に牧草を刈り取るアルバイトをするくらいで、酪農の仕事はほとんど行っておらず、要請があれば駆除活動を行っていた。その日の夕方、牧草を刈る作業がちょうど休みだったので、トラックに乗って見回りに出た。いつも走る道で仲間のトラックに会い、すれ違いざまに「またあそこにクマ出とるわ」「なら、やっつけなきゃいかんな」と会話を交わした。午後5時30分ごろに役場に連絡が入り、30代の猟師Sさんと待ち合わせをして2人で駆除を行うことになった。Sさんのシカ撃ちの腕は山田さんも認める実力だったが、クマ撃ちは経験が浅かった。二頭のヒグマが居座っていた現場は、山田さん宅から2㎞ほど離れた場所の開けた牧草地。その現場へ向かう途中、渚滑川から分かれる“熊出沢川”という名の川を渡る。その名の通り、この川沿いは昔からクマの通り道だったという。サラサラと流れる沢沿いに、芽吹いたばかりのフキノトウが連なっていた。北海道の原風景が異様に美しい。左手に滝西神社、右手に廃校になった滝西小学校を過ぎると、その道は一気に開ける。左手はまだ何も育っていないデントコーン畑で、道を挟んで右手が現場となった、真っ平の牧草地が広がる。その土地は細長い半楕円の形で、曲線の淵は落ちて崖になっており、崖下は深いササ藪と林だった。その牧草地に、6月半ばごろから毎日のように二頭のヒグマが出没していた。そこへと降りていく短い坂から、50~60m先の車返しのスペースに二台のトラックを停め、ここで30代の猟師Sさんと合流した。山田さんとSさんの二人は銃を持ち、現場に向かう。道路上では発砲できないため、高くなった道から下のくぼ地へと降り、身をかがめクマに気づかれないよう身を隠した。そこから草を食べている二頭を狙う。距離は約60m。地形は知り尽くしていた。山田さんは牧草地の内側にいる一頭を、Sさんは牧草地の淵にいる一頭に向かって同時に発砲。しかしSさんの弾は外れ、驚いたクマは崖下へと逃げていった。山田さんの弾は狙ったクマの横腹に当たった。クマは一度倒れたが起き上がり、牧草地の淵まで歩いていった。そして、淵ぎりぎりの場所に座り込んだ。「逃げたクマよりは、目の前のほうをやっつけるのが先。その座り込んでいるほうを二人で同時に撃ったら、その反動で崖の下に転がって落ちたんだわ。これがまず、一つ目の誤算さ」崖の高さは6~7mほど。二人はお互い二発ずつ撃ったあと、急いでクマが落ちた地点へと走り、上から下を覗いた。山田さんは地面についた血のり、転がっていった跡のササに血がついていたことから「クマは死んでから転がっていった」と思った。しかし一部分のササ藪がガサガサと動く。「なんだよオイ。動いてるわ!」と、山田さんは動くササ藪から目を離さないようにしながらSさんを崖の上にとどまらせ、崖の中腹まで下りて足場を固めた。「姿が見えたら撃ってやろうと思ってさ。そうしたら、動いていたササが動かなくなってね。あれ? と思ったら、先に逃げていた一頭がどこからか走ってきて、木につつつーって登ったのよ。上にいるSくんが撃ったら、今度はそのクマは滑るようにして木から落ちてきたから、弾当たったかな? と思っているうちに、さっきまでピンポイントで凝視していたクマの居場所を見失っちゃって。これが二つ目の誤算」。しばらく見当をつけてササ藪を見つめるものの、動きはない。「少なくても二発は当たっているし、今度こそ死んでいるな」と思った山田さんは、クマの死骸を確認するため、さらに崖を下りていった。「確かこのへんだったよなぁ」とササ藪を進む。上にいるSさんの「山田さん! 動いているわ!」という叫び声が聞こえたか聞こえないうちに、突然、ササ藪の中から半矢(手負い)のクマが正面から襲いかかってきた。その瞬間、山田さんは仰向けに倒され、持っていた銃はどこかに飛ばされてしまった。クマと目は合っていない。気づいたら鼻先が顔の目の前にあり、クマの開いた口や牙が見えたかと思うと、顎に食いつかれた。実際にはその前に頭を爪で引っかかれ、その傷はかなりの深さだった。「どう噛まれたかなんて、順番は分からん。ただクマとくっついて格闘して引っ張り回されたな。顎にがっつり噛みつかれてたから、下の入れ歯は割れて、口は裂けたしね。目のところも引っかかれてさ。クマの爪痕がまぶたの上と下に残っているんだけど、眼球をえぐられなくて良かったよ。腕や腹も噛まれながら、足で蹴ったり手で殴ったりと抵抗したな」。自身が命がけの格闘を続ける中、Sさんには「来るなよ! 来るなよ!」と叫んでいた。「しつこい! しつこい! いつになったら離れるんだ!」という思いが繰り返し脳裏をよぎった。クマは体重70~80㎏くらいで、そんなに大型ではなかったという。Sさんが「うわーっ!」と大声を出すと、ふっと自分の身体からクマが離れて隙間ができる瞬間があった。「これはと思って、空砲を撃ってもらえばもっと離れるんじゃないかと思ってさ『Sくん! 撃ってくれ!』って叫んだのさ。そうしたら『山田さん、弾ないんだわ! 取ってくるわ!』って言って、車まで弾を取りに行っちゃったのさ。あれは参ったな(笑)」。やむなく再び一人でクマと闘っているうちに、偶然にも繰り出した右拳が口の中に入った。さすがにひるんだのか、鼻先にあったクマの顔が離れ、一気に視界が広がった。クマの顔の他に腹や脚までが見えた。「最初に一発、弾が当たった横腹から、腸が飛び出ているのが目に入ったんだよね。思わず左手をのばしたらうまいこと届いて、その腸をグッと掴んで思いっきり引っ張ったらベロベローッと出てきてね。そこで初めてクマはあきらめて、腸を引きずりながら離れていった。手も腕も噛まれていたけど、興奮状態だったから痛みは分からなかったね」。弾を取って崖の上に戻ってきていたSさんが、慌てて下りてきた。そのとき、「山田さん、手に何持っているのさ?」って言うので目をやると、クマの腸を50㎝くらい左手に握りしめていた。とにかく血だらけだったが、起き上がってライフルだけは自分で探して右手で持って、左手で腸を持って上へあがって行った。下半身はやられていなかったから、歩くことはできた。知らぬ間に、猟師仲間が何人も集まっていた。「『大丈夫かっ!?』という声に『大丈夫じゃない、やられた!』ってしゃべったことは覚えているんだけど、あとは記憶ないね。腸はその場で投げた(捨てた)よ(笑)」。クマの口に入った右手には今も歯痕が残っており、親指は神経が損傷してしまい曲がらなくなっている。クマとの格闘は5分以上続いたとみられるが、69歳とはいえ、やはり元ラガーマンだった山田さんだったからこそ、これだけの死闘を繰り広げることができたのだろうか。恐怖心はなかったのだろうか。「不思議と怖くはなかったね。振り回されたときは一瞬、『死ぬかな? ダメかな?』とは思ったかな。クマがどういうふうに俺を食べるのか見届けなきゃな、という冷静な自分もいたね。首に噛みつかれていたら、たぶんダメだったと思うね」。
(増え続けるクマの人身被害、変わるべきは「人間社会」)
クマ類の衝撃的な事故が連続している。今年の上半期、岩手県では人家にまでツキノワグマが侵入し、高齢者に襲い掛かった。北海道では住宅街と登山道でヒグマに遭遇した人が、草むらにひきずり込まれた。3件とも被害者は亡くなった。8月までに5人の死者が出ており、大量出没被害があった23年の6人に早くも達してしまう恐れがある。死に至らなかったとしてもクマの襲撃による傷は、被害者の一生を変えてしまうほどの悲惨なケガにつながる。しかも大量出没年に起こる人身被害の多くは、9月から11月に発生するため、これから危険な状況が始まると言っても過言ではない。クマ類の被害は、出没してからできる対策が少ないため、出没予防が何より重要である。事前の対策を講じていくためにも、いったい今、何が起こっているのかを正しく把握しなければならない。クマ類を巡る情勢は、大きく捉えると2つの側面がある。1つ目の側面としては、増加傾向が続いているという点である。昨年12月号の本誌特集「令和のクマ騒動が人間に問うていること」の中で筆者は、クマ類は「増加のフェーズ」であることを指摘した。しかし、近年殺処分数が増加していることから、総数としては増えていないのではないか、と思われる方もいるかもしれない。環境省が各都道府県のツキノワグマの個体数推定値をまとめた図をみると、実際は、ツキノワグマは30年前の5、6倍にまで増加し、それに伴い、四国と、クマが絶滅したと思われる九州を除いた全ての地域で分布が拡大している。これほどの分布拡大には個体数の増加が背景にある。大量出没年の捕獲数は2000年代には3000頭ほどだったが、20年代に入ってから6000頭、23年には9000頭を超えてしまった。これだけ捕獲しているのに、なぜ出没は加速し、被害は減らないのか。そもそも捕獲によって個体数は減少しているのだろうか。残念ながら現在の捕獲数は、クマ類の個体数が増えている分を捕獲しているだけで、個体数の増加の勢いを止められていないとみる必要があるだろう。動物の個体数は常に変動しており、そのトレンド、つまり増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、捕獲は増加率に対してどの程度の割合なのかなどを把握することが必要である。しかし、トレンドまで把握している地域は極めて少ない。クマ類の個体群は複雑な系で変動するが、あえて単純化してみよう。近畿圏では、クマの増加率は平均15%/年と推定されている。例えば800頭生息している場合、毎年増える頭数は120頭となる。そのため、4000頭以上生息している県では、600頭以上増えるということだ。北海道にいたっては推定生息数が1万2000頭なので、毎年1800頭増えているかもしれないのだ。ましてや東北や北海道の森林環境は、近畿圏に比べてはるかに良質で大規模であることを考慮すると、増加率はさらに高い可能性がある。このまま増え続ける状況を容認すれば、対策は追い付かず管理不能に陥る恐れがある。まずは増加率以上の捕獲を行い、生息数を被害の少なかった時代まで減らしていかなければ、今後も人的な被害を受け続けるだろう。しかし、クマ類の捕獲はたやすい仕事ではない。また相当な知識や技術を要し、安全確保のための訓練も必要である。今は何とか地域の有害捕獲班が対応しているが、多くの地域で高齢者が担わざるを得ない状況があり、近い将来は捕獲できなくなる恐れさえある。今のままの体制では、立ち行かなくなることは明らかなのだ。もう一つの側面は、市街地への出没が加速しているという点である。特に今年は、クマが積極的に平地の人家や敷地内にまで侵入する、住宅街を繰り返しうろつく、あるいは、襲撃した後に被害者を草むらにひきずり込むなど、行動がエスカレートしている。臆病なはずのクマたちがなぜここまでの行動に出るのだろうか。学習能力の高いクマたちの行動が、いきなり変化するとは考えにくい。人が気付かないうちに、ゆっくりと人の生活圏に慣れ、危険がなく安全で、農作物やゴミなどが豊富にあることを学んでいると考えるべきである。人の生活圏には、森林内では得られないような高栄養な資源があることが多く、野生動物にとって〝麻薬〟のようなものとなり、やめられなくなってしまうのである。ある時、食物不足などの何らかのトリガーが外れると、突如大胆な行動に変化し、人が気付いた時には手遅れになってしまう。クマの被害が増えている今はまさにこの段階であり、末期的な状況ととらえるべきだ。こうなる前に、なぜ対策が行われなかったのだろうか。クマが生息している地域では、日常的に誘引物を取り除く、農地は電気柵で囲う、人の生活圏とクマの生息地の間が藪で覆われないように環境整備する、この3セットが対策として必要である。しかし、それは「言うは易く行うは難し」の典型的なもので、大変な労力を要する。この負担を市町村や住民のみに押し付けるのか。住民には最低限ゴミの管理や誘引物除去は徹底してもらう必要があるが、クマ対策という点での農地や集落環境の防護柵には、資金補助や技術指導などが依然として不足している。集落環境は人が減少し、手入れが行われないまま、放棄農耕地や空き家、藪化した林縁など大変な状況にある。そのため、野生動物が接近しにくい環境を作るバッファーゾーン整備は大規模なものが必要で、公共事業としての取り組みがなければ、効果的な対策につながらないだろう。クマの出没が深刻な地域の多くはいわゆる中山間地域である。人口は少ないが、日本の農産物を生産する重要な土地なのである。この土地をどのように防衛していくのか。今の体制では、鳥獣害に苦しむ中山間地域は守ることができず、日本の農産物の生産にも大きな影を落とすだろう。都市住民も〝自分ごと〟として、中山間地域を守る仕組みづくりへの協力が必要である。生物多様性の保全や生態系への関心が高まりを見せているが、今のクマ対策や社会の反応を見ると、残念ながら現実にはそれと裏腹な状況にあると言わざるを得ない。生態系や生物多様性の基本は、「食うか・食われるか」なのである。この基本をどれほどの人が理解したうえで、生物多様性の保全や持続可能な開発目標(SDGs)を唱えているのだろうか。日本人は縄文、弥生時代から生態系の一員として、シカやイノシシを狩猟して食べ、内臓は薬として活用していた。しかし、野生動物の価値が高まった大正・昭和初期に乱獲が行われ、日本の野生動物の多くは絶滅に瀕してしまった。第二次世界大戦後に保護政策が取られたが、適切な調査は行われないまま、管理の必要が認識されて法改正が行われるには1999年まで待たなければならなかった。その間、増加力の高いニホンジカ・イノシシが激増し、捕獲促進が行われたが、クマ類はいつまでたっても保護対象のままであった。こうした背景を理解し、今の問題を解決に向かわせるためには何が重要なのか。少なくとも脆弱な体制の下で対策を頑張っている地域の方に、膨大なクレーム攻撃を行うことではない。クレーム攻撃は、対策者の精神的な負担を増大させ、地域を疲弊させ、クマなどいなくなればよいという感情を育ててしまっているようなもので、逆効果でしかない。この問題を解決するためには、人間社会の体制を変えるしか方法はないのだ。生態系全体を把握するには、科学的なモニタリングが欠かせない。データに基づく判断と対策を実施するためには、野生動物管理を科学的に判断できる管理官や、対策を行う鳥獣対策員の配置をしなければならない。しかし、中山間地域の市町村は、人員を削るだけ削ってしまい、すでに疲弊感は著しい。このような状況の市町村に若手が就職したいかというと現状では相当厳しいものだ。農林課などは、ほかの施策が膨大にある中で鳥獣対策を行わなければならず、優先度が低い状況が続いていた。鳥獣対策にはある程度専門性や経験が必要であるにもかかわらず、事務を担っている行政職員に降りかかってきている。人を減らしているにもかかわらず業務が増大している。この疲弊感を逆手に取り、今まさに豊かな自然環境がある地方にこそ若手が活躍できる場があり、日本の生態系と人々の暮らしを守る職種として鳥獣対策員を配置するという新たな仕組みづくりを始めるべきではないか。
(郷土レストラン、ジビエ料理中心に提供:長野)
道の駅「遠山郷」(飯田市南信濃)内に10月4日、ジビエ料理を中心に提供する郷土レストラン「善き叶(よきかな)」がグランドオープンする。同レストランは、再整備が進められてきた道の駅「遠山郷」の全面オープンに合わせて開業するもので、地元出身の料理人・藤下拳成さんがシェフを務める。藤下さんは下伊那農業高校卒業後、茅野市の「オーベルジュ・エスポワール」で信州ジビエの普及拡大に努める藤木徳彦さんの下で約6年修業。高校在学中にも、鹿肉を使ったハンバーガーを飯田市内の空き店舗で販売したほか、東京・銀座のアンテナショップ「銀座NAGANO」で高校生レストランに参加した経験を持つ。小学生の頃から「山肉専門店 星野屋」の店主から鹿の解体を教わるなど、ジビエを身近に感じてきた藤下さん。「農作物を荒らしてしまう動物を殺処分するだけでなく、食材として生かして多くの人に味わってもらいたい」と話す。今回、道の駅の指定管理者「遠山GO」からの声がけで出店が実現した。
(ジビエ調べ学習の中学生、まちおこしの可能性探る:長野)
10月に長野県下諏訪町で開かれる「しもすわ未来議会」に向けた学習を深める下諏訪中学校3年生のうち、ジビエをテーマにした調べ学習を進めている生徒ら21人が22日、ジビエ料理の試食を行った。生徒たちは農作物へのシカの食害なども踏まえながら鹿肉を使った串カツを味わい、ジビエによるまちおこしの可能性について思いを巡らせた。試食会では、諏訪地域で捕獲されたニホンジカを岡谷市内の業者が処理し、同町内の八島山荘で調理した串カツを提供。下諏訪商工会議所も協力した。生徒たちはまず、匂いや味を確認するため何も付けずに食べ、続いて麺つゆを付けて味わった。最初は恐る恐る口に運んでいた生徒たち。口に合わない生徒もいたようだが、大半の生徒はおいしそうに味わった。試食会には、町産業振興課農林係職員と町猟友会の宮田将胤副会長が参加。「給食にジビエを出すことは可能か」「ジビエの供給が安定しない理由は」「ジビエを広げるためには何が必要か」など、生徒から事前に寄せられていた質問に対し、それぞれの立場で答えていた。串カツを平らげた生徒は「今まで味わったことのない味だが、匂いもなくおいしかった。ジビエの店が町内にもっと増え、給食でも出されるようになったらうれしい」と話していた。
(牛やシカ肉、味わって:北海道)
釧路市音別町の「2025北のビーナスBBQ(バーベキュー)まつり」(おんべつ振興協会主催)が28日午前11時から、同町スケートリンク特設会場(中園2)で開かれる。
(規格外ネギと鹿肉を活用:静岡)
地域の課題を解決したい。そんな考えからスタートした「まぜそば」を高校生が編み出しました。「もったいない」の現場を目の当たりにし、プロの力を借りながら生徒たちがたどり着いた学びの結晶です。静岡市駿河区の城南静岡高校で9月23日に開かれた文化祭。ここで2年生が提供したのが、地域の課題解決を目指した「まぜそば」です。そぼろとネギのコントラストが映える「まぜそば」には地域の課題を解決しようという狙いが込められています。城南静岡高校の探究基礎という授業で2025年度、生徒たちが注目してきたのが、食べられるのに廃棄されてしまう「おいしい食材」の存在です。<城南静岡高校 秋山瑠美さん>「こちらの葉ネギは規格外として本来なら捨てられるはずの野菜。シカ肉は静岡県の奥で捕れた鳥獣として問題となっているシカ肉」。まぜそばを構成するのは、本来捨てられてしまう野菜や、害獣とされるシカの肉です。今回、ネギを提供した「しずおか中村農園」では、1日当たり10キロ程度の「規格外野菜」が出ます。<しずおか中村農園 中村さん>「ちょっと太すぎちゃったり、丈が長かったり太かったり、色が薄かったりでこれは全部廃棄になります」。しかし、実際に規格外のネギを食べてみると、味や食感に違いはありません。捨てられてしまうネギの価値を多くの人に伝えたい。これが、まぜそば作りのスタートでした。シカ肉を提供したのは、ジビエを手掛けるワイルドハント。今や山の厄介者とされるシカの価値を広める活動に取り組んでいます。<ワイルドハント 石本光希さん>「自分たちのやっている仕事に興味を持ってくれたことは非常にいい。地域問題の解決へのサイクルにつながるのでは」。レシピは、静岡市葵区の「居酒屋こんちゃん」が監修。文化祭という現場で、いかに早く提供できるかを考えます。<居酒屋こんちゃん 近藤晃弘さん>「普通の冷凍麺を使うのが一番早いかと思います。乾麺はゆでるのが長くなっちゃうのでお客さんを待たせちゃう」。生徒たちは実際に客目線で商品を提供するプロたちからノウハウなどを学び、約5か月をかけて完成させました。高校生が形にしたまぜそばは、上々の評判でした。<城南静岡高校 村松隼さん>「今後、今回もやっていた規格外野菜を使った料理をまた来年も出して継続していきたい」。プロの力を借りながら生徒たちがたどり着いたSDGsな「まぜそば」。城南静岡高校はこうした活動を継続し、地域の課題を解決するきっかけづくりに挑みたいとしています。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、23日午前11時ごろ、栗原市花山草木沢程野にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、21日午後8時ごろ、石巻市中浦にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前5時40分ごろ、仙台市青葉区芋沢青野木にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
色麻町によると、22日午後0時5分ごろ、色麻町黒沢にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、22日午前5時15分ごろ、仙台市泉区上谷刈松林にクマが出没しました。
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(クマよけスプレー使用もひるまず、男性2人がクマに襲われる:秋田)
18日午後、秋田県鹿角市で電柱の管理作業をしていた50代と20代の男性がクマに襲われました。2人はクマを追い払うスプレーを使用したものの、ひるむ様子がなかったということです。警察と消防によりますと、18日午後2時25分ごろ、鹿角市八幡平字坂比平で50代と20代の男性2人がクマ1頭に襲われました。2人は電気工事を手がける企業の従業員で、電柱の管理作業をしていました。クマが現れた際、50代の男性がクマを追い払うためのスプレーを噴射しましたが、クマはひるむ様子がなかったということです。2人は意識があり会話ができる状態ですが、50代の男性は頭から出血していてドクターヘリで病院に搬送されました。20代の男性は足をかまれるなどのけがをしましたが、自ら消防に通報し、市内で手当てを受けています。現場は山あいの住宅が点在する地域で、近くには畑があるということです。警察が周辺に警戒を呼びかけています。県内で2025年にクマに襲われたのは、これで13人となりました。
(牛舎へ向かう途中でクマに遭遇、46歳男性が顔や腕にけが:岩手)
20日午前4時5分頃、岩手県雫石町上野の路上で「クマに襲われた」と、農業男性(46)から岩手県警盛岡西署に通報があった。男性は顔や右腕にけがを負って病院に搬送されたが、命に別条はないという。同署の発表によると、男性は牛舎に行く途中でクマに遭遇した。クマは男性を襲った後、その場を離れたという。
(「ヒグマに襲われたのでは」と大規模捜索、行方不明のハンターが2か月後に警察署に姿を現す:北海道)
今年7月、北海道函館市の恵山で行方不明となり、ヒグマに襲われた可能性があるとして大規模な捜索が行われた同市の50歳代の男性ハンターが無事だったことが捜査関係者への取材で分かった。今月9日に道警函館中央署に来署したといい、道警は失踪していた間の詳しい経緯を調べる。男性は7月15日午前、家族に「山に行く」と言い残して外出。同日夕に別のハンターが「仲間が帰ってこない」と110番した。道警などが捜索したところ、麓の林道で男性の猟銃が見つかった。しかし、その後は有力な手がかりがなく、捜索は同17日で打ち切られた。今月9日になって男性が「行方不明届が出ている者だ」と名乗り出たという。
(クマに実銃使用、民家の敷地内に侵入した熊に:山形)
山形県鶴岡市の住宅街でクマが目撃され、住宅敷地に侵入していた件で、先ほど現場にいた警察など対応にあたっていた関係者が麻酔銃ではなく、実際の銃を使用し、12時28分に捕獲したということです。現在搬送を待っている状態です。20日午前、鶴岡市のJR鶴岡駅前でクマの目撃が相次ぎ、警察でクマがいる場所を特定し、対応を検討していました。鶴岡市役所によりますと20日午前9時55分に切添町でクマが目撃されたのに続き、JR鶴岡駅前で5件の目撃情報があったということです。クマは正午現在、駅前の錦町の民家の敷地で確認されていて、パトカーが周辺を囲み、対応を検討していました。また近くのスーパーでは買い物客に注意喚起を促していました。現場の関係者によると、クマはすでに捕獲され、現在搬送作業に入るのを待っている状態だということです。
(市街地にクマ、市長が発砲許可も:山形)
20日午前10時半ごろ、山形県鶴岡市のJR鶴岡駅周辺でクマを目撃したと110番があった。鶴岡署によると、クマは市街地を移動し、同市錦町の住宅の庭にとどまった。午後0時25分ごろ、駆けつけた警察官らに向かってきたため猟友会員が散弾銃で駆除。人的被害はなかった。クマは体長1メートルで成獣とみられる。署によると1日に施行された一定の条件下で自治体判断により市街地での「緊急銃猟」を可能とする改正鳥獣保護管理法を適用する対応を進めた。皆川治市長が同法に基づき発砲許可を出したものの、現場に指示が行き渡る前にクマが向かってきたため、警察官が発砲を命じる警察官職務執行法に基づき撃った。
(ヒグマ、30年間で倍増したと推測:北海道)
北海道標津町で「クマ・シカフォーラムin標津」(標津町主催)が開かれ、ヒグマによる牧草の食害などが発生していることや、ドローンなど先端機器の活用事例などが報告された。道ヒグマ対策室の担当者はこの30年間で道内のヒグマの生息数はほぼ倍増しており、1万1000頭を超えていると推測。2025~34年度に計1万2540頭を捕獲し、全道で8200頭ほどに維持する計画を説明した。また、道東ではヒグマをめぐる被害として、標津町では、牧草を食べるヒグマが確認されていることが報告された。斜里町では小麦を食べる事例もあげられた。鳥獣対策として現場で導入されつつある、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」に関する機器については、監視カメラやドローン、ロボットを用いる事例があり、技術の進歩によって普及し、低コスト化が進みつつあることが話し合われた。斜里町を拠点にヒグマ、エゾシカの鳥獣対策に取り組んでいる合同会社「ワイルドライフプロ」の葛西真輔代表は、ドローンを使って、エゾシカをワナに追い込む事例などを映像を使って説明。葛西代表は「技術は年々進んでいる。特に衛星通信の発達で、調査方法がさらに進む可能性がある」と今後の展望を語った。
(クマ出没過去3年で最多、どんぐり不作で市街地への侵入増加の可能性:北海道)
札幌では9月のクマ出没件数が18日の1件を含めて24件発生しています。これは過去3年の同時期と比較して一番多くなっており、それだけクマ出没が相次いでいます。これについて専門家にお話を伺ったところ、札幌近郊でクマの食料になるどんぐりなどが不作になっているため、2025年は市街地へのクマの侵入が増える可能性があるということです。改めて、夜間に生ゴミを出さないなど、クマをおびき寄せるもとになるような事は絶対に避けるようにしましょう。
(「緊急銃猟」想定したヒグマ対応訓練:北海道)
市街地でのクマの駆除をめぐり、今月から市町村の判断で猟銃が使用できるようになったことを受けて、旭川市では18日、発砲までの手順を確認する訓練が行われました。訓練には旭川市の職員や警察官、それに猟友会のメンバーなどが参加し、市内の公園でヒグマが目撃されたあと姿が見えなくなったという想定で行われました。参加者は市の職員の指揮のもと、クマを捜索する班や避難誘導をする班などに分かれ、このうち捜索班はクマを見つけると緊急性があることやほかに手段がないことなど、市街地で猟銃を使用するための4つの条件を満たしているかチェックしました。そして、市の職員が発砲を委託することを示す腕章を猟友会のメンバーに手渡し、安全に発砲できる状況か確かめたうえで、発砲するまでの手順を確認していました。訓練のあとは参加者どうしで課題などについて話し合い、発砲を委託するまでの間にクマが移動してしまうリスクや避難誘導を迅速化する必要性などが指摘されていました。旭川市の大野晋主査は「時間がかかるなというのが率直な印象だ。プロセスをいかにスピードアップできるかが課題で、関係機関と協力しながら対策していきたい」と話していました。
(「緊急銃猟」理解促進へ、警察や猟友会などが合同で実践的訓練:青森)
クマなどが人の生活圏に出没した際に、市町村の判断で特例的に市街地でも猟銃を使うことができる「緊急銃猟」の制度が創設されたことを受けて、警察や猟友会のメンバーなどが合同で実践的な訓練を行いました。県内ではことし、クマの目撃が相次いでいて、県によりますと今月15日までに1439件の目撃情報が寄せられ、人への被害が2件確認されているほか、りんごなどの農作物が食べられる被害も相次いでいます。こうした中、クマなどが人の生活圏に出没した際に、市町村の判断で特例的に市街地でも猟銃を使うことができる改正法が今月1日から施行され、「緊急銃猟」という制度が創設されました。この「緊急銃猟」への理解を深めようと、19日、青森市で警察官や青森市の職員、それに猟友会のメンバーなどおよそ160人が参加して訓練が行われました。訓練ではまず、警察官が「緊急銃猟」の適用される条件や市街地で銃を使用する際の注意点などを図上訓練をまじえて説明しました。このあと、市街地にクマが出没したという想定で実践的な訓練が行われ、警察と消防、それに市が連携を取って「緊急銃猟」が適用できる状況だと判断し、猟友会のメンバーが発砲してクマを駆除するまでの手順を確認していました。県警察本部生活安全企画課の秋元光昭警部は「より住民の方々に安全を届けられるよう連携していきたい」と話していました。
(ブナの実は“大凶作”見込み:青森)
今月1日に改正鳥獣保護管理法が施行されたことを受け、住宅地でクマが出没した際に、自治体の判断で銃器を用いた捕獲が可能となる「緊急銃猟」の訓練がはじめて行われました。合同訓練には各自治体と17の警察署や消防、猟友会など約150人が集まりました。食害や人身被害を含めた今年のクマ出没件数は今月15日までに1,580件と、すでに昨年1年間の2倍以上に達し、過去最多を更新中です。訓練は住宅地で襲われた1名を救出し、体長1.2メートルのクマ1頭を捕獲する想定で行われました。現場に到着した警察・市役所・猟友会・消防が協議するロールプレイング方式で進め、銃器を使用したクマの確保に向けた動きを確認しました。★県警察本部生活安全部 秋元光昭 警部「より住民の方に安全をお届けできる対応を私たちも連携して参りたいなと」。★黒石市農林課 齋藤充主任主事「避難誘導や交通規制といった部分については、市役所の役割として重要な部分であるので、そこをしっかり詰めて今後の銃猟のほうに生かしていきたいと考えています」。東北森林管理局によると、去年豊作だったクマの主要な餌であるブナの実は今年大凶作となる見込みで影響が懸念されます。
(ツキノワグマ捕獲数の上限、来年度も796頭を維持:岩手)
クマの目撃件数が去年より大幅に増えている中、ツキノワグマの捕獲数の上限を検討する岩手県の会議が開かれ、来年度も、過去最多になっている今年度と同じ796頭を捕獲の上限とすることが決まりました。19日、県庁で開かれた会議には猟友会や市町村の関係者、それにクマの生態に詳しい専門家などおよそ30人が集まりました。会議ではまず、今年度、8月までのクマの目撃件数が3478件と、昨年度の同じ時期に比べ4割以上増え、過去5年と比べ最も多くなっていることや、7月には北上市の住宅で女性がクマに襲われて亡くなったことなどが報告されました。その後、会議は非公開で行われましたが、県によりますと、県が行った推計ではツキノワグマの数が適正な状態よりも多くなっているとして、来年度、県内で捕獲するツキノワグマの数は過去最多となっている昨年度、今年度と同じ796頭を上限とすることが決まりました。また今年度については、各市町村がクマの出没状況に応じて柔軟に対応することとし、上限を上回って捕獲することを可能にすることも決まりました。会議の後、クマの生態に詳しい岩手大学の山内貴義准教授は「捕獲数が増えているので通常は翌年の捕獲数を減らすところだが、目撃件数が増加したことや生息数の推計が予想より多いため計算し直して据え置くことになった」と話していました。
(住居エリアにクマ相次ぐ:岩手)
過去最多となっているクマの被害についてです。今月、町に出たクマを撃つことができる法改正が行われましたが、自治体からは戸惑いの声が聞こえています。住居エリアにクマ続出 今年は6月、7月、8月にも…人の生活圏にクマが続出。被害件数は過去最多だったおととしと同じ水準となっています。これまでクマへの発砲は警察の許可が必要でしたが、今月から市町村の判断で発砲が認められることになりました。 人の日常生活圏に浸入している、緊急性がある、迅速に捕獲できる他の手段がない、人に弾丸が到達する恐れがない。 この4つの条件をすべて満たすことが必要です。 各自治体の関係者に聞くと…。 福島県内の自治体関係者 「今まで警察の許可が必要だった部分が市のほうにおりてきた。対応する選択肢が拡大された」一方で…。秋田県内の自治体関係者 「もし市街地の建物に囲まれたようなところにクマが出没し、木の上にとどまったとして、クマが動いたりするとその部分が一からになってしまう。そういうことを考えると本当に撃てるのか」。18日もパトロールしていた岩手県内の猟友会では…。 花巻市猟友会 梅原大介事務局長 「前までの警察からの許可だろうがリスクは高いので意識は変わらない。現場の状況で市長や関係者と相談して発砲することになるので変わりない」。発砲前には住民の避難指示など安全確保が義務付けられます。 花巻市猟友会 梅原大介事務局長 「(判断基準が)人によって全然違うと私は思う」 捕獲する現場は今後、どう対応していくのでしょうか。 花巻市猟友会 梅原大介事務局長 「緊急銃猟になる前に花火での追い払いがほとんどでは」。
(初のクマ対策会議、ドングリ豊作でも冬眠前に出没の可能性:兵庫)
全国各地で人里でのクマの出没が社会問題化しているとして、兵庫県は19日、初めて「県ツキノワグマ対策連絡会議」を県庁で開いた。今年はクマの餌となるドングリ類が豊作のため、出没は減少傾向とみられるが、関係部局の担当者らが被害状況などを共有し、注意を呼びかけた。県自然鳥獣共生課によると、今年のクマの目撃・痕跡件数は8月末時点で326件。昨年同時期の476件に比べると少ない。直近の3カ月の累計は170件で、過去5年の平均を下回っている。人的被害は、今年5月に豊岡市で起きた1件のみ。民家の裏山で農作業中の男性が、ツキノワグマに襲われて手足を負傷した。昨年は、クマの餌となるコナラ、ミズナラ、ブナといったドングリ類が14年ぶりの大凶作だったこともあり、人里などでの目撃情報は1128件にのぼった。今年はドングリ類は豊作で、昨年に比べると、クマの出没は減る可能性が高いが、冬眠前に餌を求めて人里へ出没することは十分にあり得るという。県はハイキングやキノコ採集、登山などで山中へ入る際には注意が必要だとする。会議では、その際に有効な対策グッズとして撃退スプレーやラジオ、鈴が紹介された。県森林動物研究センターの横山真弓研究部長によると、クマは耳や鼻が非常に敏感だという。「ラジオを携行したり鈴を鳴らしたりしてにぎやかにして、ばったり出会わないようにしてほしい」と呼びかけた。また、クマによる被害のうち、カキの木が多くを占めるという。「収穫していない果樹は伐採することで、クマを呼び寄せないようにすることが大切。クマは生ゴミの臭いが大好きなので、屋外や畑に放置せずに必ず埋めるなど対策をしっかりとってほしい」と強調した。
(実弾撃てる”おもちゃ”の拳銃を所持、54歳男を書類送検:静岡)
サイバーパトロールによって犯行が発覚しました。書類送検されたのは静岡県藤枝市に住む男(54)で、6月下旬、自宅で中国製のおもちゃの拳銃を1丁所持していた疑いです。男が持っていたおもちゃの拳銃は、本物の拳銃と同じように銃弾が発射できるとして警察庁が取り締まりの対象に指定した16種類のうちの1つでした。調べに対して男は「持ってはいけない拳銃だとわかっていたがプラスチック製なので大丈夫だと思っていた」と容疑を認めているということです。法律で禁じられたおもちゃの拳銃を所持したとして摘発されたのは県内では初めてです。
(クマ出没防止へ、放置されている柿の木を伐採:兵庫)
兵庫県豊岡市の山あいで、収穫予定がないまま放置されている柿の木が、クマの出没を防ぐために伐採されました。(市職員)「今年もう(クマが)来てる木ですね」「もう、何十年も掻いた爪跡がある。毎年来ている柿の木だと思う」。豊岡市但東町東中の山あいの集落では、午前9時からチェーンソーを使って、合計5本の柿の木の伐採作業が始まりました。収穫予定がないまま放置されている柿の木や栗の木は、クマを人里に近付ける要因の1つとなっています。豊岡市は、クマがエサを求めて活発に動き回る時期に備えて早めに対策を取ることにしていて、冬までに合計200本の木を伐採する予定です。
(マダニ媒介感染症SFTS 患者150人超に、“どの地域でも可能性が”)
マダニが媒介する感染症、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」の患者の報告が続いていて、ことしの全国の患者数は速報値で152人となりました。去年まで報告がなかった地域にも広がっていて、専門家は「どの地域でも患者が出る可能性があり、医療機関は警戒を高めてほしい」と呼びかけています。SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することもあり、厚生労働省によりますと死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされています。国立健康危機管理研究機構によりますと、9月7日までに全国から報告された患者数は速報値で152人となり、これまで最も多かったおととしの累計を上回って増え続けています。患者が報告されているのは32道府県で、いずれも累計で、▽高知県で14人▽大分県で13人▽長崎県、熊本県で9人▽兵庫県、島根県、鹿児島県で8人など、西日本を中心に多くなっていますが、去年まで報告がなかった北海道や関東地方にも広がっています。長崎大学病院総合感染症科の泉川公一教授はマダニに刺されないよう野外で肌の露出を減らすなどの対策が重要だとした上で「医療機関はどの地域でもSFTSの患者を診察する可能性を踏まえて警戒を高めてほしい。国内でも医療現場でのヒトからヒトへの感染が報告されているので、手袋やゴーグル、ガウンといった標準的な予防策を実践することが必要だ」と話しています。
(コメを食い荒らすイノシシ:栃木)
農作物に大きな被害をもたらす厄介者のイノシシ。それが増え続けている栃木・小山市で取材すると、収穫目前の新米が食い荒らされていました。市内の農作物の被害額は4000万円超。2024年度の捕獲数は過去最多となり、今年3月にはケガ人も出ました。栃木・小山市。宇都宮市に次ぐ県内第二の都市で、イノシシの出没が相次いでいます。取材班は、目撃情報の多い早朝の河川敷へ。すると、大きなイノシシと子どものウリ坊の集団がいました。その7頭は、林の方へと走り去っていきました。その1分後にも、別の4頭の集団がいました。ほかに、7頭の集団も目撃。わずか数分で、18頭のイノシシが確認できました。小山市では今年3月、イノシシにかまれて2人がケガをする被害が発生。生息数は年々増加しているとみられ、2015年度に2頭だった捕獲数は、2024年度には261頭と過去最多となりました。市内でイノシシが確認されるようになったのは約13年前。猟友会は、山の方から川に沿って移動してきたと推測します。栃木県猟友会小山支部の小川亘支部長「(小山市より北にある)鹿沼(市)あたりから、だーっと下におりてきた。(小山市は)河川敷の木が多いから、どうしてもすみかがある。生息数は相当増えています」。そして深刻なのが、農作物への被害。小山市での被害額は、2024年度で約4100万円に上っています。最も被害が大きいのがコメ。食い荒らされるというのです。水稲の被害額は、2024年度で約2300万円でした。コメ農家からは「(最近は)被害がだいぶ増えてるんですよね」「悲しいですね。一生懸命丹精して作っても、やられちゃうからね」という声が聞かれました。コメ農家の生井一正さんは小山市で50年以上、コシヒカリなどの銘柄米を作っています。新米の収穫を控えた田んぼに案内してもらいました。イノシシが侵入したとみられる田んぼは、稲が倒されて凸凹に。倒された稲をよく見てみると、稲穂がなくなっています。器用に稲穂だけを食べていくというのです。生井さんは「今年も(イノシシ被害が)ひどいのが現状ですね」と嘆きます。害の実態を捉えるため、許可を得てセンサーカメラを設置。姿を捉えたのは、設置から2日目のことでした。8月30日の午前1時半。大人とみられるイノシシが、稲の陰で何やら頭を動かし続けます。決定的な瞬間を捉えたのは、その翌日。お構いなしに稲を踏み歩いていきます。そして口で引っ張り、稲穂だけを器用に食べたのです。その後も、カメラの前で堂々と食い荒らしていました。食べられたり、倒されたりした新米は売り物にならないといいます。さらに、イノシシが触れた稲にはにおいがついてしまう可能性があります。「においがついた場合は、農協関係・業者さんも引き取ってくれない」と生井さんは言います。いくつもの田んぼにイノシシが侵入し、生井さんの今年の被害額は約100万円に上るそうです。「コメは出したいなと思っているんですけど、ちょっとむなしい感じ」有刺鉄線で対策するも被害は収まらず、費用がかかるものの、効果のある電気柵を増やしていくしかないと話していました。市や猟友会はワナを増やすなど捕獲を強化していますが、イノシシの増えるスピードに追いついていないのが現状です。
(土砂災害被災地でシカ増加:広島)
2014年の広島土砂災害で甚大な被害にあった広島市安佐南区八木・緑井地区の住宅街で、シカの目撃や農作物の被害が相次いでいる。住民たちは「災害後に民家近くにまで現れるようになった」と証言。
(マダニ媒介感染症のイノシシが急増:富山)
主にマダニが媒介する感染症、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」が野生のイノシシの間で広がっていることが県衛生研究所の調査でわかりました。県内の山林でウイルスを保有するマダニの割合が増えているとみられるとして、県は注意を呼びかけています。SFTSは、主にウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、重症化すると死亡することもあり、厚生労働省によりますと死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされています。県衛生研究所が2019年から去年にかけて県内で捕獲された野生のイノシシ3059頭の血液を検査したところ、過去にSFTSに感染したことを示す抗体を持つイノシシの割合がおととしから去年にかけて大きく増えたことがわかりました。県東部は0%から1.4%に、県西部は2.6%から6.2%に増えたということです。野生のイノシシの間で感染が広がっていることから、県は県内の山林でウイルスを保有するマダニの割合が増えているとみられるとして▼屋外で活動する場合は長袖の服を着たり虫除けを使ったりすることや▼マダニにかまれて発熱などの症状が出た場合はすぐに医療機関を受診するよう呼びかけています。
(〝クマ目撃情報アプリ〟従来より迅速な情報提供可能に:長野)
県は、クマの目撃情報が地図上などで分かるスマートフォンアプリの運用を開始しました。アプリ「けものおと2」は、無料でダウンロードすることができます。ログインIDとパスワードで「nagano」と入力すると、県内のツキノワグマの目撃情報の一覧のほか、地図上で目撃情報を表示することもでき、クマのいる場所に近づかない対策を取ることが可能となっています。県によりますと従来は、市町村から収集した目撃情報を地図として作成し、ホームページ上で掲載していましたが、アプリにすることで、より、迅速に情報提供ができるようになったということです。
(ブドウの産地でシカの食害深刻化:徳島)
県内有数のブドウの産地・吉野川市川島町学地区で、野生動物の食害が深刻化している。ハクビシンなどのほか、近年ではシカによる被害が目立つ。今夏は収穫前の高級品種・シャインマスカットが狙われ、中には畑全体を食い荒らされたケースもあった。農家は防護ネットを設けるなどの対策を講じているが「完全に防ぐのは難しい」と嘆いている。
(シカ300頭超か、初の監視カメラ調査:北海道)
恵庭市は19日の定例市議会で、白樺雪堆積場(白樺町1)で4~6月に実施した監視カメラを使ったエゾシカの個体数調査の結果、延べ2205頭を確認したと報告した。この結果から、現場周辺には予想の2倍以上の300~350頭が生息すると推定。市内では農業被害が続いており、市は関係機関と対応を協議する考えを示した。
(狩猟体験会を開催:兵庫)
丹波篠山市では、丹波篠山市猟友会から推薦を受けた猟師を鳥獣被害対策実施隊員として任命し有害捕獲活動を行っています。今後、有害捕獲活動体制を強化するため、より多くの人材が有害捕獲活動に関わるきっかけとして、農業者や狩猟に関心のある移住者、女性、若者などを対象にした狩猟体験会を開催します。
(熊対策アプリ「BowBear(ボウベア)」、累計10万ダウンロード)
株式会社ウィズムは、熊対策アプリ「BowBear(ボウベア)」が2025年8月7日に累計10万ダウンロードを達成したことをお知らせします。BowBearを取り上げてくださったメディア関係者の皆さま、開発・運用を支えてくださっている協力会社、活動を後押しくださっているスポンサーの方々、そして日々ご利用・ご提案を寄せてくださるユーザーの皆さまに、深く御礼申し上げます。BowBearは、ハンターの知恵を応用し、**犬の咆哮サウンド(銃声音を含む)**で人間の存在を認識させ熊が近づきにくくすることを目的としています。また熊の出没情報を地図共有することで被害の予防、地域の安全を後押しするスマートフォンアプリです(※撃退を保証するものではありません)。この度、BowBearの取り組みが地域の安心づくりに少しでも役立つようにと、メディアの掲載、ニュースでの紹介、利用者様の口コミなどのご協力によって全国に広く伝わりました。人々が暮らす町が安全、且つ安心できる場所であるために、アプリを通して現場からのリアタイムでの投稿コメントがアプリを進化させていきます。皆様のリアルで正しい情報が、熊の出没状況や行動範囲を特定していき被害予防に繋がります。引き続き状況に応じたサウンド再生とエリア通知で、山間部・農地・通学路など多様なシーンをサポートできるよう、日々開発、調整に努めてまいります。更に、メディア・協力会社・スポンサー・ユーザーとの連携も一層強化し、情報の信頼性と到達性を高めていくため、今後も地域と連携し、より確かな情報を、よりわかりやすく、より早くお届ける仕組みを磨いていきます。そのためにも自治体・地域コミュニティとの連携を強化し公式情報の充実を図ることが重要であると考えています。今後とも私たちと一緒に少しでも安心して暮らせる町を育てていきましょう。
(親子一緒に狩猟体験:山梨)
山梨県北杜市小淵沢町にある一棟貸しオーベルジュ「Agriturismo YUTAKA(アグリツーリズモ ユタカ)」では、2025年10月1日(水)から、宿泊者向けに「猟師に弟子入り体験」と八ヶ岳山麓で獲れた旬のジビエを味わう新メニューの提供をスタートします。子供と一緒に、狩猟の世界を体験したり、大自然からの恵みをおいしく楽しめる、特別な宿泊体験ができます。
(相次ぐクマの出没・・・いったい何が起きている?)
クマの出没が全国各地で相次いでいます。環境省のまとめでは、これまで一番人身被害が多かった2023年と同じようなペースでクマに襲われるなどの被害が発生しています。なぜクマが出没するのか、どう対策をしたら良いのか。日本クマネットワーク代表で、東京農工大教授の小池伸介さんにお話を伺いました。――なぜこんなにクマが出没しているのでしょうか?長期的な視点で見ると、ここ40年ぐらいでクマをはじめ、いろいろな野生動物の分布範囲がものすごい勢いで拡大しています。ツキノワグマの分布域はこの40年間で約2倍に広がりました。一番の原因は日本の社会の変化です。少子高齢化、都市への人口集中が進み、奥山や中山間地域から人が撤退しています。人がいなくなった集落は耕作地も放棄されて、森に戻っていきます。人の撤退に合わせて日本中で野生動物の分布域が広がっているのです。今年はクマの出没が大きなニュースになっていますが、実は2000年代に入ってから秋に多くのクマが出没するということが起き始めていました。秋にクマが人里に出没するのは、森のどんぐりが凶作になるからだと言われます。確かにそれは一つの要因ですが、それだけでクマは人里に現れません。食糧を求めて、たまたま集落の近くに行った時に、収穫されない柿や栗が放置されていたり、家の軒先に漬物とか味噌が置いてあったりすると、そういったものが誘引となってクマが森から出てくるというのが実情です。秋以外の季節、春や夏になぜクマが出没しているのかは、わからないこともあります。クマは、基本的に植物を食べて生活していて、季節ごとに食べ物がはっきりしていますが、例年と違う気象条件になると、山の花が咲く時期とか、実のなる時期がちょっと変わったりするんです。例えば今年は春先暖かい時期が短かったので、一時的に食べ物がなくなって人の集落に出没したのではないかと思います。クマと人間との距離が近づいていますので、クマの行動がちょっと変わると、すぐ人目につくようになるというのが、目撃が増えている原因かなと考えています。日本にはヒグマとツキノワグマの2種類が生息しています。北海道がヒグマで、本州と四国がツキノワグマです。もはや本州でクマがいないのは千葉県だけです。千葉は森が他の県と繋がってないからです。九州には1950年代までツキノワグマがいました。それ以降は確認されてないので、九州のツキノワグマは絶滅した状況にあると考えられます。四国ももう絶滅寸前で、残り数十頭くらいしかいません。日本中にクマがあふれ出ているわけではなくて、地域によってかなり状況は違います。――クマの人身被害を減らすためにどういう対策が有効なのでしょうか。クマを捕殺するのは、最後の手段です。出てきたクマを捕殺すれば、その事案は解決するけれども、結局次のクマが出てくる。なぜクマが出てきたかを検証しなければ根本的な解決にはなりません。いきなり市街地に出てくるのではなく、まず、農村に出没するようになります。森から農村に出る突破口はどこなのか。彼らは基本的に姿を隠しながら移動をするのを好むので、森沿いの耕作放棄地や管理されてない林地とか、そういうところを通ってくる。進入経路を突き止め、遮断しなければいけません。次に農村から市街地にどうやって移動したかを検証する。河川敷沿いの藪とか、細くつながった森などが移動経路になりやすいです。そこを遮断するとか、刈り払うとかしてクマが移動しにくいようにする。最近だと河川敷が森林化しているところもあるので、そういう場所も注意が必要です。誘引物、つまりクマにとって魅力的なものを身近に置かないことが大切です。例えば田舎に行くと、家に柿の木や栗の木がよくありますよね。昔は全部食べていたんですけど、高齢世帯になって取らなくなったり、取っても大部分は残っていたりします。食べなくても早めに全部収穫してしまうことも大切です。もう食べない木だったら切ってしまうのも選択肢です。秋の出没に関してはどんぐりがトリガーになるので、どんぐりの凶作・豊作は重要な情報です。森が広がり、どんぐりがならないから必ず人里に出てくるわけではありませんが、凶作であればクマは行動範囲を変えてきます。外に物を置いておくのをやめようとか、散歩のルート変えようとか、山に行くときはちょっと気をつけようとか、意識を変えることが大切です。クマに遭った時にできることは、ほぼないっていう意識を持った方がいいです。交通事故と一緒で、交通事故にあった時にどうしたらいいですかとは言わないですよね。まず、クマに遭わない努力をしましょう。彼らも基本的に人間に会いたくない。よく鈴をつけると言いますが、こちらの存在をアピールして、クマに対して人間が来たことを教えて向こうが避けることを期待したものです。それでも遭ってしまうことはあります。クマと人間との距離とか、クマがこちらに気づいているかどうかとか、いろいろな状況があるので、100%大丈夫ですというものはありません。逆にやってはいけないことはいくつかあります。まず、クマをパニックにさせないことです。クマと遭遇した時に大声を出すとクマもパニックになってしまう。クマをパニックにさせてはいけないし、自分もパニックになってはいけません。あとはクマに背を向けて走って逃げてはいけない。走るものを追いかける習性があると言われていますし、クマに背を向けることによって、クマの状況がわからなくなってしまう。クマが逃げようとしているのか、こっちに向かっているのかわからなくなる。この二つは絶対やってはいけないです。ゆっくりゆっくり後ずさりしながら、クマと人間との距離を開けていく。間に木や石を挟みながら、直接見えないような感じで、少しずつ距離を離していく。基本的にクマは人とは会いたくないし、その場を避けたいので、クマが逃げてくれればそれでいいわけです。――クマが人間のことを恐れなくなったと聞くことがあります。それはおそらく個体の問題だと思います。クマは一頭一頭性格が違うのです。私たちのグループは20年近くクマを捕獲してGPS受信機をつけて、自然の中での行動を調査していますが、檻に捕まった時にすごく怒っているクマもいるし、しょぼんとするクマもいたりして、非常に個性が強いです。なかには人間への警戒心が低くなったクマもいるかもしれないけれども、まだ日本の大部分のクマは警戒心が強いですね。――シカを襲うというニュースも見ました。食性が変わっているのでしょうか。ヒグマもツキノワグマも基本的には植物を食べています。動物も食べるんですけど、基本的には昆虫をちょっと食べるぐらいで、食生活の大部分は植物で成り立っています。ただし、先ほど個性の話をしましたが、クマは一頭一頭食べ物も違います。彼らは基本的に植物を食べていますが、もともと肉食動物から進化してきました。肉食動物から雑食性に進化したのがクマの仲間で、最も草食に傾いたのがパンダなわけです。もちろん彼らだって肉を食べたいんですよ。その方がはるかに効率がいい。だけど、日本の森の中に動物ってそういません。ツキノワグマは生きている成獣のシカを捕まえることはできません。シカの方が逃げ足が速くて。死んでいれば当然食べる。人間がワナをかけていることを学習して、ワナにかかったシカを食べることもあると思います。こういう話をすると、人を食べようとして襲うことはないのか聞かれますが、それはありません。人を襲う理由は、母グマが子グマを守ろうとして向かってくるとか、鉢合わせしてしまってパニックになって目の前の人をはたき倒してしまうとかです。個体差はあるにしても、基本的にクマが人を襲いかかるのは防御を目的にした攻撃です。――鳥獣保護法が改正され、市町村の判断で特例的に市街地での猟銃の使用が認められる「緊急銃猟」制度が2025年9月から始まりました。従来は住宅地ですと警察官の指示の下でしか発砲ができませんでした。県警と県庁の鳥獣担当が話し合って、情報交換をする県も増えてきてはいるのですが、警察官には野生動物の知識はないので、撃たせてくださいって市町村の人が地域の警察官にお願いしても判断できない。県警に聞いて判断して、返事が来るまでに時間がかかっている間にクマがどこかに行ったり、次の事故が起きたりすることがあったので、この時間が短縮するっていう意味では一歩前進だと思います。ただ、これからは市町村の職員が判断をすることになるのですが、野生動物の専門知識をもっている人はほとんどいないのが現状です。野生動物管理の知識がないと、どのタイミングで撃つか、撃つことで次の被害が起きないかどうかというような判断はできない。さらに、そのクマを駆除しても次のクマが来るだけですから、都道府県レベルで野生動物管理に詳しい人材をきちんと雇用して各市町村と連携しながら総合的な対策を立てることが必要になってくると思います。例えば島根県は、野生動物の専門職が正規職員として採用され、県内各地に出向いて、日頃からいろいろな対策を住民に伝えています。住民との距離が近いので適切かつ迅速に対応できます。秋田県にもツキノワグマ担当の県庁の職員が3人います。市町村が困っても、あの人に聞けばすぐ適切な対応を教えてくれるという関係が出来上がっているわけです。こういう対策が都道府県レベルでは大事です。東京農工大では、2年前から試行的に社会人を対象にしたリカレント教育を始めました。野生動物の生態や被害対策を学ぶだけでなく、集落診断と言って集落の人と一緒に対策を考案したり、山に入って動物の痕跡を見つけたりする実習も組み合わせたカリキュラムになっています。本当は自治体に専門職がいれば良いのですが、市町村レベルだとなかなか難しい。なので、担当になった市町村の職員の方に最低限の知識を身につけてもらうことを目指しています。――クマが市街地に出没することで怖いと思う人もいますし、逆に駆除をすると抗議の電話が殺到するという事態にもなっています。一般の人にメッセージがありましたら教えて下さい。出没が多発すると、クマなんていなくなってほしいって思うでしょうし、クマが身近じゃない都市の人はクマがかわいそうって思う人もいると思います。地域ギャップと意識ギャップが非常に大きい。ただ多くの人に共通するのは、ほとんどが正しいクマの姿を知らないってことなんですね。これまでお話してきたように、クマが森から出てくるにはそれなりの理由があり、適切な対策をとることで被害が減る可能性が高まります。過度に恐れる必要はないけれども、かわいいだけの動物でもない。そのことを皆さんに知っていただきたいですね。
(制御不能のクマ被害に悲鳴をあげるルーマニアの村)
日本でも全国各地でクマによる被害が増加し、問題になっている。だが、さらに深刻な被害を被っているのがルーマニアだ。クマが「国の宝」とされる同国では、クマ猟が禁止されている一方で、クマ被害の件数は右肩上がりを辿るという現実が突きつけられている。クマと人間の関係が破綻状態に陥ったルーマニアの村を、米「ニューヨーク・タイムズ」紙が取材した。6月20日の夜明け前、深い森林から姿を現した闖入者(ちんにゅうしゃ)は高級リゾート施設のエントランスに近づき、それを突破してなかに押し入った。その間23秒。容疑者の体重は200キロ近い。彼の目的は、ハチミツだ。当日朝に記録された防犯カメラの映像に映っていたのは、1頭のヒグマだった。バルヴァニョスリゾート・グランドホテルのガラスのスライドドアを前脚で押し開けると体を滑り込ませ、ロビーに侵入。居合わせた従業員が慌てて避難するのを尻目に、ヒグマは朝食ビュッフェに向かい、袋入りのハチミツを舐めた。ルーマニアのカルパティア山脈の山麓に建つこの4つ星ホテルでは、6月に3回ヒグマが侵入した。そのうちの1件が20日早朝の侵入だった。ほかの2件については、1件目と異なるヒグマが同施設のスパに侵入してマッサージオイルの入った3リットルの水差しを倒し、3件目の侵入では、また別のヒグマがホテルの廊下に通じるドアを開け、鉢合わせになった清掃係が避難する騒ぎとなった。ルーマニアでは、人とヒグマの関係はいまや破綻状態にある。ヒグマは、ルーマニアでは国の宝とみなされ、同国の神話に欠かせない存在だ。山村の住民はいまも毎年、クマの踊りを披露する。これはキリスト教化以前の時代にまでさかのぼる儀式で、当時、クマは災厄を撃退してくれると信じられていた。共産主義時代のルーマニアを支配した残忍な独裁者ニコラエ・チャウシェスクは側近らに命じてヒグマを森から餌でおびき寄せて射殺させるという、ぞっとするやり方で自らのマッチョさを見せつけ、権力を誇示するのが常だった。そんなヒグマを一目見ようと、観光客がカルパティアの森に押し寄せるようになって久しい。しかし、いまはヒグマのほうから人間に会いにやってくる。2016年の暫定的なヒグマ猟禁止措置や、宅地の乱開発によるヒグマ生息地の縮小といったさまざまな要因が重なり、以前よりも多くのヒグマが人間と接触する事案が増えているのだ。ルーマニア政府の統計データによると、現在、同国には1万~1万3000頭の野生のヒグマが生息しているという。この個体数はロシアを除く欧州諸国最多で、ルーマニア環境省が持続可能とみなす個体数の3~4倍になると、同広報担当官ミハイ・ドラガンは言う。体重約400キロ、戸口の下から上までをふさぐほどの体高に達するヒグマは、生息地の森林地を抜け出て、高速道路を徘徊したり、村や小さな町に侵入してゴミ箱をあさったり、行く手を阻むものを襲撃したりを繰り返している。ボーイスカウトは、すでにカルパティア地域でのキャンプをとりやめた。羊飼いは、連れてきた羊の群れが常習的に襲われていると話し、農民は自分たちの畑を耕しに行くのを恐れている。家を守るため、地域の村の周囲には何キロにもわたって電気柵が張り巡らされている。「私たちが子供の頃は森に分け入って、キイチゴやキノコを採って育ったものです。クマの存在が大きな問題になることは一度もありませんでした」と、前出のバルヴァニョスリゾートのオーナー、ローランド・サルヴァディ(58)は話す。「でもいまは、森のなかに入る勇気のある人など誰もいません。私たちは長いこと、ヒグマを銃で撃つことに反対してきました。でもここ2、3年でそれは限界を迎えてしまいました」。9年前にヒグマ狩りが禁止されて以降、264人がヒグマに襲われた。クマ猟禁止前の被害者数の平均は11人だった。死亡者数も増加している。ルーマニア国立林業調査開発研究所の報告では、ヒグマ狩りが禁止された2016年以降、20人が犠牲となった。しかし、こうしたヒグマの危険性をどう減らすかに関して、政治家と生態学者のあいだで意見は対立している。行政の一部、とくに地方県の管理当局からは、ヒグマ猟禁止措置の撤廃を求める声も上がっている。これに対し、自然保護論者らは、この問題はヒグマの群れの至近まで観光客を案内するツアーガイドを含む人間によって引き起こされていると反論する。チェタツィア村で農業を営むアンドラス・ニストル(52)は、いまでは一人で歩いて自分の畑には行かなくなった。2024年8月23日朝、彼は17歳の娘とともに、家畜用の干し草を刈るために荷馬車に乗って家を出た。小さな渓流を渡ろうとしたとき、馬がいきなり歩を止めてその場で立ち尽くした。川の水に怯えたのだと思ったニストルは馬車を降りて馬の手綱を引き、渓流を渡らせようとした。その瞬間、娘が悲鳴を上げた。振り返った彼の目に飛び込んできたのは、大きく開いたヒグマの口と喉だった。ニストルは、こう振り返る。「一瞬の出来事だった。それでも奴の歯が、それぞれ最低3、4センチはあったということははっきり覚えている」。彼は、顔の半分を食いちぎられた。声帯は切断され、叫び声を上げることもできなかった。小川に倒されて胸を踏まれたため、腹部と胸郭に傷が残った。彼は連れていた牧羊犬に助けられた。ヒグマは攻撃してきた牧羊犬にひるんでその場から逃げた。ニストルは目を開くことができなかった。宙に手を振り回してようやく自分の馬を見つけ、馬に導かれるようにしてカルパティア山脈の屈曲部にある小さな村の路上に倒れ込んだ。ヒグマの襲撃をかわした娘は村人とともに彼を助け、緊急通報の電話番号に通報した。ニストルはただちに病院に搬送された。そして挿管処置を施されたまま入院生活を数ヵ月送り、顔面再建手術を受けた。ヒグマの目撃や襲撃を報告する通報は急増し、2020年に約1750件だったのが、2023年には7500件を超えた。緊急通報を運用する公的機関によると、2025年に入りすでに5000件の通報があったという。カルパティアの村人の多くは明言を避けつつも、やむなく次の結論に達した──「クマは殺処分する必要がある」。元ルーマニア環境大臣森林担当顧問で、一連の緊急施策案の起草に携わったレヴェンテ・ポルジョルテは、「我が国でも、他国と同じ対策が必要」だと訴える。「すなわち、ヒグマを撃つことが許される必要があります」。一方で生態学者らは、不動産開発によってヒグマの生息地を侵食しているのは人間で、食べ物を与えてヒグマを引き寄せ続けているのも人間だとして殺処分に異を唱える。ガイド付きツアーの広告写真には、よくヒグマが登場する。そんなヒグマたちはおやつにありつこうと、日常的に山間部の主要道沿いに出没する。世界自然保護基金(WWF)ルーマニア事務局野生生物対策コーディネーターのクリスティアン・レムス・パップは、「魔法の弾丸のような万能の解決策はない」としたうえで、ヒグマ生息地の断片化が年々進行し、そのためヒグマがますます人間の住む町や村に近づくようになっていると指摘する。パップは、約1700人が暮らすオルト川沿いの村バイレ・トゥシュナドの事例を紹介した。同村はクマの生息個体密度がルーマニアで最も高いが、一連のクマ被害軽減策を実施したところ、緊急通報件数が2021年の149件から翌2022年には30件、さらに2023年には6件にまで減少したのだという。まず、政府が出資して「ヒグマ緊急対応チーム」が創設され、トランシーバーとカメラが支給された。ヒグマの個体にはGPS付き首輪が取り付けられ、住民には、アプリでヒグマの接近が知らされた。地域社会も大胆な対策に打って出たとパップは説明する。ほとんどすべての果樹を伐採し、クマが蓋を開けられないゴミ箱を設置し、地所の90%に電気柵を設置したのだ。ヒグマ被害を軽減させたバイレ・トゥシュナド村の取り組みは成功例として称賛されたが、ポルジョルテを含む有識者は批判的だ。「これはなんの解決にもなってない。いってみれば、地域住民を自分の家から一歩も出られない囚われの身にしただけです」。2021年、ヒグマ問題がいよいよ制御不能になってくると、ルーマニアはヒグマを野生クマが絶滅、または絶滅しかけている欧州の近隣各国に輸出しようと画策した。「どこも手を上げませんでした」とポルジョルテはこぼす。同年ルーマニア政府は、ポルジョルテも加わり起草した暫定的な「81号」緊急指令を採択した。この指令は、一種の協議員制によるクマの捕殺を要請するものだ。まず、ヒグマの襲撃を受けた被害者が通報を入れて、人命や財産が脅かされていることを伝える。すると通報を受けた警察官、麻酔銃を携行した獣医師、実銃で武装したハンター、彼らを監督する地元当局者は、ただちにヒグマの現れた現場に急行する。通常、ヒグマ処置協議員らが到着する頃にはヒグマの姿は見えなくなっている。まれに侵入グマを発見した場合のみ、獣医師がそのクマに麻酔銃の矢を撃ち込むことが許される。先日、ポルジョルテは記者を車に乗せ、7月にヒグマが襲撃したという現場を案内した。白っぽい土の上には、2つの大きな血の跡がまだ黒ぐろとはっきり残っていた。最初の染みは、ヒグマに殺された雄牛の血の跡、残る1つは、撃たれたヒグマから流れ出た血だった。現場に到着した処置協議員チームは、500キロはあろうかという大型動物をむさぼり食うヒグマを発見した。チームに参加していたポルジョルテの話では、獣医師が撃ち込んだ鎮静剤は効かなかったばかりか、興奮したヒグマが処置委員らに突進してきたという。そのとき初めて、ヒグマの殺処分命令を下すことができた。「まるで映画でも観ているかのようでした。悲鳴を上げる人々、逃げる警察官。ハンターが発砲して、ここでヒグマは死にました」。ルーマニア議会は2024年、19歳のハイカーがヒグマに襲撃されて死亡した事案を受けて緊急議会を開き、ヒグマの年間捕獲頭数を従来の2倍に当たる481頭に引き上げることを認めた。しかし、ポルジョルテはこの決定を「微々たる数でしかない」と一蹴する。彼は、毎年クマ個体数の10%の殺処分を認める他国を例に挙げ、この割合をルーマニアに当てはめれば毎年1300頭のヒグマが殺処分できると指摘した。ルーマニア政府関係者と自然保護団体は今後の方針について議論を続けているが、その間もヒグマによる襲撃の被害者は増え続けている。前出のアンドラス・ニストルは声帯が再建されると、ようやく話せるようになった。右の頬も再建された。外科医は粉々に砕かれた頬骨を復元するため、金属板を埋め込んだ。彼が義歯をはずすと、歯はほとんどなくなっていた。「クマはずっと見慣れていましたが、まさかこんなことをするとは思いませんでしたよ」。
(伊豆沼近くの田んぼでマガンを確認、今シーズン初:宮城)
県北部の伊豆沼近くにある登米市の田んぼで19日、冬の渡り鳥、マガンが飛来しているのが今シーズン初めて確認されました。マガンが確認されたのは登米市迫町の伊豆沼の南側にある田んぼです。きょう昼前、「宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団」の嶋田哲郎研究室長が羽を休めている7羽のマガンを確認したということです。財団によりますと、今シーズン宮城県内でマガンが確認されたのは初めてで、去年より1日早いということです。県内は全国でも有数のマガンの飛来地とされ、11月のピーク時にはおよそ20万羽が訪れるということです。財団の嶋田哲郎研究室長は「来月上旬には白鳥も訪れます。寒さが進むにつれ数がどんどん増えてくるので、警戒心を与えないように遠くから見てほしい」と話していました。
(笛を吹いてクマ撃退:北海道)
北海道砂川市で9月18日、散歩をしていた50代男性が1頭のクマを目撃しました。男性が持参していた笛を吹くとクマはその場から立ち去ったということです。クマが目撃されたのは、砂川市宮城の沢の奈江豊平川が流れるそばの市道です。18日午後4時50分ごろ、散歩をしていた男性が約30メートル先にいるクマを目撃しました。クマは体長1.5メートルほどで、住宅のあたりをうろうろしながら行き来していました。男性がクマ警戒のために持参していた笛を吹くと、クマは山の方へ逃げて行ったということです。男性にけがなどはありませんでした。砂川市ではクマの目撃が相次いでいて、北海道は10月7日までヒグマ注意報を出しています。また18日には小学校周辺で出没していたとみられるクマ1頭が箱わなで捕獲されています。
(普通列車がシカと衝突:大分)
JR九州によると、18日午後7時27分ごろ、久大線野矢~由布院で下り普通列車(日田午後6時13分発大分行き)がシカと衝突した。この影響で同7時45分現在、同線久留米~大分の上下線で遅れが出ている。
(スーパーまつかぜがシカと接触:鳥取)
JR西日本中国統括本部によると、18日午後11時37分ごろ、山陰線の浜村駅―青谷駅間の鳥取市気高町八束水付近で上りの特急スーパーまつかぜ14号がシカと接触した。車両確認後に運転を再開し、計3本に最大52分の遅れが出て約200人に影響。
(飼料用トウモロコシ被害、クマの食害とみて臨時休校に:北海道)
十勝の清水町で、家畜のえさ用のトウモロコシが食い荒らされているのが見つかりました。畑のそばにはクマのものとみられる足跡が残っていて、町は周辺の小中学校を臨時休校にして、警戒を続けています。清水町によりますと、17日午後3時すぎ、清水町清水で、周辺をパトロールしていた猟友会のメンバーから「畑に入っていったとみられるクマの足跡を見つけた」と連絡がありました。町の職員などが調査したところ、クマのものと見られる足跡が見つかり、そばの畑では、家畜のえさ用のトウモロコシ40本余りが食い荒らされているのが確認されたことから、町はクマによる食害とみています。町は、クマが近くにとどまっている可能性があるとして、近くにある清水小学校と清水中学校を18日と19日臨時休校にするとともに、猟友会と連携し、ドローンで上空からクマを探すなど警戒を続けています。清水小学校の高充慶校長は「こんなに近くにクマが出たのは初めてで、子どもたちの安全を守るために休校にしました。再開については関係機関と連絡をとりあい安全第一で考えていきます」と話していました。
(クマの目撃相次ぐ、旭山記念公園は閉鎖:北海道)
17日午後10時半すぎ、札幌市中央区の旭山記念公園で自転車に乗っていた男性が坂道を下っていたところ、クマが目の前を横断していくのを目撃しました。クマは体長2mほどで、その後、林の中に入っていったということです。男性にけがはありません。クマの痕跡は見つかっていませんが、市は公園を閉鎖し今後の対応を検討しています。一方、札幌市西区山の手3条12丁目では午前8時半すぎ、車を運転していた女性がおよそ1mのクマが道路を横断するのを目撃しました。市が調査を行いましたが、ほかに目撃情報がなく痕跡もないことからクマの可能性は低いとみています。
(威嚇のうなり声も、箱わなで捕獲されたクマ:北海道)
北海道砂川市で9月18日午後、クマ一頭が捕獲されました。小学校付近で連日のように目撃されていたクマと同一個体とみられています。威嚇するかのように唸り声をあげる1頭のクマ。砂川市で箱罠にかかっているのが18日午後、確認されました。地元の猟友会によりますと、体長ははっきりと分かっていませんが若い個体とみられています。砂川市内では北光小学校の近くでJRの線路を横断するなど、8月から18日まで連日のように相次いでクマが目撃され、警察などがパトロールを強化していました。猟友会は捕獲したクマの特徴から同一個体とみています。
(きのうに続ききょうもヒグマ捕獲:北海道)
18日、ヒグマが捕獲された場所で19日、もう1頭捕獲されました。北海道砂川市では線路付近などで連日クマが目撃されていて、18日、1頭のヒグマが捕獲されました。そして19日、さらに…。猟友会のハンター「かじってますね、オリを壊そうとしています」。猟友会が仕掛けた箱わなで新たにもう1頭、ヒグマが捕獲されました。来月7日まで砂川市全域にヒグマ注意報を発表し、注意を呼び掛けています。
(シカと衝突で一部列車運転見合わせ:秋田)
19日午後2時半ごろ、JR北上線和賀仙人-ゆだ錦秋湖駅間で、下り快速列車がシカと衝突した。車両点検を行い、同2時45分ごろに運転を再開した。線路にいるシカを撤去するため、後続の上り普通列車がほっとゆだ駅で運転を見合わせている。同5時ごろの再開を見込む。
(ヒグマ出没、森林公園閉鎖:北海道)
奈井江町は19日、町内でヒグマの出没が相次いでいることから、にわ山森林自然公園を閉鎖し、公園までの町道を通行止めにした。付近でクマの目撃が続いており、散歩する住民も多いことから判断した。
(捕獲したシカやイノシシ、大型配水管で処理:鳥取)
野生動物による農作物への被害が全国的に問題となる中、鳥取市は、猟師らが捕獲したイノシシやニホンジカなどを大型配水管の中で分解・発酵処理する取り組みを後押しする。狩猟者の高齢化や減少で処理が大きな負担となっており、集中処理設備の導入で省力化や費用低減につなげる。市によると、配水管は直径1メートル、長さ4メートル。集落から離れた山林で、深さ3メートルほどの穴に配水管を立てた状態で埋設し、井戸のような空間をつくる。捕獲した鳥獣を投入後、臭いを軽減する効果もある発酵促進剤を入れて容積を減らす。配水管の上部にふたをつけ、キツネやクマなどに掘り返されるのを防ぐ。1基で年間100匹の処理が可能。地表面から1メートルほど下まで不溶物がたまれば、配水管を抜き取って土で埋める。配水管は別の場所で繰り返し利用できるという。今年度は市南部の佐治町で大型配水管3基が埋設される計画で、地元の佐治猟友会が管理しながら利用する。市は、市鳥獣害対策協議会による設備の整備・管理にかかる費用を補助するため、市議会9月定例会に提出した2025年度一般会計補正予算案に関連事業費約97万円を盛り込んだ。市内で24年度に捕獲された鳥獣は6775匹で、22年度の5478匹から大幅に増加。シカが3337匹で最も多く、イノシシが2642匹、その他(アライグマ、ヌートリア、カラスなど)が796匹だった。シカとイノシシの処理方法は、「埋設または自家消費」が計3773匹▽容積を減らす「減容化」が計2105匹▽食用の「ジビエ」は計101匹。捕獲してからの時間や状態などにより食用は一部に限られ、大半は猟師らが約1メートルの穴を掘って埋めるか、減容化施設に持ち込んでから焼却しているのが実情だ。市が22年に東部の国府町に開設した減容化施設は、捕獲数の増加に伴い処理負担が膨らみ続けている。また、有害鳥獣の駆除を委託している狩猟免許所持者の高齢化や減少により、佐治町など施設から離れた地域では運搬する人手も不足しているという。市によると、大型配水管を利用した鳥獣の集中処理設備の導入は県内で初めて。担当者は「設置が簡単で、キツネやクマに掘り返されるリスクもない。狩猟者の負担軽減効果などを検証しながら他の地域にも広めていければ」と話している。鳥取県内の野生鳥獣による農作物の被害額は、2024年度は8095万円で、前年度(5017万円)の1.6倍に急増した。イノシシによる被害が5854万円で最も多く、全体の約7割を占めた。県は「ドングリなどが凶作だったことで農地への侵入が増え、被害が拡大した」とみている。県のまとめでは、他の鳥獣はカラス1051万円(前年度688万円)▽シカ594万円(同295万円)▽クマ57万円(同34万円)▽その他539万円(同41万円)。イノシシやシカでは主に水稲が被害を受け、カラスは梨や野菜類の被害が目立った。県によると、暖冬の影響などで個体数が増えたとみられる一方、餌となるドングリなどが森の中に少なく、人里や農地への出没が増えたと考えられるという。
(グルメイベント「肉のまき」、食べ比べて大満足:宮城)
牛、豚、鶏、鯨、鹿の5種類の肉を味わえるグルメイベント「肉のまき」(石巻圏観光推進機構主催)が14日、石巻市中央2丁目の市かわまち交流広場で開かれた。来場者は秋空の下、多様な料理に舌鼓を打った。石巻地方を中心とした事業者10店がテントやキッチンカーで出店し、同市桃生産のえごま豚を使った「豚バラ串」をはじめ「鹿肉串」「煮込みハンバーグ」「とり唐揚げ」などを販売。観光に関するアンケートを実施し、回答した先着100人に鹿肉を使用したカレーを無料で振る舞った。母と訪れた同市渡波中3年菊地清正さん(14)は「肉巻きおにぎりが大きくて食べ応えがあった。1カ所でたくさんの肉料理が食べられるのはすごい」と笑顔を見せた。イベントは地場の食材をPRし、消費拡大につなげようと2023年に始まり、今回で3回目。機構の担当者は「石巻は食べられる肉の種類が豊富だということを市民に知ってもらいたい。出展する業者同士の交流も広がっているので、今後も続けていきたい」と話した。
(国産ジビエ×日本ワイン)
日本ジビエ振興協会とワイン大手のメルシャンは17日、国産ジビエ(野生鳥獣の肉)と国産ブドウを使った日本ワインを売り込む共同企画を始動したと発表した。ワインは土壌や気候など取り巻く環境(テロワール)によって味が変化する。ジビエも生育環境などが味に直結する点をアピールし、消費拡大を狙う。農水省によると、2023年度のシカとイノシシの捕獲頭数は124万頭と拡大している。農産物への被害防止を目的とした捕獲が中心で、食肉への利用は10%程度にとどまる。長野県茅野市でジビエ料理店を経営する日本ジビエ振興協会の藤木徳彦代表は、「廃棄がもったいないから食べるのではジビエの価値が伝わらない。ジビエのおいしさを広めることで消費を増やしたい」と話す。捕獲場所や餌、季節などの「テロワール」が味に直結するという。メルシャンで商品開発に携わる安蔵光弘氏は「ジビエと日本ワインは共にテロワールが色濃く出ている」とする。同品種のブドウを使った同じ熟成期間の日本ワインであっても、ブドウを栽培する土地の土壌や標高などが異なれば風味が変化する。国産ブドウを使用した日本ワインの国内流通量は5%程度だが、国産ジビエとの相性を訴求しジビエと共に消費拡大につなげる。両社は今後、ジビエ料理と日本ワインのペアリングを提案する食事会などの開催を予定する。
(クマ出没:宮城)
登米市によると、20日午前10時35分ごろ、登米市米山町善王寺中新田にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
南三陸町によると、19日午後1時ごろ、南三陸町志津川清水浜にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、19日午前5時40分ごろ、仙台市泉区松陵3丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午後1時ごろ、仙台市泉区根白石下河原にクマが出没しました。
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(山林で81歳の女性がクマに襲われけが:山形)
酒田市の林道で16日午後、81歳の女性がクマに顔を引っかかれてけがをしました。県内でことし発生したクマによる人的被害は6件目で、クマの目撃件数は、すでに過去最多となっています。16日午後3時45分ごろ、酒田市下青沢の林道で「母親がクマに襲われた」と男性から119番通報がありました。警察の調べによりますと、酒田市北青沢に住む81歳の無職の女性が林道脇の畑に1人で出かけたところクマと遭遇したということです。女性はクマに顔を引っかかれるなどして消防の救助隊によって市内の病院に運ばれ手当てを受けました。命に別条はありませんでした。現場は、大沢コミュニティセンターから東の方向におよそ1.5キロ離れた山中で、地区の人によりますと、周辺ではたびたびクマの目撃情報がありましたが、これまでに人的被害は確認されていなかったということです。また、女性がミョウガやクリなどを採りに林道を歩く姿をよく見かけたといいます。現場の林道は去年の豪雨災害の影響で途中で崩落していたため、当時、女性は現場まで歩いて入っていったということです。女性はクマに襲われた後、携帯電話で息子に連絡し息子が119番通報しました。市などは周辺住民に注意を呼びかけています。ことし県内で発生したクマによる人的被害は今回で6件目で、去年1年間に発生した3件の倍になっています。また、ことしのクマの目撃件数は9月14日時点で1057件で、統計を取り始めた2003年以降、はじめて年間で1000件を超え、最も多くなっています。県は、「ことしはクマのえさとなるブナの実が大凶作となることが予想されていて、今後、クマがえさを求めて山から下りてくることが増える可能性がある」として注意を呼びかけています。
(自宅敷地内でクマに襲われる、40代男性が左脇腹をケガ:新潟)
長岡市上の原で男性がクマに襲われケガをしました。警察の調べによりますと、男性は15日午前0時頃、自宅の敷地内で体長約1.3メートルのクマに襲われました。男性は左脇腹にケガをしましたが、擦り傷程度で病院への搬送はなく、命に別条はないということです。男性は離れからトイレに行こうと母屋に向かい、クマに襲われたということです。現場は住宅街で、近くには小中学校もあることから警察は長岡市とも連携して注意を呼びかけています。
(渓流釣りの男性がクマに襲われけが:岩手)
15日午後、岩手県雫石町で、渓流釣りをしていた56歳の男性がクマに襲われ、顔や頭などをひっかかれてけがをしました。クマは馬乗りになって襲ってきましたが、男性が腹部を蹴ると逃げていったということで命に別状はなく、警察が注意を呼びかけています。警察によりますと、15日午後2時20分ごろ、雫石町西根東駒木野の葛根田川の河原で、盛岡市の56歳の男性が渓流釣りをしていたところ、親1頭、子2頭の親子とみられるクマが現れ、親グマに襲われました。親グマは馬乗りになって襲ってきたため、男性が腹部を蹴ったところ、親グマは子グマとともに近くのやぶの中に逃げていったということです。男性は顔や頭、それに左腕をひっかかれてけがをしましたが、自力で病院に向かって手当てを受け、命に別状はないということです。警察は現場付近をパトロールして注意を呼びかけています。現場は、JR田沢湖線の雫石駅から北に5キロ余り離れた田んぼや住宅が点在する地域です。
(クマの駆除で誤って猟銃に撃たれる…町を訴えるも町は棄却を求める:山形)
おととし、小国町でクマの駆除を行っていた際に仲間の猟銃で撃たれ大けがをした男性が、小国町におよそ3000万円の損害賠償を求めた裁判がきょう始まりました。小国町側は、請求の棄却を求めています。訴えを起こしたのは、小国町の委託を受けて鳥獣の駆除を行っていた小国町の40代の男性です。訴状などによりますと、男性はおととし4月、小国町からクマの駆除を委嘱され、仲間2人と共に山に入り狩猟をしていました。その際、仲間が発砲した猟銃の弾が男性の右ひざに当たり、男性は右ひざを骨折するなどしていまも後遺症が残っているということです。訴状で原告側は、「基本的な注意義務を怠った過失は重い」「男性は治らない後遺障害を負い、今後さらに悪化するおそれがある」などとして、町に対しておよそ3000万円の損害賠償を求めています。一方、被告側である小国町は訴えの棄却を求めました。TUYの取材に対し町側は猟銃を発砲した男性に対しこの事案にかかった費用などの支払いを求める裁判を起こすことを検討しているとし、「主張については今後の裁判の中で明らかにしていく」と話しました。次回の裁判は11月18日の予定です。
(緊急銃猟、ハンターの本音は?:北海道)
市街地に出没したクマへの発砲が市町村の判断で可能となる緊急銃猟が今月から始まりました。課題は何なのか。実際に駆除を担う猟友会の幹部に本音を聞いてきました。「反撃する可能性があるヒグマについて過去にも会員のハンターがかなり亡くなっています。特に街の中の近距離であれば、保証がないとハンター、ハンターの家族も含めて、わかりましたと簡単に言えないかもしれない」。こう語るのは北海道猟友会の齋藤哲嗣専務理事です。道内で猟銃を所持するハンターはおよそ4800人。この中でクマを打った経験者は15%ほどとみています。齋藤哲嗣専務理事「山などで100メートルくらい離れたクマを捕獲した経験のある人は結構いるかもしれないが、見通しが悪く間近に迫ったクマを捕獲した経験のある人はそんなにいないと思う。北海道猟友会としては、ヒグマの捕獲経験は絶対要件だと思っている」。緊急銃猟は鳥獣保護管理法の改正により可能となりました。市街地に侵入したクマに対し、市町村長の判断でハンターに委託して銃猟を行うことを認める制度で、迅速な対応が期待できます。発砲には、住民の安全が確保できるなど4つの条件を満たす必要があります。これまでは市街地での猟銃の使用は原則禁止でした。例外的に人の命にかかわる緊急時にのみ「警察官職務執行法」に基づいて、警察官の命令で発砲が認められていました。ただクマを撃つのはハンターです。周りの人や建物、ハンター自身への補償内容について国は「市町村があらかじめ保険に加入することを推奨する」と回答しています。齋藤哲嗣専務理事「推奨だといまいち不十分。補償しないところはどうするのかという話になります。補償の内容が要請に対する回答の条件というふうに考えるハンター側は命の危険があるクマの駆除に関して、シカや鳥の狩猟を趣味とする人が担うことに疑問があります。我々も正直言って仕事ではないと思ってます。これはあくまでも公的な機関だとか組織が人命救助をすべきこと。人名救助と言われるとですね、銃の元々の所持許可の目的が違うんじゃないかなと」。ただ市町村にとってクマを駆除する手段は、猟銃や狩猟に通じたハンターに依頼するほかありません。齋藤哲嗣専務理事「大部分のハンターが、この件に疑問を持ちながら、なかなか断りづらいなということで参加する方が多いんじゃないかと思ってます」。クマによる被害を減らすための新制度。ハンターが安心して参加できる仕組みづくりが求められています。
(マダニが媒介する感染症SFTS、県内で感染初確認:栃木)
県によりますと、マダニが媒介する感染症、SFTSについて、県内で刺されて感染した事例が初めて確認されたということです。県は引き続き、草むらに入る際には、肌の露出を少なくするなどの注意を呼びかけています。県によりますと、県内に住む70代の女性が、先月下旬、発熱や下痢などの症状が出たため、今月1日に医療機関を受診したということです。検査の結果、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」に感染していることが確認されたということで、女性は県西健康福祉センター管内の医療機関に入院したということです。SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することもあり、厚生労働省によりますと死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされています。この女性は自宅周辺でマダニに刺されたとみられ、県内での感染者の確認はこれで2例目ですが、県内で感染した事例はこれが初めてです。県は引き続き、草むらややぶなどに入る場合は長袖や長ズボン、それに帽子や手袋を着けて肌の露出を減らし、虫よけなどを適切に使用するほか、マダニに刺されたあとは無理に引き抜こうとせずに、医療機関を受診するよう呼びかけています。
(シカ牧草食害防止で高い効果、立体柵の実用化へ前進:岩手)
ニホンジカによる牧草の食害を防ぐ切り札として岩手県が実証実験中の「いわて式ワイヤーメッシュ立体柵」(仮称)が高い食害防止効果を示し、実用化に大きく前進した。5~6月に刈り取る1番草で比較したところ、立体柵内の収穫量は無防備な柵外の2・7倍を超えた。県は今年度、実証実験の場所を増やし、その効果を確認した上で早期の実用化にこぎつけたい考えだ。立体柵は国の研究機関がコンクリートの補強材として使う長さ2メートル、幅1メートルのワイヤーメッシュ(溶接金網)をシカによる牧草の食害調査に使用していたのをヒントにした。長さ2メートルの溶接金網を真ん中で90度曲げる。2枚を向かい合わせで接続すると、1メートル四方のボックスになる。これを牧草地に複数置いていく。1メートル四方のボックス内でシカは牧草を食べられず、それ以外の牧草の収量を比べれば、食害の被害量が分かる仕組みだ。「このボックスで柵をつくればシカが入ってこれないのではないか」。ひらめいたのが立体柵の生みの親でもある県農業普及技術課技術主幹兼農業革新支援担当課長の中森忠義さんだった。令和4年に長さ10メートルの立体柵を試作した。同じ溶接金網に防錆塗装を施し、真ん中で90度曲げた2枚に真っすぐな1枚を渡しボックス状にして連結した。「高さと奥行きが1メートルある立体柵を飛び越えられないとシカに認識させること」が中森課長の狙いで、設置カメラの映像でシカが立体柵を嫌がるのを確認できた。この結果を受けて実証実験が始まった。令和5年11月、盛岡市郊外の広さ30ヘクタールの牧草地のうち1・6ヘクタールと60アールが立体柵で囲われた。1・6ヘクタール内で今年刈り取られた1番草の10アール当たり収量は465・2キロで、無防備な立体柵外の170・3キロの2・7倍を超え、実証実験は立体柵の高い食害防止効果を証明した。同時に無防備の牧草地では栄養価が高く良質な飼料となる1番草の半分以上をシカが食べていた実態も浮き彫りになった。1・6ヘクタール内で今年収穫した1番草の牧草ロールは22個。無防備だった5年の11個の2倍。実証実験の牧草地を所有する農家は60アール内を含む1番草の収穫増で外部からの牧草の買い入れをとりやめることができたという。岩手県が立体柵の実用化を急ぐのには理由がある。野生鳥獣による県内の農作物被害でシカが断トツに多いからだ。令和3年から3年連続で被害額は2億円を超え、東北6県で最悪。希少な高山食物への食害や列車などの衝突事故も多発するなど社会問題にもなっており、シカの個体数減少が急務となっている。平成30年の推計で県内のシカの生息数は10万7000頭。これを減少させるには毎年2万5000頭以上を捕獲する必要があり、捕獲の担い手確保と捕獲の効率化が課題になっている。シカによる牧草の食害を防ぐ立体柵には捕獲と並ぶ個体数抑制の切り札としての期待もかかっている。実証実験では高い実用性も証明された。まず低コストだ。実証実験で使った溶接金網は長さが2メートルで、幅が1メートルと1・2メートルの2種類。立体柵1メートルの材料費は幅1メートルが929円(税込)。幅1・2メートルは1680円(同)。いずれも1メートル当たりの国の交付金2145円(同)内に納まった。四角いボックス状で自立する溶接金網を連結した立体柵は設置が容易。電気柵で必須な下草刈りの労力も不要。冬季間も継続して設置できてメンテンナンスも簡単と、広大な牧草地にも対応できるめども立った。シカの生態に詳しい実証実験のアドバイザー、農研機構畜産研究部門動物行動管理グループの堂山宗一郎主任研究員は「シカによる牧草の食害を防ぐ試みはシカの頭数管理において重要な視点。1メートル四方の仕切りがある立体柵はほとんどのシカが飛び越えられないだろう」と高く評価する。県農業振興課の村田就治特命課長(鳥獣被害対策)は「立体柵の有効性が確認された。さらに実証実験を積み重ねて早期に実用化を図りたい」と話しており、今後の展開が注目される。
(クマ対策強化、出動した猟友会員の手当など引き上げ:長野)
クマによる被害が増えるなか、木島平村は対策強化のため捕獲や駆除にあたる猟友会員が出動した時に支払われる手当などを引き上げることを決めました。木島平村穂高ではことし4月、畑で農作業をしていた女性がクマに襲われてけがをしたほか、村内では、農作物が食べられる被害も増加傾向にあります。村は対策を強化するため、猟友会員などでつくる有害鳥獣駆除協議会への補助金の増額費など109万円余りを盛り込んだ補正予算案を9月議会に提出し、閉会日の16日、可決されました。あわせて支給額などを定めた村の要綱を改定し、クマの捕獲や駆除のために出動した時に支払う手当を1回当たり1000円から1時間1500円に増やすほか、わなの設置や見回りも1回1000円から1500円に増額しました。また、実際にクマを捕獲した際に支払われる報奨金は、1頭1万円から2万円に倍増しました。今回の改定はことし4月にさかのぼって適用されるということです。木島平村は「今回の決定を生かしてクマ対策を効果的に進め、村民の安全を確保したい」としています。
(伊豆大島の特定外来生物シカ科「キョン」捕獲に報奨金:東京)
東京・伊豆大島でシカ科の特定外来生物「キョン」の食害が深刻化していることを受けて、東京都は、捕獲した場合、報奨金を支払う制度を始めました。シカ科のキョンは、中国などを原産とする特定外来生物で、都によりますと伊豆大島では、昭和40年代に島内の公園から逃げ出したキョンがその後、急激に数を増やし現在、およそ1万7000頭が生息しているとみられます。島内ではキョンによる特産のアシタバなど、農産物の食害が深刻化していて、都によりますと損失額は、毎年およそ200万円から300万円にのぼるということです。都はこれまで業者に委託して捕獲を進めてきましたが、今回、キョンを捕獲した際に報奨金を支払う制度を今月から始めました。具体的には、猟銃が使えない市街地での捕獲を強化するため、希望する住民の自宅などに都がわなを設置し、捕獲された場合、1頭につき8000円の報奨金が支払われるということです。東京都自然環境部は、「キョンの根絶を目指して、住民と協力しながら市街地での捕獲を強化していきたい」と話しています。
(「県として後方支援がしたい」県女性専門職員の視座:秋田)
2025年9月、クマの駆除をめぐり国に大きな動きがありました。住宅地での発砲に関する法改正です。ただ、法律が変わるだけでは課題はなくなりません。今だからこそ各自治体に求められることを、秋田県の事例から考えます。これまでの法律では、住宅地でのクマへの発砲は原則禁止されていて、危険が差し迫ったときのみ、警察官の指示のもとで発砲ができました。しかしクマが連日出没していても、発砲がなかなか許可されないケースもあり、対応の遅れが懸念されてきました。そんな中、9月1日に始まったのが「緊急銃猟」です。市街地や農地、商業施設など「人の生活圏」で猟銃の使用が可能になり、市町村の判断で撃てるようになりました。緊急銃猟には、以下の4つの条件すべてを満たす必要があります。【4つの条件】1)ヒトの生活圏にクマが侵入 2)ヒトへの危害を防止する措置が緊急に必要 3)銃猟以外の方法で駆除が難しい 4)銃猟によって人の生命・身体に危害が及ぶおそれがない。たとえばあなたの住宅の目の前にクマがいたとします。「すぐに対処してほしい」と思うかもしれませんが、そこで発砲しても危険はないでしょうか?クマはどんな様子なのか、周囲の人は避難しているのか、外の暗さや天候はどうか…など、いろいろな条件によって変わってきそうです。これまでも法律の壁はありましたが、例外的に発砲した事例もありました。野生動物の対策には、長い年月をかけた調査や、地域住民や関係機関との信頼関係の構築、専門知識に基づく判断が必要です。しかし、自治体職員には「異動」があります。野生動物の知識がまったくない職員が担当になるケースも多くあります。判断基準が現場によって違ったり、迷って対応が遅れたりした場合、住民やハンターにリスクが生じます。各自治体は、どのように「発砲すべきか」「安全に発砲できるか」を判断するのか。法律が変わってすぐに解決するのではなく、ますます各自治体のクマ対策の重要性が高まっているのではないでしょうか。秋田県では2020年4月、初めての「野生動物の専門知識を持つ職員」として、近藤麻実さんを採用しました。近藤さんは三重県出身で、もともとはジャングルに生息するような海外の野生動物に興味を持っていたといいますが、進学した大学で唯一野生動物に関わるサークルだった「ツキノワグマ研究会」に入ったところ、「クマの沼にはまった」そうです。山の中に自動撮影カメラを設置し、カメラの前を歩くクマの撮影に成功したとき、「こんなに大きい動物が、生き生きと動いてるんだ」と感動を覚えたといいます。大学院まで進んでから、北海道の研究機関に9年間勤務し、主にヒグマを担当していました。秋田県職員になってからは、2020年7月には秋田県自然保護課に開設された「ツキノワグマ被害対策支援センター」で、ツキノワグマをはじめ、サルやイノシシなど、野生動物全般の対策にチームで向き合っています。センターの職員は10人ほど。専門職は近藤さん1人の体制でしたが、2024年度に2人を新たに採用し、専門職員は3人という体制になりました。初の専門職員として注目を浴びる立場ですが、近藤さんは、自分は「サポートの立場でしかない」と話します。「県にいる専門職員として、市町村のサポートが大きな使命だと思っています。現場で最前線に立つのは市町村職員のみなさん、その先に農家さんなど住民ひとり一人がいます」「市町村には専門職員はいないし、異動もあるし、少ない人数であれもこれもやっていて、その中で一から自分で勉強するのは負担が大きい。県職員として、市町村が動きやすくなるように仕組みづくりなどから後方支援がしたいと思っています」たとえば、住宅地にクマが出没したときは、発砲するにしても、クマを山へ追い払うにしても、住民を避難させるにしても、警察と自治体との連携が重要になります。いざというときのために、日ごろから考え方やお互いの動きを話し合っておく必要がありますが、近藤さんは「市町村ではなく都道府県レベルでやっておくべきこと」と考えているといいます。クマを捕獲すべきかどうか、各市町村が判断基準にするのが、「都道府県が作った管理計画」です。北海道でも、「北海道ヒグマ管理計画」をもとに、各市町村が判断しています(知床半島では独自の管理計画も作成しています)。都道府県が全体の方針など仕組みを整えておくことが、各現場の判断の支えになるのです。都道府県に専門職員がいれば、現場対応の支援もでき、日常の対策の相談に乗ることもできます。「誰にも相談できないって心細いですから」と、市町村職員の「困った先の杖」となることを心がけている近藤さん。実際に市町村職員から、「困ったときに自然保護課に電話すれば良いと思えるだけで心強い」「自然保護課は最強の後ろ盾」という言葉をもらっているといいます。そして、専門職員に相談できる環境は、市町村職員にとってもスキルアップにつながります。近藤さんは、「県の方針決定という大きな舵取りをしつつも、現場対応も支援しつつなので大変なことも多いですが、やりがいも喜びもひとしおだなと感じています」と話します。国内では、市町村の単位で専門職員を雇用している事例もあります。さらに地域の事情に合わせた、きめ細やかな対応ができるようになります。ただ、クマは市町村の境目を越えて動くこともあり、近隣市町村との連携も、都道府県全体での仕組みも引き続き重要です。近藤さんは、「秋田県の場合は、まずは県による幅広いサポートに取り組んで、仕組みを充実させたい」と話していました。ここまで話を聞くと、正直思います。「北海道は貴重な人材を失ってしまったのではないか…?」。なぜ北海道でのヒグマの研究職を離れ、秋田県職員になったのか、聞いてみました。「研究がしたいというより、人とクマとの無駄な衝突を防ぎたいという気持ちが強かったんです。研究者が知るだけではなくて、正しい知識を地域に広めないと意味がないと、ひしひしと感じていました」。しかし、住民への普及啓発や、現場で一緒に手足を動かしての対策の機会は、研究機関ではなかなかありませんでした。そんなとき、秋田県庁での募集を見つけたそうです。もともとはツキノワグマが原点で「愛着もひとしお」だったこともあり、応募を決意しました。近藤さんは、今の仕事について「大変だけど楽しい」といいます。「市町村職員や住民との付き合いの中で、信頼してもらって相談してもらえるようになったり、対策がうまくいったり…小さな積み重ねを、積み重ねていける感じが楽しい」と、笑顔で話してくれました。ただ、必ずしも北海道にとってマイナスというわけではないようです。北海道の研究機関の「大好き」な先輩が、「秋田県ですごい体制を作れ」と激励してくれたことを心の支えにしてきたといいます。今も北海道の研究者や自治体職員とも交流があり、ときどき情報交換をしているそうで、「クマの種類は違いますが、対応の勘所は共通しています。全国に仲間がいるのは心強い」と話してくれました。近藤さんのような専門職員の存在は、これからのクマ対策のカギになります。しかし、クマ対策は一人だけの努力では前に進みません。最前線に立つ、市町村の職員。その判断を支える、都道府県の職員。ときには都道府県の枠も超えて交流することで、互いのいいところを、地域ごとに合った形で取り入れていく…。そうして各現場の教訓が、次第に国全体のクマ対策を動かしていくのかもしれません。この記事では自治体の役割について考えましたが、命と暮らしを守るためには、住民ひとり一人にも知っておくべきことがあります。秋田県では、クマにまつわる、よくある疑問31選に答えた、Q&Aを公開しています。最近のクマは、鈴やラジオの音では逃げない?クマに会ったら、荷物を置いて逃げればいい?などなど…。
(イノシシ被害が増加する中、“効果的な罠の仕掛け方”は?:新潟)
新潟県内でイノシシによる農作物の被害が増えている中、阿賀町ではどのように罠を仕掛けたらいいかなどを農家が学ぶ研修会が開かれました。阿賀町で開かれた『中山間地域等農業振興研修会』には、地元の農家ら多くの方が参加しました。テーマは近年増加するイノシシ被害を防ぐための仕掛け罠の設置についてで、長岡市で鳥獣被害対策などを手掛ける『うぃるこ』の塚田朱花さんが、罠の仕掛け方や効果的な設置場所などを説明しました。塚田さんは「イノシシが罠に警戒して危険性を学習すると、捕獲確率が3.9%まで下がってしまう」と話し、さらに「罠の向きは、イノシシの背中側が山になり、前方に人里や道路が見える位置にするのが効果的」と具体的な設置方法を解説しました。研修会では罠の種類による違いも紹介されました。うぃるこ 塚田朱花さん「囲い罠は移設が大変ですが、多くのイノシシを一度に捕獲できる利点があります。一方、箱罠は移動が比較的簡単です」。また捕獲のベストタイミングについても、塚田さんは「イノシシが子育てをしている6~7月頃と稲刈り直後が最も効果的です。特に母イノシシは授乳期に多くの餌を必要とするため、罠に誘導しやすくなります」と解説していました。県や県農業共済組合によりますと、2024年度のイノシシやクマなど有害鳥獣による農作物の被害額は3億3400万円で、前の年よりも1.4倍に増加。そのうち約4割がイノシシによる被害だったということです。阿賀町でもここ数年、被害が増加していると言います。塚田さんは「罠を見回る際は自分の安全が最優先です。木の上や罠までの道、藪をよく確認してから近づき、万が一イノシシと出会った場合は刺激せずに後ずさりしてください」と安全対策も強調しました。増え続けるイノシシ被害に対して、効果的な対策を講じるための取り組みが続いています。
(“スマホ”でわかる「サル予報」とは?:島根)
丹精込めて育てた農作物を食べられてしまうなど、人里に現れる野生の動物による被害が問題となっています。そうした動物の居場所を探り出し被害を未然に防ぐための画期的なツールの運用が、島根県川本町で始まっています。どんなものなのか取材しました。島根県西部、中国山地にある邑智郡川本町の役場を出発した車が、山道を走り回ります。川本町産業振興課 有害鳥獣対策係 宮田圭三さん「20、30頭が、ちょうどここに…」。川本町では最近、ニホンザルによる農作物の被害が増え、問題になっています。島根県中山間地域研究センターの2021年の調査によるとニホンザルは、県内13の市と町に63の群れ、2400頭程が生息し、数も増えているといいます。サルは人里のカボチャやカキ、玉ねぎ、大豆などを狙い、おいしい所だけを食べるため被害にあうと、商品として出荷できなくなってしまいます。そのため、農家はこれまで、イノシシ対策用に地面を掘られないよう板を張った柵の上に、サルが登れないように特殊な電気柵を追加する対策を取っていました。県中山間地域研究センターによる、駆除を行ったとしても農作物を食べているサルの群れは栄養状態が良く出産率が高いためか数が減らないことも分かってきていて、人里に近付かせず効果的に山へ追い払う方法が求められるようになりました。そこで川本町が今年6月導入したのが、兵庫県のNPO法人が開発した「サルイチ」という、サルの位置を検知するシステムです。取材したこの日の反応は・・・。川本町産業振興課 有害鳥獣対策係 宮田圭三さん「雨で、麓まで降りて来ないんだと思います。100メートル、50メーター圏ですかね。(Qきょうは走り回ってみましたけど100メートル以内には近付けなかったという?)そうですね」。サルは、全体の3割がメスであとは子どもという母系社会の群れを作ります。平均40頭程度といい、サルイチはその内、1頭のメスに電波発信機の首輪を着けて放し、その位置を探ることで群れ全体の動きを知る仕組みです。冒頭の車はこの電波を探して1時間以上走り回りましたが、この時は検知できませんでした。検知した時はザザッという音が鳴るそうで、同時に探知機のディスプレイにも電波の強さがグラフで表示されます。反応があれば車を止め、特殊なアンテナを左右に振りながら電波の方向を探ります。川本町産業振興課 有害鳥獣対策係 宮田圭三さん「ある程度(方向を)絞ったら、またその近くに行って。今度は逆方向からでも見て、また同じように調べて。そうすると大体(地図上で)交差した所ですね。そこに群れがいるという」。これを、午前と午後に調査し、スマートフォンのシステムに入力。それにより、登録している農家が群れの位置などを一斉に把握し、サルが実際に来る前に対策を考えられるというわけです。川本町産業振興課 有害鳥獣対策係 宮田圭三さん「(地図上で)北の方に向かってますので、こちら(南)の方は、あしたあさっては大丈夫かなと。こちらにサルが近寄ってるなというと、例えば収穫時期でしたら、早めに収穫してしまおうと対策できる」。現在探知しているのは、町の西側と、東側から中心部にいる2つの群れです。1か月間の位置情報を重ねると5キロ程度のエリア内を活発に移動しているのが分かります。動いている向きを事前に知ることで、一種の「サル予報」という形で利用出来るのです。川本町産業振興課 尾﨑貴道課長「追い払いの準備ですとか、農作物の収穫時期の見直しですとか、といった所につなげて行ってですね、被害を減らすことによって農業者の方の生産意欲の低下につながらないように。登録者がもっと増えて、町ぐるみで追い払い態勢が出来たりですね、して行くと対策がどんどん進むのではないか」。川本町産業振興課 有害鳥獣対策係 宮田圭三さん「町内に全部で9群れいますけど、全ての群れの情報が分かれば良いですけど、なかなかそれは人材的なものや金銭のこともありますので、一度に導入するのも難しいので、やれる所からやって行くしかないと」。人手や金銭面といった課題はありますが、町では「サルイチ」によって集落全体で計画的にサルを追い払い、山に封じ込める形の対策を目指していて、将来的には近隣の市や町と連携して対策ができればより実効性が高まるとしています。
(北アルプスの熊に「度を越えた」変化:長野)
北アルプス鹿島槍ケ岳(2889メートル)で8月、親子とみられる熊が登山者の弁当を食べた事案で、熊は人を見てもその場を離れず、登山者が逃げて置いていった弁当を食べていたことが、山小屋関係者への取材で分かった。近くのテント場でも熊が目撃されている。専門家は、熊が登山者の近くに餌があると学習している可能性を指摘。環境省は登山者への残飯管理の徹底などの呼びかけを強化している。
(致死率最大30%「SFTSウイルス」、野生イノシシ調査で県境に陽性反応集中が判明:石川)
今年6月、富山県内でマダニに咬まれることで感染するSFTSの患者が確認されたことを受け、県は野生イノシシの抗体の保有状況を調査し、結果を報告しました。SFTS、重症熱性血小板減少症候群はSFTSウイルスを持つマダニに咬まれることで感染するもので、致死率が10~30%と高いのが特徴です。県内では今年6月と2022年11月に人への感染が確認されています。県衛生研究所が2024年までの6年間に捕獲した野生のイノシシの血液からSFTSウイルスの抗体保有状況について調査をしたところ、県西部の陽性率が3.7%、県東部の陽性率は0.4%となり、中でも県の北西部から西部にかけての石川県境に陽性反応が集中していることが分かりました。県衛生研究所の大石和徳所長は、県内全域にSFTSウイルスを持つマダニが生息している可能性があるとして、農作業や野山に入る際にはマダニに噛まれないよう対策の徹底を呼びかけています。
(古式銃所持訴訟、原告の請求棄却:北海道)
購入した古式銃の模造品の所持に銃刀法違反の疑いがあるとして違法に捜査され精神的苦痛を受けたなどとして、元警察官の男性が道に計約410万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は16日、請求を棄却した。
(松山ケンイチが公開した「クマ駆除動画」に賛否両論)
今年も死傷者を出すなど、甚大な被害をもたらしている野生のクマ。そのクマとの “対峙” を、俳優の松山ケンイチが余すところなく公開した。狩猟免許を持つ松山だが、9月14日、クマ駆除の様子をYouTubeで配信したのだ。生々しすぎるその様子が、賛否を巻き起こしている。「松山さんは、動画公開の前日13日、自身のXを更新。《有害駆除で熊を捕獲しました》と動画の予告をしつつ、《暴力的な表現も含まれていますので視聴にはくれぐれもご注意ください》との注意喚起もおこなっていました。『Hunter-なぜ駆除が必要なのか-』と題した映像は、1時間12分にも及んでいます。現地のかぼちゃ畑では、熊による深刻な食害が起きているようで、ハンターは『かぼちゃの葉っぱが茶色で、熊の頭も茶色なんです。同じ色をしているので、小熊はかぼちゃの葉っぱの下にいるから見えない』などと解説。『熊は電気柵があっても、(柵の)なかに美味しいかぼちゃがあれば、下に穴を掘ってくぐり抜ける』などと言い、駆除や発見の難しさについて言及していました。松山さんはこれに『でも知恵比べですよね。あっち(熊)は24時間食べること考えてるから。やっぱ、本当になんかこう追いつかないっていうか』とコメントしています。物議をかもしたのはこうした会話の後、実際に駆除がおこなわれたシーンです。3歳とみられるコグマを発見した一行は、みごと銃で駆除に成功します。ただ、その様子があまりにも生々しかったのです」(芸能記者)。事前の話どおり、カボチャ畑でコグマを発見した一行。まず遠くから1発コグマにあてるも、即死には至らない。そのため、ハンターが近くに近寄り、ビクビクと痙攣するクマを確認後、至近距離で再度頭部を撃ち抜いた。それでも絶命に至らず、さらにもう一度発砲すると、返り血が飛び散り、カメラにも血がついた。「その後も、クマの傷口が映ったり、死体の洗浄で赤い血がダラダラと流れたりと、ショッキングな映像が続きました。さらに、皮をはいだり、内臓を摘出する過程までしっかり記録されていました」(同)。X上には《この動画を見て、いろんな考えがあるとは思いますが、駆除の必要性を分かってほしいです。》《すんごく見応えのある動画》《有害鳥獣駆除のリスクが伝わるすごい動画。》などと肯定する意見がある一方、《暴力的な表現?そう思われるなら 辞めて下さい》《松山ケンイチさんのYoutubeすごかったけど、グロ耐性なさすぎて最後まで見れなかった》。など、センシティブな内容に拒否反応をあらわにする意見も多数投稿されている。2011年に女優の小雪と結婚した松山だが、現在は二拠点生活を送っている。「松山さんは、コロナ禍の始まる前、2019年春ごろから東京と田舎の2拠点生活をスタート。東京で仕事があるときは単身赴任、田舎で家族と生活するときは農業に携わっているそうです。ハンター免許を取得したのは2016年のこと。以降、害獣駆除をしていたといいます。今回の動画でも、ハンター人口が減少するなか、『(駆除は)やれる人がやらないと』とも語っていました。動画冒頭で語られたように、地方で害獣による被害が相次いでいるなか、地域を守りたいという思いがあるのでしょう。有害駆除の様子を生生しく細部まで映したのも、駆除の実態をもっと知ってほしいという気持ちからだったのだと思います」(同)。年々、困難になってきている有害動物との共存。そこに一石を投じるきっかけになったのは間違いない。
(松山ケンイチ、地元ハンターの「有害駆除」に同行・リポート)
松山ケンイチさんが自身のYouTubeチャンネルを更新。農作物を荒らす熊を、地元のハンターが駆除するため出動し、そこに松山ケンイチさんが同行した様子を投稿しました。かぼちゃ畑では熊による深刻な被害が発生しており、「今日、行く、かぼちゃの畑はあれかわいそうぐらい食われてるわ」と、ハンターの1人は語ります。「かぼちゃの葉っぱが茶色で、熊の頭も茶色なんです。同じ色をしているので、小熊はかぼちゃの葉っぱの下にいるから見えないんですよ」とハンターは説明します。熊が農作物を狙う理由について、「山の中のどんぐりやクリ、フキの茎を食べるよりも、人間が作った作物の方がカロリーが高い」と地元ハンターが解説します。特にかぼちゃについては「種が一番カロリーが高いので、それを最初に食べて、それから周りを食べている」と続けます。映像では、かぼちゃ畑に張り巡らされた電気柵も熊には効果が薄いことが明かされます。「熊は電気柵があっても、(柵の)中に美味しいかぼちゃがあれば、下に穴を掘ってくぐり抜ける」と地元ハンターは語ります。更に、熊は賢く、「毎年どこに何が植えてあるかを、春先に一回見回りに来て、そろそろ(作物が)出来る頃になると来る」と食べ物を求める習性についても触れています。松山ケンイチさんは「でも知恵比べですよね。あっち(熊)は24時間食べること考えてるから。やっぱ、本当になんかこう追いつかないっていうか」と語ります。その後、畑の中にいる熊をハンターが発見し、駆除に成功。松山ケンイチさんはその様子を見守っていました。今回の個体は約70キロの3歳メスの熊。「今月3頭目です」と地元ハンターが報告し、被害の深刻さを物語っています。熊を間近で見た松山ケンイチさんは「牙すごいわ。これは怖いわ。牙すごいわ」と、驚きを隠せない様子でした。駆除した熊は解体場に運ばれ、肉や皮が有効活用されます。「皮はタンナーに発送して、レザーにしてもらう」「(肉は)ロースだったりとか、モモだったりとか、色んな部位ごとに分けて、レストランだったりとか、個人の人に販売してるんですよね」と松山さんは説明します。ハンターの1人は「有害駆除やらなかったら、もう無法地帯になる。確実に。畑は荒らされるし。日本なんか、自給率の低いこの国でさ、それ(作物)荒らされたらさ、どんだけ食料なくなるのよって話だ」「だから、消費者には直接『値段』という、反動が来る。「もう値段が上がる」今。この異常気象で(作物)取れねえのに、この害獣被害にやられてたら、もう本当に死活問題だよ。」と切実に語ります。農作物を守るために命がけで熊と向き合うハンターたちの姿を通して、都市部では見えない農村の現実が浮き彫りになっています。この投稿にファンからは「本当ハンターの方達には感謝しかない」・「凄い動画 何もリアルな事知らなかったですが 動画見て色々勉強になりました。 活動されてる方々が健康で安全でいてくれるように願ってます」・「貴重な映像ありがとうございます!熊も生きるために必死、人も作物を守るために必死。獲った命は有効に頂く。日本人がずっと続けてきた営みです。この厳しい現実から目をそらさないようにしていきたいと思います。」などの反響が寄せられています。
(人を恐れぬ“街のクマ”、被害をゼロにするためには?)
環境省によると、クマによる人身被害は、今年4月~8月末で69人。うち5人が亡くなっています。この秋以降も市街地などでクマの出没が増える可能性があり、注意が必要です。クマの被害を無くしていくためには、何が必要なのでしょうか?クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹特任教授をゲストに招き、人とクマの“共生”のラインを考えました。大井特任教授は、人里でクマの出没が増えた理由について、「クマの数が増えて、生活する場所も広がって、人間とクマが隣り合って生きている状態になっているからだ」と分析します。(石川県立大学・大井徹特任教授)「1950年代~70年代、森林開発でクマの生息地がなくなって、クマが山から追われて人里に出てきたということはありました。しかし現在の状況は違います。むしろクマの生活できる場所が山奥から人里、市街地周辺まで広がってきた。そのために餌の量も増えて、数が増える素地ができたということがあります」。新しい生活場所を求めて山の奥から出てきたクマが、人里や市街地の周辺に定着し、繁殖している状態で、定着する過程で人に慣れたり、人工的なものや人間が育てている農作物の味に慣れたりしたクマが増えてきているといいます。大井特任教授の調べによると、クマの出没地点は森から100メートル以内がほとんどですが、時には森から10キロや20キロ離れた場所に出てくる場合があるということです。大井特任教授は「可能性は低い」としつつも、東京23区内にも現れることがあるかもしれないと指摘します。(大井特任教授)「クマの生息地から流れて出て、市街地に流れ込んでいる川を移動経路にして出てくる可能性があります。例えば多摩川です。八王子の山の近くではクマが出ています。もともとは奥秩父の方にしかいなかったのですが、だんだんクマの分布が都心部近くに向けて広がってきています。そうしたクマが何かの拍子に多摩川沿い、23区に出てくる可能性も否定できません」。人がいても動じないクマも増えてきたように感じますが…。(大井特任教授)「全てのクマが人慣れしているわけではありません。ただ中には人慣れして、人を恐れないクマが増えてきています。クマの99%は、攻撃的ではなく防御的だと思います」。クマによる被害を無くすために、私たちにできることはあるのでしょうか?まずは、クマを「寄せ付けないこと」が大切になってきます。イラスト①をご覧ください。クマを寄せ付けてしまうものがあるのですが、皆さんはお分かりでしょうか?正解は…。クマを寄せ付けてしまうものには、・生ゴミが入ったゴミ箱、プランターのトマト、ペットフード→エサになってしまう ・柿の木→甘い柿は大好物 ・生い茂った雑草→クマが隠れる場所になる、などがありますが、ほかにも意外なものが“危ない”のです。実は、ペンキにはクマを刺激して興奮させるにおいがあり、灯油、ガソリンなどの石油由来のにおいもクマを引きつけます。これらは外に置いておくのではなく、しっかり蓋をして建物の中に置くことが大切です。(大井特任教授)「いくつかの木は(ペンキと)似たような成分を持っているものがあります。その木の皮を剥いで、においに刺激されて木の皮をガリガリかじることがあります。山の中でも、登山道などに標識がありますよね。ペンキが塗ってあって、クマがガリガリかじってしまいます」。(大井特任教授)「鈴はクマと出会わないための必須アイテムで、人間がいるということをクマに知らせるためのものです。鈴の音を嫌って近づいて来ないわけではありません。高くよく響く音が出るものが良いとされています。危険そうな場所、たとえば藪で先が見えないような場所ではホイッスルを吹くということも有効です」。万が一、クマと出くわして攻撃された場合には、クマを撃退するスプレーが必要になります。大井特任教授は、リュックの中に入れているといざという時に使えないため、ホルスターに入れたうえで腰に着けているといいます。さらに、トウガラシの成分が入っていない練習用のスプレーもあるということで、どれぐらいの距離で効果があるのか、スタジオで実験してみました。トウガラシの成分が皮膚につくと炎症を起こすため、スプレーには安全装置がついています。クマが近づいてきて危険な状態になったら、ホルスターから出してスプレーを構え、安全装置のピンを外します。5~6メートルほどまで近づいたら噴射します。実際に小澤さんがスプレーを噴射すると、5メートル離れたクマのパネルまで届きました。(大井特任教授)「クマの粘膜に作用して、クマが嫌がります。そのため、鼻あたりを狙って噴射した方がよいかと思います。スプレーは7~8秒噴射できます。しかし1回で使い切らない。クマが何回も攻撃してくる場合がありますので」。大井特任教授によると、スプレーの中にはあまり効果のないものもあるそうです。人間相手の防犯で使う催涙スプレーのようなものもありますが、本物のクマ撃退スプレーは、その1万6000倍の刺激の効果があるということです。アメリカでは環境保護庁がクマに効くスプレーを認証していて、登録番号も書かれています。日本にスプレーの認証制度はありませんが、アメリカの環境保護庁が認証したスプレーは日本のアウトドア店などでも販売されているので、そうしたものを選んでほしいとしています。クマの被害を減らすためには、何が必要なのか…。大井特任教授は「クマが出にくい環境」と「駆除」が必要だと指摘します。(大井特任教授)「クマは積極的に人を襲う動物ではないですが、至近距離で不意に出会ってしまうと自分の身を守るために攻撃的になります。人間の生活圏とクマの生活場所が隣接していると、そういう不幸な出会いが起こる確率が高くなります。そういった確率を下げるために、クマの生活場所をずっと山奥に押し上げる。その過程で、人間の生活圏の周りに住んでしまったクマについては、申し訳ないけれども駆除して取り除くということが必要かと思います」。
(グロ過ぎて報道されないクマ被害の実際の症例報告)
近年、クマの人里出没が全国で相次ぎ、特に北海道のヒグマは人身被害の危険性が高い動物として大きな話題を呼びます。一方で、「本州にはヒグマはいないし、いるのは体の小さいツキノワグマだけ」と油断している人も多いのではないでしょうか。ニュースで取り上げられるのは軽傷で済んだケースが中心であり、致命的な被害の実態や外傷の写真が報道されることはほとんどありません。そのため「本州のクマ被害は大したことがない」という誤解も生じやすくなっています。しかし実際には、ツキノワグマによる攻撃も極めて深刻で、命に関わる重傷や後遺症を残すケースが少なくありません。今回は実際の医療現場で報告された、ツキノワグマによる重篤な外傷の症例をもとに、その危険性を具体的に解説します。ここ数年、クマが人里に出没し、人を襲う事件が全国で相次いでいます。特に2023年度には、環境省のまとめで全国198件・被害者219人・死亡者6人と、統計史上最多を記録しました。これは10年前の2016年度(被害件数101件、被害者数105人)と比べると、被害件数・人数ともにほぼ2倍に増えたことになります。そして2025年もその勢いは衰えていません。環境省などの報告によると、2025年4月から8月までのわずか5か月間で、全国で69人がクマに襲われ、このうち5人(ツキノワグマ3人、ヒグマ2人)が命を落としています。死亡者数は前年同期より多く、被害の深刻さが浮き彫りになっています。このように、クマによる人的被害は全国的に増加傾向が続いており、2025年も高い水準で推移していることが分かります。被害は山奥だけでなく、住宅地や畑、里山周辺など、私たちの身近な場所でも起きています。全国でクマによる人的被害が増える中、ニュースやワイドショーでは「運よく軽傷で済んだ」体験談や、かすり傷程度で済んだケースが多く紹介されています。確かに、クマに襲われた場合でも「引っかき傷」や「軽度の咬傷」だけで済む人もいます。しかし、実際には命に関わるような重傷や、深刻な後遺症が残るケースも少なくありません。クマによる人身事故のほとんどは、予期せぬ状況でクマとばったり出会ったというケースが多く、クマもパニックになっているため、その被害の程度は非常に幅広いのが実情です。実際の被害報告を見てみると、軽症例は引っかき傷や浅い咬み傷にとどまることもありますが、重傷例の内容は想像を超えるものです。秋田大学のまとめた重症例(1995年~2017年、13例)では、すべての症例で顔面への外傷が見られ、そのうち10例で顔の骨(鼻骨、頬骨、顎骨など)の骨折が発生しています。さらに4例では眼球が破裂して失明し、頭蓋底骨折や髄液漏、硬膜下血腫など脳にもダメージが及んだケースもありました。山梨県立中央病院で報告された9例でも、顔面の外傷は全例で確認され、眼の重い損傷が6例(うち眼球摘出2例)、さらに外鼻全欠損(鼻が失われる)症例も報告されています。顔や頭、なかでも目や鼻など「顔の中心」が集中的に狙われる傾向があるのです。加えて、顔の皮膚や筋肉が大きく失われてしまい、何度も形成手術や植皮を繰り返す必要があった人もいます。さらに、顔を守ろうとしたときに腕や体にも深い傷や骨折を負い、出血性ショックに陥る例も確認されています。これら重傷例では、受傷後も複数回の大手術や長期入院が必要となり、気管切開による気道確保や輸血を要することもあるようです。また、一見すると小さな裂傷であっても、その内部では筋肉や神経が断裂していることも多く、見た目以上に重篤なダメージを負っている場合が少なくないという。このような重篤な外傷の画像や詳細な手術経過は、一般向けのメディアではグロテスクすぎて掲載できません。しかし、下記の専門論文では医学的な資料として、実際の被害者の状態や傷の状態が公開されています。その内容はテキストで述べると次のようなものです。顔面の皮膚や筋肉、骨までえぐり取られる、眼球が破裂・脱落し、視力を永久に失う、鼻が根元から全てちぎれ取れる、下顎骨や口唇の大部分が失われる、頭蓋骨が露出するほど頭皮が剥がれる、全身にわたる広範な裂傷や骨折、出血性ショック。上述のような状態を示したクマ被害の現実を本当に知りたい方は、自己責任で論文中の画像や図版をご確認ください(ショッキングな内容を含みますので、閲覧には十分ご注意ください)。ディアでは軽症の被害談がクローズアップされがちですが、実際にはこのような命を脅かす重篤な被害も多数報告されているということを忘れてはなりません。ここで紹介されているのは全て本州のツキノワグマによる被害です。クマというと北海道のヒグマが恐ろしいという話はよく話題に出るものの、ヒグマに比べて体の小さい本州のツキノワグマは、そこまで危険ではないと考える人も少なくありません。特にツキノワグマは基本的に人を避ける習性があると言われるため、出会っても適切に対処すれば、安全にやり過ごせると考える人もいるようです。しかし上述の通り、本州の「体が小さいツキノワグマ」であっても、襲われれば命に関わるような重傷を負う危険性が非常に高いことが、実際の医療現場から明らかになっています。ではこの報告にあるような被害は、実際どのような状況で起きているのでしょうか?今回紹介した症例の被害者は、決して「対処を誤ったから」クマからひどい攻撃を受けたというわけではありません。秋田大学の調査(1995~2017年の13例)や山梨県立中央病院の報告(2000~2020年の9例)を見ると、ツキノワグマによる重傷被害は普段の生活や仕事の延長線上で発生していることがわかります。たとえば秋田大学の13例では、被害が起きた主な状況は以下のようにまとめられています。畑仕事や農作業中(5例)、山菜採りやキノコ採り(2例)、釣りや川沿いでの活動(2例)、林業作業や山中での作業(2例)、自宅敷地や納屋周辺(2例)。被害の多くは日中(朝から夕方)に発生しており、自宅のすぐ近くや生活圏の畑、日常的に出入りする場所でクマと鉢合わせしてしまったケースが目立ちます。また、山梨県の9例も同様で、山林での作業や登山(7例)、自宅周辺や果樹園・飼料室での活動(2例)。と、やはり日常生活の一部や生活圏の中で突然被害に遭っているケースが含まれます。そして被害のきっかけは、次のような状況だったとされています。出会い頭で突然襲われた、作業に夢中になっていてクマの接近に気づかなかった、農作物の収穫や下草刈り、納屋や倉庫の出入りなど普段通りの作業中。多くの被害例で共通するのは「出会い頭」の事故です。クマも本来は人を避けて行動していますが、突然の遭遇や至近距離での接触がきっかけとなり、クマが防衛本能からパニック状態で攻撃に転じることがほとんどです。そのため、被害者の多くは、よく聞くようなクマと出会ったときの対策や防衛手段を取る暇もなかったと考えられます。これはクマとの遭遇そのものが極めて危険であり、誰にでも起こりうる被害であることを示しています。加えて、クマが食糧不足だったり、子連れ個体だった場合、防衛本能が強まり攻撃性が増すことも知られています。一度攻撃が始まれば、そのパワーとスピードは人間の想像を超え、ほんの数秒で重傷を負う危険性があるのです。また実際のクマ被害の症例を見ていくと、その多くが顔や頭部に致命的な損傷を受けていることがわかります。これは決して偶然ではありません。攻撃時クマは後ろ足で立ち上がり、前足の鋭い爪や強力な咬みつきで人間を攻撃します。こうした姿勢では、ちょうど人間の頭部や顔面がクマの前肢や口と同じ高さになります。また、動物行動学の観点からも、クマを含む大型哺乳類は「相手の急所=顔や頭」を本能的に狙う傾向があります。顔には視覚や嗅覚、呼吸器といった生命維持に欠かせない器官が集中しているため、ここを攻撃することで短時間で相手の抵抗力を奪えるということをクマも理解しており、意図的に狙ってきます。実際、今回紹介した論文でも、すべての症例で顔面の損傷が確認され、10例で顔面骨折、4例で眼球破裂による失明、頭蓋骨が露出するほどの頭皮剥奪や鼻や顎が丸ごと失われるなどの重傷が記録されています。さらに、顔を守ろうとする「防御行動」で手や腕を負傷する例も多く、四肢や体幹にも裂傷や骨折が併発しています。このように、本州のツキノワグマでも顔面や頭部を狙う重篤な被害が日常的に起きています。そして恐ろしいのは、被害者がクマと出会って不適切な行動を取ったからではなく、ほとんどは対処する間も無く襲われているケースが多いという点です。そのため、不幸な被害をなくすためには、人とクマが生活圏で接触することがないように調整するしかないでしょう。
(クマ目撃741件、過去5年間の平均を約100件も上回るペース:宮城)
9月16日夕方から17日朝にかけて、宮城県内各地でクマの目撃情報が相次ぎました。警察によりますと、16日夕方から17日朝にかけて、仙台市、栗原市、大崎市、加美町で、あわせて6件のクマの目撃情報が寄せられました。いずれもけがをした人はいませんでした。このうち太白区茂庭台3丁目では、17日午前5時40分ごろ、小学校近くの県道を体長およそ80センチのクマが横切る姿が目撃されています。県によりますと、今年4月から9月12日までに741件のクマの目撃情報が寄せられていて、これは過去5年間の平均をおよそ100件も上回るペースだということです。今年はクマの主な餌となるブナの実が「大凶作」と予測されており、冬眠を前に食べ物を求めてクマが市街地にも現れることが懸念されるとして、県が引き続き注意を呼びかけています。
(ドングリ豊作で「クマの出没減少」:兵庫)
兵庫県は、ツキノワグマの餌となるドングリ類の今秋の実りが県全域で豊作だった、との調査結果を明らかにした。クマの出没について「ドングリ類が大凶作だった昨年度と比べて少なくなる可能性が高い」との予測を示しつつ、クマの生息域は広がっており、被害に遭わないよう注意するよう呼びかけている。
(アライグマの食害深刻化:兵庫)
豊岡市の特産「豊岡ぶどう」で、特定外来生物に指定されるアライグマによる食害が目立っている。以前は阪神間-中播磨地域の被害が大きかったが、県北部にも広がり、農家が丹精して育てたブドウも収穫時期を狙われている。県豊岡農業改良普及センターは本年度から、専門機関や生産者らと連携して防除に向けた実証実験に取り組み、効果が出始めているという。県森林動物研究センター(丹波市)によると、県内のアライグマは1990年代、神戸市を中心に人家周辺の生息が確認された。阪神間、播磨、丹波地域へと急速に生息域を広げて被害は深刻化しており、近年は但馬地域でも被害の報告が増えている。同普及センターによると、JAたじまの葡萄(ぶどう)部会員から昨年、クマによる食害の報告があり、今年2月に会員らに被害アンケートをした。28軒の複数回答を分析すると、クマの13軒よりアライグマが15軒と多く、県が2024年度から実施している防護柵の実証実験を但馬でも実施することにした。実験は同研究センターの尾畑俊彦さんらが担当した。防護柵は、ブドウ畑の周囲に高さ約40センチの樹脂ネットを張って上部に電気を流し、侵入しようとするアライグマの鼻やあごにショックを与える。実証には豊岡市出石町伊豆でブドウ畑約25アールを手がける農家、寺内康信さんが協力した。7月、寺内さんの畑の自動撮影カメラにアライグマが映り、侵入を確認。畑のうち約10アール分、外周約150メートルに防護柵を設置し、収穫開始を迎えたが、防護柵の畑では被害が出ていないという。本格就農して4年目の寺内さんは、毎年100房近く食べられてきた。「被害額以上においしくなるよう収穫を待ち、いよいよというタイミングで食べられてしまうショックでこたえる」といい、防護柵導入で「食べられていないか確認する手間が省け、気持ちも楽になる」とほほ笑む。7月末には、寺内さんの畑で生産者向けの現地研修会を開いた。独自に防護柵を設置する農家もあり、同研究センターは効果を検証して生産者らに還元するという。尾畑さんは「収穫時期だけでなく雪解け後の春から通電を続け、近寄りたくない場所と覚えさせることも大事」と話している。
(害獣の処分設備設置へ動き:福井)
獣害の広がりを受け、駆除されたシカやイノシシを埋設処分する設備を山中などに設置する動きが福井県丹南の市町で進んでいる。捕獲者にとっては死がいを山に埋める作業が大きな負担となっており、その解消を狙う。越前市は今年8月から設備の運用を開始し、他市町も場所の選定や運用体制の検討に入っている。設備は直径1メートル、長さ4メートルの円柱で、住宅地から離れた地点の土中に埋める。1度に最大20頭を処理でき、国が設置を支援している。捕獲者は駆除現場から設備まで死がいを運び、分解を促す微生物を含んだ資材とともに投入する。南越前町の担当者によると、猟友会のハンターら捕獲者はシカやイノシシの駆除後、クマによる掘り返しや臭気を防ぐため山林などで深さ約1.5メートルの穴を掘り埋設するケースが多い。負担軽減を図ろうと、丹南5市町と県丹南農林総合事務所でつくる「丹南地域有害鳥獣対策協議会」は昨年、先行地の和歌山県湯浅町を視察し設備の状況を確認した。各市町ごとに導入を検討し、越前市は約80万円かけて設置。南越前町は費用77万円を見込み、年内の設置を目指している。越前市では関係者の立ち会いの下、捕獲者が設備に死がいを入れている。分解は2週間たつと一気に進んだという。視察先の和歌山県では5日ほどで分解が終わったといい、担当者は「設備に入れる頭数を見極めるなどして効果的な方法を探りたい」と話す。ただ、各市町とも設備の設置場所が課題となる。越前市の担当者は「選定に苦労した」と振り返り、南越前町でも住民との調整が難航している。南越前町はシカの捕獲頭数が年々増加傾向にあり、ここ3年の1年当たりの平均は1450頭に上る。設備を設置後、効果を検証した上で増設を検討する。越前町も複数の埋設設備を本年度に設置しようと費用150万円を見込み、住民との話し合いなど場所の選定を進めている。池田町も設置場所や運用体制を検討。鯖江市はシカの捕獲頭数が少なく、現状では予定していないという。
(クマ被害防止対策研修会:山形)
県内では2025年に入り、クマの目撃情報がすでに過去最多を更新する異常事態となっている。9月から市町村長の判断で発砲が可能となる緊急銃猟が始まったことを受け、村山市で初めての研修会が開かれた。初の研修会に参加したのは、村山市の住民組織にあたる地域まちづくり協議会や警察・猟友会など約70人。この会は、9月に施行された"改正・鳥獣保護管理法"により、市街地に現れたクマなどに対して発砲を可能とする「緊急銃猟」について学ぶのが大きな目的。<緊急銃猟とは>1)クマなどが市街地などに侵入するおそれがある 2)緊急性がある 3)銃以外では捕獲が困難 4)住民に弾丸が当たるおそれがない。「緊急銃猟」は、上記4つの条件を満たす場合に限り、市町村長が発砲を許可する新制度。研修会では、「緊急銃猟」によってもし人的被害が出た場合でも、発砲したハンターの責任は問われないなど、国の見解が紹介された。出席者からは「クマを撃つ人の責任がこれまで以上に重くなり、猟友会の間でもクマを撃つなり手がいない」という声や、「緊急銃猟で人的被害が出てもハンターの責任は問わないというが、国の回答があいまいで解釈がしにくい」などの不安の声も上がった。(県みどり自然課・佐藤実課長補佐)「緊急銃猟を円滑に運用していくためにはいくつかボトルネック(障害)になるところが市町村ごとに違ってあるが、一つひとつ解消していくしかない」研修会では、8月末の時点でクマの目撃件数が933件に上り、記録が残る2003年以降すでに過去最多を更新したことや、クマによる人的被害が2025年に5件起きている現状も報告された。村山市は、今回の研修会をもとに市街地にクマが出没した際にどうするのか、態勢作りを急ぎたいとしている。
(クマの「緊急銃猟」可能に、改正法受け県が市町職員対象に研修会:山口)
全国でクマによる人身被害が相次いだことを受け、銃でクマなどを捕獲する際の決まりを見直した「改正鳥獣保護管理法」が今月1日に施行されました。県庁ではきょう(17日)、県や市町の担当者を対象とした研修会が開かれました。県が開催した研修会には鳥獣対策に関わる市町の職員らが参加しました。市街地にクマなどが出た場合、これまではハンターが猟銃を使用できるのは警察官が命令した場合などに限られていましたが、今回の法改正で、緊急性があり、住民の安全確保ができるなど一定の条件を満たせば「市町村の判断」で、ハンターに銃による捕獲を委託する「緊急銃猟」ができるようになりました。「緊急銃猟」を行う場合、通行制限や住民避難の範囲、職員の役割分担、クマが移動した際の想定などを事前に調整する必要があり、研修会では県が体制案などをまとめたマニュアルが配布されました。(県自然保護課山田 隆信主幹)「なかなか安全確保ができず対応できないケースもあるかと思います。自分たちの市町どういったところが緊急銃猟の対応となりそうか想定していただいて、実際の現場での対応力を上げていただけるようにしていただくしかないのかなと」県内では昨年度クマの目撃件数と捕獲頭数が過去最多となり、人身被害も3件発生しています。県では今後、職員を対象に市街地にクマが出没した想定で机上訓練も行うことにしています。
(クマへの警戒呼びかけ、猟友会などが定山渓温泉で注意喚起:北海道)
知床半島の羅臼岳で登山客がクマに襲われ死亡した事故を受けて、札幌の定山渓温泉では猟友会などが登山客にクマに注意するよう呼びかけました。この取り組みは猟友会と札幌市が登山客に対してクマへの警戒を呼びかける目的で、初めて行われました。札幌市南区の定山渓神社では登山に向かう観光客らに対しヒグマの生態や遭遇した際の注意点などが書かれたリーフレットを配りました。北海道猟友会札幌支部 奥田邦博支部長)「旅館に宿泊されてお散歩の気分で山に入っていく、そこからクマの生息地なんですよ。1人でもクマに対する危険度の認識を上げてもらいたい」。この取り組みは定山渓温泉周辺の登山道の入口で来月5日まで、週末や祝日を中心に行われます。
(年間12万件超!急増するロードキル事故と「もし動物をはねたら」ときの正しい対応法とは)
早朝や夜道を走っていると、ふと現れる一匹のタヌキやシカ。ドライバーにとって、動物の飛び出しはいつどこで起こっても不思議ではない身近なリスクだ。国道や高速道路などでは、年間数万件規模でロードキルと呼ばれる動物との接触事故が発生しており、地域によっては希少動物が犠牲になるケースも報告されている。もし動物をはねてしまったら、どうすればいいのか。慌ててしまいがちなこの場面、対応を間違えると二次被害や保険トラブルに発展することも少なくない。今回は、ロードキルの最新動向とあわせて、万が一の際の正しい対応や予防策をまとめて紹介する。2022年度に発表された国土交通省の報告によれば、国直轄道路で年間約7万件、高速道路で約5.1万件もの動物との交通事故(ロードキル)が発生し、市道などを含めた全国の発生件数は12万件以上にのぼる可能性がある。多くの動物が被害を受けているが、特に多いのは野良猫である。特定非営利活動法人「人と動物の共生センター」の調査によると、2024年度における野良猫のロードキルは、約23万頭に達し、これは殺処分数の24倍に相当するという驚くべき数字だ。また、地域ごとの深刻な状況も見逃せない。北海道警察によれば、2024年における北海道内でのエゾシカとの交通事故は約3千件であり、前年同期比でも増加傾向にある。さらに、希少動物の痛ましい犠牲も報告されている。環境省の調査によれば、2024年に奄美大島と徳之島で確認された国指定天然記念物「アマミノクロウサギ」の死亡件数は242件にのぼる。そのうち、交通事故によるロードキルは最も多く、奄美大島では121件(前年より26件減少)、徳之島では42件(前年より14件増加)と、特に徳之島では過去最多を記録した。日本では、動物との接触事故を防ぐために「動物が飛び出すおそれあり(動物注意)」という警戒標識が各地に設置している。この標識は、標識設置地点からおよそ30~200m以内に野生動物が出現しやすいことをドライバーに知らせ、減速・注意を促す役割を果たすものだ。一般的には「シカ」のデザインが主流だが、地域の生態系に応じてタヌキやサル、ウサギなど、地域で飛び出し事故が発生しやすい動物の絵柄が描かれている。これらの標識はすべて「正式な警戒標識」として認可されており、2020年代に入ってからはデザイン標識を含め160種以上が報告されている。「動物注意」の標識を見かけたら、スピードを落とし視野を広く保ち路肩にも意識を向けることが必要だ。また動物を見かけてもクラクションなそ刺激を与える行為はNGだ。近年では標識だけでなく、動物用の横断トンネルやフェンス、センサー式警報灯などのインフラも一部地域では整備されつつある。万が一、動物との接触事故を起こしてしまった場合、まずは自車の安全確保と二次被害の防止を最優先に行うことが大切だ。ハザードランプを点灯し、可能であれば車を路肩に寄せて停車する。さらに、後続車への注意喚起として三角表示板を設置し、安全な場所で対応することが重要だ。野生動物との衝突事故が発生した場合は、道路交通法第72条に基づき必ず警察に通報し、事故証明を取得する必要がある。この通報は、後に任意保険の補償を受ける際の根拠にもなるため怠ってはならない。衝突した動物が生きている場合には、素手での接触は避け、タオルや段ボールなどで覆い、できるだけ速やかに動物病院や自治体へ連絡する。すでに死亡している場合は、道路の通行を妨げない範囲で安全に移動させ、自治体や道路管理者に通報するのが適切だ。たとえ接触していない「飛び出しによる単独事故」のようなケースであっても、放置すれば後続車との二次事故につながるおそれがあるため、必ず対応すべきだ。また、事故後は自身の保険会社へも速やかに連絡を入れることも忘れてはいけない。車両に損傷がある場合、一般的に自損事故扱いとされ、契約内容によっては保険等級が下がるケースもあるため、補償内容や免責事項について事前に確認しておくと安心だ。野生動物との衝突事故を未然に防ぐには、ドライバー自身の注意力強化と運転習慣の見直しが不可欠である。特に早朝や夜間は動物の活動が活発になるため、視認性を高める意味でもヘッドライトは上向き(ハイビーム)を推奨する。ただし、対向車や前方車両がいる場合は当然ながらロービームに切り替える配慮が必要だ。動物が急に飛び出してきた際、慌てて急ハンドルを切るのはかえって危険であり、車両がスリップしたり、ガードレールなどに衝突するリスクを高める。JAFによれば、衝突を完全に避けられない状況下では、正面から当たるほうが乗員の安全性が高まるとされている。物理的な衝撃を軽減する手段として、一部の車両に装備されるのが「アニマルガード」である。これはバンパー前方に装着される金属製の保護パーツで、オフロード車両やトラックなどに多く採用されている。オーストラリアなど動物との接触事故が日常的に発生する地域では「カンガルーバー」や「グリルガード」としても知られ、動物との衝突時にラジエーターやヘッドライトなど車両前部の損傷を防ぐ目的がある。ただし、日本国内では歩行者との接触時に深刻な外傷を与える危険性が指摘されており、法的にも厳密な用途規制はないものの、あくまで装飾用途やオフロード志向のドレスアップとして用いられるケースがほとんどだ。インフラ側の対策としては、道路管理者が進める「アニマルガードフェンス」の設置が挙げられる。これは高速道路やバイパス沿いのフェンス下部にゴム製の覆いを追加し、小動物が道路に侵入しないように隙間をふさぐ構造となっている。フェンスの隙間から入り込むタヌキやキツネなど中型動物の飛び出しを抑止することで、ロードキルの発生件数を減らすことが期待されており、高速道路調査会などによって試験的な導入が進んでいる。
(ウクライナ戦争で進化を遂げた″AIスコープ″付きライフルvs無人ドローンの仁義なき戦いを徹底解説!)
ウクライナ戦争における無人機、ドローンの登場は、陸戦を大きく変化させた。そして、無人機やドローンだけでなく、歩兵の主要兵器である軍用ライフルも進化している。「AI付きスマートスコープ」が搭載されたのだ。このAIスコープがどんな革命を起こすのか? 兵士は誰でもゴルゴ13並みの名狙撃手になれるのか? 陸戦兵器の世界的権威である床井雅美氏に話を聞いた。――6月10日、米陸軍がAI人工知能を搭載した小銃用照準装置「スマッシュ2000L」の配備を開始しました。歩兵がドローンの脅威に対応するため、イスラエルのスマートシューターが開発した新たなスマートスコープです。重さ1.2kgで通常の軍用ライフルに装着可能。兵士はトリガーを引きっ放しでドローンを狙うと、最適のタイミングで「スマッシュ2000L」が弾丸を発射。オートフォーカスカメラのようにドローンを狙って引き金を引き、ピントが合うと弾丸が発射されます。つまり、どんなに射撃が下手な兵士でも当てられるわけですが、これは軍用ライフルの進化なのか兵士の退化なのか、どっちなんですか?床井 その前に、まず軍用ライフルのお話をします。ここではライフルと呼びますが、そのライフルを使う基本的な目的は、最前線の塹壕にいる敵兵を引っ張り出すことです。――敵兵と撃ち合って戦闘するのが任務ではないのですか?床井 ライフルを持った歩兵による敵味方の銃撃戦闘は、第二次世界大戦の途中で終わりました。さらに言うと、その塹壕から敵兵を引っ張り出す任務もなくなりました。――すでに終わっている......。床井 それ以降は、空陸海統合戦闘に移行しています。例えば、硫黄島の戦いで大日本帝国兵士は米海軍の艦砲射撃を徹底的に喰らった。しかし、塹壕の中にいた兵士たちは生き残り、上陸した米海兵隊員と壮絶な戦いとなりました。――米海兵隊は自動装填式の「M1ガーランドライフル」で、指揮官クラスは自動装填式の「M1カービン」を使って、日本軍が立て籠もっていた塹壕にすさまじい連射を叩き込みました。対する日本軍は、ボルトアクション式小銃の38式、99式で抵抗。発射速度で圧倒的に負けていました。床井 それでも日本兵は塹壕から出て来ない。なので、米海兵隊は塹壕の上に穴を開けてガソリンを流し込み、火炎放射器で点火して攻撃しました。――なるほど。すると、太平洋戦争に続いてウクライナ戦争でも、塹壕から敵兵を駆逐する兵器に変化があったのですか?床井 米軍の対戦車用の携帯使い捨て対戦車ロケット発射機「M72LAW」がありますね。――口径66mm、重さ2.5kg。収納時に長さ67cmの筒を発射時に伸ばして、内蔵されている66m成形炸薬弾(HEAT弾)で戦車、装甲車を破壊します。これ、ロシア軍(以下、露軍)の塹壕に叩き込むのですか?床井 撃つのはHEATではなくて、砕散化する金属破片が大量に内蔵されていた弾丸です。それを塹壕に撃ち込む。――人体破壊力抜群の大口径散弾砲です。床井 しかし、それも一発30万円。――高価!!床井 戦闘は費用対効果が大切です。しかし、M72LAWではそれが低い。さらに、これでは塹壕の奥には届かない。そこでドローンが登場しました。――あ! FPVドローンなら塹壕の中の奥まで入れて、そこで自爆すれば敵兵を掃討できます。しかも数千円で済む!床井 そのドローンを作っている場所で、私が驚愕したのはエストニアです。――バルト三国のひとつですね。床井 あそこはロシアから自国を防衛するために、国民の頭脳を鍛える事からやっています。そして、昔から旧ソ連軍、露軍が攻めてきても対応できるように、今でも大量の武器弾薬を貯め込んでいるんですよ。しかしその中に、対戦車ロケット砲「RPG7」発射機とその弾薬が大量にある。――1961年から生産が開始された、安価で丈夫な対戦車兵器ですね。映画『ランボー』や『ブラックホーク・ダウン』などでも常にゲリラやテロリストに愛用される兵器です。床井 そうなんですが、もういい加減、ローテクすぎて、武器としても大きいし、かさ張る。そこでエストニアが目を付けたのが、発射機よりも大量に備蓄しているロケットモーター付の砲弾。この弾頭だけを取り外し、ドローンに取り付けて威力を発揮しました。――ウクライナ戦争初期の取材記事にも出てきました。RPG7は最大射程920mですが、専用の弾頭を搭載したドローンが数kmから十数km飛んで、敵に正確に命中させる。なにしろ、最後までオペレーターが操縦していますからね。床井 はい。この弾頭を対戦車用のRPG7用弾から手榴弾に取り替えて、塹壕の中に突っ込みます。――それは露軍兵士にしたら恐怖です。低いプロペラ音と共に、ドローンが塹壕に飛び込んできて手榴弾が爆発する。恐ろしい......。床井 そして、その弾頭となる手榴弾は無数、無限にある。当然、費用対効果も計り知れません。――塹壕に立て籠った兵隊をその中で無力化してしまう。だから、ウクライナ戦争でドローンの大活躍が始まった。となると「スマッシュ2000L」を搭載した軍用ライフルが必要になります。そのドローンを撃墜しないと分隊は全滅します。床井 その前に、この「スマッシュ2000L」にはドローンのプロペラ音を探知できる音響センサーが付いているらしいんです。闇雲に探してもドローンは見つかりません。「スマッシュ2000L」がドローンの飛行音のする方向を教えてくれるらしい。――それからカメラのオートフォーカスと同じ、自動的に狙いを定めた弾丸発射。ドローン撃墜!! 完璧です。床井 ところが、ドローンの機体はスカスカです。一発くらい機体に命中したところで、貫通して致命弾にはなりません。さらにプロペラは4枚あって、1枚に命中しても撃墜は不可能です。――撃墜するには複数の弾丸を発射して、プロペラを2枚以上撃ち抜く。もしくは、操縦電波をやり取りする電子回路を一発で破壊するしかないのですね。床井 そうなりますね。ドローンとの戦いは中世の戦いのような、装甲馬に乗った重装甲騎兵と歩兵の戦いに似ていると思います。
(ワサビ栽培や獣害対策など活動紹介:愛知)
奥三河で活動する地域おこし協力隊の合同発表会が13日、設楽町田峯であった。新城青年会議所(JC)が主催し、同町と東栄町の5人がワサビ栽培、獣害対策など各自の活動を紹介した。ワサビ栽培に挑んでいるのは、設楽町に来て3年目の柴田博隆さん(43)=岐阜県笠松町出身=。「全国有数の東三河の農業は水源地が支えている。水の豊かさを表現できる作物として沢わさびを選んだ」と説明した。飲食店や精肉店、鮮魚店に販路を確保するつもりだ。「いいものを買ったとき、せっかくならワサビを使おうとなる」と見込む。東栄町の小川晴那さん(30)=豊橋市出身=は、新潟県の鳥獣被害対策コンサルタント会社を経て今年着任。サルやイノシシの生態を伝える情報発信や、現場に出てカメラで侵入経路を確認する、柵の立て方を助言するなどの活動をしている。将来の展望として「関係人口と地域をつなぐ鳥獣害対策をしていきたい」という。「都会の人は『観光以上移住未満』の深い体験を求めている。対策を一緒にやってもらえれば」と語った。新城JCの古市杏奈理事長(40)は冒頭、「協力隊の活動を学び、連携を深める機会にしたい」とあいさつ。特産品を使った軽食も用意され、協力隊と来場者の交流が図られた。総務省のまとめでは、県内の協力隊は昨年度で29人。22人は奥三河4市町村が受け入れていた。
(深刻化する野生鳥獣被害、林業にも暮らしにも大脅威:赤堀楠雄)
林業経営にとって大きな脅威であり、山間地の暮らしをも脅かしていること。それは野生鳥獣よる被害である。利用可能な大きさに育ったスギやヒノキの人工林を伐採し、跡地に苗木を植える。林業経営を持続させるための重要な行為だ。ところが、植えられた苗木がシカやネズミ、ウサギによって食い荒らされて枯れてしまったり、頂部をかじられたためにまともな形に育たなくなったりということが全国の植林地で頻発している。特に多いのがシカによる被害だ(本州以西はニホンジカ、北海道はエゾシカ)。林野庁の調査によると、野生鳥獣による森林被害面積は2023年度に全国で約5200haに及び、その6割に当たる3200haがシカによる被害だ。シカが生息していないか、まばらにしかいない地域を除けば、現在、植林作業を行う際には、シカが入らないように植林地を柵で囲ったり、1本1本の苗木を筒状のカバーで覆ったりといった対策が必須になっている。その手間とコストは半端ではないが、シカが生息している地域で何も対策を講じなければ、植えた苗木が全滅してしまう恐れがあるので、やらないわけにはいかない。もっとも、対策を講じたとしても柵を破られたりして被害を受けるケースもあり、現在、植林地でのシカの食害は林業経営上の大問題になっている。
(ヒグマと鉢合わせた“熊撃ち名人”の“その後”)
戦前~戦後の北海道の奥地では、ヒグマの気配を身近に感じて暮らしていた人間とヒグマの死闘が繰り広げられていた。“熊撃ち名人”を襲った手負いヒグマの恐怖などが克明に綴られた名著『羆吼ゆる山』(今野保著、ヤマケイ文庫)より一部を抜粋して紹介する。三石(みついし)川を十キロあまり遡ったところに幌毛という部落(現在の富沢)があった。その幌毛に、熊撃ちの名人と呼ばれた大友さんという老人がいた。大友さんの家は幌毛の部落でも一番奥の方で、三石川の流れがそこから先で狭まるところに立っていた。老人は一人暮らしであったので、畑を少しばかり作って野菜や豆類などを育て、水田も少し耕作して自家用の米を不足のない程度にたくわえていた。そんな農作業の合間をみては、古い村田銃の二十八番を背に山歩きをするのが老人の唯一の楽しみであった。冬の農閑期には、毎日のように三石川の奥まで足を運び、獲物を狩っては換金して、あまり不自由でない暮らしをしていたようであった。当時、日高の山では、どこへ行っても羆の足跡が見出され、その姿を目にすることも屡々(しばしば)であった。老人は、そんな山に入って毎年のように二、三頭の熊を撃ちとるので、部落の人たちからは、「熊撃ちの名人だ」ともてはやされていた。秋の穫り入れもたけなわのある日のこと、隣りの主人が大友さんを訪ねてきて、「大豆畑が荒らされているから、ちょっと調べてみてほしいんだが」と言った。「畑が荒らされているって、どんな具合いにかね」「うん、大豆のニオが一部こわされて、バラバラになっているところがあるんだよ」「そうか、足跡はついてないのか」「うん、ハッキリとは分からないけど、シカでないかと思うんだ。シカだったら、一晩であの畑ぐらい荒らしてしまうべもよ」「そうだな。よし解った、すぐ仕度して行ってみるよ」。そう約束して主人を帰した老人は、銃の準備をしてから、その大豆畑に行ってみた。畑の縁についていた足跡は、思ったとおりシカの足跡で、大きな牡のものであった。この牡ジカが群れのボスであったなら、今夜あたりは沢山の牝を引き連れてやってくるかもしれない。そうなれば、せっかく丹精して作ったこの大豆は、それこそ、ほんの一晩で喰い荒らされてしまうだろう。これは、ほうってはおけないな、と老人は肚を決めた。その頃、シカは保護獣に指定されていて、おおやけには捕獲することができなかったが、作物などに被害を与えたときなど、有害獣として射殺されることもたまにはあった。畑の大豆は、カラカラに枯れると根付きのままで引き抜かれ、ニオに積み上げられてさらに乾燥させられる。この大豆を好んで食べにくるのがキジとシカで、エゾノウサギもまた、よく現われた。その日の夕刻、ニオに積み上げる作業をしていた人たちが帰った頃を見計らって、大友老人は銃を取って家を出、畑の縁近くにある豆ニオの根方に坐り込んで、また出てくるであろうシカを待った。夕陽が山の端に沈むと、辺りはしだいに宵闇に包まれてゆき、見通しははっきりとは利かなくなった。老人は、一頭の牡ジカが多くの牝ジカを引き連れて闇の中から現われる有様を思い浮かべながら、耳をすましてその気配を窺っていた。突然、パリパリと、豆殻のはじける音がした。さっと銃を手に取り闇の向こうに目をこらした老人は、二十メートルほど先の豆ニオのそばに、夜目にも黒く、ぼーっと浮き出た大きな獣の姿を見た。すでに弾込めのできている村田銃を肩に付け、その黒い大きな獣の真ん中に狙点を定めて静かに銃把を握りしめた。ダーンと銃声が闇を切り裂き、一瞬のうちに獣の影は消え、かすかに小笹の触れ合う音がした。二弾目を薬室に送ってから、老人は豆ニオのところにゆっくりと近づいていった。やはり、獲物の姿はそこになく、ただ豆ニオだけが黒い影となって立っていた。暗い藪の中を探すわけにはいかない。だが、確かな手応えはあったから、獲物はそんなに遠くまで走れはしない。“明日の朝、探すことにするべよ”と思い定めて、老人はそのまま家に帰ってきた。翌朝、腹ごしらえをすませてから銃を背に家を出た老人は、まだ働く人の来ていない豆畑に足を運び、件(くだん)の豆ニオのところへ行ってみた。思ったとおり、シカの足跡があった。銃で撃たれた際、飛び跳ねて付いたと思われる、深い足跡も残っていた。畑の縁には、走り去るときに付けたものであろう、荒く掻いたような足跡もあり、シカはそこから小笹の藪へ逃げ込んだものと思われた。さらに笹藪の中へ入ってゆくと、多量の血が付着した笹の葉が見出された。銃弾はシカのどこかに命中していて、しかも相当な深手を与えているものと見受けられた。流れ出た血の量から推して、獲物は近いとみた大友老人は、小笹の中に付いた血の跡を追って、ゆっくりと上っていった。やがて小笹の藪は尽き、そこから上は、大小のカシワの木が密生した斜面がえんえんと続いていた。豆畑から百メートルあまりも来たと思われたとき、前方十メートルほどの古いナラの切り株の近くで、チラリと動いたものが目についた。その切り株の辺りは、今では根元の周囲に灌木や雑草が生えてボサ藪となっている。そのボサの陰から、鹿の足がにゅっと突き出て、宙を蹴っているように見えた。“あっ、まだ生きているんだ。そうか、急所を外れているんだな”と思った老人は、一歩一歩ボサ藪に近づきながら背中の銃をおろしてシカ弾を装填し、左手に銃を下げて立ち止まった。ひと思いに息の根を止めてやるつもりで、シカの全身が見える位置を目で探した。再び歩き始め、ボサ藪の右側に回ってその裏側に出、シカがいるはずのボサ藪を振り返ったとき、はっとしたように老人の足が停まった。なんと、そこで老人が目にしたのは、大きな一頭の羆がシカの死体にまたがって、下腹のあたりを喰い破り、内臓をむさぼり喰っている姿であった。熊もひどく驚いたのであろう、引っぱり出した内臓を口からぶら下げたまま、じっと老人を見すえている。だが、生い茂るボサ藪は老人の下半身を隠すほどの丈があり、手に下げた銃も熊の位置からは見えないものと思われた。老人はそろりと左手の銃を持ち上げて、右手でしっかりと銃把を握った。そして、そっと左足を前に踏み出したとき、不覚にも右足がズルッとわずかに辷った。体が斜面にかしぎ、一瞬目線が逸れ、熊が大きく跳んだ。かしいだ体勢を立て直す間もなく、腰矯(こしだめ)にした銃がダーンという音とともに火を噴き、老人は切り株の下部へ回り込みながら腰の弾帯から二弾目の実弾を抜き出して、手早く装填した。銃身を一振りすると同時に熊を見ると、緩斜面を下へ跳んだ熊が、向きを変えるやいなやウオーッと一声大きく吼えて、今度は老人に向かって走りだした。肩付けするいとまもなく、またもや腰矯にして、走り上る熊の真正面に撃ち込み、素早く切り株の上へ回り込んで、三弾目を詰めるべく遊底を開こうとした。ところが、老人がいくら引いてみても遊底は開かなくなってしまった。古い村田銃の弾ケースは真鍮で造ってあり、何発か詰め替えをして撃っているとケース脹(ぶく)れをおこし、弾を発射した後、空ケースが抜けてこないことがあるのだ。羆は、と見れば、斜面に坐り込んで傷ついた胸のあたりを掻き毟(むし)っている。それを見定めた老人は、傍らに生えている少し太目のカシワの木に登った。第一の枝は、地上から約八尺(二・四メートル強)あり、大きな羆なら立ち上がって前肢を伸ばすとどうにか届く高さに付いている。老人は、その一の枝に立って幹に左足をからませ、再度銃を操作してみたが、脹れたケースは一向に抜ける様子もなく、遊底はどうやっても開いてくれなかった。そのうち、立ち上がった熊が低い唸り声を発しながら斜面を上ってきた。木の下に寄った熊は、顔を振り上げて老人を見、木の上側に回り込むや、前肢を幹に掛けて立ち上がり、真っ赤な口をあけてガウーッと一声吼え、老人を威嚇した。仕方なく老人は銃の先を羆の顔面に押し付け、「ズドン、ズドン」と大声を出して脅かしてみた。だが、熊はひるむ気配すら見せず、木を叩いたり揺すったりしていたが、しまいには老人をにらみつけて大きく吼え、その木に登り始めた。老人は思いっきり体を低くして、銃口で熊の鼻先を突いた。ウワッと短く吼え、いきなり熊が銃の先に噛みついた。老人は右手を銃床の台尻にかけ、熊の咽深くまでいきなり銃身を押し込んでやった。さすがに痛かったのであろう、熊は木から滑り落ちながら大きく頭を振った。そのとたん、危うく木から転落しそうになった老人は、思わず銃を手離し、木にしがみついた。地面に落ちた熊は、頭を振って口から銃を放り出すと、またもや木に登りだした。羆が木に登るときは、一の枝まではそれほど早くないが、一の枝に前肢をかけると、そこから上に登るのは恐ろしく早い。まして、この木のように一の枝から地面までの間隔が短い木であれば、たちまちのうちに老人の足元まで来てしまう。腰鉈を抜いた老人は、力一杯、登ってきた熊の頭にそれを叩きつけた。そしてさらに、一の枝に掛けた右前肢の指に鉈を振りおろし、指の大半を爪もろとも切り落としてしまった。指を切られた熊は、自分の体重を支えきれずに木から転落し、ガウーッ、ガウーッと叫びながら、その辺りを狂ったように走り回った。頭を割られ、指を切断され、腹部に浅い傷とはいえシカ弾を受け、急所は外れていたものの鉛の実弾を一発胸元深くに撃ち込まれていては、出血も多量となる。そのためか、もはや走ることができなくなったらしく、熊は前肢を庇うような仕種で、よろめきながら山の奥へ遠去かっていった。しばらく木の上にいた老人も、熊が戻ってこないのを確かめると、ようやく木から降り、銃を拾い上げて山を下った。家に戻った大友老人は、古い薬莢(やっきょう)を選び出して新しいものと取り替えてから、製の掃除棒を継ぎたして銃口から差し入れ、トントンと突いてみた。すると、さっきはいくら引いても開かなかった遊底が、ゴクンと音を立てて開いたのである。油を充分にくれてから布切れで拭きとり、きれいに整えた銃を傍らに置いて、老人はお湯かけ飯を漬物と一緒に腹の中へ流し込み、再度出猟の支度をして外へ出た。老人はまず、少し離れた隣の農家に足を向けた。その家の人たちは皆、裏の畑に出て大豆の穫り入れをしていたが、老人の姿を見た農家の主人が畑の縁まで上がってきて声をかけた。「大友さん、どうしたかね、朝早くから鉄砲の音がしていたけど」この人は山本さんという人で、昨日大豆畑が荒らされていると言ってきた当人である。「うん、ゆんべここで撃ったシカを追っていったらよ、おっきな熊がシカの腹破って百尋(内臓)喰らっていたんだ。あいにく手負いにしてしまったでよ、これから追ってみるけど、あの上にあるナラの根っ株のところにシカが倒れていっから、二、三人で行って、おらのとこまで運んできてけろや。晩にはシカの肉で一杯やるべしよ」「うん、わかった。すぐ運んでバラしておくから、気をつけてや。熊も運びに行ってやるべよ。大体、どのあたりだべか」「そうだな、あのへんだと、大方シュムロ沢のカッチ(沢の詰め)だべよ。まああとから来てみてくれや」「うん、シカを始末したら行ってみっから、気をつけて行ってや」。山本さんの声を背に受けて、老人は、畑の上縁(うわへり)から背丈の低い笹藪の中に足を踏み入れ、カシワの樹林へ向かってゆっくりと歩を進めていった。先刻の現場を通るとき、老人はチラッとナラの根株に目をやった。シカはそのまま横たわっていた。それを横目で見つつ、そこから真っすぐに熊の跡を追い始めた。やがてカシワの樹林は尽きて、雑木の繁茂する原生林が続いていた。点々と続く血痕を辿るうち、小笹がまばらに生えているところに出た。そこで一度立ち止まった老人は、足元を見おろした。血の跡は、真っすぐ小笹の中へと続いている。周囲(あたり)を入念に見回した老人は、なんの躊躇もなくその小笹の繁みに踏み込んでいった。すでに実弾を装填した銃が、老人の左手に提げられていた。笹の葉や地面に付着した血痕は、跡切れ跡切れながらもなお先へ続いている。少し先に小さな窪みがあり、そこにベットリと血の塊りが付いていた。熊が坐り込んだ跡だ。“近いな”。老人は足を停め、顔を上げて様子を窺った。注意深く見回す老人の目には、何ひとつ動くものの影は映らなかった。透かし見る雑木林の樹間には、なにも変わったところはなく、たまさかに小鳥の囀りさえ聞こえるほど、静けさが辺りを包んでいた。だが、老人の頭の中から、“熊は近くにいる”との直感は去らなかった。全身を耳にし、目にもして、老人はその場に立ちつくしていた。いくばくかの時が流れ、再び老人は歩き始めた、ひと足ひと足ごとに足元に目をやりながら。“熊はもう少し先だ”と、周囲の状況から老人は判断したのだ。歩き始めて五メートルあまり、右手にナラの大木が立っていて、その根元で血痕が消えた。老人はナラの根元を回ってみた。ほんの二メートルほど離れたところに、もう一本、ナラの大木が立っており、その二本の木の真ん中あたりに、やや多目の血痕があった。まだ新しいものと思われるその血痕に、老人の目がひきつけられた。あれだけ細心の注意を払いながら、老人は不覚にも前屈みになって、地面に落ちた血の跡を目で追った。それがすぐに跡切れているのを見たとき、何か異様な気配を感じた老人は、素早く傍らの大木に身を寄せた。その瞬間、後頭部に烈しい一撃を受け、前のめりに踏鞴(たたら)を踏んだ。倒れる寸前、老人は咄嗟に体の向きを変え、仰向けになって倒れながら銃を前に突き出し、覆いかぶさってきた熊の咽元に銃口を当てるようにして引き金を引いた。ドッと胸にのしかかってきた熊の重みとズキンという胸の痛みを感じながら、老人はしだいに意識を失ってゆき、いつしか深い眠りに落ちた。どれほどの時間が経った頃か、胸の苦しさに耐えかねて老人は、ふいに呻き声を上げた。ウーン、ウーン、ウーンと、苦しげな呻きが三声、自分の耳に入り、ハッと気がついたとき、人の声が聞こえた。「おい、大友さんが気がついたようだぞ。あんまり乱暴に動かすなよ。担架まだか、出来たら早く運んでいくべや」と言ったのは、隣りの山本さんであった。山本さんは、近くの人を集めてシカを運びにいったのだが、皆でシカを運び下ろす準備をしていたとき、あまり遠くはないと思われる辺りで、一発の銃声が上がるのを聞いた。だが、それっきりで、あとは何の物音もせず、大友老人も姿を見せなかった。熊をも運び出すつもりの山本さんは、八人の人を集めて行ったので、二人にシカをまかせ、あとの六人で銃声のした方へ歩いていった。そして熊の下敷きになっている老人を発見した、というのである。こうして家に運ばれた老人は、床についたまま、訥々とその日の出来事を語り、喚(よ)ばれた医者が到着したときには、もう二度と立ち上がることもできず、次の日には遂に帰らぬ人となってしまった。肋骨が折れて内臓に突き刺さり、出血が腹中に溜ったため、命を落とす羽目になったという。この当時、私の父は北海道猟友会浦河支部の幹事として、三石村の会員のお世話をしていた関係で、この猟友の訃報を逸早く知らされた。早速馳せつけ、老人の葬儀の席に顔を出した父に、山本さんたちがつまびらかに語ってくれた事の顛末が、以上の話である。このように、手負いの熊がどんなに恐ろしいものであるかということは、父からも、他の猟師からも、事あるごとに何度も聞かされていたし、「確実に斃(たお)せる距離でなければ、絶対に発砲するな」と固く戒められたものだった。さらに、「もし万が一、かりにも手負いの熊を出したとしたら、自分の命を賭けてでも、それを仕留めてしまうことに全力をそそげ」とまで教えこまれた。このような教えが、少年の私をいっそう用心深くしたのか、身近に熊の気配を感ずることがずいぶんと早くなっていた。
(屋外飼育のヤギがつないだ杭ごと行方不明、クマによる被害の可能性も:秋田)
東成瀬村で、屋外で飼っていたヤギが、つないでいた杭ごといなくなっていたことがわかりました。近くの畑にはクマの足跡があり、先週くらいからクマの目撃情報が相次いでいることからクマによる被害の可能性もあるとみられています。県のツキノワグマ情報マップシステム、クマダスなどによりますと、15日の朝、東成瀬村椿川五里台の民家横の畑につないでいたヤギ1頭が、つないでいた杭ごといなくなっているのを飼っていた男性が見つけました。確認すると、飼っていた場所から村道を超えて東側の山の方まで杭を引きずったあとが続いていました。前の夜には男性の家族がヤギの激しい鳴き声を聞いたということです。付近では先週ごろからクマの姿や畑についた足跡が目撃されていて、生ごみが荒らされるなどの被害が発生しています。今のところヤギの行方はわかっていません。
(帰宅したら2階にクマ:福島)
福島市にある住宅に11日、突然、クマが現れました。この家に住む80代男性が自宅に帰宅。そして2階を見上げると、そこにいたのは大きなクマ。体長は1メートル50センチくらいあったといいます。男性は近所の家に駆け込んで助けを求め、その住民が警察に通報。現場に駆け付けた時にはクマはいなくなっていました。福島県ではクマの目撃が過去最多ペースで増えていて、11日にクマ出没警報が出され、注意を呼び掛けています。
(3日連続のクマ食害:北海道)
14日午前8時ごろ、札幌市清田区有明の農園で、トウモロコシ約50本が食い荒らされているのを、畑を所有する男性が見つけ、札幌豊平署に通報した。周辺でヒグマの足跡が見つかり、同署はクマによる食害とみて調べている。
(走行中の乗用車がクマと衝突:新潟)
15日午前5時ごろ、十日町市芋川の広域農道で、走行中の乗用車とクマが衝突した。車は前部が破損したが、運転していた市内の男性にけがはなかった。十日町署によると、クマは体長約1メートルで、車の進行方向の左側から路上に飛び出し、衝突後は北西方向へ逃げたという。現場は民家まで約300メートル。
(カーテン引き裂かれ、犬は死ぬ:福島)
14日夜、福島県喜多方市の住宅で、この家に住む男性が窓を開けたところ、クマにカーテンを引き裂かれ、飼い犬が死ぬなどの被害がありました。警察によりますと、14日午後9時20分ごろ、喜多方市山都町字館ノ原の住宅で、この家に住む男性が外から飼い犬の鳴き声がしたため、窓を開けたところ、体長およそ1.5メートルのクマがいました。男性は犬を助けようと威嚇しましたが、窓に手をかけ、カーテンを引き裂いて家に入ろうとしてきたため、男性ともみ合いになりましたが、男性は犬をあきらめ、窓を閉めたということです。クマは網戸も損傷させました。男性が家の人を起こしに戻ったところ、飼い犬が傷ついていて、その後、犬は死んだということです。住民にけがはありませんでした。クマと対峙した男性は「外でつながれていた犬がキャンキャンと鳴いたんです。そこで寝ていたので、何事かと思って窓を開けてみてみたら、クマがいて、犬を助けようと『何やってんだ!』って言ったら、もうこっちに襲い掛かってきたんですね、ガンガンって。クマにガーッと(窓に)家にはいろうとしてきた。手を入れられて、カーテンを切られた。網戸もこんな風になってしまった。開けるか閉めるかの攻防戦でした。大きかったです。力強すぎて、無理だなと思って、閉めました。(力はどうだったんですか?)すごく強かったですね。人間ではかなわないですね」襲い掛かったクマは、カーテンを引き裂き、網戸を壊したということです。男性は窓を閉めて、家族に知らせようとその場を離れ、けがはありませんでした。クマはその後逃げていなくなりましたが、男性の飼い犬がクマに襲われて死にました。男性「被害が出てからでは遅いと思うんですよ。本当に。これをきっかけに罠なり何なりをかけてほしいと思います」県内では、13日に南会津町で高齢者介護施設の窓を突き破り、施設内に侵入する被害も出ていて、警察はクマに注意を呼びかけています。
(道路に飛び出してきた体長約2メートルのクマと乗用車が衝突:北海道)
9月14日夜、三笠市西桂沢の道道で、乗用車が体長約2メートルのクマと衝突する事故がありました。14日午後8時10分ごろ、道道116号を三笠市街方面に向かって走行していた乗用車を運転していた50代女性が、進行方向左側の歩道上に体長2メートルほどのクマを発見。通り過ぎようとしたところ、クマが突然車道に飛び出して道路を横断しようとしたため、車と衝突しました。女性は、クマが車の下に入り込んだと思い、その場で110番通報しました。警察は車から降りないよう指示し、現場に駆けつけましたが、車の下にクマはおらず、衝突直後に走り去ったとみられています。車のフロント部には、クマのものとみられる毛がこびりついていましたが、車の破損は少なく、自走できる状態でした。運転していた女性と同乗者3人にケガはありませんでした。警察はクマの出没が相次いでいることから、夜間の走行には十分注意するよう呼びかけています。
(住人がクマ侵入の状況話す、室内に幅約9センチの足跡も:北海道)
北海道三笠市で9月16日午前、クマが住宅の窓ガラスを割り、室内に侵入しました。クマはすでに立ち去っていて、住人の女性が当時の状況を明かしてくれました。家の中に侵入してきたのは1頭のクマです。当時、女性は室内で洗濯をしていたといいます。クマはその後、玄関から出ていきました。三笠市幾春別川向町の公営住宅で午前10時40分ごろ、家の中にいた女性が室内でクマ1頭を目撃しました。警察によりますと、クマは住宅の窓ガラスを割って室内に侵入してきたということです。その後、クマは洗濯をしていた女性のすぐ近くを通り、開いていた玄関のドアから出ていきました。女性にけがはありません。クマの体長はおよそ1.2メートルで、ハンターと市の職員が室内を確認したところ、幅およそ9センチの足跡が複数見つかったということです。警察がパトカーで付近を巡回するなど警戒を強めています。
(イノシシを捕獲、中学生とすれ違う場面:岩手)
17日午前7時20分ごろ、盛岡市仙北の仙北中の教職員から「学校敷地内にイノシシ1頭がいる」と盛岡東署に通報があった。イノシシは捕獲され、人的、物的被害はなかった。すでに登校する生徒もいる時間帯だったため、同校は保護者宛ての一斉メールで知らせた。近隣の仙北小も同様の対応を取った。同署員が周辺をパトロールし、通学路には教職員が立ち、安全を確保しながら生徒を登校させた。同8時10分ごろには、学校敷地内を抜け、歩道を走るイノシシと登校中の中学生や市民がすれ違う場面も。その後、学校から北西に逃げ、同市仙北2丁目付近での目撃情報が市に寄せられた。同10時ごろ、現場に駆けつけた市職員に捕獲された。
(クマがコンポスト荒らす:北海道)
17日午前7時ごろ、夕張市千代田の住宅街で、家庭菜園のコンポストが荒らされているのを、住民の男性が発見し、栗山署に通報した。菜園内にはヒグマのものとみられる足跡があり、同署はクマに荒らされたとみて調べている。
(深夜の国道で走行中の軽乗用車が道路に飛び出してきた体長1.5メートルのクマと衝突:北海道)
9月15日深夜、北海道清水町の国道38号で、軽乗用車を運転していた男性がクマと衝突しました。警察によりますと、15日午前0時10分ごろ、軽乗用車が片側1車線の国道38号を北方向に走行中、突然道路右側から飛び出してきた体長約1.5メートルのクマと衝突しました。クマは衝突後、道路を渡って南西方面に走り去りました。軽乗用車を運転していた男性にケガはありませんでした。車は、前部部分が破損しました。クマが逃げた方向は、住宅が多数あり小学校も近いことから、警察は付近の見回りを行いました。これまでのところクマは発見されず、被害などは報告されていないということです。
(『愛車のシートをかじるクマ』体長50センチの"イタズラ"子グマが逃走:北海道)
北海道島牧村の灯台で9月15日、駐車場に止められていたバイクのシートをかじるクマが目撃され、警察が警戒しています。警察によりますと、クマが目撃されたのは島牧村持田の茂津多岬灯台の駐車場です。9月15日午後1時ごろ、ツーリングをしていた男性が灯台に立ち寄りのぼっていたところ、止めていた自身のバイクのシートに上がっているクマを発見しました。男性はさらに、クマがシートをかじる様子を目撃。その後クマは海側の茂みへと逃げていったということです。クマは体長50センチほどで、当時周辺には男性以外おらずけがをした人はいませんでした。
(クマがブドウ150房以上食い荒らす:岩手)
紫波町で小屋に保管されていた出荷前のブドウ150房以上がクマに食い荒らされる被害が確認されました。人への被害はありませんが、警察や猟友会などが警戒を強めています。14日午後9時ごろ、紫波町佐比内の農業・高橋妙子さんが「外から変な音がする」と警察に通報しました。その後、駆けつけた警察官と住宅の敷地内にある作業小屋を確認したところ、10房ほどのブドウが食べられた形跡があったいうことです。現場に残されていた足跡や手跡などからクマによるものとみられています。この作業小屋では13日朝にも同様の被害があって、この2日間でワインなど加工用に出荷予定のブドウ150房以上が食べられたということです。この地区では先月、農園のモモが食い荒らされる被害もあり、地元の猟友会が付近に罠を設置するなど警戒が続いています。
(わなで体長約2メートル・推定体重約180キロの1頭を捕獲:北海道)
鋭く伸びた爪を柵の隙間から伸ばしカメラに向かって威嚇する1頭のクマ。午前10時ごろ撮影されました。マが捕獲されたのは北海道砂川市内の山の中。地元の猟友会によりますと体長は約2メートル、推定体重は180キロほどでした。市内でクマの出没が相次いでいたことから地元の猟友会が箱わなを7月に設置し、9月17日に捕獲されました。9月、砂川市では北光付近で9日連続でクマの出没が相次いでいますが、今回捕獲されたクマは別の個体とみられています。市内ではクマの目撃が2024年の同じ時期と比べ51件増えていて、北海道は10月7日まで砂川市にヒグマ注意報を出しています。
(シカ肉などのジビエを学ぶ、「職業・ハンター」にも注目:北海道)
猟銃を使い北海道の自然とともに生きるハンターという職業が注目される中、札幌市では狩猟やシカ肉などのジビエに興味のある人を対象にしたフォーラムが開かれました。札幌市中央区で開かれた北海道ジビエ・狩猟フォーラム。飲食や観光業・若い学生を対象に、道内の専門家などが狩猟方法やシカ肉などのジビエの活用について説明を行いました。野生動物の有害駆除を行うハンターは近年、試験の申し込みが増えるなど注目が集まっています。一方でエゾシカも生息数を増やしていて駆除が追いついていない他、狩猟されてもほとんど廃棄されるのが現状です。参加者はフォーラムを通し、現状やジビエの魅力について学びました。
(市街地の空きビル再生、総菜店やジビエ精肉店に:福井)
福井県敦賀市相生町の空きビルを昔懐かしの味を提供する総菜店や市内で害獣駆除されたシカやイノシシを使ったジビエ精肉店にしようと改修が進められている。11月のオープンを目指し、福井大学で建築を学ぶ女子学生4人も改修や内装デザインに協力。若者を巻き込んで市街地活性化に取り組んでいる。空きビルは3階建てで、工務店の「大幸ハウジング」(同市元町)が購入した。総菜店は以前、相生町で地域の高齢女性が手作りしていたが閉店したため、同社社長の橋本大輔さん(45)が新たに開く。地域の人たちに愛されていた味がなくなってさびしく思っていたという。ジビエ精肉店は、橋本さんの知人でジビエ販売を手がける「Rutoco」(同市相生町)代表の坂本雅利さん(45)が開業を目指している。ともに1階に11月ごろのオープンを予定している。大学生の参加は坂本さんが、知人で福井大学地域創生推進本部の石原周太郎特命助教に学生募集を依頼したのがきっかけ。坂本さんは「敦賀の関係人口を増やすとともに、若者に敦賀を第二のふるさととして思ってもらえる機会をつくりたい」と考えた。8月28、29日には、同大建築・都市環境工学科2年生4人がビルの改修作業に加わった。学生はそれぞれが考えた改修案を実践。1階の壁をタイル張りや、古材を使った凹凸のあるデザインにリフォームした。参加した学生は「大学の授業で学んだことをうまく実践できた。ほかの階の内装や、総菜店で販売する商品の考案もしたい」という。4人は今後もSNS(交流サイト)での店紹介などにも取り組みたいと意欲を示している。
(鹿の革を加工した工芸品、印伝の財布の歴史を知る企画展:山梨)
鹿の革に漆で装飾を施した伝統工芸品、印伝の財布が時代とともに変化してきた様子を感じられる企画展が甲府市で開かれています。印伝は、鹿の革に赤や黒の漆で模様などをつけた伝統工芸品で財布や名刺入れなどに使われています。甲府市中央の印傳博物館では、今月13日から印伝の財布を集めた企画展が開かれ、古くは江戸時代に使われたとされるものから、現在作られているものまで100点余りを見ることができます。中には江戸時代の人たちが旅行をする時に小銭や小物を入れるために持ち歩いていたといわれる「早道」と呼ばれるものも展示されています。また、時代が進むにつれクレジットカードなどのカード類を入れられるようになったり、最新のものではキャッシュレス決済に使われるスマートフォンを収納できるようになったりするなど、形を変えながら伝統が守られてきたことが感じられます。印傳博物館の研究員、田所美香さんは、「服装や習慣、紙幣の大きさの変化などを感じてもらうとともに、今も昔も変わらず、縁起のいい模様が取り入れられてきたことも知ってもらいたい」と話していました。
(「ヒグマレザープロジェクト」:北海道)
エゾシカに続きヒグマへ。地域とともに歩むKEETSが、北海道の命を活かす新しい挑戦をMakuakeから発信します。近年、北海道ではヒグマの出没が急増し、やむなく駆除される個体も増加しています。しかし、多くは捕獲後すぐに廃棄され、命の痕跡すら残らないのが現状です。札幌・円山の小さなアトリエでバッグや革製品を作るKEETS(キイツ)は、「駆除された命を無駄にしない」という小さな選択肢を社会に示すべく、ヒグマ革を活かした製品づくりに挑戦します。
(捕獲イノシシを食材「ジビエちゃんぽん」試食会:長崎)
農作物に被害をもたらすイノシシを食材として活用した「ジビエちゃんぽん」の試食会が、17日、平戸市で行われました。このちゃんぽんは、平戸市内の飲食業関係者らでつくる協議会が中心となって開発したもので、17日は市内の飲食店で試食会が行われました。市内で捕獲されたイノシシの▽骨がスープに使われているほか、▽ロースやバラ肉が具材としてトッピングされていて、試食した人たちからは「あまり臭みを感じなかった」とか、「もっとイノシシを使ってジビエ感を強めた方がよいのではないか」などと、意見が出されていました。県などによりますと、年間2億円余りに上る農作物への鳥獣被害のうち、イノシシによるものがおよそ7割を占める一方、駆除した個体を焼却したり埋めたりする処理が、各自治体にとって負担になっているということです。協議会では、試食会で出た意見をもとにレシピを改良し、来年中の商品化を目指すとしています。「平戸ご当地グルメ推進協議会」の山口龍一郎事務局長は「適切に駆除しながら、せっかくの命なので、有効に活用したい。イノシシのちゃんぽんは全国でもあまりないと思うので平戸でしか食べられない唯一の料理にしたい」と話していました。
(巨大イノシシを解体、4時間豪快に調理)
有害鳥獣として駆除されたイノシシを思いがけない料理に調理していく動画がInstagramに投稿されました。記事執筆時点でこの動画の再生数は93万回を突破し、“いいね!”は1万5000件を超えています。動画を投稿したのは田舎暮らしを楽しむ、ぬしす(@nushisu_)さん。以前は花壇を荒らすナメクジ対策の動画が話題になりました。今回は知り合いの猟師さんとともに解体したイノシシを調理する動画です。猟師さんらとともに、大人5人がかりで捕獲されたイノシシをさばいたというぬしすさん。お肉を持ち帰った翌日、ぬしすさんはたっぷりの野菜を使ったカレーを作り始めました(イノシシは、仕留めた猟師が自家消費のために解体する場合は食品衛生法に抵触しません)。年々深刻になっている獣害問題ですが、イノシシは駆除されたあと、ほとんどが自治体が指定する方法で埋設処分、または焼却処分されるのが現実なのだとか。ぬしすさんの知り合いの猟師さんは、何にも使われることなく処分されてしまうイノシシたちの状況に心を痛め、さばける人を増やそうと活動をしているそうです。んな猟師さんとともにさばいたイノシシのお肉を、ぬしすさんは手際よく処理していきます。まずロース肉は衣をつけてカラっと揚げておいしそうなカツに。ホロホロに煮込んだ骨周りのお肉はそのままカレーに混ぜ込みました。完成を待つ間、家にいるワンちゃんと猫ちゃんにも加熱したイノシシ肉をおすそ分けします。2匹とも興味津々の様子です。 作り始めてから約4時間、ついにイノシシのカツカレーが完成しました! 実食の感想は……とにかく「おいしい」。語彙力がなくなるほどの旨さのようです。ジビエにあると言われる臭みもなく、絶品の仕上がりとなりました。イノシシのカツカレー、その迫力に圧巻です!投稿のコメント欄には「メチャクチャ美味そう」「害獣とは言え命ですから美味しく供養してあげるのは素晴しいことだと思います」「何でも大切にして生かすことが大事ですね」「いやあ、こんな食生活って素晴らしいですね。本当に羨ましい限りです」「メチャクチャ美味そう」「これは店で出せるレベル。栄養満点だし、絶対美味しい」「駆除するだけでなく、せっかくだから食べないとね。命に感謝しながら。猪の肉、美味いからね」などの声が寄せられています。命を無駄にせず活用するという考え方がすてきですね。ぬしすさんは他にも、 Instagramアカウント(@nushisu_)で田舎暮らしの様子を発信しています。
(クマ出没:宮城)
富谷市によると、18日午前6時ごろ、富谷市三ノ関馬場沢下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、17日午前5時40分ごろ、仙台市太白区茂庭台3丁目にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、16日午後9時30分ごろ、仙台市青葉区芋沢大竹原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、16日午後5時20分ごろ、仙台市太白区秋保町馬場横町にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、16日午後3時40分ごろ、仙台市太白区秋保町長袋下河原にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
栗原市によると、17日午前7時20分ごろ、栗原市栗駒岩ケ崎上小路にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
石巻市によると、16日午前9時10分ごろ、石巻市三輪田寺待井にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午前8時30分ごろ、仙台市青葉区上愛子宮下にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
仙台市によると、15日午後6時30分ごろ、仙台市泉区実沢戸平にクマが出没しました。
(クマ出没:宮城)
白石市によると、15日、白石市福岡蔵本鎌先一番にクマが出没しました。
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